二次創作はなぜ二次創作であるのか。それは、原作があるからです。
ファンが原作を元に想像し妄想し練り上げるのが二次創作です。全ては原作がなければ始まりません。
原作を書いた作者がいる。その人がいなければ、そもそも二次創作とは存在できません。

皆さんは原作が好きですか？ 作者を尊敬していますか？ 彼らに対する配慮を忘れてはいませんか？
二次創作は二次創作です。彼らが駄目だと言えば消えてしまうほどに、その足下は不確かなものです。二次創作文化なんてそんなものです。
でも、そんなものがこうやって存在し続けていられるのは、彼らが活動を黙認してくれているからです。その事に、私たちは感謝を忘れてはいけません。

一度、この関係が崩れかかったことがありました。原作に対する熱意も配慮も感じられない作品が溢れていました。ただ、自分の思うように他人のキャラクターを動かし、いじめていじめていじめ尽くす。
そこには、作者に対する尊敬の念はありませんでした。自分こそが作者であると、そう思っていたのかもしれません。
考えて見てください。自分の書いた二次創作作品を元に誰が三次創作を書き、その中で自分が創造したオリジナルキャラクターが面白半分に悲惨な目に会わされていたら、果たしてどんな気持ちになるか。自分の考えたオリジナルストーリーを身も蓋もない物言いで貶されていたら、果たしてどんな気持ちになるか。

勿論、アンチ・ヘイトのタグが付く作品が悪である、という訳ではありません。好きだからこそ、原作のストーリーに対する不満などが湧いてくるのでしょうし、原作や作者に対するアンチテーゼというのもまた出てくるのでしょう。それを二次創作という作品に詰め込むことを、私に否定する権利は当然ありませんし、そもそもするつもりもありません。
ただ、そこに原作に対する愛はありますか？ ちゃんと、作者に対する尊敬や配慮の気持ちはありますか？ 他人の作品を、自分が愉悦を得るためだけに弄んではいませんか？

数年前、とある二次創作サイトが消えました。自分の事しか考えることのできなかった、利己的で醜悪な作品が蔓延した結果でした。私もその時に居場所を失い、ハーメルンに流れ着きました。この場所が無くなっても、電子の海から同好の志が集う島を探しだし、再び二次創作の山に埋もれていくでしょう。
でも、そんな事を続けるのなら、行き着く場所は二次創作文化の衰退という結末であると、誰しもが理解できる筈です。だからこそ、私たちは理性をもってこの世界を開拓していかなくてはいけません。私たちの借りている世界に対して、思いやりの心を忘れてはいけません。

――――皆さんは、二次創作の世界を楽しめていますか？