Moiその16-2、鰓か蒸気機関か

 前回の『Moi16』のつづき。
 散歩してたら思いついたので、追記

●鰓(エラ)器官派と、蒸気機関派との対立

 ①鰓器官= 魔法のために自分の体を改造。
 ②蒸気機関= 魔法のために環境自体を作り変える。
 魔法/水に対する、二通りのアプローチの仕方。
 どちらにも利点と欠点がある。ある点までは共同歩調できるが、越えてしまうと互いが邪魔になってくる。さらに極めていけば、滅ぼさずには先に行けなくなる。
 
 ①の「そのままの水」を活用できる利点は、②の「作り変える」と衝突する。
 外気の水に含まれてる『混入物』が、自体内の水の混入物と酷似していく。ソレを「作り変える」とは、自分が排除されると同じ。ただ、外気と同じになりすぎれば、自分を形作っている境界/身体そのものが邪魔になる。『融解』の危険がでてくる。
 ②を優先すると、周囲すべてが自分と同じになっていく。力は増幅、効果も増大。だけど、自分は小さな人間のまま。その強化された力を操りきれなくなる、力に翻弄される。その力に適応するため、やはり人間の体を改造しなくてはならなくなり、『決壊』の危険がでてくる。
 そして、術者が強大だったのなら、あるいは加えて、場とタイミングが合わさってしまったら―――『洪水』が起きてしまう。術者だけでなく、周りの人間にも大被害をもたらす。『融解』や『決壊』を連鎖させて勢力を増大。何もかもを飲み込み破壊する、人災にして自然災害。
 そのため、いがみ合うものの、最終的な決着は棚上げに。

●『水子』崇拝派閥の台頭

 魔術が盛んに行われることにより、多種多様な幻影を映しつづけてきた水/魔力。そんな水そのもの・『湖』から受胎することで、生まれた子供。「人間」という魔法、「処女受胎」によって生まれた子供―――
 なので、生まれた時から術者として天才。「幻影を受胎」との過程を経ず、魔術がそのまま魔法になる。二つの対立派閥が、願い続けてきた到達点にいる子供。……彼らを崇拝/使役することで、自在に魔法を使おうとする派閥。
 ただし、その『水子』が急所にもなる。
 ちゃんと管理できているか? 命令を正しく伝え実行させられるか? 不安定なので常に『洪水』を引き起こす危険がある。かといって安定させれば・人として成長していけば、力が弱まっていく、命令も受付けなくなる。反発されたらひとたまりもない。生物でも機械でもない、水そのものを人間にしたような在り方。
 水の子供= 水子= 巫女・御子

 派閥設立の当初は、「処女受胎」かどうかの審査が、厳しく行われた。ただしく『湖』からの受胎でなければ、水子としての超性能を発揮できない。
 しかし時が進むにつれ、審査はゆるくなる。技術革新、他派閥との交流により、偶然によりすぎる水子生産を、安定供給できるようにした。

●『人工水子』製造

 堕胎された子供、産まれてすぐに殺された子供。人間として生を授かる前に終わってしまった、人間でありながら人間でない胎児。ほんらい死んでしまうはずのその胎児たちを延命させた、「人工子宮」によって。滅びていこうとする体を、外から・機械動力で無理やり押さえつけて、人の形を保たせる。
 なので人工水子は、人型の昆虫のような姿。覆われている機械の拘束具を「脱皮」しながら成長する。その成長過程で、人の形にしようとする拘束具を歪ませ、昆虫のような姿になろうとする。
 本物の水子と同じで、生物と機械の境にある不安定な存在。水子はそれでも、水そのものが望んで人間の形に保たせているので、比較的安定している。けど人工水子は、そうじゃない。なので自分から、生物と機械の境にいるような存在へ「昆虫」へと、安定させようとする。

 機械によって拘束している間は、支配することができる。
 けど、成長はとまらない。その機械を取り込み依存を断ち切り、一個の存在として自立しはじめる。そうなった場合、『洪水』とは別の災害が発生する。―――「モンスター」が生まれる。
 人間に悪意をもった暴力の誕生。悪意をそのまま魔法として解き放てる。


日時:2020年05月01日(金) 20:36

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