食べるもの、食べられるもの。守るもの、殺すもの。その境界が問われる
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
物語は、オリ十二鬼月として上弦の弐の位にある女主人公の視点で原作開始前、カナエが生きている時間軸からスタートします。
この主人公の特徴として、人間であったころに農家の娘であった経験から、人間、その中でも“鬼にとって”上質な血を持つ稀血をを文字通りに家畜として囲い、飼っている点が挙げられます。稀血同士の男女を夫婦という名のツガイとして掛け合わせ、よりよい品質の血を作り出すことに心血を注いでいます。
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家畜、という書き方をすると、まるで飼われている人間が、どこかの蛇柱様のように、牢屋にでも入れられて、食べたくもない脂ぎった食事をとらされているように思えるかもしれませんが、この主人公はそんなことをしません。何故なら、そういったストレスなどは血の品質を下げることに繋がるからです。
飼われている人間達は、主人公が運営する里(牧場)の外へ出る自由や結婚の自由などを奪われながらも、それを当然のこととして受け入れ、心の底から主人公を慕い、日々を穏やかに暮らしています。
死んだ場合は主人公に食べられてしまいますが、それでも生きてる限りは血を提供するだけで生活が保障され、なんなら里は主人公の血気術により病気の心配すらない最高レベルの安全地帯となっています。
その上、主人公の性格は、長く生きた上弦の鬼としての傲慢さなどは時折垣間見れますが、基本的に自分に身の危険や行動の妨げにならない限りは、出来る限り穏便に物事を済ませようとしたり、圧倒的に実力が下のはずの元下弦の鬼のメンチにもビビるほど気弱。縁壱がトラウマなど、どこか憎めないところのある性格です。
そんな主人公にカナエさんも、自らの理想である鬼と人間の友好の一つの答えを見たのかウッカリ接近してしまいます。感想欄も9割以上が主人公に好意的なコメントで埋まるほどです。
だが、それでも、この主人公は正真正銘の鬼なのです。
それも、あの無惨様がただ一人心から信頼を寄せる最古参の鬼です。稀血牧場を経営してる故に積極的に人間狩りをしないものの、それでも「人間を食べることってそんなに悪いこと?」と素で言えてしまうレベルの倫理観崩壊したサイコパスです。鬼殺隊の人達を異常者と呼ぶ頭無惨様のクソッタレです。
だけど、憎めない。鬼なんだからしょうがない。むしろ素晴らしい人格者である。ていうか鬼殺隊マジ怖い、と錯覚してしまう絶妙にバランスのとれたキャラクターで、原作に居ないことが悔やまれるレベルの完成度です。
▼読む際の注意事項など
展開上、カナエさんが鬼化したことで、人間を食べる展開があったり、苦手な人は苦手な展開があります。
また、風柱様がモブキャラとくっつく?展開もあります。そういうのが苦手な人は少し注意した方がいいかもしれません。
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たまじ/2020年05月03日(日) 13:52/★ (参考になった:17/ならなかった:1)