たしかに、『いる』という言葉を『欲しい』に置き換えて意味が通る場合もあるけれど、それでも意味は完全に一致していません。
『武器を扱うなら資格がいる』→『武器を扱うなら資格が欲しい』
この場合、『いる』は必須の条件を意味するのに対し、『欲しい』という言葉は、好ましい条件を意味する。『資格はあった方が絶対にいい(けれど、無くても一応は大丈夫)』というような解釈を生むことになる。

また『武器を扱うなら』という条件指定が無く、単に『資格が欲しい』だけだったり、あるいは疑問形で『欲しい』という言葉を使うと、その意味はもっぱら欲求(願望)になってしまう。『ちなみに資格とかって欲しいんですか？』の場面にて、主人公は、資格所持に対しての個人的願望を聞きたいわけではなく、それがギルド加入の必須条件であるかを聞きたいわけですから、不適切です。

文中では、『武器は資格が欲しいんで売ってないんですけど』という箇所も違和感が大きいです。なぜなら、単に資格が欲しい(=持っていた方がいい・持ちたい)というだけでは、武器を売らない理由にならないからです。本当は、資格がいるから(必須条件)、武器を売れないんです。『欲しい』という語では、必須の条件を示すことが出来ないんです。

▲短縮する