蒸留 2023年11月28日(火) 22:07
まず 雨に唄えば(Singin' in the Rain)に掛けたタイトルに吸引力と教養を感じます
近年、『曇らせ』というジャンルが急速に陽の目を浴びてきたように
『自分の行動や言動を起因として他者の感情を大きく動かしてみたい』
という欲求は創作者にとって大きな命題かもしれません
(13行省略されています)
私は、それに触れる際の水里露草さんの質感が好きなのだと思います
序盤から 早生 映 の垢抜けた都会的な容姿を印象的に描写されることで、人の感情の機微に聡く誰とでも仲良くできる器用な女子、というような本質と異なる彼女の内面を勝手に想像してしまっていたこと、終盤の 映 の悲痛な独白によってやっと気付くことができました
現実でもままあることですが、酷く身勝手な自分の心の動きを恥じるばかりです
ミスリードを意図して描写なさっているのは構成として本当に巧みで、人間をより深く描写なさることにとにかく誠実で真摯な姿勢を感じます
相手を想うことよりも自分の欲を一時的に優先させてしまった、という雨中の行動の瑕疵を自ずから詳らかにするこの告解で、不器用で誠実な 早生 映 の在り方が痛いほど伝わる
例えば、 反町 観宇 も人付き合いが得意なほうではないと作中で名言されていますし明確に言葉数が少なく描かれています
これは不用意な発言でみだりに誰かを傷付けたくないという彼女なりの思いやりだと映る
そんな気遣いが裏目に出てしまって 映 にはずっと誤解されてしまっていたけど、それでも二人は互いに相手が悪いとは思っていない、相手のことが大切だから大事にしたい、迷惑になりたくない、という眩い善性を携えている
そんな二人だから、自然と手を取り合えたのだと思います
『玻璃梅の華葩』もそうですが、水里露草さんの作品に宿る、行動や言動の根底に根差す善性を私は愛しています……(長文キモ告白)
▲短縮する
(Good:2/Bad:0) 1話 報告