◆長文失礼します。
胃もたれを覚える程の粘っこい感覚を味わう作品だった。
トレーナーの冥福を祈るばかりだ。
◆結婚して一夜を共にしたばかりの伴侶を前にしての態度やかつてのトレーナーに対する胸中、それらを踏まえて察するにルドルフは
『理想主義と自己愛』
(21行省略されています)
を第一に行動しているように見える。
《《彼女》》の抱く理想をいかに体現するかが重要で、そこにはビジネスパートナーとしてのトレーナーは必要であっても『トレーナーの情動』は求めていない。
三度の敗北は合ってはならず、それに価値を求めない。
行間を読めていないかもしれないが、トレーナーの訃報を聞いて怒りを覚えたのは
「(理想を進む)自身の行動を遮ったから」
のように見える。
これは正に暴君だ、他人の感情よりも自分の理想が優先だ。
他者より自己を優先すること自体は誰でも行うものだが、訃報に接した時の態度はどこまでも他者の価値を不要と認めているようなものだから。
おまけに当人はエアグルーヴの恋愛観を否定するわけでもないし、実際ルドルフの行動自体は個々を切り取って見れば正当性はあるように見える。
ただそれらを一纏めにした途端、胃を締め付けるような重いものがハッキリと浮かんでくるのが恐ろしい。
|ルナ《月》はヨーロッパでは狂気の象徴というが名は体を表すとはこのことか。
きっと伴侶たる彼は狂気の暴君の眼鏡に敵う男性なのだろうが、彼は果たして比翼連理を保てるのだろうか?
◆万が一伴侶が彼女の理想から外れてしまった時。
彼女は理想を裏切られたと激怒するのか、
理想を達成できる人ではなかったと無価値と見なすのか、
それとも自身の理想に他者は要らなかったと悟るのか。
個人的に言えることは、只独りの女は後悔しないだろうということだ。
あったとしても
『自分の理想が間違っていた、自分の考えは間違っていた』
という後悔ではなく、
『選ぶ相手を間違えた』
という後悔になるだろう。
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