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作者:楢樫書局私人有限公司

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兎坂 2023年02月15日(水) 21:07

 どう感想を書こうか。まずその一点から悩むほどに濃密で、膨大なテキストの量を前に、ただただ立ち尽くすしかできませんでした。

 とはいえ読み、大きな衝撃を受けた以上、何も書かず沈黙を貫くのは物書きの端くれとしては恥ずべきと思いましたので、僭越ながら一筆。

 投稿済みの2話分を通じて、地の文の異様なまでの硬さ……ぎこちない、あるいは不慣れさ故のものではなく、練り上げた知識と熱意によって生み出されたそれに対して、執念に親しいものを感じながら、その硬い文をどうにかこうにか掘削して進む。
(40行省略されています)


(Good:1Bad:0) 2話 報告

楢樫書局私人有限公司 2023年02月16日(木) 04:02


" 復讐なんか救いようのない馬鹿のすることだ、興味がない。僕は、ただ、仕事をするだけ"

" これは僕の物語、僕の戦い"

 淡白ながらも何処か力強いこのフレーズ二つに強く惹かれる何かを覚え、取り憑かれた様に先生の著作を拝謁させて頂いたあの日はかれこれもう二年も前の事になるのですね。

 しかしそれから二度の四季流転を終えた今に至り尚、焼き付いて離れぬ情動の残影が僕の脳裏に。

 読み始めて程無く感じた、その造詣深さに元を辿る圧倒的情報量と場面解像度。そうでありながら、読み進めて混乱一つ生まぬ群を抜いた文章構成。ある一定水準以上、冴えた見識を持つ者だけに許される的を得た言葉選びの数々。

 受雷したと錯覚する驚喜の情が胸を過る中、未知の感情が大海となって心中を波打つ刹那、僕ははっきりと執筆意欲に火が灯った事を自覚しました。この方の様な作品を書いてみたい、と、

 ですが、一時の衝動に身を任せ紙面に筆を走らせるも先生の足元には到底及びそうもない雑文を積み上げる日々。書いては消し、また書いては消しを繰り返しそれでも納得できる一作はついぞ仕上げる事叶わず。そうこうしながら、理想と現実の解離を前に幾度か挫けた夜もありました。

 更に僕自身が遅筆も遅筆である上、製作前段階に時間を掛けたその結果、正直に申しまして当稚作に注いだ時間は決して短いとは言い難い物になってしまいました。そうして取り掛かり年単位の時間を費やして完成したのがたった二話分では、笑うに笑えない話なのですが...。

 具体的な一例として、取り寄せた陸軍の各種教範を読みながら慣れぬ英語相手に悪戦苦闘しつつ、少しずつ知識を増やそうと足掻いてみたり。陸軍系教本やレンジャーハンドブックが今有る知識の基礎部分となってくれたのは事実ですが、やはり先生の作品に迫るならこれ一冊では情報に不足。

 そして何を血迷ったか|海兵隊の市街地戦闘教範《MCWP 3-35.3》、|空軍の市街環境下航空機運用書《AFTTP 3-2.29》、法執行機関系、他民間訓練機関様からの出版物にも断片的に手を出す等方々の情報に食指を伸ばした結果、遂には書きたい話を忘れ初期構想を大幅に修正する始末。どうやっても語彙やその他で先生に近づける自分を想像出来なかった故、せめて専門用語の数を増やしてみようと自分なりに努力してみた結果なのですが、今度はそれに足を掬われたりと散々な形に。

 目標とする師の足跡を読む度、自分との間に開く力量差を感じては何度筆持つ指を恨めしいと思った事か。自分の不甲斐なさに打ちのめされ、それでも完成に漕ぎ着けようとする傍ら、改めて創作活動の厳しさを学びました。

 ですが今日、数多の躓きに耐えた今。身勝手極まる所行と知りつつ師と仰ぐ背中を追い、僕の筆先に人を揺さぶる力は宿らないと知りながら、それでも白紙に向かい続けた去日七百余りの先。そこには確かに報われた僕がいる。こうして評価を頂いた現実がある。

  当方、先生程鮮やかに一挙一動を描く力も、称賛に値する語彙も頭脳も持ち合わせていませんが、この度感想を送って頂けたこの事実をあの日と同じ気持ちで打ち込んでいる次第です。

 しつこいようですが、己が忍んだ苦節は今この瞬間の為と言って過言ではありません。この言葉に一切の嘘偽りは無いと、僕は断言出来ます。そして賛辞の言葉に、今はただ感謝を。

 それからこれは余談になりますが、当作品の第一話"Dusty One/Paktia Prov"は先生の著作"傍らには銃"の一幕"夜間襲撃"の項と"Dawn"の前半箇所に強く影響を受けて書き上げました。もしかすると先生も既にお気付きになっていたかもしれません。あの鋭い描写を手本として小説の肝とは何たるかを学ばなければ、今日この作品を掲載させて頂く事も無かったと深くあの日の出会いに感謝するばかりです。

 首を長くして続きを待つとのお言葉でしたので、再構成にまた時間が掛かる事必至ですがその期待に応える為これからも執筆活動に臨んでいく所存です。少なくとも掲載元のハーメルン様が御健在する内はその努力を怠らぬよう自らの心に刻む所です。

 では最後に僕からも、先生の著作中からお気に入りのやり取りを一つ。

「あばよ、兄弟。また会おうぜ」
「ああ、またね。おたがい、うまく回収されることを祈ろう」



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