タイトル奇怪な司書小説ID149013
原作現代 / ホラー作者南 秀憲
あらすじエブリスタに投稿。

 両目が胸元まで落ち体が半分以上溶け出した異様な姿の人間が、座っている。皮膚が溶けて赤い筋肉組織が露出し、かすかに骨すら見えている。勉の隣には、すでに骨だけになっていて、クモの巣に覆われた骸骨が座っている。二人とも美味しそうに生温い水を一気に飲み干し、満足げに椅子の背にもたれているのだ。
……勉の思考は、ここで唐突にさえぎられた。司書の吉田さんのなせる超能力だろうか? 彼女は、右側が少し上に歪んでいる口を動かさないで、勉の脳に直接響く【言葉】で語った。
 自分の想念を他者の頭脳に進入する超能力が、吉田さんには備わっているらしい。
「私にも、あなたと同じ男の子がいたわ。仕事を終え、買い物を済ませて家に帰ってきた。でも、家の中は真っ暗で何も見えない。この時間には息子が奥の部屋で宿題をしている筈なのに……。嫌な予感が胸をよぎったわ。手探りで、やっと探し当てたキッチンの蛍光灯をつけた。
その瞬間、義雄≪よしお≫の姿が、強烈な印象を伴って目に飛び込んできたわ!
四畳半と奥の六畳の間を仕切っている鴨居に――ああああぁぁぁぁ……何ということなの! 義雄の首には、太いロープが食い込んでいる。殆ど風はない筈なのに、ブラブラと揺れている。義雄を見上げて、わなわなとその場に座り込んでしまった。
 突然、私は、空腹を感じて、テーブルに、今朝のおかずと冷えきったお茶碗半分のご飯を置いた。喪服を普段着に着替えるのももどかしく、急いで食事を平らげた。それでも、少しも空腹は満たされなかった。何気なく陶器で出来た骨壺をガラー、ガラー、ガラー、ガラー……と鳴らせた。空腹に耐え切れず、美味しそうな骨を四つばかり口に含んだ。すると、今まで味わった料理を、はるかに凌駕≪りょうが≫する無上の味が、ふんわりと口中に広がったわ。筆舌に尽くし難い程の美味だ。病み付きになりそう……いえ、病み付きになってしまったの。
 カーナビを頼りに墓地を探し、土葬しているお墓を見つけ出すと、死体を掘り出すの。ウジが大量に発生し、あらゆる所に這っている溶けかけの遺体が、入っている棺桶。既に、ミイラ化している遺体や骨だけになっている遺体の入った棺桶。
 私は、それらの棺桶を夜の静けさを乱さずに解体し、更に、まだ肉が付いている遺体は、登山ナイフを使って骨だけにして、美味しくいただき餓えを満たしているのよ。
タグ短編 ホラー 怪談 死体 人骨を食べる 遺体 奇妙な老女 骸骨
必須タグR-15
掲載開始2018年02月23日(金) 00:14話数短編 1話UA205
最新投稿2018年02月23日(金) 00:14しおり1件お気に入り2件
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