行別ここすき者数
小説本体の文章上でダブルクリックするとボタンが表示され、1行につき10回まで「ここすき」投票ができます。
履歴はこちら。
(0)勇者部部室--
(0)
(0)とある晴れた日、依頼も落ち着きまったりとした時間が流れていた。
(0)
(0)中沙綾「ねえ、沙綾ちゃん。昨日やってたあの番組見た?」
(0)
(0)小沙綾「"暴れんぞ将軍"ですよね?勿論です!」
(0)
(0)あこ「暴れないの!?なになに?テレビの話?」
(0)
(0)蘭「2人が見てる時代劇ってどの時代なの?」
(0)
(0)小沙綾「え?江戸時代ですけど……。」
(0)
(0)高嶋「へぇ~。神世紀でも時代劇って江戸時代が主流なんだね。」
(0)
(0)燐子「そこは西暦の時代と同じなんですね…。」
(0)
(0)よくよく考えてみれば、これは結構不思議な事なのである。神世紀から見れば西暦の時代も"時代劇"レベルの昔だからだ。
(0)
(0)モカ「でも、西暦だと、生活様式があまり変わらないしね。」
(0)
(0)薫「そうだね……髷は大事さ…。」
(0)
(0)夏希「じゃあ、西暦組の人達が観てた時代劇も侍、忍者、チャンバラがメインなんですか?」
(0)
(0)友希那「そうね。立ち回りは必ず盛り込まれていた気がするわ。」
(0)
(0)リサ「そうとも限らないよ?"大奥"がテーマの物も人気だったしね。」
(0)
(0)彩「……"おおーく"って?」
(0)
(0)小沙綾「一言で言えば、女性の園の話です。」
(0)
(0)あこ「んー?一言じゃ分からないなぁ。もう少し詳しく。」
(0)
(0)中沙綾「大奥はね、将軍の御世継ぎを産む為に集められた女性が暮らしてた場所だよ。」
(0)
(0)中たえ「徳川の将軍の為のハーレムって事だね。」
(0)
(0)夏希「へー。女の人ばっかりじゃチャンバラは無さそうですね。」
(0)
(0)燐子「でも大奥は…将軍の寵愛を獲得したい女性の情念渦巻く魔窟なんだよ?ドロドロの人間ドラマ、水面下での戦い、愛憎、陰謀、不義密通…!」
(0)
(0)珍しく燐子が饒舌に喋っている。
(0)
(0)小たえ「所謂ひとつの、女性のチャンバラって事。」
(0)
(0)夏希「うーん……いまいち面白さが想像出来ないな…つまりどんな感じなんだろう?」
(0)
(0)燐子「じゃあ、私が説明してあげます…!大奥というのは--」
(0)
(0)
(0)---
(0)
(0)
(0)大奥--
(0)
(0)香澄(おかす)「山吹の方様!素敵な御着物でございますね!」
(0)
(0)中沙綾(山吹の方)「そう思うか?おかす。将軍様のお目に留まるであろうか?」
(0)
(0)リサ(リサ様)「待ちゃ!」
(0)
(0)山吹の方「ぐ…っ!あっ!?御正室の…リサ様!」
(0)
(0)リサ様「山吹……そなた、側室の分際で、図に乗るでないわ…。」
(0)
(0)そう言いながらリサは沙綾の足をさりげなく踏みつける。それも小指だけを。
(0)
(0)山吹の方「くぅぅ…手前が何をしたと仰るのですか。」
(0)
(0)リサ様「お黙りゃ!御世継ぎを産むは、この妾。武家出身の田舎者は土間にでも控えておれ。」
(0)
(0)山吹の方「い、言わせておけば……!」
(0)
(0)リサ様「妾に文句があるのかえ?ならば言ってみよ。ほれ、ほぅれ!」
(0)
(0)山吹の方「ぐぬぬぬぬぬ………。」
(0)
(0)紗夜(紗夜殿)「ふん………正室だからと偉そうに。将軍様の御寵愛は我のものじゃ……。山吹の方に気を取られている今こそ、奴の茶に一服盛ってくれるわ…ふふふ。」
(0)
(0)高嶋(おたか)「紗夜殿、何をなされておりまする?」
(0)
(0)紗夜殿「お、おたか!こ、これはその……。」
(0)
(0)あこ「将軍様のーーーおなーーーりーー!」
(0)
(0)襖が開き、その場にいる全員が平伏する。
(0)
(0)友希那(将軍)「どれ。今宵は、どの蝶に伽を命じよう。おや………?その方、名は何と申す。」
(0)
(0)おかす「はい、腰元のおかすと申します。」
(0)
(0)将軍「おお、中々に愛い奴じゃ。そちに夜伽を命ずる。我が褥へ来るが良い。」
(0)
(0)その一言に、山吹の方、リサ様、紗夜殿の3人は驚きを隠さないでいた。
(0)
(0)おかす「わ、私がでございますか!?」
(0)
(0)将軍「案ずることはない、おかす。たっぷりと可愛がってやるぞ。」
(0)
(0)おかす「あっ………そんなお戯れを。い、いけません………。」
(0)
(0)
(0)---
(0)
(0)
(0)勇者部部室--
(0)
(0)中沙綾「ちょっとちょっとちょっとストーーーーーーップ!!!」
(0)
(0)香澄・友希那「「……………………?」」
(0)
(0)リサ・紗夜「「…………………………。」」
(0)
(0)燐子「………私の配役…間違ってましたでしょうか……。」
(0)
(0)モカ「えっとー……配役と言うか…キャラクター付けがですねー…。」
(0)
(0)中沙綾「夏希、もう分かったよね?充分だよね?大奥、もう良いよね?」
(0)
(0)夏希「へぅ!?は、はい………。」
(0)
(0)美咲「山吹さん、気に入らないからって、回想を途中でぶった切るのはちょっと…。」
(0)
(0)りみ「なんか、大奥って昼ドラみたいな感じなんだね。」
(0)
(0)小沙綾「大奥の物語は人間模様が主体ですから、どうしても……。」
(0)
(0)中たえ「だったら平安時代はどう?」
(0)
(0)燐子「そ、そうですね…!平安良いですよね…!平安の話をしましょう……!」
(0)
(0)
(0)--
(0)
(0)
(0)燐子「平安時代と言えば…源氏物語ですかね…。」
(0)
(0)小沙綾「光源氏ですね。高貴な身分で恋が多い人です。」
(0)
(0)夏希「その人、そんなにモテるんだ。」
(0)
(0)中沙綾「光源氏は帝の子で、その美しい風貌から女性に不自由なかったんだ。」
(0)
(0)中たえ「でも、思い出のお母さんが忘れられなくて、毎晩違う女性の元に行くんだ。」
(0)
(0)
(0)---
(0)
(0)
(0)平安の宮中--
(0)
(0)薫(光源氏)「はぁ……毎日が虚しい。今宵は誰がこの身を温めてくれるのか…。」
(0)
(0)ゆり(葵の上)「またお出かけでございますか。殿方は気ままで結構なこと…。」
(0)
(0)光源氏「皮肉か、葵……。」
(0)
(0)葵の上「いえ、別に…。」
(0)
(0)光源氏「はぁ、妻が冷たい。そうだ…あの人の所へ行こう。」
(0)
(0)--
(0)
(0)紗夜(六条御息所)「お若い貴方はいずれ、年増の私をお忘れになるのでしょうね……。」
(0)
(0)光源氏「何を仰る……。またお逢い出来る日を待ち焦がれずにおられようか…。」
(0)
(0)六条御息所「嘘つき……。嗚呼…憎い……憎い……。光君の正妻が羨ま恨めしや………。忌々しい葵の上……。あの女…呪ってやる……呪い殺してやる……。」
(0)
(0)光源氏「…………はぁ…。」
(0)
(0)
(0)--
(0)
(0)
(0)光源氏「はぁ……探せど探せど、私の心を満たしてくれる女人はおらぬ……ん?」
(0)
(0)彩(紫の上)「しくしく……くすん…。」
(0)
(0)光源氏「幼子よ。何故泣いている?」
(0)
(0)紫の上「しくしく……私の雀が逃げてしまったんです……。」
(0)
(0)光源氏「あっ……………なんと美しい姫だ…。私の亡き母上によう似ておる…。」
(0)
(0)紫の上「きゃっ!何をするの!?」
(0)
(0)光源氏「一緒に来るのだ…。お前を私の色に染め上げてやろう……。」
(0)
(0)
(0)---
(0)
(0)
(0)勇者部部室--
(0)
(0)燐子「あ…あの…!ちょっと……これ以上はこの物語は止めましょう……!」
(0)
(0)あこ「どうして?」
(0)
(0)燐子「あ…あのね、あこちゃん……登場人物が多すぎるし…えっと…色々と不適切な事も……。」
(0)
(0)小沙綾「そうですね。光源氏の物語はここで話すには色々な問題が…。」
(0)
(0)紗夜「どうして私が六条御息所なんですか………。」
(0)
(0)彩「燐子ちゃん。この後紫の上はどうなっちゃうの?」
(0)
(0)燐子「え…!?む、紫の上は……光源氏と…あのぅ……幸せに暮らすんです。」
(0)
(0)彩「ハッピーエンドなんだね?良かったぁ!」
(0)
(0)燐子「うぅ…………。」
(0)
(0)美咲「無垢で純粋なものを前にすると、人は良心の呵責を感じるものなんですね。」
(0)
(0)夏希「なんか結局よく分からなかったです。おおーくもへーあんも難しくて。」
(0)
(0)香澄「ねえねえ、私思ったんだけど!もしかしたら……。神世紀の今も、いつかは"時代劇"って呼ばれる物語になったりするのかな?」
(0)
(0)小沙綾「素敵ですね。神世紀時代劇!」
(0)
(0)小たえ「異世界を舞台に繰り広げられる、勇者達の冒険活劇!」
(0)
(0)あこ「それカッコいい!あこ達が主人公だ!」
(0)
(0)高嶋・紗夜「「私達が主人公………!」」
(0)
(0)夏希「カッコいいです!未来の人達がワクワクしながら観るんだろうなぁ。」
(0)
(0)リサ「あはは!それって何だかおかしいね。」
(0)
(0)彩「だね。その時代劇を、私達はもうこの目で見れてるんだから。」
(0)
(0)友希那「私達西暦組にとっては、未来劇になるのだけれどね。」
(0)
(0)薫「過去にも未来にも、恥じぬ戦いをしていこうじゃないか…。」