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(0)別働隊が全滅しましたという報告に大亜連合特殊工作部隊隊長陳祥山 は特に驚きもしなかった。まるで、そんなことはどうでもいいとでも言うかのような…。
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(0)「さて、我々は作戦第二案に移行する。…呂上尉、復讐など考えるな。レリックなんて不確かな物に拘った我々の落ち度だ。」
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(0)脱走した呂は『白虎甲 』と言う呪法具の鎧を装備していた。
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(0)「分かっております。」
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(0)「よし、行くぞ。目的は魔法協会関東支部だ」
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(0)異変に気づいたのは美月だった。
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(0)突然、目の痛みを訴えたのだ。
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(0)そして、窓を見ると、野獣のようなオーラを視認した。
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(0)深雪「美月大丈夫?」
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(0)美月「今、ベイヒルズタワーの方で野獣のようなオーラが…」
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(0)ベイヒルズタワー、即ち、魔法協会関東支部
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(0)幹比古「野獣…?…まさか…敵襲!?」
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(0)幹比古以外が戦場を目視出来たのはヘリが関東支部についてからであった。
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(0)下を見ると、白い鎧を着た男が弾丸を撥ね飛ばしていた
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(0)摩利「彼奴は!?」
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(0)真由美「呂剛虎だっけ…達也君が倒した…逃げられちゃったのか」
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(0)エリカ「呂剛虎!?」
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(0)レオ「知ってんのか?」
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(0)エリカ「強敵よ。」
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(0)摩利「エリカ、西城。あれは私達で倒す。協力してくれ。」
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(0)エリカ「勿論。」
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(0)先頭を歩く呂は達也との戦闘から虚無感を感じていたが、任務のためと諦めていた所、目の前に立ち塞がった者が現れ、その中にあ の と き 見 た 顔 が混じっていることに気づいた。
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(0)呂は狙いをそこに合わせた。
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(0)一方、摩利達はそれぞれ、魔法協会でプロテクターや武器を借り受けて装備した。
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(0)エリカとレオはプロテクターだけ、摩利はプロテクターと三節刀、腰には薬品のシリンダー容器を指したベルトを調達して呂の前に立ち向かった。
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(0)摩利や真由美は達也との戦いから1人で戦うのは勝ち目がないと分かってはいたが、今では頼れる後輩がいることから負ける気がしなくなった。
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(0)開戦はエリカの剣だった。
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(0)摩利や真由美しか見ていなかった呂はその知覚外の攻撃に対応できないと思っていた。
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(0)エリカの『山津波』に呂は避けきれないことを察し、あえてその攻撃を受け止めた。
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(0)呂を中心にして少し陥没する程の威力だった。
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(0)呂の背後でレオが咆哮と共に呂に殴りかかる。
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(0)呂はエリカを吹き飛ばしてレオの攻撃を交わした。
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(0)真由美は『魔弾の射手』でたくさんの弾丸を呂に向けて打ち出した。
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(0)しかし、その魔法は呂に触れる前に無力化されていた。
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(0)『鋼気功 』は気功術の一種で、身体の周りに鋼よりも固い鎧を作り出す魔法。
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(0)再びレオが突撃してくると、それを弾き返した。
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(0)レオの体はそのままバリケードとして張ってあった車にぶつかった。
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(0)エリカ「レオ!?…よくも、やってくれたな!!」
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(0)エリカが大蛇丸を構えて呂に突撃をかける
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(0)呂はそれの流れを利用して返り討ちにしようとするが、当てた時の感覚が余りよくなかった。
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(0)エリカの攻撃には力が入ってなかったのだ。
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(0)『山津波・燕返し』
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(0)エリカは返り討ちに合うことは分かっていたので、その反動を利用して後ろに下がったのだ。
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(0)多少のダメージは負うが普通に切りかかるよりかは断然ましだった。
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(0)そして、エリカの狙いも攻撃を当てることではなかった。
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(0)エリカに気を取られていた呂は後ろから静に襲いかかる摩利に気付かなかった。
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(0)摩利の三節刀をしっかり食らった呂はバランスを崩すが、そこは歴戦の将、すぐに立て直そうとする。
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(0)そこに、摩利は自身のシリンダー容器を取り出した。
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(0)3本のシリンダー容器からそれぞれ薬品が飛び出し、呂に直撃する。
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(0)摩利の作った薬品は一時的な酩酊感を与えるもの。
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(0)呂も意識を取り戻すのに少し時間がかかってしまった。
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(0)そこに生じた隙を見逃さない真由美がもう一度氷の塊を打ち出す。
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(0)ギリギリ間に合った呂がそれを受け止めるが、呂の手に当たる直前で二酸化炭素に気化して、呂は高濃度の二酸化炭素を顔面に食らう。
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(0)いくら世界トップクラスの武人と言えど高濃度の二酸化炭素を食らえばなにも起こらないこともなく、
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(0)呂はその例に洩れずに倒れた。
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(0)最後に止めとばかりにエリカの剣が呂の心臓を貫いた。
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(0)今、この瞬間をもって、大亜連合が持つ世界最強の戦闘魔法師は日本の学生魔法師達に破れたのだった。
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(0)陳祥山は魔法協会関東支部の中を無防備に歩いていた。
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(0)しかし、警備員には誰一人として気付かれていない。
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(0)それは、陳の発動している魔法に理由がある。
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(0)『鬼門遁甲』
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(0)この魔法は自分の姿を隠す魔法――ではなく、自身の周囲の方位を狂わせ、いつまでたっても自分を視認できないようにする魔法である。
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(0)もっと詳しく言うと、相手に自身が望んだ方向へ行かせる又は遠ざける、精神干渉系の古式魔法だ。
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(0)陳はこの『鬼門遁甲』により、ばれずに資料室までやってこれた。
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(0)扉のオートロックには九校戦で無頭龍が使っていた『電子金蚕』を使い、強制的にこじ開けた。
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(0)中に入った時、陳はとてつもない違和感を感じていた。
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(0)部屋がとても寒 い のだ
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(0)「それが『鬼門遁甲』ですか。」
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(0)「司波深雪…」
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(0)深雪「私の名前をご存知とは、ここ最近お兄様達に付きまとっていたのは貴殿方でしたか。」
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(0)「なぜだ…私の術が効かなかったのか?」
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(0)深雪「いえ、魔法は正常に発動していますよ。ただ…警告を受けていました。〝方位に気を付けなさい〟と。」
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(0)陳は日本にこの魔法の特性を理解している人間がいることに驚いたが、何とか気を保った。
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(0)深雪「まぁ、それだけではよく分かりませんでしたが、方位に気を付けると言うことは、全方位まとめて警戒すればいいのではと思いました。」
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(0)思っていることは無茶苦茶ではあるが、確かにこちらのことは認識されている
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(0)深雪「幸いにもここには見えないものが見える魔法師がおりまして、警戒する以前にも見えないことになっても見 え た と言うわけです。」
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(0)陳は目の前の女の話に内心呆れていたが、実際に看破されている以上、最後の抵抗をしようと懐の拳銃に手を掛けようとする
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(0)しかし、体が動かない。
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(0)深雪「お兄様に対するストーキング行為が貴殿方のせいであるのでしたら、しばしお眠りください。」
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(0)体が氷に包まれていく。
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(0)深雪「私も成長してますので、目が覚めないと言うことにはならないと思いますよ。」
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(0)深雪のその言葉を最後に、陳の意識は闇に包まれた。