行別ここすき者数
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(0)『これは苦しい アリス・インセンス!!
(0)完全に組み伏せられてしまった!!!』
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(0)場内の熱狂は比較的 穏やかなものだった。
(0)それもあのロイドフの実力をその場にいた全員が理解していたからだ。
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(0)「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」
(0)「もう一度だけ言おう アリス君。
(0)今すぐに降参するんだ!!」
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(0)アリスがこの口撃に屈する事は決して無かった。否、もしこれが先鋒戦であったのなら 考えは揺らいでいたかもしれない。
(0)しかし、今の彼女には決して屈さないという確固たる決意があった。
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(0)その支えとなったのは、先程の試合でファンが魅 せたあの激闘である。
(0)ギルドに一緒にいじめ問題の解決の依頼をした友達が自分達のためにあそこまで奮闘してくれた。
(0)その事実が逆境に立たされている今の彼女を支えていた。
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(0)「……じゃあ何かい?
(0)さっきの聖騎士 の友達が頑張ってたから自分も頑張ろう と言いたいのかい?
(0)確かに育ちが良ければそういうまぐれも起きるかもしれない。だけど君はどうだ?
(0)別に抜きん出た能力があるわけでもないしましてや優れた血が流れている訳でもない。
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(0)そんな君がたった2週間 努力したくらいで僕たちとの差を埋められるとでも考えているなら
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(0)悪いけど 君の正気を疑わざるをえないよ!!!!」 「!!!!」
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(0)毎日2、3時間を2週間
(0)合計時間にして約一日とちょっと
(0)上級生との実力差を埋めるにはあまりに乏しい時間だ。
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(0)しかし、その乏しい限られた時間でも絶対に公式戦に勝って今もどこかで苦しんでいるはずの仲間 達を救い出すという確固たる決意を胸にエクスとの特訓を耐えしのいだのだ。
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(0)そのエクスへの恩義を返す事も、この公式戦でやらなければならない事の一つだった。
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(0)(………慌てちゃダメ。
(0)《その時》は絶対に来る。気を取られて拘束が緩む時が絶対に…………。
(0)仕掛けるのはその時!!!)
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(0)「………悪いけど、これ以上は待てないよ。
(0)どうしてもと言うなら、あっちにいるヘルヘイムに引導を━━━━━━━━━━━━
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(0)(今だ!!!!)
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(0)!!!!?」
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(0)ロイドフの押さえ込みが緩んだ一瞬を見逃さず、アリスは掴まれていた腕を抜け、脱出した。そして動揺してロイドフに一瞬出来た隙をついて━━━━━━━━━━━━━
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(0)ガッ!!! グイッ!!! 「な、何ッ!!!?」
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(0)まず、うつ伏せの状態から海老反りの要領で下半身を浮かせ、そのまま足でロイドフの首に組み付いた。
(0)そして背筋を使って起き上がり、その上半身は完全にロイドフより上に行った。
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(0)あまりにも一瞬の事に、観客席は呆気に取られている。
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(0)「あ、あれってまさか━━━━━━━!!!!」
(0)「そうだ。魔界コロシアムで、お前がゼースの小僧を切って落とした技だ。
(0)実は俺も、あの観客席に座っていた。
(0)そこで見たあれを、お前には内緒で伝授していたんだ。」
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(0)***
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(0)『こ、これは信じられない光景です!!!
(0)なんとアリス選手、ロイドフ選手の拘束から脱出し、あまつさえ 逆に技をかけることに成功しました!!!!』
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(0)「バ、バカな……………!!!!」
(0)「残念ですがロイドフさん、終わらせて貰います!!!」
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(0)エクスによって哲郎の動きを叩き込まれたアリスが次にとる行動も決まっていた。
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(0)『ああっ!!
(0)アリス選手、今度はロイドフ選手の後方に回り━━━━━━━━━━━━』
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(0)そのままアリスの全体重によってロイドフの身体は地面に倒された。
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(0)『こ、今度はアリス選手がロイドフ選手に対してマウントを取ったァーーーーー!!!!』
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(0)(哲郎さんは、ここから裏返って相手の足を掴んで折り曲げて関節を極めたんだっけ。
(0)だったら私も…………………………
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(0)!!!?)
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(0)その時、アリスが感じた違和感は 【浮遊感】である。
(0)今 寝技を掛けている彼女が感じるはずのない浮遊感を 背中に感じていたのである。
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(0)「…………………………………えぇっ!!!!?」
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(0)アリスは信じられないものを見た。
(0)自分の両足を掴み、ロイドフが脚の力だけでアリスごと起き上がろうとしているのを。
(0)そして、その両脚に何か緑色の紐状の物が巻きついているのを哲郎は見逃さなかった。
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(0)「何ですかあれ!!?」
(0)「………《プロテンアロエ》だ。」
(0)「プロテンアロエ!?」
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(0)プロテンアロエ
(0)ラグナロクに存在する植物の一種。
(0)極めて安価でありふれた植物であり、加工することで作られる健康食品は庶民にも広く普及している。
(0)また、人体にコラーゲンの部分を巻き付けることで、一時的に筋力を活性化させる。
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(0)「………だが、普通ならあれを巻き付けた程度ではあそこまでの力は出ない。」
(0)「え? そうなんですか?」
(0)「ああ。あれのコラーゲンをそのまま摂取して得られる効果など 高が知れている。
(0)元から脚が鍛えられていなければああは行かない。」
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(0)「だけど、どうするんですか!!?」
(0)「どうするも何も、俺たちにできることは無い。できるのは信じて見守ることだけだ。」