魔法少女リリカルなのはViVidー人喰らいし、古の血ー (ダラケー)
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リュイとその他の設定

八神 リュイ

 

身長:127cm

 

体重:27kg

 

年齢:約8歳(細胞の成長具合から判断)

 

シグナムが検挙したテロ組織にて捕らわれていた子。

 

アマゾンの遺伝子と人間の遺伝子の両方を持っており、アマゾンと人間のハーフ。

 

スズランの様に白い髪に、赤い目をしている。

 

年齢は細胞分裂などの具合から10歳未満と推定されている。

 

たどたどしいが、喋ることは出来る。

 

ただし、「な」行だけは「にゃ」行になっている。

 

シグナムに保護されてから彼女に懐いており、いつしか母親と思うようになっている。

 

 

 

仮面ライダーアマゾン ガンマ

 

リュイが変身するアマゾン。

 

アマゾンの中でも最強種と位置付けられており、別名【アマゾンライダーガンマ】。

 

普段は胎内に溶け込んでいるベルト【アマゾンズドライバー】の左側のグリップを捻って「あまぞん…」と言いながらもう一度グリップを捻って変身する。

 

白い純白の全身で、青い目をし、両腕と両足そして背には鋭いカッターがあるのが特徴。

 

武器はグローブとブーツの部位にはカッター(【アームカッター】と【レッグカッター】)と左側のグリップ【バトラーグリップ】を引き抜いて変幻自在の手持ち武器(【アマゾンブレイド】【アマゾンウィップ】【アマゾンスピア】【アマゾンサイズ】)を状況に応じて使用することもある。

 

ガンマに変身後は戦闘に集中しているために喋ることがあまりない。

 

戦闘後、変身解除時に変身の反動なのか眠ってしまうが、緊迫した状況などでは変身解除後も起きている時がある。

 

 

 

アマゾン細胞

 

とある管理世界に突如発掘された遺跡から発見された細胞型のロストロギア。

 

しかし、細胞型のロストロギアはあまり聞かれていなかった為に当初は古代の細胞か何かかと推測されていた。

 

 

 

実験体 アマゾン

 

時空管理局が呼称する怪物たちの総称。

 

とある製薬会社によりウィルス程度の大きさだったアマゾン細胞を人間大にまで成長したもの。

 

アマゾンはタンパク質を補給しなければならないが、普通の家畜の肉では維持できず、唯一維持できるのが人間の肉のみ。

 

故に覚醒したアマゾンは目に入った人間を見境いなく捕食しようと襲いかかる。

 

個人的なのかは不明だが個体により、その容姿や能力が違う。

 

またアマゾンは元来、本能のまま暴れるか人間を喰らうことしかしないが中には人間のように言語を喋る個体や2体以上の複数体のグループを作る個体がいる。

 

時空管理局が実験施設に来たときに施設が爆発、約4000体のアマゾンが野に放たれることなる。

 

しかもアマゾンの大半は人間に姿を変えて生活を送っているために発見が困難を極める。

 

一応の処置としてレジスターと言われる腕輪をしているが、服などで隠れてしまい、見つけるのは不可能で、アマゾンとなった時に発せられる信号のみが唯一の索敵手段となる。

 

 

 

アマゾンレジスター

 

4000体のアマゾン及びリュイが腕にしている腕輪。

 

中には食人衝動を抑える薬が入っており、定期的に自動で投与される。

 

ただし、中の薬は2年分しか入っておらず、薬が切れるとたちどころに衝動に襲われて怪物になる。

 

レジスターは目の部分が青だが、薬が切れてアマゾンが覚醒すると赤となり居場所を教える追跡機能を備える。

 

リュイの付けているのはレジスターをはやてたちが独自に改良しており、青いままでもリュイの位置を特定できる機能が備わっている。

 

なお、中身の薬品についてはまだ成分分析が出来ておらず研究施設内に保管されていた予備の薬をリュイに投与している。



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出会う烈火と小さき狩人
hunting 00


リメイク(?)になります!


薄暗い通路に並ぶ檻、その中の一つにまだ幼い男の子が1人で檻の中に入れられていた。

 

服は着ておらず、上腕二の腕あたりに目のような部分が青く輝いて、何かの顔に見える腕輪をしていた。

 

細い手足には太い枷を嵌められており自由を制限されている。

 

薄暗いなかで蝋燭が唯一の灯りとなっていた。

 

そんな薄暗い場所に足音がすると1人の男が男の子の織りの前に来た。

 

男「おい、餌だぞ」

 

檻の前に男が来て僅かに開いている隙間に皿を入れると来た道を戻っていった。

 

皿の上には生の状態での肉があった。

 

男の子は差し出された皿に乗せられている生肉を手に取り何の躊躇いもなくかぶり付いた。

 

血と生肉の生臭さが鼻につく。

 

しかし男の子は食べ続けた。

 

ものの数分で生肉を食べ終えた男の子は空の皿を通路に出し血と脂で汚れた手を舐め始めた。

 

手を舐め終えた男の子は檻の隅まで歩くと両足を抱えるように座った。

 

そして目を瞑って眠り始めた。

 

毎日こんな感じだ。

 

毎日のように生肉を出されて食べ、血と脂で汚れた手を舐めて眠る。

 

それが男の子の毎日だった。

 

今日もそうなるだろうと思っていた。

 

だが、それは違った。

 

男A「くそっ!管理局が!!」

 

男B「実験体を移動させろ!」

 

男の子が眠っていると地上から男の子に生肉を出した男を含め、複数の男たちの怒声と慌てたが聞こえて目が覚めて起き上がった。

 

?「逃がすか!!」

 

「「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

男たちの他に今まで聞いたことがない女性の声がするとドアが壊れたのか、バラバラになったドアだったものと一緒に男たちが雪崩のように落ちてきた。

 

男たちが落ちた後、一人の女性が降りてきた。

 

八重桜のロングヘアーをポニーテール纏め、刀を右手に持った女性だった。

 

?(きれいな…ひと…)

 

鉄格子まで近寄り、女性を見た男の子は正直にそう思った。

 

「く、くそ!まさかよりによって武装隊のシグナムがくるなんて…ひぃ!?」

 

シグナム「ロストロギア不法所持で…ん?」

 

刀を男たちに向かって構え何かを言っている女性【シグナム】は視線を感じて横を見ると男の子と目が合った。

 

男A「今だ!!」

 

シグナムが男の子の方を向いている一瞬の隙に男たちが逃げ出した。

 

シグナム「あ、待て!」

 

逃げていく男たちに気づいたシグナムは追いかけようとしたが直ぐに男の子のいる檻に近付いた。

 

シグナム「今出してやるからな。離れてなさい」

 

優しくそう言うと男の子は鉄格子から離れた。

 

男の子が離れたを見たシグナムは持っていた刀【レヴァンティン】で檻の鉄格子を斬った。

 

鉄格子を斬ったシグナムは檻の中に入ると男の子の手足に嵌められていた鎖を斬った。

 

シグナム「もう大丈夫だ」

 

シグナムはそう男の子に微笑みながら言う。

 

?「ありが…とう…」

 

小さいながらも確りとした声でシグナムに礼を言った。

 

シグナム「礼には及ばん…!」

 

お礼を言われたシグナムだったがふと男の子の二の腕に嵌められている腕輪が視界に入って驚いていた。

 

シグナム「お前、まさか…!?」

 

後ろから来る殺気にシグナムは気付き檻を出た。

 

男B「た、助けてくれー!!」

 

さっき逃げた男の片割れが血相を変えて走ってきた。

 

なぜか体は血だらけであった。

 

?「グガゴオォォォォォォォォォォォォ!!」

 

男B「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

男の上に何かが乗っかり、馬乗りなった。

 

シグナムは男に馬乗りなったのが人間ではないことは直ぐに分かった。

 

体は馬乗りにされている男より一回り大きく、外見はカブトムシに似ており、頭だけでなく両腕の甲辺りにも角のようなものが付いた怪人で、左腕には男の子と同じ形で、赤く光っている腕輪を付けていた。

 

?「グガゴオォォォォォォォォォォォォ!!」

 

男B「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怪人は男の腹部辺りに噛み付き、内蔵を引きずり出して捕食し始めた。

 

男B「あ…あぁ…」

 

内蔵を食われ、傷口から血が流れる男は直ぐに息絶えてしまった。

 

シグナム「実験体か!」

 

怪人を【実験体】と呼び、シグナムはレヴァンティンを構えた。

 

すると男の子が檻から出てシグナムの前に来た。

 

シグナム「何をしてる!?危険だ!」

 

シグナムが叫ぶと男の子はシグナムの方を向いた。

 

?「はんてぃんぐ…する…」

 

シグナム「ハンティング?」

 

首を傾げるシグナムを他所に男の子は怪人の方に向き直った。

 

男の子が怪人に向き直ったのと同時に腰からベルトが浮かび上がるように現れた。

 

男の子は浮かび上がったベルトの左側のグリップを持つと思いっきり捻った。

 

GA()M()MA()!】

 

グリップを捻ると両目のような赤い部分に血走りのような模様が入り、英語風に『ガンマ』と聞こえた。

 

?「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ボソリと男の子がそう言うとのと同時に再びグリップを捻った。

 

グリップを捻った瞬間、男の子を中心に熱波と衝撃波が起きながらその姿を変えた。

 

白い純白の全身で、両腕と両足そして背には鋭いカッターがあり、青い目をした戦士に変わった。

 

ガンマ「…アマゾンライダー…ガンマ…hunting start…」



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hunting 01

シグナム「アマゾンライダー…ガンマ…!?」

 

【アマゾンライダーガンマ】に変身した男の子にシグナムは驚く。

 

ガンマ「グルルルルル………」

 

獣の唸り声のようにガンマは怪物【カブトアマゾン】を見ると拳を握った。

 

カブトアマゾン「グガゴオォォォォォォォォォォォォ!!」

 

雄叫びを上げたカブトアマゾンがガンマに向かって走り出した。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

走って向かって来るカブトアマゾンに対してガンマは跳躍してカブトアマゾンの後ろを取った。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァッ!」

 

後ろを取ったガンマは足を掬い上げて転倒させると両足を掴んだ。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

カブトアマゾン「グガオォォォォォォォォォォォォ!?」

 

両足を掴んだガンマはそのまま投げ、落ちてきたところにアッパーを叩き込み屋根にカブトアマゾンを叩きつけた。

 

そして左側のグリップを握ると捻った。

 

《バイオレント パニッシュ!!》

 

ガンマがグリップを捻ると【バイオレントパニッシュ】と言う音声が流れ、両腕のカッターである【アームカッター】が大型化した。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォ!!」

 

カブトアマゾン「グギャアァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

ガンマは大型化したアームカッターで屋根から落ちてくるカブトアマゾンの腰の間接部をカッターで斬り、カブトアマゾンを真横に切断された。

 

真横に切断されたカブトアマゾンはヘドロのように黒い液体を傷口から滝のように流した。

 

流れた液体がガンマの純白の体を黒く汚す。

 

しかし黒い液体はすぐに蒸発、両断されたカブトアマゾンの肉体も黒い液体となり、ドロドロに溶けたかと思いきやすぐに蒸発していった。

 

ガンマ「……」

 

カブトアマゾンの体が溶け、液体となった後で跡形も無くなく蒸発するのを見届けたガンマは残された腕輪を拾い上げた。

 

ガンマ「…ハズレ…か…」

 

ガンマは拾い上げた腕輪をマジマジ見た後、そう言ってグシャリと握り潰しポイと捨てした。

 

ガンマ「……」

 

腕輪を捨てたガンマがシグナムの方を見るとベルトが消え、周囲に今度は冷気が一瞬だけ起きると元の男の子の姿に戻った。

 

シグナム「お前はいったい…」

 

そうシグナムが聞いた瞬間、男の子がいきなりその場に倒れた。

 

シグナム「お、おい!?」

 

いきなり倒れた男の子に驚いていたシグナムは慌てて駆け寄より、抱き上げた。

 

?「すー…すー…」

 

抱き上げられた男の子は気持ち良さそうに寝息を立てて眠っていた。

 

シグナム「寝てるだと!?」

 

眠っていることを見て、心配して損したシグナムは呆れてしまった。

 

シグナム(いったい、この少年は何者なんだ?)

 

カブトアマゾンと互角以上に戦っていた男の子の力を思い出した。

 

シグナム(確か、仮面ライダーアマゾンγだったな…起きたら色々と聞かねばなるまい)

 

そう思いながらシグナムは眠っている男の子を抱えて部屋を後にしたのだった。



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hunting 02

?「………?」

 

その男の子が目を覚ますとベッドの上に寝かされていた。

 

?「ここ…どこ…?」

 

起き上がって周囲を見回した。

 

服は入院服のような服を着せられていた。

 

?「気が付いた?」

 

?「?」

 

声を聞いてその方向を見るとそこには短い金髪の髪、白衣の下には茶色い制服のようなのを着た女性がいた。

 

シャマル「あ、私はシャマル。時空管理局の医師よ」

 

?「かんり…きょく…?」

 

小さいがはっきりとした発音で言うと男の子は首を傾げた。

 

シャマル「そうよ。それで君は自分の名前、分かる?」

 

?「なまえ?」

 

自分の名前が分からないのか男の子は再度首を傾げた。

 

シャマル「分からないの?」

 

首を傾げた男の子がシャマルは聞くとコクリと頷いた。

 

シャマル「そう…じゃあ、ご両親とか家族とか分かる?」

 

自身の名前が分からなくても、家族がいないかと聞くが、男の子は首を横に降った。

 

シャマル「……」

 

首を横に降った男の子を見て、シャマルの中で、ある確信が過った。

 

シャマル「そっか。ごめんなさいね、変な質問して」

 

名前も分からず、家族もいない男の子にシャマルは優しく言う。

 

シャマル「それじゃあ、質問も終わったし…」

 

男の子からある程度聞いたシャマルは隣のベッドに置いてある金属のプレートからあるものを取り出した。

 

シャマル「少し痛いけど、我慢してね?」

 

笑顔で取り出した【注射器】を取り出して男の子に言う。

 

男の子「ひっ!?」

 

そんなシャマルを見て、男の子は怯えてしまっていた。

 

 

 

数時間後のシグナムは本局の病棟に来ていた。

 

理由はシグナム自身が出会ったあの男の子に会うためだ。

 

男の子がいる病室まで来た時、中から声が聞こえた。

 

シャマル『ちょっと、大人しくして!』

 

慌てるシャマルの声。

 

男の子『やー!!』

 

嫌がる男の子の声もした。

 

シャマル『直ぐに済むから、ね?』

 

男の子『やー!!』

 

シャマル『え、ちょっ…痛い、痛い!!』

 

2人の声から何があったのか大体分かったシグナムはため息を吐きながらも病室のドアを開けた。

 

ドアを開けたのと同時に男の子が飛んで来てシグナムに抱くとブルブルと小動物のように震えていた。

 

シャマル「あ、良かった。シグナム、その子を押さえてて」

 

髪はぐちゃぐちゃになり、白衣はシワだらけで右手に中身が空の注射器を持ったシャマルがシグナムにそう言った。

 

どうやら採血の為の注射のようだが男の子は恐がって逃げていたようだ。

 

シグナム「その前にその凶器を降ろせ」

 

シャマル「え?凶器?」

 

シグナム「この子は注射に怯えているんだ。早く隠せ」

 

シャマル「え?あ…」

 

シグナムに言われて気付いたシャマルは注射器を近くのベッドの中に隠した。

 

シャマル「ほ、ほら恐いの無くなったよ~」

 

男の子「やー!!」

 

シャマル「えぇ!?」

 

何もないアピールをするシャマルだが、恐がる男の子にショックを受けてしまう。

 

どうやら男の子の中で、シャマル=恐い人のイメージになってしまったようだ。

 

シグナム「医者が嫌われてどうする…」

 

シャマル「面目ないわ…」

 

怖がられてしまい完全に落ち込むシャマルにシグナムは呆れていた。

 

その後、男の子の採血はシグナムに抱きついたまま行われた。

 

採血が済むと男の子はシグナムに抱きついたまま眠ってしまった。

 

シグナムに抱き着いて、安心したのか、恐怖で張り詰めた緊張の糸が緩んでしまったのだろう。

 

シャマル「はぁ…注射器1本で嫌われるなんて…」

 

シグナム「致し方なかろう。注射器を持って笑顔で追いかけてくれば、誰だって怖いものだ」

 

眠っている男の子はシグナムから離れようとしないためにベッドに腰かけて言う。

 

シャマル「そうよね。とりあえず貴女が言っていた通りならこの子は実験体の可能性があるわ」

 

男の子のことは調査チーム内だけでしか知られていないがシャマルには報告が来ている。

 

シグナム「あぁ…だが子供の姿をしている実験体などいるのか?」

 

シャマル「さぁ…でも、この子についているレジスターや名前や家族がいないことを含めると、この子は実験体としか言いようがないわ」

 

男の子の左腕に嵌められている腕輪【アマゾンズレジスター】とさっきまでの会話、そして採取した血の入った容器を見ながらシャマルは言う。

 

シグナム「期待しているぞ。シャマル」

 

シャマル「えぇ。任せて!」

 

期待されて、シャマル意気込むのであった。



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hunting 03

時空管理局、それは実行部隊として次元航行艦船や武装隊などの強力な戦力を有している、この世界最大の組織である。

 

内部は次元の海に本局を置く【海】こと次元航行部隊と次元世界ミッドチルダに本部を置く【陸】こと地上部隊に分かれており、主に受け持つ案件の違いから異なる性質を有している。

 

治安維持を担う軍隊や警察、そして法務執行を担う裁判所としての機能を合わせ持っており、魔導師という人材が圧倒的に少ないという事実からも、優秀な能力と本人の協力意志さえあれば、前科を持つ人間や逮捕された人間でも、短期の更生期間を経て時空管理局員として迎える事が可能となっている。

 

実験体ことアマゾン対策は、主にこの組織が担当しており、海と陸を統合した部隊が捜査を行っている。

 

そして、今日はアマゾンの対策を話し合う会議なのだが、いつもなら緊張で空気が張り積める会議室は違っていた。

 

理由はシグナムに抱きついたまま眠っている男の子であった。

 

あの後、会議に出る時間となったシグナムは男の子をベッドに戻そうとしたが、全く離れず結局この状態で会議に出席することとなった。

 

会議に出ないのも手だったが真面目な彼女にそれは出来なかった。

 

はやて「し、シグナム、その子は?」

 

上官で対策本部本部長兼シグナムとシャマルたちの主、【八神 はやて】が男の子を見て、聞いてきた。

 

シグナム「後で説明します…」

 

聴かれたシグナムは顔を赤くして言う。

 

流石の【烈火の将】の肩書を持つシグナムですからこの状況は恥ずかしいようだ。

 

だが、男の子はそんなのお構い無し…と言うより、完全に安心しきった顔で眠っていた。

 

はやて「そうか…ほな、会議を始めよか。リイン」

 

はやてもシグナムの今の姿に内心戸惑いながらも会議を始めることにした。

 

リイン「では会議を始めさせていただきます。まず…」

 

はやての隣にいた少女【リインフォース・ツヴァイ】こと【リイン】が会議を始めた。

 

リイン「っと、ここまでがアマゾンたちの特徴です。それで、今後の対策なのですが…」

 

リインが報告書を読みながら、話している時、「ぐううぅぅぅ」っと、お腹が鳴る音が会議室に響いた。

 

音が出た方を見るとシグナムにその視線が集まった。

 

はやて「シグナム、まさか…」

 

シグナム「わ、私ではありません!!」

 

見られたシグナムは直ぐ様否定する。

 

男の子「おなか…すいた…」

 

声を見るといつの間にか男の子が起きて、シグナムを見ていた。

 

はやて「お腹すいたんか?」

 

さっきのお腹の音が男の子から聞こえてはやてが聞くと男の子は頷いた。

 

どうやらお腹がすいて目を覚ましたようだ。

 

はやて「そうか。誰かこの子を…」

 

会議室にいる誰かに、はやては指示しようとするが、男の子はシグナムの制服をぎゅっと握りしめていることに気づいた。

 

はやて「………シグナム、その子と一緒に昼食とってき」

 

シグナム「な、なぜ私なんですか?」

 

はやて「簡単や。まだ、シグナムにしか懐いておらんからな」

 

聞かれたはやてが言うと、シグナムも自身の制服を男の子がギュッと握りしめていることに気づいた。

 

シグナム「……分かりました」

 

確かに、今の男の子は自身以外にまだ心を開いていないことを理解したシグナムは了承する。

 

はやて「会議の結果は追って連絡するから」

 

シグナム「はい」

 

男の子を降ろし、手を繋ぐと一緒に会議室を出ていったのだった。



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hunting 04

会議室から出て、10分後、管理局の食堂にシグナムは男の子と来ていた。

 

丁度、昼休みらしく辺りの席は局員で一杯であったがなんとか席を見つけて男の子を座らせると食事を取りに行った。

 

男の子は少し不安そうにしていたために、シグナムは2人分のサンドイッチを持って戻ってきた。

 

シグナム「ほら、これはお前の分だ」

 

サンドイッチが2つ入っている袋をシグナムは男の子に差し出した。

 

男の子「ありが…とう…」

 

シグナムからサンドイッチの入った袋を受け取って、男の子は言う。

 

男の子「いただきます…」

 

受け取った袋を取って、サンドイッチを取り出した男の子は食べ始めた。

 

シグナムも男の子の隣に座わり、袋からタマゴサンドを取って食べ始めた。

 

男の子が食べているサンドイッチはハムとキャベツが挟まっている。

 

シグナム「美味しいか?」

 

シグナムなら聞かれて男の子はサンドイッチを食べながら頷いた。

 

シグナム(アマゾンは確か人肉しか食べないはずだが…)

 

サンドイッチを美味しそうに食べている男の子を見て、シグナムはそう思っていた。

 

なぜなら、本来のアマゾンは人間の肉しか食さない。

 

しかし、男の子は豚肉であるハムだけでなく、キャベツも確り食べていた。

 

?「あれ?シグナムじゃない」

 

シグナム「テスタロッサか」

 

声を掛けられて、反応すると金髪のストレートで、黒の管理局の制服を着た女性―本局次元航行部隊執務官【フェイト・T・ハラオウン】が来ていた。

 

フェイト「隣開いてる?」

 

シグナム「あぁ、構わない」

 

男の子「……」

 

フェイトが座るなり男の子は食べる手を止めてシグナムの背の陰に隠れた。

 

フェイト「その子は?」

 

シグナム「訳ありでな。昨日検挙した犯罪組織の根城にいたのを保護したんだ」

 

まだ検査結果が出ていないので、男の子がアマゾンであることを隠しておき、表上ではシグナムが誘拐された子供を保護して親を探していることになっている。

 

フェイト「そう…でも私、凄い警戒されてない?」

 

シグナム「恐らくシャマルだな」

 

フェイト「え?」

 

シグナム「実はな…」

 

シグナムはフェイトにシャマルが男の子に嫌われる羽目になったことを話した。

 

つまり金髪の人に男の子は少なからず警戒してしまうことを話したのだ。

 

フェイト「あー…それは警戒されるはずよね…」

 

シグナムから話を聞いたフェイトは自身を男の子が 警戒することに納得した。

 

?「……」

 

シグナムと楽しく会話しているフェイトの顔を男の子は顔だけ出してじーっと見つめていた。

 

フェイト「こんにちわ」

 

男の子が見つめているのに気付いたフェイトは男の子が恐がらないように笑顔で挨拶した。

 

?「こん…に…ちわ……」

 

シグナムの背の陰に隠れてはいるが挨拶した。

 

フェイト(か…かわいい!!)

 

フェイトの煩悩を感じたかは定かだではないが何かを感じた男の子はビクッとなってシグナムの背の陰に再び隠れた。

 

?「やっぱり…きんいろ…こわい…」

 

フェイト「えぇ!?」

 

ぼそりと呟いた男の子の言葉が聞こえて、子供には懐かれやすいと自負していたフェイトはガビーンとショックを受けた。

 

シグナム「はぁ…」

 

これにはため息をついて呆れてしまうシグナムであった。



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hunting 05

時空管理局にある武装隊のオフィスにて、シグナムは自身のデスクに座り会議の結果である資料を読んでいた。

 

方針はこれまでと変わらずアマゾン及びアマゾン細胞を不法に所持している犯罪組織の摘発並びにアマゾンの撃滅または捕獲であった。

 

シグナム(2年前にあんなことが無ければな……)

 

資料を読み終えて、シグナムはそう思っていた。

 

2年前に何があったかと言うと、とある管理世界に発掘された遺跡の中から見つかった細胞型のロストロギア…後にアマゾン細胞と呼ばれる細胞である。

 

アマゾン細胞は投与された生物は身体能力を飛躍的に上げ、人並み外れた力が手に入る

 

しかし、投与された生物を瞬時に怪物へと変化してしまう。

 

さらにアマゾン細胞はたんぱく質を好む。

 

だが、普通の肉などではアマゾン細胞は満足せず唯一満足させられるのが、人間の肉。

 

アマゾン細胞を投与されれば人食い怪物と成り果ててしまうのだ。

 

管理局は直ぐにアマゾン細胞を封印しようとするがとある製薬会社がアマゾン細胞を奪取。

 

アマゾン細胞を使用した非合法の実験を行っていた。

 

それはアマゾン細胞を人間大にまで成長させた人工人間である通称【実験体】の製造である。

 

さらに、その実験体を使用した生物兵器を開発し、闇のマーケットや紛争地域などに売り付け、利益を得ようとしていた。

 

事態を重く見た管理局上層部は直ちに製薬会社の調査を開始。

 

物証を揃えた上で、製薬会社の研究施設を突き止めた管理局は局員を向かわせる。

 

しかし、研究施設への突入寸前で、施設が謎の爆発を起こした。

 

爆発により研究員は全員死亡し、実験体は全滅したかに思われていた。

 

だが、後の事後処理にて回収された研究データから約4000体もの実験体が製造され、爆発に紛れて全てが野に放たれていた。

 

さらに最悪なことに一部をアマゾン細胞がテロ組織などに横流しされていた。

 

野に放たれた実験体4000体を管理局はその元となった細胞から【アマゾン】と呼称して対応しているのだ。

 

シャマル「あ、シグナム。こんな所にいたのね」

 

2年前の事件の資料を読んでいると、シグナムを探していたであろう書類を持ったシャマルがやって来た。

 

シグナム「シャマルか、どうした?」

 

シャマル「あの子の検査結果が出たの」

 

持っていた書類を見せながらシャマルはシグナムを探していた理由を言う。

 

シグナム「そうか…で、どうだった?」

 

シャマル「それが妙なの」

 

シグナム「妙?」

 

結果を聞いてきたシグナムにシャマルは信じられないというような顔をしていた。

 

シャマル「あの子には確かにアマゾン細胞があったわ。でも同時に人間の細胞もあったわ」

 

シグナム「なに、人間の細胞もか!?」

 

シャマルの言葉を聞いてシグナムは驚いて声を上げた。

 

シャマル「えぇ」

 

驚くシグナムにシャマルは頷いて書類を渡した。

 

書類を受け取ったシグナムは書類を見てシャマルが言っていたことが本当だと認知せざるをえなかった。

 

アマゾン細胞から生み出されたアマゾンは細胞すべてがアマゾン細胞のみの人工生命体である。

 

しかし、あの男の子はアマゾン細胞だけでなく人間の細胞も持っている。

 

書類を見たシグナムの中にある仮説が出来た。

 

シグナム「まさか…あの子はアマゾンと人間の子なのか?」

 

人間とアマゾンの血を持つ忌み子、それがあの男の子であると。

 

シャマル「分からないわ。でもそうでなければ説明がつかないの」

 

どうやらシャマルも同じ考えであったようだ。

 

シャマル「はやてちゃんには何て言うの?」

 

シグナム「主はやてには次の会議で私が直接言っておくつもりだ」

 

シャマルからはやてには忌み子かもしれない男の子のことをどう話すかと聞かれてシグナムはそう答える。

 

シャマル「そう…」

 

シグナムの言葉を聞いてもなお、シャマルは少しの心配していた。

 

その時、局に緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響いた。



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hunting 06

とある森林に二人の男女がキャンプしていた。

男性「うぐっ!?」

薪を集めていた男性は急に腹部を押さえて倒れ込んだ。

女性「ちょっと、大丈夫!?」

近くにいた女性が駆け寄ってきた。

男性「…ら……へっ…た………」

女性「え?」

男性「腹が…腹が減ったぁぁぁぁぁぁぁ!!」

女性の方を振り向いた男性の顔の一部が火傷をしたように爛れ、さらに体からは煙まで上がっていた。

女性「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

男性の顔に驚いた女性は尻餅をついてしまった。

男性「う…あ…が…あぁ…あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

男性の体から出る煙が一気に吹き上がり、強烈な衝撃波と高熱が生じ姿を変えた。

周囲が高熱により、小さな火が地面に落ちている枯れ葉や木に燃え移っていた。

?「バロオォォォォォォォォォォォォン!!」

衝撃波と高熱が晴れるとそこにはさっきまでいた男性ではなく、像に似た顔をした巨漢の怪人が雄叫びを上げていたのだった。

?「バルルルル!!」

怪人は女性を見ると鼻を伸ばして女性の体に巻き付けた。

女性「ひっ!?」

?「バロオォォォォォォォォォォォォン!!」

鼻を女性の体に巻き付けると空高く持ち上げた。

女性「きゃっ!い、いや、離して!」

鼻を巻き付けられた女性は逃れようとするが、力の差がありすぎて離せなかった。

?「バロオォォォォォォォォォォォォン!!」

女性「いやあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

持ち上げた女性をおもいっきり頭から地面に叩き付けた。

地面に叩き付けたられた女性は頭を潰され、残された体がビクンビクンっと僅かに動いたかと思いきやすぐに動かなくなった。

?「バルルルル……」

怪人は女性が死んだことを確認してから鼻を離して近づき腹部を食い破り、内蔵を引きずり出して食らい始めた。


緊急事態の警報が鳴り響く少し前、管理局の病棟に一人の男性が搬送されてきた。

 

医師A「バイタルは!?」

 

看護婦A「かなり酷い状態です!」

 

医師B「傷も深く、出血も多いです!」

 

医師A「くそっ、実験体に受けた傷が深すぎる…急いでシャマル先生を呼んでこい!」

 

看護婦B「はい!」

 

搬送されてきた男性の容態に焦りながらもなんとか対処しようとする医師や看護婦たち。

 

すると男性が一人の看護婦の腕を掴んだ。

 

男性「こ…こ…は…?」

 

看護婦C「時空管理局の病棟ですよ」

 

聞かれた看護婦Cがそう答えると男性は辺りを見回した。

 

男性「お前…旨そう…だな…」

 

看護婦C「え?」

 

男性が言った意味が分からない看護婦Cは首を傾げた時、男性の顔の一部が火傷をしたように爛れ、さらに体からは煙まで上がっていた。

 

男性の体から出る煙が一気に吹き上がり、高熱と衝撃波が起きて男性の姿を変えた。

 

?「バロオォォォォォォォォォォォォン!!」

 

煙が晴れるとそこには像に似た顔で、巨漢の怪人になった。

 

看護婦C「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

医師A「あ、アマゾンだぁ!!」

 

男性がアマゾンに変わったことに周りの医師や看護婦たちが驚き悲鳴を上げた。

 

?「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

看護婦C「ひっ!い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ストレッチャーから降りた象型のアマゾンは人間時に掴んでいた看護婦Cを鼻で掴み直すと天井すれすれまで上げて頭から床に叩きつけようと降り下ろした。

 

その時、驚くしかなかった医師や看護婦たちの間を縫うように一つの小さな影があった。

 

それは一気に医師や看護婦たちの間を縫うように駆け抜けると象型のアマゾンの胸部にキックを叩き込んだ。

 

?「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!?」

 

突然胸部にキックを喰らった象型のアマゾンはそのまま後ろの壁を突き破り、吹き飛んだ。

 

キックを喰らったのと同時に看護婦Cを捕らえていた鼻が緩んで床に叩きつけられることなく背中から床に落ちた。

 

看護婦C「いたたた…」

 

背中から床に落ちた看護婦Cは起き上がると1人の男の子がいた。

 

?「だい…じょうぶ…?」

 

看護婦Cの前にいたのはシグナムが保護した男の子が聞いてきた。

 

看護婦C「え、えぇ、大丈夫よ」

 

アマゾンを蹴り飛ばした男の子に驚きながらも看護婦Cは礼を言う。

 

?「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

そこへ象型のアマゾンが立ち上がり咆哮を上げた。

 

?「………」

 

象型のアマゾンが立ち上がったのを見た男の子は両手を腰辺りやり、腰からベルトが浮かび上がらせた。

 

男の子は浮かび上がったベルトの左側のグリップを持ち、捻った。

 

GA()M()MA()!》

 

グリップを捻ると両目のような赤い部分に血走りのような模様が入り、英語風に【ガンマ】と聞こえた。

 

男の子「あまぞん……」

 

ボソリと男の子がそう言うとのと同時に再びグリップを捻った。

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!》

 

白い純白の全身で、両腕と両足そして背には鋭いカッターがあり、青い目をした戦士【仮面ライダーアマゾンガンマ】に変身した。

 

少年が変身したのを目の当たりにしたナースは驚き口をパクパクさせていた。



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hunting 07

ガンマ「グルルルル…ガアァァァァァァァァァァァッ!!」

 

象型のアマゾン―『エレファントアマゾン』に構えたガンマはエレファントに向かって走りだした。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

ガンマ「ハッ!!」

 

迫り来るガンマにエレファントは長い鼻を動かしてガンマを叩き潰そうとするがガンマは体を回転させながら右腕のカッターを使い、エレファントの鼻を切断した。

 

切断された鼻は床に落ち、水揚げされた魚のようにビチビチと動いた。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォ!?」

 

鼻を切断されたエレファントは怯む。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

エレファントが怯んだ隙に接近しようとするガンマ。

 

その時、エレファントの切断され床に落ちた鼻がガンマの首に巻き付いた。

 

ガンマ「ぐ…が…」

 

首を絞められるガンマは走るのを止めて鼻をほどこうと足掻く。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

ガンマ「がはっ!!」

 

そこへエレファントがタックルしてきてガンマを吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされたガンマは壁に激突して床に倒れ込んだ。

 

ガンマの首に巻き付いた鼻はピクピク動いているが直ぐに動かなくなった。

 

エレファント「バルルルル……」

 

タックルしたエレファントは倒れ込んだガンマに近付く。

 

ガンマ「フッ、ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!! 」

 

エレファントが近くに来た瞬間、ガンマはエレファントの足を掴んで持ち上げる形で立ち上がった。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォ!?」

 

足を掴まれ持ち上げられたエレファントはそのまま後頭部床にぶつける。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

足を掴み立ち上がったガンマはエレファントを振り回しす。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

5周くらいしてガンマはエレファントの両足を離し、投げだ。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォ!?」

 

投げられたエレファントは窓ガラスを突き破り外に放り出された。

 

ガンマ「……」

 

エレファントの後を追おうとしたガンマだが窓枠に飛び乗り看護婦Cの方を見た。

 

ガンマ「すぐに…おわるから…」

 

そう言ってガンマは壊れた窓から飛び降りた。

 

エレファントとガンマが飛び降りた所は8階部分。

 

そこから平気で飛び降りたのだ。

 

エレファント「バルルルル……バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

ガンマが着地するとエレファントが咆哮を上げて構えていた。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

ガンマも構えると走りだし、同時にエレファントも走りだした。

 

その時、二人の目の前に何かが飛んできた。

 

ガンマ「!?」

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォ!?」

 

これには驚き二人は動きを止めた。

 

飛んできた何かは軌道はそれぞれだったが同じ方に戻った。

 

二人はその方向を見ると黒い髪に、黒い服で首からは何かの顔の装飾がされたネックレスをしている青年がいた。

 

その青年の両手に、さっきの二本の刀があった。



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hunting 08

?「やれやれ、何かの気配を感じてきてみれば…化けモノ同士の争いに出くわすとわね」

 

右に持った剣を構えながらそう言う青年。

 

?『ゼロ、彼らはホラーじゃないわ。関わらない方がいいわよ』

 

ゼロと呼ばれる青年が首に下げているネックレスの装飾が言った。

 

ゼロ「確かにね。でもシルヴァ、オレたちは守りし者だよ?例え相手がホラーじゃなくても守りし者としての責務を果たさなきゃ」

 

言われたゼロはシルヴァと呼ぶ首飾りに言う。

 

シルヴァ『はぁ…あなたってヒトは…』

 

ゼロに言われて呆れたように、シルヴァはため息を吐いた。

 

シルヴァ『早めに言っとくけど白い方は敵意を出してるけど警戒に近いわ。で、象の方だけど…』

 

ゼロ「それはオレも分かる。敵意剥き出し…いや、獲物を睨む野獣かな。象は敵、でしょ?」

 

シルヴァが言うよりも早くエレファントアマゾンが敵であるとゼロは言う。

 

シルヴァ『分かってるならいいわよ』

 

ゼロ「ありがとう、シルヴァ」

 

シルヴァに礼を言うとゼロは剣を構えた。

 

ゼロ「ハッ!!」

 

剣を構えたのと同時にゼロは跳躍してエレファントアマゾンの前にまで接近した。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

対するエレファントは巨漢に相応しい大きさの剛腕を振るってゼロを殴ろうとする。

 

ゼロ「フッ、ハッ!」

 

しかしゼロは避けようとせずに二本の剣を交差させてエレファントの攻撃を防ぐと弾いてエレファントの懐に入るとエレファントの腹部を斬り裂いた。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!?」

 

腹部を斬られたエレファントアマゾンは数歩ほど後退する。

 

ゼロ「助太刀するよ。黄色い怪物くん」

 

ガンマ「グルルルル………」

 

ゼロを警戒するガンマだが直ぐにエレファントアマゾンに構えた。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

斬られたことに怒りだしたのか、エレファントアマゾンは咆哮を上げる。

 

しかもさっきゼロに斬られた部分が再生して傷が消えていた。

 

ゼロ「へぇ、完全に斬らないと再生しちゃうんだ。ならこれならどうかな?」

 

ゼロはそう言って両手に持っていた剣を高く上げると空中で円を二つ描いた。

 

円は一つとなり光輝き何かを出して青年に纏わせた。

 

銀色一色の塗装で、顔は狼に類似した鎧で、二刀の剣も形が変わっていた。

 

ガンマ「アマ…ゾン…!?」

 

鎧を纏い姿が変わったゼロを見て、ガンマは驚く。

 

絶狼「アマゾン?違うな。オレは絶狼、銀牙騎士 絶狼。君と同じ、守りし者だよ」

 

ガンマ「おなじ…」

 

『銀牙騎士 絶狼』に言われて、ガンマはよく分からないのか首を傾げた。

 

絶狼「そう。ほら、来たよ!!」

 

ガンマ「グルルルル!!」

 

言われてガンマが前を見るとエレファントアマゾンがタックルしようと走ってきていた。

 

ガンマ「フッ!」

 

絶狼「ハッ!」

 

しかしエレファントアマゾンのタックルは単調であったために跳躍して簡単に回避できた。

 

絶狼「あまり時間を掛けたくない。一気に決めるぞ!」

 

着地した絶狼がそう言うとガンマは頷いた。

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォォォォン!!」

 

タックルを回避されながらも、勢いそのままにエレファントアマゾンUターンして2人に迫る。

 

絶狼「ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

両手に持っていた二刀の『絶狼剣』の柄部分をくっ付けて長剣『銀牙絶狼剣』にすると構えて真っ正面から絶狼はエレファントアマゾンに突っ込んだ。

 

ガンマ「ハッ!」

 

絶狼が突っ込む少し前にガンマは跳躍し左側のグリップを捻った。

 

バイオレント・ストライク!!

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

グリップを捻ると『バイオレント・ストライク』という音声が流れて、ガンマは左足を突き出してエレファントに向かって行く。

 

ガンマ・絶狼「「ハアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

エレファント「バロオォォォォォォォォォォォ………」

 

絶狼の一閃とガンマのバイオレント・ストライクを同時に喰らったエレファントアマゾンは断末魔を上げてうつ伏せに倒れドロドロの黒い液体になったが、すぐに蒸発してレジスターだけが残された。

 

ガンマ「………」

 

ガンマは残されたエレファントアマゾンのレジスターを拾いマジマジとマジマジと眺めた。

 

ガンマ「…ハズレ…か…」

 

そうボソリと言うと拾ったレジスターをグシャリと握り潰し、ポイッと捨てた。

 

振り向くと、さっきまでいた絶狼の姿はどこかに消えていた。

 

しかしガンマはあまり疑問に思わずベルトを消して男の子に戻ると近くにあった木に近付き、座ると木を背にして目を閉じた。

 

男の子「すー…すー…」

 

木に寄りかかると目を閉じて、すぐに眠ってしまったのだった。



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hunting 09

男の子「ん…?」

 

エレファントアマゾンとの戦いの後、男の子が目を覚ますと病室のベッドに寝かされていた。

 

シャマル「あ、起きた?」

 

男の子「ひっ!?」

 

自身の視界にシャマルが映ると、男の子は涙目になった。

 

そして…。

 

男の子「ぴゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

シャマル「ちょ、ちょっと…べぶっ!?」

 

悲鳴を上げてベッドから飛び降り、シャマルの顔を踏んづけ、扉を開けて逃げ出した。

 

シャマル「ま、待って~」

 

くっきりと男の子の足跡が顔に付けたシャマルは涙目になりながらも後を追いかけた。

 

男の子「ひいぃっ!!」

 

自身の後を追いかけてくるシャマルを見て男の子は更に悲鳴と速度を上げて逃げる。

 

シャマル「な、なんで逃げるのー!?」

 

男の子が自身から逃げる理由が分からず、シャマルは叫ぶ。

 

男の子「ひっ!!」

 

しかしそんなシャマルの姿は男の子の視点では悪魔のような姿をした人物に見えていた。

 

 

はやて「はぁ…」

 

部隊長室にてはやてはため息を吐く。

 

理由は、自身の目の前にある大量の書類の山である。

 

全部さきのガンマとエレファントアマゾンの戦闘による被害報告書である。

 

?「大丈夫ですか?」

 

はやての横を小さな小ど…おっとと、小さく可愛らしい少女がやってきた。

 

はやて「大丈夫や。ありがとうなリイン」

 

微笑みながら小さく可愛らしい少女―『リインフォースⅡ』こと『リイン』に言う。

 

すると部隊長室のドアがノックされた。

 

はやて「入ってえぇよ」

 

シグナム「失礼します」

 

扉を開けて、部隊長室に入ってきたのはシグナムだった。

 

はやて「シグナム…どないしたんや?病棟での調査にいっとたんやないんか?」

 

病棟に調査へ向かったハズのシグナムが何故か部隊長室に来たのか聞く。

 

シグナム「主はやて、その…お話ししたいことがあります」

 

はやて「ん?なんや?」

 

シグナム「実は私が保護した子のことなのですが…」

 

はやて「あの子がどうかしたんか?」

 

シグナム「それが、あの子がアマゾンであることが分かりました」

 

はやて「そうか、やっぱりやね…」

 

シグナム「え?知っていたんですか?」

 

はやて「目撃や監視カメラに出とったからな。次の対策会議であの子の処遇を話し合う予定や」

 

エレファントアマゾンから看護師を救うために変身し、中庭で戦闘したために、変身する時の映像が監視カメラや周囲にいたスタッフたちに見られており、それがはやてにまで報告が上がってきていたのだ。

 

シグナム「そうですか…それとあの少年に付いてもう一つお伝えしたいことが…」

 

そう言ってシグナムはシャマルから受け取ったあの少年の検査結果の書類をはやてに差し出した。

 

はやて「これは?」

 

シグナム「あの少年の検査結果です。アマゾン細胞と同時にあの少年には人間の細胞も発見されました」

 

はやて「!?」

 

シグナムの話を聞いたはやては内心驚いた。

 

しかし驚きを顔に出さず、はやては冷静に書類を手に取って見た。

 

書類には確かにアマゾン細胞と人間の細胞のことが書かれていた。

 

はやて「これが事実って確証はあるんか?」

 

信じられないはやてはシグナムに聞くと、シグナムは頷く。

 

シグナム「はい…完全なアマゾンなら肉しか食べないハズです。しかし、あの子は出された食事を残さず食べてました」

 

はやて「なるほどな…」

 

シグナムから話を聞いて納得したはやて。

 

するとまた部隊長室のドアが開いた。

 

男の子「ぐすっ…」

 

ドアを開けたのは話の中心であった男の子が半泣きで入ってきたのだった。

 

男の子「うぅ…」

 

半泣きのまま、男の子はシグナムに近づいていくと抱きついた。

 

シグナム「ど、どうしたんだ?」

 

男の子「あく…ま…」

 

シグナム「悪魔?」

 

"悪魔"と聞いて、シグナムは首をかしげた。

 

すると部隊長室のドアが不気味に開いた。



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hunting 10

男の子が何かに怯え、泣きそうになっていると部隊長室の扉が不気味に開いた。

 

そこから現れたのは…。

 

シャマル「み~つ~け~た~」

 

不気味に開いた扉からホラー映画の悪霊のような顔で部屋に入ってきたのはシャマルだった。

 

男の子「ひっ!?」

 

ホラー映画のような登場をしたシャマルを見て、男の子はすっかり怯えてしまっているのか、すぐにシグナムの後ろに隠れてしまった。

 

シャマル「さぁ、大人しく…」

 

ゆっくりとシャマルはシグナムの後ろに隠れた男の子に近づく。

 

シグナム「大人しくするのはお前だ!!」

 

シャマル「きゃう!?」

 

男の子に近付くシャマルの頭にシグナムが空手チョップを叩き込んでダウンさせた。

 

シャマル「な、なにするのよ、シグナム!!」

 

空手チョップを叩き込まれ、痛む頭を押さえながらシグナムに抗議するシャマル。

 

シグナム「完全に怖がっているだろ!しかも、主はやての前だぞ!」

 

シャマル「え、あ…」

 

シグナムに言われて見ると、呆れたようすでため息を吐くはやてと自身に怯え、フルフルと小動物のように震えていふ男の子が目に写った。

 

はやて「シャマル、とりあえず外に出とって」

 

シャマル「え…でも…」

 

外に出るように言われて抗議しようとするシャマルだったが、それより早くはやてが言った。

 

はやて「えぇから!出とって」

 

シャマル「は、はい…」

 

再度はやてに言われてシャマルは渋々と部隊長室から出ていった。

 

シャマルが出て行くとはやてはシグナムの後ろに隠れている男の子に近付いた。

 

男の子「……」

 

近付いてきたはやてに、男の子はシグナムから少し顔を出して見る。

 

はやて「ごめんな、シャマルには後でちゃーんと言うとくけんな」

 

屈んで、はやては男の子と同じ目線になって言うと頭を撫でた。

 

撫でられている男の子は最初、突然撫でられてビックリして、ビクッとなったが、シャマルを追い払った(と言う名の退室命令を出した)はやては敵ではないと分かったのか頭を撫でられても嫌がったり、逃げようとしたりしなかった。

 

?「ありが…とう…」

 

小さいながらも確りとした声で、男の子ははやてにお礼を言った。

 

はやて「礼には及ばんよ。ウチの人が迷惑かけたんやしな」

 

お礼を言われたはやては、そう言うと立ち上がってシグナムの方を見た。

 

はやて「シグナム…後でちと話があるんやけど、えぇか?」

 

シグナム「はい」

 

そう聞くとシグナムは頷いた。

 

はやての目にはあることを決意した目になっていることにシグナムは気付いていたのだった。




とある管理外世界の森林にある天然洞窟に一組の男女が座っていた。

ガンマと絶狼が倒した象型のアマゾン、エレファントアマゾンの別個体が何者かと交戦していた。

エレファントアマゾン「バロオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!」

雄叫びを上げ、エレファントアマゾンは突進する。

その先には黒いの鎧を着た人物が立っていた。

絶狼と同じく、狼の顔に似た兜で、鎧の色は黒一色で所々に金色の部分があり、その装飾は禍々しく胸には小さいがドクロがあり、ボロボロの黒マントが更に威圧を漂わせて、右手には鎖付きで槍のように長い柄の斧を持っていた。

人物は重鈍そうな鎧を着ているとは思えないほど素早く、一瞬で姿を消し、エレファントアマゾンの突進を回避した。

エレファントアマゾン「!?」

一瞬で姿が見えなくなり、攻撃を回避した人物を探し、エレファントアマゾンは辺りを見回します。

?「ロトリ…」

訳:遅い…

エレファントアマゾン「!?」

聞いたこともない言語を発した声に反応して振り向いた瞬間、人物は持っていた斧でエレファントアマゾンを頭から叩ききった。

頭から斧で両断されたエレファントアマゾンはドロドロの黒い体液になったかと思いきや蒸発せず、文字ののような黒い何かに代わり、人物の口の中へ入っていく。

ものの数分でレジスター以外のエレファントアマゾンの肉体を人物は食ってしまった。

?「ナガガ…ナガカミウ…ラリクオ…ラオソドルオキイスゲアセメパ……」

訳:まだだ…まだ足りぬ…アイツの…あの小僧の血肉でなければ……

口元を拭いて人物はそう言うと、どこかへ歩き去ってしまった。


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hunting 11

その日、シグナムは男の子と共に自身が暮らしている八神家の家に来ていた。

 

男の子「………」

 

シグナムに連れられて来た男の子は少し不安な表情でシグナムを見ていた。

 

シグナム「大丈夫だ。私がついている」

 

そんな男の子を安心させるために、シグナムは頭を撫でた。

 

男の人「うん……」

 

シグナムに頭を撫でられた男の子はまだ不安な表情であるが少し和らいでいた。

 

 

 

男の子が八神家に来た理由は数日前の本局の部隊長室のこと。

 

男の子をリインが連れて、病室に戻している頃、シグナムははやてと2人だけで話をしていた。

 

シグナム「い、今…なんと仰いました!?」

 

はやてが言った一言を聞いたシグナムは驚いた。

 

はやて「せやからあの子をウチらで預かるんや」

 

あの男の子をはやては自身の家、つまり八神家に迎え入れると言う。

 

シグナム「し、しかし、あの男の子はアマゾンですよ!?」

 

はやて「せやけど、あの子はウチらと同じ人間や。ウチはな、アマゾンでも人間と共存出来るならしてみたいんや…」

 

あの男の子はアマゾンである前に、人間であると微笑みながらそう言うはやて。

 

はやて「それにな…」

 

シグナム「はい?」

 

はやて「あの子、シグナムに一番よく懐いとる時の顔が一番可愛いかったんよ」

 

シグナム「そこですか!?」

 

はやて「せや、まぁヴィータたちにはウチから言っとくから手続きは頼んだで」

 

と男の子を八神家で預かることとなったのだ。

 

 

シグナム「じゃあ、入るぞ」

 

男の子「………」

 

コクリと頷いてシグナムの後ろにピッタリとついていく。

 

シグナムが玄関のドアを開けて2人は中に入った瞬間、『パーン』という音が響いた。

 

『八神家へようこそ!!』

 

玄関に入ると動物のお面をしてクラッカーを持った、おさげに結った赤髪をした少女『ヴィータ』、妖精か悪魔かの風貌をしたリインみたいな小さな少女『アギト』、はやてと大柄で青い毛並みをした狼『ザフィーラ』がそう言った。

 

しかし…。

 

男の子「うぅ…」

 

クラッカーの音に驚いた男の子はシグナムの後ろに隠れてしまっていた。

 

そんな男の子を見てはやてたちは少し2人を待たせて集まった。

 

ヴィータ「うぉいぃぃぃぃぃ、逆に怖がってんぞ!どーすんだよ!?」

 

アギト「やべーぞ、このままだとシグナム以外あたしら全員シャマルと同格にされちまうよ!!」

 

はやて「なんとかせぇへんとなぁ…ん?」

 

円陣を組んで小声で話していると男の子がシグナムの後ろからジーッとある人物を見ていた。

 

男の子が見ている人物…というか狼であるザフィーラであった。

 

はやて「あぁ、ザフィーラ」

 

ザフィーラ「はい?」

 

はやて「あのな、ごにょごにょ、ええか?」

 

ザフィーラ「は、はぁ…構いませんが…大丈夫ですか?」

 

はやて「大丈夫や」

 

なにやらはやてに耳打ちされたザフィーラは男の子の前まで歩いてきた。

 

シグナム「ザフィーラ?どう…」

 

ザフィーラ「触って良いぞ」

 

シグナムが聞くより早くザフィーラがそう言った。

 

ザフィーラがそう言うと少年はシグナムから離れてザフィーラのモフモフの体を触り始めた。

 

しかも逆撫でで…。

 

男の子「もふもふで…きもちいい…」

 

ザフィーラ「むっ…さ、逆撫では…」

 

逆撫でを嫌がろうとしたザフィーラにはやてが口パクで「そのままや!」と指示を出した。

 

ザフィーラ「仕方ない…むぐっ…」

 

そんなザフィーラの顔に男の子は頬をすりすりした。

 

?「ワンワン…もふもふで…きもちいい…」

 

シグナム(な、なんなのだ!?あの子がただザフィーラを撫でているだけなのにこんなに興奮してしまうんだ!?)

 

ザフィーラを撫でている男の子を見てシグナムは興奮してしまっていたのだった。



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hunting 12

男の子をザフィーラで少し落ち着かせ、リビングに案内していた。

 

はやて「改めて八神家へようこそ」

 

落ち着いた男の子にはやては改めて歓迎する。

 

男の子「やがみ…け…」

 

はやて「せや、あんたは今日からウチらの家族になるんや」

 

男の子「かぞ…く…」

 

あまりピンと来ていないのか、男の子は首をかしげる。

 

ヴィータ「そうだぜ。お前はアタシらの弟になるんだよ」

 

男の子「おとうと…」

 

アギト「あぁ。弟だ」

 

あまり実感がないのか、男の子は首をかしげたままだった。

 

はやて「今は実感が持てへんやろうけど、ゆっくりでえぇからウチらと仲良うしようや。な?」

 

はやてがそう言うと男の子はコクリと頷いた。

 

はやて「あ、自己紹介がまだやったな。ウチは八神はやてや」

 

男の子「はや…て…」

 

ゆっくりで小さくもはっきりと言った。

 

ヴィータ「アタシはヴィータだ」

 

男の子「びー…た」

 

少し発音が違うがヴィータを見ながら名前を確認する。

 

ヴィータ「そうだ、ヴィータだ」

 

間違いを分かっていながらも指摘するのはどうかと考えたヴィータは肯定する。

 

ザフィーラ「私はザフィーラだ」

 

男の子「ワンワン…」

 

ザフィーラ「いや、私はザフィーラだ。ワンワンではなく…」

 

男の子「ワンワン…」

 

はやて「もう諦めりぃザフィーラ」

 

ザフィーラ「むぅ…」

 

訂正してもらおうとしたザフィーラだったが、男の子の中で完全に「ワンワン」となってしまっていた。

 

はやて「そんで君が抱きついとるのが…」

 

男の子「しぐ…なむ…」

 

はやてが言うより早く男の子はシグナムの名前を言った。

 

はやて「知っとったんか?」

 

シグナム「そう言えば色々な人から私の名前を聞いていたからそれで覚えたんでしょう」

 

はやて「なるほどな」

 

シグナムの推察に納得する。

 

確かにフェイトやシャマル、はやてと出会ってきた相手からシグナムが呼ばれていれば自然と覚えてしまったのだ。

 

アギト「アギトだ。よろしくな」

 

?「……」

 

アギトの名前を聞いた男の子は首を傾げた。

 

はやて「聞き取れへんかったんかな?」

 

ヴィータ「じゃあ、ゆっくり言ってみたらどーだ?」

 

アギト「そうか、私はアギトだ。ア・ギ・ト」

 

?「……」

 

ゆっくり言ってみるも男の子は首を傾げていたが…

 

?「かめん…らいだー…?」

 

なんの迷いもなく男の子がそう言うと、聞いたアギトはずっこけてしまった。

 

アギト「違う!私は『目覚めろ、その魂』とかキャッチコピーにしてないからな!!」

 

平成2作目の仮面ライダーと勘違いされてアギトは慌てる。

 

?「ちがう…?」

 

アギト「違う違う!」

 

?「ふつうの…アギト?」

 

アギト「ふつうのって意味が分かんないけど仮面ライダーじゃないなら…」

 

?「とうの…」

 

アギト「今度はそっちかよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 

はやて「なんでこの子、ゲームに出る塔を知っとるんやろ?」

 

シグナム「さぁ?なぜでしょう?」

 

今度は某ゲームに出る塔に間違われてしまい叫んでしまったアギトに、塔のことを知っている男の子に疑問を持ってしまうはやてとシグナムであった。



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hunting 13

はやて「そや、一つ忘れとった!」

 

一通り自己紹介を終わらせた後、はやてがポンと手を叩いて何かを思い出して言う。

 

男の子「?」

 

首を傾げている男の子にはやては意味深そうな笑みを見せた。

 

はやて「八神家に来たお祝いや、名前を考えたんよ」

 

シグナム「それってもしやこの子の…」

 

ヴィータ「そうだぜ」

 

アギト「いつまでも君とかこの子とかじゃ分かりづらいだろ?」

 

シグナム「確かにそうだな。で、この子の名前は?」

 

シグナムが聞くとはやてが言った。

 

はやて「名前はリュイ、『八神 リュイ』や」

 

リュイ「やがみ…りゅい…」

 

アギト「そうだ、お前の名前はリュイだ」

 

リュイ「ボクの…なまえ…」

 

嬉しそうに笑うリュイ。

 

はやて「気に入ってくれて良かったわ~」

 

名前を気に入ってくれたことにはやてたちも笑っていた。

 

しかし次の瞬間だった…

 

シャマル「ただいま~。今、帰りました~」

 

リビングのドアが開き、シャマルが帰ってきたのだ。

 

リュイ「ひっ!?」

 

『ま、マズイ!!』

 

涙目になるリュイと焦り出すはやて、ヴィータ、シグナム、はやて、ザフィーラ。

 

リュイ「ひいぃ!!」

 

リュイはシャマルの顔を見るなり、悲鳴を上げてなきそうになる。

 

シャマル「あれ?この…ぼばぁ!?」

 

リュイを見たシャマルだったが、瞬間にシグナムが顔面に空手チョップを叩き込んで昏倒させた。

 

リュイ「うぅ…グス…グス…」

 

トラウマ(シャマル)を見たリュイは小動物みたいにカタカタ振るえながら泣くのを我慢していた。

 

ヴィータ「折角良い雰囲気だったのに…」

 

アギト「なに、台無しにしてんだよ」

 

倒れているシャマルにヴィータとアギトが不機嫌に言った。

 

シャマル「わ、私…なにかした~?」

 

対するシャマルは昏倒しながらも顔に涙を流しながらそう言った。

 

はやて「てかシャマルにはリインを見張り役に付けとったけど…」

 

リイン「うぅ…」

 

はやてが疑問を口にしてるとリビングのドアの前にリインが顔を出していた。

 

リイン「ごめんなさいです…シャマルを止められなかったです…」

 

申し訳ないと謝るリイン。

 

はやて「はぁ、とりあえずリイン。こっちおいで」

 

呼ばれてリインははやての元に行く。

 

はやて「リュイ~、まだ紹介してなかったんやけど。この子がリインや」

 

怯えているリュイにはやてはリインを紹介した。

 

リュイ「りー…ん?」

 

ヴィータと同じく少し発音が変だがリインを見ながら言った。

 

リイン「そうです。リインです~」

 

はやて「で、さっきシグナムが倒したのがシャ…」

 

リュイ「あくま…!」

 

シャマル「悪魔!?」

 

自己紹介しようとした矢先にリュイに悪魔と呼ばれてシャマルは驚いた。

 

シャマル「いや、私はシャマ…」

 

リュイ「あくま…!」

 

シャマル「だから私は悪魔じゃなくてシャマ…」

 

リュイ「あーくーまー!!」

 

シャマル「えぇ~!?」

 

リュイの中でシャマルは『悪魔』として認知されてしまったようだ。

 

はやて「もう諦めりぃ、悪魔シャマル…」

 

ヴィータ「そうだぜ。悪魔シャマル」

 

はやてとヴィータの2人がポンとシャマル肩を叩いて言った。

 

シャマル「そ、そんな~」

 

ショックを受けてヘナヘナと座り込むシャマルであった。



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hunting 14

シグナム「ん?なんだ?腕がしび…!?」

 

翌朝、寝ていたシグナムは腕に妙な痺れを感じて目を覚ますとリュイがシグナムの腕を枕にして気持ち良さそうに隣で眠っていた。

 

シグナム「な…なぁ!?」

 

驚くシグナムだがリュイを起こさないように動かないようにしていた。

 

シグナム(な、なぜリュイがここに!?確か自分の部屋で寝かせたハズだぞ!?)

 

昨日のことを思い出すシグナム。

 

昨日はリュイを迎える為のサプライズがあって疲れてしまったリュイを用意されたリュイ用の部屋に連れていき寝かせて、自身も自室で一人で寝た…そこまで覚えている。

 

リュイ「しぐ…なむ……」

 

寝言を言いながら寝ているリュイの息がシグナムの顔に当たる。

 

はやて「シグナム~?朝や…って何しとるん?」

 

そこへはやてがシグナムを起こしに来て現状を見た。

 

シグナム「あ、主はやて!こ、これはその…」

 

慌てて起き上がってしまうシグナム。

 

リュイ「う~ん…」

 

シグナムが起き上がってしまい浮かび上がり布団に叩きつけられたリュイが目を覚ました。

 

はやて「あ、リュイ。おはようさん」

 

リュイ「おは…よう…はや…ぱぱ…」

 

シグナム・はやて「「ん?」」

 

目を擦りながら言ったリュイの言葉にはやてとシグナムは硬直した。

 

はやて「り、リュイ…今、なんて言うた?」

 

リュイ「?」

 

首を傾げるリュイ。

 

そして…

 

リュイ「はや…ぱぱ…」

 

はやて「ぱ…ぱ…パパァ!?」

 

明らかに無垢な瞳で『パパ』と言われてはやてはあんぐりと口を明けて、膝から崩れ落ちた。

 

シグナム「あ、主はやてー!!」

 

リュイ「??」

 

慌てて駆け寄るシグナムとよく分からないようで首を傾げるリュイであった。

 

 

アギト・ヴィータ「「あははははははは!!」」

 

リビングで、ことの顛末を聞いたアギトとヴィータの笑い声が響いた。

 

はやて「2人とも笑いすぎや!!」

 

相当ショックなのか、爆笑する2人にはやては言う。

 

ヴィータ「悪い悪い。でもはやてがパパって可笑しくて…ぶふっ!」

 

アギト「無垢な瞳ではやパパ…ぷっ…」

 

壺にはまったのか噴き出しそうになるヴィータとアギト。

 

リイン「因みに私はなんて呼ぶんです?」

 

少し興味津々にリインがリュイに聞いてくる。

 

リュイ「りー…ねえね…」

 

リイン「ね、ねえね!?」

 

今まで小動物に近い扱いをされていたリインにとって嬉しい一言だった。

 

ヴィータ「なら私は!?」

 

アギト「私はなんだ!?」

 

リインが姉と呼ばれてヴィータとアギトが聞いてきた。

 

リュイ「びー…ねえね…あぎ…ねえね…」

 

ヴィータ・アギト「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

2人もまた姉と呼ばれて嬉しくなり叫ぶ。

 

シャマル「じゃあ、私は?」

 

リュイ「……」

 

シャマルが聞くがリュイはプイとそっぽをむいた。

 

シャマル「あ、あれ?おーい、リュイくーん」

 

リュイ「……」

 

リュイはシャマルに顔を合わせまいとまたそっぽをむいた。

 

はやて「諦めりぃや、シャマル」

 

シャマル「はう………」

 

ガクりと項垂れるシャマルであった。

 

ザフィーラ「私はなんだ?」

 

リュイ「ワンワン…」

 

ザフィーラ「やはりそれか…」

 

リイン「それならシグナムはなんて呼ぶんです?」

 

リュイ「しぐ…まま…」

 

『!?』

 

シグナム「!?」

 

リュイの一言に全員に衝撃が駆け巡った。

 

何の戸惑いもなくシグナムのことを『ママ』とよんだのだから。



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hunting 15

リュイが八神家の面々をどう呼ぶか分かったあと、何とか『パパ』呼ばわりから立ち直ったはやてとリイン、アギトが作った朝ご飯が並べられていた。

 

並べ終わると全員が所定の席についた。

 

因みにリュイはシグナムの右隣だ。

 

はやて「それじゃあ…」

 

「「「「「いっただきまーす!」」」」」

 

リュイ「いただき…ます…」

 

朝ご飯を食べ始める面々。

 

はやて「リュイ、ごはんどうや?美味しいか?」

 

リュイ「うん…おいしい」

 

はやて「それはよかったで」

 

リイン「リインとアギトの作ったのはどうです?」

 

リュイ「おいしい…よ」

 

出された料理を美味しそうに食べていた。

 

 

はやて「ほな、行ってくるで」

 

朝ご飯のあとザフィーラ以外の全員が管理局の制服に着替えて出勤する用意をすると玄関前まで来ていた。

 

リュイ「どこに…いくの…?」

 

不安そうな眼差しではやてたちを見るリュイ。

 

はやて「大丈夫や。直ぐに帰ってくるからそれまでザフィーラと一緒に大人しゅう留守番しといて。ええな?」

 

リュイ「うん…」

 

いまだ不安な眼差しではあるが頷くリュイ。

 

 

アギト「あれ?なんか忘れてないか?」

 

ヴィータ「そうか?」

 

本局へ向かう時、アギトがそう言った。

 

はやて「そう言えば確かになんか忘れとるよな…」

 

シグナム「ザフィーラが一緒に居ますから大丈夫とは思いますよ」

 

はやて「せやな。ほな、今日は早く終わらせてリュイを安心させようや!」

 

「「「「「はい!/おう!」」」」」

 

 

リュイ「すー…すー…」

 

その頃、リュイはザフィーラの体を枕に窓際で日向ぼっこして寝ていた。

 

ザフィーラもまた日向ぼっこしてリュイと寝ていた。

 

リュイ「うぅ…」

 

突然、呻くリュイ。

 

昔の夢を見ていたからだ。

 

 

暗い部屋にたった一人、緑の液体が入った入れ物に入れられ、動かないように手足には鎖を嵌められて酸素マスクで呼吸程度しか出来なかった。

 

寂しく、怖かった…このまま一人で死ぬのかと思った。

 

でも辺りが目映く光った。

 

気が付くと辺りは部屋ではなく真っ白で冷たい地面の上に倒れていた。

 

起き上がると灰色の雲が空を覆い、上から白く冷たいモノが降っていた。

 

手足を見れば鎖は無くなって自由になっていた。

 

早くこの場から離れないといけない…そう思ったリュイは立ち上がって走り出した。

 

 

ザフィーラ「リュイ…リュイ!」

 

リュイ「!」

 

ザフィーラに呼ばれてリュイは目を覚ました。

 

ザフィーラ「大丈夫か?」

 

最初、ザフィーラが言っていることがよく分からなかったがいつのまにか涙を流していたことにリュイは気がついた。

 

リュイ「だい…じょうぶ…」

 

涙を拭ってそう言うリュイ。

 

ザフィーラ「そうか…それならば良いのだが。そろそろ昼になる、食べるか?」

 

リュイ「うん…」

 

ザフィーラに言われてリュイは立ち上がり昼ごはんを食べることになった。




シャマル「って私の出番が無いわよ!!」
あ、すまん!わざとだ!
シャマル「酷い!」
もうえーやん。諦めりぃ、悪魔シャマル
シャマル「それ言わないでー!!」
ではまた次回にてお会いしましょう!


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hunting 16

リュイを八神家に迎え入れて翌日、八神家の面々はショッピングモールに来ていた。

 

理由はリュイの服などの日用品を買いにだ。

 

今リュイが着てるのは『エリオ・モンディアル』という元機動六課の少年が着ていたのをフェイトから貰っているのだがいくつかリュイのサイズに合わないのがあり買い出しに来たのだ。

 

はやて「これも似合うなぁ…いや、こっちもかな?」

 

アギト「いや、リュイにはこっちが…」

 

リイン「それよりこっちがいいです!」

 

シャマル「えー、だぜんこ…」

 

ヴィータ「お前のは絶対にリュイが着ないから却下だ」

 

シャマル「そんな!?」

 

子供用の洋服店にてはやて、アギト、リイン、シャマル、ヴィータの5人によるリュイの服選びが行われておいた。

 

因みに当の本人であるリュイはシグナムとザフィーラと共に外で待っていた。

 

リュイ「ん…?」

 

ベンチに座り足をプラプラしていたリュイは唐突にベンチから降りてある露店に向かった。

 

そこはアクセサリー店でルビーやエメラルド、サファイヤに似た色をしたアクセサリーがあった。

 

キラキラと日の光で輝くアクセサリーにリュイは興味津々に見ていた。

 

その中で藍色でYの形をした首飾りのネックレスを見ていた。

 

店員「あら、いらっしゃい。ボウヤ一人?」

 

アクセサリーを見ていたリュイに店員の女性が話し掛けてきた。

 

話し掛けられたリュイは女性を見ながら首を横に振った。

 

店員「じゃあ、お母さんやお父さんは?」

 

リュイ「しぐままなら…そこ…」

 

まだ気付いていないシグナムを指差して言うリュイ。

 

店員「そう、綺麗なママさんね。じゃあ、これはボウヤにあげるわ」

 

店員はリュイが一番興味を示していたネックレスをリュイの首に掛けた。

 

リュイ「ありが…とう…」

 

店員にお礼を言うとリュイはシグナムの元に戻っていった。

 

シグナム「ん?どうしたんだリュイ、その首飾りは?」

 

リュイ「もらった…」

 

シグナム「誰にだ?」

 

リュイ「あそこの…おみせ…あれ?」

 

露店の方を指差して言ったがそこには露店は無くなっていた。

 

露店が無くなっていることにリュイは首を傾げた。

 

 

 

 

はやて「へー、気前がよかったんやなその店員さん」

 

買い物をし終え、家に帰ったあとリュイの首飾りを見ながら言うはやて。

 

シグナム「はい。しかしリュイが言っている店が無いんです」

 

はやて「無い?移動したんかいな?」

 

シグナム「それが探したのですが見当たらず…」

 

はやて「それは変な店やなぁ」

 

シグナムから話を聞いて、代金も受け取らず、雲のように消えた店の子とを聞いてはやては考える。

 

シグナム「はい…ところで主はやて」

 

はやて「ん?なんや?」

 

シグナム「リュイはどこに?それにアギトたちもいないようですが…」

 

はやて「あぁ、実わな…ふふふふ…」

 

聞かれたはやては不適に笑った。

 

するとアギトが来た。

 

アギト「はやて、リュイの準備出来たぞ!」

 

はやて「おぉ!そうかいな、なら連れてきてや」

 

アギト「おうよ!」

 

そうはやてが言うとアギトはどこかへ行ってしまった。

 

数分後…

 

アギト「連れて来たぞ」

 

シグナム「なっ!?」

 

はやて「うんうん。ウチの読みに狂いはなかったな~」

 

アギトが連れて来たリュイの姿にシグナムは絶句、はやては満足そうであった。

 

リュイははやてたちが新しく買ったディズニー映画の熊の顔がプリントされた服を着ている。

 

だがそこはいい、問題は下半身だ。

 

シグナム「は、はやて!?なんでリュイにスカートを!?」

 

そう、リュイは黄色いスカートを履いていた。

 

はやて「可愛いからいいかなと…ダメ…やった?」

 

シグナム「分かってるならしないでいただきたい!!」

 

はやてに怒鳴るシグナム。

 

この後、はやてたちが買った服(主に下の方)の全てがスカートだと分かりはやてを含めた服を買った5人全員がシグナムのお説教を喰らうこととなりシグナム自身がリュイを連れて買い直すハメとなった。

 

 

 

とある場所にリュイに首飾りを渡した店員の女性がいた。

 

店員「種は蒔いた…いつか、この世界にいる別次元の戦士たちと貴方が出会う時、その首飾りは力を貸してくれるわ。でも、それを使いこなせるかは貴方次第よ、八神 リュイ…アマゾンライダーガンマ。ウフフフフ…」

 

笑いながら女性がそう言うと、金色で、両肩部には無数のトゲを備えた突起が付いた鎧を纏い、闇夜の空を飛翔して消えていった。



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番外編1
リュイVSミウラ 前編


番外編です!
唐突に思い付いて書いてみました!
本編はまだ掛かります、すいません。
ではどうぞ!


その日、リュイはヴィータとザフィーラ(人間形態)と一緒に家の近くにある砂浜に来ていた。

 

因みにザフィーラが人間になってリュイは少し驚いていたが耳が狼の時とそう変わらないので直ぐに馴れた。

 

砂浜には10代くらいの少年少女たちがいた。

 

八神家では格闘技道場をしていて少年少女たちはその門下生たちだ。

 

ヴィータ「よーし、みんな集まってんな。今日は紹介したい奴がいる」

 

ヴィータはそう言うと後ろに隠れていたリュイを前に出した。

 

ヴィータ「ほら、自分でやるんだぞ」

 

最初は不安そうだったがヴィータにそう言われてリュイは頷いた。

 

リュイ「や…やがみ…りゅい…です…」

 

少しもじもじしながらも頑張って言うリュイ。

 

すると一人の少女がリュイの前に出た。

 

ミウラ「君がリュイくんなんだ。ボクはミウラ『ミウラ・リナディル』。よろしくね」

 

少女―『ミウラ・リナディル』は右手を差し出して握手を求めた。

 

リュイは反対の手でそれに応じた。

 

これを見たザフィーラとヴィータは互いに顔を見合って笑った。

 

なぜこうなっているのかと言うと実はリュイに色々な人と触れ合ってもらおうとはやてが言い出して手始めに道場の子たちと触れ合わせようとなったのだ。

 

しかし門下生たちもいきなりリュイと会わせれば戸惑う者もいるだろうと言うことで予めミウラにリュイのことを話して最初に話し掛けて欲しいと根回ししておいたのだ。

 

案の定、ミウラが最初に話し掛けたお陰でほかの門下生たちもリュイに話し掛けてきた。

 

リュイも少々戸惑いながらも話し掛けてきた門下生と話していた。

 

ヴィータ(上手くいったみたいだな)

 

小声でザフィーラに言うヴィータ。

 

ザフィーラ(あぁ。こうも上手くいくとわな)

 

ザフィーラもまた小声で言う。

 

ミウラ「あのリュイくん」

 

リュイ「なに?」

 

ミウラ「ボクと手合わせしてもらえませんか?」

 

「「なっ!?」」

 

リュイ「え…?」

 

ミウラの発言に驚くヴィータとザフィーラに対してリュイはキョトンとしていた。

 

ミウラ「良いですよね?」

 

同意を求めるようにヴィータとザフィーラの方を見ながら言う。

 

ヴィータ「い、良いわけねー…」

 

リュイ「いいよ」

 

ヴィータ「はぁ!?」

 

サラッと同意してしまったリュイにヴィータは驚いてしまった。

 

リュイ「みうらと…てあわせ…する…」

 

ミウラ「ありがとう!」

 

ヴィータ「ち、ちょ…」

 

淡々と話が進んでしまいヴィータたちは焦りだす。

 

リュイは人間の見た目だが半分はアマゾンである、力の差が有りすぎるのは明白だからである。

 

ミウラ「じゃあ、さっそくあっちで手合わせしましょう」

 

リュイ「うん…」

 

ミウラに手を引かれてリュイは行ってしまう。

 

残りの門下生たちも行ってしまう。

 

ヴィータ「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

ヴィータの声を上げてミウラの肩を掴んで止めた。

 

ミウラ「な、なんですか?」

 

ヴィータ「なんだもくそもねぇ!なんでリュイと手合わせしたがるんだよ!?」

 

ミウラ「え?リュイくんも格闘技してるんじゃ…」

 

ヴィータ「なんでそうなる?」

 

ミウラ「えーっとリュイと握手した時、リュイくんの手からマメの感覚があったのでしてるのかなって…」

 

ヴィータ「いや、それは…」

 

リュイの手にはたまにだが確かにマメがあるがそれはアマゾンとの戦闘でなったなどと言えるハズもなく言葉に悩むヴィータ。

 

ザフィーラ「ならしてみるといい」

 

ヴィータ「!?」

 

言葉に悩むヴィータを他所にザフィーラがそう言った。

 

ミウラ「ありがとうございます、師匠!」

 

ザフィーラの一言にミウラは喜んで言う。

 

ヴィータ(おいぃぃぃぃぃぃ!どういうつもりだザフィーラ!?)

 

ザフィーラ(ここで下手な弁解をする方が不味い。ならば敢えてやらせてやれば良いわけだ)

 

ヴィータ(だがリュイはミウラたちとは違うんだぞ!?)

 

ザフィーラ(大丈夫だ、リュイもその辺りは考えて手加減はするハズだ。リュイを信じようではないか)

 

リュイを信じようと言われてヴィータもそれ以上は何も言わなかった。



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リュイVSミウラ 後編

はい、今回はとんでもないことになります!
ではどうぞ!


―浜辺―

 

ミウラと手合わせすることになったリュイ。

 

門下生とヴィータ、ザフィーラが見守るなか軽くピョンピョン跳ねたりして準備体操していた。

 

リュイ「んー…」

 

準備体操しているリュイは両手首に付けたリストバンドを見た。

 

付け慣れていないので違和感があるのだがこれはリュイのアマゾンとしての力を制御するリストバンドで事情を聞いたはやてが急拵えで作ったものだ。

 

急拵えなために制御がどこまで持つか分からないが無いよりかは遥かにましである。

 

ミウラ「そろそろいいかな?」

 

リュイ「うん…」

 

両者が同時に構えた。

 

ヴィータ「んじゃ、試合…開始!!」

 

ヴィータの合図と共にリュイは真っ先に動いた。

 

ミウラ「はやい!?」

 

合図と共に真っ先に動いたリュイに驚くミウラ。

 

リュイ「ハァッ!!」

 

目の前まで接近したリュイは左拳を繰り出すがミウラは首を動かして回避するが少し頬を掠めた。

 

ミウラ「くっ…」

 

頬を掠めただけなのにミウラは少し体勢が崩れた。

 

ミウラ(す、凄い…掠っただけで体勢が崩された…)

 

リュイのパンチ力にミウラは驚く。

 

ミウラが一瞬驚く間にリュイはバク転して距離を取った。

 

ミウラ(距離を取った!…これなら離れている隙を…)

 

バク転しているリュイに合わせるようにミウラが接近するがリュイは逆さの状態から体を回転させて回し蹴りを繰り出した。

 

ミウラ「うわっ!?」

 

咄嗟にガードするがほとんど威力を抑えきれず吹き飛ぶ。

 

リュイ「よい…しょ!」

 

ミウラを吹き飛ばしたリュイは立ち上がって構える。

 

「す、すげぇミウラより強いぞ!」

 

「道場で一番強いミウラが圧されてる!」

 

リュイの強さに門下生たちは興奮しているが対するヴィータとザフィーラはリストバンドが効いてないんじゃないのかとハラハラしてそれどころではなかった。

 

ミウラ「うっ…」

 

回し蹴りを受けて吹き飛びながらもミウラは何とか持ちこたえていた。

 

そんなミウラを見てリュイは追撃しようと接近する。

 

ミウラの前まで接近すると低い姿勢になった。

 

ミウラ(アッパー!)

 

アッパーが来ると思いミウラはガードに入るが…

 

リュイ「ハッ!!」

 

ミウラ「ふえ!?」

 

ガードを予測していたかのようにリュイはアッパーと見せかけて右足を伸ばしてミウラの足を払った。

 

足を払いミウラの体勢を崩したリュイは左足だけで軽く跳躍した。

 

リュイ「あ…」

 

しかし跳躍したは良いがリストバンドの効果なのかあまり跳ばず、更にバランスを崩してミウラの上に乗っかってしまう形になった。

 

ミウラ「ん!?」

 

リュイに乗っかれてしまったミウラは大変な状態になっている事に気付いた。

 

リュイの唇がミウラの唇に重なり、キスしている状態になっていたからだ。

 

これにはミウラは顔が真っ赤になってしまった。

 

リュイ「う~…」

 

対するリュイはキスしていた事など気にせずに立ち上がった。

 

ヴィータ「リュイ、ミウラ!大丈夫か!?」

 

リュイとミウラを心配してヴィータとザフィーラ、門下生たちが近付いてきた。

 

リュイ「うん…大丈夫…」

 

ミウラ「………」

 

大丈夫と言うリュイに対してミウラは完全にオーバーヒートしていて動けずにいた。

 

ヴィータ「おーい、ミウラ~?」

 

呼び掛けるヴィータ。

 

ミウラ「はっ!ボクはいったい…」

 

ヴィータ「いや、それはこっちの台詞だよ…」

 

リュイ「みうら…だい…じょうぶ?」

 

ミウラ「リュイくん…!!」

 

リュイの顔を見た瞬間ミウラの脳内にさっきのことが過った。

 

ミウラ「はぅ…」

 

また顔が真っ赤になって気を失った。

 

ヴィータ「ミウラ!?おーい!!」

 

再び呼び掛けるヴィータだが…

 

【反応がないただの屍のようだ】

 

ヴィータ「うおいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?何があったぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

反応がないミウラを見てヴィータの叫び声が響き渡ったのだった。




はい、不可抗力とはいえリュイとミウラがキスしちゃいました!
ではまた次回にてお会いしましょう!


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コラボ編1 出会う大天使と小さき狩人
specialhunting 01


えー、こちらはNTKさんの『大天使、着任す』とのクロスになります!
事情がありまして滝川さんとのクロスは別作品にすることになりました!
両作品をよろしくお願いいたします!
ではどうぞ!


―浜辺―

 

その日、リュイとシグナムは浜辺で散歩していた。

 

リュイ「お~…」

 

波を見るのが初めてなのか引いたら追いかけて、迫ってくると逃げるを繰り返していた。

 

シグナム(あんなにはしゃいで…アマゾンとはいえまだ子供か…)

 

微笑ましくリュイを見ているシグナム。

 

リュイ「つめたい…きもちいい…」

 

足に波が浸かって気持ちよかったのかバシャバシャと走り出した。

 

リュイ「ん?」

 

走り出したリュイはあるものを見て立ち止まった。

 

それを見たリュイは慌ててシグナムの方へ戻っていった。

 

シグナム「どうした、リュイ?」

 

リュイ「ひと…たおれてる…」

 

シグナム「なに!?」

 

慌ててリュイが指差した方へ向かうシグナム。

 

その場所に行き着くと一人の少女が倒れていた。

 

シグナム「おい、確りしろ!おい!」

 

?「うぅ…」

 

シグナム「意識はあるな…」

 

少女にまだ意識があると分かったシグナムは少女を背負った。

 

シグナム「急いで帰るぞ、リュイ」

 

リュイ「うん…」

 

急いで家と走り出す二人であった。

 

 

 

―部屋―

 

?「うっ…くっ…!?」

 

少女が目を覚ますと見知らぬ屋根よりも目の前にリュイがいて少し驚いた。

 

リュイ「………」

 

対するリュイは急に少女が目を覚ましたのを見ると自身の額を少女の額にくっ付けた。

 

?「ちょっ…な、なにをして…」

 

リュイの行動が分からず焦る少女。

 

シグナム「リュイ、そろそろお昼…」

 

部屋の扉が開いてシグナムが入って現状を目の当たりにして硬直した。

 

部屋の扉は少女が寝てるベッドの丁度、左斜め下にあり、シグナムから見ればリュイが少女にキスしているように見えたのだった。

 

リュイ「しぐまま…?」

 

硬直しているシグナムを見てリュイは不信に思って近付いて足元をつついた。

 

シグナム「はっ!り、りりりり、リュイ!い、今何を…ま、まさか、あの不審者とせ、せせせせせせせ、接吻をしたんじゃ…」

 

リュイ「せっぷん…?…おでことおでこなら…くっつけた…」

 

シグナム「は?」

 

リュイ「ねつないか…みた…それって…せっぷん…?」

 

シグナム「いや、すまない。それは違うから忘れてくれ」

 

リュイ「?」

 

よく分からないリュイは頭にハテナマークを作りながら首を傾げた。

 

リュイ「それより…しぐまま…おねーちゃん…おきた…」

 

シグナム「そうか」

 

リュイに言われてシグナムは少女に近付いた。

 

シグナム「気分はどうだ?」

 

?「人を不審者呼ばわりしてそれを聞きますか?」

 

シグナム「一応な」

 

?「まぁ、気分はいいです。あの、ここどこなんですか?」…

 

シグナム「ここはミッドチルダにある我々の家だ」

 

?「み、ミッド…チルダ?」

 

聞いたことのないと言うようで少女は首を傾げた。

 

シグナム「その様子だとどうやら次元漂流者のようだな」

 

?「次元漂流者…ですか?」

 

シグナム「詳しい話はリビングで我らが主がお話になるが、これだけは言っておく。お前を見つけたのはこの子だ」

 

シグナムはリュイの頭を撫でながら言う。

 

?「そうなんだ…ありがとね、助かったわ」

 

リュイ「うん…ねぇ…おねーちゃんの…なまえ…なに?」

 

AA「私はアークエンジェルよ」

 

リュイに名前を聞かれて少女は『アークエンジェル』と名乗った。




はい、アークエンジェルさんいきなり拾われちゃいました!
では次回にてお会いしましょう!


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specialhunting 02

クロス第2話です!
ではどうぞ!


―リビング―

 

シグナムとリュイに連れられてアークエンジェルはリビングに来ていた。

 

はやて「おっ、もう目が覚めたんか」

 

アークエンジェルたちがリビングに行くとはやて、シャマル、ヴィータ、アギト、リイン、ザフィーラ(狼形態)がいた。

 

AA「はい。手当てして頂いてありがとうございます」

 

はやて「気にせんといて。困ってる人がいるなら助けるのが当然やからな」

 

にこやかに笑いながらアークエンジェルに言うはやて。

 

はやて「それでアンタの名前は?」

 

AA「あ、私はアークエンジェルって言います」

 

名前を聞かれてアークエンジェルは名乗る。

 

はやて「アークエンジェルやね、うちは八神 はやてや」

 

ヴィータ「アタシはヴィータ」

 

アギト「アギトだ」

 

リイン「リインです~」

 

シグナム「私はシグナムだ」

 

ザフィーラ「ザフィーラだ」

 

AA「犬が喋った!?」

 

ザフィーラが喋ったのを見てアークエンジェルは驚く。

 

はやて「まぁ、それも含めてお話するけど、アンタを助けたんがうちらの可愛い末っ子の…」

 

リュイ「やがみ…りゅい…です…」

 

一通り自己紹介するはやてたち。

 

はやて「んじゃ自己紹介も終わったことでアークちゃんといろいろちょう難しいお話せなアカンからリュイはヴィータとザフィーラと一緒に道場のみんなの所にいってき」

 

AA(アークちゃんって…)

 

リュイ「うん…」

 

ヴィータ「ほら、行くぞ」

 

はやてに言われてリュイはヴィータ、ザフィーラと共に家を出た。

 

はやて「ほな話そうか。まずはアークちゃんのことからや」

 

はやてに言われてアークエンジェルは頷いて話した。

 

自身が何者で、何と戦っているかを。

 

そしてある海域の攻略任務で敵と交戦している中、目の前が真っ白になって意識を失ったと言う。

 

本当は話してはいけなかったがこの人たちになら話してもいいような気がして話したのだ。

 

はやて「なるほどな。アークちゃんたちは艦娘って言う昔の軍艦の魂が人の型をした戦士で、深海棲艦ちゅう謎の敵と戦い続けとるわけか」

 

簡潔にまとめてはやてはアークエンジェルに確認する。

 

AA「はい。だいたいはそんな感じです」

 

はやて「そうか…なら次はこっちやね。もう分かってるとは思うけどここはアークちゃんがいた世界とは違う世界や」

 

AA「異世界…」

 

はやて「せや。この世界は次元を隔てて幾つもの世界が存在してるんや。そんな次元世界でごく稀にやけど次元震言う現象が起きるんよ」

 

AA「次元震?」

 

はやて「まぁ、簡単に言えば別世界に行けちゃうことや。でそれに巻き込まれてもうた人を次元漂流者言うんよ」

 

AA「じゃあ、私もその次元震に巻き込まれて…」

 

はやて「恐らくな」

 

AA「帰る手立てはあるんでしょうか?」

 

はやての説明を聞いてアークエンジェルは恐る恐る聞く。

 

はやて「大丈夫や。アークちゃんのおった世界の手がかりさえあれば直ぐには無理やけど送ってあげられるで」

 

AA「そうですか。ありがとうございます!」

 

はやて「ううん。気にせんどいてよ」

 

にこやかに言うはやてだった。




はい、以上です!

次回ぐらいには深海棲艦出したいな~…まぁ、無理だろうけど…

では次回にてお会いしましょう!


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specialhunting 03

はい、クロス第3話デース!
ではどうぞ!


―浜辺―

 

アークエンジェルがここに来て早数週間が過ぎていた。

 

こちらの世界にも慣れてきたアークエンジェルは浜辺にてザフィーラ、ヴィータとリュイと散歩していた。

 

この数週間の間にアークエンジェルはこの世界についてさまざまなことをはやてたちから聞いた。

 

大昔の文明が残した負の遺産とも言うべき『古代遺物(ロストロギア)』のこと、その中で今現在ミッドチルダに猛威を振るっている怪物―実験体こと『アマゾン』のこと、それらを封印、あるいは利用している犯罪者を取り締まる『時空管理局』のこと、そしてリュイのことを…。

 

リュイ「あーく…」

 

AA「ん?どうしたの?」

 

リュイに呼ばれて見るとリュイの手に純白と言っていいほど綺麗な白色をした巻き貝の貝殻があった。

 

リュイ「あーくに…あげる…」

 

どうやらアークエンジェルに渡したくて持ってきたようだ。

 

AA「ありがとう」

 

リュイから貝殻を受け取るアークエンジェル。

 

AA(ドミニオンたち…いまどうしてるかしら…)

 

貝殻を見てアークエンジェルはふとそう思った。

 

リュイ「あーく…さびしい?」

 

AA「え?」

 

リュイの突然の一言にアークエンジェルは少し驚く。

 

リュイ「もとの…せかい…に…はやく…かえりたい?」

 

どうやらリュイはアークエンジェルの気持ちを何となくだが感じていたようだ。

 

AA「うん…少し寂しいかな。でもリュイくんみたいに優しい人がいるからあまり寂しくないよ」

 

リュイの頭を撫でながらそう言う。

 

ヴィータ「おーい、そろそろ帰るぞー!」

 

AA「はーい。行こう」

 

リュイ「うん…」

 

ヴィータの声が聞こえてアークエンジェルとリュイは歩く。

 

その時だった…

 

リュイ「!」

 

突然、リュイがアークエンジェルの頭を掴んで砂浜すれすれまで屈ませた。

 

AA「え!?」

 

何をされたのか分からないアークエンジェル。

 

だが少し遅れてアークエンジェルとリュイから少し先の砂浜に黒い何かが落ちて爆発した。

 

AA「今のは!?」

 

見覚えがあるのだったアークエンジェルは空を見ると空に複数の黒い飛行機のようなモノが飛んでいた。

 

AA(あれは深海棲艦の艦載機!?どうして…!?)

 

嫌な予感がして視線を海上に向けるとそこには一人の人物がいた。

 

AA「空母 ヲ級!?」

 

大きな帽子のようなものを頭に乗せ、黒いマントを羽織り、ステッキのようなものを手に持っている人物―深海棲艦の『正規空母 ヲ級』に驚くアークエンジェル。

 

ヴィータ「おい、お前ら!怪我はねーか!?」

 

そこへ騎士服姿になったヴィータと人間形態になったザフィーラが来た。

 

ザフィーラ「なんだ、奴は?人間…なのか?」

 

AA「いいえ、アレは私の世界にいるハズの敵、深海棲艦の正規空母 ヲ級です!」

 

ヴィータ「アイツらも次元震でこっち来たってのか」

 

ザフィーラ「なら倒すしかあるまい」

 

ヴィータ「だな」

 

深海棲艦のことはアークエンジェルから聞いているためアイゼンを構えるヴィータ。

 

だが…

 

リュイ「びーねえね!」

 

何かを感じたリュイは咄嗟にヴィータを突き飛ばした。

 

その瞬間、リュイが砲撃のようなのを喰らい爆発した。

 

AA「り、リュイくん!?」

 

ヴィータ「リュイ!!」

 

リュイが爆発して驚く二人だった。




はい、深海棲艦ヲ級登場でーす…他に出ます…多分…
ではまた次回にてお会いしましょう!


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specialhunting 04

はい、NTKさんとのクロス最後になります!
エピローグと合体させてますんで長いですが、どうぞ!


砲撃の直撃を受けてしまったリュイにアークエンジェルは慌ててしまう。

 

しかし…

 

リュイ「うぅ…」

 

爆煙が薄くなると呻き声のようなのが聞こえる。

 

ガンマ「ウオアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びと共に爆煙を振り払い現れたのはリュイのもう一つの姿―『仮面ライダーアマゾン ガンマ』だった。

 

ヲ級「!?」

 

ガンマの登場にヲ級は驚いて一瞬だけ怯んだ。

 

ヴィータ「大丈夫みたいだな。リュイ、お前はあのクラゲ野郎を倒せ!アタシはザフィーラとハエを叩き落とす!」

 

ガンマ「うん…!」

 

ヴィータの指示を受けてガンマは頷いた。

 

指示を出したヴィータはザフィーラと共にヲ級が放った艦載機を撃破しに行く。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

跳躍してヲ級に向かっていくガンマ。

 

バイオレント ブレイク!!

 

空中にてガンマはバトラーグリップを引き抜いて槍―『アマゾンスピア』を出すと柄の部分に持ち代えてヲ級に向かって投げた。

 

投げられたアマゾンスピアを見てヲ級は少し動いて回避しようとするが被っている帽子のようなモノ―艤装の右側の砲を貫いて破壊された。

 

ガンマ「はずした…」

 

本当は一撃で仕留める気でいたがヲ級は少し動いてかわされてしまったことにガンマは少しながらショックを受けるが直ぐに浜に着地して構える。

 

ガンマが着地したのを見たヲ級は頭に被っている帽子のような艤装の生き残っている左側の砲を向ける。

 

AA「そうはさせない!!」

 

砲を向けるヲ級にアークエンジェルは艤装を展開して陽電子破城砲『ローエングリン』の照準を合わせる。

 

AA「ローエングリン、発射!!」

 

照準を合わせてヲ級に向かってローエングリンを発射する。

 

ローエングリンのビームを見て慌ててヲ級は砲を射つのを止めて回避行動に入る。

 

ガンマ「ナイス…」

 

バイオレント ストライク!!

 

ローエングリンのビームが空を切った時、ガンマは再び跳躍して右側のグリップを捻ると右足を突き出して繰り出す必殺技―『バイオレント ストライク』を繰り出した。

 

ヲ級「!?」

 

まさかの攻撃にヲ級は回避行動が間に合わなかった。

 

ガンマ・AA((とった/取った!!))

 

二人は同時にそう思った時だった。

 

ガンマ「ガアァッ!?」

 

突然の別方向から砲撃されてガンマは浜に吹き飛ばされる。

 

ガンマ「グルルルル……」

 

吹き飛ばされながらもガンマは立ち上がってヲ級がいる方とは別方向を睨むガンマ。

 

ガンマが睨む先から筋骨隆々の四肢をもつ双頭の魔獣を従えた、黒いドレスの妖しい美女が現れた。

 

魔獣の両腕と首には枷がはめられており、その見た目にも溢れんばかりの凶暴性をさらに強調している。

 

女性のほうは角が左側に1本だけで、垂れた前髪二束が眉間のあたりでクロスしていて肩を露出した膝丈の黒いドレスは胸元に模様が入っておりスカートはバルーン風に膨らんでいて脚は黒いタイツにスタッズのついたゴツい装飾の靴、二の腕まであるロンググローブを身に着けて妖艶な雰囲気を醸していた。

 

ヴィータ「新手か!?」

 

魔獣と女性を見て驚くヴィータ。

 

AA「戦艦水鬼!?なぜここに!?」

 

女性―『戦艦水鬼』の出現にアークエンジェルは驚く。

 

ガンマ「?」

 

アークエンジェルの言った意味が分からないガンマは首を傾げる。

 

AA「とある海域で深海棲艦たちのボスよ。なんでここにいるのかは分からないけど…」

 

ガンマ「てきなら…たおす…」

 

戦艦水鬼に構えるガンマ。

 

AA(でも戦艦水鬼って海域の島にしかいないと思ったんだけど…なんで海上に?)

 

戦艦水鬼がいることにアークエンジェルは疑問に思いながらも構える。

 

戦艦水鬼「ヤクタタズノ…クズテツガ!!」

 

恨みを言うように戦艦水鬼は魔獣に似た姿をしている艤装から砲撃を始めた。

 

ガンマは左に飛び、アークエンジェルは海上に向かっていく。

 

AA「MS隊、発艦!!」

 

海上に出るなりアークエンジェルはハッチを開いて『X105 ストライクガンダム』と数十機の『M11C ムラサメ』を発艦させた。

 

AA(いくら戦艦水鬼でもMSで倒せない相手じゃない)

 

AA「MS隊、攻撃開始!!」

 

AAの指示でストライクを先頭に戦艦水鬼の頭上からMS隊が迫るが…

 

?「シャバアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

MS隊が戦艦水鬼を頭からビームライフルで攻撃しようとした瞬間、戦艦水鬼の艤装からニュルリと涌き出るように1匹の蜘蛛の姿をした怪人が出現し、口から紫色の糸玉を噴射した。

 

突然、現れた蜘蛛怪人の攻撃にストライクと前方のムラサメ隊はギリギリでかわしたが後方を飛んでいたムラサメ数機が糸玉に絡まり、残りは四肢のいずれかに糸玉が絡み付いた。

 

ムラサメに絡み付いた糸玉はジュウーとボディーを溶かしながら浸食し、破壊した。

 

AA「なにあれ!?」

 

ムラサメ隊を破壊した糸玉を繰り出す蜘蛛怪人に驚くアークエンジェル。

 

?「シャバアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

MS隊を退かせた蜘蛛怪人はアークエンジェルに向かってMSを破壊した糸玉を繰り出そうとしていた。

 

ガンマ「ガアァッ!!」

 

?「!?」

 

糸玉を繰り出そうとした蜘蛛怪人の後ろからガンマが襲い掛かってアークエンジェルへの攻撃を防ぐ。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

アームカッターで蜘蛛怪人の右肩を斬り付けた。

 

斬られた右肩は切断されて、結果的に蜘蛛怪人は右腕丸ごと失い傷口からドス黒いアマゾン特有の黒い液体が噴き出る。

 

?「シャバアァァァァァァァァァァァァ!?」

 

傷口を押さえて蜘蛛怪人は後退する。

 

ガンマ「typeはinsect…modelはtarantula…遠距離攻撃型…なら…」

 

蜘蛛怪人―『タランチュラアマゾン』に構えた時だった、上空に退避していたストライクがビームライフルを発砲した。

 

緑色のビームがガンマに迫る。

 

ガンマ「!?」

 

突然のビームにガンマは反応が遅れてしまった。

 

ビームはガンマのすぐ横を通り過ぎてガンマとタランチュラアマゾンが乗っている艤装の手を貫いた。

 

どうやらタランチュラアマゾンに集中していたガンマを背後から襲おうとしていたようだ。

 

それが分かったガンマはアークエンジェルにお礼を言う代わりに親指を立てた。

 

アークエンジェルも親指を立てる。

 

手を貫かれて激しく体を動かす艤装。

 

ガンマ「クッ!!」

 

激しく体を動かす艤装にガンマは慌てて後ろに飛んでアークエンジェルの艤装の上に乗っかった。

 

AA(あれ?意外と軽い…)

 

乗っかってきたガンマが予想以上に軽かったことにアークエンジェルは驚いた。

 

ガンマ「あーく…」

 

AA「なに?」

 

ガンマ「そろそろ…ちから…でなくなる…つぎで…きめよう…」

 

そう言うガンマをアークエンジェルはよく見ると少し呼吸が乱れていた。

 

AA「分かったわ。決めましょう」

 

ガンマ「うん…!!」

 

戦艦水鬼と合流してきたヲ級に構えるアークエンジェルとタランチュラアマゾンに構えるガンマはそう言った。

 

タランチュラ「シャバアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ガンマに向かってタランチュラアマゾンは口から糸玉を繰り出す。

 

ガンマ「ハアァッ!!」

 

糸玉をガンマは右手で掴み受け止めて見せた。

 

しかしMSを浸食するほどの酸性を見せた糸玉を受け止めたのにも関わらずガンマの右手は浸食すら見せていなかった。

 

タランチュラ「ギギ?シャバアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

首を傾げるタランチュラだが直ぐ様何十発の糸玉を繰り出した。

 

ガンマはそれら全てを体で受け止めて見せた。

 

直ぐにガンマの姿は糸玉に覆われてしまうが…。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

覆っていた糸玉全てをアームとレッグカッターで斬り刻んで無傷の姿で現れた。

 

タランチュラ「ギギッ!?」

 

無傷で現れたガンマにタランチュラアマゾンは驚いていて後退する。

 

バイオレント パニッシュ!!

 

その隙にガンマは右側のグリップを捻ると両腕のアームカッターが大型化した。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

吠えたガンマはタランチュラアマゾンに向かっていく。

 

タランチュラ「シャバアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

タランチュラアマゾンも糸玉を繰り出しながらガンマに向かっていく。

 

二人が交差した瞬間、何かが飛んだ。

 

タランチュラ「………」

 

飛んだのはタランチュラアマゾンの首で、首を失った体は傷口から血を噴水のように噴き出しながら海中に落ちた。

 

タランチュラアマゾンが海中に落ちたのと同時に空中で身動きが取れないガンマに向かって戦艦水鬼とヲ級が砲を向ける。

 

2体の砲撃が始まった…がガンマの姿はそれと同時に消えた。

 

戦艦水鬼・ヲ級「「!?」」

 

突然消えたガンマを探して辺りをキョロキョロする

 

辺りにいなく残っていた上空を見るとストライクの肩に乗ったガンマの姿があった。

 

しかし2体が驚いたのはそこではない、ストライクを筆頭にタランチュラアマゾンの糸玉から逃れていたムラサメ隊がビームライフルを向けていた。

 

AA「全機、発射!!」

 

アークエンジェルの指示で一斉にトリガーを引いた。

 

無数の緑色の光が戦艦水鬼とヲ級を襲う。

 

辺りが蒸気で覆われる。

 

戦艦水鬼「アアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

蒸気を突き破るようにボロボロの戦艦水鬼がアークエンジェルに向かっていく。

 

艤装も半分体を失っているがせめてアークエンジェルだけでもと戦艦水鬼の想いに応えようと迫る。

 

AA「ゴッドフリート、照準…」

 

225cm2連装高エネルギー収束火線砲『ゴットフリートMk.71』の照準を合わせるアークエンジェル。

 

だが戦艦水鬼たちはそれより早く着くと確信していた。

 

アークエンジェルの武装は確かに強力だが照準が合わず外れれば大したことはない、仲間である他の艦娘はいない、アークエンジェル一人なら道連れで倒せると思ったのだろう。

 

そう、アークエンジェル一人なら(・・・・・・・・・・・・)

 

バイオレント ストライク!!

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ストライクの肩から跳躍し、右側のグリップを三度捻ったガンマはバイオレントストライクを繰り出して艤装に止めを刺した。

 

AA「ゴッドフリート、撃てぇーーーーーーーーっ!!」

 

艤装が殺られて速度が落ちた戦艦水鬼に向かってアークエンジェルはゴッドフリートを発射した。

 

戦艦水鬼「アァァァァァァァァァァァァァ………」

 

悲鳴に似た断末魔を上げて戦艦水鬼は消滅した。

 

AA「やった!」

 

小さくガッツポーズするアークエンジェル。

 

AA「はっ、そういえばリュイくんは!?」

 

ヴィータ「ここだよ、ここ」

 

アークエンジェルがキョロキョロしているとヴィータの声が聞こえて見るとヴィータとザフィーラがおり、二人の方に上昇して見ると気持ち良さそうにザフィーラの背中で寝ているリュイの姿があった。

 

ザフィーラ「海に落ちる前に回収出来てよかった」

 

ヴィータ「あーぁ、とんだ散歩になったぜ。早く帰ろうぜ」

 

AA「そうですね」

 

ザフィーラ「あぁ」

 

ヴィータに言われて3人は浜に着地して帰路についていった。

 

 

 

―エピローグ―

 

AA「みなさん、短い間でしたがお世話になりました」

 

次元世界に行き来する船が離着陸する次元港にてアークエンジェルは大量の荷物を持って八神家の面々に挨拶をしていた。

 

深海棲艦の襲撃後、家に帰ったあとはやてたちに事情説明した晩にアークエンジェルの世界から通信があり、それを頼りにアークエンジェルの世界を割り出して今日がはやてが艦長をしている次元航行船で帰る日なのだ。

 

因みに大量の荷物はアークエンジェル自身がいなくなって心配した姉妹艦や提督、仲間の艦娘に渡すお土産である。

 

ヴィータ「気にすんなよ」

 

シグナム「そうだ。我々以外にも自分の世界を守る者がいると分かったんだからな」

 

アギト「あっちに帰っても頑張れよ」

 

リイン「皆さんに渡すお土産は忘れずにです」

 

シャマル「元は軍艦でも今は女の子なんだから健康にもきよつけてね」

 

ザフィーラ「修練も忘れずにな」

 

それぞれが伝えたいことをアークエンジェルに言う。

 

リュイ「あーく…」

 

最後に残ったリュイは少しもじもじしていた。

 

AA「ありがとうね。リュイくんのおかげで私は無事にまた皆の所に帰れるわ」

 

もじもじして先が進まないリュイの頭を撫でてそう言うアークエンジェル。

 

そんなアークエンジェルを見てリュイは意を決した顔をした。

 

リュイ「あーく…ちょっと…かがんで…」

 

AA「ん?なに…」

 

リュイに言われて屈んだ瞬間、リュイはアークエンジェルの右頬にキスをした。

 

「「「「「「なっ!?」」」」」」

 

AA「えっ////!?」

 

突然のこと過ぎてアークエンジェルは勿論、はやて以外の八神家面々は驚愕した。

 

1秒と満たないキスをしたリュイは恥ずかしかったのか直ぐにシグナムの後ろに隠れた。

 

はやて「ほな、行こうか」

 

AA「は、はい…」

 

呆けているアークエンジェルに、にやけながらはやてはそう言うと二人は船に乗る。

 

はやて「じゃ、アークちゃんの世界に向かって出港や!!」

 

はやての号令の元、船が出港した。

 

AA(ばいばい。リュイくん…また会える日が来るなら今度はドミニオンたちと行くわ)

 

客室にて手を振るリュイを窓から見下ろしながらアークエンジェルはそう思うのだった。




シグナム「り、りりりりり、リュイ!?なんでアークエンジェルとキスしたんだ!?」

船が行ったあと、シグナムが超慌ててリュイに聞いてきた。

リュイ「あれが…おわわれの…あいさつ…じゃないの?」

シグナム「え?」

リュイ「はやぱぱが…ほほに…きす…するのが…おわかれの…あいさつ…っていってた…」

シグナム「あ…主はやてぇーーーーーーーーーー!!」

キスした原因…もとい黒幕を聞いたシグナムの怒号の叫びが港中に響き渡った。

その後、無事にアークエンジェルを送って帰って来たはやてはシグナムの制裁+説教漬けにあったのはまた別のお話。



えー、ここまでのお付き合いありがとうございます!

NTKさん、クロスありがとうございました!

ではまたどこかでお会いしましょう!


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コラボ編2 出会う次元の旅人と小さき狩人
kamenrider×kamenrider


はい、こちらはSOURさんとのクロスになります!
同時進行でまいりますのでよろしくお願いいたします! 両作品をよろしくお願いいたします!


―廃工場―

 

ミッドチルダにある廃工場。

 

人気はなく、埃まみれで静かなこの場所に突如、壁を突き破って2体の怪人と1人の人物が入ってきた。

 

怪人は像のような巨漢の怪人―『エレファントアマゾン』2体と黄色い体表面、緑色の胸部装甲、青い釣り目をした複眼を持ち、グローブとブーツの部位にはカッターのような突起物がある仮面ライダー、『仮面ライダーアマゾン ガンマ』だ。

 

エレファントA「ガオガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

エレファントB「グガジアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

2体のエレファントアマゾンはガンマに威嚇の咆哮を上げる。

 

ガンマ「グルルル…」

 

対するガンマも喉を鳴らしながら2体を威嚇する。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

先に動いたのはガンマだった。

 

両前腕のカッター、アームカッターを構えて向かっていく。

 

エレファントA「ガオガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

迎え撃たんとエレファントアマゾンAが動く。

 

ガンマ「アァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

エレファントアマゾンAと交差する寸前、右側のグリップ―『バトラーグリップ』を引き抜いた。

 

バイオレント ブレイク!!

 

ガンマ「ウオアァァァァァァァァァ!!」

 

エレファントA「ガオガアァァァァァァァァァ!?」

 

グリップを引き抜いたガンマは『アマゾンブレイド』をエレファントの背中に突き立てた。

 

ガンマ「セヤアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

そこからガンマはブレイドを上へ動かして最終的にはエレファントアマゾンAの上半身を真っ二つにした。

 

真っ二つにされたエレファントアマゾンAは黒いドロドロの液体になった。

 

エレファントB「グガアァァァァァァァァァ!」

 

相方が一撃で倒したガンマにエレファントアマゾンBは後退りして逃げ始めた。

 

ガンマ「ウアァァァァァァァァァァァ!!」

 

逃げ出したエレファントアマゾンBを見たガンマはブレイドを一旦戻すと再び引き抜いた。

 

バイオレント ブレイク!!

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

再び引き抜いた時、ブレイドではなく『アマゾンウィップ』になっており、ガンマはウィップを伸ばしてエレファントアマゾンBの首に巻き付かせた。

 

ガンマ「ヌウアァァァァァァァァァァ!!」

 

ウィップがエレファントアマゾンBの首に巻き付いたのを確認したガンマは力一杯に引っ張った。

 

エレファントB「グガアァァァァァァァァァ!?」

 

力一杯に引っ張られたエレファントアマゾンBはガンマの方に引き寄せられた。

 

エレファントアマゾンBが自身に来るのを見たガンマは左側のグリップ―『アクセラーグリップ』を捻った。

 

バイオレント パニッシュ!!

 

『バイオレント パニッシュ』と音声が流れると両腕のカッター―『アームカッター』が大型化した。

 

ガンマ「ウオアァァァァァァァァァ!!」

 

大型化したアームカッターで引き寄せたエレファントアマゾンBの腰部を斬り、上下に切断した。

 

上下に切断されたエレファントアマゾンBも黒いドロドロの液体になった。

 

カッターが元の大きさになったガンマは2体の亡骸である液体に近付いて何かを拾った。

 

ガンマ「ハズレ…か…」

 

拾ったのをグシャリと握り潰してポイっと捨てた。

 

捨てたあとその場を去ろうとした時だった。

 

?「仮面ライダーがポイ捨てとは感心せんな」

 

ガンマ「!?」

 

無人のハズのこの場所に声が聞こえてガンマは驚いて振り向くと巨大なトランプが高速で回転しながら突っ込んで来ていた。

 

ガンマ「があっ!!」

 

トランプを避けきれずまともに喰らい、ガンマは倒れてしまう。

 

ガンマを倒したトランプはたて向きになるとその場で停滞しながら回転、姿を変えた。

 

トランプは白一色の人物になった。

 

シャドウ「ふはははははははは!如何かな?このジェネラルシャドウの攻撃わ!」

 

『ジェネラルシャドウ』と名乗る人物は笑いながら言う。

 

ガンマ「ぐっ…ガアァァァァァァァァァァ!!」

 

対するガンマは何とか立ち上がった。

 

シャドウ「流石は仮面ライダー…いや、アマゾンライダーと言うべきかな?しかし!」

 

立ち上がったばかりのガンマの目の前に一気に近付いたシャドウは腰に携えていたサーベル―『シャドウ剣』を引き抜いてガンマを突いた。

 

シャドウ「そらそらそらぁ!!」

 

ガンマ「グアァァァァァァァァァァ!!」

 

シャドウの素早い突き攻撃にガンマは吹き飛び鉄骨の柱に激突してしまう。

 

ガンマ「ぐっ…!?」

 

立とうとしたガンマだがダメージが大きすぎたのか直ぐに倒れて気を失ってリュイの姿に戻ってしまった。

 

シャドウ「これで終いだ」

 

そう言ってシャドウはシャドウ剣を振り上げた時だった。

 

リュイの背後から弾丸が飛んできてシャドウを強襲した。

 

シャドウ「い、今のは!?」

 

弾丸が飛んできた方向を見ると銃を構えた一人の仮面ライダーがいた。

 

シャドウ「な、何者だ!?」

 

クライム「俺はクライム、仮面ライダークライムだ」

 

体にバーコードに似たのが描かれた灰色の仮面ライダー―『仮面ライダークライム』はそう名乗った。

 

シャドウ「クライム!?あの異世界に渡っては悪の組織を潰しているあの仮面ライダーか!?」

 

クライム「まぁ、どんな風に言われてるかしらねーけどチビ相手に少し大人気ないだろ?」

 

シャドウ「ふん。仮面ライダーは誰だろうとこのジェネラルシャドウは容赦はせぬ!」

 

クライム「なら、行くぜ?」

 

シャドウ剣を構えるシャドウと銃を構えるクライム。

 

一足即発の空気が漂う、その時だった…。

 

?「リュイー!リュイ、どこだー!」

 

誰かを呼ぶ声が近くから聞こえた。

 

シャドウ「どうやら邪魔が入ったようだな。去らばだ!!」

 

シャドウ剣を納めながらクライムに言ってシャドウは体を回転させながらトランプとなり工場の屋根を突き破りどこかへ飛んでいった。

 

クライム「あ、ちょっと待てよ!!」

 

飛んでいったシャドウにクライムは見上げながら叫ぶがすでにシャドウの姿は無かった。

 

クライム「くそっ、逃げられたか…」

 

仕方なくクライムは気を失っているリュイに近づいた。

 

クライム(気を失ってるだけみたいだな)

 

リュイを抱えようと手を伸ばした時だった、クライムの首にシャドウ剣ではない刀が突き付けられた。

 

クライム「え?」

 

振り向くと八重桜のロングヘアーをポニーテール纏め、刀を右手に持った女性―『シグナム』と大きな犬―『ザフィーラ』がいた。

 

シグナム「貴様、リュイに何をしている?」

 

怒りの籠った声でクライム言うシグナムだった。




ではまた次回にてお会いしましょう!


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kamenrider×kamenrider

はい、同時進行でのクロス第2話です!

ではどうぞ!


―数分前―

 

シグナム「ザフィーラ、リュイはいたか?」

 

ザフィーラ「いやいない。だがこの近くなのは確かだ」

 

散歩中にいなくなったリュイをシグナムとザフィーラは慌てて辺りを捜していたが見付けられずにいた。

 

シグナム「どこに行ったんだ、リュイ…」

 

不安がシグナムを包む。

 

その時、近くの廃工場から大きな物音が響いて見ると屋根から何かが飛び出してどこへ飛んでいっていた。

 

ザフィーラ「なんだ!?」

 

シグナム「あの廃工場からか!」

 

何かが飛んでいっていった廃工場に向かう二人。

 

シグナム「リュイー!リュイ、どこだー!!」

 

呼びながら中に突入すると体にバーコードに似たのが描かれた灰色の仮面ライダーがリュイに何かしようとしていた。

 

シグナム「奴め!!」

 

灰色の仮面ライダーを見てシグナムはバリアジャケットを纏いレヴァンティンを出して首に突きつけた。

 

クライム「え?」

 

首にレヴァンティンを突きつけられて灰色の仮面ライダー、『仮面ライダークライム』は驚いて振り向いてきた。

 

シグナム「貴様、リュイに何をしている?」

 

ザフィーラ「!?」

 

いつもクールなシグナムが珍しく怒りで満ちているのを感じてザフィーラは少しビクッとした。

 

クライム「いや、危ないところを助けただけだって!」

 

シグナム「言い訳は局で聞く!」

 

クライムに斬りかかるシグナム。

 

クライム「問答無用かよ!?」

 

驚きながらもクライムは跳躍して空中回転してからのシグナムの後ろを取る。

 

シグナム「逃がさん!!」

 

追撃しようとクライムに向かうシグナム。

 

クライム「あーめんどくせぇなぁ」

 

そう言ってクライムは1枚のカードを取り出して銃に差し込んだ。

 

KAMEN RIDE TORANS

 

『KAMEN RIDE TORANS』と音声が流れるとクライムは銃を向け、トリガーを引いた。

 

トリガーを引くと紫黒色で、左肩から斜めにタイヤのようなのをつけた仮面ライダー―『仮面ライダートランス』が現れた。

 

シグナム「なにっ!?」

 

突然現れたトランスに驚いて止まるシグナム。

 

クライム「その人を抑えてろ!」

 

クライムの指示を聞いてトランスはシグナムに襲いかかる。

 

シグナム「くっ!」

 

トランスの攻撃をシグナムはレヴァンティン盾にして防ぐ。

 

トランス「ハッ!」

 

一旦距離を取ったトランスは拳を握ると再びシグナムに接近する。

 

シグナム「レヴァンティン!!」

 

接近するトランスを見てシグナムはレヴァンティンに指示をするとレヴァンティンは形を長剣型になりカートリッジ1つを消費した。

 

シグナム「紫電一閃!!」

 

魔力を刀身に集めて縦の斬撃を繰り出す技―『紫電一閃』を繰り出した。

 

トランス「フッ!!」

 

シグナムの繰り出した紫電一閃を跳躍してかわしてそのまま空中回転してキックを繰り出した。

 

シグナム「チッ!」

 

後ろに飛びキックを回避する。

 

クライム「さてと今の内に…」

 

シグナムがトランスと戦っている隙にクライムは離脱しようとする。

 

ザフィーラ「そうはいかん!」

 

クライム「うおっ!?」

 

離脱しようとしたクライムの背後からザフィーラ(人間形態)が羽交い締めにする。

 

クライム「いつの間に!?くそっ!」

 

ザフィーラ(最初からいたのだが…まぁいいだろう)

 

狼での姿が多いザフィーラは自身の人間形態での影の薄さ少しショックを受けながらも羽交い締めにしたクライムの首にチョップを叩き込んだ。

 

クライム「がっ………」

 

チョップを叩き込まれたクライムはバタリと気を失った。

 

クライムが気を失って変身が解けたのと同時にトランスの姿が無くなった。

 

 

 

―取調室―

 

「氏名『神崎 朧』、職業は無職。あちこちの異世界を渡っては悪の組織を撃滅しているが八神部隊長の子…もとい養子であるリュイくんを襲い変質な行為をしようとしたところを管理局の武装隊所属のシグナム隊長たちに拿捕…で合ってるかな?」

 

取調室にて係りの男性局員が仮面ライダークライムこと『神崎 朧』に報告書の内容を言ったあと確認する。

 

朧「後半だけ間違いだらけだ!!」

 

机を叩きながら言う朧。

 

ザフィーラに気絶させられたあと、管理局のベッドで目を覚まして直ぐに取調室に連れてかれて事情聴取されていた。

 

「そう言われてもシグナム隊長がそう言っているんだから…」

 

朧「俺はショタコンじゃねーよ!俺はむしろそのリュイってチビを助けたんだ!!」

 

「とか言ってそこから変質行為をしようと…」

 

朧「断じてしない!!」

 

怒りながらそう言う朧だった。

 

 

 

―地下―

 

どこかの地下にてシャドウは膝を付いて人物の前にいた。

 

その人物は体が少し透けているので立体映像だと分かる。

 

シャドウ「申し訳ありません。仮面ライダークライムに邪魔をされました」

 

そう言ってシャドウは立体映像の人物に向かって謝罪していた。

 

?『仮面ライダークライム…ヤツメ、コノ世界ニ現レルトハ…何トシテモコノ世界ノ仮面ライダーヲ必ズ抹殺セヨ!!』

 

シャドウ「ハッ」

 

人物に言われてシャドウは返事をした。




ではまた次回にてお会いしましょう!


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kamenrider×kamenrider

今回はバトルシーンありません!
ではどうぞ!


―病室―

 

リュイ「うーん…」

 

リュイは気が付くと見知ったベッドに寝かされていた。

 

シグナム「リュイ!」

 

はやて「良かった、目が覚さめたんやな」

 

リュイ「しぐまま…はやぱぱ…」

 

シグナムとはやての顔を確認するなりリュイは起き上がる。

 

シグナム「大丈夫か?どこか怪我はないか?」

 

リュイ「うん…おにーちゃんが…たすけて…くれた…」

 

シグナム「お兄ちゃん?………………ま、まさか…」

 

リュイのこの一言を聞いてシグナムは青ざめる。

 

はやて「どないしたん?シグナム」

 

青ざめるシグナムを見てはやては聞く。

 

シグナム「り、リュイ、そのお兄ちゃんは何て名前だ?」

 

恐る恐る聞くシグナム。

 

リュイ「なまえは…くらいむ…ってしゃどうが…いってた…」

 

シグナム「やっはりっ!!」

 

クライムと聞いてシグナムは立ち上がってどこかへ行ってしまった。

 

はやて「どこに行くんやシグナム!?」

 

シグナム「少し取り調べ室に!!」

 

はやて「なんなんやいったい…」

 

シグナムの行動に呆れてしまうはやてだった。

 

 

 

―取り調べ室―

 

シグナム「本当にすまなかった!!」

 

取り調べ室に入るなりシグナムは局員を外に出して朧に謝っていた。

 

朧「やっと分かってくれたか…」

 

漸く誤解が解けたと分かり言う朧。

 

シグナム「すまない。こっちはリュイがいなくなって慌てていたものでな」

 

朧「もういいよ。分かってくれたんならよ」

 

リュイ「どら…ごん…」

 

朧「ん!?」

 

シグナム「り、リュイ!?」

 

声に反応して振り向くと朧の背中を見るリュイに二人は驚く。

 

シグナム「いつからいたんだ!?」

 

リュイ「しぐままの…せなかに…くっついてた…」

 

シグナム「背中にか!?」

 

リュイ「うん…」

 

朧「おい、それよりリュイだったか?なんでこれを知ってるんだ?」

 

そう言って朧は上着を脱いで背中を見せた。

 

朧の背中には龍の紋様(首から下で両手には無い)が描かれていた。

 

シグナム(う…美しい…)

 

朧のそれを見たシグナムは魅了された。

 

シグナム「こ、これはどうしたんだ?」

 

リュイが聞くより早くシグナムが聞いてきた。

 

朧「さぁな。でも有無であり有無でも無く神であって神でも無く人であり人でも無く中途半端な存在であり中途半端な存在でも無く抑止力であり抑止力でも無く自分であり自分でも無く俺であり俺でも無く-----だからだ」

 

そう言う朧。

 

リュイ「よく…わかんない…」

 

朧の言った意味が分からないリュイは首を傾げる。

 

朧「まぁ、まだチビのお前には分かんないだろうな」

 

脱いでいた上着を再び着てそう言う朧だった。




はい、誤解が解けました~

ではまた次回にてお会いしましょう!


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kamenrider×kamenrider

はい、今回は少し短めです!

しかし、今回はあの昭和と平成に出た幹部怪人が出ます!

ではどうぞ!


―部隊長室―

 

シグナムから謝罪をされたあと、朧ははやてに話をしに部隊長室にいた。

 

はやて「なるほどなぁ。そのジェネラル・シャドウ言う敵からリュイを守ってくれたんに心配し過ぎて何も考えられへんかったシグナムと戦うことになってしもうて、ザフィーラに気絶させられて今に至るちゅうわけかいな?」

 

朧「そうだよ」

 

今までの経緯を簡潔にまとめて確認するはやてに朧は不機嫌そうに言う。

 

はやて「まぁ、勘違いした本人も反省してることやし…主であるウチの顔を立てて許してや」

 

朧「あんたに言われるまでもなく許すよ。それより、俺が話してたシャドウはどうなった?」

 

はやて「あぁ、それなアンタが言うジェネラル・シャドウやけど…いまんとこどこの管理世界にも出現しとらんよ」

 

リイン「どこか別の世界に行ったんじゃ…」

 

朧「いや、奴がそう簡単に獲物を諦める訳がない」

 

その時、部隊長室に警報が鳴り響いた。

 

はやて「どうしたんや!?」

 

通信を繋ぐはやて。

 

『八神部隊長、大変です!アマゾンではない謎の怪人たちが局の病棟を襲撃して……』

 

通信に出た局員が話している途中で途切れてしまった。

 

朧「どうやら俺の出番みたいだな」

 

はやて「怪人たちは任せて大丈夫なん?」

 

朧「任せとけ。この世界にはこの世界を守る仮面ライダーがいるだろ?」

 

そう言って朧は踵を返して歩きだした。

 

?「そうはいかんぞ」

 

「「「!?」」」

 

謎の声と共に3人の目の前に揺らめく灰色壁が現れた。

 

はやて「なんや!?」

 

朧「こいつは…まさか!?」

 

壁が消えるとそこには一人の白いスーツを来た男性がいた。

 

朧「何者だ?」

 

アポロガイスト「我が名は偉大なる超ショッカーの幹部 アポロガイスト」

 

アポロガイストと名乗る白いスーツの男性。

 

朧「超ショッカー?聞かない名だな」

 

アポロガイスト「死に行く貴様らに多くは語らん。アポロチェンジ!!」

 

男性が「アポロチェンジ」と叫ぶと姿が変わった。

 

白いマントを羽織り、太陽をモチーフにしたような顔をした赤い体に、刃の付いた丸い盾と銃と剣が一体になったサーベルを持った姿になった。

 

アポロガイスト「仮面ライダークライム、八神はやて、リインフォースⅡ、貴様らはここで死ね!」

 

朧「悪いがここで死ぬ予定は無いんでな」

 

KAMEN RIDE KURAIM!!

 

朧「変身!!」

 

何処からか銃とカードを出して、カードを銃に装填して音声が流れると自身の頭上に上げてトリガーを引くと朧の姿が変わった。

 

体にバーコードに似たのが描かれた灰色の仮面ライダー―『仮面ライダークライム』に変身した。

 

はやてもバリアジャケットを纏い、臨戦する。

 

クライム「行くぜ!」

 

アポロガイスト「行くぞ!!」

 

 

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント ストライク!!

 

襲撃があった病棟にてガンマがバイオレントストライクで全身を黒で統一された数十人の人物たちの集団を粉砕した。

 

なんでこうなったかと言うと病室にてシグナムと遊んでいたリュイだったが突如病室が爆発した。

 

幸いリュイとシグナムは大した怪我はしなかったがシグナムが気を失ってしまい、さらに足が瓦礫に挟まって動けなくなってしまった。

 

助けようとした矢先に全身を黒で統一された数十人の人物たちの集団が現れて戦闘になってしまったのだ。

 

ガンマ「しぐまま!」

 

集団を粉砕してシグナムを助けようと近寄るガンマ。

 

ガンマ「いま…たすける…」

 

そう言ってシグナムの足に乗っている瓦礫を退かそうとする。

 

その時だった。

 

巨大なトランプが高速で回転しながら突っ込んで来ていた。

 

ガンマ「!!」

 

瓦礫を退かすのを中断してガンマは後ろに飛んで回避する。

 

シャドウ「やはり2度目は喰らわぬか」

 

ガンマに回避されたトランプは縦になって高速回転して人―ジェネラル・シャドウになった。

 

ガンマ「しゃどう…」

 

シャドウ「覚えていたか。だが今度は逃さん!!」

 

シャドウ剣を出してガンマに構える。

 

バイオレント ブレイク!!

 

ガンマはバトラーグリップを引き抜いてアマゾンブレイドにして構える。

 

シャドウ「行くぞ!!」

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

両者、同時に動いた。

 

互いの刃が交差する。




はい、アポロガイスト登場です!

ではまた次回にてお会いしましょう!


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kamenrider×kamenrider

はい、SOURさんとのクロス最後です!

エピローグと合体させているんで長いですがよろしくです!

ではどうぞ!


―ガンマVSジェネラル・シャドウ―

 

時空管理局の病棟区の通路にてガンマとジェネラル・シャドウが剣劇を繰り広げていた。

 

気を失って動けないシグナムを戦いに巻き込まないために巧くシャドウを人気のない通路にまで誘導したのだ。

 

シャドウ「ふん!」

 

ガンマ「があっ!!」

 

シャドウはガンマの斬撃を回避しつつ隙にシャドウ剣でガンマの胸部の中心を突いてダメージを与えた。

 

シャドウ「ふむ…見事に誘導されてしまったな」

 

周りを見ながらガンマに言うシャドウ。

 

ガンマ「ここから…ほんばん…」

 

アマゾンブレイドを仕舞、構えるガンマ。

 

シャドウ「よかろう。来るがいい!!」

 

シャドウ剣を構えて言うシャドウ。

 

ガンマ「ウオアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びを上げながらガンマはシャドウに向かっていく。

 

 

 

―部隊長室―

 

アポロガイスト「ムン!!」

 

クライム「オラアッ!!」

 

はやて「ハッ!!」

 

部隊長室では超ショッカーの幹部 アポロガイストと仮面ライダークライム、そしてはやてによる銃撃戦が繰り広げられていた。

 

はやて「ハッ!」

 

アポロガイスト「アポロマグナム!!」

 

はやて「きゃっ!!」

 

はやての魔力弾を盾―『ガイストカッター』で防いだのと同時に銃と剣が合体した対戦車兵器・アポロマグナムのカウンター攻撃が決まった。

 

アポロガイスト「ここまでのようだな。八神 はやて」

 

アポロマグナムの剣部分を向けるアポロガイスト。

 

クライム「ハアァッ!!」

 

ATK RIDE BLAST

 

そこへクライムのブラストがアポロガイストを強襲した。

 

アポロガイスト「ぬぅ…流石は異世界の組織を壊滅させている仮面ライダーだな。だが!」

 

指を鳴らすとはやてとクライムの前にアポロガイストが現れた時の壁が現れた。

 

「「「アクマイザー!!」」」

 

サーベルを持った悪魔に似た姿をした3人の怪人とが現れた。

 

はやて「なんや!?」

 

クライム「アクマイザーのザタン、イール、ガーラかよ…」

 

アクマ族の戦士『ザタン』『イール』『ガーラ』に驚く。

 

ガーラ「ヌアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

クライムとはやてが驚いている内にガーラが迫ってきた。

 

クライム「ったくしょうがねぇな」

 

そう言ってクライムは何処からか1枚のカードを取り出してクライムドライバーに装填した。

 

KAMEN RIDE ZERO

 

トリガーを引くとクライムの姿が変わった。

 

灰色のバーコードのような姿から色透明のような祭司の姿をした仮面ライダー『仮面ライダーゼロ』になったのだ。

 

アポロガイスト「なに!?」

 

はやて「姿が変わった!?」

 

クライムの姿が変わったのを見てアポロガイストやはやては驚いた。

 

ゼロ(クライム)「ハッ!」

 

ガーラ「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ゼロ(クライム)のパンチを喰らったガーラの腹部が貫かれて爆発した。

 

「「ガーラ!?」」

 

ガーラが殺られてザタンとイールは驚く。

 

ゼロ(クライム)「もう一丁行くぜ」

 

そう言ってクライムは2枚目のカードを出してクライムドライバーに装填した。

 

KAMEN RIDE RAIF

 

はやて「また変わった…」

 

朽葉色身体とマントを纏った魔法使いのような風貌をした仮面ライダー『仮面ライダーライフ』になった。

 

ザタン「おのれ!」

 

イール「キエェェェェェェェイ!!」

 

サーベルを構えてザタンとイールはライフ(クライム)に向かっていく。

 

ライフ(クライム)「はあぁぁぁぁ………」

 

足に力を入れるライフ(クライム)。

 

その足元には魔方陣が展開されていた。

 

ライフ(クライム)「はあぁぁぁぁ!!」

 

「「ぐおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」

 

ザタンとイールが目の前まで来た瞬間、回し蹴りを繰り出すと二人の体に魔方陣が移ったかと思いきや爆発した。

 

クライム「ふぅ…ん?うおあぁっ!!」

 

クライムに戻った瞬間、アポロガイストのガイストカッターが強襲してきた。

 

アポロガイスト「少々驚いたぞ。貴様がディケイドと同じ力を使うとわな。アポロマグナム!!」

 

クライム「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

続けざまにアポロマグナムを喰らってクライムの体は吹き飛び、部隊長室の窓ガラスを突き破って外に放り出された。

 

アポロガイスト「貴様を殺すのは奴を倒した後だ」

 

そうはやてに言うとアポロガイストはクライムが突き破った窓から外に飛び降りた。

 

 

 

朧「ぐっ…」

 

アポロガイストが地上に降り立つと変身が解けた朧が倒れていた。

 

リュイ「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

そこへ朧の隣にリュイが吹き飛ばされて来た。

 

シャドウ「とう!!」

 

アポロガイストの隣にシャドウが着地した。

 

アポロガイスト「ジェネラル・シャドウか」

 

シャドウ「貴様はアポロガイスト!?なぜここに!?」

 

アポロガイストがいることにシャドウは驚いた。

 

アポロガイスト「あのお方の命令で貴様の救援に来たやったのだ」

 

シャドウ「くっ、余計な真似を…」

 

アポロガイスト「まぁいい。そろそろ止めを刺すとしよう」

 

二人に止めを刺そうとアポロガイストとジェネラル・シャドウが近付いてくる。

 

朧「おい、リュイ…まだ戦えるか?」

 

リュイ「うん…まだ…まだ…たたかえる…」

 

朧「そうか…」

 

朧の問いに答えるとリュイは立ち上がり、それを見た朧も立ち上がった。

 

シャドウ「なぜだ!?なぜまだ立ち上がる!?」

 

立ち上がったリュイと朧にシャドウは驚く。

 

朧「お前ら悪党には分かんないだろうな。こいつは例えその身に流れる血が化け物と一緒でも…暖かく迎えてくれる大切で大好きな居場所と人たちがいる、それを守る為ならどんなに攻撃されても立ち上がる!戦える!それがこいつ…仮面ライダーアマゾン ガンマ、『八神 リュイ 』だ!」

 

アポロガイスト「貴様…いったい何者だ!」

 

アポロガイストがそう言った時、朧は上半身の服を脱いで龍を見せた。

 

朧「龍に魅せられ、龍と共に戦う通りすがりの仮面ライダーだ!」

 

ガンマ

 

リュイ「アマゾン!!」

 

朧「変身!!」

 

KAMEN RIDE KURAIM COMPLETE

 

立ち上がったのと同時に二人はガンマとクライムに再び変身した。

 

しかしクライムにいたっては姿が少し変わっていた。

 

姿はいつもの灰色のバーコードのような姿だが胸部に『ウロボロス』『ディアック』『ディメント』『ジオーネ』『ライフ』『シェイク』『トランス』『ソウル』『ムゲン』の順にカードが配置されている姿―『仮面ライダークライム コンプリートフォーム』だ。

 

アポロガイスト「悪足掻きが…来い!!」

 

指を鳴らすとアポロガイストとシャドウの後ろに壁が現れて消えると全身を黒で統一された人物たちが数百人はいた。

 

クライム「ショッカー戦闘員か…雑魚が何百いようと関係ないがな。行くぜ!」

 

ガンマ「うん!」

 

全身を黒で統一された人物たち―数百の『ショッカー戦闘員』にクライムとガンマは向かっていく。

 

アポロガイスト「行け!」

 

ショッカー戦闘員『イーッ!!』

 

同時にアポロガイストの指示でショッカー戦闘員も二人に向かっていく。

 

ショッカー戦闘員『イーッ!!』

 

数十体の戦闘員の足元が火を吹いて上空に飛翔したかと思いきやガンマとクライムに向かっていく。

 

地面に着弾すると爆発した。

 

特攻型の戦闘員のようだが二人はそれをすり抜けていく。

 

クライム「ハッ!」

 

ATK RIDE BLAST

 

一番早く動いたのはクライムで、向かってくる戦闘員たちに向かって拡散型の弾丸を発射し一気に何十人の戦闘員たちを葬った。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント ストライク

 

クライムの後ろからガンマが跳んで来てバイオレントストライクを放って更に何十人の戦闘員たちを葬る。

 

バイオレント ブレイク

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォ!!」

 

バトラーグリップを引き抜いてアマゾンサイズにするなり片っ端から戦闘員たちを切り裂いていく。

 

クライム「オラァッ!!」

 

クライムは拡散型と一点型を駆使して戦闘員たちを倒していく。

 

アポロガイスト「おのれ…」

 

シャドウ「やはり戦闘員では話にならんか…」

 

次々に倒される戦闘員たちにアポロガイストとシャドウは呆れていた。

 

アポロガイスト「我々が手を下すか。アポロマグナム!!」

 

シャドウ「トランプカッター!!」

 

アポロガイストのアポロマグナムとシャドウのトランプによる『トランプカッター』が戦闘員ごとガンマとクライムを襲う。

 

爆煙が辺りを包む。

 

アポロガイスト「くたばったか…」

 

ガンマ・クライム「「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

二人を倒したかと思いきや爆煙を突き破るようにガンマが跳躍し、クライムがクライムドライバーを構えていた。

 

バイオレント ストライク

 

FAINAL ATK RIDE KURAIM

 

ガンマ・クライム「「ハアァァァァァァァァァァァァ!!」」

 

ガンマのバイオレントストライクとクライムの『FAINAL ATK RIDE』がシャドウとアポロガイストのそれぞれに向かっていく。

 

シャドウ「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アポロガイスト「ぐっ…くぅ…ぐがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

シャドウはバイオレントストライクを喰らい吹き飛び、ガイストカッターでガードしていたアポロガイストだが威力を抑えきれずシャドウと同じ位置まで飛ばされた。

 

シャドウ「ぐおぉぉぉ…まさかこのジェネラル・シャドウが負けるとはこの一戦に悔いはなし……」

 

一旦は立ち上がるがそう言い残してシャドウは再び倒れて爆散した。

 

アポロガイスト「おのれ…仮面ライダー…覚えていろ…超ショッカーは不滅だ!超ショッカー、超バンザーイ!!」

 

アポロガイストも立ち上がるがそう言い残してシャドウ同様爆散した。

 

クライム「やったな」

 

ガンマ「うん」

 

クライムに言われてガンマは頷いた。

 

 

 

―エピローグ―

 

シャドウとアポロガイストの襲撃から数週間後、朧が異世界へ渡ることになった。

 

はやて「ほんま助かったで。ありがとうな」

 

朧「礼ならよしてくれ。俺は俺のやることをやったのだけさ」

 

シグナム「いや、お前がいなければ私たちはシャドウたちに負けていただろう」

 

朧「ったく、素直に気持ちは受け取っておくぜ。あ、そうだリュイ」

 

リュイ「ん?」

 

朧「ほれ」

 

赤い石を投げ渡した。

 

リュイ「これ…なに?…」

 

受け取った石を見ながら聞く。

 

朧「そいつはいつかお前がピンチになった時に役立つ物だ。肌身離さず持っとけよ。じゃあ皆又何処かで相見えよう!」

 

と言った瞬間に朧の姿は消えてしまった。

 

恐らく別の世界に行いったのだろう。

 

シグナム「仮面ライダークライム、神崎 朧か…不思議な青年でしたね」

 

はやて「せやな。通りすがりっていうより風来坊やね」

 

リュイ「また…あえるかな?」

 

シグナム「きっと会えるさ」

 

はやて「せやで。なんたって通りすがりやからな」

 

再会を楽しみにするはやてたちだった。




はい、これにてクロスは終了になります!

クロスしましたSOURさん、ありがとうございました!

ではまた本編にてお会いしましょう!


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出会う子孫と小さき狩人
hunting 17


リュイが八神家にやって来て早一月、事件は部隊長室で起きた。

 

はやて「あぁーーーーーーーーーーーー!!」

 

部隊長室にはやての声が轟いた。

 

はやて「わ、忘れとったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

今後の予定表を見ていたはやては頭を抱えて叫んだ。

 

リイン「ど、どうしたんですか?はやてちゃん」

 

はやて「これや、リイン!」

 

予定表のとある日付を指差してリインに見せるはやて。

 

そこには『全員出張』と書かれていた。

 

リイン「え?これがどうかしまた?」

 

はやて「全員出張ってことはリュイが独りぼっちになってまうんやぁ!!」

 

リイン「あ…………あぁぁ!!」

 

はやてに言われてリインも声を上げた。

 

 

 

はやて「……っと言うわけや!リュイを預けられる人、誰かおらへん!?」

 

『……………』

 

慌ててシグナムたちに連絡を入れるはやてだが全員、出張のことを忘れていて黙ってしまった。

 

はやて「仕方ない…急やけどなのはちゃんかスバルに相談してみるか…」

 

はやてがそう言った時、ヴィータが口を開いた。

 

ヴィータ『でも、今回リュイが大人しくアタシらの言うこと聞くか?』

 

シグナム『どうゆう意味だ?』

 

ヴィータ『ほら、リュイは先月くらいに来たばかりじゃねーか。誰かに預けるってことは捨てられるって思うんじゃねーか?』

 

ヴィータに言われて全員が黙ってしまう。

 

確かにまだリュイが八神家に来て、1ヶ月しか経っていない。

 

たった1ヶ月で、家族に慣れつつあるのに急に他所の家に預けられでもしたら、幼いリュイのことである。

 

八神家から捨てられてしまったと考えてしまうには十分だった。

 

はやて「どないしよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

ほぼ詰みの状況にはやての叫びが辺りに響き渡る。

 

?「ど、どうしたの、急に大声出して?」

 

はやて「ふえ?」

 

声の方を見ると書類を持ったフェイトが扉を開けて立っていた。

 

はやて「ふぇ…フェイトちゃ~ん!!」

 

フェイト「ちょっ、なになに!?」

 

ダッシュでフェイトに抱き付くはやて。

 

はやて「実は~!!」

 

ことの次第をフェイトに話す。

 

フェイト「なるほど…全員出張なのを忘れてて急遽リュイくんを預かれる人を捜してるわけね?」

 

はやて「そうです…」

 

フェイト「なら私に任せてくれない?」

 

はやて「え?」

 

シグナム『そうか、確かリュイはお前にだけは懐きかけていたな』

 

初めてリュイがシグナムやシャマル以外と出会いかつ、慣れかけているフェイトを見て言う。

 

最初こそリュイはシャマルのせいで、警戒していたが、白衣を着ていないことやシグナムと親しく話しているのを見て、幾分かフェイトへの警戒心が無くなりつつあったのだ。

 

フェイト「えぇ。だから下手に知らない人に預けるより少しでもリュイくん自身が知っている人の方がいいかなって」

 

はやて「あ…ありがとう~!恩に着るで~、フェイトちゃ~ん!!」

 

号泣してフェイトの制服を思いっきり濡らす。

 

フェイト「止めて~!」

 

制服を濡らされてしまったフェイトははやてを離そうとしていたのだった。



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hunting 18

翌日、はやてたちを見送りにリュイはフェイトと一緒に次元港に来ていた。

 

昨夜、はやてたちから事情を聞いたリュイは驚いてはいたがはやてたちが帰ってくるのを、フェイトの家で待ってると約束してくれたのだ。

 

はやて「ほなリュイ、そろそろ行ってくるで」

 

シグナム「よくテスタロスッサ…ふぇーとやお世話になる人たちに迷惑をかけるなよ?」

 

リュイ「うん…」

 

フェイト「ちょっとシグナム?なんで言い直すの?」

 

自分の名前をわざわざ言い直したシグナムに聞く。

 

シグナム「………では行きましょうか、主はやて」

 

ヴィータ(逃げやがったな…)

 

リイン(逃げたです…)

 

アギト(逃げたな…)

 

言葉が出ずにシグナムは逃げるようにはやてに言い、それを八神家ちびっ子3人組が悟るのだった。

 

各々、向かう出張先は違うので出発ロビーも違ったがはやてたち(特にシグナム)が乗っている次元航行船が見えなくなるまでリュイは航行船が見える窓から離れなかった。

 

 

 

次元港から車で約一時間の距離にフェイトが住んでいる家に着いた。

 

フェイト「ただいま~」

 

リュイ「おじゃま…します…」

 

車を車庫に入れて家のドアを開けるフェイト、リュイはその後ろに着いてきていた。

 

?「お帰り、フェイトちゃん」

 

?「お帰りなさい、フェイトママ!」

 

リビングから左側に髪を纏めた女性と金髪の少女が出迎えに出てきた。

 

フェイト「ただいま、なのは、ヴィヴィオ」

 

フェイトは同居している時空管理局教導官『高町 なのは』とその娘『高町 ヴィヴィオ』に言う。

 

ヴィヴィオ「ねぇ、フェイトママ」

 

フェイト「どうしたの?」

 

ヴィヴィオ「リュイくんって子はどこにいるの?」

 

フェイト「え?あれ?」

 

ヴィヴィオに言われて横を見るとリュイがいなくなっていた。

 

すると後ろから引っ張れる感覚がして見ると少し怯えた表情をしたリュイがフェイトの後ろに隠れて服を強く握っていた。

 

ヴィヴィオ「その子?」

 

フェイトの後ろに隠れているリュイを見てヴィヴィオは聞く。

 

フェイト「うん、リュイくんだよ」

 

なのは「でも少し怯えてない?」

 

フェイト「うーん…多分、ヴィヴィオの髪が原因かな」

 

ヴィヴィオ「えぇ!?」

 

リュイが怯えている原因が自身だと言われてヴィヴィオはショックを受ける。

 

なのは「どういうこと、フェイトちゃん?」

 

フェイト「実は私もシグナムから聞いたんだけど、リュイくんは………」

 

シグナムから聞いたリュイが怯えてしまうことになった原因をフェイトは2人に話した。

 

なのは「なるほど、笑顔で注射器を持って近付いて来たシャマル先生がトラウマになって髪が金色の人を見ると警戒しちゃう訳か」

 

フェイト「そうなの」

 

怯える原因になった理由を聞いて苦笑いする。

 

するとヴィヴィオがリュイに近付いて来た。

 

ヴィヴィオ「ごめんね、知らなくて。でも私はシャマル先生みたいに怖くないよ」

 

笑顔でリュイに言うヴィヴィオ。

 

ヴィヴィオをリュイは観察するように見つめた。

 

フェイト「大丈夫よ。この子はヴィヴィオって言って、とっても優しい子だよ」

 

観察するようにヴィヴィオを見つめるリュイにフェイトはそう言う。

 

フェイトの言葉を聞いてリュイはヴィヴィオの前に出た。

 

リュイ「びびお…」

 

ヴィヴィオ「うん!高町 ヴィヴィオだよ!よろしくね、リュイくん!!」

 

名前を呼ばれてヴィヴィオは嬉しそうに言うのだった。



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hunting 19

ヴィヴィオの部屋にてリュイはヴィヴィオと対戦ゲームをしていた。

 

下の台所にてフェイトとなのはは昼食の準備をしており、その間の暇潰しだ。

 

ヴィヴィオ「ま…負けた~」

 

画面に出た『You Lose』を見てヴィヴィオは気落ちした。

 

リュイ「かった…」

 

対してリュイは『You Win』の文字が画面に出ていた。

 

ヴィヴィオ「まさかこうも早く超えられちゃうなんて…」

 

最初対戦ゲームをする時、やり方が分からなかったリュイにヴィヴィオは丁寧に教えてやると最初の一戦以外ヴィヴィオは負け越していた。

 

ヴィヴィオ「リュイくんってゲーム強いんだね」

 

リュイ「びびおも…つよい…」

 

ヴィヴィオの顔を真っ直ぐ見ながらリュイはそう言う。

 

すると…。

 

なのは「二人とも~、ご飯出来たよ~!」

 

ヴィヴィオ「はーい。行こうリュイくん」

 

リュイ「うん…」

 

なのはに呼ばれて二人は部屋を出た。

 

 

 

 

二人がリビングに行くとテーブルに沢山の料理が並べられていた。

 

ヴィヴィオ「うわぁ~、こんなに沢山作ったの!?」

 

なのは「うん、リュイくんが沢山食べるって聞いたからフェイトちゃんと張り切って作ったんだ」

 

ヴィヴィオ「それにしても、多すぎない?」

 

そう言うヴィヴィオの視線の先にはタワーのように山盛りになっている唐揚げ、エビフライ、サラダなどがあった。

 

フェイト「ちょっと多かったかな?」

 

なのは「ま、まぁヴィヴィオも成長期とかだし大丈夫だよ!」

 

ヴィヴィオ「えぇ~…」

 

なのはの台詞にヴィヴィオは呆れていた。

 

リュイ「おいし…そう…」

 

山盛りの料理を見てリュイは食べたくてうずうずしていた。

 

なのは「それじゃあ、食べようか?」

 

なのはに言われて席に着くヴィヴィオ。

 

リュイはヴィヴィオの隣に座った。

 

なのは「それじゃあ…」

 

「「「いただきまーす!!」」」

 

リュイ「いただき…ます…」

 

手を合わせていただきますして食事を始めるなのはたちだった。

 

食事をしているとリュイは途中途中でなのはの顔を見ていた。

 

なのは「ん?私の顔に何か付いてる?」

 

視線に気付いたなのはが聞くとリュイは横に振った。

 

ヴィヴィオ「どうしたの?」

 

リュイ「んー…きいてた…のと…ちがう…」

 

フェイト「それってなのはが?」

 

リュイ「うん…」

 

なのは「何を聞いたの?」

 

リュイ「えっと…びーねえねが…」

 

 

 

それは昨晩のこと。

 

ヴィータ「いいか?リュイ、絶対になのはを怒こらせるなよ?」

 

リュイ「なん…で…?」

 

ヴィータ「アイツは管理局で白い悪魔って言われてるからだ。もしも怒らせたら…お話しと言う料理にされちまうぞ。いいな?」

 

リュイ「う、うん…」

 

ヴィータに言われてリュイの中で、なのはへの恐怖が出来そうになった。

 

 

 

 

リュイ「…っていってた…」

 

ヴィヴィオ・フェイト「「………」」

 

ヴィータから聞いたなのはのことをリュイが話し終えると、ヴィヴィオとフェイトは顔をひきつらせた。

 

なのは「あははははは…そうかぁ、ヴィータちゃんがそんな事を…じゃあ、出張から帰ったらお話ししないとね~」

 

片やなのは、黒い笑みを浮かべながら言う。

 

ヴィヴィオ・フェイト((ま、マジだ…ヴィータ(副隊長)…ご愁傷さまです…))

 

心の中で、ヴィータに合唱するヴィヴィオとフェイトだった。

 

リュイ「ん~♪」

 

対するリュイは唐揚げを頬張って幸せそうに笑っていた。



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hunting 20

八神家出張の間高町家に預けられているリュイ。

 

今日はヴィヴィオと一緒に公園に来ていた。

 

理由は昨日の晩、ヴィヴィオにミウラとの手合わせ(リュイ本人は手合わせの意味をまだちゃんと理解していないが、猫のじゃれ合い的なのと思っている)の話しをしたら格闘技をしているヴィヴィオである、食い付かないわけがなく出張先にいるはやてたちに連絡して許可を貰いヴィヴィオの格闘技の師匠である『ノーヴェ・ナカジマ』の引率の元、チームナカジマの面々と模擬戦をすることになったのだ。

 

因みにヴィータにも許可を貰っているとブラックオーラ全開のなのはが現れて何やら話しており、ヴィータは泣きながら頭を下げていたが途中でブツンと通信を切った。

 

通信を切ったなのはの顔は不適に、それは不適に笑っていた…ブラックではなくダークネスなオーラを出しながら…

 

それを見たヴィヴィオとフェイトは合掌していたがリュイは意味が理解できず、首をかしげていた。

 

ヴィヴィオ「あ、おーい!ノーヴェ~!」

 

先に公園で待っていた女性に手を振るヴィヴィオ。

 

手を振られた相手―『ノーヴェ・ナカジマ』も手を振り返す。

 

ノーヴェ「おせーぞ、ヴィヴィオ。そいつか?昨日話してたのは?」

 

ヴィヴィオの後ろにひょっこりと顔を覗かせるリュイを見るノーヴェ。

 

ヴィヴィオ「うん。そうだよ」

 

リュイ「やがみ…りゅい…です…」

 

ヴィヴィオの前に出て名乗るリュイ。

 

ノーヴェ「リュイか…私はノーヴェ・ナカジマ。ヴィヴィオの師匠…てか格闘技を教えてる。でこっちにいるのが…」

 

コロナ「初めまして、コロナ・ティミルです」

 

リオ「リオ・ウェズリーだよ」

 

水玉模様のキャンディを模した髪留めでツインテールにしている少女『コロナ・ティミル』と八重歯のある元気っ子の『リオ・ウェズリー』が名乗る。

 

ノーヴェ「それで最後が…」

 

アインハルト「アインハルト・ストラトスです。皆さんとは僭越ながら一緒に練習をさせてもらってます」

 

碧銀の髪でツインテールで大きな赤いリボンと左が青、右が紺のオッドアイが特徴の少女―『アインハルト・ストラトス』が名乗った。

 

ノーヴェ「ま、自己紹介もこれくらいにしてリュイは準備運動してろよ。で最初にリュイとやるのは…」

 

アインハルト「あの…差し支えなければ私からやらせてもらってもいいでしょうか?」

 

ノーヴェ「お、珍しいな。お前が最初に手を上げるなんてな」

 

自分から模擬戦すると言い出したアインハルトにノーヴェは言う。

 

アインハルト「いえ。何となくあの子とはやってみたいと心が言ってるんです」

 

ノーヴェ「そうか。お前らは異存はないか?」

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんなら最初でいいよ!」

 

リオ「ヴィヴィオに同じく!」

 

コロナ「私もです」

 

アインハルトが先にリュイと模擬戦することにヴィヴィオたちは反対せずに言う。

 

ノーヴェ「よし。んじゃアインハルトとリュイは準備運動しろ。あとはその間に次やる順番を決めろよ?」

 

「「「はーい!!」」」

 

ノーヴェに言われてヴィヴィオたちは元気良く返事をしたのだった。



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hunting 21

ノーヴェ「よし、2人とも準備はいいな?」

 

アインハルト「はい」

 

リュイ「うん…」

 

準備運動が終わった2人にノーヴェが聞くと返事をした。

 

ノーヴェ「それじゃあ、始めっ!!」

 

開始の合図をノーヴェが出すと、アインハルトとリュイは動いた。

 

アインハルト(まずは様子見…)

 

最初は相手の出方を伺おうとした矢先、リュイは跳躍して踵落としを繰り出した。

 

アインハルト「ふっ!!」

 

両腕をクロスさせて踵落としを防ぐアインハルト。

 

リュイ「はっ!!」

 

防がれながらもリュイは反動を利用して空中回転して踵落としを連続で繰り出した。

 

アインハルト「くっ!!」

 

流石のアインハルトも2連続の踵落としは予期できず後ろに飛んで回避した。

 

リュイ「とっとっ…」

 

回避されたリュイは踵が地面にぶつかる前に体勢を変えて着地した。

 

アインハルト(あの技…どこかで…)

 

リュイの繰り出した2連続の踵落としを見てアインハルトの中で何かが引っ掛かった。

 

アインハルト「今度はこちらから行きます」

 

しかしアインハルトは直ぐに切り替えて離れた分から一気にリュイに接近する。

 

接近して来たアインハルトを見てリュイはバク転して下がる。

 

アインハルト「逃しません!!」

 

バク転して下がるリュイを追撃しようと迫るアインハルト。

 

リュイ「はあ!!」

 

アインハルト「!?」

 

逆立ちになった状態でリュイは回転し、ミウラの時に繰り出して見せた回し蹴りだ。

 

アインハルト「くっ!?」

 

回し蹴りに阻まれてアインハルトは下がる。

 

リュイ「はっ!!」

 

アインハルトが下がったのを見てリュイは地についた両手をバネのように動かして両足キックを繰り出した。

 

アインハルト「きゃっ!!」

 

両足キックを喰らってアインハルトは倒れる。

 

アインハルト(やはりこの戦い方…どこかで…)

 

リュイの繰り出す攻撃に、アインハルトに刻まれた古代ベルカの記憶に引っ掛かる感じがしていた。

 

リュイ「はっ!!」

 

立ち上がったリュイは止めの左ストレートを繰り出すが…。

 

ノーヴェ「そこまで!!」

 

ノーヴェのストップが掛かり、リュイはパンチをアインハルトの顔の寸で止めた。

 

ノーヴェ「この試合、アインハルトの負けだな」

 

アインハルト「そのようです」

 

年下相手に負けたことをノーヴェに言われるが、アインハルトは悔しがることなく認めた。

 

リュイ「はーる…」

 

呼ばれて見るとリュイが手を差し伸べていた。

 

(はーるって…私/アインハルト/さんのこと!?)

 

『はーる』と言われて周りと驚きつつも差し出された手を取って、アインハルトは立ち上がった。

 

アインハルト「ありがとうございました。リュイくん」

 

立ち上がってアインハルトは模擬戦でのお礼を言う。

 

リュイ「ありがとう…」

 

リュイもまたお礼を言う。

 

アインハルト(私の思い過ごしですね。彼とは今日初めて会った…初めて?いえ、どこかで……気のせいですね)

 

リュイとの模擬戦を通して、アインハルトは自身の中に刻まれた古代ベルカの記憶に引っ掛かっていたが直ぐに思い過ごしだろうと判断する。

 

リオ「2人にとも凄かったよ~!!」

 

コロナ「リュイくんアインハルトさんに勝つなんて凄いよ!!」

 

模擬戦を終えた2人にヴィヴィオたち3人が駆け寄って言う。

 

ヴィヴィオ「よぉし、次は私とやろう!」

 

リオ「え、次は私だよ!」

 

コロナ「違うよ、私とだよ!」

 

ノーヴェ「お前ら…決めとけって言っただろ…」

 

口論を始めるヴィヴィオたちを見て、ノーヴェは呆れてしまった。

 

女性「うぅ…」

 

すると、口論するヴィヴィオたちの近くにある茂みから1人の女性が突然出て倒れた。

 

ノーヴェ「お、おい!大丈夫か!?」

 

倒れた女性にノーヴェは駆け寄る。

 

その後ろからヴィヴィオたちも来た。

 

ノーヴェ「酷いケガだな。今日の連中はここまでだ、アタシはこの人を病院までおくっ…」

 

リュイ「にょーえ!!」

 

突然リュイがノーヴェを突き飛ばした。

 

次の瞬間、ノーヴェがいたところの地面が粉々に砕けた。

 

さっきまでいた場所を見ると、そこには大きなハサミがあり、地面を砕いていた。

 

?「チィ…仕留メそこナッたか…」

 

ノーヴェが駆け寄った女性はそう言って立ち上がった。

 

地面を砕いたハサミは女性の右腕だった。

 

ノーヴェ「ま、まさか…アマゾンか!?」

 

ノーヴェがそう言うと女性の顔の一部が火傷をしたように爛れ、さらに体からは煙まで上がっていた。

 

女性の体から出る煙が一気に吹き上がり、周囲に強烈な衝撃波と高熱が生じ、木葉や茂みの葉を燃やしながら姿を包み込んだ。

 

煙が晴れると右腕だけでなく左腕もハサミになり、尾骨辺りからは先に鋭い針を持った尻尾が生えているアマゾンが現れた。

 

ノーヴェ「マジかよ…くそっ、アインハルト!ヴィヴィオたちを連れて早く逃げろ!!」

 

?「逃ガスか!!」

 

怪人はそう言うと尻尾を地面に突き刺すと公園を囲むようにドーム型の壁が現れた。

 

?「全員ココデ、私が食ウんダヨ!!」

 

ハサミを構えながらアマゾンは皆を見て言うのだった。



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hunting 22

女性が変貌したアマゾンによって公園に閉じ込められたヴィヴィオたちは公園中を走っていた。

 

サソリアマゾン「ほらホら、早ク走らナイと食べチャウわよー!!」

 

その後ろから『サソリアマゾン』が草食動物を追いかける肉食動物のように追いたてていた。

 

ノーヴェ「くそっ!」

 

追いたてるように迫るサソリアマゾンにノーヴェは舌打ちした。

 

1人だけなら良いがヴィヴィオたち練習生、そしてヴィヴィオたちより幼いリュイを守りながらでは戦えないと判断して一緒に逃げていた。

 

リュイ「……」

 

一方でリュイはガンマに変身してサソリアマゾンを仕留めたいと思ってはいるがはやてたちとの約束を思い出していた。

 

 

 

はやて「えぇか?リュイ、絶対にヴィヴィオたちの前で変身したらアカンで」

 

リュイ「なんで…?」

 

変身したらダメと言われてリュイは首をかしげて、聞いた。

 

はやて「リュイも分かっとると思うけど、リュイ自身もアマゾンや。変身したらヴィヴィオたちに嫌われてまうかもしれんからや。いいな?ウチとの約束や」

 

リュイ「うん…」

 

はやてに言われて絶対に変身しないと約束する。

 

 

リュイ「くっ…」

 

はやてとの約束を守ろうと、腰に手をやったが直ぐに離してヴィヴィオたちと一緒に走るのに集中した。

 

コロナ「きゃっ!」

 

コロナが木の根に足を引っ掻けて倒れてしまった。

 

『コロナ/さん/ロコ!』

 

立ち上がろうとしたコロナをサソリアマゾンが追い付いて踏みつけて押さえた。

 

サソリアマゾン「オやおヤ、可哀想ニお嬢チゃんが最初ノ犠牲者のヨウだナ」

 

顎を左右に開いてコロナを捕食しようとした。

 

ノーヴェ「や、やめろー!!」

 

ノーヴェが叫んだ時、リュイがサソリアマゾンにタックルをかましてコロナから引き離した。

 

ヴィヴィオ「リュイくん!」

 

サソリアマゾン「コノガキが…食事ノ邪魔ヲシヤガッて…まずハお前カら食っテヤル!!」

 

食事の邪魔をされたサソリアマゾンは怒りだしてリュイに襲い掛かった。

 

しかし、リュイはすでにアマゾンズドライバーを出して左側のグリップを持ち、捻った。

 

GA()M()MA()!

 

グリップを捻ると両目のような赤い部分に血走りのような模様が入り、英語風に『ガンマ』と聞こえた。

 

?「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!

 

ボソリとリュイはそう言ったのと同時に再びグリップを捻り変身した。

 

サソリアマゾン「グオォォォォォォォォォォォ!?」

 

変身した衝撃でサソリアマゾンは吹き飛ばされるが木にハサミを引っ掻けて倒れないようにした。

 

ヴィヴィオ「り、リュイくんが…」

 

リオ「アマゾンになっちゃった…」

 

リュイがガンマに変身して驚くヴィヴィオたち。

 

ガンマ(はやぱぱ…ごめんなさい…やくそく…やぶった…でも…)

 

変身してしまったガンマはやてとの約束を破ってしまったことを後悔しながら、チラリとヴィヴィオたちを一瞬だけ見た。

 

今自分が変身しなかったらコロナはサソリアマゾンに食い殺されていた。

 

そう考えて、ガンマは直ぐにサソリアマゾンに構え、臨戦するのだった。



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hunting 23

サソリアマゾン「貴様、アマゾンだっタノカ!?」

 

リュイがガンマに変身したのを見てサソリアマゾンは驚く。

 

サソリアマゾン「何故ダ!何故、人間ノ味方ヲする!?貴様はアマゾントシテの本分ヲ忘れタノか!!」

 

ガンマ「そんなの…しらない…」

 

サソリアマゾン「!?」

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァ!!」

 

サソリアマゾン「グおっ!!」

 

一瞬でガンマは間合いを詰めて蹴りをくりだしてサソリアマゾンを吹き飛ばした。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

サソリアマゾンを掴むと右腕のアームカッターで胸部を斬りつけた。

 

サソリアマゾン「グガアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

胸部を斬られて傷口から黒い血が吹き出た。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァ!!」

 

左腕のアームカッターで斬りつけようとする。

 

サソリアマゾン「2度ハ喰ラウかぁ!!」

 

そう言ってサソリアマゾンは尻尾を伸ばして針を出すとガンマの背中に刺した。

 

ガンマ「ガアァァァッ!?」

 

背中に針を刺されて怯むガンマ。

 

サソリアマゾン「ヌアァァァ!!」

 

その隙を突いてサソリアマゾンはガンマを蹴り引き離した。

 

ガンマ「ガ…グ…」

 

蹴られたガンマは立ち上がろうとするが立てず膝を着いた。

 

サソリアマゾン「ホぅ、まだ毒ガ効かナイか。本来は即効性ナノだがな」

 

そう言いながらサソリアマゾンは毒針のある尻尾を向けて近付く。

 

サソリアマゾン「苦しイか?ダガ直ぐに楽ニシテやる」

 

ガンマに止めを刺そうと尻尾を構えたその時だった。

 

ガンマ「グ…ウアァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント ブレイク!!

 

気迫で立ち上がって毒針の尻尾をかわしてアマゾンズサイズを出してサソリアマゾンの首に突き立てた。

 

突き立てられた首から黒い血が噴水のように吹き出た。

 

サソリアマゾン「ガアァァァァァァァァァァァァァ!?ば、バカ…な…この…わた…シガ…マケ……」

 

そこまで言ってサソリアマゾンの体はドロドロの黒い液体になった。

 

同時に公園を囲っていたのが消えた。

 

蒸発したサソリアマゾンの液体の中から出てきアマゾンズレジスターをガンマはいつものように確認すらせずに、踏みつけて破壊した。

 

変身を解いてヴィヴィオたちを見ると、ヴィヴィオたちはすっかり怯えてしまっていた。

 

リュイ「びび…」

 

ヴィヴィオ「来ないで!」

 

近付こうとしたリュイにヴィヴィオはそう言った。

 

リュイ「うぅ…」

 

ヴィヴィオに言われてリュイは背中を見せてどこかに走っていった。

 

リュイがいなくなったあと直ぐに冷たい雨が降り始めた。

 

まるで悲しみで流れる涙のように雨は降るのだった。



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hunting 24

はやて『リュイがヴィヴィオたちの前で変身した!?』

 

サソリアマゾン襲撃から程なくして、なのはたちから連絡を受けたはやては驚いて声を上げた。

 

なのは「うん…」

 

フェイト「ノーヴェの話だとコロナちゃんを助けるために変身したみたい…」

 

はやて『そうか…でヴィヴィオはどないしとるん?』

 

なのは「ショックで部屋に引きこもってるよ」

 

なのはたちには予めリュイのことを言っといたためにあまり驚きはない。

 

しかし、ヴィヴィオにとっては相当なショックだったに違いはなかった。

 

はやて『なんや悪いことしてしもうたな…じゃあ今からにでもリュイを迎えに…』

 

フェイト「それが、リュイくんアマゾンを倒したあとどこかに行ったみたいで…まだ帰ってきてないの」

 

はやて『な、なんやてぇぇぇぇーーーーーーーー!?』

 

リュイがいなくなったっ聞いてはやての声が響き渡ったのだった。

 

 

リュイ「……」

 

一方でリュイはミッドの町を一人で歩いていた。

 

冷たい雨が体を濡らしている。

 

ヴィヴィオ『来ないで!』

 

リュイの中でヴィヴィオの言葉が突き刺さっていたがそれよりも堪えたのはヴィヴィオの敬遠をした目に堪えていた。

 

今までそんな目をされたことがなかったために悲しかったのだ。

 

そんなことを考えてるとリュイは誰かにぶつかった。

 

不良A「ってぇな。どこみてんだよガキ」

 

リュイがぶつかった相手は数人の不良だった。

 

リュイ「ごめん…なさい…」

 

不良A「あぁ、聞こえねぇよ!」

 

ぶつかられた不良がリュイの胸ぐらを掴んで持ち上げた。

 

リュイ「う…うぅ…」

 

胸ぐらを掴まれて息苦しくなるリュイ。

 

不良A「ちゃんと謝れよ!」

 

息苦しいと分かっていながらそう言う。

 

あとの不良たちは笑いながら見ていた。

 

周りの人は余計なことに巻き込まれたくないのか助けようとしなかった…一人を除いて…。

 

?「お前たち子供相手に何している?」

 

不良A「あぁん?」

 

肩を掴まれて振り向くと一人の男性がいた。

 

不良A「なんだよ、おっさん。邪魔すんなよ!」

 

リュイを離して男性に掴み掛かるが男性は掴んできた不良の腕を掴んで捻った。

 

不良A「いでででで!」

 

?「目上相手に対しての礼儀がなっちゃいないな」

 

不良B「この!」

 

見ていた不良の一人が男性に殴りかかってきた。

 

?「ふん」

 

男性は殴りかかってきた不良を蹴り飛ばした。

 

?「止めておけ。お前らと俺とじゃ実力の差がありすぎる」

 

不良を蹴り飛ばした男性は警告するように言う。

 

不良C「なんだとぉ!」

 

不良D「一斉にやっちまえ!」

 

一斉に男性に襲いかかる。

 

?「やれやれ…」

 

呆れるように言うと男性は捻っていた不良を離して蹴り飛ばすと襲いかかってきていた不良全員を殴り、蹴り飛ばした。

 

不良A「な、ななななな…」

 

男性の強さに最初の不良は驚いていた。

 

?「だから言っただろ…実力の差がありすぎるってな」

 

笑ってはいたが直ぐに不良を睨む男性。

 

『ひ、ひいぃぃ~~!!』

 

男性に睨まれて不良たちは蜘蛛の子散らす勢いで、一斉に逃げ始めた。

 

?「大丈夫か、坊主」

 

不良たちがいなくなって男性はリュイを見た。

 

リュイ「ありが…とう…」

 

立ち上がってお礼を言うと、その場を去ろうとした。

 

?「全く…ん?」

 

自身も去ろうとしたが倒れる音がして見るとリュイが倒れていた。

 

背中が真っ赤になり、雨の水により血が流れていた。

 

?「おい、坊主!?」

 

慌てて男性がリュイに駆け寄って抱き上げた。

 

リュイ「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

抱き上げられたリュイは呼吸が荒れ、顔色も悪かった。

 

?『ワタル、この子毒に犯されてるよ』

 

『四十万 ワタル』に話しかける子供の声がして懐から手鏡のような形で中央に一つ目の模様がしたのを取り出した。

 

ワタル「ウルバ…この坊主は助かるか?」

 

『ウルバ』と呼ばれる手鏡にワタルは聞く。

 

ウルバ『さぁね。でも今ならまだ間に合うんじゃない?』

 

ワタル「だな。マスターの所に行くぞ」

 

ウルバ『分かったよ』

 

リュイを抱えて立ち上がるとワタルはどこかへ走り出したのだった。



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hunting 25

シグナム「テスタロッサ!」

 

ヴィータ「なのは!」

 

連絡を聞いてはやて、シャマル、リイン、ザフィーラより先にシグナムとヴィータはミッドチルダへ戻りなのはとフェイトとターミナルで合流していた。

 

ヴィータ「はやてから聞いたけどリュイがいなくなったって本当か?」

 

なのは「うん…」

 

フェイト「ごめん、私たちがちゃんと見てなかたったから…」

 

連絡を聞いたヴィータが確認するとなのはとフェイトは頷いて言う。

 

シグナム「リュイ…」

 

リュイがいなくなったと聞いて、シグナムは心配そうな表情をする。

 

フェイト「一応、ノーヴェたちも捜してくれてはいるけど…」

 

ヴィータ「ともかく早くリュイを捜しに行こう。シグナム」

 

シグナム「あ、あぁ。分かっている」

 

一刻も早く見つけねばならないと、シグナムたちもリュイを捜しに向かうのだった。

 

 

 

ワタル「おい、マスター。いるか?」

 

リュイを抱えたワタルはあるバーに入店していた。

 

バクラ「なんだ?まだ店は始まってないぞ」

 

店の奥から左腕がない男性、この店のオーナー『バクラ』が現れた。

 

ワタル「悪いがコイツを診てやってくれ」

 

リュイをテーブルの上に寝かせてバクラに言う。

 

バクラ「なんだこのガキ…お前の子か?」

 

リュイを見て、冗談交じりにバクラはワタルに聞いてくる。

 

ウルバ『はあ!?なに言ってんだよ、そんなわけ…』

 

ワタル「俺の…弟子だ」

 

バクラ「なるほどな」

 

ワタルの言葉に納得したようにバクラは言うとリュイの容態を見る。

 

ウルバ『ちょっと、ワタル!?何を言ってるの!?』

 

ワタルの発言に驚きウルバは聞いてきた。

 

ワタル「仕方ないだろ。あーでも言わないと治療してもらえそうにないだろ」

 

ウルバにワタルはそう言う。

 

バクラ「まぁ、治療はしてやるが助かるかは分からんぞ」

 

ワタル「分かってる。頼んだぜ、マスター」

 

バクラ「おい、どこ行く気だ?」

 

ワタル「ホラー退治だよ。いつも通りのな」

 

バクラ「そうかい。なら治療費はツケにしとくぞ」

 

ワタル「はいはい」

 

そう言ってワタルは外に出ていった。

 

 

 

ウルバ『ワタル。この辺りのホラー退治は絶狼の管轄のハズだよ?』

 

バーを出たワタルにウルバはそう言う。

 

ワタル「ん?そうだったか?」

 

ウルバ『そうだよ。もしかしてあの子の親を捜すつもり?ホラーに襲われたんならもう…』

 

ワタル「それら本当に弟子にしないとな」

 

ウルバ『もう、真面目に考えてよ』

 

とぼけるように言うワタルにウルバは少し怒った口調で言う。

 

ワタル「だが意外と生きてるかもな」

 

ウルバ『なんで分かるのさ?そんな奇跡があるって』

 

ワタル「俺の勘だよ」

 

ウルバ『頼りにならない勘だね』

 

ワタル「うるさい。さっさと捜しにいくぞ」

 

そう言ってワタルは歩き始めるのだった。



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hunting 26

シグナム「リュイ…」

 

リュイがいなくなって、すでに3日が過ぎていた。

 

この3日間、休まずに駆けずり回り続けたのか、流石のシグナムにも疲労が出ていた。

 

シグナム「どこに行ってしまったんだ…リュイ…」

 

疲労している体に鞭打ってリュイを捜そうとするシグナムだったが、足を滑らせて倒れてしまった。

 

シグナム「くっ…リュイ…」

 

立ち上がってシグナムは捜そうとするがフラついてしまう。

 

シグナム「くっ……」

 

フラついたシグナムはまた倒れてしまった。

 

そんなシグナムを建物の上から見る人物がいた。

 

?「旨そうだな…」

 

倒れているシグナムの体を見て舌鼓をうつと人物は建物から飛び降りて着地した。

 

シグナム「何者だ?」

 

自身の前に着地した人物から感じられるただならぬ気配にシグナムは警戒する。

 

?「ひ…ひひひ…ひひひひ…」

 

不気味に笑いながら人物の姿が変わっていく。

 

体が膨らみ脱皮でもするかのように姿を現したのはガーゴイルのような姿で背中の左側は悪魔、右側は天使の羽が付いた怪物だ。

 

シグナム「アマゾン?…いや、違う…アレはまさか!?」

 

現れた怪物をアマゾンと思ったシグナムだが直ぐに違うと判断した。

 

?「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びを上げた怪物はシグナムに接近する。

 

シグナム「レヴァ…くっ!」

 

レヴァンティンを出そうとしたがリュイを捜すためにろくに休んでいなかったので疲労で出せなかった上に膝を着いてしまった。

 

?「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

動けないシグナムに怪物は接近してくる。

 

シグナム「主はやて…リュイ…」

 

ここまでかとシグナムが思ったその時だった、後ろから空き缶が飛んで行き怪物の顔面を直撃した。

 

?「ギギャッ!?」

 

空き缶に当たり、怪物は怯んで足を止めた。

 

シグナム「いったい誰が…」

 

空き缶が飛んで来た方を振り向くとそこにはワタルが歩いてきていた。

 

ワタル「大丈夫か、お嬢さん」

 

シグナム「お前は…」

 

ワタル「ただの通りすがりだ」

 

シグナムに聞かれてワタルはそう答える。

 

ウルバ『ワタル、コイツただの素体ホラーだよ。成長する前に討滅したほうがいいよ』

 

ワタル「みたいだな」

 

ウルバに言われたワタルは跳躍すると陰我を喰らう怪物『ホラー』の前に着地すると持っていた刀を鞘から引き抜いたのと同時に首を斬った。

 

ワタル「この程度なら、鎧を召喚するまでもないな」

 

首を斬り落とし、黒い霧のようになって消滅したホラーを見てワタルは言う。

 

ワタル「ちょっと聞きたいんだが“しぐまま”って知ってるか?とあるガキが呟いていたことなんだが」

 

ホラーを倒したワタルは刀を鞘に納めてシグナムに聞く。

 

シグナム「まさか…リュイを知っているのか!?」

 

ワタルからその言葉を聞いたシグナムは聞き返した。

 

ワタル「どうやら当たりみたいだな」

 

聞き返してきたシグナムの言葉を聞いてワタルは笑った。

 

ワタル「ついて来い、そのリュイってガキは俺の知り合いの所にいる」

 

ワタルはそう言って歩きだした。

 

シグナムは疲れていたハズだが、リュイの居場所が分かるかもしれないという気持ちに押されて立ち上がりワタルのあとをついていったのだった。



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hunting 27

ワタルに連れられてシグナムはバクラがオーナーをしているクラブバー『LUPO』に来ていた。

 

ワタル「マスター、いるか?」

 

店内に入ったワタルはバクラを呼ぶ。

 

バクラ「何だ?まだ店は開けてないぞ」

 

店の奥から現れたバクラはワタルの後ろにいるシグナムを見て言う。

 

ワタル「あの子供の母親だ」

 

バクラ「……ついてきな」

 

ワタルからシグナムがリュイの母親だと聞くとバクラは2人を二階に案内した。

 

 

 

シグナム「リュイ!!」

 

二階に案内されて部屋に入るなりベッドの上に寝かされているリュイを見てシグナムは駆け寄る。

 

バクラ「体を蝕んでいた毒は完全に取り除いた。だが、まだ意識は戻ってない」

 

今のリュイの状態をバクラは言う。

 

シグナム「リュイを助けてくれて感謝する」

 

ワタル「そう言うな。俺は守りし者として当然のことをしただけだ」

 

礼を言われ、ワタルは腕を組んでそう言う。

 

シグナム「そう言えば聞きたかったのだが…お前はまさか…魔戎騎士なのか?」

 

ワタル「何故それを…」

 

"魔戒騎士"かとシグナムに聞かれてワタルは少し警戒する。

 

シグナム「勘違いしないでくれ。私は一度その話を聞いただけだ」

 

ワタル「どういう…」

 

ウルバ『まさかお姉さん…闇の書の守護プログラム?』

 

シグナムの言葉にワタルは頭の中が混乱したが、ウルバが聞いてきた。

 

シグナム「そうだ」

 

ワタル「なに?」

 

シグナム「今は夜天の魔導書だが…」

 

ワタル「守護プログラムが何で子供の世話なんてしているんだ?」

 

闇の書のことは魔戎騎士や魔戎法師の間でも最大級の危険物対象なのだからワタルもある程度は知っていたがリュイとの関係を聞いてみる。

 

シグナム「それは…」

 

ワタルに聞かれてシグナムは話した、リュイと出会ったことや世話をすることになったことを…。

 

ワタル「なるほどな。悪い組織から救出して養子にしたと言うことか」

 

シグナム「そうなる」

 

ワタルの確認にシグナムは言う。

 

シグナム「ではリュイを連れ帰っていいか?主はやてたちが心配しているだろうだから」

 

バクラ「そうだな。そうしてくれるとこっちは助かる」

 

シグナム「では…」

 

バクラから許可を貰い、リュイを抱えるシグナム。

 

シグナム「いつかこの礼は必ず」

 

ワタル「気にするな」

 

シグナムに言われてワタルは言う。

 

シグナム「世話になった」

 

頭を下げてシグナムはLUPOを出て行った。

 

バクラ「まさかあの闇の書が夜天の魔導書になっていたとわな」

 

帰っていくシグナムを二階から見て言うバクラ。

 

ワタル「その主と守護プログラム…いや、ヴォルケンリッター四騎士は時空管理局で活躍中らしいからな」

 

バクラ「世の中分かんねぇもんだな」

 

ワタル「だな」

 

少し可笑しくなって笑う二人だった。

 

 

 

リュイ「ん…」

 

自身の体に感じる温もりで、リュイは目を覚ました。

 

シグナム「気が付いたか。リュイ」

 

リュイ「しぐ…まま…!!」

 

シグナムを見るなりリュイは暴れて逃げようとする。

 

シグナム「離さないぞ、リュイ」

 

リュイ「……」

 

離してくれそうにないシグナムを見てリュイは暴れるのをやめた。

 

シグナム「どうして勝手にいなくなったりした?」

 

リュイ「……」

 

シグナムに聞かれてリュイは何も言わなかった。

 

シグナム「ヴィヴィオのことか?」

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイは頷いた。

 

ヴィヴィオのように怖がってしまい敬遠をした目は初めてだったからだ。

 

シグナム「ヴィヴィオたちに言っていなかった私たちも悪い。だがリュイ、これだけは分かっていて欲しい」

 

リュイ「?」

 

シグナム「例えお前がどんな姿であろうとヴィヴィオたちはお前を受け入れてくれるハズだ」

 

リュイ「そう…かな…」

 

少し不安がって言うリュイ。

 

シグナム「大丈夫だ。私も一緒に行ってやるから」

 

リュイ「うん…びびおたち…しんじる…」

 

シグナム「あぁ。そうだ」

 

リュイの言葉を聞いてシグナムは優しく微笑んで言うのだった。



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hunting 28

その日、リュイの捜索に協力してくれたノーヴェたちにお礼を言いにナカジマ家に来ていた。

 

シグナム「………で、なぜお前がリュイを抱いている!?」

 

リュイを抱いて頭を撫でる『ウェンディ・ナカジマ』を見てシグナムは言う。

 

リュイと共に来たはいいがチャイムを鳴らして速攻で扉が開いたかと思いきやリュイを抱きしめたのだ。

 

ウェンディ「いやー、写真を見てからずっと抱いてみたいと思ってたッスから。でもでも嫌がってはないッスよ!」

 

シグナム「胸に顔が埋もれて息が出来ていないだろ!!」

 

ピクリともしないリュイを見ながらシグナムは言う。

 

ウェンディ「あぁ!!し、しっかりするッスー!!」

 

慌ててリュイをウェンディは自身の胸から離した。

 

リュイ「ぷはっ…はぁ…はぁ…はぁ…」

 

かなり苦しかったのかリュイは息を荒らして、ウェンディから逃げるようにシグナムの方へ向かって行く。

 

ウェンディ「ごめんス…」

 

リュイ「うー…」

 

謝るウェンディだっが、リュイは怖がって隠れてしまった。

 

チンク「なにをしてるんだ。お前は」

 

ウェンディの後ろから眼帯をした少女『チンク・ナカジマ』が言う。

 

ディエチ「ごめんね、妹がいきなり」

 

さらに後ろから『ディエチ・ナカジマ』が来て謝る。

 

ギンガ「シグナムさん、いらっしゃい。その子がリュイくん?」

 

そしてナカジマ家の長女『ギンガ・ナカジマ』が来てシグナムに言うとリュイを見て言う。

 

シグナム「あぁ。ノーヴェは?」

 

ギンガ「ノーヴェなら今、ヴィヴィオたちを呼びに言ってるところよ。待ってる間家に上がってください」

 

シグナム「そうさせてもらおう」

 

ギンガに言われてシグナムはリュイを連れて、ナカジマ家に上がるのだった。

 

 

 

ギンガ「改めて私はギンガ・ナカジマ。この家の長女よ」

 

リュイ「ぎんが?」

 

ギンガ「そう、ギンガよ」

 

チンク「チンクだ。ナカジマ家の次女だ」

 

リュイ「ちんちん?」

 

『ぶーっ!!』

 

ギンガは普通に呼んだのに、何故かチンクを"ちんちん"と呼んで全員が吹き出した。

 

チンク「違う違う!チンクだ、チンク!!」

 

リュイ「ちんく…」

 

卑猥に聞こえる名前を言われたチンクは慌てて訂正させる。

 

ディエチ「私はディエチだよ」

 

リュイ「てぃが?」

 

ディエチ「ティガって…私は超古代の光の巨人じゃないから…でもいっか」

 

ウェンディ「ウェンディッス!」

 

リュイ「ういんでぃ?」

 

ウェンディ「伝説ポケモンじゃないッスよ!?」

 

自己紹介するチンク、ディエチ、ウェンディたちだったが、リュイに名前を間違われまくって慌ててしまうのを見てギンガとシグナムは笑いを堪えていた。

 

リュイ「やがみ…りゅい…です…」

 

ギンガたちが自己紹介し終えて、リュイ自身も挨拶する。

 

ウェンディ「話に聞いてたッスけどわざとっぽく感じるッス」

 

シグナム「何か言ったか?」

 

ウェンディ「な、なんでもないッス……」

 

シグナムから感じる殺気にウェンディは訂正する。

 

シグナム「リュイはこう見えて言いずらい発音はそれに近いで補ってるんだ。あまり変なことを言うなよ?」

 

ゲンヤ「おーい、今帰ったぞ~」

 

リュイ「!?」ビクッ

 

シグナムが話しているとナカジマ家の大黒柱『ゲンヤ・ナカジマ』が帰って来たのと同時にリュイはシグナムの背中に隠れてしまった。

 

ギンガ「お帰りお父さん」

 

ゲンヤ「あぁ。ん?シグナムじゃないかってその子は?」

 

隠れているリュイを見てゲンヤは聞いてくる。

 

リュイ「う~…」

 

凄い怖がっているようすでリュイはシグナムに隠れていた。

 

ゲンヤ「スゲー警戒されてるな」

 

あまり男性と会ったことのないリュイは怖がってしまっていた。

 

ギンガ「リュイくん、この人はこう見えて怖い人じゃないよ」

 

ゲンヤ「おい!?」

 

実の娘に"こう見えて"と言われてショックを受けるゲンヤ。

 

リュイ「こわく…ない?」

 

ウェンディ「パパりんは全然怖くないッス!頼りになる人ッス!」

 

リュイ「………」

 

ギンガとウェンディに言われてリュイはゲンヤを見る。

 

ゲンヤ「ゲンヤ・ナカジマだ。ギンガたちの父親だ」

 

自身を見てきたリュイにゲンヤは自己紹介したが、リュイはすぐに隠れてしまった。

 

リュイ「ん……」

 

だが、まだ怖いのかリュイはシグナムの背中に隠れてしまった。

 

ギンガ「あー…これは怯えちゃってるわね…」

 

シグナム「んー…リュイの周りには男があまりいないからなぁ…」

 

ゲンヤ「そ、そうか…」

 

怯えてしまったリュイを見て、ゲンヤはショックを受けていたのだった。



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hunting 29

『…………』

 

ナカジマ家にてリュイとノーヴェに連れられたヴィヴィオ、アインハルト、コロナ、リオの間に気まずい空気が流れていた。

 

ノーヴェ「かなり気まずい空気だな」

 

シグナム「あぁ。だが当人同士で話さねばなるまい」

 

気まずい空気を感じてノーヴェたちは言う。

 

このままじゃダメだと思い意を決してリュイは口を開いた。

 

リュイ「みんな…ご…ごめん!」

 

アマゾンだったことを隠していたことを言ってヴィヴィオたちに頭を下げて謝るリュイ。

 

ヴィヴィオ「り、リュイくんが謝ることじゃないよ!」

 

アインハルト「むしろ謝るべきなのは私たちです」

 

コロナ「リュイくんは私たちを守ろうとして危ない目にあってたのに…」

 

リオ「なのに私たち、リュイくんを酷い目で見て…傷付けちゃた…だから…」

 

「「「「ごめん!/なさい!」」」」

 

自分たちを守るために命をかけてくれたリュイを酷い目で見てしまったことを謝る4人。

 

リュイ「びびお…はる…ころ…りお…」

 

謝られてリュイは少し困惑していた。

 

こんな時、何と声をかければいいか分からずにいた。

 

ノーヴェ「よーし、仲直りしたんならもう良いじゃねーか。これ以上何か話すこともないだろ?」

 

困惑しているリュイにノーヴェが助け船を出して言う。

 

ノーヴェに言われてリュイたちは頷いた。

 

その後、ナカジマ家でリュイたちは夕御飯を食べて帰ろうとしていた。

 

ヴィヴィオ「あ、リュイくん!」

 

帰ろうとしたリュイにヴィヴィオが呼び止めた。

 

呼び止められたリュイはヴィヴィオたちの方を振り向いた。

 

ヴィヴィオ「あの…リュイくん…その良かったら私たちの合宿、一緒に行きませんか?」

 

リュイ「がっしゅく?」

 

リオ「うん。リュイくんの格闘技…私たちも参考にしたいし…」

 

コロナ「私たちとの模擬戦もまだだからね」

 

理由を言う面々。

 

リュイ「しぐまま…」

 

合宿の誘いを受けてリュイはシグナムを見た。

 

その目には行って良いかなという目であった。

 

シグナム「良いんじゃないか?リュイが行きたいなら、私は構わない」

 

リュイの意を汲んだのと何よりリュイ自身に良い経験になるかもしれないと判断してシグナムは言う。

 

リュイ「………うん…いく!」

 

ヴィヴィオ「本当!?やった!!」

 

シグナムから許可を貰ってリュイは嬉しそうに頷き、返事を聞いてヴィヴィオも頷いて言う。

 

ノーヴェ「ならお嬢たちに1人追加って連絡しとかないとな。詳しい日程は後でシグナムさんの端末に送りますよ」

 

シグナム「そうしてくれ」

 

リュイが来ると確認したノーヴェはそう言うのだった。




その頃、管理局の模擬戦場では…。

ヴィータ「お、おい。いくらなんでもこれは…」

バインドで縛られたヴィータが怯えた状態で、相手言う。

なのは「うふふふ…ダメだよヴィータちゃん。ちゃーんとお話ししないと」

黒い笑みを浮かべながら相手をしているなのははヴィータに言う。

ヴィータ「お話しってなんだよ!?」

なのは「幼い子に変なこと吹き込んだでしょ?」

リュイに"管理局の白い悪魔"を吹き込んだと言うとヴィータは慌て出した。

ヴィータ「あ、あれか!あれはその言葉のあやってか…その…」

なのは「問答無用!ディバインバスター!!」

言い訳するヴィータになのはの問答無用のディバインバスターが炸裂した。

ヴィータ「ああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

ディバインバスターを喰らい、ヴィータは光の中へ消えてしまったのだった。


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番外編2
お正月回!


はやて「新年、あけましておめでとうございます!」

リュイ「おめで…とう…」

はやて「今年はお正月回の短編話ですよ~!」

リュイ「たのしんで…くれたら…うれしい…」

はやて「それでは…」

リュイ「どうぞ…!」


はやて「新年、あけまして…」

 

「「「「「「「「「おめでとうございます!」」」」」」」」」

 

リュイ「おめで…とう…」

 

今回のリュイたちは新年と言うわけで八神家、高町家とオマケ(アインハルト、リオ、コロナ、ミウラの)4人で新年会が開かれていた。

 

「「「「誰がオマケですか!?」」」」

 

ヴィヴィオ「ど、どうしたのみんな…」

 

リオ「いや、なんとなく…」

 

ミウラ「僕たちのこと…」

 

コロナ「悪く言われた気がして…」

 

アインハルト「はい…」

 

リュイ「?」

 

ヴィヴィオ「それより、リュイくん。どうかな、私の着物姿」

 

リオ「あ、それなら私も!」

 

コロナ「私だって!」

 

アインハルト「私も!」

 

ミウラ「僕だって!」

 

くるりと回ってリュイにアピールするヴィヴィオたち(ミウラは少し恥ずかしい様子)。

 

リュイ「うん…びびおも…りおも…ころも…はーるも…みうらも…きれい…」

 

ヴィヴィオ「えへへへ、ありがとう!」

 

リュイに言われて嬉しいヴィヴィオたち。

 

はやて「しっかし、去年色々あったなぁ…」

 

ヴィータ「新しい家族が増えたからな」

 

フェイト「シグナムさんがママで、はやてがパパだもね」

 

はやて「あははは…なのはちゃんとフェイトちゃんに近いことがまさか起こるとは…まぁ、ウチはパパやけど…」

 

今だ『パパ』呼びに少しショックがあるはやて。

 

リイン「リインとアギトとヴィータちゃんはお姉ちゃんです~!」

 

なのは「そうだったね。まぁ、そのお姉ちゃんが変なことを吹き込まないように親御さんにちゃんと伝えておくから」

 

ヴィータの方を見て黒い笑みを浮かべる。

 

ヴィータ「うぐっ……」

 

シグナム「ま、まぁ、アレはヴィータの言葉のアヤだったのだから許してやってほしい」

 

シャマル「そうよ…みんなは良いじゃない…私なんて名前すら呼んでもらえないのよ……」

 

ショボーンっとしているシャマル。

 

ヴィータ「いや、お前の場合はリュイの第一印象が最悪だったんだろ?」

 

リイン「笑顔で注射器を持って…」

 

アギト「病院内を追い回したんだからな」

 

リュイがシャマル=怖い人のイメージ元を淡々と語る。

 

フェイト「流石に私もトラウマになるかな」

 

なのは「うん」

 

シャマル「うぅ…シャマル先生、負けないんだから…リュイくー…」

 

リュイ「……」←ササッとヴィヴィオとアインハルトの後ろに隠れる

 

はやて「諦めりぃや、シャマル」

 

シャマルを肩をポンポンと叩いて言うはやて。

 

シャマル「はうぅ~…」

 

ヘナヘナと膝を着くシャマルだった。

 

そんなシャマルの姿を全員が苦笑いしているのだった。




シャマル「って私、弄られすぎじゃない!?新年なのに!!」

ヴィータ「いや、基本的に弄られるのは代々シャマルだけだろ」

シャマル「うぅ…今年はリュイくんと…」

リュイ「しぐまま…あくまが…きた…」

シグナム「よしよし、少し待ってろ…シャマルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」

シャマル「いーやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

はやて「新年から騒がしいな~…」


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カルジーナ編
hunting 30


ヴィヴィオ「あ、おーい、リュイくーん!」

 

次元航行ターミナルにてヴィヴィオが合流してきたリュイとシグナムに手を振っていた。

 

シグナム「すまない。少し遅くなってしまったか?」

 

ノーヴェ「いえ、時間ピッタリですよ」

 

?「あ、この子がリュイくん?」

 

やや巻き毛な青いショートヘアと翠色の瞳の女性『スバル・ナカジマ』がリュイを見て言う。

 

リュイ「……」

 

知らない人(スバル)に突然声をかけられてリュイは驚いてヴィヴィオの後ろに隠れた。

 

スバル「あれ?意外とシャイ?」

 

ティアナ「知らない人に声かけられたからビックリしただけでしょ」

 

オレンジ色のロングヘアーをした女性『ティアナ・ランスター』が言う。

 

スバル「あぁ、そうか。初めまして、私はスバル、スバル・ナカジマ。ノーヴェのお姉さんだよ」

 

ティアナ「私はティアナ、ティアナ・ランスターよ」

 

リュイ「……」

 

ヴィヴィオ「大丈夫だよ。2人ともいい人だよ」

 

リュイ「やがみ…りゅい…です…」

 

ヴィヴィオに言われてリュイはヴィヴィオの後ろから出て来て言う。

 

ノーヴェ「それじゃあカルナージに…」

 

『しっぱーつ!!』

 

シグナム「リュイ、きよつけるんだぞ」

 

リュイ「うん…いって…きます…」

 

シグナムに言われてリュイは言う。

 

 

 

無人世界 カルナージは臨行次元船で約4時間、標準時差は7時間。

 

1年を通して温暖で大自然の恵み豊かな世界である。

 

メガーヌ・ルーテシア「「みんないらっしゃ~い♪」」

 

カルナージでの目的の場所に着くとカルナージに住む『メガーヌ・アルピーノ』とその娘『ルーテシア・アルピーノ』が出迎えた。

 

メガーヌ「みんなが来てくれて嬉しいわ。食事もいっぱい用意したからゆっくりしてってね」

 

スバル「ありがとうございます!」

 

コロナ「ルーちゃん!」

 

ヴィヴィオ「ルールー、久しぶり!」

 

ルーテシア「うん、ヴィヴィオ、コロナ。リオは直接会うのは初めてだね」

 

リオ「いままでモニターだったもんね」

 

ルーテシア「うん、モニターで見るより可愛い」

 

リオの頭を撫でながらルーテシアは言う。

 

リオ「ほんとー?」

 

ルーテシアに撫でられて、リオは嬉しそうにしていた。。

 

ヴィヴィオ「ルールー、こっちにいる2人がメールで話した」

 

アインハルト「アインハルト・ストラトスです」

 

リュイ「やがみ…りゅい…です」

 

ルーテシアに挨拶するアインハルトとリュイ。

 

ルーテシア「ルーテシア・アルピーノです。ここの住人で14歳よ」

 

ルーテシアも2人に挨拶する。

 

コロナ「ルーちゃんは歴史にすっごく詳しいんだ」

 

ヴィヴィオ「そうそう、歴史の本とか沢山あるんだよね」

 

ルーテシア「まあね」

 

スバル「そういえばエリオとキャオは?」

 

メガーヌ「そろそろ帰って来ると思うけど…あ、来たわ」

 

スバルが聞くとメガーヌがこちらに向かってくる2人の人物を指さした。

 

エリオ・キャロ「「おつかれさまでーすっ!!」」

 

薪を持って来ているのは『エリオ・モンディアル』と『キャロ・ル・ルシェ』の2人だった。

 

フェイト「紹介するね、2人とも」

 

キャロ「キャロ・ル・ルシェです」

 

エリオ「エリオ・モンディアルです」

 

アインハルトとリュイに自己紹介する2人。

 

ルーテシア「因みに1人ちびっ子がいるけど3人で同い年よ」

 

キャロ「何ですと!?1.5cmも伸びたのに!!」

 

ルーテシアの意地悪の言葉にキャロは怒る。

 

これにアインハルトは驚いていたがリュイはリインやアギトの事例があるのであまり驚かなかった。

 

アインハルト・リュイ「「!?」」

 

気配を感じて振り向くと一体の獣人がいた。

 

身構える2人。

 

ヴィヴィオ「あ、アインハルトさん、リュイくん違いますよ!」

 

ルーテシア「この子は私たちの大事な家族の召喚獣 ガリューよ」

 

アインハルト「し、失礼しました!」

 

リュイ「ごめんなさい…」

 

勘違いしていたことを謝る2人。

 

メガーヌ「さて、お昼前に大人のみんなはトレーニングでしょ、子供たちはどこに遊びに行く?」

 

ノーヴェ「やっぱりまずは川遊びかなと。お嬢も来るだろ?」

 

ルーテシア「うん!」

 

ノーヴェ「アインハルトとリュイもこっち来いな」

 

アインハルト「はい」

 

リュイ「うん…」

 

なのは「じゃ着替えてアスレチック前に集合しよう!」

 

チビッ子ズ『はいっ!』

 

ノーヴェ「こっちも水着に着替えてロッジ裏に集合!」

 

大人組『はーいっ!』

 

それぞれのいく場所を決めて言う。

 

しかしヴィヴィオたちの方はリュイに関して、あることが分かってしまうのだった。



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hunting 31

リオ「あたしいっちばーん!!」

 

ヴィヴィオ「あ、リオずるーいっ!」

 

川辺に来たヴィヴィオたちは川までかけっこしていたらしく言う。

 

ヴィヴィオ「アインハルトさんとリュイくんも早く来てくださーいっ!」

 

振り向いて2人を呼ぶヴィヴィオ。

 

ノーヴェ「ホレ、呼んでるぞ」

 

呼んでいるヴィヴィオにノーヴェはアインハルトとリュイに言う。

 

アインハルト「ノーヴェさんできれば私は練習を……」

 

ノーヴェ「まぁ、準備運動だと思って遊んでやれよ。それにあのチビたちの水遊びはハードだぜ」

 

ニッと笑いながらノーヴェは言うとアインハルトは半信半疑のまま川に入った。

 

リオ「あ、アインハルトさんどーぞーっ!」

 

ルーテシア「気持ちいいよ~♪」

 

入ってきたアインハルトにリオとルーテシアは歓迎する。

 

しかしリュイとクリスだけは入らなかった。

 

ノーヴェ「ん?いいぞ、お前も行ってきて」

 

そうノーヴェがクリスに言うと、クリスはジェスチャーで伝えてきた。

 

ノーヴェ「なに?『外装(オーバー・コート)がぬいぐるみなので濡れると泳げなくなります?』……大変だな、お前も。で、リュイは何で行かねーんだ?」

 

外装がぬいぐるみであるクリスは泳げないと分かり、今度はリュイに聞いた。

 

リュイ「およいだ…こと…ない…だから…およぎかた…わかんない……」

 

ノーヴェ「あぁ…なるほどな。ならアタシが教えてやるよ」

 

リュイ「うん…」

 

泳ぎ方が分からないリュイに泳ぎ方を教えると言うノーヴェ、しかしその30分後…。

 

リュイ「けほっ…けほっ…」

 

四つん這いになって、リュイは噎せていた。

 

ヴィヴィオ「だ、大丈夫?」

 

噎せてるリュイを心配するヴィヴィオ。

 

リュイ「うん…だい…じょう…ぶ…」

 

ノーヴェ「ま、まさかあそこまで泳げないとは……」

 

濡れた服を絞りながらノーヴェは言う。

 

理由はノーヴェはリュイに泳ぎを教えていたがなんとリュイは全くと言っていいほど泳げず、川に流されてしまったのだ。

 

しかもリュイが流れたのは川の中でも流れが早くノーヴェが助けに入ってようやく追い付いたくらいだ。

 

アインハルト「ともかくリュイくんが無事で良かったです」

 

リオ「一時はどうなるかと思ったよ~!」

 

コロナ「うん!」

 

アインハルトたちもリュイを心配して言う。

 

ヴィヴィオ「リュイくんに何かあったら大変だよ~!」

 

そう言うヴィヴィオだが…。

 

ノーヴェ(ってか…もしリュイに何かあったらアタシが八神家の皆さんに袋叩きに合うからな……)

 

リュイがあのまま流されて、行方不明になっていたらと思うと八神家…主にシグナムに何をされるかと想像すると恐怖以外に何物でもないと思うノーヴェだった。




シグナム「ん!?」

はやて「どないしんや?シグナム」

シグナム「いえ、今リュイが溺れたような感じが…」

シャマル「随分と具体的ね…」

リイン「ヴィータちゃんがなのはさんに処け…お話しされて入院中ですからね」

アギト「心配にもなるよな…」

ザフィーラ「だな」


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hunting 32

なのは「行くよ、ティアナ!」

 

ティアナ「はい!スバルも準備OK?」

 

スバル「準備万端!」

 

フェイト「大丈夫よ」

 

互いに準備完了を確認しあうなのはたち。

 

なのは「それじゃあ、対アマゾン撃退作戦を開始…」

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

フェイト・ティアナ「「!?」」

 

なのは「ほえ!?」

 

ゴングを合図に構えた瞬間、なのはの後ろからいきなりガンマが現れてアームカッターを振り上げていた。

 

アームカッターで来ると分かっているなのははレイジングハートで防御に回ろうとするがガンマはそれを百も承知であった。

 

バイオレント・ブレイク!

 

なのは「なっ!?」

 

アームカッターで攻めると見せかけてガンマは、もう片方の手でバトラーグリップを引き抜いてアマゾンスピアを出した。

 

ガンマ「ヌアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

引き抜いたアマゾンスピアを振るいガンマはなのはを吹き飛ばした。

 

ガンマ「ふうぅぅぅ……」

 

なのはを吹き飛ばしたガンマは近くの屋上に着地して次の獲物に狙いを定めた。

 

フェイト「ティアナ、スバル!!」

 

ティアナとスバルが次の狙いだと思ったフェイトが叫ぶがそれはガンマの方が一枚上手であった。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ティアナとスバルを攻めると見せかけてフェイトに狙いを定めていた。

 

フェイト「えぇ!?」

 

自身を狙っていることだと分かって驚いたフェイトは反応出来なかった。

 

ティアナ・スバル「「フェイトさん!」」

 

ティアナとスバルがフォローしようと近付くが…。

 

ガンマ「ホッ!!」

 

フェイト「きゃっ!?」

 

ティアナとスバルがフォローに入ろうとした瞬間、なんとガンマは直前でフェイトを踏み台にして落として狙いを変えた。

 

しかも、足にかなり力を入れていたのかフェイトは勢いよく地面に叩き付けられた。

 

スバル「ティア!」

 

ティアナ「オーライ!」

 

狙いを変えてくるを分かっていたスバルはティアナに言う。

 

ティアナ「シュート!!」

 

ガンマに向かって拡散攻撃(クラスター)で攻撃しつつ爆煙でガンマの視界を奪う。

 

スバル「おおおおおおおおおおおおっ!!」

 

視界を遮られたガンマの死角からスバルが蹴りを入れに来る。

 

ガンマ「ヌアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

迫り来るスバルの蹴りをガンマは受け止めて掴んだ。

 

スバル「うそっ!?」

 

受け止められた上に捕まれたスバルは驚く。

 

ティアナ「スバル!?」

 

爆煙が晴れてスバルの状況を見たティアナも驚く。

 

ガンマ「ウウォォォォォオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

スバル「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

掴んだスバルをガンマはハンマー投げのハンマーのように振り回した。

 

ガンマ「あ…」

 

スバル「あーーーーーーーーーれーーーーーーーーーーー…………」

 

何周かしてスバルを掴んでいた手を滑らせてしまって離してスバルは遥か彼方へ飛んでいった。

 

ティアナ「す、スバルゥーーーーーーーーー!?」

 

飛んでいった友人の名をティアナは叫ぶ。

 

ガンマ「…あ、ウアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ティアナ「しまっ…!?」

 

スバルに呆気にとられている間にガンマがティアナを蹴り飛ばした。

 

ガンマ(やりすぎた………かな?……)

 

訓練で少しやり過ぎたかと思うガンマであった。



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hunting 33

ヴィヴィオ「リュイくん、凄かったよ〜!ってアレ?」

 

訓練後、リュイの元に来たヴィヴィオ達だがリュイはメガーヌの膝の上で眠っていた。

 

メガーヌ「訓練が終わって変身を解いたら直ぐに寝ちゃったみたい」

 

ノーヴェ「話には聞いてたけど…本当に寝ちゃうんですね」

 

ルーテシア「……で、なんでママが膝枕してるの?」

 

メガーヌ「最初は木の根を枕にしてたけどそれだと頭が痛くなりそうだからよ」

 

ヴィヴィオ「いいなぁ…次は私がリュイくんの膝枕するー!」

 

メガーヌのヴィヴィオが言うのだった。

 

 

その頃、宿泊施設の部屋では…。

 

なのは「あたたた…」

 

スバル「ひ、酷い目にあった…」

 

フェイト「て…手も足も出なかった…」

 

ティアナ「アマゾンとは何回か戦闘したけど…あの子(リュイ)は別格だわ…」

 

ボロボロのなのはたちが、ベッドの上でぶっ倒れていた。

 

なのは「なら明日は試合後に特別メニューで特訓だね」

 

『えぇ!?』

 

管理局の白いあk…なのは「ディバインバスター!!」ぎにゃあぁぁ!?…なのは「時空管理局の教導官、高町 なのはの素晴らしい意見にフェイトちゃん、ティアナ、スバルはやる気満々でしたっと」

 

ティアナ「なに勝手に作者を葬って本文を弄ってるんですか!!」

 

スバル「喜んでませんよ!!」

 

フェイト「なのは……やり過ぎ…」

 

作者を抹殺して本文を改ざんしたなのはに文句を言う。

 

なのは「大丈夫だよ、今ご本人は寝てるからこれ書いてるの作者のおとうt…」

 

『それ以上は言っちゃ駄目!!』

 

メタ話しをしかけたなのはを一斉に注意する。

 

 

 

その夜、目を覚ましたリュイはエリオと2人で露天風呂に入っていた。

 

ルーテシア曰く、掘ってたら出てきた天然温泉でノリノリで露天風呂に改造したらしい。

 

エリオ「ふぅ~…いいお湯だ~」

 

リュイ「………」

 

湯船で寛いでいるエリオの横でリュイはあるものをじーっと見ていた。

 

露天風呂の周りに設置された岩だ。

 

エリオ「どうしたの、リュイくん?」

 

リュイ「あのいし…へん…」

 

見ていた岩を指差して言う。

 

エリオ「そういえば、(女湯)の方が騒がしかったね…何かいるとか聞こえたけど…」

 

リュイ「これなら…いた…」

 

そう言ってリュイは隣の岩陰から白い犬、猿、雉を引っ張り出した。

 

シロ「え!?ここどこ!?」

 

柿助「地獄温泉に入ってたハズじゃ!?」

 

ルリオ「完全に現世だろ!?」

 

リュイに引っ張り出させれて驚く白い犬(シロ)(柿助)(ルリオ)

 

エリオ「あー…リュイくん、その動物たちは別世界(地獄)の住人だから帰して上げて」

 

リュイ「うん……」

 

エリオに言われてリュイは白い犬(シロ)たちを話した。

 

シロ「な、何か分かんないけど…バイバイ」

 

柿助「じゃあ、帰ります」

 

ルリオ「え、これで終わり?」

 

シロ、柿助、ルリオは自分たちのいる世界(地獄)に帰って行った。

 

エリオ(っていうか何で現世(こっち)地獄(あっち)が温泉で繋がってるの!?)

 

地獄にいるハズの白い犬(シロ)たちが来たことに驚いているエリオだった。

 

リュイ「えりにいに…」

 

エリオ「なに?」

 

エリオ(エリにいにって…)

 

"にいに"と呼ばれて、エリオは少し恥ずかしくなった。

 

リュイ「いわから…なにか…でた…」

 

エリオ「えぇ!?」

 

リュイに言われてエリオは辺りを警戒する。

 

?(アレが噂のアマゾンっ子かぁ…最初は潜伏してた場所がバレて焦ったけど、このあたしの敵じゃな…)

 

水中で隠れている侵入者だが…。

 

リュイ「いた…」

 

?「へっ?」

 

リュイに侵入者は足を掴まれて持ち上げられる。

 

リュイ「ポイ…」

 

セイン「えぇーーーーーーーーーーー!!?」

 

持ち上げられた挙げ句に投げ飛ばされる水色の髪に愛嬌のある幼気な風貌の少女『セイン』は驚き声を上げながら(女湯)に突入した。

 

スバル「な、なになに!?」

 

ティアナ「パイプでも破裂した!?」

 

突入したセインが起こした水柱に驚く。

 

セイン「うぅ…酷い目にあった……」

 

ぷか~んと浮かび上がってきたセインはそう呟いたのだった。



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hunting 34

リュイ「………」

 

その日のリュイはメガーヌ、ガリュー、フリード、セインと共に合同陸戦試合を見ていた。

 

合同陸戦試合のフィールドはルーテシアが造った町のような建造フィールドだ。

 

本当はリュイ自身も参加したかったが人数的事情で我慢していた。

 

因みに試合は最初は互角だったがなのは、リオ、ヴィヴィオ、ルーテシア、エリオ、スバルのTeam Blueがフェイト、コロナ、アインハルト、キャロ、ノーヴェ、ティアナのTeam Redの内ヴィヴィオとスバルの仲良し格闘型(ナックル)コンビがノーヴェを、なのはとエリオの元6課の教官&教え子コンビがフェイトを、ルーテシアとリオがキャロとなのはと戦って戦闘不能だったが回復中のアインハルトを相手する《2on1》になっていたがコロナが創成魔法で出来た岩石の巨人『ゴライアス』のゴライアスパンチを喰らってリオとルーテシアは撃墜したが2人に勝利して油断していてなのはにコロナは捕獲、キャロは撃墜されていた。

 

セイン「なぁなぁ、聞きたかったんだけど…あらら?」

 

試合を見ているとセインに声をかけられたリュイはメガーヌの方に言って隠れた。

 

メガーヌ「あらあら、昨日のお風呂でのことでセインのことを警戒してるみたいね~」

 

セイン「えぇ!?」

 

昨夜の侵入のことでリュイに警戒されてショックを受けるセイン。

 

メガーヌ「謝ったら許してくれるわよ、ね?」

 

リュイ「うん……」

 

メガーヌに言われてリュイは頷く。

 

セイン「その…ごめんな。少し調子に乗りすぎたよ」

 

後ろ髪を掻きながらセインはリュイに謝る。

 

メガーヌ「セインもこう言ってるし、許してくれるよね?」

 

リュイ「うん……」

 

メガーヌ「じゃあ、改めて。セインはリュイくんに何を聞きたかったのかな?」

 

セイン「あぁ…それは昨日のお風呂であたしの固有能力が発動しているのに何であたしが隠れてる場所が分かったのかな~って」

 

セインの固有能力は岩や金属などの無機物をすり抜けられる『ディープダイバー』で水中も得意としているのにも関わらずリュイはセインの場所を的確に捉え、投げ飛ばしたから疑問に思っていたのだ。

 

メガーヌ「そういえばそうね。なんでかしら?」

 

リュイ「よく…わかんない…」

 

セイン「よく分かんないって…もしかして勘か何かであたしの居場所を当てたの!?」

 

リュイ「わかんない…」

 

メガーヌ「それはそれで凄いわね。あら?」

 

リュイがディープダイバーを発動していたセインの居場所をどうやって当てていたのか分かんないままになっているとなのはとティアナが魔力を収束させ始めた。

 

なのは・ティアナ「「スターライトブレイカー!!」」

 

なのはのモード《マルチレイド》とティアナのシフト《ファントムストライク》のスターライトブレイカーをぶっぱなした。

 

収束砲(ブレイカー)同士がぶつかり合って辺りの建物ごと周囲を破壊し尽くした。

 

セイン「これ…なんて最終戦争?」

 

メガーヌ「まぁ、収束砲(ブレイカー)同士がぶつかればね~」

 

リュイ「………」

 

収束砲(ブレイカー)同士がぶつかり合って起きた爆発の威力を見て引きぎみのセインとあらあら感てわ言うメガーヌ、そしてリュイは収束砲(ブレイカー)同士がぶつかり合うのを見て…。

 

リュイ(にゃのはと…てーなとは…おもいっきり…やろ…)

 

っと思っていた。

 

メガーヌ「さぁて、皆は…」

 

試合状況を確認するメガーヌ。

 

結果は…。

 

フェイト:SLB(スターライトブレイカー)MR(マルチレイド)着弾直前にエリオの一撃で撃墜

 

エリオ:SLB(スターライトブレイカー)PS(ファントムストライク)直撃・撃墜

 

ブランセル『Is it safe?』

 

コロナ「な、なんとか~…」

 

自身のデバイス『ブランセル』に心配されて言うコロナだが目を回していた。

 

コロナ:SLB MRをゴライアスで防御するも防ぎきれず行動不能

 

なのは「あーん、やーらーれーたー!」

 

なのは:SLB PSを相殺しきれず撃墜

 

ティアナ「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

ティアナ:SLB MRをなんとか相殺

 

ティアナ「な、なんとか…残った…」

 

なのはのSLB MRをなんとか相殺したティアナは直ぐにフィールドの確認をする。

 

ティアナ「残ってるのは…あたしと…あと2人?こっちに近づいてくる!?この速度…スバル!?」

 

ヴィヴィオ「じゃなくてヴィヴィオでーす!!」

 

ヴィヴィオ:LIFE1800/3000

 

ティアナ「うそぉ!?何でほぼ無傷!?って来たぁ!!」

 

ヴィヴィオが何故あの破壊力からほぼ無傷でいられたのには理由があった。

 

スバル「えへへへ、見たか!救急(レスキュー)魂!」

 

スバル:SLB PSからヴィヴィオを庇い行動不能

 

ノーヴェ「あー、くそ!やられた!!」

 

ノーヴェ:SLB MR着弾後、ヴィヴィオの攻撃で撃墜。

 

スバルに庇ってもらいヴィヴィオはほぼ無傷でいられたのだ。

 

ティアナ「この!」

 

魔力弾を発射するティアナだがヴィヴィオは全て回避して接近する。

 

ヴィヴィオ「ティアナさん、行きます!!」

 

ティアナ「来なくていいけど!!」

 

ヴィヴィオがティアナを攻撃しようとした時だ。

 

アインハルト「覇王…空破断(仮)!!」

 

ヴィヴィオに向かってアインハルトが現れて『覇王空破断(仮)』でヴィヴィオにダメージを与える。

 

アインハルト「ティアナさんはやらせませんよ。ヴィヴィオさん」

 

ティアナ「ごめん、アインハルト。さっきのでやられちゃった」

 

アインハルト「えぇ!?」

 

守ったつもりだったがアインハルトだがヴィヴィオは覇王空破断を喰らいながらも単発のソニックシューターを放ってティアナを撃墜していたのだ。

 

アインハルト「どうやら…私たちが最後のようです」

 

ヴィヴィオ「はい!行きますよ、アインハルトさん!」

 

最後はライバル同士の対決になっていた。

 

セイン「おぉ、ヴィヴィオと覇王っ子対決だ!」

 

ルーテシア「ライバル同士の戦いね~」

 

ヴィヴィオとアインハルトの戦いに盛り上がる2人。

 

リュイ「……」

 

リュイも釘付けになっているほどだった。




イリヤ「突然のミニコーナー!『リュイくんのキモチ』第3弾!作者に代わり、プリズマのイリヤが送ります!えー、今回は人数が多いのでノーヴェ・ナカジマさんとスバル・ナカジマさんに来てもらいました!」

ノーヴェ「よ…よろしく…」

スバル「よろしく~♪」

イリヤ「それじゃ早速、どうぞ!」

ぎんが:にょーえのねえね。やさしい

すばる:てーなとなかよし

にょーえ:びびおのせんせい。すばるとこえがにてる

でぃが:しぐままみたい

ういんでぃ:……げんきなひと

ちんく:ちっちゃい

ノーヴェ「にょーえって……」

スバル「あははは…ティアがてーなになってる…ってあれ?これってリュイくんから見たナカジマ家の姉妹順?」

イリヤ「らしいですよ…?」

ノーヴェ「いや…確かにチンク姉は小さいけど…」

イリヤ「あー…言いたいことは分かりますけど…うん、仕方ないじゃん」

スバル「だね~」

イリヤ「では、次回をお楽しみに!」


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hunting 35

リュイ「~♪~♪」

 

アインハルト「………」

 

その日、リュイはルンルンで、アインハルトはクリスを持って少し緊張していた。

 

理由は通信端末を弄っているルーテシアだった。

 

アインハルト(管理局の魔導騎士 八神 はやて司令…いったいどんな方なんだろう…リュイくんの保護者で、色々な事件を解決した歴戦の勇士という話だからやっぱり怖い方かな?)

 

初めて会うはやてのことを色々と考えているアインハルト。

 

アギト『あー、ルールー!オーッス!』

 

ルーテシア「おいーっす、アギト」

 

リュイ「あぎねえね~♪」

 

アギト『リュイ~♪元気してたか?』

 

リュイ「うん!」

 

アギト『それは良かった~。シグナムがかなり心配してたからな』

 

シグナム『なんだ、リュイからなのか!?』

 

アギト『あ、ちょっ、シグナム!?』

 

シグナム『リュイィィィィィィィィィィィィィィ!!無事なのか!?怪我はないか!?』

 

アギトの言葉を聞いて遠くにいたのかシグナムが猛ダッシュで現れて聞いてきた。

 

リュイ「しぐまま~♪うん…だいじょうぶ…でも…ちょっと…おぼれた…」

 

シグナム『そうか、良かったぁ…って、なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?』

 

リュイが無事かと思ったら溺れかけたと聞いてシグナムは大声を上げる。

 

シグナム『い、いいい、今なんと言った!?溺れた!?溺れたとはどういうことだ!?』

 

リュイ「にょーえから…およぎ…おしえて…もらった…だけ…だよ?」

 

シグナム『ノーヴェか…帰ってきたら斬る!!』

 

リュイ「しぐまま?」

 

いつなく豹変しているシグナムに首を傾げるリュイ。

 

はやて『シグナム~、そろそろええか?』

 

奥からはやての声がしてシグナムに言う。

 

シグナム『あ、はい。今からレヴァンテインの切れ味を上げてきますので』

 

はやてに言われてシグナムは恐ろしいことを言ってどこかへ行ってしまった。

 

ルーテシア(これ…ノーヴェは帰ったら土に還っちゃうわね…)

 

ノーヴェのことを(色々な意味で)心配するルーテシアだった。

 

はやて『はぁーい、ルールー、お久しぶりやー♪』

 

タヌキの面をして現れるはやて。

 

ルーテシア「八神司令、お久しぶりです」

 

リュイ「はやぱぱ~♪」

 

はやて『リュイ~♪うん、元気そうやね』

 

ルーテシアとリュイの姿を見て言うはやて。

 

ルーテシア「あ、それで今日はですね。この子の…」

 

はやて『あ、聞いてるよー。覇王イングヴァルト陛下の正統血統 ハイディ・E・S・イングヴァルト、格闘戦技『覇王流』を継承してて、ちょっとヤンチャもしてたけど今はノーヴェ師匠やヴィヴィオたちと一緒に魔法戦競技に一生懸命で、ウチのリュイと仲ようしてくれとる真面目で一生懸命なええ子やって。そんな子にならいくらでも協力するよー♪』

 

嬉しそうに言うはやて。

 

はやて『えっと公式魔法戦用のデバイスやったっけ?どんなのがええかもう決まっとる?』

 

アインハルト「あ、は、はい!」

 

最初のアギトから次のシグナムからのはやてに呆気にとられていたアインハルトは少し裏声になりながら待て言う。

 

リイン『装着型とか、武器型とか…』

 

アギト『なんでも相談に乗るよー!』

 

はやての左右からリインとアギトが現れて言う。

 

アインハルト「えと……その、格闘技だけで戦いたいので武器ではない方が…」

 

はやて『そーかー…格闘家さんやもんねー。ほんなら体の動きを阻害するような装着型もよくないかなー。スバルのナックルやキャリバーもあれ、なんだかんだてまめっちゃ重いしなー』

 

リイン『そーなんですよねぇー』

 

アインハルト「ですから…その…この子のような補助・制御型がいいなと」

 

クリスを見せながら言うアインハルト。

 

はやて『なるほどなー。ほんならクリスの性能を参考(ベース)にして真正古代(エンシェント)ベルカのシステムで組むのがええかな』

 

クリスを見てはやては言う。

 

アギト『補助・制御型か、それなら機体自体はすぐにできそうだな』

 

リイン『ですね。あとは性能設定と調整です』

 

はやて『そやねー。ほんならアインハルト』

 

アインハルト「は、はい!」

 

はやて『覇王の愛機、まずは軽く取りかかってみるな。八神 はやてとリイン&アギトがノリノリで組んであげよ』

 

リイン・アギト『『おまかせだ!/です!』』

 

アインハルト「あ、ありがとうございます!」

 

デバイスを作ってもらえると聞いてお礼を言うアインハルト。

 

アインハルト「あの…ご迷惑でなければ1つ聞きたいのですが…」

 

はやて『ん?なんや?』

 

アインハルト「あの…八神司令は女装がご趣味の男性の方なんでしょうか?」

 

アインハルトの問いにはやてはずっこけた。

 

はやて『ちゃうちゃう!女や女!!』

 

アインハルト「え?でもリュイくんがパパと…」

 

はやて『リュイが呼びやすいようにしたらそうなったんや~!勘違いせんどいて~…』

 

男性と間違われて泣いてしまうはやてだった。



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番外編3
クリスマスの時のオリ主人公の話し


リュイ「ばんがい…へん…です…」

はやて「ほな、どうぞ!」


「「「「「メリークリスマス~!/がうがう~!」」」」」

 

こたつを囲んで『菱川 零』、『藜 烈火』、『八神 リュイ』、『ガウ』の4人はジュースの入ったコップでクリスマス挨拶&乾杯をしていた。

 

零「クリスマスつーわけで特別に主役5人が揃ったわけだがバランス的に悪くねーか?ウルトラマン2人いるしよ」

 

零→ウルトラマンザージス

 

烈火→ウルトラマンオメガ

 

ガウ→怪獣王 ゴジラ

 

リュイ→仮面ライダーアマゾン ガンマ

 

烈火「仕方ないですよ。ウルトラマンの方がやり易いって話ですから」

 

リュイ「うん…」

 

ガウ「がう」

 

零「いや、それはウルトラマンゼロだろ?あの奴窃盗しかけた前科持ちの」

 

リュイ「ねぇ…そんな…わるい…ひとの…はなし…より…たのしい…はなし…しよ」

 

烈火「そうですよ。折角のクリスマスなんですから楽しい話をしましょう」

 

零「楽しい話つったってよ…良く良く考えたら俺らって結構闇抱えてるくね?集まったは良いが何を話すんだよ?」

 

烈火「作者のプライベートをバラすとかはどうです?」

 

零「却下!」

 

烈火「えー」

 

零「「えー」じゃねーよ!んなのバラしたら作者、ここでやっていけねーだろ!!」

 

烈火「社会的に抹殺しても良いんじゃ…」

 

零「俺らの物語が終わるわ!!」

 

烈火「仕方ありませんね」

 

零「仕方なくねーだろ!俺は初めてのクリスマスなんだからんなのじゃないのにしよーぜ」

 

烈火「じゃあどうします?」

 

零「どうするって、んなの言われてもなぁ…」

 

烈火「じゃあ、プラ…」

 

零「却下だっつーの!!」

 

ガウ「がうがう、がうがうー、がう~」

 

「「え?」」

 

リュイ「えっと…はなすなら…それぞれの…すきなひとの…はなしとかしよう…だって」

 

零「いや、なんでリュイがガウの言葉を理解してるんだよ?」

 

リュイ「なんとなく…」

 

烈火「逆に凄いですね。じゃあ、その話をしましょうか」

 

零「んー…そう言われるとなぁ…好きっつーか大切な人ならいるが…」

 

ガウ「がう?」

 

リュイ「だれ?」

 

零「麗那さんかな」

 

烈火「意外ですね。てっきりお姉さんかと」

 

零「いやりつ姉もあるが10年以上会ってなかったから実際は顔ほとんど忘れていたからなぁ」

 

リュイ「それで…れいな…さんの…どこが…すきなの?」

 

ガウ「がうがう」

 

零「そうだな。強いて言うなら母親ってやつか」

 

烈火「なんでまた?」

 

零「ほら俺ってウルトラマンになる前は施設でモルモットみてーな扱いだったからよ…そんな中で麗那さんだけは母親みたいに接してくれたからな」

 

烈火「そうですか。それでその人は元気にしてるんですか?」

 

零「そうかもな…」

 

烈火(あ…やぶ蛇だったかな)

 

烈火「じゃあ、次は僕ですね。そうですねぇ…僕は華撃団の皆さんかな」

 

零「あぁ、あの防衛チームみたいなやつか」

 

烈火「はい。華撃団の皆さんとはまだ会って日が浅いですが皆さん懸命で…見てると元気が出るんですよ

 

零「噂に聞く真宮寺 さくらのおっちょこちょいの舞台はどうなんだ?」

 

烈火「セット丸ごと破壊されちゃいますからね。その都度新調してますよ」

 

リュイ「おっちょこちょい…」

 

ガウ「がうがう…」

 

似たような人を思い浮かべるリュイとガウ。

 

烈火「さて、次はリュイくんだよ」

 

リュイ「ぼくは…しぐままがすき」

 

零「チビッ子らしい回答だな」

 

リュイ「しぐまま…やさしい…こわいひとから…たすけて…くれた…」

 

烈火「なるほどね」

 

ガウ「がうー」

 

零「なーに感心してんだよ。次はお前だぜ、ゴジラ」

 

ガウ「がうー、がうがうーがうーがう」

 

リュイ「えっと…がうくんが…すきなのは…かにゃでさんだって」

 

零「かにゃで?猫かなんかか?」

 

ガウ「がうー!がうがうー!!」

 

烈火「かにゃでさんじゃなくて奏さんでしょ?」

 

リュイ「さいしょから…いってた…」

 

零「ほぉ、奏ねぇ」

 

ガウ「がうがうがう、がうー。がうがう、がうーがうー」

 

リュイ「かにゃでは…つよくて…やさしくて…うたがうまくて…たよりに…なるだって」

 

零「へー、そいつは会ってみたかったな」

 

ガウ「がうーがーうー」

 

リュイ「いつか…あえるよ…だって」

 

零「そうだな。ま、俺らは今まで通り自分たちの世界を守ってこうぜ。世界をまたにかけることがあったら協力しような」

 

烈火「はい」

 

リュイ「うん…」

 

ガウ「がうー」




イリヤ「番外編だけどミニコーナー!リュイくんのキモチ~!引き続きプリズマのイリヤが送りまーす!それでは今回のゲストはこの人!」

なのは「よろしく~!」

イリヤ「リリカルなのはの主人公、高町 なのはさんでーす!って成長しすぎじゃない!?」

なのは「にゃはははは…イリヤちゃんの方と私たちとの世界の時間の流れが違うから…」

イリヤ「一児のお母さんになるほどの流れの差が!?では気を取り直してどうぞ!」

にゃにょは:びびおのまま。やさしい

なのは「にゃにょはって…」

イリヤ「な行が苦手なのかな?ではまた次回~!」

イリヤ(あれ?まだ続きがある)

にゃにょは:やさしいけど…ときどきこわい。びーねえねえがあくまっていってた

イリヤ「………」

なのは「へぇ~…ヴィータちゃん、まだそんなこと…にゃはははは!」

イリヤ「で、ででででで、ではまた次回~!!」


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恐怖のたまり場
hunting 36


その日、ミッドのとあるマンションにて一人の若い男性が来ていた。

 

目的の部屋に着くとチャイムを鳴らした。

 

女性『はい』

 

チャイムを鳴らすと女性の声がした。

 

会社員「どうも、水道の修理に参りました」

 

愛想よく、水道会社の会社員は返事をする。

 

女性『どうぞ』

 

会社員の言葉を聞いて女性は鍵を開けて、扉を開いた。

 

会社員「お邪魔します」

 

扉が開いて、水道会社の会社員は女性の部屋に入り、扉が閉まったその瞬間だった。

 

会社員「え…う、うわああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

会社員の悲鳴が響くがそのマンションの住人は誰一人として反応する者はいなかった。

 

 

 

シグナム「ここか…」

 

アギト「らしいな」

 

その日シグナム、アギトの2人はマンション前に来ていた。

 

理由は3日前に遡る。

 

リュイがヴィヴィオたちの誘いで、カルジーナへ向かって2日後、シグナムはアギトとともにはやてに呼び出されていた。

 

シグナム「潜入調査ですか?」

 

はやて「せや。ここ3週間の間にミッドチルダのとある一角で行方不明者が続出しとるんよ」

 

シグナム「やはりアマゾン…ですか?」

 

はやて「まだ分からんけど行方不明者は全員職業も性別も年齢もバラバラやから可能性は高いで」

 

シグナム「そうですか…」

 

はやて「本当はリュイにも協力してほしいんやけど…」

 

アギト「あぁ、今日だっけリュイが帰ってくるの」

 

はやて「せや。でも2人には悪いのは分かってるけど…」

 

シグナム「任せてください、主はやて。アマゾンの1体や2体、私とアギトが斬り伏せてみせます」

 

はやて「頼んだでシグナム」

 

そして現在、2人は姉妹という名義ではやてが用意した部屋に入り、荷物を整理していた。

 

シグナム「くっ、任務でなければノーヴェを八つ裂きにしたものを…」

 

アギト(あっぶなぁ~!命拾いしたなアイツ(ノーヴェ)…シグナム、リュイのことになると何も見えなくなるからなぁ…)

 

荷物を整理していて黒オーラを出して言うシグナムを見てアギトはそう思うのだった。

 

アギト「しっかしここまで来るのに住民に会わなかったな」

 

シグナム「あぁ。何人も失踪者出るともっぱらの噂だったから人があまり住んでいないのかもしれないな」

 

アギト「そうか。ま、ともかく今日は挨拶だけして様子見だな」

 

シグナム「そうだな」

 

アギトに言われてシグナムは菓子入りの箱を出した。

 

すると2人のいる部屋のチャイムが鳴り響いた。

 

「「!?」」

 

チャイムを聞いて2人は構えた。

 

シグナムはレヴァンティンを待機状態にしてドアに近付いた。

 

チェーンロックを掛けてシグナムはアギトに合図ちを送った。

 

シグナムの合図ちを見てアギトも合図ちで返した。

 

そしてシグナムはノブに手を掛けたのだった。



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hunting 37

リュイ「りーんねえね~!」

 

次元港ターミナルにて迎えに来ていたリインの側まで駆けていく。

 

リイン「リュイくん、お帰りなさいです~!」

 

リュイ「ただい…ま…!」

 

迎えに来てくれたリインに抱き付いてリュイは言う。

 

ノーヴェ「り、リインさん…し、シグナムさんは…」

 

少し怯えて、辺りを警戒しながらノーヴェはリインに聞く。

 

リイン「シグナムはアギトと一緒に任務中です」

 

ノーヴェ「そ、そうですか…」

 

シグナムが来ていないと聞いてノーヴェは安堵する。

 

リュイ「しぐまま…きてない?」

 

逆に少し寂しそうにリュイはリインに聞く。

 

リイン「大丈夫ですよ。お仕事だからいつ帰れるかは分かりませんがリュイくんが帰って来たから直ぐに終わらせるハズです~」

 

寂しそうにするリュイの頭を撫でてリインは言う。

 

リュイ「うん…!」

 

直ぐに終わらせて帰ってくると聞いてリュイは頷いた。

 

 

 

ヴィヴィオ「リュイく~ん、待たね~!」

 

手を振りながらヴィヴィオはリュイに言う。

 

リュイ「バイバイ~!」

 

リュイも手を振り返しながらリインと外で待っていたザフィーラ(人間形態)と帰る。

 

リイン「リュイくん、合宿は楽しかったですか?」

 

リュイ「うん…びびおたちと…いっぱい…あそんだ…」

 

リインに聞かれてリュイは嬉しそうに答えた。

 

リイン「それは良かったです~!その辺りの話はシグナムたちが帰って来たらお話するです」

 

リュイ「うん!…ん…?」

 

頷いたリュイだったが直ぐに立ち止まった。

 

ザフィーラ「急に立ち止まってどうかしたか?」

 

急に立ち止まったリュイを見てザフィーラは聞いてきた。

 

リュイ「しぐままの…こえが…した…」

 

リイン・ザフィーラ「「え?」」

 

リュイの側まで言葉を聞いてリインとザフィーラは耳を澄ました。

 

リイン「全然聞こえないです…ザフィーラは?」

 

ザフィーラ「私もだ。気のせいでは…お、おい!?」

 

何も聞こえないリインとザフィーラをよそにリュイはどこかへ走り出した。

 

リイン「リュイくん!?」

 

ザフィーラ「どこへ行く気だ!?」

 

走り出したリュイを見てリインとザフィーラは追いかけ始めたが直ぐに見失ってしまった。

 

リュイ(しぐまま…しぐまま…!)

 

リインとザフィーラを置いてきぼりにしたリュイの頭の中はシグナムのことしかなかった。

 

大好きなシグナムの声が聞こえた。

 

危険の中にいるシグナムの声が…それだけがリュイを突き動かしていた。

 

リュイ「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

いくらアマゾンの血を引くリュイでも長時間、走れば息切れで足を止めてしまった。

 

リュイ「はぁ…はぁ…はぁ…ん?」

 

息を整えているリュイの視界にあるものが映った。

 

青い塗装がされ、先頭は変身時のアマゾンライダーの顔と同じ形をしているバイクがあった。

 

リュイ「!?」

 

バイクに近寄りハンドルに触れるとバチッと電気のようなのが走り慌てて手を引っ込めた。

 

リュイ「………」

 

恐る恐るバイクのハンドルに触れると電気が走ることはなかったが代わりにエンジンが掛かる音がした。

 

エンジンの掛かる音を聞いてリュイはバイクにまたがった。

 

リュイ「しぐまま…いま…いくから!」

 

誰にも教えられた訳でもなくリュイはバイクの動かし方の手順をやると動かしてシグナムの元へ走り出したのだった。



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hunting 38

リュイがバイクに乗りシグナムの方へ向かっている同刻、シグナムとアギトは部屋の入口を棚やテーブルなどでバリケードを築いて籠城していた。

 

シグナム「くっ、流石に数が多すぎる…」

 

右肩から血を流してシグナムは言う。

 

アギト「大丈夫か、シグナム」

 

シグナム「あぁ…」

 

心配して聞いてきたアギトにシグナムは言うと近くに転がっている斬り伏せた数体のアマゾン―蟻に似た姿をして、全身が黒い体色をしたアマゾン『兵隊アリアマゾン』を見る。

 

なぜ2人が籠城しているかと言うと今から数時間前のことだった。

 

 

 

チャイムが鳴って玄関を開けると1人の女性がいた。

 

女性「………どうも」

 

シグナムを見た女性は挨拶してきた。

 

シグナム「あ、あぁ、どうも」

 

慌ててシグナムも挨拶した。

 

女性「大家の者ですが…貴女方が今日引っ越してきた方?」

 

シグナム「あ、はい。今日引っ越してきた者です。ちょうど挨拶に行こうと思っていたところです」

 

女性「そう…娘さん?」

 

奥をチラッと見てアギトのことを聞いてきた。

 

アギト「いえ、妹です。少し歳が離れてますが」

 

女性「そう…柔らかそうで…美味しそうね」

 

シグナム・アギト「「!?」」

 

女性がそう発言した瞬間、女性の顔の一部が火傷をしたように爛れ、さらに体からは煙まで上がっていた。

 

?「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

煙が晴れると女性の姿は変わっていた。

 

蟻のような顔に、薄い羽に似た装飾がある姿をしたアマゾン―『女王アリアマゾン』であった。

 

シグナム「やはりアマゾンだったか!!」

 

備えていたレヴァンティンを展開して女王アリアマゾンに構えた。

 

女王アリアマゾン「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

シグナムに襲いかかる女王アリアマゾン。

 

シグナム「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

襲いかかってきた女王アリアマゾンにシグナムはレヴァンティンに炎を纏わせて攻撃した。

 

女王アリアマゾン「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

炎を纏わせた攻撃に女王アリアマゾンは数歩後退する。

 

女王アリアマゾン「キリュウゥゥゥゥゥゥ……キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

斬られダメージを受けた女王アリアマゾンは雄叫びを上げる。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

女王アリアマゾンの雄叫びを聞いてシグナムとアギトのいる部屋の左右や上下の階から兵隊アリアマゾンが部屋から出てきた。

 

アギト「アマゾンがマンション中から出てきた!?」

 

シグナム「このマンション全体がアマゾンの巣窟だったのか!?」

 

マンション全体が女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンたちによりアマゾンマンションと化していたことに驚いた。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

左右の部屋から出てきた兵隊アリアマゾンたちが襲いかかって来た。

 

シグナム「くっ、はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

先に右側の兵隊アリアマゾンを斬り倒すと一旦は部屋に戻ると左側から現れた兵隊アリアマゾンを斬り倒した。

 

シグナム「バリケードを築くんだ!」

 

アギト「わ、分かった!」

 

シグナムに言われてアギトは急いで手近な椅子やテーブルで入口を塞ぎ始めた。

 

女王アリアマゾン「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

シグナムも手伝い始めた時、女王アリアマゾンは両肩の後ろから昆虫の脚に似た部位を出すと鞭のように伸ばした。

 

シグナム「ぐっ!!」

 

シグナムの肩に鞭が当たった。

 

鞭にはトゲがあったのかシグナムの服に血が滲み出た。

 

アギト「シグナム!!」

 

シグナム「だ、大丈夫だ!」

 

そう言ってシグナムはレヴァンティンで女王アリアマゾンの脚に似た部位を切断した。

 

女王アリアマゾン「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

部位を切断されて女王アリアマゾンは後退した。

 

そして現在に至っている。

 

シグナム「なんとかして主はやてに連絡しなくては…」

 

アギト「さっきから連絡しようにも妨害されて連絡出来ないんだ」

 

シグナム「くっ、完全に袋のネズミか…」

 

自身たちの状況を言っていると…。

 

兵隊アリアマゾン『キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

兵隊アリアマゾンたちがバリケードを破ろうと攻めてきた。

 

シグナム「抑えるぞ!」

 

アギト「あぁ!」

 

バリケードが破られないように抑える。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

だが窓ガラスを割って兵隊アリアマゾンの別動隊が後ろから挟撃してきた。

 

シグナム「なに!?」

 

アギト『後ろから来やがった!?』

 

ベランダを越えて現れた兵隊アリアマゾンの別動隊に驚く。

 

前から数体の兵隊アリアマゾン、後ろからは別動隊の兵隊アリアマゾン、シグナムとアギトは絶体絶命だった。

 

その時だ。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

兵隊アリアマゾン「!?」

 

今度は窓自体を破壊しながらガンマが乱入、シグナムとアギトを後ろから襲いかかろうとした兵隊アリアマゾンの首をアームカッターで斬り裂いた。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァ…………」

 

斬られた首から黒い液体を噴射するように出しながら崩れ落ちた。

 

ガンマ「しぐまま…たすけに…きた…」

 

兵隊アリアマゾンを倒したガンマ(リュイ)は言うのだった。



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hunting 39

アギト「り、リュイ!?」

 

シグナム「何でここに!?」

 

現れたガンマを見てアギトとシグナムは驚いていた。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

兵隊アリアマゾンの1体がバリケードをすり抜けて入ってきた。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

入ってきた兵隊アリアマゾンの頭を低くして掴むと膝蹴りを数回叩き込むと手刀で背中から胸部を貫いた。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァ…………」

 

背中から胸部を貫かれて兵隊アリアマゾンは力尽きてドロドロの黒い液体となった。

 

ガンマ「しぐまま…たすけに…きた…めいわく…だった?」

 

兵隊アリアマゾンを倒したガンマはシグナムに聞いてきた。

 

シグナム「いや…助かった。今はこの状況を打開するのを手伝ってくれ」

 

ガンマ「うん…!」

 

シグナムに言われてガンマは頷くと兵隊アリアマゾンが侵入してきた隙間に入って攻めてきた兵隊アリアマゾンの大群の前に出た。

 

ガンマ「これ…いじょう…すきに…させない!!」

 

バイオレント・ブレイク!!

 

大群の前に出たガンマはアマゾンズスピアを出して構えると突撃した。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

突撃してきたガンマに兵隊アリアマゾンたちは飛びかかってきた。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

飛びかかってきた兵隊アリアマゾンたちをガンマはアマゾンズスピアを回転させて吹き飛ばした。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

アマゾンズスピアを回転させて吹き飛ばしたガンマは今度はアームカッターで手近にいた兵隊アリアマゾンを斬り裂いた。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

手近にいた兵隊アリアマゾンを斬り裂いたガンマは次にアマゾンズスピアを投げ数体の兵隊アリアマゾンたちを貫いた。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

ガンマがアマゾンズスピアを投げたのと同時に兵隊アリアマゾンたちは武器が無くなって自分たちが有利になったと思い、再び一斉に飛びかかってきた。

 

ガンマ「ウォオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

飛びかかってきた兵隊アリアマゾンたちを見てガンマはグリップを捻り両腕のカッターが大型化させると飛びかかってきた兵隊アリアマゾンたちを次々に斬り裂いていった。

 

アギト「す、すげぇ…」

 

圧倒的な数の差はあれどいくら数が多かろうとガンマはそれをものともせずに次々に兵隊アリアマゾンの数を減らしていった。

 

シグナム「このまま、押しきれればいいのだが…」

 

次々に兵隊アリアマゾンを倒していく状況を見て、少しガンマを心配するシグナムだった。



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hunting 40

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァ……………』

 

ガンマのアマゾンズスピアが兵隊アリアマゾンを数体貫いた。

 

ガンマ「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

あれから1時間近く戦い続けてガンマは息を荒らしていた。

 

いくらスタミナや体力など尋常ではあるアマゾンライダーのガンマでも倒しても倒しても倒したそばから次々に出現する兵隊アリアマゾンたちにじり貧状況だった。

 

シグナム「リュイ、大丈夫か?」

 

ガンマ「まだ…だい…じょう…ぶ…」

 

心配するシグナムにガンマは言う。

 

ガンマ(ちからが…はいら…ない…まだ…てき…いっぱい…いる…のに…しぐままと…あぎねえね…まもれ…ない…)

 

自身の力が徐々に抜けていくのを感じているガンマは目の前にワラワラといる兵隊アリアマゾンたちを見て思っていた。

 

シグナム(リュイの体力はもう限界に近いか…)

 

シグナム「アギト、主はやて達との連絡はどうだ?」

 

アギト「まだ無理だ。早くしないとリュイが…」

 

シグナム「分かっている。私も前に出る。お前はそのまま連絡を続けてくれ」

 

アギト「分かった」

 

シグナム「行くぞ、レヴァンティン!」

 

シグナムもガンマの隣に行き戦いに参加する。

 

 

 

はやて「うーん…シグナムとアギトの2人から連絡が全く来ないな…」

 

シグナムとアギトからの連絡が無いことにはやては心配していた。

 

はやて「まさか…何かあったんとちゃうんやろうか…」

 

リイン「はやてちゃん、大変です!」

 

はやてが心配しているとリインとザフィーラが慌てて入って来た。

 

はやて「どないしたんや?リュイは?」

 

リイン「それがリュイくんを迎えに行って帰っていたんいですか…」

 

ザフィーラ「途中でシグナムの声がしたと言ってどこかへ行ってしまい…」

 

はやて「なんやて!?」

 

リインとザフィーラから訳を聞いたはやては驚いた。

 

はやて「まさか…シグナムとアギトになんかあってリュイはそれを感じ取ったんじゃ…」

 

連絡の無いシグナムとアギトが何らかのトラブルに巻き込まれ、どうやったかは分からないがリュイがそれを感じ取ったのではと推測する。

 

はやて「こうしちゃおれんな…すぐにシャマルに連絡や!例の特効薬の出番や!」

 

リイン「はい!」

 

はやて「それとヴィータにも連絡や!直ぐに出撃出来るように伝えて!」

 

ザフィーラ「分かりました!」

 

はやての指示を聞いてリインとザフィーラは直ぐに動いた。

 

はやて(シグナム、アギト、リュイ…無事でいてくれ…直ぐに助けに行くからな)

 

3人の安否を心配しながらはやても準備を始めるのだった。



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hunting 40.5

リュイ「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

兵隊アリアマゾンたちとの戦いから約8時間後の真夜中、リュイは壁に寄り掛かって息を荒らしていた。

 

兵隊アリアマゾンたちは一時引き上げていた。

 

あれから休み無く襲い掛かってくる兵隊アリアマゾンと戦い続けたのだ。

 

シグナム「リュイ、大丈夫か?」

 

リュイ「だい…じょう…ぶ…すこし…やすめば…いいから…」

 

心配するシグナムにリュイは言うが、その顔色が悪く疲労が顔ににじみ出ていた。

 

そんなリュイの横にシグナムは座ると自身に引き寄せた。

 

リュイ「しぐ…まま…?」

 

突然のことでリュイは混乱していた。

 

シグナム「今は眠っていろ。座って寝るよりかは体力回復なるハズだ」

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイは目を閉じて眠りについた。

 

シグナム「………」

 

眠りだしたリュイの頭をシグナムは優しく撫でた。

 

シグナム(すまない…やはり我々ではアマゾンをまだ倒せない…まだ幼いお前に頼るしかない自分が不甲斐ない…)

 

半分アマゾンとは言え、まだ幼いリュイに厳しい戦いを強いることになると感じたシグナムは心の中でそう思っていた。

 

アギト「なぁ、シグナム。1つ提案だけど屋上に行ってみないか?」

 

シグナム「何を言っている?屋上だと退路が無いぞ」

 

アギトの提案を聞いて、シグナムは退路がないのに聞いた。

 

アギト「確かに退路は無いけど入り口は1ヶ所しかない。そこでならここよりかはまともに戦えるし、はやてたちと連絡だって出来るかもしれない」

 

シグナム「なるほど…確かに今の状況を打開にするならそれしかないかもしれん。だが奴らがいつ攻めてくるか…それに…」

 

屋上へ行く理由を聞いたシグナムはリュイを見た。

 

シグナム「さっきの戦いで分かったが、リュイ時間が経つにつれて力が弱くなっている。弱っているリュイにこれ以上戦いを強いるわけには…」

 

リュイは兵隊アリアマゾンたちが引き上げるまでの約8時間の戦闘で、かなり力を消費しており、最早まともに戦える状態ではないことをシグナムは言う。

 

アギト「………」

 

それはアギトも気付いていた。

 

リュイ「だい…じょうぶ…」

 

シグナム・アギト「「リュイ!?」」

 

眠っていたと思っていたリュイが起きていることに驚く。

 

リュイ「ちから…でない…でも…しぐままたちの…ためなら…がんばれる…」

 

シグナム「リュイ…」

 

健気としか言いようがないリュイの言葉にシグナムとアギトの心は突き動かされる。

 

シグナム「分かった。アギト、直ぐに動けるようにするんだ」

 

アギト「あぁ、任せてくれ!」

 

シグナムに言われてアギトは準備をする。

 

シグナム「リュイ、お前はもう少しだけ眠っていろ。少しでも体力を回復させるんだ」

 

リュイ「うん…」

 

リュイもシグナムに言われて再び目を閉じて眠り始めた。

 

シグナム(次に起きたら…厳しい戦いになるだろう…)

 

今から起きる戦いにシグナムは嫌な予感がしていたのだった。



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hunting 41

まだ日が上るにはまだ時間がある真夜中、1機の大型輸送ヘリがミッドチルダ上空を飛んでいた。

 

はやて「目的地までどれくらい掛かる?」

 

ヴァイス『目的地のマンションまで約1時間。にしてもシグナム姐さんたちは大丈夫なのかね~』

 

はやてに聞かれて大型輸送ヘリのパイロットの『ヴァイス・グランセニック』は言う。

 

アルト『反応が正しいとマンションの住人全員がアマゾンってことは総数は180体以上ですよ…いくらシグナムさんでも…』

 

ヴァイス『おい、バカアルト!なに縁起でもないこと言ってんだよ!シグナム姐さんが負けるわけねぇだろ!!』

 

縁起でもないことを言う女性パイロット『アルト・クラエッタ』にヴァイスは言う。

 

ヴィータ「アイツら…なに話してんだか…」

 

ヴァイスとアルトの会話を聞いてヴィータは呆れていた。

 

ヴァイス『ってか部隊長、1つ聞きたかったんですけど…』

 

はやて「ん?なんやヴァイスくん」

 

ヴァイス『シグナム姐さんに子供が出来たって本当なんですかぁ!?』

 

はやて「あ…あぁ~、その件ねぇ~……」

 

ヴァイスの質問にはやては苦笑いしていた。

 

この話はシグナムファンの局員たちから散々質問されて来たのだ。

 

ヴァイス『あのガードの固いシグナム姐さんを落とした野郎はいったい誰なんですか!!』

 

はやて「あー…落ち着いてやヴァイスくん。確かにシグナムに懐いとる子はおるよ。せやけど…」

 

ヴァイス『やっぱりかぁ!どこのどいつだぁ!俺のシグナム姐さんのハートを奪った不届き者はぁ!!』

 

シグナムの子供―リュイのことを聞いてヴァイスは悲鳴の叫びを上げる。

 

このヴァイスの悲鳴の叫びを聞いてはやてを含めた女性陣は…。

 

(あ、もうダメだこれ)

 

っと思ったとか。

 

 

 

同刻のアマゾンマンションの一室。

 

シグナム、アギト、リュイが立て籠る部屋では3人の脱出準備が出来ていた。

 

シグナム「2人とも、準備はいいか?」

 

アギト「あぁ」

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに聞かれて2人は頷く。

 

シグナム「よし…ならば行くぞ!!」

 

シグナムが先陣を切って外へ出る。

 

それに続きアギトとリュイが外へ出る。

 

アギト「静かだな…」

 

シグナム「奴らはアマゾンだ。今は恐らく、今まで殺した人間たちの肉を各部屋で食っている頃だろう」

 

部屋を出ても兵隊アリアマゾンが1匹もいないことを推測する。

 

シグナム「今の内に階段へ急ぐぞ」

 

リュイ「しぐまま、あぎねえね!」

 

シグナム・アギト「「!?」」

 

兵隊アリアマゾンたちが、各自の部屋で食事をしている間に通路を通って階段へ向かおうとした矢先、突然リュイが2人を押して前にやった。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

2人がさっきまでいた通路の真上が崩落して数体の兵隊アリアマゾンたちが落ちてきた。

 

シグナムとアギトはリュイに押されて難を逃れたがリュイとは瓦礫により分断されてしまった。

 

シグナム「リュイ!!」

 

アギト「待ってろ、直ぐに助けるから!」

 

リュイ「こないで!」

 

瓦礫を壊してリュイを助けようとするシグナムとアギトにリュイは叫ぶ。

 

リュイ「ここは…ひとりで…かたずけ…する…だから…しぐままと…あぎねえねは…うえに…はやぱぱたちと…あって…」

 

自身が時間を稼いでいる内に屋上へ行くように言う。

 

アギト「なに言ってるんだよ!?お前1人でどうにか出来ると思ってんのか!?」

 

リュイ「わかんない…でも…しぐままと…あぎねえねを…まもれるなら…こんなのに…まけない!」

 

GA()M()MA()!

 

リュイ「あまぞん!」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!

 

アマゾンズドライバーを出してグリップを捻ってガンマに変身した。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

変身して兵隊アリアマゾン2体を押し倒し、アームカッターで首を切り落として倒した。

 

ガンマ「はやく…はやく…いって!!」

 

叫ぶようにシグナムとアギトに言う。

 

シグナム「くっ…アギト、行くぞ!」

 

アギト「でもリュイを1人には…」

 

シグナム「リュイ!私と絶対に守る約束をするんだ!絶対に…生きてまた会うんだ、いいな!!」

 

アギト「あ、おい、離せよ!リュイ、リュイー!!」

 

リュイを1人には出来ないアギトを見てシグナムはリュイに伝えるとアギトの手を引っ張る。

 

ガンマ「うん…ぜったいに…ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

シグナムとそう約束したガンマだが、最早長く戦えるだけの力は残されてはいない。

 

でも、シグナムたちと生きて会うために、力を振り絞って立ち上がり、残り兵隊アリアマゾンたちへ向かって行き、アームカッターで首を、脚を上げてレッグカッターで頭を割るように両断する。

 

ガンマ「しぐままと…やくそくした…だから…おまえらを…ここで…たおす!!」

 

騒ぎを聞いて部屋から出てきた新たな兵隊アリアマゾンたちに構えてガンマは言うのだった。



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hunting 42

シグナム「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァ…………』

 

シグナムの斬撃が屋上への行く手を阻む兵隊アリアマゾンたちを切り裂く。

 

シグナム「あと少し!止まるなアギト!」

 

アギト「分かってるよ!」

 

後ろを振り向かずに2人は屋上へ走る。

 

兵隊アリアマゾンたちを押し退け屋上への扉を蹴破り屋上に到着した。

 

シグナム「アギト!」

 

アギト「あぁ!」

 

シグナムは入り口に構えて兵隊アリアマゾンたちの侵入を防ごうとする。

 

アギトははやてたちと連絡を取ろうとする。

 

はやて『アギト、無事やったんやね!?』

 

通信が繋がりはやてがアギトの無事を確認する。

 

アギト「はやて!大変だ、マンションにアマゾンがいっぱいいて…」

 

はやて『分かっとる、こっちでも反応を確認しとる。シグナムとリュイは?』

 

アギト「シグナムはこっちにいる。でもリュイは…アタシらを行かせるために下でアマゾンたちと戦ってる。早く助けに行かないと、もうリュイは限界なんだ!」

 

はやて『大丈夫や、もうちょいしたらそっちに着く。リュイを助け出したらある作戦を決行する。それまで持ちこたえてや!』

 

アギト「分かった!」

 

通信を切りシグナムの方を見るとすでに何体もの兵隊アリアマゾンが屋上へ上がってきていた。

 

アギト「シグナム、ユニゾンだ!」

 

シグナム「あぁ、来い!アギト!!」

 

シグナムを取り囲もうとする兵隊アリアマゾンを見てアギトはシグナムに言うとシグナムの中に入り融合(ユニゾン)した。

 

アギトは『融合型デバイス』、『融合騎』とも呼ばれるデバイスで、古代ベルカ発祥のデバイスである。

 

簡単に言えば意思を持つインテリジェントデバイスを極端にしたもの。

 

使用者(パートナー)融合(ユニゾン)することで魔力の補助などを行うことで魔力や感応速度などの能力を向上することが出来るのだ。

 

アギトと融合(ユニゾン)したシグナムの容姿が少し変わった。

 

バリアジャケットの色が赤から紫に、髪も八重桜から肌色に変わっていた。

 

シグナム「火竜一閃!!」

 

アギトの『烈火刃』によって強化した炎の鞭でビームのように放つ『火竜一閃』が兵隊アリアマゾンたちを凪ぎ払った。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァ…………』

 

火竜一閃を喰らい兵隊アリアマゾンたちは次々に撃破された。

 

シグナム「アギト、主はやてとの連絡は?」

 

アギト『何とか出来た!もうちょいしたらこっちに着くって、それまで踏ん張れってさ!』

 

シグナム「ならば行くぞ!」

 

アギト『おうよ!』

 

はやてたちが到着まで踏ん張ろうと構えたその時だ、シグナムは何かに掴まれたかと思いきや肩に痛みが走った。

 

アギト『シグナム!?』

 

シグナム「な…に…!?」

 

首を後ろに向けるとシグナムに抱き付くようにしている女王アリアマゾンが後肩から伸びる蟻の脚状の部位をシグナムの肩に突き刺していた。

 

女王アリアマゾン「キリャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

歯を出してシグナムの首に向かって行く。

 

液体が噴水のように天に向かって吹き出し、屋上の地面に雨のように降り注いだ。



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hunting 43

屋上の地面に雨のように降り注ぐ液体…アマゾンの黒い液体が噴水のように吹き出す。

 

兵隊アリアマゾン「………」

 

首を失った兵隊アリアマゾンは崩れ落ちるように倒れた。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

倒れた兵隊アリアマゾンを見て女王アリアマゾンは跳躍し、貯水タンクがある場所に移動した。

 

ヴァイス「チッ、外したか!」

 

狙撃銃型のインテリジェントデバイス『ストームレイダー』を構えているヴァイスが舌打ちして言う。

 

シグナム「ヴァイス!」

 

アギト『ってことは!』

 

ヴァイスがいるのを見て上を見ると大型の輸送ヘリが来ていた。

 

さらにヘリからはやてとリイン、ヴィータ、ザフィーラが降りてきた。

 

はやて「大丈夫か、シグナム!アギト!」

 

シグナム「主はやて!」

 

アギト『なんとか無事だ!』

 

助けに来たはやてに2人は無事を知らせる。

 

ヴィータ「そいつは良いが…」

 

ザフィーラ「何だ、このアマゾンの数は!?」

 

リイン「180体以上いるとは聞いてましたがそれ以上はいるです!」

 

続々と屋上へ雪崩れ込んでくる兵隊アリアマゾンを見て流石に引いていた。

 

はやて「シグナム、リュイは!?」

 

シグナム「下の階です!」

 

はやてにリュイの居場所を聞かれてシグナムは下の階にいると言う。

 

アギト『下は奴らの巣だから早くしないとリュイが!』

 

ヴィータ「だったら血路を開かねぇとな!!」

 

早くリュイを助けにいかなければと、アイゼンを構えながらヴィータは言う。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

女王アリアマゾンの号令で兵隊アリアマゾンたちが一斉に襲いかかった。

 

はやて「サクッと行くで!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

向かってくる兵隊アリアマゾンたちにはやてたちも向かっていく。

 

 

 

一方、アマゾンマンションの下では…。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァ!?』

 

壁に叩き付けられ頭を潰される兵隊アリアマゾン。

 

辺りには無数の兵隊アリアマゾンたちの死骸とアマゾンの黒い液体が海のようになっていた。

 

ガンマ「………」

 

その中をガンマはゆっくりと歩いていた。

 

白い体色は倒した兵隊アリアマゾンたちの黒い液体で汚れていた。

 

ガンマ「いか…なくちゃ…しぐ…まま…の…ところ…に…」

 

ゆっくりと歩いていくガンマだがその足取りが重く、フラフラになっていた。

 

ガンマ「しぐ…ま…ま…」

 

歩いていたガンマだが変身していたリュイの意識が無くなった。

 

ガンマ「グルルルルル…グガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

リュイの意識が無くなったのと同時にガンマの目が青から赤くなり、猛獣のような雄叫びを上げたのだった。



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hunting 44

ヴィータ「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァ………』

 

ヴィータのアイゼンが数体の兵隊アリアマゾンを薙ぎ倒すが、次から次へと新たな兵隊アリアマゾンたちが屋上に現れる。

 

ヴィータ「くそ…キリがねぇ…」

 

湧き水の如く現れる兵隊アリアマゾンたちを見てヴィータは言う。

 

はやて「リイン、リュイの居場所は分かるか?」

 

ユニゾンしているリインにはやては聞く。

 

リイン『リュイくんのレジスターの反応はゆっくりとこっちに向かって来てるです!でもアマゾンの数が多過ぎて正確な位置は分からないです…』

 

シャマルの精密検査の結果で分かったがリュイやアマゾンの上腕二の腕あたりに嵌められている腕輪『アマゾンズレジスター』にはGPSに似た機能あることが分かった。

 

その反応をGPS代わりにしてリュイの居場所が分かるようにしているのだが、今回のように大量のアマゾンがいられると反応が混ざって分からなくなってしまうのだ。

 

はやて「そうか…なんとかせなアカンけど、こう数が多いと上手く動けへんな…」

 

数の暴力で押してくる兵隊アリアマゾンたちにはやてもかなり参っていた。

 

ヴァイス「くそっ!これじゃあジリ貧だ!」

 

兵隊アリアマゾンを撃ち抜きながらヴァイスは言う。

 

女王アリアマゾン「クククク…」

 

そんなジリ貧状態のはやてたちを見て女王アリアマゾンは笑っていた。

 

それは人をいたぶるのを楽しんでいるようであった。

 

ヴィータ「あの野郎、アタシらがジリ貧状態のを楽しんでるだろ!」

 

シグナム「だろうな!」

 

はやて「まるで暴君やな!」

 

女王アリアマゾンを見て言ったその時だ。

 

後ろから大量の兵隊アリアマゾンたちが雪崩れのように屋上に来た。

 

ヴァイス「我慢出来なくなって一斉に襲い掛かって来やがったか!?」

 

一斉に現れた兵隊アリアマゾンたちを見てヴァイスは言う。

 

ヴィータ「何匹出てこようとぶっ飛ばす!!」

 

シグナム「いや、待て!」

 

ヴィータがアイゼンで攻撃しようとするのをシグナムが止める。

 

同時に雪崩れのように現れた兵隊アリアマゾンたちが一斉にドロドロに溶けてしまった。

 

はやて「な、何が…」

 

一斉に死んだ兵隊アリアマゾンたちを見てはやてが呟くと…。

 

ガンマ「………」

 

ゆらりとアマゾンたちの黒い体液だらけのガンマが姿を現した。

 

ヴァイス「な、なんだ!?新手か!?」

 

姿を現したガンマに構えるヴァイス。

 

シグナム「リュイ!無事だったのか!!」

 

現れたガンマにシグナムは近付こうとした。

 

ガンマ「グルルルルル……」

 

シグナムが近付こうとした時、ガンマは女王アリアマゾンを見つけると跳躍した。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

跳躍しながらガンマはアームカッターで女王アリアマゾンを攻撃してきた。

 

女王アリアマゾン「!?」

 

跳躍してきたガンマに驚いて女王アリアマゾンは反応出来ずにアームカッターで右肩を斬られた。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

右肩を斬られて女王アリアマゾンは傷口から血を吹き出しながら倒れた。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

倒れた女王アリアマゾンにガンマは乗ると顔面を殴り始めた。

 

殴られ続けて女王アリアマゾンの顔は変形する。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

これ以上殴られたらまずいと女王アリアマゾンは生き残った左肩の後ろから蟻の脚状の部位を伸ばして攻撃しようせる。

 

だがガンマは迫ってくる左肩の蟻の脚状の部位を掴むと力任せに引っこ抜いた。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

左肩の蟻の脚状の部位を引っこ抜かれて女王アリアマゾンは悲声を上げる。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

女王アリアマゾンの悲声を聞いて兵隊アリアマゾンたちが貯水タンクの影から姿を現す。

 

ガンマ「グルルルルル……」

 

現れた兵隊アリアマゾンを見たガンマは狙いを変えて向かって行く。

 

女王アリアマゾン「キ、キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ガンマが兵隊アリアマゾンに向かった隙に女王アリアマゾンは逃げようとする。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント・ブレイク!!

 

逃げようとする女王アリアマゾンをガンマはアマゾンズウィップを引き抜いて伸ばして捕らえた。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

女王アリアマゾンを捕らえたガンマは兵隊アリアマゾンたちに向かって投げた。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?』

 

投げられた女王アリアマゾンとぶつけられた兵隊アリアマゾンたちは互いに互いの体が絡まって動けなかった。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

絡まって動けなくなった女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンたちにガンマは向かって行く。

 

バイオレント・パニッシュ!!

 

向かって行きながらガンマは両腕のアームカッターを巨大化させた。

 

ガンマ「グルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

巨大化させたアームカッターでガンマは女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンたちを両断した。

 

女王アリアマゾン「キシャアァァァァァァ………………………」

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァ………………………』

 

両断された女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンたちはドロドロの黒い液体となって消滅した。

 

ガンマ「ウゥ…ウゥ…ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンが消滅したのを見て、ガンマは苛立つような咆哮を上げるのだった。



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hunting 45

シグナム「り、リュイ?」

 

野獣のように女王アリアマゾンと兵隊アリアマゾンたちを倒したガンマを見てシグナムは驚愕していた。

 

ガンマ「ウゥ…」

 

ゆらりとシグナムたちのいる場所を見る。

 

シグナム「り、リュイ…」

 

ガンマ「ガルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

シグナムが呼ぶとガンマは雄叫びを上げながら跳躍すると着地と同時に近くにいた2体の兵隊アリアマゾンの首を両腕のアームカッターではねた。

 

ガンマ「ガルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

2体の兵隊アリアマゾンを倒すと次から次へと襲い掛かり倒していく。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』

 

兵隊アリアマゾンたちもただ殺られるいくわけもなくはやてたちを放置してガンマに一点集中し始めた。

 

はやて「今のうちや、早くタンクに!」

 

はやてに言われてシグナム以外の全員はタンクに向かう。

 

はやて「ヴァイスくん、タンクの中身はどうや?」

 

ヴァイス「大丈夫ですよ。中身は十分にあるます」

 

はやてに聞かれてヴァイスは答える。

 

シグナム「リュイ…いったい何が…」

 

荒れ狂う野獣の如く襲い掛かってくる兵隊アリアマゾンたちを手当たり次第に倒していくガンマを見てシグナムは困惑していた。

 

はやて「シグナム、今からやる作戦はアマゾンを一掃する薬を使う。まだ実用段階前やから人間にも害がある。せやから早くリュイをこっちへ連れてくるんや」

 

今から使用しようとしているのはシャマルたち医療班が開発したアマゾンにとっては有害な物質が含まれる薬である。

 

この薬は水に溶けやすく、貯水タンクにこれを混ぜてアマゾンマンション全体にいるアマゾンを一掃しようというのだ。

 

しかしまだ使用するにはまだ実用段階ではなく欠陥があり人間にも多少なりと有害であることが分かった。

 

リュイはアマゾンであるのと同時に人間である。

 

そんな子に薬が混じった水を浴びたりでもしたら何が起きるか分からないのだ。

 

シグナム「分かりました!」

 

はやてに言われてシグナムはリュイを止めに向かう。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント パニッシュ!!

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ……………』

 

バイオレント パニッシュの横一閃を喰らいガンマを囲んでいた兵隊アリアマゾンたちは一気に撃破された。

 

ガンマ「ガルルルルル……」

 

見える範囲の兵隊アリアマゾンを全て倒したガンマは相手を探す。

 

シグナム「リュイ!」

 

ガンマ「!」

 

シグナムの声を聞いてガンマは向いた。

 

ガンマ「ウゥ…ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

シグナムが分からないのか、ガンマは威嚇するように咆哮を上げるのだった。



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hunting 46

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

戸惑いなくガンマはシグナムにアームカッターで斬りかかった。

 

シグナム「リュイ!」

 

斬りかかってきたガンマのアームカッターをシグナムはレヴァンティンで受け止める。

 

ガンマ「グガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

力を入れてレヴァンティンを押してシグナムを斬ろうとする。

 

シグナム「ぐっ…く…り、リュイ……」

 

押されるシグナムがそう発するとガンマのアームカッターに入れる力が弱くなった。

 

ガンマ「しぐ…ま…ま…」

 

レヴァンティンからアームカッターを離しながらガンマは数歩下がった。

 

同時に数歩下がると目の色が赤から元の青に戻っていた。

 

シグナム「リュイ…」

 

近付くとガンマは変身を解いてリュイに戻った。

 

リュイ「しぐまま…?」

 

シグナムを見てリュイは首を傾げた。

 

下の階の通路で、兵隊アリアマゾンたちの相手をしていたのは覚えているが、なぜ屋上にいたのか分からないでいた。

 

シグナム「リュイ、よかった」

 

元に戻ったリュイを見て、シグナムは安心して抱き締めた。

 

リュイ「しぐまま…いたい…」

 

シグナム「すまない。リュイ、疲れてるかもしれないが一緒に来てくれ」

 

リュイ「うん…」

 

よく状況が分からないリュイは言われるがままシグナムに抱きついた。

 

リュイが抱きついたのを確認したシグナムは落ちないように抱えると浮遊してはやてたちの方に向かった。

 

はやて「よし、アギト!放水や!」

 

アギト「よっしゃあ!」

 

シグナムがリュイと空から向かって来るのを見たはやての合図でアギトは一旦マンション内に戻ると、スプリンクラーの近くで火を起こして火事だと誤認させて水を噴射させた。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?』

 

スプリンクラーから出た薬入りの水を浴びて兵隊アリアマゾンたちは体から白い煙を噴射しながら苦しみ倒れドロドロに溶けて死んでしまった。

 

ヴァイス「おら、これでも食らえ!!」

 

スプリンクラーから逃れてか来た兵隊アリアマゾンにヴァイスはホースと貯水タンクを連結して放水、薬入りの水を浴びせ倒していく。

 

兵隊アリアマゾン『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?』

 

1体また1体と兵隊アリアマゾンたち薬入りの水を浴びて苦しみながら死んでいく。

 

貯水タンクの水が無くなり水が出なくなった頃、マンションにいた180体近くいた兵隊アリアマゾンたちは1体も残らずにドロドロの液体になって蒸発、レジスターだけが転がっていた。

 

アギト「終わった…のか?」

 

ヴィータ「みたいだな…」

 

ヴァイス「いや、でもシグナム姐さんのとこにまだ1匹…」

 

兵隊アリアマゾンたちが全員倒したと思い、安心しているとヴァイスがシグナムといるリュイを指差した。

 

ヴィータ「あれはアタシらの家族だよ。他言したらダメだからな」

 

ヴァイス「え!?でもアマゾンですよ!?まさかシグナム姐さんのことをママって言ってるの…」

 

アギト「お察しの通りだ」

 

ヴァイス「あのガキ!今すぐ駆逐して…」

 

シグナムをママと呼ぶ子がリュイだと分かり、ヴァイスは水を浴びせようとした。

 

はやて「よぅしヴァイスくん、この報告書を今日の午後23時59分59秒までまとめて出してや。誤字脱字、コンマ1秒でも遅れたらなのはちゃんが考案した地獄のスペシャル特別訓練メニューの刑に処すからな」

 

ヴァイス「はぁ!?なんでそうなるですか!?」

 

はやて「リュイを傷付けようなら帰ったら直ぐに処すで」

 

ヴァイス「いくらなんでも横暴ですよ!?」

 

はやて「やらんのか?」

 

ヴァイス「やります!ぜひやらせてください!!」

 

これ以上言ったら何されるか分かったもんじゃないと判断したヴァイスは保身に走るのだった。

 

しかし結局間に合わずになのはの地獄のスペシャル特別訓練メニューの刑に処されたのはまた別の話である。




おまけ
アマゾンマンションの後処理を後から来た後続の部隊に任せてはやてたちはヴァイスとアルトの操縦するヘリにて一足先に帰還していた。

リュイ「すー…すー…」

ヘリの中でシグナムの膝枕でリュイはぐっすり眠っていた。

たった1人で50近くの兵隊アリアマゾンたちを倒してきたのだ、疲れていないハズがない。

はやて「すっかり寝とるね」

ぐっすり眠っているリュイを見てはやては言う。

シグナム「はい。何かとリュイ1人に負担をかけてしまいました…」

リュイの頭を撫でながらシグナムは言う。

ヴァイス「良いなぁ…俺もシグナム姐さんに膝枕してほしい…」

羨ましそうに言うヴァイス。

アルト「それより早く帰って報告書出さないとなのはさんに殺られますよ?」

ヴァイス「ぐっ、聞いてたのかよ…」

はやて「因みにすでになのはちゃんにはアルトも参加するように言っとるからな~」

アルト「えぇ!?なんで私まで!?」

はやて「ヴァイスの責任はアルトの責任でもあるんやで」

アルト「私はとばっちりじゃないですかぁ!」

はやて「ほなら胸を揉ませてくれたなら話は別やで」

アルト(それが狙いか!!)

はやて「楽しみやな~!早くつか…」

楽しみにしてるとはやての顔を掠るようにレヴァンティンが刺さった。

はやて「し…シグナム…?」

シグナム「リュイが寝ているから静かにしていただけますか?」

はやて「は…はい…すいません…」

シグナムの出す殺気にはやては冷や汗をかいて言うのだった。


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hunting 47

シャマル「はい、もう大丈夫よ」

 

リュイ「う~…」

 

シャマルに言われてリュイはたくしあげていた服を戻してシグナムに抱きついた。

 

シグナム「よく我慢できたな。偉いぞ、リュイ」

 

いまだにシャマルを見ただけで嫌がるリュイに我慢したことを誉めるシグナムは頭を撫でる。

 

シグナム「それであk…シャマル。リュイは大丈夫なのか?」

 

シャマル「言い間違いかけたことは何も言わないでおくけど…そうね。貴女から聞いた話だけだとまだ何とも言えないわ」

 

"悪魔"と言われかけたことには言及せずに、シグナムから聞いたガンマの野獣のようになった原因について、シャマルは首を横に振って言う。

 

シグナム「そうか…」

 

野獣のように女王と兵隊アリアマゾンたちを襲いかかるガンマの姿をシグナムは思い出していた。

 

リュイ「しぐまま…はやく…ここ…でたい…」

 

もう限界が来たのかリュイは今にも泣きそうになる声で、訴えるようにシグナムに言う。

 

シグナム「あぁ、そうだな。ではシャマル後は任せたぞ」

 

シャマル「えぇ。任せて」

 

残りの検査をシャマルに任せて、シグナムはリュイを連れて診察室を出ていった。

 

はやて「それでマリーさん。うちの子が乗ってきたバイク…何か分かりました?」

 

魔導師の装備のメンテナンスなどを担当している時空管理局本局メンテナンススタッフの女性『マリエル・アテンザ』と通信でリュイが乗ってきたバイク―『ジャングレイダー』のことを聞いていた。

 

事件後、現場にリュイが忘れ物したと言い出してシグナムとはやてと共に現場に戻って持ってきたのがジャングレイダーだったのだ。

 

まだ10歳に満たない男の子であるリュイがバイクを使って爆走したことに驚いてしまいはやてとシグナムが動かそうとしたが反応しなかったがリュイが乗ると動き始めたので調査が進められることになったのだ。

 

マリエル『一言で言えばリュイくん…でしたっけ?その子にしか扱えないことしか…現に普通の人が動かそうにもエンジンすらかからなかったんですよ』

 

はやて「そうですか…。ありがとうございます、引き続い調査をお願いします」

 

マリエル『はい、分かりました』

 

調査を引き続き依頼したはやては通信を切った。

 

はやて「はぁ…」

 

通信を切るなりはやてはため息をついた。

 

ここ最近、人を食らうようになるアマゾンの数が増えていた。

 

今のところはなんとか対処出来ているがこのままでは対処出来なくなってしまう可能性があったからだ。

 

はやて「早くなんとかせなアカンなぁ…」

 

やれやれと言うように呟くはやての手元にある書類の中に【重要】と掛かれた書類があった。




その日の夜、とある森林地帯。

?「オラアァァァッ!!」

霧が立ち込める森林に気合いと共に黒い液体が木々を汚す。

コウモリアマゾン「アガ…ガアァァァァァァァァァァァァァァァ…………」

腹部を貫かれたコウモリ型のアマゾン―『コウモリアマゾン』が断末魔を上げとドロドロの黒い液体になって倒された。

?「ふん、ただのアマゾンじゃ1手で終わりだな。やはり…もっと強い奴と殺り合いたい…」

アマゾンズレジスターを拾い上げながらコウモリアマゾンを倒した銀色の体表面、わずかにオレンジ色に染まった胸部装甲、紫色の複眼を持つ人物―アマゾンライダーが言う。

?「そろそろアイツらがミッドに着く頃か…アマゾンライダーガンマ…お前は何手で潰してやろうか…」

アマゾンライダーは拾い上げたアマゾンズレジスターをグシャリと潰しながらガンマ―リュイのこと言うのだった。


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出会う強者の少女たちと小さき狩人
hunting 48


アマゾンマンション事件から数週間後、リュイはリインと散歩を楽しんでいた。

 

リイン「今日はよく晴れた散歩日和で良かったですね、リュイくん」

 

リュイ「うん…」

 

穏やかな風や草木、花の香りなどでアマゾンとの戦いを忘れられるのでリュイは楽しんでいたのだ。

 

リュイ「ん?」

 

散歩を楽しんでいるとリュイの視界にある人物の姿を捉えた。

 

?「あ…アカン…」

 

木の枝を杖代わりにしてフラフラな足取りのフードを被ったジャージの人物だった。

 

?「もう…だ…め…」

 

バタリと倒れる人物。

 

リュイ「………」

 

そんな人物にリュイは近付くと小枝で人物の頭をツンツンした。

 

リュイ「しん…でる?…」

 

リイン「いや、それ行き倒れですぅ!!」

 

 

 

ジーク「んー、美味しい♪」

 

リュイとリインが見つけた行き倒れの人物…いや、少女はミウラも今年から参加する格闘技大会『インターミドル』の世界代表戦優勝の経歴を持つ現時点での試合では無敗を誇る最強選手『ジークリンデ・エレミア』は八神家にて食事にありついていた。

 

ヴィータ「おいおい…なんでインターミドルのチャンピオンがこんなところにいるんだよ…」

 

アギト「さ、さぁ?」

 

現れたジークリンデにヴィータとアギトはひそひそ話で話し合う。

 

リュイ「じーくねえね…大丈夫?」

 

ジーク「ありがとう。もう大丈夫や」

 

リュイに心配されてジークリンデはお礼を言う。

 

リュイ「じーくねえね…はやぱぱと…おんなじ…ことば…」

 

はやて「せやな。少し親近感が沸くな~」

 

ジークリンデがはやてと同じく柔らかな関西弁を話すのを見て親近感が沸いていた。

 

はやて「それならちょっと…」

 

親近感が沸いたはやてはジークリンデに近寄った。

 

はやて「も、もうかりまっか~」

 

超ありがちなギャグを言うはやて。

 

ジーク「は?インターミドルには賞金は出へんよ?」

 

はやて「……………せやな」

 

普通に返されてはやては恥ずかしくなって言う。

 

リュイ「?」

 

リュイもまたギャグの意味が分かっていなかった。

 

ミッドの人には関西のギャグは分からなかったようであった。

 

リイン「そう言えばですけど何であんな所にいたですか?」

 

ジークリンデが1人で歩いていたのかと問うリイン。

 

ジーク「あぁ、それはな…ランニングしていたら迷子になってしまったんよ…」

 

はやて「えぇ…」

 

アギト「な、なんだよそれ…」

 

リイン「よ、予想外です…」

 

ヴィータ「だな…」

 

リュイ「じーくねえね…ほうこう…おんち?」

 

想像していたのよりしょうもない理由にはやてたちは呆れて言葉を失っていた。

 

その後、ジークリンデの保護者が来て連れて帰ったのはまた別の話。



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hunting 49

その日、リュイは森の中で1人でウロウロしていた。

 

今日ははやて、シグナム、ザフィーラ(狼形態)とでタケノコ狩りをしに来ていた。

 

しかし途中でこの山でアマゾンの気配を感じて、気配がした方へ向かっていった。

 

いたのは何度も戦ったことのあるエレファントアマゾンであった。

 

何度も戦ったことのある相手だけに直ぐに片付けたが、ここがどこだか分からなくなってしまっていた。

 

リュイ「しぐ…まま…はや…ぱぱ…わんわん…」

 

まだ幼いリュイは泣きそうになる。

 

リュイ「うぅ…ね…むい…」

 

ガンマに変身した時の衝撃で睡魔に襲われたリュイは膝を着いてしまった。

 

膝を着いたリュイは立とうとするが立てずに横になって眠ってしまった。

 

そんなリュイの前に少女と男性が来ていた。

 

 

 

リュイ「う~ん…?」

 

目を覚ましたリュイは見知らぬテントに寝かされていた。

 

?「気がついた?」

 

リュイ「ひっ!?」

 

声に反応して見ると長い金髪で巨乳の少女がいた。

 

少女の主に金髪を見て涙目になった。

 

?「え!?ちょっと、なんで泣くの!?」

 

リュイ「あ、あく…ま…」

 

?「えぇ!?」

 

リュイに悪魔と言われて少女はショックを受ける。

 

?「お嬢様」

 

そこへタキシードを着た執事の男性が入ってきた。

 

?「エドガー。どういう訳かこの子に怯えられてしまって…」

 

『エドガー』と呼ばれる執事の男性に少女は言う。

 

エドガー「この怯えようは…トラウマか何かでしょうか?」

 

?「では私の何かがこの子のトラウマを引き出してしまっているの?」

 

エドガー「恐らく」

 

怯えてしまっているリュイの状況を冷静に解析する。

 

ヴィクトーリア「ごめんなさい。私にはあなたの怖がっている理由が分からないわ。でもこれだけは分かっていてほしいの。私はあなたが思っている悪魔ではないわ。ヴィクトーリア・ダールグリュンよ」

 

少女-『ヴィクトーリア・ダールグリュン』は名乗る。

 

エドガー「私はエドガー。執事をしております」

 

リュイ「………や、やがみ…りゅい…です…」

 

名乗られてリュイは自身も名乗る。

 

ヴィクトーリア「そう。リュイっていうの。いい名前ね」

 

リュイの名前を聞いてヴィクトーリアは言う。

 

エドガー「それでリュイ様は何故あのような場所にお1人で?」

 

リュイ「えっと…」

 

エドガーの問いにリュイは答えられなかった。

 

自身がガンマになってアマゾンと戦っていることはヴィヴィオたちなどの一部の特例を除いて秘密(リュイからしたら内緒)にしている。

 

ヴィクトーリア「何か言えない事情でも?」

 

リュイ「えっと…たけのこ…」

 

ヴィクトーリア「タケノコ?」

 

エドガー「あ、もしかしてご家族とタケノコを採りに来て迷子になったのでは?」

 

ヴィクトーリア「そうなの?」

 

エドガー「うん…」

 

実際は違うがヴィクトーリアに聞かれて頷いた。

 

エドガー「では麓の施設で預かってもらいましょう」

 

ヴィクトーリア「そうね」

 

ジーク「ヴィクター、おる~?」

 

リュイを麓の施設に預かってもらおうと言う話をしているとジークリンデが現れた。

 

ヴィクトーリア「ジーク!」

 

リュイ「じーくねえね!」

 

ジーク「あれ?なんでリュイやんがヴィクターたちとおるん?」

 

ヴィクトーリアたちと一緒にいるリュイを見て聞く。

 

ヴィクトーリア「この子と知り合いなの?」

 

ジーク「前に行き倒れになってたとこを助けてくれんたんよ」

 

ヴィクトーリア「行き倒れ!?ちょっとなんで言ってくれなかったの!?」

 

行き倒れになったと聞いてヴィクトーリアはジークリンデに詰め寄って聞く。

 

ジーク「トレーニングしてたら迷子になってもうたんよ~!」

 

詰め寄られたジークリンデは言う。

 

ヴィクトーリア「全く貴女って人は…」

 

呆れるヴィクトーリア。

 

ヴィクトーリア「ありがとうね。私の友人を助けてくれて」

 

リュイがジークリンデを助けてくれたと知ってヴィクトーリアはリュイの頭を撫でて笑顔で言う。

 

リュイ「どう…いたしまし…て」

 

ヴィクトーリアがフェイトと同じく金髪だけど怖くないと分かって言う。

 

その後、施設までリュイを送るとリュイを捜していたシグナムたちと出会ったことはまた別の話。



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hunting 50

その日、リュイは1人でお使いをしていた。

 

少しでも人と慣れてほしいのと社会勉強の一環ではやてが提案したのだ。

 

因みにお使いの内容は玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ、豚肉である。

 

野菜類は何とか買えたが最後の食材である豚肉だけまだである。

 

何故かと言うと…。

 

リュイ「どれ…かな…?」

 

豚肉の種類が多すぎてどれを買えばいいか分からなかったのだ。

 

まぁ、ぶっちゃけどれでも良いがリュイにはまだ分からなかった。

 

どれにするか悩んでウロチョロしていると誰かにぶつかって倒れてしまった。

 

?「あぁん?」

 

リュイ「ひっ!?」

 

ぶつかった相手である少女に睨まれてリュイは怯えてしまった。

 

?「り、リーダー!怖がってますよ!!」

 

?「あ!?しまった!!」

 

連れの少女に言われて睨んだ少女は慌ててしまった。

 

?「ごめんね、うちのリーダーが」

 

?「怪我とかない?」

 

他の2人がリュイを心配して聞いたり、手を差し伸べて来た。

 

リュイ「だい…じょうぶ…」

 

心配されたリュイは差し出された手に掴まって立ち上がると言う。

 

ハリー「わりぃな、いきなり怖がらせちまって。オレはハリー、ハリー・トライベッカ…って言わなくても知って…」

 

リュイ「しら…ない…」

 

インターミドルチャンピオンシップの上位選手の1人で『砲撃番長』の異名で呼ばれている『ハリー・トライベッカ』は名乗るがリュイはインターミドル自体知らないので首を傾げて言う。

 

ハリー「えぇっ!?」

 

リュイの一言にハリーはショックを受ける。

 

ミア「も、もしかしてインターミドル知らないとか?」

 

長身で、長い髪の少女―ハリーの妹分の1人『ミア』が聞く。

 

リュイ「?」

 

インターミドル自体知らないのでリュイは余計に分からなくなった。

 

ルカ「いやいやいや!?あり得ないでしょ!?」

 

リンダ「結構流行ってるのに知らないの!?」

 

サングラスを掛けた少女、ハリーの妹分の1人『ルカ』とマスクをした少女、同じくハリーの妹分の1人『リンダ』が詰めよって言う。

 

リュイ「うぅ…」

 

2人の迫力に押されリュイはまた涙目になり始めた。

 

ハリー「怖がってるだろ!!」

 

そんな2人にハリーは首根っこを掴んで引き離す。

 

その時、ハリーの両手に手錠がかかった。

 

ハリー「コイツは!?」

 

手錠に見覚えがあるハリーは振り向くと1人の少女がいた。

 

エルス「何小さい子を虐めてるんですか!」

 

短めツインテールの黒髪で、つるんとしたおでこに眼鏡を掛けている少女―ハリーと同じくインターミドルチャンピオンシップの上位選手の1人『エルス・タスミン』が言う。

 

ハリー「いや、虐めてたわけじゃ…」

 

エルス「問答無用!今のは誰がどう見ても虐めていたでしょ!!」

 

ハリー「話し聞け、デコメガネ!!」

 

手錠を破壊しながらハリーはエルスに言う。

 

エルス「誰がデコメガネですか!!」

 

こうなってハリーとエルスの喧嘩が始まってしまった。

 

ルカ・リンダ「「り、リーダー!?」」

 

慌ててルカとリンダが止めに入る。

 

リュイ「ねぇ…」

 

2人が喧嘩しているのをそっちのけでリュイはミアの服を引っ張った。

 

ミア「どうしたの?」

 

リュイ「これ…どれが…いいの?」

 

ミア「どれどれ…」

 

お使いの途中だと気付いてメモをミアに見せる。

 

ミア「あ、これはこっちがおすすめかな」

 

メモの食材を見て豚のひき肉を取って渡す。

 

リュイ「ありが…とう…」

 

ひき肉を受けるとリュイはお礼を言ってレジに向かっていった。

 

ミア(あ、あのチビッ子の名前…聞いてなかった)

 

名前を聞き忘れていたことに気付くミアだった。




リュイがハリーとぶつかって睨まれた時、少し離れた場所にシグナム、アギト、リインはいた。

リュイが心配でついてきたのだ。

シグナム「あの者、リュイを怖がらせるとは!!」

アギト「落ち着けシグナム!」

リイン「一般のお客さんもいるんですからレヴァンティンを仕舞ってください~!」

ハリーを斬り伏せようとするシグナムをアギトとリインは必死になって抑えていた。

このあとリュ詰めよったルカとリンダも斬ろうとしたために2人の気苦労は倍になったのだった。


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hunting 51

その日、シグナムは困り果てていた。

 

理由は……。

 

シグナム「リュイ…そろそろ離してくれないか?」

 

リュイ「やっ!」

 

困っているシグナムの理由、それはシグナムの制服を掴んだリュイであった。

 

シグナム「頼むから、離してくれ…」

 

リュイ「やぁー!!」

 

離すように言うシグナムだがリュイは頑なに嫌がる。

 

実ははやてたちはいつものように出勤だが…1名を除いて。

 

その1名がリュイの金髪に恐怖を抱かせる根源となったシャマルであったのだ。

 

シグナム「分かった。今日は出来るだけ早く帰ってくるから今日だけは我慢してくれ。約束だ」

 

リュイ「やく…そく…」

 

シグナムに言われてリュイは頷く。

 

シャマル「大丈夫よ、シグナム。私がついてるから」

 

シグナム「いや、お前だから心配なんだろ…?」

 

シャマル「うっ…」

 

トラウマの原因であることを否定できず、シャマルの心に何かが刺さった。

 

リュイ「はやく…かえって…きて…」

 

シグナム「分かっている」

 

リュイの頭を撫でてシグナムは出勤した。

 

 

 

朝はリュイが気に入っている番組があって大人しくテレビを見ている間に、シャマルは洗濯などの家事を済ませてい。

 

シャマル「リュイく~ん…ってアレ?」

 

お昼時を少し過ぎて自身の残念料理を何とかした後、リュイと遊ぼうとしているシャマルだがリュイの姿は無かった。

 

シャマル「ど、どこに…」

 

キョロキョロと辺りを見回してリュイを捜す。

 

リュイ「……」

 

シャマルがキョロキョロしている時、リュイはソファーの下に隠れて息を潜めていた。

 

シグナムが帰ってくるまでの間、シャマルから逃れるために隠れているのだ。

 

シャマル「み~つけた!」

 

リュイ「みぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

シャマルに見つかりリュイは悲鳴を上げてソファーから抜け出して逃げはじめた。

 

シャマル「あ、ちょっと!!」

 

逃げ出したリュイを追いかけるシャマル。

 

家でドタバタと走り回るリュイとシャマル。

 

いろいろ壊れる音がしていたがお構いなしに2人は追いかけっこする。

 

ト〇とジェ〇ーみたいとは言わないでください。

 

リュイ「!?」

 

逃げていたリュイは行き止まりの所に来てしまった。

 

シャマル「や、やっと…お、追いついた…」

 

追い詰めたがかなりお疲れのシャマルは言う。

 

リュイ「ひっ…」

 

アマゾンとの戦闘ならどうてことはないリュイだがシャマルにだけはどうしてもだめであった。

 

リュイ「ひぃ!!」

 

ここまでと思ってリュイが身を屈めた時、壁に飾られた絵が落下してきた。

 

シャマル「危ない!!」

 

落下してくる絵に気付いてシャマルはリュイに覆いかぶさった。

 

リュイ「?」

 

何が起きたか分からないリュイは落ちてる絵と自身に覆いかぶさっているシャマルを見て大体の状況を理解した。

 

シャマル「大丈夫?リュイくん」

 

リュイ「あ…あり…が…とう…」

 

シャマル「どういたしまして」

 

リュイの頭を撫でてシャマルは言う。

 

 

 

シグナム「帰ったぞ、リュ…イ…」

 

夕方になって他の面々より先に帰って来たシグナムはある光景を見て驚いた。

 

それはリュイとシャマルが寄り添って寝ていたのだ。

 

シグナム「これで少しは仲良くなれたか」

 

一緒に寝ている2人を見てシグナムは微笑んでそう言うのだった。




リュイ「ん…」

シャマル「あ、起きたみたいね」

リュイ「おは…よう…しゃまばあば…」

『!?』

リュイの一言に全員に衝撃が走った。

シャマル「わ…私って…おばあちゃん扱いなの…」

おばあちゃんポジションにシャマルはショックを受ける。

シャマル「でも…悪魔よりましかな…」

悪魔から昇格してシャマルは少し喜んでいた。


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出会う世界の破壊者と小さき狩人
hunting 52


ミウラ(いまだ!!)

 

リュイの隙を突こうとミウラの蹴りが迫る。

 

だがリュイは直ぐに体を低くしてかわす。

 

リュイ「ほい」

 

そしてミウラの脚を掴むと立ち上がって投げ飛ばした。

 

ミウラ「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

投げられたミウラは驚いて声を上げてしまった。

 

ミウラ「う~…また負けた~」

 

投げられたミウラは砂浜に寝ん転がって言う。

 

リュイ「みう…だいじょう…ぶ?」

 

心配そうにミウラの顔を覗き込むリュイ。

 

ミウラ「リュイくん…うん。大丈夫だよ」

 

リュイ「よかった…」

 

ミウラが大丈夫と分かってリュイは嬉しそうにしていた。

 

その日のリュイは八神家がしている道場の模擬相手をしていた。

 

勿論、力を抑制するリストバンドを着けてだ。

 

はやてとリイン、アギトはアインハルト用のデバイス完成のお披露目とお渡し会をしているのだ。

 

でヴィータ、ザフィーラ、シグナムの見守る中でインターミドルが近いミウラの調整がてらの模擬戦をしていたのだ。

 

ヴィータ「やっぱりリュイとは余り確りとした模擬戦にはならないか…」

 

ザフィーラ「だがいろいろと学べる点はあるな」

 

シグナム「だが抜剣が使えねば…」

 

模擬戦を見てヴィータたちは話していた。

 

ヴィータ「そうだなぁ…」

 

ザフィーラ「いっそのことリュイにわざと受け止めてもらうというn…」

 

ザフィーラが意見を言っていると目の前に刃があった。

 

シグナム「何か言ったか?ザフィーラ…」

 

ザフィーラ「い…いや…なんでも…ない……」

 

シグナムの目力にザフィーラは引いた。

 

リュイ「みうら…」

 

ミウラ「なに?」

 

リュイ「みうらの…わざ…うけて…みたい…」

 

ミウラ「え!?」

 

リュイの一言にミウラは驚いた。

 

ミウラの技は近接型の収束魔法である『抜剣』だ。

 

練習で何度も放っているがその都度、標的の棒を破壊している。

 

それを受けたいなど狂気の沙汰ではない。

 

リュイ「だめ?」

 

ミウラ「だ、ダメだよ!危ないし、下手したら大怪我しちゃうよ!!」

 

リュイ「だいじょうぶ…ちゃんと…うけとめるから…」

 

ミウラ「で、でも…」

 

チラリとヴィータたちの方を見る。

 

リュイのことを過保護しているシグナムに何をされるか分かったものではないのだ。

 

ミウラの心配ごとが分かったのかリュイはシグナムの方に向かった。

 

リュイ「しぐまま…」

 

シグナム「どうした?」

 

リュイ「みうらの…わざ…うけたい…」

 

シグナム「な!?」

 

リュイの一言にシグナムは絶句してザフィーラを睨む。

 

睨まれたザフィーラは首を横に振って違うとアピールする。

 

リュイ「ボクが…いったから…ワンワン…かんけい…ない…」

 

シグナム「だが下手をすれば大怪我に…」

 

?「そうそう、怪我されたらこっちが迷惑だって」

 

声の方を見ると1人の青年が立っていた。

 

ヴィータ「だ、誰だ?」

 

海東「僕は海東 大樹。またの名を…」

 

『海東 大樹』は名乗るとどこからか銃とカードを取り出して銃にカードを装填した。

 

【KAMEN RIDE!】

 

海東「変身!」

 

【DIEND!】

 

銃を天に向かってトリガーを引くと海東が変身した。

 

ディエンド「仮面ライダーディエンド。ただの通りすがりの仮面ライダーさ」

 

青い体にバーコードに似た姿をした仮面ライダー『仮面ライダーディエンド』になって名乗るのだった。



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hunting 53

シグナム「か、仮面ライダー…ディエンド?」

 

突然現れた仮面ライダーディエンドを名乗る仮面ライダーに驚く。

 

ディエンド「さっそくで悪いけどそっちの仮面ライダーを出してくれないかな?」

 

ヴィータ「なに?」

 

ディエンド「この世界にいることは分かってるんだよ。アマゾンライダー ガンマ」

 

ガンマの絵が描かれたカードを出しながら言うディエンド。

 

ディエンド「あれ?出てこないならこっちからいくよ」

 

武器であり変身アイテムである『ディエンドライバー』のトリガーを引いて発砲する。

 

ディエンドの弾丸がシグナムたちを通り過ぎてミウラたち門下生に向かっていく。

 

だが門下生たちに当たる前にリュイがリストバンドで弾丸を弾いた。

 

ディエンド「!!」

 

リストバンドで弾丸を弾いたリュイを見てディエンドは驚く。

 

弾丸を弾いたリュイのリストバンドはボロボロになって外れてしまった。

 

ディエンド「君、いったい何者?」

 

リュイ「おにいさんが…さがしてる…の…」

 

アマゾンズドライバーを出して左側のグリップを捻った。

 

GA()M()MA()!】

 

グリップを捻ると両目のような赤い部分に血走りのような模様が入り、英語風に『ガンマ』と聞こえた。

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ガンマ「ぼく…だよ…」

 

白い純白の全身で、両腕と両足そして背には鋭いカッターがあり、青い目をした戦士『仮面ライダーアマゾン ガンマ』に変身して、ディエンドに言う。

 

ディエンド「なるほど…君がガンマだったか。じゃあ、さっそく始めるかな」

 

ガンマに変身したリュイを見てディエンドは新たな2枚のカードを出した。

 

【KAMEN RIDE RAIA!】

 

【KAMEN RIDE GAI!】

 

2枚のカードを装填してトリガーを引くと新たな仮面ライダーが現れた。

 

紅色の体で、左腕にあるエイを模した盾型の召喚機『飛召盾(ひしょうだて) エビルバイザー』がある仮面ライダー―『仮面ライダーライア』。

 

グレー寄りの銀で、西洋甲冑のような外観をしており、左肩アーマー前部に取り付けられている召喚機『突召機鎧(とっしょうきがい) メタルバイザー』がある仮面ライダー『仮面ライダーガイ』の2人の仮面ライダーをディエンドは召喚したのだ。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

召喚された2人の仮面ライダーに驚きはしたもののガンマは怯まずに向かって行く。

 

ディエンド「へぇ、これで怯まないなんてかなりの手練れかな?」

 

向かって来るガンマを見てディエンドは感心するように言いながらライア、ガイと共に向かっていくのだった。



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hunting 54

ガイ「であっ!!」

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ガイの拳とガンマの拳がぶつかり合う。

 

パワーが互角であったのか2人は互いに吹き飛ぶ。

 

【スイングベント!】

 

ライア「せあっ!!」

 

ガンマ「あぐっ!?」

 

態勢を立て直そうとしたガンマの首に専用武器―スイングベントのカードで呼び出した『エビルウィップ』を巻き付け締め上げる。

 

ストライクベント!

 

ガイ「おらっ!」

 

ガンマ「があぁぁぁぁっ!?」

 

エビルウィップに首を絞められて動けないガンマにガイがストライクベントで呼び出した専用武器『メタルホーン』で攻撃する。

 

ディエンド「僕も忘れないでくれよ?」

 

【ATTACKRIDE BLAST!】

 

さらにそこへディエンドがディエンドライバーの銃口を一時的に分身させ、一度に発射できる弾丸の量を増やして連射を浴びせる『ATTACKRIDE BLAST』を繰り出す。

 

ガンマ「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ガイ、ライア、ディエンドの3人の仮面ライダーの攻撃にガンマは膝を着いてしまった。

 

シグナム「リュイ!?」

 

ヴィータ「3人がかりで攻撃するとか卑怯な真似しやがって!」

 

レヴァンティンとグラーフアイゼンを出してガンマの加勢をしようとする。

 

ディエンド「ライダー同士の戦いに邪魔を入れないでくれるかい?」

 

【KAMENRIDE IKUSA!】

 

【KAMENRIDE ZANKI!】

 

【KAMENRIDE REI!】

 

加勢しようするシグナムたちにディエンドは新たに3人の仮面ライダーを召喚した。

 

聖職者の法衣をイメージしたような仮面ライダー『仮面ライダーイクサ』

 

緑の体色で縁取りと腕が銅色の、1本角の鬼の仮面ライダー『仮面ライダー斬鬼』。

 

イエティをモチーフとして、カラーは白の仮面ライダー『仮面ライダーレイ』の3人だ。

 

ディエンド「行けっ!」

 

ディエンドの指示でイクサたちはシグナムとヴィータに向かっていく。

 

ガンマ「ぐっ…しぐ…まま…」

 

未知の相手と戦うシグナムたちにガンマは力を奮い立たせる。

 

ライア「させるか!」

 

ガンマ「あぐっ…」

 

力を奮い立たせるガンマにライアは更に首を締め上げる。

 

それでもガンマは力を奮い立たせてエビルウィップを掴んで引き千切ろうとする。

 

ガイ「おらっ!!」

 

エビルウィップを引き千切ろうとするガンマにガイがメタルホーンで攻撃する。

 

だがガンマはガイの攻撃など意に返さず引き千切ろうとする。

 

そんな時だった。

 

ディエンド「ねぇ、取引しない?」

 

ガンマ「?」

 

ディエンド「君が僕の物になってくれたら君の大切な人たちを助けてあげるよ」

 

ガンマが描かれたカードを見せながらディエンドはガンマに言う。

 

ガンマ「……」

 

ディエンドの言葉にガンマは揺らぐ。

 

いくらシグナムとヴィータが強くても3対2…しかも仮面ライダーが相手では不利であるからだ。

 

?「そいつの話しには乗らない方がいいぞ」

 

ディエンド「この声は…」

 

揺らぐガンマに助言するように1人の男性が現れて言うとディエンドは嫌な顔をした。

 

ディエンド「また僕の邪魔をする気かい?士」

 

こちらに向かってくる男性『門矢 士』にディエンドは言う。

 

士「お前が子供相手に大人気なくしてるからだろ?」

 

ディエンド「じゃあ、どうするつもりだい?」

 

士「こうするんだよ。変身!」

 

【KAMENRIDE DECADE!】

 

腰にベルトを装着してカードを装填すると左右から閉じると仮面ライダーに変身した。

 

ディケイド「さて、少し手助けしてやるか」

 

ピンクじみたマゼンタのボディに、バーコード状の縞々フェイスであるエキセントリックな容姿を持つ仮面ライダー『仮面ライダーディケイド』は言うのだった。



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hunting 55

ディエンド「士、また僕の邪魔をする気かい?」

 

ディケイドにディエンドは言う。

 

ディケイド「お前が言うな。まだ戦いのゴングは鳴ってねーんだぞ?」

 

ディエンド「それがどうしたの?早めに優勝候補を潰せば僕が有利になるし、何より…」

 

ガンマの描かれたカードを見せるとディケイドは「はぁ…」とため息をついた。

 

ディケイド「またお宝か?」

 

ディエンド「そ、この子はどの世界のライダーのも当てはまらない未知数の力を持ってるからね」

 

ディケイド「はぁ…いい加減にしろよ、海東」

 

ディエンド「僕のことをよく知ってる君なら分かってると思うけど…すべてのお宝は僕が戴く!!」

 

そう言ってディエンドは発砲する。

 

ディケイド「はッ!!」

 

発砲されたディケイドは専用武器である『ライドブッカー』のソードモードでディエンドの攻撃を斬り落とす。

 

ガンマ「しぐまま…!」

 

ディケイドとディエンドが戦っている隙にガンマはシグナムたちと戦っているイクサ、斬鬼、レイの方に向かっていく。

 

ライア「デアっ!!」

 

ガイ「オラァ!!」

 

ディエンドの銃撃を防いだディケイドにライアとガイが襲い掛かった。

 

ディケイド「お前らにはこいつで相手をしてやるよ」

 

そう言ってディケイドは1枚のカードを出すとディケイドライバーのバックルを開いて挿入した。

 

【KAMEN RIDE RYUKI!!】

 

カードを挿入するとディケイドの姿が変わった。

 

バーコードをモチーフにした姿から鉄仮面のような顔で、左腕に装備されているガントレットタイプの召喚機―『龍召機甲(りゅうしょうきこう) ドラグバイザー』を持った仮面ライダー―『仮面ライダー龍騎』に変身した。

 

【ATTACK RIDE STRIKE VENT!!】

 

龍騎(ディケイド)「こんがり焼けろ、エイ野郎!!」

 

龍騎に変身したディケイドは新たにカードを挿入すると龍騎のストライクベントで発動させた。

 

龍騎の契約しているミラーモンスター『ドラグレッダー』の頭部を模した右手甲から放たれる火炎がライアを包み込んだ。

 

ライア「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ストライクベントを喰らってライアは爆発・消滅する。

 

ガイ「くっ!!」

 

ライアが倒されたのを見てガイは新たなカードを出した。

 

龍騎(ディケイド)「させるかよ!」

 

【FINAL ATTACK RIDE RYU・RYU・RYU・RYUKI!!】

 

カードを出したガイを見て龍騎(ディケイド)はドラグレッダーを召喚して飛び、空中で1回転するとドラグレッダーの火炎に乗って加速した飛び蹴りのような技―龍騎の必殺技(FINAL VENT)を繰り出した。

 

ガイ「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

必殺技(FINAL VENT)を喰らってガイも爆発・消滅した。

 

ディエンド「やるねぇ、士」

 

ディケイド「まだこんなもんじゃないだろ?」

 

ディエンド「あぁ、そうだね」

 

構える両者、その時だった。

 

?「光家秘伝・笑いのツボ!!」

 

2人の首に親指が押されて、ツボを突いた。

 

ディケイド・ディエンド「「あははははははははははははははははははははははは!!」」

 

ツボを押されて2人は急に笑い始めた。

 

変身が解除される程に…。

 

ディエンドの変身が解除されてイクサ、斬鬼、レイの3人も消えた。

 

士「お、おい…はははははは、夏みかん!お前…ははははははははは!!」

 

夏海「2人揃って周りに迷惑をかけすぎです!」

 

士と海東の笑いのツボを押した張本人の女性―『光 夏海』は言う。

 

夏海「ごめんなさい、私の仲間がご迷惑を…お詫びとは何ですが手当をさせてください」

 

相手が消えて困惑しているシグナムたちに夏海は言うのだった。



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hunting 56

夏海に案内されたシグナムたちは光写真館の待合室にてコーヒーとジュースを出されてもてなしをされていた。

 

夏海「本当にごめんなさい!」

 

シグナムたちに夏海が士と海東の代わりに頭を下げる。

 

因みに士と海東の2人はいまだに【光家秘伝・笑いのツボ】の影響で笑いっぱなしで、リュイは変身を解いた時の反動でシグナムに抱っこされて眠っている。

 

シグナム「いや、気にするな。幸いにして怪我人は出ていないのだからな」

 

夏海「そう言ってもらえると助かります」

 

ヴィータ「それでアイツ(海東)はなんでリュイを狙ったんだ?」

 

夏海「実は…私たち、いろいろな世界を回って旅をしているんです」

 

ザフィーラ「世界を回って?」

 

夏海「世界って言っても仮面ライダーいる世界のことです。そこで私たちはいろいろな仮面ライダーに出会いました」

 

ヴィータ「その仮面ライダーって何なんだよ?」

 

【仮面ライダー】という聞きなれないワードにヴィータは聞く。

 

夏海「仮面ライダーは人々の平和を守るために戦うヒーローのことです。まあ、あの2人は特殊ケースといいますけど…」

 

士と海東の2人を見ながら夏海は仮面ライダーのことを簡潔に言う。

 

シグナム「それで、なんでリュイが狙われるのだ?」

 

夏海「海東さんは私たちのようにいろいろなライダーの世界を回っています。そして、その世界のお宝を盗んでいくんです」

 

ヴィータ「なるほど。アタシらの世界でのお宝が、リュイだったって訳か」

 

夏海「はい、その通りです。でも、もう大丈夫です。私たちがしっかりと海東さんを見張っておきますから!」

 

ヴィータ「そいつは安心だな…って、それよりアレはなんとかなんねーのか?」

 

話をしていた時にヴィータがある方向を指差した。

 

そこには笑いっぱなしになって瀕死になってピクピクと痙攣している士と海東がいた。

 

夏海「大丈夫です。あの人たちは少し反省するべきです」

 

そう言って士と海東を放置する夏海。

 

ヴィータ「なのはみてーに酷いな…」

 

結構厳しい発言をする夏海にヴィータはそう言う。

 

リュイ「ん…」

 

反動が消えたのかリュイが目を覚ました。

 

シグナム「起きたかリュイ」

 

リュイ「おはなし…おわった?」

 

ヴィータ「丁度終わったところだよ」

 

夏海「それにしてもパッと見は普通の子供なのに仮面ライダーだなんて…」

 

意外そうに起きたリュイを見て言う。

 

リュイ「?」

 

夏海の言葉にリュイは首を傾げる。

 

シグナム「ではそろそろ帰るとするか」

 

立ち上がってシグナムは言う。

 

夏海「あ、玄関まで送ります」

 

そう言って夏海はシグナムたちを見送ったのだった。




その頃、光写真館の一室に1人の青年が膝を抱えていた。

ユウスケ「お、俺の出番…結局なかった……」

『仮面ライダークウガ』の『ユウスケ』はそう呟いていたのだった。


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hunting 57

その日、シグナムは管理局の医療室に来ていた。

 

治療のためではなくリュイの検査結果を聞きに来たのだ。

 

シグナム「シャマル。リュイの結果はどうだった?」

 

シャマル「それがリュイくんは…その…」

 

リュイの検査結果をシグナムに聞かれシャマルは言葉を詰まらせる。

 

シグナム「何か異常が見つかったのか!?」

 

言葉を詰まらせるシャマルにシグナムは心配して詰め寄る。

 

シャマル「異常と言えば…異常よ」

 

リュイを心配するシグナムにシャマルは検査結果を見せる。

 

シグナム「これは…!?」

 

検査結果を見たシグナムは驚く。

 

そこにはリュイの体重が一般的な子供の平均体重の5kgも軽かったのだ。

 

シャマル「リュイくんはかなり痩せちゃってるわ」

 

シグナム「そう言えばあまり食事を食べないな…これ以外に何か異常はないのか?」

 

シャマル「えぇ、体重が軽いこと以外は健康そのものよ」

 

シグナム「そうか…ではリュイが野獣のように狂暴になったのはなぜだ?」

 

【アマゾンマンション】にて、一時的にリュイが自身にも攻撃するほど凶暴化したことを思い出しながら聞く。

 

シャマル「多分、リュイくんが野獣みたいになったのは自食作用(オートファジー)に似た現象だと思うわ」

 

シグナム「オートファジー?」

 

【オートファジー】と聞いて、シグナムは首をかしげた。

 

シャマル「人が飢餓状態になって生命の危機に直面すると自身の細胞を分解して一時的に回避することよ。リュイくんの場合他の生き物を食べようとしていたのかもしれないわ」

 

シグナム「一時的にアマゾンとしての本能が目覚めたのか…」

 

シャマル「えぇ。でもシグナムの話を聞く限りだと例え自食作用(オートファジー)が発動しても少なくともシグナム、貴女の言葉だけには反応するみたいだからね」

 

シグナムの声を聞いて元に戻ったことを聞いていたシャマルは言う。

 

シグナム「そうだな」

 

自食作用(オートファジー)で凶暴化していたとしても、母親(シグナム)の声だけは反応し、正気を取り戻せると聞いて、シグナムの中でリュイへの一層の愛情が芽生えた。

 

 

 

シグナムがシャマルと話をしている時、リュイは家のリビングでザフィーラと留守番をしていた。

 

リュイ「わんわん…もふもふ~…」

 

相変わらずザフィーラの体をもふもふしていた。

 

ザフィーラ「り、リュイ…流石にそこは…むぐっ」

 

犬で言えば1番触ってほしくない鼻辺りを触られてザフィーラは嫌がるがリュイは気にせずに触る。

 

リュイ「!」

 

ザフィーラを触られていたリュイは誰かの視線に気づいて窓から外を見た。

 

リュイ「?」

 

外を見たリュイだったが誰もいなかったので首を傾げる。

 

ザフィーラ「どうかしたか?」

 

リュイ「ううん…なんでも…ない…」

 

ザフィーラに聞かれてリュイはそう答えると再びもふもふし始めた。

 

 

 

?「アレが今の皇子…ただのガキか…」

 

リュイのいる家から数km離れた木の上で見ているスーツを着た男性がいた。

 

?「どれだけ俺を楽しませてくれるかな…この俺を…」

 

不適に笑いながら男性は言うのだった。



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最凶の狩人
hunting 58


リュイ「ここ…どこ…?」

 

その日のリュイはインターミドルの会場に来ていたが余りにも人が多く、一緒に来ていたはやてたちとはぐれてしまっていた。

 

今日はミウラが出る大事な試合で応援に来たのだがこの状況になのだ。

 

必死になってはやてたちを捜すリュイ。

 

その時、辺りの風景がガラリと変わった。

 

色が無くなって白黒に、時が止まったように何もかもが動かなくなっていた。

 

リュイ「?」

 

何が起きているのか、突然のことでリュイは混乱していた。

 

?「やっと会えたな」

 

混乱しているリュイに1人のスーツを着た男性が現れた。

 

リュイ「おにーさん…だれ?」

 

ネバー「そうだな…ネバーとでも名乗っておこう」

 

リュイに聞かれて男性は『ネバー』と名乗った。

 

リュイ「その…ねばあが…なにか…よう…なの?」

 

ネバー「ふっ、俺の目的はただ1つ。八神 リュイ…いや、アマゾンガンマ!お前の命だ!!」

 

ネバーはそう言うとリュイより黒く、両目のような部分が紫色のアマゾンズドライバーを出して腰に巻いた。

 

シグマ!

 

ネバー「アマゾン…」

 

左側のグリップを捻り、そう言って再び捻ると辺りに熱気と衝撃波を放ちながら姿を銀色の体表面、わずかにオレンジ色に染まった胸部装甲、紫色の複眼を持つアマゾンライダーになった。

 

シグマ「仮面ライダー…アマゾンシグマ、見・参…」

 

リュイ「!?」

 

ネバーが変身したアマゾンライダー―『仮面ライダーアマゾンシグマ』に驚くリュイ。

 

だが驚きながらもリュイはアマゾンズドライバーを出して左側のグリップを捻った。

 

ガンマ!

 

リュイ「アマゾン…」

 

再び捻りながらぽそりと呟きリュイはガンマに変身した。

 

シグマ「やっと来たか…お前はそうだな…」

 

シグマは指を5本見せると親指を折った。

 

シグマ「4手で潰す」

 

ガンマ「グルルルル……ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

4手で自身を潰すと宣言したシグマの挑発にガンマは乗ってしまっていて真っ向からっ込んでいく。

 

同時に異空間のようなのが消えて元の空間になっていたがガンマは気づいていない。

 

ガンマ「ウワアァァァァァァァァァァ!!」

 

ガンマのアームカッターがシグマの首を切り裂く。

 

ガンマ「ウラアァァァァァァァァァァ!!」

 

続けてレッグカッターを顔に叩き込んで転倒させる。

 

そして一旦距離を取り跳躍した。

 

バイオレント・ストライク!!

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

倒れているシグマにバイオレント・ストライクを放つ。

 

ガンマのバイオレント・ストライクが決まり土煙が舞い上がる。

 

ガンマ「やった……!?」

 

土煙が収まるとそこには自身の脚を掴んでいるシグマの姿があった。

 

シグマ「その程度か?お前の力は…オラ!!」

 

掴んだガンマを投げ飛ばすシグマ。

 

シグマ「1!!」

 

シグマは投げたガンマに一気に追いつくと蹴り上げた。

 

シグマ「2!!」

 

蹴り上げたガンマを追って跳躍するとアリーナの方に殴り飛ばした。

 

シグマ「3!!」

 

手刀にした手をガンマに向かって繰り出す。

 

ガンマ「ぐっ…ウオォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

ガンマも殺られているばかりにいかずにレッグカッターで対抗しようとする。

 

2人のアマゾンライダーの姿が重なるとアリーナに屋根を突き破った。

 

 

 

アリーナではインターミドルの予選が行われていた。

 

しかし突然屋根が崩れたために予選の大会は止まり、ざわついていた。

 

ザフィーラ「何だ!?」

 

ヴィータ「屋根が崩れたみたいだがなに…!?」

 

突然屋根が崩れたのを見てミウラのセコンド役になっていたザフィーラとヴィータは警戒していたが埃が晴れてあったのはシグマの手刀に胸を貫かれたガンマの姿があった。

 

シグマ「しまった…1手早く過ぎたか」

 

1手早くガンマを倒したシグマは貫いていた手刀を引き抜いた。

 

ガンマ「が…あ…あぁ………」

 

手刀を引き抜かれたガンマは3歩後退して仰向けに倒れてしまった。

 

誰かの悲鳴がアリーナに響き渡った。



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hunting 59

シグナム「リュイ、しっかりするんだ!」

 

インターミドルの会場から近くの病院にてストラクチャーに寝かされ、運ばれるガンマを呼び掛けるシグナム。

 

体はボロボロで所々に傷があった。

 

シグナムの反対側にはシャマルが他のナースたちと走っている。

 

「すいませんがここまでです」

 

処置室前でナースに止められるシグナム。

 

シグナムを止めたナースが入ると運ばれたガンマがいる処置室の扉が閉まった。

 

シグナム「リュイ…」

 

拳を強く握りシグナムは怒りを露にしていた。

 

それは今から3時間前の出来事だ。

 

ガンマがシグマの前に胸を貫かれ倒れた時だった。

 

突然現れガンマを倒したシグマに観客は驚いて逃げていた。

 

シグマ「ふん、この程度か」

 

倒れたガンマを見てシグマは言う。

 

シグマ「ん?」

 

殺気に気付いてシグマは振り向きざまに何かを掴んだ。

 

巨大化なハンマー―騎士服になりアイゼンを持ったヴィータだった。

 

その眼光はシグマへの怒りが込められていた。

 

シグマ「ただの人間が何のようだ?」

 

ヴィータ「うるせぇ!テメエ、よくもアタシらの家族を!!」

 

シグマ「家族?…あぁ、この雑魚のことか?」

 

倒れているガンマの顔を踏みながらシグマはヴィータを挑発する。

 

ヴィータ「その足を離しやがれ!!」

 

怒り任せにアイゼンをシグマから離すと再び振り下ろした。

 

振り下ろされたアイゼンはシグマの首を1回転させた。

 

ヴィータ「どう…!?」

 

殺ったかと思いきやシグマは自身の首を掴むと再び1回転させて元の位置に戻した。

 

シグマ「何がどうした?」

 

ヴィータ「ば、化け物かよ…」

 

何事もなく首を戻して喋るシグマにヴィータは恐怖心を走らせる。

 

シグマ「失せな、人間!」

 

エネルギーを纏わせたシグマの蹴りがヴィータの腹部に命中した。

 

ヴィータ「がはっ!?」

 

腹部に蹴りを喰らいヴィータはアリーナの柱に叩きつけられた。

 

シグマ「やはり…人間はつまらんな」

 

一撃でヴィータを倒したシグマは呟く。

 

はやて「ほならウチらが相手やで!!」

 

シグマ「ん?」

 

声の方を見ると本来ならミウラたちの応援をしに来たはやて、フェイト、なのはの3人がバリアジャケットを纏っていた。

 

シグマ「ふん…闇の書…いや、今は夜天の書の保有者とただの魔法使いか」

 

はやてたちを見るなりシグマはつまらなそうに言う。

 

なのは「かなり嘗めてるみたいだから少し頭を冷やそうか?」

 

つまらなそうに言うシグマになのはレイジングハートを向ける。

 

だが次の瞬間、シグマは跳躍し右側のアームカッターでなのはの首を切り落とした…ビジョンが流れた。

 

「「「!!?」」」

 

ビジョンを見てはやてたちはシグマから距離を取る。

 

シグマ「いい判断だな。実際に距離を取らないとそうなっていた(・・・・・・・)

 

小馬鹿にするようにシグマは距離を取ったはやてたちに言った。

 

なのは「い、今のって…」

 

フェイト「自身のイメージをビジョンで私たちに見せた…!?」

 

はやて「いったい…何者なんや…」

 

自身のイメージを自分たちにビジョンとして見せてきたシグマにはやてたちも恐怖心が走る。

 

シグマ「ふっ、つまら…!?」

 

はやてたちの恐怖心を感じていたのかシグマが言っていると後ろからヴィータ以上の殺気に満ち溢れた人物が斬りかかってきた。

 

シグナムだ。

 

シグナム「貴様が…貴様がリュイをぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

クールな彼女とはかけ離れた怒りと憎悪を露にしながらレヴァンティンを振り下ろした。

 

シグマ「チッ!」

 

シグナムの斬撃が速すぎて対応しきれないシグマは右腕を肘から下を斬られるが直ぐに回収して後ろに下がった。

 

シグマ「今の時代にもお前のような戦士がいたとわな。少々驚いたぞ」

 

シグナムから感じる怒りと憎悪にシグマは言う。

 

シグナム「今の私は貴様を斬ることしか考えん。覚悟しろ!!」

 

レヴァンティンを構えながらシグナムは言う。

 

シグマ「くくくく、そいつは楽しみだな…っと言いたいが生憎とタイムオーバーだ。あばよ!」

 

そう言ってシグマはアリーナの壁を破壊して粉塵を撒き散らして姿を眩ましたのだった。

 

そして事態を収拾するためにはやて、フェイト、なのはは現場に残り、シグナムはガンマを、ザフィーラはヴィータを抱えてシャマルと共に病院に来たのだ。

 

幸いにしてヴィータは騎士服のお陰で大事には至らなかったが胸を貫かれたガンマは緊急手術をすることになったのだ。

 

シグナム「シャマル…リュイを…リュイを助けてくれ…」

 

神にでも祈るようにシグナムは近くの椅子に座って願っていた。

 

そんなシグナムの姿をザフィーラと処置が終わったヴィータは見ていたのだった。



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hunting 60

はやて「シグナム!」

 

リュイが担ぎ込まれた病院に現場検証していたはやて、なのは、フェイト、そしてインターミドルに参加していたチームナカジマのメンバー(ヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルト)、ミウラが来た。

 

はやて「リュイは!?」

 

シグナム「まだ…手術が終わらないようです…」

 

なのは「胸を貫かれてたからね…」

 

ガンマがシグマに胸を貫かれたことを思い出して言う。

 

シグナム「くっ…私がしっかりしていれば……」

 

フェイト「アレは誰も対応できないわ。突発的すぎたから…」

 

シグマとガンマが現れた時にすぐさま反応するのは誰であろうと難しい。

 

すると『手術中』のライトが消えてシャマルが出てきた。

 

シグナム「シャマル!リュイは!?」

 

シャマル「それが…」

 

シグナム「リュイ!」

 

シャマルを退けてシグナムは処置室に入った。

 

シグナム「!?」

 

シグナムが処置室に入るとそこには点滴も何も付けられていないで、ベッドに寝かされているリュイがいた。

 

シグナム「まさか…そんな…」

 

リュイを見てシグナムは膝を着いてしまった。

 

シグナム「リュイ…」

 

眠っているリュイを見て膝を着いたシグナムは泣きそうになっていた。

 

リュイ「ん~…しぐまま?」

 

泣きそうになっていたシグナムの声を聞いてリュイがベッドから起きた。

 

シグナム「リ、リュイ!?」

 

起き上がったリュイにシグナムは驚き、慌てて立ち上がり近寄った。

 

リュイ「どう…したの…?」

 

驚いて近寄って来たシグナムにリュイは心配そうにしていた。

 

シグナム「リュイ…体はもう、大丈夫なのか?」

 

リュイ「うん…なんとも…ないよ…」

 

胸を見せてリュイは言うと、シグマの手刀で貫かれてできたハズの大穴が開いていなかった。

 

シグナム「よかった…よかった…」

 

無事なリュイを見てシグナムは自身に抱き寄せるとそう言って泣き始めた。

 

リュイ「しぐまま?」

 

泣いているシグナムを見てリュイは首を傾げていた。

 

 

 

そんな姿をはやてたちは見ていてヴィヴィオ、リオ、コロナ、アインハルト、ミウラ、アギト、リイン、付き添いでノーヴェたちは駆け寄った。

 

はやて「よかった、リュイが無事で」

 

フェイト「さすがシャマル先生ですね。傷も残らないくらいに回復させるなんて」

 

なのは「アマゾンだったから効きすぎたんですか?」

 

冗談交じりに言う面々に対し、シャマルは少し浮かない顔をしていた。

 

ヴィータ「お、おい…どうしたんだよ?」

 

浮かない顔をしているシャマルにヴィータは聞いた。

 

シャマル「私…何もしてない…」

 

はやて「え?」

 

シャマル「私が処置しようとした時にはもうリュイくんの体は治っていたの…」

 

フェイト「それって…」

 

なのは「リュイくんは…ただのアマゾンじゃない?」

 

人間であろうと、アマゾンであろうと胸を貫かれれば生命の保証は無い。

 

しかしリュイはシャマルが処置する前に傷が完治していたと聞いて、なのはたちは驚く。

 

シャマル「えぇ。いくらアマゾンでもあんな傷を負えば下手すれば死んでしまうハズ…なのに…」

 

致命傷とも言える傷を負ったハズなのに処置する前にすでに回復していたと、生で見ているシャマル自身も驚いた。

 

はやて「リュイ…」

 

致命傷を短時間で治し、元気になっているリュイを見てはやては少し心配になっていた。



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傷ついた小さな心
hunting 61


シグマ襲撃から数日後。

 

シグナム「ふむ、良い朝だな」

 

カーテンを開けて朝日を浴びるシグナム。

 

リュイ「ん~…」

 

朝日を浴びてリュイは眩しいのか日陰を作る。

 

まだ眠くて仕方ないようだ。

 

シグマとガンマの戦闘でインターミドルは一時中断ということが決まった。

 

幸いリュイの正体はバレずに済んだことが八神家や関係者にとっては大きな救いであった。

 

ただ問題があるとすれば…。

 

シグナム(また泣いていたのか…)

 

リュイの顔に涙の痕を見つけてシグナムは思う。

 

シグマに敗北して以来リュイは毎晩のように泣いているのだ。

 

悔しくて泣くのならいいのだがそれだけではない。

 

今のリュイは変身して戦うことが出来ないのだ。

 

3日前のビートルとスタッグアマゾンとの戦いの時である。

 

当初はリハビリもつもりで戦うハズだったのだが変身して直ぐに発作を起こして戦うことが出来なかったのだ。

 

その時はシグナムたちによって撃退されたので事なきを得たが…シグマによる敗北の恐怖がリュイの中に根強く残ってしまっているようなのである。

 

シグナム「リュイ…」

 

流石のシャマルでも心に根付いてしまった恐怖心まで治すことは出来なった。

 

リュイの頭を撫でてシグナムは静かにドアに向かって部屋を出てリビングに向かった。

 

 

 

シグナムがリビングに行くとはやてたちがすでにいた。

 

はやて「シグナム…リュイの様子は?」

 

シグナム「昨晩も泣いていたようで今も寝ています」

 

はやて「そうか」

 

シグナムからリュイの様子を聞いてはやては言う。

 

ヴィータ「仮面ライダーアマゾン シグマ…アイツにボロボロにされたんだ。無理はねぇよ。実際、あたしだって今でも夢で見る…」

 

シグマによる恐怖心はリュイほどではないがヴィータも戦ったから分かるようで言う。

 

ザフィーラ「何とかしなければいずれ奴はリュイを狙って現れるぞ」

 

ザフィーラの言うとおりである。

 

いずれガンマことリュイが生きていると分かればシグマは再び姿を現すであろうからである。

 

その時、もしリュイが今のままでは戦うどころか一方的に殺されてしまうからだ。

 

はやて「せやな…でもこればっかりはウチらでどうこう出来る問題やないで」

 

シャマル「そうね。これはリュイくん自身の心の問題だものね」

 

シグナム「だがどうにかせねば…」

 

例え戦えなくともリュイが今の状態が続けばリュイ自身にとってよろしくないと考えるシグナム。

 

リイン「あ、そうです!あれがありました!」

 

何か思い出したのかリインはリビングを出て自身の部屋に向かった。

 

リイン「シグナム、明日リュイくんと行くといいですよ!」

 

戻って来たリインはそう言って2枚の水族館親子ペアチケットを手渡した。

 

アギト「なるほど、水族館に行ってリュイの心のケアをするわけだな!」

 

シグナム「そうか…主はやて」

 

はやて「シフトは何とかしとくから行ってきや」

 

シグナム「はい」

 

はやてからリュイの心のケアを任されたシグナムは頷いたのだった。



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hunting 62

翌日、シグナムはリュイを連れて水族館に来ていた。

 

リュイ「しぐまま…?」

 

水族館を知らないのかリュイは不安な眼差しでシグナムを見た。

 

シグナム「大丈夫だ。安心するんだ」

 

不安なリュイにシグナムは優しく頭を撫でて言う。

 

リュイ「…………」

 

シグナムに言われてリュイは少し安心する。

 

安心したリュイを見てシグナムは窓口に行ってリインから貰ったチケットを渡した。

 

スタッフ『親子二名の招待券ですね』

 

シグナムからチケットを受け取った窓口のスタッフはチケットに判を押した。

 

スタッフ『では、お楽しみください』

 

判を押したチケットをシグナムに返す。

 

シグナム「リュイ、行くぞ」

 

リュイ「うん…」

 

チケットを受け取ってシグナムはリュイに言うと入り口の方へ向かう。

 

 

 

シグナムとリュイが水族館に行っている時、はやてたちは管理局に出勤していた。

 

リイン「あの2人…大丈夫ですかね」

 

はやて「大丈夫や、リイン。アマゾンが出ない限りシグナムがいればリュイは大丈夫やて」

 

心配するリインにはやてはそう言う。

 

リイン「そうですね」

 

はやて「そうや」

 

 

 

リュイ「ふわあぁ~…」

 

入り口から入って直ぐにリュイは目を輝かせていた。

 

目の前に多くの種類の魚たちが泳いでいる巨大水槽であった。

 

リュイ「しぐまま…おしゃかにゃ…いっぱい…」

 

巨大水槽の中を泳ぎ回る魚にリュイはすっかり興奮して間近まで走っていく。

 

シグナム「そうだな」

 

興奮しているリュイを見てシグナムは心から嬉しくなっていた。

 

今は戦えないとは言え、その原因である恐怖心を忘れて楽しんでいるリュイの姿を見たからだ。

 

リュイ「しぐまま…はやく…」

 

一緒に見たいリュイはシグナムを呼ぶ。

 

シグナム「あぁ。今行く」

 

リュイに呼ばれてシグナムは側まで向かって行く。

 

その後、シグナムとリュイは多少トラブルに見舞われながらも水族館を満喫した。

 

トラブルは触れ合いコーナーでリュイが持ち上げたタコがシグナムの顔面に墨を吐いたり、イルカショーで何故かシグナムだけにイルカが水を浴びせたりしたことぐらいである。

 

リュイはタコと初めて触れ合って感じたことのない感触に感動したり、イルカショーでイルカとの触れ合いに参加出来たりと楽しんでいた。

 

シグナム「はぁ~…」

 

ベンチに座ってため息を吐くシグナム。

 

色々とトラブルに見舞われてしまったのだから仕方ない。

 

リュイは近くのトイレに行っていてこの場にはいない。

 

シグナム(しかし良かった…リュイが笑顔になって…少しはシグマの恐怖心を忘れることが出来たのかもしれないな)

 

触れ合いやイルカショーで笑顔になったリュイを見てシグナムはそう思っていた。

 

このままいけばリュイは元に戻れるかもしれないと…。



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hunting 63

リュイ「ふぅ…」

 

トイレに行っていたリュイは手を洗って出てきてシグナムの所に向かっていた。

 

リュイ「しぐ…」

 

女性「ちょっと、大丈夫?」

 

リュイ「?」

 

シグナムを呼ぼうとしたリュイは振り向いた。

 

リュイが振り向いた先には男女のカップルがおり、男の方が胸を押さえて苦しそうにしていた。

 

女性「ねぇ、大丈夫?」

 

男性「………った…………」

 

女性「え?」

 

男性「腹が…腹が減ったんだよぉー!」

 

心配していた女性に男性はそう言いながら顔を上げると顔にはアマゾン特有の一部が火傷をしたように爛れ、さらに体からは煙まで上がっていた。

 

煙は勢いを増し男性の体全身を包み、周囲に熱波が放たれた。

 

グレービートルアマゾン「グゴガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

煙が晴れると灰色のビートルアマゾン(以降【グレービートルアマゾン】)がそこにはいた。

 

女性「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

現れたグレービートルアマゾンに女性は悲鳴を上げて尻餅を着いてしまった。

 

女性の悲鳴を聞いて周りの客たちは我先にと逃げ始めた。

 

グレービートルアマゾン「グゴガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

雄叫びを上げるグレービートルアマゾンは女性に近付き両肩を掴んで抵抗出来ないように押さえると頭から噛り、捕食しだした。

 

喰われる前に女性は逃げようとしたが腰が抜けて動けなかったのかアッサリと喰われてしまったのだ。

 

リュイ「あ…あぁ…」

 

グレービートルアマゾンの色にリュイはシグマを連想してしまい無くなっていた恐怖心が再び目覚めて動けなかった。

 

グレービートルアマゾン「グゴルルルルルルル……」

 

女性を丸々1人喰ったグレービートルアマゾンは次の餌を探してキョロキョロするとリュイに狙いを定めた。

 

リュイ「ひっ!?」

 

狙いを定められたリュイのビジョンにはグレービートルアマゾンがシグマとして映り、尻餅を着いてしまった。

 

グレービートルアマゾン「グゴガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

リュイを格好の餌と判断したグレービートルアマゾンは口を開け、鋭い牙を剥き出しにすると背中の甲羅を開き翔を出して羽ばたかせると一気に接近してきた。

 

接近してくるグレービートルアマゾンがシグマに見えて、あの時の恐怖心に支配されたリュイは目を瞑る。

 

その時、金属同士がぶつかり合う高い音がした。

 

リュイ「?」

 

何が起きたのか恐る恐る目を開けるリュイ。

 

シグナム「大丈夫か、リュイ!!」

 

レヴァンティン『Is it alright? Rui』

 

グレービートルアマゾンの牙を防いでリュイを守るシグナムとそのデバイスであるレヴァンティンの姿があった。




次回

恐怖心が再び目覚めてしまい戦えないリュイ。

そんなリュイを守りながら戦うシグナム。

果たしてリュイは再び戦うことが出来るのか。

はやて「ほな、次回をお楽しみにな」


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hunting 64

シグナム「はあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

シグナムのレヴァンティンの斬撃がグレイビートルアマゾンを斬り裂いた。

 

グレイビートルアマゾン「グギャアァァァァァァァァァァァッ!?」

 

斬られたグレイビートルアマゾンは悲鳴を上げながら後ろへ飛んで距離を取る。

 

リュイ「し、しぐ…まま…」

 

声を震わせてリュイはシグナムを見て呼ぶ。

 

シグナム「良かった。怪我は無いようだな」

 

怪我が無いことにシグナムは安堵した。

 

グレイビートルアマゾン「グゴガオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

雄叫びを上げたグレイビートルアマゾンは背中を開いて薄茶色の羽を出して高速で羽ばたかせて体を浮かすとシグナムとリュイに向かって突進してきた。

 

シグナム「リュイ!」

 

突進してくるグレイビートルアマゾンを見てシグナムはリュイを空いていた手で抱えると左に跳んで回避した。

 

回避されたグレイビートルアマゾンは2人がさっきまでいた場所の床に激突した。

 

グレイビートルアマゾン「グガゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

瓦礫を退かしてグレイビートルアマゾンは雄叫びを上げる。

 

雄叫びを上げるグレイビートルアマゾンは2人の姿を捜した。

 

 

 

シグナムとリュイは近くの飼育員用の通路に逃げ込んでいた。

 

丁度隠れられる壁まで来てシグナムはリュイを降ろした。

 

シグナム「リュイ、怪我やどこか痛いところはないか?」

 

リュイ「だい…じょうぶ…」

 

シグナムに聞かれてリュイは答える。

 

リュイ「しぐまま…ごめん…なさい…」

 

急に涙を流して謝り出すリュイ。

 

シグナム「リュイ…」

 

リュイ「ぼくが…こわくて…たたかえないから…しぐままに…」

 

本来なら自分が戦うハズなのだが未だにシグマによる恐怖で戦えず、その分シグナムに負担を掛けてしまっていることにリュイは気付いていたのだ。

 

その言葉を聞いたシグナムはリュイの頭に手を置いて優しく撫でた。

 

シグナム「リュイ…私は大丈夫だ。私はアマゾンと戦うことを負担とは思ってなどいない。ましてやお前が変身出来ずに戦えないことを責めたりしない。誰にだって恐怖心はある。私だってある程だ」

 

リュイ「しぐまま…」

 

シグナムの言葉を聞いてリュイの心に光が射し始めた。

 

グレイビートルアマゾン「グガゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

リュイ・シグナム「「!!」」

 

の声を聞いて顔を少し出すと2人を捜して辺りを破壊しているグレイビートルアマゾンがいた。

 

シグナム「奴め…ここを絞ってきたか…」

 

破壊しているグレイビートルアマゾンを見てシグナムは覚悟を決めた。

 

シグナム「リュイ、お前だけでも逃げ…」

 

シグナムが言いかけた時、リュイが飛び出した。

 

シグナム「リュイ!?」

 

リュイの行動にシグナムは驚いた。

 

グレイビートルアマゾン「グルルルルル……」

 

飛び出したリュイを見てグレイビートルアマゾンはヨダレを出した。

 

シグナム「逃げろ、リュイ!今のお前は…」

 

リュイ「だい…じょうぶだよ…しぐまま…ぼくは…もう…にげ…ない…きょうふ…からめを…そらさない…」

 

シグナム「リュイ…」

 

GA()M()MA()!】

 

アマゾンズドライバーのアクセラーグリップを捻り、両目のような赤い部分コアユニット【コンドラーコア】を作動させ、発する特殊パルスによって、アマゾン細胞を刺激し、細胞を活性化させる。

 

リュイ「アァ゙~~~ッマァ゙~~~ッゾォオオオオオンッ!!」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

シグナムの言葉で勇気を貰ったリュイはガンマに変身した。

 

ガンマ「しぐまま…いっしょに…たたかおう…」

 

シグナム「あぁ…分かった、共に行こう。リュイ!」

 

ガンマ「うん!仮面ライダー…アマゾンガンマ!」

 

シグナム「烈火の将 シグナム!」

 

「「hunting start!!」」




グレイビートルアマゾンの出現を聞いてフェイトとなのはが部隊を率いてきた。

フェイト「1班は周辺地域の立ち入りを制限を!

なのは「2班は私と突入準備!」

『はっ!』

フェイトとなのはの指示を聞いて局員たちは動く。

そしてなのはが2班の局員と共に突入した。

「執務官!」

フェイト「どうかしました?」

「それがアマゾンの反応が無くなったとヤガミ部隊長から連絡が…」

フェイト「え?」

なのは『フェイトちゃーん』

アマゾンの反応が無くなったと聞いてフェイトが驚いているとなのはモニターで連絡を入れてきた。

フェイト「なのは、丁度良かった。はやてからアマゾンの反応が無くなって連絡が…」

なのは『うん、それ知ってる』



フェイト『知ってる?なんで?』

なのは「だって、あれ」

連絡をしていたなのはが避けるとモニター越しに壁を背にした気持ち良さそうに互いに寄り添って眠っているシグナムとリュイがいた。

近くの柱にはドロドロの黒い液体があった。

眠っているシグナムとリュイと黒い液体の姿を見てフェイトは全てを察してなのはと笑ったのだった。


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hunting 65

【グレイビートルアマゾン】の一件から3週間が経ったある日、シグナムははやてに呼び出されて、部隊長室に来ていた。

 

部隊長室前に来たシグナムは扉をノックすると部屋の中から「入ってえぇよ~」っと返事が返ってきた。

 

シグナム「失礼します」

 

はやてから許可を貰ってシグナムは部隊長室に入ると、はやてだけでなくヴィータ、シャマル、リイン、アギトのリュイとザフィーラ以外の八神家の面々が揃っていた。

 

はやて「これで全員みたいやね」

 

ヴィータ「なあ、はやて。なんでみんなを緊急で呼んだんだよ?」

 

全員を呼んだ理由をヴィータが聞くと、はやては真剣な顔をして話し始めた。

 

はやて「実はなみんなに集まってもらった。アマゾン細胞を不法に研究していた製薬会社の一斉摘発があったやろ?」

 

はやてに言われて、全員は頷く。

 

まだ【アマゾン細胞】が発見されて間もない頃、とある製薬会社が管理局の研究機関からアマゾン細胞を強奪、違法な人体実験などを行い、生物兵器として売り出そうと画策していた。

 

それを捜査していた管理局はすぐさま鎮圧部隊を向かわせ、製薬会社所有の研究施設摘発を行った。

 

しかし局員たちが踏み込む寸でで研究所は謎の爆発を起こしてしまう。

 

研究員は全員死亡、研究として生み出された実験体アマゾン4000体が野に放たれることになった。

 

はやて「その時の報告がやっと纏まってな、ウチも確認しとったんやけどその中にいくつか気になる報告があったんよ…」

 

シグナム「気になることとは?」

 

はやて「実は、その製薬会社…ある人物がある実験に携わって記録があったんよ。みんなも知っとる人物…ジェイル・スカリエッティや」

 

『なっ!?』

 

はやての口から出た人物の名前に全員が驚きすぎて言葉を失った。

 

【ジェイル・スカリエッティ】、かつて次元世界を震撼させた事件【JS事件】の黒幕にしてギンガとスバル以外の戦闘機人であるチンクたちの生みの親。

 

古代ベルカ時代に使われた兵器である大型戦艦【聖王のゆりかご】を復活させて自らの野望を達成するために、レリックと実在した聖王でありゆりかごの生体コアとなった王女【オリヴィエ・ゼーゲブレヒト】のクローンで、まだ幼かったヴィヴィオを利用した。

 

しかしはやてたちの活躍によりスカリエッティは捕縛され、事件解決に非協力的だった4人の戦闘機人と共に軌道拘置所に収監されている。

 

ヴィータ「だけど、スカリエッティの野郎がアマゾンの研究に関わってるからって、アタシたちを呼び出すほどか?」

 

スカリエッティの存在には確かに驚きはしたが、呼び出すほどかとヴィータは聞くが、シグナムだけは違う反応をして言った。

 

シグナム「まさか、スカリエッティが関わっていたのというと…」

 

シグナムは先を予測するとはやては頷いて先を離した。

 

はやて「せや。スカリエッティはこの頃はある研究をしとったんよ」

 

アギト「それってまさか…」

 

はやて「プロジェクトF…フェイトちゃんやエリオ、ヴィヴィオを生み出すきっかけとなったプロジェクト。そして、その製薬会社はスカリエッティにクローンを作らしてそのクローンにアマゾン細胞を移植する実験をな」

 

シグナム「では、リュイは誰かのクローン…」

 

このシグナムの言葉をきっかけとして、話が分からなかったヴィータとシャマルもなにかに気づいたのかハッとした。

 

それはリュイがフェイトやエリオ、ヴィヴィオのように誰かのクローンで、アマゾン細胞を移植された実験体であるといことだ。

 

シャマル「それならリュイくんに人間の細胞とアマゾン細胞があったことに納得がいくわ」

 

ヴィータ「ようするにリュイは誰かのクローンで、産まれる過程でアマゾン細胞を移植された…」

 

リュイが産まれた経緯の仮定を聞いて、シグナムは奥歯を噛み締めた。

 

どんな経緯があれ、この世に生を受けたことは何ら罪はない。

 

しかし実験の為だけに産み出された命、消え行くことを前提で、人が使う消耗品のように人として、命として扱わなかっただろう研究者たちへの行き場のない怒りがあったのだ。

 

はやて「今となっては研究者全員が研究施設と一緒にこの世から消えてしまっとるから詳しいことは分からへん」

 

シグナムの心情を察したはやても同じ気持ちながらも組織の上に立つものとして公私混同は出来ずに冷静を装いながら言う。

 

リイン「でもどんな風に産まれたとしても、リュイくんは私たちの家族です」

 

シグナム「リインの言う通りだ。リュイは私たちの家族です、産まれた経緯がどうであれ、人間なのですから」

 

リインとシグナムの言葉に同意するように他の面々は頷く。

 

リュイが誰かのクローンであっても家族なのには変わらないのだ。

 

はやて「せやな。リュイの産まれた経緯の詳細はスカリエッティに問いただすつもりや。それとこの事はうちらだけの秘密や。時が来たらなのはちゃんたちにも伝える。ええな?」

 

はやての決定にシグナムたちは頷くのだった。



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アマゾンレストラン
hunting 66


ミッドチルダの校外にポツンと1軒の洋食レストランがあった。

 

その洋食レストランに1人の男性が入店した。

 

シェフ「いらっしゃいませ」

 

男性が店内に入るとシェフらしき小太りで物腰も柔らかそうな男性が笑顔で出迎えた。

 

男性「あの、ここって営業してます?」

 

店内を見て男性は辺りが暗く椅子もテーブルに上げられているのを見て聞いてきた。

 

シェフ「はい、大丈夫ですよ。ですがただ今満席ですので少々席が空くまで別室でお待ち下さい」

 

微笑みながらシェフはそう言って男性を案内する。

 

シェフが男性を案内したのは業務用の冷凍庫がある部屋だった。

 

シェフ「恐縮ですがここでお待ち下さい」

 

微笑みながらシェフは一礼して部屋を出ていく。

 

男性はシェフに言われて部屋に待つことにした。

 

しかし男性は気付いていなかった。

 

シェフが男性に気付かれないように部屋に鍵を掛けたことを…。

 

 

 

男性を部屋に案内したシェフは入口から少し奥にある部屋にやって来た。

 

そこには席についた数人の男女の客がいた。

 

客を見てシェフは一礼し、客も一礼する。

 

シェフ「本日はお越しいただきありがとうございます。本日も腕に頼をかけて作らせていただきます」

 

客にそう言ってシェフは部屋を出る。

 

部屋を出たシェフが向かったのは男性がいる部屋だった。

 

鍵を開けて部屋に入る。

 

シェフが入ってきたのを見て男性は席が空いたかと思い、椅子から立ち上がった。

 

シェフ「それではその命、いただきます」

 

一礼してシェフは男性にそう言った。

 

男性「へ?」

 

シェフの言葉に男性は首を傾げるとシェフの体から煙が吹き出して姿を変えた。

 

全身各部に鋭い棘を有した頑丈な殻を持ち、腕部には巨大なハサミを持ったアマゾンになった。

 

男性「なっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

シェフが変身したアマゾンを見て男性は悲鳴を上げた。

 

その後、シェフに戻ったアマゾンは厨房でミンチ肉を作る機械―ミンチ器で何かの肉をミンチにしていた。

 

そしてミンチにした肉でハンバーグを作り上げ、さっきの客たちに出した。

 

出されたハンバーグを誰も何も言わずに食べ始めた。

 

メガネの男性「うぐっ!?」

 

ハンバーグを食べて暫く、半分くらい食べたスーツを着たメガネの男性が苦しみだした。

 

シェフ「お客様、残念ながら今すぐ店を出てください…」

 

苦しみだした男性にシェフはそう言う。

 

メガネの男性「分かって…ます…」

 

苦しみながら男性は立ち上がった。

 

メガネの男性「みなさん…いままで…ありがとう…シェフも…ありがとう…」

 

立ち上がった男性は他の客とシェフにそう言って部屋から出て最後は店を出た。

 

シェフは男性を見送った。

 

その表情は悲しい顔をしていた。

 

 

 

メガネの男性「うぅ…うぐはっ!!」

 

店を出た男性は路地裏にてさらに苦しんでいた。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

苦しむ男性の前にガンマが路地裏の先から現れた。

 

メガネの男性「うぅ…うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ガンマを見た男性は煙を上げて兵隊アリアマゾンになって臨戦した。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

臨戦した兵隊アリアマゾンをガンマは狭い路地裏から出させようとアマゾンズウィップを引き抜いて放った。

 

兵隊アリアマゾン「シャアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

アマゾンズウィップを跳躍して回避すると兵隊アリアマゾンは路地裏の壁を蹴り上段から蹴りを繰り出す。

 

ガンマ「グガッ!!」

 

兵隊アリアマゾンの上段から蹴りを喰らいガンマは飛ばされる。

 

ガンマ「グウゥ…」

 

飛ばされたガンマは立ち上がって路地裏にいまだに隠れている兵隊アリアマゾンを睨む。

 

兵隊アリアマゾン「グルルルルル……」

 

兵隊アリアマゾンはガンマが路地裏が狭く不利だと分かっていることを見透かしているかのように出ようとしなかった。

 

ティアナ「クロスミラージュ!!」

 

クロスミラージュ《Shoot Barrett, shoot!》

 

ガンマがいる場所とは反対―兵隊アリアマゾンの背後からティアナが圧縮魔力を弾丸状に形成し、加速して打ち出す射撃魔法【シュートバレット】を放ってきた。

 

兵隊アリアマゾン「ギャシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?」

 

シュートバレットを背中に喰らい兵隊アリアマゾンは路地裏から吹き飛ばされる形で出てきた。

 

ガンマ「!」

 

吹き飛ばされてきた兵隊アリアマゾンを見てガンマは左側のグリップを捻る。

 

《バイオレント・パニッシュ!!》

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

跳躍して大型化したアームドカッターで兵隊アリアマゾンの腹部を横一閃に両断した。

 

両断された兵隊アリアマゾンは2つに斬られた体が地面に落ちた。

 

兵隊アリアマゾン「ギ…アァァァァァァァァァァァァァ……………」

 

ぴくぴくと小刻みに動きながらも直ぐに動かなくなりドロドロの液体になった。

 

ガンマ「………はずれ…」

 

着地するなりガンマは兵隊アリアマゾンのアマゾンズレジスターを見てそう呟くとグシャリと潰して捨てた。

 

レジスターを捨ててガンマは変身を解除してリュイに戻ると睡魔に襲われて倒れる。

 

ティアナ「おっと!」

 

倒れるリュイをティアナがキャッチする。

 

ティアナ「全く、良く眠ってる」

 

眠っているリュイの頭を撫でながらティアナは言う。

 

 

 

ガンマ/リュイとティアナが兵隊アリアマゾンを倒した頃、レストランの厨房にて、店主が追い出した男性の食べ残したハンバーグをゴミ箱にしているポリバケツに捨てていた。

 

さらに来店した男性が身に付けていたと思われる血塗れの衣服なども一緒に捨てていた。

 

全て捨て終わった男性は蓋をすると厨房の外へ行ってしまったのだった。



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hunting 67

リュイ「う~ん…」

 

目を覚ましたリュイの視界に見覚えのある屋根があった。

 

リュイ「おうち…だ…」

 

起き上がって辺りを見回したリュイは自分がシグナムたちと暮らしている家の部屋だと気付く。

 

リュイはベッドから降りると部屋から出た。

 

寝起きで少しフラついてはいるが確りとした足取りでリュイはリビングに向かう。

 

リュイがリビングに着くとシグナムとはやて、そしてティアナがいて何かを話していた。

 

リュイ「しぐまま~♪」

 

何か話してはいるがシグナムを見て甘えたくなったリュイは後ろからシグナムに抱きついた。

 

シグナム「リュイ。もう起きて大丈夫なのか?」

 

リュイ「うん…てーなの…おかげ…」

 

シグナムに言われてリュイはティアナを見ながら言う。

 

ティアナ「覚えてたんだ。私が運んだの」

 

リュイ「うん…ありが…とう…てーな」

 

ティアナ「どういたしまして」

 

はやて「リュイ、ティアナと少し難しい話をするからあっちでザフィーラと遊んででや」

 

リュイ「うん」

 

はやてに言われてリュイは窓際で寝ていたザフィーラに向かってダイブ、遊び始めた。

 

ティアナ「それで八神部隊長、例の件はどうですか?」

 

リュイがザフィーラで遊び始めてティアナは真剣な顔になりはやてに言う。

 

ティアナがはやてとシグナムと話していたのはティアナ自身が追っている事件で、どうやらアマゾンが関わっているらしくリュイに協力を求めに来ていたのだ。

 

はやて「せやなぁ…ウチとしては協力してもえぇけど、保護者(シグナム)はどや?」

 

シグナム「私は…本音を言えばリュイにこれ以上、危ないことをしてほしくない」

 

ザフィーラで遊んでいるリュイを見てシグナムは言う。

 

シグナム「アマゾンと互角に戦えるのは今の局にはいない。人々の命や財産を守りたい…だが…」

 

本音はリュイにこれ以上は戦いを強いたくない、だがアマゾンと互角に戦えるのは管理局にはいない。

 

人々の命や財産を守ろうとするばリュイに負担を強いる。

 

シグナムはリュイの保護者として迷っているのだ。

 

ティアナ「無理にとは言いません。私だってエリオやキャロより幼い子に戦いを強いたくありません…でも現状ではリュイの…アマゾン ガンマの力が必要なんです」

 

シグナム「………」

 

ティアナの言葉を聞いてシグナムはザフィーラで遊んでいるリュイの姿を見る。

 

そして何かを決めたようにティアナに視線を戻した。

 

シグナム「分かった。リュイには私から言っておく。ただし!作戦には私も参加させてもらう!!」



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hunting 68

ミッドチルダ某所にある洋食レストラン。

 

洋食レストランから少し離れた路上に1台のトラックが止まっていた。

 

局員A「また入りました」

 

局員B「これで5組目です」

 

モニターでレストランに入っていく客を確認する。

 

トラックの荷台に偽造された移動指揮所である。

 

中には外部カメラを確認するモニターや通信機などが取り揃えられていた。

 

ティアナ「分かりました。お二人は準備いいですか?」

 

報告を聞いたティアナはシグナムとリュイに言う。

 

2人はティアナに言われて頷くとトラックから降りた。

 

トラックから降りた2人は私服姿でレストランの方へ向かっていく。

 

理由はティアナが扱っている事件は何人も人間が行方不明になっており、職業・年齢・体質などはバラバラで唯一共通するのが全員がこの管理世界のレストランに入っているという。

 

もしかしたらアマゾンマンションのように複数体がいる可能性があるため、アマゾンを感知できるリュイと援護できるシグナムが入店して数を計り、ティアナが魔導師を率いて突入することになっている。

 

シグナム「行くぞ、リュイ」

 

リュイ「うん……」

 

シグナムがレストランの扉を開けて入店した。

 

シェフ「いらっしゃいませ」

 

2人が入店するとシェフが出迎えた。

 

シグナム「あの、ここやってますか?」

 

初めて来た一般客を装ってシグナムはシェフに聞く。

 

シェフ「はい、やっております。ご案内しましょう」

 

笑顔でシェフは先を案内する。

 

着いていこうとするシグナムだが直ぐに引っ張られる感覚を感じた。

 

見るとリュイがシグナムの服を掴んでいた。

 

シグナム「どうした、リュイ」

 

小声で

 

リュイ「しぐまま…あのひと…あま…ぞん…」

 

シグナムにシェフがアマゾンだと伝える。

 

シグナム「やはりか…」

 

リュイに伝えられたシグナムは服の下に隠している愛機(レヴァンティン)を握る。

 

シグナム(1体だけなら私とリュイで何とかなるか…)

 

シェフ「どうかされましたか?」

 

シグナム「いえ、なんでも…」

 

シェフに聞かれてシグナムは答える。

 

シグナムの言葉を聞いてシェフは「そうですか」っと言って奥へ2人を案内する。

 

案内された2人が見たのは2人ずつ席についている数人の客たちだった。

 

部屋には子供用の椅子があるだけのテーブルがあった。

 

客たちはシグナムとリュイを一斉に見た。

 

リュイ「――!?」

 

客たちが一斉に見てきてリュイはビクッとした。

 

シグナム「どうした?」

 

小声でリュイに聞く。

 

リュイ「み、みんな…あま…ぞん…」

 

シグナム「なっ!?」

 

リュイの言葉にシグナムは耳を疑った。

 

シェフを含めてこの店にいる人間はリュイを除けばシグナム以外全員がアマゾンであると。

 

少なくとも10体はいることになる。

 

ティアナ「嘘でしょ…」

 

アマゾンマンションに引き続き、複数体のアマゾンが1ヶ所に集まっていることにティアナも驚いていた。

 

局員A「どうしますか?」

 

ティアナ「このままま作戦を続行するしかないわ。シグナムさん、危険かもしれませんがお願いします」

 

無線でシグナムに指示を出した。

 

シグナム「分かった」

 

指示を聞いてシグナムは言う。

 

するとシェフが後ろから来た。

 

シェフ「あ、申し訳ありません。御子様用しかありませんでしたね。大変申し訳ありませんがお持ち込み様は別室でお待ち下さい」

 

シグナムに言うシェフ。

 

リュイ「しぐまま…」

 

1人なるのが不安なのかリュイはシグナムの服を強く握る。

 

シグナム「大丈夫だ、リュイ」

 

リュイにそう言って安心させるシグナム。

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイは服から手を離した。

 

シェフ「ではこちらへ」

 

笑顔でシェフは言うとシグナムと共に更に店の奥へ行ってしまった。

 

リュイ「…………」

 

1人になったリュイは用意されている御子様用の椅子に座って状況をみることにしたがまだ不安なのか、少々緊張していた。

 

 

 

一方、リュイを1人にしてシェフと移動していたシグナムは業務用の冷蔵庫がある部屋に来た。

 

シェフ「大変恐縮ではありますがこちらでお待ち下さい」

 

そう言ってシェフはシグナムに一礼すると部屋を出ていく。

 

シェフが出て行ってシグナムは扉のドアノブに触れるが鍵が掛けられているのか開かなかった。

 

シグナム「やはり、鍵は掛けられているか…」

 

鍵を掛けられてレヴァンティンでこじ開けられるだろうがそうすれば他のアマゾンたちにバレて逃がしてしまうかもしれないからだ。

 

他に脱出経路を探そうとしてシグナムは冷蔵庫を見た。

 

アマゾンは人肉を食べるがなぜ冷蔵庫があるのかと疑問に思っていたのだ。

 

シグナム「まさか………」

 

嫌な予感がしてシグナムは冷蔵庫を開けた。

 

そこにあったのは全身の皮を剥がされた人の死体だった。

 

シグナム「なんと惨いことを…」

 

死体を見てシグナムは吐きそうになるのを我慢する。

 

シグナム「リュイ……」

 

吐きそうになる我慢よりシグナムはリュイを心配していた。

 

 

 

その頃、リュイはシェフからハンバーグを出されていた。

 

シェフ「熱いから気をつけて」

 

子供であるリュイに言うシェフ。

 

シェフ「それでは皆さん、ごゆっくり」

 

シェフはそう最後に言うと厨房の方へ戻って行った。

 

シェフが行くとリュイ以外の客は何も言わずにハンバーグにフォークを刺してナイフで一口サイズに切り口に運んで食べ始めた。

 

リュイ「…………」

 

周りが食べているなかでリュイは食べていなかった…いや、食べたくなかった。

 

周りが全員アマゾンだと分かっているから食べているハンバーグ…その元が何なのか察しているからだ。

 

女性「何も心配することはないわ」

 

リュイがまだハンバーグを食べるのに戸惑いがあるのかと思ったのか女性が話しかけてきた。

 

女性「こうして少しずつ食べていれば…私たちが覚醒するのを防げるの…確証はないけど、みんな静かに暮らしたいから」

 

リュイに優しく微笑みながら女性は言う。

 

リュイ「………」

 

女性の話にリュイは心が少し揺らいでいた。

 

ただ静かに暮らしたい、アマゾンの中には人間社会に溶け込み、人間たちと変わらない生活が送りたいと細やかながら願っていると分かったからだ。

 

だが直ぐに揺らぎを取り払った。

 

 

 

リュイがハンバーグを出されて少ししてシェフはシグナムを閉じ込めている部屋に来ていた。

 

鍵を開けて中に入った時だった。

 

シグナム「はああああああーーーーーーーーー!!」

 

扉を開けた瞬間、騎士服姿でレヴァンティンを構えたシグナムが扉を破ってきた。

 

シェフ「!?」

 

シグナムのレヴァンティンの刃がシェフの左脇腹をとらえた。

 

しかし、響いたのは金属同士がぶつかり合う高い音がした。

 

シグナム「くっ…」

 

レヴァンティンの刃は赤いハサミ―アマゾン化したシェフの腕にガードされてしまっていた。

 

シェフ「お前…魔導師だったか」

 

シグナム「ああ。既にこの店は時空管理局の知るところだ。この店は今日限りで閉店だな、シェフ」

 

シェフ「ふ、ふざけるなあああああああああああああ!!」

 

店を潰される訳にはいかないとシェフは体から蒸気を発して一気に沸騰するように高熱を出しながら姿を変えた。

 

シグナム「くっ!!」

 

高熱を出しているシェフからシグナム素早く離れる。

 

冷蔵庫の冷気とシェフから出た高熱で爆発が起きた。

 

 

 

爆発音と共に騎士服姿で、レヴァンティンを構えたシグナムとカニの姿をしたアマゾンが出て来た。

 

さらに店の入り口からティアナたちが突入してきた。

 

シグナム「リュイ!!」

 

リュイ「うん……!!」

 

シグナムに呼ばれてリュイはアマゾンズドライバーを出して左側のグリップを捻った。

 

GA()M()MA()!】

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ポソリと呟いて再び捻るとリュイはガンマに変身した。

 

ガンマ「仮面ライダー…アマゾンガンマ…hunting start……!!」

 

変身して直ぐにガンマはカニの姿をしたアマゾンであるシェフこと【カニアマゾン】に向かっていくのだった。



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hunting 69

客「か、管理局だ!!」

 

突入して唯一の出入口を塞ぐティアナたちを見て、客のアマゾンたちは動揺する。

 

ティアナ「無駄な抵抗は止めて大人しくしなさい!私たちは無用な争いを求めていません!」

 

クロスミラージュを向けながらティアナはアマゾンたちに言う。

 

ガンマ「……!」

 

ティアナはそう言っているがガンマはあることに気付いていた。

 

カニアマゾン「ふざけるなあ!!」

 

ティアナの警告を聞いたカニアマゾンは叫びながら向かっていく。

 

ティアナと局員らは向かって来るカニアマゾンに攻撃するが甲殻に阻まれてダメージを与えられなかった。

 

カニアマゾン「ガアァァァァァァァァーーーーーーーーーー!!」

 

「「うわっ!!」」

 

甲殻に守られたカニアマゾンは悠々と近付くと手前にいた局員2人をハサミで挟んで持ち上げる。

 

ティアナ「この…」

 

カニアマゾン「シェラアァァァァァァァーーーーーーーーー!!」

 

ティアナ「きゃっ!!」

 

局員2人を助けようとするティアナだったがカニアマゾンは挟んでいる局員の1人を投げてぶつけると、もう1人も他の局員たちの方に投げてぶつける。

 

カニアマゾンに局員をぶつけられて出入口の道が開けた。

 

カニアマゾン「今だ、早く逃げろ!!」

 

退路を開くとカニアマゾンは他のアマゾンたちに言う。

 

カニアマゾンに言われてアマゾンたちは一斉に逃げだした。

 

局員A「こ、この、逃がすか!化け物ども!!」

 

逃げるアマゾンたちを立ち直った局員の1人がショック弾を発射してきた。

 

射線上にはリュイに話しかけた女性だった。

 

カニアマゾン「危ない!」

 

シグナム「行かせるか!」

 

女性を助けようとするカニアマゾンをシグナムが妨害した。

 

ショック弾が女性に命中しかけたとき、ショック弾と女性の間に何かが割って入り守った。

 

ガンマ「ぐうぅ!!」

 

女性を守った何か―それはガンマであった。

 

『!?』

 

女性「あなた…何で…!?」

 

人間の味方をしているガンマが自身を守ったことに女性と周りにいたティアナやシグナムたちは驚く。

 

ガンマ「わか…らない…でも…あなた…たちを…かること…できない…からせたく…ない…そう…おもった…だけ……」

 

ガンマ自身も何故、女性を守ったのかよく分からなかったようで、戸惑いを混ぜながら言う。

 

カニアマゾン「い、今さら味方面するな、裏切り者が!!」

 

怒りを露にしながらカニアマゾンはガンマにタックルして掴むと入り口を破壊しながら外へ出た。

 

女性「………」

 

ガンマの行動に戸惑っていた女性は我に帰ると直ぐに外へ出て逃げていく。

 

シグナム「待て!」

 

女性のあとを追いかけようとするシグナムだが、人間態のアマゾンでも走る早さは本来の人間より早いために店を出て直ぐに見失ってしまった。

 

シグナム「逃げたか…」

 

女性や他のアマゾンたちを見失ってしまい、シグナムは店に戻る。

 

シグナム「ティアナ、大丈夫か?」

 

ティアナ「はい、私は…それより、シグナムさんはリュイのところに」

 

シグナム「分かった。ここは頼む」

 

ティアナにこの場を任せてシグナムはガンマのところへ向かう。

 

 

 

レストランから出たガンマとカニアマゾンは工事地帯に入っていた。

 

作業員A「うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

作業員B「アマゾンだ!」

 

突然入ってきたガンマとカニアマゾンを見て作業員たちは慌てながら逃げていく。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

掴まれていたガンマは右側のアームドカッターでカニアマゾンを斬りつける。

 

カニアマゾン「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

斬られたカニアマゾンは怯んでガンマを離して、転倒してしまった。

 

ガンマ「グルルルルル………」

 

カニアマゾンから解放されたガンマは地面を転がると直ぐに立ち上がって構える。

 

ガンマが構え終わるとカニアマゾンもまた立ち上がって構えていた。

 

カニアマゾン「お前達さえ…お前達さえ来なければ…まだ…あの店で…ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

恨み言を言いながらカニアマゾンはガンマに向かって行く。

 

ガンマ「うぅ…ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

カニアマゾンの一言にガンマは一瞬だが戸惑いを見せるが振り払って向かって行き、アームカッターで斬りかかる。

 

カニアマゾン「ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

戸惑いを見せたガンマの攻撃を回避してカニアマゾンはハサミでガンマの首を挟んだ。

 

ガンマ「あが!?」

 

カニアマゾン「コのママ、挟み殺シて、やル!!」

 

様子がおかしいカニアマゾンはハサミで首を挟むとガンマの体が持ち上げる。

 

右腕に付いているレジスターの目の部分が青から赤へ変化しており、薬が切れて本性が覚醒したのである。

 

ガンマ「あぐ…ぐっ…あ…」

 

気道を抑えられてガンマは息ができずに苦しみながらも何とか脱出しようとハサミを掴むが、力が強いのか全く動かせなかった。

 

ガンマ「か…あぐ……」

 

ハサミを離すのが無理ならとガンマは右手をドライバーに近付けてバトラーグリップを掴み、引き抜いた。

 

《バイオレント・ブレイク!》

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バトラーグリップを引き抜いてアマゾンブレイドを出してカニアマゾンの腹部を刺した。

 

カニアマゾン「ガルガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

ガンマに腹部を刺されてカニアマゾンは驚き、ガンマの首を挟んでいたハサミを開いてしまった。

 

ガンマ「げほ…げほ…ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

解放されたガンマは息を吸うとカニアマゾンを蹴って突き放した。

 

間を飽けずにガンマは立ち上がるとアクセラーグリップを捻った。

 

《バイオレント・ストライク!》

 

ガンマ「ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

アクセラーグリップを捻ったガンマは少し助走を付け、跳躍してバイオレント・ストライクを放った。

 

カニアマゾン「うぎゃあおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……………………」

 

バイオレント・ストライクを喰らい、カニアマゾンは吹き飛ばされ、後ろに積み上げられていた錆びたドラム缶に激突。

 

中身が油か何かだったのか爆発が起きた。

 

ガンマ「……………」

 

爆発の炎を見てガンマはカニアマゾンや店にいたアマゾンの女性の言葉を思い出していた。

 

ただ、普通の人間たちのように平和に、ひっそりと暮らしていたい…それが彼らにとってはささやかな願いであった。

 

その言葉がガンマの…リュイの心に、微かだがしこりのようなものを残ってしまっていた。

 

リュイ「!」

 

変身を解いてリュイは自身の目なら涙が流れていることに気付いた。

 

シグナム「リュイ!」

 

そこへ、爆発音を聞いてきたシグナムが駆け付けてきた。

 

シグナム「無事か!?怪我はないか!?」

 

リュイの身を按じてシグナムは側による。

 

リュイ「う…うぅ…ごめん…なさい…ごめん…なさい……」

 

側に来たシグナムに涙を流しながらリュイは抱きついて謝り始めた。

 

シグナム「………」

 

最初は何故、謝りだしたのか分からなかったが泣きじゃくるリュイを見てシグナムは察して何も言わずに頭を撫でていた。

 

 

 

シグナム「落ち着いたか?」

 

しばらく泣き続けたリュイにシグナムは聞く。

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに聞かれたリュイは頷いた。

 

リュイ「しぐまま…おねがいが…あるの…」

 

シグナム「どうした?」

 

リュイ「もし…ぼくが…ほかの…あまぞんたち…みたいに…ひとを…はやぱぱや…びびおたちを…おそったり…たべようとしたら…そのときは…しぐままが…ぼくを…ころして」

 

シグナム「なっ!?」

 

突然のリュイの言葉にシグナムは驚いてしまうのだった。



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戦々恐々の狩人
cross hunting


1話完結のお祭り回になります!

蜘蛛男さんの「ハラガヘッタ」とのコラボです!

ではどうぞ!


カニアマゾンのアマゾンレストラン事件から数日後、フェイトはある工事現場にいた。

 

辺りには無惨に散らかった鉄パイプや資材、赤く汚れて窓ガラスを破壊されたショベルカーやダンプカーなどの重機、建っている鉄骨にはポタポタと赤い液体が落ちていた。

 

そんな現場に複数の鑑識などが撮影と現場保存していた。

 

フェイトはその中で青いシートがある場所へ向かい、シートを上げて中へ入った。

 

中には体の一部あるいは半分以上を食われた工事現場の作業員の遺体…いや、遺体だったのが並べられていた。

 

遺体は無惨にも食い散らかされ、バラバラにされてしまっているのだ。

 

フェイト「状況はどうですか?」

 

近くにいた検死官をフェイトは呼び止めた。

 

「状況も何も…前と同じです。急所を一噛みで食い散らかされてます。中には死因すら分からないほどのもありました」

 

呼び止められた検死官は気分が悪いのか早口で言うとフェイトに一礼して足早に去っていった。

 

フェイト「これで7件目…」

 

遺体を見てフェイトは冷や汗を掻いてしまっていた。

 

 

 

―アア、ハラガヘッタゴチソウドコダ―

 

ミッドチルダの郊外の路地裏に銀髪になり、目は紫色の青年が徘徊していた。

 

徘徊している青年の前に数人のチンピラが現れた。

 

チンピラA「おいおい、この辺りは俺らの縄張りだぜ?」

 

チンピラB「通るなら有り金、全部出せよ」

 

青年の周囲を取り囲んでカツアゲをするチンピラたち。

 

ゴチソウダ、ゴチソウガキテクレタ。

 

自身の周囲を取り囲んでいるチンピラたちを見て青年は舌鼓を打った。

 

チンピラC「あ?なにニヤけてるんだよ!」

 

1人のチンピラが青年を殴ろうと胸ぐらを掴んだその時だ。

 

―イタダキマス―

 

殴ろうとしたチンピラの首を青年は姿を変えて噛み付いて皮を、肉を噛み千切った。

 

銀色の体色に、所々にオレンジ色の部分があり、顔はトカゲをモチーフにしている怪物になっていた。

 

チンピラC「え……」

 

何が起きたのか分からないチンピラCは数秒後に自身の首の一部を食われてしまい、傷口から血が噴水のように吹き出していることに気付いた。

 

チンピラC「あ…ぁ………」

 

自身が致命傷を受けた事にやっと気付いたチンピラCは仰向けに倒れ絶命した。

 

チンピラD「へ…へやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

仲間を目の前で食い殺されたのを見てチンピラDは驚いて悲鳴を上げて尻餅をついてしまう。

 

チンピラB「ば、化けm…」

 

チンピラBが何かを言いかけたが青年がなった怪物により肩から首を食われてしまった。

 

チンピラA「ひ、ひぎゃあぁぁぁぁぁっ!た、助けてくれー!!」

 

チンピラD「あ、おい、待ってく……」

 

逃げ出したチンピラAにチンピラDは助けを求めるが直ぐに無駄だと分かった。

 

何故なら自身の頭を怪物が掴んでいたからだ。

 

ニヤリと笑って青年は顔から出るものを全て出しているチンピラDを頭から食った。

 

―アト、ヒトリ―

 

チンピラDを頭から食った怪物は最後のチンピラAを追い掛けた。

 

 

 

チンピラA「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

逃げたチンピラAは近くの廃ビルに入り、一気に階段を上がり屋上に逃げ込んでいた。

 

屋上から屋上へ屋根伝いで逃げようというのだ。

 

逃げ込んだビルの隣にも廃ビルがある。

 

柵を乗り越えようと片足を上げた時だ。

 

―ミツケタ―

 

チンピラA「ひっ!?」

 

気配に気付いて振り向くとさっきの青年がおり、チンピラの足を掴むなりその姿を変えてアマゾンに似た怪物になった。

 

チンピラA「はひ、ひぃ!!」

 

パニクっているチンピラAは急いで登ろうとするがパニクってて上手く上れなかった。

 

そんな中で怪物はゆっくり一歩一歩、近付いていた。

 

チンピラA「ひあぁぁぁぁぁ…………」

 

まごまごしていて遂に目の前まで怪物が来てしまい、チンピラAはお漏らしをしてしまった。

 

―イタダキマ…―

 

チンピラAの足を掴んで逃げられないようにして怪物は口を開いたその時だ。

 

?「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雄叫びと共に空から新たな影が落ちてきた。

 

落ちてきた影により屋上の地面は砕かれ、粉塵が舞う。

 

―ナンダ?―

 

奇襲を受けて怪物はチンピラAの足から手を離してしまっていた。

 

粉塵が収まると1人の仮面の戦士がいた。

 

ガンマ「グルルルル!!」

 

黄色い体表面、緑色の胸部装甲、青い釣り目をした複眼を持ち、グローブとブーツの部位にはカッターを持った戦士―『仮面ライダーアマゾン ガンマ』は喉を鳴らして威嚇していた。

 

―ゴチソウガフエタ。ウレシイ―

 

ガンマを見て怪物は嬉しそうにしていたのだった。

 

ガンマ(こいつ…いままでの…あまぞんと…ちがう……)

 

今対峙しているアマゾンを見てガンマは少し後退りした。

 

今まで相手したことのないアマゾンだがどことなくアマゾンライダーのシグマに似ていた。

 

だがここで退くわけにはいかないとガンマの闘争本能は訴えていた。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

地面を蹴ってガンマは怪物に向かって走り出した。

 

―ゴチソウガキタ―

 

向かってくるガンマを見て怪物は舌を出して嬉しそうに不気味に笑っていた。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

嬉しそうにしている怪物を見て気味が悪いと思っていたがガンマは跳躍して空中で回転してキックを繰り出した。

 

―イタダキマス―

 

キックを繰り出したガンマの足を掴むと地面に叩きつけた。

 

ガンマ「がはっ!!」

 

地面に叩きつけられてガンマに肺から空気が押し出される。

 

叩きつけるために掴んでいたガンマの足を怪物は食おうして口を開いた。

 

ガンマ「アアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

食われるわけにはいかないとガンマは体を捻って掴まれていないもう片方の足のレッグカッターで怪物の首を刺した。

 

レッグカッターが効いたのか怪物は掴んでいたガンマの足を離して数歩後退した。

 

数歩後退した怪物は傷口に触れた。

 

触れた個所には黒いアマゾン特有の血がついていた。

 

―コイツ…ツヨイ…タノシクナッタ―

 

怪物は自身の中で猛り踊る感情を感じて笑う。

 

ガンマ「グルルルル……」

 

方やガンマは今まで相手したことのない怪物に恐怖をしていた。

 

―ゴチソウ…ツヨイ…オイシソウ―

 

今度は怪物が先に動いてきた。

 

ガンマ「ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント・ブレイク!!

 

先に動いてきた怪物にガンマはバトラーグリップを引き抜いてアマゾンブレイドを出すと逆手に持って向かって行く。

 

両者か交差して互いに反対側で止まった。

 

ガンマ「うぐっ!?」

 

脇腹を押さえてガンマは膝を着いた。

 

ガンマの脇腹から血がにじみ出ていた。

 

さっきの交差で怪物に脇腹をやられてしまったのだ。

 

―ヤット…タベレル…ゴチソウガ…タベレル―

 

方や怪物は手に付いたガンマの血を舐めながら接近する。

 

―イタダキマス―

 

ガンマに近づいた怪物は口を開けて捕食しようとする。

 

対するガンマは何とかしようと思ったが脇腹のダメージが大きいのか上手く体が動けなかった。

 

怪物の牙がガンマに触れかけた、その時だ。

 

シグナム「火竜…一閃!!」

 

―!?―

 

突然、後ろから現れて火竜一閃を繰り出してきたシグナムに驚いて怪物は跳躍した。

 

ガンマ「にが…さない!!」

 

跳躍した怪物にガンマは跳躍してバトラーグリップを捻った。

 

《バイオレント・ストライク!!》

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

バイオレント・ストライクを怪物の腹部に決めた。

 

腹部にバイオレント・ストライクを喰らって怪物は吹き飛ばされて屋上から地面に落下してしまった。

 

着地したガンマはすぐに下を見た。

 

怪物の姿は地面のどこにもなかった。

 

ガンマ「にげ…られた…」

 

怪物に逃げらてしまったがガンマは不思議と安堵感があった。

 

シグナム「リュイ!無事か!?」

 

呼ばれたガンマはシグナムの方を向くと変身を解いた。

 

リュイ「しぐまま…あまぞん…にげ…られた…」

 

シグナム「ああ、そのようだ。だが今度は私たち2人でやればきっと勝てる。さあ、主はやてが家で待ってる、帰ろう」

 

リュイ「うん……」

 

シグナムと手を繋いでリュイは帰路についた。

 

因みに怪物に追われたチンピラはガンマが戦っている間に気絶していたらしく、連絡を聞いてきたフェイトにより保護された。

 

 

 

リュイがシグナムと一緒になって帰っているとき、怪物になっていた人物―シグマは森の中を歩いていた。

 

―アノゴチソウ…マタアッタラタベテヤル―

 

ガンマを食えなくて少し落ち込んでいるのかシグマは歩きながらそう思っていたがシグマはすでに今歩いている森の中はガンマがいた世界ではなく、自身がいる本来の世界だとは気づいてはいなかった。



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特別回・医者で、ゲーマーで、ライダー!
Extra hunting cooking hamburger!Part1


リュイ「あ~む…ん~♪」

 

口を開けて両手でやっと持てる程の大きさはあるハンバーガーを食べるリュイは笑みを浮かべる。

 

シグナム「美味しいか?」

 

リュイ「うん…!」

 

ハンバーガーを食べてシグナムに聞かれたリュイは嬉しそうに頷いた。

 

19地区の奇跡の事件から数日後、リュイが最近なってハンバーグをねだるようなったのだ。

 

シグナム「………」

 

ハンバーグを挟んでいるハンバーガーを食べるリュイを見てシグナムは前に言っていたお願いを思い出していた。

 

もしも、自分が他のアマゾンたちのように人を…シグナムやはやて、ヴィヴィオなどの親しい人たちを襲い、人肉を求めたり、食おうとしたら、シグナムに殺してほしい。

 

それがリュイがシグナムに頼んだことだ。

 

正直、シグナムはどうしたら良いか迷っていた。

 

そんな日は永遠に来てほしくない、だがもし本当にリュイを殺さなければならなくなった時、自分はその手に剣を握れるのか…人々を守る局員としてシグナムは一人で葛藤していた。

 

シグナム(私はどうしたらいいんだ……)

 

リュイ「?」

 

考えているシグナムを見てリュイは食べていたハンバーガーを一旦置いてポテトを齧りながら首を傾げる。

 

リュイ「ん?」

 

ポテトを齧っていたリュイはハンバーガーをまた食べようとしたがさっきより大きい上に感触が違うことを感じた。

 

リュイ「ふえ!?」

 

感触が違うことを感じてリュイはその方向を見て驚いた。

 

…が、シグナムは気づいていない。

 

?「ガー?」

 

そこにあったのは動いてハンバーガーの乗った皿を持って振り向いてきた。

 

それは節分とかで被る鬼の面をしていた。

 

リュイ「お…に…?」

 

?「ガ?」

 

リュイ「?」

 

鬼と聞いて首を傾げて、リュイも傾げた。

 

リュイ「えい…」

 

鬼の面をパッと一瞬で取ると黒で、緑の目(?)とニヤけた口がある顔が出た。

 

リュイ「あまぞん…じゃない…はんばーがー…の…ようかい…?」

 

バガモン「違うガー。バガモンはバグスターだガー」

 

ハンバーガーの妖怪と言われて何かは【バガモンバグスター】は名乗る。

 

リュイ「ばがもん?」

 

バガモン「そうだガー。バガモンはハンバーガーが大好きだガー」

 

リュイ「はんばーがー…たべたい…の?」

 

バガモンがハンバーガーが大好きと聞いてリュイは聞く。

 

バガモン「食べていいのかガー?」

 

リュイ「いいよ…たべかけ…だけど…」

 

バガモン「ありがとうだガー!」

 

リュイに食べて良いと言われてバガモンは大口を開けて嬉しそうに食べた。

 

バガモン「ん~♪美味しかったガー!」

 

リュイ「よかった…」

 

美味しかったと言うバガモンにリュイは言う。

 

リュイ「ねぇ…ばがもん…」

 

バガモン「なんだガー?」

 

リュイ「ばがもんは…なんで…ここに…いるの?」

 

バガモン「それは…あ、あぁーーーーーーーーーー!!」

 

リュイに聞かれてバガモンは何かを思い出したかのように大声を上げる。

 

バガモン「ツクルの所に帰らないと!ツクル、心配してるー!!」

 

慌てるバガモンはどこかへ走っていってしまった。

 

リュイ「ばがもん……」

 

走っていってしまったバガモンを見てリュイは追い掛けた。

 

因みにシグナムはいまだに気付いていないのだった。



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Extra hunting cooking hamburger!Part2

シグナムを置いてバガモンを追いかけるリュイ。

 

アマゾンじゃない怪人だから気になったのだ、しかも敵意が全く無いのでなおさら余計に気になってしまったのだ。

 

バガモン「ツクルー!どこだガー!」

 

【ツクル】なる人物の名前を叫びながら走り回るバガモン。

 

そんなバガモンを見て周囲の人々は驚きはするが逃げたりせず、写真を撮っていた。

 

バガモン「はあ…はあ…はあ…ツクル、どこにいるんだガ…」

 

走り疲れたバガモンはその場に座り込んでしまった。

 

リュイ「ばがもん…」

 

座り込んだバガモンに追い付いたリュイは悲しそうなバガモンに駆け寄る。

 

その時だ。

 

《ステージセレクト!》

 

「「!?」」

 

【ステージセレクト】と音声が流れると辺りの景色が変わり、古びた廃工場のような場所で、周囲には色々な色と絵柄が描かれたメダルが散らばっていた。

 

リュイ「ここは…ばがもん…?」

 

バガモンに聞こうとするがバガモンの姿はどこにもなかった。

 

リュイ「え…あれ…?」

 

急に古びた廃工場のような場所になって、さらにバガモンの姿がいなくなっていてリュイは混乱する。

 

リュイ「!」

 

混乱している中で人の気配を感じて行くとバガモンを含めた8人の人間がいた。

 

因みにリュイは気づかれないように柱の裏に隠れている。

 

?「不正なゲームは回収する」

 

?「M、俺と遊ぼうぜ」

 

黒いスーツを着た男性と黒いジャケットの下にカラフルな服を着た男性が言うとカセットのようなものを取り出した。

 

《デンジャラスゾンビ!》

 

《PERFECT PUZZLE!》

 

《What's the next stage?》

 

「「変身!」」

 

《バグルアップ!》

 

《デンジャー!》

 

《デンジャー!(ジェノサイド!) 》

 

《デス・ザ・クライシス!》

 

《デンジャラスゾンビ!(Woooo!) 》

 

黒いスーツの男性は白いカセットのような物を腰つけた紫のバックルに装填すると白と黒を基調とする骸骨のような姿で禍々しく、右が赤、左が青のオッドアイになったバイザー、左右非対称の装甲はボロボロになったゾンビを想起させるライダーになった。

 

《デュアルアップ!》

 

《Get the glory in the chain!》

 

《PERFECT PUZZLE!》

 

カラフルな服を着た男性は黒いスーツの男性と違い、カセットのスイッチを押すと青をメインカラーとし、胸の縁など金色で彩られたライダーとなると左腰部に着いたスロットに差し込んだ。

 

リュイ「らい…だー…!?」

 

ライダーに変身した2人にリュイは驚く。

 

そんな中で4人のライダーによる戦いが勃発する。

 

ゾンビのようなライダーに銃を持ったライダーが、青いライダーにハンバーガーのような色をした装甲を纏ったライダーが戦っていたが次第に銃を持ったライダーとハンバーガーのような色をした装甲のライダーは押されてしまった。

 

青いライダー「どれにしようかなぁ…コレしよう」

 

辺りに散らばったメダルを青いライダーは空中に並べるとパズルのように動かして2枚を選択した。

 

《高速化!》

 

《マッスル化!》

 

選択したメダルは青いライダーの体に入った。

 

青いライダー「はっ!」

 

2枚のメダルを体に入ると青いライダーは目にも止まらぬ速さで動くと力強く銃を持ったライダーとハンバーガーのような色をした装甲のライダー2人を殴り飛ばした。

 

2人を殴り飛ばした青いライダーはスロットにあったカセットを少し持ち上げると丸い部分を右に回した。

 

《パーフェクトクリティカルコンボ!!》

 

青いライダー「そらよっ!!」

 

高速で動いて2人のライダーにキックを叩き込んだ。

 

「「うわあぁぁぁっ!!」」

 

青いライダーの攻撃に2人のライダーは吹き飛ばされて変身が解けてしまった。

 

するとリュイの足元にハンバーガーのような色をした装甲のライダーの持ち物かと思われるカセットが転がってきた。

 

転がってきたカセットをリュイはおもむろに拾い上げる。

 

?「ふえ!?なんで子供がこんな所に!?」

 

バガモン「あ、あの子は!?」

 

カセットを拾い上げたリュイを見てダンサーのような色をした服を着た女性とバガモンが驚く。

 

ゾンビのライダー「君、そのガシャットを渡したまえ」

 

カセット―ガシャットをリュイに渡すように言いながらゾンビのライダーは近付く。

 

?「だ、ダメだ!それを…渡しちゃ…!!」

 

ハンバーガーのような色をした装甲を纏ったライダーの変身者らしき男性がリュイに叫ぶように言う。

 

男性に言われてリュイは無意識に逃げる体勢を取る。

 

ゾンビのライダー「逃がすものか!」

 

逃げる体勢を取ったリュイを見てゾンビのライダーは拳を振り上げる。

 

バガモン「リュイ、逃げるガー!」

 

バガモンがリュイを助けようと走り出した瞬間だった。

 

GA()M()MA()

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!

 

ゾンビのライダー「なに!?ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

ゾンビのライダーが拳を振り上げたのと同時にリュイはアマゾンズドライバーを出してアクセラーグリップを捻りガンマとなるとゾンビのライダーを蹴り飛ばした。

 

ガンマ「かめんらいだー…あまぞん…がんま…hunting…start!!」

 

2人のライダーに構えてガンマは臨戦する。




うちの子の変身音はNTKさんからいただきました。

ありがとうございます!


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Extra hunting cooking hamburger!Part3

詠夢「えぇ!?か、仮面ライダー!?」

 

ポッピー「なんであんな子供が!?」

 

作「な、なんで!?」

 

バガモン「バガモンも驚いたガー!!」

 

リュイがガンマとなったのを見て【仮面ライダーエグゼイド】の変身者【宝生 詠夢】と詠夢の仲間の女性であり、バグスターの【ポッピーピポパ】、そしてバガモンが実体化する要因のゲーム【ジュージューバーガー】を作った【ゲンムコーポレーション】(←ゲーム会社)の社員【小星 作】とバガモンは驚く。

 

ゲンム「どうやってライダーの力を…ガシャットも無しに…」

 

パラドクスP「まあ、何だっていいじゃないか。楽しくなってきた」

 

黒いエグゼイドこと【仮面ライダーゲンム】とバグスターであり、仮面ライダー【仮面ライダーパラドクス パズルゲーマーLV50】は言う。

 

ガンマ「これは…わたさ…ない!」

 

ゲンムとパラドクスを見てガンマは【ジュージューバーガーガシャット】を握りしめながら言う。

 

パラドクスP「へぇ、なかなか威勢がいいな。楽しめそうだな」

 

《KNOCK OUT FIGHTER!》

 

《The strongest fist!》

 

《"Round 1" Rock & Fire! 》

 

《DUAL UP!》

 

《Explosion Hit!》

 

《KNOCK OUT FIGHTER!!》

 

ジュージューバーガーガシャットを奪われないように構えるガンマを見てパラドクスは厚みに加え、赤と青の絵柄が半分ずつ描かれた丸いダイヤルが付いているガシャット【ガシャットギアデュアル】を左に回すと姿が変わった。

 

青い姿のパズルゲーマーLV50から赤い姿で、両肩にあったアーマーが両手にグローブのように装備した【ファイターゲーマーLV50】(以後:パラドクスF)に変わった。

 

パラドクスF「さあ、楽しもうぜ!」

 

ファイターゲーマーに変わったパラドクスはガンマに向かって走り出した。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

向かって来るパラドクスにガンマは向かって行く。

 

パラドクスF「そらっ!!」

 

パラドクスの左ストレートが放たれた瞬間、ガンマは跳躍してバク宙してパラドクスFの後ろに着地した。

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

着地したのと同時にガンマはバトラーグリップを引き抜いてアマゾンブレイドにするとパラドクスを斬り付けた。

 

パラドクスF「ぐっ、やるじゃないか」

 

斬り付けられたパラドクスは少し後退しながらも効いていないらしく言う。

 

ニコ「あの子つよっ!?」

 

大我「アイツ、かなり戦いなれてやがる」

 

パラドクスに一太刀浴びせたガンマを見て【仮面ライダースナイプ】の変身者『花家 大我』と大我を支える女子高生【西馬 ニコ】は驚く。

 

ガンマ「グルルルル……」

 

アマゾンブレイドで斬り付けたハズなのに効いていないパラドクスにガンマは次の手を考える。

 

基本的にガンマ(リュイ)はアマゾン以外の敵と戦う時、一撃目で自身とその相手との力量を計る。

 

パラドクスは明らかに自分より上の実力者、どこまで戦えるか…。

 

パラドクスF「こないならこっちが行くぜ!」

 

攻撃してこないガンマにパラドクスは殴りかかってきた。

 

ガンマ「はっ!」

 

殴りかかってきたパラドクスをガンマはバク転して回避する。

 

ガンマ「セヤッ!!」

 

4回バク転して回避するとガンマはブレイドを構えてパラドクスの懐に入り斬り付けた。

 

パラドクスF「ぬうっ…やるなぁ、お前。心踊るなぁ!」

 

ゲンム「よせ」

 

斬られながらも戦おうとするパラドクスをゲンムは止めた。

 

パラドクスF「なんだよ、シラケることすんなよ」

 

ゲンム「彼は仮面ライダーであるがどうやらこことは異質、すぐに消えるだろう。ここは一旦退くぞ」

 

パラドクスF「ガシャットの回収はいいのかよ?」

 

ゲンム「レベル4のガシャットは確かに回収せねばならないがいつでも奪える」

 

パラドクスF「はいはい」

 

少し不満なのかパラドクスはそう言うと構えを解いて納得する。

 

パラドクスが納得するとゲンムはどこかへ歩いていき、パラドクスもそれに続く。

 

ガンマ「…………」

 

去っていくパラドクスとゲンムを見てガンマは構えを解いて詠夢たちの方へ歩いていく。

 

ガンマ「これ…」

 

詠夢の前に着くとガンマはガシャットを差し出した。

 

詠夢「ありがとう。ガシャットを守ってくれて」

 

ガンマからガシャットを受けとる詠夢。

 

するとガンマの姿が消えてリュイの姿に戻ったが体がうっすらと消えかけていた。

 

バガモン「リュイ!?」

 

消えかけているリュイにバガモンは驚く。

 

リュイ「ばがもん…」

 

消えかけているリュイはバガモンを見ると笑った。

 

自分は大丈夫だよっという意味を込めているのだ。

 

リュイ「ばがもん…みんなと…なかよく…ね…」

 

そう言うとリュイは完全に消えてしまった。

 

バガモン「リュイ…」

 

詠夢「大丈夫だよ、また会えるよ。きっと」

 

バガモン「そうだガー。リュイが来たら美味しいハンバーガー作るガー!」

 

リュイがいなくなってしょんぼりしていたバガモンを詠夢が励ますとバガモンは元気になったのだった。




シグナム「リュイ、リュイ!目を開けるんだ、リュイ!」

リュイ「ん…あ…れ…?」

声でリュイは目を開けると心配している顔をしたシグナムがいた。

いつの間にか木に背にして眠っていたようで、辺りはすっかり暗くなっていた。

リュイ「しぐまま…ばがもん…は…?」

シグナム「バガモン?なんだ、それは」

リュイ「えっと…はんばーがーの…ようせい?」

シグナム「………夢でも見たんだろう。ほら、おんぶしてやるから乗れ」

そう言ってシグナムは背中を向けてリュイに言う。

リュイ「うん……」

シグナムに言われてリュイは背中に乗る。

だがリュイは確信していた。

あれは…バガモンたちは夢じゃなかったことを。

また、いつか会えるといいなっと思っていたのだった。


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番外編 3
特別回 父の日


父の日ってわけて送ります!

ではどうぞ!


その日、リュイは森であるアマゾンと戦っていた。

 

青い体をしていて所々に黒く丸い斑点があり、頭には牙のように鋭く内側に曲がっている角を左右に持ったアマゾン―『スタッグアマゾン』だ。

 

スタッグアマゾン「キシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

リュイに向かって突進するスタッグアマゾン。

 

リュイ「アマゾン…」

 

向かってくるスタッグアマゾンにリュイはアマゾンズドライバーを出して左側のグリップを捻ってガンマに変身した。

 

ガンマ「そのつの…よこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

主旨が物凄く違う気がするがガンマはスタッグアマゾンに向かってく。

 

何でスタッグアマゾンの角…というか顎の牙が欲しいのかというとそれは昨日のことである。

 

リュイは日課となっているミウラとの模擬戦をしてその休憩をしていた時である。

 

リュイ「ちちの…ひ…?」

 

聞きなれない言葉にリュイは首を傾げた。

 

ミウラ「そうだよ。リュイくん知らないの?」

 

リュイ「うん……」

 

ミウラ「父の日っていうのはお世話になったお父さんに送り物をしたりすることだよ」

 

リュイ「おくりもの…」

 

リュイの中で父つまりパパは他ならぬはやてである。

 

そのはやてが好きなのは…。

 

リュイ「おんなの…ひとの…むねって…おくりものに…はいる?」

 

リュイの質問にミウラは驚いて飲んでドリンクを吹き出してしまった。

 

リュイ「はやぱぱが…いちばん…すきなの…おんなの…ひとの…むね…だよ?」

 

ミウラ「え、あ、うん…そうだねって違うよ!送り物はそんなのじゃなくてその人の一番好きな物を送るのは確かに良いけど気持ちが籠っていれば大丈夫だよ。だから女の人の胸は無しでね」

 

リュイ「わかった…」

 

ミウラに言われてリュイは納得する。

 

リュイ「はやぱぱの…おくりもの…なにが…いいかな…?」

 

ミウラ「う~ん…ボクは包丁とかかな。家はレストランだから」

 

リュイ「ほうちょう…」

 

これが原因である。

 

リュイは包丁が何で出来てるか知らないのでとりあえず斬れそうなのを着けたアマゾンを手当たり次第に狩り始めたのだ。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

バイオレント・ブレイク!!

 

右側のグリップからアマゾンブレイドを出して向かっていく。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

アマゾンブレイドを振るいスタッグアマゾンの右側の牙を切り落とした。

 

スタッグアマゾン「キャガアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」

 

牙を切り落とされてスタッグアマゾンは悲鳴を上げる。

 

ガンマ「とど…め!!」

 

バイオレント・パニッシュ!!

 

目的の()を回収したガンマは左側のグリップを捻りアームカッターを大型化させた。

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

大型化させたアームカッターでスタッグアマゾンの首を切り落とした。

 

黒いアマゾンの血が噴水のように吹き上げながら残った体が糸の切れた人形のように崩れ、黒い液体となって消えた。

 

リュイ「はやぱぱ…よろこんで…くれる…かな…」

 

変身を解いて回収した()を見てリュイは言う。

 

リュイ「ねむ…い…」

 

変身した後遺症でリュイは睡魔に襲われた。

 

リュイ「すー…すー…」

 

睡魔に襲われたリュイは我慢しきれず倒れて眠ってしまった。

 

リュイが眠って直ぐに篭を持った老人が現れて駆け寄ってきた。

 

 

 

リュイ「んー…」

 

リュイは目を覚ますと古い小屋に寝かされていた。

 

リュイ「ここ…どこ…?」

 

古い小屋に寝かされていたリュイは不安に駆られてしまう。

 

?「目が覚めたみたいだな」

 

リュイ「?」

 

声の方を見ると囲炉裏の前に老人がいた。

 

リュイ「おじいちゃん…だれ…?」

 

ケン「そうだな。私はケンとでも言っておこう」

 

『ケン』と名乗る老人。

 

リュイ「つの…つのは…どこ…?」

 

持っていたスタッグアマゾンの牙が無いことに気付いて慌てる。

 

ケン「これのことかい?」

 

スタッグアマゾンの牙を出して老人は聞いてきた。

 

リュイ「つの…!」

 

老人の持っているスタッグアマゾンの牙を見てリュイは言う。

 

ケン「良ければこれを持っていた理由を聞かせてくれないかい?」

 

リュイ「えっと…」

 

ケンに聞かれてリュイは話した。

 

ケン「そうか、お父さんのために包丁のプレゼントを。良ければその包丁、私に作らせてくれないか?」

 

リュイ「いいの…?」

 

ケン「私もあの怪物には困っていてね。退治してくれた君に感謝のお礼だ」

 

リュイ「ありが…とう…!」

 

老人の申し出にリュイは喜んだ。

 

ケン「少し離れてなさい」

 

ケンに言われてリュイは少し離れた。

 

ケン「ムンッ!!」

 

リュイが少し離れたのを確認したケンは手から光を出した瞬間、スタッグアマゾンの牙が変化して一瞬で包丁になった。

 

リュイ「!?」

 

一瞬で包丁になった牙に驚く。

 

ケン「ほら出来たよ」

 

出来た包丁を渡すケン。

 

リュイ「おじいちゃん…なに…もの…?」

 

包丁を受け取ってリュイはケンのことを聞いてきた。

 

ケン「ただのサンタクロースになる前のおじいちゃんだ」

 

リュイに聞かれてケンはそう答えたのだった。




リュイ「はやぱぱ…ちちのひの…ぷれじぇんと…!」

はやて「え!?」

父の日のプレゼントと聞かされてはやてはショック&衝撃を受けた。

父の日…それはお世話になった父親に感謝をする日。

いや、そこまでは良いけど…。

はやて(うちって…リュイにとっては父親ポジションになっとるの!?)

女なのに父親扱いされていることにショック&衝撃を受けていた。

その後、リュイが用意したスタッグアマゾン製の包丁を受け取りはやてはある意味で嬉しく、ある意味で悲しさを感じていた。

因みにケンの正体は…おっと、これは分かる方にしか分からないことにしておきましょう。

ではでは…。


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母の日

母の日…自分を生んでくれて、育ててくれた母親へ送る感謝の日。

みなさんはちゃんと贈り物しましか?

自分はプレゼントをしっかり贈りましたよ!

喜んでくれてるといいけどなぁ~♪


その日、リュイはヴィヴィオたちチームナカジマ(アインハルトは無茶が祟り、ぶっ倒れているために自宅謹慎中で、ノーヴェは付き添い)と会っていた。

 

「「「母の日のプレゼント?」」」

 

リュイ「うん…まえに…みうらが…いって…た。ぱぱのひがあるなら…ままのひも…あるよって…」

 

ヴィヴィオ「なるほど…確かにもうすぐ母の日だったね」

 

コロナ「それでどんなのをプレゼントしたらいいか分からないから私たちに相談しにきたってことだね」

 

リュイ「うん…」

 

リオ「それなら私たちに任せて!」

 

ヴィヴィオ「でもリュイくんのママって…」

 

「「あ…」」

 

意気込んだはいいがリュイの母親はフェイトを圧倒したあの烈火の将 シグナムである。

 

プレゼントとなるとカーネーションとかのベタなのはダメな気がするからだ。

 

リュイ「……しぐままに…ぷれじぇんと…できない…?」

 

少し泣きそうな声でリュイは言う。

 

ヴィヴィオ「うーん、と言ってもなぁ。なのはママやフェイトママとかは分かるけどシグナムさんって…何が好きなんだろう?」

 

リオ「シグナムさんが好きなのってバトル?」

 

コロナ「リオ、それはリュイくんには厳しすぎるよ?」

 

リオ「確かに………」

 

バトルマニアであるシグナムのプレゼント=バトルしかなかったがそれはリュイには厳しすぎる。

 

下手したらシグナムとっても厳しいものに成りかねない。

 

ヴィヴィオ「リオの案は却下するとして…。どうする?」

 

コロナ「あ、そうだ!シグナムさんも使えるのがあった!」

 

「「「え?」」」

 

何か思い付いたコロナに3人は首を傾げる。

 

 

 

5月12日、母の日当日。

 

シグナムははやてたちと共に局へ行くために玄関に来ていた。

 

リュイ「しぐまま…!」

 

パタパタと少し小走りでリュイが来た。

 

シグナム「リュイ。どうした?またシャマルが何かしたか?」

 

レヴァンティンをシャマルに向けながらリュイに聞くシグナム。

 

近くでシャマルが「濡れ衣ー!!」と叫んでいたがシグナムはスルーする。

 

リュイ「えっと…しぐまま…ははのひの…ぷれじぇんと!」

 

小さなリボンが着いた小さな小箱を差し出しながらリュイはシグナムに言う。

 

シグナム「わ、私に…か?」

 

レヴァンティンを手放してシグナムは聞く。

 

リュイ「うん…しぐまま…こわいひとたちから…たすけて…くれた…いつか…おれい…したいって…おもって…たの…びびおや…ころにゃ…りおにてつだってもらったの…だから…ありがとう…しぐまま!」

 

シグナム「リュイ…」

 

プレゼントを受け取りながらシグナムは感激で涙を浮かべ、リュイに抱きついた。

 

シグナム「私こそ…こんな…こんなプレゼントをくれて…ありがとう、リュイ」

 

リュイ「うん…!」

 

2人にとって嬉しい母の日になった。

 

こんな日々が続けばいいとシグナムは密かに思っていたのは誰もが気付くとこであった。




更衣室にてシグナムは着替え終わるとリュイから貰ったプレゼントを開けていた。

シグナム「こ、これは!?」

プレゼントを開けたシグナムが見たのはピンクのネクタイピンで、シグナムの似顔絵が描いてあった。

シグナム「あの子は…」

頑張って作ったと悟り、シグナムは笑みを溢し、自身のネクタイを止めると更衣室を出たのだった。

これを聞いてはやては「ウチはアマゾン製の包丁やったのに………」っと羨ましがられたとか。


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2019年―2020年 年末年始

主に私と弟だけです!

本文の内容は他の作品と一緒ですが、あとがきだけ違います!

では、どうぞ!


作者「いやー、今年ももう終わりますねー」

 

弟「いや、もう終わって2020年だからな」

 

作者「大丈夫大丈夫。投稿時間が23時59分59秒だから、まだ2019年判断だから」

 

弟「微妙過ぎるだろ。つーか、全作品同じ内容でいいのかよ?」

 

作者「仕方ないやん、忙しかったからさぁ」

 

弟「ニートがなにを…」

 

作者「ニートじゃありませーん!」

 

弟「じゃあ、ダメ社会人代表」

 

作者「辛辣すぎるだろ、さっきから!」

 

弟「そりゃあ、去年の後半ぶっ倒れて読者様に迷惑かけたのはどこの誰だよ?」

 

作者「過ぎ去ったことは忘れようよ~」

 

弟「忘れよれられれば苦労はしねーよ、愚姉が」

 

作者「酷いなぁ…さてさて、こんな話をしていればもう2020年!オリンピック、パラリンピック!じゃねーだろ!!2020年と言えば『Fate/Grand Orde ―神聖円卓領域 キャメロット-』、『『Fate/stay night [Heaven's Feel]』III.spring song』があって、そして『劇場版 ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス』だろ!!」

 

弟「全部、アニ特だろーが!!」

 

作者「いやだって、オリンピックとかパラリンピックとか正直どうでもいい。特撮・アニメファンは特撮とアニメさえあれば生きていけるのさ」

 

弟「じゃあ、おせち料理は無しでいいよな?」

 

作者「それだけは勘弁してください。マジで」

 

弟「特撮・アニメファンは特撮とアニメさえあれば生きていけるんだろ!なら、姉貴はおせち料理はいらんだろ!!」

 

作者「やーめーてー!私が悪かったから!正月の数少ない楽しみを奪わないで-!!」

 

弟「ガキか!テメーの自業自得だろーが!」←弟はキレると口が悪くなります。

 

作者「キレた!?」

 

弟「大体、テメーまた人に内緒でゲームに課金しただろ!?いい加減にしとかないとどぶに捨てるだけになるだろーが!今回のFGOのイベントで爆散したんだろーが!それに懲りずまた課金しやがって!この、ダメダメ社会人!!」

 

作者「ごふっ…ひ、ひでぇ…人の…悲しみを…」

 

弟「知るか!これに懲りたら二度と課金すんな!!」

 

作者「ひゃ、ひゃい…」

 

弟「くそっ、愚姉を叱ったらイライラしてきた。ちょっくらその辺走ってくるからバカなすんなよ!!」

 

作者「あ、行っちゃった…さて、私はFGOからウルバト、シンフォギアしますか!課金はしないようにしないと殺されるわ…あ、皆様、不甲斐ないところお見せしてすいませんでした!では、また2020年の1発目にお会いしましょう~♪」




はやて「いやー、いろいろあったなぁ」

なのは「いろいろあったけど、今日はパーっと飲んで忘れよう!」

フェイト「そして、新年で頑張ろう!」

はやて「せやな!よーし、今日は飲むで…」←すぐ真横にレヴァンティン通過。

「「「…………」」」

レヴァンティンが飛んできた方を見るとこちらを睨むシグナムがいた。

シグナム「飲んだくれどもは静かにしていろ!リュイが起きてしまう!!」

そう言って部屋に戻るシグナム。

フェイト「し、シグナムって…あんな感じだっけ?」

はやて「完全にキャラが崩壊しとるで…」

なのは「静かに飲もうか…」

「「意義な―し」」



リュイ「しぐまま…」←シグナムに抱き着いて眠ってる。

シグナム「リュイ、新年もよろしく頼む」

リュイの頭を優しく撫でながらシグナムは言うのだった。


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hunting 70

シグナム「はぁ…」

 

管理局の武装隊のオフィスにてシグナムは1人、ため息を吐いていた。

 

隊員A「どうしたんですか、シグナム隊長」

 

シグナム「ん?いや、何でもない」

 

隊員に聞かれてシグナムはそう答えた。

 

相談したかったがため息の原因がリュイのこととなると相談できるハズがなかった。

 

シグナム(まさか、あの子があんなことを言うなんてな…)

 

リュイ『もし…ぼくが…ほかの…あまぞんたち…みたいに…ひとを…はやぱぱや…びびおたちを…おそったり…たべようとしたら…そのときは…しぐままが…ぼくを…ころして』

 

カニアマゾンを撃破した時にリュイが言った言葉を思い出しながらシグナムは悩んでいた。

 

シグナム「はぁ…」

 

ため息を吐いてシグナムは悩むことしかできなかった。

 

シグナム(私は…リュイが今まで倒してきたアマゾンたちのように殺せるのだろうか…いや、それ以前にリュイと戦えるのか?)

 

悩みが増えてシグナムは頭を抱える。

 

シグナム(仕方ない…少し気分転換でも……)

 

アナウンス『第19地区にて強盗事件発生!犯人は子供1人を人質に立て籠っているもよう!』

 

シグナム「またか…最近多いな」

 

アナウンスを聞いてシグナムが呟いていると着信が鳴った。

 

はやて『シグナム、今どこにおる!!』

 

通信に出ると慌てた様子のはやてが出た。

 

シグナム「今は武装隊のオフィスですが……」

 

はやて『直ぐに出撃や!』

 

シグナム「い、いったい何が?」

 

はやて『さっきザフィーラから連絡があったんやけど、強盗が人質しとる子供はリュイらしいんや!!』

 

この言葉を聞いてシグナムの何かがぶちっと音を立てた瞬間、シグナムの机が破壊され、近くにいた職員たちが驚いたのだった。

 

 

 

ミッドチルダの第19地区のとある建物の1角を警ら隊が取り囲み、建物内部にはサバイバルナイフを持った強盗犯らしき男と男の抱えられているリュイがいた。

 

警ら隊『犯人につぐ!』

 

強盗犯「なんだ!?要求した物は用意できたのか!でないとこのガキの命は無いぞ!!」

 

サバイバルナイフをリュイの首に当てながら強盗犯は言う。

 

リュイ「ひっ…」

 

サバイバルナイフを首に当てられてリュイは怖がって両目に涙を溜めていた。

 

普段は人食い怪物であるアマゾンを相手にしているリュイだったが運動神経が人並み以上である以外は普通の一般的な男の子と何ら変わらないのだ。

 

で、何でこうなっているのかと言うとザフィーラ(人間形態)と一緒に散歩をしていたが警ら隊に追われた強盗犯とリュイがぶつかり、そのまま人質にされてしまったのだ。

 

警ら隊『いや、そうではないが…』

 

強盗犯「じゃあ、なん……」

 

警ら隊の言葉を聞いて強盗犯は怒って言いかけた瞬間、建物の壁が爆発した。

 

爆発して空いた穴からレヴァンティンを持ったシグナムが入ってきた。

 

警ら隊『あー…もう手遅れなのだが、君も知っているかも知れないが今回は武装隊のシグナム隊長が応援に来たんだが…君が人質にしている子はシグナム隊長のご子息らしく、物凄く不機嫌なために遺言があれば聞こう!』

 

強盗犯「自首します…」

 

シグナムの怒りが事情じゃないのを感じたのか、リュイを離して犯人は両手を上に上げて言う。

 

リュイ「しぐまま~……」

 

解放されたリュイは半泣きでシグナムに駆け寄る。

 

シグナム「すまなかったリュイ。遅くなって」

 

リュイ「ううん…しぐまま…きてくれるって…おもってた…」

 

シグナム「そうか、なら少し向こうに行っててくれ」

 

ザフィーラ(人間形態)がいる方を指差しながらシグナムはリュイに言う。

 

リュイ「しぐままは?」

 

シグナム「私は…」

 

リュイに聞かれてシグナムは強盗犯の方を見た。

 

シグナム「私は少し彼とお話をするから」

 

笑ってる…笑ってはいるが笑ってない…我が子に手を出した輩に見せる顔ではない…。

 

リュイ以外の人間全員がそう思っている。

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイはザフィーラ(人間形態)のいる方へ向かっていく。

 

シグナム「さて…私の子が世話になったな…」

 

レヴァンティンを向けながらシグナムは強盗犯に言う。

 

シグナム「ちゃんと自首するなら大目にみたのだがな」

 

強盗犯「は!?いやいやいや、さっきお子さん解放しただろ!?おい、あんたらも何か言って…」

 

警ら隊「アー…ハンニンハシグナムタイチョウノゴシソクヲカイホウスルモイマダニハゲシイテイコウヲオコナッタタメコレヨリジツリョクヲコウシシマス…」

 

片言で目を反らしながら警ら隊は言うと他の人たちも目を反らした。

 

強盗犯「え!?なに、そういう設定なの!?」

 

完全に見捨てられた強盗犯は驚く。

 

シグナム「さあ、大義のための犠牲となるがいい!!」

 

強盗犯「ぎいぃぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

向かって来るシグナムを見て強盗犯の悲鳴が辺りに轟くのだった。

 

 

 

リュイ「わんわん…しぐまま…なにしてる…の?」

 

少し離れた場所にて保護されたリュイはザフィーラ(人間形態)に聞く。

 

ザフィーラ「高町流お話の術だ」

 

腕を組んで呆れながらザフィーラ(人間形態)は言う。

 

リュイ「?」

 

よく意味がわからないリュイは首をかしげるのだった。

 

そして事件は発生から僅か1時間足らずで解決した。

 

後に【19地区の奇跡】と呼ばれたのだった。




はやて「……やっぱりこうなったか…」

報告を聞いてはやては頭を抱えていた。

リイン「どうするんですか、はやてちゃん…」

はやて「またウチらの予算から引かれるやろうなぁ…」

リイン「またですか…」

はやて「うぅ…前はなのはちゃんやったのに……」

リイン「どうしようもないです」


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小さな心を揺さぶる疑問・不安
hunting 71


ミッドチルダの都市から少し離れた場所に背が高い雑草が周囲に伸びた土地にある古びた一軒家。

 

そんな一軒家の一室である和室にリュイはいた。

 

縄で手足を縛られ、布で口を塞がれて猿轡を噛まされていた。

 

他に数人、リュイと同じくらいの年齢の少年少女たちが同じように縛られていた。

 

すると襖が開き2人の男女が現れた。

 

男性「さて、今日は誰を頂こうかな」

 

女性「そうね~」

 

和室に入るなり、子供たちを品定めする。

 

子供たちは怖くて動けないのか涙を流していた。

 

リュイ(しぐ…まま…)

 

涙を流している子供たちに釣られてリュイは泣きそうになりシグナムを思い浮かべていた。

 

なぜこうなっているのかと言うと今から数時間前に時を遡る。

 

 

 

シャマル「それじゃあ、リュイくん。口開けて」

 

リュイ「あー…」

 

シャマルに言われてリュイが口を開けるとシャマルはライトでリュイの口内を照らして中をチェックする。

 

今日はリュイの健康診断の日で、前まではシグナムに抱き付いた上で怖がっていたのだが2人っきりになった一件以来、祖母ポジションとして懐き始めたので今は1人で椅子に座ってシャマルの診断を受けられるようになっていた。

 

ただ、それはそれで寂しいと思うのがシグナムだった。

 

シャマル「はい、もういいわよ」

 

一通り口内を見たシャマルが言うとリュイは口を閉じた。

 

シャマル「それじゃあ、リュイくん。シグナムを呼んできてくれるかな」

 

リュイ「うん…」

 

シャマルに言われてリュイは席を立つと外で待っているシグナムを呼びに部屋を出た。

 

リュイ「しぐまま…しゃまばあばが…よんで…る…」

 

外のベンチで待っていたシグナムにリュイは言う。

 

シグナム「そうか。じゃあ、ここで少し待っていてくれ。それと紙袋に本が入ってるから」

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイがベンチに座り、シグナムが代わりに医務室に入った。

 

リュイ「………」

 

シグナムを待っている間、リュイはシグナムか持ってきていた紙袋から本を取り出して読み始めた。

 

リュイが読んでいるのはイタズラの王を目指すキツネが子分の双子のイノシシと旅をする話で、30年も前から描かれている本である。

 

ゲンヤがギンガとスバルが幼い時に読み聞かせた本で、捨てるには勿体ないからと譲ってくれたのだ。

 

初めて読み聞かせた時、リュイは大変気に入り自分で読むまでになった。

 

元々小学生低学年用でもあるので平仮名が多く、漢字にも振り仮名が振ってあるのでリュイでも読みやすいのだ。

 

それ以来、リュイは自身の診察がある日に限り外で読むようになった。

 

リュイ「~♪」

 

今回はキツネが双子のイノシシと共に対立する鶴と亀のラーメン店を利用して悪事を働く話である。

 

?「坊や、本が好きなのかい?」

 

声をかけられて見上げると優しそうな面持ちをした男性がいた。

 

リュイ「うん…すき…だよ…」

 

?「そうか。じゃあ、おじちゃん家に来なさい。もっと面白い本があるよ」

 

リュイ「でも…しぐままが…」

 

?「大丈夫だよ。お母さんにはおじちゃんが言っとくから」

 

そう言って男性はリュイの手を掴むと無理矢理連れていく。

 

リュイは嫌がろうとしたが病院では暴れたらダメとシグナムに言われているために出来ず、男性に連れていかれてしまった。

 

そして男性に連れられ家に入るなり気絶させられ、気付けば他の子供たち同様に縛られていたのだ。

 

どうやら2人はアマゾンらしく、すでに何人もの子供が食われていて台所にはそれを裏付けるように子供と思われる足や腕、首などのバラバラにされた体があったのだ。

 

男性「今日はメスにするか」

 

女性「そうね」

 

品定めしていた2人は1人の少女を選ぶと男性が少女の足を掴んでリビングへ連れていく。

 

少女「ん~、んん~、ん~!!」

 

助けを求める少女だが他の子らは怖くて動けなかった。

 

少女「ん~!!」

 

少女が鳴き始めたその時だった。

 

男性に頭突きをかます少年がいた―リュイだった。

 

リュイに頭突きをかまされて男性は倒れて少女から手を離した。

 

リュイは共に倒れるが男性の上に乗っかったが猿轡が外れた。

 

リュイ「みんな…はやく…にげて…はやく…!!」

 

猿轡が外れてリュイは子供たちに叫ぶ。

 

リュイに言われた子供たちは立ち上がってぴょんぴょんジャンプしながら逃げる。

 

女性「逃がすものですか!!」

 

逃げる子供たちを捕まえようと手を伸ばす女性だったが…。

 

リュイ「いかせ…ない…!」

 

女性「うわっ!?」

 

捕まえようとする女性をリュイは体を捻って魚のように跳ねて女性にタックルを喰らわせて倒した。

 

その隙に子供たちは逃げていく。

 

男性「このガキ!」

 

餌である子供たちに逃げられて男性はリュイの腹部を思いっきり蹴る。

 

蹴られたリュイは飛ばされて壁に叩き付けられた。

 

リュイ「かはっ……」

 

壁に叩き付けられたリュイは肺から空気が吐き出され、さらに頭も打って切れたのか血が少々流れた。

 

リュイ「うぅ……」

 

リュイもアマゾンとは言え相手は大人、子供であるリュイには耐え難い傷みが体を駆け巡る。

 

男性「よくも邪魔してくれたな。逃げたガキはあとで捕まえてやる。だがその前にお前を食ってやる!」

 

そう言って男性は姿を変えた。

 

光沢のある藍黒色で、喉と額が赤く、腹は白い、胸に黒い横帯があるアマゾン【ツバメアマゾン(雄)】はリュイに近付く。

 

リュイ「うっ…くっ……」

 

戦おうとするリュイだが手足を縛られた上にさっきの蹴りの一撃によるダメージが大きく動けなかった。

 

ツバメアマゾン(雄)「覚悟しろ!」

 

動けないリュイにツバメアマゾンは飛びかかるのだった。



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hunting 72

ツバメアマゾンにより拐われてしまい、食われそうになった女の子を助けたが雄の個体により大ダメージを負わされて動けなくなり、危機陥るリュイ。

 

ツバメアマゾン(雄)「覚悟しろ、クソガキ!」

 

一歩、また一歩とツバメアマゾン(雄)はリュイに接近する。

 

リュイ「う…く…」

 

何とか立ち上がろうとするリュイだがダメージ大きく上手く起き上がれなかった。

 

ツバメアマゾン(雄)「こいつは俺が始末する。お前は他のエサを追いかけろ!」

 

ツバメアマゾン(雌)「分かったわ」

 

雄の個体に言われて、リュイにタックルされた雌の個体は起き上がるとツバメアマゾン(雄)より小さい姿をしたアマゾン【ツバメアマゾン(雌)】になり、逃げた子供たちを追いかけ始めた。

 

ツバメアマゾン(雄)「死ねえぇーーーーーーーーーッ!!」

 

ツバメアマゾン(雄)の爪が迫り、リュイは目を瞑る。

 

その時だ。

 

"ガキイィィィィーーーーーーーーーン"という金属がぶつかる音が響き渡った。

 

リュイ「?」

 

何が起きたのかと目を開けると、そこには見慣れた女性【シグナム】がいた。

 

シグナムがレーヴァテインでツバメアマゾン(雄)の爪を防ぎ、リュイを守っていたのだ。

 

ツバメアマゾン(雄)「なに!?」

 

シグナム「私の…私の子供に手を出すなぁ!!」

 

ツバメアマゾン(雄)「ぐあっ!?」

 

シグナムは気迫と力でツバメアマゾン(雄)を弾き飛ばした。

 

リュイ「しぐ…まま……」

 

シグナムを見てリュイは嬉しくなって叫ぶ(周りからは叫んでないけど本人は叫んでいるつもり)。

 

シグナム「すまない、リュイ。遅くなった」

 

リュイに駆け寄り、姿勢を低くして自身に引き寄せた。

 

ツバメアマゾン(雄)「この…人間がぁ!!」

 

弾き飛ばされたツバメアマゾン(雄)は立ち上がり怒りの声を上げる。

 

ツバメアマゾン(雌)「大変だよ、管理局が家を…」

 

子供達を追いかけに向かったツバメアマゾン(雌)が慌てた様子で戻って来た。

 

ツバメアマゾン(雄)「んなこと分かってるんだよ!」

 

雌の個体に言われて、雄の個体は八つ当たりぎみに言う。

 

シグナム「リュイ、今だ!」

 

雄の個体が雌の個体に八つ当たりしている隙にシグナムはリュイを縛る縄をレーヴァテインで切る。

 

リュイ「うん…!」

 

縄を切ってもらったリュイは立ち上がってアマゾンズドライバーを出現させた。

 

GA()M()MA()

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!」

 

変身したガンマは雄叫びを上げる。

 

ツバメアマゾン(雄・雌)「「!?」」

 

リュイが変身したのを見てツバメアマゾン(雄・雌)は驚く。

 

ガンマ「よくも…みんは…こわがらせた…ゆる…さない…!!」

 

珍しく怒るガンマの拳に力が入る。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

怒れるガンマがツバメアマゾン(雄・雌)に向かう。

 

ツバメアマゾン(雄)「殺るぞ!」

 

ツバメアマゾン(雌)「分かってるわ!」

 

雄に言われて雌もアマゾン化する。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

雌もアマゾン化してガンマはバトラーグリップを引き抜く。

 

《バイオレント・ブレイク!》

 

バトラーグリップから引き抜かれたのはアマゾンスピアで、横にして突撃する。

 

アマゾンスピアはツバメアマゾン(雄・雌)の体を捉える。

 

瞬間、家の窓が破壊されてガンマとアマゾンスピアに体をとられたツバメアマゾン(雄・雌)が飛び出してきた。

 

空中に出てガンマはアマゾンズスピアを持ち直した。

 

ガンマ「!!」

 

持ち直したアマゾンズスピアでツバメアマゾン(雄・雌)を殴り飛ばす。

 

ツバメアマゾン(雄・雌)「「がは!!」」

 

殴られたツバメアマゾン(雄・雌)の2体は地面に叩き付けられた。

 

ガンマ「!!」

 

降下は始まっているがまだ空中にいるガンマはアマゾンズスピアを片手で持ち換えるとやり投げのようにツバメアマゾン(雄・雌)に向かって投げた。

 

ツバメアマゾン(雄)「このっ!!」

 

向かってくるアマゾンズスピアを見てツバメアマゾン(雄)はツバメアマゾン(雌)を掴んで引っ張ると自身の前に出した。

 

ツバメアマゾン(雌)「!?」

 

ツバメアマゾン(雄)に引っ張られて前に出されたツバメアマゾン(雌)は驚いていると背中にアマゾンズスピアが突き刺さった。

 

ツバメアマゾン(雌)「あ、アンタ…な、なん…で……」

 

盾にされたことにツバメアマゾン(雌)は戸惑いながら聞くも体がドロドロになり、黒い液体となって消滅してしまった。

 

ツバメアマゾン(雄)「悪く思うなよ。俺だって死にたくねぇんだからな」

 

消滅したツバメアマゾン(雌)にそう言ってツバメアマゾン(雄)は立ち上がって逃げようとする。

 

が、自身の目の前に"ドスン"と何者か―ガンマが着地してきた。

 

ガンマ「おまえ…なんで…かぞく…のはず…なのに……」

 

雌を盾にしたのを見てガンマは聞く。

 

ツバメアマゾン(雄)「家族?俺たちはアマゾンだぞ?人間の真似をしていただけにすぎねぇよ。ヤバくなったら利用するだけ利用して使えなくなったら捨て駒にでもするさ」

 

ガンマ「おまえぇ……」

 

ツバメアマゾン(雄)の答えにガンマ憤り、握り拳に力が入る。

 

ツバメアマゾン(雄)「怒るなら逆に聞くが、お前は何で人間の味方をする?」

 

ガンマ「え?」

 

ツバメアマゾン(雄)「人間は俺たちアマゾンより弱いクセに狡賢い。お前も利用されるだけ利用されて用済みになったら殺されるに決まってる」

 

ガンマ「そんなの…ちが…」

 

ツバメアマゾン(雄)「なぜ違うと言い切れる?お前は知っているんじゃないのか?人間は姿形が違うだけで忌み嫌う。俺たちアマゾンのようにな」

 

ガンマ「………」

 

ツバメアマゾン(雄)に言われてガンマは何も答えられなかった。

 

事実、ガンマは…リュイはカニアマゾンのレストランにて管理局員たちの目を見てしまったからだ。

 

その目はあの場にいたリュイを含む全てのアマゾンをまるで汚物か何かを見るような目と異形であるアマゾンを軽蔑と恐れる目だからだ。

 

ツバメアマゾン(雄)「人間なんざ、俺たち(アマゾン)に食われるだけの存在なんだよ!」

 

ガンマ「!?、がはっ!!」

 

一瞬の隙を突かれてガンマはツバメアマゾン(雄)に蹴り飛ばされた。

 

ツバメアマゾン(雄)「シェラッ!!」

 

蹴り飛ばしたガンマにツバメアマゾン(雄)は羽を飛ばしてくる。

 

ガンマ「がっ!!」

 

ツバメアマゾン(雄)の羽が体に刺さり怯む。

 

ツバメアマゾン(雄)「止めだ!!」

 

怯んだガンマを見てツバメアマゾン(雄)は飛び掛かり、爪を伸ばして構えると、爪をガンマに突き刺そうと跳躍する。

 

ガンマ「グゥ!ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

迫りくるツバメアマゾン(雄)にガンマはアクセラーグリップを捻る。

 

《バイオレント・パニッシュ!!》

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

ツバメアマゾン(雄)「なに!?」

 

ガンマの攻撃に驚きながらも爪をガンマに向けて突くが姿勢を低くされて当たらなかった。

 

そしてガンマの攻撃に反応できなかったツバメアマゾン(雄)は胴を大型化されたアームカッターで両断された。

 

ツバメアマゾン(雄)「ギイィィィィヤアァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

胴を両断されてツバメアマゾン(雄)の悲鳴が響く。

 

ガンマ「………」

 

ツバメアマゾン(雄)を両断してアームカッターも元の大きさに戻るとガンマはある方向に歩いていく。

 

その先にいるのは両断されたツバメアマゾン(雄)だった。

 

ツバメアマゾン(雄)「これで…勝ったと…思う…なよ…」

 

まだ息があるが途絶え途絶えに言うツバメアマゾン(雄)

 

ツバメアマゾン(雄)「必ず…人間は…お前を…裏…切る…今は…家族…と言っても…いずれは…お前も…俺たちの…ように…殺されるのさ…」

 

不適に笑いながら続ける。

 

ツバメアマゾン(雄)「先に…地獄…で…まって…る…ぞ……………」

 

そう言い残してツバメアマゾン(雄)は黒い液体となり、溶けてしまった。

 

ガンマはただ、それを見ていただけだった。

 

するとガンマの顔に冷たい感触が上から伝わってきた。

 

ガンマ「…………!」

 

空を見上げると待っていたかのように雨が降り始めた。

 

ガンマ「うぅ…」

 

ツバメアマゾン(雄)の言葉が頭から離れなかった。

 

シグナムたちのようにアマゾンである自分に優しく接してくれる人と管理局の魔導師たちのように味方だがアマゾンである自分を他のアマゾンたちのように軽蔑した目をした人がいる。

 

それだけでガンマの…リュイの頭は混乱してしまった。

 

ガンマ「うわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

カニアマゾンのアマゾンレストランにて出会った【静かに人間と暮らしたいアマゾンたち】に続いて、【シグナムたちのような優しい人間と局員たちのように偏見を持つ人間、どっちが本当の人間なのか】という疑問が加わり、頭の中がパニックになり、何もかも分からなくなったガンマの悲痛な叫びが響き渡るのだった。



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hunting 73

シグナム「リュイ!」

 

ツバメアマゾンの巣となっていた家から出てガンマを捜す。

 

?「うわあぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

シグナム「今の声は!?」

 

響き渡った雄たけびのような声を聞いてシグナムはその方向へ走り出した。

 

雨も降りだし、地面がぬかるんで足がもつれるがそれでもシグナムは走る。

 

声がした場所に着くとガンマが空に向かって声を上げていた。

 

シグナム「リュイ!」

 

ガンマを見つけてシグナムは向かう。

 

ガンマ「しぐ…まま……」

 

こっちに来るシグナムを見てガンマは変身を解いてリュイに戻った。

 

リュイに戻るなり、シグナムの方へ走り、抱きついた。

 

シグナム「どうした?どこか怪我でもしたのか?」

 

シグナムの問いにリュイは首を横に振って答える。

 

シグナム「じゃあ、どうしたんだ?」

 

リュイ「……わかんなく…なった………」

 

シグナム「なに?」

 

リュイ「にんげん…わかんなく…なった…どっちが…ほんとうの…にんげん…なのか…わかんなく…なった…」

 

ツバメアマゾン(雄)に言われた言葉で少し涙声になって言う。

 

"人間はいすれ裏切る。今は家族として接していてもいつかは裏切る生き物なんだ"…主にシグナムたちのような自分がアマゾンと知っていても優しく接してくれる人しか知らないリュイにとって、その言葉は大きな重みとなっていた。

 

リュイ「しぐまま…しぐままも…ぼくが…ようずみに…なったら…いままでの…あまぞん…みたいに…ころすの…?」

 

ツバメアマゾン(雄)に言われたことを気にしているのかリュイは顔を上げてシグナムに聞く。

 

他のアマゾンのように人を食いだしたら殺してほしい、でも正気があるうちに殺されるのは嫌だとリュイは思っていたからだ。

 

シグナム「リュイ……」

 

そんなリュイをシグナムは手をまわして抱き着いた。

 

そして片手でリュイの頭を優しく撫で始めた。

 

シグナム「大丈夫だ。誰が何と言おうとお前は私たちの家族だ。リュイがリュイであるうちは殺したり、ましてや物扱いしたりしない。もしもそのような輩がいたら、私がリュイを守ってやる。約束だ」

 

リュイを見ながらシグナムは撫でていた手で小指のみを立ててリュイに見せながら言う。

 

リュイ「やく…そく…?」

 

シグナム「あぁ。約束だ」

 

シグナムの言葉を聞いてリュイはシグナムとは反対の手の小指を出してシグナムの小指と絡めた。

 

リュイとシグナムの親子の約束が交わされたのだが、この約束は敵わなくなる日が訪れる日はそう遠くないことはこの時の2人はまだ知らなかった。

 

 

 

とある管理外世界にある研究施設のような場所に【仮面ライダーアマゾン シグマ】こと【ネバ―】はいた。

 

ネバ―「頃合いか…さあて、楽しませてくれよ…人間どもよ」

 

腕の感覚を確かめながらネバーは不敵に笑うのだった。




帰り道、変身後の反動で眠ったリュイを背負ってシグナムは現場となった家へ戻っていた。

家の周囲ではシグナムの部下の局員やこの地域の警ら隊が現場検証と拉致されていた子供たちの健康をチェックしていた。

少女「あ、あの!」

シグナム「ん?」

呼ばれたシグナムが声の方を見るとそこにはツバメアマゾンたちに食べられそうになった少女がいた。

少女「あの、その子、死んじゃったんですか?」

シグナムの背中で眠っているリュイを見て少女は心配して聞く。

自分を庇ってくれたリュイを何かと心配していたのだ。

シグナム「大丈夫だ、少し疲れて眠っているだけだ。ケガもしていない。安心してくれ」

少女に微笑んでシグナムは言う。

少女「そうなんだ。よかった……」

シグナムの言葉を聞いて安心する少女。

少女「あの、この子が起きたら伝えてくれませんか?"助けてくれて、ありがとう"って」

シグナム「あぁ、伝えておく」

少女に頼まれてシグナムは了承するのだった。


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hunting 74

その日、シグナムは困り果てていた。

 

シグナム「リュイ…いい加減に離してくれないか?」

 

リュイ「い…や…」

 

シグナムの足に抱きついて今にも泣きそうな声で嫌がる。

 

シグナム「仕事に遅れるから離してくれ」

 

リュイ「やぁ~…」

 

シグナム(な、なんなんだ今日に限って!?リュイが頑なに嫌がるとは!?)

 

頑なにシグナムが仕事へ行くのを嫌がるリュイに困惑する。

 

はやて「しゃーない。シグナム、今日は仕事を休みいや」

 

シグナム「し、しかし…」

 

はやて「リュイの顔、見てみ」

 

断ろうとしたシグナムにはやては言う。

 

言われてリュイを見ると不安な表情でシグナムを見ている顔が映った。

 

はやて「こないな不安な顔したリュイは初めてや。こんな時こそ母親であるシグナムがおらんとあかん」

 

シグナム「ですが…」

 

はやて「これは夜天の書の主兼八神家当主(的な立場)の命令や!」

 

シグナム「うっ……」

 

ビシッと言われてまじめな性格のシグナムは従わざるを得なかった。

 

結局、シグナム以外の面々が仕事へ出かけ行き、シグナムはリュイと留守番することになった。

 

リュイ「………」

 

リビングにてリュイはシグナムに抱き着いたまま動こうとしなかった。

 

シグナム「どうしたんだ、リュイ?」

 

抱き着かれたままのシグナムはリュイに聞く。

 

ここまで不安な表情をするリュイは確かに初めてだ。

 

あのアマゾンと戦闘中に何かあったのかとシグナムは感じていた。

 

リュイ「……」

 

だが、リュイは答えようとはしなかった。

 

いや、答えたくないのか唇を固く閉ざしていた。

 

シグナム「……答えたくないならそれでいい。だが、答えてくれないと私が逆に不安になる…リュイがもしかしたら大きな病気になっているかもしれない、誰かに脅されているかもしれない、とな」

 

今、シグナムが言った言葉はリュイを心の底から心配している本当のことである。

 

リュイ「………あの…とき…」

 

シグナムに言われてリュイはようやく口を開いた。

 

リュイ「あの…とき…しぐまま…いった…ぼくを…ものあつかい…しないって…でも…ここが…すごく…もやもや…するの…だから……」

 

胸を抑えてリュイは泣きそうになりながら言う。

 

"胸がモヤモヤする"、それはリュイの心が何かしらの不安を抱えてしまっていることはシグナムでも分かった。

 

どう言えばいいのか考えるが言葉が見つからないシグナム。

 

ただシグナムはリュイがこうなった理由は想像がついていた。

 

シグナム(恐らくあのツバメ型のアマゾンに何か言われて心が揺らいでしまっているのだろう)

 

そう思ったシグナムはリュイの頭を優しく撫でた。

 

シグナムに撫でられてリュイは顔を上げるがまだ不安があるようだ。

 

シグナム「そう不安な顔をするな。リュイ、ツバメ型のアマゾンの住処に捕まっていた時、食われそうになった女の子を助けただろ?」

 

リュイ「うん…」

 

シグナム「あの子がお前に"ありがとう"っと言っていた。それはお前が少なくともあの子に信頼してくれた証だ。それだけでも分かっていてくれ」

 

ツバメアマゾンの事件でリュイが変身できな状況でありながら果敢にも食われそうになった女の子をかばったこととその女の子が事件後にお礼を言っていたことを言う。

 

シグナム「それに大丈夫だ。例え、世界中がお前を嫌っても…私だけは母として絶対に守り抜いて見せる。だからそれまで人間を信じていてくれないか?」

 

精一杯に考えてシグナムはリュイに言う。

 

リュイ「しぐ…まま…」

 

シグナムに言われてリュイは少し不安が消えてそう言った。

 

母親という存在に人は安心を感じるもの、リュイも母として慕っているシグナムが味方でいてくれるということが分かって安心したのだ。

 

リュイ「すー…すー…」

 

安心しきったリュイはシグナムにしがみついたまま眠ってしまった。

 

色々と自分なりに考えたりして疲れてしまったのだろう。

 

シグナム「リュイ…」

 

眠っているリュイを見てシグナムは微笑んでいた。

 

その時シグナムは思っていた、"リュイがこんな風に不安もないまま穏やかに育ってくれればいいのに"っと…。

 

それが叶わぬとは分かってはいたが、自身に目覚め始めた母性がそう訴えていたのだった。



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再戦・最凶の狩人
hunting 75


その日、リュイはシグナムとティアナと共にアルトが操縦するヘリに乗っていた。

 

理由は湖があるキャンプ施設にレジスターによる覚醒したアマゾンの反応が確認されたために撃破へ向かっていたのだ。

 

近隣住民は避難をしているが

 

リュイ「~♪~♪」

 

ヘリの中でリュイは紙に何かを書いていた。

 

ティアナ「あの、シグナム隊長。リュイは何を書いてるんですか?」

 

シグナム「ん?ああ、あれはヴィヴィオたちへの手紙だそうだ」

 

ティアナ「ヴィヴィオたちに…ですか?」

 

シグナム「ああ。少し前にストライクアーツがようやく再開したらしくてな。明日、ヴィヴィオとミウラの試合だったが今日のアマゾン騒ぎで行けなくなったから手紙を書いてアルトに送ってもらおうとしているんだ」

 

ティアナ「なるほど。友達想いなんですね」

 

シグナム「まあな。あの子はアマゾンである前に1人の人間の子だからな」

 

友達のために応援メッセージの手紙を書くリュイを見てそう話す。

 

アルト《シグナム隊長、ランスター執務官、もう間もなく目的地に到着します。降下の準備をお願いします》

 

シグナム「もうか。リュイ、こっちに来るんだ。そろそろ降りるぞ」

 

ヘリを操縦するアルトの報告が聞こえてシグナムはリュイを呼ぶ。

 

リュイ「うん」

 

呼ばれたリュイは手紙をさっきまで座っていた椅子に置き、その上に重しとして近くにあった工具箱を置いてシグナムの方へ近寄る。

 

近寄ってきたリュイをシグナムは抱えるとベルトを出して自身とリュイの体を繋いだ。

 

目的地に着くとシグナム、リュイ、ティアナの3人はヘリから飛び降りる算段であるのだが変身前のリュイは並の子供くらいの身体能力しか持ち合わせていない為、飛び降りた際に怪我でもされたら大変なのでシグナムが抱えて一緒に飛び降りることになったのだ。

 

アルト《目的地周辺に到着ですのでハッチを開きますね!》

 

アルトがそう言うとヘリのハッチが開いた。

 

アルト《周囲に覚醒したアマゾンの反応はありません》

 

シグナム「分かった。行くぞ、リュイ」

 

アルトからの報告を聞いてシグナムは言うとリュイの方を見てに飛び降りることを伝える。

 

リュイ「うん…あると…びびおたちへの…おてがみ…おねがい…」

 

シグナムに言われてリュイはアルトにそう伝える。

 

アルト《まっかせて!ちゃんと皆に届けるから。リュイくんも頑張ってね!》

 

リュイ「うん…!」

 

アルトの言葉を聞いてリュイはギュッとシグナムの服にしがみついた。

 

それを見たシグナムはヘリから飛び降りた。

 

シグナムが飛び降りるとティアナも続いて飛び降りた。

 

着地してシグナムは自身とリュイを繋いでいたロープを外してリュイを降ろした。

 

3人が降りたのを確認するとヘリはハッチを閉めて方向転換すると元来た場所へ戻っていった。

 

シグナム「どうだ、リュイ。アマゾンは近くにいるか?」

 

リュイ「うん…こっちにくる…」

 

アマゾンであるリュイも他のアマゾンの気配(覚醒したかどうかまでは分からない)を感じ取れるので、その気配がこっちに来ていることを伝える。

 

ティアナ「私たちに気付いての迎撃でしょうか?」

 

シグナム「分からないが向こうから近づいてくれるなら探す手間が省けた。行くぞ」

 

向かってくるアマゾンを迎え撃とうと準備をする。

 

リュイ「まって…!」

 

準備をしようとした2人をリュイは止めに入った。

 

シグナム「どうした?」

 

リュイ「この…かんじ…ふつうの…あまぞん…じゃない…」

 

「「!?」」

 

リュイの言葉に2人は驚く。

 

リュイ「あまぞん…のかんじ…する…でも…いきて…ない……」

 

ティアナ「それってどういう…」

 

?「こういうことだ」

 

リュイの言葉に混乱して質問しているティアナに答えるように3人の前に何かが落ちてきた。

 

落ちてきたのは内側にびっしり生えた無数の棘がある腕輪―アマゾン達の発信機である『アマゾンズレジスター』であった。

 

レジスターが投げられた方向を見ると忘れられるハズもない1人の人物がいた。

 

シグナム「貴様は!!!」

 

人物を見るなり怒りを露にするシグナム。

 

3人の前に現れた人物―前にリュイを襲い、1度は深手を負わせた唯一の存在。

 

リュイと同じアマゾンライダーの1人【仮面ライダーアマゾン シグマ】こと【ネバー】であった。

 

ネバー「久しぶりだな、小僧。まさかあの傷で生きているとはな」

 

一度自身が完膚なきまでに倒したリュイにネバーは挑発するような口調で言う。

 

リュイ「そんなちょーはつに…もう…のら…ない!」

 

GA()M()MA()!】

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

ネバーの挑発に乗らず、リュイは【仮面ライダーアマゾン ガンマ】となり、雄たけびを上げる。

 

ネバー「へぇ、少しは前より楽しめそうだな」

 

雄たけびを上げるガンマを見てネバーもアマゾンズドライバーを出した。

 

SI()GU()MA()

 

ネバー「アマゾン!」

 

ネバーもシグマに変身して臨戦する。

 

ネバー「楽しめそうだが…今回はきっちり4手で潰してやるよ」

 

前と同じくガンマを倒す己の攻撃回数を宣言するシグマ。

 

ガンマ「もう…にどと…まけない!!」

 

高ぶり、先走りそうになる感情を抑えながらガンマはシグマを睨むのだった。



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hunting 76

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!」

 

シグマ「ヌアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

ガンマとシグマ、2人のアマゾンライダーはそれぞれを攻撃しようと拳とアームカッターを放つがタイミングが同じなためにそれぞれ空を切る。

 

ガンマ「ウオアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

攻撃が空を切ったがガンマは左足を上げて踵落としを繰り出した。

 

シグマ「ヌウゥンッ!!!!!」

 

ガンマの繰り出した踵落としをシグマは左腕を盾にして頭への直撃を防ぐ。

 

シグマ「ウオラアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

踵落としを防いだシグマは空いている右腕でガンマの腹部を殴った。

 

深々とシグマの右拳がガンマに突き刺さる。

 

ガンマ「あぐっ、グガアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

だがガンマもただで殺られず、右足を上げてシグマの側頭部に蹴りを叩き込んだ。

 

両者それぞれの攻撃を受けて互いに吹き飛ぶ。

 

シグマ「…効かねぇな」

 

吹き飛んで地面に激突する寸前で態勢を整えたシグマはノーダメージであるように起き上がって言う。

 

逆にガンマは地面に激突してまだ立ち上がっていない。

 

シグマ「スキあり!!!!」

 

好機を逃すハズの無いシグマは一気にガンマとの距離を詰めに掛かる。

 

シグナム「させるか!!!」

 

そこへシグナムがレヴァンテインで斬りかかってきた。

 

シグマ「おっと!!!」

 

シグナムの斬撃をシグマは右腕のアームカッターで防御した。

 

ティアナ「そこッ!!!」

 

シグナムの攻撃を防御して動きが止まったシグマにティアナが射撃する。

 

シグマ「ふん」

 

ティアナの射撃で放たれた弾をシグマは空いていた左手で掴むように防いだ。

 

シグマ「そんな弾が当たると思ったか?」

 

弾を全て防いでシグマは言う。

 

ティアナ「ええ、でも時間稼ぎくらいにはなったわ」

 

シグマ「なに?」

 

《ヴァイオレント・ストライク!》

 

シグマ「なに!?」

 

聞き覚えのある音声を聞いてシグマは空を見上げると左足を突き出したガンマが急降下してきていた。

 

迫るガンマにシグナムは素早くシグマから離れる。

 

シグマ「くそ!」

 

迫りくるガンマに対抗しようとシグマはアクセラーグリップを捻り、左前腕部のアームカッターを大型化させる。

 

《バイオレント・パニッシュ!》

 

ガンマ・シグマ「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」」

 

ストライクとパニッシュ、2つの必殺技が互いを殺そうと交差する。

 

"ズドオォォォォォン"っと激しい地響きと爆音が辺りに響き、爆煙が周囲から視界を奪う。

 

シグナム「リュイ!!」

 

視界を奪われてシグナムは叫ぶ。

 

薄れる爆煙の中で1つの人影が見えた。

 

小さな体をした影、色が見えるくらいまで視界が戻るとガンマが立っていた。

 

その足元には赤い血液が水たまりのように広がっていたがガンマの視線は前を向いていた。

 

その視線の先にいたのは……。

 

シグマ「………」

 

無傷の姿で立っているシグマがいた。

 

シグマ「今のは効いたぜぇ…だが、俺を殺るにはまだまだみたいだな。それに引き換え…」

 

シグマは痛みを感じ亭なのか何事も無いように話すとガンマの体がグラリと揺らいで膝をついた。

 

ガンマ「くっ…がはっ!!!!」

 

膝を着いたガンマは瞬間にマスクの隙間から大量の血液が流れ出した。

 

シグマ「不意打ちを狙ったつもりだろうが生憎と俺には通じなかったな」

 

ガンマ「それは…どう…かな…?」

 

シグマ「あん?」

 

余裕のあるシグマにガンマが不敵に笑って言った瞬間だった、"ボトリ"と何かが地面に落ちる音がした。

 

その方をシグマが見た、それは…丸ごと切断され、切り口から大量の血が噴き出しているシグマ自身の左腕であった。

 

シグマ「なに!?」

 

自身の左腕が丸ごと斬られたのを見て驚くシグマ。

 

ガンマ「おまえが…いたいの…かんじなの…わかった…だから…ひるまない…ひるまないと…すき…できない…でも…いたいの…かんじないと…じぶんの…からだの…げんかい…きづかない…」

 

今までの戦闘でガンマはシグマが痛みを感じないで戦っていたことに気づいた。

 

それは痛みからくる怯みを無くす事が出来るが逆に自身に来る体へのダメージ限界に気づきにくいという弱点があったのだ。

 

シグマ「痛覚遮断の処置が裏目に出たか…しかも相打ち覚悟であの技を繰り出すとは…凄いな、ガンマ…」

 

自身に施した痛覚遮断が裏目に出てアドバンテージを取られたことにシグマは納得し、相打ち覚悟で技を繰り出したガンマを称賛する。

 

するとガンマの隣にシグナムとティアナが来た。

 

シグナム「もはや貴様に勝ち目はない!大人しく投降…」

 

シグマ「ククク…クハハハハハハハハハッ!!!!!」

 

投降するようにシグナムが通告した瞬間にシグマは笑い始めた。

 

シグマ「そうだ…そうこなくっちゃなぁ…これからますますお前を殺すのが楽しみになったぜ…」

 

笑い終わってそう言うとシグマは右足を上げて地面に向かって振り降ろした。

 

振り降ろされた足に地面は砕けて周囲を土煙が覆った。

 

ガンマ「シグマ…ッ!!!」

 

逃げると予想して追撃しようとするガンマだったがシグマの"バイオレント・パニッシュ"のダメージによる痛みで動けなかった。

 

土煙が晴れるとシグマの姿も、斬り落としたシグマの左腕も消え、あるのは出血し地面に落ちた血液だけであった。

 

ガンマ「………」

 

シグマがいなくなってガンマはリュイの姿に戻るとフラリと倒れ始めた。

 

ティアナ「おっと」

 

倒れるリュイをティアナが地面に倒れる前に支えた。

 

シグナム「すまない、ランスター」

 

ティアナ「いえ。凄く頑張りましたから、リュイくん」

 

変身後の反動でスヤスヤと眠っているリュイを見ながらティアナは言う。

 

シグナム「あぁ。だが相打ち覚悟の攻撃はいささか褒められたものとは言えんな。起きたら叱らなくては…」

 

ティアナ「で、出来るんですか?」

 

シグナムがちゃんとリュイを叱れるかティアナは心配になって聞く。

 

どういう訳かリュイに関わるとシグナムはいつものクールさが消えてデレデレになってしまうほどリュイを溺愛している。

 

そんなシグナムがリュイを叱れるのか心配であったからだ。

 

シグナム「わ、私だって言うところはちゃんと言うに決まっているだろ!」

 

ティアナに心配されてシグナムは少し向きになって言い返したのだった。

 

この後、連絡を聴いて迎えに来たアルトのヘリで無事に帰還。

 

帰還後、八神家の家で目を覚ましたリュイをシグナムは叱ることが結局できず、代わりにはやてが叱ったのは別のお話…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シグマ「………」

 

戦線を離脱したシグマは自身の斬り落とされた腕をくっ付けていた。

 

腕はまるで糸で結ぶかのように組織が絡み、元の状態に戻った。

 

シグマ「………」

 

何事も無いようにシグマは腕の感覚を確かめる。

 

シグマ(あの時…あの騎士に斬られた時か…でなければここまでのダメージではないハズ……)

 

自身の左腕が斬り落とされたそもそもの原因を思い出すシグマ。

 

傷の治療していた時に現れた1人の騎士と戦闘したことを思い出していた。

 

互角に戦いそのあと戦況が不利になるなり撤退した、その時自身の左腕に切れ込みを入れられたと考える。

 

シグマ(いずれヤツとも決着を付けてやる)

 

その騎士との決着を期待しながら、シグマはその場を後にするのだった。



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小さな狩人と優しき狩人
hunting 75


仮面ライダーアマゾン シグマとの予期せぬ遭遇戦を繰り広げた仮面ライダーアマゾン ガンマことリュイは倒すことはできなくてもシグナムたちやシグマの特性を逆手に取った戦いで撃退することに成功する。

 

それから数日後、リュイはシグナムと一緒にある教会にいた。

 

リュイ「…………」

 

?「………」

 

?「………」

 

リュイの前に縛られて木にぶら下っている2人のシスターがおり、内1人は頭にたんこぶがあり気絶していた。

 

シグナム「リュイ、あまりあんなものを見るな」

 

リュイの目を塞ぎながらシグナムは言う。

 

セイン「あのー、それを言うなら下して…」

 

木にぶら下っているたんこぶの無い方のシスター、前にリュイがヴィヴィオたちの合宿に参加した時にお風呂を覗いた【セイン】は言う。

 

シグナム「すまんがお前のことはリュイから聞いた。勝手に人の息子の入浴を覗いたそうじゃないか」

 

セイン「あ、口止めするの忘れて…」

 

シグナム「今すぐ斬りたいがここは上司に言っておくとする」

 

セイン「それ完全にアタシからしたら最悪じゃん!ねぇ、ちょっとぉ!!!」

 

シグナムに言われてセインは言うがすでにシグナムはリュイを連れて協会内へ入っていった。

 

 

 

カリム「ご無沙汰しています、シグナム隊長」

 

シグナムに挨拶をする金髪で、シスターの服を着た女性はこの聖王教会の上層部のメンバーである騎士で、はやての古くからの友人で時空管理局少将でもある【カリム・グラシア】である。

 

シグナム「こちらこそです、騎士カリム」

 

カリム「えっと、そちらが噂の…」

 

挨拶を終えて、シグナムの後ろに隠れているリュイを見てカリムは言う。

 

シグナム「はい。ほら、リュイ」

 

隠れているリュイを前にだしてシグナムは言う。

 

リュイ「う…あ…」

 

知らない人で、さらに苦手な金髪の女性を見てリュイは少し緊張気味であった。

 

リュイ「や、やがみ…りゅい…です…」

 

でも、何とか臆せずに名乗れたがすぐにシグナムの後ろに隠れてしまった。

 

シグナム「す、すみません…」

 

隠れてしまったリュイを見てシグナムは謝罪する。

 

カリム「いえいえ。誰だって知らない人に挨拶するのは緊張しますよ。泣いたりせずにしっかり挨拶できたからよしとしましょう」

 

頑張って挨拶したリュイを見てカリムは言う。

 

シグナム「貴女がそうおっしゃるなら。それで今日はどのようなご用件でしょうか?」

 

カリム「実はここ最近教会近くの森にアマゾンらしき怪物を見たという情報が多く寄せられまして…」

 

シグナム「やはり…」

 

リュイと一緒に呼び出された時からシグナムはある程度予感していたのかそう呟いた。

 

シグナム「被害の程は?」

 

カリム「それがここではないのですが別の教会のシスターや周辺の住人の方が襲われて…ただ命に別状はなく全員が無事です」

 

被害の状況を聞いてシグナムは首を傾げたくなった。

 

シグナム(アマゾンが人を襲って命を取らない?)

 

基本的にアマゾンは人食性で、本能の赴くままに人を襲い、食らう。

 

だがリュイのように人を襲うことを嫌い、静かに暮らそうとしているアマゾンも何体かいることも確認されていた。

 

というのも今回は"人を襲うが命は取らない"というアマゾンは初めてのケースであったからだ。

 

カリム「ディートやオットーたちが何回か捜索したのですが結局見つからず…ですから八神司令に相談したらリュイくんのことを聞いて協力をお願いしたのです」

 

シグナム「そうですか…そういうことなら協力します。な、リュイ」

 

リュイ「うん…」

 

シグナムに言われてリュイは返事をする。

 

カリム「良かった。それではさっそくシグナム隊長はこれに着替えてください」

 

引き出しから折りたたまれて袋に包まれた服を出してカリムは笑顔で言う。

 

シグナム「……は?」

 

それを見たシグナムは目が点になった。



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hunting 76

聖王教会の騎士であるカリムからアマゾンの調査を依頼されてリュイは着替えを終えたシグナムと案内役のセイン、そして聖王教会所属の修道騎士で、カリム・グラシアの秘書でシグナムとは【剣友】の間柄の【シャッハ・ヌエラ】と共にアマゾンが潜伏している山に来ていた。

 

セイン「うー…なんでアタシまで…」

 

シャッハ「文句を言わない。今までサボっていた分の罰です」

 

文句を言うセインにシャッハは言う。

 

セイン「うぅ…否定できないのが辛い……」

 

図星らしくセインは言う。

 

セイン「それにしても……」

 

振り向いてセインは後ろで付いてくるリュイとシグナムの方を向く。

 

セイン「よくお似合いで」

 

少しからかうようにセインは言う。

 

シグナム「一応、弁解しておくが好きで着たわけではない!!!」

 

セインにからかわれて、聖王教会のシスターの服を着たシグナムは言う。

 

実はカリムが出してきた服とはこのシスターの服で、断ろうとしたのだがどういうわけか今回のアマゾンはシスターを狙っているものと判断されたらしく渋々着る羽目になったのだ。

 

シグナム「くっ、任務出なければこのような格好…」

 

リュイ「しぐまま…にあってる…よ」

 

普段なら着ないような服を着て嫌々なシグナムにリュイは言う。

 

セイン「ほらほら、この子だってそう言って…」

 

シャッハ「いい加減にしなさい!!」

 

またもからかうセインにシャッハの怒声と鉄拳が耳と頭に叩き込まれた。

 

セイン「うぅ…すごく痛い……」

 

殴られた頭を押さえてしゃがみ込むセイン。

 

リュイ「せいん…だいじょうぶ…?」

 

しゃがみ込むセインにリュイは少しだけ心配した様子で聞く。

 

シャッハ「全く…それにしても貴女に子供ができるなんて予想外でしたよ」

 

シグナム「リュイは養子だがな…まあ、確かに私自身も予想外だった。まさか私を母親として慕ってくれている子ができるなんてな」

 

リュイを見ながらそう話す2人。

 

そんなリュイはセインのたんこぶをツンツン突き、セインはその痛みで悲鳴を上げていた。

 

リュイ「!」

 

たんこぶをツンツンしていたリュイは急に周囲を警戒するように見回した。

 

シグナム「リュイ、まさか…」

 

警戒するように周囲を見回しているリュイを見てシグナムは聞く。

 

リュイ「うん…ちかくに…あまぞん…いる……」

 

聞かれてリュイはシグナムに言う。

 

それを聞いて3人は警戒する。

 

リュイ「来た!!」

 

同時に4人の足元の地面から1体のアマゾンが飛び出してきた。

 

シグナム「地中からだと!?」

 

地中から奇襲を仕掛けてきたアマゾンに驚きながらも回避する。

 

GA()M()MA()!】

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!】

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

回避して着地するとすぐさまアマゾンズドライバーを出してグリップを捻って変身し、臨戦した。

 

モグラアマゾン「み、水澤くん!?」

 

変身したガンマを見てモグラのアマゾン【モグラアマゾン】は誰かと勘違いしたのか驚いていた。

 

ガンマ「みず…さわ?」

 

対してガンマは勘違いされて首を傾げていた。

 

モグラアマゾン「いや違う。水澤くんに似てるけど…でも誰だろうとここからは通さない!!!」

 

ガンマの反応を見てモグラアマゾンは勘違いしていたと気づいて臨戦する。

 

ガンマ「グルルルル、ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

臨戦したモグラアマゾンにガンマも構えると向かって走りだした。

 

モグラアマゾン「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

向かってくるガンマにモグラアマゾンも真っ向から対抗しに来る。

 

ガンマのアームカッターとモグラアマゾンの硬化クローがぶつかり甲高い金属音が周囲に響く。

 

アームカッターと硬化クローがぶつかり合ってガンマはすぐに左足を振り上げてレッグカッターをモグラアマゾンの首にめがけて振り下ろした。

 

しかしモグラアマゾンは戦い慣れているのか硬化クローをガンマの腋に潜らせると力いっぱいに持ち上げて投げ飛ばした。

 

ガンマ「ぐっ!!」

 

左足を振り上げていて片足立ちであったガンマは容易に投げられてしまい地面に叩きつけられてしまう。

 

モグラアマゾン「ウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

 

投げて地面に叩きつけたガンマにモグラアマゾンは追撃として硬化クローを放つ。

 

ガンマ「グルラアッ!」

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

向かってくるモグラアマゾンの硬化クローをガンマはバトラーグリップを引き抜いて槍である武器、アマゾンスピアを出して柄の部分で受け止めた。

 

モグラアマゾン「!?」

 

アマゾンスピアで受け止められたのを見てモグラアマゾンは驚く。

 

その隙にガンマは起き上がるとモグラアマゾンの腹部を蹴って突き離した。

 

モグラアマゾン「ぐはっ!!!」

 

蹴られたモグラアマゾンは大木の木にぶつかった。

 

ガンマ「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

 

モグラアマゾンが大木にぶつかったのを見てガンマはアマゾンスピアを投擲した。

 

モグラアマゾン「くっ!」

 

投擲されたアマゾンスピアを見てモグラアマゾンは素早く体をかがませると地面を掘り、その姿を眩ませた。

 

ガンマ「!?」

 

地面を掘って姿を眩ませたモグラアマゾンを見てガンマは周囲を警戒する。

 

するとガンマの背後の地面に大きな穴が開いた。

 

ガンマ「そこっ!!!」

 

背後を警戒していたガンマはすぐに攻撃したがそこには誰もいなかった。

 

ガンマ「なっ!?」

 

誰もいないことに驚いていると今度は逆方向の地面に穴が開いて中からモグラアマゾンが姿を現した。

 

モグラアマゾン「もらった!!!」

 

ガンマ「しまっ!?」

 

完全に裏をかかれてしまいガンマは防御が間に合わなかった。

 

モグラアマゾンの硬化クローがガンマに向かって放たれたのだった。



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hunting 77

モグラアマゾンの硬化クローがガンマに迫っていた。

 

硬化クローがガンマに刺さりそうになった刹那、板のような物が硬化クローを受け止めた。

 

モグラアマゾン「なに!?」

 

自身の硬化クローを受け止められてモグラアマゾンは驚く。

 

シグナムがレヴァンティンでモグラアマゾンの硬化クローを受け止めていたのだ。(リュイがピンチであったために服装はまだシスター服であるが)

 

シグナム「今だ!!」

 

モグラアマゾン「!?」

 

シグナムが叫ぶとモグラアマゾンの後ろから双剣型のアームドデバイス【ヴィンデルシャフト】を構えたシャッハが飛びかかってきた。

 

モグラアマゾン「くっ!!」

 

シャッハの斬撃をモグラアマゾンはもう片方の硬化クローで受け止めて直撃を避ける。

 

シャッハ「流石はアマゾンですね…ですがこれでアナタは動けなくなっています!!」

 

モグラアマゾン「しまった!?」

 

シャッハに言われてモグラアマゾンは自身の状況に気付いた。

 

唯一の武器である両手の硬化クローはシグナムとシャッハの2人の攻撃を防いでいて動きが取れなくなっつてしまっていた。

 

ガンマ「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

《バイオレントパニッシュ!!!》

 

この好機をガンマは見逃さず、アクセラーグリップを捻り両腕部の【アームカッター】を大型化させてモグラアマゾンに斬りかかった。

 

後少しでアームカッターがモグラアマゾンの体を切り裂こうとしたその時だった。

 

《O・ME・GA!!》

 

?「アマゾンッ!!」

 

《EVOLU・E・EVOLUTION!!》

 

ガンマ「!?」

 

ガンマのバイオレント・パニッシュがモグラアマゾンに決まりかけた時、ガンマの変身音と似た音が流れたかと思いきや体の色は緑色で、釣り目の複眼や知覚アンテナのような角、各部のプロテクター状の部分があるガンマと瓜二つのアマゾンライダーが現れてアームカッターでバイオレント・パニッシュを受け止めてモグラアマゾンを守った。

 

?「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

 

モグラアマゾンを守ったアマゾンライダーはそのままシグナムとシャッハの2人の腹部を蹴って吹き飛ばした。

 

ガンマ「しぐまま!!この…!!」

 

蹴りとなされたシグナムたちを見てガンマはバトラーグリップを掴んだ。

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

槍型の武器を出して緑のアマゾンライダーに向かって投擲した。

 

?「ふっ!!」

 

しかし緑のアマゾンライダーは投擲された槍を上手く掴んで受け止めた。

 

ガンマ「!?」

 

これにガンマは驚いてしまう。

 

?「…………」

 

緑のアマゾンライダーは受け止めた槍を捨てると驚いているガンマにその視線を移した。

 

?「はあぁっ!!」

 

構えも無しに緑のアマゾンライダーはガンマに向かっていく。

 

ガンマ「ウガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

向かってくる緑のアマゾンライダーに対抗してガンマも向かっていく。

 

2人のアマゾンライダーは同時にアームカッターを繰り出してぶつかり合う。

 

"ギリギリ"と刀のつばぜり合いのように互いに押し合う。

 

?「君は…アマゾン、なのか?」

 

恐る恐るっというように緑のアマゾンライダーはガンマに聞く。

 

ガンマ「ぼくは…あまぞんで…にん…げんだ!!!」

 

聞かれたガンマは純粋なアマゾンであるかどうかと解釈して言う。

 

?「そうか…なら僕たちは敵対することはない」

 

ガンマ「え?」

 

ガンマの答えを聞いて緑のアマゾンライダーが言うとガンマの集中力が途切れた。

 

?「はっ!!!」

 

その隙を突いて緑のアマゾンライダーはガンマの腹部を蹴って吹き飛ばした。

 

ガンマ「あぐっ!!」

 

蹴られたガンマは少し離れた木に激突した。

 

ガンマ「この…」

 

立ち上がって再度集中するガンマ。

 

?「………」

 

しかし緑のアマゾンライダーは戦う意思がもう無いのか背を向けた。

 

?「君と僕は似ている。アマゾンであり、人間であり、どちらか分からなくなりそうな狭間に葛藤してしまう…どちらか一方しか守れない、一方にしか付けない。そんな狭間でどちらかを捨てる覚悟がいずれ訪れる。その時、悩んだりしたら僕の言葉を思い出してほしい。"自分の気持ちに正直になって、自分の信じた道を貫くんだ"。これが僕と同じ…いや、似ている君に送る言葉だよ」

 

緑のアマゾンライダーはガンマに言い残すとモグラアマゾンを連れて森の奥へ入っていった。

 

ガンマ「………」

 

攻撃のチャンスであったがガンマは緑のアマゾンライダーを攻撃する気になれなかった。

 

それでガンマは緑のアマゾンライダーとモグラアマゾンを見送るしかなかった。

 

ガンマ「……あ…しぐまま…と…しゃは…」

 

緑のアマゾンライダーとモグラアマゾンが見えなくなってガンマは我に帰ってシグナムとシャッハを思い出して探し向かっていった。

 

後々で分かったが聖王教会のシスターを襲っていたアマゾンはモグラアマゾンとは別のアマゾンであったことが判明した。

 

今回の戦いで失ったガンマの体力が回復した翌日に無事に討伐されたのだった。

 

因みにこの戦闘のために囮でシグナムがシスターの格好をする羽目になった。

 

加えてはやてがリュイにシスター・シグナムの写真をこっそり撮るように言っていて撮っていたことが分かった。

 

この写真ははやてがシグナムファンの職員に闇取引で売り捌いていたのだった。




リュイがいるとは別の世界にて使われなくなり、忘れ去られたトンネルに戦線から離脱した緑のアマゾンライダーとモグラアマゾンは来ていた。

そこには数十人の人々がいた。

共通点は全員が右腕に腕輪―アマゾンズレジスターを装着していた。

マモル「いいの水澤くん。あの人たちを放っておいて?いつかまた…」

悠「大丈夫だよ。あの子は僕たちには手を出さないよ。出してきても僕が戦うだけだから」

緑のアマゾンライダーこと【仮面ライダーアマゾンオメガ】、【水澤 悠】はモグラアマゾンこと【マモル】の問いにそう答えた。

マモル「そうか。水澤くんが言うなら安心だよ」

悠の言葉にマモルは言う。

悠(僕はアマゾンも関係なく守りたいものを守る…君はどんな答えを出すのかな)

空を見上げながら悠はリュイがアマゾンと人間の狭間の中でどんな答えをを出すのかと期待を持っといたのだった。


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小さな狩人と野生の狩人
hunting 77.5


ある日の夜の街、点滅する街灯の下にガンマは傷だらけで今にも倒れそうな体に鞭打って立っていた。

 

?「随分と持ち堪えるな。流石は特別なアマゾンだな」

 

ガンマの前には真紅の体色をして、エメラルドグリーンの目を持ったアマゾンライダーがいた。

 

ガンマ(こいつ…つよ…すぎる…にげ…なきゃ……)

 

圧倒的な力の差で自分をここまでのダメージを与えてきた真紅のアマゾンライダーにガンマはシグマほどではないが心の奥に恐怖心が根付き始めていた。

 

?「いくぞ」

 

アクセラーグリップを握り、捻ると上空高くジャンプした。

 

《バイオレント・ストライク!!》

 

?「ウラアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

上空高くジャンプしてからの急降下ドロップキック版の【バイオレント・ストライク】を繰り出してきた。

 

ガンマ「くっ!!」

 

逃げ出したかったガンマだが逃げれないと判断してアクセラーグリップを捻った。

 

バイオレント・パニッシュ!!

 

ガンマ「ウオォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

右腕のアームカッターを大型化させ、バイオレント・パニッシュを繰り出したガンマは真紅のアマゾンライダーのバイオレント・ストライクに対抗する。

 

ガンマの右腕と真紅のアマゾンライダーの足がぶつかった時、何かがアマゾン特有の黒い体液を撒き散らしながら空を舞う。

 

ボトリと地面に落ちたそれは…ガンマの腕であった。

 

ガンマ「…!?」

 

落ちた腕を見てガンマは自身の右腕を見た。

 

そこには本来あるべき右腕は無く、傷口からアマゾン特有の黒い体液と赤い鮮血が流れていた。

 

ガンマ「う、うぅ…」

 

今まで見たことのない傷にガンマの恐怖心が加速する。

 

 

 

リュイ「うわああぁぁぁあぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」

 

悲鳴を上げながらリュイは飛び起きた。

 

シグナム「どうした、リュイ」

 

飛び起きたリュイにシグナムも起きて聞いてきた。

 

リュイ「うぅ……」

 

赤いアマゾンライダーがよほど怖かったのかリュイは今にも泣きそうな声でシグナムに抱き着いた。

 

シグナム「ど、どうしたというんだ、本当に」

 

リュイ「う~…」

 

急に抱き着かれて驚きながらもシグナムは聞くが、リュイは恐怖で一杯なのか、何も言わずにシグナムの体に顔を埋めて答えようとはしなかった。

 

 

 

男性「っあ~…」

 

ある世界にあるとあるアパートの一室に1人の髭を生やし、野性味溢れた男性が起き上がった。

 

女性「どうしたの?」

 

隣で寝ていた女性が起き上がった男性に聞いてきた。

 

男性「んー?ちょっと夢でアイツに似たアマゾンと戦ってた」

 

女性「アイツって、前に連れてきたあの子?」

 

男性の言っている"アイツ"が誰なのか心当たりがあるのか女性は聞く。

 

男性「あぁ…それにしても、よく似てたな…」

 

女性の問いに答えながらガンマを思い出して男性は言う。

 

女性「また会ったらどうするの?」

 

男性「決まってんだろ。アマゾンは一匹残らず殺す。この俺がな」

 

七羽「仁らしい」

 

仁「ふっ…お前に言われるといい気分だ」

 

女性【泉 七羽】に言われて男性【鷹山 仁】は少し嬉しそうにしていたのだった。



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懐かしき思い出
hunting 78


その日、リュイはシグナムと管理局の本部に来ていた。

 

子供を連れているシグナムに男性・女性職員の視線が注がれ、その視線はリュイにも向けられていた。

 

実は管理局内でリュイのことが噂になっており、あの凛々しく、ガードの硬いシグナムに子供が出来たというので一目見ようと集まってきていたのだ。

 

リュイ「……………」

 

視線を向けられてあまり人に慣れていないリュイは不安になってシグナムの服を強く握る。

 

シグナム「大丈夫だ。私が付いている」

 

強く握ってきたリュイにシグナムは微笑みながらそういう。

 

リュイ「うん…」

 

微笑んだシグナムに言われたが、まだ不安な様子でリュイは頷く。

 

シグナムがリュイを連れてきた理由は前にリュイがアマゾンマンション事件で使用したバイク【ジャングレイダー】のことが分かったらしいのだ。

 

受け付けでリュイの入管許可証を貰ったシグナムは時空管理局の魔導師たちが演習する演習場に来ていた。

 

リュイ「ひろい…」

 

だだっ広い演習場を目の当たりにてリュイは少し興奮していた。

 

マリエル「シグナム隊長、お疲れ様です」

 

ショートカットで、緑色の髪の色で、メガネを掛け、局員の制服の上に白衣を着た女性【マリエル・アテンザ】(愛称:マリー)が来た。

 

マリエル「その子がリュイくんですね。こんにわ」

 

リュイを見つけてマリエルは屈んで挨拶する。

 

リュイ「こ、こん…にち…わ……」

 

シグナムに隠れつつリュイはマリエルに挨拶する。

 

マリエル「うーん、少し警戒されてますよね?」

 

シグナムに隠れて挨拶したリュイを見てマリエルは聞く。

 

シグナム「おそらく。金髪ではないが白衣の部分で警戒しているのでは…?」

 

シグナムも確証は持っている訳ではないので絶対とは言い切れない感じに言う。

 

マリエル「あー、やっぱり…話を聞いた時から白衣(これ)は不味いかな~っとは思ってたんですけどね。でもここで少しでも目立たないと今後出番が、ブツブツ…」

 

シグナム「な、なんの話だ?」

 

少しメタい話を出してきたマリエルにシグナムは少し引き気味になる。

 

シグナム「そ、それより!主はやてから例の物の解析に協力してほしいと連絡があったのだが」

 

話題を変えようとシグナムは今日ここに来た理由を言う。

 

マリエル「あぁ!はい、そうなんです!こっちに用意してますから見てください!!」

 

用事を思い出したマリエルは2人を演習場からほどなく離れたシャッターが閉まった倉庫のような場所に案内した。

 

案内したマリエルは倉庫のシャッターを上げて開いた。

 

倉庫の中には1台のバイクが置かれていた。

 

リュイ「しぐまま…この…ばいく…」

 

置かれていたバイクにリュイは見覚えがあった。

 

シグナム「覚えていたか。そうだ、リュイが乗ってきた物だ」

 

バイク―女王アリアマゾンを頂点とした大多数のアリアマゾンのよる『アマゾンマンション事件』にて潜入したシグナムとヴィータの元へ駆けつける為にリュイが乗ってきたバイクである。

 

マリエル「とりあえず、名称としてジャングレイダーって呼んでます。それでリュイくん、このジャングレイダーはリュイくんにしか動かせないみたいなの。だから少しだけこれに乗ってくれないかな?」

 

そう言ってマリエルはお願いする。

 

リュイ「うん…いい…よ…」

 

お願いされてリュイは断る理由もないので了承した。

 

マリエル「ありがとう!じゃあ、さっそく乗ってもらっていいかな?」

 

リュイ「うん…」

 

マリエルに言われてリュイはシグナムから離れるとジャングレイダーの前まで近づいた。

 

リュイ「…………」

 

ジャングレイダーを前にしてリュイは少し不安になった。

 

理由は最初に乗った時、一瞬だけ電気が走って痛い思いをしたからだ。

 

事件解決後に取りに来たときはハンドルではなく、後ろから押す感じで持ってきたのだ。

 

そんな怖さがある中で、恐る恐るリュイはジャングレイダーのハンドルを握った。

 

ハンドルを握っても電気は走らず、痛みは無かった。

 

リュイ「……」

 

痛みが無いと分かるとリュイは跨ってバイクに乗った。

 

マリエル「じゃあ、動かしてみて」

 

リュイが乗ったのを見てマリエルが言うとリュイは頷いてジャングレイダーのハンドルを捻った。

 

すると"ブオォォン"っとエンジンが掛かる音がした。

 

シグナム「掛かった!?」

 

自分たちではエンジンすら掛からなかったジャングレイダーがリュイが動かすとエンジンが掛かったことに驚く。

 

マリエル「凄い、すごいよ、リュイくん!」

 

少し興奮気味に喜んでマリエルは言う。

 

リュイ「そう…かな…?」

 

興奮しているマリエルにリュイは不思議そうな顔をして言う。

 

マリエル「うん!そうだよ!!」

 

不思議そうな顔をしているリュイにマリエルは言う。

 

マリエル「じゃあ、この広場をぐるりと一周してきてくれるかな」

 

リュイ「うん…」

 

マリエルに言われてリュイはそのままジャングレイダーを動かそうとした時だった。

 

シグナム「リュイ、ヘルメットを被っておけ。怪我でもしたら大変だ」

 

そう言ってシグナムは子供サイズのヘルメットを手渡してきた。

 

リュイ「ありがと…しぐまま…」

 

ヘルメットを受け取って被るとリュイはジャングレイダーを動かした。

 

リュイ「いってきます…」

 

シグナムとマリエルの2人に言うとジャングレイダーを走らせて演習場を走り始めた。

 

シグナム「しっかりと動いているな」

 

マリエル「えぇ。正常に…」

 

走り始めたジャングレイダーを見て2人は言う。

 

シグナム「どうしてリュイだけが動かせるんだ?」

 

様々な方法でジャングレイダーを動かそうとはしたがエンジンすら掛からなかったのにリュイが乗ると動き始めたのが不思議でシグナムは聞く。

 

マリエル「これはあくまで私の仮説なんですが…ジャングレイダーはもうリュイくんしか動かせないと思います」

 

シグナム「リュイだけが?」

 

マリエル「はい。リュイくんの証言だと触ったときに一瞬だけ痛かったとか。恐らくそれが持ち主を登録するもので、それ以外の人間が扱えないように生体ロックが掛かってるんだと思います」

 

ジャングレイダーがリュイ以外に動かせないことをマリエルは彼女なりの推測を言う。

 

シグナム「仮にそうだとして…誰があんなものを……」

 

マリエル「さあ、流石にそこまでは…解体も碌にできなかったので…」

 

誰がなんのためにジャングレイダーを作ったのか、その疑問が残ることになった。

 

しかし、それどころではないことがすぐに起きた。

 

理由はリュイがジャングレイダーで爆走している最中にバランスを崩して転倒してしまったのだ。

 

「「あ…」」

 

転倒したリュイの姿を見て驚愕した。

 

マリエル「り…」

 

シグナム「リュイィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

マリエルが動こうとした瞬間にシグナムが人間ならざる猛ダッシュで転倒したリュイの元へ向かった。

 

マリエル「はやっ!?」

 

人間ならざる猛ダッシュしたシグナムを見てマリエルは驚くのだった。

 

シグナム「リュイ、無事…!!」

 

数分で到着するハズだったのを数秒でリュイの元へ到着したシグナムが見たのは地面に倒れて眠っているリュイの姿だった。

 

シグナム「ね、寝ているだと?」

 

寝ているリュイにシグナムは少し呆れてしまった。

 

シグナム(だが、怪我は無いようだな。良かった)

 

奇跡的に怪我が無いことに嬉しさを感じながらシグナムはリュイを背負っておんぶした。

 

シグナム(しかし何故リュイが急に?まるで変身した反動のような…)

 

おんぶしたシグナムは眠ってしまったリュイを見て新たな疑問を浮かべながらマリエルの方へ歩いていくのだった。




シグナムにおんぶされて眠っているリュイはある夢を見ていた。

今みたいにビルやコンクリートでできた建物が無く、草や木が多く残っている木々が生い茂る自然が残されている森。

そんな森の中をリュイは黄金の体で、赤い鬣をした馬に同じく黄金の鎧を纏った人物と乗っていた。

馬は他の馬とは比べ物にならないほど速く、疾風の如く、その鬣をなびかせながらリュイと鎧の人物を乗せたまま森を抜けて、草原を疾走する。

リュイはその人物のことを知らない。

だがどことなく安心感があり、今の八神家のような感覚がした。


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番外編 4
hunting(?)


それはシグナムが部下への訓練を終えて定時になって帰ろうとしていた時だった。

 

シグナム(ん?なんだ、これは)

 

着替えて帰ろうとして更衣室前まで来てふと扉の下を見るとブロマイドのようなものが落ちていた。

 

シグナム「誰か落としたのか?全く、落としたことに気づかぬとはたるんでい…!?!?」

 

ブロマイドを拾い上げて写真を見たシグナムは絶句した。

 

その写真は1人の少年の寝顔が映っていた。

 

その少年にシグナムはありすぎるくらい見覚えがあった。

 

なぜならその少年はリュイであったからだ。

 

シグナム「な、なんだこれはぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」

 

全く身に覚えにない我が子のブロマイドにシグナムは驚愕して絶叫した。

 

女性局員「すいません、このあたりでブロマイドをみま、あ…」

 

そこへ後ろから女性局員がシグナムとは知らずにブロマイドのことを聞いてきたがすぐに話してならない相手だと気づいた。

 

しかし時はすでに遅かった。

 

シグナム「ほぉ…これは貴様のか…」

 

不気味な声を出しながらシグナムは女性局員を睨むとレヴァンティンを出した。

 

シグナム「少し話があるのだが、付き合ってくれるだろう?」

 

プレッシャーを放ちながらゆっくりと近づく。

 

女性局員「ひいぃッ!!!!!!」

 

シグナムのプレッシャーに女性局員は恐怖で怯えて泣き出してしまっていた。

 

 

 

リイン「いいんですか、はやてちゃん。こんなものを作って」

 

リュイのブロマイドを見ながらリインははやてに聞く。

 

はやて「大丈夫やて。買っていく人にはしっかりと秘密を厳守してもろうとるからな。それにレアな表情程高く女性局員に売れるんや。この調子でガッポリ儲けて六課の予算を何とか都合するんやぁ!!!!!」

 

リイン「まあ、それはいいんですがこんなことが勝手にしてシグナムにバレたら大変ですよ?」

 

はやて「大丈夫大丈夫。シグナムにバレんようにしっかりと隠ぺいはしと…」

 

シグナム「ほぉ…やはり貴女でしたか。黒幕は」

 

「「!?!?!?!?」」

 

聞き覚えのある声に驚いていると部隊長室の扉が壊されてレヴァンティンを持ったシグナムが入ってきた。

 

はやて「し、ししししししし、シグナム…」

 

明らかにキレているシグナムにはやては恐怖した。

 

シグナム「これはどういうことですか。主はーやーてぇー?」

 

はやて「いや、あの、それは、そのぉ……」

 

キレているシグナムにどう言い訳するか考えるはやて。

 

六課の為と言えばいいが今のシグナムにそんなことは通じない。

 

リュイを使うぐらいならはやてのヌード写真でも出せと言われかねないからだ。

 

シグナム「あぁ。どうして私がここを突き止めたかお話ししてませんでしたね。簡単ですよ。1人1人、リュイのブロマイドを持っている奴から聞き出してきたんですよ」

 

はやて「か、簡単って…結構根気いるで……」

 

根気のいることを平然とやってのけて、自身にまでたどり着いたシグナムにはやては驚いていた。

 

シグナム「まあ、そのことはもういいでしょう。それで、これはどういうことですか?」

 

黒い笑みを浮かべながらシグナムは愛機(レヴァンティン)を出す。

 

片や愛機であるレヴァンティンは無言で炎を出す。

 

どうやらシグナムの怒りに触れないように無言となってしまったようだ。

 

はやて「す、すみませでしたぁ!!!!!!」

 

レヴァンテティンを構えたのを見てはやてはマッハで席を立ってシグナムに向かって土下座をした。

 

シグナム「主とは言え許すかぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

はやて「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!?やっぱりぃぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 

土下座をしても許されず、はやての悲鳴が管理局全体に響き渡った。

 

この後、リュイのブロマイドを購入したであろう女性局員全員が一斉にしばらく有給休暇(と言う名の入院)をする羽目になった。

 

そしてはやてはシグナムによりヌード写真集は売り出されなかったが代わりに嫌というほどの書類仕事となのはとの模擬戦をさせられたのは言うまでもない。




その頃、リュイは自宅でシグナムといつも一緒に寝るベッドで昼寝をしていた。

だが、その顔は苦しそうでうなされていた。

とある町が破壊の限りを尽くされた。

町は突如現れた巨大な何かに破壊され、赤々と燃え上がる炎が町を、人を焼き、夜の空を赤く照らしていた。

リュイはその巨大な何かに取り込まれてしまっているのか、四肢が動かせなかった。

自分の意志ではどうしようもなく、ただただ破壊される町と命を落としていく人々の悲鳴を聞いているだけしかできなかった。

だが、そんな自分を助けようとシグナムと共に黒く巨大で、背びれが激しく燃え盛る炎の如き形状をした怪物、自分が知るより小さく幼いはやて、なのは、フェイト、そしてはやてたちと同じバリアジャケットを身に纏った3人の少女たち、ロケットに乗った赤いメッシュが入った髪に、黒のTシャツでだらっとした灰色のズボンを履いてパーカーを被った青年、水色の髪に角が少し出ている少女、見た目はかなりのイケメンで、尖った狼耳と尻尾を持った青年が向かってきていた。

シグナム「必ず、助ける!待っていろ、リュイ!!」

そう叫びながらシグナムは協力者ともいえる者たちと共に向かってくる。

向かってくるシグナムたちにリュイを捕えている巨大な何かは口から光線を発射した。

回避しようとするシグナムたちだったが、瓦礫をジャンプ台にして無数の爬虫類のような鱗を持ったゴリラに似た怪物たちが飛び掛かり行く手を阻んだ。

怪物たちに阻まれてしまったシグナムたちに巨大な何かの放った光線が着弾、シグナムたちの姿を掻き消したのだった。

リュイ「し、しぐままぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」

目の前で消し飛んでしまった母親を見てリュイは悲痛な叫びを上げる。

リュイ「しぐまま…!!」

ガバッと起き上がったリュイは辺りを見回して今いるのが住んでいる家で、自身がシグナムと同じベッドで寝ていたことを確認した。

リュイ「いまの…ゆめ…?」

夢にしてはリアルすぎると思いながらリュイはベッドから降りて部屋を出ていくのだった。


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特別編 混血と狩人と異世界の敵
特別編 暗黒との邂逅(前編)


※注意事項

1.今話から始まる話はとある企画のため、本編から完全に外れ、関わりがあまりありません。

2.とある企画のため、他作品特撮が入ってきます。

3.途中で別作品に続きを出す予定です

4.以上のことがOKの方のみ見てください

5.本編は本編で投稿します

























この物語は交わらぬはずの世界が交わる前章の物語。


その日、リュイはヴィヴィオたちの誘いでルーテシアのいるカルジーナに来ていた。

 

勿論、ヴィヴィオたちのストライクアーツの特訓となのはたちの対アマゾン戦の訓練を兼ねた対戦相手役としてだ。

 

が、実際の目的は別にあった。

 

最近、ルーテシアたちのいる宿の周辺にアマゾンの目撃情報があり、なのはたちの責任(保護者代理)としてリュイが討伐しに来たのだ。

 

しかし、それが大事件の始まりとなるとは誰も思わなかった。

 

その日、ヴィヴィオたちのストライクアーツの訓練となのはたちの対アマゾン戦の特訓を終えて、晩御飯前の夜になった時間帯である。

 

ルーテシアが作った宿泊施設のログハウスのベランダで夜空に煌めいている星々を見ていた。

 

ヴィヴィオ「宝石が空に浮かんでるみたい!」

 

リオ「ミッドじゃ、なかなか見れないね!」

 

コロナ「うん!」

 

宝石箱をひっくり返して宝石を全部出したかのように満遍なく夜空に輝く星を見て一同は感動していた。

 

リュイ「ほしが…いっぱい…きれい……」

 

リュイも夜空に輝く星々を見てアマゾンと過酷な戦いをしてきた日々をこの時は忘れられていた。

 

それにミッドではなかなか見られないほどにある沢山の星に感動を覚えていた。

 

すると夜空の星の中で一筋の光が落ちていった。

 

リュイ「ほしが…」

 

落ちていく光を見てリュイは目を見開いた。

 

リュイ「びびお…いまの…」

 

落ちた光を見てリュイは隣にいたヴィヴィオに聞く。

 

ヴィヴィオ「あぁ、あれは流れ星だよ」

 

ヴィヴィオも流れ星を見ていたのかリュイに教える。

 

リュイ「ながれ…ぼし…?」

 

流れ星が分からないのかリュイは首をかしげていた。

 

リオ「リュイくん、流れ星見るの初めて?」

 

リュイ「うん…」

 

流れ星を初めて見るリュイは聞かれると頷いた。

 

コロナ「そっか。流れ星っていうのは夜空に流れる光で、大抵は米粒程度の塵で大気圏突入途中で燃え尽きる時に見えるものだよ。その中で大きくて燃え尽きなかった場合は隕石、流れ星が沢山現れる現象を流星群って言うんだよ」

 

リュイ「おー…ころ…ものしり…すごい…」

 

半ば難しくってよく分かってなかったが、コロナが

 

コロナ「えへへ、少し星について勉強してたんだ」

 

ヴィヴィオ「そいえば学校でも星座とかの授業があるもんね」

 

リオ「うぅ…それって88もあるんだよね…。覚えきれないよ…」

 

?「正確には88じゃないんだよね」

 

88星座の話をしていると後ろから1人の女性が言いながら来た。

 

ヴィヴィオ「なのはママ!」

 

コロナ「どういうことですか?」

 

やって来た女性、なのはにコロナは聞く。

 

なのは「星座には88星座の他にもγ線天体の22星座、風刺作家で植物学者の【ジョン・ヒル】って人が作成した15の星座、今は使われなくなった星座もあるの」

 

リュイ「せいざ…いっぱいあるんだ…」

 

リオ「うぅ…そんなに沢山あるなんてぇ…」

 

88星座以外にも沢山の星座があることにリュイは驚き、リオはうへーっとしていた。

 

なのは「そうそうリュイくん。流れ星にはね、消える前に三回同じ願い事を唱えるとその願いが叶うって言われてるんだよ」

 

リュイ「そうなの?」

 

なのは「そういう迷信だけどね」

 

ヴィヴィオ「もー、なのはママ!ロマン無さすぎ!」

 

なのは「ごめんごめん」

 

ロマンチックなことをリュイに言っておきながらそれを壊すようなことをヴィヴィオに言われてなのはは謝る。

 

リュイ(ぼくが…ねがうこと……)

 

流れ星を見てリュイはあることを願った。

 

 

 

ルーテシア製宿泊施設から山1つ越えた泉のある森林に渦を巻いた黒い穴が開き、1人の青年が出てきた。

 

?「ようやく着いたか。全く、なんで僕がこんな事を…まあ、いいか」

 

穴から出てきた青年はそうぼやきながらその場を後にした。

 

青年が後にすると穴は縮んで消滅してしまったのだった。



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特別編 暗黒との邂逅(後編)

※注意事項

1.今話から始まる話はとある企画のため、本編から完全に外れ、関わりがあまりありません。

2.とある企画のため、他作品特撮が入ってきます。

3.途中で別作品に続きを出す予定です

4.以上のことがOKの方のみ見てください

5.本編は本編で投稿します


翌日、リュイは泉がある森林に1人で歩いていた。

 

リュイ「………」

 

泉を覗き込むリュイ。

 

水は透き通り、底まで見え、魚や蟹などの水棲生物が泳いでいるのが見えていた。

 

両手で水を掬って自身の顔にかけて洗い始めた。

 

リュイ「ぷは…」

 

何回か顔を軽く洗ってポケットからハンカチを取り出して顔を拭った。

 

そんなリュイのいる水面から影がゆらりと現れた。

 

カブトガニアマゾン「ガアァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

 

顔をハンカチで覆い、見えていないことを確認したのか茶色い色で、4本のハサミを持ったアマゾン【カブトガニアマゾン】が水中から飛び出してリュイを挟もうとするが…。

 

GA()M()MA()!》

 

リュイ「あまぞん……」

 

ANCI(エンシャ)AN(エン)ANCIENT(エンシャント)!!》

 

カブトガニアマゾンに挟まれる直前、リュイは後ろへ跳ぶと予め出していたアマゾンズドライバーのアクセラーグリップを捻り、ガンマに変身した。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

カブトガニアマゾン「!?」

 

不意を突いたつもりだったが、ガンマに変身したリュイを見てカブトガニアマゾンは驚く。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

変身したガンマはカブトガニアマゾンの頭を掴むと、巴投げで泉から陸地へ投げ飛ばした。

 

水中だと泳げない(まだ泳ぎは練習中)ため、水中戦に持ち込まれる前に陸地へ投げて、有利に戦うためである。

 

ガンマ「グルルルル!ガアァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

背中から地面に叩きつけられたカブトガニアマゾンにガンマはアームカッターを構えて向かって行く。

 

カブトガニアマゾン「ガアァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

向かって来るガンマにカブトガニアマゾンは身体を丸めて防御姿勢を取る。

 

防御姿勢を取るカブトガニアマゾンにアームカッターで斬り付けたガンマだったが堅い甲殻に傷一つ入れられなかった。

 

ガンマ「ッ!?」

 

カブトガニアマゾンの甲殻の堅さに耐えれずガンマに痛みが走る。

 

カブトガニアマゾン「ガアァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

背中を向けているガンマにカブトガニアマゾンはハサミで首と右足を挟んで持ち上げる。

 

ガンマ「ぐっ…あ…」

 

首を挟まれて息できないガンマは何とか引き剥がそうとするが片手だけしか使えず、引き剥がせなかった。

 

ガンマ「グッ、ガアァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

何とか打開しようと両足で、腹部を蹴ろうと蹴りを繰り出すが、カブトガニアマゾンは空いている残りのハサミで挟んで受け止めた。

 

ガンマ「がっ…あっ…」

 

ほとんどの四肢を抑えられた上に呼吸が出来ない状態でいるガンマは徐々に苦しさが増していく。

 

その時だ、ピンクと黄色い光弾がカブトガニアマゾンを強襲。

 

その勢いでガンマは解放されて前転して距離を取った。

 

カブトガニアマゾン「ギッ!」

 

背中を攻撃されてカブトガニアマゾンは振り向いた。

 

振り向いた先にはバリアジャケットを纏い、レイジングハートとバルディッシュを構えたなのは、フェイトの2人がいた。

 

なのは「相手はリュイくんだけじゃないよ!」

 

フェイト「私たちもいるから!」

 

デバイスを構えながらなのはとフェイトはカブトガニアマゾンに言う。

 

カブトガニアマゾン「ガアァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

なのはとフェイトにカブトガニアマゾンは狙いを変えて襲い掛かる。

 

ガンマ「おまえ…の…あいて…そっちじゃない!」

 

2人に襲い掛かっていたカブトガニアマゾンの後ろからガンマが起き上がった。

 

ガンマ「こっちだぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

叫びながらガンマはカブトガニアマゾンの背後から右腕のアームカッターを振り上げた。

 

カブトガニアマゾン「ガアァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

背後から来るガンマに対抗しようとカブトガニアマゾンは振り向いた。

 

しかし、ガンマは振り上げた右腕のアームカッターを振り下ろしはしなかった。

 

代わりに左手で右側にある『バトラーグリップ』を引き抜いた。

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

ガンマ「ウアァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

バトラーグリップが引き抜いてアマゾンスピアで、カブトガニアマゾンの真ん中の腕を貫いた。

 

カブトガニアマゾン「ぐぎゃあぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

腕を貫かれ、傷口からどくどくとアマゾン特有の黒い体液が流れてカブトガニアマゾンは悲鳴を上げる。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

カブトガニアマゾンを踏み台にしてガンマはいつもより高く跳躍した。

 

《バイオレント・ストライク!!》

 

跳躍したガンマはアクセラーグリップを捻り、バイオレントストライクを発動させた。

 

ガンマ「ハアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

脹脛部の【フットカッター】を振り上げてカブトガニアマゾンに向かって行く。

 

咄嗟にカブトガニアマゾンは最も硬い背を向けて防御態勢を取る。

 

だがガンマの狙いは背中ではない。

 

振り下ろされたフットカッターがカブトガニアマゾンの僅かな隙間にある首の付け根に突き刺さる。

 

カブトガニアマゾン「ギガ…ガア…ガギイィィィィィィィ………」

 

首の付け根を刺されてカブトガニアマゾンは口からアマゾン特有の黒い体液を流して倒れるとドロドロに溶けて消えてしまった。

 

ガンマ「はずれ…か…」

 

ドロドロに溶けて消えてしまったカブトガニアマゾンの肉体から外れたアマゾンズレジスターを拾い上げて、握り潰して捨てた。

 

戦い終えて変身解除しようとした矢先だった。

 

?「ようやく見つけたぞ、仮面ライダーアマゾンガンマ」

 

ガンマ「!?」

 

この場には自身となのは、フェイト以外いないはずなのに声を掛けられてガンマは振り向くと1人の黒と紫を基調とした衣服と紫色の爪が特徴の美男子が森から出てきた。

 

ガンマ「だれ?」

 

ステイシー「僕の名はステイシー。君には恨みは無いが、少し痛めつけさせてもらうよ…」

 

現れた美男子【ステイシー】は名乗るなり、ガトリングガン型のアイテムを出すと上部に歯車型の相手をセットした。

 

ステイシー「暗黒チェンジ!」

 

ガトリングガンのハンドル部分を回す。

 

《邪バーン!》

 

《ステー・イ・シーザー…!!》

 

ガトリングガンの銃口を右腕に押し当て注射するかの如く身体へ直に注入。

 

ガンマ「!?」

 

変身した青年を見て驚いていると名乗りを上げた。

 

ステイシーザー「暗黒のパワー…ステイシーザー!!」

 

突然現れた謎の青年ステイシーが変身した【ステイシーザー】は名乗りを上げたのだった。



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特別編 暗黒の戦士

カルジーナの森を根城としていたカブトガニアマゾンを討伐したガンマ。

だが、そこへステイシーを名乗る謎の青年が現れる。

ステイシーはステイシーザーと呼ばれる暗黒戦士へと変身した。


ステイシーザー「行くぞ!!」

 

変身したステイシーザーはガトリングガン型の武器であり変身アイテムであるギアトジンガーを発砲する。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァッ!!!」

 

跳躍してギアトジンガーの弾丸を回避してアームカッターで斬りかかる。

 

ステイシーザー「はっ!!」

 

だがステイシーザーはすぐに反応してギアトジンガーを上に向けて発砲する。

 

ガンマ「ぐ、ガアァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

《バイオレント・ブレイク!!》

 

胸部の右と左肩に1発ずつ喰らいながらもガンマはバトラーグリップを引き抜いて【アマゾンスピア】を出してステイシーザーに放った。

 

ステイシーザー「なに!?ぐあっ!!」

 

思わぬ反撃にステイシーザーは反応できずに胸部に喰らうがスーツにより刺さらずに弾じかれてしまう。

 

ステイシーザー「やるじゃないか。だが、これならどうだ!!」

 

攻撃を受けながらも反撃してきたガンマにステイシーザーは言うと縁が紫色で黒色に銀色でステイシーザーのような仮面の戦士と左側に03と数字が書かれた歯車を出すと変身時と同じように上部分に歯車をセットしてハンドルを回した。

 

《邪バーン!》

 

《バートルフィーバー…!!》

 

何回か回したあと、トリガーを引くと錆びた像のように5人の戦士たちが現れたかと思いきや錆び部分が剥がれて赤、橙、青、黒、桃の色になり、スーパー戦隊3番目【バトルフィーバーJ】のフェイクが現れた。

 

ステイシーザーはギアトジンガーに自身以外の戦隊のギアである【ダークセンタイギア】をセットすることで歴代スーパー戦隊のフェイクを召喚出来るのである。

 

ガンマ「!?」

 

なのは「なにあれ!?」

 

フェイト「アイツと似てる!?」

 

スーパー戦隊を知らないなのは、フェイト、ガンマはステイシーザーの召喚したバトルフィーバーJに驚く。

 

ステイシーザー「行け!!」

 

バトルフィーバーJのメンバー(バトルジャパン、バトルケニア、バトルコサック、ミスアメリカ)たちがガンマに向かって行く。

 

ガンマ「くっ!?」

 

カブトガニアマゾンとの戦闘直前で消耗した状態で、しかも4対1と数的にも厳しいため防戦一方にならざるを得なかった。

 

なのは「相手はリュイくんだけじゃないんだよ!」

 

フェイト「私たちも相手になるわ!」

 

ステイシーザー「ならお前たちにはコイツらだ!」

 

《邪バーン!》

 

《デーカレンジャー…!!》

 

《マージレンジャー…!!》

 

《ゲーキレンジャー…!!》

 

《ニーンニンジャー…!!》

 

ガンマは加勢に入ろうとしたなのはとフェイトに対して、ステイシーザーは再度ダークセンタイギアをギアトジンガーにセットして、スーパー戦隊28番目【特捜戦隊 デカレンジャー】、29番目【魔法戦隊 マジレンジャー】、31番目【獣拳戦隊 ゲキレンジャー】、39番目【手裏剣戦隊 ニンニンジャー】の四大スーパー戦隊のフェイクを召喚した。

 

なのは「なっ!?」

 

フェイト「さっきより多い!?」

 

計20人もいる相手に流石のなのはとフェイトは驚く。

 

ステイシーザー「行け!!」

 

ステイシーザーの指示でデカレンジャー、マジレンジャー、ゲキレンジャー、ニンニンジャーはなのはとフェイトに襲い掛かった。

 

なのは「うわっ!?」

 

フェイト「くっ!?」

 

デカレンジャーの銃撃(デカレッドの二丁拳銃ディーマグナム、ブルーのディースナイパー、グリーンのディーブラスター、イエローとピンクのディーショット)、マジレンジャーの魔法(マジレッドの炎、ブルーの水、イエローの雷、グリーンの岩石、ピンクの旋風)、ゲキレンジャーの拳法と武器による武術(ゲキレッドの獣拳タイガー拳と鮫を模した柳葉刀の双剣【ゲキセイバー】による剣術、ブルーの獣拳ジャガー拳と蝙蝠を模した鉄扇【ゲキファン】による鉄扇術、イエローの獣拳チーター拳と像を模した鎖鉄球【ゲキハンマー】による鎖鉄球術)、ニンニンジャーの忍術(5人による連続手裏剣忍法)になのはとフェイトは回避するだけで精一杯だった。

 

ガンマ「にゃにょは!ふぇーと!」

 

四大スーパー戦隊に苦戦するなのはとフェイトを助けようとするが、ステイシーザーが立ち塞がった。

 

ステイシーザー「君の相手は僕だって言っただろ!!」

 

立ち塞がったステイシーザーはギアトジンガーのハンドルをしてエネルギーをチャージする。

 

ガンマ「ガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

《バイオレント・ストライク!!》

 

ガンマも跳躍してアクセラーグリップを捻り、バイオレント・ストライクを発動させて繰り出した。

 

ステイシーザー「シーザー暗黒邪爆撃(あんこくじゃばくげき)!!!」

 

ギアトジンガーにエネルギーをチャージするとトリガーを引くと邪悪な帯を模したエネルギー弾を発射した。

 

バイオレント・ストライクを放っているガンマを拘束すると爆発した。

 

ガンマ「うわあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」

 

これまでの疲労とダメージによりガンマは変身が解除してじい、リュイに戻ってしまった。

 

なのは・フェイト「「リュイくん!!」」

 

四大スーパー戦隊に囲まれながらも何とか被弾を最小限にしていたなのはとフェイトは助けに行きたかったが囲まれた状況では助けに行けなかった。

 

リュイ「う…あ………」

 

ダメージがかなり入っているのかリュイは立とうとしたが立てずに倒れ、気絶してしまった。

 

気絶したリュイをステイシーザーは拾い上げるようにして抱えると空を見上げた。。

 

ステイシーザー「来い、バトルシーザーロボ!!」

 

ステイシーザーが叫ぶと暗雲が突如として青空の一角に現れ、中から巨大ロボ【バトルシーザーロボ】が現れて地上に降りた立った。

 

なのは・フェイト「「ロ、ロボットォ!?」」

 

現れたバトルシーザーロボになのはとフェイトは驚いて声を上げてしまう。

 

ステイシーザー「もう、目的は果たした。じゃあな」

 

リュイを抱えたステイシーザーは着陸したバトルシーザーロボに跳躍して乗り込むとバトルシーザーロボは飛翔して暗雲の中へ入ると暗雲と共に消えた。

 

ステイシーザーがバトルシーザーロボと共にリュイを連れ去ったのと同時に四大スーパー戦隊のフェイクは消滅した。

 

なのは「き、消えた…」

 

急に消えた四大スーパー戦隊に驚愕と呆気に取られてしまう。

 

フェイト「なのは、早くこのことをはやてたちに!」

 

なのは「うん!」

 

リュイが拐われてしまったことをリュイの保護者である八神家に伝えるために2人は急いで宿泊施設へ戻るのだった。



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特別編 邂逅の混血たち

前回のあらすじ

再びヴィヴィオたちの誘いで【無人世界カルジーナ】へやってきたリュイ。

その目的は【インターミドル・チャンピオンシップ】に出場するヴィヴィオたちの模擬相手となのはたち大人組の【対アマゾン戦闘】の訓練相手であった。

っと言うのは表向きで、本来の目的はカルジーナに潜んでいた【カブトガニアマゾン】の討伐であった。

なのはとフェイトの援護で、カブトガニアマゾンを討伐したリュイ。

しかしその直後、謎の美青年【ステイシー】こと【ステイシーザー】が襲いかかってきた。

カブトガニアマゾンとの戦闘直後な上にリュイはガンマに変身していられる時間は限られており苦戦を強いられてしまう。

さらにステイシーザーは【バトルフィーバーJ】を召喚し、圧倒する。

なのはとフェイトが援護に回るが、ステイシーザーは新たに【特捜戦隊 デカレンジャー】、【魔法戦隊 マジレンジャー】、【獣拳戦隊 ゲキレンジャー】、【手裏剣戦隊 ニンニンジャー】を召喚し、援護の妨害を行う。

そしてステイシーザーは必殺技【シーザー暗黒邪爆撃(あんこくじゃばくげき)】をガンマに直撃させ、変身解除してしまったリュイを巨大戦力であるロボット【バトルシーザーロボ】で連れ去ってしまうのだった。


リュイ「ん……?」

 

目が覚めたリュイはコックピットのような場所の端に転がされていることに気付く。

 

リュイ「ここは…」

 

手足を動かすが手錠のようなもので動けなくされているのか僅かにしか動かなかった。

 

ステイシーザー「悪いけど、そのまま大人しくしててもらうよ」

 

リュイが目を覚ましたのを感じたのかステイシーザーは奥から歩いてきて言うと変身を解き、ステイシーに戻った。

 

リュイ「ぼくを…どうするの…?」

 

ステイシー「さあね。僕はただ、アイツに言われただけだから」

 

理由を聞かれたステイシーは素っ気なく答える。

 

リュイ「あいつって?」

 

ステイシー「悪いけど、もうこれ以上は話すことはないよ。大人しくしてな…!?」

 

リュイの問いにステイシーはそう返答した瞬間だった、バトルシーザーロボのコックピットが激しく揺れた。

 

ステイシー「なんだ!?」

 

突然の揺れに驚いて、状況を確認しようと外部カメラを起動させるとバトルシーザーロボの隣に左右対称なカラーリングが特徴で、船体と目に当たる部分がそれぞれ金と銀、赤と青と言う組み合わせになっているワニ型の巨大戦艦がおり、攻撃してきていた。

 

ステイシー「くそ!界賊か!!」

 

ワニ型の巨大戦艦を見て、ステイシーは苛立ちを見せていた。

 

するとワニ型の巨大戦艦が放ったミサイルがバトルシーザーロボに命中、装甲が破壊された。

 

リュイ「うわっ!?」

 

ステイシー「しまった!!」

 

破壊された装甲からリュイは外へと吸い出されてしまった。

 

 

 

とある世界の学校では学生たちがプール掃除を行っていた。

 

?「あー、かったりー…なんで今日に限って、俺らがプール掃除なんだよー」

 

ブラシで水の抜かれたプールを磨きながら赤いカラーのY◯◯T◯◯◯◯のマークが入ったタオルを被っている青年が文句を言う。

 

?「文句言わない。みんなでやれば早く終わるでしょ」

 

文句を言う青年に水色の髪に、小さな角が生え、顔は美人の部類に入りスタイルもいい少女が言う。

 

?「だけどよー…」

 

?「おーい、カゲチヨー。あんま文句言ってると残りの作業、お前だけにさせるからなー」

 

カゲチヨ「なんで俺だけなんだよ!?」

 

青年【カゲチヨ】が文句を言っていると黒髪に眼鏡、無精髭を生やした男性が言う。

 

カゲチヨ「つーか、お前は何もしてねーだろ!!」

 

男性に向かってカゲチヨは指さしして言う。

 

?「あ?そりゃあ、俺はお前らの先生だから生徒がしっかりしているか見守らないといけないだろ」

 

生徒「神谷先生、これどこに片づければ…」

 

神谷「あぁ、それは用具室の奥にしまっといてくれ」

 

生徒「分かりました」

 

カゲチヨの反論に真っ当な発言で返す男性【神谷】教師は別の生徒にビート板をどこに片付けるかを聞かれて指示していた。

 

神谷「ってことで、文句言う前にしっかり動けよー」

 

指示し終えた神谷はそう言って別の班の方へ歩いていく。

 

カゲチヨ「くそー、神谷の奴覚えてろよ…」

 

握り拳を作りながらカゲチヨは神谷(生徒と先制の関係なのに)を睨みつけていた。

 

?「それよりカゲ、今日のカレコレの依頼はどうするの?」

 

カゲチヨ「あー…今日はヒサとシディで頼む」

 

隣でずっとカゲチヨを諌めていた少女【ヒサメ】に【かれこれ屋】の依頼について聞かれたカゲチヨはめんどくさそうに言う。

 

ヒサメ「分かった…!?」

 

カゲチヨに依頼を自身と【シディ】と呼ばれる人物だけで頼むと言われた瞬間だった、青い空に黒い穴が開いたかと思いきや、巨大な何かが飛来して真下にあった建物を破壊され、爆発が起きて黒煙が上がった。

 

カゲチヨ「なんだ!?」

 

建物が突然破壊されたことに驚いていると、黒煙からバトルシーザーロボが姿を現した。

 

カゲチヨ「うおー!なんだ、あのロボット!超カッケー!!!」

 

ヒサメ「小学生かっ!!」

 

バトルシーザーロボを見て興奮するカゲチヨにヒサメは呆れながら突っ込む。

 

ヒサメ「ん?…ちょっと、あのロボットに誰か追われてるよ!」

 

カゲチヨ「え?うお、マジか!?」

 

ヒサメに言われてバトルシーザーロボの歩いている先を見ると小さな影が逃げていた。

 

その小さな影は必死で、バトルシーザーロボから逃げていたが、石にでも躓いたのか、転倒してしまった。

 

カゲチヨ「あぶねぇ!!」

 

転倒したのを見て、あのままではバトルシーザーロボに踏み潰されてしまうと思った時、バトルシーザーロボがその動きを止めた。

 

ヒサメ「止まった?」

 

カゲチヨ「アイツがあのロボットのパイロットか?」

 

バトルシーザーロボが止まり、中からステイシーザーが降りてきたのが見えた。

 

 

 

ステイシーザー「ようやく追いついたぞ!」

 

バトルシーザーロボから降りてきたステイシーザーは立ち上がろうとするリュイに銃口を向ける。

 

リュイ「くっ!」

 

ステイシーザー「させるか!」

 

アマゾンズドライバーを出して変身しようとしたリュイをギアトジンガーのトリガーを引いて太ももを撃ち抜いた。

 

リュイ「いっ!!」

 

太ももを撃ち抜かれて、リュイは変身できなかった。

 

リュイ「うぅ……」

 

血がどくどくと流れる太ももを押さえて、リュイは痛みでうずくまってしまう。

 

ステイシーザー「手間取らせてくれたな。手足のもう1、2本撃ちぬいておくか…!?」

 

ギアトジンガーを構えてリュイの四肢を撃ち抜こうとした矢先、赤い糸のようなものが奇襲のような形で襲いかかってきた。

 

ステイシーザー「誰だ!!」

 

糸を回避したステイシーザーは叫ぶ。

 

カゲチヨ「小さい子供相手に随分と大人げねーじゃねーか!」

 

ヒサメ「君、大丈夫?」

 

それに答えるようにカゲチヨがステイシーザーの前に現れ、ヒサメがその後ろでうずくまるリュイに駆け寄る。

 

ステイシーザー「僕の邪魔をしないでくれるかな?」

 

邪魔をされたステイシーザーはカゲチヨたちに言う。

 

カゲチヨ「小さい子供をデカいロボットで追いかけまわして脚を銃で撃ったお前の邪魔をしないほうが変だろ」

 

腕から赤い糸状にした自身の血液を展開しながら臨戦する。

 

ステイシーザー「そうか、邪魔をするというのなら…!」

 

臨戦するカゲチヨにステイシーザーはダークセンタイギアを出してギアトジンガーにセットした。

 

《邪バーン…!》

 

《リューウソウジャー…!!》

 

セットされたダークセンタイギアからギアトジンガーを経由で呼び出されたのは43番目のスーパー戦隊【騎士竜戦隊 リュウソウジャー】のフェイクであった。

 

ステイシーザー「行け!」

 

現れたステイシーザーの指示で、リュウソウジャ―(レッド、ブルー、ピンク、グリーン、ブラック)がカゲチヨにリュウソウケンで襲い掛かる。

 

カゲチヨ「なっ!?んなのありかよ!?」

 

いきなり5人も召喚してきたステイシーザーに言いながらカゲチヨはリュウソウジャーの攻撃を回避する。

 

ステイシーザー「そのままそいつを抑えてろ!」

 

リュウソウジャーのフェイクにカゲチヨの足止めを任せ、ステイシーザーはリュイを捕らえようとヒサメに接近する。

 

ヒサメ「行かせないんだから!!」

 

接近してきたステイシーザーにヒサメは電撃を放った。

 

ステイシーザー「!?」

 

電撃はステイシーザーには直撃しなかったが、足元に命中して接近を妨げた。

 

ステイシーザー「雷の超能力者か?だが、僕の敵じゃない!!」

 

ヒサメが電撃を放ったことに少し驚きはしていたが、敵ではないと判断して走り出した。

 

ヒサメ「私の能力が雷だけと思わないでね!!」

 

そう言ってヒサメが手を地面に付けると、走ってくるステイシーザーに向かって氷柱が伸びて下半身を凍りつかせた。

 

ステイシーザー「なに!?」

 

雷だけでなく冷凍能力を有していたことは予想外だったのか、凍りついた下半身を見ながらステイシーザーは驚く。

 

さらにヒサメはリュウソウジャーのフェイクにも向かって冷凍攻撃を行い、下半身を凍りつかせた。

 

ヒサメ「今のうちに!」

 

カゲチヨ「おう!」

 

ステイシーザーとリュウソウジャーのフェイクを凍りつかせ、ヒサメはリュイを抱えて言いとカゲチヨと共に逃げていくのだった。

 

ステイシーザー「くそ!待て!!」

 

リュイを連れて逃げていく2人を見てステイシーザーは追いかけようとするが、下半身を凍りつかせられて動けなかった。

 

 

 

カゲチヨ「とりあえず、ここまでくれば大丈夫だろう…」

 

ステイシーザーから逃れたカゲチヨたちは人通りの多い商店街の裏路地に隠れていた。

 

ヒサメ「そうだね。ねえ君、大丈…」

 

リュイ「すー…すー…」

 

振り切ったと思ったヒサメは心配してリュイに聞くが、リュイは変身した反動の睡魔に襲われてしまい、ヒサメの腕の中でぐっすりと眠っていた。

 

ヒサメ「えぇ!?寝てる!?」

 

カゲチヨ「どんな神経してんだよ!?」

 

ぐっすり眠っているリュイに2人は驚く。

 

カゲチヨ「って、そういえばコイツ、脚撃たれてたろ!」

 

ヒサメ「そうだった!今のうちに傷を…って、あれ?」

 

カゲチヨに言われて、リュイがステイシーザーに射たれていたことを思い出したヒサメはすぐに患部である脚を見るが首をかしげた。

 

カゲチヨ「どうした、ヒサ」

 

首をかしげている

 

ヒサメ「傷が…無くなってる…」

 

カゲチヨ「んな馬鹿な…!?」

 

射たれた傷が無くなってると聞いてカゲチヨも確認すると確かにステイシーザーに射たれた傷がすでに塞がっていた。

 

カゲチヨ「いったい、どうなってんだよ…」

 

眠っているリュイを見ながら、その回復力の高さにカゲチヨは何かを感じていた。



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