戦争反対!な堕天使幹部 (ブレイカー)
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最近部下の様子がおかしい/俺、堕天使幹部になりました

あれー?俺なに書いているんだろ?

もうひとつの作品の直しを考えていたはずなのにおかしいなー?

えっと、気の迷いにしか思えない作品ですけど読んでくれたら嬉しいです。はい。


それは晴天の日の事だった。

近ごろコカビエルの様子がおかしいと思い俺……アザゼルが奴を尋問したのは。

 

以前の奴は荒れていた。

他の勢力に対して威嚇とも言える過激な発言や行動を起こしたり、俺に内緒で勝手に神器(セイクリッドギア)所有者に危ない実験を行っていた。

 

俺はそれが近々いらん騒動を起こすのではないかと危惧してそろそろコカビエルに警告をしようとしていた。

 

しかし、奴はいきなりその手の戦争を起こしかねない行動を止めた。まさに突然に、だ。

 

いや、それだけなら俺も奴を問い詰めようとはしなかった。気が変わったのだろう程度しか思わなかっただろう。

しかし、奴は何といきなり孤児院を建設して今まで実験材料としていた神器保有者を住ませ始め資金提供をして経営し始めたのだ。

 

その報告をシェムハザから聞いた時は思わず耳を疑ってしまったぜ。

 

だってあの戦争狂のコカビエルだぞ!?今まで何度外交問題すれすれの行動をおこして俺の胃を痛めさせられたことか分からねぇあいつがだぞ!?

 

信じれる訳ねぇだろ!!

 

それにシェムハザの報告では争い事一辺倒だった奴が近頃スタイルのいい堕天使の女を寝床に誘って一夜を共にしてハーレムを形成したらしい。当たり前の事だが、その女達も皆が皆合意の上で一夜を共にしたらしい。

 

……ありえねぇ!!何度でも言うがありえねぇ!!

 

奴は女よりも戦い。愛よりも力こそが一番という主義の男だ。そんな奴が合意の上で女を抱いた?信じられる訳ねぇだろうが!!

 

そんな訳で奴の経営している孤児院を訪れたのだが……

 

「院長先生!いっしょにあそぼー!!」

 

「あっ!ずるい!!先生は僕たちと一緒に遊ぶんだぞ!」

 

「違うわ!院長先生は私達とおままごとを一緒にするのよ!」

 

「はは。皆元気があっていいな。だけど喧嘩はしたら駄目だぞ。皆仲良く遊ばないなら先生も遊んでやんないぞー」

 

「え!それはダメだよ!!皆じゃんけんしよう!!代表で勝った奴の所から順に遊ぶようにしよう!」

 

『よっしゃあ!!ジャンケンポン!!』

 

……これは一体何の悪夢だ。

あのコカビエルが。人間や弱小の存在などゴミのようにしか見ていなかったコカビエルが。子供達に爽やかな笑顔で笑い、見守っている。

 

昔の行動を知っている者からしたら恐らく気を疑う事間違いなしの光景だ。

現に俺がそうなのだから間違いない。

 

「……あの?どちら様でございますか?」

 

「あん?」

 

コカビエルの変わりようにどうやら気が動転しすぎていたみたいだな。

後ろに来ていた下級堕天使の存在にまさかこの俺が気づかないとはな。

 

……ふむ。

黒髪の中々のボン・キュッ・ボンのねぇちゃんだな。成る程。こいつが最近コカビエルが囲った女の一人って訳か。美人で結構。

けっ!羨ましくなんかねぇからな!!

 

「ああ。すまねぇな。俺の名前はアザゼルってんだ」

 

「アザゼル?……アザゼル様!?こ、このようなところまで遠路遥々ご苦労様です!!す、すぐに、旦那さm……コカビエル様をお呼びします!!」

 

どうやらこいつは俺の顔を見てもすぐには気づかない程の下っぱの堕天使みたいだな。ある程度上なら俺の顔と名前を知ればすぐに誰か分かってそれなりの行動を起こすしよ。

それにしても、旦那様……ねぇ。あのコカビエルが変わったもんだ。仲がいいようで結構だよ!こんちくしょう!

 

「誰かと思えばアザゼルか。そのような殺気を振り撒くのは止めてもらおう」

 

「あ?」

 

気づけば先程まで子供と戯れていたコカビエルが俺の後ろに立っていた。

いかんいかん。今日はどうしても気が抜けてしまって仕方がねぇ。まさか一日に二回も背後をとられてしまうとはな。

 

「ああ。それはすまねぇな。どこかの誰かさんが今までに無いような行動をしているものでな。俺としては正直今すぐにでもその真意を確かめて、おかねぇと安心できないものだからよ」

 

「ふむ。どこの誰だろうな。堕天使の総督殿の平穏を壊そうとする者は。余程の者に違いない」

 

お前の事だよ!分かって言ってんだよな!いい加減殴るぞ!

 

「ちっ。それでコカビエル。どういうつもりだ?いきなり『お前が』孤児院を経営し始めるなんてよ?」

 

あえて『お前が』を強調してやった。これは先程の奴が言っていた余程の者がお前だよ!という意味も含んだ問いかけだ。

これで自分の言いなりにして兵隊にするつもりとかいったらこいつを殺す。この時の俺には、そんな覚悟も俺にはあった。

 

しかし、奴の答えは俺の予想の遥かに斜め上を飛んでいったのだ。

 

「子供は天使だからに決まっているだろ?」

 

「は?」

 

イマナンテイッタコイツ?

 

「全く。いいかアザゼル。子供は天使だ。汚い大人に将来なるかもしれんがそれは育てた親が悪かっただけだ。どんな子供も最初は純粋無垢な存在だ。しかし、世の中にはそんな子供(天使)を棄てる大人がいる。そんな大人に将来子供(天使)達がならないように子供(天使)達の面倒を見るのも俺達年長者の勤めであると俺は思っている」

 

「……」

 

「だからこそ俺はこの孤児院を経営することを決意した!将来有望な若き目を摘まない為にもな!アザゼルも捨てられた子供がいたらここに連れてきてくれ。少しでも立派な大人に育ててやりたい」

 

「え?あ、お、おう」

 

うん。まじで誰だこいつ?

別人?いやそれはねぇな。こいつのオーラは確かにコカビエルの物だ。長年苦労させられたとはいえ、一緒に戦ってきたんだそれは間違いない。

もしかしたら、何らかの事件があって改心したのかもしれないという考えもあることはあった。

だけどいきなり百八十度回転の思考はおかしすぎんだろ。

もはや元の戦争狂の思考なんて欠片も残ってねぇぞこいつ。

 

「……コカビエル最近変な物でも食ったか?」

 

「何を馬鹿なことを言っている。子供達と一緒に食べるんだ。そんな物を食べるわけがないだろ」

 

「頭を強く打ったとかは?」

 

「寧ろお前の頭を強く殴ってやりたい気分だ。大丈夫か?アザゼル?」

 

「お前にだけは言われたくねぇよ!」

 

ついに耐えきれずに言ってしまった。が、後悔はねぇ。

全く本当にどうしたんだこいつは。

……まさか!!

 

「おい、コカビエル。まさかとは思うがお前ロリコンに目覚めたなんて事はないだろうな!」

 

「は?何を馬鹿なことを言っている?私は普通に大人の女性が好きだが?先程お前が話していた堕天使のレイナーレとも昨晩一戦交えるぐらい普通の感性だが?」

 

「死ね!まじでお前死んでしまえ!!お前一人でいい思いしてんじゃねぇよ!!」

 

ちくしょう!あの胸に飛び込んで吸ったのか!吸ったのか!!お前!!!

最近俺はご無沙汰なんだぞ!!

 

……はぁ、もうどうでもいいか。

 

俺はクルリと踵を返した。

 

「うん?帰るのか?」

 

「ああ。お前が孤児院を建てるなんて今までの行動からしたらあり得なかったからその真意が知りたかっただけだ。どうやら悪意はねぇみたいだから帰るとするよ。ほれ、子供達と遊ぶんだろ?さっさと行ってやれよ」

 

本音は違うけどな!単にこの場にいると疲れるからだ。

 

「む。そうか。これからここに来るときには連絡をくれ。すぐに出迎える準備をしよう」

 

「ああ。分かったよ」

 

もう来ないとは思うけどな!!

 

この後念のために張りつかせていた密偵から一晩中喘ぎ声が聞こえてコカビエルに殺意が沸いたと報告され密偵には申し訳ない気持ちで一杯になるのは別の話。

 

あの野郎防音位しとけよ!子供の教育に悪いだろうが!

 

 

■■■■■■■■■

 

 

 

 

世間一般でいうところの憑依転生という言葉をご存じだろうか?

漫画やアニメといった創造物の原作キャラの一人に自分がなってしまう二次創作の定番ネタだ。

 

俺『‡※‡&♯【§♯』はどうやらその憑依転生をしてしまったみたいだ。

 

名前が聞き取れなかった?失礼どうやら俺の前世の名前は今世ではどうやら聞き取れないようになってるみたいだ。これも一つの世界の補正なのかもしれないな。

 

まぁそんなことはどうでもいい。問題は憑依した人物と世界だ。

 

世界の名前は『ハイスクールD×D』そして今世の俺の名前は『コカビエル』だそうだ。

 

さて、これでお分かりいただけだろうか?

俺に死亡フラグがビンビンに建っているであろうことが。

 

ハイスクールD×Dのコカビエルと言えば原作三巻で悪魔と戦争を起こそうと聖剣エクスカリバーを盗み、主人公勢に喧嘩を吹っ掛けた結果、当時その場にいたパワーインフレが全く起こっていないメンバー状態の主人公には殴られ、そこまで強化されていないライバルキャラには本気を出させることもできずにフルボッコにされコキュートスに封印されるあの人である。

 

予想になるのだがこの時まだパワーインフレは全く起こっていない筈なのでその時点でライバルキャラにフルボッコにされるコカビエルはそこまで力が無いものと想像できる。

さて、そんな人物に憑依した俺が二次創作のように憑依して俺Tueeeeeができるか?

 

うん。無理。戦争反対。平和が一番である。

 

よし。早速だが俺は俺のイメージの払拭に努めることにする。堕天使全体に俺は戦争狂というイメージが広がっているので先ずはそこを何とかしよう。

 

ふむ。……先ずは子供を利用しよう。幸いここにはコカビエルが神器の実験をしようと集められていた神器保有者の子供が数人いるから、未来への希望(俺のイメージの払拭と将来の盾とするため)に育て上げよう。

しかし、ただ育てるだけでは駄目だ。ちゃんと俺に従順にするためにきっちりと信頼感を子供達から得られるように育てなければなるまい。

 

そのためには優しい対応と衣食住の充実を確りとしなければな。面倒だが遊びにも付き合ってやらねばなるまい。

 

むむむ。衣と住はどうにかできるが食はどうしてもできないなぁ。前世ではどうしてもコンビニ弁当で済ますことが多かったし。

 

う~ん。どうしようか?栄養失調で病気にかかって死なれたら盾として利用できないしなぁ。

 

そこで俺はピンと思い付いた。

 

そうだ女性を雇おう(ハーレムを作ろう)

 

料理のできる女性を回りに囲えば俺は子供の面倒や食事を用意する必要がなくなり、女の方も給料を高くすればその金額に釣られてホイホイと寄ってくるだろうし、問題は無いだろう。そしてあわよくば前世で魔法使い(意味深)だった俺も卒業できるかもしれない。

うむ。いいこと尽くしだな!

 

そんなこんなで始めた孤児院経営。

 

最初は(コカビエル)が経営しているということで中々やろうという人が現れなかったが俺がスカウトした一巻で殺される筈の下級堕天使のレイナーレ達を雇い、一緒に過ごしていくうちに評価が俺の予想通りにいい方に変わっていった。

 

子供好きの堕天使幹部、とか昔好戦的だったのは子供を守るためだった、とか、あの人のアレとっても太くて気持ちいい、とか。

 

ふはははは。まさにこの世は俺の天下よ!まさか子供と一緒に戯れるだけでここまで状況が好転するとはな!今では嫁が三十人を越えてるし、その全てと良好的な関係も築けている。

噂に聞くアザゼルのようにハーレムを崩壊させるような愚かな事はしないのだよ!!

 

レイナーレ達を最初に雇った理由?黒髪巨乳の女性って俺の好みなんだよね。殺させるには惜しかったんだ。文句がある奴はかかってこい。最近ようやく慣れてきたコカビエルの力を使って相手してやるよ!!

 

しかし、残念なことに平和な時は続かない物と決まっていた。

 

堕天使総督(アザゼル)が俺の元を訪ねて来た。

 

キェェェェェ!?アザゼル!?ナンデ!?

 

俺が内心で驚愕しながら話を聞くとどうやら最近の俺が孤児院を建てた事に疑問を持っているらしい。

 

そりゃそうだ。今この屋敷にいる者のように前のコカビエルと付き合いが浅い者なら兎も角、アザゼルは三竦みの戦争をしている時よりも遥かに前の堕天使するよりも前の時代からの知り合いである。

疑問に思っても仕方がないよね?

 

とりあえず昔なんかの本で読んだことを適当に頭の中で文章として組み立て説明した。子供は純粋無垢な天使とか言ったが俺はロリコンではない。

 

ロ リ コ ン で は な い !!

 

大事な事なので強調して二回言った。

そこは納得してほしい。

 

後ついでに盾になりそうな子供がいたら是非ともうちに連れてきてくれとアザゼルにお願いした。盾はいくらあっても困ることはないからね!

 

それにしても最近アザゼルの平穏を脅かす者が現れたらしい。全くどこのどいつなのだろうな?堕天使の総督を狙うような愚か者は。

それでハルマゲドンやるとか言って幹部の俺が巻き込まれたらどうしてくれるんだろうか?

 

いや、その時はそいつを殺してやろう。アザゼルがな!!

俺に期待するな。中身はただの一般人だぞ。俺は。

 

よーし。今日も夜に女の子とイチャイチャして過ごすかな?はっはー!ハーレム最高だぜ!!

 

こうして喘ぎ声と共に俺の夜は更けていった。

 

因みにその時何者かが俺の部屋の様子を伺っている気配を感じたので敢えてそいつにだけ聞こえるように防音の結界に穴を開けて、興奮したのは別の話。

変態って言わないでね!!



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お父さんみたいな恩人/幼女拾った(誘拐ではない)

私の名前はアリー。

しがない妖精と人間のハーフよ。

 

人間とのハーフ故に私は神器をもって生まれてしまった。そのせいで両親は殺されて私は悪魔に拐われた。

 

そしてその悪魔に無理矢理眷属にさせられそうになったところだった。

あのお方(・・)が降臨なされたのは。

 

「そこで何をしている?」

 

漆黒の翼を靡かせ空から降りてきたのは堕天使の幹部コカビエル()

その姿は堕天使の筈なのに天使よりも神々しく見えた。

 

コカビエル様は私を無理矢理、眷属悪魔にしようとしていた男を一瞬で消し飛ばしてしまった上に私を孤児院へと招いてくれた。

 

私の姿は人間の姿に背中から羽が生えたような存在だった。

妖精は人間に比べ大きさがかなり小さい。大体が手の平サイズだ。

そのため私のように他種族とのハーフは生まれにくい上に育ちにくい。

人間として扱うには後ろに生えている羽が邪魔だし、妖精として扱うにはいささか私は大きすぎる。

 

今年で二十歳になるのだが私は人間の十歳児位の大きさだ。コカビエル様曰く『合法ロリ』とやららしい。

何の事かは誰に尋ねても教えてもらえなかったけど、とりあえず悪い意味ではないらしい。

いつか教えてくれるといいなぁ。

 

と、大分話がずれてしまった。話を戻すけど人間としても妖精としても生きることが難しい私はコカビエル様に誘われた時素直に嬉しかった。

 

妖精は悪意に敏感な種族だ。だから私も悪意をもって近づいてくる人の感情は大体だけど判断はできる。

私はこの容姿だから近づいてくる人は息が荒い怪しい人物しかいなかった上に、近寄って来るのは私の神器の力を狙った人達ばっかりだった。

それ故に私はコカビエル様が何の悪意も無く、私を孤児院に招いてくれた事が嬉しかった。

 

その時に私は誓ったのだ。コカビエル様に私の全てを捧げると。

 

その時に私は子供じゃないけどここに住んで良いのかと聞いてみた。

 

「見た目が子供だから問題ない」

 

と、コカビエル様はおっしゃった。

 

私としては子供としてしか見られていない事に少しガッカリとしたけど、新しい居場所をくれたのだから私はその幸運に素直に甘えることにした。

大変!複雑だけどね!!

 

 

 

そして、私がコカビエル様の経営する孤児院で過ごし始めて数日。

ここは、とても居心地がいい。

 

ここには私と同じで種族や特殊な力のせいでまともに生きられない子供達が沢山集められていた。

 

皆が皆特殊な事情を持っているため他人のデリケートな部分に突っ込むことはない。

昔なら会う人全てに背中の羽の事を聞かれていたので気持ちが楽だった。

 

私は本当は子供じゃないけどこの孤児院に預けられている子供の中では一番の年長者だ。

だからこそ、家政婦の堕天使のお姉さん達のお手伝いをする。流石にあらゆる面でのおんぶにだっこは罪悪感が凄くて堪えきれなかったのだ。

 

そんなある日の事だった。

夜中にコカビエル様が外出しようとなされていたのは。

 

「コカビエル様。お出かけですか?」

 

「ん?……あぁアリーか。ちっこかったから他の子供達かと思ったぞ」

 

「わ、私そんなにちっこくないです!」

 

い、いや確かに私の身長は他の子と対して変わんないけども!それでも一センチぐらいは私の方が大きいし!

 

「ククク、そうだな。アリーは大きいもんな。例えそれが他の子達とあまり変わらなくとも、な」

 

そう言って頭を撫でてくれた。

 

……気持ちいい。思わず目を細めてしまうぐらい気持ちいい。

 

他の子供達もコカビエル様にご褒美を求める際には皆頭を撫でてくれとお願いするぐらいには気持ちいい。

 

暫くそれを堪能していると私は気付いた。

 

……あれ?これ結局子供扱いされてない?

 

私の顔は赤く染まった。

 

「だ、だから子供扱いしないでくださいってば!!」

 

慌てて手を振り払った。

 

「おっと、すまないな。確かに一人前のレディーにすることではなかったな。今後は控えよう」

 

「えっ!?あ、いや、そんなに嫌だった訳では」

 

「アリーは大人の女性だもんな。俺のように無骨な者に頭を撫でられても不愉快にしかならないよな?」

 

「あ、あう……そ、そんな……」

 

思わず目尻に涙が出てきた。

涙を止めようと、目元を擦るが止まらない。

あの最高に気持ちいい行為が行って貰えないと考えると涙が止まらない。

 

すると不意にポンと頭に手を置かれた。

 

「ふえ?」

 

顔を上げると、コカビエル様は苦笑いをなされていた。

 

「ちょっとした意地悪のつもりだったのだがな。まさかそこまでお前が撫でられる事を好いているとは知らなかった」

 

そう言ってまた頭を撫でてくれる。

 

ああ。今わかった。何で私がこんなにもコカビエル様に撫でられるのが好きなのか。

 

コカビエル様の頭の撫で方は父様に似ているのだ。

 

少し不器用だけど優しく頭を撫でてくれていた父様。例え私が普通の子供でなかったとしても嫌悪感を抱かず、優しく頭を撫でてくれていた。

 

それにコカビエル様の撫で方は似ているのだ。

……言ってはなんだけどコカビエル様の方が撫でるのは上手いけど。父様は頭を撫でるのに力を込めすぎていたから痛かったんだよねぇ……。

 

そのまま暫く堪能していると不意にコカビエル様が頭から手を離した。

思わず私は何で止めるの?とばかりにコカビエル様を見上げてしまった。

 

「そんな困った顔で見てくれるな。そろそろ出ないといけないんだ。少し人を待たせてしまっているからな」

 

「人……ですか?」

 

「ああ。アザゼルが最近ハーフ悪魔を拾ったらしくてな。あいつも忙しいから面倒を見てやってくれと頼まれたのだ。最近奴には資金を援助してもらってるから断れなくてな。まぁ元より断る気もないが」

 

私の顔は一瞬で真っ青になった。

ま、まさかコカビエル様が約束していた相手とは堕天使総督のアザゼル様!?

 

わ、私は何て事を!まさかそんな大切な人と会う約束をしていたというのに私の我が儘で、お待たせしてしまうなんて。

 

「も、申し訳ございませんでした!」

 

「あぁ気にするな。……というのも無理か。まぁ問題ない。奴が俺を呼び出すなんていつもの事だ。少々遅れてもどうってことはない」

 

あうう。

私のせいでコカビエル様に迷惑をかけてしまうなんて。

こ、こうなったら死んでお詫びを……

 

「秘技斜め45度チョップ!」

 

「ふぎゃ!?」

 

い、痛!?

な、何!?何があったの!?

 

「やれやれ。俺は気にするなと言っているんだ。あいつとは一応旧友という仲でな。可愛い子供のお願いを聞いて遅れたと言えば奴は必ず許す。少々癪だが大笑いしながらな」

 

「かわ!?可愛い!?」

 

「……反応するのはそこなのか」

 

コカビエル様に笑われた。

は、恥ずかしい。先程とは違う意味で恥ずかしい!

 

「まぁいい。可愛いアリーにこんなにも泣きつかれたことは初めてだからな。たまには可愛いアリーの頼みを聞くのも吝かではない」

 

「も、もういいですから!!」

 

コカビエル様の意地悪!!

 

「ふふふ。じゃあアリー。行ってくる。子供は早く寝るんだぞ」

 

「だから、私子供じゃないですってば!!」

 

「おお怖い怖い」

 

そう言ってコカビエル様は手をヒラヒラ降りながら出口に向かって歩いていく。

 

あっ!そうだ!

 

「コカビエル様!」

 

「ん?」

 

「行ってらっしゃい!!後、お休みなさい!」

 

「フッ。ああ。行ってきます」

 

コカビエル様はそう言って出ていかれた。

私はここにこれて良かったと思う。コカビエル様のような素敵な男性に出会えることができたのだから。

 

死んだ父様と母様。私は元気に過ごせております。どうか天から見守っていてください。

 

 

 

■■■■■■■■■

 

 

ある日森の中で飛行の練習していたら蝶のような羽の生えた緑髪幼女を見つけた。

飛行の練習している理由?あなた空飛べますよーと言われていきなり空を自由に飛べる分けねぇだろ。

そんなのは漫画の主人公や俺強ー小説の住人位しかいねーよ。元一般人なめんじゃねぇぞ。

 

で?その子供をどうしたか?

誘拐?しねーよ。

何度でもいうが俺はロリコンではない。

 

イエスロリータ!ノータッチ!!

鉄則だね!

 

と、まぁその場で見なかった事にしてスルーしようと思ったのだが、その少女の前にいかにもヤンキー風の男が現れた。

 

最初は保護者かな?と思い、その男と幼女との会話を聞いていたのだが「俺の物になれ!」「嫌です!」「ならば無理矢理してやるぜ」との会話から強姦魔だと判断。

 

よし殺そう!

 

てなわけで、俺は飛行の練習もかねて威圧感を出すために静かに飛び上がり月を背景にしてゆっくりと降りていった。

月光を背後にゆっくりと降りてくるって格好いいよね!一度やってみたかったんだ。

 

そしたら何を焦ったのか強姦魔が俺に突っ込んできた。

 

まぁ隙だらけだったから光の槍を腹にぶっ刺してやったら一撃で消滅したんだけど。

弱っ!?

 

って言うか悪魔にとって天敵とも言える光を扱える相手に向けて一直線に突っ込んでくんなよ。

馬鹿なの?死ぬの?あ、もう死んでたわ。ザマァ。

 

で、そのまま帰ろうとしたら幼女がキラキラした目で此方を見てくるではないか。

 

とりあえず両親はどうしたと聞くと両親はさっきの悪魔に殺されてしまったらしい。

……余計なことを聞いてしまったな。

 

くっ!本当はこのままこの幼女を置いて帰りたいところだがこのまま幼女を置いて帰ると俺の評判に傷がつく。

仕方がないからお持ち帰りしよう(連れて帰ろう)

 

……厭らしい意味ではないからな?本当だよ?

後、これは保護であって誘拐ではないからね?

 

 

幼女……アリーを拾ってから早数週間の時が流れた。

この自称大人の女性(笑)は実に俺にとってありがたい存在だった。

 

先ず子供達のリーダー的存在となった事だ。彼女は自称二十才らしいがその見た目故にどう高く見積もってみても十歳位の女の子にしか見えない。

しかし、思考は充分大人らしい言動により彼女のポジションは保護者側からしたら「大人に憧れて背伸びしている女の子」というポジションになった。

そのお陰で我が儘だった子もアリーの言葉だけは聞いてくれ、大人達にも信頼されるようになり連絡がスムーズに進むようになり凄く助かっている。

 

後、アリーは俺の癒しになった。

彼女は俺を見るとどこにいようと何をしていようと目をキラキラ輝かせて見てくる。

 

勉強中に俺を見かけてキラキラ→教師役として雇った堕天使に頭を叩かれる。

家事の手伝い中に俺を見つけてキラキラ→持っていたお皿を落として割ってしまい説教。

お風呂に入ろうと全裸になっていたところで逆ラッキースケベによりキラキラ→顔を真っ赤にして鼻血を吹き出し後ろに倒れた。

 

───な?可愛いだろ?

 

 

 

そして、夜中にアザゼルに呼び出されて出掛けようと出掛けようとしたときだった。偶々アリーに出会ったので適当にからかっていたら、マジ泣きされた。

 

え?嘘?そんなに撫でられたかったの?

何?ナデポ?ナデポ習得してたの?俺?

 

とりあえず誤魔化しておく。泣く子には弱いんだよ俺。

 

泣き止んでくれたと思ったら今度はアザゼルを待たせていることを知って顔を青くした。

 

赤くなったり青くなったり大変だな。

でも、アザゼルには別に気を使わなくてもいいと思うぞ。あいつもいつも平気で人を待たせるからな。

 

自己嫌悪で「死ぬ」やら「責任を」とか危ない思考が漏れだしたところで必殺チョップを繰り出し止めた。

こんなところで死なれたら困るんだよ。主に俺の評判が落ちることが。

 

とまぁ。その後何だかんだやって、ようやく外に出れるようになった時にアリーが玄関まで見送りに来てくれた。

 

「行ってらっしゃい!!」だってよ。真っ赤な顔で明るい笑顔で言われた。

 

やっぱりアリーは可愛い(確信)

 

 

 

 

 

 

アザゼルの所に赴いた俺は、前置きは不要とばかりにいきなり本題を持ち込まれた。

 

何でも預かってほしい子供がいるとか。

 

……まぁアザゼルの事だから、どうせ普通の子供ではないのだろう。変わった神器を持ってる観察対象や、あいつの知り合いの子供かと検討をつけていた。

まぁどのみち面倒を見るのは俺ではない。全ては嫁達に任せるのだ。俺には関係ない。

そのため二つ返事でその子供を受け入れる事にした。

 

が、しかし。その考えはかなり甘かった。

その相手は俺にとって将来に関わる重要な人物だった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名前はヴァーリ・ルシファーだ。短い間だろうがよろしく頼む」

 

……原作ライバルキャラ(幼)(死亡フラグ)が来やがったぁぁぁぁぁぁ!?




次回予告!!

「俺は俺より強いやつを探しにいく」

お前(死亡フラグ)は大人しくしてろ」

「ならばお前が俺の相手をしろ」

「止めろこっち来んな」

多分こんな感じ。


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最高の修行相手/こっちに来るなぁぁぁぁ!!

ちょっと放置している間にお気に入り登録数が2話登校前の約20倍。評価人数が+50人。日刊ランキング1位。

……一体何が起こったんだ?


ヴァーリ・ルシファーは強さを求めていた。

 

それは単に戦うのが好きだからというわけではない。

 

自分の目標であるグレートレッドを倒すと言う目的を果たすためにも彼は力を求めていた。

 

だからこそ彼は堕天使の総督であるアザゼルに拾われたことを自らの運命に感謝した。

──これで俺は強くなれる。

 

しかし、アザゼルに拾われて数週間後。

ヴァーリはアザゼルの知り合いが経営している孤児院に送られることになった。

 

最初は不満だった。

まだアザゼルの元で修行をし始めて数週間しか経っていない。

修行の一貫で行っていた、アザゼルへの不意をついた奇襲も一度たりとも成功していないのだ。

せめて一回ぐらい成功してからならよかったのに。

 

「お前の奇襲のせいで俺の仕事や趣味の神器研究が進まねぇんだよ。神滅具(ロンギヌス)である白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の力を直に受けることも研究の一つとしてはいいかもしんねぇが、流石に一日に五回は多すぎるんだよ。怪我させねぇようにするのも中々神経をすり減らすんだぞ」

 

堕天使の総督の癖に弱気な発言だ。

 

「俺程度の相手ならアザゼルなら余裕でいなせるだろうに」

 

「お前の奇襲段々上手くなってきてんだよ。天才ってのは今まで沢山見てきてたがお前のはその中でも別格何だ。(堕天使の総督)相手にたった数週間の修行で奇襲が成功しそうになってる時点で少しは自分の才能の高さを自覚しやがれ」

 

そうは言われてもな。

 

「他に比べる相手もいないから自覚なんてできるはずがないだろ」

 

「あー、確かにここにはお前と同年代のガキはいねぇしな。……いや、一つだけあったぞ。お前と同年代の才能のあるガキが沢山いる施設が」

 

何?

 

「その施設の名前は『復楽園』。『神の子を見張る者(グリゴリ)』が経営している神器等の特殊な力を持つ子供を保護している孤児院だ」

 

「ふん……。保護とは言っているが所詮は観察対象(モルモット)の監禁施設なんだろ?」

 

「まぁ言いようによってはそうなるだろうな」

 

そんなところに興味はない。

俺より強い者がいないならそこに俺のいる意味はない。

 

俺は俺より強い者を探しにいく。

 

「まぁ、そういう反応すると思ったよ。安心しろ。あそこにはちゃんと強者がいる」

 

何?誰だ?

 

「そいつの名前は『コカビエル』。堕天使幹部の一人にして『復楽園』の責任者だ」

 

コカビエル。

その名は俺も聞いたことがある。

確か、アザゼル達と同じく過去の大戦の生き残りだとか。

 

「あいつは強いぞ。昔は根っからの戦争狂だったからな。今でこそ何故か孤児院を経営しているが、毎晩付近の森に修行に出ていく姿が目撃されているからな。腕は鈍ってねぇ筈だぞ」

 

……ほう。

 

「それに今の奴は俺のように忙しくはねぇ。今奴に与えられている任務はよっぽどの有事でない限りは『復楽園』の管理及び防衛だ。つまり奴には()()()()()()()()()()()()()()()ならねぇ。あそこは才能の宝庫だからな。他の勢力に渡って戦争の道具にされたら堪った物ではねぇしな」

 

「成る程な。つまりはコカビエルが強者であり続けて貰うために俺を利用しようということか」

 

「そうだ。奴は実力を維持どころか向上させつつ、お前は白龍皇としての全力の能力を試せ、高められる。win-winの関係と言う訳だ。それに人は成長するためには絶対に途中で誰かと競い合わなければならねぇ。じゃねぇと井の中の蛙となりかねないからな。そのためにも同年代のガキが集まるあそこはお前の成長にはぴったりなんだよ」

 

……アザゼルがそう言うのならばそうなのだろうな。

それで?俺はいつそっちに行くんだ?

 

「一応は数日中の間だ。取り敢えず今日顔合わせとして奴を呼んでおいた。……そう言えばあいつおせぇな。何かあったのか?」

 

「……できればそういうことは前日に言って貰いたかったな。まぁアザゼルだから仕方がないか。アザゼルだからな」

 

「おい。何で今俺の名前を繰り返して言った。場合によっては容赦しねぇぞ」

 

「喜んで受けてやろう!」

 

「あー、そうだよな。お前はそういう奴だよな。めんどくせぇ。パスだパス」

 

ちっ。

 

そんな話をしていると後ろの扉がノックされた。

 

「開いてるぞ」

 

「失礼する」

 

そう言って入ってきたのはウェーブのかかった長い黒髪の黒いローブのようなものを着用している男が入ってきた。

その身に纏うオーラからかなりの実力者だと判断できる。

 

「おう。ようやく来たかコカビエル」

 

「少し可愛いアリーに泣きつかれてな。泣き止ますのに時間がかかったんだ。許せ」

 

話を聞く限りどうやらこの男が噂のコカビエルらしい。

確かにアザゼルと同等位の実力はありそうだ。

 

「ほー。あの嬢ちゃんが泣いたのか?お前が泣かせたんじゃないのかよ?」

 

「……まぁ間違ってないな。俺の配慮が足りなかった。今は反省しているよ。どこぞの総督殿のように信頼を失って嫁達に見捨てられたくないからな」

 

「がはっ!?」

 

アザゼルが血を吐いた。

どうやらアザゼルの扱いは慣れてるみたいだな。からかおうとしたアザゼルに鋭いクロスカウンターを叩き込むとは。

 

「それで?俺を呼び出した理由はなんだ?」

 

「あー、それなんだがよ。お前に預かってほしいガキがいるんだがな?」

 

「いいだろう。引き受けよう」

 

「って決断早ぇな。もう少し考える素振りがあってもいいんじゃねぇか?」

 

確かに。一瞬たりとも迷わず引き受けたぞ。

 

「お前が直接俺に言う時点で断れないことは覚悟している。そもそも俺自身子供を預かることは決して嫌ではない。寧ろ歓迎してやりたいぐらいさ」

 

「……そうかよ。じゃあ紹介してやる。ほれ。ヴァーリ、自己紹介しろ」

 

おっと。どうやら出番のようだな。

俺はコカビエルによく見えるように一歩前に出る。

 

俺を見たコカビエルが一瞬、訝しげな顔をしたような気がしたが、まぁそれはいいだろう。

今は目の前の新たな目標に自己紹介しなければな。

 

「俺の名前はヴァーリ・()()()()()だ。短い間だろうがよろしく頼む」

 

アザゼルが驚いた顔をした。

俺が初対面の相手にいきなりルシファー姓を名乗ったことに驚いたのだろう。

だが、これからは俺の修行相手兼保護者となる相手だ。

知っておいても損はないだろう。

 

さて、コカビエルの反応は……?

 

「おい。アザゼル」

 

「ん?何だ?」

 

「こいつ白目剥いて気絶してるんだが?」

 

「なんだとぉ!!?」

 

何故俺が自己紹介したぐらいで気絶するんだ。

本当にこいつの元に行ってもいいのか小一時間ぐらい悩んだ。

 

 

 

 

 

 

俺がコカビエルの元に預けられてから早二週間。

 

今日も俺は()()()()()いる。

 

「がはっ!?」

 

勢いよく血を吐いた。

この出血量を見る限りどうやら内蔵のいくつかがいかれたようだな。

これは不味いかもしれないな。

 

「どうした、ヴァーリ?その程度か?」

 

俺を吹き飛ばした相手がそう言いながら此方に歩いてくる。

 

その身に纏うオーラは以前さらしたような目の前で白目を剥いて気絶してるような情けない男の物ではない。

 

幾千もの死闘を乗り越えた強者のオーラその物だった。

 

「フッ。まだ俺はやれるさ。……ゴフッ!」

 

「……やれやれ、大人しく気絶してくれればそこまで痛め付ける事は無いのだがな」

 

呆れたようにコカビエルは言う。

それにしても「気絶してくれれば」、か。

 

「よく言うな。お前は俺を気絶させる気は無いんだろ?」

 

「……」

 

「お前は俺を()()気で攻撃をしてきている。それも全てが必殺の威力を持った攻撃でな」

 

今でこそ、白龍皇の光翼の能力である『半減』の効果で生き延びてはいるが、それでも致命傷を受けこのざまだ。

 

『ヴァーリ!ここは一度退け!この男と殺り合うには今のお前では実力が足りないと何度言わせる気だ!ここで死ぬ気か!?』

 

白龍皇の光翼に封じられているドラゴン『アルビオン』が俺に警告をする。

確かにこの修行を続けていてはいずれ俺は死ぬだろうな。

 

だけども……

 

「悪いがここで退くわけにはいかない」

 

『なっ!?』

 

「確かに今の俺では奴には敵わないだろう。だが、しかし、この勝負には普通の修行ではまず味わうことのできない、『死の恐怖』を味わうことができる。俺はそれをしっかりと体感をしておきたい」

 

アザゼルや他のグリゴリの堕天使の模擬戦でも確かに実力差があり、ぼこぼこにされたさ。

だがしかし、あそこでは模擬戦を受けてくれた相手は毎回手加減をしていた。

 

だが、それでは意味がない。

何故なら自分の目標の相手は、今目の前にいるコカビエルよりも確実に、それこそ比べられない位に強い相手なのだから。

 

『……分かった。お前の考えには納得はできないが理解はした。死なないように全力で、常に気を張り、死力を尽くせ。少しの油断が死を招くぞ!』

 

「ああ。分かっている。行くぞ!コカビエル!!」

 

俺はコカビエルに残り少ない気力とオーラを纏い殴りかかった。

 

 

 

■■■■■■■■■

 

 

 

もう嫌だぁぁぁぁぁ!お家帰るぅぅぅぅぅぅぅ!!

 

 

 

 

ヴァーリを引き取ってから早二週間。俺は何度目か分からない命懸けの模擬戦を内心絶叫しながら行っていた。

 

何故だ!どうしてこうなった!?

 

事の始まりはヴァーリを引き取った晩の事。

俺が日課にしていた空を飛ぶ練習を行いに森に言った時だ。

 

どこからやっていたのか分からないがヴァーリが俺の後をストーキングしてきた。

 

……いやなんで、俺の後をストーキングしてんのさ?

そういうのは好きな女の子ができたときにやりなさい。

振られる可能性は上がるけど。

って言うか良い子は眠る時間だぞー。

 

……悪魔だから良い子ではない?あ、そうすか。

 

で?俺をストーキングしてきた理由はなんだよ?と尋ねたんだよ。

どうやら話を聞く限り、俺が夜中に森に練習をしている事をアザゼルが漏らしたらしく、ついてきたらしい。

 

止めろよ死亡フラグ(お前)は大人しくしてろよ。

こっち来んなし。

 

……え?特訓に付き合ってくれる?嘘?マジで?

 

そりゃ助かる。独学じゃあどうしても限界があってねぇ。

 

アザゼル達に聞くのは不審に思われそうだったから、聞こうにも聞けなかったけど一緒に練習してくれるなら練習に付き合ってあげている体がとれて助かる。

 

……ん?何で神器展開してんの?何で膨大な魔力纏ってんの?何でいきなり襲いかかってくんのぉぉぉぉ!?

 

おい馬鹿!止めろ!危ない!危ないから!?

あっ!?今かすった!かすったから!?

 

ええい!この戦闘狂が!大人しくしやがれーー!!

 

バキバキボキボキ!!

 

……今ヴァーリの体蹴ったら物凄い音がしたんだが?

 

うわ!変な角度に体中が曲がっている!?

やべぇ!?息してねぇ!!

 

衛生兵!衛生兵ぃぃぃぃ!!

 

 

 

 

 

あの後、俺の必死な叫びを聞いた嫁達が慌てて駆けつけてヴァーリを治療してくれた。

幸い孤児院にはアザゼルが奮発して用意してくれていた『不死鳥の涙』があったのでヴァーリに使うことで何とか一命をとりとめた。

 

俺はと言うとまだ幼いヴァーリに致命傷を与えてしまったということで絶賛嫁達による説教の最中である。

流石に理不尽だと思うんだ。

 

怪我をさせないように手加減はできなかったのか?

 

ふっ。良いことを教えてやろう。

俺は特訓によりコカビエルの力を扱うことができるようにはなったが、制御することはできないんだ。

 

て言うか、する必要性を感じてなかったんだ。

だって、俺の目標は来るべく死亡フラグをへし折り嫁達とハーレムを築いて平凡に幸せに暮らすことだ。

その為には障害は全力で排除するのが一番なんだ。

 

文字通りたった今死亡フラグ(ヴァーリ)をへし折りかけてしまったが、あれはノーカンで。

あれは事故だ。良いね?

 

まぁ取り敢えずそんなわけで力の制御の事は全く考えていなかった訳なのだが、これは少し考えなければいけないな。

 

格下相手にオーバーキルを繰り返していたら再び俺の名に「鬼!悪魔!コカビエル!!」みたいな悪評がついてしまうかもしれない。

 

よしこれからは力の制御を覚えよう!!

 

 

 

何て甘い考えを抱いていた自分がいました。

 

あれから二週間。未だに手加減を覚えれていない俺はまたしても今日ヴァーリを殺しかけました。

 

って言うかヴァーリが文字通り死に物狂いで突っ込んでくるから焦って手加減の練習が全くできないんだ。

 

高速で殺意MAXで近づいてくる相手にどう手加減しろと?

しかも一戦一戦戦う度に強くなる相手に。

 

今日もやりすぎて嫁に怒られた。

わざとじゃないのに。グスン。

 

 

 

 

 

翌日。

 

今日はアザゼルに呼び出されてグリゴリ本部にヴァーリは帰っている。

 

つまりは今日一日は平和な一日を過ごせると言うことだ。

 

……よっしゃああああああああああ!!

久々の休日だ!!あの戦闘狂がいない平和な一日だ!!

 

今日は一日ゆっくりと嫁達とイチャイチャとエッチなことをしながら過ごしたい。

 

そう思いながらルンルン気分で部屋を出て、偶々会ったアリーと一緒に近くの森に朝の散歩に出た時の事だった。

 

傷付いた黒猫を見つけたのは。

 

……あれ?もしかしなくても原作キャラ(黒歌)さんですか?




忘れていた次回予告!!

「ニャー」(猫になって居候)

「猫さん可愛い」ナデナデ

「ニャーー」ゴロゴロ

「(家にいるなら将来のために)愛でなきゃ(調教しなくちゃ)

「ニャーー!?」(いろんなところをまさぐられ悶絶)

だいたいこんな感じ。


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