やはり俺が死後の世界で過ごすのは間違っている (璃羅)
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番外編
番外編その1 彼らの過ごすクリスマス


クリスマスですねー。
せっかくなので番外編でも書こうと思いだったのが昨日の夕方。
出来たのが、1時というね。

書いてるのが楽しくてだいぶ長くなりました。
番外編の時空なので本編には一切関係ないですよ?岩沢とユイがいます。

誤字脱字が多少あると思いますが、お広い気持ちで見てください。
リア充は挟まれろ!


番外編

 

「あーっ!寒っ!」

 

この世界に来てかなりたった。ここに来るまで色々あったな…。(遠い目)え?何があったかって?ここは番外編なので言いません。番外編ってなんだ?

 

そんなわけで(どんな訳だ)、今はこの死後の世界はとても寒い。まるで冬のようだ!この世界にも一応、四季というものは存在しているので、春夏秋冬はかならずやってくるらしい。で、今は冬な。

暦的には12月らしい。教室にカレンダーが貼ってあった。

 

そして今日は、リア充どもが騒ぎ立てるXデー。そう、Christmasである。…チッ。

 

クリスマスという忌み日の所為で俺はいつもなら見ているだけでわりと面白い監視の仕事が、リア充共をただ遠くから見ている妬む非リア充のような気持ちになっている。

 

というか、なんでChristmasなのに仕事があるんですかねぇ?日差しがあるとは言え、寒いんですが…。

 

「我慢してください。私も寒いので」

 

そう。諜報班である遊佐も共に現在仕事を遂行中。考えてることを読まれることについてはもう慣れた。

 

「つってもな…。なんでこの寒い中屋上で戦線の連中を見なきゃならん」

 

一部を見たら腹たつぞ。絶対に。だってハート撒き散らしてるんだもん。何度撃ちたいと思ったことか。銃は持ってないけど。

 

「それはとても同意ですが、こなさいと後でゆりっぺさんにどやされますよ」

「それさえなきゃな…」

 

仲村からの仕事を一度すっぽかしたことがあるんだが、そのあとの形相が直視できないレベルで怖かった。マジで命の危機を感じてしまった…。そんなことがあってからは、頼まれた仕事はしっかりこなしている。だって、怖いし。命の危機と比べたら仕事くらいねぇ?

 

「今日は寒いですし、はやく終わらせましょう」

「おう。で、誰から確認してみる?」

「めんど…うざ…日向さんからにしましょう」

「おい。心の声が口から言葉が漏れてるぞ。あと、同意だがせめてフォローくらいしてやれよ」

「いえ、特にフォローの必要は感じないので。特にあのバカップルには」

 

いやー、すごい同意だわ。むしろ見ないで仕事終わって報告したいレベル。あいつら日に日にレベル上がってんだぞ?目に入れるのが嫌になるわ。だが、仕事なので諦める。やだ!私、社畜性能高すぎ⁉︎

 

「では、始めましょうか…」

「…おう」

 

テンションが著しく低下するなかで、俺たちは持っているインカムの波長を合わせ始めた。あ、これ戦線の幹部メンバーについてる盗聴器ね。

 

——ザザッ

 

お、聞こえて来た、聞こえてきた。さーて、何やってるのかな〜?少しの間、聞き耳を…。

 

———音声のみでお楽しみください——

 

「ひなっち先輩!」

「お、どうした?ユイ?」

「呼んでみただけです!」

「えぇー?何だよー?言ってみろよー!」

「何でもないですって!」

「そうか?なら良いんだが…。さって、音無のところにでも行こっかな〜」

「えっ」

「なんだよ?特に用事ないんだろ?」

「え、えぇっと…」

「んんー?なんかあるのか?んん?」

「ぇっと、今日ってクリスマスじゃないですか?だから、ひなっち先輩と…(ゴニョゴニョ)」

「ええー?なんて言ったー?聞こえないなー?」

「だ、だからひなっち先輩と!」

「俺と?」

「ぃ、一緒に過ごしたいな、って」

「グハッ」

「え?ひなっち先輩⁈大丈夫⁉︎」

「全く可愛いな〜!ユイは!音無のところになんて行かねーよ。俺もお前と過ごそうと決めてたんだ」

「!ひなっち先輩!」

「ユイ!」

 

——音声のみでお送りしました——

 

以上、日向さんとガルデモのもう1人のボーカル、ことユイさんでしたー。パチパチ!

 

なんなの?あいつら。◯ねよ。あ、この世界じゃ死ねませんでしたね!見ててスゲーイラっとした。思わず持ってた缶コーヒーを潰すぐらいには。最後なんて抱き合ってましたよ?日向の部屋にユイが来ている時点で一緒に過ごす気満々じゃねぇか!三文芝居してんじゃねぇぞ!俺の目が急速に腐っていくのを自覚できるわ。

 

さて、遊佐はと。

 

「का मी मी काम आहे नखरा आहे…シネ」

 

なんかすっごい言葉になってる⁉︎全然わからないけど、呪詛っぽいものを言ってるのはわかるや!あと、ハイライト仕事して!

 

「お、おい。遊佐?」

「はっ。私はいったい何を…?」

「大丈夫か?」

「すみません。比企谷さん。私としたことが、あの砂糖しかない空気によってしまったようです」

「しゃーない。あれはもう末期の病気レベルだ。死んでも治らん」

「私達はもう死んでるんですが…」

「ま、もう日向達は良いとして、次行こうぜ、次」

「そうですね。これ以上見てたらどうにかなりそうです」

 

んじゃ、次の人〜?

 

——音声のみでお楽しみください——

 

「この世界にクリスマスなんて物が来るなんて!」

「もう何回も経験してるだろう?私達は、それこそ数えるのが面倒なくらいに」

「そんなこと言ってるからひさ子先輩は男より男らしいって言われんですよ!行き遅れますよ?」

「ああん?モッぺん言ってみろぉ!関根ぇーーー!」

「しおりんが地雷を踏んだー!」

「す、すみませんでしたー!なので、ほら、ギブ!」

「チッ。そういうお前らはどうなんだよ。お前らにもそういう話は聞かないぞ?」

「ほ、ほら私達は遠慮してるっていうか〜」

「この前NPCが『誰だっけ?』とか言ってたけどな」

「おのれ〜!言ってはならんことを!さらっと言ったな!」

「まあまあ、しおりん。落ち着いて」

「落ち着いてられるかー!これでも気にしてるのんだぞぉう!」

「…そうだったのか。悪かったな」

「そこで謝るなよぉーーー!余計に虚しくなるだけだろぉーーーー!!」

「まあまあ、しおりん」

「みゆきちは、『まあまあ』しか言えんのかー!」

「まあまあ、まあまあ」

「…腹減ったな」

「そろそろ飯食いに行くか!」

「「はーい」」

 

ー食堂ー

 

——ガヤガヤ

 

「さて、食べるか!」

「いっただっき「あの!」…?」

「ちょっとお話が…!」

「えっと…誰?」

「2-Bの——と言います。入江さんにお話が!」

「え?私ですか?」

「みゆきちに春が来たぁーーー!」

「関根うっさい。で、ここで話せること?」

「いえ、ちょっと来てもらいたい場所が…「おい」?誰ですかあなた?突然」

「あ、比企谷さん」

「およ?ハチさんどうしたの?」

「ちょっとお前に話がある」

「え?なんですか?こっちは話し中「ん?」だからはな「ん?」話ち「ん?」は「ん?」……わかりました」

「おう、サンキュー。じゃ、ちょっとこっちの方へ」

「一体なんなんだ?比企谷の奴は」

「ああー、あれはねえ?」

「そうだなぁ?」

「?どうしたんですか?ひさ子さんもしおりんもこっち見て?」

「「いや、別に」」

「うっす」

「あ、お帰りなさい。比企谷さん。あれ?もう1人の方は?」

「なんか『大した用じゃなかったです』って言って帰ったぞ」

「「うわぁ」」

「おい、なんだよその目は」

「「いいえ、別に」」

「んじゃ、そろそろ仕事に戻るわ」

「はい!比企谷さん!お仕事頑張って下さいね」

「!おう!じゃあな」

「ふふっ。あ、そういえば比企谷さんはなんでここに来たのかな?」

「みゆきち〜!君はこのまま育っておくれ!」

「ええっ?どうしたの?しおりん!」

「で、岩沢は何してるんだ?」

「うどんの曲を思いついたから書いてた」

「岩沢さん。やっぱりあなたは…」

「「「音楽キチだ…」」」

 

——音声のみでお送りしました——

 

「ただいまー」

 

ふぅ。一仕事したあとの入江の笑顔は最高だな!日向達によってくさらされた目が一気に浄化されるぜ!入江パワーは強いな(確信)。さて、遊佐にまかせきりにしてしまったからな。しっかりこの後もこなしていこう。

 

と、遊佐から反応がないな?

 

「————————————」

 

なんか人間には出せそうにない音を出している、だと⁉︎いったい遊佐のSAN値に何があったんだ!

 

「あ、あの、遊佐さん?」

「———————なんでしょう?」

 

ヒェッ!地の底から這い出たような声をしていらっしゃる!あと、ハイライトが!怖い!美人のハイライトがないとスッゲー怖い!あと怖い!

 

「——————仕事をほっておいてまで何しに行ってたんですか?あなたの声が拾えたのですが」

「いや、ちょっと虫が付きそうだったから、はたいてきただけだ」

「———————————そうですか」

 

さらに重圧が強くなった!そろそろハイライトさん仕事してくれませんか!せっかくの美人な顔が台無しです」

 

「ッ!比企谷さんは、ひどいです」

 

突然元に戻った…?

 

「話しかけるために振り向いたらいきなりいなくなってたら驚くじゃないですか…。成仏してしまったのかと思ってしまいました…」

 

ああ、そうか。俺がこの世界から消えてしまったのかと思ったのか……。これは、俺が悪いな。

遊佐の頭に手をポンと置く。

 

「すまなかった。突然居なくなられたら嫌だよな。その辺のこと考えて居なかった。すまない」

 

そう。これは、生きている時俺がやられたことでもある。隠れんぼを友達としたはずなのにいつの間にか、みんなは帰っていた。その時の心細さを経験させてしまったようだ。

 

「…次はないですよ?」

「ああ、気をつける」

「なら、いいです。許します」

 

許してもらえたようだ。遊佐の頭から手を離す。よくよく考えたら泣き止ますとはいえ、大胆な手に出てしまったな。

 

「では、気を取り直して次に行きましょう」

「おう。で、次は?」

「はい。次で最後ですね。音無さんです」

 

音無ねぇ。あいつもあいつで、立華と仲がとても良いらしい。らしいってのはあれですよ?通りすがりの話とか聞いてるわけじゃないよ?ホント、ホント。

 

「では、聞いてみましょう」

「急に乗り気になったな」

 

——音声のみでお楽しみください——

 

「結弦?」

「ん?なんだかなで?ケーキを食べてるなんて珍しいな」

「このケーキはクリスマス限定だそうよ。あーん」

「と、突然どうしたんだ?」

「世のカップルは食べさせあいをすると聞いて」

「誰情報だ⁉︎その話は⁉︎」

「えっと、ガルデモの二代目の人とオレンジ色の髪した子が、この間、話していたの」

「ユイと関根か」

「そう。で、その2人がカップルなら食べさせあいは必須みたいなことを言っていたの。だから、あーん」

「待てって!そんないきなり…」

「結弦は、嫌?」

「嫌、じゃない」

「なら良かったわ、改めて、あーん」

「あ、あーん。……⁉︎辛っ!なんだこれ辛い!み、水!」

「美味しそうに食べてもらえて嬉しいわ」

「か、かなで?このケーキって?」

「麻婆ケーキよ。『リア充はこれ食って爆発しろ』と書いてあったのだけどどういう意味だったのかしら?」

「そ、それは特に気にしなくていいぞ」

「美味しかったかしら?」

「あ、ああ。美味かったよ」

「そう。それは良かったわ」

 

——音声のみでお送りしました——

 

あー、平和だ。天使ちゃんマジ天使。甘すぎず、ほのかな甘さがまだ助かる。音無はざまぁ。

 

「ゎ……にも……がんば…ば」

 

今日の遊佐って調子悪いのかね?今はなんかボソボソ言ってる。

 

「おーい?遊佐さーん?」

「あ、…お疲れ様です。比企谷さん。今日の任務はこれで終了です。レポートは私が出しておきますね」

「助かるわ。じゃ、「あ、あの」ん?どうした?」

「もう直ぐ夕食の時間なのでご一緒しませんか?」

 

もうそんな時間か。なんだかんだ長い時間仕事してたな、

 

「ああ、いいぞ。この後の予定もないしな」

「それは何時もなのでは…?」

 

ち、ちがわい!時々予定が、入る日もあるんだぞ!少ないが。

 

「では、行きましょう」

「おう」

 

遊佐の後ろを歩き、食堂へ向かう。

 

今日は冷えたし、あったかいものでも食べるとしよう。やっぱ、あったかいならラーメンだろ!味噌ラーメンの食券をポケット中から探す。お、あったあった。ラッキー。

 

遊佐とともに食券を出し、料理を待つ。

 

「遊佐は何にしたんだ?」

「屋外にいて冷えたので、温かいものを」

「はい、お待ちー」

 

料理が出来たようなので、トレーを取る。ん?なんか乗ってんな。

 

「あの、これ頼んでないですよね?」

「今日はChristmasだろう?だから、ケーキのおまけさ。種類は色々あるから他の人から貰うなりすれば違いが楽しめるよ!」

 

おまけとは。だが、このおばちゃんは勘違いしている。誰もが貰えると思ったら大間違いだ!そのへんのこと考えてほしいよね!プンプン!キモいな。

 

「では、この席にしましょう」

「おう」

 

遊佐と向かいの席に着く。遊佐はうどんにしたようだ。確かにあったまるな。その後、特に会話はなく、2人で黙々とたべる。おまけのケーキを食べようとしたところで遊佐が声をかけてくる。

 

「あ、あの比企谷さん」

「ん?どした?」

 

遊佐は落ち着かない様子でこちらと自分のケーキを見比べている?

 

 

「あ、あーん」

 

 

少女はほんの少し赤く染まった顔でこちらへケーキを向けてきた——————

 




遊佐と入江は可愛い!
メリクリー!

これからも思い立ったら番外編書いていきます


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本編
第1話 彼は死後の世界へやってくる


初めまして!璃羅と申します!
読み専でしたが、書いてみたくなったのでやってしまいました。
初投稿なので、至らないところがあると思いますが、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。

では、本編をどうぞ!


ーーー風が頬を撫でる感覚によって目が醒める。目を開けると一面の青空が。

 

え?青空?体を起こす。なんでこんな所で寝てるんだ?そもそもどこだよここ?周りを見渡すとここはどこかの屋上らしいということがわかる。

なんで俺はこんなとこにいるんだ?確か今日は入学式だったはずだ。記憶が曖昧なので整理することにする。

俺の名前は比企谷八幡で15歳千葉在住の高校生だ。

オーケー。記憶喪失とかそういうものではないことがわかった。

 

「目が覚めましたか?」

「ひゃい!」

 

突然話しかけられたせいで、キモい声出しちゃったよ。声をかけられた方向を向く。そこには控えめに言って美少女が立っていた。太陽の光を浴びた金髪がよく映える。表情が無に近いことが多少気になるが、それでも美少女の部類に入るだろう。初対面だが、告って振られるまである。ふられちゃうのかよ…。

と、そんな思考になっている俺に少女が話しかけてきた。

 

「大丈夫ですか?目が大丈夫ではなさそうですが…」

「おい、なんで大丈夫か聞いてすぐに目が大丈夫じゃないとか言うんだ。え?なに?俺の目そんなにヤバいの?」

「…(プイッ)」

「ちょ、なにも言わずに目逸らすのやめて。死にたくなるんだけど」

「残念ですが、ここでは死ぬことはできませんよ」

「はい?いまなんと?」

「ですからここでは死ねませんし、病気などで病むこともありません」

 

なに?この子?電波系なの?世界とか救いに行っちゃうの?厨二病か?ウッ、頭が…。これ以上考えるのはよそう。封印された記憶が呼び覚まされてしまう。やだ、まだ患ってるじゃん。

 

「失礼ですね。厨二病とか電波系ではありません」

「ちょっと、なんで考えてたことがわかるの。人の思考読むのやめてくれない?あと、人の特徴のこと言う方が失礼だからな」

「いえ、わかりやすかったので」

 

うーーん。そういう設定なのか?ならもう少し付き合ってみるか。

 

「まあいい、それで死ねないってのはどういうことだ?まさか、死んでも死ねないわけではあるまいし」

「おや、よくわかりましたね。ここは死後の世界です」

「は?」

「ここは死後の世界ですよ。貴方にも死ぬ間際の記憶があるのではないですか?」

 

スケールのでかい設定だった。だが、死ぬ間際の記憶とか、いやまさかそんなことがあるわけなーーー。そこまで考え、頭の中に浮かんでくる風景があった。

 

————————————————————————————

 

今日は高校の入学式があるから早めに自転車で家を出た。べ、別に新しい学生生活でワクワクしていたわけではない。していたわけではない。大事なことなので二回言いました。

もうすぐ学校に着く、と言う所でリードでも壊れていたのだろうか。1匹の犬が道路へと飛び出した。

そこには一台の車が迫ってきており、犬に気づいたのかクラクションを鳴らした。犬はそのまま走り抜けるのならばまだ良かったのだが音に驚いたのか立ち止まってしまった。

 

「クソっ!」

 

俺は、考える前に自転車を放り投げ、犬の元へ走った。飼い主ならリードをちゃんと整備しておけよな!内心で毒づきながらも犬のもとにたどり着いた俺は、咄嗟に犬を抱え、衝撃が少しでも少なくなるようにすぐそこまで来ていた車に背を向ける。

 

ドンっ!!

 

一瞬のうちに空と地面が反転する。

気がついたら、俺は青空を眺めたいた。割と吹き飛ばされてしまったようだ。

犬は、無事だろうか?どうやら腕の中にいる犬は、元気に吠えていることから無事なのだろう。車から降りた人が駆け寄ってくる気配がする。

 

「大ーー夫でーーか⁉︎」

「だれか!きゅーーしゃ!はゃーーく!」

 

声が段々と遠くなっていき、思考も視界ももうほとんど薄れてきてしまっている…。

もう身体も自分の意思の通りに動いてはくれない…。ははっ…俺は、、こんな所で、、、。

 

ーーーそうして俺は意識を手放した。

 

——————————————————————————

 

俺は自分を襲った事故のことを、完全に思い出した。

 

「そっか…俺は死んだんだな…」

「取り乱さないのですね。自分が死んだことに気づいた人はたいてい大なり小なり取り乱すものですが」

「まあ、あの状態から助かるなんて思えないしな」

「そう…ですか。申し訳ありません。辛いことを聞いてしまいました」

「あぁ…いや、そんな気にしなくていい」

 

彼女との間に沈黙が降りる…。

…気まずい。さっきまでの軽快?なやりとりが嘘のように気まずい。無言の空気に耐えられなくなった俺は外の景色を見るとあることに気づいた。

 

「なあ、なんであんたは他の奴とは制服が違うんだ?あと学生服着てるってことはここは学校なのか?」

 

そう、屋上から見える学生らしき女性たちはブレザーを着ているのたが、目の前の彼女はセーラー服を着ている。

彼女の方も、空気を変えるために言った言葉に乗ってくれたのか、ただ単に会話の流れにのるべきと判断してくれたのか、

 

「いえ、どちらかというと私達の制服が違います。指定の制服は模範的な生徒が着るもので、私達は模範生とは逆の存在ですからね」

「え?なに?それは、『私達は不良だぜ!』ってアピール?ごめんなさい、お金は持ってないんです」

「そんなことはしません。貴方が着ている制服もそうですが、その服を着ている彼女彼らはこの世界に最初から存在しているNPCと呼ばれるものです」

 

改めて自分の服を見てみると、確かに着ていた総武高校の、服ではなくなりえり詰めの学ランに服が変わっていることに気づいた。驚くことが多すぎて、自分の恰好にも気が回っていなかった。

 

「エヌピーシー?ああ、NPC、ノンプレイヤーキャラって奴か。てことはなんだ?ゲームのように決まった返事しかしないってことか」

 

『ここは しごの せかい です。』みたいな感じで。このセリフがあるゲームとか宗教要素強そうだな。

 

「いえ、キチンと会話は成立しますよ?話しているだけでは、人間かどうか見分けるのは難しいと思います。仮に女生徒のスカートをめくれば、パンチか罵倒が飛んで来ますよ?試してみますか?」

 

少女は何を考えているかわからない表情で冗談のような事を言ってきた。

 

「いや、試さねーよ。なんでそんなことしなくちゃならん」

「残念です。後者の問いに答えますと、Yesということになります。ここは、学生生活を過ごせなかった人達がくる仕様になっているようです」

 

ここにはそれなりの数の人間がいるようだ。どうせ話しかけることはしないし、関係ないな。え?俺が話しかけるとか無理に決まってんだろ!出来たらボッチやってねえよ!

と、少女と談笑?していると彼女が持っているインカムから音が聞こえる。というか、インカムなんて持ってたのか。

 

「ゆりっぺさん。ええ…目を覚ましました。…はい、これから連れて行きます。拒否した場合は、…ええ。強制的にでも」

 

彼女はこちらをチラチラと見て不穏な会話をしている。強制的に連れて行くとか、怖すぎだろ。どこに連れて行かれちゃうの?目が腐ってるからって拷問でもされちゃう?やだ、物騒。そんな考え事をしていると通信が終わったのか、こちらに向き直り、

 

「私達のリーダーの元へご同行願えますか。もろもろあるでしょう疑問はそちらで。拒否するというなら…」

「拒否しねぇよ。強制的にでも連れてかれるんだろ。なにされるにしても連れていかれるくらいなら、自分で行くわ」

「そう…ですか…」

 

なにされるかもわからないのに、拒否なんて出来るか。ちょっとそこで残念そうにシュンっとしないでくれない?かわいいんですが。」

 

「……では、行きましょうか」

「おう」

 

そう言って先導して校舎に入っていく彼女について行く。なんかちょっと赤くない?日に当たりすぎたのか?

 

「そういえば、名前を聞いていませんでした。私は遊佐と申します」

「ああ、俺はひきぎゃ…比企谷八幡だ」

 

こうして、この世界に新しく目が腐った人間がやって来た。

死後の世界での生活が、始まる。

 




書いてて思ったことがあるんですが、5千文字とかかける人って凄いんですね。大変さを思い知りました。



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第2話 彼は勧誘を受ける

この作品の時間軸はだいたいアニメAB!の1話と2話の間くらいです。

自分が書いたものを見てもらうだけでも嬉しいものですね。

頑張って書いていきたいものです。
では、二話をどうぞー。


「そういえば名前を聞いていませんでしたね。私の名前は遊佐と申します」

「あ、ああ。俺はひきぎゃ…比企谷八幡だ」

 

あー!噛んじゃったよ!恥ずかしっ!自己紹介とかそんなしないし、緊張して噛んじゃったよ!ふえーん。自分でやっててキモいな。やめよう。

 

屋上から出てリノリウムの廊下を少し歩いたところで遊佐が自己紹介をして来た。

 

「比企谷さんですか…。よろしくお願いします」

「お、おう。こちらこそ」

 

笑わない、、だと⁉︎優しいな、今まで自己紹介で笑われていた俺から見ればこの対応はとても嬉しい。うっかり告白までしそう。

置いてかれないようにした上でさらにストーカーに間違われないように細心の注意をはらいながら一定の距離を開けて、遊佐についていく。

 

「それはそうとして、どこに向かってるんだ?」

「校長室です」

「ほーん、え、リーダーって校長なの?」

「いえ、校長室を占領しているだけです」

 

先ほどの浮かべた不良というイメージはあながち間違っていないのではないだろうか。そう考えてると、校長室を占拠出来るみたいだしリーダーは屈強そうな男だろうか。

違うか、違いますね。さっき通信の相手に『ゆりっぺ』とか言ってたしな。これで男だったらどうしよう。

 

遊佐と2人で歩いていると、前方から俺が着ているような学ランではない服を着た男子生徒が2人やってくる。なるほど、これが男子の制服か。

 

「よ!遊佐。新人か?」

「どうも。日向さん、音無さん。これからゆりっぺさんのところへ行くところです」

「そっか。なら俺たちも行こうと思ってたし、一緒に行くか」

 

えーー。超リア充な感じじゃないですかやだー。一緒に行こうとかナチュナルに誘えるとかコミュ力たけー。

青い髪の方はどことなくチャラいがイケメンに分類されるだろう。もう一方の赤いような茶髪の男も充分にイケメンだ。クソっ!世の中不公平だな。

 

「…目が腐ってるな。えーと。幹部の日向だ。よろしくな」

 

青い髪の男が自己紹介してきた。聞こえてるんですが。小声で言うならせめて聞こえないように言ってもらいたい。難聴属性は持っていないもんでして。

 

「おい、日向。俺は音無だ。最近来たばっかりの記憶のない新参者だが、色々と教えられることがあると思う。よろしくな」

 

茶髪の男も挨拶をしてくる。目のことを触れないとは、やだ、イケメン。茶髪は音無だな。おけ、覚えた。記憶がないというのはよくあることなのだろうか。

 

「比企谷だ。よろしく?って幹部てなに?」

「そういえば、まだ説明してませんでした。ですが、もう着いたのであとは中で聞いてください」

 

いつの間にか校長室に到着していた。本当に校長室にいんのか。

 

「神も仏も天使もなし」

 

そういって日向という青髪は中に入って行く。今のは合言葉みたいなものか?関係ない奴がいる前でそんなこといって良かったのか?考えがあるのかそれともなにも考えていないのか。

 

「比企谷さん、どうぞ」

 

なかから遊佐が入れと促してくる。考えてても仕方ない。さっさと入るか。中に入ると、ソファに座っている音無と日向の2人と本来なら校長がいるのであろう机の近くに遊佐が、椅子が反対側を向いていることを考えると、そこにゆりっぺとやらがいるのだろう。

 

「ようこそ、我が死んだ世界戦線へ。歓迎するわ」

 

声が聞こえて豪華な椅子が回転する。そこには紫の髪にベレー帽を被った強気そうな少女がいた。よかった、女子で。いや、良くないけど。

 

「私は仲村ゆり。この戦線のリーダーよ。よろしくね」

「あ、ああ。比企谷だ。よろしく?」

「なぜ、疑問形なのかしら?あなた目が凄いわね…まあいいわ。それであなたはこの世界についてどの程度知ってる?」

「今目のこと言う必要あった?どの程度つっても、ここが死後の世界であることと未練がある人間がいるっつーことくらいしか知らんな」

「そう。順応性が高いのは良いことだわ。なら一応説明しておくわ」

 

〜少女説明中〜

 

仲村の説明によると

 

・ここは青春を謳歌出来なかった人がやってくる。

・来るやつ全員なにかしらの未練を持っている。

・死ぬようなダメージを受けたら死ぬが、そのうち生き返る。

・学生生活を送ることもできるが、そうしていると消える。

・食欲など生きていた時に感じることが出来たものはここでも感じる。

・この世界から消えたとしてもなにに転載するかわからない。

・ここは死んだ世界戦線(通称SSS クラススリーエス)と言うらしい。

 

「そもそも戦線ってなに?なんかと戦ってるのか?」

「ーー天使よ。我々は神に抗うためにこの戦線で天使と戦っているの。これを使ってね」

 

そういいながら黒光りするものを出してきた。え、、、それって銃?モデルガ「本物よ」ン…ええぇーーー!!まじかよ!これにも驚きだがさらに気になることを言った。

天使がいるらしい。天使っていうとあの天使か?羽が生えた?

俺が知っている天使を想像していると横から声がかかる。

 

「いえ、そういう天使ではありません」

「なんで遊佐は考えてることわかるの?そんなにわかりやすいの?」

「あなた達なんか仲良さげね。で、天使だけど彼女は生徒会長をやってるわ」

 

ただ最初に会ったのが遊佐で話しやすいだけで仲がいいわけではない。勘違いはしない。

 

「ほー。でも、生徒会長なんだろ?それってただの人間じゃないのか?」

「貴方は力を見ていないからそういうことを言えるのよ。手から刃物が生えて、一突きだからね。そこの音無くんが証人よ。他にも何人か調べようとして消えているわ」

 

音無の方を向くと神妙な感じでうなづいていた。マジかよ…。

 

「で。そんな天使に消されないように私達は抗っているわけ。天使を倒して神を引きずり出すために」

「神様なんてものがいるのか?」

「こんな世界があるんだし、いてもおかしくないでしょ?…それに、辛い人生を送らせられた文句を言わなきゃ気が済まないの」

 

そういう仲村の目には激情が宿っていた。こいつも生前に何かあったのだろう。そして、多分だが遊佐にも、日向にも、音無にも。ここは生前に未練がある者がやってくる世界だと、仲村はいった。

そう考えると俺の未練とはなんだろうか?黒歴史が多過ぎて思いつかないな…。なにこれ、悲しくないのに涙が出るよ…。

 

「あなたも、辛い人生だったのね…。この戦線は過去のことは聞かないわ。で、どうかしら?貴方、この戦線に入ってくれない?目はあれだけど、あなたからはここの連中にない知性を感じるわ」

 

なんか黒歴史に想いを馳せていたら、同情と同時に勧誘されてしまった…。ついでに再びdisられたけど。

 

「え、お断りします」

「そうよねー。断るわよねって、ええっーー‼︎断るの⁈なんでよ!今の流れだと入る流れでしょう⁉︎」

「いや、あれがあれだからちょっと…」

 

というか、組織に属するとかマジ無理。ぼっち舐めんな。こんなぼっちが入ったところで空気悪くするだけだって。

 

「あれってなによ!はっ…そうよ!この校長室が一番安全な場所なのよ?ここから出たらいつ天使に襲われるかわかったもんじゃないわ。トラップも設置してあるし!」

「『神も仏も天使もなし』だろ?さっき日向が言ってたの覚えた」

「日ぃ〜向ぁ〜〜く〜〜ん?ちょっとお話があるんだけど?」

 

こわっ!仲村の後ろにドス黒いオーラが見えるよ?そのオーラに当てられた日向は焦っている。

 

「いや、まてゆりっぺ!戦線に入ると思ってたんだよ!だから俺は悪くないはずだ!」

「どう思う?遊佐さん」

「アウトでしょうか」

「ちょっ!!遊佐さぁん⁉︎」

 

一応、日向にも俺の前で合言葉をいったことには考えがあったようだ。

日向は弁明を試みるも遊佐からバッサリと判決を受けていた。

 

「じゃ、帰るわ」

 

なにやら騒々しくなってきたし、ここにいても仕方がない。比企谷八幡はクールに去るぜ。そうして俺は校長室を去ったーーー。

 

 

〜八幡が帰った後の校長室〜

 

「あーもう!帰っちゃったじゃない!日向くんのせいで!」

「俺のせいじゃないだろ!なんで俺のせいになんの?why?」

「日向。そのwhyって流行らせたいのか?全然流行ってないぞ」

「ちげーよ!口癖だよ!流行らせる気なんて一切ないですから!」

「日向くんのそれはどうでもいいわ。ただ彼を逃したのは痛いわね…」

「ゆり、どうしてそこまで比企谷にこだわるんだ?」

「彼はこの戦線の弱点を補う力を持っていると直感で感じたのよ」

「ゆりっぺの直感はよくあたるからな〜。ちなみにこの戦線の弱点って?」

「幹部の殆どがアホなこと」

 

ああ、と音無から納得した空気が流れる。その殆どの中の1人である日向は、あいつらだなと自分は外して考えていた。ちなみにゆりもその中の1人にカウントされると遊佐は思っている。

 

「邪魔してくれた日向くんには、罰ゲームでもやってもらおうと思ったけど、あることをやってくれたら今回は見逃すわ」

 

罰ゲームという言葉に日向の体が震える。彼はこの戦線の古参であるがために幾度となくその罰を見に受けてきたために体が覚えてしまっているのだった…。

 

「そ、そのあることとは?」

 

ゴクッと日向、音無は息を飲む。

 

「彼をなんとかしてこの戦線に入れなさい。そうすれば、罰ゲームはなしよ」

「ええっ。難しくないか?あそこまで頑なだとだいぶ時間かかるぜ?」

「そしたら、日向くんが罰を受けるだけよ♡ちなみに明日までにお願いね♡」

「明日って短くないですか⁈」

 

いい笑顔で酷いことを言うゆりであった。だが、日向は人格崩壊まったなしの罰は嫌なため、しぶしぶながらも了承する。

 

「んじゃ、今日は作戦会議して、とりあえず明日からだな。他の幹部連中にも話つけて協力してもらおう。音無、手伝ってくれよ?」

「ああ、できる限りは手伝うぞ」

「よっしゃ!お前が入れば百人力だな!」

 

音無は手の甲を頰に当て、

 

「お前やっぱりこれなのか?」

「ちげーよ!」

 

漫才をしながら2人は校長室から出て行った。

日向のアッチ系疑惑を残しながらーー。

 

「ふぅ。ようやく喧しいのが行ったわね。にしても、彼はなんとしても戦線のメンバーに入れたいわね。ね?遊佐さん?」

 

しばらく口を開いていなかった遊佐にゆりが話しかけるが、遊佐からの反応はなかった。

 

「遊佐さん?どうかした?」

「…いえ、なんでもありません。彼が加入したら、ですよね。確かにこの戦線には頭脳労働をする人が少ないのでいてくれたら助かります」

 

割と本心から遊佐はそう思う。

 

「まあ、勧誘はアホどもにはそんな期待してないけど彼が来るのを待つことにしましょう。悪いけど遊佐さん、明日は彼のことを出来るだけ監視していて。じゃ、今日は解散しましょうか」

「はい、お疲れ様でした。ゆりっぺさん」

 

1人になった遊佐は考えていた…。どんな人生を送ったら彼のような目になるのでしょうか。彼の目にはなにが写っているのだろうか。

遊佐は先ほどこの世界にやってきた少年のことを考える。なぜ、気になっているのでしょうか。

 

能面の少女は思想にふけるーー。

 

 




〜おまけ〜

「松下五段が見当たらねーぞ!」
「何日か前から山籠りしている⁉︎帰って来るのは明日⁉︎」

「大丈夫なのか…?」

果たして日向は罰ゲームを回避できるのか!

1月3日 加筆しました


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第3話 彼は案内される

どーも。ガチャで爆死した璃羅です。
朝起きたらすでに他のプレイヤーに搾取された後でした。

今回はちょっと短いですね。
あと、あの子が出てきます。

では、どうぞ。
…協力という名のリソースの奪い合いとはこれいかに。


三話

 

どーも、犬を守って車に轢かれて死んだ比企谷八幡です。

今私がどこにいるかと言うと、なんと!死後の世界に来ていまーす。『なんと』じゃないな、最初に死んだって言ってるし。いやでも、死後の世界があることは知られていないわけだし、意外性があるだろうから、『なんと』って言葉も使い方はあってるのか?

 

時間帯は夕方なのかオレンジの日が差す木造の廊下を歩きながら、校長室から逃げ出した俺はそんなくだらない事を考えていた。

 

「しまったな…。ここの生活の仕方について聞けばよかったか…?」

 

そう、逃げ出したはいいがここでの生活の仕方がわからない。どこで寝るの?八幡わからない。右も左も分からない世界で1人になりました。さすが、エリートボッチだな。どこでも1人なれる逸材だ!

 

「ここでなにしているの?」

「ファッ⁉︎」

 

やべ!また突然話しかけられたから変な声出した!話しかけてきた人を見るとここの規定の制服を着た銀髪のような白髪のような白い小柄な少女だった。

 

「ここでなにをしているの?」

 

白い少女はこちらをじっと見ながら同じ事を聞く。え。どうしよ。なんかSSSとやらに連れて行かれてました。なんて言うわけには行かないだろう。だから、初対面だからこそ使える言い訳を使おう。

 

「み、道に迷ってました」

 

どーよ。この対応は。実際に迷ったというかここが学校のどこだかわからんからな。あながち嘘ではないだろう。ただ、学校で迷うとか白い目でみられそうだけどね!あと、どもったのは許してほしい。

 

「迷った…?貴方はここに今日来たのかしら?」

「あ、ああ」

「そう。ここは貴方を受け入れてくれる世界だわ。だから安心して過ごして」

「あ、ああ。あんたは…?」

「私?私は、立華 かなで。生徒会長よ」

 

生徒会長というとさっきの仲村が言っていた…?

 

「……天使?」

「私は天使じゃないわ」

 

はい、ラスボス(仮)と出会いました〜。これヤバくね?俺死んだかな。あ、もう死んでました〜てへぺろ☆

 

「ここに来たばかりなら、過ごし方を教えるわ。ついて来て。」

 

ラスボス?あらため立華は、特に俺をどうすることはないらしい。うーん?無条件に襲う訳ではないのだろう。

せっかくここでの生活とかを教えてくれるなら教えてもらうか。ほ、他の人に話しかけるのがいやだったわけじゃないからね!ハチマンウソツカナイ。

 

〜少年少女移動中〜

 

「ここで、奨学金を受け取れるわ」

 

まず、連れられてやって来たのは事務室。どうやら、ここで奨学金としてお金を貰えるらしい。学食や自販機などお金を使うものはちゃんとあるらしいので貨幣が必要なようだ。手続きをすると、それなりの額のお金がもらえた。

ただ、いつの間にか個人情報が登録されていたというのは恐ろしいものがある。

 

「ここが、食堂よ。購買もあるけれど、基本的にご飯はみんなここで食べるわ。たくさん種類があるけど私は麻婆豆腐がおすすめね」

「広いな…」

 

いや、ほんと広い。何回建だよここ?マンモス校っていうのはこういうもんなのか?学食だけで一つの建物とか…。それと、麻婆豆腐が好きなのか。意外と辛党なのな。

 

この後もいろいろなところを案内してもらった。学習棟やら図書館やら。あ、そうそうSSSの連中がいた校長室があるのは教員棟というらしい。

しかし、図書館はでかかったな。

あれ蔵書数とか一体どのくらいなのだろうか。あと、蔵書数とか増えるのかね。仮に、増えているのならどこから増えているんだろうか。図書カードも作ったし、明日にでも本を借りてこよう。

 

「最後に、ここがみんなが寝泊まりしている寮よ。向かって右側が男子の寮で左側が女子寮よ。異性の寮に入るのは規則違反だから、気をつけて。貴方の部屋も何処かにあると思うわ。寮の人に聞いてみて。」

 

俺が女子の部屋に行くとか俺の人生を三週ぐらいしても、ありえない。あ、でも1回死んだわけだし、あと二週すればあるいは…?

 

「基本的に使う所を案内したけど大丈夫かしら?」

「ああ、部屋って1人部屋か?」

「そこは運によるわ。2人の場合もあるし、1人の場合もあるもの」

 

1人部屋がいいなー。知らない奴との2人部屋とかストレスが凄いたまって胃潰瘍にでもなりそう。あ、この世界は病気もないんでしたね。

 

「そっか…。なんつーか、その、サンキューな。色々と教えてくれて助かった」

「気にしないでいいわ。生徒会長だもの」

「それでもだ、サンキューな。生徒会長」

「…そう。私はこれで帰るわね。明日の授業はしっかりでてね」

 

立華は帰って行ったが彼女がどうもSSSの連中が言っていたような奴には見えない。実際、SSSの制服を着た奴(Foooo!とかいってブレイクダンスしてた)を見かけても特に手を出すということはしていなかった。

 

物静かで口数が少なく、勘違いされやすいタイプというのが、ここまでで接して思った立華への印象だ。ちょっと親近感湧いちゃう。ま、こんな短い時間だけで相手を理解できるなんて思ってないし、そんな考えは欺瞞でしかない。

 

いい人?(人がどうかは分からないが)だったが、最後の頼みは聞き入れることができそうにないな。消えるかどうかわからないから行こうとは思わない。けれど、ここまで親切に教えてくれた立華への罪悪感があった。

 

明日は何をしようかも決まってないが、明日のことは明日の俺に任せるとして、とりあえず寮の人に部屋の場所を聞こう。頼んだぞ、明日の俺。

 

——————————————————————

 

〜八幡の部屋〜

 

やりました!希望の1人部屋だ!いや、ほんとラッキーだった。他の人が同じ部屋にいるとか恐ろしすぎね?やっぱ1人が最高だ!希望は前に進むんだ!

と、脳内のテンションを上げながらベッドへと身体を投げ出す。

 

立華と別れたあと部屋を聞き、そのまま夜になった。周りが静かな中で横になったままだと今日あったことが浮かんでくる。

犬を助けて車に轢かれたと思ったら学校の屋上で。遊佐と出会い、ここは死後の世界だと知り、勧誘までされた後には、天使と呼ばれたやつとも関わった。濃密すぎじゃね?

 

そして、やはり家族であり最愛の妹である小町への言葉が溢れて来てしまった。え?親父?お袋はまだしも、親父は知らん。

 

「やったよ、小町。今日だけでいろんな人と話せたんだぜ?これはもう進歩といっても過言ではないな。ごみぃちゃんとは呼ぶことは出来ないだろう?」

 

遊佐、日向、音無、仲村、立華と今日だけで5人も会話をした。酷い時は小町とも話さず、鏡の向こうの自分と会話しただけの1日がある俺からしたら、ワープ進化レベル。これは、究極体になれる日も近いんじゃない?

というか俺、人と話すことなさ過ぎじゃない?ははっ…

 

「ごめんな…小町…。俺、死んじまったよ。お前の未来も見れないまま、死んじまったよ…。お前だけは悲しませたくなかったのにな…。千葉の兄貴失格だな。お前のこれからを見守りたかった…。ちくしょう…。なんで、俺なんだよ。…ちくしょう…」

 

突然の最愛の妹との別れに涙が止まらない。

妹もいない、1人しかいない部屋に、悲しみが響く。こうして夜が更けていくーー。




読んでいてコレジャナイ感があるかも知れませんが、そこはいかんせん手探りなもので許して


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第4話 彼は新しい日を迎える

意外とサブタイをつけるのが難しい…

感想、お気に入り登録ありがとうございます!

では、どうぞ〜。

指摘された点を加筆しました。




 

「知らない天井だ…」

 

カーテンの隙間から漏れてくる陽射しによって目が醒める。目を開けたら昨日あったことは全て夢でいつもの自分部屋だった。なんてことはなく、昨日自分が寝た部屋だった。

一度は言ってみたいランキングの上位に位置するセリフを口にしながら、体を起こす。

 

「はあ、夢じゃなかったか…」

 

死後の世界での初めての朝を迎える。夢であったらどれだけよかったか。まだ割り切れてはいないものの、いかんせん腹が減った。

昨日は、結局何も食べてないし、朝は流石に食べることにしよう。しっかし本当に腹は減るんだな。八幡学んだよ。さて、行くか。

 

あ、時計みたらもう、12時過ぎてら。

 

あの後、最低限の身だしなみを整え、立華に教えてもらった道を辿る。気持ちのいい昼だ。こんな日は、ベストプレイスでのんびり読書でもしたいものだ。時間はあることだし、ベストプレイスでも探そうか。

 

昨日の夜とは違う穏やかな気持ちで大食堂を目指す。

 

—————————————————————

 

やって来ました食堂!いまさらだが、服だとか用意した覚えがないものがクローゼットとかに入ってたのはビビった。この制服とかサイズまでぴったりなんだぜ?

 

昨日もきたが時間が夕方だったのでほとんど生徒はいなかったが、この時間帯は昼休みなのだろうか、凄まじい数の生徒が食事をとっている。

この中のうち何人が人間なのだろうか。人間全員がSSSに属しているわけではないだろうしな。

 

券売機へと並ぶ。時間が多少ずれたのだろうか、あまり券売機に人は並んではいなかった。一体どんな料理があるのだろう。こういう初めての場所で初めてのことってなんかむず痒くなるよね?俺だけだろうか。

 

えーと、なになに?うどん、定食、丼物、そば、カレー、イタリアン、フレンチ、ファーストフード、パン、etc…メニュー多過ぎだろ!カテゴリだけでどんだけあるんだ⁉︎まあ、起きたばかりだし、昼だが軽めにパンから選ぶか。BLTサンドにでもしておこう。メシは、種類があって楽しめそうだ。

 

食券をおばちゃんにだし、BLTサンドを受け取る。人がいないところに行こう、とキョロキョロ見回して徘徊してみる。奥の方に誰も座ってないテーブル席があった。徘徊ってゾンビかよ。

 

「いただきます」

 

食べてみると思った以上に美味い。パンのサクサク感とかベーコンのカリッとした感じとかレタスのシャキシャキ感とか美味いわ〜。あ、トマト苦手なの忘れてたわ。避けとこ。こういう野菜はどこで作ってんのかね?この世界で作れるのか?

 

「相席よろしいですか?」

 

BLTサンドに舌鼓を打っていると、後ろの方で声が聞こえた。どうせリア充達がよろしくしてるんだろ。こんな奥の方まで来てリア充してんじゃねーよ。ボッチがいづらいだろうが。チッ、爆ぜろ。

 

「聞いていますか?」

 

おいおい、話しかけられてるんだから無視はやめてやれよ、誰かさん。そういうのってリア充達は楽しんでやるけどやられてる方は結構辛いんだからな。

え?俺?や、やられてないよ?

 

「比企谷さん。貴方にいってるんですけど」

「えっ?」

 

名前を呼ばれ振り返ると昨日も会った無表情の遊佐がいた。よく俺がいるところがわかったな…。トレーを持っているが置いてるのは蕎麦か?というかどことなくジトッとした目を向けてる気がする。

 

「聞いていますか?それともわざと無視しているのですか?酷い人ですね」

「いや、悪い。俺が話しかけられているとは思わなかったんだ」

「失礼します」

 

そういうと遊佐は、向かいの席に座ってきた。やっぱり蕎麦だったか。蕎麦もうまそうだな。というか、

 

「なんでここに来たんだ?他にも席はあっただろ」

「いえ、特に意味はありません。ただ、1人で食べているのが見えたので。あと、用があったので」

 

ええー。なにそれ。つまりは俺がボッチだったから憐れみで来たんですね。期待はしてなかったよ?本当だよ?

 

「用ってなんだ?」

「ところで何故無視したんですか?それも二回も」

 

やっべ。なんか根に持ってるじゃーん。質問したのに無視されちゃったじゃーん。無表情でじっと見られるとなんかぞわぞわするな。

 

「根に持ってません」

「ねえ、なんで考えてることわかるの?超能力者なの?」

「顔に出ていますよ」

 

マジか。自分では分からないもんだな。気をつけよ。ポーカーフェイスは得意だと思ってたわ。あ、でもポーカーフェイスする相手とかいなかったから実際はポーカーフェイスかどうかだったなんてわかんないね!かなC!

 

「で、無視した理由はなんですか?」

「む、無視はしてないにょ。んんっ、してないぞ?俺に話しかける人がいるとは思わなかっただけだ。それに、もし振り向いて違う人に言ってたらそんなの黒歴史が作られるだけだろうが」

 

無表情のプレッシャーに負けて噛んでしまった。俺は悪くねぇ!無表情の美人って凄みがあるよね。

 

「なるほど。そういうことになったことがあるんですね」

「ばば、馬鹿言うんじゃないよ。そ、そんなわけないだろう」

 

小学生の時に呼ばれたと思って振り返ったら、違う奴を呼んでたなんてことはないぞ!それからナルガヤと呼ばれるようになってしまった。許さん、同じクラスだった富山くん。

 

「はあ…。そういうことにしておきましょう」

「いやいや、そう言った事実は無いんだって。ところで、なんで遊佐は1人?もしかしてボ「違います」ッチ…早いよ」

 

いやほんと早い。まだ言い切ってなかったのに。ぼっちだと思った理由は、昨日も1人でいたし多少は、ね?

 

「基本的に私は情報収集が仕事なので。」

「ふーん。そうなのか。大変そうだな。そういえば用事って結局なんなんだ?」

 

情報収集ねぇ…。教室でうつ伏せになって聞き耳をたてる俺の人間観察という趣味も情報収集が得意ということになるだろうか?なりませんね、すいません。

 

「念のため、忠告を」

「忠告?なんのだ?」

「日向さんがあなたを勧誘するようにゆりっぺさんが命令をしました。つきましては、あなたをなんとしても戦線に入れるために色々な戦線の幹部メンバーに声をかけているでしょう。よって、様々な手段で仕掛けてくると思います」

 

えー。なにそれ。すごい面倒。というかこんなに誰かに求められるなんて、俺の人生の中で初めてなんじゃないか?俺の人生の中で空前のモテ期到来⁉︎あ、俺の人生終わってましたね。テヘッ☆

 

「何故急に目が腐り始めたのかはわかりませんが、そういうわけなので、一応気をつけておいてください。全体的に頭のベクトルがおかしい方達なので何をするかは想像つかない分、ケガをするかもしれませんし」

「ちょっと?怖いこと言わないでくれない?というか、なんでそこまで俺なんかを入れたいんだ?あと、最初の言葉は必要?」

「昨日ゆりっぺさんが話していたように戦線はアホばかりなので頭脳労働をする人が欲しいとのことです」

 

目のくだりについては無視ですかそうですか。てか、昨日も言ってたけどそれ、組織として終わってね?

 

「俺じゃなくても他に勧誘するべき人とかいると思うけどな」

「御愁傷様ですが、それはもうゆりっぺさんに目をつけられてしまった時点で諦めてもらうしかないです。では、私はこれで失礼します」

 

遊佐はいつの間に食べ終わったのか、トレーを持って行ってしまった。食べるの速いな。食べている瞬間がなかったんじゃないかと思うまである。本当に忠告しに来ただけなのか。

 

俺は誰かから協力を求められるという経験が一切なかったので、どういう態度を取れば良いのかもわからない。なんで一度も経験なかったんだろう。協力されて排除される側だからですね。

 

だが、来ると知っておけば一応身を構えることは出来るしな。戦線に入るにしても入らないにしても情報をくれた遊佐には感謝しておこう。

 

いつ来るかもわからないし、考えていた図書館で本でも借りてベストプレイス探しにでも行きましょうかね。

いつ来るかわからないとか、災害みたいな連中だな。




次回、戦線のあの人達が登場!(するかも)

閲覧ありがとうございました!


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第5話 彼はこの世界で…

番外編出したせいでやることのネタバレをやってしまった…
番外編読んだ人にはもうわかってると思いますが、番外編という存在は頭から消していただいた方が楽しめるのではないでしょうか?

順番って大事だね…。その場のノリで書いて投稿とかするものではないと学んだクリスマスでした。

では、本編どうぞ!


 

昼飯も済んだし、そろそろ行くか。結構いい時間だしな。俺は空になった皿とトレーを片し、食堂を出る。

 

時間を潰すための本を借りに行こう。そして、我がベストプレイスを探しに行くのだ。

今のところはSSSに属する気は特に無いけど、消える気もないので授業は出ないしね。

時間を潰すものと潰せる場所というのは欲しいのだ。

 

昨日、立華に教えてもらった図書館へと着いた。本をいくつか借りて図書館を出る。専門書からラノベまで様々な本が置いてあったです。まる。

 

 

どこで読もうか?人がほとんど来ないうえに心地いい場所という条件の場所を探すのは意外と難しいだろう。

例えば、ゴミ捨て場の近くとか人は来ないだろうけど心地よさなんてないに等しいからな。別に経験したことがあるわけじゃないよ?ほんと、ほんと。

 

好条件の場所を探している俺の前に4人の人影が立ちはだかった。

 

「アホ毛に腐った目…。貴様が比企谷とやらだな!!ゆりっぺの誘いを断った報いを受けさせてやる!!」

「ちょっと面貸してもらおうか。ゆりっぺの勧誘を断ったことについて聞こうじゃねぇか」

「ええ、少し話を聞くだけですとも!勧誘はさせてもらいますが!」

「Hey!!come on!! Let's Dancing!!」

 

なんかめっちゃ濃い集団が現れた!!最初の奴は、ハルバードっていうんだっけか?斧を持った紫髮の男。次に、ドスをだるそうに持っている噛ませ感満載の男。何故か上半身を脱いでいる変態。この場でダンスを誘って来る謎のバンダナ男。前見えてるのか、あれ?あと、踊りませんが。

とまあそんな4人だった。キャラ濃すぎませんか?お腹いっぱいなんですけど…

 

あ、こいつらSSSの制服着てる。つまりこいつらは遊佐が言ってた戦線の幹部というやつらだろう。というか腐った目って…。特徴しか聞いてないのか?それならば、ワンチャンかいくぐれるだろうか?

 

「え?なんですか?あなた達は。私は比企谷なんて名前ではないですよ?私は八代八(やしろ はち)です。誰かと間違えていませんか?」

 

流石に自分で言ってて苦しいわ、この嘘。こんなのに引っかかる奴なんていな…

 

「なに⁉︎違うのか?」

「そいつぁ、悪い事をしたな」

「聞いていた特徴とそっくりだったんで間違ってしまったようですね」

「oh.sorry」

 

居たーーーー!マジかお前ら!こんなの引っかかる奴いたわ!!これは遊佐がアホというのも納得だわ!アホなのか素直なのかが解りづらいな。キャラが濃い4人は謝罪をして去っていった。えぇ…。

 

〜〜とある通信〜〜

 

「ゆりっぺさん。野田さん、高松さん、藤巻さん、TKさんは失敗しました」

『えぇーーー⁉︎割と武闘派の4人じゃない!失敗するなんてそんなに彼は強かったの⁉︎』

「いえ、どうやら比企谷さんは別人を語ることで、4人はまんまと騙されたようです」

『なんじゃそりゃーーーー!!!!アホと思っていたけどここまでアホとは!大丈夫なの⁈この戦線は!』

「ゆりっぺさんも十分アホの部類に入りますけどね(ボソッ)」

『遊佐さん?何か言った?』

「いえ、特になにも。対象の監視を続けます」

 

ー八幡sideー

 

うーん。いい場所ないかなー?ベストプレイス探しを続けること1時間ほど。特に場所は見つからない。校舎の裏の方まで来たはいいけど、いい場所がないんだよな〜。

 

「おーい!音無!見つかったか?」

「いや、ダメだ。見つからないな」

 

おっと、この声は昨日話した2人だな。とっさに壁の陰に隠れ、ステルスヒッキーを発動する。ステルスヒッキーを発動すれば、人にはみつからないのだ!いや、別に発動してなくてもみつけて貰えないなんてことはないよ?ほんと、ほんと。やべ、目から水が…

 

「どこに行ったんだ?比企谷の奴は」

「探しても居ないってことは寮にいるとかじゃないか?」

「それも考えて、今は大山に確認しに行ってもらってる。そろそろ来るはずだ」

「おーい!日向くん!確認して来たよ!」

「どうだった?」

「駄目。部屋にはいないし、誰も見てないって」

 

音無と日向となんかすごい特徴がない大山というやつはどうやら俺を探しているらしい。

ていうか、戦線全員に狙われてるってこと?なにそれ、怖い。そして、誰も見てないって誰も俺のこと知らないってことじゃないよね?よね?ここにいますよー。

 

「いったい何処にいるんだ?全然見つからないぜ」

「遊佐に聞けばいいんじゃないか?居場所くらい把握出来てるだろ?」

「なんかそれは負けた気がして嫌だ。俺は自力で探し出してみせる!」

「でも、それで見つからなかったら日向くんは罰ゲームだよね、松下五段もいないし」

「考えないようにしてるんだからいうなよ!だがしかーし!あんな恐ろしい目に合うのはゴメンだからな、遊佐に頼るのは最終手段にしよう。とりあえずもう少し探してみることにする」

「日向…。手伝うさ」

「僕も手伝うよ!ゆりっぺがそこまで引き入れたい人は僕も気になるしね」

「サンキュー。音無、大山!愛してるぜ!」

「やっぱり日向ってコレなのか?」

「ちげーよ!」

 

ふむ、どうやらあの3人は探し続けるようだ。しかし日向ってアッチ系なのか?近付かないでおこう。

今の話からわかったことだが、どうやら遊佐は俺の位置を把握出来てかるみたいだな。つまり、監視されてんのか。確かに昼飯のときに突然現れたからな。

そして、来たばっかの俺にもわかることなんだが、この学校は本当にデカイ。

つまり、全体を見渡せることができる場所といえばあそこぐらいしか考えつかないな…。うし、行くか。

 

 

ーとある通信士sideー

 

おかしいですね?比企谷さんを見失ってしまいました。確かにガルデモの練習に気を取られましたが、それでも10分くらいのはず…。とりあえず、もう少し探して見ましょうか。

 

私は昨日ゆりっぺさんに指示されたように比企谷さんの動向を監視しています。ちなみに今いる場所は、昨日比企谷さんと会った場所です。

 

ーーいません。何処かの建物に入ってしまったのでしょうか。不覚です。こんなに影がうすい人だとは。大山さんより薄いのでは?

仕方ありません。ゆりっぺさんからは「出来るだけ監視」という話でしたし、ターゲットを変えていつも通りの業務に戻りましょう。やっているうちに見つかるかもしれませんし。

 

「よう。やっぱりここにいたのか」

「ーーっ!」

 

突然声が聞こえてびっくりしてしまいました。後ろを振り向くといつの間にか比企谷さんがいます。私が気づかなかったなんて…

 

「いったいいつの間に?」

「そんなに影薄い?普通に入って来たんだけど。泣いちゃうよ?」

 

そう言いながら彼は、こちらへ何かを投げて来る。私はそれをキャッチしてみると、缶コーヒーでした。?なぜこちらへ渡したのでしょう?比企谷さんは疑問に思った私に、

 

「えーと、なんだ、お礼だよ」

「なんのお礼でしょう?」

「戦線の奴らが来るっていう忠告のだよ」

 

そういうと陽の当たらない場所へ行き、本を広げだした。何を読んでいるかも気になるが、それより気になることを言っていた。

 

「あの、『やっぱり』というのはどういうことですか?」

「あん?ああ。日向達の話を聞いてな。あいつら曰く、遊佐に聞けば居場所くらいはわかるだろう的なことを言ってたからな。だから、学校を見渡せるところといったらここくらいしか思いつかんかった。三棟もあるからそこは感だったけどな。」

「それでここまで来たのですか?」

 

驚きました。その情報でここまで来れたとは。

戦線のメンバーでは、考えられない推理力ですね。

 

「お前が監視しているということは、その場所に人はあんまり来ないってことだろ?なら俺が探していた場所とも合致するしな」

「?探していた場所とはなんですか?」

「1人で静かにいられる場所だよ。俺はボッチなんでね。あんまり騒がしいところには居たくない。あと、お礼渡すため」

「変わった人ですね…」

「お前達の戦線のメンバーよりはまともだろ?」

 

そういって彼は読書に戻ってしまった。元の監視対象はここにいるのですし、このまま続けてしまいましょう。喉を潤せるものももらいましたし。

ただ、驚かされたのは納得いきません…。近いうちに仕返しをしましょう。

 

—————————————————————

 

あれから時間がそれなりに経ちましたが、彼は読書に集中している。目が腐っていなければ、それなりのイケメンさんですね、この人。読んでいる本は、題名まで見ませんが、青いカバーの小説でしょうか?

じーっと見ていますが、本に集中していますね。なかなかの集中力です。見ていると比企谷さんは突然此方を向いてきました。

 

「えっと、なんか用でもあったか?そんなに見られると気になるんだが…」

 

なんでしょう。視線に敏感なんでしょうか。

 

「いえ、特に理由はありません。邪魔でしょうか」

「や、邪魔って訳ではないんだが、なんつーの?じっと見られることなんてないから緊張するっていうかなんというか」

 

話している間もじっと見る。なんだか慌ててるところをみてるのが楽しくなってきました。そうしているうちにもう夕方の時間です。思ったより戦線の皆さんは勧誘に動きませんでしたね。これが日向さんの人望のようです。

そろそろ日向さんが連絡してくる頃でしょうか。…きましたね。

 

『遊佐〜。比企谷が何処にいるか知らないか!』

「お疲れ様です。比企谷さんなら教室棟の屋上に居ますよ?」

 

比企谷さんが驚いた目でこちらを見てくるが私は続ける。

 

「早く来た方がいいかもしれませんよ?逃げる準備をしてますし」

『サンキュ!遊佐、すぐに向かう!』

 

通信機が切れた。運動が得意な方ですし、すぐに来るでしょう。比企谷さんがこちらをじとっとした目で見て来てますね。ちょっと怖いです。

 

「ちょ、なんでバラしたの?」

「私はこれでも戦線の通信士なので。仕事はキッチリこなします。今まで言わなかったのは聞かれなかっただけです」

「おのれ…!今ならまだ間に合う!俺は帰るぞ!」

「残念ですが、比企谷さん。『バンッ!』時間切れです」『いたーーー!』

「oh,my,,,,」

 

何故TKさんの真似をしたのでしょうか?

 

〜通信士side out〜

 

「見つけたぞ!比企谷!戦線に入ろうぜ!」

「なんだよ。中島くんみたいに言われても、戦線になら入らんぞ」

「そこをどーにかお願いします‼︎お前を入れられなきゃ俺が罰ゲームに!」

 

日向はそれはもう綺麗な土下座を繰り出した。周囲の空気が残念な空気になりました。なんか必死過ぎね?

 

「ゆりっぺさんの罰は人格が変わると有名ですからね」

「そうだね〜。今でこそ笑えているけど当時は笑うという感情すらなくなったからね。あ、僕は大山だよ。よろしくね、比企谷くん」

 

えぇ。なんかすごいこと聞いてしまった。人格が変わるとか罰の域超えてね?それって刑っていったほうがいいだろ、もう。あ、どうも、よろしく。

 

「どうかな?比企谷くん。日向くんを助けるともと思って入ってくれない?」

「俺からも頼むよ、比企谷」

「私はどっちでもいいのですが」

「遊佐さぁん!なんで俺にそんな冷たいんですか!why!泣くぞ?」

「それは、もう比企谷さんがやったネタなので大丈夫ですよ?」

「辛辣過ぎない⁉︎」

「日向、そのwhyっていうの流行らせたいのか?全然流行ってないぞ」

「もうこのくだりはいいですからぁ!」

「そうですね…。頭脳労働が出来る人がもらえると助かります」

 

収拾がつかなくなっていた。遊佐さん?それって考える人がろくにいないってことだよね?大丈夫なのだろうか?この組織は。

若干呆れながらも考えることはやめない。

ーーSSSに入れば俺が求めているものは手に入るのだろうか。

それは分からない。それなら、俺はーーー

 

「頼むよ、比企谷!戦線に入って「いいぞ。」まじか!!本当だな?サンキュな比企谷!これで俺は生きていけるぜ!」

 

日向は、音無と大山と肩を組んで喜びあっている。やっぱりアッチ系なんじゃないか?

 

「いいのですか?」

 

遊佐がこっそりと耳打ちして来る。ちょ、近い近いいい!いい匂いが、ががが。

 

「あ、ああ、面白そうだしな。一度、死んだんだ。普段やらないようなことをやってみてもいいんじゃないかってな」

「そうですか」

 

なんか穏やかな雰囲気になったような気が…?気のせいか?

 

「いやー助かるよ、比企谷!これでゆりっぺにも叱られな「ただし、条件がある」い…」

「それが通らないなら俺は入らないぞ」

 

日向は愕然とした顔になっていた。ちょっと楽しくなってきた。

 

ー校長室ー

 

「で?あなたの条件とは何かしら?」

 

俺の目の前には仲村がいる。あの後、日向達と共に本部へとやって来たのでした。昨日は日向と音無、遊佐、仲村しかいなかったが、現在の校長室には幹部と呼ばれる奴らが勢ぞろいしていた。

なんでわかったかって?昼の4人がいるからです。なんかあのまま偽名を信じてたっぽい。

 

「とりあえず、俺が出す条件は2つだな」

「なに?言ってみて」

 

言いたいんだが後ろのハルバードを持ったやつのプレッシャーが凄まじく、いうにいえない。

 

「条件だと…!貴様…!ゆりっぺを舐めているのか…!」

 

ひぇー。めっちゃおこじゃん。あれだね、一度騙したからキレてるというより、仲村に心酔しているからこそ俺がやってることが気に入らないんだろうな。

 

「野田くん?ちょっと黙ってて」

「しかし、ゆりっぺ!」

「黙ってろ」

「はい」

 

一声かよ…仲村のカリスマが凄いのか、ハルバードさんが弱いのか。

 

「で?条件は?」

「俺が出す条件は、天使との戦闘には加わらないこと、裏方志望の2つだな」

「あら?そんなことでいいの?あなたは最初から頭脳労働に入ってもらうつもりだったから別に構わないわ」

 

思ってたよりすんなりと条件を飲んでもらえたな。良かったー。1つ目の条件は、痛い思いはしたくないっていうのがある。それに、銃とか怖いし…。2つ目は、やはり俺はボッチなのであまり人と関わらない方が良いので出した条件だ。

 

「それじゃあ、比企谷くん。貴方には遊佐さんと同じ諜報班に入ってもらうわ。それと、幹部ね」

 

what?今なんつった?諜報班はまあいい。人間観察が得意な俺には向いているだろう。だが幹部。オメーは駄目だ。

 

「不服そうな顔ね。大方幹部入りの方かしら?幹部といっても天使との戦闘には参加しないわよ。会議には参加してもらうけど。遊佐さんと同じような扱いと思ってくれていいわ。貴方の条件はしっかり飲んでいるんだから拒否なんてしないわよね?」

 

ふぇ〜ん。ものすっごい悪どい顔してるよ〜。結局、この連中と関わることになってしまうようだ…。

あ、遊佐が諦めてくださいみたいな目でみてる。しゃあないか…こっちの条件は飲んでくれてるしな。

 

「ああ、んじゃこれからよろしく頼む」

「いよっしゃーーー!!!頭良い新人ゲットぉーーー!」

 

その叫びは割とガチなやつだな…。

 

「じゃ、新しい幹部のために自己紹介でもしましょうか。比企谷くんからね」

 

出た〜自己紹介〜。俺の黒歴史を毎回更新してくるやつ〜とりあえず落ち着けば噛むことはないだろう。落ち着け〜落ち着け〜。

 

「ひゃ…比企谷だ。よろしく頼む」

 

駄目でした。

やめて!暖かい目でみてくるのはやめて!笑われるのも辛いけどこの対応も辛い!

 

「それじゃ、戦線のメンバーを紹介するわ。知ってると思うけど、彼は日向くん」

「よろしくな」

 

日向が手を伸ばしてくる。おれは握手しようと手を伸ばしたが、逡巡してしまう。

 

「ん?どうした?」

「いや、お前ってホモなのか?」

「違いますからー!なんでそんなこと言うんだ⁈」

「音無に『愛してるぜ』とかいってたじゃん」

「お前その場にいたのかよ⁉︎ちげーよ!」

 

なんかそんなに焦ってると余計怪しく見えるんだが。

 

「まあ日向くんがそっち系かどうかは置いといて。「置いておかないでくれませんか⁉︎」うっさい。次は大山くんね。特徴が特にないのが特徴よ」

「はは…さっきもいったけど、よろしくね」

「おう。頼むわ」

 

大山とはなんかうまくいきそうなきがする。何故だろうか。存在感が薄いから?それは、悲しくなるから認めない。

 

「で、そこでハルバードを持ってるのが野田くん」

「ゆりっぺが認めたなら仕方がないな」

「騙して悪かったな」

「いや、あれは俺たちがまんまと騙されただけだ。気にするな」

 

頭は緩いが良いやつなのだろうか。ただ、あの嘘に騙されるのはどうかと思うが…。

 

「そこの壁に寄りかかってるのは椎名さん。戦線最強よ」

「あさはかなり…」

 

うおっ!言われるまで気付かなかったぞ。そこには髪の長い女子がいた。戦線の制服も改造してるし、マフラーみたいのもしてるし、あれかな?おしゃれしたい年頃かな?

 

「そこでメガネをよくかけなおしてるのは、高松くん。ああ見えてバカよ」

「よろしくお願いします」

 

それは知ってた。

体がでかいやつが握手を求めてくる。

 

「彼は松下くん。柔道五段でみんなは親しみを込めて松下五段と呼ぶわ」

「よろしくな」

「おう、あれ?五段って学生じゃ取れないんじゃ?」

 

握手に答えて、思った事を口に出すがそうなのか?知らなかったよ!などという声が聞こえてくる。あれ?確か取れなかったよね?

 

「そんなことは気にしなくても良い。愛称みたいなもなだからな。稽古をつけたくなったらいつでも来い」

 

良いやつだな。絶対に稽古には行かないけど。

 

「そこのドスを持ってるのは藤巻くん。だりぃが口癖ね」

「よろしくな、坊主」

 

なんだその説明。特にいう事なかったのか?

 

「そして、最近加入した音無くんね」

「知ってる」

「で、最後に一応あなたの上司的存在なるのかしら?遊佐さんよ」

「よろしくどうぞ」

「おう。よろしく頼む」

 

あとは知っている2人を紹介され、自己紹介タイムは終了した。あれ?自己紹介したの俺だけじゃない?

 

「ここにいる他にも陽動班にガルデモと呼ばれるガールズバンドもいるわ。時間があったら挨拶に行きなさい。それとSSSはこの校内に何人も潜伏している。見分け方は、制服ね」

 

結構な数の人がいるようだ。思っていたより大規模な組織なんだな。

 

「それじゃ、比企谷くん。これからよろしくね」

 

こうして俺は、戦線へと加入した。




短いな〜と思って繋げたら長くなりました!

ちょいとSSSのアホ度が上昇してますが、許してくだせぇ!
番外編でネタバレって本当にやらかしてますね。

閲覧ありがとうございました!


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第6話 彼女たちの音楽

書き溜めていたのがなくなってしまったのでこれからは多少の間が空くかと思われます。

今回は、あのバンドの人たちが登場です!

では、どうぞ!


 

俺が死んだ世界戦線に加入した次の日——

 

あのあと俺は戦線に正式に加入し、戦線の制服を受け取り、諜報班として遊佐からインカムなどの使い方を学んでいた。これが意外と難しい。

 

俺が配給されたインカムはどうやら遊佐と同じ機種?(っていうのだろうか)のようで割と複雑な機構になっており、操作を覚えるのも一苦労だ。

 

操作を覚える中で聞いたんだけど、どうやら戦線の幹部メンバーには基本的に発信機と盗聴器が付いているという。この話を聴いた時、思わず自分の身体を見て確認してしまった。

 

「そんな焦らずとも比企谷さんにはついていませんよ。ーーーまだ」

「不穏なつぶやきが聞こえたんですが?おい、目をそらすんじゃない」

 

このあと、遊佐は発信機とかは同意した人の装備品についていると説明してくれた。例えば、野田のハルバードなどらしい。

よかった。非人道的な組織ではなかったようだ。…人格が崩壊するような罰ゲームがあることから怪しいところだが。

 

と、本日の予定は午前中に遊佐と操作の確認だけで終わり、午後の予定は特にない。だって、所属したからといって自分から話しかけるとか無理だし。

 

昼飯の醤油ラーメンを食べおわり、トレーを片した。あ、ラーメン美味しかったです。午後は何をしようかと考えていると声を掛けられた。

 

「あんたが比企谷かい?」

「んあ?」

 

声の先には、戦線の制服を着た茶髪をポニテにした姉御という言葉がしっくり来るような女子がいた。何処とは言わないがとある一部がデカイ。

というか最近女子に声掛けられすぎじゃね?遊佐、立華、そしてこの女子。小町、お兄ちゃんこの世界来てからめっちゃ人と話してるよ…。

 

「ふむ、濁った目とアホ毛…。あんたが比企谷だね?」

 

小町…初対面の人にもdisられたよ…。

 

「そうだが。で、あんた誰?」

「私は陽動班のバンドをやってる、ひさ子っていうんだ」

「陽動班?あー、ギャルデモだっけ?」

「びみょーな間違いするな…。Girls Dead Monster 略してガルデモだ」

「で、そのガルデモの人がなんか用か?」

「ああ、あんた諜報班で幹部になったんだろ?ゆりからのお達しで、あんたと私達の顔合わせをしとけってさ」

「えぇー。なんで?」

「嫌そうな顔するな…。陽動班と諜報班は割と作戦の時とかよく連携取るからな。あんたは『顔合わせに行けって言ったらいつ行くかわかったもんじゃないからひさ子さん、迎えに行ってあげて』ってゆりが」

 

よくわかってるじゃないか。リーダーさんよぉ!その予想は大正解だ。誰が好き好んで挨拶なんて行くか。さて、逃げるか。

 

「あ、そういえば遊佐が『逃げても無駄ですよ』って言ってたな」

 

バ レ て る⁉︎なんで俺の思考がこんなに読まれるんだ?ちょっと自分の行動の単純さにちょっと泣けてきた。

 

「ま、ままさか!顔合わせとか大事なことなのに俺が逃げるわけないだりょ」

「汗かいてるし、目合わせないし、噛んでるし、逃げる気満々じゃねーか!」

「いやいや、そんなことないにょ。ただガルデモって名前なくらいだし、女子しかいねーだろ〜なとか思って逃げようとしたわけではないよ?」

「説得力皆無だから!ほら、行くぞ!」

 

手首を掴まれ、引っ張られる。

やめて!なんか目立ってるから!手首掴まれるとか勘違いしちゃうから!ぼっちをこれ以上イジメないで!

 

「わかったから!行くから離して!」

 

奇異の目線に晒されながらしばらく歩くとようやく腕を離してくれた。ふぅ。

 

「最初からそういえばいいんだよ。全く…」

 

ここまで接して分かったがこのひさ子という女子はこの戦線のなかでかなりまともなほうに入るんだろう。それ故に、彼女の心労は大変なものだろう。

 

「?なんでそんな暖かい目で見て来るんだよ!辛かったなみたいな目で見て来るな!」

 

わかる!わかるよぉ!あの連中の相手って大変だよね!ひさ子への好感度がガン上がりした。ひさ子へふざけるのはやめておこう。

 

「で?このまま何処行けばいいんだ?」

「急に真面目になるなよ!」

「いや、まともな人だったから心労も絶えないと思って、ちゃんと接することにした」

「なら最初からしてくれよ!」

 

この戦線でまともな奴とかいないんだろうなと思ってた俺を許して欲しい。

 

「はぁ、とりあえずこれから行くのは学習棟の空き教室だ。基本的にはいつもそこでバンド練習してる」

 

ー空き教室ー

 

「ただいま、みんな揃ってるか?」

「お帰りなさーい!ひさ子先輩!噂の人は連れてこれました?」

「お帰りなさいです」

「………」

 

空き教室へとたどり着き、ひさ子は中へと入っていってしまった。俺はいまだ入らず中の様子をうかがってみたが、なに?俺?噂されてんの?ゾンビが戦線に入ったとかだろう。誰がゾンビだ。

 

「おい、比企谷!取り敢えず入ってこいよ」

 

ひさ子に呼ばれたので教室に入ることにした。中には、ひさ子とオレンジ色の髪のテンションが高い女子、紫の髪のおっとりしてそうな女子がこっち見てちょっとビクッてなった。べ、別に慣れてるし!…泣きそう。

赤い髪の女子が何かを書いていた。やっぱり女子しかいないじゃないですかー。ダレカタスケテー。

 

「じゃ、比企谷から自己紹介頼む」

「あ、ああ、比企谷だ。よろしく頼む」

「………」

「………」

「………」

「………」(何か書いている)

「……え?それだけ?」

 

オレンジ色が沈黙に耐えかねたのか声をかけてくる。え?なんか変な事言った?名前言っただけだよね?

 

「ああ、そうだが?」

「それだけかよぉぉーーーーーー!」

「うおっ」

 

オレンジ色が突然叫ぶ!唐突に大きい声出すんじゃない!びっくりしただろうが!

 

「なに?なんなの?情緒不安定なの?」

「お前の自己紹介が短すぎるからだろうが!」

「は?何言ってんだ。自己紹介なんてものは名前がわかればそれでいいだろ。むしろ、他の趣味とかなんて情報はいらないまである。だから名前だけ名乗るのが正しい。だから、俺は間違っていない」

 

間違ってないよね?だって昨日名前だけ言って何も追求されなかったし。

 

「間違ってるだろぉーー!なんなんですかその価値観!間違い過ぎてますよぉ!」

「はは……」

「はぁ…」

「……」

 

オレンジがさらに怒鳴る。紫の髪の子が苦笑い。ひさ子はため息をついている。さっきから赤い髪の人こっちを一切見ないよ?気づかれてないのかな…?

 

「まあいい。んじゃ、こっちの自己紹介だな。さっきも言ったが、私はひさ子だ。ガルデモのリードギター担当だ」

 

バンドの知識とか一切ないのでリードギターといわれてもよくわからないが、主旋律的なのかな?よく分からんけど。

 

「はーい!ベース担当の関根でっす!噂の通り、目がやばいっすね!よろしくっす!」

 

こいつぶん殴ってやろうか。ノリが鬱陶しいな。こいつ絶対調子に乗るタイプだ(確信)。というか、噂が目のこととかどれだけこの目は目立つんだ。そんなに特徴的?

 

「えっと…。ドラム担当の入江です。よろしくお願いしますね」

 

紫の髪の小動物的な可愛さがあるこの少女は入江というらしい。こう見ていると何故か守ってあげたい気持ちになる。これが、父性なのか…?

何が言いたいかってことは、とても可愛い」

 

「ふぇ?ええぇーー!」

 

突然入江が声を上げた。?どうしたんだ?顔も赤いし、風邪か?

 

「てめー!みゆきちを口説くとかいい度胸してんじゃねーーか!!!」

「は?口説いてねぇよ」

「今、可愛いとか言ってただろぉーーーー!」

「え?まじで?声出てた?」

「ああ、バッチリな」

 

うわ、まじか。入江の顔が赤いのは怒ってたからかー。こんな初対面のやつにそんなこと言われてもキモいだけだよな…。

 

「すいませんでした」

 

俺はすぐさま土下座を決行する。すでにこの世界における心の清涼剤である入江にキモいとかいわれたら自殺までしそう。この世界じゃ、死なないから無理だけど。

 

「か、顔をあげてください!気にしてませんよ?」

「本当か?」

「はい!だから土下座をやめて下さい!」

 

土下座をやめた。

 

「いや、本当にすまなかった」

「大丈夫ですよ?だから気にしないでください」

 

許してもらえたのだろうか?次から気をつけよう。仮に次もやってしまったらここからFly awayしようそうしよう。

 

「ひさ子先輩、あたしら完全に蚊帳の外ですね」

「ほんとにな…」

 

ところでこの騒ぎの中ですらも赤い髪の人は、何かを書いている。俺だけに見える幽霊じゃないよね?

 

「おーい。岩沢?」

「……」

 

良かった。幽霊ではなかったよ!ひさ子の呼びかけも聞こえていないようだ。すごい集中力だな。だが、まともな部類ではないだろう。

 

「岩沢!…ライブが始まるぞー!」

「え?ライブ?」

 

あ、ようやく反応した。周りをキョロキョロしていたが、こちらを見て止まる。

 

「…誰?」

「新しく戦線に入って幹部になった比企谷だよ。あんたも幹部なんだから話は聞いてるだろ?」

 

ひさ子が代わりに紹介してくれた。自己紹介しなくていいとかやっぱり楽だね。そして、ひさ子は世話を焼くのが好きということがわかった。

 

「ガルデモのボーカルとリズムギターをやってる岩沢だ。よろしく。ところで、この曲調なんだけど…」

「待て待て!岩沢!突然そんなこと言われても困るだけだって!」

 

岩沢は自己紹介した後に、なんかよく分からん話をしだそうとしたが、ひさ子に止められていた。

 

「岩沢先輩は音楽キチですからね〜。ああいう話に捕まると半日は逃げられないっすよ?」

「あはは…」

 

ふーん、音楽キチねぇ。やっぱりまともじゃなかったな。あと、入江の苦笑いが可愛いです。キモいな、俺。

 

「あー!そうだ岩沢!新人も来たことだし、練習でも見て言ってもらおうぜ!」

 

ひさ子が大声をあげた!あー、なんか巻き込まれそうだし、逃げよっかな。

 

「じゃ、そろそろ俺は用事あるから…」

 

比企谷八幡はクールに去…「まあ、待てよ」れませんでした〜。あ、やめて下さい!腕にそれ以上力を入れないで!肩が壊れる!

 

「うちらのバンドの練習なんて滅多に見られないんだから、見ていけよ」

「いや、用事があ「な?」ると思ったけどそれはいつでもできるからいいや!」

 

怖っ!なんだこの圧力は!俺が気圧される、だと!いや、この世界に来てかなり気圧されてましたわ。しかも、女子っていうね。

 

「うわ〜。ヒッキーよわっ」

「まあまあ…」

「うるせー。俺は長いものに巻かれる主義なんだよ。あと、ヒッキーってなんだ?」

「ニックネームだよ〜。比企谷って言い辛いし。」

 

ニックネームかー。オタガヤとかナルガヤとかニックネームというものにいい思い出がマジでないな。泣ける。

 

「誰が引きこもりだ。せめてヒッキーはやめて下さい。お願いします」

「おおう、見事な頭の下げ方…。うーん?あ、下の名前って?」

「知らない人に名前教えるのはちょっと…」

「ここまで喋っておいて知らない人扱い⁉︎どんなイジメだーー!」

「教えてもらえないですか…?」

 

入江がお願いしてくる。入江の背は低い方なので自然と俺と話すと上目遣いになる。くっ、凄いドキドキする。これが、恋か。違いますね。

 

「…八幡、だ」

「八幡か…。うーん、八幡ねぇ」

「八幡さんですか…」

 

やめて!下の名前を連呼されるのは慣れてないうえに女子が呼ぶとかすごい!恥ずい!けど嬉しさがある!

 

「んー?閃いた!ハッチーかハチ!どっちがいーい?」

「ヒッキーじゃなきゃ、なんでも」

「じゃ、ハチさんと呼ぼう!」

 

一体どこの渋谷駅の前にいる犬なのだろう。だが、関根の言葉に俺を貶めようなどという黒いものは感じない。純粋に付けてくれたようだ。そこは少し嬉しい。

 

「ハチ公!お手!」

 

前言撤回。こいつぶん殴っていいですか?関根に対するイラつきが上昇している中、入江が会話に入ってくる。

 

「しおりん!そういうのは良くないよ?」

「みゆきちに注意されてしまった!はーい。やめまーす」

 

好感度上がるわ〜。入江さんは天使かな?よし、小町に次ぐ第2の天使と俺の中で決まった。

 

「おーい。そろそろ練習再開するぞ〜」

「比企谷は見ていくよな。な?」

 

岩沢から練習再開の言葉が飛んでくる。嫌だな〜、ひさ子さん。そんなプレッシャー出さなくても居ますから。いや、ほんと。逃げたら怖いし…。どんだけ岩沢の話に付き合わされたくないんだよ…。

 

「うっし。じゃ、一曲やるから感想を言ってくれ」

「いや、俺音楽とかわからないんだけど…」

「そこは別に期待してない。素人目線の意見も大事だからな」

「それなら了解だ」

「それじゃ、やりますか。『crow song』」

 

チッチッチッと入江がドラムでリズムをとる。こうして、少女達による曲は始まったーー

 

——————————————————————

 

「ーーー。ふぅ。で、どうだった?比企谷?」

 

——すげぇ。まるで高校生とは思えないほどの演奏を見た俺には、その感想しかなかった。

 

「ああ、月並みなセリフしかいないが、本当にすげぇわ。音楽を聴いていてここまで鳥肌たったのは初めてだ。感動したとしか言えないわ」

 

なんかシーンとなった。え?なんか言っちゃいけないこと言っちゃった?やめてよこの空気〜。

 

「ーそっか。こんなに直接的な言葉での感想はひさしぶりだな、なあ、ひさ子」

「そうだな。しかも、それを言ったのが比企谷だからな」

「おいおい、俺だって感想はしっかりいうぞ」

「いや、だってお前なんか遠回りな感想しか言わなそうだからな」

 

何故わかった。いつもの俺ならば確かにこんな直接的な言葉を使うことはないだろう。くっ、この戦線は俺の行動を予知できる能力でもあるのか?

 

「短時間接しただけだけど、そのくらいはわかるって、ハチさん」

「そうです、そうです。比企谷さんは意外と恥ずかしがり屋ですよね。だから婉曲な表現を使うかと」

 

いや!なんか恥ずかしい!ここまで自分のことを客観的にいわれるのはすごい恥ずいわ。え、こんなに恥ずかしいものなの?絶対、顔赤いよ。

 

「そっか。みんながそう言うお前が素直な感想を言うなら本当にそう感じたんだろうな、嬉しいよ」

 

岩沢がまとめに入る。

やめて〜これ以上精神力を削るのはやめて〜。俺はこれ以上ここにいると本当に恥ずか死ぬので、逃げることにした。お、覚えてろよ〜!いずれ第2、第3の俺が…!

 

「また来てくださいね!比企谷さん!」

 

教室を出ようとしたところで入江に声を掛けられる。

 

「……たまになら」

「はい!」

 

くっ!笑顔が眩しい!目が開けられないぜ!俺はガルデモの教室から逃げ出した——。

 

ーガルデモsideー

 

八幡が去った後の空き教室では、ガルデモのメンバーが話をしていた。

 

「変わったやつだったな。比企谷は」

「ああ、この戦線の中でまともなやつだろうな。時々ふざけるが」

「まあまあ…」

「ああ言うまともな人が来てくれると助かりますね!ひさ子先輩!」

「なんでお前が誇らしげなんだ…?」

「まあまあ…」

「みゆきちーー!お前は『まあまあ』しか言えないロボットかーーーー!」

「ええっ!ロボットじゃないよ?人間だよ」

「ボケを普通に返されたぁーーー!」

「うるせー!関根!お前はもう少し黙ることが出来ねーのか!」

「うるせー!今のはみゆきちが悪いだろーーが!」

「ああん?なんつー口聞いてんだ?おい?」

「しおりんが壊れた⁉︎」

 

賑やかなガルデモの練習風景である。そんな騒がしい中でも岩沢は再び何かに集中している。

 

「岩沢?今度は何書いてるんだ?」

 

関根への制裁を終えたひさ子は岩沢に聞く。ちなみに関根は、入江に介抱されながら後ろでのびていた。

 

「ん?これはさっき比企谷と話してて詩が降りてきたから書き出してる」

「岩沢先輩、やっぱりあなたは…」

「「「音楽キチだ…」」」

 

 




どうでしたでしょうか?
やりとりがかなり書いてて楽しかったです。

ありがとうございました。


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第7話 彼らの作戦が始まる

今年最後の投稿です。

では、どうぞ!


七話

 

 

 

はーい。先ほど、ガルデモから逃走してきた八幡だよ。いまだにドキがムネムネしてる。ここまで人と接してるのは久しぶりで、どこか戸惑う。俺は、この世界にいて良いのだろうか。

 

とかなんとか、しんみりした気持ちで俺は散歩していた。しかし、ガルデモは凄かったな…!これはファンになったかも知れん。そのうちライブも聞きたいものだ。

 

「比企谷さん」

「いぃっ!!」

 

なんだなんだ⁉︎ぼっちは人の気配に敏感なはずなのに気配を感じなかった!突然声を掛けられたぞ!誰だ!

 

「作戦本部にお集まりください」

「なんだ、遊佐か…」

「む…なにか?」

 

遊佐でした。気配を消して動けるとは、忍者か何かなのか?あと、突然話しかけるのやめてもらって良いですか?心臓が持たないんですが…。ちょっと満足げな顔してない?おれが何かしましたか。

 

「それは比企谷さんが気付けば良いのでは?」

「だから、なんで考えてることわかるの?」

 

あと、なんかムッとしてない?ちょっと雰囲気がそういう風に感じる。なんか勘に触ること言っちゃったか?

 

「いきましょう。比企谷さん」

「あ、ああ。え?一緒に行くの?」

「行きますが?比企谷さんが最後だったので。他のメンバーには既に通達済みです」

 

オーケー、オーケー。勘違いはしませんよ?

 

「んじゃ、さっさと行くか」

「はい」

 

——————————————————————

 

ー対天使作戦本部またの名を校長室ー

 

「「カミモホトケモテンシモナシ」」

 

合言葉を言って中へと入る。そこには既に幹部の連中たちが全員集まっていた。本当に最後かよ…。

 

「ようやく来たわね。ガルデモとの顔合わせはどうだったかしら?比企谷くん?」

「おかげさまでな…」

「あら、私はあなたの為を思ってやったことよ?ああでもしないと逃げるでしょう?」

 

なんでわかるんですか…?怖いよー。

 

「さて、電気消して。ブリーフィングを始めるわよ」

 

その一声によって、電気が消え、校長室のカーテンが閉じられ暗闇に閉ざされる。暗くなったと思ったら仲村の横にあるスクリーンに映像が映し出される。カッコイイと思ってしまった…。

 

「高松くん、報告を」

「はい。新人も入って来たことで、弾薬が不足して来ていると報告が上がってきています」

「ふむ…そういえば野田くんは?」

 

高松(メガネ)が報告をする。弾薬とかよくよく考えたら何処で補給してんだろうな。まあ、関係ないから聞かないけど。確かに野田がいないな。仲村からの召集なのにいないとは…どうしたんだ?考え事をしてたら話が進んでた。

 

「そろそろ補給しに行く必要があるわね。よし、なら今から『オペレーション ギルド降下作戦を行うわ!」

「来たーー!」

「oh…絶望へのcarnival…」

 

テンションの差がありすぎませんか?大山はテンションが上がっているようだが、TK?でいいんだっけか?は、低くなっている。あと、言ってる意味が分からない。

ていうかギルドってあれか?ゲームとかで作るグループの。あれってなんであるんだろうな。ゲームでもぼっちな俺にはしんどい以外の何者でもない。なんだよ、ノルマとか。めんどい上に、ゲームでも人間関係に縛られるとかやってらんないと思いました。

 

「どうした?音無?」

「あ、ああ。高いところは苦手だな、と」

「高い所?違うわ、ギルドがあるのは地下よ」

「地下か…。地下ァ⁉︎」

 

地下とかあんのか(白目)。この世界の学校は一体どうなってんのか。音無の反応はよく分かるわ。なんで学校に地下があるんだよ…。

 

「ええ。学校のいたるところから一応入れるようになっているわ。さて、遊佐さん。ギルドに繋いで」

「はい」

 

遊佐が返事をすると、スクリーンのSSSのマークの下に通話中の文字が出る。

 

『おう。ゆりっぺか。何の用だ?』

「これからそちらに銃弾の補充に向かう。トラップの解除を」

『いつもより早くねぇか?』

「新人も入ったし、いろいろあったのよ」

『オーケー。了解だ。待ってるぜ』

 

プツンーー

 

「さて、向かいましょうか。遊佐さんは待機ね。」

 

遊佐が待機なら俺も待機か。やったね!補給とか重そうだし、面倒そうだし楽でいいわ〜。頑張りたまえ。実行部隊の人たちファイトー!いっぱぁーつ!

 

「あ、比企谷くんもギルドに行くわよ」

 

は?

 

「は?え?なんで?」

「あなたも一度くらいはギルドを見ていた方がいいでしょ?顔合わせは大事よ」

 

ちょいちょいちょーい!what?ええー…

 

「諦めて下さい、比企谷さん。プッ」

「諦めろ…」

「ククク…。諦めろよ。比企谷。プッ」

 

遊佐、音無、日向の順番に声を掛けてくる。う、うぜぇ。

 

「◯ね。日向」

「なんで俺だけなんだよ⁉︎why!」

「日向、お前そのwhyってのつまんねーよ。一発芸舐めてんの?」

「辛辣すぎませんか⁉︎あと、一発芸じゃありませんから!口癖ですから!」

「お前らー!さっさと行くぞー!」

 

あぁ…仕事したくないよ…。

 

——————————————————————

 

ー体育館ー

 

はーい…。戦線に加入して初っ端から仕事が舞い込んだ比企谷でーす…。現在私たちは体育館へきていまーす…。さて、ここに一体何があるのかを当てるのが最初のクエスチョンです!正解者にはクリスタルはちまんくんをプレゼント!はぁ…。

脳内でテンションを上げることを試みるもただ、ただ虚しさが胸をよぎるだけ…

 

「ほら、行くよ比企谷君〜!」

 

大山が呼ぶ声がする。その方向を見てみると、壇上の下にあるパイプ椅子を片すところにみなさん入って行くではありませんか!そんなとこに入口があるのね。

 

「では、ご武運を」

「いや、ちょっとお腹の具合が…」

「ご武運を」

「いや、「ご武運を」…はい」

 

遊佐からの激励?を受け俺も戦線の連中に続く。本当に地下にあるようだ。この目で見るまで信じられなかったよぉ!

 

俺が中に入ると仲村がようやく来たかみたいな顔して待っていた。

 

「ようやく来たのね」

 

言われちゃった☆すいません。

 

「ここから地下へ進むわよ」

「おい、誰かいるぞ!」

 

ドスを持ったふしまき?ふじまき?だったかが止める。え、こんな暗いとこに誰かいるのか?そいつとか、引きこもりかよw

 

懐中電灯による明かりが暗がりにいる誰かを照らしていくとそこにいたのは——。

 

「ふっ、待っていたぞ」

 

なんだ。ハルバートの野田じゃん。

 

「なんだ、野田かよ」

「こんなところにいたのか…」

「私の招集を無視して、よくもぬけぬけと」

 

みんなの対応が凄い冷たい。や、俺もだけど。仲村の冷たい視線に野田はビビったかのように目を逸らしていた。

 

「で、こんなとこで何してんだ?」

 

話が進まなそうなので、声をかける。おい、初めてここにいることに気づいたみたいな顔はやめろ。傷つくわ〜。

 

「音無。お前に用がある!」

「俺?」

「俺は断じて貴様など認めなグブァ!」

 

野田が音無に向かって何か言おうとしたら横からハンマーがふってきた。何を言ってるかわからねーかもしれないが俺も何を言っているかわからない。そんなものの片鱗を見てしまったぜ…。

 

「総員、警戒態勢!」

 

全員が銃を構える。あれ?俺持ってないですけど?1人だけ何も構えてないのは悲しいな。あ、音無も構えてないっぽい。

 

「くそっ、トラップ解除されたんじゃねーのかよ!」

「ギルドの連中は俺たちを殺す気か!」

 

まじかよ!俺が加入したのを気に入らない奴らが仕掛けたのか⁉︎自意識過剰でしたね。

 

「いえ、ギルドの独断でトラップが再起動したのよ」

「なに?一体なぜ!」

「——天使よ」

 

まじかよ(二度目)。ここにあの生徒会長が来てんのか…。正直、この戦線に加入してしまった後ろめたさというのはまだ俺の中で存在している。なるべくなら会いたくないな…。

 

「どうする?ゆりっぺ!」

「………」

「一度戻ればいいじゃないか」

 

返事をしない仲村に、音無が意見を言う。いいぞ!音無!俺はその意見を支持する!それに賛成だ!

 

「いえ。このまま進軍するわ」

「ほんきか⁉︎」

 

ええ!こんなトラップだらけの危険なところにいられるか!俺は帰るぞ!

 

「そもそも、入口はもう塞がれているわ。だから進むしかなのよ」

「なら、無線で呼べば…!」

「それも無理。ここは地下よ。無線は飛ばないわ」

 

俺がここにいる意味がまじで存在しない件について。これなら来ない方がよかったじゃないですかやだー!助けてー!小町ー!

 

「それじゃ、進軍開始よ!ギルドに救援に行くわ!」

 

ぞろぞろと歩き出す戦線メンバー。こうして、戦線によるギルド攻略が始まったのだった…。

 

俺は生き残れるのか!続く!続くったら続く!

 

帰りたいよぉ…。

 

 




今年最後の投稿でした。

来年もよろしくお願いします。


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第8話 彼らは地下迷宮に挑む

3日以上過ぎてますが、あけおめです!
今年は忙しくなりそうな予感しかしないですが、頑張って書いていきます!

前回からアニメの第2話にはいっているのですが、既存の話に人加えるのって大変だということを知りました。

では、どうぞ!



 

「なぜ、こんなことに…」

 

俺は現在、1人だ。いつも1人だって?知ってるわ。1人が好きだから別に構わんのだよ。今の状況ははっきり言ってヤバイ。こんなトラップが大量にあるようなヤバイところで1人はヤバイだろ。何が一番ヤバイかってヤヴァイしか言ってない自分がヤバイ。

 

俺はギルドへ向かうための地下通路で迷子になっていた。なぜ、こうなったのだろう。思い返してみよう(ヤケクソ)

 

——————————————————————

 

野田がトラップに吹っ飛ばされたあと、地下通路を俺たちは歩いていた。

 

「なあ、あんなトラップがこの後もあるのか?」

「ああ、そうだぜ。色んなのがあるから楽しみにしてろよ」

 

音無と日向がなんか話してる。この後もあるのか〜。トラップの中身は覚えてないのか?

 

「トラップの内容とかは?」

「さあ?忘れた」

「チッ」

「え、なんか今舌打ち誰かしましたよね⁉︎」

 

おっと、いけない。心の声が漏れてしまった。なんだよ日向!少しくらいは覚えておけよ!忘れたってことは知ってたんだろ⁉︎そのくらい覚えておけよ!だからお前にホモ疑惑があるんだよ!

 

「今なんか寒気した」

「?こんな時に風邪か?日向」

「いや、なんつーかこう、風邪とは関係ない何かおぞましいものがよぎったような…」

 

雑談を聞きながら(自分は話さない)歩いていると、

 

「来るぞ!走れ!」

 

ここまで一切喋ってなかった椎名が突然声をあげ、前に走り出した。え、来るって何が?後ろを見るとでかい丸い岩が転がってきているではありませんか!…えぇっ⁉︎

 

「ゆり!こっちだ!」

 

前方の方で椎名が横道に入ったようだ。とりあえず、走って逃げてるもののこのままだと追いつかれてペチャンコ必至だ。生き返るとはいえ、痛みを味わいたくない。くそっ!インディーの映画のワンシーンをこんなところでやる羽目になるとは!ちょっと嬉しいじゃねーか!

 

ん?まてよ?この通路は断面的に考えると正方形に近い。んで、転がって来る岩は丸い。つまり、通路の隅に横になっておけば大丈夫だな。ここまで考えついた俺は、体を通路の隅に滑り込ませる。

 

「うわあぁぁぁーーーー………」

 

誰かの声が遠くなっていく。1人だけってことは他のやつは避難したのか、おれのように避けたのか。

 

…………ドォン!!

 

ナイシュー(白目)。普通に即死レベルじゃないですか、やだー。こんなのが続くのか。マジで帰りたい。あ、なんか日向と音無が抱き合ってるのか?キマシタワー。やっぱホモなのかね。

 

「高松くんは残念だったわね…」

「大丈夫なのか、あれ?」

「大丈夫、大丈夫。あとで生き返るから」

 

スゲー死ぬのが軽く扱われるな…。大丈夫とはいえ、やっぱ死ぬのは痛いし、怖い。とはいえ、戻れないなら進むしかない。しゃーなし、か。

日向のホモ疑惑と高松を残して進むことになった。小町、お兄ちゃん頑張るよ…。

 

〜ギルド連絡通路B2〜

 

ぞろぞろと道を進む。俺?もちろん最後尾ですよ?話さなくていいしな。しっかし、この連中あんま緊張感ないな〜。遠足かよ。

 

「そういえば比企谷君はさっきの大岩はよく避けれたね。凄いよ」

「ああ、よく気がついたものだ。良い機転を持っている」

 

俺の前を歩いていた大山と松下が振り返って声をかけてきた。松下ってなんか風格があるよね。自分から話しかけるのは怖く感じる。それは松下に対してだけじゃなかったね、全ての人に対してだったね。てへっ。

 

「あ、ああ。たまたま気づいただけだぞ?」

「それでもだよ。僕たちだったら多分気づかなかったんじゃないかな〜」

「そうだな。その発想と実行力は実働部隊に欲しいものだな」

「流石にな…。銃を撃つのはちょっと」

「あはは。僕も最初はそうだったけどもう慣れちゃったよ」

「実働部隊に移りたかったらいつでも言うといい。歓迎しよう」

「気が向いたらな…」

 

なんかフレンドリーに話して来るから友達かと勘違いしちゃうじゃない。こんな褒められるのは経験がほとんどない。あれ、悲しい気持ちに…。

 

「比企谷君⁉︎なんで泣いてるの⁉︎」

「大丈夫か!」

「だ、大丈夫だ。ただ、目から水が出ただけだ」

 

心配をかけてしまったようだ。優しいやつらなのだろう。ただ、この戦線には正直なところ気に入らないところがある。銃器を持つことが普通だと思いたくない。なにより、人に銃なんてものを向けたくはないし、それに慣れを感じてしまったら……。しかし、この戦線に入った割に決意も何もないどっちつかずの俺が最も気に入らない…。

 

「いっ⁉︎」

 

そんな考え事をしていたからか、足元の注意がおろそかになっていた。足場が悪い岩肌の道だったために、足をひねり、バランスを崩さないように手を壁につけたところ…

 

カチッ

 

あん?何今のお…うわっ!

突然目の前が真っ暗になった!

あああぁぁぁーーーーー!!!!!

なにこれ!!滑ってるーー!!!

 

 

〜side 生存者〜

 

生存している戦線メンバーは、比企谷の短い悲鳴のような声に振り向くと、その場には既に比企谷の姿はなかった!

 

「ああっ!忘れたよ!ここは壁に手をついてスイッチを押すと壁が回転するトラップだったよ!」

「えぇっ!こんなところで⁉︎」

「忘れるなよ…」

「oh…crazy…」

「ならもう一回押せばいるんじゃね?」

「それは無理ね。その壁の裏はスライダーみたいになってていろんな道に繋がってるわ」

「てことは、比企谷は1人で進むことになるのか⁉︎」

「それは大丈夫なのか?」

「まあ、大丈夫でしょ。死んでも生き返るし、あなたたちと比べるのもアホらしいほど知力があるもの」

「それは俺たちがアホってことか!」

「そうでしょ?違う?」

「「「「まあ、そうだが(だけど)」」」」

「おいぃ!!否定しろよ!あとTKが今、日本語話してませんでしたか⁉︎」

「what?」

「いや〜、本当のことだしね。TKのはきっと空耳だよ。日向君」

「でも、ゆり。比企谷は道がどこに繋がってるか知ってるのか?」

「え……?」

「いや、だから知らないならずっとさまようことになるんじゃないのか?」

「あ…。だ、ダイジョーブよ!ギルドの件が終わったら探すし!」

「今、『あ…』っていったぞ。完全に忘れてたな」

「しっ、駄目だよ。日向君、みんなそう思ってるんだから」

「通信班を1人にするとかマズくね…?」

「うっさいわね!見つかんなかったら全員で探すだけよ!あと、比企谷くんが生存してあんた達が死んでたら罰ゲームだからね!!」

「それは理不尽だぜ、ゆりっぺぇ〜!」

「あさはかなり…」

「久しぶりに話したな…椎名」

 

ーside outー

 

——————————————————————

 

真っ暗になったと思ったら右へ左へ滑り、やっとゴールらしきところへたどり着いた。おぇっ。

 

はい!回想終わり!

 

とりあえず帰ったら絶対に文句言ってやる。あ、そもそも帰れんのか?道わかんないじゃん。ヤヴァイよ、ヤヴァイよー。ふざけてるんじゃないよ?こうでもしないと心を保てないんだよー。でも、1人というこの事態。エリートぼっちの俺ならば、切り抜けるな。オーケー。落ち着いた。

 

ここで立ち止まってても仕方ないし、とりあえず進んでみるか。よくよく考えたら、ずっとここにいることになると餓死の可能性があるのか。それで、また生き返って餓死?このスパイラルに陥るのは本当にまずい。絶対に帰ろう。

 

さて、行こうか。

 

しばらく歩いて曲がり角を曲がると誰かとぶつかった。こうして、少女漫画のような熱いラブロマンスが始まるのね〜。NPCの制服を着ているようだ。

 

「すまん。大丈夫か?」

「ええ」

 

なにも考えずに手を出した俺の時間が止まる。待て、なんでこんなところにNPCがいる?NPCは学校の生活圏内から出てくることはないんじゃないのか?てことは、つまりここにいる奴は…。

 

俺は、アホ毛センサーを頼りに即座にこの場から立ち去ろうと試みる。こんところに居られるかぁ!俺は帰るぞ!

 

「待って」

 

踏み出そうとした足が止まる。ギギギッと声の方へ振り向くとNPCの服を身に纏った白い少女が立っていた…。

 

「こんなところでなにしているの?」

 

生徒会長さんですね!本当にありがとうございました。

 

なにこれ、めっちゃついてねぇ…。小町、お兄ちゃんは心が折れそうです。

 




割と話への組み込み方が難しく、難産でしたが楽しんで読んでもらえたら幸いです!

お気に入り登録などありがとうござい!


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第9話 彼は彼女を知る

注意!
オリ展開に突入します。

それでも良い方はどうぞ!



「こんなところでなにしてるの?」

 

ヤッベェよ…。なんでここで会っちゃうかなぁ。今んとこ会いたくない奴No.1なんだよなぁ。申し訳なさで。頭が上がらないレベル。

なんかこっちじっと見てるし。

 

「あなたはSSSに入ったのね」

「お、おう。なんかすまんな。世話になったのに」

「?なぜ謝るの?」

 

え、敵対した組織に入ったのになにも言わないの?死になさいとか言われると思った。その時は全力で土下座だが。

 

「いや、お前と対立している組織に成り行きとはいえ入ったからな」

「あなたがやりたいことがあったから入ったんでしょう?なら、構わないわ。ただ、授業には出て欲しいけど…」

 

えぇっ!天使か!天使でしたね。

 

「だが、授業を受けたら消えるんだろ?」

「違うわ。この世界から卒業する条件は、生前にやりきれなかったことをやって、満足するということよ」

「戦線に授業を受けて消えた奴がいるって聞いたんだが…」

「それは、きっと心残りを解消出来たのね。嬉しいことだわ」

「でも、この世界から消えても人になるかわからないんだろ?」

「違うわ」

 

すごい断言するんだな。というかこれほどの情報を持っているというのはこの少女はいったいどれだけ長い間この世界にいるのだろうか。

 

「何故だ?見に行けるわけではないんだろ。あ、でも天使なら行けるのか?」

「わたしは天使じゃないわ。理由だけど、ここで心残りを解決しても、人にならないならこの世界の意味はないでしょう?」

「それは、どういう…」

「お話はここまでみたいね」

 

…意味と聞こうとしたら遮られてしまった。いったいなにがあるんだ。あ、言い忘れてたけど立華と一緒に今まで進んでました。さすがに1人で行くのは危ないからね。

 

立華が止まったので道の先を見てみると…。

 

「あれは押した方がいいのかしら…?」

 

『押すな!危険!』と書かれた看板とその下にスイッチが道のど真ん中に鎮座していた。ええ…。これもトラップとかいう奴なのか?そうだとしたらどんだけ頭ゆるい組織だよ…。脱退を考えるまである。

 

「いや、ふりじゃないから。押すのはやめとけ」

 

ハッ。ついつい口に出してしまった。だがここで立華が倒れてしまうと俺の未来はマジで見えなくなってしまうので、助言はする。助言だけだよ?一応な。

 

「それもふりというやつね。わかったわ」

 

全然わかってないじゃないですかー!止める間も無く、立華は看板の元へと進みその下のスイッチを押した⁉︎

ガチャガチャと音を立てながら何かが立華の先の左右と上の壁から何かが出てくる。あれって銃器っぽいんですけど。映画とかでよくでるガトリングとかいうやつね。銃口が回り始めたんですが…。あ、俺ここで死んだな。

 

俺の人生が凄まじい速さで流れて行く。これが、走馬灯か。黒歴史しか流れないとかなんの嫌がらせだろうか。こんな人生送ってたんだからそりゃあ心残りもあるわ。そんな諦めていた俺の前に白い影がおどり出る。

 

『ガードスキル ディストーション』

 

—立華だ。五メートルぐらい先にいたのにもう俺の元まで戻ってきている。どんな運動神経してんだ?それと、がーどすきるとやらを呟いた。これが仲村が言ってた力ってやつか。どーでもいいけどネームングセンスが厨二病か?イタタタ…此れは黒歴史になるレベルですわ。

 

「どうかしたの?」

「いや、なんでもないにょ」

「にょ?」

「なんでもないぞ」

 

あーもうまた噛んだわ〜。いい加減慣れたいよ〜。女子と話すたびに噛んでる気がするよ〜。

 

「そういえば、結局あなたはここでなにしていたの?」

 

そういえばそんな質問最初にしていたな。色々ありすぎて忘れてたわ。この先にギルドとやらがあるともさすがにいえないしな…。しらを切るか。

 

「いやな、戦線の連中とここに来て俺だけトラップにハマって1人になって迷ってたところだ」

「そう。ここにSSSの人も来ているのね。あなたはここから帰れる?」

「無理だな。完全に自分の居場所が分からない」

 

あ、いらない情報も渡した気がするわ。

 

立華は何か考え込んでいるように見える。なに言われるんだろうな?首を少し傾げてる仕草が可愛い。立華が来た道戻れば帰れるか?

 

「なら、私と行く?」

「ふぇ?」

 

なん、だと⁉︎俺を誘うようなやつがこの世、いやあの世に存在するとは驚きすぎてキモい声出たわ!まてまて、聞き間違いかも知れないし。

 

「なんて?」

「私と行く?この先になにがあるかは分からないけど。こんな場所に来るのはやめさせなきゃ」

 

そりゃそうか。立華は生徒会長でもあるからな。こんな場所に立ち入る奴らに注意をしなきゃいけないんだろう。例えそれが、なんども戦闘をおこなっている戦線の奴らでも…。ならば、俺はどうするのが最適解だ?

 

ここで天使として倒す?—それは無理ゲー。

ここから戻る?—道がわからないから無理。

ならば、俺は———

 

「戦線の奴らと会うまでだが頼んでいいか?」

「ええ」

 

俺は、天使と組んで地下へ向かう。これは一時的な協力関係ということで仲村に言い訳しよう。早速言い訳考えてるとか…既に社畜の兆しが…。ただ、地下へ向かう以外にもこの立華という人間性を見極めるためについて行こう。

 

「じゃ、行きましょうか」

「おう」

 

仲間が加わり2人パーティーになった!(壮大なBGM)

 

これ、俺ス◯イム的位置じゃね?能力的に。武器もないし、ただの雑魚キャラじゃん…。

 

——————————————————————

 

あの後、とても大変だった…。立華が余計なトラップを作動させたり、立華がトラップを破壊したことで床が崩落したり、流れるプールがあったり、下が針山の上をター◯ンのようにロープを掴んで移動したり…あれ、なんていう遊具だっけ?名前忘れた。誰か知ってる?立華は俺が注意というなの警告をしてもさっきのスイッチの時と同じように処理していった…。

 

まあ、そんなこんなでようやくたどり着いたと思ったら爆発した。マジか…。そんなことより、立華は大丈夫なのか⁉︎

 

「おい!立華!」

「ここにいるわ」

「うぉっとぉぅ!」

 

煙で周りが見えなくて大声出したら隣に来ていたでござる。心臓に悪いな、おい。爆発に巻き込まれたはずなのに、立華の服が多少汚れただけで、傷は特にない。凄まじいな…。

 

「大丈夫なのか?」

「ええ。オーバードライブはパッシブだから」

「そうか。なら、いいんだが…」

 

ただ、爆発に巻き込まれるとかほんと心臓に悪いから。…なんかこっち見てる。やめて!見つめられると勘違いしちゃうから!

 

「…心配してくれているの?」

「ん?いや、まあ、取り敢えずの協力関係だからな…。怪我とかされたら構わん」

 

すごいきょとん、とした顔してるんだが。すごい可愛い。

 

「なんだ?」

「あなたは優しいのね」

「はあ?そんなわけないだろ」

「ううん。あなたは優しい人だわ。少し捻くれているようだけど。あなたのような人がSSSにいるのは珍しいわ」

「そうか?他にもいるだろ」

 

日向とか、音無とか。

立華は、悲しいような顔をしたような気がした。

 

「SSSの人は私を天使と言って逃げてしまうから…。だから、敵意を持たないうえに、話を聞いてくれるあなたは珍しいわ」

「そうか…」

 

俺のことではないのに申し訳ない気分だ…。話していると前方に行き止まりで床に扉のようなものがみえた。多分あそこがギルドへの入り口だろう。

 

「そろそろ、お別れね」

「ああ。ここまでありがとな。助かったわ。じゃな」

 

これ以上、立華と一緒にいるわけにはいかない。これでも一応はSSSに属しているのだから。別れの言葉をいい、俺は入り口らしき扉の近くにある横道に入る。なんか安全そうだし。

 

俺が横道に入ると同時ごろに床の扉が開き、仲村と音無が出てくる。ちょうど俺がいるところは死角になっており、みえないだろう。あれ?というか、他のメンバーは?仲村はわかる。リーダーだしな。だが、メンバーは音無だけか?他のメンバーはどうしたんだ?

 

と、考え事をしているうちに仲村と立華の戦闘が始まった。2人の少女が斬り合っている。はえー、すっごい。だが、立華ががーどすきるとやらを使ったのだろう。目に見えて仲村が押されていく。そこへ、音無がタックルを繰り出し、立華を吹っ飛ばした。結構エグいことするな。

 

うおっ!突然、サイレンが鳴り始めたぞ。なんだ、なんだ?ギルドの入り口から大砲が上がって来た。うおーなにあれかっけーな。撃つ準備がて来たのか音無と仲村がこっちの横道へとやって来た。

 

「よう」

「ひゃっ!比企谷くん⁉︎いつのまに!」

「比企谷!無事だったのか!」

 

やだ…。喋るまで気付かれてなかった?ここでもステルスヒッキーは健在か…。ひゃっとか悲鳴ちょっと可愛い。悲鳴をあげさせられたことに起こっているのだろうか、仲村の顔が少し赤かった。

 

「どうやってここまで来たのかは今はいいわ。状況はわかってる?」

「天使と戦ってるぐらいしかわからんな」

「なら、あとで説明するわ。今は耳塞いで!」

 

耳を塞ぐととてつもない爆発音が鳴り響いた!さっきの大砲か?でも、爆発音っておかしくねぇ?外を覗くと、先程の大砲が大破していた。

 

「やっぱ記憶にないものは作れないか…」

「適当に作るな!」

 

ドムッ!

 

うわ〜今のは痛いわ。つぶやいたギルドのメンバーらしき奴のみぞおちに直で肘が飛んでくるとか恐ろしいこの上ないな。

 

「ゆり!爆破の準備は整ったぞ!」

 

隣に髭面のおっさんみたいな奴がいた。え?こいつも高校生なの?うっそー。流石にねぇ?

仲村がこちらへやってくる。髭面のやつの手元には何かのスイッチがあった。なにそれ?

 

「いいんだな?」

「ええ、やっちゃって」

「爆破!」

 

話の流れが全然わからん!なにをやったの?爆破って何処を?この地鳴りは君たち原因?頭の中が?でいっぱいだわ。

 

「ほら、いくわよ。音無くん、比企谷くん」

「ああ」

「おう」

 

急かされ、立華へ後ろ髪を引かれるような気持ちがあったが俺が仲村たちを追うことにした。

 

 

〜オールドギルド〜

 

なんだここ?土塊しか無くね?どうやって武器とか調達すんの?キョロキョロしていると、話が終わったのか仲村と音無、高校生には到底見えない髭面の人がやって来た。

 

「よくたどり着けたわね、比企谷くん。あなたは今回、音無くんとおなじでMVPだわ」

「どうやってここまで来たんだ?」

「まあ、色々だな」

「色々と悪かったわね。さて、あなたの本題であるギルドの顔合わせだけど、彼がギルドにおけるリーダーをやっているわ」

 

髭面の男が手を伸ばしてくる。あ、やっぱりですか。もう高校生の風格ではないよね。

 

「チャーだ。よろしくな、新人」

「うっす」

「チャーにはこのギルドで銃とかを作ってもらってるわ」

「なあ、土塊しかないところでどうやって作るんだ?」

「この世界では命あるものは生まれない。けど、記憶が覚えていればどんな物でも土塊から作れるのよ」

「銃などは部品からだけどな」

 

なんでそんなこと知ってるんですかね。聞いてはいけない。そもそも聞きたくない。

つまり、念じてこねれば色々なものを創造することができるのだろう。

 

「そろそろ馬鹿どもがくる頃かしら」

「あ、そうだ。なんで、音無と仲村しかいねぇの?他の連中は?」

「ぐ……。全員、脱落したわ」

 

ええー。どんだけ〜。

 

「しょうがないじゃない!これは対天使用のトラップよ!」

「いや、別にそこまでムキになんなくていいから」

「そういう比企谷はどうやってここまで来れたんだ?」

「…ただ、運が良かっただけだ」

「ふむ。そういうこともあるのだろう。よくたどり着けた、新人。ギルドはお前を歓迎しよう」

「うっす」

「じゃあ、比企谷くんはこれで解散していいわ。悪かったわね。巻き込んで。チャー、誰かに比企谷くんを出口まで送らせて。あ、そうだ。明日もミーティングあるから参加よろしくね」

「了解だ」

 

やった!帰れる!今日は長かったな〜。案内され俺は出口から外へ出た。寮への道を歩きながら、俺は考える。

 

少しの時間を共に過ごして人間観察をおこなった結論として、立華は恐ろしく天然が入っているということがわかった。アホの子だな、あれは。俺の勘違いかもしれないがSSSの話をしたとき、悲しげな顔をしたような気がした。それは、明確ではないが、感情があるということ。そして、それが示す答えは————。

 

いや、やめておこう。判断材料が少ない。それに、ここに来て数日の俺が何を言っても意味はないだろう。だが、俺が推測した通りなら……この戦線はどうなるのだろうか。

 




戦闘描写が難しい…。
日常回などのネタが考えつかなくなってきたので、そのうちアンケート的なものをとるかもしれません。まだ、頑張りますが。

次回は、この話の後日談のようなものです。
閲覧ありがとうございました!


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第10話 彼は1人空を見る

今回は、前回の後日談的な話です。

今更ですが作者はAB!では遊佐と入江が好きです。あ、知ってました?
他のキャラも全員魅力的ですけどね。

では、どうぞ!



 

ギルド降下作戦が終わった次の日、SSSは岩沢を除いた幹部が勢ぞろいしていた。

 

「反省会するわよ!」

「ええ?いつもそんなのしてないよな?」

「まあ、急に思いつきを言い出すのはいつものことでしょ?」

 

校長室に声が響く。意外と大山って辛辣なことを言うよな。的確だけど。というか、いつも思いつきで作戦やってんのか…。

 

「うるさい!昨日の失態をみなきゃ、そんなことする気は無かったわよ!」

「そりゃないぜ、ゆりっぺ。トラップはほとんど対天使用だろ?」

「むう。だがほとんど全滅してしまったのも事実」

「遊佐さん。昨日のことの報告を」

「はい」

 

遊佐って意外と存在感薄い?ちょっと親近感感じちゃう。ちなみに俺が立っているのは、音無たちが座っているソファの後ろだ。あれ?なんでいま説明したんだ?

 

「昨日行われたギルド降下作戦ですが、ギルドまで辿りつけた方は、ゆりっぺさん、音無さん、比企谷さんの三名です」

 

おお〜と言った感嘆の声が上がる。いや、本当にたまたまなんだが…。あそこで立華に合わなかったら、今もまだあの道を彷徨っていたまであるしな。おおっぴらには言えないが、立華には感謝だ。

 

「特に新人の音無くんと比企谷くんが生き延びたのは喜ばしきことね。それに音無くんは、危ないところを助けて貰ったしね」

「いや、体が勝手に動いただけだよ」

「それでも、よ。助けて貰ったことには変わりはないわ。よって、音無くんと諜報班であるのに生き延びた比企谷くんには今回の作戦のMVPとする」

 

そういや昨日も言ってたけどMVPってなんなんだ?なんか貰えんの?

 

「スゲーじゃねぇか!音無!比企谷!新人で功績あげるなんて滅多にいないぜ!」

「ふん!今回は仕方がないが俺は絶対にこいつのことは認めんぞ!」

「いい人たちを戦線にいれたね!さすがゆりっぺだよ!」

「ええ。ゆりっぺさんの鬼のような罰ゲームのおかげですね」

 

おおう…。戦線のメンバーは今日も元気なようだ。ところで仲村って嫌われてんの?褒めてるっぽいように聞こえるけどぶっちゃけ内容は仲村は鬼と言ってるだけだよな。

 

「MVPの2人には、学食の食券を贈呈するわ。良いものばかりだから、きっと満足するわ」

 

そういって、俺と音無に食券の束を渡してくる。そういや、戦線の奴らは食券買ってるところ見たことないんだけど、買ってないのか?あ、そもそも一緒に食べてませんでしたね☆まあ、お金を使わないで済むならそれで良いか。

 

「MVPはこれで終わり。次は、あんたたちの点数発表ね。覚悟しなさい」

「「「ええ〜!」」」

「今のいい感じの雰囲気で終わりかと思ってたぜ」

「浅はかなり…」

「むしろここからが本題よ。遊佐さんから見て貰った昨日の作戦の貢献度が点数よ。30点以下なら罰ゲーム」

「そんなの聞いてないぜ!」

「Fooo…」

「ほら!TKでさえこんなにテンションが下がってるよ!」

「うっるさーい!いいからやるわよ!」

 

仲村の鶴の一声で部屋がシーンとする。たいていうるさいって注意する人が一番うるさいよね。口には出さないけど。

 

「私の独断と偏見で決めさせていただきました」

「じゃ、上位の人から発表しちゃって」

 

メンバーの緊張感が伝わってくる。そんなに罰ゲームは嫌なのか。罰ゲームとかされる方だからわからない。あ、ちょっと目から水が…。

 

「86点で椎名さん、藤巻さんです」

「いよっしゃあ!」

「浅はかなり…」

「お二人とも終盤まで残っていましたし、好評価になりました。ですが、弱点とはいえあっさりと脱落してしまったのは少々いただけません」

「あなたたちは、これからもこの調子でお願いね。ただ、弱点は少し克服してもらいたいけど…」

 

ほーん。椎名に弱点とかあるの?なんかクールな忍者っていうイメージだからそういうのはないと思ってたんだが…。弱点があるだけで、人の印象って何故かよくなるよね、完璧な人より。

 

「続いて、TKさんです」

「Fow!」

「自らの身を犠牲にしてみなさんを先に進めたのが良い評価につながりました」

 

「次に並んで大山さん、松下さん、高松さん」

「え?僕?やったぁ!」

「むう。今回は活躍できなかったからな…」

「私も不覚でした…」

「お三方は今回は大目に見て次回に期待ということです」

 

次々に名前が呼ばれていく中、呼ばれていないのが2人いた。

 

「さて、評価30点以下の赤点の方ですが、野田さんと日向さんのおふたりです」

「何故だ!」

「はあ⁉︎なんで俺も⁉︎why⁉︎」

「日向くん。そのギャグいつまで続けるの?もう飽きたんだけど」

「ギャグじゃありませんから!俺だっていいたくねぇよ!口癖だから言っちまうんだよ!」

 

いや、ギャグだろ?もうそれ聞き飽きたし、作者が書き飽きたわ。作者って誰だ?うっ、頭が…。何かの電波を受信してしまったようだ…。

 

「何故なんだ!理由を言ってくれ、ゆりっぺ!早く脱落した高松などはセーフなのに何故俺はダメなんだ?」

「じゃあ聞くけど野田くん。あなたミーティングのときどこにいたの?」

「ぐっ…それは…」

「そんな人が呼んだのにミーティングにも顔を出さないでしかも、すぐにトラップにかかった人の評価が高いと思う?野田くん」

「お、思わないが…」

「そうゆうことよ」

「なん…だと…。俺は…!」

 

野田が膝から崩れ落ちた!効果はバツグンだ!なんか野田が白行くなって燃え尽きてしまっている。これはしばらく立ち直れないだろうな。

 

「次に日向さんですが…」

「ゴクッ」

「単純にあなたはセクハラしたので」

「はあ〜⁉︎あれは不可抗力だろ⁉︎」

「日向くん、あなたは乙女の体にセクハラしておいて、不可抗力だと言い張るの?」

「…浅はかなり」

「…最低ですね」

「日向くん…。それはちょっと…」

「ああ、それはな…」

「so,bad…」

「ないですね」

「ないな」

「ねぇだろ」

 

うわ〜。それはないわ〜。セクハラしておいて、自分は無実と言い張るのは流石に人間的にも男的にも最悪だな」

 

「なんで全員団結してるんですかねぇ⁉︎あと、比企谷!聞こえてるから!」

「え、声漏れてた?」

「漏れてたよ⁉︎せめてオブラートに包んで言って欲しかったわ!」

「◯ね」

「直球で言われたー!あとこの世界では死ねませんから!」

「おいおい、誰も死ねなんて言ってないだろう?被害妄想はやめろよ」

「いってただろ⁉︎喋ってるのに伏字にしても意味ありませんからー!」

 

あ〜いじるの楽しくなってるんじゃ〜。日向は声をあげすぎたようで肩で息をしている。周りの目は日向へドン引きしたままだ。というか仲村にセクハラとか自分から死地に飛び込んでるよな。

 

「おいおい、興奮するのはやめておけ。やっぱお前ホモなの?」

「ホモじゃありませんから!ないですからー!」

「あるかもよ〜?」

「絶っ対にない!ぜぇ、はぁ…もう疲れたから先へ進んでくれ…」

 

日向弄りは日向の体力切れで終了した。いよいよ、罰ゲームが言い渡されるのか…。校長室にいるメンバーは仲村の方へ向く。(野田以外)

 

「日向くん。あなたへの罰はギルド労働一週間の刑よ」

「罰ゲームじゃなくなってる⁉︎」

「野田くんは三日間ね」

「了承した」

 

あ、野田が復活した。しかし、ギルド労働とか汗臭そうだな(小並感)。俺だったら一日経たずにバックレる自信がある。じゃあな、日向。(精神的に)生きていたらまた会おう。

 

「本日の会議はこれでおしまい!お疲れ様!」

 

仲村の一言で全員が解散を始める。だが、日向だけはその場に崩れ落ちており、空を仰いで動かないのだった…。さて、俺も帰るか。あ、もしかしてこの会議って…

 

「日向を吊し上げるためにやったのか…?」

 

俺の何気ないつぶやきに反応してきた奴がいた。

 

「よく分かりましたね」

「うぉっ」

「何度驚くんですか?」

 

遊佐だった。俺より気配が薄いっていうのは、もうこれはステルスヒッキーを持ってる俺としては負けられない。なんで、対抗心燃やしてんだよ…。

 

「気配が全然しないで話しかけられたら、誰でもビビるわ。で、なにが『よく分かりました』なんだ?」

「先ほどの日向さんを吊るすためにやったという予想ですが、その通りです」

「女ってのは怖いな…」

「ゆりっぺさんはそれ以上ですけどね」

 

仲村に逆らうのはやめておこう。あとが怖すぎる。校長室から出ると、遊佐がそのまま横にやってくる。

 

「そういえば、比企谷さんはどのようにギルドまで到達されたんですか?」

「…何度も言ってるがたまたまだ。ただ運が良かっただけだ」

 

立華とエンカウントするという悪運だが。

 

「…そう、ですか。運だけで辿り着けるだけでも誇っていいことだと思います」

「なんだ?急に。褒めてもなにもないぞ?」

「いえ、単純に私の感想です」

「…そうか」

「そうです。昨日はお疲れ様でした。比企谷さん」

「おう。遊佐もお疲れ」

「はい。では」

 

手を挙げて遊佐と別れる。さって、貰った食券でご飯でも食べに行きましょうかね。次のお仕事はいつになんのかな〜?仕事したくねぇな〜。

 




次回はアニメの3話になるのかな…?

展開を悩んでおりますため時間がかかるかもです。

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第11話 彼は向き合う

次回から岩沢のところをやるといったな?あれは嘘だ。

すいません!感想にて指摘があったんですがova2の話が間に入ると聞いて、急いで見直した結果アニメ3話の前に前にovaの話をやります。

待っていた方申し訳ありません。2、3話続きます。

では、どうぞ!



ギルド降下作戦の反省会が終わって数日経ったある日、俺は朝早くから仲村に呼び出されていた。嫌な予感しかしないな…。3日連続で本部まで通ってるよ?

 

「おはよう。比企谷くん、この世界での生活には慣れたかしら?」

「ん、まあまあだな。まだ慣れないこととかあるしな」

 

組織での集団行動とか、人とのコミュニケーションとか。あれ?この世界には特に関係してなくね?これ、生きている時にも感じてたやつだよ。そうか、つまり俺は人間との生活に慣れていないということが分かった。なにこれ、悲しい。

 

「なんで急に目を腐らせたのかは聞かないわ…。それで、今日あなただけを呼んだ理由だけどね」

 

仲村は真剣な目線でこちらを向く。

 

「あなた、ギルドまでどうやって辿り着いたの?」

 

——ああ。嫌な予感はよく当たる…。なんかこの世界に来てから運が非常に悪い気がする。車に轢かれて死んだ時点でだいぶ運は悪いか。さて、なんで説明しようか。

 

「色々あったとか、アレとかぼかした言い回しはやめて。あなたが通ったであろう道が天使の通った道と同じなのよね。これは、どういうこと?」

 

俺の数ある言い訳語録から頻繁に使用される2つのワードを封じられてしまった。うーむ。正直に話すか話さないかでこれからが決まるな。ギャルゲーだったらセーブして、片方の選択肢を見てからロードするレベル。ふざけてる場合じゃないですね。

 

前に遊佐が言っていた盗聴器の類いは予想ではあるが、俺にはまだついていない。それは、遊佐が許可をもらった人にだけ着けるという発言から推測出来る。聞かれてないしな。その辺のモラルは、仲村はしっかりしているだろう。黙って盗聴してたなんて信頼関係を揺るがすものだしな。つまり、俺がとれる選択肢は——。

 

「俺が引っかかったトラップの落ちた先にたまたまいたから、協力してもらって先に進んだ」

「はっ?」

 

正直に話すことだろう。仮に嘘をついたら罪悪感感じるような気がするしな…。信頼関係を築くためにもこの選択がベストだろう。俺が立華への考察を言わなければどうとでもなるしな。

 

「ちょ、ちょっと。私の耳がおかしくなったのかしら?もういっぺんいってみて? 」

「俺が引っかかったトラップの落ちた先にたまたまいたから、協力してもらって先に進んだ」

「聞き間違いじゃなかったのね…。それは何故?」

「何故って…」

「私たち戦線の敵ということは知っているでしょう?まあ、あなたはこの世界に来たばっかりでそういう認識が薄いというのもわかってるけれど」

 

そういう仲村の顔は真剣そのものだった。ここでふざける訳にはいかないな。

 

「さっきも言ったように偶然遭遇して、地下に向かうようだったからそれについて行ったんだよ。道も分からなかったしな」

「…まあ今回は私たちにも不備はあったから不問にするけど。仮に接触したときは十分に配慮してね」

「…了解だ。気をつける」

「なら、これで話は終わりね。次の作戦会議があるからこの部屋で待機してて」

 

帰ろうと思ったら帰れなかったでござる。えー?連続で作戦なんてやるんですかー?ブラックじゃん。

 

——————————————————————

 

暫くして、戦線幹部が全員集まった。今回はガルデモのボーカル岩沢も参加している。日向と野田も強制労働から作戦会議ということで一時的に解放されたようで、ちゃんといるぞ。

 

「はいっちゅうもーく!」

 

全員が仲村に顔を向ける。

よくこんな人数の視線にさらされて堂々としてるよな。俺だったら絶対に無理。

 

「みんな、先日の降下作戦はお疲れ様。野田くんと日向くんはしっかりと労働に勤しんだかしら?」

「おう!力仕事だったが俺には問題ない」

「ゆりっぺのおかげで働かされましたよ」

 

そんな皮肉交じりの日向だが、仲村は特に耳を傾けることはしなかった。

 

「それで、ゆりっぺさん。今日も招集した理由は?」

 

いる意味があるかどうか分からない参謀的な位置にいる高松の声が上がる。いいぞ〜、そうやって要件を急かして早く終わるならとても嬉しい。

 

「そろそろゴールデンウィークが始まるわ」

「この世界にもあるのか?」

 

音無が俺も疑問に思った事を聞く。あるんだったらこいつら全員全力で挑みそうだな…。

 

「そりゃあ、あるさ。生きてた世界をそのまま再現してるしな」

「で?こうして集めたってことは作戦か?」

「ええ。オペレーション『デーモン・ピクニック』を行う」

 

悪魔のピクニック?なんじゃそりゃ。ただピクニックとかめんどいな…。小さい頃に家に置いていかれて、家族はランドに行ってた記憶思い出したわ。

 

「ピクニック?楽しそうだね!」

「作戦でピクニックなんて楽しいで終わる訳ないだろ」

「デーモン、ですからね…」

 

不安だわ〜。めっちゃ不安だわ〜。あと、TKうるさい。

 

「作戦内容は?」

「ゴールデンウィーク中に裏山でピクニックを開催。そのために生徒会長である天使から許可を取る」

「すると、どうなる?」

「まあ、私たちのやる事だから天使は様子を見に来るでしょうね」

 

自覚あるのかよ…。よくよく考えるとこの戦線って生前の価値観から見たらただの不良集団だよな…。授業はボイコット、拳銃の所持・使用etc。前言撤回、犯罪集団だわ、ここ。

 

「で、俺たちは何をすればいい?」

 

日向が核心をつく質問をする。やな予感しかしないよね。

 

「デーモン…。要は悪魔に取り憑かれたように仲間を敵とみなし、殺しあってちょうだい」

「「「「「ええ〜〜!!」」」」」

 

ええ〜。この部屋にいる男が全員ハモった。かくいう俺も、内心ではハモってたよ?口に出してないだけで。それはともかくヤッベェよ…。仲村の発言にこの部屋に驚愕が走っていた。少ない女子の方々が一切動じてないのがすごいです。コロシアイ学園生活ですか?黒幕は仲村だな。間違いない。

 

「そんな!ピクニックで⁉︎」

「あ、銃は禁止ね。没収されちゃうから」

「それでなんになるんだよ?」

「それはうまくやったらわかるわ」

「ゆりっぺなりに考えがあるということか…」

 

再びええ〜と内心で思う。こんな今さっき思いついたみたいな企画にそんな理由はないだろ。これ、俺も参加しなきゃなの?どうなの?

 

「作戦開始は一週間後の一〇〇〇に裏山の入り口に集合よ」

「なんだ、そんな先か…」

「何言ってるの?」

 

what?

 

「オペレーションはもう始まっているわ。一週間のうちに自分以外の全員を陥れる準備をしないと。寝首をかかれて、文字通り殺されちゃうわよ?」

 

ええ〜っ!と再び驚愕する一同。

いい顔で言うなぁ。なんでこんな発想ができるんだろうなぁ。悪魔かな?

 

「岩沢さん。ガルデモのメンバーにも今回は実行班として動いてもらうわ。連絡して頂戴」

「ああ。りょーかい」

 

動じてなさ過ぎじゃないですかねぇ?椎名も平然としてるし、遊佐も顔色ひとつ変えない。まあ、遊佐は他人事だしあんま興味ないのか?

 

「ちなみに、天使のこととか監視するから私と遊佐さんと比企谷くんは抜きでね♪」

「あなたこそ悪魔のような人だ!」

 

やっぱり悪魔だったか…。今回は参加しなくて良さそう?やったぜ。悪魔といえば小悪魔的可愛さを持っている小町は元気にしてるかな…。変な虫ついてないよな?ついてたらその相手を呪ってやる!届け!この想い(呪い)!

 

「聞く耳持たなーい。はい!解散しろ〜。あ、比企谷くんは残ってね」

 

残らせるくらいなら待ってる時に説明してくれれば良かったのに…。みんながゾロゾロと出て行く中1人待つっていうのはなんか緊張感あるよな。これから怒られるのか?とか思っちゃう。

 

「さて、比企谷くんに残ってもらったのは他でもない、今回の作戦に合わせてあなたには諜報班として動いてもらうわ」

 

ええ〜?ピクニックに参加するのも嫌だが仕事すんのも嫌だな〜。

 

「嫌そうな顔するわね…あなた。そろそろあなたにも仕事に慣れていってほしいからね。今回は、そっちの仕事に勤しんでもらうわ」

「面倒だが、了解だ。で、何すればいい?引きこもってればいいのか?」

「なんなのその前向きだか後ろ向きだかわからないやる気は…。あと、一言余計ね。あなたの仕事は、参加者の行動を見てまわることよ」

 

ふーん?そんなのでいいのか?楽な仕事だな。

 

「それで、確認したら誰がどう動いたか、私か遊佐さんに報告して。当日の動きはまた後で連絡するわ」

 

なにそれ、楽じゃない。つまり、一週間働き詰めということか?」

 

「流石にそんなことはしないわよ。あなたには定位置についてもらって、そこから見える範囲でいいわ。それと、遊佐さんと交代制でやってもらうわ」

「よろしくお願いします」

「あ、こちらこそ?」

 

今日初めて遊佐が喋ったな。ずっといたのに喋らないのは綺麗な顔立ちも相まって人形かと思うわ」

 

「あの、ここでいちゃつかないでくれる?」

 

仲村がイラついた声で言ってくる。なんか顔赤くない?なに言ってんだ?

 

「なに言ってんだ?いちゃつくもなにも相手が居ないんだし出来るわけないだろ」

「今口から漏れてましたからー!無自覚か!無自覚で口説いてんのか!」

「え。声出てた?」

「気づいてないんかーい!しっかりと声出てたわ!『人形かと思うわ』とか言ってたわ!」

 

マジか…。遊佐を見てみると顔を伏せていてみることができない。でも、耳まで赤くなってるということは怒ってるんだろうな。よし、ならば俺が取る行動は決まった。

 

「すいませんでした」

「土下座した⁉︎なんで⁉︎」

「いや、怒らせたのなら土下座だろ。なんならここから飛び降りてもいいぐらいだ」

「プライドはないんかい!」

「プライド?なにそれ美味しいの?そんなものはとっくの昔に捨てたわ。プライドで生きていけないしな」

 

ほんとプライドなんていつでも捨てれるわ。あ、この会話中も土下座は続けてるよ?

 

「比企谷さん…。顔をあげてください。別に怒ってはいませんから」

 

沈黙していた遊佐が声をかけてくる。おそるおそる顔をあげるといつもの遊佐の能面がそこにあった。

 

「すまなかった。気分を害したろ?」

「いえ、そんなことはありませんが」

「なんでそこまで卑屈なのよ。で、話が脱線したけど」

「本当にな」

「お前のせいだろー!なんで違うみたいな顔してんだ!」

「ゆりっぺさん。話を」

「はあ、はあ。話を戻す!で、遊佐さんとの交代制でメンバーを見張っててもらうわ。通信機の使い方はもう大丈夫よね?」

「ああ。教えて貰ったからな」

「なら、今日から頼むわ。シフトは2人で相談してね。では、解散!」

 

ようやく話が終わったわ。長かった…。そうだ、さっきの仲村を見てて思ったことがあったんだ。

 

「なあ、仲村…」

「な、なによ…?そんな真剣な顔をして…」

 

何故に顔を赤くする?そんなに見てられない顔ですかそうですか…。

 

「さっきのツッコミのことだが、関根と日向を混ぜたようなツッコミだな」

 

シーン、、、

 

⁉︎なにが起こった!空気が死んでいく、だと!この出所は、先程からだんだんと顔を赤くしている仲村だな!やべ、帰ろう。

 

「フッッッざけんなあぁぁぁぁーーーーー!」

 

俺が校長室の扉を閉めると同時に中で人の声とは思えない絶叫が流れた——。

 

 




岩沢どうするか考えなきゃ…

閲覧ありがとうございました!


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第12話 そうだ、ピクニックしよう。(前編)

サブタイトルが考えつかない。
長くなりそうなので分けました。
お楽しみいただけると幸いです。

では、どうぞ!




校長室から逃げ出した俺だが、あのあとすぐに遊佐に捕まった。仕事が面倒なので振り切って逃げようかとも思ったが…

 

「仕事から逃げないでください」

 

と、身長差による上目遣いをされたら承諾しちゃうよな。断るための経験値が欲しい…。

 

——————————————————————

 

さて、遊佐に連れられやってきました。学習棟屋上!どうやらここで監視の仕事を行うようだ。

 

「今日のうちは2人で行います。明日は私、明後日は比企谷さんというように一日置きで交代しましょう」

「了解だ。あ、聞きたいことがあるんだがいいか?」

「なにか?」

「いや、監視といってもそんな朝早くから夜遅くまでってことはないだろ?そういう時間の目安みたいなのがあるなら教えてくれ」

「そうですね…。朝はNPCのせいとがうごきだす7時頃から最終下校時刻まででいいですよ。お昼ご飯などはなるべく購買などで購入しておくのがいいでしょう」

 

良心的な時間設定だ。食堂しか使ったことなかったが、購買もあるんだな。そういや、今の時間はもう昼だが購買で買ってきた方がいいのか?

 

「どうぞ」

 

買いに行くべきか悩んでいると遊佐が何かをこちらへ寄越してきた。これは…ビニール袋?

 

「お昼です。比企谷さんの分も買っておきました。パンでよろしいですか?」

「いいのか?」

「はい。そのために買ってきたので」

 

優しくされると惚れてまうやろーー!(小声)買って貰ったんだし、お金は返そう。

 

「そうか、いくらだった?」

「いえ、お金はいりませんが」

「俺は養われたいが施されるのは嫌だ」

「違いが分かりません…」

 

じとっとした目で見られるのゾクゾクしちゃう。新しい扉を開ける前になんとかしなければ。

 

「なんつーの?そういう貸し借りはしない主義なんだよ」

「それは友人がいなかったということでは?」

「ガハッ」

 

八幡に80000のダメージ!八幡は目の前が真っ暗になった!なんで知ってんの?やだ、そんなに友達いなさそう?

遊佐は何かを考えこんでるのか考えてるのかわからない表情でこっちを憐れんだ目で見てくる。やめでくれ!そんな目で見ないで!

 

「はぁ…。では、お金は入りませんから、今度食堂でごはん奢ってください」

「え、そんなのでいいのか?」

 

マジで?もしかして、俺と飯を食べた「違います」い…ですよねー。そんな勘違いは中学の頃に痛い目見てさよならしてるわ。もう、考えが読まれてることに関しては気にしない。

 

「そろそろ食べましょう。幹部の皆さんもお昼を食べ終わってしまいます」

「おう。わかった」

 

ビニール袋の中を見てみると、あんぱん、カレーパン、メロンパンが入ってた。あんぱんといえば、ばいき◯んまんって特に何もしてないのに目の敵にされてる時もあるんだぜ?親近感湧くわ〜。俺も比企谷菌とか言われてたしな。あれ?雨でも降ってきたのかな?目の前が水で溢れて見えないんだ…。

 

「比企谷さん?どうしました?」

「ん、なんでもない。世の虚しさを考えていただけだ…」

「何故今…?」

 

いい加減に食べよう。いただきまーす。

飲むものはマッカンを。この学校の自販機にあったんだぜ?最高だな。この世界。

 

——————————————————————

 

ごちそうさまでした。え?食事の描写?特に何もないからないですが、なにか?

さて、飯も食べましたし、仕事ですね。

 

「で、誰か見えるのか?」

 

双眼鏡で人を探しながら遊佐に聞く。双眼鏡で見つけたら、そいつの盗聴器に通信機のチャンネルを合わせるといったような仕事内容だ。ここまで堂々と盗聴器使うこととかあって欲しくなかったな…。

 

「いました。あれは…」

 

——————————————————————

 

本日の業務しゅーりょー。まさかの全員が動くとか…。なんなの?こいつらには、仲間という文字はないの?というか入って行った教室とか普通の部活が活動してるじゃねぇか。マンガ部とかに交渉ってなにやってんの?というかこの学園のNPCたちもおかしくね?多少ぼかしていたとはいえ、なんで殺人計画ばりのものに嬉々として関わってんだ?突っ込みどころが多すぎる!!

 

あ、でも動かない奴もいたな。えーと、岩沢、ひさ子、関根、入江、野田、音無か。野田は1人でなんとかしようとしてんのか?というかそもそも作戦考えられるのか?

 

他に関しては、この作戦自体にやる気を出すことはないだろう。頭のネジ何本も吹っ飛んでる作戦だしな。

 

「今日は終わりにしましょう。他の方は動きそうもない方ばかりですし。野田さんは、まあ、作戦を考えられないのでしょうが…」

 

同じこと考えてたよ。野田への信頼が厚いな、いろんな意味で。

 

「では、比企谷さん。ご飯を食べに行きましょう」

「え、なんで?」

 

そう聞くと遊佐はどことなくムッとしたような顔をした、気がした。能面で顔の表情あんま変わらないから雰囲気で。

 

「お昼のことをもう忘れたんですか?」

「昼…?」

 

はて…?昼といえば、遊佐が飯をくれてそれに対するお礼として奢るという話はしたが…まさか、それか?

 

「えっと…。飯を一回奢るってやつか?」

「そうです」

「今から?」

「今からです。言っておかないと比企谷さんは、自分から誘うことはしないで逃げるでしょうし」

 

よくわかってんな〜。そのとぉーり!誤魔化して煙に巻こうとする作戦は失敗でした。女子をご飯に誘うとか俺のコミュ力では不可能だ。

 

「…わかった。じゃあ、行くか」

「はい」

 

こうして、俺と遊佐は屋上を後にした。

 

〜大食堂〜

 

さってと、なににしようか?食券は貰ってるし、その中から選ぶとしよう。と、その前に、

 

「遊佐はなにたべるんだ?この食券の中から選んでくれ」

「いえ、比企谷さんの後でいいですよ」

「これはお礼なんだから、先に選べ」

「では、これで」

 

そういって遊佐は数ある食券の中からオムライスをチョイスした。なんかかわいいな。俺はなににしようかと食券に目を落とす。

 

えーと?ステーキ丼、塩ラーメン、ラーメンセット、葛餅、カツカレー、アイス、カレー(ナン)、生レバー…⁉︎生レバー、だと?え、この食堂そんなのあんのかよ。行きてた頃に生レバーとか見たことないぞ。見てみたいけど食べたくない。そのうち誰かに押し付けるか…

 

「生レバーなんてのもあるのか。恐ろしいな」

「生レバーの他にも珍しいものならば、臭豆腐などありますが」

 

は?そんなのあんの?臭豆腐とは中国にあるとても臭い豆腐のことだ。俺は食べたことないけどな。

 

「そんなのたべるやつとかいんのか?」

「流石にいないとは思いますが…」

 

ですよね。そんな兵器みたいなもの食べるやつなんていないわな。俺はラーメンセットにでもしよう。この世界に来て始めてのラーメンだな。楽しみだ。

 

食券をおばちゃんに提出している遊佐とは一定の距離を開けて、後ろに続き、料理をもらう。ラーメンセットの内容は、醤油ラーメン、餃子、炒飯、杏仁豆腐と結構豪華なセットだった。

 

さて、じゃあ1人で食うかな。席を探しに行こうとしたが、服を引っ張られるような抵抗を感じた。振り向くとそこには遊佐が俺の制服を掴んでいた。

 

「どこにいくんですか?」

「どこって、1人の席を探しに」

「一緒に食べないんですか?」

「え?」

「え?」

 

え?一緒に食べるの?

 

「待て待て、確か返そうとした貸しの内容はご飯を1回奢る、だ。つまりは、もう奢ったから借りは返したした。よって、別に一緒に食べる必要はない。Q.E.D」

「はぁ…」

 

ため息つかれましたよ?あれ?違った?

 

「奢ってもらって一緒に食べないという選択肢は流石にないですよ」

「そうなのか?奢ったり、奢られたりすることがなかったから知らん」

 

同情の目で見るのは辞めて!その目で見られるのは割と辛いの!

 

「ともかく、こっちで食べましょう」

「…了解」

 

こうして、俺は遊佐と晩飯を食べることになり(強制)、明日の打ち合わせ的なものをして部屋に帰ったのだった。明日は休みだって!わーい!わーい!

 

 




試験が近いので更新は遅くなるかもです。
ダンロンv3が面白いよ…。やっと、一章が終わったよ…。

閲覧ありがとうございます!


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第13話 そうだ、ピクニックしよう(後編)

お久しぶりです。璃羅でございます。
試験とかもあったんですが、書く気力がおきず遅くなってしまいました。

これから、就活という未来が真っ暗な道が待ってることにより、さらに更新が遅くなると思われます。
遅いくせに文字数は少ないです。
申し訳ございません。

一応今回で、ovaの話は終わりです。ただ、ピクニックの内容には殆ど触れてませんので悪しからず。

感想とかくれたら、調子にのって早まるかも…?



「ふぁ〜、ねむっ」

 

次の日の朝、俺が今現在いる場所は食堂だ。時間は7時半である。明日は仕事あるし、起きる時間は慣らしておいた方がいいかなと思ったので。今日の朝ごはんは朝定食セットである。これ誰に説明してんだ?

 

「ふぁ〜」

 

しかし、眠い。ついつい昨夜は図書館で借りた本を遅くまで読んでしまった。『この素晴らしい世◯に祝福を!」って面白いな。個人的にはゆんゆんが好きです。ぼっちだから。親近感沸くよね。確かあれで14歳なんだよなぁ。同い年であるめぐみん比べてしまうと神様って残酷ということを再確認した。

 

「ハチさーん!」

 

蜂さんなんて名前の人がいるのか。この世には変わった名前の人がいるもんだしな。ちなみに、俺の周りには変わった苗字の人はいなかった。そもそも、人がいないけどな。

 

「ハチさーん!おーい?聞いてる?」

 

おいおい、蜂さんとやら反応してやれよ。というかこの脳内でのやり取りにデジャヴュが…。

 

「無視とかイジメか!」

「うおっ!」

 

横から大声で話しかけてきたのはガルデモの関根だった。びっくりしたな〜。人がまだご飯食べてる途中でしょうがっ!!

 

「ようやく気付いたか。ハッチよ。何回呼びかけたと思ってんの?」

「誰がみなしごだ。他の人を呼んでんのかと」

「おはようございます。比企谷さん」

 

俺の心の清涼剤である入江が登場した。今日も小動物かわいい」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

赤面しているのも可愛い。

 

「その扱いの差はなんなんだー!」

「ん?あ、忘れてたわ。で、なんか用か?」

「まさかのスルー⁉︎」

「えっとですね、お願いしたいことが…」

「なんでも言ってくれ。作戦に関すること以外は」

「みゆきちにもスルーされたー!」

 

横で関根が叫んでいるが、うるさい。俺は入江のお願いを聞くのに忙しい。入江のお願いなら、俺の全身全霊をもって望みたいのである。小町と同レベルの甘やかし方だな、これは。つまり、小町と同等ということは入江もまた、妹だった!(混乱)

 

ちなみに作戦に関することは言えないというのは仕方がない。今回は一応、戦線での潰し合いだから相手の行動をリークするのとはできないのだ。すまない。俺の心のフ◯ブリーズである入江には教えたいとも思うが、力のない俺を許してくれ!

 

「お願いごとってなんだ?できる限りは聞くが。なんでも言ってみろ」

「お前、みゆきちのこと好きすぎるだろ!怖いわ!」

「あはは…」

 

愛想笑いが辛い。やっぱ、怖がられてたのか…?

 

「あ〜、すまん。入江はなんというか、妹みたいな感じがしてな」

「妹さんがいるんですか?」

「ああ、世界一可愛い妹だ。目に入れても全く痛くない」

「うわ、ハッチはシスコンか」

「ちげーよ。ま、もう会えないけどな…」

 

空気が重くなってきたな。失敗した。大切な人に会えないというのは、俺だけではないのに…。この空気ってどうすりゃいいの?誰か教えて〜!

 

と、考え込んでいると関根と入江の2人は俺に背を向けてなにやら話し込んでいる。俺の悪口だったら嫌だな〜。入江にキモいとかいわれたら屋上から紐なしバンジーをやるまである。死なないけど。

 

2人は話し合いが終わったのか、こちらへ振り返る。さて、どんな罵詈雑言が放たれることやら。せめて、心を抉ることはないで欲しいと願う。ん?入江の顔が少し赤くないか?関根になにを吹き込まれたのやら。

 

「え、えっと…」

「ん?どうした、入江?」

「え〜っと、む、無理だよしおりん〜!出来ないよ〜!」

「出来ないではない!やるのだ!頑張れよ、みゆきち!」

 

なにをやろうとしてんだ?面と向かってキモいですとか気持ち悪いですとかいわれちゃうの?それ死ねる。

 

「なにがやりたいかわからんが、無理してやらなくていいぞ?」

「みゆきち!やるんだ!出来る出来る!どーしてそこで諦めるんだ!」

「しおりん…。分かった、やるよ。スーッ、はー」

 

入江が深呼吸してこちらを見てくる。前にも言ったと思うが、入江が俺の前に立つ状態だと俺の方が背が高いため、入江は俺を見上げなければならない。結果として、上目遣いになるのだ。

 

「ぉ…」

「お?」

「ぉ…。お兄ちゃん」

 

頰が赤みを帯びており、なおかつ目が潤み上目遣いでお兄ちゃん呼び、だと!これは、もう、なんつーか、一種の兵器だろう。

 

「ガハッ」

「きゃあああーー!ハッチが吐血して倒れたーー⁉︎誰か、ドクター!」

「比企谷さん⁉︎大丈夫ですか!比企谷さん!」

 

ああ、目の前に天使がみえる…。ここは天国だったか…。

我が人生に…一片の悔いなし…。

 

こうして、俺の目の前は白く染まりこの世界から立ち去った———。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんてこともなく、無事に生き返った。にしても、すごい破壊力だ。これを使われてお願いされたら、絶対に断れないな。生きててよかった。あ、死んでたわ。

 

「よ、よかった〜」

「あんまりびっくりさせないでよ?」

「おう、すまんな。あんまりにも可愛いから」

「かわっ、はう…」

「もー!みゆきちは可愛いの〜!」

 

ゆるゆりしているのを見るとこの2人は本当に仲良いなということがよくわかる。そういや、なんでこんことしてるんだっけ?

 

「なあ、そう言えば俺に何か用があったんじゃないのか?」

「「あっ!」」

 

どうやら完全に忘れ去っていたようだった。

 

「ハッチのせいで忘れてた!」

「おい、人のせいにすんな」

「んで、お願いなんだけど」

「唐突に本題に入るな…」

「生レバーの食券てまだ持ってる?」

 

…は?生レバー?いや、持ってるには持っているが、なんでまた生レバー?そんなに好きなのか?それに、『まだ』?

 

「持ってるには持ってるが…」

「本当ですか⁉︎それ、良かったら譲ってもらえませんか?」

「まあ、それはいいんだがなんでこんなの欲しいか話を聞かせてもらおうか」

「ほら〜、しおりん言ったじゃない。理由とか聞かれるって」

「でも、ハッチは今回の作戦には参加しないし、バレても問題ないと思うんだよ」

 

作戦かー。ピクニックに生レバーとかなにやろうとしてんのかね?確かに参加しない上に監視しているだけだから、連中がなにをやろうとしてんのかは知っている。だが、そのやろうとしている内容は一切口外しないとようにと、遊佐に言われたので言うことはない。

 

「で、聞きたいことだがなんで俺が生レバーの食券持ってるって知ってんだ?」

「はえ?そんなこと言ったっけ?」

「さっき『まだ生レバーの食券持ってる』って聞いただろ?『まだ』なんて言葉は俺が持っていたと知らなければ使うことはないだろう」

「は〜、比企谷さん凄いですね。探偵みたいです」

「んで、なんで知ってたんだ?」

「え〜とですね、昨日の夜に食堂で遊佐さんと話しているのを聞いたからです」

 

あ、あの時か。その話している時に近くにこの2人がいたということか。気付かなかったな…この2人やりおる(影の薄さ的な意味で)。

 

「なら、なんでその時に来なかったんだ?」

「ええっと…」

 

入江が関根を見ている。つまり、主体で関根が企んでいるわけか。

 

「それは、近くに私らのターゲットがいたからだよ…」

「ターゲット?」

「そう!それは…!」

「岩沢、ひさ子のどちらかか、両方か?」

「なぜ、わかった…⁉︎」

 

大体わかるだろ。ガルデモは基本的には一緒に行動してるらしいし、昨日は作戦の連絡があったしな。岩沢が伝えるためにも一緒にはいるだろう。そこから、飯も一緒に食べたという推理だ。推理と言えるかもわからんが。

 

「秘密にしておいてね?」

「おう。むしろ誰も話す相手がいないしな」

 

自虐を混ぜて返事をする。話し相手とか今のところ遊佐ぐらいなような気がしてるしな。その遊佐ともあんま話で盛り上がることなんてないし。盛り上がる話なんて出来なかったわ…。学校ではそういう話し方とかコミュニケーションの授業でもした方が良いんでない?

 

「それで、生レバーの食券もらえる?」

「ああ、いいぞ。もともと誰かに押し付けようとしたやつだしな。なにに使うかはわからんが程々にな」

「サンキュー、ハッチ!助かるよ!」

「ありがとうございます。比企谷さん」

 

俺の手から関根が奪い取ると、元気に去っていった。感謝されるとかいつぶりだろうか?べ、べつに嬉しくなってなんかないんだからね!…キメェ。

 

そんなことがありながらも俺は1人で朝食を食べた。

1人って素晴らしいと思いました。まる。

 

あ、遊佐には昨日の昼の分のお返しはしてきた。パンと牛乳くらいだが。割と喜んでもらえたっぽい?

 

——————————————————————

 

〜とある人物の作戦終了後のレポート〜

 

悪魔といえば何を思い浮かべるだろうか。多くの人が想像するのは、よくある翼が生えた黒いイメージだろう。だが、そのイメージは基本的にはデフォルメがされており、仮に本当の悪魔がいるならばその存在の恐怖感などはかけ離れているものである。つまり、悪魔という存在は人の想像で作られたものでしかないのだ。そのような想像の産物を人は考えることによって恐怖する。ということは、本当に恐ろしいのは人間であるということができるのではないだろうか。今回の作戦では、仲間を潰すために部活というコミユニィティへ依頼をする者が続出し、その結果、殆どのものが殺された。この世界の部活は、暗殺集団とか超人の集まりなのだろうか。

 

結論を言おう。

 

ひさ子さんマジ悪魔。

 

 




就活なんて滅べ!!

何があったか知りたい人はovaを映像でみよう!


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14話 ピンクの後輩

お久しぶりです!
一体何ヶ月ぶりなのだろうか。

皆さん覚えててくれましたか?
就活中ですが、コツコツ書いたことでようやく投稿できました!

今回はついにあのピンクが出ます。



悪魔が降臨したピクニックから幾ばくかの時が経った。悲しい事件でしたね…。結論から言うと、関根が便器と友達になっていました。企むもんじゃないね。ロクなことにならん。

 

朝飯も食べ終わり、腹ごなしの散歩でもしてみることにする。手持ち無沙汰感がヤバイな…。ぶっちゃけると暇なのだ。本は夜更かししたおかげですべて読んでしまった。そんなこんなで暇な俺は、まだ行ったことない所へ行くことにした。今、冒険は始まった!

 

〜駐車場〜

 

日もだいぶ高くなった頃、俺は駐車場に着いた。なんで、駐車場があるんだ?車もあるってことか?と、キョロキョロ周りを見てみるも車なんてものは一台もない。なんだここ?ただの空きスペースかよ。

 

帰ろうと踵を返す寸前、何処からか音が聞こえる。耳をすませてみると向こうの方から聞こえた。どっかで聞いたことあるような曲調であるが…。えーと、あ、思い…出した!ガルデモの『crow song』か。話変わるけど、都合のいいタイミングで思い出して、『思い…だした!』とか完全にネタになってたような気がするわ。

 

暇を持て余した俺はせっかくなんで、音のする方へ行ってみることにした。誰が弾いてるのか興味あるしな。

 

音の出所へ近づくとようやく見えた。うーむ。ピンクだ。髪がな。この世界にいる人間って髪の色派手だよな〜。青やらピンクやら。遠巻きから見ていたら視線を感じたのか、ピンクがこちらを向く。あ、目があった。

 

「ひっ!ゾンビ…⁉︎」

 

初対面の人にゾンビって言われたよー。ていうか服は戦線の着てんだから、人間ってわかんだろ…。こっち見てませんね。

 

「おい」

「やめてー!私は食べても美味しくないよー!ゾンビさん!」

「誰がゾンビだ。人間だわ」

「悪霊退散!…へ?」

「人間だっての。ほら」

 

戦線の制服を見せると、ピンクはビクビクしながらも確認し、納得したようだった。気づけよ…。傷つくわ。あと、悪霊退散ではゾンビは死なない。

 

「すいません。戦線の人だったんですね。目が腐ってたんでゾンビかと思っちゃいました」

 

ストレートに言うなこいつ。まあ、影でひそひそ言われるよりはマシだな。……帰るか。

 

「んじゃな」

「ちょっとぉ!なんで帰ろうとするんですか!なんか用があったんじゃないんですか⁉︎」

「べつにないけど?」

「じゃあ、なんでこんなところまで来たんですか?先輩はストーカー?」

「人の名誉を貶めるようなことを言うんじゃない。そもそも、お前が誰だか知らねぇし、被害妄想甚だしいわ」

 

幼児体型および平原には興味な「なんか失礼なこと考えてる?」なんで考えてることわかるの?この世界の人のパッシブスキルなの?

 

「んなわけないだろ」

「それじゃあ、先輩の名前は?」

「唐突に話が変わるな…相手に名前を尋ねる時は自分が先に言うもんだ」

「えー。めんどくさいひとですね…。私はユイにゃんでっす」

 

え?なんて?

 

「なんて?」

「だからぁ、ユイにゃん☆」

 

うわぁ(ドン引き)。やっべ、超痛々しいよ、こいつ。やっぱり、戦線のメンバーだったか…。こいつも野田とかとベクトルが違うがアホだな。どうしよう…関わりたくない。よっし、帰ろう。比企谷八幡はクールにs…

 

「無視すんなや!ごらぁ!」

 

グハァ!こいつ今思いっきり後ろから蹴り入れてきたぞ!おかげでケツが痛いわ!ケツが2つに割れたらどうしてくれるんだ!

 

「なにすんだ!」

 

振り向くと幼児体型のピンクは踏ん反り返っていた。出るとこなにも出てないね。そこまで平地だと涙が出るレベル。

 

「人の自己紹介をお前が無視するからだろうが!」

 

事故紹介(誤字にあらず)ですね、わかります。しっかし、戦線の女子メンバーって手を出すのが早すぎない?仲村とか仲村とかコイツとか…あとは仲村とか?仲村しかいねぇな。やっぱり仲村は凶暴。はっきりわかんだね。わーい!すごーい!

そして八幡は学んだよ…女子を怒らせてはいけないのだね。

 

「で、先輩の名前は?」

「…比企谷だ」

「おお〜、先輩が噂のひきぎゃやさんでしたか!」

「比企谷、だ。噛んでるぞ」

「ひきぎゃっ。……ひきゃっ。…………先輩が噂の人でしたか」

 

諦めんなよ!言えないからって先輩の文字に逃げんなよ!どーしてそこで諦めるんだ!

 

まあ、それはともかく噂の内容とか聞きたくない。そういえば…

 

「なんで先輩なんだ?お前の方がこの世界にいる時間は長いだろ?」

「なんとなく!」

 

なんじゃそりゃ。

 

「なんとなく先輩っぽいな〜って思ったから先輩ってつけてるだけだよ」

 

なるほど。理解した。だが、こいつの場合ほとんど先輩扱いになるんじゃないのか?体の成長的に。まあ、どうでもいいか。しっかし、テンションの上げ下げが激しいな。さっきまでの暴言・暴力が嘘のようだ。

 

「それで、先輩はどうして私のところに来たの?」

「ギターの音が聞こえたからだが?誰が弾いてんのか気になって見に来たらお前がいたってわけだ。だからストーカーでは断じてない」

「へぇ、音楽に興味あるの?」

「いや別に。ただ、知ってる曲が流れてきたからな」

「!先輩もガルデモのファン?」

 

どうなんだろうな?聞いたのは一回だけだが確かに引き込まれた。

 

「まあ、一回しか聴いてないけどファン、だと思う」

「なに聴いたの!」

「『crow song』だな」

「そうなんだ!そにしてもガルデモってやっぱり凄いっすよね!岩沢さんはもちろん、ひさ子先輩の殺人的な指使い!あったまおかしいですよね!」

 

マシンガントークが始まった。なんなの?ひさ子のこと嫌いなのか?こいつは。止まらないよ〜。

 

——————————————————————

 

あれから20分も話し続けられ、俺は疲弊しきっていた。…長い。

 

「〜だから、〜というわけなんですよ!聞いてますか、先輩?」

「もう聞き疲れたわ。本気で帰らせて」

「むぅ。まだ話し足りないんですが…」

 

20分も話したのにまだ話せるの⁉︎こいつはファンという言葉には収まりきらないものを感じる。すいませんね、完全ににわかです。

 

「仕方ありませんね…。その代わりまた話しましょうね!先輩!」

 

笑顔をこちらへ向けてくる。うーん、なんというか俺って年下に甘いんじゃないだろうか。小町しかり、入江しかり。

 

「気が向いたらな」

「それは気が向くことがないですよね⁉︎また話しましょうよ〜」

 

話し?そんなものした覚えはありませんが?一方的にガルデモについて話されてただけなんだが…

 

「…俺なんかと話しても面白くはないだろ?」

「そんなことないですよ?めんどくさそうな顔してくれてますけど、なんだかんだで先輩はちゃんと聞いてくれてるじゃないですか。だから楽しいですよ?」

 

……はっ!頭がショートしてたわ。勘違いはしないが、少し、ほんの少しだけだがうれしいと思う俺ガイル。まぁ、ここの連中にそういう陰謀を考えるのは無理だろうしな。話をするぐらいならいいのではないだろうか…。

 

「……たまになら」

「!はいっ!よろしくお願いしますね!先輩!」

「とりあえず今日は戻るわ。じゃな」

 

俺は足早にその場から離れる。蔑みの目線とかには慣れている俺でもユイの純真な目で見られるのは慣れていない。眩しすぎるよ!直視できない!

 

この日は部屋に帰るとベッドへと上がり込みのこりの時間を悶えて過ごした。

 

——————————————————————

 

戦線には定例会議があり、俺が布団の中で悶えているとその定例会議の時間が迫っていることに気付いた。

 

やっべ…。今から行ったとしても多分遅刻するな。ならいっそのこと体調不良を理由にこのまま寝るか?それがいいそれがいいと言いました。脳内会議閉廷。これから寝ます。おやすみ。

 

「比企谷さん」

「おっほぉう!」

 

とんでもない悲鳴がでたわ!ビックリしすぎていっしゅん身体が浮いたわ!心臓に悪すぎんだろ!

 

「定例会議が始まりますので集合をお願いします」

 

おかしい。何がおかしいってここは俺の部屋だ。もう一度言おう、俺の部屋だ。いつの間に入って来た?ちゃんと鍵はかけたはず…かけたよね?

 

「遊佐、どうやって入って来た?」

 

これを聞かないと夜も眠れないぞ。

 

「鍵なら空いていましたよ?ノックして何度か呼びかけましたけども来られないので、入りましたが」

 

なにか?みたいな顔でこっちを見てくる。

 

「一応、男の部屋なんだが…」

「?そうですね。比企谷さんは男の方ですが」

 

あ、別に女性と見られてるわけではないのね。そして、なんでそんな澄ました顔してるのん?おかしいのは俺だけなのだろうか?

 

「男の部屋に勝手に入って来て襲われるかもしれないぞ?」

「襲うのですか?」

「そんなわけないだろ!」

「なら、大丈夫ですね」

 

ええー。いいの?それでいいの?勘違いしちゃうよ?しないけど。

 

「今日の会議はアレがアレだから行けないわ」

「そろそろ行きませんと、ゆりっぺさんに比企谷さんがサボろうとしてるといい付けますよ」

「すいませんでした!」

 

すかさず土下座を敢行する。アレを怒らせてはとてもまずい。

 

「では、行きましょう」

 

遊佐の後ろをドナドナを口ずさみながらついて行こう。せめてもの反抗であった。一般生徒からの怪しいやつを見る目で見られてやめました。

 

 

〜校長室〜

 

俺が中に入ると既に戦線の幹部たちは集まっていた。ま、そりゃそうだよな。だって少し時間過ぎてるもん。

 

「わり、少し遅れた」

「はぁ、今回は良いけど次から気をつけるように。次またやったら屋上から紐なしバンジーよ」

 

アイキャンフラーイ!ってやつですかそれは嫌です。

 

「それじゃ、高松くん今日の報告を」

「特にありません」

 

このやり取り必要か?いつも特にないじゃん。

 

「ちょっといいか?」

「岩沢さん?珍しいわね。あなたがなにかあるなんて」

「新曲が出来たからちょっと聞いて欲しいんだけど」

「新曲?それは楽しみね。それじゃあ、聞かせてもらおうかしら」

 

岩沢はアコギっていうのか?を持って歌いだす。バラードか?へー。俺が聞いた奴とはまた違う趣き?的なものを感じる。多分。

 

歌い終わった岩沢は仲村に意見を求めるも、却下をくらっていた。なんでも、ガルデモらしくないらしい。そんなもんなのかね?そして、今日の会議は終わった。なんか音無が足早に出ていったけどなんかあったのだろうか?

 

あと、今回は岩沢の用があったけど特にすることがない会議とか意味はあるのだろうか?

 




内容がないですね…。

ー近況ー
ストレスで胃腸炎になりました。


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15話 彼女は歌う

お久しぶりです!
落ち着いてきたので書きました!
何ヶ月ぶりかも忘れるほどに久しぶりに書いたので書き方とか変わってるかもしれませんが、よろしく!

少し長めなので許して
ー追記ー
円周率を修正しました。


この世界にいる人間は生前にやりきれなかったことがあったりするなどの心残り、つまるところ未練があるからこの世界に来たという。

 

ならば、俺の未練とは?

 

妹である小町の成長が見れないことだろうか。花嫁姿とか。なにそれ相手を呪い殺すしかないじゃない!(錯乱)

 

この世界に来てしまった時点で小町と会うなんていう可能性は限りなくゼロに近いだろう。むしろこんなところには来て欲しくないしな。来たらお兄ちゃん怒っちゃう。よって小町が未練というのは8割そうだとしても違うのかもしれない。

 

小町でないならなんなのだろう?

 

俺はなにを求めているのだろう———?

 

——————————————————————

 

「今回の作戦は天使エリアへの侵入よ」

 

この日は、朝から作戦会議が始まった。幹部は全員おり、岩沢もいる。天使エリアってどこだよ?という疑問は俺と同じ新入りの人が聞いてくれるだろう。

 

「天使エリア?」

「そう。我々は幾度となく天使の秘密を掴むべく侵入をしたもののその度に撤退を余儀なくされたわ」

 

ゴクリ。こいつら以上に物騒なものがあるのか…。

 

「そして、音無くんと比企谷くんが加入して目を避けていたこの戦線の弱点にそろそろ目を向けなければ行けなくなったのよ」

 

いつもより、部屋全体の空気が重く感じる。どうやら今回は巫山戯たものではないらしい。

 

「おいおい、ゆりっぺ!俺らに弱点なんかあるか⁉︎」

「そうだよ!僕らはこれでもチームワークはあるよ!」

 

そうだそうだ!と一部の人(俺、遊佐、音無、椎名)以外は声を上げる。ちなみに岩沢はギターを弾いてた。

 

「我々の弱点、それは———」

『それは⁉︎』

「幹部の一部以外がアホなことよ!」

『………』

 

知ってた。

追加でいうとリーダーもアホだと思う。今更だが、大丈夫なのかこの集団…。

 

「そんな訳で新メンバーよ!」

 

仲村の座っている椅子の後ろからスッと人が出て来た。なんかいつの間に!とかめっちゃ驚いてますやん。

 

俺?そもそも俺が立っている位置が仲村の近くにいる遊佐の隣なので実は見えていた。初めて見たとき、後ろでしゃがんでるやつがいるとかなかなかシュールだわな。ちょっとビクッとしたのは内緒だ。

 

「パソコンに強いという竹山くんよ!」

「クライストとお呼びください」

 

背の高さは大山と同じくらいで髪はキノコヘアーというのか?あと、メガネしてる。クラ…なんだっけ?ああ、クラインね。あの人なんだかんだ言っていいキャラしてるよね。声もジャックスパロウだし。

 

「ゆりっぺ!こんなもやしがなんの役に立つというのだ!」

 

戦線を誇るアホ代表の野田がハルバードを竹山に突きつける。血の気が多いなぁ〜。

 

「3.14159265358〜〜」

「ぐああああぁぁぁぁ!!!」

「なにを言っていやがる⁉︎」

「円周率だよ!やめてあげて!その人はアホなんだ!」

 

円周率か〜。中学からはπになったし、覚えてなかったな。

 

「続き話していいかしら?」

「さて、今回の作戦は先ほども言ったように『天使エリア侵入作戦』よ。天使がいないうちにエリアへ侵入、この世界の秘密を調査することが目的ね。竹山くんにはそのために呼んだの」

「では、今回の作戦に参加するメンバーはどなたにしますか?」

 

高松が眼鏡をくいっとしている。メガネクイッてかっこいいと思ってるのだろうか?本質を知らなかったら知的に見えたんだけどなぁ。

 

「そうね。私、竹山くん、松下くん、日向くん、野田くん、音無くん、通信のために比企谷くんで行くわ。その他は、ガルデモのライブの護衛ね」

「ライブするのか?」

「ええ。今回はいかにして天使をエリアから引き離すかが大事になってくるわ。そのため、今回はゲリラじゃなく、事前に告知してライブを行うわ」

「それは、学校の許可を取るってことか?」

「そんなわけないじゃない。ビラをそこら中に貼って時間になったら始めるのよ。今回、名前が上がらなかった人達は、それの護衛ね」

 

その言葉に部屋がざわつく。

「ゲリラじゃないのか?」「それは大丈夫なのかな?」「wow…」「ゆりっぺ!俺は従うぜ!」

 

「どう?岩沢さん。やってもらえるかしら?」

「ああ、問題ない」

 

岩沢の許可も取れたのでこのまま作戦を行うようだ。ところで岩沢さん。人と話しているときくらいはギター置きましょう?

 

「それじゃ、作戦実行は一週間後よ!それまで各自、作戦への士気を高めなさい。以上、解散!」

 

さて、俺はどうしようか?別にぼっちだからっていつも暇なわけじゃないよ?ほんとほんと。この世界ゲームとかないのかよ…。

 

——————————————————

 

〜一週間後〜

 

作戦当日であり、現在時刻17時だ。校長室で最終確認をしているどころである。この一週間はいろいろあった。具体的には音無が通いつめていた岩沢の生前の話を聞いたとか、ユイが廊下でビラを貼りまくってたとか、立華がそれを剥がしているとか。え?なんで知ってるかって?比企谷八幡、通信班所属です。

 

ただ、岩沢の話は聞いていない。「誰かの生前の話聞いたか…?」とかいう話が出たから速攻で盗聴機の電源を切った。俺が聞いてはいけないものである。そのうえ、俺は聞きたいとは思わない。そいつの人生がどんなものだったかは知らないが、そんな話を聞いてしまっても迷惑なだけだ。他人が歩んだ人生なんて大層なものを俺は抱えることもできないし、かける言葉もない。半端な同情は、そいつを否定するだけだ。だから俺は、この世界にいるやつの生前なんてものは聞きたくないし、聞く気もない。

 

と、考え込んでいるうちに作戦の打ち合わせも終盤なようだ。

 

「〜〜というわけで、これで行くわ。良いわね?あなた達が見つかると大変なことになるから隠密行動を心がけて。特に比企谷くんはね」

「言われなくても分かっとるわ。ねえ、その確認本当に必要?」

「それじゃ、そろそろ向かうわよ」

 

あ、スルーですか。そうですか。

 

—^ー女子寮前ー

 

遠くでライブの音が聞こえ始めた。潜入班の俺らは女子寮前の草むらに隠れている。これ見つかったら通報ものだね。

 

『天使は体育館に移動中です』

 

俺と遊佐以外にもいる通信班の人たちから連絡が入る。俺はそのまま仲村へと情報を伝える。

 

「行くわよ。ミッションスタート」

 

こうして潜入ミッションが始まった。

 

—————————

 

side遊佐

 

どうも。比企谷さんの上司である美少女遊佐です。失礼。柄にもなくテンションが上がってしまいました。それもそのはず、私は現在ガルデモのライブを見ているのですから。ちゃんと仕事はしてますよ?すぐにサボろうとする比企谷さんとは一緒にして欲しくありませんし。

 

それはそうと、現在のガルデモのライブによる集客はあまりよろしくありませんね。やはり、事前に無許可で告知したことで、教師のNPCにどやされるのが怖い一般生徒は出てくるのが難しいのでしょう。基本的にライブが聞けるのが、作戦中しかないので残念です…。

 

別働隊の方々はうまくやっているのでしょうか?(主に比企谷さんですが…)

 

side out

—————————

side八幡

 

「いっくしゅ!」

「ちょっ!比企谷どうした?風邪でも引いたのか〜?」

「ああいや、なんか突然な…」

「噂でもされてるんじゃないか?」

「女の子のされてるんじゃねぇの〜?」

「されてるとしたらそれはもう悪口だな。キモいとかなんとか。あと日向、その絡み方ウザいぞ」

「え!なんで俺だけ⁉︎音無だって似たようなことしただろ!why?」

「お前らさっきからうるせーわ!見つかったらどうすんだ!責任取れんのか!あ゛あ゛?」

 

怒られてしまった。背後に鬼が見えるな。我らがリーダーはスタンドを使えるようだ。

 

「あれ?仲村さん?」

「やばっ!」

 

げしっ。

 

日向が蹴り込まれ、男全員が巻き込まれてしまった。ちょっと!男とくっつきたくないんだけど!

 

「やっぱり仲村さんだ。こんな所でどうしたの?」

「え?別に何もないわよ〜!ゴミが転がってるくらいだから、後で掃除しておくわ!」

「こんな時間まで掃除してたの?お疲れ様だね。手伝おうか?」

「そんなことないわよ⁉︎私ってほら綺麗好きだし!」

「そ、そう?時間も時間だからほどほどにね…」

 

最終的に一般生徒がドン引きして追い返すという結果に落ち着いたのだった。ドン引きされたますやん笑。

さてさて、試練を突破した仲村を先頭とした俺たちは女子寮の廊下を突き進んでいた。なんかさっきから音無が無言なんだが。どうしたのだろうか。なんかそわそわしてね?

 

「ゆり!忘れてたものがあるから取りに行っていいか?」

「はあ?何言ってんのよ。もうすぐでつくのよ?」

「いや、ここで取りに行かないと後で絶対後悔するものなんだ。だから頼むよ」

 

ここまで喰い下がらないとは珍しいこともあったもんだ。一体何を忘れたのかが気になるな。

 

「はあ…。そこまで言うなら何を忘れたのよ?」

「え…。あ、いや実はな…」

「ん?何を忘れたの?まさか嘘だなんて言わないわよね?」

 

嘘だろうな〜。

 

「そう!カップラーメンをお湯入れてそのままで来ちゃったんだよ!早く戻らないと麺が伸びきってしまうんだ!」

 

ええ〜…。嘘にしてももうちょいなんかあったろ!なんでカップ麺にしたんだ!明らかに嘘だろ!というか、むしろ開き直ってる感じがするな。そんなに、大事なことがあるのか?

というか、仲村の制止を聞かないで走っていったよ。

 

「なんなのよ!理由を言ってくれれば許可くらいするのに…」

「まあまあ、ゆりっぺ。なんか大事な用があったんだろ」

「アイツ、ゆりっぺの命令を無視したな!次あったら○してやる!」

 

潜入班が1人減るというアクシデントがあったものの、なんとか目的の部屋までたどり着いた俺たちであった。

 

「日向くん、鍵お願い。他のみんなは周囲を警戒して」

「はいよっと」

 

これ、ピッキングじゃない?日向がカチャカチャとドアノブをいじりながらしばらくするとガチャという音がした。ピッキングやん。

良い子は真似しちゃダメだぞ!お兄さんと約束だ!

いともたやすく行われた犯罪行為に戦慄していると他の連中は部屋の中へと入っていってしまった。俺も追いかける。

 

中は電気も付けてないから暗いな〜。天使エリアといって女子寮に侵入した時点でだいぶ察していたがやはりというかなんというか、生徒会長の部屋であった。これ見つかったらマジで言い逃れができないな。

 

「竹山くん、やっちゃって」

「了解です。ですが竹山ではなくクライストと呼んでください」

 

竹山がパソコンに向かって何か始めた。持て余してるので部屋でも見回そうとしたが、よくよく考えるとここは女子の部屋であるということを思い出し、断念する。

や、ちょっと見たいとは思いましたよ?はい。

 

『比企谷さん。遊佐です。天使が現れました』

「っ!ああ、了解した」

 

突然通信が入ったからびっくりしちゃったよ。見られてないよね?

 

「どうした?比企谷?」

「いや、遊佐からの連絡で会場に天使が現れたそうだ」

「そう。順調ね」

 

見られてました。いや、いきなり声をかけられたらびっくりするよね?やっぱり。変な声出さなかっただけよくない?

いつの間にか、パスワードは解除され、コピーを始めてたわ。なんか最近考え事しすぎか?

 

「これは…AngelPlayer?聞いたことないプログラムね。竹山くん開いて見て」

「だから、クライストと…」

 

なんだかんだで言うことを聞いてる竹山であった。君、社畜の資質あるよ。ティン!と来た。

 

後ろからパソコンを覗き込むと開いたプログラムには、「handsonic」「distotion」やらの立華が使っていたガードスキルが載っていた。

少しさわると文字の隣の人の形をした絵が動く。つまるところ、これは…

 

『緊急連絡です。教師が会場に乱入。取り押さえられました。天使が部屋に戻りま…《おい、そこで何してる!》っ!気付かれてしまいましたか』

 

プツッ

 

遊佐の一言を最後に通信が切れる。

背筋に寒気が走った。大丈夫なのか?いや待て、相手はなんだかんだいって教師だ。暴力に出ることはないだろう。俺がここで焦ったってどうしようもない。そう、仕方がないことなのだ。だが、本当に?教師が手をあげないなんてことはないのか?あいつは大丈夫なのか?

 

「おい、大丈夫か?やけに焦ってるように見えるが…」

 

思考の渦に囚われた俺の脳は声をかけられたことで再起動する。前を見ると野田がこちらの様子を伺っているようだった。声をかけたのはこいつか。日向と松下もこちらを不安そうに見ている。さきに、仕事を果たさなければ。

 

「仲村、まずいことになった。ガルデモが教師に取り押さえられて、天使が戻ってくるらしい」

『!!』

 

空気が一気に緊張状態になる。こちらからの連絡も遊佐には繋がらない。他の通信班は、会場には配置されてないない。俺の不安は、さっき考えてたことも忘れるほどに増長していく。

 

「竹山くん、あと何分でできる?」

「あと、10分は。あと、クライ「できるだけ急いで」」

「バリケードの奴らは何してるんだ!」

「いや、教師はNPCだ。NPCに手をあげることはできない」

「くそッ!」

 

『ーージッ。〜〜♩』

 

先程から応答がなかった通信機から音が聞こえた。遊佐が繋げたのだろうか?どうやら、岩沢がなにかを歌っているようだ。耳をすませようとすると、学校全体の放送機器から今耳から聞こえてるものと同じ音が聞こえ始める。

 

「これは…?」

「岩沢なのか…?」

「あとどれくらい?!」

「もうすぐ終わります!…終わりました!データは消しておきますか?」

「いいえ、そのままでいいわ。総員!撤退するわよ!」

『了解!』

 

俺たちは急いで女子寮から飛び出す。いつの間にか放送機器から流れる音はなくなっていた——。

 




さて、いかがでしたか?
岩沢さんはいったいどうなってしまったのか!
次回をお楽しみに!

新しい作品も書いて見たのでよければどうぞ〜。
では、またの機会に!
話がうろ覚えになってきたよ…。


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16話 野球しようぜ〜!


感想や評価ありがとうございます!
今回もアニメ回ですね。
オリジナル展開になっていますよ、一応。



 

「さて、この時期がやってきたわね…」

 

日差しがだんだんと暑くなってきたこの頃。この世界には四季があるので、そろそろ夏頃だろうか?今日も作戦会議があるらしく、校長室には人がぎっしりと詰まっている。暑くなってるつってんのに…。人口密度でさらに暑いわ。というか、今日は何の集まり?

 

「一週間後に球技大会があるのでそのお話かと」

「おおう。球技大会と言ってもあんまり関係なくないか?参加するのか?」

 

いつものように変わらない顔で隣に立っている遊佐が話してくる。暑さとか感じてますよね?結構暑いと思うんだけど…。

 

「暑さはしっかり感じてますよ。それと、質問の答えはゆりっぺさんがこれから話すと思われます」

 

心が読まれてる…。なんか久しぶりな気がするな、このやり取りは。

 

「球技大会よ!」

「参加するのか?」

「そんなの突然乱入するに決まってるじゃない。正式に参加なんてしたら、消えちゃうわよ?」

 

常識人の音無が質問をするものの、一蹴されてしまっていた。傍若無人という言葉は仲村のためにある言葉だと思う。

 

「今年は野球ね。各自でチームを組んで、メンバーの報告をしてね。目指すは優勝よ!…あ、ちなみに情けなく負けたら罰ゲームだから。負けるなよー」

「鬼だな」「仕方ないよ。ゆりっぺだもん」「あさはかなり…」

 

負けたら罰ゲームとか鬼っすね笑。大変だな〜実働部隊の人は。あっはっは。俺?だって関係ないし〜♩運動とかしたくないし。

 

「今回の作戦は、陽動部隊であるガルデモ、通信班の遊佐さん、比企谷くんも参加ね」

 

………はっ?いま、なんつった?参加?誰が?俺が?what?おかしい、いま何か時空が曲がってしまい、聞き間違えたのかもしれない。

 

「なんだって?」

「あら、聞こえなかった?あなたと遊佐さんとガルデモも参加」

 

聞き間違えていて欲しかった…。恨みがましく仲村を睨む。むむむ…!

 

「あなた達も運動くらいした方がいいでしょう?運動不足解消のためのリーダーであるわたしの計らいよ。感謝しなさい?」

 

か み は 死 ん だ !なんでそんないらないことに気を回すんだ!もっと他に回すところがあるでしょう⁉︎やーだー!働きたくないー!

なんとか抵抗しようと頭を働かせていると肩をポンと叩かれる。

 

あ?後ろに振り向くと日向が俺の方を叩いたらしい。日向を含めたそのほかの戦線の幹部連中が無駄にいい笑顔でこちらを見ている。

 

「なんだよ?」

「お前がどんなに策を弄しようったってゆりっぺは一度決めたことはそうそう変えないんだぜ?だから、言えることは1つだ」

「?」

『諦めろ』

 

笑顔でサムズアップしてくるんじゃねぇ!俺は最後の希望を託して遊佐を見る。なんとかしてくれるはず…!

目があうと遊佐は静かに首を振った。…ちくしょー。あ、そうなると

 

「仲村はどうするんだ?」

「私?ここであなた達の活躍を見てるわよ?」

 

後ろの方で「おい、まさか…!」「なんて度胸があるんだ!」「奴は命知らずか…!」「頑張ってください」「〜♩」

とかなんとか聞こえてくる。タダではやられんぞ…!

 

「リーダーは参加しないのか?」

「ええ。あなた達が頑張ってくれればそれでいいのよ。だって、めんど…んんっ。あなた達の力を見せつけるためのものだもの」

「そうか。なら、仲村も参加した方がいいだろうな」

「?なんでよ?」

 

よしっ!話に乗ってきた!やらないとつっぱられたらそれまでの話だがのってきたというならば如何様にもやれることがあるのだ。そのためには、遊佐の協力が必要ではあるんだが…

 

「これは、俺と遊佐しか知らない情報なんだが…」

「なによ?もったいぶらないで教えなさいよ」

「どうやら、野球大会には生徒会チームとして、天使も出場するらしい」

『!!』

「それがなんだというの?」

「お前がさっき言ったんだろ?『力を見せつける』と。相手のリーダーが出てるんだ。こっちもリーダーの力を見せつけるべきではないのか?ここで出ないと下っ端に任せることしかできない実力がないリーダーだとナメられるぞ?」

「……その情報はほんと?遊佐さん」

 

さて、ここが要である。これで遊佐が本当のことを言ってしまったらどうしようもないしな。もちろん、今の話はでまかせだからな。本当に立華が出てくるかは知らん。頼む…遊佐…!

 

「…そうですね。その情報は私にもあります」

「そう。なら、私も出るしかないようね!あんた達!相手チームはもれなくボッコボコにするわよ!」

『おう!』

「各自で当日に向けて準備しなさい。では、解散!」

 

その一言をきっかけとしてぞろぞろと出ていく。ふぅ…疲れた。

 

「お疲れ様です」

「…遊佐か。いや、マジでさっきは助かったわ。失敗してたら殺されてたな。マジで」

「ふふっ。貸し一つですよ?私も先程のゆりっぺさんには思うところがありましたし」

 

珍しく遊佐の笑った顔が見れた。ちょっと気恥ずかしいな…。

 

「ああ。なんかあったら言ってくれ。なるべく力になる」

「はい。機会があれば」

 

俺も遊佐もあまり話す方ではないがこの会話は心地が良く感じるな。まあ、勘違いはしないが。

 

「遊佐さん、比企谷くん。ちょっといいかしら?」

「はい、ゆりっぺさん」「どうした?」

「あなた達、私のチームに入りなさいよ」

「まあ、それは構わないが…。遊佐はどうだ?」

「私も構いません」

「これで、3人ね。あと8人か…」

「?9人だからあと6人だろ?」

「え?11人じゃなかった?」

「それはサッカーですよ。ゆりっぺさん」

 

大丈夫なのだろうか?このチームは…。

 

————————————

side音無

 

現在、俺は非常に困惑している。いつものようにゆりからの無茶なオーダーに答えるために今回は日向と野球チームのメンバーを集めることにしたものの……。

 

「なあ、日向」

「なんだ?音無さんよ」

「おまえ、本当に人望あるのか?」

「おまっ!今一番そのことに対する疑問を持ってる俺に聞いちゃいますか⁉︎」

「ひなっち先輩は人望ゼロですね!」

「あさはかなり…」

「どうすんだ?人数足りないなら、俺は降りるぞ」

 

そう。日向は『俺、人望あるから』とか爽やかな感じでのたまっていたが、話しかける奴がことごとく買収されていたり、既に他のチーム入っていたりと本当にこいつに人望なんてあるのか?という状態である。

そして、集まった連中はなんとまあ尖っている奴らしか集まらない。新しくガルデモに入ったというユイ、体育倉庫で箒を指にのせてバランスを取っている椎名(今も乗っけている)、あと野田である。俺と日向を入れてまだ5人だ。あと4人も集まるのか?

 

「くっそ!あいつら〜!仕方がない…。とりあえずゆりっぺのところに行くか…」

「いいのか?」

「ああ、どうせこんな時間になったらもうほとんど優秀な人材もいねーよ」

「あ、でもでも!ゆりっぺさんとか先輩とかもでるんだよね?なら、誘えないかな?」

「そうか!その手があったぜ!よくやった!その発想に免じてさっきの俺への暴言は目を瞑ってやろう!」

「?暴言じゃないよ?真実言っただけじゃん」

「それが傷つくからやめろって話だよぉぉぉぉ!!」

「いだだだ!モゲルぅ〜!」

 

なんでこいつらはプロレス技を始めるのだろう。野田でさえ呆れた顔をして見てるというのに…。それにしても…。

 

「なあ、ユイ。先輩って比企谷のことか?」

「いたたた…。ひなっち先輩!こっちは女の子ですよ!もっと大事に扱ってください!で、音無先輩、それであってます」

「なんで先輩だけ?音無みたいに名前の後ろに先輩つければいいだろ」

「あ〜それはですね、ひきぎゃやって言いづらいじゃないですか?だから、先輩だけで呼んでるの」

「そうなのか。ま、確かに呼びづらくはあるな」

「お前がバカだから名前を覚えてないだけだろ?」

 

なあ日向、お前、なんで喧嘩売るんだ?

 

「お前にはバカって言われたくねぇわ!」

 

ドガァ!

 

ユイのハイキックが日向をの腰を穿った。椎名が「ほう…。いい蹴りだ」と褒め、野田が「なかなかやるではないか」と褒めて⁉︎いた。珍しいこともあるもんだ。

 

「なあ、そろそろ行かないか?ここで時間潰しても仕方ないんだが…」

「ちっ、お前のせいで時間かかっちまったじゃねぇか」

「あ゛あ゛?お前のせいだろがい!」

「いいから!行くぞ!」

 

またも喧嘩が勃発しそうな雰囲気のなか、移動を促す。大丈夫なのか?このチーム?

 

side out

—————————————

side八幡

 

さて、会議が終わってからずっと作戦室にいるが、殆どの人達の登録(といってもメモ程度だが)が終わった。

 

チーム竹山メンバー 竹山、松下、高松、TK、その他SSSモブメンバー(ギルドから引っ張ってきた)

 

チームガルデモ 岩沢、ひさ子、入江、関根、藤巻、大山、野球が得意なNPCの方々(兼ガルデモのファンの方々)

 

といった具合に別れている。ちなみに、

 

チームSSS 仲村、遊佐、俺

 

である。人数の時点で試合終了まであるな。安西せんせー!野球が…したい…訳でもないのでこのままの人数でお願いします!

 

え?なんで岩沢がいるのかって?なに、哲学的な話?作戦会議の時からいたじゃん。

そういうことじゃない?理由としては、あの放送が教師によって止められた後に音無が駆け込んできて岩沢を止めたらしい。

らしいというのは遊佐から聞いたことだから。音無はあんな理由で抜けたからなにしてんのかと思いきや、ライブ会場へと走っていったのだ。

 

後ほど、怒り狂った仲村からの尋問の際に理由を聞かれ、音無は『嫌な予感がしたんだ』と供述している。今回は岩沢が消えてしまう可能性があったため、食い止めたことによってお咎めはなし。

次からはカップ麺とかの嘘は言わないでしっかり話してから、ということになったのだった。以上、前回の事の顛末である。

 

ま、岩沢がいるがガルデモにも新しい風を取り入れようという事で、以前に駐車場で出会ったユイが新ボーカルとして参入している。メンバーともうまく付き合っていけているようだ。

現在は、ひさ子に扱かれているようだ。あいつ、ちゃんとやればうまいのになぁ。調子乗るからな〜。あと、未だに比企谷と言えないらしく先輩呼びであった。

 

さて、話を戻そう。あと、チームの報告に来ていないのは日向、音無、野田、椎名、ユイの5名である。日向はホモの気があるからなー。音無と一緒にいそう(偏見)。お、誰か来たようだ。

 

「ゆりっぺ〜。チームのメンバー決まったか?」

「あら、日向くん。残りはあなた達だけよ。私のチームは遊佐さんと、比企谷くんよ」

「三人だけなら丁度いいな。俺らのチームと合併しようぜ!」

「別にいいけど…。私がリーダーだからね!」

「うぉおおおお!やる気が出て来たぞ!負けないからな!音無!」

「その調子で頑張ってくれよ…野田」

「あさはかなり…」

「私たちの他にチームに誰をいれるつもりだったのでしょうか。まさか、考えていなかった…?」

「いや、流石にないだろ?ないよね?」

「やっぱりあほばかり集まりますね!」

 

チームSSSメンバー 仲村、日向、音無、椎名、ユイ、遊佐、俺

 

これでメンバーは全員決まったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ネーミングセンス安直だなぁ。

 





というわけで、ゆりと遊佐の参加です!
ゲームをやってた人は岩沢が残るということは予想出来たかな?
閲覧ありがとうございます!


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Day Game


1年半ぶりですね!
覚えていらっしゃいますでしょうか?

忘れた方は1話から見てくださいね(ダイマ)!



 

野球大会当日

 

当日ってもチーム決めた翌日なんだけどな!何にも練習してないよ…。

あの後、やっぱ人数足りてないよ!ということになったのでユイにゃん(爆)の紹介のもと、NPC女子が「ユイにゃんさん(爆笑)のファンっていうか友達っていうか〜」(本人談)のもとやってきた。

 

へー。ここまでNPCに仲がいいやついるのは珍しいな。というか初めて見たまである。

 

ガルデモ?ガルデモは何というかファンとその有名人というスタンスで接しているために、個人としてNPCと仲がいいというのはいないように思う。それは戦線の全員に言えることではあるが。

 

神に復讐するとか行ってる奴らが神が創った(と思われる)人と仲良くするのは良くないのかね?ま、俺は人生で人と仲良くしたこととかないんですけどね…。

 

さて、そんなユイのファンだがぶっちゃけ戦力にはなりそうにない。ユイ自身もだが。人数不足で試合に出られないよりはマシなのか?

 

「先輩、先輩、いまなんか失礼なこと考えなかった?」

 

ピンクの髪が目の前をチラつく。言わなくてもわかるだろう。ユイである。あ、いっちゃった。

 

「失礼な。別にお前が戦力外ぽいな〜とかユイにゃん(笑)とか名乗ってるのアホみたいとかなんて思っても口に出すわけないだろう?」

「口に出てるわ!」

 

ブォン!

 

ヒョイ!

 

ドゴォ!

 

「ごほぁ!」

 

ユイから放たれたラ○ダーキックは予測はできていたので簡単に避けれた。そして、俺の後ろにいた日向に炸裂したのだった。

 

「なにしやがんだてめーー!!」

 

日向の絞め技がユイに決まっている。日向はいろんな技を知ってるなぁ(小並感)

 

「だって先輩が避けたから〜!ギブ!ギブだよ!ひなっち先輩〜!」

「さて、アホどもは放っておいてそろそろ作戦でも決めましょうか」

「だな」

「はい」

「さすがだ!ゆりっぺ!」

 

「ええ!いいのか⁉︎あっちでユイが女子がしちゃいけない顔とかしてるのは本当に無視でいいのか!」

 

どうやら仲村は音無のツッコミは無視していく方向らしい。

 

「さて、作戦だけど。ホームラン狙っていく感じでいきましょう!」

「雑だな!もうちょっと作戦はあるだろう!」

「あら日向くん。もういいの?いいじゃないこの作戦なにか穴でもある?」

「ありますから!むしろ穴しかありませんから!」

 

ユイをしばき倒した日向が帰ってきた。そういえば、日向は生前には野球部に所属していたらしい。口出しされた仲村は苛立ってるな。このままだと、日向に理不尽な暴力が訪れそうだ。

 

「待ってください。ゆりっぺさん。経験者の話を聞いた方がいいのでは?」

「遊佐さん…」

「浅はかなり…」

「椎名さん…」

 

椎名はセリフとかほぼほぼそれでいいの?それはともかく、遊佐の発言には賛成と言っておく。

 

「しょうがないわね…。今回は日向くんに指示は任せるわ。あなたの指揮を見せてちょうだい」

「任せろ!ゆりっぺ!」

「あなたの指示で負けたら罰ゲーム増えるから」

「はいぃぃぃーー⁉︎」

 

どんまい、日向。

 

「まあ、勝てばいい話だからな。勝ってやるよ!ちくしょう!あ、試合に行く前に聞きたいんだが、この中で経験者っているのか?」

「私はないわね」「私もです」「俺は記憶にないな」「ない!」「1人野球なら」「浅はかなり…」「ないです☆」

「ちょおっと待てぇーーい!」

 

ビックリした。急にそんな大声を出すんじゃないよ。なんなの?精神不安定なの?

 

「なによ、急に大声出さないでよ。ビックリするじゃない」

「『ビックリするじゃない』じゃねぇーよ!なんなのお前ら!誰もやったことないのかよ!音無は記憶がないから仕方がないとしてもだ!あとなんか比企谷からは悲しい単語が聞こえたんですけどォ!なんだよ!1人野球って、野球は1人でやるもんじゃないですからーー!」

「なあ、日向」

「はぁ…はぁ…なんだよ、音無?」

「なんでお前は突っ込む時に『〜ですからー!』とか敬語になるんだ?」

「そんなことどうでもいいですからー!」

「ほら、また」

「癖だよ!この問答になんか意味あんのかよ⁉︎」

「いや、気になっただけだから」

「タイミング気をつけてくださいね⁉︎」

 

おお、日向が酸欠になりそうなくらいにまで陥っている。そんなに変か?1人野球。とか、考えていると横にいる遊佐が聞いてくる。

 

「あの、比企谷さん。1人野球とはどうやるんですか?」

「ああ、割と簡単だぞ?まずはバットとボール持って思いっきり打ち上げる。そこから、グローブに持ち替えてキャッチしに行くというやり方だ」

「なぜ、1人で?」

「そんなの、一緒にやる奴がいなかったからに決まってるだろ?」

 

なにを聞くかと思えば。ただ、俺が1人野球をしてるのを見て、『ヒキガエルが1人でボール遊びしてる〜w』とか教室で広めた安達くんは許さない。

 

思考に耽っていると、周りが静かになってる。なに?どしたの?あ、これはドン引きされてますね(悟り)。

 

「ま、まあ気を取り直して!打席とかは俺が決めるからな!」

 

日向が場を取り持つように声をあげる。どもるなよ…。どれだけ引かせたのかがなんとなくわかっちゃうだろうが。

 

「よっしゃー!(罰ゲームを受けないためにも)優勝するぞー!おー!」

 

「…おー!」

「フンッ!」

「浅はかなり…」

「お、おー?」

「よっしゃあ!蹴散らしてやりますよ!」

「私のために頑張りなさい!」

「…」

「…」

 

日向の声に応えたの音無とNPCさんだけとか、これは放送事故だろう…。声出してもない俺が言うのもなんだけどな。

 

「大丈夫か…?このチーム?」

 

音無よ。同意見だ。

 

————————————

 

試合は乱入するとはいえ、まだ俺たちのチームの出番はまだなので本来の任務に戻る。他のチームの状況を仲村に報告するというものだ。やだ、すぐ仕事に戻るとか社畜みたい…。

 

『さて、遊佐さん、比企谷くん、他のチームの様子はどうかしら?』

『竹山さんチームは今のところ順調に勝ち進んでいるようです』

 

持っていた無線機からのやりとりを流しつつ、俺が見るべきガルデモチームの様子を覗く。

 

「まあ、ガルデモは女子があんまりだが、ひさ子を含め男がリカバリーして生き残ってる感じだな」

『流石に彼女たちに優勝しなさいとは言わないわよ。その代わりに戦線の男どもには罰ゲームはあるけどね♩それとあなた、ナチュラルにひさ子さんを男子にカウントするのやめてあげなさいよ』

 

サーセン。

 

『まあ、みんな順調に勝ち進んでるみたいだし、まだ天使も出てきてないし、これは勝っちゃうんじゃない?ふふっ、ふふふ。あーはっはっは!』

『ゆりっぺさん。笑い方が悪役です』

 

見事なまでに悪役の笑い方だった。やってることとか考えると間違ってはないと思うけどな」

 

『それはどう言う意味かしら?』

 

氷点下の声が耳を震わす。仲村のテンションが急に低くなったな。なに?お前のテンションジェットコースターなの?

 

『比企谷さん、声が漏れてました』

「まじで?」

『はい』

『で?なにが間違ってないのかしら?あとで聞かせてもらうからね…』

「…ウィッス」

 

ある意味で罰ゲームが確定した瞬間だった……。

 

—————————

 

「さあ、俺らの試合だ!やるぞ、お前ら!」

 

ついにチームSSSの初試合が始まる。他のチームと同様に乱入しております。審判がまた君たちか…と言ってたからウンザリしてるんだろな。毎度お騒がせしております。

 

「で、日向。ポジションは?」

「よくぞ聞いてくれた!まず1番でピッチャーは音無!」

「俺が?日向がやった方がいいんじゃないか?」

「いや!お前は出来そうな気がする!それと俺は2番でセカンドだ。お前が打たれてもカバーしてやるよ」

 

ウインクしながらそんなこと言ってるとやっぱりなぁ…。

 

「やっぱりコレじゃない」

 

仲村が手の甲を顔の横に持ってくる。ですよね!そう思ったの俺だけじゃないですよね!

 

「ちがいますからー!!」

「ま、そんなことはどうでもいいわ。ほかの人のポジションは?日向くん」

「俺にとってはどうでもよくないんですけど⁉︎…はあ。3番ショートは椎名っち。4番キャッチャーは野田だ」

「あさはかなり」

「おう」

 

妥当な感じだな。運動神経がいいやつを先にある出して点数を取るような戦法なのかもな。

 

「で、5番サードはゆりっぺ。6番ファーストはおまえ。7番センター比企谷、8番レフトに遊佐、9番ライトに君で行こうと思う」

 

といい、9番打者にNPCさんを指名する。これといって文句はないな。…1人以外。

 

「なんで私だけおまえなんだー!そこは名前で呼ぶべきだろうが!」

 

まーた始まったよ…。

 

〜30分後〜

 

「よっしゃあ!俺たちの勝利だな!」

 

俺たちは勝っていた!

 

「なんか雑に時間が飛ばされた気がするわ」

「あさはかなり…」

 

えー…説明必要?仕方ない。守り:椎名さんTUEEEEE! 攻め:野田が片手でホームラン、椎名がバットを片手にバランスを取りながらヒットからの気付いた時には既に三塁まで回っている←この時点でほぼ相手の気力が枯れており、コールドゲームとなった。

 

なにこのチーム曲芸団かよ…。ちなみに日向、音無は前述の2人で目立ちはしなかったが活躍。俺、仲村、遊佐は可もなく不可もなく。NPCさんは頑張ろうとしていた。ユイは…言外には言い表せないレベルだった。やる気だけはあるんだけどな…。

 

そんな試合もあり、現在は再び他チームの様子を陰から見ている。頑張るなぁ。お、野球場に近づく銀色の影が。ほんとに来るとは…

 

「仲村、天使が来た」

『ほんとに⁉︎了解した。比企谷くんはそのままその場で待機しつつ、監視を続行。状況をその都度報告して』

「ん、了解」

 

後ろにNPCの学生服着たやつもいるし、生徒会か?さらに後ろの人たちはユニフォームらしきもの着てるよな…。というか、今更だけど我々はなんで戦線の制服着たまま野球してんだろうな?まあ、今はいいか。

 

ドスを持った(なぜ今も持っているのか)藤巻が生徒会チームに喧嘩を売ってるようだ。噛ませ感がハンパないな。

 

「仲村、天使の周りは生徒会と多分、野球部かなんかだ」

『はあ⁈野球部なんて汚いじゃない!そんな連中連れてくるなんてズルよ!ズル!』

『…先にズルをしてるのはこちらのような気もしますが…』

 

しっ、遊佐それは胸にしまっておけ!俺も思ってたところだけど!

 

野球場に目を移せば、ガルデモチームはやはり女子が中心のチームということもあり、どんどんと点差は離されていっていき、こちらは1点も入れられずにゲームセットの声がグラウンドに響いた。

 

その後、竹山チームも生徒会チームに敗れ去り残すところは決勝でチームSSSだけとなった。決勝まで行ってたことにびっくり。

 

——————————

 

〜決勝〜

 

決勝戦を控え、俺たちはお互い整列する。この時点で火花が燃え上がっているようだ。主にこちら側からの一方通行だが。

 

「野球部を連れて来るなんてやってくれるじゃない」

「それはあなた達がルールを守らないから…」

 

グゥの音も出ませんわ。

そのまま挨拶を終え、ベンチへとグローブを取りに戻る。先攻はこちらからだ。

 

〜side Hinata〜

 

俺たちの試合は結果から言うとかなりギリギリの勝負になっている。野田、椎名っち、音無、比企谷と俺でなんとか打線で持ちこたえることが出来ている。野田と椎名っちは何だかんだ創立メンバーだし、ポテンシャルが高いから心配はしていなかった。音無もギルド降下作戦の際に生き残ったわけだし、運も実力も備えてるんだろう。野球に関しては感だったけどな。

 

驚いたのが比企谷だ。最初は1人野球てなに?と思ったものの、意外にも攻守ともに活躍している。ただ、自分の守備範囲から外れたものはほぼ動きもしない。それが気になって聞いてみると、

 

「え、だって疲れるじゃん」

 

とか言った。そのあと遊佐に抓られていたけど、アイツら仲良いよな。同じ情報班だからとうぜんかもしれないが。

 

で、さっき挙げなかった奴らだがゆりっぺと遊佐は相手が男子野球部ということもあり、力で押し込まれてしまっている。女子っぽいところもあったのかと安心したもんだ。ゆりっぺからスゲー睨まれたけどな!

 

そして、ユイとNPC女子は予想通りすぎて特に語ることはない。ユイはいちいち突っかかってくるのでシバいているが。相手チームのやつらはその弱点を狙ってきている。とか考えていると、疲れてきたのだろう音無が打たれてしまっていた。

 

まずい!そっちはNPC女子が!

 

流石に椎名っちでもショートからライトには間に合わない。くっ、ダメか…!

と、よくよくみると攻守交代するまで華奢だった女子が柔道服を着たごつい男に変わってるではありませんか!

 

「松下五段⁉︎いつのまに!」

 

突如現れた巨漢の男、松下五段に打たれた球はバウンドすることなく、グローブに収まったのだった。

 

「…一体いつのまに?」

「ああ、うどんの食券が余ってたからあげたんだ」

「もらった分は働いて返そう」

 

俺の疑問に音無が答えてくれた。やっぱりお前は最高だぜ!音無ぃ!

音無と肩を組むと何故か視線を感じる…。周りを見ると比企谷、遊佐、ゆりっぺがなんとも言えない目でこちらを見てきていた。なんだよ?俺と音無の中の良さに嫉妬してるのか?(笑)

 

「やっぱり日向くんてこれなんじゃない?」

「ですね」

「だよなぁ…」

 

なんか話してるが、俺の耳には届かなかった…。

さーて!この調子で勝ちを狙って行きますかぁ!

 

〜20分後〜

 

やばいな。

あれから松下五段がNPCと交替したものの状況はかなり悪い。そりゃそうだ。音無の疲労がかなり溜まってしまっている。

 

そして、現在は5回裏(最終回)のスコアは5-3のツーアウト満塁となっている。

 

まるで、あの時みたいだな…。

 

…まあ、そのことは今はいい。試合に集中しなければ、負けたらゆりっぺの恐ろしい罰ゲームが待っている。

 

キィン!

 

音無が投げたボールが相手によって打ち上げられ、俺の方へと飛んでくる。ただのフライで、グローブを上に構えるだけでこの試合は終わる。しかし、しかしだ。この状況まるで…あの時のようで…。

 

こいつをとったら、最高に気持ちがいいだろうなぁ…。

 

「日向ぁーーーー!!」

 

俺を呼ぶ声がどこか遠くに聞こえた———。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜side Hachiman〜

 

結果からいうと、負けました☆

そして、現在は罰としてうさぎ跳びをさせられています☆死にてぇ…。あ、死後の世界だから死ねないんでしたね!テヘペロ☆というか、ただの罰になっちゃってるよ…。

 

ユイと日向は暫く許さない。最後のフライは元野球少年だった日向からしたら簡単にもほどがある球だった。

 

しかし、しかしだ。何故かその場で復讐を試みた奴がいた。それがユイである。どことなくボッーと球を見上げていた日向にユイがドロップキックを入れたのだ。それはもう綺麗に土手っ腹に入った。そんな状態で球を取れるわけもなく、ゲームセット。今に至るわけだ。

 

「比企谷さん。くだらないこと考えてないでしっかり罰ゲームを終わらせてください。帰れないじゃないですか」

「い…いや…遊佐は…ないんだし…帰っ…ていいぞ…」

 

野球やった後でチームSSSの男はうさぎ跳びで校庭10周とかキツイわ。終わりましたが。脳内でくだらない事考えてないと現実しか見えないんですけど…。ちなみに野田と音無はもう終わっていた。野田は帰り、音無は日向を待っている。なぜか遊佐もいる。尚、日向は戦犯なので30周になっている。

 

「いえ、私たちはまだやることがあるので」

「今達って言った?え、まだ何か働かせられるの?」

 

マジで?クタクタなんですけど…。

 

「ゆりっぺさんが呼んでいます。作戦本部へ行きますよ」

「へいへい…」

 

罰ゲーム(ゲームではない)を終えた俺はグラウンドから離れ、遊佐と2人で校長室へ向かう。オレンジが染め上げる渡り廊下を遊佐の三歩後ろで歩く。ストーカーに間違われないよね?

 

「正直、意外でした…」

「あん?」

「比企谷さんが運動出来ることが」

 

そんなに引きこもりっぽいですかね?

 

「失礼な。目が腐ってること以外基本俺は高スペックだぞ」

「目が台無しにしてますね」

「ぬぅ…」

 

時に正論は人を傷つけると思います。

遊佐はいまも前を歩き、会話をしているが後ろを振り向かない。俺もそのまま会話を続ける。不思議な距離感だった。

 

「でも、今日の比企谷さんは頑張ってましたね」

「そりゃ、罰ゲームなんてものがあるならやるしかないだろう」

「くすっ。日向さん達があの負け方をしなければ、罰はなかったでしょうね」

「それは同感だ。あの2人は暫く許さん」

「…お役に立てずに申し訳ありません」

「?なんの話だ?」

「打てもできなかったことです」

 

なんの話だと、考えるまでもなかった。最後の試合で遊佐は球を打ててはいない。

ああ、なんだ。そんなことを気にしていたのか?

 

「別に気にする必要なんかないだろ。向き不向きとかあるし、そもそも相手は野球部だったんだろ?なら、野球をやったこともない奴が打てなくても仕方ない。むしろ、椎名とかどうなってるんだよって話だ」

 

びっくり人間ショーだったよね。

 

「そう、ですか?」

「ああ、むしろお前レベルで謝罪するならユイは土下座しなけりゃいけないレベルだろ」

 

あいつ、全部の試合通して一回も打ててないぞ。

 

「そう、ですね」

「そうだろ」

「…ありがとうございます」

「なにが?」

「いえ、何でもないです。さ、着きましたね」

 

なんやかんやで本部へとたどり着く。先に入った遊佐に続き、俺も中へ入る。そこには案の定、仲村が待っていた。待ってなかったらイジメですけどね。

 

「お待たせしました。ゆりっぺさん」

「ありがとう遊佐さん。2人とも今日はお疲れ様。いい働きをしてくれたわ」

 

そう思うなら一刻も早く帰らせて欲しい。疲れてるんですけど…。主に罰のせいで。

 

「さて、あなた達2人だけを呼んだのは他でもない、次のオペレーションの下準備をして欲しいの」

「え、やだ」

「するのよ」

「ウっス」

「…比企谷さん」

 

仕方ないでしょう!圧力が凄いんだよ。しかし、俺弱すぎね…?

 

「じゃあ、詳しくはここに書いてあるからよろしくね!」

 

いい笑顔でとんでもなく面倒なことを振って仲村は帰っていった…。俺の手の中には仲村から渡された資料が…。一縷の希望を求めて遊佐へと視線を向ける。遊佐は、

 

「諦めましょう…」

 

首を振るのだった…。

 





すみません…いろんな意味で


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ハイテンション・シンドローム

 

前回までのあらすじ

 

目を覚ましたら死後の世界だった⁉︎この世界に抗うために(頭がぶっ飛んだ)集団のSSSに加入した私。働きたくないのに順調?に過ごしてきたの。ついには野球大会(肉体労働)のすぐ後に次の作戦の準備だって⁉︎そんな社蓄まっしぐらの私はこれからどうなっちゃうの?

 

「比企谷さん。控えめに言って気持ち悪いです。あとゆりっぺさんに報告しておきますね」

 

「ストレート過ぎません?すいませんでした!」

 

 

ーー^ー

 

さて、今までのあらすじを少女漫画風に回想も終わったところで現在に戻ろう。1年半以上放置してたから覚えてないんだ。許してくれ。

 

「比企谷さん。手が止まってます」

「はいよ」

 

今は仲村もいなくなった作戦本部で遊佐と2人で作戦の打ち合わせをしていた。別にやましいことなんかないよ?ほんとだよ。

 

「というか、次のオペレーションの概要を見てるだけで頭が痛いんだが…」

「……」

 

遊佐からも沈んだ思いが伝わる。いや、本当にね。頭痛が痛いわ。なんなら、仲村の頭も疑うレベル。これはただの悪口ですね。

 

もう一度、仲村が渡してきた次のオペレーションの草案が書かれた紙を見る。ただのメモだけどな…。

 

『狂ったようにテンションを上げて騒ぐ

 ※この世界を楽しんでいるフリをする

 →不審に思った天使

  →神に報告しに行く    

   →追跡し、捕まえる      』

 

原文ママである。もうなんなの?アホなの?もしかしていつもこんな作戦の決め方してるのか?いやほんとこんの組織辞めたいですわ。

 

「…諦めてください、私はもう諦めました…」

「おおう、お前が死んだような目をするならよっぽどだな…。なら、やめたら良くね?というか、俺が辞めたいんだが」

 

いや、ほんと。よくこれで今までやれてきたな。まあ、仲村のカリスマ性があったからか。知能がアレでも戦線の中ではまだマシなほう…だよな?

 

「私だって、辞められるのなら辞めたいですが」

「え、なに?仲村に弱みでも握られてるのか?」

「あなたはゆりっぺさんをなんだと…。いえ、なんでもありません」

 

否定できないって悲しいね。

 

「それはともかく、恩がありますので」

「ほー」

「興味なさそうですね」

「まあ、興味がないといえばないな。言いたそうな顔でもなかったし、聞かない方がいいんだろ?なら、聞かない」

 

面倒ごとはごめんだ。という言葉は飲み込んだ。

 

「…ありがとうございます。ただ興味がないと面と向かって言われるのはそれはそれで腹が立ちますね」

「なにそれ理不尽」

 

ー^ーー

 

2日後

 

「比企谷さん、おはようございます。遅刻するのはダメですから行きましょう」

 

なぜ、またいる?鍵はかけてたよね?

 

「貴方がまた寝坊するかもとゆりっぺさんに言われてきたんです。遅刻すると罰ゲームが待っていますよ?」

 

もう、何も突っ込まない…。

 

ー^ーー

 

あれから、作戦のための準備も終え、今日からその実行日になる。そのための会議がこれからあるので、社蓄な俺は優雅に寝ていたところを遊佐に起こされ、引っ張られて既に本部にいた。

 

え?女子に起こされたんだからもっと喜べよ?ばっかお前、起き抜けに無表情がいるのはマジでビビるからな。

 

そんなわけで俺と遊佐と仲村は全員揃うのを待っているのだ。いや、暇だわ。あと眠い。

 

「お疲れかしら?比企谷くん?」

「そりゃ、ここんところ働かされてるんだから疲れるわ。本当だったら、もっとギリギリまで寝てたかったんだが」

「あら、時間に間に合うなら別に良かったのに。間に合うなら、ね」

 

ニヤリと笑いながら話しかけてくる仲村。美人がやると様になるな。

その含みは怖いです。

 

「はぁ?お前が遊佐に頼んだんだろ。遅刻しないように」

「え?」

「え?」

 

え、何その反応は?

 

「……」

「いや、私は別にたの…(遊佐さんが自分から起こしに行ったの?あの遊佐さんが?いい傾向なのかしら?そこんところどうなのかしらね。まあ、そういう事なら今回は乗ってあげましょうか)」

「おい?急に黙ってなんだよ。いじめか?」

「なんでそんな直ぐにイジメになるのよ…。ちょっと考え事よ。…で、遊佐さんには頼んだわ。別に遅刻して罰ゲームでも良かったんだけど、今回のオペレーションは全員参加だからね。欠けが出るのは嫌なのよ」

「遅刻した罰ゲームで1日再起不能になるのをさらっと言うな」

「死んだ方がマシと言われているほどですしね」

 

本当に何されるわけ?死よりも恐ろしい罰ゲームてなんだよ…。久しぶりに遊佐が喋ったな。

 

「ま、そんなわけで今日のオペレーションは貴方達も参加だから、結果を楽しみにしてるわね?」

 

この作戦行けると思う?

 

無理です。

 

ですよね〜。遊佐とアイコンタクトして2人ため息をつくのだった。あ、幸せが逃げていく…。

 

ー^ーー

 

 

幹部メンバーが全員が校長室に揃った。陽動班の岩沢と何故かゆいにゃん(爆)もいるな。

 

「なんでユイがいるんだ?別にお前、ガルデモのリーダーってわけでもないだろ」

「いやいや、ひなっち先輩!私はひさ子先輩に『岩沢は作戦内容だいぶうる覚えで帰ってくるからお前、一緒に行ってこい』って言われたので来ました!」

 

無駄にクオリティ高いな。そのモノマネ

 

「ふーん、で、どうなんだゆりっぺ?」

「信じてねぇのかい!可愛い後輩の言葉くらい信じろやぁぁぁ!」

「お前の何処が可愛いんだよ!俺の目の前にそんな後輩いません〜!このちんちくり…グボァ!」

 

「やはりいい蹴りだな」「あさはかなり…」「アホだろ…」「日向君が飛んだ!」「oh!nice kick!」

 

「コントはもういいわ。ユイに関しては私が許可したから問題なし。では、そろそろ今回のミーティングを始めるわ!」

 

日向を放置しながらも周囲が暗くなった。誰も気にしてないって、日向ぇ…。

 

「今回のオペレーション名は『ハイテンション・シンドローム』」

「「「「……」」」」」

「あれ⁉︎誰も何も言わないのかよ!」

 

音無が突っ込んだ。

 

「いや、このオペレーションは初めてだよ」

「ああ、どんなオペレーションか、気になるものだな」

 

そんな緊張な面持ちでいる必要はないな。いや、ほんとに。なんなら、俺はもう帰りたい。

 

「では、オペレーションについて説明するわ。心して聞くように。あと、日向くん起こしてくれないかしら」

 

あ、まだ伸びたまんまだったな。

 

ー^ー

 

仲村から今回の作戦内容を聞いた戦線の面々はえぇ…みたいな顔をしていた。言わずもがな、俺と遊佐も2日ほど前にしていた顔である。

 

「さて、作戦内容は理解したかしら?オペレーション開始はヒトマルマルマルからよ。あ、失敗したら全員一週間食事抜きだから。はい、かいさーん!」

「ちょちょ!いま大事なこと、サラッと言いましたよねぇ!」

 

この部屋にいる全員が仲村の一言にギョッとしたところに日向が立ち向かう。いいぞ!逝け!

 

「なによ?」

「なによ?じゃないですからー!なんで罰ゲームがあるんだよ!あと、一週間とか修行かよ!」

「だって、こうでもしないと貴方達真面目にやらないじゃない。だから、よ」

 

うーん、暴君。

 

「さて、質問はもうないわね?では、解散!」

 

正に鶴の一声と言ったところか。その一言を皮切りにゾロゾロとメンバーは出て行った。どう考えても失敗するとしか思えないんだよなぁ…。

 

「じゃ、遊佐さん、比企谷くん、いつも通りに宜しくね」

「…はい」

「…へい」

 

さーて、仕事するかー(遠い目)

 

「…比企谷さん、いつも以上に目が腐っていってます…」

 

言われなくても自覚してるわ…

 

———————————

〜作戦レポート〜

 

 結論として、今回の『オペレーション・ハイテンションシンドローム』は失敗に終わった。

むしろ、どこに成功する可能性があったのか聞きたい。一部男達による雑巾掛けリレー(全校舎)に始まり、ガルデモのライブ、食い溜めを狙った大食い、通信班による実況&解説etc。それをハイテンションでやってたというのだから、側から見ると、いや、どこからみても狂気でしかなかった。そして始まるNPCを含めた運動会。これ書いてて何が書きたいのかわからなくなるな。

 だが、狂気の甲斐あってか、仲村が予想をしていたように天使は動き出した(この時点で既に夜)。戦線メンバー全員で後を追いかけると、天使は重厚感たっぷりのでかい扉の中に消えていく。数々の犠牲のもと禁断の扉の先に入った私達の見たものとは…!

 

「何を書いているのですか?」

「いや、報告書を書こうと思ったんだが、1週間前の記憶とかほぼほぼ無くてな。とりあえず、書けるところまでは書いたんだが…」

 

途中でやる気が失せてしまった。

 

「誰の得にもならない作戦でしたね…」

「いや、ほんとにな」

 

2人で小さくため息をつく。

とはいえ、天使というか立華の趣味がガーデニングということがわかった。だからなんだという話でもあるのだが。

 

そう、立華が入っていった扉の先にあったのはまさかの農園だった。そこで野菜などを育てていたのであった。そして、そこに来た理由は「水をやり忘れていたわ」というね…。立華ってかなりマイペースだね…。

 

そこから始まってしまった仲村による戦線メンバーへの断食宣言。

そして、1週間の断食がようやく終わったばかりだというのに、仲村から報告書書いといてー、と投げやりに仕事を振られた俺ガイタ。そして俺は社畜よろしく降ってきた仕事をやっていたのだ。

 

「お疲れ様〜。どう?報告書は書き終わったかしら?」

 

一息つき終わると見計ったタイミングのように仲村が作戦本部へとやってきた。

 

「これが報告書?」

「あっ…」

「…………ふーん」

 

やっべ。割とふざけてたものが手に渡ったんですけど…べーわ。マジベーわ…。何語だよこれ…。

 

「所々面白い書き方するわね。比企谷くん?」

「い、いや、そりぇは遊びて書いたというか、ふざけてたというかでふね…」

「……ま、今回はいいわ。さて、次の作戦でも考えますか〜!」

 

俺の報告書を一読し、椅子に座った仲村が体を伸ばす。発育いいんですね…。おっと、ナニモミテナイデスヨ。

 

「そういえば、そろそろテスト期間かしら?」

「そうですね。来週から始まります」

「え、なに?テストとかもあるのか?」

「そりゃあ、あるわよ。遠出するイベント以外は大体あるわ。この学校。…そうか、テストか…」

 

ああ〜なんか閃いたって顔をしておりますよ。めんどうだなぁ。

 

「そんなに顔に出さなくてもいいじゃない。今回は比企谷くんたちはお休みで実働部隊だけにするつもりだから安心していいわよ」

「マジで?それは助かるな」

「…まあ、正体を掴んでる比企谷くんからしたら嫌なことだとは思うしね」

「?なんか言ったか?」

「いえ、何でもないわ」

 

いやまぁ、難聴系主人公ではないから聞こえてるんですけどね。

「正体を掴んでる俺からしたら」?

この時、おれはこの言葉の意味を察しつつも、見て見ぬ振りをしたのだった…。後悔すると分かっていても…。

 

 

 

「作戦に参加しないからと言って通常の業務はあるからしっかり働くのよ」

「うわーい。社畜だーい」

 

 

 

 

 





そこら辺に私のやる気落ちてませんでした…?


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