リリカルな世界の転生者 (鈴木颯手)
しおりを挟む

第一章 ベルテルミーニ王国国王偏
第一話 プロローグからの転生


「おめでとうございまーす!」

 

…は?

 

「貴方は運がいいですよ!」

 

…いや何が?

 

「貴方には転生させることが決定しました!行き先は魔法少女リリカルなのは!特典は今からサイコロを降って決めます!因みにサービスで123が出た場合もう一回降っていいですよ!」

 

…いやあの、ここは?

 

「もう!降らないんですか?ならかわりにわたしが降りますよ?えい!」

 

「えっと、10が出たので早く決めちゃってください!」

 

…サイコロに10は無かったような。

 

「細かいこといってると魂を消失させるよ?」

 

…いや、その前にここは?そして貴方は?

 

「ん?言ってなかったっけ?ここは神界。私は貴方の言う神様。分かった?」

 

…大体は。

 

「それじゃあ、早く決めてね!10個!」

 

…えっと、先ずは好きなようにウイルスや細菌を作る能力。後スカリエッティの頭脳及び篠ノ之束の頭脳で。

 

「ふむふむ、本当はこれで四つだけどサービスでまとめて二つにしておくよ」

 

…それじゃあ、最初の細菌等を魔法で使えるようにしてください。

 

「成る程、後は?」

 

…魔力を大量に下さい。後は身体能力の上限なしで。

 

「おお!どんどんチートになってくね!残り五つは?」

 

…そうですね…。それならバトルスピリッツのスピリットを召喚できるようにしてください。勿論言うことを聞くようにしといてください。

 

「これで召喚系でも無敵になったね!残り四つ!」

 

…ならば転生するときは古代ベルカよりずっと前、オリヴィエやクラウスが存在する前の時代にしてください。

 

「おやおや?それだと原作キャラと会えないけどなにか考えがあるんだね!?いいよ!後三つ!」

 

…マギのように自然のものから魔力を取れるようにしてください。

 

「分かった!でもそれだと不便だから空気中の魔力を取れるようにするね!後2つ!」

 

…今まで言った特典に最初から耐えられる肉体を。勿論人間でお願いします。

 

「成る程、それなら最初から無敵だね!最後のひとつは?」

 

…それなのですがとっておくことはできますか?

 

「できるよ!決めたときに心で呼び掛けてくれればいつでも対応するよ!」

 

…わかりました。俺からは以上です。

 

「それじゃあ、早速転生させるけどひとつ教えておくね!」

 

「君の他にも転生者は存在するよ。ほとんど踏み台みたいなくせに変な特典ばっかり頼むからいやになっちゃった。因みに他の転生者にこの事は伝えていないから。転生者は君を除いて五人!この内二人は心優しい娘だったけど三人は踏み台みたいなやつだから。あっちでも頑張ってね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…あの転生から既に十六年たった。

 

俺は小国の王子に転生した。家族は国王の父、女王の母、王子の俺、第二王子の弟、王女の妹だ。

 

この王国は小さいが豊かな土地のお陰か国力は高い。そのため他国はかなりこの国を警戒している。

 

次に家族の詳細だな。因みにまだこの時代は魔法何てもんは空想のものだと考えられている。

 

父→小国の国王。優秀な人物で国を発展させている。母と中がよく政略結婚にも関わらずいまだに新婚気分でいる。高町夫妻みたいだ。

 

母→小国の女王。政治などは出来ないが結構な武道派で大の男よりも強い。父ととても仲がいい。

 

弟→第二王子。なにかと俺に対抗意識を燃やしている。悪い意味で。もし俺が国王になった場合内乱が起きかねない。それなのに愚将。

 

妹→聡明で俺によくなついている。弟を嫌っておりなにかと弟が俺にいちゃもんをつけてくる度に追い払ってくれている。

 

俺→小国の王子。転生者。いろんな特典をもらった。自分で言うのもなんだがマッドサイエンティスト、外道の言葉が似合う性格をしている。しかし、俺はそんなものは表に出さないため表向きは良くできて心配りのできる将来有望な王子になっている。国王になったら国を発展させたいと思っている。

 

以上が家族構成だ。とりあえず現在は秘密利に作った地下研究所で細菌やウイルスの開発にいそしんでいる。詳細は次話にでもやるとしよう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 ウイルス、細菌

話がポンポンかける。かけるうちに書いておこう。


現在俺は地下研究所でテストを行っていた。ここは俺の特典の確認やウイルス、細菌の開発を主とした施設だ。しかし、この施設の存在は俺の教育係りの白董しかしらない。

 

いい忘れていたがこの小国はなぜか西洋風と東洋風の名前がごっちゃになっている。因みに俺の名前はハクア・ベルテルミーニって名前だ。

 

本当は白董にも黙っておくつもりだったがつくって直ぐにばれた。

 

ここで白董の紹介をしよう。年は俺よりひとつ上の男。名前のとおり白い髪に白い肌。目は赤い。気配を消すのがうまくいつのまにか後ろにいることもしばしば。俺の命には基本忠実。今まで逆らうところを見たことはない。ウイルス、細菌の実験のための人間を直ぐにつれてきたり手伝いをしてくれる。

 

「ヒィ、や、やめろ!やめてくれ!」

 

現在俺は試作ウイルスを投与した人間を召喚したスピリットの前に出していた。

 

召喚したスピリットはノーザンベアードだ。それと気付いたのだがスピリットのコストが高ければ高いほど消費魔力も高いことが分かった。軽減コストは関係なく純粋にコストのみなので最強のアマテラスドラゴンより高いコストのやつもいる。いつかはアマテラスドラゴンを召喚してみたいぜ。あいつの能力的にこの辺では出せないが。

 

「い、嫌だ、死にたくない!た、助けて」

 

「行け」

 

俺は助けを乞う男の声を無視してノーザンベアードに攻撃命令を出した。攻撃命令を受けたノーザンベアードは咆哮をあげて突進していく。それを見て逃げる男。男を拘束していないため全力で逃げるが恐怖からかうまく走れていない。

 

…さて、男に射ったウイルスの効力が出てくるまで地下研究所の紹介をしよう。

 

この地下研究所は王城のかなり深いところに存在している。蟻の巣のようにいりくんでおりしらないものが入ったら生きて出られないほど複雑だ。

 

そして今いる実験場はかなり広く作ってある。俺はその上に設置された部屋で様子を見ている。因みにここの防衛はアシガリューが行ってくれている。コストが低くてそれなりに力があるからな。

 

おっと、そう説明している間についに男がノーザンベアードに捕まったようだ。足を捕まれ逆さまに持ち上げられている。人よりも高い身長と力を持つノーザンベアードだからできる芸当だ。最もコストが高いスピリットは皆できると思うが。

 

「い、嫌だ、た、助け…ウガ!?」

 

ん?ついに始まったか?男は苦しいのか自分の喉を閉めながら奇声をあげている。俺はノーザンベアードに傷つかないように下ろすよう命令して成り行きを見守る。

 

男は暫くは喉を閉めていたがやがて顔を引っ掻き始める。それで血や肉が飛び散るがやめない。やがて力尽きたようでピクリとも動かなくなった。

 

しかし、暫くするとむくりと起き上がり呻き声のような声をあげて実験場をさ迷い始めた。

 

実験は半分成功かな。これを見れば皆もわかるとおりゾンビを作ってみた。しかしただのゾンビではない。俺はこう見えても表向きは優しいからな。苦しまないようにしてやりたい。

 

そこで俺は【龍が如く of the end】に登場したタナトスを作っている。あれは感染者に甘美な死を与えるそうだ。俺は間違ってもごめんだが。

 

しかし、今の男はどう見ても苦しんで死んでいったな。ゾンビは出来たが甘美な死を与えることはできなかったようだ。

 

そしてもうひとつの目的を果たすべくマイクに口を近づける。因みにノーザンベアードを既に戻している。

 

「止まれ」

 

俺の声を聞くとゾンビはピタリと行動を止めた。次に歩けと言うと歩きその場を回れと言うとおぼつかない足取りでその場を回り始めた。

 

俺が行ったのはゾンビが命令を聞くようにしたのだ。これなら後は改良すれば兵士として使うことができる。

 

俺はとりあえずは成功と考えてスピリットを召喚してゾンビをすみも残らずに燃やし尽くした。失敗作は必要ない。

 




スピリット紹介
ノーザンベアード
コスト3
軽減コスト2
白のスピリット
系統・巨獣、星魂
レベル1BP3000(1)
レベル2BP5000(2)
レベル1、レベル2『このスピリットのブロック時』
ボイドからこのスピリット上にコア1個を置く。

アシガリュー
コスト3
軽減コスト2
赤のスピリット
系統・竜人
レベル1BP3000(1)
レベル2BP7000(3)

どちらのカードもよく使っていたカードです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 世界情勢、パーティー、宣戦布告

さて、前回は地下研究所を紹介したが今回はこの世界の情勢について記しておこう。

 

先ず小国である父が治めるベルテルミーニ王国は大陸の北東に存在している。その南側に泊という中国みたいな国がある。勿論中国みたいに巨大な国家だ。

 

大陸の反対側にはアルテミラ皇国という大陸最大の国家が存在している。他にも中小国家がちらほらとある。

 

ぶっちゃけリリカルの面影は全くない。魔法を使っていてもその事を忘れるときがあるよ。

 

今のところ大陸は平穏だ。ここ数十年滅びたくには存在しないらしい。

 

しかし、やはり中国みたいな国のせいか属国となった国はあるらしい。

 

ベルテルミーニ王国にもいつその魔の手が来ることやら。

 

しかもその泊からパーティーの誘いが来ていた。

 

父は今後のためにもそのパーティーに出席するらしい。そのため俺も行くことになった。弟?弟はお留守番だ。だが妹は連れていくぞ。いた方が楽しいからな。

 

「にいさま、私はパーティーが楽しみです」

 

俺の妹、ミーナ・ベルテルミーニは笑顔でそう言った。…天使だ。

 

「俺も楽しみだよ」

 

「にいさま、ダンスは一緒に踊りましょう」

 

「いいぞ」

 

「ありがとうございます」

 

そう言ってミーナは俺に抱きついてくる。…天使だ。

 

「…若、鼻血が出ています。みっともないですよ」

 

白董、邪魔するな。今いいところなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大陸で二番目にでかい国家のパーティーとあってとても豪華であった。このパーティーの会費だけでベルテルミーニ王国の一年の国家予算分は使っていそうだな。

 

「そなたがハクア・ベルテルミーニであるか」

 

そんな俺はとある男に話しかけられていた。見にまとった衣装が全然似合わないデブは偉そうに聞いてきた。俺としては今すぐ殴ってやりたい傲慢さだがそれはできない。こいつは泊の次期皇帝だからだ。何で俺みたいな奴に話し掛けてきのか不明だが。

 

「はい、そうでございますが皇子殿下はどのようなご用件で?」

 

「言わなくても分かっておろうに。これにサインをしろ」

 

そう言って差し出してきたのは一枚の紙。俺はそれを受け取り内容を確認すると皇子に返した。

 

「お断りします。これは我が国に傘下に入れという文章でしょう?ならばお断りします」

 

内容は属国になることを了承する紙であった。誰がそんなのにサインをするもんか。俺はベルテルミーニ王国を大陸で唯一の国にしたいのだ。

 

「貴様、分かっておるのか?我が国がひとたび動けば貴様のような小国なぞ直ぐに蹂躙できるのだぞ?」

 

「ええ、分かっています」

 

表向きはこいつのいうとおり蹂躙される運命にある。しかし、それはあくまで表向きの話だ。

 

「なら「しかし、我が国は貴国を恐れる理由がありませんからな。そのような運命にはなりませぬよ」き、貴様!我が国を侮辱するのか!?」

 

「おや、私は侮辱などしておりませんぞ?事実をもうしたまでです」

 

そう言うと皇子は顔を真っ赤にして戻っていった。俺は直ぐに父と合流。ことの顛末を話し急いで会場をあとにした。侮辱した以上殺そうとしてくる可能性が高かったからだ。

 

しかし、苛ついたからとはいえこれでミーナと踊ることは出来なくなってしまったな。

 

俺はミーナのそばにより話し掛ける。

 

「すまないミーナ、俺のせいでミーナと踊ることは出来なくなってしまった」

 

「構いませんよ、にいさま。私は国を思って言動したにいさまを最高に誇らしいと思っています。それにダンスは城に戻ってからでも行うことはできます。最もパーティーのような豪華さはないでしょうが」

 

「そうか…。なら戻ってからでも一緒に踊ろう」

 

「はい!」

 

ああ、やっぱりミーナは天使だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三日後泊から宣戦布告の使者が来た。そのとき再び傘下の話を持ち出してきたが父が突っぱねたため戦争開始となった。

 

今回は俺の蒔いた種でもあるからな。泊の連中の土肝を抜かしてやるぜ。

 

「若、ほどほどにお願いします」

 

いつのまにか後ろに現れた白董が注意してくる。もうこのやり取りも慣れたな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 戦争前夜

大分遅くなりました。やっと更新します。


宣戦布告の使者が帰ってから数日後泊は軍の編成を行っているという情報が入ってきた。更に回りの属国にも命令をして軍勢を送ろうとしていた。

 

総勢五十万。これは泊のみの単位である。最も増長している可能性は高いがそれでも驚異である。ベルテルミーニ王国の軍勢は五万がいいところだな。

 

普通ならこんなのには勝てるわけがない。だが、俺に言わせればこれはとてつもないチャンスでもある。

 

この機会に生産したウイルスの効果を試してやるよ。

 

先ずはこのウイルスを敵軍に広める必要がある。これは敵軍に潜入して井戸にでも蒔いておけば後は簡単に広げってくれるはずだ。思い立ったが吉日。早速行動に移すぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~とある泊の兵士の独白~

 

今回の遠征は楽なものだと聞いていた。そもそもの発端がベルテルミーニ王国の王子が泊の皇子に横暴な態度を取ったことが原因らしい。

 

俺はそれを聞いてその王子のことをバカだなと思いつつもこれからどうやって手柄をたてるか考えていた。

 

今回動員された軍勢は五十万。これだけの軍勢が編成されるのは始めてだ。手柄が何時ものようにとれない可能性もあった。

 

俺はそう考えつつ軍の宿営地に建つ酒場で今後のことを考えていた。軍の編成も既に終わり明日の昼頃に出発となっていた。それまでに英気を養おうと考えていると酒場の隅に人だかりがで来はじめた。俺も気になって近づいてみると一人の兵士が苦しそうに喉を閉めていた。

 

俺はたまらず近くの兵士に聞いた。

 

「お、おい。いったい何があったんだよ!?」

 

「それが分からねぇんだ。こいつは下戸だから一人水を飲んでいたんだが急に苦しみだして今に至っているんだ。医者は呼びに行った奴がいるからもうすぐ駆け付けてくるだろうがこの調子だとそれまで持つか」

 

そのときそんな話をしたためか苦しんでいた兵士が意図の切れた人形のように動かなくなった。

 

「お、おい。死んだのか?」

 

「医者はまだ来ないのか!?」

 

「誰か見てやれよ」

 

そう言い合っていると一人の男が倒れた兵士に近づいていった。恐らく友人なのだろう。

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

男はそうこえをかけるが兵士は反応しなかった。

 

やっぱりしんでんじゃねぇか?と回りの兵士が騒ぐが倒れた兵士は呻きながらも立ち上がった。

 

何だ、無事だったのかと思ったが次の瞬間だった。

 

「ヒィ!?何するだ!?や、やめろ!?」

 

兵士が男に噛みついたのだ。よく見ると噛みついた兵士の顔は青白く目は赤く光っていた。

 

「お、おい。何やってんだ!?」

 

「と、止めろ!止めるんだ!」

 

回りの兵士たちは慌てて押さえにかかるが驚くべき力で振りほどき噛みついていく。

 

噛みつかれた兵士たちは全員喉を抑えながら苦しみに耐えるように身をよじっては動かなくなり少しすると起き上がり他の兵士たちを襲い始めた。酒場は一瞬で地獄と化した。

 

俺は運よく酒場から逃げ足すことに成功して脇目もふらずにただ走り続けて兵舎のところまで一気に走ってきた。

 

遠くからは人の怒号や悲鳴が聞こえてくる。

 

今はとにかく遠くまで逃げるべきだろう。違反行為だがあれを見てもここに留まる気にはなれない。自分の命は何者にも変えられない。

 

荷物などは惜しいが今はこのまま逃げることを考えよう。そう思い再び走ろうとしたとき、

 

俺の視界が回った。

 

「…は?」

 

口からは間の抜けた声と共に大量の血。朦朧とする意識の中前方をよく見ると少し離れたところに俺の下半身がそしてその奥には不気味な紫に輝く鎧を来た騎士の姿であった。

 

俺はそれを見た瞬間意識を手放した。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 始まらない戦争

今回は短いです。


俺は泊の兵士が混乱するさまを近くの丘から見ていた。ここにも兵士はいたが舜殺させてもらったよ。

 

しかし、端から見ていると泊の乱れっプリは面白いな。

 

さて、既に第一体目のゾンビが発生して数分が経過している。俺はその間にスピリットを複数召喚して更に混乱させていた。

 

そしてこのスピリット召喚についてだが最近分かったことがある。ある程度バトスピのルールが入っていることだ。

 

先ずはライフ。これはまんま俺の命だが流石に五回で死ぬってことではなさそうだ。次にリザーブ。これは俺が持つ魔力量。スピリット召喚はここから排出して召喚するみたいだ。だから空っぽになれば召喚は出来ないがその前に召喚したスピリットは健在ということだ。バトスピはターンの度に増えるが俺の場合は空気中から取り込むことみたいだ。

 

だからスピリットが破壊されて使った魔力はコアにいきそれが自然と回復する仕組みとなっているようだ。だからうまくいけばコアブーストのスピリットを召喚すればそれで魔力が入るかもしれないってことだ。やったことはないが。

 

「…若、そろそろベルテルミーニ王国の奇襲部隊が到着します。この場を離れましょう」

 

もうそんな時間か。ならいそいで戻らなくてはな。

 

当然ながら白董意外に俺の能力を知るものはいない。だから俺は父に奇襲をかけるべきと提案したのだ。その結果が今向かっている奇襲部隊である。この奇襲部隊は確実に成功させるために屈強なもので選ばれている。他にも決して声をあげないように言明されているも混乱している今なら殲滅することができるだろう。

 

今回ばらまいたゾンビウイルスは制限時間がある。毒が回ってから数十分もすれば毒が消えてただの死体となる。因みウイルスに感染した死体は病原菌の発生を抑制してくれる効果を持っている。死体処理って大変だからな。

 

更にゾンビにある特性をつけた。それは人の声に反応するようにした。息づかいには反応しないが声には反応するため騒げば騒ぐほど被害は出るようになっている。だからこそ奇襲部隊には声を出させないようにした。だからゾンビも勝手に朽ち果てるか奇襲部隊に倒されるだろう。

 

俺はスピリットを回収すると白董と共にその場をあとにした。結果は見ずとも明らかだしな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後泊の使者が来た。その使者の顔は青白く生まれたての小鹿のように震えていた。

 

まあ、格下と思っていた国が五十万喪の大軍を奇襲とはいえ全滅させたんだからな。因みその半分以上はゾンビとスピリットのお陰である。

 

泊の使者は震えながらも皇帝からの言葉を伝えた。

 

要約すると俺達が悪かったから攻め混むのは勘弁して!賠償金たくさんあげるから!って内容だった。

 

父としても泊とは友好関係を保ちたいのかその条件を受け入れた。賠償金は後日纏めて送るらしい。

 

取り合えずこれで泊は問題ないな。いくら大国とはいえ五十万もの兵力の損失は痛いはずだ。少なくとも数年は大きくは動けないだろう。それまでにウイルスの改良を進めて余裕で相手にできるまでにしておかなければ。

 

それに今回のウイルスは急造品だったからまだまだ改良する必要がありそうだしな。

 

ならさっそく行うとするか。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 あれから早六年

泊のぼろ負けから六年がたった。あれから特に何事もなく平和なときが過ぎていった。

 

この二年で更にウイルスはパワーアップした。龍が如くof the endのタナトス以上のウイルスが出来た。これはタナトス改とでも読んでおくか。更に特典選びの時から考えていたことも実行に写せた。

 

更に俺はこの地下研究所を一つの生物にすることにした。参考にしたのは鬼武者に出てくる幻魔だ。

 

そのためタナトス改の他に幻魔ウイルスを開発した。これを投与されると幻魔…と名付けた俺に忠実な化け物に早変わりする。

 

これを使いスピリットの何体かを幻魔として体を改造して地下研究所と一体化させていく。そしてそれらの意識を統合して地下研究所の中枢に設置する。これで地下研究所は幻魔となった。更に何かあったときのために地下研究所の中には人型の幻魔やタナトスに感染したゾンビが徘徊しているため一種のホラーゲームのような状況になっている。

 

さて、話は変わるが既にこの世界に転生して早22年が経過している。ぶっちゃけ前世を忘れるほど今の生活を満喫している。しかし、自分でいうのもなんだがこのままでは原作どころかベルカにすら行き着く前に死んでしまうだろう。それではいけない。そこで俺は考えた。まあ、特典選びの時に思い付いたことなんだが。

 

これをすれば俺は人間では無くなるだろう。しかし、俺の頭の中でやってみたいという思いが強いためこれを実行しようと思う。だが、今はそのための切っ掛けがない。それさえあれば実行に写せるのだが。

 

…まぁ、まだ行う必要もないから別にいいんだが。それより今はベルテルミーニ王国のことを考えなくては。

 

実はついに父が退位を宣言してな。第一王子の俺がベルテルミーニ王国の国王になることが決まったんだ。

 

いつも通り弟が騒いだが誰一人としてそれに耳を傾けるものはいなかった。

 

ミーナは自分の事のように喜んでくれたが俺は少し寂しかった。ミーナも既に17歳。泊との友好関係のために俺が喧嘩を売った皇子に嫁ぐことが決まったのだ。嫁ぐ日は俺が即位してから一週間後。俺としてはあんなやつのところに嫁いでいってほしくはないが今更変えることもできなかった。

 

だからこそそれまでは一緒にいようと決めていた。いまだに俺になついてくれる妹のために俺は出来ることは何でもやろう。

 

しかし、そんなことを考えてから数日後。俺はミーナと戯れていると

 

「おい!クソハクア!」

 

そこへ弟がやって来た。昔は兄と読んでいたが今ではクソをつけて名前呼びだ。俺としてはかなりむかつくが何時もなら無視していれば勝手に帰っていくが今回は違った。

 

「ふん、そんな女とつるんでいるなんて、やはりクソハクアに国を任せていてはこの国はよくならないな」

 

俺のことはともかく大切な妹を馬鹿にされてはさすがの俺も切れる。

 

気付いたら俺は弟の顔面を殴っていた。殴られた弟は見事に吹っ飛び壁に激突して崩れるように床に倒れた。感触からして顔の骨は折れてる可能性があった。

 

「がぁ!い、いきなり…な、…にするん…だ!」

 

弟は口からどきどき血を吐きつつ俺を睨み付けてくるが俺はそれに構わず弟の腹を思いっきり蹴りあげる。

 

「グハァ!」

 

弟は見事に浮いて再び壁にぶつかり床に倒れる。

 

「…あ、ああ!…」

 

弟は声を出せないのか呻き声をあげる。俺はその様子を見下しながら口を開く。

 

「…次はないと思え」

 

俺はそれだけ言うとミーナをつれてその部屋を出た。ミーナはいきなりのことで対応できていなかったのか呆然としていたが俺が手を握るともとに戻った。

 

俺はやる必要はないと思いつつも近くの兵士に弟のことを言って手当てするように頼んだ。そして今回のことも何時もの弟の様子を知っている父なら不問とするだろう。

 

案の定父からは特に罰則などは無かったが口頭での注意を受けた程度だった。

 

弟はそれに不満だらけであったが父には逆らえない弟は俺を睨むだけで終わった。

 

こうして俺と弟の確執は更に大きくなっていったのだった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 近づく陰

「クソ!ふざけやがって!」

 

ベルテルミーニ王国の居城のとある部屋でベルテルミーニ王国第二皇子であるサクヤ・ベルテルミーニは怒り狂っていた。その怒りはすさまじく元はきちんと整頓されていたであろう部屋の装飾品は無惨にも崩れ去りガラクタと化していた。

 

サクヤがなぜ怒っているかは言うまでもない。

 

「あのクソハクアめ!!俺に恥をかかせやがって!」

 

幼い頃から何でも出来る兄と比べられた所為かサクヤはかなりひねくれた形で成長した。そのため何かと兄に張り合う弟になったのだ。しかもそれはかなり悪い方向に張り合うためサクヤの父と母もかなり呆れていた。それでも呆れるだけですんでいるのは二人の息子という訳もあるのだが。

 

「クソ、あいつが国王になっちまったらこの国はそれこそ終わりだ。何とかしないと…」

 

そして酷いことに自分は兄よりもすべてにおいて優れていると思っており兄が国王になればこの国は滅亡するからなんとしても自分が国王にならないといけないと本気で思っていた。

 

「先ずは父に相談…、イヤ、そもそもあいつを国王にすると言い出したのは父ではないか。ならば無理だな。となると将軍達に言ってみるか?」

 

ぶつぶつと一人話していると部屋の窓が少し開いた。

 

「…ん?風でも吹いたのか…」

 

サクヤは最後まで言えなかった。窓のところには小柄の人がいたのだ。

 

「…サクヤ・ベルテルミーニ様でございますな?」

 

「だ、誰だ!この俺に許可なく近づくとは!」

 

サクヤは喚くが小柄の人はいに返さずに口を開く。

 

「我が主、泊添和様より御言葉を預かっております」

 

「は、泊添和だと…!?」

 

泊添和とはハクアが六年前に喧嘩を売った皇子である。

 

「ハクア・ベルテルミーニが国王になるのは可笑しいと思いませんか?もし、あなた様がその気なら我ら泊は喜んで加勢させていただきます」

 

「…それで、貴様らは代わりに何を望む?見返りを求めぬほど愚かではないだろう」

 

「我らは泊を中心とした世界の構築を目指しています。サクヤ様もそれに賛成していただければ」

 

「ふん、つまり貴様らの傘下に入れと言っているものであろう」

 

しかし、とサクヤは続ける。

 

「確かに泊が後押ししてくれればこれほど頼もしいものはないが大丈夫なのか?泊添和はあくまで皇子だ。現皇帝は反対するのではないのか?」

 

泊の現皇帝は六年前の戦争以来ベルテルミーニ王国と同等の友好関係を築いてきた。そのため泊添和の行為は許さないと思われた。

 

「だからこそですよ。泊添和様は実力行使も辞さないと考えております」

 

「…クーデターか」

 

「サクヤ様にも同時期にクーデターを起こしていただきたいのです。日程はハクア・ベルテルミーニが即位する当日でどうでしょうか?」

 

「成る程、国王に即位させて一気に叩くつもりか。よし、こちらもそれまで準備を怠らないようにしよう」

 

「ご賛同していただき感謝しています。それでは、そのときまで」

 

そう言うと小柄の人は音もたてずにその場をあとにした。

 

サクヤはしばらくその場にとどまっていたがやがて口を歪めて笑い出した。

 

「フハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!ハクアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!貴様の即位まで後一週間!!!!!!貴様の命もそこまでだァァァァァァァァァァァァ!!!!!!貴様を一度でも即位させてやるのだ!!!!!!感謝するんだな!!!!!!フハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!」

 

サクヤは笑い続ける。絶望に歪む兄の姿を想像して。

 

その笑い声は何処までも響くのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 即位。そして…

感想ありがとうございました。これからもガンガン更新していきます。


ついに俺の国王即位の日がやって来た。

 

俺はこの日のために作法などを完璧にこなせるようにしてきた。

 

弟はあれ以来絡まなくなったがあるとき弟の笑い声が聞こえるときがあった。一週間くらい前だったかな?

 

「若、そろそろ向かいましょう」

 

「ああ、分かった。すぐに向かう」

 

俺はベルテルミーニ王国の正装を着るために居た部屋を出て王の間へと向かう。

 

途中ミーナと出会った。

 

「お兄様、国王即位おめでとうございます」

 

「おいおい、まだ俺は国王になってはいないぞ?」

 

「それも時間の問題ですよ。後数時間もすればお兄様はベルテルミーニ王国の国王です」

 

ミーナは悲しそうに言った。

 

「…国王になって最初の仕事がミーナの結婚準備とはな…。悲しいものだ」

 

「お兄様、私はたとえ泊に嫁いでも心はベルテルミーニと共にあります」

 

そう言ってミーナはかた膝をつきこの世界の目上に対する例を行う。ミーナは式典参加のため純白のドレスを着ている。ミーナのその姿はとても洗練され女神のようであった。

 

「…ミーナ、ここでいうのは構わないがあっちでは絶対言うなよ?泊の連中がそれを大義名分に攻めてくるかもしれない」

 

あいつらの神経はかなり可笑しいからな。さすがこの世界の中国。そうなると位置的にここはモンゴルにでもなるのか?もしくは後金か。

 

どちらにしろ俺はこれから大陸統一を目指していくのだ。取り合えず今後は兵士と農民を分けていくか。別に兵士がほどんどいなくなっても問題はない。敵領でウイルスをばらまきゾンビや幻魔化させれば最強の軍団が出来る。今は真・鬼武者に登場した桜を開発中だ。勿論使っている人間は悪党のみだ。この時代は至るところにスラムが存在している。この王都でもだ。そこには埃を叩けば何かしらの罪状が出てくる。若しくは金に困って逃げ込んできたものか。その辺だ。

 

いまだ桜は上手くいっていないがそれも時間の問題だ。とにかく、今は国王への即位に集中するとしよう。

 

「それじゃあ、ミーナ。また後でな」

 

そう言って俺はミーナと別れて王の間へと足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

国王への即位は特に何事もなく終えることが出来た。

 

弟が何かやって来るのではないかと思ったが静かにしたままであった。本当に一体何があったんだ?最近大人しすぎでしょ。何かたくらんでいるのかねぇ。

 

そして即位が無事に終わり国王即位パーティーが行われた。

 

パーティーにはベルテルミーニ王国の重臣のみならず泊やアルテミラ皇国からもきていた。まぁ、ベルテルミーニ王国は大きくなったからな。

 

父は泊と同盟を結んだからであろうか?積極的に領土を拡大して現在ベルテルミーニ王国は泊と同盟を結んだときの三倍以上の領土になっていた。そのため大国のひとつとして知られるようになったのだ。

 

そんなわけで国王になった俺の元にたくさんの人が賛辞を送ってくれるがあまりの多さに少し辟易している。

 

その挨拶も終わりを迎えたとき弟がきた。

 

「なんだサクヤ。何か言いたいことでもあるのか?」

 

「…」

 

しかし弟は何も答えない。本当にどうしちゃったのかねぇ。

 

「…国王即位おめでとう」

 

「…おいおい、本当にどうしたんだサクヤ?お前がそんなことを言うとは思わなかったぞ?」

 

俺はてっきり罵詈雑言でも言って罵ってくるのかと思ったよ。

 

弟はそれに答えず少しずつ俺に近づいてくる。

 

「…俺が賛辞をいう理由はただひとつ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日があんたの命日になるからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間パーティー会場に乾いた音が響いた。

 




~ハクアの小言~

ハクア「さぁ!いきなりですがただいまよりこの俺ハクア・ベルテルミーニが行うラジオ番組【ハクアの小言】!司会は勿論このハクア・ベルテルミーニだ!」

白董「メインパーソナリティーは若とこの私白董が行わせていただきます」

ハクア「さてさて、この番組は毎回ゲストを呼んではなんやかんや話すぞ!最初のゲストは作者本人だ!」

作者「どうも~」

白董「よろしくお願いします」

作者「白董はとても礼儀正しいね~、それに比べてハクアはなってないね~」

ハクア「なんだと!?タナトス改撃ち込むぞ!」

作者「ちょ!?それはない!俺がゾンビになったら一体誰がこのはなしすすめんのさ!」

白董「若が書いてくださると思いますよ」

作者「そっか、それなら安心…って安心出来ないよ!」

ハクア「うるさい。さっさと死ね」

作者「ギャァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

ハクア「ったく、作者のせいでめちゃめちゃだな」

白董「原因は若ですが。それより時間が来てしまったようです」

ハクア「む?そうか。…さて!第一回はめちゃめちゃになったが次は期待していてくれよ!それじゃあ、またな!」

作者「」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 クーデター

突然だがこの世界にも最近銃が現れた。

 

元々火薬は出来ていたため時間の問題とは思っていた。

 

しかし、ベルテルミーニ王国では未だ存在しない未知の兵器だ。

 

だからこそ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弟の放った銃弾は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狙った心臓にはいかずに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の左肩を撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サクヤ様一体何を!?」

 

弟の突然の行動にベルテルミーニ王国の重臣達が混乱する。

 

それもそうだろう。今までは喚くだけで俺や父に直接、間接的に手を出したことはなかった。そもそも、弟が無能すぎて今代は有能で忠義に厚いものが揃ったベルテルミーニ王国で弟にすり寄るもの自体が存在しなかった。そのため弟は放置されていたのだ。それが今に来て仇となったのだ。

 

弟は再装填しつつ大声をあげる。

 

「これよりベルテルミーニ王国の国王は俺がなる!ベルテルミーニ王国は泊の一員としてその名を歴史に刻んでいくこととなる!」

 

成る程、泊が近づいていたか。俺は撃ち抜かれて使い物にならない上に激痛の基となっている左腕を抑えつつ少しずつ弟から距離をとる。瞬間俺はパーティー会場の裏扉まで一気に走ると裏扉を蹴りあげてパーティー会場から飛び出るとそのまま横に飛ぶ。

 

弟は一瞬で俺に意識を向けて銃を撃ってくるが素人が撃つ銃等敵ではない。

 

「くそ!出てこい!」

 

弟が声をあげると正面扉よりベルテルミーニ王国の兵士が雪崩れ込んでくる。そしてそのままベルテルミーニ王国の重臣や前王の父を捕らえていく。アルテミラ皇国や泊の使者は護衛されつつその場を後にしていた。

 

俺は既に兵士が雪崩れ込んできたじてんでその場を離れていた。残念だが今の状態では弟を押さえることはできない。例え出来ても相討ちが良いところだろう。それでは泊の思うつぼだ。

 

俺はミーナや父を心配しつつ王城の守備についている白董と合流すべく足を進める。

 

やがて外の広間へと出た。

 

「若!無事でしたか!」

 

丁度よく白董も反対側から走ってきていた。

 

「白董!事情は後だ!地下研究所まで逃げるぞ!」

 

あそこは俺と白董しか知らない秘密の研究所だ。それに地下研究所内はタナトスによってゾンビ化したものや下等級幻魔が徘徊しているため並みの兵士じゃ生きて出ることはできない。俺と白董にとっては世界で一番安全な場所だ‼

 

「サクヤめ…、絶対に許さねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハクアは捕まえることはできなかったか」

 

食べ物やテーブルの破片が散らばるパーティー会場でサクヤは兵士の報告を受けていた。

 

「はっ!ハクアは我々が裏扉のところに来た頃には既に姿をくらましておりまして四方を探しましたが残念ながら見つけることはできませんでした!」

 

「血は垂れていなかったのか?」

 

「はい、血一滴すら落ちておりませんでした」

 

「どういうことだ?確かに左肩を撃ち抜いた筈だが…、まぁいい。城は完全に俺の支配下にある。この城から出ることは不可能だ」

 

そう言うと兵士に命令を下す。

 

「引き続きハクアを探し出せ!ハクアを捕らえたものに家老職を用意してやる!」

 

その言葉に兵士たちは我先にとその場を後にしていく。その様子を見ながらハクアは上を向いて考える。

 

「(泊も今ごろクーデターを起こしているだろう。成功していれば援軍をこっちに送ってくれる。そうなればこの国は俺のものだ)」

 

「ベルテルミーニ王国の支配も近い、か…。…フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

サクヤは一人笑う。そのみを狂喜に染めながら。

 




~ハクアの小言~

ハクア「さぁ!またまた始まりました【ハクアの小言】!」

白董「メインパーソナリティーは若と白董でお送りします」

ハクア「そして、今回のゲストは作品を越えて来てくれた」

三好義継「こんばんは。【三好義継の野望】の主人公三好義継だ」

白董「軽くあらすじでも」

ハクア「転生した→ここ戦国時代?→どうやら三好義継に転生したっぽい?→取り合えず夢のために天下統一を目指す。OK?」

三好義継「大体それであってるよ」

白董「まとめすぎのような気もしますが…」

ハクア「さて!今回はこの世界と現世の世界を比べていこうと思う!」

白董「わたしにはその辺分からないので若がお願いしますね」

ハクア「勿論だとも!」

ハクア「先ずは泊について言おう。これは時々いうように歴代中国王朝に似ている皇帝等がそうだな」

ハクア「更に中華思想と言うのが彼方にはあったがここではそんなものは存在しない」

白董「泊の皇族は自分達以外を見下していますからね」

三好義継「よくそんなんで今まで国が保っていたな」

白董「そうでもないですよ。その証拠に泊の勢力範囲は全盛期と比べてかなり差がありますから」

ハクア「全盛期は泊の南側を領地にしていたが今はその辺は無法地帯らしいからな」

三好義継「やはりどの世界でも衰退しない国は無いんだな」

ハクア「そうだな。俺も気を付けないと。統一したはいいが、秦見たいに始皇帝が死んだらすぐに滅亡ということは避けないとな」

三好義継「あれは中華統一の転換期でしたからね」

ハクア「フム、そろそろ話を戻して次にいきたいが時間が来てしまったようだな」

三好義継「仕方がないですよ。泊の事情を聞けた分良かったですよ」

ハクア「そう言ってもらえるとこちらも助かるよ」

ハクア「今回はここまでだが次回も引き続き世界の相違点について話していくからな!それじゃあ、またな!」

白董「また次の機会に」

三好義継「休載中だが【三好義継の野望】もよろしく頼むぞ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 呆気ない鎮圧

無事に地下研究所に逃げ込んだ俺は指令室に行きそこにあるモニターを見た。因みにこの指令室は龍が如くのサイの河原の部屋をイメージして作っています。

 

モニターには王城の重要な場所を中心に写っている。このモニターを写しているのは小型サイズのカメラ型の幻魔だ。カメラのレンズの回りに肉がついて虫のような羽と足がある。足は何処にでもくっつくため安定して映すことができている。更にこっちから指令を送ることもできる。

 

「…成る程、これでは外には出ることはできないな」

 

モニターのさきには要所を抑える弟側の兵士が映っていた。しかし、弟は一体この兵を何処から連れてきたのやら。

 

「…父やミーナは地下牢に閉じ込められているな」

 

別のモニターにはベルテルミーニ王国の重臣達や父、妹のミーナが閉じ込められている地下牢が映っていた。しかし、俺にとってはこれは好都合だ。

 

弟側の兵士は王城のみいるようで城下町のモニターには人の異変も感じられなかった。

 

そこで様々な所に潜ませている幻魔を一斉に行動させる。俺はいずれミーナを除き王国の重臣達を幻魔や研究の実験台にするつもりだった。そのために様々な所に潜ませていたのだがこのような形で使うことになろうとは。

 

モニターには行動し始めた幻魔の姿が映っていた。因みにこの幻魔は鬼武者に登場した三つ目をモチーフに作ってある。腕には鋭い鍵づめ、鷹のようによく見える目、そして確実に成功させる脳、俺の現在で作成できる技術で作った最高傑作だ。これからは【アサシン】と呼ぶとするか。暗殺特化型だし。

 

まだ弟側の兵士や弟は気付いていないのか呆気なくアサシンに切り殺されていく。その時に音を出さないようにして回りに見えないように殺していくのはさすがとしか言いようがないな。

 

そして、切り殺された兵士を発見した他の兵士によって伝わっていくがその頃には半数以上の兵士が殺されていた。

 

更にやつらの絶望は続く。

 

切り殺された兵士のそばにいた兵士が死んだはずの兵士に噛みつかれていたのだ。

 

アサシンの鉤爪にはタナトス改が含まれておりそれで殺された兵士は俺に忠実なゾンビ兵士となるのだ。このゾンビ兵士の特徴として頭部を大きく損傷しない限り絶対に死なないことと大人数人分の力。噛みつけばその場で兵士を増やすことも出来る。更に死んでいるため補給や休憩が必要ない。そのため永遠に歩き続けることが出来るのだ。まさに無敵の軍隊と呼べるだろう。但し、その移動力はゾンビのためすごく遅いのが欠点だが。これは追撃では使えないな。その辺は馬でも使うかそれに特化した量産型幻魔を開発するかだな。その辺は追々やっていくとしよう。

 

そんなことを考えているうちに弟側の兵士は弟を守る数人しか残らなくなっていた。そしてその回りを囲む元弟側の兵士だったゾンビ兵士。何も知らない弟からみれば裏切られたと思うだろうな。現に何か弟は怒鳴り散らしているが残念ながらカメラには音を拾うことはできないため怒りの形相しか拝むことができなかった。

 

「恨むなよサクヤ。恨むならクーデターを起こした自分か俺を殺せなかったお前の腕を恨め」

 

そして俺はゾンビ兵士に殲滅を言い渡す。ゾンビ兵士は弟やそれを守る兵士に群がり持っている槍や剣で切ったり突き刺していく。

 

カメラには泣き叫ぶ弟の姿が映っていたが本当に声を聞けなくて残念だ。

 

「俺を殺そうとしたお前を実験台に使う気にはなれないからな。原型をとどめないまでとはいかないが顔さえ無事なら大丈夫だな」

 

首から上はクーデターを鎮圧した証しとして使わせてもらおう。そうなれば俺への人望も少しは上がるだろう。

 

そう考えている間も弟の体は無惨に肉塊に変わっていくのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話 その後

新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


「…此度の反乱はベルテルミーニ王国の汚点となった」

 

王の間で玉座に座り俺は話す。

 

現在俺は国王として地下牢から解放した重臣達と話し合っていた。

 

「調べによると泊でもクーデターが起きたらしい」

 

泊の現皇帝は皇子のクーデターによって既に処刑されているらしい。一歩間違えれば今ごろ俺もまた神様に会いに行っていたかもしれない。

 

「現在はクーデターの混乱をおさめるために奔走しているらしい。恐らく混乱が静まるのは一月位だと思う」

 

今回のベルテルミーニ王国でのクーデターは泊が裏で関与していると思われる。弟は泊の支配下に入ると言っていたらしいし泊でもクーデターが起きたみたいだからな。最も、此方のクーデターは呆気ないほど素早く鎮圧されたが。

 

「此方には多少の混乱はあるが気にするほどのものではない。今のうちに国力を高め予想される泊との戦争に対処する」

 

「陛下、何故泊と戦争になると断言出来るのですか?」

 

重臣の一人が聞いてきた。俺はそれに答える。

 

「泊のクーデターの目的は反戦主義の皇帝を排除し泊が各国の皇帝として君臨するためらしい。そのため独立してなおかつ泊を一度は追い払っている我らを攻撃対象に選ぶのは当然と言える」

 

泊に攻撃された国は必ず戦争に負けて支配下に置かれることとなっていた。

 

しかし、ベルテルミーニ王国は単独で泊五十万の軍勢を文字通り全滅させたのだ。

 

元々現皇帝は臆病な性格であったためベルテルミーニ王国を恐れてむやみに攻めようとはしなくなったのだ。

 

その結果、泊では現皇帝に賛同するものと反対するものとで争いが耐えない状況になっていた。

 

「しかし、それも今回のクーデターで終わりを迎えるだろう。現皇帝の支持者は順次粛清されていきやがて元の泊が復活するであろう」

 

そうなれば泊が腐敗する(皇子側はそう考えているだろう)原因を作ったベルテルミーニ王国は攻めようとするだろう。

 

「弟のクーデターも泊が密かに手伝っていた可能性がある。泊がクーデターで混乱しているうちに我らは戦争準備を整えておくのだ」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

重臣達は一斉にこう垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、ああいった以上俺も準備を整えておくとするか。

 

先ずはクーデターで手に入れたゾンビ兵士に初陣を経験したアサシン。他にも手駒を用意しておくか。

 

それと銃の量産体制を整える必要がある。現在進行形でこの地下研究所は広くなっている。壁が幻魔のため直ぐに部屋を作ることが出来る。

 

ここに何人か人を入れて働かせるのもいいな。壁が幻魔で出来ているから監視にもなるし囚人を入れとけば脱出不可能の監獄が出来上がる。早速何人か手配させるか?

 

「陛下、既に極悪犯数人を監視しています。命令ひとつで直ぐにつれてくることが可能です」

 

相も変わらず白董はいい仕事をする。それなら直ぐにでも行えるな。後は銃の製造器具を作ることだな。いや、別に囚人なら他のものでも良さそうだな。一部天井を天窓にして農作物を作るのもありだな。他にも実験に使うことも出来るし色々使い道が出てくるな。

 

後は泊の混乱を促進させるために麻薬の類いも作らなくては。作ることは簡単だからな。作るのに一日。売って効果が出るまで三日。…難しいところだがなんとかなるだろう。

 

ならばどんな麻薬にするか?幸福感が出るのはもちろんだ。となると禁断症状は数個では現れないようにしてたくさん一気に服用すると現れるようにする。一回服用すれば効果が半減させれば直ぐにでもたくさん服用すると思われる。

 

取り合えずこんなものか?後はこれを量産して人を使って泊でばらまけばいいな。初回は無料にしてだんだん高く設定していけばそれなりに金も稼げるはずだ。急いで作るとするか。

 

クゥー。今から楽しみだぜ。




~ハクアの小言~
ハクア「新年明けましておめでとう!」

白董「新年明けましてお願いします。今年もよろしくお願いします」

ハクア「新年そうそう始めるぜ!ハクアの小言!」

白董「メインパーソナリティーは陛下と白董でお送りします」

ハクア「さて、今回は残念ながらゲストは来ていないのだよ」

白董「そうなんですか?てっきり今日も来ているものだと」

ハクア「皆正月休みさ。俺らがここで頑張っているのによ」

白董「それは言わない方がよろしいかと」

ハクア「そうだな。切り替えていくか!」

ハクア「さて!今回は前回の続きといくか!」

白董「前回は確か泊について行いましたよね?」

ハクア「ああ、今回は泊と同じく大勢力のアルテミラ皇国について説明しよう」

ハクア「アルテミラ皇国は二千年以上前から存在する最古の国だ。皇王が代々国を治めてきたがその勢力は年々増していっている」

白董「特にここ数年の発展は目覚ましいものがありますからね」

ハクア「そうだ。いずれこの国とも戦う必要があると考えると冷や汗が出てくる。最も、我がチート能力には敵わないだろうがな」

ハクア「おっと、今日はここまでだな。次回もまた見てくれよ!」

白董「次回はアルテミラ皇国について詳しくやっていきます。どうぞお楽しみに」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話 宣戦布告。その裏では…。

久しぶりの投稿です。


「貴国に対して我が泊は宣戦布告するものとする!」

 

現在ベルテルミーニ王国の王城にて泊の使者が長ったらしい宣戦布告の文を読み上げている。

 

最初はベルテルミーニ王国の罵倒から始まりいかに泊が正しいのか延々と説明されてから宣戦布告してきた。

 

ある意味すごいと思っているよ…。あんなに長々と宣戦布告書に自国(泊)の誉め言葉と他国(ベルテルミーニ王国を含む泊に従わない小国家)を罵倒する言葉を書いた者に。これは称賛物だな。

 

そんなことを考えているといつの間にか泊の使者はいなくなり回りで控える重臣達が憤っていた。

 

それも何となく分かるよ。俺の場合は怒りよりも驚愕(いろんな意味で)の方が大きかったからな。

 

「…とにかく、今は泊が宣戦布告したのだ。このときのために多少は準備ができているだろう」

 

泊が宣戦布告は以外と遅く当初一週間と予想していたが宣戦布告して来たのは二週間もたってからであった。これは混乱がそれほど長く続いていたからだ。それはつまり今の皇帝はそれほど知恵の働くものではないという可能性があった。

 

おかげで麻薬は完成して十日前から無差別にばら蒔いているため一部では市民の堕落が始まっていた。

 

…あれ?もしかして混乱が続いていた理由って俺のせい?

 

…まあ、此方に有利に働いたからいいか。

 

とにかく今は軍勢を集結させるとするか。

 

泊の現在の総兵力は五十万。更に属国の兵力も会わせればもっといく。

 

ベルテルミーニ王国の兵力は三十万辺り。

 

兵力では少ないが質は我が国の方が圧倒的に高い。それに俺はまともに戦う気はない。ゾンビ兵士や幻魔、スピリットを召喚してベルテルミーニ王国の連中が気付かないように泊を潰すつもりだ。

 

「将軍、兵を召集していつでも対応できるようにしろ」

 

「はっ!」

 

「他のものたちも直ぐに行動できるように準備しておくように」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

取り合えずここで会議を終えて俺は地下研究所に向かう。

 

少し前に完成させた転送装置を使ってゾンビ兵士を属国に送る。少なくとも百近くを首都に送れば勝手に滅びてくれるだろう。頃合いを見て回収すれば大丈夫だろう。

 

地下研究所につくと早速ゾンビ兵士を集める。この日のために装備は整えてある。

 

俺はゾンビ兵士に人をなるべく多くゾンビにすることと一時間たったら一ヶ所に集まるように指示を出して泊の属国のひとつの首都へとゾンビ兵士達百を送り出す。きっと一時間後は阿鼻叫喚の地獄絵図となっていることだろう。楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一時間が経過した。その間に将軍に指揮権を渡していつでも出陣できるようにさせておいた。さてさて、属国はどうなっているかな。俺はゾンビ兵士とともにカメラ型の幻魔をたくさん送り出しているため現在の首都の様子を確認できた。

 

写った先には逃げ惑う属国の市民とそれを追いかけるゾンビ兵士。ゾンビのなかには鎧を来ていないものがたくさん混じっていた。他にも属国の鎧を来たゾンビもいるためかなり被害を与えることができたと思う。

 

そしてゾンビ兵士の一部はなにやら立派な建物に集中しており恐らくその国のお偉いさんがいるものと思われる。そこはスピリットを召集して対応するか。とにかく一時間はたったためゾンビ兵士に指示を出して首都の中央にある広場に集まってもらう。

 

広場に集まってもらったら転送装置を起動させて一気に地下研究所に飛ばした。それと同時に適当にスピリットを選んで転送させて首都のお偉いさんがいると思われる建物を破壊させた。これでこの国はかなりの被害を与えることができたと思う。

 

この調子ですべての属国を潰していくか。さてさて、それだけでゾンビ兵士はいったいどのくらい増えていくのかな?楽しみだな~。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話 怒り狂う皇帝と突然すぎる国王

「どういうことだ!?何故泊の属国全てが滅びているのだ!」

 

泊の首都・天陽で泊の皇帝となった男がわめいていた。内容は最近滅びている泊の属国についてである。

 

「そ、それが生き残りのものの話ではいきなり首都の真ん中に現れてあっという間に壊滅させたと申しておりまして…」

 

「そんなことがあるわけないだろう!」

 

属国について報告した初老の男を皇帝は思いっきり罵りやがて蹴り飛ばした。

 

「もう一度確認してこい!次同じ報告をしてくれば叩ききるぞ!」

 

「は、はい!」

 

初老の男はあわてて立ち上がり駆け足で去っていった。皇帝の間に残されたのは皇帝のみである。

 

「…陛下」

 

そこへ泊の将軍が入ってきた。

 

「ベルテルミーニ王国侵略の軍勢が整いました。何時でも出撃可能です」

 

「よし、ならば早速出撃せよ!奴等に後悔させてやるのだ!」

 

「御意」

 

それだけ言って将軍は下がっていった。

 

「見ていろよ!ベルテルミーニの蛮族どもが!貴様らのあがきもここまでだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…戦艦が欲しい」

 

突如として、天命の如く俺の脳裏に戦艦への欲求が生まれた。

 

「戦艦…ですか?」

 

聞き慣れない言葉のためか白董は思わず聞き返した。

 

「そうだよ。遥か彼方まで届く砲弾。山もを削るその威力。見るものを引き付けるその艦艇の美しさ。あ~、たまらん!」

 

なんか久しぶりになにかが沸き上がってくるみたいだ。早速建造に移るか。

 

…いや、地下研究所にそんなスペースはない。新しく増設するか?もしくは第二の地下研究所を作るか。

 

…第二の地下研究所は追々作っていくとするか。今はここに戦艦を作るだけのスペースを作ることだな。早速作らせるか。

 

先ずは何を作ろうかな~。金剛型や伊勢型、扶桑型が無難かな?長門型や大和型は最後に作るとしよう。長門型や大和型じゃなくても充分使えるし。ゆくゆくは宇宙戦艦でも作ってみるか?原作では宇宙が出てくるからな。対応ぐらいしてもいいだろう。

 

「そう言えば陛下」

 

俺が考えていると白董が声をかけてきた。

 

「泊に潜入させている幻魔から連絡がありました」

 

俺は鬼武者に出てきたスチラードを製造して泊の侍女として送り込んでいる。勿論声は出せるようにしてある。鬼武者のスチラードは声が出せなかったからな。

 

「どうやらここに攻め混む用意が完了して先程出陣したようです」

 

そうか。ならば迎撃準備をさせるとするか。ついでに数体幻魔やスピリットを出すか。犠牲は少ない方がいいからな。

 

と、なると闇騎士辺りか?いや、いっそのこと闇騎士を複数出して俺の近衛兵にするか。俺の近衛兵は一人もいないからな。俺が独自に集めていたと言えばなんとかなるでしょ。それじゃあ、何にするかな?

 

余談だがスピリット召喚についてだが俺が生前集めたカードもしくは内容まで把握しているカードのみとなっているみたいだ。だからアマテラスドラゴンは召喚できるが持っていないカードは召喚出来ないみたいだ。当然だな。持っていなければ把握できないし。

 

早速召喚するか。先ずは

 

【闇騎士フローレンス】

 

これは翼を無くせば人間みたいだな。

 

【闇騎士アグロヴァル】

 

こいつはグレーだな。頭馬だし。そう言う兜にするか?いや、口が動くしな。こいつはダメだな。

 

【闇騎士マリス】

 

こいつもグレーだな。うさみみなければな~。切ればいけるか?

 

【闇騎士ケイ】

 

アグロヴァル以上にグレーだな。狐だし鎧着ければいけるか?

 

【闇騎士ボールス】

 

こいつもケイと似てるな。人狼だしな。鎧を着けて爪は武器にすればギりいける…かも。

 

【闇騎士アグラヴェイン】

 

こいつはダメだな。背低いし見た目もぐらだから足短いし。だけど暗殺部隊を作ってそこに入れるか?それは後回しだな。

 

【闇騎士モルドレッド】

 

こいつがいちばん人間みたいだな。手隠せば鎧着た人間でしょ。と言うかこいつを隊長にするか。威厳あるし。

 

【闇騎士パーシヴァル】

 

アウトー。でかいし人外だし。原作やベルカなら使えそうなんだけど今は駄目だな。

 

…っと闇騎士はこんなもんか?

 

こいつらを使って近衛兵を作るか。でも統一感はないよな。まぁいいか。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話 近衛兵と今後

パパっと書けたので投稿します。


~ベルテルミーニ王国・重臣サイド~

 

昨日国王陛下から緊急招集がありなにかと思い王の間にいくと陛下から泊の軍勢が向かってきていることを知らされた。そのため各自警戒するようにと陛下から指示があった。

 

しかし、陛下は一体どのように知ったのだろうか?普通は国境の兵士が確認するものだが独自に斥候を放っているのだろうか?

 

それと陛下が近衛兵を組織すると言われた。それは前々から思っていたことであったがクーデターからまだ日数がそれほど経っていないことから泊との戦争に集中していたのだ。

 

陛下の話によると前々から剛の者を呼んで鍛えていたらしい。まだ数は揃っていないがかなりの実力を持っていると言われた。

 

その際近衛兵隊長を紹介されたがその威圧感に言葉が出てこなかった。

 

その者の名を【モルドレッド・パーシバル】と言うらしい。元は盗賊であったが部下に裏切られてさ迷っていたところを陛下に拾われたらしい。

 

しかし、先程から全て陛下が話しておられる。少しは喋れと思うが陛下は気にしていないようだ。

 

内容はそれだけであったがこのときから時々漆黒の鎧を着込んだものを見掛けるようになった。近衛兵は黒で統一してあるだけで鎧は人それぞれ違っている。そのため統一感はないが全員が剛の者であることは分かった。

 

兎に角今は泊の軍勢に備えなくては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず懸念していたことは起きなかった。上手く近衛兵とすることができたしみんなも納得させることができた。

 

そのため早速闇騎士を城内に配置させることにした。最も、数が少ないから王の間の入り口や普段人気の無いところに配置する程度だが。

 

しかし、泊の軍勢はとろいな。

 

俺は兵士の中にもスチラードやカメラ型の幻魔を使って見張っているが異様に遅すぎる。恐らく士気が低いせいだろうな。

 

それならさらに下げてやるとするか。物資を炎上させたり兵士を惨殺したりすれば一気に下がるだろう。そうすれば脱走者も出てくるだろうな。

 

俺ははっきり言って泊の併合に時間をかけるつもりはない。使えるものは使い一気に叩き潰す。

 

あとは滅んだ泊の属国を使ってさらに追い込むとするか。

 

そのための布石も完了した。あとは泊を追い込めば自ずと目が出てくるだろう。俺はそれを待てばいい。しかし、兵の損失は避けたいな。俺は兵士をそのうち幻魔やゾンビ兵士で固めようと思っている。それまで兵士だったものには悪いが幻魔やゾンビ兵士になって貰うか実家に帰ってもらおう。その為に兵士はなるべく犠牲を出さないようにしないと。

 

後は前々から考えていた幻魔についてだな。幻魔は俺か白董が指示を出せるが作ることは俺にしか出来ない。その為ゾンビ兵士と比べるとものすごく少ない。だから高等幻魔、とくにギルデンスタン辺りを作ろうと考えている。あいつは性格はかなり悪いが信長に忠義を尽くしていたからな。その辺に手を加えれば裏切ることはないだろう。

 

俺の目的は大陸統一だ。その為にもゾンビ兵士よりも強い幻魔は軍団規模で用意しておきたい。それに例の計画のためには幻魔の研究は重大だ。是非とも優秀な補佐が欲しいからな。俺が原作まで生きるためのな。

 

すでに転生してから22年たつがやることは山積みだな。これからもしゃきしゃき頑張っていかなければ。しかし、原作でのたち位置はどうするかな?やっぱり敵サイドになるか?俺別になのはやフェイトに興味はないからな。最も、幻魔にしたらどうなるんだろうとかは考えていたが。

 

…ヤバイのができそうだな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五話 ベルテルミーニ王国軍出陣!ついでに裏工作

※注意!
戦いはカットします。


「…陛下報告します」

 

ベルテルミーニ王国の王の間で俺は重臣からの報告を受けていた。

 

「泊の軍勢凡そ五十万が後数日で国境に到着するそうです」

 

結局進軍から一週間経つが未だに付いていない。それどころか国境にすら付いていない。

 

原因として士気の低さがある。それに毎日誰かの惨殺死体があったり物資が焼かれたりするので既に一万近くの人数が脱走していた。

 

その為ものすごく進軍速度は遅い。恐らく亀よりも遅いかもしれない。

 

それでも敵は一日もあれば付く距離を一週間以上かけて到着しつつある。そろそろこちらも動くとするか。

 

「将軍、集まった兵はどのくらいだ?」

 

俺は以前に指揮権を渡した将軍に声をかける。

 

「はっ!凡そ三十万程であります!正規兵で固めていますので三十万以上の活躍をしてくれるでしょう!」

 

「分かった。直ぐに集めた兵を率いて国境へ向かえ。敵を迎え撃つのだ」

 

「はっ!」

 

そう返事をして将軍はその場を後にした。一応他のものにも声をかけておくか。

 

「他の者も何が起こっても大丈夫なように準備を怠らないように」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

「それでは会議を終了する。何かあったときは近衛兵を通すように」

 

俺はそう言うと王の間を後にした。向かうは地下研究所だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カメラ型の幻魔が撮す映像には士気が高いベルテルミーニ王国の兵士がいた。

 

そこへ将軍が現れて出陣のことを説明した後声をあげて何かを言ったら兵士たちが武器を掲げて雄叫びをあげた。残念ながらカメラ型の幻魔は映像のみで音は通さなかった。今度盗聴用の幻魔でも作るか?

 

そう考えていると兵士が出陣していく。よし、早速始めるか。

 

俺は泊の軍勢に潜入中のスチラードに指示を出す。指示を出したら直ぐに映像を切り替える。撮すのは勿論泊の陣営だ。

 

現在泊は休息中のようでテントを張って焚き火を焚いている。その時陣営の中心地から大きな爆発が見えた。残念ながら音は分からないがきっとものすごい音だったに違いない。

 

爆発したのは火薬を置いてある場所。スチラードが爆発させたのだ。

 

ベルテルミーニ王国と違い泊は大砲や火縄銃を大量に配備しているためいくら正規兵で固めているベルテルミーニ王国軍でも厳しいものがあるだろう。だから今のうちに潰させてもらった。

 

更にその混乱に乗じてスチラードが兵士を切り殺している。中にはそれに気づいて止めようとするものもいるが人間より何倍も強い幻魔では一刀で切り殺されていった。

 

これで将軍が国境に付く頃には泊の士気はマイナスを越えるほど落ちているだろう。その状態で将軍が負けることはないだろう。もしかしたらその前に逃げるかもしれない。

 

後は将軍に任せるとするか。俺はギルデンスタンの開発に勤しむとするか。何かあれば知らせるように指示を出しているからな。直ぐに行動できるだろう。しかし、ここにいると俺が魔法少女リリカルなのはに転生したことを忘れそうだ。どちらかと言うと異世界に飛ばされたと思った方がしっくり来るな。…ん?転生している時点で異世界か?タイムスリップじゃないし。

 

…まぁ、その辺は考える必要はないな。今は原作に今のうちに備えて準備を怠らないようにするだけだ。

 

うちの将軍は上手くやってくれるかな?

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十六話 クーデター返し

結果から言うとベルテルミーニ王国軍は勝利した。内容を細かく書いてもいいがとくに面白くは無いぞ?

 

国境は大きな壁で隔てられているため門の回りに泊の軍勢が取り付き中に入ろうとするのをたんたんと防いでいっただけだ。

 

後は時折騎馬隊が門から出てきて泊に被害を与えていたぐらいだ。

 

国境には三重の壁があるが泊はひとつも攻略できずに総崩れとなった。最も、士気が低い中あれだけ頑張っただけでも凄いがな。

 

そこに追撃隊が出てきて泊に被害を与えていったよ。それのついでとばかりに泊に攻め言って領土を奪ってくるおまけ付きで。

 

泊の軍勢五十万のうち首都に帰還したのは五万ほどだった。恐らく半数は生きていると思うがそのまま故郷に帰ったのかもしれないな。

 

兎に角俺は以前から計画していた事を行動に移すか。

 

俺は最初に滅ぼした泊の属国の首都をモニターに撮す。モニターの先には所々焼かれた建物や活気のない町が映っているが首都の中心にある広場に人だかりができていた。

 

そこには声をあげて演説している男性とその後ろで待機する女性が写っていた。

 

この二人は幻魔とスピリットだ。男の方がスチラード。姿は戦場のヴァルキュリア2に登場したバルドレン・ガッセナールに似せてます。女性の方はスピリットの【切り裂き姫アゼイリア】だ。ただ、肌の色が白いので少し肌色に近づけている。

 

俺の計画は単純にこいつら使って泊にクーデターを起こすことだ。スチラード…いや、もう普通にバルドレン・ガッセナールにアゼイリア・ガッセナールでいいよな。と言うわけでバルドレンには民衆を煽ってもらい国が滅んだのは泊が原因とか泊を倒して国を復活させるのだ、とか俺たちは属国等ではない。歴とした国だ、とか本当は泊は知っていて止めなかったとか言いまくっていると思う。音がないのが本当に残念。でも見ただけでも民衆が怒っているな。

 

やがて民衆は一丸となりバルドレンを中心にそれぞれ武器を持って泊に進行していく。他にも周辺の者達に伝えにいくものもいる。

 

恐らく明日くらいにはここの国の人口より少し少ない程度の人数が集まるだろう。将軍にはゆっくり進軍させるとしてバルドレンにはまっすぐ首都に向かってもらうとするか。

 

このクーデターが成功すればバルドレンを筆頭とした国家が誕生するだろう。後はバルドレンが此方に同盟を持ちかけ俺が賛成する手はずとなっている。失敗してもバルドレンに化けたスチラード死ぬだけで(スチラードは人間より強いので生き残る可能性もある)俺に被害はない。

 

何故こんな面倒なことをしたかと言うと最近俺に婚姻の話がある。

 

俺としては婚姻してその嫁に時間をとられたくない。最悪の場合俺を追いかけて地下研究所に来る可能性もある。それだけは避けたかった。

 

そこで切り裂き姫アゼイリアを嫁にすることで時間をとられないようにした。子供の件も考えてある。後はそれを実行して成功させるだけだ。

 

俺の目的の一つ、クローン技術。これを完全な形で成功させれば戦力はかなりあげることができる。この国をクローンが支えることもできるだろう。

 

あくまで俺は俺の代までに大陸統一を成し遂げたいだけだ。後については知らんな。

 

さて、話はそれたが後は成り行きに任せギルデンスタン開発にいそしむことにするか。…前にも話したと思うがまぁいいか。後少しで完成だしな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十七話 一つの区切り

「ハクア様完成しましたぞ」

 

人が出したにしてはおかしな声を響かせて高等幻魔・ギルデンスタンは俺に声をかけてきた。

 

あの後ギルデンスタンの開発に成功して早速幻魔…いや、造魔か?を作らせていた。恐らくその一号が完成したのだろう。

 

「量産型の下等型幻魔を開発しました。名前はそうですな…。刀足軽と名付けますか」

 

ギルデンスタンが見せてきた造魔は鬼武者に登場した雑魚敵、刀足軽にそっくりだった。

 

まぁ、ギルデンスタンが作ったんだしそうだよな。

 

「こやつは人間をベースに作っておりまして知能は最低限ですが筋力は人間よりも数倍強く更に恐怖や痛覚を取り除きましたので肉体が動かなくなるまで戦い続けることが可能となりました」

 

これなら人間相手には無双できるな。

 

「流石はギルデンスタンだ。お前を作った介があったものだ」

 

「おほめに与り光栄でございます。更なる幻魔の発展を約束しましょう」

 

ギルデンスタンは優雅に一礼して自分の開発室へ戻っていった。

 

「幻魔はギルデンスタンに任せて大丈夫だな」

 

「陛下」

 

丁度そこへ白董が現れた。

 

「ガッセナール公国の準備が整いました」

 

「分かった。直ぐに向かう」

 

俺はそう言って新興国ガッセナール公国との同盟制定のために向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クーデターは多少誤差があったものの成功した。

 

泊の皇族は皆殺しにされクーデターを率いたバルドレン・ガッセナールを大公としたガッセナール公国が誕生した。

 

バルドレンは直ぐにベルテルミーニ王国に停戦を要求、新興国の承認と同盟を求めた。

 

俺はそれに了承したが一部重臣からは反対意見が飛び出した。それを押さえるのに苦労したっけな。

 

そして今はガッセナール公国と同盟を結ぶこととなった。

 

内容としては次の通りだ。

 

一、ベルテルミーニ王国とガッセナール公国は対等の立場で不可侵同盟を結ぶものとする。

 

二、ガッセナール公国はベルテルミーニ王国が占領した泊の領地以外の領有権を持つものとする(各属国についてはその限りではない)。

 

三、両国のどちらかが危機に陥れば片方が支援に回ること。

 

四、両国の国境にかける税を無くすこと。

 

五、これらの条文は何者にも変えがたくどのような状態においても優先されるものとする。

 

これで同盟は結ばれた。その際バルドレンの妹アゼイリア・ガッセナールが俺に嫁ぐこととなった。

 

アゼイリアは元々の美貌も去ることながらクーデターの際には自ら敵陣に入り武器の鎌を振るい敵兵を退却させるほどの武の者として知られていた。

 

これらはすべて計画通りだったが保留として重臣達に一応相談するも重臣達も早く嫁をもらって跡継ぎを付くってほしいと考えていたため特に反対意見はなかった。まぁ、一応何かあった際の人質に使えると考えているのだろう。別に俺はそれでもいいがな。人間にアゼイリアを捕まえることは出来ないと思うからな。

 

そして後日俺は嫁入りを了承して数日後に俺とアゼイリアは夫婦となった。ただしこれはあくまで仮染めの夫婦であるがな。

 

そのため初夜等は存在しない。

 

…まぁ、俺も男だから欲求の吐き出しぐらいには頼むかもしれないがな。今はそれよりも次の段階だな。

 

大陸の東側はこれで押さえたも同然。後は西側に勢力を持つアルテミラ皇国を倒すのみだ。それを倒せば大陸統一を成し遂げたと言っていいだろう。

 

そのためには一刻も早く俺の延命の最重要項目を成功させなければ。

 

泊を倒して一段落と行きたいが今後はもっと忙しくなるな。大陸統一までようやく半分だしな。原作までまたまだとおいか。頑張らないとな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十八話 急展開

皆さんお久しぶりです。ここ最近あまりうまくかけませんね。それと、いつまでも原作のげの字も無いような状態は不味いと思うのでここからすごい勢いで物語が進みます。


さて、大陸統一の壁となりそうなのはアルテミラ皇国ぐらいとなったが俺はまだ動かない。

 

泊が滅亡したことで領地が増えた。元々泊の領地では麻薬を流行らせていたためその余波も残っていた。最も、アルテミラ皇国でもやるつもりでいるが。

 

しかし、これはあくまでベルテルミーニ王国の国王である俺は動かないと言うだけだ。

 

本来の俺は暗躍して動くことにする。

 

まずタナトス改を用いてゾンビ兵士でアルテミラ皇国を急襲する。これはあくまで時間稼ぎだな。この時間を用いて幻魔を組織化し、ゾンビ兵士で倒しきれないところを潰していく。

 

それでも倒せない場合はスピリットを使って焼き払う。そして最後にゾンビ兵士、幻魔を回収した後にベルテルミーニ王国軍で攻め混み領有するという計画だ。

 

だが、暫くはこの計画の実行は出来そうにないな。単純な話でゾンビ兵士すら足りていないのだ。

 

まあ、領地の開発でもしながら気長に待つとするか。そのうちアルテミラ皇国の方から何か行動を起こしてくるだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルテミラ皇国軍国境を越えて進軍中!まっすぐこちらに向かってきています」

 

その方が入ったのは翌日の昼過ぎであった。

 

日課である妹のミーナと遊んでいたところに兵士が入ってきてこの報を伝えたのだ。

 

「…アルテミラ皇国から何か来ていないか?」

 

「はっ!それが国境を超える前に使者が来て『大陸の平和を乱すベルテルミーニ王国及びガッセナール公国に正義の鉄槌を下す!』といって戻ったそうです。その後直ぐにアルテミラ皇国軍が侵攻してきました」

 

おいおい、まさかアルテミラ皇国から仕掛けてくるとは思わなかったな。こうなってしまったら俺も出し惜しみしている場合じゃないな。

 

「直ぐに重臣達をよべ。それと各地域毎に合流して抵抗するように伝えろ」

 

「はっ!」

 

兵士は返事をして部屋を後にする。俺は不安そうに見てくるミーナに向かって安心させるように言う。

 

「大丈夫だ。ミーナはここにいてくれ。なに、直ぐに方がつくさ」

 

「はい…。にいさま、御武運をお祈りしています」

 

そう言うミーナの頭を撫でて決意する。やはりミーナは可愛い。自慢の妹の為にも倒さなくてはな。

 

取り合えず謁見の間へ向かう。そこには兵士から聞いたのか重臣達がすでに集まっていた。

 

「話は聞いていると思うが一応伝えておく。先程アルテミラ皇国軍が国境を越えて侵攻してきていると連絡があった」

 

「陛下!何故アルテミラ皇国は此方に侵攻を?」

 

「恐らく泊を滅ぼしたと言う理由で攻めてきたと思われる。だが、こちらも負けるわけにはいかない」

 

そう言って俺は将軍の方を向く。

 

「今回は俺も行く。将軍、兵の指揮は任せた」

 

「お任せください」

 

この将軍は優秀だからな。他の重臣達も皆優秀だからな。本当に俺は恵まれた環境にいるな。

 

「…今回はベルテルミーニ王国総力をあげた戦いとなるだろう。皆心してかかるように」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は出兵の準備のために地下研究所に来ていた。

 

「ギルデンスタン、幻魔の方はどうなっておる?」

 

「はっ、刀足軽300、弓足軽200、後数名の中級幻魔といったところですな。これ以上はさすがに難しいですな」

 

「分かった。幻魔は難しいそうだな。今回はゾンビ兵士のみ連れていくか。ギルデンスタン、ここは任せたぞ」

 

「ネズミ一匹の侵入も許しませんよ」

 

「白董は王城の守りについてくれ。ミーナを頼んだぞ」

 

「かしこまりました一命にかけて守り抜きます」

 

これで守りは問題ないだろう。しかし、何で弟のクーデターの時のような胸騒ぎがするんだ?嫌な予感がめっちゃするな。

 

だが、今はアルテミラ皇国軍を退けることが先決か。待ってろよ。人の領地踏み荒らしておいてただで帰れると思うなよ!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十九話 裏切りそして、絶望

ここから急展開を迎えます。


ベルテルミーニ王国軍二十万は領土の西側に存在する平原に入った。そして目の前にはアルテミラ皇国軍二十五万の姿が。

 

既に西側領土のほとんどを奪われておりこの平原は王城までの最後の防衛戦とよべる場所であった。

 

「将軍、何度も言うがここを抜かれるわけにはいかない。ここを通せば王城まで一直線だ」

 

「お任せください。ここは一歩も通しませんよ」

 

そしてアルテミラ皇国軍からの鉄砲の一斉射撃で戦いは始まった。

 

合計双方会わせて四十五万の軍勢は互いに槍を突き刺し屍の上を通って押したり押されたりを繰り返している。

 

しかし、やがてベルテルミーニ王国軍がアルテミラ皇国軍を押し始めた。

 

国の存亡がかかっているためベルテルミーニ王国軍の指揮は高く逆にここまで勝ち戦だったアルテミラ皇国軍の兵士は浮わついていた。そのため段々とベルテルミーニ王国軍が押し始めていたのだ。

 

「全軍油断はするな!戦場では油断したものから死んでいくと思え!」

 

将軍は声をあげて味方を鼓舞していく。

 

「将軍!アルテミラ皇国軍が撤退していきます!」

 

やがてアルテミラ皇国軍はベルテルミーニ王国軍に押されて撤退し始めたのである。

 

「…(妙だな…。戦いからまだ二時間とかかっていない。罠か?いや、見る限りそのようなことはなさそうだが…)…よし、追撃は前衛部隊のみ行う。後衛は何が起きていいように待機しろ!」

 

「はっ!」

 

将軍は何か考えていたが直ぐに追撃の指示を出した。

 

しかし、戦場で俺は使い物にならないな。戦闘系では無いし、どちらかと言うと発明家みたいな感じだからな。

 

このまま追い払えればいいが。

 

そのとき後方から何か慌てる声が聞こえてきた。

 

「報告します!」

 

後方から現れたのは泥だらけの兵士であった。

 

「白董様が謀叛!王城を占拠しました!」

 

…は?

 

「バカを言うな…。白董がそのようなことをするわけ無いだろう?」

 

「いえ!間違いありません!私は謁見の間を警備していました。そこへ白董様が多数の兵士と共に来て重臣達を切り殺していき『今日でベルテルミーニ王国は滅びる。アルテミラ皇国に忠誠を誓うなら命は助けてもよい』と言いました!しかし、重臣達はそれを断り陛下への伝言役として某を送りました。しかし、その時に既に半数以上は…」

 

兵士はそれ以上は言わなかったが恐らく重臣達は既に殺されているだろう。

 

…ちょっと待て。ミーナは?

 

「おい、ミーナはどうなった?」

 

「…申し訳ございません。某は城を出るので手一杯でして…」

 

「…陛下」

 

そこへ将軍が俺に声をかけた。

 

「申し上げにくいのですが…アルテミラ皇国では滅ぼした国の王族は皆殺されています」

 

俺はそれを聞いたとき本陣を駆けて馬のもとへ走った。

 

「陛下!?」

 

「将軍!お前はここの兵士を率いて直ぐに城に戻れ!俺は今すぐ向かう!」

 

「なりませぬ!ここで陛下にもしものことがあれば…」

 

「ならば直ぐに兵士を率いて戻ってこい!」

 

俺はそれだけ言って馬を走らせた。

 

「陛下!…くっ、ベル隊、陛下の護衛にあたれ!」

 

将軍のその声だけ聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミーナ…っ!」

 

『御武運をお祈りしています』

 

ミーナと最後にあったあのときの記憶が映像のように流れていく。

 

自分の鼓動が早くなっているのを感じる。焦っている。手綱を握る手は汗で濡れている。

 

「無事でいてくれ!」

 

心からミーナの無事を祈り城に走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルテミラ皇国の旗が掲げられたベルテルミーニ王国の王城と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全身を何本もの槍で貫かれた変わり果てたミーナの姿を見て俺は頭が真っ白になった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十話 絶望そして涙

「…何で…」

 

王城から少し離れたところで俺は馬を止めた。いや、馬の制御すら出来ていなかった。

 

ここからでもよく見える。

 

木に吊るされ十字架に縛られた妹は体をたくさんの槍で貫かれていた。

 

ミーナは最後まで苦しんだのだろう。目を見開き口を開けて絶命していた。

 

死んでいるはずなのにミーナの叫び声が聞こえてくる。

 

「…何で…」

 

何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして

 

「あ…ああ…」

 

馬に振り落とされても受け身をとることすらできない。

 

俺に気づいた王城の兵士が此方に向かってきても逃げられない。

 

後方で俺を呼ぶ声が聞こえても返事すらできない。

 

ただ、ミーナを見ておることしか出来なかった。

 

やがて俺を殺そうとするアルテミラ皇国兵と俺を守ろうとするベルテルミーニ王国兵がぶつかり合った。しかし、そんな中でも俺は動けない。

 

そして、俺がやっとの思いで立ち上がる頃にはベルテルミーニ王国兵は全滅していた。

 

逃げなきゃ。と思っても体が言うことを聞かない。

 

「ハクア・ベルテルミーニ…覚悟!」

 

アルテミラ皇国兵が槍を突き刺そうとしてくるがそれを避けることもできない。

 

避けろと脳が伝えても体はピクリとも動かない。まるで体が乗っ取られたみたいだ。

 

槍は目の前まで迫っている。 確実に心臓を貫くコースだ。このまま動かなければ貫かれて死ぬだろう。

 

瞬間死への恐怖のためか体から力が抜けて後ろに倒れる。

 

そのお陰で槍は右肩に突き刺さる程度ですんだ。

 

「グッ!」

 

しかし、右肩に突き刺さっても痛みは感じる。だが、そのお陰で体が少しだけ動くようになってきた。

 

アルテミラ皇国兵は槍を手放して剣で俺の首を切ろうと水平に払った。

 

今度こそ死んだと思ったが次の瞬間にはアルテミラ皇国兵の首に矢が突き刺さっていた。

 

他のアルテミラ皇国兵が怯えるような声をあげて俺の後ろを見ている。

 

俺も後ろを見ると矢を構えた弓足軽の姿が。地下研究所はもしもの時のために王城以外にも出入り口が存在する。恐らくそこから出てきたのであろう。

 

瞬間俺は力を振り絞って弓足軽の方へと走った。未だにうまく走れないがそれでも力の限り走った。

 

それを見てアルテミラ皇国兵が追いかけてくるが弓足軽がそれをさせない。

 

俺は弓足軽をこえて王城近くの森へと走る。そこに出入り口が存在する。

 

ここは白董も知らないから追っ手が来ない今なら楽には入れるだろう。

 

俺は出入り口を見つけて転げるように地下研究所に入った。瞬間出入り口が肉の壁におおわれてやがて地下研究所にある壁となった。これでこの出入り口は消失した。弓足軽は戻ってこれないが森にいればなんとかなるだろう。

 

俺は壁に寄り添うようにして座り込む。落ち着くことで再びあの光景が浮かんでくる。

 

「…うぅ、…ミーナァァ…」

 

ミーナを思えば思うほど涙が止まらなくなる。

 

『にいさま、私はパーティーが楽しみです』

 

『にいさま、ダンスは一緒に踊りましょう』

 

浮かぶは泊で行われたパーティーへ行くときの話。結局ミーナと踊ることは出来なかったがあのあと足がいたくなるまでベルテルミーニ王国の王城で踊った。それを見て二人して笑った。

 

他にも国王即位の前に話したことやこの戦いに行く前に一緒に遊んだことが甦っていく。

 

しかし、もうミーナと一緒にいることはできない。

 

ミーナはもう死んでしまったのだから。

 

それを考え俺は薄暗い地下研究所で泣き続けた。

 

『にいさま、いつまでもミーナは一緒です』

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二十一話 狂う王、そして始まり

ここから少しずつ主人公が狂っていきます(今までも狂っていたが)。不快になる可能性もあるので注意してください。


どれくらいこうしていたのだろう?

 

何秒か?何分か?何時間か?涙がかれるまで泣き続けようやく落ち着いてきたとき向かえと思われる幻魔が現れた。

 

恐らくギルデンスタンが配慮してくれたのだろう。そう考えると地下研究所は白董に占拠はされていない。もしくは侵攻してきていてもギルデンスタンは余裕があると考えるのが妥当だろう。

 

やがて地下研究所に存在する司令室に到着した。そこではギルデンスタンがモニターを見ながら指示を出していたが此方に気づき近づいた。

 

「おお!ご無事で何よりですハクア様。只今傷の方の手当てをさせていただきます」

 

ギルデンスタンにそう言われて俺は右肩を負傷していることを思い出した。道理で右手が動かないわけだ。

 

「現状は?」

 

「はっ、賊の頭の白董とはゾンビ及び幻魔といった此方の勢力の指揮権を剥奪しました。そのため白董勢力はアルテミラ皇国兵と裏切ったベルテルミーニ王国兵のみであります。そのため白董は地下研究所に侵攻はせずにここに続く道をふさいで通れないようにしています。また、カメラ型の幻魔は大半が潰されて残った者達を回収中です」

 

「分かった。留守の間の指揮ご苦労であった」

 

「いえいえ、臣下として当然の事です」

 

どこぞの賊とは違って、と小声でギルデンスタンは言う。恐らく白董のことをいっているのだろう。

 

しかし、白董はなぜ裏切ったのだ?…いや、どうでもいいか。

 

「ギルデンスタン。俺は壊れてしまったのかもしれない」

 

ギルデンスタンは不思議そうにこちらを見るが構わず続ける。

 

「俺はベルテルミーニ王国を大陸唯一の国にしたかったがもうどうでもよくなってしまった」

 

「白董は教育係としてずっと一緒にいたはずなのにな。俺をわかってくれていると思ったが違った」

 

「もしかしたらアルテミラ皇国が侵攻してきたのは白董が教えたからかもしれない。だったらアルテミラ皇国が侵攻してきた理由もわかる」

 

「だが、ミーナを殺すことはなかった。確かにミーナはベルテルミーニの王族だがなんの力も持たない優しい妹だった」

 

「俺はこんな妹のためにも平和な世を作り見せてやりたかった。…だが、ミーナはもういない」

 

俺はそこまで言って息を吸い込む。

 

「…ベルテルミーニ王国がこの時を持って消滅する。ギルデンスタン。幻魔を率いて王城の敵を皆殺しにせよ」

 

「そして各出入り口からタナトス感染者であるゾンビを解き放て。命令は人間を襲え、だ」

 

「ギルデンスタン。これが終わったら例の計画。幻魔化を頼む」

 

「…了解しました。直ぐに実行に写します」

 

ギルデンスタンはそう言ってその場をあとにした。

 

ギルデンスタンがいなくなり一人となった俺は呟く。

 

「白董…。お前のお陰で俺は壊れてしまったよ。人間を豊かにする必要はない。俺はこの大陸を幻魔界とするために動こう。そうすればこのような悲劇もなくなるだろう」

 

その呟きと共にモニターからは道をふさいでいたものを破壊して王城になだれ込む刀足軽の姿が写っていた。

 

人間よりも圧倒的に強い刀足軽によってアルテミラ皇国兵はなす統べなく殺されていく。

 

そして、各出入り口からゾンビが王城を中心に四方八方に散らばっていく。そして、その一部は兵を率いて戻ってきたベルテルミーニ王国軍と出会った。

 

「…フフハハハハハ。将軍。悪いな、もし生きていたら幻魔として使ってやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フフハハハハハ。アハハはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ !!

 

今日この時を持って人間が統べる世界は消える。これよりは幻魔が貴様らを支配する!そこには希望はない。絶望の中細々と生きていけ!

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終話 一つの終わり

これにて第一章完結です。これで作品が終わりな訳ではないです。


~白董サイド~

俺はアルテミラ皇国のスパイである。

 

アルテミラ皇国で使われている技術を使い一年でアルテミラ皇国に対する絶対的忠義と大量の知識に武術を仕込まれて各国に数名送り出された。

 

俺は潜入したベルテルミーニ王国では運よく第一王子ハクア・ベルテルミーニの教育係となることが出来た。

 

しかし、この子供はおかしかった。

 

八歳の時に化け物を指揮しているのを見て問い詰めた結果そういう能力を持っていたらしい。

 

その後はハクアに従順になりつつハクアの信頼を得ていった。

 

ある時ベルテルミーニ王国が泊と戦争をすると聞いたときはこの国は終わったと思ったがハクアの非人道的な実験で産み出された化け物によって壊滅させられていたのを見たときは驚いた。

 

その後はクーデターがきっかけで再び戦争になると泊に対してクーデターを起こさせ泊を滅ぼしたときは何か手を打たねばとアルテミラ皇国に報告した。

 

その後はアルテミラ皇国がベルテルミーニ王国に侵攻するからちょうどいいタイミングで王城を乗っとれという指示が来た。

 

俺はハクアが出陣してからしばらくしてから近くに潜んでいたアルテミラ皇国兵と内応したベルテルミーニ王国兵を率いて重臣達を全員殺してハクアの妹であるミーナ・ベルテルミーニを捕らえた。

 

ミーナは最初は何故こんなことをするのか分かっていなかったが日頃の溺愛ぷりを見ていればミーナの無残な死体を見せれば錯乱すると予想していた。

 

二十年近く共にいたためハクアの行動は読めている。後は確実に成功させるのみだ。

 

しかし、それすらも失敗した。俺の知らない地下研究所の出入り口が存在したようだ。

 

しかし、俺はこの時楽観していた。ハクアが最も大切にしていた妹を殺したにも関わらず俺は生き残れると思っていた。

 

ハクアは化け物をあくまで人間の平和のために使っていた。そして、その化け物が表に出ないようにしていた。ここで化け物を使えば表に出ることは間違いないのだ。

 

だが、違った。化け物は知られても問題ないような勢いで殺していた。そこでふと外を見ればフラフラとした人間の集団が王城を中心に四方八方に向かっていくのが見えた。

 

この瞬間俺は理解した。既にハクアは化け物を隠す気はないと。そして、人間の平和のためではない、恐らく化け物を中心とした世界を作ろうとしていると。

 

そこへ俺のいる部屋にも化け物が迫っていた。生憎ここは塔の上。窓から逃げることはできない。だが、ただで死ぬつもりはない。せめて一矢でも報いるまでだ。

 

それがアルテミラ皇国に忠義を誓うものの役目だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白董が何でクーデターを起こしたのか。

 

そんなものはもう知ることはできない。

 

先程白董の遺体が届けられた。俺はそれを見て特に思うことはなくスピリットの餌にした。裏切り者にふさわしい結末だ。

 

幻魔界を造る報はガッセナール公国にも伝えてある。既にまとまった人数は避難させてある。

 

俺ははっきり言って人間を滅ぼす気はない。幻魔やゾンビは人間から生まれている。人間は一定数必要だ。

 

しかし、人間に豊かな暮らしはさせない。ただ、狩られる者として惨めに、世界に絶望しながら生きてもらう。人間はよほどのことがない限り自ら命をたつことはない。そこを見極めてギリギリのラインを保つ。これからはそういう時代が来るのだ。

 

それと引き返してきていたベルテルミーニ王国軍はゾンビ数名によって壊滅した。いや、数名に噛まれた兵士がゾンビになりそこから増えていったのだ。ゾンビは増え続けるだろう。ある程度人間を残しておけば問題ない。

 

将軍は…無事のようだな。後で迎えにいくとするか。

 

さて、これで一歩前進した。後は俺の強化と大陸全てを幻魔とゾンビで埋め尽くすだけだ。

 

大陸統一は、近い。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 人物紹介~主人公陣営~

ハクア・ベルテルミーニ

今作の主人公。転生者。第一章完結時で22歳。死因は不明だが神様に選ばれて沢山の特典をもらいベルカより前の時代に転生する。ウイルスや細菌、幻魔の開発を行い自分の国であるベルテルミーニ王国を大陸唯一の国にしようとする。基本自国以外の人間は実験体程度の認識だが自国の民には善政を敷く。当初の予定では人間を戦争から遠ざけ幻魔やタナトス感染者による軍勢を持つ国としようとしていたが最も信頼していた白董に裏切られ王城にいた重臣と妹のミーナを殺される。妹の無残な死体を見たときに精神が崩壊して人間不信に陥る。その後は幻魔やゾンビを中心とした世界(そこに人間は含まれていない)を造るべく大陸にゾンビや幻魔を解き放ち暴れさせた。白董討伐後は自身の肉体を幻魔化させて不老不死となった。尚、見た目は変えることができる。

 

特典十個

・ウイルスや細菌を造る能力。

・スカリエッティの頭脳及び篠之乃束の頭脳。

・細菌を魔力で造る能力。

・莫大な魔力。

・身体能力の上限なし

・バトルスピリッツのスピリットの召喚

・ベルカより前の時代に転生

・空気中の魔力を吸いとれる能力

・この能力に最初から耐えられる肉体

・保留

 

ミーナ・ベルテルミーニ

ハクアの妹。第一章完結時で18歳。聡明でハクアによくなついている。兄を疑うことをせず兄の言うこと全てを受け入れるほど慕っている。一度泊に嫁入りしようとしたが弟のクーデターで白紙になった。その後は王城で暮らす日々が続いたがアルテミラ皇国軍が侵攻してきたときに白董が裏切り磔にされた上で槍を突き刺され死亡した。

 

白董

ハクアの教育係。第一章完結時で25歳。小さい頃にハクアの父に拾われてハクアの教育係という名の従者となる。しかし、その正体はアルテミラ皇国のスパイで忠臣の降りをしつつアルテミラ皇国に情報を送っていた。アルテミラ皇国が侵攻して来たときに王城の守備を任されるがクーデターを起こしアルテミラ皇国軍を招き入れミーナを殺した。しかし、地下研究所を落とすことができずに反撃してきたハクアによって殺された。

 

ギルデンスタン

高等幻魔。ハクアが幻魔製造のために作り上げた個体。ハクアに忠義を誓っている。刀足軽や弓足軽といった幻魔を開発して戦力増強を手助けしている。ハクアがいない間は地下研究所の最高責任者となっておりクーデターを起こした白董を見て直ぐに防衛体制を整えてハクアが戻ってくるのをまった。自分が開発した幻魔を「息子」と読んでいる。

 

幻魔

ハクアが細菌から作り上げた異形の存在。個々に意識を持っているが知能は低い。ギルデンスタンを造るまでは時間のあるときにハクアが作っていた程度のためゾンビより数が少ない。普段は地下研究所を警護と言う名でさ迷っている。

個体

・バズー×20

・バラバズー×3

・バーサー×35

・ガッチャ×3

・ゾルワーム×10

・ゲラ×30

・オオワッシャ×5

合計106体(第一章完結時)

 

造魔

ギルデンスタンが開発した幻魔の総称。幻魔以上に個体数は多い。

個体

・刀足軽×300

・弓足軽×200

合計500体(第一章完結時)

 

ゾンビ

ハクアが開発したタナトス改の感染者の総称。人間のみに感染し感染から数分で死に至らしめる。その後は歩く屍となり回りの人間に襲いかかる。しかし、ハクア(人間時)とミーナには襲いかからないように調整されている。尚、感染して死ぬ魔際にこの世のものとは思えない快感を産み出すため感染者の死亡時は笑顔である。普段は地下研究所をさ迷っている。個体数はかなりいる。

 

地下研究所

元はベルテルミーニ王国の王城の地下に儲けられた研究所であったがハクアの案により幻魔化された(幻魔の数が少ない原因の一つでもある)。地下研究所の壁は全て幻魔なので新たな部屋を作ったり侵入者を追い出すことなど出来る。現在進行形で大きくなっており既に幻魔化したときの倍以上の大きさとなっている。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二章 夜天の出会い
第一話 新たなプロローグ


これから第二章の始まりです。


…あれからどのくらいの月日が流れたのだろう。

 

大陸統一は成し遂げた。アルテミラ皇国も滅びた。幻魔とゾンビは順調に増えている。

 

そして、大陸を覆う結界を張り人が近づいてこれないようにした。

 

結界のせいで太陽は黒い雲に覆われ一日中日が注さない世界となった。

 

俺の幻魔化も終えた。これで原作まで生きることができる。

 

…俺ってなんのためにここにいるんだ?最近はそんなことばかり考えている。やる気が起きない。

 

そうだ。久しぶりに寝よう。幻魔となってからは睡眠を必要としないからな。心を入れ換えるためにも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、お久しぶり!元気にしてた!?」

 

…え?

 

「いや~、まさか君がここまでやるとは思わなかったよ。あ、別に攻めてる訳じゃないよ?むしろ誉めてるんだから!」

 

…何であなたがここにいるのですか?神様…。

 

「え?そりゃぁ用事があってね」

 

「君には伝えていなかったね転生させる本当の理由」

 

…単純に神様がミスって殺したんじゃないのですか?

 

「何言ってるの?そんなへまするわけ無いじゃん」

 

…そうですか。

 

「話を戻すね。転生させた理由は単純に二つ!一つは間引きのため!」

 

…間引き、ですか?

 

「そう!人間はどの世界にも増えているからね。そのくせ何処も世界を滅ぼせる技術を作ってばっかり!損なんじゃ星が壊れちゃうよ!」

 

…どの世界もおなじなのですね。

 

「だから君のような人を送って人間の間引きを自発的に起こさせたの!」

 

…どういうことですか?

 

「君には素質があったの。外道となれる素質。鬼畜になれる素質。そして、狂気に染まれる素質。どれも間引きのためには必要なもの」

 

…それを見つけた神様は俺を殺したと?

 

「その通り!だから色々サービスをしたんだよ?」

 

…そうですか…。わかりました。

 

「おやおや?怒らないの?」

 

…はい、もう前世の事なんて殆ど覚えていませんし。

 

「若干自棄になってるね。…まぁいいや!で、もう一つの理由は単純!私が楽しむため!」

 

「ぶっちゃけここ暇なのよ。私が力を使って人間を滅ぼしてもいいんだけどそれだとつまらないじゃない?だから人間の間引きついでに私が楽しむためにあなた達を転生させたの!」

 

…わかりました。

 

「やっぱり何も反応しないね。つまらないなぁ」

 

…あなたとは似たようなところがあるので。

 

「そっか、それもそうだね!じゃ、これからも頑張ってね!自棄になってる暇なんて無いよ?君は見てて飽きないからこれからも頑張ってね!私は何があっても君のみかただから!」

 

…ならば神様を飽きさせないように頑張らないと行けませんね。

 

「お?ようやく戻ってきたかな?そんな君には一つのプレゼントを!戻ったらベルテルミーニ王国の元王城に行くといいよ。そこには君が望む人がいるから」

 

…!?それってまさか…。

 

「神様に不可能はないのよ!無機物からの精製や死者蘇生なんて簡単なものだもん!」

 

…ありがとうございます。

 

「それじゃ、戻すね!妹さんによろしくね!」

 

…はい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識が戻った俺は急いでベルテルミーニ王国の元王城に走る。

 

何処にいるかは聞かなかったが何となく分かる。最後に一緒に遊んだあの部屋。

 

扉を勢いよく開ける。しかし、幻魔化した俺は人間よりも力が強いため扉は簡単に壊れてしまった。

 

しかし、そんなことは関係ない。俺は部屋をくまなく見渡す。

 

…いた。窓を覗いて外の景色を見ており顔は見えないが分かる。俺が最も会いたかった妹。

 

「ミーナ!」

 

俺は妹の名を呼ぶ。その声で気づいたのか妹はこちらを向く。そして、俺が見たかった笑顔がそこにあった。

 

「お久しぶりです。お兄様」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 変わる生活。近づく影

ミーナが戻ってきてから一週間がたった。その間俺はミーナに俺のことをすべて話した。勿論嫌われる覚悟で。もし、ミーナが俺を嫌ったら別の世界に送り何不自由なく暮らさせるつもりだった。

 

だが、ミーナは俺を受け入れてくれた。俺のそばにずっといたいからと自ら進んで幻魔化すると言い出したときは止めたが結局言うことを聞いてはくれなかった。

 

だから俺はなるべく姿が変わらないように必死で行った。俺が幻魔化したとき以上に技術をつぎ込んだ。

 

結果は成功。幻魔となってもミーナは変わらず俺についてきてくれた。俺は何よりもそれが嬉しかった。

 

そして、今は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄様、朝ですよ」

 

ミーナの声が聞こえ俺は目を開けた。目の前にはミーナが俺の顔を覗きこんでいた。

 

俺が起きたのを見てミーナは笑っていった。

 

「おはようございます。お兄様」

 

「ああ、おはようミーナ」

 

ミーナが戻ってきてくれてから俺の生活は変わった。いや、元に戻ったと言うべきかもしれない。

 

変わったことと言えばミーナが幻魔化してから俺とミーナは一緒のベットで寝ている。本来幻魔化したから寝る必要はないのだがミーナの希望でなるべく睡眠をとるように言われた。だが、一緒のベットで寝ているのは俺の提案だ。

 

俺が寝ている間にミーナがまた消えてしまうかも知れないと思ってしまうからな。そのせいか、最初はミーナを思いっきり抱き締めて寝ていた。流石に今はそんなことはしないが。

 

「お兄様、食事を作ったので一緒に食べましょう」

 

食事の方も幻魔は必要ないので食べていなかったがミーナが俺に作りたいと言うからそれ以来ずっと食べている。

 

「お兄様、お味の方はどうですか?」

 

「美味しいよ、ミーナが作ってくれたものと言うだけでどんな料理よりも勝っているけどな」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

実際ミーナが作ってくれたものはどんなものでもうまい。例えげてものだろうとうまい。そう断言できる。

 

「お兄様、このあとはいつものように?」

 

「ああ、いつも悪いな。ミーナを外に出せればいいんだが…」

 

「いえ、そんなことはないですよ。ミーナはお兄様とこうして一緒にいられるだけで幸せです」

 

そのようにミーナは言うが目は少し下がっている。ミーナが外に出られない理由は単純に幻魔の力を制御しきれていないからだ。

 

俺とミーナの居住空間である地下研究所は特殊な装置で暴走を食い止めている。そのため幻魔の力は使えないが日常生活に支障は出ていない。

 

しかし、外は装置の範囲外のためいつ暴走を起こしても可笑しくない状態になってしまう。そのため現在ミーナは幻魔の力を制御する訓練をしている。だが、直ぐに出来るわけではないためまだまだ時間がかかるだろう。

 

「…大丈夫だ。直ぐに終わらせて帰ってくるさ」

 

「…はい、ミーナはお兄様の無事な帰還を祈っています」

 

ミーナはそう言って笑ってくれた。

 

…やはりミーナはいつ見てもかわいいな。俺はこの笑顔を守るため頑張らなくてはな。

 

「それじゃあ、行ってくるよ」

 

そう言って俺は居住スペースを出ていった。

 

俺が今行っているのは人間勢力の残党狩りだ。アルテミラ皇国やその他の小国の残党勢力が未だに抵抗を続けていた。

 

俺は根気よくその勢力を潰していっている。それでもまだまだたくさん存在しているがようやく半分潰したところだったかな。

 

いい忘れていたがあの日から既に五六年は経っている。国はなくなり大陸が世界となる。今は残党狩りと並行して別大陸の様子を偵察している。その中には魔法が発達しているのもあった。そう言えばベルカがあるとすればベルカの後にクラナガンが出来るんだったよな?なら、この大陸を別次元に移すか?それは可能な領域にあるしな。

 

取り合えず今は残党狩りに精を出すか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここがそうか?」

 

「はい、今まではあったはずの大陸が黒い禍々しい霧に覆われ入ることが出来なくなったと聞いています」

 

「そんな面白そうなことは是非この手で解決したいものだ」

 

「何言ってんだ?そのために来たんだろーが」

 

「そうだな。何があるかはわからないが気を引き閉めていくぞ」

 

「「「「はっ!(おう!)」」」」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 出会う原作キャラ

駄文です。


「何?侵入者?」

 

旧ベルテルミーニ王国王城の地下に存在する地下研究所でいつもと同じくミーナと遊んでいたとき大陸沿岸部を警備している幻魔から報告があった。

 

いくら大陸に近づけないようにしているとはいえ、何が起きるかわからないため沿岸部に多数の幻魔を配置していた。因みに全て刀足軽と弓足軽だ。

 

「取り合えずその周辺の映像を見てみるか」

 

俺は大陸全土に放っているカメラ型の幻魔から送られてくる映像を確認した。

 

そして、丁度カメラ型の幻魔が侵入者を捉えていた。

 

「こいつは…」

 

まさかこいつらとはな。侵入者の数は六人。

 

「…夜天の書」

 

そう、映像には迫り来る幻魔を凪ぎ払っていく夜天の主と思われる男と守護騎士、管制人格がいた。

 

「…まさか一番最初にこいつらと会うとはな」

 

原作に登場するものの中で一番古いとはいえこんなに早く会うとは予想していなかった。

 

まだ幻魔界と呼べる状況ではない。もし、反抗している奴等と抵抗すればかなりめんどいことになりそうだ。そんなこと、俺は望んでいない。

 

「ベルカ時代にはもうなっているのか?」

 

ベルカ時代だと流石に詳しくはしらない。俺はvividをたいして読んでいなかったからな。知っているのは聖王の…名前は忘れたがヴィヴィオのオリジナルと覇王イングヴァルト…だったか?が一緒の時代にいたくらいだからな。…っと、こうしているわけにはいかないな。

 

「幻魔を向かわせるか?それともゾンビに襲わせるか?…いや、夜天の主と守護騎士なら相手にすらならないな。くそっ、こんなことなら高等幻魔を作っておくべきだった」

 

どちらにしろこのままでは良くないと言うことくらいか。ならばここは高町流でいくか?…よし、早速準備しよう。いざというときにはスピリットがいるしな。…召喚するまでに切られる姿しか思い浮かばないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主、この化け物達は一体…」

 

迫り来る刀足軽の軍団を切り裂きながら夜天の書の守護騎士、ヴォルケンリッターの烈火の将シグナムは聞いた。

 

「さあな、俺もここに来たのは初めてだけどこの生物は見たことがないよ」

 

シグナムの言葉に初代夜天の主である彼は返事をする。

 

夜天の主と守護騎士、管制人格はこの大陸と貿易をしていた商人からこの大陸の異変を聞き調べにきたのだ。

 

調べに来たといっても彼らは国に属しているわけではない。夜天の書は現主が別の大陸に存在している魔法と言う技術を使い作り出した魔導書である。

 

各地の魔法を記録できるように作られたこの魔導書はこの魔導書を守るための守護騎士とこの魔導書を扱う管制人格で構成されている。

 

「こいつら同じ外見の癖に人間よりも強ぇぞ」

 

シグナムの隣で得物であるハンマーを振り回して刀足軽を吹き飛ばしてヴォルケンリッターの鉄槌の騎士、ヴィータが言う。

 

「…!前方に更に敵の増援確認!このままでは…!」

 

ヴォルケンリッターの湖の騎士シャマルが新たな敵の接近を告げる。

 

「…全員下がってろ!」

 

その時夜天の主の声が聞こえた。夜天の主の持つ杖からは大きな魔力が溜まっていた。

 

主の言葉に前方にいたシグナムとヴィータは直ぐに夜天の主の後ろにさがる。前方に敵のみとなったのを確認した夜天の主は自身の得意魔法である広域制圧魔法を放つ。

 

「…仄白き雪の王、銀の翼以て眼下の大地を白銀に染めよ。来よ、氷結の息吹。アーテム・デス・アイセス!」

 

詠唱完了と共に発動された魔法は四つの光となって大地に降り注ぎ増援に来た幻魔もろとも氷結させてしまった。

 

やがて氷結した幻魔は心地よい音をたてて崩れ去り氷の粒となっていった。

 

「しっかし、いつ見ても主の魔法はえげつないな」

 

「そんなことはないよ。回りに守ってくれる人がいて初めて使える魔法だし」

 

ヴィータの呆れと共に吐き出された言葉に主は優しく答えた。

 

「シャマル、付近に生命反応は?」

 

「ありません。先程の化け物の反応もゼロです」

 

「よし、ならもう少し先に「行かせるわけにはいかないな」!?」

 

夜天の主の言葉を遮るように聞こえてきた声。そして瞬間放たれる異常な覇気。

 

そして、それは現れた。

 

「はじめまして、と言うべきか。俺はこの大陸の支配者。ハクア・ベルテルミーニだ」

 

人の形をしたその化け物は今夜天の主の前に降り立った。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 接触

「さて、どう接触するべきか」

 

現在俺は夜天の主一行の真上に来ている。勿論あちらからは見えないようになっている。

 

夜天の主一行は迫り来る刀足軽の軍勢を苦もなく叩き潰している。

 

「流石は夜天の主と守護騎士ヴォルケンリッターっと言ったところか」

 

やがて夜天の主一行の前方から刀足軽の増援が見えた。恐らくギルデンスタンが送ったのだろう。造魔は基本ギルデンスタンの管轄だからな。

 

夜天の主一行も増援を確認したようで夜天の主が杖をつき出すとそこから四つの白い光が現れ刀足軽を襲った。瞬間刀足軽は増援事一瞬で凍りつき氷解していった。

 

…にしても初めて夜天の主を見たがこんな可笑しなレベルの技を放っていたんだな。こりゃ世界を滅ぼせるわ(世界を滅ぼしているのは闇の書だけど)。

 

さてと俺も降りるとするか。俺は一瞬で急降下して夜天の主一行が見えるくらいの高さまで下がった。

 

「よし、ならもう少し先に「行かせるわけにはいかないな」!?」

 

俺は夜天の主の言葉を遮り言った。夜天の主一行は行きなり現れた俺に警戒の色を見せている。

 

「はじめまして、と言うべきか。俺はこの大陸の支配者。ハクア・ベルテルミーニだ」

 

俺は夜天の主一行に挨拶するがあちらは反応がない。まぁ、行きなり現れても警戒するだけだな。

 

「先ずは俺の部下が諸君らを襲ったことについて謝罪しよう」

 

俺はそう言って頭を下げる。最も、相手の上にいるのは変わらないが。

 

「…いくつか質問したい」

 

「構わん、と言いたいところだがこんなところで話すのもなんだ。居城に案内しよう」

 

「…わざわざ敵の本拠地に行くとでも?」

 

代表してなのか警戒しながらシグナムが言った言葉に俺はそれもそうだなと思った。夜天の主一行にとってここは何が起きるか分からない世界。いくら俺が誠意を見せても警戒するに越したことはない。

 

そこで俺は夜天の主の方を見て答える。

 

「俺としてはこんな氷付けの所より腰を落ち着けることができるところの方がいいと思うがそちらはどうだ?」

 

「…分かった。そちらの提案を飲もう」

 

夜天の主はしばらく考えたようだが俺の提案を受け入れると言った。

 

「主!?」

 

「シグナム、あちらの言う通りするのだ。もし、あいつがその気なら今ごろ俺たちはこうして話していることはできない」

 

随分と警戒されているな。

 

「それに、ベルカではよく言うだろう?"和平の使者は武器を持たない"って」

 

確かに今の俺は丸腰だしな。これは単純に武器攻撃をあまりしないからだが…、いちいち言ってやる必要はないか。それにそのお陰でスムーズに事が運べるならそれでいい。

 

「…話はまとまったか?」

 

「ああ」

 

「なら、付いてこい」

 

俺は地面に降りて歩き出す。夜天の主一行も俺に続いて歩く。

 

暫く歩くと目的地が見えてきた。

 

「ここだ」

 

「…?何もないところだが?」

 

シグナムが俺に聞いてくる。確かに目に見える範囲でここには何もない。精々石が転がっている程度だろう。

 

「何、直ぐに現れるさ」

 

俺がそういった直後地面が浮き上がり地下研究所への入り口が現れた。

 

「ここが入り口だ。入ってくれ」

 

夜天の主一行は地面から現れた入り口に呆然としていたが直ぐに気をとり治して俺に続いて地下研究所に入った。

 

全員が入り終えると入り口は再び地面へと沈みそこは何事もなかったような静寂があるのみだった。

 

地下研究所の規模は既に大陸の半分近くにまで及んでいる。そのため至るところに入り口が秘匿されており出入りが可能だった。

 

「…ここはお前が作ったのか?」

 

地下研究所の廊下を歩いていると夜天の主が聞いてきた。

 

「ああ、詳しくはあとで話すがここは俺が一から作った地下研究所だ」

 

「…そうか」

 

夜天の主はそれだけ言うと黙り混み居城に着くまで一言も喋らなかった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 対話

「…さて、何から聞きたい?」

 

地下研究所を通り居城である旧ベルテルミーニ王国の元王城の生活スペースにある広間で俺は口を開いた。因みに地下研究所を通った理由はもしもの時のために夜天の主一行に土地を把握させないためだ。

 

今でこそ落ち着いてはいるがそれでも人間が反抗しておりそれを見せるわけにはいかなかった。

 

「…先ずはこの大陸についてだ」

 

俺と向かい合うようにして座った夜天の主が聞いてきた。守護騎士と管制人格も同じく座っている。最初は立っていようとしたが夜天の主が座るように促したため警戒しつつも座っていた。

 

「っと、その前に自己紹介からいいか?俺は一応名乗ったがそちらはまだであろう?」

 

「そうだったな。俺はエルバ・アイン・シュテュルツィアだ」

 

「夜天の書ヴォルケンリッターが将シグナムだ」

 

「…鉄槌の騎士ヴィータ」

 

「湖の騎士シャマルです」

 

「盾の守護獣、ザフィーラ」

 

なるほど、やはり夜天の書か。と言うか夜天の主の名前言いにくいな。

 

「自己紹介もしたし質問に答えよう」

 

「この大陸には幻魔と呼ばれる異形の存在とゾンビと呼ばれる動く死者が存在している」

 

「…と言うことはあんたも幻魔なのか?」

 

「そうだ。だが、幻魔と言っても俺は幻魔の上位種の高等幻魔だがな」

 

「俺はこの大陸に来たのが初めてだけど数年前まではそんな者はいなかったはずだ」

 

やはりそこに行き着くか。そこで俺は考えていた捏造話を始める。

 

「それもそうだろう。幻魔は元々地下でひっそりと生きていた。地上に出るのも人間と触れあうのも禁忌としてね。だが、この大陸の西側にあった人間の国が世にも恐ろしい実験をしていた」

 

「実験?」

 

「ゾンビさ。奴等はゾンビを使い最強の軍隊を作ろうとしていたのだ」

 

「なっ!?」

 

夜天の主…エルバは驚きで目を見開いている。

 

因みにそんな事をしようとしていた国など存在しない。死者を甦らして作るゾンビはそれほど難しいものだ。だが、この大陸に国などもう存在しない。"死人に口無し"とはまさにこの事だな。

 

「しかし、その実験は失敗し、ゾンビは外に出て人間を襲いゾンビと化していきやがてこの大陸の国は滅亡していったのだ」

 

「…だけど、上陸地点が東側と言うのもあるけどゾンビなんて遭遇していないぞ?」

 

「理由は簡単だ。禁忌とされていた地上に出ることを罰則覚悟で俺を筆頭に幻魔が地上に出て人間の保護と既に大陸のゾンビはあらかた始末した。生き残った人間は完全に駆逐した大陸の南西部に集めて保護している。今はゾンビを逐次駆除している状況だ」

 

「…大陸に入れなくしたのもこのためか」

 

「そうだ。この大陸に入りウイルスを外に持ち出させるわけにはいかないのでな」

 

「それだと俺たちもそうなるのか?」

 

「安心しろ。運よく空気感染を防げるようになったときにお前らは来た。よってゾンビに噛まれなければ今すぐにでも出ることはできるぞ」

 

「そうか…。分かった。この大陸には近づかない方がいいな。嘘をつくような奴の言葉は信用できない。そうだろ?ベルテルミーニ王国の国王さん?」

 

やっぱり俺のことはしっているか。残念なことに別大陸のことはあまり知らないからな。流石に何年もたっているから分からないだろうと思っていたが…。

 

「…よく知っていたな」

 

「ハクア・ベルテルミーニの名はそれなりに知名度はある。この大陸で最も勢いのある王国を率いているとね」

 

「なるほど。それで?お前らはどうするんだ?」

 

「…既に俺たちはあんたの懐に入り込んでいる。あんたがその気なら既に俺たちは死んでいるだろう。だが、その上で提案がある」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手合わせを望む」

 




エルバ・アイン・シュテュルツィア
夜天の主。守護騎士ヴォルケンリッター及び夜天の書の開発者。ベルカの貴族の家に生まれ幼少の時から天才と言われていた。五年前に家を出て各地を旅するようになった。その過程で夜天の書に守護騎士プログラムを作成。その後は各地の魔法を研究していく。基本的に穏やかな性格だが知的好奇心がとても高くその場合何事よりも優先して動く癖がある。相手の強さを曖昧に、魔力を具体的に計測できるレアスキルを持つ。魔力SSS。

夜天の主の設定はこんな感じです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 VSエルバ・アイン・シュテュルツィア

「…準備はいいな?」

 

「ああ、問題ないよ」

 

「よし、ならば始めるぞ!」

 

夜天の書の主、エルバ・アイン・シュテュルツィアの提案を俺は承諾した。流石に守護騎士も合わせると勝てる確率は低いが今回はヴォルケンリッターは待機してもらった。よって、俺とエルバの一騎討ちである。

 

まず仕掛けたのはエルバ。詠唱を唱えつつ魔力弾を牽制代わりに俺に打ち込んでくる。

 

勿論俺はそれに気をとられることなく魔力弾を避けつつエルバに近づいていく。

 

「くっ!?」

 

しかし、俺の足に鎖型のバインドが張り付き動きを止めてしまった。いったい何時の間に…。

 

「来たれ漆黒の風、敵貫く槍となれ!ゼルク・フリード!」

 

詠唱を完了したエルバは漆黒の槍の魔法を俺にはなってきた。その勢いはすさまじくガードしても貫かれるだろう。

 

「…ならば!」

 

俺はバインドを直ぐに破壊してゼルク・フリードを紙一重で回避する。しかし、完全には避けきれず少しダメージをおってしまった。

 

「…今のを避けるとは」

 

「今度はこっちの番だな」

 

俺は自身の腕に紫の炎を出してエルバに撃ち込む。これは鬼武者3の本能寺の変で信長が使っていたものと同じだ。それ故に威力は高い。

 

「慈悲深き鋼の王。身を守る障壁となれ!アリアンロッド!」

 

エルバはその炎を魔法を使った防壁によって防いだ。

 

しかし、流石は初代夜天の書の主か…。一筋縄ではいかないな。

 

ならばこちらも能力を使うまで。

 

「…雷鳴轟く炎の龍!我に応え現れよ!」

 

俺は召喚のための詠唱を行うと俺のしたに魔法陣が現れ魔力が高まっていく。

 

「来い!雷皇龍ジークヴルム!」

 

魔法陣から現れたのはバトルスピリッツ第二作で主人公のキースピリットとなった雷皇龍ジークヴルム。魔力がたくさんある俺はジークヴルムに大量の魔力を送る。

 

「!?召喚魔法だって!?」

 

エルバは驚いているな。それもそうか。この大陸は魔法の文化が全然ないからな。

 

現在のジークヴルムはレベル3相当の実力を持っている。少なくとも負けることはないだろう。

 

「ゆけ!ジークヴルム!」

 

俺の命にジークヴルムは雄叫びをあげてエルバに突っ込んでいく。

 

「っく!?」

 

エルバはジークヴルムの突進を後ろに下がることで危機一髪で回避する。ジークヴルムはそのまま追撃しようとして

 

自分の手足に巻き付いた鎖型のバインドによって足を止めてしまった。

 

何時の間に…。だが、このくらいのバインドならジークヴルムには紙の鎖同然!

 

案の定ジークヴルムはバインドを直ぐに破壊してしまう。そこで俺は高まる魔力を感じた。

 

「響け終焉の笛、ラグナログ!」

 

マジか!?ラグナログを放つのかよ!?しかも何気に俺とジークヴルムは直線上にいるし。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

まずい!?くそ!!こう言うときは真横に飛ぶまで!

 

ラグナログはぎりぎり爆風をもろに受ける程度で済んだ。ラグナログをもろに食らったジークヴルムは蒸発。骨ひとつ残さなかった。今さらだけどこの時代に非殺傷設定なんてもんは無いんだよな。ほんと、こう言うときに非殺傷設定は欲しいぜ。

 

「ハクア・ベルテルミーニ。これで終わりか?」

 

「まさか。ちょっとした運動だよ」

 

エルバの挑発に俺は受け流しつつ余裕を見せる。実際魔力"は"余裕だからな。

 

しかし、まさかジークヴルムがやられるとはな。召喚したスピリットは死んでももう一回呼び出すことが出来るからな。

 

次は何を召喚しようかな?ジークヴルム・ノヴァ?イグドラシル?それとも神機グングニル装備のヴァルハランス?一体どれにしようかな?

 

そう言えば第二作に出てくるミラって結構好みなんだよな。会えたりできないかな。

 




ミラはバトルスピリッツ第二作の11話に出てきます。詠唱や召喚時の呼び声はオリジナルです。

スピリット紹介
雷皇龍ジークヴルム
コスト6
軽減コスト3
赤のスピリット
系統・星竜、古竜
レベル1BP4000(1)
レベル2BP6000(3)
レベル3BP9000(5)
レベル1、レベル2、レベル3激突『このスピリットのアタック時』
相手は必ずブロックする。
レベル3『自分のアタックステップ』
覚醒を持つ自分のスピリットすべてに激突を与える。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 スピリットによる物量戦。そして肉弾戦

戦闘描写が難しい。かなり駄文となってしまった。


さて、ジークヴルムを撃破されたし次の手を打たないとな。

 

…と思うんだが基本的にバトルスピリッツのスピリットって強い=でかい感じがあるしな。かといって小さいのじゃなぁ。ここは数で押すとするか。

 

因みにスピリット召喚する場合同じスピリットを三体以上召喚出来るが一日以内にそれ以上召喚する時は倍の魔力が必要になるんだよな。もっとも、有り余る魔力を持ってるから関係ないんだが。

 

「召喚、ノーザンベアード」

 

俺はジークヴルムみたいに詠唱をせずに召喚する。このくらい低コストスピリットなら楽勝だな。

 

召喚したノーザンベアードは三十体。ノーザンベアードは雄叫びをあげてエルバに突進していく。普通に熊よりもでかいノーザンベアードが三十体、雄叫びをあげて突進して来る姿は恐怖しか感じないな。

 

「くっ!」

 

エルバは慌てて魔力弾を放つも大して効いていない。当たった端から吹き飛ぶように後方に飛んでいく。

 

「ならば!」

 

エルバは空中に飛ぶことでノーザンベアードを回避する。だが、甘いな。

 

「っ!?ぐあぁぁぁ!?」

 

空中にはズンガリーブが待機済だ。その数五体。ズンガリーブの攻撃をまともに受けたエルバは苦悶の声をあげるが直ぐに立て直してズンガリーブに魔力弾を放つ。

 

「一体どのくらい召喚獣を持っているんだい?きりがないよ!」

 

「さあな、自分で考えな!」

 

エルバは文句を言ってくるもそれを受け流して更に召喚する。ズンガリーブを増援として二十体ほど召喚する。

 

「ジークヴルム再召喚!」

 

極めつけは先程殺られたジークヴルムを再び召喚する。

 

「まだいるのかよ!?」

 

ほらほら、エルバ。だんだん雑になってきているぞ。その調子じゃいずれ殺られちまうぞ?

 

そして思っていた通り一瞬の隙をついてズンガリーブがエルバに突撃して脇腹を思いっきり抉り取った。

 

「っ!?」

 

エルバは激痛で声もでないのか段々と落ちていく。その下には三十体のノーザンベアードが待機している。このままいけばエルバは死ぬな。

 

どうする?ここでやめさせるか?一応ここで死ぬと原作のA`sは成立しなくなるし最悪機動六課も設立しないだろう。

 

俺としてはなるべく原作にそってほしいからな。ここは助けるか。

 

そう思いノーザンベアードに助けるように指示を出そうとした瞬間エルバは光の粒子となって消滅した。

 

「っ!?幻影か!?」

 

何時の間に…。とするとエルバは…。

 

「後ろ、もしくは死角!」

 

「遅い!アーテム・デス・アイセス!」

 

エルバは凍結魔法を俺に放って…ってまずい!

 

「ジークヴルム!」

 

俺は咄嗟にジークヴルムを召喚する。ジークヴルムは炎をはいて凍結魔法に対抗するがそのかいなく全弾体に受けて凍結してしたに落下していった。。凍結したジークヴルムはそのまま地面とぶつかると大きな音をたてていくつもの破片になって消滅した。

 

「おのれ!」

 

俺はエルバに蹴りを放つがエルバはそれをよけてパンチを繰り出してくる。

 

俺はそれを避けつつ手に炎を宿してそれを広範囲にばら蒔くように放つ。

 

「くっ!?」

 

それでもエルバは構わずに距離を詰めてくる。

 

俺はエルバを思いっきり殴り付けるがエルバはそれをぎりぎりでよけてその勢いを利用して蹴りを放つ。エルバの蹴りは俺の右肩に直撃する。こいつ本当に人間か?今ので俺の肩の骨粉砕したぞ?

 

「ふん!」

 

俺は左手でエルバの腹を思いっきり殴り付ける。フム、感触からしてかなりダメージは与えたな。

 

「まだ、だぁ!」

 

エルバは左手で腹を押さえつつ右手を振りかぶる。俺も左手を振りかぶりエルバの頬を狙う。

 

「がぁ!」

 

「ぐっ!」

 

結果エルバと俺のパンチはお互いの頬を直撃した。あっ、やばい。意識が。

 

俺は一瞬で意識を失った。

 




スピリット紹介
ズンガリープ
コスト2
軽減コスト2
赤のスピリット
系統・空牙
レベル1BP2000(1)
レベル2BP5000(2)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 戦い終わって

意識が回復したとき俺はいつも寝ている俺の寝室に寝かされていた。

 

「あっ、お兄様お気付きになられましたか」

 

俺の意識が戻ったことに気がついたのか看病していたと思われるミーナが声をかけてきた。なるほど、ミーナが俺をここまで運んでくれたのか?幻魔となったミーナの力はかなり強いからな。俺くらいなら軽く持つことが出来る。

 

「お兄様にお客様が来たと言うのでお茶を持ってきたのですがお連れの人から模擬戦をやっているとき来ましたので見に来たら二人とも気を失っていたんですよ?」

 

どうやらエルバも気絶していたみたいだな。と言うことは引き分けか?

 

「お客様は別の部屋でお連れの方が看病しています」

 

「そうか…。ミーナには迷惑をかけたな」

 

「いえ、このくらいへっちゃらですよ。ただ、模擬戦を行うときは一言声をかけてほしかったです」

 

「すまない。何時もなら造魔がいるのだが今回はいなくてな。一体どこにいったのやら」

 

それにしてもエルバを連れてきてからギルデンスタンを見ていないな。

 

『ハクア様』

 

丁度ギルデンスタンの事を考えていたからなのかギルデンスタンから通信が入った。

 

『どうしたギルデンスタン?』

 

『東の海より大量の船が近づきつつあります。恐らく侵略しに来たのかと』

 

どうやら戦争が起こりそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『六人で化け物退治に向かわれその命を落とされたエルバ・アイン・シュテュルツィア様の仇を取るぞ!』

 

『『『『『おおぉぉぉぉぉぉぉ!』』』』』

 

カメラ型幻魔から送られてくる内容に俺はため息をつき隣にいるエルバは呆然としている。それもそうか。勝手に殺されたことになっているのだからな。因みにエルバは意識が戻ったところを指令室に行こうとしていた俺と偶然あってなんだかんだで一緒にくることとなった。

 

しかし、何でこいつらはここが化け物の島って気付いた?この大陸の抵抗戦力に渡航なんて不可能。それに海岸線には刀足軽達が目を光らせているんだ。逃げることなんてできやしない。

 

となると遠くから双眼鏡を使って見たか?船の上からでも海岸線にいる刀足軽はよく見えるからな。

 

「敵の数はおよそ十万。敵は船を密集させてこの大陸に向かって航行中です」

 

ギルデンスタンの報告に俺は考える。俺がスピリットを召喚すれば簡単に殲滅できるだろう。それが一番簡単だ。だが、ここは内陸にあるから海岸線につく頃には敵は上陸している可能性が高い。だが、他にいい方法もないしな。

 

「…仕方ない。ここは俺が出向くか」

 

俺は立ち上がり準備をする。途中エルバを見るがエルバは何かを考えているのか顔を俯かせていて表情がはっきりと見えない。

 

「ギルデンスタン、ここの守りは任せた。俺はこれから海岸線に向かう」

 

「承知しました」

 

俺はギルデンスタンの返答を聞かずに地上へと出る。それと同時に召喚をする。

 

「召喚、突機竜アーケランサー」

 

俺の声と同時にスピリット、いやブレイヴスピリットは召喚された。

 

こいつなら早そうだしな。カードにはジェット噴射してるし。

 

そういうわけで俺はアーケランサーの後ろに飛び乗り海岸線に向かわせる。アーケランサーはそれに答えるように直ぐに発車した。

 

俺の思った通りアーケランサーは早く何度も振り落とされそうになった。元々乗り心地も良くないしな。もっとも、アーケランサー自体がブレイヴスピリットって言うのもあるのだが。

 

何はともあれ十分もたたないで目的地である海岸線に到着した。早く来すぎたのか船団の姿は見えない。

 

となると海上での戦いとなるな。海上にいそうなスピリットとなると青か。一応何体かいるしな。

 

「四つの鮫首を持つ竜よ!武きその身を持って侵略者を滅ぼしたまえ!鮫首竜シャークハイドラ、召喚!」

 

俺の言葉と同時に現れるは四種類の鮫の首を持つ巨大な龍。海上版ヤマタノオロチと言えるその姿。俺は命じる。

 

「シャークハイドラ!この大陸に向かってきている船団がある!それをまとめて沈めるのだ!勿論見方と協力してだ!」

 

シャークハイドラは返事をするように雄叫びをあげて海へと入っていく。それを見届けて俺は更に召喚する。

 

「召喚、ミゴー、ヤリスキッド」

 

俺の言葉と共に新たに召喚されて海へと入っていく。これだけいれば殲滅できるだろう。後は簡易モニターから様子を見るか。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 殲滅

~とある王国の国王サイド~

現在我は化け物の大陸を領土にすべく大船団を率いている。

 

我が国に滞在していた大賢者であるエルバ・アイン・シュテュルツィアがたった六人で化け物の大陸へ向かわれたと情報が入ってきた。

 

化け物の大陸とは少し前にあの大陸に存在したアルテミラ皇国の貴族が逃げてきたときに化け物に襲われたと聞いたからだ。最初は言っている意味がわからなかったがその後もアルテミラ皇国の貴族が逃げてきては同じことを言い最後に来た貴族からアルテミラ皇国どころか大陸全土に化け物が現れていると聞かされた。それからは化け物の大陸として出入りを禁止した。

 

その大陸へ大賢者が向かわれたのだ。そのとき俺は好機と思った。いくらエルバと言えど大陸全土に広がっている化け物をすべて倒すなど不可能であろう。そこを狙い大陸を支配すれば言い。エルバが生きていれば極秘利に殺し死んでいるならそれでよし。何とも簡単な内容だな。

 

「陛下、大陸まであと半日ほどです」

 

そのとき部下が報告してきた。あと半日もあるのか。長いな。だが、そのあとに待っている大陸の支配を考えると待ち遠しくはあるも苦には感じない。

 

「そうですか。下がって…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギィアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として聞こえてきた雄叫びと何かが思いっきりぶつかったような音が辺りを支配した。

 

「な、何が!」

 

我は慌てて外へと飛び出す。そこで目にしたのは、

 

「な!?」

 

前方から現れた巨大な化け物とそこにいたはずの船が遥か上空に吹き飛ばされている姿であった。

 

吹き飛ばされた船は遠く離れた海に逆さまに衝突して海の藻屑となっていた。

 

「っ!?全軍、目の前の化け物を殺せ!」

 

我は慌てて指示を出して部屋に戻ろうとする。しかし、

 

「ヒィ!な、なんだこいつら!?」

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!!!」

 

「い、いてぇよぉ!た、たすけて…!」

 

海より現れたイカの化け物とかにの化け物が後方に逃がさないとばかりに後方の兵士を襲っていた。襲われた兵士はのたうち回りその光景を見た無事な兵士達が恐怖で混乱していく。隊列など最早存在しない。

 

「ヒィ!」

 

我は部屋に戻るのを諦めて船の前に向かう。巨大な化け物は首や足を振り回しながら船団を一直線に進んでくる。その進路にはこの船がある。

 

「誰か!この船を捨てて逃げるぞ!」

 

「陛下!無理です!このしたにも化け物が…グキャッ!?」

 

我の言葉に反論してきた兵士は海より新たに現れたカニの化け物に頭を潰されて絶命してしまった。

 

「ヒィィィィィィィィ!!!!!」

 

我はいきなりのことに腰を抜かしてしまい逃げられなくなってしまった。そんな我に狙いを定めたのかカニの化け物はこちらにハサミを向けてくる。

 

「へ、陛下をお守りしろ!」

 

しかし、丁度そこへ数名の兵士が助けに来てくれた。二人が我を支えて下がり残りがカニの化け物に立ち向かっていく。

 

「陛下、取り合えず中へ…」

 

我を支えている兵士が途中で言葉を止めてしまった。見ると先程まで明るかった船の上が太陽を隠したように暗くなっていた。

 

「…まさか!」

 

そう思い後ろを向くと巨大な化け物が足を降り下ろしてくる姿がスローモーションで見えた。

 

それが目の前まで来たとき我の意識は暗闇へと消えていった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 友

これで第二章完結です。…うん、短いね。次は長くできるようにします。


「…凄まじいな」

 

俺はシャークハイドラ達を送り出した後海岸線で座って簡易モニターを見ていた。これには船団の様子が映し出されており、先程まで蹂躙と呼べる戦いがあった。

 

…いや、戦いでも蹂躙でもないな。シャークハイドラはただ進んでいただけだからな。その進路にたまたま船団がいただけだ。

 

「しかし、あいつ味方ごと沈めたよな?」

 

船団の中央にあり且つ豪華な船に取りついていたミゴーとヤリスキッドを巻き込んで沈めていた。今のでヤリスキッドはともかくミゴーはほぼやられたな。

 

それでも船団は既に半数以上が沈んでおりここからの巻き返しは不可能であった。

 

「お?逃げるか」

 

簡易モニターの先ではシャークハイドラから離れるように四方八方に広がって逃げる船団の姿があった。

 

勿論それをシャークハイドラは逃さない。首を左右に向けて水を勢いよく吹き出したのだ。当たった船は一瞬で木っ端微塵となっていきやがて原型をとどめている船は存在せず船の残骸が海上に漂っているのみだった。

 

これで侵略者は撃退できたな。いっそのことシャークハイドラを幻魔化させて大陸の回りを守らせるか?それならエルバみたいな強いやつでも来ない限り今回の船団程度なら勝手に殲滅してくれるだろう。

 

「何はともあれまずは戻るとするか」

 

シャークハイドラとミゴー、ヤリスキッドを回収して王城への帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、お前らはどうするのだ?」

 

王城に戻った俺はエルバにこれからの事を聞いた。

 

既にエルバがいた国では死亡していることとなっている。もし、エルバが戻っても居場所はないだろう。最悪の場合エルバの名を騙るものとして殺されるかもしれない。

 

かといって何時までもここに置いておくわけにはいかない。ミーナが戻ってきてから落ち着いては来たが未だに人間は信用できない。

 

「それについては考えている」

 

エルバが言うには他にも大陸があるからそっちへいくらしい。しかし、この大陸に来たときに乗っていた船は既に刀足軽が逃亡防止のために破壊しているしこの大陸には船は一隻もない。…いや、現在作っている戦艦ならあるがあれは完成までまだまだ時間がかかるからな。

 

「残念だが船は無いぞ」

 

「問題ない。あっちの大陸には行ったことがあるから転移できる。ただ、魔力の回復までにもう少しかかりそうだが」

 

「そうか」

 

俺としてはさっさと出ていってほしいがそれを口には出さない。

 

「俺としてもあまりうろちょろしなければ暫くはいてもいいが…」

 

「分かった。それより、聞きたいことがある」

 

「…なんだ?」

 

「あの化け物たちのことや召喚獣についてだ」

 

あ~、やっぱり聞いてくるよな。しっかしどうスッかな?馬鹿正直に言っても信じられないだろうし何よりそこまで信用してはいない。

 

どうごまかすか考えていると、

 

「教えてくれ!俺は今までたくさんの生き物を見てきたがどれも見たことがない生物ばかりだ!是非とも隅から隅まで調べたい!」

 

…あ~、こいつあれだ。ただの魔法オタクだ。もしくはネジの外れた変人。

 

「あれを調べないことには転移もできん!頼む!この通りだ!」

 

やめてくれ!後ろに控えている守護騎士、特にシグナムとヴィータから物凄い殺気が溢れてるんですけど!?こいつは俺を殺すきか!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局俺が「知りたいなら自分で調べろ!」と言ったお陰でエルバは落ち着いたがしばらくの間召喚獣を召喚してエルバが調べるという流れができてしまった。エルバは一度考え込むと延々と考え込むため魔力が貯まっても中々大陸に転移しようとはしなかった。

 

そのためシグナムやヴィータ、ザフィーラ達守護騎士と模擬戦を行ったりエルバがギルデンスタンと議論を交わしたりと気づけば一月以上も一緒に過ごしていた。

 

そしてある程度落ち着き漸く転移することになった。

 

「世話になったな」

 

転移陣の上に立ってエルバは言う。

 

「全くだ。一体何時まで居座るのかハラハラしたぞ」

 

転移陣の外に立って見送る俺はエルバに返答する。

 

「だが、中々楽しい日々であった」

 

その言葉通り俺はエルバとの日々を楽しんでいた。幻魔となって人間を滅ぼすと決めていたにも関わらずその人間と過ごし楽しんでいた。

 

「そう言ってもらえると居座ったかいがあった」

 

エルバは軽く笑う。この大陸から出れば恐らく戻ってくることはできない。既にこの大陸は世界から切り離している。幻魔やゾンビならまだしも生きた弱い人間が行き来することはできなくなるだろう。俺の方から会いに行くことはないと思うのでこれでお別れだ。

 

やがて転移陣が光だしエルバ達を包み込む。

 

「…じゃあな」

 

「楽しい日々であったぞ」

 

「テメエあたしらのこと忘れんなよ!」

 

「お世話になりました」

 

「…」

 

「よき人生を」

 

「…去らばだ!夜天の一行よ!お前らとの日々は恐らく忘れないであろう!」

 

エルバに続いて守護騎士に管制人格等が言葉を投げ掛けてくる。俺は笑いながら返事をする。

 

言い終わると同時に転移陣は一層光る。光が収まる頃にはエルバも守護騎士達もいなかった。

 

「…さて、俺は俺でやることをやるか」

 

俺は自分に言い聞かせながらその場を後にした。

 




補足
夜天一行が大陸に来たのは大陸の異変を調べるためです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三章 ベルカ侵攻編
第一話 他大陸侵攻作戦~準備~


エルバとの出会いから何年たったのだろうか?恐らく百年はたったような気がする。その間に起こったことについて書いておく。

 

大陸…何時までもこのままじゃ不味いから姓からとってベルテルミーニ大陸は暫くは切り離しているのみだったが今では完全に次元の狭間へと場所を移し終えている。その際何度か人間に逃げられたが問題ないだろう。

 

この大陸に来るためには次元震でも起こして無理矢理道を開く位しないとこれないだろう。…ん?この設定どっかで聞いた気がする。…まぁ、いいか。

 

人間は生かさず希望持たせずは変わらないが逃亡や反乱を防ぐために時々行う催しでいい成績を出せば部下にしてやると言う内容を出している。勿論幻魔化させるが。既に何人か幻魔化して指揮官として働いている。

 

次に幻魔についてだが幻魔が放つ濃い瘴気のせいなのか勝手に幻魔が湧き出すようになってしまった。そのため俺に従わない、と言うよりも管轄外にいる幻魔が多く現れたが問題はないだろう。幻魔自体が俺に従うようだしその気になれば一瞬ですべての幻魔に指示を出せる。

 

次にタナトス改についてだ。既に開発は中止している。ぶっちゃけ幻魔の方が強い。だが、量産はしている。その気になればこれをばらまいてゾンビを大量に作り国を脅かすことも出来るからな。

 

そんなわけでこの大陸は幻魔界と呼べる代物になった。そこで俺は前々から計画していた他大陸侵攻作戦を行おうと思っている。

 

この大陸を隔離してから他大陸の情勢が分からなくなってきているがその辺は問題ない。俺は機械化歩兵の開発を行っている。

 

幻魔を始めとして強力な歩兵は勿論戦車や戦艦、航空機の開発が進んでいる。既にミサイルは完成しており戦車も第二次世界大戦時くらいの戦力を有している。まだジェット機の開発には成功していないがレシプロ機でも十分な驚異となるだろう。

 

後は指揮官を誰にするかだな。流石に俺が命令しても小隊クラスの部隊は必要だ。そのためにも指揮経験の豊富な者を向かわせるとしよう。既に候補は集めている。

 

「…諸君、集まったようだな」

 

王城のとある一室。そこには将軍クラスの人間が集められている。

 

「では始めよう。今回集めた理由は単純。他大陸侵攻作戦を始動する」

 

俺の言葉に数名からどよめきが漏れる。 俺はそれを気にせずに話す。

 

「侵攻する大陸は既に決まっている。投入する戦力も大体揃いつつある。後は指揮官を誰にするかを決めねばならない」

 

「それでしたらこのワシに」

 

俺の言葉に一人の男が立ち上がった。確か、猪突猛進の猛将だったな。

 

「このワシにお任せいただければ直ぐにでも大陸を支配して見せましょう!」

 

「黙れギルガリオ将軍」

 

喋るギルガリオに声を挟むものが現れた。確か、ベルホルト・グレゴールだったな。みためまんま戦場のヴァルキュリアのドライ・シュテルンのグレゴールだな。こいつはベルテルミーニ王国時代、王城を奪われる前に出陣したときに軍の指揮を執っていた将軍の孫だ。将軍はあの後なんとか逃げ切れたみたいだが負傷(ゾンビ化する訳ではない)して逃げるのがやっとだったみたいだ。その後は自分の家族を連れて逃げていたらしいが逃げた先で刀足軽の襲撃に逢い将軍は死亡。将軍の息子は妻と子供を逃がすために囮となって死亡。逃げた妻も負傷してしまいギルデンスタンが気がつかなければ親子揃って死亡していたらしい。

 

その後はギルデンスタンによる幻魔化手術を受けて幻魔となり以後俺に忠誠を誓ってくれている。俺としてもこいつの指揮能力は半端ないし俺の意思をよく反映させている。素晴らしき部下だ。

 

「陛下の目的は人間の家畜化。支配等する必要はない。害虫駆除をしなければ」

 

「なんだと!」

 

「まあまあ、お前さん方。あまりカッカしなさんな」

 

グレゴールを睨み付けているギルガリオをなだめるようにギルガリオの隣に座っている人物が言う。こいつはラディ・イェーガー。こいつも戦場のヴァルキュリアに登場したラディ・イェーガーまんまなやつだ。こいつはエルバが住んでいた王国が侵攻してきたときの生き残りで運よくこの大陸に漂着。刀足軽の襲撃を退けつつ内部に入っていきエルバの見送りの後にたまたま出くわして殺そうとして来たが返り討ちにした後戦ヴァルのキャラに似ていたから王城に運びその後話し合った結果部下としたのだ。勿論幻魔化している。

 

「グレゴールもあんま突っかかんなよ」

 

「イェーガーの言う通りだ。今この場で言い争う必要はない。やはり指揮官は俺が決めておく。会議は以上だ」

 

やはり一癖二癖ある奴らばかりだからな。こちらで決めるのがてっとり早いか。

 

俺はそう思いつつ会議を終了させた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 他大陸侵攻作戦~侵攻開始~

「諸君、いよいよ他大陸に侵攻する時が来た!」

 

王城前に集まった幻魔の前で俺は出発前の演説を行っている。まぁ、基本戦闘本能しかない造魔に何を言っても分からないだろうが。

 

あの後指揮官を誰にするかは決めた。俺だ。やっぱり俺もいくことにした。

 

「次に軍団長の任命を行う!先ずは侵攻軍団!

 

第一軍団、団長はベルホルト・グレゴール!

 

第二軍団、団長はギルガリオ・ハフファニール!

 

第三軍団、団長はラディ・イェーガー!」

 

侵攻軍団は主に前線に立って戦う軍団の事である。編制としては

 

第一軍団

指揮官ベルホルト・グレゴール

造魔

・刀足軽×5000

・弓足軽×3500

・斧足軽×2500

・アサシン改×500

 

幻魔

・ガッチャ×1000

・バズー×5000

・バラバズー×500

・バーサー×3000

合計2万1000

 

ゾンビ多数

 

 

第二軍団

指揮官ギルガリオ・ハフファニール

造魔

・刀足軽×8000

・弓足軽×2000

 

幻魔

・ガッチャ×3000

・オオワッシャ×3000

・ゴザレス×2000

・バーサー×2000

合計2万

 

ゾンビ多数

 

 

第三軍団

指揮官ラディ・イェーガー

造魔

・銃足軽×3500

・刀足軽×6000

・砲足軽×500

 

幻魔

・バズー×8000

・バラバズー×800

・バーサー×3000

 

合計2万1800

 

 

このような編制となっている。グレゴールは堅実的な編制となっていてギルガリオは力攻め、イェーガーには初戦闘である近代兵器を装備した第三軍団の指揮を任せている。合計6万程だが幻魔一体で人間10名以上の実力があるためその兵力は単純に十倍はあると言える。更に各指揮官は優秀なため先ずしくじることはないだろう。ギルガリオは力攻めを好むがそれしか出来ないわけではない。戦場全体を見る能力はグレゴールをも上回る。ただ、グレゴールは兵の喪失を嫌いギルガリオは必要な犠牲と割りきっているだけだ。

 

お陰で二人の溝はかなり深い。だが、二人とも俺に対する忠義は半端ないものがある。そのため俺は特にどうこう言うつもりはない。二人が害にならない限り。

 

「続いて補給部隊の指揮官は高等幻魔ジュジュドーマに任せる!」

 

「了解しました。わらわにお任せください」

 

オカマ幻魔ジュジュドーマは綺麗に礼をするがみためがみためなので全然絵にはならない。

 

こいつはここ最近誕生した幻魔で高等幻魔では初めての自然発生した幻魔である。まさかこいつが生まれるとは思わなかったがな。

 

とにかくこの編成で侵攻して状況によっては増援を行う方針で行くこととなった。

 

「では、全軍前進!」

 

俺の声を受けて他大陸侵攻作戦が開始され幻魔達が一斉に動き出す。

 

因みに俺も一応軍を率いている。下がその編成だ。

 

近衛兵団

指揮官ハクア・ベルテルミーニ

造魔

・マーセラス

・ドルドー×10

・斧足軽×500

 

幻魔

・バーサー×500

・バズー×1500

・バラバズー×150

・ゴザレス×500

 

合計3160

 

ゾンビ多数

 

まぁ、俺がいればスピリット召喚でいくらでも戦力を出せるからな。そして最新造魔であるマーセラスも俺の護衛として側にいる。これはエルバが来たときにあまり強い造魔がいないと思ってギルデンスタンに開発させていたのだ。俺が急かしたからか原作よりも実力は高くジークヴルムを一対一で打ち破る実力を持っている。あり得ねえ。

 

そんなマーセラスは今も俺の後ろで控えている。因みに姿は極だ。

 

そして第三軍団が出陣していったのを確認して俺も出撃する。

 

俺は装甲戦車【オルクス】に搭乗する。これは技術班が頑張って完成させた巨大な装甲戦車で装甲は何と200㎜あり一番薄いところでも150㎜はある。そのためかなりの巨体となっており見ただけでものすごい威圧感がある。

 

さて、この軍勢を見て他大陸の者達はどんな反応をするのかな?もっとも、最後には必ず滅ぼすが。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 他大陸侵攻作戦~殲滅~

他大陸侵攻作戦は思いの外うまく進んでいる。

 

最初に侵攻した大陸はアフリカ大陸並みの大きさを持ち十を越える国家が乱立していたが半月ほどで半数の国が滅亡し、残り半数も既に満身創痍の状況であった。先陣をきるグレゴールが侵攻する度に人間を駆逐しているため侵攻した地域では人間がほとんどいなくなり大陸の人口の半分がこの世からいなくなっていた。

 

「敵はどうやら次の戦いで決着をつけるようです」

 

第一軍団を率いるグレゴールが大陸の国の情勢について報告してくる。

 

「残った十の国合わせて20万弱の軍勢はガダル平原に集合しています」

 

ガダル平原とはこちらが命名した平原で丁度残った人間の国の領域と俺が支配する領域の間にある。人間の間では何度も窮地に陥る度にここで勝利を納めてきたらしい。もっとも、それでも負けるとは思わんが。

 

第一軍団、第二軍団共に機械化が済んでおり中世程度の技術の人間の国に負けるはずがなかった。

 

「ならばこちらも兵をガダル平原に向かわせろ。今の我らなら人間一人残らず殲滅できるだろう。我らには時間は沢山あるがまだまだ侵攻予定の大陸があるのだ。初戦であるこの大陸に時間をかける必要はない」

 

実際この世界は本当にミッドチルダがある世界なのか疑いたくなるほどにでかく大陸が沢山ある。これじゃあ不便だ。大陸同士くっ付けるか?

 

「ならばここはわたしめにお任せください。直ぐに殲滅してみせましょう」

 

と、ここでグレゴールが自薦してくる。グレゴールなら言うと思っていたし任せられる。

 

「お待ちください!ここはワシにお任せください!」

 

そこへ待ったをギルガリオはかけた。そんなギルガリオをグレゴールは睨む。

 

「貴様、ギルガリオ。しゃしゃり出るな」

 

「ふん!この大陸を支配しつつあるとはいえ少し調子に乗りすぎてはないか?ワシならこの大陸をもっと簡単に支配下に置くことが出来るぞ。第一殲滅などしなくても支配下に置くのだから…」

 

おいおい、誰も人間を支配下に置くとはいってないぞ?俺がしたいのは人間による国及び国のようにまとまった存在、町や村を作ることをさせないことだ。例えるならドラクエビルダーズの世界観に似ている。人間は生かさず緩く殺す。こんな感じだ。

 

だと言うのにギルガリオは理解していないな。人間上がりとはいえここまで物わかりが可笑しいとは。

 

グレゴールも同じ意見なのかかなり眉を潜めている。

 

そうしている間にもギルガリオは喋る。

 

「陛下、いくらなんでも殲滅等しては後の政治に支障を来しますぞ。そのせいで本国は物資が滞り人々に活気はなく仕方なく幻魔等と言う化け物にならなくてはいけなくて…グァ!?」

 

…気づけば俺はギルガリオの首を絞めていた。

 

「へ、陛下!?何を!?」

 

「…ギルガリオ。貴様は使えると思っていたがどうやら見込み違いだったようだ」

 

俺はそのまま片手でギルガリオの首を握り潰した。ギルガリオは頭と胴体に別れて地面に落ちた。

 

「…グレゴール」

 

「はっ!」

 

「直ぐに奴等を殲滅しろ。情けはかけるな。確実に殺せ」

 

「直ちに取りかかります」

 

グレゴールはそう言って殲滅の準備にかかった。

 

「…まさかこんなところで気分を害することになるとは」

 

「お前さんもそんなことがあるんだな」

 

イェーガーがそんなことを言ってくる。

 

「貴様は俺をなんだと思っているのだ。俺とて喜怒哀楽は持っている。ただの幻魔と一緒にするな」

 

「そりゃぁ、お前さんは幻魔の親玉だし一緒にしてはいないさ。ただ、そんなところを見たことはないんでね」

 

「…ふん」

 

やがて幻魔軍による殲滅作戦が開始され人間側からは阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。その勢いを保ったままグレゴールは国の方も攻めて僅か二日で滅亡させた。

 

こうして他大陸侵攻作戦の初戦は終わったのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 他大陸侵攻作戦~最終決戦準備~

最近話の質が落ちてきた気がする。


「これからは大陸を一斉に侵攻する」

 

ギルガリオを殺した大陸から既に4つ大陸を落としている。その大陸のどれもがグレゴール指揮下の本あっという間に落としてしまうので別大陸にも侵攻することとした。

 

現在俺は指揮を取れるもの達を集めて指示を出していた。

 

「残っている大陸は後五つ。よってグレゴール、イェーガー、バルドレン、ジュジュドーマ、ゴーガンダンデスにそれぞれ指揮官を命ずる」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

「グレゴール、お前は恐らく一番の激戦地となるだろう」

 

俺の目の前にあるそれぞれの大陸が描かれた紙がある。俺はその一つの【ベルカ】と書かれた大陸を指す。

 

「ここは今のところ最も魔法が発達している。もしもの事があるかもしれない。注意してくれ」

 

俺の言葉にグレゴールは心外とばかりに肩を竦めて言う。

 

「陛下、陛下はただ命令するだけでいいのです」

 

「そうだな。…ならばグレゴール、ベルカ侵攻指揮官に任命する 」

 

「必ずや成功させます」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り合えず指揮官は決まったな。

 

残った大陸の内ベルカが最も強大な大陸であるが他にも【ジパング】と呼ばれている大陸…と言うより島国と言える国もある。その国も侮れない。

 

よってグレゴールはベルカ、イェーガーはジパングにそれぞれ指揮を執らせることにするか。後は弱小大陸だから問題ないだろう。

 

次は編成のみだな。

 

ベルカもジパングも強いからな。それ相応の編成を行わなくては。

 

ベルカはエルバの故郷でもあるからな。魔法は発展しているが科学技術はそれほど発展していないか。これは魔法の存在する中世ヨーロッパと考えればいいか。

 

対するジパングは科学技術が異様に発展しているな。既に自動車があるし海軍も1945年くらいの軍艦もあるな。初歩的なミサイルも確認されている。

 

本当に何でこんなに差がついたんだろうな?やはり魔法の有無か?ジパングは魔法がないみたいだしな。それにベルカとジパングの距離はかなり離れているからな。お互いの交流はないか。

 

これらのことを踏まえると

 

グレゴール

造魔

・銃足軽×5000

・刀足軽×10000

・砲足軽×2000

・アサシン×2000

・マーセラス×20

 

幻魔

・バズー×15000

・バラバズー×1500

・ガッチャ×5000

 

ゾンビ多数

タナトス改生物多数

 

 

イェーガー

造魔

・銃足軽×10000

・砲足軽×5000

 

幻魔

・バズー×20000

・バラバズー×2000

 

ゾンビ多数

タナトス改生物多数

 

その他戦艦群

 

 

このくらい有れば大丈夫か?数では負けているがそれでも質の面ではかなり優れているからな。

 

更にグレゴールには最新鋭のマーセラスをつかせた。例え負けそうになってもマーセラスがいればグレゴールだけでも逃げ延びることができるだろう。

 

グレゴールは俺が一人の人間として生きていた国王時代の生き証人でもある。ギルデンスタンとは違う。優秀な重臣と共に大陸統一を目指していた頃の表の俺を見ていた最後の一人だ。

 

俺は幻魔界にしてしまったがこの大陸が好きだ。俺が人間として生きていたこの大陸がいとおしい。次元の狭間に大陸を移した理由もこの大陸を守るためでもある。

 

この二つがなくなったとき俺は完全に幻魔となるかもしれない。冷酷無比の完全な幻魔に。

 

…よそう。この話は。今は大陸侵攻を考えるべきだ。

 

ジパングの侵攻では戦艦同士の戦いとなるだろう。それはとても楽しみだな。だが、数も質も俺の方が上だが。

 

 

 

ジパング侵攻艦隊

旗艦戦艦『ベルテルミーニ』

戦艦ベルテルミーニ他30隻

空母20隻

巡洋艦50隻

駆逐艦100隻

揚陸艦300隻以上

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 他大陸侵攻作戦~艦隊決戦~

「イェーガー将軍!敵艦を発見しました!」

 

「数は?」

 

「戦艦5、巡洋艦20、駆逐艦多数、とのことです!」

 

「敵は数でも質でも劣るか…。よく知らせてくれた!戻って構わん。俺は海のことはわからないからな。艦隊司令に一任する」

 

「はっ!」

 

大陸同時侵攻が開始されイェーガー率いるジパング侵攻艦隊も出動した。

 

この動きはジパング側も気付いており直ぐに艦隊を向かわせるも全滅。既に三回海戦を挑むも全て惨敗し、帰艦した艦はたった一隻のみであった。

 

ジパングの海軍はほとんど海軍力を失っており今回の艦隊で全ての艦で最終決戦を挑んできたのである。

 

やがて戦艦の砲撃音がイェーガーが乗っている揚陸艦にも聞こえてくる。

 

「さて、ジパングの力。見せてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ジパング侵攻艦隊旗艦『ベルテルミーニ』~

「敵戦艦に二発命中!敵戦艦速力減少!」

 

「敵戦艦の砲撃駆逐艦に命中!爆沈しました!」

 

「空母から攻撃隊発信しました!」

 

旗艦『ベルテルミーニ』の司令室では各艦からの報告が相次いで入ってくる。

 

艦隊の者は全て幻魔化した人間である。彼らはギルデンスタンの手術によりハクアへの絶対忠義を誓っておりハクアのためならば自分の命を投げ出す覚悟をしていた。

 

「被弾した艦は後方の艦と入れ替われ!!敵戦艦の的になるだけだ!それと敵艦はなるべく戦艦を狙え!やつらの少ない力を潰すのだ!」

 

ジパング侵攻艦隊司令長官の可丹天は各艦に指示を出していく。

 

可丹天は元々ガッセナール公国に支えた海兵の子孫であったが幻魔界後はなんとか逃げ延びハクアに支え現在に至る。

 

「敵及び味方の被害状況」

 

「はっ!敵艦は戦艦が二隻轟沈、二隻が大破、一隻が小破、巡洋艦が十隻が轟沈、残りは無傷、駆逐艦は三十隻が轟沈、残りは全て小破に満たないとのことです!味方艦は戦艦が二隻大破五隻が小破残りは被害軽微です。巡洋艦、空母は全艦被害軽微、駆逐艦は二隻轟沈、半数が小破、残りは被害軽微です」

 

「フム、ジパングの海軍もなかなかやるな。だが、ここで手を抜くわけにはいかない。空母に連絡!攻撃隊に増援を出して空から敵艦を叩け!」

 

「はっ!」

 

「敵艦を一隻たりとも逃がすな!全滅させるのだ!」

 

幻魔艦隊の飽和攻撃は日が落ちても続きジパング艦隊は戦艦一隻(大破)、巡洋艦が二隻(大破)、駆逐艦が八隻(二隻大破、残りは小破)のみが生き残っていた。

 

ジパング艦隊は闇夜に乗じて逃げようとするが、

 

「敵艦は恐らくこの闇夜に乗じて逃げようとするはずだ。照明弾を使い敵を補足しろ!補足次第攻撃を再開する!」

 

幻魔艦隊司令長官の可丹天の策により昼並みに明るくなり生き残ったジパング艦隊は二時間後に全滅した。

 

ジパング艦隊を殲滅した幻魔艦隊は二日後にジパングに到着、上陸を開始した。

 

ジパングは強固な防衛戦を張っていたが幻魔の前にことごとく破壊され一月後には領土の大半を失い首都防衛がやっとの状態にまで追い込まれてしまった。

 

残りの大陸もほぼ侵攻を終えていたがここでベルカ侵攻軍団から一つの悲報が入った。

 

【グレゴール将軍以下指令部全員戦死。幻魔軍団が劣勢】

 

この報告はハクアを錯乱させるには十分な報告であった。ミーナの看病によりハクアは落ち着くがグレゴールの敵をとるべく幻魔軍団を編成すると自ら率いて殲滅を開始した。

 

しかし、この行動が後のハクアの心に大きな傷を残す要因となるのであった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 他大陸侵攻作戦~増援~

「グレゴール…」

 

俺は今は亡きグレゴールを思う。

 

報告が届いたのは一月前。グレゴールの死は予想以上に俺の心に響いた。

 

指令部配置の生き残りによると覇王以下少数精鋭による完全な指令部への奇襲でマーセラスが動く前に覇王によってグレゴールは殺されたらしい。その後はマーセラスと戦闘になるが傷を負いながらも全滅させ、指令部にいた者のほとんどを殺し暗闇に乗じて逃げていったらしい。

 

ベルカ侵攻の状況はグレゴールがうまく進めていたみたいでベルカにあった国の大半が滅び現在は聖王連合の友好国家であるシュトュラの国を防衛戦としてかろうじて防いでいる状態であったがグレゴールが戦死したため幻魔の指揮に不具合が乗じシュトュラが反撃に出たこともあり次第に劣勢となっていったらしい。

 

既に前線はかなり押されてしまったが俺が到着したことで崩壊だけは食い止めることが出来た。

 

因みに俺が連れてきた軍団は

 

造魔

・銃足軽×20000

・砲足軽×10000

・刀足軽×50000

・ドルドー×100

・アサシン×5000

 

幻魔

・バズー×100000

・バラバズー×10000

・ガッチャ×5000

・バーサー×10000

 

ゾンビ多数

タナトス改生物多数

 

合計二十万ごえの大軍勢だ。流石にこの数を揃えるのはきつかったので侵攻が終わった大陸から連れてきた奴もいる。更にマーセラスと同じく新型のドルドーも全て連れてきた。これだけあればベルカなど鎧袖一触にしてくれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「敵の増援!?」

 

シュトュラの王城で国王でもある父の言葉に覇王クラウス・イングヴァルドは驚きの声をあげた。

 

「そうだ。どうやら敵は他の大陸にも軍勢を出しているらしくシュトュラと関係のあった他大陸の国と連絡がつかなくなった。恐らく既に滅ぼされている可能性がある」

 

「そして敵の指令部を倒したことにより敵は更なる増援を出した、と言うことですね?」

 

シュトュラ国王の言葉を繋ぐように聖王連合から留学してきていたオリヴィエ・ゼーゲブレヒトは聞いた。

 

クラウスと共に各地で武功を挙げているオリヴィエは既にシュトュラの一員と思われておりクラウスと共に来ていた。

 

シュトュラ国王はオリヴィエの言葉にうなずく。

 

「そうだ。敵は異形の軍勢、未だに情報は不足している。分かっていることと言えば人間よりも頑強な肉体、決して裏切らないある程度の思考能力、そして一部が操る科学技術。今までは敵の数が少なかったため何とか持ちこたえてきたが…」

 

「敵の増援はどの程度の数なのですか?」

 

シュトュラ国王の表情に状況は良くないと悟ったオリヴィエは敵についての情報を聞いた。

 

「…合計二十万」

 

「二十万!?」

 

「それもあくまで異形の軍勢の数だ。ゾンビはそれよりも多く全体で五十万は軽く越えていると思われる」

 

予想以上の数にオリヴィエもクラウスも唖然としてしまう。

 

それもそのはずである。シュトュラの人口は戦乱続きのため一千万程度でありベルカで最も強大な聖王連合でさえ億に満たないのだ。そのため軍勢も十万を越える数はなく、それ以上兵を揃えるのは難しかったのである。

 

「そのため聖王連合はゆりかごの復活を宣言されゼーゲブレヒトの者を呼び戻している」

 

「ということはヴィヴィも?」

 

「いや、オリヴィエ殿下への出向は聞いておらんので大丈夫とは思うが…」

 

「そう、ですか」

 

シュトュラ国王の言葉にクラウスは安心したようで胸を撫で下ろしている。

 

「とにかく、ゆりかごの起動までは今まで以上に激戦となるだろう。恐らく敵も奇襲を警戒しておると思われ、前のようにうまくいくとは思えない。引き続き警戒を怠らないように」

 

「「はっ!」」

 

「私からは以上だ」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 他大陸侵攻作戦~聖王の覚悟~

「敵を殲滅せよ!」

 

ベルカ上陸から二日で編成を終えて侵攻を開始した。ゾンビを全面に押し出し敵の防衛戦を蹂躙していく。既に敵の防衛戦はほぼ機能していない。

 

そこへプラスして砲足軽による敵後方への砲撃により大小様々な混乱が生まれつつあった。

 

「ゾンビの攻撃を防ぎきった人間はゾンビの後ろの幻魔が殺せ!一人として生きて返すな!」

 

これはグレゴールの時から行われているためベルカ侵攻時には一千万はいたシュトュラも十分の一の人口を失いつつあった。更に言えばベルカの総人口は既に半分がいなくなっている。

 

ハクアがベルカに来てから変わったことは捕虜を取らなくなったことくらいだ。

 

ハクアの勢いは凄まじくたった一日でグレゴールが戦死する直後の位置まで押し戻されていた。この調子で行けばシュトュラの国は一週間もかからないうちに蹂躙されることなるだろう。そしてシュトュラが滅びれば近くにある国は一瞬で滅ぼされる可能性もあった。

 

これを受けて聖王連合はゆりかご起動のために更に心血を注いでいくことになる。そして幻魔の動きはとある少女の意思を固めることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どういうことだヴィヴィ!」

 

シュトュラ王城の門の前でクラウス・イングヴァルドは憤っていた。理由は聖王連合に戻ろうと馬車に乗っているオリヴィエである。

 

たった一日で防衛戦を押し戻されたと聞いたオリヴィエはゆりかごの王になるために名乗り出ようとしていた。そのために式典のためと言ってゼーゲブレヒト家に帰還しようとしていた。その事を知ったクラウスはそれを止めるべく丁度王城を出ようとしていたオリヴィエを呼び止めたのだ。

 

「何故ヴィヴィが!?」

 

「クラウス殿下、このままではシュトュラはおろかベルカ自体が滅びてしまいます。そうならないためにもゆりかごを…」

 

「それはヴィヴィじゃなくてもいいだろう!?」

 

ゆりかごの王にしたくないクラウスは必死で止めるがオリヴィエの決意は固かった。

 

「私はこの国が好きです。クラウス殿下もシュトュラ国王陛下も民の一人一人皆大好きです。そんな皆さま方を私の命で救えるのなら…」

 

オリヴィエはクラウスに微笑む。その顔は何処か哀愁に満ちていた。

 

「私は喜んでこの命を捧げます」

 

出してください。オリヴィエは馬車に戻りゼーゲブレヒト家に帰還しようとしたがそこへ兵士が駆けつけてきた。何処か焦っている兵士はクラウスに告げた。

 

「大変です!魔女の森が燃えています!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に油断していた。

 

クラウスやオリヴィエ、シュトュラ国王はそう思い続けている。異形の化け物が侵攻してきているのは北から。そのためシュトュラの南部に広がる魔女の森が狙われるとは思っていなかった。

 

クラウスが駆けつけたときには既に魔女の森は全焼しておりこれ以上広がらないようにするので精一杯であった。

 

魔女の森に住んでいた人たちも大半が異形の化け物たちによって殺されており親しかった魔女クロゼルクも怪我をしていた。

 

異形の化け物はクラウスやエレミア、ゼーゲブレヒト家への帰還を中止させたオリヴィエ達の尽力により倒すことが出来たが失ったものは大きかった。

 

更にこの一件によりオリヴィエの覚悟は完全に固まりゼーゲブレヒト家に帰還すると直ぐに適性検査を受けた。

 

「安定時魔力圧7580万」

 

「『聖印』動作正常」

 

「『聖王核』動作安定」

 

「玉座への適合率…116%」

 

その後の話は早かった。既に王都周辺まで追い込まれているシュトュラのためもあり直ぐにゆりかごの王に決まった。

 

クラウスとシュトュラ王家はこれに反発したがゆりかごの王になることは変わらずオリヴィエ、とクラウス、シュトュラ王家の願いで一日だけ時間をもらえるも玉座の王の栄冠が取り消されることはなかった。

 

クラウスは自分の全てをかけて止めようとするがオリヴィエを止めることは叶わず翌日にはゆりかごにオリヴィエが乗ることとなった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 他大陸侵攻作戦~王都での決戦前~

「ここを落とせばシュトュラは落ちたも同然だ!」

 

シュトュラ王都は戦場となっていた。理由は分からないが覇王は怪我を負って休んでいるようだ。そのためシュトュラの兵士は士気が今一だ。それでも祖国を守るために必死で守っている。

 

しかし、それを壊すように幻魔は侵攻する。

 

シュトュラ王都を囲む塀と堀も幻魔は容易く越えて侵攻してくる。何度も日が落ちても休む暇なく。

 

既に二日以上戦い続けている。それでも攻め続ける。

 

「別動隊はどうなっている?」

 

「魔女の森に向かわせた部隊は全滅しましたが焼き払うことには成功した模様です。他の部隊は被害軽微の上に順調だそうです」

 

シュトュラ王都を攻める軍団とは別に十を越える別動隊がシュトュラを蹂躙していた。恐らくシュトュラの人間は半分も残っていないだろう。この調子で行けばベルカを蹂躙することは容易いようだ。

 

「陛下!」

 

そこへ通信兵が声をあげる。

 

「どうした?」

 

「シュトュラ国境付近の別動隊から報告!聖王連合の方から巨大な船がこちらに向かって来ているそうです!」

 

「数は?」

 

「はっ!一隻のみとのこと。しかし、かなり巨大で速度も巨大なわりにはやいとのこと!」

 

巨大な船…。それは厄介だな。バーサーを向かわせるか?いや、ここにいるだけじゃ足りないだろう。イェーガーに連絡して艦隊をこちらに向かわせるように頼むか。それと幻魔界からバーサーの増援もダな。

 

「バーサー全てをその船に向かわせる。別動隊は監視せよ。残りはここを落とすぞ!」

 

俺は指示を出していき対空戦闘の準備をさせていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「報告!バーサー全滅!後一時間以内にここに到着する模様!」

 

予想以上に敵は早いようだな。まだ王都は落ちていないのに。いや、まだ報告を受けてから二時間もたっていない。それほどまでに強力なのか。

 

「…っ!?報告!王都から覇王が打って出てきました!前線の幻魔が殺られています!」

 

それはここからでも分かるな。幻魔が吹き飛んでいるんだもの。しかし、ここで覇王が到着するとは。いや、ここで覇王が死ねば敵の士気は完全になくなるだろう。そうなれば今までのような戦いは不可能だろう。

 

「覇王は俺が対処する。船が来たら対空戦闘を開始しろ」

 

「はっ!」

 

「さて、覇王の実力を見せてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな無事か!?」

 

「ク、クラウス殿下…」

 

怪我を押して無理矢理防衛戦に来たクラウスは声をかけながら敵を倒していく。

 

そのとき一人の兵士が声をかけてきた。

 

「大丈夫か!?」

 

「申し訳ありません…、立ち上がりたい…のですか…先程から…感覚がなくて…」

 

クラウスの位置からは見えなかったがその兵士の両足は潰れており二度と歩けない体になるのは素人でも想像が出来るほどであった。

 

「大丈夫だ!今はゆっくり休め」

 

「クラウス殿下…もお気をつけ…下さ…い…」

 

兵士はそう言うと静かに息を引き取った。それを知ったクラウスは涙を流すが兵士を端に寝かせて他の者のもとへ向かった。

 

既に王都の中への侵入を許しており敵がどこから出てきてもおかしくない状態であった。その中をクラウスは気配を探りつつ走り回る。

 

「クラウス殿下!」

 

「っ!?無事だったか!」

 

走り回っていると土嚢に隠れる兵士を見つけた。クラウスはその者達のもとに駆け寄る。

 

「申し訳ありません。前線はもう壊滅しました。このままでは王城にも…」

 

「そうはさせない!君達は急いで後方に下がるのだ!俺が敵を引き付ける!」

 

「そ、そんな!?ダメです!」

 

「ここにいても敵に殺されるだけだ!今は俺の言うことを聞いてくれ!頼む!」

 

「…分かりました!後方で待ってます!」

 

兵士たちは土嚢を出て後方に下がろうとするが、

 

「んなことさせねぇよ」

 

男性の声が響いたと思ったら兵士たちがいた場所に炎が上がり一瞬で兵士たちを灰にしてしまったのである。

 

いきなりのことにクラウスは混乱するがやがてクラウスの目の前に一人の男が降り立った。

 

「初めましてと言うべきか?俺は幻魔王ハクア・ベルテルミーニ。この異形の化け物を率いているものだ」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 他大陸侵攻作戦~王都の戦い覇王対幻魔王~

「…何だと?」

 

呆然としながらも覇王は俺に聞いてくる。兵士を殺されいきなり現在戦っている敵の総大将が現れれば無理もないか。

 

「…お前が…」

 

覇王は手から血が出るほど握り、

 

「お前がぁぁ!!」

 

覇王は一瞬で俺の目の前に移動して拳を出してくるが見え見えだ。

 

俺は覇王の拳を受け流し回し蹴りを覇王の頭に当たるように打ち出す。

 

覇王はそれを頭を後方に移動させて避けると足をつかみ体制を崩そうとする。

 

俺は覇王のつかむ足を軸にしてもう片方の足で覇王の頭を蹴り出す。

 

「っ!?」

 

よし、崩れた!俺は覇王に全力の拳をぶつけた。

 

しかし、覇王の体は霧のように消えてしまい俺は前のめりに倒れてしまう。ってこれは幻術じゃねぇか!?まさか覇王も使えたのかよ!?ってその覇王は何処に!?

 

見つけたときには覇王は必殺の一撃をのせた拳を無防備な俺の背中に当てようとしていたときであった。

 

メギャァァ!

 

鳴ってはいけないような、何かが潰れる音を響かせて俺は近くの建物に吹き飛ぶ。っち!あばらが幾つか殺られたな。内出血も半端ない。戦闘続行は不可能そうだ。くそ、回復魔法でも覚えておけばよかった。それでも幻魔の体だから直ぐに回復するだろうけど。

 

俺は悲鳴をあげる体を無理矢理起こして覇王の方を見る。覇王は相対したときとは違い冷静になっているようだ。

 

「…ゴポッ!…流石は覇王、と言ったところか…グッ!?」

 

しゃべる度に口から大量の血が溢れ出す。くそ、これマジでヤバイな。

 

「…終わりだ。幻魔王。お前を殺してこの戦を終わらせる」

 

「…まだだ、まだだよ。まだ終わってねぇよ覇王!…ゴポッ!」

 

瞬間覇王の脇腹を抉って何かが通過した。

 

「!!??」

 

「ククッ、形勢逆転だな。…ゴポッ!グッ!?」

 

やばい、これ以上喋るわけにはいかないな。後は頼むぞ。

 

俺の思いに答えるように姿を表したのはヘラクレスのような体をした緑のスピリット。マッハ・ジー。そのなの通り最大速度はマッハに及ぶ。先程覇王の脇腹を抉ったのもマッハ・ジーだ。

 

マッハ・ジーは再び覇王に突撃するが覇王は脇腹を抑えながらも避けきる。マッハ・ジーは続けて突撃するが覇王は何度も避けていきダメージは与えられていない。だが、最初の脇腹を抉ったのは聞いているようだ。既に覇王の回りにはかなり多い地溜まりが出来ている。

 

「…グッ!?これ以上は無理か。なら!」

 

マッハ・ジーは再び突撃する。覇王は逃げずに構える。おいおい、マッハ・ジーを倒すつもりかよ。さすがに難しいと思うぞ?俺でも失敗するし。

 

しかし、覇王は突撃するマッハ・ジーを捉えその拳でマッハ・ジーを粉砕してしまったのである。

 

「マジか…」

 

思わず口に出してしまう。今回は吐血しなかった。

 

「…グッ!?」

 

しかし、覇王もかなりの大怪我を負ったようだ。マッハ・ジーを潰した腕は肉が潰れ骨が折れ、外に飛び出している。人目見てもかなりくるものがある。

 

とにかく覇王は倒したし本陣に戻るか。そう思い立ち上がった瞬間、

 

ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!!

 

激しい爆発音が聞こえてきた。それも本陣がある場所から。

 

「何が!?」

 

俺は怪我を押して無理矢理見える位置まで移動する。そこで見たものは、

 

空を多い尽くす程の巨大な船と

 

その船から打ち出されるエネルギー弾によってなす統べなく吹き飛ばされていく幻魔の姿であった。

 

俺は巨大な船に見覚えがあった。

 

「聖王の…ゆりかご」

 

何故忘れていたのだろうか?原作では闇の書並みに危険なロストロギアとされ本局の主力艦隊と渡り合える実力を持つ最悪の船。

 

既に本陣があった場所巨大なクレーターがあるのみで幻魔の姿は見えない。

 

「…くそ、これじゃあ全滅してしまう…!」

 

俺は混乱する幻魔を見つつ逃げるために王都を覆う壁と平行に歩いてゆりかごから離れた。恐らくここにいた幻魔は全滅するだろう。今はなんとしても他の軍団と合流しなければ。

 




覇王は魔法が使える設定にしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 他大陸侵攻作戦~圧倒的ゆりかごの力~

幸いな事にゆりかごは王都を攻めていた幻魔を全滅させるとそのままシュトゥラの王都を飛び続けていたため俺は逃げることが出来た。途中からは傷も少しずつ回復しているためその度にスピードをあげている。

 

そしてゆりかごから逃げること二日。ジュジュドーマが率いる補給部隊と合流することが出来た。

 

「ああああ!ハクア様!どうなされたのですか!?」

 

俺への忠義(愛)で出来ているのではないかと思うジュジュドーマは心配そうに俺に駆け寄ってくるが正直近寄って欲しくはない。見た目がやばいからな。

 

「俺は大丈夫だ。それより今は軍団を全部下げろ。敵の巨船が来ている」

 

「何ですと!?」

 

「説明は後退しながら伝える」

 

「わ、分かりました!」

 

いくら何でも何時までも王都を飛び回っているはずがないからな。今はなんとしても逃げ延びなければ。

 

本来なら艦隊で叩き潰すはずだったが恐らく歯が立たないだろう。良くて足止め、悪ければ無駄な犠牲。

 

「窮鼠猫を噛む所ではないな。鼠に首を引きちぎられた気分だ」

 

とにかく少しでも早く逃げ延びなければ。

 

しかし、そこで最悪の報告が入る。

 

「巨大な船がこちらに向けて航行中!恐らく王都陛下の軍団を全滅させた船です!」

 

まさかこのタイミングで来るとは。あと少しで海岸なのに。ここまでか。

 

…いや、俺はまだ死ねない!

 

「鎧神機ヴァルハランス召喚!」

 

俺は召喚魔法を使い鎧神機ヴァルハランスを召喚する。更にあと四体召喚してゆりかごの足止めを行わせる。

 

「急げ!ヴァルハランスが足止めしている間に逃げるぞ!」

 

ヴァルハランスでどこまで持つか分からないが今は逃げることのみを考えよう。

 

そこへひとつの報告が上がる。

 

「陛下!艦隊が到着しました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「攻撃隊発艦始め!発艦始め!」

 

ジパング侵攻艦隊は大急ぎでベルカに向かい何とか二日で間に合わせることに成功していた。

 

ベルカについた艦隊は空母から攻撃隊を発艦させゆりかごの破壊に向かう。

 

「司令長官、陛下は転移でベルテルミーニ大陸への避難を終えたそうです」

 

部下の報告に司令長官は満足そうに頷く。

 

「よし、ミサイル攻撃も行う。目標は全て敵の巨大な船だ!」

 

「了解!」

 

そこへ別の部下が報告をする。

 

「第一次攻撃隊全滅!」

 

「何だと!?」

 

「鎧神機ヴァルハランスは既に三体が消滅!敵の巨船なおもこちらに向けて進行中!」

 

部下の報告に司令長官は瞬時に足止めすらままならないことを悟るがそれでもハクアのために指示を出していく。

 

「第二次攻撃隊を発艦させろ!主砲はいつでも撃てるように準備しろ!少しでもいい時間を稼ぐぞ!」

 

「しかし、陛下は既に避難を終えているのですよ?いまさら足止め等…」

 

「馬鹿か!?ベルテルミーニ大陸とここは空続きだ!あの船がそのまま大陸へ向かえば幻魔界は終わりだ!俺達は次元を切り離し敵の巨船が大陸に迎えなくなるまで時間を稼ぐのだ!」

 

「りょ、了解!」

 

司令長官の言葉に部下は頷いて持ち場に戻っていく。

 

やがて第二次攻撃隊も全滅との報が入り敵の巨船が目視で確認できるまで接近してきた。

 

「主砲撃て!」

 

戦艦が一斉に火を吹き敵の巨船に向かっていくが敵の巨船はあまりにもでかいため表面を破壊する程度のダメージしか与えられなかった。

 

それでも艦隊は攻撃を続けるが敵の巨船のビーム攻撃するとかよって艦隊が吹き飛ばされていく。

 

「たった一撃で半数がやられるとは…」

 

そう呟いた司令長官の乗艦する旗艦ベルテルミーニも敵の巨船の第二次攻撃によって破壊されてしまったのである。

 

艦隊は三度目の攻撃で全滅してしまうがベルテルミーニ大陸は無事に次元の狭間に逃げることができてゆりかごはこれないはずであったがゆりかごはそれすらぶち破ってくるのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一話 他大陸侵攻作戦~終演、そして新たなる始動~

これで第三章完結です。次回から原作キャラや他の転生者が(多分)出てきます。


一体何故このようなことになってしまったのであろう。

 

俺は燃え盛る居城で呆然としながら考える。

 

艦隊の犠牲によってベルテルミーニ大陸は次元の狭間に逃げることが出来た。

 

しかし、俺はこのとき失念していた。ゆりかごは次元跳躍攻撃を持っている。よって次元の狭間に逃げ込んでもゆりかごの攻撃は届いた。

 

ゆりかごの力は圧倒的と言わざる終えなかった。たった一撃の攻撃で大陸の一部が吹き飛び、複数の攻撃で既に大陸にガタが来てしまった。

 

もうすぐこの大陸は消滅するだろう。だが、地下研究所は無事なためそこを拠点に活動することはできる。

 

しかし、俺が作った幻魔界は消滅するだろう。幻魔も大半が死滅し、造魔も同じになるだろう。

 

一体何故こんなことになったんだ?グレゴールが死にベルテルミーニ大陸も今まさに崩壊しようとしている。俺が望んだ世界が消滅していく。

 

「…くくっ、これが人間を殺した報いってか?ふざけんな!」

 

だったら俺を狙えばいいだろう!俺の心を狙いやがって!絶対に許さない!

 

「ゆりかごも聖王もいずれ必ず根絶やしにしてやる!この事はけっして忘れない!忘れないぞ!」

 

俺がそう言ったとき天井が崩れ瓦礫が俺に落ちてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく!何で死んじゃってるの!?」

 

…え?神様?何で…。

 

「だって君は死んだときにここに来るように設定したからね。君は見ていて面白いからまた生き返らせてあげる」

 

…何で俺なんかに…。

 

「前に言ったよね?私は君のみかただと。よほどのことがない限り君を助けてあげるよ」

 

…ありがとうございます。

 

「いいよ!君が頑張ってくれたお陰で間引きがかなり行われたし。でも最後の最後で詰めが甘かったね」

 

…まさかゆりかごがあれほど強いとは思いもしませんでした。

 

「そうだよね~。私も以外に思ってるよ~。原作ではパパっと破壊されて終わりだったから。一体あんなんでどうやってベルカを統一したのかと思ったら可笑しかったのは管理局の方だったのね。まあ、私の前では全てが意味ないけど」

 

…そうですね。

 

「それより君、どうする?ここで残りの一つの得点でも選んじゃう?私はいつでもいいけど」

 

…それならもう決めています。闇の書の蒐集能力でお願いします。

 

「へえ、それでいいの?確かに強力だしね」

 

…お願いします。

 

「ん~、分かったよ!なら、私からの大サービス!闇の書の蒐集はあくまで一人一人蒐集しなくちゃいけない上に一度蒐集すると蒐集出来なくなるけどそれをなくしてあげる!」

 

…つまり複数同時蒐集が可能で何度でも蒐集出来ると?

 

「その通り!これなら戦いも楽になるだろうしね!」

 

…何から何までありがとうございます。

 

「良いってことよ!それより、君は今後どうするつもりなの?」

 

…とりあえず鍛え直します。このままでは原作を生き抜くことなどできませんし。

 

「そっか」

 

…後、あることを考えています。それがなせばゆりかごみたいな事は起きないと思います。

 

「成る程~。因みに内容は教えてくれないの?」

 

…はい、そのときのお楽しみと言うことで。強いて言えば権力、といったところでしょうか?

 

「…成る程ね。何となくわかった気がするよ。それじゃあ、蘇生させるけど何か質問とかある?あ、蘇生は瓦礫が当たらなかったってするだけだから!」

 

…いえ。

 

「それじゃあ、またね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様のいった通り瓦礫が俺の回りにあるだけで俺には当たっていなかった。

 

俺は地下研究所に急いで向かいゆりかごに気づかれないように大陸の破片を縫うように進み別次元へと逃げた。

 

ゆりかごの心配がなくなった俺は他次元で訓練を行い自分の力を高めていった。それと同時に蒐集能力も行って各地の魔法を俺の力に変えていった。

 

そして、気づけば原作まで後少しのところまで時は過ぎていた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

閑話 人物紹介~ベルカ編~

主人公側

ハクア・ベルテルミーニ

本作の主人公。年齢不詳。元は一国の王であったが昔ながらの忠臣に裏切られ絶望。「ウイルスや幻魔を使い世界の人々から戦争を遠ざけ誰もが笑って暮らせる世の中を作る」から反転して「異形のものたちによる世界の統治」を目指す。

人間が権力を持つことを嫌っており死闘を行ったエルバとその一行以外の人間を嫌っている。

他大陸侵攻作戦を行うがベルカを攻めていたグレゴールが戦死した際に精神に以上を来す。何とか立ち直りベルカ侵攻の指揮を自ら執るがシュトゥラ王都で覇王を撃破するがゆりかごによってハクア以外のシュトゥラ王都侵攻軍団は全滅。ハクアと輸送部隊の援護をした艦隊も全滅してしまう。その後はベルテルミーニ大陸に逃げるがゆりかごの次元跳躍攻撃によってベルテルミーニ大陸は崩壊。ハクアも一度は死ぬが神によって蘇生される。その後は自分の甘さを消すために修行に明け暮れる。

 

ミーナ・ベルテルミーニ

ハクアの妹。年齢不詳。一度はハクアの忠臣によって殺されるが神によって蘇生する。その後は幻魔化して王城で過ごしている。あまり戦いを好まないが幻魔の力をコントロールするための訓練は毎日続けている。料理の腕が高い。兄のしてきたことを受け入れ、共に背負っていくことを決めてからはさらにハクアにベッタリとなってしまう。ベルテルミーニ大陸崩壊時は地下研究所で訓練を行っていたため無事であった。

 

ベルホルト・グレゴール

ハクア・ベルテルミーニに支える将軍。ハクアが国王の時に活躍した将軍の孫。ゾンビに襲われているところをハクアが保護してそのまま幻魔化した。ハクアに絶対の忠義を誓いハクアの目指す世界を正確に理解している。他大陸侵攻作戦の初戦では他の軍団の手助けなく半数を制圧する。その後も指揮官として指揮にあたるがベルカに進行中に覇王の奇襲を受けて戦死する。

 

ラディ・イェーガー

ハクア・ベルテルミーニに支える将軍。元はエルバがいた王国に支える将軍でベルテルミーニ大陸侵攻時にも乗艦しておりスピリットによる殲滅せんでも生き残りベルテルミーニ大陸に流れ着く。その後はハクアの暗殺を狙うが失敗。その後はハクアの説得もあり幻魔化して部下になる。他大陸侵攻作戦では指揮官の一人として侵攻作戦の指揮を執る。ジパング侵攻時にハクアがゆりかごによって次元世界に逃げると取り残されたがめげずに制圧したジパングを拠点に現地の幻魔の最高指揮官としてベルテルミーニ大陸との連絡を模索している。

 

ジュジュドーマ

高等幻魔。ハクアに一目惚れしておりハクアに敵対するものは容赦しないがハクアからはあまり好かれていないため他大陸侵攻作戦時はずっと輸送部隊を任されていた。そのため主だった功績をあげていない。ベルテルミーニ大陸崩壊時は地下研究所にいたため助かっている。

 

ギルガリオ

ハクア・ベルテルミーニに支える将軍。剛胆な性格であるがハクアのことをきちんと理解しておらず他大陸侵攻作戦で検討外れでハクアの逆鱗に触れたためハクア自信の手で殺される。

 

 

 

ベルカ側

クラウス・イングヴァルト

シュトゥラ第一皇子。通称「覇王」。グレゴール指揮によるベルカ侵攻時には危険な本陣奇襲を行い見事成功させるがハクア主導の大軍団を招く結果となる。オリヴィエがゆりかごに乗ることを力付くで止めようとするが返り討ちにあう。その際に怪我をしてしまいシュトゥラ王都での戦いでは序盤は参加できず参加したさいもハクアとの一騎討ちに破れ意識不明の重傷を負ってしまう。ベルテルミーニ大陸が崩壊し、ベルカが平和になった後も意識が戻ることはなく息を引き取る。

 

オリヴィエ・ゼーゲブレヒト

聖王連合ゼーゲブレヒト家からシュトゥラに留学と言う形で人質に出されるが本人は気に病むこともなくシュトゥラで過ごしていたが幻魔がベルカに侵攻してくると聖王連合のゆりかごを起動させる話に自ら名乗り出てゼーゲブレヒト家にもどりゆりかごの起動検査を行う。その際に適合率が高かったためゆりかごの起動装置となる。シュトゥラ王都を守るために幻魔を全滅させ暫く王都を守っていたが満を持して追撃に入り艦隊を全滅させベルテルミーニ大陸に対して次元跳躍攻撃を行い崩壊させる。その後はベルカの空を飛び続けクラウスと一度も会うことなくゆりかご内で死亡する。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四章 原作より四年前~無印編
第一話 原作に向けた準備


「…プレシア・テスタロッサの居場所は判明したか?」

 

「いえ、残念ながら未だ見つかっておりません」

 

ついに原作まで来ることができた。長い日々だった。ベルテルミーニ大陸が崩壊し、それまで培ってきた殆どが消えた。幸いだったのは地下研究所がベルテルミーニ大陸の七割の大きさまでなっていたことだ。

 

指揮官の被害もひどい。グレゴールはベルカで戦死、イェーガーはジパングで孤立(回収済み)。その他指揮官も大半が死んだ。生き残っているのはイェーガー、ジュジュドーマ、ゴーガンダンデス、バルドレンくらいだ。ゾンビ発生に必要なベルテルミーニ大陸にいた人間も一人残らず死亡。開発していた兵器類は地下研究所に保管してあったものを除いて全てダメになってしまった。

 

それでもめげずに再び戦力増強を行い、神様に少し話した策もうまく進めることが出来た。そして、俺は別の分野に手を出している。

 

それはクローン技術だ。複数の俺がいればなにかと便利なのだがスカリエッティ、篠ノ之束の技術力をもってしても完成には至らなかった。ギルデンスタンも同様だ。

 

そこで俺は原作でフェイト・テスタロッサを生み出したプレシア・テスタロッサを探しているのだ。既にヒュードラの事故は起きている。プレシア・テスタロッサも雲隠れした。後はプレシアにアリシアの蘇生を持ちかけてこちらに引き込む、若しくは技術を提供してもらえるようにする。そういう計画だ。

 

だが、プレシアは未だに見つからない。時空間は広いからな。

 

「こうなったら原作まで待つか?しかし、そうなると余計な手間が増える、か?」

 

原作はかなり近い。原作の主人公、高町なのはを此方は確認しているし転生者と思わしき奴等を補足している。

 

【鳳凰院 龍斗】【御劔 響夜】

 

これが転生者の名前であるが名前からしてろくな人間ではなさそうだ。

 

実際その通りで原作通り公園で泣いている高町なのはを鳳凰院龍斗は嫁と読んで近づきそれを御劔響夜が阻止して高町なのはの前で死闘を行い幼い高町なのはに危険人物と認識されたようだ。

 

「まさしく何処にでもいる踏み台転生者だな」

 

能力などが分かればいいのだが俺では分からないしそんなもののために特典を選ぶわけにもいかなかったからな。

 

だが、二人の特典はある程度把握している。

 

ある時街に結界が張られたため何事かと見てみれば鳳凰院龍斗と御劔響夜が戦っていた。

 

鳳凰院龍斗は王の財産…だったか?よく覚えていないが色々な武器を投射している。

 

御劔響夜は恐らくこのすばのあいつらしく大きな剣で相手をしていた。

 

手数から鳳凰院龍斗が勝つと思っていたのだがどうやら御劔響夜は身体強化の魔法若しくはそのような特典を持っているらしくそれなりに早い動きで鳳凰院龍斗を翻弄していた。

 

結果はつかなかったが俺にとっては相手の能力を知る良い機会となった。

 

そして、今もう一つ策を講じるか。

 

「イェーガー、暫く海鳴市に潜入してくれ。職は此方で用意した。行ってくれるな?」

 

「仰せのままに」

 

イェーガーはわざとらしくお辞儀をする。別になんとも思わないが。イェーガーを選んだ理由?一番人間っぽいからな。他にも色々選定したが、

 

バルドレン←第二候補

 

ギルデンスタン←造魔開発の責任者のためあり得ない。それに性格からして無理。

 

ヘキュバ←人間になっていればイェーガー並の候補に考えたが本人が拒否したため候補から外した。

 

ギンガムファッツ←以外とああ見えて世話焼きで好かれる上司的な存在だが脳筋のためあまり潜入には向いていないな。人間になれないし。

 

オズリック←論外

 

ジュジュドーマ←論外

 

ゴーガンダンデス←論外

 

ミーナ←絶対に行かせん!

 

このような形となった。

 

地下研究所もベルテルミーニ大陸と同じく幻魔がかって生まれてくる。オズリック、ヘキュバ、ギンガムファッツは新しく生まれてきた高等幻魔だ。よってイェーガーに任せることとなった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二話 状況

「…まさかこんな任務だったとは」

 

イェーガーは誰もいない静かな古本屋でため息をつく。

 

ハクアが用意した職は自営業の古本屋だった。と言うよりハクアは地球で大手の企業を起こしておりイェーガーの運営する古本屋はその末端と言うことになっている。

 

「まあ、確かにヘキュバにはきつい任務だろうな。あいつこんな仕事向いていないからな」

 

イェーガーは一人ごちる。ヘキュバは退屈になることを嫌っている。それに加えて読書が好きではないため古本屋は向いていなかった。

 

その点イェーガーは一人でなにもしないで過ごすことが可能だし本も嫌いではない。

 

「しっかし、この策で本当にうまくいくのかね~」

 

イェーガーは手元のファイルに目を通す。そこには今回の策の内容が書かれている。

 

暫くそれをイェーガーは見ていたがやがて引き出しに閉まった。

 

「ま、なるようになるだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、もう一つ手を打っておくか」

 

イェーガーの件はもう大丈夫だろう。次は原作キャラだな。

 

ぶっちゃけあの戦力はかなり魅力がある。是非とも仲間になって欲しいがあいつらの性格上それはないな。

 

そう言えば先程友人からスカリエッティについて教えてくれたな。

 

原作通り既に活動を行っているか。もう少し早く教えてくれてもよかったな。

 

スカリエッティ自体はいらないがスカリエッティが作った戦闘機人は魅力的だ。特にナンバーズ六番セイン。こいつの能力はとてもすばらしい。だが、こいつはまだ開発されていないだろう。たしかゼスト隊が全滅したときにチンクまで開発されていたんだよな?ゼスト隊壊滅はA'sの二年後だったからだいたい後七年はかかりそうだな。

 

と、なるとスカリエッティは暫く放置だな。やはりStrikersまで待つしかないか。そうなるとどうしても原作通りに進める必要があるな。

 

最低でも高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやての隊長陣に加えてフォワードの四人は必要だな。

 

それなら放っておけばいいのだが俺を含めて転生者と言う異物がいるからな。原作通りにいくかどうか。

 

やはり転生者を探して監視した方がいいか?いや、他のやつらがどんな特典を選んだか分からない以上今は大人しくしているべきか。

 

…そう考えると迂闊に海鳴市に近づかない方がいいな。既に踏み台転生者を見つけた以上それだけでも儲けもんと考えるか。

 

暫くは自信の強化やベルテルミーニ大陸崩壊で戦力が低下した幻魔兵団の再編を行うか。

 

因みに六年前の闇の書事件で俺はこっそりと関わっている。

 

闇の書に見せかけて蒐集をしまくったのだ。お陰でかなり力が貯まったが人口が少し減ってしまった。問題ないとは思うが。

 

それと俺が最近作った企業だが表向きは普通の会社だが裏では武器の密売や麻薬の売買、人売り等を行っている。

 

日本の警察は俺の企業が怪しいとにらんでいるが動けないでいる。企業が行っていると言うより俺が行っているからな。それも国外などは転移していくから足がつかない。全く魔法さま様だな。

 

この麻薬だが何と人を廃人にしないのだ。これはタナトス改の改良版タナトス極だ。これを取り込んだ者を任意でゾンビに変えることができるのだ。その後のゾンビに噛まれるとゾンビになるのは変わらないが俺の任意だから取り込んだ者を好きなようにゾンビに出来るのだ。

 

既にこれを取り込んだものは一万じゃ聞かないだろう。もし俺が一斉にゾンビにさせたらそれこそゾンビ映画が一瞬で出来るな。

 

因みにこれは他世界でも同様に行い既に三つの星をゾンビの惑星に変えている。これらは造魔の材料になるからな。それに加えて友人のお陰で管理局は動かない。動いたやつがいても精々小数。死んでも行方不明となるだけで調べも入らない。

 

さて、早速作るか。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三話 金持ちのゲーム

「お待ちしておりました、紅様、日暮様、高梨様、柊様、矢倉様」

 

俺は目の前の人間に頭を下げる。

 

「いやいや、いつも楽しくさせてもらっているのはこちらだからな」

 

俺にそういったのはIT企業の社長の高梨雄作だ。

 

「その通りですな。それで今日はどの様なシナリオで?」

 

興奮ぎみに詰め寄るのは日本のみならず海外にも末端組織を持つ紅玉会会長の紅十三だ。

 

「今回はゾンビに溢れ隔離された都市部で取り残された軍隊員と言う設定で行います。今回はこの五人のみ、支給武器はハンドガン一丁に替えの弾が二セットとなっております」

 

「前回の戦国時代も良かったが今回も面白そうだな」

 

「フフフ、腕がなりますワイ!」

 

五人がそれぞれ戦意を高揚させている。なかなかにいいけいこうだ。

 

…ん?何をしているかって?

 

単純な話だ。壊滅した惑星を使ってお偉いさんを相手に金儲けをしている。

 

三つの惑星をそれぞれゾンビ、幻魔、戦国時代にテーマを合わせてそれを使ったゲームを楽しんでもらう。

 

例え死んでもギルデンスタンが甦生してくれる。よって普段は味わうことのない死と言うものも味わえる。

 

このゲームはかなり人気で最近では海外空もお客が来ている。

 

今回この五人がやるのはゾンビサバイバルゲームだ。ゾンビで溢れる今は壊滅した都市部でゾンビを射ちまくるゲームだ。ゾンビだけではなくタナトス極の改造生物も現れるからかなり人気がある。

 

「それではこちらの部屋に移動してください」

 

「全くいつも思うが素晴らしい技術だな」

 

「ありがとうございます。それではいつも通りこの部屋でお待ちください。暫くすれば眠気に襲われ目が覚めればいつも通りに」

 

「楽しみだ。支給武器はあちらに?」

 

「はい、目が覚める場所はセーフゾーンとなっており近くにゾンビはいないようになっております。それとバックに防護服が置いてあります。それにお着替えください。衣服は回収しておきます」

 

「そうか。今日はずいぶんと羽振りがいいな」

 

「今回は皆さま方が多大なる金額をお支払いただきましたのでその分を繁栄しました」

 

「成る程、初期装備を豊かにしたければもっと金を寄越せと?」

 

俺は無言で頷く。このゲームの参加費用は一人百万だ。しかしこれはあくまで最低金額でそれ以上を積まれれば初期装備をよくするようにしている。

 

今回五人が出した総額が二千五百万だ。一人だいたい五百万、それなりに装備をよくさせてもらった。因みに羽振りのいい外国人がいたが一人で三千万を出してきたときは驚いたよ。その時はゾンビの攻撃をある程度防ぐアーマーにゾンビ化を防ぐ抗菌薬、他にも武装をよくしてやった。

 

「それでは暫くお待ちください」

 

俺はそう言って部屋を後にする。暫くすれば催眠ガスが出てきて五人が眠れば転移で惑星まで運ぶことになる。その辺は責任者のバルドレンがやってくれる。

 

期間が三日のためそれまで俺は麻薬の売り上げについてや方針について考える。

 

麻薬の売り上げはかなり高いが警察が目をつけつつある、か。問題はないな。警察内部にも顧客は数多く存在するからな。これは管理局も同じだ。

 

次に造魔の状態か。既に刀足軽の製造を止めてジャイドに移行しているか。他にもマーセラス、ドルドーが量産体制に入りつつある、ねぇ。

 

これは朗報だな。一騎当千の力を誇るマーセラスにドルドー。これらが量産されればかなりの戦力アップになるな。

 

最後に第二基地建設の状況か。これはゲームの会場の一つである幻魔の星に作っているからな。既に基地の八割は完成しているか。ここが稼働すればここからゲームの実況や三つの惑星の管理を行うことになるだろう。しかしそうなると次元航行艦が必要になるな。こちらで作るか?…いや、いっそのこと架空の管理局員を作り管理世界にするか?どちらもメリットデメリットがあるな。これはもっと考える必要がありそうだな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四話 進展

「ハクア様、八神はやての両親が死亡しました」

 

この報が入ってきたのは原作キャラが小学生になったときである。つまり現在は原作の二年前になっている。

 

「以外と死ぬのが遅かったな。何かあったのか?」

 

「いえ、ただ一つ気になることが」

 

「気になること?」

 

「八神はやてと同年代と思われる少女を確認したとのことです。恐らく容姿からして家族かと」

 

報告してきた者はそう言って書類を俺に渡してくる。そこには八神はやてともう一人の少女の姿が。容姿も同じで双子と思われる。しかし、八神はやてには双子の家族などいない。つまり、

 

「転生者、若しくは原作までに死んで語られなかった家族か。そのどちらかだな」

 

そうなると転生者の方が可能性は高い。これは警戒する必要があるな。イェーガーにも後で伝えておくか。

 

「しかし、この世界は幸運だったな」

 

それはこの世界が少なくともA'sが劇場版であることが分かったからだ。つまりギル・グレアムは存在していなかったのだ。

 

あのこそこそした奴は特に問題はないが不確定要素は消しておくに限る。

 

「後はプレシア・テスタロッサのみか」

 

高町なのはについては半分諦めた。高町一家の戦闘能力が半端ない。幻魔兵団を用いて何とか、というレベルだ。遠くから監視する程度が一番いい。

 

転生者についても既に一人は恐らくのレベルだが三人を見つけることができた。後は残り二人、この調子でいけば何とかなるだろう。

 

「次元航行艦の方はどうだ?」

 

「はっ、三隻が完成し、一月ほどで五隻が完成します。管理局からは領有の許可を得ています。不足の事態にはならないかと」

 

結局管理局の管轄にすると何かと不都合が出ると思った俺は民間で艦を持つことにした。その際友人から領有の許可を貰い査察などが入らないようにした。

 

「麻薬の売り上げはどうなっている?」

 

「量産が追い付かないほどに売り上げは延びています。それから警察の一部が勝手に捜査を始めているようです」

 

「それは困る。上層部から圧力をかけてもらうように」

 

「了解しました」

 

「イェーガーはどうなっている?」

 

「漸く赤字から黒字になったと報告が来ました。それと一人だけイェーガー将軍の顔を見て驚いた少年がいたそうです。照らし合わせた結果御劔響夜と判明しました」

 

「そうか。何かアクションがあるかもしれない十分に注意しろと言うように」

 

「了解しました。ではこれにて失礼します」

 

…さて、俺もそろそろ行動を開始したいな。やはりプレシア・テスタロッサさえ見つかれば。しかし、何で人間の蘇生は出来てもクローンは作れないんだ?クローンの方が簡単なような気もするが。仕方がない。体でも鍛えるか。ここ最近まともに動いていなかったしな。

 

そう思い立ち上がった瞬間部下が慌てて入ってきた。

 

行きなり開けたことに注意しようと思っていたが部下の報告を聞いてそんな考えは消えた。

 

「プレシア・テスタロッサの居場所が判明しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…プレシア・テスタロッサだな」

 

「そうよ」

 

「話がある。来てほしい」

 

「いきなり人の家に入ってきた奴にホイホイ付いていくと思って?」

 

プレシアの言葉に俺はもっともだ、と思う。

 

知らせを聞いた俺はすぐにその場所に向かった。ついてからは一応挨拶はしたが返答は機械兵団だったため実力行使で上がらせてもらった。

 

「取引をしたいと思ってな」

 

「取引?」

 

「俺はアリシア・テスタロッサを蘇生できる」

 

「!?」

 

プレシアは驚いているが俺は続ける。

 

「貴様がこれに応じるなら蘇生をしてやることもできる」

 

「…そちらの要求は?」

 

食いついてきたか。やはりアリシア・テスタロッサは死亡しているか。

 

「あんたが完成させたプロジェクトFATEのデータ。それと頼まれ事を少々」

 

「…それでいいの?」

 

「勿論」

 

「…分かったわ。取り合えず話を聞かせてちょうだい」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五話 もう一人

「…成る程、分かったわ。そちらの要求を受け入れるわ」

 

ふぅ、これで一先ず第一段階が終了したな。

 

プレシア・テスタロッサとの会談はこれで終了。内容としては、

 

・アリシア・テスタロッサの蘇生を行う代わりにプロジェクトFATEのデータを渡す。

 

・こちらの用事を聞く。

 

これが主な取引内容だな。

 

用事は後々話すとして早速アリシアの蘇生を開始するか。

 

本来なら幻魔化させてプレシアの監視に、と思ったがプレシアは不治の病を患っており遅かれ早かれ死ぬことがわかっているので普通に蘇生させることにするか。

 

「それじゃあ早速蘇生の方を行いたいと思う。先程も言ったとおりアリシア・テスタロッサの蘇生は俺の基地で行うが立ち会いは拒否させてもらう。その代わり完全に蘇生させることを約束しよう」

 

「分かっているわ。早くしてちょうだい」

 

フフフ、流石のプレシア・テスタロッサも少し落ち着かない様子だな。それも仕方ないか。漸く娘が蘇るのだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここよ」

 

プレシアに案内された部屋には確かにアリシア・テスタロッサの遺体がポットに入っていた。

 

「よし、運び出せ」

 

俺は部下に命じる。因みにプレシア・テスタロッサには幻魔のことや俺のことはほとんど教えていない。よって今俺に付き従っている部下は幻魔化した人間だ。

 

「気を付けて運んでよね」

 

「分かっている。此方としてもアリシア・テスタロッサを傷つけてそちらの機嫌を損ねたくない」

 

なんたってプロジェクトFATEのデータはアリシア・テスタロッサの蘇生の後になったからな。俺としては問題ないが。

 

そんなとき廊下の影から二つの人物が顔をだし俺は驚愕した。その人物は、

 

「…母さん?」

 

今だ幼いフェイト・テスタロッサに、

 

「…」

 

フェイト・テスタロッサに似た幼い少女がいたからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の名前はエルシア・テスタロッサ。元は何処にでもいる普通の学生だったけど気が付いたら死んでいて神様が二つまで特典を選んでいいといったので私は原作のフェイトがあまりにも不遇と思ったから、

 

・フェイト・テスタロッサと双子

・フェイト・テスタロッサと同等の魔力

 

この二つを選んだわ。そして原作通りに私達はプロジェクトFATEで産み出された。

 

用紙を確認してみると双子らしく髪も目も一緒。フェイトが黒のリボンでツインテール、私が赤のリボンでポニーテールにしなければ見分けがつかないほどだ。

 

原作通りにリニスに私達は魔法を学びデバイスも貰えた。だけどプレシアは私たちを娘としては見ていないようだ。フェイトはそれを悲しんでいるけど私は原作を知っているため対して気にならない。むしろどうやって原作を代えていこうか悩んでいた。

 

そんなときこの時の庭園に侵入者が現れた。私は原作でそんなものはないと思っていたけど原作前のことはあまり知らないためさして気にもとめなかった。きっと機械兵団が追い払うでしょう、と思う程度だった。

 

だけど侵入者は私の予想を裏切りどんどん奥に進んでプレシアの部屋にはいっていった。私は大きな戦闘が起こると思っていたけどそんなことは起こらずプレシアはそのまま出掛けることを私たちに言ってどこかに出掛けてしまった。

 

その間はフェイトやフェイトの使い魔のアルフ、私の使い魔のサーニャと訓練に励んでいた。因みにサーニャはキツネの使い魔よ。

 

暫くしてプレシアが帰ってきたためフェイトと一緒にプレシアの後を追ったわ。

 

「ここよ」

 

「よし、運び出せ」

 

プレシアの声と男の人の声が階段の下から聞こえてくる。もしかしてここって…。

 

「気を付けて運んでよね」

 

「分かっている。此方としてもアリシア・テスタロッサを傷つけてそちらの機嫌を損ねたくない」

 

!?今アリシアって!?

 

そう思っているとポットを運んでくる数人の男とプレシアに二十代くらいの男性が出てきた。

 

男は廊下の影からうかがっている私たちに気付いて目を見開いた。

 

「母さん?」

 

フェイトはプレシアに呼び掛けるが、

 

「何をしているの?早く部屋に戻りなさい」

 

きつい口調で言うとそのまま歩いていった。目を見開いた男もプレシアに続いて歩いていく。

 

…あの男の人ってもしかしなくても転生者?

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六話 ひとつの区切り

しかし、先程の赤リボンポニーテールには驚いたな。恐らくあれも転生者だろう。

 

「…今の二人は?」

 

「フェイトとエルシアの事?あれらはプロジェクトFATEで出来たアリシアの失敗作よ」

 

成る程、恐らく赤リボンポニーテールの方がエルシアと言う名前だろうな。そして転生者。原作には存在しないフェイト・テスタロッサの妹若しくは姉。ならあいつは俺が貰うとするか。

 

「…赤リボンポニーテールのほう「エルシアよ」…そのエルシアだが頂いてもいいか?」

 

「…何故?」

 

「あまり言いたくはないがプロジェクトFATEの貴重な生きたサンプルだからな。あるに越したことはない」

 

「…そう。いいわ。でも何でエルシアの方なの?」

 

「黒リボンはフェイトだったな?フェイトの目には恐怖、疑問、不安等の感情が出ていた。だが、エルシアの方は警戒、驚愕の感情が出ていた。つまりエルシアの方は今後計画の支障を来す可能性がある。フェイトの方は従順に下手あげる事もできるだろう。だが、エルシアにはそれができそうにない」

 

俺はそれっぽいことを言う。実際エルシアはかなり警戒していたし転生者の可能性がある以上手元に、最悪の場合は処理する必要がある。

 

「…分かったわ。だけどそれは貴方の用事を終えてからでもいいでしょう?」

 

「…まぁ、なるべく早くのほうがいいがな」

 

エルシアはしばらく保留か。どちらにせよ後転生者は一人。何としても見つけないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリシア・テスタロッサの蘇生はなんなく終えた。蘇生等ゲームの参加者相手に何度か行っているからな。

 

「…アリシアが起きるのは暫く先だ。恐らく三日ほどは眠ったままだ」

 

「そう…」

 

プレシアはそれだけ言うと手術台にいるアリシアを撫でる。フム、この部分だけ見ればプレシアは立派な母親だな。興味ないが。

 

「それじゃあアリシアはどうする?起きるまでこちらで預かるか?」

 

「…いいえ、貴方の用事を終えるまではここにおいてちょうだい。今フェイトが壊れてしまったら貴方の用事を達成できないでしょう?」

 

「それもそうだ」

 

俺がプレシアに頼んだ用事は単純だ。フェイトの力を借りる。たったそれだけだ。これは原作通りに事を進めるための布石みたいなものだな。

 

俺を含めた転生者がこの世界にどれ程影響を与えているのか分からない。既に俺はこの世界には存在しない幻魔を産み出し世に出してしまった。ゾンビもそうだ。

 

他の転生者も何も影響を与えていないとは限らない。現に鳳凰院龍斗に御劔響夜は高町なのはに接触して原作の流れを崩しつつあり転生者と思われるエルシア・テスタロッサに八神はやての双子もそれぞれフェイト・テスタロッサ、八神はやてに何かしらの影響を与えている可能性がある。よって原作通りに進めるためにもジュエルシードを巡って戦ってもらわないといけない。

 

「とにかく用事ができたらこちらから連絡する。この事は他言無用で頼むぞ」

 

「ええ」

 

プレシアはそれだけ言って時の庭園に戻っていった。

 

「ふう」

 

俺は一息つく。プレシア・テスタロッサとの交渉を終えたから後は原作を待つのみだな。転生者も後一人。順調だな。

 

だが、最近はどうも原作の知識を忘れていることが多くなってきた。まぁ、何百年いや千年近く生きているからな。むしろ未だに原作を覚えていること事態が奇跡だな。

 

今のうちに確認しておくか。

 

無印は確か…淫獣の乗っていた船が殺られてジュエルシードが地球に落ちたことから始まるんだったよな?それで高町なのはがどうやってか魔法の才能を持っていてフェイト・テスタロッサとジュエルシードを巡って戦うはずだったな?A'sは闇の書の暴走だったな。因みに俺は無印はほぼ関わらないことにしている。だが、A'sは友の遺産でもあるからな。ナハトヴァールくらいは倒してやるか。

 

そして問題なのがStrikersだ。ぶっちゃけスカリエッティが何かするくらいしか覚えていない。後は八神はやてが部隊を立ち上げたことくらいか。そのときのフォワードもどうだったか。まぁ、時間はあるしなんとかなるだろう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七話 原作開始

「…漸く原作か」

 

そう呟く俺の前にあるモニターにはジュエルシードが護送されている次元航行艦が写っていた。

 

今日から原作が始まる。そう思うとこれまでの月日は長く思える。実際長いが。

 

「次元航行艦は俺が落とすとするか。ガルガント」

 

「はっ!」

 

「幻魔を率いてこの艦の船員を皆殺しにしろ。決して逃がすんじゃないぞ」

 

「了解しました」

 

ガルガントはそれだけ言うと直ぐに次元航行艦に向かっていった。

 

「次にプレシア・テスタロッサに連絡をするか」

 

プレシアへの連絡は直ぐについた。

 

「何かしら?」

 

「用事が出来た。フェイト・テスタロッサを貸してもらう」

 

「分かったわ。直ぐに送るわ。場所は何時もの所に?」

 

「ああ。頼む」

 

後はガルガントが皆殺しにするのを待つのみか。暇だし幻魔の状況を聞くか。

 

「幻魔界はどうなっている?」

 

幻魔界とは俺が滅ぼした三つの惑星のひとつを改良して邪気で溢れる世界にしたのだ。勿論次元の狭間に移動済みだ。

 

「現在進行形で増え続けています。そのうち食料が無くなるかと」

 

俺の問いに秘書は淡々と答える。こいつは俺が作った秘書型の造魔だ。かなり高性能に作られている。職務に忠実だしな。

 

で幻魔界の様子は秘書の言う通りか。これは深刻な問題だな。幻魔は人間を食べる。ベルテルミーニ大陸では勝手にふえてくれたが新しい幻魔界は人間を滅ぼしてから作ったため食料が手に入らなかった。幻魔の習性上俺を裏切ることはないがいざというときに制御が聞かなくなる可能性もある。それに俺はミーナの作る普通の料理のお陰かそれほど強くはないが人間にたいして食欲がわくときがある。友人に頼んで不必要な管理局員を手配してもらうか?あいつらも粛清できて俺らも生きのいい人間が手にはいる。考えておくか。

 

「イェーガーの様子はどうだ?」

 

「八神はやて及びその双子八神紗香が常連になったと報告が来ています」

 

イェーガーには未だに古本屋を営業してもらっている。八神はやて対策だったがうまくいったみたいだな。お陰で八神はやての双子の情報を入手できた。

 

八神紗香。八神はやてと同じく9歳。八神はやてと違い下半身不随な訳ではなく健康な体を持つ。姉妹仲は良好で八神はやてと同じく読書が好き。原作組とは違い普通の小学校に通っている。転生者の可能性大。

 

これだけ分かれば対処も可能だな。高町なのはと違いお前らには監視を強化させて貰うぞ。それに転生者でも原作知識を持っているか否かで変わってくる。持っていれば何かしらのアクションを起こすだろうが違っていれば前世の記憶を持つ子供と変わらない。それに特典についても調べないと。

 

「陛下、ガルガント殿より通信が入っております」

 

今後の事について考えていると秘書が話してきた。ガルガントがか?まだ命令をくだしてから数分しかたっていないぞ?なにかトラブルでもあったか?

 

「どうしたガルガント?」

 

「人間を皆殺しにしました」

 

マジか!?随分早いな。

 

「わかった。その艦の中で厳重に保管されているものはあるか?」

 

「少し待ってください。…」

 

通信の向こう側からなにかを壊す音が聞こえてくる。暫くするとガルガントが報告する。

 

「ありました。ひし形の小さな宝石のようなものが21個程」

 

「それを持ってこい。決して壊すなよ?」

 

「了解しました」

 

通信をそこで切って考える。ジュエルシードは俺がてきとうに海鳴市にばら蒔く。神社に一つ、月村すずか邸の庭に一つ、後は海に六つ置く以外は適当でいいか。後は勝手に淫獣がやってくれるだろう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八話 現状

【誰か…僕の声を聞いて…力を貸して…魔法の…力を…】

 

漸く原作開始だな。淫獣の念話が俺の方にも聞こえてきたよ。俺の現在地?海鳴市にある俺が起こした企業の社長室だよ。つまりそれほど離れてはいないな。

 

これで原作開始だが他の転生者はどう動くかな?既にフェイト・テスタロッサはジュエルシード集めに動きつつあるし淫獣は淫獣で動いているからな。いや、他の転生者が動くとしたら高町なのはが魔導師になってからだな。もっとも、俺は動く気はないが。

 

「陛下、プレシア・テスタロッサよりジュエルシードが届きました」

 

俺は自分の手でジュエルシードをばら蒔き集めたジュエルシードを俺のところに送ってもらっていた。そこ!無駄な手間とか言わない!プレシアには手に入れようとしたが手に入らずこの世界に落ちてしまったってことになっている。ちゃんと個数を集めさせないとな。

 

このジュエルシードは今後エネルギー源として使わせてもらう。ジュエルシードのエネルギーを用いればAMFだったかの魔法を無力化出来るフィールドを形成することが出来る。これで幻魔界を覆えば魔法を使うことはできなくなる。俺もかなり戦力ダウンとなるが元々幻魔のスペックは高いため高町家並の敵が軍団規模で襲ってこない限り心配はないだろう。

 

管理局が押収した分は後で友人に回収してもらうか。

 

次に現在の幻魔兵団の状況だな。

 

造魔

・銃足軽×1500

・刀足軽×5000

・弓足軽×3000

・ジャイド×2000

・バジャイド×1500

・マーセラス極×100

・ドルドー×150

・ドルデキオ×15

・アサシン極×200

・金剛×30

・森羅×30

 

幻魔

・バズー2500

・バラバズー250

・ドラバズー×15

・ガッチャ×500

・バーサー×4500

・バッドボーン×2500

・ウィージー×50

・ギャラーン×10

・釜弾正×100

 

今の戦力は大体この程度だな。しっかし他大陸侵攻作戦を行った時期と比べると大きな戦力ダウンだな。あのときは幻魔全体を出す必要がなかったしな。だが、幻魔界も落ち着いているしどんどん幻魔も増えてくるだろう。俺も造魔の量産を行わないとな。

 

後は他大陸侵攻作戦の時も感じたがやはり一騎当千の実力者が必要だな。覇王相手じゃ全然勝てず俺が出ることになってしまった。あのような経験をしないためにも幻魔事態のレベルアップが必要だな。だが、今は量産をしないといけないから高等幻魔を増やす事から始めるか。現在の高等幻魔は

 

高等幻魔

・ラディ・イェーガー

・バルドレン・ガッセナール

・ヘキュバ

・ジュジュドーマ

・ギンガムファッツ

・ガルガント

・ゴーガンダンデス

・オズリック

・ギルデンスタン

 

大体こんな感じか。指揮官タイプが二体、後方支援が一体、武官タイプが四体、科学者タイプが一体、斥候タイプが一体か。武官タイプが多いな。だが、一騎当千の者を相手にすると考えると持っといてもいいな。

 

…そうだ。なんかのアニメで見たが強いものを一つの空間に揃えて最後まで生き残ったものを自分の力に変えるというシーンがあったな。それを応用しよう。

 

次元犯罪者を中心に腕に自信があるものを集めて殺し合いをさせる。そして最後まで勝ち抜いたものを幻魔化&改造して俺に忠誠を誓う存在に仕立て上げるか。中々いい考えだな。腕に自信があるやつは友人に頼んで集めさせるか。さてさて、一体どんなやつが集まるのやら。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九話 養殖場と食事

東京喰種っぽいです。


最近知ったことだが次元世界はかなり広い。それこそ俺や友人が把握しきれないほどだ。

 

その一部は管理世界として管理局が治め半数以上が管理外世界となっておりまだ知られていない世界も存在していた。

 

そこで俺は管理局が認知していない世界に目をつけた。

 

「行け!抵抗するものは殺せ!捕らえられるものは捕らえよ!」

 

俺の指示通りに配下の幻魔達が行動していく。

 

管理局に認知されていないとある世界に俺は幻魔兵団を率いて侵略していた。

 

ドルドーやドルデキオ、マーセラス極を中心に精鋭を集めたこの軍団は人間の軍勢を意図も簡単に打ち破りほぼ占領を完了していた。

 

これからここは餌さとなる人間の養殖場として運営していくこととなる。これも最近気付いたことだが幻魔や造魔は人間を食すればするだけ力が上がっていくのだ。それは俺や高等幻魔も例外ではなく人間を食べると身体能力や特殊能力が向上することがわかった。

 

これは強い人間を食べればその傾向は強いがこれは食べ続ければいいので問題はない。養殖場で育てると質は悪いが供給できなくなることはない。因みにうまい順は若い女→若い男→その他の女→その他の男→老人の順に旨い。やはり身がのっている若い方が美味しいのかもな。

 

簡単に占領した後は養殖場として世界を作り替えて生き残った人間すべてをそこに放り込んだ。反抗するものはいない。アサシン極は優秀だからな。

 

養殖場の一日は起床してから男は肉体労働、女は裁縫等の内職、そして消灯時間まで食事以外では続け寝る。そんな生活を繰り返す。だが、暴動が起きても面倒だから週に二日は休息を儲けている。

 

そして、一年に一度働きが悪いものから順に餌さとなる。そんな感じで運営していくこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の夕食をお持ちしました」

 

俺付きのシェフとなった者が夕食を持ってきた。ウム、いい臭いがするな。

 

因みにシェフは俺が修行しているときに出会った人間をメインの食材として使っていた料理人だ。他から見ると狂人だが、幻魔からすれば最高の料理人だ。よって俺に忠誠を誓い最高の料理を作る代わりに材料の人間の調達を請け負う形で合意して今では専属のシェフだ。

 

「献立はS級の女のフルコースとなっております。前菜は若い女の肉の刺し身、サラダに若い女の指のソテー、スープに若い女の眼球スープ、主菜に若い女の腹肉のステーキ、デザートに洗浄した内臓となっております」

 

人間が聞けば発狂しそうな料理だが、幻魔である俺にとってはかなりのご馳走だ。しかし、若い女のフルコースか。これは食べ堪えがありそうだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい料理だった」

 

「勿体なきお言葉」

 

俺は満腹感を感じながらシェフに言うがシェフは相も変わらず無表情で答える。シェフがこんな感じなのはいつものことだ。普段はこんな感じじゃないのにな。本人曰く「余計な感情は調理において不必要」らしいが無表情になるとしばらくこのままだからな。

 

「お、丁度食べ終えたところか?」

 

そこへイェーガーが現れた。珍しいな。最後にあったのはしばらく前だぞ。

 

「どうしたイェーガー?お前がここに来るのは珍しいな」

 

「いや何、旨い料理が食えるって聞いてな。店はギンガムファッツに任せて食いに来たんだ」

 

こいつも変わらないな。全く…。

 

「近々解体ショーを予定している。そのときまで取っておくといいぞ?」

 

「そうか?なら軽く食うに修めておくか」

 

それでも食べるのは変わらないんだな。

 

因みに解体ショーは高等幻魔が選んだ人間を目の前で解体していきその場で食べる催しだ。選ぶのはバルドレン、ヘキュバ、オズリック、ジュジュドーマの四人だ。それぞれ個性が強いからな。当日が楽しみだ。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十話 東京喰種風に解体ショーその一

お久しぶりです。難産でした。どうもスランプに陥ったみたいで中々進みませんでした。


<さあさあ!お待たせいたしました!本日のディナーの登場です!>

 

そのアナウンスが流れテーブルについていた幻魔が叫ぶ。早くしろと言うように。

 

お客である幻魔が座るテーブルがある二階は中央が空いており一階が覗けるようになっていた。そして、その一階では何が何だか分からない様子のディナーの四人の姿があった。

 

<先ずは右端の方のご説明から!名前は酒田春樹、35歳。職業は雑誌の編集者ですが体が鈍らないように毎日ランニングや筋トレを行っているため身が引き締まっていることでしょう!仲介はオズリック様です!>

 

ほう、あのオズリックがこのような一品を持ってくるとは…。予想外だったな。

 

オズリックは下等幻魔からはその強大な肉体と幻魔であることへの誇りから絶大な人気を誇っているが食事に関しては品がいいとは言えなかった。食えれば何でもよくたまに下等幻魔を食らうときもあった。

 

そのためその辺のホームレスでも連れてくるのかと思っていたがいい意味で裏切ってくれたな。

 

<続いてその隣の女性、高梨紗理奈はヘキュバ様の仲介です。此方は先程とは違いプックリと太った雌豚です!この状態に混乱しているのか身体中から出汁がたっぷりと出ています!食べ応えがありそうな食材ですね!>

 

<次に左端の方は服の上からでもわかる盛り上がった筋肉をお持ちのようです!この状況でも慌てることなく腕を組むその姿は何処か頼もしさすら感じますが残念ながら今日で食材となってしまう彼の姿は二度と見ることはできないでしょう!余裕のその顔がどの様に歪むのか今から楽しみです!因みに仲介はバルドレン様です!>

 

フム、今回の食材は引き締まった中年男性、雌豚、筋肉そして、

 

<そして、今日のメインディッシュ!管理局に勤め自分が信じる正義の下前線で活躍している局員の方です!しかし!管理局の上層部ともめることもしばしばあり上からは煩わしく思われていました!今日彼女を食すことは管理局上層部の厄介者をなくすことが出来るのです!きっとこれからは管理局の上層部の方々には安眠が訪れることでしょう!仲介は陛下を通じてジュジュドーマ様です!>

 

管理局の局員か。確かAAランク魔導師だったな?デバイスはこちらで預かっているがスクラッパーはきちんと選ばないとな。反撃されて殺されてはこちらの手間が増えるしな。

 

<さあ!今日の解体ショーを盛り上げてくれるスクラッパーの登場です!>

 

巨大な鉄の扉が開きそこから現れたのは二つの顔を持つ番犬のような造魔、ガートルードである。

 

原作では3に登場し、鬼の一族の海底神殿を守っていた番人であったがギルデンスタンによって改造され鬼武者達の敵として立ちふさがる造魔であるがこのガートルードは元から造魔として産み出されている。鬼の一族何て存在しないからな。

 

ガートルードの姿を見て人間達は恐怖を感じており雌豚にいたっては排尿しているしな。あいつは後で洗わせないといけないな。

 

ガートルードが雄叫びをあげて中年男性に突進する。中年男性はあまりのことに混乱して避けられずその突進をもろに受けて上空に弾き飛ばされる。

 

自動車と接触したくらいの衝撃があるからな。中年男性は頭から地面に落下し頭から血がダラダラと出ていた。可愛そうに、あれでは即死だろうな。

 

ガートルードは次に筋肉をターゲットにしたようで先程とは違いゆっくりと近付いていく。その姿はかなり恐ろしい。

 

筋肉は中年男性と違い反対方向に逃げようとするもガートルードの前足に簡単に捕まり頭を噛み砕かれて即死した。フム、これをやった甲斐があると言うものだ。

 

『さあ!いよいよディナーの解体も後二人となりました。ガートルードによって潰された死体は直ぐに洗浄、調理を行いテーブルへと運びますので少々お待ちください!』

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

東京喰種風に解体ショーその二、今後

「中々しつこいな」

 

ガートルードがパパっと中年男性と筋肉を解体したため管理局員はともかく雌豚の方は早々に解体されると思っていたが予想外に管理局員の支援もありかれこれ十分近く逃げ回っている。これでは退屈すぎる。解体ショーの参加者たちも不満があるようだ。

 

「ハクア様」

 

ふと呼ばれたのでそちらを見れば人間の血で出来たワインを片手にギルデンスタンが立っていた。

 

「どうしたギルデンスタン?」

 

「中々素晴らしい光景、と思いましてな」

 

「フッ、お前のことだ。どうせあの管理局員を解剖したいとか思っているのだろう?」

 

「おやおや、ハクア様はお見通しでしたか」

 

よく言う。こう言う奴等を解剖したいと思っているのは今に始まったことじゃないからな。まぁ、こいつのお陰で造魔の量産体制が整っているのだがな。

 

「…お、どうやら動きがあったようですぞ」

 

ギルデンスタンの言うようにとうとう雌豚が捕まり頭を噛み砕かれていた。雌豚は汗でびっしょり濡れており食欲をそそった。

 

〈お待たせいたしました!対に雌豚が捕まり解体されました。雌豚は洗浄後に各テーブルへと運びますので少々お待ちください!そして!対にメインデイッシュの解体です!〉

 

アナウンスの声に参加者たちは雄叫びをあげた。俺もあげそうになったからな。

 

そのとき、俺はふと思い付いたので放送室に通信を入れる。

 

『どうかなされましたか陛下?』

 

『参加者たちをこれ以上待たせるのも酷だろう。ガートルードのリミッターを解除しろ。それはそれで面白くなるだろうからな』

 

『畏まりました』

 

通信を切ると同時にアナウンスが流れる。

 

〈ここで皆様に急報です。陛下のご指示によりガートルードのリミッターを解除させていただきます。これでメインデイッシュの解体も早くなることでしょう!〉

 

そのアナウンスに参加者達は歓声をあげる。それと同時にガートルードの動きが先程までとは比べられないほど素早くなる。

 

この動きには管理局員も対応できないようで回避しきれずにダメージが蓄積されていく。

 

「…あっ!」

 

そして対に自分の流した血に滑り体制を崩した隙をついてガートルードが口を開けて管理局員の頭を一瞬で噛み砕きそのまま咀嚼してしまった。

 

〈皆さま対にメインデイッシュが解体されました!いよいよディナーも佳境へと向かいます!それではお楽しみください!それと食後のデザートは近くの従業員にお申し付けください!順次運ばせます!〉

 

参加者達の声で満たされる部屋のなかにアナウンスの声が小さく聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一回目の解体ショーは上手くいった。参加者達(参加者といっても全て幻魔であるが)も満足していたようだ。

 

プレシア・テスタロッサの方も順調のようで最新の報告にはフェイト・テスタロッサが高町なのはと遭遇したとあったからな。そ因みにフェイト・テスタロッサの双子エリシア・テスタロッサはフェイト・テスタロッサとは別行動で探しているらしい。

 

フム、これならジュエルシードの数が変わること以外では原作に影響はなさそうだが転生者の二人がどう介入してくるのかそこが分からないからな。今のところ転生者二人は高町なのはとジュエルシードを探してはいないみたいだ。どうやら高町なのはと遭遇しようとする度に二人が出会ってしまいそのまま戦闘になり結果両者引き分けの上に終わる頃には高町なのはは既にいないと言うことが起きているらしい。

 

八神はやての双子も今のところ動きはないみたいだから暫くはこのまま進みそうだな。後は幻魔兵団の強化を急がないとな。目標は管理局相手に正面から余裕で勝てるぐらいにはしたい。そうじゃないと高町なのはやフェイト・テスタロッサ、八神はやてに転生者という強者が入るだろう管理局を倒すことは困難だろうからな。今は管理局は利用価値があるからな。その気はないがな。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二話 エルシア・テスタロッサ捕縛計画

皆さんお久しぶりです。約一ヶ月ぶりの投稿です。相変わらず駄文です。


時がたつのは早いもんで既に無印編も終盤に差し掛かろうとしていた。

 

原作通りに管理局は介入してきたし、最後のジュエルシードも半々で別けられた。踏み台二人についても高町なのはと合流できたが互いに足を引っ張り高町なのは一人で戦った方がいいときもあるほどだ。

 

八神はやての双子にも動きはないし残りの転生者も介入してくる雰囲気はない。

 

だが、エルシア・テスタロッサは俺の存在を警戒している。プレシア・テスタロッサには内緒で二人には監視をつけさせてもらったがエルシアは時々アルフやエルシア・テスタロッサの使い魔に俺を警戒するように伝えていた。これ以上エルシア・テスタロッサを自由にさせる理由はないな。駒にするか処分するか決めなくてはな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういうわけなのでエルシア・テスタロッサをこちらに引き渡してほしい」

 

現在俺は時の庭園にてプレシア・テスタロッサと話をつけている。内容はエルシア・テスタロッサについてだ。

 

フェイト・テスタロッサは原作通りに高町なのはと一騎討ちをしている。エルシア・テスタロッサもフェイト・テスタロッサを見守りにいっており今はここにはいない。だが、指示一つでエルシア・テスタロッサを確保できる状態にある。

 

「アリシア・テスタロッサは既に蘇生し記憶も問題ない。こちらの要求も完遂された。後はプロジェクトFATEのみだ」

 

「…勿論分かっているわ。いいわ、エルシアをあなたに譲るわ」

 

成る程、やはりプレシア・テスタロッサはアリシア・テスタロッサのみを愛しているようだな。別に俺はプロジェクトFATEさえ手に入ればどうでもいいのだがな。

 

「それでは俺はこれで失礼する」

 

玉座の間を立ち去る際に「そうそう」とつけ足す。

 

「管理局がここを突き止めないとも限らないからな、此方から戦力を時の庭園に配置したいのだが構わないか?」

 

これはプレシア・テスタロッサの監視と護衛が混じっている。プレシア・テスタロッサがここで死なれては困るからな。多少幻魔の医療技術で治療しているとはいえプレシア・テスタロッサの病はかなり押さえられているが捕まってしまえばその努力も無に帰す。

 

「機械兵だけで十分だと思うけどいいわ」

 

プレシア・テスタロッサの了承も得たので早速配置するか。

 

玉座の間を出て海鳴の基地に帰還する。

 

「ガルガント」

 

「はっ」

 

「時の庭園に戦力を置くことになった。ガルガントにはその指揮を執ってもらう」

 

配置する戦力は造魔で固めることとした。

 

・銃足軽×500

・刀足軽×1000

・弓足軽×500

・マーセラス極×10

・ドルドー×100

・金剛×10

・森羅×10

 

と、かなりの戦力を置くことにした。

 

そしてもうひとつ、ブレインスタンを置くことにした。これは鬼武者3登場の機体よりかなりパワーアップしている。さしずめブレインスタン改と言ったところか。ギルデンスタンが開発して一度は改修してパワーアップさせてあるそうだ。これは俺が求めていた広域殲滅型にふさわしく更に魔法技術を用いることで空中戦を行うことが出来るようにした。こいつは駆動炉に続くエリアに配置するか。

 

「それとプレシア・テスタロッサを何としても守り抜け」

 

「必ずや」

 

「よし、ギルデンスタン。俺はエルシア・テスタロッサを監視している特殊部隊の元に行く。もしもの時はギルデンスタン、お前の意思で行動しろ」

 

「御意に」

 

それでは早速エルシア・テスタロッサの捕獲に向かうとするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが私の全力全開!スターライト、ブレイカー!」

 

辺り一体を桃色の光が照らす。その光に俺は思わず目を細めてしまう。

 

原作通りフェイト・テスタロッサの攻撃をしのいだ高町なのはは最強の一撃を放った。

 

しかし、こう見てみると魔法の力は鬼武者に劣るみたいだな。あのくらいの力なら俺でも使えるからな。

 

「っと、今がチャンスだな」

 

下の方で様子をうかがっているエルシア・テスタロッサにアサシン極で編制された特殊部隊と共に急襲する。

 

「っ!?」

 

エルシア・テスタロッサは銃型のデバイスを構えてその場を離れる。

 

しかし、俺はそれを許さない。

 

一瞬でエルシア・テスタロッサの背後に回り込み首に一撃加えようとするが銃で防御してその衝撃を使い後ろに離れこちらに照準を合わせる。

 

「食らえ!」

 

【フォトンランサー・ルゥジヨーシフト】

 

デバイスからの男の声と共に銃弾より少し大きいフォトンランサーが放たれるがその早さは正に銃弾。普通なら何もできずに食らうかもしれないが俺は幻魔。止まっているかのように見えるためエルシア・テスタロッサにすぐに近づき首に一撃を入れる。

 

「ぐっ!?あ、あなた…」

 

「残念だったな」

 

恐らくエルシア・テスタロッサは俺のことをほぼ分からないまま意識がなくなったはずだ。正に踏み台に相応しい。

 

さて、プレシア・テスタロッサが次元跳躍攻撃を放っている間にこの場を離れるとするか。多少アースラにすがたをみられたかも知れないが問題ないだろう。友人に頼めばどうとでもなる。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三話 エルシア・テスタロッサについて。原作への介入

最後がなげやりになってしまった。


捕らえたエルシア・テスタロッサについてはプロジェクトFATEのこともあるが幻魔化させることにした。

 

今後を考えればエルシア・テスタロッサの力はかなり使い道がある。

 

調べた結果エルシア・テスタロッサの戦闘スタイルは銃を使った中、近距離射撃型と分かった。高速に動き相手を翻弄し、魔力弾よりも速い攻撃を相手を倒すみたいだ。

 

デバイスの名前はストレリツィ。やはり銃型デバイスみたいだ。

 

原作には存在していなかったし転生者で間違いないとは思う。フェイト・テスタロッサと双子だからか仲はいいみたいだしもし行方不明だった姉が幻魔となって敵対してきたらどんな表情をするのかな?それも楽しみだ。

 

しかし、記憶を持ったまま幻魔化させては反逆の恐れがあるな。それではただ敵を強化しただけになってしまう。

 

…そうだ!脳の方を弄ろう。具体的には同族(幻魔)に対する安心と協調更に上位の存在である俺や高等幻魔への絶対なる忠誠心。人間に対する破壊衝動を付け加えよう。こうすれば幻魔には絶対に逆らわず人間へ攻撃させることができる。

 

だが、いまのところそこまで手術するには時間がないからな。三年のうちには完成させるか。それまではエルシア・テスタロッサは監禁しておくか。

 

そうなるとデバイスの方も改造しておかないとな。

 

このデバイスもインテリジェントデバイスみたいだがAIを弄れば問題ないだろう。

 

さて、エルシア・テスタロッサの方はこれでいいだろう。プレシア・テスタロッサの方はどうなっているかな?

 

『プレシア・テスタロッサだな?管理局法違反であなたを逮捕する!』

 

お?丁度管理局がプレシア・テスタロッサの捕縛に動き出した頃か。ならばガルガントに連絡を入れるか。

 

『ガルガント』

 

『はっ』

 

『行動開始だ。派手に暴れてやれ』

 

『了解しました』

 

精々楽しませてくれよ?管理局。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局執務官クロノ・ハラオウンはモニターに写る光景が信じられなかった。

 

フェイト・テスタロッサを捕縛し、時の庭園に武装隊が突入した。

 

後はプレシア・テスタロッサを捕まえれば事件は解決すると思われた。

 

『プレシア・テスタロッサだな?管理局法違反であなたを逮捕する』

 

この言葉を武装隊が発した時に丁度手錠をかけられたフェイト・テスタロッサが入ってきた。流石に目の前で自分の親が逮捕される光景は見せられないと思いフェイトを別の部屋に移そうとしたときだった。

 

『そんなことをさせるわけにはいかないな』

 

その声が聞こえたと同時にプレシアを守るように半円形状に異形のものとしか言えないナニカが現れたのだ。その数凡そ十体。

 

自身の身長ほどはある大剣を右手に持ち自身の半身ほどは隠せる巨大な盾を左手に持った異形の者は見た目とは裏腹の軽快な動きで武装隊に斬りかかる。

 

無論武装隊とてただでやられるわけにはいかないためシールドや魔力弾を放ち異形の者を仕止めようとする。

 

しかし、魔力弾は盾に阻まれダメージを与えられずシールドを張った者は大剣でシールドごと斬り殺されてしまった。

 

「エイミィ!急いで武装隊を回収しなさい!」

 

事態を重く見た時空管理局航行艦アースラ艦長リンディ・ハラオウンは部下のエイミィ・リミエッタに命令する。

 

その間にも武装隊は斬り殺されていき無事に時の庭園を脱出できたものは半数に満たなかった。

 

そして武装隊が脱出すると同時に時の庭園内に異形の者が多数現れ余計に時の庭園に入ることが難しくなってしまった。

 

「これでは時の庭園に入ることは難しいわね。映像を見る限りプレシア・テスタロッサを守るものたちとは違うタイプみたいだけど」

 

リンディ・ハラオウンの言葉通り先程武装隊を斬り殺した者とは違うみたいだが同等の力を有しているとなると厄介であった。

 

武装隊との戦闘からプレシア・テスタロッサを守っている者達は推定Sランク以上、下手をすればSSランクは有していると思われた。それが十体おり、他の者も同等であればとてもではないがアースラのメンバーでは太刀打ちできない。

 

アースラは八方塞がりとなってしまったのであった。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四話 奮闘と横やり

お久しぶりです。ネタに詰まりつつあって進みが悪いです。


 予想以上に武装隊は弱かった。まさかマーセラス極でほぼやられるとは思わなかった。これでは金剛も森羅の出番も無いな。

 

 モニターに写る光景に俺はそう結論を出す。

 

 実験の結果魔法の力より幻魔の力のほうが強いことはわかっていた。しかし、まさかここまで差がつくとは思わなかった。尤も高町なのはあたりは関係なく倒せそうだがな。

 

今後の予定としては時の庭園を廃棄してプレシア・テスタロッサはこちらで用意した場所で過ごす予定だったから問題はないだろうが。

 

「お?遂に主力の登場か」

 

モニターに写る光景には高町なのは、クロノ・ハラオウン、ユーノ・スクライアそしてフェイト・テスタロッサと使い魔アルフの姿があった。まぁ、フェイトの心は折れてはいないからな。プレシア一言も喋ってないし。

 

そして彼女らの前に現れる機械兵の大軍。幻魔は奥の方に配置してあるからな。最初は機械兵で消耗してもらおう。尤も、それでもたいした消耗にならないだろうな。

 

「さて、管理局はガルガントに任せて俺は別のことを行うか」

 

 特にこれと言ってやることはないがどうしよっかな?

 

 …そう言えば前世で呼んだ漫画で面白いものがあったな。虫の能力を持つ幻魔とか楽しそうだな。…別の作品なのにテラフォーマーを考えてしまった。あれ、俺はあまり好きになれなかったから途中までしか呼んでいなかったな。話を戻すとあの虫の殺し屋の話だったが…。名前は忘れた。

 

 人間から選別して死ぬのを前提とした課題をだす。死ねば食料に、クリアすれば幻魔化して部下に。運が良ければ幹部になれるかもしれないな。

 

 人間は養殖場の奴を使おう。死んでも食料になり外部に漏れる心配はない。問題は脱走と課題内容だが…、管理局の友人にお願いすればすぐだし課題はバトルロワイヤル、脱出ゲーム、サバイバルゲーム…いろいろ思いつくな。

 

 「…ん?」

 

 ふと気になり画面を見て見ると下等幻魔が蹴散らされて行く様子があった。

 

 …成る程、どうやらあいつらを過小評価していたみたいだな。

 

 見た所原作と同じくクロノ・ハラオウンとフェイト・テスタロッサ、アルフはプレシア・テスタロッサのもとへ。高町なのはとユーノスクライアは駆動炉に向かったようだ。しかし、プレシア・テスタロッサの方にはマーセラス極、森羅、金剛、ガルガントが。駆動炉にはブレインスタン改がいる。どちらも一筋縄どころか一歩間違えば即死する実力を持つ。まあ、原作組なら負ける事はないだろう。

 

 「それにしても今更だが転生者の奴は現れないな」

 

 考えられるのは単純に管理局と繋がりがないか。…これはないな。管理局の奴らと一緒にいるのは分かってるし。後は足手まといとして拘束されているか。それだと状況によっては出て来そうだな。特典頼みとはいえそれなりの力を持っているからな。

 

 「さて、原作の力見せてもらおうか」

 

 今後の事を考えて笑っているとギンガムファッツが入って来た。ギンガムファッツには養殖場の管理を任せていたが何かあったのか?

 

 「実は管理局を名乗る連中が養殖場のある世界に侵攻して来ました。いかがいたしましょうか?」

 

 …は?何故管理局の連中が?

 

 詳しく聞くとどうやら数少ない正義感溢れる局員で密かに養殖場の事を調べていて(どっから漏れた?)準備を整えて養殖場の人間を助けようとしたらしい。準備しても幻魔やゾンビに手間取っているみたいだ。

 

 全く、今回の事は友人に報告しておこう。後で何かお詫びの品でももらいたいものだ。

 

 「全員殺せ。船も逃がすなよ。終わり次第漏れた原因を探すように。徹底的にやれよ?」

 

 俺らを甘く見るとどうなるか教えてやろう。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五話 慈悲無き蹂躙・1

皆さんお久しぶりです。書きかけのこの話を見つけたので三年半ぶりに完成させて投稿することにしました。


 「急げ!新手が来ないうちに捕まった人々を助けるぞ!」

 

 時空管理局ジルバー・アイギス一等空佐は部下に指示を出しつつ迫り来る異形の化け物、幻魔やゾンビを魔力弾で殺していく。

 

 ここはハクアが有する養殖場の一つ。アイギスは垂れ込みからこの場所を特定して信頼できる部下のみで上に伝えずに保護を行ったのだ。

 

 しかし、準備はしてきたがそれでもゾンビはともかく幻魔相手に劣勢であった。それは単純に幻魔を相手にするための戦力が不足しているからだ。いくら一等空佐の階級でも誰にも知られずに準備するにはあまりにも難しすぎた。それでも人々の平和を守るために入局したアイギスは大粒の汗を滴ながらも必死に幻魔とゾンビは食い止めていた。

 

 「隊長!この施設の人間は全て保護しました!ここは我々が抑えますので急いで船に戻ってください!」

 

 「!?バカを言うな!部下をおいて逃げれるわけがないだろう!?」

 

 「後から必ず向かいます!急いでください!」

 

 「っ!必ず戻ってこいよ!」

 

 アイギスは断腸の思いで戦線を後にする。尚、余談だがこの後すぐに敵の増援が到着。管理局は十名程度だったため逃げることは完全に諦め敵を食い止めることに命を懸けた。そのかいあって二十分程押さえることに成功して全滅した。

 

 さて、そんなことになるとは知らないアイギスは敵に会うことなく養殖場を抜け近くに止めてある船に無事に撤退することができた。

 

 「一部の部下がまだ残っている。だが、このままいるのは不味い。そのため十分たって戻らない場合このまま管理世界まで戻る」

 

 「「「「「了解!」」」」」

 

 アイギスは部下の安否を気にして直ぐにでも向かいたかったが船の艦長として、この部隊の隊長として苦渋の選択を行った。しかし、これは悪手ではなかった。もしこのまま管理世界まで向かっていたら行く先の管理世界は死の星となった可能性があるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイギスが戻ってから五分後それは起きた。

 

 「隊長、大変です!一部保護した人間が突然ゾンビ化!保護した他の人間や局員を襲って今なお増え続けています!」

 

 その報告に驚くと同時に詳細な報告をさせる。

 

 「被害は!?」

 

 「保護したスペース付近は完全に放棄。駆動炉がある中心部は死守していますが破られるのは時間の問題です!」

 

 「くそ!」

 

 戦況の内容ににアイギスは思わず壁を殴り付ける。今回行った救出作戦が徒労となったからだ。

 

 駆動炉は次元航行艦にとって心臓部である。これを奪われては航行する事など不可能なのだから。故にアイギスは決断する。

 

 「私が行く!その間に船の出港準備をして置け!」

 

 

 「了解しました!」

 

 部下にそう命じたアイギスは数名の部下を連れて一気に駆け抜ける。途中保護した人々のゾンビが襲い掛かってきたが返り討ちにして駆動炉への道を進んでいく。しかし、そんな彼の下にブリッジより凶報が走る。

 

 「艦長!敵が侵入してきました!」

 

 「何!?数は!」

 

 「正確な数は不明ですが先ほどの化け物が大量に……うわぁっ!?」

 

 「どうした!?おい!応答しろ!」

 

 突然の悲鳴と共に通信が切れアイギスは嫌な予感に襲われていた。既にこの船は自分のものではなく敵の手中に……。

 

 そこまで考えたアイギスは決断した。

 

 「……駆動炉を守る味方と合流しこの艦から離れるぞ」

 

 「で、ですが艦がなくては逃げることは出来ません!」

 

 「この艦に固執すればそれこそ敵の思う壺だ。敵の艦を奪いそれで脱出する」

 

 「……了解しました」

 

 艦長の決断に部下たちは悔し気に答える。アイギスたちは駆動炉の見方を救出するべく再び動き出した。

 

 ……そこに、更なる絶望が待ち受けているとも知らずに。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十六話 慈悲無き蹂躙・2

なんかかけたので投稿します


 「よし!ここを曲がれば駆動炉につくぞ!」

 

 襲い掛かって来るゾンビを倒しながらアイギスは駆動炉への道を突き進んでいた。途中部下が一人死んでしまったが残りはまだピンピンしておりアイギスに続いてゾンビを後方から倒している。

 

 そんな頼もしい部下の奮闘を感じながらアイギスは先ほどから感じる不安を募らせていた。

 

 それは駆動炉を守る部下との連絡が数分前から取れなくなっている事にあった。いくら通信を送ってもノイズしか返ってしか来ない。いくつか響いていた部下の雄たけびや悲鳴、戦闘音等も全くしなくなっている事も不安に拍車をかけていた。

 

 -もしかしたら自分たち以外は全滅したのかもしれない-

 

 そんな不安を感じながらも大丈夫、まだ生きていると自身の心を励ましていた。そうでないと心が折れそうになるから。

 

 そして無事に駆動炉に到着したアイギスは道をふさぐようにたむろするゾンビに特大の砲撃魔法を喰らわせた。通路を飲み込むその砲撃によりゾンビは一体残らず灰燼に帰した。

 

 邪魔な存在が居なくなった通路を後ろの部下を置いて疾走するアイギスは血だらけ(・・・・)の駆動炉を目にして絶望した。

 

 駆動炉には数名の部下が守っていた。しかし、そのどれもが矢を体に受けて絶命していた。バリアジャケットを貫通させる矢に部下たちは混乱したのだろう。通路に背を向けて倒れている死体もあり恐慌状態に陥っていたことを思わせた。

 

 「なんで……っ!?」

 

 深い絶望に陥るアイギスの胸に矢が二本突き刺さる。バリアジャケットを貫通しアイギスの肺に当たったそれは急速に力を奪っていく。毒でも塗ってあったのか、と薄れゆく意識の中で把握したアイギスは最後のあがきとばかりに矢が飛んできた方向を見る。そこには金髪と黒髪の少女が居りアイギスの事を見下ろしていた。

 

 「ふふふ……」

 

 「ははは……」

 

 この場において場違いとも言える少女の笑い声を聞きながらアイギスは二度と覚めぬ睡魔に襲われそのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「任務完了ですわね」

 

 「楽勝だったな」

 

 死亡した局員、アイギスを見下ろす二人の少女、二コラとキアラはそう言って自らの武器である特殊加工のされたボウガンをしまう。既にアイギスの部下はゾンビと幻魔によって全滅しておりこの艦は完全に掌握されていた。

 

 「あとはゾンビと幻魔に任せて私たちは報告に行きましょう」

 

 「そうだな。あたし(・・・)の活躍を報告しないといけないからな」

 

 「あらあら、何をおっしゃいますの?わたくし(・・・・)の活躍によって返り討ちにしたと報告しなければいけませんのよ?」

 

 「「……」」

 

 二人の間に見えない火花が散る。自らの主人であるハクアに絶対の忠誠を誓う二人は拾われた当初から一緒に行動しているが両者の関係は最悪と言ってよく任務では抜群の連携を度々見せるがハクアがいないところや任務外ではこうして張り合うように口論や睨みあいが行われていた。

 

 

 「ハクア様に今回の功績を称えてもらい見事近くで働けるようになるのよ。キアラは黙っていて頂戴」

 

 「あ”あ”!?何寝ぼけた事言ってんだ!今回はあたしの活躍で殺したんだろうが!」

 

 「何をおっしゃっていますの?わ・た・く・しの活躍あってこそでしょ?」

 

 「んだと!」

 

 「何ですの!」

 

 「「……」」

 

 二人はそのまま睨み合いを続けた。そしてこの後更に口論が行われるのだが口論が終わるころには艦の処理を終えて全ての死体を運び終えた後だった。

 

 直ぐに報告をしなかった二人は功績と罰則で相殺されハクアの命令で養殖場を中心とした監視員を続ける事となるのだった。

 

 そんな事もあったが管理局の養殖場の襲撃はこうして完膚なきまでに返り討ちに遭い管理局にいるハクアのお友達(・・・)はハクアに本来不必要な借りを作る事となった。

 




今回は戦場のヴァルキュリア4のニコラ・グレフとキアラ・ロジーノを登場させました。最初見た時は14くらいかと思っていたけど20歳って表記があってとてもびっくりしたな~


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。