オウガテイルになったんだが (腹ペコ)
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なんなのだ、これは!どうすればいいのだ!?
敷きっぱなしの布団に倒れ込みため息を一つ。
「今日も真面目に働いたっと.....」
全身が疲労を訴え休息を求めている。
毎日毎日会社の為に働く。サービス残業当たり前、休日出勤もよくある。有給休暇すら消化させてくれない。紛うことなきブラック企業である。
そんな会社はさっさと辞めた方が楽ではあるが中々就職出来ずにいた自分を拾ってくれた恩もあるのでもう少し働いてやろう。そんな具合でかれこれ5年である。辞めていく社員が多いのもあり自分が部署で一番の古株になっていた。文句も言わず働き続ける自分を評価されたのかいつの間にか部長になってしまっていた。
部長になり多少は仕事も減るかと思ったがそんなことはなかった。部下に相談され彼らに有給を取らせる代わりに自分がその分の仕事をしたり寧ろ以前より仕事は増えた。未だ倒れない自分を褒めていただきたい。
「飯...食べなきゃ....」
布団に倒れ込んだまま晩飯を食べていないことを思い出した。カップ麺を食べようとする自分に強烈な睡魔がおそう。
「朝...食えばいいや...」
飯をあっさり諦め心地よい眠気に身を委ねる。
あぁ...気持ちいい.....天にも昇る気持ちとは...まさに...このこと....
軽い浮遊感のあと足が地に着く。
まとわりついた何かを払うように反射的に体を震わせる。
『何処だ....ここは....』
そう言ったつもりだったが口から出たのはどこかで聞いたような唸り声だけだった。
そういえば視点が低い...ような気がする。それに周囲も世紀末感溢れてる街だ。
もしや自分はついに過労死したのか?
いや、死ぬとしたらきっと天国にいくはずだ。
まさかビルに大穴が空いた天国などあるまい。そんな天国、地獄のようなものだ。
そもそも自分が地獄に行くなどあるわけが無い。働いていた会社もブラックではあったが業務内容自体は真っ当なものだった。(業務体形も真っ当であって欲しかったが)
地獄に見えるということはつまり夢だ。今より辛い環境があるから頑張れとそう言っているのだ。
神は言っている ここで死ぬ定めではないと
死んだ方が楽な気もするがね!
しかしこの地獄妙に見覚えがある。これは確か....
『贖罪の街か...?』
贖罪の街はGOD EATERというゲームのフィールドの一つだ。最近はゲームする余裕もなくご無沙汰だったが内容は意外と覚えている。(プレイするとなるとまた別だろうが)
夢だし自分の記憶の中で一番近い地獄でも表しているのだろう。バイオハザードとかだともっと酷いことになっていそうだが。幸い聞いたことしかないので夢で見る可能性は低い。ゾンビを相手に銃を手に立ち向かう!なんて芸当は自分には無理だろう。
さて、そろそろ目を覚まさなくてはアラガミに襲われて目を覚ますなど最悪な目覚め方はしたくない。
えぇっと...取り敢えず頬をつねればいいのだろうか?
手、手、手っと....
!?
手がない!?
夢だから精神体で体はないよ!ってか!?
そういえば体の感覚がいつも違うような...
具体的に言うならば
尻尾があるような.....体が前後に広いような....
・・・・・・
《なんなのだこれは!どうすればいいのだ!?》
転生だとかトリップだとかするんだったらせめて人間にしてくれ!
これでは死ねと言っているようなものじゃないか!
「ガアアアアアアア」
自分の叫びはなんの意味も無い咆哮に変わる。
私はオウガテイルになっていた。
こいつ無駄にポジティブです
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運は味方してくれているッ!!
考えないで感じてますので
取り敢えず近くのひび割れたような壁に突撃したら普通に痛かった。
アラガミも痛みは感じるんだなぁ...などと現実逃避気味に考える。
どうやら自分は堕天種でもヴァジュラテイルでもない普通の!ノーマルな!オウガテイルのようだ。尻尾に気合い入れて振っても出たのは普通に針だけだった。こんなんでどうやって生き残れというのか。
さっき壁に突撃した時もヒビが広がっただけで崩れたりはしなかった。あまりにも弱すぎる.....が、しかし言い訳をさせて貰うと実のところ腹が減ってあまり力が出ないのだ。晩飯を食べ損ねたからかそれとも産まれたばかりだからか。
オラクル細胞の集合体であるアラガミは何でも食べる。まあアラガミにより偏食傾向はあるが基本何でも食べられる。無論オウガテイルも。
この足元にある地面。これだって食べようと思えば食べられるだろう。美味そうかと聞かれれば不味そうとしか返せないが。
canとlikeは違うということだ。食べることのできる虫はいるが好き好んで食べようと思うだろうか?自分は無理だ。他に食べるものがないのならばまだ考えるが....とにかく土・コンクリは最終手段としよう。
であれば何を食べるか?ゲームでも最初のムービーでオウガテイルの群れがヴァジュラを食っていた。
・・・そういうことである。どこか適当な群れを見つけて
ひと狩りいこうぜ!
と声を掛けなければならない訳だ。1人で、いや1匹で狩れる獲物などここにはいないだろう。ザイゴートとか飛んでるし、コクーンメイデンならまだ...いや、だとしても美味しくなさそうだ。それこそ虫を食うのと同じ気がする。
それに1匹だけだと神機使いの格好の餌食だ。新人の教育に使われて終わりである。そうじゃなくても腹を減らした中型以上のアラガミにはあっという間に喰われる。
そういう意味でも群れに入るだけで安全性はグッと高まる。他を見捨てて逃げることだって可能なのだ。なんと群れとは素晴らしいのか!動物の知性に感銘を受ける。
さて取り敢えず方針は決まった。まずオウガテイルの群れを見つけることだ。堕天種とかヴァジュラテイルは正直同族扱いしてくれるか不安なので自分と同じノーマルなオウガテイルを探そう。
なにアラガミ激戦区と言われる極東支部だ、群れなどすぐに見つかるだろう。
「グラァルルルルルル.......」
激戦区ということはアラガミの数自体が多いということだ。もう少し隠密に出来れば良かったな、ははは。
目の前にはヴァジュラはギラついた目でこちらを見ている。今にも飛びかかってきそうだ。メチャ怖いのだが。こちらが出来る攻撃は飛びかかりと針飛ばしだが....前者は完全に自殺である、可能性があるとすれば針飛ばしか....?
とにかくやってみることだ、やってみなくては分からない。就職してみなければ分からないこともあると自分は身をもって知っているじゃないか。
「グルァァァ!!」
飛びかかる寸前、過去に結合崩壊させまくったその顔面に針を飛ばす。大したダメージはないが大きく怯ませることに成功した。その隙にさっさと反転して逃げ出す。上手く潰せたようだよし、ラッキー!
《この吉良吉影に運は味方してくれているッ!!》
自分が狙ったのはヴァジュラの目である。単純な話目が見えなくては何も出来ない。ヤクシャやコンゴウのように聴覚が鋭ければ不味かったがヴァジュラにそんな様子はなかった。まぁ昔のゲーム情報ではあったが合っていたようで良かった。
周りが見えずに電撃を放出して暴れまくる前に自分は脱兎のごとく走り去った。
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ひと狩りしようぜ!
ヴァジュラから逃げるのに全力で走ったが完全に撒くことは出来なかった。それに全力で走ったせいでさらに疲れてしまった。何でもいいから食べたい。
食いたい....食いたい食いたい食いたいクイタイクイタイ
バクっと近くの壁にかじりつく。
無味だ。何か味があるわけでもなくただバリバリとした食感だけがある。
というかなんで自分は壁食べたんだ!?腹が減りすぎたら食べることにはしたが別に食べようなんて.....
もしかしたら今のはアラガミの本能なのか?腹が減りすぎると理性がなくなる?それはマズイ!
早く安定してちゃんとした食べものを得なくては!
「グラァッ!!」
《グラッ☆》
なんて言っている場合ではない。今の咆哮はヴァジュラだ。近くまでヴァジュラが迫って。とにかく隠れなくては。また針飛ばしなどでエネルギー...オラクルを使えばまたさっきの状態になりかねん。それは避けなくては。
あくまで自分は人間だという...だったという認識は持っていなくては。ただのバケモノに成り下がる。
近くの教会跡に駆け込む。通路が一方向からしかない...つまりもしここに捕食にでも来られたら一巻の終わりというわけだ。ステンドガラスの位置は高過ぎてオウガテイルでは逃げられない。やはり出た方が良いだろうか?
「グラァァァッ!」
「ガウッ!」
「ガウガウッ!」
壁一枚挟んだ向こうから叫び声やら何やらが聞こえる。ヴァジュラだけではなくどうやらオウガテイルも複数いるようだ。これはもしやいけるか?
最初のムービーで確かオウガテイルが何匹かヴァジュラの死骸を食べていた。これはもしかしてワンチャン....?
思い切って教会跡から飛び出し仲間(仮)が戦っているだろう現場を覗きみる。
すると案の定さっき目潰ししたヴァジュラと5匹程のオウガテイルの群れが戦っていた。辺りに何匹かオウガテイルが倒れているので本当はもう少し多かったのだろう。
2匹ほどでヴァジュラを引き付けて残りが針を飛ばしチマチマと削っているようだ。そんなので倒せるのかと思ったがさっきの電撃無駄遣いのせいか動きがどことなく鈍いように見えた。それに電気の出力も少なそうだ。
いける!いけるぞ!
ここは加勢に入ろう。上手く行けばお零れを貰えるかもしれないしそのまま群れの仲間入りも出来るかもしれない。
針を飛ばすのはオラクルがヤバいので出来ないが引きつけることくらいは出来る。ドスドスと叫びながらヴァジュラに突っ込む。
「ガルァ!!」
針を飛ばしていたオウガテイルはギョッとしてこちらを見たが同族の姿で安心したのかまた針飛ばしを再開した。
ヴァジュラが前足を払うそれだけで引き付けていた1匹は吹っ飛んだ。壁に激突する。原型は留めているが動く様子はない。1匹減ったが自分が入ったのでプラマイゼロだろう。・・・アイツ大丈夫だろうか。
ヴァジュラは目が見えていないのでこちらが声を挙げるとそちらに向かってくる。たまに針が来た方向に向かおうしたりもするがそういう時は突撃してでも止める。前足のなぎ払いだけで吹っ飛び命を落としかねないのだが何故だかそうすることに迷いも恐怖もなかった。
「グラァァァッ!」
バチバチとヴァジュラの体に僅かに電気が迸る。
「ガルァッ!」
もう1匹の囮に思わず下がれ!という意味合いで吠えるとそれを理解したのかバックステップを行う。すると予想通り周囲に電気を発生させた。攻撃の予備動作などもゲームと同じようで助かった。
「グラァ...!」
ヴァジュラがバランスを取れずよろめき始めた。あと一押しか?
するとそこで不意に姿勢を低くし、
「ガルァ!」
今度は来るぞという意味で針飛ばしチームに叫ぶ。またも自分の意思が伝わったのか飛び込んできたヴァジュラを見事に避けて見せた。
何かしか意味を込めて吠えれば伝わるのか。細かい意思疎通は出来ないのかもしれないが今はそれだけ分かれば十分だ。
予備動作を見極め攻撃に注意を促しそのままジワジワと削り続ける。
「グラァ......」
そしてついにその巨体が倒れた。
「ガルァァァァッ!!」
思わず咆哮を上げてしまった。するとそれに呼応したのか他のオウガテイルも
『ガルァァァァッ!!』
と叫んでくれた。なんと言うか....すごい達成感だ。本当にオウガテイルで(色々弱体化していたとは言え)ヴァジュラを倒せるとは。まぁヴァジュラテイルなんてのもいるくらいだから倒せない訳では無いのかもと思っていたが....
とにかくようやくちゃんとした(?)飯が食べられる。まずは他のオウガテイルが食べ始めるのを待つとしよう
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君がいなければ我々は全滅(過労死)していた
先の展開とか浮かびませんし
自分が一番行き当たりばったりという
他のオウガテイルが食べ始めるのを待っていたが一向に食べようとしない。こっちをじっと見ているだけだ。なんだろう....自分が邪魔だということなのだろうか...何か寂しいな一緒に戦った戦友なのに
トボトボと群れから離れる自分だが
「ガル」
と、声を掛けられる。待て、的な感じだ。同族同士は意思疎通が出来るようだ。(種類が違ければまた分からないが)
ちょっとだけ振り向くと残った4匹はやはり自分を見つめている。呼び止めたということは邪魔ではなく何か別の意味があるのか?
「ガル、ガルガル、ガルァ」
こいつを倒せたのはアンタのおかげだ、アンタがいなきゃ俺たちは全滅していた。
「ガル、ガルァガルァ、ガァル」
だからアンタが先に食ってくれ、俺たちは残りモンでいい
な、なんだコイツら。なんていいヤツらなんだ!
元の上司に言わせたいぞこんなセリフ。
この仕事を終えられたのは君のおかけだ、君がいなければ我々は全滅(過労死)していた
まぁ結局過労死したのは自分だったがね!
気にするなよ、一緒に食おうぜ
といったニュアンスをそれっぽく伝えヴァジュラを食べ始める。アラガミになったからか特に気持ち悪さなどは感じずすんなり食事に入れた。
・・・う、美味い....まるで霜降り肉でも食ってるようだ。よっぽどイイもん食べてたなこのヴァジュラ。それともヴァジュラという種類がこんなに美味いのか?
他のオウガテイルたちもどことなく幸せそうな表情だ。
ある程度食べ進めていると少し硬いものにぶつかった。マントではない。マントは硬くてなかなか食い辛いので避けていた。じゃあ何か?口の中に入れるとどうやら球体のようだ。きっちり噛み砕いて飲み込むとなんだか力が湧いてきた。もしや今のがコアだろうか...というか勝手に食べちゃったが大丈夫だろうか?
「ガルァ」
アンタが食うなら俺たちは文句ないさ
お、おう.....自分を買ってくれるのは嬉しいが成長できる可能性を捨てていいのか?自分だったら渡さないぞ?
上司に言われたら渡すかもしれないが。
あ、部下に相談されても渡すかもしれない。
結構渡しそうじゃないか!
ドロドロとヴァジュラの残骸が崩れ始めた。そういえばコアを失ったらこうやってオラクル細胞に戻るのだったか。だったらコアを食べるのは最後にした方が良いのか?
あ、そうだそれで群れに入るんだった。多分この感じだとOKだと思うが...入れてくれるだろうか?
「ガルァ」
もちろんだ
本当に、本当にありがとうございました
アラガミになって良かったかもしれない....前よりとても、こう...充実している。まあアラガミになって1日も経っていないのだが。
さてそれはそうと群れに入ったはいいが何処に行くんだ?
「ガルァ、ガルガル」
どこって訳でもなく、気の向くまま
だそうだ、そんな行き当たりばったりで大丈夫なのか?
《大丈夫だ、問題ない》
まぁ何かあれば逃げればいいしなどうにでもなるだろう。
明日は明日の風が吹く
鳴き声とか結構適当です
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まるで意味が分からんぞ!
とはいっても繋ぐ先浮かんでませんが
卒業しても、就職しても、結婚しても終わりはない。
夢を叶えたとしても幸せになれるとは限らない。
どこでもいいから就職できればいいと考えた自分はバカだった。
身をもって味わったことを覚えない。
そうやって体験したことを覚えられない自分のようなヤツが愚か者と言うのだろう。
自分が群れに入ってから数日が経過した。
先日のヴァジュラとの一件でどうやら一目置かれてしまったらしく何をするにも自分を窺うようになった。獲物(専ら他の小型種だが)を狩った際もまず自分が口をつけなくては食べ始めない。これでは自分が群れのリーダーのようじゃないか。
自分が一番上というような状態は何だか落ち着かないので新参者の自分を立てる必要はないと言ったのだが
この群れで頭のいいヤツはアンタの他にはいない
オレ達を率いるに相応しい
新参者でも実力があれば従うぜ
アンタがボスだ
というようなことを口々に言われたのでリーダーになってしまった。
なので取り敢えずの方針を決めておくことにした。基本的に狙うのは同族以外の小型種で大型種と人間は襲わない。
ヴァジュラを倒せたのはまず自分が目潰ししていたのと、見えないことに混乱したヴァジュラが電気を無駄遣いして消耗していたからだ。そうでなければこちらが全滅していただろう。故に大型種は弱っているなど確実に仕留められる状態でなければ襲わない。
人間に関しては言わずもがなだ。元同族を襲いたくない、以上。
まあそれを抜きにしてもに人間を襲い続けていると危険視され優先的に襲われかねない。そもそもメリットがない。いやあることはあるが危険の方が多い。難しいとは思うが何とか友好的、もしくは関わりあいにならないよう立ち回りたいところ。
というような理由を含めこれからの方針を説明すると素直にみな頷いてくれた。
聞き分けの良いことだ。しかしここまで良すぎるとどうも不安になる。というかそもそも何故ここまで言うことを聞くのだろうか。一目置いたとは言えアラガミというのは本能のまま喰らうだけの存在じゃないのだろうか。これもまた聞いてみた。
少し前まではただ喰っていただけだったな
アンタと一緒に戦ってから意識が出来たっつーか
あの時指示がよく分からんが心地よかった...
ボスについていく
との事だった。
まてお前らなんのことだ!まるで意味が分からんぞ!
自分と戦った時から意識が芽生えたということか?それに指示が心地よいってなんだ。自分にカリスマなんてないんだが....
うーむ。今までオラクル細胞の本能とも言える捕食本能しかなかったが、外部からの指示を聞くことで自分と他人を認識。それにより自己意識が覚醒(?)し、共に何かを成し遂げたことの達成感(この場合は圧倒的格上のヴァジュラを倒したことか?)が捕食以外の楽しみ(?)になり自分の指示を聞ける理性が生まれた...ということか?筋が通っているようでないようで....
・・・まぁ理由などどうでもいいか。ちゃんと食わせていればいきなり喰い殺されるということもないだろう。
しかしそれはそうと自分が一番上というのはやはり落ち着かないな。何があっても責任は自分で取らなくてはいけないし、部下のミスは上司の失態になるし....
無能な上司は部下のせいにするし.....いやこれは関係ないか
まあだとしても数日とは言え過ごしている内に仲間意識も感じてきた。出来る限り死なせないようにしたいところだ。
途中の仮説モドキはあんまり気にしないでください
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いったいどんな仕事をしてたんだ
まぁ好きに書いてるものなので(開き直り)
狩りをしてその日暮らしをしてるなか、ふと思った。
つまらない
生きていくために狩りをして生活している自分ではあるが狩りをして喰う以外にすることがない。通常理性のないアラガミであれば食べるだけで良いのだろうが元人間の自分からすれば娯楽が少なすぎる。食べることぐらいしか娯楽がない。アラガミになったからか味に飽きるということがないのでまだいいが...
同族と人間は食わないのでコクーンメイデンとザイゴートしか食べていない。ナイトホロウやドレットパイクがいない(恐らくまだ2前なのだろう)ので2種類しか食べられない。
大型種は基本的に勝てないので見つけたらそのまま気付かれる前に逃げるようにしている。
未だ敵から襲われるということはないが、いつ襲撃されるとも分からない。小型種を狩っている内に連携も取れるようになってきているし、自分たちがどれくらいまで狩れるのか確かめるためにも中型種でも狙ってみようか。上手く行けば食事のバリエーションも増やせるだろう。
そんなことを考えながら崩壊した街を20匹程でゾロゾロ....
って増えすぎじゃないか!?
いつの間にそんなに増えたんだ!?
最初はせいぜい10匹くらいだったんだが....ここまで増えたら色々不味いな。狩りする上では楽にはなるがいずれゴットイーターに狩られるだろうしその前に大型種に襲われかねない。
かといって数を減らそうにも仲間だし殺せない訳でどうしたもんか...
「どうしやした?」
思わずついたため息に反応して近くのオウガテイルが尋ねてくる。
「相談事なら力になります」
「リーダーの悩みは群れの悩みだぜ」
「なんでも言ってくれ」
口々に他のオウガテイルも言ってくる。実際には唸ってるだけであくまで意訳ではあるんだが嬉しいもんだ。こんなヤツらを失くすなんて考えたくないな...とにかくなにかいい案がないか聞いてみよう。
「うーん数が多過ぎですか...」
「そんなん巣を作りゃいいじゃないすか」
「そういや人間たちも作ってるっけな」
なるほど、巣か。なかなかいい案だ。というか普通に自分でも浮かばないことにショックを受けた。何か食べていれば寝る必要もないので寝るのはぶっちゃけ気分的な問題だ。そのためアラガミになってから寝ていないのでどこか決まった休憩場所というのを作っていなかった。
前も仕事を家に持ち帰ってすることもしょっちゅうだったので二徹三徹も当たり前だった。・・・いったいどんな仕事してたんだウチの会社は。
まあともかく巣だ。巣を作れば狩りをするチーム、巣を守るチームと二つに分けられその分動く数も減る。食料の保存も物によっては出来る。コアだけ咥えて持ち帰ることも出来るだろう。さぁて忙しくなるぞ。
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ソイヤッ!
正直なところ一から巣を作るというのは無理だ。というか面倒くさい。
だって手がないんだもの
ゲーム中は全く気にすることでもない事だったがなってみると何と致命的か!食べる時も犬食いを強制されるし武器も作れない。これで巣を作るなどまず無理だ。上手く口で咥えてやるにしても面倒くさい.....
という訳で何かテキトーな建物を探すぞ
「はぁ...」
「了解だ」
「分かりやした」
テキトーな建物を探してそこにまたテキトーに藁やら何やら置いたりすれば....
あら不思議!あっという間にお家の出来上がりです!
自分たちがいるのは贖罪の街。周りは建物だらけだ。テキトーに良さげな建物を見つけよう。
バカだった......
建物っていうのは人間が作るものだ。用途は様々あるがこの贖罪の街....街、街だ!街は家やビルの集まりで家は人が住む場所だ。いや当たり前なんだが。
人が住む為にはキッチンやらトイレやら必要なものは色々あるが一番はドアだ。入れなきゃ意味がないし知らない奴に泥棒に入られても困るわけだからそれに伴い鍵もある。
何が言いたいかというとだ......入れない......
ドアは人間のサイズに合わせてあるからオウガテイルでは大きすぎて当然入れない。鍵がかかっていても開けられない。そもそも手がないからな!
自動ドアも電気がきてないから開かないし...
うーむ....そうだ!掘削してみるか!
「くっさく?」
「何だそれは」
「聞いたことないでやすね」
掘削っていうのはまぁ....見れば分かる
手頃な壁を見つけ取り敢えず歯で...歯で....噛めない
オウガテイルの額にあたる部分が尖っておりその上歯の前に牙まであるので歯で削ろうとすると
「何やってるんです?」
「それがくっさく?ってやつなのか」
「腹でも減ったでやすかね」
突っかかって出来ないんだなぁ...
じゃあ牙でやってみるか、これだったらピッケルみたいな感じで出来るんじゃないだろうか。
「ボスー?」
「ダメだ、これは何か考え込んでいるな」
「しばらく見てておきやすか」
無理やん....
顔を壁に向けると牙は上に向く。なので顔を下げて削ろうとしたんだが顔、というより頭の大きさが牙より少し小さいくらいになっていた。そのため削ろうとしてもすぐに頭がぶつかり全然削れない。削っている間も視界が地面に固定されてるしな....
ということで次は口を開けてやってみることにした。オウガテイルの牙は下顎に付いているので口を開いてやれば何かこういい感じに出来るんじゃなかろうか。
・・・ダメこりゃ
削る速度も遅い上に何より顎が疲れる。数を増やしたやろうにもそれじゃあ横に広がり過ぎて倒壊するかもしれない。
うーむ.....
そうか閃いたぞ!
「どうしました?」
「今度は何を考えついたんだ?」
「聞かせてくだせぇ」
いやいや聞かせるまでもない。見てれば分かる。
そうだ自分はオウガテイル、アラガミなのだ。確かに人間とは違い手がないしサイズもデカい。
・・・だが!自分たちには!人間より遥かに高い膂力がある!
ドアが開かないなら蹴破ればいいじゃない
いやいや開いてもサイズが合わないから蹴破り損だ。
で、あれば....
入れないならぶち開ければいいじゃない
見つけた手頃なビル。そこから少し離れる。他の仲間にも下がるように言ってから自分は助走をつけてそのドアも何も無い壁に
ソイヤッ!
突撃した。
そうだ、入口が小さいなら大きい入口を.....すなわち穴を開ければいいのだ。人間には出来ずアラガミのパワーあってこその文字通り力技だ。
まぁ壁にヒビが入っていたしポロポロと破片がこぼれていたので何回か体当たりすればぶち破れると思っていたが一発とは。思った以上に脆かったらしい。
自分より少し大きい穴があいた。これなら余裕を持って入れるな。閉められないというのが難点ではあるが...まぁそれは仕方ない諦めるしかない。休める建物があるだけラッキーというものだ。
よし、お前らも入って....
声をかけると何故か他のやつらは自分から距離を取っていた。
なんだなんだ?
自分の後ろに実は大型種がいるとか?
それは流石に気配で分かる
一発で穴をあけたことにビビった?
それは壁が脆かったからだ
おいおい今のは壁が脆かったからで....
「ボス...そこから出た方が...」
どうして?
「その建物....」
なんだ?
「崩れやすよ?」
え
ガラガラと天井が落ちてきた。
・・・どうやら自分の体当たり一発で崩れる程脆い建物だったらしい。
体中が滅茶苦茶痛い。痛いで済んでいるのはアラガミで感謝か。人間だったら確実に死んでるだろうしな....
・・・最初から穴あいてる建物探そう....
「そ、そうですね」
「おっそうだな」
「そうでやすね....」
※2017/12/31
感想欄にてご指摘がありましたので修正しました。今更何をと、仰るかもしれませんが...お許し下さい。理由は本文に挿入した通りになっております
説明不足で申し訳ありません。
ご指摘ありがとうございました。
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いやだから食べないって!
返信はなんというかこう苦手なのでこの場で感謝を。
いつも通り狩りを終えた帰りにボロボロで倒れている少年を発見した。金髪で年は16〜18くらいだろうか腕輪を付けていないのでゴッドイーターではないようだが...どうしたものか
「この人間どうする?」
「巣に持ち帰って食べますか?」
「この場で食っちまいます?」
いやいや食べない食べない!!
確かにアラガミ的に食べるのが普通なんだろうけども!
ピクピク動いているからこいつは生きている。まぁもし死んでいたとしても食べるつもりはない。穴でも掘って埋めるさ。
食べようと思えば食べられるだろうがそのまま人間を食べることに慣れてしまいそうだ。それにもし美味かったら人を襲うようになるかもしれない。
それは、嫌だ。体はともかく自分の心は人間だ。そこを譲ってしまったらただ喰らうだけの、本当の意味でのアラガミになってしまう気がするから。
人間を襲うな(死にかけの人間を食べないとは言ってない)
いやそれも襲うだから!
人間を見たら助けるように言った方がいいのだろうか...?
未知の食材を前にヨダレを垂らす仲間たちを必死に説き伏せながら少年を背中に乗せて拠点に連れて帰ることにした。
「おかえりなさい」
「お疲れっした〜」
「今日も異常なしでしたぜ」
戻ると仲間たちが口々に迎えの言葉をかけてくれる。
ここを拠点にしてしばらく暮らすうちに思い出した。誰かが迎えてくれることの心地良さを。
帰っても誰もいない。カップ麺やコンビニ弁当を一人寂しく食べるのが当たり前だった。
咳をしても一人で苦労を分かち合う同僚も友達もいない。
いたのは仕事を押し付ける上司と面倒を見ていた部下だけ。
仕事以外に自分の繋がりはなかった。
上司は自分に信頼など微塵もなくただ道具として扱うだけ。
部下だって自分のことは仕事を押し付けられる都合の良い存在だと思っていたのだろう。
まあ部下に関しては自分が好きにやっていたことであるしそこはどう思われようと構わないが...
・・・ダー!リーダー!
おっと少し思い出に浸りすぎたようだ。辛い思い出に浸ってどうするというのか...
軽く首を振り悪い悪いと謝る。
「大丈夫ですか?」
「お疲れなら休んだ方がいいっすよ」
「藁を集めて休めるようにしといたぜ」
前とは全然違うな....
いや、でも部下からは心配されていた....ような気もする。就職してからは仕事以外のことはどうも記憶がない。あの頃は一体何のために生きていたんだろうか....
だがしかし大事なのは今。
今、仲間たちが幸せならそれでいい。仲間と一緒に活動し帰ったら迎えてくれる。
自分はそれだけで十分だ....
「それはそうと背中の人間は....」
「リーダーの分は残しとくっす」
「手足はオレ達でいいか?」
いやだから食べるなって!!
金髪くんとの絡みを書こうとしたのですがね....
「自分」の独白になっちゃいましたね
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そんなものはない
実際は出来ないかも知れませんがこの作品ではそういう事にしておいてください。
少年をわらなどを敷き詰めた寝床(仮)に寝かせて思った。
食べ物どうしようか
当たり前のことだが人間はアラガミを食べられない。オラクル細胞の塊であるアラガミを食べても逆に食べられてしまうからだ。(多分)そのため少年には自分たちとは別の食事を用意しなくてはならないが
《そんなものはない》
なので少年のために何か食べ物を探しに行かなくてはならない。
しかし少年を置いていくと他のヤツらが食べちゃいそうだしなぁ
自分が帰ってくる前に少年が起きても色々面倒だし.....
こんなリーダーで申し訳ないと思いつつ相談したところ
「任せてくれ」
「オレ達が人間の食い物探しますぜ」
「たまにはオレ達を頼って欲しいっス」
と力強いお言葉を頂いた。
実のところ最初のうちは単純な意思疎通しか出来ず指示も簡単なことしか理解出来ていなかった。
それがいつの間にやらこんな風に会話も出来るようになっていた。
アラガミも成長出来るんだな。特殊とはいえシオのような例もあるしアラガミが人になる、知性を得るということは可能なのかもしれない。
まあそれはそれとして知性はあっても知識がなければ意味がない。取り敢えずトウモロコシを探させることにした。
新しい品種のジャイアントとうもろこしだ。GOD EATERのゲーム冒頭でそんな話をしていた気がするのでこの時代にも存在するはずだ。
黄色つぶつぶがたくさんついてる植物、ということで探させることにした。それ以外にも美味しそうなものを見つけたら持ってくるように言う。
ゴッドイーターや中型以上のアラガミに遭遇したら逃げる、もしくは隠れてやり過ごすを徹底しているので心配はいらないだろう。
「いってきます」
「戦果を期待していてください!」
「大量に持って帰るぜ」
5、6匹ずつで3チームに分け、残りの数匹と自分で留守番である。これくらいで探せばだったら見つかるだろう、多分。
あとは自分がこの少年をどうするかなんだが.....
「うっ.....」
え、いやちょっと!待て待てここで起きる!?
いや死んでなかったからそりゃいつか起きるだろうけども!
働いていた時はそんなことなかったのだが、アラガミになってから色々考えなしに行動することが増えた気がする。肉体的にはそうでなくても精神的に疲れてるのだろうか。
「僕は、いったい.....ア、アラガミィ!?」
アイエエエエ!?エミール!?エミールナンデ!?
「クッ退路はないか....ならば我が騎士道!!その目に焼きつけるがいい!」
カラテやジツを...いやいや違う違う。エミールはゴッドイーターだから反射的にビビってしまったのだ。
落ち着け落ち着け、腕輪をしていないのだからまだ普通の人間だ。
エミールを寝かせたのは通路の行き止まり。なので脱出するには自分のいる場所を通るしかない。
ならば.....
集合!
自分が吠えると残っている仲間が集まりスクラムを組んだ。と言っても通路を塞ぐように並んだだけだが。かなりキツキツであるので自分はエミールの方に寄る。
「ひ、卑怯だぞ!数で襲うなど騎士の行いではない!断じて許せん!!」
勇ましく声を上げるエミールだが今の彼は丸腰だ。何を出来るわけでもない。探索班が帰ってくるまでここで待つとしよう。
こちらから襲うつもりはないし襲わせない。怒っているようではあるが恐怖は見えないのでしばらくこの状態でも問題ないだろう。早く帰ってこないだろうか。
上手く出来てる気がしませんね、彼の口調
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あの野郎僕の妹に何を!!
キャラを再現するのって難しいですね。
それはそうと例の如く独自設定です
エリナが泣きながら僕に抱きついてきたときは驚いたよ。
なぜって?普段は貴族らしく涙を見せない強い妹だからさ。
「どうしたんだい?」
僕はそう言って優しく頭を撫でながら尋ねたんだ。
エリナは僕の妹ということを差し引いてもとても可愛いし、しっかりしているし、なにより可愛い。もはや天使と言っても差し支えはないね。
エリナにお兄ちゃんと呼んでもらう時は何にも変え難い至上の時間だよ。その声を聞く度に僕は死ねないと強く思うんだ。
そんな僕にとって命よりも大事な妹が泣いていたんだ。
「エミールが...エミールが!」
そこで僕の盟友にしてライバルたるエミール・フォン=シュトラスブルクの名前が出た時はつい
あの野郎僕の妹に何を!!
と思ってしまったよ。盟友の彼をそんな風に言ってしまったがエリナは彼よりも大切だからね。仕方のないことではあった。
モチロン事実は違うけどね。むしろ彼は妹を守ってくれていたんだ。
それから泣きながらエリナは話してくれた。
エリナは近い僕の誕生日に花を贈るために外に出た。今じゃ野生の花なんて滅多に見ることはないけどフォーゲルヴァイデの財力であれば手に入らない訳じゃない。けれどエリナはわざわざ外に出て花を取ろうとしたんだ。
疑問に思ったよ。君には言ったけど妹は病弱でね。普段は部屋に居てメイドや執事も付いてくれているんだけどどうやってか抜け出したようでね。屋敷を出たところでエミールと会ったそうだ。そこから色々協力して....えーとホラ先日外壁に穴が空いたろう?そこから外に出たみたいだ。
それでその肝心の理由なんだけどね、外で花を取ってくることで自分はもう大丈夫だと....僕を心配させないために....
うっうぅ.....あぁすまない。エリナは少し背伸びしがちな所もあってね、今回もそういったところが出たんだろうけど...うぅ....素晴らしい妹だと思わないか!思い出すだけで涙が出てくるよ。
それからエリナは花を見つけて帰ろうとしたところで....そうアラガミさ。特徴を聞くにシユウだと思う。そこでエミールがエリナを先に逃がして......
○○○○○○○○○○○○○○
「今に至るってことか」
「お願いだ!僕と共にエミールを助けに行ってくれないか!」
そう言ってエリックは頭を下げた。普段の態度とかけ離れた姿に思わず目を見開いた。
他の連中はほとんど俺に話しかけることはないがいつもやたらフレンドリーに話しかけてくるコイツ。
ナルシストでキザったらしい奴だが妹を、家族を大切に思っているのは普段から伝わっていた。
家族....俺に守る家族はいない。
「神機の私的目的の利用は禁止されてる」
「でも....」
それでも
「シユウ一体の討伐、それだったら俺も手伝ってやる」
「ソーマ....ありがとう!ありがとう!」
助けたい友人はいる。
区切る意味で〇付けてみましたがイマイチ使い勝手が分かりませんね
〜sideってあんまり好きじゃないので使いたくないんですよね
まあそのうち慣れていけば良いでしょう
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上からかぶりつきたくなったぜ
「戻りましたー」
「中々の収穫でしたぜ」
「それはそうとご報告が....ボス?」
エミールを寝かせると幾つかのジャイアントトウモロコシやらバックやらと共に他の仲間が帰ってきた。
エミールは素手で突っ込んできて、自分がだいぶ手加減して跳ね返し、また突っ込むを繰り返すと疲れて倒れ込んでしまった。なので別に自分は悪くない。うん全く悪くないぞ。むしろ怪我させないようにした自分を褒め称えて欲しいくらいだ。
まあそれはそれとして何か報告があるようだ。近隣で大型種でも出現たのだろうか。
「いえ大型種ではないですが....」
「ゴッドイーターでさぁ」
「言いつけ通り隠れてやり過ごしたぜ」
ゴッドイーターか。こちらが先に見つけて回避したことは何度かあったが面と向かって会ったことは無い。会うつもりもない。
極東の化け物ゴッドイーターにかかればオウガテイルたる自分たちはあっという間にミンチだ。リンドウなんて1人でウロヴォロスを討伐するのだ。
ゲームなら
『なるほどなー』
程度でその内自分でも出来るようになるが、この現実でそんなチートをしかも敵として発揮されては....
ま、まぁキャラ的には個性があって好きだ。狙われるようなことがなければなお良かったがね!
しかしこれはある意味良い機会だ。上手くエミールを返せる。置いておくと他の仲間が食べかねない。自分も極力止めるつもりだが以前のような空腹状態になれば食べちゃうだろうな、うん。
取り敢えずそのゴッドイーターに気付かれないようにエミールを返そう.........いや、難しくないか?
リンドウやソーマだったら絶対気付かれそうだ。エリック(まだ生きてるか知らないが)やカノンだったらまだいけそうだが。
ということでそのゴッドイーターの特徴を聞いてみた。
「2人組で片方はトゲトゲした剣でなんか被ってたっス」
「もう片方はなんつーかこう....」
「上からかぶりつきたくなったぜ」
・・・・片方はエリックだな。多分絶対だ。
もう1人は誰だ?何か被ってるというとコウタとかシュンだろうか。剣というとシュンの方か?いや、あれはブレードだからトゲトゲはしてない。
リンドウはトゲトゲはしてるが何も被ってないし....ソーマか。
フードを被っているし神機もノコギリでトゲトゲしている。エリックと一緒にエミールを探しに来たのだろう。確かエリックとエミールは盟友だったはず。
うーむソーマがいるのか....
普通の人間がいれば戦いにくいだろうからエミールを放ってすぐに逃げれば追ってはこないか....?
よし、そうしよう
「そういえば、ちょっと聞きたいんだが」
「どうしてそんなに人間を気にするんです?」
「以前の説明は分かりやすが適当な所で放っておいてもいいんじゃ..?」
え、なんでってそりゃ.....
GEOやろうとするとメンテってことが多いですね
ちょっとイラッときます
※2017/02/28 修正致しました
ご指摘ありがとうございます
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おお我が友よ!
まだまだ未熟ですね
今回はちょっと長めです。
シユウを倒すと早速エミールの捜索を始めた。倒す前も索敵がてら探したが見つからなかった。どこかに隠れているのかそれとも既に....なんてな。
この辺りで隠れると言ったら教会だろう。建物の中というのは安心感がある。出入口が一つしかないのであまり良い判断とは言えないが。
「僕の盟友がこの程度死ぬわけがない。それに借りを作ったままにしておくなんてフォーゲルバイデの恥さ。華麗に見つけてみせるよ」
と言っているがその顔には焦燥が見えている。・・・それも当然か。
ここ極東はアラガミ激戦区と呼ばれているくらい新種や大量のアラガミが発生する。フェンリルの保護を受けられずに生活している人間ならまだしも、おぼっちゃま育ちの貴族が1人で生き延びるには過酷な環境だ。
まだ半日程度しか経っていないとはいえ生きていられるかどうか....
割れたステンドガラスを見上げ少しぼうっとしているエリック。
「おい....体調が悪いなら....」
ガラッ
背後から音が聞こえすぐさま振り向く。ぼうっとしていたエリックもそこは体に染み付いているのか反射的に銃口を向けた。それはすぐに下ろしたが。
そこには金髪で薄汚れてはいるがいかにも貴族、といった服を着た俺と同じくらいのヤツがいた。
「エミール!?」
隣のエリックの反応からコイツがエミールのようだ。
「エリック!?おお我が友よ!また生きて会えるとは!」
神機を置きエミールと抱擁を交わすエリック。全く戦場で武器を手放すのは危険極まりない。やれやれこういう警戒心が薄い部分があるからまだまだ放っておけない。
「喜ぶのはいいが神機を手放すな。再会早々死にたくないだろ」
「あ、あぁすまない」
警戒をしながらエリックに注意する。珍しく素直に謝り神機を手に取る。ひとまずは安心か。
○○○○○○○○○○○○○○
僕はエリナを逃がした後なんとかアラガミから逃げ切ったんだ。しかしそこで力尽き倒れてしまってね。全く情けない...
目が覚めると見知らぬビルの中だった。背中が妙にチクチクしてね。どうやら藁に寝かされていたようだった。そこで周りを確認するとすぐ近くにオウガテイルがいたんだ。恥ずかしながら恐怖の叫びをあげてしまったよ。
しかし騎士たる僕はすぐに落ち着きを取り戻し考えた。通路はオウガテイルのいる側しか通れない。1体しかいなかったので僕でも何とか倒せるんじゃないか...とね。
だがそのオウガテイルが一声をあげると仲間が集まり通路を塞がれたんだ。卑怯者め!思わず叫ぶと同時に思ったよ、僕はここで死ぬのだと。だからシュトラスブルク家の男として、騎士として、みっともない最期を遂げる訳にはいかない。
武器は何もなかったが己の拳と騎士道精神でオウガテイルに向かっていった。逃げ回って疲れていたこともあったのだろう。何度か弾き返されるとそのまま意識を失ってしまった。
そして目を覚ますと.....なんと!オウガテイルの背中に乗せられていたのさ!乗せられていたと言っても荷物のように、だったが。意外にスピードが出ていたから降りるのはこわ.....危険だと感じて落ちないようにしたんだ。
数匹の群れでどこかに向かっているようだった。その目的地がさっきの教会のすぐ近くだったのさ。そこで僕を降ろすと彼らは咥えていたこのジャイアントトウモロコシ1本と数日分の食料の入ったバックを置いたんだ。
正直呆然としてしまったよ。アラガミは捕食本能に従い人を喰らう闇の眷属、そんな印象は崩れ去ってしまったよ。思わず感謝の言葉が口をついてでてしまった。それを理解したのか1体のオウガテイルが頭を下げ、それに習うように他のオウガテイルも頭を下げた。エリナや僕を襲ったアラガミとは何か違う...僕はそう感じた。
○○○○○○○○○○○○○○○○
「ということがあったらしい...実に興味深い」
「理性あるアラガミ....もしや特異点か?」
「いやそれと思しきコアの反応はない」
「ではアラガミが進化したと?だとしたら危険極まりない。今はそのオウガテイルしか確認されていないがそれが中型種大型種となった場合、危険度は今までの比にはならないぞ」
「しかしそのオウガテイルたちは人間に友好的なようじゃないか」
「アラガミと共存しろとでも?知性があるならそれは何か思惑あっての事だろう。ゴッドイーターでもないただの人間をアラガミが助ける理由があるか?太らせて食べるという訳でもなく食料だけ持たせて逃がすなど....全く理解できない」
「ヨハン、キミは少し考えすぎなんじゃないか?全てがそうだとは言いきれないが、知性があるなら人間と仲良くしようという個体が出てもおかしくはない」
「ペイラー、私はきみのように楽観的ではないのでな...計画を急がなくてはならないか....」
「私としてはそのアラガミと対話してみたいところだけどね」
「アラガミとの対話など不可能だ」
「神が人になるか、人が神になるか....案外その答えは、すぐそこにあるのかもしれないね」
3月がすぐそこまで迫っていますね。
逃げる2月とはよく言ったものです、最近時間が経つのが妙に早く感じます。気づけば1年が終わってますし。
この間 思い返せば 2年前。
まだ若い方なんですが自分....
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なんだって!?
時系列はエミールを運ぶ前になります。
もしかしたらあとで前の話と入れ替えるかもしれません
会社勤めの時部下に聞かれた。
どうしてそこまで働くのか、働けるのか。自分の仕事も多いのに部下の仕事も請け負うし間違いなく社で一番働いているのは貴方だ。
その部下は自分とは2、3年違いでこの職場にでは自分についで古参だった。飲みにいくという時間はなかったが僅かな休憩時間にコーヒーを奢りあったり、愚痴をこぼしあったり、仲は一番よかったように思った。昇進した時も一番に喜んでくれたのは彼だった。仕事量が変わらない事を知ると励ましてもくれた。
そんな彼が問う。
家で待つ家族も恋人すらいない、貴方を支えているのは一体なんだ、と。
いや、いやいや。
確かに辛いが自分を支えているものなんてない。ただそうしなければならないから、仕事だからしているだけだ。
いや....違う、貴方は
時間だ!さっさと仕事に戻れ!
怒鳴られ自分は仕事に戻る。アラガミになる直前の会社での出来事だ。
彼はあの時何を言おうとしたんだろう。
「・・・ス!ボス!」
「大丈夫っすか?」
「腹でも減ったのか?」
おっと前のことを思い出してぼうっとしていたようだ。仲間たちを不安にさせたようだ。悪い悪いと謝る。
それでえぇっと?どうしてそこまで人間を気にするかだったかな。
答えは決まってる。そりゃ同族を殺したくないからだ。前にも言ったはずであるが同族を見殺しには出来ないしな。
うーむ、思い切って言ってみようか。自分が元人間だったことを。
「ほーそうなのか」
「まぁ不思議じゃないっすよね」
「どおりで頭が良いわけです」
・・・思ったより反応が薄いがそれだけオウガテイルの中では自分がおかしかったということか。あまり意識してなかったが確かに群れを統率するなんてマルドゥークくらいしか自分は知らない。あれだって感応種の能力によるものだ。
だがしかしもっとこう
『なんだって!?』
『バカな.....ありえん!!』
『なん.....だと....』
ぐらいの反応が欲しかった。いや異端者扱いされて追い出されるよりはずっといいんだが。ふと思ったが今までコイツらが驚いたところ見たことがないぞ....?
「まぁそれはそれとして」
「確かにそれもあるんだろうが」
「何か違うっスね」
え
違うって何だ?自分は嘘をついたつもりはないんだが....
「さぁ?」
「知らん」
「よく分かんないっス」
おいおい....まぁ、いいか
とにかく今はエミールを運ぼう。エリックたちは教会のあるエリアにいるらしいからそこまで自分の背に乗せよう。もし2人と会えなかったら大変だ。食料も持たせておこう。幸い仲間が拾ってきたバックに幾つかレーションらしきものが入っていた。これとジャイアントトウモロコシも持たせれば数日は持つだろう。
さて、そろそろ出るか。あまり時間を掛けると2人がアナグラに帰ってしまう。仲間の手を借り(手というか頭と尻尾だが)落ちないよう上手くバランスを整えて乗せる。縄とそれを巻ける手があれば良かったんだが贅沢は言うまい。他の数匹はバックとジャイアントトウモロコシを咥えさせる。
・・・今にも噛み砕きかねないが鉄の如き精神で必死に耐えているのが伝わってきた。
よし行くぞ
「うぃっす」
「了解だ」
「・・・・ウーウー」
各々の返事を確認する。1名必死に食欲に耐えているが概ね問題ななさそうだ。
生きて帰れよ
伝わる筈もないがそんなことを思う。何年か後でゴッドイーターになり自分たちを狩る側になる。そうなることを知っている。だとしても自分は祈らずにはいられなかった。
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生きる理由(上)
物陰から様子を窺う。今自分たちは1匹のコンゴウの近くにいる。どういう訳か群れから離れているようだ。周囲を慎重に索敵した結果コンゴウ以外には他の小型種が数体いるだけだった。襲うなら今がチャンスだ。
すっかり忘れていたが元々巣を作ったのは安定した生活を確立するためだ。安定した生活が出来れば余裕が生まれる。余裕が生まれれば今まで出来なかったことにも挑戦できる。自分たちの場合それは中型種を狩ることだった。
1人で生きるだけなら正直冒す必要の無い危険だ。しかし自分は1人ではなく数10匹の群れを率いる立場だ。(群れの全体数を確認出来ていない辺りあまり良いリーダーとは思えないがね!)
これからストーリーが進むにつれディアウス・ピターや、だいぶ先になるだろうが感応種などオウガテイルより強いアラガミがゴロゴロ出現する。群れを率いる自分には仲間を守る責任がある。
最初は自分の身を守るために。危険なアラガミに襲われれば躊躇なく1人で逃げる、そのつもりだった。
彼らが一方的に慕っていただけだった。ただ攻撃がくるだとか、避けろ、といったそんなとても指示とは言えないものに彼らは感謝していた。
なし崩し的に自分が彼らを率いて小型種を狩った。自分の拙い指示を必死に聞いて戦い、倒した獲物を皆美味そうに食べていた。
皆で家を探した。各々がない頭を捻り意見を出し合い、その条件に合うところを探した。
遭難していたエミールを、人間を助けた。餌でしかなく、ともすれば恨みすら持っていたかもしれないはずなのに、自分の我が儘を聞き一緒に彼を送り出してくれた。
アラガミになって自分は得難い仲間に出会えた。それぞれ名前で呼び合うことはないがそれでも大切な仲間だ。
失いたくない
とはいえ無理だろうとは思う。誰1人失わず生きるなど、ましてやオウガテイルという弱い種では。
原型にして完成体などと言えば聞こえはいいが要はこれ以上の進化は見込めないということだ。
せいぜい環境に適応した堕天種、それらより少し強いヴァジュラテイル程度である。どちらも単独では中型種に蹴散らされるだけだ。ましてやそれ以下の自分が仲間を守るなど言えるはずもない。
お互いがお互いをカバーする。連携して戦い、無理なら逃げる。
自分たちに必要なものは連携だ。圧倒的な個の前では連携など無意味とも聞くが何も戦わなくても逃げることが出来れば十分だ。その為に必要なものは指示と意思の疎通だ。
アラガミの動きから次の攻撃を予測、それを迅速に伝えること。自分の役割はそれだ。
そしてそれこそが弱小種族である自分たちが生きるために必要なこと。力のない自分が出来る"守る"だ。
まぁ小型種での狩りである程度養われているし知識もある。アテにし過ぎるのは危険だがそれでも最大限活用しよう。
意思の疎通。これは自分の指示が届かないとき自分を介さない連携を取るためだ。自分が倒れるようなことがあっても彼らが死なないようにするためだ。
最近は自分の意見を持つようになった。ただ唯々諾々と従っていたのが自分の意見を、意思を持つようになっている。もう少し経験を積ませれば自分が死んでも問題なさそうだ。
全く....いつの間に成長したのやら....
・・・さてそろそろ行くか
「大丈夫スか?」
「あまり気負わないでください」
「アンタの為なら死んでも構わん」
そういうことを言うな。そうならない為の戦いなんだから。
「誰も死なないなんてある訳ないッスよ」
「犠牲は覚悟しないと」
「別に死んだって恨みはしないさ」
それはそうだ、その通り....
今からでも引き返した方がいいんじゃないか。そんな思いが頭をよぎる。
ダメだ....それはダメだ。
自分は何の為に生きている。
前は言えなかったこと、分からなかったこと。
自分は・・・コイツらと笑って過ごすために生きているんだ。
小声で話していたとはいえコンゴウの聴覚は並ではない。ゆっくりとこちらに近づく足音が聞こえる。
息を、吐く。
いくぞ!
咆哮を上げ自分はコンゴウの前に躍り出た。
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生きる理由(中)
と思うかもしれませんがよくある事だと流してください。
今回少し長めです。
コンゴウの攻撃手段は大きく分けて2種類ある。
剛腕によるなぎ払い
パイプから放つ真空波
自分とコンゴウの距離はだいたい4〜5mくらい。そしてコンゴウは両腕を上げた。であれば来るのは空気砲だ。
右足に重心を置きタイミングを見計らい飛ぶ。
B班攻撃!
コンゴウの背後をとる形で仲間たちが現れ一斉に針を飛ばす。
攻撃直後はどんなアラガミだろうと硬直時間がある。ハンニバルレベルの早さならまだしもこちらに気を取られているコンゴウであれば背後の攻撃に
ガァァァァァァ!!
対処出来まい。
攻撃する部分は四肢を狙うように予め言っておいた。四肢を狙うことで動きを制限させるためだ。
コンゴウは先ほど挙げたハンニバル程ではないにせよ高い俊敏性がある。その俊敏性をフル活用し襲われてはひとたまりもない。
だから初撃でそれを封じなければならなかった。しかし、ただ背後狙うだけでは予備動作や針を発射する音を聴き取り躱される恐れもある。 じゃあどうするかと考えた結果...自分が囮になることにした。
攻撃を受けたコンゴウは後ろ足を気にしながらも自分に背を向けB班に威嚇した。それを確認し少し安心する。
正面の一体しかいない自分を先に潰すか、一体だけの自分を無視し背後の15匹を狙うか。
どちらを取るかは正直分からないのでここは賭けだった。一体の方を狙った場合は自分が全力で引きつけ、背後を向いた場合は
ガァァァァァ!!!
A班と共に攻撃を仕掛ける。コンゴウが自分に背を向けたとき飛び出すように既に言ってある。
そして怯んだコンゴウに両面から針を打ち込む。一体一体では大したダメージにはならないだろうが群れで攻撃すれば話は別だ。
ゲームの結合崩壊でよく見た黄色が右足に見える。
やめ!回避準備!
攻撃を中断させ反撃を警戒させる。ペース配分に気をつけなければならないのとコンゴウの攻撃動作を覚えさせるためだ。
針を打つにはエネルギーが必要だ。当然のことながら打ちすぎれば疲れるしそれによって回避行動にも遅れが生じる。初撃にある程度効果が見えたら即座に止めることで継戦出来るようにした。(オウガテイルだからなけなしのものではあるがね!)
そして攻撃動作。これは自分が死んでも問題なく対処できるようにするためだ。いつまでも自分が生き残れるか分からない。自分が死んでも彼らが生きられるようにするためだ。(一番は自分が死なないことだがね!)
顔を抑えてうつ伏せになっていたコンゴウは起き上がる。右足を庇いながら立ち上がり両腕で胸を叩く。ウホウホしている。
これは活性化だったかな。コンゴウの場合攻撃方法が変わるということはなかったはずだ。動きが早くなるくらいだが右足にダメージを負っているのでそこまで早い動きはできないと見た。
両腕を掲げB班に向け真空波を放つ。
コンゴウの正面に位置取っていた2匹の反応が遅れた。まぁ犠牲は仕方ない、想定の内だ。
だというのに
おい!
叫ぶとコンゴウがこちらを向いた。
何をやっているんだ自分は。
分かっていた
覚悟もしていた
いや、そんなことは全くなかった。
分かっていた、犠牲が出ることは。
"死ぬ"ということを分かっていなかった。
皆で帰れない、覚悟はしていた。
覚悟をしていたつもりだった。
指示があったから2人ですんだ。
指示がもっと的確だったら避けられたんじゃ。
初めにヴァジュラと戦った時1匹のオウガテイルが死んだ。その時は少し心配しただけで.....
だから大丈夫だと、死んでしまったとしても多少の動揺はあれどパニックにはならないだろうと。
違った
大きく凹んだ壁に潰れた頭とグチャグチャな胴体が見えた。
コンゴウに向かって駆け出す。そばの仲間たちが驚く様子が見なくても伝わってきた。
元々の作戦では相手のオラクル消費を待ち真空波が打てなくなったところで慎重に近づき直接噛み付く。針では無理でも直接噛み付けば1人1人大ダメージを与えられると考えていた。
コンゴウが自分に向けて真空波を放とうとしている。
どうして自分は走っているんだろう。
今の自分の行動にはなんの意味もない。それどころか仲間を危険に晒すことに他ならない。
こんなことは決して仲間を守ることじゃないのに、沸き上がる衝動を抑えられなかった。
「ボス、無茶しないでください」
いつの間にいたのだろう。
気付くと隣に自分と並走しているのが1人。これじゃあ道連れにしてしまう。
早く射線から離れろ
こんな冷静さもへったくれもない、自分で決めた作戦すらやり通せないリーダーの道連れなんてさせたくなかった。
けれどその1人はそれが聞こえなかったかのように言った。
「死んだヤツらは貴方を恨んだりしてません
皆、貴方を慕っていたんです
貴方の指示でヴァジュラを倒した時
弱い自分たちでもやれるんだと思いました
巣を作ったり人間を助けたり
貴方としたこと全部が楽しかったんです
食べるしかなかった自分たちに
楽しさをくれたのは
生きる理由をくれたのは貴方なんです
だから貴方に生きていて欲しい
"ボク"は貴方と一緒に過ごせて良かった」
聞いている間、何故か周囲の動きがスローになっていた。
向こうで叫んでいるらしい仲間の姿。
目前まで迫っている真空波
この状態なら体当りして彼を射線から外せる。
なのに自分の足はゆっくり前進を続け彼の言葉を聞くことしかできなかった。
「今まで......ありがとうございました」
その言葉の後自分の体が衝撃と共にコンゴウの射線から外れた。
時は正しく流れ始め、彼の体はあっという間に吹き飛んだ。
自分は、仲間を失った。
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生きる理由(下)
ヴァジュラを倒した時に死んだ仲間。
それを自分は埋めようと言い彼らは食べようと言った。
人間とアラガミの違い、まぁ仕方のない事だ。結局どうしたかと言うと彼らが食べることになった。自分も食べれない訳ではないが何となく忌避感を感じた。
「テメェよくも!」
仲間の叫びで意識を戻す。コンゴウの背後に1人のオウガテイルが噛み付いていた。自分に気を取られていたのだろう。背後からの接近に気付かなかったようだ。
腕を伸ばしたが届かないことが分かると体を振り回し引き離そうとする。
一旦下がらなくては。今は感傷に浸る時間はない。これ以上犠牲は出させるものか。素早く立ち上がりA班に合流する。
「ボス!!」
「大丈夫ッスか!?」
「お怪我は!?」
問題ないと答え次の行動を指示する。まだ噛み付いている彼に気を取られているコンゴウ、やるなら今だ。
針による援護をさせ自分は2、3人を連れコンゴウに突撃する。今度は無策ではない。
B班!左右一体ずつ突撃、他はその援護だ!
未だ離れないオウガテイル、程なく吹っ飛ぶと思ったが中々ガッツがあるようだ。そのオウガテイルに指示を出す。
すぐに離れろ!
吹っ飛ばされないように集中していただろうオウガテイル。こちらの指示が聞こえるか不安だったがちゃんと指示は届いていたようだ。一瞬こちらに視線を向けるとそのままコンゴウの背中を噛みちぎり大きく背後に飛び上がった。
離れるだけでも隙は出来ると踏んでいたが、噛みちぎるとは...
《パーフェクトだウォルター》
痛みに唸り声を上げ蹲る。そこに容赦なく噛み付く。
腕に
尾に
胴に
噛み付き、噛み付き、噛み付く。
もはや噛むというより捕食に近かった。噛めば噛むほど力は増していき(バーストに似たような状態だろうか)気付けばコンゴウはすっかり動かなくなっていた。
所々欠損があり無意識にガッツリ食べてしまったようだ。
全ては終わった。
犠牲は3体で群れの総数に比べれば少しと言えるくらいである。
予め犠牲が出ることは考えていた。しかし実際にその心構えが出来ていなかったことが更なる犠牲に繋がった。
以後は気を付けたい。完全になくせるとは言い切れないのが情けない限りではあるが....
「ボス!早速食べましょうぜ!!」
「もう食べちゃってるみたいッスけど」
「うまうま」
そういえばコイツらどうしてあまり凹んだ様子がないのだろうか。犠牲を責める声くらいあっても良いものだけども.....
「まぁ仕方ないことッスからね」
「死ぬ時は死ぬもんだぜ」
「弱いヤツが死ぬのは当たり前だ」
・・・そうか、コイツらはアラガミなんだ。自分の人間的な在り方とは違う。野生の動物と似たようなものか。
弱肉強食、それがアラガミ。自分が慕われているのはただ勝利しているから....なのか。
「さあさあ!コアをどうぞッス!」
「今日も大活躍だな!」
「やっぱりアンタは頼れるな」
いや今日のMVPは自分じゃない。
そう言って自分は群れから少し離れていたオウガテイルを指す。(指はないが)
「オレ?」
お前がコンゴウに食らいつかなかったら自分は死んでいた。それに自分を庇ってくれたアイツがいなかったら...
だからコイツはお前が食え
「そうですか....」
しずしずとコンゴウに歩み寄る。他のヤツらとは違い何処か寂しさを感じさせながらコアを捕食する。
既に他の部分は捕食され残っているのはコアだけだ。中型種一体では足りないかもしれないな。
狩りをするにも効率が悪い、か。中型種以上を相手するのは自衛以外では辞めた方が良さそうだ。
「コイツらはどうするんだ?」
「誰が食べるっスか?」
「全員で食う訳にはいかないな」
ん?あぁ....仲間の.....か。
・・・自分が食べよう。
「オレに、食わせてください」
さっきの彼だ。他とはどうも雰囲気が違うな、ただ腹が減っているのではなさそうだ。
理由を聞いたところ親友、のような間柄だったようだ。だから他のヤツらとは違い無邪気に喜べなかった、と。
心が生まれ始めたのだろうか。
それが良い変化なのか、悪いものなのか。自分には分からないが止める理由はない。食べさせることにした。
体はバラバラで既に霧散し始めている。食べる姿を見て自分は思い出と共に一口一口噛み締めているように見えた。
「ボス?」
「目から何か出てるッスよ?」
「なんだそりゃ?」
自分の頬を何かが伝っている。
まさか....あるわけない。反射的に拭おうとして手が無いことを思い出す。
さぁ....?自分にも分からないな
どうして出ているのか、アラガミにも出るなど聞いたことがない。
拭うこともできないので自分はすっとぼけるしか出来なかった。
「ちくしょう......」
悔しげな彼の目にも同じものが見えた気がした。
特定の誰かを指すとき名前がないと不便ですね
不便だから名前があるのでそれは当たり前ではあるんですが
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君に決めた!
ストーリーに絡みたいとは思うのですがオウガテイルでは難しいんですよね。未だに贖罪の街から出てませんし....まぁ巣を作ってしまったので、おいそれと移動は出来ないんですがね
うーむ......
「どうしやした?」
「何を考え込んでいるんだ」
「何かあったんスか?」
巣で1人考え込んでいると仲間たちが寄ってきた。こうやって悩んでいる姿に心配してくれるのはありがたいが色々心苦しいな。まぁしかし今回はコイツらにも関係あることだ、丁度いいので相談してみよう。
いや、班長を決めようと思ってな
「ハンチョー?」
「ほう...」
「何スかそれ?」
む、班長が分からないのか。
・・・分からない単語一々説明するのかぁ
仕方ない、班長っていうのは.....
「班長ってのは多分ボスみたいなのだろ」
お、凄いぞ!そんな感じだ!つまりは他の仲間をまとめる人.....あー、ヤツのことだ。
「へぇ....なるほどねぇ」
「タメになるッスね」
コンゴウを倒してからまた群れが増えていた。どうやらコンゴウを倒したことで自分の群れに入れば安全みたいな感じになったようだ。(最初は自分だけが安全に過ごす為だったんだが)
全体で50ほどの群れになったのだが....
まとめられない(白目)
多すぎて自分の指示が行き渡らないのだ。グループに分けて狩りなどする場合はいいがまた中型種などと戦うことになればそれは致命的だ。(こちらからは手を出さずとも襲われることはあるしなぁ)
コンゴウとの戦闘は連携を強化するためでもあった。それが無意味になるということは無いだろうが、また全体での連携を考えなくてはならない。
だがしかし、自分にはカリスマなんてものはない。ただ人間としての知識と考え方で狩りをしていたに過ぎない。なのでまた人間としての知識と考え方を利用することにした。
それで班長という訳だ
「はぁ....色々考えてんだな」
「それで班長か」
「リーダーってスゴイっスね....」
という訳で誰か班長に相応しいヤツは居ないだろうか。出来れば2人くらい決めたいんだが....
「ん?・・・オレか?」
その場にいた3体のうち真ん中を残し2人が1歩下がった。
お、おう....すぐに決めたな
「コイツは俺らより頭いいぜ」
「さっきも"ハンチョー"が分かってたッスし」
確かに....班長には出来るだけ頭良いヤツになって欲しい。その点コイツだったら安心だ。最初は色々教える必要があるかもしれないが。
「まぁボスが言うなら構わないが」
よし!君に決めた!
コンゴウ戦の時に決めたA班とB班を元に班は分けるか。そして彼にはA班の班長をやってもらおう。
「了解、任せてくれ」
さて次はB班か。そういえば彼はB班に所属していたのだったか。丁度いい、彼に班長を務めてもらうことにしよう。
「大変ですボス!」
ん?どうしたんだそんなに慌てて
焦った様子でやってきた仲間に尋ねた。ゴッドイーターを見つけた時でもこんなに焦ってはいなかった。ウロヴォロスでも出たとか?
なんてな、流石にそれはないか。
「それが.....」
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まさにそれだよな!
ゆるく行こうと思ったんですが、何だかシリアス気味になってしまいました
ヴァジュラテイルという自分たちオウガテイルの亜種がいるんだが....
まさにそれだよな!
「はぁ.....」
先ほど随分慌てて呼ばれたので何事かと来てみればそこには1匹のヴァジュラテイルがいた。ヴァジュラテイルと言っても恐らく亜種なんだろうが、自分の知らないタイプであった。
姿形はヴァジュラテイルで全く知らない訳では無いんだが....うーむ
上半分が火のヴァジュラテイルのような赤オレンジっぽい色。
下半分がコンゴウのような明るい茶色。
というような外見をしているのだが....
・・・・コンゴウである。コンゴウカラーのヴァジュラテイルである。
他の仲間を下がらせてから当人(人ではないけれども)に聞いてみた。それによるとこのコンゴウテイルくん(仮称)は自分の群れの普通のオウガテイルで朝になると姿と体が変化していたという。
うーむ.....これは進化と言っていいのだろうか。自分の知らない進化の形なので色々分からないことも多い。
まぁ、だとしてもスペックはともかく経緯なら何となく推測は出来る。他に変化した仲間はいないらしく彼1人らしい。つまり彼は先日十中八九コンゴウのコアを捕食したオウガテイルだろう。ゲームで存在しなかったのは基本群れで行動するコンゴウにオウガテイルでは勝てないからと言ったところか。
しかし、だったら自分だってヴァジュラテイルになっても良さそうなんだが....
何かコアを捕食する以外に条件でもあるのだろうか。例えばヴァジュラ戦時にしなかったこと、今回したこと....噛みつき攻撃か?確か彼は離れるとき噛みちぎっていた。対象アラガミの活動しているオラクル細胞を摂取した上でコアを捕食するのが進化の条件...?
・・・・まぁそれは後で考えよう。スペックも追々確かめることにして今は取り敢えず
お前をB班の班長に任命する
「はぁ....」
パッとしない返事だな....自分はA班長と合わせてピッタリだと思うんだが。
何か不満・不安があるのだろうか。
「いや、纏めるとか向いてないと思うんスけど」
確かにそういうのには向いてなさそうだ。
コンゴウ戦の様子を見るに率先して前線に出るようなタイプだろう。それに他と比べてだいぶ感情的だ。A班長みたいに冷静な思考が多分できない。
「じゃあなんで....?」
だからこそだ。
他のヤツらと比べてコンゴウテイルくんは情緒が豊かだ。仲間の為に怒れる。それは人としては当たり前の事ではあるがアラガミとしてはそうではない。厳しい生存競争の中で仕方の無いことだと割り切っている者が多い。
だからそんなコンゴウテイルくんであれば仲間を犠牲にしないように立ち回れる、立ち回れるように考えるはず。そんな彼に影響を受けいずれ他の仲間もお互いを少しは考えるようになってくれれば....
厳しい生存競争を生き抜くには不要なものだろう。しかし自分は彼らに仲間が死んでも何も感じないようなままではいて欲しくない。せめて仲間の死を悼むくらいはして欲しい
だから....
「・・・分かりました」
よし!じゃあこれから頼むな
これで班長決めは終了だ。これから班長2人と話すことも多くなるだろうし後で2人の顔合わせしよう。既に会ったことはあるかもしれないが結構な群れになっている。お互いを知らないことも普通にある(というか皆同じだし...)のでそういうことはキチンとしなくては。
自分は話し方(厳密に言えば唸り方なんだが)で分かるがA班長も班長だという事を分かりやすくするために何か考えておかなくちゃな。
そういえば皆自分のことをボスだ、リーダーだなどと言うがどうやって判断しているんだ?
「何となく...っスかね」
・・・まさかの雰囲気!?
A班長がなんかブラッド隊長みたいな使い方になってしまう....
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別に倒してしまっても構わんのだろう?
って最初の方散々言っといて結局書いてるんですがね
家の脇の倉庫らしい建物。群れで住むには狭いが3人程度なら充分な広さだ。
あ、家かぁ...取り敢えず今はローテーション制で狩り、外の見回りなどをさせているが全員がゆっくり休める広さじゃなくなったからなぁ。
新しい家を探さなきゃならない。それも議題に上げるか。
じゃあ第1回班長会議を始める
「了解だ」
「うっす」
・・・そこはイェーイとかドンドンパフパフとか言って欲しかったんだが。
まぁいいか、こうして余裕を持って会議が出来るのは良いことだ。以前は会議なんてマトモにした事がない。結局何でも上が決めてそれを自分たちがこなすだけで何かを決めたことなど....
「おい」
「大丈夫スか」
おっと嫌なことを思い出すところだった。軽く謝り話に移る。
まず2人には班長としての仕事を説明することにした。
班長としての仕事は班の統率だ。まぁ当然といえば当然だが。具体的に言えば戦闘時の指示や大型アラガミなどと遭遇した場合の対応だ。
「その対応ってのはなんだ?」
「オレが勝てそうだと思ったら戦うとか選んでいいんスか?」
あーいやダメだ。そうだな.....表現が悪かった。対応というのは逃走経路だ。まとまって逃げるとか、各々で逃げろとか相手によって逃げ方を考えて欲しいということだ。ちなみにゴッドイーターの場合は問答無用、全速力で散開して逃げるんだぞ。逃げ方を考えるのはコンゴウテイルくんには難しいかもしれないがそこは頑張ってもらいたい。いや決めておいて無責任かもしれないが、何かこう上手く成長して欲しいな、うん。
「なるほどな」
「分かりました」
まぁ小型種などに関しては既に自分の指示なしでもやれている。だからそこは多分楽だと思う。班長としての動きも小型種との戦いで慣れて行こう。だが手負いの中型種など倒せそうだが手強い相手、そういった時は戦闘・逃走の判断と指示を出して欲しい。戦うことにしたら自分がいない時は連絡するようにしてくれ。1体連絡用に送ってくれれば自分はすぐに行く。つまりは足止めに徹してくれればいい。
「足止めするのはいいが....」
ん?どうしたんだ?
「別に倒してしまっても構わんのだろう?」
ダメだぞ!?
いや出来るならいいけどそれフラグだから!!
「フラグ?まぁ冗談だ、出来る限り足止めに徹するさ」
だよな!本気で考えてたら人選(人じゃry)間違えたかと思ったぞ。
しかしあのセリフをオウガテイルになって聞くとはな...
まぁ無理に仕留めることは考えなくてもいい、逃げても問題はないから
「分かった」
「うっす」
読み返して思いましたがこれほぼ全部会話ですね
頭の中のつもりが話しかけてるみたいになってますし.....
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割とショックだぞ!?
恒例の独自解釈です
そろそろ次の話に移ろう。時間に余裕が無いわけではないが早く終わらせて損はない。いつ何が起こるか分からない...まぁそれは今更ではあるんだが。
次は....これからの家だ!
「ふむ...」
「はぁ...」
なんだ....やたら反応が薄いな。これも大事なことだと思うんだが。
快適な住環境!
迎えてくれる仲間達!
以前の自分の家は...まぁゴミだらけだし迎えてくれる人もいない。寂しいものだった。しかしオウガテイルになり仲間たちと家で過ごすようになり家庭...とは少し違うかもしれないが、誰かが迎えてくれることの暖かさを知った。疲労感しかなかった帰宅が充実感と生きている実感を持てるようになった。
「なら今のままでも良いんじゃないか?」
いや、いやいや....狭いじゃないか
50数匹までに膨れ上がった群れが入るには今の建物は小さ過ぎる。常時全員が迎えてくれとは言わないがこのままではゆっくり休めない者も多いと思う。ローテーションを回すにも限度がある、完全フリーな日をそれぞれに設けたい。そのために....
「・・・いや別に疲れないっスけど」
え
「まぁ確かに食えばだいたい治るな」
・・・・・言われてみれば、確かに。
針を飛ばしたりして疲労感を感じたりはするがアレだってオラクルを消費したから疲れたのであって休んで回復する訳じゃない。エネルギーを摂取しないと、何か食べないと回復しない。そういえば走ってスタミナ切れ、なんて事がオウガテイルになってからなくなったような気が.....
アレ?ちゃんと食料供給出来てれば住環境いらない...?
「・・・そうなるな」
「オレはどうでもいいと思ってましたけど」
そ、そんなぁ〜
群れを守るために必死に考えたんだぞ!
意見出したのお前らだけど...
狩りの帰りいつも迎えてくれるの嬉しいんだぞ!
嬉しいのは自分だけかもだが....
・・・・これは人の意見にタダ乗りしてるだけじゃないか!?
え、何だこれ割とショックだぞ!?
「必要ないとしてもまぁ....作るのは楽しかったが」
「食べる以外に楽しいことではあったスね」
そうか...あぁそうだな、アイツだって楽しいと言ってたしな。
・・・よし、じゃあ改めて自分たちの新しい家を探すぞ!
「了解」
「うっす」
・・・・そこはオーって言おうぜ、な?
「なんだ?そのオーってのは」
「そんなの知らないんスけど」
うん、だよなそうだよなー
普通アラガミが掛け声とかしないだろうな。しても威嚇などの唸り声だろうし。
仕方ないよなぁ....思わずため息を吐いた。
えっとなオーっていうのはな...
2人の新班長に説明しながら自分たちの掛け声を考えるのも悪くないと思った。
そういえば巣作りの様子を具体的に書いてませんでしたね
暇があれば書いて上手い具合に入れておきます
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パーフェクトアラガミ教室(大嘘)
待っている方がいらしたらすみません
ふと思い立って今家にいる仲間を集める事にした。
「いきなり集めてなんです?」
「何かするのか?」
「狩りに出てるヤツらはいいんスかね」
入口に近いホールのような場所で10前後いる。建物の見張り担当はそのままでも聞こえるように選んだが広さ的にも丁度いい。早速始めることにした。
これからアラガミについて教える。
「何を教えるんです?」
「なんでそんな事教えるんだ」
「退屈そうっスね」
反応は皆バラバラで楽しみにしてる者もいれば早くも退屈そうにしてる者もいる。いつの間にか個性が出てきたようで嬉しい。
それはそれとして....理由は自分がいない時ないし死んだ時でも対処出来るようにってところだろうか。小型種に対しては群れに出会っても自分の指示なしでも既に対処出来るようだから心配はない。だが中型種以上と戦うとなれば自分の指示なしだと全滅する可能性もある。なので倒すとはいかなくとも最低限逃げられるようにはなってもらいたいんだ。
「いつも私たちのために...」
「なるほどな」
「早くしてほしいっス」
意外と乗り気なようだ、早速始めよう。
○○○○○○○○○
まずはそうだな...自分たち、オウガテイルについて説明するか。
「質問よろしいですか?ボス」
早速だな....なんだ?
「我々の事は我々自身がよく理解しています。改めて知る必要があるでしょうか?」
うむその通りだ。しかし以前一部にはチラッと話したが堕天種だとか、そこのコンゴウテイルくんみたいな亜種が存在する。同じオウガテイルではあるがもしかしたらこちらを別の種とみなして襲ってくるかもしれない。そうじゃなくても自分たちの性能、出来ることを知る事で取れる手段も分かるしな。
「なるほど...ありがとうございます!」
拙い説明だが納得してくれたようだ。こう、純粋に慕ってくれるのは嬉しいが自分のような奴を慕っていいのかとも思ってしまう。期待に応えられるように自分もしっかりしなくては。
じゃあ説明に移るぞ。
まず自分たちに出来るのは尻尾から針を飛ばすこと、体当たりだ。
「それだけなのか?」
あぁそうだ、これだけだぞ。普段は何とも思わないが実際に説明するとたったこれしか出来ないんだな、泣けてくるな!はっはっはっ!
だがこれだけでも充分やれる事は今まで暮らせている時点で分かる事だ。一人なら確かに致命的だが何人もいればどうにでもカバーできる。まぁ...あの時の自分みたいに作戦を無視したりしなきゃだけどな....
「落ち込む時間が無駄っス」
グハっ....コイツズバズバ言ってくるな。結構傷付くが確かにその通りだ。自分をただ慕うだけじゃない、やっぱり群れにはこういうヤツが必要なんだろう。傷付く事に変わりはないけどな!
で、堕天種も自分たちと出来ることは同じだ。精々針が冷たいぐらいだな。あと見た目が自分たちより黒っぽいな。ちなみに熱いのに弱いぞ。
「なるほど...」
「Zzz...」
「ためになるっスねー」
真剣に聞いているのは半分くらいだろうか。というか何で寝てんだ!アラガミに睡眠はいらないだろ!
最初は乗り気だったのにこの様とは....自分の話が退屈だってことなのか。まぁ一部でも聞いていてくれればそれでいい。
次はヴァジュラテイルだ。こいつは自分たちの亜種で・・・
久しぶりなのでキャラがぶれているかもしれませんが
《ブレブレなキャラであることにブレない》
という言葉に基づき頑張りたいです。
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ええいやかましい!うるさいぞ!
「オウガテイルの群れ、ねぇ....」
「そうだ、贖罪の街で50近くの数が確認された」
「ここまで大規模な群れを作るのは珍しいですね」
「数がどうだろうと俺たちのやる事は変わらない....」
「報告によるとこのオウガテイルたちは廃ビルを巣として活動しているらしい。話に聞く知性あるオウガテイルの可能性が高い。充分注意した上で討伐に臨め」
○○○○○○○○○○○
ハックション!!
「どうしやした?」
「何言ってんだアンタ」
「新しい威嚇かい?」
いや何でもない.....何故か言わなきゃいけないと思ってな....
今のはクシャミではなくハックションと言っただけだ。いや、ホントになんで言ったか分からないんだが.....
そういえばオウガテイルになってからクシャミやら咳やらしなくなったな。風邪もひいてないし。今更ながらアラガミの方が人間より健康的なんじゃないか....?
班長会議を終え自分は早速新しい家を探すことにした。待機組を何匹か連れてあまり離れていない距離で探し始めた。
しかし...
「見つからないもんでやすね」
「今の場所も見つける時大変だったしな」
「テキトーに決めてもいいと思うんだがねぇ」
こらこらテキトーはダメだ、しっかりした所を見つけないと。
贖罪の街には様々な建物があり人間が隠れ住む分には困ることはない。人間だったらな!
オウガテイルたる自分たちは人間よりも体が大きい。つまり普通の建物には入れない訳だ。だからまず自分たちが入れるのが第一条件。
他にも色々条件はあるんだが取り敢えずは自分たちが入れる建物だ。
「あの時のボスは...プクク」
「当時は本気で心配したが思い出せば....クク」
「え、何かあったのかい?」
ええいやかましい!うるさいぞ!黙って探せやコラァ!
あの時はバカだったんだよ....今も大して変わらないがね!
・・・しかし、そうかあの時のことを知らない奴もいるのか。(いや説明する気はないぞ!?)
ということはもう古参とか新参とかに分けられるのか。いつの間にか増えてるから自分じゃ把握しきれないこともあるんだが....
何だか随分遠くに来たような気がするな...
「あっしら生まれてずっとここでやすが?」
「引っ越しはまだしてないぞ」
「ボスはここ生まれじゃないんで?」
いやそういうことじゃないぞ!?
あーいやまぁそうなんだが...確かにお前らの言う通りではあるんだが....
遠くって言うのは距離的な事じゃなくてだな、こう精神的というか地位みたいなやつというか....
「精神的?」
「地位ってリーダーはリーダーだろ?」
「たまにボス訳分からないことを言うよな」
訳分からん言うな!!
うぐぐ.....こいつらに心を理解させるのは難しそうだな.....
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詰みだなぁ(遠い目)
軽く見て回る程度で探していたので早めに帰ることにした。新居を本格的に探すのは明日からにしよう。別に急いで決める必要はない。この辺りは大型種も滅多に見ないし中型種もそう多くない。そのため小型種の数が多い比較的安全な地域と言える。たまに来るゴットイーターに見つからなければ自分たちを脅かすようなものも無い、はずだったんだがなぁ....
「ボス!ボスー!」
家までの道、向こうから1体のオウガテイルが叫びながらこちらに向かってきた。叫ぶと他のアラガミに見つかる危険がある。あとで注意しよう。
ただ事じゃないと何となく分かるが現実逃避気味にそう考えた。
「大変です!ゴッドイーターが!」
このまま思考放棄して逃げたいが仲間たちを見捨ててはおけない。のんびり散歩気分から戦闘時の頭に思考を切り替える。ゆっくりとした歩みから足早に家を目指す。
走りながらだ、何があったか詳しく話してくれ
○○○○○○○○
物陰から獲物の位置を確認する。
コクーンメイデンという名前のアラガミが三匹。それぞれの距離はさほど離れていないので焦って接近すれば一気に針で穴だらけになるかもしれない。であれば針を飛ばして仕留めるのがいいだろう。
観察すると定期的に視線を変えているようだ。三匹がバラバラのタイミングで変えているが視線の向きが三匹一緒になることがある。そのタイミングで飛び出し一斉に針での攻撃....だろうか。
自分で指示を出すというのは初めてだ。だからなのか何だかモヤモヤする。別にどこが痛いわけでも腹が減っているわけでもないんだが....これが不安というものだろうか。
「俺がよしと言ったら飛び出して針飛ばしだ」
「分かった」
「了解ー」
「オッケイ」
俺が班長として指示をするということは既にボスから伝わっているので特に反対の声もなく応じてくれる。
後は俺次第だ。モヤモヤに押し潰されそうだがボスに任されたのだ。であればやるしか無い。
昔は気ままに食べていただけでこういったモヤモヤを感じることも、ましてや"俺"などと自分のことを認識することもなかっただろう。それ以前に死んでいたかもしれない。だが今こうして俺が俺で生きていられるのはボスのおかげだ。ボスには感謝しかない。
・・・そろそろか
獲物の様子を見て仲間に準備をさせる。後は俺がよしと言うだけだ。だが....
アレは....?
今まさに飛び出そうとした瞬間俺たちの獲物を狩るものが現れた。
・・・人間、ゴッドイーターだ。
ゴッドイーターを見たら撤退するように言われている。実際に戦う様子は見たことはないためボスが脅威に感じる理由が分からなかったが確かにアレは恐ろしい。コクーンメイデンがあっという間に狩られてしまった。俺たちも出来る事ではあるがあれは速すぎる。
慌てて撤退を指示する。焦りながら後ずさりしていると何かにぶつかる。そしてそれが大きな物音を立てる。物陰に隠れているため姿は見られていないが確実に何かいると思われたはずだ。
こうなれば形振り構っていられない。
「全員バラバラに逃げろ!合流地点は家だ!」
○○○○○○○○
そのゴットイーターは追ってきたのか?
「は、はい!3人いまして2人と1人に別れて」
ふむ.....2人と1人か。
エリックがいたということはまだ第一世代の神機が活躍してるだろう。2人がそれぞれ剣と銃でオラクルに限りがある銃が単独行動するとは考えにくい。よって1人は単独行動可能な実力を持ち剣の神機を使う....
ソーマとかリンドウだったら詰みだなぁ(遠い目)
まぁコクーンメイデンを討伐したらオウガテイルを見つけたから追ってみたということも...いやないか。わざわざ別れてまでオウガテイルを追う理由がない。
ここ極東においてオウガテイルは雑魚だ。それでも普通の人間にとっては脅威に変わりないので見つけたら狩るくらいはするだろうが....目標でもないのに逃げるアラガミをわざわざ襲う?シュンとかカレルだったら報酬や素材目当てで有り得る...か?であれば単独で動ける実力があるのではなく勝手に行動しているとも考えられる。
2に入ってないからまだまだ問題児っぷりは健在のはずだ。たしかカレルも深追いする傾向があったはず。家がバレるかもしれないな。
お前らここらで適当な建物に隠れてろ
「了解」
「そんな!」
「ボスはどうするんで?」
一旦家に戻る、あとでちゃんと戻ってくる
取り急ぎ他の仲間を避難させなくては。リンドウだろうがシュンだろうがどちらにせよゴッドイーターに変わりはない。オウガテイルなど簡単に狩ることが出来るだろう。
まだ無事でいてくれよ...
11時頃、7話部分に家探しの話を入れます
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離散
色々立て込んでいたのもありましたが....まぁ言い訳ですね
ゆっくり再開できればいいかなぁ...なんて思ってますので何卒よろしくお願いします。
2つほど前に1つ話を挿入しておりますので読んでいらっしゃらない方はよろしければどうぞ。
遅かったと思った
入口を守るように倒れていた3体のオウガテイル。それを見た時思考は止まった。
フラフラと中に入る。
中には誰もいなかった。
そこでようやく気付いた。
他のヤツらはどこにいったんだ?
自分たち用の入口は一つしかなく人間用の入口も瓦礫で塞がっている。なので別の入口から入ったということは有り得ないだろう。
あの3体の体がまだ霧散していないことからそう時間も経っていない。であればまだ中にも....その...やられた姿があるはずだ。つまりどこか別の場所に避難したかまだ逃げているということになる。
そういえば留守番組も3体だけじゃなくもう2、3体いたはずだ。そいつらも逃げたのか?
A班長がまた別に指示を出したのか?
それはそれで好ましい事ではあるがしっかり連絡を...いや自分が出たのが悪いか。
取り敢えず家から出て近くで隠れていよう。しばらくして誰も戻ってこなかったら待たせてるヤツらに合流しよう。その後は.....その時考えよう。
○○○○○○○○
何とか家までたどり着いた。班はバラバラで俺1人だ。他のヤツらも着いているといいんだが。
「ボスだ!ボスを呼んでくれ!」
入口の仲間に頼む。後はボスに任せよう。ボスだったら何とかしてくれる。任された班をバラバラにしてその上でボスに頼る。
それはボスの期待を裏切ることに他ならないが頼らない方がもっと大変なことになる。
「ボスは今外回りをしてるぞ?」
返ってきた答えに俺は焦る。とにかくボスの指示を仰がなくては。
「ボスがどこに行ったか分かるか!?」
「何となくの方向なら.....」
そこで1人A班の仲間が戻ってきた。丁度いいコイツに任せよう。事情を説明する時間も惜しい。
「おい!ボスにゴッドイーターが来たと伝えてくれ!」
「分かった!ボスはどこだ?」
「方向はどっちだ!」
「あっちの方だ!」
「よし!頼んだぞ!」
「了解だ!」
よし.....後はボスが来るのを待つだけだ。その間に他の仲間も集めておこう。
1体2体と続々と集まるA班の仲間。俺たちとは別に狩りに出ていたB班も戻ってくる。
入りきらないので半分近くは俺を含め外に出した。
「どうしたんだ?」
「ゴッドイーターが現れた」
「よくあることだろ?」
「俺たちを探して襲ってくるんだよ」
「なるほどな...」
B班長ことコンゴウテイル。ボスが言うには俺たちやボスより強いらしい。
コイツだったら倒せるか...?
いや俺はまだコイツの強さを見た訳じゃないが相手は3人。1人を抑えられたとしても残りの2人はどうしようもない。強いと言っても3人を抑えられるほどではないだろう。
それにボスも逃げることを優先しろと言っていたし無理に戦うことは避けた方がいいか。
「ボスはいないのか?」
「そうだ、だから待機してるんだ」
「・・・そうか」
強いらしいがどうも察しが悪いな。
ホントに班長やれてるのか?いや別にボスの判断を疑う訳では無いが....
「た、大変だ!ゴッドイーターが近くまで!」
後はボスを待てばいい。そんな考えはどうやら甘かったようだ。
飛び込んで来た仲間の言葉にその場にいた全員がざわめき出した。
「なんだと!!「どうすれば?「リーダーはどこなんだ!「早く逃げた方がいいんじゃないか!?「勝手に家から離れていいのか?「ここは迎え撃つべきだ!!「ボスの指示もなしに動くのは....「じゃあどうするんだよ!?」
そうだ、今まで俺たちはボスの指示で動いてきた。意見を出しても決めるのはボスだった。俺たちは決めるということをしてこなかった。
ボスがいない今俺たちはどうすれば
「お前ら黙れ!」
そのコンゴウテイルの声に俺も含め全員が固まった。まるでヴァジュラに睨まれたかのようだった。
「ボスは....いつもオレたちの事を考えて動いてきた
オレ達が死ぬって事はボスを裏切ることだ
だから今オレ達が考えるべきは自分のことだ
生きろ!これはボスの意思だ!」
パラパラとそれぞれ逃げ始めた。
惜しむように家を見るものもあれば脇目も振らず走るものもいた。
逃げないものも、いた。
「お前らは逃げないのか?」
「ここは俺達の"家"だ、簡単に捨てられないさ」
「リーダーが来るかもしれないしな」
「ボスに任されたからな!」
そうだ、俺はボスを呼んだんだ。入れ違いになってしまうかもしれない。
さっきの言葉に"感じる"所がありコンゴウテイルもちゃんと班長やっていると思ったが.....
俺がボスを呼んだことを伝えていないとはいえ、少し考えが足りないようだ
「え、そうなのか?」
「そうだ...いないから呼ぶのは当然だろう」
さっきの言葉に聞き入り俺も呼んだことを忘れそうだったが...
しかしそれはそうとコイツも逃げないのだろうか
「全員逃げてから俺は逃げるつもりだったが...」
「俺達はいい」
「元々任されていたし」
「離れられないよな、やっぱり」
「・・・そうか、足止めを頼めるか?」
「足止め?」
「そうだ
こちらを追ってまで襲う、分かる通り狙いは俺たちだ。追っていればいずれここまで来るだろう。俺がここで合流と指示してしまったからな。ボスだったらもっと上手くやれてたんだろうが....
とにかくここはバレる。そういう意味ではさっきのコンゴウテイルの指示は間違っていない」
「お、おう....」
「ボスが来た時、ゴッドイーターがここに来る前に来たらお前らがこの事をボスに伝えればいい。ゴッドイーターが来た後でもボスなら多分分かるはずだ。
問題はゴッドイーターと同じ時に着いた時だ。あの速い動きにそこまで長く時間は稼げないだろうが...ボスを逃がしてほしいんだ。」
「了解だ」
「意思に逆らうってもリーダーへの恩は忘れた訳じゃない」
コイツらだけをここに残す事になる、そうだコイツらを犠牲にして俺たちは生き残るということだ。以前は何とも思わずしてきたことのはずが今は....
気にする時間はない、早く離れなくては。
「任せた....行くぞ!コンゴウテイル!」
「分かった!」
結局見捨てることになってしまう。ボスが期待して任せてくれたこの役割。
悪い....俺には班長務まらなかった....
文字を大きくとか出来るんですね。ルビとか傍点も振れるみたいですし機会があれば入れてみたいですね。
次の更新はちょっと分かりませんが1月中に1話は投稿します。
この程度の文で1ヶ月かけてんじゃない、とか思われるかもしれませんがこれが作者の限界です。努力はしますが月1更新ぐらいになると思います。申し訳ないです。
最後になりましたが皆さん良いお年を
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スタンス
「やってくれたねヨハン」
「さて、何の事かな」
「彼らは人間とアラガミの共生、その可能性を示していた」
「フン...アラガミを倒し人々を守るのが我々の義務だ。知性あるアラガミなど危険でしかない」
「そうかい...それなら私は私で動く事にするよ」
「アラガミと共に生きるなど考えるだけ無駄だよ、ペイラー」
「果たしてそうかな...?」
足音が聞こえた。我に返ると目の前には物言わぬ仲間の姿。
そうだ、まだ体が残っているという事はやられて間もないということだ。早く逃げなくては
ゆっくりとこちらに近づいているのが分かる。余裕そうなのは多くのアラガミを喰らい任務達成だと思っているのか。それとも単に逃げられたから周辺を索敵しているんだろうか。
どちらにしろ早く逃げなくては。こんな所でのんびり歩いている時点でゴッドイーターなのは間違いないだろう。
○○○○○○○○○○
「ボスまだかな?」
「黙って待ってろ」
「まぁまぁ少しの辛抱でやすよ」
ボスの指示通り適当な建物に3体で隠れている。ボクが入口側、後の2体がそれぞれ"まど"のある壁に待機している。ちなみに奥は行き止まりになっている。でも"まど"のおかげで隠れながら外の様子が分かるからボスが来てもすぐに分かるのだ。人間はこんな便利なものを作れるんだなぁ...いつかボクも何か作ってみたい。
・・・・・
「早く戻ってこないかなぁ」
「少しは落ち着けないのか」
仕方ないじゃないか!ボスがいないと落ち着かないんだから!ボスの指示を聞いたりボスと話したりするのが良いんだよ!
「あれは...」
「ボス!?」
「ゴッドイーターか?」
もう一体の仲間が何か見つけたようだ。近づいて見ると
「ゴッドイーターでやす!」
慌てて体を伏せて物音一つ立てないようにする。
ボスはいつもゴッドイーターには気をつけろと言っていたけど...
初めてゴッドイーターを見たけれどそんなに強くなさそうだ。だってヴァジュラみたいに大きくないしビリビリも出さない。その上硬い爪や牙もない。確かに持ってるギザギザの棒は痛そうだけど後ろから飛びかかっちゃえば倒せると思うんだけどな。
「行ったみたいでやすね」
「ふぅ....」
「今のゴッドイーターボクらで倒さない?」
「いやいや、ボスがいつも言ってるでやしょう?」
「だけど「やっと見つけたぞ」ボス!」
ボスが戻ってきた!見た所怪我もしていないみたいだ。早速ボスに訴えよう!
「ボス!ゴッドイーターを倒しましょう!後ろから飛びかかっちゃえば倒せると思うんです!」
「ん?あーまぁそうだな。確かにエリックとか上からだし、HPとかもないだろうし...」
何を言っているか分からないけれどイケそうだ!そもそも人間自体そんなに強くないんじゃ....
「けど自分は人間とは出来るだけ仲良くしたいんだ。そうでなくても関わりあいにならないとかな。普段から言っているがゴッドイーターひいては人間を襲うという事は人間たちから危険視されるという事だ。だからそういう事はしたくないしさせたくない」
「仲間が死んでもか」
と、ボクに厳しめだった仲間が言った。
「・・・そうだ。それを言ったら人間だってそうだろう。寧ろ人間の方が多く死んでる。直接的、間接的にも自分たちアラガミのせいである事がほとんどだ。そのアラガミである自分たちが文句を言える筋合いはないだろう」
「俺たちは人間を襲ってない!それどころか助けた事だってある!なのに....」
「人間からしたらアラガミは皆同じなんだ。ゴッドイーターからしたらすぐに倒せるようなオウガテイルでもそうでない人間からすれば恐ろしい存在だ。ようは自分たちがたった一体でヴァジュラと戦うみたいなもんだ」
ゴッドイーターじゃない人間ってそんなに弱いのか。じゃあなおさら襲ってもいいと思うけど...
「・・・何度も言うがアラガミは人間にとって恐ろしいものなんだ。いるだけで危険に思われる。それが群れで人を襲うとなったら他のアラガミより危険だと判断される。自分たちで例えれば近くに何十体もヴァジュラがいるようなもんだ。そいつらが絶対に襲わないとしても、素直にそのままでいられるか?言葉も通じない上に相手はいつでも自分たちを喰い殺せる。怖くてしょうがないだろう。自分たちは逃げるしかないが、ゴッドイーターは逆に倒す。それぐらいの力があるんだ」
なら言葉が通じれば一緒に暮らせるかもしれないのかな?
うーん全然想像出来ない....
「だったらなんでそんなに人間と仲良くしようとするんだ。それじゃ俺たちが人間に友好的にしても意味なんかないじゃないか!」
「そんな事はないさ、人間の中にも少ないが共存を考えている者もいる。それにやられたからやり返すってのはダメだろう。自分が言うのもなんだが群れがバラバラになったのは結局自分たちが弱かったからだろ。この世界は弱肉強食、それはおまえ達の方が分かっていたはずだが」
弱肉強食...弱いものが食べられ強いものが食べる、だったかな?ボスが以前教えてくれた言葉だ。ボクたちも確かに始めはそうやって生きてきたけど....
「まぁまぁ取り敢えずその辺にしやしょう。今はこれからどうするか考えた方がいいと思いやすよ」
「そうだな、取り敢えずこの話はまた後でな」
「・・・分かった」
次話は2月頃になります。
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新居を求めて
真面目パートが続いているのでそろそろバカにしたい所です
日が落ち辺りは暗闇に包まれる。明かりがないので人間だったらまともに活動すらできないが、アラガミの体になった今では特に問題なく活動できる。とはいえ夜に動く意味もないので何人か見張りを立ててそれ以外はほとんど寝ている。
他、というより通常のアラガミは獲物を探して昼夜関係なく動き回っている。食事さえすれば体の疲労も関係なく動けるからだ。獲物を見つけ喰らう。そして体力を回復し、また獲物を探す。その繰り返しでアラガミは活動している。
自分たちはある程度食わずにいても我慢が出来るので問題ないが、通常アラガミはそんな事は出来ない。本能の赴くままに喰らうだけである。だから自分はともかく他のヤツらも我慢出来るのは不思議なのだが...いや、今気にすることではない。
「ボス...」
「これからどうするんです?」
念の為ゴッドイーターも活動しないであろう夜まで待ちそれから仲間と共に家まで戻った。もしかしたら誰か戻っているかもしれないと思ったが、そんなことは無かった。何処かに逃げ延びたと信じたいところだ。どれくらいの仲間がやられたか分からないが、今いる仲間は死なせるわけにはいかない。
決めていることとしてはまず新しい寝床だ。いつ襲われるか怯えながら過ごしたくはない。夜も活動し続けるというのも手ではあるが、自分の精神的にきつい。出来ないわけじゃないが、正常な判断ができなくなりそうだ。もっとも肉体的には問題ないので、いざとなれば幾らでもするが。
「外で寝るのはダメなんですか?」
「バカか、他の奴に襲われるに決まってんだろ」
幸い、とは言いたくないが数が減ったので小さい建物でも充分になった。呑気に散歩したときにちょうどいい建物をいくつか見掛けた。取り敢えずはそこで・・・
「ボス、一ついいでやすか?」
ん?
何か意見だろうか。それともいい寝床を知っているとか。
「かなーり前、ボスに会う前に見つけたんでやすが」
○○○○○○○○○○○○○
贖罪の街から少し離れたそこにはこの時代に珍しい林があった。純粋な植物の多くがアラガミに食い荒らされている事から分かる通りこの木々は通常の植物ではない。植物型のアラガミである。
「どうかした?」
「いえ、何でもないです」
この植物型のアラガミの特徴として触れたアラガミなどに反応し自動的に排除する事が挙げられる。あくまで植物型なので移動することはないし近づいても触れさえしなければ襲われることもないのでこの集落においてアラガミ装甲壁の役割を果たしている。
「最近はアラガミの侵入も少ないから作業が捗るなぁ」
「そうですね〜このまま平和に過ごせればいいんですけど」
しかし大型種や中型種にはあまり効果がない。強行突破され足止めにすらならない有様だ。とはいえそれでも外よりは安全である。それに一人だがゴッドイーターが定期的に物資の供給や安全管理などに訪れる。常駐している訳でもない上に、非公式でもあるがゴッドイーターが来てくれるというのはやはり安心感が違う。
「そういう時こそ気を締めていかないと」
「ですね、頑張りましょう」
安全もある程度は確保され、食料生産も軌道に乗り始めている。この分なら外部居住区に入らずとも、安定した生活が送れるのではないか。そういった矢先の出来事であった。
「え....」
「嘘でしょ....」
小型種程度ならば容易く仕留められる筈の木々。それらを抜けて数匹のオウガテイルが現れた。それは彼らにとって間違いなく絶望であった。
次の投稿は3月になります。
余裕があればもう1話投稿したいのですが...
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話をしよう、あれはそう・・・
人間 「」
オウガテイル『』
腰を抜かし怯えた目でこちらを見ている女性。仲間からの視線が痛い。
いや、待て待て待てこれは仕方ないんじゃないか!?
目の前に突然アラガミが現れたらそりゃ驚くだろうし怖いだろう。ゴッドイーターならまだしも丸腰の普通の人間だったら何も出来ずに食われるだけだ。自分だって同じ立場だったらそうなる。それにここは恐らく...
「こっちだ!この野郎!」
と、石を投げつけられる。この女性から注意を逸らそうとしているようで、勇気ある男性だ。おじゃま虫のようであるし自分たちは出ていくとしよう。
『いい場所だと思ったんでやすけど...』
ここは人間たちの家みたいだしな。周囲の木は触れたアラガミに反応して襲いかかるから確かに人間にとって安全なんだろう。自分たちも抜ける時はメチャクチャ神経使ったし。
『一緒に住めるように頼めないんですか?』
言葉が通じないからな。話してるのは日本語だから聞くのはできるが...
『確かに人間が何を言ってるか分からないな』
『話す以外にないんですか?動きとか』
うーむ、言葉を話すためには声帯がないとな。食べればオラクル細胞が勝手に覚えてくれるかもしれないが。
「た、助けて....」
「クソ!こっち見ろってんだよ!」
やめた方がいいよなぁ...それに普通のアラガミが人間を食っても喋れてないし。
ふと気付くと足元が濡れている。どこからなのか辿って見ると、どうやら女性の方からのようだ。・・・いや何も言うまい。自分が全面的に悪い。
『おー!これ足跡つけられますよ!面白いですね!』
『足跡つけたら他のアラガミにバレるだろ』
『いやいや、あえてそれを囮にして・・・』
足跡、そうか何で今まで気付かなかったんだ!いや試す機会もなかったから仕方ないと言えば仕方ないが...
女性には申し訳ないがもう少し近づかせてもらう。気絶しないでくれよ...
「ひっ...」
そうして片足立ちになり浮いた足、爪で文字を書いてみる。バランスを取るのが大変なので真っ直ぐ線を引くのが難しい。四足歩行だったらまだ安定するんだろうが...
「・・・?」
『?』
自分以外の全員が不思議そうにしている中、ガリガリと地面を削る音だけが響く。
少ししてなんとか文字になった。これで日本語読めなかったらもうどうしようもなくなるが....
「こん、にちは...?」
読めるようだ。ロシアやらドイツやら世界各地からゴッドイーターが来るため実は英語で話してましたなんてことになってたらどうしようもなかったところだ。外の人間、日本人だからかもしれないが、とにかく助かった。
またガリガリと文字を続けた。
「ここに、すまわせてくれませんか?」
「ど、どうしたんだ?」
と男性の方も近づいてきた。こちらから視線を外さず女性に話しかける。
『ボス何してたんです?』
男性がビクリとするが気にせず答える。
文字を書いてたんだ。コミュニケーションの一種で、筆談ってやつだな。
『はぇ〜すっごい〜』
『何書いてるかさっぱりだ』
『覚えたら何かと便利そうでやすね』
まぁ機会があったら教えるさ。それよりこれに対してどう反応するかなんだが...
「お前ら、言葉が分かるのか...?」
望みが見えてきたようだ。
オウガテイルは話してる時、人間からすれば唸り声とか鳴き声とかそんな感じに聞こえてます。そりゃ普通ビビりますよね。
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自覚と溝
意見というのは素晴らしいですね。自分とは違う考えや価値観を知ることは糧になります。
描写だけでなく物語の構成も上手く組めるようになりたいものです。
女性を背負いこの場を立ち去る男性。
「行っちゃいやしたね」
相当に怯えながらではあったが何とかコミュニケーションを取ってみると当然と言うかなんというかさっさと出てって欲しいらしい。
コミュニケーションを取れると言っても自分たちはアラガミだ。
人間を騙して食べようとしているのではないか。
という考えを抱いても不思議はない。寧ろそれが普通なのだろう。人間だったといってもこの世界、時代に生きたわけではない。今の人間の気持ちは分からない。
自分がアラガミである事を忘れていた気がする。自分の心は人間だが、体はアラガミだ。人間である事を忘れず、アラガミだという事実も受け入れる。難しいな....
というか普通の人間でコレならエミールは凄いな。ゴッドイーターになる様な人間はやはり違うということだろうか。エミールの凄さを実感した気がする。
「このまま出てくんですか?」
勝手に居座っても困るだろうし、かといって人間を襲うつもりもない。
出ていくしかないだろうなぁ...
「人間と一緒に生きるなんてのは無理だったんだ」
いやいやそんな事はないだろう。諦めなきゃ大抵の事は出来るものだ。
アラガミに対する印象が良くなれば...ダメだな、それじゃあ逆に人間が食われる。下手に好意的になってもかえって良くない。
まぁ人間を襲わなきゃいいだけだ。あと群れを大きくしすぎない事か。というかアレは勝手に集まってきたからな...
下手に寝床なんて作らないで少数で放浪するのが正しかったのかもしれない。
ひとまずここを出よう。これ以上人様に迷惑をかけるものじゃない。
「了解です」
「分かった」
「勿体無いでやすねぇ...」
細々と小型種を狩りながらその日暮らしかぁ....
○○○○○○○○
「ていう事があったんですよ」
「アラガミが文字を書いた、ねぇ...」
パッチテストに通らずフェンリルの助けなしで生きている人々の集まり。そこに度々資材や食べ物を渡している。公式にではなく俺が独断で行っている事だ。多少手は貸しているがそれでも彼ら自身の力で生活している。
今回は近くの任務ついでに少し様子を見に来たんだが...
「にわかには信じられないな」
「でも本当に文字を書いてたんですよ!足の爪を使ってこう...」
周囲を囲んでいる樹木はオウガテイル程度なら簡単に仕留められる。それを通り抜けて来たということは木の性質を理解しているみたいだな。あれは触れなければ襲われない。通常のアラガミなら気にせず突っ切るからすぐにやられる筈だ。
俺たちが狩った群れの生き残りか?それともまた別の個体?
どちらにしても問題だ。生き残りなら人間に憎しみを抱き復讐を考えているかもしれん。別の個体ならアラガミ全体に知性が生まれたという事になる。
「情報ありがとな。俺も出来るだけ様子を見に来るようにする」
「よろしくお願いします...リンドウさん」
はぁ...こりゃ榊のおっさんに報告だな。
木に関して、ピターの時は変異してたという事で。
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心中
リハビリみたいな感じなので短くなってます
この文量でも結構キツいので以前の文量に戻すにはそれなりにかかりそうです。
先輩が辞め、同僚が辞め、後輩が辞め...
仕方のない事だと思った。
毎日のサービス残業、上司の叱責、取れない有給。
むしろこんな職場を辞めない自分の方がおかしいと思った。
やりがいを感じるわけでもない、給料が良いわけでもない、好きな人が職場にいるわけでもない。
それでも仕事を続けていたのは仕事だったから。与えられたことを文句も言わずにこなす。それが自分という人間だったからだ。だから辞めなかった。何の立場も持たない時はそれしかなかった。
・・・・・・・
部長になった。
前任が定年退職したのでその代わりということだった。上司に媚を売り部下にはハードなスケジュールで仕事を押し付けていたクズだったのでせいせいしたという声をよく聞いた。
自分は、なんと思っていたか覚えていない。
「昇進おめでとう」
そんな心にもない言葉を掛けられた。
「君には期待しているよ」
そう言われ仕事を増やされた。
前任者とは違い仕事はこなすが積極的に媚を売っていた訳でもないので、使い潰せる人材程度にしか思っていなかったのだろう。
だとしても特に何を感じる訳でもなかった。
・・・・・・
部長として仕事を始めたが、言われ通り仕事量は増えた。
前任とは違って自分にはきちんと押し付けられていたのだろう。
部長ということで席も変わり部下の仕事ぶりがよく見えるようになった。明らかに寝不足な彼ら。机に突っ伏して寝落ちしている者もちらほら見えた。
前任者であれば叱責と共に仕事を増やすところだ。
自分はそんな彼らの机に缶コーヒーを置き書類を半分ほど持っていった。
ここまで疲労しているのに仕事を増やせばかえって効率が悪い。
当たり前のことをしただけだった。
決められたルーチンワークのように仕事を引き受けたに過ぎなかった。
・・・・・・
「部長!最近休んでますか?」
部下に声を掛けられてハッとする。また意識が飛んでいたようだ。
大丈夫だと答えパソコンに向かう。
「いや大丈夫じゃないでしょう」
彼は持っていた書類の束を置くとまた別の書類を持った。
「この書類はあと印鑑押すだけなので、後でよろしくお願いします。他の仕事は僕たちでやっておきますから」
いや、それでは皆の休む時間が無くなる。自分に任せろ。
「ダメですよ。適度に休まないと効率が下がるって言ったのは部長じゃないですか。僕たちの分までやっているんですから、僕たちより休まないと」
あ、あぁ.....
「分かったら休憩してください。さあ、さあ!」
わ、分かった分かった!
・・・・・
「他と比べ君のところは優秀だ」
以前とは違いそこには確かに賞賛が込められていた。
嬉しさなんて微塵も感じなかったが。
「期間内に仕事はこなすし離職率も大幅に減少している」
上司の前にも関わらず自分はぼんやりとしていた。
早くに仕事に戻らなければ、そう思った。
「これならもう少し仕事を増やしても良さそうだ」
少し、苛立ちを感じた。
・・・・・・
いつからだったろう
上司の言葉に苛立ちを感じたのは
いつからだったろう
義務から彼らの為の仕事になったのは
いつからだったろう
自分が部下を思いやるようになったのは
・・・・・・
死んだのは部下じゃなく自分だった。
失ったのは自分じゃなく彼らだった。
置いていった自分は置いていかれた気持ちなど分からない。
ずっと.....分からないままが良かったのに。
ぼんやり考えていたプロットとか大分忘れてるので思い出しながらやっていきます。
・・・前の自分は何を考えていたんだろうか。
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