fateの世界で頑張る俺 (AKIRA@お豆腐メンタル)
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第一話 あれ?ここってfateの世界?

fateのアニメからこんな感じのストーリーを読んでみたいな……よし探してみよ。

ない…だと?(探し足りない可能性あり)

無いなら自分で作っちゃえ!ってことから始まったこの物語です。

それではどうぞ!


ふむ、俺は普通の高校2年生()()()者だ。

 

うん、なぜこんな入りなのかと言うと正直いって俺にもわからないが、本題に入るとしよう。

 

『俺ってば魔法使いだった』

 

こら、そこ。今何、病室に来た疲れきった表情のおっさんみたいな事言ってんの?なんて思わないでくれ。わりかしガチなんだわこれが。

厳密に言えば魔法使いじゃなくて魔術使いか。

 

何となくできそうだなぁ、なんて思いながらさ、ほら、fateの魔術回路だよ。アレ開けたんだわ。1本だけをゆっくりやったからかそこまで苦痛に感じることは無かったけど…

 

正直何が起こったか分からんかったよ。いきなり全身に電気走ったと思ったら身体が軽いの何の。

 

何本あるかなんてまだ分からないけど少なくとも1本じゃないと思う。

 

まぁ何でこんなことできそうだなぁなんて思ったかと言うと、数ヶ月前まで遡ることになる。

その数ヶ月前にある人達を見たんだ。

『街とか学校とかでfateの衛宮士郎や遠坂凛に似た人が居たんだよw』なんて親に言ってたら、『何言ってんのよ、士郎君に遠坂さんアンタの友達でしょ?』なんて言うんだよ。正直焦ったよ。てか、『ふぁい!?』なんて奇声発してたら親が『頭大丈夫?病院行く?』なんて言いやがる。解せぬ。と言うかfateとか死亡フラグありまくりじゃなかったか?あれ?俺大丈夫?生きてられるかな…

 

 

 

まぁそれはともかく。

 

今から俺は学校に行くわけだが…

登校中にfateの主要人物に出会わないようになんて願ってたら出会っちまったよ。

 

「あ、おーい!神楽、一緒に登校しようぜ」

 

そう、神楽こと、神崎神楽という名前が俺の名前だ。

小学生の頃なんか神って名前が二つもついててよく弄られたもんだ…『神様なんだろ?ww願い叶えてくれよww』なんて感じで…あ、やば。目から汗が…な、泣いてなんかねぇぞ!?って、男のツンデレ(?)なんて需要無いしやめとこ…

そしてまぁ、何とも『おーい!磯野野球しようぜ!』みたいな感じで言いますなぁ。と言うか士郎ってこんなキャラだっけ?

 

「お、おい大丈夫か?なんか今上の空だったみたいだけど…」

 

「あ、あぁ大丈夫だ。行こうぜ!」

 

士郎に心配されちまったよ…どっちかと言うとこっちが心配するレベルで危ない奴なんだけどな。こいつの方が…

 

「あ、そう言えば弓道の朝練はどうしたんだ?」

 

「へ?俺ってば弓道部でしたっけ?」

 

「何言ってるんだ?お前は弓道の俺が抜けてからのエースだろ?」

 

これまたビックリ発言。え?俺がエース?何言ってんの?いや待ってよ、士郎さんアンタ想像したらその通りに中るだろ?俺なんて出来ねぇよ。それに美綴って人はどうした!?あの人確か、士郎といい勝負してたんじゃなかったっけ?

 

「へ?今日朝練あったの?」

 

そう言えば朝練が無い時は士郎と一緒に登校してる人がいませんではありませんか。

 

「あぁ、今日は桜が朝練あるから早めに家を出て行ったぞ?」

 

マジですかぁ…やらかしたよ俺。朝練遅刻しちまったよ…

遅刻して落ち込んでた俺に士郎が言う。

 

「いや、もしかしたら走れば今からでも間に合うかもしれないぞ?」

 

「お?ほんと?でもここからだと走っても20分以上かからないか?」

 

「全力で走れば俺は多分10分で着く、と思う…」

 

えぇー。マジすか?何だか俺驚いてばっかりだな。

それにアンタそれ魔術使ってない?いや、確か一般人などに知られたらダメだとか言ってたはずだからそんな簡単に使ったりしないか…

 

「よし、じゃあいっちょやってみますか!」

 

そして俺はクラウチングスタートをして全速力で走った。

 

 

_________

 

 

 

はぁ、はぁ、よ、余裕で朝練間に合ったよ。

いや、実を言うと本当にギリギリだった。あと2分で始まるみたいだ。

 

士郎が見えなくなるまで普通に走ったよ。

士郎が見えなくなってからは、えぇ、魔術使いましたよ。やったことない付け焼き刃ですけどね…

やり方なんて分かんなかったから何となく気持ち切り替えて足に魔力を通す感じにしたら普段より速くなった。次からはなんか呪文(?)士郎の同調(トレース)()開始(オン)みたいなの考えてみよっと…

 

でもまぁ、着いたはいいけどヘトヘトだったよ。

 

結局美綴には怒られました。

 

「はぁ、遅刻じゃないけど落ち着いて来れる時間に来いよ…いや、もしかして今日朝練あるの忘れてたな?士郎に出会って言われて気づいたな?」

 

なんで分かるよ美綴さんよ。えぇ、その通りですよ。隠し事なんて出来ねぇなこりゃあ。

 

「以後気をつけます…」

 

まったく…気を付けろよな?と言ってくるが気にしない…いや、ある程度は気にするんだけど。気にしなさすぎたら本当に怖い。

なにが怖いかは言わないからな?

 

 

まぁそれにしても休憩出来たし、朝練やってみますか。

…といってもやり方なんて知らないよ?俺。

うわぁ…どうしよ。

道着の着方分かんないよ。

ぐだぐだやっていると美綴が来た。

 

「道着の着方も忘れたのか?と言うかお前来るの久しぶりだしな…でも着方くらい覚えとけよな?」

 

そう言いながら手伝ってくれる美綴…

お前そんなに面倒見のいいやつだっけ?

うわぁ、照れるなぁ…て、何だかこれって……ふ、夫婦的な…

そんなことを考えてると美綴も気付いた様だ。

 

「…こ、これで後は自分で出来るよな!簡単なんだからさっさとしろよ!?」

 

やばいっすわ。え?何がやばいかって?

可愛い過ぎるよなにあの生物ってレベルで。

決して俺の下半身の問題なんかじゃない。

 

そんなこんなで、俺は弓と矢を持っていた。

 

ふぅ…気分を落ち着かせて…

確か、こういう感じで構えるんだったよな…

 

俺は某動画サイトなどで見たり、昔友人が教えてくれた感じで構えてみた。

 

そしてこのまま、放すっと…お、矢は綺麗に飛んでっ「だぁあ!?いってぇ!」俺はきちんと構えられてると思ったのだが、構えが甘かったみたいで…弦が顔を打った。いやぁ…痛い。冗談抜きで痛いわこれ。

周りからはクスクスと笑い声が聞こえる。くそぅ次は成功させてみせるぞ!

 

よし、さっきの事は無かったことに…え?ならない?

知らんな…ってそんな事は今はどうでもいい。

 

よし、気持ちを落ち着かせて…

弓と矢を構え…さっきより構えをしっかりする。

そう言えば士郎はイメージした通りに的の真ん中に中るんだよなぁ……

物は試しだ、俺もやってみるか…

イメージを大切に……集中して…

 

どのくらいの角度か…

どの向きに風が吹いているか…

どう修正していくか…

どんな軌道で飛んでゆくか…

そして俺の精神は研ぎ澄まされてゆく。

 

ここだッ!『バシュッ!』

 

放った後も気をつける。弓をきちんと離さないと顔にまた当たってしまう。

 

よし、上手くいったみたいだ。

やったよ。真ん中だよ。

どうだ!さっきまで笑ってたヤツら!さっきまで余裕で笑って俺の事バカにしてたのに。やったよ、俺。

美綴さん、どうすか?え?まだまだだって?まぁそうですよねー。そんなに早く褒めてくれるわけないよな。

 

 

_________

 

 

 

 

ふぅ、私は美綴綾子だ。

さっきは緊張?と言うかやばかった。何がやばいかって?なんかもう色々とだ。答えになってないと思うが気にすんな。と言うか誰に言ってるんだろう…まぁいいや。

 

はぁ、それにしてもアイツ、最近来てなかったけど大丈夫かな?なんか心配だなぁ…と、そう言えば遠坂と勝負してたんだったよな…アイツなら……なんて、何考えてんだ私は!

 

ふぅ、落ち着くとしよう。と、そう言えばあいつの離れだな。

 

「だぁあ!?いってぇ!」

 

と、突然声が響く。

…ったく、あいつ。怪我するぞ?ほんとに、大丈夫か?まったく、構えがなってないな。士郎の弓構えを見習えよな。アイツ…今何してんのかなぁ。また見学とか後輩に指導に来て欲しいもんだね。

 

…っと、もう一度か。今度は上手くやれよな?…

 

 

 

 

驚いた。ただ、驚いた。

さっきのはただ、素人の付け焼き刃程度の物だったが今度のは違った。

足踏みから胴造り、弓構えに、打起こし、何においても今度は完璧だった。

 

さっきまで笑ってた奴らが驚き過ぎて開いた口が塞がってない。確かに驚いただけどここで彼を慢心──悪い意味で──させるわけには行かない。何事も調子に乗り過ぎるとダメなものだ。

という訳で、私は『ふん、まだまだだナ』というような表情をしておく。すると彼はなんだか凄く落ち込んでしまったようだ。

すまん、これもお前のためだ。

あぁ、そんなに涙目にならないでくれ。

 

って、これじゃあ私があいつのことを好きになってしまったみたいじゃないか!?うぅ…今の私の顔は誰にも見せられんな。

 

 

_________

 

 

 

ふぅ、朝練終わった…いやもうなんだろう凄いやりきった感があるわ。あぁ、もう帰りたいな。

まぁ冗談は置いといて、そう言えば士郎ってなんかやけに左手を隠してたように見えるけど…まさか、ねぇ?

 

教室…あれ?ここであってるよな?

何となくでここに着いたけど…あ、士郎がこっちに来いって手招きしてる…どうやらこのクラスだったみたいだ。はぁ…仕方ない?というか自分の席ってどこだっけ……嘘だろ…おい…士郎の隣て…しかも柳洞一成さんまで近くにいるよ…

 

ちなみにこんな感じの席だ。

 

|士郎|__|俺|

|柳洞|

 

こんな構図で分かるのかどうか…って誰に向けて説明してるんだ俺は…まぁいいや。

 

そうこうしてるうちにホームルームの始まるチャイムが鳴った。

 

「藤ねぇ…どうしたんだろうな…」

 

「ふむ、今日は一段と遅いようだが何かあったのか?」

 

士郎と一成は藤村先生のことを心配しているみたいだな。すると廊下の向こうの方からドタドタと走る音が聞こえてきた。どうやら心配はいらないらしいな。

 

「遅刻遅刻遅刻遅刻遅刻だァ!!」

 

ガラァッ!!っと勢いよく扉を開ける藤村先生。

 

「みんなおはよう!」

 

そしてガッシャァン!と、教卓にぶつかる藤村先生。

先生大丈夫か?とみんながざわめいている。

遂に見ましたよ…この名シーン(?)を。

みんなでせーのでタイガーと呼ぶ。

するとガバァッ!起き上がって、

 

「タイガーって呼ぶなぁ!」

 

と、復活した。

士郎は呆れてゲンドウポーズで頭を抱えているみたいだ。

そうこうしてるうちにホームルームが終わり、授業も終わって、昼休みになった。自分でも思うよ、時間経つの早いなって…

 

お?これは、一成さんが士郎さんにストーブの修理を頼むところのシーンじゃないですか。でもあれって朝じゃなかったっけ?

 

「衛宮、最近ストーブの調子が悪くてな。」

 

「またか?この間も言ってなかったか?」

 

「あぁ、もう今度はご臨終かもしれん。叩き起してやってくれ」

 

「ご臨終だったらもうダメじゃないか」

 

たしかにその通りだな。ご臨終してたらダメじゃん。

 

「まぁ見てやってくれ」

 

「あぁ、分かった。あぁ、それと神楽」

 

「ん、なんぞ?士郎」

 

なんかいきなり呼びかけられた。というかなぜこのタイミングなんだ?

 

「いや、ちょっとな」

 

「はぁ…」

 

なんだろうな。一成は…あぁ、なるほどなって顔してるよ。なんでなん?

 

「一成、神楽と俺でストーブ見てみるからちょっと外してくれないか?」

 

「ふむ、いつものことだな。よし分かった。ちと外そう。衛宮、神崎、俺はお前達2人が頼りになると極めて嬉しいぞ」

 

「一成お前本当、たまにおかしな日本語使うよな…」

 

確かにおかしな日本語だな。

というか、なんでさ!?あんたの口癖移ったか!?と言うか士郎さん?ストーブ見るのあなたの仕事(?)じゃないのか?あれだよな?デリケートな作業だって言って一成を外させるやつだよな?なのになんで俺まで!?

 

そして俺と士郎は生徒会室のストーブの前にいる。

 

「神楽、そこの工具箱とってくれないか?」

 

「あ、あぁ。所でデリケートな作業だっつっていつも1人でしてなかったか?」

 

「あ、嫌だったか?と言うか前にお前が俺にも手伝わせてくれって言ってたじゃないか」

 

あるぅぇ?そうなの?

 

「そ、そう言えばそうだったな。悪いな忘れてたよ」

 

「大丈夫か?お前、最近物忘れが酷くないか?」

 

いや待って?記憶ないよ?そもそもfateの世界で住んでなかったよ?それにまた士郎に心配されたよ…士郎に心配されるとか、俺、早死するのかな?

 

とほほ、と遠い目になってる俺を無視して作業を始めていた。

 

あ、今日は違うな。トレース・オンって言ってない

魔術使わず電源が付くかどうか目に見える範囲で修理しようとしているみたいだ。

 

「あれ?お前、魔術使えなかったっけ?」

 

「──ッ!?」

 

あ、しまった!うっかり聞いてしまった。俺は遠坂の家系か?うわーやらかしたよ。ほら、士郎さんすっごい顔してるよ。あーもう、どうしよう。アーモンドしよう!じゃなくて!?どうやって誤魔化す?うーん。うーん。はっ!そうか!俺も使えるのバラしちまえばいいのか!

 

「いや、すまんな士郎。俺も使えるんだわ魔術」

 

「──ッ!??」

 

うわぉ。これまた凄い顔してるよ士郎さん。どないしよう。よし、これまたよくわからん理由で気付いたと言ってみようか。

 

「いやな、昨日自分にも使えるのがわかったんだ…それに何となくだけど、士郎が魔術を使ってる事が分かったんだよ…多分だけど魔術使う奴って他の魔術使う奴のこと分かったりするんじゃないかな…」

 

「……そうか、なら知らなくても当然か。いいか?魔術は、人には知られてはならないんだ」

 

「あれか?人に知られたらダメだったのか?なら済まないな」

 

いや、知ってますよ。ほんと、うっかり聞いちまっただけなんだ。

 

「いや、いいんだ。けど、他には誰にも言ってないよな?」

 

「あぁ、言ってない。家族にも言ってないさ。お前には言ってしまったけどな…」

 

「そうか…」

 

そして士郎はストーブに向かって魔術回路に魔力を通す。そうか…この時はまだトレース・オンなる呪文は使われてないのか…

 

そんなことを思っているとストーブに魔力が通っていることが俺にもわかった。

 

「よし、そこの棚の絶縁テープとってくれないか?」

 

「うし、分かった」

 

えーっと?棚に絶縁テープが…お、あったあった。

 

「よし、ほれ士郎あったぞ。どんな具合だ?」

 

「あぁ、断線しかかっているがまだ持ちそうだ。絶縁テープで補ったら大丈夫そうだな」

 

「そうか…よし、早く終わらせて午後の放課後を頑張りますか」

 

「あぁ、そうだな」

 

そして俺と士郎は修理を終わらせて午後の授業を終わらせた。

 

士郎と一緒に帰ろうと廊下を歩いていると慎二(ワカメ)が近寄ってきた。しかも周りに女子生徒を侍らせている。うわぁ…リア充爆発しちまえよ。

 

「おやおや?これはこれは衛宮クンじゃないかい…あぁ、そうだ。今日、弓道部の片付け頼んだよ?キミ、したがってたよね?」

 

すると周りにいた女子生徒が言う。

 

「間桐君、その用事、藤村先生が間桐君に任せたやつじゃない?」

 

「いいんだよ、これは衛宮クンがしたいそうだから…ね?衛宮クン」

 

うっはー腹立つわー俺いるにも関わらず俺ガン無視。ハハ…

 

……ん?これってまさかあれか?士郎が弓道部で片付けとか整備して帰りが遅くなってアーチャーとランサーの戦いを目撃するやつだよな?てか……あれ?その後どうなるんだっけ?まぁなるようなるか。

 

「俺も手伝うよ士郎」

 

「いいのか?…けど、悪いよ」

 

「いいや、いいんだよ。単に手伝いたいだけさ」

 

「はぁ、お前も変わったやつだよな」

 

「お前には言われたくねぇよ!」

 

「なんだよ、それ」

 

俺と士郎は笑いあいながら校舎をあとにし、弓道場に向かった。

 

 




どうだったでしょうか。
思いつきから始まったこの物語、どんな方向に進んで行くか作者にも分かりません。

この作品を読んでくださった皆様に感謝を。
これからもよろしくお願いしますm(_ _)m

誤字、脱字等ありましたら報告して下さると助かります( ´ ω ` )

2/7:後書きに思いっきり誤字を発見しましたので修正しました。すいません(´・ω・`)
感想を。→感謝を。


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第二話 蒼い槍兵との邂逅

お気に入り登録数が一気に11にもなって驚きと嬉しさで独りでガッツポーズしておりました。
本当にありがとうございます。

UAは592になりました。
本当に嬉しいです。ありがとうございます。

のんびり続けようと思っていたんですけど、なるべく早くしようかと思います。
これからもよろしくお願い致します。



俺は今現在士郎と弓道場に来ている。

まぁもちろん片付けやら掃除やら整備やらをする為だ。

二人でやると早く終わるとよく言うよな?

まぁ結果その通りなんだが結局夜遅くなっちまったよ。何でだろう…あれか、『あ、ここ汚れてるな。よし、掃除しようか…あ、こっちも汚れてる』な感じでずっと掃除してたんだ…あ、そうそう、草抜きとかもしてたな…後は整備かなってところで今の時間。

……夜の8時なんだ…何やってんだよって思うだろ?自分でも何やってたんだろうって思ってるよ。

あれ?アーチャーとランサーの戦いって何時頃だっけ?深夜?

 

それはともかく、今整備してるんだ。的の紙の貼り替えだったり矢を一箇所に纏めたり、次に始める人が気持ちよく始められる様に……あれ?それ俺じゃね?

まぁ自分の為にやってると思ってやると捗る捗る。

 

 

よしっしゃ!終わったよ!士郎と俺でやり切った!

で、時刻は……10時…だと?おいおい、なんでそんなに時間食ってるんだ?マジかよ…あれ?てことは…もしかしたらそろそろ剣戟が聞こえてくる頃か?

 

キャィンッ!カンッ!コンッ!

 

………うわぁ……聞こえてきたよ。士郎は……はぁ……気付いてないみたいだな。どうする?どうする?

………あれ?士郎どこ行った?

 

………え?まさか外に出た?

何やってんだよ俺!おいおい、え?マジで?試しに呼んでみよう。

 

「士郎ー!」

 

・・・・

 

返事が無い、ただの屍のようだ。

 

って、巫山戯てる場合じゃないよ!?何今の無駄な時間!それになんか使い方間違ってる気がする!いや、合ってんのか?いやだから、そんなことはどうでもいい!よし!探しに行こう!そうしよう!

 

とりあえず箒の先がないやつ持って行こう!

何もないよりマシだろうし。

他に何か役立つ物は……?

手帳?これって父さんの…だよな?

 

一瞬ノイズが走る。

 

『神楽…これはお前がピンチになった時に開け』

 

父さん…何の事なんだよ……

 

って、今はそれより士郎が心配だ!

待ってろよ?士郎!

 

 

そして俺は、弓道場を飛び出した。

 

 

________

 

 

ふぅ、終わったな。いやほんと神楽がいてくれて助かったな。俺一人だともう2時間くらいかかってたかもしれないしな。今度なにか奢った方がいいのかな?

 

よし、これから戸締りをしてっと……

 

 

 

キャィンッ!カンッ!コンッ!

 

 

 

……何なんだあれは。あの、青と赤の影は。

──ッ!?まさか!?ここ最近ガス爆発とかの事件はあいつらが関係してるんじゃ?

 

 

パキッ!

 

「誰だ!?テメェ!」

 

 

──ッ!?しまった!気付かれた!?逃げよう!

何処に逃げる?よし、校舎だ!

 

 

 

入ってから気付いた…

校舎に逃げたのは間違いだったと…

廊下は長い。横には狭く攻撃を躱すのには向かない。

それにあんなスピードで戦う奴らにどうやって逃げ切ると言うのか。

 

鬼ごっこは唐突に終わりを告げた。

躓いてしまったのだ。

 

「ぐぁっ!?」

 

青色の猛獣の様な雰囲気の男が詰めてくる。

 

「随分と遠くまで逃げたなぁ…。だが、お前さんの運もここまでだと思って諦めな……」

 

そしてこの男は俺の心臓を貫いた。

 

「か…はっ!?」

 

(俺は……こんなざまで正義の味方なんて……)

 

そして俺は気を失った。

 

 

________

 

 

「そんな……(私の所為だ……犠牲者が出る事くらい覚悟してたはずなのに)……ランサーを追って、アーチャー。ランサーはマスターの下に戻る筈。せめてマスターの顔ぐらい把握しないと……」

 

「了解した。マスター」

 

そしてアーチャーは霊体化してランサーを追った。

 

「せめて…看取るくらいは……なんで…よりにもよってこいつが……」

 

どうして…どうしてなのよ。

なんで………

ごめんなさい。お父さん。薄情者でごめんなさい…

 

──破損した臓器を偽装して代用

 

──その間に心臓を修復

 

………もう、死なないでよね。

 

そして私はアーチャーを追うようにしてここから去った。

 

 

________

 

 

 

──破損した臓器を偽装して代用

 

──その間に心臓を修復

 

 

 

 

……誰、誰なんだ?

 

 

 

 

──俺、誓ったのにな…魔法使いになったら、きっと誰か救うって…

 

 

 

 

 

 

「ぐっ!?」

 

生きてる?…誰かが俺を助けてくれたんだな…

 

?……これは、ペンダント?

 

俺を助けた人が落として行った…のか?

 

…いつか、この借りを返せたらな……

 

疲れ切った身体を起こそうとしていると誰かが来た。

神楽だったみたいだ。

 

「あ、おーい!?士郎?無事か?血が出てるけど大丈夫なのか?」

 

どうやら、心配かけちまったようだな。

 

「あぁ、すまないな。どうやら大丈夫みたいなんだ」

 

すると神楽は悲しそうな表情をしていた。

 

「そうか…ならいいんだ…」

 

ところで、その手にしているのは何なんだ?

 

「神楽?その手にしてるのって…」

 

どうやら神楽も俺が何を言いたいのか分かったようだ。

 

「あぁ、これか?これは…だな。箒の先端が無いやつ…要するに壊れてたやつ…まぁあれだ何となく嫌な予感がしたから何か持ってた方がいいかな、なんて思って持ってきたんだが…どうやら俺もだいぶ動揺してるみたいだな…」

 

ハハハ、と言うように乾いた笑い方をする神楽。

 

「家に帰るんだろ?送ってくよ」

 

「いいのか?お前、親が心配してるんじゃないのか?」

 

「ん?…あぁ、親はあれだ。今海外旅行に出ている…俺を置いて…」

 

神楽は、自分が置いて行かれたことにこれまた乾いた笑い方をしていた。

 

「まぁいいや、よし、立てるか?」

 

「あぁ、ありがとうな」

 

そして俺は神楽と一緒に家に帰る事にした。

 

 

________

 

士郎、どこ行ったんだよお前…

えっと、あれは確か、廊下だったよな?

よし、気持ち切り替えて…回路を起動させる感じにして…魔力の反応がある方に……よし、あっちか。

 

 

あ、いた!……けど、やっぱり一度死んだみたいだな……血が辺り一面に……俺がもう少し早く来てたら……士郎が死ぬことは無かったかもしれないのに…

俺が居ても足で纏かもしれないけど…

 

すまない…士郎。

 

士郎、本当に大丈夫なんだろうか?

 

「あ、おーい!士郎?無事か?血が出てるけど大丈夫なのか?」

 

 

やはり…運命は変えられないのか?

 

いや、俺が頑張れば何とかなるはずだった。もしかしたら…士郎が死ぬことは無かったかもしれない。

原作崩壊する事を少しでも恐れた俺が…今の、さっきまでの士郎を死なせてしまった。

 

俺は…誓う……もう…俺の周りで、誰も死なせてたまるものか!誰がなんと言おうと…俺は自分の手が届く範囲で助けてみせる!

 

いつかの士郎のように旅をして各地を周りながら助けて回る事は自分からはしないだろう。

だが、士郎を支える事は出来る。

 

士郎が報酬を受け取らなければ俺が受け取る。

そして士郎に渡す。何が何でも。

 

士郎が周りを救けるならその支えになる。

俺も…憧れたんだろうな。士郎やエミヤの夢に。

夢は借り物であっても、夢である。

夢は憧れから始まる物だ。と、俺は思う。

 

で、あれば……

 

士郎と、エミヤの……救いたいと思う気持ちに偽りは無く…尊いものだから……例え借り物の夢であっても、その気持ち、自分に出来ることをする。その事に間違いは無い筈だから…

 

そんな事を思っていると知る由もない士郎は言う。

 

「あぁ、すまないな。どうやら大丈夫みたいなんだ」

 

だろうな…これは遠坂凛が魔術により心臓を修復したからだろう。俺は無意識に表情が曇っていた。

 

「そうか…ならいいんだ…」

 

士郎はその空気を変えようとしたのか話題をかえた。

 

「神楽?その手にしてるのって…」

 

どうやら俺が持ってきたものが気になったらしい。

これは箒だ。しかも学校などでよくあるタイプのだ。

ちなみに木製である。

 

「あぁ、これか?これは…だな。箒の先端が無いやつ…要するに壊れてたやつ…まぁあれだ何となく嫌な予感がしたから何か持ってた方がいいかな、なんて思って持ってきたんだが…どうやら俺もだいぶ動揺してるみたいだな…」

 

なんか嫌な予感がする…という理由だけで壊れた箒を持ってきたんだ。動揺してなくて何をしているんだろうか。

そんな事より、士郎を家に送るとしよう。

 

「家に帰るんだろ?送ってくよ」

 

どうやら士郎は俺の心配をしてくれてるようだ。

血だらけの穴の空いた制服姿でよく言えたものだ。

 

「いいのか?お前、親が心配してるんじゃないのか?」

 

うん、だが、心配しようにも今現在親が居ないのだ。

それは妹が何故かロンドンに行くと言い出し、現在留学をしている。それに親が付いて行っている。しかも両親でだ。俺はてっきり母だけがついていくものだと思っていたのだが、両親の仕事先がロンドンへ転勤となったらしい。どういう事だってばよ…。

 

まぁ、嘘ではないが曖昧に答えるとしよう。

 

「ん?…あぁ、親はあれだ。今海外旅行に出ている…俺を置いて…」

 

俺は遠い目をしていたのだろう。それは自分でもわかった。両親が子を置いて旅行に行ったという図が、今一瞬見えたからだ。どんな親なんだよ…と、思うであろう。

 

まぁ今は本当にどうでもいいことなので流すとしよう。

 

「まぁいいや、よし、立てるか?」

 

俺は士郎が立つのを支えて家へ送ることにした。

 

「あぁ、ありがとうな」

 

だが、この時の俺はこの先に待ち受ける運命(fate)をまだ知らなかった。

 

________

 

 

家に帰る途中、ピンチになったら読めと言われた気がした手帳を読んでみることにした。

 

「神楽?なんだ?それ手帳か?」

 

「あぁ、父さんがピンチになったら読めと言っていたんでな…今がその時だろうと思ってな」

 

 

そして俺はページを開けた。

 

 

 

 

 

神楽、これを読んでいるということは聖杯戦争が始まったということだろう。

 

お前の魔術の起源を教えていなかったな。

 

お前の起源、それは【祈り】だ。

 

おまえの名前は【神楽】…ということは、

神を祭るときに奏する舞楽である。

 

言わば神に祈りを捧げる祈祷である。

 

その魔術の力はお前が、

 

──思った事、願った事

 

──そうあってくれ等、祈った事

 

を現実に起こす力である。

最早、魔法と呼べる物だろう。

 

この力はまだ幼いお前には御せるものでは無かっただろう。だから俺たち父さんと母さんはお前の記憶を封じ、この力を封印した。だがしかし、聖杯戦争が起こる時には恐らく高校生であろう。

その年齢にもなれば自分の力を御する事は出来るだろう。この手帳読むことで記憶、力の封印は解けるようにしてある。

 

お前なら、この力を間違ったことに使うことは無いだろう。俺は信じている。

 

それと、最後に一つ。

 

 

 

そろそろしたら俺達帰るから家開けといてね?

 

 

あ、そうそう、まだあったわ。

 

最後に書き残す事は、

 

ある、呪文だ。

この呪文をお前は有効的に使うだろう。

 

 

 

 

 

そしてその内容が終わるところで丁度手帳は終わっていた。

皆さんも思う事があるだろう。

 

(何このチート!?)

 

手帳が読み終わる頃には士郎の家に着いていた。

 

士郎の家で一息ついていると再びノイズが走った。

 

 

 

『父さん!見ててね──』

 

すると少年の目の前にはお菓子等が何も無い虚空から積まれ始めた。

 

『神楽?お前、今何をしたんだ?』

 

『え?ただ、お菓子が欲しいって願っただけだよ?少し疲れた感じはするけどね』

 

父さんは唖然としながらも表情をきつくして言った

 

『──っ!?……神楽、今からいうことをよく聞け…』

 

子供ながらにして分かったのだろう父さんの様子がいつもと違う事に。

 

『どうしたの?』

 

『いいから聞け…神楽、お前の力は危ないんだ…だから、その力を無闇に使うことを止めてくれないか?』

 

子供には難しい内容だっただろう。首を傾げながらもわかったと言った。

 

『うん?わかったよ。父さん』

 

そして父さんは俺の──子供の俺──頭に手を当てて記憶と力を封印した。

 

そして、場所は変わり父さんと母さんが映っている。

 

『ねぇ、あなた?神楽はどうなってるの?』

 

『俺にも詳しい事は分からない…だが、神楽は名前からして恐らく【神楽】祈祷の意味があるのだろう。そして祈ったり、思ったりして自分の魔力を消費して発動している…と、思う』

 

『思うって、あなた!?』

 

『すまない、憶測でしか語れないんだ。あいつの力は記憶と共に封印しておいた。歳を取るにつれて封印が弱まるだろう。それは、高校生辺りだと思う。』

 

『高校生…なのね?』

 

『あぁ、その頃にはほとんど弱まっているだろう。あとは記憶と切っ掛けの様な物で再び力を使うことが出来るだろうな』

 

 

 

そこで俺の意識は士郎によって戻された。

 

 

「……ぐら!…神楽!」

 

「はっ……すまん、今考え事をしてたんだ」

 

「大丈夫か?今、心ここにあらず、と言ったような感じだったぞ?」

 

まぁた心配されたよ、士郎に…ほんともう、大丈夫か?俺。

 

 

所で、皆さん、また思う事でしょう。

 

何このチート!?ってね。

 

いや自分でもビックリですよ。未だに自分の力がこれだと言われましても、こう…ピンと来ないんですよ。

 

──っ!?

まただ、また、ノイズが走った。

今度はそれより少し時間が経った別の場所だった。

身長からして小学生くらいだろうか。

 

 

『なぁ?士郎…』

 

俺は士郎に向けて疑問をぶつけていたようだ。

 

『ん?なんだよ、神楽』

 

『お前の夢ってさなんなの?』

 

『いや、笑われるから言わないよ』

 

『聞いてもないのに笑うかよ…いいから、教えろよ〜』

 

すると士郎は観念した様で話し始めた。

 

『俺さぁ、正義の味方になりたいんだ』

 

『そっか、なれるといいな…ふむ、で、それは詳しく言うとどんな?』

 

『え?えーっと詳しく?うーん…全部を救う…かな?』

 

『ふーん、じゃあ難しいね…』

 

『親父と同じこと言うなよ…』

 

『じゃあ例えばだけど…戦隊物の番組あるよな?』

 

『あぁ、あるな』

 

『あれってさ、敵を救ってるのか?倒しているんじゃないか?……まぁ中には途中で仲間になったりする奴もいるけどよ…士郎が言う全部を救うってさ……その、敵も救うって言うことなんだろ?父さんが言ってたんだけどよ。[悪が居るから正義だって居る。悪がいなければ、正義だって居ないんじゃないか?]って。俺はよくはわからないけどさ』

 

それに続けて小さい俺は言っていた。

 

『お前ってさ、一人でやろうとしてないか?…その、正義の味方をさ』

 

それを聞いた士郎はなんでわかったとばかりに首を傾げていた。

 

『士郎の話し方でよ、なんとなく分かったんだけどさ……それこそ、お前、バカなんじゃねぇの?』

 

『な、なんだと!?バカにするのか?』

 

それを聞いた士郎は小さな俺に対して怒る。

 

『まてよ、俺が言いたいのはさ、[一人で出来るわけがないだろうが]って言いたいんだよ。片方を助けている間にもう片方はどうなるんだよ。もしかしたら敵が攻めてきているかもしれないじゃないか。だからよ、俺もさ、お前の夢、手伝わせてくれよ…』

 

士郎は一瞬何を言われたか理解してなかった。

士郎は親父──衛宮切嗣──からの夢を引き継いで叶えたいと思っていた。それは、士郎は自分が救われた時、切嗣が一番救われたような顔をしていた、それを見て俺もそうなりたいと、切嗣を見て、憧れたからだ。

それには切嗣がしていたように独りでなければならないとどこかで思っていた。

 

『な、なんで、手伝いたいと思うんだ?』

 

その問に小さな俺は呆れていた。

 

『はぁ…お前さ、戦隊物見てるならわかるだろ?一人で戦隊って呼べるのかよ、一人でヒーローになれると思ったら大間違いだぞ?』

 

すると士郎はここぞとばかりに一つのヒーローを話に持ち出す。

 

『じゃ、じゃあ、スーパーマンとかってどうなるんだよ!あいつだって1人じゃん!』

 

今度は小さな俺が、あちゃーというような表情で言う。

 

『あいつは宇宙人だっただろうが!お前は地球人だろ!?宇宙人なのか!?だったら今初めて知ったぞ!?それに、あいつは地球で自分を支えてくれる家族と呼べる存在が居ただろうが!』

 

すると士郎はハッとした表情になっていた。

 

『だからよ、俺も正義の味方、やってやるよ。お前だけじゃ心配だからな!』

 

『じゃあ、お前の夢は何だったんだよ…』

 

『俺か?…俺の夢はよ、今出来た!それは、お前と一緒に正義の味方になる事だ』

 

すると士郎は今まで周りからバカにされていた自分の夢が誇らしくなった。一緒にやってくれると言ってくれたことがどれだけ嬉しかったことか……

親父は大人になるにつれて難しくなると言った、期間限定の物だと、だが、士郎が叶えてやると言った時、どれだけ安心した表情をしていた事か…そんな、安心してくれた事が子供の時の士郎にどれだけ影響を与えていたことか。

 

──お前となら、親父が任せた。正義の味方になれるかもしれないな……

 

 

と、士郎は密かに思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

そこで神楽の意識を戻したのは衛宮邸の防犯の魔術が反応した音だった。

 

 

 

カランカランカラン

 

 

「神楽、さっきの奴がまた来たかもしれない」

 

俺はそいつを知っている。

 

「さっきの奴?……お前の胸を一突きにした奴か……」

 

俺は手帳に書かれていた呪文のページを破り取って士郎に渡した。

 

「士郎、今は何も聞くな。これを持って土蔵に行け……魔法陣の前に立って魔術回路を起動させ、この呪文を読め!」

 

「え?でも──」

 

「いいから行け!」

 

俺は手にしていた箒を握り直した。

 

「最後に言うならよ、士郎、[俺は、思い出した。お前との誓を]……早く行け…どうやら、相手は待ってくれそうにない」

 

「っ!?わかった、気を付けろよ」

 

すると目の前に上から下まで青一色の、ただ、違うところはその手に朱色の槍を握った男が立っていた。

 

 

「よう…また会ったな、坊主…そっちのお前さんは見てない顔だな…1日に2度も同じ奴を殺さなならんとはな…いや、一人増えたのか…」

 

紅い槍を持った青い男は気だるそうにそう言った。




はい、今回はここまでとなります。

主人公の能力については聖杯の様に万能、という訳ではありません。

えぇ、あの青い御方は、誰だったんでしょうね?
僕わかんないなー(棒

と、まぁ冗談はさておき、如何だったでしょうか。
楽しんでもらえたなら幸いです。

お気に入りしてくださっている皆様、
この作品を読んでくださっている皆様、
本当にありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思います。

2/14:本文にて間違いを発見したので修正しました。

・士郎sideにて

「今海外にいる…俺を置いて…」

「今海外旅行に出ている…俺を置いて…」


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第三話 神楽の力

はい、なるべく早く更新すると言って遅くなりました。すいません。一週間に1回のペースで更新出来たらいいなと思ってます。
書き溜めと言っても1話分あるか無いかくらいなので申し訳ない。
前回投稿した後すぐに感想が来たり、お気に入り登録数が驚く程に増えてました。ビックリし過ぎてむせましたw
お気に入り登録数37件、UAは1664になりました。
本当にありがとうございます。
これからもよろしくお願い致します。


「よう…また会ったな、坊主…そっちのお前さんは見てない顔だな…1日に2度も同じ奴を殺さなならんとはな…いや、一人増えたのか…」

 

紅い槍を持った青い男は気だるそうにそう言った。

 

「いやいや、まだ死ぬと決まったわけじゃないでしょうよ」

 

そして俺は箒──もはや棒──をランサーが構える槍のように構えてみた。

 

「ほぅ?俺といっちょ殺り合おうってのかい、楽しませてくれよな?」

 

だが、家の中じゃ狭い。

 

「士郎、とっとと土蔵に行きやがれ」

 

「あ、あぁ」

 

士郎が吐き出し窓を飛び割って土蔵へと駆ける。

それに続いて俺も出る。

 

 

小学生の頃から親父に言われて鍛えてたんだよな…

剣に槍に色々とやらされた…

厨二病…小学生の場合でも言うのか?いや、まぁそれもあって修行する事は嫌いじゃなかった。それは今でもだ。それあってか、今ではかなり扱える…だが、サーヴァント相手には歯が立たないだろう。

 

だから、魔術を使う。

呪文は…さっき見た…ページに色々と候補があった。

 

父さん…何楽しそうに思考しちゃってんのさ。

 

まぁいいや、しっくりくるやつを使わせてもらうとしよう。

 

──祈り、祈る(プリエべート)

 

魔術回路1本起動…残り6本は無理やりこじ開ける。

だが、慎重にゆっくりと…幸い、ランサーは待ってくれているようだ。

 

「ほぅ?微力ながら魔力が感じられる。お前ら魔術師だったのか…ちと、楽しめそうかなぁ?まぁいい、ほら待ってやるよ。準備しな」

 

まずは体の強化……身体をコーティングするのはだめだ。骨に…筋肉に…神経に…感覚で隙間に魔力を通すイメージで。

魔術回路は3本分。

 

よし、次は目の強化。動体視力を上げる為だ。

今度は細胞一つ一つに魔力を通す。そしてそれに耐えられるように周りも強化する。

これは2本分。

 

よし、次は、残りの回路でこの棒を強化させる。

士郎が出来た、なら、俺だってできるはずだ。

 

よし、木の棒が鉄の棒に変わった。

 

さぁて、準備はとりあえず完了だ。

 

「待たせたな、準備出来たぜ?」

 

ランサーがやっとか…というような表情で言う。

 

「いや、いいさ。んじゃ、いっちょ死ねや!」

 

その言葉と共に突き抜けてくる槍。

俺はそれを強化した目で捉え、鉄の棒で逸らす。

 

ギャリンッ

 

「くっ!」

 

「やるねぇ?だが、これならどうだ!」

 

今度は力任せとも思える上からの叩きつけだ。

だが、嫌な事に自分はこれをどう対処すれば良いのか咄嗟には判断できなかった。だから、後ろに飛んで躱した。

 

クソッ!俺はこんな時の為に鍛えてたんじゃないのか?少しくらいは戦いについても知っているつもりであった。だが、あまりにも知識が足りなかった。

 

…足りない?なら、今習えばいい。

幸い目の前に一番最良とも思える存在がいる。

 

ランサー。その名をクー・フーリン。

 

その技術、貰い受ける!

 

 

 

 

とまぁそれっぽく言ってみたはいいが、どうする?

 

取り敢えず、見る。

 

動き、足運び、筋肉の動き方、槍の扱い方、視線はどこへ向いているか。

全てを見る。

 

今も止まないランサーの攻撃。

躱すしたり、逸らしたりするだけで精一杯だ。

 

 

俺は一旦ランサーから距離を取る。

 

さっき見た通りにする。

俺は出来る。俺ならやれる。槍は2番目に得意だったはずだ。

 

集中する。イメージする。明確なイメージを。

 

俺がランサーのように動く。いや、ランサーと同じ技術を今習得する。

 

祈り、祈る(プリエべート)

 

するとランサーは興味深そうに聞く。

 

「ほぅ…見よう見真似か?止めとけ、お前は扱えん」

 

「ふん、どうだかな?」

 

すると俺は、さっきまでとは違う動きだった。

強化した足でランサーの元に跳ぶ。

鉄の棒でさっきランサーから受けた叩きつけの様に叩きつける。

 

「クッ!?」

 

ランサーはそれを回避するでも無く受け止めた。

 

俺の口角は釣り上がった。

さぁ、ランサーよ、反撃の開始だ!

 

 

________

 

 

 

「神楽…思い出したって…言ってたな…」

 

忘れてたのかよ…と懐かしみつつ苦笑する俺。

 

よし、俺は神楽に言われた通り魔術回路を起動させる。

 

──同調(トレース)()開始(オン)

 

すると近くの開けた場所に一筋の光が走り始めた。

それは次第に走る光の数を増やしていき、一つの魔法陣が完成した。

 

これの事を言っていたのか……

さっき渡されたものを読むことにする。

 

『素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。』

 

 

急激に魔力が減っていくのがわかる。

 

 

『繰り返すつどに五度。

ただ、満たされる刻を破却する

 

――――告げる』

 

明確なイメージ浮かび上がる。自分の奥底にある何かのイメージが。

 

これは…黄金の鞘?

 

 

──その名を、全て遠き理想郷(アヴァロン)

 

 

何故か分かる。その名前が、その力が、その歴史が。

 

親父……これを、俺に……

 

あの時、あの災害で唯一生き残った俺に、これを…

 

すると突然一人の少女が脳裏に映る。

 

──っ!?

 

この少女は?それに、この少女の持っている剣……これは、いつも夢で見る。あの鮮明じゃない、ぼやけた夢で見る。あの、剣。

 

 

呪文は後少しだ。この後少しで何が起こるかは分からない。だけど、この状況を覆してくれる。そんな期待を込めて。

 

 

『汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ』

 

 

自分の中の鞘が大きく光る。

この鞘がなにかに反応して。

 

 

『誓いを此処に。

我は常世総ての善と成る者、

我は常世総ての悪を敷く者。

汝三大の言霊を纏う七天、

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!』

 

 

 

 

そして、爆風と共に一人の少女が舞い降りる。

 

俺はその爆風に耐えきれず尻餅をついてしまった。

 

 

 

「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した。問おう、貴方が私のマスターか」

 

 

 

それは、一目惚れだった。

 

この美しく、凛々しい少女に…

 

 

 

________

 

 

俺はギリギリの戦いをしていた。

 

突いて突いて突きまくる。

それをいとも簡単に受け流したり、弾いたりするランサー。

 

やはり、強い。

俺なんかこうして付いていくのがやっとだというのに。

 

「お前、その技術、何処で!?」

 

「それを教える程間抜けじゃないぜ」

 

「ハッ…それもそうだわなぁ」

 

俺は、アニメで見たランサーの様に瞬時に消えて死角からの攻撃を喰らわそうとする。

 

だが、ランサーはそれでも余裕の顔をしている。

 

俺の力は段々とピークを過ぎようとしていた。

 

身体の限界が近いようだ。

 

やはり、英雄と呼ばれるだけあって、その存在は強い…

 

ここが日本で良かった。ここがもし彼の出身地、アイルランドならば、こうして一時的にも抗戦することは敵わなかっただろう。

 

今の自分の限界はどのくらいの強さなのだろうか。

そうは思うが、それを実践で確かめたいと思う程、俺は戦闘狂じゃない。

 

恐らく後で士郎達と修行をするだろう。その時にセイバーさんに手合わせしてもらうとしよう。

 

 

「お前、やるなぁ…俺はてっきりすぐに決着がつくと思ってたぜ」

 

ふん、本気を出してもいないのによく言ったものだ。

 

「本気を出してない人に言われても何かなぁと思うが、大英雄に褒めてもらったとは、素直に嬉しいよ」

 

「お前、俺のことを知っているのか?」

 

あぁ、知っているとも。以前にスマホで調べていた。

因みに、この世界に来る前に第四次と第五次のサーヴァントは全て調べていた。勿論、fateの世界の方だ。

 

「……呪いの朱槍、その言葉で充分だろ?」

 

「ハッ、有名すぎるのも考え様だな」

 

そして俺は、今この状況を打開するべく情報の海の中に少しだけ意識を傾けた。

 

________

 

おかしい…アイツは何で俺の槍の技術を持っている?

アイツは影の国にでもいたことがあるのか?

いや、恐らく違うだろう。

 

「お前、その技術、何処で!?」

 

「それを教える程間抜けじゃないぜ」

 

それもそうだ。自分の技術を、逆を取れば弱点に成りうる情報を易々と喋るわけが無い。

 

「ハッ…それもそうだわなぁ」

 

するとアイツは今度は攻撃手段を替えて消えていた。

いや、そのくらい速く動いたのだ。生身の人間の筈なのに俺の様に速く、鋭く突いてくる。

 

これには流石の俺も驚いた。

先程の驚きよりもこちらの方が大きい。

俺は驚きを顔にすること無く逆に余裕な表情をする。

これで相手も慎重になるだろう。だが、先程の連続の突きより鋭さが衰えて来ている。そろそろ身体の限界が近いのだろう。

すぐに決着がついてしまうかと思ったがどうやら杞憂だったらしい。それ程アイツは強い。最初俺と同じ様に棒を構えていた時には、それ程強さを感じなかった。これがアイツの本気なのだろう。

 

「お前、やるなぁ…俺はてっきりすぐに決着がつくと思ってたぜ」

 

するとアイツは何処ぞの皮肉屋のような事を言う。

 

「本気を出してない人に言われても何かなぁと思うが、大英雄に褒めてもらったとは、素直に嬉しいよ」

 

確かに俺は本気を出してはいなかった。

だが、今聞き捨てならない言葉を聞いた。

『大英雄に?』まさか、俺の事を知っているのか?

 

「お前、俺の事を知っているのか?」

 

「……呪いの朱槍、その言葉で充分だろ?」

 

驚いたぜ。この槍だけで真名を暴かれるなんてな。

 

「ハッ、有名すぎるのも考え様だな」

 

俺はそろそろ終いにしようと決定打を撃とうとしていた。

 

________

 

 

 

突然、土蔵から魔力の奔流と爆風が走る。

 

すると少し間を空けて土蔵の扉が一瞬にして押し開けられる。

 

押し開けられたと同時に青い影が飛び出して来る。

そしてその青い影は、ランサーに衝突する。

 

「グッ!?……誰だ!?テメェ!?」

 

不意を突かれたにも関わらず、ランサーはその衝突してきた者を受け流す。

 

するとその衝突してきた者は一度距離を取って喋る。

 

「不意を突いたいたにも関わらず攻撃を受け流すとは…やりますね」

 

「──っ!?……7人目の、サーヴァント!……漸くおいでなすったか!」

 

「それにしても、卑怯者だな。己の宝具を隠すとは……お前のそれは剣か?」

 

間合いが測れないのは相手にとっては戦いづらいだろう。たった数手の打ち合いで間合いを測る化け物じみた存在もいる事だが。

 

「さぁどうだろうか。斧、槍、もしくは弓ということもあるやもな」

 

いや、そもそもカキンッ!とか言ってる時点で弓は無いだろうよ。

 

「はぁ、2対1とは武が悪い。元々は様子見でなぁ、ここらで分けって気はねぇか?」

 

これ以上続けるとランサーが恐らく宝具を放ってくるだろう。セイバーは死ぬことは無いが傷が癒えずに今後の戦いに影響を出してしまうかもしれない。士郎が一度殺されて俺も腹が立っているが……ここは、ランサーの言葉に甘えるとしよう。

 

「ことわ──」

 

「あぁ、そうしよう。所でランサーだったな?」

 

「なッ!?貴方は──」

 

それを俺は手で制す。すまないな、少し待ってくれ。ここでアンタに傷を負わせると後々面倒だからな。

 

「ん?どうした?坊主」

 

先程のセイバーとランサーの打ち合いの最中で思い出した事がある。それは、ランサー、クー・フーリンの禁忌(ゲッシュ)の事だ。

 

「いや、なに。アンタとは気が合いそうでな、今度食事にでもどうかと思ってな?」

 

これは、クー・フーリンの禁忌。『目下の者からの食事を断らない』という内容だ。これに対してどう反応するか。恐らく、想像通りだろう。

 

「はぁ、いいぜ?断れねぇしな。その代わり、美味いところ紹介しろよ?あ、そうそう。麻婆豆腐以外でな」

 

あぁ、それは勿論だ。あの神父の下で激辛麻婆豆腐ばかり食べていては胃が爛れるだろう。と言うかそんな重大な情報喋っていいのか?

 

「了解だ。丁度屋台のラーメン屋があるんだ。そこを紹介するとしよう」

 

これはこの世界に来る前からの行きつけの屋台だ。街の景観は殆ど同じな為、その屋台もあるだろう。

 

「よし、決まりだ。じゃ、お暇させてもらうぜ?」

 

そしてランサーは霊体化して消えていった。

 

 

________

 

「サーヴァント、セイバー。召喚に従い参上した。問おう、貴方は私のマスターか」

 

マス、ター?そうか、神楽はこのことを言っていたのか。そう言えば、さっき見た少女じゃないか。

 

「マスター、指示を」

 

指示?……神楽を助けれるだろうか。迷ってる場合じゃないだろ…

 

「神楽を、神楽を助けてやってくれ」

 

「了解しました」

 

すると、このセイバーと名乗った少女は頷いて土蔵から飛び出して行った。

 

神楽、無事でいてくれ。

 

 

 

遅れて土蔵から出ると神楽は何やらランサーと会話をしている。

 

 

 

 

「いや、なに。アンタとは気が合いそうでな、今度食事にでもどうかと思ってな?」

 

食事?なんでさ。そもそもそいつは人を殺してもなんとも思わない奴だぞ?それにここ最近起こっている事件はコイツらが関係しているだろうし。

 

「はぁ、いいぜ?断れねぇしな。その代わり、美味いところ紹介しろよ?あ、そうそう。麻婆豆腐以外でな」

 

断れない?どうして断れないんだ?……それより何故麻婆豆腐以外?……分からない。

 

「了解だ。丁度屋台のラーメン屋があるんだ。そこを紹介するとしよう」

 

ラーメンの屋台……あぁ、あそこか以前神楽が美味しいからいって連れて行ってくれた屋台だ。たしかに美味かった。って、そんな場合じゃないだろ。

 

「よし、決まりだ。じゃ、お暇させてもらうぜ?」

 

俺は神楽の行動が分からなかった。

 

 

 

________

 

 

 

 

次に残る問題はセイバーの件とアーチャーの件だろう。

 

「貴方は何をしたのか分かっているのですか!?」

 

え?何をしたって?敵を食事に誘い、逃げるのを見逃した。

………気が狂っていると思われてもおかしくはないだろう。

だが、気は狂ってはない。至って正常だ。

 

「すまない。今ここでアイツを逃がして無ければ君がアイツの宝具で殺られるところだった」

 

あの槍で傷付けられると癒えることは無い。それこそ、呪いを解くなどしなければならないが、俺達にはそんな力はない。

 

「私はそんな柔な存在ではない!」

 

いや、そら知ってますけど……仕方ない。アイツの情報を言うとしよう。怪しく思われても後からいくらでも言い訳をすればいい。

 

「うむ、それは勿論分かっている。だが、アイツの宝具は別なんだ。因果逆転の槍、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)。それがアイツの宝具だ」

 

それを聞いたセイバーは、驚きに顔を歪めている。

それはそうだろう。後から自分が来たとは言え、サーヴァントの情報が分かるなど、もしかしたら俺のサーヴァントなのではないかと少し疑念があるのだろう。

 

「言っておくが、アイツは俺のサーヴァントじゃないぞ?」

 

何故わかったと言わんばかりに再び驚いている。

だって、わかりやすいんですもん。

 

するとセイバーはいきなり表情をきつくして門の外の気配に気付く。恐らく、と言わなくともアーチャー達であろう。ここでアーチャーが傷を負えば再び面倒な事になる。此処は俺に任せてもらうとしよう。

 

 

________

 

 

「貴方は何をしたのか分かっているのですか!?」

 

何をしたって?神楽はあの青いヤツを食事に誘って、逃げるのを見逃したんだよな?……なにやってるんだ?

 

「すまない。今ここでアイツを逃がして無ければ君がアイツの宝具で殺られるところだった」

 

宝具?何の話なんだ?分からない。さっぱり分からない。後で絶対に話を聴かなくちゃな。

 

「私はそんな柔な存在ではない!」

 

柔な存在じゃなくても女の子が武器を振り回していい理由にはならないだろう。

 

「うむ、それは勿論分かっている。だが、アイツの宝具は別なんだ。因果逆転の槍、刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)。それがアイツの宝具だ」

 

何を、言っているんだ?神楽。

何でそんな事まで知ってるんだ?

 

「言っておくが、アイツは俺のサーヴァントじゃないぞ?」

 

魔術を昨日や今日で知ったはずの神楽の存在が今の俺には遠く感じた。




はい、今回はここまでとなります。
楽しんでいただけたなら幸いです。

神楽が何故ランサーと打ち合う事が出来たかについては、
1. ランサーが本気ではなかった。
2. 聖杯戦争の開催地が日本だったから。
3. 主人公はチートだったから。
になりますかね。書いてた自分でも主人公チート過ぎるじゃなかろうか……なんて思ってました。

主人公の呪文に関しては、
祈る(フランス語)、プリエ
祈り(ドイツ語)、ゲベート
から来ていて、オリジナルですね。

祈り、祈る(プリエベート)

お気に入り登録してくださっている皆様、
この作品を読んで下さっている皆様、
感想、評価をくださった皆様、
本当にありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思います。

2/21 : 御指摘により修正しました。

「突き穿つ死翔の槍」→「刺し穿つ死棘の槍」


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第四話 力の使い方

はい、一週間ぶりですね!お久し振りです。

毎度のことながら驚かされています。
お気に入り登録数何があったの!?
って具合いに……前回の投稿時37件ですよ!?
それでも本当に嬉しくて驚いているのに今回!
なんと!……76件!!UAにつきましては3056です!
評価も頂いて本当に嬉しい限りです。
そして前回に引き続きかなり早めに感想が来て驚きとともに嬉しかったです。
皆さん、本当にありがとうございます!

今回も独りガッツポーズをしてましたw

最近サブタイトルを悩んでます(´・ω・`)

それではどうぞ!

3/5
追記:今週の投稿分について活動報告に記載させていただきました。


私は何をやっていたんだろう。

考えれば普通分かる事だったのに。

 

「一度殺したはずの存在が生きていると知れば、再び殺しに来るだろう──」

 

そんなの分かってたはずなのに、聖杯戦争は人に知られてはならない。神秘の秘匿を守らなければならない。

 

何も知らない一般人が再び生きていると知れば殺されてしまう。早く行かなくちゃ。

 

「アーチャー。早く行くわよ」

 

「了解した。全く、君は苦労する生き方をしているな」

 

「自分でもわかってるつもりだから言わないで」

 

そして私達は夜の街の中を跳んで彼の家に向かった。

 

 

 

 

 

彼処が彼の家なのだろう。だが、明らかに普通じゃない事がある。一人の男がランサーと戦闘を繰り広げていた事だ。

 

片方はランサー!もう片方の男は……サーヴァントじゃないですって!?

 

どうしてよ!?人間がサーヴァント相手に戦うなんて自殺行為もいい所よ!?

 

すると土蔵から爆風が走る。少し間を開けると今度は銀と青の混ざった何かが青い男の方に衝突しているのが見えた。

そこで私達は衛宮君の家の門の前に降り立った。

 

________

 

漸く、やっとこの時代に来た。

ここで奴がふざけた理想などを掲げるなら私は奴を殺らねばならん。だが、まだ奴がその理想を掲げているかは定かでは無い。この聖杯戦争でゆっくり見極めるとしよう。

 

よって、凛には悪いがこのまま記憶喪失の設定で生活するとしよう。

 

ふむ、どうやら凛が衛宮士郎を助けた様だ。

まぁわかってはいた事だがな。よしここで一つ指摘してやろう。

 

「一度殺したはずの存在が生きていると知れば、再び殺しに来るだろう。聖杯戦争では一般人はその情報を知れば魔術師に殺されるか、記憶を消されるかするのだからな」

 

すると凛は慌てた様子で衛宮士郎の家に行くと言い出す。

フッ、やはり凛はどこへ行ってもうっかりしているのだな…

私は懐かしむ様に微笑んだ。

 

 

「アーチャー。早く行くわよ」

 

「了解した。全く、君は苦労する生き方をしているな」

 

「自分でもわかってるつもりだから言わないで」

 

そして私は凛と共に奴の家へと向かった。

 

 

 

 

私は久しぶりに見る衛宮士郎の家へと来ていた。

だが一人、見慣れない者が居る。

アイツは誰だ?私は過去の記憶は殆ど忘れてしまってはいるが、自分の薄れてしまっている記憶の中にアイツがいた試しは無い筈だ。いったいアイツは誰なんだ?

 

それに、奴は正式な方法で英霊を召喚している。

間違いなく最強のカードだろう。

 

……な、アイツは命知らずか!?英霊に生身の人間が立ち向かうなど愚かにも程がある。

 

──ッ!?

……いくらランサーのサーヴァントが本気ではないにしろ、抗戦出来るなど本当にアイツは人間か!?

ま、まぁ何事も例外は付き物なのだがな…

 

 

だがまぁ、アイツが奴にどんな影響を与えるのかは知らんが、私のやる事に変わりはない。

 

そして、私達は門の外に降り立った。

 

________

 

 

アーチャーが門の外にいる様だな。

よし、セイバーさんには此処で待ってもらって……

そして俺はセイバーが居るはずの方へと顔を向ける。

 

………あれ?いない。

 

あ!ちょっと、待てよ!?

またやらかした。頼むから待ってくれよ!

 

しゃあない。

 

──祈り、祈る(プリエべート)

 

今度は先程開けた魔術回路を全て使い、脚力と俊敏に全振りした。

 

ぐっおぅ!……間に、合え!!

 

全力で地面を蹴る。地面はその力に負けて、そこに軽くクレーターが出来上がっていたが、今の俺には関係ない。後で士郎に謝るとしよう。

 

そして塀を跳び超えてセイバーとアーチャーの交戦を食い止めるべく俺は彼等の間に飛び入った。

 

 

が、しかし。

 

 

着地等を全く気にせず脚力と俊敏に全振りしていた為、勢い余って顔から地面へと熱いディープキスをかましてしまった。

 

「おわぁぁぁああ!……ぶへっ!?」

 

ヤバイ、です。弓の弦が顔を打った時より痛いです。

え?それは当たり前だって?そらそうですよね……

 

俺はゴロゴロと道のど真ん中で転げ回っていた。

 

「いってぇ!無茶苦茶いてぇ!顔いってぇ!特に口元!」

 

そこに居た全員の心が多少違えど一致していた事だろう。

 

『何をやってるんだよ(ですか)、お前は(貴方は)』

 

全員で引かないでくれ。やめて!俺のライフはもうZEROだよ!

っと、そろそろ痛みが引いてきた。

だ、だがこれでセイバーの戦意は失せただろう。

フッ、計画通りだ。

 

「そこをどいて下さい、カグラ。相手はサーヴァント、本来なら貴方は立ち向かうべき存在ではない」

 

……ごめんなさい。全然計画通りじゃなかった!

どうしよう!?セイバーさん全然戦意喪失してないよ!?と言うか何で俺の名前しってるの!?

 

と、そこで俺は立ち上がりセイバーさんの方に顔を向ける。

すると、セイバーさんは凄く驚いてます。

どうしてでしょう?え?打った衝撃で顔がおかしいのか?

取り敢えず顔を触ってみよう………うん、おかしい所はないね……じゃあ何でなの?

 

セイバーさんは俺の顔と遠坂の顔を行ったり来たりと交互に見ています。

 

……うん、どうした?いや、ほんと何?……て、顔近いよ!?

 

俺と遠坂の顔を交互に見ながらセイバーさんは俺に顔を近づけさせる。

 

すると、セイバーさんは妙な事を言う。

 

「相手のマスターとカグラの顔、似てますね。兄妹ですか?」

 

「いいえ、違うわ。彼とは何の血の繋がりもないから」

 

………は?……え?いや、は?なんだって?

 

俺は遠坂の言った言葉よりセイバーの言った言葉の方に気を取られていた。

 

遠坂凛の顔と俺の顔が似ている、だって?

嘘だろ?え?ほんとなの?

取り敢えず遠坂の方にも顔を向ける。

すると遠坂は『はぁ…』と言ったような表情をしている。

 

なんで?いや、ほんとなんで?

 

今度はアーチャーの方にも顔を向ける。

すると今度はアーチャーが驚いてます。

 

なんで?あ、いやまぁあんたが驚くのは仕方ないと思うよ?アンタの世界に俺いなかったかもしれないし。

だけどそれじゃあセイバーさんが驚いている理由にはならんよね?

 

………あ、もしかして。いや、まさか、ねぇ?

 

もしや俺の顔、ぐだ男?え?あのぐだ男なの?

皆さん、知っているだろうか。あの有名なスマートフォンアプリ、『Fate/Grand Order』の主人公の事を。彼の容姿と俺の容姿が同じだった様だ……

……今初めて知った衝撃の真実!?

 

「え、えぇ?か、顔が似ているだってー?」

 

内心、むっちゃ驚いてます。棒読みでギャグ風にせず本気で驚いてたら士郎や遠坂に不自然に思われるし…自分でも思うよ、今の俺の演技上手くね?

 

「はぁ、何でアンタまで驚いているのよ」

 

えぇ?遠坂さん俺の容姿が似てる事知ってたの!?……てかそうか、母さん言ってたわ。遠坂は俺の友達だって、言ってたわ。

完璧に今忘れてたわ。あ、今ここで何か返してなかったらそれもそれでなんか駄目だろう。

 

「え?あぁ、まぁなんとなく?」

 

「なんで疑問形なのよ……」

 

自分でもほんとにそう思いますよ。

 

そしてやっとセイバーさんの戦意が失せた所で自分の張り詰めていた神経が事切れて、気を失った。

 

________

 

 

私達は奴の家の門の前へと立っていた。

塀の向こう側からサーヴァントが向かって来ているようだ。

私は凛を守るだけだ。来るなら来い。返り討ちにしてやろう。

 

 

青いドレスに銀の甲冑を纏った麗人がその場に降り立った。

 

私はマスターを守るべくサーヴァントの前へと立ちはだかった。

 

切りかかって来ようとした時、どこからとも無く悲鳴が聞こえてきた。

 

「おわぁぁぁああ!……ぶへっ!?」

 

それは先程ランサーと殺り合っていた男だった。

 

な、何故アイツが跳んでくる!?と、言うよりアイツは着地を考えてなかったようだな…

今アイツは道のど真ん中で転げ回っている。

 

「いってぇ!無茶苦茶いてぇ!顔いってぇ!特に口元!」

 

よくそれだけで済んだものだ。顔の骨を折っていたりしてもおかしくはないだろう。アイツの耐久力は何故そこまで高いのだ?

 

そこに居た全員の心が多少違えど一致していた事だろうな。

 

『何をやってるんだよ(ですか)、お前は(貴方は)』

 

コイツが現れたはいいが相手サーヴァントはまだやる気の様だな。

 

「そこをどいて下さい、カグラ。相手はサーヴァント、本来なら貴方は立ち向かうべき存在ではない」

 

そこで転がり回っていたコイツが立ち上がり相手サーヴァントの方に顔を向ける。

すると何故だろうか、相手サーヴァントは驚いている様だ。

コイツの顔と凛の顔を交互に見ている様だな……どうしてだ?

 

「相手のマスターとカグラの顔、似てますね。兄妹ですか?」

 

な、なん…だと…?凛に兄がいたのか!?いや、弟か?

 

「いいえ、違うわ。彼とは何の血の繋がりもないから」

 

そ、そうか。良かった。って、なにが良かったんだ?

……そんな事より本当にコイツは凛と似ているのか?

 

するとコイツは凛の方に顔を向けた後、私の方へと顔を向ける。

 

 

………に、似て…いる!?

ほ、本当に似ているだと!?分けられた前髪に碧色の瞳、整った顔立ちに爽やかさを感じられる。如何にも見た目完璧そうなのにここぞとばかりに『うっかり』しそうな雰囲気まである。ここまで来ると本当に兄妹なのではないのか!?

そして私は驚きつつ凛に念話で話しかけた。

 

『凛、本当に彼と兄妹では無いのか?』

 

『何度も言わせないで?本当に違うから…』

 

と、言った凛の表情にはまたこの話か…と言った様な様子がみられた。

 

________

 

 

俺は急に門の外へと視線を向ける2人が何故そうしているのか分からなかった。

そもそも、神楽は何故そんなに色々と知っているんだ?

 

俺は2人に話し掛けようと近寄ろうとした。

 

だが、青いドレスに銀色の甲冑を纏った少女が門の外へと跳んでいった。

 

……どうして何だ?外に何があるんだ?

 

一人残った神楽に何故その少女は外に行ったのか聞こうとしたが、その少女を追う様に神楽は跳んで行った。

 

どうして…どうして神楽も跳んでいけらるんだ!?しかも、神楽が跳んだ後には地面にクレーターが出来上がっている!?

 

絶対に、話を聞かせてもらうからな。神楽…

 

俺は家の門を普通に潜って神楽達を追った。

門を抜けようとした時、神楽の悲鳴が聞こえて来た。

 

 

「おわぁぁぁああ!……ぶへっ!?」

 

その一部始終を俺は見てはいないが、どうやら着地に失敗した様だ。顔を抑えながらゴロゴロと転がり回っている。

 

「いってぇ!無茶苦茶いてぇ!顔いってぇ!特に口元!」

 

そこに居た全員の心が多少違えど一致していた事だろうと思う。

 

『何をやってるんだよ(ですか)、お前は(貴方は)』

 

神楽はどうして彼女を追ったんだ?

俺はそう思っていたが、向こうの方に神楽達とは別に2人、誰かが居るようだ。その向こう側にいる2人の内1人、赤い外套の男が中華剣を構えている様だ。

 

神楽は何をしに彼女を追ったのだろうか。

 

「そこをどいて下さい、カグラ。相手はサーヴァント、本来なら貴方は立ち向かうべき存在ではない」

 

そうか、この今の戦いを止めようと割って入ったのだ。だが、この少女の戦意はまだ失われていない様だ。

 

神楽は立ち上がりながら少女の方へと顔を向ける。

すると、彼女はなにかに気付いた様だ。

 

「相手のマスターとカグラの顔、似てますね。兄妹ですか?」

 

ん?神楽と顔が似ている?…それって、もしかして!?

 

「いいえ、違うわ。彼とは何の血の繋がりもないから」

 

遠坂だ。声で分かった。この話はよくある話だった。小さい時、遠坂と神楽が遊んでいた時などよく間違われていた。

 

すると今度は先程の赤い外套の男に顔を向けた神楽。

 

赤い外套の男は酷く驚いているようだった。

その驚き方は、こう、何故か言い表せないが、昔から遠坂凛の事を知っているかの様な、と言ったら良いだろうか、そんな感じなのだ。

 

その後は、神楽がいつもの様な反応をしてその場が和ました。だが、神楽はその殺伐とした雰囲気を掻き消したと同時に気を失った様だった。

 

俺は堪らず神楽に駆け寄った。

 

「神楽!?…大丈夫か!?しっかりしろよ!?」

 

すると先程俺の事をマスターと呼んだ彼女が俺を安心させてくれた。

 

「心配は入りません。マスター、どうやら気を失っているだけの様ですから」

 

そうか、なら、良かった……のか?

いや、俺は何をしてたんだ?俺は、何もしなかったんじゃなかったのか?いや、『何も出来なかった』のだ。

小さい頃だったが、俺を手伝ってくれると、俺の夢を馬鹿にしなかった彼を、ただ、見ている事だけしか出来なかった。

 

 

________

 

 

俺は目が覚めると何時もの自分の部屋の天井では無かった。それと、外が明るいからもう朝なのだろう。

 

「知らない天井だ」

 

やったよ、言いたいセリフのベスト10には入る言葉が言えたよ!

いや、この天井…士郎の家のじゃないか。

 

って、そんな事を言ってる場合じゃないな。

俺は、昨日……何があったんだ?

 

確か…ランサーを追い払って、セイバーとアーチャーの間に割って入った……だったよな?

 

俺は体を起こそうと力を入れるが全身に痛みが走った。

 

「───ッ!?」

 

声にならない悲鳴という奴だろうか。

こうして冷静に判断するのも難しい程に痛い。

 

起き上がろうと身体を無理やり起こす。

激痛だった。顔の痛みはほとんど無いが、脚や筋肉、身体の節々が悲鳴を上げている。どうやら無茶をし過ぎた様だ。

 

そこで、士郎達が部屋に入ってくる。

 

「あ、神楽。もう起きたのか、身体は大丈夫なのか?」

 

おう!おはよう!と返そうとしたが遠坂の言葉に遮られた。

 

「貴方ねぇ!そんな悠長な事言ってる場合じゃないわよ!寝てなきゃダメなのよ!」

 

え?なに?俺そんなに身体悪いの?

少々強引に再び布団に寝かされる。

痛いです!もう少し優しくお願いしますよ……

 

すると、遠坂が俺の身体について説明しだす。

 

「まったく、アンタの身体はどうなってるのよ!全身に痛みは感じないの?アンタ筋肉やら骨やら神経やら全部ズタズタよ!?」

 

・・・ゑ!?

 

確かに痛いですけど我慢出来ない程ではないですよ?

 

「確かに痛いですけど…我慢出来なくは無いですよ……?」

 

すると遠坂は驚いて開いた口が塞がらないようであった。

 

「え?なに?アンタその体で動けるの?」

 

「?……多分動けると思うけど?と言うか今起き上がってたじゃないか」

 

士郎もそれに賛同する。

 

「確かに動けてたな」

 

それに魔術を行使すれば恐らく治るだろう。

 

──祈り、祈る(プリエベート)

 

すると自分の身体は薄緑色の光を放ち始めた。

 

全身の力を抜いて、周囲の大気中から魔力を吸収するイメージで、身体の細胞という細胞を癒して行く感じに……

 

徐々に痛みが消えていく。ふぅ、治ったみたいだな。

 

布団から出ると士郎はそうでも無いが、遠坂が偉く驚いている。

 

「ね、ねぇ?神崎君?今、何したの?」

 

え?何って単に治しただけですよ?あ、そうか魔術にしては効果がありすぎるんだっけか?あれ?じゃあなんで治ったの?

 

「何したの?って治したんだけど?」

 

このセリフには2人とも驚いている様だった。

ふっふーん。してやったりィィィイイ!?

 

耳引っ張らないでよ!?なぁにやってんの遠坂さん!?

 

「痛い!痛いです!痛いですからやめてくれぇぃ!?」

 

俺も何言ってるかよくわからんことになってるじゃないか。

 

俺は遠坂が耳を引っ張るのを無理やり解いて逃れる。

 

「確かに、治ってるみたいね…」

 

その声には動揺から震えていた。

と言うか何ていう確かめ方してんだよ!?耳が引き千切れるかと思ったよ!?

 

「それにしても貴方に聞きたいことがあるのよ」

 

するとそれに続いて士郎も聞きたいことがあるという。

 

「あぁ、俺も聞きたい事だらけだ」

 

俺はこれからどうしろと言うんだ?

俺には他にも色々と対策を練って一つ一つ解決しなければならない。

 

次に対処しなければならない問題は、この2人の質問攻めにどう対処するか。

それと、ランサーとの食事、ライダーに桜、バーサーカーに……そうだ、言峰の教会に参加表明しに行くのはどうなったのだろうか。確か、アニメでは昨日のうちに行くはずだったのに……雰囲気的にまだ行ってないようだな……

 

俺は次にしなければならないことを考えつつ今この状況をどう説明するか悩んでいた。

 




はい、今回はここまでとなります。
如何だったでしょうか。
楽しんでもらえたのなら幸いです。

ところでですが!
Vitaのレアルタヌア買いましたァ!!
漸く手に入ったので嬉しいです。

今回で明かされた主人公の容姿。
前々から予想してた方もいらっしゃることかと思います。
分かったという方々、やっぱり『うっかり』ですもんねw
あの容姿にはうっかりする人しかいないのだろうか…


主人公のステータスについてはもうしばらくお待ちください。当分時間がかかりそうです。
すいませんm(_ _)m
それと主人公は自分の力の事を詳しく理解していないことを前提に物語は進みます。


誤字、脱字等ありましたら報告して下さると助かります( ´ ω ` )

お気に入り登録してくださっている皆様、
この作品を読んで下さっている皆様、
感想、評価をくださった皆様、
本当にありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思います。


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第五話 参加の決意

はい、2週間ぶりですね。お久しぶりです。
遅くなってしまい、すいませんでした。
お気に入り登録数が前回、76件でした。
そして今回!121件になりました!
そして総合評価が125に……えっと、本当に何があったのですかね?…物凄く嬉しいです。
UAが4569になりました!
本当にありがとうございます!

そして、評価バーに色がつきましたァ!!

黄色です!

その日の朝起きて見て、
『あ、なんだ…見間違えか……うん?……おぉ?!』
みたいな感じになりました。評価して下さって、ありがとうございます。

次回はお気に入り100件を越えた記念として番外編を投稿したいと思います。

とまぁ前置きはこのくらいで…

それでは、どうぞ!


「それにしても貴方に聞きたいことがあるのよ」

 

するとそれに続いて士郎も聞きたいことがあるという。

 

「あぁ、俺も聞きたい事だらけだ」

 

遠坂が言いたいことはわかるんだが士郎は何を知りたいんだ?うーん、わからん。

悩んでいても仕方ないし、素直に聞き入れるとしよう。

 

「あぁ、何でも聞いてくれ……と言ってもまぁ、自分でも分からん事の方が多いんだけどな」

 

これで答えられない問いには分からないが通用する。悪いが保険を掛けさせてもらった。

 

すると先に士郎が聞いてきた。

 

「神楽、なぜお前はそんなに詳しいんだ?昨日のあの青いヤツの事とか…」

 

どうやら外でセイバーもアーチャーもこちらに聞き耳を立てている様だ。何となくだが気配を感じた。

 

「あぁ、それについてはだな、俺の知識量だと思う。というかアイツの事は半信半疑だったと言うか、当てはまる所が何個かあって鎌をかけたらまんまと引っかかったってところだな」

 

何度も言った事だが、ここに来る前に調べていた事だ。

それと、前の俺の家には地下に大量の本があった。それはこの世界でも同じ事だったし、それの内容も全部は確認していないがほとんど同じ内容だったと思う。違うところと言えば、聖杯戦争の事について書かれていた本や英雄達の伝記があった事だろう。

 

それに続けて士郎はもう一つ質問してきた。

 

「お前、昨日今日で魔術の存在を知ったんじゃなかったのか?」

 

すると遠坂はそれを聞いて驚いていた。

 

「それについてはだな…どうやら俺は記憶を封印されていたみたいなんだ。父さん達にだ…」

 

それを聞いた2人は驚いていた。

 

「最近、お前物忘れが酷いようだったけどそれと何か関係があるのか?」

 

「あぁ、恐らく記憶が混濁してて混乱してたんだと思う。徐々に思い出していて、遂にこの手帳を開けて魔術と記憶の封印が漸く解けたってところだな……今では昔の記憶はあまり思い出せない。恐らくだが、さっきも言った様に記憶の混濁で一時期忘れているだけだと思う。あの手帳を開けてから徐々に自分の記憶を取り戻しているような感じがするんだ」

 

最初、俺は並行世界から意識だけがこの世界の俺に乗り移ったんじゃなかろうかと考えていた。だが、それは本当なんだろうかと思った。だが、fateと言う作品などを知っていると言うこから、恐らくは並行世界から此処に来たという事で合っていると思う。

 

そして2人は俺の言葉に顔を少しだけ暗くしたが再び質問してきた。

今度は遠坂からだった。

 

「さっきの事もだけど、あなたの魔術…どうなってるのよ!あんなの現代の魔術じゃ考えられないわ!」

 

なんでそんなに効果があるのかは知りません。何となくでしか魔術使ってないしなぁ。使い方も合ってるのかよく分からんし。そもそもそんなの無かった場所で生活してましたし?分からんのですよ。

 

「うーん、それについては俺もわからないんだ。どうしてあんなに効果が出るのか……そもそも使い方もよく分かってないし…」

 

これには遠坂もすごく驚いてました。というか!?遠坂さん!?胸ぐら掴むの止めてくれますかぁ!?

そして胸ぐらを掴んだまま次の質問をしてくる。

 

「そもそもなんでサーヴァントと戦えるのよ!」

 

少し怒り気味だ。そんなカリカリしてても得な事なんかないぞ?ほんと……カルシウム足りてないんじゃないか?……っとまぁそれは置いといてだな。

離してくれなきな喋れんがな。

 

「ちょ、離してくれます?じゃなきゃ喋るづらいっす」

 

「えぇ、じゃあ離すからきちんと喋って(吐いて)もらいますからね?」

 

笑顔が貼り付いているというような表情をしている遠坂。今の状況全く優雅じゃないよ?あんたの家訓どこ行ったよ。

それに今、なにか聞き間違えたのだろうか。吐いてって聞こえたような。聞き間違えじゃないですよねー……はぁ…

 

「それについてはあれだな小さい時から鍛えてたって言っても納得してくれないよなぁ…」

 

さっきから笑ってはいるのに全然穏やかじゃない。

これが優雅と呼べるのだろうか。いいや、呼べないだろう。ミスパーフェクトと呼ばれているのがどうしてなのかと考えてしまう。恐らくこういう表情は学校等では出さないのだろう。そうしなければ、そう呼ばれることも無いだろうし。それを考えるとだいぶ苦労してるんだろうなと思ってしまう。が、口にはしない。まだ死にたくないし。

 

「えぇ、納得出来ないわね。もっと詳しく教えてくれるかしら?」

 

そして俺は無言で手帳のあるページを開いて見せた。

 

すると遠坂は何なのよこれはと言いたげに手帳をしゃくり取って読み始める。

 

「な……な、何なのよこれは?!こんなのズルじゃないの!現代において魔術とは『まぁあったら便利かなぁ』って言うくらいのもんなのにこんなのにこんなのおかしいわよ!」

 

「恐らくそのお陰で強化やら、今の怪我等も治ったと推測されまする……」

 

デスヨネ。自分でもおかしいと思うよ。未だに重要だと思える記憶は入ってきてないし。あ、いや2つくらいはよく分からんけど入ってはいるのか……

 

すると士郎はなんの事だかわからないと言った表情で俺と遠坂を交互に見る。

 

「神崎君、貴方、魔術の事をどのくらいまで知ってるの?」

 

「だいたいしか知りませんね。基本的に等価交換であり、触媒を使用しなくても己の魔力を消費してその効果を表していて、魔術回路は一子相伝みたいなもので親から子へと代々受け継がれる代物でありまして。魔術は神代から現代へと衰えて来ているにも関わらず魔術の根源へと至る為、過去へ向かって突っ走ろうとしている。というのをこの手帳を読んで思い出しました。それに伴い頭がものすごく痛い次第でありまして……今は休息をとらせていただきたいのですがそれは……」

 

そもそもこの知識は自分が元から知っている知識だ。

この世界に来る前に色々とfateの魔術関連を調べてみて小出しした知識だ。

 

「殆どそれで合ってるけど、自分の魔術は他の魔術師には隠すべきよ。それと、もう少しで終わるから待ってもらえる?……あ、そうそう…貴方の親は何をしている人なの?」

 

ん?俺の親達?俺を置いて妹の方へ行った両親?ロンドンに転勤とかいう馬鹿げた親達の仕事?

 

「えっと、確か海外に旅行という名目の転勤でロンドンに妹と一緒に行ったはずです。俺は詳しく聞いてないので『他の人に聞かれたら旅行って言っといて〜』と言われたんで…」

 

みんなはこの事を何故喋った(吐いた)?…と、思うだろうが此処で誤魔化すのは良くないですよね。

 

だって、右の掌を気を付けの姿勢の様にピンと伸ばして、左手で右腕を支えているポーズを執っていますし……オォ、オソロシヤ…

 

それと、今の図を表すと布団の上で正座をしている俺に対して、遠坂は仁王立ちで今にもその手にしている手帳を破かんばかりの怒声を上げているような図だ。

右手はそのまま俺の方を向いているし……

ちなみに士郎はその俺と遠坂の横に正座して俺達を見守っている感じだ。

 

遠坂はまさに今までの私の苦労は何なのよと言ったように少し遠い目になっている。それもそうですよね。死に物狂いで頑張ったのに、ポッと出の俺に魔術の質で越されそうなのだから。

 

俺だって頑張ったのにいきなり現れたやつに抜かれそうになったら怒り狂いそうだし。それに自分の魔術回路は親から受け継いだものではないと思う。今現在は7本開いていると思うのだが、まだこれ以上あるように思うし。

 

「えっと、判っていただけたでしょうか…?」

 

「えぇまぁ、だいたいね。今の所はこれくらいで許してあげるわ」

 

ほんと、ありがとうございます。これ以上やられると俺は精神的に死にそうでしたし……

士郎的にはまだ納得出来てなさそうだ。

あ、そう言えば……

 

「士郎……庭のクレーターの事なんだが……すまん。許してくれ、いや、許してください」

 

俺は士郎の方に向き直ると正座のまま頭を下げた。

つまりは土下座の形である。

 

「え?!あぁ、いや、いいよ。それより頭を上げてくれ。それくらいなら直ぐに治るさ。というか昨日遠坂が窓を治すついでに治してくれたから…」

 

え?マジすか?遠坂さん、ほんとありがとうございます…

 

「遠坂……すまん。ありがとう」

 

すると遠坂は少し顔を赤くしてそっぽ向いてしまった。

ん?なんでそんな反応すんの?まぁ、いいか。

 

それよりこれからどうするかだよな…

 

「神楽、あの時は今は何も聞かずこれを読めってこの紙を渡してきたよな?その、マスター? だとかはいまいち判ってないんだ。教えてくれると助かるんだが…?」

 

そう言って士郎はあの時のメモを渡してきた。

 

あーそう言えば、その紙渡してたなぁ……っ!?

後ろが…後ろが何故か怖い…振り向くのが怖いです。

壊れた機械仕掛けの玩具の様にギシギシと首を回しながら後ろを向いた。

 

何ということでしょう。そこには笑顔で俺のことを見ている遠坂さんがいるではありませんか。

さぁて、俺はちょっくら用事ができたんでお(いとま)させてもらうとします。

 

俺は立てろうとしたが遠坂さんは逃がさんぞと言うように俺の肩を掴んで座り直させた。

 

「神崎クン?…まだ何かと知っているようね?全部話してもらえるかしら?」

 

その笑顔は俺にとっては毒でした。

 

_________

 

まったく、何が『思った事が現実に起こる』よ、そんなの魔術協会が知ったらホルマリン漬けになるの待ったナシじゃないの。

 

私のこの10年間は何だったのか、と思えてくるのだけど?私の苦労は彼と比べれば月と鼈なのに…

ほんと彼、何なのよ。それに妹と両親がロンドンに行ったですって?それどう考えても時計塔じゃないの?両親は恐らくそこで働いているのだろう。転勤と言っていたが日本の支部で働いていたのだろうか…?

 

等価交換の概念ガン無視の魔術だなんて……いや、でも魔力は消費するから等価交換なのかしら?それなら消費量はどのくらいなのかしら……どう考えても少なすぎるような気がするのだけれど……って、そもそも己の使える魔術は他の魔術師にそう易々と教えていいものじゃないのに……あ、私が説明してって言ったんだったか……

 

「士郎……庭のクレーターの事なんだが……すまん。許してくれ、いや、許してください」

 

彼はそんな事を気にしていたの?そんなの地面なんだから土を入れればどうとでもなるのに…それにその事については私が治したわよ…

 

「え?!あぁ、いや、いいよ。それより頭を上げてくれ。それくらいなら直ぐに治るさ。というか昨日遠坂が窓を治すついでに治してくれたから…」

 

すると彼はこちらへ向き直り、ここに女神がいたのか!

と言わんばかりに救われたような顔をしていた。

 

「遠坂……すまん。ありがとう」

 

な、何でそんな笑顔で言うの?それにそんな事で言う程の物でもないのに…

 

私は無意識に顔を彼から背けていた。

 

もうこの歳になると昔みたいに『凛ちゃん』なんて呼んではくれないか…それに私も『神楽くん』なんて恥ずかしくて呼ぶことも出来ないし。

あ、そもそも彼は記憶が曖昧になってるから今は覚えてない、か……

 

──あれ?いくらお粗末な召喚だったとは言え記憶が曖昧なアーチャーと、数ヶ月前から様子がおかしかった彼。手帳を開けた事で少しずつ記憶が戻っている……つまりは記憶が曖昧……?

 

手帳に掛けられた魔術が少し、間の抜けたものだったとすれば──

 

色々と考えてはみたのだが何もかもが憶測でしかなく、確証を得られるわけでもないのでこの事について深く考えるのはやめた。

 

この話に区切りが付いたと思われた頃、衛宮君は爆弾を投下した。

 

「神楽、あの時は今は何も聞かずこれを読めってこの紙を渡してきたよな?その、マスター? だとかはいまいち判ってないんだ。教えてくれると助かるんだが…?」

 

その紙に書かれていた内容は遠目からでもわかる程綺麗な字で英霊召喚の呪文が書かれていた。

私はてっきり彼は魔術の事を知っているのを隠していたのだと思っていたが、どうやら違っていたみたいだ。そもそも、この町に2人も、しかもその片方は家族ぐるみで、預かり知らぬ魔術師が生活してたなんてセカンドオーナーである私に挨拶にこないのはどうしてよ!……あ、そもそも魔術について詳しくなかったんだったか……いや、でも神崎君の家族は来てもいいはずよね?…っと、その事は置いといて、今は彼にもっと話を聞かなければならなくなった…

 

色々と考えていたが、彼が逃げ出しそうな雰囲気が感じられたので笑顔で肩を掴んで座り直させた。

 

「神崎クン?…まだ何かと知っているようね?全部話してもらえるかしら?」

 

彼は観念したらしく、大人しく話してくれるみたいだった。

 

「えっと、さっき手帳を開けた事によって記憶が戻り始めていると言いましたよね?…それと(うち)の地下に大量の本があることをご存知だと思うのですが…その本の中に聖杯戦争に関係するものがありまして……そこで色々と知った訳なんですが、記憶を封印されてたのでその事も忘れていたって事です。ハイ」

 

なるほど、そういう事だったのか。

心して聞いて損した気分である。

そしてその後は私と神崎君で衛宮君に説明して今日の深夜に、言峰──エセ神父──の元に聖杯戦争への参加表明をしに行く事になった。

 

_______

 

 

色々と解らない事だらけだったが、神楽と遠坂のお陰で色々と知ることが出来た。

 

まず、神楽の説明でだいたいは魔術のことが分かった。

それと、聖杯戦争とは7人のマスターとサーヴァントによる、バトルロワイヤルだと知った。

 

そして、サーヴァントにはクラスというものがあり、

俺のところにいる『セイバー』、遠坂の所にいる『アーチャー』、昨日俺の命を奪ったはずの『ランサー』、それとまだ見たことの無い『キャスター』、『アサシン』、『ライダー』、『バーサーカー』といるらしい。

 

俺は、本当はセイバーに戦ってほしくない。

だけど、俺に戦う力は無い。

昨日の神楽の様にサーヴァントとも戦えるようになりたい。その為に、努力は惜しまない。

だけど、神楽は中学の時、俺に言った。

 

『そんなに救う事だけを考えて生きてちゃ、疲れるだけだと思うぜ?時には、羽を休める時だって必要なんだ。いざって時に動かなければダメだしな。それに[救う事しか考えてない士郎は人間じゃないように見える]。それは、俺にとっては嫌だ。他の人にとっても嫌だと思われる。何故か分かるか?ちっとは、他人のことも考えろよ?みんなが皆、お前が犠牲になればこの世界は救われるだなんて思っちゃいない。皆、お前の事を心配してるんだよ……自分で気が付かなきゃ意味が無いとかってよく言うけどな?お前には面と向かって言ってやらなきゃ伝わらんと思って言った。だから、お前一人が抱え込む必要なんてないんだ。俺がいるんだから、役割分担していこうぜ?』

 

そう言って俺を手伝ってくれた。

俺に、救う事以外を教えてくれた神楽。

だから俺は自分に出来る事はやる。だけど、出来ない事は他人に任せる……だけどやっぱり、神楽にだけ任せっぱなしには出来ない。俺だってやってみせる。セイバーに戦う為の……いや、せめて、自分を守れる様、闘う為の技術を学ぼう。戦う為の技術は今でなくていい。

 

それと、今の彼奴は、一人で抱え込もうとしてる雰囲気だ。何年一緒にいたと思ってるんだか……知らないと思ったら大間違いだ。今は無理でも、その重荷、いつか俺にも負わせろよ……神楽。

 

 

 

そして話は戻るが、勝ち残った最後の一組が聖杯を受け取る権利が与えられ、己の願いが叶うというものだった。

 

そんな…そんな、馬鹿げた事のために何人もの人達がこの町で亡くなっている。何も知らない一般人達が亡くなっている。その事だけでも俺には耐えられない。

俺はこの馬鹿げた聖杯戦争というモノを終わらせるべくこの闘いに参加することを誓うのであった。

 




はい、今回はここまでとなります。
如何だったでしょうか。
楽しんでもらえたのなら幸いです。

今回もそんなに進まない事について本当に申し訳ない。

士郎は確か、『人間になろうとしているロボット』と例えられていたと思いますので、それの成分をマイルドにしたかった今回の最後方の話です。
神楽のこの言葉で士郎は救う為だけに生きているというようなことは無く他の事にも興味を示していて、原作の根本より人間味がある形になっています。

アニメとかで見ると日常生活とかは普通の人間のように見えるんですけどね…

※これから4月以降忙しくなるので更新が不定期になってしまいます。本当に申し訳ないm(_ _)m
完成次第投稿していきたいと思います。

この作品を読んでくれている皆様、
お気に入り登録、感想、評価をくださった皆様、
本当にありがとうございます。
これからも頑張っていきたいと思います。


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本編の後 番外編 いつかの休日

はい、今回は番外編……の予定だったのですがほとんど本編になってしまった。
何を言っているのか(ry
時間帯としては、今現在の本編の次の週の土曜日頃でしょうか……今回は番外編って事で軽く流す予定だったのに……
本編は次の週の土曜まで行ってませんがそこには触れないでくだせぇ…

そして、今回は賛否両論の回となってしまう……
こんなの美綴じゃねぇよと思う方もいるかと思いますが、作者の妄想として軽く流して欲しいです。
そんなのはどうしても無理だ。って人は見なくても大丈夫だと思います……

眠たい中、勢いで書いたのでおかしな表現があるかもです。あまり気にしないで欲しいです…

大分あとの方が番外編になるかと思います。
お気に入り登録数が100件を越えたのでそれを記念して作ってみました。もう既に164件になりました。すごく嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m

それではどうぞ!



今日は土曜である。時刻は午前6時。現在、俺は士郎の家にお世話になっている。

 

つまり、何が言いたいのかというと……

 

 

部活の朝練があるのである。

 

 

おい、今、溜めて言う必要はないだろうよって思っただろ? それと、つまりじゃねぇよ、と。

まぁ、そうなんだがな?

 

 

俺は、前にも言ったと思うが弓道部なんだ。

それがどうしたよ。と思うだろうが今の俺には結構重大な事なんだ。

 

 

それは、眠たいのだ。とてつもなく眠たいのだ。

至極どうでもいい事だと思っただろう。確かにそのと、おり………はっ!?二度寝するところだった……

 

部活が始まるのは確か7時だったと思う。

そしてもうそろそろ起きてご飯を食べなければ間に合わなくなってしまう。

後、後5分……はぁ…だめか。

 

起きようか……

 

 

さて、着替えて顔洗って……

 

そして俺は居間に来た。

士郎がご飯を作っているところだな。本当にありがたい。朝が強い訳じゃない俺は本当に助かる。

 

「あ、おはよう。神楽……今日って確か朝練だったよな?早くご飯食べて行かなければ遅刻するぞ?」

 

毎度思うが何でそんなおせっかい焼きなんだ?

だからオカンなんて呼ばれるんだよ。オカン。

 

「あぁおはよう。はぁ、眠てぇな……」

 

さて、士郎のご飯の支度の手伝いを───

 

「神楽?大丈夫ですか?」

 

セイバーさんが眠気で倒れそうな所を支えてくれた。

 

「あ〜セイバーさんや。いつも済まないねぇ」

 

「いえ、このくらい、礼を言われるまでもありません。それより大丈夫ですか?」

 

いや、なんかごめん。やっぱこのネタ分からないか。

と言うより心配されちまったよ。

 

「あぁ、大丈夫だ。さてと、士郎を手伝うか」

 

俺は一つ伸びをして士郎の料理を手伝った。

 

 

今朝のおかずは玉子焼きとのワカメの味噌汁、それと俺が作った白菜の漬物だ。

白菜の漬物は洗って切った白菜を容器に入れ、塩をまぶして揉んで重石をしておき一晩くらいおく、それを朝少し濯いで水気をきったら終了だ。お手軽に出来て美味しい。自分の中ではご飯のお供に欠かせない存在である。

 

「神楽、この白菜の漬物美味しいな」

 

「えぇ、この白菜の漬物…しっかり味が効いていて、よくご飯が進みます」

 

いや、本当に嬉しい限りだ。こんな簡単な物でよろこんでくれるなんて。よし、これからも何かしら喜んでくれそうなものを作るとしよう!

二人に気付かれず俺はひっそりとそう思うのだった。

 

さて、朝ご飯も食べたことだし、今の時間は…6時半…だと?……やばい…ゆっくりし過ぎた。

 

「士郎! 俺、部活行ってくるわ! それと、朝ご飯美味しかったぞ!」

 

そう言って俺は学校にすっ飛んで行った。

最後になにか聞こえた気がしたが気にせず走って行った。

 

________

 

 

今朝は神楽が漬けていた白菜の漬物を食べていた。

それは塩の分量やカットされているサイズ等、何もかも丁度良い物であった。俺は以前にどのくらいの塩の量を入れているのか聞いてみたのだが、『俺が作る料理は毎回目分量だからな。その時その時で味が薄かったり濃かったりする。まぁ、最近はそんなこともなくなってきたのだがな』と言って詳しくは教えてくれない。

彼がこの白菜の漬物を作る時を見てみたのだが毎回塩を入れる量が違うのだ。

……なるほど、白菜や塩の量等、濯ぎ方で味が毎回殆ど同じなのか。って、俺も同じような事をしてるじゃないか。今度俺も白菜の漬物を作ってみるとしようかな。

 

 

神楽の奴、テレビ観てるな……そんなにゆっくりしてると遅刻するぞ? まったく…お、ようやく気がついたみたいだな。

 

 

「士郎! 俺、部活行ってくるわ! それと、朝ご飯美味しかったぞ!」

 

藤ねぇみたいなことを言いながら神楽は急いで行った。

 

「気を付けてな!」

 

「士郎、神楽はもう家を出たようですが…」

 

あぁ、知っているさ。いつもの事だしな。

 

「まぁ、いつもの事だしな。心配ないだろう」

 

そして俺は皿洗いが終わり、片付けをしていた。

 

 

「ところでシロウ。今日のお昼は何ですか?」

 

はぁ……セイバー。さっき朝ご飯食べたばっかりだぞ?

もうお昼って早すぎないか?

 

「あの、セイバーさん?」

 

「……? 何ですか? シロウ」

 

可愛らしく首を傾げるセイバー。

 

「さっきご飯食べたよな?」

 

「はい。食べました。とても美味しかったです。……どうかしましたか?」

 

セイバーは凄く満足気に言ってくれる。料理をする者からしたらこう言われるのは嬉しいのだが……はぁ、こう言われてしまうと何も言えなくなってしまうな。

 

「いや、何でもない。それより、今日のお昼ご飯はな?───」

 

いつも美味しそうにご飯を食べるセイバー。

 

いつも遅刻ギリギリになる神楽。

 

いつも起きるのが遅い遠坂。

 

いつも騒がしい藤ねぇ。

 

いつも手伝いに来てくれる桜。

 

何一つ変わらぬ日常。

 

こんな、平和な生活が長く続けば良いのにな。

 

 

 

_________

 

 

 

さてと、今日は始まる10分前に着くことが出来た。

10分前ともなっているのに、部員は主将の美綴くらいなもので、藤村先生は恐らく職員室に居るのだろう。今日は朝御飯を一緒に食べていなかったのだが何かあったのだろうか。

 

美綴はもう既に準備を終えて道場を眺めていた。

 

「おはよう。神崎、今日は一段と早いな。いつも遅刻ギリギリなのにな」

 

ニヤニヤと俺をイジってくる美綴さん。

 

「お、おはよう。朝は苦手なんだよ…今日は偶然だよ」

 

「その偶然が何時も続けば良いのにな」

 

まだニヤニヤと言ってくるよ。ほんと、その偶然が続けばいいと思うよ。

 

そして俺は、前に教えてもらったように道着を着て準備をして始まるのを待っていた。

 

俺はちゃぶ台を挟むように美綴と反対側に座った。

2人ともに道場を眺めている。

 

始まるまで何もする事がない上に美綴と2人きりになってしまっていて……はっ!? 俺は何を期待しているんだ!? 煩悩よ、何処かへ行ってしまえぇ!

 

 

……はぁ、はぁ。俺は、チラリと美綴の方を見たが、美綴はこちらを気にするまでもなくぼんやりと道場を眺めていた。はぁ…独り問答している所を見られなくてよかった。美綴にこんな姿を見られると恐らく俺は部活には当分来れそうにない。

 

 

部には丁度休憩が出来るようにちゃぶ台や急須、茶葉等取り揃えられていた。何でも士郎が居た頃はいつも皆に振舞っていたそうで、取り揃えたのは藤村先生だと他の部員から聞いた。藤村先生ェ……

 

まぁいい、今はこの何も言えない雰囲気を打開するべく話し掛けようとした。

 

「な、なぁ。美綴?」

 

「ど、どうした?神崎」

 

「喉、渇かないか?」

 

「なんだ?お茶でも淹れてくれるのか?」

 

「あぁ、丁度喉が渇いてな。一緒にどうだ?」

 

「じゃあ、お願いするとしようか」

 

よし、この雰囲気から逃れられる。

俺は士郎から習ったお茶の淹れ方通りに淹れた。

 

ふむ、良い感じだ。

湯呑みを2つに淹れてと、よし。

 

「お茶が入ったぞ」

 

「悪いな、神崎」

 

「いや、気にしないでいいよ」

 

「なぁ、神崎。今日暇か?」

 

「ん? どうした?」

 

「いや、この間の借りを返そうと思ってな」

 

「フッフッフ、俺に勝つなどまだまだ早い!」

 

「今度こそ勝ってやるからな!」

 

何の事かと思えば…以前にゲームセンターで格ゲーをしている時にバッタリと出会ってしまい、勝負を挑まれて俺の勝ち越しとなっていたのだ。

 

制限時間は無しで縛りも無し、体力がゼロになった方の負けというルールだ。実力が物を言う世界。

 

一人100円ずつ入れ、一回試合が出来るという仕様。

その日の昼頃から始め、勝敗は10戦中6勝4敗だった。いつの間にか周りには人集りが出来ていて俺と美綴の試合を観戦していたようだ。

 

俺は昔からゲームが好きだった。幼い時に1度だけ格ゲーをした事はあったが小学、中学となってくる頃にはどの店舗でも格ゲーの筐体は殆ど取り扱われてなくてこの世界で見つけた時どれ程嬉しかったことか…

 

その戦いの再戦を挑まれた様だ。

よし、その勝負、今日も勝ってやろうじゃないか。

 

「よし、その勝負、今日も俺の勝ち越しで決まりな?」

 

すると美綴は悔しそうに言う。

 

「うぅ…悔しい。絶対に今日こそは勝ってやるからな!」

 

フフン。今日も勝たせてもらうもんねー。

 

「よし、じゃあ勝負に勝てたら『何でも一つだけ命令が出来る』ってのはどうだ?」

 

ほう、じゃあ何をお願いするとしますかねぇ。

 

 

_________

 

 

よし、着替えたし準備も出来たし、後は部員が来るだけか…

おっと? 今日は一段と早く神崎の奴が部活に来ているな。

 

「おはよう。神崎、今日は一段と早いな。いつも遅刻ギリギリなのにな」

 

 

「お、おはよう。朝は苦手なんだよ…今日は偶然だよ」

 

早寝早起きはきちんとしてるのか?まったく……

練習とかしたらどうなんだ?いつも遅刻ギリギリだしな。

 

「その偶然が何時も続けば良いのにな」

 

そして神崎の奴も準備を終えてちゃぶ台を挟んで隣にいる。

 

 

……よく考えたら今は神崎と2人きり……今日、買い物に誘ったら来てくれるかな……って、何を考えてるんだ私は! いや、何もやましいことなんてない。ただ、買い物に誘うだけだ……そう、買い物に……

 

 

「な、なぁ。美綴?」

 

「ど、どうした?神崎」

 

今の声、変じゃなかったよな?甲高い声じゃない…よな?

 

「喉、渇かないか?」

 

ん? 喉? うーん、少し乾いたかな。

 

「なんだ?お茶でも淹れてくれるのか?」

 

お茶なら美味しいのを頼みたい…と言っても、こいつのお茶は士郎直伝の技術だからな。心配はいらない。驚く程に美味しいのを淹れてくれるしな。

 

「あぁ、丁度喉が渇いてな。一緒にどうだ?」

 

やった♪ 神崎のお茶だ! って何をお茶だけで喜んでるんだ私は!

 

「じゃあ、お願いするとしようか」

 

 

それから暫くして神崎がお茶を淹れてきた。

 

 

「お茶が入ったぞ」

 

「悪いな、神崎」

 

「いや、気にしないでいいよ」

 

「なぁ、神崎。今日暇か?」

 

暇なら…か、買い物に……無理だ。どうして言えないんだ…

 

「ん? どうした?」

 

よ、よし……あれなら…

 

「いや、この間の借りを返そうと思ってな」

 

丁度いいな。

格ゲーで負けて悔しいしな。4勝6敗ってのは本当に悔しい。後少しの体力……後、少しだったのに。

 

「フッフッフ、俺に勝つなどまだまだ早い!」

 

くぅ……絶対に勝ってやる!

 

「今度こそ勝ってやるからな!」

 

「よし、その勝負、今日も俺の勝ち越しで決まりな?」

 

悔しい…物凄く悔しい。特にあの『──ついて来れるか』的な感じの雰囲気で言ってくる感じ。ついて来れるかじゃない。神崎の方こそ私について来い。

 

「うぅ…悔しい。絶対に今日こそは勝ってやるからな!」

 

「よし、じゃあ勝負に勝てたら『何でも一つだけ命令が出来る』ってのはどうだ?」

 

我ながら呆れるような賭けだ。ただ買い物に誘う為だけにこの賭けをしている。普通に言えない自分がおかしいのだろうか。きっとおかしいのだ。

 

さてと、今日こそは絶対に勝ってやる。

 

_________

 

 

部活が終わって一度家に帰り、着替えてから再び美綴と会った。

 

 

「えーっと? よし、きちんと財布持ってるな……忘れ物…無い…よな?」

 

目的地についた後から確認する俺……アホ過ぎる……

まぁいい、それより美綴は……あ、いたいた。

 

俺は美綴の姿に見蕩れていた。

 

───いつもは制服姿か道着姿のどちらかで、私服などは見たことがなかった。

 

普段学校生活の服装でも美綴は着こなしていて凄く様になっており、いつ見ても凛々しい。しかし、この私服姿は滅多に見られない、それが惜しい。

 

 

 

つまり、一言で言い表すなら……

 

『めっちゃ可愛い』

 

いや、もう何? 普段着ない様な服ってここまでインパクトあるの? ギャップ萌えってやつ? マジやばいっすわ。

 

 

「あ、あの…だな。そんなに見られると恥ずかしいんだが……その、似合ってる…か?」

 

 

 

顔を赤くして上目遣い……

 

ゴフッ! 破壊力抜群ですわ。ごちそうさまです。

 

フリフリのスカートに……えっと? ブラウス? カーディガン? そこら辺詳しくないからわからないけどさ……ごちそうさまです。

 

もう何言ってるのかよくわかんねぇや……

 

「な、何か言えよ……やっぱり、似合ってないのか?」

 

「ハッ! す、すまん。似合ってないものか、物凄く似合ってるさ! むしろ、ドストライク! ごちそうさまです!」

 

うわぁぁぁあ!! 何を言ってるんだァ!!

 

しかもガッツポーズまでしちゃってるし!!

 

うわぁ…絶対引かれた。俺の社会的地位が……あれ?もとよりあったのか? そもそも地位? もう本当になに言ってるのかよくわからんわ。

よし、1回落ち着こう……『すぅ、ひぁ』……

 

『ひぁ』って何ぞ……

 

とりあえず落ち着く事は出来たが恐る恐る美綴を見てみる。

 

物凄く顔を赤くしている美綴さん。

 

あれ? 引いてない? 嫌がってない? 大丈夫? 俺大丈夫?

 

大丈夫だ。問題ない。

 

 

いや、問題大有りだよ。特に思考回路が。

 

………ふぅ。

 

「え、えっと……美綴? とりあえず、ゲーセン行くか?」

 

「あ、あぁそうだな。そうしよう」

 

俺と美綴はその後ゲーセンに着くまで無言だった。

それは、お互いに話しかけづらいからだった。

 

_________

 

 

今現在、隣には神崎の奴がいる。

 

ちょっと服装を気にしてみたのだが。いつもより冒険をしてしまった。

 

この服は似合っているかだろうか……

 

私には着こなせていないのではないだろうか……

 

そんな思いでいっぱいだったが神崎は、

 

似合っていると、むしろ、ドストライクだと。その言葉で私はさっきまでの心配事が嘘のように吹き飛んだ。

 

それどころか今では恥ずかしいような、嬉しいようなそんな気持ちが渦巻いている。

 

恐らく顔が赤くなっていることだろう。

 

ここまで冷静に分析してはいるが先程からほとんど固まっている。

 

神崎がゲーセンに行こうと言ってそれに返事をしただけだ。

 

何も話すことがない…ではなく、話すことが出来ない。何故なのだろうか。

理由は分かっている。これはもう認めるしかないのだろうか。神崎の奴は分かってないかもしれないが私は、きっと、彼の事が好きになってしまったのだろう。

 

いつも部活や、身の回り、日常生活等で困っている人がいたら助けて回っている。まぁ、無償という訳でわなく、いつも何かしら貰ったり、お茶に呼ばれたりしているが、この街の人気者だ。

 

文武は両道という訳ではないが勉強はそこそこは出来るようだ。そしてスポーツ等は何をやらせても上位に名が挙がる。

 

学校では彼の事を狙っている女子達もいる。ファンクラブまであるみたいだ。私は入ってはいないが…

 

 

誰に対しても平等。

 

それは神崎自身にも言えた事であった。

 

そして、私に対してもだった。

 

何時しか彼の事が気になり始めた。

きっかけは、正直何だったか覚えてはいない。

 

思いつくことは、凄く優しくしてもらえた事だろうか。男子や女子達に優しく接する事はあるが優しくしてもらう事は無かった。

 

他には、勉強で私がわからない所を先生よりわかりやすく自分の解釈も入れて説明してくれたりした事だっただろうか。

本人曰くたまたま分かるところだった、とは言っているが勉強に関しては何処か手を抜いているような気がする。今度本気で勝負しようと持ち掛けてみようか。

 

私は、心のどこかで彼を振り向かせたいと思う様になっていた。

 

_________

(番外編)

 

 

ゲーセンにようやく着いた。いつもよりゲーセンに行くまでの時間が長かったような気がするが気にしない………

 

 

ん?何やら格ゲーコーナーが騒がしいな……

 

「なぁ、美綴。格ゲーの所が何か騒がしくないか?」

 

すると、数秒遅れて美綴が反応する。

 

「……え? あぁ……本当だな」

 

 

俺と美綴は騒がしくなっている中心地へと行ってみることにした。

 

 

 

「………」

 

 

……え? なぁにコレ。

 

アーチャーとランサーが格ゲーをしている…だと?

 

2人は必死にコンボを繋げようとしているが、どちらも攻防が優れていて制限時間ギリギリの戦闘だ。

 

「汚れ等成果で洗い流せる! そんな余分なプライドは、そこいらの犬にでも食わせてしまえ! ランサー!!」

 

「犬と言ったなぁ! アーチャー!!」

 

「英雄としての誇りなど今のうちに捨てておけェ!!」

 

「よく言ったァ! ならばお前が先に逝けェ!!」

 

 

※2人は格ゲーをしているだけです。

 

 

お前ら……それ、名台詞だよな? 何しちゃってんだよ……

 

……ん? よく見たらキャラが普通の格ゲーのキャラじゃないだと?

 

アーチャーが使っているキャラは……赤い外套に夫妻剣。

 

ランサーが使っているキャラは……全身青タイツに赤い槍。

 

 

………え? ほんとに何これ。

 

なんでお前らキャラとして参戦してんだ?

 

ゲームのキャラと同じ服装な為、周りの観戦している人等は何かのイベントかと立ち止まって見物してるし……

 

あ、2人のゲージ溜まったな。

 

 

「我が必中の槍を受けてみろォ!!」

 

「来るがいい! 正面から受けきってみせる!!」

 

 

ランサーのキャラがいきなりジャンプしだした。

 

必殺技が発動したようだ。

 

突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!」

 

うわぁ投げボルクだ。威力高そう(小並感)

 

それに対するアーチャーは……やっぱりそう来ますよねー。

 

I am the bone of my sword(体は剣で出来ている)……熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)!!」

 

あれ、何だか2人の闘気のようなものが見える。

 

その所為か画面がハッキリ見えない。

 

防いだか? ……いや、時間切れ…だと? 二人の体力は同じに見える。だが数ドット分アーチャーが少ない。勝敗は……ランサーの勝ちか。

 

「ふぅ……先程の非礼を詫びよう。ランサー」

「ふん、別にいいさ。この格ゲーにおいては気分が乗るセリフだったしな」

 

おぉ、2人は握手をしているみたいだな。仲直りか? それとも認め合い? ……ん? よく見ると握手してる風で指相撲してる……そして二人の表情は……張り付いた笑顔……うわぁ、お前らもう少し仲良くしろよ……

 

「よし、神崎。あれやるぞ」

 

「ファッ!?」

 

え? やった事ない初めてのやつやるの? マジで?

 

やばい……俺は常に何となくのガチャコンなのだが初めてのゲームはガチャコンで技を発動するのはかなり難しい。

 

こうなったらプレイ中にコツを掴むしかない。

 

「よし、やるか」

 

ゲームの名前は…おっふ。PS2のfateの格ゲーに似たり寄ったりな名前だな。明確には言わないでおこう。

 

さてと、キャラクター選択か…どんなキャラがいるかなー?っと……いろんなキャラがいるなー。あ、これなんて美綴に似てるな。

 

お? これは士郎か? そしてこっちは遠坂かな? そしてこれは……おぉう、マーボー神父。

 

他には……ん?…コレ、アーチャーの2Pカラー?

青い外套の白髪混じり黒髪? 誰これ?

そうは思ったが何故か俺はこのキャラが無性に使いたくなった。

 

よし、始まるな。

 

フッやっぱり美綴は自分に似ているキャラを使うようだな。

 

 

俺が使おうとしているこのキャラがどんな攻撃方法なのかはわからない。

 

だって、ほかのキャラ立ち絵に自分が使う武器持ってるけどこのキャラ持ってないんだよ! まさかの無手!? 美綴に似たキャラだって薙刀もってるし。

 

『3.2.1…戦闘開始』

 

 

 

結論から言おう。俺の圧勝だった。

 

凄く驚いたことにガチャコンなのにガチャコンの動きをしていないと言ったらわかるだろうか。洗練された動きの様にコンボが繋がる繋がる。

 

絶対このゲーム初心者ですって言っても誰も信じてはくれないだろう。

 

しかも遠距離も近距離も全てにおいて強いキャラだ。

ゲームバランス大丈夫か?

 

槍に持ち替えたり、双剣に持ち替えたり、弓に持ち替えたり、はたまた刀に持ち替えたりと忙しいキャラだったが本当に自分に合う。

 

試しに美綴も二戦目にこのキャラを使ってみたのだが全然と言っていい程に使えていない様子だった。

 

他の人が使っているのを見てみたのだが誰も使いこなせていない。逆に俺が使いこなせているのがおかしいっていうレベルだ。

 

俺の動きを見て学ぼうとしてる人が先程いたが、なにせ俺はガチャコンな為に見てもお手本とはならないだろう。その人は落ち込んでた……

 

使いこなせるとすごい強いキャラだと俺は思った。

何人か俺に教えてくれと言われたがガチャコンだから教えられないと答えると凄く驚いた表情をされた。

 

ごめん、待って、驚いてるのは俺もだから。

 

なんなのさ。初めてのこのゲーム、初めて使うキャラ。それで無双を誇るって怖いよ。

 

 

 

それより勝負に勝ったのだが一つ言うことを聞いてもらうっていう内容だったよな?

 

恐らく何かしらお願い事があったからこんな事を言ったのだろう。彼女の気質のようなものから人にお願いごとをする事は滅多にないだろう。頼み事をするのに慣れていないのは苦労をするな。

 

よし、ここは一つからかって見るか。

 

 

_________

 

 

負けた。

 

今度は全敗だ。さっきの事が引きずられてなんてことは無い。何なんだ? あの動き。このゲーム、アイツ初めてだよな? このゲームって最近出たらしいんだが……到底初めてにはできない動きをしていたぞ? キャンセル入れてコンボ繋げるとか、コンボ終わりに必殺技使うとか。ガチャコンで出来る範疇を超えていると思うぞ?

 

一度彼の使っている青い外套のキャラを使ってみたのだが一言で言おう。物凄く使いづらい。どうしてあそこまでこのキャラで使えるのかわからない。本当におかしい。こう、何処か自分の体を動かしているみたいに滑らかな動きなのだ。

 

一つ何でも言うことを聞く……彼の事なら変な要望は無いだろうが心しておいた方が良いだろうか……ただ、買い物に付き合って欲しかっただけなのにな…

 

私は傍から見てもわかる程落ち込んでいた。

 

 

_________

 

 

よおし、からかって……いや、無理だー。

あんなにものすごく落ち込んでたらからかうなんて無理だ。今にも『ずぅぅぅうん』って聞こえてきそうなほど暗いオーラが出ている。

 

はぁ、よっぽど聞いてほしい頼み事があったんだろうな。

 

機嫌を直してもらいたいな……

 

よし、クレーンゲームがあるな……

 

お? ウサギの可愛らしいぬいぐるみがあるではありませんか……よし、これ取ろう。

 

 

「なぁ? 美綴。ちょっと待ってろよ?」

 

「……ん?……どうしたんだ? 神崎…一つ何でも言えよ……」

 

いや、言える訳ないやん? そんなに落ち込まれると言える訳ないやん? そこまでして何か言うなんてこと俺には出来ないわ。

 

まぁ、待ってなって。

 

「まぁ、待ってろ?」

 

1プレイ100円か。500円で6プレイ……よし、500円投入。目標は……よしアームから一番近い奴にするとしよう。

 

アームの強度とかどこまで動くとかアームがどれほど開くかとか見てみる必要があるな……

 

 

それで2プレイ潰してしまった……いくらかかっても取るつも……いや、思うのは辞めておこう。いつ何がフラグになるのかわからん。

 

気を取り直して3プレイ目、取りにかかる。

腕に引っかかったのだがアームが弱い。いや、弱くはないが、強くもない。あと2回……あそこに持っていくと…ああいうふうに動くから……こう動かして…よし、イメトレはOK。いざ、参る! おっふ。惜しい。

非常に惜しい。

 

あと少しで取れるところだった。落とす時角にひっかかり、また元に戻された。

 

くぅ……悔しい。よしあと1回……今度は少し冒険して……会社名が載ってる部分の輪っかを狙ってみるとしよう。

 

うー……お? あー………またもや同じ動きだ。

落とす時に角にひっかかり、元に戻る。

 

 

はぁ、ダメ元でやってみるか………

 

そして俺は100円だけ入れてやって見ることにした。

 

あれ? 取れた? いや、これは無理だーと思ったら謎な動きをしやがった。言葉では言い表せない様なうごきだ。で、でもまぁ良かった。

 

これで美綴の機嫌が良くなってくれたらいいんだがな……

 

「おーい、美綴。取ってきたぞ。これ上げるよ」

 

すると美綴はキョトンとしている。

 

「え?…いいのか?…これ」

 

「あぁ、いいさ。美綴にプレゼントだ」

 

すると美綴はウサギのぬいぐるみを抱きしめて一言。

 

「あ、ありがとう…」

 

ゴフッ!(本日2回目)…ごちそうさまです。

 

 

「な、なぁ神崎? 一応一つ何か言ってくれ。賭けに負けたからな……何かしらは言うことを聞かなくちゃな」

 

はぁ、願い事ね。じゃあ……

 

「じゃあ、『美綴の願いを聞く』ってのが俺の要望だな」

 

「え? どうしてだ? 」

 

「どうして? ってそりゃ、なにか願い事があってこんな賭けをしたんだろ? いつもならしないような内容の賭けを……頼み事や願い事があるならさ叶えられる範囲で叶えてやるよ。だから遠慮せずにドンと言ってくれ!」

 

ヤベェ、大きい事言ったけどすごい叶えづらい内容だったらどうしようそれ無理だとか言ってキャンセルとかも出来ないし……

 

「な、ならさ……買い物に付き合ってくれないか?」

 

俺はその一言で気が抜けたのと無性に笑いたくなった。

 

「ククク、はぁ。なんだ、そんな事だったのか」

 

「そんな事とは何だよ…」

 

「そんくらいの簡単なお願い事ならいつでも叶えてやれるな…」

 

俺は微笑みながら言った。

 

すると美綴は、少し顔を赤くしてボソッと何か言ったが俺には聞こえなかった。

 

よし、じゃあ行くとするか。

 

「よし、行こうぜ?」

 

「あぁ、ありがとな…」

 

「どういたしまして」

 

俺と美綴は夕焼けの中、買い物に出掛けた。

 

 

_________

 

 

勝負に勝ったのに私に願い事を決めさせるなんて……あぁ、やっぱり優しいな神崎は。

 

 

「な、ならさ……買い物に付き合ってくれないか?」

 

すると神崎は一度キョトンとして笑った。

 

「ククク、はぁ。なんだ、そんな事だったのか」

 

私にとっては結構悩むことだったのにそんな事って……

 

「そんな事とは何だよ…」

 

「そんくらいの簡単なお願い事ならいつでも叶えてやれるな…」

 

神崎は微笑みながら言った。ずるいと思う。私が求めていたものをくれる。ほんと、優しくしてくれるのは嬉しいんだな。

 

「お前って奴は……ずるいよ…」

 

神崎に聞こえていなかったようだ。聞こえないように言ったから当然ではあるが……

 

「よし、行こうぜ?」

 

ほんと、神崎……ありがとな。

 

「あぁ、ありがとな…」

 

「どういたしまして」

 

私には神崎と一緒に歩くこの道程が今だけは凄く長く感じた。




賛否両論と言うのは今回の話で神崎君のヒロインが美綴さんに決定したことです。いや、ほんと美綴さん可愛い。

そして、
遅くなってしまい、すいません…
4月は急に忙しくなりました。もう5月ですけどほんとすいません。
寮生活や進学先で少しだけゴタゴタしてました。

他には、
大きな(BIG)缶コーヒー(BOSS)になって復讐を遂げたり、狼になって影の世界に行ったり、王国を救ったりしてました。

それと、
慣れない土地で体調を崩してしまいました…
ですが、復活致しましたので頑張って投稿していきたいと思います。
用事が増えて執筆時間がなかなか取れないので、まだ更新が遅いと思います。
ご了承くださいm(_ _)m

それでは、これらもよろしくお願いします!


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