要塞空母デスピナ出撃す。 第1篇仮初の世界 (まはまは)
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設定集

要塞空母デスピナの設定集です。
順次追加していきます。
後、ネタバレ注意⚠

まだ出てきていない装備、兵器もあります。
また、設定の一部はりょうかみ護衛艦 先生の説明を参考にしています。
そして、設定は公式のもので無いものが多分に含まれます。
ご了承ください。


6月12日 今日、番外編第4話を投稿しています。ご注意ください。
7月9日 本日、設定集をSAIFAさんのご協力のもと大規模編集を行いました。読者の皆さんにはより一層わかりやすくなったと思います。これにより本編の内容も少し変わりました。
SAIFAさん、ありがとうございます。
11月23日 第一次改装の時のデータ 及びステータスを表記しました。



主人公設定

 

デスピナ級要塞航空母艦一番艦デスピナ

モデル艦は全長1400mにもなる超大型艦。

以下に示すスペックは艤装のものであり、本来のスペックは、巡航ミサイルと各種航空機を多数収容・発着艦出来ること以外不明。

 

着用者本名:山本裕一

着用者年齢:17歳

服装:紺色の海軍服

身長:転移前161cm→転移後175cm

体重:転移前60kg→転移後68kg

容姿:黒髪のスポーツ刈り、赤ぶち眼鏡を着用

 

---艤装データ---

-機関

・重力制御式熱核融合炉

艦内電力や推進力のすべてを生み出す、デスピナの心臓部。

生み出されるエネルギーは膨大で、スクリュー、光学兵器、艦内システムをフル稼働してもおつりがくるほど。

 

燃料の重水素や三重水素をプラズマ化し、核融合反応を起こす。

そのエネルギーで重力制御を行い重力場を発生させ、一部はタービンを回転させる動力として利用する。

残りの重力場は、さらなる熱核融合反応に利用する。発生した熱エネルギーはタービン駆動と発電に利用され、艤装内電力のほか、熱核融合の過程で発生した重水から酸素を分離し、重水素として取り出すのに利用する。取り出された重水素は再び融合炉へ。

これにより、非常に高い効率と、他の追随を許さない超長距離の航行を可能にする。

 

さらに、燃料となる重水素は海水に、三重水素は海中のリチウムに含まれているものを抽出して使用しており、その燃料も雨などによって無くならない為、一度熱核融合を発生させる事が出来れば、事実上の永久機関として機能する。ただし、艦載機の運用にあたっては、別途燃料が必要なため、そちらの補給は必要。

 

情報参考元:http://d.hatena.ne.jp/hottowel/20120913/p1

      http://www.nifs.ac.jp/ene/qa/qa_02.html

 

 

-艤装内システム

・エレメンタル戦術情報演算システム -Elemental Tactical Data Operating System- (以下、仮にエレメンタルシステムとする)

▪第一次改装時

Ver.1.56→Ver.2.1

 

要塞空母デスピナ(の艤装)を運用するための、大規模な艦内ネットワークシステム。

複数搭載されているイージスシステム、INS(慣性誘導装置)、広域多機能レーダーなどを同時運用するための統括演算を行う。

またそれらを応用することで得られる情報から、ターゲットの位置計算、敵の発射した砲弾の着弾地点予測、魚雷の進路予測などの近未来予測能力を備え、攻撃から防御まで幅広く担う。

 

自身の攻撃の際には、その高い火器管制・演算能力を活かし、後述するレールガン砲術システムの精密射撃にも使用される。さらに、搭載されている各種ミサイルの大多数ロックオンや同時攻撃を実現している。

攻撃衛星兵器への座標転送や発射指示も可能。

 

艦娘とのシステムリンクも可能で、情報共有をはじめとした艦隊運用のサポートなどに応用すれば、本システムのポテンシャルは非常に高くなる。

 

当然、世界に二つとないほどの超高性能スーパーコンピューターによってしか運用できない。

 

艤装着用者に対しては、簡易的なインターフェース及びレーダーを表示したタッチパネルを使った直感的操作で、これらの戦術情報処理装置や各管制システムをすべて操作可能。

 

ただし、装着者一人ですべてのシステムを管理するのは効率が悪く、負担も大きいため、CDC妖精(イージス艦のCICスタッフと同義)をはじめとする多数の艤装乗組員妖精が、装着者から入力されたあらゆる命令を実行している。

 

余談だが、当システムの名称である「エレメンタル」は、水・火・風・地の「四大元素の精霊」にちなんで名づけられており、それぞれ 水……万全な航海 火……強力無比な殲滅力 風……戦局を覆す風 地……浮沈の岩盤の如き防御 と言う意味の願掛けが籠められている。

 

・広域多機能レーダー

探知半径500km、高度30,000mの高性能レーダー

 

・深々度ソナー

アクティブ、パッシブ両ソナーを搭載し、深々度・長距離の水中目標を発見可能。

深度600m程度なら、まず発見できない物体は皆無。

 

 

-対艦兵装

・レールガン砲術システム

エレメンタルシステムを用いて精密射撃が行える。

弾頭には、貫通力に優れる徹甲弾、爆発する榴弾、空中で5つに分裂する多弾頭光弾のアルマゲドンの3種類がある。

アルマゲドンの光弾は、着弾と同時に大爆発を起こす特殊弾頭。戦艦レ級を一撃で葬る威力があり、光弾一つあたりの爆発半径が70mもあるため、戦略級兵器相当になる。

▪第一次改装時

メネス電磁投射砲×4→メネス電磁投射砲×4 試製型艦砲式ジェノサイド砲×2

 

・ライオニック巡航ミサイル 即応弾150発/総弾数600発

デスピナの主武装の一つ。即応弾が多く、多数の水上/地上目標に対して同時攻撃や、1目標に付き数発ずつ打ち込む等の運用が可能。深海棲艦に対して使用する場合、個体にもよるが、おおよそ1~3発で撃沈できる。

▪第一次改装時

即応弾150発→200発

 

・N5、N6巡航ミサイル 即応弾40発/総弾数150発

デスピナの主武装の一つ。ライオニックミサイルよりも大型の巡航ミサイル。威力が高く、深海棲艦を1発で撃沈可能。その分、即応弾は少なめで、(それでも、艦隊を複数撃滅できる数ではある)1発当りの装弾や製造には、ライオニックよりやや長い時間を要する。(弾薬製造については後述)

▪第一次改装時

N5巡航ミサイルの廃止

即応弾40発→50発

 

・テンペスト大型巡航ミサイル

長射程・高威力・広範囲の三拍子が揃った最強のミサイル。

巨大であり艤装には装備不可なため、地上に発射基地を作りそこから発射する。

デスピナには、エレメンタルシステムを使用した誘導が可能。

爆発半径は、最も強力なもので100mにもなる。

▪第30話時点

横須賀鎮守府発射基地

A1テンペスト 3発

A2テンペスト 2発

 

 

-対空、防空兵装

・対空ミサイル 即応弾100発/総弾数450発

高速・高機動を両立した高性能ミサイル。

▪第一次改装時

即応弾100発→150発

 

・スタンダードミサイル 即応弾200発/総弾数800発

対艦ミサイルから航空機まで、幅広く対応する。即応弾が多く、使い勝手が良い。ブースター部分が延長され、射程が大幅に延びている。

▪第一次改装時

廃止

 

・汎用ミサイル 即応弾300発/総弾数900発

第一次改装より、スタンダードミサイルに換わり新たに採用された両用ミサイル。対空だけでなく、対艦攻撃にも使用可能。

 

・レーザー対空迎撃システム

エレメンタルシステムを用いて高速・高機動な目標を撃墜する防空兵器。

高い密度で集束させた光線を照射し、目標を破壊する。光学兵器のため、弾薬欠乏の心配が無い。

機関から生み出される膨大な電力の消費先の一つ。

 

・パルスレーザーCIWS

近接防空用の光学兵器。機関から生み出される膨大な電力の消費先の一つ。

唯一、エレメンタルシステムから独立して動作することも可能な武装。

 

 

-対潜兵装

・ASROC(アスロック)即応弾40発/総弾数120発

対潜ミサイル。目標物付近までロケットで空中を飛翔し、パラシュートで着水。その後は魚雷として目標潜水艦めがけて追尾、攻撃する。エレメンタルシステムの恩恵により、射程距離が10倍以上に伸びている。

▪第一次改装時

即応弾40発→50発

 

 

-弾薬製造設備

 

艤装内の全ての弾薬は、すべてデスピナ単艦で自給自足が可能。

資源は適当に集めたものをリサイクルし、機関から発生するエネルギーと組み合わせることで、爆発系の実弾兵装や、後述する艦載機の弾薬も製造可能。

 

 

-艦載機 

EDF機 搭載機数624機 (各機の搭載割合によって変動)

空母艦娘用艦載機 搭載機数 2,448機

▪第一次改装時

EDF搭載機数 804機

空母艦娘用搭載機数 3,360機

 

戦闘機

・F/A-63B スカイレイヴン 搭載機数264機

可変式の主翼、カナード翼、尾翼、ベクタードノズル、FBL(フライ・バイ・ライト)を搭載した高性能戦闘機。

空域制圧はもちろんのこと、対艦/対地ミサイルも搭載可能なほどの大きなペイロードを持つ。

▪第一次改装時

搭載機数264機→336機 (2個大隊相当数追加)

 

爆撃機

・戦術爆撃機 EB-01カロン 搭載機数180機

全翼型の爆撃機。高出力エンジンを搭載しており、高速巡航性能に優れている。

通常爆撃のほかに、レールガンの弾頭として使用されるアルマゲドンも投下可能。

派生機に、高高度爆撃機ミッドナイトと制圧攻撃機アルテミスがいる。(以下カロンファミリーと呼称)

▪第一次改装時

搭載機数180機→216機 (1個大隊相当数追加)

 

・高高度爆撃機 EB-02Cミッドナイト 搭載機数72機

カロンファミリーひとつ。高高度からの精密爆撃に特化している。

通常爆弾はもちろんのこと、新型貫通弾グラインドバスターも搭載可能。

ただし、高高度を飛行するにあたっての機体強度との兼ね合いの都合上、ペイロードは少なめ。

 

・制圧攻撃機 BA-05アルテミス 搭載機数72機

カロンファミリーの一つ。速度と機動性をやや犠牲にし、機体容量の増加を図った機体。

ミッドナイトと同じFCSを搭載しており、グラインドバスターの搭載も可能。

ミサイルの搭載も可能なFCSが追加されている。

▪第一次改装時

搭載機数72機→108機 (1個大隊相当数追加)

 

・大型攻撃機 AC-20ホエール 搭載機数12機

20mmガトリング砲、40mm重機関砲のほか、105~150mm砲を搭載し、さらには巡航ミサイルまで発射できる空中要塞。

▪第一次改装時

搭載機数12機→24機 (1個中隊相当数追加)

 

輸送ヘリ 

・大型輸送ヘリ CH-65ヒドラ 搭載機数24機

輸送ヘリコプターの名に恥じない、大きな積載量と速い速度が特徴。

サイドバイサイドローター式の大型ヘリだが、テールローターが追加で2枚付いており、旋回性能と安定性を向上させている。

機体下部に装着するコンテナを交換することで、様々な任務に対応する。

▪第一次改装時

搭載機数24機→48機 (2個中隊相当数追加)

 

▪衛星軌道兵器ノートゥング

·サテライトブラスター

超高エネルギーを持つ極太レーザー。本気はマザーシップの防壁を突破できる。

·スプライトフォール

エネルギー弾を要請した地点に乱射する。

·ラグナブラスター

拡散誘導砲による波状攻撃をおこなう。

·ルールオブゴッド

ジェノサイド砲。要請した地点を中心に右から左へ薙ぎ払うように撃つ。着弾地点は大爆発する。

 

艤装制限

主人公は、兵装に制限をかけている。

兵装制限A…ここでは一回の攻撃で都市、または6隻を一艦隊として三艦隊以上を殲滅するもの。

▪衛星軌道兵器ノートゥングの兵器全般

 

兵装制限B…複数回で都市、または一度の攻撃で一艦隊を殲滅出来るもの

▪レールガン砲術システムとEB-01戦術爆撃機カロンの

アルマゲドン

▪ミサイルのテンペスト

 

第一次改装時点

ステータス

耐久 12,350

火力 1,524,759

装甲 310,426

雷装 2,356

回避 125

対空 13,470

搭載 804/3,360 (EDF機搭載時/空母艦娘用艦載機搭載時)

対潜 198

速力 高速

索敵 3,425

射程 超長

運 40

 

積載量 842 TEU (約16,840t)[1TEU当たり約20tとして計算]

=資材搭載量 187,800

 

 



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第0章 転移編
第1話 転移


どうも、初めまして
今回艦これと地球防衛軍を使って小説を書きました
処女作なので、言葉のおかしい所、誤字など多いと思います。また、私は文才はありません。
それでも良いよという方はぜひ見てください。
では、よろしくお願いします。

7月21日 加筆修正


第0章 転移編

第1話転移

 

よく晴れた朝、俺、山本裕一は駅に向かって歩いていた。山本裕一。男。17歳の高校3年生。近くの県立の進学校に通っていて、部活は剣道、3段を持っている。また、艦これプレイ歴4年で嫁艦は翔鶴である。そして、ココ最近は地球防衛軍をやっている。

俺は、昨日も艦これを少しした後、地球防衛軍を夜遅くまでやっていた。そのため今非常に眠い。その時、1匹の猫が車道を渡っているのが目に入った。

裕一「おい、危ないぞ。猫。こっちに戻っておいで。」

猫に優しく声をかける。猫はなんだといいたげな感じで俺の呼びかけを無視した。

その時、トラックが猛スピードで走って来たのだ。トラックは猫に気づいていないのかそのまま走って来る。

裕一「おい、早くこっちに来い!」

猫に大声で叫ぶ。

しかし、猫は道路の真ん中で座りあくびをしていた。自分の声は剣道やっているため大きくびっくりして、どこかへ行くと思ったのだが。なかなかに図々しい猫である。

裕一「クソ!」

仕方なく、そんな図々しい猫を保護するため俺は車道に飛び出し、猫を捕まえたがすぐ手前までトラックは迫っていた。運転手は居眠り運転だった。

裕一 (やばい、間に合わない。)

猫だけは死なないよう抱きしめ、身構えて目を瞑った。

 

 

 

しかし、いつになっても何も起きない。

裕一 (あれ、何かおかしいな。)

そっと、目を開けてみると目の前にトラックが止まっていた。そして、雀の鳴き声もなんにも聞こえない。まるで時間が止まっているようだ。

裕一 (どういうことだ、これは。)

辺りを見回すと、歩道に帽子を被った女の子がいた。

女の子「初めまして、まずはその子を助けてくださりありがとうございます。山本裕一さん。」

女の子はちょこんとお辞儀した。

俺の腕から猫が抜け出し女の子の方に行った。彼女が猫の飼い主だろうか。お宅の猫、躾がなっていませんよー。もちろんそんなことは言わない。

裕一「君は?なぜ僕の名前を知っている。これは君の仕業かい?」

そう俺は問いかけた。

女の子「はい。私はあなた達が言う神様に仕えてるものです。実は、この子を探していたのですが見つけたと思ったらトラックが来て危うく死ぬところでしたので、時間を止めました。」

女の子は猫を両手でぶら下げて、そう答えた。猫の飼い主は神様に仕えていた。てことは猫も実はとても神聖ななお方なのか?

裕一 (猫をなぜぶら下げている。あれ、これどこかで見たような……。)「で、俺をどうするの?助けてくれるのかい?」

女の子「残念ながら、山本裕一さん。あなたは、ここで死ぬことになります。」

裕一「えっ!?」

女の子「この世界ではあなたは死ぬことになっていました。そこで、この猫の恩返しにあなたを今から異世界に転移させます。それ以外あなたの生きる道はありません。どうしますか?」

俺は少し考え、

裕一「……。転移させてくれ。まだここで死にたくはない。」

死んでたまるか、これから人生を謳歌しなければならないのだ私は。

女の子「わかりました。では、これよりあなたをある世界に転移させます。そこは艦これが現実となった世界です。では、いってらっしゃい。」

女の子がそう言うと、俺の体はだんだん光っていき目の前が真っ白になっていく。

女の子「どうか、私たちの世界を救って下さい。」

女の子のそんなお願いを聞いて俺の視界は白く染まった。

 

 

 

 



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第1章 横須賀鎮守府編
第2話 異世界に到着


第2話です

7月21日 加筆修正


第1章 横須賀鎮守府編

第2話 異世界に到着

 

俺は、気づいたら海の上に立っていた。

裕一「あれ?ここはどこ?なんで海の上に立ってんの?」

そして背中にとてつもない重さのものを感じた。すると突然、

ズキーーン

裕一「あっーーーー!!!!!」

その時、激しい頭痛に襲われた。痛すぎて海面を転げ回る。てか転げにくい。そもそもなぜ海面を転げるなどのツッコミも出来ないくらい痛い。

裕一 (……頭が割れる…!)

数分程続き頭痛がなくなった。そして、頭にこの世界の知識があった。

裕一 (……痛っ。なんだったんだ今のは。いきなり知識が流れ込んできたが。とりあえず落ち着こう。パニックなるとだめだ。)

パニックは1番危ないものである。とりあえず深呼吸を数回して、自分の状態を確認した。

背中には大きなものを身につけ、右手の中指には指輪、左腕には板の様なものが付いていた。

裕一 (これは、まるで艤装だな。あ、そういえば艦これが現実になった世界とか言ってたか。ってことは、俺は艦娘になったのか。でも俺、男のままなんだけど。)

艦娘ではなく艦息かなと思っていたら、

??「すみません。よろしいですか?」

裕一「うぉ!?」

突然肩の方から声が聞こえた。耳元で声が聞こえただけなのにずいぶんと驚く。まだパニックから脱していなかったようだ。そこには3cmほどの小人がいた。

裕一「誰?」

??「失礼しました。自分はデスピナの副長妖精です。実は大妖精よりあなたの補佐のために呼ばれました。」

デスピナ?そんな名前の艦あったけ?

裕「それは、どうも。」

副長「では早速説明したいのですが、コマンドと頭に思い浮かべて下さい。」

裕一「わかった。」(コマンド)

目の前に画面の様なものが出てきた。まるでホログラムのようだ。

副長「そこには主にレーダー、船体状況、地図など、兵装の使用もこの画面を使います。」

裕一「へぇー、俺の艤装とかについて知りたいんだけど。」

副長「はい、では説明します。」

説明によるとこういう事らしい。

 

 

 

 

 

デスピナ級要塞航空母艦一番艦デスピナ

機関

重力制御型熱核融合炉

兵装

レールガン砲術システム

パルスレーザーCIWS

レーザー対空迎撃システム

ミサイル

·対空ミサイル 即応弾100発 弾数450発

·ライオニック巡航ミサイル 即応弾150発 弾数600発

·スタンダードミサイル 即応弾200発 弾数800発

·N5、N6巡航ミサイル 即応弾40発 弾数150発

アスロック 即応弾40発 弾数120発

艦載機 搭載機数 624機

搭載機

·EB-01戦術爆撃機カロン 180機

·BA-05制圧攻撃機アルテミス 72機

·EB-02C高高度爆撃機ミッドナイト 72機

·F/A-63B スカイレイヴン戦闘機 264機

·CH-65大型輸送ヘリ ヒドラ 24機

·AC-20大型攻撃機ホエール 12機

支援兵器

衛星軌道兵器ノートゥング

·サテライトブラスター

·スプライトフォール

·ラグナブラスター

弾薬製造施設

広域多機能レーダー

探知圏内半径500km

高度30,000m

深々度ソナー

探知深度およそ600m

エレメンタル戦術情報演算システム

 

 

裕一「はっ!?何このチートは!?いや、嬉しいけど…。てか、デスピナって地球防衛軍の支援で出てくるあいつだよな。あの女の子がやってくれたのかな。そういえば、最後女の子『私たちの世界を救って下さい』って言ってたけど。やっぱ深海棲艦の侵攻を受けてるってことだよな。戦争…、に参加しろってことだろうな。」

平和な日常から戦争が日常の世界へ。さよなら平和よ。こんにちは、地獄よ。

副長「あのー、他にも説明していいですか?」

裕一「あ、すみません。」

それから、艤装の使い方を教えて貰い、実際に航行してみることに。スキーのような感じで意外と簡単だった。

裕一「おー!すげー!海の上を走ってる、おれ!!」

思わずはしゃいでしまう。

すると、レーダーに赤い点が表示された。

裕一「ねぇ、副長。レーダーに赤い点があるんだけど。」

副長「!? それは敵、深海棲艦です!総員戦闘配置!」

裕一「敵!?」

さっそく、敵と遭遇。この世界で初の戦闘が始まる。




明日も多分投稿します。


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第3話 初陣

第3話です。

7月21日 加筆修正


第1章 横須賀鎮守府編

第3話 初陣

 

副長「距離と方位は!何隻だ!」

CDC妖精「距離450km、方位074、数6!」

副長「艦種は?」

CDC妖精「戦艦ル級2、重巡リ級2駆逐イ級2。いずれもeliteクラス!」

うん?待って。初の戦いがeliteクラスなんですか?

副長「今回はミサイルを使います。やり方は先ほど教えた通りです。」

裕一「わ、わかりました!」

俺は気持ちが昂ってくるのを感じた。

裕一 (落ち着け、落ち着くんだ。初の戦闘だが大丈夫。まずは…。)

大丈夫と信じたい。とにかく生きなければならない。

コマンドから兵装の項目をタッチ。兵装一覧が出てくる。そこからミサイルを選択。その中のライオニック巡航ミサイルを選択した。

そうしたら、画面全体にレーダーの画面が出てきた。そこに表示されている赤い点にタッチし、ミサイルを駆逐と重巡には1発ずつ、戦艦には2発ずつ指定する。すると、

砲雷長妖精「ライオニック、ファイア!」

妖精の号令で、艤装にあるミサイルハッチから計8発のミサイルが深海棲艦のいる方へ向かっていく。レーダーにも8発のミサイルが表示されていた。その後ミサイルが当たったのか、レーダーから赤い点が消えた。

しかし、レーダーに更なる反応が

CDC妖精「!?敵艦、発見!」

裕一「なに!?」

まだ出てくるんですか?ハード過ぎないここ。

CDC妖精「距離420km、方位245より数12。距離350km、方位185より数42。

距離410km、方位302より数36。距離180km方位010、深度45に潜水艦6!全てflagshipクラス!」

flagship?おかしくないここ。てか、俺はどこの海域にいるのよ。

副長「どうやら、潜水艦が周辺の深海棲艦を呼んだのでしょう。」

それを聞き、

裕一「─っ、えーい、全て海の藻屑にしてくれるわ!方位245をa群、方位185をb群、方位302をc群、方位010をd群とする!」

流石に少しキレ気味になる。だが、思考は冷静だ。

俺は、d群にアスロックを各2発指示。

砲雷妖精「アスロック、発射!」

12発のアスロックが飛んでいくの確認し、a、b、c群の全ての敵艦にライオニック巡航ミサイルを2発ずつ指示した。

砲雷長妖精「ライオニック、ファイア!」

艤装から180発のライオニックが飛んでいく。ミサイルの煙がとてつもない、煙たい。しかし、そんなことを気にしている場合ではない。レーダーを見続ける。

CDC妖精「d群より魚雷24!a、c群より艦載機発艦中!」

副長「魚雷の予測位置をだせ!」

レーダーに魚雷の予測進路がでる。24発の魚雷が扇状に撃たれたようだ。俺は、魚雷の進路から離れる。そして、敵艦載機128機に対し、対空ミサイルとスタンダードミサイルを発射する。またしても煙が艤装を包む。煙少なくなりませんか?そして、

アスロックから対潜魚雷をぶら下げたパラシュートが開くのを確認した。潜水艦のいる座標の海面に着水し、海中に魚雷が投下された。魚雷は探針音を放ちながら海中にいる潜水艦に疾走する。30秒後6つの水柱が横のほうにたち、レーダーから反応が6つ消える。さらに、他の深海棲艦にもミサイルが到達し、遠くで爆炎が上がるのを確認できた。レーダーの反応が次々に消えていく。

CDC妖精「d群の反応消失、さらにb群の全ての反応が消失。撃沈を確認。a、c群空母と思われる反応以外消失しました。」

俺は、残りの深海棲艦を確認するため望遠モードで見る。空母ヲ級flagship 8隻がいた、全て中破から大破していた。

そして、空には発艦した敵艦載機に対空ミサイルが食らいつき、所々で黒い煙が花開いていた。まぁ、ミサイルを避けることは無理だろう。

CDC妖精「対空目標を全て撃墜。」

俺は、残りの深海棲艦にライオニックを撃ち込む。敵は容赦なく殲滅する。しばらくしてレーダーから深海棲艦の反応が全て消えた。

CDC妖精「レーダーに敵艦の反応なし。」

副長「戦闘終了。」

裕一「終わったのか。」

副長「要塞空母デスピナにはミサイルがある。敵には誤算だったな!」

どこか自慢げに言った。副長はデスピナの船員だったのかな?

副長「お疲れ様です。すばらしい戦闘でした。」

裕一「ありがとう、って言えばいいのかな。少し、精神的に疲れたよ。」

ええ、初の戦闘の相手がeliteとflagshipクラスなんて疲れるよ。

裕一 (あれだけの数を相手にして無傷とは…。まぁ、このチート艤装じゃこんなものか。)

妖精達「「大勝利だ!EDF!EDF!」」

裕一「喜ぶのは程々にして、対水上、対空、対潜警戒、厳となせ。」

Gのように1匹いたら30匹いると思え。のようにわんさか出てきそうな感じがする。そう考えると、今回の戦闘で出現した深海棲艦が102隻だから……、3060隻。

俺は、考えるのをやめた。

こうして初の戦闘は完全勝利で終わった。

 




今日はもう1話投稿予定です


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第4話 会遇

本日は2話連続で投稿しています。
第3話を見ていない方はそちらから見てください

5月21日少し改変しました
7月21日 加筆修正


第1章 横須賀鎮守府編

第4話 会遇

初の戦闘後、俺は副長と相談し横須賀鎮守府に向かうことにした。進路を西にとり夜通し航行した。道中何度も深海棲艦を発見してはミサイルで沈めていった。しかしキリがない。唯一の救いは、燃料と弾薬が無くならない事だ。

初の戦闘から2日ほど経った。不思議に思ったのだがなぜか空腹感や喉が渇いたりしないので副長に聴いてみたところ、

副長「艤装装着中は燃料と弾薬の残量に応じて空腹感がでます。まぁ、デスピナは水素を燃料とする核融合炉で永久機関なので燃料は減りませんし、弾薬製造施設も持っているので空腹感とかは起きませんよ。」

とのことである。

ちなみに、戦闘のないときに艤装の外見を見てみた。

左手の板は飛行甲板。空母の艦娘とは違って木ではなく金属の頑丈なものだ。よく見ると上下に1枚ずつになっており2段式飛行甲板になっている。艦載機の発艦は、飛行甲板を平行になるように持ち上げると後ろの艤装の小さなシャッターが降りているところに飛行甲板の後ろの部分が来るようになっており、そこから艦載機が出てきて飛行甲板のカタパルトを使って射出され、発艦するらしい。発艦したら艦載機は元の大きさになる。

後ろの艤装の左右にはイプシロンのような砲身を持つ主砲が左右2基ずつ計4基4門ある。真ん中のほうの艤装は表面がミサイルのハッチか所狭しと並んでいる。数は数えるのが面倒だった。所々にレーダーの八角系のものやCIWSやレーザーが並ぶ。両足の太もも辺りにも小さなCIWSやレーザーがある。そして足元は翔鶴型のように外側にバルジと思われるものが付いている。

これがだいたいの艤装外見である。扶桑型の艤装のように画面をめいっぱいになるほど大きい。画面占有率ランキングでトップを狙えるかもしれない。

さらに、3日経ちその日の昼過ぎ俺は、南鳥島沖に入った。

裕一「横須賀までもう少しかな。」

副長「えぇ、flagshipやeliteが少なくなってきましたからね。そろそろ進路を北西に変更しましょう。」

裕一「わかったよ。」

 

そう言って進路を北西に取り航行した。

しばらくして、レーダーに20近くの赤い点と

6つの緑色の点が表示された。あれ?緑はアイテムじゃなかったっけ、元ネタだと。

CDC妖精「レーダーに深海棲艦を確認。」

副長「戦闘配備!」

裕一「副長、緑色の点が6つあるんだけど。これは?」

副長「あぁ、それは艦娘の反応ですね。どうやら撤退中のようですがどうしますか?」

緑は味方の表示らしい。

裕一「もちろん、助けよう。もしかすると横須賀鎮守府の艦娘かもしれないし、恩を売っておけば入港時うまいこと進むかもしれないからね。」

打算的な考えもあるがやっぱり女性は助けなければ。

望遠モードで敵の編成を見る。戦艦ル級2、空母ヲ級2、軽母ヌ級elite2、重巡リ級flagship1、重巡リ級4、軽巡ト級elite2、駆逐ハ級elite5の18隻。また、艦載機が76機飛んでいた。今までの戦闘から見ると楽に見えてしまう。早くも俺の感覚はおかしくなってきたようだ。

対して艦娘側は、金剛、比叡、榛名、霧島、翔鶴、瑞鶴の6隻。翔鶴が大破、比叡、霧島が中破、他は小破である。

裕一(うーん、18対6。しかも艦載機による空襲も受けている。まずいな、早いとこ潰しておこう。)

俺はコマンドから兵装を開き、ライオニック巡航ミサイルを深海棲艦に発射する。深海棲艦を沈める凶暴な槍が目標に目掛けて飛んでいく。次に、艦載機に向け外れることの無い矢、対空ミサイルを発射する。しばらくしてミサイルが着弾。結果戦艦ル級1、空母ヲ級2、ヌ級elite1、重巡リ級3、軽巡ト級elite2、駆逐ハ級elite5、計14隻を撃沈。残りは、大破もしくは中破していた。そして、艦載機は全て撃墜した。上々である。それにしても、flagshipくらいだとやはり硬い。コマンドからさらにある兵装を使う。艤装のレールガンの1基の砲身が敵艦に向く。そしてレーダーの敵艦をタッチする。

砲術妖精「目標ロック。弾種、徹甲弾。撃ちー方始め!」

レールガンから深海棲艦へ徹甲弾が撃ち込まれる。発射の衝撃は極力抑えられているので衝撃でバランスを崩す心配はない。レールガンから発射された徹甲弾は凄まじい運動エネルギーを持ったまま、重巡リ級flagshipに直撃し、貫通する。そこには身体のほとんど吹き飛んだリ級の残骸があった。

俺は、引き続きレールガンによる砲撃を行い、残りの深海棲艦を撃沈していった。

副長「周辺に敵性反応無し。大勝利だ!」

裕一「まだ喜ぶには早い。彼女らを横須賀にエスコートするまでやらねば。」

副長を宥めながら、ちょっとかっこよく言う。内心喜んでいたためだ。

裕一(遂に、あの翔鶴さんに会える!!!あ~やばい、緊張してきた!!!)

裕一「さぁ、急いで彼女達の所にいくぞ!」

数分程で彼女達のもとに着いた。

裕一 (自己紹介どうしよう、本名伏せたほうがいいかもな。どこまで言えばいいのかな。)

女の子とあまり関わってこなかった人生のため、話しかけ方も分からない。その事で悩んでいたら、翔鶴さんから

翔鶴「危ないところを助けて頂きありがとうございます。私、横須賀鎮守府所属でこの艦隊の旗艦を務めています、翔鶴型航空母艦の翔鶴です。」

と、お礼と自己紹介があった。よかった、話すキッカケを貰った。

翔鶴「見たことのない艤装を着けているようですが、あなたは?見たところ男性のようですが……」

翔鶴から怪しげな目を向けられる。

心臓がバクバク言っているのを感じながら自己紹介をすることに。

決して、あの翔鶴さんに怪しい目を向けられて興奮しているのではない。普通に緊張しているだけである。別に翔鶴さんが大破しているから目のやり場にも困っている訳でもない。断じて。

裕一「は、は、初めまして!お、俺は、デスピナ級要塞航空母艦一番艦デスピナであります!理由あってどの鎮守府にも所属していません!」

ガチガチになりながらも自己紹介はできた。

翔鶴「要塞空母?デスピナ?そのような艦を聞いたことが無いのですが。」

裕一「あ、それもそうですね。」

とりあえず自己紹介が出来たので少し気持ちが落ち着く。

裕一 (困惑するのも仕方ないか、そんな艦、元の世界にもこの世界にも無いからな。)

冷静な思考も出来るようになってきた。

裕一「自分のことについて説明したいと思いますので、出来ればそちらの提督にお会いしたいのですが。」

まずは責任者と会わなければ。

翔鶴「少しお待ち頂けますか。鎮守府に連絡を取って指示を仰ぎますので。」

裕一「わかりました。」

そう言って翔鶴は、無線で何やら話し始めた。相手は提督だろうか…。

数分後、

翔鶴「提督がお会いするとのことです。」

瑞鶴「うそ!?こんな味方か分からない奴を鎮守府に招くの!?」

頼んでおいてなんだが、確かに、瑞鶴の言う通りである。見ず知らずの人を家の中に入れるようなものだ。

翔鶴「提督はそれを承知の上よ。デスピナさん、私達に付いてきてください。」

裕一「分かりました。」

瑞鶴はまだ不満そうにしている

翔鶴が瑞鶴を宥める。渋々、瑞鶴は提督の命令ということで引き下がった。

翔鶴「艦隊これより帰投する!」

こうして、翔鶴達との会遇を果たし、横須賀鎮守府に向かうことになった。

裕 一(危機管理能力が低い…ゲフンゲフン。理解度の高い提督で良かった。)

招かれたことに安堵した。決してちょろいと思って安堵した訳ではない。




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第5話 横須賀鎮守府に到着

今日、東京に遊びに行っておりまして、遅くなりました。
では、5話です。どうぞ。


第1章 横須賀鎮守府編

第5話 横須賀鎮守府に到着

 

 

彼女達に付いて行くと、だんだん日本が近づいてきた。

裕一 (異世界だけどやっぱりいいね、日本は。)

外国に行ったこともなければ、日本を離れることもなかったのだが。

そんなことを思いながら航行していると、コマンドを開いていないので気づかなかったが、前方から艦娘が6人ほど向かってきた。今度からレーダーは常に見ることにしよう。どうやらお迎えのようだ。

神通「皆さんおかえりなさい。帰投したら皆さんドックの方へ向かって下さい。翔鶴さんはバケツを使用して執務室に出頭して下さい。他の方は入渠と艤装への補給を済ませて下さい。」

お迎えの艦隊の旗艦であろう神通が話していた。すると、こちらを向いて、

神通「デスピナさんですね?横須賀鎮守府所属の神通です。」

神通の服装から改ニであることが分かる。

裕一「初めまして、デスピナです。」

神通「横須賀に着きましたら、埠頭の方で艤装を解除し、私の指示に従って下さい。」

裕一「了解です。では、よろしくお願いします。」

こうして、横須賀鎮守府に再び出発した。

お迎えの艦隊は神通の他に駆逐艦初風、黒潮、朝潮、満潮、不知火であった。

駆逐艦達は、艦隊を護衛しつつ、ちょくちょく自分のほうを見てくる。

裕一 (無理もないか。見たことも無いとてつもなくでかい艤装を着けてる訳だし、それも男だもんな。とりあえず、どこかの鎮守府に所属させてもらって身分を保証してもらうか。それにしても自分の情報はどこまで開示していいのだろうか。兵装は、衛星のみ秘匿すべきかな。他に漏れても困るし。こちらの世界じゃ戦略級兵器なみだもんな。使うことになりそうな時に話すか。それと、転移者であることは言っておこうかな、どうしよう。)

そんなことを考えながら、

艦隊は横須賀鎮守府に到着した。

 

 

到着後、翔鶴達は工廠の方へ。

俺は、埠頭で待機。そこにも艦娘がいた。神通さんが来るまでの監視らしい。メンバーは摩耶と天龍だった。ちなみに摩耶も改ニである。特に話もせず何も無く10分ほど経って神通が戻ってきた。

 

神通「それではこれより提督のもとに案内します。先ほどの通りに艤装を解除して下さい。」

俺は、艤装の解除を念じると右手にあった指輪が光り艤装が消えた。

神通「──っ、今のはいったい…。」

目を見開いて聴いてきたので

裕一「あぁ、この指輪に艤装を格納したんですよ。ほら、この通りすぐ艤装が展開したり、解除できるんですよ。」

目の前で艤装を展開したり解除したりしてみせた。実は、ほんの少し前に副長から教えてもらってたりする。非常に便利である。今回初めて使ったので自分も驚いた。いやーさすがは、フォーリナーテクノロジー。素晴らしい技術である。

裕一「それより、案内して頂けますか。」

神通「あっすみません、では付いてきてください。」

神通が歩いて行く後ろに付いて行く形で、俺は移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 




書き溜めが少なくなってきたので投稿ペースが落ちるかもです。
ご理解のほどお願いします。


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第6話 初対面

本日の分です。


第1章 横須賀鎮守府編

第6話 初の対面

 

鎮守府内の敷地を歩いているが、他の艦娘を見かけない。どこかで待機しているのか、はたまた出撃や遠征で出払っているのか、そんな事を考えていたら鎮守府の庁舎に着いた。外見は赤レンガでできておりありきたりな庁舎である。

中に入ったら、一階の小さな会議室に案内された。部屋の前には、妙高と那智が艤装を装備した状態で立っていた。何か不審なことをしたら即時砲撃だろうか。神通によると中で少し待っていて欲しいとのこと。

俺は素直に指示に従って大人しく待つことした。いや、別に怪しい行動は元からするつもりは無かったよ。

20分程経っただろうか。まぁ、暇である。会議室の窓から外を見る、海が太陽の光を反射して輝いている。

しばらく窓から海を見た後、会議室の中を歩き回る。まだ、誰も呼びにこない。

おそらく今までの経緯の説明を翔鶴さんがしているのだろう。

─と考えながら俺は、剣道の中段の構えをしてみる。これをすると気持ちが落ち着く。自分なりの精神統一だ。

 

会議室に案内されて30分程経過しただろうか。

コンコン、会議室のドアがノックされた。

裕一「はい。」

神通「お待たせしました。執務室に案内します。」

いよいよ、鎮守府の長である提督との対面である。てか、もう少し早くなりませんでしたかね。

裕一「お願いします。」

もちろん、言葉には出さない。

部屋を出た後。神通の後ろに付いて行き中央の階段を上る。

どうやら執務室は2階のようだ。

そして、ある両開きのドアの前で神通が止まる。扉の横には執務室と書かれたプレートがある。神通が扉をノックし

神通「提督、デスピナさんをお連れしました。」

??「入ってくれ。」

部屋から男性の声が聞こえた。おそらく提督だろう、いや、提督以外ありえないか。

神通は、ドアを開け

神通「失礼します。」

と入っていく。俺も続いて

裕一「失礼します。」

部屋に入り、入り口でそう告げる。

部屋には、正面に椅子に座り軍服を着た男、見た目は30代前半。顔立ちから良い司令官であると考えられる。提督の他に神通以外の艦娘の長門、陸奥、赤城、翔鶴、高雄、大淀、吹雪、伊58、そして妖精が何人かいた。

裕一「初めまして、デスピナ級要塞航空母艦一番艦デスピナであります。今回は、お時間を頂きありがとうございます。」

と、右手を胸の前にかざして言った。

提督は、少し驚いたようだか表情すぐ戻し、椅子から立って、

中村「日本国防海軍、横須賀鎮守府、司令の中村 京介(なかむら きょうすけ)大将だ。デスピナ、会えて嬉しい。」

と敬礼をして、右手を差し出してきた。握手であろうか、フレンドリーなのか?分からないが打ち解けようとする意志が感じられる。俺は、その手を握る。

裕一「こちらもです、閣下。」

互いに力強く握手を交わした。どうやら、最初の対面はうまく言ったようだ。

中村「そうそう、ここにいるメンバーを紹介しなげればな。常任秘書艦の長門、常任秘書艦補佐の陸奥と大淀、各艦種の代表の赤城、高雄、神通、吹雪、伊58。空母、翔鶴。そして、工廠長妖精だ。」

一通り自己紹介が終わり、中村提督が聴いてきた。

中村「さて、デスピナ。まずは君のことについて教えてくれ。おそらく初の男の艦娘だからな。大淀、記録を。」

裕一「わかりました。まず、私の艦種は─」

自分の艦種、兵装(衛星軌道兵器と戦略級兵器を除く)について説明した。全員、終始聞いている間非常に驚いていた。

中村「核融合炉により燃料の心配なく、弾薬も自ら作れる。さらに、強力な武装。恐ろしいものだな。」

中村提督は、頷きながらそう答えた。確かにそうだ。技術のレベルが違いますよ。地球外テクノロジーですもん。

中村「それでは、次に先ほど敬礼ではなく文民の礼をしていたが、何か理由でも?」

裕一(やはり訊いてきたな。ここからが話の肝だ、本腰を入れていこう。)

意図して行った先ほどの行動をしっかり拾ってもらえたので、転生したことについても話すことにする。

裕一「はい。その理由とここまでの経緯を説明します。」

 

 

 




現在、9話まで完成しています。
それ以降は大雑把ではありますが構想はあります。
そのため、9話以降については少しお時間を頂きます。
読者の皆さんには、少しお待ち頂けると幸いです。
引き続き、要塞空母デスピナ出撃す。をよろしくお願いします。


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第7話 説明

本日の分です


第1章 横須賀鎮守府編

第7話 説明

 

 

説明をする前に、

裕一「まず、先ほどの理由について、記録を取らずここにいる皆さんと私だけの秘密にして頂きたいのですが。それが確約されるのならば、お話します。」

中村「わかった。皆もいいな?」

部屋にいる全員が頷くのを確認する。

念のため、部屋の中に遮音フィールドと電子妨害のフィールドを張る。室内にいる者全員を覆うように、半透明なバリアが形成される。

裕一「今、盗聴対策として、部屋の中の音を漏らさぬよう遮音フィールドと、盗聴器の動作を

妨害するフィールドを展開しました。人体への危険性は無いのでご安心を。」

それを見て全員が再び驚いていた。俺は続けて話す。

裕一「それでは、これから説明します。まず私は……、この世界で生を授かった者ではありません。異世界より転移してきました。

本名は山本裕一と言います。日本人です。前の世界では高校3年で、年齢は満17歳です。学校に行く途中でこの世界に転移してきました。

そして、本来デスピナは、私の世界ではあるゲームに登場する、架空の艦になります。推測ではありますが、私もそのゲームをプレイした事があるので、私が転移した時この艦が宛がわれたものと考えます。

また、皆さんのことについても知っています。艦娘、私達の世界では第二次世界大戦中の艦を擬人化したもので、同じくゲームの中の存在でした。私の世界、日本は平和そのものでした。もちろん深海棲艦なんていません。深海棲艦によって世界を滅ぼされかけているこの世界とは、状況がまるで異なります。

そうそう、私は元の世界にもう未練はありません。どうやらもうすぐ死ぬ運命だったようですので。この世界に転移したのも何かしらの縁でしょうし、この世界で天寿を全うすることにします。

あ、後ここまで来るまでのことを話さなければなりませんね。大淀さん、ここからはまた記録を取って頂いて構いません。」

俺は、フィールドを解除し、話を再開した。大淀が慌てて記録を再開する。

裕一「私は、おそらく中部海域に転移しました。そこから5日ほど西進し、南鳥島海域に入りました。その後北西に上り、翔鶴さん達が撤退している所を発見し、介入しました。その時のことはおそらく聞いていると思いますが。」

中村「あぁ、報告は受けた。」

裕一「でしたら、私からは以上になります。」

話が終わり、それぞれなにか思うところがあるのか、執務室は静かであった。少しして提督が口を開いた。

中村「まさか、中部海域を単独でしかも無傷で突破してくるとは……。すごいな。」

長門「デスピナ、今の話は真実だろうな?」

裕一「もちろん真実です。艤装にある記録を確認しますか?」

長門「お願いする。」

俺は、記録を自分の目の前に映し出した。そこには、

撃沈数:空母65隻、戦艦124隻、重巡175隻、軽巡54隻、駆逐艦196隻

と表示されていた。

その場にいた者は、驚愕のあまり固まっていた。

これ以上彼らを驚かせていても時間の無駄なので、そろそろ交渉に入ることにする。

裕一「さて、私の戦力は非常に強力です。しかし、私はこの世界において身分が保証されておらず曖昧なままです。そこで、横須賀鎮守府に所属させて頂きたいのですが、どうでしょうか?」

すかさず、自分の提案を出した。提督はすぐに考え始める。艦娘達はまだ固まったままだ。

中村「確かに、君という戦力は絶大なものだ。味方としては非常に心強いし、他の鎮守府に持っていかれるのは気に食わん。良かろう、デスピナ。君を横須賀鎮守府に在籍させよう。面倒ごとにならぬよう、上層部には人事部に口止めをしてもらって、他の部署と他所の鎮守府には存在を悟られないように取り計らおう。」

裕一「ありがとうございます。」

俺は、敬礼をして、

裕一「要塞空母デスピナ、横須賀鎮守府に着任いたします。」

中村「デスピナ、改めて横須賀鎮守府にようこそ。歓迎する。」

と、中村提督は答礼をした。こうして、俺は、横須賀鎮守府に着任した。

 




お気に入り登録をしてくれた方、ありがとうございます。
ユニークアクセスが4話までが全て500を超えました。本当にありがとうございます。
引き続き、この作品をよろしくお願いします。
後、感想を頂けると幸いです。


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第8話 施設案内

本日の分です。


第1章 横須賀鎮守府編

第8話 施設案内

中村「さて、デスピナが仲間に入ったことだし施設を案内せねばな。翔鶴、頼めるか?」

そう言うと、ようやく皆、現実に復帰した。

翔鶴「あっ、はい!えーと、ではデスピナさん鎮守府内を案内しますね。」

裕一「よろしくお願いします。」

中村「あーそうそう、19:00に食堂で歓迎会するからな。」

裕一「わかりました。」

中村「長門、現時刻を持って待機命令を解除。歓迎会の指揮を執ってくれ。」

長門「了解だ。」

翔鶴「では、行きましょう。失礼しました。」

裕一「はい、失礼しました。」

俺と翔鶴さんは執務室から退出した。

 

翔鶴さんに、案内されまずは酒保にやって来た、なんとセブ〇イレ〇ンがある。どうやら、この世界にもコンビニはあるらしい。これはありがたい。

ちなみに、艦娘は一応国防軍に所属しているため、給料を貰っている。

金額は最低で23万円、最高で44万円。少尉と同じくらいの月給である。

 

次に、甘味処間宮にやって来た。中に入ると、蒼龍と飛龍の二航戦コンビがいた。

蒼龍「お!翔鶴さん。後ろのかたは?」

裕一「初めまして、本日着任しました。要塞空母デスピナです。よろしくお願いします。」

飛龍「男の艦娘?初めて見た~。私、二航戦の飛龍。よろしく!」

蒼龍「同じく二航戦の蒼龍です。よろしく。」

と、笑顔で挨拶してくれた。

飛龍「ってことは、翔鶴さんは鎮守府内の案内?」

翔鶴「えぇ、そうよ。デスピナさんは、甘い物は好きですか?」

裕一「はい、好きですよ。お給料出たら来たいですね。」

すると、奥から間宮さんが出てきて、

間宮「あら、新人さん?初めまして。給糧艦間宮です。」

裕一「初めまして、要塞空母デスピナです。」

間宮「なら、着任祝いに。はい、名物の間宮羊羹です。」

裕一「おぉ、ありがとうございます。」

飛龍「いいなぁ、それ1週間に限定5個の品物だよ。」

裕一「ハハ、良かったら後日部屋に来た時にでもお出ししますよ。」

飛龍「やったぁ!じゃあ、後日部屋に遊びに行くよ!」

裕一「わかりました。」

翔鶴「そろそろ、次の所に案内していいですか?」

裕一「あ、はい。大丈夫です。では、失礼します。」

蒼龍 飛龍「「うん♪」」

そうして、次の所に移動した。あ、部屋番号教えてない……て、俺もまだ訊いてないし、今はいいか。

 

次に、来たのは食事処鳳翔。扉の前には終了の札があった。残念ながら中に入れないようだ。

営業時間は、11:00~14:00にランチタイムと17:00~24:00に居酒屋となるそうだ。お値段は高めであるが、よく翔鶴さんも利用するそうだ。ここも、お給料を貰ったら来よう。

 

次に、食堂に来た。ここでは、入口で食券を発券して注文する形だそうだ。料金はもちろん無料である。今は、歓迎会の準備中のようなので早々に次の所に移動した。

 

次に、工廠のあるエリアにやって来た。自分の前にある建物、主に建造や開発が行われている建造ドック、建造ドック他にお風呂のある入渠ドック(提督も入るので規模は小さいが男湯もある。)、艤装の修理やメンテナンスを行う建物、出撃ドック、あと資材などが置いてある倉庫群がある。

翔鶴さんから説明を受けていると建造ドックから1人の妖精が出てきた。執務室で会った、工廠長妖精である。

工廠長「おう、さっき会ったな。工廠長を務めているものだ。改めてよろしく。」

裕一「こちらこそ、要塞空母デスピナです。よろしくお願いします。」

工廠長「うん、さっそくだがデスピナ。明日こっちに顔出しでくれんか、お前の艤装をみてみたいんだ。」

裕一「構いませんよ。では、明日こちらに伺います。13:00頃でいいですか?」

工廠長「うん、それで頼む。それでは、まだ仕事が残っているからな。これで失礼するよ。」

と再び建造ドックの中に入っていった。

 

すると、後ろから大淀さんがこっちにやってきた。

大淀「すみません。お部屋の鍵をお渡しするのを忘れていまして。こちらが、お部屋の鍵です。空母寮になります。デスピナさんは男性ですので、二人部屋を1人で使ってもらうことになります。」

と、俺に鍵を渡してくれた。

翔鶴「では、寮のほうに案内しますね。」

大淀「それでは、私はここで。」

裕一「ありがとうございます。」

大淀さんは鎮守府本館のほうに戻っていった。

 

そして最後に、寮のあるエリアに着いた。寮は艦種ごとで、駆逐艦寮は三人部屋の4部屋×3階建て。他は二人部屋の5部屋×3階建てとなっている。また、それぞれの部屋には各個室もあり、プライベート空間も確保されている。また、キッチンもあるそうだ。そうして空母寮にやって来た。

翔鶴「デスピナさん、部屋の番号はいくつですか?」

裕一「105です。」

翔鶴「では、サラトガさんとコマンダン·テストさんのお隣ですね。私は303ですので少し離れていますが何かあったら相談してくださいね。」

裕一「はい!ありがとうございます!」

裕一(あー、翔鶴さんは女神様だわー。改めて実感した。翔鶴さんは女神。異論は認めん。)

翔鶴「それでは、私はこれで。」

と微笑み、3階へと上がっていった。

俺も部屋に向かった。

 




近く、デスピナの艤装や世界観などをまとめたもの出します。


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第9話 部屋で

本日の分です。

変更
5月29日 海防艦3隻を追加、計197隻に


第1章 横須賀鎮守府編

第9話 部屋で

 

 

俺は、105号室の鍵を開け中に入った。

内装は、広さは10畳、おそらくリビングだろうか、テーブルと椅子が2つ、家電はテレビとエアコンがある。隣にはキッチンがあり、シンクとガスコンロオーブン付き、冷蔵庫、電子レンジ、食器棚がある。どうやらリビングはリビングダイニングらしい。入口から左のほうにドアがあり、なかは洋式のトイレがある。そしてその隣に入口からみて部屋の奥に扉が2つ。こっちは、シングルベッドと机、クローゼットがある。また、クローゼットの中には自分の着ている服がすでに7着入っている。どうやら、急いで準備してくれたようだ。

 

今は、一人のためかなり広く感じ、殺風景である。

裕一(お給料貰ったら色々買い揃えなければ…)

頭のリストに買わなければならないものを書いていく。当面は、一文無しでやっていかなければならない。幸い、衣食住は確保されているので何とかなる。

裕一(いやー、軍属はある程度の生活を保証され、国民の税金から給料が払われ、素晴らしいものだ。前の世界では、戦争が無い平和なものだったからな、税金泥棒なんて言われていたが。

まぁ、どっちがいいのかなんて分からないけど。)

とりあえず、暇なのでテレビを点ける。夕方のためニュースが放送されている。なんと、前の世界とほぼ同じである。転移する日の朝、流れていた事件が、どうやらこっちでも起こっていたらしく、今日犯人が捕まったそうだ。

 

それから、テレビを見ながら時間を潰していると部屋のドアがノックされた。

コンコン、

翔鶴「デスピナさん、いらっしゃいますか?翔鶴です。」

部屋の時計を見ると、18:40であった。

裕一「はーい、鍵開いているのでどうぞ。」

翔鶴「お邪魔します。」

翔鶴さんが入ってきた。

翔鶴「そろそろ、歓迎会ですので行きましょう。」

裕一「すいません、わざわざ、お迎えに来て頂いて。」

翔鶴「いえ、気にしないで下さい。私がやりたくてやっているだけですから。」

俺と、翔鶴さんは部屋を出て、鍵を閉め食堂へと向かった。

 

向かっている途中俺と翔鶴さんは話しながら歩く。

裕一「今、横須賀鎮守府にどれだけの艦娘がいるんですか?」

翔鶴「確か…、戦艦が18隻、空母、水上機母艦が27隻、重巡が21隻、軽巡、雷巡、練巡が26隻、駆逐艦が88隻、補給艦が2隻、潜水艦10隻、海防艦3隻、工作艦1隻、揚陸艦1隻の計197隻が横須賀鎮守府に所属しています。他の四鎮守府同じくらいですね。」

裕一「結構いるんですね。」

裕一(この世界では、掘りというものが無くていいなー。)

俺は、そんなことを考えていた。

 



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第10話 歓迎会前編

第1章 横須賀鎮守府編

第10話 歓迎会前編

 

 

翔鶴さんと食堂に19時五分前にやって来た。翔鶴さんから、食堂の前で提督から指示があるまで待っていてほしいとのこと。

 

そして、19時になり提督の挨拶が始まった。

中村「さて、皆に待機命令を出したのは、本日の海域攻略作戦中、仲間達の危機を救い、撤退を助けてくれた、強力な味方の横須賀鎮守府着任に対応するためのものだった。では、早々に紹介しよう。翔鶴達の撤退を助けてくれた、要塞空母デスピナ君だ。デスピナ、入ってくれ。」

俺は、扉を開け中に入った。食堂の中は飾り付けをされ、テーブルの上には豪勢な食事が並んでいる。そして、中村提督のいる正面のほうには、[ようこそ横須賀鎮守府へ]と書かれた横断幕がある。また、艦娘、妖精も多くいた。どうやら全員が集まっているようだ。

とりあえず、奥のほうに進んでいき中村提督のもとに行く。そして、中村提督からマイクを渡された。

裕一「本日、横須賀鎮守府に着任しました。デスピナ級要塞航空母艦一番艦デスピナです。えーと、見ての通り男です。皆さんと仲良くなれたらいいなと思います。これからよろしくお願いします。」と頭を下げる。すると、皆から拍手を貰った。

中村「では、全員グラスを持ったか?」

翔鶴さんからお茶の入ったグラスを受け取る。

中村「それでは、デスピナの着任を祝って、乾杯!」

全員「「「カンパーイ!!!」」」

それから、各々用意されている料理に手をつける。また、おしゃべりを楽しむ者もいる。

翔鶴「デスピナさん、隣空いているのでどうぞ。」

裕一「ありがとうございます。」

翔鶴さんの隣に座り、料理を食べる。料理は美味しかった。

そして、前に座っていた、赤城さん達に、話しかけられた。

赤城「執務室でお会いしましたが、改めて。航空母艦赤城です。」

加賀「航空母艦の加賀です。赤城さんから聞きました。18隻の敵艦を単独で撃滅したとか。素晴らしい戦果ですね。」

裕一「ありがとうございます。しかし、まだまだ私も精進が必要です。機会があればぜひ、訓練などで戦闘に関して御教授頂ければ幸いです。」

加賀「構いませんよ。」

裕一「ありがとうございます。他の方にも挨拶して回りたいので席を離れますね。」

俺は、断りをいれて席を立った。すると、翔鶴さんも

翔鶴「私もご一緒します。」

裕「すみません、ぜひお願いします。」

 

他の空母の方にご挨拶。途中でちょっとした事もあった。例えば、

瑞鳳「デスピナさん、卵焼き食べる?」

裕一「食べりゅーーーーーー!!!!」食べさせてもらったり、

隼鷹「デスピナ~、一緒にどうだ?」

千歳「こっちにきなさいよ~。」

と酔っ払いに絡まれたりした。

 

次に戦艦の方にもご挨拶。ここでは、ついつい

裕一「殿下、お会いでき光栄です。」

と自分なりのジョークを言って、ウォースパイトさんの手を取り手の甲にキスをした。よく考えたらセクハラだよなこれ。後、後ろにいる翔鶴さんから睨まれた気がしたので

同様に手の甲にキスしたら、驚きつつも、顔を赤らめて喜んでくれた。

 

 

 




昨日、2話のUAが1000件を超えました。
本当にありがとうございます。
これからもこの作品をよろしくお願いします。


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第11話 歓迎会後編

本日の分です。


第1章 横須賀鎮守府編

第11話 歓迎会後編

 

 

次に、重巡洋艦のいる場所へ。ここでも

ポーラ「服がじゃま~。」

ザラ「ポーラ!服を着なさい!」

と、ポーラの見事なメロン2つが見えたり、他の酔っ払いに絡まれたり、

青葉から取材の申し込みを受けたりした。取材は後日行うことになった。

 

次に、軽巡洋艦のもとへ。ここでは、夜戦が好きか聴かれたり、北上さんに変なことしたらタダではおかないぞ、的な脅しをかけられたりした。あと、明石さんもここにいた。どうやら夕張と一緒にいるらしい。

 

つづいて、潜水艦のもとへ。ここは、酔っ払いが1人いる以外特に何もなかった。

 

最後に、駆逐艦のもとへ。ここでは、多くの駆逐艦と話した。初めての男の艦娘なので興味があるからなのか、誰とでも話せる子供の性質からなのか。とにかく、怖がられて話せないなんてことは無く、たくさん触れ合えたのでよかったとする。後、ロリに目覚めかけた。

 

そんなこんなで、歓迎会は21:00頃にはお開きになった。会場の片付けをして部屋に戻った。

裕一 (多くの艦娘と交流できてよかった。しかし、デスピナっていう名前にはまだ慣れていないな。名前を呼ばれても自分だってことに反応できてなかったからな。早く慣れねば。)

と反省しつつ、俺は、眠りについた。

 

翌日、06:00の起床ラッパを聞きながら起きた。身支度を整え、食堂に向かうため部屋を出た。寮の前で翔鶴さんと瑞鶴に会った。

裕一「おはようございます。」

翔鶴「あら、おはようございます。」

瑞鶴「おはよう。」

翔鶴「デスピナさんも一緒に食堂で食べませんか?瑞鶴もいいわね?」

裕一「えぇ、ぜひ。」

瑞鶴「別に、いいよ翔鶴姉ぇ。」

というわけで、3人で食堂に向かった。

 

食堂はもうすでに、多くの艦娘がいた。カウンターで料理を選び、席を探す。窓辺の席が空いていたので、そこを取る。俺は、焼き鮭のセットを。翔鶴さんは、目玉焼きセットを。瑞鶴は洋食セットを選んだ。3人で食べている時、瑞鶴が

瑞鶴「そういえば、デスピナさん今日の予定は?」

裕一「とりあえず、提督の所に行って聴いて、午後は工廠長にお呼ばれ。」

瑞鶴「ふ~ん、そうなんだ。」

裕一「そっちは?」

瑞鶴「今日は翔鶴姉ぇと近海に出撃して、哨戒。」

翔鶴「お昼はご一緒出来ないんです。」

と、少し寂しそうに翔鶴さんは言ったので、

裕一「よかったら、これから毎朝、一緒に朝食を食べませんか?」

翔鶴「いいんですか!ぜひ、お願いします!」

さっきとは、打って変わって表情が明るくなった。やはり、翔鶴さんは笑顔が1番である。

瑞鶴「翔鶴姉ぇ、そろそろ準備しに行かないと。」

翔鶴「あら、やだ。もうそんな時間。デスピナさんここで失礼しますね。」

裕一「はい、頑張ってください。」

俺は、手を振って見送った。

もう少し、寛ぐため食器は返却口に持っていき、コーヒーを持って元の席に戻る。

裕一 (さて、今日から頑張りますか。)

そう、気合を入れた。

 



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第12話 工廠へ


お知らせです。今回柿の木先生の『鎮守府より故郷に告ぐ~艦隊コレクション~』とコラボさせていただくことになりました。そのため本編は少しの間お休みになります。

コラボについてですが、第13話の後から番外編として出します。どれくらいになるかわかりませんが、こちらも無双になります。

ぜひ、『鎮守府より故郷に告ぐ~艦隊コレクション~』もみていってください。
そしてこれからもこの作品をよろしくお願いします。

それでは本日の分です。


第1章 横須賀鎮守府編

第12話 工廠へ

 

 

食後のコーヒーを楽しみ、今日の予定について聴くため執務室に行く。

コンコン、

中村「誰だ?」

裕一「デスピナです。本日の予定について伺いにまいりました。」

中村「入ってくれ。」

裕一「失礼します。」

中村提督はすでに書類仕事をしていた。

中村「デスピナ、今月の勤務表だ。」

裕一「はい、拝見します。」

勤務表には今日は非番であった。

中村「今日は非番にした。明日から出撃などをこなしてもらう。また、ローテーションで日替わりの秘書艦を務めて貰う。内容は、主に書類仕事の手伝いなどかな。まぁ、その時また話す。哨戒活動などの出撃、遠征は出撃ドックで長門の指示に従ってくれ。」

裕一「了解です。」

その時、執務室のドアが開き艦娘が入ってきた。鹿島だった。

鹿島「はい、提督さん。追加の書類です。」

中村「お、ありがとう。後、コーヒーを貰えるかな。」

鹿島「はい、今お持ちしますね。」

裕一「では、私はこれで。」

中村「うん。」

裕一「失礼しました。」

俺は執務室を出る間際に目が合った鹿島さんに軽く会釈して、廊下を歩きながら午前の予定を考える。

裕一 (さて、どうするかな。部屋で過ごすのもあれだな、鎮守府内をぶらつくか。)

 

鎮守府本館を出て、目的無く歩く。なんとなく演習エリアの方へ行く。

演習エリアでは何人かの艦娘が訓練中だった。どうやら、砲撃訓練のようだ。

その様子を何気なく見て、時間を潰す。

1、2時間程経っただろうか、訓練が終わった。それに合わせて、俺も別の場所に移動した。

 

続いて、酒保のコンビニへ。そこで今週のジ〇ンプを立ち読みする。

そして、30分程して11:00過ぎになっていた。他にやる事が思いつかず仕方ないので、お昼には早いが食堂に行くことにした。

食堂には、他の艦娘はいなかった。食堂はすでにランチタイムなので問題はない。

俺は、カルボナーラの大盛りを頼み、食堂のテレビの近くの席に座る。

カルボナーラをテレビを見ながらゆっくりと食べつつ時間を潰した。

食後は、冷えたオレンジジュースを飲み、過ごした。

そんなこんなしていたら、12:30となった。食堂も艦娘が多く入り始めたので、そろそろ工廠へと向かうことにした。

 

工廠のあるエリアに着いた俺は、建造ドックのある建物の中に入っていく。妖精もお昼休憩なのかあまり見かけない。そして、奥のほうに工廠長を見つけた。

工廠長「お、来たか。では、さっそく艤装を見せてくれ。」

裕一「はい、ここで展開すればいいですか。」

工廠長「そうだ。」

裕一「では。」

俺は、艤装を展開する。右の手につけている指輪が光り、巨大な艤装が展開された。

工廠長「――っ、凄いなこれは。これ程の大きさの艤装は初めて見た。元の艦はよほどデカかったのだろう。」

すると、艤装から

副長「そうです!デスピナは世界最大の水上艦!伊達に要塞の肩書きを賜っている訳じゃありません!」

と副長が出てきた。何故か久しぶりな気がする。

工廠長「うん?君は、艤装の妖精ではないな。何者だ。」

副長「はい。デスピナの補佐として大妖精から派遣されました。」

工廠長「大妖精?」

副長「あ、あと大妖精から伝言で『彼はイレギュラーとしてこの世界に連れてきた』と。」

そして、工廠長はどこか納得した顔になった。

工廠長「なるほどな、君がか。これは、急ぎ情報を共有しなければ。いやー、疑問が無くなりスッキリしたわ。」

俺はいったい何のことなのか分からない。

裕一「あのー、一人で納得しないでください。私にも色々と教えてほしいのですが。」

 



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第13話 大妖精

今回で第1章 横須賀鎮守府編が終わりました。

前回の予告通り、明日か明後日にコラボとして番外編を出します。
こちらの投稿ペースは落ちます。気長に待って下さい。、
内容としては、第二次深海大戦末期の頃です。

ぜひ、お楽しみに。
そして、柿の木先生の作品もよろしくお願いします。

では、今日の分です。


第1章 横須賀鎮守府編

第13話 大妖精

 

工廠長「うん?そうだね…。君にも関係があるしね。いいよ、教えてあげよう。何を聴きたい?」

裕一「では、先程話に出てきた、大妖精について。」

工廠長「まず君は、大妖精に会ったことがあるはずだよ。」

裕一「えっ?」

工廠長「猫をぶら下げてる女の子だよ。彼女が大妖精。俺たち妖精の上位の存在だ。彼女は、この世界を管理している存在の補佐という立場にいる。ちなみに、大妖精の存在は妖精は全員しっているが、会ったことのある者は君と、四鎮守の工廠長妖精と、初期の艦娘5人と、軍の上層部だけだ。」

裕一「では、イレギュラーとは?」

工廠長「それは…。」

工廠長は少し悩んで、

工廠長「最初の頃は、深海棲艦の勢力はそれほどでもなかった。しかし、第二次深海大戦の頃から深海棲艦の強さが格段に上がり始めた。我々も、艦娘を強化して対抗しているが、結局はイタチごっこだ。そこで大妖精は、イレギュラー。膠着した戦局を覆すほどの、圧倒的な強さを持つものをこの世界に招いたんだ。」

裕一「なぜ、自分だったのでしょう。」

工廠長「そこは、私には分からないよ。大妖精に直接聴くしかないな。」

裕一「そうですか。あ、それと工廠長の方から見て、現状をどう思いますか。」

工廠長「そうだね…。今はまだ均衡がとれるよう我々妖精も艦娘も頑張っている。が、先程言った通り、このままではイタチごっこを続ける事になる。君がいなければ近い将来、持って10年程かな、人類が持ち堪えられるのは。いや……君がいたとしても、そう長いことは持つか怪しいな。」

この世界は思ったよりかなり危ない状態であった。

裕一「なるほど、では私はかなり頑張らないといけませんね。」

工廠長「情けない限りだか、現状を打破出来るのは君だけだ。なにか有ったら私に相談しても構わんからな。」

裕一「はい、ありがとうございます。」

工廠長「他にはないか?」

裕一「いえ、無いです。」

工廠長「そうか、あ、それと。近く開発を手伝ってもらうかもしれん。」

裕一「開発ですか?」

工廠長「うん。君のようなイレギュラーが開発を担当したら、おそらくとてつもない兵器を開発しそうだからな。まぁ、提督の許可を取れたらの話だが。私は、間違いなくあの提督は許可を出すと読んでいる。いやー、今から楽しみじゃ。誘導噴進弾、ミサイルが作れるかもしれないな!」

裕一「はぁ。」

その後、工廠長が目をキラキラさせて、こんな兵器が欲しいというものをひたすら語り続けた。

俺は、ただただ相槌をうって聞くしかなかった。

裕一「では、失礼します。」

そう言って、俺は工廠を後にした。

 

 

 

 



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番外編 別のイレギュラー
番外編 第1話


お待たせしました。今回から柿の木先生とのコラボとして
番外編 別のイレギュラーが始まります。
番外編はのんびりとやっていきますので気長にお待ちください。
また、柿の木先生の作品もよろしくお願いします。
それではどうぞ。


番外編 別のイレギュラー

第1話

 

 

私はデスピナ、山本裕一と話した後、どうもアイツを思い出す。

あれは2年前。第二次深海大戦末期、世界が滅ぶ寸前だった頃だ。我々妖精と艦娘5人で日本に赴き、協定を結び戦力の拡充を行っていた時だ。

 

 

 

横須賀鎮守府

私は、修理ドックで作業をしていた時だった。

ビー、ビー、ビー。

大淀「総員、戦闘配備!現在近海に深海棲艦多数が接近中!直ちに出撃せよ!非戦闘員は直ちに避難シェルターに避難せよ。繰り返す。総員……」

この頃、毎日のように戦闘があった。1日で3回以上艦娘は出撃していた。そのためか、艦娘の被弾が日に日に多くなっていた。それに伴い補給や修理などで妖精達も24時間働き休み無しであった。

私は、指令室に向かう。

妖精「艤装のチェック完了。いつでも行けます。」

高野「艦隊、出撃!」

艦娘達が出撃ドックから次々と出撃していく。この間の戦闘で初の轟沈者を出す寸前であった。今回の戦闘では轟沈者が出る。我々も覚悟をしておかねば。しかし、あの人なら何とかするかもしれない。

 

指揮を執っていたのは、高野 公佑。当時は大将、58歳。第二次深海大戦初期からの老将。大戦中最後の勝利である第一次ミッドウェー海戦の指揮を執った。現在は元帥、国防海軍軍令部総長である。

 

オペレーター妖精「敵の勢力が判明!空母ヲ級elite20隻、軽母ヌ級30隻、戦艦ル級elite30隻、重巡リ級flagship10隻、軽巡へ級elite30隻、雷巡チ級elite20隻、駆逐ハ級50隻。計190隻!」

深海棲艦の数が当時は、過去最大のものである。対し、こちらは吹雪、叢雲、漣、五月雨、電、白雪、深雪、龍田、天龍、古鷹、加古、鳳翔、龍驤、赤城、金剛、比叡の16隻のみである。前言撤回する、無理だ。

 

オペレーター妖精「古鷹、加古に続き金剛、比叡も大破!」

高野「くっ…、急ぎ大破艦を戻し修復せよ!」

工廠長「私だ!急いで、修理ドックの用意をしろ!あ、後補給の準備!」

私は内線で指示を出す。

赤城「提督!これ以上は戦線の維持が出来ません!」

オペレーター妖精「!?深海棲艦が12隻程、防衛線を突破!」

高野「国防陸軍の沿岸部への部隊配置は?」

オペレーター妖精「完了しています。」

高野「陸軍に連絡を、深海棲艦が12隻防衛線を突破。これの足止めを頼む、と。」

オペレーター妖精「了解。」

はたして、どれ位足止めできるか…。

工廠妖精「大破艦娘の入渠、艤装の修理、補給を開始します。」

工廠長「現在、深海棲艦が防衛線を突破した。作業を急げ!」

 

赤城「艦隊の被害甚大!後退を!」

オペレーター妖精「沿岸の陸軍の被害が5割を超えました!」

あれから、1時間経過していた。

高野「…後退を許可する。艦娘の再出撃はまだか!」

工廠長「あと5分で行けます!」

オペレーター妖精「最終防衛線を突破されました!深海棲艦の射程圏内に入るまで、3分!」

高野「再出撃急げ!」

工廠長「今、やらせています!」

オペレーター妖精「!?さらに新たなる反応、6!…うん?深海棲艦ではありません。」

高野「どういうことだ。」

オペレーター妖精「識別は艦娘、しかしこちらのデータに一致する艦ではありません。」

高野「工廠長、君は知っているか?」

工廠長「いえ、私も知りません。」

オペレーター妖精「対象の艦隊から発砲!」

 

少し経過し、

オペレーター妖精「防衛線を突破した深海棲艦の反応すべて消滅!」

高野「本当か!」

工廠長「再出撃の準備完了!行けます!」

オペレーター妖精「対象艦隊からさらに発砲、侵攻中の深海棲艦の反応がさらに消えました。」

高野「よし!直ちに再出撃、残りの艦娘を戻して敵を押し返せ!」

 

そこからは一方的であった。あの艦隊から総数20,000機以上の航空機が発艦し、超遠距離からと航空機による攻撃によって、深海棲艦はただただ撃沈されていくだけであった。おかげでこちらは出番がなかった。

 

 

 

 

 

 




何か分からないことことがありましたら、聴いてください。

多ければ、設定集作ろうと思います。


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番外編 第2話

お待たせしました。番外編第2話です。

現在、番外編の第3話を制作中です。
また、番外編の期間を使って本編のほうも少しずつ書いていくので
前回も言いましたが気長に待ってください。
ご理解の程よろしくお願いします。

それでは第2話どうぞ。


番外編 別のイレギュラー

第2話

 

オペレーター妖精「…全ての侵攻勢力を排除しました。あの艦隊から通信です。」

高野「繋いでくれ。」

華月「お、つながった。どうも、龍國大天海軍戦艦紅魔の高橋華月です。」

高野「日本国国防海軍横須賀鎮守府提督の高野公佑だ。先ほどは助かった。」

華月「それでですね、そちらで補給をしたいのですが。宜しいでしょうか?」

高野「こちらは助けてもらったのだ。少しでも恩を返したい。横須賀鎮守府への寄港を許可する。」

華月「ありがとうございます。」

高野「いやはや、礼を言うのはこちらだよ。本当にありがとう。」

華月「では、後ほど。」

そう、彼は言って通信を切った。

高野「工廠長、補給の準備を頼む。」

工廠長「問題ありません。もう、始めています。」

そして、数分後彼らと会った。

 

見張り妖精「艦娘らしきものを6隻確認しました。」

通信妖精「こちら横須賀鎮守府。こちらの誘導に従って入港してください。」

工廠長「では、私は彼らの補給などを見てきますね。」

高野「頼む。」

私は、工廠の方へ向かった。

 

工廠妖精「艤装の解除を確認!よーし、ゆっくりな!」

工廠長「どうだ、艤装のほうは?」

工廠妖精「はい、我々も見たことがないものばかりです。ある艤装なんか46cmを余裕で超える主砲がありました。」

工廠長「ほぅ、それは後で見せてもらうことにしよう。それで彼女らは?」

工廠妖精「はい、あちらに…。」

妖精が示した方向に6人いた。うち5人は、女性なのだが1人は男性だった。

工廠長「どうも、ここの鎮守府の工廠長をやっております。」

華月「これは、龍國大天海軍戦艦紅魔の高橋華月です。」

工廠長「では、先ほどの通信で提督と話していたのはあなたですか。いやはや、男性に近い声だったので声の低い女性の艦娘だと思っていたのですが。本当に男とは。」

華月「こちらは、男性はいないのですか?」

工廠長「えぇ、鎮守府には提督以外男性はいませんね。もちろん、艦娘にもいませんよ。」

華月「そうですか。」

工廠長「とりあえず、提督のもとに案内しますね。」

華月「お願いします。それでいいなみんな。」

信濃、蒼勝、國勝、剣関、美嶺「いいよー。」

工廠長「では、行きましょう。」

これが私の彼らとの出会いだった。

 

執務室

高野「改めて、日本国防海軍、横須賀鎮守府提督の高野公佑だ。」

華月「龍國大天海軍戦艦紅魔の髙橋華月です。」

美嶺「わらわは、龍國海軍所属、第三水上打撃艦隊旗艦。舞浜型超弩級戦艦四番艦の美嶺。」

信濃「あたいは航空戦艦の信濃。よろしくね。」

剣関「自分は、航空母艦の剣関や。」

蒼勝「私は、航空巡洋艦の蒼勝。よろしゅうな。」

國勝「同じく、航空巡洋艦の國勝や。」

鳳翔「秘書艦の鳳翔です。」

高野「さて、先ほどは本当にありがとう。」

華月「いえいえ、近くを通ったらたまたま深海棲艦がいたので撃沈しただけですよ。」

美嶺「それにしても、日本の近海にelite、はたまたflagshipクラスまででてくるとは…。おそろしいものじゃ。」

 

秘書艦「皆さんは、それを殲滅しているのですが…。そちらの方がおそろしいです。」

高野「そこでだ。現在他の鎮守府の整備が急ピッチで行われている。また、配備予定の艦娘は訓練課程を終え、即時投入可能。完成すれば防衛線の維持がしやすくなり、戦線を進めることができる。」

そこで、高野提督は言葉を切って、

高野「しかし、完成は早くて5日後。敵さん、こちらのが戦力が整うのを恐れてか、今回の大規模な侵攻があった。おそらく、5日以内に先程よりも大規模な侵攻予想される。そこでだ、龍國大天に5日間の防衛任務の依頼を出したい。」

華月「少し、お待ちください。確認します。」

そう言って、無線の様なもので誰かと話し始めた。多分、上司の人だろう。

少し経ち、話し終わった、華月さんが

華月「防衛任務を引き受けます。」

高野「本当か!ありがたい。では、5日間だけだがよろしく頼む。」

と、高野提督は右手を差し出し、

華月「こちらこそよろしくお願いします。」

と華月さんは手をとり握手した。

高野「鳳翔、皆さんの部屋を用意してくれ。」

鳳翔「すでに手配済みです。」

高野「では、部屋の準備が整うまで食堂ででもくつろいでいてください。終わり次第部屋に案内させます。」

鳳翔「ご案内いたします。」

6人は鳳翔に連れられ執務室を出ていった。

そして、提督と2人になる。

高野「工廠長、彼らと会ってどう思う。」

工廠長「大丈夫ですね、これなら世界滅亡は回避できます。」

高野「大妖精はなんと?」

工廠長「……、今までのちょっとしたお詫びだ、と。」

高野「今後、大きな品が届くということか。ならば、今は頑張らないとな。

艦娘達にはもう少しの辛抱を頼まねばな。」

 

工廠長「彼女達も分かっていますよ。彼女達はちゃんと意志を持って戦場で戦っていますから。」

 

こうして、侵攻を退けた1日は暮れていった。

 




また、評価して下さった方本当にありがとうございます!

1~4話のUAが1000件を超えました。

これからもご愛読の程よろしくお願いします。


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番外編 第3話

お待たせしました。番外編第3話です。

戦闘シーンを上手く書ければいいのですが…なかなか難しいですね。

番外編は次話で終わる予定です。

それではどうぞ。


番外編 別のイレギュラー

第3話

 

 

かれらの戦力はとてつもないものだった。中規模な侵攻が何度かあったがなんなくこれを撃滅できた。しかし、問題があるとしたら、資材の消費がすごい。だいたい1回の戦闘でこれまでの2倍の消費量である。もし、全力で戦うことになった時の消費量を考えると…。それでも艦娘達の負担はかなり軽減されたのだから良しとする。

 

彼らが来て4日目。確かお昼過ぎだった。

ここ最近、艤装の損傷する機会が無くなっているが、欠かさず艤装の点検をしていた時だった。

ビー、ビー、ビー

大淀「総員戦闘配備!現在深海棲艦の大規模な侵攻を確認!直ちに出撃せよ!繰り返す…」

予想通り深海棲艦による大規模な侵攻が始まった。

工廠長「直ちに出撃準備をしろ!」

工廠妖精達「「はい!」」

 

司令室

オペレーター妖精「現在、艦娘、華月艦隊による防衛線を構築8割。また、国防陸軍の配備は6割完了。」

高野「敵の戦力は?」

オペレーター妖精「!?これは…、」

高野「どうした?」

オペレーター妖精「elite、並びにflagshipクラス多数!戦艦100隻以上、空母200以上!?他の艦種に関してはそれぞれ推定500隻以上…。」

高野「……。」

私も驚愕のあまり言葉が出なかった。少しして提督が復活し、

高野「いったい、どこからこれだけの戦力を…。いや、まさか…!?」

何か悪い予想をしたようで、

高野「直ちに、南鳥島の状況を!」

オペレーター妖精「南鳥島ですか?なぜでしょうか?」

高野「急げ!もしかすると、いや、間違いなく南鳥島に深海棲艦の拠点が構築されているかもしれん!」

オペレーター妖精「!?わ、わかりました!」

 

数分後、結果は最悪である。

オペレーター妖精「南鳥島に深海棲艦の拠点が構築されています。また、新種の深海棲艦も確認されました。」

高野「…、なぜ気づかなかったのだろう。予想できた事だった…。」

そう1人呟いた。

すると、突然自分の頬を殴った。

高野「─っ、すまん。取り乱した。現状は最悪だが、まだまだ希望はある。」

そう言って、提督は立ち上がり

高野「龍國大天海軍艦隊に通信を繋げ!」

オペレーター妖精「はい!」

 

華月「はい、華月です。」

高野「私だ、今しがた悪い知らせが入った。現在南鳥島に深海棲艦の拠点が構築されている。また、新種の深海棲艦も確認された。」

華月「我々にその拠点と深海棲艦を潰せと?」

高野「そうだ、こちらで防衛線を維持している間に敵の拠点並びに新種の深海棲艦の撃滅を要請する!」

華月「了解です。これより我が艦隊は敵拠点の破壊、並びに新種の深海棲艦を撃滅します!」

高野「頼む。」

華月「任せてください、それでは。」

華月さんは通信を切った。

高野「各艦娘に通信、『日本の興廃この一戦にあり。総員一層の奮戦努力せよ!』」

オペレーター妖精「了解!」

こうして、日本近海奪回戦が始まった。

 

 

 

赤城視点

 

提督から『日本の興廃この一戦にあり。総員一層の奮戦努力せよ!』と通信があった。

赤城「各艦、深海棲艦を後ろに決して通すな!この命に変えてでも敵を撃滅せよ!」

艦娘達「了解!」

見張り員妖精「敵接近!」

赤城「第一次攻撃隊発艦始め!」

私は矢を弓で放つ。矢が零式21型に変わり上がっていく。鳳翔さんや龍驤さんからも艦載機が上がっていく。

金剛「敵艦補足、ファイヤー!」

比叡「主砲撃ちます、当たって!」

金剛さんたちも砲撃を始めました。

これが深海棲艦との死闘の始まりでした。

 

 

華月視点

さっき、南鳥島に深海棲艦の拠点と新種の深海棲艦がいるとの情報が入り、これを撃滅せよと依頼された。

華月「さて、いこうか。あまり時間も、無さそうだし。」

信濃「その前に周りの深海棲艦を潰してからだね。」

剣関「第一次攻撃隊、第一次空戦隊発艦開始!」

蒼勝、國勝、剣関、信濃から計21,000機の艦載機が上がっていく。

俺も攻撃準備に入る。

華月「四十八式徹甲弾装填!100cm三連装砲全砲門撃てー!」

主砲33門が一斉に火をふく。

そして、33発の四十八式徹甲弾が駆逐艦5隻、軽巡3隻、重巡10隻、空母6隻、戦艦9隻を海の底に葬った。

その後、深海棲艦の艦載機とこちらの艦載機の航空戦が始まり、空には深海棲艦側の艦載機がいくつも爆発し黒煙の花を咲かせていた。

華月「さぁ、急ぐぞ!」

 

 

工廠長視点

司令室

オペレーター妖精「艦隊、現在第一次防衛線にて深海棲艦の攻勢を食い止めることに成功。また、龍國大天艦隊は南鳥島沖に急行中。後1時間24分で海域に入ります。」

高野「そうか、引き続き警戒せよ。工廠長、補給状況は?」

工廠長「はい、現在第二次防衛線に補給艦を待機させており、順次補給可能。また、工作艦明石も配備し、艤装の修理も可能です。」

高野「流石だな。」

工廠長「これくらいは当然です。今回は過去最大の防衛になるでしょうから。」

オペレーター妖精「司令部から艦隊へ。順次補給を行え。第二次防衛線にて補給可能。」

赤城「艦隊、了解。金剛さん、龍驤さん、吹雪さん、叢雲さん、五月雨さんを補給のため後退させます。」

 

オペレーター妖精「司令部、了解。」

 

工廠長「司令部から後方支援艦隊へ。5隻、補給に入る。」

明石「支援艦隊旗艦明石から司令部へ。了解。」

 

 

赤城視点

司令部からの許可がおりたので、

赤城「金剛さん、龍驤さん、吹雪さん、叢雲さん、五月雨さん。第二次防衛線にて補給をおこなってください。」

金剛「了解ネー。龍驤、ブッキー、叢雲、さみー。後退するヨー。」

龍驤「ほな、少しばかり頼むで。」

金剛さんたちが後退していくのを確認し、

赤城「各艦に通達。これより順次補給作業を行う。人数が減った分は残りの者達でカバーしろ。以上。」

艦娘達「「「了解。」」」

さぁ、私も頑張らないといけませんね。

赤城「攻撃隊発艦始め!」

 

 

 



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番外編 第4話

お待たせしました、第4話です。
今回で柿の木先生とのコラボ、番外編 別のイレギュラーは今回で終わりになります。

感想としては、他作品のキャラを書くのはかなり難しいと思いました。しかし、一つ経験になったと思います。今回、多視点を使ったのですが自分としてはなかなか良いと思ったので本編の方にも使っていきます。

それでは、番外編第4話どうぞ。


番外編 別のイレギュラー

第4話

 

華月視点

蒼勝「航空隊より入電。新たに、戦艦45、空母65、重巡53、軽巡及び雷巡148、駆逐艦124隻を撃沈こちらの被撃墜数は0です。」

美嶺「方位108から新たな深海棲艦。」

華月「対艦ミサイルT-REILE(ティーレイル)撃て!」

75発のT-REILEが深海棲艦に向かって飛翔していき、深海棲艦に着弾する。しかし、何隻か残ってしまう。

國勝「さっさとくたばれ!」

國勝の航空隊が追い討ちをかけ、撃沈する。

華月「海域まで後どのくらい?」

剣関「そうですね~、後4分程で到達します。」

美嶺「もうそろそろ見えてきそうじゃな。」

信濃「方位204から敵機接近。数、456機。」

蒼勝「どうやら本拠地はもうすぐやな。攻撃隊発艦始め!ぶちかましてや!」

信濃「対空ミサイルRI-BERT(リーベルト)最も近い35機に照準。発射始め、サルボー!」

空に35の黒い花が咲く。その後、航空隊による迎撃が始まった。

 

 

工廠長視点

司令室

オペレーター妖精「龍國大天海軍艦隊、南鳥島海域に入りました。」

高野「速かったな。」

オペレーター妖精「!?南鳥島の陸地に深海棲艦の反応!」

高野「?陸地の上にか?」

オペレーター妖精「主モニターに映像を出します。」

司令室の主モニターに南鳥島の様子が映し出される。

そして、そこには、

工廠長「!?バカな、なぜ泊地棲姫がいる!」

高野「?泊地棲姫??なんだねそれは。」

工廠長「はい、まずflagshipクラスの上に姫と呼ばれる上位の個体がいます。そのもの達の強さは圧倒的です。通常この海域に出現しないはずなのですが…。そして、名前の通り陸上型の深海棲艦です。」

 

 

 

そして、レーダーに島影が映りそこに反応があった。

華月「…見つけた。南鳥島を確認。」

美嶺「なぁ、華月。島の上に反応があるんじゃが。」

華月「陸上型の深海棲艦か…。」

國勝「周りにも、うじゃうじゃいるんだけど。」

華月「航空隊、南鳥島周辺の深海棲艦を潰せ。その後、島への爆撃をしろ。美嶺と俺で島への艦砲射撃を行う。」

全員「「「了解。」」」

剣関「さぁ行くよ。攻撃隊12,000機!」

信濃「信濃、攻撃隊3,000機!」

蒼勝「いくで、攻撃隊4,500機!」

國勝「来るで、来るでー、攻撃隊6,000機!」

剣関、信濃、蒼勝、國勝「「「「第一次攻撃隊総数25,500機!発艦始め!!」」」」

銀色の猛禽類達が我、先にと獲物、深海棲艦へと飛び上がっていった。

華月「紅魔級戦艦一番艦紅魔!」

美嶺「舞浜型戦艦美嶺!」

華月、美嶺「「我、南鳥島へ突入す!!」」

俺と、美嶺で46cm砲の射程圏内まで南鳥島へ近づく。

俺たちに近づいて来る深海棲艦は信濃達の攻撃隊によってことごとく、海の藻屑となっていく。

華月「100cm砲、33門。三十八式爆散弾装填!」

美嶺「56cm砲、36門。55cm砲4門。46cm砲42門。三十八式爆散弾装填!」

華月、美嶺「「全主砲、斉射!撃てー!!」」

三十八式爆散弾が南鳥島へ放物線を描き、島の泊地棲姫の真上で起爆する。爆散弾から無数の小さな徹甲弾が飛び出し、泊地棲姫、そして砲台と思わしきものや泊地棲姫から離陸したばかりの深海棲艦の航空機に襲いかかる。航空機は穴だらけとなり爆発、砲台も沈黙し、泊地棲姫は被害甚大の様だ。

剣関「攻撃隊の活躍により、周辺の深海棲艦を撃滅。これより泊地棲姫への航空攻撃を開始するよ。」

剣関から無線でそう伝えられる。

華月「了解。ぶちかましてやれ。」

 

それから少しして、上空に多数の機影が見えた。泊地棲姫からの迎撃はなく、上空に到達した攻撃隊から爆弾が投下される。そして、着弾。爆発した。多くの爆弾が一斉に爆発したため爆煙でキノコ雲ができた。

華月「華月から司令部へ。南鳥島にいた泊地棲姫を完全破壊した。」

オペレーター妖精「司令部、泊地棲姫の破壊を確認。」

高野「よくやった!龍國大天艦隊はこれより残敵掃討に移ってくれ。」

華月「了解です。」

高野「終わったら、宴会だ!では、待っているぞ。」

華月「はい。」

美嶺「ふふ、宴会か、楽しみじゃな。」

蒼勝「何がでるかな♪」

華月「まだ仕事は終わってないぞ、さっさと行くぞ。」

全員「「「了解。」」」

 

 

工廠長視点

司令室

龍國大天艦隊から泊地棲姫の破壊の報告を受け、私は緊張が緩む。本来ならある程度の練度がある複数の艦隊で破壊しにいくのだか、流石としか言えない。

高野「赤城達、防衛線の状況は?」

オペレーター妖精「はい、防衛線は現在も維持できています。先ほど、残敵掃討に移るよう伝えました。」

高野「そうか、追加で最後まで気を引き締めるようにと伝えてくれ。」

オペレーター妖精「了解です。」

 

こうして、日本近海防衛戦、敵泊地破壊はその日の16:45に終了した。

 

華月視点

食堂

高野「全員グラスは持ったか?それでは、勝利を祝して乾杯!!」

全員「「「「乾杯!!」」」」

現在、食堂にて俺達、横須賀の艦娘、妖精全員が集まっての大宴会が始まった。

テーブルにはたくさんの料理が置いてある。皆、皿に好きなもの選び食べている。俺も行こうかと思った時、声をかけられた。

高野「華月君。」

華月「高野提督。」

高野「今回は本当にありがとう。この勝利は君たちの働きによるものだ。今夜は楽しんでいってくれ。」

華月「はい、もちろんそうさせていただきます。」

高野「…明日で依頼の五日目だ。短い間だったが世話になった。」

と、頭を下げてきた。俺は慌てて、

華月「頭をあげてください、提督。俺達は仕事でやったまでです。お礼を言われることの程ではありません。」

高野「しかし、君たちがいなければこちらの被害は甚大なものになっていた。礼を言うのは尤もなことだ。」

華月「それもそうですね。それならば、こちらも短い間でしたがお世話になりました。」

高野「うむ。それでは、改めて楽しんでいってくれ。」

そう言って、高野提督は艦娘達の方へ行った。

そして、俺はたくさん飲み食いしたり、横須賀の艦娘と談笑したりして宴会を楽しんだ。

 

翌日

高野「昨日も言ったがありがとう。」

華月「こちらもお世話になりました。」

俺は、高野提督と力強く握手している。

工廠長「それにしても、友好の証で100cm砲を貰ったが…。使えるものがいないんだが…。」

華月「あはは…。まぁ、使えそうな方が着任するまでどこかに飾って置いてください。」

工廠長「そうさせてもらうよ。」

信濃「提督、そろそろ。」

華月「あぁ、それではまたどこかで。」

高野「うむ。」

俺達は帰路についた。

 

 

工廠長視点

高野「行ったな。」

工廠長「えぇ。」

高野「さてと、仕事に戻るか。」

工廠長「そうですね。」

私は、工廠に戻った。

 

 

2024年 現在

工廠妖精「…長、工廠長。」

工廠長「うん?」

工廠妖精「すみません、お疲れのところ。」

どうやら、眠っていたらしい。すでに外は日が傾いている

工廠長「いや、大丈夫だ。懐かしい夢を見ていたよ。」

工廠妖精「そうですか。どんな夢だったのですか?」

工廠長「なに、昔の戦友との思い出だよ。それで何かあったか?」

工廠妖精「おっと、そうでした。本日の業務終了しました。本日の報告書です。」

工廠長「ありがとう。あがっていいぞ。」

工廠妖精「では、お先です。」

再び1人になり、

工廠長「あれ、そういえば100cm砲、高野総長が持っていったけどどうしているんだ?もしかすると、国防省に置いてあるのかな。」

友好の証のことについて考えながら報告書を読んだ。

 

 

番外編 完

 




さて、次回からは本編第14話。
第2章 沖ノ島海域編になります。
今週中には第14話を投稿します。

評価して下さった方、お気に入り登録してくれた方、今作品を見てくださっているみなさま本当にありがとうございます。
引き続き、「要塞空母デスピナ出撃す。」をよろしくお願いします。

それと、設定集出しました。


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第2章沖ノ島海域編
第14話 演習


どうも。
今回から第2章 沖ノ島海域編です。

更新ペースですが、第1章より遅くなります。
読者の皆さんのご理解のほどよろしくお願いします。

本作の沖ノ島海域は福岡にある世界遺産の沖ノ島です。
なんでそんな近くまで侵攻されているんだというツッコミは…無しで。

それではどうぞ。


第2章 沖ノ島海域編

第14話 演習

 

 

工廠長と話した翌日、訓練中だった俺は、中村提督に呼び出された。

 

執務室に入ると、中村提督、長門、陸奥、大淀さんがいた。

中村「今日呼び出したのは、一週間後に行われる、大規模演習についての事だ。」

大淀「大規模演習は、四鎮守府の艦娘が合同で行います。演習エリアは相模湾となります。ちなみに、これほど大きな合同演習は今回が初めてです。」

裕一「そうなんですか?」

中村「あぁ、実はな…。」

話を要約した所、こういう事らしい。

 

中村提督は、以前の宣言通り、俺のことを上層部の人事部にのみ報告し、デスピナと言う艦の存在自体を秘匿しようとした。が、書面上の誤魔化しでヘマをやらかし、俺の存在が他の部署に、しかも素性ごとバレてしまった。上層部は、俺の素性こそ漏らさなかったものの、他所の鎮守府には「単艦で一度に多数の深海棲艦を殲滅できるほどの強力な艤装を持った男の艦娘」の情報が、今まで挙げてきた戦果ごと伝わってしまった。それを聞いた三鎮守府の提督や、一部の艦娘が俺の戦闘能力に疑問を持ち、「実際に戦わせろ。」と言ってきたところ、中村提督はこれを受けて立った。そこで国防省は、ついでに他の艦娘達も四鎮守府合同で演習させて練度を上げ、国民に対する宣伝にも大いに利用しようと考え、今回の合同演習が企画されたようだ。

あれ、そういえば俺の素性がなぜバレた?しかも俺のデスピナとしての存在が余所の鎮守府にバレたせいでエラい大きい話が出来上がっちゃってるし。中村提督、いや横須賀鎮守府の情報管理能力の欠陥が露呈した。今後機密を話しにくくなるな。まぁ、素性がバレたのが上層部くらいなら、まだ問題は無さそうかな。

 

中村「という訳で、君には大規模演習の最後で呉、舞鶴、佐世保鎮守府の艦娘連合艦隊と戦ってもらう。」

裕一「はぁ、分かりました。」

中村「今回の演習は、一般にも公開されドローンによるテレビ中継もされる。また、政府から首相、官房長官、国防大臣、各軍のトップも見に来る。」

裕一「各鎮守府から多くの艦娘がこれに参加するのですよね。」

中村「そうだな。」

裕一「防衛に穴が発生すると考えれますが。」

中村「各鎮守府は最大2艦隊、計12隻までしか出さないことになっている。君は例外だが。そのため防衛に関しては問題ないと考えられる。しかし、突破される可能性もあるので横須賀でも周辺海域の哨戒活動を強化する。」

裕一「そうですか。」

中村「他に演習に参加する者は今日、明日には発表する予定だ。君には、あらかじめ話しておくべきだと思ったのでね。」

裕一「なるほど、ありがとうございます。」

中村「では、訓練に戻ってくれ。」

裕一「はい、失礼しました。」

俺は、執務室を退室した。

 

裕一「というわけで、演習に参加することになったんですよ。」

お昼、食堂で翔鶴と瑞鶴の3人で食べている時、午前の事を話した。食堂には瑞鶴を始めとして、俺の正体を知らない艦娘が大勢いるので、もちろん素性については隠している。

翔鶴「他に演習に参加するのは、誰なんですか?」

裕一「今日、明日中には発表するらしいですよ。」

瑞鶴「それにしても、大規模演習かー。出てみたいなー。」

翔鶴「そうね。多分、沖ノ島海域攻略に向けての演習の意味も持ち合わせてるかもしれないから、演習メンバーはそのまま海域攻略メンバーになりそうね。」

瑞鶴「ってことは、デスピナさんは攻略メンバーになるってこと?」

裕一「どうだろうね。合同演習自体、俺の実力を見る事をメインに計画された面が強いみたいだから、何とも。」

翔鶴「でも、前衛か支援艦隊になる可能性は高いと思いますよ。あれだけの殲滅力があるなら。」

裕一「確かに。有り得ますね。」

瑞鶴「翔鶴姉ぇ、攻略メンバーに入れるよう頑張ろう!」

翔鶴「もちろんよ、瑞鶴。」

裕一「とりあえず、お昼食べきってしまいましょう。」

俺たちは食事を再開した。

 

18:20

艦娘がグラウンドに全員集合した。そして全員の前に提督と長門さん達がいる。

中村提督「皆に集まってもらったのは、一週間後に行われる大規模演習についてだ。演習は、連合艦隊にて行う。この演習の目的は近く、四鎮守府合同の沖ノ島海域攻略に向けたものである。よって今回演習メンバーに選ばれたものはそのまま海域攻略メンバーになる。それでは、長門頼む。」

長門「では、これより発表する。第一艦隊、赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴、秋月、照月。第二艦隊、阿武隈、妙高、羽黒、木曽、夕立、江風。また、大規模演習の最後に実施される特別演習のためデスピナも参加する。」

中村「ありがとう、長門。話は以上だ、解散。」

メンバーに選ばれた者に艦娘が集まっていく。俺は、その中に混ざらず食堂に行く。

裕一 (今日は、限定5食のハンバーグ定食!こんな所で時間を潰すわけにはいかない!)

こうして俺は、夕食にハンバーグを食べた。口に入れると肉汁が洪水で、火傷するかもしれないほど熱かった。

慌てて、冷水を流し込んで熱を冷ます。仕方なくお箸で切って食べる事にする。切った所から肉汁が出てくる。少し冷まして改めて食べる。味は、専門店に見劣りしないのではというくらいだ。妖精さんの技術様々である。そんな感じで夕食を食べていると他の艦娘も食堂にだんだん入ってきた。すると、俺のもとにトレイを持った大和が近づいてきた。

大和「あら、デスピナさん。お一人ですか?」

裕一「えぇ、今日はハンバーグでしたのですぐに食堂に来たんですよ。」

大和「ご一緒しても、よろしいですか?」

裕一「構いませんよ。どうぞ。」

大和「ありがとうございます。」

大和さんは、俺の真ん前に座った。

大和「それにしても、こうして他の艦娘と食事なんて初めてではないですか?」

裕一「そうですね、いつも翔鶴さん達と3人で食べていますから。」

大和「よかったら、今度私の部屋に夕食を食べに来ませんか?」

裕「え、お邪魔ではありませんか?第一女性の部屋に入るなんて…。」

大和「大丈夫ですよ。それで、どうしますか? 腕には、結構自身があるのですけれど…。」

大和さんが目をウルウルさせて上目遣いでこちらを伺ってくる。大和さん、それは反則です。断れるわけがない。

裕一「…では、せっかくなので、その時にはぜひ、お邪魔させて頂きます。」

大和「ふふ、良かった。さぁ、冷めてしまわないうちに、早く食べましょう♪」

まぁ、これで良かったのかな。そう思いつつ、俺も食事を再開した。

 



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第15話 大規模演習前編

お待たせしました。
第15話です。

誤字の報告ありがとうございます。


第2章 沖ノ島海域編

第15話 大規模演習前編

 

 

一週間後。

四鎮守府の艦隊が横須賀に入港した。他の鎮守府の艦娘と間違わないよう、急遽各鎮守府で横須賀は赤、呉は青、佐世保は黄、舞鶴は白色の所属鎮守府のワッペンを用意し、艦娘に付けさせている。

08:30 四鎮守府の演習参加メンバーがグラウンドにて各鎮守府ごとに整列する。俺も、一応横須賀鎮守府の列の最後尾に並ぶ。そして正面に四鎮守府の長がいる。

中村「これより、四鎮守府合同の演習を行う。前半の部は、沖ノ島海域に向けた艦娘の連携訓練を行う。そして後半の部より、一般に公開される鎮守府対抗戦を行う。各員、より一層の努力を求める。」

と、訓示を中村提督が述べ艦娘は演習エリアに出撃した。

 

演習エリアは相模湾。

09:00 訓練が開始された。内容は各指揮系統の確認。艦隊航行の訓練、艦隊陣形の変形訓練。その後、艦種ごとに分かれて砲撃、雷撃、航空訓練を行い、最後は模擬弾を用いた実戦に近い訓練を行った。訓練に参加しているメンバーは1つ1つの訓練を真剣に取り組んでいた。

 

ちなみに俺は、訓練に参加する必要はないので演習エリアの範囲の外からコマンドの望遠モードで様子を見ていた。提督達はドローンを飛ばして、その映像を鎮守府の会議室で見ていた。

 

12:00訓練が終わり、全員一度帰投した。艤装の補給を済まし食堂で昼食を取る。

俺は、翔鶴さん達と食べるのは遠慮しようとしたが、翔鶴さんが誘ってきたので俺は断ることをせず、3人で食べることに。ちなみに今日は人数が多いのでカレーである。トッピングに色々とのせることができ、俺は千切りキャベツとトンカツ、そしてトンカツソースをかけた。翔鶴さんはキノコカレー、瑞鶴は野菜カレーだ。

裕一「訓練どうでしたか?」

翔鶴「普段、他の鎮守府の艦娘と訓練することはないので新鮮でしたね。横須賀のメンバーと違ってくるところもあって、なかなか連携は大変でしたね。」

瑞鶴「もう、ほんとーに疲れた。」

裕一「瑞鶴、午後からもあるんだぞ。大丈夫か?」

瑞鶴「多分、大丈夫。」

裕一「そうか、おっともうこんな時間か。すみません、翔鶴さん。午後からの演習の準備があるのでお先に失礼しますね。」

翔鶴「わかりました。それではまた後で。」

裕一「はい。」

瑞鶴「また後でねー。」

裕一「おう。」

食べ終わった食器を返却し、俺は会議室に向かった。

 

13:00大会議室

コンコン、

裕「失礼します。デスピナです。」

中村「入ってくれ。」

中に入ると他の鎮守府の提督もいた、どうやら食後の一服の時間だったらしい。

中村「デスピナ、これが今回の相手だ。」

裕一「はっ、拝見します。」

 

参加艦娘

デスピナ

 

大和、武蔵、長門、陸奥、アイオワ、ローマ、リットリオ、ビスマルク、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、大鳳、サラトガ、妙高、羽黒、利根、筑摩、鈴谷、熊野、摩耶、鳥海、北上、大井、木曽、時雨、夕立、江風、朝潮、綾波、秋月、照月、初月、伊58、伊401、伊19

 

遠距離からの砲撃と航空戦、接近しての魚雷、そしてこちらが空母だからか、防空艦も入っていた。

 

 

中村「横須賀からは誰も出ないので存分にやって構わない。」

裕一「それは、良かったです。もしいたらかなり手加減してしまうところでした。しかし、これである程度は実力をお見せできると思います。」

呉の提督「ほぅ、ある程度の実力でこちらの連合艦隊に勝てると?」

裕「えぇ、最大の理由は他の鎮守府との連携経験が少ないことがあげられます。そのため、こちらが指揮系統を混乱させれば後は烏合の衆ですから。」

佐世保の提督「なるほど。では、最大でない理由は?」

裕一「実力ですよ。」

舞鶴の提督「ふん、舐められたものだな。その高い鼻をへし折ってやろう。」

裕一「楽しみに待ってますよ。では、失礼します。」

俺は、会議室を出て、部屋に戻った。

 

自室

部屋に戻り鍵を掛けて、俺は、艤装の幹部妖精を出して会議を開く。内容は、明日の特別演習についてだ。もちろん、遮音などのフィールドは展開済みである。

裕一「今回の演習、俺としては単艦での純粋な実力を示すために、ミサイルと防空火器以外使わないでおこうと思うんだけど。」

航空妖精「何故ですか!何故我々航空隊を出さないんですか!」

裕一「いや、だってさ、多分オーバーキルになるし。それにこちらの手札は戦闘以外であまり見せたくないんだ。」

副長「航空隊ぐらいなら問題ないと思いますが。」

裕一「うん、そうだね。でも、航空隊を使わずとも勝てるよってことを表したいんだ。だけど、航空隊の出番がないって訳ではない。」

航空妖精「どういう事です?」

裕一「多分、防衛線を突破して、深海棲艦の襲撃が高確率である。」

砲雷長「断言ですか…。」

副長「理由は何でしょうか?」

裕一「簡単だよ。横須賀のほうに各鎮守府の主力艦が多数集まっていて、皆模擬弾しか使えない。防衛線も手薄な上、指揮官までもこっちにいる。敵にとっては、人類側の戦力を大幅に減らすチャンスだ。物量にものを言わせてやって来るだろう。」

副長「そのために現在各鎮守府は警戒を強めているのでは?」

裕一「副長、沖ノ島海域一つの奪回も出来ない戦力に敵を退け続けるほどの実力はない。せいぜい時間稼ぎが関の山だろう。提督達もそこはわかっているはずだ。防衛線で時間を稼ぎ、横須賀に待機している艦隊を急行させ、三鎮守府の艦隊を一度引き帰させて補給と実弾換装を済ませてから、増援に向かわせるつもりだろうが……

おそらく、時間はそんなに稼げずにこちらへの侵攻を許すよ。そしてこちらが演習中に敵と遭遇、戦闘になる。実弾がない状態でどこまでできるか……

って感じになる。」

航空妖精「そこで我々の出番ですか。」

裕一「そう。当日、航空隊は実弾装備で出撃準備。戦闘になった場合、航空隊で敵を撃滅する。」

砲雷長「それでは、演習ではミサイルを、万が一戦闘になった場合は航空隊を使うということで宜しいでしょうか。」

裕一「そうだ、みんな頼む。」

副長・砲雷長・航空妖精「了解。」

裕一「それじゃ、戻ってくれ。」

妖精が艤装に戻ってからフィールドを解除する。

裕一 (とにかく、何も起こらないのが1番いいのだけど…。必ず何か起きそうなんだよなー…。)

そんなことを心の中で愚痴りながら、夕食の時間まで時間を潰した。

 

食堂

俺は、翔鶴さんと瑞鶴ではなく別の艦娘と食べていた。翔鶴さんと瑞鶴は演習メンバーと明日の打ち合わせの様だ。

それでは、今俺は誰と食べているでしょうか。

 

 

 

正解は、駆逐艦の子達多数でした。

睦月「今日も遠征頑張ったんですよ、もっと褒めるが良いぞ!」

裕一「おー、えらいえらい。」

皐月「むぅー、僕も!」

裕一「皐月も偉いぞ。」

白露「私が1番なんだからね!」

裕一「そうだな、白露は一番だな。」

こんな感じで、色んな駆逐艦の子達の頭を撫でています。

俺は、駆逐艦達のお兄さん的立場で可愛い妹達を褒めてあげているだけで何もやましいことはしていませんよ。

裕一「ほら、山風もおいで。」

山風「別にいいよ。」

裕「仕方ないな。来ないなら…、」

俺は、山風の元に行き、頭を撫でた。

裕一「そう、卑屈になるな。遠慮しなくていいから。」

山風「あっ!あり…ありがと…。」

裕一 (…守らねば!俺は、今、山風教に入信します!)

綾波「あ、あの!」

裕一「うん?どうした綾波?」

綾波「また、夕食ご一緒して、良いですか?いつも翔鶴さんたちと一緒なので…なかなかお誘いできなかったんです…。」

裕一「あー…、そうだね。いいよ、言ってくれればいつでも。」

綾波は表情を明るくし、

綾波「ありがとうございます!」

他の駆逐艦達「「「「私も!」」」

裕一「ははっ、いいよみんなも。」

他の駆逐艦「「「やったー!」」」

こんな感じで夕食は賑やかだった。

 



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第16話 大規模演習後編

お待たせしました、第16話です。

お知らせです。
現在、ストックしていた分がそこをついたため、更新ペースがさらに落ちるかもしれません。ごめんなさい。

皆様には気長くお待ちいただければ幸いです。


第2章 沖ノ島海域編

第16話 大規模演習後編

 

 

今日は、いよいよ他の鎮守府との対抗戦である。四鎮守府でトーナメント戦でおこなう。

観覧会場には、首相や官房長官、国防大臣、国防軍のお偉いさん方が来ており、そのうえ、一般の人々そして、テレビ局、新聞社も沢山いる。初めて生で艦娘を見ることができる機会なので約10万人の人々がいる。

そして、10:00。演習を行うにあたって首相、国防大臣の挨拶などがおこなわれた。それから今回の演習の組み合わせが中村提督から発表される。

会場に複数設置されている大きなモニターに表示される。

1回戦

横須賀VS佐世保

2回戦

呉VS舞鶴

3回戦

1、2回戦の敗退のチーム

4回戦

1、2回戦の勝利チーム

特別演習

横須賀 要塞空母デスピナVS呉、佐世保、舞鶴連合艦隊

 

最後の特別演習の発表を見て観衆がざわざわしていた。

「あれ、どういうことだ。」「1隻対36隻だぞ。」「その要塞空母の奴がよほどすごいのか?」「ただのハッタリじゃねーの。」

また、来賓のほうからも同様の反応をしていた。そんな会場の様子を見た後、俺は、翔鶴さんたちのところに行く。

 

裕一「あ、翔鶴さーん!」

俺は、翔鶴さん達に手を振りながら近づく。

翔鶴「あら、デスピナさん。」

翔鶴さんは笑顔でこちらに手を振る。

やばい、女神が微笑んでいるようだ。その様子を写真を撮ってその写真を大きくして額縁にいれて部屋に飾りたいほどだ。

くそ、カメラが無いのが悔やまれる。

裕一「1回戦目頑張ってください。」

翔鶴「はい、ありがとうございます。」

瑞鶴「翔鶴姉、そろそろ行くよー。」

翔鶴「はーい、それでは行ってきます。」

裕一「はい、行ってらっしゃい。」

演習艦隊は演習エリアに向かっていった。

俺は、各鎮守府事の待機場所で観戦する。

待機場所には、でかいテントが設置されている。その中に応援に来た艦娘が何人かいる。現在複数あるモニターそれぞれには、TV局の中継映像と軍が飛ばしているドローンの映像が映っている。ドローンの方は画面四分割×2モニターである。

それぞれ初期位置に着いた所で開始の合図が出された。第1回戦が始まった。

 

1回戦の結果は横須賀鎮守府の戦術的勝利だった。

 

10分後に2回戦が始まり、呉鎮守府の勝利であった。

 

お昼休憩を取り、決勝戦が始まった。結果は惜しくも呉鎮守府の勝利であった。

そして、いよいよ特別演習となる。

海域に向かうため準備を始めた頃、横須賀艦隊がちょうど戻ってきた。

瑞鶴「あーもう後少しだったんだけどなー。」

裕一「お、お疲れ。惜しかったな。はい、飲み物。」

瑞鶴「さーんきゅっ!」

裕一「翔鶴さんもお疲れ様です。」

翔鶴「ありがとうございます。いよいよですね。」

裕一「はい、皆さんの仇取ってきますよ。」

翔鶴「ふふ、頑張ってください。」

裕一「はい、頑張ってきます。」

俺は演習海域へ出撃した。

 

演習エリア

俺は、最後のチェックをしていた。

裕一「副長、ミサイルの模擬弾の換装は?」

副長「完了しています。また、航空隊も出撃待機を完了、何時でもいけます。」

裕一「了解。CDCに、俺の代わりにレーダーしっかり見とくよう言っておいて。」

副長「はい。異常があればすぐさま伝えます。」

中村「デスピナ、準備はいいか?」

タイミングよく無線で確認の問いかけがきた。

裕一「大丈夫です。いつでもどうぞ。」

中村「分かった。武運を祈る。」

それから少しして無線から

司会「それではこれより特別演習を開始します。よーい、始め!」

裕一「対水上、対空、対潜戦闘用意! レーダー、ソナー索敵開始!」

コマンドを展開し、索敵を開始する。相手艦隊はすぐに見つかった。

裕一「方位324距離40kmに水上、水中に目標を確認。」

副長「先制攻撃を仕掛けますか?」

裕一「いや、このまま。相手が攻撃するまで待機。」

それから数分後、相手の偵察機がこちらを確認したようだ。

裕一「さぁ、撃ってこい。」

 

 

相手艦隊視点

飛龍「偵察機より入電。方位144距離4万に視認。佇んでいる様です。」

大和「相手から迎撃は?」

飛龍「ありません。」

武蔵「どういうことだ。やる気があるのか?」

長門「いや、むしろそれだけ余裕があるということだろう。」

加賀「舐められたものですね。航空隊の出撃命令を。」

大和「許可します。潜水艦は敵へ接近し雷撃を、水上艦は航空隊の攻撃後砲撃を。」

全員「「「「了解。」」」」

私はどこか不気味な予感を感じていた。

 

 

裕一視点

裕一「お、来た。」

レーダーに攻撃隊と思われる、対空目標が表示された。

裕一「えーと、284機程か。なんとかなるかな。」

コマンドから対空ミサイルとスタンダードミサイルを選択し、攻撃隊284機に照準する。

裕一「ミサイル発射始め、サルボー!」

艤装から284発のミサイルが飛んでいく。俺の周りはミサイルの煙で真っ白になるがすぐに無くなる。

裕一「さて、何機生き残るかな。」

少し楽しみに着弾を見守った。

 

 

相手側攻撃隊視点

流星改妖精B「隊長ー。すごい数ですね。」

流星改妖精A「あぁ、たかが空母一隻の上に迎撃機もいないんだ。楽な戦いになるだろう。」

そんなことを話していると、前方から高速で何か飛んできた。

流星改妖精A「うん?なんだ?」

 

数秒後大規模な攻撃隊にミサイルが殺到した。

烈風妖精C「大変です!攻撃隊が!」

烈風妖精A「これは…。」

烈風隊の前方ではミサイルの襲撃を受けた攻撃隊が次々と撃墜判定をだしていた。

烈風妖精B「!?こちらにもきます!」

烈風妖精A「各機避けろ!散開!」

慌てて操縦桿を操り回避する。しかし、音速の相手には敵わず烈風隊にも、ほとんど撃墜判定が出ていた。

 

 

相手艦隊視点

赤城「そんな…攻撃隊が壊滅…。」

大和「何ですって――!? 状況を詳しく。」

蒼龍「生き残った護衛の烈風によると,誘導噴進弾と思われる飛翔体に攻撃機284機中258機に撃墜判定が出たそうです…。」

摩耶「なんて防空能力だよ…!」

大和「しかし、観測機は生き残っています。このまま砲雷撃戦に入ります。生き残った航空機は観測機の護衛を。撃墜判定機は帰還させて下さい。」

赤城「了解です。」

大和「砲雷撃戦用意! 主砲、模擬弾装填!」

アイオワ「こんなことならハープンでもあればな…。」

陸奥「愚痴ってもどうしようも無いわよ。」

大和「全主砲、薙ぎ払え!」

武蔵「全砲門開け!」

艦隊から主砲を斉射した。この砲撃は相手の周辺にまんべんなく撃っているので回避しようとも出来ないはず。今度こそ勝利を確信した。

 

 

裕一視点

レーダーに相手からの砲撃予想が表示され、俺の周辺まんべんなく着弾する様だ。

裕一「!?」

着弾予想地点から逃れるため全力で回避する。

裕一「やってくれるね、そろそろ反撃といきますか。」

コマンドからライオニック巡航ミサイルを選択する。そこでお返しに各艦に4発ずつ選択する。オーバーキルの気がするが気にしない。ついでに近づいてきている潜水艦に、アスロックを2発ずつ選択し発射する。先ほどと同じく艤装から140発のミサイルが発射されそれぞれの目標へ飛んでいく。俺は、勝利を確信した。

 

 

相手艦隊視点

長門「全ての砲撃を避けただと…。」

そこに潜水艦から相手から多数の誘導噴進弾、ミサイルが発射されたとのこと。

大和「要塞空母、デスピナ…。なんて艦なの。」

 

それから数分後、艦隊は全て大破判定が出てデスピナの完全勝利

に終わった。

 

 

中村提督視点

私は、モニターで先程までの演習を見て改めて彼の力を実感した。しかし、彼は艦載機を使わずミサイルのみで勝利したのだ。

呉提督「な、なん…だと…。」

佐世保提督「凄いですね、彼。味方で良かったわ。」

舞鶴提督「…。」

中村「ご覧の通り彼の実力を実感できたと思います。」

高野総長「とんだ贈り物だったな。これなら沖ノ島奪回は容易だな。」

それぞれいろんな反応はあったが彼の実力は認めているようだ。

そこに、1人の妖精が慌てて入ってきた。

妖精A「ほ、報告します!先ほど佐世保の大淀より入電、深海棲艦の艦隊が防衛線を突破したとの事です!」

妖精B「さらに報告です!横須賀防衛艦隊から入電、6艦隊確認し、3艦隊の迎撃に成功するも、残りの艦隊がこちらに向かっているとのこと!」

その報告を聞き、我々提督は驚く。

高野総長「直ちに、会場のVIPと民間人に避難命令!横須賀鎮守府は直ちに追加の艦隊を出撃させよ!」

高野総長の指揮が出た直後に通信が入る。

裕一「こちら、要塞空母デスピナ、深海棲艦の艦隊を確認。殲滅の許可願います。」

それは彼からだった。

 



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第17話 伊豆半島沖防衛戦

お待たせしました。第17話です。
読者の皆さん、遅くなってごめんなさい。
この先これくらいの更新ペースだと思います。

8月1日 空爆シーンで
EDF4.1 BGM突撃を流しながらだと
さらに楽しめると思います。
ぜひ、どうぞ。


第2章 沖ノ島海域編

第17話 伊豆半島沖防衛戦

 

 

裕一視点

演習が終わったころ、CDCより報告がきた。

CDC妖精「報告します。224より深海棲艦の艦隊を確認。」

内心で来てしまったか…。と、思う。

裕一「艦種は?」

CDC妖精「はい。空母6隻、戦艦4隻、重巡4隻、雷巡4隻の18隻。いずれもflagshipクラスです。」

裕「報告ありがとう。」

俺は、今頃深海棲艦の侵攻の情報を受け取っているだろう提督達に通信を繋ぐ。

裕一「こちら、要塞空母デスピナ、深海棲艦の艦隊を確認。殲滅の許可願います。」

中村「単独でか?」

裕一「はい。すでに航空隊が待機中で、何時でも出撃できます。また、先ほどの演習を見ていただいと思いますが、単独で100隻以上は簡単に殲滅できます。」

高野総長「中村くん。やらせてあげてもいいではないか。デスピナと言ったか、許可する。」

裕一「は、あ、ありがとうございます?」

高野総長「そういえば自己紹介をしていなかったな。国防海軍軍令部総長の高野だ。」

裕一「!? これは失礼しました。横須賀鎮守府所属の要塞空母デスピナであります!」

高野総長「では、改めて。デスピナ、侵攻中の敵艦隊を殲滅せよ!」

裕一「了解!」

俺は通信を切る。

裕一「さてと、やりますか。」

コマンドを展開し、

裕一「航空隊、アラートワン! 発艦準備!!」

左腕の飛行甲板が上下で2枚になり、自動で海面と平行になるよう動き、艤装から小さな模型の様な艦載機が出てくる。

裕一「戦術爆撃機カロン、スカイレイヴン発艦始め!」

飛行甲板のカタパルトからそれぞれ小さな艦載機2機射出され、数秒後に2個飛行小隊、8機の戦術爆撃機カロンと護衛のスカイレイヴン戦闘機になった。

追加でスカイレイヴン2個飛行小隊をだす。第1次攻撃隊はカロン8機、スカイレイヴン16機である。

発艦を確認後、コマンドの航空隊を選択し、現在出撃した攻撃隊に爆撃プランを指示する。今回は敵艦隊の横から爆撃する爆撃プランEと敵艦隊の正面から爆撃する爆撃プランFにする。

スカイレイヴン中隊長妖精A「深海棲艦より艦載機が発艦中。迎撃機と思われます。」

裕一「こちらでも確認した。1個中隊でこれに当たれ。」

スカイレイヴン中隊長妖精A「了解!」

レーダーに深海棲艦の迎撃機32機を捉えていた。

スカイレイヴン8機から空対空ミサイルが発射され、半数を撃墜。

その後すぐに追加でミサイルを発射、迎撃機を全て撃墜した。

CDC妖精「迎撃機全機撃墜。」

裕一「制空権を確保せよ。」

スカイレイヴン中隊長A「了解。」

 

そして、制空権を確保し、いよいよ彼らの出番である。

カロン中隊長妖精「こちらボマー。配置についた。」

裕一「了解。空爆を開始せよ。」

レーダーには空爆範囲を示す赤い帯が出ていた。地球防衛軍をやっていた時に見たまんまであったため少し感動した。

カロン中隊長妖精「了解。ボマー、攻撃開始!」

深海棲艦への空爆が始まった。

カロンから次々と光輝くもの、まるで火の玉の様なものが投下される。こいつは直接当たらずとも、水面に着弾した時点で爆発するので、多少目標とズレても問題ない。爆発の威力が高いためか深海棲艦が文字通り木っ端微塵になり、残骸がいたる所に飛んでいく。なかなか爽快である。

結果、青い海が真っ赤に燃える火の海になった。

カロン中隊長妖精「空爆完了だ。敵の損害を確認してくれ。」

裕一「敵艦隊の殲滅を確認。帰投せよ。」

カロン中隊長妖精「了解。これより帰投する。」

待機中の航空隊妖精達「「「「イヤッホー!!EDF!EDF!」」」」

副長「空爆万歳だ!!」

裕一「それにしても、ちょっとやりすぎたかな。」

副長「そうでしょうか?」

俺はある方向を指しながら

裕一「あそこにドローンが何機かいるだろう。一つは国防軍のもので、後は民間のものだ。これをTV局が放送していたらどうなる。」

副長「深海棲艦が圧倒的な火力で蹂躙されているので、視聴率が跳ね上がっているでしょうな。」

裕一「うん、まぁそうだけど。深海棲艦の残骸がドローンのカメラの方に飛んで行ったから、視聴者はショッキングなものを見ることになっているかもしれないってこと。」

副長「大丈夫ですよ。裕一さんが気にすることじゃないですよ。」

裕一「それもそうだけど…。」

何か釈然としないが、まぁ、戦闘も終わったし帰るとしますか。

 

 

中村提督視点

我々は、ドローンの映像を見てただただ唖然とした。

深海棲艦の迎撃機を1分程で全機撃墜し、発艦しようとする空母ヲ級、それもflagshipに戦闘機が攻撃し中破にする。それから爆撃機の攻撃で海は真っ赤な火の海に変わり、深海棲艦が木っ端微塵に吹き飛んでいた。ドローンの方にも一部飛んできて顔の一部がカメラの前を横切った。

高野総長「…。す、すごいな彼は。」

中村「え、えぇ。」

呉提督「もう彼だけでいいんじゃないかな。」

私もそう感じた。

佐世保提督「これなら沖ノ島海域の攻略は簡単になりそうですね。」

舞鶴提督「確かに。彼の航空隊であらかた攻撃した後、他の艦娘を投入すればいいかもしれませんね。」

高野総長は立ち上がり、

高野総長「とにかく立案は私に任せて、君たちは艦娘を労ってくれ。私は軍令部の方に戻るよ。」

そう言って、会議室を出て行く。私たちは、敬礼をして見送った。

 

 

翔鶴視点

横須賀で待機中だった私たちは、深海棲艦の侵攻を食い止めるため出撃した。

しかし、着く前に深海棲艦の艦隊がいる方で大きな爆発が何度も起こり、現場にはデスピナさんがいた。そして周りには、深海棲艦の残骸がいたる所に散らばっていた。

瑞鶴「…翔鶴姉ぇ、私たち必要無かったみたいだね。」

翔鶴「えぇ、そうね…。」

すると、デスピナさんがこちらに気づいたらしくこっちに来る。(本当はすでに気づいていたりする)

裕一「翔鶴さん。」

彼は微笑みながら私の名前を言う。私も笑顔で、

翔鶴「デスピナさん、お疲れ様です。Flagshipクラスの艦隊を殲滅してしまうなんてすごいですね。」

裕一「ありがとうございます。でも、怖くはありませんか?俺が。」

私は内心、少し畏怖を感じていた。しかし、それを出すわけにはいかない。彼は私の…。そんなことより、

翔鶴「いいえ、とても心強く感じました。」

裕一「そうですか。すいません、変なことを訊いて。さぁ、帰りましょうか。」

翔鶴「はい、あの…一つお願いを聴いて貰っていいですか?」

裕一「何でしょう?」

翔鶴「手を繋いで頂けませんか…。」

私は何を言っているのでしょう。なにを焦っているのでしょう。顔から火が出るほど恥ずかしいです。デスピナさんは少し驚いた様子でしたが、

裕一「いいですよ。行きましょう。」

と手を差し出してきた。

翔鶴「はい♪」

結果的に良かったので私は、帰路はとても楽しかったです。

 

 

裕一視点

なぜか翔鶴さんが手を繋ぎたいと言ってきた。先ほどの質問をしたからなのか、まぁ考えるだけ無駄だろう。そんなことより翔鶴さんと接近している状態なので翔鶴さんのいい匂いがくる。さらに翔鶴さんの柔らかい手を握っている。これだけでご飯5杯いける。

内心こんな感じで喜びながら横須賀へ戻った。

 

横須賀鎮守府執務室

裕一「戦闘風景はご覧になっていたと思いますが、こちらが私の方での戦闘記録です。」

俺は、戦闘記録の書かれた紙を渡す。

中村「ご苦労だった。今日はゆっくり休んでくれ。」

裕一「分かりました。失礼します。」

執務室を出て、とりあえず汗を流すため着替えを取りにいってから入渠ドックに行き、それから食堂で夕飯を食うことにした。

 

食堂

今日は駆逐艦の子達と一緒に食べる約束をしていたので約束している子達を探す。

夕立「デスピナさーん、こっちぽーい。」

夕立がこっちに手を振っている。

裕一「お待たせ。」

俺は、五月雨の隣の席につく。今日は時雨、村雨、夕立、春雨、五月雨の5人と食べる。

ちなみに、本日の夕食は日替わり定食の豚肉とピーマンの味噌炒めである。味噌炒めのためご飯が進む。

時雨「それにしても凄かったね、今日の演習。無傷で艦載機を全て撃墜して相手艦を全て大破判定。」

春雨「さらに、深海棲艦との戦闘では、僅かな艦載機でflagshipクラスを殲滅…。」

夕立「もうデスピナさんだけで何とかなるぽーい。」

裕一「あれくらいで驚いていたら、これから先大変だぞ。俺はまだ1%の力しか出していない。」

村雨「それよりも、明日の遠征確か同じ艦隊でしたね。」

裕一「そうそう、明日はよろしくな。」

五月雨「私も一緒です!私、頑張ちゃいますから!」

時雨「気をつけてね。五月雨いきなり転ぶから。」

五月雨「だ、大丈夫…です。だといいな…。」

裕一「心配しなくていいよ、なんかあったら助けるから。」

優しく五月雨の頭を撫でてやる。頬を赤らめて恥ずかしそうだがどこか嬉しそうだ。

夕立「あー、ずるいっぽーい。夕立もー。」

裕一「はいはい、よしよし。」

夕立の頭も撫でてやる。まるで犬を撫でているようだ。

他の3人も物欲しそうに見ているので全員撫でた。

裕一「さて、明日の遠征が終わったらまた撫でてやるからな。」

そう言って、席を立つ。

村雨「約束よ。さて私たちも部屋に戻りましょうか。」

春雨「はい、姉さん。」

五月雨「デスピナさーん、また明日!」

裕一「おう。」

食器を返却口に持っていき食堂を出て部屋に戻る。

こうして今日も夜が更けていく。

 

自室 02:20

裕一「う…ん…、トイレ…。」

トイレに行きたくなりベッドから出て、トイレへ行く。

裕一「ふう、スッキリした。」

用を済ませ、寝室に戻ろうとした時、部屋の鍵があいていることにたまたま気づいた。

裕一「あれ?部屋の鍵掛けたはずなんだが…、しめ忘れたか。」

部屋の鍵をしっかり掛け寝室に戻り、また眠りについた。

 

しかし、この時俺はまだ夜に何が起きていたのか、何も知らなかった…。

 




今回、初の航空隊の登場でしたが、控えめにしています。
この先で、大暴れしてもらいますのでお楽しみに。
でも、作者の文才の無さでしょぼくなるかも…。

頑張ります。


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第18話 開発

お待たせしました。第18話です。
今回は、開発回です。やっぱり、これは外せないですね。
この先もこのような回が出てくるのでお楽しみに。




第2章 沖ノ島海域編

第18話 開発

 

遠征のあった次の日、俺は執務室にいた。

中村「今日は工廠で開発を行ってもらう。詳しいことは工廠長に聴いてくれ。」

裕一「分かりました。」

中村「よろしく頼む。さて、何を開発してくれるかな?空母だから…烈風とか欲しいなー。」

女の様にオネダリしてくる。ちょっと気持ち悪いが、我慢して普段どおりの返事をする。

裕一「そんなこと言われましても、開発なんて運でしょう。狙っても出ないでしょう。物欲センサーが働きますよ。」

中村「それもそうだな。」

裕一「では、失礼します。」

俺は執務室をでて工廠へむかう。

 

工廠

開発は、建造ドックと同じ建物にある。建造ドックに行くと工廠長がいた。

工廠長「待っていたぞ。さぁ、さっそく始めようか。」

裕一「はい。」

建造ドックの中に入り、横に何かメーターの様なものが付いている扉の前に連れてこられた。

工廠長「ここが開発を行う場所だ。横のメーターに各資材を指定してレバーを下げれば中で開発が行われる。今回はデータをとることになっているから、まずは最低値で3回行ってくれ。」

裕一「分かりました。」

最低値、各資材オール10で、レバーを下げる。

10秒後。

チーン。

音が鳴り、扉が開く。そこには…ペンギンがいた。

工廠長「失敗の様だな。では後2回頼む。」

裕一「はい。」

続けて2回開発するも結果はペンギンだった。

工廠長「最低値では何も無し、と。では、次に空母ということで艦載機レシピをまわしてくれ。レシピは、燃料20、弾薬60、鋼材10、ボーキ110で同じく3回だ。」

資材を指定してレバーを下げる。

チーン

扉が開き、中には一機の艦載機があった。

工廠長「お!流星改か。これは期待できそうだな。では、あと2回頼むぞ。」

2回目は、紫電改二ができた。

3回目は、烈風が出てきた。

工廠長「うんうん、烈風の数が少なかったからな。いやはや、よかった、よかった。」

と、満足そうに言った。

工廠長「それでは次は、全て最高値で3回頼む。」

今度は、各資材オール300で開発する。

チーン

扉が開くとそこには緑の箱があった。

裕一「工廠長、何でしょう?これは。」

工廠長「箱か…。うん?開くぞこれ。」

裕一「開けてみますね。」

中にはひとつの銃があった。

裕一「?」

工廠長「今説明書持ってくる。おい、今の開発した説明書出力して持ってきてくれ!」

そして、工廠の妖精が持ってきた書類には

 

Lv.55ノヴァバスターDA

射程 1240.0m

精度 S+

一発限りでリロード不可の代わり、桁外れの威力を持つレーザーライフル。

Lv.18のノヴァバスターの上位互換。

 

工廠長「…なんだ、これは…。艤装ではないのだが。」

裕一「あー…、EDFの装備がきたよ。あははー…。」

工廠長「一応、艦娘も装備出来るみたいだな。」

裕一「リロード出来ないですし、お倉入りですかね。」

工廠長「かもな。さぁ、次だ!」

再び、各資材オール300で開発すると、

今度も緑の箱が出てきた。

工廠長「…説明書持ってきてくれ。」

 

Lv.38 FG02高高度強襲ミサイル

ロックオン距離 500m

ロックオン対象数 10

ロックオン時間 0.5秒

誘導性能 A+

自分の真上に射出し、高高度まで上昇。その後目標に降下するミサイル。

射出から点火までの間があり、射出したミサイルが慣性の影響を受け少し下に落ちた後点火となる。そのため自爆注意。

また、艦娘に搭載することで、ロックオン距離は30kmにまで延長される。

しかし、その分消費する資材は多くなり補給時に痛い目をみる。ご利用は計画的に。

 

裕一「ずいぶん親切な説明書ですね。誰が書いているんでしょうか?」

工廠長「大妖精が送ってくるんだよ。」

中間管理職はなかなか大変である。

工廠長「さぁ、ラスト頼むぞ。」

 

オール300でレバーを下ろし、

チーン

扉が開くとそこには妖精達がいた。

裕一「?」

俺は、何が起こっているのか理解するのに少し時間を要した。そして

裕一「はい?」

工廠長がもう慣れたかのように説明を始める

 

レンジャー妖精×12名

アーマー 150…訓練により上昇する。

とある世界の軍事組織、EDFの兵科の一つであるレンジャーを妖精化した。

開発でできた装備を持たせることができる。装備によっては深海棲艦を撃沈可能。

アーマーが0になっても死なず、任意の場所に蘇る。しかし、24時間は戦闘行動が出来なくなる。

 

裕一「うん、兵器じゃなくなりましたね。ついに兵士を呼び出してしまった…。」

俺は、もう自分のチートについていけなくなりそうになる。

工廠長「デスピナー!戻ってこーい!」

工廠長が何とか俺を現実に引き戻してくれた。

工廠長「とりあえず、兵士は君のところの艤装に入れておけ。」

裕一「分かりました。使う機会がありますかね?」

工廠長「さぁな、とりあえず開発は終了だ。これを提督に渡してくれ。今日の開発結果が書かれた書類だ。」

裕一「分かりました。では、お疲れ様でした。」

工廠長「うん。また頼むぞ。」

 

執務室

裕一「提督、本日の開発結果です。」

中村「お、どれどれ…。流星改と紫電改二、烈風…。なかなかいい成果だな。次が…、ノヴァバスター?」

裕一「EDFの装備ができまして…。」

中村「そうか…。お!ミサイルもあるじゃないか。最後は……、ナニコレ。なんで開発で妖精だけがでてくんの??」

裕一「さぁー…。」

執務室にしばし沈黙が訪れる。

中村「…まぁ、とにかくご苦労だった。次も頼むよ。」

裕一「…はい。」

中村「さて、これから一緒に鳳翔の店で飯でもどうだ?もちろん、俺の奢りだ。」

裕一「えぇ、ぜひ!」

中村「そうか!ではさっそく行こう!」

こうして俺は中村提督と夕食を食べに鳳翔の店に向かった。

 

居酒屋鳳翔

ガラガラ

鳳翔「いらっしゃいませ。あら、提督。」

中村「こんばんは、鳳翔。今日は連れがいるんだ。」

裕一「こんばんは…。」

鳳翔「うふふ、いらっしゃいデスピナさん。今日が初めてですね。」

裕一「えぇ、まぁ。」

中村「とりあえず、前のボトルを出してくれ。」

裕一「じゃあ、私はウーロン茶を。」

俺と提督は席につきながらに注文をする。

中村「うん?お前酒が飲めないのか?」

裕一「俺はまだ17歳ですよ。未成年ですから無理です。」

鳳翔「はい、どうぞ。」

鳳翔さんが飲み物を持ってきてくれた。

中村「では、乾杯。」

裕一「乾杯。」

中村「く~、うまい。人生この時のために生きてるようなもんだ。鳳翔、何か適当に繕ってくれ。」

鳳翔「はい、少々お待ちくださいね。」

鳳翔さんが何か調理を始めた。

裕一「そういえば、提督は食堂であまり見ませんがこちらで夕食をとっていらっしゃるのですか?」

中村「あぁ、酒を飲むからな。駆逐艦の子達のいる環境で酒を飲みながらってのは問題だろ。」

裕一「確かに。」

そんな感じで雑談していると、

鳳翔「お待たせしました。まず枝豆とポテトサラダ。今日はクリームコロッケを作ってみました。」

中村、裕「「おー!」」

中村「では、さっそく。いただきます。」

提督がクリームコロッケを食べる。

中村「うーん、うまい!」

俺もクリームコロッケを食べてみる。

裕一「…美味しい。」

外はサックとしていて中はアツアツの濃厚でクリーミーな味が口に広がる。

鳳翔「お口に合ったようで良かったです。」

裕一「ところでここでは夕食も普通にたべるんですよね?」

鳳翔「えぇ。その時は前日までに予約して頂ければ大丈夫ですよ。」

裕一「では、お給料貰ったら食べに来ます。」

鳳翔「お待ちしています。」

そんなやりとりをしつつ、今日も夜は暮れていく。

 

 




開発から妖精だけ出るんですねー。
いったい、いつ使うのでしょうか。
EDF装備での戦いはまだ先になりそうです。そのため倉庫で眠っていただきます。


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第19話 沖ノ島海域攻略準備1

お待たせしました。
第19話です。

いつもと比べて長くなりました。そのため文が安定してないと思います。ごめんなさい。

そういえば、余談ですがローソンコラボのタペストリーがポーラですね。三越みたいになるのかな?


7月17日 新しい小説を投稿しました。
タイトルは、異世界でEDF装備を使ってみたら です。
ぜひ、見てください。


第2章 沖ノ島海域編

第19話 沖ノ島海域攻略準備1

 

 

2024年 7月14日 10:35

国防省 第一会議室

 

会議室の中には、国防海軍の高級将校達がいた。久しぶりに会ったのか挨拶するもの、先日公開されたアニメの劇場版がどうだったなど思い思いに雑談している。第二次深海大戦により海軍の上層部は20代から30代の者が多い。

そこに会議室の扉が開き、会議室が静まり、将校達は自分の席に戻っていく。

そして、敬礼をしてある人物を待つ。入って来た人物は、国防海軍のトップ、軍令部総長。

高野公佑 元帥である。第二次深海大戦の名将たる彼の覇気は昨年、総長就任で後方に下がったものの衰えることは全く無い。

高野は会議室の上座にある自分の席に行き、敬礼を返す。

高野「それでは始めようか。」

その言葉を言って席につき、他の将校も席につく。そして、今回の会議の進行を務める将校が、

司会「これより、沖ノ島海域奪回作戦の会議を始めます。」

高野「それでは、作戦部。作戦の詳細の説明を頼む。」

作戦部長「はっ。お手元の資料をご覧ください。」

作戦部長が資料をめくるのを確認し、話し始める。

作戦部長「今作戦は、沖ノ島海域にいる深海棲艦の侵攻主力艦隊を撃破し沖ノ島海域の奪回が目的となります。先日の伊豆半島沖の迎撃戦を受け政府より強く要請があり、本来の日程を繰り上げ7月30日に作戦決行日を設定しました。」

作戦部長は1拍置いて、

作戦部長「作戦における投入戦力ですが、先日の大規模演習に参加した艦娘を主力とし、支援艦隊など大規模な戦力を投入いたします。編成は資料に書かれておりますので説明を省略させていただきます。」

高野「ご苦労。何か質問はあるか?」

海軍中将A「一つよろしいですか?」

高野「なんだね?」

海軍中将A「はい。支援を行う艦隊についてですが、遊撃隊として編成される要塞空母の彼が単艦のみとなっているのですが?」

作戦部 中佐「それについては、先日の演習、そして迎撃戦において彼の力を存分に発揮させるには単艦での遊撃が最適と考えたからであります。」

海軍中将B「一人か二人護衛をつけるべきでは?駆逐艦による対潜警戒を行い、彼の負担を減らすべきだ。」

高野「確かにその通りだ。護衛に関しては彼に選抜させようと思うがどうかね?信頼できる者に任せたいだろう彼も。」

作戦部長「では、その通りに計らいます。」

高野「うむ。では、次に戦務部。」

戦務部長「はい。現在作戦の拠点となる佐世保鎮守府に必要資材の輸送準備が八割方完了しています。」

佐世保提督「こちらもすでに各鎮守府の艦娘の受け入れ態勢を整えてあります。」

高野「ご苦労。輸送は作戦決行の五日前に完了させてくれ。」

戦務部長「分かりました。」

高野「次に情報部。」

情報部長「はい。空軍の協力により侵攻主力艦隊の位置を絞り込むことに成功しました。現在、主力艦隊の移動は確認されていません。」

高野「ご苦労だった。他にこの場で報告する者はいるか?」

中村「こちらから一つよろしいですか?」

高野「なんだね?」

中村「昨日、彼。要塞空母デスピナが開発を行いました。」

高野「ほぅ、それで?」

中村「結果は艦載機はもちろんでありますが、異世界の兵器の開発に成功しました。」

技術局長「本当か!ぜひ、資料を送ってくれ!」

中村「後日、皆様に資料を送らせていただきます。」

高野「よくやった。それは艦娘に装備出来るのか?」

中村「できるようです。」

高野「よし。艦娘のさらなる強化ができるのは喜ばしいことだ。他からは何かあるかね?では、7月30日の決行日に向け行動を開始せよ。」

全員「「「「「「はっ。」」」」」」

こうして、沖ノ島海域奪回作戦が始動した。

 

同日 16:42

横須賀鎮守府執務室

 

中村「今日、沖ノ島海域奪回作戦が発令された。」

裕一「いよいよですか。」

中村「詳細は明日伝えるが、その前に一つ決めなければならないことがある。」

裕一「何でしょう?」

中村「デスピナ、君は支援組のうち、遊撃隊として参加してもらう事になるのだが単艦なのだ。会議で護衛を何隻かつけることになり、それを君の判断に任せるということになったのだ。」

裕一「あー、なるほど。ちなみに何隻までですか?」

中村「2隻程かな。すまないが明日の08:00までに決めてくれ。」

裕一「分かりました。」

中村「うん。話は以上だ。」

裕一「では、失礼します。」

俺は執務室を退出し、部屋に戻りながら、護衛について考える。

裕一(さて、護衛は…。駆逐艦の娘に頼むか。役割はほとんどないとは思うが念のため対潜警戒としてついてもらうか…。誰にしようかな?)

空母寮の自室に戻り、艦娘を頭の中でピックアップする。

裕一(ここは、安心と信頼の朝潮型の娘たちに頼むのが一番かな。汎用性もあっていざという時にしっかり動けそうだし。さてそうなると食堂で話さないとな。)

俺はさっそく行動を始めた。

 

18:18

食堂

 

俺は夕食に鯖の味噌煮を選び朝潮型の娘たちを探す。

探してみると、食堂の奥の方に姉妹揃うまで待っているようだ。

俺は朝潮型の方へ行き、

裕一「こんばんは、一緒に食べていいかい?」

朝潮「!?デスピナさん!もちろんです。隣りにどうぞ!」

声をかけられて、驚いた表情を見せるもすぐに喜びに溢れた表情になる。朝潮は素直で可愛い。

裕一「ありがとう。失礼するね。」

そう言って裕一は朝潮の隣りに座る。ついでに、朝潮の頭を撫でておく。朝潮は、周りの目を気にせずナデナデを堪能する。

荒潮「あら~、デスピナさんが一緒に食べようなんて珍しいわね。」

裕一「はは、実は少し頼み事があってね。」

荒潮は幼い見た目からは考えられないほど大人の色っぽさが出ている。

少しして朝潮型姉妹が全員集まり、食べ始める。朝潮型姉妹と一緒に仲良く談笑しながら夕食を楽しんだ。

 

(この時、裕一は気づいていないがちなみに周りから結構視線が集まっていたりする。

先ほど荒潮が言っていたとおり、裕一から誰かのもとに行き一緒に食べること自体初なのである。そのため、ある艦娘達は悔しそうにしていたりした。例えば、ある艦娘は黒いオーラを出し、ハイライトが消えた目でデスピナのほうを見ていたり、ある艦娘は駆逐艦に戦艦が負けるなんてと呟いて倒れていたりするなどした。)

 

ある程度食べ終わった頃を見計らい俺は本題を切り出した。

裕一「朝潮型のみんなに頼みがあるんだ。」

霞「うん?なによ。」

裕一「まず、近く沖ノ島海域奪回作戦が発動される。明日にはみんなに伝えられるんだけど。

俺もこの作戦に参加する。そこで朝潮型姉妹から二人程護衛として一緒に作戦に参加してほしいんだ。」

朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、山雲、霰、霞の8人を順番に見ながら説明した。

裕一「俺の希望としては、朝潮、霞の2人にぜひ、引き受けて欲しい。」

そう言って俺は頭を下げる。

少しして、

朝潮「もちろんです!駆逐艦朝潮全身全霊をもってデスピナさんを護衛します!」

朝潮は目をキラキラさせながら顔を目の前まで近づけてくる。朝潮、興奮しているのは分かったから顔を遠ざけてね。近いから。

霞「仕方ないわね、引き受けてあげるわよ。」

霞は、どこか嬉しそうな表情を隠すようにそっぽを向きながら言った。

裕一「ありがとう。では、朝潮、霞。よろしく頼む。」

朝潮、霞「わかりました!(わかったわ)」

無事、護衛を確保することに成功した。

 

7月15日 09:00

グラウンド

 

グラウンドには横須賀鎮守府の全艦娘が集まっている。中村提督がマイクの前に立つと同時に全員が敬礼する。

中村「集まって貰ったのは他でもない。昨日、国防省より沖ノ島海域奪回作戦が発令された。」

少しだけざわついたがすぐに静かになる。

中村「本作戦の決行日は7月30日。作戦に参加する者は3日前の27日6:00に佐世保鎮守府に向け出発、翌日12:00に入港する。しかし、作戦の前に日本近海に潜む深海棲艦を排除し、後顧の憂いを無くさなければならない。明後日から横須賀鎮守府は常時戦闘配備に移行する。皆には苦労をかけるがよろしく頼む。」

中村提督は全員を見渡し、どこか納得した様な表情になった。おそらく、全員の顔が自信に満ち溢れたものだったからだろう。

中村「それでは、作戦に参加する者を発表する。長門頼む。」

中村提督がマイクから離れ、長門秘書艦がマイクの前に立つ。

長門「それでは、参加メンバーを発表する。まず、主力艦隊。赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴、妙高、羽黒、阿武隈、木曽、秋月、照月、夕立、江風。支援艦隊、金剛、榛名、千歳、千代田、吹雪、叢雲。遊撃艦隊、デスピナ、朝潮、霞。以上だ。残りは明後日からの日本近海の警戒にあたってもらう。参加メンバーはこの後、第1会議室にて詳細の説明を行う。以上解散。」

さっそく、長門秘書艦の指示通り第1会議室に向かう。

 

09:37

鎮守府本館第1会議室

 

中村「全員いるな?これより作戦について説明する。」

大きなスクリーンに地図が表示される。

中村「作戦は、先ほど言った通り7月30日が決行日である。そして、その2日前に佐世保鎮守府に入港する。そこで、主力艦隊、支援艦隊は他の鎮守府と確認のための訓練を行う。遊撃艦隊は我が鎮守府からのみ参加するため、訓練に関しては一任する。そして作戦決行前日に最終打ち合わせを行う。」

中村提督はここで言葉を切り、質問が無いか確認する。質問が無かったので説明を再開する。

中村「我が鎮守府は沖ノ島海域の南側から敵侵攻主力艦隊を捜索し、撃滅する予定だ。確定は最終打ち合わせの時になる。説明は以上だ。何か質問は?」

裕一「一つよろしいですか?」

中村「デスピナか、なんだ?」

裕一「まず私、遊撃艦隊は深海棲艦の撃滅、および主力艦隊の援護でよろしいですね?」

中村「あぁ、その通りだ。」

裕一「私に一つ作戦があるのですが、それをあちらでの打ち合わせ時に提案させてもらいたいのですが、いいでしょうか?」

中村「うーん…、あらかじめ私に聴かせてくれ。大丈夫そうなら許可する。」

裕一「わかりました。鎮守府出港前までに。」

中村「他はあるか?では、解散。各自準備にかかれ。」

全員「「「「はい。」」」」

中村提督が退出し、艦娘達も動き始めたので自分は作戦を詰めようと部屋に戻ろうと考えた時、声をかけられた。

翔鶴「デスピナさん。」

裕一「翔鶴さん、どうかしましたか?」

翔鶴「いえ、遊撃として参加するとは思っていませんでしたから。」

裕一「俺も、支援艦隊で参加と思っていたのですが、この前の迎撃戦を踏まえてのことでしょうね。」

翔鶴「なるほど。ところで、ここ最近私とご飯を食べてくれないのはなぜですか?」

翔鶴さんが笑顔で尋ねてきているのだが、背後からなにかオーラが見える。

裕一「いやー…、あの…、他の艦娘とのコミュニケーションも大事なので。別に翔鶴さんを避けている訳ではありませんよ。そうだ、よかったら今日のお昼一緒どうですか?翔鶴さんと一緒に食べたいなー。」

翔鶴「では、今日のお昼一緒に食べましょうね。デスピナさ·ん。」

裕一「はい、よろしくお願いします!」

翔鶴さんの背後にあったオーラが消えひとまず安心である。

そういえば、翔鶴さんってこんな感じだっけ?と考えてしまった。

 

10:45

空母寮、自室

 

部屋に遮音フィールドと不可視フィールドを展開する。

使う時に、これフォーリナーテクノロジーなのか?やりすぎじゃね??と考えてしまう。

そして、デスピナ艤装内の主要メンバーが出てくる。

裕一「さて、国防省から沖ノ島海域奪回作戦が発令された。」

副長「いよいよですね。」

砲雷長「今回はどの様な立ち回りで?」

裕一「遊撃だそうだ。」

航空参謀「敵を倒しつつ、本隊の援護ですか…。」

第一航空大隊長「ぜひ、我ら航空隊を!」

航空大隊長達「「「「「お願いします!!」」」」」

裕一「まぁ、落ち着け。今から俺の案を話してやる。と言っても簡単だけどね。」

俺は、ニヤリとして説明を始める。

裕一「敵の侵攻主力艦隊の位置はある程度絞り込めているらしいが、それでも沖ノ島海域全域を探して殲滅しなきゃいけない。こちらも大艦隊を投入する事になっているが、それでもめんどくさいと思う。そこで、海域全域を空爆で火の海にし、敵艦隊の生き残りを友軍に掃討してもらう。どうだ?」

副長「ただの数のゴリ押しですね。」

砲雷長「友軍の機会を奪ってしまいますね。」

航空参謀「艦長!素晴らしいです!!」

航空大隊長達「「「「「「皆、貴方について行きます!空爆、万歳!!!!」」」」」」

航空参謀「提案があります!」

裕一「なんだ?」

航空参謀「兵装制限Bアルマゲドンの使用を具申します。」

裕、副長、砲雷長「「「!?」」」

副長「貴様!あれは、ただの兵器では無いのだぞ!」

副長が航空参謀を張り倒す。

砲雷長「艦長、私はこの提案に反対いたします。あれは、制限Bではありますが戦略兵器です。まだ味方、敵に見せるのは得策ではありません。」

裕一「一理あるね…。確かにあれはおいそれと使う訳にはいかない。しかし、今回は使おうと思う。」

副長「!?正気ですか?」

裕一「あぁ、一度その威力を見ておきたい。それに敵、味方に見られても問題無いだろう。程よい抑止力になる。」

副長「ですが…、国防軍が難題を吹っかけてきますよ?」

裕一「その時は、その時だ。問題の先送りになるが、アルマゲドンが本当に強力な手札になりうるか。こちらの確認の方が重要と見た。」

航空大隊長達「「「「「好きー!抱いてー!!」」」」」

砲雷長「…納得いきませんが、艦長を支持します。」

副長「砲雷長が折れたらどうにも出来ませんね。私も艦長を支持します。」

裕一「ありがとう。では、作戦に向け明日より訓練を行う。」

全員「「「「了解!」」」」

さぁーて、明日から頑張らないとな。

 

 

 

 




妖精さんが変なことになっているが気にしないで下さい。


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第20話 沖ノ島海域攻略準備2

お待たせしました。第20話です。
今、次話を書いているのですが戦闘シーンなかなかうまく書けないです。
あらかじめここで言っておきます。
戦闘シーンつまらなかったらごめんなさい。

そうそう、7月17日に息抜きで小説を投稿しました。
タイトルは「異世界でEDF装備を使ってみたら」 です。
こちらはたまに投稿すると思いますので、ぜひ見ていって下さい。

では、本編をどうぞ。

7月21日 本編を加筆修正しました。

8月1日
佐世保への道中シーンで
T.M.RevolutionのHOT LIMIT
を流しながらだとさらに楽しめると思います。


第2章 沖ノ島海域編

第20話 沖ノ島海域攻略準備2

 

7月16日 09:06

鎮守府本館 執務室

 

中村「……、これはまたすごいな。ミサイル、航空機による海域全域の攻撃。我々の出番が無くなってしまうぞ。」

裕「でしたら、敵の主力は残しておきますよ。」

中村「あぁ、そういう感じで頼む。それより、この兵器、アルマゲドンとは?」

裕「そう言えば、説明していませんでしたね。アルマゲドンとは─」

 

アルマゲドン

正式名称は「アルマゲドンクラスター」。ペイルウィングの支援兵器に分類される。

デスピナの装備では、レールガンの砲弾、航空機の爆弾に搭載することにより使用できる。

指定座標の上空で起爆、この時エネルギーを持った光球が出現する。これ自体にはまだ攻撃能力はない。しかし、出現から数秒の間にエネルギーが急激に上昇し、5つの光弾に分裂する。落下方向は完全にランダムである。1つの光弾につき爆破半径は70m。威力は戦艦レ級を撃沈できる。

 

中村「……。」

驚きのあまり言葉が出ないようだ。

数分後ようやく現実に復帰した。

中村「…程々で頼む。」

裕「わかりました。アルマゲドンは最初のみにします。」

中村「あぁ…。なんだろう、少し老けたかもしれない。」

裕「大変ですね。それでは、お仕事頑張って下さい。」

執務室から出る時、中村提督は苦笑いだった。

 

10:25

鎮守府 演習エリア

 

さっそく、航空隊の訓練を開始する。飛行甲板を発艦体制にする。飛行甲板が上下に広がり2段式飛行甲板となる。

裕「攻撃隊、順次発艦始め!」

艤装から飛行甲板にカロンとミッドナイト、スカイレイヴンが連続で射出される。射出された艦載機は1機1小隊に分裂して、原寸大になり高度を上げていく。

20分後、カロン5個大隊、180機。ミッドナイト2個大隊、72機。スカイレイヴン3個大隊108機。計360機が空に上がった。

裕「デスピナより各機へ。内容は先ほど説明した通りだ。では、訓練を開始する。」

カロン第1大隊長「全機エンゲージ!目標を確認!爆撃コースに入れ!」

第1大隊が、俺から向かって右から左へ目標物を空爆する、爆撃プランEを発動する。

カロン第2大隊長「第2大隊、第1の後に行くぞ!」

スカイレイヴン第1航空大隊長「連携を確認しろ!」

レーダーにカロン第1航空大隊の空爆範囲が表示される。

裕「カロン第1航空大隊へ間隔が広いぞ!もっと狭めろ!」

続けて、第2、第3、第4、第5がコースに入り、同じくプランEを発動する。

裕「全機タイミングを外すな。衝突して海に落ちることになるからな。」

カロン第2大隊長「第2大隊始め!」

カロン第3大隊長「第3大隊。第2大隊の5秒後に行くぞ!」

カロン第4大隊長「各機、爆撃プランを今一度確認しとけよ。」

カロン第5大隊長「全機、目標に全て命中させろよ!」

今回の訓練は、攻撃隊は模擬弾を海上に浮かんでいる目標物に命中させるのだが、各大隊が連続で行うためタイミングが重要になる。

裕「間隔は5秒だ。ズレたら空中で大衝突事故起こすことになる。そうなると、提督が艦載機の補給で資材の請求で死ぬからミスするなよー。」

カロン妖精「「「「りょーかい。」」」」

妖精からは棒読みの返事が帰ってきた。いや、まじめにやってね。怒られるから俺。

カロン隊がぴったり5秒間隔で突入して行き、模擬弾を投下していく。

 

裕「命中率85%か…。」

レーダーにはいくつか目標物が残っている。高度6,000mから爆撃ではまぁまぁの結果なのだろうか。しかし

裕「全機もう1度。」

手元に持っていたボタンをポチッとな、と押す。海面にまた目標物が海中から浮かんでくる。先ほど航空隊が沈めたものが浮かび上がってきたのだ。目標物は再利用可能なものらしい。

裕「命中率が95%超えるまでやるぞー。では、第1大隊攻撃開始!」

この作戦では俺達の働きによって作戦の難易度が変わってくる。どれだけ深海棲艦を減らせるか。その為にも命中率95%以上になるようにしておきたい。

命中率が95%超えるまで訓練し、爆撃プランEによる絨毯連続爆撃訓練を佐世保に行くまで毎日繰り返した。

 

 

7月27日 05:59

工廠エリア 出撃ドック

 

出撃ドックにはこの作戦に参加する艦娘達が集まっている。

全員真剣な表情である。

そして、放送が流れた。

大淀「出撃時刻06:00。艦隊、出撃せよ!」

それと同時に目の前にある、出撃場所の床に『出撃』の文字が光る。完全にアニメで見たものである。

赤城「主力艦隊、出撃!」

主力艦隊旗艦の赤城さんの指示の後、主力艦隊メンバーが次々に『出撃』の文字の上に立って、足の艤装が装着された後射出される。

主力艦隊が出撃し終わり支援艦隊が出撃して行き、遊撃艦隊の番になった。

朝潮、霞はすでに射出されている。俺は、『出撃』の文字の上に立って、

裕「要塞空母デスピナ、出撃します!」

その後、足の艤装が装着される。昨日、工廠妖精に足の方の艤装だけ渡しておいたのだ。そして、射出される。それ以外の艤装は渡していないので、進む勢いが止まる前に残りの艤装を展開する。海上に出ると全員が待っていた。

赤城「全員揃いましたね。それでは、艦隊、佐世保鎮守府に向かいます。」

全員「「「「「了解!」」」」」

横須賀から佐世保まで、移動には1日と5時間程掛ける。佐世保までは、主力艦隊を中心とした輪形陣で行く。

ちなみに、中村提督は出撃を見届けた後、飛行機で佐世保に向かうことになっている。

 

7月28日

11:08

種子島沖

 

裕「なんにもなかったな。」

瑞鶴「攻撃を受けなくて良かったと思うんですけど…。」

横須賀を出港してから、丸一日と5時間程経過し、もうすぐで佐世保に着く。最初はレーダーを常に監視して敵の襲撃を警戒していたが、レーダーに何の反応も無かったため、途中から同じ艦隊の朝潮と霞と話をしていた。紀伊半島沖を過ぎた辺りで翔鶴さんと瑞鶴もやって来て、5人で談笑していた。ちょっとしたピクニック気分である。

赤城「そろそろ警戒をしましょうか。艦隊!陣形を再構築して下さい。」

翔鶴「デスピナさん。また後で。」

裕「はい。」

翔鶴さんが手を振りながら戻っていく。俺も手を降って答えた。

朝潮「そういえば、デスピナさんって翔鶴さんと仲がいいですよね。」

裕「あぁ、そうだね。どうかした?」

朝潮「いえ!特に理由は無いのですが、そこまで仲がいいのはなぜかな?と思いまして。」

裕「あー、えっと翔鶴さんには内緒にして欲しいんだけど。」

俺は朝潮に手で近くに来るように手招きする。朝潮が近くに寄って来てくれたので、朝潮の耳元に顔を近づけ小声で話す。

裕「実はね、出会った時に一目惚れしたんだよ、俺。」

聞いた朝潮は、

朝潮「そうなんですか!」

裕「しー。」

赤城「どうかしましたか?朝潮さん?」

赤城さんが朝潮の声に反応し、振り返る。他の艦娘も何事かと朝潮に視線が集まる。

朝潮「いえ!何でもないです!」

慌てて、朝潮が誤魔化した。赤城さんはそうですか、と言って視線を元に戻し、他の艦娘達も首を少し傾げてはいたが、気にしなくった。

朝潮「どこに惹かれたんですか?」

朝潮も女の子なので、人の恋バナに興味があるようだ。

裕「続きは佐世保でな。ほら、そろそろ警戒区域だぞ。」

朝潮を元に戻るよう促す。朝潮が、絶対に教えてくださいね。と、言ったのに対して俺は了承の意を示すため頷いた。朝潮は少し機嫌良く元に戻ってくれた。

朝潮って真面目なタイプだったよな?と思いつつレーダーを見て敵の襲撃に警戒した。

 

11:56

佐世保鎮守府正面海域

大淀「こちら佐世保鎮守府所属の大淀です。現在、こちらの艦娘が出迎えに行っているのでその者の誘導に従って入港して下さい。」

そのように佐世保鎮守府の大淀から通信が入った。

赤城「こちら横須賀鎮守府所属赤城。了解しました。」

赤城さんが答えた後佐世保鎮守府から2人の艦娘がやって来た。出迎えは駆逐艦の初春、初霜のようだ。

初霜「佐世保鎮守府の初霜です。ついて来てください。」

そう言うと、さっそく移動を始めたので、俺達もこれについて行く。

 

12:03

佐世保鎮守府

ドックから出ると、そこに中村提督がいた。

中村「全員来たな。まずは、食堂に行って昼食を食べて来い。その後14:30から佐世保鎮守府本館前に集合してくれ。」

全員「「「「「はい。」」」」」

中村「では、また後でな。」

中村提督は連絡を伝えてから佐世保鎮守府の本館と思われる建物の方に歩いて行った。

提督を見送った後、艦娘達が食堂に向かったり、甘味処に向かったりし始めた。

俺は、食堂に行こうかと考え始めた時、

翔鶴「デスピナさん、食堂に行きましょう。」

翔鶴さんからお誘いが来た。もちろん断ることはしない。

裕「そうですね。」

瑞鶴「そういえば佐世保のカレーってどんなのだろう?楽しみ♪」

裕「やっぱり、鎮守府によってカレーは違うのか。それなら、カレーを食べないとな。」

食堂に歩いて行くと、多くの艦娘が食堂にいるようだ。

裕「ありゃ、他の鎮守府の艦娘もお昼食べに来ているみたいですね。」

入り口から行列ができている。

瑞鶴「早く行こ、翔鶴姉ぇ、デスピナさん。」

瑞鶴が食堂に走っていく。

翔鶴「あ、瑞鶴待って!」

翔鶴さんが瑞鶴を追いかけていく。しかし、翔鶴さんが何かに躓いたようでバランスを崩す。

裕「危ない!」

俺は、すぐさま走り始め間一髪翔鶴さんを受け止めた。他から見ると翔鶴の肩を掴み、抱き寄せているようにも見える。そのため翔鶴の顔が近くにある。

裕「大丈夫ですか、怪我はありませんか?」

翔鶴「い、いえ、大丈夫です。ありがとうございます。」

裕「気をつけて下さいね。さぁ、行きましょう。」

翔鶴「あっ。」

俺は、翔鶴さんの手を握ったまま、手を引いて歩き始めた。

その様子を見た他の艦娘達の視線が集まっていたがそれを気にせず食堂に入った。

 

14:20

佐世保鎮守府本館 大会議室

昼食のカレーを食べ、(とても美味しかったです)お腹が膨れた頃。今回の作戦に参加する艦娘が全員集まり軽く自己紹介をし明日の最終訓練の日程を確認した。ちなみに自己紹介の時他の鎮守府の艦娘からの視線の中に熱いものがあったりしたが特に何もなく終わった。

 

7月29日 10:00

佐世保鎮守府本館 第2会議室

作戦前日の今日は、中村提督、佐世保提督の上条純恵 大将、国防省から何人かと、各艦隊の旗艦が集まり作戦の最終確認を行う。

将校A「では、これから作戦の打ち合わせを始めます。」

加賀「まず、私から。現在、作戦参加艦隊の連携は実戦において問題ないレベルまでになっています。艦隊はすぐにでも出撃し、作戦を遂行することが可能です。」

将校A「次に、戦務部から。」

戦務部中佐「戦務部は本日09:00において本作戦物資の配備、各艦娘への補給作業が完了しました。」

将校A「続いて、情報部。」

情報部准将「敵主力艦隊ですが、09:30時点では沖ノ島海域外にて確認されました。そのため、まず支援艦隊などの攻撃にて海域周辺の深海棲艦を減らし、主力艦隊を作戦海域へ引きずり出すことになります。」

ここで中村提督が手を挙げる。

将校A「中村提督、どうぞ。」

中村「今、敵主力艦隊を引きずり出すものに作戦が変わることになりました。実は家のデスピナから、この変更に伴い我々の戦いが楽になると言う、ある提案があるのです。デスピナ、説明を。」

裕「はい。先日、自己紹介しましたが改めて。横須賀鎮守府所属の要塞空母デスピナです。これから提案の資料を配布させて頂きます。」

俺は、席を立ち、自分で作った資料を全員に渡す。そして全員に配り終え自分の席に戻り説明を始める。

裕「今から、この資料に沿って話していきます。まず、私の提案する作戦案の大まかな内容です。資料の2ページ目をご覧下さい。」

部屋に紙をめくる音が響く。ところどころで目を見開いている者がいる。

裕「私の案は、私の保有するみ航空隊と戦略兵器、そして艦載兵器を使用した、作戦海域全域の空爆作戦であります。詳しい行程は次のページから書いてあります。ご覧下さい。」

俺が促した後、5分間程部屋は黙々と資料を読み、紙をめくる音だけ聞こえた。そして、

上条「前回の迎撃戦を見て、とてつもない力を持っていると実感しましたが…、本当に可能なのですか?」

上条提督が聴いてくる。

裕「可能です。我が航空隊は圧倒的な力を使いこなし、この作戦を実現できる練度があります。」

将校B「これだと、四鎮守府の艦隊を集結した意味が無くなるな。」

裕「いえ、私の攻撃と言えど、撃ち漏らしはどうしても出ますので、それを叩いて貰うことになります。まぁ、とても楽な戦いになってしまいますが…。将校殿は艦娘達を不必要に酷使なさるおつもりで?」

将校B「いや、そんなつもりは無い。」

裕「これは失礼しました。お許し下さい。」

俺は、将校に謝り、

裕「さて、皆さんにこの作戦の実行を承認して頂けますか?」

会議室にいる全員を見渡す。中村提督は 俺はいいと思うぞ。 と言ったのをきっかけにところどころから賛同の声が聞こえ始め、最終的に全員が賛同してくれた。

裕「ありがとうございます。では、明日の作戦決行と同時に航空隊を発艦させます。作戦艦隊の皆さんには、空爆完了まで鎮守府で出撃待機していて下さい。私からは以上です。」

俺はそう言って席についた。

将校A「他におられますか?無いようなので打ち合わせを終了します。」

進行の将校が終了を言い、提督達が退室する。中村提督が部屋を出る前に

中村「では、明日は頼むぞ?」

裕「はい。お任せ下さい。」

一言言って、部屋を出ていった。

 

12:25

食堂

裕「─て感じになりました。」

瑞鶴「なるほど、デスピナさんの無双ってことでOK?」

翔鶴「あまり無理をしないで下さいね。」

裕「分かっています。」

食堂で午前の打ち合わせのことを翔鶴さんと瑞鶴に話す。

瑞鶴「そーいえば、朝潮ちゃんと霞ちゃんの2人を部屋に連れ込んでたみたいだけど…。何してたの?」

瑞鶴がニヤニヤしながら聴いてくる。翔鶴さんの箸が止まる。

裕「特に何もないぞ。てか、見てたの?」

俺は、適当にはぐらかす。

瑞鶴「2人とも部屋から出てきた時頬が赤くなってたけど?どんなことしたの?」

瑞鶴から追撃が来る。翔鶴さんが箸を置く。

裕「やましい事はしてないぞ。てか、誤解を生むことを言うな、瑞鶴。」

瑞鶴「えーだってここ最近よく居るし、すごく仲良く見えるもん。」

裕「彼女らは今回の作戦の護衛だ。しっかりとコミュニケーションを取っているだけだ。」

翔鶴「…デスピナさん。駆逐艦の娘たちに手を出しているんデスカ?」

翔鶴さんの背後から恐ろしいオーラが出始めた。

裕「出してません!ほんとですから。信じてください!」

俺は、慌てて弁解する。食堂に居る人たちの視線が集まる。

翔鶴「浮気デスカ?」

裕「してません!てか、俺まだ誰とも付き合ってないですよね?年齢=彼女いない歴ですよ、俺。てか、自分で何を言っているんだ~!!」

大声でカミングアウトし、恥ずかしさのあまり両手で顔を隠しテーブルに顔をふせる。

昼の食堂の一角でカオスな空間が生まれた。

 

そして、7月30日。作戦が始まる。

 




そういえば、うちの朝潮結構はしゃいでいるね。

うん、これはこれでなかなか…。新しいヒロインにしようかしら。


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第21話 沖ノ島海域奪回作戦1

大変お待たせしました。

今回は戦闘になるのですが…、本来なら長くなるのに自分の文章力の無さにより短いです。ごめんなさい。

8月1日 空爆シーンで
EDF4.1BGM突撃
または、
EDF4.1BGM掃討戦を流しながらだと
さらに楽しめると思います。


第2章 沖ノ島海域編

第21話 沖ノ島海域奪回作戦1

 

7月30日 05:30

佐世保鎮守府 グラウンド

現在、グラウンドに作戦艦隊が整列している。

上条「いよいよだ、諸君。本日、沖ノ島海域奪回作戦を決行する。この作戦は、敵に奪われた制海権を、我々の手に取り戻す先駆けとして非常に大きな意味を持っている。今まで幾度となく、奪回のため出撃してきたが、つい昨日まで、それは叶わなかった。」

上条提督が作戦艦隊全員を見渡す。

上条「しかし!本日を持って沖ノ島海域の戦いに終止符を打つ!本日06:30、本作戦に参加する全員が、敵の包囲網を突破する先駆けとなる!変革の一戦ここにあり!総員一層奮励努力せよ!!総員戦闘配置!暁の水平線に、勝利を刻めッ!!」

全員「「「「「「はっ!!」」」」」」

作戦に参加する艦娘たちが出撃ドックに向かって行く。

朝潮「行きましょう。」

霞「やるわよ。」

裕一「あぁ。」

俺達、遊撃艦隊も出撃ドックに向かった。

 

06:15

沖ノ島海域手前

裕一「ここら辺かな。艦隊止まれ。」

俺達は、現在沖ノ島海域の手前辺りにいる。ここから航空隊を出す。

コマンドを展開する。

裕一「航空参謀、航空隊の爆撃プランの確認と弾薬の搭載は完了したか?」

航空参謀「問題ありません。後は、アルマゲドンのみです。」

裕一「砲雷長、ミサイルの準備は?」

砲雷長「こちらも問題ありません。」

裕一「副長、砲雷長。これより兵装制限Bを解除する。」

副長、砲雷長「「はい。」」

コマンドの兵装制限Bを選択すると、パスワードの入力画面が出てくる。

16文字のパスワードを入力する。すると─パスワードを認証 兵装制限Bを解除します─と表示された。

裕一「直ちにアルマゲドンを搭載せよ。」

副長「安全かつ迅速に行います。」

朝潮「間もなく、06:30。」

朝潮からそう伝えられる。それと同時に無線が入る。

大淀「06:30まで10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、06:30。」

上条「作戦開始!」

上条提督の開始の合図を聞いたと同時に、俺は指示を出し始める。

裕一「艦隊!対水上、対空、対潜戦闘用意!航空隊、順次発艦を開始せよ!」

飛行甲板からスカイレイヴンが射出される。その後、カロン、ミッドナイトが射出されていく。10分ほどで、作戦に投入する全ての航空隊が発艦を完了した。

今回の作戦における航空隊の編成は、スカイレイヴンを第1~第3航空大隊、通常爆弾を搭載したカロンを第4~8航空大隊、ミッドナイトを第9、10航空大隊としている。そして、アルマゲドンを搭載したカロンは、第6~8航空大隊から4機ずつ抽出し臨時編成された第11航空大隊隷下、1101中隊である。中隊に振られている番号は最初の1、2ケタの数字が所属大隊、下2ケタの数字が自分の中隊を表す。(例として第1航空大隊隷下の第1中隊は101中隊となる。)1101中隊は今作戦のみのタスクフォースであり、今回搭載する兵器の実験部隊としての役割を兼ねている都合上、便宜的に1個中隊のみで第11航空大隊を編成している。

裕一「第1、2大隊は攻撃隊の護衛を。301中隊は沖ノ島海域、高度10,000mにて待機。302.303中隊は偵察を。」

1101中隊長「こちら、1101中隊。作戦エリア上空に到達。アルマゲドン投下の指示を待つ。」

裕一「こちら、デスピナ。投下座標を送る。タイミングはこちらで指示する。」

1101中隊長「了解。」

CDC妖精「全機配置につきました。」

裕一「あーあ、マイクチェック。…おほん。」

裕一「さて、諸君。いよいよ、我々は本当の戦争に参加する。今までの戦闘とは比較にならないほどの数の敵と命のやり取りをする。戦意を高めて敵と戦いに行くのが普通であろう。しかし、私が求めるものは違う。戦意はもちろん、作戦を成功させるには重要だがあくまで冷静に、そして冷酷に、圧倒的な力をもって敵を殲滅し、敵味方共に、その力を示すことを諸君らに求める。」

ここで一旦言葉を切る。そして、

裕一「さぁ、この海域を火の海に!青い海原を灼熱地獄に!人類の恐ろしさを、敵に刻み込んでやれ!」

妖精全員「「「「いヤッホーい!!!!EDF!EDF!」」」」

裕一「まずは景気づけに一発かましてやれ!1101中隊攻撃開始!」

06:42 本作戦における最初の攻撃が始まった。

1101中隊長「中隊全機へ。我々は全軍の先鋒だ。派手に行くぞ!」

1101中隊「「「「おう!」」」」

1101中隊長「安全装置解除!投下、よーい、よーい…。投下!投下!」

1101中隊、全12機がそれぞれの座標にアルマゲドンを投下した。

1101中隊長「全機退避!」

爆発の衝撃から逃れるため、1101中隊は急上昇する。アルマゲドンは投下から5秒後、高度2,000mにて起動。沖ノ島海域の空に12個の光球が生まれた。

光球内のエネルギーが急速に高まっていき、数秒後光球はさらに5つの光弾に分裂。全部で60の光弾が落下を始めた。海上から見れば小さな彗星が落ちてくるようにも見えるだろう。海上で侵攻開始の命令を待っていた深海棲艦達は、その光景を見て何事かと警戒を強めた。中には、綺麗だと思っているものいるようだ。しかしその光弾は、すぐあとの未来に自分達の体を木っ端微塵に消し飛ばす事になる死の光弾なのだが。

 

そして、ついに海面に着弾し、爆ぜた。単発でもあらゆる物体を焼き尽くすエネルギーを秘めた光弾が、60発一斉にその力を解放する。空間自体が揺れているのではと錯覚するほどの、凄まじい衝撃波が発生した。

海域の外にいる裕一達の元にも、衝撃波が音速で迫って来る。裕一はとっさに防御スクリーンを展開し、朝潮と霞の身を守った。間一髪間に合ったが、防御スクリーンがビリビリと音をたて揺れる。

裕一「ちょっとやりすぎたかな?」

裕一の視線の先には、小さくであるがたくさんの爆炎のドームが見えた。

 

光弾内のエネルギーが一瞬で弾け半径70m以内の深海棲艦を、衝撃波と業火が襲う。ドーム状になった爆炎の広がっている投下地点は、文字通り地獄絵図になっていた。その場にいた深海棲艦のほとんどは断末魔をあげる暇もなしに跡形もなく吹き飛ばされ、至る所に残骸が撒き散らされる。運よく衝撃による損傷を免れた者も、灼熱で全身を焼かれ、爛れ、そして溶け落ちる。全ての深海棲艦はカラダの一部が無くなるほどの中破、もしくは大破していた。さらに苦痛を訴えるうめき声が海域全体で響き渡り、もはや完全に地獄としか言いようが無い惨状を作りあげていた。

 

一方、上空に退避していた1101中隊にも、爆発の余波が襲う。

1101中隊長「全機!バランスを崩すな!」

少しして振動も収まってきた。

1101中隊長「被害報告せよ!」

中隊各機から報告が入る。どの機からも被害は無かった。

中隊長が安堵のため息を吐く。少し余裕が出来たので下を見る。

すでに小さくはなってきてはいるが海域全体に60個の炎のドームがまだ見えた。

1101中隊長「それにしても、とんでもないものだなあれは。」

そう呟くと、

1101中隊長「デスピナへこちら1101中隊、アルマゲドン投下完了。残存敵勢力を確認。追撃を要請する。」

裕一「こちらデスピナ、了解。」

1101中隊長「中隊、これより帰艦する。」

1101中隊は母艦に進路を向けた。

 

副長「凄かったですね。」

裕一「ああ。」

アルマゲドンは、レーダーで捉えていた深海棲艦の5割を、1回の攻撃で吹き飛ばし、残敵の5割中3割に被害を出させた。

護衛の朝潮と霞の安否を確認するために、2人の方を見る。2人はエレメンタル戦術情報演算システムのリンク機能で、上空にいる艦載機からの映像を見ていたらしく、驚きのあまり固まっているようだ。このままだと万一潜水艦に補足された時にまずいので、あまり時間をかけずに効果的な方法で、2人を現実に戻す事にする。

ギュッ

朝潮 霞「!?」

俺は、2人を抱き寄せ話す。

裕一「驚かせてしまったね。大丈夫?」

さらに頭を優しく撫でる。すると現実に復帰した2人は

朝潮「あ、あわわ、デ、デ、デスピナさん!?」

朝潮は顔を真っ赤ににして慌てる。

霞「─ッ。」

霞は朝潮と同じく顔を真っ赤にしながら俯いた。

裕一「お、現実に戻ってきたな。まだ作戦中だぞ、気をつけろよ。」

と、言って2人の頭を撫でるのを止める。

朝潮 霞「ぁ……。」

裕一「うん?」

朝潮 霞「いえ(別に)、なんでもないです(わ)……。」

少し残念そうな顔をしていたが、今はまだ作戦中なのでさっさと思考を戦闘に戻す。

 

レーダーには敵の増援が来たようで、また赤い点が増えつつある。

裕一「第4から第10大隊へ。サザンクロスを発動!敵の残存勢力並びに増援を潰せ!」

航空隊長「「「「了解!」」」」

第4大隊長「目標確認。攻撃を開始する!」

第4大隊、カロン36機が横に並び爆撃プランEを発動する。途中迎撃の敵艦載機が上がってきたが、攻撃する前に護衛のスカイレイヴンに落とされる。

すると、第4大隊からテーレッテーと、無線機越しに処刑BGMが流れ始めた。それと同時に空爆が始まる。

海上では、深海棲艦が残存艦で艦隊を再編しようとしていた。

再び、海域全体が爆炎に包まれる。アルマゲドン程の威力はないが深海棲艦を撃沈するには十分。あちらこちらで深海棲艦の絶叫が響く。生き残っていた者は再度の攻撃を避けることができず、爆発をもろに受け爆沈していく。増援で来たものは反撃もできずに轟沈していく。

しかし、これで終わらないのがサザンクロス。

サザンクロス─爆撃を十字上に行う。これにより、敵の殲滅率が上がる。元ネタはかつての世界で見たニコ〇コの理性縛りの人たちである。

 

第4大隊「「「「やったぜ!」」」」

第5大隊「「「「汚物は消毒だぁ~!」」」」

第4大隊の後にすぐ第5大隊が先ほどの空爆ラインに垂直になるように空爆を始める。爆撃プランとしては、プランDかFに近い。レーダーの空爆範囲を示す赤い帯が、先ほど実施したプランEのそれと綺麗に交差して十字を描いている。

絶え間ない空爆により深海棲艦は混乱の極みに達し、反撃する暇もなく新たな空爆の犠牲になっていく。さらに第6、第7、第8大隊が追加の空爆を行った後、第9、第10大隊のミッドナイトが、ダメ押しのクラスター弾で、かろうじて生き残った深海棲艦を沈めていった。

第10大隊長「花火は終わったぞ。あとは任せる。」

連続の空爆により沖ノ島海域全体で深海棲艦が、一時的に全て海の藻屑となり消えた。

 

航空隊を収容し始めた頃、

妖精達「「「「やったぜ!EDF!EDF!」」」」

航空参謀「欲望が足りん!」

裕一「なぜそのネタを!?」

少しだけ赤い人が見えたが気のせいだろう。

副長「いい加減に飽きろ!航空参謀!」

航空参謀「ひでぶっ!」

副長の拳骨を喰らった航空参謀はほっといて

裕一「デスピナより作戦司令部へ。空爆完了、作戦艦隊を投入されたし。」

司令部妖精「司令部、了解。これより艦隊を向かわせる。」

裕一「さてと、朝潮、霞。みんなと合流するぞ。」

と言って、作戦主力艦隊の方へ向かった。

 

08:03

沖ノ島海域 横須賀作戦主力艦隊

加賀「敵が見当たりませんね。」

瑞鶴「そこら中にそれらしい残骸がたくさん浮かんでるんですけど。」

夕立「デスピナさん。すごすぎるっぽい。」

翔鶴「これが、デスピナさんの攻撃…。んっ、濡れてしまいました…。」

約1名を除いて、艦隊メンバーはデスピナの攻撃した後の光景を見て、彼の持つ戦力の凄まじさを実感していた。翔鶴の言葉は全員聞かなかった事にする。

赤城「深海棲艦がいなくなっている今のうちに、急いで敵の主力艦隊を見つけましょう。」

旗艦の赤城がそう言って、索敵を開始する。

加賀「そうでしたね。」

加賀もすぐに索敵を始める。そして、横須賀主力艦隊が海域中央についた頃、呉主力艦隊から敵の主力艦隊発見の報が届いた。

 

10:46

沖ノ島海域 呉主力艦隊

長門「ビッグ7の力、侮るなよ。」

主砲が火を吹き、深海棲艦に九一式徹甲弾が飛んでいく。

大和「弾着を確認。戦艦タ級大破!」

蒼龍「行くよ!二航戦攻撃隊、発艦はじめ!」

蒼龍が大破したタ級に攻撃隊を出し撃沈する。

陸奥「ば、爆発なんてしないんだから…もう。」

長門「陸奥!」

陸奥「大丈夫よ、長門。まだ戦えるわ。」

陸奥が敵の砲撃により中破する。

呉主力艦隊の編成は、長門を旗艦とし陸奥、大和、武蔵、蒼龍、飛龍、

妙高、羽黒、北上、大井、時雨、夕立の12隻。被害は陸奥、妙高、時雨が中破、武蔵、飛龍、北上が小破している。

長門「ほかの艦隊は?」

武蔵「佐世保、舞鶴も現在深海棲艦と交戦中。横須賀主力艦隊は航空隊を派遣してくれた。後90秒で着く。」

長門「そうか。みんな、味方の航空隊がもうすぐ到着する。踏ん張るぞ!」

全員「「おー!」」

深海棲艦の主力艦隊と呉主力艦隊は激闘を繰り広げていた。

 

10:49

沖ノ島海域 高度4,000m 横須賀主力艦隊 第一次攻撃隊

赤城第一攻撃隊 2番機「隊長!敵の主力艦隊です。」

赤城第一攻撃隊 隊長「第一次攻撃隊全機、攻撃開始!」

横須賀主力艦隊から先行していた第一次攻撃隊が敵の主力艦隊へと群がっていく。

敵の主力艦隊が攻撃隊に気づき、空母ヲ級が急いで迎撃機をあげ始める。

加賀第一攻撃隊 隊長「…おそい!」

加賀の第一攻撃隊の彗星一二型甲が急降下爆撃を複数の空母にしかける。投下された爆弾はヲ級らに命中し、発艦中の艦載機に誘爆し大破する。

瑞鶴第一制空隊 6番機「敵機撃墜!」

翔鶴第一制空隊 7番機「そこの機体後ろに付かれているぞ!」

瑞鶴第一制空隊 9番機「な!?助かった。」

翔鶴第一制空隊 3番機「何、気にするな。」

翔鶴第一制空隊 5番機「グッキル!」

運よく迎撃に上がれた深海棲艦の艦載機も護衛の紫電改二や烈風に落とされていく。

赤城第一攻撃隊 隊長「海面ぎりぎりを飛べ!」

赤城第一攻撃隊、流星改が敵の主力艦隊に雷撃をしかける。

赤城第一攻撃隊 8番機「12番機!…クソ。」

撃墜機が出るも、攻撃隊は敵の主力艦隊に接近していく。

赤城第一攻撃隊 隊長「後もう少し…。よし、投下!」

流星改から必殺の魚雷が投下され。

赤城第一攻撃隊 3番機「ついでにオマケだ!」

深海棲艦に機銃掃射をして、高度を上げていく。

敵の主力艦隊は魚雷を躱し切れず、戦艦、空母合わせて6隻が沈む。

敵の主力艦隊は残り12隻となり、どの艦も傷ついた状態であった。

 



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第22話 沖ノ島海域奪回作戦2

お待たせしました。第22話です。
今回はすこし短いです。

そういえば、もうすぐ提督達の熱い夏、8月10日から夏の恒例大規模イベントが始まりますね。
今回は欧州方面らしいですが…どうなるんでしょう。

あ、ちなみにこの作品ではかなり先の方で欧州方面に行く予定です。
まぁ、いつになるかは分かりませんが笑

それでは、どうぞ。


第2章 沖ノ島海域編

第22話 沖ノ島海域奪回作戦2

 

11:23

沖ノ島海域 横須賀主力艦隊

瑞鶴「第一次攻撃隊より入電。攻撃は成功!」

翔鶴「第二次攻撃隊何時でも行けます!」

赤城「第二次攻撃隊、全機発艦!」

残りの敵の主力艦隊を沈めるため、赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴の4人が艦載機の矢を放っていく。

赤城第二攻撃隊 隊長「第二次攻撃隊、全機へ。仕上げの時間だ。気合い入れていくぞ!」

第二次攻撃隊「「「おー!!」」」

赤城第二攻撃隊 隊長「全機突撃!」

敵の主力艦隊を確認し、爆撃機は急降下を始め雷撃機は海面すれすれまで高度を下げる。

第一次第二次共に航空隊の練度の高さをうかがわせる、素晴らしいものであった。

瑞鶴第二攻撃隊 隊長「爆弾投下!」

敵の主力艦隊の上空から急降下爆撃してきた、瑞鶴の彗星一二型甲が襲う。

深海棲艦は対空砲を撃ちながら何とか回避する。

瑞鶴第二攻撃隊 隊長「姐さん、頼みます!」

そう、瑞鶴の攻撃隊は囮。本命は翔鶴の第二攻撃隊である。爆撃機に気をとられていた深海棲艦は接近していた雷撃機にようやく気づく。

翔鶴第二攻撃隊 隊長「魚雷投下!」

翔鶴の流星改達が魚雷を投下、敵の主力艦隊は避けきれず全弾命中するも、3隻残ってしまう。

加賀第二攻撃隊 隊長「トドメだ。」

加賀の流星改が敵の主力艦隊に追加の雷撃を行い、敵の主力艦隊は全て沈んだ。

赤城第二攻撃隊 隊長「第二次攻撃隊から艦隊へ。敵の主力艦隊は全て撃沈。作戦は成功、これより帰還する。」

侵攻主力艦隊の全滅により、深海棲艦は沖ノ島海域から全面撤退を始めた。

こうして、沖ノ島海域は奪回された。

 

11:58

沖ノ島海域 横須賀主力艦隊

赤城「ふぅー、皆さんお疲れ様でした。」

瑞鶴「やったね!翔鶴姉。」

翔鶴「えぇ、瑞鶴お疲れ様。」

互いに沖ノ島海域の奪回を喜ぶ。

加賀「五航戦。最後の連携攻撃はよかったわ。これからも精進しなさい。」

翔鶴、瑞鶴「ありがとうございます。」

赤城「加賀さん♪」

赤城がニマニマしながら加賀に近づく。

赤城「ちゃんと、褒めることができるようになったのですね。」

加賀「…、当然です。」

加賀が少し頬を赤らめ赤城から視線をずらす。

そんな和やかな雰囲気で横須賀主力艦隊は佐世保鎮守府に帰投して行った。

 

12:05

沖ノ島海域 遊撃艦隊

一方、遊撃艦隊は横須賀主力艦隊に合流しようとしていたが途中で佐世保と舞鶴の主力艦隊の戦闘の支援を行って、先ほど敵の主力艦隊全滅の報を受けた。

朝潮「やりましたね!デスピナさん。」

霞「姉さん、はしゃぎすぎ。」

裕「お疲れ。作戦も終わったし、佐世保に戻ろうか。」

朝潮、霞「はい。」

俺達は、佐世保に針路を変更し、戻り始めた時。たまたま、レーダー見ていたら、

裕「!?」

一瞬ではあるが、レーダーの端に赤い点、1機の敵の航空機が映った。

裕(今のは…。速度は今までの深海棲艦の艦載機では見たことがない。新型の艦載機か?何も起きなければいいが…。)

霞「どうしたの、険しい顔をして。」

裕「うん?いや、何でもない。」

霞「そう。」

裕一は一抹の不安を覚えながら佐世保に帰投した。

 

そして、先ほどレーダーで捉えた上空に一機の銀色に輝く機体が南西方面に高速で飛行していった。

 

 

15:26

佐世保鎮守府 本館第2会議室

中村「…ふぅー、疲れたー。」

上条「情けないな。手を休めない。」

中村「しかし、先輩。2人だけでなんとかできる量じゃないですよ、これ。」

第2会議室では、提督2人で今回の作戦の報告書を制作している。

上条「せめて、極秘指定以上の所を優先してくれ残りは、秘書艦に応援を頼む。」

中村「分かりました。」

中村提督は上条提督の言った通り優先的に極秘指定以上の書類を作成していく。

中村「それにしても、ぶっ飛んだ戦果ですよね。これ。」

中村提督はデスピナの戦果について書かれた書類を上条提督にヒラヒラと見せる。

上条「単独で1,000隻は超えていたわね。」

中村「えぇ、横須賀のMVPは彼ですね。」

デスピナの戦果は

 

撃沈 戦艦235隻、空母186隻、巡洋艦843隻、駆逐艦425隻

共同撃沈 戦艦24隻、空母12隻、巡洋艦83隻、駆逐艦37隻

撃墜数148機

 

中村(それにしても、デスピナからの報告書にあった深海棲艦の新型機についてだが。)

中村提督は数枚の報告書を手に取る。デスピナの考察と写真があった。

写真は遠くからの撮影したためか、詳しいことは分からないが今までの深海棲艦の艦載機とは異なる形をしている。

中村(西方はかなり厳しいものになりそうだな…。)

上条「ほら、手が止まってる。」

中村「あ、すみません。」

上条から注意され、中村は新型機についての思考を止め、つぎの書類に手をつけ始めた。

 

同時刻

佐世保鎮守府 敷地内

提督達が書類仕事に精を出している頃、デスピナは横須賀の金剛に誘われ、作戦に参加した横須賀の戦艦、空母の艦娘のお茶会にいた。

裕「美味しいですね。なんてお茶ですか?」

裕一は、金剛が淹れてくれた紅茶を飲んでいた。ちなみに、右には翔鶴、左には榛名がいる。

金剛「ダージリンのセカンドフラッシュデース。たまたま、手に入れることができたので皆さんに出しマシタ。」

赤城「確か、高級品でしたよね…。これ。」

金剛「気にしなくていいヨー。そうそう、デスピナ。お菓子は口に合いましたカ?」

裕「あ、はい。美味しいです。」

お菓子は、7月が旬のブルーベリーを使ったパウンドケーキ。紅茶と相性はいい。

裕「このケーキは金剛さんが?」

金剛「違いマース。榛名が作りました。」

裕「そうなんですか。榛名さん、とても美味しいですよ。」

と、榛名に笑顔で言う。

榛名「デスピナさん、榛名感激です!」

榛名は嬉しそうな表情になる。

榛名「実は、もう一品作ったので皆さんぜひ。」

榛名が出したのは1口サイズのこちらも7月が旬の桃を使ったパイである。テーブルに出し榛名は1個取り、

榛名「あの…。あ、あーん…。」

裕一にパイを食べさせようとする。裕一は差し出されたパイを食べる。

裕「うん。こっちも美味しいですね。どうかしましたか?」

榛名が顔を真っ赤にして、周りからはジト目で見られていることに気づき尋ねる。

瑞鶴「デスピナさん…。」

瑞鶴が ダメだこいつ という感じで言う。裕一は疑問に思っていたら隣から肩を叩かれる。

翔鶴「デスピナさん、あーん…。」

翔鶴も同様にパイを食べさせようとする。裕一はまた、同じくそのパイを食べる。

裕「もぐもぐ…。翔鶴さんどうしたんですか?」

蒼龍「デスピナさんって罪な男だね~。」

飛龍「ホント、近く修羅場ができそうだね~。」

裕「蒼龍、飛龍それどういうこと?」

加賀「…鈍感にも程があるわね。」

赤城「戦闘の時は鋭いのにねー。」

裕「??」

金剛「救いようが無いネ。榛名―、そろそろ戻って来てくだサーイ。」

裕一は言われた事を疑問に思いながらその後のお茶会も楽しんだ。

 

8月4日 10:20

横須賀鎮守府 本館執務室

作戦後、提督達の仕事が終わるまで数日ほど佐世保で休息を取り、昨日横須賀鎮守府に帰投した。帰り道も何事も無く、普通に帰って来た。

そして、現在俺は提督に呼び出されていた。

中村「さて、呼び出したのはMVPのことだ。艦娘はMVPを取ると、間宮の甘味処の優待券か、鳳翔の食事処の食事券、もしくは特別手当の3つから選んでもらっている。どれにする?」

裕「特別手当でお願いします。」

中村「うん?食事券じゃなくていいのか?前、行った時嬉しそうにしていたのに。」

裕「食事券は魅力的なのですが。まだ給料も貰っていませんので少しでも身の回りの物を揃えるのにお金が必要なので。」

中村「本来なら、先月の15日に支給されるはずだったのだがね。君のことを嗅ぎつけた諜報部の調査で君の素性がバレて、上層部に彼は何者なのか詰問され、書類の手続きに手間取ってしまった。すまない。」

大規模演習前に提督から聞いた説明と話を噛み合わせると、こういう事だ。まず艦娘は、一応国防省所属の扱いになっているため、俺を国防省に所属させるための書類を人事部に秘密裏に承認してもらい、俺の存在を知るものを少なくしていた筈なのだが、給料の支給額の計算時、会計部から横須賀の支給額が多くなっていることがバレた。そこから、調査のために諜報部が動きあれよあれよと俺の存在が上層部全体に知られてしまった。そして、俺についての素性、詳しい戦闘力を中村提督が上層部に説明、俺の所属のための正式な書類を作成するなどした。結果、俺の正式な着任日は書面上は書類が承認された時点となった。そのため、先月支払われる筈の初任給が未払いのままだった。

裕「気にしてませんよ。あ、でも。先月の分も半分でいいので今月の支給に上乗せしてくださいね。」

正式には承認されていない期間も、自分は横須賀鎮守府にて働いていたので、それに伴う見返りを請求しなければ気が済まない。断ったら、ストライキしてやろうとも思う。まぁ、出来ないけど。

中村「…善処しよう。」

裕一の交渉?も上手くいったところで裕一は執務室から退室した。

裕(それにしても、諜報部の調査能力はなかなかのものだ。ノートゥングの存在は味方にもバレるわけにはいかない。隠蔽を徹底せねば。)

衛星兵器ノートゥング秘匿を徹底する事を誓い、さっ自室に戻った。

 

8月7日 18:24

戦艦寮 202号室 リビング

今日は前に大和さんとの約束で夕食を食べに来た。今は、大和さんがキッチンで料理をしている。俺は、リビングで椅子に座りラムネを飲んでいる。ちなみに武蔵さんは、鳳翔さんの所に飲みに行っているらしい。

大和「デスピナさん、すみません。料理を運ぶのを手伝って頂けませんか。」

裕「えぇ、いいですよ。」

テーブルに料理を運ぶ。メニューは、ローストビーフとサラダ、コンソメスープにパンである。

大和「デスピナさんは、お酒は飲まれますか?」

裕「いえ、お酒は飲めないんです。」

大和「そうなんですか。ではいただきましょう。」

大和、裕一「いただきます。」

1時間ほど談笑しながら食事をして、食後のデザートを食べる。

大和「飲み物は何にされますか?」

裕「コーヒーはありますか。」

大和「ありますよ。」

裕「では、それで。」

少しして、大和さんがデザートと飲み物を運んできた。デザートはレアチーズケーキである。

レアチーズケーキを食べコーヒーを飲んでいる時、

大和「どうでしたか?料理は。」

裕「とても美味しかったです。今度お礼に自分の部屋でご飯でも。」

大和「ふふ、ありがとうございます。楽しみにしていますね。」

裕「大和さんほど腕は良くないので期待しないで下さいね。」

大和さんと次の約束をした。近く、キッチン用具を揃えなければと思い、頭の中でメモする。すると、大和さんからあることを尋ねられた。

大和「ところで…、デスピナさん。今、好きな方はいらっしゃいますか?」

裕「恋愛面ではまだ。でも、横須賀鎮守府の皆さんのことは好意的に思っていますよ。」

大和「そうですか…。まだチャンスはありそうね。」

後半の方は小声で聞こえなかったが、俺は気にしないことに。

裕「では、そろそろ部屋に戻りますね。」

大和「あ、はい。」

裕「今日はありがとうございました。」

大和「いえ。ぜひまた、来てください。」

裕「はい。ではおやすみなさい。」

大和「おやすみなさい。」

俺は、大和さんの部屋から出て、自室に戻った。

 

大和「はぁー…。」

私は、思わずため息をつく。

大和「デスピナさん。やはり翔鶴さんのことが…。うんうん、まだいないって言ってたんだから、大丈夫!」

私は、今度こそと意気込んでキッチンにお皿の片付けに向かった。

大和(あ、そういえば。デスピナさんの部屋に行く前に勝負下着買っておいた方がいいかも。何があっても大丈夫なようにしないと。デスピナさんと夜一緒に…。)

自分の顔が熱くなっているのに気づき、慌てて

大和「さぁ!片付けがんばるぞー。」

さっきの思考を消すために片付けに精を出すのであった。

 

 



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第23話 休日

お待たせしました。第23話です。
台風ひどいですね…。皆さん大丈夫でしょうか?

8月14日 すこし日付を変更


第2章 沖ノ島海域編

第23話 休日

 

 

8月12日 09:05

横須賀鎮守府 本館執務室

中村「はい、お前の通帳とキャッシュカード。」

裕「ありがとうございます。」

中村「ちゃんと、先月の分の半分は上乗せしたからな。」

裕「お疲れ様です。」

通帳を見て、ニヤつく。

裕「では、失礼します。」

執務室から足早に退室した。

中村「あ、開発頼むの忘れてた。まぁ、急ぎじゃないし後日にまわそう。」

 

09:25

空母寮 自室

裕「えーと、必要なものは…。」

自室に戻り、買うものをメモに書く。

裕「そういえば、外出する時の服装どうしよう。」

今、自分のクローゼットの中にはデスピナの服しかない。

裕「工廠に言えば作ってくれるかな?聞きに行ってみるか。とりあえず買うものはこれだけかな。」

メモを見て再度確認する。

裕「さてと、外出届けを取りに行きますか。」

俺は鎮守府事務棟に向かう。

 

09:54

鎮守府 事務棟

裕「すいません。外出許可を貰いに来たのですが。」

事務員「では、こちらの書類を書いて下さい。」

裕「はい。」

事務の人の指示通り渡された書類を書く。

裕「書き終わりました、お願いします。」

事務員「確かに。今日の夕方には分かると思うのでまたおいで下さい。」

裕「分かりました。」

書類を提出し終え、暇になった。

俺は、とりあえず訓練をすることにした。

 

12:35

食堂

瑞鶴「へぇー、デスピナさんも明日外出するんだ。」

裕「あぁ、ようやく給料貰ったからな。いろいろと買い揃えたいからね。横浜の方に行くよ。」

翔鶴「じゃあ、どこかで会うかもしれませんね。ちょうど私たちも横浜でショッピングしていると思うので。」

裕「そうなんですか。でしたら、どこかで待ち合わせて、昼飯でも食べませんか。一緒に。」

俺は、翔鶴さんを食事に誘う。ここで今までのフォローを入れておかないと危ない感じがしたからだ。

翔鶴「良いですね。楽しみにしてますね。」

まるで、会うことは確定しているような言い方だが気にしない。

瑞鶴「そういえば、明々後日は終戦の日だったね。」

裕「第二次世界大戦のほうだったね。艦娘のモデルになった艦たちが戦った。」

翔鶴「あの時は、無念の思いで沈み日本は負けました。しかし今は、私達は負けるわけにはいかない。今度こそ守りたいものを守り抜くわ。」

翔鶴さんが右手で拳をつくり握りしめ、それを見つめる。その手の中にある大切な物を握り確かめるように。

そんな翔鶴に瑞鶴がそっとその握り拳に手を添える。

瑞鶴「翔鶴姉、私も一緒だよ。」

翔鶴「ええ。あら、しんみりしてしまいましたね。」

翔鶴さんの戦場で見る真剣な表情とはまた違う真剣さのあった表情が見れた。

裕「そういえば、私自分の私服無くて外出の時どうしようと思ってまして。どうすればいいですかね。」

翔鶴「それなら、工廠で服を頼めばいいですよ。私達も私服の半分は妖精さんに作ってもらってるんです。だから服代が結構浮いて助かっています。」

瑞鶴「そうそう、妖精さん達が自分に合う服を作ってくれるから助かってるよ。しかも、デザインも良くてお店で買うよりここで作ってもらった方がいい時もあるんだよね。」

裕「そうなのか。妖精さん、様々だな。ありがとうございます。さっそく妖精さんの所に行ってみます。」

席を立ち、お盆を持つ。

翔鶴「また、夕食の時に。」

瑞鶴「また後でねー。」

裕「はい、また後で。」

俺は、食器を返却し工廠へ向かった。

 

13:20

工廠エリア

工廠長「うん?どうしたデスピナ。」

裕「こんにちは。工廠長。実は自分の私服を作ってもらいたいのですが。」

工廠長「外出するのか?」

裕「はい、明日行く予定です。」

工廠長「そうか、何か注文あるか?ないならこちらで似合いそうな服を作っておく。」

裕「あ、特に無いです。そちらのおまかせでお願いします。」

工廠長「わかった。今日の夕方には出来るから部屋に届けさせるよ。」

裕「ありがとうございます。ではよろしくお願いします。」

工廠長「おう。」

服を頼み終えやることがなくなってしまった。

裕「訓練しに行くか…。」

部屋でゴロゴロするのもアレなので、訓練して体を動かすことにした。

 

8月13日 08:53

京急田浦駅

さて、今日は横浜市で買い物である。

ちなみに、工廠で頼んだ服は、白のロング丈Tシャツに黒のアンクルスキニー、コインローファー、ショルダーバッグである。また、バックの中には青の財布に支給品のスマホ、身分証明書、通帳などが入っている。

ホームに電車が入ってきて電車に乗る。

電車に揺られ、横浜駅に着いた。

電車を降り、駅をでる。

その後、台所用品などを買い、本棚などの家具、電化製品を買い、私服を何着かと靴やサンダルを買った。お金も結構使ったがまだ問題ない。ちなみに購入したほとんどは宅配で横須賀鎮守府に送るようにした。

そして、現在書店に来ている。元の世界で買おうと思っていた小説を買いにきた。

裕「お、あったあった。」

目的の小説を手に入れレジに行こうとした時、ふとある棚に目が行く。

裕「…参考書か。」

本来なら今頃大学受験をしている頃。しかし今は鎮守府で深海棲艦と戦い勉強とは縁が遠くなっていた。すると、元の世界での思い出が出てくる。

そして、俺はセンター過去問集と自分が目指していた大学の赤本もレジに持っていっていた。なぜ買ったのだろうか。自分でも分からない。どこか懐かしさを覚えたからだろうか。まぁ、いい機会だ。これを使って合間に勉強することにしよう。

 

12:25

横浜駅前

駅前で翔鶴さんと瑞鶴と待ち合わせのため駅前にやってきたのだがどこだろうか。

すこし辺りを見渡す。

翔鶴「あ、裕一さん。こっちです!」

白のワンピースを着て、サンダルを履いた翔鶴さんが手を振っている。すると、周りからの視線が集まる。翔鶴さんは周りの視線に気がついていないのだろうか。

俺は、翔鶴さんの元に走ってたどり着く。

裕「すみません、待たせてしまって。」

翔鶴「いえいえ、私もさっき来たばかりですから。」

典型的なやり取りをする。

翔鶴「あの…、似合っていますか?」

翔鶴さんがその場でクルリと回る。その美しさに見惚れてしまう。

裕「綺麗で、よく似合ってます。翔子さんの美しさが際立っています。」

翔鶴「ありがとうございます。」

翔鶴さんが嬉しそうに微笑みながらお礼を言う。

現在、周りから嫉妬の目が突き刺さる。「ちっ、彼氏持ちか…。」「くそ…、あんな普通な男にあんな綺麗な人が。」「リア充爆発しろ。」

など言っているのだろうか、しかし無視する。

裕「あれ、瑞…う、うん。瑞樹は?」

翔鶴「あ、今来ると思います。」

瑞鶴「お待たせー、翔子姉。お、裕一さんも来てるね。」

ここでさらに周りの注目が集まる。瑞鶴は、カットソーに白のパンツ、ボーダーカーデを着ている。こちらもよく似合っている。。

今、アイドルや女優以上の美貌を持った女性2人が、普通の容姿の男に喋りかけているのだから。

裕「やぁ、瑞樹。さて、どこに食べに行きますか?」

そろそろ、会話の不自然なところを話そう。艦娘は外にいる時は機密保持のため、艦名ではなく偽名を使っている。翔鶴さんが翔子。瑞鶴が瑞樹だ。俺は本名だが、軍の上層部と一部の艦娘しか知らないので気にしなくていい。

翔鶴「そうですね、瑞樹はどう?」

瑞鶴「中華街に行ってみようよ。そこなら何か食べたいもの出てくるだろうし。」

裕「まぁ、それが無難かな。じゃあ、行きますか。」

周りの視線がさすがにウザったいので中華街の方へ繰り出した。

 

14:35

中華街で楽しくお昼を食べて、街中を歩いている時

裕「うん?あっちの方に人が集まっていますね。」

瑞鶴「あ、本当だ。何かあったのかな?」

裕「行ってみますか。翔子さんも良いですか?」

翔鶴「えぇ、行ってみましょう。」

 

向かった先は交差点でそこで宣伝カーの上に男性がマイクを持って話そうとしていた。

男性「皆さん、今この国は敵である、深海棲艦に脅かされています。政府は現在深海棲艦の侵攻を食い止めていると言っています。しかし、先日の伊豆半島沖への深海棲艦の侵攻があった事が侵攻を食い止めているは真っ赤な嘘であり、日本近海まで深海棲艦に侵入されていることが何よりの証拠です。さらに、その深海棲艦を薙ぎ払った艦娘が我々人類に牙を剥いたらひとたまりもないではありませんか。同じく実態がよく分からない人かどうかも怪しい艦娘を使って行っているのです。中には、小学生くらいの女の子を使っているとの情報もあります。軍は非人道的な行いを行っている。我々は、そんな艦娘を解放し我々人類の手で深海棲艦を倒すべきであると主張します。我々は戦わねばならないのです。艦娘はただ協定ででしか人類と手を結んでいないのです。そんなあやふやな関係は非常に危険なものです。

さあ、皆さん共に政府に艦娘を無くし、人類が戦うことを伝えようではありませんか。今から署名活動を行います。ぜひ、署名を!我々人類が未来を掴むために!」

演説していた、男が署名活動のため宣伝カーの上から降り、周りの人達に署名を呼びかけ始めた。

演説中、賛同していた者達が署名するため列を作り始めた。

裕「はぁ…。くだらない。」

瑞鶴「本当に。」

瑞鶴も心底呆れた感じを出す。

瑞鶴「…あなた達人類がどうすることも出来なかったから私達が戦っているのに。私達を排除してどうするつもりかしら?」

裕「あいつらも知っているだろう。人類が深海棲艦になす術もないことを。」

翔鶴「どこか他人事のように聞こえましたね。」

裕「そうですね。しかし不思議ですね。政府がこの活動を禁止しないのは。」

瑞鶴「言論の自由を盾にしてるからじゃないの?」

裕「どう聞いてもヘイトスピーチだし、禁止出来るだろう…。いや、待て。」

翔鶴「どうしたんですか、裕一さん?」

裕「もしや、政府の内部でこれを主張する勢力がいて、それをバックに…?まさか、黒幕は…深海棲艦?」

瑞鶴「!?裕一さん、それは!」

裕「まさかとは思うが…。まぁ、ただの推測だ。気にするな。」

翔鶴さんがどこか心配そうな表情をする。不安にさせてしまったのだろうか

裕「大丈夫ですよ、翔子さん。あなたに害が及ぶようなことになったら俺が何とかしますから。」

と、翔鶴さんの頭を撫でる。

瑞鶴「ほら、2人さん。そろそろ行こ。」

裕「お、そうだな。」

顔を真っ赤にして、照れている?翔鶴さんの手をひいて横須賀鎮守府に戻った。

 

19:42

横須賀鎮守府 食事処鳳翔

ガラガラ

鳳翔「いらっしゃい、デスピナさん。」

裕「こんばんは、鳳翔さん。」

今日は前から決めていたこと、給料を貰ったら鳳翔さんの所で食事するために来た。

中村「お、デスピナか。」

裕「提督。こんばんは。」

カウンターで夕食を食べていた提督の横に座る。

鳳翔「何にされますか。」

裕「では、提督と同じものを。」

鳳翔「分かりました。すこし、待っていて下さいね。。」

鳳翔さんが料理を始めた。いい匂いである。

すると、中村提督が話しかけてきた。

中村「そういえば、今日の休暇はどうだった。楽しめたか?」

裕「はい、お陰様で。買いたいものも1通り揃えれたので満足しています。」

中村提督はそうか、そうかと頷く。

中村「ところで、誰か艦娘とは街中で会ったのか?」

裕「えぇ、翔鶴さんと瑞鶴に会いましたよ。」

中村「そして、お昼を一緒に食べた?」

裕「は、はい。中華街の方で。」

中村「なるほど、なるほど…。」

すこし間を空けて、

中村「ふむ、楽しいことになりそうだ。」

裕「?何がですか。」

中村提督はニヤニヤしながら

中村「まぁ、後ろから刺されないようにな。青春を楽しめ。」

裕「は、はぁ…。」

何を言ってるか理解できなかったが、まぁ大丈夫だろう。

鳳翔「お待たせしました。イワシのしょうが煮定食です。」

ご飯、お味噌汁、イワシのしょうが煮、ナスのお漬物、オクラの和物だ。では手を合わせて

裕「いただきます。」

 

中村「ふぅー、いや~デスピナには感謝してるぞ~。ヒック おまえが活躍してくれたから俺の株も上がったよ~。ヒック」

裕「そうですかー、よかったですね。」

中村「なんだ、ノリがわるいぞー!」

裕「すいません。鳳翔さん、何とかして。」

現在、酔った中村提督に絡まれている。

鳳翔「ふふ、いいじゃないですか。鎮守府では数少ない男性なのですから。構ってあげて下さい。」

裕「まぁ、そうですね。あ、烏龍茶お代わりで。」

新しく冷えた烏龍茶を貰う。

中村「ぐごーー」

鳳翔「あらあら、寝てしまわれましたね。久しぶりに気持ちよくお酒が飲めましたからね。」

裕「確かに、作戦後も忙しそうでしたからね。鳳翔さん。お勘定お願いします。」

鳳翔「はい。分かりました。」

お勘定を済ませ、

裕「では、提督を私室に送っていきますね。」

鳳翔「すみませんね。よろしくお願いします。」

裕「中村提督、部屋に戻りますよー。」

中村「Zzz…。」

裕「全然起きないな、よいしょ。」

その後、提督を無事私室のベッドに寝かせ俺も自分の部屋に帰った。

 

23:54

空母寮 自室

裕「ふぃー、疲れた。もうすぐ0時か…。そろそろ寝よ。」

リビングの明かりを消し、寝室のベッドに横になる。その時、何か輝くものが見えた。

裕「うん?なんだいまの。」

俺は、机の裏側をのぞき込む。そこには影になっていて分からなかったが小さなカメラが机の裏に張り付いていた。俺は、それを剥がしてマジマジと見る。

裕「え?ナニコレ。なんでこんな物が…。とりあえず、レンズの部分を何かで覆っておくか。」

持っていたハンカチでレンズの部分を覆っておく。

裕「誰が仕掛けたのか…。まぁ、後日調べればいいかな。」

カメラを机の上に置いて、俺はそのまま眠りについた。

 

01:01

寝室の扉がゆっくりと開く。部屋の中に、一つの人影が見える。その影は机の上にあるカメラを回収し、寝室から出ていった。

 

翌日の朝、裕一は起きた時カメラが無くなっており戦慄を覚えたそうな。

 

8月19日 15:01

戦艦寮 103号室

コンコン

ウォースパイト「ハーイ、どなたかしら。」

裕「デスピナです。」

ウォースパイト「今、手が離せないの。そのまま入ってきて。」

裕「失礼します…。」

ドアをゆっくりと開け中に入る。

ウォースパイト「いらっしゃい、デスピナ。さぁ、掛けて。」

台所からウォースパイトさんが顔を出す。甘くていい匂いがする。お菓子でも作ってるのだろうか。

椅子に座りすこし待っていると、ウォースパイトさんがポットやカップなどを載せた台車を押して部屋にきた。

ウォースパイト「I’m sorry 待たせてしまって。」

裕「いえいえ。」

ウォースパイト「そう?よかった。」

ウォースパイトさんが微笑む。歓迎会以来あまり会わなかったのだか、ウォースパイトさんは翔鶴さんとはまた違った魅力がある。なんて言うか言動一つ一つに気品が溢れている。

その後、ウォースパイトさんとティータイムを楽しく過ごした。そして、ウォースパイトさんにすこし惚れました。ぽっ。

 

俺は本題を切り出すことにした。

裕「ウォースパイトさん、すこし内緒話があるのですが…。よろしいですか?」

 

ウォースパイト「secret talk? OK 聞かせて」

裕「分かりました。と、その前にすこし準備しますね。」

秘密の会話には必須の遮音フィールドなどを展開する。ウォースパイトさんは部屋の中の様子がすこし変わったことに驚いたようだ。

裕「そういえば、ウォースパイトさんは、初めてでしたね。これは外部に音が漏れないようにしたり、盗聴器の対策のためのフィールドを展開したんです。」

ウォースパイト「That will be great 便利ねー。」

裕「さて、ウォースパイトさん…。あなたのところにいる妖精さんを使わせて頂けませんか。ここ最近、俺の部屋に忍び込んでいたMI6妖精さんを。」

ウォースパイトさんの表情が固まった。

ウォースパイト「…どうしてそれを。」

裕「たまたまですよ、見つけたのは。それまで気づくことが出来ませんでしたから。」

ウォースパイト「MI6を使って何をするつもり?」

裕「最近うるさい人間主義団体とその背後関係、黒幕の調査。」

ウォースパイト「人間主義団体は分かるけど、黒幕?」

裕「これは俺の推測ですが、おそらく深海棲艦側からの工作の可能性があります。」

ウォースパイト「!?」

裕「まだ推測の段階です。その裏付けのためにMI6に動いてもらいたいのです。」

ウォースパイト「…はぁー、分かったわ。協力するわ。」

裕「ありがとうございます。あ、情報はなるべく詳細な物でお願いしますね?」

ウォースパイト「分かっているわ。けれど、これ程大きな仕事だし、少しくらい対価を貰ってもいいわよね?」

裕「…MI6の存在を秘密にするだけじゃダメですか?」

ウォースパイト「えぇ、足りないわ。そうね…。」

裕「無理難題は辞めて下さいね。」

ウォースパイト「もちろん。うーん…、そうね。それなら欧州方面に行く時一緒に来てくれる?我が祖国イギリスを救って欲しいの。」

裕「まぁ、それくらいならば。でも、国防軍が欧州に行くことになるかは分かりませんよ?」

ウォースパイト「軍、もしくは私が行くことになった時にお願いね?」

裕「分かりました。それでは、交渉成立で。」

ウォースパイト「えぇ。有意義な時間だったわ。」

お互いに紅茶の入ったカップを顔の前で掲げ残りの紅茶を飲み、お茶会と言う名の秘密の交渉が終わった。

 

 




いかがでしたか?ウォースパイトにすこし気のある裕一君。
人間関係がすこし面白くなってくるかな?
さて、今回で第2章 沖ノ島海域編が終わります。

そして、次回からいよいよ第3章北方海域編が始まります。
楽しみに待っていて下さい。

これからもよろしくお願いします。


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第3章 北方海域編
第24話 北方へ


さあ、いよいよ第3章に突入です。
今回は比較的短めです。

さて、皆さんイベントの進捗はどうですか?私はまだE2です。今年は時間がないので全部丙で攻略します。
そのうち、この作品で今回のイベントを出したいです。まぁ、まだ先になると思いますが。

では、どうぞ。


第3章 北方海域編

第24話 北方へ

 

9月5日 16:43

横須賀鎮守府本館 第1会議室

中村「全員楽にしてくれ。」

訓練が終わり部屋でのんびりしていた頃、突如呼び出され現在第1会議室にいる。他には秘書艦の長門、陸奥、大淀、ビスマルク。他には、大和、アイオワ、蒼龍、飛龍、大鳳、阿武隈、那智、足柄、睦月、如月、文月がいる。

正面のスクリーンが降りてきてスクリーンに地図が映し出される。

中村「集まってもらったのは他でもない。先ほど国防省から命令が下った。本日14:25に、北海道から東に約700km地点において深海棲艦の大艦隊が確認された。国防省はこれを深海棲艦の北海道への侵攻の可能性ありと判断し16:03に各四鎮守に艦隊派遣命令を発令した。我が横須賀鎮守府からは旗艦を大和とし、蒼龍、飛龍、大鳳、デスピナ、アイオワ、阿武隈、睦月、如月、文月、那智、足柄を出撃させる。今回は移動に時間をかけることが出来ないため艤装は先に大湊警備府へ輸送する。出撃メンバーは空路で大湊まで行ってもらう。出発は07:20。何か質問は?」

裕一「はい。」

中村「デスピナ、なにかね?」

裕一「まず、艤装の輸送ですがどのように?」

中村「本日中に鉄道による輸送を行う。」

裕一「艦娘の移動に空路とおっしゃりましたがどのように?また、護衛は?」

中村「陸軍の輸送ヘリを拝借して空軍の戦闘機が護衛につく予定だ。」

裕一「まだ予定なのですね?」

中村「あぁ、その通りだ。」

裕一「でしたら、うちの輸送ヘリ部隊、ポーターズを使用した移動を具申します。」

中村「理由は?」

裕一「はい。理由としてはヒドラを使用した人員輸送の迅速性を確認するためであります。利用価値が実証できれば、今後の作戦の柔軟性が更に広がります。」

中村「まぁ、よかろう。他には?」

裕一「ありません。」

中村「では、出撃メンバーは直ちに艤装を点検し輸送準備を行え。そして、明日07:20にデスピナの輸送ヘリで大湊に向かってもらう。以上解散。」

 

9月6日 06:52

横須賀鎮守府 ヘリポート

艤装から大型輸送ヘリ CH-65ヒドラをだし、地面におく。すると、原寸大に徐々に大きくなった。すでにコンテナの部分は人員輸送用のものに換装してある。

中村「大丈夫そうだな。」

裕一「えぇ。後は飛ばすだけです。」

中村「事故だけはやめてくれよ。」

裕一「大丈夫ですよ。安全には特に気を使っていますので。」

中村「そうか。おっと、来たようだな。」

中村提督がそう言うと向こうから艦娘達がやって来た。どうやら見送りの艦娘もたくさんいるようだ。

大和「おはようございます。提督。」

中村「あぁ、おはよう大和。艦隊の事任せるぞ。」

大和「はい。任されました。デスピナさん、よろしくお願いしますね♪」

裕一「はい、よろしくお願いします。」

提督と比べるとすこしテンションが違うが、まぁいいか。

そして、翔鶴さんがこちらにやって来た。

翔鶴「デスピナさん。お気を付けて。」

裕一「ありがとうございます。ちゃんと帰ってきますよ。」

翔鶴「はい、帰りを待ってます。」

そう言うと大和さんのほうを向き

翔鶴「大和さん、どうか私の恩人で仲良しのデスピナさんのことをよろしくお願いしますね。」

大和「分かっていますよ。私の随伴艦で仲良しのデスピナさんの事は任せてください。」

2人とも笑顔で言っているが、なんだろう。目が笑っていない。ちょっとこわい。

中村「全員揃ったか?それでは全員搭乗!」

タイミングよく提督の指示が出たのですこし張り詰めた空気は消え出撃メンバーはヒドラのコンテナの中に乗っていく。

コンテナの中は座席が36席ある。ちなみにコンテナは空中降下も可能になっている。また、窓もついているので外の景色も見える。

中村「デスピナ、頼んだぞ。」

裕一「はい。任務を果たしてきます。」

コンテナの扉を閉め

裕一「コックピットへ、離陸を開始せよ。」

パイロット妖精「コクピット了解。メインローター始動。」

ヒドラのプロペラが回り始め周りに強い風が吹き始める。すでに見送りに来た艦娘達は距離を開けている。

裕一「皆さん、今一度シートベルトを確認してください。」

搭乗している艦娘がシートベルトをしているか確認し終わり

パイロット妖精「これより離陸します。」

ゆっくりとヒドラが上へ浮かんだ。搭乗している艦娘が下の見送りの艦娘に手を振る。翔鶴さんと瑞鶴も手を降っていたので俺も振り返しておく。

そして、俺たちを載せたヒドラは大湊警備府へ飛行を開始した。

 

11:02

青森県 大湊警備府上空

大湊から着陸許可が下りて、大湊警備府のヘリポートへ着陸した。

扉が開く。艦娘たちがコンテナを降りる。

アイオワ「ウ〜ン、着いたー!」

蒼龍「楽しかったね、飛龍♪」

飛龍「そうだね、いつも艦載機を飛ばしてるけど、自分たちが空を飛ぶことはないからね。」

道中、国防空軍の戦闘機F-2の護衛のもと無事大湊に着いた。人員輸送のデータも取れたのでよかった。それにしても長時間座りぱなしだったのですこし疲れた。ぐーと、体をのばすと背骨がポキポキと音が鳴る。

少しして警備府から艦娘がやって来た。

漣「ようこそ、大湊へ。ここの秘書艦をやっています、漣です。」

と敬礼をしながら自己紹介。対して大和さんも答礼し挨拶する。

大和「横須賀鎮守府派遣艦隊旗艦の大和です。これからお世話になります。」

後ろにいた俺達も大和さんにならった。

「お世話になります。」

漣「では、宿舎に案内いたします。そこで荷物を置かれた後提督のもとにご同行していただきます。それでは付いてきてください。」

俺達は荷物を持って漣に続いた。

 

ここ大湊警備府は、第2次戦力増強計画のもとにタウイタウイ泊地、パラオ泊地、トラック泊地と共に整備された。完成したのは8月の初めだったか。まだ艦娘は少ないが国防海軍にて訓練を済ませており実戦投入可能なレベルになっている。これにより横須賀、呉、舞鶴、佐世保、大湊が本土を守る要となり、タウイタウイ、パラオ、トラックが南西方面の前線を支えることになる。

しかし、艦娘の人数、練度もまだ四鎮守と比べると低く、今回の作戦には役不足ということで四鎮守に派遣命令を出したというわけだ。

 

宿舎に着いた訳だかここで問題が。部屋は2人1部屋なのだが男である俺のことを考慮しておらず、艦娘の誰かと同じ部屋で寝泊まりすることになってしまったのだ。そしてルームメイトは

大和「ふふふ♪デスピナさん。よろしくお願いしますね♪♪」

とても機嫌がいい大和さんと一緒である。いや、全然嫌じゃないけど、俺も年頃の男の子な訳ですよ。綺麗な大和さんと同じ部屋というだけでちょっと緊張してしまいますよ。別の部屋はないか漣に確認したが

漣「ごめんなさい、まだ宿舎の数も少なくて空きの部屋がないんです。」

との事。まぁ、何かハプニングが起こらないように気をつければいいのだが、部屋でも寛ぐことが出来ないとは今回はすこし大変そうだ。

 

部屋に荷物を置いて警備府の本館へ。そして執務室の前まで来た。

漣「ご主人様。横須賀の皆さんが到着しました。」

「はーい、中に入ってー。」

中にはなんと若い女性の提督がいた。2列横隊で並び敬礼する。

大和「横須賀鎮守府派遣艦隊旗艦大和です。」

高野「大湊警備府を預かっています。高野綾香です。ようこそ大湊へ。」

高野提督も答礼する。

高野「さて、すでに舞鶴の艦隊は到着しており、残りももうすぐ到着します。本日17:00に各艦隊の主要メンバーで迎撃戦の作戦を詰めますので執務室に集まってもらいます。また、明日、明後日には出撃になると思いますので艤装のチェックと休息をしっかりとって戦いに備えて下さい。では、よろしくお願いします。」

「「はっ。」」

高野「あ、そうそう。もう既に食堂を利用できるようにしましたのでお昼ごはん食べてくださいねー。使い方は皆さんの利用している食堂のものと同じですので。」

俺達はそれを聞き執務室を退室した。

 

高野「漣、先に食堂に行ってて。すこし書類を片付けたらいくからー。」

漣「手伝いますよ?」

高野「いいの、いいの。ほら行ってて。すぐ行くから。」

漣「分かりました。では先に行ってますね。」

高野「はーい。」

漣も執務室を退室したのを確認して、

高野「さてと…、おじいちゃんが言っていた横須賀の切り札。どんな働きをしてくれるのかな?楽しみだなー。見た目は、男って事以外は普通だったけど…まぁ、悪くはないかな。」

先ほど会った、艦息を思い浮かべおじいちゃん、現国防海軍総長の言っていたことを思い出した。

高野「それにしても、北方からの侵攻か…。キス島に確か陸軍の部隊がいたはずよね。大丈夫かしら?」

北方の最前線キス島の陸軍の安否が気になるが、それより先に侵攻艦隊の迎撃戦の作戦を今一度確認することにした。

 

12:02

大湊警備府 食堂

大和「デ·ス·ピ·ナさん、一緒に食べましょ♪」

裕一「え、えぇ。いいですよ。」

大和さんがいつもより上機嫌なのですこし戸惑う。いったい何があったんだ?

カウンターで定食を受け取り席に座る。そしてなぜか大和さんが横に座ろうとする。

裕一「あの…大和さん?前、あいてますよ?」

大和「デスピナさん…私が隣は嫌ですか?」

そして何時ぞやの上目遣いで見てくる。だからその目はやめて、断れないから!

裕一「いえ、問題ないです…。」

案の定、断れませんでした。大和さんが隣に座り食べ始める。よく食事を一緒にとる翔鶴さんと瑞鶴は、反対側に座り隣に座ることはない。駆逐艦の娘たちは人数が多いから誰かしら隣にくるのは仕方がないが、どうしても小さな妹のようにしか思えず気にはならなかった。大人の女性と隣あわせで食事するのは人生で初めてと言う事もあり、すこし緊張する。そしてちょくちょく隣の大和さんを見てしまう。大和さんが美味しそうに食事をする様子に見蕩れてしまう。

大和「どうかしましたか? デスピナさん。」

裕一「いえ、何でもないです。」

大和「?そうですか。」

言えませんよ。あなたの食事する姿に見蕩れていましたとか、どこのキザ野郎だよ。俺は女性の前ならいつでも無駄に格好つけようとする男ではない。

 

さて、食事も終わり食後の一杯に俺はコーヒーを、大和さんはミルクティーを飲みながら雑談。そして話題は今回の作戦に移る。

大和「そうだ、デスピナさん。今日の作戦会議は、一緒に参加して下さいね?」

裕一「あ、はい。分かりました。ということは俺は今回の艦隊の主要メンバーなんですね。」

大和「えぇ。頼りにしてますよ。」

話題は変わり、

大和「そういえば、今回の作戦。二年前の日本近海防衛戦以来の規模になるそうですよ。」

裕一「日本近海防衛戦?」

そんな戦いがあったのか。知らなかった。

大和「あ、そうか。この戦いは情報公開されていない極秘情報でした。」

裕一「えっ…、大丈夫何ですか言っても?」

大和「大丈夫ですよ。周りで聞いている人はいませんし、第一ここには部外者いません。」

裕一「まぁ、そうですけど……それで、その近海防衛戦とは?」

 

大和「えっと、確か2年前、深海棲艦の大規模な艦隊が日本本土近海、領海ぎりぎりまで侵攻して来た事があったんです。」

裕一「へぇー、今では考えれませんね。」

大和「はい。当時はまだ鎮守府が横須賀にしか無くて、艦娘も20人といなかったはずです。そんな時に、深海棲艦の大規模な侵攻があったそうなんです。」

裕一「それだけの戦力でよくこの国生き残りましたね……。いや、何か別の要因があったのかな?」

大和「その通りです。今は退役され、新任の艦娘を指導している金剛教官に聞いた話だと、私より大きな艤装を扱う人達に助けられた、と。」

裕一「その人達とは?」

大和「残念ながら、詳しいことは当事者以外には機密事項らしくて、金剛教官も教えてくれませんでした。」

裕一「そうですか…。でもそんな人達がいるなら、いつか会ってみたいですね。」

大和「その人たちも、デスピナさんみたいにとても強かったらしいですよ。」

俺みたいにか…。まさか衛星兵器持ってたりしないよな?いや、それはないか。だったら航空機をたくさん飛ばせるのかな?それとも馬鹿でかい主砲でも持っているのかな?

裕一「ふっふっふ…。」

大和「デスピナさん?」

裕一「あ、ごめんなさい。俺と勝負したらどんな戦いになるのか、想像してたら楽しくなって。」

大和「戦いがお好きなんですか?」

裕一「いえ全然。私は平和主義ですよ。ただ、強敵と手合わせするのは男として燃えるってだけです。」

大和「ふふ、やっぱりデスピナさんは素敵です。」

大和さんがとても優しい笑顔を向けてきた。

惚れてまうやろー!と、心の中で叫んでしまう。

そんな楽しいお昼でした。

 

17:00

大湊警備府 執務室

再び、執務室。執務室には高野提督、秘書艦の漣。横須賀からは大和さん、俺、阿武隈。呉からは長門、霧島、神通。佐世保からは矢矧、時雨。舞鶴からは利根、筑摩がいる。

ここで今回の各艦隊の編成を確認しよう。

まず、横須賀は旗艦を大和とし、アイオワ、蒼龍、飛龍、大鳳、デスピナ、阿武隈、那智、足柄、睦月、如月、文月。

呉は旗艦を長門とし、比叡、霧島、摩耶、千歳、千代田、神通、

青葉、衣笠、木曽、吹雪、叢雲。

佐世保は旗艦を矢矧とし、酒匂、暁、ヴェーヌルイ、雷、電。

舞鶴は旗艦を利根とし、筑摩、天龍、陽炎、雪風、時津風。

佐世保、舞鶴は今回の作戦の他に、パラオ、タウイタウイ、トラックに戦力の増強のため艦隊を派遣しているため大湊には6隻しか送れなかったのだ。

 

高野「さて、そろそろ始めようかな。」

高野提督は執務室のホワイトボードに貼ってある地図を使って説明を始める。

高野「まず、深海棲艦の艦隊はすでに400km地点まで到達。偵察機からの情報によると、総数は1,000は超えているとの事です。あまり時間がありません。よって、艦隊は明朝06:00に出撃し、150km地点で迎え撃ちます。また、防衛線の維持のため120km地点に補給艦を配備しますので、補給が必要な場合は海上で補給を受けてください。とにかく、見敵必殺で片っ端から深海棲艦を撃沈して下さい。」

長門「各艦隊の配備はどうなるんだ。」

高野「はい、長門さん。横須賀、呉で防衛線を構築。佐世保、舞鶴は135km地点で突破した深海棲艦を撃破する形になります。」

裕一「遠慮なくやっちゃっていいんですよね?」

高野「はい。バンバン撃って敵を潰して下さい。他には…無いですね。では皆さんよろしくお願いします!」

とにかく敵を殲滅しろという命令である。敵の編成も伝えないのは、作戦としてちょっと大雑把な気もするが、特に何か考える必要も無さそうだし、俺にとっては今回の戦闘は楽である。久しぶりに航空隊が『ヒャッハー!汚物は消毒だ!!』『欲望が足りん。』『熱いめうううううう!!!!!!』的な感じになると思うと…、今回はすこしハメを外してもいいよね…?俺もそろそろゲーム以外でヒャッハーしたいし…。

大和「デスピナさん、何か作戦はありますか?」

裕一「いや、高野提督の言った通り見敵必殺でいいと思う。火力で圧倒して敵を殲滅する、それでいこう。」

大和「そうですね、私の主砲の威力を見せます!」

裕一「えぇ、私も久しぶりに大盤振る舞い出来そうです。」

大和「ふふふ、デスピナさんが本気出したら深海棲艦もあっという間に殲滅出来そうですね。」

裕一「もちろん。詳しいことは部屋で。」

大和「そうですね、では部屋に戻りましょうか。」

会議?を終え大和さんと部屋に戻った。

 

17:35

大湊警備府 宿舎

部屋に横須賀派遣メンバーが集まっている。大和さんが「2人っきりじゃないんだ…。」とすこし不貞腐れていたので、小声で「後で頭を撫でる」ことを伝えで機嫌を直してもらった。何故か横須賀鎮守府内での俺のナデナデは、艦種問わず人気である。気を取り直して、明日の作戦の事を艦隊のメンバーに伝えた。

蒼龍「ふむふむ、艦載機で、主砲で、魚雷でたくさん敵を倒せばいいのね。」

裕一「ああ、木っ端微塵にしろとしか言われてない。」

飛龍「簡単な説明で終わる防衛戦…、深海棲艦の皆さんお疲れ様でしたー。」

那智「油断は禁物だ。気を引き締めなければ。」

裕一「那智さんの言う通り、敵をうち漏らして轟沈者を出さないように各員気をつけてもらう。」

アイオワ「大和ー、弾薬とかは?」

大和「補給艦も出るそうなので、海上補給ですね。弾薬の残量を気にせずバンバン撃っても大丈夫です。」

アイオワ「Oh, great!アイオワ級の力見せてあげる。」

裕一「では、明日頑張っていきましょー!」

「「おー!」」

 

みんなが部屋に帰った後、

大和「デスピナさん♪早く♪」

裕一「はいはい、そこに座ってね。」

大和さんを座らせる。そして幻覚で猫の尻尾が振れているのが見えた。

大和さんの頭を優しく撫でてあげる。

大和「♪♪」

嬉しそうにしている。反応が可愛すぎて、この後20分くらい撫で続けた。だって反応が可愛すぎだもん。大事な事なので二回言いました。俺は悪くない。

 

 




さて、今回の章では大和との絡みが多くなります。
翔鶴も良いけど大和も…。
うん?誰か訪ねてきたようだ。誰だろう…。



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番外編2

今回はとても短いです。
もう一度言います。とても短いです。すぐに読み終わります。

ちなみに、この番外編。後々、本編にも影響を与えるかも…


番外編

 

2024年 8月15日 10:34

富山県富山市JR富山駅

 

時はすこし遡る。翔鶴達と出かけた2日後、裕一は朝早くから北陸新幹線に乗って富山県に来ていた。

裕一「やっぱり変わってないな…。世界が変わっても。」

富山駅を出てそのまま富山地方鉄道に乗り換える。

そしてまた、電車に揺られる。

電車内は、そんなに人がおらずただ電車の走る音が車内に響く。

今日は、お盆。そして第二次世界大戦の終戦日。そのため裕一はふと自分の故郷の富山県に帰省しようと思いたったのだ。そして知りたかった…。この世界に自分はいるのか、そして家族はいるのか…、と。

電車内で同じようなことをただただ長く考えていた。

もし、自分がいたらどうするか。自分はどんな反応をするのか。家族はどんな反応をするのか。まぁ、実際に会おうとは思ってない。ただ、確認したかった。

 

11:54

富山県某所

目的の駅で電車を降り、タクシーを拾う。行き先は元の世界にあった自宅の住所である。

タクシーに揺られること15分後、だんだん見慣れた景色が見えてきた。生まれた時から見ていたあの懐かしい景色。すこし感動から涙が出る。そしてタクシーが止まる。目的地に着いた。料金を支払いタクシーを降りる。

そして、自分が慣れしたんだ実家は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あった。

外見も自分が最後見たとおりである。表札も自分の苗字と同じく山本だった。

そして、インターホンを押そうとした。

しかし、ボタンの前で指が止まる。

本当に良いのかと。本当に家族とあって良いのかと。もし、自分がいたら家族は困惑するだろう。また、自分が存在していなかったら家族はそれでも困惑するだろう。

玄関前に数分ほど立ったまま動けなかった。

 

やっと我に帰りインターホンから指を離した。

自分は関わるべきではないと…。

でも、お墓だけはお参りしておくことにした。

 

12:09

近くの墓地

裕一「じいちゃん、ばあちゃん。久しぶり。まぁこの世界ではまったくの他人かもしれないけどね…。」

線香をたきお墓の前にしゃがんで骨壷が納められている所に向かって話しかける。

裕一「俺ね、実は前の世界で多分死んだんだと思う。でも実際はその前に転移してきたんだけどね。今はね、艦娘として深海棲艦と戦ってるんだ。みんなの前では頼りになる様に振舞ってるけど…」

だんだん、視界が涙でぼやけ、声も鼻水で鼻声になってくる。

裕一「あれ、涙が…。じいちゃん、ばあちゃん…俺、すごく怖いんだ…。いつ死ぬか常に恐怖があるんだ…。」

呼吸を荒くなり、涙が地面を濡らす。

裕一「…自分で、決めて、この世界に来た。でもね…ヒック、怖くて怖くて、ヒック。ちょっと、弱音を吐かせて…。」

すこし呼吸を整える。でもさほど変わらない。

裕一「誰か…助けてよ…。俺、まだ死にたくないよ…。」

そして、

涙腺が決壊し、しばらく声をあげて泣いた。はたして何年ぶりに泣いただろうか。自分の中に秘めた思いを吐き出すように…

 

 

だんだん落ち着いてきて、涙を拭い立ち上がる。

裕一「多分、もうここには来ないと思う。これが最後。じいちゃん、ばあちゃん。ありがとう。でもまた、来てしまったらよろしくね。」

そう言って、お墓の前から去った。立ち去る時すこしだけじいちゃんとばあちゃんが見えた気がした。そして、無理しられんなーと言ってるように聞こえた。

 

その日は、富山で泊まり次の日の朝、横須賀への帰路についた。

 

 

???

???? ???

??「どうやら彼は、上手く立ち回ってるようだね…。」

??「えぇ、沖ノ島海域については驚きました。」

??「そうだね。でもあれだけの力が無ければ奴らに勝てない。何としても彼には勝ってもらわなければならない。」

??「では、引き続き彼を見守ることにしましょう。」

??「あぁ、頼むよ。」

??がいなくなって、

??「それにしても、奴は随分面倒くさいものを引き込んでしまった。彼には楽な戦いではない。」

奴が暴走を始めてからだんだんおかしくなってきた。このままではまずい。でも彼の出現によってその速度は遅くなった。でも、猶予が出来ただけでまだ油断を許さない。

??「さて、そろそろ戻るか…。」

??もその場から消えた。

 

 




今度は、本編25話でお会いしましょう。


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第25話 北方防衛戦

お待たせしました。第25話です。

今回は戦闘なのですが…、沖ノ島から全く進歩しない戦闘シーン。
なんか、上手く書けないんですよね…。まぁ、自分の想像の中でも戦闘のイメージがなかなか浮かんでこないからなのですが。
ホエールもうすこし出したかったなー。近くもう一度出してみます。多分。

長くなりましたが、本編をお楽しみ下さい。


第3章 北方海域編

第25話 北方防衛戦

 

9月7日 08:58

北海道北東沖150km地点

大和「艦隊!敵艦隊の索敵を開始!」

大和さんからの命令が出る。

艦隊の蒼龍、飛龍は矢筒から彩雲の矢を取り出し弓につがえ、

蒼龍、飛龍「索敵開始!」

弓から矢が放たれ、計6機の彩雲が発艦していった。

大鳳はボウガンにカセットを装填し、

大鳳「さぁ、やるわ。偵察機発艦!」

引き金をひき、二式艦上偵察機8機が発艦していく。

そろそろ俺も偵察行動を開始する。

裕一「スカイレイヴン、発艦はじめ!」

飛行甲板からスカイレイヴンが発艦していく。

今回の索敵には、蒼龍、飛龍から彩雲6機。大鳳から二式艦上偵察機が8機。俺からスカイレイヴン2個中隊24機。

今回は2段索敵を行い、確実に敵艦隊を補足することになっている。

はたしてどこからやってくるかな?

 

09:12

スカイレイヴン第一中隊 8番機

「うん?あれは…。」

下の海上に黒い点をたくさん見つけた。

「深海棲艦の艦隊!何て数だ!」

 

CDC「スカイレイヴン第一中隊8番機より入電!敵艦隊補足、方位080、距離本艦から96km!」

裕一「敵艦隊の規模を報告せよ!」

CDC「敵艦隊、現在確認できたもので265隻、いずれもelite級以上!」

裕一「了解。大和さん!敵艦隊を補足!方位080、本艦隊からの距離96km。現時点での規模は265隻。いずれもelite級です!」

大和「了解です。通信妖精!各艦隊へ打電。我、敵艦隊を補足!これより戦闘を開始す。」

大和通信妖精「了解!」

大和「艦隊戦闘用意!第一次攻撃を開始!」

蒼龍、飛龍、大鳳、裕一「了解!」

裕一「索敵中の部隊へ、引き続き索敵を行え!敵艦隊を見落とすな!」

蒼龍、飛龍「第一次攻撃隊発艦はじめ!」

蒼龍、飛龍から護衛の烈風、攻撃機は流星改、彗星12型甲が、

大鳳「第一次攻撃隊、全機発艦!」

大鳳からは護衛の紫電改二、攻撃機は流星改、彗星12型甲。

裕一「全航空隊発艦を開始する!」

俺からは、保有する航空隊を全て出撃させる。護衛兼制空隊としてスカイレイヴン、攻撃機としてカロン、ミッドナイト、アルテミス、ホエールが発艦する。搭載している航空機の数が数のため、飛行甲板からは絶えず艦載機が発艦し続けた。

 

第一次攻撃隊編成は以下の通り

蒼龍 烈風12機、流星改20機、彗星一二型甲10機

飛龍 烈風12機、流星改20機、彗星一二型甲12機

大鳳 紫電改二18機、流星改18機、彗星一二型甲18機

デスピナ F/A-63Bスカイレイヴン240機、EB-01カロン180機、EB-02Cミッドナイト72機、BA-05アルテミス72機、AC-20ホエール12機

 

制空隊計282機、攻撃隊計434機。総合計716機

 

見てもらえば分かるが俺の航空隊の規模が尋常じゃない。後から第二次攻撃隊を出す時間が惜しかったので、全ての航空機を発艦させたからなのだが。

裕一「デスピナより第一次攻撃隊へ。敵艦隊の情報は随時こちらから送る。全機、無線チャンネルを合わせておけ。敵艦隊の規模はまだまだこれから拡大する。君らの攻撃の成否は今作戦に大きな影響を与える。各員奮励せよ。」

「「「「了解!」」」」

 

09:58

横須賀艦隊から86km地点。

カロン第一大隊長『こちら第一次攻撃隊。敵艦隊から迎撃隊が発艦中。』

裕一『了解、全機エンゲージ。制空隊は迎撃機を早く落とせ。攻撃隊、敵艦隊への攻撃を許可する。繰り返す、攻撃を許可する。』

カロン第一大隊長『了解。第一大隊、空爆開始!』

蒼龍烈風隊『戦闘開始!全機降下!』

蒼龍の烈風隊が深海棲艦の迎撃機を迎え撃つ。

深海棲艦から対空砲の射撃が始まる。

カロン第一大隊長『第一大隊、爆撃プランFを発動。敵艦隊側面、方位170より侵入。高度4,000mにて行う。』

大隊が攻撃隊本隊から離脱し敵艦隊の側面にまわる。

裕一『ホエール、全火器使用を許可する。敵艦隊への攻撃を開始せよ。』

ホエール1番機『ホエール、了解。』

ホエールが敵艦隊5,000mの所で旋回を始めた。

ホエール1番機『各機、あらゆる火器を使って敵を沈めろ!』

12機のホエールから120mm、150mm砲、40mm重機関砲が火を吹く。

5,000m下ではホエールからの攻撃で120mm、150mmの砲撃を受けた軽巡、重巡らが数発で爆沈して沈んでいく。40mm重機関砲を受けた駆逐艦は体全体が穴だらけになって沈んでいく。

そこにカロンからの空爆が始まる。カロン36機からの攻撃によって、深海棲艦が吹き飛ぶ。そして、運良く生き残った深海棲艦達はもはや大破ばかりであった。

そこに蒼龍、飛龍、大鳳の攻撃隊が急降下爆撃で、雷撃で沈めていく。敵艦隊との戦闘は20分で終わった。

裕一『攻撃隊へ、新たな敵艦隊複数を補足。アルファ群方位101そこから30km先。ブラボー群方位140、そこから34km先。チャーリー群方位025そこから40km。デルタ群方位156、そこから15km先。』

カロン第一大隊長『デスピナへ、これより補給のため帰還する。』

裕一『了解。他にも補給の必要な航空隊は帰還せよ。それ以外は攻撃隊を四つに散開せよ。』

『了解。』

 

10:23

CDC「新たな敵艦隊、エコー群方位124距離350km。フォックストロット群方位072距離248km。ゴルフ群方位168距離178km。」

裕一「ちっ、多いな…。」

CDC「エコー群、142隻。フォックストロット群125隻。ゴルフ群、186隻。」

裕一「対水上戦闘用意!空母、戦艦にN5、N6巡航ミサイルを照準。残りには、ライオニック全機照準。」

CDC「目標、トラックナンバー割り振り完了。ミサイル斉射用意、発射!」

艤装のミサイルハッチが一斉に開き大小合わせて190発のミサイルが敵艦を沈めるために飛んでいく。

裕一「次弾装填急げ!」

CDC「更に、敵艦隊!ホテル群方位135距離65km。数…。」

裕一「どうした?」

コマンドのレーダーを確認すると…

裕一「575隻だと…。これ以上は俺では裁き切れない。」

奴等が敵の本隊か。ならば、

裕一「大和さん!方位135距離65kmに575隻を確認!」

大和「575隻!?」

裕一「俺でも裁き切れません。現在交戦中の艦隊を片付け次第応援に向かいますので、しばらくそちらの相手をお願いします!」

大和「分かりました。呉艦隊に連絡!これより深海棲艦との砲雷撃戦に入ります!空母の皆さんはここで引き続き航空攻撃をお願いします。艦隊、続け!」

空母を残し、横須賀艦隊は呉艦隊と共にホテル群の深海棲艦との戦闘に向かった。

 

10:46

CDC「ミサイル着弾5秒前、4、3、2、1、弾ちゃーく…今!」

遥か先で、ミサイルが次々と深海棲艦を沈めていく。

CDC「全弾命中!エコー群残り86隻、フォックストロット群75。ゴルフ群残り125隻。」

裕一「残りに照準、発射!」

砲雷長「斉射用意、ってぇ!」

再び、N5、N6、ライオニックが放たれ撃ち漏らした敵に向かっていく。

 

さて、第一次攻撃隊は。

カロンが爆撃プランE、Fを、ミッドナイトがクラスター弾を投下して、深海棲艦を吹き飛ばす。アルテミスがグラインドバスターで深海棲艦を貫き、体のほとんどが消え沈んでいく。ホエールが空から雨のように鉛の弾丸を降らし、深海棲艦を蜂の巣にして沈める。さらに、スカイレイヴンから対艦ミサイルを放ち深海棲艦を沈める。

ホエール一番機「あらかた片付いたが…、今回の作戦は深海棲艦が湧いて出てくるな。」

裕一『こちらデスピナ。全機補給のため帰還せよ。繰り返す、補給のため帰還せよ。』

ホエール一番機『しかし、まだ残存勢力が…』

裕一『心配はいらない。間もなく巡航ミサイルが到達する。』

ホエール一番機『了解です。全機帰還します。』

通信が終わると同時に海上では残存の深海棲艦にライオニックが命中していた。

 

 

11:43

大和「敵艦補足、方位136距離40,000。砲雷撃戦用意!」

アイオワ「さぁ、私の火力見せてあげるわ…。」

長門「改装されたビック7の力、侮るなよ。」

大和「38,000で砲撃を開始する。」

長門「千歳、千代田。制空権は?」

千歳「我がほうに優勢です。弾着観測可能です。」

長門「よし。零観発艦!」

長門が零式水上観測機を飛ばす。

大和「間もなく敵艦隊との距離38,000。目標は戦艦、空母を優先。主砲、一式徹甲弾装填!諸元入力。全主砲薙ぎ払え!」

アイオワ「オープン、ファイア!」

長門「全主砲、斉射!ってーー!」

大和の46cm三連装砲計3基、9門。アイオワの16inch三連装砲 Mk.7+GFCS 3基、9門。長門の試製41cm三連装砲2基、6門と41cm連装砲2基、4門が火を吹いた。

 

零観妖精「弾着…今!命中弾14。戦艦ル級5、空母ヲ級6、軽母ヌ級3隻撃沈。至近弾14。」

大和「よし!そのまま継続して射撃します。距離34,420。主砲撃てー!」

今度は、比叡、霧島も主砲を斉射する。

 

零観妖精「弾着…今!命中弾多数。戦艦ル級12空母ヲ級25軽母3撃沈!」

長門「艦隊突っ込むぞ!艦隊この長門に続け!」

大和「軽巡と駆逐艦の皆さんは敵艦隊側面からの雷撃を!」

阿武隈「皆さん、あたしの指示に従って下さい。」

横須賀、呉艦隊は長門を先頭に大和、アイオワ、比叡、霧島、那智、足柄、摩耶、青葉、衣笠。阿武隈、神通、木曽、睦月、如月、文月、吹雪、叢雲、千歳、千代田に艦隊を2分した。

 

12:53

副長「現在、航空隊の補給は8割がた完了しています。」

砲雷長「すでにミサイルの装填、及び補給も完了しました。」

裕一「ありがとう。CDC、新たな敵群は補足したか?」

CDC「ホテル群の後方200km地点に325隻を確認しました。」

裕一「まだ、出てくるか…。」

CDC「今のところ本艦から半径500km圏内にはそのふたつの群しかありません。」

裕一「これより、本艦はミサイルによる支援を開始する。蒼龍さん、飛龍さん、大鳳さん。攻撃隊の全力出撃を要請します!」

飛龍「任せて、蒼龍やるよ!」

蒼龍「うん。」

蒼龍、飛龍「攻撃隊、発艦始め!」

大鳳「私も、攻撃隊発艦!」

蒼龍、飛龍、大鳳から艦載機全てが空に上がっていく。

裕一「ライオニック、N5、N6巡航ミサイル全機照準!撃ちー方始め!」

ミサイルハッチから190発のミサイルが飛び出していった。

 

13:25

CDC「ミサイル着弾5秒前、4、3、2、1、弾ちゃーく…今!」

裕一「全弾命中、敵艦175隻撃沈、残りは大破か。」

CDC「攻撃隊全機突撃、敵艦45隻撃沈、大破4隻。」

大和『こちら大和、デスピナさん援護ありがとうございます!』

裕一「いえいえ、もう一度やりますので気をつけて下さい。CDC残りは?」

CDC「ホテル群残り105後方は残り265隻。」

裕一「ライオニック、N5、N6巡航ミサイル全機照準、発射!」

 

大和「主砲、重巡リ級flagshipに照準撃て!」

アイオワ「oh shit!うぅ…、やってくれたわね。Fire! Fire!」

大和「アイオワさん、大丈夫ですか!」

アイオワ「問題ないわ、ただのかすり傷よ。それよりも…」

アイオワがある方向見る。大和もそれに続いてその方向を見ると…

長門「はあぁぁぁー!」

長門が戦艦ル級flagshipの顔面を右アッパーで殴ってから至近距離で主砲の一斉射を食らわしていた。さらに

霧島「マイクチェックの時間だ!ゴルァ!」

霧島が深海棲艦にメンチを切りながら深海棲艦を次々と沈めていた。ちなみにその横で、

比叡「ヒェー、妹が怖いよ…。」

比叡が半泣きになりながら戦っていた。

アイオワ「すごい……日本の戦艦はcrazyだわ。」

大和「あれは、ちょっと特殊な方達ですから。」

大和がすこし遠い目をしていると

アイオワ「missileが来たわ!」

デスピナから放たれたミサイル190発が来た。

大和「長門さん達ー!支援攻撃が来ますので、また離れて下さいー!」

長門「むっ、比叡、霧島!一旦離れるぞ!」

比叡「は、はい!」

霧島「チッ、了解です。」

長門と比叡、霧島が離れてすぐにミサイルが着弾し、深海棲艦を撃沈する。

裕一『支援攻撃終了。残りの26隻です。』

大和「支援ありがとうございます。」

アイオワ「あー、ハープン積みたいな…。」

長門「よし、残敵掃討だ!」

再び、長門が深海棲艦に接近戦を挑みにいった。

 

裕一「それにしても…、呉の長門は肉弾戦を好むのか…。絶対相手にしたくないなー。」

蒼龍「呉の長門さんは拳で勝負する人だからね。乱戦になったら強いよー。」

飛龍「でも、呉の霧島さんも凄いよね。」

大鳳「戦艦の方達も凄いですけど…、呉の神通さんも凄いですよね…。」

蒼龍「そうそう。」

飛龍「呉の人達って何で戦いになったらあんなに怖くなるんだろう。」

蒼龍達が話している間に、

裕一「500km圏内に敵影確認せず。終わったかな?」

14:35日本近海防衛戦以来の大規模防衛戦、北海道北東沖防衛戦が終結した。

 

16:45

大湊警備府

戦闘が終了し、全ての艦隊が大湊警備府に帰投した。

出撃ドックから出ると、高野提督が出迎えてくれた。

高野「皆さん、お疲れ様でした。防衛成功のお祝いとして食堂で宴会席を用意しておりますので、入渠して汗を流してきてくださいね。」

蒼龍「宴会!?」

飛龍「やったー!」

艦娘達は我先にと入渠施設に向かった。そんなに宴会が嬉しいのか。ところで…

裕一「高野提督……一つ質問してもよろしいですか?」

高野「なんですか?」

裕一「男性用の入渠施設はありますか?」

高野「…あっ。」

どうやら無いようだ。

高野「混浴は…」

裕一「できないです。憲兵さんに捕まります。」

高野「ですよねー。…彼女達が上がってきてからお願いします。」

裕一「はい…。俺は部屋にいますので、艦娘の皆さんが上がってきたら教えてください。」

高野「分かりました。では、私は準備があるので!」

と、走っていってしまった。元気で満ち溢れているいい提督だと思った。指揮はアレだが。

 

18:00

大湊警備府 食堂

高野「みんなーグラスは持ったー?では、乾杯!」

「「「かんぱーい!」」」

食堂に集まった艦娘、妖精がグラスを掲げ、食堂のテーブルにあるたくさんの料理に手をつけ、近くの艦娘と楽しくお話を始める。俺は、目の前に並ぶ料理をひたすら食べる食べる。

 

もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ…ごっくん。

もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ…ごっくん。

もぐもぐ…うっ。

 

大和「デスピナさん!?お水です。」

大和から渡された水を一気に飲む。

裕一「はぁー。ありがとうございます大和さん。」

大和「それにしても、そんなに慌てて食べルなんて、どうしたんですか?」

裕一「うーん…昔からの性分でパーティとかそういう所では最初は料理をたくさん食べてしまうもので…。でも、ここから普通のペースで食べるので大丈夫ですよ。」

大和「ホントに気をつけて下さいね。」

裕一「ありがとうございます。ところで、なぜ俺の所に?他の艦娘の皆さんと話してきたらどうですか?」

大和「いえ、もう軽くお話はしてきたので。それよりもデスピナさんと一緒にいたかったので…。」

後半の方はよく聞こえなかったが、まぁ、いいだろう。

裕一「そうそう、大和さん戦闘の時の姿、とてもかっこよかったですよ。さすがは、連合艦隊旗艦を務めていただけありますね。」

そう、褒めると大和さんは

大和「そんなことないですよ。艦だった時はあまり活躍出来ませんでしたから…、長門さんの方が凄いです。」

と謙遜する。

裕一「俺は、大和さんの方が好きですけどねー。」

と大和さんの方が長門さんより旗艦に合っていると言った。

大和「わ、わ、私の方がしゅき…。」

大和さんが顔を真っ赤にして俯く。あれ?俺なんか失礼なことを言ったか?それともそんなに嬉しかったのか?

裕一「えぇ、大和さんみたいな方がいいなぁと思いまして。」

大和「私のどこがいいんですか…?」

裕一「そうですね…。さっきも言いましたが戦闘の時の凛々しさ、戦闘以外でも頼りになって、とても優しいところですかね。後、ご飯も美味しいし。大和さんは良いお嫁さんになりますね。」

大和「お、お、お、お嫁さん!!」

大和さんの顔がさらに赤くなる。そんなに嬉しくて、照れているのか。でも、さすがにこれ以上褒めちぎるのはやめておこう。

裕一「そんなに照れなくていいですよ。事実を述べただけですから。ほら、お水飲みますか…って。大和さん!?大丈夫ですか?おーい!」

大和さんがテーブルに突っ伏して動かなくってしまった。

 

裕一と大和の認識が異なったことにより大和の精神が悶え死んでしまう、ハプニングはあったが宴会は日付けが変わるまで行われた。

ちなみに、大和は裕一が部屋に寝かしつけ翌朝やりすぎたと謝罪した。

 

さらに、横須賀鎮守府では裕一が大和を褒めちぎっている頃。

瑞鶴「しょ、翔鶴姉…?」

翔鶴「ふ、ふふふ。デスピナさんを狙う泥棒猫がデスピナさんを誘惑している気配を感じるわ。…ふ、ふふふ。」

翔鶴の背後から禍々しいオーラが溢れ出ている。今までのオーラの1段上に昇格していた。

瑞鶴(たすけてー!デスピナさーん!私の寿命が縮んじゃうー!)

心の中でデスピナに怒り半分で懇願し、デスピナのことを想い過ぎている姉を宥めるために動き始めた。

その姿は、強敵に挑む戦士の様であった。

 

 

 



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第26話 キス島撤退戦1

お待たせしました。第26話です。



第3章 北方海域編

第26話 キス島撤退戦1

 

9月9日 10:32

キス島

 

「はぁー…。」

「どうした?ため息なんてついて。」

「いや、だってさー。こんなところまで来てただ1日中海を見続けるって…。暇じゃん。」

「ちょ、おま。」

兵士の1人が暇だなんて言った同僚の口を塞ぎ、周りを見渡す。どうやらほかの者はいないようだ。

「バカか!お前。もし、上官に聞かれたらどうするんだ!」

慌てて、その同僚の兵士も周りを見渡す。

「ヤベー、でも事実じゃん。」

「まぁ…そうだけどさ。」

キス島。第2次深海大戦時、国防軍は深海棲艦の侵攻に備え、キス島を占領。陸軍4,500名を守備隊として配備した。そして、今までの所、深海棲艦との戦闘がない。しかし、ここは一応最前線の一つである。

見張りの兵士が2人話していると、1人の方が

「うん?おい、あそこに何か見えないか?」

「え?どこ?」

「ほら、すこし右手の奥の方。」

「うんー…?」

片方の兵士が目を凝らしてみると、確かに何か黒いものがある。

「おー、本当だ。」

「だろう、そこに双眼鏡無かったか?」

「あぁ、あるぞ。ほれ。」

「ありがとうよ。さて、何が出るかな、何が出るかな。」

兵士の1人が双眼鏡を覗き込む。そして、その兵士は見てしまった…。

「!?う、うそだろ!」

「うるさい!すぐ近くで叫ぶな。」

もう片方の兵士は、相方の兵士が突如近くで叫んで、耳がすこしおかしくなる。

「そんなこと言ってる場合じゃない!お前も見てみろ!」

「たく…、なんだよ…。」

もう1人の兵士も双眼鏡をのぞき込む。そこには、多くの深海棲艦がこちらに向かって来る様子が見えた。数はすでに100を超えていた。

「て、敵襲!?」

「俺は、今すぐ上官に報告してくる!」

「分かった。俺は、このまま監視する!」

兵士の1人が急ぎ、司令部に走る。その兵士を見た別の兵士達は何事かと思っていたが、この後キス島守備隊全員が恐怖に陥ることになる。

11:05。キス島守備隊司令部から国防省に緊急入電が入った。

『キス島付近に多数の深海棲艦が侵攻中』

 

11:09

国防省 地下司令部

国防省の地下にある司令部。そこはいつもより騒がしくなっていた。

陸軍参謀総長「状況はどうなっている!」

「現在、キス島周辺の衛星写真を出します。」

オペレーターの1人が大画面のモニターに1枚の衛星写真を映し出す。そこにはキス島の周りを多くの黒いものが取り囲んでいる様子が写っていた。

高野総長「まずいな…これは。ALから湧いて出たか。」

国防大臣「はい、分かりました。」ガチャ

国防大臣「今、総理が統合参謀本部にキス島守備隊の救出作戦の立案を行うよう支持が出ました。直ちに取り掛かってください。」

「「「了解!」」」

陸軍参謀総長「キス島か…旧キスカ島たるあの島でもう一度奇跡を起こさねばならんのか…。」

高野総長「気負いなさんな、宇垣さん。艦娘達ならやってくれます。」

宇垣陸軍参謀総長「高野…。あぁ、そうだな。それよりも。」

宇垣陸軍参謀総長が高野総長に耳打ちをする。

宇垣陸軍参謀総長「後で時間を取ってくれ。例の件すこし進展があった。」

高野総長「分かった。では、作戦立案の後で。」

 

9月10日 14:08

大湊警備府 執務室

高野「またまた、冗談をーおじいちゃん。」

高野総長「いや、綾香。本当の事だ。なぜ、わざわざ秘密回線で冗談を言う必要があるのだ。」

高野「はぁー…。」

高野総長「何か不満なのか?」

高野「だってさー、さんざん周りから祖父の七光りだなんだと言われて、その上で今回の救出作戦の指揮を執るなんて。おじいちゃん私をいじめてるの?」

高野総長「いじめてはおらんぞ。おじいちゃんは孫娘の活躍をとても楽しみにしてるんだ。」

高野「ぶー。じゃあ、作戦が終わったらご褒美ちょうだい。」

高野総長「考えておこう。」

高野「絶対だからね!」

高野総長「はいはい、分かったぞ。では。」

執務室に置かれている秘密回線のモニターに映っていた、優しいおじいちゃんの顔が国防海軍軍令部総長の顔になる。私の顔もおじいちゃん大好きの孫娘から国防海軍大湊警備府司令官の顔になる。今は、上官と部下の関係になる。

高野総長「高野綾香大佐、大湊警備府司令官キス島守備隊撤退戦の指揮を命じる。正式な書類並びに作戦資料は追って届ける。」

高野「はっ、拝命します!」

最後に高野総長はまた優しいおじいちゃんの顔になり

高野総長「頑張れよ。」

と一言言って、通話を切った。

高野「頑張るよ、おじいちゃん。」

 

17:12

大湊警備府 会議室

高野「皆さん、先ほどキス島において非常事態が発生しました。現在、キス島が深海棲艦によって包囲されているとの事です。これに伴い、国防陸軍参謀本部が統合参謀本部経由で国防海軍軍令部にキス島守備隊の撤退支援を要請。これを大湊警備府が受諾しました。皆さんにはこれよりキス島撤退作戦への参加を命じます。これはすでに各鎮守府の提督も了承しています。」

裕一「作戦内容は?」

高野「まず、守備隊を乗せる艦艇が大湊に派遣されてから、作戦を開始します。早くても明日の午後には到着するそうです。その後キスカ島撤退戦と同様に近くキス島近くで濃霧の予報が出ています。その濃霧の中突入することになります。」

阿武隈「あの時と同じ…。」

高野「皆さんにはいつでも出撃できるように待機していて下さい。以上で解散です。」

 

17:42

大湊警備府 宿舎

裕一「副長、キス島周辺海域の天気予報を出しておいてくれ。」

副長「わかりました。」

とりあえず、この作戦の鍵は濃霧。運任せだな。

裕一「それにしても…、まだ出てくるんだね深海棲艦。この前結構沈めたはずなんだが。」

この前の北海道北東沖防衛戦から3日程しか経っていない。

裕一「多分、北、AL方面にでっかい深海棲艦の基地があるよなー。」

そんなことをボヤいていたら

副長「天気予報出ましたよ。はい。」

裕一「あぁ、ありがとう。」

副長から天気予報の書かれた紙を貰う。

副長「今日から5日後から濃霧が発生する可能性が大きいです。」

裕一「ということは、5日後が勝負になりそうだな。」

副長「キスカ島撤退戦の再現ですか…。」

裕一「あぁ、あの奇跡の作戦を再現しなければならない。そうだ、ポーターズを作戦に投入する事はできそうか?」

副長「難しいですね、濃霧だと視界が悪すぎて危険ですし。後、敵の航空機の対処が…。」

裕一「だよなー、やっぱり揚陸艦で兵士の収容になるよな。」

副長「しかし、それだと深海棲艦に見つかる可能性が高くないですか?」

今回、派遣されるのは通常艦艇。すなわち、艦娘や深海棲艦のように人型ではなく普通の大きさの艦である。そのため見つかりやすいと副長は考えたのだろう。

裕一「俺もそう思っていたんだが、高野提督曰く大丈夫だそうだ。」

副長「本当ですか?」

裕一「あぁ、どうやらレーダーに映りにくくなるようステルス性が高められたものだそうだ。深海棲艦のレーダー、もちろん艦娘の電探にも映りにくいことはすでに実証済みだそうだ。」

副長「なるほど。」

裕一「とりあえず、俺は出撃することになるのかな?」

副長「どうでしょう?一応空母ですし出番無しだとは思うのですが、汎用性が高すぎて出撃することになると思いますよー。」

裕一「はぁ…、今回は気乗りしないなー。」

畳の敷かれた床に寝っ転がる。

副長「随伴と珍しいことですね。裕一さんが面倒くさがるなんて。」

裕一「いや、今回の作戦。どうも嫌な予感しかしないんだわ。」

副長「嫌な予感?」

裕一「うん、具体的には分からないけどそれでも今回の作戦はやばい。」

副長「ウ〜ン、まぁ、予感は予感ですしその時は上手く立ち回りましょう。」

副長の言う通り今、考えてもどうすることも出来ない。

裕一「そうだな、とりあえず艤装ののチェックをしっかりしておきますか。」

少しでも不安を和らげるために、艤装のチェックをすることにした。

 

それから2日後の午前に揚陸艦が到着した。

 

9月13日 14:00

大湊警備府 執務室

池田「揚陸艦海龍艦長の池田です。」

高野「大湊警備府司令官の高野です。」

揚陸艦の海龍の艦長の池田と高野提督と秘書艦の漣の、3人が執務室にいる。

池田「まず、こちらが統合参謀本部からの命令書です。」

高野「拝見させてもらいます。」

池田から書類の入った封筒を受け取り中身を確認する。1通り確認し終わり

高野「やはり、キスカ島の再現ですか。」

池田「はい。現在最も有効な手段ですしね。」

高野「そうですね。では、明日の06:00に出撃ですかね。」

池田「そうなりますね。それでは、私は艦の方に戻ります。」

高野「はい。あ、あと食堂を利用なさっても大丈夫ですよ。」

池田「そうですか。分かりました。」

池田が執務室から出ていき

漣「あれが人間主義側の1人ですか?」

高野「うーんとね、確かにあちら側の人なんだけどまだ話のわかる人。そこまでひどくない人だから信用できる。」

そう言って、応接用のソファーから立ち上がり

高野「今回の作戦、漣達にも出撃してもらうからお願いね。」

漣「了解です。」

高野「と、ついでにデスピナ君呼んでもらっていい?」

 

10分後

 

裕一「失礼します。」

高野提督から呼び出され執務室にやって来た。多分例の撤退戦の事だろうが。

高野「お、来たね。時間も勿体ないし、早速本題に入るね。」

高野提督が居住まいを正し、

高野「要塞空母デスピナ、キス島守備隊撤退作戦派遣艦隊旗艦に命じます。明日06:00に出撃して下さい。」

裕一「拝命します。明日06:00に出撃し、任務を遂行します。」

俺は、敬礼してこれを拝命した。

高野「それとこれを見ておいてください。見た後処分しておいて下さい。」

と高野提督から1枚の紙を渡された。

裕一「…分かりました。」

高野「ではこの後18:00から作戦の打ち合わせするのでよろしくー!」

と高野提督は執務室から出ていった。

裕一「………あっ、逃げられた。」

作戦の内容は俺が考えることになった。

 

18:00

大湊警備府 会議室

高野「それでは、キス島守備隊撤退戦の作戦打ち合わせを始めます。ではデスピナ君よろしくー。」

あの後、急いで作戦を練り書類を作成した。しかし、大変な作業だったので大和さんのても借りた。

裕一「今作戦の旗艦を務めます、デスピナです。」

会議室には高野提督、漣、他作戦参加メンバーと揚陸艦海龍の幹部の人達と陸軍の参謀本部から何人かの人達がいる。

裕一「では、スライドに注目してください。」

スライドに海図が表示される。

裕一「まず、今作戦は時間との勝負です。そのため陸海両軍の連携が欠かせません。」

俺は、陸軍参謀の人たちの方に視線を送る。

陸軍参謀「もちろん承知している。」

と頷く。

裕一「作戦の流れを説明します。この作戦は霧が出るかで決まります。現在モーレイ海西方では敵潜水艦艦隊が展開しており厳重な哨戒が行われています。こちらは回避するしかありません。また、キス島近くの島に飛行場と思わしきものも確認されておりキス島周辺がまるまる航空機の哨戒圏です。万が一にでも発見されれば2時間以内に爆撃機が襲来します。そこで哨戒圏外のキス島の南の方に転針地点、Z地点を設け大きく偽装針路を取ってZ地点にて待機。そして哨戒圏内に濃霧が発生している間に突入し、守備隊を収容して、帰還となります。」

ここで言葉を切る。

裕一「以上が作戦の流れになります。作戦の素早い進行のため陸軍さんには全武装の放棄を認めてほしいのです。」

陸軍参謀「陸軍参謀本部はこれを裁可します。後、素早い進行ならばキス島周辺の海域に入った時点で守備隊を主要する浜辺に集めた方が良さそうですな。」

裕一「ええ、その事も守備隊司令部に伝えて頂きたい。」

陸軍参謀「分かりました。」

高野「デスピナくーん、もし、霧が出ない。もしくは霧が晴れた場合や発見された場合は?」

意外と鋭い高野提督である。1番痛いところであるが、そこもちゃんと考えてはある。

裕一「まず、Z地点で霧の発生がない場合、守備隊への集合を打電する前に霧が晴れる、敵に見つかった場合は作戦を延期せざるおえません。守備隊への打電後の場合はプランBを行います。」

高野「プランB?説明に無かったよね?」

裕一「はい、プランBに移行した時点で作戦の半分は失敗したことになりますので。でも、陸軍の皆さんを1人でも多く救出するためにこのプランBを計画しました。内容は…」

言葉を切り、

裕一「デスピナの兵器を総動員しての北方海域全域への戦略攻撃を行い、撤退の時間を稼ぐものであります。そのため、艦隊への被害は出てしまいますが。」

高野「北方海域全域?」

裕一「私には可能です。しかし、私自身に攻撃が集中すると思うので沈むか生き残るかの賭けになると思います。」

会議室が静かになる。

裕一「他に質問などが無ければ、作戦の説明は以上です。なお、この作戦内容は情報保全のため内密にお願いします。」

陸軍参謀「上への報告は?」

裕一「できる限り少人数に留めて下さい。」

これにて、キス島守備隊撤退戦の作戦打ち合わせが終わった。

 

20:04

大湊警備府 宿舎

大和「デスピナさん、明日の作戦には参加されるんですか?」

裕一「えぇ、頑張ってきます。」

大和さんには資料作りを手伝ってもらったのでそれぐらいは良いだろう。

大和「無事に帰って来てくださいね?」

裕一「もちろんです、では、明日は早いので先に寝ますね。」

大和「分かりました。おやすみなさい。」

裕一「はい、おやすみなさい。」

俺は、布団に入り眠りについた。

 

大和「うーん。そろそろ、寝ようかなな?」

あれから2時間ほど、私は読書をしてデスピナさんの眠りを邪魔しないように静かにしていた。すこし体をほぐす。

そしてすこし好奇心が出てくる。

大和「デスピナさんの寝顔を少し覗いちゃお♪」

デスピナさんの枕元をのぞき込む。そこにはいつものカッコイイデスピナさんの顔ではなく可愛らしい寝顔のデスピナさんがいた。

鼻から赤い愛が出そうになってしまう。せっかくなのでスマホで写真を撮っておいた。

大和「ふふふ♪」

ヨダレが止まらない

 

9月14日 06:00

キス島守備隊撤退戦艦隊が大湊警備府から出撃した。

編成は、揚陸艦海龍

護衛艦隊 旗艦デスピナ、阿武隈、睦月、如月、文月、、、吹雪、叢雲、矢矧、、暁、ヴェーヌルイ、雷、電、、陽炎、雪風、時津風

 

その5日後、転針地点、Z地点に到着

しかしまだ霧が薄く補給して待機

 

9月19日 15:30

キス島周辺海域にて濃霧発生。数日間続くものと予想。

艦隊キス島へ北進開始

 

9月20日 07:30

キス島南西8km地点

裕一「まだ、島が見えないか!」

見張り員妖精「視界距離500!見えません!」

裕一「CDC!レーダーでは?」

CDC妖精「間もなく、転針地点Aに到達します。」

裕一「艦隊、変針せよ!」

艦隊が変針する。

裕一「CDC、五分おきに水深知らせ。」

 

08:10

海龍

「右舷10度、岩礁2近い!」

池田「回避!」

裕一「海龍!加速せよ!」

池田「両舷前進強速!」

海龍が加速し、岩礁を避ける。

池田「感謝する。」

裕一「いえいえ、まだ暗礁はあるので注意して下さい。」

 

08:40

キス島守備隊への連絡地点を通過

裕一「無線封止を解除、キス島守備隊司令部へ打電せよ。」

 

キス島守備隊司令部

兵士「司令!入電です!」

司令「なんだ?」

兵士「はぁ…はぁ…、救援艦隊が12:20にキス湾に入港とのこと!」

司令「本当か!よし、直ちに全島に連絡。総員、撤収だ!」

 

第2観測所

観測員「こちら、第2観測所。艦艇と思わしき影と人影を確認!西岸沖を北上中!」

 

第23高射砲陣地

「総員撤収!急いでキス湾に集結だ!」

 

12:02

キス湾浜辺

司令「背嚢及び小銃なども含め全ての荷を乗艦時に放棄する。艦隊は1時間程しか停泊することができない。速やかに乗艦せよ!」

 

同時刻

裕一「艦隊!キス湾へ突入せよ!」

池田艦長「キス湾に入り次第ヘリコプターと上陸用船艇による兵員輸送を開始せよ!」

 

12:20

キス湾の所定位置にて停泊

守備隊の揚陸艦海龍への収容作業を開始。

収容は海龍の上陸用船艇とヘリコプターMCH-101を6機使用し、わずか1時間の間に守備隊の収容作業を行うのだった。

 

13:12

裕一「収容作業の状況は?」

副長「順調の様です。おそらく定時刻には終わるかと。」

裕一「早く終わってほしいものだね。敵さん近くにわんさかいるからね。」

そんなことを言っていたら、

雪風「雪風からデスピナさんへ!敵のレーダー照射を確認!」

裕一「!?CDC状況は?」

CDC「敵哨戒艦と思われます。まだ入感頻度は周期的です。」

裕一「了解、連続になったら知らせ。デスピナから海龍へ。収容作業の進行状況を知らせ。」

池田艦長「間もなく完了する。どうしましたか?」

裕一「先ほど13:18に敵のレーダー照射を確認しました。まだ周期的ですが。」

池田艦長「分かりました。作業を急がせます。」

裕一「よろしくお願いします。」

 

「全員の収容が完了しました!」

池田艦長「よし!抜錨、出港だ。海龍からデスピナへ。収容作業が完了。」

裕一「了解。全艦抜錨!陽炎と雪風、時津風は先行せよ。艦隊砲雷撃戦用意!対水上戦闘配備!」

艦隊が陽炎、雪風、時津風の3人を先頭に出港した。それから少しして

雪風「逆探に異常発生!」

雪風から切羽詰まった、通信が入る。

CDC「CDCから艦長へ!水上レーダーに敵の大型艦多数!並びに対空レーダーに爆撃機の大編隊を確認しました。」

雪風の通信と同じタイミングでCDCから報告が入る。

裕一「!?おいおい、じゃあ、この霧の向こうは…。」

 

キス島の東の海域には戦艦タ級、ル級flagshipが100隻以上、他の艦艇を合わせると1,000近い深海棲艦が侵攻してきた。また上空には爆撃機458機が襲来していた。

 

裕一「どこで漏れた…。」

副長「裕一さん…。」

裕一「…旗艦デスピナから全艦へ達する。現時刻をもってプランBへ移行。先ほど大湊に迎えの艦隊がこちらに向かっている。護衛艦隊は海龍を守りながらキス島海域から離脱せよ。また、旗艦は阿武隈に委譲する。通信終わり。」

阿武隈「えっ、デスピナさん。待ってください!」

通信を切り俺は艦隊を離れ敵艦隊へ向かう。阿武隈から何か言われていたが無視した。今は、とにかく時間を稼ぐ。

 

その頃、横須賀鎮守府

翔鶴「痛っ─」

瑞鶴「大丈夫、翔鶴姉?」

翔鶴「えぇ、指に針を刺しちゃたみたい。」

瑞鶴「珍しいね、翔鶴姉が裁縫で怪我するなんて。絆創膏取ってくるね。」

瑞鶴が救急箱を取りに行く。部屋に一人になりつぶやく。

翔鶴「なにか嫌な感じがする…。デスピナさん…。」

何かもやもやしたものを感じた、翔鶴。

翔鶴は空を見上げる。空はどんよりとした天気であった。

 




最後の方結構、無理矢理終わらせた感がありましたかね?


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第27話 キス島撤退戦2

皆さん、大変お待たせいたしました。第27話です。

ココ最近、リアルが忙しく執筆に時間がかかってしまいました。
この先、このような更新ペースになると思います。
しかし、ちゃんと更新を続けていきますので首を長くしてお待ち頂けたら幸いです。




第3章 北方海域編

第27話 キス島撤退戦2

 

13:25

 

俺は、守備隊を乗せた艦隊から離れ、撤退艦隊の殿を務めるため敵艦隊へ向かっていた。

今回の勝利条件は、守備隊を乗せた艦隊1隻も沈むことなく、現在大湊から出撃した艦隊と合流すること。俺は、それまで敵艦隊と爆撃機の編隊を足止めし続けなければならない。

そこに、CDCから報告が来る。

CDC「敵艦隊が発砲!」

裕一「着弾地点を算出しろ!頼む、当たらないでくれ!」

CDCが着弾地点を算出する。結果は、キス島に全て着弾するようだ。少ししてキス島に深海棲艦の砲弾が着弾し、爆発音が聞こえた。

裕一「ふぅー、危ない。」

CDC「敵艦隊またしても発砲!今度もキス島に着弾する模様!」

その後も全ての深海棲艦の砲弾がキス島へ着弾し、爆発音が鳴り響く。そして、ようやく違和感を感じた。

裕一「なぜ、連続してキス島に着弾するんだ?深海棲艦もレーダーを使用して射撃しているだろう?」

副長「相手がまだ我が艦隊を見つけていないのでは?」

裕一「それだったら、あそこまで着弾した時爆発音が聞こえるはずが…!?」

副長「どうしましたか?」

そして、気づいた。

裕一「まさか、今、深海棲艦が来たのは、キス島の守備隊への砲撃のため…。は、はは、ははは─」

そう。深海棲艦が攻めてきたのは救出艦隊を発見したのではなく、キス島への海上砲撃と航空爆撃で、未だに島にいると思っている守備隊を壊滅させようとして、対艦戦闘用の徹甲弾ではなく榴弾を使用したようだ。だから、かなり離れているここまで爆発音が聞こえたのだ。

裕一「まさか、ここまで冷静さを欠いていたとは…。」

しかし、次は今度こそ、

CDC「敵艦隊に発見されました!」

もうすでに敵艦隊の近くまで接近していたのだ。当然である。

裕一「…直ちに、スカイレイヴンを全機発艦させ、敵の爆撃機を落とせ。その後、ホエールとミッドナイト、そしてアルテミスで周りの敵艦隊を殲滅しろ。砲雷長。巡航ミサイルとレールガンで深海棲艦を沈めろ。射撃はそちらに任せる。」

砲雷長「了解。射撃自由、各員目標見つけ次第沈めろ!」

航空参謀「艦長、カロンは出撃しないのですか?」

裕一「カロン全機はアルマゲドンを装備させ、出撃待機。」

俺は、兵装制限Bを解除する。

航空参謀「了解です。」

CDC「敵艦隊から発砲!今度はこちらに飛んできます!」

コマンドのレーダーに着弾地点が表示される。

裕一「はぁ…、まぁ、ここで後悔し続けても仕方がない。殺るか。」

気合いを入れて、着弾地点から離れる。それと同時に、航空隊が甲板から発艦していく。そして、CDCの方で自動的に深海棲艦へライオニック、N5、N6巡航ミサイルが放たれ、レールガンも射撃を開始する。俺は、とにかく、敵艦隊からの砲撃を避けることに専念することにした。

 

第1航空大隊2番機「敵の爆撃機を確認!」

第1航空大隊長「よし、全機最初は、ミサイルである程度落とすぞ。自分の獲物を確認しろ。」

各機が爆撃機にそれぞれミサイルをロックオンする。

スカイレイヴン全機「「「ミサイル発射!fox2!fox2!」」」

スカイレイヴン264機から2本ずつ、計528本のミサイルが爆撃機に向けて放たれた。爆撃機は爆弾満載で動きも遅いのもあるが、音速を超えたミサイルを避けることなど出来るはずもなく、エンジンや機体にミサイルが着弾し、ある機体は羽がもげてクルクルと回りながら落ちていき、ある機体は爆発四散して、空に黒い茎の赤い華を咲かせていた。

ミサイルだけの攻撃で368機の爆撃機を落とした。残りは90機となった。

スカイレイヴンは残りの爆撃機を落とすため群がっていく。

第2航空大隊23番機「fox3!fox3!」

爆撃機に40mmバルカン砲を打ち込み爆撃機は機体が穴だらけになって落ちていく。

第2航空大隊23番機「よし!撃墜。」

第3航空大隊15番機「そこ!回避しろ!」

第2航空大隊23番機「え?うわ、あぶな。」

爆撃機に攻撃するためぎりぎりまで減速していたため爆撃機の機銃に撃たれた。しかし、運良く被弾せずにすんだ。

第2航空大隊13番機「そーら、仕返しだ!」

先ほど、攻撃してきた爆撃機は、真上から撃たれて空中でばらばらになって落ちていった。

第2航空大隊23番機「すいません。ありがとうございます。」

第2航空大隊13番機「かまわん。もう一度、気合い入れ直せ!」

第2航空大隊23番機「はい!」

 

この後、458機の爆撃機は2時間ほどで全滅した。

 

一方で、キス島に砲撃を行っていた深海棲艦の艦隊へは、

ホエール1番機「150mm砲撃てー!」

ホエール全機が深海棲艦に向けて一斉射撃を行う。

巡洋艦クラスの砲の大きさだが、高高度から放たれた弾丸は戦艦クラスの砲撃と同等のものになっていた。

ホエール2番機「戦艦ル級flagship6隻中破!」

ホエール1番機「よし!継続して射撃せよ!」

ホエールから150mmの砲弾が連続して放たれていく。

そこに

アルテミス1番機「よーし!今日こそ勝負じゃ!」

ミッドナイト1番機「おう!やってやろうじゃねぇーか!」

アルテミスとミッドナイト144機がやって来た。

アルテミス1番機「本家グラインドバスターを舐めるなよ!」

アルテミス72機からグラインドバスターが放たれる。かつてEDFにおいて四足歩行要塞を一撃で破壊した砲弾である。たかが戦艦では防げるはずもなく

アルテミス2番機「戦艦ル級、タ級合わせて72隻撃沈!」

アルテミス1番機「見たか!これで分かっただろう、俺たちアルテミスこそがグラインドバスターを放つのに相応しい!」

ミッドナイト1番機「はっ!笑わせる。俺たちにもできるわ!おまえら!いっちょ、アルテミスの野郎どもの天狗の鼻をへし折ってやるぞ!」

続いて、ミッドナイト72機からグラインドバスターが放たれる。

ミッドナイト2番機「戦艦72隻の撃沈を確認!」

ミッドナイト1番機「どうだ?」

アルテミス1番機「ちっ、よーし。延長戦だ!戦闘が終わるまでにどちらが深海棲艦を多く沈めれるか勝負じゃ!」

ミッドナイト1番機「やってやるわ!」

アルテミス、ミッドナイト1番機「「全機あいつらよりも多くの敵を沈めろ!」」

ここにアルテミスvsミッドナイト第19回グラインドバスター争奪戦が始まった。

ホエール1番機「野郎!俺達の獲物を取るな!全機もっと撃てー!」

 

16:24

裕一「CDC。現在の状況は?」

CDC「現在キス島周辺海域の深海棲艦の5割を殲滅。残りは現在一時後退している模様。」

裕一「航空参謀!カロン隊の準備は?」

航空参謀「はっ!カロン全機アルマゲドンを2発ずつ装備し、何時でも出撃可能です!」

裕一「カロン全機へ。発艦を開始せよ。現在、戦闘中の航空隊全機へ。全機帰還せよ。繰り返す、全機帰還せよ。」

副長「カロン第1中隊発艦!続けて第2中隊も発艦!」

艤装の飛行甲板が展開され各中隊毎に発艦していく。カロン全機が発艦した後ちょうど、出撃していた航空隊が帰還し、着艦作業が始まる。1中隊12機だった航空機が一つの機体になり、飛行甲板に着艦する。これにより、時間短縮となった。

 

30分後

 

副長「収容作業が完了しました。」

CDC「カロン全機、配置につきました。」

裕一「分かった。」

カロン全機は北方海域全域に高度8,000mに。俺は、キス島へ爆撃機を飛ばしてきた飛行場がある島の近くまでまで来た。

裕一「各員に通達。これより、[秋のアルマゲドン祭り]を開催する!」

妖精「「「「「イェーイー!!!!!!!!!!!」」」」」

裕一「アルマゲドンは持ったか?」

妖精「「「「「「「持ちましたー!」」」」」」」

裕一「北方海域を火の海に!」

妖精「「「「「「「「空爆バンザイ!!!」」」」」」」」

裕一、妖精「「「「「「「EDF!EDF!EDF!」」」」」」」

え?何でこんなに盛り上がっているのかって?少し、いやかなり鬱憤が溜まっていたので気晴らしに北方海域を少し暖かくしようと思いまして。ついでに、深海棲艦も木っ端微塵にしようと思って。

裕一「さぁ、始めよう。祭だー!」

俺の号令で北方海域全域に散らばっているカロンからアルマゲドンが投下され、艤装のレールガンから敵の飛行場がある島へもアルマゲドンが撃ち込まれる。

CDC「カロン全機アルマゲドンを投下!」

裕一「あ、やばい。物理シールド展開!」

アルマゲドンが色んなところで爆発するので、衝撃とか津波とかで大変なことになるので物理シールドを展開しておく。え?防御スクリーンじゃないのかって?どっちでも良いじゃないか名前くらい。

CDC「アルマゲドン着弾まで…3、2、1、今!」

レーダーの探知圏内500km以内全てが爆破範囲を示す。そのためコマンドのレーダーの画面が1面真っ赤になる。

そして、空間が揺れた。アルマゲドン1発でもかなりの威力があるのに360発のアルマゲドンが投下され、光弾においては1,800弾が北方海域全域に降り注ぐことになったのだ。

結果は、周り一面が爆炎に包まれました。

裕一「うお!」

展開していた物理シールドがビリビリと揺れる。

 

視点を変え、衛星軌道兵器ノートゥングから宇宙からの様子を見る。

宇宙からアルマゲドンが投下されてからの様子を見ると、アルマゲドンの光弾1,800発が着弾した時、青い海が真っ赤な爆炎に包まれ、本当の火の海になっていた。周りにあった雲は爆発の衝撃で全て吹き飛んで北方海域には白い雲はなく、爆煙の黒い雲だけが立ちこめていた。

数分ほどで黒い雲は無くなった。そして、北方海域の小さな島々は…

吹き飛んで無くなっていた。多分、後でこっぴどく怒られそうな事をしてしまった。島をいくつも吹き飛ばして世界地図から消してしまったのだから。流石に俺も、やりすぎたと思った。でも後悔はしていない。

妖精「「「「「ヒャッホーイ!!!!!!!!!!!」」」」」

妖精さんたちがめっちゃ喜んでるんだもん。まぁ、是非もないよネ!

ついでの深海棲艦だがレーダーを見る限り全くいなくなっていた。

 

さて、この時、揚陸艦海龍らを無事大湊に帰し、裕一を救出するために大和たちが北方海域に入ろうとした所にアルマゲドンが投下され、目の前が火の海となり突入出来なくなっていた。

長門「なんだ!これは?」

他の艦娘も突如海が火の海に変わり困惑していたが、1人、大和は

大和(デスピナさん…。まさか!ピンチで自分を巻き込んでの爆撃を…!?急がなきゃ!)

長門「!?大和!どこへいく!」

大和「デスピナさんのもとにです。急がなきゃ!」

長門の静止は聞こえず大和は次第に爆煙が薄れ始めた海に突入していった。

長門「あ、1人で行くな!ちっ、艦隊。大和を追うぞ!」

大和(デスピナさん、無事でいて下さい…。)

 

大和が心配していることなんて全く知らない裕一は

裕一「うーん…、ちょっと残っているね。」

CDC「全部、消し飛ばしましょう!」

砲雷長「私もそれがいいと思います。」

カロンからの映像と衛星からの映像を確認し、残存していた深海棲艦を見つけたのであった。

裕一「距離は…ここから北北西に465km。数は34隻か…。」

砲雷長「ミサイルでさっさと片付けましょう。」

裕一「ライオニック発射。」

CDC「ライオニック、斉射!」

艤装から40発のライオニックが放たれた。少しして

CDC「目標に全て命中。撃沈しました。」

裕一「ふぅー、これで終わりかな?カロン全機を収容次第現海域から離脱する。一応、対空対水上、対潜警戒を厳とせよ。」

俺は、ここで少し気を緩める。そして、先の戦闘を振り返る。

裕一(それにしても、1,000を超える深海棲艦の侵攻。この前、かなり潰したはずなんだが…。それどころか北方海域全域に10万もの深海棲艦がいたとは、数こそ力か…。そういえば、大半の深海棲艦が北にいたなぁ。特にベーリング海は凄かったな。海が深海棲艦が多すぎて黒くなっていたし。うん?まさか…あそこに深海棲艦の基地があるのでは?てか、まず深海棲艦はどこで生まれるんだ?基地で造っているのか?うーん…。今攻撃してしまうか?しかし、航空隊にも疲れが出ている。アレを使うか?しかしまだ切り札の一つをきるのは、早すぎるか…)

そんな長々と思考していると

CDC「うん?今なにか写ったような…。あ、また。」

裕一「どうした?」

CDC「はい、レーダーにいくつかの対空目標を感知したのですが、消えたり、写ったりするんですよ。」

裕一「消えたり、写ったり?レーダーが捉えにくい…。!?総員、対空戦闘用意!!急げ、ステルス機だ!」

CDC「総員、戦闘配備!繰り返す、戦闘配備!」

裕一「カロン302中隊!周辺に機影を確認出来ないか!」

先ほどレーダーに写った近くを飛んでいるカロンに問う。

カロン302中隊長「いえ、ありません。」

裕一「周辺空域にて敵のステルス機と思われるものを探知した!注意せよ!」

カロン302中隊長「了解!」

裕一「スカイレイヴンを上げろ!」

航空参謀「スカイレイヴン全機、発艦せよ!」

飛行甲板からすぐにスカイレイヴンが上がっていく。

裕一「CDC、ステルス機の判別は出来たか?」

CDC「ダメです。おそらく例のあれかと。」

裕一「あれか…。」

沖ノ島海域で確認された、深海棲艦の新型機である。

そこに、切迫した通信が入る。

カロン302中隊長「メーデー!メーデー!深海棲艦から攻撃を受けた!」

裕一「!?状況を詳しく!」

カロン302中隊長「真上から、やられた!すでに撃墜も出ている!」

裕一「後、158秒でスカイレイヴンが到着する!持ちこたえろ!」

カロン302中隊長「すでに半分が堕とされ、うぉ!ちっ。」

裕一「砲雷長!対空ミサイルを敵のステルス機に照準出来るか?」

砲雷長「いけます!対空ミサイル斉射!」

対空ミサイル100発が艤装から放たれる。

裕一「間に合うか…。」

 

CDC「ミサイル、着弾今!」

裕一「ちっ、撃ち漏らしがでたか。」

敵のステルス機1個増強大隊48機のうち35機を撃墜した。しかし、全機仕留めることが出来なかった。

CDC「スカイレイヴン1個大隊、到着。302、5機生き残りました。」

裕一「そうか…。」

まぁ、妖精は死なないんですけどね。あ、今はもう既に艤装にいらっしゃいますよ。

そんなことより、カロン1機でどれ位の資材か吹き飛ぶのか心配していた。

 

しかし、悪いことはとにかく続くものである。マーフィーの法則、起こり得る最悪の可能性は必ず実現する というあれだ。

CDC「更なる敵のステルス機を確認しました。後、ステルス機の映像が来ました…。」

裕一「まずは、例のステルス機を見てみようか。」

コマンドに映像が映し出される。

裕一「!?」

妖精「!?」

全員が困惑で固まった。

そう、アイツだったのだ。アイツがこの世界にいる可能性は充分にあった。俺というイレギュラーがいるのなら深海棲艦にもイレギュラーはいる。

銀色で多数のレーザー弾を撃ってきて、ビュンビュンと速く接近してくるアイツである。

序盤のミッションでインフェルノでは、結構苦戦した

 

 

 

 

通称ガンシップ。またの名を飛行ドローン。

 

それはつまり、人類側のイレギュラーが俺ことデスピナであるように、あちらのイレギュラーはEDFの敵、フォーリナーであることを意味している。

 

裕一「…。」

妖精「…。」

裕一「で、敵の数は…、452機…。」

裕一、妖精「はぁー…。」

いや、一応全機落とせることには落とせるけど…ね?フォーリナーがこの世界にいるということはこの先、とんでもない数が出てくるって事だからね。今までの数なんてまだ序の口ってレベルになるからね。数は力である。

裕一「…とりあえず、対空ミサイル、スタンダードミサイル全機照準。斉射。」

再び艤装からミサイルが放たれる。

裕一「スカイレイヴン全機へ、相手は飛行ドローンだ。君たちが落とされる様なことは万が一にも無いことを祈っているよ。…落ちた奴は後で特別訓練を行うからな。」

スカイレイヴン全機「「りょ、了解!」」

裕一「さて、妖精さんたち。ちょっと本気をだすよ。今までの深海棲艦とは違うからね。EDFの力、人類の力を見せつけるぞ!」

妖精「「おー!」」

裕一「砲雷長、ミサイルの指示は任せる。飛行ドローンを全て落とせ。」

砲雷長「分かりました。」

裕一「さぁ、やりますか!」

俺は、速度を上げ飛行ドローンのいる近くまでいく。移動している間にレールガンに徹甲弾を装填しておく。飛行ドローンは目標に接近するためかなり密集する。そのため、貫通しやすい徹甲弾を使用すれば、重なった複数の機体を1度に落とすことが出来る。対策さえしっかり取れば苦戦はしない。

CDC「ミサイル着弾、125機撃墜。スカイレイヴン全機会敵。戦闘が始まりました。」

裕一「よし、レールガン飛行ドローンに照準。撃て!」

レールガンから電磁力によって加速された徹甲弾が飛び出し、飛行ドローンの集団に飛び込む。今さらであるがレールガンは単装砲4基である。

裕一「お、5機撃墜か。では、続けて。」

第2射が放たれてすぐに、ミサイルも第2斉射が行われる。

砲雷長「ミサイル斉射!」

 

結果、飛行ドローン全機を撃墜。被害は最初のカロン7機被撃墜とスカイレイヴン35機の被弾であった。

 

17:58

裕一「ふー、終わった。」

副長「航空隊の帰還命令出しておきます。」

裕一「頼む。あ、あと収容作業も頼んでいいかい?」

副長「了解です。」

日も暮れ、周りが暗くなり始めていた。

しかし、今回は気を張り詰めて戦闘し、少し緩めた途端にまた戦闘というなかなかにキツイものであった。さすがにもう、緩めてもいいよね?

 

だけど、先に言ったかもしれないがマーフィーの法則、最悪の可能性は必ず実現する。

 

大気圏外

デスピナのレーダー圏外にて巨大な飛行物体から砲の様なものがせり出し発射体制を取っていた。

そして、砲から白い閃光が扇状に放たれた。

 

18:06

裕一「航空隊の収容状況は?」

副長「7割がた完了しました。残りも十分以内に収容が完了します。」

裕一「分かった。」

これで、一つ大きな仕事が終わる。そう思い、俺は油断していた。

その時であった。空から白い閃光が海面までかかり、俺にも当たる。

そして、とてつもない爆発に巻き込まれた。

 

その頃、

大和「デスピナさん、どこ?」

私はすでに日が暮れ暗くなっている海を航行していた。

その時、北東に巨大な白いカーテンがかかった。その後、当たり一面が明るくなるほどの爆発が起きた。

大和「まさか…、デスピナさんが?行くしかないわね。」

私は北東に針路を変え進んだ。

 

裕一「ぐっ、…被害を報告せよ。」

吐血しながら妖精に問う。1目見た感じでは、艤装の至る所から火が出ていた。

副長「損害報告!艤装の12箇所から出火、現在消化中。レールガン2基大破、ミサイルハッチの半数が使用不能。対空砲もほとんどが使えません。第一飛行甲板も炎上中のため発着艦不能。一部電気系統に問題発生中。弾薬庫、弾薬製造施設を守るため物理的に隔離、全ての武装が使用不能に。一部にて浸水が発生中。主機関の融合炉ですが、安全装置が発動し、現在緊急停止。現在副機関のみのため速度は11ノットが限界です。よって、大破判定です…。」

裕一「そうか…、…救難信号を放て、各妖精は船体の維持に努めよ…。飛行甲板は優先して消火し…、全航空隊を収容せ、…よ。」

俺は、自分の体をみる。至る所から血が流れ、重傷であった。

一応、妖精さんから止血の道具をもらい処置していくが包帯がすぐに赤くなる。

かなりまずい、そして、だんだん意識が朦朧とし始めた。

裕一(血を流しすぎたか…。)

俺は、遠くから名前を呼ばれているのを聴きながら意識を手放した。

 

 

 

 




そういえば、スタンダードミサイルって対空ミサイルなんですよね…。
改装の時にでもそこら辺修正しようと思いました。


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第28話 涙

お待たせしました。第28話です。
今回はいつもより短いです。

ここでお知らせ
現在、投稿ペースがとても遅くなっています。申し訳ありません。
この時期リアルが忙しいなどがあり、作業がなかなか進んでおりません。
当面は、月に1、2回の投稿ペースになります。
読者の皆様には気長にお待ち頂けたら幸いです。




第3章 北方海域編

第28話 涙

 

18:09

大和「救難信号、デスピナさんから!?」

私は救難信号が発せられている所に急ぐ。

そして、海面が火で明るくなっているのが見えた。そこには、艤装の至る所から火がでて膝をついているデスピナさんの姿があった。私は、思わず叫ぶ。

大和「デスピナさん!」

けれども、デスピナさんはこちらに気づいていない様子。私は、何度もデスピナさんのことを呼びながら近づきます。

デスピナさんまであと少しのところで、デスピナさんが倒れました。海に沈む前に私は、すぐにデスピナさんを抱き抱えました。

大和「デスピナさん!起きてください!デスピナさん!」

私は、デスピナさんの体を揺らします。しかし、デスピナさんからは多くの血が流れておりかなり危険な状態であることが分かります。

副長「大和さん!少し手伝ってください!」

デスピナさんの艤装から妖精さんが出てきました。

大和「妖精さん、デスピナさんの状態は?」

副長「大破しています。しかし、多くの血が流れていて艤装は無事でも体の方が危険な状態です。早く医療施設に!」

大和「でも、ここは広い海にいます。大湊までかなり時間がかかりますよ!」

ここで、もう1人の妖精さんが出てきました。

砲雷長「ヒドラを使いましょう。飛行甲板は一応ヒドラを発艦させれるようにはなっています。」

副長「その手があったか!航空参謀!ヒドラの発艦を急げ!」

大和「妖精さんどうするんですか?」

副長「大和さんも手伝ってください。今からヘリにデスピナさんを乗せて横須賀までいきます。なので、ヘリに乗せるのを手伝ってください!」

大和「わ、分かりました。」

すると、デスピナさんの艤装から横須賀から大湊まで乗ったあの機体の小さいものが出てきて、飛行甲板から飛び立つと、前も見た大きさになりました。

海面スレスレまでヘリは降下します。風圧で海面が波立ちます。

ヘリの下にある入り口が開き、デスピナさんを中に入れます。

副長「大和さんも!」

人間サイズになった妖精さんが私も乗るように言います。しかし

大和「え?でも私、艤装装着したままなのですが?」

副長「大丈夫です!さぁ、早く。」

デスピナさんを急ぎ運ばなければならないので私もヘリに乗ります。そして入り口が閉まり高度が上がっていきます。

周りに、護衛と思われる戦闘機が上空で待機していました。

ヘリは上昇をやめて進み始めました。

妖精さんがデスピナさんの艤装を解除しました。

副長「軍医殿どうですか?」

また、新たな妖精さんたちがでてきました。

軍医妖精「…やはり、血を流しすぎてますね。脈がだんだん弱くなってきてます。一応、止血はしましたので出血は減りましたが…。」

副長「横須賀までは持ちますかね?」

現在、重傷の艦娘を治す施設があるのは横須賀、呉舞鶴、佐世保だけです。大湊はまだ出来ていません。

軍医妖精「…ぎりぎりです。」

横須賀まではおよそ6時間かかります。

大和「あ、あの!」

軍医妖精「どうしましたか?」

大和「輸血をしたらどうでしょうか。私の血をデスピナさんに。」

ただ、デスピナさんを助けたいという一心で提案しました。

副長「なるほど、それならば横須賀まで持たせることが出来るかもしれない。軍医殿、輸血の道具は」

軍医妖精「あります。でも、まずデスピナさんと大和さんの血液型を調べますね。」

大和「はい。よろしくお願いします。」

私の血液型はA型。デスピナさんの血液型は調べた結果同じくA型でした。

直ちに、輸血が行われました。全部で500mlの血をデスピナさんにあげました。

多くの血を渡したのと海をずっとかなりの速さで航行していた疲れもあり、眠ってしまいました。

 

9月21日

00:35

横須賀から50km先の上空

ヒドラ機長「横須賀鎮守府へ、こちらデスピナ所属CH-65。」

大淀『こちら横須賀鎮守府。どうしましたか?』

ヒドラ機長「現在、デスピナが艤装は大破し、重傷を負い搬送中。至急、着陸許可を求む。」

大淀『了解。着陸を許可します。第一ヘリポートに医療班を待機させます。』

ヒドラ機長「感謝する。」

 

副長「大和さん。もうすぐ着きます。」

大和「う、うん…。ありがとうございます。」

妖精さんが起こしてくれました。どうやら、もうすぐ横須賀鎮守府に着くようです。艤装を装着したままなので座った状態でしか寝れなかったので体が少しだるいです。

10分後、ヘリは横須賀鎮守府のヘリポートに着陸しました。ハッチが開くとすぐに工廠の妖精さんがタンカでデスピナさんをヘリポートに止まっている車両に運びます。

その車両は、艦娘が重傷の時、集中治療用のカプセルが搭載した救急車の様なもので、カプセルごと工廠施設の特別棟に運びます。

妖精さんたちは、デスピナさんをカプセルの中に入れ治癒を促進する液体をカプセルに満たして、車両は工廠施設へ行ってしまいました。

工廠妖精「大和さん、ドックへ、行きましょう。」

別の工廠の妖精さんが来ました。私も艤装をそろそろ下ろしてゆっくり休みたいので妖精さんに連れられてドックに向かいました。

 

 

07:12

横須賀鎮守府本館 執務室

今日未明にデスピナが大破し、緊急搬送されて来たことを長門から聞いていた。

長門「工廠長の話では、デスピナの命に別状はないとのことだ。しかし、かなりの重傷で治療に時間がかかる。それと、艤装も轟沈に近い大破だそうだ。」

中村「資材がどれだけ飛ぶかな…、は、ははは。とにかくデスピナには早く良くなってもらいたいな。」

長門「あぁ。」

中村「そういえば、付き添いで一緒にいた大和は?」

長門「数日ほど臨時の休暇を与えた。あと、大湊にいる者達は今日の19:42に帰還予定だ。」

中村「うん、それでいいかな。」

とにかく、今回の作戦は陸軍の部隊無事に救出することが出来ていたので良かった。

陸奥「でも、デスピナさんが大破か…。深海棲艦の新型かしら?」

長門「情報が全くないからな、デスピナの回復を待ってからだな。」

中村「とりあえず、通常通り、資材の生産と遠征を行ってくれ。デスピナの事に関しては明日私から全員に伝えるまで情報規制を実施する。」

長門「了解した。」

 

 

9月25日 15:24

工廠エリア 医療棟 集中治療室

3日前、鎮守府の艦娘の皆さんの前で提督からキス島の作戦が成功した事が告げられました。そして、デスピナさんが大破し、意識不明の重傷を負ったことも聞きました。私は、それからデスピナさんのベッドの隣に居続けています。ご飯は、瑞鶴が気を利かせて持って来てくれます。

瑞鶴「デスピナさん、早く目が覚めたらいいね。でも、翔鶴姉もしっかり休んでね。」

翔鶴「分かっているわ。しっかり睡眠も取っているわ。」

瑞鶴「それなら、良いんだけどね。じゃ、そろそろ私、行くね。」

翔鶴「えぇ、いつもごめんね、瑞鶴。」

瑞鶴「気にしないで。また、後でね。」

瑞鶴を見送ったあと、ベッドの隣にあるイスに座り、未だに目を覚まさないデスピナさんの左手を両手で握ります。

すると、左手の指が少しピクっと動きました。

翔鶴「デスピナさん!」

裕一「うん…。」

デスピナさんの瞼が少しずつ開き、

裕一「…知らない天井だ。」

定番のネタを言ってから、寝たまま頭を動かして辺りを見渡します。そして、私と目が合いました。

裕一「翔鶴さん…。俺、どれだけ寝ていました?」

翔鶴「今日は、25日です。鎮守府に運ばれてから4日経っています。」

裕一「そうですか…。本気で死ぬかと思ったので、良かった。どうやら、悪運があるみたいですね。」

と言って、起き上がります。そして、私の方を向きます。

私は、だんだん視界がぼやけてきました。

裕一「翔鶴さん?」

私の目から大粒の涙がぼろぼろと落ちていきます。私はそれを隠そうと俯きます。

翔鶴「ううっ…わたし、しんぱい、したんですよ…。デスピナさんが…大破したって聞いて…。」

裕一「…。」

翔鶴「1人で、たくさんの…敵と戦って…。どうして、随伴艦がいないんですか!」

裕一「ごめんなさい。」

翔鶴「轟沈したら…、どうするつもりだったんですか!私…、まだ恩返しもできていないのに…。」

すると、デスピナさんが私の顔を胸元まで抱き寄せて耳元で

裕一「ごめんなさい、翔鶴さん。心配させてしまって。でも、俺は沈みませんよ。必ず、あなたのもとに生きて帰ってきます。」

私は、胸元に顔を押し付けて静かに続きを待ちます。

裕一「今度からは、ちゃんと随伴艦をつけます。翔鶴さん、顔を上げてください。」

私は、デスピナさんを見上げます。すると、デスピナさんが私の目から溢れ出る涙を指で拭い

裕一「泣きたいなら、今は思いっきり泣いて、すっきりしてください。それから、また翔鶴さんの笑顔を見せてください。あなたに涙は似合わない。」

そう言って、もう1度抱き締めてくれました。それから私は声をあげて泣きました。

 

さて、海上で大破し、そこから意識を失い、目が覚めたら知らない天井が見えたので定番のネタを言った。

その後、翔鶴さんから鎮守府に運ばれて4日、日付けで言えば意識を失ってから5日経っていた。

そして、現在、翔鶴さんを慰めていた。原因は俺なので本当に申し訳なく思う。

10分程泣いて少し落ち着いてきたので、ティッシュ箱を渡しておく。

翔鶴さんは何枚か取って、涙を拭いて後ろを向いて鼻をかんだ。

それから、俺のほうを向いて微笑んでくれた。

裕一「泣き顔も素敵ですが、翔鶴さんのその表情ほうが好きですよ。」

と、言ってみる。

翔鶴「…ありがとうございます。」

翔鶴さんは顔を赤らめ俯く。

そして俺は気づく。今までの言動を。

「あなたに涙は似合わない」とか「泣き顔も素敵です」とか他にも、泣いている時にも耳元で囁いていたことなど、とにかく恥ずかしさで顔から火が出そうになる。

自分でも驚くほどの言葉の数々である。俺も顔を赤くし、翔鶴さんと同じく俯く。

そうこうしていると、部屋に誰か入ってきた。

瑞鶴「翔鶴姉、間宮さんから差し入れ貰ったからたべ…よ…」

瑞鶴がこちらに気づき固まる。手には差し入れが入った箱があり、唖然として箱を落とす…ようなことはしなかった。

裕一「瑞鶴。」

瑞鶴「は、はい。」

裕一「翔鶴さんとはやましい事は無いがこの事は他言無用で。」

瑞鶴「分かったわ。」

とりあえず、青葉にバレることはないだろう。

裕一「翔鶴さん、瑞鶴が差し入れを持って来てくれたので食べましょう。」

と、翔鶴さんに声をかけるが反応がない。

瑞鶴「翔鶴姉?…反応が無い、ただのしかばねのようだ。」

裕一「いや、死んでないでしょうが。」

瑞鶴「翔鶴姉、やっぱりあまり寝てなかったのかな?」

瑞鶴が仕方がないといった感じで話す。翔鶴さんは俯いた状態のまま寝息を立てていた。やはり、彼女にはかなり心配をかけていたようだ。

瑞鶴「とりあえず、翔鶴姉をベッドに寝かしておきますか。」

この後、翔鶴さんを俺の寝ていたベッドに寝かせてから、瑞鶴と間宮さんからの差し入れを美味しくいただきました。

 

9月30日 10:24

鎮守府本館 執務室

裕一「以上で、今作戦の報告を終わります。」

中村「沖ノ島で君が見つけた機体が出てきたか…。性能は聞いたが。今、新型機と戦えるのはデスピナだけだな。」

中村提督は少し苦い表情をした。

中村「とにかくご苦労だった。それにしても、病み上がりだろう?旗艦の大和に報告を頼んでも良かったと思うが?」

裕一「大和さんは派遣艦隊の旗艦とはいえ、キス島の救出作戦には、私が旗艦として向かいました。その時の戦闘の詳細を、ありのままに報告出来るのは私だけです。」

中村「そうか。さて、デスピナ。艤装についてだが、工廠からは修理した場合の必要資材量がとどいているのだが…多すぎだ。」

裕一「轟沈しかけましたからね。そこで一つ頼みたいことがあるのですが。」

中村「なんだ?」

裕一「実は…」

 

2日前

副長「調子はどうですか?裕一さん。」

裕一「副長、久しぶりだね。まぁまぁってところかな。」

副長「今日は第一次改装案についてお話が。」

裕一「改装?艤装の修復が出来ないのか?」

副長「いえ、出来ることには出来るのですが…その、資材の量がとてつもなくて。」

裕一「えっとー、どのくらい?」

副長「鋼材が万を超えてます。改装は6,000の鋼材で済みます。」

裕一「あ…、修復するより改装の方がよさそうだね。」

副長「はい。それで改装についてですが」

裕一「ちょっと待って。」

副長「なんでしょう?」

裕一「デスピナに改装案ってあった?」

副長「博士達に作ってもらいました。」

裕一「うん?博士、達?」

副長「はい。この方達です、どうぞ。」

すると、俺の頭の上から3人の妖精が飛び降りて…、着地。しかし、1名はコケた。

コケた妖精さんはすぐに立ち上がり、3人ともこちらを向いて

オハラ博士「最初は自信満々、だけど途中から超ネガティブ。オバラでもオオハラでもないぞ。オハラだ!」

飯綱博士「イズナーシリーズの生みの親、だけど登場場面が無い…。飯綱だ!」

結城博士「サンダーボウシリーズの生みの親とは私のこと。結城だ!」

3博士「「「3人揃って、EDF三博士!」」」

と決めポーズをとって後ろで小さな爆発と3色の煙幕が出る。

なにコレ。誰だ考えたやつ。まぁ、あいつだな。

裕一「副長。航空参謀に言っておいて。後で片付けろ、って。」

副長「了解です。」

裕一「それで、えっとー、三博士。デスピナの第1次改装案を書いてくれたのですか?」

オハラ博士「そうだとも。これが、改装案だ!」

と1枚の図面を広げた。

裕一「ミサイルハッチの増設、搭載機数の増加、エレメンタルシステムのバージョンアップ。まぁ、ここら辺は順当だな。次に、N5ミサイルをN6に全て換装。対空兵装であるスタンダードミサイルを、対空/対艦両用の汎用型ミサイルに換装。レールガンを4基から6基に増設。最後に装甲を現在の1.5倍か。」

今回の改装は、艤装で少し不満を持っていたところなどを改装するので、劇的な変化は無い。ただ、艤装の巨大化に伴い、艤装から新たに二本の脚が付く。形状は翔鶴型の艤装の主機に近い。

裕一「いいんじゃないかな。」

飯綱博士「では、工廠に頼んでしまいますね。」

裕一「よろしく。」

三博士は図面を持って、艤装がある工廠(鎮守府に運ばれた時に艤装は工廠で預かってもらっている)へ向かった。

 

時は戻り

裕一「…ということです。準備は既に完了しており、提督のゴーサイン待ちです。」

中村「そうか。了承しよう。後で工廠にも伝える。」

裕一「ありがとうございます。」

中村「と、いうことはデスピナ君。今日、ヒマだねー。」

裕一「まぁ、そうですね。」

中村「そろそろ、第2回目の開発をお願いしたいなー。」

裕一「…資材は?」

中村「問題ないよ。必要分は確保してあるから。工廠長にはそろそろデスピナが開発するからよろしくとは伝えてあるから、すぐにでも開発できるよ。」

裕一「分かりました。」

中村「今回も面白いものを頼むよー。」

と、言っているのを聞きながら執務室を後にした。

 



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第29話 開発2 第1次改装

お待たせしました。

今回は早く投稿出来ました。
今回は文字数は多くありません。




第3章 北方海域編

第29話 開発2 第1次改装

 

11:23

工廠エリア

工廠長「おー、待っていたぞ!」

俺を見つけた工廠長が手を振る。

裕一「お待たせしました。」

工廠長と共に建物の中へ。そして今回も以前開発した時同様、あの扉の前に着いた。

工廠長「今回は艦載機レシピ10回、砲系レシピ5回、300オールで15回だそうだ。」

裕一「了解です。それにしても砲塔の開発とは51cm狙いですかね?」

工廠長「いや、本来開発出来ないからなあれ。しかし、お前さんのことだ。開発するんだろうな…。」

工廠長が遠い目をしていた。えっ、俺が悪いの?でも、否定出来ない。

裕一「さっさと、開発してしまいましょう。最初は艦載機からですね。」

さっそく、資材を設定してレーバーを下ろす。

 

そして結果はこちら

烈風×2

紫電改二×2

流星改×3

彗星一二型甲×2

彩雲×1

 

工廠長「普通じゃな。震電改でもでないかなー。」

裕一「震電改って開発出来るのですか?」

工廠長「出来るぞ。まぁ、その鎮守府で1回出るか出ないかかな?」

裕一「え…、本当ですか?」

工廠長「まぁ、事例はないがな。さぁ、次行ってみよー!」

 

続いて砲系レシピを回した結果がこちら

46cm三連装砲×2

九一式徹甲弾×1

一式徹甲弾×2

 

工廠長「お!一式徹甲弾の配備が間に合ってないからな。当たりだな。」

裕一「ここまでは普通だった…。が、ここからが問題。」

工廠長「何かあったか?」

裕一「いや、また前みたいに変なの出ても嫌なだなー、と思いまして。」

工廠長「なぜ嫌悪する必要がある。むしろ歓迎すべきことだろう。」

裕一「そのうち核兵器開発されるかもしれませんよ。」

工廠長「デスピナ、お前の思考は少し消極的な所がある。出た時は出た時に考えれば良いじゃないか。お前なら使い方を誤る事もあるまい。」

まぁ、確かにそうかもしれない。何を今更躊躇う必要があるのか…。

裕一「そうですね。すみません、変なこと言って。」

工廠長「気にしてないから、構わないよ。さぁやろう!」

 

1回目

Lv33 砲兵隊+大型榴弾砲

攻撃範囲 半径100m

 

2回目

Lv57 テンペストA1

爆破範囲 半径50m

誘導性能B

 

3回目

Lv75 テンペストA2

爆破範囲 半径70m

誘導性能 B

 

4回目

Lv60 砲兵隊+カノン砲C

攻撃範囲 半径50m

 

5回目

Lv63 フェニックスX

爆破範囲 半径30m

射程 800m (艦娘搭載時48kmまで延長)

ロックオン時間6.7秒

誘導性能 A+

 

6回目

Lv52 FG10ハンドガトリング

弾数 320発

連射速度 20発/秒

射程 200m

精度 B

発射準備時間 2秒

 

7回目

Lv57 テンペストA1

 

8回目

レンジャー妖精×12

初期アーマー値 150

 

9回目

フェンサー妖精×12

初期アーマー値 200

 

10回目

Lv50 デクスター自動散弾銃G

弾数 30 発(1発×14)

射程 125m

精度C

 

11回目

Lv75 テンペストA2

 

12回目

Lv57 テンペストA1

 

13回目

Lv35 E551ギガンテスJ3

装備 120ミリ砲

弾数 35発

射程 1,800m

 

14回目

Lv43 ネグリング自走ロケット砲D1

装備 誘導ロケット砲

弾数 100発

射程 700m

 

15回目

Lv50 ゴリアスZ

射程 3,000m

爆破範囲 20m

精度A+

ズーム倍率 7倍

 

工廠長「…。」

裕一「…。」

……さて、何から話そうか。

まず、銃とかロケランとかはもう今更。

次に妖精さん。フェンサーが追加されました。出番あるのかな?上陸作戦くらいしか今のところ使い道なし。

続いて車両だが

裕一「工廠長、これって妖精さんの技術で複製出来ますか?」

工廠長「…あ、あぁ。出来るぞ。」

裕一「鎮守府の防衛戦力として期待出来ると思いますのでぜひ。」

工廠長「提督の許可が出たら行おう。」

最後に一際目立つどデカいミサイル、と言うよりはほぼロケットと言ったほうがしっくり来る、大型ミサイルテンペスト5発

裕一「ちなみにこれは?」

複製出来るか聞いてみる。

工廠長「無理じゃ。」

まぁ、複数出てきてるし、そうポンポンと使うわけでも無いからね。

しかし、これは嬉しい。前から考えていたテンペストの発射基地計画を提案しよう。

裕一「では工廠長、提督の所に報告に行ってきます。」

工廠長「分かった。」

俺は、工廠エリアを後にした。

 

14:35

執務室

中村「また、凄いものが出てきたな。」

中村提督が開発結果の紙を見ながら聴いてくる。

裕一「えぇ。ところで提督。一つご提案が。」

中村「なんだね?」

俺は、題名に[テンペスト発射基地計画]と書かれた計画書を渡す。

裕一「以前から、テンペストが開発された時のために計画したものです。」

内容は、テンペストを格納、発射出来る基地を横須賀鎮守府に設置するものである。計画書の中には地下のスペースが確保出来る場所がいくつか示されており、基地の設計図なども書かれている。

裕一「これから先、深海棲艦との戦闘はますます激化して行きます。その為にもこの計画は重要と考えます。」

中村「ふむ……資材の事が少し心配ではあるが、まぁ、いいだろう。」

あっさりと許可が出た。

裕一「ありがとうございます。基地建設は工廠に頼めば宜しいですか?」

中村「そうだな、私の方から指示しておこう。ところで…」

中村提督が言葉を切り

中村「このテンペストの発射権限は君にあるのか?」

裕一「…もちろん私にもありますが、発射基地は横須賀鎮守府内に造りますし、提督にも発射権限があると見て良いでしょう。」

中村「それは、"横須賀鎮守府司令長官"にあるということだな?」

裕一「えぇ、"横須賀鎮守府司令長官"にあります。まぁ、実質的に国防海軍の上層部や、国防省にも権限があることになるかもしれませんが。」

横須賀鎮守府司令長官に権限があるのなら、国防海軍が横須賀鎮守府司令長官に発射命令を出して撃たせることも出来るということである。

中村「分かった。」

裕一「さきほどの開発結果の通り今のところA1が3発、A2が2発しかありませんので使われる時は慎重にお願いします。」

中村「分かっている。貴重な兵器だ。デスピナ、お前もな。」

裕一「…それはどうも。」

 

その後、工廠へ提督からテンペスト発射基地の建設が命じられ、一週間後に基地は完成し、テンペストも格納された。

発射基地はテンペストのセル×6と、最大で6発のテンペストを格納できる格納庫と発射司令室で構成される。今回開発できたのはA1、A2合せて5発なので、セルには1発分だけ空きがある。発射口や地下基地の外壁は核シェルター並の強度になっていたりする。……本当に核兵器が格納されてるんじゃないかって疑われたりしてね。

 

これで、自分の、ひいては日本国国防海軍側の、深海棲艦に対するカードが1枚増えたことになる。

それは同時に、国防軍は艦娘に頼らずとも自分達で深海棲艦と戦えるカードを、数こそ少ないが手に入れたことも意味する。(まぁ、テンペストの補充には俺が必要であるが。)

裕一「ちゃんと正しく使ってもらいたいけど…。」

一つだけ不安要素があったりする。

 

4日前

ウォースパイト「はい、人間主義団体についての調査書。」

裕一「ありがとうございます。さすがですね。」

ウォースパイトさんに頼んでいた人間主義団体についてMI6妖精さんが調べてくれたのだ。そしてその調査書を受け取る。

封筒に入った調査書の束をパラパラと見る。

裕一「経済界にもある程度侵食。国会議員にもいるんですかー。その上、国防軍内部にもか。」

ウォースパイト「調べてみたら、人間主義団体もなかなかやるようね。」

裕一「しかし、最も気になるのが国防海軍の四分の一が人間主義者ですか。まぁ、思想は自由ですけど…。」

ウォースパイト「でも、艦娘とあまり関わらないところの役職だから大丈夫じゃないかしら。トップのManagement(マネジメント)がしっかりしてるってことでしょうね。」

裕一「高野総長、マジパネっす。」

大体、見終わったので調査書を封筒に仕舞い、ウォースパイトさんに返す。

裕一「しかし、黒幕はまだ分かりませんか…。」

ウォースパイトさんは封筒を受け取り

ウォースパイト「相手がなかなか手強いわ。妖精さんも対抗心燃やしていたわ。」

ウォースパイトさんがその時の様子を思い出したのか、苦笑い。流石は殿下、苦笑いも様になっている。

裕一「とりあえず、引き続きお願いしてもいいですか。」

ウォースパイト「Of course. 引き受けたものはしっかりこなすわ。」

 

時を戻し。

現在、国防海軍の内部にも、かなりの割合で人間主義の者がいる。それを高野総長はしっかり管理・選別し艦娘から遠ざけている。しかし、高野総長もずっと軍令部総長のイスに座っていられる訳では無い。高野総長から別の者になった時、どうなるか。人間と艦娘との間に結ばれている()()()()も、利害関係が一致しているからこそ維持されているが、人間主義の者がトップになった時、その協定が反故にされる可能性もある。そして、俺が持つ技術を奪い、艦娘の立場が悪くなるかもしれない。

だからこそ、衛星兵器については一切の情報を秘匿しているのだ。それこそ、俺の横須賀鎮守府着任を認めてくれた恩人である、中村提督にも…。

まぁ、まだ可能性の段階なので考え過ぎるのも時間の無駄なので、高野総長がまだ元気でいることを願おう。

 

10月8日 09:25

工廠エリア

テンペストの基地が急ピッチで造られ完成した翌日、俺は工廠にいた。今日、ついに俺の艤装の改装が終わったのだ。

副長「デスピナさんー。」

副長が人間サイズになって手を振っていた。君ら身長自在なのか。副長のもとに行き建物内へ

裕一「随分時間がかかったな。」

副長「えぇ、少し改装案に変更が出まして。」

裕一「うん?変更?」

副長「当初はレールガン6基の予定だったのですが、急遽2基を別のものにしたもので。」

裕一「え、何にしたの。」

副長「私的には問題ないと思うので、見てからのお楽しみです。」

そう言うと、俺の艤装が置いてある区画に着いた。

 

オハラ博士「おー!デスピナ君じゃないか!」

裕一「どうも、博士。それで艤装は?」

オハラ博士「素晴らしいものになったぞ!そこのシートの裏に置いてある。」

オハラ博士が結城博士と飯綱博士に目配せをし、2人の博士がシートを取る。

そこには、今までの艤装より兵装の部分が一回りも大きくなった、要塞空母デスピナの艤装があった。

特に目立つのは、ミサイルのハッチが敷き詰められた部分が大きくなり、レールガンが搭載されているサイドアームの数が増え、その増えたものにはレールガンより大きな砲が付いていた。そのため若干他のアームより太くなっていた。

そして、艤装の巨大化に伴う安定性の確保のためであろう、艤装にも脚が2本付きました。

 

ここで、デスピナ第1次改装後のデータを記しておく。

デスピナ級要塞航空母艦一番艦 デスピナ改

機関

重力制御型熱核融合炉

兵装

レールガン砲術システム

·メネス電磁投射砲

·試製型艦砲式ジェノサイド砲

パルスレーザーCIWS

レーザー対空迎撃システム

ミサイル

·対空ミサイル 即応弾150発

·ライオニック巡航ミサイル 即応弾200発

·汎用型ミサイル 即応弾300発

·N6巡航ミサイル 即応弾50発

アスロック 即応弾50発

艦載機 搭載機数 804機

搭載機

·EB-01戦術爆撃機カロン 216機

·BA-05制圧攻撃機アルテミス 108機

·EB-02C高高度爆撃機ミッドナイト 72機

·F/A-63B スカイレイヴン戦闘機 336機

·CH-65大型輸送ヘリ ヒドラ 48機

·AC-20大型攻撃機ホエール 24機

支援兵器

衛星軌道兵器ノートゥング

·サテライトブラスター

·スプライトフォール

·ラグナブラスター

弾薬製造施設

広域多機能レーダー

探知圏内半径500km

高度30,000m

深々度ソナー

探知深度およそ600m

エレメンタル戦術情報演算システムVer.2.1

 

試製型艦砲式ジェノサイド砲

EDFシリーズに登場した、あのジェノサイド砲を艦砲式に改造。弾速は試作型のためレクレイム砲とどっこいどっこい。しかし、その爆破範囲は直径100m、本家とさほど差のない出来上がりになりました。

 

汎用性ミサイル

戦術の幅を広げるためスタンダードミサイルを廃止し、対艦対空の両方に使えるミサイルに換装しました。単独で湾岸戦争のミサイルの雨を再現しよう!

 

裕一「博士、ジェノサイド砲って何してんすか。」

三博士「「「火力足りなさそうだったからー。」」」

裕一「…まぁ、主砲の火力不足は少し気になっていたのでいいんですが。今度からはちゃんと教えて下さいね。」

三博士「「「はーい!」」」

そういえば、

裕一「そう言えば、副長。この艤装って積載量どのくらい? というか、この艤装のステータス知らない?」

副長「はい、こちらになります。」

 

ステータス

耐久 12,350

火力 1,524,759

装甲 310,426

雷装 2,356

回避 125

対空 13,470

搭載 804/3,360 (EDF艦載機搭載時/空母艦娘用艦載機搭載時)

対潜 198

速力 高速

索敵 3,425

射程 超長

運 40

 

積載量 842 TEU (約16,840t)[1TEU当たり約20tとして計算]

 

裕一「……。じゃあ、みんなお疲れ様ー。明日、艤装の試験ねー。」

妖精「「「あ、逃げた。」」」

 

10月9日 15:42

執務室

中村「どうだった?改装された艤装は?」

裕一「装甲も上がり、火力も上がったので満足してます。」

中村「そうか、それはよかった。」

と、中村提督が笑顔になる。

中村「そうだ、デスピナ。ちょっと遠征行ってくれない?」

裕一「やっぱり、資材きつくなりましたか。」

中村「あぁ。当初は艤装の改造だけだったが、あの基地を作る時にかなり資材が飛んでね。鎮守府の資材生成装置と艦娘の遠征だけでは無理がある。」

 

ここで資材について説明しておくと

各鎮守府には1台ずつ、資材生成装置がある。これは燃料、鋼材、弾薬が3分に3ずつ、ボーキサイトが3分に1生成する代物である。しかし、この装置はある一定数になると生成しなくなる。(艦これで言う所の自然回復量である。)

次に、遠征では各遠征場所には資材の出現ポイントがある。そこでは(どう言う理屈かは兎も角)、各資材はもちろん、高速修復剤が手に入るところもある。そこに艦娘達は、護衛なり警備なりの仕事帰りに立ち寄り資材を回収してくる。また、資材だけを取りに行くこともあるのだが。

ちなみに、デスピナの積載量を資材搭載量に直すと187,800程になる。

 

裕一「分かりました。使った分はしっかり回収してきます。」

中村「お!頼むねー。遠征メンバーは、朝潮、霞、綾波、山風、あきつ丸の5人だ。」

裕一「了解です。」

中村「では、明日07:30に出撃ドックに集合してくれ。」

 




今回も変なのが開発されましたが、まだ開発の機械は本気を出していません。
本気を出した時何が出るのかお楽しみに。

あと、積載量の資材数ですが適当です。
艦載機の数についてはちゃんと決まりがありますので。


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第30話 遠征

お待たせしました。

今回で短めですが第3章北方海域編が終わります。
そして、話の半分は次章の予告?のような感じです。




第3章 北方海域編

第30話 遠征

 

10月10日 07:30

工廠エリア 出撃ドック

 

大淀「――では、今回もよろしくお願いします。」

大淀さんから遠征の説明と各道中の注意事項、そして持ち帰ってくる資源について聞き、艦娘が続々と出撃していく。

今回の遠征は全4艦隊。俺を含めて24名の艦娘が従事する。俺達の艦隊は大湊と同時期に新設されたトラック、パラオ、タウイタウイ泊地のパラオ泊地への物資の輸送が任務である。

既に、艤装には資材が積まれている。本来ならば複数回に分けて行われる大規模なものだったが、俺の積載量が凄まじいものだったので今回の1回で済むようだ。

朝潮「デスピナさん。私達も行きましょう。」

裕一「そうだな。」

霞「姉さん、慌てないの。」

綾波「デスピナさん!今回はよろしくお願いします!」

裕一「あぁ、よろしく。そういえば山風と綾波とあきつ丸さんとは初めての出撃か。」

山風「…よろしく。」

あきつ丸「よろしくお願いするのであります。」

裕一「こちらこそ。」

一通り挨拶をし俺たちは、パラオへ出発した。

 

10月11日 10:42

フィリピン海 海上

 

横須賀鎮守府を出発して約26時間経過した。今回の遠征ではパラオまで片道86時間の旅となる。あと、2日と半日ほどで到着する。

綾波「深海棲艦は見当たりませんね。」

裕一「俺のレーダーにも全く見当たらない。しっかりと近海の警備をしているからだろうな。」

ここまで、全く深海棲艦に会わず航行してきた。現在、日本近海は各鎮守府の艦娘が毎日警備をしており、深海棲艦を見つけ次第、撃退しているので安全度が高くなっている。

また、今回新設されたトラック、パラオ泊地が本格的に稼働すればさらに安全性が高まるだろう。

朝潮「そういえば、デスピナさんの装備。さらにでかくなりましたね。」

霞「確かに。」

山風「…とても、大きいです。」

裕一「山風、その言い方はまずい。」

あきつ丸「デスピナ殿のモノは大きいのでありますね。」

あきつ丸は何故か口を開くと下ネタが飛び出す。

裕一「あんたは、喋るな。」

まぁ、こんな感じに楽しく航行しました。

 

10月14日 08:42

パラオ泊地

 

昨日は、パラオ泊地の近くの島で休息をとり、翌日パラオ泊地へ入港した。

五月雨「皆さん、遠征お疲れ様です!秘書艦の五月雨です!よろしくお願いします。」

ここの秘書艦は五月雨。ここの提督は分かっていらっしゃる。ドジっ子だけど一生懸命頑張っているところとかもうたまんないね。さみちゃんマジ天使。

あ、前世で初期艦は五月雨でした。

裕一「横須賀鎮守府所属、旗艦のデスピナだ。早速だか資材はどこに持っていけばいいかな?」

五月雨「はい!こちらです。」

途中に転びそうになるのをヒヤヒヤしながら所定の倉庫に持っていき資材を搬入する。今回は、各種資材20,000と泊地内の建物の建設材料、食料。さらに防衛用の火器などを搬入した。

五月雨「ふわー、凄い積載量ですね!」

裕一「伊達に要塞やってないからね。さて、搬入作業も終わったし、提督に受領書貰いに行きますか。」

五月雨「分かりました。では、ご案内しますね。他のみなさんは妖精さんが食堂まで案内するのでお寛ぎ下さい。デスピナさんが戻ったあとお部屋を案内しますね。」

朝潮達と一旦別れ、パラオ泊地の提督の執務室へ向かった。

 

09:52

パラオ泊地 執務室

 

田中「ようこそ、パラオへ。提督の田中 和人だ。」

見た目は好青年、しかし雰囲気からはなかなか鋭い人物であることが伺える。

裕一「はじめまして、田中提督。横須賀鎮守府所属、要塞空母デスピナです。」

田中「噂は聞いているよ。伊豆半島沖防衛戦、沖ノ島海域奪回戦、北方防衛戦、キス島撤退戦。ココ最近の作戦成功の立役者。」

裕一「それほどの評価を頂いているとは恐縮です。」

田中「そう謙遜する事はありませんよ。現に、奪還には数年かかると言われた深海棲艦の勢力圏を、わずか半年ほどで縮小させたのだから。司令官としても、中々優秀かもしれませんね。」

裕一「流石に買いかぶりすぎですよ、田中提督。自分はタダの艦息です。」

互いにニッコリとしながら微笑む。先に白旗を挙げたのは田中提督だった。

田中「これ以上は互いに無益だね。」

裕一「ですね。」

田中「おそらく、またお会いすることなるでしょうから、その時にゆっくりとお話しましょう。」

裕一「また?」

田中「えぇ。実は、近く西方で大規模な作戦が始まります。」

裕一「なるほど。それで今回の遠征ですか…。」

田中「統合参謀本部は北の戦線の一時後退によって戦線維持がしやすくなりましたから、先に西を一気に片付けたいのでしょう。」

裕一「やはり、資源関連ですかね…、それとも、欧州を見据えてですか?」

田中「私は欧州を見据えてだと考えています。資源は現状問題ないですから。」

主に君のおかげでねと一言付け加え、田中提督が立ち上がる。話はここまでのようだ。

田中「今日はしっかりと体を休めてください。」

裕一「ありがとうございます。一日お世話になります。」

最後に互いに握手を交わして執務室を退室した。

 

12:21

パラオ泊地 食堂

 

朝潮「あ、デスピナさーん、こっちです!」

裕一「お待たせ。朝潮と霞と一緒に食事をとるのは久しぶりか。」

朝潮「はい。」

綾波「私と山風ちゃん、あきつ丸さんは初めてですね。」

裕一「そういえばそうだね。前の時は他の娘が多かったからね。まともなのは今回が初めてだな。」

あきつ丸「デスピナ殿。ハジメテなので優しく-」

裕一「はいはい、じゃあ、いただきます。」

「「「いただきます」」」

 

霞「デスピナさん、ここの提督と随分長く話してたみたいだけど。何かあったの?」

全員が食べ終わり食後のティータイムとなり、雑談をしていた時に霞から尋ねられた。

裕一「あぁ、君の噂は聞いているよーって話。」

朝潮「さすがはデスピナさんです!」

隣に座っている朝潮が目をキラキラと輝かせて言う。

綾波「私、この前秘書艦をしていた時聞いたんですが、デスピナさんが昇進するかもしれないと聞きました。」

山風「…デスピナさん、すごい。」

裕一「へえー、給料あがるのかー。」

艦娘が昇進するには、1年ごとに遠征や通常出撃任務の実績、大規模作戦への参加数、MVP取得数などから各鎮守府で5、6人選ばれ、国防海軍人事部で精査されて通過すれば晴れて昇進する。しかし、昇進は艦娘にとっては実質お給料が上がるだけのものなので、それ以外には特段意味が無かったりする。

霞「まぁ、私達艦娘にとってはお給料が上がるだけだしね。」

裕一「そういえば、みんなお給料の使い道は?」

朝潮「私は、お洋服や小物などの必要な物が中心ですね。ここ最近は料理の本を買ったりしてますね。」

綾波「私はアニメのグッズをよく買ったりしてますね。」

裕一「へぇー、ちなみに何のアニメ?」

綾波「エ〇ァンゲリオンです!」

綾波さん、それって…

裕一「…好きなキャラは?」

綾波「綾波〇イです。」

裕一「やっぱり? 俺も〇ヴァ好きだから今度語り合おうよ。」

綾波「はい、楽しみにしてます!」

裕一「山風と、霞は?」

山風「私は…ぬいぐるみかな?」

霞「私は…その…本、よ。」

うん?何か歯切れが悪いな…。まぁ、聞かないでおこう。

あきつ丸「自分は、(ピーー)や、(ピーー)、(ピーー)を買っているであります!」

裕一「あきつ丸、少し黙って。」

俺は目を細めてあきつ丸を睨む。

あきつ丸「デスピナ殿が自分を蔑んで…ハァハァ」

もうダメだこの娘。陸軍が恋しいのか完全なマゾになってやがる。

 

10月17日 08:23

 

パラオ泊地を出発して2日後、俺は資材の出現ポイントのある小島に来た。

裕一「あそこがポイントか。案外普通だな。」

綾波「はい、島に上陸して少し行くと資源が山積みになっている所があるんです。」

裕一「そうなんだ。それを必要数持って帰ればいいんだね。じゃあ、打ち合わせ通り朝潮、霞、綾波、山風は周りの警戒をよろしく。」

朝潮、霞、綾波、山風「「「「了解」」」」

あきつ丸「では、行きましょうデスピナ殿。」

俺とあきつ丸は島の内部に歩き始めた。

 

数分後

海岸から100m程歩いたら実際に資源が山積みになっていた。

鋼材やボーキサイトはインゴットや塊のまま、弾薬は箱が積み上げられており、燃料はドラム缶が多く並んでいた。

 

ちなみに、燃料はドラム缶1つにつき数量は50、弾薬も1箱につき50。鋼材やボーキサイトは、インゴット1つにつき10らしい。

 

裕一「あきつ丸さんは、鋼材とボーキサイトをそれぞれ480ずつ集めて下さい。」

あきつ丸「了解であります。」

今回は、燃料5,000、弾薬7,000鋼材22,700、ボーキサイト2,400を集めることになっている。

俺もさっそく集める。方法は簡単。資源に手を触れれば艤装に回収される。まるで掃除機の様だ。まずは、燃料5,000、ドラム缶100個。次に弾薬140箱。鋼材2,220個、ボーキサイト192個を回収していく。デスピナの艤装の積載量がとんでもない量であるかがよく分かる。

 

1時間ほどで目的量を回収し終える。若干艤装が重く感じたが、行動に支障はない。海岸に戻り、横須賀鎮守府への帰路についた。

 

10月20日 11:42

横須賀鎮守府 本館 執務室

 

パラオ泊地を出発して5日、ようやく横須賀鎮守府へ帰ってきた。

工廠エリアで資源庫に資源を置き終わり、遠征の報告のため執務室に来ていた。

裕一「今回の遠征の報告書です。」

中村「お、ご苦労。いやー、デスピナがいるだけで1回の遠征の収支が大黒字になるよ。」

中村提督が報告書にサインし処理済みの書類の上に置く。

中村「さて、流石に疲れただろう。明日は非番だからしっかりと身体を休めてくれ。」

裕一「了解です。」

すっかり慣れた敬礼をして答える。半年前まで高校生だったが、今はもうすっかり軍人らしくなったと我ながら思う。中村提督が答礼し、話し始める。

中村「さて、デスピナ。もう誰かから聞いていると思うが昇進が決まったぞ。2階級昇進して大尉相当になった。」

裕一「大尉ですか? 私まだ死ぬつもりはありませんよ。」

中村「ははは、それだけデスピナの功績が凄かったって事だからな。当然と言えば当然だろう。」

何か釈然としないが、まぁ、悪いことではないのでこれ以上は聞かないでおく。

裕一「そうですか。要塞空母デスピナ、海軍大尉を拝命します。」

中村「うん。さらなる活躍を期待する。」

 

中村「あ、そうだ。給料の方は来月から反映されるから。」

金額の確認は来月になりそうだ。

 

 

11月25日 09:42

国防省

 

国防省のある会議室、円卓となった机が中央にあり、そこには陸軍参謀総長、海軍軍令部総長、空軍総司令のトップ3人が座り、円卓の周りを囲むように陸、海、空軍の幕僚が座っている。

国防軍統合参謀本部、国防軍の最高幕僚機関である。ここは、全体の戦略方針を決める他、今回のように陸、海、空軍合同の作戦時の最高司令部になる。

また、統合参謀本部の下に作戦局、戦務局、情報局、人事局がある。

ちなみに、統合参謀本部は第二次深海大戦にて、各軍の連携の難しさや政府の優柔不断さから、1部の軍政と軍令を掌握するため統合幕僚部から変わったのだった。当初はシビリアンコントロールが失われるなど世間では騒がれていたが、その時は既に深海棲艦の脅威が大きく、現在まで黙認された形になっている。

 

そして、今日とある作戦の会議が行われようとしていた。

海軍将校「ではこれより、西方方面反撃作戦の合同作戦会議を始めます。」

パラオ泊地の提督が言っていた大規模作戦。それがこの作戦である。

高野総長「では、まず私から今作戦の大体の流れについて改めて確認の意味も込めて説明する。」

今作戦は、全部で4の段階に分けられる。

 

第1段階 ジャワ島攻略

現在、西方の最前線はタウイタウイ泊地である。そこを拠点にまず、マカッサル海峡を通りジャワ海に進出し、制海権をとる。次にジャワ島の東部スラバヤに国防陸軍が上陸し、島民の確認を行う。それと同時に簡易的な補給基地を設営しつつ、首都ジャカルタへ向かう。

 

第2段階 マレー島攻略及びマラッカ海峡突破

深海棲艦の主力部隊のいるマラッカ海峡突破のためまず、マレー島の東側の沿岸の制海権を取り、再び陸軍が上陸し半島の西側に航空基地を設営する。

次に、空軍の戦闘機及び海軍の陸上攻撃機(妖精さん達)の航空支援の下、マラッカ海峡の主力部隊を殲滅し、海峡封鎖を解除する。

 

第3段階 リランカ島攻略(セイロン島攻略)

深海棲艦のベンガル湾及びアラビア海をつなぐ拠点がリランカ島にあると考えられる。

まず、艦娘の航空隊及び海軍陸上攻撃機、空軍の戦闘機による空襲にて敵の航空基地を無力化。その後陸軍などの上陸部隊による敵の殲滅にあたる。

 

第4段階 掃討戦

西方海域全体にて深海棲艦の掃討を行い、リンガ、ブルネイ泊地を整備し西方の拠点を確立する。

潜水艦によるマダガスカル島周辺海域の確認を行う。

 

 

高野「以上が今作戦の概要です。続いて今作戦に参加する戦力ですが…」

 

今作戦参加戦力

 

国防陸軍

▪第3師団

·3個歩兵連隊

·1個戦車大隊

·2個砲兵大隊

·1個施設大隊

·1個後方支援連隊

▪第6師団

·3個歩兵連隊

·1個戦車大隊

·2個砲兵大隊

·1個施設大隊

·1個通信大隊

·1個後方支援連隊

▪第7師団

·3個戦車連隊

·1個歩兵連隊

·2個砲兵連隊

·1個後方支援連隊

 

歩兵 14,423名

戦車 90式戦車…142両、74式戦車…156両

車両 73式トラック…186台、高機動車…72台、96式装輪装甲車…125台、93式近距離地対空誘導弾…86台

砲兵隊 155mm榴弾砲FH70

など

 

国防海軍

海上戦力

▪横須賀鎮守府 73名

▪呉鎮守府 62名

▪舞鶴鎮守府 64名

▪佐世保鎮守府 69名

▪パラオ泊地 18名

▪タウイタウイ泊地 22名

 

参加艦娘 307名 戦艦…26名、空母…36名、重巡…58名、軽巡…63名、駆逐艦…92名、潜水艦…24名、補給艦·工作艦·揚陸艦·潜水空母…7名、要塞空母…1名

 

護衛艦 いずも型2隻、きい型(航空機搭載型)2隻、海龍型(揚陸艦)4隻、あたご型4隻、はぐろ型(ミサイル護衛艦)3隻

補給艦 18隻

 

航空戦力

一式陸攻…157機、一式陸攻二三型甲…107機、三式戦飛燕…85機、一式戦隼三型甲…71機

 

陸上戦力

デスピナ所属

レンジャー妖精…142名、フェンサー妖精…74名、エアレイダー妖精…42名

妖精砲兵隊…大型榴弾砲、カノン砲C

車両 E551ギガンテスJ3…40両、武装装甲車両グレイプRA…32両、ネグリング自走ロケット砲D1…42台

 

国防空軍

戦闘機 F-15J…36機、F-35A…46機

輸送機 C-130H…58機

早期警戒管制機 E-767…8機

輸送ヘリ CH-47J…46機

給油機 KC-46…24機

 

 

宇垣参謀総長「相変わらず、海軍の戦力はすごいな。」

坂井総司令「宇垣、10式出せないのかー?」

宇垣参謀総長のつぶやきに国防空軍の坂井総司令が話す。

宇垣参謀総長「いやね、10式大破したら色々大変だからな。 今回は無理。」

高野総長「坂井さん、変わりにうちから戦車出してますから。心配しないで下さい。」

高野総長が間に入る。

坂井総司令「確か、ギガンテス…と言ったか。戦車にしては小型で、120mm搭載して機動力もなかなかだな。いっそのこと、ギガンテス量産しないか?」

坂井総司令が資料のギガンテスのスペックが書かれたページを見ながらボヤく。

宇垣参謀総長「陸軍としては、空軍の意見に賛成である。」

宇垣参謀総長がノリで言い始める。

高野総長「それについては、別の機会に話そう。今は、作戦だ。」

高野総長が脱線した話を元に戻す。

高野総長「戦務局長、物資の輸送状況はどうなっている?」

戦務局長の陸軍戦務部長が報告する。

戦務局長「現在海上、航空輸送によって8割がた完了。タウイタウイ泊地及びパラオ泊地の工事も作戦開始前までに終わる見通しです。」

空軍将校「よろしいですか? 航空輸送ですが、ここ最近深海棲艦の航空機による攻撃が増えています。今のところは撃墜されていませんが、海軍の方から護衛の戦闘機を増やしていただきたい。」

坂井総司令「私からもお願いする。」

高野総長「そうですね、各鎮守府に空母艦載機の護衛を追加させます。一応、航空哨戒も密にしましょう。」

と、この後3時間作戦の細かいところを詰めた。

 

高野総長「これくらいかな。作戦自体はかなり練り込んであるからこれで問題ないだろう。」

宇垣参謀総長「そうだな。だが…」

坂井総司令「本土防衛だな。主力が離れている間に大規模な侵攻なんてされたら、たまったものじゃないからな。」

高野総長「それについてだが、北方は戦線後退させたことによって警戒態勢に多少余裕が出てきた。憂いは絶ってある。」

宇垣参謀総長「もちろん、お前の事は信用している。だが万が一がないとも限らない。」

高野総長「分かっている。まぁ、今は祈るしかないな。では、これで作戦会議を終了しよう。」

 

 




そういえば、国防海軍まだ護衛艦残ってたのね。

さぁ、次回からは第4章 西方海域編 『西方方面反撃作戦』が始まります。
第4章は長くなる予定です。
その章が終わると…まぁ、そこはお楽しみに


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第4章 西方海域編 西方方面反撃作戦
第31話 西方方面反撃作戦 準備1


読者の皆様、お久しぶりです。
そして、お待たせしました。第31話です。

今話からいよいよ第4章 西方海域編 となります。
私としては、この章は戦闘多めで行きたいなー…。なったらいいな…できるように頑張ります。

あ、あと三博士が画期的な開発してます。
やったね!裕一君。自重なんて忘れてしまえ!

では、本編をどうぞ



第4章 西方海域編

第31話 西方方面反撃作戦準備1

 

11月30日 10:00

横須賀鎮守府 グラウンド

 

冷たい風が吹く中、横須賀鎮守府所属の全艦娘がグラウンドに集まっていた。

中村「昨日、国防軍統合参謀本部から通達があった。」

中村「北方方面の戦線後退と敵の戦力の弱体化から統合参謀本部は年明けに西方方面への陸、海、空軍の大規模戦力を動員し西方方面への反撃作戦を行うことが決まった。」

艦娘達がざわつき始める。

裕一(いよいよ、西方か。)

中村「今作戦は、深海棲艦の出没から初めての3軍が連携して行う作戦となった。それだけ、今作戦は非常に重要なものである事は分かるであろう。」

中村「我が横須賀鎮守府は主力メンバーを総動員して今作戦に参加する。この後、参加メンバーを発表するが、参加メンバーはこれまで以上に念入りな準備を求める。では、長門。」

長門「今作戦の参加メンバーを伝える。戦艦組から、大和、武蔵、扶桑、山城、アイオワ、ウォースパイト。」

「空母は、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴、大鳳、サラトガ、千歳、千代田、瑞鳳、龍鳳。」

「続いて重巡。妙高、那智、足柄、羽黒、古鷹、加古、青葉、衣笠、鈴谷、熊野、ザラ、ポーラ。」

「軽巡組は、川内、神通、那珂、北上、大井、木曽、長良、名取、五十鈴、阿武隈、鬼怒、阿賀野、能代、矢矧。」

「駆逐艦、綾波、暁、ヴェールヌイ、初霜、時雨、夕立、山風、朝潮、大潮、荒潮、霞、雪風、時津風、天津風、浦風、磯風、浜風、秋月、照月、初月。」

「潜水艦、伊168、伊58、伊19、伊8、伊401、呂500。他に、工作艦明石、揚陸艦あきつ丸、要塞空母デスピナ、以上72名が作戦参加メンバーである。この後、詳細を第1会議室で伝えるので集合せよ。では解散!」

 

横須賀鎮守府 第1会議室

中村「では、まず今作戦の編成を伝える。第1艦隊、大和を旗艦とし、武蔵、アイオワ、ウォースパイト、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、那智、足柄、古鷹、加古、川内、神通、木曽、長良、能代、暁、ヴェールヌイ、初霜、時雨、夕立、照月、初月の24名。」

「次に第2艦隊、大鳳を旗艦とし、サラトガ、千歳、千代田、鈴谷、熊野、那珂、名取、大潮、荒潮、時津風、天津風の12名。」

「第3艦隊、扶桑を旗艦とし、山城、妙高、羽黒、青葉、衣笠、北上、大井、雪風、浦風、磯風、浜風の12名。」

「第4艦隊、ザラを旗艦とし、瑞鳳、龍鳳、ポーラ、五十鈴、阿武隈、鬼怒、阿賀野、矢矧、綾波、山風、霞の12名。」

「第5艦隊、デスピナを旗艦とし、翔鶴、瑞鶴、朝潮、秋月、あきつ丸、明石の6名。明石は、あちらでは戦闘に参加しないので実質5名だ。」

「最後に第6艦隊は、伊58を旗艦とし、伊168、伊19、伊8、伊401、呂500の6名だ。」

部屋が暗くなり、スクリーンが降りてきてプロジェクターが起動する。

中村提督が会議室のスクリーンに西方方面の海域図を出す。

タウイタウイ泊地から海峡を通りジャワ海に出るように矢印が伸びる。

中村「続いて今作戦の詳細を伝える。まず第一段階、ジャワ島攻略。目的はインドネシア国民の生存確認及び、簡易補給基地の設営だ。我々、海軍の仕事はマカッサル海峡とジャワ海の制海権の確保だ。ここでは、第1艦隊を主力とし、第3艦隊が陸軍を乗せた揚陸艦を護衛するために参加する。」

次に、ジャワ海からマレー島沖に矢印が伸びるものと、シンガポールのある辺りに伸びる矢印が表示され、その後、一つの矢印となって、マラッカ海峡に伸びている。

中村「次に、第二段階、マレー半島攻略及びマラッカ海峡突破。ジャワ海を経由してまず、マレー半島東部沖の制海権を確保。その後、シンガポール辺りにある敵の航空基地を叩く。その後、航空基地を確保する。その後、航空支援の下、海峡に居座る敵の主力艦隊を撃滅する。第1、第2、第3艦隊はマレー半島東部沖の制海権の確保及び敵の主力艦隊の撃滅に。第4艦隊は陸軍の護衛に。第5艦隊は、敵の航空基地の無力化もしくは破壊。第6艦隊は、全体の側面支援となる。」

中村「ちなみに、第二段階終了後、リンガ島に簡易的な基地を建設する予定だ。そこが次の段階の前線基地になる。」

そして、スクリーンは次の物へ。中村提督が言ったリンガ泊地からマラッカ海峡を経由してリランカ島とセイロン島、正式名スリランカ島へ矢印が伸びる。

中村「第三段階、リランカ島攻略。ベンガル湾、アラビア海をつなぐ深海棲艦の拠点がこの島にある可能性が高いとの推察が国防海軍で出ていた。そして今回、その存在が確認された。これに伴い、リランカ島にある基地を即時に無力化もしくは破壊することになった。まずベンガル湾において制海権の確保もしくは、深海棲艦の数を減らし、陸軍がリランカ島へ上陸する。そして敵の基地を無力化する。第1、第2、第3、第4艦隊は制海権確保に。第5艦隊は陸軍の護衛をしつつ、共に敵基地への攻撃に参加する。」

最後に、西方方面全体の海図に変わる。

中村「最後の第四段階は、西方方面の深海棲艦の数を減らすための戦い、掃討戦になる。そして、第6艦隊はマダガスカル島の辺りに出撃してもらう。」

スクリーンが上がり、部屋が明るくなる。

中村「ここまでが今作戦の流れだ。質問のある者は?」

裕一「はい。第三段階において第5艦隊は陸軍と共に攻撃に参加とありましたがそれは、ミサイルや砲撃による支援のことですか?」

中村「もちろん、それも含まれるが。デスピナ、確か歩兵の妖精を持っているよな?」

裕一「えぇ、レンジャー妖精、エアレイダー妖精、フェンサー妖精がいます。」

中村「統合参謀本部は、妖精達も上陸作戦に参加出来ると判断した。作戦までに、妖精達の上陸作戦の訓練を行わせてくれ。統合参謀本部からは、陸軍の訓練に参加できるように手配は済ませてあるそうだ。」

裕一「了解しました。」

中村「あ、そうだ。皆に1つ伝え忘れていた。」

質問されて、なにかを思い出したのか、再び中村提督が説明する

中村「今作戦では、艦娘と陸軍、海軍、空軍の初の共同作戦となる。そのため、いくつかテストをしつつ、作戦を行う。一つは、各軍の連携による戦術のいくつかのテスト。これは、まぁ、気にしなくていい。次に今作戦では、横須賀鎮守府所属の参加艦娘の一部にデスピナが開発した装備の実戦テストがある。該当者は後で追加の説明があるので残ってくれ。」

該当者として、アイオワ、妙高、足柄、が呼ばれそれ以外は解散となった。

 

12:32

横須賀鎮守府 食堂

 

瑞鶴「いよいよ、西方かー。」

瑞鶴がオムライスを食べながら呟く。

瑞鶴「ついこの間まで沖ノ島がどうたら言ってたのに、もう西方にまで進出しようとしてる。ほんと、改めてデスピナさんのお蔭ね。」

裕一「自分でも、驚くほどの戦果だよ。」

そう言って、鯖の味噌煮を箸でつつく。

裕一「それよりも、今回の作戦立案って統合参謀本部だったから、軍は本気で西方を取りにいくつもりだよなー。」

瑞鶴「資源目的かな?資源ポイントからの供給が間に合わなくなってきたのかな。」

瑞鶴が理由を予測してみる。そこに翔鶴さんが付け加える。

翔鶴「それもあるかもしれないけど、多分欧州じゃないかしら?今回はその下準備になるのではないかしら。」

裕一「欧州、ですか…。まだまだ先になりそうですね。」

そう言いつつ、ウォースパイトさんとの約束もあったな、と思った。

続けて、瑞鶴が先程のことを話題にする。

瑞鶴「そういえば、デスピナさんの開発した兵器、実戦での評価取るみたいだけどなんでわざわざ作戦の時にやるんだろう?」

翔鶴「瑞鶴の言う通り、あれは不自然よね。」

と翔鶴が同意を示す。

裕一「多分ですけど、中村提督は他の鎮守府に見せつけたいんじゃないですかね。」

瑞鶴「でも、わざわざ作戦中にテストするー?そう言うことは、あらかじめテストしてから実戦配備するのが普通じゃない?」

裕一「まぁ、確かにね。いったい、何を考えているのかな?」

と、昼食を食べ終え話は終わりとなった。

 

12月1日 10:25

自室

裕一「さて、妖精諸君。昨日、西方方面への大規模攻勢が決まった。」

部屋にあるテーブルの周りに副長をはじめ、砲雷長、航空参謀、各航空大隊の隊長、三博士、そして、今回初登場の機関長とレンジャー、フェンサー、エアレイダーの各部隊長のデスピナの幹部妖精達が人サイズになって集まっていた。

砲雷長「いよいよ、ですか。」

それに副長が頷き、

航空参謀「裕一さん、空爆はどれ位できますかー?」

その問いに各航空大隊長が目を輝かせてこちらを見て、

オハラ博士「僚艦の艦娘、魔改造する?しちゃう?やっても良いですか?」

と三博士が魔改造案を出してきたり、

白ひげを生やした機関長が温かい目でみんなを見ていたり。

とても個性のある反応だ。

それより、機関長が妖精特有の性別がわからない状態ではなく、バッチリ男であることが分かる。

裕一「まずは、提督から伝えられた作戦の内容とスパコンでの計算結果を見てくれ。」

そう言って、俺はテーブルの上に不自然にあるコンソールを操作する。すると、テーブルの上部がスライドし、下にはテーブルの大きさとほぼ同じサイズの画面が出てきた。

実は、自分の自室を俺と妖精達で案を出して魔改造したひとつである。

テーブルの横にあるアダプターの接続部分にUSBメモリーを差し込み、今作戦の作戦内容が書かれた文書と海図データを表示。それと同時にデスピナの艤装にあるスパコンでの作戦推移予測も出しておいた。

裕一「作戦内容は、見ての通りだ。」

妖精達が画面を見たり、画面を操作して海図を拡大したりしている。

副長「見たところ、特に不備は無いですね。」

航空参謀「うーむ、空爆が足りない。」

レンジャー部隊長「いよいよ、我々の出番ですね!かなり前から待ってました!」

裕一「副長が言った通り、不備はない。だが、ここにはフォーリナーの参戦を想定していない。いや、想定出来るはずもないか。」

俺の口からフォーリナーと言う単語が出た途端、全員の顔に緊張が走る。

砲雷長「ということは…」

裕一「我々は今作戦の遂行中の間、フォーリナーの参戦の可能性が高いものとして万全の体制で望まなければならない。そして…」

俺は、画面を操作してスリランカ島周辺の海図を表示する。

裕一「フォーリナーが参戦してくる可能性が最も高いのが第三段階だと俺は、考えている。」

機関長「裕一殿。その根拠は?」

裕一「前回の北方での戦いの時、奴らが現れたのが敵の基地を破壊した後だった。まず、ここで奴らが深海棲艦と協力関係であることは分かる。それよりも前、俺たちが北海道に侵攻してきた敵の大規模艦隊を殲滅しても奴らは現れなかった。よって、第1、第2段階での参戦は可能性としては低いと思う。」

そして、その次の言葉を副長が言う。

副長「それで、敵の基地攻撃である第三段階でフォーリナーが出てくると。」

裕一「ああ。」

俺は、また画面を操作して今度はいくつかのデータを表示する。

裕一「そして、フォーリナーが参戦した場合、どういった戦力がでてくるかも予測した。」

画面には、銀色の飛行物体の飛行ドローン、そして同じ形で赤色に塗られたレッドカラードローン。地上戦力として二足歩行兵器ヘクトル。そして輸送の役割を担う輸送船、キャリアーのEDFのデータが表示されていた。

裕一「あくまで予測であってその通りに出てくるかは分からないが、現時点で出てくる可能性のあるものだ。」

フェンサー部隊長「我々は元々フォーリナーとの戦闘が任務だった。この世界でも出てくる事が分かっているならば対応はできる。だが…」

フェンサー部隊長の言葉に続けてレンジャー部隊長が言う。

レンジャー部隊長「現状の装備では火力不足が否めません。」

裕一「それは理解している。それでだ。」

三博士に目を向け、

裕一「三博士、開発機はランダムになっていますが、狙った装備を引き出すことは出来ますよね?」

結城博士「可能だ。この前工廠に忍び込んで調べたらある方法でできる。」

なぜ、忍び込んで調べたのかは愚問かな?工廠長は喋ってくれなさそうだし。

裕一「その方法は?」

飯綱博士がなぜか腹の部分にあったポケットからある装置を取り出す。

飯綱博士「チャララチャッチャチャー、乱数制御装置。」

オハラ博士「説明しよう!開発装置は開発の艦娘、資源の量などから乱数を当てはめていき、装備を作る。そこでこの乱数制御装置を開発機に取り付け、欲しい装備を設定すると、自動で乱数調整を行い、目的の装備を作ることが出来るのである。」

と三博士がドヤ顔してくる。

裕一「ありがとう、三博士。ということで、乱数制御装置を使って近く追加の開発を行うので問題ない。」

三博士に礼を述べ、

裕一「これより、我々はフォーリナーへの対策のため装備の新調及び訓練を実施する。各員、作戦開始までに万全の体制を整えろ!」

「「「「「「了解!」」」」」」

全員が敬礼し、俺も答礼し作戦会議が終わった。

 

12月3日 10:02

横須賀鎮守府 工廠エリア

 

裕一「工廠長、今日もよろしくお願いします。」

工廠長「あぁ、それにしても今回はお前さんから提督に頼んだのか。」

裕一「えぇ、次の作戦は俺も万全の体制を整えたいので。」

そう話しながら、開発機の前までやってきた。

工廠長「今回は、レシピ指定なしの10回。では、始めようか。」

裕一「はい。」

早速、開発機のメーターの所に乱数制御装置を接続し、乱数制御装置から欲しい装備を入力する。

すると、勝手に資材数が設定される。今回は、燃料10、弾薬248、鋼材124、ボーキサイト73である。そのまま、レバーを下ろす。

チーン

とお馴染みの音がなり、扉が開く。今回開発したのは─

 

Lv64 AF99

弾数 160発

発射速度 15.0 発/秒

射程 240m

精度A

ズーム 2倍

 

続けて、燃料10、弾薬180、鋼材154、ボーキサイト98

 

Lv70 ライサンダーF

弾数 7発

発射速度 0.3 発/秒

射程 975.0m

精度S+

ズーム10倍

 

次は、燃料80、弾薬268、鋼材159、ボーキサイト214

 

Lv47 MLRA-TW

弾数 20発

発射速度 10.0×20 発/秒

爆破範囲 半径1m

ロックオン 250m/20体/0.1秒 (距離/最大数/時間)

誘導性能B-

 

その他にも以下の装備を開発した。

 

Lv67 リムペット·スナイプガンMA2

設置数 2

連射速度 1.5 発/秒

爆破範囲 半径2.5m

 

Lv46 ZERA-GAN

設置数 2

弾数400

探知距離 300m

 

Lv50 スパインドライバーM3

弾数 7

連射速度 0.9 発/秒

射程 80m

 

Lv57 タワーシールド4E

耐久 7,000

防御角度 150

防御率 85

反転範囲 大

 

Lv65 FG20ハンドガトリング

弾数 480

連射速度 20.0 発/秒

射程 240m

精度B-

準備時間 1秒

 

Lv68 ガリオン速射機関砲M2

弾数 40

連射速度 6.0 発/秒

射程 495m

精度 B-

 

Lv70 35ミリ ガリア重キャノン砲

弾数 10

連射速度 0.3 発/秒

射程 1,020m

精度S+

 

 

開発を終え、工廠長に1枚の紙を渡す。

裕一「では、工廠長。開発した装備をこの数だけ複製をお願いします。」

工廠長「ずいぶんと用意がいいな。提督は?」

裕一「問題ありません。許可は貰っています。」

工廠長「そうか、三日ほどですべて複製し終えるからまた取りに来てくれ。」

裕一「ありがとうございます。」

工廠長にお礼を述べて工廠施設から出た。

 




そういえば、そろそろ設定集更新しなきゃ
11月23日 更新しました。

11月30日
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第32話 西方方面反撃作戦準備2

お待たせしました。第32話です。



第4章 西方海域編

第32話 西方方面反撃作戦準備2

 

12月10日 13:42

東京都小笠原村 硫黄島 北東5km地点

 

工廠で武器の複製が終わり、妖精達の武器の取り扱いが確認を終え、今日から硫黄島において1週間の上陸訓練をはじめとして、様々な訓練を行う。

 

舞台は、小笠原諸島の硫黄島。2018年頃、大噴火を起こしその影響で元の世界の硫黄島より少し大きくなっている。その後、海底火山は死火山となり今では普通の島になっている。

元の世界では、ここには自衛隊の基地があったが、噴火の際に無くなり、それ以降深海棲艦の出現などから再建されること無かった。

現在は、周りに何も無いので、本島では出来ない大規模な演習が行える演習地になっている。

 

今回の訓練には、俺、デスピナの艤装妖精達、レンジャー、エアレイダー、フェンサー妖精達以外にも参加している者達がいる。

あきつ丸「デスピナ殿、上陸部隊の準備が整ったであります」

明石を除く第5艦隊のメンバーである。

裕一「了解。翔鶴さん、瑞鶴。島周辺の状況は?」

島の北西にいる翔鶴さん。島の南側にいる瑞鶴に無線で連絡を取る

翔鶴『はい。硫黄島周辺30kmに深海棲艦は確認しませんでした』

瑞鶴『こっちも、同じ』

裕一「了解、偵察機は部隊の上陸まで引き続き警戒を。」

朝潮と秋月は翔鶴と瑞鶴にそれぞれ護衛として付いている

裕一「では、これより上陸作戦演習を開始する」

そう宣言し、コマンドを展開する。

裕一「総員、対空対地戦闘用意!第一次攻撃隊発艦はじめ!」

飛行甲板が展開され、カロン2個大隊72機、護衛機としてスカイレイヴン4個大隊144機が発艦する。

他にも翔鶴さんの彗星一二型甲24機、烈風18機。瑞鶴からも同じく彗星一二型甲24機、烈風18機が発艦したことをレーダーで確認する。

 

さて、今演習の上陸作戦は、島の中央部にある敵航空基地を無力化。その後、北東の浜辺から上陸部隊が大発動艇とヒドラを使って上陸。橋頭堡を確保し島の中心部の敵航空基地を制圧。

これが今日行う演習である。

カロン1-01妖精『ボマー1-01からビッグフォートレスへ。目標を視認』

 

今演習に合わせてコールサインを決めた。カロンはボマー。スカイレイヴンはファイター。ヒドラはポーターズ。ミッドナイトはそのまま。アルテミスもそのまま。ホエールもそのままである。ちなみにビッグフォートレスはデスピナこと俺だ。

コールサインの横の数字は、左から所属大隊、何番機かを表している。

 

裕一「こちらビッグフォートレス、了解。第一次攻撃隊全機へ通達。攻撃を許可。繰り返す、攻撃を許可する」

『『『『『『了解!』』』』』』

 

カロン全機が八方位に分かれ、次々と空爆を開始する。

ちなみに、演習は極めて実戦的な演習のため、全機実弾である。

目標の元硫黄島航空基地が空爆によりあちこち穴だらけになり、滑走路を使用不可能にする。カロンによる攻撃の後、彗星一二型甲48機による基地施設への急降下爆撃も行い、完全に破壊した。

第一次攻撃隊が戦果を確認し、全機帰投する。

 

スカイレイヴン1-23『ファイター1-23からビッグフォートレスへ。敵航空基地を無力化。上陸部隊を送られたし』

裕一「ビッグフォートレス了解」

今は、北東の浜辺から2kmの地点にいる。

裕一「ヒドラ全機発艦はじめ」

続いて、ヒドラ48機が上部甲板から離陸する。

ヒドラの人員輸送型は乗員24名で今回は48機のうち5機が人員輸送型になっている。残りは、ギガンテスJ3を20両、グレイプRAを18両、ネグリングD1を5両を輸送している。

あきつ丸からは、残りの妖精と砲兵隊が大発動艇、特大発動艇を使って輸送する。

あきつ丸「さぁ、大発の皆さん行くでありますよ!」

あきつ丸の艤装から小さな大発達が発進して行き、100m進んだところで元の大きさになって浜辺へ向かっていった。

 

14:02

硫黄島 北東海岸

 

大発動艇が海岸に上陸し、レンジャー妖精と、フェンサー妖精120名が次々と上陸していく。それと同時に島から銃撃が始まる。

島には無数にZEシリーズが設置され(こちらは訓練弾)、上陸部隊を襲う。

フェンサー部隊がすぐさまタワーシールドを展開し、これを防ぐ。

その隙に、レンジャー部隊が射撃を開始する。AF-99を弾幕の出ている方向に向かって連射する。別のレンジャー妖精はゴリアスZを撃ち込み、複数のZE-GUNを沈黙させる。

弾幕が薄くなり始め、フェンサー部隊もタワーシールドを構えながら、もう片手に持っているFG20ハンドガトリングを撃ち始め弾幕を形成し始めた。

数十分ほどで周辺のZEシリーズを破壊し終え、上空で待機していたヒドラが降下を開始し、妖精達の乗ったヒドラはその場でホバリングし、妖精達は懸垂下降にて上陸し、残りのヒドラはビークルの入ったコンテナを投下しデスピナへと帰投する。

アルファー部隊隊長「こちらアルファー部隊。橋頭堡を確保。送れ」

上陸した部隊もそれぞれ名前が付けられている。

大発で上陸したのがアルファーとベータ。ヘリボーンで来たのがチャーリーである。エアレイダーの車両チームは三部隊に分かれて配置される。

CDC妖精『了解した。ビッグフォートレスから全部隊へ通達。作戦は第二段階へ移行。敵拠点を制圧せよ。』

デスピナのCDCから無線で指示が出て、エアレイダーはコンテナの中のギガンテスやグレイプ、ネグリングに乗車。

ギガンテスを先頭に島の中央部へと進軍を開始した。

 

「……。」

進軍中の妖精達は、周囲を警戒しつつ進む。

ババババッ

「9時方向!」

その場で姿勢を低くし。発砲音のした方向にAF-99を向け射撃する。

少し遅れて、ギガンテスが砲塔を旋回し、120ミリ砲を放つ。

ギガンテスから曲射状の弾道を描いて成形炸薬弾が飛んでいき、ZEシリーズが吹き飛んだ。

さらなる射撃が無いことを確認し、妖精達は少し気を緩める。

「ふぅ…、クリア。それにしても…」

「ゴム弾ですけど、痛すぎません?」

「俺も、当たったけど実弾かと思うほど痛かったわ」

「ちょっと、見てくれ」

レンジャー妖精の一人が一本の木を指さす。

「うわー、めり込んでる」

数発のゴム弾が木の幹にめり込んでいた。

「裕一さん、威力いじりすぎじゃね?」

そんなことを愚痴りながらベータ部隊が小休憩していると、

裕一『ビッグフォートレスからベータ部隊へ。進軍が止まっているようだか、休憩しすぎだ。さっさと、進め!』

「「「は、はい!」」」

裕一から注意され、ベータ部隊の面々は急ぎ進軍を再開した。

 

 

裕一「はぁー…。実戦的な演習なんだから気を抜くなよ…。」

明日からの演習は実弾を本気で使おうかと考えていたら、CDCから目標の制圧が完了した事が伝えられた。

裕一「ビッグフォートレスから各員へ。現時刻をもって上陸演習作戦の終了を宣言する。全艦娘は北東海岸へ集合せよ。」

と連絡をいれ

裕一「副長、工廠妖精引き連れて簡易陣地の構築を指揮してくれ。」

副長「了解です。」

艤装から再びヒドラが5機発艦していった。

 

18:24

硫黄島 簡易陣地

 

1時間で出撃用のドックと補給施設、宿舎などを建築し、周りを防壁で囲い防壁の上にはZEシリーズが並び、防犯対策もバッチリである。

裕一「朝潮、そこの皿を持ってきて」

朝潮「はい!」

今、俺は宿舎にある調理場にいる。今回の演習では、いつも食堂で働いている調理妖精を連れてきていないので、自炊である。本日の当番は俺と朝潮である。料理は俺が作り、朝潮は基本的に皿出しや盛り付けなどのお手伝いである。

朝潮「持ってきました!」

裕一「お、ありがとう」

フライパンからタマゴにつつまれたケチャップライスを皿に載せ、表面のタマゴにケチャップをかけ出来上がり。

本日のメニューは、オムライスである。

これをあと5回繰り返す。

裕一「朝潮、これを最初秋月に持って行って」

朝潮にそう指示する。朝潮はその理由を察し、出来たてのオムライスを秋月のもとへ持っていった。

 

朝潮「お待たせ、秋月ちゃん。今日は、オムライスです!」

席に座っている艦隊メンバーのもとに朝潮は秋月の前にオムライスの乗った皿をテーブルに置く。

秋月「!?こんなにたくさんのオムライスを!これで1人前!朝潮ちゃん、食べていいの!!」

朝潮「デスピナさんがまず、秋月にって」

秋月「…では、いただきます」

スプーンを取り、穴のない黄色のタマゴと中のケチャップライスを一思いに口へと運ぶ。目を瞑りゆっくりとその味を確かめながら食べる。

そして、秋月は目を開き

秋月「うおおお、おいしいよー!!」

と心から叫びその美味しいさを表現した。

 

秋月型にたらふく食べさせ隊

ミッションコンプリートであった。

 

その叫びを聞きながら、残りの分も作りテーブルへ運んで夕食を食べ始めた。

瑞鶴「う~ん、おいひい~♡」

翔鶴「ホント、おいしい」

あきつ丸「うむ、おいしいであります。」

朝潮「……(もぐもぐ)」

艦隊メンバーからも好評を頂けた。

裕一「お、良かった」

自分もオムライスを食べ始める。

うーん、まぁ、90点かな。その後、みんな黙々とオムライスを食べた。

瑞鶴「それで、明日は何の演習をするの?」

食後、瑞鶴から明日の演習内容について聞かれた。

裕一「明日は…、俺との演習かな─」

そう言うと、全員が固まる。

瑞鶴「…マジで?」

瑞鶴の顔が引き攣りながら聞いてくる。

裕一「あぁ。みんなには、鬼種、姫種の撃破が出来るくらいになっても貰う。ということで、今日は早めに休んでおけよー。」

そう言って、調理場に行き片付けをはじめた。

 

 

12月11日 09:24

硫黄島 南20km地点

 

裕一「じゃあ、始めるよー」

そう宣言し、コマンドを展開。

裕一「総員、戦闘配備!対水上対空戦用意!」

砲雷長「レーダー、目標を確認。ライオニック50発照準」

裕一「撃ち方―始めー」

開始から30秒で翔鶴さん達を発見。模擬弾のライオニックを50発撃ち込む。

砲雷長「到達まで245秒」

さて、どう切り抜けるかな?

 

開始の宣言を聞くと同時にすぐさま偵察のため彩雲を発艦させる。

彩雲の矢を弓につがえ放ち、彩雲9機が空へと上がっていった。

数分後、北東に向かっていた彩雲から、複数のミサイルを補足したと連絡があった。

翔鶴「全艦、対空戦闘用意!輪形陣を形成。秋月さん、対空戦闘指揮を!」

秋月「お任せ下さい。この力で艦隊をお守りします!」

音速で近づいてくるミサイルを秋月は、艤装の長10cm砲で迎撃を試みる。

朝潮「!?秋月ちゃん、迎撃出来るはずが無いです!」

1番長くデスピナの横で見てきた朝潮は、ミサイルを自分達が落とせる事が出来ないことを1番知っていた。

そのため、朝潮の反応は当然であった。

しかし

秋月「大丈夫です。感覚は、掴んでるから。長10cm砲ちゃん、よく狙って…撃てー!」

秋月が放った砲弾が飛んでくるミサイルの1つに吸い込まれるように飛んでいき、迎撃した。

秋月「よし!」

あまりの嬉しさに秋月がガッツポーズをする。そのため残りのミサイルを迎撃することが出来ず、

朝潮「秋月ちゃん!前々!」

秋月「何ですか朝潮ちゃ…」

振り返ると目の前に複数のミサイルが飛んできており、そのうちの1つがそのまま顔面に着弾。模擬弾のペイントが顔全体に付着し、パイ投げのパイが顔面に当たった状態に。残りのミサイルも体中にペイントを付け、全身赤いペイントだらけになったのだった。

 

その後秋月の犠牲により、あまり被害を受けなかった翔鶴と瑞鶴の彩雲が裕一を発見。即刻、全ての攻撃隊を発艦させた。

 

少し時は遡り、裕一の方では。

裕一「ウソーん、ミサイルを主砲で迎撃するか?ふつう。」

裕一は驚いていた。自分の艤装より旧式の主砲で音速のミサイルを迎撃したことを。そして、その技術と取得するために訓練し続けた執念を。

裕一「秋月に最新装備を渡したら、これほど心強いことは無いな。」

副長「裕一さん、そこは自重した方が良いですよ。」

いつの間にか頭の上に登っていた、副長から諌められる。

副長「艤装をEDF装備にそのまま換装するのは、不可能ですからね」

裕一「え?そうなの」

副長「そうですよ。したい場合は、艤装との接続の関係で新しく作らなきゃダメです」

裕一「へえー。めんどくさいね」

そう言うと、副長は苦笑い。

そこに

砲雷長「敵機、空母より発艦中!」

コマンドのレーダーには複数の機体が空母の周りを旋回している様子が見られた。

砲雷長「即時迎撃を」

裕一「いや、それでは面白くない。迎撃は、敵の攻撃を受けてからだ」

妖精「「「「「「!?」」」」」」

副長「いやいやいや、せめて近くまで来たら迎撃しましょう」

砲雷長「あちらは、模擬弾ではなく実弾ですよ!?」

裕一「大丈夫だろう。そんなに被害は受けないって(慢心)」

航空参謀「あ、慢心…(ボソッ)」

裕一「なんか言った?航空参謀」

航空参謀「いえ、何も」

裕一「まぁ、やばそうならシールド張るから。砲雷長、攻撃はこちらでやるから」

砲雷長「…了解です」

 

CDC「敵機、方位062より36機。方位165より42機。方位240より26機。方位345より31機」

裕一「方位062をA群。方位165をB群。方位240をC群。方位345をD群とする」

CDC「A群、C群45機が高度を下げ、雷撃ポジションに入る模様!」

報告が次々に入る。

CDC「続けて、B群、D群24機が高度を上げ、爆撃態勢に入ります!」

裕一「対空ミサイル全基照準。CIWS全基稼働」

コマンドのレーダーに135機にロックオンマークがつく。

そして、

CDC「敵機より魚雷、爆弾の投下を確認!半数が直撃コース!」

裕一「あ、やばそう…対物シールド半径1mで展開!」

ようやくここで、危機感を持ったのかすぐさま対物シールドを展開する。

間一髪、爆弾はシールドに阻まれた。しかし、

 

ドガーン!

 

裕一「─っぐ!」

シールドは半球体のため水中には発生していないので魚雷6発被弾した。

裕一「被害報告!」

副長「右舷に6発被弾。ダメージコントロールにより浸水は発生していません。火災もなく、損害は軽微。」

裕一「少し、油断したね…。対空迎撃始め!」

コマンドを操作し、対空ミサイル150発が発射され、全てのCIWSからもペイント弾で弾幕を形成する。

数分ほどで全機撃墜判定を出す。

裕一「ライオニック全基照準。撃て」

間髪入れずに、すぐさまライオニックを放ち、今日の演習は終了した。

 

 

12月20日 14:25

横須賀鎮守府 空母寮 自室

 

硫黄島での演習が終わり、今日は非番だったので自室でゆっくりとしていた。

演習の3日目からは、慢心せずに全力で翔鶴さん達と演習したのだが、案の定毎度毎度、ペイントだらけにしてしまった。

秋月が最終日にはミサイルを5発迎撃するようになったりしたので、成果はあった。しかし、姫クラスを撃破できるようになったかと言われると…。

まぁ、多分大丈夫。そうであって欲しい。

 

コンコン

 

裕一「…どうぞー」

読んでいた、本を置いてウォースパイト直々に扱かれここ最近美味しく入れることができるようになった、紅茶をひと口飲んでから、招き入れる。

翔鶴「お邪魔します」

瑞鶴「入るよー」

部屋に翔鶴さんと瑞鶴がやって来た。

裕一「いらっしゃい、とりあえず座って」

俺が座っているリビングにあるふつうのテーブルの対面に座るよう促し、二人分の紅茶を用意する。

二人は座って、俺が淹れた紅茶をひと口飲む。

瑞鶴「デスピナさん、ずいぶんと腕をあげたね」

裕一「そうかい?」

翔鶴「えぇ、金剛さん並にうまくなっていますよ」

裕一「それは良かった、それで今日はどうしたんですか?」

翔鶴「実は─」

翔鶴さんから駆逐艦の子達へのクリスマスプレゼントを渡す計画を教えられた。

そして、今日と明日の二日間で駆逐艦のプレゼントを手分けして買いに行っているらしい。

そして、明日翔鶴さん達も行くそうなので一緒に行かないかとの事だった。

裕一「もちろんいいですよ。私自身、明日出かけるつもりでしたので。では、明日は何時に出発しますか?」

翔鶴「そうですね、8時頃に出発しましょう。あ、あとデスピナさんにもう一つお願いが」

裕一「なんでしょう?」

翔鶴「25日の夜、クリスマスパーティを行うのですがその時の料理を何人かの艦娘に何品か作って貰ってます。今年は、デスピナさんにもお願いしたいんです。」

裕一「なるほど…。材料などは?」

翔鶴「何を作るか食堂の妖精に伝えておけば用意してくれます」

裕一「分かりました。そちらの方もお任せ下さい」

その後、少し雑談をして二人は帰っていった。

 

 



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第33話 クリスマス 聖なる夜

クリスマスということで、もう1話投稿。

12月24日に、第32話を投稿しています。
読んでいない方はそちらから。

今話は、第33話ですがほぼ番外編


第4章 西方海域編

第33話 クリスマス 聖なる夜

 

12月21日 10:02

横浜市内 デパート

 

瑞鶴「ねぇ、翔鶴姉。これなんか良いんじゃない?」

翔鶴「うーん、こっちの方が良くないかしら?」

瑞鶴「デスピナさん、どっちがいいと思う?」

瑞鶴と翔鶴がふたつの大きめのクマのぬいぐるみを見せてくる。

裕一「瑞鶴の方がいいと思う」

瑞鶴の持っていたブロンド色のクマのぬいぐるみを指で指す。

瑞鶴「おっけー、朝潮ちゃんのプレゼント決定…っと。」

翔鶴「あとは、満潮ちゃんと荒潮ちゃんと霞ちゃんね。」

翔鶴さん達の担当は朝潮型のみんな。各自の欲しいものが

朝潮は、クマのぬいぐるみ

大潮が、ランニングシューズ

満潮が、小物入れ

荒潮が、コート

朝雲が、腕時計

山雲が、マフラー

霰が、本

霞が、財布

である。

その後、全ての買い物を終え(プレゼントは全て宅配で鎮守府に送りました)、デパート内を散策する。

途中、瑞鶴が貴金属店に入り、色々と見て回っている時翔鶴さんが一つのショーケースの前に立ち止まり商品を見つめていた。

「間近で見てみますか?」

翔鶴「あ、良いですか?」

店員さんがショーケースからフラワーをモチーフにし、ダイヤを使ったネックレスを見せて貰っていた。

その後、買わず瑞鶴と店にあとにした。

裕一「少しトイレに行ってくるので先に行ってて下さい。」

二人にそう告げる。二人は特に気にした様子も無く先にいく。俺は、先程の店に向かう。

裕一「すみません、これ見せてもらっても良いですか?」

店員さんに先程翔鶴さんが見ていたネックレスを出してもらう。

先程は遠くからしか見ていなかったが、近くで見てみると翔鶴さんに良く似合うものだった。

そして、値札を見て………

 

 

12月25日 00:00

横須賀鎮守府 地下司令室

 

鳥海『こちら鳥海。駆逐艦寮、異常なし』

オペレーター妖精「HQ(司令部)了解。監視を続行せよ」

鎮守府では、空襲による被害を避けるため司令室は地上ではなく地下に作られている。

そして、その司令室では、戦闘時と同様の忙しさを見せていた。

司令室にある大きな中央画面には、6分割で駆逐艦寮の周辺に潜伏している艦娘達からの映像が出ている。

大淀「提督、時間です。」

中村「これより、[クリスマスプレゼント配達作戦]を開始する。総員、出撃!」

合図と共に駆逐艦寮周辺にいた、サンタの格好をした艦娘精鋭13名が寮内部へと音をたてることなく侵入する。

駆逐艦娘は、全員で92名。今年は、海防艦の子達も入ってきたので合計で98名。

寮は3人1部屋なので全部で33部屋に配達する。

 

今年はサンタとして参加中の翔鶴。マスターキーを使って部屋の鍵を開け部屋の内部へ

瑞鶴『翔鶴姉、音をたてちゃダメだからね』

翔鶴「分かっているわ、安心して」

瑞鶴から心配だからか通信が入る。それを小声で答える。

これほど安心出来ない「安心して」はないだろう。改二になってから運が上がったとはいえ、たまにやらかすので妹の幸運の女神は心配だろう。

翔鶴は駆逐艦娘の枕元にそれぞれ名前の札が付いたプレゼントを置き、部屋を出る。

どたっっ!

翔鶴が扉の前で盛大にこける。

神風「うっ、うん…」

その様子は偵察機を通じて司令室の主モニターに映し出されており、その場にいた全員が固唾を飲んで見守る。

翔鶴は神風が起きないことを確認したあと、すぐさま部屋から離脱し廊下にへたり込む。

翔鶴「あ、危なかった…」

瑞鶴『何してるの!翔鶴姉!!』

瑞鶴からお怒りの通信が入る。

翔鶴「えへへ、暗くてよく見えなかった。テヘ♡」

瑞鶴『何が「テヘ♡」よ!!!!!』

その後、瑞鶴から翔鶴へのお説教が続いた。

 

蒼龍『こちら蒼龍、偵察機から入電。204号室に小さな灯りを確認!』

オペレーター妖精「緊急!204に灯りを確認!サンタは203、204、205への配達を一時停止。他の部屋への配達を優先せよ」

中村「おそらく、トイレだ。慌てずに確実に配達しろ。配達に時間がかかっている、少し巻いてくれ」

大淀「配達率70%を突破」

利根『こちら利根、配達を完了じゃ』

オペレーター妖精「HQ(司令部)了解。帰還せよ」

裕一「大忙しですね、中村提督」

中村「ああ」

色つきのグラサンをかけ、両肘を机に立てて寄りかかり、両手を口元に持ってくるゲン〇ウポーズをとる中村提督。すごくノリノリである。

こうして、大人達のクリスマスイヴは終わていった。

 

 

翌朝、各お部屋の様子

 

朝潮「わー!欲しかったぬいぐるみだ!」

 

暁「やったー!プリ〇ュアのイベントチケット!ありがとう

サンタさん!」

 

神風「ねぇ、春風。昨日何か大きな音しなかった?」

春風「いえ、してませんよ。それより、プレゼント見てみましょう」

 

レーベ「わぁ、シュタイフのテディベアだ!」

マックス「…(キラキラ)」

ビスマルク「私も欲しかった…」

プリンツ「ビスマルク姉様?」

 

 

15:42

横須賀鎮守府 食堂 調理場

 

裕一「へえー、朝潮はクマのぬいぐるみを貰ったんだ」

朝潮「はい!前から欲しいと思っていたので。サンタさんって、やっぱりいるんですね」

裕一「あぁ、そうだね」

朝潮「デスピナさんはなにか頼んだんですか?」

裕一「俺は、大人だからね。サンタさん来なかったよ。それにしても…」

調理場を見渡すといろんな艦娘がクリスマスケーキを作っていた。

裕一「みんなクリスマスケーキ作っているけど、ケーキは全部自作?」

朝潮「そうですよ。クリスマスにはみんなで作ったいろんなケーキや料理を食べるんです。特に、海外艦の方達の料理は皆さん楽しみにしてるんです」

裕一「そうなんだ、海外艦の人達…うん?待てよ。」

俺は、調理場をすぐさまある人がいないか確認する。

朝潮「どうしたんですか」

どうやら、いないようだ。ふぅ─

朝潮「デスピナさん?」

裕一「うん、大丈夫だよ。さっ、下ごしらえも終わったし本格的に作っていくよー」

朝潮「は、はい。うーん…やっぱり何かあったのかな?」

 

18:30

 

食堂には妖精さんたちが作った料理と艦娘達の料理、そしてクリスマスケーキが並んでいた

中村「それでは、グラスは持ったか?では、メリークリスマス!」

「「「「「メリークリスマス!!!」」」」」

シャンパンの入ったグラスを掲げ(飲めない人は炭酸)クリスマスパーティが始まった。

みんなクリスマスの衣装に着替えて参加している。それにしても…昨日はよく見えなかったが、

瑞鶴「ん~、クリスマスか~…」

翔鶴「瑞鶴?どうしたの、何をそんなにいらいらしているの?せっかくのクリスマス、これを食べて落ち着いて、ね?」

瑞鶴「はっ!翔鶴姉!その料理は、食べない!私ぜ~ったい食べないから。いらないってば~!」

翔鶴さんのキレイな銀髪が赤いクリスマス衣装に栄えている。

そして、スカートがひらりとめくれた時の黒タイツで覆われたその足。タイツの光沢感もまた素晴らしい。

そして、サンタクロースの帽子が翔鶴さんの可愛らしさを際だたせる

なんなんだ!これは!!画面の向こうでは、分からなかったこのなんとも言えない感動は!!!

秋雲「やべー、マジ七面鳥うまー!これデスピナさん、作ったんだろ?」

秋雲に声をかけられ現実に復帰する。

裕一「あ、あぁ。俺が作ったよ。やっぱりクリスマスはこれがあった方がいいと思って」

すると、どこからか殺気を感じその方向を見ると、瑞鶴が鬼の形相を浮かべて艦爆を飛ばしてきた。

裕一「ちょ、直上!!!」

秋雲「へ?うわあぁぁ回避ぃー!!」

 

 

瑞鶴「はぁー、はぁー」

翔鶴「こらっ!瑞鶴、何してるの!」

瑞鶴「うっ…だって!」

翔鶴「だってじゃありません!艦載機を展開して攻撃するなといったい何回言えばいいの?」

蒼龍「そうだよー、瑞鶴ちゃん」

飛龍「まぁ、とりあえず…これ食べて落ち着こ?」

翔鶴のお説教に割り込んで来た、二航戦の二人の手には…デスピナ作の七面鳥焼きがのった皿があった。

瑞鶴「…せ、先輩?」

二人の方をギギっと音がなっているかのように振り返る。

そこにさらなる追撃が、

加賀「五航戦」

瑞鶴「か、加賀さん。…なんですか?」

いつものように無表情の加賀。

加賀「これでも、食べて落ち着きなさい」

またしても、その手には、七面鳥焼きののった皿が

蒼龍、飛龍「──ブッ!プッフップッ…」

翔鶴「先輩wがた、そ、それ以上は…w」

瑞鶴「……なめやがって!野郎、ぶっ〇〇やる!!」

一目散に加賀と二航戦、翔鶴を瑞鶴は追いかけていった。

赤城「あれ?こんな所に七面鳥が残ってますね。もう、誰ですかもったいない」

4人が置いていった七面鳥は通りすがりの赤城が美味しく頂きました。

 

裕一「いてて…」

秋雲「瑞鶴さん、ひどい」

裕一「大丈夫か、秋雲」

秋雲「ええ、なんとか」

瑞鶴のやつ、通常の5倍程の威力だったぞあれ。

(空母艦娘は小型状態での艦載機も出せる。艦爆の場合、だいたい爆竹程の威力の爆弾を投下できる)

大和「大丈夫ですか?デスピナさん」

大和さんが救急箱を持ってやって来てくれた。

裕一「大丈夫ですよ、俺は。でも、秋雲のほうは一応見てやってください」

秋雲「え?私も大丈夫ですから」

と、手を横に振りながら否定する。

大和「ダメですよ、女の子が顔に傷があったら大変なんですから」

裕一「そうそう、せっかくの可愛い顔が台無しだぞ」

と、大和に便乗して言うと、秋雲が顔を真っ赤にする。

秋雲「か、か、可愛い?そんなわけ…」

裕一「それもあるし、もうすぐ多くの人の前に行くんだから」

秋雲「多くの人の前?……あっ。」

裕一「あっ。」

しまった、一言余計だった

秋雲「デスピナさん? まさか冬コミに出る同人誌貰おうと…」

裕一「ソンナコトナイヨ」

秋雲「じーー」

鳴らない口笛を吹きながら誤魔化す。結局秋雲が先に折れた。

秋雲「なんとなく、怪しかったんですよね。追い上げの時にデスピナさんからすごい差し入れ来てたから」

裕一「あれ、バレてた」

秋雲「別にいいですよ、差し入れには助けられたから。…それで、お望みの品は?」

秋雲が顔を近づけて聞いてくる。

裕一「秋雲亭から出る翔鶴本を」

秋雲「さすがは、デスピナさん。今回は、私が翔鶴本を担当させて頂きました」

裕一「これはこれは、先生。ぜひ、いい値で買わせていただきます」

秋雲「ふふ…」

裕一「ふふ…」

秋雲、裕一「ハッハハハ」

大和「あのー、どうしたんですか?」

やったね。ハッハハハ!!

 

22:45

 

パーティは、料理を楽しんだあと(七面鳥は大好評でした)、多くの艦娘が作ったクリスマスケーキをみんなで食べた。

特に、凄かったのは大和さん。4段もあるクリスマスケーキだった。てか、ウェディングケーキでは?と思ってしまった。でも、やっぱり美味しいかった。

程よい甘さで、口の中にあまり残らないので食べやすい。甘いのが苦手な人人でも食べやすいケーキだった。

 

ケーキを楽しんだあと、軽巡艦娘(一部を除く)、駆逐艦娘(一部を除く)、海防艦娘と一部潜水艦組は、はトランプや人生ゲームなどを。

雪風「雪風、またまたトップです!」

 

呑んべぇ艦娘は、二次会のノリで酒の追加。ここからは高い酒(アルコールと値段)が出始めた。

ポーラ「今日はー秘蔵のヴィンテージ持ってきましたよ~」

千歳「私も、ボトル持ってきたよー」

隼鷹「ヒャッハー!!」

那智「今夜は飲み明かすぞ!」

伊14「それじゃあ」

「「「かんぱーい!」」」

 

残りは、年末恒例の麻雀大会が始まった。

神風「ツモ!50符14翻で16,000、8,000です」

扶桑「親かぶり…」

中村「ち、清老頭だと…。」

裕一「これが、幸運艦の実力…」

扶桑が親かぶりで手持ちの点棒すべて持っていかれて終了。

扶桑「ふ、不幸だわ…」

こんな感じで、麻雀を楽しんでいる。ちなみに、麻雀は初めてまだ1、2ヶ月程だ。

おっと、忘れるところだった。まだやらなければならないことがあった。

裕一「中村提督少し席外しますね」

中村「うん?トイレか」

裕一「えぇ」

断りを入れて、翔鶴さんのもとへ。

裕一「翔鶴さん、少し付いてきてもらってもいいですか?」

翔鶴「えぇ、大丈夫ですよ」

翔鶴を連れて外へ出た。

 

翔鶴さんにブランケットを渡しておく。

翔鶴「寒いですね」

裕一「えぇ。少し歩きませんか」

薄暗い埠頭沿いを工廠エリアに向かって翔鶴さんと歩く。

聞こえてくるのは、歩く音と波の音だけ。

工廠エリアと食堂の中間辺りで俺は少し前に出て立ち止まり、翔鶴さんの方を向く。

裕一「翔鶴さん」

翔鶴「はい」

緊張しているのか、少し声が上ずっている。

俺は、赤いリボンが結ばれた白い箱を取り出した。

裕一「翔鶴さん、開けてください」

翔鶴さんは、リボンをほどき箱を開けると…

翔鶴「え…、これって…」

裕一「メリークリスマス、翔鶴さん。俺からのクリスマスプレゼントです」

箱の中には、この前翔鶴さんが見ていたプラチナのネックレスに同じくプラチナの花形の台座に五つのダイヤが輝く、ネックレスが入っていた。

翔鶴さんは、感動でなのか涙目になっていた。

俺は、翔鶴さんの後ろに回り、ネックレスを付けてあげ再び前に立って、確認する。

裕一「やっぱり、よく似合ってます」

翔鶴「デスピナさん…、ありがとうございます…。」

涙を流しながら、少し鼻声になりつつであった。

俺は、翔鶴さんを優しく抱きよせた。

そして、俺と翔鶴さんは顔を近づけていき……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドタドタドタ

翔鶴「………。」

裕一「………。」

中村「いてて…」

蒼龍「もう、押さないでって言ったじゃない」

朝潮「これが…大人の情事…」

霞「お姉ちゃん、それ誰から聞いたの?」

山風「……すごかった」

瑞鶴「う~ん、もう少しだったのに」

青葉「いや〜、いい写真が撮れちゃいました。号外[横須賀の英雄と銀の女神の情事]!これは、とくダネですよ!」

大和「そんな…ぐすん、デスピナさん…」

俺と翔鶴は物陰から出てきた観客に目線がいき、再び見つめ合う。

すると、恥ずかしさがこみ上げてきて互いに顔が真っ赤になる。

そして、恥ずかしさに耐えられず翔鶴さんはどこかへ走っていってしまった。

それを、俺は体が動かず追いかけることが出来なかった。いや、追いかける勇気は恥ずかしさで出なかった。

 

その後、体の硬直が解けすぐに

翌朝の青葉ネットワークによる鎮守府新聞に昨日の記事が出ないように手を打つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




翔鶴さんのクリスマスグラフィック可愛い過ぎる。
やっぱり、翔鶴は女神だった。
今話が今年最後になるかな…。
次話は、おそらく年明けになります。
それでは、皆さんメリークリスマス。
そして、良いお年を

ご感想や質問あれば、感想欄やメッセージ、Twitterで受け付けています


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番外編3 年末年始

あけましておめでとうございます。
昨年は、皆様に多大なご愛顧を頂きました。
本作品は、5月にスタートし今では、UAも25,000を超えました。そしてお気に入り登録は180人。本当にありがとうございます!
今年も、よろしくお願いします。

さて、今回は今までの話を少しだけほんの少しだけ振り返る回になっています。

2018年1月1日
ウォースパイトの晴れ着姿の実装に伴い修正
やべー、ウォースパイトがめっちゃタイプ。




第4章 西方海域編

番外編3 年末年始

 

12月31日 23:58

横須賀鎮守府 空母寮 自室

 

裕一「うーん、紅組か…どう見ても白組だっただろう今年」

副長「そうですか?今年、アニソン歌ってる方結構出てましたから当然じゃないですか」

部屋の居間にカーペットを敷きテレビの前に置かれたコタツに潜り込む。

砲雷長「あ、中継始まりますよ」

航空参謀「あー、今年ももう終わりですかー」

裕一「早かったねー」

副長「大変でしたねー」

砲雷長「でも、いい年でしたねー」

航空参謀「そして、楽しい年でしたねー」

中継の除夜の鐘を聞きながら、この世界に来てからを振り返る。

 

大妖精「どうか、私たちの世界を救って下さい。」

 

翔鶴「翔鶴型航空母艦の翔鶴です。見たことのない艤装を着けているようですがあなたは?」

 

中村「デスピナ、改めて横須賀鎮守府へようこそ」

 

瑞鳳「玉子焼き食べる?」

裕一「食べりゅーーー!!!!」

 

工廠長「イレギュラー。この膠着した戦局を覆すほどの圧倒的な強さを持つものをこの世界に招いたんだ」

 

裕一「そう、卑屈になるな。遠慮しなくていいから。」

山風「あっ!あり…ありがと…。」

裕一(…守らねば!俺は、今、山風教に入信します!)

 

裕一「怖くはありませんか?俺が」

翔鶴「いいえ、とても心強く感じました」

 

中村「お!ミサイルもあるじゃないか…なんで妖精だけ開発で出てくんの?」

翔鶴「では、今日は一緒に食べましょうね。デスピナさ・ん」

 

航空参謀「艦長!素晴らしいです!」

航空大隊長達「皆、あなたについて行きます!空爆、万歳!!」「好きー!抱いてー!!」

 

裕一「似合ってますよ」

翔鶴「あ、ありがとうございます。」

 

ウォースパイト「それなら欧州方面に行く時一緒に来てくれる?」

高野「はい。バンバン撃って敵を潰して下さい」

 

裕一「大和さんは、いいお嫁さんになりますね」

大和「お、お、お、お嫁さん!!」

 

裕一「各員に通達、これより秋のアルマゲドン祭りを開催する!」

裕一「北方海域を火の海に!」

妖精「空爆バンザイ!!!!!」

 

裕一「ぐっ…、被害を報告せよ」

副長「大破判定です…」

裕一「救難信号を放ち、船体の維持に努めよ…」

 

翔鶴「ううっ…わたし、しんぱい、したんですよ…。デスピナさんが…大破したって聞いて…。」

翔鶴「轟沈したら…、どうするつもりだったんですか!私…、まだ恩返しもできていないのに…。」

 

三博士「3人揃って、EDF三博士!」

 

秋月「うぉおお、美味しいよー!!」

 

裕一「秋雲亭から出る翔鶴本を」

秋雲「さすがは、デスピナさん。今回は、私が担当させて頂きました」

裕一「これはこれは、先生。ぜひ良い値で買わせて頂きます」

 

翔鶴「え…、これって…」

裕一「メリークリスマス、翔鶴さん。俺からのクリスマスプレゼントです」

 

 

副長「私、出てきてないですねー」

砲雷長「私もですねー」

航空参謀「フォーー!出てきてたぜ!」

裕一「なに、人の回想を見てるんだよ」

そして、テレビの時刻が0:00になった。

それと同時に指輪から妖精さん達が一斉に飛び出し、

妖精さん達「「「あけましておめでとうございます!」」」

副長「あけましておめでとう!」

砲雷長「あけましておめでとうございます」

航空参謀「HAPPY NEW YEAR!!」

裕一「あけましておめでとう、みんな」

そして、成り行きで新年の訓示を言うことに

裕一「改めて、あけましておめでとうございます」

「「「おめでとうございます!」」」

裕一「昨年、我々は、この世界にやってきた。艦娘と共に深海棲艦と戦い、そして北ではフォーリナーとの戦闘もあった。これから戦局は、さらに激化するだろう。1月にはいよいよ西方方面反撃作戦が始まる。今年もあなた達の力をたくさん借りる、どうか今年もよろしくお願いします」

妖精さん達から拍手が巻き起こり、

「「EDF!EDF!」」

の大コールとなった。

 

裕一「さて、前から予告していたがあれを始めようと思う」

俺を含めて、妖精全員が真面目な顔になる。

裕一「三博士、頼みます」

三博士「了解」

三博士が使われていない寝室に入っていき、居間に大きな機械を取り出してきた。

その機械を見た途端、妖精さん達から歓声があがる。

それをオハラ博士がそれを鎮め、ドラムロールが始まる。

オハラ博士「みんな、待たせたな。これが!EDFの技術力の結晶!」

デッデンと効果音と共に全員の視線が巨大な機械に集まる。

オハラ博士「大人数型人生ゲーム、VR版3だ!!」

「「「「いぇーい!!!」」」」

オハラ博士「早く、遊びたいか!」

「「「いぇーい!!!!!」」」

オハラ博士「では、朝までゲームだ!」

「「「「「いぇーい!!!!!!」」」」」

 

大人数型人生ゲーム VR版3

EDFの技術力の結晶の画像型ゲーム。

全部で256名同時に人生ゲームを行える。また、リアリティーはもちろん異世界転移など現実では、まずない人生体験も出来る素晴らしいゲーム。

また、ゲーム内での1時間は現実の10秒ほどのためたくさん遊べます。

さらに、長時間のプレイによる健康への被害はなし。心置き無く楽しめます。

 

 

2025年 1月1日 09:00

 

あのあと、人生ゲームを終えて鎮守府近くの神社にやってきた。そこに、晴れ着姿の翔鶴さんを見つけたので挨拶しに行く。

裕一「あ、翔鶴さん。あけましておめでとうございます」

翔鶴「あけましておめでとうございます、デスピナさん。」

瑞鶴「お、あけおめーデスピナさん。」

そこに、もう1人こちらにやって来た。

大和「あら、デスピナさん。あけましておめでとうございます」

裕一「大和さん。あけましておめでとうございます」

こちらも晴れ着姿の大和さんが。さらに、

ウォースパイト「Happy New Year.デスピナ。」

裕一「あけましておめでとうございます、ウォースパイトさん。」

いつものドレスではなく赤色の布地でバラ模様があしらわれた美しすぎるウォースパイトさんが。付き添いで昨年着任したアーク・ロイヤルもいる。

さらにさらに、

朝潮「デスピナさん!あけましておめでとうございます!」

霞「あけましておめでとうございます。今年もよろしくね」

山風「あけまして、おめでと…」

裕一「お、あけましておめでとう」

駆逐艦の娘達もやってきた。

俺の周りにかなりの人が集まってしまった。さすがに、少し通行の邪魔なので

お参りをさっさと済ませることにした。

チャリーン ガラガラ パンッパンッ

裕一(鎮守府の皆が健康でいられますように。あ、あとウォっぱい揉めますように、ハプニングでもラッキースケベでもいいから!)

一礼して終わり。

 

お参りを終え、おみくじをひき、今年の運勢は…

裕一「うーん、小吉か」

ほかの面々を見ると、

瑞鶴「いぇーい、今年も大吉。翔鶴姉は?」

さすがは、幸運艦。翔鶴さんは…

翔鶴「あ、あわわ…」

瑞鶴「翔鶴姉!?どうしたの!」

翔鶴「聞いて、今起きたことをありのまま話すわ。……私、今年吉だったの!!」

瑞鶴「なん、だと…。毎年、凶ひどい時は大凶をひいていた翔鶴姉が、今年は吉だと」

翔鶴「やったわ!瑞鶴!」

翔鶴「良かったね、翔鶴姉!」

翔鶴と瑞鶴が抱きつき喜びを分かち合う。

良かったね、翔鶴さん!

大和「あ、私は中吉ですね」

朝潮「私も、中吉です」

大和さんと朝潮は安定の中吉。

ウォースパイト「うーん?これは…大吉ね」

ウォースパイトさんは大吉。こちらも幸運艦の実力が発揮されている。

霞「吉かー、まぁまぁね」

霞は吉。

山風「末吉…」

山風はどうやら結果が良くなかったようなので、頭を撫で少しでも運が上がるよう願っておこう。

 

12:52

空母寮 自室

 

初詣から帰ってくると、居間のテーブルの上に大きな餅が置かれていた。

裕一「副長、これどうしたの?」

副長「これですか。さっき私達でついた餅です」

砲雷長「お雑煮用についておきました」

航空参謀「へへっ、旦那。あっしらの自信作でっせ。よく伸びますぜ」

妖精達がどこか誇らしげな顔をしている。

裕一「みんな…ありがとう。さぁ、お雑煮食べるぞ!」

「「「「いぇーい!!!!!!!!」」」」

 

元旦は、妖精さんとの信頼が強くなった日だった。

 

 




さて、作品について皆様に重大なお知らせがあります。
活動報告欄の「重大なお知らせ」をご覧下さい


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第34話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦1

皆さん、お久しぶりです。
そしてお待たせしました。いよいよ西方方面反撃作戦の開始です。

あ、余談ですが今回も艦これローソンコラボ始まりましたね。
私はすぐに近くのローソンで翔鶴のクリアファイルゲットしました。
いやー、やばいですね。あの翔鶴の私服!もう、嬉しすぎて何も言えない。




第4章 西方海域編

第34話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦1

 

1月7日 08:45

タウイタウイ泊地

 

正月休みは元日のみでその後横須賀鎮守府から海路でタウイタウイ泊地に二日前に到着した。

到着した時には、国防陸軍、海軍の艦隊、空軍の航空機が沢山集結していた。

 

そして、今日1月7日。第一段階のジャワ島攻略が始まる。

泊地は、作戦開始時刻の09:00にむけ慌ただしくなっている。

すでに、艦娘が艤装を身につけ泊地の港に集結し揚陸艦も人員の乗り込みも、もう間もなく完了する。滑走路には、国防空軍のF-15JとF-35A、海軍の陸戦が進入して作戦開始を待っている。

そして、5分前に東京の総司令部から通信が入る。

高野『諸君、いよいよこの時が来た。過去、我々は深海棲艦に侵略され窮地まで陥った。そんな時艦娘が現れ、協力しあいここまで奪回してきた。そして、それも終わり今度は深海棲艦への反撃が始まる。今日の作戦はその第一歩である。人類の力を見せてやれ!武運を祈る!』

高野総長からの訓示が終わり全員が日本のある方向に向かって敬礼する。

午前9時をお知らせします。パッ、パッ、パッ、パーン

高野『作戦開始!出撃!!』

「「「おぉー!!!!!!!」」」

滑走路から航空機が離陸して行き、港からもいずも型護衛艦や、海龍型護衛艦など8隻が出撃していく。

裕一「大和さんー!武運を!」

横須賀からは第1艦隊と第3艦隊が出撃する。その第1艦隊旗艦である大和さんに手を振ってエールを送る。

大和さんが手を振って応え、戦場へと向かった。

 

その後、艦隊はセレベス海を抜けいよいよマカッサル海峡へと差し掛かる。

大和「やった!デスピナさんからエールをもらっちゃった!」

その中で、1人異常なほどテンションの高い人物が。

武蔵「はぁー、姉さん。落ち着け」

大和「うん?武蔵どうしたのー?」

武蔵「これから戦闘だ。気を引き締めろ」

大和「そ、そうね。ごめん武蔵。!電探に感あり」

さらに、赤城から報告がくる。

赤城「偵察機から入電。艦隊前方10万の距離に敵を多数確認。数は1,000は優に越す模様!」

大和「全艦に通達!敵を発見、戦闘配備!」

赤城「空母艦娘に通達、第一次攻撃隊を直ちに発艦させよ」

水上打撃は、横須賀の大和が指揮を執り、佐世保の赤城が航空部隊の指揮を執る。

 

艦隊は二手に分かれ、大和達は増速して深海棲艦へ突っ込む。

空母はその場で艦載機を上げていき、第一次攻撃隊を向かわせる。

はぐろ型護衛艦3隻も戦闘配備に入る。

「深海棲艦を補足、トラックナンバー割り振り始め」

「トラックナンバー1205から1608まで割り振り」

「ハープーン、1205から1208まで照準。撃ちー方始め!サルボー!」

はぐろ型3隻からそれぞれ4発、計12発のハープーンが深海棲艦へと向かっていく。

12発のハープーンは水面ぎりぎりを飛んでいき、最終誘導のアクティブレーダーホーミングによって深海棲艦へと着弾。リ級2隻と、ハ級4隻を撃沈。ル級1隻を大破させた。

「全弾命中!」

CIC内部が少しだけ盛り上がり、また真剣な雰囲気になる。

「…我々の兵器は奴らに効く。だが、物量戦によって我々は圧倒的な不利か…」

確かに、ミサイルや主砲の127mm砲は確実に深海棲艦を撃沈出来る。が、深海棲艦はその数を活かし、攻める。たかが4、5隻沈められようと問題は無い。

それに気づかされたのは、かつてのミッドウェーであった。

はぐろ型護衛艦の艦長は、その時の戦闘を思い出していた。

 

ところは変わり、深海棲艦の上空にやって来た第一次攻撃隊456機。

「全機へ、攻撃開始」

佐世保赤城の天山一二型村田隊の一番機からト連送が送られ、攻撃隊は村田隊に続いて降下していき、水面から10mまで下げる。すべての部隊が熟練度がMAXのためこれくらいのことはやってのける。

深海棲艦が慌てて、対空射撃を始める。

しかし、水面ぎりぎりを飛ぶ攻撃隊には当たらない。

「へっ、そんな弾幕じゃ、落とせねぇぜ!」

深海棲艦へ攻撃隊が着実に近づいていく。

「800…700…600…」

 

村田隊一番機妖精は投下のタイミングをはかる。

ドォーン!!

「三番機が被弾、墜落!」

「ちっ、もっと低く飛べ!1m下げるごとに寿命が延びるぞ!」

妖精に寿命なんてないが…。

(ちなみに、三番機さんは母艦の方にすでに戻っています。)

一番機のコックピットの横をいくつかの対空砲の弾が飛んでいく。

「あと少し…あと少し…」

集中を切らせばあっという間に海面に叩きつけられ、さらに対空砲の弾幕も濃密になってくる。そして

距離計が550になる

「投下!!」

天山一二型から必殺の酸素魚雷が投下され、酸素魚雷は水中を滑走し始める。

「これも持ってけー!」

備え付けの機銃を深海棲艦へと掃射していく。

深海棲艦は、かなり怒っているのかムキになって攻撃隊を落とそうとする。そこに、先ほど放った酸素魚雷が1~2発命中する。命中した駆逐艦、軽巡、重巡は沈み、戦艦はかろうじて沈んではいないが大破炎上中であった。

 

立て続けに上空で待機していた艦爆隊

「ふっ、いくぜ野郎ども!降下!!」

深海棲艦の直上でほぼ垂直の急降下爆撃を始める。

ウゥーーン

艦爆隊のJu87から発せられるサイレン音が鳴り響く。

その音に気づいた深海棲艦が、対空射撃を始めるも遅かった。

「もう、遅い!全機投下!」

機体の速度を初速度として切り離された爆弾が重力に従って落下していく。

爆弾達は、手負いの戦艦やその他魚雷の被害を受けなかった深海棲艦へ命中する。

深海棲艦の身体から大きな爆炎が上がり沈んでいった。

海峡を埋めつくすほどにいた深海棲艦も4分の1が第一次攻撃隊の攻撃により沈んだ。

「第一次攻撃隊から。深海棲艦、246隻撃沈!大破艦も多数!しかし、敵の4分の3は健在!第二次攻撃の要を認む」

母艦の赤城に第二次攻撃を要請する。

佐世保赤城『了解、よくやった。帰投しろ』

短い、通信が母艦から入り、村田隊一番機は、苦笑いしながら言った。

「へっ、赤城姐さんはツンデレだな」

 

第一次攻撃隊は、損失機0で帰投した。

 

大和に第一次攻撃隊の攻撃の成功が入ったのは、敵との距離が4万をきった時だった。

大和「戦艦の皆さんは距離3万2千で砲撃、重巡の皆さんは距離2万で砲撃を開始してください。ほかの皆さんは、接近し雷撃戦を行ってください」

「「「了解!」」」

大和の指示が出たあと艦隊はさらに二手に分かれる。戦艦、重巡の敵艦隊への殴り込みチームと、側面から魚雷を放つ水雷戦隊に。

大和「主砲、一式徹甲弾装填」

「装ー填!」

「主砲、右15°」

「距離3万3千」

妖精さんたちが戦艦タ級eliteに狙いを定める。

そして、距離3万2千をきる。

大和「全主砲薙ぎ払え!」

大和の号令と共に戦艦娘が一斉射撃。100発は超える徹甲弾が亜音速となり摩擦で赤くなりながら深海棲艦へと飛んでいく。

「3…2…1…着だーん、今!」

識別用の色のついた水柱がいくつかたつ。そして、近くににいた深海棲艦からは弾薬庫に直撃したのか体の内側から膨れ上がり大きな爆発と共に沈んでいく。

「直撃9、夾叉2。一隻撃沈!」

大和「よし!第2射、ってー!」

次なる目標戦艦ル級flagshipに撃つ。そんなル級から大和へ反撃の砲撃がくる。

先に大和の放った砲弾はル級flagshipを沈め、飛んでくる砲弾を大和は華麗に避け、避けれないものは裏拳で横に弾き飛ばす。

少し、余裕が出てきた大和は周りの様子を見る。

横須賀のメンバーは、だいたい2万の距離を維持して砲撃し続けていた。そんな中、実戦テスターに選ばれたアイオワは、砲撃と共にフェニックスXも使い、深海棲艦を沈めていく。

「うーん…、やっぱりハープーンのほうが使いやすいかなー」

同じく、テスターの妙高、足柄も砲撃を行いながらFG02高高度強襲ミサイルを撃ち込む。ミサイルの煙のせいか、二人の周りが少し白くなっている。時々、煙たそうにしている。

そしてほかの鎮守府の艦隊はというと

呉の艦隊はすでに距離1万をきり、接近戦を始める。

佐世保の艦隊は、横須賀と同じくだいたい2万の距離から砲撃中。

舞鶴の艦隊は、逃げようとしている深海棲艦を確実に沈めていた。

こうして見ると、各鎮守府の特性が出てくる。

しばらく眺めていると、側面から水雷戦隊が一斉雷撃を敢行。こちらに気が向いていた深海棲艦は、回避し始めるも間に合わず沈んでいく。接近戦中の呉の艦隊は回避先に深海棲艦が来るよう立ち回りながら戦う。

なぜそんなことが出来るのか、そんな彼女らを育てた呉の提督を改めてすごいと感じたのだった。

そしてそこに第二次攻撃隊が飛来。呉艦隊の皆さんに一時離脱を指示し、第二次攻撃の様子を見守る。

結構、奮闘したがそれでもまだ半分は残っている深海棲艦へ、2回目の航空攻撃が始まる。

攻撃隊は、深海棲艦を包み込むように全周囲から雷撃をおこない、艦爆がすかさず急降下爆撃で沈めていく。

各航空隊の連携プレーで残り4分の1まで減らす。

大和「さすがは、鳳翔教官の一番弟子ですね」

すでに現役を引退し、今は艦娘の教官をやっている鳳翔とともに日本近海防衛戦を戦った最古参の1人である佐世保の赤城を賞賛する。

大和「総員、突撃!」

その後マカッサル海峡より1,000隻を超えた深海棲艦は一隻残らず沈め、艦隊はジャワ海へと入った。

 

1月9日

18:42

 

途中、補給艦から弾薬を補充し、艦隊はカンゲアン諸島の南、バリ海にいた。

今、ジャワ島上空で国防空軍の航空機が上空で偵察した映像を東京の総司令部、タウイタウイ泊地の司令部、今作戦の旗艦、護衛艦いずもの旗艦用司令部作戦室、で共有して作戦会議が行われていた。

 

裕一はタウイタウイ泊地の司令部のある司令室にいた。

太田「どうだね、デスピナくん」

肥満体型のタウイタウイ泊地の提督、太田光一海軍中将が裕一に聞く。

裕一「…艤装のスパコンのシミュレーションの結果、島に現在、人はいないものと思われます」

裕一は太田の方ではなく司令室の画面に映る東京の総司令部にいる高野総長に話す。

太田「ちっ…」

後ろで舌打ちする太田を裕一は無視する。

高野『そうか…、ちなみにジャワ島に深海棲艦がいる可能性は?』

裕一「シミュレーションでは、深海棲艦の陸上型いるという可能性が高かったです。航空写真からも分かると思いますが、街が廃墟になってるところが多く、裏付けにもなります」

宇垣『では、上陸は行うべきだな』

坂井『空軍である程度爆撃してからがいいだろう』

高野『じゃあ、その方向で。真下君』

真下『はい!』

いずもの真下艦長に高野総長は陸軍に出撃するよう揚陸艦へと指示させる。

坂井『穂高少将、爆撃の準備を始めてくれ』

穂高「はい」

現地の空軍司令官である穂高少将、そして

高野『太田中将、陸上攻撃機も出撃準備をせよ』

太田「わかりました」

高野『デスピナ君もジャワ島への輸送任務を命じる』

裕一「はっ。直ちに取り掛かります」

 

翌日

 

護衛艦いずも

 

いずもの甲板では、上陸のための輸送ヘリが並び整備員や兵士達が慌ただしく動いていた。

姉妹艦のかが、海龍型3隻の甲板でも同様に輸送ヘリが始動し、甲板上にに強い風を発生させ始めていた。

また、さらに海龍型3隻の船内では上陸用舟艇の用意も進められていた。

20分後

各艦から輸送ヘリ CH-47J 46機が飛び立ち、海龍型からは上陸用舟艇6隻が海を爆走していく。

また、タウイタウイからはデスピナ所属のヒドラ48機が74式戦車を搭載したコンテナをぶら下げて向かう。さらに、航空支援としてF-15J 24機、早期警戒管制機 E-767 2機、一式陸攻 48機も泊地からジャワ島へと向かった。

 

スラバヤ沖

 

国防軍は、東ジャワ州の州都スラバヤから上陸を開始した。

 

「これは…」

輸送ヘリのローター音が響く中、近づいてきた島を窓から見た兵士の1人が呟いた。

ほかの兵士はその光景に何も言えなかった。

そこは、本来州都として賑やかな街で所々に高層ビルも見え、赤い屋根の家が並ぶそんな光景があったはずだ。

が、今は高層ビルは中間から折れた様に崩壊しており、至る所に爆撃を受けたのか小さなクレーターがいくつもあった。そこは、朽ち果てた廃墟の街であった。さらに、天気が曇りのためか陰湿さが際立っていた。

輸送ヘリはマドゥラ島を結んでいただろう大きな橋の近くの開けた場所で高度を下げホバリングする。

兵士たちは、ロープを使い次々に垂直降下していく。降下した兵士達は、塹壕を手早く掘り、周囲の警戒を始めるのだった。

その頃、スラバヤ上空。

「ひどいな…」

上空警戒中のF-15Jのパイロットの1人が呟く。

パイロットは、高度500mまで下げ街の様子を見る。道路には乗り捨てられた車が爆撃によってか炎上し黒焦げになった残骸や建物の破片が多く散乱し、道路が割れていたり陥没したりしているところもあった。

そこに、管制機から通信が入る。

『HAWKからMETAL 03へ。レーダーに反応、方位168からアンノウン 4機接近中』

「了解、そちらに向かう。04 行くぞ」

『了解ですー』

2機のF-15は高度を上げ、旋回し方位168へ向かう。

レーダーに接近中のアンノウンが映る。ちなみにIFFは反応しない。

 

艦娘のもつ艦載機や鎮守府配備の陸攻や陸戦、深海棲艦の機体全てにIFFは搭載されていないため、識別は目視の必要がある。

 

「…見えた、黒に独特のあのフォルム。お、赤色にも光ってる」

数分ほどで目視圏に入り、METAL03のパイロットは深海棲艦の機体であることを確認した。

「METAL03からHAWKへ。対象はバンデッド、繰り返す対象はバンデッド」

報告している間に、深海棲艦の機体が機銃を撃ち、弾丸が機体の横を飛んでいく。

METAL03は、スピードをあげ深海棲艦の機体の下を通ってすれ違い、シャンデルと呼ばれる機動で深海棲艦の機体の後ろにつく。

『HAWKからMETAL03へ。交戦を許可!交戦を許可』

交戦許可がおりると同時にミサイルを発射する。

「FOX2!FOX2!」

主翼の下に搭載されていたAAM-5(04式空対空誘導弾)が深海棲艦の機体へ命中し、爆発四散した。僚機のMETAL 04も2機撃墜し、すべて撃墜する。

「全機撃墜」

『HAWKからMETAL03へ。撃墜を確認、スラバヤ上空警戒へ復帰せよ』

「了解、上空警戒に復帰します」

F-15J 2機はスラバヤ市へと機体を旋回し戻って行った。

 

赤城「ちっ、まだ生き残りがいたか…」

空母艦隊旗艦を務める佐世保の赤城が少しキレながら上空の早期警戒管制機からの報告を聞く。

『現在、空母ヲ級クラス約30隻が近づいてきてます。そちらで攻撃をお願いします』

赤城「分かった。すぐに攻撃隊を出す」

赤城が弓から矢を放ち烈風を発艦させる。それに続いて他の空母艦娘も艦載機を上げていく。

『赤城姐さん、帰ったら褒美を下さいよー』

村田一番機からそんな通信が入る。

赤城「ほぅ…よかろう。お前にはとっておきの褒美を用意して待っていよう」

赤城が何か企んでいるような笑みを浮かべながら答える。

『ホントですか!これは気合い入れないとな。お前ら!鎧袖一触だ!!』

 

村田一番機の異常な気合いの高さに影響されたのか。他の攻撃隊の士気も高く、敵空母艦隊を20分ですべて沈めたのだった。戦闘は、あまりに一方的になったので割愛する。

 

村田一番機が張り切っていた頃、スラバヤ市

海軍の揚陸艦から発進したホバークラフトに乗って続々と上陸しつつあり、いち早くスラバヤ市に到着していた部隊と合流。

さらに、ヒドラも到着し戦車が入ったコンテナを上空から切り離していく。そのまま別の車両や重機を運ぶために再び、タウイタウイ泊地へ戻って行く。

 

タウイタウイ泊地

 

戻ってきたヒドラがタウイタウイ泊地の滑走路に順次着地してくる。

裕一「車両の積み込み状況は?」

現在俺は泊地航空基地の管制塔にて、艤装を展開してヒドラの輸送を指揮している。

えっ、なんで司令室でやらないかって?

そりゃ決まっているだろう、あの根性無しのデブのとこにいなきゃならんのだ。

翔鶴「だいたい終わったそうですよ」

副長が報こ…うん?あれ翔鶴さん?

裕一「あれ、翔鶴さんなぜここに??」

翔鶴「居てはダメですか?」

少し上目遣い気味に聞いてくる。そりゃ…

裕一「いえ、全然OKです」

翔鶴さん、それ反則です。

どうやら副長が報告しに来たところに、翔鶴さんが来たので自分はヒドラの方に行くので報告よろ!ってことらしい。

 

ヒドラ01『こちらヒドラ01。管制塔離陸許可を』

航空管制官妖精「車両、人員の退避を確認。離陸許可します」

飛行場から再びスラバヤ市へ向かって飛んでいく。

その様子を翔鶴さんが入れてくれたお茶を一緒に飲みながら眺める。

翔鶴「その…デスピナさん、昨日はありがとうございました」

突如、翔鶴さんからお礼を言われた。

俺は、少し前に起きたことを思い出し恥ずかしくなり口ごもる。

翔鶴「昨日、言われたこととても嬉しかったです…」

 

時は遡り、昨日

そろそろお昼ご飯を食べに行こうかなぁと思い、食堂へと行く途中だった。

太田「おい、翔鶴。付いてこい」

道端でブタ…ゲフンゲフン、デブ…ゲフンゲフン、一際横が大きい軍服を着た男が翔鶴さんに詰め寄っていた。

翔鶴「すみません、太田提督。私行かなきゃ行けないので」

翔鶴さんがその場から逃げようと言い訳をする。

それを太田提督がその手を掴み、逃がさない。

太田「つべこべ言わずに付いてこい!」

それを見た瞬間、物凄い殺意が湧き、走り出す。

翔鶴「は、離してください!」

振り払おうにも太田の手は離れない。

裕一「おい、ブタ野郎。なにその汚ねえ豚足で翔鶴さんの手を掴んでんだ。あ゙あ゙?」

睨みながら、ブタの前足から翔鶴さんの腕を離させる。

太田「な、な…」

太田の顔が真っ赤になる。その間に翔鶴さんを俺の後ろに庇う。

太田「貴様!上官への暴言だぞ!軍法会議にかけてやるぞ!」

それを俺は鼻で笑ってやる。

ブタはさらに顔を赤くする。

裕一「はぁー、ブタはやはり脳みそがないな。貴様の頭は飾りか?」

太田「殺してやる!」

太田がハンドガンを取り出し、銃口を向ける。

俺は、それを冷ややかな目で見つつ、艤装を展開し、砲塔を全て太田に向け

裕一「…艦娘連携協定第4条第1項」

その呟きに、太田の顔色が変わる。

裕一「その感じだとちゃんと知ってるじゃねぇか」

 

艦娘連携協定

艦娘と日本国政府との間で結ばれたものである。国は艦娘の立場などを保証し、艦娘は軍に所属して深海棲艦を倒すことなどが書かれている。

 

そして今回話に出てきたのが協定の第4条第1項。内容は

『艦娘が不当扱い(暴行、セクハラ、過酷な勤務など)が発生した場合、艦娘は抵抗権がある。また、国防軍憲兵隊がこの調査にあたる。』

よって

裕一「上官への反逆行為と艦娘への不当な扱い。さて、軍法会議に行くのはどちらかね…」

そう言って、目を細めると太田は一目散に逃げ出していった。

俺は、艤装を解除し、翔鶴さんの方に振り返る。

裕一「大丈夫でしたか?」

翔鶴「は、はい…」

そう答えるも、その身体は震えていた。

俺は、翔鶴さんを抱きしめた。その震えを止めようと。

翔鶴「ふぇ?デ、デ、デスピナさん!!!?」

裕一「大丈夫ですよ、翔鶴さん。あなたのことは何があっても、たとえ軍いや、国を敵にまわしてもあなたのことは守ります」

翔鶴さんの耳元で囁く。

しかし、翔鶴さんから何も反応が無かった。疑問に思い少し抱きしめる力を緩めて表情を見ると…

裕一「…気絶してる」

頭のキャパを超えたのか翔鶴さんは気絶していた。その後途中で瑞鶴に手伝って貰って翔鶴さんを部屋に運んだのだった。

 

そして再び現在

あれ、ちゃんと聞いてたんだ。

そんなことを考えていると

翔鶴「私もデスピナさんのこと守ります。また、あの時の様な辛い思いをしたくありませんから」

次は例の大破のことを思い出し苦笑いしてしまう。

裕一「では、指切りしましょうか」

俺は小指を出し、翔鶴さんも小指を出して指を絡める。

裕一「指切りげんま─」

翔鶴「指切り かねきり

高野の表で 血を吐いて

来年腐って 又腐れ

指切りげんまん 嘘ついたら 針千本飲ます

指切った」

裕一「─え?」

ナニイマノ?

翔鶴「デスピナさん、約束破っちゃダメですからネ?」

裕一「は、はい」

 

その後、スラバヤ市では第六師団が集結し施設科の働きもあり

数日後、簡易ではあるが要塞を築き、海岸には艦娘の補給拠点も設営し終えた。

 




さて、今回出てきた艦娘連携協定。
この先のキーになります。

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第35話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦2

お待たせしました。第35話です。
いよいよ、フォーリナーとの直接戦闘が始まります。
そして、新たな陰謀が…




第4章 西方海域編

第35話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦2

 

1月15日 09:24

ジャワ島

 

朝方、目覚まし代わりに行われたタウイタウイ泊地航空隊の一式陸攻による爆撃で若干まだ熱が残る道に兵士を乗せたトラックや高機動車、周りを警戒するように装甲車と90式戦車が走っていく。

 

昼近くに中部ジャワに入り、ブローラと言う街に到着。

そこを拠点に数日間周辺を探索するも、地元民を発見出来ず。さらに、敵勢力との接触も無かった。

 

1月21日 16:32

ジャワ島 スマラン

 

ブローラを出発し、国防陸軍はスマランへと到着。

ここでも数日間、周辺の探索を実施。

結果は、ブローラと同様であった。

「はぁー…」

上陸部隊である第6師団の団長の中将が野営地にある本部テントの中で報告書を見ながらため息を吐く。

「中将、コーヒーでも如何ですか?」

そこに、2つのマグカップを持った第6師団の参謀長を務めている大佐がやってきた。

「おう、貰うよ」

コーヒー好きな大佐からコーヒーの入ったマグカップを貰い、一口。

「…うまい」

そのまま、二口目。大佐オリジナルのブレンドコーヒーを堪能する。

「それで、中将。今日も成果なしですか」

タイミングを見計らい大佐が中将に聞く。

「あぁ、島の反対側にも部隊を送ったが誰もいなかったそうだ」

ごちそうさま、と言いカップを今日の報告書が置かれている自分のデスクに置く。

「では、明後日にはここを出発ですかね」

「そうなるな」

中将はそう言って、地図を出し老眼用のメガネをかける。

「大佐、ルートはどうする」

「今までどおり、海側を通って海軍からの支援を受けることが出来るように動きましょう。今まで敵が出てきていませんが」

「しかし、海軍のあの艦娘、じゃなくて艦息の予測だろう?陸上型の深海棲艦がいるというのは」

「まぁ、そうなのですが。実際に、交戦の跡は見つかっていますからね」

実際に、探索した全ての街で何らかの交戦の痕跡は確認されていた。

深海棲艦からの海上からの砲撃ではなく、陸での銃撃戦の跡が。

「そうなんだよな…。とりあえず、明後日に出発してチルボンまで行くか」

西ジャワ州にあるチルボンを指さしながら言う。

「そこからそのまま首都へ?」

「いや、バンドンに向かおう」

チルボンからだいたい直線で60km先にある山に囲まれた都市、バンドンを指さす。

「バンドンです、か…」

「海上からの砲撃支援は無くなるが、完全に支援が無くなる訳では無いし、大丈夫だろう」

「中将、それフラグですよ…」

大佐は呆れながらそれを指摘すると、中将はニヤリと笑い

「俺を誰だと思ってる、斎藤さんだぞ」

「…。では、細かいところ詰めてきます」

昔、流行ったネタをして盛大にすべる斎藤中将であった。

 

1月27日 10:32

ジャワ島 サウスサマダン

 

上陸部隊は、バンドンの途中にあるサウスサマダンに入った。

「内陸部の方もやはりひどいな…」

高機動車の中から多くの崩れた家を眺めながら斎藤中将は呟く。

幸運にも道路にガレキがないため行軍は、スムーズだった。

そんな崩れた家々を眺めていた時、瓦礫の影から何かが飛び出したのを発見する。

「止めろ!」

その声に反応して運転手が急ブレーキを踏み、高機動車を停止させる。

これに後続のトラックも急ブレーキをかけ乗員がつんのめって何人か頭をぶつけてしまった。

「どうしたのですか?いきなり」

「さっき、瓦礫の影から人影が飛び出したのが見えた。すぐさま、周辺の捜索をしろ!」

現地人か、それとも敵か。師団全員が今1度装備の点検を行い、捜索部隊が人影の向かった先へ向かう。

小銃を構え、周囲をクリアリングしながら進む。

「!?」

突如、ガレキが崩れる音が聞こえ、その音の方向に部隊全員が銃口を向ける。

部隊内の緊張が高まる。

音の聞こえた場所に音を極力たてないように進むと、瓦礫に足を挟まれた男の子がいた。

「大丈夫か!誰か衛生兵を呼べ!」

共に来ていた隊員達と、瓦礫を退かしやって来た衛生兵に男の子の足を見てもらう。部隊長は、インドネシア語をある程度出来る隊員を通訳として男の子にいくつかの質問を行った。

男の子によると、ここから5km先の街の中心部に50人程の住民達と暮らしているとのこと。食料は山にあるものやたまに海にまで出て魚介類を手に入れていたらしい。

男の子は、ここを襲った怪物が来ないか3日に1度偵察を行っていたらしい。

そして、今日戦車や装甲車を見てびっくりし大人達に報告しに行こうとしたところ転んで瓦礫に足を挟まれ今に至る。

「さて、ジョン君。我々には君たちにあげる食料があるのだけど案内してくれないか?」

部隊長の言葉を通訳の隊員から聞いた男の子は、目を輝かせて首を縦に振った。

 

男の子の案内のもと街の中心部にあるショッピングモールにやって来た。

中に入ると、武器を持って警戒する男達がいた。

『待って!この人達は日本の軍人さんなんだ!僕達を助けに来たんだ!』

『来なさいジョン!あの時もそうだった、人間の振りをして俺たちを襲った!』

男達は、男の子の言葉を信用しない。

「なんて言ってるんだ?」

「ジョン君は私たちを味方と言っているみたいですが、大人はそれを信用してくれないみたいです」

部隊長は少し考え、隊員達にある物を持ってこさせた。

それを男達の前まで運ぶ。

「それは食料です!我々はあなた達を保護しに来ました」

男達は顔を見合わせ、ゆっくりと近づきダンボールを開けると

「「「Oh CUPNOODLE!!!」」」

そう日○のカップヌードルである!CMでは某国民的アニメも出てくるあのカップヌードルである!

今回は、醤油、シーフード、カレーの三種類を住民達用に用意。

 

ちなみに、○清のカップヌードルを選んだのはカップメン大好きで自分の執務室に10種類以上のストックを常に用意している国防陸軍の参謀総長だったりする。

さておき、男達が住民達を呼びどれを食べるか決めお湯を沸かし待つこと3分。

先までとは雰囲気も変わりそこでは楽しそうにカップヌードルを食べる住民達。

食べ物を出されただけで警戒心を解いてしまうということはそれだけ追い詰められた状態であった事が分かる。

 

その後、斎藤中将ら率いる本隊も合流し、リーダーとなっている男性と会見した。

『まずはありがとう、私はここの者らを束ねているサントスじゃ』

スマホの翻訳機能を使って会話する。

「日本国防陸軍中将、斎藤始です。早速ですが、ここで起きたことをお聞きしたい」

『分かった』

サントスは目を瞑って思い出すように語り始めた。

 

2020年に起きた第二次ミッドウェー海戦において各国の海軍が集結しそしてその殆どが沈んだと噂で聞いた。インドネシア海軍も派遣した戦闘艦艇の殆どを失ったとも聞いた。海上は、怪物達による通商破壊によって海運は全滅。経済は悪化したが食料はなんとかなった。

 

そして4年前、あれはお昼時だったかな。街に私も初めて聞いた空襲警報が鳴り、避難するよう放送もあった。

最初は、誰もが戸惑いその場にいた。だが、上空に無数の影が見えそこから何かが落ちてきた。そして、街の至る所で爆発が起き街はパニックになった。

私も、逃げようとしたがどこへ向かうべきか分からなかった。とにかく街から出ようと山の方へ車を走らせた。

だが、道路は車で大渋滞だった。一向に進まないからその場に車を捨てて走った。

途中振り返ると、先ほど車を置いた場所でも爆発が起きていた。

そこから走り続け山までたどり着いた時街は、至る所で火が出て燃え広がり火の海だった。

長いこと火に包まれている街を見ていたら、反対側の山から銀色の頭に赤い目をしたロボットが何体も現れ、街に攻撃を加えていた。たまに、こちらにも攻撃が飛んで来るかまた、逃げた。

それから、逃げ延びた人達と数日間山の中で暮らし何人かで街の様子を見に行った。

街は、今の通りの状態だった。

それから、数日に1度街に行って食料などを調達した。

途中、怪物に見たかって殺された者もいた。ここを住処としたのは今から半年前。

怪物達が何日もいないことが分かり、街に戻った。

今も何人かは山で暮らしているよ。

 

 

「そうですか…。話の途中にあった銀色のロボットについて詳しく聞かせて貰えますか」

『銀色のロボットは二足歩行だった。両手に武器を持っていて、マシンガンのようなものや大砲のようなものや、とんがったものを持っていた』

「なるほど。それで怪物とはどんなものでしたか?」

サントスは少し考える素振りを見せ、近くにいた男性と何かを話し

『実は、その死体が少し離れたところにある』

「本当ですか!?ぜひ、見せていただきたい」

『では、案内しよう』

 

ショッピングモールから5分程のところにその死体が置かれていた。

すぐさま、東京とタウイタウイ、いずもに中継を繋いだ。

大きさは180cmほど、人型で肌は灰色。頭部は深海棲艦の駆逐艦ハ級に酷似していた。

「深海棲艦だな…」

海軍から深海棲艦であることが判明し詳しく調査を行うためにサンプルの輸送を頼まれ輸送の準備を整えて近くの空港に運んでおくように指示して斎藤中将達はショッピングモールに戻った。

その後、住民達に近くの空港で航空機を使ってタウイタウイ泊地まで連れていくことを提案すると、ぜひとお願いされた。

他の所にいる住民達にも伝えたいとのことで三日後このショッピングモールに集合してもらうことになった。

その期間を活用して、施設部隊の皆さんが空港の滑走路を急ピッチで整備を始めたのだった。

 

タウイタウイ泊地

その日のうちにいずもの輸送ヘリがサンプルをタウイタウイ泊地の工廠に運び込まれた。

裕一「これは、またよく似ているね」

ホルマリン漬けにされたサンプルを見ている裕一が呟く。

明石「えぇ、放置されていた割には結構キレイなままでしてねー。あ、見ます?」

同じく横須賀の明石が解析のデータを持ってやって来た。

裕一「え、いいの?」

明石「構いませんよ、私もここの提督は大嫌いなので」

貰った解析データには、

身体は人間と酷似。

頭部は、センサー類が集中。口内には6inch砲が搭載。

装甲のような物は確認されなかった。

裕一「ってことは、普通に銃弾で殺せるのか」

明石「はい、歩兵型は人間と強度は変わらないみたいですからね。あ、でも頭部は主砲があるからかかなり硬いので胴体狙った方がいいですね」

裕一「それにしても…」

再び視線を明石からホルマリン漬けの深海棲艦いや、呼称名 深海歩兵をまじまじと見る。

裕一「改めて見ると、こんな奴と戦っていたのか」

明石「私も何回も調査とかで見てますけど、どうも嫌悪感が出てくるんですよねー。おっとそろそろあの提督に持っていかないと」

明石に労いの言葉をかけてから工廠を後にした。

部屋に行く途中、俺は昼間の報告のことを思い浮かべていた。

地元民が言っていたという証言。

 

『深海棲艦の街の侵攻時、二足歩行型のロボットが確認された』

 

裕一「ヘクトル…か」

予想では、あそこにはいないはず。いや、ただの予想だ。フォーリナーがいる可能性も充分にある。

どうするべきか、決まらず悶々としたまま部屋に入った。

 

 

1月30日 11:24

フセイン・サストラネガラ空港

 

ショッピングモールの近くにあった空港は、滑走路が整備され既に空軍の輸送機 C-130H 3機と護衛のF-15J 4機が駐機していた。

昨日のうちに15機の輸送機が到着。今日の7時頃から順に住民達の避難を開始。

現在、最後の便に乗る住民達を誘導中である。

その様子を見ていた斎藤中将のもとに、参謀長の大佐がアイスコーヒーを持ってやって来た。

「中将、先ほど第1便がタウイタウイ泊地に到着したそうですよ」

「無事に着いたか、良かった」

アイスコーヒーを受け取り、よく冷えたコーヒーで喉を潤す。

「第2便と第3便も今のところ平穏らしいです」

「海軍さん、念入りに掃滅戦をやったみたいだな」

ごちそーうさん、と言って空になったコップを返す。

「失礼します!残りの住民の皆さんが集まりました」

「うん、では見送りに行くか─」

そう、腰をあげた時

「敵襲ーー!!」

叫び声と同時に空港近くで爆発が起きた。その後もたて続けに爆発が起きる。

「状況を知らせ!」

無線で状況を確認するも、混線しておりなかなか応答がない。

「くそ…」

応答が無いことに悪態をつくも、すぐさま輸送機が駐機してあるところに向かった。

 

「ちっ、直撃してたか」

斎藤中将が着いた時そこには爆発でひっしゃげたF-15Jがあった。

幸いにも、パイロットは搭乗していなかった。

しかし、一機の輸送機も主翼が折れ使い物にならなくなっていた。

「中将、いきなり走り出さないでください」

後から、おってきた参謀長が愚痴りながら無線で来た報告を伝える。

「現在、三方向から敵の攻撃を受けてます。滑走路は問題なく使えるので残った機体は直ちに離陸態勢に入るそうです」

「住民の皆さんには悪いが一部の人は新しい機体が来るまで待ってもらうか…」

斎藤中将は、苦虫を潰したような表情をする。

「輸送機のキャパ的には2機でも大丈夫ですよ?」

「彼らは民間人だ。無茶をさせることはできない」

「そう、ですね…」

参謀長は自分の発言を恥じる。

「とにかく、空港に周辺に防衛線を展開しろ。後、海軍に支援要請とタウイタウイから新しい輸送機の要請」

「わかりました、通信兵!」

参謀長が指示を出しに行くのと入れ替わりに別の通信兵がやって来た。

「報告します!南西方向に敵影を確認!」

その方向には、山の稜線から1つだけ目の付いた銀色に輝く二足歩行ロボットが出てきた。その数は、既に100を超え空港にプラズマ弾を撃ってきた。

「全部隊へ、攻撃を許可!空港に近づけさせるな!」

そこに、新たな通信兵

「報告、現在、海上でも戦闘中のため支援は不可能とのこと」

「タウイタウイ泊地に航空支援も要請しろ!ちっ、当面は俺たちだけでやらなきゃな」

バンドンにおいて決死の防衛戦が始まった。

 

「照準良し、撃て!」

空港近くに展開した戦車大隊74式戦車48両、砲兵隊による一斉射撃が始まった。

「弾ちゃーく、いま!」

二足歩行ロボットに全弾命中し、爆炎があがる。しかし

「目標…ダメージを与えるも健在」

ロボットからは煙も出て、火花が散っているのが確認出来たが動いていた。ロボットはお返しとばかりにプラズマ弾を撃ち、50m手前に着弾する。

「対戦車榴弾を撃ち込め!」

戦車大隊が今度は確実に仕留めるために対戦車榴弾を撃ち込む。

「弾ちゃーく、いま!」

今度も、二足歩行ロボットの胴体に命中し、爆発。二足歩行ロボットはそのまま小さな爆発をいくつか起こしながら崩れ落ち、最後は爆発四散した。

「17体、撃破!」

「良し、このまま─」

しかし、言葉を続けることはできなかった。ついにプラズマ砲が複数命中し、運悪く指揮官の乗る戦車が破壊されたからだ。

「指揮官がやられた!」

「真司!くそ、お返しだ!!」

砲兵隊も155mm榴弾砲の装填が終わり、プラズマ弾を撃ってきたロボットを狙う

砲兵隊が再び砲撃し、ロボットの周辺に着弾し爆炎があがる。

プラズマ砲持ちをまとめて24体撃破した。

 

西と南の2方向を戦車大隊が抑えている頃、北側は3個歩兵連隊が対処にあたっていた。

「撃て、撃てー!!」

89式5.56mm小銃が弾幕を形成し、110mm対戦車弾も使用して二足歩行ロボットへ攻撃する。

空港に近づこうとするプラズマ砲持ちの二足歩行ロボットに、1中隊が5.56mm小銃で牽制する。5.56mmでは、貫通できないのかロボットに当たる度に甲高い音をたてる。

二足歩行ロボットは、それが鬱陶しいのか歩兵にプラズマ砲を向けチャージを始め頭を体から出した時、

突如その頭が吹き飛び、間髪入れずに対戦車弾が飛来し胴体に着弾し、爆発をおこして崩れ落ちた。

「ナイスです、少尉」

「…次はどれだ」

空港の建物の屋上には、伏せた状態で対物ライフルを撃つ狙撃部隊がいた。

先程、二足歩行ロボットの頭を吹き飛ばしたのは彼らである。

「11時方向、2体です」

スポッターの隊員が地上の部隊からの情報と自ら双眼鏡を使って優先目標を設定して狙撃手に伝える。

狙撃手は返事はせずすぐさま狙いを定め、引き金を引く。

普通のライフルより猛烈な銃声が響き、計算尽くされた弾道を描き二足歩行ロボットの頭部の目の部分に命中した。

「命中」

そのまますぐに、隣の二足歩行ロボットの頭部へと狙いを定め再び猛烈な銃声とともに1発の弾丸が飛び出す。

こちらも二足歩行ロボットの頭部の目の部分に命中した。

「命中です、流石です」

スポッターがそう、褒めるも返事をしない少尉。しかし、その目は少し嬉しそうであった。

 

そして、滑走路から輸送機2機が離陸準備を終え、飛び立とうとしていた。

「全部隊へ、輸送機が離陸する。敵を近づけるな!」

一機目の輸送機が滑走路へはいり、離陸しようとしているところに2体の二足歩行ロボットが防衛線を突破してプラズマ弾を輸送機へと撃ち込もうとする。

「させるかー!」

そこに、二足歩行ロボットを追い掛けてきた2両の74式戦車が対戦車榴弾を撃ち込み、撃破する。

一機目の輸送機は、二足歩行ロボットが爆発四散すると同時に地上から空へと飛んだ。

「一機目の離陸を確認」

二足歩行ロボットは飛び上がった輸送機を落とそうと、攻撃したが射程外にまで輸送機は高度をあげていたため落とすことはできなかった。その後、二機目の輸送機も離陸しタウイタウイへと護衛機と共に向かった。

 

タウイタウイ泊地 提督室

第6師団が戦闘中、提督室で太田はその報告を聞いていた。

太田「ジャワ島では二足歩行ロボットに、海では深海棲艦の大群に襲われていると…」

目に光の灯ってない大淀が頷く。

太田「穂高少将は?」

大淀「スクランブルをかけ、飛行隊を向かわせましたが途中深海棲艦の艦載機に遭遇し、ジャワ島には辿り着いていません」

その声には抑揚はなく無機質なものであった。

太田「よし、陸攻を海上の援護に回しておけ。あー、わかっていると思うが」

大淀「はい、全弾外すよう伝えておきます」

大淀が提督室を出た後、1人の女が提督室の奥の隣の部屋から入ってきた。

??「上手くいっているみたいね」

どこか楽しそうな声で提督室の応接用のソファーに座る。

太田「あぁ、今のところはな。だが、あの男がどう動くか」

??「大丈夫よ、今から向かっても間に合わないわ。航空機だけ向かわせてもドローンが対応してくれるわ」

女はすらっと伸びた真っ白な両足を組み、太田を誘う。

太田は、その脚を見ながら

太田「しかして万が一はあるだろう」

そう、疑問を呈する。

??「問題ないわ。上陸部隊に大きな被害を出せれば充分だから」

ソファーから立ち上がり、太田の後ろに回りこみ抱きつく。

太田「そうか」

満足そうな笑顔して立ち上がり太田は女を連れて、隣の部屋に入っていった。

 

14:59

ジャワ島 バンドン フセイン・サストラネガラ空港

 

その後も、順調に敵を撃破していき、100体いたロボットも残りわずかになっていた。

「これで終わり!」

74式戦車から対戦車榴弾が放たれ命中した二足歩行ロボットが崩れ落ち爆発四散した。

「これで、全部殺ったか?」

最後のロボットを殺った戦車の車長がそんなフラグを建てる。

「車長!それフラグ!」

射撃手がそうツッコミを入れると同時に無線から

「新たなロボットを確認!」

今度は、200を超えるロボットが現れ、空からプラズマ弾が降ってくる。しかもプラズマ砲を持つタイプとは別のタイプもいる。

74式戦車は急ぎ回避しつつ、走行間射撃を行う。

しかし、砲兵隊はそうもいかず

「グワーッ!」

プラズマ弾が直撃し吹き飛ばされる兵士達。

さらに、移動の速いロボットが近くまで接近しており粒子ガトリング砲でさらに砲兵達の体を蜂の巣にし、さらに155mm砲を破壊していく。

北側でも兵士は、110mm対戦車弾で攻撃するもなかなか倒しきれず殺されていく。

第6師団と二足歩行ロボットの戦いは第2ラウンドへと突入した。

 

 



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第36話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦3

読者のみなさま、お久しぶりです。作者のまはまはです。
お待たせしました、第36話です

投稿から期間が空きすみません

来月には、次話をしっかり投稿できるようにするのでこれからもよろしくお願いします。


今回、話の感じが変わっているかもしれません。ごめんなさい

それでは、どうぞ



第4章 西方海域編

第36話 西方方面反撃作戦 第一段階 ジャワ島攻略戦3

 

1月28日 11:35

ジャワ島沖

 

時間を遡り、フセイン空港に襲撃があった頃ジャワ島沖でも深海棲艦の大艦隊がスラバヤ沖に侵攻していた。

これを上空哨戒任務中だった佐世保鎮守府の蒼龍偵察隊が発見、同時にカリムン・ジャワ島の北側を航行中だったはぐろ型ミサイル護衛艦2番艦のなちの水上レーダーでも確認された。

 

そして、深海棲艦の大艦隊の上空を先程の蒼龍偵察隊所属の彩雲一機がいまだに、その規模の把握のため偵察をしていた。

「すごいな!これは、海が黒色だぜ!!」

操縦士の妖精が、ガハハハと笑う。

「ちゃんと、艦隊に打電を打っているか?」

「今、一生懸命やっているので話しかけないでください!!」

後ろの偵察妖精が時に、下の艦隊の様子を見つつ高橋名人並の速さで打電を打っている。

「くそ、鬼に姫クラスもいやがる…」

深海棲艦の大艦隊の中央に確認できる限りでも戦艦水鬼、戦艦棲姫、空母棲姫、軽巡棲鬼、駆逐棲姫が50を超えていた。

 

敵艦隊補足

数ハ、2,000ヲ超エル

マタ鬼、姫型ノ深海棲艦モ確認

最低デモ50を優に超エル

 

さらに詳細な情報を打電しようとした時、下からの対空砲火が機体のすぐ近くを通過する。

「ちっ、気づかれたか!ここらでズラがるぜ、お前ら舌噛むなよ!」

操縦妖精が操縦桿を横に倒し旋回、自分たちの母艦へとフルスロットルで飛んでいく。

下からは濃密な対空砲火が彩雲を落とそうと、深海棲艦は撃つが彩雲を捉えることはできない。そこに空母ヲ級から迎撃機が上がり始め後ろから追いかけてくる。

「ちっ、こっちに来るな!」

最後方にいる妖精が武装の7.92mm機銃を撃ちまくる。

深海棲艦の艦載機はこれをバレルロールで器用に避けつつ、20mmチェーンガンで反撃さる。運良く狙いが外れ火線は彩雲の真横を通り過ぎていく。

「救援要請をしてくれー!」

「もちろんやっていますよ!」

偵察妖精の打電スピードは某ゲームの某名人の連打スピードに迫る速さでSOS発信をしていた。(しかし、早すぎてただの連打になりSOSになっていなかったり…)

その間にも深海棲艦の艦載機は彩雲を確実に落とすために迫ってくる。迎撃手が7.92mm機銃を撃つも、威力が弱いためか弾かれてしまう。

「もっとだ、もっと速く!」

スロットルを限界まで上げ、さらに彩雲が加速していき後ろにいた深海棲艦の艦載機がだんだんと小さくなっていき、最終的に深海棲艦の艦載機は追撃を諦めたのか機銃を掃射して、機首を反転して帰って行った。

「よ、良かった…」

「ガハハハ!これは、[我二追イツク敵機ナシ]だな!」

操縦妖精が彩雲の有名なエピソードを出しつつ、機内は一時的に平穏な空気になった。

 

そんな平穏すぐに消えてなくなる。後方から新たな深海棲艦の艦載機が現れ、彩雲を撃つ。

何発か被弾し、機体を揺さぶる。それに操縦妖精は動揺する。

「まさか…追いつかれたのか!?」

「たこ焼き型だ!」

白くいかつい形相の鬼、姫クラスの精鋭機であるたこ焼き型艦載機が彩雲を追尾しており、ついに追いついたのだった。

「くそっ!」

再び、スロットル全開にしてスピードを上げて逃げるが、たこ焼き型艦載機との距離は縮まらずむしろだんだん近くなってきてきた。

「来るな、来るなー!!」

迎撃手が7.92mm機銃をたこ焼き型艦載機に撃つが弾かれ、さらに弾切れとなった。

ついに、たこ焼きが追いつく。操縦妖精は自分の持てる操縦技術を駆使して逃げるがたこ焼きは、後ろにピッタリと付いてくる。

たこ焼きが口を開き、機銃を撃つ態勢になってもまだ諦めず逃げる彩雲。

 

 

結果、その足掻きは無駄ではなかった。

上空から、太陽を背に烈風が降下してきて、搭載されている20mm機銃でたこ焼きを撃ち落としていった。

「大丈夫だったか?」

「「「お、おやっさん!」」」

蒼龍の彩雲を救ったのは、佐世保の赤城と共に空母部隊の中核を成す同鎮守府の加賀航空隊であった。

「お前らの情報は、役に立った。よくやった」

「「「あ、ありがとうございます!」」」

「蒼龍は近くまで来ている。もう深海棲艦は来ないから安心しろ」

おやっさんこと加賀航空隊の隊長妖精が彩雲妖精達を褒め、彩雲妖精達は涙を流し再び上空へと上昇していく烈風に向けて敬礼して見送った。

 

13:26

 

佐世保鎮守府の蒼龍偵察隊からの情報に基づき、ブリトゥン島南西200km地点にいる深海棲艦の大艦隊をスラバヤにいた艦隊はカリムン・ジャワ島北東180km地点で迎え撃つことを決定。

国防海軍の護衛艦隊は、バウェアン島沖に展開しミサイルによる支援攻撃を担うことになった。

 

22:32

 

艦隊の配置が完了

護衛艦のいずも及びかがの艦載機SH-60Kによる深海棲艦の監視によると深海棲艦に動きが無いことが分かった。

艦隊は、夜明けと同時に深海棲艦の攻勢が来るものと予想し待機。

引き続き、SH-60Kによる監視任務も続けられることになった。

 

1月29日 00:24

 

監視任務中のSH-60Kから入電

深海棲艦の艦隊が航行を開始。進路はカリムン・ジャワ島北側を通る。

接敵時刻は0530頃。

 

これに伴い、空母艦隊を後方に配備し発着艦可能時刻まで待機させることになった。

 

05:36

 

深海棲艦の艦隊を発見。大和、武蔵による超長距離一斉砲撃が始まりこれがジャワ海海戦の始まりの号砲となった。

 

観測妖精「着だーん、今!至近弾多数、夾叉も確認!」

大和「そのまま、第二斉射撃て!」

大和達の46cm三連装砲が再び吠え、深海棲艦へと徹甲弾を撃ち出す。

大和「次弾、装填急げ!」

装填手の妖精さん達が急ぎ、主砲に徹甲弾を装填していく。

今回艦隊の作戦は空母艦載機の発艦可能時刻、06:35まで大和型戦艦による超長距離砲撃によってある程度の深海棲艦を減らしておき、時間以降航空隊の援護のもと殲滅する算段となっている。

 

大和(今回の敗北条件は、航空隊の全滅又はバウェアン島沖の最終防衛ラインの突破。1時間程の砲撃で多く減らさなきゃ!)

観測妖精「着だーん、今!」

今度は命中弾が多数出て、何隻か撃沈させることに成功していた。さらに観測妖精は、辛うじて撃沈を免れ大破し、火が出て煙が立ち込める深海棲艦の様子を確認できた。

観測妖精「命中弾多数!少なくとも10隻を撃沈!大破炎上中の深海棲艦もう少し確認!」

大和「よし!」

しかし、深海棲艦も撃たれっぱなしではない。

観測妖精「敵艦隊発砲!」

深海棲艦の大艦隊の中央部からこちらの艦隊まで50km以上離れている。

武蔵「まさか、戦艦水鬼の20inch砲か!?」

20inch≒51cm、大和型でも搭載ギリギリである46cm砲を超える大口径砲である。その威力は、巡洋戦艦クラスならば一撃で沈めることが出来るワンパン主砲である。

そして、戦艦水鬼の20inch連装砲から放たれた砲弾は大和たちの近くに着弾。46cm砲以上の水しぶきが上がる。

大和「至近弾…やりますね。では、お礼です!第三斉射撃て!」

大和たちがお返しの第三斉射を撃つ。しかし、深海棲艦の艦隊中央部には届かず先頭の深海棲艦を再び複数沈める。

航空隊使用可能まで40分、開幕の1時間は大和型と戦艦水鬼による超長距離砲撃戦となった。

 

06:38

 

約1時間ほどの超長距離砲撃戦の成果は、106隻を撃沈した。

そして、後方にいた空母艦娘から艦載機が空に上がり始め1時間で出撃可能全機が発艦を完了した。その数は、1,000機近くにもなっており一糸乱れることのない編隊を組み、高度を上げていく航空隊の光景は、中々爽快なものであった。

制空隊を率いるのは、先程蒼龍の偵察隊の彩雲を救った佐世保鎮守府所属の加賀航空隊の隊長で烈風改に搭乗する妖精さんである。

攻撃隊は、お馴染みの佐世保鎮守府所属の赤城の村田隊長である。

艦隊から離れ敵艦隊に向かって飛んでいると、航空隊の上を飛ぶ機影を航空隊は確認した。

「あれは、タウイタウイの基地航空隊か」

そう、太田提督が指示を出し深海棲艦の襲撃も無く平穏なフライトをしてきた一式陸攻112機である。隊長機から攻撃の旨が伝えられる。

「ふっ、一番槍は譲るぜ」

健闘を祈る。と伝えると一式陸攻からさらに[スマナイ]と伝えられ、深海棲艦へと向かっていった。

村田隊長は、それが何を意味するのか理解できなかった。

 

 

「おいおい…、深海棲艦の数が砲撃後とほとんど減ってないんだが…」

村田隊長率いる攻撃隊が、深海棲艦のいる上空で目にしたのは一式陸攻による攻撃を受けたはずなのに轟沈もしくは損傷もない深海棲艦の大艦隊であった。

 

この後、村田隊長率いる攻撃隊が敵艦隊への攻撃を行うも深海棲艦の数は減らずむしろ増えていった。

 

10:45

航空機の損害も大きくなり航空劣勢となり、敵の弾着観測射撃がはじまり艦娘に被害が出始めジャワ海海戦の敗北が濃厚となった。

 

11:00

旗艦大和の判断によりバウェアン島南沖に防衛線を後退させる態勢を整えることに。

 

13:48

深海棲艦は、後退中の艦隊を追撃。

空母13隻、戦艦2隻、重巡4隻、軽巡2隻、駆逐艦3隻が大破しスラバヤの拠点に護衛を含め48隻が退避。

 

16:15

護衛退避により艦隊の戦闘能力が低下する中、バウェアン島南南東沖40㎞地点で深海棲艦を迎え撃つ。

結果は、制空権の確保が出来ず終始航空劣勢のままだったため敗北。

艦隊は甚大な被害を出しスラバヤへと撤退。

これにより、ジャワ海の制海権を喪失。

 

 

スラバヤの要塞に撤退した大和たちは中破、大破した艦娘以外でスラバヤ沖の哨戒を行いつつ、タウイタウイ泊地に救援要請を出していた。

しかし、

大和「救援を出すことができない⁉なぜ!」

大淀『こちらにも深海棲艦の襲撃を受けており救援部隊を出そうにも阻まれてしまうんです』

大和「1艦隊でいいので送れないのですか?」

大淀『それも難しいです(ウゥゥゥーー‼)ごめんなさい襲撃のようですので』

大和「あ、ちょっと…」

通信が切れ、大和は苛立ちを見せながら通信室を出て会議室に戻る。

赤城「どうだった? 救援は来るのか?」

佐世保の赤城が成果を大和に聞く。

大和「ダメでした」

その言葉を聞いた会議室に集まった艦隊の幹部メンバー(海軍将校を含む)は一様に厳しい表情になる。

「やはり完全撤退するしかないですかね」

「第6師団を見捨てるのか!」

「そうじゃない、第6師団も連れて帰るに決まっているだろう」

「でも、どうやって助けるんだ?包囲されている第6師団を救援する戦力はないぞ」

「それならば、無事な艦娘に歩兵装備を持たせれば…」

赤城「…私たちに犬死しろと?」

佐世保の赤城が低い声で将校に問う。

「すまない、不適切な発言だった」

すぐさま、将校は謝罪する。それを受け入れ赤城は椅子にもたれかかる。

大和「たしかに、私たち艦娘は人より丈夫ですが艤装をつけている時だけなので実際は普通の一般女性と変わりませんよ」

大和の説明の後、再び会議が続くも方針が決まることなくその日の会議は終了した。

その後も、会議では方針が決まらずただただ無駄に時間が過ぎていった。

 

2月3日

 

スラバヤに撤退してから5日後、事態が動く。

ついに、深海棲艦がスラバヤ沖に侵攻した。大和たちはすぐさま迎撃にあたる。

しかし

大和「くっ、こんな所で、」

武蔵「姉さん!」

複数の戦艦棲姫の砲撃が直撃し、艤装の第二砲塔が大破、機銃群が壊滅、第三砲塔の砲身が1つダメになるも第二砲塔の弾薬庫が無事のため中破で留まっていたが、これ以上の戦闘は難しいものであった。

大和「武蔵、ごめんなさい。後方に下がるね…」

武蔵「あぁ、任せておけ。全艦へ、旗艦負傷に伴いこの武蔵が指揮を執る!」

大和の戦線離脱後、武蔵をはじめ呉の艦娘の活躍によって深海棲艦の撃退に成功した。

 

20:48

ここにきて最も恐れていた事態が起きてしまう。

大和「え、物資が底を尽きた!?」

今日の戦闘でスラバヤの補給施設に空襲が発生。迎撃するも施設の8割が被害を受け、艤装の補給で物資が尽きてしまったのだ。

これに伴い、艦隊はスラバヤからの撤退を決定。

明朝、スラバヤ沖を囲む深海棲艦を突破する事となった。

作戦は、大破した艦娘はいずもに乗せ、それ以外は海軍艦艇を護衛しつつ撤退するものであった。

旗艦いずもの艦長は、

「今作戦は、いったい何隻沈むのだろうか。沈むのは、我々かもしれない」

と、話していたそうだ。

 

2月4日 2:15

 

スラバヤから艦隊が出港

日の昇らないうちにスラバヤ沖から脱出を試みる。

 

04:48

 

深海棲艦の潜水艦に発見され艦娘数名が雷撃を受け大破

 

05:26

 

深海棲艦の艦隊と接敵する。

 

空がだんだん明るくなり始めたころ、艦隊は前方に姫級のみの深海棲艦の艦隊と後方からflagship、eliteのみの深海棲艦の大艦隊に挟み撃ちにされてしまった。

敵の砲撃が降り注ぎ艦隊は何とか回避する。しかし

大和「ここまでかな…」

大和をはじめ何名かの船速が低下

そこに、戻ってきた武蔵が手を引いて連れて行こうとするが、首を横に振り真剣な表情になる。

大和「武蔵、損傷の被害が少ない艦を連れて海軍の人たちと突破しなさい」

武蔵「!?…、姉さんはどうするんだ」

その問いに、大和はにっこり笑って

大和「私は、残って殿を務める」

武蔵「できない、わたしが残って―」

大和「武蔵!あなたは、残りを必ず帰還させなさい…、いい?」

武蔵「―――、わかった」

武蔵の強く握り占めた手からは、血が流れていた

大和「うん。私は、あなたの姉で幸せだった。そして、最後までいれなくてごめんね」

 

06:18

損傷のひどい36名を除く艦娘と、国防海軍の護衛艦が無事戦線を離脱

大和「行きましたね…」

赤城「あぁ…」

殿には、佐世保の赤城の姿もあった。彼女も昨日の戦いで中破していた。

大和「そういえば、赤城さん戦えるんですか?」

赤城「大和、私を誰だと思っているんだ。弓などなくとも戦える」

そういうと、赤城は艤装から10cmほどの棒を取り出し、棒についたボタンを押すと棒が変形し刃が60cm、柄が約170cmの薙刀になった。

赤城「鳳翔さんの直伝だ。心配はいらん」

大和「そう、みたいですね」

大和たち殿組は、背中合わせになり、それぞれ戦闘態勢になる。

大和(やっぱりあの時、言っておけばよかったな…)

大和は、一人の男を思い浮かべる。

大和(デスピナさん…。翔鶴さんみたいに私も助けてくれないんですか…)

赤城「くるぞ!」

大和は、深海棲艦からの砲撃と航空機から落ちてくる爆弾を眺めつつ

大和(また…逝くのね…さようなら、デスピナさん…)

瞼を閉じた彼女の目からは、いくつもの大粒の涙がこぼれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオオオォォォォォォンンンンンンン‼!!!!!!!!

大和「ふぇ?」

深海棲艦に無数のミサイルが着弾する。さらに

ゴオオオオォォォォォォーーーーーーーーー!!!!!!!

200機を超える大型の全翼機が大和たちの上空数メートルを飛んで行き、後方にいた深海棲艦の大艦隊を空爆で吹き飛ばしていく。

「ふぅー、間に合ったみたいですね」

後ろを見ていた大和が聞き覚えのある助けを求めた人物の声に反応し振り返ると、

裕一「もう、大丈夫ですよ。大和さん」

デスピナこと裕一がそこに立っていた。

大和「デ…デスピナさん…うぅぅ…うわぁぁん!」

大和が裕一へと飛びつき声の限り泣き叫び始めた。裕一はいきなりの出来事で慌てるも、大和をやさしく抱きしめ子供をあやす様に背中をポン、ポン、と叩いて慰めていた。

 

 

裕一「すっきりしました?」

裕一がハンカチを差し出しかけて、ポケットティシュを渡す。テンプレは起こさない。

大和はポケットティシュを受け取り、涙を拭き鼻をかんで

大和「はい、大丈夫です。それであの…」

裕一「どうしました?」

大和「どうやってここに?タウイタウイも襲撃を受けていたはず…」

裕一「ええ、昨日深海棲艦の襲撃を撃退した後、大和さんたちの状況を知りました。タウイタウイからは最低でも2日かかるので、カロンに乗って空挺降下でここにやって来たんです」

大和「他の皆さんは?」

裕一「あー…、空挺降下がイヤだったらしく普通に来るそうです」

苦笑いしながら答えていた裕一だったが、表情が真剣なものになる。

裕一「すみません、大和さん少し待ってもらってもいいですか」

裕一たちの周りには、再び深海棲艦が取り囲み始めていた。

大和「デスピナさん…周りが…」

海上で女の子座りをしている大和が裕一の手を握り心配そうに見上げる。握られた手を裕一は握り返す。

裕一「大丈夫ですよ、しかしミサイルで潰すのも鬱陶しいですね…」

裕一は少し考えコマンドのホログラムをだし

裕一「副長、砲雷長、A制限を解除する」

 

 

副長「裕一さん、まさか…」

裕一「あぁ、今回のは流石にちょっとキレてるんだ」

副長の問いに俺は少し声のトーンを下げて答える。

砲雷長「いいんですか?あれは、我々の切り札ですよ」

裕一「切り札でも使わなければ意味がない。それに、ひとり艤装だけじゃなく身体のほうに致命的なダメージを負っている。あまり時間はない」

視線を向けた先には、デスピナの軍医妖精と救護班、応急修理妖精が、大破した赤城に応急処置と修理を行っていた。

裕一「では、兵装制限Aを解除」

副長、砲雷長「はい」

パスワードを入力し、副長と砲雷長によってシステムの物理ロックも解除される。

すると―兵装制限Aを解除 衛星軌道兵器ノートゥング攻撃態勢に移行します―と表示される。

CDC「衛星軌道兵器ノートゥング、エネルギー充電を開始」

砲雷長「ノートゥングとシステムリンク。上空からの目標映像を出します」

ホログラムに、ノートゥングからの映像が表示される。

裕一「攻撃モード スプライトフォール」

砲雷長「了解、攻撃モード スプライトフォール」

CDC「攻撃範囲を確認。…計算完了、攻撃地点入力」

ホログラムで表示されるレーダー上に、攻撃予定ポイントの範囲が表示される。

CDC「エネルギー充電完了」

副長「攻撃モード スプライトフォール システムオールグリーン」

副長の報告を聞き

裕一「最終安全装置解除!」

砲雷長「ターゲットロック、誤差修正完了、スタンバイ!」

副長「カウントダウン5秒前…3、2、1」

裕一「消えろ…この世界から。スプライトフォール、ファイヤ!」

すると、空から無数のエネルギー弾がまず、目の前の深海棲艦に降り注ぐ。

エネルギー弾が直撃した深海棲艦は蒸発し、エネルギー弾の着弾地点の近くにいた深海棲艦は爆発に巻き込まれ沈んでいく。目の前にいた深海棲艦が9割方いなくなると、今度は後ろのほうに無数のエネルギー弾が降り注ぎ始めた。

その後も、左右にいた深海棲艦もスプライトフォールの餌食になり、姫、鬼級も残らず全て沈めたのだった。

 

砲雷長「周囲の深海棲艦を殲滅しました」

CDC「ノートゥング、冷却に入ります」

裕一「了解。冷却完了後、通常モードへ移行」

コマンドの衛星攻撃のホログラムを閉じる。それと同時に体にどっと疲れがやってきた。あー、甘いもの食べたい。

 

俺がこんなにも疲れている理由は、衛星攻撃システムは本来エレメンタルシステムver2.5から実装されるはずであり、現在のバージョンであるver2.1でも使えるようダウングレードしたもののため、演算処理量が大きくなっているからだ。

結果、使用後は艦娘の身体が艤装状態のフィードバックを受けるのに従い、倦怠感や頭痛などの症状がでるのだ。

 

そんなことを考えていたら、大和さんが服の袖を引っ張ってきた。

大和「デスピナさん…今の攻撃は?」

頭痛がし始めたが我慢しながら答える。

裕一「えっと…オフレコで頼みたいんですが…。さっきのは、衛星軌道兵器ノートゥング、による攻撃です」

大和「衛星軌道兵器。ということは宇宙から攻撃したってことですか?」

裕一「えぇ、俺が持つ、切り札でも、あります」

やばい、頭痛が…。

軍医妖精「裕一さん、薬です」

裕一「あぁ、ありがとう」

軍医妖精から頭痛薬とミネラルウォーターをもらい飲む。

ふぅ…、だいぶ楽になった。

 

軍医のくれた薬は即効性が高い。過去に一度風邪をひいた時も薬を軍医から処方してもらったのだが、飲んで30分ほどでほぼ元気になった。

その時、なんの成分が入っているのか軍医妖精に聞くと「え?知りたいんですか??」と笑顔で言われたので聞くのをやめた。そのため即効性の高さの理由はわからない。

 

再び、余計なことを考えていると、通信が入る。

航空参謀『アタッカーからビッグフォートレスへ』

裕一「こちらビッグフォートレス、状況は?」

航空参謀『はい、第6師団はチルボンまで後退。そこにフォーリナーのヘクトルによる攻撃を受けていたので救援に入り、敵部隊を殲滅。しかし戦闘部隊の3割を喪失、ほぼ全滅状態です』

裕一「住民は?」

航空参謀『ないとのことです』

裕一「そう…か。戦闘機と迎えのヒドラを向かわせる。全機帰還せよ」

住民が無事ならばいいか。兵士の皆さんは己の職務を全うしたからな。後で、遺体の回収にもいかないとね。

航空参謀『了解です。それともう一つ』

裕一「どうした?」

航空参謀『実は、ヘクトルの中に変わったやつがいたんです。データを送りますね』

航空参謀から送られてきたデータを開く。5枚の航空写真と、第6師団からだろうか地上で撮影された4枚の写真であった。

写真には、多くの銀色のヘクトルたちのなかに金色の人型が数体写っていた。

そのうちの1枚に金色の人型から足がとれ、紫色の液体が流れている写真。

さらに、その脚部が再生している様子が写った写真もあった。

裕一「これは、一体…」

副長「生物的な印象がありますね…。生体兵器ですかね…」

裕一「しかし、このタイプはデータ上にはなかった。フォーリナーが新兵器を開発した…?」

前世で地球防衛軍4.1の本編はもちろんDLCにもこのタイプの敵はいなかった。

おそらく、俺の出現でフォーリナーの兵器が変化しつつあるのか?

裕一「調査チームを送るか。副長、3博士連れて現地に行ってきてくれ」

副長「了解です。レンジャー部隊を護衛で借りていいですか」

裕一「かまわない」

副長に3博士以外の調査チーム人選を任せ、俺はヒドラの発艦準備を始めるのだった。

 

 




ノートゥングがついに使用されました。
これで、自重する必要がなくなったので次の段階からは、もっと出したいですね。



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第37話 西方方面反撃作戦 第二段階 マレー島攻略及びマラッカ海峡突破

皆様、お久しぶりです。
作者のまはまはです。
まず、投稿の間隔がかなり開いてしまいごめんなさい。
色々とありまして、予定を変更して要塞空母デスピナ出撃す。の第1篇を完結することにいたします。
ご不満もあるとは思います。
それについては、ただただ、申し訳ないと謝ることしかできません。
さて、第1編の完結に伴い8月か9月に第2篇を新しく投稿いたします。
現在、執筆中ですのでお待ちいただけたら幸いです。





第4章 西方海域編

第37話 西方方面反撃作戦 第二段階 マレー島攻略及びマラッカ海峡突破

 

2月15日 09:12

横須賀鎮守府 工廠エリア 

 

第一段階終了後、三博士が金色の人型を横須賀に運び研究。今日は三博士から結果が出たとの連絡があり、タウイタウイから戻ってきていた。

裕一「では、後程…」

翔鶴「はい、デスピナさん」

大和「デスピナさん、またあとで」

工廠の建物の前で二人と別れ中に入る。当初は、俺だけだったが翔鶴さんと大和さんが許可も取ってついてきたのだ。いや、迷惑には思っていない。ただ…、機内でずっと二人でほほ笑んでいて居心地が悪かった。

オハラ博士「おー、来たか!」

ブンブンと手を振りながらオハラ博士が出迎えてくれる。ごきっ

オハラ博士「!あ…、いててて!!」

あ、肩が外れたようだ。痛そうだ。

オハラ博士「感想を言ってないで、裕一君、たすけて!」

裕一「あー、はいはい。軍医お願いします」

軍医を呼び出して治療してもらう。

軍医「ほいほい。はい、じっとしててね」

オハラ博士「い、痛くしないで…」

軍医「(微笑み)わかりました。では、いきますね。1、2、3、ダー!!!」

ごきっ

軍医が顎をしゃくれさせながらオハラ博士の肩をいれる。

オハラ博士「(声にならない悲鳴)」

こんな感じの茶番をして、工廠の地下に向かった。

オハラ博士「ちゃ、茶番で、かたづけ、ない…で(ガクッ)」

 

横須賀鎮守府 工廠エリア地下 地下特殊研究所

 

裕一「それで、例の物は?」

オハラ博士「いたたた…、あーこの先だ」

通路の突き当りに見た目からも分かるくらい厳重な扉が見えた。

オハラ博士が一度、人間サイズに大きくなる。それから扉の横にある装置にカードキー差し込み、パスワードを入力、静脈認証、網膜認証をして警報音とともに扉がゆっくり開いていく。

扉が開ききってからオハラ博士についていくと、通路を抜けた先に広い空間にでた。そこには多くの研究員と思われる妖精たちがおり、中央には透明な大きな筒の中に液体に入った銀色の肌を持った人型がいた。

その顔は、縦長な顔の形に大きな2つの目、小さな鼻と口。典型的な宇宙人の顔だった。

裕一「う、宇宙人、だ。…あれ金色じゃなかったか?」

オハラ博士「金色のあれは解析の結果、宇宙服だった。」

裕一「鎧じゃなくて宇宙服!?」

オハラ博士「防弾性が高く鎧でもあるようだ。しかし驚くことにあれは着用者を大気汚染から守るための物だ」

裕一「なるほど…どっちみちその宇宙服を壊さないとダメージが入らないわけか…」

オハラ博士「あぁ、さらに面白いこともわかったぞ」

そう言って、オハラ博士がタブレット型の端末を取り出し1本の動画を見せてくれる。

映像には、小さな細胞だろうか1つだけあったが5秒後に急激な細胞分裂が発生し、しかも新しくできた細胞も連鎖的に細胞分裂を起こす。結果、1分ほどで画面いっぱいに細胞が映っていた。

オハラ博士「あの人型、我々は“コスモノーツ“と呼称しているのだが、そのコスモノーツから採取した細胞を復元して実験した映像だ。1分ほどで1万を超える細胞に増殖した。コスモノーツの再生の高さの秘密だ」

ということは、ゾンビアタックも可能?死ぬことのない軍団…アルマゲドンで消し飛ばすしかないか?

裕一「…恐ろしいですね」

オハラ博士「あぁ、しかしその増殖した細胞たちは数分後全て死滅した」

裕一「なぜですか?」

オハラ博士「うん。急激な再生には、それだけ多くのエネルギーを消費する。そのため細胞たちは再生に自分たちの持っていたエネルギーを使い果たして死滅した」

裕一「つまり、無限に再生するわけでは無いってことですね」

よかった。複数回の爆撃で仕留めることができそうだ。

オハラ博士「そうだ。コスモノーツだが、フォーリナーとの技術的な関連性は無かった」

すなわち新たな勢力の登場か…。コスモノーツ以外の種類もいるよなー。プライマーと呼称して区別しておくか。

裕一「しかし、一番の問題は知的生命体との戦闘になりうるってことか…。これからは一方的な戦いは展開しにくくなるな」

オハラ博士「今、飯綱博士と結城博士と一緒に新兵器の考案中だ」

裕一「本当ですか!?」

オハラ博士「私は新たな航空戦力の開発を前世でしていたものがあったのだが、資料が無いからな。最初から研究のやり直しだよ」

裕一「そうですか、期待しています」

オハラ博士「うん、なるべく早く実現して見せよう。第2段階の健闘を祈っているよ」

オハラ博士からエールをもらって、俺は地上に戻った。

 

裕一が地下にいる間、あの2人はと言うと…

翔鶴「ふふふふ」

大和「ふふふふ」

甘味処 間宮で2人向き合っていた。そこに、龍驤が間宮羊羹を買いに来た。2人の様子を見て、若干引いたような表情になる。

龍驤「…間宮はん、あれなに?」

間宮「えっと、ここに来てからずっとあの状態でして。駆逐艦の子たちもお2人を見ておびえています」

龍驤「悪化してないか?」

間宮さんは答えずに苦笑いで返す。そんな店内を変える人物がやってくる。

裕一「すみませーん、間宮さん。ここに翔鶴さんと大和さんいますかー?」

根本的原因を作り出した男が入店。

翔鶴、大和「デスピナさん!」

裕一の声に気づいた2人は20mほど離れた裕一腕に1秒未満で移動し抱き着く。

龍驤「ふぁ!?」

その超人的反応速度に思わず龍驤のこの反応。対して裕一は

裕一(な、なんだと。この…恐ろしいほどの、柔らかさは!大和さんのは少し固いけど。)

別のところに驚愕していた。

 

2月19日 15:48

タウイタウイ泊地 

 

横須賀から戻ってきたデスピナは、明日の作戦についての会議、と言っても最終確認だけの会議を終え泊地の工廠にある医療棟の病室にやってきた。

 

コンコン

 

「どうぞ~」

裕一「失礼します」

サラトガ「あら、Hi!デスピナさん。また来てくれたんですね」

あの時重傷を負い軍医に言って助けたのが、舞鶴鎮守府所属のサラトガだった。裕一は時間を見てはサラトガのお見舞いに来ていた。

裕一「ハーイ、サラ。どう、体調のほうは?」

サラトガ「えぇ、もう大丈夫です。でも艤装は次の作戦には間に合いそうにないですね」

その後、裕一が横須賀で買ってきたお土産を食べつつ雑談。

裕一「あの後、随伴艦を必ず連れていくって約束を忘れてしまって。バツとして一日荷物持ちでしたよ」

サラトガ「それは、デスピナさんが悪いですよ。翔鶴さんはデスピナさんのことを心配しているからですよ」

裕一「そうですね。あ、そろそろ行かないと」

サラトガ「あら話し込んじゃいましたね。…デスピナさん、good luck」

裕一「ありがとう、サラ。ではまた来ますね」

 

 

デスピナが病室から去った後、

サラトガ「――――!!!!」

ベッドの上で悶えていた。デスピナがまめに自分のところに来てくれる嬉しさが込み上げてきたからだ。

サラトガ「…でも、デスピナさんは翔鶴さんが気になっている…」

デスピナとの話をしていると必ず出てくる翔鶴。そこにサラトガは少し嫉妬してしまう。

サラトガ「…サラといる時は、ほかの娘のことを考えないで」

そう、つぶやいた。

 

18:48

タウイタウイ泊地 宿泊棟 105号室

 

普段なら艦娘寮なのだが、今回は他の鎮守府の艦娘もいるため一般の宿泊棟に割り当てられた。部屋に入ると、おなじみ遮音フィールドなどなどを展開する。今さらであるがこのフィールド、艤装のエネルギーを使って展開している。そして、対物シールドのようなものも展開できるのだがこれらフィールドやシールドなどは機関への負荷が大きい。で、なぜ今その話をしたのかと言うと

副長「…やっぱり、機関部も限界が近かったですね」

裕一「うん。工廠長にちょっと機関部を中心に見てもらって正解だったよ」

実は大和さんたちを助けに行ったとき空挺降下で向かったのだが、パラシュートをもっていなかったのでシールドを下方部に最大展開で着地した。その時、シールドが全てのダメージを無効化するために機関部に膨大なエネルギーを要求。結果、ガタがきました。

砲雷長「もともと、シールド関連は別のシステムが必要ですからね」

裕一「もっと早く言って…」

機関長「心配するでない。すべての作戦が終わるまでは動かせるように修理はしてある。じゃが、対物シールドは使えないと思ってくれ。使用すると次こそ炉が爆発するぞ」

裕一「ありがとう、機関長。では、明日の作戦について話す」

部屋にデスピナの主要な妖精達全員が出てくる。

俺は、床にある装置を置き起動させると、部屋の床一面に作戦について書かれたウィンドウが表れる。

これは、博士たちが作った

裕一「第二段階はいよいよ我々の出番だ。作戦日程を伝える。明日06:00タウイタウイ泊地を出発。艦隊航路は当初ジャワ海経由であったが、先日の作戦から南シナ海経由に変更となった。22日06:00にブンタウ沖100km地点に艦隊を展開する。到着後06:10に本艦から上陸部隊第1陣を載せたポーターズが発艦。同時刻、あきつ丸から陸戦隊を乗せた大発動艇も出撃する。06:30にボマー第1、2部隊とミッドナイト第1部隊は発艦。ブンタウにある深海棲艦の航空基地の南、バックビーチに展開している敵と航空基地の滑走路を攻撃してもらう。その後、バックビーチをレンジャー、フェンサーと数名のエアレイダー合計120名の上陸部隊第1陣と陸戦隊が上陸、橋頭堡の確保を行う」

ブンタウの航空写真に地上部隊の予測地点が表示されたウィンドウに作戦の経過時間をタブレット端末で書き込んでいく。

裕一「橋頭堡の確保が確認され次第、砲兵隊とエアレイダーの第2陣、残りのレンジャー、フェンサー合計92名とビークルの第3、4陣が上陸する。ここまでを11:00までに行う。」

ウィンドウの地図を市街地に拡大し次に行く。

裕一「10:45に本艦からボマー第3、4部隊とミッドナイト第2部隊が発艦。市街地の敵地上部隊を空爆と砲兵隊の砲撃で排除する。航空隊の空爆と砲兵隊の砲撃が完了次第、地上部隊は二手に分かれて行動してもらう。A班は、敵の航空基地施設へ向かいこれを制圧せよ。施設内に飛行場姫がいる。確実に排除しろ」

A班班長「我々の武器で飛行場姫を殺すことは可能なのですか?」

裕一「可能だ。飛行場姫は、生身の人間と同じだ。普通に殺せる。過去の戦闘データには国防軍の兵士が飛行場姫を殺害出来たとあった」

A班班長が納得した顔なので話を戻す。

裕一「B班は、敵航空基地周辺の地上部隊を撃破せよ。また、ファイターの第6、7部隊が航空支援、砲兵隊の砲撃支援がある。同行するエアレイダーが支援を要請せよ」

ウィンドウを閉じ、装置の電源を落として妖精たちを見渡す。

全員がやる気にみなぎった表情をしている。

裕一「以上が、我々にもともと課されていた任務だ。しかし、先日の作戦で味方の主力艦隊に大きな損害が発生したため、急遽我々も主力艦隊と共にマレー半島東部沖の制海権確保に向かうことになった」

それを聞いた妖精たちの一部は目をぎらつかせ始めた。そんなに戦いがうれしいのか?

つい俺も、口角が上がる。

あれ?俺ってこんなのだっけ??

裕一「やることは単純だ。目の前の敵を消し去る、ただそれだけだ」

航空参謀「アルマゲドンは使えますか!」

ボマーの妖精たちが俺に注目し、次の発言を待つ。

裕一「…今作戦は“オールウェポンフリー”で臨む」

その言葉に、ボマー妖精と航空参謀があまりの喜びに身震いし、副長と砲雷長が驚きのあまり固まる。

副長「本気ですか?」

裕一「あぁ。全力でいく。今回も何が起きるか分からないからな、万全の状態にしておきたい」

副長「…そうですか。分かりました」

副長が納得した様子をみて砲雷長も納得した模様。

裕一「では、解散!」

 

2月20日 06:00

作戦第二段階開始。敵航空基地無力化のため横須賀鎮守府第5艦隊出撃

同時に、マラッカ海峡突破の作戦支援のため潜水艦隊が出撃。

 

2月21日 04:00

横須賀第5艦隊が南沙諸島のポイント通過の報。

マラッカ海峡突破艦隊が出撃。ブルネイ沖にて別命あるまで待機することになっている。

 

13:26

南沙諸島

横須賀第5艦隊、道中にて散発的な戦闘があるも損害なし。

近くの島にて一時休息。

 

休息のため島に上陸した。翔鶴さんたちに休んでもらい俺は見張りを行いながらホログラムの海図を見ながら残りの航海計画を立てる。

裕一「ブンタウ沖までは約480km。17ノットで来ているから…あと15時間ほどかな」

翔鶴さんたちが横になって仮眠しているところを見た、俺はすぐさまコマンドのカメラ機能を出し、寝ている翔鶴さんにピントを合わせる。

裕一「…ブラボー」

その美しい寝顔を連写で方向を変えつつ何枚も撮り、画像データをしっかりバックアップも取って保存する。

かれこれ、翔鶴さんと出会ってから作り始めたアルバムデータもかなりのデータ量になってきた。チャンスを見つけては撮影し、アルバム内にはムフフな画像もある。

しかし、盗撮なのでほかの人に見られるわけにはいかない。見つかれば間違いなく「憲兵さんこいつです」と通報されてしまう。

これは、ある種の戦いである!

 

航空参謀「何をしているんすかね、裕一さん」

副長「…多分、疲れているのだ」

裕一が翔鶴の近くで無駄のない無駄に洗練された動きで撮影している様子を見ながら、副長たちは、釣った魚を焼いていた。

 

2月22日 03:00

支援艦隊リアウ諸島周辺に到着。

以降、艦隊突撃まで待機。

 

06:04 ブンタウ沖100km地点

横須賀第5艦隊到着。

 

やあ、おはよう。予定より少し遅れたが目標地点に到着した。

裕一「副長、上陸部隊の状況は」

すでに、艤装内で上陸部隊の準備を始めさせていたのでもうすぐ完了するはずだが。

副長「はい。ポーターズ全機への搭乗、乗り物の搭載も完了しました」

ちゃんと完了していた。艦隊の他のメンバーにも聞いていく。

裕一「あきつ丸、準備はいいか」

あきつ丸「準備万端であります」

流石に、実戦ではふざけないらしい。真面目な表情だ。

裕一「翔鶴さん、瑞鶴は?」

瑞鶴「こっちもOK。いつでも行けるよ」

翔鶴「私も大丈夫です」

翔鶴さんと瑞鶴もOK

裕一「朝潮、秋月は?」

朝潮「いつでもいけます!」

秋月「問題ありません」

確認を終え、ホログラムの時間を見ると06:09と表示されていた。

まもなく開始だ。06:10まで残り10秒前からカウントを始めて…

裕一「06:10まで…3、2、1、今」

 

06:10

裕一「ポーターズ発艦はじめ!」

飛行甲板に人員輸送用とビークル輸送用のコンテナの付いたヒドラが出てきて、順次発艦を始める。また、下部の飛行甲板からは護衛のスカイレイヴンも電磁カタパルトで射出され発艦し始めている。

あきつ丸「さて、本領発揮であります!大発発進であります!」

あきつ丸からは、陸戦隊妖精たちを乗せた大発が発進。波しぶきをあげながら海を走っていく。

翔鶴、瑞鶴「航空隊発艦、はじめ!」

彩雲と俺のレーダーを使って周辺の警戒を行う。

また、朝潮は潜水艦。秋月は対空警戒を行ってもらう。

さぁ、戦いを始めよう。

 

06:28

ボマー第1、2部隊ミッドナイト第1部隊航空隊第1陣が発艦。同時刻に翔鶴、瑞鶴からも彗星一二型甲を中心とした爆撃隊も発艦。

 

06:58

ボマー1-1「こちらボマー1-1。目標上空に到達」

裕一『了解、第1陣全機へ。空爆開始』

カロンの爆弾槽が開き、空爆を開始する。

相変わらず、光っている爆弾。いや、もしかするとエネルギー弾なのでは?と疑ってしまう。

それは、さておきビーチにあるトーチカや敵の戦車などの車両にカロンが直線的に攻撃していき、破壊する。

ミッドナイト1-1「そーら、存分に受け取れ」

ミッドナイトは、敵の歩兵部隊が市街地からビーチにやってくるところをクラスター弾で一網打尽にしていく。

この攻撃を察知した飛行場姫が警報を鳴らす。

飛行場姫「フフ、タタキオトシテヤルワ」

直ちに迎撃機を出し始め迎撃機が滑走路へと進入している時に翔鶴と瑞鶴から発艦した彗星一二型甲が飛来する

翔鶴爆撃隊妖精「投下!」

彗星一二型甲から切り離された500㎏爆弾が迎撃機ごと滑走路を爆撃していく。

飛行場姫「キャァ!…オノレ、オチナサイ!」

飛行場姫は飛来した彗星一二型甲を叩き落すために対空火器を使うも、すでに射程より離れていた。

空爆後、滑走路は迎撃機の残骸が転がり、めちゃくちゃになっており使用不可能になっていた。

飛行場姫は、直ちに滑走路の修復を始めるもかなりの時間を要することに焦りを感じていた。

 

07:21

上陸部隊がビーチに上陸し、橋頭堡を確保する。

空爆で敵を吹き飛ばしたとはいえ、生き残っているのもいるので上陸部隊は周囲の警戒を行う。レンジャー5名ずつ組み周囲を見回ってもらう。

部隊の1つが空爆によって破壊された戦車の近くを通った時、残骸の陰から深海歩兵が口を開け、6inch砲を撃ってきた。それをまともに受けレンジャー5名が爆風と共に吹き飛ばされる。その爆発音を聞いた別のレンジャー部隊達は警戒を強め近くにいたレンジャー部隊が駆けつける。

そこには、すでに攻撃を受けたレンジャー部隊はおらず、デスピナへと強制送還された後であった。再び、深海歩兵が残骸の陰にから駆け付けたレンジャー部隊に攻撃しようとした時、音を出してしまい、気づかれてしまう。気づいたレンジャー部隊は深海歩兵の胴体にAF-99の弾丸を撃ちこむ。深海歩兵の目から光が消え、その場に倒れ動かなくなる。

「これで、3部隊がもっていかれたか…」

レンジャー部隊の妖精がそうつぶやいた。

 

08:03

上陸から1時間。上陸部隊第2陣の到着まで後5分。裕一はこれ以上の被害を無くすために、ミサイルによる攻撃を行うことに。

裕一「CDC上陸部隊からのデータは届いたか?」

CDC「届きました、敵潜伏予測地点を出します」

コマンドにビーチの航空写真上に潜伏地点を表すマーカーが表示される。その数は、30を超えていた。

裕一「ライオニック、座標を入力。最終誘導は地上部隊に任せる」

CDC「ライオニック、座標入力完了」

裕一「ライオニック、ファイア」

艤装から30発のライオニックが放たれた。

裕一「着弾まで2分」

 

エアレイダー妖精「よーし、そのままおいで…」

レーザーポインターで深海歩兵の潜伏している瓦礫にライオニックを誘導する。

レンジャー妖精「ライオニック、視認。着弾まで3、2、1、今」

瓦礫の直上からライオニックが着弾し、爆発した。エアレイダーはそのまま次の瓦礫にレーザーポインターを照射し、ライオニックを誘導していく。

確認は、レンジャー部隊が行う。瓦礫に近づき成果を確認する。

レンジャー妖精「目標A撃破。次の目標の確認に行く」

その後、残党の殲滅が終わり3時間後飛行場へと進撃を開始した。

 

11:48

市街地 A班

 

レンジャー妖精「レーダーに反応!増援です」

フェンサー妖精「まだ出てくるのかよ!」

レンジャー妖精「支援はまだか?そろそろやばいぞ!」

エアレイダー妖精「今、要請している!…まもなく砲兵隊の支援が来るぞ」

レーダーに砲撃範囲が表示され、部隊は深海歩兵に攻撃しつつ後退する。

レンジャー妖精「急げ急げ!砲撃に巻き込まれるぞ」

砲兵隊『榴弾砲ファイア!』

空から、多くの榴弾が降り注ぎ深海歩兵を吹き飛ばしていく。さらに

ボマー3-1『こちらボマー。空爆を開始する』

市街地全体にボマー第3部隊が絨毯爆撃を行い、A班と戦闘中だった深海歩兵、建物に隠れていた深海歩兵も吹き飛ばしていった。

A班「「空爆万歳!!」」

レンジャー妖精「やったぜ!全員、進め!」

A班「「おおおぉぉぉ!!!」」

レンジャー妖精「!?レーダーに反応、敵の航空戦力を確認!」

レンジャー妖精「なに!?」

フェンサー妖精「えぇい、対空戦闘だ」

エアレイダー妖精「いや、待て。…全員下がれ」

エアレイダーの無線にある連絡が来ていた。

裕一『目標座標入力。衛星軌道兵器ノートゥング、攻撃モード サテライトブラスター』

衛星軌道上のノートゥングがブンタウに照準を合わせる。

裕一『サテライトブラスター照射!』

遥か上空で輝いた1点の光が雲を突き抜けて1本の光の柱が降ってきた。

光の柱の真下にいた敵の航空機は圧倒的なエネルギーを受け一瞬で蒸発し、その下の建物とそこにいた深海歩兵も消し去りクレーターを作る。

その光の柱は、回避しようとしている敵の航空機を追いかけ次々に消し去っていく。

数分ほどで飛行場から飛び立った敵の航空隊が消え、光の柱、サテライトブラスターも徐々に細くなっていき、消えた。

裕一『攻撃完了、砲身を冷却。地上部隊、侵攻を再開せよ』

レンジャー妖精 班長「…りょ、了解です」

A班の班長はなんとか返事を返すが、その他のメンバーは初めて身近に衛星軌道兵器の実力を見たため驚愕のあまり少しの間その場を動けなかった。

 

12:27

ブンタウ空港

 

砲兵隊、航空隊そして裕一による衛星攻撃の飽和攻撃によってA班は無事飛行場の施設にやってきた。

ここで、班を3つの部隊に分け各ターミナルを捜索し、飛行場姫を排除する。

 

部隊の1つ、レンジャーのみで構成されA班の班長であるレンジャー妖精が率いる部隊が空港のターミナルの入り口に近づき、柱の裏に隠れる。

隊員にハンドサインで入り口をC30爆弾の設置を指示する。

数名のレンジャー妖精が入り口へ向けてC30爆弾を投げて設置する。

設置を確認し、起爆。大きな爆発音、爆風と共に入り口が吹き飛びレンジャー妖精らがすぐにターミナルへ突入する。

内部は、爆発の影響で建物の一部が崩れ大きな瓦礫が落ちていた。そして、爆発に巻き込まれ倒れている深海歩兵もいた。

突入してすぐ、生き残った深海歩兵から砲撃を受ける。すぐに、散開し瓦礫にかくれ応戦する。

レンジャー妖精 班長「狙撃兵!あいつらの頭をぶち抜け!」

ライサンダーFを持ったレンジャー妖精が狙撃の体制に入る。目標は物陰から顔を出し、砲撃している深海歩兵。その大きな目に照準を合わせる。

距離が近いのでスコープを使わず狙いを定めレンジャー妖精が引き金を引いた。深海歩兵の砲撃音くらいの大きな発砲音と共にマズルブレーキから弾丸が飛び出した。弾丸は深海歩兵の目から後頭部に貫通し気持ち悪い液体をぶちまけながら倒れる。

レンジャー妖精はすぐに隠れコッキングレーバーを引き、次弾を装填する。

その後も、ライサンダーFで深海歩兵を撃つが

レンジャー妖精 隊員「敵の増援が来ます!」

レンジャー妖精 班長「ちっ、ロケランをぶっ放せ!!」

隊員の一人がゴリアスZを構え、敵の増援が出てくる通路に向けて撃つ。

すぐに部隊全員が、瓦礫の後ろに隠れ数秒後、爆発が起き深海歩兵が吹き飛ぶ。

レンジャー妖精 班長「周囲確認!」

周りには、深海歩兵の死体が転がっており立っている敵はいなかった。

レンジャー妖精 隊員「「「クリア」」」

レンジャー妖精 班長「オールクリア、先に進むぞ」

 

14:16

 

空港の施設の奥にある一室の前にたどり着いた部隊は、扉に近づき聞き耳を立てる。

飛行場姫「マダハイジョデキナイノカ!」

深海歩兵elite「モ、モウシワケアリマセン」

飛行場姫「ハヤクシテ!」

飛行場姫と思われる女の声が聞こえた。

レンジャー妖精 班長「カウント5秒前」

 

 

 

 

 

 

 

部屋から深海歩兵の足音が入り口に近づく。

レンジャー妖精 班長「3」

 

 

 

 

 

 

 

 

レンジャー妖精 班長「2」

さらに足音が近づく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レンジャー妖精 班長「1」

深海歩兵がドアノブに手をかける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

裕一『作戦中止!繰り返す、全部隊作戦を中止せよ!』

突如入った裕一の慌てたような無線と部屋の扉が開き始めたことに気づいた部隊は直ちに廊下の曲がり角まで素早く後退する。そこにさらに無線が入る。

裕一『ビッグフォートレスから全部隊へ。作戦司令部から作戦中止命令が発令された。上陸部隊は直ちに戦闘を停止。指定ポイントに集合せよ!』

内容は帰還命令。これにA班の班長は

レンジャー妖精 班長「こちら上陸部隊アルファ。どういうことですか!」

裕一『こちらも現在、情報を集めている。しかし作戦中止命令が出た以上、直ちに帰還せよ』

それを聞いた班長は無線機を投げつけようとするも、留まり

レンジャー妖精 班長「くそっ…了解しました」

と返答した。

 

15:35

集合ポイント

 

集合ポイントにはポーターズが到着しており妖精たちの搭乗次第、離陸していく。

投入された、ビークル、砲兵隊の装備も破壊して破棄。それだけ、急ぎ戻らなければならないということであった。

 

ブンタウ沖100km地点

 

裕一「事実なのですか?中村提督」

聞いた内容は、嘘であると信じたかった。

中村『あぁ、すでに政府から非常事態宣言も発令された。作戦参加中の艦娘には直ちに本土防衛の任に就いてもらう』

裕一「ほんとに…敵の攻撃で…、佐世保鎮守府一帯が吹き飛んだのですね…」

中村『幸いにも、上条提督は東京にいたため無事だが…多くの艦娘が死亡した』

その言葉を聞き裕一は、サラトガの顔が思い浮かび、すぐに艤装から出撃可能な航空機を発艦させようとする。

しかし

中村『デスピナ、航空機は出さずにすぐに戻ってこい』

まるで見ているかのように中村提督から制止する無線が入る。

裕一「しかし!サラトガさんの仲間が…敵を早く討たねば!」

中村『必要ない!こちらのことは任せておけ。お前はそこにいる艦娘を守るために航空隊を使え』

裕一「中村提督!ですが」

中村『これは命令だ!』

中村の怒った声に裕一は出しゃばりすぎたことに気づく。

中村『デスピナ。お前は確かにすごい。だがな、たまには他人を信じて頼ってくれ』

裕一「…了解しました」

無線を切り、艦隊の全員を見る。

緊急の無線で全艦娘に作戦の中止がなされたが理由は聞かされていないため、誰もがどこか不安そうな面持ちでいた。

裕一「中村提督に問い合わせたところ…、日本本土が攻撃を受けました」

その言葉に全員が目を見開く。

裕一「我々は、作戦を中止し直ちに本土防衛の任に就くことになりました。これより、タウイタウイにて補給を行い横須賀に帰投します」

「「了解」」

 

2025年2月22日

西方方面反撃作戦はほとんどの成果を得ることなく中止。

同日、国防軍統合参謀本部から海軍軍令部を通じて全艦娘に協定の第二章の第四項に基づく非常事態宣言に伴い、統合参謀本部の指揮下に入る。

それに伴い、本土防衛命令が発令された。

 

2月25日

タウイタウイ泊地

 

補給のため戻った、タウイタウイ泊地で艦娘に今回の作戦中止の理由が伝えられた。しかし、佐世保鎮守府が攻撃されたことは発表されず、ただ日本の本土が攻撃されたからと伝えられた。

 

宿舎

 

裕一「はぁ…」

宿舎の部屋に入るなりベッドに寝転んだ裕一。

裕一(ズキッ)「いった…」

作戦前からで始め、ノートゥングを使ってからはその頭痛は、度々起こるようになった。

そして、一瞬だけ出てくる女の子の顔。それは前世での…

裕一(くそっ…今になって思い出すとは)

裕一は薬を取り出し服用し、ベッドに入る。

裕一(明日から長距離の移動だ…早めに寝よ)

そして、目を閉じ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん…

 

 

まぶしいな…もう朝か…

 

 

 

 

裕一は眠いためなかなか開かない瞼をゆっくり開けていく。そして…

裕一「えっ?」

 

そこは知らない天井だった

 

第2篇に続く

 




以上で
第37話 第1篇 仮初の世界
の終幕です。

第2篇をお楽しみに

8月15日
第2篇公開 小説のあらすじにリンクがあります


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