お嬢様の異世界旅行 (KKP110)
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1話 退屈

原作とは異なる部分が多いのでご注意ください。


 

ある日の冬の夜

 

「......さい...お嬢様...」

誰かが起こしているようだ。

「ん〜...あともう少し...」

と言い眠ろうとしたその時

バサッ!!

 

「さむっー!ちょっと、咲夜!」

 

冬の冷たさで目覚めた彼女はとても不機嫌そうだ。

いま御立腹な様子の彼女がお嬢様...レミリア・スカーレット、特別な能力のある吸血鬼の主人である。そして、お嬢様を起こしている彼女...十六夜咲夜、こちらも特別な能力がある従者だ。

「少し手荒ですいませんお嬢様。こうでもしないと起きませんので。あと、食事の準備が出来ております。」

 

不機嫌なお嬢様を物ともせずに淡々と話を進めていく彼女は鋼鉄の心でも持っているのだろうか

「───まぁいい。それより今日のご飯は何?」

 

早く料理を出せという顔で彼女はそわそわしている

 

「トマトソースのパスタで御座います」

テーブルの上に置かれたそれはとても赤く、血にも似たような色をしている。

「あら、美味しそうじゃない。寝起きでも大盛りはいけそうね。」

 

そう言いながらもぐもぐ食べ終え、食後のワインを楽しみながら彼女は少し考え事をしていた。

 

(何不自由ない生活は良いのだけれど、毎日こうしていると飽きて来るわね。何か大きい事件とか起きないのかしら…)

何やら考えついたようで、不敵な笑みを見せた彼女は自分の部屋からそそくさと出て行った。

 

彼女の向かった場所───屋敷内にある大きな図書室である。本を読みに来たのではなく、その管理者へ会いに来たのだ。

 

「おーい、パチェー!!」

 

図書室全体に響き渡るぐらいおっきな声を出して叫んだ。

「図書室では静かにしてって言わなかった?毎回大きな声を出されると心臓に悪いのよ...」

 

奥からブツブツ言いながら出て来た彼女...レミリアの友人で大魔法使いのパチュリーノーレッジである。

 

「ごめんなさいね。早くあなたに会いたくてつい大声出しちゃった!」

 

はぁ...とため息をつき、

 

「突然ここに来るってことは何か用があるんでしょう?」

『「何も言わなくてもわかるとは流石ねパチェ。心でも読めるんじゃないの(笑)。まぁそれはそれで置いといて、さっそく本題に移るわ。

退屈な日々から抜け出せるような魔法ってない?」

 

何を言うかと思えば突拍子も無い事を言い出したのである。これには流石の大魔法使いでも頭を抱えている。

 

「あのね、レミィ。魔法って言うのはそんなに便利なものじゃないの。魔法って言うのは────」

 

魔法について熱く語る彼女はまさに喘息をも吹き飛ばす勢いだった。

 

「ごめんごめん。悪かったよパチェ。じゃあ、別の世界へ移動は出来るの?例えばパラレルワールドみたいな...」

 

「ええ、行けるわ」

 

今度は即答だった。

 

「行けるの⁉︎聞いた私が驚いちゃったわ。それがわかったら早速準備よ!時間は待ってくれないわ!」

 

「だいたい3日は掛かるわね。その間はゆっくりしてるといいわ。」

 

「ありがとうパチェ!その間は計画でも建てようかしら...。咲夜、3日後に備えて準備して起きなさい」

 

彼女がそう言うと、何処からともなく現れ

「承知致しました。他の召使いに屋敷を任せるよう伝えて起きます。」

 

そう言うとまたスッとその場から居なくなった。

 

 




今回初めて書かせて頂いたのですが、全然慣れていないので指摘などして貰えると助かります。


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2話 驚きとわくわく

これは幻想入りする前のお話です!

色んなことを詰め過ぎて話が逸れちゃったりするかもしれないですが寛大な心で許してやってください。


「少し揺れるわよ。準備はいいかしら?」

 

パチュリーがそう言うと魔法陣が光り輝いて辺りを包み込んだ。

 

────時は少し前に遡る。

 

「さて、誰を連れて行こうかしら...。咲夜は決まっているし、あとは...」

 

「はい!はいはい!行きたいですお嬢様‼︎ぜひ私を!」

 

「あなたは門番の仕事があるでしょう。主のいない時に守らなくてどうするのよ。」

 

「うぅ...すみません...」

 

お嬢様の正論で落ち込んでいる彼女...名前は紅 美鈴。主に門番をしている。感情豊かで少し落ち着きがないのが特徴。

 

「で、でもどうしても行きたいんです!いっつも門の前で立ってるだけじゃ飽きるんですよ〜...」

 

それが仕事なのだがと頭を少し抱えるレミリアであった。

 

「う〜ん...部下の気持ちは組むのも上の立場ってものよねぇ...。いいわ、任せておきなさい。」

 

「流石お嬢様!感謝感激であります!」

 

わくわくして目をキラキラさせている美鈴の顔を見ていると、こっちまで嬉しくなってしまう彼女であった。

 

「フランは...まだ早いわね。あっちで行けそうならまた連れて行こうかしら。」

 

彼女の中での人選は決まったようだ。

 

「────ってことでパチェ!決まったわ。私と咲夜と美鈴の3人で行く事にしたの。」

 

「あら、私は行くわよ?と言うより、この屋敷ごと行くのよ。」

 

この言葉を聞いて驚きを隠せない彼女であった。

 

「私の考えた時間は一体...。それよりも、めずらしいわね。あなたが本以外で外に出る事なんてあったかしら?」

 

「向こうで研究する事が山ほどあるのよ。この世界の知識とは別の知識を発見できるかもしれないからね。それに────」

 

あぁ、またか...と顔をしかめるレミリア

 

「わかったわかった。パチェの確かに対する熱い想いは伝わったよ。もういつでも行けるの?」

 

「ええ、後は魔法陣を描くだけで完成するわよ。小悪魔、この本戻しておいて。」

 

後ろから人影が出てきた

 

「了解です!あ、お嬢様!いらしたんですか。コーヒーをお持ちしますのでそこの椅子に腰をかけといてくださいね。」

 

彼女はパチュリーの使い魔...名前は無いので小悪魔と呼ばれている。基本的には図書室の司書をしていたり、主のお世話をしている。

 

「あら、ありがとう。貴方は異世界についてどう思うの?」

 

「どう...と申されましても...よく分からないですね。ただ、向こうにも悪魔や魔法使いなどがいるのか気になりますね。」

 

「いると面白そうよね。いえ、きっといるわ!うん、いる!そう運命が囁いているもの。」

 

小悪魔との話が終わる頃、どうやらパチュリーは魔法陣を描き終えたようだ。

 

「そういやパチェ、向こうの世界にはもう1人の私がいるんじゃないの?」

 

「いい質問ね、レミィ。だけどそれはないわ。御都合主義って魔法があるのよ。」

 

「ごつごうしゅぎ...?なにそれ」

 

少し不安だが、パチュリーに任せておけば大丈夫と思いながら魔法陣の中心に入っていった。

 

 

 

 




新しい世界への挑戦ってドキドキわくわくしますよね!
ちょっぴり不安ってところがいいスパイスなのかも。


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3話 新世界への一歩

今回からいよいよ本編となります。
お嬢様御一行は無事に異世界にたどり着けるのでしょうか...。


 

「────レミィ、着いたわよ。」

 

「え、もう着いたの?何かこう、ワープトンネルみたいなのはくぐって無かったんだけど...」

 

「魔法にはそんなもの必要ないのよ。ただ、魔力が多く必要なのが難点だけど私には関係ないわ。少し外を見て来てごらん。」

 

魔法陣に入ってから一瞬の出来事で本当に異世界に来たのか戸惑うレミリアだったが、その疑問も直ぐに消え去っていた。

 

「すごい!すごいわ!近くに大きな山があるし、湖もあるのね!自然豊かでとても住みやすい環境だわ!」

 

感激しているのもつかの間、何者かが突然レミリアの前に現れた。

 

「あら、いつの間に蚊が入り込んだのかしら。招待した覚えは無いのだけれど。」

 

「面白い能力ね。当分は居させてもらうつもりよ。それが何か不服でも?」

 

なにも無いところから出た彼女に驚きもせずじっと睨みつけた。

 

「あらあら、そんな怖い顔しないで。幻想郷は全てを受け入れるわ。勿論あなた達もね。」

 

「げんそうきょう?そう言う国の名前なのねここは。貴方は気に入らないけどこの国は気に入ったわ。」

 

「そう、それはどうも。私の名前は八雲 紫よ。この幻想郷の管理者ってところね。貴方は?」

 

「私は偉大なる吸血鬼、レミリア・スカーレットよ。この館、紅魔館の主だ。」

 

いきなり出て来た金髪ロングの美しい女性...八雲 紫という。この女性も特別な能力を持っており、何を考えているかわからない危険人物である。

 

「見た目と違ってしっかりとしているのね。私は冬眠に入るけど、あまり異変は起こさないでね。」

 

「待て、聞きたいことがたくさ────」

 

スッ と彼女は消えてしまった。

 

「咲夜、この館の周辺を見て来なさい。美鈴は仕事に戻って。パチュリーは屋敷に結界をはって来てちょうだい。」

 

「承知致しました。」

 

「異世界にせっかく来たのに仕事かぁ...。いた!すいません!了解です。」

 

「警戒しすぎじゃないかしら。まぁいいわ。」

 

各々が動き出し、レミリアはあの女に対して何か対策を取らねばならないと感じ始めていた。

 

「幻想郷って言うらしいですよ。なんだか面白そうな感じがしてきましたね咲夜さん!」

「これは遊びじゃないのよ。しっかり門の仕事してね。」

 

「臨時手当はあるんですか...?」

 

「ちゃんとあるわ。だけど、何が起こるか分からないから気をつけるようにね。」

 

「やったー!!ありがとうございます!あ、ここでは前の世界のお金って使えるんですかね...」

 

「さぁ?私は使えなくても構わないわ。」

 

「そ、そんなぁ...」

 

2人は話し合いをしながら外へ出て行った。

 

一方、パチュリーの様子は...

 

「ただでさえ病人なのに私の使い方が荒いのよ。まったく...。ただ、レミィの頼みなら断れないのよね。小悪魔、ちょっと手伝ってくれるかしら?」

 

「わかりました。ですが、あまり無理はなさらないようにしてください。かなり魔力を消耗していらっしゃる様子で...。」

 

「これくらいなんともないわ。さ、無駄口叩いていないで始めるわよ。」

 

これから始まる運命にレミリア達はどう動くのだろうか...

 

 

 

 




やっと動き出しましたね!
これからどんどん流れていく方向で進めていければいいなと思っております。


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4話 未知との遭遇

とうとう幻想入りとなりました!
元の世界では、幻想郷は無いものとして扱います。
これからはいろんなキャラを巻き込んで行きたいですね。


 

八雲 紫との出会いから2日後の夜の出来事

 

「あの女について何かわかったのかしら、咲夜。」

 

「いえ、この辺りには彼女の足取りを掴めそうなものは特になさそうです。話は変わりますが、近くの森で子どもがうろついているようです。」

 

「子ども...ねぇ。こんな夜にうろついていて危ないとは思わないのかしら。ちょっと様子を見てきなさい。」

 

「承知致しました。」

 

幻想郷には常識がないのか、それともただの子どもでは無いのか。あまりいい顔をしてはいなかった。

 

数分が立ち、咲夜は森でうろついている子どもを発見した。金髪で赤いリボンを身につけているのが特徴的だ。

 

「こんな夜遅くに森にいては危ないわよ。早くお家に帰りなさい。」

 

「ふふ。お家はないよ。ここで待ってるの。」

 

(捨てられたのであろうか...なんにしても1人では危ないわ...)

 

「もし良ければ主人の屋敷へ案内しましょうか?貴方が住めるように説得しますが...」

 

「ほんと!?それは嬉しいな♪私、ルーミアって言うの。よろしくね。」

 

金髪の女の子...名前はルーミアという。ただの子どもではなさそうだが...。

 

「十六夜 咲夜よ。そういやさっき待っていると言ったわね。誰を待っているの?」

 

それを聞いたルーミアは不気味な笑みを浮かべ

 

「食べてもいい人間よ。そういや貴方はこの辺には見ない顔だけど、村の人間じゃないのかな?だったら食べてもいいよね!」

 

村があるという良い情報を手に入れたのは良いのだが、これから面倒くさくなるという状況に深くため息をついた。

 

「私をその辺の人間と同じと思うと痛い目見るわよ。」

 

ルーミアvs咲夜

 

「人間なんてみんな同じ弱い生き物よ!これでもくらえ!」

 

シュパパパパ

何やら弾のような物をたくさん出してきた。

 

(魔力とは違うわね...この弾は一体...)

 

そう考えながら軽く避けていると、ルーミアは感心したらしく

 

「本当にただの人間ってわけじゃなさそうね。じゃあこれならどうかな!」

 

そういうと、今度は大きい弾を連続で発射してきた。

 

「ッ‼︎大きいわね。だけど、避けられないってわけじゃないわ。」

 

さっきと同じようにかわしていく咲夜。何度やっても無駄だと言う顔をしていたその時!

 

目の前が見えなくなったのである。

 

(な、いきなり周りが暗くなった!?月は出ているはず...

何故なの...。)

初めての現象に戸惑いを隠せない咲夜は、油断してしまい弾の一発を受けてしまった。

 

「ぐっ...」

 

体に衝撃が走り、足の骨にヒビが入るくらいの痛みを受けた。

 

「今の...当たったのね⁉︎この暗闇の中で弾を避けるなんて事は出来ないでしょう?ふふふ」

 

ルーミアはかなり上機嫌である。もう相手に勝ち目はないと判断し、大笑いしている。

 

(暗闇なんて厄介な技ね。だけど、さっきの反応からは私の姿は見えないってことよね。だとすると...)

 

咲夜は何かを思いつき行動を開始する。

 

「さあ、これでさよならよ!住まわせてくれるのは嬉しかったけど、お腹が減っちゃったから仕方ないよね!」

 

次の瞬間、暗闇の中にエネルギー弾が大量に打ち込まれた!!

 

ドドドドーン!!!!

 

「さて、もうそろそろ食べ頃かな────」

 

どうなったのか気になるルーミアは暗闇状態を解除して周りを探していたが、そこには彼女の姿はなかった。

 

「なっ、どうして!どこにいるのよ!倒れたんじゃないの!」

「ここよ」

 

背後から声が聞こえてきたが、焦りと恐怖で振り向けなかった。

 

「貴方は暗闇の中を確認することができないはず。そこの盲点を突いたのよ。」

 

「で、でも貴方はダメージを受けて立てないはずじゃ...」

 

「それは秘密よ。これでチェックメイトね。」

 

必死の思いで振り返り顔に弾を打ち込もうとするも、虚しく避けられナイフを突き立てられた。

 

ルーミアは心を折られ、咲夜に敗北した。

 

「ごめんなさい...許してください...」

 

「別に殺す気は無いわ。私は主人に様子を見てこいと言われただけですもの。」

 

そういうとどこからかハンカチを取り出し、泣いているルーミアの顔を吹いた。

 

「さ、屋敷に戻るわよ。ちょうど働き手が欲しかったとこなの。あと情報もね。」

 

「ありがとう咲夜!優しいんだね!」

 

「これからはメイド長と呼びなさいね。改めてよろしく。」

 

こうしてルーミアは館の雑用係となった!(昇給あり)

 

 

 




はい、結構無理やりな展開にしました。特に戦闘描写って表現するの難しいですね。でも、やりがいがあるので楽しんでいきます!

ルーミアって中々言うこと聞かなさそうなイメージが自分にはあります。


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5話 面接

今回のメインはルーミアちゃんです!

ルーミアちゃんの心境ってころころ変わりやすくて子どもみたいです。



 

2人の戦闘後から数十分後

 

「さぁ着いたわよ。お嬢様には私が言っておくから。ここで少し待っていなさい。」

 

「はい!メイド長!」

 

真っ赤に染まったその建物は、月明かりでとても不気味に見えた。

 

「おっきい建物!ここに住むのね。何で窓が無いんだろう...?まぁいいや!」

 

ルーミアが考え事をしているうちに咲夜は帰ってきた。

 

「OKをもらったわよ。まずはお嬢様に挨拶をしなければばならないわね。この屋敷はとても広いから迷わないようにしっかりついてきて。」

 

そう、外から見ると大きいだけの屋敷なのだが、中を見るとそれをも超える広さと高さがあるのだ。

 

「すっごい広いのね!これって何の妖術なの?」

 

「妖術?違うわ。これは私の能力と魔法のおかげよ。」

 

「メイド長って凄いんだね!魔法使いなんだ!」

 

「この魔法はお嬢様の友人の魔法よ。私はあまり得意では無いの。それより、妖術って何かしら?」

 

「妖術ってのはね、魔法みたいな感じだけど少し違うんだ。魔力みたいなのがなくても使える不思議な能力だよ!私みたいな妖怪だと妖気を変えて自分の技を身につけたりもできるのよ!それが私の暗闇を作る能力ね。」

 

(この世界では妖怪という種族がいるのね。この先も出会うだろうから気をつけなければ...)

 

「良いことを聞いたわ。ありがとね。さて、話している間にお嬢様の部屋に着いたわよ。失礼のないようにね。」

 

コンコン

 

「入って良いわよ。」

 

こんな事は初めてなので緊張するルーミアであったが、勇気を出してドアを開けた。

 

「し、しつれいします。...わっ!」

 

お嬢様を人間だと思い込んでいたルーミアは背中の羽を見てびっくりした。

 

「あら、驚かせたみたいね。私は見ての通り、吸血鬼よ。よろしくね、新人さん。この屋敷では自分の家のように思いなさい。」

 

「な、名前はルーミアと言います!ふつつかものですが、頑張らせていただきます!」

 

「あら、可愛い名前ね。元気なのは良いことよ、ルーミア。」

 

自分の名前を可愛いと言ってくれて顔を赤く染めた。

 

「とりあえず今日は休みなさい。明日から仕事を頼むわね。」

 

「はい!レミリアお嬢様!失礼いたしました。」

 

パタンッ

 

(ふう...緊張したなぁ...思ったより優しくて良かった。)

 

扉の外で安堵していると、目の前に咲夜が現れた。

 

「わっ!急に現れたからびっくりした!その技面白そうだから教えてくださいメイド長!」

 

「残念。貴方にはまだ秘密よ。それより貴方の部屋が出来たからいらっしゃい。」

 

そう言うと彼女はスタスタと歩き、ルーミアはそれに着いていった。

 

「ここが私の部屋なのね!とっても広くて綺麗!」

 

この部屋が気に入ったのかベッドでジャンプして大騒ぎしているルーミア。

 

「明日は朝早いから早く寝るのよ。おやすみなさいルーミア。」

 

「おやすみなさいメイド長!ふぅ、明日からお仕事かぁ。頑張るぞっ!」

 

そう意気込みながらベッドに潜る彼女であった。

 

 

 

 




はい。と言う事でね、ルーミアちゃんが無事採用されました!いや〜お嬢様の寛大さって凄いですよね。ほんと尊敬します。


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6話 初仕事

前回の時に門番をしていた美鈴さんは夜食のため、少しの間門を離れていてルーミアちゃんにはあっていません。

お腹が空いちゃったらちょこっとサボっても仕方ないよね(笑)。


 

コンコン

 

ドアのノックが聞こえる。どうやら仕事の時間のようだ。

 

「ふぁ〜...。おはようございます。メイド長。」

 

「ぐっすり眠れたかしら?着替えと朝食はそこに置いてあるから、準備が出来次第玄関に来てちょうだい。もし迷ったらこのボールを握ると良いわ。屋敷の中なら直ぐに私が行くから。」

 

そう言うとさっと姿を消した。

 

なんと便利な道具でしょう。これはパチュリーに頼んで作った物だそうだ。元々はお嬢様の為に作ったものである。

 

(こんな道具も作れちゃうなんて、凄い人ばっかりなんだなぁ...)

 

ぱぱっと朝食を済ませ、着替えて玄関へ向かった。途中何度か迷いそうになったが、なんとか無事にたどり着く事が出来た。

 

「あれ、見ない娘ですね!新人さんかな?」

 

「あ、どうも!初めまして。ルーミアと言います!」

 

「ルーミアちゃんかぁ!私は紅 美鈴って言うの。よろしくね!いつも門番の仕事をしているわ。」

 

2人は気が合ったようで楽しく話し込んでいた。

 

「あら、仲が良いわね2人とも。今日はルーミアの初仕事よ。美鈴、手伝ってあげなさい。」

 

「あ、おはようございます咲夜さん!仕事って言っても、門の前で立ってるだけなんですけどね。」

 

「今日は門の仕事はいいのよ。庭の手入れをして頂戴。ついでに洗濯物も干しておいてね。」

 

そう言うと咲夜はいそいそと屋敷の奥へ行ってしまった。

 

「さて、早速始めよっか!手入れのやり方とか色々教えるから、分からないことがあったら聞いてね。」

 

「さっそく一つ良いですか!」

 

「ん、どうしたの?」

 

「どうしてメイド長やお嬢様みたいな服とは違うような見た目をしているの?」

 

そう、西洋風な服とは違い、美鈴の服は中華風の服なのだ。

 

「あぁ、これはあれよ。お嬢様達と会う前は違う所にいてね、その時の服がこれなんだ。あとは動きやすいからかな?」

 

何やら色んな思い出が詰まった服のようである。

 

「私も着てみたいなぁ...」

 

「今度門番をする時に着せてあげる!それまで楽しみにしててね!」

 

美鈴はそう言って庭へ向かい手入れを始めた。ルーミアも手入れを始めたが、中々上手く出来ず、少し落ち込んでいるようだった。

 

「初めてだから失敗ばっかりなのは当たり前だよ。気にしない気にしない!これでも食べて元気出して。」

 

美鈴はカバンからおにぎりを取り出した。

 

「もうお昼だからね、ご飯を食べないと力が出ないよ!」

 

「ありがとうございます美鈴さん。いただきます!」

 

昼食を終え、美鈴の励ましの言葉で張り切ったルーミアは、無事に洗濯物を干し終える事が出来たようだ。

 

「今度はちゃんと出来た!やったよ!」

 

「こんなに多くの洗濯物をあっという間に終わらすなんて、すごいよルーミアちゃん!」

 

こうしてあっという間に時間は過ぎ、疲れ切ったルーミアは屋敷に戻った。

 

「2人ともお疲れ様。ルーミア、初仕事はどうだった?」

 

「何とか出来ました!」

 

「ふふ、それは良かったわ。私は夕食の準備をしているから先にお風呂入ってきなさい。美鈴、案内は頼んだわよ。」

 

「はーい!じゃあ行こっか。一緒に洗いっこしようね!」

 

「うん!」

 

この様子を見ていると何だか美鈴が姉でルーミアが妹のように見えた。

 

楽しいお風呂の時間が終わり、これから夕食だと言う時にある異変が起こった...。

 

 

 




今回の話はお嬢様がメインでは無くてすみません!
次回からお嬢様視点になるのでお楽しみに!

新キャラの登場とかは追々出して行く予定です。


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7話 地下からの挑戦

美鈴さんってスタイル良くて綺麗なイメージがありますね。あんな人がお姉さんだったらいいのになぁ...

はい、本編はじまります。


 

美鈴達が風呂から出た頃、ちょうどレミリアは目が覚めた。

 

「咲夜、あの娘の様子はどうかしら?」

 

「しっかりと働いており、使えるかと。」

 

「そう、良かったわ。さっそく新しい住人の歓迎会を始めなければならないわね。準備は出来ているの?」

 

「はい、食卓に沢山の御馳走を用意しております。お嬢様は着替えをなさってから食堂にお越しください。」

 

「流石にパジャマでは行かないわよ。それと────」

 

ドカーーーンッ

 

下の方角から爆発音が聞こえて来た。紅魔館には地下があり、厳重に結界で守られている。

 

「...妹様ですね。見て来ましょうか?」

 

「はぁ...。いや、いいわ。私が行くから咲夜は食堂で待っていて。」

 

「承知致しました。行ってらっしゃいませお嬢様。」

 

(全く世話のやける子だわ、ほんとに...)

 

頭の中で考え事をしながら地下へ向かう途中、美鈴達に出会った。

 

「あら、あなた達はお風呂だったのね。湯加減はどうだったかしら?」

 

「「良かったです!」」

 

「じゃなくて!今の爆発音はまた妹様ですか!?」

 

「ええ、そうよ。私が様子を見に行くからあなた達は食堂で待ってなさい。」

 

「了解です。お気をつけてくださいね!さ、行くよルーミアちゃん。」

 

「はい!」

 

美鈴に手を引っ張られ、ルーミアは食堂へと進んで行った。

 

「美鈴さん、さっき妹様って言ってたけど、もしかしてお嬢様の妹って事?」

 

「そうよ。名前は フランドール・スカーレット と言うの。普段は優しいのだけれど、たまに好戦的になって危ないのよ。普段は地下にはいるからあまり近づかないようにね。」

 

「この屋敷ってふくざつな事情があるんだね。」

 

「姉妹は姉妹同士じゃないとわからないこともあるからね。私達は基本的に見守るだけよ。」

 

一方、レミリアは地下へとたどり着いた。周りは破壊された扉の破片が飛び散っている。

 

「また派手にやらかしてくれるわね。直すのもタダじゃないと言うのに...」

 

深くため息をつくレミリア。その背後から人影が現れた。

 

「あら、今日の相手はお姉様なのね!これはまた楽しそうだわ♪」

 

「時間がないの、全力で行くわよ。」

 

フラン vs レミリア

 

先手はフランがとっていた。左右から放たれる弾幕はかなりの数である。

 

「どう?お姉様には避けられるかしら。」

 

戦いを楽しんでいる彼女は不気味な笑みを浮かべ、さらに大きい弾を打ち込んだ。

 

「ただ弾を飛ばしているだけじゃ当たらないわよ。しっかりと狙いなさい。」

 

荒れ狂う弾の中を簡単に抜けて行く彼女はとても優雅で美しく、フランでさえも見とれていた。

 

「へぇ...やるじゃない。ならこれはどう?」

 

彼女は弾を撃つのを一旦止め、自身に力を込め始めた。なんと!4人に増えたのである。

 

「これは分身なんかじゃないわ。全部ホンモノよ。お姉様には私達を倒せるのかしら。」

 

4人一斉に打ち込まれた弾幕は今までとは比べものにならないくらいの破壊力だった。

「私に怪我をさせるなんて、すごいじゃないフラン。いつの間にこんな事出来るようになったのかしら。ほんとはもっと遊んでいたいけれど、これで終わりよ。」

 

レミリアが右手に力を込め始め、緋色の槍がでてきた。

 

「これでも食らいなさい! グングニル!!!

 

その槍は禍々しく、当たれば即死レベルの魔力が帯びていた。猛スピードで投げられた槍は1人目のフランへ向かって行った。

 

「お姉様の力ってこんな物なのね。期待してそんしちゃったわ。」

 

彼女はそう言い、ひらりと槍を避けてしまったのである!

 

「私は最初から全力で行くと言ったはずよ...?」

 

レミリアが笑みを浮かべて呟くと、4人いたフランが1人に減ってしまっていた。

 

「どうして!槍は避けたはずよ!当たるはずないのに...」

 

「そう、ただの槍ならそれで終わりよ。でもね、私のは特別なの。何処へ逃げても必ず見つけ貫くのよ。必ずね。」

 

はっ と振り返った頃にはもう遅かったようで、目の前に槍が迫っていた。

 

「出し抜かれたって訳ね。参ったわお姉様。」

 

槍がフランに当たる瞬間、シュウウ...と音を立てながら槍は消えていった。

 

「これ以上屋敷を壊すのは面倒だからね。大人しく地下へ戻りなさい。またいつでも勝負してあげるから。」

 

「次は絶対お姉様には負けないもん!すっごい技見せてやるんだから!」

こうして小さな異変は幕を閉じた。

 

 

 

 

 




ここからフランちゃんはどう成長して行くのか楽しみですね。あ、フランちゃんは好きで地下にいるという設定です。何か見られたくないものでもあるんでしょうかね。



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8話 パーティー

豪華な屋敷のパーティーってどんな感じなんでしょうかね。やっぱりドレスなどを着て大勢でワインを楽しんだりするものなのでしょうか。

では、本編参ります。


 

レミリアは地下での戦闘後、一旦自室へ戻った。

 

「そういやまだ着替えて無かったわね。せっかくのパーティーなんだもの、派手に行かなきゃ。」

 

咲夜の持ってきた赤いドレスを身に付け、わくわくしながら食堂へ向かった。

 

「今日のご飯はなんだろうなぁ。ルーミアちゃんはなんだと思う?」

 

「うーん...美味しそうな匂いがいっぱいあってわかんないや...。」

 

「今日の料理は全部咲夜さんが作ったんだよ。咲夜さん、今日は何を作ったんですか?」

 

「それはお嬢様が来てからのお楽しみよ。もう直ぐ着くらしいからそれまでの辛抱ね。」

 

3人は楽しく会話を弾ませていた。

 

「遅くなってごめんなさいね。早速だけど、これから私達の住人ルーミアの歓迎会を始めるわ! 咲夜、アレを。」

 

彼女の一言で食堂の灯りは全部消え、真っ暗になった。そして直ぐに明るくなり、小さな破裂音がなった。

 

『『『パンッッ!!! 紅魔館へようこそ!』』』

 

次の瞬間、食卓にずらりと豪華な夕食が現れた。これも咲夜の能力である。

 

「どう?びっくりしたかしら。中々面白いとは思ったのだけれど。」

 

「びっくりなんてものじゃないですよ!感動しました...。ありがとうございますお嬢様!」

 

「お礼なら皆に言うと良いわ。ここにはいないけど、パチュリー達も手伝っているからね。さて、冷めないうちに食べましょうか。」

 

レミリア達はわいわいと食事を楽しんだ。その後ルーミアはレミリア達と別れ、パチュリー達にお礼を言いに図書室へ向かった。

 

コンコン

 

「入って良いわよ。」

 

「失礼します。先日、ここの住人になりました!ルーミアと言います。今日はパーティーのお礼を言いに来ました。」

 

「お礼なら別に良いわ。それよりも貴方、妖怪なんでしょう?この目で見るのは初めてだわ。こっちにおいでなさい。」

 

頷いて奥に入っていくルーミア。彼女の前に立つと様々な場所を触り始めた

 

「基本的には体の構造は同じみたいね。他の種類は違ったりするのかしら。」

 

「はい、スピードが早い天狗や力持ちの鬼などがいます。」

 

「天狗に鬼ね、なんだか面白そうじゃない。これでこそ研究のしがいがあるってもんよ。他にはどんな妖怪がいるの────」

 

30分くらい質問ぜめにあったルーミアはヘトヘトになって解放された。

 

「ありがとう。今日は遅いからまたお願いするわね。」

 

「は、はい。おやすみなさい。」

 

(はぁ、疲れたぁ...。あんなに質問されるなんて初めてだよ...。よっぽど研究好きなんだなぁ。)

 

そう思いながら自室に入っていった。

 

「 さて、明日も早いからもう寝ようかな。おやすみなさい。」

 

ルーミアが寝静まった頃、レミリアは自室で咲夜と話し込んでいた。

 

「咲夜、この世界ではどんな常識も通じないと思いなさい。油断は禁物よ。それに、これから何か起こる様な気がするの

...」

 

「肝に命じておきます。この世界の情報をできる限り集めて参ります。」

 

「ありがとう。とりあえずこの話はお終いよ。また何かあったら報告しなさい。」

 

「承知致しました。」

 

これから始まっていく異変に彼女達はどうするのであろうか...

 

 

 

 




いや〜、幻想郷ってとっても不思議なところですよね。一回行ってみたいなぁとは思います。

次回は咲夜さんの情報収集のお話です。お楽しみに


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9話 いざ、人里へ

幻想郷に人里があるなら、妖怪の里ってあるんでしょうかね。上下関係等は激しそうなイメージです。

では、本編始まります。


パーティーから数日が経ち、ルーミアにある程度仕事を任せられるようになった。

 

「それじゃ私は出かけるけど、仕事の方は頼むわね。夕方までには戻るから。何かあったら美鈴を頼ると良いわ。」

 

「わかりました。行ってらっしゃいませメイド長!」

 

咲夜の出かける場所は人里である。ルーミアに大体の場所を聞いていたので迷うことはなかった。

 

「思ったより遠いのね。人里って言うから結構大きい集落だと思い込んでいたわ。」

 

しばらく村をうろついている彼女だが、ある事に気がついた。

 

(この村の人たちは和服を着ているのね。そういう風習でもあるのかしら。そんな事より今は情報が先ね。)

 

「いきなりでごめんなさい。聞きたいことがあるのだけれど、八雲 紫について何か知っているかしら?」

 

その場にいた村の男に話しかけた。

 

「八雲と言えばあの大賢者様じゃないか!いつもどこにいるかはわからないけど、とっても美人なんだ。嬢ちゃんはその賢者様に何か用かい?」

 

「いえ、少し知っておきたくてね。ありがとう、助かったわ。」

 

「可愛い子の頼みなら何だって聞くのが男ってもんさ!そんなに賢者様の事が知りたいなら、この先にある鈴奈庵っていう本屋か稗田様の家に行くといいぜ。俺はこれから仕事なんでまたどこかでな!」

 

そう言うと男は去って行った。

 

「とりあえず本屋に行きましょうか。ついでに他の情報も手に入るかもしれないわ。」

 

歩く事数分、本屋らしき建物が見えた。中に入ると結構な数の本が積み上げられていた。

 

「ごめんね!今はお掃除中なのよ。また後でいらしてね。」

 

パタパタとハタキを振りながら出て着たツインテールの女の子はとても忙しいようだった。

 

本屋を後にした咲夜は次の情報を探しに稗田の家を探した。

 

(稗田様とおっしゃっていたわね。相当な貴族という事は間違いないから見つけるのは容易ね。)

 

しばらく探していると一軒の大きな屋敷があり、門の前に変わった服装をした白髪の女の子が1人いた。

 

「失礼、少しお訪ねしたいのですが、ここが稗田家であっているのかしら?」

 

「ああ、そうだ。稗田家に何か用か?」

 

「ええ、聞きたい事があるのよ。お会いする事はできるのかしら?」

 

「許可がでるまでここで待っていてくれ。少し時間がかかる。」

 

「わかったわ。そういや貴方は門番って感じじゃなさそうね。一体何者なのかしら。」

 

「ただの雇われ門番だよ。私のことはいいんだ。それより許可が出たから入っていいよ。くれぐれも不審な行動はしないようにね。」

 

門番に場所を伝えられ、咲夜は奥へと進んでいった。紅魔館程ではないが、かなり広い屋敷である。

 

「ようこそおいでくださいました。私は稗田家9代目当主の稗田 阿求 と申します。貴方は?」

 

「十六夜 咲夜よ。貴方、当主なのに随分と若いのね。」

 

稗田 阿求 彼女は10代ですでに当主である。彼女にもまた特別な能力があり、とてもおしとやかな性格である。

 

「色々ありますからね。そういや私に聞きたい事があるのですよね?何なりとお聞きください。」

 

「では早速。幻想郷の管理者、八雲 紫について知っている事を全部教えてもらえるかしら?」

 

「八雲 紫 ですか... また難しい事を聞きますね。彼女は幻想郷を作った大妖怪であり、賢者とも呼ばれています。能力についてですが、境界を操る程度の能力を持つと言われています。私に分かることはこれくらいのことですかね。」

 

「境界...ね。ありがとう。良い情報を聞けたわ。お礼はさせてもらうわね。」

 

そういうと、どこからともなくクッキーを取り出した。

 

「凄い魔法ですね!少しびっくりしちゃいました。」

 

「これはトリックよ。またお会いしましょう。」

 

咲夜は音も立てずにその場から消えた。

 




今回はRPG風にしてみたいなぁと思って書いてみました。よく遠回りさせるやつですね。

次回もまた情報収集でございます。紫さんって掴み所がなさそうなイメージです。


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10話 村の本屋さん

咲夜さんっていつも賢く冷静で、たまに思い切った行動をするようなイメージです。賭け事にはもってこいの技量ですね!(おい

はい、本編はじまります。


稗田家で情報を入手した後、咲夜はベンチに腰をかけ昼食を取ることにした。ルーミアが作ったお手製の弁当である。

 

(よく出来てるじゃない。見た目も味も最高よ、特に卵焼きがいい甘さだわ。帰ったらしっかりと褒めてあげないとね。)

 

時刻は午後1時を過ぎ、咲夜はさっき中に入らなかった本屋へと向かった。

 

「掃除は終わったのかしら本屋さん。」

 

「はい。終わりました!こちら、鈴奈庵の店主、本居小鈴と言います。いや〜、大掃除なんてそう滅多にやらないもんで、大変でしたね。そういや何か本をお探しで?」

 

本居小鈴、彼女は若くして店主である。阿求とは友人関係で、休みの日には2人で遊ぶこともしばしば。少しおっちょこちょい。

 

「えぇ、妖怪に関する本を見たいのだけれど。あるかしら?」

 

「ちょっと待ってくださいね〜。...っと、これとこれ。あ、それにこれも!妖怪を比較的に分かりやすく書いたものと、より詳しく書いたもの。それと、対処法の本をお持ちしました!」

 

彼女はそれをパラパラとめくった後、何かを見つけたようだった。

 

「全部貰って行くわ。代金は変わりにこれを受け取ってちょうだい。」

 

会計場所にとても高価そうな金の塊を置いた。

 

「こ、これは本物!?初めて見た...。でも、こんな高価そうなもの受け取れませんよ!お金は持っていないんですか?」

 

「えぇ、こちらのお金は持っていないわ。見た所紙幣のようだからね。」

 

「そういう事ならいい場所がありますよ!ここから少し遠いんだけど、村のはずれにある道を真っ直ぐ進めば香霖堂と言う店に着きます。そこでならその金塊もお金に変えてくれますよ。」

 

「香霖堂はこのまま真っ直ぐ行くといいのね?少し待っていて。」

 

「えっ────」

 

次の瞬間 目の前にいた客人は消えてしまい、小鈴は何が起こったのかわからなかった。束の間、彼女は再び現れた。

 

「待たせてしまってごめんなさいね。代金はいくらなの?」

 

「えっ、あ、はい! 2500円になります。いや〜びっくりしましたよ。いきなり消えちゃうんだもの。」

 

「2500円ね、はい。さっきのトリックは頑張れば貴方にも出来るようになるかもね。また来るわ。」

 

「とりっく?新しい魔法なのかな...。 またのお越しをお待ちしておりますー!」

 

咲夜は鈴奈庵を後にし、時計を見た。もうすぐ夕暮れである。

「今日の情報収集はこれでひとまず終わりね。お嬢様がそろそろ起きる時間だから早く戻らないと...。」

 

村を一通り見終えた後、急いで屋敷へと帰った。

 

「あ、お帰りなさい 咲夜さん!村はどうでした?」

「結構栄えているわね。食材や衣類なども豊富で困った事はあまりなさそうだけれど。それと美鈴、貴方はルーミアを連れて食事の準備をしなさい。私はお嬢様と後から行くわ。」

 

そういうと彼女は姿を消した。

 

「さて、ルーミアちゃんを迎えに行きますか!確か図書室だよね。」

 

美鈴はスキップしながら図書室へ向かった。




本編の香霖堂でのお話は、また別の機会という事で。

情報収集って地味な仕事ですが、後々役に立って来るんですよね。

ではまた次回もお楽しみに!


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11話 幻想郷での日常

紅魔館は使用人が少ないので、毎日とても忙しそうです。
早く増えないかなぁ〜...

はい、本編はじまります。


コンコン

 

「失礼します。ルーミアちゃんを迎えに来ました!」

 

「あら、あの娘は今さっき紅茶を入れに行ったわ。もうすぐ帰って来るからここで待つといいわ。」

 

「はい、そうさせてもらいます。そういや、ルーミアちゃんの仕事ぶりはどうです?」

 

「ほんとうに良く働いてくれているわ。小悪魔がいない時はまたあの娘に頼もうかしら。」

 

そう、小悪魔は週5のパートである。悪魔にだって休みはあるんです。

 

2人が話していると、図書室の入り口からルーミアが入って来た。

 

「パチュリー様、紅茶をお持ちしました!ここに置いておきますね。あ!美鈴さん。図書室にご用ですか?」

 

「用があるのは貴方よ。咲夜さんから2人で食事の準備をして来なさいって頼まれたの。ってことでパチュリー様、ルーミアちゃんをお借りしていきますね。」

 

「ええ、分かったわ。紅茶ありがとね、ルーミア。今度は魔法の実験に付き合ってもらうわね。」

 

「わかりました!では失礼いたしました。」

 

図書室のドアを閉め、2人は食堂へ向かった。

 

同時刻、咲夜はレミリアと何やら話し込んでいた。

 

「お嬢様、妖怪に関する情報は一通り集めて参りました。これから如何なさいましょうか。」

 

「そうね、少しその本を見せてみなさい。ふむふむ...。この妖精という生き物はなんだか面白そうね。屋敷に何匹か招待しておきなさい。この本はしばらく読ませてもらうわ。」

 

そう言うとレミリアは妖怪について興味を持ったのか、食い入るように妖怪図鑑を見ていた。

 

「お食事はどうなさいますか?よろしければこちらへお持ちしますが。」

 

「そうしてくれると助かるわ。しばらくは動けないわね。それと紅茶も入れてきてちょうだい。」

 

「承知致しました。」

 

咲夜は夕食と紅茶をレミリアの部屋に運び、美鈴達のいる食堂へと向かった。2人は楽しく話していたようだ。

 

「あら、待たせたかしら。お嬢様は忙しくてこれないそうよ。」

 

「あ、咲夜さん。ちょうど今来た所ですよ。なるほど、わかりました!さっそくご飯を食べましょう!」

 

食卓には色鮮やかな料理が並んでいた。

 

「「「頂きます」」」

 

3人は食事をすませ、お風呂に入った後自分の部屋へと戻っていった。

 

一方レミリアは妖怪図鑑を次の日の午後まで見続け、目にクマが出来ていた。初めて見る生物に好奇心が湧き、夢中になって寝る事を忘れていたのである。

 

 

(この幻想郷にはいろんな妖怪がいるのね。特に鬼なんて良さそうじゃない。吸血鬼の仲間なのかしら。それより、そろそろ寝ないとまずいわね。)

 

レミリアは、ふらふらの足でベッドに入った。今までの疲労もあるせいか直ぐに眠ることができた。

 




いや〜、集中していたらいつの間にか時間が経っている時はありますよね。

今回はゆったりした日常を書いてみました。
こんな日がずっと続けばいいなぁ...



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12話 文々。新聞

号外新聞って無料で配られますよね。あんなにたくさん配ってしまって赤字にならないのでしょうか...


幻想郷にレミリア達が来訪し、数週間がたったある日の朝 屋敷に興味を持った少女が空から飛んで来た。

 

(妖怪達が住む森の近くにあんなに目立つ屋敷があるなんて見たことがないわ。ネタの匂いがするわね。)

 

彼女は門の前にいる女性に声をかけた。

 

「すいませ〜ん。私、新聞記者の射命丸と申します。ここの主人は居ますか?ぜひ取材させて頂きたいのですが。」

 

鳥のような翼を持つ彼女、名前を射命丸 文 と言う。妖怪の山に住み、大天狗から妖怪の山護衛の使命を受けている。

自分が興味を持った物はたとえ危険でも構いはしない性格。清く正しく をモットーとしており、任務が終わった後幻想郷の隅々までネタを探し回っている。

 

「お嬢様はただいまご就寝中でして...。夕暮れ時になると起きてくると思いますので、その時にまたいらして頂ければよろしいかと。貴方は見たところ人間ではないみたいですが、妖怪さんですか?」

 

「では、明日の夕方にお伺いしますね。私は烏天狗という種族です。特徴的なのは、このように翼を持っており自由に空を飛ぶことができます。そういう貴方も見たところ人間ってわけじゃなさそうですね。妖気みたいなものを感じますもの。」

 

「まぁ私を含めてこの屋敷に住んでいるほとんどは人間ではないですからね。そういえば射命丸さんは新聞屋でしたね。少し見せてもらってもよろしいですか?」

 

「ええ、ぜひ!購読もして頂けると助かります。」

 

文は彼女に今日の新聞を手渡した。文が作る新聞の内容はほとんどがゴシップ系の記事である。

 

「ふむふむ...。暇つぶしにはちょいどいいですね。試しに1ヶ月分購読させてもらいます。」

 

「あやややや、ありがとうございます!これからも文々。新聞をよろしくお願いしますね〜。」

 

そう言って彼女は飛び去っていった。何処かにネタが無いか探しに行ったのであろう。

 

「この世界にも新聞ってあるんですねぇ。さて、仕事仕事!」

 

美鈴は新聞を折り畳み、門番の仕事に戻った。その後、夕暮れまで居眠りをしていて咲夜に見つかり、怒られてしまった。

 

「門番をしていると眠くなっちゃうのは仕方ない事なんです咲夜さん〜。お願いだから給料だけは減らさないでください...。あ!そう言えば、新聞屋さんがお嬢様に取材をさせて欲しいと来てましたよ。明日の夕方に来るらしいですが...。」

 

「はいはい、見なかったことにしてあげるわ。次からはしないようにね。取材、ね。許可が出るか聞いて来るわ。」

 

レミリアは取材の件についてあっさりOKした。

 

「私を取材したいだなんて流石ね、いい目をしてるわ。この際だから、妖怪達に宣戦布告をするのも面白そうね。」

 

「それはいけませんお嬢様。お嬢様が危ない目にあうと思うと心配で...。」

 

「冗談よ。私はそんな簡単に潰れるほどやわじゃないわ。ちょっと遊ぶだけよ。」

 

クスクスと笑っているが、彼女の目はやる気に満ち溢れていた。そう、レミリアは刺激を欲しがっているのだ。退屈な日常から逃れるためにここへ来たのだから。

 

咲夜は美鈴の元へ行き、結果を報告した。

 

「OKだそうよ。明日、私は手が離せない用があるの。美鈴、貴方が新聞屋をお嬢様の元まで案内しなさい。」

 

「了解です!いや〜取材ですか!これはまた新聞を見るのが楽しみですね!」

 




文ちゃんって、あの若そうな姿で1000歳を超えているってすごいですよね。若さの秘訣ってのを一度聞いて見たいです(笑)。

次回ですが、文ちゃんの取材がメインとなっております。
果たしてどういう結果になるんでしょうか...


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13話 訪問取材

文ちゃんの羽って折りたたみが出来てすごい便利そうですよね。生え変わりとかするんでしょうか。

本編はじまります。


 

次の日の夕方、文は紅魔館を訪れた。

 

「先日はどうもです〜。あ、取材の件なんですけど、大丈夫そうですかね?」

 

「はい!許可が降りましたので屋敷を案内させて頂きますね。」

 

そう言うと美鈴は門を開け、彼女を屋敷の中へ案内した。

 

「結構広いですね〜。それに妖精がちらほらいるみたいですが、何をしているんです?」

 

「あぁ、それは咲夜さん...メイド長が雑用係に雇って来たんです。ここ最近忙しいらしく、人手不足でね。」

 

「なるほど、色々と大変なんですねぇ。」

 

文は彼女に数々の質問をし、ネタになるものを探していた。

 

「そろそろお嬢様の部屋に着きます。新聞楽しみにしてますね。」

 

そう言うと美鈴は門番の仕事へ戻って行った。

 

コンコン

 

「入っていいわよ。」

 

「失礼します〜。今回取材をさせて頂くことになった、射命丸と申します。」

 

「私は高貴なる吸血鬼 レミリア・スカーレットよ。よろしくね、新聞屋さん。」

 

(なるほど、この館の主が吸血鬼だから夕暮れ時に来いと言ったのね。)

 

「いや〜、威厳があってまさに当主って感じですねぇ。早速の質問ですが、いつ頃からこの幻想郷に来たんですか?」

 

「そうね、大体1ヶ月前よ。前の世界ではあまり面白い事がなくてね。」

 

「1ヶ月前、と...。レミリアさんは幻想郷についてどう思います?」

 

「とても不思議な場所だと思うわ。今までに見た事がない生物が沢山いるもの。一度鬼というものに会って見たいわね。」

 

「鬼...ですか。そう言えばレミリアさんは吸血鬼でしたね。同じ鬼同士気が合うといいですが。」

 

鬼という言葉に反応する文。過去に何かあったのだろうか。

 

「まだまだ質問したいことが沢山あるんですが、次で最後にさせてもらいますね。ここでの目的は一体なんですかね?私が1番聞きたいことはこれです。」

 

「面白い事を聞くのね。良いわ、答えてあげる。私がここに来た目的は────」

 

思わずゴクリと唾をのむ文。

 

「ただの暇つぶしよ。ここには刺激が沢山あると思ったからよ。いっそ妖怪達を従えるのも良いわね。」

 

(暇つぶしか〜い!)

 

思わず心の中で突っ込んでしまった。ただ、妖怪を従えるという言葉に相当な自信があるのだろうということはわかった。

 

「この世界では沢山の強者がいますから、中々難しいんじゃないでしょうかね。取材を受けていただきありがとうございました。明日の新聞をお楽しみにしておいてくださいね!」

 

そういうと彼女はレミリアの部屋を飛び出し、猛スピードで帰って行った。

 

「ドアぐらい閉めていきなさいよね、まったく...。」

 

ため息をつきながらも明日の新聞がとても気になっているレミリアだった。

 

 




メイド妖精は咲夜さんがお菓子で雇いました。
とっても美味しくて、食べると幸せになる味だそうです。
いや〜自分も食べて見たいですね。


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14話 氷の妖精

妖怪って、精神的なダメージは効果抜群のイメージがありますね。もちろん逆効果の場合もありますが...

では、本編はじまります


「号外、ごうが〜い!!!」

 

昨日の取材をまとめた新聞を、彼女は大声を出しながら幻想郷中にばら撒いていく。その後、彼女はネタが無いか探し回っていった。

 

「へぇ〜、吸血鬼の館だってさ。なぁ霊夢、面白そうだから行ってみようぜ。」

 

「いやよ面倒くさい。行くならあんた1人で行きなさいよ。それに私は境内の掃除で忙しいの。暇なら手伝いなさいよ魔理沙。」

 

新聞の内容に興味を持った彼女、名前を 霧雨 魔理沙と言う。黒い帽子に箒を持っており、まさに魔法使いだというような格好をしている。(魔法使いです。)

 

神社の境内を掃除している彼女、名前を 博麗 霊夢と言う。巫女の割には奇抜な格好をしており、とても強い。

 

「げぇっ、掃除なんてやってたら病気になっちまうぜ。仕方ない、私1人で行ってくるか。」

 

そう言うと彼女は箒にまたがり、神社を離れた。

 

(この記事によると相当な大きさがあるらしいな。何か面白い物でもあったら借りていこうか...。)

 

紅魔館までゆったりと飛んでいると、突然何者かが現れた。

 

「わっ!いきなり出て来てびっくりしちゃったじゃない!なんだ、ただの妖精か。」

 

妖精は悪戯が成功したようで喜んで帰っていった。魔理沙は箒から落ちそうな体制を元に戻し、またゆっくりと進んでいった。

 

(今度はなんだ?湖の周りに霧がかかっているな...。少し慎重に行くか。)

 

辺りを見回しながらゆっくりと進んで行くと、霧の奥から氷の塊が飛んで来た。

 

「あっぶねー...あんなの当たったらひとたまりもないぜ。そこにいるのは誰だ!」

 

「いまのをよくよけたわね。あたいはさいきょーのようせい、チルノよ!」

 

氷を使う彼女 チルノと言う。妖精の中ではとても強く、最強であるといっても過言ではない。知能は普通の妖精並みなのであまり賢くはない。

 

「最強の妖精か、面白い。この魔理沙様に不意打ちをした事を後悔させてやるぜ!...っと、その前に聞きたいことがあるんだが、スペルカードルールって知ってるか?」

 

「たしか、けっとうをするときにつかうあそびよね。あれであそぶのは2回目よ!」

 

「なら話は早いな。それで決着をきめる。手加減はしないぜ!」

 

「けがしてもあたいはしらないからね!」

 

チルノ vs 魔理沙

 

霧があってかあまり周りが見えず、とりあえず魔理沙は相手の出方を伺った。

 

『そっちからこないのならこっちからいくわ!これでもくらえ!氷符「アイシクルフォール」!!!

 

沢山の氷の弾幕が魔理沙を襲う!────はずだったのだが、チルノの正面に居たため全く当たらなかった。

 

『どんなすごい技かと思ったらそんなもんか。妖精相手には勿体無いが、さっさと終わりにさせてもらうよ!魔符「スターダストレヴァリエ」!!!

 

なんと、魔理沙自身が弾幕となり相手に突っ込んでいった。それはまるで流星のように早いスピードで、周りに星の弾幕が出ていた。

 

「そんなのってありなのぉ!?ちょ、ま、はや───」

 

ピチューーン

 

まさか相手が弾幕になるなんて思いもしなかったチルノは本気を出すことができずにあっさりと負けてしまった。

 

「さっきのはちょっとゆだんしちゃっただけだもん。次はまけないからな!」

 

「私は今忙しいからまた今度遊んでやるよ。じゃあな〜。」

 

そう言うと魔理沙は紅魔館へと向かった。

 




魔理沙ちゃんって、テンパったりテンションが上がったりすると女口調になりそうなイメージがあります。

次回は魔理沙ちゃんが紅魔館を探検する話です。お楽しみに〜。


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15話 いざ、館へ!


みなさんって幽霊とか信じる派ですか?
自分は信じちゃいますね。鏡とかみると後ろに写ってそうで怖いです。


 

湖から少し離れた場所に、魔理沙は館らしきものを発見した。

 

(これが噂の紅魔館ってやつか。なんだか所々壊れてとても人が住んでいるようには見えないんだけど...。とりあえず入ってみるか。)

 

魔理沙はドアを開けようと手を伸ばしたその時!

 

キィィ...

 

なんとも気味が悪い音がなり、ドアが自然と開いたのである。

 

「うわっ!び、びっくりさせないでよ...。誰かいるのか?」

 

問いかけには誰も反応せず、シーンとしていた。それにしても不気味である。

 

(とりあえず探索してみるか。そのうち誰か出てくるだろう。)

 

魔理沙が洋館の中に入ると突然ドアが閉まった。彼女は急いで開けようとするも何故か開く気配がなかった。魔法もいくつか試したが、傷一つ付かなかった。

 

「どうなってんだよ一体...。ここは少し変な感じがするぜ...。

とにかく別の出口を探さないと。」

 

魔理沙は屋敷内を探索していると、近くの部屋から音が聞こえてきた。

 

(な、なんだ!? 今度は急に音が鳴り出したぞ...。そこに誰かいるのかな...。)

 

恐る恐る部屋を覗いてみると、人は見当たらず、ヴァイオリンの音だけが部屋中に響き渡っていた。

 

「う、うわぁぁぁぁ!!!」

 

魔理沙は恐ろしくなり、必死に出口を探して走り回っていた。だが、彼女を追うようにヴァイオリンの音は近づいてくる。

 

「一体全体なんなのよぉ!!私が何か悪いことでもしたの?

勝手に屋敷に入ったことは謝るから許してよ...!!!」

 

涙ぐみながら必死に謝っていると、突然ヴァイオリンの音が止んだ。

 

「止まった...?もしかして助かったのか...?良かっ────」

魔理沙がホッとして後ろを振り向いた時、目の前にヴァイオリンを持った女の子がいた。魔理沙は驚きを通り越し、気絶してしまった。

 

それから数時間後、彼女は目を覚ました。

 

「...っ!? 助かったのか。それにしてもここは一体どこなんだ...?」

 

「私の部屋よ。人間ってほんと面白い反応をするわね。」

 

「で、でたぁぁぁぁ!!!」

 

「まるで幽霊を見たと言わんばかりの反応ね。あながち間違ってはいないけど。私達はここで暮らしているの。」

 

「ほんと心臓に悪い種族だぜ...。達ってことはまだいるのか?」

 

「えぇ、三姉妹なの。私が長女のルナサ・プリズムリバー。妹達が、メルランとリリカよ。あの2人はライブで今いないけど。」

 

プリズムリバー三姉妹... 彼女達は騒霊であり、演奏するのが大得意。実力もかなりのものらしい。

 

「私は魔法使いの霧雨 魔理沙だ。気になることがあるんだが、ここは紅魔館で合っているのか?」

 

「紅魔館?残念ながらここはただの廃洋館よ。せっかく来たんだし、私の演奏を聴いていってよ。と言っても聞くまで返さないけどね。」

 

「出られないなら仕方ない。聴いていってやるぜ。その代わり上手く演奏してくれよ?」

 

その後、彼女の素晴らしい演奏を聴いた魔理沙はなぜか暗い気持ちになったのである。

「あぁ、ごめん!つい鬱の音を出しちゃった。しばらくすれば戻るから。」

 

ルナサは手厚く魔理沙を介抱した。

 

 




今回は少しホラー気味にしてみました。

紅魔館を探検するという話でしたが、あれは嘘だ!(すいません。)
こんなの実際にあったら行ってみたいですね。
もちろん怖いです(笑)。ただ、何故か好奇心が湧いちゃうんですよね。


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16話 スペルカードルール


ルールって、数が多いと矛盾しちゃう時がありますよね。そういう時って、どう対処するんでしょうか...。

本編はじまります。


 

 

「もう大丈夫そうね。この部屋を出て右に出ると入り口に着くわ。」

 

「演奏自体は素晴らしいんだけどな。時間がある時は聴きに行ってやるよ!じゃあな〜。」

 

そう言って魔理沙は廃洋館を出た。辺りは静まり返り、真っ暗である。

 

(もう夜になっているのか...。今日は諦めてまた明日探すとするか。)

 

彼女は魔法で自分の家まで瞬間移動をした。この魔法は移動先に魔法陣がある所ならどこにでもいける便利な魔法だ。

 

同時刻、紅魔館内でちょっとした出来事があった。八雲 紫がレミリアの部屋に現れたのである。

 

「何の用だ。お前に構っている暇はないんだが。」

 

「そんな野暮な事言わないでよ。少し伝えたいことがあってね。少しの時間でいいのよ。」

 

「まぁいいだろう。用件はなんだ?」

 

「この世界での揉め事や面倒ごとを決める手段を考えたのよ。単なる殺し合いじゃ面白くないでしょ?だから、遊びで解決するってのはどうかしら?」

 

そう、これが後のスペルカードルールである!!

 

「遊び...か。もちろん私が納得出来るようなものなんでしょうね。もしそうじゃなかったら...。」

 

「そこは安心しなさい。貴方はこの遊びを気にいることは間違いないわ。それに、妹さんと遊ぶ時にも使えるわよ?」

 

(一体いつフランのことを...。侮れないわね。)

 

フランドールの部屋はパチュリーの結界魔法で包み込んでいるはずなのだが、紫にとってはそんなものは関係ないらしい。

 

「その遊びの名前は弾幕ごっこと名付けたわ。ルールは────。」

 

「なるほど、確かにいい案ね。特に美しさを表現するっていうところが気に入ったわ。」

 

「では、この話はOKということでいいわね。」

 

話が終わると彼女は去っていった。

 

「咲夜、早速スペルカードを作るわよ。強くて美しいのを沢山ね!」

 

「承知致しました。ですが、あの胡散臭い物の言葉を信用して良いのですか?」

 

「アイツの考えてる事なんてどうでも良いわ。暇つぶしにはちょうど良いのよ。」

 

「お嬢様が良いと仰るなら...。」

 

スペルカード1つ作るのにかかる時間はなんと...1分!!

お手軽に作れて直ぐに遊べるぞ!

 

「咲夜、少し相手になりなさい。加減はするから大丈夫よ。取り敢えず今作った一枚だけを使うわ。それじゃ行くわよ!」

「かしこまりました。」

 

レミリア vs 咲夜 (練習試合)

 

『貴方には避けきれるかしらね。呪詛「ブラド・ツェペシュの呪い」!!!

 

レミリアが詠唱すると、沢山の弾幕が咲夜を襲った。弾は左右に動き、非常に避けづらい動きをしている。

 

「流石はお嬢様です。ですが、全力で避けさせてもらいます!」

 

彼女は弾の一つ一つの隙間をギリギリで避け、レミリアのスペルが時間切れになった。

 

「あらら、全部避けられちゃった。私の負けね。」

 

「またいつでも喜んでお相手します。私もスペルカードを作らなくてはなりませんね。」

 

「今度はさっきのようにはいかないわよ。」

 

弾幕ごっこは彼女達の中で大そう流行ったのであった。

 





自分もスペルカード作ってみたいですね。光符「太陽神ラーの怒り」!! なんてね(笑)。

ここから本格的に弾幕ごっこがはじまります。個人的に魔理沙ちゃんの星の弾幕が好きです。


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17話 リベンジ

紅魔館って、人里ではどんなイメージなんでしょうかね。
やはり吸血鬼なだけあってあまり良い印象はなさそうですが...


 

次の日の朝、魔理沙はもう一度紅魔館を探しに行った。ただ闇雲に探すのではなく、今度は当てがあるらしい。

 

(確か湖の近くだったよな。ならアイツに聞くのが手っ取り早いか。)

 

霧の湖まで来た彼女は大きな声で名前を呼んだ。

 

「おーーい!チルノー!!」

 

その声は湖中に響き渡り、しばらくすると彼女はやってきた。

 

「このあいだのまほうつかいじゃないの!あたいになにかよう?」

 

「紅魔館っていう真っ赤な屋敷を見たことあるか?この辺にあるらしいんだ。」

 

「あかいやしき...みたわ!」

 

「本当か!?その場所を教えてくれ!」

 

「そのかわりあたいとしょうぶしなさい!こんどはほんきでやってやる!」

 

「仕方ないな。なら今回も勝たせてもらうぜ!」

 

チルノ vs 魔理沙

 

スペルカードはお互い2枚で戦うことになった。

 

『まえみたいによけられるとはおもわないことね!氷符「アイシクルフォール」Normal !!

 

前回の反省を生かし、正面にも沢山の弾幕を放った!

 

「中々いい感じになってるじゃないか。だけど、まだまだ甘いな!」

 

魔理沙は弾幕を次々と避け、まだ余裕だという顔をしていた。

 

『ぐぬぬ...。まだまだこれからよ!凍符「パーフェクトフリーズ」Normal !!

 

今度はカラフルな弾幕がチルノから放たれた。

 

「中々綺麗な弾幕だが、これくらいじゃ───!?」

 

そう、なんとこの弾幕は突然止まったのである!それだけで終わるはずもなく、氷の弾幕が彼女に降り注がれた。

 

「なるほど、最初の弾幕は囮ってことか。私を騙そうとしたって無駄な事よ。動かないなら無視してしまえばいい!」

 

その時、チルノはニヤリと笑みを浮かべた。

 

(何だあの表情は...。作戦がバレて余裕こいてる暇なんて...っ!?)

 

さっきまで止まっていた弾幕が突然動き出したのである!!

これには魔理沙も驚きを隠せなかった。

 

「だんまくはとまってうごかない?ちがうわ。こおらせてとめておいたのよ。さぁ、これでおわりよ!」

 

動き出した弾幕が次々と襲いかかる!!はずだったが、魔理沙のスペルカードによってかき消されていた。

 

恋符「マスタースパーク」切り札ってのは最後まで取っておくもんだぜ?』

 

チルノのスペルカードを攻略した魔理沙は勝利した。

 

「こんどこそかったとおもったのに!」

 

「正直負けたと思ったよ。チルノはこれからもっと強くなるはずだから、その時にまた弾幕ごっこをやろうぜ。」

 

「もっとおどろくようなすっごいのをくらわせてやるからおぼえてろよ!」

 

そういってチルノはどこかへ行ってしまった。

 

「あっ、いっけね!紅魔館の場所聞くの忘れてた!」

 

 




チルノちゃんは、すっごい頑張り屋さんなんだけど、周りが強すぎて中々上手いこといかないってイメージです。これからの成長に期待ですね。


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18話 魔法使い


魔理沙ちゃんの帽子って、なんでも入る魔法がかかっていそうです。誰かのポケットと似ていますね(笑)。

本編はじまります。


 

 

紅魔館への行き方がわからない魔理沙は、しばらく考え事をしていた。すると、湖から何やら人魚のような姿をした妖怪が現れた。

 

「こんな場所をさっきからウロウロして何か用でもあるの?道にでも迷ったのかしら。」

 

「うおっ、人魚だ!紅魔館っていう真っ赤な屋敷を探しているんだ。何か知っているか?」

 

「ああ、この前急に現れた屋敷ね。それならここを右に曲がって真っ直ぐ進むと着くよ。どうしてそこに行くの?」

 

「なに、ちょっとした見物さ。情報ありがとう。この礼はまたどこかでな!」

 

そう言うと彼女はささっと飛んでいった。魔理沙は人魚に言われた通り進んだ。

 

(やっと紅魔館にたどり着いたのは良いんだが、門番がいるみたいだな。)

 

どうやって入ろうか悩んでいた彼女は、ガサゴソと帽子の中から魔法アイテムを取り出した。

 

「透明マント〜!」

 

説明しよう!透明マントとは、文字通り被れば透明になれる道具である。ただし、喋ったり音を出してしまえばバレてしまうぞ!

 

(さて、行きますか。門番には悪いけどここは素通りさせてもらうぜ。)

 

気配も消えているため、相手には気づかれない便利な魔法アイテムである。

魔理沙は門の上を掻い潜り、入り口の妖精メイドの後ろについていった。

 

(入ったは良いが、中はかなりの広さだな。何処から調べようか...。)

 

ふらふらと歩き回っていった彼女はある事に気がついた。

 

(魔力の痕跡がある...かなり強力な魔力だ。とりあえず辿ってみるか。)

 

それは屋敷の地下まで続いており、一つの大きなドアの前まで続いていた。ドアを開けると部屋中に本が並びつくされていた。

 

(おいおい、この量は多すぎだろ。まるで図書館じゃないの。それにしても部屋の構造がおかしい...。一体どうなっているんだ?)

 

魔理沙は目の前に広がる光景に信じられないという様子だった。

 

「あら、この世界の魔法使いが来るとは珍しいわね。」

 

(バレている...!? 声は出していないのにどうして...。)

 

一瞬で正体を見破られてしまい、心臓が高鳴る魔理沙。

 

「随分と恥ずかしがり屋さんなのね。そんな玩具を着て隠れても私には見えているわよ。」

 

隠れても無駄と分かった彼女はマントを脱いだ。

 

「私の自信作を玩具とは流石大魔法使いだな。恐れ入ったぜ。」

 

「とにかく私の読書の邪魔をしないで頂戴。今引き返せばなにも見なかった事にしてあげるわ。」

 

「分かったよ。って言いたいところだが、相手が魔法使いなら話は別だ。どちらが魔法使いとして優秀か勝負してもらう!」

 

「後もう少しで読み終わるから待ってなさい。その後なら何度でも叩き潰してあげるわ。」





パチュリーさんって、どんな時でもマイペースなイメージです。読書に夢中で話を聞かない事がありそうですね(笑)。

パチュリーさんと魔理沙ちゃんの勝負は次回という事で。


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19話 実力差

パチュリーさんに出来ないことは無いんじゃないか、とこの頃思い始めてきました。助けて〜パチュえも〜ん(笑)。
こんなこと言ったら本の角で叩かれそうです。

では、本編はじまります。


 

魔理沙は彼女が本を読み終わるのを待っていたが、ただ待つのも暇なので自分も読書をする事にした。

 

(此処には沢山の魔道書があるらしいな。少し見てみようか...。)

 

「賢者の石について」という本を見る事にした。

 

作者:パチュリー・ノーレッジ

 

賢者の石とは、簡単に言うと便利な道具である。卑金属を金に変えたり、寿命を延ばす事もできる。人間はこれをとても貴重な物として観ているらしいが、私にとっては石ころ同然の価値だ。

 

「賢者の石の価値が石ころと同じだって!?パチュリーってやつは一体どんなやつなんだ...。」

 

「それを書いたのは私よ。そんな石なんていくらでも作れるわ。」

 

パチュリーは彼女の目の前で賢者の石を沢山作りだした。

 

「こいつはすげえや!私が勝負に勝ったらこの石は貰ってくぜ。」

 

「欲しいなら持って行きなさい。さっさと終わらせるわ。」

 

パチュリーのスペルカードは4枚、魔理沙は2枚で勝負をする事になった。

 

パチュリー vs 魔理沙

 

『先手は私が貰うわ。火符「アグニシャイン」!!

 

なんと、本の中から沢山の炎の弾幕が放たれたのである!

 

「おいおい、何で本が燃えないんだよ!ってか熱っ!」

 

魔理沙は熱い炎の弾幕をグレイズした。(グレイズとは、弾をギリギリで避ける。かすめることである。)

 

『この本は特別なのよ。熱いのなら冷ましてあげるわ。水符「プリンセスウンディネ」!!

 

今度は泡の弾幕とレーザーが彼女を襲う!ダメ押しをするかのように巨大な弾幕も打ってきたのである!

 

『おいおい、このままじゃ避けきれずにピチュっちまうぜ...。ならここで使うしかないよな!魔符「スターダストレヴァリエ」!!

 

魔理沙は物凄いスピードでパチュリーの背後に回り、魔法アイテムの八卦炉を取り出した。

 

『この至近距離なら避けられないだろう!食らってくたばれ!恋符「マスタースパーク」!!!

 

魔力全快で放たれたマスタースパークは大図書館を丸々飲み込むくらいの勢いだった。だが、真正面からくらったはずのパチュリーがピンピンしていた。

 

「な、なんでそこに立っているんだ...?完全に当たったはずだぞ...。」

 

「その程度の魔法なんて避けなくてもいいってことよ。残念だけど、あなたの負けね。」

 

「そんな...。私の魔法が通じないやつなんているのかよ...。」

 

魔理沙は自信があった魔法を簡単に破られてしまい、かなりショックを受けていた。

 

「人間にしては大したものだわ。少しびっくりしちゃったもの。私は生まれついての魔法使いだから、差があるのは当然なの。」

 

「それでも負けた事には変わらないぜ。また勝負してくれ。いや、してください。」

 

「いつでも待っているわ。私も試したい魔法がいくつかあるもの。」

 

こうしてパチュリーと魔理沙の決闘はおわった。

 

 




やはりパチュリーさんは魔法使いとしての格が違うと言うかなんというか...

魔理沙が魔法レベル1だとすると、パチュリーさんは100の差があるイメージです。あくまで魔法力ですので、身体能力等は魔理沙ちゃんの圧勝です。


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20話 お泊まり


ゆったりできる時間って良いですよね。何も考えずにただぼーっと座っていたい日があります(笑)。

本編はじまります。


 

 

あの後魔理沙は家に帰り、勝つ為にもう1人の魔法使いの家へ向かった。家は同じ魔法の森にあり、ご近所さんである。

 

名前は、アリス・マーガトロイド と言う。人形を作るのが得意で、複数の人形を魔法の糸で操ることができる。人里では偶に人形劇などをしたり、人形を作って販売などをしている。

 

コンコン

「おーい、アリス〜!いないのか〜?」

 

返事がない。留守のようだ。

 

「肝心な時にいないなぁ。さて、何処へ探しに行こうか...。」

 

彼女がしばらく考えていると、ドアが開いた。中から出て来たのは可愛い人形だった。

 

「おっ、さてはアリスの新作だな。アリスは何処に居るかわかるか?」

 

人形は首を振って分からないといった様子だ。どうやら留守番を任されているらしい。

 

「なら私も留守番しといてやるか。待つのには丁度いいや。」

 

彼女は人形としばらくのんびりと過ごしていた。あまりにも快適だった為、つい寝てしまった。

 

「あらあら、魔理沙ったらぐっすりと眠っているわね。何か用でもあるんだろうけど、しばらくそっとしておきましょうか。」

 

アリスは彼女にそっと毛布をかけ、静かに読書をしていた。

それから数時間が経ち、魔理沙は起きた。

 

「......お、戻って来たのかアリス。何処に行ってたんだ?」

 

「人里へ仕事とお買い物よ。これから夕飯だけど、食べる?」

 

「もうそんな時間なのか。ついでに泊まっていくよ。魔法について教えて欲しい事もあるしな。」

 

「わかったわ。私は夕飯の支度するから貴方は先にお風呂入ってなさい。」

 

魔理沙はお風呂で今日の疲れを癒した。

 

(生まれついての魔法使い...か。何から何まで桁違いだったな。)

 

考え事をしながら食事をすませていると、彼女が不思議そうな顔で魔理沙の顔を見ていた。

 

「ん?私の顔に何かついているのか?」

 

「そうじゃなくて、悩んでいそうだったから少し心配したのよ。何かあったの?」

 

「すっげえ強い魔法使いにあったんだ。パチュリーって言うんだけど、私のとっておきが全くもって効かなかったんだ...。」

 

「貴方がここまで言うなんてよっぽどなのね。何か弱点みたいなものは無かったの?」

 

「弱点っていう弱点は見当たらなかったな。気になる点といえば、本気で戦っているのに使ってくるスペルはそこまで強く感じないんだ。」

 

「そんな珍しい事もあるのね。貴方が避けるのが上手いのか、それとも何か理由があって弱くなっているのかも。」

 

「とにかく私がもっと強くならないとわからない事だ。って事で練習相手になってくれ。」

 

「今日はもう遅いから明日ね。ベッドは2階にあるから自由に使って頂戴。おやすみなさい魔理沙。」

 

「おやすみアリス。」

 





アリスさんは面倒見の良いお姉さん的なイメージです!
破れた服とかを持ってくると、「仕方ないわね」と言いながらさっと縫ってくれそう。手先器用な人は羨ましいなぁ


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21話 不穏な動き


アリスさんの人形はどれも出来が良く、とっても可愛いイメージです。自分の家にも一体ほしいですね(笑)

では、本編いきます。


 

 

次の日の朝、アリス達は弾幕ごっこを始めていた。魔理沙の激しい攻撃にもかかわらず、彼女は余裕の表情で避けていった。

 

「どうして私の弾幕が一つも当たらないんだよぉ〜!!」

 

「がむしゃらに攻撃してはだめよ。しっかりと集中して狙いを定めないと当たるものも当たらないわ。こんな風にね。」

 

アリスは何体かの人形を取り出し、魔理沙に向けて放った。

 

「ホーミング機能が付いているのか。なかなか便利な技だけど、潰してしまえば問題ない!」

 

彼女は襲いくる人形の一体をレーザーで攻撃した。

 

ドガーーンッ!!

 

なんと、レーザーに当たった瞬間に爆発したのである。ただ爆発するだけでなく、さらにそこから弾幕が出てきたのである。

 

「な、危ねぇっ!ただでさえ爆風で体制が崩れるって言うのに。これはかなり手強いぜ...。」

 

「それだけじゃないわ。周りをよく見てごらんなさい。」

 

「こ、これはっ───」

 

爆発で周りを撹乱しているあいだに糸で結界を張り巡らせていたのである!!!

 

「ふふ、どうやらこれには驚いたようね。貴方にはこれを破ることができるかしら?」

 

「動けば糸に絡まり、動かないと人形の爆発で終わるってことか。だが、ここで負けを認めるわけにはいかない!」

 

そういうと魔理沙は魔力を全開にした。

 

『結界もろともぶち抜くぜ!恋符「ノンディレクショナルレーザー」!!

 

彼女ががスペルを発動すると、全体に5つの色鮮やかなレーザーが放たれた。そのレーザーで糸と人形達を破壊し、さらに星の弾幕でアリスに追い討ちした。

 

「へぇ、この状況を難なくクリアするとは中々やるじゃないの。少し本気を出そうかしら────」

 

反撃しようとしたが、どこからか何者かに見られている気配がして一瞬動きが止まった。その後、魔理沙の弾幕に当たってしまい勝負に負けてしまった。

 

「最後のは一体どうしたんだ?勝負の最中に余所見なんてアリスらしくないじゃないか。」

 

「少しきになることがあって、ね。」

 

彼女はそう言うと、人形を木の茂みに放り込んだ。

 

「「「うわぁっ!」」」

 

突然目の前に3匹の妖精が現れたのである。

 

「ちょっと、サニー!驚いて能力を解かないでよ!」

 

「なによ!貴方こそ音が消えてなかったんじゃないの!ドジ!」

 

「サニー、ルナ、2人とも落ち着いて。どっちもドジなのは変わらないんだから、今は逃げることに集中しなさい。」

 

サニーミルク 彼女は三妖精のなかでリーダー的存在であり、「光を屈折させる程度の能力」を持ち合わせている。単体でも使えるが、組み合わせで更に強くなる。

 

ルナチャイルド 彼女も能力持ちで、「音を消す程度の能力」がある。一部の音だけを消すこともできたりもする。月の光に強く影響される。

 

スターサファイア 「動く物の気配を探る程度の能力」を持っている。相手が全く誰かわからないのが欠点だが、広範囲で使える探知機の役割をしている。

 

そうだった と現状把握し逃げ出そうとする2人だったが、すでに魔理沙達に包囲されていた。

 

「またお前達か。悪戯するなら他所に行ってくれ。今は忙しいんだ。邪魔するなら相手になるけど?」

 

「まぁまぁ、見ていたのがこの子達なら問題はないわ。何か殺気のような物を感じ取ったのだけれど、気のせいみたいね。それよりお茶にしましょう。貴方達も食べていきなさい。」

 

「「「はーい!」」」

 

お昼は妖精達とお菓子を食べて過ごしていた。

一方その頃、紅魔館ではある出来事に悩まされていた...





アリスさんって、どんな時でも冷静ですごい頼りになりそうですよね。ワンポイントアドバイスみたいな物をもらえそうです。


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