アフロディに妹がいた!? (ゆーこー)
しおりを挟む

小学生
サッカー始めます!


とある亜風炉家の家族三人での夕食

「私、お兄ちゃんがほしかったな~」

夕食中何気無くそんなことを言ったこの少女

小学三年生のこの少女

髪は肩にかかるくらいのショートヘアー

その髪は美しい薄い黄色であった

目はきれいな赤い色をしている

肌は白く澄んでいて将来はとてもきれいな女性になるだろう

 

しかし今はそんなことはどうでもいい

少女の発言により回りの空気が悪くなった

「実はな、花瑞(はなみ)お前には兄がいた」

「お父さん!それは…」

「いや、隠すのはやめよう」

「?」

「花瑞、よく聞けよ」

「うん」

「お前が幼稚園の頃までお前にはお兄ちゃんがいたんだ」

「え?でも私覚えてないよ」

「お兄ちゃんは…亜風炉照美はな、影山と言う男の元に行ったんだ」

「どうして?」

「・・・サッカーの実力があったからだ」

「サッカーってスポーツの?」

「そうだ、俺達は照美を渡す気は無かったんだが影山と言うやつ俺らから全てを奪おうとしたんだお前はお兄ちゃんどうなるの?って泣いてたから…記憶を…」

「・・・・」

「まあ、これ以上言っても仕方無いか…」

「ねぇお父さん」

「なんだ?」

「私のお兄ちゃんはサッカーやってるのかな?」

「多分な」

「じゃあ、私サッカーやる!」

「そうか・・え?」

「サッカーをやってればもしかしたらお兄ちゃんに会えるかもしれないじゃん!」

「…お父さん花瑞にサッカーやらせましょう」

「!?お前まで」

「私だって照美にもう一度会いたいのよ」

「……わかったそれじゃあ学校のグラウンドでやってるクラブチームに入ってみるか?」

「うん!」

 

このお話は兄に会いたい一人の少女の超次元サッカー物語である

 

その週の土曜日

「お父さん、ここが私の入るサッカーチーム?」

「そうだ」

「ちょっと緊張してきたかも」

「学校の子もいるだろうし大丈夫さ」

「私は男子に友達なんていないよぉ……」

 

「え~今日より三年生に新しい仲間が増えます。どうぞお入りください」

「えっ、誰だ誰だ?」

「よかったーうちら人手不足だし~」

目の前に立った少女を見てチームの少年達は驚いた

「あ、あ、亜風炉花瑞です!よ、よろしくお願い致します」

花瑞は知らないようだが学校でも一二を争う人気の女子がまさか強くもなんともないサッカーチームに入ってくるとは思っていなかった

「ようこそ、鬼怒川FCへあの六人が君と同じ三年生だお前ら挨拶しろー」

「三年キャプテン、ポジションはフォアードの荒城 漣です」

黒髪のスポーツ刈りのいかにもサッカー少年の子が真っ先に挨拶した

「ポジションはミッドフィルダー、城之内 笑太や!」

天パでたらこ唇のこの少年である

「ポジションはミッドフィルダー 令戸(れいと) 司 です」

髪は目にかからない程度だがやや長めで黒髪の少年、三年生の指令塔である

「ディフェンダーの城内 誠っす」

太った体格の坊主頭の少年である

「にしし!フォアードの(あかるい) 太陽だよ!こいつはキーパーの黒岩 弓矢(ゆみ↑や)こいつ無口だから許して~」

糸目、ツンツン頭の元気な少年と目が隠れるほど前髪が伸びて帽子被っている無口の少年

これが鬼怒川FC三年生である




キャラ紹介回です
終わってない小説が増えるだけだって?
思い付いたのを忘れないうちにやってますorz


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

全ては基礎から

帽子被ってるキーパーは強いと言う風潮…若林ィ……
先に言っとこう小学生の時はそこまで長く続けないと
ある程度大雑把にまとめていこうと


「俺がお前らの代を担当する大宮だ」

20代後半のこの男、彼が花瑞達三年生のコーチである

「とりあえずお前らはいつも通り、亜風炉はアップまで一緒にやったら俺と基礎からやってもらう」

「わかりました」

「最初に全員でランニング3週からだから」

ランニングが終わり準備体操を終え六人は三人一組でボール回しを始めた

 

「さてと、亜風炉ちゃんまずはボールを蹴ってみようか」

大宮コーチが花瑞にボールを渡す

「えい!」

ボールは訳のわからない方向に飛んでいった

「ふぅ、じゃあこのインサイドって言うところなんだけどここで蹴ることから始めよう」

「こうですか?」

コーチに真っ直ぐボールが届いた

「うまいねじゃあトラップ、ボールを受けとるときのやり方を教えるよ」

…………

「監督」

「どうした大宮」

「今日入った亜風炉花瑞ちゃんをもう皆と練習させてもいいでしょうか?」

「なに、もうか?」

「飲み込みが早くて基礎は終わったんです」

「わかったそちらの判断に任せよう」

「はい」

 

「え?もう皆とやっていいの?」

「ああ、君は飲み込みが早くってもう皆と技術を磨く段階まで来ちゃったから」

「やったー!」

「お前らー花瑞も入れてやれー」

「こ、コーチもう入れるんですか?」

「見ればわかる、あいつはセンスがある」

「わかりました」

キャプテンである荒城は驚きを隠せなかった

「えっと、今やってる練習は真ん中の人が右サイドの人にパスをしてもらった人がコーナーからセンタリングを上げ真ん中の人がシュートを決める練習です」

「おい!笑太、太陽手本見せてやってくれ!」

「オッケー!」

「任せいや!太陽お前が真ん中な」

「はいよー、パース」

「そら!上げるで」

「いくぞ弓矢!」

太陽がヘディングで右から上がったボールを左下の方向に軌道を変えてシュートした

「……」

弓矢はパンチングでそれを弾いた

「たはーやっぱ弓矢は強いな~」

「今の太陽がやった以外にも普通に蹴ってもいいからな最初は花瑞が真ん中なあっちの方が簡単だから」

「はい!」

花瑞が荒城にパスを出しゴール前に走る

「そらっいくぞ!」

絶妙なコースで上げられたボール

花瑞はヘディングの体勢を取る

「えい!」

ボールは右下に向かって進んだ

「……」ズサー ガシッ

弓矢はこれも止めた

「中々上手かったぞ花瑞」

その後の練習も皆と同じように進めて最後の練習四年生とのミニ試合になった

「四年生は17人いるけどほとんど五年生と練習してるから7対7になるんだ」

荒城の説明を何となく聞いていた花瑞

じゃあ一人落とされたのかなぁ等と思っていた

「それじゃあフォーメーションだが…まあ俺と太陽がFW笑太と司がMF花瑞と誠がDF弓矢がGKで」

「私ディフェンダーか~」

「花瑞さん大丈夫っす司君の指示が無いときは自由にやって大丈夫っす」

ミニ試合が始まった

キックオフは三年生から

太陽が漣にボールを出した

太陽はそのまま右側に走っていった

ボールを持つ漣の前に四年生が二人ボールを取りに来た

「あんたらに負けてられないんでね!」

「あ?」

「司!」

司にバックパスを出した漣はそのまま前に走り出した

「笑太!このボールをダイレクトで太陽の前に蹴れ!」

司から笑太にパス

「お、おう!」

ダイレクトで蹴ったボールは指示通りに太陽の前に

「あっこれさっきの練習の!」

花瑞はここでセンタリングを上げる練習を実際にやるんだと気付いた

「よーしいくぞ~漣!ありゃ」

ボールを上手く蹴れずボテボテボールになってしまった

「笑太!MFをマークしろ!FWまでボールを繋げさせるな!」

「誠、花瑞!そっちに来たらキーパーと1対1にさせないようにしろ!」

「花瑞さん俺足遅いんで追っかけるの任せていいっすか?」

「え?はい!」

笑太がマークしていたMFにボールが飛んできたが身長の差で敵チームにボールが渡った

「来るぞ!俺も守る、誠は勝負しに行け」

「オッケーっす」

えっほえっほとボールを取りに行くが股抜きをされてあっさり突破された

「来るぞ」

「へへっ!ひとりワンツー!」

四年生FWは比較的覚えやすいひとりワンツーを使い

花瑞、司を突破した

「いくぞ三年生!」

右上目掛けて強烈なシュートが飛ぶ

「すまん弓矢!任せたぞ」

「任された」ザッ

「あれも止めたのか?三年生はなんでこんなに上手いのばっかなんだ!」

この試合はその後キャプテン漣が一点を奪い四年生に勝利した

 




四年生かませ感…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

小さいときはあっという間

モブキャラみたいにイナズマってモブ技見たいのがあるから便利


三年生

二年生を加えた11人でジュニアカップ優賞

 

四年生

新たに 荒谷正人DFがチームに入った特徴はつり目

ジュニアカップ優賞

 

五年生

さらに三人のメンバーが仲間に

高身長のDF原 太一

なぜかオールバック MF松井 健介

女子 ツインテール MF高音 愛華

ジュニアカップ準優勝

 

そして六年生…

 

「俺らも今年で最後だ」

「やっぱり中学に備えて必殺技とか欲しいっすね~」

 

現在必殺技を持っているのは

GK弓矢の ショット ア ボウ ナックル

弓を放つ構えからそのまま拳を突きだし矢がボールに飛ぶパンチング技

 

キャプテン 漣のフリーズショット

 

だけなのである

 

「去年はそれで優賞逃しちゃったもんね~」

五年生での優賞チーム稲妻KFC

(円堂達と絡みがあるのは一個下)

「そうだ!大会までにひとり一個必殺技を覚えようや!」

「笑太、いいアイデアだそれで行こう!」

「「おおー!」」

 

その日の帰り道

 

「ううー愛ちゃんどうしよう~必殺技覚えられるかな」

「そうだよね~…花ちゃん二人で必殺技ってのはどうかな?」

「あっそれいいね!」

「よーし頑張ろう!」

「なら、DFとMFだしブロック技かドリブル技にしよう」

「そうだね~よし花ちゃん!DF技にしよう!」

「いいの?」

「いいのいいの、MFはドリブル技だけあっても仕方無いし」

「わかった!」

 

大会予選

 

 

「よーし皆、必殺技は覚えられてるよな?」

「漣君~三日も連続で聞かなくていいよ~」

「そうは言ってもだな…よし一回戦使えるタイミングになったら積極的に使ってけ!」

「「おー!」」

 

ベーシック

FW 明 荒城

MF 松井 令戸 高音 城之内

DF 原 城内 亜風炉 荒谷

GK 黒岩

 

キックオフ相手チームのFWが高音の方にドリブルしてきた

 

「花ちゃん!早速行くよ!」

「うん!」

「「シューティングスター!!」」

 

相手FWからボールを奪った

 

「笑太君!」

「任せいや!」

 

敵MFが二人笑太からボールを奪いに来た

 

「ほっ!たまのりピエロ」

 

二人のMFを突破し太陽にボールをパスした

 

「先制点いっただきー!」

 

明 太陽は上空にジャンプした。その時!曇っていた天気が晴れた

 

「ニコニコサンシャイン!」

 

太陽の力を得た光輝くボールは相手ゴールに吸い込まれていく!

 

「させるかっ!て、あっつ!」

 

手が火傷しそうになりGKは思わず手を離してしまいボールがゴールネットを揺らした。

一瞬だけ出ていた太陽は、もう雲に隠れていた。

 

「へっへーん、どうだ!」

 

太陽君はドヤ顔で鼻の下をこすっていた

 

「ほら、戻るぞ試合が再開できないだろ」

「あ~漣くーん!ここは最後までかっこよく決めさせてよ~」

 

太陽君がユニホームの後ろを持たれズリズリと引きずられてポジションに戻されていた。

 

「はあ!クイックドロウ!」

松井君はクイックドロウを覚えていた

 

「ごりむちゅう!」

荒谷君はごりむちゅう

 

「ジグザグスパーク!」

令戸君はジグザグスパークを

 

「しこふみ!」

城内君はしこふみ

 

「コイルターン!」

原はコイルターンを覚えていた

 

この試合は4対0で鬼怒川FCが勝利し

本戦出場、決勝戦まで順調に勝ち進んでいた

 

「いよいよ稲妻KFCとの試合だね」

「皆!今年は勝つぞ!」

 




ハイスピードである!
オリワザ紹介
ショット ア ボウ ナックル
弓を引く構えから熱血パンチのように拳を繰り出す技
その時矢が放たれボールにパンチ判定で当たる

ニコニコサンシャイン
たとえ豪雨でもこのときだけ太陽が出てきてボールに力をくれる
単純に眩しいのもありジミにきつい
触れても火傷しそうなほど熱くてきつい

今回は他の選手はよくある技で固めた


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS稲妻KFC

六年生最後の試合ポジションは今までと変わらない

 

FW 明 荒城

MF 松井 令戸 高音 城之内

DF 原 城内 亜風炉 荒谷

GK 黒岩

 

のままである

 

稲妻KFCボールから試合は始まった

 

FWの二人がワンツーで太陽君と漣君を突破し早くも

愛ちゃんの元に来た

もちろん私は駆け寄ってきてる

 

「いくよ花ちゃん!」

「「シューティングスター!!」」

 

相手からボールを奪い司君にボールを渡した

司君はジグザクスパークで相手選手を次々に抜いていき

、キーパーの正面まで来た

そのままシュートを打ったがこれは敵のキーパーに軽々止められた

 

「カウンター来るぞ!花瑞はMFまで上がって守れ!」

 

司君の指示で愛ちゃんと二人でボールを持つFW選手と対峙した

 

「もぐらシャッフル!」

 

しかし相手の必殺技で簡単に抜かされてしまい

城内君のしこふみでボールを奪うも後ろから来ていたもう一人のFWにすぐボールを奪われて弓矢君と1対1にしてしまった

 

「グレネードショット!」

 

「ショット ア ボウ ナックル」

 

ここは弓矢君が勝ちボールは荒谷君の元に来た

そしてそのボールを城之内君に…こちらのカウンター返しです!

迫ってきた相手をたまのりピエロで突破しキャプテン漣君にボールを渡した

 

「フリーズショット!」

「まきわりチョップ!」

 

相手のGKの必殺技で漣君のシュートが弾かれた

しかし弾いたボールはもう一人のFW太陽君の元に転がってきた

 

「よーし!ニコニコサンシャイン!」

「まきわりチョップ!」

 

よくすぐに必殺技を出せたものだと相手のGKに感心しつつも、やはりニコニコサンシャインは眩しくてボールがうまく捉えきれず、まきわりチョップは空振りに終わり太陽君が先制点を上げた。

 

「よっしゃー先制点いっただきましたー!」

 

これによりチームの士気も上がり前半1-0のまま終了となった

 

「よーし皆!このまま勝つぞ!」

「「おおー!」」

 

後半こちらのボールから始まり太陽君がボールをキープしている

しかし先程のゴールで守りが厳しくなっていた

 

「もー!司君よろしくー!」

 

仕方無くボールを後ろの司君に渡したが太陽君は二人がかりでマークされてしまった

 

「司!俺にボールをくれ!」

 

パスを求めたのはキャプテン漣君だった

先程自分のシュートを止められたが策があるのだろうか?

司君は漣君にボールを出した

 

「はあぁぁぁ!フリーズショット!」

 

この時代に改などの概念がなかったため書かれていないが改になったフリーズショットは相手GKの必殺技を突破し追加点を得た

 

「さっすがキャプテン漣く~ん」

 

いつもの笑顔で語りかける太陽君

「これぐらいしないとな」と漣君は言った

 

試合終了五分前相手のFW二人の攻撃を許してしまった

 

「ホークショット!」

「ショット ア ボウ ナックルっ!?クッ」

 

試合終了間際に突破口が作られてしまった

 

「二人のうちひとり守れればいい!」

 

司君の指示でボールを持っていない方にマークを集中させる。

しかし他の人とでもホークショットは使えたようだ。

再びホークショットが弓矢君に襲いかかる。

 

「使うことになるとは…」

 

誰にも聞こえないような声で弓矢君はそう言ったらしい

 

「ショット ア ボウ…………………キャッチ!」

一本の矢ではなく十本ほどの矢がボールに襲いかかり威力が並のシュートに落とされそのボールを弓矢君はキャッチした

 

試合終了のホイッスルが鳴った

 

「な、なんだよ!出し惜しみしていたのかよ!」

 

松井君がそう言う

弓矢君は首を横に降りこう言った

 

「あれはキャッチするのが目的だ弱いシュートに使うと弾いてどこに行くのか予想できない」

 

つまり使うには一定のパワーのシュートじゃないとダメらしい

 

「まあ、何はともあれ優賞だ!」

「おおー!」

 

 

 

そして私たちは中学生となった…

 




ショット ア ボウ キャッチ
普通に矢を放つ動作をして
十本の矢となりボールに飛んでいく技
弱いシュートだと威力が強すぎ弾いてしまいどこに行くかわからず
そのどこに行くかわからないところにプライドが許さないらしい

「と、言うわけだあ」
「いや、いきなり作者が解説してもわかりませんって」

なぜかお供させられてる漣です

「まあまあ、オリワザ解説コーナーってことさ!次回もまた見てください!ほら、漣君からも何か」
「あ、気に入られたかたは是非お気に入り登録をしてください」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

中学生
みなさん!サッカーやりましょう!


市立鬼怒川中学校

私がこれから三年間サッカーをやる場所です

松井君、愛ちゃん、原君、荒谷君は別の中学校に行ってしまったけど、私が入ってきたときからいる皆とは一緒の学校になりました。

もちろん皆サッカー部希望です!

 

私は今、髪を背中が隠れるくらい髪を伸ばしています

なぜか漣君が前の私みたいな長さまで髪を伸ばしてますスポーツ刈りよりにあってるのはなんでだろう?

 

「えーこれから君たちは、ここの生徒となるわけで…」

 

新入生歓迎会のようなものも終わり、

しばらくたつと部活動を決める時期になりました。

ただ不安なのは、ここのサッカー部の先輩たちが見た限りだととってもやる気がないように見えたんです。

 

「ねぇ花みん、ここのサッカー部大丈夫かな?」

「だ、大丈夫…だとおもうよ?」

 

唯一クラスが一緒だった太陽君、なぜか私のことを花みんと呼ぶ

 

そして部活動顔合わせ

 

 

「七人ねぇ~……あー俺がキャプテンやってます、金子 京助ですよろしく~」

やる気が全く見えないこのちょいぽちゃの人がキャプテンらしい

 

「三年でキーパーやってます山田 大吉です」

 

体格はよく言えばガッシリしてて確かに頼れそう?な人でした

 

他にも二年生三人の鈴木、滝本、大海原先輩が挨拶をしてくれましたがあんまりいい印象ではありません。

 

「あの~練習とかは?」

「ん?そんなのやんねーよ俺ら」

「……え?」

「好きに帰っていいからさ~」

 

金子先輩はそう言って帰っていった

 

「あー俺らも帰るよ~」

 

二年生の先輩方も帰っていった

 

「……じゃあワイも帰るで新入生、悪いことは言わん。他の部活にいきな」

「!? あっ、待ってください!」

 

山田先輩を追って、漣君も行ってしまった

 

「んで、どうする?」

「どうすんやこれ!」

「俺に聞かれても困るっす!つ、司君!」

「うむ、正直言うと遠方の強豪クラブチームから招待されているんだ」

「「へっ?」」

 

笑太君と誠君そして太陽君が間抜けな声でそう言った

 

「実は…俺もなんだ」

「えー!太陽君もなんか?」

「うんー!でもちょっち遠かったし皆とサッカーしてたいから残った!」

「太陽らしいな、まあ俺もだが」

 

確かにジュニアカップ優賞チームなのだから声をかけられないはずはなかったがやはり声をかけられている人はいたんだ

 

「ボゾボソ」

「そうなの!?」

 

弓矢君なにか言ったが太陽君しか聞こえなかった

 

「何て言ってたの?」

「俺も、漣君も同じだってさ」

 

知らなかった、まさかそこまでしてここに残ってくれてたなんて

 

「私…私…」

 

とっても申し訳ない気持ちになった

 

『中学でも皆でサッカーしてがんばろ!』

『もちろんだ。まあ聞くまでもないだろう』

 

……………

 

「気にするな、俺らだって皆とサッカーしたいって自分で思ったからここにいる。花瑞が言ったから残ったとかではない」

「そうだよ~それにこれもないしね~」

 

太陽君はニコニコと笑顔でお金マークを出した

 

「ありがとね、なんとかして皆で先輩方にやる気を出してもらおう!」

「だな、すでに俺らを置いてって行動してるリーダーもいるけどな」

 

 

 

 

 

 

 

「待ってくださいよ先輩!」

「何なんだよ君は!」

「俺は…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

みんな!サッカーやりましょう!2

ー荒城 漣sideー

 

とある道路の端、家に帰る山田先輩にやっと追い付いた

 

「山田先輩!あなたの目は死んでなかった!」

「何が言いたい?」

「他の人は濁ってたけどあなたの目にはまだ光があった」

「…ほう、それでサッカーやりましょうと?それはお前の勝手な想像じゃないか」

「理由はあります!ひとつ、先輩は帰るとき最後だった」

「そんなのたまたまだろ」

「ふたつ!俺らにこの部活をやめるべきといったそれはサッカーをやってほしいと思ったからですよね?」

「そりゃサッカー部に入る人はサッカーがしたいやつが大半だからな、だからアドバイスをしただけだ」

 

日が傾き暗くなってきた

 

「自分みたいになってほしくなかったんじゃないんですか?」

「……」

 

図星のようだ

 

「教えてください先輩!なんでそうなってしまったか!」

「わかったよ!言ってやるよ!その代わり一度しか言わないぞ!」

「ありがとうございます」

「俺も最初はお前らみたいにサッカーしたくて部活にはいったんだよ。だが入ってみたらなんだ、先輩にパシリにさせられて先輩達はろくに練習もしないのに部室を汚してそれを下級生に掃除させて」

 

なんだそれ、まるで学園ドラマみたいじゃないか…

 

「やっと俺らの代になったと思ったらキャプテンはひねくれ、後輩も言うことを聞かなかった。なにより後輩の入部理由よ!大海原はサッカーしたくて入ってくれたが他の二人はサッカーやってりゃモテそうだからって…だから!」

 

「…先輩、すいませんでした。でも俺ら一年を導いてくれませんか?」

「……考えといてやる」

 

 

ー亜風炉花瑞sideー

とりあえず残った私達はボールが見えなくなるまでサッカー部のグラウンドで練習をして帰った。

 

私は一人で自分の家に向かっていたその時赤い髪の同い年くらいの人に声をかけられた

 

「君、サッカーやってるの?」

「そ、そうですけどなんですか?」

「怖がらないで、ただ僕もサッカーが好きなだけさ」

「この辺で見かけたことないですけど…他の地域の人ですか?」

「そうだね、この辺の人ではない」

 

そう言うと彼は私の目の前まで近付いてきた。

恐怖感とかで体が思ったように動けない。

 

「フフ、かわいいね君」

「な、ナンパなら他を当たってください!」

「本当さ、きれいな顔、きれいな瞳をしている…でも少し悩んでいる顔をしている」

 

なんなのこの人は、よくわからない感情がお腹から沸々と沸いてくる

 

「サッカー部で問題がある。先輩とかかな?後は…人を探している」

「ど、どうして?」

「(図星のようだね)そのうちまた会いに来るよ」

 

訳がわからないままその人はどこかに行こうとした

 

「まっ、待ってください!」

「どうしたの?」

「あなたは、何者なんですか?」

「…基山ヒロトただの中学二年生さ。君の名は?」

「わ、私!?あの、亜風炉花瑞ですっ」

 

つい名前を言ってしまった

動揺しすぎてまともに判断できない

 

「花瑞ちゃんね、覚えとくよ。じゃあね」

 

何だったのだろうか…家に帰ってもボーっとしてたため親に心配された

 

 

 

 

 

ーヒロトside?ー

「よーグラン、なーに勝手なことしてるのかな?」

「バーンか、いけないかい?ジェミニが動く前に偵察してても」

 

拠点に帰るとバーンが真っ先に今日のことを聞いてきた

 

「偵察か、確かにそう言う言い方をすれば十分な理由になるがそちらから明らかに話しかけていたな」

 

ガゼルはどこで見てたのか花瑞ちゃんとの会話わ見ていたらしい

 

「彼女は今後成長する、それは僕らにも匹敵するほど」

「あー?んなわけねぇだろ?このナンパ野郎」

「待てバーン、なぜそう思うのだ?グラン」

「彼の生き別れの兄、亜風炉照美はまだ公には出てないけどかなりの実力だ。だがそれ以上の理由として彼女はここに引き取られかけていた」

「はぁ!?」

 

バーンに胸ぐらを捕まれてしまったが関係無い

 

「どうやら、影山という男が亜風炉照美を手にいれるために親を殺そうとしたらしいそれで身を隠すために父の方がここに預けようとしていたらしい」

「なるほどな」

「だが、今は違うのだろう?認められない」

「そうだね…今はね…」

 

 

 




「あの~ヒロト君」
「どうしたんだい?筆者が改まって」
「どうしたんだいじゃないでしょー!まだゲーム的には1なわけよ!出るならせめて2にしろ!」
「それじゃあ遅い、僕は自由にやるさ」
ニヤリと笑うヒロトに少し恐怖を感じた
「あーもー勝手にしろぉ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

みんな!サッカーやってます!

花瑞、イラスト本文にいれました

現在の限界なのですがなんていうか
シチュエーションに見あった萌えっていうんですか?それが足りない気がして仕方ありませんがどうぞ見てください


次の日きっと漣君が頑張ってくれたのでしょう、山田先輩が練習に参加してくれました

そして次第に他の先輩方もサッカーをやってくれるようになりました。

 

「まあ、芋づる式ってやつよ!読者の諸君」

 

漣君のブラックな発言は置いといて、これでやっとスタートラインから一歩進めた。でも他のチームは何十歩も先にいる。だからもっと頑張らないと。

 

その日の帰り、また彼にあった。

 

「やあ花瑞ちゃん部活の方はなんとかなったみたいだね」

「なんで知ってるかはいいとして…なんですか?基山さん」

「覚えててくれたんだ、嬉しいな。でもヒロトでいいよ」

「それで、今日は何のようなんです?」

「花瑞ちゃんのお兄さんがどこにいるかわかったよ」

 

お兄ちゃんの居る場所がわかった?もしかして探してたの?今まで

 

あれ?お兄ちゃんのこと話したっけ?まあ、そんなことより

 

「それって本当なんですか?」

「ほんとだよ教えてほしい?」

「教えてほしいです!」

「う~んどうしよっかな~」

 

 

ー基山ヒロトsideー

少し焦らした方がいいと思ったけどどうだろうか?

 

「お願いしますヒロトさん。教えて下さい…お兄ちゃんの場所を」

「じゃあもっと近くに来て」

 

拒まれるかと思ったけど素直に来てくれた。

僕は花瑞ちゃんを軽く抱き締めるようにして耳元でささやいた。

 

「世宇子中。そこにお兄さんはいるよ」

 

ー亜風炉花瑞sideー

お兄ちゃんの場所を知りたくて言うこと聞いたらなぜか抱き締められた。

こういうの初めてだから自然とドキドキした。

でも世宇子中なんて聞いたこともないし、どこにあるのかわからない。

 

「ねぇヒロトさん、世宇子中はどこにあるの?」

「無理に探すことはないよ、フットボールフロンティアで勝ち進めば会えるから」

 

フットボールフロンティア

中学サッカー日本一を決める大会

 

「つまり、お兄ちゃんはサッカーやってるの?」

「やってるよ、とても強い選手になってる」

「ヒロトさんは何でまだ会って二回目の私にここまでするんですか?」

「…俺もよくわからない、でもいいでしょ?それでも」

 

そう言ってヒロトさんは私を離した。

 

「そうだ、これをあげようと思ってたんだ」

 

そう言って渡されたのは左側に一つ、四つ葉のクローバーを型どった白色のカチューシャだった

 

「似合うと思うんだけどダメかな?」

「嬉しいけど…なんでですか?」

「なんでって何が?それより着けてみてくれないかい?」

 

話を有耶無耶にされた気もするけど私はそのカチューシャを着けた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「よかった似合ってる」

「そう?大事しますね」

「うん」

 

何故か頭を撫でられた

 

「じゃあ今日はこれで失礼するよ」

 

一体なんなんだろう…あの人は

 

 

次の日何故か皆に貰ったことを話したら男子が必死にその話を詳しく聞いてきて怖かった。

 

 

 

「さ~て練習しようか!」

キャプテンもやる気を出してくれてよかった

二年生の先輩方も徐々に上手くなってきてるし…

 

「みなさん!」

 

私は思わず皆に声をかけた

 

「どうしたの花瑞ちゃん?」

「みんなさんのこのサッカー部での目標を教えてください!」

「う~ん改めて言われると…とにかく大会に勝つとか?」

 

漣君達がそういう中、二年生二人と来たら

 

「やっぱ、モテたいじゃん?」

 

「はあ…」

 

思わず溜め息しか出なかった。

 

「私は皆でこの大会に出たいんです!」

 

昨日コピーしてきたフットボールフロンティアのポスターを皆に見せる。

 

「フットボールフロンティアってあの?」

「そう、あのフットボールフロンティアです」

「ふっ、目標は高い方がいいもんな」

 

司君が真っ先に答えてくれた

 

「もちろん一年全員賛成だ!」

 

「ちょっと待て!俺ら三年生の代なんだぞ」

 

確かにそうである私達は三年生の目標のサポート役に過ぎない。

 

「出たい、じゃなく優勝を目標にするならやってやる」

 

思わぬ返答に喜んだ

 

「それじゃあ…」

「ああ、やるぞ!」

「「おおー!」」

 

 

この日から私達サッカー部の練習はどこよりも過酷なものとなった

 

 

 

 




「ねぇ筆者さん」

「な、なんだよヒロト」

「花瑞ちゃんはもっと可愛くて美しい人だよ」

「仕方無いだろ!画力足りてないんだから!それに可愛くて美しいってなんだよ!両立ムズいわ!」

「と、言うわけで皆様も是非あなたの想像する花瑞ちゃんを書いてください。書いた絵はこのあと作る活動報告に送ってください。まあ見てる人全然いないし無理だろうけどね」

「おっしゃる通りです」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フットボールフロンティア~兄に会うために~

「ついに来たんだよね…」

 

長いようで短かった練習期間を終えて、ついにフットボールフロンティアが開催される

 

「お前らには感謝してる、ほんとにサッカーが、できて…」

 

まだ試合も終わってないのに泣いてしまう山田先輩

 

 

「やめてくださいよ先輩、泣くのは全て終わったあとにしましょう」

「そ、そうだな」

「だが山田の気持ちはわかる。俺だってまさかこんな後輩に恵まれると思ってなかった」

「金子先輩まで…やめてくださいよ」

 

すでに試合後のムードになるのは流石にやめてほしい。

 

「それよりポジション発表を!」

 

私なりのやり方で話を強引に前に進めたけど、皆なら何て言ってたのかな?

 

「よし今回の大会はこのメンバーをメインに使う!」

 

FW 明 荒城

 

MF 城之内 令戸 金子 大海原

 

DF 滝本 城内 亜風炉 鈴木

 

GK 山田

 

 

ベンチ 黒岩

 

「黒岩にはサイドバックを任せようとしたがキーパー以外はやらないと言うことなのでベンチにした」

 

「弓矢、それでいいのか?」

「構わない、先輩がダメなら変わるまでだ」

流石GKにプライドを持ってる弓矢君だ…GK以外をする気はないらしい。

 

 

こんな具合で始まったフットボールフロンティア予選

 

予選一回戦

 

「キーパーと1対1っす!」

「うおおおクロスドライブ!」

「ふん!メガインパクト!」(ギガントウォールの下位互換)

「山田先輩にあんな技があったとは…」

 

 

 

 

予選三回戦

 

「おおーと!センタリングを受けると思った〇〇選手!スルーパスだったあー!」

「いただき!」

「ゴーーール!鬼怒川中キーパー山田!三回戦にして初失点だ!」

「山田先輩、ここは俺に任せてください」

「おおーとここでキーパー山田に変わり黒岩だあー!」

「(山田先輩はパワー型GK、俺は…)」

「おおーと黒岩!スルーパスされる前にボールを取った!」

「テクニック型GKだ」

 

 

予選決勝

 

相手キーパーが非常に手強くニコニコサンシャイン、フリーズショットが止められた中で漣君が

 

「はあ!新必殺技だ、ブリザードショット!」

 

「ゴール!荒城選手この土壇場で新必殺技だぁ!」

 

この漣君の新必殺技によりついに私達は本戦出場が決定した

 

 

「やったぞぉ!本戦出場したんだぁ!」

「ここからが本番だぞお前ら!」

 

皆の空気もとっても良くなったが、これでうかれなければいいんだけど…

 

 

開会式にお兄ちゃんがいるという世宇子中のメンバーは現れなかった…プラカードを持ってる女性が一人で歩いているので可哀相だと思ったけど。

 

本戦は明日から始まる。そんな日の帰り、また彼にあった

 

 

「やあ、本戦出場おめでとう花瑞ちゃん」

「ヒロトさん!ヒロトさんはもしかして試合の観戦に?」

「まあ、そんなところかな?何よりも君に会いにだけどね」

 

ヒロトさんはよくその手のからかいを混ぜてくる。

私はそう思っている。

 

 

「じゃあ、鬼怒川中の試合楽しみにしてるよ」

「はい!」

 

何故だろう最近あの人に会うのが楽しみになっている…

 

 

「そういえば試合の時そのカチューシャ邪魔になってたりしてない?」

「いえ、そんなことは…」

「ならよかった、じゃあまたそのうち会おうね」

 

 

 

 

 

 

 




オリワザ紹介コーナー

メガインパクト
単純にギガントウォールの下位互換です

ブリザードショット
フリーズショットの上位互換といっていいだろう
エターナルブリザードみたいな感じで氷をまとわせてゴッドキャノンみたいに後ろから飛び蹴りを、かまして打つ技




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS世宇子中 1 炎の氷

今まで飛び飛び系の展開ってやったことなかったんですけど飛ばしすぎですかね?


ー城之内笑太sideー

 

準決勝、今日は圧倒的パワーで他校を倒した世宇子中との試合や

 

準決勝までなんとか勝ち進んだ俺たちだったんやが、

今日は何故かいつも元気な花瑞ちゃんがずっとカチューシャを見つめて黙りこんでいる……

 

 

ま、まさか!?

 

その時俺はあのカチューシャを花瑞ちゃんが初めて着けてきた日のことを思い出した

 

「なあ、花瑞!そのカチューシャどうしたんだ?」

「んー、これ?これはね…貰ったの!」

 

あのとき花瑞ちゃんは少し顔を赤くしていた

 

そしてその日一日は、学年の男子全員が女神ロスショックを起こしていた…俺もや…

理由はもちろん一年の女神と言われていた亜風炉花瑞に、彼氏ができたという噂がたったからだ。

 

 

まさか花瑞ちゃんの彼氏が相手の中に!?

 

「あの~花瑞ちゃん」

「ん?どうしたの笑太君」

「そのーあれなんや、もしかして相手のチームの中に…会いたい人とかいたりして?」

「ど、どうしてわかったの!?」

 

やっぱりぃぃ!そうだこれはあれだ!好きな人と戦うのに戸惑ってるに違いないんや!

こ、ここはフォローすべき時や!

 

 

「花瑞ちゃん、たとえ相手が誰であろうと全力で相手しないと失礼だと思うんや。だから悩まない方がいいと俺は思うんや」

 

「?ありがとね…心配させちゃってたんだ」

 

その後花瑞ちゃんは元気に試合準備をしていた。

 

ー亜風炉花瑞sideー

 

どうして笑太君がお兄ちゃん探してることわかったか知らないけどお陰で元気がでた。

よくわからないモヤモヤも晴れた

 

「さあ、ついに始まります!フットボールフロンティア準決勝世宇子中対鬼怒川中!どちらも無名校ながらここまで勝ち進んできました!」

 

実況の声が響く

私はアフロディと名乗る男が兄であるとすぐにわかった。

 

「さあ、世宇子ボールから試合が始まります!」

 

「デメテル!いきなりボールを相手の明に渡した!これはどういうことでしょうか?」

 

「シュートしてこいってことかな?よーしやっちゃうぞ!」

 

「明、そのままドリブルで敵陣に攻め込むが誰もボールを取ろうとしません!」

 

「も~怒ったからね!ニコニコサンシャイン!」

 

「出た!明の必殺技ニコニコサンシャイン!今までの試合で必ず一回はゴールネットを揺らした技だ!」

 

 

あっれー実況さん頑張りすぎて私何も言うこと無いんだけど…

 

「つなみウォール!」

 

 

「キーパーポセイドン、これを難なく止めました!」

 

カウンターが来る!そう思っていた

 

「なんとポセイドン、そのボールを荒城に渡しました!これは打ってこいと言うこのなのでしょうか!?」

 

 

「後悔させてやる…いくぞ!ブリザードショットォ!」

 

しかしこれも相手のつなみウォールで止められてしまった…

 

「おおーと再び明にボールを渡しました!」

 

「漣君!一か八かあれをやろう!」

「あれか?確かにあれなら今のシュートよりも強いが…」

「ならやろう!いくぞぉサンシャイン~」

 

「おおっとこれはニコニコサンシャインではないのか!?そのボールをゴールではなく下にいる荒城に!」

 

「ブリザード!」

 

「燃え上がるボールがそのまま凍った!炎の氷です!ここで新必殺技のようです!」

 

「ふん!つなみウォール」

 

「しかしこれもポセイドン止めました」

 

「嘘だろ…」

「あれがダメだともうないよぅ……」

 

「これでおしまいか?つまらん」

 

「ついに世宇子中の攻撃が始まりました!」

 

これから先は地獄でした…皆が傷付き倒れ…

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS世宇子中 2 タイム オブ ヘル

鬼怒川中のツートップ
明 太陽と荒城 漣のシュートは世宇子中キーパーポセイドンの前には通用しなかった

二人の新連係必殺技サンシャインブリザードも止められ鬼怒川中の今出せる全てのシュート技は出尽くしてしまったのであった


ー亜風炉花瑞sideー

 

私はついにお兄ちゃんに会えた。しかし、まだ話しかけられていない。試合中だからそれが普通なのかもしれないけど、何故だか今話さないとまたしばらく会えない気がしたから私は焦っていた。

 

ついに世宇子の猛攻が始まった、皆傷付き鈴木先輩が立ち上がれなくなっている。

 

「ディバインアロー!」

「メガインパクト!うわあぁぁあ!」

 

「ゴール!先制点は世宇子中だぁ!圧倒的パワーで鬼怒川中を寄せ付けません!」

 

 

「ふっ、何故こんなチームを削るように言われたかはわからないが、簡単に終わりそうだな。次は僕がいかせてもらうよ」

 

「鈴木先輩!」

「まだ行けるさ…」

 

なんとか立ち上がったものの後いくらもつかわからない

 

 

「さあ!まずは明がボールを敵陣に…ここでアフロディ一瞬にしてボールを奪った!」

 

「やらせるか!」

「ヘブンズタイム」

 

「荒城、吹き飛ばされた!アフロディはそのまま歩いて鬼怒川ゴールに、向かいます!」

 

「「なめるな!」」

「やめてください先輩!やみくもに突っ込んでもダメだ!」

 

「ヘブンズタイム」

 

「逆サイドから来た大海原と金子が突破された!」

 

「ちっ、笑太はDFに一度下がれ!…やってやる!」

「ヘブンズタイム!」

 

「令戸もやられたぁ!」

 

「くそ!なんなんだあいつは!」

「滝本先輩!俺も行くっす!」

 

「ここで滝本と城内もアフロディに向かう!」

 

「ヘブンズタイム」

 

「しかしこれも破れた!圧倒的です!まさに神の領域です」

 

「はぁすまない、どうやら俺はお荷物のようだ」

 

鈴木先輩は動けそうにない

 

「私も行ってきます!」

 

「さらに亜風炉もボールを奪いにいった!」

 

「お兄ちゃん、勝負よ!」

 

 

ー城之内笑太sideー

 

お、お兄ちゃん!? 頭に落雷が落ちたような気がした

 

そしてあのマジな目…まさか花瑞の会いたい人って…

兄!? てことは俺らの女神様はブラコン!?

 

って試合に集中だ集中!

 

 

確かに容姿もそっくりだし…じゃなくて!

今度はあのアフロディってやつは技を使わないでボールをキープしながら何か話しているようだった。

 

どれ近づいて聞いてみますか!

 

「妹だろうと何だろうと今の僕には関係ない!神の前にひれ伏すがいい!」

 

「親も会いたがってるのよ!だから戻ってきてよお兄ちゃん!」

 

「お喋りもこれまでだ!」

 

ええーい!こうなったら新必殺技見せてやる!

「フェイクボール!」

 

「笑太君!?」

 

へへ!話してたから注意してなかったようだな…一度このボールを…って嘘やろ!?

 

「なんと城之内!必殺技不発!自分がスイカを持っています!」

 

「そんな小細工、神の前では通用しない」

 

次の瞬間わいは吹き飛ばされた…

 

 

ー亜風炉花瑞sideー

 

「お兄ちゃん勝負よ!」

 

どうやら今の言葉が少し気になるのかあのヘブンズタイムという技は使ってこない

 

「確かに僕には妹がいたらしいが…本当に君なのかい?」

「私の予想が合ってるなら貴方の本名は亜風炉照美!」

「……悪いことは言わない、君は僕に関わるべき人ではない」

「どうして兄に会うことがダメなの?」

「妹だろうと何だろうと今の僕には関係ない!神の前にひれ伏すがいい!(これ以上近付くなら両親の命がないんだ…)」

 

「親も会いたがってる!だから戻ってきてよお兄ちゃん!」

 

「(わかってくれないようだね)お喋りもこれまでだ!」

 

「フェイクボール!」

 

「笑太君!?」

 

新しい必殺技のようだけどなんでスイカを全力でドリブルしているんだろうか?

 

「ゴッドノウズ!」

 

「メガインパっうわぁぁぁあ!」

お兄ちゃんの背中から天使のような翼が生え、今まで見たことのない威力のシュートを放った。先輩は反応しきれず技を出す前にやられてしまった。

 

「ゴーーール!早くも二点目!」

 

「何故このチームを潰すよう言われたか、やっとわかったよ」

 

お兄ちゃん…

 

立ち上がれるメンバーは私、太陽君、漣君、鈴木先輩、笑太君、司君、ベンチにいる弓矢君だけだった



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS世宇子中 3 女神の逆鱗

ー亜風炉花瑞sideー

 

普段怒りと言う感情を知らない私が、自分でも怒っているとわかるくらい怒りの感情が沸き上がっていた

 

動けない皆をベンチに運びGKは弓矢君になった

 

立ってるのがやっとの皆…

それでも続く相手の削り

 

「もう…やめてよ……」

 

目が熱い、体が震える

 

「リフレクトバスター!」

「世宇子中追加点か!?目の前には亜風炉花瑞がいるぞ!」

 

「もう!誰も傷つけないでぇぇ!」

 

「なな、なんと!亜風炉からもアフロディのような羽が生えた!そして飛んだ!」

 

あれ、私飛んでる?

下からなんか出てきてる!?

 

「下から見たこともない神々しい花が咲いたぞぉ!?そのままリフレクトバスターを止めたあ!」

 

「なに!?」

 

い、今のは……

 

「神の花ってところかな…ゴッドフラワーっなんつって、へへ今はそれくらいしか思い付かないや」

 

太陽君ボロボロの中なんかごめんねその名前使うよ。

 

ボールを取ったのはいいけど誰も動ける人はいないので自分でドリブルした。

 

「へっ!メガフェイ…」

「待て、打たせろ」

「ですが…」

「最後の希望を折る」

「なるほど」

 

相手が誰もボールを取りに来ない。

確かに私はシュート技を持っていなかった。

 

でも、今なら何か出来る気がする!

 

「はあぁぁぁぁ!」

 

「亜風炉また飛んだ!今度は花は出てきません!」

 

ー城之内笑太sideー

 

今まで見たことの無い、

ぶちギレて涙流してる花瑞ちゃんはそのまま相手ゴールに突っ走っていた

 

その時奇跡を見たのかもしれない我らが女神が本当の女神になったんや…

 

神々しい翼の生えた花瑞ちゃんはそのボールをオーバーヘッドキックでシュートした

 

「ぬぉぉぉ!つなみウォールっぬおあぁぁぁ」

 

「ゴール!今まで一度も点を許さなかった世宇子中から一点を奪い取りました!」

 

女神の逆鱗に触れた…それが率直な感想や

 

「まるで女神の逆鱗に触れたみたいだ」

って口から漏れてたらしい

 

「女神の逆鱗?今の技名それでいいかもね」

 

シュートした本人が聞いてた!しかもあれが名前に!?

 

「え、花瑞ちゃんがいいんなら文句は無いけど…」

「じゃあそうするね…私はネーミングセンス無いから」

 

 

ー亜風炉花瑞sideー

 

笑太君の命名であのシュートは、

女神の逆鱗と言う技名になった

 

 

「まさか、点を取るとはね。少し遊びすぎたようだ。デメテル、僕にボールを」

 

「くっ!!来るぞ」

 

皆、ボロボロの体でお兄ちゃんに突っ込む 。

わ、私も!

 

「花瑞ちゃんはシュートブロックをしてくれ!あの技ならもしかしたら…」

 

「ヘブンズタイム」

「「うわあぁぁあ!」」

 

 

「僕の本気を受けるがいい!ゴッドノウズ!」

 

なんて圧力なの!?せめてパワーダウンだけでも!

 

「ゴッドフラワー!」

 

「所詮は神の庭に咲く花に過ぎない、神の前には通じない!」

 

不味い、押し負ける!

 

「あぁぁ!」

 

「ゴッドフラワー破れた!依然ボールはゴールに迫る!」

 

「ショット ア ボウ…キャッチ!」

 

ゴッドフラワーが砕け、地上に落下していくなか見た光景は、ショット ア ボウ キャッチ が破れゴールネットにボールと弓矢君が入るところだった。

 

 

「ゴール!3-1、しかし鬼怒川中立ち上がれる選手が二人しかいません!」

 

「この試合は鬼怒川中が続行不可能とみなして世宇子中の勝ちでいいかね?」

 

立てるのは私と弓矢君だけ、もうこう答えるしかなかった。

 

「……はい…」

 

 

ピッピッピーー

 

このホイッスルが鳴ったとき泣いてしまった…

 

 

お兄ちゃん…せめて話だけでもちゃんと…したかった。

私が世宇子中の方に向かおうとしたときだった。

 

「亜風炉さん!あなたの父と母が鉄骨の下敷きになり!今病院へ搬送されたと連絡が!」

 

「先生!それほんとなんですか!?」

「本当だ、嘘をつくときではないだろ?はやく病院に」

「なら、皆もその病院で」

「皆は後で合流するから先生の車に乗って!」

 

なんで、なんでこんなことになったの!?

 

 

ー基山ヒロトsideー

 

「ほら、言っただろう?バーン、ガゼル」

 

この試合を二人にも見せていた、そして花瑞ちゃんはこの試合でその秘められた力の一部を見せた

 

 

「確かに素の力であれは凄いがそれでも俺らの力には到底及ばないぜ?」

「おいグラン!まさかまた行くのか?」

「もちろんさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この状況で一人不気味に笑う男がいた

 

影山だった




「オリワザ紹介忘れてたぜ☆てへっ」
「筆者のてへっなんて誰も得しないのではやく続けてください」
「ヒロトもうここのレギュラーだね…」
「あれ?筆者ってここのレギュラーだったの?」

ゴッドフラワー
アフロディと、同じで背中から神?天使?の翼が生えて上空に飛ぶ
飛んだ高さまで大きな神の庭に咲くと言う神々しい花が咲く
回りには四つ葉のクローバーがいっぱい咲いてる

「この周りに咲く四つ葉のクローバーって、ヒロトのせいじゃね?」
「だとしたら?」
「お前怖いわ…」


女神の逆鱗
ゴッドノウズとシュートを打つ前までは変わらないのだが
シュートの打ち方がオーバーヘッドキックになっている

通常の場合ゴッドノウズには敵わないがそれでも中々強力な技
怒りの力でさらに威力が増していく



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

影山がちらつく事故

どうでもよくないけど、イナズマイレブンって鉄骨落とし好きだよね!


ー亜風炉花瑞sideー

 

 

ここは病院……お母さんは即死だったそうです…

今お父さんの緊急手術が行われています

 

 

手術中のランプが消えた

 

しばらくしてドアが開いた

 

「あの…お父さんは…?」

「…………生きてはいる」

 

それだけ言って行ってしまいました

 

その後面談のようなことをしました

 

 

「あの、生きてはいるってどう言うことですか?」

「…何を言っても死のうとしないか?」

「………しません」

 

しないとは言った、でも怖い。何て言われるか怖すぎた

 

「君の父は、多分一生植物人間だ」

「植物人間?」

 

私にとってそれは初めて聞く言葉だった

 

 

「簡単に言うともう動けない、生きてるだけの状態だ」

 

動けない?生きてるだけ?だから植物なのかと気付きたくないことに気付いてしまった

 

 

「本当のことを言うと、このまま入院させるだけでもお金がかかるんだ。言いたくは無い、言ってはいけないようなことだが言わせてくれ」

「は、はい」

「いっそ、父を殺した方が君のためになるかもしれない」

 

何を言ってるのこの医者は…

お父さんを殺す?

 

「今のままだと君に大量の借金がかかってくる、君はまだ中学生だ、金を集める手段がない。いや大人になってからじゃとても返せない」

「だ、だからって…お父さんを…そんなの……」

「君の未来のためにいっているんだ、まあそれがこの世界なんだ」

「……それでも、お父さんだけでもお願いします」

 

やだ、これ以上私から奪わないで…

 

「そこまで言うなら構わないが、君の人生どうなっても僕は責任をとれない」

 

 

それで話は終わった。私は動かないお父さんのいる部屋に向かってた

 

「お父さん…どうしてこうなっちゃったの?」

 

答えてくれるはずもない父に私は問いかけてしまった

 

 

「影山のせいだ」

 

突然背後から大人の男性の声が聞こえた

 

「誰ですか?」

 

「私は刑事の鬼瓦と言うものだ。少し話を聞いてくれるか?」

 

「はい…」

 

私は刑事と名乗る鬼瓦さんに椅子を出した。

 

「すまないな、単刀直入に言うと今回の事故は影山と言うやつが手を引いている」

 

「影山…」

 

「知っているかもしれないが、君の兄を奪った男だな。そいつが脱獄して亜風炉花瑞さん、あなたが亜風炉照美と接触したのを見て親を暗殺を目論んだんだ」

 

「私のせいなんですか?」

 

「いや、悪いのは影山だ。そしてそれを止められなかった俺らのせいだ。許してくれ」

 

刑事さんに頭を下げられて困ってしまった

 

「それじゃあ、俺はあいつを捕まえなければ行けない。気をしっかり持ってくれよ…」

 

 

私はその後ずっと、動かないお父さんの手を握っていた。気が付いたら朝になっていた。

 

 

ドアが開く音がした

 

「花瑞ちゃん」

 

「ヒロトさん…」

 

私は地獄のなかで神様に手をさしのべられたかのような気になっていた

 

「今回のことは…その、凄く大変だったと思う」

 

「ヒロトさん…」

 

気を使わせてしまっている、それだけで申し訳ないと言う気持ちが広がってきてしまった。

 

「病院の人に聞いたら花瑞ちゃんなにも食べてないらしいじゃないか、これを食べてよ」

 

何かを取り出そうとするヒロトさん

 

 

「私は大丈夫だから…ごめんね」

 

しかしお腹がなってしまった…恥ずかしい

 

「ごめんね、急いでたものだから元気が出るものって店の人に頼んだら…」

 

ヒロトさんは私にフランクフルトを渡した。

でも、そのフランクフルトは今まで食べたなかで一番美味しく感じた。

 

「少し外に出ようよ、ずっと中にいたら体に悪い」

 

私はヒロトさんに連れられて病院の外に出た。




後書きは台本形式にしてみた…

筆者「ヒロト君!」


ヒロト「今度はどうしたのかな?筆者さん」

筆者「先に言っておく、R18にならないようにしてくれよ?」

ヒロト「ふふ、俺がそんな男に見えるかい?そう見える人がいけないんだよ」

絶望の筆者「(やばいよ…こいつやっぱりやばいよ)」

皆に手を振るヒロト「それじゃあみんな、次回もまた見てね」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

恐怖のエイリア学園

ー基山ヒロトsideー

 

外に出た俺と花瑞ちゃん

フランクフルトを食べる花瑞ちゃんを眺めていた

 

 

「ありがとうねヒロトさん、私どうすればいいかわからなくって…」

「花瑞ちゃんが信じているものを守ればいいさ」

「ヒロトさん…」

 

花瑞ちゃんが俺に抱きついて泣いてきた

俺は花瑞ちゃんの頭を撫でていた

 

「また明日も来るからね、気が向いたらフットボールフロンティアの試合を見な」

 

俺は…何をやっているんだろうか?

自分でもわからなくなってきた……

わかるのは、花瑞ちゃんが欲しいと言うことだけ

 

「よおグラン、今日もかよ?」

「バーンか、俺の勝手だろう?」

「そういうわけには行かない。ジェミニストームがそろそろ動き出すのだ、いくらジェネシスだからと言っても許されると思うな!」

「ガゼルも来てたのか、花瑞ちゃんは敵にすると大変になると思うけどな~」

 

ガゼルもバーンもわからないのか?花瑞ちゃんの可能性に

 

「そんなんだからジェネシスに入れないんだろうね」

「なに!」

「落ち着けバーン、いざとなったら実力で証明すればいいのさ」

 

ガゼルがバーンを説得させこの話は終わった

 

 

 

ー亜風炉花瑞sideー

 

ヒロトさんが帰って私はちゃんとした食事をしようと近くのコンビニで野菜と飲み物を買って食べた。

 

ヒロトさんの言うとおりフットボールフロンティアの試合も見た。お兄ちゃんのチームは負けた。きっとこれで良かったと思う。勝ったチームの名前は雷門中か…

 

 

そしてその日もお父さんの病室で寝た

 

 

それから数日経ってからだ、宇宙人が侵略してきていると言う放送が流れたのは…サッカーをあんな風に…

 

そして今日もヒロトさんは来てくれた

 

 

「花瑞ちゃん、これを」

 

渡されたのは、四つ葉のクローバー連想させる髪を結ぶためのゴムだった。

 

「花瑞ちゃんも知ってると思うけど、宇宙からの侵略者が来てるんだよ」

「知ってるけど…これは?」

「もし、そいつらと試合することになったらカチューシャは危ないと思ったから。これで後ろ髪をまとめればサッカー中も邪魔になるものも減しね」

「色々と、ありがとうございます」

「それで、ここからが本題だ」

「えっ?まさか」

 

「そう。そのまさかだ、この県にも来ている。花瑞ちゃんの学校もそのうち狙われるだろう。早く行きな」

 

「ヒロトさん、教えてくれてありがとうございました!」

 

ヒロトさんに一礼して、私は鬼怒川中に向かった

 

 

 

 

学校の前に青い車があった

 

「はぁはぁ、あなた達は誰ですか?」

 

オレンジ色のバンダナを巻いた男の子に聞いてみた

 

「俺たちは雷門中。エイリア学園がここに来ているから来たんだけど…ここのサッカー部が俺たちでやるんだ!って、ここで見てろって」

「雷門ってあのフットボールフロンティア優勝校のですか?」

「ああ」

「エイリア学園がここに?」

「来てる…」

「すいません、中に入ってもいいので、みんなが失礼しました!」

 

エイリア学園が来ている!?急がないと…

 

 

0-15 前半終了

 

 

「そんな……みんな…」

 

みんなボロボロだった

 

 

「みんなぁぁぁぁ!」

 

思わず泣きながら駆け寄った

 

「花瑞ちゃん…」

 

「すまない…守れなかった」

 

「まだ諦めないで、私も出ます!一番のケガ人は?」

 

「山田先輩だ…GKは弓矢にやらせるからDFを頼む」

 

 

「一人増えたところで何が変わる?」

 

 

 

「あの頭が抹茶のソフトクリームみたいな人が相手のキャプテン?」

 

「そうらしい」

 

「みんなは無理しないで、遅れてきた分私が頑張るから!」

 

 

 

 




筆者「ヒロト君」

ヒロト「はぁ君はいつも怒っているね」

筆者「お前のせいだ!ついには君呼ばわりか!」

ヒロト「こんな筆者はほっといて、2に突入した本編。はたして俺はどんなことをするのか?これからも見てください」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

鬼怒川中VSジェミニストーム 決まれ!女神の逆鱗!!

ー亜風炉花瑞sideー

 

現状をもう一度確認すると、今鬼怒川中に雷門中もエイリア学園のジェミニストームが来ている。

 

そして、私が来たときには鬼怒川中とジェミニストームが戦っていて0-15で前半が終了。

 

山田先輩が一番の負傷者だったのでベンチに行った。

みんなもボロボロだからまともに動けるのは私とGKの弓矢君、FWの漣君くらいである。

 

ヒロトさんから貰った髪留め用のゴムは二つあった。

白にクローバーと黒にクローバーの物だ。

私は白いほうを手に取り初めてのポニーテールで試合に挑むことにした。

 

 

ジェミニボールで後半戦が開始した

 

 

ー円堂守sideー

 

奈良で豪炎寺がいなくなってしまった俺らは、氷のストライカー吹雪士郎を仲間にするため北海道に向かうはずだった。

 

しかし、道中の茨城県でエイリア学園が現れて鬼怒川中でやっと見つけたと思ったら、自分達でやると言うので俺らはその試合を見ていたんだ。

 

そしたら一人の女の子が来て、どうやらこの中学の仲間らしいけどかなり走って疲れてそうだし大丈夫なのかな?

 

 

「円堂、今の女の子が世宇子中から初めてゴールを奪った亜風炉花瑞じゃないのか?」

 

 

そうか!準決勝のビデオでそういえば見たぜ!

あいつのシュートもディフェンスも凄かったんだよな~

 

 

 

「瞳子監督!」

 

「ええ、今の雷門は決定打が足りません。吹雪士郎以外の力も必要だと判断します」

 

つまり、瞳子監督はあいつも強かったら仲間にするらしい!

 

 

そして後半が始まる……

 

 

ー亜風炉花瑞sideー

 

ジェミニのキャプテンが単独でこちらに向かってくる。

凄く速い!世宇子なんかよりもずっとずっと速い!!

 

驚いているとロングシュートを打ってきた。

私は何とかボールに反応した。

 

「ゴッドフラワー!」

 

「!………止めたか、面白い」

 

相手のスピードについていけるかと言われれば厳しいのだけれど、なんとか敵サイドまでボールを奪われずにこれた。

 

 

「みんなを傷付けた分の怒り!!くらいなさい!女神の逆鱗!!」

 

 

「あれが世宇子中から得点を決めたシュートか!」

「すげぇ!すげぇシュートだ!」

「落ち着け円堂」

 

この威力は自分自身も予想外だったが、相手も予想外だったようで技を使わず止めようとして吹っ飛ばされていた。

 

 

1-15

 

「なるほど、しかしこの程度の力ならば」

 

 

またジェミニのキャプテンが一人で攻めてきた

 

 

「アストロブレイク!」

 

「ゴッドフラワーっっ!?うわぁ!」

 

ボールの勢いは無くなり、突破はされなかったがこちらもやられた。

 

「ほう、互角か…」

 

あのときよりも強くなってるはずなのに……

 

「ディアム!」

 

FWの比較的人間っぽい方の仲間を呼んだ。なにか来る

 

「まさかこれを見せることになるとはな、ユニバースブラスト!」

 

二人技だ!しかも何て威力なの!?

 

「ゴッドフラワーっああっ!」

 

意図も簡単にゴッドフラワーは崩れてしまった。

 

「ショット ア ボウ キャッチ! っく!」

 

1-16

 

「所詮こんなものか」

 

「まだまだ!」

 

しかし、動けない先輩達が狙われ立てるのが一年生だけになってしまった。

 

「7人……これまでか…」

 

漣君が諦めた言葉を言ったときだった

 

 

「「私達が助っ人に入るよ!」」

 

「この声は……」

 

「お久しぶり!」

 

 

続く

 

 




筆者「とりあえず、どんな試合でも何話かかかることがわかった」

ヒロト「とりあえず、筆者の間抜けさはわかった」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジェミニストーム 復活の鬼怒川FC!

ー亜風炉花瑞sideー

 

あと一人倒れたら負けが決定してしまう七人の状態になったとき、懐かしい声が聞こえた

 

 

 

 

「愛ちゃん!松井君!原君! 荒谷君も!」

 

鬼怒川FCの時に私のあとから入ってきた四人である。

四人とも鬼怒川中には来なかったので、しばらく会えていなかった

 

「花ちゃん久しぶり!」

 

「と、再開に感動してる場合でもない。俺らの学校もやられたけど、うちら一年は試合に出なかった。後はわかるな?」

 

相変わらずオールバックの松井君がざっくり説明してくれた

 

「そろそろ再開してもいいか?」

 

ジェミニのキャプテン待っててくれたんだ…

 

ポジションは懐かしの

 

FW 明 荒城

MF 松井 令戸 高音 城之内

DF 原 城内 亜風炉 荒谷

GK 黒岩

 

 

である

 

 

「先輩達の仇!やってやるぜ!」

 

「花ちゃん、テレビで見てたよ!私も負けないから!」

 

四人の参戦で残ってたみんなも少し元気が出たようで試合再開時全員で攻撃に移れた

 

 

 

「おとなしく倒れていれば苦しまずに済んだものを」

 

 

ジェミニストームの猛攻は全員でかかっても止められなかった……

 

 

「はあぁ!うしろのしょうめん!」

 

荒谷君の新技なのだが、相手はさらに後ろを取った

 

 

あのスピードに完全に追い付けないと勝機はない…

ゴッドフラワーは強力なブロック技だけど、時間が少しかかる。多少威力が落ちてでも早さが必要だった。

しかし、都合よく新技が完成することもなかった。

 

 

「クイックドロウ! !?避けられた!」

 

「ゴッドフラワー!」

「花ちゃん、もう抜かれてる!」

 

「ショット ア ボウ キャッチ! くっあぁ!」

 

1-17

 

1-18

 

1-19……

 

「まだ……諦めないよ!」

 

「花ちゃん…」

「花瑞ちゃん…」

 

「よし、原!松井!やるぞ!」

「おう!なんとかやってやろうぜ!」

 

荒谷君、松井君、原君が縦一列になる

 

「「トリプルブースト!!」」

 

三人の力を乗せたシュート

 

しかし、相手のキーパーはよそ見しながら片手で止めた

 

「そんな……」

 

「花ちゃんごめんね…私達役に立てなくって」

 

そんなことない、来てくれただけで嬉しかった

言いたかったけど、言えなかった…

その代わりに!

 

「女神の……逆鱗!!!」

 

シュートチャンスを貰いもう一度…もう一度あの一撃を放った

 

 

「グラビティション!」

 

シュートブロックか!

でもまだボールは止まらない!

 

「ブラックホール!」

 

「止められた……」

 

「ちくしょ……ちくしょおおおお!」

 

漣君が走り出した

 

相手のグリンゴとかなんとか言う奴からボールを奪った

 

「これでも俺は!鬼怒川FC元キャプテンだ!ブリザードショットォォォォオ!」

 

「ブラックホール!」

 

「止め……た…」

 

「つまらん」

 

「どうやらこれまでのようだな…」

 

試合は結局1-19で終わり学校は破壊され、助っ人の愛ちゃん達を除いた鬼怒川中メンバーで動けるのは私、弓矢君、漣君、太陽君だけだった…

 

 

 

「悔しい…」

 

「漣君…俺も悔しい」

 

いつも笑顔の太陽君が悔し涙を流していた

 

「…………」

 

黙ってるけど弓矢君も泣いてる…私もか

 

「結局……なにも…守れなかった」

 

 

「亜風炉花瑞さん」

 

 

そんな中一人の女性がこの場の空気をリセットした

 

 

「あなたの実力は素晴らしかったです。あのエイリア学園を倒すために、是非雷門に力を貸してくれませんか?」

 

「私ですか?」

 

「今の雷門には、決定的な攻撃力も強力な守備も、全ての要素で不足しています」

 

「私は……自分の学校、みんなのこともあるし」

 

「いいよ花みん、俺らの分もあいつら倒しちゃって」

 

「太陽君…」

 

「学校のことは俺らに任せろ」

 

無口な弓矢君まで…

 

 

 

 

 

「待ってください!」

 

 

 

 

 

「あなたは…」

 

「荒城 漣です」

 

「それで、用件は?」

 

「花瑞ちゃんを仲間に引き入れるのは構わないけど、俺もつれてってください!」

 

「あなたを?」

 

「あなたは今攻撃力が不足していると言いました、なら少しでもお役にたてると思います。必要なくなったら離脱させられても構いません、お願いします!」

 

「そうね、あなたの最後のシュートには多少関心があります。しかし何かあればいつでも下ろしますからね」

 

「ありがとうございます!」

 

 

こうして私と漣君ら雷門中の一員になった




ヒロト「はあ~」

筆者「な、なんだよ」

ヒロト「会話が続きすぎてその間の描写もなくて、見てくれる人に申し訳ないと思わない?」

筆者「それを承知で見てくれてると信じてる……」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いざ、北海道へ!

ー亜風炉花瑞sideー

 

うう~寒い……

 

北海道になるとさすがに寒い。

 

一之瀬さんがシカゴと比べてるけど遠回しの自慢でしょうか?

 

「さ、寒いっすー」

 

壁山君はあの体格で寒がっているのか……

 

私はそんなことを思いながら、

コンビニで買っといたフランクフルトを食べていた

 

「花瑞さんそれ一本欲しいでやんす~」

 

「ダメです!このキャラバン乗り込むときの身支度大変だったんですからね?」

 

雷門のメンバーになった私はその日のたった二時間でキャラバンに持ってく荷物を整理した。

 

漣君もそうだけど私と違って手伝ってくれる人がいたし…

 

そしてキャラバンに向かう途中でフランクフルトを数本買ってきておいたのだ。

 

フランクフルトが元気をくれるようになるなんて、思ってもいなかったけど…

 

 

「ひどいでやんす花瑞さん!飯テロでやんす!」

 

「待ってる間に、何か買ってれば良かったじゃないですか?」

 

「お小遣いがないんでやんす」

 

「じゃあ我慢してください」

 

「それにしても、何故フランクフルトなんだ?」

 

鬼道さんが前の席から聞いてきた。せめて後ろ振り向いて話しかけてくれたら、もっと聞き取りやすかったのに。

 

「私がとてつもなく絶望していたときに、ある人がフランクフルトをくれたんです。あのときから、フランクフルトを食べると元気が出るんです」

 

 

「へ~そいつ良い奴なんだな!」

 

円堂さんも話を聞いていたらしい…それより

円堂さんは逆に後ろ向きすぎです!危ないです!

 

イナズマキャラバンが急停車した。その衝撃で椅子から体をかなり出していた円堂さんが、後ろの席の染岡さんにダイブしたり

 

「いててててて、古株さんどうしたんですか?」

「まず降りろ円堂!」

 

不可抗力とはいえ迷惑をかけた染岡さんに詫びをいれた円堂さん、気を取り直して外を見ると、外には凍えている男の子がいた。、

急いでキャラバンの中にいれて毛布とかを渡した。

 

「ほんとにありがとね…」

 

「それより、どうしてあんなところにいたんだ?」

 

「それはね…」

 

 

ガゴンっ!

また、キャラバンがいきなり止まった。

 

「今度はどうしたんでやんす?」

 

「雪にタイヤを持ってかれた!ちっとみてくる!」

 

「ダメだよ、山親父が来ちゃう」

 

「「山親父?」」

 

私は一瞬、山の雪のなかからモゾモゾっとしてからぶわって勢いよく飛び出してくる40代以上の男性を想像してしまった…

すぐに正体はわかった。かなり大きい熊だった

 

「ひええええ!」

 

壁山君等々は怖くてうずくまっている

 

「あれ、さっきの子は?」

 

「ほんとだいないぞ!」

 

山親父の気配が急になくなった。そしたら外からさっきの子が出てきた

 

まさか………まさかね…

 

 

 

 

「ほんとにここでいいのかね?」

「はい、僕にとってここは庭ですから」

 

庭で凍えてピンチになる人なんていないと思うけれどね…

 

凍えていた少年が見えなくなるまで私は何となく後ろを見ていた

 

 

 

「白恋中の吹雪士郎楽しみだな花瑞ちゃん!」

 

「あっ漣君、そうだね噂だとブリザードの吹雪とも言われてるらしいから、氷同士の対決になったりしてね」

 

「それなんだよ!けっこう楽しみにしてるんだ!」

 

「おい荒城!」

 

漣君のが慌てて後ろを向く

 

「は、はい染岡さんなんでしょう?」

 

「雷門のエースストライカーはその吹雪士郎でも、お前でもないからな」

 

「じゃあ、染岡さんですか?」

 

染岡さんは窓の方を向きながらこう言った

 

「豪炎寺だ……」

 

豪炎寺、豪炎寺修也

かつては木戸川中に所属、そこでもエースストライカーとして活躍し、雷門中でも絶対的ストライカーだった男。

私達がメンバーに加わったときには、彼はもういなかったから私は一度でいいから会ってみたいと思っている……

 

 

そんな話をしていると白恋中に到着した




笑顔の筆者「フンフンフフーン♪」

ヒロト「流星ブレード」

筆者「ぐべらっああぁ!な、なんだよヒロト!行きなり人の背中に流星ブレードを打ち込むなんて!」

ヒロト「お気にいり10人で図に乗らない、もっと高みを目指しなさい」

筆者「おっしゃる通りです」

笑顔で手を振るヒロト「いつも見てくれるみなさん、本当にありがとうございます」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エターナルブリザード

後書きにて朗報


ー亜風炉花瑞sideー

 

白恋中に到着した、しかし吹雪士郎は今いないらしい

 

それにしても雷門中の知名度はさすがにすごい。

北海道の学校でもこの人気ぶりである。

 

「うわーあの円堂守だあ!握手してください!」

 

意外にも私のところにも一人の人が来た。

真都路 珠香ちゃん

どうやら、この子もDFでたまにFWもやるらしい。

フットボールフロンティアでの世宇子との試合を見てファンになったらしい

 

 

「あの守ってからのシュートすごかった!」

 

内心少し照れていたら吹雪士郎が帰ってきた

 

 

「お客さんかい?」

 

「「えっ?」」

 

吹雪士郎ってさっきの人だったの!!?

 

「あははっ、皆僕のことを大男と思ってくるらしいけど…これがほんとの吹雪士郎さ」

 

驚いた…あれがブリザードの吹雪と呼ばれるストライカーなのか…

 

染岡さんがどこかにいってしまったり、吹雪君の弱いところを見たりとしたけど、白恋中との練習試合をすることになった

 

「ポジションだけ伝えとくは、この試合は吹雪君を見るだけだから」

 

 

 

FW 染岡 荒城

 

MF 風丸 一之瀬 鬼道 栗松

 

DF 土門 壁山 亜風炉 財前

 

GK 円堂

 

ベンチ 目金欠流

 

 

「「なに!?」」

 

驚いたことに吹雪さんはDFにいた

 

「ふざけんな!」

 

試合開始され染岡さんが強引に攻め上がっていく

 

しかし、DFにいた吹雪さんのアイスグラウンドでボールを奪われた

そして吹雪さんが前衛にボールをパスしようとしたが

漣君がそれをカットした

 

「ここで一発見せてやる!ブリザードショット!」

 

「へぇ、すごいね」

 

吹雪さんはそれを軽々と足で止めてしまった

 

「そうか!吹雪は凄いFWじゃなくて凄いDFだったんだ!」

 

いや円堂さん、もしかしたら…

 

「けどよぉー!本当のブリザードを見せてやるぜぇ!」

 

吹雪さんの雰囲気が変わった 恐怖すら覚えるほど

吹雪さんは強引に染岡さん、漣君、一之瀬さん、鬼道さんを突破した

 

「吹き荒れろ!エターナル…ブリザード!」

 

漣君のブリザードショットに似てる!でも、威力が違う!

 

驚きのあまりなにもしないで突破されてしまった

 

「ゴッドハンド…うわぁ!」

 

先制点を白恋中にとられてしまった

 

「そこまで、試合終了よ」

 

瞳子監督がそういったが染岡さんはそれを無視して試合を再開させた。しかし、吹雪さんに再びボールを奪われた

 

「エターナルブリザード!」

 

でも今回は守る!

 

「はあああ!ゴッドフラワー!」

 

凄い手応え!押し負けそうだ…

「うわあぁ!」

 

エターナルブリザードの威力はただのシュートにまで落ちていた

 

「何!?」

 

「いててててて」

 

背中から落ちた、グラウンドに雪があれば少しはましだったんだけどな~

 

「そこまでよ」

 

瞳子監督により、この試合は終わった

 

試合は終わったけど、すぐに吹雪さんに勝負を挑みこんだ円堂さん

 

 

私は念のため手当てをしていて見れなかったけど、マジンザハンドはエターナルブリザードに破られてしまったとか…

 

 

 




ヒロト「オリキャラをいただいたそうだね」

筆者「いただいた、まあそういうことになるな」

ヒロト「今紹介する?」

筆者「時が来るのを待とう」

ヒロト「それ、かなり先だよね?」

筆者「うっ!?」

ヒロト「まあ、他の人も是非是非送ってくださいね」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジェミニストーム 進化した雷門

─亜風炉花瑞side─

 

白恋中との練習試合が終わってから

皆で特訓?をした

吹雪さんは風になろうよと言い、スノボードをやったりと、確かに風になった

 

個人的に印象的だったのは漣君が吹雪さんにエターナルブリザードを教えてほしいとお願いしていたところだろうか…

 

そして、私はあのスピードに対応できるディフェンス技を修得した。

鬼道さんや円堂さん、吹雪さんにアドバイスしてもらったお陰で完成できたから、とても感謝している。

その技は来るときに見せようと思う…

 

 

あっさりと来るときは来た…

 

雷門は三度目らしいけどジェミニとの対決だ

 

「吹雪君には最初サイドバックよ、DFに専念して」

「なに!?」

 

FW 荒城 染岡

 

MF 土門 一之瀬 鬼道 風丸

 

DF 亜風炉 財前 壁山 吹雪

 

GK 円堂

 

 

ベンチ 栗松 目金

 

吹雪さんがDFのことに関して試合前なのに揉めてしまったが、なんとか治まった。

 

「さあ!これより雷門中対ジェミニストームの、三回目の対決が始まります!実況は私角間啓太でお送りいたします!」

 

あの、話すこと減るのでやめてほしいんですけど…

 

「雷門ボールで試合開始だあぁ!」

 

最初のシュートは染岡さんのドラゴンクラッシュだった

 

しかし、相手のGKのゴルレオのブラックホールで止められた

 

「ジェミニストームのカウンターだあぁ!」

 

「いかせない!」

 

「風丸、イオからボールを奪った!」

 

「疾風ダッシュ!」

 

「そのままギグを抜かしてセンタリングをあげた!反応したのは荒城漣だぁ!」

 

「ブリザードショットォ!」

 

「ブラックホール!」ズズズ

 

僅かに後ろに押されているように見えた

 

「しかしこれも止められた!ゴルレオ、レーゼにボールを渡した!」

 

「行かせるか!」

 

「鬼道と一之瀬がボールを奪いに来た!」

 

「ワープドライブ!」

 

「これをレーゼ必殺技で突破した!」

 

「レーゼ、ボールをディアムにパス!いや、これはワンツーだ!壁山が抜かれ円堂と1対1になった!」

 

「アストロ…」

 

ダメだ間に合わない!

 

「アイスグラウンド!」

 

「吹雪さん!?」

 

「ここで吹雪がシュートを撃つ直前のレーゼからボールを奪った!」

 

「凄い速さだ…」

 

「そうか…吹雪をDFにしたのはこのためだったのか…」

 

「土門にボールを渡し今度は雷門のカウンターか?」

 

「うおっ!?」

 

「パンドラ、土門からボールを奪った!」

 

「ペロッ」

 

「パンドラ、中盤に戻ってきたレーゼにボールをパス!」

 

「アストロ…ブレイク!」

 

「「えっ」」

 

「レーゼ、ここでロングシュートだ!」

 

 

 

「「ザ・タワー ! ザ・ウォール!」」

 

二人のブロック技が破られ円堂さんの爆裂パンチも破られ一点を奪われた

 

前半中盤 0-1

 

DFの位置が変わり

 

財前 吹雪 亜風炉 壁山

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




筆者「花瑞なんもしてないって?仕方なし」

ヒロト「流星…」

土下座筆者「皆様すいませんでしたぁぁぁぁ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジェミニストーム 決着

今日久しぶりにサッカーしてパンチングの有用性に気付かされた

調子に乗って、正義の鉄拳の真似したらほんとに結構飛んでボールを池に落としそうになったのはここだけの話だ!




前半中盤 0-1

 

「みんなー!これから逆転するぞ!」

 

円堂さんの掛け声で士気が再び上がった

 

「愚かな…」

 

「さあ試合再開!染岡早くもボールをレーゼに奪われてしまった!」

 

「アストロ…ブレイク!」

 

「ここで再びアストロブレイクだぁ!目の前には亜風炉花瑞がいます!」

 

「ゴッドフラワー!」

 

この距離でこの威力さすがだ…でも

 

「少しは強くなれたから!」

 

「花瑞、長距離からのアストロブレイクを止めました!」

 

「すっ、凄いっす」

「私達のシュートブロックを加えてもダメだったのに…」

「「もうシュートブロックは花瑞でいいんじゃない?(っすか?)」」

 

「鬼道さん!」

 

「おう!」

 

「鬼道の前にディアムが立ち塞がる!」

 

「イリュージョンボール!」

 

「突破したぁぁ!そのままボールは風丸に!しかしジェミニのイオがボールを奪いに来る!」

 

「疾風ダッシュ!」

 

「これも突破したぁ!」

 

「グラビティション」

 

「しかしジェミニストームのガニメデがボールを奪った!そのままボールをディアムに、今度はゴール前まで進むつもりかぁ!?」

 

「アイスグラウンド!」

 

「しかしスピードでは吹雪が上だった!シュートをうたせません!」

 

しかしここで前半終了のホイッスルがなった

 

「吹雪君、FWに言ってもらうわ」

 

「はい!」

 

「ここで雷門ポジションを変えてきた!」

 

FW 吹雪 染岡

 

MF 栗松 一之瀬 鬼道 風丸

 

DF壁山 土門 亜風炉 財前

 

GK 円堂

 

ベンチ 目金 荒城

 

吹雪さんがFWになり攻撃的になった分DF陣は頑張らないと

 

「はあ、後半開始と同時に吹雪が攻め上がっていく!そのままシュート!」

 

「ブラックホール!」

 

「ちっ!」

 

一人で戦おうとする吹雪さん、相手のDFが突破できずにいる…大丈夫なのかな?

 

「染岡!」

 

心配はなかった時間はかかったけど吹雪さんは染岡さんにパスを出した

 

「ワイバーンクラッシュ!」

 

「ここで新必殺技だぁ!」

 

「ブラックホール!ぬおお」

 

「ゴオオオオオル!雷門追い付きました!」

 

「ば、バカな!」

 

レーゼは焦っているようだったしかしこれからの攻撃はさらに壮絶なものとなった

 

「レーゼ、ディアムと飛んだ!」

 

「ユニバースブラスト!」

 

ここで新技!?

 

「ゴッドフラワー!!うわぁ!」

 

「ゴッドフラワー突破された!」

 

「このボール、絶対止める!マジンザハンド!ぐぬぬぬぬぬ」

 

「円堂止めた!」

 

「そ、そんな……」

 

ここに来て急にレーゼがへたれ始めた

そして、完全に雷門の流れとなった

 

 

「土門!」

 

 

「おう、鬼道!」

 

「よし、染岡!」

 

パスがつながり染岡さんにボールが渡ったが次は染岡さんのマークがきつい

 

「…吹雪!」

 

「!!?へっ、吹き荒れろ!エターナル…ブリザード!」

 

「ぬっうおおおお」

 

敵のGKゴルレオが吹き飛ばされてゴールが凍ったりとかなり凄い状態になったが、ついに逆転した

 

後半終了間際 2-1

 

「まだだ!うおおおお」

 

「はっはやい!?」

 

レーゼが今まで見せたことのないスピードで突っ込んできた

 

やっと、あの技の使いどころが来た

 

「ゴッドルーツ!」

 

「なんと!花瑞の後ろから何本もの植物の根のような物が現れました!」

 

「そんなものぉぉ!」

 

「いけ、神の花の根たちよ!」

 

「レーゼのスピードを越えたのか!?」

 

「根がレーゼからボールを奪い取った!」

 

「ば…かな…」

 

ピッピッピピー

 

「ここで試合終了…勝ったのは、雷門中だああ!」

 

「やった、やったぞおおお!」

 

皆思い思いに喜んでいる、私も皆の敵をとれて世界も救われてホッとしている

 

「お前たちはまだ知らないんだ…エイリア学園の本当の恐ろしさを…」

 

すっかりへたれたレーゼがそんなことを言ってるけどそんなゲームみたいになるわけ……

 

 

「で、デザーム様!」

 

なった…………




筆者「ううむ」

ヒロト「いつもの悪い癖みたいの出てない?」

筆者「そんな気がする…」

ヒロト「はぁ、これじゃあ皆に評価される作品は遠いだろうな…」

筆者「(泣)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

そうだ京都に行こう 漫遊寺

ジェミニストームを倒したと思ったら

ファーストランクチームイプシロンと名乗る人たちが現れてジェミニストームが消えてしまった…

 

そして、エイリア学園から京都の漫遊寺中に破壊予告が来てるとのことで私達はそこに向かっていた

 

吹雪さんが漫遊寺の人からサッカー部の場所を教えてもらい皆で廊下を渡っていたら…

 

「うわー!」

 

「み、みんな大丈夫ですか?」

 

円堂さんから始まり、ほとんどの人が床を滑って転んでしまった。私は後ろの方を歩いていたので助かった。

 

「これは、ワックスか?」

 

「引っ掛かったな、フットボールフロンティアで優勝したからって調子に乗るなよ~」

 

「お前か~!」

 

声の主を塔子さんが追おうとしたら、あらかじめ仕掛けられていた?穴に落ちてしまった。あの人総理の娘なのになぁ…

 

その後漫遊寺のサッカー部の人がこちらに謝罪をして部室へと向かった

 

この段階で目金さんが負傷。転んだときに足を痛めたらしい。

 

 

「我々は戦う気はありません」

 

なんと言うことでしょう。漫遊寺の方々はエイリア学園に話し合いで解決しようとしていました。そのまま修行の時間と言って外に言ってしまったので諦めましたけど、どうなることやら…

 

そして、やっぱり私達は今出来ることをと言うことで特訓しました。夜まで

 

 

 

 

 

そして夜、うとうとして夢の世界まで後少しと言うときに、私の眠気は断ち切られた。

 

「誰?」

 

「やあ、花瑞ちゃん。こんばんは」

 

「ヒロトさん!?」

 

「静かに、外にでよ?」

 

言われるままに外に出て、何となく久しぶりに感じてしまうヒロトさんをじっと見ていた。

 

「ジェミニストームを倒したんだってね。おめでとう」

 

「はい、でもまた他のチームが出てきて…」

 

ヒロトさんが私の前に来た、あれ?このパターンは…

 

「大丈夫、花瑞ちゃんなら次も大丈夫」

 

やっぱり抱きしめてきた!そしてやっぱり恥ずかしくなって、頭熱くなって思考回路が…

 

「おっと、ごめんね」

 

「は、はひ」

 

「プレゼントも使ってくれてるようで嬉しいよ」

 

「はひ」

 

「うん、少し落ち着こう。これ飲みかけ何だけどいるかい?」

 

「スポーツドリンク?」

 

「そうだよ、いる?」

 

え、どうすればいいの?これ断った方がいいの?

 

「やっぱ、飲む?じゃなくて飲みな」

 

「んぐ!」

 

強引に口のなかにペットボトルを入れられた、たぶんこの表現が一番適切なはず。

 

「ごめんね、なんかやりたくなっちゃった」

 

「もう!驚かさないでくださいよ!」

 

「本当にごめんね、時間も時間だから今日はこれで失礼するよ」

 

「あっ」

 

「頑張ってね」

 

急に来て急に消えちゃう。まるでエイリア学園だ…

 

私がテントに戻ろうとすると音無さんがいなかった。探したら、例のいたずらっ子の小暮君のところにいた。

 

一部始終を聞く限り、小暮君は明日誰かと勝負するのかな?

 

そう考えているうちに戸が開いて音無さんとばったりあってしまった

 

「あっ、花瑞さんどこ行ってたんですか?」

 

「ん?え~と…」

 

「顔赤いし汗かいてますし、もしかして特訓してたんですか?」

 

「そ、そうなの!」

 

「ほどほどにしてくださいね、ところで今の聞いてました?」

 

「途中からね、あの感じだと小暮君と誰かが戦うって感じでいいの?」

 

「はい、その相手は古株さんにお願いしようかと」

 

「あの運転手さんにですか?なんなら私が…」

 

「古株さんはああ見えて昔凄い人だったんですよ!私は見たことないけど…」

 

「じゃあ、私もその勝負見ていい?」

 

「もちろんです!」

 

 

 

明日は凄いことが起きる予感。




ヒロト「オリワザ紹介のコーナー!」

筆者「ナチュラルに始めようとするなよ!」

ヒロト「前回書き忘れたのはどこの誰だっけ?」

筆者「お前、そんなことも考えて今回の行動に?」

ヒロト「さあ?」

ゴッドルーツ

ゴッドフラワーの根っこの部分

無数の根がボールを奪いに襲いかかる!スピード重視のディフェンス技だ!

筆者「解説がゲーム風な件」

ヒロト「あんたのせい」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.イプシロン とある扇風機との因縁

朝、小暮君が古株さんとの勝負をしていた。小暮君は古株さんからボールを取れず、古株さんの凄さに驚きました。

 

イプシロンが漫遊寺中に現れた。

 

無の心?とかなんとかで帰ってもらおうとしたが、当然そんなことではエイリア学園は帰らない。

校舎の一部が破壊され漫遊寺中の重い腰がやっと上がった。

 

 

試合はイプシロンが圧倒していた、漫遊寺中は凄かった。

もしかしたらジェミニストームにいい勝負をしそうなくらい凄かった。

だけど、イプシロンはそれより遥かに強かった。

 

たった6分で0-15。漫遊寺中で立てる人は誰一人としていなかった。

 

「勝負はついたな。この学校を破壊する」

 

「待て!」

 

円堂さんの声がグラウンド全体に響く

 

「俺達が相手だ!」

 

「貴様らか…ジェミニストームを倒した者達、いいだろう」

 

 

今回のポジションはこうだ

 

FW 染岡 荒城

 

MF 一之瀬 鬼道 風丸

 

DF 財前 土門 亜風炉 吹雪 壁山

 

GK 円堂

 

ベンチ 栗松 目金

 

 

「漫遊寺との試合を見た限りだと、イプシロンはFWの自由を奪ってくるわ。吹雪君はDFからのカウンターでゴールを狙って。花瑞さん、あなたもよ?」

 

私はこのチームに入ってから、一度も攻撃に参加したことがないと言ってもいい。

正直、女神の逆鱗が通用するかも不安だったりする

 

「宣言しよう、貴様らは三分で倒してやる!」

 

漫遊寺の時も言っていたけど、自分勝手だな…

 

「さぁ始まりました!雷門対エイリア学園ファーストランクチームイプシロン!」

 

あの人また来たんだ…また自転車なのかな?

 

「さあイプシロンのFWマキュア、早速雷門ディフェンス陣まで攻めてきました!」

 

「いかせるか!」

 

「土門、マキュアを足止めだ!」

 

「ちぃ!」

 

「マキュア、ゼルにボールを渡した!」

 

「ガニメデプロトン!」

 

「させない!ゴッドフラワー」

 

この技、ユニバースブラストなんかの比じゃない!

 

「花瑞のゴッドフラワーが破られたぁ!」

 

「間に合わない…爆裂パンチ っうわぁ!」

 

「ゴール!先制点はイプシロンだ!」

 

0-1 漫遊寺の時も思ってたけど、実際に戦うとその強さがよりわかる。

 

「試合再開!しかしボールはすぐマキュアに取られてしまった!」

 

「行かせない!」

 

「今度は風丸が自慢の速さでマキュアの足止めだ!マキュア、風丸を抜かせません…」

 

「ちぃ使うことになるなんて!」

 

「マキュアがボールを持ったまま空高くとんだ!」

 

「メテオシャワー!」

 

ボールが無数の隕石となって風丸さんに襲い掛かり、風丸さんが突破された。

 

「今度は土門と財前がマキュアからボールを奪いに行く!」

 

「めんどくさい!メテオシャワー!」

 

「マキュア、これも突破したぁ!」

 

メテオシャワー、もしかしたら…攻略できるかもしれない!

 

 

「吹雪さん!11番(ゼル)のマークをお願いします!」

 

「今度は花瑞が一人でマキュアにボールを奪いに来た!」

 

「花瑞、無茶だ!」

 

「ふふん、あんたみたいのマキュア嫌いじゃないよ!メテオシャワー!」

 

「ゴッドルーツ!」

 

「なんと花瑞、ゴッドルーツを自分を守る盾にした!」

 

「何!?」

 

「メテオシャワーを防ぎ、そのまま競り合いになった!」

 

うう…あの技を防げても、力わざで負けてちゃ元も子もないのに…

 

「マキュアがやや優勢か!?」

 

「マキュア、あなた気に入ったよ」

「ふーん、まさか宇宙人に気に入られる日が来るとは思わなかったよ」

 

お互いにボールを蹴り合い、蹴られたボールは空高くとんだ

 

「おおっと、このボールに反応したのは吹雪だ!しかし後ろからイプシロンのスオームとメトロンが追ってきた!」

 

「……邪魔だぁ!」

 

えっ、吹雪さん相手の背中踏み台にしちゃったよ…

ファールだよファール!仲間だけどあれはファールでしょ!

 

 

「吹き荒れろ!エターナルブリザード!」

 

これで同点!そう思ったのだが、吹雪さんのシュートは片手で止められていた…

 

 

 

 




扇風機団子「誰が扇風機よ!あっ、ここも扇風機団子とかにしてる!」

筆者「いや~素直に名前かいても面白くないじゃん?ねぇ?マキュアs…」

扇風機団子「これなんとかしないと筆者でもメテオシャワーのボールの方にした後にガイアブレイクのボールの方にするよ?」

筆者「あっ受ける方じゃなくてボールの方?サッカーやろうぜお前ボールな!ってか?」

扇風機団子「メテオ…」

筆者「ごめんなさい」

マキュア「マキュア、筆者嫌い!」

筆者「ヒロトといいマキュアといい、こいつら怖いわ…」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.イプシロン 新戦力

後書きも見てくれてますよね?


吹雪さんのエターナルブリザード、いくら遠距離とはいえ片手で止められるなんて・・・

 

「ほう…」

 

そのボールをデザームはエターナルブリザード以上の力で投げてきた

 

「ゴッドフラワー!」

 

なにこれ!?これならおとなしく野球とかやってればいいのに!

 

「ゴッドフラワーが破られました!」

 

「うおお!マジンザハンド!」

 

「ここは円堂止めた!」

 

ボールは私、鬼道さん、そして漣君に渡った!

 

「いくぜ!ブリザード……」

 

「そのボールよこせ!」

 

吹雪さんいつのまに!?

 

「吹き荒れろ!エターナル…」

 

二人の氷がボールを包む

吹雪さんもシュート体制、漣君も走り込んできてる…

 

「ブリザード!」「ショット!」

 

奇跡的に二人が同時にボールを蹴った

そのボールの威力は今まで見てきたシュートの中でも一番凄かったと思う

 

「これは!二つの氷のシュートが合わさった技…名付けてダブルブリザード!」

 

「ムッ?これは…」

 

「これはデザーム両手でがっちりキャッチ!」

 

「吹雪さん!どうしたんですか?」

 

「うるせぇ!どうせお前がうっても決まらねぇだろ!「そ、それは言い過ぎじゃないですか!」

 

「吹雪、荒城!試合中だぞ、言い争いは後でやれ!」

 

染岡さんが止めてくれたからよかったけど、試合の方は酷いものだった

 

このシュートをした後、イプシロンは私達を削りに来た。

漣君が負傷で栗松君が出て

土門さんも負傷して交代になるとき、目金さんは出れないと言って音無さんが小暮君を出してもらうようにお願いした。

けど他の人も倒されていって立ってるのは……

 

私、小暮君、円堂さん、吹雪さん

 

「小暮君!避けてばっかりじゃダメよー!」

 

凄いな小暮君、考え方を変えるとあのボールをすべて見切っているんだ…

 

狙いを私に変えてきたか

 

「メテオシャワー!」

 

「マキュアがメテオシャワーで再び花瑞に挑む!」

 

「ゴッドルーツ!」

 

「これも耐え凌いだ!そのままマキュアとの競り合いに!」

 

「邪魔だぁよこせ!」

 

「二人の間から吹雪が強引にボールを奪った!」

 

「もう、マキュアあいつ嫌い!」

 

「しかしゼルがボールをカット!そのボールは花瑞が取ったぞ!」

 

吹雪さんはマークされててパスが出せない…

私が行くしかない!

 

 

「クリプトを躱した!そのままシュート体制に入ったぞ!」

 

「女神の逆鱗!」

 

このチームに入ってから始めての女神の逆鱗は、皆が倒されてたから威力が増していた

 

「デザーム、これも止めた!」

 

「終わりにするぞ…」

 

またデザームがボールを投げた!

ダメだ直撃コースだ…間に合わないよ!

 

 

「花瑞ぃ!」

 

「花瑞が吹き飛ばされた!」

 

「小暮君避けてぇ!」

 

ボールの行方をなんとか見届けようとしたら、地面に叩きつけられそうになった背中を押さえてくれる人がいた…

 

「こんなところで怪我されたら困るから」

 

そのとき調度足をつまづき転んだ小暮君がボールを止めたらしいが私はそれを見てなかった。

それより、私を助けてくれた者が予想外だった

 

「あなたは確か…マキュア」

 

「次は絶対抜かすから!」

 

消えた……

 

 

 

─マキュアside─

 

マキュア、雷門嫌い!特にあの吹雪っての!

デザーム様は一番のお気にいりらしいけど勝負の邪魔したりしてむかつく!

 

「なあマキュア、デザーム様少しおかしくなってしまってないか?」

 

「そうかな、マキュアはわからなくはないよ?」

 

「お前もかよ…」

 

亜風炉花瑞、次はマキュアが勝つからね!

 

 

 

 

 

 




マキュア「と、言うわけだから新技考えといて」

筆者「なんとぉぉぉぉ!」

マキュア「いい?」

筆者「自分で考えろ」

マキュアがボールを壁にめり込ませた

マキュア「今何て言った?」

筆者「自分が考えさせていただきます」


ヒロト「賑やかだね~、みなさんでも大丈夫ですよ?対ゴッドルーツのドリブル技。エイリア学園のマキュアが使いそうな技を考えた方は総合受付所に9月13日までに!」

ヒロトに全部持ってかれた…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真帝国学園現わる

キャラバンにひょっこり紛れ込んでいた小暮君。

みんなにいたずらしているのでこちらに被害が無いといいのだけれど…

そう思いながらフランクフルトを一口……

 

「かっっらーーい!」

 

「うしししし、ざまぁみな!」

 

マスタードが…マスタードが、からしかそれより辛いやつになってる……

 

「小暮君!花瑞さんに謝りなさい!」

 

「音無さん、待って」

 

よくもまあやってくれましたね…

 

「食べ物の恨みは何よりも怖いことを、何より相手は選んだ方がいいことを教えてあげる!」

 

 

 

 

小暮は女神の逆鱗に触れた

 

 

 

「みんな、愛媛に行くわよ」

 

「愛媛ですか?」

 

話は少し進み小暮君が怯えているところまで進む

 

 

話によるとあの影山が逃げだして真帝国学園と言うのをつくったらしい

 

私としても影山という人には一度話がしたかった

 

円堂さん達は影山といろいろあったようで鬼道さんの怒りは特に凄かった。

 

 

愛媛についてお店でフランクフルトの補充

皆はみかんを買ったりしてた

 

 

不動明王と言うモヒカン頭の人が現れた、新帝国学園の生徒で案内してくれるらしい。怪しいとは思ったけどこの人の案内で新帝国学園まで向かうことに。

 

不動明王見た目はいかにも不良だがシートベルトをしっかりつけてる。皆も見習ってほしい…

 

 

着いたのはなにも無い所。海が見えるけどなにも無い

 

「てめぇ!やっぱりだましたのか!」

 

「はいはい短期な野郎だな、新帝国学園なら…ほら」

 

不動の指差す方向を見ると、海から潜水艦が現れた

そして、扉から一人の男が出てきた

 

「影山…」

 

円堂さんがそう口から漏らした。

あれが影山…あの人が私の親を……

許さない!

 

 

鬼道さんもかなり怒っている、それもそうか…

 

影山が元帝国の人に会わせると行って円堂さんと鬼道さんが呼ばれた、塔子さんが行こうとしたけど止められた。

 

「お前もこいよ、用があるだろ?」

 

「私も?」

 

影山はわかっているのかもしれない、いやわかっている。

私が誰かを

 

 

「ほら、お前はこっちで総帥とだ少し待ってろ」

 

不動にそう言われて席に座って待たされると影山が現れた

 

「亜風炉 花瑞だな?」

「はい」

 

まさか一対一で話すことになるなんて…

 

「フットボールフロンティアでは、世宇子からゴールを奪い今は雷門と共にいる…不思議な奴だ」

 

「どういうことですか?」

 

「私が君の兄を引き入れたのは知っているだろう?」

 

「ええ」

 

そう、きっとあんなことなかったらサッカーやってなかったと思う

 

「私は亜風炉照美に才能を感じた、だが君からは才能を感じ無かった」

 

「そうですか」

 

「だが、君は亜風炉照美に匹敵する力を持っていた。私は君も引き込んでおけば良かったと思ったよ」

 

「さっきから何が言いたいんですか!」

 

回りくどいよ!前置き長すぎなんだよ!

 

「ならこれだけ言っといてやろう。今君を狙おうとする人は山ほどいる。気を付けろ」

 

「えっ」

 

私としてはもっと悪い人だと思ったけど…いや、悪い人には違いないけど忠告してくれたのかな?

 

「さあ、雷門に戻れ。試合だ」

 

「わかりましたよ、でも最後に聞かせてください」

 

「なんだ?」

 

「お兄ちゃんは今どこにいるの?」

 

「亜風炉照美は…神のアクアを必要としないよう鍛えている」

 

「あなたのもとで?」

 

「それは言えんな、だがいるなら使おう」

 

 

会話が噛み合ったような噛み合わないような…不思議な時間だった

 

 

 

 

 

─マキュアside─

 

ここはエイリア学園の基地のなかにある使用済み選手の練習場(強制拷問)である。

 

「いたいた、ジェミニストーム」

 

「まっマキュア様!?なぜここへ?」

 

「レーゼ、私にこの技を教えなさい」

 

「これですか?あと何故代名詞で?」

 

「今言ったら面白くないからに決まってるでしょ!」

 

「は、はあ…」

 

「ごちゃごちゃ言わず早く教えろ!時間がないの!」

 

「はい!」

 

待ってなさい花瑞!マキュアは絶対あなたを倒すから!




マキュア「技決まったー!」

筆者「アイデア提供者さんありがとうございます!」

ヒロト「次回へつづく!」

筆者「ちょっおま終わらせんなよ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.真帝国学園 禁断の技を阻止せよ!

「今回の試合は鬼道君、あなたに任せるわ」

 

「はい」

 

そして鬼道さんの指示で最初のポジションはこうなった

 

FW 染岡 吹雪

 

MF 亜風炉 鬼道 一之瀬 風丸

 

DF 土門 壁山 財前 小暮

 

GK 円堂

 

ベンチ 目金 荒城 栗松

 

 

「鬼道さん、私MFなんですか?」

 

「ああ守備陣が多いからな、一番動ける花瑞には試しにMFをやってもらう」

 

「わかりました」

 

「さあ!真帝国学園との試合が始まりました!早速佐久間が攻め上がる!」

 

あの人は確か鬼道さんの仲間の人…

 

「うおおお!ピューイ」

 

あの距離からシュート?円堂さんなら普通に止められるはず…「やめろぉ!佐久間ぁぁ!」

 

鬼道さんが焦ってる何が!?

 

「それは禁断の技だぁぁ!」

 

「皇帝ペンギン……1号ぉぉぉ!」

 

「うぉぉ!ゴッドハンドぉぉぉ!」

 

円堂さんが押し負けてる! それに…禁断の技って

 

「うわぁぁ!」

 

「ゴール!先制点は真帝国学園だぁ!」

 

佐久間と言う人が苦しそうにしている。

鬼道さんが横のポジションだから詳しい話を聞くと、体に非常に負荷がかかる。1試合に2回までが限度

とのこと。

 

試合再開で鬼道さんを中心に攻め上がって皇帝ペンギン2号を打った

 

「ビーストファング!」

 

「まさか…ビーストファングまで…」

 

鬼道さんのこの様子を見るにあれも禁断の技…

 

「源田の投げたボールは不動に渡ったぞ!」

 

行かせない!

 

「ジャッジスルー2!」

 

「不動、花瑞を突破しました!」

 

苦しい…ファールになるかなら無いかのギリギリの必殺技だ…

 

「佐久間ぁ!」

 

「佐久間へのパスは吹雪と風丸により防がれた!」

 

染岡さんがシュートしようとしたけれど、ビーストファングの構えをとられ風丸さんにパスをしようとしたが相手の選手に取られてしまった。

 

「ゴッドルーツ!」

 

よし、なんとかシュートを撃つ隙を…

 

「あっと花瑞!不動にボールを奪われた!」

 

あのラフなプレイ…どうも苦手な相手だ!

円堂さんもさっきのシュートでダメージを受けたのか?通常のシュートにゴッドハンドをつかい弾いていた

 

 

試合は少し進み鬼道さんと不動がタックルをしながら自チームに突っ込んできてる

そして最終的にお互いがボールを蹴り天高くボールが飛び前半が終了した

 

「円堂さん大丈夫ですか?」

 

「ん?あぁ心配すんな!」

 

他にキーパーがいたら…

円堂さんはこのチームの精神的に支柱だけど…

 

 

試合の中止を願う人もいたけど、瞳子監督がそれを認めなかった

 

 

「さあ後半開始だあ!雷門は逆転できるのかー?」

 

ビーストファングをうたせないでゴールを決める方法…

私にはこれしか思い付かないよ…

 

「私にボールを!」

 

「はい!花瑞ちゃん!」

 

吹雪さんからボールをもらい相手ゴールに突っ込む

 

「まさかあいつ!」

 

「これは花瑞ゴールまで走りきる気か!?」

 

「させるか!お前ら守れ!」

 

敵のDFが時間を稼ぐ…早くしないと!

 

「二人相手にして抜き去った!」

 

あとはGKだけ!

 

「うぉぉ!」

 

「源田を抜かし!」

 

やった!

 

「させるかよおぉぉぉ!」

 

「不動が戻っていた!得点ならず!」

 

「花瑞とか言ったな…やってくれるんじゃねーか」

 

 

これ…多分次はうまくいかないのに…

 




マキュア「メテオシャワー!!」

筆者「なんとぉぉぉ!」

マキュア「投稿スピード遅いんだよぉぉ!」

筆者「あの…今ので体が…」

ヒロト「じゃあ俺が好きなように…」

筆者「よーし頑張るか!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.真帝国学園

後半が始まり私の特効とも言える単独作戦も失敗

 

「よし、じゃあ俺に任せとけ」

 

吹雪さんがここでなにか作戦でも思い付いたのかもしれない。染岡さんと二人で何とかしてくれるといいけど…

 

吹雪さんが不動を弾き飛ばし染岡さんにパス。

しかし染岡さんはシュートコースを防がれてしまう…が、あの不動の指示でシュートコースを開けられる。

あのゲス野郎!

 

「ワイバーンクラッシュ!」

 

うっちゃった…もうビーストファングの構えをとってるよぉ!

 

「ボールの軌道が変わった!これはシュートじゃない吹雪へのパスだぁぁ!」

 

「へっ、エターナルブリザード!」

 

隙を突いたシュートでゴールを奪った!

 

1-1

 

ビーストファングを使わせずに得点を決めれた!

さすが染岡さんに吹雪さん!

 

「名付けてワイバーンブリザードと言ったところでしょうかね?」

 

 

試合が再開して早々に染岡さんが削りの対象になった

不動がイエローカードを出して染岡さんの足に怪我をさせた

 

「染岡さん大丈夫ですか!?」

 

「へっこんくらい大したこと無いぜ!」

 

「やめろ染岡、漣!交代だ」

 

「待ってくれ円堂…俺をピッチに置いてくれ!影山なんかに負けたくないんだ!」

 

「染岡…」

 

染岡さんの気持ちはわかるけど…その怪我じゃ

 

「いいんじゃねぇの?俺が二人分動いてやるよ」

 

「吹雪…わかった、漣!やっぱり無しだ!」

 

「そんな~もう体温めてるのに!」

 

「すまねぇな皆…」

 

それから実質十人の私達は守りばっかりだった。

そして小暮君からボールを奪った不動から、佐久間さんへのパスを許してしまった

 

 

「皇帝ペンギン1号ぉぉぉ」

 

「やめろぉぉぉ!」

 

皇帝ペンギン1号のシュートを鬼道が技なしでブロックした

 

「マジンザハンド!」

 

そして円堂さんがマジンザハンドを使い止めることができた

 

二回目…さらに不動のプレーにより佐久間さんにボールが渡る!

 

 

「皇帝ペンギン1号!うわあぁぁ!」

 

そのボールを染岡さんが…染岡さん!?ちょっと染岡さん!

 

「染岡さん!無茶しちゃですって!」

 

「いいんだよ…役に立ったろ?」

 

後ろでは佐久間さんと言う人が動けなくなっていた

 

 

試合は終わった…1-1で負傷者多数

後味の悪い試合だった

 

そんな気持ちになるのも束の間、この潜水艦が沈み始めた

 

「鬼道さんは!?」

 

「いないぞ!?」

 

鬼道さんが見当たらなかったけど他の皆で脱出した

 

その後すぐ再開したからいいけど少し怖かった

 

また誰か居なくなっちゃうんじゃないかって…

 

 

 

そしてこれから雷門中のある東京で特訓になるらしい

 

 

 

─マキュアside─

 

 

 

「お願いします!どうかあの技を教えてください」

 

「イプシロンに教える技じゃないっぽ!」

 

「いいんじゃないかな?クィール」

 

「グラン様!?」

 

「マキュアは最近実力を伸ばしてるし…何より目の付け所がいい」

 

「グラン様がそう言うのなら…」

 

「ありがとうございます!クィール様、グラン様!」 

 

マキュア、人に頭下げるのは嫌だったけど、ワープドライブじゃ不安だからあの技も覚えたい!

 

 




マキュア「そうそう、まあ今日はこれで許すよ」

筆者「質の低下が怖いです」

マキュア「そしたらまたメテオシャワーを」

筆者「ブラック企業反対!」

ヒロト「薄い内容より、俺と花瑞ちゃんの薄i」

筆者「ごめん、それはダメだわ。言っちゃアカン」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後のワイバーンブリザード

真帝国学園との試合が終わり、現在私達はイナズマキャラバンで雷門中に向かっている。

 

キャラバン内では染岡さんの怪我を心配する吹雪さんと、その何倍も心配している漣君がいる。

 

「だからこのくらい大したこと無いっての!」

 

「ダメですよ染岡さん!こう言うのはアフターケアが大事なんですよ!」

 

「たくっ、好きにしろ」

 

「はい!」

 

なんだかんだ言って染岡さんは人気者だ、漣君も憧れのFWの一人に挙げている。

 

「円堂さん…」

 

「ん?どうしたんだ花瑞」

 

「雷門中に着いたら、私にGKの練習をさせてくれませんか?」

 

「どうしてだ?」

 

「別に円堂さんじゃ頼りないとかじゃなくて、真帝国学園の時思ったんです。もし円堂さんが手を怪我したりしてGKが出来なくなったら、誰がゴールを守るのかって」

 

「そうか…」

 

「それにGKがもう一人いれば、円堂さんも思いっきりプレーできると思うんですよ」

 

「う~んわかった!頼むぜ花瑞!」

 

「はい!」

 

「ん?古株さん止めてください」

 

円堂さんが突然キャラバンを止めさせた。

 

円堂さんが向かった河川敷には二人の男子がいた。

片方は白い髪に暗めの顔で雷門中のジャージを、もう一人は独特なウニみたいな髪型のGKだった。

 

鬼道さんに誰かを聞いたらGKの方は知っているらしいけど、雷門ジャージの方は知らない人らしい

 

円堂さんが話を終わらせると一度雷門中(工事中)に向かい、夏海さんのお父さんである理事長さんにあった。

 

円堂さんが怪我をしている雷門中メンバーの方々のお見舞いに行くのに一緒に行くか迷ったけど結局病院まで一緒に行ったけど病室には入らなかった

 

何故円堂さんについて行っているか?

円堂さんのお気にいりスポットの鉄塔、GKの練習をするならここにも来て欲しいらしい

 

鉄塔に着くとその近くのひとつの木に大型のタイヤが吊るされていた。

 

「これが俺の特訓のひとつなんだ」

 

「タイヤですか?」

 

「見てろよ?このタイヤを自分の方に引いてきて…思いきり押し出す!そして戻ってくるタイヤを受け止める!」

 

実際にやってみるとかなり辛い、確かに強力なシュートを止めるには必要な特訓だった

 

「あれ?花瑞さんもここにいたんですか?」

 

 

秋さんが来た、皆さっきの二人のいる河川敷で練習をしているらしい

 

 

早速行くとめちゃくちゃ染岡さんの事を心配してる漣君がいた

 

「染岡さんもうワイバーンブリザードダメですって!ほんとに足がダメになりますよ!」

 

「ごちゃごちゃ言うなってのこの技がなけりゃイプシロンは倒せないんだよ!」

 

「染岡もこう言ってるんだ、やらせろよな?」

 

「吹雪さんまで!完治するまでは安静にしてくださいよぉぉー!」

 

泣きながら走る漣君は、見てるこっちのほうが泣きたくなった…

 

私達も練習に合流してしばらくしてからのことだった

鬼道さんが染岡さんにパスを出した

 

「ワイバーンっう……」

 

「染岡!」

「「染岡さん!」」

 

 

「だから…完治するまでは安静にって…」

「おい荒城!俺はまだやれるぞ!」

「その怪我じゃ無理ですって!」

 

漣君が本気で染岡さんと言い合ってる

二人のその話に口を挟める人はいなかった…

 

「染岡君、あなたにはチームを外れてもらいます」

 

瞳子監督を除いて…

 

「待ってくださいよ監督!染岡は…染岡はチームを最初から支えてくれた大事な仲間なんです!」

 

「仲間だからこそよ、あなたたちは染岡君を気遣い満足なプレーが出来なくなるでしょう」

 

「しかし!」「いいんだよ、風丸」

 

この話を終わらせ、染岡さんがチームを抜けることが決まったのは、染岡さん自身の言葉だった

 

 

「吹雪!雷門のエースストライカーは任せたぜ」

 

「そして荒城!お前はこれから雷門のストライカーになれ!誰かの変わりじゃなくお前自身としてな!」

 

「はい!」

 

 

 

─染岡竜吾 雷門中離脱─




筆者「修学旅行行ってた、風邪軽く引いた」

ヒロト「37.0で大したことはないのでやらせてます」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

大阪 超特訓!

染岡さんの離脱で落ち込んだ空気は音無さんの報告で消えることになった

 

小暮君のイプシロン戦でのあの必殺技が完成したのだ

 

その技はとても強力で小暮君本人により旋風陣と名付けられた

 

私達も小暮君に負けないようにしないと!

 

 

と、意気込み練習をしていると瞳子監督が突然大阪に移動すると言い出した

 

なんでも、そこにエイリア学園の拠点があるかもしれないとのこと。そうと決まれば皆やる気になって大阪に向かった

 

 

 

のだけど…どうして遊園地なの?

 

瞳子監督が言うにはこの遊園地のどこかに隠れてるらしいんだけど…

 

 

私はいつの間にか一人になってました。

皆バラバラに探してるからこのまま探そう

 

「おい嬢ちゃん一人か?」

 

「誰ですか?」

 

「ワイらと遊ばんか?ええとこ知っとるで?」

 

「あの…私は……」

 

 

 

 

「俺の連れに何してるの?」

 

「なんだよ、彼氏さんいんのかよ」

 

よくわからない二人はその場から立ち去った。

それより、今の声は…

 

「ヒロトさん!」

 

「やあ、奇遇だね」

 

「こんなところでも会うなんて」

 

「二人で巡ろうよ、ほとんどの人が知らないところにも連れてくよ?」

 

「はい!」

 

その後、観覧車等に乗ったあとヒロトさんはアトラクションの裏口の方に連れてきた

 

「あのヒロトさん?」

 

「ここに凄いものがあるんだ」

 

そのまま着いていくと、最新鋭のマシン等が並んだ練習場があった

 

「凄い…こんなところがあるなんて」

 

「花瑞ちゃんも練習してみないかい?」

 

「いいんですか?」

 

「大丈夫だよ」

 

「じゃあ、このDFの練習から…」

 

 

レベル1は簡単だった

 

2、3はクリアしたけど

4は中々クリアできなかった

 

そんなとき円堂さん達が来た

 

「花瑞!?こんなところにいたのか」

 

「円堂さん達、あのーその人達は?」

 

「あー、こいつらは大阪ギャルズってサッカーチームのメンバーだ」

 

「それより花瑞、どうしてお前がここにいる」

 

「鬼道さん、それはですね…あれヒロトさんがいない」

 

「誰かに教えてもらったっと言うことか?」

 

「はい、それでずっと練習してて」

 

「まあまあ鬼道いいじゃないか!それより俺らもここで特訓だ!」

 

 

各自ポジションにあった練習場所に行くのだけれど

吹雪さんや私はFWにDFに大忙し

 

それなのに私は円堂さんの特訓場所であるGKのところにも来た

 

「円堂さん!」

 

「おっ、花瑞か!お前もやるのか?」

 

「はい、やらせてください!」

 

足場が少なく安定しない状態からボールが飛んでくるシステムらしい。

結局私はレベル2で断念した

 

 

今日の練習も終了っと思い出口に行こうとすると

 

「吹雪さん!もうやめましょうって!」

 

「うるせぇ!俺はやらなきゃいけないんだ!」

 

 

「吹雪の奴燃えてるな、イプシロンのGKの影響かな?」

 

「多分そうですね」

 

あの熱さが悪い方向にいかないと良いけれど…




マキュア「投稿遅い!メテオシャワー!」

筆者「ガチで許せ、テスト期間なんだよ今」

マキュア「私中学生だけどテストとか知らないし!」

ヒロト「こんな人ですが許してください」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.イプシロン 大阪前半戦

お久しぶりです


次の日の朝、私は早起きだった

 

いや、私達全員が早起きだった

 

 

早速特訓にはいるのだが、私は基本的に全ての練習に参加している

 

今は鬼道さんを中心に、攻撃と守備の切り替えの練習をしている

私はまあ中の上の成績である

 

続いてシュート練習

 

横にいる吹雪さんがものすごく怖い

 

「うおぉぉ!デェザァァムゥゥ!」

 

 

シュートの方は吹雪さんや漣君に比べたら劣るけど、上達していっているのが実感できる

 

そしてシュートブロックの練習、これは得意分野だ

 

 

ボールのキープ練習、テクニックではそうそう負けないのだがタックルに弱い

 

 

最後にキーパーの練習

円堂さんはレベルMAXに挑戦しているが、私はまだ3に挑戦している

 

 

 

 

この練習をイプシロンとの対戦まで続けた

 

 

そして約束の日がやって来た

 

デザームは、私達の練習していたこの場所のさらに奥にあると言うコートに案内してきた

 

やはりここはエイリア学園のものだったのか

 

 

 

試合には浦部リカさんも出てくれるようだ

 

FW リカ 荒城

 

MF 一之瀬 鬼道 花瑞 風丸

 

DF 吹雪 壁山 財前 小暮

 

GK 円堂

 

ベンチ 目金 栗松 土門

 

 

 

「さあ!エイリア学園のキックオフで試合が開始されました!」

 

いつもの角間さんの実況が聞こえる

 

「おおっとぉマキュア速い!味方のゼルが少し遅れています!ここに花瑞が立ち塞がる!」

 

「早速来たわね…ワープドライブ!」

 

あれはジェミニの技!

 

「ゴッドルーツ!」

 

「なんとワープドライブの出現場所まで予測して根を伸ばして、マキュアからボールを奪いました!」

 

「ちぃ!やっぱりセカンドランクの技じゃ無理か!」

 

 

多少驚いたけど、あの技は経験済みだから対応できた

 

「花瑞からリカにパスが回った!」

 

 

「いくで~ローズスプラッシュ!」

 

「リカの必殺シュートだぁ!しかしデザームそれを片手で止めてしまった!」

 

「このボールをFWのゼルにロングパス!そのままシュート体制に入る!」

 

「ガニメデプロトン!」

 

「マジンザハンド!」

 

「円堂マジンザハンドでガッチリキャッチ!」

 

 

 

 

「前半も半分が過ぎ、ここでもう一度花瑞VSマキュアです!二人には吹雪とデザームに似た因縁を感じています!」

 

 

「メテオシャワー!」

 

「ゴッドルーツ!」

 

「これも花瑞が耐え抜いた!」

 

勝てる!これなら勝てる!

 

 

「まだまだぁ!」

 

「マキュアが諦めずにボールを取りに来る!」

 

競り合い、まずいパワーじゃ勝てない…

 

 

「押しきった!マキュアが再びボールを奪い返した!」

 

「ああぁ!いつまでもムカつくんだよ!」

 

 

「ここで吹雪がマキュアからボールを奪った!」

 

「マキュアあいつほんとに大っ嫌い!」

 

今のスライディング、ファウルを取られてもおかしくないほど荒かった、いつもの吹雪さんとは違う

 

「なんとデザーム、吹雪にシュートを撃てとばかりにゴール前を空けたぞ!」

 

「なめやがって、喰らえ!エターナルブリザード!うおぉぉ!」

 

「待っていたぞこのシュートを!ワームホール!」

 

吹雪さんのエターナルブリザードが止められた、間違いなく強くなっていたあのシュートが止められた

まずい、流れがあまりよくない

 

イプシロンのカウンターが来た

 

 

「ゴッドルーツ!」

 

「花瑞がゼルからボールを奪った!今度は雷門の反撃か!?」

 

「させるか!」

 

「強烈なタックルでマキュアが再び花瑞からボールを奪った!」

 

パワーが足りない…

 

「ちっ!ガニメデプロトン!」

 

いつもパスをしているからマキュアもあれを撃てるとは思っていなかった

 

 

「マジンザハンド!」

 

「止めたぁ!ここで前半終了です!」

 

 

0-0

 

ほぼ互角の勝負になっている




筆者「なんだ!更新が遅いって?」

マキュア「当たり前じゃん!設定うろ覚えってどう言うことよ!」

筆者「おまっそれをここで言うな!」

マキュア「このハゲー!」

筆者「違うだろ! 俺はハゲじゃない!」

ヒロト「言い争いが絶えないなぁこの二人は、しかも二人で一人の台詞を使ってるよ…はぁ、まあこんな方達ですけど見てくれている方ありがとうございます」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.イプシロン 大阪 後半戦

ハーフタイムで鬼道さんが、吹雪をFWに上げるよう瞳子監督に言うが、

吹雪さんのポジションは変えずにボールを奪ったらそのまま攻撃に加わるように指示していた

 

私もだけど

 

 

「さあ後半の開始です!リカのキックオフを受け取り荒城が攻める!しかしマキュアとゼルをどう抜くのか?」

 

「ひとりワンツー!」

 

「荒城の必殺技が決まるかと思いきや、マキュアがそれをカットしたぁ!」

 

「いかさんでー!」

 

「メテオシャワー!」

 

「リカを得意のメテオシャワーで突破!だがこの間に天敵とも言える花瑞が駆けつけたぞ!」

 

「うぅ…sz…」

 

また新しい技!?ためらいながらも技名を言おうとしている

 

「どうしたのかマキュア!必殺技が不発です!」

 

「やっぱりまだダメか…」

 

 

「花瑞上がれ!」

 

鬼道さんの指示で今度は私が攻める

 

 

「これは鮮やかな花瑞と鬼道のワンツーです!そしてデザームは、またもゴール前を空けています!」

 

 

「いきますよ!女神の…逆鱗!!」

 

「出たぁ!花瑞の必殺技 女神の逆鱗!ゴールに向かって突き進む!」

 

「ワームホール!」

 

「だがしかしこれも止められた!」

 

「ほう…奴ほどでは無いが面白い」

 

カウンターが来る!

 

 

 

「デザームの投げたボールがマキュアに渡った!」

 

「行かせないっす!」「ここで止める!」

 

「ザウォール!」「ザタワー!」

 

「メテオシャワー!」

 

「壁山と塔子のダブルディフェンスが破られた!ゴール前が空いたぞ!いや…」

 

「旋風陣!」

 

「小暮がいましたぁ!マキュアを止めたぞ!ボールは吹雪に渡った!」

 

 

吹雪さんは一人でゴール前まで攻めてきた

 

「エターナルブリザードぉぉ!」

 

「これはすごい!先程よりパワーが上がっています!」

 

「ワームホール!」

 

「しかしまだデザームのワームホールは破れない!」

 

 

「ここからさらにカウンターだぁ!メトロン、ゼル、マキュアの三人が何かの陣形を整えています!」

 

「「「はぁぁぁ!ガイアブレイク!」」」

 

 

「新必殺技だぁ!これを止めようとした小暮が巻き込まれ…そのままゴール!先制点はイプシロンだぁ!」

 

 

「いててて…小暮大丈夫か!?」

 

「平気ですよ!」

 

小暮君はそう言っているけど控えもいることだし、大事をとって土門さんと交代した

 

 

「さあ再びイプシロンが攻めてきたぞ!」

 

「行かせるか!」

 

「先程交代で入った土門が新必殺技でボールをカットした!」

 

「あれは…名付けてボルケイノカットと言ったところでしょうか」

 

 

そろそろ体力が限界の人もいるはず、点を取らないと

 

スローインをカットして漣君にボールをパスした

 

 

「漣君!」

 

「よ、よし!やるぞぉぉブリザード…」「よこせ!」

 

「吹雪が荒城のボールを奪った!」

 

 

「吹雪さん!取るくらいならダブルブリザードでも!」

 

「あいつは俺ひとりの力で勝つんだ!エターナルブリザード!」

 

エターナルブリザードの力がさらに上がっていた

 

「ワームホールっ!」

 

デザームの表情が少し変わった

 

 

「ゴール!エターナルブリザードがついにワームホールを突破したぁ!」

 

「うおおおお!」

 

「吹雪さんおめでとう!」

 

今のゴールで流れはこちらに来たはず

今なら勝てる!

 

 

「さあ今度はイプシロンの反撃だあ!」

 

「ガイアブレイク!」

 

 

「ディフェンス陣のシュートブロックが間に合わない!円堂万事休すか?」

 

「うぉぉ!マジン・ザ・ハンド!」

 

今まで見てきたマジンザハンドとは違う構え方から出てきたマジンザハンドは、ガイアブレイクを止めた

 

「よーし、吹雪!」

 

「さあ吹雪にボールが渡ったぞ!」

 

「エターナルブリザード!」

 

誰もが勝利を確信した、その時だった

 

「ドリルスマッシャー!」

 

「止められた…」

 

「試合終了だ!引き上げるぞ!」

 

「「はっ!デザーム様!」」

 

 

この時めちゃくちゃ吹雪さんが怒ってました

 

 

あと、

「次こそは…絶対に」

 

って声がマキュアから聞こえた

 

 

 

あと味が悪いがイプシロンとは引き分けたのである

 

 

 




筆者「俺って一人一人の仕草とかあんまり書かないじゃん?」

マキュア「そうね、特におまけのこの後書きはセリフだけね」

筆者「あれはね、ずらずらかくとくどいかと思ったのさ」

マキュア「逆効果じゃん」

筆者「でも今更引き下がれなくて…ほら、これがいいって人も少なからずいるし」

マキュア「もうあんたの好きにしなさい」

ヒロト「おや?珍しくおとなしく終わったね、まあマキュアがあきれたのかもね ニヤニヤ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マキュアのスーパー大特訓

今回は特別回
マキュア視点でのお話し


試合が終わり、基地に引き上げた私達イプシロンは、

引き分けという結果により何とか追放されかねなかった。ギリギリのところで生き延びたの。

 

 

「よしお前達、今度こそは勝つために特訓だ!」

 

「「おう!」」

 

いつからだろう?こんなにサッカーが楽しく感じられるようになったのは

自分にそう問い詰めればこう答える

あの花瑞と言うDFにあってからあいつを倒したいと思うようになった。いつもならムカつくだけなのに

 

 

 

「おいマキュア」

 

デザーム様が話しかけてきた

 

「はいデザーム様、どうされました?」

 

「お前にも倒したい奴がいるだろう。私の練習に付き合え」

 

「マキュアなんかでいいんですか?」

 

「他のやつらは個人相手にではなく、全体相手に楽しみを覚え始めたばかり。一人の相手を狙うもの同士の方がいいのだよ」

 

「わかりました」

 

「では、通常練習が終わったらな」

 

「はい!」

 

 

通常練習が終わった

私は早速デザーム様の元へ行った

 

 

「ではまずマキュアよ、私からボールを奪ってみよ」

 

「そんな、デザーム様からボールを奪えるわけないじゃないですか!」

 

「いいからやるんだ」

 

 

試行錯誤しながらボールを奪おうとするも、デザーム様の巧みなテクニックでボールを奪えない。

タックル等の力業もデザーム様の方が上である

 

「私が見るにマキュア、お前のライバルである亜風炉花瑞は、次会うときにはドリブル技を覚えているだろう」

 

確かにあいつはドリブル技を覚えていなくて、テクニックはあるがタックルに弱く私でも勝ち目がある。

 

 

「だからお前もディフェンス技を習得するのだ」

 

「はい!でも私はシュートにドリブル技も上を目指したいです!」

 

「ふむ…わかった、シュート練習は私も付き合おう」

 

「ありがとうございます!」

 

 

その日のうちにディフェンス技が完成することは無かった

 

 

 

「クィール様!今日もお願いします」

 

現在私はマスターランクチーム、つまり上位階級であるチームの選手の一人、クィール様にドリブル技を伝授してもらっている最中だ 。

 

 

ここは見せないからね!極秘!見ようとするやつはマキュア嫌い!

 

 

 

「てい!」

 

 

「それが全力かマキュア!そんな程度では私の心は燃えないぞ!」

 

デザーム様とのシュート練習

メテオシャワーをベースにシュート技が作れないか考えている

 

 

 

 

今日もクタクタだ、明日もクタクタになるだろう

 

自室に戻りベッドに寝転がりながらそう思った

 

「なんか今って幸せ」

 

口からそんなことが漏れていた

 

 

もし、もっと強くなりたいならば、マスターランクチームのようにエイリア石の力無しで、せめてイプシロンとしてやっていけるくらいの力が必要になる。

 

 

マキュア頑張る!

 

 

 

 

 

 




筆者「マキュア頑張る!w頑張れ~」

マキュア「なめてんの?」

筆者「マキュアって自分のこと名前で呼ぶじゃん?」

マキュア「そうだけど?」

筆者「ぶりっ子みたいでさ~w」

マキュア「いいじゃない!マキュアはマキュアなの!」

ヒロト「仲良いな~、そして俺の空気感は何なんだろうな~」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

円堂大介のノートを求めて! 福岡

イプシロンとの試合で引き分けた私達は、次の日も猛特訓を続けていた

 

私はまた円堂さんとキーパーの練習をしている

なんか技のイメージ見たいのがモヤモヤと出てきているんだけど…

 

古株さんがGK練習の休憩中に入ってきた

 

「二人とも!瞳子監督を見なかったかい?」

 

「私は見てません、どうしたんですか?」

 

「これは円堂君にも関係することなのじゃが、福岡で円堂大介の秘伝ノートが見つかったらしい」

「えええええーー!?」

 

部屋全体、いや隣の部屋くらいには届くだろう大きな声を出して円堂さんは驚いた

 

 

 

 

 

そして大阪から福岡へキャラバンで移動

 

陽花戸中と言うところに到着、円堂さん、瞳子監督、夏海さんは校長先生と例のノートの話があるので別の部屋に行った

そのノートを私も見てみたい

 

 

することもなかったので、円堂さんが帰ってくるまでほぼ待機状態だった

 

陽花戸中サッカー部の皆さんと挨拶した

驚いたことに立向居という子が青いゴッドハンドを出した

 

「ねえ立向居君、ゴッドハンドって出すときどんな感じなの?」

 

 

「出すときですか?う~んこう、右手に気を集めるんですけど…その前に一度心臓に体全体の気を集めるようなイメージで、心臓に貯めた気を右手に入れる。みたいな感じでやってます」

 

「そうなんだ、見ただけでそこまでできるなんて器用なのかな?」

 

「いえいえ、そんなわけでは…ところでゴッドハンドのことを聞くってことは、キーパー何ですか?」

 

立向居君の気になるところはやはりそこか

 

「う~ん、まだ試合ではやったことは無いけどね。必殺技が全然出来なくて。普段はDFやMFをやってるよ」

 

「へ~頑張ってください!」

 

最後がてきとーな気もするけど、陽花戸中と合同練習をすることになった

 

 

 

「円堂さーん!」

 

私が何故円堂さんを呼んだのか?円堂さんがボールを、見てなくってシュートが顔に当たったからだ

 

 

円堂さんが休んでいる間、私が雷門側のGKに入った

 

 

「花瑞!行ったぞ!」

 

たしか~心臓に気を貯めて…右手に持ってきて…

 

「こうかな?ゴッドハンド!」

 

「なに!?」

 

出来たの?今出来たの?

 

 

「花瑞さんもゴッドハンドを使ったッス…」

 

「驚いたな、花瑞はFWからGKまで全てをやるつもりなのか?」

 

 

私の見間違えじゃなければ黄色でも青でも無くて緑色のゴッドハンドが出た

 

 

「も、もう一度やってみようぜ!それ!」

 

「ゴッドハンド!」

 

なるほど、キーパー技ってこうやるんだ!

何だかコツを掴めた

 

 

 

 

その日の夜、吹雪さんがいないな~っと思っていたら、誰かが外に出る気配がしたので私も外に出た

 

 

「吹雪さんここにいたんだ!円堂さんも!」

 

「おー花瑞!寝なくていいのか?」

 

「よくわからないけど寝れなくって」

 

三人で横になって寝て話し込んだ

 

「ねぇ円堂君、花瑞さん。この前の試合の僕って変じゃなかった?」

 

「そうか?お前のお陰で引き分けに出来たんじゃないか。さすが伝説のエースストライカーだぜ!」

 

「私は少し変だったと思う」

 

「そうだよね」「えっ?えっ?」

 

「まあ、吹雪さんが思った通りかはわからないけど。吹雪さんの守備はいつも鮮やかさと何処と無く繊細な感じがあるんです。たまに荒々しいのがあったりするんですが、あのときはほとんど荒々しいし、繊細さよりも切れそうな糸みたいな感じの動きでした。」

 

「そうか…」

 

「まあいいじゃないか!吹雪だって調子の良し悪しがあるんだし!結局一点取ったことにはかわりないしさ!」

 

「私はDFのときの吹雪さんの方が好きなんだけどな~」

 

「そうなのかい?皆FWの僕を頼ってるもんだと思っていたけど」

 

「速さに的確さ、威力もあって吹雪さんらしいやさしさも見えるんですよ、守備の時は」

 

「そういう風に見えてるんだ」

 

「ん、立向居どうした?寝れないのか?」

 

「あっ、円堂さん!ええ」

 

「上がってこいよ!」

 

 

キャラバンの上に四人は少し狭い、円堂さんと立向居君は究極奥義の話に夢中なので吹雪さんと話す

 

「僕、DFの方が好きって言われて嬉しかったよ…」

 

「どうしてですか?本当はFWは嫌いなんですか?」

 

「ううん、FWも好きさ。でも、僕は僕だから…DFとして認められたいんだ?」

 

意味深な言葉だったけど深くその意味を読み取ることは出来なかった

 

 

ギューンってなんだろうな?と言う話をしている二人の熱さとは全く異なり、冬みたいに冷たい空気が私と吹雪さんの回りに吹いている気がした

 

 

 

 

「僕は吹雪士郎なんだ、アツヤじゃないんだ」

 

『皆が欲しているのは俺だぜ?』

 

「花瑞さんは僕を必要としてくれた!」

 

『あんなのどうせ気を聞かせたのさ!それにFWを否定してた訳じゃないしな!』

 

「僕は…僕は…」

 

 

 

 

 

私の感じていた寒さは、吹雪さんにとってはまだまだ優しかったのかもしれない

 

 

 

 

 

 




筆者「花瑞のゴッドハンドは立向居と同じ林属性の色ちがい!」

ヒロト「まあ、色的にはこっちの方が正しいと思うけどね」

筆者「たまには二人だけの会話もいいな」

ヒロト「最近はマキュアと筆者がドッタンバッタンしてて、俺の入る隙が無かったからね」

筆者「すごーい君は今更ネタを引っ張ってくるフレンズなんだね」


マキュア「ブーメラン刺さってるわよ」

筆者「あれ…いたの?てか、今お前が刺さなかった?」

マキュア「マキュアしーらない!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

陽花戸中との練習試合

陽花戸中との合同練習の次の日、今度は練習試合をすることになった

 

「今回は練習試合だし楽しんで行こうぜ!」

 

円堂さんがそう言うと鬼道さんがポジションを発表した

 

FW 吹雪 荒城

 

MF 風丸 花瑞 鬼道 一之瀬

 

DF 土門 壁山 財前 小暮

 

GK 円堂

 

ベンチ リカ 目金 栗松

 

 

 

練習試合が始まると、やはり角間さんが来ていた

 

試合はかなり五分五分な感じなのだが、吹雪さんの調子が良くない

 

吹雪さんは何か悩み事があるのだろうか?

 

円堂さんは正義の鉄拳の練習も兼ねているので、土門さん達が円堂が止められなかったボールをカットする

 

「花瑞!」

 

土門さんが私にボールを回してきた

 

「さすが花瑞だあ!鮮やかなボールさばきで余暇途中のディフェンスを次々に突破していく!」

 

「女神の逆鱗!」

 

「ゴッドハンド!うわぁ!」

 

「ゴール!先制点は雷門中!不調の吹雪のかわりと言わんばかりに花瑞が決めました!」

 

これを見て漣君がかなり気合いが入りこのあとブリザードショットで追加点を得た

 

 

後半は円堂さんがマジン・ザ・ハンドを一回使ったのだが、それを見て立向居君がマジン・ザ・ハンドを繰り出した

 

 

立向居君のマジン・ザ・ハンドは未完成で簡単にゴールを許したが、徐々に威力が上がっていくのを感じた

 

 

 

練習試合は結局12-0で終わり、そのなかに吹雪さんの得点は無かった

 

 

 

夜、円堂さんが中々帰ってこないので呼びに行ったらヒロトさんがいた

 

 

 

「やあ花瑞ちゃん、元気そうだね」

 

「ヒロトさん!」

 

「イプシロン戦見てたよ、すごいDFだったね」

 

「見ててくれたんですか?」

 

「テレビでね、あっそうだ。さっき守と話して明日俺達のチームと雷門中で試合することになったから」

 

「そういえば、円堂さんとも知り合いなんですか?」

 

「花瑞ちゃん程ではないけどね、そう言うわけだからじゃあね」

 

「はい!」

 

ヒロトさん、サッカーやってたんだ。と言うことはヒロトさんは福岡の人なのかな?

 

あっ、円堂さん呼びに行かないと

 

 

「円堂さーん!」

 

円堂さんはタイヤ特訓をやっていた

 

「ん、花瑞どうしたんだ?」

 

「遅いから呼びにきたんですよ。もう戻りましょう」

 

「ああ、でももう少しやらせてくれないか?」

 

タイヤを再び投げた

 

「明日の試合のためですか?」

 

「何でそれを知ってるんだ?ぐわあー!!」

 

戻ってきたタイヤを見てなかったため、円堂さんが吹っ飛ばされてしまった。ごめんなさい

 

 

「さっきそこでヒロトさんにあったんですよ」

 

「いててて、そうなのか」

 

「練習もいいですけど、睡眠不足はいいパフォーマンスに繋がりませんよ?」

 

「わかった!寝るか」

 




筆者「ジェネシス戦は、いやこの作品はゲームとアニメの混合で行こうと思う」

ヒロト「なんでだい?」

筆者「どっちにもいいところがあるから」

マキュア「わかったから続きを早く書きなさい」

筆者「次回!風丸死す!デュエルスタ」マキュア「させるか!メテオシャワー!」

筆者「ぎぃぃやぁぁ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジェネシス 開始!

今日はヒロトさんのチームと試合をする日だ。

私はどうやら嬉しさが顔に出ていたらしくて、さっき漣君に顔にやけてると言われた

 

 

まだかなーっと思っていたら黒い霧が立ち込めてきた

 

「これは!?イプシロンか!」

 

「何故このタイミングで!?」

 

「来たぞ!」

 

皆驚いている、私も驚いているが次の瞬間に比べればマシだった

 

 

「やあ花瑞ちゃん、守。サッカーしようよ」

 

「ヒロトさん!?」「ヒロト!」

 

ヒロトさんはエイリア学園だったのだ

 

今まで私は…気付かずに、騙されてたのかな?本当だったのかな?

わからない、わからないけどやらないと

 

「さあ試合を始めよう、俺達ザ・ジェネシスと!」

 

 

 

「さあぁ!新たに現れたエイリア学園のチームザ・ジェネシス!いったいどれ程の実力なのでしょうか!?」

 

 

「おい花瑞、元気出せって」

 

漣君に肩を叩かれるが別に元気が無いわけではない。

ショックだしわけわからないところもあるけど、私はまだ戦意を失ってないから!

 

 

FW 吹雪 荒城

 

MF 一之瀬 花瑞 鬼道 風丸

 

DF 土門 壁山 財前 小暮

 

GK 円堂

 

ベンチ 栗松 目金 リカ

 

 

開始早々吹雪さんがボールを取られた、速い!速すぎる!

 

「さあ、花瑞の前にグランが迫る!」

 

ヒロトさん……

 

「おおっと花瑞何もできない!!グランがそのまま攻め上がる!」

 

 

 

ヒロトさんは技も使わずシュートした、円堂さんのマジン・ザ・ハンドは打ち破られた

 

 

 

「さあ今度はウルビダが攻めてきたぞ!」

 

今度こそ!

 

「ゴッドルーツ!」

 

「花瑞の必殺技ゴッドルーツ!しかしウルビダの速さはそれよりも速い!」

 

そんな!?これじゃあ!

 

 

「ゴーーール!ジェネシス早くも二点目!」

 

 

流れを変えるためにも得点を…

 

「うおお!皆!俺に回してくれ!」

 

「ここで風丸がパスを要求!秘策でもあるのか!?」

 

「スピードで負けてたまるか!疾風ダッシュ!」

 

「抜かしたー!風丸が風のように敵陣に切り込む!ここで吹雪にセンタリングだ!」

 

吹雪さんならきっと決めてくれる、お願いします!

 

「おっと、どうしたんだ吹雪!ボールをとり損ねました!しかし荒城がそのボールを取りました!」

 

 

「ブリザードショット!」

 

「止められたー!荒城の必殺技はジェネシスには通じないのかー!?」

 

「ちっ!」

 

漣君のシュートが決まらない、吹雪さんは調子が悪い。どうする?

 

 

「風丸さん!今度は私にセンタリングを!」

 

「ここで花瑞が攻めてきます!風丸絶妙なセンタリングだー!」

 

「女神の…逆鱗!!」

 

「これも止めました!こうなってくるとやはり吹雪のエターナルブリザードが必要だぁ!」

 

あのキーパー、技を使っていない…エターナルブリザードを使ってももしかしたら…

 

 

 

 

 

─???─

「あの青髪の少年、先程から邪魔ですねぇ」

 

「………わかりました旦那さま」

 

 

─余暇途中─

 

 

「…わかりました」

 

 

「おおっとジェネシスは風丸を狙っている!」

 

 

「こんなのファールだ!」

 

「いや、ギリギリセーフだ!計算しているのか?」

 

 

「やめてよ…やめてよヒロトさん!こんなの…こんなの私は嫌だぁ!!」

 

我を半分忘れつつ高速で動くジェネシスの中に走り込む

怒りの涙が出ているのがわかった

 

「速い!?」

 

「なんと花瑞!あの素早いボール回しからボールを見事奪い去りました!」

 

「女神の……逆鱗!!!!」

 

 

「っ!?」

 

「ゴーーール!一点返しました!決めたのは花瑞だぁぁ!」

 

 

 

 

風丸さんは!?

 

「風丸!大丈夫か!?風丸!」

 

風丸さんは見える部分だけでもアザだらけ、それもボールの後が線までくっきり残るほどの…

これだけで力の差がよくわかる

とてもじゃないが、立ち上がれそうにない

 

 

「今救急車を呼んでいます!風丸君に変わって栗松君が入りなさい!」

 

 

 

「試合を続ける気何ですか監督!」

 

「ええ、そのつもりよ」

 

前半戦まだ半分で 1-5

 

実力差は明らかだった

 

 

 

 

 




ヒロト「命令なんだ……」

筆者「何て言うか、お前も大変だな」

ため息をつくヒロトの肩をぽんと叩き、二人で夕日を見ていた…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジェネシス 試合終了

風丸さんの代わりに栗松さんをMFに置き試合が再開した

 

 

「っ!花瑞ちゃんもやるんですか……」

「お父様の命令だぞ!情が移ったのなら私がやる!」

「まてウルビダ!」

 

再開早々私は狙われた

私も風丸さんのようになるのかな…

 

「や、やめろおおお!」

 

漣君!?ダメだよきちゃ!

 

「おおっと荒城がボールを体で直接受け止めた!しかし今度は荒城が狙われる!」

 

早くボールをカットしないと!

 

「ゴッドルーツ!」

 

「辛うじてボールは外に出たぞ!花瑞と荒城は大丈夫なのかぁ!」

 

「何で!何で守ったの漣君!」

 

「ぐっよかった、花瑞は無事だったか…俺ら鬼怒川の女神は傷付けさせない。頼んだぜ」

 

漣君は意識を失った

 

「漣君………」

 

 

怒りと悲しみが同時に込み上げる、心臓が破裂しそうだ

 

 

「荒城君に変わって浦部さんをFWに入れます」

 

瞳子監督、まだ続けるの?

 

 

「お前ら!もうこんな汚いてはやめよう!」

「さっきから私情が多いなグラン、この試合だってお前の勝手なんだからな!」

「わかっているさウルビダ、だからこそなんだ!」

「勝手にしろ!」

 

 

 

「さあジェネシスのスローインからグランにボールが渡りました」

 

 

今度はシュートブロックを!

 

ヒロトさんのシュートは技も使わないのに、私の見てきたなかでもトップクラスの力を秘めていた

 

「ゴッドフラワー!」

 

重い!負けるぅ!

 

 

「マジン・ザ・ハンド!」

 

「花瑞のシュートブロックのかいもあり、円堂シュートを止めました!」

 

「頼むぞ!吹雪!」

 

 

 

「さあ吹雪にボールが渡った!次こそはエターナルブリザードが来るのでしょうか!!」

 

エターナルブリザードを打つのに少し時間がかかっていた、何かを考えているのかもしれない

 

 

「エターナルぅ!ブリザード うおぉぉぉぉ!」

 

今のエターナルブリザードは、雄叫びのようなものよりも悲痛の叫びに聞こえた。

 

 

 

「止まられてしまった!これは不味いぞ雷門中!先程点を上げた花瑞もさすがに攻撃に自由に加われる体力は残していない!頼みの吹雪のエターナルブリザードが止められてしまった!」

 

 

 

「オレハドウスレバ…僕は!俺は!」

 

「何とかして止めるんだ!」

 

土門さんのボルケイノカットは一瞬の時間稼ぎになったがそれ以上の効果は無かった

 

 

「ゴッドフラワー!」

 

ゴッドフラワーを使わないとドリブルも止められない!

やっぱり実力差がありすぎるよ…

 

「花瑞が奪ったボールは再びウルビダが取り返した!」

 

「さあやれ!グラン!」

 

「こいヒロト!今度は一人でも止めてやる!」

 

「ごめんよ守、好きだよ君のその目。流星ブレード!」

 

あれがヒロトさんの必殺技…桁違いだ……

 

「うおおおお!」

 

吹雪さん!?いつの間に…

あのシュートに突っ込む気なの!?

 

 

シュートは吹雪さんの頭に当たり軌道をそらした

 

吹雪さんも倒れてしまった

 

 

 

「目金君………いえ、この試合はもう」

 

 

やっとやめる気になったのかな?瞳子監督

遅いよ…

 

 

 

 

試合は結局ジェネシスの方が飽きたようでそのまま終わってしまった

 

 

 

風丸さんと漣君はすでに病院に運ばれていた

 

吹雪さんは陽花戸中のベッドに寝かされた




マキュア「そうそう、こうやって早く話をだし続けるのよ!」

筆者「ここはどこのブラック企業ですか?」

マキュア「なに?聞こえなかったなー、もう一度言ってくれない?」サッカーボールをちらつかせつつ


筆者「これからも頑張らせていただきます」




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

チームの柱崩れ去るのか?

私達は今、吹雪さんの寝ているベッドの回りにいる

 

空気が非常に重い…

 

漣くん、私を庇って…ごめん

 

風丸さんもやられてしまった

 

吹雪さんはしばらくしたら目覚めるらしいけど、瞳子監督から衝撃の事実を聞かされた

 

吹雪さんには双子の弟がいて、エターナルブリザードは吹雪さんの技じゃなくて、その弟のアツヤの技。

 

吹雪さんは自分の中にアツヤという人格を作り上げてエターナルブリザードを撃っているらしい。

 

その微妙なバランスがエイリア学園、特にデザームとの対戦などで崩れてしまった

 

 

 

 

 

円堂さんも元気がない、リカさんが気を使って場を明るくしようとするけど暗い雰囲気は変わらない

 

ごめんなさい、私には何も出来ない…

 

 

結局そのまま鬼道さんが吹雪さんに頼り過ぎないように、戦略を変えようと言う趣旨の話をしたのだが

チームの精神的支柱である円堂さんの心は折れたままだった

 

 

練習に身が入らない、皆もそうだ。

このままじゃダメなのはわかっているのにどうしようも出来ない

 

 

円堂さんの存在の大きさに改めて気付かされた

 

秋さんたちが円堂さんを元気付けに行くのだが、まだダメらしい

この状況に耐えかねて栗松さんがいなくなってしまった

 

 

こんな状況なら円堂君をチームから外し、鬼道君にキャプテンを任せます。そう瞳子監督は言った

 

 

しかしこの流れは立向居君により変わった

マジン・ザ・ハンドを完成させて、それを見た円堂さんが火をつけたのだ

 

悪い流れも良い流れも続くもので

吹雪さんが復活した

 

さらに沖縄で炎のストライカーの目撃情報があるとのこと

それがもし、雷門中のエースストライカー豪炎寺修也さんだったらと思うと私も少しワクワクしている

 

 

立向居君を仲間に加えて、私達は沖縄へと向かった

 

 

 

─エイリア学園 吉良の部屋─

 

ヒロトです。雷門中との試合で削りをやらされたことに不満を感じた俺は、お父様に直接申し立てることにした

 

「お父様、お話があります」

 

「おや?どうしたのですかヒロト」

 

「何故俺達にあんなことをさせたのですか?」

 

「あんなこととは?」

 

「雷門中のメンバーを、花瑞ちゃん達を削れという命令のことです!」

 

「そのことですか、しかし勝手に試合に行ったのですからそれくらいはしてくれないと」

 

それはもっともな意見だ、今回は完全に俺個人の感情で行ったわけだから

 

 

「そしてヒロト、その花瑞と言う子が好きなのかね?」

 

「そっそれは…」

 

嫌いと言ったらどうする?好きと言ったらどうする?

この答えだけで花瑞ちゃんの運命が変わってくる気がした

 

「なるほど…好きなのですね。もう下がりなさい」

 

「……はい」

 

 

何もできなかった…悔しいけどお父様には敵わない

 

 

「(ヒロトが恋をしたか…これは速めに処理しておかねばなりませんね)」

 

 

 

 

 

 




筆者「不定期更新のビッグウェーブだぜ!」

マキュア「そんなにメテオシャワー喰らいたいんだ」(ボールを軽く上げつつ)

筆者「仕方ないだろ!忙しいんだよぉ!」

マキュア「最近昼休みに友達とサッカーしてるそうじゃない?」

筆者「それがどうした?」

マキュア「弱くなったわね…」

筆者「キーパーの実力はこれから取り戻すさ」

ヒロト「つまらない会話を最後まで聞いてくれたかたありがとうございました」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

沖縄へ…

私達は今沖縄県に向かっています

 

阿賀遠島から出る船に乗っているのだが……

 

私は今吹雪さんと二人で船の後方にいます

お互いに気を使った結果なんでしょうけど、何故か二人になってしまいました

 

「海か……」

そう何となく、いや昔のことを思いながら呟いたのだが、吹雪さんはそれに反応した

 

「海に何か思い出があるのかい?」

 

「ちょっとしたことですけどね、聞きますか?」

 

「うん、是非聞かせてほしいな」

 

 

「はい、あれは小学生の大きめの大会の関東大会での話です。私達のチームは横須賀に来ていました。私はそこで迷子になってしまい軍港近くにまで来てしまったんです。

 

そんなときです

 

 

「見慣れない顔でありますが…あなたは?」

そう彼女は言いました。

彼女の名前は山本 海色(みいろ)

 

同い年でした。私は海色さんに皆のいる場所まで案内してもらうことにしたんです。

 

海色さんの家は代々海軍、海上自衛隊に所属しているそうで、海色さんもそのうち入る予定なんだそうです。

 

本人もミリオタ、血筋なのか海上自衛隊や海軍が大好きで他のことは頭にないってくらい

 

私はそのときお礼にサッカーを教えたんです

サッカーも気に入ってくれて…考えてみたら私が初めてチーム外で作った友達だったんですよ…」

 

 

 

「海色さんも元気にしているといいね」

 

 

 

この話は吹雪さんの他にこっそり鬼道さんも聞いていた、そして鬼道さんはこう思ったそうです

(花瑞…お前もやはり疲れているのだな)

 

 

そんなことを話していたら目金さんが船から落ちてしまい、そこを救出してくれたサーファーさんが名も名乗らず去ってしまった

 

 

ただ問題なのは船が明日まで無いと言うのだ

 

 

円堂さんの提案で砂浜サッカーをすることになったのだが、これが中々疲れる。地面が緩い分力を使わなければいけないしドリブルも思ったように行かない

 

先程のサーファーが海から飛んできた

詳しく言うと波に乗ってサーフボードごと空を飛んできた

そしてそのまま近くの砂浜で眠り始めた

 

そんな中、塔子さんがリカさんとバタフライドリームをすることになった。

その初めてのシュートは二人の連携ミスであらぬ方向へいき、サーファーさんのサーフボードに直撃!

しかし良い波を逃すところだったぜ助かったと、怒っていない模様です

 

そのあとのバタフライドリームも何故かサーファーさんのいる方向へ、しかも今回はサーフィン中で避けられそうにない。

 

「あぶなーい!」

 

円堂さんが叫んで知らせたのだが、予想外のことにそのボールを蹴り返した。それだけじゃない、とてつもないキック力だった

 

 

あの人は一体……




マキュア「細かい描写が少ないと言う趣旨のコメントがきてまーす」

筆者「一応聞くと後書きはこのままでセーフかな?」

マキュア「知らないわよ!それより本編よ本編!もっと細かく書きなさい!」

筆者「課題だとは思ってるけど、細かすぎて疲れるとか言われたらやだなーって」

マキュア「そんな人が小説サイト来て読んだりしないから…」

ヒロト「それを差し引いても細かい動きとかが少ない。皆様の想像の余地を増やしすぎて逆になにもわからないと言ったところだね」

筆者「とにかく頑張ります!」

マキュア&ヒロト「(ダメだこりゃ…)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

読者様のオリキャラ登場!

次の日今度はちゃんと船で移動することができました

 

 

そして船から降りた私たちは、細かい人数分けをして炎のストライカーを探すことになりました

 

私は塔子さんと二人で探すことになりました

 

それにしてもやっぱり暑い、雲ひとつない快晴で風も吹いておらず、暑いことこの上ない

 

 

皆顔が焼けてたり賑やかな人が多い町中に一人だけ雰囲気が異なる人がいたので話しかけてみた

 

「あの~すいません、聞きたいことがあるのでお聞きしてもいいですか?」

 

「おう、観光か?」

黒い髪を首まで伸ばし、軽く纏めている目は青色の身長160cmくらいのこの人、話しかけると回りの人と変わらず優しい人のオーラが出ていた

 

「あっ、私の名前は亜風炉花瑞です、こちらは財前塔子さんです。申し遅れてすいません」

 

一礼してから顔を向き直す

 

「おう、気にするな。俺は黒嶋 裕(くろしま ゆう)って言うんだ。それで聞きたいことは?」

 

「炎のストライカーをご存知ありませんか?」

 

黒嶋さんの顔が一瞬だけ困ったように見えた

 

「炎のストライカーか…話には聞くけど知らないな、二人ともサッカーやってるのか?」

 

「はい、現在は一応雷門中のメンバーで…」

 

「そうか…ところで、雷門中ってエイリア学園と戦ってるあの雷門か?」

 

「はい」

 

この人もサッカーをするのかな?

 

「ここで話すのも何だから少し家に来てくれないか?」

 

困った私は塔子さんに助けを求めた

 

「いや、今まで二人で会話してたのに私に決断求めるの? う~ん行ってみていいんじゃない?」

 

と、言うことでついていくことにしました

 

少しボロボロだけど一戸建ての家の中には私より小さな女の子が一人いました

 

「おにぃちゃん!この二人は誰?」

 

「この二人はエイリア学園と戦ってる雷門中の人だぞ」

 

どうやら黒嶋さんの妹らしい

黒い髪をショートカットしたボーイッシュな姿だった

 

「俺の妹の(はる)だ。今年で10歳になる」

 

「お兄さんと一緒にいれるんだ…」

 

無意識のうちに口からそんな言葉がこぼれてしまっていた

 

「?兄がいるのか」

 

不思議そうに見られるので軽い説明をした

 

「私にも兄がいるのですが、どこにいるのかもわからず…ずっと探してるんですけどね」

 

「なるほどな、頑張りな」

 

上がらせてもらいテーブルに着いたとき、黒嶋さんが何から何までやるので不思議に思い

 

「ところで、親は…」

 

と聞いてしまった

黒嶋さんの顔が暗くなった

 

「親はいない、俺は受験受かって高校に入学したらバイトする予定なんだ」

 

「私も親の方はもう…って受験?三年生何ですか?」

 

「あぁ、言わなくていいと思ってな」

 

「失礼しました!黒嶋さん!」

慌てて土下座して詫びようとしたのだがそれは黒嶋さんに止められた

 

「よしてくれ、それよりも雷門のサッカーを見せてくれないか?」

 

これは黒嶋さんからのサッカーの誘いだった




筆者「希望通りに出来てるかな…」

マキュア「不安にならないでよ!暗い空気はマキュア嫌い!」

ヒロト「今回の折り返しの黒嶋兄妹を考えてくださったジュピターさん。ありがとうございます」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

炸裂!烈風ブラスト!

現在私と塔子さん、黒嶋さんとその妹さんの四人で、黒嶋さんの家の前でサッカーを始めようとしている。

一応言っておくと妹さんは観戦です。

 

ルールは1vs2 一人でオフェンスをするのが黒嶋さんである。

 

「はじめぇ!」

妹さんの声でミニゲームは始まった。

 

黒嶋さんからボールを奪おうと塔子さんが一人で行ったのだが、黒嶋さんはヒールリフトを使い余裕の顔で塔子さんを抜いて見せた。

「よし!烈風ブラスト!」

烈風ブラストそう叫んで繰り出された技は、右脚でボールを空中で勢いよく回転し、風を纏いボールから一旦距離を起き、高速で回転し一瞬で距離を詰めて、回転により勢いをつけてボレーシュート打つその技は、GKとなっている私の後ろにあるゴールにとてつもない威力で襲いかかる。

放たれたボールはがとても速くて、ゴッドハンドやゴッドフラワーではとても間に合いそうに無い。

「ゴッドルーツ!」

ゴッドルーツではとてもあのボールは防ぎきれないと思った私は通常より長く根を出し、ゴールポストに巻き付けて踏ん張りが聞きやすいようにしてからつたひボールを迎撃させた。

「むぐぐぅ…!」

その甲斐あってボールはギリギリゴールから逸れた。

 

「驚いたな烈風ブラストを防ぐとは」

 

「二人とも凄いよ!あと花瑞、さっきのゴッドルーツ、新しいキーパー技になるんじゃない?」

塔子さんがそう言ってきた。

確かに…ゴッドルーツはゴッドフラワーより速く対応するために、ツタだけを出してボールをカットする技だから耐久力では格下になる。でも、ゴールポストを使ったことによりゴッドフラワーに匹敵する防御力、耐久力になった。もし、これをさらにGKの技にするために改良すれば…

「いけるかもしれない!塔子さん、ナイスアイデアです!あと黒嶋さん、他のメンバーに紹介してもいいですか?」

「と言うことは、俺の力を認めてくれたんだな?」

「勿論です!よろしくお願いします!」

黒嶋さんの手を掴み、そのまま握手をした。

妹さんの方から殺気が放たれた気がするのは何故だろう…

私達四人はイナズマキャラバンへ移動した。

豪炎寺さんは見つけられなかったけど凄い選手を見つけたと報告しようとしたら、吹雪さんたちも南雲晴矢という選手を見つけてきたらしい。

「この辺の者か?」

黒嶋さんが鋭い目付きで南雲さんに話しかけた。

「そうだが?」

南雲さんはそれがどうした?と言わんばかりに答えた。

「俺はこの辺に住んでいるが、お前のような奴は見たことがない」

「それはお前が知らないだけだろ?」

二人が戦闘モードになってきて、ピリピリムードが回りを支配してきた。

「そ、それならほら!二人とも試合しようぜ!」

円堂さんが二人の間に入り入部試験を兼ねた試合を提案した。

「おもしれぇ、この俺南雲晴矢様の力を見せつけるには丁度良い機会だぜ」

「その自信、すぐに燃え尽きないと良いな」

 




マキュア「遅いっての!舐めてんの!?舐めてるんでしょ!?」
筆者「舐めてねぇよ!とりあえず俺を壁当ての壁にするのやめてくれ!」
マキュア「やだね!反省しなさい!」
筆者「いぎゃぁぁぁぁ!」
ヒロト「大変お見苦しい物をお見せして申し訳ございません」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

灼熱のストライカーVS風のディフェンダー

南雲晴矢さんと黒嶋裕さんの入部試験を兼ねた試合。

ルールは4VS4南雲さんのチームには円堂さん、壁山さん、木暮くん。黒嶋さんのチームには私、塔子さん、鬼道さんが入る。ちなみに私はさっきのゴッドルーツの練習も兼ねてのGKである。

南雲さんチームのキックオフで試合開始。開始直後、南雲さんは空中にいた。

恐るべき脚力である。着地の瞬間を狙った鬼道さんをボールを再び空中に蹴り上げ回避、空中にフリーとなったボール目掛けて南雲さんと黒嶋さんが飛んだ。

ボールを取ったのは黒嶋さんだった、が次の瞬間には南雲さんがボールを奪い去っていった。

 

「いくぜぇ!アトミックフレア!!」

まるで太陽のような熱さと力を感じる!

 

止められるの?こんなボールを!

いや、やってみるしかない。

イメージしよう、ツタを…根を…ゴールに巻き付ける。

ゴール全てを支えとして育てていく…

「ゴッドルーツ!」

何て威力!烈風ブラストの威力を上回っている!

ダメだ、負ける!

ゴッドルーツが破られた、吹き飛ばされ後ろのゴールネットが見えたとき、ネットの他に一人の男の姿があった。

黒嶋さんだ。

黒嶋さんは威力の落ちたボールをそのままカットした。

「ありがとうな、後は任せろ」

黒嶋さんはそのまま一人で敵陣に攻めていった。

 

「いかせないっす!」

壁山さんのザ・ウォールを発動しようとする

「アグレッシブビート!」

黒島さんは見たこと無い超スピードの必殺技でザ・ウォールを出すまえに突破した。

同様に木暮君を抜き去り円堂さんにあの必殺技を決めようとした次の瞬間!

「なに一人でやってんのかねぇ?」

南雲さんが黒島さんに追い付いていた。

ボールを奪おうとする南雲さん、それをギリギリのところで避ける黒島さん、一瞬の隙をつき先程の技アグレッシブビートで南雲さんとの距離を取った。

「烈風ブラスト!」

烈風ブラストは円堂さんの練習中の正義の鉄拳を発動するまえに南雲さんがカットした。

信じられない。あの烈風ブラストを技も使わず裁くなんて…

ここで試合は強制終了した。

二人の実力はこれで充分なのだという。

「二人ともすげぇぜ!なぁ花瑞、お前は二人のシュートを受けたんだよな?どうだった?」

円堂さんが私に聞いてきた。

「威力は二人とも…吹雪さんには言えないですがエターナルブリザードを越えてます。総合的能力で見てもチームで勝てる人はいないと思います。」

不完全燃焼の黒島さんと南雲さんはまだお互い睨み合っている。

「二人とも大きな戦力になるのは認めます。ですが、その前にいくつか質問があります」

瞳子監督が二人の前に来た。

「良いですよ」

と黒嶋さんが、南雲さんも

「いいぜ」

と、

「これから一緒に戦っていく以上、私はあなたたちの身柄を預かることになります。まず、二人はどこの学校の生徒なの?」

黒嶋さんは即座に大海原中と答えたが、南雲さんは監督を睨み付けたまま答えなかった。

 

「エイリア学園だよ」

私がよく聞いた声が、高い位置から聞こえてきた。

声の方向、高いオブジェクトの先にヒロトさんがいた。

「あーあ、いいとこだったのによぉ」

「何のつもりだ、バーン」

「俺はお前のお気に入りがどんなやつかを見に来ただけだぜ?グラン」

「騙されちゃいけない、花瑞ちゃん!円堂君!」

思考が少し停止していた。南雲さんもエイリア学園の人だったなんて、私達は一体あと何チーム倒せば良いの?

その後、ヒロトさんと同等に蹴り合いをした末、南雲さん、訂正バーンはヒロトさんと共に消えた。

 

黒嶋さんは雷門イレブンの仲間となり、妹さんも同行することになった。

その時の妹さんの目がまた怖かったのはここだけの内緒!

 




マキュア「途中まで書いといて最後書くのに時間掛けすぎ」
筆者「言わねばバレないものをよくもまぁ言ってくれるなぁ!」
マキュア「考えることがセコイ!」

ヒロト「このあとめちゃくちゃメテオシャワーされた」
筆者「勝手に話を終らせ…うわぁぁぁ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.大海原中

次の日、黒嶋さんをチームに加えた私達の前に、この前会った綱海さんが波に乗ってやって来た。

「あれ?黒嶋じゃねぇか、こんなところで何してるんだ?」

「見ればわかるだろ、雷門の仲間になったんだ」

「そう言えばお前サッカー部とかには入ってなかったけどうまいのか?」

「見ればわかるさ」

えーと本題をこちらで言いますと、綱海さんはサッカーをやってみて楽しかったからサッカー部に入部して、私達の話をしたらあの雷門中じゃないかとなり、試合を申し込んできたのだ。

瞳子監督は反対したが、大海原中がそれなりの実力であるとわかると、許可してくれた。

 

そして今、謎のノリのチーム大海原中との試合が始まろうとしている。

今回のポジションは

FW リカ 目金

MF 花瑞 一之瀬 鬼道 立向居

DF吹雪 財前 木暮 壁山

GK円堂

 

黒嶋さんはキャラバンに荷物を詰め込むことや、家に誰もいなくなるなどの理由で今ここにいません。

私は今回、試しにFWで出ることになった。

 

 

キックオフ、相手チームはいきなりボールを大袈裟なモーションや小技を使いパス回しを始めた。

戦略的意味が全く理解できないが、とりあえずボールコントロールがしっかりしているのは伝わった。

一通り終わったらしく、それをみたリカさんがボールを奪おうとしたが、絶妙なタイミングで回避された。

私も抜き去るときに生まれる隙を狙ってスライディングをしたはずなのだが、これも絶妙なタイミングでボールをパスし回避された。

塔子さんのザ・タワーも回避され、大海原中に先制シュートを与えてしまった。

大海原中の必殺技三人技イーグルバスターを円堂さんがマジン・ザ・ハンドで止めると、何故か大海原中はイェーイと喜んでいた。

しかし、ただそんなノリなだけじゃない、リカさんからボールを奪える実力もある。しかし弱点を見つけている。

綱海さんだ。

綱海さんは恐らくボールのカットの仕方等を誰からも教わっていない。

綱海さんだけが大海原中で唯一の狙い目になっている。

 

皆もそれに気付いていた。しかし綱海さん一人を突破しても他の人にボールを奪われてしまいシュートに繋げられない。

円堂さんは練習として未完成の正義の鉄拳を使っていたため失点こそしなかったもののヒヤヒヤした。

ハーフタイム、鬼道さんが音村という相手選手がリズムを計ってこちらの攻撃を回避していると言った。

鬼道さんの指示で私達は一瞬リズムを外すことにした。

そして後半、スタートからその作戦は成功した。

鬼道さんが敵のスライディングを回避し、私にパスを回した。

私もそれに習いいつものドリブルから若干タイミングを外した。見事に相手のスライディングを回避し財前さんとリカさんにパスを出した。

「バタフライドリーム!」

完成したバタフライドリームでついに大海原中から一点を奪った。

試合はそのまま1-0で終わったのだが、大海原中のリズムを作っている音村さんが試合終了までいくつものシュートチャンスを生み出してきた。

円堂さんはまだ正義の鉄拳が完成しないが、最後のシュートの時に何かコツがあったようで、それが綱海さんいわくサーフィンの腰らしい。

 

 

 

 

 

「まだいいのか?」

オレンジ色のフードを被った男に話しかける男、黒嶋祐である。

「ああ、まだな」

「早くしないと沖縄を離れるかもしれないぜ?」

オレンジ色のフードを被った男は

「大丈夫だ」

とだけ言った。




マキュア「スマホ買い替えたんだって?」
筆者「そうだけど?」
マキュア「変換予測が酷いらしいじゃん」
筆者「まあな、マキュアと打ったら変換予測にマニキュアと出た」
マキュア「マニキュア!?マキュアの名前を間違えて書こうものならまたメテオシャワーだからね!」

ヒロト「珍しいな、今回はメテオシャワー落ちじゃないのか、ちなみにヒロトと打ったら広戸と出たよ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逆襲! イプシロン改

と言うわけで書き直しました。
ごめんなさいorz


練習試合が終わった私達は大海原中でバーベキューをしている。ウインナー美味しい 

午後から練習なのだが何をしようかな?

そんなことを考えてるうちに食べ終わり、丁度片付けを始めた頃に黒嶋さんが来た。

「試合はどうだった」

「勝ちはしたんですけど、私は何も出来ませんでした」

「そうか、俺はまだ用事が残っているが午後は練習なんだよな?」

「はい、そうですけど」

「一緒に練習しないか?」

黒嶋さんから練習の誘いを受けたので、私は黒嶋さんと二人で一対一の取り合いをしていた。

それにしても、黒嶋さんは凄い。

足が速いだけじゃなくてそのスピードでもボールコントロールが凄まじい。まるでボールにスパイクから糸を引いているようだ。

練習終了前に黒嶋さんが別のことをすると言った。

「花瑞、例のキーパー技は出来たのか?」

例のキーパー技とはゴッドフラワーGKバージョンの事である。

「まだ耐久力に問題があったりして完成しません」

私的にはキーパーをやる場面があるかはわからないが何となくそんな場面がある気がするのだ。

「それなら練習終了まではキーパー練習をしよう。全力でな」

その後烈風ブラストを受けまくり疲れきった私がお風呂に入ろうと廊下を歩いている所に円堂さんが戻ってきた。

 

「円堂さん、サーフィンの方はどうでしたか?」

「いやー意外と難しくってよー、こう軸をしっかりしてるつもりなのに土台が安定しないから全然立てないんだ」

何事も土台が大事とはよく聞く、建物しかりスポーツしかりか。

「でも、だんだんわかってきたから明日は絶対成功させる!」

土台をしっかりか…そういえばゴッドフラワーのツタを巻き付けるにしてもゴールだけでは心許ないのでは?

アサガオ何かはよく根を張らせて棒何かに巻き付けるしそれを少しイメージしてた。

けどそれだけじゃ足りないのかもしれない。

「おーい聞いてるか~?花瑞~?」

「あっはい聞いてます!」

「それでさぁ突然でっかい波がドーンって出てきてよー、綱海はそんな波を軽々乗ってさ~」

ドーンとでっかい波か、円堂さんも無事なだけ凄い気がする。

ドーンとか、そういえば私はゴッドフラワーを出すことだけしか考えてなかったけどゴッドフラワーと同時に何か他の物を、ゴールを土台にすれば何か出せるんじゃないかな?

「円堂さん、ありがとうございました」

「え?え?何が?」

「いまの会話から必殺技のヒントいただきました」

「そうなのか?それなら役に立てて良かった。頑張れよ花瑞!」

 

次の日、早朝からサーフィンに出ていた円堂さんは午前中に正義の鉄拳を完成させた。

最初に右足を大きく空に突き立てるあの構え凄い勇ましい。

そして正義の鉄拳が完成したときのこと。

黒いボールが現れた。

「久しぶりだな、雷門!」

「決着をつけに来たわよ!雷門中、花瑞!」

マキュア! イプシロン“改”が現れたのだ。

ところで何故マキュアを除いて皆目が赤いんだろうか?

後、黒嶋さんが朝からいなくなっている。

 

 

黒嶋side

「ほら、始まるぞ」

オレンジ色のフードを被った男と妹を連れて大海原中の観客席に俺はいる。

「黒嶋はいかなくていいのか?」

「その時になれば行くさ」

頑張れよ、雷門中。

 

 

再び花瑞side

黒嶋さんがいないけど綱海さんが仲間になった。

 

 

 

FW リカ 花瑞

MF 立向居 一之瀬 鬼道 土門

DF 綱海 壁山 吹雪 財前 小暮

GK円堂

ベンチ 目金

 

来るところまで来たね…FWか

 

「さあ!試合が始まりました!実況は私、角馬でお送りいたします!イプシロン改からのキックオフ!マキュアが一人で攻めていく!」

 

「勝負!花瑞ぃぃ!」

来たわねマキュア!

「ゴッドフラワー!」

今までより速くなってるけど、私だって強くなったの!

「甘いよぉ!サザンクロスカット!」

一瞬だった、一瞬のうちに私の後ろまで移動したマキュア、私がゴッドフラワーの花の上でそれを見た瞬間、ゴッドフラワーの根本から十文字の炎が出てきた。

「因縁のマキュアと花瑞の対決は花瑞が破れました!」

 

「行かせるか!ボルケイノ…」

「遅い!」

「あっと、土門!必殺技を、出す間もなくやられた!」

「ザ・タワー!」「旋風陣!」

「メテオシャワー!」

「「うわぁぁぁ!」」

「財前、小暮も軽々突破!なんという力だマキュアぁぁ!」

「くらいなさい!」

あの構え、たしかガイアブレイク!でもマキュア一人では…

「ガイアブレイクミドル!」

「なんとマキュア!前回円堂を突破したガイアブレイクを、威力そのままに一人で撃ちました!」

「正義の鉄拳!」

「しかし円堂ここは新必殺技正義の鉄拳で守りました!」

「よし!いけるぞ!じいちゃんの究極奥義はすげぇや!」

円堂さんもガッツポーズをして喜んでいる。

私は、今度こそ勝たないと!

私のライバルマキュアに!




マキュア「ねえ、土下座で済むと思ってる?」
筆者「ちきしょー!こんなミスなかったらめちゃくちゃマキュア期限良かったのにぃぃ!」
ヒロト「せっかくメテオシャワー落ち卒業かと思ったのにね」
マキュア「じゃあメテオシャワーはやめとく?」
筆者「え、ほんとに?」
マキュア「その代わりに、ガイアブレイクミドル!」
ヒロト「筆者はガイアブレイクミドルのボールとさ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!イプシロン改

すいません、なんかひとつ前に作ってたやつ出てません。
なんとかします。


正義の鉄拳で弾いたボールは綱海さんが拾った。

「頼むぜリカ!」

「任しときぃ!ってきゃぁぁ!」

「パスを受け取った直後!ゼルがボールを奪い去った!」

ゼルとメトロンがパスを回して攻めてきた!

まずい!あのままだと三人でガイアブレイクを撃たれる!

「ガイアブレイク!」

「今度は三人のガイアブレイクだぁ!威力は先程の比ではありません!」

「正義の鉄拳っ!うわぁぁ!」

入っちゃう!

「させるか!」

「おおっと綱海横っ飛びファインセーブ!」

「はぁ、はぁ正義の鉄拳が…」

円堂さんが落ち込んでいる、それもそうか。究極奥義がこんなにも早く破られたんだもん。

「円堂ガッカリすんな!まだ失点した訳じゃねえだろ!」

綱海さんに励まされる円堂さん、綱海さんはボールを一之瀬さんに渡した。

「リカ!」

一之瀬さんからリカさんにボールが渡った、シュートチャンスが回ってきた。

「ローズ…スプラッシュ!」

「ワームホール」

しかしデザームのワームホールでガッチリ守られた。

「私が求めているのはお前だ!」

デザームは吹雪さんの元に誰も寄せ付けない強力なボールを渡した。

「吹雪さん!流されちゃダメです!」

「そうだ吹雪!自分のやり方でいいんだ!」

「そんなの…わかってるよお!」

私の前を過ぎ去った吹雪さんの目は、アツヤさんのものだった。

「エターナルブリザード!」

「ドリルスマッシャー!」

デザームのドリルスマッシャーはエターナルブリザードを完璧に守った。

「エターナルブリザード!」

「ワームホール!」

ワームホール?技のレベルを下げてきた、それでもエターナルブリザードを守った。やっぱり吹雪さん…

ダメだ!このままだと吹雪さんも壊れちゃう!

「エターナルブリザードぉぉ!」

今度は、デザームは技すら使わなかった。

それでもエターナルブリザードは勝てなかった。

「…この程度か。期待していたのだがな」

ダメ!それ以上言っちゃダメ!

「お前はもう必要ない」

その瞬間、吹雪さんの中の何かが壊れた。

「吹雪さぁぁん!」

倒れた吹雪さんを抱えてみると目がどちらのものにもなっていなかった。

「選手交代!吹雪君に変わって立向居君。吹雪君を早く手当てして」

デザームぅぅ!許さない!よくも吹雪さんを!吹雪さんおぉぉぉ!!

「(ふふ、亜風炉花瑞と言ったな、情報によれば怒れば怒るほど強いシュートを撃てるというじゃないか)さあ来るのだ!亜風炉花瑞!」

言われなくても!吹雪さんの敵討だ!

「やめろ花瑞!お前まで乗せられるな!」

鬼道さんの静止を振り切り、試合再開と同時に私にボールが回った。

 

「喰らいなさい!女神の逆鱗!」

 

【挿絵表示】

 




マキュア「で、次回に続くと?」
筆者「そうだが?」
マキュア「挿絵入れてるんだし続けりゃいいのに」
筆者「次回のお楽しみを作らないとね」
マキュア「これは少年マンガじゃないんだよお!」

ヒロト「マキュアもツッコミ役で固定かな?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決着!イプシロン改 (前半戦)

私は今まででも一二を争うほど怒っている。

吹雪さんをここまで苦しめたんだ、デザームあなたを許さない!

「女神の逆鱗!」

吹雪さんの仇だ!

「ドリルスマッシャー!」

届け!ゴールに届いてぇ!

「花瑞渾身の女神の逆鱗!しかしデザームのドリルスマッシャーを破れなかったぁぁ!」

「そん…な…」

「花瑞ショックで立ち上がれない!」

私じゃ力不足なの?吹雪さんの仇は取れないの?

「デザーム今度は一之瀬にボールを渡した!そして一之瀬のシュートも止めたぁ!」

私の全力なのに…私じゃ、私じゃ力不足なんだ…

「いつまでそこで落ち込んでる気なの?」

この声は…

「マキュア?」

「私は貴女にリベンジするため、その気持ちだけでここまで強くなったの!それなのにあんたが全力出せないなんて、そんなのマキュア認めない!」

まさか敵チームの選手に元気付けられるとは…

「わかりました、私は私の出来ることを全力でやります。今度は抜かせないよ」

「そうこなくっちゃ、ウジウジしてるあんたはマキュア嫌いよ!」

コートを見渡すと、ボールはデザームが持っていた。

デザームはそのボールをサイドラインから出しポジションチェンジを審判の古株さんに伝えた。

「いいか円堂守!この試合、最初に点を取るのはこの私だ!」

GKはガイアブレイクのメンバーでガニメデプロトンも使うゼルが入った。

さあ、デザームはフィールドプレイヤーとしても強いのか?あれだけの自信だ、下手したらマキュアより強い。

予想は当たっていた。

メテオシャワーで一之瀬さんと鬼道さんを突破した後、突然地面の中にデザームが消えたかと思ったらボールが上からシュートされていたのだ。グングニルと言うその技は意図も容易く正義の鉄拳を破りゴールネットに突き刺さった。

「ゴーール!先制点はイプシロン改です!」

試合再開、リカさんにボールを渡すと同時にリカさんが吹っ飛んだ。

デザームがボールを奪っていた。

「グングニル!」

初見だった先程とは違い準備が出来たDFの壁山さんと財前さんがザ・タワーとザ・ウォールでシュートのパワーダウンをし、正義の鉄拳で威力の落ちたグングニルを弾いた。

しかしボールが地面につく前にマキュアがボールを取った。

「ガイアブレイクミドル!」

「正義の…」

円堂さんは体制が整わず二点目を奪われた。

これ以上点を取られたら勝ち目が無くなる。

雷門のポジションが変わり

FW リカ

MF 一之瀬 鬼道 立向居

DF土門 財前 花瑞 壁山 小暮 綱海

GK円堂

ベンチ 目金

と言う普通あり得ない超ディフェンス型に変わった。

デザームのメテオシャワーをゴッドルーツで耐え凌ぎボールを奪い、前衛に回そうとすればマキュアがカット、ガイアブレイクミドルをゴッドフラワーでシュートブロックし、サイドバックの綱海さんにパスを出し辛うじて前衛に回したがイプシロン改のDF陣を崩せない。

チーム全体の体力が残り少ない。

防戦一方の私達は消耗しきっていた。

メテオシャワーは異常なほど体力を奪い、小暮君が立てないでいる。

MF、FWもゴール前に駆け付けて失点だけはしないようにしている。

「グングニル!」

今度のグングニルは一之瀬さんとリカさんが円堂さんを後ろから支え、土門さんのボルケイノカットによるパワーダウンで防いだ。

 

五分後、立っているのは私と円堂さんだけ。

マキュアが攻めてきた。

「サザンクロスカット!」

あれを、あれを攻略するには何が必要なの!

「ゴッドルーツ!きゃぁぁぁ!」

「いただき!ガイアブレイクミドル!」

円堂さんの今の体力じゃ止められない!

「たぁぁぁ!正義の鉄拳!」

防いだ。そうだよね、この根性と熱血が円堂守。雷門中のキャプテンなんだもん。

弾いたボールはデザームの元に。

「グングニル!」

「正義の鉄拳!うわぁぁ!」

まずい!入っちゃう!

「させるかぁぁぁ!」

「おおっと!倒れていた綱海が横っ飛びファインセーブ!しかしこれで本当に立てそうにもない!」

「綱海さん!」

「前見ろ花瑞!次来るぞ!」

「グングニル!」

「ゴッドフラワー!」

威力は抑えたけど、円堂さんお願いします!

「正義の鉄拳っ!」

弾いたボールはマキュアに、そして私の前にマキュアは来た。

「これで決着よ!サザンクロスカット!」

理屈なんて要らないのかもしれない。熱血、根性。たまには頼っていいよね?

「ゴッドフラワー!」

耐えてみせる!ここで耐えないと、前半終了前に希望が無くなる!

「おおっと花瑞、先程破られたゴッドフラワーで防ぎました。」

「甘いぞ!」

「しかしデザームがすかさずボールを奪ったぁ!」

しまった!私は間に合わない!

「終わりだ雷門!グングニル!」

「てやぁぁぁ!正義の鉄拳っうわぁぁ!」

その時、一人の男が顔面ファインセーブをしたのを私は見た。

「土門さん!!」

「へへ、花瑞は知らない話だが昔もやったことあるし馴れてるさ」

ここで長い長い前半が終わった。

 

0-2

立てるのは、私と円堂さん、目金さんだけ。

 

 

黒嶋side

この試合を観戦している黒嶋さんはオレンジのパーカーを来ている男に話しかける。

「そろそろ、準備が出来たみたいだぜ」

「そうか?今まで本当にすまなかった」

「お別れみたいに言うなよ、俺も行くんだ」

 

そうさ、俺は雷電さんに助けられたように自分も人助けがしたいだけさ。

 

 




筆者「マキュア怒ってる?」
マキュア「怒って無いよ?」
筆者「ほんとに?」
マキュア「怒って無いよ?ってかちょっと何少し古いこと言わせてるの!」
筆者「えいえい!怒った?」
マキュア「ガイアブレイクミドル!」
筆者「いやぁぁぁ!」

ヒロト「時代をひとつ遅れて乗るこの筆者をお許しください」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決着!イプシロン改 (後半戦)

「いてててて」

先程の顔面ファインセーブにより土門さんが負傷、後半戦からさらにポジションを変えて。

FW リカ 目金

MF 鬼道 一之瀬 立向居

DF 小暮 壁山 花瑞 財前 綱海

GK 円堂

となった。

ハーフタイムに何とか体力を回復して立ち上がったみんなだったけど 、その僅かな体力をデザームはあっさりと奪い去った。そして瞬く間に三点目のピンチになった。

「今度こそ決めるぞ!グングニル!」

「ゴッドフラワー!」

「正義の鉄拳!」

ゴッドフラワーのシュートブロックと正義の鉄拳でボールを弾く、しかし味方にボールを取れる人は残っていなかった。

「ガイアブレイクミドル!」

取る人のだれもいないボールをマキュアが取り、そのままシュートを撃ってきた。

「ゴッドフラワー!」

ゴッドフラワーによりボールがゴールから軌道を外し、コーナーキックになった。

 

もうどうしようもないと思ったとき、その男達は現れた。

「選手交代だ!」

一人は今グラウンドに響き渡る声で選手交代を叫んだ黒嶋さん。

そしてもう一人、オレンジ色のフードを被っており正体のわからなかった男、そのフードが投げ捨てられたとき伝説のストライカーが帰ってきたことを告げたのだった。

「豪炎寺!」

円堂さんが今までの疲れが吹き飛んだように笑顔で叫ぶ

「待たせたな、円堂」

「お前はいつも遅いんだよ!」

 

FW 豪炎寺 目金

MF 鬼道 一之瀬 立向居

DF 小暮 綱海 花瑞 壁山 黒嶋

GK 円堂

 

豪炎寺さんと黒嶋さんが登場したことにより皆に活力が戻った。

再び立ち上がった皆とまずはこのコーナーキックを防がねばならない。

メトロンが蹴りあげたボールはデザームがスタンバイしていた上空に見事な軌道で飛んでいく。

「甘い!」

しかしそのボールがデザームに渡る前に黒嶋さんが空中でパスカットをした。

「行かせない!」

マキュアのディフェンスを持ち前のボールコントロールで巧みに躱し、イプシロン改のMF陣を突破しゴール前の豪炎寺さんにボールを渡した。

「ファイアトルネード!」

凄い、あれが炎のストライカー豪炎寺修也…心強くて、あの人が来ただけで全てが変わった。

このファイアトルネードはゼルのワームホールを破り、それを見たデザームはGKに戻った。

試合再開、マキュアの実力はそんな豪炎寺さんともほぼ互角だった。

豪炎寺さんを避けるためにサイドからにはなったが、マキュアが自身のシュート圏内に接近してきた。

「ワンダートラップ!」

サイドバックの黒嶋さんがマキュアからボールを奪った。

豪炎寺さんにパスを出すと思ったのだが、今度は黒嶋さん自身がシュート体制に入った。

「烈風ブラスト!!」

黒嶋さんの放った烈風ブラストは今まで一度も破られなかったドリルスマッシャーを粉砕し、同点ゴールになった。

 

「負けてたまるかぁぁ!」

試合再開と同時にまたマキュアが単独で攻めてきた。

今度は豪炎寺さんを突破し、DFのど真ん中の私の前に来た。

「サザンクロスカットぉぉ!」

「ゴッドフラワー!」

ギリギリ、ギリギリだけどゴッドフラワーが耐え抜きボールを奪った。

「鬼道さん!」

私はボールを鬼道さんに渡し、鬼道さんはそのボールを豪炎寺さんに渡した。

「「決めろ!豪炎寺!!」」

 

「はぁぁぁ!爆熱ストーム!!」

豪炎寺さんの新たな必殺技爆熱ストームは、烈風ブラストより意図も簡単にドリルスマッシャーを破り、試合はそのまま終わり逆転勝利した。

 

 

「負けた!でも、マキュア楽しかった!」

マキュアが私に手を差し出してきた。

「試合中、私を励ましてくれてありがとう。敵だったけど、マキュアはいい人だった」

「わ、私は全力のあなたを倒したかっただけよ!」

マキュアは照れて手を引っ込めた。

「負けた…けど、楽しかったぞ円堂守」

デザームと円堂さんの方も試合が終わり、握手をしようとした瞬間だった。

 

「何をしているデザーム、貴様は負けたのだぞ?」

白い髪の見知らぬ男、その後ろには10人の人影も見える。

まさか…これもエイリア学園のチームなの!?

「さあデザーム、消えてもらうぞ」

その白い髪の男の持つ黒いボールから放たれた光はイプシロン改、そしてマキュアの前にいた私さえも巻き込もうとしていた。

「離れて花瑞!」

その光に包み込まれる直前、マキュアが私を突き飛ばした。

私がマキュアの方を見たときには、もうマキュアも、イプシロン改のメンバーの姿も無くなっていた。

 

「我々はエイリア学園マスターランクチーム、ダイヤモンドダスト。私はキャプテンのガゼルだ。雷門中、今度会うときは我らが貴様らを叩き潰す。覚悟しておけ。」

そう言うとダイヤモンドダストは姿を消した。

 

マキュア…私、あの子がいたから頑張ってたところがあった…

もしマキュアがエイリア学園じゃなかったら、きっともっといい仲間、ライバルになってたと思う。

それだけに悲しい。これから待ってるのは私を騙していたヒロトさん、皆を騙していたバーン、今マキュア達を消し去ったあのガゼルの少なくとも三チーム。

私…何のために戦えばいいのかな…?

 

 




マキュア「だーーかーーーらーー(怒)」
筆者「更新が遅かったこと、誠に申し訳ございませんでした」
マキュア「マキュアじゃなくて、見てくれている方々に謝りなさい!」
ヒロト「結局筆者は、マキュアに散々メテオシャワーを喰らった後、意識の朦朧とした中土下座をしたとかしないとか…」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

女神の苦痛

イプシロン改との試合の後、私達は雷門中のある東京に戻っていた。

今日は一日休みになったけど、東京出身じゃないメンバーはどこにいけばいいと困っていた。円堂さん達が泊めてくれると言うのだけど、私は関東出身だしお父さんの病室に久し振りに顔を出そうと思っていたのだけど…

エイリア学園のボールが私達の前に現れた。

先日のダイヤモンドダストがフットボールフロンティアスタジアムでの試合を申し込んできた。もし、試合を拒否した場合東京を無差別に攻撃すると。

私達は急いでフットボールフロンティアスタジアムに向かった。

私達が着いた時にダイヤモンドダストはいなかった。しかし、何もない空間からダイヤモンドダストは現れた。そして、前置きも無しに試合が始まる。

 

FW 豪炎寺 リカ

MF 立向居 鬼道 一之瀬 綱海

DF 土門 財前 花瑞 壁山 黒嶋

GK 円堂

ベンチ 目金 小暮 吹雪

 

キックオフ、リカさんからボールを受け取った豪炎寺さん。ダイヤモンドダストはゴールまでのルートにいる全ての選手を避けさせた。これは間違いなく豪炎寺さんに対しての挑発だ。

豪炎寺さんはセンターサークル付近から左上のポストギリギリの場所を目掛けてシュートを放った。豪炎寺さんの蹴ったボールは狙い通りの所に吸い込まれていく。通常、このコースにシュートされればGKは止められない。

しかし、相手のGKはそれを止めてしまった。しかと次の瞬間には、ボールをこちらのゴールまで投げで飛ばしてきた。

これがダイヤモンドダスト、私達の気持ちを不快にさせるような試合をしてきている。

相手キーパーの投げたボールをキャッチした円堂さんはそのボールを豪炎寺さんに渡そうとするが、前衛の選手はマークされておりパス出来なかった。

私はそのボールを受け取り、早く前衛にボールを回したいという気持ちから、妙にマークの手薄だったリカさんにボールを渡した。

「フローズンスティール!」

相手のDFがリカさんの足を狙ってスライディングを仕掛けた。リカさんは避けること後できず吹き飛んだ。私がパスを出したから…リカさんは始めから相手に狙われていたんだ……

弾かれたボールを綱海さんがコート外に出そうとしたのだけど、ガゼルがそのボールを奪っていった。

「これが全てを凍らせる力だ!」

私の正面にまで一気に攻め込んできたガゼルは、強いボールを蹴り私の胸に当て、打ち上がったボールを雷門ゴールにシュートした。通常のシュートだった。しかし、円堂さんの正義の鉄拳は破れた。

 

私、足手まといになってるんじゃないの…?

 

負傷したリカさんがベンチに下がり、小暮君がフィールドにディフェンダーとして入った。

小暮君は私とポジションを交換する形となり、私はFWになった。

 

 

 




マキュア「前回からの更新ペースとしては文句無し」
筆者「マジで?」
マキュア「マキュアは嘘はつきません!」
筆者「よっしゃぁ!」
マキュア「だけどタイトルにセンスが無いからメテオシャワーね☆」
筆者「理不尽すぎやろ」
ヒロト「このあといつも通りの展開になった」 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

女神と神

0-1で再び試合再開、ボールを豪炎寺さんに渡した私は豪炎寺さんと反対となる右側から敵陣に攻めこんだ。

豪炎寺さんがやや遠距離から爆熱ストームを放った。相手のGKはアイスブロックという必殺技で軽々と止めた。

止めたボールを私に渡してきた。なんか、デザームと似たようなことをしてくる…

「女神の逆鱗!」

「アイスブロック」

私のシュートも軽々と止められてしまった、相手のDF(クララ)に渡されたボールをゴッドルーツで何とかカットしたとき、ボールは勢いよくコートの外に飛び出してしまった。

攻撃も守備もダメ…こんなんじゃ私皆の力になれない…

ボールを拾いに行こうとした時、そのボールは勝手にコートに帰ってきた。

不思議に思いボールが帰ってきた方向を見たとき、思いがけない人物がそこに立っていた。

「お兄ちゃん!?」

「久しぶりだね、花瑞、そして雷門中」

私の兄、亜風炉照美。通称アフロディ。

かつてフットボールフロンティアで神のアクアというドーピングを行った世宇子中のキャプテン。

本当は影山の手により幼いときに拉致された被害者。

フットボールフロンティアの後、もう会えないかと思っていた兄が、今目の前に現れたのである。

「何しに来たんだアフロディ!」

円堂さんが珍しく攻撃的な口調で話しかける。

「僕は、君達と共に戦いに来たんだ」

お兄ちゃんから放たれたその言葉により、雷門中初期メンバーと私に衝撃が走った。

「俺達がお前を信用出来ると思うのか?」

鬼道さんもお兄ちゃんに良い印象を持っていないらしい。私は鬼道さんとお兄ちゃんの間に入った。

「鬼道さん、みなさんもどうかお兄ちゃんを信じてあげてください!お兄ちゃんだって、元はといえば影山が…」

「心配すんな花瑞、俺はアフロディを信じるぜ!」

円堂さんがそう言うと、皆も納得してくれた。

 

FW 豪炎寺 アフロディ

MF 土門 鬼道 一之瀬 綱海

DF 財前 花瑞 壁山 黒嶋

GK 円堂

ベンチ 目金 小暮 吹雪 リカ 立向居

 

フォーメーションを上のものに改めて試合は再開した。

ダイヤモンドダストはスローインから左サイドに攻め込んできた。しかしこれを土門さんがボルケイノカットで防いだ。その時お兄ちゃんはフリーになっていた。私は土門さんがパスを出すと思っていたのだけど、土門さんはパスを一瞬躊躇い、その隙にボールを奪われてしまった。

一ノ瀬さんも、フレイムダンスでボールを奪うもマークの厳しい豪炎寺さんの方にパスを出した。

やっぱり最初からいる雷門中皆はまだお兄ちゃんを信用しきれてないみたい。

いくら豪炎寺さんでもマークの厳しい状態では満足にボールをキープできず、奪われたボールはガゼルに回った。

ディフェンスの中央の私は再びガゼルと対決することになった。今度は負けません!

「ゴッドルーツ!」

ガゼルは数本の根を回避したが、ボールが一本の根に当たり綱海さんの方に転がっていった。

「やらせるか!」

ガゼル自身は根にやられなかっため、即座に転がったボールを追い掛けた。

正直に言うと噛み合っていない今の雷門のリズムを、綱海さんは変えてくれた。

ようやく、お兄ちゃんにパスが通ったのだ。海よりも心の広い男は、どんな悪い流れも変えてくれるようです。

お兄ちゃんは得意のヘブンズタイムで敵を寄せ付けず、豪炎寺さんとのワンツーパスまで決めて、あの時を遥かに凌駕する威力のゴッドノウズを放ち、試合を振り出しに戻してくれた。

 

やっぱり、お兄ちゃんは凄い人です




マキュア「風邪引いたんだって?」
筆者「うん」
マキュア「こんなことしてないで寝てなさいよ!」

ヒロト「あれ?いつもとなんか違うな」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ダイヤモンドダスト 後半戦

試合は1-1のまま後半戦に突入し、フォワードの豪炎寺さんとお兄ちゃんはダイヤモンドダストの厳しいマークを受けていました。

こうなったらミッドフィルダーやディフェンダーで何とか点を取るしかありません!

ゴッドルーツでボールを奪った私は、鬼道さんにボールを渡し壁山さんと財前さんを後ろに残して全員で攻め上がった。

鬼道さんがダイヤモンドダストのMFリオーネにボールを奪われるも、横からスライディングで一ノ瀬さんが奪い、右サイドから駆け上がってきた黒嶋さんにボールを渡した。

「烈風ブラスト!」

「アイスブロック!」

あの黒嶋さんの烈風ブラストも止められてしまった。

まだ得点の可能性があるのは合体技、それかなんとかして豪炎寺さんかお兄ちゃんのマークを外すか?

 

GKの投げたボールはガゼルに渡った。

「ゴッドルーツ!」

今度はガゼルが仲間にパスを出して私のゴッドルーツを突破した。

しかし、パスを出した先で土門さんがボルケイノカットでボールを奪った。

その時、私の前を横切った人物がいた。

GKの円堂さん。

「うおおお!ザ・フェニックス!」

一ノ瀬さん、土門さん、円堂さんの合体技なら…

不死鳥をバックに天高く飛んだボールは、三人の足に届く前にダイヤモンドダストに奪われてしまった。

壁山さんと財前さんが残っているとはいえ、ゴールは空いている!

何とかボールを奪おうとスライディングをかけたのですがボールはガゼルに回され絶体絶命のピンチに…

なる前にお兄ちゃんがパスボールをカットし、ボールはサイドラインを割った。

やはりGKの円堂さんが攻撃に入るというのは危険すぎる気がする。

しかし、もう時間が無くなってきている。

一点取ってしまえばそれで試合が決まると言っても過言ではない状態。

綱海さんがボールを奪うと再び円堂さんが飛び出してきた。

今度は鬼道さん、豪炎寺さん、円堂さんによる三人技。

「イナズマブレイク!」

しかし、これも三人がボールを蹴ろうとした瞬間にボールを奪われてしまう。

「不味い、何とかしてボールを奪うんだ!円堂君は早くゴールへ!」

お兄ちゃんが指示を出し、綱海さんと私でボールを奪いに行くが、パスを出され避けられる。

パスカットを狙っていた黒嶋さんより早くボールを取ったガゼルがその場からロングシュートを撃とうとしていた。

「ノーザンインパクト!」

ペナルティエリア内に戻りきれなかった円堂さんはいつもの調子で正義の鉄拳をしようと上げた足を下ろし、おでこであのシュートを迎え撃った。

誰もが入ってしまう、場合によっては円堂さんが無事じゃない、そう思った。

しかし、結果は円堂さんのおでこから現れた拳のオーラがシュートを弾き、その瞬間試合終了のホイッスルがなり引き分けという形で終わった。

円堂さんの最後に出したあれは何だったのか?

 

 

 

 

 

 

 

 




マキュア「治ったなら早く続きを出しなさいよバカ!」
筆者「うわぁ!いつものマキュアに戻ってるぅぅ!こんなんならずっと風邪がいいぃぃ!」
マキュア「そんなこと言ってる暇があったら文字を打ち込む!ほらほら!」

ヒロト「きっとあれは筆者が熱で見た夢だったのさ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雷門大改革1

ダイヤモンドダストとの試合が終わり、私達は今帝国学園のグラウンドに来ています。

何があったかと言いますと、試合が終わるや否や鬼道さんが帝国学園に行くことを監督に提案し、それが通ったんです。まだ何をやるのかは聞いてないのですが…

 

「円堂、土門、デスゾーンをやるぞ」

「デスゾーン?円堂のじいさんのノートに書かれてる技を練習した方がいいんじゃないか?」

「いいや、デスゾーンだ」

「よし、やろうぜ鬼道!」

 

どうやらデスゾーンという技の練習をするようですね。

そして私にもちょっと大変なことがありまして、立向居君と二人でGKの練習をするんです。

これも鬼道さんが言ったことなんですが円堂さんがリベロになるので空いたGKを誰かが埋めないといけなくなりまして、まず候補に上がったのが立向居君なんですが、黒嶋さんと財前さんにより私も候補に出たんですよね。

それで現在私は黒嶋さん相手にGKの練習をしているんです。

「烈風ブラスト!」

あの沖縄でやった技のイメージを、思い出せ!思い出せ!

ゴールに、つたを巻き根を長く生やし…

「ゴッドルーツ!」

烈風ブラストを弾いたけれど、まだ足りない。せめて手加減無しの烈風ブラストを守れるようにしないと。

 

「烈風ブラスト!」

ゴッドルーツを何層もゴールに絡めて、ゴール全体を根で覆う。これで守れるかな?

結果はダメでした。技としては完成形に近そうなんですが威力はむしろ下がっている。

もっと大きく、むしろ今まで考えていたことを白紙撤回するくらいの発想をしないと。

 

守る物、凄いものと言ったら何?壁、門、城?それなら…

「烈風ブラスト!」

ゴールを支柱に、築き上げるんだ。決して破られない言うならば要塞!

「ゴッドフォートレス!」

ゴールを支柱にして下から盛り上がって出てくる神々しい建造物、その物々しい壁の前に二つのゴッドフラワーがボールを迎撃しようと立っていた。

二つのゴッドフラワーと強固な壁により、烈風ブラストは完全に止まった。

「やったな花瑞、あれは間違いなく通用す…どうした花瑞?」

ヤバい、今の技めちゃくちゃ体に負担が掛かる。ゴッドフラワー二つにゴッドルーツとかの負担まで一辺に掛かるのかな…とりあえず、立っていられないほどの疲労感に襲われた。

とりあえず、GKの話は辞退しよ。

黒嶋さんにおんぶして運んでもらい、ベンチで横になって休んでいると、未だに心の傷が癒えない吹雪さんが話しかけてきた。

「花瑞ちゃんは凄いよね…守りも攻めも出来るし、完璧な選手だよ」

まだ呼吸の荒い私は何も返答できなかった。

「あっ、ごめんね。まだ疲れてるよね。今のは気にしないでいいよ」

 

 

その時他の皆は、鬼道さんが呼んだという帝国学園の選手と練習試合を行うところだった。

 

ところで、黒嶋さんに運んでもらってからというもの、妹さんのオーラが妙に怖いのは何故でしょうか…

 




筆者「ほら、やってやったぜ!」
マキュア「内容の濃度は大丈夫なの?」
筆者「いつもと同じくらいのはずだ」
マキュア「言っとくけど、普段もあんまり内容濃いとは言えないからね」
筆者「ウッソだろおい!?」

ヒロト「多分ほんとなんだよなぁ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雷門大改革2

体力がある程度戻ってきたので、体を起こして帝国学園と雷門中の練習試合を見ようとしたのですが、円堂さん、鬼道さん、土門さんが帝国のユニフォームを来ていたので驚きました。

そして、試合が始まると帝国の皆さんと鬼道さんがアイコンタクトも無しにバックパス等を行っているのを見てその信頼関係に雷門のユニフォーム以外を着ている三人の姿以上に驚かされました。

そして、いよいよデスゾーンを撃つという時に問題が発生したんです。

「これが、デスゾーンだぁ!」

三人の力が足されたボールは最初こそ凄い力を感じたのですが、GK立向居君が未完成のムゲンザハンドを使う頃には通常のシュートの威力にまで落ちていたんです。

「うっ!?」

そして、着地した土門さんからその声は聞こえました。

 

怪我をしているようなので手当てをしようと救急箱を木野さんが持ってきたのですが、どうやらこの怪我はダイヤモンドダスト戦の時に負っていたようなんです。

動きに支障が無いからと誰にも伝えずに続けていたら、三人のタイミングを合わせ力を増幅させるデスゾーンにより怪我が悪化し、少しの間プレー出来ない状態になってしまったようです。

 

「ひとつ気付いたことがあるんだ。元々雷門の円堂、帝国の鬼道、その中間の俺だとどうしても完全にリズムが合うというわけにはいかない。それならいっそ、デスゾーンの回転をバラバラにやってみたらどうだ?」

手当てを終えた土門さんが鬼道さんにそう話すと

「なるほど、だがお前は自分の体を大事にしろ。デスゾーンはお前の体が治ってからだ」

と、鬼道さんが言ったところで土門さんが妙案を出したんです。

「ここはあえて、俺じゃない、雷門のリズムでも無い人を入れてみないか?」

「何?……なるほど、面白いかもしれないな。それで誰にする?花瑞か?財前か?綱海か?」

「俺は黒嶋がいいと思う」

「なるほど、確かに土門と同じポジションで早さも充分。尚且つオフェンスにも普段から参加している黒嶋なら適任だな。早速聞くとするか」

 

黒嶋さんとの話し合いは、あっさりと黒嶋さんが承諾してくれた為練習に支障もありませんでした。

 

 

黒嶋さんの適応力は流石としか言えませんでした。三回目の練習でデスゾーンを完成させてしまったのです。自分達のタイミングで回転する。その方法に変わったことも途中から参戦した黒嶋さんの負担を減らしたんでしょう。

 

立向居君も何かコツをつかんだようで、後ろから何本かの手が見えるようになってきました。

 

あれ、私全然成長出来てない?

 

 




マキュア「感想来てやる気起こしたようね」
筆者「やっぱ嬉しいもんだ。見るまではダメ出しされないか心臓バクバクだけどな」
マキュア「このやる気を常にだして欲しいんだけど?」
筆者「よ、よーし頑張るぞー(メテオシャワーを喰らいたくない為の嘘)」
マキュア「それ、嘘よね?マキュア嘘つきキライ!メテオシャワー!!」


ヒロト「皆様も嫌なことから逃げるために嘘をつかない方がいいですよ。そのうち自分に帰ってくるからね。(この人の場合速達だったけど)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カオスの挑戦状

デスゾーンを完成させた円堂さん、鬼道さん、黒嶋さんはその日のうちに、デスゾーン2にパワーアップすることに成功しました。

その時、あのボールが空から現れたのです。

 

「我らはプロミネンスとダイヤモンドダストが合わさった宇宙最強のチーム、カオスだ。雷門よ、我々の挑戦を受けてもらおうか!」

二日後、ここ帝国学園のグラウンドで勝負せよとのこと。勿論断ることの出来ない私達はその挑戦を受けました。

 

次の日、雷門のグラウンドに移動した私達は立向居さんと綱海さんはムゲンザハンドの完成を、円堂さん、鬼道さん、黒嶋さんはデスゾーン2の最終調整をするため抜け、豪炎寺さんとお兄ちゃんを中心に残ったメンバーで練習をすることになりました。

久し振りに受けたお兄ちゃんのゴッドノウズは私のゴッドフラワーを破り、私の放った女神の逆鱗は小暮君の旋風陣と財前さんのザ・タワーにより防がれてしまった。

やはり今の私は力不足…何をすれば改善されるの?

その後の練習は思うように行かず、その日の練習は終わりました。

 

その日の夜、お兄ちゃんが私を起こして二人で散歩に行こうと言いました。私はゆっくりお兄ちゃんと話せるかなと思い行くことに決めました。

夜の稲妻町は静かで、人通りも少なく、一人だったらちょっと怖いかもしれません。

「こうやってゆっくり話せる日が来るとは、正直思ってなかったよ。花瑞」

「私も、お父さんとお母さんからお兄ちゃんがいたことを言われるまでそもそも知らなかったしね」

「影山に目をつけられた僕は、影山に着いていくしかなかった。もしあそこで着いていかなかったら僕等は生きていないと思う。結局両親を守ることは出来なかったけど、花瑞、君だけは絶対に守りたい」

若干の回復を見せつつも未だ植物人間のお父さん、実はお兄ちゃんと今日少し病院に行ってきたんです。その時そういわれて希望は見えたのですが、やはりあんなことになったこと事態に責任を感じているみたい。私にだって、むしろ私の方が責任を負うべきなんだろうに。

「それでだ花瑞、今から僕の言うことを守ってほしい」

「何?」

「試合中、感情に支配されるな」

真剣な目だった。思い返すとお兄ちゃんは試合中あまり感情を出さない。

「女神の逆鱗、ポセイドンのゴールから始めて点を奪ったあのシュートは確かに凄い。花瑞が怒っているときはゴッドノウズの1.5倍の威力は出せる。しかし、怒っていない時の威力はゴッドノウズの0.7倍、暗い気持ちの時は0.5倍の威力。波があまりにもある」

実際はお兄ちゃんと私ではキック力に違いがあるから純粋な技の威力ではそれだけの差が生まれているけど、実際は怒っているときの私の女神の逆鱗とお兄ちゃんのゴッドノウズではお兄ちゃんに軍配が上がる。

「花瑞、君ならできるはずだ。そして、神のみぞ知れる領域に触れてほしい」

「神のみぞ知れる領域?」

「そう、そうすればプレーも安定する(花瑞はまだ中学一年生、そんなことはわかっているが、今のままだといつか感情に心を潰されてしまうだろう)」

「わかった。頑張ってみる!」

 

散歩を終えた私はその日いい夢を見た。

エイリア学園の皆と解り合えて、マキュアちゃん達とサッカーをするそんな夢だった。

もし本当にそうなったらいいな。

 

 

二日後、カオスとの試合が始まろうとしていた。

 




マキュア「良いペース良いペース、そのまま頑張れ頑張れ!」
筆者「出来れば“頑張れ♡”が良いな~」
マキュア「張った押すわよ?」

ヒロト「すぐ調子に乗るんだからこの筆者は全く」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS カオス バカ試合の始まり

新体制となった雷門のフォーメーションはこうなりました。

FW 豪炎寺 アフロディ

MF 一ノ瀬 鬼道 綱海

DF 財前 壁山 花瑞 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

ベンチ 土門 リカ 目金 小暮 吹雪

 

デスゾーン2を撃ちやすくするため鬼道さんたちが右に固まっています。

相手のFWはガゼルとバーン、確かに凄い強いと思うけど、絶対に負けられません!

 

試合開始と共に豪炎寺さんからボールを奪ったバーンはそのまま中盤を突破し早くも私の目の前に来ました。

「ゴッドルーツ!」

「ガゼル!」

私の技をガゼルにパスして回避し、ガゼルがノーザンインパクトで先制点を奪った。

さすがあの二人である。しかし、注意するべきなのはあの二人だけじゃなかった。

前回の戦いでボールを奪えたダイヤモンドダストの選手も一筋縄ではいかなくなっている。確実にパワーアップしていた。

そして、再びバーンにボールが渡り、

「紅蓮の炎で焼き付くしてやる!アトミックフレア!」

「ゴッドフラワー!」

シュートブロックを試みるも、花は無惨にも焼かれ、立向居君のマジン・ザ・ハンドも破られてしまった。

「立向居君!マジン・ザ・ハンドは使わないで!」

「な、花瑞さんなんでですか?」

「この試合でムゲンザハンドを完成させるために、これからはムゲンザハンドを使って!私達も頑張るから!」

「はいぃ!」

DF陣が奮闘するも、前半のうちに10点を奪われてしまった。

そして、11点目を奪われようとしたとき…

「アトミックフレア!」

私はゴッドフラワーでシュートのパワーダウンをするもこのままでは入ってしまう。

そんな中で立向居君は掴んだ。ムゲンザハンドのやり方を。

「ムゲンザハンド!」

遂に、ムゲンザハンドが完成した。そしてボールを止めたところで前半が終了した。

 

ハーフタイムに鬼道さんが私達に告げたのは、プロミネンスとダイヤモンドダストの選手同士の、特にプロミネンスのハチマキを着けているネッパーの自分のチームのみで勝とうとする気持ちである。

その穴をつけばボールを奪える。そう告げられた。

 

 

後半、その穴を狙った鬼道さんはプロミネンスの二人からのパスカットに成功し、デスゾーン2を放ち点を奪うことに成功しました。

勢いに乗った私達は、お兄ちゃんがゴッドノウズで三点、豪炎寺さんが爆熱ストームで一点、黒嶋さんが烈風ブラストで一点、円堂さんがメガトンヘッドで一点を奪い、7-10になりました。

 

このあと、試合の流れがまた変わりました。

恐らく、ガゼルとバーンも気づいたんだと思います。チームの中の溝に。

それを無くそうとばかりに二人で華麗なワンツーパスを続け二人で天高く飛んだのです。

「ファイアブリザード!」

ゴッドフラワーでパワーダウンをし、ムゲンザハンドで対抗するも破れてしまい遂に11点目を奪われてしまった。

 

反撃を試みるも、チームとしてまとまったカオスをの守りを破るのは簡単ではないです。

お兄ちゃんのヘブンズタイムもあのネッパーには通用せず、こちらの攻撃パターンを大きく削られました。

再びバーンとガゼルにボールが渡り、ファイアブリザードを撃とうと飛んだとき、綱海さんが飛んでボールを奪うことに成功しました。

綱海さんは豪炎寺さんにボールをロングパス、プロミネンスの太っている人のイグナイトスティールを回避し、シュートチャンスと思った瞬間、さらにダイヤモンドダストのフローズンスティールが豪炎寺さんに襲いかかり、イグナイトスティールを飛んで回避していた豪炎寺さんに避ける術はなくボールを奪われてしまいました。

あのディフェンスは簡単には崩せそうにありません。

 

「僕があのディフェンスを突破する」

お兄ちゃんがそう言いました。

「僕にボールを回してくれ」

 

お兄ちゃんならいけるかもしれない。

時間はまだある。あれを突破できれば、まだ勝てるかもしれない!

 

 




マキュア「あんたってタイトルのセンス無いよね」
筆者「だって点数バンバン入るしバカ試合じゃん!」
マキュア「だからって普通それをタイトルにする?他になかったの?」
筆者「じゃあマキュアならどうするよ?」
マキュア「炸裂!ファイアブリザード!」
筆者・ヒロト「まんまアニメのタイトルじゃないか!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS カオス 感情の暴走!

お兄ちゃんを信じて奪ったボールを全てパスしているのですが、挑戦すること五回、フローズンスティールがどうしても突破できません。見る見るうちにお兄ちゃんの体は傷付いていきました。

「大丈夫だから、僕にボールを!」

そして十回目、イグナイトスティールを回避し、フローズンスティールが来る一瞬の突いて、お兄ちゃんはついにあのディフェンスを突破したんです!

「ゴッドノウズ!」

これで点数は8-11

 

「やったねお兄ちゃ…お兄ちゃん!?」

シュートを撃ったお兄ちゃんはその場で倒れていました。

力を使い果たしたようです。

肩を担いでベンチに運ぶとき、改めてその体の傷付き方に驚きました。足なんて、よくこれでシュートを撃てたというほどに痛みつけられてアザまで出来ていました。よくも、よくもお兄ちゃんをこんなに!!

「監督、私をFWにしてください!」

「……いいわ、選手交代!アフロディに変わって小暮!」

 

FW 豪炎寺 花瑞

MF 一ノ瀬 鬼道 綱海

DF 小暮 壁山 財前 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

カオスのボールから試合再開、バーンに渡されたボールをゴッドルーツで奪い、そのまま一人で直進。

そして、あの二人のディフェンスが待っているところで私は飛んだ。

「女神の……逆鱗!!!」

私はあのディフェンスを突破出来るかわからない。ならばあのディフェンスの前でロングシュートをした方が確実。

「バーンアウトっうぉぉ!?」

9-11、まだまだ!

「女神の逆鱗!」

10-11

「女神のぉぉ!逆鱗!!!」

11-11

同点!後一点、逆転しないと!お兄ちゃんの分も、勝たないと!

試合が再開され、ガゼルに突破を許してしまった私は急いでゴールまで走っていった。

「ファイアブリザード!」

こうなったらあれしかない!絶対に負けられないんだから、私なんてどうにでもなれ!

「立向居君どいて!ゴッドフォートレス!」

二本のゴッドフラワーが炎と氷を消し、威力の無くなったボールは分厚い壁に弾かれた。

しまった、弾いたボールがまたガゼルに渡ってしまう!

再びファイアブリザードが撃たれようとしたとき、エイリア学園のあのボールが現れた。

そして、現れたのは

「ヒロトさん?!」

「もっと早く来るつもりだったのに遅くなっちゃった。それで、これはどういうつもりなんだい?バーン、ガゼル」

「俺は認めねぇ!お前がジェネシスの称号を手にしたことがなぁ!」

「往生際が悪いなバーン、ごめんね花瑞ちゃん、君のお兄さんの事、こいつらが傷付けちゃって」

あのボールが光り、再び視界が戻った頃にはカオスのメンバーもヒロトさんもいなくなっていた。




マキュア「凄い投稿ペース…」
筆者「今やらないとダメな気がするんだ!」
マキュア「う、うん頑張れ……」

ヒロト「マキュアちょっと引いてんじゃん」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

花瑞誘拐!

ヒロトside

 

あの二人め、勝手に混成チームを作って雷門中と対決するなんて何やってるんだ!

急いで止めに行かないと!

「これヒロト、待ちなさい」

「お父様!?」

何でお父様がこんな廊下にいるんだ、

そしてこんな時に何の用なんだ!

「ヒロト、前から気になっていたことだが、雷門の亜風炉花瑞に恋をしているな?」

「そ、それがどうしたと言うのですかお父様!」

「ヒロトの行動に影響が出ているようなのでね、最強チームジェネシスになったのだから、不安要素はあってほしくないのだ」

「そんなことより、今はバーンとガゼルを止めさせて下さい!」

「ふむ、わかりました。止めてすまなかったな。」

急がないと!あいつら何をするかわからないからな!

 

この時、急いでいて全く気付かなかった。お父様と、そしてもう一人の男が俺に隠れてあんなことを考えていたなんて。

 

 

花瑞side

試合は結局引き分けなのかな?

何て言うか、興奮が冷めて疲労がどっと体に襲いかかった。

やっぱあの技は体の負荷が酷い。どうしてもお兄ちゃんが心配だったので円堂さんにおんぶしてもらい病院に向かった。

 

「ふぅ、お兄ちゃん大丈夫?」

「僕の方は大丈夫さ。むしろ花瑞の方がボロボロなんじゃないのか?」

「ハハッ…」

「どうやら、僕の言ったことは守れなかったようだね…」

「ごめんなさい、どうしてもお兄ちゃんがボロボロに、されたのが許せなくて」

 

私が下を向いて黙っていると 、吹雪さんが来て「君、凄いね」とだけ言って戻っていった。

お兄ちゃんは私だけじゃなくて吹雪さんの方にも色々としていたらしい。

 

「花瑞、やっちゃったもんは仕方無いんだ!次頑張ろうぜ!」

円堂さんが私の肩を叩いて励ましてくれた。

これ以上お兄ちゃんに心配を懸けたくないし、私は笑顔でその場を誤魔化し、お兄ちゃんにおやすみと言った。

さよならや、バイバイって言うとまた会えない気がしたから…

病院の一回に着いたとき、病院の人から声を掛けられた。

「大変です!貴女のお父さんの状態が急に変化して、急いで行ってあげてくれませんか?」

お父さんが!?

急いで行かないと!

ここからなら電車を使えばそんなに遠くはないはず。

「円堂さん、私ちょっと行ってきます!」

「いや、俺も行くぞ花瑞!」

 

病院に着いた頃には、お父さんは死んでいました。

「花瑞…」

「一人にさせてくれませんか?出来れば、別の階にいて欲しいです」

「わ、わかった」

 

泣くところは見せたく無かった。私は少し冷たくなっているお父さんの手を握って泣いた。

どうして急にこんなことになったの?今度は何があったの?

ガラガラと、ドアが開く音がした。

円堂さんはいくらデリカシーが無いとはいえこんな時に開けるとは思えない…誰?

振り向くと、スキンヘッドでサングラスをしている不気味な男が三人いた。

「一緒に来てもらおうか」

 

「嫌、離してください!離して!」

必死に抵抗したけど、大人三人には勝てず手足を腕で拘束された。

「円堂さぁぁぁん!」

必死に叫んだ、その瞬間変なマスクを付けられ、急に意識が朦朧としてきた。

 

「花瑞!?大丈夫か!」

円堂さんの姿がうっすら見えた。

ここで私の意識が無くなった。

これは後になって知ったことだけど私はこのあと三人の男と共に突如光って消えたとらしい。




マキュア「花瑞はどうなるの!?」
筆者「言うわけ無いだろ!ネタバレさせる気か!」
マキュア「私にだけ教えなさいよ!」
筆者「わかったからそのボール仕舞ってくれよ!」
マキュア「で、どうなるの?」
筆者「読者の見れない裏で話そうな?」

ヒロト「このあとマキュアを焼き肉に誘い、機嫌を取ってから話したらしい」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

再開、ライバルよ イラスト有

目が覚めたとき、私の前に福耳の男性がいた。

「この娘が花瑞か、なるほどヒロトが惚れるわけですね」

「貴方は、誰ですか?ここは何処なんですか?」

目の前の男性から逃げようとしたが、手足は鎖で拘束されてて動けそうになかった。

「ここは星の使徒研究所、そしてその御方は吉良星次郎様だ」

横から現れたのはもう一人の男は肌が青白い長身で細身の男だった。

「研崎君、あれの用意は出来ているのか?」

「はい、いつでも使えます」

「ならばよろしい。花瑞君、君にエイリア学園の選手になって欲しいといったらどうする?」

「勿論お断りです!」

「わかりました。研崎君あれを持ってきなさい」

研崎という青白い肌の男性が持ってきた物は、無数のコードやチューブが繋がったヘルメットのようなものだった。

「エイリア石の力を応用し、人の心を操作する能力に特化させ生れた洗脳装置、これで貴女を変えさせてもらいます」

逃げたいけど逃げられない。せめて、この鎖が取れたなら!

「花瑞ぃ!」

聞き覚えのある声が私の名前を呼んだかと思うと、突如ボールが飛んできて私を拘束していた鎖を破壊した。

「御父様、これはどういうことですか!」

「お前がいけないのだぞヒロト、恋心にこの計画を邪魔されるわけにはいかないのでな。こちらにこの娘を引き込めばいいということになったのだよ。なぁ研崎君」

「そう、吉良様はヒロト君の為にやってくださっているのだ」

「その装置のことも知っているぞ!俺はそんな物で花瑞が仲間になっても嬉しくない。嬉しいはずがない!俺の好きな花瑞ちゃんは、サッカーをしているときのあの輝いた瞳、サッカーをしていないときのあの触ったら壊れてしまいそうな尊さ、そういうところにあるんだ!その装置を使えば、その人の精神は死んだも同然だ!」

ヒロトさんの熱弁に若干恥ずかしくなりつつ、私はどこか逃げ道は無いかを探していた。

「花瑞ちゃん!後ろにドアがある!ドアの外には俺が呼んだ護衛がいる!その人と逃げるんだ!」

「はい!」

私は走った。後ろから待てという言葉が聞こえたが構わなかった。ドアは自動で開いた。

「遅いんだから、早くしないと逃げ場が無くなっちゃうよ!」

この声は…

「マキュアちゃん!」

 

【挿絵表示】

 

「ふふん、とりあえず話は走りながらでお願いね!」

「あっ、あとマキュアにちゃんは付けないで!」

「わかったよマキュア!」

 

「ところで、イプシロンは消されたんじゃなかったの?」

「あんなの演出よ演出!ジェミニもいるわよ!」

マキュアは曲がり角に着く度に周囲を警戒しながら何があったかを話してくれた。

「驚いたわ、敗北したチームはまた使えるようになるために地獄のようなトレーニングを強制的に行うんだけど、さっき突然グラン様が現れてね。君は花瑞ちゃんと縁があるようだから、助けるのを手伝ってくれって行きなり言われたの」

マキュアの話によるとヒロトさんは本当に私の為に頑張ってくれているらしい。

「で、マキュアは花瑞を雷門に帰すための駒にされたって訳なんだけどね。もう戻る場所が無くなっちゃったんだよ」

私の脱走を手伝うことはエイリア学園を裏切ったことになる。

 

「シンニュウシャハッケン」

「しまった、見つかった!」

マキュアが警戒していたのはこれだったのか。

人のサイズのロボット。こんな技術力があるなんてそれだけでも驚きである。

「メテオシャワー!」

「ズガガ、シンニュ…ウ…」

マキュアは力業でロボットを止めた(壊した)

「今のロボットがうじゃうじゃいるから、下手に動けないの。私のデータは消されたようだから顔パスもできないし…あームシャクシャする!」

 

ヒロトside

「やってくれましたね、グラン」

「研崎、お前がお父様に唆したんだろ!」

「さあな、それより君にこれを使うことになるのが残念だ」

あれは、さっきの洗脳装置

「くっ!やめろ!」

「ジェネシスを乱されては困るのでな!」

「うわぁぁぁ!」




マキュア「やるじゃない!マキュアの出番がこんなところで来るなんて!」
筆者「そりゃずっとここに意味もなく置いておくわけ無いだろ?」
ヒロト「俺の待遇ちょっと悪くない?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!ジェネシス 1

円堂side

 

ちくしょー!花瑞を守れなかった!

一体どこに連れてかれたんだ!

けど、今はそればかり考えてられないんだ!

俺達は今富士の樹海に来ている。

遂にエイリア学園の本拠地に乗り込むんだ!

そんなときに明かされた衝撃の事実、瞳子監督がヒロトのお姉さんだったんだ。

そのことでドタバタしたけど、結局俺達は監督を信じた。

そして、星の使徒研究所というエイリア学園の本拠地に乗り込み、俺達はエイリア学園の奴等が本当はエイリア石の力でパワーアップした地球人だったことを知った。

 

俺達は、エイリア学園ジェネシスとの最終決戦を迎えたんだ。

瞳子監督からの指示はただひとつ。絶対に勝つことだ!

 

グラウンドに移動するとヒロト達がいた。

「ヒロト、お前の本心を聞かせてくれ」

「……」

ヒロトは何も答えなかった。

「グランはお前と話す気は無いようだ。早く試合を始めよう」

隣にいた青い髪の女の子が話の間に入り、強制的に試合開始の方向に進めた。

 

FW 豪炎寺 リカ

MF 一ノ瀬 鬼道 綱海

DF 小暮 壁山 財前 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

ベンチ目金 土門 吹雪

 

試合開始、やはりヒロトの様子がおかしい。

あいつは一応サッカーを楽しんでいた。今、目の前でやっているアイツのサッカーは完全に傷付けるサッカーだ。

今のヒロトの目には、輝きがない!

 

花瑞side

 

「どうやら、雷門がジェネシスと試合を始めたみたい」

「なら、早く行かないと!」

「わかってるって!えぇいこうなったら強行突破するよ!マキュアの後についてきて!」

そういうと今までの隠密行動を完全にやめて、出てくるロボットを全てメテオシャワーで破壊するというゴリ押しを始めた。

 

円堂side

ヒロトの流星ブレードで壁山が負傷した。

シュートブロックをした壁山はその時のボールの威力で足を痛めたんだ。しかもそのボールは立向居のムゲンザハンドまで破り、開始早々に一点を取られた。

壁山の代わりに土門が入り、何とか反撃を試みる。

一ノ瀬からボールを貰ったリカが、必殺シュートの通天閣シュートを撃ったのだが、相手のGKネロは技も使わずにそれを止めてしまった。

更に、相手のボールを綱海が奪い豪炎寺にパスして放った爆熱ストームもプロキオンネットっていう技で止めてしまったんだ。

究極奥義が破られ、豪炎寺のシュートも止められてしまい、皆の気持ちが沈んできたとき、瞳子監督の励ましで俺達の気持ちは再び燃え上がった。

ボールは再びグランに渡り、またも流星ブレードを撃たせてしまった。

「旋風陣」「ザ・タワー」

塔子と小暮の守りを破り立向居のムゲンザハンドも破られ、また点を取られると思ったとき、綱海が横っ跳び蹴りでギリギリゴールの枠外にボールは逸れた。

 

ジェネシスの必要以上のチャージで皆の体力は削られていた。

何とか前線のリカにボールを回したのだが、そのリカが相手二人のスライディングで負傷してしまった。

リカの代わりに目金が入ったのだが、すぐに負傷してしまった。

その時、吹雪が立ち上がったんだ。吹雪は覚悟を決めた。きっと大丈夫だ。

目金に変わって吹雪がFWに入った。

 

 




マキュア「てか今日のやる気異常過ぎない?エイリア石でも使った?」
筆者「使ってねーよ、キリ良いところまで進めたいんだよ」
マキュア「よーし、マキュア応援するよ!」

ヒロト「自分の出番もあるしマキュア上機嫌だな、俺の待遇今回かなり酷いのに」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!ジェネシス 2

円堂side

 

俺は吹雪を信じて、パスを出した。

吹雪はエターナルブリザードを放ったがプロキオンネットに止められてしまった。

吹雪はすぐにボールを奪い返そうとヒロトにアイスグランドを放つが破られてしまった。

ヒロトはそのまま俺を抜き去り、流星ブレードを放った。

立向居はムゲンザハンドが通用しなくてすっかり自信を失っている。このままじゃまずい!

「立向居!情けない顔するな!」

綱海、塔子、小暮が流星ブレードの進路に和って入った。

「ここは俺達が止める!いくぞ!」

「「パーフェクトタワー!」」

三人の新必殺技はヒロトの流星ブレードを止めた、ボールは吹雪の元に飛んでいったのだが、取れなかった。

吹雪が何を考えているかはわからないが、試合は上の空のようだ。

これを見た豪炎寺が吹雪の腹に一発シュートした。

そういえば俺も昔豪炎寺にこんなことやられたっけな。

 

「本気のプレーでミスするなら良い。だがな、やる気のないプレーだけは絶対に許さない!」

吹雪のことは豪炎寺に任せよう。試合は再開されているから俺は急いでポジションに戻った。

パーフェクトタワーを驚異と見たのか、ヒロトは塔子を削りに来ていた。やはり今日のヒロトはおかしい。いや、あのときもやったかもしれないが、今日のは何かが違う。

体力の消耗した塔子のパーフェクトタワーはグランの流星ブレードに破られ、俺は急いでメガトンヘッドで応戦した。

このボールを俺は吹雪に託した、どうやら吹雪は目覚めたらしい。

マフラーを投げ捨てた吹雪は相手のディフェンスを豪炎寺とのワンツーで華麗に抜かすと俺も度肝を抜く飛びっきりの必殺技を見せてくれたんだ。

「ウルフレジェンド!」

吹雪の後ろから狼が見えた。そのシュートはあのGKのプロキオンネットを破った!

これで同点だ!

 

立向居も吹雪に感化されたのかムゲンザハンドをパワーアップさせてヒロトの流星ブレードを止めた。

勢いに乗った俺達は再び吹雪にボールを託した。

「ウルフレジェンド!」

だが、GKネロはまだ奥の手を隠し持っていたんだ。

「時空の壁!」

ウルフレジェンドが止められてしまった。

この時、突然グラウンド全体が大きな揺れに見回れた。

鬼瓦警部達がエイリア石の供給システムを破壊したらしい。

だけど、ジェネシスはエイリア石の力を使って強化されたジェミニやイプシロンを使って強くなった普通の人間らしく、問題は無いらしい。吉良星次郎はヒロト達を究極の戦士と称した。

戦士だって?これ以上サッカーを悪いことには使わせない!

 

ボールを手にいれたヒロトは、ウィーズ、ウルビダと三人で攻め込んできた。これは何か来るぞ!

「スーパーノヴァ!」

三人で放った必殺技はパワーアップしたムゲンザハンドを、簡単に破った。

放送で、吉良星次郎は離脱してしまった染岡達のことを弱者と言った。許せない!アイツらは弱者なんかじゃないって俺が証明してやる!

 

畜生!なんでボールが奪えないんだ!

ヒロトからボールを奪えず、再びあの技を許してしまった。

ムゲンザハンドが破られ、万事休す。その時、豪炎寺と吹雪が二人係でゴールを守ってくれた。一瞬だけボールに炎と氷がクロスしているように見えた。

こちらを負傷させに来ているプレーに、結局俺達は前半を1-5で折り返すことになった。

 

 




マキュア「マキュアの出番早く早く~!」
筆者「待ってろ~もうすぐだからなぁー」

ヒロト「二人ともいつの間にあんなに仲良くなったんだ?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!ジェネシス 3 覚醒、花瑞!

花瑞side

「メテオシャワー!」

最後の扉をマキュアが破壊して、私達はグラウンドに辿り着いた。

試合はどうなってるの?スコアを見ると前半終了の段階で1-5となっていた。

 

「花瑞!無事だったのか」

円堂さんの声のする方を向くと、傷付き疲れている皆の姿があった。

私はマキュアを連れて雷門ベンチに向かった。

「そいつは!」

一ノ瀬さんが驚きのあまり指を指してマキュアを見た。

「私を助けてくれたマキュアです。安心してください」

「イプシロンは消えたはずじゃなかったのか?」

鬼道さんが私と同じことを聞く

「細かいことは後回しよ!貴女が監督ね、マキュアをこのチームに入れて!」

「「ええ!?」」

「瞳子監督、私からもお願いします」

「私もあまり信用出来ません。でも、とりあえずベンチに入れる分には構いません」

「なぁにそれ、そういう中途半端なのマキュア嫌い!」

やっぱそう簡単に信用はしてくれないか。

それより…

「円堂さん」

「なんだ花瑞!」

すごい顔、こんな顔の円堂さん見たことない。

「円堂さんは怒ってる。怒りに身を任せちゃいけません。それは悲しいことになる。私がそうだったから」

今の私には分かる。怒りに、感情に支配されることがどれだけ危険なことなのかを。だから、円堂さんにも伝えたい。

「わかってる!でもな花瑞、お前は知らないだろうけど、俺は染岡達が弱くないことをあいつらに」

「一人で証明する必要は無い。皆がいる。そういつも言ってくれたのは円堂さんです」

「…そうだったな。すまない花瑞、それに皆!」

 

私は後半、負傷した財前さんと交代のようです。

FW 豪炎寺 吹雪

MF 一ノ瀬 鬼道 綱海

DF 小暮 土門 花瑞 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

ベンチ 財前 目金 マキュア 壁山 リカ

 

良かった。吹雪さん立ち直ったんだ。

後半開始、ヒロトさんの様子がおかしいことに気付く。もしかして、私がやられそうになったあの装置を…でも今はそんなことを考えている場合じゃない。ヒロトさんとウルビダ、ウィーズが中心となって攻めて来た。

「止める、これが私に出来ることだから!ゴッドルーツ!」

三人でパスをして回避しようとするも、一本の根がパスカットに成功する。

私は鬼道さんや豪炎寺さん、吹雪さん達とワンツーを使い相手のDF陣を突破した。

今の私にあるのは怒りでも、悲しみでも、喜びでも無い。神のみ知れる領域ってこのことなのかはわからない。でも、凄く落ち着いている。

「ゴッドノウズ!」

お兄ちゃんの技、きっとこの領域に入らないと絶対に撃てない。

感情のその先にある、神のみが説明できるであろう何かに。

「時空の壁っうわぁ!」

2-5、まだまだ頑張らなくっちゃ!

 

ヒロトさんが攻めて来た。

「スーパーノヴァ!」

凄い力、ゴッドフラワーじゃ止められない。でも、大丈夫!

「ゴッドキャッスル!」

要塞と言うには程遠いけど、神の花の咲く庭、その先に聳え立つこの城は…

「皆を守るための城!」

「私達のスーパーノヴァを防いだだと!?」

「吹雪さん!豪炎寺さん!」

「「クロスファイア!」」

「時空の壁っ!?」

凄い、いつの間にあんな技を

これで3-5、後半はまだまだ続く、逆転出来ます!




マキュア「ほら、エナジードリンク飲んで頑張れ」
筆者「おっ、おう…」

マキュア「はーやく見せ場~こっないっかな~♪」
ヒロト「俺もちょっとマキュアが怖くなってきた」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!ジェネシス 4 炸裂!フレイムストリーム!

「リミッターを解除しなさい」

「わかりました。お父様」

試合再開前、突如吉良星次郎によってジェネシスに下された命令。果たして、何が起こるというのか?

「リミッター解除だって?そんなことしたらジェネシスの皆の体が壊れちゃう!」

ベンチからマキュアの声がした。体が壊れるって?

「リミッター解除は、本来人間が無意識的に抑えている力を強制的に目覚めさせる物。まだ後半は長いしどうなっても不思議じゃない!」

「裏切り者のから心配されるほど、やわじゃない」

やはりヒロトさんは洗脳されている。マキュアを私の護衛に着けてくれたのはヒロトさん何だもの。本人がそんなこと言うはずがない。

「お前達、手加減なしだ。本気で雷門を潰していけ」

 

その言葉通り、ただえさえボロボロだった皆のトドメを刺しに来るようなプレーが続いた。

「これがジェネシス最強の必殺技、スペースペンギンだ!」

ウルビダを中心とした必殺技は、腕が八本近くに増えているムゲンザハンドを簡単に破った。

3-6、まだまだ厳しい戦いは続くようね。

シュートを撃った後の三人が、痛みを堪えきれずにいた。そこまでする何かがあるなら、もっと他の方法があるはずなのに。

 

ここで負ける雷門じゃない。私達は早くもあの素早い動きに対応してきた。

円堂さんから豪炎寺さんにパスを出すが相手のスライディングでサイドラインから出るかと思われたその時、黒嶋さんがもうダッシュでボールを拾った。

「豪炎寺!一人で無理なら二人で決めるぞ!」

「おう!」

「「フレイムストリーム!」」

 

まず黒嶋さんがボールの周りで高速で走り回った。そのスピードで竜巻が生れた。竜巻により宙に浮かんだボールを豪炎寺さんがファイアトルネードで撃った。

これで終わりかと思ったらそのボールに追い越すスピードで黒嶋さんがボレーシュートでダメ押しする必殺技だった。

「時空の壁…くっ!」

4-6、凄い。やっぱり雷門は凄い。

 

「認めないぞ!こんなこと認めない!」

目を覚ましてヒロトさん。そして私達とサッカーをしよう!

 

ジェネシスのプレーはエスカレートする一方だった。

遂に、小暮君が負担に耐えられなくなり倒れてしまった。

 

「選手交代、小暮に変わってマキュア!」

「待ってました!」

マキュアのポジションはフォワード、フォーメーションを少し変更することになる。

FW豪炎寺 マキュア 吹雪

MF一ノ瀬 鬼道 綱海

DF 土門 花瑞 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

「見せてあげる!地獄のような訓練で更にパワーアップしたマキュアの実力を!」




筆者「オリ技紹介のコーナー!」
マキュア「パチパチパチパチ」
筆者「まず紹介するのはこちら、フレイムストリーム」
マキュア「この技は豪炎寺とジュピターさんから頂いたオリジナルキャラクター黒嶋の連携技ね」
筆者「そう。そしてこの技もジュピターさんの物です」
マキュア「作中に説明があるからこちらの説明はこんなものでいいわね!」

ヒロト「続いてはこちら、ゴッドキャッスル」
筆者「前回登場した花瑞の新ディフェンス技だな」
マキュア「作者的にはこの花瑞の技のシリーズはどういうイメージなの?」
筆者「まず原点はゴッドフラワーだな。あれは神の住む城の庭に咲いている花、というイメージで作られた技だな」
ヒロト「それでゴッドルーツはその花の根が襲い掛かる技だったね」
マキュア「マキュアのメテオシャワーの天敵だわ!」
筆者「そして庭を進むと門があり、それを通ると城があるわけだ」
ヒロト「なんか、意外と発想的には普通なんだね」
マキュア「じゃああのゴッドフォートレスは何?」
筆者「あれは何個か存在する城の可能性だな。城と言っても日本の戦国時代みたいなものから神殿の城、ヨーロッパとかにあるような城、そして要塞や城塞なんて物まであるからな」
ヒロト「つまり門を潜ると何があるかはっきりしてないから何パターンかあるってことかな?」
筆者「まあそういうことになる。ゴッドキャッスルの城は神殿のようなものだ」

マキュア「そういえばゴッドフォートレスはかなり体力を使うけど大丈夫なの?」
筆者「正直大丈夫じゃない」
ヒロト・マキュア「おい、花瑞に、何かあったらただじゃ済まさないからね」
筆者「大丈夫大丈夫、そのための下位互換ゴッドキャッスルだ」
ヒロト「下位互換と言っても現在では俺達のスーパーノヴァを止められる上位技だけどね」

マキュア「結構話し込んだわね」
筆者「今回はこの辺にするか」
ヒロト「それでは皆様、いつも御愛読ありがとうございます」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決戦!ジェネシス 5 昨日の敵は今日の友!

「トドメだ!スペースペンギン!」

「ゴッドキャッスル!立向居君、あとはお願いします!」

「ムゲンザハンド!」

何とか止められた。現在の得点は4-6、これ以上の失点はさすがに出来ない。

「綱海さん!」

「おう!よーしマキュア、やってみろ!」

綱海さんのこの心の広さに何回救われたのだろうか。

まだ雷門の中で信頼が置ききれていないマキュアに躊躇無くパスを出してくれた。

ボールを受け取ったマキュアは、瞬く間に相手DF三人に囲まれてしまった。

「回りにパスを出せる人は…いないか。なら、メテオシャワー!」

天高く飛んだマキュアは得意のメテオシャワーを三人に浴びせ…「シュート!」

シュート!?メテオシャワーをシュート技にした!?

三人に蹴ると思われたボールは下ではなく横方向に進んでいた。

相手ゴールに進むボールは進行方向の周辺にも無数の隕石が落下、シュートブロックさえも困難にしていた。

それに加えドリブル技だと思い準備が不十分だった相手GKネロは、時空の壁をギリギリのタイミングで間に合わせるも、最大限の力を発揮できずに破られてしまった。

5-6、マキュアは雷門からの信用を自ら勝ち取った。

 

「ふふん♪マキュア、点を取るの大好き♡」

「すげーぜマキュア!イプシロン改の時から更にパワーアップしてるじゃんか!」

円堂さんがマキュアの両手を掴みブンブンと腕を振っている。

「あのメテオシャワーシュートだって、花瑞を倒すために作った技なんだからね!」

あっ、あれも対私の技なのね…思わず苦笑いしてしまった。

 

「ちぃ、まさかファーストランクチームのFWに点を奪われるなんて!」

ウルビダがマキュアを睨み付けながらそう呟いた。

マキュアにはこれがバッチリ聞こえていた。

「サッカーは楽しめばどこまでも成長できる!マキュアはそれを知れたの!」

「楽しむだと?」

「そう、楽しむの!」

それだけいってマキュアは今度はヒロトさんの方を向いた。

「いい加減目を覚ましなさいよ!守りたい人を傷付ける人なんてマキュア大っ嫌いなんだから!マキュアは大嫌いな人の命令は聞かない主義なんだから!」

「目を覚ますだと?何の話だ」

「こりゃ相当重症だわ、まあいいわ。そろそろ試合再開しないと怒られちゃう」

 

試合再開、後一点で同点!頑張らないと!

マキュアがチームに加わり、攻撃パターンが変わったことにより、チャンスが増えた。

ボールを手にいれたマキュアが吹雪さんと豪炎寺さんの走り込んでいる方向に向いた。

しかしこれはおとり。本当の狙いは反対側の鬼道さん。

「行くぞ!デスゾーン2!!」

6-6遂に同点!

 

「認めない、認めないぞ!最強のサッカーは御父様のサッカーなんだ!」

ヒロトさんとウルビダの速さに10人全員が抜かされてしまった。

「スペースペンギン!」

「ムゲンザハンド!」

ムゲンザハンドの腕が更に増えている!

「止めろ!立向居!」

「頑張れ!立向居!」

「頼んだぞ!立向居!」

「うおぉぉ!」

止めた。スペースペンギンを立向居君は自分の力だけで止めた。

「土門さん!」

「おう!花瑞!」

「はい!鬼道さん!」

「よし!円堂!」

ボールを受け取った円堂さんの近くに、豪炎寺さん、吹雪さんが来ていた。

「(感じる、皆の思いがこのボールに詰まってるんだ!)」

三人がボールを中心に三角形になった。

三人に私達11人の魂が集められている。

今の三人からは凄い力を感じる。でもその力に恐怖は感じない。むしろ暖かい。

「ジ・ア…」「させるかぁ!」

ヒロトさんが今上がろうとしていたとしていたボールをスライディングで奪った。

「いかせるか!」

すかさずマキュアがボールを奪い返した。

「!?ふふっ、花瑞!」

近くにいたのに私はボールを受け取った。

でも、その意図はすぐにわかった。

ボールはまだ暖かい。皆の魂はここに残っている。

「黒嶋さん、力を借してください!」

「おう」

この力をボールに込めようとすると、自然とさっきの円堂さん達の形になった。

黒嶋さん、マキュアと私。このボールを授かったのも何かの運命。このチームの皆との出会いが運命的だった。

「「「ジ・アース!!!」」」

 

「我々は負けない!」

ヒロトさんとウルビダさんがこのボールをゴールさせまいと二人がかりで蹴り、止めようとしていた。

「いっけぇぇ!」

「目を覚まして!ヒロトさぁぁん!」

 

「うぉぉぉぉお!……俺は…」

ボールは勢いよくゴールネットに突き刺さった。

その時、丁度試合終了のホイッスルが鳴った。

 

「俺は、あのときからずっと操られていたのか…」

「洗脳が溶けたようね、グラン様」

「マキュアか、俺達は負けたのか?雷門中に」

「そうよ、まあ後ろに貴女と凄い話したそうな人がいるから細かい話は後でして上げる」

マキュアは私の背中をドンと押してヒロトさんの前に私を立たせた。

「花瑞ちゃん、ごめんね…君を守るつもりが、傷付けてばかりで」

「そんなことないです。ヒロトさんは私のことを大切に思ってくれているのはよく伝わりました!それだけで充分です!」

私は涙がポロポロと溢れていた。

「今のその目は、今までで一番綺麗だよ」

泣いている時にそんなことを言われて恥ずかしかった。

私は思わずヒロトさんに思いっきり抱き付いた。

 

 

 

「ふざけるな!」

声の主はウルビダだった。

私はヒロトさんを、解放してそちらを見ていた。

「これほど愛し、尽くしてきた私達を、よりによって貴方が否定するなぁぁ!」

ウルビダの構える先には吉良星次郎がいた。

あのウルビダのシュートを普通の人が受けたら死んでしまう!

「ぐぅ!」

そのボールは先程まで私の目の前にいたヒロトさんが受け止めていた。

ヒロトさんはダメージで倒れてしまった。

私は心配で駆け付けたのだけど、ヒロトさんはすぐに立ち上がった。

「何故だ!何故止めるグラン!そいつは、最後の最後に私達を!」

「確かにそうなのかもしれない、だけどそれでも父さんは、僕の大事な父さんなんだ!」

「グラン…」

「俺の名前、ヒロトってのが父さんの本当の息子の名前で、俺はその人と似てるからこの名前を貰ったのも知っている。それでもいい。だから、父さんをやるなら、まず俺からやれ!」

ウルビダには撃てなかった。彼女もまた吉良星次郎を愛していたから。

 

 

 

全てが丸く収まると思った。その安心感も突如発生した爆発により吹き飛んだ。

 




マキュア「とりあえずジェネシス戦終了お疲れ様」
筆者「ふぅー疲れたぜ」
ヒロト「少し休んだらどうだい?」
筆者「そうさせてもらう」

マキュア「っと言うわけでマキュアのオリジナルシュート技解説コーナー!」
ヒロト「えっなにそれ?」
マキュア「私が今回放ったメテオシャワーシュート、メテオシャワーの矛先をゴールに変えただけの簡単技何だけど威力は充分だし何より隕石で回りが手を出せないのが魅力ね!」
ヒロト「更にドリブル技としてのメテオシャワーとの差が最後までないから奇襲性が高いのも高ポイントだね」
マキュア「ペナルティエリア内でメテオシャワーをやられたら下に来るか横に来るか検討も着かないでしょうね!マキュア、メテオシャワー大好き!」

ヒロト「ってこれ完全にマキュアの自己満足コーナーじゃないか」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

脱出・別れ

皆さんは、自分の入っている東京ドームより大きい建物が突如爆発、崩壊したらどう行動するべきかご存知でしょうか?ご存知だったら是非私達に教えていただきたい!

 

今私の回りにいる雷門の皆もジェネシスの皆もとにかく急いで逃げるしか方法がわからなかった。他に方法があるのか知らないけど。

 

 

 

「全員逃げられた?」

必死に逃げた結果、イナズマキャラバンの元まで無事たどり着くことができた。

「!?父さんがいない!」

ヒロトさんの一言で吉良星次郎がいないことに気が付いた。

「グラウンドに残ってるのかもしれない。俺、行ってくる!」

ヒロトさんはボロボロの体で今通ってきた道を引き返した。

円堂さんがヒロトさんの後を追ったので、私も行こうとしたのだがマキュアに腕を掴まれ止められてしまった。

「グラン、嫌、ヒロトなら大丈夫」

私だって別にヒロトさんを信用してないわけじゃない。

でも怖いの。今まで私の大切な人が死んだのは、皆私の視界の外だったから。

キャラバンに全員を収容してヒロトさん達が戻るのを待つこと三分、吉良星次郎を担いだ円堂さんとヒロトさんの姿が見えた。

三人は無事キャラバンに入ることが出来、皆無事に外に脱出出来ました。

 

「それにしても、一体誰がこんなことをしたんだ」

ウルビダがキャラバンから出ようとしたときにそう呟いた。

「恐らく研崎でしょう」

そう答えたのは吉良星次郎だった。

研崎、確かあの柄の悪い長身の男か。

 

「彼はいつも私を影から狙っていました。私が生きていられたのは彼が同じ目的を持っていると思ったからでしょう」

「父さん、まさか花瑞ちゃんにあんなことをしたのもまさか…」

「すまないヒロト、奴を野放しにしたら取り返すのつかないことになると思い…」

「俺じゃなくて花瑞ちゃんに謝ってくれ」

「ええ。貴女には大変申し訳無いことをした。謝りきれないほどのことをしてしまいました」

謝ったってお父さんが帰ってくるわけではない。

「私は貴方を許すことはできません」

「そうでしょう」

「でも、私はいつまでも憎しみを持ち続けるつもりもありません。そのかわり、もし貴方が死刑にならなかったならば、しっかりと刑罰全うしてヒロトさんたちのように親のいない子供達をまた保護して上げて下さい」

「貴女は優しいのですな、それもまるで神、いや女神様のようだ」

 

 

その後、吉良星次郎は鬼瓦警部達の車両に乗り込み、エイリア学園ことお日さま園の皆も警察に保護された。

 

私は、ヒロトさんやマキュア達のお別れをすることになった。

「マキュア、今日は本当にありがとう。マキュアがいなかったら私どうなってたかわからないもん」

「それはヒロトに言って上げて、あれはヒロトが考えたことだから。あとエイリア学園は終わったから私の本名の(すめらぎ)マキ、マキって呼んで!」

「そういえば、今さりげなくヒロトって呼んでたね。俺は、むしろ花瑞ちゃんに大切なものを教わった。感謝したいのは俺だ」

「じゃ三人で同時にありがとって言おうよ!」

「「「ありがとう!」」」

マキらしい提案を受け、最後はちょっと可笑しな感じで終わった。

でも、不思議とまたすぐに会える気がする。そう遠くない日に、サッカーを続けてたら会える気がするんだ。

 

 

 

えっ、私は雷門中の皆といなかったからエイリア学園の秘密は知らないんじゃないかって?

マキがグラウンドに向かう途中に全部教えてくれたんです。

 

 




マキ「あっ名前の表記変わってる!」
筆者「どうでもいいけどエイリア学園のメンバーってキャプテン除くと宇宙人ネームに合わせたヘンテコな名前の人いるよな」
マキ「マキュア、おっと…マキに喧嘩売ってるの?」
筆者「お前はかなり普通な部類だろ。ほらゴルレオこと五流玲於とか」
マキ「そこまで変じゃなくない?」
筆者「実は改めて見てみたら変でもないやつばっかりだった」

ヒロト「ガニメデ→蟹目出朗とか下のランクだと多いんじゃないかな?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

登場、ダークエンペラーズ

ヒロトさん達とのお別れを済ませ、私達は雷門中に戻っていた。

そして、雷門に戻ったらこのチームともお別れか…

短い間だったけど、皆から色々なことを教わったと思う。

今までサッカーをやってきて、こんなに楽しかったことは無いかもしれない。今度はこんなサッカーを鬼怒川中の皆とまたやりたいな。

 

 

雷門中に着いた私達は、その異様さに恐怖すら覚えた。薄気味悪い。数メートル先も見えないほどの霧のようなものがグラウンド全体を覆っていた。

円堂さんが誰かいないのかと叫んだ。

 

「お待ちしていましたよ。雷門イレブン」

この声は…確か研崎!

その姿が見えるようになって、私の記憶が正しかったことがわかった。

「君達雷門イレブンには、取って置きのサプライズがあるんですよ」

霧が晴れてきた。視界が広がり、十数名の黒いフードを被った人物が見えた。

その人物がフードを取ると、見覚えのある人達が現れた。

「風丸!染岡!栗松!」

「半田に宍戸に松野!」

雷門中の本来のメンバー、そして

「蓮君、弓矢君…」

 

「君達には試合をしてもらいます。あのダークエンペラーズと」

 

蓮くん達は胸元から光アクセサリーを見せつけてきた。

「あれはエイリア石!」

あれがエイリア石、どんなものかはマキが教えてくれたけど、本物を見たのは初めてだった。

まさか、皆あの石に手を出したの?

 

試合を断る権利は私達になかった。拒否しようものなら風丸さんが自分の学校である雷門中を破壊するというのだ。

こうなったら、やるしかない。

 

FW 豪炎寺 吹雪

MF一ノ瀬 鬼道 綱海

DF土門 壁山 花瑞 円堂 黒嶋

GK 立向居

 

ベンチ 目金 リカ 財前 小暮

瞳子監督もヒロトさん達と一緒に行ってしまったから監督は雷門中の響さんになる。

 

相手のポジションは

FW 荒城 染岡 シャドウ

MF少林 半田 松野 宍戸

DF影野 栗松 風丸

GK黒岩

 

試合が始まり私達はダークエンペラーズの力に驚かされた。

速い、そしてパワーもあった。

シャドウさんからゴッドルーツで辛うじてボールを奪ったのですが、取った瞬間に染岡さんの強いタックルでボールを奪われてしまった。

「ワイバーン…」「ブリザード!」

あれは、吹雪さんとの連携技だったはず!まさか蓮君と一緒にやるなんて!

「ムゲンザハンド!うわぁ!」

0-1

ジェネシスのスーパーノヴァを止められるムゲンザハンドがあんな簡単に…強い、強すぎる。

 

「まだまだ一点だ!みんなぁ!これからこれから!」

円堂さんの声でまた負の気持ちに進んでいた私は前を向けた。

そうだよね、ここで勝って皆の目を覚まさせなくちゃ!

 




マキ「ふーん筆者にしては珍しく敵メンバーそのものを変える思いきった行動に出たわね」
筆者「俺の技術だと基本的に原作のイメージや状況を崩したり、辻褄が合わないなんてことになるからな」
マキ「それでよく二次創作やってるね」
筆者「好きなものは仕方無い」

ヒロト「本編の出番早くこないかなー」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ダークエンペラーズ 吹雪の下位互換

0-1から試合再開、豪炎寺さんと吹雪さんを中心に敵陣に攻める。二人の見事な連携でDF陣まで到達した。

しかし、風丸さんが目にも止まらぬ速さで豪炎寺さんからボールを奪い去った。風丸さんはボールを染岡さんにパス、ワイバーンブリザードを決めさせまいと私は染岡さんの前に立ちはだかった。

「ちっ、荒城!」

染岡さんは渋々漣君にパスを出した。

私は染岡さんのマークをしなければならず、蓮君は絶好のシュートチャンスを得た。

「見せてやるぜ、俺の新しい力を!ブリザードぉぉ…」

ボールをエターナルブリザードの動きで凍らせた蓮君は、後ろに勢い良く下がった。

「キャノン!」

そこから勢い良く飛び込み、ボールを両足で押し出した。

「ムゲンザハンドっうわぁ!」

立向居君のムゲンザハンドは破られたが、ゴールラインを割る寸前に円堂さんがメガトンヘッドで防いでくれた。

こぼれ球を拾った私はタックルをされないようにボールを空中に飛ばして染岡さんを抜き、カウンター攻撃を仕掛けた。

相手DF陣深くに入り込むと風丸さんの餌食になる。

私は相手コートの半分辺りからゴッドノウズを撃った。

「ショットアボウ…ナックル!」

黒岩君の技に私のゴッドノウズは防がれてしまった。

弾いたボールは瞬時に風丸さんが拾い、自らカウンターを仕掛けてきた。

「トリプルブースト!」

三人が縦一列になり後ろから力を加算していく。

そのシュートはまたもムゲンザハンドを破り、雷門中のネットを揺らした。

 

0-2、試合再開と共にボールを奪った蓮君からボールを奪おうと、何より彼を元に戻したいと私は蓮君に向かって走った。

 

「何でそんな石の力に頼ったの蓮君!」

「うるさい!俺はほんとは嫌だったんだよ!努力してもまたでかい壁が現れるエイリア学園、俺の上位互換としか言えない吹雪士郎の存在が!」

「吹雪さん?」

「そうだよ!俺と同じ氷の技を使って、俺より凄いシュートを撃てて、俺と違って守りもできて。最初は気にならなかったが、嫉妬してたんだよ!努力しても努力しても越せない吹雪によぉ!」

「蓮君は吹雪さんより努力したの?そう言いきれるの?」

「したさ!したけどダメだった!それでも吹雪にも勝てなかったしエイリア学園にも通用しなかったんだよ!努力しても報われない俺みたいな凡才はよぉ!こうでもしないと勝てないんだよぉ!」

「私だって、蓮君だって最初はジェミニストームに太刀打ちできなかったじゃないの!それを努力して勝ったことは努力して報われたことにならないの?」

「お前は最初の試合でシュートを止めたろ!前から思ってたけどよ、お前だって才能の塊じゃないか!」

 

私にとってそれはひとつの引き金だった。

[才能]この言葉。私が皆に見られないようにして積み上げてきた努力とかを全て無かったようにされるから。

 

「私だってね、努力してたんだよ!才能とかじゃない!私は女だから、男の人より頑張らないと付いていけなくなるからって。必死に必死に努力してたんだよ!」

「なんだ怒ったか?怒ったんだろ?俺も怒ってるんだよ!ほんとはお前だって俺のこと下に見てるんだろ?」

「どうしてそうひねくれちゃったの!ジェネシス戦で私を庇ってくれたあの頃の優しくて真っ直ぐな蓮君は何処に行ったの?」

「あんなもの、ズタボロにされたときに置いていったよ!ほら、もっと怒れよ!」

 

「…私ね、一ミリも怒ってないよ」

「はぁ?じゃあその真っ赤な顔はなんだよ!その興奮した言い方は何なんだよ!」

「悲しいのよ!そして蓮君に説教したいのよ!でも、今はそんなこといってる場合じゃない!」

 

蓮君からボールを奪い、鬼道さんにボールを託した。

「努力すれば何でも出来るっていうんならよ、この試合で勝てよ。俺達によ」

「いいわよ。エイリア石が無くても頑張り続ければその力を越えられるってことを見せてあげるから!」




マキュア「さて、お久し振りの更新だねぇ」
筆者「お前…皆に見られないところで既にメテオシャワー撃ったんだから本題に入ろうぜ…」

ブリザードキャノン

エターナルブリザードの動きで凍らせてゴッドキャノンの動きから放たれる必殺シュート。
威力はウルフレジェンドより少し劣るが、現在の荒城蓮はエイリア石により素の力が吹雪より高くなっているのでムゲンザハンドも容易く破れる。

マキュア「こう言っちゃあれだけど、技だけ見るとやっぱ下位互換よね…」
筆者「そう思うよ」
マキュア「いや、あんたがそう決めたんでしょ?」


ヒロト「さて、主人公が守じゃないからこのダークエンペラーズ戦の落ちはどうなるのかな?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ダークエンペラーズ 残された時間はあと半分

時間が立つに連れ、ダークエンペラーズが優勢になっていった。

0-2の状況。これ以上の失点は許されない。

しかし、体力を奪われ過ぎた私達は攻撃する余裕もなく、守りに徹するしかなかった。攻めるより、守る方が体力を使う。

「ブリザードキャノン!」

「ゴッドキャッスル!」

蓮くんのシュートは、悔しいけど私一人では止めきれない。

「ムゲンザハンド!」

でも、皆となら止められる。サッカーは一人でやるんじゃない。仲間、皆で戦うスポーツなんだってことを思い出させなきゃ!

 

 

「どうした?さっきから防戦一方だな」

蓮くん、何とかして止めないと…

「これで終わりだ!染岡さん!」

染岡さんをマークしていた吹雪さんが、疲労で追いきれてない。

「ワイバーーン!」「ブリザード!」

止めないと!止めないと!

「ゴッドフォートレス!」

ワイバーンは二本のゴッドフラワーによって相殺された。

残る氷も分厚い壁の前に消えた。

「お、俺達のワイバーンブリザードを止めただと…」

 

あっ、ヤバい…意識が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

再び意識を取り戻したとき、試合は後半に入っていた。

グラウンドを見るとポジションが変わっている。

 

FW 豪炎寺 吹雪

 

MF 土門 鬼道 リカ

 

DF 綱海 小暮 財前 壁山 黒嶋

 

GK円堂

 

ベンチ 目金 花瑞 立向居 一ノ瀬

 

ベンチにいる皆は負傷していた。

グラウンドにいる皆も辛うじて立っていられるだけだった。

 

 

「えっと…今の状況は……?」

「目が覚めたか、花瑞君」

雷門中の響監督が私が目覚めたことに気付き声をかけてくれた。

 

「試合自体は円堂達が踏ん張っているから0-2のままだが…」

 

「すみません、僕がもっとゴールを守れたら…」

ベンチにいた立向居君の腕は負傷していた。

 

「前半終了間際、染岡さんが一ノ瀬さんから強引にボールを奪い、そのままワイバーンブリザードを撃って

…一ノ瀬さんは意地でブロックに入った際に負傷してしまい、僕もそのシュートで右腕を痛めてしまい…ゴールに入りそうだったボールは円堂さんが守ってくれました。」

 

目金さんは交代して間もなく返り討ちにあったらしい。

フィールドを見ると、雷門でまともに動ける人は少なかった。

 

「さあこい!みんな俺が止めてやる!」

円堂さんがフィールドでそう叫ぶ。

「ふん、やれるもんならやってみろ!ブリザードキャノン!」

 

「キャプテンだけに負担はかけないっす!ザ・ウォール!」

壁山さんがシュートブロックに入りボールの威力は弱まった。

円堂さんは弱まったボールをゴッドハンドで受け止めた。

正義の鉄拳で弾いても、また取られてしまうからだろうか?

 

「か、壁山!」

壁山さんが負傷しているのに気が付いた円堂さんは、ボールをサイドラインから出した。

 

「響監督、私、いけます!」

「本当かね?」

「大丈夫です。体力は充分回復しました。」

響監督は私の目を三秒ほど見つめたあと頷いた。

「選手交代!壁山に代わって亜風炉花瑞!」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ダークエンペラーズ 放て!ジ・アース!

「花瑞、もう大丈夫なのか?」

壁山さんと交代した私は、円堂さんに声をかけられる。

「迷惑かけてすみません。私はもう大丈夫です!」

 

相手のスローインは荒城君に渡った。

「ふん!例え俺等のワイバーンブリザードを一人で守れてもなぁ!気を失っちまうんじゃ意味ないぜ!」

「でも、何度でも止めに来るよ!私は!」

「風丸さん!」

蓮君から風丸さんにパスが渡った。

「お前も絶望するといい!ダークフェニックス!」

「円堂さん!」

「ゴッドハンド!」

ゴッドハンド!?何で、正義の鉄拳を使わないの!

ムゲンザハンドを破ったワイバーンブリザードよりも威力があるのは見ればわかるのに、何で!

 

「ぐぐぐ!」

円堂さんはダークフェニックスを両手で受け止めた。

「ふぅ、花瑞!」

受け取ったボールには、あのジ・アースの時のような暖かさが感じられた。

そうか、円堂さんは皆の思いを受け止めたかったんだ。弾くことなく、全てを。なら、私だって!

 

「蓮君!勝負!」

真っ向からのぶつかり合い、私は根性だけで荒城君に打ち勝った。

「少林!止めるぞ!」

「「シューティングスター!」」

 

あの技は!

 

「なっ!?避けられた!?」

 

私にその技は効かないよ!その技のことは私もよく知っているから。

シューティングスターは落下者が落ちはじめてから急激に私が速度を変えれば対応出来ない。

 

「やらせるかぁぁ!」

風丸さんが高速でスライディングを仕掛けてきた。

私は上空に飛んだ。この距離なら!

 

「伝わって!ゴッドノウズ!」

私は知らぬ間に涙を流していた。

皆がこんなことになってしまったことへの思いが再び強く込み上げてきたから。

「ショットアボウ…ナックル!」

矢がゴッドノウズを弾こうとする。

しかし、そのボールは弾かれることなく一直線に黒岩君の元に突き進み、そのままゴールに入った。

 

 

「バカな…」

1-2、まだ喜んでる場合じゃない。

 

 

 

「調子に乗るなよお!」

試合再開、ワイバーンブリザードが早くも撃たれようとしていた。

「やらせない!」

再び元気を取り戻した吹雪さんが染岡さんのワイバーンクラッシュと真っ向からのぶつかった。

ボールは上空へと打ち上げられた。

「レボリューションV」

そのボールにすかさず反応した半田さんと松野さんのシュートを、円堂さんはゴッドハンドで受け止めた。

「花瑞!」

「貰った!」

パスカットをした風丸さんがダークフェニックスを撃った。

「円堂さん!」

円堂さんももうボロボロだった。

「こぉぉい!」

両手でボールを受け止めようとする円堂さん。しかし、ゴッドハンドすら使わないのではさすがに無理がある。

でも…

 

「まだいけますよ円堂さん!」

「花瑞!」

円堂さんの背中を私は物理的に押した。

「二人だけでは足りないだろ?」

「「黒嶋さん!」」

こちらも三人がかりでボールを止めた。

「円堂さん。ジェネシスに使ったあの技を、私達で!」

「よし、 わかった!」

ここにいる、三人、いや雷門中全員の力を再びこのボールに込める。

「ジ・アース!」

 

 

 

「そんなところからのシュートをやらせるか!」

風丸さんはシュートブロックに入ろうとしたが、まるで何かに躊躇するようにシュートコースに入れなかった。

 

「ショットアボウ…キャッチ!」

ジ・アースは一度は黒岩君にキャッチされたかと思われた。

しかし、その力は収まりきらずゴールに突き進んだ。

 

2-2

 

「バカな…俺たちが…こんなはずは」

呆然とする風丸さんに円堂さんはこう言った。

「どうした風丸、まだ試合は終わってないだろ?最後まで全力でサッカーやろうぜ?」

「円…堂……?」

「な?皆も最後まで全力でサッカーやろうぜ!!」

その声はグラウンド中、いやそれよりももっと広い場所に響き渡った。

「ふふ、円堂、相変わらずだな…敵にまでそんなこと言うなんてな」

「敵なもんか、お前らも皆仲間じゃないか!」

 

その瞬間、皆の何かが解放されたようだった……

 

 

 

一人を除いては

 

 

「綺麗事で何とかなると思うなよ円堂守!俺はそんな言葉に惑わされない!他の奴がお前の味方になったって、俺がこのダークエンペラーズを勝たせる!」

 

「蓮君…」

蓮君の闇は深いようだ。

でも、必ず救い出す!

 

 




マキュア「くそがぁぁ!」
筆者「ぐぉぉ…」(メテオシャワーを5回ほど喰らった)
マキュア「遅い!後書きない!どうなってんのよ前回!」
筆者「艦これのイベントが…」
マキュア「他のゲームの話を出すなぁ!くたばれぇ!」

ヒロト「今日も二人には近付かないでおこう」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ダークエンペラーズ 君のペースで

試合は後半残りわずか、蓮君を除くダークエンペラーズの皆が元に戻ってくれた。

蓮君は、絶対私が救ってみせる!

 

 

試合再開、シャドウさんが染岡さんにボールを渡すと、吹雪さんがそのボールを奪った。

 

「させるかよぉ!」

吹雪さんがボールを奪ったその直後、センターサークルラインギリギリで待っていた蓮君が吹雪さんからボールを奪った。

そのまま蓮君は一人で鬼道さん達を突破してきた。

 

私は蓮君と一対一の状況になった。

 

蓮君はフェイントで私を抜かそうとするが、私も必死でその動きに付いていった。

「行かせないよ!」

「ちぃ!お前も今のでわかったろ?エイリア石が無くなった途端に、染岡さん達は手も足もでなくなったじゃないか!」

「それがどうしたっていうの」

「俺らみたいな才能の無い奴は、悔しいがこうでもしないと勝てはしないんだ!」

「そんなことはないよ!エイリア石で引き出せるのは自分の限界まで、その力はいつか出せる蓮君の力なんだよ!」

「いつかっていつだ?その頃にはお前はもっと先に行くんだろ?それじゃ変わらないんだ!エイリア学園だってこの力で実力を底上げしてたんだろ?イプシロンやジェミニストームの本当の実力で最初から勝てたのか?」

「それは…」

「勝てなかったんだろ?」

「それはわからない…もしそうだったとしても、私にわかることがひとつある」

蓮君のからボールを奪う。そして一気に抜き去ろうとする。

「マキちゃんは、エイリア石の力に頼らなくてもジェネシスと戦える力を努力で得ていたから、私達だってその限界の力にたどり着ける!」

蓮君を追い抜けるかと思ったものの、恐ろしい執念で追い付いてきた。

「限界までいってその実力なら、もうどうしようもないじゃないか!」

「今の限界は確かにそこかもしれない。でも、人は何回でも殻を破れる。限界は何回でも私達の先で待っている!だから少しずつでもいいからそこに向かうの!」

「俺は今力が欲しいんだ!そんなゆっくりなんてしてられねぇ!」

「蓮君は蓮君らしくいればいいの。焦ることなんて無い、ゆっくり、たまに急ぎ足になっても、歩き続ければ前に進み続けられるんだから!」

 

この時、周りからは私の背中から生えた天使のような羽が蓮君を包み込んでいるように見えたらしい。

その羽に包まれた蓮君の心は動いた。

 

「そうか…なら、前に進ませてもらうよ。花瑞」

私は再びボールを奪われた。その時の蓮君の顔はとっても晴れていた。悩みや焦りなんて感じない爽やかな顔をしていた。

 

「円堂さん!俺の今できる全力のシュート、受け取ってください!」

「おう!来い荒城!!!」

「ブリザード……キャノン!!」

「マジン・ザ・ハンド!」

 

 

「ふぅ…止められたか。やっぱまだダメか~」

「いいシュートだったぜ荒城!」

「よーし!頼むぜ花瑞!」

 

円堂さんの投げたボールをしっかり受け取った私は、半田さん、松野さんを抜き、DF全員のブロックを突破した。

 

「弓矢君!これが私の今の全力!限界の力!ゴッドノウズ!」

「こい、俺の限界…いやその先の技……レイン・オブ・アロウズ!」

弓矢君から放たれた弓は空中で大量の矢となってボールに降り注いだ。名前の通り矢の雨、凄まじい威力だった。

 

「あちゃ~ここで決めないと格好つかなかったんだけどなぁ…」

「GKは空気を読むものじゃない」

弓矢君はボールを蹴って前線に送り出した。

 

「ったく、ならこれで締めさせてもらう!」

そのボールの落下地点の上空、黒嶋さんがボールをさらっていった。

「豪炎寺、行けるか!」

「ああ!黒嶋さん!」

 

「フレイムストリーム!」

 

この試合を締め括ったのは、雷門中エースストライカー豪炎寺さんと、黒嶋さんだった。

 

 

 

皆の心は解放され、剣崎も鬼瓦さん達に逮捕された。

 

「これでハッピーエンドってわけだな!」

「そうだな」

私達は皆に別れを告げ、それぞれの故郷へと帰っていった。

蓮君と弓矢君そして私は、母校に帰ってきた。

学校は綺麗に修繕されており、司君達が出迎えてくれた。

「蓮~、弓矢~お前らもずいぶんとやったじゃねぇか~テレビで見てたぜ~」

「ははは、あれテレビに出てたんだ」

「まあ、あの調子でこれからも頼むぜ~!」

気まずそうな話題も楽しげに振り向けるのは笑太君の凄いところだ。

その空気の勢いで二年生の先輩達がやめたことを告げられたときはびっくりしたけど…

笑太君のおかげで和やかな雰囲気で再会できたからいいかな?

 

「さあ、鬼怒川中サッカー部、再始動だ!」

「「おおー」」

一年生だけとなった鬼怒川サッカー部、私達がこの部を盛り上げないとね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マキ「とりあえず2完結おめでとー」
筆者「一度生まれたアイデアが、途中で転げ落ちたからこれじゃない感があるエンドになってしまった」
マキ「まあそう言わずに、ところで3はやるの?」
筆者「そのつもりだ。あと大人編も少しやりたい」
マキ「まあ、頑張ってね。もし失踪でもしたら、私が見つけ次第メテオシャワーで完膚なきまでに叩きのめすから♪」

ヒロト「果たして筆者の目標は到達できるのか?これからもよろしくお願いします。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

世界への挑戦編
新たな戦いへの序章


あの日から数週間後

 

 

「ふ~これが鬼怒川温泉ってやつかー」

少女は髪ををタオルで巻いて、一人で湯船に浸かっていた。

「花瑞、きっと驚くだろうな~」

少女はしばらく温泉を堪能したあと、お風呂上がりにフルーツ牛乳をいただき、外へ出た。

「富士よりは住みやすそうなところね」

その特徴的な髪留めは、いうならば扇風機。

「誰が扇風機ですって?」

そう、彼女である。

 

 

 

「本日からこの学校の生徒になります。マキュアこと皇マキでーす。よろしくー」

「マキちゃん!?」

花瑞は驚きのあまり大声でそう叫んだ。

 

 

「私達元エイリア学園の子全員、自由の身になりましたー!瞳子さんが私達全員の保護者になってくれたのー!」

「瞳子監督やっぱりすごい人だなぁ…」

転向初日、マキちゃんは放課後から早速サッカー部に入部した。

蓮君や太陽君を脅かすフォワードの仲間入りである。

その日の部活動を終えた私は、現在マキちゃんと喋りながら帰宅中。

 

「あと、瞳子さんから…」

「なに?」

「私の父が貴女に取り返しのつかないことをしてしまいました。私は貴女に少しでも償いをしたいと考えています。だからせめて資金援助と、書類上だけでも貴女の保護者とさせていただけないでしょうか?」

 

実は私の家はピンチだった。

保護者のいなくなった私もどうなるかわからなかったし、家だって支払いが出来なければ手放さなければならなかった。

だから私はこのままの生活をするのは無理かなと思っていた。

でも、瞳子監督の申し出のおかげで今まで通りお父さんやお母さんと住んでいた家に残れそうだった。

 

「瞳子監督にありがとうございますって言っといて。その話を受けることも」

 

「わかった。あとこれは個人的なお願いなんだけど…」

「なぁに?」

「私を家に住まわせてくれない?」

「えぇ!?」

「実はここにひとりで来るってことで借りたアパートの設備が酷すぎて…それに私生活力なくって…」

「まあ、私も一人であの家は大きいしいいけど」

「ありがとうぉぉ!それなら私の分の資金援助も花瑞のところに回せるよ!」

「なんか逆に申し訳無くなってきたよ…」

 

驚きの連発の1日だったけど、まさかまだまだ驚き足りない出来事が続くなんて今の私達には考えられなかった。

 

 

それから少したったある日

 

 

 

 

 

かれこれ移動に数時間、私は蓮君、弓矢君、マキちゃん、太陽君と一緒に雷門中に訪れていた。

 

「響監督から連絡を受けたけど…いったい何なんでしょう?」

「まさか、今度は本当の宇宙人が攻めてきたとか!?」

「まあ、サッカーが絡んでくるのは間違いないだろうね~」

 

 

私達は雷門中の体育館に案内された。

「皆さんお久しぶりです!」

「おっ!花瑞じゃないか!元気にしてたか~?」

綱海さんや雷門中以外の人達も多く来てきた。

「あれ?緑川にヒロトさん?」

マキちゃんが声をかけたのはヒロトさんともう一人、誰?

「あれ?わかんないかなー?ほら、エイリア学園ジェミニストームのキャプテンレーゼだよ!」

「えっ、あのレーゼ?」

あまりの雰囲気の変わりように驚く私だったが、周りにいた数名は緑川さんに言い印象をもたなかった。

「お前~俺等の学校を壊しといてよくもノコノコとこんなところに~!」

たらこ唇の変な眼鏡をした向田さんは緑川さんに相当恨みがあるのだろう。緑川さんに突っ掛かっていった。弓矢君達は堪えているけど、私だって恨みがない訳じゃない。

「いやぁ、まああのときはあのときのことで…あれでも、結構キャラ作り頑張ってたんだよ?まあ、終わりよければ全て良し、ということでね?」

 

「やあ花瑞ちゃん久し振り。会いたかったよ」

「ヒロトさん」

「僕もマキみたいにそっちに行きたかったけど、姉さんが僕だけは許してくれなくてね」

「へぇー意外ですね。ヒロトさんなら別に危なくないと思うんですけどね」

「いや、多分僕がいくと花瑞ちゃんが危ないとでも思ったんだと思う」

「え?なんでですか?」

「さあ、僕にはわからないよ。それよりマキもほら、奥をよく見てみな」

わざとらしい素振りで話をそらしたヒロトさん。指差した方向にいたのは…

「ウルビダこと八神玲名さん、クララさん、アイシーこと愛さんにレアンこと杏まで!?」

全員をよく知るマキちゃんが妙にわざとらしい解説口調で紹介をしてくれた。

「マキ、そちらでの生活は楽しいか?」

「うん、みんなはどうだった?」

「こちらも楽しくやっているさ。私はお前が自堕落な生活をしてなかったか心配だったわよ。あんたほんとに生活力ないからね」

八神さんに心配されているマキちゃんは笑ってごまかして今は私と暮らしていることを伝えた。

 

 

「え、二人は一緒に暮らしてるの?姉さんからは何も聞いてないのに…」

ヒロトさんが一番驚いてた。そしてショックを受けていた。

何故だかはわからない。

 

 

一番最後にここに来たのは円堂さんだった。

円堂さんは同じく呼ばれたと言う宇都宮虎丸君連れてきていた。

 

 

まあ、このメンバーで何をするのかは私も薄々感づいていた。

 

 




マキ「新章突入!マキも頑張っちゃうよぉ!」
筆者「あっちで思う存分暴れてくれ。そしてこちらでは大人しくしていてくれ」
ヒロト「さて、そろそろ僕も本気を出すか」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日本代表生き残りをかけて!

お前たちは日本代表候補の強化選手だ。

響監督は集まった私達にそう告げた。

そしてこの33人の中から16人が代表メンバーになる。

11人ずつのメンバーわけの結果、

 

私のチームには

 

ヒロト(キャプテン)、花瑞、黒嶋、マキ、黒岩、荒城、クララ、太陽、杏、八神、愛。

 

円堂さんのチーム

円堂、向田、染岡、松野、半田、壁山、土方、吹雪、飛鷹、綱海、佐久間

 

鬼道さんのチーム

鬼道、不動、豪炎寺、虎丸、目金、立向居、栗松、小暮、緑川、風丸、シャドウ

 

というメンバーである。

 

 

何か私のチームだけ女子が半数以上を占めている。

 

二日後、私達の試合は二試合目と三試合目。

最初の試合では飛鷹君の動きが間違いなく初心者の動きだったことに驚かされた。

しかし、後半の不動さんのシュートを蹴りの風圧のようなもので防いだのは魅力を感じた。

 

 

試合前の円陣を組み、ヒロトさんはこう言った。

「皆、このチームでの練習時間は決して長いものではなかった。チームとしても個人としても良い印象を与えられるよう頑張ろう!」

「「おお!」」

 

 

最初の相手は鬼道さんのチームだった。

 

私達のポジションは

 

FW マキ ヒロト

 

MF 荒城 八神 太陽 杏

 

DF 黒嶋 花瑞 クララ 愛

 

GK 黒岩

 

 

「くっそ~俺達MFかよ~」

「FWとしての実力で負けたのだから仕方の無いことでしょう」

「うっ」

クララの冷たく鋭い言葉がいつも笑顔の太陽君に突き刺さる。

「確かに実力でFWのポジションを譲っているが、チャンスが無いわけではない。少ないチャンスをものにしろ」

黒岩君に励まされ、蓮君太陽君共々試合では元気に動けた。

 

 

 

試合は鬼道さんのチームのボールで始まった。

虎丸君からボールを受け取った豪炎寺さんはヒロトさんを抜き去り八神さんと太陽君のスライディングを空中に飛んで避けた。

「フローズンスティール」

クララが着地直前の豪炎寺さんにスライディングを仕掛ける。カオス戦でもこんなことがあった気がする。

同じ手で奪われまいと豪炎寺さんはボールを後方のシャドウさんにパスした。

「ダークトルネード!」

「ゴッドフラワーG2!」

このシュートは私がカットした。

 

サイドの黒嶋さんにボールを渡し、全員で相手ゴールに突き進んだ。

黒嶋さんは自慢の速さと、ボールコントロールで一人で敵のゴールラインまでボールを運んだ。

「センタリング!」

このボールに反応したのはマキちゃんだった。ディフェンスの風丸さんも空中に飛んでボールを奪おうとしたがマキちゃんからボールは奪えなかった。そしてそのまま空中から

「メテオシャワー…シュート!!」

 

「シュートブロックするでやんす!」

シュートブロックを試みた栗松さんはメテオシャワーに巻き込まれ何もできなかった。

「ムゲン・ザ・ハンドG4!」

立向居君はこのボールをしっかりとキャッチした。

 

 

選考試合は始まったばかり!私ももっと目立たないと!

 




クララ「……」
筆者「……何故ここに?」
クララ「マキがここオススメっていってた」
筆者「ここは集会所じゃないぞ!!」
クララ「確かにこいつをいじめるのは面白そう。だけど相手する時間は勿体無さそうだから帰る」

筆者「なんだろう、この敗北感」
ヒロト「一杯付き合おうか?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日本代表生き残りをかけて!2

一応ここでも伝えますと、今回から三人称視点で書きます。


立向居の止めたボールは、ゲームメーカーである鬼道に渡った。

「行かせるか~!」

「イリュージョンボール!」

太陽がブロックに入ったが、鬼道は簡単にそれを抜き去った。

さらに横からの凍地愛のフローズンスティールを、ドリブルのタイミングをずらし回避した。

FWの選手は花瑞達DF陣にマークされており、鬼道はやむを得ず通常のシュートを放った。

通常のシュートではあるがさすが鬼道といえるゴールの角を狙った完璧なシュートであった。しかしこのシュートをGK黒岩は難なく止めた。

 

「花瑞っ!」

ボールを花瑞に渡し、花瑞はそのままドリブルで攻め上がった。目金を抜き去り、栗松のディフェンスに対して八神にボールを渡した。

八神がボールを受けとると、風丸が瞬時にボールを奪いに来た。

「メテオシャワー!」

今やマキの代名詞と化しているメテオシャワーだが、八神もこの技を使える。

基本的に合体技の多い八神にとっては、ドリブル技でもアピール出来ることはありがたいことであった。

「ヒロト、決めろ!」

八神がヒロトに浮いたパスを出し、ヒロトはそのままシュート体制にはいった。

「流星ブレード!」

流星ブレードは自身のいた右側から反対の、左側に向かって打ち込まれた。

「ムゲンザハンドG4!」

斜めの角度から来るシュートの威力を受け止めきれず、ムゲンザハンドは流星ブレードに破れた。しかし、ボールに触れたことによりコースが若干左に逸れ、ゴールポストに当たり跳ね返った。

このこぼれ球に誰よりも早く反応したのは黒嶋であった。

「烈風ブラストG2!」

まさに烈風の如く左サイドから駆け抜けてきた黒嶋は、GK立向居の体制が整う暇を与えず得点を奪った。

1-0

黒嶋が自らのポテンシャルを遺憾無く発揮した最高のプレーであった。

 

その後直ぐ様反撃に掛かる鬼道チームは、右サイドの守備を巧みに躱した虎丸のセンタリングにから、豪炎寺が爆熱ストームを放った。しかしこれは花瑞がゴッドキャッスルでブロックし、そのカウンターで荒城がブリザードキャノンを放った。

 

「ムゲンザハンドG4!」

立向居はこれをがっちりキャッチ、取ったボールは鬼道にパスした。

 

鬼道は緑川とのワンツーで太陽を抜き去り、花瑞の前に来た。

「ゴッドルーツV2!」

V2に進化したゴッドルーツは、襲い掛かる根の数がひとつ増えていた。

その増えた根が緑川へのパスコースを封じ、残りが鬼道のボールを奪いにいった。

「イリュージョンボール!」

ボールの数を錯覚させ、ゴッドルーツの狙いを定めさせないよう試みる鬼道だったが、こっそりと近づいてきていたクララが冷静にボールを見極めて奪い去っていった。

「行かせるか!」

風丸が目の前に立ち塞がるがウォーターベールで簡単に突破した。

マキとヒロトのマークがきつかったので、中盤まで右サイドバックの愛と攻め上がり、シュートは愛に託した。

「フリーズンショット!」

「ムゲンザハンドG4!」

 

ここで前半戦が終了した。

 

ベンチで前半の感想をそれぞれ述べていた

「黒嶋さんナイスシュートでした!」

花瑞が黒嶋を誉めると、ベンチに来ていた黒嶋の妹の晴が花瑞に殺意を向けていた。

「おう!花瑞もいいディフェンスだぜ!」

晴が笑顔で花瑞見つめるが、その目は笑っていなかった。

「こ、後半戦も頑張りましょう!」

「「おう!」」

身の危険すら感じた花瑞は少し早いがピッチに走っていった。

 




ヒロト「ふーん三人称視点ねぇ」
筆者「うまくいくかな…」
ヒロト「まあ、結局君の腕次第でしょ?」
クララ「だが筆者の腕は三流」
マキ「おまけに遅筆」

筆者「そこまで言わなくても良くないかな!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日本代表生き残りをかけて!3

鬼道さんのチームはこの後半戦が最後のアピールタイムということで前半以上にガッツのあるプレーであった。

マキがボールを受け取り、豪炎寺と虎丸をメテオシャワーで倒すと、着地の瞬間を狙って不動がスライディングを仕掛けた。

回避出来ないマキはボールを奪われ、着地のバランスぎ崩されるも何とか怪我はしなかった。しかし場合によっては生命すら危うかった。

「あの糞モヒカン野郎!花瑞っ!ボールを奪って!」

 

「ふん、甘いんだよ!ジャッジスルー2!!」

花瑞の腹部をボール越しでの連続蹴り、花瑞は腹部を押さえその場から動けない。

不動はそのままゴール右下のコースにシュートを撃った。

これをパンチングで守った黒岩。ボールはピンポイントでクララの元に転がっていった。

「さすが黒岩だぜ!クララっこっちに回してくれ!」

荒城がクララにパスを要求した。

「決めれなかったら、許さないよ」

そういいながら荒城に渡ったボール、荒城はその一言でかなりプレッシャーを受けていた。

クララって絶対怒ったら怖わいタイプじゃんかよ!そう思いパスを要求したことを若干後悔する荒城だが、代表に選ばれるためにもこのボールはしっかりと決めたかった。

「ブリザードキャノン!」

「ムゲンザハンドG4!」

しかし止められてしまった。

「……」

恐る恐る荒城が後ろを向くと、真後ろにクララが立っていた。

「ひぃっ!?」

「それじゃ日本代表にはなれないわよ」

荒城にそれだけ伝えてクララはボールを奪いに行った。

「クララか、だが俺は負けないぞ!ワープドライブ!」

クララを抜いた緑川は、そのままゴール前まで攻め込んだ。

「アストロブレイク!」

「ショットアボウナックルV2!」

緑川のボールは見事に防がれた。弾いたボールはこれまたピンポイントに黒嶋の元に転がっていた。

「お前ら、遅れずに着いてこい!」

左サイドから高速で攻め上がる黒嶋、センタリングを上げるときに準備が整っていたのはマキだけだった。

「マキ!」

「ガイアブレイクミドル!」

一人で放つガイアブレイク、しかし威力はメテオシャワーシュートと同等かそれ以上である。

「ムゲンザハンドG4!」

しかし立向居、これもしっかりと止めた。

 

試合はその後も点が入らず、残り時間があと僅かとなった。

「最後の攻撃だ!皆上がれ!」

鬼道が全員を上げさせた。

鬼道は上がってきた風丸にパスを出し、ヒロトを疾風ダッシュで抜き去った風丸は虎丸にパスを出した。

「フローズンスティール!」

愛のフローズンスティールを避けた虎丸は、クララのフローズンスティールが来る寸前にボールを豪炎寺に渡した。

「爆熱ストーム!」

「ゴッドキャッスル改!」

爆熱ストームを防ぐもボールは弾かれ、そのボールは太陽に渡った。

「旋風陣!」

しかしここで今まで影の薄かった小暮がボールを奪い、シャドウにボールを渡した。

「ダークトルネード!」

「ショットアボウキャッチV3!」

このボールをしっかりと取り、丁度試合終了となった。

 

「よし皆、この調子で行くぞ!」

「「おー!」」

ヒロトがこのチームをしっかりと引っ張っていた。




マキ「出た、投稿するときは一気に投稿するいつもの」
筆者「いいじゃないか。いつものだって」
ヒロト「毎日継続する方が大切だと思うんだけどなー」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

日本代表生き残りをかけて! 4 代表決定

休憩を入れた後、最後の試合、円堂チーム対ヒロトチームの選考試合が始まろうとしていた。

先攻は円堂チーム、今キックオフ。

ボールを持った吹雪は荒城と対決することになった。

 

「今日は負けませんよ!」

 

吹雪の下位互換的ポジションのことを未だに気にはしている荒城は気合いの入り方が違う。

根性で吹雪のフェイントに着いていきボールを奪った。

 

「ヒロトさん!」

 

ボールを前線のヒロトに渡した。

 

「行くよ、円堂君!流星ブレード!」

「正義の鉄拳G2!」

 

弾いたボールをすかさず黒嶋が押し込む。

 

「烈風ブラストG2!」

 

「させないっす!ザ・ウォール!」

 

待ち構えていた壁山のザ・ウォールを突破し、円堂の前にボールが迫る。

「メガトンヘッド!」

 

体制が整っていないにも関わらず、円堂はこれを防ぎこぼれたボールは飛鷹が取り損ねた後に綱海が拾った。

「ツナミブースト!」

 

自分のチームのペナルティエリア付近からのロングシュート、しかし目的はシュートではなく強力なパスであった。

 

「よし、ウルフレジェンド!」

 

威力の落ちてきたボールを拾った吹雪がシュートを放った。

 

「ゴッドルーツ!V2」

 

自らも攻めていたためボールからの距離があった花瑞だが、遠くに伸ばせるゴッドルーツでシュートをパワーダウンさせた。

 

「ショットアボウキャッチV3!」

 

これをしっかりとキャッチした黒岩は、仲間が少し戻ってきてから花瑞に渡した。

花瑞は自らボールを前線に運びシュート体制に入った。

 

「ゴッドノウズ改!」

 

花瑞の放ったシュートは円堂の正義の鉄拳に防がれた。

ボールは土方が拾ったがマキが強烈なタックルで奪った。

「喰らえ!メテオシャワーシュート!」

 

壁山のシュートブロックを封殺し威力は充分だったのだが、円堂はこれも正義の鉄拳で防いだ。

 

「ブリザードキャノン!」

 

さらに詰め込むように放った荒城のシュート、円堂の体勢が整わない。ゴール確実かと思われたシュートは飛鷹の謎の蹴りの風圧のようなもので防がれた。

 

「まただ、飛鷹さんあの人は一体……?」

 

花瑞も回りにいた選手も皆呆然としていた。しかし、この間にも試合は進んでいる。いち早くそれどころではないだろうと我に返った八神が今がチャンスと言わんばかりにボールを奪う。円堂も既に構えており、どこからでも来いと言っているかのようだ。

八神は右上のギリギリのところに目掛けてシュートを放つ。円堂もそれを取ろうと飛ぶのだが、ゴールポストに当たってボールは跳ね返る。誰もがシュートミス、この選考における大きなマイナス点だと思った。しかし、それは必殺シュートを持たない彼女なりの作戦であった。

 跳ね返ってきたボールは再び彼女の元へ帰ってきた。そのボールをダイレクトに先程とは逆のコースに蹴り込む。円堂は再び体勢が整わない状態でのシュートに、何も出来ない。

 

「させねぇぜ!」

 

そのシュートを自身の身体で守ったのは綱海であった。

 

「よし、半田!」

「おう!ジグザクスパーク!」

 

綱海のロングパスで半田がボールを受け取ると、ボールを奪いに来ていた愛は彼のドリブル技に抜かされてしまう。

 

「フローズンスティール」

 

「クイックドロウ!」

 

その半田が抜かした瞬間に倉掛がボールを奪ったのだが、さらにそのボールを松野が奪っていった。そのままボールは染岡へと渡った。

 

「貰った!ワイバーンクラッシュ!」

 

「ショットアボウ……ぐぅ!」

 

まともに技を打つ暇もなく、ゴールを奪われてしまったかに思えた。

 

「マッハウィンド!」

 

圧倒的素早さで駆け付けた黒嶋のシュートブロックにより難を逃れた。

 

「くっ……すまない」

 

「気にすんな。本当ならシュートを打たせないのが俺達の仕事だ」

 

黒嶋が弾いたボールは杏へと渡り、マキに渡った。

 

「メテオシャワー!」

 

お馴染みのメテオシャワーで敵陣深くまで攻め込むが目の前には土方がスーパー四股踏みを出す直前の状態で構えていた。

 

「サザンクロスカット!」

 

これも突破して円堂と一対一、満を持して再びガイアブレイクミドルを放つ。

 

「正義の鉄拳!」

 

しかし、これも円堂はしっかりと守りきった。

 

「美味しいところは貰うよ、マキ……流星ブレード!」

 

弾かれたボールはヒロトが空中で広いそのままシュート。もう一度正義の鉄拳を出すが力の貯めが不十分であったために破られ見事ゴールに決まった。

 

「ちょっと! そういう良いとこ取りマキ嫌い!」

 

「ごめんごめん、でもマキだって活躍してるんだし」

 

そして、試合は終わった。私達が休憩を終えると全員がグラウンドに集められた。

 

 

「これより、日本代表のメンバーを発表する」

 

全員が固唾を飲んでその発表を待ち、その視線を久遠監督に熱く注ぐ。

 

「まず円堂、鬼道、豪炎寺、吹雪、基山、花瑞、黒嶋」

 

「「「はいっ!」」」

 

まず、といいつつ一挙四人の名前を上げた久遠監督。早々に呼ばれた花瑞は安堵した。

 

「小暮、壁山、立向井、虎丸、風丸、倉掛、不動」

 

「「はいっ!」」

 

不動の名に鬼道が驚き、目線だけ彼の方に向ける。ニヤリと不動は笑った。

 

「そして、飛鷹」

 

これには全員が思わず彼の方をみた。当の本人も驚いていた。

 

「っ!?う、うす!」

 

「最後に、皇」

 

「はい!」

 

驚きの後に指名されたマキはあまり注目されなかった。名前を呼ばれなかった選手がガッカリしていたのもあり、印象に残りにくい場面だ。

 

「さらに、日本代表のメンバーからは外れたがいつでも交代可能なように共に練習を行うメンバー五名を発表する」

 

「な、なにぃ!?」

 

思いがけないラストチャンスに一同目を輝かせる。一度下げてからの上げとは中々に意地悪なやり方だ。

 

「一人目、八神」

 

「はい!」

 

試合では個人の必殺技こそ無いために苦労していたが、その他の面でアピールしていたことが無駄じゃなかったのだと八神は喜んだ。

 

「次に、杏」

 

「はい」

 

本人も正直活躍できていなかったと思っていた為に自分の名前が出たとこに一瞬驚きを隠せなかった。

 

「三人目は染岡」

 

「おぅ!」

 

「四人目、佐久間」

 

「……はい!」

 

「最後に、緑川」

 

「っ! はい!」

 

荒木は指名されなかったことで前を向けなかった。自身の影で黒くなった地面をみることしか出来なかった。

 

「なお、この中に呼ばれなかったものでも急遽代表になる可能性はある。その逆もまたある。代表になったからといって安心ではないということを忘れるな」

 

この言葉に僅かな可能性を感じつつも、吹雪という自身にとっての完全上位互換的存在があるために代表になれる気がしなかった。荒木は何とか自身の個性を見つけ出そうと決心した。そして、前を向いた。

 

「花瑞、日本代表おめでとう。俺もお前と同じユニフォーム着れるようにこれからも頑張るから、俺達の分も頑張ってくれよな!」

 

荒木からの激励を受け、花瑞は改めて代表というものの重みを感じる。ここにいる落選メンバーだけではない。フットボールフロンティアで戦ったメンバーなど他の全国に何万といる選手の思いが我々には託されているのだと。

 

「うんっ! 必ず世界一になるから」

 

 

 

 

 




マキ「何かいいたいことはあるかしら?」

筆者「長らく、大変長らく時間を空けてしまい申し訳ございませんでした」

マキ「本当にそれが辞世の句でいいのかしら?」

筆者「待て!俺をここで殺ったら、この話はここでおしまいになるぞ!」

マキ「うるさい!マキの活躍を待ち望んでた読者様に死んで詫びやがれ!」

筆者「うわぁぁぉぁ!」

ヒロト「変わらないなぁ……」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いきなり練習禁止!

 代表に選ばれた花瑞達は雷門中の施設を改装して出来た合宿所に個室を貰い、私物を置いて早速練習に励んでいた。対戦相手がビッグウェイブスに決まった日、やる気に満ち満ちた彼女達の熱意をそのまま仕舞い込むかのように練習禁止が言い渡された。全員が部屋の中での待機を強いられたのだ。八神達レギュラーメンバーでは無い五人を除いて。

 

「あーーもーーー!何考えてるのよあの監督は!」

 

花瑞やマキ等の女子達はひとつ上の階に部屋が設けられていた。退屈な苛立ちを隠せないマキは花瑞の部屋にやってきてそう愚痴を溢していた。

 

「なんで!なんで八神達は練習してるのにマキ達が部屋で引きニートみたいになんもしてないわけよ!」

 

「か、監督には何か考えがあるんだよ……多分」

 

花瑞も監督を信じたいのだが、流石に意図が汲み取れない。

 

「ちゃんと説明しない監督とか、マキ嫌い!」

 

「多分それはみんな好きではないけど…」

 

「マキ、さっきからうるさいんだけど……」

 

あまりの煩さに耐えかねて倉掛が部屋に文句をいいにやってきた。

 

「あ、倉掛さん、ごめんなさい。ほらぁ、多分下の階にも響いてるよ?」

 

「クララでいいよ、花瑞。あとマキ、お前はもっと女の子として自覚をもっておしとやかになれ」

 

「何よ!クララにはマキのこの美貌がわからないわけ?」

 

自身で"胸"を張って主張するマキ。クララは思わず自身の胸を一瞬手で触れた後に答える。

 

「大事なのは中身だぞ」

 

「何よ、中身でいったらクララだってドSでヤバイじゃないの!」

 

「ふ、ふたりともとりあえず落ち着きなよ」

 

苦情を入れに来たクララさえもヒートアップして声量がグレード2くらい上がっていそうな状態を花瑞がブロックする。

 

「兎に角、今出来ることを考えよう?わたしジュース買ってくるから待ってて」

 

花瑞は一階の食堂に設けられた自販機へと向かう。その途中、二階でヒロトに声をかけられた。

 

「上は随分騒がしかったけど大丈夫かい?」

 

「あっ、やっぱり響いてました?ごめんなさい。二人には伝えとくね」

 

「うん、まあ気持ちはオレも分かるけどね。マモル達も何度か抜け出して練習しようとして失敗してるんだ」

 

「あはは…円堂さんらしいですね」

 

「そういえば、連絡先交換してなかったよね?上の階には行けないから何かあったときこっちから呼びに行けないと不便だしさ。スマホある?」

 

「あっ、今部屋なんです。夕食のときに交換しましょ」

 

「うん、ありがとう。引き留めてごめんね、何か用事あったんだろう?」

 

「まあ、飲み物買うだけですから大丈夫ですよ。むしろヒロトさんとこういう立ち話ひさしぶりで嬉しかったですよ」

 

花瑞は自販機に向かった。ヒロトは嬉しかったという言葉に強く安心感を覚えた。チャンスはある。彼は心の中でそう思い部屋に戻った。

 

 

「ほら、ジュース買ってきたよ」

 

花瑞はクララにソーダを、マキに牛乳を渡し、自分はオレンジジュースを飲んだ。

 

「マキ思ったんたけど、これっていわゆる女子会ってやつ?」

 

「んん~まあ、ちっちゃい女子会にはなるのかな?」

 

「よかったなマキ、サッカーしてなかったらお前みたいな性格破綻者に寄り付くやつなんていないぞ」

 

「ちょっと!誰が性格破綻者ですって!」

 

「半分冗談だからマジにならないでよ」

 

「は、半分って……その半分ってなに!」

 

「さぁ……?」

 

二人はこれでいて仲が悪い訳ではないのを花瑞は理解しているが、それでも時折ヒヤヒヤしてしまう。良い意味でお互い素で話せているようなのでチームは違えど同じエイリアでサッカーをしていた仲間だから絆はあるようだ。

 

夕方、練習から戻った八神が花瑞の部屋に来た。

 

「外出もできないんだろう?必要なものがあったら言ってくれ、私達が買ってくる」

 

「ありがとうございます八神さん。それじゃあ、フランクフルトとかお願いできますか?」

 

「食べ物か、まあいいだろう」

 

「はいはーい! マキはクッキー!」

 

「私はアイス」

 

「皇、クララ、お前らもか…」

 

やれやれという様子で八神は杏を連れて近くのコンビニに出かけて行った。

 

夜はマネージャー含めた小さな女子会が開かれていた。

 

「実は私調べてたんですけど……久遠監督に良くない過去があるんだとか」

 

「なにそれ? 音無、早く教えてよ!」

 

監督に不満があるマキが食いついた。

そしてその噂とは呪われた監督であるというものであった。明日、これを確認しにいくことになったが花瑞は監督を信じ、その確認にはいかないことにした。




クララ「ペロペロ」

マキ「モグモグ」

八神「モグモグ」

杏「モグモグ」

ヒロト「……最近いろんな人来るねぇ。もう乗っ取られてるんじゃないかな」

筆者「ここは女子会会場じゃねぇからな!?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ヒロトの危険な? 特訓

 

「なぁぁぁ!」

 

よくわからない絶叫を上げているのは皇マキ。マネージャーや八神等と宿舎から出て久遠監督の良くない噂の情報を集めようとするも当然外に出る前に監督に止められたのだ。

 

「くっ、あとは任せた!」

 

「何もするまえから大袈裟な…まあ、任せておけ」

 

八神はやれやれといった感じにマキの思いを受け取りつつさっさと目的地に向かっていった。

 

 その頃、花瑞はヒロトの部屋にいた。朝食を取ったあとに来るように誘われていたのだ。

 

「回りの部屋から何か壁にぶつかる音がするだろ? マモル達、部屋でボールを蹴り始めたんだ」

 

「あっ、なるほど。室内で練習してるってことですね」

 

「あぁ。それでだ、俺は更に強い連携を編み出す方法を思い付いたのさ」

 

そういうとヒロトは自身に目隠しをしてボール壁に蹴り始めた。

 

「凄い! まるで見えてるみたいにボールを自在に操ってる」

 

「花瑞、適当なところに移動してみてくれ」

 

「えっ? はい」

 

ヒロトは壁に何度かボールを当てたあとにそのボールをぴったりと花瑞のいるところへパスした。

 

「すっ……すごい。どうやってるんですか?」

 

「半分は感覚を研ぎ澄ましてるおかげ、もう半分は相手のことをよく理解してるからここに来るだろうなって予想ができるのさ。ほら、次は花瑞の番」

 

そうして花瑞に目隠しをさせる。

 

「うっ、これ難しい」

 

ヒロトは簡単にやってみせていたが当然初めてでこれをやるのは至難の技である。蹴ったボールの行方がわからず自分の頭に当たったり、完全に見失ったり。それを部屋の出口で見守るヒロトは熱心に観察している。

だんだんと感覚が研ぎ澄まされる。ボールの動きが見えてくる。

次第にボールをトラップしてからまた壁に蹴れるようになり。ダイレクトで返せるようになる。

 

「よし、花瑞。今から俺は部屋の何処かに移動するから三回ボールを壁に蹴ったあとにパスしてくれ」

 

「はっ、はいっ!」

 

自分の知るヒロトという人物像、今の気配、彼から出てくるすべての関知できる感覚を数秒の間に最大まで吸収する。

 

「ここっ!」

 

花瑞がパスを出したのはベッドの上。そこには見事ヒロトがいた。

 

「さすがだね、花瑞。ほら、目隠しを取るからこっち来て」

 

花瑞はよたよたと歩きながらベッドの方に向かう。しかし、ボールを操ることにはなれていても目隠しで歩くのは不馴れだったからか、ベッド直前で転んでしまう。

 

 

 

「な、なにやってんのよあんた達!!!」

 

三階に戻ったが花瑞がいないので探しに来ていたマキがこの瞬間に現れた。目にしたのは目隠しを付けられた花瑞がベッドにいるヒロトの前で倒れているところ。

 

「変態! 信じらんない! ドスケベヒロトぉぉ!」

 

マキは何かとんでもないことが起こる直前かと勘違いして顔を真っ赤にさせながら花瑞を一瞬で拾い上げて三階へと駆け上がった。

 

 

「あ、あの…マキ?」

 

わけのわからないまま三階に連れ戻され、目隠しをはずされている最中の花瑞。事態が飲み込めず混乱している。

 

「花瑞ガード緩すぎ! もっとガードを鍛えて!」

 

「ガード……うん、わかった」

 

花瑞は、オフェンス的な特訓をしていたけど本職はディフェンスなんだからもっと守備面の特訓をしろということを言われたのだと勘違いしていた。

 

 

「騒がしいなぁ……また二人でいちゃついてるのか?」

 

「違うわよ!」

 

クララが大声を出すマキを静かにさせるために部屋に現れた。

 

 

「あっ、それより…二階のみんな、部屋で特訓してるんだって。ボールを壁に当てて。ヒロトさんに教えてもらったの」

 

 

「……もしかして、さっきのってそういう特訓?」

 

「……? そうだけど」

 

マキは勘違いに気付き、早速特訓してくるといって部屋へと帰っていった。

 

「マキ、多分物凄い勘違いしてたな」

 

クララはそれだけ言い、自分も同様の特訓をするために部屋に戻った。

 

 

 

 

 一方その頃、マネージャー+八神、杏は、久遠監督の過去に起きた事件を知った。

すぐにでも知らせた方がいいのではないかという意見を八神以外の全員が出したのだが、八神のみただでさえ監督に関する不信感が高まっているなかで実際に試合に出る選手にこれ以上刺激しては試合以前の問題になりかねないと判断し、彼女達のみでこの問題を追求し、必要となった場合には伝えることになった。

 




クララ「ここだけの話」

八神「唐突だな、というかこれは何の空間だ?」

クララ「ここは後書きの空間というやつ。乗っ取った」

八神「乗っ取った……早めに用件をすませて返して上げろ。誰にだかは知らないが」

クララ「ヒロトは花瑞のことラブなのはまあ当然なのだが」

八神「当然……なのか?」

クララ「マキも好敵手とかを通り越した感情を持ってる」

八神「……まあ、見ればわかる気がしないでもないが、いいのか?」 

クララ「女の子同士でも問題はないんじゃないか? 本人次第」

八神「花瑞のやつも随分と大変なものを持っているな」

クララ「ちなみに花瑞はマキのそれには気付いてないしマキ本人も自覚はない」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ビッグウェイブス これが世界だ!

技名間違えてました
今回の黒嶋が放った必殺技
正しくはマッハウィンドではなく、烈風ブラストです。
修正いたしました。次回の前書きにも添えておきます


 結局、外での練習が出来ないまま試合当日を迎えた。アジア予選でも有力視されているビッグウェイブスとの一戦を前に不安が残る。スターティングメンバーは下記の通りであった。

 

FW    ヒロト 豪炎寺

 

 

MF    マキ 鬼道 吹雪 

 

DF 風丸 飛鷹 花瑞 壁山 黒嶋

 

GK 円堂

 

サイドに機動力の高い風丸、黒嶋。真ん中にも攻守に優れる花瑞が配置されており、一見防御よりに見えるフォーメーションではあるが実際はかなり攻撃的なフォーメーションとなっている。

 

 

キックオフと同時に、圧倒的な素早さで豪炎寺を囲い込み敵のフォワード、ジョーズがボールを奪った。

 

「これが俺達ビッグウェイブスの必殺タクティクス、ボックスロックディフェンスだっ!」

 

必殺タクティクスという聞きなれない言葉にイナズマジャパンは世界のレベルを痛感するが試合は始まったばかり、気持ちをすぐに切り替えてボールを奪い返そうと鬼道がスライディングを仕掛けるが避けられてしまう。

 

「花瑞、任せたぞ!」

 

「はいっ鬼道さん! ゴッドルーツ!」

 

ジョーズからボールを奪い、花瑞はマキへとパスを出す。

 

「ボックスロックディフェンス!」

 

パスを受けた直後、再びビッグウェイブスの必殺タクティクスが襲い掛かる。

 

「ふん! そんなものマキには効かないよ!」

 

マキは真上に飛び上がる。

 

「メテオシャワー改!」

 

「なにっ!?」

 

なんと、ボックスロックディフェンスをマキお得意のメテオシャワーが強引に突破して見せた。複数人相手を巻き込めるメテオシャワーの相性がよかったからこそ出来る突破方法だが、これはマキにしか出来ない。マキがゴールを奪える能力を持っていなければ驚異とならない。監督の久遠はむしろ突破への鍵が霞むのではないかと注意深く試合の流れを見ることにした。

 

「メテオシャワー…シュート!」

 

「グレートバリアリーフ!」

 

ジーンの必殺技により、マキのシュートは止められてしまった。キーパーが止められるとわかればビッグウェイブスとしては驚異ではなかった。

ボールは前線へと繋がれ、今度はジョーズがシュートするところまで持ち込まれてしまった。

 

「メガロドン改!」

 

「正義の鉄拳G2!」

 

正義の鉄拳は意図も容易く突破され、イナズマジャパンは先制点を奪われてしまった。

 

「まだまだっ、試合は前半半分も過ぎてないさ!マキ、豪炎寺達にパスを繋いでくれ!頼んだぞ!」

 

「マキに任せときなさい。お前はひとつでも多くシュートを防いでよね!円堂」

 

試合再開。マキへとパスを出す。

突破されるとわかっているからかマキへはボックスロックディフェンスを出さない。むしろフォワードのマークを徹底させる形を取っている。マキのシュートは怖くないからこそ出来てしまうプレイだ。敵陣深くまで潜り込めたがフォワードにパスが出せない。

 

「マキ!私にボールを!」

 

マキの後ろから花瑞が走る。マキは天高くボールを蹴り上げる。

 

「ゴッドノウズ改!」

 

「グレートバリアリーフっ!」

 

花瑞のゴッドノウズ改も、グレートバリアリーフの中で勢いを失い止められてしまった。すかさずカウンターでジョーズへとボールが渡り再びメガロドンが炸裂する。

しかし、これは壁山がザ・ウォールで威力を弱めたことで正義の鉄拳により弾き返すことが出来た。

 ボールは飛鷹へと渡り、なんとかボールを蹴って鬼道に渡す。囲われる前に急いでサイドから駆け上がってきた風丸へとパスを出し、そのまま敵の陣地奥深くまで入った。しかし豪炎寺もヒロトもマークが厳しい。

 

「こっちに回せ!」

 

逆サイドから黒嶋の声。風丸と同じかそれ以上の素早さを持つ彼は敵のマークを置き去りにボールを受けとる。

 

「烈風ブラスト!」

 

強烈な風の回転が吹き荒れるマッハウィンドをそのままダイレクトで撃ち込んだ。

 

「グレートバリアリーフ!!」

 

ボールは海中を半ばまでは勢いよく回転して進んでいたのだが、最後にはゴッドノウズ同様勢いがなくなり、止められてしまった。

 

「……そうかっ!」

 

豪炎寺は今のシュートを見て何かに気付いた。

しかしボールは豪炎寺から既に遠くはなれている。すぐにでも活路を示したいがまずはボールを奪わなければならない。

 

「黒嶋っ!」

 

「っ!──おう!」

 

 

黒嶋は豪炎寺の意図を理解して俊足でボールを持つ選手のもとへと接近する。

 

「ワンダートラップ!」

 

すぐにボールを奪い一度マキにボールを預け、そのマキを追い越してから再びボールを受け取った。そして、ボールを中心に高速に回りだし、ボールは中に浮かび上がる。

 

「「フレイムストリーム!」」

 

ジェネシス戦でも使われた黒嶋と豪炎寺の連携必殺技が炸裂する。

 

「グレートバリアリーフ!……っ!?」

 

ボールは激しく回転したままグレートバリアリーフを突き抜け、ゴールへ突き刺さった。

 

「そっか、回転がカギだったんだ!」

 

花瑞の他、全員が豪炎寺が見つけた弱点に気付いた。

回転がカギだったのだ。並外れた回転を伴ったシュートならば突破出来るのだ。

 

前半はここで終了した。ゴールの突破口も見えた。現在同点。後半戦で必ず逆転して見せると全員が前半以上に気合いを出した。

 




クララ「出番無しかぁ……」

八神「ベンチにはいるんだろう?まだマシさ」

杏「そうだぞ、私達はベンチ外なんだから」

クララ「いや、となりにいる不動ってやつがウザい。ベンチのクセに妙に見下してくるし」

杏「あいつか、まあ早くフィールドに出れるように頑張る理由にでもするんだな」

クララ「まあ、そうする」

八神「頑張ってくれよ。元マスターランク女子の意地を見せてくれ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ビッグウェイブス ばくねつスクリュー炸裂!

前回の修正

黒嶋の放った技
マッハウィンド→烈風ブラスト

シンプルに間違えました申し訳ない


 「前半戦、点数こそ同点ではあるが内容で言えば我々は大きく負けている。マキ、ベンチに下がれ。変わりは虎丸を入れる」

 

「ちょっと監督! あの必殺タクティクスを突破できるのはマキだけなんだけどっ!」

 

「そうですよ監督!」

 

「あの必殺タクティクスを突破するカギは既に全員の中にある」

 

「でもそれがわかんなかったらどうするのさ! マキがいた方が保険にもなるじゃん!」

 

「それが感覚を鈍らせる。以上だ」

 

前半、自分達のタクティクスを垣見出したマキがベンチに下がったことをこれ幸いとビッグウェイブスはボックスロックディフェンスをすぐさま仕掛けてきた。

囚われたのは豪炎寺、なんとかボールを狭い囲いの中でキープするが、ジリジリと詰め寄られてボールを奪われてしまった。

そのままジョーズがボールを持ち中央から攻めて行くが、これは先程入ったばかりの虎丸により奪われた。

 

「いいぞ虎丸っ! そのままシュートだ!」

 

円堂の声は虎丸に届いていたであろう。しかし敵陣深くまでボールを持っていったあと、絶好のシュートチャンスから突如フォワードのヒロトへと渡した。

 

「ボックスロックディフェンス!」

 

ヒロトも豪炎寺同様に中で懸命にボールをキープする。ヒロトが前側に寄るとそれに合わせて僅かに囲いを作る選手の位置取りが変化して、前側へと偏る。後ろを振り向くと直ぐ様形を直す。ヒロトは唐突にボールを真後ろへと勢いよく蹴る。勿論全くそちらへ意識を向けることなく突然のことであった。囲う選手の開きが僅かに広がる後ろ側に全く警戒心を与えないところからのボールは、僅かに後方二選手の足の届かない。しかしそれも仕方無い。グルグルと中で動いていたヒロトの現在背後はタッチラインすれすれの位置。蹴ったところで味方などいるはずもなく、ビッグウェイブスのスローインで始まるはずだった。

 しかしそこにはディフェンダー、それもど真ん中を守っているはずの花瑞の姿があった。

 

「さすがだね、花瑞」

 

「ヒロトさんこそ」

 

ボールを貰った花瑞は中央に戻りつつパスコースを探す。

 

「……なるほどな、そういうことか監督」

 

鬼道は監督の狙いに気が付いた。先程の豪炎寺、ヒロト、花瑞の動き、そしてあのボックスロックディフェンスの空間。まさしく部屋での壁当ての感覚。

 

「みんな、壁当てだ! 部屋での特訓を思い出せ!」

 

「そうかっ! じゃあ監督はこのために! やっぱ監督はすげぇんだな!」

 

円堂が監督の狙いに気付き感心する。

 

「そっか、今何気なくやったけど。今の動きってヒロトさんとやった部屋での特訓と同じ……これを発展させれば」

 

花瑞は鬼道へとボールを渡した。

 

「ボックスロックディフェンスっ!」

 

鬼道を囲う四人に対して、イナズマジャパンのメンバーが一人ずつその人物の周りを回り始めた。

そして鬼道は四人へとパスを繋ぎながら即座に帰ってきたボールの動きで敵を翻弄する。

 

「これが対ボックスロックディフェンス用の必殺タクティクスダンシングボールエスケープだっ!」

 

鬼道はボックスロックディフェンスを突破した。あとは黒嶋と豪炎寺に繋げれば得点になる。しかし、黒嶋に対して二人以上のマークが付いていた。

豪炎寺は鬼道に目を合わせる。それだけで伝わると信じそれ以上は何も言わないまま走り出す。

 

「ふっ、豪炎寺!」

 

豪炎寺にボールが渡った。

 

「ばくねつスクリュー!」

 

ここで新必殺技が炸裂する。ばくねつストームはおろか、フレイムストリーム以上の回転を持ったボールはグレートバリアリーフを意図も容易く破っていった。

 

「おぉ!さすが豪炎寺だぜ」

 

豪炎寺はクールに自陣コートへと、戻っていくと黒嶋が近くに来て尋ねる。

 

「一点目の段階で、あの技のビジョンは見えていたんだろ?」

 

「あぁ」

 

「それでもマークを俺に集中させるために一点目をあえて連携技にした。さすがだな」

 

 

 

試合再開の前に相手はベンチに控えていた選手と三名の交代を行った。対するイナズマジャパンも飛鷹を下げて小暮を、風丸に変わりクララを入れた。

 ビッグウェイブスは残り時間でなんとか同点へ戻そうと猛攻を仕掛けてきた。交代してきた選手は陸で鍛えた選手達であり、スタメン選手達とはまた違う動きをしてきた。

 

「カンガルーキック!」

 

交代したばかりの小暮が突破されると、圧倒的なフィジカルのみで花瑞を弾き飛ばした。

 

「メガロドン改っ!」

 

シュートブロックできる者はいない。円堂が守るしかない。

 

「任せろっ! 正義の鉄拳G3!」

 

この土壇場でパワーアップした正義の鉄拳がメガロドンを弾き返した。しかし弾いたボールは敵に渡る。

 

「フローズンスティール」

 

クララが滑り込んでボールを奪った。

花瑞を吹き飛びした敵の猛烈なチャージがクララにも襲い掛かろうとする。クララの身体ではさらに大きく飛ばされかねない。クララはすぐにボールを虎丸へと渡した。虎丸はまたも軽快にボールを運び、シュートチャンスまで持ち込んだのだが豪炎寺へとボールを渡した。豪炎寺はばくねつスクリューを放ち追加点を奪い、3-1で試合は終了した。

試合終了後、不自然にボールを渡す虎丸へ豪炎寺が二人だけになる場所に行き納得のいく答えを求めて尋ねた。

 

 

「虎丸、何故自分で撃たなかった」

 

「だって、豪炎寺さんは先に二回も得点してますし、確実性を求めるなら豪炎寺さんですし…」

 

「試合終了間際だった。別に追加点が無くても勝つことは出来た。自分で撃ってよかったはずだ」

 

豪炎寺はそれ以上は追求しなかったが、自身の手で虎丸について深く知らないといけないと感じ、独自に動き始めた。

 

 

 

 




クララ「あ~怖かった」

八神「花瑞なんて人二人分以上はタックルで飛されていたからな」

クララ「やっぱ外国人の体格は別次元だ…」

マキ「ふんっ! そんなのメテオシャワーで蹴散らしてやるんだから!」

クララ「暴力的な女子は受けがよくないぞ」

マキ「余計なお世話!」





ヒロト「取り戻せなさそうだね、これ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

熱き闘志

二回戦の相手がカタール代表に決まった。

スタミナが豊富だとされるためにイナズマジャパンは走り込みを中心にした練習メニューを行うことになったのだが……

 

「はぁはぁ……」

 

「クララ、大丈夫か!?」

 

「暑い……やばぃ」

 

カンカン照りの太陽の下、長時間休憩無しで行ってしまったランニングは何名かの選手には耐えきれないものになってしまった。

かくいう花瑞もかなりバテていた。必殺技も強力で全体的なテクニックも高い花瑞だがことフィジカルの話になるとか弱い。本人もそれを自覚しており、前回の試合でもそれを痛感させられたのだが早々変われるものではない。

 

「あき! クララを日陰に休ませてくれ!」

 

円堂があきにクララの手当てを任せる。壁山もかなりヘトヘトで、マキも実際のところかなりの疲労を溜め込んでいたのだが、意地を張って隠していた。

 

「円堂、全員倒れてしまったら元も子もない。一旦休憩を取って別のメニューに移ろう」

 

鬼道は練習メニューの変更を提案し、ここからは紅白戦へと切り替わった。

その中でも不動のラフプレーが目立ったり、何度も初歩的なミスをする飛鷹、途中で練習を切り上げ帰る虎丸など、チーム全体がまだ纏まっていない。

 

「はぁはぁ……マキあいつ嫌い!」

 

マキが遠くにいる不動のほうを睨みながら花瑞に口をこぼす。

 

「不動さんももっとチームの輪に入ってくれればいいんだけど……」

 

「ムリムリ、あんなやつ輪を乱すだけよ。さっさと緑川辺りと代えた方がいいんじゃない?」

 

 マキが緑川の名を出したのは恐らく誰よりも懸命に特訓しているからだろう。緑川は夜になってもひとりで練習をしていた。オーバーワークになるんじゃないかと心配されている程にだ。その姿勢はかつてマキ自身も花瑞に勝ちたいと猛特訓した経験があるから熱意がよく伝わる。

 練習が終わり夜になり、監督からチームに発表することがあった。

 

「倉掛を一度メンバーから外し、変わりに緑川を起用する」

 

仕方の無いことであった。クララは日中に熱中症になりカタール戦には万全の体調で挑めそうにない。体調が回復したとしても体力的に厳しいのは明白であった。

 

 

 

次の日、豪炎寺は途中で帰宅する虎丸の後を追って練習を途中で切り上げていた。その日は飛鷹も用事があるからと途中で抜けていた。

 

「円堂さん、なかなかチームが纏まらないですね…」

 

「あぁ。でも大丈夫さ! みんな勝ちたいって思いは一緒のはずだからさ」

 

「そうですよねっ! わたし、もう少し練習してきます」

 

「あぁ! 頑張れよ!」

 

円堂は虎丸、豪炎寺のことが気になって仕方がないのか一緒に練習をしたいのは山々なのだが二人を探しにいった。

 日が暮れてだいぶ時間が立つ。花瑞もさすがに切り上げて宿舎に戻っていたが、まだひとり練習をしている者がいる。緑川である。

次の試合で活躍してクララの一回だけの代わりにならないようにしたいため必死なのだ。

 

「精が出るな」

 

「ヒロト……」

 

「だが、あんまり無理すると怪我をする。今日はもう切り上げた方がいい」

 

「いや、俺なんかはもっと努力しないとダメなんだ。元セカンドランクチームの俺なんかは…」

 

「同じ日本代表のユニフォームを着ている。そして監督に選ばれたんだ。そんな人間が極端に劣っているわけないだろう? サッカーを楽しむことを忘れるなよ。緑川」

 

「わかったよ」

 

「さあ、夕食もまだなんだろ? 冷めてるとは思うけど緑川の分は残ってるから早く風呂にはいって食べてきな」

 

「あぁ!」

 

この日、円堂達は虎丸の家庭事情について知ることになった。豪炎寺は虎丸が全力で楽しめるサッカーを出来るようにするために、全力で取り組もうと決意した。




筆者「クララが倒れたから自動的に戻ってきた」

ヒロト「治ったら、また取られるんだろうね」

マキ「クララなら数日中に治るわよ。今のうちに荷物をまとめといたら?」

筆者「立ち退きかよ!?」

マキ「いいじゃない! 前書きにでも引っ越しなさい!」

ヒロト「また随分とめたいことを……まあこの空間がそういうものだから仕方無いか」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.デザートライオン 灼熱地獄! ヒートアイランド

ヒロト「これだけは言わせてくれるかい?」

筆者「なんだ」

ヒロト「ここ数回のタイトルだいたい熱い」

筆者「友情!努力!勝利!」


 デザートライオンとの試合当日。天気は雲ひとつない快晴。今日はいい日になりそうだと陽気に鼻唄を歌うものも現れそうなものだが、温暖化した東京は朝から気温は三十度を超えていた。

 

「マキ、蒸し暑いの嫌い!」

 

「昨日、一昨日とは比べ物にならないくらい暑いね……」

 

グラウンドでアップをしているだけでも汗が止まらない。マネージャー達も大型のクーラーボックスを持ってきて中に氷を大量にいれてスポーツドリンクを用意している。

 

「スターティングメンバーを発表する」

 

FW  豪炎寺 ヒロト

 

MF 吹雪 鬼道 緑川 マキ

 

DF 小暮 壁山 飛鷹 黒嶋

 

GK 円堂

 

「花瑞さん抜きっスか?」

 

「どうした壁山。まさか、ひとりDFをベンチに下げただけで日本代表の守備は崩壊するなんて言わないだろうな?」

 

「そ、そんなことないっス」

 

花瑞はベンチスタートであった。壁山のように花瑞がスタメン落ちしたことに驚いている者は少なくない。しかし、ビッグウェイブスのときも狙いがあったように今回も狙いがあるに違いないと皆が信じていた。

前半が始まり、イナズマジャパンは調子よくボールを運んでいく。

 

「ばくねつスクリュー!」

 

「ストームライダー!」

 

豪炎寺のばくねつスクリューが前半早々に相手ゴールにねじ込まれる。幸先のいいスタートを切ったイナズマジャパン、相手のキックオフから試合が再開すると、強引なドリブルで相手が攻め上がってくる。不動レベルかそれ以上のラフプレーの数々であった。

中盤の鬼道が抜かれたあと、壁山がザ・ウォールでボールを奪い返すとそのボールは吹雪へと繋げるが再び奪い返される。中盤での激しい攻防が前半の半ばまで繰り広げられた頃であった。

 

「はぁはぁ…メテオシャワー……」

 

メテオシャワーを放ったマキは着地と同時に膝に手を当てたまま動けない。体力を消耗しすぎている。

 

「この猛暑のお陰で思ったより早く我々の時間がやってきたな。いくぞ!」

 

デザートライオンのキャプテン、ビヨンの指示により一気にデザートライオンが牙を向く。タックルでボールを奪われたマキは大きく吹っ飛ばされ、飛鷹は簡単に抜き去られた。

 

「させるかよ」

 

黒嶋がスライディングでボールを弾くが、弾いた先にいる壁山がボールを拾えずビヨンのボールになる。

 

「ミラージュシュート!」

 

「正義の鉄拳G3!」

 

このボールは円堂の正義の鉄拳で防いだ。GKの円堂の体力はまだ残っている。沖縄育ちの黒嶋もまだ大丈夫。しかし、他の選手の疲れはかなり溜まってきているようであった。

正義の鉄拳の弱点、パンチング技なのでその後のボールキープの保証がない。そこに動ける選手の減少が加わることで結局防いだボールを再び相手に取られる連続シュートの地獄へと変わってしまう。

何発でも入るまでシュートが続く。円堂があっという間に消耗していく。ついに、一点を奪われたあともすぐに攻め込まれてしまう。

 

「とどめだ!ミラージュシュート!」

 

「くっくそ! うぉぉ!」

 

飛鷹が大声をあげて振り上げた蹴りは空を切り、相手のシュートの勢いを抑えた。円堂は威力の弱まったボールをマジンザハンドでキャッチした。

 

「よしっ! 黒嶋っ!」

 

円堂はボールを黒嶋へと渡し、黒嶋はさらに緑川へとボールを渡した。緑川からボールを奪おうと二人の選手が襲い掛かる。

 

「このチャンスを生かさないわけにはいかないっ!ライトニングアクセル!」

 

ジェネシスの一部が覚えていた必殺技を緑川がここでモノにしたのだ。緑川は進撃を続け、シュート体勢に入った。

 

「アストロぉぉ…ブレイク!V2」

 

「ストームライダー!」

 

しかし、このシュートは止められてしまった。

 

「くっ、もっと強力な必殺技があれば…」

 

「緑川、ひとりで攻める必要はない。俺に回してくれたっていいんだ」

 

「ヒロト……すまない」

 

「別に責めてるわけじゃない。チームプレーを忘れるなってだけさ」

 

「……あぁ」

 

相手の反撃でいよいよイナズマジャパンの守備が突破されてしまった。同点にされただけならまだよかったが、その後さらなるラフプレーを加えられた挙げ句に二点目を許してしまったのだ。

出場選手の多くが疲労とダメージが蓄積した状態で前半戦が終了した。

 

「みんな…と、とりあえず飲んで」

 

花瑞はヒロトとマキにスポーツドリンクを手渡す。

 

「はぁっ……はっ…ぜぇ…」

 

マキは息を荒げて顔を俯いたまま受け取り、勢いよく上体を起こしてボトルの底を憎らしい太陽に向けて一気に飲み干す。そして再び下を向く。

 

「後半はマキ、小暮、壁山、緑川を花瑞、風丸、虎丸、立向井と交代する」

 

「まっ……マキは…まだ」

 

「監督…俺はまだやれます………」

 

「足を引っ張るだけだ、今は休め」

 

マキ達は何も言い返すことなく下がるしかなかった。

 

「……それと花瑞、後半はお前が守備の要になる。途中で体力切れを起こさないよう自分の管理は徹底しろ」

 

監督‥…前半に私を出さなかったのは後半に戦えるだけよ戦力を残すためだったんですね……




クララ「暑いのは苦手だ……」

八神「まあ記録的な酷暑のようだし無理もない。むしろ私はこんな時期に開催する大会運営に問題があると思う」

クララ「そうだよ、こんな暑い時期はアイスでも咥えながらクーラーの聞いた部屋でゲームをするに限る」

八神「練習はしてほしいものだな」

杏「そんな生活をしているが選ばれたのだからな……」

クララ「まあ次の試合には復活するし…」

杏「枠が空いていればいいな」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.デザートライオン 虎の目覚め タイガードライブ!

筆者「さすがに出力が追い付かなくなってきた」

ヒロト「緑川にもいってることだけどあんまり詰めすぎることないさ」


FW 豪炎寺 虎丸 ヒロト

MF 吹雪 鬼道 

DF風丸 円堂 花瑞 飛鷹 黒嶋

GK立向井

 

体力に余裕のある立向井にゴールを任せ、守備の方は前半開始直後と同等レベルまで戻っている。しかし吹雪、円堂、飛鷹の疲労が激しく、豪炎寺やヒロト、黒嶋も少なからず疲労の色が見える。

鍵となるのは守備の花瑞とここまでシュートを避けてきた虎丸の二人。豪炎寺曰く大丈夫だ、あいつを信じてくれ。という熱い期待が込められた虎丸。後半開始早々にボールを相手から奪いハイスピードで攻め込んでいく。豪炎寺とヒロトが追従するが、ここは虎丸のシュートチャンス。

 

「いけっ!虎丸!」

 

「……っう!」

 

虎丸は悩んだ挙げ句に豪炎寺へとパスを出す。そのパスを受けて豪炎寺はファイアトルネードを虎丸へとぶつける。

 

「な、なにするんですか豪炎寺さん!」

 

花瑞達には何が起きたかわからない。そして声も聞こえない。ボールは外に出て相手のスローイングから始まる。

 

「ここにいる奴らは世界を目指しているんだ。お前がどんなにひとり抜きん出て強かったとしても妬んだりしない。お前の本気を見せてみろ」

 

「豪炎寺さん……」

 

「なるほど……何となく理解したよ。虎丸君、ここにいるのは日本を代表する選手だ。君が心配するほど俺達はやわじゃない。全力で来てくれ」

 

「ヒロトさん…」

 

虎丸の目付きが変わった。覚悟を決めたようだ。

スローインから試合が再開。ボールを花瑞がゴッドルーツで奪う。風丸へとボールを渡し、左サイドから攻めていく。

 

「よし……虎丸!」

 

風丸から虎丸へボールが渡る。

 

「いかせるかっ!」

 

ディフェンスが虎丸の行く手を阻む。しかしそれを虎丸は簡単に抜き去る。

 

「これが俺の必殺技! タイガードライブだぁ!」

 

虎が吠える。勢いよくゴールへと食らい付いていく。

 

「ストームライダ…うわぁ!」

 

同点のゴール。しかし、デザートライオンも簡単には倒れない。虎丸を避けてサイドから攻撃を仕掛ける。

 

「シザースボム!」

 

砂が撒き飛び、黒嶋と飛鷹が突破される。ゴールに向きを変えてシュート体勢に。

 

「ミラージュシュート!」

 

「ゴッドルーツ!」

 

威力を弱めるだけに留め、立向井にゴールを任せる。

 

「ムゲンザハンドG4!」

 

ガッチリと止めてボールを風丸に渡す。風丸は再び攻め上がるが二度目はないぞと守りを固められる。

 

「疾風ダッシュ!」

 

それを一度目は躱すがその先でボールを奪われてしまった。円堂もスライディングを仕掛けるがあっさりと躱されてしまう。

 

「シザースボム!」

 

「ゴッドフラワーG3!」

 

相手の必殺技を抑え込んでボールを奪う。ボールを鬼道へと預けるが奪い返される。中盤の疲労が激しくボールが前線へ繋がらない。何とかして虎丸に繋げたいのだがそこまで届かない。

再びゴッドフラワーでボールを奪った花瑞は、自身で攻め込もうかと悩んだのだが。

 

「花瑞さん! 僕にボールを!」

 

「虎丸君!?」

 

なんと虎丸がここまで下がってきていた。

 

「た、体力は大丈夫?」

 

「出前で鍛えてますから平気です!」

 

「わかった、おねがい!」

 

虎丸はボールを受け取ると敵のディフェンスを掻い潜り、トップスピードでゴールまで駆けていく。

 

「これで終わりだ! タイガードライブ!」

 

「ストームライダー!」

 

虎丸の覚醒によりイナズマジャパンは3-2で勝利を納めた。

 

「虎丸すげぇな!」

 

「お前ほどのやつが何故フットボールフロンティアに出ていないんだ?」

 

「だって僕小六ですもん」

 

「えぇぇ!?小六!?」

 

花瑞の一個下の天才児であることが判明した虎丸。花瑞は早くも来年以降のフットボールフロンティアでの対決を意識してしまうのであった。

 

 




マキ「くぅぅ…マキはまだいける!」

クララ「こっち側に来たか」

八神「落ち着け、試合はもう終わってる」

杏「誰かあいつの頭を冷やしてくれ」

クララ「アイスブロックっ」

マキ「きぃぃぃん!? ちょ、なにす」

八神「頭を冷やす(物理)」

杏「頭を冷やす……?(物理)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

驚異のリベンジャー、ネオジャパン襲来

筆者「休みだとゴロゴロしてて逆に作る時間がない」

ヒロト「まあ、無理せずにね」


デザートライオンとの試合が終わった次の日、鬼道は世界の強さを痛感して新必殺技を開発する必要があるとミーティングで話、各々がそれに向かい練習をしていると雷門中には懐かしさすら感じる面々が現れた。

 

「イナズマジャパン! 我々ネオジャパンは代表の座を賭けて試合を申し込む!」

 

「お、おさむ!?」

 

「え? おさむって?」

 

マキが驚いている。そして円堂は誰のことで驚いているのかわからなくてマキに聞き返してしまう。

 

「デザーム様よデザーム様!」

 

「デザーム!? んー、よくみれば確かにそうかもしれないけど、結構変わったな」

 

「え、円堂さん! それより、代表の座を賭けて勝負って言ってますよ!」

 

花瑞は円堂にそれよりもとこの大事を伝える。砂木沼の他にも帝国の源田、ゼウス中のデメテル、ジェネシスのウィーズ、ダイヤモンドダストのアイシーなどかなりの実力者達がそのチームに所属していた。

 

「こんな一方的なもの誰が責任を持てるというんだ」

 

鬼道が砂木沼に問う。

 

「私がその責任を取るわ」

 

選手の奥からひとりのクールな女性が現れる。

 

「ひ、瞳子監督!?」

 

「ねぇさん!?なんでもうサッカーには関わらないって…」

 

「彼が私の元を訪ねてきたの。何回も、その情熱を見せつけられたら断ることも出来なかった」

 

久遠監督が瞳子の前に現れた。

 

「あなたが監督の久遠さんですね。我々ネオジャパンの挑戦、受けてくれますか」

 

そんな一方的なものを受ける必要性はなかった。しかし、監督はこの挑戦を受けた。

 

「ま、まさか良い選手がいたら交代させるつもりなんじゃ…」

 

「ま、まさか」

 

マネージャー達が深読みしてしまうが、その可能性が否定できるわけでもない。どちらにしろ負けたら代表じゃなくなってしまうのだ。

 

FW   豪炎寺 虎丸

 

MF 緑川 吹雪 鬼道 マキ

 

DF 飛鷹 花瑞 壁山 黒嶋

 

GK 円堂

 

対するネオジャパンのフォーメーションは

 

FW ゼル ウィーズ

 

MF 新田  砂木沼 霧隠

 

       ゆうこく

DF アイシー      鳴神 

     ゾーハン  ごういん 

 

GK  源田

 

「(クララはいないのか……)」

 

アイシーがベンチ外で観戦しているクララを見てそう心の中で呟いた。

 

試合開始、ゼルがボールを持つと花瑞のところまで順調に侵攻してきた。

 

「ゴッドルーツV2!」

 

ボールを奪えそうだったその瞬間、ゼルはボールを砂木沼へとバックパスをした。

 

「ダッシュストームV2!」

 

「なっきゃぁぁぁ!」

 

花瑞は吹き飛ばされ、円堂と砂木沼が一対一になった。

 

「ゴッドノウズ改!」

 

「なっ!?あれは……」

 

「お、お兄ちゃんのゴッドノウズ!」

 

「うおぉぉ!正義の鉄拳G3!」

 

円堂の正義の鉄拳は簡単に破られてしまった。

 

「ま、まさかネオジャパンは各チームの技を教えあっているのか?」

 

「で、でもゴッドノウズは私とお兄ちゃんしか使えない…ゼウス中の人からの情報で使えるようになったんだ…」

 

恐ろしい執念、恐ろしい情熱だ砂木沼と花瑞は驚愕した。だが負けてられない。試合は始まったばかりだ。

 

イナズマジャパンの反撃、豪炎寺がボールを受け取り虎丸とのワンツーで敵陣深く攻め込むと、最後には虎丸がシュート体勢に入った。

「タイガードライブ!」

 

「ドリルスマッシャーV2!」

 

虎丸のシュートは源田のドリルスマッシャーに阻まれ、得点にならなかった。

さらにボールはアイシーへと渡り、砂木沼の指示でボールを新田へと渡す。新田はボールと共に異空間へと消える。

 

「ま、まさかこの技、治の!」

 

「ふっ、そうさマキ」

 

「グングニルV2!」

 

「正義の鉄拳っうわぁ!」

 

2-0

 

イナズマジャパンはこのままでは敗北してしまう。

試合再開と同時に豪炎寺が速攻を仕掛ける。

 

「行かせるか!」

 

「っ、吹雪!」

 

砂木沼を前に後ろの吹雪へとパスを出す。吹雪は右サイドから上がってきた黒嶋へとパスを出す。

 

「フローズンスティール改!」

 

アイシーがボールを奪い、砂木沼の呼び掛けに答えてパスを出す。

砂木沼は再びダッシュストームV2で進撃し、再び花瑞と真正面からぶつかる。

 

「ダッシュストームV2!」

 

「ゴッドフラワーG3!」

 

花瑞はかろうじて耐えたが、ボールは空中へと弾かれる。砂木沼はそのボールを追って空高く飛び上がる。

 

「ゴッドノウズ改!」

 

「今度こそ……ゴッドフラワーG3!」

 

砂木沼のゴッドノウズを完全に抑え込む。そして自分でドリブルして敵のディフェンスを回避してシュート体勢まで持っていく。

 

「負けない…! 真ゴッドノウズ!」

 

「ドリルスマッシャーV2っぐぁぁ!」

 

花瑞渾身のゴッドノウズがドリルスマッシャーを打ち破った。

 

「よしいいぞ花瑞! よぉし、このまま一気に反撃だぁ!」

 

センターライン付近から新田がグングニルでロングシュートを放つ。

 

「花瑞! 三歩後ろの位置に構えて!」

 

「わかった! ゴッドフラワーG3!」

 

マキの助言通り三歩下がると、見事グングニルのボールが出現する位置にゴッドフラワーが立ち塞がった。

 

「治の技だからね、マキわかっちゃうんだ!」

 

「ありがとう! パスいくよ!」

 

ボールをマキへと預ける。マキはメテオシャワー改でゆうこく等を抜き去り、天高くボールを上げそのボールに合わせて花瑞が再び真ゴッドノウズを放つ。

 

 

「真無限の壁!」

 

しかしこれを三人がかりの大技、無限の壁で防がれてしまう。

 

「ちぃ、すごい技……マキじゃとても……」

 

「ど、どうしよう…ゴッドノウズじゃ届かない……ゴッドノウズを越える衝撃を与えたら崩せるのかな…」

 

真·無限の壁を破れないまま前半は終了してしまった。

 

「円堂、後半はMFで出すぞ。準備しておけ」

 

「っ! はい!」

 

デザートライオンでもその影響を多少見るために円堂をフィールドに出していた久遠監督。元々は瞳子が考案した円堂のリベロ戦略を本格的に使うようだ。




アイシー「クララ!クララはどごだ!」

八神「クララならさっきアイスを買うといって出掛けたぞ」

杏「そんなに慌ててどうした」

アイシー「私はクララと戦いたかったのに! クララが入ってないじゃないか!」

マキ「うわぁ、ワガママ。自分の思ったと通りにいかなかったら力でなんとかするタイプとか…」

八神「お前が言うのか、それ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS. ネオジャパン 極限·ギリギリの大接戦

筆者「花瑞の技ってゴッドフラワーよりゴッドキャッスルの方が強いけど消耗が激しいから普段は使っていないよな」

ヒロト「あぁ、そうだね。決して低いわけではないけど体力的に厳しいっていつも言ってる」

筆者「ゴッドフラワーはG、ゴッドキャッスルは真系統なんだよ」

ヒロト「へぇ、つまり?」

筆者「やっぱゴッドフラワーこそが花瑞の代名詞になると思うんだよ!」

ヒロト「状況にもよるけど、いつかゴッドキャッスルに頼らなくてもよくなるってことか。そうなれば花瑞はますます勝利の女神になるだろうね」



FW 豪炎寺 ヒロト

 

MF マキ 鬼道 円堂 吹雪

DF 風丸 飛鷹 花瑞 黒嶋

GK 立向井

 

後半はイナズマジャパンボールから、ボールを受け取ったヒロトはウィーズを抜き去り、砂木沼を突破し、流星ブレードV2を放つ。これも止められる。源田のパスを黒嶋がパスを出し烈風ブラストを出すも防がれる。

イナズマジャパンの攻撃はまだ止まらない。花瑞がボールを奪うと吹雪へとボールを渡し、ウルフレジェンドを繰り出すがこれも防がれる。

 

砂木沼がボールを奪い、攻撃に集中して手薄なディフェンス陣に切り込む。

ウィーズ、ゼル三人で攻めている。何か来るとわかるが、間に合わない。

 

「トライアングルZ改!」

 

「あれは向田三兄弟の!」

 

「く、うぉぉ!」

 

飛鷹がまた何もない空間に蹴りを入れる。ボールの威力が弱まったのが目に見えてわかった。見間違いでも偶然でもない。立向井はムゲンザハンドでキャッチしてボールを風丸へと渡す。風丸は速攻でボールを前線へと運び円堂へとボールを託した。

吹雪が近づき、前へと進む。

 

「ジ·アースか?」

 

ゾーハンはその可能性が高いと考え自分は真無限の壁の準備に、アイシーに指示を出しブロックを任せる。円堂は砂木沼を抜くために吹雪へとパスを出す。その瞬間にアイシーのフローズンスティール改が吹雪を襲う。しかし奪われたボールを鬼道が奪う。そしてすぐにボールを天に上げる。

 

「ジ·アースではない!?」

 

「こ、これはまさか…!」

 

源田は何かに気付いた。

 

豪炎寺、円堂、鬼道が飛び上がる。

 

「イナズマブレイクV2!」

 

「真·無限の壁! ぐっ……うぉぉ!」

 

必死の抵抗をするが真無限の壁はイナズマブレイクにより破られた。同点、後半の半ばで遂に同点となった。

 

「まだだ! 試合は振り出しに戻っただけだ!」

 

砂木沼の闘志がさらに燃え上がる。トライアングルZを再び放つが、花瑞のゴッドフラワーによるパワーダウンと立向井のムゲンザハンドにより止められてしまう。

ボールは黒嶋へと、しかし同じ技は撃たせまいと特に円堂へのマークが厳しい。

 

「フレイムストリーム!」

 

それならばと豪炎寺との連携技を繰り出すが、真無限の壁は破れない。ボールは新田へ、グングニルを放つが立向井がガッチリと止める。

 

「ガイアブレイクが使えれば……それか……」

 

マキは悔しそうに呟く。

 

「えぇい、一か八か! 花瑞!ヒロト!ガイアブレイクってわかるよね! ぶっつけでやるから手伝って」

 

「なに!?」

 

ゼルと砂木沼が驚く、ぶっつけであの技をやるというのか。やれるものなのかと警戒する。

 

「やらせるかよ!」

 

「メテオシャワー改!」

 

ゼルのディフェンスをマキが突破する。花瑞が後からついてきて、ヒロトが前から合わせてくる。

 

「いくよ!」

 

「う、うん!」

 

「「「ガイアブレイク!」」」

 

岩を纏ったボールを三人で蹴る。しかし、タイミングが合わない。それに気合いを入れるタイミングもヒロトと花瑞、マキとでは僅かにずれていた。ヒロトと花瑞では僅かに花瑞が早く、マキはそれよりも僅かに早かった。

当然、本来の威力に届かないガイアブレイクは弾かれる。

しかし、そのボールを花瑞が再び奪った。

 

「ゴッドノウズを上回る衝撃を……それなら打点のアプローチを変えてみれば…」

 

花瑞は羽ばたき、回転を加えながらボールを女神の逆鱗と同じ左側に体を傾けて蹴り下ろす。

 

「真·無限の壁!」

 

付け焼き刃の技ではあったが考え方がよかった。無限の壁にヒビが入り辛うじて防いだが無限の壁のフォーメーションが一瞬崩れる。

その隙を見逃さなかったのがエースストライカー豪炎寺、ばくねつストームG3を放ち源田はドリルスマッシャーで対抗したが敵わなかった。

ここで試合は終了した。

 

「くっ、我々は負けたのか……」

 

砂木沼は地面に向かって拳を叩きつける。

 

「いい試合だったぜ、砂木沼! また今度試合しような」

 

円堂が手を差しのべる。砂木沼はそれに答えて手を握り熱い握手をかわした。

 

 

砂木沼達が試合を終えて引き上げようとした頃、マキは砂木沼のところに一人で来ていた。

 

 

「ねぇ、治……」

 

「どうしたマキ、練習は始まっているのだろう?」

 

「夜でいいからさ、特訓に付き合ってほしい。みんなには内緒で」

 

かつて花瑞に勝ちたいと言っていた時と同じ真剣な眼差しに、砂木沼は自分と同じ闘志を再び感じ承諾した。

 

「よし、付き合おう」

 

「ありがとう治!」

 




アイシー「見つけたぞクララ!」

クララ「やかましいのが来た。どうしてマキといいやかましいのが多いのだ」

アイシー「わたしの方がお前より優れてると証明しようと臨んだのにお前がいなかった!どうしてくれる!」

クララ「どうするもこうするも、熱中症だったんだ仕方無い。それに、わたしの方が強い」

アイシー「なんだと! 何故そう言いきれるんだ!」

クララ「だってお前、指示待ち人間じゃん。いっつも頭の良い兄の指示を受けてるから自分の守備が生かされてるだけでお前ひとりじゃポンコツじゃん」

アイシー「今回お兄ちゃんは出てないぞ!」

クララ「いや、がっつり他の味方の指示で動いてたじゃん。私は自主的に動けるし」

アイシー「……」

クララ「あとわたしその気になればキーパーできるし」

アイシー「…………」

クララ「アイスブロッ君とか言われてたあいつよりわたしの方がアイスブロックをうまく使えるし」

八神「アイシーのライフはもうゼロだし流れ弾で元チームメイトまで攻撃するな」

アイシー「クララのバカ!もう知るか!」

杏「顔真っ赤にして帰ってしまったな」

クララ「ばいばーい」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

アジア予選決戦前の総仕上げ

筆者「やっぱ無限の壁はイナズマブレイクで破りたいよな」

ヒロト「アニメだとドリルスマッシャーはばくねつストームと、両方とも始めて破った技での突破だったからね」

筆者「いきなりメタいな」

ヒロト「そういえば、この前花瑞のゴッドフラワーはG系だからって話してたけど、豪炎寺のばくねつストームとスクリューも似たような関係だね」

筆者「メタいのを畳み掛けるな」


早朝、久遠監督は食堂に全員を集めてひとつのビデオを見せていた。そこには、決勝の相手となる韓国代表ファイアードラゴンの練習映像が入っていた。残念ながら試合での映像は用意できなかったようだ。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「晴矢!?」

 

「風助じゃん」

 

花瑞、杏、クララがそれぞれ反応する。

 

「強力な三人のフォワードを有する相手だ、そこで今回は杏、クララ二人に鈴野と南雲のマンマークを任せる」

 

「ってことは私、試合に出れる!」

 

杏はここまで補欠として練習に参加していたが遂にその苦労が報われることに喜んでいる。

 

「まあ、風助のことはこの中で私が一番知ってる。任せてほしい」

 

だったら私は……お兄ちゃんをマークしなきゃ。花瑞は心の中でそう強く決心した。

 

鬼道の提案によりここにきて新必殺技の開発が急ピッチに行われた。

特に飛鷹は何度か試合で見せているものを実用レベルに引き上げるためにと補欠の八神とのマンツーマンでの特訓に。虎丸と豪炎寺もシュート技の開発に着手。マキはヒロト、花瑞を引き連れガイアブレイクの練習を、他にも何名かの選手が秘密裏に特訓を行っていた。残りのメンバーは練習試合を行い、全員の気合いがより一層高まっていた。

 

「円堂、今のままで勝てると思うか?」

 

「え? もちろんですよ監督!」

 

「そう思うか」

 

 

 

 

花瑞達はガイアブレイク以外にも、様々なパターンを試して練習を行っていた。特にネオジャパンとの試合で単独で無限の壁を破りかけた花瑞の技を完成させることも必要だと考えて、練習合間に何度も試していた。他にもスーパーノヴァを撃てないかと八神を呼び、花瑞は一度飛鷹の練習に付き合うことになった。同じディフェンダー同士何か良いことが起こるかもしれない。

 

「飛鷹さん、いきますよ!」

 

花瑞がボールを蹴り、飛鷹は力強く蹴りを出す。

 

「んー、良い感じなんだけど何かキレが足りないと言うか……なにか悩みでもあるんですか?」

 

「そんなもん、ねぇよ」

 

飛鷹の視界に何か入ったのか、目を横に逃がしたあとに驚いた顔をして態度が急変した。

 

「すんません、ちょっと急用が出来た」

 

「ちょっと、飛鷹さん!?」

 

花瑞は後を追いかけた。追いかけた先には不良グループがいた。

 

「おやおや、とんだ子猫ちゃんが紛れ込んでんじゃねぇか」

 

リーダー格の唐須は部下に花瑞を取り押さえさせた。

 

「なっ!? 花瑞さん。着いてきてたのか」

 

「ごめん、気になってつい」

 

「おい唐須、こいつは関係ない。離せ!」

 

「チームメイトなんだろ? それを関係ないなんて、薄情だねぇトビーさんよぉ。そんなんだからこいつらのことも裏切れたってか?」

 

「……ちぃ」

 

「おっ? やるってか?」

 

飛鷹が今にも蹴りを出そうとしたときであった。

 

「メテオシャワー!」

 

「なっ!?うわぁ!」

 

取り巻きを蹴散らしてマキが現れる。

 

「練習中に何処か行くから心配で後を追ったら、どういうことよこれ!」

 

「花瑞に手を出すな。ここは大人しく身を引いてもらいたい」

 

続いてヒロトも現れる。

 

「練習の途中なのでな、ほら帰るぞ。飛鷹も」

 

八神も後ろから現れた。

 

「あ、あんたら……これは俺個人の問題だ! 関わらないでくれ」

 

「ダメです!チームメイトの問題は一緒に向き合います!」

 

「そうよ! マキ水臭いのはキライ!」

 

ヒロトは花瑞に手を貸して起き上がらせると、彼女を守るように自分に引き寄せる。

 

「ちっ、覚えてやがれ!」

 

意表を突かれ、人数的にも不利になり、不良集団は逃げ出してしまった。

 

「べーーっだ! 今度会ったらまたメテオシャワーお見舞いしてやるんだから」

 

「それにしてもゆ、飛鷹君。訳アリだとは思ってたけど、かなりのようだね」

 

「近いうちに片付けます。だから、関わらないでください」

 

「……わかった。しかし、世界に行く前には解決してくれ。いいよな、ヒロト」

 

八神はそう言ってこの場を納めた。

 

「あ、五人ともどこ行ってたんですか! お昼もう始まってるから手を洗って早く食べてくださいね!」

 

「あぁすまない。必殺技のヒントを得るために外に出ていた」

 

マネージャーのあきに八神はそういって納得させた。

八神は食堂で飛鷹の隣に座った。特に八神の方からも話し掛けはしなかったが、黙々と食べていた飛鷹が口を開いた。

 

「元々俺は不良で、蹴りのトビーって言われてました。響木さんに誘われて、足を洗ってサッカーを始めましたけど、正直そのときの蹴りが今必殺技になろうとしてるやつなんだと思います」

 

「そうか……」

 

「元々誰かを傷付ける為に使ってた足を、サッカーに使えるのかなって」

 

「私は少し前に、カっとなって大切な人を傷付ける為にボールを蹴ってしまったことがあった。だから、あんまり善良的な立場になってモノを言える身ではないが……例え元がそうだとしても、今サッカーのためにすることなら許されるんじゃないか」

 

「……」

 

「これからは傷付ける為に使わない。それだけ守れば、いいんじゃないか」

 

「……うす」

 

「さぁ、食事が終わったら練習再開だ。とことん付き合うよ」

 

「…ありがとうございます」

 

 

昼間の特訓が終わり、夜中になってもコート上には緑川が居た。限界を越えてもなお特訓をやめる様子はない。それを見掛けたヒロトは心配でグラウンドへと行き緑川を止めにきた。

 

「緑川、オーバーワークだ。決勝前に怪我をしたら元も子もない」

 

「ヒロト、だがダメなんだ。俺みたいなやつはやっぱりこれでも練習が足りない!」

 

「お前のサッカーは変わった。ジェミニ時代の無理してたお前と違って、サッカーを楽しむようになったお前はグングンと成長して今は代表になれたんだ。お前の思っているより、お前はずっと凄い奴だ。サッカーを楽しもうぜ」

 

「ヒロト……なら頼む。特訓に付き合ってくれ」

 

さっきまでとは目の輝きが違った。自分を卑下して追い込むだけの目ではなかった。

 

「……わかった。満足するまで付き合うよ」

 

 

 

河川敷ではマキが砂木沼と特訓を行っていた。

 

「まだだ! その程度では足りん!」

 

「わかってる! てやぁぁぁ!」

 

マキの放つシュートは河川敷を流れる川に大きな渦を産み出す。

 

「もっとだ! 貴様の闘争本能を剥き出しにしろ!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

川の底が見えるほどの渦巻きが発生する。

 

「よし、それでいい。あとはそれを安定して出せるようにするだけだ」

 

「治、ありがと!」

 

 

 

 

 

 




クララ「いよいよ出番だな」

杏「あぁ。晴矢のことは絶対自由にプレーさせない」

八神「頑張ってくれ、二人とも」

杏「あ、あぁ」

八神「気を遣うな、わたしは気にしていない」

クララ「さすが玲奈、なんともないな」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン 衝撃的なスターティングメンバー

筆者「マキ、何を特訓してたんだ?」

マキ「ひ·み·つ~♡」

筆者「ご機嫌だな」

マキ「お楽しみ!」


試合当日、会場へ向かおうとしたイナズマジャパンの前に不良集団が妨害しにきた。

 

「あいつら、この前の不良!」

 

「…ちぃ、古株さん、俺を下ろしてください」

 

「待て!飛鷹」

 

八神が戻るよう呼び掛ける。

 

「今までお世話になりました。八神さんも、俺の特訓に付き合ってくれて、ありがとうございました。俺の問題です、俺がいなくなれば解決するんです」

 

「お前がいなければイナズマジャパンではない」

 

「──っ!」

 

「そうだぜ飛鷹! みんな揃ってのイナズマジャパンだ!」

 

「円堂さんも…でも、そしたらあいつらを……」

 

「行ってください!飛鷹さん!」

 

「鈴目!」

 

飛鷹のことを慕う不良仲間達が、唐須を止めるために現れたのだ。

 

「飛鷹さん!必ず、世界に羽ばたいてください! 飛鷹さんは俺達の憧れであり、誇りです!」

 

「お、お前ら……くっ、古株さん。行ってください」

 

 

 

会場前から慌ただしいが、会場に入ってもまだ落ち着けない。

アフロディ達が試合前に挨拶にきたのだ。

 

「花瑞、久しぶり」

 

「お兄ちゃん! エイリア学園との戦い終わっても全然会いに来てくれないと思ったら韓国に行ってたなんて」

 

「君達とまた戦いたくてね」

 

「今日は絶対守るから」

 

「うん、期待してるよ。花瑞の進化に」

 

 

南雲と杏も軽い会話を交えていた。

 

「よぉ、杏。代表メンバーになれたんだってな」

 

「あぁ。今日は自由にプレーさせないからな」

 

「へっ、おもしれぇ。お前に俺が止められるかよ」

 

当然、クララもであった。

 

「風助、中二病は治ったか?」

 

「私は中二病などではないと言ってるだろう。今日は我々ファイアードラゴンの毒牙に力尽きないよう気を付けるのだな」

 

「変わらないようで安心した」

 

 

 

必ずお兄ちゃんのシュートを止める。花瑞はそう意気込んでいた

 

「スターティングメンバーを発表する」

 

FW    豪炎寺 ヒロト

MF   吹雪 鬼道  マキ

DF  杏 壁山 クララ 飛鷹 黒嶋

GK 立向井

 

「……あれ?」

 

花瑞はベンチスタートとなった。そしてキャプテンの円堂もしあいにでていない。

 

 

「花瑞、俺が何故お前を外したかそこでよく考えておけ。答えがわからないようなら、試合には出さん」

 

 

何かに気付けていない?それとも見失っている?花瑞はまだ何もわからなかった。

 

ベンチには不動、緑川、円堂、花瑞、虎丸が居た。出場する選手にも不安が残った。そして敵であるアフロディも少々驚いていたが、どんな作戦なのだろうかとワクワクもしていた。

 

試合開始、ヒロトからボールを奪ったアフロディはヘブンズタイムで吹雪と鬼道を突破。壁山がザ・ウォールで守ろうとするが、それを飛び越えて真ゴッドノウズを放った。

 

「ムゲンザハンドG4」 

 

これは立向井のムゲンザハンドでガッチリとキャッチ。

 

「いいぞ! 立向井!」

 

ベンチから円堂も声を出す。

 

「さすがお兄ちゃん……やっぱりお兄ちゃんを止めるには私が出ないと……」

 

「さすがだね立向井君。けど、次はこうはいかないよ」

 

立向井はボールを黒嶋へと渡し、速攻を仕掛ける。そして、相手陣地の深くからヒロトへのセンタリングを上げる。

 

「流星ブレードV2!」

 

「だいばくはつ張り手!」

 

しかしこれは防がれてしまう。弾いたボールは相手の司令塔チェ·チャンスゥへと渡る。南雲と鈴野にはしっかりと杏とクララがマークについている。再びボールはアフロディへと渡る。

 

「行かせないよ!スノーエンジェル!」

 

吹雪の新必殺技によりアフロディからボールを奪い、そのまま攻め上がる。豪炎寺とのワンツーでディフェンスを掻い潜ると、ウルフレジェンドを放つ。しかし、これも弾かれる。

 

「大体わかってきましたよ…そろそろ始めますかね。我々のサッカーを」

 

チェチャンスゥが怪しげな事を言う。鬼道は警戒するが、出方を伺うしかない。

鈴野に渡ろうとしたパスをクララがカットして、マキへとパスを出す。

 

「いくぞ、パーフェクトゾーンプレス!」

 

「なに!?」

 

マキを取り囲うように高速でぐるぐるとチェチャンスゥ達が周りじりじりと責め寄る。その外側には鬼道が捉えられている。

 

「マキを分断させてボールを奪う必殺技ということか……」

 

「惜しいなクララ、分断させるのは個人ではない。チーム全体を分断させる必殺タクティクスだ。ジリジリとドラゴンの尾に締め付けられたように苦しみもがくがいい」

 

「お前は思春期抜け出したときに今の自分を思い出して苦しみもがくがいい」

 

 

ジリジリと迫るプレスに、焦りと苛立ちを隠せないマキ。しかし、ニヤリと笑って空に飛ぶ。

 

「まとめて蹴散らしてやる!メテオシャ……」

 

「そうはさせねぇぜ!」

 

「しまって!」

 

杏のマークを抜けて南雲がメテオシャワーを出そうとするマキ目掛けて飛んできた。空中でボールを奪った南雲はそのまま自分でボールを持っていく。

 

「くっ! イグナイトスティール!」

 

「アフロディ!」

 

アフロディとのワンツーで杏のディフェンスを突破、壁山もついでに抜き去る。

 

「アトミックフレアV2!」

 

「ムゲンザハンド………うわぁ!」

 

南雲のアトミックフレアで先制点を奪い取った。

 

「くっ、すまない。私のマークがしっかりしていれば」

 

「いいえ、俺がもっとキーパーとして強い技を使えれば」

 

「ドンマイドンマイ!まだ前半だー!まだまだ取り返せるぞー!」

 

ベンチから大声で円堂が励ます。そう、まだ試合は始まったばかり。本当の地獄はこれからなのだ。

 

 




杏「あぁぁ」

八神「そんなに気を落とすな」

クララ「そうそう、百パーセントの仕事なんて出きるわけないんだか」

杏「私の初陣が……ここで活躍しなかったらまた補欠落ちになりかねない」

八神「うーん、相当へこんでるな」

クララ「勝ち気な分今までの扱いといざ出たときにヘマしたって事実が相当ショックらしい」

杏「わたし晴矢とは幼馴染みなのに、あいつのことよくわかってるから裏をかかれない自信あったのに」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン 炸裂!ゴッドブレイク 

筆者「ファイアードラゴン戦は久しぶりにかなり話数を食いそうだ」

ヒロト「まあ見せ場だしね、花瑞とお兄さん。早く戦ってほしいな」




南雲のアトミックフレアで先制点を奪われたイナズマジャパンのキックオフで試合は再開した。

ボールを受け取った豪炎寺だがパーフェクトゾーンプレスにヒロト共に封じられてしまった。

ジリジリと迫る圧に屈しないで懸命にボールをキープするが、最後には奪われてしまい、ふたつの円の間をボールが何度も行き来して中にいる二人を襲う。一度入ったら相手のタイミングで終わるのを待つことしか出来ない、悪魔のような必殺タクティクスだ。

 

「スノーエンジェル!」

 

しかし吹雪がボールを奪う。反撃を仕掛けようと上がるのだが、再びパーフェクトゾーンプレスに阻まれる。

今度は飛鷹が外側の枠に囚われている。

 

「さぁ、ボールを奪い返せるかな?」

 

「くっ、くっそぉぉぉ、うぉぉぉぉ!」

 

鈴目たちの分も無駄にしたくないと焦っている飛鷹はボールを奪おうと突っ込む。しかし、その瞬間にパーフェクトゾーンプレスが解かれ、吹雪と激突してしまう。

 

「吹雪!飛鷹!大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫だよ鬼道くん……」

 

「す、すんません……」

 

「奴らの思う壺だ、とりあえずあの必殺タクティクスを仕掛けられたら諦めてそのあと奪い返すようにするぞ」

 

「そんな消極的な方法、マキ嫌い」

 

「マキ、しかし」

 

「次は私にボールを回して」

 

「あぁ。しかしまずはボールを奪い返さなければな」

 

そう、ボールはアフロディへと渡りそのまま誰もボールを取れずに進んでいるのである。

 

「ザ・ウォール」

 

「ワンダートラップ!」

 

「ヘブンズタイム」

 

黒嶋、壁山の二人が突破されあとは立向井だけになる。

 

「これが、進化した僕の必殺技」

 

アフロディは黄金色が混ざった神々しい羽を生やし、天高く舞い上がる。

 

「ゴッドぉぉぉ…ブレイク」

 

ボールにかかとを振り下ろす。威力はゴッドノウズのそれとは段違いだ。

「ムゲンザハンド…うわぁ!」

 

これで二点目、一方的な試合になりそうな戦力差が生まれつつあった。

試合再開、ボールを鬼道に託しマキはひとりで前に走った。

 

「ここからなら充分! 鬼道!ボールをマキに頂戴!」

 

「よし、いくぞ!」

 

鬼道は強くボールを蹴ってマキへと渡す。

 

「行かせませんよ!パーフェクトゾーンプレス!」

 

再びマキがパーフェクトゾーンプレスに捉えられる。

 

「ふふっ」

 

マキはニヤリと笑って腕を組み、地中へと姿を消す。

 

「なにっ!」

 

「グングニルV2!」

 

パーフェクトゾーンプレスを掻い潜り、グングニルが天からゴールへと突き刺さろうとする。

 

「だいばくはつ張り手!はっはっ!ぬ……うぉぉ!」

 

マキのグングニルがゴールへと突き刺さった。

 

「なるほど、そうきましたか。しかし、あれを使えるのはどうやら彼女ひとり。それなら話は簡単ですね」

 

チェチャンスゥはまだまだ余裕そうな顔をしていた。

 

「いぇーーい! シュートが決まるの気持ちいい!やっぱこの瞬間がマキ大好き!」

 

「ナイスシュートだったよマキちゃーーん!」

 

マキはベンチの花瑞にもピースをする。しかし、何度も同じ手が通じるとは思えない。まだ相手が勝っている以上喜んではいられない。

 

「なにか、パーフェクトゾーンプレスを突破する鍵はないのか」

 

鬼道は苦悩するがまだ何も見えてこない。囲まれる前にパスをするしかないが、それだとパスした相手が囲われる。マキならばグングニルで突破できるが他の人ではそうは行かない。

試合が再開された。ボールは南雲が預かり、豪炎寺を抜き去り吹雪が立ち塞がる。

両者の蹴りがボールに同時に衝撃を与える。

 

「うっ……」

 

吹雪がその場に倒れる。しかし、ファールではない。試合が続いてる。

 

「今度こそ私が、イグナイトスティール!」

 

「お前が俺のボールを取るなんざ百年早いんだよ!」

 

空中に飛び上がり、そのままアトミックフレアを放つ。

 

「これ以上は入れさせない! ムゲンザハンドG5!」

 

立向井はなんとかこのボールを止めて黒嶋へと渡す。黒嶋は外にボールを出して吹雪を交代させようとしたが、何かが視界に入ったのか、そのままドリブルした。

 

「マキ!」

 

マキへとボールが渡る。パーフェクトゾーンプレスがかけられるが構わず超ロングシュートとなるグングニルを放つ。

ゴールにたどり着く頃には流石に威力が落ちている。

しかし、ここに合わせて二人の男が駆け込んできている。

 

「豪炎寺、それにふ、吹雪!?」

 

何と先程倒れたはずの吹雪が再び走っている。黒嶋はそれに気付き彼の勝利への執念を裏切れずプレーを続けていた。

 

「この足がどうなろうと、チームの勝利のためなら惜しくない!」

 

「「クロスファイア!」」

 

吹雪と豪炎寺渾身のシュートが同点へと導く、しかしこのシュートで吹雪は完全に続行不可能となってしまった。吹雪の代わりに緑川が入った。 

 

「あとは頼んだよ」

 

「あぁ。必ず勝つさ」




杏「ぐぬぬぬ」

クララ「落ち着け」

八神「まあ、気持ちはわかるが冷静さを失ったらさらに悪くなるぞ」

杏「次こそは……なんとしてでも」

クララ「そう根詰めるてるとストレスで肌荒れるぞ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン ジョーカー、不動

筆者「ここまで花瑞出番無し」

ヒロト「今回は?」

筆者「お楽しみ」


緑川が入り、同点で再開した試合では再びアフロディがヘブンズタイムで一方的に進撃してきていた。

 

「杏、二人をマークしてても結局あいつひとりで立向井が破られるんじゃ意味がない」

 

「クララ、まさか」

 

クララと杏二人掛かりでボールを奪いに行った。

 

「フローズンスティール改!」

 

「イグナイトスティール!」

 

しかしアフロディ、この連携技を躱す。

 

「もうそれに破れるような僕じゃない。ゴッドブレイク!」

 

再びゴッドブレイクが炸裂する。

 

「くっ、ここで……止めてやる!」

 

飛鷹ぎシュートコースに割って入った。

 

「真空魔!」

 

「おぉ!あれって!」

 

「完成させてたんですね、飛鷹さん!」

 

八神との練習の結果、ついに技へと昇華させることが出来たのだ。

ボールを緑川に渡すが、パーフェクトゾーンプレスに阻まれる。

 

「くそっ……ダメなのか」

 

緑川はボールを奪われ、アフロディにボールが渡る。

 

「ゴッドブレイク!」

 

「真空魔!」

 

ボールの勢いを止めた瞬間、南雲がボールを奪い、鈴野とともに飛び上がる。

 

「しまった!」

 

「ファイアブリザード!」

 

「ムゲンザハンド…うわぁ!」

 

再びファイアードラゴンが一点をリードして2-3

徹底的にマークをしていても、どうしてもボールの流れやこちら側の攻撃に移った瞬間等はマークを外さなければならない。それに、いくら強力な相手でもその人だけを封じていては他の選手に好きなようにされてしまう。そうか……「お兄ちゃんのマークだけではゴールは守れない」

 

花瑞は何かに気付いた。

 

「監督、私を出してください」

 

「まだダメだ。もう少し考えろ」

 

「もうお兄ちゃんだけを徹底して守ろうとか思ってません!」

 

「そもそも俺は、お前にアフロディをマークしろなど指示していない」

 

「あっ……」

 

「もう少し試合全体を見ていろ」

 

花瑞は再びベンチに座る。試合全体を改めて観察する。クララと杏は南雲と鈴野のマークを意識して攻めるときも一定の距離にいるようにしている。それでいてクララは必要ならば他の選手へのパスカットにも加わり、前線に繋げていた。しかし、パーフェクトゾーンプレスに、阻まれてシュートにすら至らない。

そのうちに、今度はマキに強いチャージが掛かっていることに気が付いた。マキは執拗にパーフェクトゾーンプレスをかけられ、消耗していた。

 

「まだまだ……マキは、負けない!」

 

最後の意地でグングニルを放つ。しかしだいばくはつ張り手に防がれてしまう。ボールを奪った緑川が中に、外側にマキが入れられてパーフェクトゾーンプレスが仕掛けられた。

 

「マキは……負けない!」

 

熱くなりすぎたマキはボールを奪おうと狭い空間を走るが、ボールの餌食となった。

 

「うぅ……」

 

「マキ!」

 

「緑川、マキに構わず試合を続けて」

 

「くっ、すまない」

 

「ゴッドブレイク!」

 

アフロディへとボールが渡り再びゴッドブレイクが炸裂する。

真空魔とムゲンザハンドによりそのボールは止めたが、パスを出せる味方もおらず、立向井はボールを外に出した。

ボロボロになったマキに杏が肩をかしてフィールドを出る。

 

「マキ……」

 

花瑞が心配して杏からマキを預かりベンチへと連れていき、マネージャーと手当てをする。

 

「悔しい、マキ悔しい……」

 

「今は安静にしてて、試合は任せて」

 

「お願い、花瑞」

 

花瑞はマキの手を両手で包み、数秒間じっと見つめていた。

 

「マキの代わりには不動を出す」

 

「っへ?」

 

不動本人も驚いていた。ここまでベンチに居続けていたから出ないものだと本人すら思っていたのだ。

 

「不動はジョーカーだ。不動の情報は相手にはない。この状況を打開するには不動、お前の力が必要だ」

 

「ふぅーん、そういうことか。いいぜ、俺のサッカーをしてやんよ」

 

 

不動の出場に味方すらも動揺していた。

 

「ふ、不動だと?」

 

「あぁん?不満か鬼道さんよぉ。俺だって代表選手としてベンチに居たんだ。出てきて不思議じゃあるまいよ。まあ、せいぜい俺の足を引っ張るなよ」

 

相手のスローインから試合再開。入ったばかりの不動が荒々しくボールを奪い取る。そして相手のディフェンスにボールをぶつけて突破してシュートをする。しかしノーマルシュートは簡単に止められてしまった。

 

「ちぃ」

 

ディフェンスにボールを渡し中盤へとボールを戻す。不動は再びボールを奪うが今度はひとりでは進めないと判断して壁山へとパスを出す。しかし、壁山はそれを取ることが出来なかった。

溢れたボールはそのまま外に出て相手のスローインになる。

 

「おい、マークかわれ」

 

「こ、これは私の仕事だ!」

 

「いいから代われ」

 

スローインでマークが外された南雲にパスが渡る。その瞬間不動の強烈なチャージが南雲を襲い、ボールを奪う。

 

「ちっ、なんだよあいつ」

 

「おら!受け取れ」

 

杏にパスしたボールはまたも前に行きすぎてしまい、ボールは鬼道がカバーしたためになんとかなったが、パスが通らないことへの苛立ちが不動に、独りよがりなプレイをする不動への不満が他のメンバーへとたまっていた。

 

「あれ、なんか動きが鈍い?」

 

「確かに、ちょっとぎこちないな」

 

ベンチの花瑞と円堂は何か違和感を覚える。フィールドの鬼道も、何かに気付いたようだ。不動をそのゴーグル越しに見つめる。

結局、不動の参入でその後はシュートこそ打たれなかったが、内容としては入る前以上にチームの動きが悪くなっていた。

 

 




マキ「マキあいつ嫌い!」

杏「同感だ」

クララ「わたしもあの鶏ヘアー嫌い」

八神「中立的に立ちたいが私もあいつは苦手だ」

マキ「あの場面、普通わたしの思いを託された花瑞が出るところでしょ!よりによってなんであの不動なのよ!」

クララ「監督の考えは未だに読めない」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン 遂に出場、花瑞

筆者「今回ついに花瑞が出ます!」

ヒロト「ついにか、それも大技を魅せてくれるんだろう?」

筆者「花瑞に期待してくれ!」


前半が終わったため、ベンチにいた花瑞達は水筒を配るのを手伝う。不動は受け取ると一人離れたところで飲み始めた。

 

「監督、すみません。晴矢を抑えきれず…」

 

「充分だ。クララと杏、二人が抑えてなければこれ以上の点差が開いていただろう」

 

「監督、交代させないなら不動に言ってください。パスが強すぎると」

 

「その必要はない」

 

緑川の発言を一蹴する久遠監督。やはり何かあると考えるのが適切であった。

 

「監督、もしかして私達不動さんのこと信用してないから動きが悪くなってませんか?」

 

花瑞の発言にハッとさせられるメンバー。それに続いて鬼道が口を開く。

 

「悔しいが、俺も薄々感じていた。あいつは俺達のことをよく理解してパスを出しているのではないかとな」

 

「ならば、お前らに出来ることはひとつだけだな」

 

「不動を信用する……」

 

「それが出来れば苦労はしない……」 

 

「不動は過去に父親がリストラされ、多額の借金を負った過去がある」

 

久遠監督は不動の過去について語り始めた。それを聞いて全員の気持ちが変わるかは定かではないが、少なくとも花瑞は彼のプレーをみて信用するかを見極めたいと思った。

 

「円堂、花瑞。後半は出てもらうぞ。もう、わかってきただろう?」

 

「はいっ!」

 

FW   豪炎寺 虎丸

MF  緑川 鬼道 不動

DF 壁山 クララ 花瑞 杏 黒嶋

GK 円堂

 

 

後半戦開始、アフロディがボールを持ち攻め上がる。

 

「やっと出てきたね、花瑞」

 

「うん、お待たせ」

 

「だけどね……ヘブンズタイム」

 

アフロディのヘブンズタイムにより花瑞は簡単に抜き去られてしまう。

 

「黒嶋さん!」

 

「おぅ!」

 

ヘブンズタイムが解けた直後、サイドから素早く黒嶋が駆け寄り、スライディングでボールを奪った。そして、着地した花瑞へとパスを出し、花瑞は不動へとボールを託した。

不動は自身でボールを運ぶが、パーフェクトゾーンプレスを仕掛けられそうになる。しかし、タクティクス発動ギリギリのタイミングで鬼道へとパスを出す。

 

「繋がった!」

 

鬼道はそのパスを受け取り、走る勢いを止めることなくむしろ加速させて取ることが出来た。

 

「ふっ……虎丸!」

 

「豪炎寺さん、あれ行きますよ!」

 

「あぁ」

 

「タイガー……」「ストーム!」

 

ボールは大きくそれてゴールを外れた。

 

「タイミングがずれてる、豪炎寺さんどうしたんですか!」

 

「すまない…次は決める」

 

その頃、鬼道はパーフェクトゾーンプレス突破への鍵を不動のパスから導きだそうとしていた。まだ完璧ではないが、それが形になればマキのように限定的ではない突破口になる。

 試合はゴールキックから再開し、アフロディへとボールが再び渡る。

 

「花瑞がディフェンスにこない、どういうことだ」

 

花瑞は他へのパスコースを封じるために動いていた。円堂なら止められるという確信があったからだ。

 

「ゴッドブレイク!」

 

「正義の鉄拳G5!」

 

その信頼に答えるように正義の鉄拳はゴッドブレイクに打ち勝ち、ボールは花瑞が拾った。

 

「やるね円堂くん。なるほど、だから今回マークに着かなかったわけか」

 

「お兄ちゃんはゴッドノウズを越える必殺技を編み出した。私も、あれが完成するって確信を持てた。アプローチは間違ってない」

 

鬼道へとパスを出し自分は前へと走り出す。しかし、鬼道と不動がパーフェクトゾーンプレスに囚われてしまった。

 

「くっ、不動!」

 

「ふん!」

 

二人がボールに対して反対側から蹴り、強烈なエネルギーが一点に生まれる。そのエネルギーはなんとパーフェクトゾーンプレスを打ち破った。メガネはこれをキラーフィールズと命名した。

しかし鬼道はこれで満足はしていない。これでは自分と不動だけしかパーフェクトゾーンプレスを突破できない。本質的にはまだあの必殺タクティクスを攻略していない。

 

「花瑞!」

 

鬼道は自分達を追い越して進んでいた花瑞へとパスを出す。

もし、兄に執着していたら自分はこの試合ずっと後方にいただろう。試合全体の流れを無視して兄へのマークに固執して、攻撃に入れなかったであろう。花瑞はそれに気付けた。そして花瑞もまた兄アフロディと似た金色に色味がかった羽を生やして空へと舞う。

 

「まさか、ゴッドブレイクか!?」

 

「いや違う、ボクのゴッドブレイクとは違う技だ」

 

「ゴッドノウズ·インパクト!」

 

女神の逆鱗と同じ横からの蹴りが相手ゴールへと凄まじい勢いで襲い掛かる。まるでマキのメテオシャワーシュートのように、守ろうとする選手を巻き込むようにボールの周辺に雷のようなエネルギーが落ちながら、天災のごときシュートは威力を損なうことなくゴールへと降り注ぐ。

 

「だいばくはつ張り手!ぬぉお!」

 

簡単にキーパーを突破してゴールする。同点ゴールを決めた花瑞はネオジャパン戦で見せたシュートを完成させたのだ。

 

「すごいよ花瑞、ボクのゴッドブレイク以上かもしれない」

 

「そんなことないよ、あの技はゴッドノウズの延長線上の技。お兄ちゃんのはゴッドノウズの規格を越えた技だよ」

 

花瑞は兄にシュートを認められたが、まだ試合を振り出しに戻せただけだからと気を緩めるようすはなかった。

 

 

 

 

 

 




クララ「ゴッドノウズ·インパクト……すごい技だった」

杏「神々しいな、相手のゴッドブレイクもそうだったが」

八神「ゴッドノウズを越えるインパクト、ゴッドノウズという技の次元を破壊した先にあるゴッドブレイク。どちらも大した技だ」

クララ「やはりシュート力では兄が勝るようだけどポジション的には仕方ないな」

杏「もう点はやれない。必ず守る」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン カオスブレイク

筆者「まだファイアードラゴンとの試合は続くぞ!」

ヒロト「驚いたね……物凄い濃度だよこの試合」


 試合は同点のまま後半も半分が過ぎていた。豪炎寺は何度も観客席の方を意識している。この試合が終わったら、自分はサッカーをやめて留学しなければならないという約束を父としているからか、父親が観客席にいるように見えてしまっていた。花瑞はこの事を知らない。なんとかするのは他の人たちにしかできない。花瑞に今できるのは勝つために全力になることだけだ。

試合が再開し、ボールを持つアフロディに追従して南雲と鈴野が走る。こうなったらクララと杏はマンマークなどできない。二人はボールを奪うために駆け寄るが、ヘブンズタイムで突破される。

 

「勝つのは、我々ファイヤードラゴンだ」

 

アフロディが羽ばたく、ゴッドブレイク……否南雲と鈴野も飛んでいる。

 

「「「カオスブレイク!」」」

 

「!? ゴッドフラワーG3!」

 

花瑞のゴッドフラワーが破られたが、円堂の正義の鉄拳で何とか防ぐ。しかし、こぼれ球をチェチャンスウが拾いアフロディへと渡す。もう一度カオスブレイクが炸裂した。

 

「真空魔!」

 

今度は飛鷹の真空魔によるパワーダウンを受けて正義の鉄拳で弾くが、またアフロディのボールになる。

 

「これで終わりだ……! カオスブレイク!」

 

「正義の鉄拳G5!」

 

正義の鉄拳敵わず、再びファイアードラゴンがリードする。

 

「くっ……意地でも同点にしてみせる! みんな、俺にボールをくれ!」

 

緑川がチームに呼び掛ける。キックオフと同時に豪炎寺は鬼道へとボールを渡す。緑川は先行して敵陣へと突っ込む。不動との連携でパーフェクトゾーンプレスを抑圧し前へと進む。

 

「頼んだぞ、緑川!」

 

ボールを受け取った緑川、しかし目の前にディフェンスが。

 

「じばしりかえん!」

 

ボールを受け取って間もなく、ボールを奪われる。

 

「まだだ! このボールを奪われるわけにはいかない!」

 

転倒させられ地面に着く直前に、無理矢理な方向に足をだし、ありったけの力で反発してジャンプ。ボールを奪い去る。

 

「うぐっ、喰らえ……アストロゲート!」

 

緑川の新必殺技、アストロゲートが炸裂する。

 

「だいばくはつ張り手!」

 

緑川決死のシュートにより再び同点になるが、無理な動きをさせた上に日頃の過剰な練習が原因で、緑川の足に深刻なダメージが残る。何事もないようにポジションへ戻ろうとするが久遠監督がそれを見逃すはすがなかった。

 

「緑川、交代だ」

 

「っ!……さすが監督だ」

 

緑川の代わりには途中交代していたヒロトが入る。

 

「緑川…」

 

「すまないヒロト、折角特訓に付き合ってもらったのに一度きりの御披露目になってしまった…………あとは頼む」

 

「あぁ……今はゆっくり休んでくれ」

 

どちらも一歩も譲らない攻防戦。まさにアジア予選決勝に相応しい戦いであるが、既にイナズマジャパンは二名の負傷者を出してしまっている。アフロディがボールを持ち、南雲と鈴野が再び先程と同じ陣形で走り出す。迎え撃つのは、クララ、杏、花瑞の三人だ。

 

「フローズンスティール改!」

 

「イグナイトスティール!」

 

アフロディはこれを躱す。

 

「ゴッドルーツV2!」

 

更に追撃としてゴッドルーツを仕掛けるが、それすらも躱してしまう。

 

「そうだ!」

 

花瑞は避けられた根をクララと杏の方向へと伸ばす。

 

「なるほど…杏、これを伝え」

 

クララは狙いを理解して、ゴッドルーツの根に沿うようにフローズンスティールを継続する。

直線的だったスライディングが、ゴッドルーツの導きで自由により縦横無尽に動き出す。アフロディはクララのフローズンスティールを再び躱すが、ジャンプした場所に根が道を作り杏のイグナイトスティールが滑る。

 

「取った!」

 

杏はアフロディからボールを奪った。

 

「咄嗟の機転にしては大したものだね。けど……」

 

「パーフェクトゾーンプレス!」

 

「くっ! うわぁぁぁ!」

 

奪ったは言いが後方に控えるチェチャンスウ達によりボールを奪われてしまう。

 

「惜しかったね、花瑞。カオスブレイク!」

 

「ま、まだ……まだ! ゴッドキャッスル改!」

 

カオスブレイクと相殺しあい花瑞は地面に叩きつけられる。ボールは緩やかに跳ね返り、アフロディの元へと戻る。

 

「その技は体力の消耗が激しい。早く卒業するべきだ」

 

アフロディはさらにカオスブレイクを仕掛ける。

 

「ザ・ウォール!」

 

壁山のザ・ウォールを容易に突破して、正義の鉄拳がかろうじて防ぐがボールは南雲の元へと転がる。

 

「ワンダートラップ!」

 

「フレイムベールV2!」

 

黒嶋がボールを駆け寄ったが南雲のフレイムベールに返り討ちにあってしまった。

 

「カオスブレイク!」

 

今度こそ終わってしまうのか、満身創痍のイナズマジャパンディフェンス陣にカオスブレイクが放たれようとする。

 

「花瑞! ゴッドルーツでいい! あいつらに向かって出してくれ!」

 

「はぁはぁ、うん! ゴッドルーツV2!」

 

花瑞は杏に答えてゴッドルーツをアフロディ達の元へと伸ばす。

杏はゴッドルーツに乗り、走り出す。

 

「なんの真似だ杏!」

 

「この試合、私は晴矢…お前を止められなかった。ならばせめて……ここだけでも! イグナイトスティール改!」

 

重力に逆らい、天に向かって伸びる根を勢いよくスライディングでかけ上がる。

アフロディ達三人の蹴りが一点に交わる瞬間、反対から杏のイグナイトスティールが衝突する。三人の力に勝てるわけがなかった。杏はボールから生まれた衝撃波に押し返され、一瞬のうちに円堂の頭上のゴールポストへと身体を強打した。

しかしボールに勢いが生まれる直前に杏の干渉があった為に、ボールの軌道は大きく狂い、ゴールの遥か上を通過した。

 

「蓮池! 大丈夫か!」

 

 

円堂が杏をフィールドに降ろして呼び掛ける。

 

「バカなやつ……折角の出番でムチャしすぎだ………」

 

駆け寄ったクララが寂しそうに、しかしいつもの口調で杏に言葉をかける。

 

「仕方ないだろう、次の失点は致命的なんだ。チームの勝利のために……これしか思い付かなかった」

 

「くっ……」

 

円堂は自分の力が及ばないばかりに自分の身体を犠牲にしてまでゴールを守ってもらうことになり、情けなくて、悔しくて拳を強く握りしめてグラウンドに叩きつける。

 

「……! 杏、ゴールを守ってくれてありがとう。お前の頑張り、絶対無駄にはしない」

 

飛鷹が杏の代わりに入って試合が再開する。南雲のマークがなくなったことで、今まで以上に敵の攻撃に自由度が増している。

試合は最終局面、未だ完全攻略となっていないパーフェクトゾーンプレスとカオスブレイクを前に、イナズマジャパンはファイアードラゴンを倒せるか……?




杏「いててててて……」

クララ「カッコつけすぎなんだよ…」

八神「無理はするなよ、怪我が悪化する」

杏「し、しかし後悔はしてない。あそこで点を取られれば緑川もマキもいない我々では…点を取るのは容易ではない。花瑞だって消耗しているしな…‥」

クララ「とはいえ、この後どうするか。虎丸達が何かやろうとしているがそれしかないか」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ファイアードラゴン イナブレ組の覚醒

筆者「杏が倒れなければ三人技として今後もいけそうだったんだがな、彼女の決死のプレーがなければ負けていたというものだが惜しい」

ヒロト「現在治療中で試合が終わったあとくらいには結果が出てるんじゃないかな?」




現在のポジション整理

 

 

FW   豪炎寺 虎丸

 

MF  ヒロト 鬼道 不動

 

DF 壁山 クララ 花瑞 飛鷹 黒嶋

 

GK 円堂

 

 

 

 

後半戦も残りわずか、三名の負傷者を出しながらもなんとか4-4の同点となっているイナズマジャパンのゴールキックから試合が再開する。花瑞はボールを受け取りすぐに鬼道へとボールを渡す。あの必殺タクティクスは仕掛けてこない。単体の必殺技で奪う方が賢明、チェチャンスウは鬼道との一対一の勝負を仕掛けるが、鬼道にはイリュージョンボールがあった。難なく突破した鬼道はボールを豪炎寺へと繋ぐが、豪炎寺がトラップをして数秒後にはパーフェクトゾーンプレスが仕掛けられてしまう。

 

「そうか……やっと見えてきたぞ。パーフェクトゾーンプレスの抜け道が」

 

鬼道は気付いたことをヒロト、不動、花瑞、クララへと伝達する。

 

「お前らの技術ならやれるはずだ。やってくれるか?」

 

「……はい!任せてください」

 

「乗った。俺に任せてくれ」

 

「面白い考え」

 

「さっすが、天才ゲームメーカーの鬼道さんだねぇ。まあ任せときな」

 

手筈は整った。あとはあのカオスブレイクを抑えるだけなのだがそううまく行くだろうか。ボールを奪ったファイアードラゴンの反撃、フリーになった南雲へとボールが渡る。

 

「行かせません! ゴッドフラワーG3」

 

「フレイムベールV3!」

 

神の花は燃やし尽くされる。花瑞を突破した南雲はアフロディにボールを渡し、カオスブレイクを準備する。

 

「ゴールは任せろ!」

 

円堂は何か策を思い付いたようだ。自信満々にゴールを任せろと伝える。

 

「そう来なくてはね、円堂君!カオスブレイク!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁ!いかりの鉄槌!」

 

円堂は新必殺を編み出し、カオスブレイクを止めてみせた。

 

「なに!?」

 

「杏が倒れたとき、悔しくて地面を叩いちまって、そんとき気付いたのさ。これなら正義の鉄拳と違ってボールを抑えられるしな!」

 

「ふっ…ハハハ! 円堂君、君はやっぱり凄いよ」

 

クララが軽く手を前に出して円堂に目線を送り渡せと伝える。円堂はクララにボールを託す。

 

「ほいっ、鬼道……作戦通りいくよ」

 

クララは胸でトラップしたあと地面にボールをつけることなくボールを鬼道へと渡す。鬼道はダイレクトで不動へと繋ぐ。

 

「こっちのルートか、おら! 」

 

不動は虎丸へとボールを渡し、相手ディフェンス陣奥深くまでボールを繋いだ。

 

「なるほど……ボールを空中で回し続けて前線へと繋いできましたか」

 

「これでもう、そちらのタクティクスは脅威ではない」

 

 

花瑞起点のルートとクララ起点のルート、その二つを用意しておいて正解であった。花瑞が突破されて立て直している途中であったため、花瑞のみに話していたら繋がらなかったかもしれない。

 

「豪炎寺さん、いきますよ!」

 

「あぁ。もう大丈夫だ任せろ!」

 

「これが俺たちの、タイガぁぁぁ!」「ストーム!」

 

 

「だいばくはつ張り手!」

 

豪炎寺と虎丸の合体技タイガーストームはだいばくはつ張り手を簡単に打ち破り、ゴールへと勢いよく突き刺さった。

 

「やった! やりましたよ豪炎寺さん!」

 

「あぁ、いいボールだった。心配かけてすまなかったな」

 

試合時間は残り一分、アフロディは最後の攻撃に出た。

 

「世界に行くのは我々だ! ヘブンズタイム」

 

豪炎寺、虎丸を抜き去り鬼道を躱して花瑞の前まで進出する。

 

「フローズンスティール!」「真空魔!」

 

横から、クララと飛鷹が必殺技で奇襲するがヘブンズタイムで突破される。

 

「カオスブレイクG2!」

 

「威力がさっきより増してる、ゴッドフラワーG4!」

 

花瑞は円堂のいかりの鉄槌だけでは無理だと判断してシュートブロックを行う。

 

「うっうぅ…………うわぁ!」

 

じりじりと押し込まれて突破されたが、威力は充分に抑えた。

 

「サンキュー花瑞! あとは任せろ! いかりの鉄槌!」

 

ガッチリとボールを地面に叩き、セーブした。

試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

 

「やった……俺達勝ったんだ………やったぞぉー!」

 

イナズマジャパン一同大いに盛り上がる。アフロディは花瑞に話し掛けた。

 

「大会が終わったら日本に帰るよ。そしたら、一緒に暮らしてくれるかい?」

 

 

「うん! お兄ちゃん!」

 

「ありがとう、また近いうちに会おう」

 

「やれやれ、そのまま同行してけばいいのに」

 

やれやれとジェスチャーを加えながらクララが立ち去るアフロディと入れ替わるように現れる。

 

「クララ、いいんだよ。まあ再会してるといつもこんな感じですぐいなくなるし慣れっこだよ」

 

「あんまり馴れるべきじゃないなそれは。まあいいや、鈴野が中二病全開で今ウザいからこのまま入りずらそうな感傷に浸ってる雰囲気出すの手伝って」

 

「はははっ、相変わらずなんだ」

 

アジア予選決勝戦、勝者イナズマジャパン

5-4の白熱した大接戦を負傷者を出しながらも勝利への執念で掴み取った日本の、そしてアジアの代表である。




クララ「杏、バカなお前のお陰で勝ったよ」

杏「そうか、私は数試合分は出られそうにないが大怪我にはならなかったようだ」

八神「あれだけ盛大にぶつけてそれなら幸運だな。完治するまでしっかり日本で休んでいてくれ」

杏「そうさせてもらう。最短復帰必ずしてやるんだから」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

いざ、世界へ

筆者「久々の試合じゃない話がくるー」

ヒロト「僕も目の保養ができそうで楽しみだよ」


熾烈を極めた韓国代表ファイアードラゴンとの試合が終わり、イナズマジャパンは怪我をしたメンバーを抜き再編成された。

 

1.円堂

2.花瑞

3.壁山

4.風丸

5.黒嶋

6.クララ

7.飛鷹

8.不動

9.八神

10.豪炎寺

11.虎丸

12.鬼道

13.ヒロト

14.マキ

15.染岡

16.立向居

 

同行補欠メンバー

 

佐久間

小暮

 

杏(完治次第合流)

吹雪(完治次第合流)

緑川(完治次第合流)

即座に交代できるのは二人のみ。三名の復帰がいつになるかによって戦力が大きく変わる。

 

このメンバーで向かったイナズマジャパン専用の宿舎及び周辺の土地は日本を意識した作りになっており、快適に過ごせるよう工夫されていた。

 

「これ、優勝チーム決まった瞬間から作ったの? そんな超次元的スピードで作られた場所で大丈夫なの?」

 

マキがズバリ思ったことを口に出す。

 

「た、確かに……」

 

「あっ、大丈夫ですよ。これ、外装や内装とかは優勝決まってから作ったらしいですけど、枠組みとかは元からつくってたようなので」

 

花瑞はガイドブックのページを指差して共有する。

 

「にしては随分日本の建物にぴったりな枠組みだこと……マキ疑っちゃうな」

 

「マキ、疑うなら外でテントでも張れば?」

 

「冗談じゃないわ!」

 

クララがマキをからかいながら荷解きを済ませていく。どうやら円堂は荷解きもする前に外にサッカーをしにいったらしいのだが他の者は皆自分の寝室のセッティングにまだ時間を使っていた。

その日の夜、日本代表が初戦で当たるチームが決まった。イギリス代表ナイツオブクィーン、そして試合前日に開かれるイギリス代表からのパーティーの招待状が届いていた。

 

「英国式パーティーか、面白そうだ。マキ、扇風機は外してきなよ」

 

「扇風機言うな! これはマキのトレードマークですぅ! 外さないんだから!」

 

「全く、クララもマキも落ち着け。花瑞、ドレスコードというものがあるだろう。みんなで買い物に行かないか?」

 

「そうですね、マネージャーの皆さんも誘ってみんなで行きましょう!」

 

女子選手四人プラスマネージャー三人による買い物が始まった。

 

「むぅ、花瑞のやつ何でも似合うな……」

 

「元がいいからなマキ、お前も扇風機卒業すれば可愛いと思うぞ。素材はいいんだし」

 

「だーーかーーーらーー、これは外さないって!」

 

「やれやれ、花瑞を見てみろ。面もいいのにお洒落なカチューシャまで着けて、隙がないぞ」

 

「えへへ、ヒロトさんからもらった大切なものですから」

 

「あいつ……やってんな」

 

クララはヒロトの行動力に関心と呆れを同時に抱きつつ、自信も来ていくドレスを選び始めた。

結局花瑞は白ベースのドレス、マキは赤が際立つ派手なドレス、クララは青いドレス、八神は黒色のドレスを選び会場へと向かった。

 

「あれ? 円堂さんはまだですか?」

 

花瑞が円堂の不在を不思議に思い尋ねる。なんとまだ練習から戻っていないという。木野は円堂を呼びに一度宿舎へと戻った。

 

「やあイナズマジャパンの皆様。お待ちしておりました。わたくし、イギリス代表ナイツオブクィーンのキャプテン、エドガー·バルチナスです。本日は私共のパーティーにご出席いただき、誠にありがとうございます。今晩は無礼講で楽しんでいただきたい」

 

英国紳士という言葉が似合う水色の髪色をした長髪の男エドガー。イナズマジャパンの中でもひときわ美しく見えた花瑞に対して積極的にアプローチをかけに来ていた。

 

「こんばんは。美しき大和撫子、お名前をお聞きしてもよろしいかな」

 

「花瑞です。本日はこのような素晴らしいパーティーにお招きいただき、ありがとうございます」

 

「いえいえ、私としてはあなたのような美しい方に出会えただけでも今日のパーティーを開いた意味があるというものです」

 

「どうも」

 

グイグイと来るエドガーに困っていると、マキがズケズケと割り込み助けに来た。

 

「ちょっと、あんた花瑞が困っているのがわからないわけ?」

 

「おっと失礼、露払いがいらしたとは」

 

「誰が露払いですって?」

 

「私は事実を申し上げただけのつもりだったが、不快にさせたなら申し訳ない」

 

「マキ、あんたのことキライ。明日の試合覚えときなさい」

 

「面白い、日本代表がどれだけ健闘するか今から楽しみだよ」

 

「健闘? マキ達は勝つわよ」

 

そのとき、キャプテン円堂がユニフォームのまま会場に現れた。

すぐに着替えてくるよう風丸に言われ手短に着替えて戻ってくる。

 

「ふっ、お似合いだな」

 

「……あんた、さっきからいい加減にしなさいよね!」

 

マキが先程より怒りを露にする。

 

「これまた失礼」

 

マキの怒りを止めてこの場を収める方法は何かしらの勝負をするしかなかった。円堂は自分とエドガーの対決をすることで場を収めようとした。

 

「エクスカリバー!」

 

「いかりの鉄槌!」

 

円堂のいかりの鉄槌が容易に破れた。

 

「これでわかったかな? 我々と君達の力の差を」

 

「それはどうでしょうか」

 

ここまであまり怒りを出さなかった花瑞がここで介入してきた。

 

「今のはあくまでも一対一の状況。でもサッカーはチームでするもの。試合では私達もゴールを守っているんです。今のでイナズマジャパンとの格付けが終わったとは思わないでください」

 

「ふむ、美しいだけでなく力強い芯もあるようだな。私が一目で惚れ込んだだけはある。ならば、君も私と一戦してみるかい?」

 

「受けて立ちます」

 

「やれやれ、花瑞まで熱くなって……マキ、お前が原因だからな」

 

クララがひょっこりと現れてマキの横に立つ。

 

「うっさい! チームがなめられてるのが許せなかったのよ」

 

今度はエドガーと花瑞が対決する。

 

「エクスカリバー!」

 

「ゴッドキャッスル改!」

 

じりじりと勢いに押されてヒビが入る城。エクスカリバーが城を突き抜けたときには威力はかなり弱まっていた。しかし、ボールはゴールへと入りそうだ。

 

「アイスブロック」

 

「!?」

 

入る直前、ドレス姿のクララが乱入してアイスブロックでガッチリとキャッチした。

 

「なんのつもりだ?」

 

「なにって、花瑞も言っていたろう? 試合は一対一じゃないって。ディフェンスの後ろにキーパーがいるのは普通だし、私で止められるなら円堂が止められないはずない」

 

「ふふ、君も中々面白い女性だ。気に入った。試合当日、楽しみにしているよ」

 

 

パーティーは終わった。試合を前に世界の壁を改めて痛覚させられるものになったが、チームで守れば戦えるということを証明することにもなった一夜であった




マキ「自分だって熱くなってるじゃんか!」

クララ「私は花瑞の言っていることに矛盾しない範囲で行動しただけ」

八神「やれやれ、明日の試合が別の意味で胃が痛くなる話だ」

マキ「まあ、クララもチームのこと大切にしてるってわかったしいいけどさ」

クララ「いて楽しいチーム」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ナイツオブクイーン FFI本戦開始、イナズマジャパンの底力

筆者「花瑞にわたしたカチューシャとゴムってさ、ぶっちゃけヒロト的にはどっちのほうがすきなの?」

ヒロト「どっちも好きだけど、やっぱり本来の花瑞の綺麗さを全面に押し出せるのはカチューシャだけのときだ」

筆者「そっか、ポニーテール萌ではないんだな」

ヒロト「あれは本当に試合で怪我させたくないから渡したんだよ。でも、今の花瑞ならその程度で怪我する気はしないけどね」


筆者「追記、このお話は明日の朝投稿予定だったものをうっかり投稿してしまったので明日の朝はお休みします」

マキ「ばか!なにやってるのよ! 久々のメテオシャワー!!!」


全世界のサッカーファンが注目を集めるFFI本戦。イナズマジャパンの初戦となるナイツオブクイーンとの試合が始まろうとしていた。

 

FW 豪炎寺 染岡

MF マキ 八神 鬼道 ヒロト

DF 風丸 壁山 花瑞 黒嶋

GK 円堂

 

ついに補欠から上がってきた八神と染岡が早速のスタメン入りを果たす。染岡はイナズマジャパンの見ていないところでひたすらに特訓を積み重ねていたという。その実力はもはやイナズマジャパンのメンバーですらまだ未知数なところがあった。

試合開始、エドガーがボールを持ちイナズマジャパンに仕掛けてくる。染岡、八神、鬼道を突破してディフェンスでも特に厚い花瑞、壁山が立ち塞がる。

 

「エクスカリバー!」

 

しかし二人を抜き去るまでもなくエドガーはシュートした。

 

「花瑞さん、俺の新必殺技見て欲しいっす!」

 

「わかった、ゴッドフラワーG4!」

 

「ザ·マウンテン!」

 

壁山と花瑞二人の必殺技によりエドガーのシュートを止めた。

 

「なにっ!」

 

花瑞はボールを八神へと渡し反撃に出る。八神は豪炎寺へとパスを繋ぎ、シュートに入ると見せかけて染岡へとパスを出した。

 

「このときを待ちわびていたぜ、このユニフォームを来て試合に立ちこの技を披露する瞬間を!ドラゴンスレイヤー!」

 

染岡の放つ新必殺技はゴールキーパーがまともに反応することもできずにゴールへと突き刺さった。

 

「うおっしゃーーーー!」

 

「なんだと……!」

 

イナズマジャパンに先制点を許したエドガーは今まで侮っていたことを反省し本気を出すことにした。

試合再開と同時にエドガーは必殺タクティクス無敵の槍を発動した。誰も止められない。止めようとしてもその矛先に立てばたちまちに吹き飛ばされてしまう。花瑞も壁山もまとめて吹っ飛ばされた。

 

「チームで守るといったが、こうなってはそうもできまい。エクスカリバー!」

 

「いかりの鉄槌!うわぁぁ!」

 

ナイツオブクイーンはあっという間に同点にしてみせた。さらにイナズマジャパンのキックオフと同時にもうひとつの必殺タクティクス、アブソリュートナイツでボールを奪うと、すぐに無敵の槍へとフォーメーションを組み換えて進軍を始めた。

こうなっては止められないと諦めた花瑞はゴールギリギリまで下がってエドガーがシュート体制になる瞬間をじっと待っていた。

 

「エクス……」

 

「今! ゴッドルーツ改!」

 

エドガーがボールを空にあげ、足を限界まで上げて振り下ろすまでの瞬間に花瑞のゴッドルーツがボールを弾き、フィールド外へと出ていった。

 

「ふぅ、なんとか防げました……」

 

「サンキュー花瑞! よく思い付いたな」

 

「前の試合で杏ちゃんがカオスブレイクを止めたときのがヒントになって、とりあえずゴールから外させられればなんとかなるかなって思ったんです」

 

「とりあえずゴールから外せればか……」

 

円堂は少し考えていたが、試合が再開してしまったので考えるのを一度中断した。

コーナーキックから試合が再開し、風丸が新必殺技風神の舞いでボールを奪取すると、マキへとボールを渡した。

マキはアブソリュートナイツを仕掛けられそうになるとメテオシャワーで蹴散らし、ウルビダ、ヒロトがマキと並走を始めた。

 

「さて、誰で行く?」

 

「最後に持っていた者によるだろう?」

 

ヒロト、マキ、八神は三人の連携によりナイツオブクイーンのディフェンス陣を突破した。最後にボールを持っていたのは、八神だ。

 

「よし、いくぞ!スーパーノヴァ!」

 

三人がジェネシス最強の技スーパーノヴァを発動した。あのときの威力とは比にならないほどの超火力はナイツオブクイーンのキーパーを容易に打ち破った。

 

「初ゴールおめでとう、玲奈」

 

ヒロトの言葉に少し笑みを浮かべ、八神は次の瞬間には表情をいつものクールなものへと切り替えて戻っていった。

 

「イナズマジャパン、君達は素晴らしいサムライだ。だが、最後に勝つのは我々ナイツオブクイーンだ」

 

2-1 イナズマジャパンが得点上ではリードしているが、必殺タクティクス未攻略な状況ではいつ覆ってもおかしくはない。




マキ「改めて初ゴールおめでとう!」

八神「単体技が欲しいものだがな……正直なところ」

クララ「元々指揮とかサポートに向いてるからな。ゲームメイクは鬼道がいるし、裏には不動もいるから難しいな」

マキ「でも玲奈がいれば攻撃の幅は増えるし、マキとしてはもっと出てくれていいんだけどね」

八神「わたしも、個人技を習得してみせる」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ナイツオブクイーン パラディンストライク

筆者「すこーしだけ休んだ」

ヒロト「まあハイペース過ぎたし多少はね」

マキ「ヒロトは許そう、でもマキが許すかな?」

筆者「待て、ボールを宙に蹴るな!」


2-1で前半が終了し、得点上は有利なイナズマジャパンは選手の交代はなくそのまま後半戦に臨むことになった。しかし必殺タクティクスに無策ではない。鬼道は戦術を考案してその作戦を共有していた。一方円堂は、エドガーのシュートをゴールに入れさせないためのヒントとなるピースをいくつか集め、頭のなかに新たな必殺技のイメージが組上がりつつあった。

後半開始、豪炎寺がボールを受け取り攻めようとするがアブソリュートナイツによりボールを奪われ再び無敵の槍で攻め込まれる。

 

「今だ! 全員離れろ!」

 

イナズマジャパンは中央を開けるように移動する。無敵の槍は構わず前に進む。

 

「よし、いけ!」

 

無敵の槍が解かれた。その瞬間目の前にいたのは花瑞と壁山だった。壁山がタクティクスの解かれたエドガーからボールを奪う。作戦が成功したと思った次の瞬間、エドガーが執念でボールを奪い返した。花瑞がエクスカリバーの瞬間を再び狙うが今度は違う技であった。

 

「パラディンストライク!」

 

エクスカリバーと違いシュート前に隙がない技に花瑞は対応できず、円堂も新必殺技を完成させられず同点に追い付かれた。

 

まだ同点だ。イナズマジャパンのボールから試合が再開。今度は後ろにいる鬼道へとボールを下げてアブソリュートナイツ対策のタクティクスを仕掛ける。鬼道を中心にした円と、八神を中心にした三人の回る円が交互にパスを出しながら前進していく。ボールは最終的に八神に渡り、シュートを狙うのに充分な距離まで持ってこれた。

 

「いくぞ!」

 

「させるか! ストーンプリズン!」

 

ディフェンスのランスロットンによるディフェンス技が八神からボールを奪おうとする。八神はマキへとパスを出し回避するが、マキとヒロトの二人と分断されてしまった。

 

「これであの技も使えまい!」

 

「ふっ、それはどうかな」

 

「なに!?」

 

新必殺タクティクスの、デュアルタイフーン八神側に加わっていたもう一人の選手、花瑞がマキと合流する。

 

「今度はこれだ! ガイアブレイク!」

 

ヒロト、花瑞の三人で放つガイアブレイクもスーパーノヴァに劣らない威力で突き進む。

 

「させるかっ! エクス……カリバー!」

 

ここまで戻ってきていたエドガーがボールに対して剣を振り下ろす。ギリギリと足を前に振り下ろし、限界ギリギリのところで弾き返すことができた。反発による威力は凄まじく、壁山のザ·マウンテンによるブロックがあっても通常のエクスカリバー以上の力が残っていた。

 

「あとは任せてくれ! やぁぁ!」

 

円堂は右手にエネルギーを集中して地面へとその力を叩きつける。エネルギーは球状に広がり、ボールはその上を滑るようにしてゴールの上を飛んでいった。

 

「な、なんだと?」

 

「す、すごい……シュートを外させた」

 

監督の久遠は残り時間を見て壁山を下げて虎丸を入れ、フォワードを三人体制に変えた。選手交代のために少しだけ時間が出来た花瑞はゴールキックを行う前にどうやって思い付いたのか尋ねてみた。

 

「杏と花瑞、それと実はじいちゃんのお陰なんだ」

 

「わたしと、杏ちゃんとおじいちゃん?」

 

「あぁ。杏がアフロディのシュートを守ってくれたり、花瑞がそれをヒントにより答えを明確にしてくれた。そしてじいちゃんとさっき会ってさ。なんかこう、頭の中でピースが揃った感覚でさ!」

 

花瑞はどんなところからでも技のヒントを得る円堂のサッカー脳に改めて感心した。ゴールキックで花瑞がボールを受け取ると、再びデュアルタイフーンでイナズマジャパンが攻め上がる。

 

「マキ!」

 

最後にマキにボールを渡す。マキ、ヒロト、ウルビダの三人が集結しマキ中心のガイアブレイクを放つ。

 

「今度こそは……エクスカリバー!」

 

しかし、またもエドガーがエクスカリバーでこれを弾き返そうと立ち塞がる。

 

「また!? マキ、マジでアイツ嫌い!」

 

「うぉぉぉぉ!」

 

エドガーのエクスカリバーがまたもガイアブレイクを弾き返した。

 

「わかってましたよ! ゴッドキャッスルV3!」

 

それを見通していた花瑞は全力のゴッドキャッスルで立ち塞がる。

 

「ば、バカな……」

 

エクスカリバーを封殺した花瑞だが今の必殺技でヘロヘロになっていた。駆け寄ってきた黒嶋にボールを託し、黒嶋はサイドから攻めてセンタリング。今度もマキが受け取った。

 

「マキ、わたしに考えがある。ガイアブレイクをするが……ゴニョゴニョ。ヒロトもわかったか?」

 

「OK」

 

三人はガイアブレイクを三度放つ。それをまたエドガーが利用しようとしたとき、ボールはゴールではなく全くの別方向に威力を弱めながら進んでいく。

 

「土壇場でシュートミスだと?」

 

「いいや、違うさ」

 

それたボールの先には虎丸。シュートではない、パスであった。エドガーによる妨害も出来ない位置にいる虎丸は新必殺技を披露した。

 

「グラディウスアーチ!」

 

このシュートが決定打となりイナズマジャパンは3-2で世界大会初戦を勝利した。試合後、コートを出る前にエドガーがイナズマジャパンメンバーに声を掛けに来た。

 

「完敗だ円堂君、花瑞君。最大限のエクスカリバーを止められてしまった」

 

「へへ、でもエドガーのシュートさすがだったぜ、やっぱ世界はすげーや!」

 

「わたしも、後先考えず全力でなんとかって感じでしたし何度もあの技を撃てるエドガーさんはすごいですよ」

 

「それと、皇君に八神君、基山君の三人。最後のはやられたよ」

 

「どうも、だが次は正々堂々と突破させてもらう」

 

八神は少し得意気に答えて握手をした。

 

「マキ、あんたのことまだ嫌いだけどちょっとは認めてあげるよ」

 

「ふふ、手厳しいな」

 

世界大会は始まったばかり。その頃、イタリア代表に忍び寄る怪しい影があることなど花瑞達は知らないのであった

 

 

 

 




クララ「ボーーー」

八神「出番がなかったからって随分と気が抜けてるな」

クララ「違う違う、これは脳を休ませているのだよ」

杏「全く、こっちは怪我のせいでベンチにも入れないのに」

クララ「じゃあ杏もやろうよ。ボーーー」

杏「やらない!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

Kの影

筆者「タイトルにはKの影とか言ってるけどマジで影程度にしか関わらんぞ」

ヒロト「今回は立向居、クララ回とのこと」


円堂はここ世界の主要選手と既にサッカーを通じて知り合いになっていた。特にイタリア代表のフィディオとは既にお互い友達といった感じであった。そんなイタリア代表に今危機が訪れていた。

監督の交代、新たに就任したミスターK、そして新たな代表チームK。無理矢理にオルフェウスを引きずり下ろそうとKお得意の工作により九名の選手が怪我を負っていた。

チームがピンチのときに鬼道のような人物をイタリア地区でみたという噂も合わさり、円堂、鬼道、佐久間、不動はフィディオとコンタクトを取っていた。

 

その頃、花瑞はというと──

 

「はぁはぁ……おねがいします!」

 

「いくっすよ!」

 

立向居は宿舎前の練習場とは別の場所にて壁山、クララ、小暮、早くも復帰直前でリアビリがてら同行している杏、マネージャーの音無と共に特訓を行っていて。ムゲンザハンドを越える必殺技を開発するためにであった。

 

「やっぱさー、私達のシュートじゃ足りないでしょ。花瑞呼んでくる」

 

一年、特にディフェンス組だけで頑張ろうと息巻いていた音無の提案で最初は近くにいたメンバーで集まっていたが、やっぱり花瑞を巻き込もうとクララは探しにいった。

 

「お、いたいた。花瑞どうした? 深刻な顔して」

 

「円堂さんたちが言ってたんですけど、影山が出たかもしれないって」

 

「影山? おばけか何か?」

 

「あっそうか、クララは知らないよね。影山って人のこと。円堂さんたち雷門、鬼道さんの帝国、そしてわたしとお兄ちゃんとも強い因縁がある相手なの」

 

「それで……何に困ってるの」

 

「イタリア代表が狙われてて、代表の座を奪われそうなんだって。それで人も足りなくて円堂さんたちが助けようとしてるんですが」

 

「ですが?」

 

「わたしも、行くべきかなって」

 

「人手は円堂達で足りてるの?」

 

「はい、だから私がいく必要はないし……」

 

「なんで行きたいの?」

 

「そ、それは聞きたいことがあるから」

 

「ん、なら簡単。円堂達に頼んで耳でも引っ張って花瑞の前まで連れてこさせりゃいいよ」

 

「え、でも」

 

「花瑞が悩んでるのってどうせ私怨で行くような行為にためらいがあるとかでしょ。人数が足りてるからいい理由もないし。ならこっち手伝って、立向居の特訓に」

 

「ん、そうだね。手伝うよ」

 

「で、頼みがあるがけど……」

 

クララは特訓場所に戻るまでに花瑞に作戦を伝えた。

 

 

「というわけで、まずは花瑞のゴッドノウズインパクトを止めてみて」

 

「わ、わかりました!」

 

手筈通りシュートを撃つ。立向居はムゲンザハンドを使わないで止めようとするが当然止められない。

 

「あーー、もう。ちょっとどいて」

 

クララは立向居をゴールからどかして自分がゴールに立つ。

 

「さーて、撃って頂戴」

 

「い、いきますよ? ゴッドノウズインパクト!」

 

「アイスブロック!」

 

クララはアイスブロックでガッチリと止めてしまった。

 

「す、すごい」

 

「感心してる場合じゃないんですよぉ立向居ぃ。本職ディフェンスのぉ、わたしにでも止められるようなシュートなんだから、そんなのも止められないよわよわキーパーさんだったら、ゴールキーパーの座をもらっちゃうよぉ?」

 

クララは立向居にだけ聞こえるように耳元に囁き声でそう煽り、さらに続けていく。

 

「悔しくないのぉ? 言いたい放題言われてさぁ まさかぁ、クララの罵倒で満足したりしてないよねぇ? ねぇ?答えろよ」

 

「ま、満足なんてするわけないじゃないですか! お、俺だってゴールキーパーの意地があります! 見ててください!」

 

立向居を奮い立たせたクララは計画通りとニヤリとしてゴールを譲る。

 

「花瑞さん! もう一度お願いします!」

 

「わかった! ゴッドノウズインパクト!」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

立向居の背中から禍々しさを持った力強いオーラが見える。しかしまだ不完全。止められなかった立向居の顔面に全力のゴッドノウズインパクトが直撃して気絶してしまう。

 

「だ、大丈夫!?」

 

次、立向居が目覚めたのはベッドのなかであった。

 

「やっと起きたか」

 

「く、クララさん」

 

目覚めるまで看病していたのだろうか、クララの横には漫画が何冊も積み上げられていた。

 

「惜しかった。怒りのパワーでいいところまで言ってたのに」

 

「うっ、すいません」

 

「しょげるな、もっと悔しがれ。それが次の進化の鍵になるはず」

 

「は、はい!」

 

 

次の日、円堂達四人はイタリア代表を助けるために宿舎を後にした。花瑞はそれを見送り、立向居の特訓に合流した。

 

「さぁ、今日はこそ完成させましょ! 明日にはジ·エンパイアとの試合ですから!」

 

 

 




杏「思春期の中学生をねじ曲げるつもりかお前は!」

クララ「あいつは遊び甲斐あるし、思惑通り進んだからノーカン」

八神「今後立向居に変な様子あったら責任取れよ……」

クララ「ざぁこざぁこ♡」

八神·杏「やめろ!!!」

マキ「ざぁこざぁこ」

八神·杏「お前まで悪ノリするな!!」



クララ「ちなみに私が花瑞にお願いしたのは私に撃つときは威力だけは手加減して私でもあたかも全力の花瑞を止められるって思わせて闘志を燃やさせるため」

マキ·八神·杏「急に真面目になった!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

究極奥義 日程ずらし!

筆者「この投稿日もずらしちゃだめ?」

ヒロト「だめ。そもそもずらしたかどうかなんて投稿されてもわからないじゃないか」

筆者「それもそうだわ…」


「円堂さんたち、大丈夫だよね」

 

花瑞はつい円堂達のことが心配になり呟いてしまう。円堂を信用出来ないのではない。影山が不安材料になりすぎるのだ。しかし、託した以上気持ちを切り替えねばならない。今は目の前の特訓に集中だ。花瑞は立向居にゴッドノウズインパクトを繰り出す。

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

魔神とは違う何かが見えるがそれまで。まだ完成には遠い。

 

「ま、魔王みたいっす」

 

「確かに、魔王みたいだな」

 

壁山と小暮がオーラを見てそう言うと、ならこの技は魔王ザハンドにしようと名前が先に決まった。技名が決まることでイメージが固まることもあるから決して悪いことではない。

 

「ふぅ……連発しすぎて疲れた………」

 

「じゃあ休憩、立向居はちょっとこっちへ」

 

クララが立向居を連れ去り物陰でなにかこそこそと立向居の耳に流し込む。

 

「よ、よし!やります!」

 

「すごい気合い、これならきっと」

 

花瑞は渾身のゴッドノウズインパクトを放つ。

 

「魔王·ザ·ハンド!」

 

魔王の両手がボールを抑え、もう少しで止められそうだ。

「あっ! いた! おぉーい!たいへんたいへん!」

 

いいところでマキが現れて慌てた様子で声をかける。意識を削がれた立向居の顔に威力が殺しきれてなかったボールが激突する。

 

「いててててて」

 

「だ、大丈夫?」

 

「そんなのあと! はやく移動する準備して! 試合が今日になっちゃったの!?」

 

「ええぇ!!?」

 

「ま?」

 

「ほんとだから! 監督もいないし、とにかく急いで!」

 

全員慌てて試合にいく準備をする。監督も別の場所から身動きできないようで監督と円堂達の不在で試合となる。監督にできるせめてものことは出場選手のリストを更新することだけであった。

補欠に入っていた小暮、杏をベンチに加えて試合に臨む。

 

 

「監督もいないしマモル達もいない、キャプテン代行は誰が務める?」

 

「なら、私に任せてくれないか?」

 

「八神…よし、任せた」

 

 

イナズマジャパンのフォーメーションはこうなった。

 

FW  豪炎寺 ヒロト 虎丸 

  

MF  染岡 マキ 八神  

 

DF 風丸 壁山 花瑞 飛鷹 黒嶋

 

GK立向居

 

ベンチには 小暮 杏 クララ 

 

「君、花瑞選手だろ? 俺はテレス、ジ·エンパイアのキャプテンだ」

 

「どうも、キャプテンならあちらの八神さんなので挨拶ならそちらにも」

 

「円堂はいないのだな、彼から君の守備のことを聞いていてね。是非今日はどちらのディフェンスが上かを決めたいと思ってる」

 

「そういうことなら、のぞむところです!」

 

試合開始、虎丸がボールを軽快に敵陣まで持ち込みタイガードライブを放つ。

 

「アイアンウォール!」

 

これをテレスがガッチリとディフェンス。すぐにカウンターに入る。フォワードのレオーネにボールが渡り必殺技を撃とうと構える。

 

 

「ヘルファイア!」

 

「ゴッドキャッスルV3!」

 

ここは花瑞ひとりで守りボールを奪った。サイドの風丸へとパスを出し横から攻める。

 

「マキ!」

 

マキにボールが渡るとグングニルを放つ。しかしそれもテレスの前には無力であった。

 

「むぅ……アイツ強い」

 

レオーネにボールが渡る。今度は飛鷹の真空魔でボールを奪う。ボールはキャプテン代行八神へと繋がり、攻撃を仕掛ける。

 

「アンデスの蟻地獄!」

 

ここでジ·エンパイアの必殺タクティクスにより八神はマキ達と分断され、連携技を撃てなくなる。ジリジリと蟻地獄の中から抜け出そうとするがダメで、シュートをするとテレスに防がれてしまった。

 

「いつの間にやつの前に……これがあいつらのタクティクスか」

 

八神はなんとか打開策を練らなければと考える。鬼道がいない今考えるのは自分だ。いつものタクティクスブレイカー、マキのメテオシャワーを試すがダメ、グングニルは蟻地獄にずっぽりと埋まるだけでダメ。打つ手はないのか。キャプテン代理八神の苦悩は続く。

 

 




クララ「苦戦してるな」

八神「あぁ。監督もなし、鬼道もなし、果たしてどう破ろうものか」

杏「こういうときに限ってマキの必殺技も通じないし」

マキ「なに? 誰が肝心な時に使えないって?」

杏「いや、そこまでは言ってない」

クララ「言ってた」

杏「クララ!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ジ·エンパイア グランドファイア

筆者「時刻ずらし!」

ヒロト「普通に今つくったって言っていいんだよ?」

筆者「今作った!」

マキ「執筆が遅い!」


前半が終了して0-1の、立向居はムゲンザハンド単体で相手のヘルファイアを止めることができず、飛鷹、花瑞、壁山との協力によりなんとか抑えていたのだが前半終了間際消耗しきったディフェンス陣の隙を突かれて失点を許した。

一方で攻撃はというとアンデスの蟻地獄を攻略できず、アイアンウォールも突破できないとイナズマジャパンが完全に劣勢であった。

 

「立向居、あの技を使えって」

 

「で、でもクララさん。あれはまだ未完成で」

 

「はぁ……ねぇ八神、キーパー交代。私が出るよ」

 

「なに?」

 

「えっ、そんな」

 

「だってムゲンザハンドじゃ一人で止められないんだし、それなら私が出ても変わらないし」

 

「い、いや! やります! ひとりで止めます!」

 

「ほんと?」

 

クララは普段以上のジト目で立向居の目を見る。マジの目をしている立向居を見て安心したのか八神の方に振り返り。

 

「やっぱさっきの無し。後半も立向居がキーパーで」

 

「あ、あぁ」

 

「でも、これでダメなら私が代わる」

 

クララは立向居に彼女なりの檄を送り、後半もベンチスタートになることを決めた。

 

「み、皆さん次は必ずおれが止めます!」

 

「うん、よろしくね」

 

「さて、では守備はいいとして攻撃だ。あれを破る方法はもう力業しかないと思う。わたしにボールをくれ、必ずフォワードに繋いで見せる」

 

「わかった、ならその後は俺にボールをくれ」

 

豪炎寺は八神からボールを貰えるよう強く押して伝えた。

後半戦開始、相手ボールから始まりウルビダ達までは容易に突破されてしまうが花瑞がボールを奪い八神にパスを出すが、それをカットされてしまう。

 

「任せてください!!」

 

立向居の声を聞き、花瑞はゴールを任せて前に走り出す。

 

「ヘルファイア!」

 

「うぉぉぉぉぉ!! 魔王·ザ·ハンドぉぉ!」

 

ついに、ついに立向居の新必殺技が完成した瞬間であった。ボールをガッチリと止めた立向居は花瑞へとボールを投げる。花瑞はそれを受け取り八神にマークがついていたためマキへと渡す。マキはメテオシャワーを使い八神のマークを引き剥がしてボールを託した。

 

「アンデスの蟻地獄!」

 

「いくぞ……うぉぉぉ!」 

 

八神が中に捕まってしまったがそのまま蟻地獄の誘導に抗うようにドリブルを続ける。

 

「お前ら! もっと左に寄せろ!」

 

「わ、わかってる! しかし……」

 

「お前らの思い通りにはさせないぞっ!」

 

鬼道ほどゲームメイクの才覚はない、それならばせめて自分の手で突破口を開いて見せる。八神の強い思いはアンデスの蟻地獄を抜け出し、豪炎寺へとパスを出した。

 

「ちっ、行かせるかぁ!」

 

テレスが豪炎寺の方へ駆け寄りシュートブロック体制を急いで整える。

 

「いくぞ! 虎丸!ヒロト!」

 

「「グランドファイア!」」

 

三人で放った必殺技はグランド全体を焼き付くさんばかりの業火となり、テレスやゴールキーパーもろとも蹴散らしてゴールへと突き刺さった。

 

「やりましたね豪炎寺さん!」 

 

「あぁ。ふたりのお陰だ」

 

豪炎寺は八神の元へと歩み、ありがとうとだけ伝えてポジションに戻った。

 

「ふっ、まだ同点ではないか。同じ手がお互い通じるかどうか」

 

八神は膝に手を当てながら肩で息をしていた。どうやらかなりの消耗をアンデスの蟻地獄をゴリ押しで突破するのに使ったようだ。

 

「ヒロト、これを渡す」

 

「八神……」

 

八神は自らフィールドを後にして交代した。中に入ったのはクララ。染岡も小暮と交代した。

 

「やれやれ、あんな熱いプレーを私に求められたら困るけどどうしましょうかねぇ」

 

「クララはボールを奪って、次はマキの番だから」

 

次の一点を決めたものがこの試合の勝者となるのは間違いない。その一点を奪うため両チーム必死の攻防戦が繰り広げられた。後半残り五分、ボールを奪ったクララがマキにパスを出す。マキの頭の中ではアンデスの蟻地獄から抜け出す一瞬のチャンスを狙っていた。

八神同様アンデスの蟻地獄の中でもがき抗う。意地でもテレスの前に誘導したいとマキがこの円のど真ん中から外れた瞬間であった。

 

「サザンクロスカット!」

 

久々登場、クィール直伝のサザンクロスカットで一瞬にして目の前の敵を抜き去った。

 

「なんだと!?」

 

テレスは味方に豪炎寺へのマークを徹底するよう指示を出す。グランドファイアは止められないと認めているようなものであった。

 

「そんなんで鉄壁のディフェンダーとか名乗らないでよね!」

 

「私個人としては負けだ、だがチームとしての守備で負けるわけにはいかない!」

 

マキは蟻地獄から抜け出したばかりでひとり、やれることはこれしかない。

 

「グングニルV2!」

 

「アイアンウォール!」

 

アイアンウォールに弾かれたボールが宙を舞う。そこに飛び立つ天使の羽ばたき、マキの後ろから上がってきた花瑞だ。

 

「ゴッドノウズインパクト!」

 

「くっ、アイアンウォール!」

 

二連続のシュートでテレスのアイアンウォールを突破した。

 

「ミリオンズハンド!」

 

しかしまだゴールキーパーが残っている。幸運なのは技がキャッチ技ではないこと。どちらのものでもないが再びフィールドを転がる。

 

「タイガードライブ!」

 

「ミリオンズハンド!」

 

まだ割れない、時間がない。イナズマジャパンの総攻撃にジ·エンパイアの総動員で防戦に当たる。やっとジ·エンパイアのディフェンダーがボールを拾ってミッドフィルダーへと繋げたかと思ったら束の間、パスを読んでいたクララが奪っては黒嶋へとパスを出す。

 

「烈風ブラスト!」

 

「アイアンウォール!」

 

テレスが完全に封じ込めボールを取った。が、まだだ。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

テレスの体制が整っているのなら花瑞も整っている。ボールを奪い返して花瑞の元にヒロトとマキが集う。

 

「ガイアブレイクG2!」

 

「アイアンウォール!」

 

それでもまだテレスとて譲らない。アイアンウォールを破りはしたがミリオンズハンドで防がれてしまう。

 

──残り時間はなくなりアディショナルタイムに入っていた。ゴールを奪えるか、奪えないか。最後のチャンスを手にするのは誰か。

マキだ。ヒロトの流星ブレードを防いだボールがマキの元へと転がる。

 

「ふぅ……グングニルV2!」

 

「アイアンウォール!」

 

グングニルがギリギリと壁に突き刺さろうとするがやはり力が足りない。そこに駆け付ける援軍がふたり。

 

「ばくねつスクリュー!」「ゴッドノウズインパクト!」

 

アイアンウォールを貫通せんと向かうボールに対して、最後のプレーでシューターにならなかったことでマークが緩んだ豪炎寺が抜け出し、さらにヒロトがシュート後のために連携技を出せなかった花瑞がシュートチェインにかかったのだ。

 

「な、なんだとぉぉぉ!?」

 

ボールは勢いよく壁を破壊し、ミリオンズハンドさえも粉砕してゴールをもぎ取った。

 

試合終了のホイッスルが鳴った。

 

「はは、わたしの負けだ。イナズマジャパン。大したチームだ」

 

テレスは花瑞に握手を求めた。

 

「テレスさんのアイアンウォールを撃ち破るのは至難の技でした。今回勝てたのは運が良かっただけです。次戦うことがあったら、今度は完全に攻略させてもらいます」

 

「そう簡単にはやらせないぜ。まあ、予選無失点の我がチームに勝ったんだ。イナズマジャパンの力は本物だ。これからも自信をもって戦ってくれ」

 

異様にデカイテレスの手が花瑞の手を覆い隠すように握手をして二人はお互いのチームに戻った。

 

 

 




八神「なんとかなったな」

クララ「脳筋プレーだったがな」

杏「だがまあ、いいじゃないか。勝てたのなら」

クララ「全く、まあ怪我しなくてよかったよ。なんか他の選手とかだったらあれで怪我してる気がした」

八神「まさかな。そんな奴は日本代表になれまい」

杏「なんだろう、すごく……メタなオーラを感じる」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一ノ瀬との再開

筆者「あ、あつい………」

ヒロト「デザートライオンもびっくりの暑さだね」

筆者「身体が疲れる……」

マキ「マキも暑くてダルいからメテオシャワーはなしで……」


 ジ·エンパイアとの試合を終えて無事円堂達との合流も成功した花瑞達。円堂のほうも無事勝利したようだが監督は影山のままである。それを聞いた花瑞はイタリア戦が終わったら彼と話す機会が訪れるかもしれないと思った。

そして、このタイミングでチームに合流した人物がもうひとり。吹雪が復帰したのだ。杏も怪我が完治していつでも試合に出れるようになりチームの層が再び厚くなりつつあった。

 

吹雪が加わり練習にもより一層の活気が見え、その練習を終えるとクララが花瑞のユニフォームの左袖を引っ張って呼び止めた。

 

「必殺技の練習に付き合って」

 

「うん、いいよ!」

 

その内容というのはファイアードラゴン戦で咄嗟に出したゴッドルーツ、イグナイトスティール、フローズンスティールの合体技のことであった。あれをしっかりと技として昇華させたいのだ。

 

「花瑞はディフェンダーとしては最強角だけどたまにエネルギー切れするじゃん。ゴッドルーツなら低燃費なんでしょ?」

 

「うん、ゴッドルーツ、フラワーは常用範囲で、キャッスルだけはとっておきの技って感じ」

 

「花瑞の負担をゴッドルーツに抑えつつより強いディフェンス技を使うならやっぱりあれだと思う」

 

「そうだね…心配してくれてありがと」

 

「いい、それよりはじめよっか。杏を待たせてるんだ」

 

指差す方向には腕を組んでこちらをいつもの睨んでいるような目で見る杏の姿があった。

 

「時間がもったいないんだから早くはじめるぞ!」

 

杏は急かして練習をはじめた。元が咄嗟に出した技とはいえそれぞれの必殺技の足し算ということもありそこまで苦労することはなかった。しっかりとアメリカ戦までに完成させて臨むことが出来たのだ。

 

 

アメリカ代表ユニコーンとの試合。そこには懐かしきメンバー一ノ瀬と土門の姿があった。

 

「一ノ瀬さん、土門さんお久しぶりです」

 

「おっ花瑞、元気にしてたか」

 

同じディフェンダーとしてエイリアとの戦いを共にした土門が気さく反応する。

 

「今日はよろしくな」

 

「はい、おねがいします!」

 

イナズマジャパン本日のメンバー

 

FW 豪炎寺 ヒロト

 

MF 吹雪 虎丸 鬼道 マキ

 

DF クララ 花瑞 壁山 黒嶋

 

GK 円堂

 

ベンチ 立向居 杏 不動 佐久間 染岡

 

八神は残念ながら再びベンチ外に押し出されてしまったが、今後の激戦を考えればいつ出番が来てもおかしくはない。闘志を胸に秘めながら試合を見守る。

 試合開始と同時にヒロトがディラン、マークを突破して見せるが一ノ瀬にボールを奪われる。後ろから鬼道がボールを奪いに出るが実力はほぼ均衡。両者突破できずにいるが後ろから援護に来た土門との連携により突破していった。

 

「いかせないっス! ザ·マウンテン!」

 

「ジ·イカロス!」

 

土門が一ノ瀬を空へと投げ、壁山のザ·マウンテンを飛び越えさせてしまった。

 

「いくぞ、円堂! ペガサスショット!」

 

一ノ瀬の単独技ペガサスショットが円堂のイジゲンザハンドを破り、先制点を奪っていった。鮮やかなプレイだった。

 

試合が再開しても豪炎寺が一ノ瀬のフレイムダンスでボールを奪われてしまい再び守る側に立たされるイナズマジャパン。虎丸のスライディングを難なく回避して次は花瑞が立ち塞がる。

 

「行かせません! ゴッドフラワーG4!」

 

一ノ瀬からボールを奪った次の瞬間、土門がキラースライドでボールを弾き、ボールはディランの元へ。

 

「ミー達もいくよ!」

 

「「ユニコーンブースト!」」

 

「イジゲンザハンドっ………うわぁ!」

 

イナズマジャパン早くも二点の失点。圧倒的な力を見せつけるアメリカ代表に勝利することはできるのか?




八神「ジェネシスとして戦ったときは一ノ瀬というやつあんまりパッとしていなかったのに、あんな実力を隠し持っていたのか」

クララ「あんだけ強いならひとりでエイリアからゴール奪えるだろうに」

杏「でもあいつ、あの頃はスピニングシュートとかいう技しかなかったような」

八神「あと、スパイラル…なんとかってのもあったな」

クララ「どっちも………単体技急に強くなりすぎだよあいつ」





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ユニコーン 天才プレイヤー、一ノ瀬

筆者「暑くてつらいです」

ヒロト「暑さのせいにしてるけどゲームのイベントやってて遅れてるんだよね?」

マキ「はぁ!? 暑さなら仕方無いけどそれなら許さないわよ! メテオシャワー!」

筆者「艦これやってるのにぃぃ!」


0-2で試合は始まったばかり。イナズマジャパンは少しでも早く点を返したいと焦りが出る。

 

マキにボールを預けるとその場からグングニルによるロングシュート。これはキーパーのキッドにより防がれてしまうが、ここからなんとかボールを奪って得点を決めたい。早くしなければ一ノ瀬達も守備に加わる。急がねばならない。

 

「スノーエンジェル!」

 

吹雪がボールを奪った。そのままウルフレジェンドを放つが土門のボルケイノカットにより勢いを削がれ、キッドに止められてしまう。ボールは一ノ瀬へと渡り花瑞はボールを奪おうとゴッドフラワーを出すが今度は一ノ瀬のジ·イカロスで飛び越えてしまった。

 

「フローズンスティール!」

 

一ノ瀬相手に着地狩りを仕掛けたクララがボールを取り返した。

 

「っし……虎丸!」

 

クララのパスを受け取りグラディウスアーチを放つ。しかし、土門のボルケイノカットとキッドのフラッシュアッパーによりボールが打ち上がる。このボールを空中で奪おうとヒロトが飛ぶ。それと同時に一ノ瀬も飛んだ。ヒロトの方が体制有利だがこのままヘディングをしたところでシュートは入りそうにないとすぐにわかる。ヒロトはヘディングでボールを後方の上に出して花瑞へとボールを託す。花瑞はそれに合わせて飛び上がる。

 

「ゴッドノウズインパクト!」

 

「フラッシュアッパー!」

 

ボールの勢いを殺しきれず顔面へとボールが飛んでいき、そのままゴールした。

 

「ナイスシュート、花瑞」

 

「ヒロトさんの咄嗟のパスのお陰です」

 

ヒロトは花瑞の頭を軽く撫でてから元の位置へと戻った。

 

「攻守共にカズヤ、お前並に優秀だね。あの金髪の子。ほんとに日本人?」

 

ディランが花瑞を指差して一ノ瀬に聞いてみる。

 

「あぁ。あの子は凄いプレイヤーだよ。でも絶対に勝てない訳じゃない」

 

あと、彼女はれっきとした日本人だよ。と一ノ瀬は添えた。

兄アフロディ同様美しい金髪に目鼻立ちや身体の成長も最近は著しい花瑞は確かにのっぺりとした顔のイメージが浸透している日本人には見えないかもしれない。

現状、一ノ瀬と花瑞の能力では両者どちらも競り勝つ可能性があるレベルだ。

 

 試合が再開するとディランとマークがワンツーで鬼道まで順調に抜 き去り、ディフェンス陣まで侵攻していた。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

「カズヤ!」

 

後方の一ノ瀬にパスを出して花瑞の必殺技を避ける。しかしそこにはクララが回り込んでいた。パスカットをしたクララは鬼道へとボールを渡し、鬼道が中央までボールを運ぶと最後は豪炎寺に託す。

 

「グランドファイア!」

 

近づくものを焼き付くす炎が問答無用にゴールを襲い掛かる。キッドに止められるはずがなく、同点へと追い付いた。

 

「ヒュ~、やるねぇ日本」

 

ディランは余裕そうにボールをマークへ渡して試合が再開する。

 

「まだ、奥の手は必要なさそうだな」

 

「あぁ。サプライズは最後まで取っておこうぜ!」

 

ふたりの連携は抜群で再びディフェンス陣まで侵攻する。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

一ノ瀬の方にはクララが警戒している。マークはボールを奪われ花瑞がボールを手にするが、一ノ瀬のフレイムダンスで奪い返される。

 

「ペガサスショット!」

 

「イジゲンザハンド改!」

 

円堂が必殺技を進化させてなんとか防いだ。しかし、花瑞のボールをキープしたあとのドリブル技がないという弱味を一ノ瀬がしっかりと狙ってきている。オールラウンダーである一ノ瀬が後ろに控えられている以上この危険は避けられない。

 

「やるな円堂! マーク、そろそろあれを」

 

「よし、見せてやるか」

 

「俺達の必殺タクティクス、ローリングサンダーを」

 

 

 

 




杏「クララは地味に活躍してるな」

クララ「縁の下の力持ちといってほしい」

八神「目立たないが重要な起点だ。相手の虚をついたりするのは立派な能力さ」

クララ「 v( ̄ー ̄) 」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ユニコーン ローリングサンダー

筆者「ギブ!ギブ!」

ヒロト「もうメテオシャワーとかなしでシンプルに絞め技してるし…」

マキ「ゲームのイベント大変だったようねぇ? で、こっちは音沙汰なしと? ねぇ?」

筆者「悪かったから! 落ちる!意識!ヘルプ!」

ヒロト「まあ、続きがなくなると困るからマキ、その辺にしといてあげてよ」

マキ「トドメのメテオシャワー!(ダイレクト蹴り)」

ヒロト「ヒュン)泡吹いて倒れちゃった……」


アメリカ代表の必殺タクティクス、温存されていた手札のひとつが今切られた。ボールを花瑞から奪った一ノ瀬は四人でゴール周辺を囲い、中に取り残されたのは壁山と黒嶋、円堂のみ。その三人に対して囲い込んだ四人が次々にシュートを撃っていく。外に出されたものは中に入りたくても入れない。三人が懸命にディフェンスをするが何度防いでも次の攻撃がやってくる。数分後には消耗しきった三人の姿があった。

 

「ペガサスショット!」

 

「ザ·マウン……」

 

壁山は必殺技を出すこともできず力尽きる。

 

「イジゲンザハンド改っ……」

 

円堂も体力の消耗からパワー負けをして一ノ瀬のシュートを止められなかった。2-3と再びチームユニコーンがリードする。

 

「選手交代、壁山に代わり杏」

 

疲れ果てた壁山に代わり杏がフィールドに入る。

 

「杏が来たか……花瑞、杏、二人とも耳貸して」

 

クララはゴニョゴニョと二人に作戦を伝える。

 

「ふん、そんなの言われなくてもそのつもりよ」

 

「任せてクララちゃん!」

 

お互い確認を終えてポジションに戻る。試合が再開するとボールは鬼道に預けられ、マーク、ディランを抜き去り一ノ瀬と対峙する。両者一歩も譲らず時間が進みディランとマークも戻ってくる。鬼道はマキへとボールを渡す。

 

「行かせるか!フレイムダンス改!」

 

「メテオシャワー改!」

 

強引に一ノ瀬を突破して敵陣へと迫る。

 

「ボルケイノカット!」

 

「そんなものマキには効かないよーだ! メテオシャワー改!」

 

空中からの攻撃に土門も突破される。マキは単独でディフェンス陣を突破してみせた。

 

「そのまま行け! マキ!」

 

「言われなくてもそのつもり! グングニル…V2!」

 

「フラッシュアッパー!」

 

「あんたなんて、目じゃないんだから!」

 

マキのグングニルがフラッシュアッパーを容易に突き抜けてキーパーの顔面に直撃。そのままゴールネットまで勢いよく飛んでいき同点ゴールとなった。

 

 

「一進一退の攻防戦ってやつ? 面白くなってきたネ!マーク」

 

「あぁ。カズヤの言っていた通り日本代表は面白い奴らだ」

 

「でも、最後に勝つのは勿論ミーたち。だよな」

 

前半が終わった。3-3の大接戦に観客も大盛り上がり。

休憩の合間にトイレに向かう円堂はそこで一ノ瀬の様態を知ることになるが、全力のプレーを改めて誓い合った。

 

 

後半開始と共にユニコーンのツートップが鮮やかにイナズマジャパンへと襲い掛かる。軽々しくローリングサンダーまで持ち込んだユニコーン、今度は花瑞と杏が中に囚われた。花瑞は外に居るクララと目を合わせ、クララはコクりと頷く。杏とも目配せをして準備は整った。

 

「行くよ……私達三人の必殺技。スティールルート!」

 




杏「いよいよか」

クララ「そう、いよいよ」

八神「なにが始まるんだ?」

クララ「第三次大戦だ」

杏「それは違うだろ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ユニコーン スティール·ルート

マキ「怠慢!」

筆者「ちまちま書いてたら遅れた!」

マキ「それを怠慢って言うんでしょ!」

ヒロト「失踪した訳じゃないし、多少は多めにみてやりなよ」

マキ「そうやって甘やかすからいけないの!」


 アメリカ代表との試合も後半に入り、3-3の白熱した攻防が繰り広げられる中、必殺タクティクス『ローリングサンダー』によりアメリカ代表の攻撃がイナズマジャパンにゴールに入るまでしつこく襲い掛かる。今度はそのローリングサンダーに花瑞と杏が巻き込まれ、外にいるクララと目配せをした花瑞はスティール·ルートを放った。

 

「スティール·ルート!」

 

花瑞がゴッドルーツを発動させると共に中に居た杏がイグナイトスティールを発動させて根に導かれるように滑り出す。ボールを持つ一ノ瀬はそれを避けるためにマークへとパスを出す。杏は一度外に出てから根が反対に反り出して再びボールを奪うために襲い掛かる。その間にクララもフローズンスティールでスティールルートの軌道に乗り、ボールを奪いに来た。

 

「くっ、ディラン!」

 

ディランへとボールを託すとそこには既にクララが滑り込んでいた。ボールを奪ったクララはローリングサンダーを抜け出してカウンターを仕掛ける。後ろから一ノ瀬が迫って来たのでボールを取られる前に虎丸へとパスを出した。虎丸はボールを受け取ると巧みなドリブルで中盤を守る選手を抜き去りシュート体制に入ろうとした瞬間、絶妙なタイミングで土門がキラースライドを仕掛けて虎丸からボールを奪う。

 

「一ノ瀬!」

 

「よし、ディラン、マーク。あの技を!」

 

「OKカズヤ!」

 

「いくぞ、グランフェンリル!」

 

ローリングサンダーを警戒していた為に新たな必殺技で虚を突かれた花瑞は慌ててゴッドルーツを出して少しでもシュートの威力を抑えるものの、円堂のイジゲンザハンドが突破されてアメリカが四点目を先に手にした。

 

「ま、まだあんな必殺技が…」

 

「切り札は最後までってことか……」

 

クララはジーッと一ノ瀬を見つめ、心の中で彼を高く評価した。

 

 

試合再開と同時にボールを受け取った豪炎寺がディランとマークを突破するが、目の前には一ノ瀬がいる。フレイムダンスでボールを奪い、一ノ瀬がそのまま攻め込んで来る。中盤を突破されて再びグランフェンリルを放つ。

 

「ゴッド……」「待って花瑞、体力を少しでも温存させよう。スティールルートで」

 

クララの提案でスティールルートでグランフェンリルに対抗する。クララと杏、二人が密着するほどに近づきスライディングをボールにぶつける。完全に防ぐことは出来なかったが勢いを削がれたシュートは円堂が楽々キャッチした。

 

「よし、黒嶋!」

 

右サイドからのカウンターを速攻で仕掛ける。まともなディフェンスをさせる前にまるで風が通過するようにスルリと抜き去り、右サイドから烈風ブラストを使ってセンタリングを出す、土門のボルケーノカットを持ってしても奪われないようにするためだ。予想通り土門に奪われなかったボールは豪炎寺の元へと綺麗に渡る。

 

「ばくねつ…スクリュー!」

 

4-4の同点ゴールを豪炎寺がもぎ取った。

 

 

「選手とポジションの交代をする」

 

ここで監督の久遠が動いた。

 

FW クララ マキ 杏

 

MF 豪炎寺 花瑞 鬼道 佐久間

 

DF 吹雪 円堂 不動 黒嶋

 

GK 立向居

 

 後半も残り半分、ディフェンスの要を前線に送り出す策に出たイナズマジャパンのマキがボールを持って試合再開。ディランとマークの二人をメテオシャワーで抜き去るが、着地の瞬間に一ノ瀬のフレイムダンスを決められ、ボールを奪われる。

 

「スティール·ルート!」

 

「ジ·イカロス!」

 

一ノ瀬が空中に逃げるが、それを追うように杏がイグナイトスティールで根の道を駆け上がりボールを奪取する。そのまま自分でドリブルをして土門を前にして鬼道へのバックパスを出す。

 

「いくぞ! 皇帝ペンギン3号!」

 

鬼道、佐久間、不動がイタリア代表の助っ人に向かったときに習得した必殺技、皇帝ペンギン3号が炸裂する。

 

「やらせるか! ボルケーノカットV3!」

 

土門のブロックで勢いが大幅に削がれる。

さらにキーパーのキッドも自身の技を進化させてギリギリ防いだ。

ボールをディフェンスに渡すがクララがフローズンスティールですかさず奪う。しかしパスを出せる相手がいない。やむを得ず自分でシュートを撃つがガッチリと止められてしまう。

今度こそ前に繋ぐぞと懸命にパスを回し、一ノ瀬にボールが渡る。

 

「行かせません! ゴッドフラワーG4!」

 

「くっ、土門!」

 

土門へのバックパスで花瑞との戦いを回避し、自分にボールを戻す。

 

「いくぞ! グランフェンリル!」

 

「やらせない! メガトンヘッドG2!」 

 

円堂のシュートブロックが入る。威力の多少落ちたグランフェンリルが立向居に襲い掛かる。

 

「魔王·ザ·ハンド」

 

これをガッチリとキャッチした立向居は吹雪へとパスを出す。

吹雪はセンターラインほどまで自身で前進するとボールを豪炎寺へと託した。その豪炎寺は中心を守る土門、一ノ瀬を警戒してサイドからそのまま進み続ける。

 

「ばくねつスクリュー!」

 

鋭角にシュートを捩じ込んで強引にゴールを狙う。

 

「やらせるか! ボルケーノカット!」

 

土門の抑えたボールをキッドが止める。最後の最後まで全力の攻防が繰り広げられる。

 

「イチノセ!」

 

キッドから一ノ瀬にボールが渡る。花瑞は今度は絶対に奪うと決め、ゴッドキャッスルを使った。一ノ瀬はそれを突破しようと試みたが、全力のゴッドキャッスルを破ることは出来ずにボールは花瑞が奪った。

 

「はぁはぁ……」

 

ふらふらの花瑞がパスを出す前にマキがボールを自分で取り、グングニルを使い姿が消える。

 

「グングニルV2!」

 

土門がボルケーノカットをしようと構えるがボールは関係のない横へと進んでいく。

 

「クロス…ファイア!」

 

左サイドに集結した吹雪と豪炎寺の渾身のクロスファイアがアメリカから決定的な一点を奪った。

 

「まだ、まだ試合は終わってない! ディラン! マーク!」

 

 

一ノ瀬は残りわずかな時間に間に合わせようと必死の攻撃に出る。クララ、杏のディフェンスを突破し、目の前には花瑞。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

「ディラン!」

 

ディランへとボールを渡して花瑞を回避、勢いを落とすことなく進み続ける。不動のチャージもパスを出して回避して最後のシュートチャンスとなる。

 

「グランフェンリルG2!」

 

「やらせるか! メガトンヘッドG3!」

 

円堂のメガトンヘッドが威力を多少落とすがまだまだグランフェンリルの勢いは止まらない。残るのは立向居ただひとり。

 

「魔王·ザ·ハンドG2!」

 

最後の猛攻、グランフェンリルを完全に受け止めた。試合終了のホイッスルが鳴る。日本は、アメリカ代表ユニコーンに勝利した。

 

「ヒュ~、すごいね。ジャパンのサッカーは」

 

試合終了後、ディランが気さくに花瑞に話しかけてくる。

 

「ユニコーンのサッカーもスゴかったですよ。攻守両方に手強くて正直運が悪ければ負けてたと思います」

 

「日本人は謙遜するってほんとだネ! ユー達は実力でミー達を倒した。運だとかそんなもんでは片付けられないさ!」

 

ディランはニカッと笑顔にグッドのハンドサインを出して、その後手を振って帰っていった。

 

 

 

 

 




クララ「本来なら最前線から余裕でボールを奪ってそのままシュートで勝ち越して、その後もキックオフ直後に私達がボールを奪って勝てるのが理想だったのに」

杏「無茶言うな。あいつらのテクニックはそんな生半可なものじゃない」

八神「一ノ瀬と土門、かつて試合をしたときより数段実力が増していたな。アメリカには何かあるのか?」

クララ「アメリカなんてむしろ太りそうだがな。それとも日本の食が合わなくてあれが本調子だったのか」

杏「日本にだってジャンクフードはあるだろう?」(ハンバーガーを食べながら)

クララ「日本のLサイズはあっちのS程度だぞ?」

杏「……え? ま?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

影山の覚醒

筆者「投稿してるつもりがしてなかった」

ヒロト「投稿頻度の衰えを大いに感じるよ」

マキ「あと少し頑張ってよね!マキの活躍を楽しみにしてる人がいるんだから!」


 遂に、あの男と対峙する日が訪れた。イタリア代表監督ミスターK、影山零治。

フィディオは彼にサッカーの楽しさを思い出させようとひとり彼の父親のプレーを再現する特訓を行い、万全の状態で試合に挑む。

対する花瑞達も準備は万全。相手が影山であろうと何であろうとイタリアに勝って一位通過を目指す。

両チームここまで無敗で勝ち進んできている。この試合結果でどちらが一位通過になるのかを決める試合となるのだ。

 

 

FW    豪炎寺 マキ

 

MF 八神 鬼道 ヒロト 吹雪

 

DF クララ 花瑞 杏 黒嶋

 

GK 円堂

 

ベンチ 壁山 立向居 虎丸 不動 染岡

 

 

 

 

 

試合開始と同時にフィディオは早速。影山父の動きを再現し始めた。その動きに気付き鬼道はフィディオの相手は自分がすると言って一対一で動きの再現に加担した。

それが何十分も続いたであろうとき、ベンチの影山が立ち上がった。

 

「もういいフィディオ! お前のサッカーをやれ」

 

「ミスターK…」

 

「これから勝つための作戦を指示する。ついてこれるな?」

 

「……はい!」

 

「影山…」

 

「影山は呪縛から解放されたようだな」

 

響監督がベンチでそう語る。今、イタリア代表を指揮するのは自分のチームの勝利のために正々堂々と戦う非常に優秀な監督だ。

フィディオ本来のプレーに戻り易々と鬼道、ヒロトを抜き去り花瑞と対峙する。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

花瑞がフィディオからボールを奪い反撃に移る。ボールを八神へパスを出して八神からマキにパスが通る。しかし目の前にはオルフェウスディフェンダーのオットリが立ち塞がる。

 

「邪魔よ! メテオシャワーV3!」

 

「バーバリアンの盾!」

 

防がれた。上空からの攻撃を盾で防いぎマキの着地の瞬間にボールを奪った。

 

「うそ!?」

 

マキから奪ったボールをパスを回してフィディオの元に帰ってくる。

 

「イグナイトスティール!」

 

杏のスライディングを容易に躱してシュート体制に入る。

 

「オーディーンソード!」

 

「イジゲンザハンド改!」

 

先制点はイタリアだった。さらに、得点後影山からの指示が追加で入る。より一層イタリアの動きが強力になる予感が鬼道の中にあった。

まずは同点に追い付きたいイナズマジャパン。豪炎寺がボールを持って攻める。しかしフィディオが立ち塞がり、パスコースを全て封じられてしまう。そのままボールを奪ったフィディオは前線のラファエレへとロングパスを出す。

 

「これが俺達の必殺タクティクス、カテナチオカウンターだ!」

 

「そしてこれが俺の必殺技、フリーズショット!」

 

ラファエレの必殺シュート。しかしシュートコース上には花瑞の姿があった。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

ゴッドフラワーはフリーズショットの威力を上回り、ボールは花瑞のものになった。そしてこういうときにはやはりマキだろうとヒロトを経由してパスを出す。マキはそのままドリブルで先ほど豪炎寺がボールを奪われた地点まで前進する。

 

「カテナチオカウンター!」

 

「どこの国も必殺タクティクスとかいってやってること大差ないんだから…メテオシャワーV3!」

 

お馴染みの力業でタクティクスを突破してそのままシュートに持ち込む。

 

「グングニル…V2!」

 

「うぉぉぉ!コロッセオガード!」

 

ゴールキーパーブラージの必殺技により、マキのシュートは止められてしまった。

 

「ちっ…」

 

マキは舌打ちをして戻る。ゴールキーパーも強力ながらディフェンダーにはバーバリアンの盾を持つ選手が複数いる。守備力で言えばイナズマジャパンに勝るとも劣らない戦力だ。

ボールは前線で奪えないままフィディオに渡り、花瑞との対決になる。

 

「いきます!スティールルート!」

 

左右にいるクララ、杏との連携でボールを奪いにいく。一度目のスライディングを躱して前に進むのを花瑞のゴッドルート部分が足止めをしている間に二回目のスライディングが後ろからやってくる。それもジャンプして躱したところを花瑞が奪っていった。

 

「花瑞! 私にパスを!」

 

「はい! 八神さん!」

 

ボールを受け取った八神は左サイドから真ん中に行くように斜めに切り込んでいく。

 

「いかせねぇ! バーバリアンの盾!」

 

「ライトニングアクセル!」

 

八神はかつてジェネシスの一部が使っていた必殺技ライトニングアクセルを使用してバーバリアンの盾を抜いていった。

 

「ヒロト! マキ! 追い付いているな?」

 

「もちろん!」

 

「あぁ、いけるよ八神」

 

「「スーパーノヴァ!」」

 

「コロッセオガードっうぉぉぉ!?」

 

 

 

 

 

「さすがイナズマジャパンだ。そろそろ俺も、出るとするか」

 

 

 

同点ゴールを八神が入れて前半を1-1で終了した直後、観客席から席を立つ男がいた。

 

 

 

 




八神「ふぅ、なんとか同点だな」

クララ「ライトニングアクセル、いつの間に?」

八神「なぁに、こっそりとな」

杏「それにしてもスーパーノヴァの威力は相変わらずスゴいものだな」

八神「あぁ。後半は撃たせてくれないだろうな」

クララ「カテナチオカウンターも攻略済みとは言えないしな。どうなることかまだわからない」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS. オルフェウス ヒデ、登場

マキ「更新頻度!」

筆者「ま、待ってくれマキ、メテオシャワーは勘弁してくれ。夢の中でマキにボコボコにされたばかりなんだ(実話)」

マキ「はぁ? そんなこといってもワケわかんないだけなんだけど」

筆者「いやマジで、サッカーの試合しててマキにボコボコにされた。初期エイリアとの試合くらいの差で」

マキ「まあ、マキもやりすぎたからそんな夢見たのかもしれないし今回は勘弁してあげるわ」


 

「あ、あなたは……!」

 

前半終了直後、ベンチに戻ったオルフェウスのフィディオの前にある男が少女を連れて現れた。

 

「キャプテン!」

 

オルフェウスの真のキャプテンヒデナカタである。そして連れてきた少女は影山がかつて行った策略に巻き込まれ、今は影山が金銭的に支援を送ってそのときの償いを行っていた少女だ。

 

 

後半には彼が出場する。自身に頼りすぎているチームのために一時離脱していた彼が今のチームならば心配ないと確信をもって現れたのだ。後半の試合は前半より遥かにレベルが上がる。

 

 

 

 

 

 

後半開始、イナズマジャパンは選手の交代なし。

ボールを持ったマキは早々にカテナチオカウンターを仕掛けられた。

 

「だから、それはマキには効かないっての!メテオ…」

 

マキが得意気に空に飛び彼女の十八番メテオシャワーを繰り出そうとした瞬間であった。

 

「とぉぉぉ!」

 

そのボールを空中でかっさらって言った男……そう、ヒデだ。

 

「うっそ!?」

 

ヒデはボールを奪いそのままイナズマジャパンゴール目指してドリブルしていく。ヒロト、鬼道二人でボールを奪おうとするもその卓越したボールさばきに軽く突破されてしまう。

 

「花瑞気を付けて! 彼のテクニックは次元が違う!」

 

ヒロトは思わず大声で今まさに対決しようとしている花瑞に伝える。

 

「わ、わかります…でも、三人なら……スティールルート!」

 

テクニックトップレベルの選手、フィディオや一ノ瀬からもボールを奪えるこの連携技でならばもしかしたら取れるかもしれない。そう期待したのだが……

 

「へぇ! 遠くで見るよりよっぽど凄いな!」

 

そう言いながらヒデは第一波のクララを躱して杏も軽くいなす。返しのクララ、杏、そして逃げ道をひとつだけに絞らせて花瑞の有利な状況にしてボールの奪取を試みたのだが、その状況でさえもヒデはボールを巧みに操り花瑞の頭上を飛び越えて突破していった。

 

「そんなっ!」

 

「いい守備だったぜ、あとは彼だけだな」

 

ヒデはゴールを守る円堂に視線を送る。

 

「いくぜ! ブレイブショット!」

 

「イジゲンザハンド改!」

 

最後の頼みの綱円堂のイジゲンザハンドも破られ、後半開始早々にゴールを奪われてしまった。

 

これを見て久遠監督は選手の交代を決めた。

 

 

 

 

FW    豪炎寺 マキ

 

 

 

MF 八神 鬼道 虎丸 ヒロト

 

 

 

DF 吹雪 花瑞 壁山 円堂

 

 

 

GK 立向居

 

 

 

ベンチ クララ 円堂 杏 不動 染岡

 

 

ボールを奪うのを諦めてシュートブロックを行って確実にボールを止める作戦に移ったのだ。その要となるのは花瑞と壁山二名だ。

 

試合再開、豪炎寺が鬼道にパスを出してその間にサイドのヒロト、八神も攻め上がる。

 

「カテナチオカウンターをさせないつもりだな、鬼道」

 

フィディオは鬼道のボールを取りに行かずやや後方で待機する。今出れば鬼道はロングパスを出すのだろうと判断したのだ。その予測は当たっているが、だからといってフィディオやヒデが取りに行かなければ鬼道からボールを奪うのは容易ではない。しかし鬼道ではゴールを奪えない。鬼道はバックパスを出して花瑞が受けとる。花瑞渾身のゴッドノウズインパクトを放つが、距離もありシュートブロックも入ったことで簡単に止められてしまった。

 

ボールはヒデに渡り一気に攻め上がる。花瑞も急いで追いかけ壁山と二人で立ち塞がるのであったが、サイドから駆け付けたフィディオにパスをだし、二人がシュートブロックできる範囲を抜けた地点からオーディーンソードを放つ。

 

「メガトンヘッドG3!」

 

しかし、円堂がブロックに入り立向居の魔王ザハンドでガッチリとキャッチ。ヒデ、フィディオの強力な選手から最も離れている左サイドの吹雪にパスを出す。吹雪はグングンと加速してフィールド中央を越えていく。

 

「虎丸君!」

 

「はいっ!タイガー」

 

「ストーム!」

 

吹雪から虎丸に、虎丸は豪炎寺との必殺技タイガーストームを放つ。

 

 

 

が、これもコロッセオガードの前に破れる。

強い、強すぎる。花瑞のゴッドフラワーと魔王ザハンドの連携でこれ以上の失点は出さないようになっているが、あと僅かというところでゴールが遠い。グランドファイアならば突破できる可能性があるものの、虎丸かヒロトが必ずフィディオあるいはヒデのマークに合うために撃ち出せない。

 

最後の賭けに出た。久遠監督この試合最後の大幅な作戦変更であった。

 

FW   ヒロト 豪炎寺 虎丸

 

 

 

MF 八神 不動 鬼道 マキ 吹雪

 

 

 

DF  花瑞  黒嶋

 

 

 

GK 円堂

 

 

 

ベンチ 壁山 立向居  不動 クララ 杏

 

残り五分、超攻撃的ポジションに変更した。負けるならば何失点してもかわらない。それならば、少しでも得点を取れる可能性に賭けるしかなかった。

 

 

カテナチオカウンターを不動鬼道のキラーフィールズで突破してボールを豪炎寺へと繋ぐ。

 

しかし虎丸にヒデのマークが付いている。

 

「豪炎寺君!」

 

「クロスファイア!」

 

吹雪が駆け付けてクロスファイアを繰り出す。

 

「ゴールは、やれん!バーバリアンの盾!」

 

俊足のディフェンダーベントのシュートブロックで威力が削がれる。さらにコロッセオガードで防がれるがボールは誰のものにもならず空中を彷徨う。

 

「くっ!」

 

「まだホイッスルはなってないじゃない!」

 

マキ、ヒロトがボールを取ろうとジャンプする。そうはさせないとヒデとフィディオもジャンプする。花瑞も駆け付けるが今からでは間に合わない。

 

「なにか力を……え、えい!」

 

花瑞は自身のエネルギーをグラウンドに送り込む。そのエネルギーはヒロト、マキの足元から勢いよく現れて二人を乗せる。

 

「なに!?」

 

「こ、こいつは!?」

 

「え!?」

 

「花瑞!?」

 

四名共々驚かされるが、これにより勢いよくボールに向かって加速したヒロトとマキ二人でシュートを放つがあまりに唐突な事態に肝心なシュートの威力が伴わなかった。

 

 

シュートは止められ、ホイッスルが鳴り響く。

 

「はぁはぁ……負けたの?」

 

花瑞は呆然と立ち尽くす。

 

 

「イナズマジャパン、熱くなれる相手だった……それにしても最後の……決勝でまた相手したいものだ」

 

ヒデは満足そうにフィールドを去る。

 

 

「次は負けないぞ!な?みんな! なぁ、フィディオ!決勝で戦うときは絶対勝つ!それまでに今よりさらに強くなって次は全部のシュートを止めて見せる!」

 

「マモル…あぁそうだな。決勝で会おう」

 

 

 

円堂は燃えていた。その炎が負けたことへのショックを受けている仲間に飛び火して再び戦う気力を燃え上がらせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、試合が終わり会場を後にしていた観戦者の塔子とリカは怪しいアイテムを手に入れていた。

 

 

 

 

 




リカ「ちぃーす!」

塔子「へぇ!ここが例の場所」

八神「さらに人が増えた、それよりその手に持ってるのはなんだ?」

リカ「これか? なんか怪しげなやつ渡してきたんや」

クララ「そんなもんを持ち歩くとか控えめに言って幼稚園児より危ないな」

杏「ネットリテラシー崩壊してそう。実名で顔さらしてイナスタやってそう」

リカ「さすがに実名ではやらんわ! イナスタの名前はカーリーにしてるでぇ」

八神「ほぼ実名じゃないか」

クララ「ちなみに杏はレアンにしてるし八神はウルビダにしてるよ」

八神·杏「なぜそれを!?」

クララ「ショルダーハックしてたから。ちなみに私はやってない」

塔子「ふぅーん、じゃあこの裏垢女子は誰かな?」

クララ「………! そ、それをどこで」

塔子「わたしの推理力かな?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

天使と悪魔と……?

??「当初の予定とかわるが、まずは花瑞という人物を歴史から抹消する」
?「こんにちは~、一応未来人のみなさま」

??「だ、だれだ!?」

?「これ見ればわかると思うんですけどぉ、さらに未来からの来た者ですぅ」

??「なるほど、つまり我々だけでは失敗するのだな?」

?「話が早くて助かります♡」




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イナズマジャパン控え含めたフルメンバー、それとフィディオ、テレス、ディラン、マーク、エドガーを加えたメンバーはライオコット島のとある地に来ていた。

数時間前、塔子とリカが怪しい男から渡されたリングが外れなくなったリカと音無が天使と悪魔を自称する者に連れ去られた。二人を取り返すためにたまたまイナズマジャパンと共に練習をしていた各国代表の選手達と共にライオコット島の伝説に沿ってここまで来ていたのだ。

そこには、塔子がリングを渡してきた男達が居た。その男達は二つに別れている地獄の道の天界への道そこに連れ去られた二人がいると教えた。選手の数には余裕があったので二手に別れてそれぞれ取り戻そうと思っていたのだが……

 

 

 

 

「あ、あれ? ここは」

 

 

一瞬目を瞑っていても眩しいほどの光に包まれたかとおもば、花瑞達は見知らぬグラウンドの中に立っていた。

 

「ちょっと! これどういうわけ!?」

 

マキが周囲を見渡して大声を出す。

 

「やはり影響の強い者だけがここに来たか」

 

白い髪型に褐色の肌。おでこにはまるでタトゥーのような紋章がある男が花瑞達の前に現れる。

 

「亜風炉花瑞、サッカーを抹消するその前進としてお前を全ての時間軸から抹消させてもらう」 

 

 

「え!? それって、どういう意味ですか?ここは、なんなんですか!」

 

「あらあら、そんな唐突に伝えても昔の人が理解できる分けないじゃないですか。あっ、わたしからしたら二人とも旧世代人でしたっけ」

 

「まぁたなんかワケわからないのが増えたし!マキ意味不明なんだけど!」

 

可愛らしい声とは裏腹に毒を持った話し方をする少女が現れた。

 

「わたしの名前はベータ、そちらの男はバダップ。彼は80年先、私はそれよりもっと先の未来からあなたを消しに来た未来人です」

 

 

「で、ですから! 私を消すってどういうことですか!」

 

「本来の歴史には貴様は存在しない。しかし、何故か貴様は存在している。そのせいで我々オーガの計算では円堂守を消すだけで解決した問題が解決しなくなった」

 

「そしてぇ、あなたを消すために急遽予定変更したオーガをお助けするために、私ことベータちゃんが助けにきたんだぞ♡」

 

「これだけ説明すれば貴様の気は済むか?ベータ」

 

「まあいいんじゃない? まあ、死ぬ前のせめてもの情けってやつ?んふふ、じゃあ。消えろ! 花瑞!」

 

突如性格が豹変したベータが持つボールから強力な吸引力が発生する。

 

「そうはさせるかぁ!」

 

ベータの持つボールを横から勢いよく他のボールが撃ち込まれて阻止される。

 

「花瑞さん、皆さん、初めまして。俺、松風天馬って言います。詳しいことは省きますが、とりあえず皆さんを助けるために来ました!」

 

「僕はフェイ。こっちの熊はワンダバ。歴史の修正を阻止するために天馬と一緒に来ました。でも、あのプロトコルオメガの選手はだれだ。アルファではない」

 

「あー、彼らまだ頑張ってるから私が特別に来てるわけ。それより、あなたが来ても選手は合わせて九人しかいないけどどうするつもり? あなたの力で二人増やしても勝てないと思いますけど?」

 

 

花瑞、マキ、八神、ヒロト、クララ、杏、天馬、フェイ、黒嶋の九名しかいなかった。

 

「それなら心配はいらないさ。僕がいるからね」

 

優雅にスタジアムに歩んでくる金髪の長髪美男子が一人。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「決勝戦の前、僕の前に現れた子がいてね。この事態は知らされていたんだ。兄として花瑞を助けるために彼の力を借りてここに来た」

 

「どうも! 円堂カノンです! 円堂守の曾孫って言っても、信じてくれるかわかんないけど、これ見てください!」

 

カノンは何度も何度も唐突な自称未来からやってきた人々の自己紹介に頭がパンクしそうになったが、かつて自分もチラッとみたことがある円堂守の持つノートをみたこと、そして兄がいることで彼を信じることにした。

 

「わかりました。と、とりあえずもう少しだけ話整理させてくれないかな?カノンさんのことは信じるし天馬さんやフェイさんが味方なのも信じるから、他のワタワタしてるの整理させて?」

 

 

「それにしても……彼もいたのはラッキーでした。もうひとつ、時空の歪みから紛れ込んだと思われる男」

 

ベータは黒嶋を見る。

 

「さて、オーガの皆さんも呼んできてください。どうやら試合にはなりそうですからね」

 

「ベータ。我々は貴様の配下になったわけでない。あくまでも協力関係にあるのだということを忘れるな」

 

「チッ、百年以上前の組織の癖に生意気。アルファがお役御免になってればオレがチームを率いて来れたってのによぉ」

 




マキ「なにこの急展開!?」

八神「わたしも訳がわからない。頭痛がしそうだ」

クララ「とにかく、やらなければやられるんだろうな。オルフェウスには負けても死にはしなかったけど、今回のは負けたら死だろうな」

杏「負けない。絶対に勝つ」





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS. オーガ+β 序章、地獄

筆者「頼むから勝ってくれよ」

マキ「マキが負けるとでも? なめないでよね」

ヒロト「花瑞は必ず俺が守る。いくぞ、マキ」

マキ「えぇ。ぼっこぼこにして返り討ちにしてやるんだから!」


 改めて現状の整理。ベータの力でオーガスタジアムに飛ばされた花瑞達。目標は本来存在しないらしい花瑞を消すことで本来の目的である円堂守への作戦を実施できるようにするため。それをさせないために現れたのが天馬とフェイ、そして円堂カノンとアフロディ。負ければ花瑞は消され花瑞の存在しない時空へと変わる。

 

 

そして、その試合を臨むに際してのスタメンがこれだ

 

FW カノン マキ ヒロト

 

MF 八神 フェイ アフロディ  天馬 

 

DF 杏 花瑞  黒嶋

 

GK クララ

 

当初、ゴールキーパーを誰にするかというところがかなり悩まされた。結果としてキーパー技のある花瑞かクララになったが、攻守ともに花瑞を前に出すべきとクララが提案して自分がゴールキーパーになった。

 

相手のフォワードはバダップ、エスカバ、ミストレ、その裏にベータの姿がある。ボールはこちらからチーム名は唯一存在していたテンマーズになった。

ボールはマキが持ったのだが、開始早々にエスカバとミストレがクロスするようにマキからボールを奪いマキは空中に飛ばされる。

 

「へっ! てめぇらなんてこの俺が蹂躙してやんよ! デスレイン!」

 

エスカバがいきなりロングシュートを放つ。

 

「アイスブロックっ!」

 

ロングシュートをガッチリと止めてクララは少し得意気な顔をした。

 

「さすがになめすぎじゃないか? それとも、そこまでしかボールを自分の物にできないのか?」

 

 

「けっ! ほんの小手調べよ」

 

クララはボールを黒嶋へとパスした。

 

 

「あら、あなたも消さないといけないので……容赦しねぇからなぁ!?」

 

途中まで優しい口調だったベータが途中から豹変してボールを持つ黒嶋へと襲い掛かる。強力なチャージに対して黒嶋も身体を当てて真っ向からぶつかる。

 

「くっ……花瑞!」

 

ベータのタックルに押し負けて飛ばされながらもパスを出す。しかしそのボールが花瑞へ渡る前にバダップがパスカットをした。

 

「デススピアー!」

 

「あ、アイスブロッっ!!!」

 

クララのアイスブロックが簡単に砕かれて先制点を取られた。

これはまだ始まりに過ぎない。地獄の底はまだまだ深い。

試合が再開して間も無く、ボールを持ったヒロトにミストレが襲い掛かる。それを躱したかと思えばエスカバがタックルをしてボールを奪う。そのままボールを持ってフェイを抜かし、花瑞の前にまで侵攻する。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

「くっ!」

 

エスカバからボールを奪ったのも束の間、バダップが花瑞を襲う。花瑞の持つボールをファールギリギリのラフプレーで奪い取ると再びシュートしようと空へと飛び上がる。

 

「させるかぁ!」

 

バダップの背後から八神がジャンプ。既に力が加えられて捻り曲がったボールに身体を使って機動をずらす。ボールはゴールからそれてコーナーキックになった。八神は勢い良く背中から落下して腰を強打した。

 

「くっ……」

 

「八神さん、大丈夫ですか?!」

 

「花瑞が消えるかもしれないというときに、たとえ怪我だろうと大したことないさ」

 

「八神さん……」

 

コーナーキック、ボールを受け取ったのはミストレであった。ミストレも空中に飛んでバダップと同じくデススピアーを放った。

 

「やらせません! ゴッドフラワーG4!」

 

ギリギリと花に穴が開いていく。だが決して貫かせない。ギリギリのところで踏ん張ってボールを手に入れた。

 

「お兄ちゃん!」

 

そのボールをアフロディへパス。受け取ったアフロディはすぐにカウンターに入った。オーガのミッドフィルダードラッヘと、サンダユーがボールを奪いに来る。

 

「このボール必ず繋ぐよ。ヘブンズタイム」

 

二人を軽く突破してさらにドリブルで突き進む。

 

「ヘブンズタイム」

 

オーガのジニスキーとゲボーを突破しようとしたときであった。

 

「はぁい、あなたの時間はそこまでです♡ ──っ昔プロミネンスの野郎にやられたときの屈辱を思い出しながらやられちまいな!」

 

ベータがヘブンズタイムを破って割り込んできた。

 

「そうだね、悔しかったさ。だから僕も簡単に取られないよ」

 

ヘブンズタイムが解かれた。しかしまだボールはアフロディが持っている。ギリギリのところでベータの強力な攻めを乗り越えていた。

 

「頼むよ、ヒロト君!」

 

「おう! 流星ブレードV3!」

 

ヒロト渾身の流星ブレードが炸裂する。

 

「エレキトラップ!」

 

しかし、キーパーザゴメルの必殺技の前に破れてしまった。

 

「くっ、すまない…」

 

「おいザゴメル! オレにボールを寄越しやがれ!」

 

ベータはボールを強引に受け取ると口角を上げて悪巧みでもするような顔をした。

 

「さっさとケリをつけてやる。虚空の女神アテナ!」

 

「あ、あれはなに!?」

 

「あれは化身です! 簡単に言うと必殺技より強力なんです。気を付けてください!」

 

「それだけじゃねぇぜ? アームド!」

 

花瑞達にとっては未知の化物である化身がその姿を発動者であるベータの身に纏う鎧へと姿が変えられていく。

 

「あれに対抗できるのは俺だけです! うぉぉ! 魔神ペガサスアーク! アームド!」

 

「てめぇなんかとはレベルが違うんだよお!」

 

化身アームドした両者が激突する。大きな衝撃を産み出し周囲に近寄れない。天馬がパワー負けしてボールはテンマーズゴールに勢いよく向かっていく。

 

「ゴッドフラワーG4!っきゃ!?」

 

ゴッドフラワーをあっさりと貫通してクララの元へ

 

「アイスブロックっ! なっ!?」

 

クララごとゴールネットまで飛ばされて二点目を奪われる。圧倒的パワーの差を見せつけられる。

 

「あのベータという少女、次元が違いすぎる……」

 

その威力を直に受けたクララは震える右手を見ながら呟く。

 

 

「大丈夫だよみんな! 試合は始まったばかり、それに戦ってれば少しずつ目も身体もあのスピードに慣れるはず、大丈夫です!」

 

「そうですよ! 花瑞さんの言う通りまだ試合ははじまったばかりです! なんとかなりますよ!」

 

 

「負けたら自分が消えるってのに、俺の力を見ても絶望ひとつ見せないとは大した器だなぁ、花瑞」

 

 

「(これが中学時代の花瑞さんか……勝利の女神と言われるだけあって何て言うか、オーラみたいなのが円堂監督そっくりだ)」

 

 

 

 

 




クララ「このままだとざるキーパーだ」

杏「しかし、他に方法はない。ロングシュートとノーマルシュートを抑止できるだけでも大分変わるわけだしよくやってる」

八神「とはいえ、頭ひとつ抜けたバダップとそれを身体ひとつ分以上飛び越えた実力のベータ……いたっ……‥どうする」

クララ「あまり無理をするなよ八神。この戦いが終わったらまた世界大会なんだ」

八神「そうだな……他のみんなは無事だろうか?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS. オーガ+β 地獄の半分可能性の半分

マキ「あいつらめっちゃ強いじゃない!」

筆者「そりゃまあ、未来の戦士だし」

ヒロト「勝つ可能性正直かなり少ないけど、花瑞を失うなんて絶対に嫌だ」

筆者「……頼むぜ、二人とも」

ヒロト「あぁ。言われるまでもない」

マキ「勝ってみせるから」


「これだけの実力差を見せつけられ何故目が輝き続けている」

 

「あぁ、オレもそう思うぜ。しゃーない、もっと痛め付けてやる」

 

ベータの全力、それについていけるバダップの二人による猛攻が始まった。

 

「ぐっ! きゃぁ!」

 

マキが最初の餌食になる。左右から何度も何度もボールが襲い掛かり身体を傷つける。

 

「やめろぉ!」

 

止めにはいった八神の腹にボールを一撃喰らわせてダウンさせる。次はヒロトが狙われる。目で追うことすらままならない猛攻を前に手も出ない。ヒロトもみるみるうちにボロボロにされていく。

 

「やめてよ……やめて…………やめなさいよ!」

 

「花瑞!? 冷静になれ」

 

「お兄ちゃん…止めないで」

 

「ダメだ! 冷静になれと前も言った。そしてそれを花瑞は乗り越えた。それを今また繰り返してはダメだ」

 

「だからって、わたしの大切な人達が私のせいで傷つけられるのを見てらんないよ!」

 

「……なら僕が行く。花瑞はゴール前を守ってるんだ」

 

「………」

 

 

アフロディはヒロトを救うべく前に出る。

 

「とはいえ、僕一人では厳しいか……カノン」

 

アフロディはカノンに目配せをして二人で救出に向かう。

 

「へっ! 雑魚どもがしゃしゃりでてんじゃねぇよ!」

 

ベータがアフロディにボールを放つ。アフロディは頭を少し横に傾けて躱す。ボールが後ろ髪の間を通過する。背後からバダップが近づきボールをダイレクトに蹴り返してボールはアフロディの後方上空から落とされる。アフロディは僅かに足を横にずらしてボールの落下地点から外した。ボールはバウンドして空に打ち上げる。威力はなくなり誰でも取れそうになったボール、そこには既に円堂カノンが先回りして待っていた。アフロディが引き付けて回避に専念、カノンはこの機会を伺いジャンプするタイミングを計っていたのだ。

 

「ふっ、役割分担は大切だね」

 

「このボール、絶対にゴールさせるから任せて!」

 

カノンはベータが迫るのを感知して天馬に一度ボールを預け、再びカノンにボールを戻す。

 

「ゴッドキャノン!」

 

「エレキトラップ!」

 

カノンのゴッドキャノンがザゴメルのエレキトラップを突破して一点目を手にした。

 

「ちっ、あいつらに可能性を与えちまった」

 

 

「しかし、ダメージを負った奴が増えればいくらでもこちらが勝てる。前半はこのままダメージを与える作戦に出る」

 

 

再び攻撃が始まる。次はカノンであった。そして杏、二人がボロボロにされていく。

 

 

「いいのかよ?そんなとこで見てるだけでよぉ? お前のせいだぞ? 花瑞ぃ?」

 

「挑発に乗るな花瑞、お前のせいじゃない。奴らが勝手に襲ってきてるんだから」

 

「わかってるよ…わかってても許せないよ」

 

「ワンダバ! 僕にミキシマックスを!」

 

「わ、わかった! こんな早く必要になるとはな……いくぞ!」

 

「うぉぉぉぉぉ!ミキシトランス!ティラノ!」

 

花瑞にとってまたも新たな力であるミキシマックスによりパワーアップしたフェイがバダップからボールを奪う。しかし、ベータにボールを奪い返される。

 

「その程度で調子に乗ってるんじゃねぇぞ!おらぁ!」

 

フェイが簡単に吹っ飛ばされる。もう我慢ならなかった。花瑞は兄の静止を無視してボールを奪いに走り出した。

 

「へっ、来たか。やられに」

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

「そんなんで止められるかよぉ!」

 

ゴッドフラワーを簡単に破り、ボール越しに花瑞に蹴りをいれる。

 

「とどめだ、おらぁ!」

 

ふらふらと立ち上がる花瑞の頭上にボールが振り下ろされる。

 

「花瑞さん!」

 

「真ゴッドノウズ」

 

アフロディがそのボールを右足で対抗する。しかし威力が足りない。

 

「ジャスティスウィング!」

 

「烈風ブラスト!」

 

そこに黒嶋と天馬が加わり押し返す。

 

「なに!?」

 

逆にボールはベータの腹に直撃する。

 

「くっ、雑魚どもが……」

 

「みんな、ごめん……ありがとう」

 

「冷静になれ。花瑞」

 

「気にするな、それよりまだプレー中だ」

 

黒嶋はボールを持って攻勢に出る。ボロボロなマキ達も攻撃に参加して前半のうちに同点にしようと力を振り絞る。

 

 

「いかせねぇ!」

 

エスカバがボールを奪いに立ち塞がる。

 

「天馬!」

 

「はい!黒嶋さん!」

 

天馬がボールを受け取りジャスティスウィングを放つ。

 

「ニードルハンマー!」

 

しかしあと僅かというところをザゴメルに防がれる。

 

 

「そんな!」

 

そのボールはあっという間にバダップに渡る。

 

「デススピアー!」

 

「止めなきゃ……アイスブロックっ!」

 

威力では確実に勝てていないが、絶対に決めさせないという気持ちで持ちこたえる。しかし、じりじりと追い込まれていく。

 

「負けるな! クララ!」

 

「杏!?」

 

ボロボロな杏がクララの背中を両手で支える。クララに杏の熱い思いが伝導する。

 

「これは……」

 

クララの左手が燃え上がる。

 

「この左手、いけるかもな」

 

右手のアイスブロックに左手の炎。ボールに二人の力をぶつける。

 

「はぁはぁ……」

 

「止めた……だと」

 

「ありがとう…杏」

 

「礼なら試合が終わってからだ」

 

このボールを花瑞に託しそのボールは最後に天高く空へ、花瑞とアフロディが飛翔する。

 

「ゴッドブレイク!」「ゴッドノウズインパクト!」

 

「ニードルハンマー!」

 

二人の力、そしてまだボールに残っていたクララと杏の炎と氷の力が加わりカオスブレイクのような力がボールに伝わる。

 

「ぬ、ぬぉぉぉ!?」

 

同点、前半を負える直前に希望を繋いだ。

 

 

 

 

 




クララ「杏」

杏「なんだ」

クララ「うん、呼んだだけだ」

杏「な、なんだそれ!」

八神「やれやれ、微笑ましいな……いてて」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS. オーガ+β 満身創痍テンマーズ

マキ「マキボロボロなんだけど」

ヒロト「俺もだ」

筆者「メテオシャワーよりひでぇや」

マキ「これがやられる側の気持ちか…」


「はぁはぁ……くぅ」

 

前半終了、ベンチに帰ったテンマーズはボロボロ。特にバダップとベータの攻撃にあった選手は生々しいアザが既に身体中に出ている。

 

「マキ、あいつら……うっ、とりあえず休んで後半に備えるわ」

 

「その方がいい、俺もそうさせてもらう」

 

ヒロトもマキもベンチに横になる。杏はクララからスポーツドリンクを飲ませてもらい休んでいる。八神もベンチにぐったりワンダバに傷の手当てをしてもらっていた。

 

「点数は追い付いたけど運が良かっただけ。敵のベータには基本的に敵わない。その事実は曲げられない。ポジティブに考えたいけど現実を無視するわけにはいかない。どうするかい?」

 

アフロディは冷静に状況を整理する。ひとりではロングシュートのデスレインまでがやっとのクララ。二人の力を合わせればデススピアーまでは止められるものの化身アームドしたベータのシュートを止められるとは思えない。敵のキーパーも決して侮れる相手ではないこちらの渾身の一撃ではないと突破は困難。課題だらけだ。

 

「止めます…」

 

「天馬君?」

 

「ベータは必ず俺が止めます!次こそはなんとかします!」

 

 

「……なんとかね。頼んだよ(僕のたったひとりの血の繋がった大切な妹の命がかかってるんだ。可能性ではなく確実にしたい。だが、可能性に頼らざるをえない)」

 

アフロディはそっと拳を力強く握りしめた。

 

後半開始、同点になったオーガはまずは点を取ろうとサッカーをする。

 

「おらおら!ボールを寄越しやがれ!」

 

化身アームドしたベータがボールを奪いに走り出す。

 

「必ず俺が……止める!」

 

ボールを持った天馬とベータが激しくぶつかる。今度は天馬も負けていない。

 

「なに!?」

 

「まさか、花瑞達との時空の共鳴で力が増幅しているのか!?」

 

「くっ!生意気なガキ!」

 

均衡する両者、その力で全く動かないボールの位置に割ってはいるようにバダップがボールを奪う。

 

「しまった!」

 

バダップはボールを持ったままエスカバ、ミストレを集結させる。

 

「喰らえ、デスブレイク!」

 

「あ、あんな技がまだあるなんて」

 

「負けないっ!止めます!真ゴッドキャッスル!」

 

花瑞最大火力のゴッドキャッスルで迎え撃つ。しかしそれでも止まらない。

 

「アイス……バーン!」

 

クララは先程と同じく杏の力を借りて両手でこのシュートを止めた。

 

「黒嶋!」

 

「おう!」

 

ボールを受け取った黒嶋を潰そうとベータが迫る。

 

「てめぇだけでもこの世から!」

 

「お断りだ」

 

黒嶋は烈風ブラストでロングパス。フェイにボールが渡る。

 

「古代の牙!」

 

威力十分なミキシマックス後の必殺技、しかしザゴメルの方からブボーとゲボーが現れたかと思うとふたりを両手で掴み

 

「ハイボルテージ!」

 

このシュートを止めた。

ディフェンス陣とのボールの奪い合いはボロボロのマキ達では敵わずボールを奪い返せない。

 

「ちっ、先に選手を潰して試合に勝たせてもらうか。いいな、バダップ」

 

「同意だ。敵の戦力を削りきる」

 

再び彼らの選手削りが始まってしまった。次の狙いは天馬であった。どんなにボロボロにされようと決して挫けずボールを手に入れようと立ち上がるが、もはや走れない。

 

「これ以上はまずい!天馬君!立ってはだめだ!」

 

「亜風炉さん、ダメなんです。ここで立たなくちゃサッカーがなくなっちゃう。だから立つ。立ってサッカーを守るんだ!」

 

天馬の思いにこれまで兄の静止に従っていた花瑞の中で何かが押されたように前に歩んだ。

 

「……お兄ちゃん、わたし行くよ」

 

「花瑞、だから冷静に……」

 

「冷静だよ。冷静だし、怒ってる。これでもかというくらい穏やかな気持ちのなかに怒りも存在させてる」

 

花瑞から邪でも聖でもないオーラが溢れ出る。

 

「…わかった。行こう」

 

二人は天馬を助けるべく走り出す。

 

「飛んで火に入る夏の虫だなぁ!落ちろ!シュートコマンド07!(ダブルショット)」

 

ベータは兄妹二人に必殺シュートを放つ。

 

「もう、わたしのために誰も傷つけさせないし私も犠牲にしない!」

 

 

花瑞の覚悟に答えるように身体のオーラが背中へと集約していく。

 

「花瑞、それは!」

 

 

「勝利の女神 ニケ!」

 

花瑞の口からは自然とその化身の名前が叫ばれていた。

神々しい化身が出現する。純白の肌に白い衣を纏った薄い金髪の女性、まるで彼女自身が大人になり、神話風に描かれたような風貌。

 

「それがどうした! オレのシュートを止められるものか!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

ベータ渾身の攻撃を花瑞が受け止める。その衝撃は凄まじく、花瑞が後ろ髪を束ねていたヘアゴムがプツンと切れてしまうが、シュートを完全にブロックしていた。

 

「ば、ばかな! だ、だがそんなものすぐ奪い返せば!」

 

「ヘブンズタイム!」

 

「なっ!?」

 

化身を発動した花瑞はヘブンズタイムを扱えるようになりベータが突破された。その瞬間化身は消えたがもう問題ない。今すぐ攻めればベータは間に合わない。

 

「通すものか!」

 

バダップが立ち塞がるが花瑞はアフロディへ渡し、アフロディはマキへとパスを出す。

 

「くたばり損ないが!」「ぼろ雑巾同然なお前など俺達が!」

 

ミストレとエスカバがマキに立ち塞がる。そこにヒロトが駆けつけるが二人ともボロボロである。

 

「ヒロトさん!マキ!」

 

花瑞は叫ぶように二人を呼ぶと今出せる力を振り絞り二人を上空へと押し上げる力を出す。とてもエスカバやミストレが追い付ける高さではない。

 

「感じる、花瑞の力を」

 

「マキ、これ好き」

 

「「ザ·ギャラクシー!」」

 

「「「いっけぇぇぇぇ!」」」

 

「ハイボルテージ!」

 

三人対三人の力が激突する。バチバチと閃光や火花が飛び散る。

 

「止めろ!ザゴメル!」

 

「うぉぉぉぉぉ!」

 

「負けるかぁあ!」

 

花瑞達のパワーが勝った。後半終盤、遂に勝ち越した。

 

 

「ちぃ、負けるわけには…負けるわけには行かねぇんだよ!」

 

ベータは試合再開と同時にエスカバからボールを奪って単身強行突破に掛かる。

 

「魔神……ペガサス…くっ」

 

天馬は死力を尽くした。さすがに立ち上がれない。

 

「わたしが止める!」

 

花瑞はそう言うが自分だってかなりの力を消耗している。

 

「全く、ひとりで背負い込むな」

 

「私達にも頼ってくれ」

 

「クララ、杏! そうだね……」

 

「シュートコマンド07!」

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

 

 

化身パワーなくしてはまだG4であるゴッドフラワー。当然止められはしない。

 

「ゴッドブレイク!」

 

アフロディもそのあとにシュートブロックに入る。止まりはしなかったが後ろにはまだ二人がいる。

 

「アイスバーン!」

 

「あれだけ格好つけてたんだから、止めろよ?」

 

「杏、お前も言ってるじゃないか」

 

「そうだな、うぉぉぉ!」

 

止めた。クララは肩で呼吸をしながら微笑んだ。

 

「止めたよ」

 

「ば、ばかな……オレのシュートが」

 

「作戦時間は終了していないっ!」

 

バダップはまだ諦めていない。いや、この燃え上がり方はまるでサッカーを楽しんでいるようではないか。

 

「相手さんもやる気のようだし、あと少し頑張っておくれ皆!」

 

クララのボールをアフロディが受け取る。

 

「取ってみせる!」

 

バダップはアフロディからボールを奪おうと果敢に攻める。

 

「その顔、君もこの試合を通して感じてるのではないかい? サッカーの楽しさを」

 

 

「楽しさだと?」

 

「そうさ、負けたくない。勝ちたい。この試合で君はサッカーを知った。かつての僕みたいに」

 

アフロディはバダップを突破、すぐさまベータが前に現れる。

 

「君は、元からわかっているようだね。でもそれを隠している……本当の目的はなんだい?」

 

「未来のためにサッカーを消す! それだけだ!」

 

「強情だね。 でもこの試合は僕達の勝ちだ」

 

試合終了のホイッスルが鳴り響いた。かなりの負傷を負うものもいたが辛うじて勝利したのは花瑞達であった。

 

「任務失敗、撤収だ」

 

オーガは去った。しかし、彼女はまだそこにいた。

 

「手ぶらで帰るなんてそんなわけないじゃないですか♡」

 

試合前に使ったあのボールが再び花瑞を襲う。その吸い上げに、先ほど切れたヘアゴム、ヒロトからもらったあのヘアゴムがボールに吸い込まれる。花瑞は手を伸ばすが完全にボールの中にヘアゴムは消えてしまう。

 

「ちっ、こいつ事態にも時空への干渉力が付いてやがる。花瑞とヒロトの架け橋のひとつだからか?」

 

ボールの中に吸い込まれたヘアゴムに宿る力にベータは愚痴を漏らす。それを見ていた黒嶋は、花瑞を捕らえるまで終わりを迎えなさそうなこの時間を終わらせるために覚悟を決めて一周回って爽やかな顔でベータの前に立った。

 

「好きにさせるかよ」

 

「なっ、てめ!」

 

「黒嶋さん!」

 

「わるい。オレがこいつを止める。だから、世界一はお前らに託す。勝て」

 

「や、やむをえん! 今のうちに脱出するぞ!」

 

「待って!ワンダバ! 彼だって…」

 

「問題ないはずだ! 今は彼女達を救う方が優先だ! そうしなきゃ、彼が盾になっている意味もなくなる!」

 

「黒嶋さぁぁん!」

 

 

 

気付いたときにはライオコット島に戻っていた。黒嶋を除いて。

ベータが現れない間は黒嶋がベータを止めているということなのだろう。未来からの救援者、カノンと天馬、フェイは元の時代に戻っていった。

 

そして、天使と悪魔との死闘を終えた円堂達も負傷者を出しながら二人を取り戻していた。

 

 

 

 

 

 




八神「すまない、あとは任せる」

クララ「八神は腰にヒビか…」

杏「私は足首の捻挫だけだからすぐ治るが八神は……」

クララ「二人の思いは私が引き継ごう、任せてくれ」

杏「待て、わたしはすぐに治る!」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガルシルドの影 あとがきに自作花瑞のイラスト有

筆者「最初に謝っておきたい」

マキ「なに」

筆者「イタリア戦のあと、影山と話す花瑞のシーンをいれていたつもりがすっかりいれ忘れていた」

マキ「はぁぁぁぁあ!?重要じゃん!?どうしてくれんのよ!」

筆者「今回埋め込みます!許してください!」

マキ「あとで覚えてなさい!ばかぁ!」

ヒロト「あとがきにつづく」


 合流したイナズマジャパンはズタズタであった。天使と悪魔と戦ったメンバーもその死闘の中で何名かの重傷者を出した。染岡、小暮、そしてオーガとの戦いで八神、杏、黒嶋が出場困難となった。

 

現在試合に出れるのは

 

1.円堂

 

2.花瑞

 

3.壁山

 

4.風丸

 

5.(空席)

 

6.クララ

 

7.飛鷹

 

8.不動

 

9.吹雪

 

10.豪炎寺

 

11.虎丸

 

12.鬼道

 

13.ヒロト

 

14.マキ

 

15.佐久間

 

16.立向居

 

そして代表リストに乗っていた小暮、杏、染岡、八神、黒嶋に加えて緑川も復帰の目処が立っていない。一試合だけベンチに空きを作り、比較的怪我の復帰が早そうな杏を待つしかないのであった。

思いがけない緊急事態に戦力を大きく削がれたことは久遠監督にとっても大誤算であった。

これから決勝トーナメントだというのにベンチに空席、その枠を早く埋めたいと杏は早朝からクララの付き添いで外でトレーニングを行おうとしていた。

宿舎を出てすぐに次の対戦相手のキャプテン、ロニージョに呼び止められたことでその予定はお釈迦になるのであるが……

 

「そこに誰かいるのか?」

 

クララは人の気配を感じて壁に話し掛ける。

 

「スゴいな…俺はマック·ロニージョ。悪いが、キャプテンに会わせてくれ」

 

面倒なことに巻き込まれる予感がクララの脳裏によぎるが円堂を呼びに行った。そのまま離れることもできたが、次の対戦相手にわざわざ宿舎まで訪れて話す内容が気になりクララは物陰に隠れて聞き耳を立てていた。

そこで耳にしたのはロニージョが円堂に対して八百長をして欲しいという旨の内容。しかし、そのときのロニージョの挙動には違和感を覚えるのであった。

 

 

 

「円堂、ロニージョのことどう思う?」

 

「聞いてたのか? あいつのボールには本気の勝ちたいって意志があった。そんなやつが、あんなこと言うとは思えない。」

 

「おや? 珍しいペアじゃん、どうしたのさ」

 

朝食を済ませた花瑞とマキ、マキは円堂とクララを見るなりそう話し掛けた。

 

「やれやれ、自分から面倒ごとに首を突っ込むやつがいたよ。聞きたい?」

 

「何よ? チームメイトに隠し事なんて、マキ嫌いだよ?」

 

「円堂さん、悩みがあるなら聞きますよ?」

 

こうして、円堂、クララ、マキ、花瑞という珍しい四人組はブラジルエリアへと向かった。

ブラジルエリアの中心にある大型液晶には現ブラジル監督であり大会主催者のガルシルドのPR動画のようなものが流れていた。

サッカーを通じて世界平和など、聞こえのいいことを語っていたのを見たすぐあと、黒服の男二人に攻撃的な態度を取られていた兄弟がいた。ブラジル代表の選手ラガルートとその弟である。

花瑞達がいることに気付くと黒服は慌ててその場を去るが、その後花瑞達は彼の弟の言葉をきっかけにガルシルドという男が凶悪な支配者である可能性が浮上し、ブラジル代表を救うべくその悪事の証拠を暴こうとガルシルド邸への侵入を決意した。

 

「その前に一度宿舎に戻ろう」

 

「なんでだクララ? 少しでも早くガルシルドの情報を」

 

「その情報、何処に保存するつもりだ? 私のノートパソコンと外付けSSDが宿舎にあるから、それを使おうと思ってるだけ」

 

「そっか、ありがとうクララ!」

 

荷物を整えて改めてガルシルド邸への侵入を試みる。周りは高い壁に覆われているが近くに木が大量に生えていた為に登ることで簡単に中に入ることが出来た。

しかし、そこから建物に入る場所が見つからない。

 

「マキがこのガラスをぶっ壊して中に入ろうか?」

 

「そんなのすぐ入ったのがバレるだろ、頭扇風機か?」

 

「誰の髪型が扇風機ヘアーですって!? クララぁ!」

 

「二人ともあんまり大きい声出すとバレちゃいますよ」

 

花瑞がマキを静めて改めて侵入方法を考える。

 

「なぁ、あの用水路とかどうだ?」

 

円堂が指差すのは建物の中へと明らかに繋がっている用水路、しかしクララが待ったをかける。

 

「私は電子機器を抱えてるんだぞ、あんなところに行ったら壊れちゃう」

 

クララは諦めてマキにガラスを破壊させる作戦を選んだ。

 

 

 

 

「む? 侵入者です! これは……日本代表か」

 

監視カメラに映る花瑞達を確認したヘンクタッカーは黒服を向かわせた。

 

「まあ、即バレだよな」

 

クララは怪しい部屋がないか探しながら走って逃走している。

 

「見つけた。あの扉のところにいく」

 

クララは先頭に立ってその扉を解放。花瑞、マキが入り円堂が最後に入ったらそのまま扉を閉めた。

 

「当たり、やけにこの部屋冷えてるしこの部屋の機械が多分データベース」

 

 

クララは自分のパソコンを取り出してUSBで接続する。

 

「クララ! 早く!」

 

 

「少しだけまって、コピーの時間があるから」

 

目金には劣るがヒロト以上のパソコン関連全般への強さを見せるクララは早々にデータを見つけてコピーに移る。

 

「こっちは……やめとこ。よし、もういいよ」

 

クララはノートパソコンを仕舞って逃走の準備を整えた。花瑞達はドアにタックルする黒服達のタイミングに合わせてガードを解き、勢いよく突っ込んで扉が開き転倒した黒服達を確認してから全速力で逃げ出した。

無事データを奪取した四人は宿所へと戻り、データを響木へと渡した。

 

 

「こいつぁ、とんでもねぇデータを持ってきたなぁ」

 

「もっとヤバイのもあった。さすがに持っていったらこの宿舎に鉄球が落ちてきてもおかしくないからやめた」

 

クララは平然とそう言って皆を驚かせた。取ってきたデータは響木監督が責任を持って警察へと持っていくことになった。クララは念のため、予備のデータを自身のUSBメモリにも残しておき、信頼の出来る警察の知り合いがいるならその人に渡すように大人に対して伝えて彼が無事であることを心の中で祈った。

 

 

 

 

 

イタリア代表との試合に負けたあの日、花瑞は敗北という結果にどこか呆然としていたときのことであった。

ミスターK、影山が彼女の元に現れた。

 

「最後に、話しておくべきことがあると思ってな。今、いいかな?」

 

「……はい」

 

一気に現実に引き戻された花瑞はキリッと顔を引き締めて影山を見た。

 

「私と君の兄……いや、君の家族との出会いは私がこの道に進んで数年たってからであった」

 

 

その頃、帝国学園の総帥になったばかりの影山は全国に何百もの部下を忍ばせていた。その中の一人が花瑞の母親であった。韓国からの留学生であった大学生の父親との駆け落ちを気に影山の元を離れようとしたとき、優秀だった母を手放すことになる影山はそれを惜しみ、日本に留まらせ、花瑞の母を自分の目が届く範囲に置いた。

 

ある日、ふたりの間にまことに美しき男が生まれた。その男は三つ子の時にはサッカーを始め、その才能を見せていた。影山はその少年に強い興味を持ち、その親が彼女達であることを知ってしまった。

ある日、影山の元を事実上抜けたにも関わらず生きている存在。つまり、花瑞の母親の存在に気付いた影山より更なる上の存在、そのときの説明では花瑞はわからなかったが、それがガルシルドであるというのを今になって理解した。ガルシルドは情報の漏洩を恐れて影山に組織を抜けた部下の口封じを徹底するように指令を出した。

 

 そのとき、花瑞の両親は二人の子供に恵まれていた。そう、花瑞とアフロディである。影山はアフロディを預かること、アフロディとの接触の一切を禁じることを条件にこの指令を無視して花瑞の家族の身を保証することを花瑞の母親に約束した。

母親はその全てを説明することは出来なかったが夫に納得してもらい生き長らえた。

 

「しかし、お前は会ってしまった。あのフットボールフロンティアで。兄とな」

 

「だから……ですか?」

 

「あれ以上は庇いきれん。まさかその後父親の方の息の根を吉良財閥の部下に止められるとは思っていなかったが。申し訳なかったと今でも悔やんでいる」

 

「わたしには、そこまで難しいことを父母は教えてくれませんでした。わたしも幼くて理解できなかったからだと思います。でも、両親はそれでも私にサッカーを勧めました」

 

「そうか、両親はサッカーを憎んでいなかったということだな。兄を奪ったサッカーを。むしろ、お前にはサッカーを楽しんで欲しかったのかもしれんな」

 

「そうですね、私はサッカーを通じていろんな出会いや別れをしました。お兄ちゃんに会えて、ライバルに会えて、仲間に会えて、大切な人との別れもあったけど今は後悔してません」

 

「……サッカーは楽しいか?」

 

「はいっ!」

 

花瑞は自身を持って答えた。

 

「なら、これ以上俺が喋ることもない。覚えておいてくれ、俺なんかは世界の闇の一部に過ぎない。今、このサッカーを脅かしている力は私よりも遥かに凶悪だ。だが、サッカーを嫌いにならないようにな。わたしのように、大切なことを見失わぬよう」

 

花瑞にとって最後の影山との会話であった。その後影山は事故死した。しかし、彼の言っていたことがいま目の前で起きていることなのだろうと花瑞は直感的に理解していた。だがそれももう解決したはずだ。警察が逮捕して終わり。ブラジル代表と心の底から楽しめるサッカーが出来るのだ。

 




筆者「えっと、マキさん? なんでわたし女子会のど真ん中に両手両足を後ろに縛られて拘束されているのです?」


クララ「当然だ、とんだ大バカなことをしたのだから」

杏「イグナイトスティール、どこに喰らう?」

マキ「もちろん、メテオシャワーもあるわよ?」

筆者「ま、待て!今回! 花瑞のイラストを用意した!」

八神「とりあえずみんな待ってあげよう。 見せてくれないか?」


【挿絵表示】



クララ「まあ、おおむね花瑞の魅力は出てるんじゃないか?」

マキ「花瑞はもっと芯の強い目をしてるけど? やっぱメテオシャワーだわ」

杏「お先にイグナイトスティール!」

筆者「ちょわ!?」

マキ「メテオシャワー!」

筆者「やめ!」

クララ「アザや腫れがひどいな。わたしが冷やしてやる」

筆者「く、クララ……」

クララ「フローズンスティール!」

筆者「っいぎゃーーーー!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ザ·キングダム RHプログラム

マキ「…………」

ヒロト「(これは護れないな…)」

筆者「本当にすみませんでした」

マキ「パスワード忘れたと。キャッシュクリアで自動ログインがなくなって入れなかったって?」

筆者「はい、その通りです」

マキ「じゃあ二度と忘れないようにおでこにでも書いてあげようかしら?」

筆者「やめろ!そんなセキュリティガバガバなことしたらだめだ!」

マキ「うるさい! デコ出せ!」


響木監督にデータを渡したあと、円堂と花瑞は二人でブラジルエリアに行っていた。もう皆苦しまず自由にサッカーが出来るということをいち早く伝えたかったからだ。もう、ガルシルドに支配されないサッカー。自分達のサッカーが出来ると知ったザキングダムのメンバーは心の底から喜び、笑顔で練習を再開した。

 

 

「明日の試合、楽しみですね。円堂さん」

 

「あぁ、なんてったってこの大会得点王ロニージョと戦えるんだからな。明日はディフェンスも忙しくなると思うから頼むぞ! 花瑞!」

 

「はい! 任せてください」

 

しかしその日、響木監督が病院に送られた。データは病院に来た警察に預けたが今はそれどころではなかった。ずっと隠していた心臓の病、この大会が終わるまでは先延ばしにしたかった手術。追手を撒く最中にその病は襲い掛かってきた。響木監督のためにも、必ず優勝してみせる。その意気込みで当日を向かえた。

 

 

 

当日、試合の場にはその男ガルシルドが現れた。

 

「う、うそ…どうして?」

 

「あんた! 警察に捕まったんじゃないの!」

 

マキがガルシルドに噛みついてかかる。所詮子供と言わんばかりにガルシルドは軽く答える。

 

「警察? 何故私が捕まるのだね?」

 

「マキ、ここにいるってことはそういうことだ。 奴ら警察にも根回しが効くんだ」

 

クララは冷静にマキを諭す。しかしその目には怒りが確かに込められていた。

 

 

スターティングメンバー

 

FW 虎丸 豪炎寺

 

MF ヒロト 鬼道 マキ 吹雪

 

DF クララ 飛鷹 花瑞 風丸

 

GK円堂

 

 

ベンチ 立向居 不動 壁山 佐久間 

 

 

 

試合開始のホイッスルがなる。ボールを虎丸に渡したその瞬間にロニージョがボールを奪い取る。

 

「は、速い!」

 

風丸が思わず声に出して驚いてしまう。

更に鬼道、マキの二人を簡単に飛び越えて突破する。

 

「行かせないっ! ゴッドルーツV3!」

 

スピードに対抗してゴッドルーツで迎え撃つがその上を簡単に乗り越えて突破されてしまう。

 

「真空…」

 

技を出すことも間に合わない速攻で飛鷹を抜き去りロニージョは空中にジャンプしてそのままシュート。ボールは大きくゴールから外れるがその圧倒的な単独の能力に冷や汗が出る。

 

「すごい……けど、なんか変」

 

花瑞は彼のプレーに違和感を覚える。

 

「何かやられているな、あれ」

 

クララは花瑞の近くに寄り、周りに聞こえないような声で何かをお願いした。

 

「そ、そんなのって」

 

「お願い。聞いて」

 

「……わかったよ」

 

試合再開。ゴールキックからボールを受け取ったのは花瑞であった。勢いよく迫り来るロニージョに急いでヒロトへとパスを繋げる。そのヒロトの方にロニージョが急転換、ヒロトからボールを奪う。

 

「お前の好きにはやらせない!」

 

クララは周りに聞こえるように柄にもなく気迫の籠った大きな声を出してからボールを奪いにいく。しかし、ロニージョとの激しい攻防の末に空中で負傷をしたのかそのまま地面に落ちたあと右足を抑えてうずくまる。

 

しかし審判は試合を止めないため、そのままロニージョがシュートを外してからクララの看護に向かう。

 

「クララちゃん! 大丈夫!?」

 

花瑞は肩を貸してベンチまでクララに付き添う。

 

 

「音無さん! 救急箱をお願いします!」

 

「はい! もう用意してます!」

 

音無はクララの右の靴と靴下を脱がせ、すね当ても外させた。

 

「あれ……? 特に腫れてるわけでも…」

 

無傷のクララの足に困惑して固まってしまう音無。合わせてとお願いされてもどういうことが理解できずに混乱している。

 

「おいおいマネージャー、なに混乱してるんだよ。酷い怪我だからって落ち着けよなぁ?」

 

ベンチにいた不動が席を立ち上がりこちらに入り込んできた。

 

「俺にも一枚噛ませろ」

 

不動は小さな声でこの芝居に参加する意思をクララに伝える。

 

「ったく、無茶しやがって。これは応急セットじゃダメだな。おいマネージャー、スタジアムの治療室まで運んでやれよ」

 

不動はそれっぽくクララの足に応急処置の包帯を巻いてカムフラージュさせてから音無と木野の二人にクララを運ばせた。

 

 

 

「あの、クララさん。これどういうことですか?」

 

「私は今足に大きな負傷をしていて、今は保険証を取りに行くためにロッカールームに行く。ということにしてくれ」

 

「え? もう、よくわかんないですけど……わかりました。クララさんの作戦ってことですね」

 

 

 

試合にはクララに変わって壁山が出場した。ロニージョの独壇場はまだ終わらない。円堂は風丸にボールを渡した。風丸から豪炎寺へとパスが繋がるが相手のディフェンスにカットされそのままミッドフィルダーにパスを許す。しかし、その仲間のボールをロニージョが奪い取りそのまま攻め上がってきた。

 

「くっ! 今度こそぉ!」

 

飛鷹が果敢に挑むもまたも突破され、シュートを打たれる。狙いはまたもずれている。このプレーにキングダム内でも不満が溜まり過ぎてしまい、事情をしらないチームメンバーがコート内で言い争いを始めてしまう。しかし、そこで選手のうちの一人がRHプログラムを打たれたのではないか?と、ロニージョに尋ねた。ロニージョは否定できなかった。それを知ったチームメイトは今のロニージョを守るためにフォワードのマークを解いてロニージョのマークにつかせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クララ「さて、わたしは別行動を取らせて貰ってるわけだが」

八神「一対なにを考えているのだ?」

クララ「大人が無能だから念のため……それだけ言っておく」

杏「あんた、なにするつもり?」

クララ「別に、ただガルシルドとかいう髭親父がのうのうとベンチにいるのが気に入らないだけ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガルシルドの野望、途絶える?

筆者「やっべ、投稿忘れてた」

マキ「罰が足りないという意見が来てたんだけど、それも含めて一発ぶつけてあげようかしら?」

筆者「ま、まて!俺の身体はボロボロだぁ!」

クララ「手を貸す」

杏「同じく」

筆者「ま、待て……ヒロト!助けて!」

ヒロト「悪いけど……止められないや」

マキ「メテオシャワー!」
クララ「フローズンスティール!」
杏「イグナイトスティール!」

筆者「ひぎゃぁぁぁぉぉぁ!」

ヒロト「…お見舞いには行ってあげよう」


 ロニージョを仲間がマークするという奇抜を通り越してルールを理解してないようにすら観客の目には映ってしまうものであった。事情を知らない人達からしたらとても理解できないものであるのは仕方ない。

状況を把握しているキングダムの動きはある種の形にはなっていた。

ロニージョを必要になるまで二人がかりで進路を塞ぎ、攻めるタイミングでマークを解いて攻撃に参加させる。しかし、それでもロニージョの身体に負担が掛かりすぎているのであろうか?

シュートは決まらず、この大会の得点王である彼の本領を発揮できてはいなかった。

 

前半が終了した。得点は動かず0-0。

ボールの支配率はキングダムの優勢であるがシュートが決まらない。イナズマジャパンの反撃のチャンスを今の体勢でもことごとく防いでいる辺りはさすがはサッカー大国ブラジルの代表である。

 

 

 

 

 

 

──スタジアム·通路──

 

「確か鬼瓦だっけ。その隣の人は?」

 

クララは警察の鬼瓦、彼に連れられている見知らぬおっさんと遭遇していた。

 

「ブラジルの本当の監督さ。ガルシルドの悪事を告発して貰うために見つけてきたんだ」

 

「なんだ、折角試合に出るのを諦めてこっちに来たのに無駄になったか」

 

「どういうことだ?」

 

「ほらこれ、USBの中にガルシルドの悪事のデータが入ってる。警察が仕事してくれるかわからなかったから、念のためコピーしといてよかった。証拠として使って」

 

「それを俺に渡していいのかい? 俺だって警察の人間だ」

 

「お前は信頼できる。エイリアのときもあなたは有能だったし。うちのハゲ達もお前からは逃げるしかないって恐れてたから」

 

「そうか、嬢ちゃんエイリア学園の一人だったもんな。任せてくれ」

 

クララはUSBを鬼瓦に渡すとコートとは逆の方向に歩きだした。

 

「どこに行くんだ?」

 

「お前は信頼できるけど他はダメだ。今からガルシルド邸に行って残りの証拠を取ってくる」

 

「残りの証拠だと?」

 

「たぶん、今ロニージョに使われてるもののデータ。これに手を出したらイナズマジャパンは試合前に潰されると思って触れなかった」

 

クララはそう鬼瓦に伝えて最高速度で走り出した。

 

「やれやれ、大した子だよあいつ」

 

鬼瓦は頭を掻いてクララの背中が見えなくなるまでその場で見送った。

 

「さて、行きましょう監督。ザキングダムをとりもどしに」

 

「ええ」

 

 

 

鬼瓦がコートに現れたのは丁度ハーフタイムのときであった。

スタジアムが前監督の登場や手際よくロニージョの身体を検査にかかる警察の姿を見てざわついているが観客が状況を理解する前に鬼瓦は今起きていることを語りだした。

 

「このガルシルドはブラジルのマックロニージョに対して、RHプログラムという強化プログラムを無理矢理施した。その結果、彼の身体はいまボロボロだ! それだけではない! ブラジル代表前監督を降任させ、その後任となったのも全てはサッカーのためではない。こいつが、世界征服をするためのRHプログラムの実験のためだ!」

 

「なんだと!」「ふざけるなー!」

 

観客からガルシルドへの罵詈雑言が飛び交う。ガルシルドは逃げようとするが既に鬼瓦率いる警察に取り囲まれ逮捕された。

 

「両チームとも、後は頑張れよ!」

 

鬼瓦は両チームを激励したあとスタジアムを去った。

 

「お前たち、今まで辛い思いをさせたな。言いたいことは色々あるが、まずはお前たちらしいサッカーをしようじゃないか!」

 

ブラジルベンチでは帰ってきた本当の監督の元後半戦での作戦を会議していた。

 

対するイナズマジャパンも後半はより強敵となるブラジルに備えてフォーメーションを変更した。

 

 

FW  豪炎寺 ヒロト

 

 

 

MF 虎丸 不動 鬼道 マキ

 

 

 

DF      花瑞

 

 

    壁山 飛鷹  吹雪

 

 

 

GK円堂

 

 

 

 

 

ベンチ 立向居  壁山 佐久間  風丸

 

 

 

 

 

その頃、クララは驚きの早さでガルシルド邸まで突入していた。

 

「(一人だから別ルートから入れたが、まさか前の方法以外にも侵入経路があるとは思わなかった。ガバセキュリティめ)」

 

侵入に向かないうるさいやつ(皇マキ)もいないのでサクサクと目的地まで侵入し、この前取らなかったデータもろとも全て手に入れる。

 

「(あっけなかったな……邸の中にいる警備もやけに少ないし……まさか)」

 

クララは何か嫌な予感がして、何か行動の手懸かりがないかを探した。

 

「(これはっ!)」

 

クララは手に入れた新たな情報と共に急いでガルシルド邸を離れた。

 

 

 

 




八神「む? 今日は人がいないな……何処かへ行っているのか?」

クララの置き手紙『私刑執行に着き、本日不在』

八神「……まさか! おいっ!待て!やめろぉ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

VS.ザ·キングダム 

筆者「待たせたな」

マキ「お前はいつも遅いんだよ! って、いい感じに許してあげるとでも?」

筆者「やっぱダメ?」

マキ「反省は無し…というわけね?」

ヒロト「折角リアルなサッカーが盛り上がってる好機を逃してこのタイミング、まあ残念でもないし当然だね」


ヒョコ
クララ「この後めちゃくちゃメテオシャワーされた」

筆者「余計なこと言わんでいい!」


 クララが裏で大変なことを知ってしまったことをまだ知らない花瑞達は後半戦に挑む。知らぬが仏、ついに自由なサッカーを手に入れたキングダムとの全力のサッカーを花瑞達も楽しもうとしていた。

後半戦開始、ボールを持ったロニージョはボールをたった2タッチで豪炎寺とヒロトを抜き去る。さらに、鬼道と不動二人のテクニカルプレイヤーを難なく抜き去った。

 

「これが、ロニージョさんの力……! でも、止めます!」

 

花瑞と対峙すると思われた瞬間、ロニージョは仲間にパスを出す。パスを受けた選手はパフォーマンスのようにボールを自在に操り、素晴らしいボール捌きで壁山を抜き去りセンタリングを上げる。

そのボールを受けたのは……ロニージョだ。

 

「いくぜ! ストライクサンバ…V2!」

 

「イジゲンザハンド改! ──っ! うわぁぁ!」 

 

後半開始早々の失点、試合が動き出した。

 

「すげぇ……これがこの大会得点王のシュートか!」

 

円堂は目を輝かせていた。花瑞は次はパスをされる前になんとしても止めようと次の策を練っていた。キングダムの本来のサッカーに対抗するには個の力では限界がある。クララや杏も出ていないため合体技も不能、他の方法を取るしかない。

 

試合再開、ボールを受け取ったヒロトはサイドのマキにパスを出し、お得意のメテオシャワーで右サイドから強引に道を切り開いていく。

 

「喰らえ! グングニル…V2!」

 

右サイドからのグングニルがブラジルゴールを襲う。

 

「カポエィラスナッチV2!」

 

マキのグングニルを止めてボールが前線に返される。

サイドからロニージョへボールが渡り、花瑞の前方まで接近した。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

花瑞はゴッドルーツを放ち、ロニージョはそれを必殺技もなしで踊るように避けていく。それでも負けじとゴッドルーツを続けると、一瞬の隙を狙ってロニージョの右側から掠めとるような一本が入りそうになる。ロニージョは右サイドに大きく回避せざるをえない状況となりそのままジャンプした。

 

「吹雪さん!」

 

「うん! スノーエンジェル!」

 

空中で行動が制限された瞬間のロニージョを狙って吹雪がボールを奪い取り、連携プレーで今大会No.1の点取り屋を止めた。

更に吹雪は元々がフォワードとしても優秀なためにそのままボールをキープしてカウンターを仕掛けることができた。

 

「このまま行くよ! 豪炎寺君!」

 

吹雪は豪炎寺にロングパスを出し虎丸、ヒロトが集結する。

 

「グランドファイア!」

 

「カポエラスナッチっ! ──っぬぉぉ!?」

 

守りから攻撃までをこなして、吹雪から受け取ったボールはブラジルゴールに突き刺さった。

 

「やるな! イナズマジャパン。 攻守ともにいい連携だ。だが、こっちだって個人技だけじゃないんだぜ」

 

ロニージョは試合再開と共にボールをレオナルドへ預ける。

 

「いくぞ! 必殺タクティクス、アマゾンリバーウェーブ!」

 

ブラジルの必殺タクティクスが発動した。交互に押し寄せる波のごとき横二列となって前後にすらすらと変わっていくその動きに、フォワード、ミッドフィルダー陣は簡単に突破されてしまう。

 

「こ、ここはわたしが…きゃあ!」

 

花瑞すらもなすすべなく突破され、残りは四人。そのうち吹雪と壁山は位置的にボールを奪いに行けない。飛鷹と円堂が頼りだ。

 

「いくぜ響木さん! 真空魔ぁ!」

 

気合い充分の飛鷹であったが、威力は充分なものの範囲が足りず、波を食い止めることはできなかった。

 

「いくぜ! ストライクサンバV2!」

 

「今度こそぉ! 真イジゲンザハンド!」

 

威力の上がったイジゲンザハンドはギリギリのところでボールを弾くものの、完全とはいえず前方にボールが飛んでいく。このボールを必ず取ってみせると気迫に溢れたロニージョが飛ぶ。

 

「うぉぉぉ!もう一度だぁ! ストライクぅぅ、サンバぁぁ!V2!」

 

 

 

円堂もまだ構えられていない、今度こそ入ってしまうのか。

 

「今度こそぉぉ! 真空魔ぁぁV2!」

 

ロニージョの気迫を上回る熱量がそこにはあった。切り裂いた空間に吸い寄せられるシュート。ロニージョのシュートは飛鷹により阻止された。

 

「よっしゃぁぁ!」

 

飛鷹はボールを吹雪へと託す。吹雪が右サイドから駆け上がり、先程の再現を意識したキングダムディフェンス陣がヒロト、虎丸、豪炎寺を徹底的にマークする。それならばと吹雪はロングシュートを放つ。

 

「ウルフレジェンド! うぉぉぉ!」

 

キングダムミッドフィルダー陣は手をつけられず、ボールはディフェンス陣まで進む。威力の落ちてきたボールを奪おうと、ヒロトをマークしていたディフェンスが少し近づいてきたところを、不動と鬼道がボールを先に取る。

 

「キラーフィールズ!」

 

二人の必殺技でヒロトのマークが無くなり、ノーマークだったマキも集まる。

 

「マキちゃん! ヒロトさん!」

 

鬼道達の後方から駆け付けた花瑞が地面からエネルギーを出して二人を空へ上がらせる。

 

「「ザ·ギャラクシー!」」

 

 

「カポエラスナッチV2! ───っ!」

 

 

ゴールネットに力強いボールの衝撃が伝わった。

2-1イナズマジャパン逆転の瞬間、そして勝利の瞬間である。

 

 

「ははは、完敗だぜイナズマジャパン…ナイスゲームだった。ありがとう」

 

試合に破れたロニージョは清々しい顔をしていた。勝ちたかった。それは間違いない。

しかし全力で、自分達のサッカーをして負けたのだから悔いはなかった。

 

「チームとしては勝ったけど、俺はお前に勝てなかった。次は、絶対ストライクサンバを止めるからな!」

 

円堂とロニージョは熱い握手を交わした。

 

 

 

その頃、マネージャー達は自身のスマホに来ていた通知を見て驚いていた。ひとつはクララからのもの、もうひとつ、響木監督の手術に関する内容のものであった。

 

 

 

 

 




八神「クララからの一斉通知だ…どういうことだ?」

杏「クララのやつ、自分の頭では処理出来てるのにいつも説明が不足しすぎだ…」

音無「と、とにかく急ぎましょう!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ガルシルドと、とある女の復讐

マキ「今回の更新は早かったわね」

筆者「まぁ、ここの展開は完全に固まってたからな…‥」

クララ「私の氷くらい固まっていたな」

ヒロト「で、なんで作者は右手以外包帯巻きなんだい?」

マキ「やりすぎた」

クララ「冷やしすぎて火傷させた」

ヒロト「右手だけ残して執筆マシーンにしたわけか……怖」


 試合が終わったあと、花瑞達イナズマジャパンのSNSグループにクララから連絡が入っていた。

『緊急事態 日本エリア特に宿舎には決して立ち寄るな。 至急コトアールエリアへ』

 

それと同時に、響木監督の手術が難航し今が一番大事な場面という時期になっていた。

 

イナズマジャパンは響木監督の手術が行われている病院を経由してコトアールエリアへ向かうことになった。

 

 

 

 

「響木さんの手術は、そんなに危険な状態なんですか!」

 

「元々がかなり無理をしていたから……こういっては何だが、ここで成功を祈っていただければ…」

 

飛鷹は響木監督への恩からこの手術が終わるまで残ることを宣言した。円堂もここに残りたいという気持ちが強かった。悩みに悩んだ。

 

「円堂さん、もしコトアールエリアで何かあったら俺がゴールを守りますから任せてください!」

 

立向居の言葉で、円堂は手術を見届けてから合流することした。

飛鷹、円堂の二人は響木監督の手術終了まで病院に残り他のメンバーでコトアールエリアに向かうことになった。

 

花瑞はクララに何かあったのではないかと心配で仕方無かった。大切な友達だから、仲間だから、もう誰も失いたくはなかった。

コトアールエリアに辿り着くと、そこはパンフレットに乗ってあるエリアの風景とは別物になっていた。建物は壊され、支柱が折れ、住民達は逃げ惑っていた。

 

「どういうこと……これは一体………」

 

辺りを見渡してもクララの姿はない。奥に進むと今まさに何かが壊れているような音が近付いていく。

 

「お、お前は…!」

 

マキがそこにいた人物を指差して固まる。

 

「ガルシルド!」

 

鬼道がその人物の名前を上げた。

 

「ほぅ、思ったより早かったなイナズマジャパンの諸君」

 

「鬼瓦さんに捕まったはずじゃ……」

 

花瑞は捕まったはずのガルシルドがここに居ること、そして鬼瓦の身までもが危険に晒されたのでは無いかとさらに不安が積もり鼓動が高まる。

 

「計画通りに決まっているだろう? もっとも、彼女の協力により逮捕後のフォローもより円滑になったのだがな」

 

「お久しぶりですぅ、花瑞さぁん。 今度こそ、てめぇを消してやる!」

 

横から現れたのはベータであった。彼女がガルシルドと手を組んでいたのだ。

 

「あの時は邪魔者が入って失敗しましたけどぉ、今回はそいつらの助けも来ませんから……大人しく私に捕まってください。あの男のように」

 

ベータはあのときのボールと見た目の同じボールを手に取る。

 

「黒嶋さんのことか!」

 

マキが怒りを抑えられず大声を出す。

 

「おっと、声を荒げないでくださいよ…扇風機頭」

 

「な、なにぃぃぃ!」

 

ベータとのやり取りの間にも破壊活動が続けられていた。完全にベータの挑発釘付けになってしまっている。しかしガルシルドの目的の男が現れない。一体どこへ隠れているのか。円堂大介は。

 

「皆落ち着け! まずは周囲でまだ動いている奴らを止めるんだ!」

 

鬼道が状況を判断してまずはガルシルドとベータより先に、コトアールエリアを破壊する人物を止めようとする。

 

「あぁ、そういうことならもう作戦は次の段階に行っちゃいますね」

 

ベータがパチンと指を鳴らすと破壊行動を行っていたメンバーが集結する。

 

「チームガルシルドの皆様でぇす。まあ今は私がキャプテンですけど」

 

そのチームにはガルシルドの側近に思われたヘンクタッカーの姿がなかった。彼は何処へ行っているのか。

 

「第一目標も第三目標不在ですが、まあ彼女だけでもまずはいいでしょう。行くぞお前ら!」

 

 

 

ベータが率いるチームガルシルド(ヘンクタッカー抜き)という奇妙なチームとの対決が始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、日本宿舎周辺では。

 

「おい、何処へ行くつもりだ?」

 

「お、お前は…さっき怪我で退場した……クララとかいったな」

 

ヘンク·タッカーの前に、クララが立ち塞がっていた。謎多き少女が取りそうな後ろに手をやったポーズで、冷徹な目で、ヘンクタッカーを見つめる。

 

「全く、驚かされた。まさか宿舎に爆弾を仕掛けるなんてな」

 

「な、何故それを……」

 

「警備を甘くしすぎたな。私一人ならすんなりと潜入できた」

 

「き、貴様ぁぁ!」

 

円堂達が帰ってきたのに反応して起爆するように設計した爆弾、万が一のことを考えて遠隔からも起爆を可能にしており、そのスイッチを持っていたヘンク·タッカーはそれを取り出してボタンを押した。

 

「む? な、何故だ!何故爆発しない!」

 

「無駄だぞ。もう取った」

 

クララは右手から氷付けになった爆弾を見せつけた。

 

「な、は、は、速すぎるだろ!」

 

「それが最後の言葉か。フローズンスティールV2!」

 

ヘンクタッカーは氷付けとなり、お縄になった。

 

「さて、あとはコトアールエリアのみか……」 

 

 

クララの戦いはまだつづく

 

 

 

 




杏「クララなら、多分大丈夫だろうがアイツが何処まで計算しているのかわからん」

八神「ダイヤモンドダストのアイキューとはまた別の知性の高さがあるからな」

杏「さて……またあの女か」

八神「悔しいが私は戦えん。杏は、いけるか?」

杏「悔しいが私もだ、だがもしもとなれば……無理してでも………」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逆襲のベータちゃん

マキ「前回は戦略的金曜日投稿ってわけね」

筆者「オフコース。金曜の夜なら見やすい人も多かろう」

マキ「で、当然サタデーナイトも見る人が多いと踏んで投稿」

筆者「ザッツライト!」

マキ「そんな小細工してないで即作れ!そして即出せ!」

筆者「そんなことしたら即ガス欠になるだろぉぉ!」

マキ「ガス漏れしてるやつがいっちょ前に言うなぁぁ!」


 ベータがいなくとも、ガルシルドは警察から逃げることが出来るだけの根回しはあった。しかし、ベータという少女が突如として彼の部屋に現れ、ガルシルド本人しか知り得ない情報をスラスラ並べ未来人であると説明したあとこう告げた。

 

「今のままだと結局捕まっちゃいますよぉ? 私が力を貸してあげるのでぇ、円堂大介と守を潰してください」

 

「わからんな。君になんのメリットがある?」

 

「邪魔なんですよ、未来にとっても。あともうひとり、花瑞とい女子も消すのでそこは手伝ってください」

 

「ふん、まあいい。どのみちそこまで知られていては野放しには出来んからな」

 

ガルシルドは表面上協力関係を結び、チャンスがあればベータを裏切り未来の力を奪えないかと伺っていた。

ベータも、協力を持ち掛ける形を取りつつ用が済んだらガルシルドも消し去るつもりであった。ドロドロとした悪魔の契約が裏で行われていたのだ。

 

ベータにも後がなかったのだ。この時既に天馬達に破れ、ザナーク率いるプロトコルオメガが対天馬用のチームとなっていた。つまり、ベータは既に用済み。この仕事が挽回のチャンスであった。

もう天馬達の助けが来ないというのはつまり、ザナーク達の妨害で来れないということなのであった。

 

 

 

 

 

 

チームガルシルドはヘンクタッカーの位置にそのままベータを置くという一見ベータを下げすぎなフォーメーションに見えた。

 

対するイナズマジャパン

 

FW  豪炎寺  ヒロト

 

MF 虎丸 鬼道 不動 マキ 

 

DF 風丸 壁山 花瑞  吹雪

 

GK    立向居

 

ベンチ  佐久間 杏

 

 

 

 

 

試合開始と同時にコヨーテが速攻で豪炎寺、ヒロト、鬼道、不動を

抜き去った。

 

「は、速い!?」

 

キングダムを凌ぐスピード、彼らもまたRHプログラムを使っていた。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

「ジャッジスルー3!」

 

オーガとの試合等でスピードには対応できるようになった花瑞はゴッドルーツで迎撃、それに対してジャッジスルー3、ボールが3つに別れて花瑞を襲うが3つのツルがそれを凌いでボールを奪った。

 

「花瑞さん! こっちに下さい!」

 

虎丸がパスを要求、花瑞がパスを上げて無事虎丸に通った。しかし、相手ディフェンスの必殺技デーモンカットに阻まれた。

 

「いやぁ、便利な駒が多くて楽チンですねぇ。何処かのちょっと未来人さんたちは私の好きに動かせなくてやりずらかったですし…お前らぁ! 構うことはねぇ! 潰しちまいな!」

 

ボールがミッドフィルダーのクロウに渡る。

 

「ジャッジスルー3!」

 

鬼道が三発のボールをくらい吹っ飛ばされる。

しかしこの後、花瑞が再びゴッドルーツでボールを奪い返す。

 

「虚空の女神、アテナ!アームドぉ! おらおらぁ! あんときみたいなまぐれはないぞぉ!」

 

ベータが花瑞に突進してきた。花瑞は弾き飛ばされ、ノーマークでベータがシュート体制に入る。

 

「シュートコマンド07!」

 

「魔王·ザ·ハンドぉぉ!──っ!? うわぁぁ!」

 

圧倒的な力量差で立向居渾身の魔王·ザ·ハンドをいとも容易く突破した。

 

 

「つ、強い……ま、まだ腕が痺れてる………」

 

ゴールに入ったボールを拾おうとする立向居だがベータのシュートをもろに受けた腕が動けずボールを拾えない。

 

「立向居さん大丈夫ですか?」

 

花瑞がボールを代わりに拾い声をかける。

 

「は、はい…もう少し時間があれば……それにしても、クララさんはこの人のシュートを止めてたんですか? す、スゴいや……」

 

立向居は魔王·ザ·ハンド開発以降何処かクララに対する意識が変わったようだ。

 

 

 

試合再開と同時にボールを鬼道に下げてリズムの建て直しを図ろうとするが、そのリズムをベータが生ませない。ベータは高速で鬼道に肉薄する。不動と鬼道のキラーフィールズでそれを退けようとするが化身を繰り出したベータがその衝撃を上回る力でボールを奪い去った。

 

「さぁて、二点目も頂いちゃいますね」

 

ベータは化身アームドをせずにシュート体制に入る。

 

「シュートコマンドK02!」

 

「いかせないっす! ザ·マウンテン!」

 

そのベータのシュートに真っ向からぶつかりに行った壁山のブロックはあっさりと崩れさり、ボールの勢いは未だに魔王ザハンドを打ち破れる力を残していた。

 

「立向居さん! お願いします! 真ゴッドキャッスル!」

 

花瑞が壁山の後ろから更にゴッドキャッスルでボールの威力を抑えるがそれでもボールは止まらない。

 

「こ、今度こそぉ! 魔王·ザ·ハンドぉぉぉ!」

 

 

二人の協力で威力が落ちたベータのシュートを何とか立向居が止めることに成功した。

 

「今回は止められましたねぇ。すごいすごぉい。でも、何回も出来ますかぁ? ゴッドキャッスルは相当エネルギー効率の悪い技のようですし、何より私のシュートを何度も何度も何度も、身体が耐えられますかね?」

 

ベータは余裕の笑みで花瑞を煽る。

 

「あ、あの時みたいに時空の共鳴現象は起きませんよ? その為に私ひとりで来たわけですし。だから、あなたが私に勝つのは無理です」

 

「勝ちます! サッカーをめちゃくちゃにされて、皆を傷つけられて、それで諦めるなんて絶対しません!」

 

「サッカーをめちゃくちゃ……ね。まあいいですよ。未来のことを知らないのは当然ですから」

 

 

 

含みのある言い方をするベータ。試合はまだはじまったばかりだが、0-1。圧倒的力を有するベータを止めて勝利することは出来るのだろうか。

 

 




八神「ベンチ外ではあるが、正直もどかしい」

杏「そうか。私はベンチ入りしてるが出たところで怪我を悪化させるだけになりそうだ……それでも、負けるくらいなら出るが」

八神「オーガとの戦いの時より、ベータの動きが速く見えるとは思わないか?」

杏「私も同意だ。理由はわからないが、個の力なら今の方が驚異だ」



ベータ「あー…それはですねぇ」

杏·八神「なんでしれっとここにいる!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

化身、再び

マキ「日曜日は次の日のことを考慮して朝ってわけね」

筆者「そのとーーり!」

マキ「じゃあ、月曜日は?」

筆者「え?」

マキ「月曜日は何時?」

筆者「えー、頑張る皆様に配慮して投稿は差し控え…」

マキ「逆でしょばかぁ!」

筆者「私の体にも配慮してくれぇ!」

ヒロト「月曜日、現在のところ未定です」


 立向居のパスから試合が再開する。吹雪がボールを受け取りサイドから攻める。相手フォワード、ミッドフィルダー陣を抜き去り、豪炎寺へとセンタリングを上げたいがベータが既に戻ってきておりその道を塞いでいた。

吹雪は前方のマキへパスを出し、メテオシャワーでディフェンスを突破するため空に跳んだ。

 

「メテオ…」

 

「させるかよぉ!」

 

弾丸のようなスピードでベータが横からボールを奪った。

 

「マキの邪魔するなんて! マジ大嫌い!」

 

マキは着地してボールを奪い返そうとスライディングするが難なく避けられ、後ろから吹雪がスノーエンジェルを仕掛けるがそれすらも軽く突破した。

 

 

「フフ。私がボールを持ってから随分と早く後ろに下がるんですねぇ……花瑞さん?」

 

シュートブロック前提のポジションを取る花瑞は、既にペナルティエリアまで下がっていた。壁山もそこまで下がるために走っている途中だ。

 

「まあ、それも仕方ありませんよね……私のシュートは簡単には止められないからなぁ! シュートコマンドk02!」

 

ベータの化身シュートがイナズマジャパンゴールを三度襲う。

花瑞は一度発動したあの化身の感覚を何とか再現しようとしていた。しかし、うまく再現できない。背中からゾワゾワと力が噴出する感覚がうまく出せない。そうこうしているうちに必殺技を出さないと間に合わない位置までボールが接近する。

 

「真ゴッドキャッスル! きゃぁぁ!」

 

「ザ·マウンテン! うわぁぁ!」

 

壁山、花瑞が共に崩れ去る。

 

「魔王·ザ·ハンドぉぉ!ん……ぐ」

 

ボールを止めた立向居はそのままボールを拾うこと無く、ボールを風丸にパスした。

 

「立向居さん!?」

 

「す、すみません……う、腕が……くっ」

 

たった三度のシュートで立向居の腕が異常を起こしていた。しかし、それでもカウンターを仕掛けたいためにボールを風丸に託していた。

 

 

 

 

──その頃、コトアール代表ロココと監督のダイスケは、破壊活動が止まったことで住人の避難を終えてイナズマジャパンの試合をしている場所を目指していた。

 

「凄まじい力の衝撃だ……ここまで伝わってくる」

 

「あぁ。こりゃ早く行ってやらんとなんねぇな。ロココ、お前は先に行け。そこで必要なことは自分で決めていい」

 

「わかったよダイスケ。行ってくる!」

 

 

──イナズマジャパン監督、久遠は悩んでいた。立向居は既にボロボロ。しかし控えのキーパーもいない。更に壁山もダメージの蓄積が目立ち始めている。杏は本調子ではなくあと1日、2日は安静にさせたい。だからといって佐久間をディフェンスに出したとしてもあのシュートを防げない。

守備の基盤となる円堂の不在。しかしそれでも花瑞というディフェンスの根があれば大抵のことは防げるであろうという想定であったが、彼にとって始めて相対するベータという存在は話で聞いていた以上の実力を秘めていた。

 

 

 

立向居からボールを託された風丸はベータが戻ってこないうちに自慢の足で少しでもゴールに近付こうと全速力で駆け上がった。常時疾風ダッシュと言っても過言ではなかった。虎丸にパスを出し、シュートチャンスが訪れる。

 

「タイガーー!」

「ストーム!」

 

虎丸と豪炎寺のタイガーストームが炸裂する。

 

「デーモンカット!」

 

「ビッグスパイダーV2!」

 

しかし、シュートブロックを挟まれたことでボールが止められてしまった。ベータ単体も強力だが、チームガルシルドメンバー個々の力も十分に強大である。

キーパーのフォックスはボールをベータに渡す。

 

「さぁて、今度はどういじめましょうか?」

 

豪炎寺とヒロトがスライディングするが、軽々と頭上を飛び越えて進撃を開始する。

 

「キラースライド!」

 

不動が着地点目掛けてキラースライドを仕掛けるが、ベータは不動にボールを撃ち込んで退けた。跳ね返ったボールを狙う鬼道すらもベータがタックルをして競り勝ち、ボールをキープする。

 

「隙がない……!」

 

鬼道追いかけても追いかけても遠退くベータの背中を見ながらそう漏らした。

 

 

「今度こそ…今度こそ! はぁぁぁぁぁあ!」

 

花瑞は渾身の力を自分の背中付近に集めて、それを具現化させる。

 

「なにっ!?」

 

「勝利の女神 ニケ!」

 

「自力で化身を出したっていうのか! や、やはり危険な女だよおめぇは! 絶対ここで消してやる! アームド! シュートコマンド07!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

「どうやら化身は出せたがあの時ほどの力は無いようだなぁ!」

 

ベータがそう言うと花瑞のゴッドフラワーをボールが貫き、なおもゴールに向かって猛進する。ボールは既にひとつに集束しているのだが立向居は目が霞み、ふたつに見えていた。

 

「(集中しろ俺。ムゲンザハンドの時のように、耳を澄ませ。五感を研ぎ澄ませ……)」

 

ビリビリと震えている腕を残り僅かのエネルギーで動かす。

 

「このゴールはもう割らせない! 魔王·ザ·ハンドぉぉぉ!うぉぉぉぉぉ!」

 

手とボールが触れた瞬間に一気に体がゴールラインまで後退する。更には右足も衝撃で剥がされ、残るは左足だけ。

 

「ご、ゴールだけは入れさせない!」

 

立向居は最後の力を振り絞り、ボールを外へと弾いた。

 

 

「立向居さぁぁぁん!!」

「立向居っ!」

 

力を出し尽くした立向居は意識を失っていた。しかしやりきった、ゴールを割らせなかったからかその顔は少し安らかであった。

 

 




杏「クララの気配はまだ無いな…」

八神「あぁ。試合は大変なことになっているのに…あれだけ潤沢だったイナズマジャパンディフェンス陣が壊滅状態になるなんてな…」

杏「主役は遅れてやってくる。とか思ってるのかもしれんな」

八神「ま、まあそれ+相当な移動時間なんだろう」

杏「エイリアボールをひとつふたつ隠し持っておくべきだったな。本当に」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

頼れる助っ人登場

筆者「珍しく風邪引きました」

マキ「でもそのお陰で書いたんなら一生風邪でいいわよ」

筆者「辛辣すぎん? 病院がもう発熱者受付NGだったんだぞ! こっちは自転車こいで暖まってる身体に体温計差すもんだから当然37.4とかになって追い返されたわ!」

マキ「知るか! 書け!」

ヒロト「こうして当時の話題を書き残すことで歴史は繋がっていくんだよ」

マキ「なんか壮大にしてまとめるな!」


 立向居が倒れた。久遠監督は次に誰をキーパーに置くか考えなければならなかった。現時点ならば花瑞を置くのが一番妥当ではあるが守備の底が抜けてしまう。かといってキーパー経験の乏しい者を置くのはベータのみならず他の選手のシュートすら入れ放題になる可能性があるから出来ない。

 

「俺を入れてくれ!」

 

ベンチの後方から少年の大きな声が聞こえた。

 

「俺はロココ。ここ、コトアール代表のキーパーだ。イナズマジャパン、俺達の代わりに戦ってくれてありがとう。だけど、自分の国のことだから、俺も戦う」

 

「か、監督…どうしますか?」

 

音無が久遠監督に尋ねる。今の状況では彼を加えるのが一番確実なのではないか、しかし連携の方は大丈夫か。実力はビデオでおおよその把握はできている。その実力は立向居の代わりになるどころかその上を行くであろうことは想像がつく。

 

「選手交代だ。立向居に代わりロココ」

 

ロココは自分のユニフォームに着替えてコートに立った。

 

「あんた、ここのキーパーよね? 怪我とかないわけ?」

 

マキは言い方こそきつめではあるが、ボロボロになっているコトアールエリアを見たあとにロココにそう問いかけた。

 

「あぁ、他の皆も平気だ。むしろイナズマジャパンこそコトアールのために戦ってくれてありがとう」

 

「いいのよ、訳アリだし……気を付けなさい。相手の女ベータってやつのシュートは危険だから」

 

「忠告どうも、でも任せてくれ」

 

ロココはイナズマジャパンの真ん中に立ち大声で叫んだ。

 

 

「俺がゴールを守る!イナズマジャパンはいつも通りプレーしてくれ!」

 

「ふ、足並みは自分が合わせるというわけか」

 

鬼道の独り言である。その間にもロココはゴールの方へと歩き始めており、既に化身が姿を消した花瑞の前を通過しようとしたとき花瑞から声をかけた。

 

「一緒にゴールを守りましょう! ロココさん」

 

「花瑞さんだね、君達の負担を減らしてみせるよ」

 

コーナーキックから試合が再開、センタリングを上げるのは花瑞を筆頭にした強力なディフェンスにカットされる可能性もあるためか、それも踏まえてここから決められる自信があるからだろう。ベータはすぐ近くでボールを受け取り必殺技を放つ。

 

「シュートコマンドK02!」

 

シュートコース上にいた吹雪と、吹雪のマークしていた味方であるはずのコヨーテをまとめて蹴散らし勢い衰えぬまま鋭角にゴールへとボールが襲い掛かる。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

「ザ·マウンテン!」

 

壁山、花瑞のシュートブロックで威力はある程度抑えられた。あとは、ロココ次第だ。

 

「ゴッドハンドX改!」

 

ここにいる誰しもが始めてみる赤色のゴッドハンドは、ベータのシュートをガッチリと掴んだ。

 

「ちぃ、止めたか」

 

「ナイスキャッチですロココさん!」

 

「よし皆カウンターだ!」

 

ボールはベータと逆サイド、風丸に渡り自慢の足で一気に駆け上がる。

 

「お前ら必ず守れよ! ゴーストミキシマックス!」

 

ベータはディフェンダーに自身のオーラを付与する。

 

「任せたぞ鬼道!」

 

風丸が鬼道へとパスを出し、迫り来るディフェンダーに対して不動とキラーフィールズを放つ。しかし、ベータのオーラを得たディンゴがボールを奪った。

 

「な!?」

 

「こいつら、さっきとレベルが違うぞ!?」

 

「ベータのやつ、まだなんか隠し持ってたわけ!?」

 

「あら、扇風機さんは頭もくるくるぱーなんですかねぇ、最初から手の内を全て明かしてたわけないじゃないですか」

 

ディンゴは与えられた力を利用して地面をえぐるような低弾道ロングパスをベータに出す。

 

「ふざけんなぁぁ! そんな与えられた力ぁ! マキが負けるわけない!」

 

そのロングパスに割って入りマキがパスカット。ボールは上空へと弾かれる。

 

「かつてエイリア石を使ってた奴がよくそんなこと言えますねぇ」

 

ベータはあきれたような態度を示す。

 

「だからこそです。マキちゃんは努力の大切さを知った。与えられた力を努力で追い越しました」

 

花瑞はベータに向かって真正面から真剣な顔でそう言いきった。

 

「メテオシャワーV3!」

 

マキはメテオシャワーで空に放り出されたボールを確保し、ボールを確保した。そのマキの行く手を塞ぐようにベータの力で強化されたデーモンズカットが放たれた。

 

「グングニルV2!」

 

マキはそれを無視するようにグングニルで上空からシュートを放った。

 

「──っ!う、うぉぉぉ! ビッグスパイダーV3!」

 

マキ渾身のシュートはなんと止められてしまった。

 

「んふふ、展開的に入る。なぁんて思ってしまいましたか? 残念でしたぁ♡ ゴーストミキシマックスはぁ、与えられる側は確かに努力して手に入れた力ではないですけどぉ……私が死に物狂いで手にした力なので努力ゼロってわけではないんですよぉ」

 

「くぅ! なんでそんなに熱心にサッカーやっといてサッカーを消そうとするのかマキにはわかんない!」

 

「……話す必要はないですよねぇここで消し去るんですから」

 

「ベータさん…?」

 

何処か曇った表情を一瞬だけ現したところを、花瑞は目撃していた。

 

 

 

 

 




八神「クララは一体どこにいるんだ」

杏「わからん、でもアイツなら案外もうすぐ近くにいるかもしれないな」

八神「何かたくらんでいるかもしれないし、正直何をしててもおかしくない」

杏「全く、頼れるけど視界に入っていないと不安になるな」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

花瑞、更なる高みへ

筆者「毎度毎度投稿が遅れて申し訳ありません」

マキ「ほんとよ! どうしてくれるのよ!」

筆者「当初予定してた展開と少し変えるかとかいろいろ検討してたら」

マキ「検討検討ってあんたは某偉い人じゃないのよ!」

ヒロト「まあ仕方ないじゃないか、未来は今の俺たち次第で変わるんだからさ?」

マキ「つまり、少しはいい方に転がったの?」

ヒロト「それはわからない」


 ゴーストミキシマックスの力でマキのシュートを止めたフォックスはボールをディンゴへ、そこから前線へとパスを通してコヨーテへと繋いだ。

 

「ガンショット!」

 

「みんな上がってくれ! ゴッドハンドX改!」

 

ロココは一人でシュートを止めて再度ボールを手にする。ベータの位置がフィールド中央まで後退していることを確認してボールを吹雪へパス。そのボールを奪おうとベータが急接近する。

 

「花瑞君!」

 

吹雪は花瑞へスライドするようにパス、花瑞はダイレクトにボールを壁山へそしてかなりのオーバーラップで風丸へボールを出す。

一瞬で反対方向までボールを移動させたことで吹雪に向かっていたベータからは距離がある。

 

「ん~姑息ですねぇ♡」

 

風丸がボールを虎丸、そして豪炎寺へ。

ヒロトが合流すればグランドファイアが出せる。あと少しでゴールに届く。

 

「デーモンカットV3!」

 

そんな希望を打ち砕くようにパワーアップされた必殺技が道を塞ぐ。豪炎寺は僅かに眉をひそめた。ヒールリフトでボールを空中に上げてひとりでシュート態勢に入らざるを得なかった。

 

「爆熱スクリュー改!」

 

「ビッグスパイダーV3!」

 

止められてしまった。まだ一点差ではある。だがその一点が今はとても険しい壁となっている。

 

「豪炎寺さん、どうしますか。こうなったら遠くからでも……」

 

「ダメだ。それでは決められない」

 

グランドファイアは警戒されすぎている。同等の威力の技を出せる状況を作り出して守備を分散させたい。

しかしまだピースが揃っていない。そしてそれを繋ぐだけの人も集まっていなかった。

ボールはわざわざゴール前までベータが戻ってきて受け取った。

 

「さぁて、もう少し痛めつけてあげないとですね。虚空の女神アテナ! アームドォ!」

 

ベータは口角を上げ、豪炎寺に視線を送る。

 

 

「まずは、お前だぁ!」

 

ボールを持ったまま強行突破するような動きで豪炎寺(狙った獲物)をぶっとばす。そのまま虎丸も空中に飛ばす。一度振り返ってボールをヒロトめがけて弾丸のような勢いでシュート。ボールを胸に当てられたヒロトはコート外まで吹き飛ばされ、ボールはマキの方へとコースを変える。

 

「やめなさいよこのクソサド女ぁ!」

 

そのボールを止めてやろうとマキはどっしりと構える。

 

「ダメ! マキちゃん! 避けてぇぇ!」

 

花瑞はマキに避けるよう腹の底から声を捻りだす。

ボールの軌道の後ろからベータが追い越すような速度で接近する。

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「その右足ごと、砕け散れぇぇ!」

 

「マキは負けない! あんたの目論みこそ砕け散れぇぇ!」

 

ボールに同時に蹴りが入る。その衝撃波が地面を吹き飛ばすのより先にボールが耐えきれずに破裂し、マキは花瑞のいる後方まで衝撃で吹き飛ばされていた。

 

「マキちゃん大丈夫!?」

 

「ぐっ、うぅ…大丈夫よ。マキ、まだ怪我なんてしてない。でも悔しい。悔しいけど今のマキにはあいつを越えられない。花瑞お願い。あいつを止めるにはあんたの力がもっと必要。マキがいくら努力してもいつも先にいく花瑞なら、あのよくわかんない化身ってのも出来る花瑞なら勝てる!」

 

 

「……うん。絶対に負けない」

 

ボールはレフリーボールとなり、当然相手はベータがそのボールを取るつもりで立ちはだかる。

対するイナズマジャパンは……

 

「この状況、みんな意見は同じだと思うが一度問いたい。誰がボールを取りに行く」

 

鬼道は全員を集めて確認する。

 

「花瑞しかいない、どうせお前らもそう思ってるんだろ?」

 

不動が真っ先にそれを口にした。

 

「ああ、俺もそう思う。花瑞、頼むよ」

 

「マキは当然そのつもりよ?」

 

ヒロト、マキも続いて頷く。

 

「花瑞、頼んだぞ」

 

「お願いします! 花瑞さん!」

 

みんなの意見は一緒だった。

 

「みんな……ありがとう。わたし、このボールを必ずゴールに繋げます!」

 

ベータと花瑞が対峙する。

 

「やはりあなたが来ますか。なら、虚空の女神アテナ!」

 

ベータはここでアームドをしなかった。

ベータはヒロトを動けなくすることも、マキを立てなくすることも可能だった。

しかし、未来の統計データからそこで彼女にとって大切なの人にとどめを差すような真似をすれば感情コントロールを覚えた花瑞といえど再び怒りの力で大きな力の解放のきっかけになりかねないとあえてまだ戦える程度に攻撃力を削ぐ程度に落としていた。ベータは花瑞を恐れていた。

 

 

ボールが二人の間に投げられた。

 

「勝利の女神ニケ!」

 

花瑞も化身を見事出現させ、ボールめがけてジャンプする。

 

「さすがに化身は来るよなぁ? でも、そんなの関係ねぇ! 今のお前になら勝てる!」

 

ボールに両者の足が触れる。先程よりさらにすさまじい衝撃波が伝わる。

 

「くっ!」

 

「残念だったなぁ! 俺の勝ちだぁ!」

 

負けられない。ここでボールを奪われるわけにはいかない。皆を傷付けた怒り。サッカーを壊そうとすることへの怒り。喜怒哀楽だけではない。何よりも、この化け物じみた強さを持つベータに自分なら勝てると信じてくれているみんなの期待へ報いたい。

胸の中に全てが集まっていく。みんなの思い、自分の思い、それらが力となって形作られる。

 

「アーーームドォォォ!」

 

「な、なにぃ!?」

 

この土壇場、競り合いの真っ最中に花瑞が化身アームドを達成したのだ。突然の出来事、一瞬の力の差で勝負のつくこの競り合いにおいてアームドが間に合わなかったベータはボールを花瑞に奪われた。

 

「そ、そんな……俺はあいつの怒りを頂点まで達してなんていないのに」

 

「君は花瑞のことを未来に残ったデータでしかみてないのかい? 目の前にいたのに」

 

ヒロトは地面に手をついたベータに語りかける。

 

「花瑞の爆発的に力を上げる根幹は怒りじゃない。大切な人を思う優しさだ」

 

「何が言いたい!」

 

「怒りはその表現のひとつでしかないってことさ。感情をコントロール出来るように成長した花瑞が、今そこから更なる高みへ登ったのさ」

 

「ふん、そんな語っているけどお前は攻めなくていいのか? お前がいなければグランドファイアもザ·ギャラクシーも出せない。ゴールは割れないぞ?」

 

「今の花瑞なら大丈夫さ」

 

そのヒロトの言葉通り、花瑞はアームドしたままゴッドノウズインパクトを放ち、同点となるゴールを決めた。

 

1-1 前半終了間際の出来事であった。

 

 

「マモル以外にもこんなにすごい奴らがいるのかイナズマジャパン。 俺ももっと強くならないと」

 




杏「クララではない、けど誰か来た気配がするぞ」

八神「あれは、ふふ。隠す必要もないな。うちのキャプテンが来たようだ」

クララ「次回、イナズマイレブン。 円堂合流! お楽しみに」

杏「!?」

八神「なんでもありだなお前は」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

円堂合流!

クララ「こっちに失礼するぞ~」

筆者「ぬわ!? クララじゃん!」

クララ「あとがきに出てきたからもう私合流したと思われてそうだから、直接それの答えを言いに来た」

筆者「伝言とかしてよかったのに」

クララ「いや、出番ほしいし」

筆者「おま、ほんとそういうのダメよ言っちゃ!」

クララ「はい、というわけで私はまだ合流はしてないよ? ただあとがきは別腹ってことでそろそろ顔出すかと思って出たわけ」

マキ「あんたがここに来たからマキの出番ないんだけど!」

ヒロト「上に同じく」

クララ「それじゃ、また」


 

「おぉーい!」

 

同点に追い付き、勢いづいたところに更なる勢いが加わる。

 

「キャプテン!」

 

「円堂!」

 

「円堂さん!」

 

「飛鷹も一緒だ!」

 

円堂は経過時間と得点を見てから大きく息を吸い叫んだ。

 

「よぉし! このまま逆転だ! いくぞ!」

 

「「おぅ!」」「はい!」

 

 

「これでひとまず来れる人は揃ったのかしら?」

 

「夏未さん!」

 

円堂の激の後、さらに後方から雷門夏未が登場。

さらにさらに、あの男も同時に現れた。

 

「紹介するわ。コトアール代表監督であり、あの伝説のイナズマイレブン監督。円堂大介さんよ」

 

「あ、あの人が円堂さんのおじいちゃんの……大介さん」

 

花瑞は話にだけ聞いていた人物の登場に驚き、キャプテンにとってのサッカーへの原点である人物が生きていたことにまるで守本人のように喜んだ。

 

「これで全員揃いましたね。都合がいいのはこちらも同じです」

 

ベータもターゲットが揃ったことに喜び、口角が上がる。

 

「イナズマジャパンの久遠監督、とりあえずワシもこやつらもまだ相手の実力がわからん。前半一杯は任せる。後半は、任せてもらってもいいかな?」

 

「恐らく、あなたの力が必要になるでしょう。ご助力の方こちらからもよろしくお願い致します」

 

 

 

「ふぅん、もう勝ち気ムードですねぇ♡ 花瑞さんも確かにアームドしてきて驚きましたが…それならそれでブチギレを気にする必要もありませんし全員痛め付けちゃいましょうか♡」

 

試合再開後、チームガルシルドはミッドフィルダー陣でボールを前に運んでいたのだが、化身こそ発動していないがその力の勢いに乗る花瑞に阻まれ、ベータまでボールを下げた。化身アームド後先程のような加減無しの弾丸ロングシュートをロココ目掛けて放つ。

 

「ゴッドハンドX改!──ぐっ……うっぅ!」

 

ゴールラインギリギリまで追い詰められるも止めることに成功したロココ。誰もシュートブロックにすら入れなかった。ベンチでこれを見た円堂や飛鷹もこれに驚いていたが、花瑞も驚きを隠せない。

 

「んふふ♡ さすがですね」

 

ロココに対して軽く拍手をするベータ。その場所は既に花瑞の横ま。

 

「本気、見せちゃいます♡」

 

ロココはボールを風丸に渡そうと投げるが、そのボールを受け取ろうと風丸がボールに向かって身体を向けた瞬間、真横からトラックが衝突したような衝撃が走る。

ベータによる競り合いに見せかけた潰しが炸裂した。

 

「風丸!」

 

「風丸さぁん!」

 

「あーあ、弱っちいなぁ? スピードも俺に完全に負けてるしよぉ?」

 

「くっ……うぅ……」

 

「風丸さん!」

 

「まだインプレーだぞデブ!」

 

ベータが風丸に駆け寄ろうとした壁山の腹目掛けてボールを蹴る。ボール一個分以上にめり込んでそのまま花瑞側に吹き飛ばされる。

 

「壁山さん! ゴッドルーツV3!」

 

壁山を優しく包むように根で救出し、ボールを受け取る。

 

「瞬間的爆発力は脅威だが、今なら怖くねぇな!?」

 

ベータが今度は花瑞のボールを奪うていで滅茶苦茶な威力でタックルを仕掛ける。化身なしの花瑞は簡単に撥ね飛ばされなおもベータが追撃をしようと迫る。

 

花瑞は不屈の精神で立ち上がり、上空でボールを蹴り出そうとするベータに立ち向かう。

 

「やめろぉ!」

「花瑞!」

 

ヒロト、マキが止めに入ろうとボールを蹴る。花瑞もベータに真っ向から立ち向かおうとボールを蹴っていた。

 

「なっ!?」

 

ベータがパワー負けするはずがなかった。そのはずなのに、ボールはほぼ互角と言わんばかりに真上に飛ぶ。

 

「このボールは渡さない!」「渡すもんか!」「渡しません!」

 

三人の気迫が大きなエネルギーとなり上空へと押し上げる。

 

「あ、あれはスーパーノヴァか!?」

 

ベンチにいた八神が驚く。しかしあれとは形こそ似ているがこちらは更に高いところまで飛んでいる。なんだ。

三人のエネルギーがボールに当てられ相手ゴールに注がれる。

 

しかし、火事場の馬鹿力といえど技としてもまだ形になっていないからか。都合良くそのまま得点には至らなかった。それでも、このワンプレーのお陰で前半の時間が終わった。

 

「ふたりとも、大丈夫ですか?」

 

「いや、花瑞あんたは肩貸す側じゃなくて貸される側よ! ほら、マキの肩貸すから!」

 

壁山、風丸はこの試合で動ける力など残っていなかった。

 

「なるほどな、久遠監督よ。相手の性質はわかっているだろう?」

 

「はい。しかしそれを崩すには……」

 

「ふん、わかってるならやりゃいいんだ。 おぉい! 後半の作戦を出すぞ!」

 

 

 

マネージャー達が懸命に負傷者の手当てをし、耐えられるメンバーは集まって円堂大介の指示を聞いた。

 

「ほぅ、これが円堂大介のやり方か。なるほど、確かにお前の祖父だな。円堂」

 

鬼道は彼の作戦を見てそう円堂に言った。

 

 

 

「へぇ? これはこれは……」

 

ベータも驚いた様子でコートに立ったイナズマジャパンを眺めた。

 

 

FW         花瑞

        ロココ  吹雪

 

MF  虎丸 豪炎寺 鬼道 ヒロト マキ

 

DF       飛鷹 不動

 

GK 円堂

 

 

 

「さすがにこれは……ぷふっ、ヤケですか? 」

 




杏「クララが自由すぎる」

八神「なんでも今前書きに行ってたらしい」

クララ「うむ。ネットはなんでもありだからな」

杏「おぉ、こっちにも出た」

クララ「人をお化けみたいに言うな」

八神「まあ、私達もSNSはよくやるがクララは少し違う気がするもな」

クララ「まぁ、スレ立てたりとかそっち側に片足突っ込んでるから」

八神「(スレ……?)」

杏「(パソコンわからん)」

クララ「ノシ」

杏「真顔で手を振るのやめてもらえるか!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本気のベータですよ?

マキ「ベータが本気出す前にお前が本気だして毎秒投稿しろ!」

筆者「うっせ! 展開は決まってるんだけど文字に起こすときより良いものにしたいんじゃ!」

マキ「速さもクオリティも本気でやれ!最短で、最高に!」

ヒロト「まあまあ、その辺にしてやれよ。今回の文字数を見てみろ」

マキ「2500越えてる。ふぅん、まあ今日は見逃してあげるわよ」

筆者「ひ、ヒロト……お前」

ヒロト「いつから俺が傍観者だと錯覚していたんだい?」


 後半の開始はイナズマジャパンから、最初にボールを持ったのはロココ。

 

「す、すごいスピード」

 

花瑞が驚くレベルで軽快な動きでフォワード二人を抜き、そのままミッドフィルダー陣を突破する。

 

──後半開始前、ロココはダイスケに重りを脱ぐよう指示された。ズシンと地面にめり込む重りを見てイナズマジャパンの面々は数秒その重りを見てしまったほどだ。

 

「それとマモル、ババーンではなく、バババ、バーーン!といけ。わかったか?」

 

「バババ、バーン!……わかったよじいちゃん!」

 

 

 

──バババ、バーンの意味を理解できているものはいるのかも怪しいが、円堂はその言葉からイメージを掴み取ろうとしていた。

 

「わざわざやられに来なければあなたは助かったのに♡」

 

ディフェンスのど真ん中に陣取るベータはロココを見てそう言った。ロココはボールを花瑞へパスする。

 

「そうそう、その方が懸命ですよ?」

 

「別にお前を恐れてパスした訳じゃないさ。勝つために出しただけだ」

 

ボールを受け取った花瑞だが、すかさずジャッカルがボールを奪い去った。

 

「スノーエンジェル!」

 

ボールを奪ったジャッカルは後ろに続いていた吹雪によりボールを花瑞よりも短い時間で奪われた。

 

「ウルフレジェンドG4!」

 

「ビッグスパイダーV3!」

 

流れるようにシュートまで持ち込んだものの得点には至らなかった。しかし…

 

「悪くない流れだ。これが決勝の監督だと思うと少々怖いものがあるな」

 

鬼道はこのフォーメーションが理屈だけでなく実際に有効だと今の動きで確信した。完全分業制のような能力をしているチームガルシルドを崩すためにキープ力の低いDF陣からボールを奪えるよう花瑞、吹雪、そしてロココという攻守共に優れたメンバーを全面に押し出し、その更に後続の列として強力なシューターとなるメンバーを配置。

 

もちろん、このフォーメーションも問題がある。ベータというイレギュラーが単純な分業制であるチームガルシルドの欠点を補っている。このベータをどこまで抑えられるかで次の一点が奪えるかが決まる。花瑞が最有力であるが先程のアームドも不安定。恐らく、もう一失点は覚悟しなければならない。

 

「さぁて、シュートまでいったのはすごいですけどそれまでですよ? ここからはこちらの番です♡ お前らに決勝戦なんて未来はねぇんだよぉ!」

 

ベータはボールを受け取り化身アームドした状態でなぎ倒すように直進する。

 

「おらおらぁ! どかないと全員引き倒すぞ! まぁ、トロくて避けれねぇだろうがなぁ!」

 

「飛鷹は急いで下がれ!」

 

「うす!」

 

鬼道は時間を稼ごうと立ち塞がるがまるで車にぶつかった小動物のようにぶつかった瞬間に吹っ飛ばされてしまった。

 

 

「シュートコマンド07!」

 

「真空魔ぁぁ!」

 

飛鷹のブロックが入るがまだまだ威力はイジゲンザハンドで止められる範囲には無い。ボールは真空魔を破りそのまま進む。円堂はダイスケの言葉をイメージしながら身体でそれを出そうとする。ボールが円堂の両手に触れる。一気に円堂の身体が後ろに押し込まれる。

 

「くっ……ま、まだまだぁぁ!」

 

円堂の両手からボールが上にこぼれる。そのボールをベータが奪う前に不動が素早く空中で確保しヒロトへボールを流した。

 

「ありがとう不動、助かったぜ」

 

「次も上手くいく保証はねぇぞキャプテン。次は頼んだぜ?」

 

「ちっ、鶏みたいなモヒカンしてる癖に…」

 

ベータは悪態をついて気持ちを吐き出すとすぐに切り替えてボールを奪いに走り出す。ヒロトは背後から迫るベータをギリギリまで引き付けながら相手MFを躱して流星ブレードを使ってパスを出した。

 

「デーモンカットV3!」

 

ボールをカットした次の瞬間を狙って吹雪がボールを奪い返す。

 

「ロココくん!」

 

「あぁ! Xブラストぉ!」

 

「ビッグスパイダーV3!っ!!!」

 

ビッグスパイダーがあっという間に破られた。しかし──

 

「ゴールはやらせねぇよ!!」

 

どれだけの移動速度を出したのか。ベータがボールをカットした。

 

「はぁ…はっ、入ったと思った? 残念だったなぁ、希望が一瞬で消える気持ち、刻んでやるよ!」

 

「すごい執念……それに凄い体力。でも」

 

「あぁ、誤魔化すようにしてたけど少し息が上がってる」

 

近くにいた花瑞、ロココはベータの変化に気付く。

 

「うん……まるで独りで戦ってるみたい」

 

「元々別のチームの人なんだろ? 俺も言えたもんじゃないけど、だから一人だけずれてるんじゃないのか?」

 

「そうじゃない……なにか、別のものだと思う」

 

花瑞の中でベータに対する違和感が強くなる。ベータは今何を思っているのか、それが気になる。

 

「っと、話してる場合ではなさそうだ。繰るぞ!」

 

「ふぅ……まあここまで良く頑張りましたよ…♡ そろそろ決めにいくとします♡」

 

 

「勝利の女神ニケ! ゴッドフラワーG5!」

 

「ブレードアタック!」

 

「うぉぉぉぉぉぉ!」

 

ロココ、花瑞の技を強引に突破してもはや吹雪のスノーエンジェルは足止めにもならずに破られる。

 

「シュートコマンドゼロセブゥゥン!」

 

一層気迫の籠った声でボールに蹴りを叩き込む。

 

「させるかぁぁ!」

 

鬼道、不動が二つに分離したボールに一人ずつ対抗する。

 

「邪魔だぁぁ!」

 

「ぐっ、うわぁぁ!」

 

「真空魔ぁ!」

 

さらに飛鷹のブロックも入るが威力は減らない。むしろ先程のシュートより強い。

 

「バババ、バーーン!って…いくぞ!」

 

微かにオーラのようなものが円堂から見えた。しかし、これも形には至らない。円堂の腹部にめり込むようにボールはえぐり込みそのままゴールネットに突き刺さった。

 

 

「円堂っ!」

 

「キャプテン!」

 

「ちっ、次はないって言ったろうが……おい監督、交代だ」

 

不動が手を上げて監督に交代宣言をする。

 

「不動、お前なにを」 

 

「勘違いするな、ベンチに下がるのは俺だ……ったく」

 

不動は右足を引きずっていた。

 

「お前らに任せるしかねぇんだ。頼んだぞ」

 

不動の代わりに佐久間が入る。

 

「おい佐久間、先に言っとくがてめぇまで怪我でベンチに来たりすんなよ? 残ってんのは怪我人と完治寸前の奴だけなんだからよ」

 

「あぁ。だがお前が身体を張ってまで守ろうとしたんだ。それには答えたい」

 

 

 

試合は後半の半ばを過ぎたところであった。得点は1-2、不動のケガによりイナズマジャパンベンチに残るのは、ケガの完治手前の杏だけと実質的にゼロ。

しかし僅かに見られたベータの疲労、勝機が無いわけではない。

 

 




八神「何をしている? 杏」

杏「ウォーミングアップに決まっているだろう?」

八神「確かに残すところベンチはお前だけだが…できればもう交代がないことを祈りたい」

クララ「次回、タイトル未定。展開は決まってるから安心してくれ」

杏「二度目は驚かないからな?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

全力を超えて

マキ「3000文字あるわよ? どうしたわけ?」

筆者「最終局面だったのでまとめました」

マキ「なぁんだ、ここから常にこれではないのか」

筆者「死んでまうぞ? てか何気にうちの初めて完結させた作品よりもう文字数多いんだからな?」

マキ「ふぅん、それはマキ嬉しいかも!」

ヒロト「最初はギリギリそれより短い予定だったんだもんね。まだ続くし走りきったもらわなきゃ」


 チームの全力を持ってしてもやや劣性のイナズマジャパン、試合が再開するまえにベータはポジションをFWの位置まで上げてきた。

 

「一瞬で奪い取るつもりだね」

 

「はい…ロココさん、どうしますか」

 

この距離だとボールに触れた瞬間には確実にベータの餌食になる。かといってこのまま長考してはベータの呼吸が整ってしまう。

 

「こら! 二人ともそこだけで解決しようとすんな!」

 

マキが焦れったそうにしていたが早々にしびれを切らして大声で自分のポジションから声をかける。

 

「あぁ! ゴールは任せろ! 次こそは止める!」

 

円堂も続けて声をかける。

 

「ここまで戦ってきたみんなの思い、無駄にしないさ!」

 

佐久間は脳裏に強く不動のことを浮かべながらそう言った。

 

「はぁ、そういうのいいので早くしてもらえますか?」

 

「おっと、待たせたね。じゃあ試合再開とするよ」

 

ロココはボールを大きく右サイドのマキュアに渡した。

 

「最初にマキを選ぶなんていいセンスよ!」

 

マキは目の前に立ちふさがる敵をメテオシャワーで一網打尽にしようと飛び上がる。

 

「だぁかぁらぁ……そんなの無駄っていってんだろぉ!虚空の女神アテネ! アァァァァムドォォォ!」

 

アームドしたマキを撃ち落とす鉄砲の如く地面に衝撃を与えて飛び上がる。

 

「ふんっ! あんなこと言っといて一人で何とかしようとするわけないでしょ! シュート!」

 

マキはメテオシャワーを下に撃ち込むと見せかけて逆サイドの虎丸に渡した。

 

「さぁて、間に合うかしら? お団子頭!」

 

「うっせぇ! 扇風機に煽られるほど酷くねぇ!」

 

空中での言い合いは着地と共に終わり、自由落下の間に虎丸は相手陣地の半ばを過ぎるまでに進んでいた。

 

「いきますよ! 豪炎寺さん! ヒロトさん!」

 

「グランド……」

 

「させねぇっ!」

 

三人が蹴り出す直前にベータが恐ろしい勢いで滑り込もうとする。豪炎寺はそれを待っていたように、ボールを上に上げた。

 

「ロココ!」

 

「おぅ! Xブラストぉぉ!」

 

「ビッグスパイダーV3!っぬぉぉ!」

 

ロココのXブラストはビッグスパイダーを破り同点となる。

 

「はぁはぁ……手こずらせますねぇ……でも今度はこちらのボール、このままなら私の先取が続いて勝ちです♡」

 

このままではよくて同点、タイミング次第で負けもありえる状況、次こそは先に点を決めねばならない。

今度はベータも最初からアームドして全力態勢。花瑞も化身を絞り出して迎え撃とうとしている。

 

 

「いくぜぇ!」

 

まずは花瑞と正面から対決、ベータの力は落ちてきているがアームド無しではやはり厳しく、ボールを奪えない。

 

「ブレードアタック!」「スノーエンジェル!」

 

「止まるもんかよぉ!」

 

一瞬の勢いは削げるもののそれでも止まらない。

 

「シュートコマンド07!!」

 

「させるかぁ!」

 

今度は佐久間がシュートを防ごうと飛び上がった。

 

「あいつの二の舞になりに来たか!」

 

「俺は約束を守る!」

 

片方のボールに向かって両足をぶつける。

 

「これは帝国のっ!」

 

「ニヒャクレツショットォォ!」

 

「そんなもんでぇぇ!」

 

佐久間の妨害をごり押しで乗り越えてシュートを放つ。

 

「真空魔!…キャプテン! 頼みます!」

 

「円堂! 頼む!」

 

「任せろ! 皆あがれぇぇ!」

 

円堂の背中からマントを着けた魔神が現れる。

 

「と、止めた…?」

 

ベータは自分の技を止められたことに驚き一瞬硬直する。

 

「いっけぇ!」

 

ボールを思い切り投げて佐久間が空中でダイレクトパスを送る。

 

「くそ! お前ら時間稼ぎをしろぉ!」

 

ベータは慌てて走り出す。呼吸はひどく乱れている。

 

「時間がないから……サザンクロスカット!」

 

マキは移動時間を考えて技を選び、ベータから離れようとする。

 

「はぁはぁ…少しは時間を稼げ……! ポンコツチームが!」

 

「デーモンカットV3!」

 

「んん、ヒロト!」

 

ボールをヒロトに流して自分は前に進む。

 

「ちぃ、結局頼れるのは自分だけかよぉ!」

 

ベータはゴーストミキシマックスを解き、自分の力に集中する。 

 

「花瑞!」

 

ヒロトは一度ボールを花瑞に託す。

 

「勝利の女神ニケ!」

 

「デーモンカット!」

 

「ヘブンズタイム!」

 

最後の一人を抜いた。あとはシュートするだけ……なのだが、化身が消えた。

 

「あ、あれ‥…」

 

「花瑞ぃぃ! あと少しだけ耐えろぉぉ!」

 

マキがボールを取り、ヒロトも集まり準備は整った。

 

「ふ、ふたりとも…おねがい………」

 

花瑞は最後の力を振り絞ってふたりを宇宙へ上げる。

 

「「ザ·ギャラクシー!」」

 

「はぁはぁ! 入れさせるかぁぁ!」

 

ベータが最後の抵抗といわんばかりにブロックに入る。

 

「!? う、うそ…」

 

ベータの化身アームドも解けた。そしてボールはベータを超えてネットのその先にまで貫いた。

──ホイッスルがなった。イナズマジャパンは辛くも勝利したのだ。

 

「そ、そんな……わたしが……こんな…」

 

「残念だったわね! あんたの悪巧みもここまでよ! それと、ガルシルド!あんた達も逃がさないんだから!」

 

ビシッと決めるマキだったが、その後視界が揺れたかと思うとふらっと倒れる。

 

「はぁはぁ、どうやら力を出しきったようですね…これは好都合です♡」

 

ベータもフラフラとしているがあのボールを取り出す。

 

「ま、不味い! 花瑞逃げるんだ!」

 

ヒロトが花瑞の方を向くと花瑞も倒れかけていた。

慌てて抱き寄せて守るが、ヒロトも限界ギリギリで動けない。

 

「試合に負けて、勝負に勝つ…残念でしたみなさん♡」

 

ベータがボールの上のボタンを押し、花瑞を吸い込もうとボールからブラックホールのような吸引が始まる。

 

「くっ……花瑞は絶対に離さないからな……!」

 

「無駄ですよぉ♡ あなたもまとめて吸い込んであげます」

 

その瞬間、背後から何者かが高速でベータからボールを奪い去った。

 

「!!?」

 

「……フローズンスティール、隠密バージョン」

 

「クララ!」

 

「この瞬間をずっと待ってた」

 

クララはボールをベータに向ける。

 

「ほら、お返しだ」

 

クララがボタンを押す。しかし、操作を誤ったのかそれともそういう仕様なのか、中から黒嶋が現れた。

 

「黒嶋!」

 

「こ、ここは……? 俺は脱出できたのか?」

 

「なるほど……使いまわしか」

 

クララは一人で納得するとベータに問いかける。

 

「おい、このボールにはもう誰もいないか?」

 

「さぁ、どうでしょうか?」

 

「……ポチッ」

 

再度押すが何も反応しない。どうやら誰も入ってはいなさそうだ。

 

「よし、ガルシルドは今度こそ警察に連行してもらうとして、こいつは私達でどうにかするしかないぞ」

 

「待てクララ、一人で話を進めるな」

 

一人だけ頭の中で順序だてて動こうとするクララに八神が待ったをかけた。

 

「こいつは未来人だ、警察に任せてもどうしようもない。なら、私達の目の届くところに置くしかない。杏、ちょっとこいつと私を布で隠せ」

 

「あ、あぁ」

 

「ちょ! なにするんですか! やめなさい! こら! 脱がすなぁ!」

 

中で何をやっているんだと杏は少し顔を赤らめながら興味深そうにしていた。そして、次にふたりの姿が出てきたときにはベータはイナズマジャパンの白い方のユニフォームになっていた。グルグルに縄で捕縛された状態で。

 

「怪しい持ち物は口の近くのあれだけだった。これは私の私物の服だから安全」

 

「お、覚えてなさいよ! こ、こんなことして後で痛い目みますからね!」

 

「あ、お前から剥ぎ取ったモノは全部破棄するから」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

壮絶な試合の直後、最後の抵抗を見せようとしたベータを瞬く間に捕らえたクララは早く引き上げるために指示を出して全員で宿舎へと戻ったのであった。




杏「クララ、ずっと隠れてたのか?」

クララ「あぁ。こうなることを予見してな」

八神「試合に来てほしかったがああしてくれてなければ我々は結果的に負けていた。助かった」

クララ「礼はいらない。それより大事なのはここから」

ベータ「んーー! ん!」

杏「何で口まで縛ってるんだ?」

クララ「移動中うるさかったからだ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝前日のお話

マキ「昨日は予約時間一日間違えて慌てて中途半端な時間に出したのよね?」

筆者「あ、あぁ。まあ、でも許してくれ」

マキ「まあ、連日投稿だし?許してあげるわよ」

筆者「ここ最近やさしいな!?」

マキ「え、もしかしてメテオシャワー欲しい?」

筆者「いらねぇよ!」

ヒロト「なお、今回は試合こそないけど息抜き回でもないからよろしく」


 宿舎に戻ると皆疲れきっていた為にご飯を大量に食べるとそのままぐっすりと眠ってしまった。無理もない。ブラジルとの試合を終えて間髪いれずにあれだけの激闘を繰り広げたのだ。クララは申し訳ないと頼み込んでマネージャーに自分と同じ部屋にベータを寝かせて一晩中交代で見張りを頼んだ。ベータは亀甲縛りに加えて身体に鈴まで付けられて天井から吊るされているからどう足掻いても脱出不能のようにも見えるがクララは徹底的であった。

三時間後とに交代で見張るが、締め付けられているのに絶妙にほどけずにストレスが少ないのか、それとも彼女も疲労しているのかスヤスヤとベータも眠っていた。

 

翌朝、何事もなく無事クララは起床した。

 

「すまない、異常はなかったか?」

 

「あっ、クララさんおはようございます。はい、ずっとぐっすり寝てたようで…」

 

クララの視界には音無と、吊るされているベータの後ろ姿が見えた。

 

「ほんとだ、まだ寝てる。寝顔は無駄に可愛いな」

 

クララは水を飲んで服を着替えて朝食のおにぎりを部屋に持っていき、そのままベータを監視し始めた。

 

──花瑞の部屋

 

「おきろー! おきろー! はーなーみーー!」

 

マキが揺らしても何をしても花瑞が目を覚まさない。鼓動もあるし息もあるが目を覚ましてくれない。昨日からずっと寝たきりなのだ。

 

「クララぁぁ! 花瑞が起きないんだけど~!」

 

マキは朝から騒がしくクララの部屋に入ってきた。

 

「おい、お前のせいでベータが起きたじゃないか」

 

「それどころじゃない! 花瑞がまだ目を覚まさないんだって!」

 

「あぁ、それならあれですよ。化身の使いすぎ」

 

ベータはさらっと答えた。

 

「意外だな、何も話さないと思ったのにこうも簡単にそちらから話してくれるとは」

 

「こうなったらもう吐く方がマシだと判断しただけですぅ~」

 

「で、詳しく頼む」

 

「はいはい、まず化身って物凄く疲れるんですよ。それも時空の歪み抜きでアームドまでこの時代でやったとなれば体力が底をつきるどころか底抜けしても不思議じゃない。で、体力が戻るまで多分おやすみでしょうね」

 

「命に別状なしか、ならまあいい」

 

「よくない! 明日は決勝! 監督も昨日のことを考えて今日は休みにしたけどメンバーもカツカツになったのよ!?」

 

「今更言っても仕方ない。花瑞は寝かせといてマキも身体を整えなよ」

 

「ドライ! 今日のクララめっちゃドライなんだけど!」

 

「現実的な話をしてるだけだ」

 

「……クララさん、お願いなんですけど全員集めてもらえますか?」

 

ベータは意を決したのかクララに下手に出て頼み込み始めた。

 

「どういう気の移り変わりだか知らないが、わかった」

 

クララは監督に頼み全員を集合させた。花瑞はまだ寝ているため不参加である。

 

 

 

「今からお伝えすることを信じてもらえるとは思いませんがお話ししますね。まず、なぜ私が円堂守やその祖父、そして花瑞と狙っていたのかなのですが…これは未来の危険人物を消そうとした為です。

我々は当初、円堂守がいなければサッカーは熱狂的なブームにならず未来に現れるセカンドステージチルドレンと呼ばれる簡単に言うと危険すぎる力を持った子供たちが現れるような未来を阻止できると試算しました」

 

ベータは一度ここまでの話を飲み込めているかを見渡して確認する。何名か理解できていなさそうだが、クララや不動、鬼道などが理解しているから問題ないと判断して話を進めた。

 

「しかし、問題が起きました。一部の時空にしか存在しない人物のせいで円堂守を消してもサッカーが栄えてしまうことがわかっまのです」

 

「それが花瑞というわけか」

 

「はい、クララさん正解。その通りです。しかも花瑞というイレギュラーの存在はそれだけではありませんでした。セカンドステージチルドレンの中に彼女の遺伝子が色濃く残る人物が発見されました。その人は他の人とはレベルの違う能力を持っていました。感情が爆発するとその世界線そのものを消し去るほどの力を有しているほどに…」

 

「世界線を消し去るだと?」

 

「前提として何個もの世界線が存在していて、それぞれに未来があるってことなのかよ」

 

「あ、そうですよね。この時代はその辺の分野は確立されてませんから驚きますよね。まあそんな感じで本来ならまあそんな時空もあるのかで処理しても良かったんですが、今回はそうもいかなかったんです。

花瑞の遺伝子を持ったセカンドステージチルドレン、名はエリカと言います。その能力によりひとつの世界線がなくなったのですが、彼女は他の自分の存在しない時空をまとめて消し去ったのです」

 

「!?」

 

話についていけている一同が目を大きく開いて衝撃を受けた。

 

「つまり今のこってる時空はそんなやばい人が待ち構えているわけなのですが、花瑞という種がなければ未来の花は咲かないだろうということで消しに来たわけですね」

 

「待て、今までの理屈でいくと残ってる時空全てでそれを達成しなければどのみちダメなんじゃないのか?」

 

「はい、察しが良くて助かります」

 

「……ここが最後の世界線か?」

 

クララは低めのトーンで聞き返した。

 

「……はい。正解です。そして、私は最初にエリカの覚醒に触れた世界線、円堂守のみ排除に成功し花瑞が存在した世界の唯一の生き承認」

 

「待て、世界線を消し去るような能力でどうやって生き残ったって言うんだ?」

 

不動の問いにベータは複雑な感情を顔にして答える。

 

「運が良かったとしか言えません……ザナークっていう頭おかしい化物がいるんですけど、そいつが全力で能力とぶつかったんですよ…そしたら時空の狭間みたいなのが生まれて、私は一か八かそこに入ったんですよ。どんどんと消えていく他の人達を置いて…」

 

「……重要なところがふわっとしてるな。信用できるのかよこんな話」

 

「気付いたら別の時空に飛ばされてたんですよ! それで、そこの時空の私と接触して私のいた時空の存在が確認できなくなったのを機械で見たんですよ! 私はその時間軸での決戦前に保険として自分一人だけしか無理ですが世界線転移する装置を開発してもらったんです。それで、それで私はそれから何個もの世界線を犠牲にして何度も何度も…次こそは世界の崩壊を守ろうと過去に干渉し、世界に干渉してきたんですよ!」

 

ベータは試合のときのようなオラオラしたものでも、小悪魔のような様子でもなくただ今までの感情を爆発させるように泣きながら訴えた。

 

「わかった、内容は信じよう。だがそれでお前をどうするかは花瑞に委ねる。悪いがその話、花瑞が目覚めたときにも話してくれ」

 

クララは沈黙した重い空気をバッサリと切って自分の答えを伝えた。

 

「まあ、そうだな。どうやらこの問題は花瑞抜きには決められねぇな。まあ、俺はまだお前のことは信用してないけどな」

 

不動はクララの意見に賛同する形だ。

 

「マキ、お前のことを許してないからね。でも今のあんたや試合のあんたを見て嘘ついてるとは思わなかった。未来とか良くわからないけど、何かあったらマキを頼りなさいよ。力になってあげるから」

 

「よし、みんなそういうことならまずは明日の試合に集中だ!まずは世界一になるぞ!」

 

「「おぉ!」」

 

円堂が締めてこの場は収まった。




八神「なぁ、ベータ」

ベータ「なんですかぁ?」

八神「随分大変だったのだな」

ベータ「ちなみに、黒嶋は何者?って質問がちょくちょくあったんですよねぇ。元々はコラボキャラみたいな感じで、言うならば花瑞の存在でこの時空に現れた人物ですよ~」

八神「ま、待て!? 急にメタな話をするな!」

ベータ「いいじゃないですか♡今日は正式にここに招待してくれたんですから♡八神さんが♡」

杏「だからやめろって言ったんだ!」

クララ「八神も甘くなったものだ」

八神「えぇい! もっとこう無いのか! メタでない話題は!」

クララ「ん、実は杏が未来の話とか半分も理解できなかったこととか?」

杏「な、なんでそれをこんなところで! わ、わたしは理解してたからな!」

八神「クララ! なぜあえて収集つかなくしようとするんだ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来の選択

マキ「決勝に忙しいわね」

筆者「それだけ大詰めなんだよ」

ヒロト「でもまだ続きそうな雰囲気だけど?」

筆者「おまけでもうちっと続く系のあれだよ!」

ヒロト「それでもいいけど、体力は持つのかな」

筆者「本編完結したらゆっくりでいい?」

マキ「毎週投稿しろ!」


 午前中のベータの告白から数時間、正午が過ぎた食堂に花瑞がフラフラと現れた。

 

「お、やっと目覚めたのね花瑞! ほら、マキの分のデザート上げるからこっち来なさい!」

 

「うん、ありがとう……うぅ、まだ身体が重い……」

 

「ほら、こっちこっち」

 

マキが補佐して席に着かせると、さりげなくクララが花瑞の分の昼食をテーブルに置いた。

 

「昨日の疲れを取るために酢の物が出てる。ほら、私の分も食べろ」

 

「わぁ、クララちゃんありがとう」

 

「いーや、それはクララの好き嫌いだろうが。ほら、数は余ってるんだから食え」

 

杏はクララのお皿に酢の物を入れ、席に着く。

 

「おっ、目が覚めたようだな花瑞。もう24時間後には試合が始まっているのだな、まだ調子が出ていないだろうけど頑張ってくれ」

 

八神も合流して宿舎の一角に女子選手が集った。

 

「そうだな、明日の決勝には私も出れる……なんとか間に合ってよかった」

 

杏は安堵と決意の合わさった心境で話し出した。

 

「八神も意外と動けるようになったのに残念だったな」

 

クララは目だけ八神に話を移す。

 

「まあ仕方ないと自分で思ってるさ。改めて、私の分も頑張ってくれ」

 

「はい! 絶対優勝しますから!」

 

「決勝点はマキが取るんだから!」

 

「あっ、そうだ……あいつの分も用意しないと」

 

クララは食事の途中に何かを気付いてもう一人分のご飯を使い捨てのプラ容器に積めて来た。

 

「誰の分?」

 

「あー、ベータの分だ。今私の部屋で飼ってる」

 

「か、飼ってる? え? どういうこと?」

 

「こらクララ、あまり花瑞をからかおうとするな。寝起きで混乱してるだろう」

 

「まあ正確にはこの前の試合のあと捕縛した。餓死されても困るから飯は与えてる。あと、ベータから話があるから花瑞は後で部屋に来てほしい」

 

「うん? わかった」

 

半分わかってないが純真無垢そうな顔で了承して花瑞は食事を済ませた。

丁度その頃宿舎前に来客があった。来客に応じたのはたまたま外に出ようとしていたヒロトであった。

 

「君は花瑞の兄の……どうしてここに?」

 

「たまたま決勝のチケットを譲り受けてね。さっきこの島に来たんだ。折角だから挨拶に来たんだ」

 

「なるほど、花瑞はさっき目を覚ましたんだ。今は八神達と食事中だから中で待つかい?」

 

「ご厚意にあやかるとするよ。それにしても随分遅い目覚めのようだね」

 

「あぁ、昨日色々あってね。それも含めて軽く俺の部屋で説明するよ」

 

 

アフロディはヒロトの部屋に上がると丁度聞きたかったこともあったようで自分から話を振りはじめた。

 

「花瑞のこと、好きなんだろう?」

 

「あ、ああ。 何故それを?」

 

「南雲君が何度も聞かせてきてね。 まあ、それ抜きにしても見てれば分かるよ」

 

「参ったな、相手の兄に好意を見抜かれてるなんてな」

 

「逆に花瑞が君に好意を寄せてるのもわかるけどね。でもそれは君だってわかってるだろう? その気になればいつでも付き合えるのになぜあと一歩を踏み込まないんだい?」

 

「マキとかのガードがあるから……ってのは冗談で、俺は花瑞の全てが好きだからかな」

 

「ほぅ、面白い答えだね。尚更詳しく聞く必要があるじゃないか」

 

「サッカーをしている花瑞、女子と仲良くしてる花瑞、ご飯を食べてるところや俺と近くにいてぎこちなくなってるところ、そんな姿も全部好きでさ。まだこれを見ていたいと思ってるんだ」

 

「なるほど。奥手なわけではなくてむしろ貪欲だね、君は」

 

「自分でもそう思う」

 

「さて…それで、昨日色々あってと言うのは何があったんだい?」

 

「あぁ、昨日は準決勝があったろう? そのあとに、ベータとまた戦ったんだ」

 

「なるほど、また壮絶な試合を……」

 

「それで今ベータはクララが捕獲してる」

 

「それはそれで気になるところだね……」

 

「ただ、ベータにも事情があったようでね。なんならこれから本人に聞きに行くかい? 一回目は一緒に戦ったんだ。聞く権利はある」

 

「そうさせてもらおう」

 

アフロディとヒロトがクララに入室許可をもらおうとしたところ丁度花瑞を連れてくる途中であったために廊下での兄妹の再会となった。

 

「お兄ちゃん!?」

 

「あの試合ぶりだね、花瑞」

 

「うん! またすぐ会えてよかった!」

 

「話したいこともあるけど、先に用事を済ませよう」

 

「そうだね、行こう」

 

 

~クララの部屋~

 

「おやおや、兄妹御一緒でしたか。まあいいですよ。お話しすることは変わりませんから」

 

クララ、マキ、ヒロトも一緒に残り五人でまた未来の話を聞いた。

二人はベータの話を聞いてその判断はやはり花瑞に委ねられた。

 

「私はあなたの言ってることを信じようと思う。試合中に感じた違和感の正体はそれだったんだなって、納得したもん」

 

ベータは涙目になって頬も赤くなった。そして、感情がまた爆発する。

 

「ほ、本当に言ってるの? あなたを消そうとした張本人なのよ? もしかしたらここまでのこと全て嘘かもしれないのに!」

 

花瑞はベータの頬に手をやって、涙を拭って上げて優しく微笑んだ。

 

「嘘ついてる人はこんな目をしませんよ」

 

「……ならお願い。未来を救うために協力してほしいの」

 

「私に出来ることならなんでもするよ! 消滅はダメだけど……」

 

「中学三年のFF終了まで待つから。そのときあなたの中で最善と思える人を9人以上連れてきてください。未来でエリカと戦うことになると思うから」

 

「二年後ですね。それまでもっともっと強くなるよ」

 

「……ふふ、まずは明日の決勝で勝ってくださいね。世界を取れない人に未来は掴めませんよ?」

 

「うん、皆で優勝するよ」

 

 

 

「さて、いいところ悪いのだが明日の決勝中は彼女をどうするつもりなんだい?」

 

いくら花瑞がベータを信用すると言っても万が一ということもある。せめてこの決勝くらいまでは確実に誰かの目の届くようにしたいというのも当然だ。

 

「それなら八神と不動に任せる予定だ。ふたりならうっかりも無いだろうから」

 

「二人とも怪我をしているのだろう? 僕が付き添うよ。もし走って逃げられたら二人は追えないだろう?」

 

「そうだな、是非お願いする」

 

クララ即決。明日は観客席からアフロディとベータが見ていることになる。

 

「さて、じゃあこれから外にでもいかないかい? 花瑞」

 

「うん、行こうお兄ちゃん!」

 

アフロディは花瑞を連れて外に行った。

 

「良いのかヒロト」

 

クララはヒロトをいじろうと一歩近づく。

 

「いいんだ。兄妹水入らず、楽しんでもらうよ」

 

「ちぇっ、嫉妬はなしか」

 

「マキの方がよっぽど嫉妬してそうだな」

 

「別に? マキだってその辺の空気読めるし?」

 




クララ「次回、アフロディと花瑞の兄妹デート回」

ベータ「次回予告から言っちゃうんですかぁ?」

クララ「場が荒れる前にな」

八神「掻き乱すのはお前たち二人だろう…」

杏「そうだ!」

クララ「ちなみに私は二人がデートしてる間にベータと……」

八神「含みをある言い方をするな!」

ベータ「二人きりで秘密のことするだけですもんねぇ~?」

杏「お前ら人をからかうときだけは仲良いな」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

兄妹の思い

筆者「私事ですがウイルス性胃腸炎になってダウンしてました」

マキ「えっと、たしか今日は二日目よね」

筆者「へぇい、昨日はさすがにしんどすぎた」

マキ「まぁ、仕方無いわね。お大事に」

ヒロト「勢いづいてたところを削がれてしまったね」

筆者「あぁ、だがまあ仕方ない。とりあえず今日には投稿できたからよしだ」


 道行く人の目を釘付けにする美男美女の姿が目撃されたのは日本エリアの古風な和菓子飲食店のテラス席。3時のおやつと言ったところか、アフロディと花瑞はその容姿のイメージとは少し離れたお団子を食していた。

 

「美味しいね、お兄ちゃん」

 

「うん、お淑やかな甘味とおおらかな口当たりだ。この大会のために用意された施設に恥じない美味しさだ」

 

「お兄ちゃん食レポみたいになってるよ」

 

花瑞はくすくすと笑い、それに釣られてアフロディも微笑む。そこに、ひとりの少年がガチガチに緊張した様子で現れた。

 

「あ、あの! 花瑞さんですよね! 試合応援してます! あの、サインくれませんか!」

 

「応援ありがと。 サイン……えっと、考えてなかったなぁ…どうしよ…」

 

「こういうのはどうかな?」

 

アフロディはさらりと筆記体の英字で花瑞の名前を書き、最後に小さな花の形のiの字にしたものを花瑞に提案した。 

 

「お兄ちゃんすごい! これとってもいいね」

 

花瑞はそのアイデアを採用して少年の服にサインを書いてあげた。

 

「あ、ありがとうございます! 一生大切にします!」

 

少年は嬉しそうに手を振り走って行った。花瑞は笑顔で手を振りかえした。

 

「小さなファンだね」

 

「うん、なんだか有名人になったみたい」

 

「花瑞はもう有名人だよ、それだけのことをしている」

 

「なんだか今までより更に実感したなぁ、今でもすごい実感してたつもりなんだけどね」

 

「…さて、そろそろ何処かに行こうか」

 

「え? もう少しゆっくりしてってもいいんじゃない?」

 

「サイン目当ての人が集まってきてるよ。全員相手にしてたら日が暮れてしまう」

 

安心安全の吹き飛びなしのヘブンズタイムで人混みを一瞬で抜け出した。

 

──PM16:20 浜辺

 

「ここの海は綺麗だね」

 

「うん、とっても綺麗……」

 

夕日が沈みかけている海はロマンチックなシチュエーションそのもの。

 

「花瑞はもっと小さかったから覚えてないだろうけど、僕は影山に連れてかれる前の家のことを少し覚えてる」

 

花瑞は興味深そうにアフロディの顔を見つめる。

 

「フフ、心配する必要はなさそうだね。 嫌がるかもしれないと心配したけど、安心して話せそうだ」

 

アフロディは波打ち際に立ち、感傷にしたるように口を開いた。

 

「僕達の母親は元々影山の部下の一人だったんだ。韓国から出稼ぎに来ていた父さんと駆け落ちして、影山から身を引いた。しかし、影山はそんな簡単に自分の悪行を知っている人を手放すわけがなかった」

 

「……続けて」

 

「父親は半分もこのことを知らなかったんだろう。当然僕も知らなかった。だから悪気もなく僕はサッカーをはじめた。そして、自分で言うのも難だけどメキメキと頭角を現した」

 

「それで、影山に目をつけられて連れてかれたんだよね? そこだけはお父さんたちから聞いたよ」

 

「そうだね、おおよそその通りなんだ。ただひとつ、影山から交換条件を提示されていた」

 

「交換条件?」

 

「僕が期待に応えれば家族には今後手を出さない。その代わり、僕に接触を試みようとしたり、影山の悪事を告発するような真似をすれば安全は保証しないと」

 

「そう…だよね。だから、あのあとお母さんもお父さんも」

 

「そう。でも彼も不思議な男だと僕は思った。花瑞、君のことだけは生かした。最も僕に接近した君を」

 

「た、確かに。イタリア代表の監督してたときも思ったけど影山って悪い人だけどサッカーに対する情みたいなのが残ってるよね」

 

「きっと君の成長も見たくなったのかも知れないね。だからといって、許されるわけではないけど」

 

潮が満ちてきて、足首まで海水に濡れる。夕日も傾き夜空が徐々に空を支配する。

 

「…この話をする機会があって良かった。再開した頃には僕も花瑞もこの話に触れられるほど強くなかったからね」

 

「そうだね、ちょっと前の私だったらきっと耐えきれない思いがあったよ」

 

「さぁ、暗い話はここまでにして夕食に行こうか」

 

「うん!」

 

──PM19:30 フレンチレストラン

 

「す、すごい雰囲気のいいお店だね…」

 

「そんな固くなることは無いよ。ここに来てるのは社長クラスの人達ではなくてごく普通の観戦者が多数なんだから」

 

「で、でもこんなちゃんとしたところ入ったこと無くて……ま、マナーとか自信ないよ」

 

「僕に続けば大丈夫」

 

コース料理など花瑞には今まで無縁であった。風貌こそ全く違和感のない花瑞だが周りをキョロキョロしたり、動きが落ち着かない。

 

「花瑞、食事は楽しむものさ。サッカーと同じ。変にかしこまる必要も無い」

 

「う、うん」

 

「ここまで沢山のものを背負った試合をしてきたと思う。でも、世界一を決める試合とはいえ、何よりも楽しいサッカーをしてほしい」

 

「…‥楽しむサッカー。そうだね。サッカーは楽しいものだもんね」

 

「花瑞や円堂君に教えてもらった大切なことだからね」

 

色々と背負い込んでいて凝り固まっていた花瑞の気持ちが少しほぐれたのか、ぎこちないテーブルマナーではあったがその後のディナーは笑顔を見せて満足していた。

 

 

そして、宿舎前に戻った頃には夜十時を回っていた。

 

「今日はありがとうお兄ちゃん。とっても楽しかった!」

 

「大会が終わったら僕も日本に戻るよ。家はまだ残ってるのかな」

 

「うん、私がまだ住んでる。マキちゃんとも同棲してたりするけど一緒に暮らそう!」

 

「フフ、賑やかになりそうだ」

 

「それと……やっぱり私、サッカーしててよかったなって思った」

 

「突然だね。まるで決勝後の感想みたいだ」

 

「えへへ、やっぱそう思っちゃう? でもね、やっぱそう思うんだ。サッカーがあったからたくさんの仲間ができて、ライバルができて、親友ができて、成長できて、そしてこれからときっとそう! 見ててねお兄ちゃん、明日の試合!」

 

「もちろん。それじゃ、明日のためにもうおやすみ」

 

「おやすみ、お兄ちゃん」

 




クララ「八神、明日ベータをアフロディに任せるが最初はアフロディ一人に任せていいぞ」

八神「何故だ?」

クララ「あの澄ました男がベータが催したときにどんな対応を取るかを見れるかもしれないからな」

八神「ずいぶんしょうもないことを考えたな」

クララ「まあ冗談だ。むしろそのときアフロディが見れないような場所があると困るから八神にはしっかりフォローしてもらう」

八神「……そういえば杏はどうした?」

クララ「あいつは試合に出てないからな、練習してるぞ」

八神「ベータはどうした?」

クララ「今日も夜はマネージャーに任せてる」

八神「あいつらにも苦労をかけるな……私も変わってこよう」

クララ「私しかここに残らないんだが?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝戦リトルギガント 楽しいサッカー

マキ「さぁて、また遅れたわね?」

筆者「いや、大詰めじゃん?こう、中途半端なモチベのときに書いてクオリティ下げたくなくてな」

マキ「毎日失速すること無くイナズマ魂で駆け抜けなさいよ!」

筆者「俺のやる気はエブリデイ立ち上がリーヨしねーよ!」

マキ「あっ、こいつ開き直った!」

筆者「おいやめろ、ボールを用意するな打ち上げるな」

マキ「メテオシャワー!!」

筆者「ぬぁわぁぁぁ!」

ヒロト「原点回帰かな?」




 決勝の朝が来た。清々しい晴天に見守られながら宿舎周りをランニングする選手一同。試合が待ち遠しく身体を動かしているのは日本だけでなく相手国のコトアールも同じであった。

 

「みんなぁ~! 朝御飯の準備ができたよ~!」

 

マネージャー木野が宿舎から声をかけた。

 

「おう! みんな、戻るぞ!」

 

「「はい!」」 「「おう!」」

 

朝食はおにぎり二つと大根の味噌汁、ウインナーが沢山というメニューであった。

 

「今日はイナズマジャパンがウィナーになる験担ぎ…なんちゃって」

 

と、自分で言ってから照れ気味になる音無。験担ぎにカツを出したかったが朝から揚げ物は重いだろうということでこのメニューになったようだ。

 

「ウインナーとっても美味しいですっ! ごちそうさまでした」

 

花瑞は食器を片付けるときに元気にそう言って自室に荷物を取りに行った。

 

「いよいよ決勝…本当に色々あったけどこの試合に勝てば世界一なんだね」

 

会場に移動する前から心臓がバクバクと主張する。

 

「全く、ガルシルドの野望を止めたんだからあんまり緊張することでもないでしょ?」

 

いつの間にか部屋の入り口に立っていたマキは胸に手を当てながら独り言を大きい声で発していた花瑞を現実に戻すように声を掛けた。

 

「わぁ、びっくりした。 いやぁ、でもやっぱ緊張するよ! だって世界一になるかどうかの試合だよ?」

 

「修羅場は越えても別腹ってわけ? ん~わからなくもないけど」 

 

マキは腕を組んで難しく考えるような姿勢を見せる。

 

「ほら二人とも、出発前に何やってるんだ」

 

「皆もうキャラバンに乗ってるんだ、早く行くぞ」

 

クララ、杏が二人をせかせかと歩かせてキャラバンへと乗せた。

 

 

 

──もうこの試合を妨害するような輩は誰もいなかった。何事もなく試合会場に入ったイナズマジャパンはロッカールームでユニフォームに着替えると各々決勝のコートへと向かい、アップを始めた。

 一昨日倒れた花瑞も、そもそもどんな環境に置いてかれたかわからない黒嶋も、監督の目から見て全員コンディションは良好。誰をスタメンにしても自信を持って送り出せる状態であった。

そんな中監督の選んだ決勝のスタメンは以下の通りとなった。

 

 

 

 

FW   豪炎寺 虎丸 吹雪

          

 

MF   ヒロト 鬼道  マキ

         花瑞

DF    杏  飛鷹  クララ

 

GK 円堂

 

ベンチ 黒嶋 立向居 壁山 佐久間

 

 

「日本代表として、これまで多くの物を背負って戦ってきた。中には日本の代表として以上のものを背負う試合もあった。ここに立てなかった多くの選手達の分も……今日の思うままに試合をしてこい!」

 

「「はい!!!」」

 

久藤監督からの激励を受けてポジションに着き、リトルギガントボールで試合が始まった。最初にボールを持ったゴーシュは軽い身のこなしで豪炎寺を抜くと、ヒロトを前にドラゴへとパスを出して鬼道含めて追い抜いた。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

「ぬぉ!?」

 

しかしディフェンス陣で一人だけ前に出る形で置かれている花瑞がすかさずボールを奪いカウンターに繋げようとボールをマキに渡した。

 

「試合は見てたがやはり強いな、さすがだぜ」

 

「ど、どうも。ありがとうございます」

 

試合の真っ只中に送られた相手選手ドラゴからのリスペクトの言葉、花瑞は一瞬驚いたが感謝の言葉を送る。

 

 

「さぁて、先制点はもちろんマキ達が貰うわよ!」

 

「簡単には通さない!」

 

「メテオシャワーV3!」

 

ユームのディフェンスを簡単に突破したマキは右サイドに走りセンタリングを上げると見せかけ鋭角からのグングニルを放とうとした。

 

「分身ディフェンス!」

 

「増えた!?」

 

ウィンディが俊足を生かしてマキに接近しボールを奪った。

しかしそのボールをウィンディからシンティに渡ったところをすかさずフローズンスティールでクララが奪った。その後冷静にボールを鬼道に渡してマキを少し後ろに下げさせた。

 

「前に出すぎだぞマキ」

 

「なんだか知らないけど気持ちが昂ってるのよ!」

 

「わたしを説得させる理由には一ミリもなっていないぞ?」

 

「マキもよくはわからない!」

 

マキだけが感じている感覚ではない。それは決勝戦という大一番だからでも、強敵との試合だからでも無い。

 

「楽しいんだろ」

 

「っ! それだ!」

 

クララがマキの思っていることを何となく観察して口にするとマキは難問を解いたかのような顔でそう反応した。

 

「ここ最近は色々と背負うものが多くてやたら重い試合が続いていたからだろう。純粋に楽しめる試合の空気に身体も浮かれてるんだろうな」

 

クララはマキが言語化できてないであろう内容を全て説明してあげることでマキの頭を整理させて普段通りのマキを取り戻させた。

 

「鬼道も笑っているようだしな……フフ。浮かれるのは勝ってからにしてほしいものだ」

 

クララは口角を少しあげて微笑み、後方から走り出した。

 

 




クララ「マキが自分で気付かないほどにはウキウキしていた」

杏「お前も実は楽しいだろ」

クララ「まさか、私は平常心だ。お前は浮かれてるけどな」

八神「いや、二人も楽しんでるのは客観的にみてる私からしてもわかるぞ?」

クララ「……」

杏「何ちょっと恥ずかしがってるんだか…」

クララ「クールでいつも平常心なツッコミとボケのユーティリティプレイヤーが私のポジションなのに…」

杏「充分達成してるわ! ただ言うほどクール系ではないぞ!?」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝戦リトルギガント 強敵ロココ

マキ「こちらをご覧ください」

筆者「その黒いボールは!」

マキ「マキ宛てに読者からAm○zonで送られてきたのよ」

筆者「よそ、それは保存用あるいは観賞用にしよう」

マキ「いや、使うわよ?」

筆者「待て待て待て、マジで粉砕玉砕大喝采する。俺の全身の骨が」

ヒロト「まあ次投稿速度止まってからでいいんじゃない?」

筆者「延命! めちゃくちゃ怖い延命!」


 鬼道がボールを持ったまま先制点をもぎ取るために盤面を整えていく。グランドファイアを打てる態勢を敷きたいのだが相手もそれを警戒しており三人同時にフリーになる場面は早々現れない。ならば花瑞を前に出してマキ、ヒロトと合流させてザ·ギャラクシーを狙いたいが相手はそれも把握しておりヒロトのマークは他よりも手厳しいものになっている。

 

「花瑞、前に出てくれ!」

 

「はい!」

 

鬼道は花瑞が自身を追い越すタイミングを見計らいボールを虎丸へと渡す。花瑞の動きに合わせて警戒の緩まった虎丸、豪炎寺がシュート態勢に向かう。

 

「タイガぁぁ!」「ストーム!」

 

「ゴッドハンドX改!」

 

しかし二人のシュートではゴールを奪えない。チーム内最大級のシュートでなければロココからゴールを奪える見込みはやはり無いようだ。

 

「やっぱ凄いなロココさんは……」

 

「花瑞、予め近くにヒロトとマキをつけておいてボールを奪って即座にシュートでもしないと隙がないぞ」

 

「そうみたいだね、取れなかったときの守りはお願いね。クララちゃん」

 

「花瑞なら奪えるさ」

 

ロココからボールを受け取ったウィンディの前に花瑞が立ち塞がる。

 

「真疾風ダッシュ!」

 

「速い! でも、捉えられない訳じゃないはず。ゴッドルーツV3!」

 

花瑞の技を一度、二度と回避して間も無く花瑞の横を抜けようとしたそのとき、咄嗟の判断で花瑞がボールを奪う。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

背後から生えた神の花は抜き去ろうとしていたウィンディを巻き込んで空へと突き上げた。

 

「よし! 行くわよ花瑞!」

 

「三連続の技になるけど頑張ってくれ花瑞!」

 

「はい、ヒロトさん!マキちゃん!……いきます!」

 

 

「「「ザ·ギャラクシー!」」」

 

「ゴッドハンドX改! …っ!」

 

ベータのシュートさえも凌いだロココから、花瑞達が先制点を奪い取った。

 

 

 

「さすがですねぇ、花瑞さんは」

 

「当然さ。でも花瑞一人じゃここまで来れなかった。FFの時もその才能の片鱗こそ見せはしたけど、沢山の仲間に恵まれてここまで来れたんだ」

 

観客席から見守るベータ、アフロディ、そして不動と八神。先の会話は自身のシュートを協力してとはいえ防いだロココからゴールを奪った花瑞への称賛をするベータと、妹が誉められて気分のよいアフロディのものだ。

 

「えらく語りそうな感じだなぁ、お兄さんよぉ」

 

「ふふ、そう言ってくれるな。君だって先ほど鬼道君の判断にかなり語っていたではないか」

 

「あれは批評だ。妹バカなお前のとは訳が違う」

 

「まあまあ、二人とも試合を楽しんでいることに変わりは無いのだから落ち着くんだ」

 

「ほんとですよ~全く、愛が重い人達はこれだから」

 

「やめろベータ、まだ種火なんだから煽るようなことをするな」

 

八神はベータの口にポップコーンを詰めて黙らせた。

 

「モグモグ、この時代はこんないかにも利益重視のイベント価格なジャンクフードでさえ美味しいんだから恵まれてますよねぇ…」

 

「む、未来の食事情は違うのか?」

 

「結構壊滅的ですよ? まあ主に私がさんざん話してる相手との戦いで美味しいものより栄養とか備蓄性、量産性とかを重視した人工物が多いのが原因なんですけどね~」

 

「そうか……アフロディ、ベータと一緒に観戦用の食べ物を追加で購入してきてくれ」

 

八神は未来の境遇を聞いて今だけでも美味しいものをたくさん食べさせてあげたくなり、アフロディと不動を一度引き剥がすのも兼ねて二人を買い出しに行くよう仕向けた。

 

 

 試合は1-0で前半のまだ半分にも満たないところであった。再開すると同時に花瑞を避けるようにサイドにボールを展開するとそのままヒロトを抜いて杏の出番が訪れる。

 

「イグナイトスティール!」

 

「エアライド!」

 

残念ながら杏はボールを奪えず抜かれてしまったが、すかさず飛鷹が反応する。

 

「真空魔!」

 

エアライドもお構いなしに吸い寄せてボールを奪った。

 

「やるねぇ、でもなぁ!」

 

ゴーシュがそのボールを素早く奪い去り、シュート態勢に入る。

 

「ファイアトルネード改!」

 

「ゴッドキャッチ!」

 

しかしこのシュートを止められないイナズマジャパンの守護神ではない。余裕のキャッチである。

 

「くっ、さすがだな」

 

「いいシュートだったぜ!」

 

それを遠くから見ていたロココも満足げにこう口にした。

 

「やるなマモル。そうでなくっちゃ」

 

カウンターを仕掛けて追加点を狙うイナズマジャパンはボールを鬼道に託して攻め上がる。

 

だが今度は三人どころか二人での連携シュートすら絶たせるようにマークされており、鬼道はボールを持ったまま前進するしかなかった。

 

「鬼道さん! 私が行きます!」

 

今回も花瑞が出るといい走り出した。しかし今回は一人だ。

 

「ここは行かせないぞ!アースクェイク!」

 

「はあぁぁぁっあぁ! 勝利の女神ニケ!」

 

「な、なんだ!?」

 

花瑞は化身を繰り出して強引に突破してドフリーでシュートを撃ち込む。

 

「ゴッドノウズ·インパクト!」

 

単体最大の威力であろう一撃を放ち、追加点を狙う。しかしロココもこれ以上やらせまいと力を目覚めさせる。

 

「二点目は……やらせない! タマシイ·ザ·ハンド!」

 

「と、止めた!?」

 

花瑞は止められたことに驚きつつも間髪いれずにパスコースを防ぐために移動する。しかし、それはロココの思惑通りだった。

ロココは自分でボールを持って攻め始めたのだ。

 

「フローズンスティールV3!」

 

ロココはクララの技を飛び越えて周りを置き去りする。

 

「いくぞ、マモル!」

 

「来い! ロココ!」

 

「Xブラスト!」

 

「ゴッドキャッチ‥! うぁぁ!」

 

同点ゴールをロココが決めた。

 

「ん~、化身を使いこなせてませんねぇ」

 

「それはアームドが出来てないからか?」

 

「それもありますね~まだ瞬間的な力がうまく噛み合わないとできないようですね~、化身を出すだけならもうナチュラルにできるようですけど。まあこの時代にそれが出来るのも前人未到なんですけど」

 

 

「二年後には使いこなせてるさ、花瑞ならね」

 

「そうしてもらわないと困ります。彼女に勝つにはそれしかないと思うので」

 

アフロディは花瑞ならその先にもいけるのではないかと信じている、ベータももしかしたらという気持ちはあるし、そうしてもらわなければ世界そのものに関わるのだ。

 

 




ベータ「いや~ポップコーンにフランクフルト、コーラとか色々ジャンキーな美味が多いですね~」

八神「フランクフルトといえば花瑞も好物だな」

クララ「あ~、ヒロトの……」

杏「いやなに意味深に止めるんだそこで」

クララ「まあそんなものだし」

八神「誤解を招くような言い方……いや、どちらとも言えん」

ベータ「未来から見てましたけどあれは……」

杏「お前まで意味深に止めるな! あと誰も庇うやついないんだな元ジェネシスキャプテンなのに」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝戦リトルギガント  執念のロココ

マキ「じゃーん!」

筆者「なんでまたボール来てるの!?」

マキ「いや~マキのメテオシャワーを期待してる人が多いわけよ」

筆者「頼むから、頼むから勘弁してくれ。死人が出るぞ!」

マキ「じゃあみんなに聞いてみるわ! メテオシャワーを毎回うって欲しいひと!」

筆者「自分以外のの生殺与奪の権限を他人に委ねんなぁぁ!」

ヒロト「みなさんお手柔らかに……」


 1-1で同点となったもののまだ前半の残り時間が五分ほど残っている状況。個人技ではややリトルギガントに軍配が上がる場面も見えるものの、花瑞等の活躍により個人でもチームでも引けを取らない戦いを繰り広げている。

個人同士でのボールの奪い合いでは中々決着がつかない程に拮抗している選手間の実力を即座に誰かがフォローに入ることでイナズマジャパンが現在ボールを保持していた。豪炎寺がボールを持ちいよいよシュート態勢に入ろうとヒロト、虎丸が集結しようとしたそのときであった。

 

「ブレードアタック!」

 

ロココが飛び出してボールを奪いに来たのだ。豪炎寺は咄嗟にボールを鬼道に渡したがそこで簡単に点を取らせないのがリトルギガントである。

 

「必殺タクティクス サークルブレードライブ!」

 

鬼道を囲うように選手が周りを走り、少しずつその場所をイナズマジャパンゴールに移していた。

 

花瑞達はボールを持っているのが鬼道のために迂闊に必殺技で割り込むこともできず、このタクティクスが終わるタイミングに備えて守りを固めるしかなかった。

 

このタクティクスの終わるとき、既に前線に合流していたロココがボールを持っていた。

 

「確実に止めないとまずいぞ」

「そんなことわかってる!」

 

クララと杏が花瑞にタイミングを合わせる。

 

「スティールルート!」

 

地上のロココに向かって杏が滑り込むが、ロココはXブラストを打つために飛び上がる。そこをクララが追いかけてボールをかっさらおうとしたとき、ロココはボールをドラゴへと渡した。

 

「しまった!」

 

間髪いれずにドラゴがシュートを放つ。

 

「ダブルジョー!」

 

「ゴッドキャッチ! っく」

 

ボールは弾かれて再び空に放り出された。誰が先に動ける、誰が先にボールに触れられる。

 

「ファイア……」「真空…」「メテオ…」「間に合わない…!ゴッドル…」

 

 

 

 

 

──「トルネード!」

 

ゴーシュが一番早かった。しかしこのボールを止められない円堂ではない。

 

 

「ダブルジョー!」

 

が、ここにドラゴの技が加われば別であった。空中でのボール確保に力を注いでいた花瑞や飛鷹はブロックに入れず、円堂のゴッドキャッチはギリギリのところで破れた。そして前半終了のホイッスルが鳴った。

 

 

 

 

「くっそ~、あと少しで止められたんだけどなぁ!」

 

円堂は悔しそうだが次は止めてみせるという言葉を出すまでもなくそう思っているのだろうと周囲は理解しており、話を先に進めた。

 

「個人での能力では相手が優勢、こちらはチームプレーで動こうと思っていたのたが……最後に思わぬ動きをされてしまった」

 

鬼道は後半からの作戦を前半最後に見直しを迫られることになり次の手を考え込む。

 

「今までの積み重ねの中に答えはある」

 

「監督……よし、後半はまずすぐに同点に持ち込むぞ」

 

 

 

後半開始、ボールは即座に鬼道に渡されてそこからは空中でのやりとりが始まった。前に後ろに縦横無尽のパス回し、先程のような囲む隙など与えない。そして豪炎寺、虎丸、ヒロトが集まりつつ花瑞、マキもヒロトに接近する。

 

「グランドファイアもザ·ギャラクシーもやらせないぞ!」

 

ヒロトを中心に強力なシュートを一人で撃てる花瑞も厳重にマークされる。

ボールは豪炎寺と虎丸の間に渡される。

 

「よし、ロココ止めてくれ!」

 

「任せろ!」

 

タイガーストームを止めるつもりでいたロココ達に想定外の事態が起こった。

 

「たぁぁぁ! ジェットストリーム!」

 

円堂がシュートに参加しているではないか。ノーマークだった円堂が加わり新たな必殺技を放ってた。

 

「タマシイ·ザ·ハンド!」

 

奇襲となったこのとっておきのシュートは見事に決まり、後半早々にゲームを振り出しに戻すことに成功した。

 

「ふっ、やりおるわい。こっちもそろそろ仕掛けるとするか」

 

ダイスケは選手の交代とポジションの変更を伝えた。

 

「ロココがフォワードになったか…」

 

「攻撃力は上がるかもしれんが、防御はどうなるかわからん。チャンスに変わるかもしれんな」

 

豪炎寺と鬼道は既に知っているロココの攻撃力よりもキーパーになったケーンの実力が気になっていた。ロココはすごいキーパーだ。そのサブとして出てきているならばもしかしたらロココより点を取れるかもしれない。だが、もし同等かそれ以上ならば……自信満々にこの交代をしてきた以上その可能性もあるということだろうか。

 

 警戒心を強めて試合再開、やはりロココのオフェンスとしての能力は秀でている。これでキーパーとしてもあれほどの力を持っているのだから恐ろしい。容易く豪炎寺、虎丸、鬼道と抜いていくと花瑞が立ち塞がる。ここを突破されれば一気に降りになるがここを守れれば逆転のチャンスでもある。

 

「ゴッドフラワーG4!」

 

「止められるわけにはいかない! ドラゴ!」

 

「おう! エアライド!」

 

「通しません!」

 

「くっ……まだまだぁ!」

 

行く手を阻むゴッドフラワーを前にエアライドで大幅に迂回する。

 

「クララちゃん! 杏さん!」

 

「スティールルート!」

 

その迂回先を潰すように花瑞はさらに必殺技を使うという離れ業を見せる。しかし、ロココの執念はこの追撃を巧みに回避して突破した。

 

「そんな!」

 

「Xブラストぉぉ!」

 

「くっ、ゴッドキャッチ!」

 

魂の一点とも言える反撃で再びリトルギガントがリードした。

 

 

 

 




ベータ「実はベータちゃん宛にも何か届いてたんですよね♪」

クララ「これは、マッ缶だな」

ベータ「マッ缶?」

クララ「マックスコーヒーっていう甘めのコーヒーだ。うまいぞ」

杏「箱でもらってるじゃないか、私にもひとつ分けてくれないか?」

八神「ここにいるのは全員マックスコーヒー好きなのか? これはプロモーションでも含んでいるのか?」

クララ「そんなわけないだろ、あっそうだ。私宛にモンエナも募集するわ」

杏「いやここそういうんじゃないから!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝 リトルギガント 第二の壁ケーン

筆者「滑り込みセーフ!」

マキ「ちっ」

筆者「なんで悔しそうなんだよ!」

マキ「せっかくもらったボールを打てると思ったのに」

筆者「この子目的と手段が逆転してる!?」

ヒロト「ちなみに筆者は今日テンションが低かったので慌てて作ってた」


 2-3…後半残り半分のところまで進んだ決勝戦での得点である。

まずは同点にしたいイナズマジャパンであったが、ロココの代わりにキーパーとして出場したケーン相手に苦戦を強いられていた。

 

 

「新ゴッドハンドX!」

 

「くっ、これもだめか!」

 

ロココがフィールドプレイヤーに加わり動きが軽快になり、尚且つ三人での必殺シュートを打たせないよう徹底してきたリトルギガント相手になかなか一点が奪い取れなかった。

 

ここまでタイガーストーム、化身なしゴッドノウズインパクト、グングニル、ウルフレジェンドが止められ、逆にイナズマジャパンはそのカウンターをクララや花瑞のを筆頭とした守備で何とか防いでいた。

 

そして今、再びロココがボールを手にして追加点のチャンスを得ていた。

 

「ここで決める! Xブラスト!」

 

「はぁはぁ……ゴッドフラワーG4!」

 

攻守で活躍を続けていた花瑞も流石に体力の底が見えはじめていた。威力を減少させ円堂へと後を託す。

 

「ゴッドキャッチ!」

 

その思いに答えるように円堂はゴールを守り、杏にボールを渡した。

 

「やらせるか!」

 

ドラゴのスライディングによりボールは外へと転がり、イナズマジャパンのスローインから再開になる。

 

「調子はどうだ、いけそうか?」

 

「はい、俺ならなんともありません」

 

「よし、ここで行くぞ」

 

イナズマジャパンこの試合初の交代である。下がるのは飛鷹、そして入るのは……

 

「黒嶋さん!」

 

「花瑞は一度飛鷹のいた位置に下がれ、速攻で仕掛ける」

 

「わかりました!」

 

杏がスローインを行い、ボールは黒嶋が受けた。

 

「行かせないよ! ブレードアタック!」

 

「アグレッシブビート!」

 

ここまでこの試合一二を争う活躍をしていたロココをそのスピードで突破して後続を寄せ付けないドリブルでまさしく速攻を仕掛けていた。

 

「久々の試合なのに全く衰えてませんねぇ」

 

「誰のせいで久々なんだと思ってるんだ…」

 

呑気に観客席で黒嶋の復帰早々の活躍にコメントするベータとツッコミを入れる八神である。そんな外でのやり取りの間に黒嶋は敵陣深くに潜り込みシュート態勢に入っていた。

 

「フレームストリーム!」

 

豪炎寺との必殺シュートが炸裂。果たしてこのボールはどうなるか。

 

「真ゴッドハンドX!」

 

なんとこのボールもケーンは止めて見せた。

 

「大丈夫だ、勢いはこっちにある。黒嶋、次は俺にボールをくれないか?」

 

ヒロトはそう黒嶋に伝えた。

 

「策があるんだな、任せた」

 

リトルギガントのメンバーもかなり消耗している。そこに体力満タンの黒嶋のスピードで迫られればそれを凌げるものも多くはない。さらに今はリトルギガント側のコート、最前線から攻守をこなせるもう一人の男吹雪もいる。

 

「スノーエンジェル!」

 

その吹雪の技を回避するためにボールを他の渡した瞬間に黒嶋が現れるのだ。

 

「ワンダートラップ!」

 

ボールは手に入れた。あとはヒロトの位置だが既に完璧な位置取りで待機していた。

 

「ヒロト!」

 

「よし! 天空落とし!」

 

ここに来てヒロトが単体での必殺シュートを放つ。しかしその威力は絶大だ。

 

「真ゴッドハンドX!  っ!」

 

ケーンの真ゴッドハンドXをヒロトが破った。後半は残り10分。同点に追い付いた。

 

ロココは再びキーパーに戻った。FWには控えていたリューが入った。

 

「時間も少なくなってきた。次の一点が決勝点だ」

 

鬼道はこの交代からそう相手が判断していると推測した。こちらもポジションを黒嶋と花瑞の位置を入れ換えて花瑞を元の位置に戻した。

 

黒嶋のスピードならロココが来ても充分に対応出来るであろうという判断だ。

 

「イナズマジャパンはスゴい、だけど最後に勝つのは俺達だ! もうどんなシュートも入れさせはしないぞ!」

 

ロココの気迫がより一層増していた。




ベータ「ん~、なかなか見応えのあるいい試合ですね~」

八神「随分上から目線な言い方だな…」

ベータ「まあ私の方が強いですし?」

杏「試合では負けたのによく言う」

ベータ「単体戦力では無双でしたけど?」

クララ「いや、こっちにも最大火力では匹敵する花瑞がいるし」

ベータ「いやほんと……あの遺伝子……」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝 リトルギガント 世界一最後の壁 

筆者「いやー!二日ほど忙しくてすまんなぁ!」

マキ「リアルの事情を知っていると蹴りづらい…だが、リアルの事情なんて読者は知らないのよ!代表として行くわ!」

筆者「うっそだろ!? おま、知ってて蹴るのか!」

マキ「喰らえ!読者様からの頂き物 改造済みエイリアボールのメテオシャワーV3!」

筆者「最高火力でうつなぁぁぁ!ぐへぇぉ!?」

ヒロト「今回、最終回」

マキ「マジ!?」


 ロココがキーパーに戻った。その気迫は今日一番のものであり今までの流れを全てリセットするかのような力を持っていた。

 

「天空落とし!」

 

「タマシイザハンドG2!!!」

 

つい先程ケーンの真ゴッドハンドXを破ったばかりのヒロトの必殺シュートも簡単に止めた。一方イナズマジャパンも円堂がドラゴの必殺シュート「ダブルジョー」をガッチリと止められる。ロココが黒嶋の投入で迂闊に出れなくなったことでお互いシュートは決めさせないがこちらも決められないという状態に陥った。

こんなとき勝負を決めるのはやはり勝ちたいという強い気持ちだ。

 

「グランドファイアG2!」

 

「うぉぉぉぉ! タマシイザハンドG2!」

 

これも止められる。イナズマジャパンの持てる最大のシュートを持ってしても簡単には通さない。

 

「ザ·ギャラクシー!」

 

「タマシイザハンドG2!」

 

断固としてこのゴールは入れさせない。ロココの執念がそのまま力となる。

 

「花瑞! このままじゃ埒があかないわ! あの化身アームドってのは出来ないの?」

 

「やってみる…あのときの感覚を、なんとか再現できたらいいんだけど…なんとか集中できる時間が欲しい……」

 

「なら、もうそこに試合の流れを無視して突っ立っててもいい! あれを破るには花瑞の可能性にかけるしかない!」

 

マキは極端な言い方ではあるがそう伝えて花瑞に託した。

 

「他のみんなでその間はカバーする。あと一点、この今は道が見えてこない一点が必要。試合終了に間に合えばいい。頼む」

 

クララもそう言ってボールを奪いに向かう。

 

「大丈夫だ、それまで一点も取らせはしない」

 

黒嶋がそう伝えて相手からボールを奪い取った。

 

「マキ!」

 

「ふふん、とは言ったけど……マキだって別に自分が決めるのを諦めた訳じゃないんだから!! グングニルV3!」

 

「やらせない! タマシイザハンドG2!」

 

 

花瑞は目を閉じて集中をはじめた。

 

『みんなの気迫が伝わってくる。これはマキのだ。今、一人でシュートした。ロココさんの気迫が今一番このフィールドで強い……この気迫を上回らないと、絶対にゴールは奪えない』

 

目を閉じて集中する花瑞を避けて試合の流れがリトルギガントの攻撃に変わる。

 

『今ボールを持ったドラゴって人が私を追い越した。黒嶋さんが奪い返した。

………一度化身を出そう』

 

「勝利の女神 ニケ!」

 

先程まで立ち止まっていた花瑞が唐突に化身を出したことでリトルギガントは一瞬驚いた顔で視線を花瑞に集める。

その視線を感じ取った所から花瑞はこのフィールド全体にまで行き渡っていた意識を自分の心の中に全て向けた。

 

『勝ちたい。私だって、皆だってこの試合を勝ちたい。最高の舞台で、最高の相手との試合。これに燃えない人はいない。だから、そのために! 私は化身の力を……自力でアームドしないとダメなの! いや、絶対にする!』

 

花瑞から化身のみならず周囲を圧倒するオーラが溢れる。ただその場で立っているだけなのにその力は徐々に強まっていき、ロココの気迫に迫る。

 

「勝つ! 絶対に勝つ! この試合に勝つのは、私達イナズマジャパン! そして、私がその勝利に導きます! アァァァムド!」

 

フィールドどころか観客席にまで花瑞の気迫が伝わり、観客すらも怯む。

 

「驚きました…いえ、別に彼女の圧にじゃないですよ? こんなに早くアームドに成功したことです」

 

ベータはにんまりとした顔でそうアフロディ達に言った。

 

 

「あれが化身アームド…美しい姿だ」

 

初めてアームドを見たアフロディは思わずそう呟いた。

 

「やれやれ、フィールドに立ったまんま動かなくなったときはどうなるかと思ったけど、間に合うとはなぁ?」

 

不動はそう言っているがわかっていたような様子だ。

 

「全く、いつも驚かせてくれるな…花瑞は」

 

八神もそんな感想を呟いて微笑んでいた。

 

「それにしても、何ですかねほんとこのオーラの質……圧倒的な力の差を皆さんは感じているはずなのにどこか暖かい。邪念が全然感じないんですもの」

 

「それが花瑞というだけのことさ。最もいくら優しい力でもこれだけの力が急に自分の身体を通過したら普通は怯みもするさ」

 

このスタジアム全体に伝わったオーラはまるで波が引くように一点に集まって戻っていく。全ての力をその身に纏い、化身アームドした花瑞が動き出した。

 

 

 

「こい! 花瑞!」

 

「……いきます!」

 

「全く……露払いくらいはさせて貰うわ! メテオシャワー!」

 

マキはキープしていたボールを花瑞に渡す前にリトルギガントディフェンスに向けてお見舞いする。花瑞を遮る選手が消えたところでパスを出した。

 

 

「絶対決めなさいよね! 花瑞!」

 

「もちろん、一撃で勝負を着けます!」

 

ボールを持った花瑞が天を舞う。

 

「ゴッドノウズ·インパクト!」

 

「タマシイザハンドG4!」

 

圧倒的質量のぶつかり合いであった。大地は揺れ、人を吹き飛ばすほどの衝撃波が発生した。

 

「俺達が……勝つんだ!」

 

もうとっくに勝負が決していても不思議ではないほどの力の差ではあった。それでもロココは粘った。

 

「負けない…負けないぞ……」

 

しかし、勝つという気持ちから負けないという気持ちに本人も気づきないうちに変わった瞬間、ボールはタマシイザハンドを破り、ゴールネットを突き破り、スタジアムの壁に大きな穴を開けて止まった。

 

── 一泊ほど間が空いたあとに試合終了のホイッスルがなった。

 

「はぁはぁ……やっ…た」

 

今にも膝から崩れてしまうほど今の一撃に力を出し尽くした花瑞が勝利のガッツポーズを決めようと拳を上げる。

 

「あ、あれ…」

 

が、上体がフラついて視界が空に変わる。直後に背中を支えるものが現れる。背中を支えたマキはまだ笑うのをこらえたような顔で花瑞の右腕に自身の手を添えた。

 

「全く、最後くらい決めなさいよね! マキたちの……イナズマジャパンの優勝よぉ!!」

 

そして、右腕を大きく突き上げさせてそう叫んだ。

 

会場から大きな歓声が聞こえる。

 

「おめでとう、俺は最後の最後で勝つって気持ちで勝てなかったようだ……」

 

「あ…ロココさん…最高の試合でした。……ありがと……ございま」

 

「ちょ、あんたまた力出しきって倒れるつもり!? これから記念写真とか色々あるんだから耐えなさい!!花瑞ぃぃぃ!」

 

「その差なのかもしれない。俺は今こうして立っている。シュートをする側を見てから力を配分できるのに倒れるほど力を出し切れなかったのかもしれない……成し遂げたいことのために文字通り力を振り絞れるのも、彼女のスゴさなんじゃないかな」

 

「あぁ、それが花瑞の魅力のひとつさ。だからこそ皆で助け合わなきゃいけない」

 

ヒロトはマキから花瑞を取るように肩を抱き寄せておんぶする。

 

「あ、このやろぉう! どさくさ紛れて!」

 

マキは怒ったような素振りを見せるが取り返そうとしたりはしなかった。

 

「ったく、今日くらい許してあげるか」

 

「お前は花瑞の父親か!」

 

「このツンっとしたツッコミは杏ね」

 

「私だけどツンっとしたツッコミってなんだ!?」

 

「クララのはもっと辛辣なのよ!」

 

「おい争うなツンツンコンビ」

 

「ほぉら来た! あとツンツンコンビってなによ!」

 

「わかってるだろ…言わせるな」

 

「私らをコンビにしたら今のお前はぼっちだ!」

 

杏が訳のわからない反論をする。

 

「残念、私達はみんな仲間だ。最高のチーム、イナズマジャパンのな」

 

「いい感じにしめるなぁぁぁ!」

 

「三人とも撮影が始まるぞ! 早く来いよ!」

 

「ほら、キャプテンも呼んでることだしいくぞ」

 

「「釈然としない!」」

 

 

このあと撮られた写真には花瑞の綺麗な寝顔が写ることになった。白雪姫のようにキレイで、それでいて成し遂げた満足げな笑みを浮かべた奇跡の一枚だ。

 

 

 

 

 

 

~世界への挑戦編 fin~




八神「終わったのだな……」

ベータ「ええ、これで世界への挑戦は終わりました。ですが、まだすることはあるでしょう?」

杏「二年後にお前の手伝いか」

ベータ「はい、それまでに皆さんパワーアップしてくださいね?」

クララ「さて、じゃあそろそろ準備するか」

ベータ「はて、皆さんなんの準備を?」

八神「あぁ、転校の準備だ」

ベータ「転、校?」

クララ「私たちも学校に通うんだ、瞳子が世界大会前から準備しててようやく全員分の用意が済んだんだ」

ベータ「へぇ~、そしたら来年のFFは面白くなりますね~♡」

杏「お前はどうする?」

ベータ「ん~未来の技術で誤魔化しょうかね~もちろん試合には出ないですけど」

八神「じゃあ、また試合で会おう」

ベータ「あら、バラバラの学校なんですね」

八神「ひとつの学校に受け入れられる人数じゃないからな……皆で話し合ってどこに行くかは決めたんだ」

ベータ「大変ですね~私も歴史に影響しないよう配慮しつつお邪魔するのでよろしくお願いしますね♡」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章 未来の破壊者エリカ編
新生! 鬼怒川中学サッカー部


ヒロト「あれ、今日は俺らだけか」

筆者「あぁ、今日は雨も降らずに済みそうだな」

ヒロト「ところで、この話はあとどれくらい続くんだっけ?」

筆者「もうちっとだけ続くんじゃ」

ヒロト「……もしもしマキ、実は今」

筆者「あぁわーったよ! FFとエリカとの決戦がメインだからそんな長いことにはならないと思うよ!」

ヒロト「そっか、それまでに俺は必ず……」

筆者「何かわからんが頑張れよ」


 日本に帰国した花瑞達は一週間ほどテレビなどのニュースで引っ張りだこで大忙しな毎日であった。

そんな取材やらが落ち着いた頃に転校生として四人の人物がやって来た。

 

挨拶の前からざわめく教室。ツンとした彼女は淡々と自己紹介をした。

 

「蓮池杏、ご存知かも知れないけどよろしく」

 

転向先のクラスで素っ気ない挨拶を交わすと席に着いた。

 

「よう、俺は令戸っていうんだ。サッカー部に入るんだろ? 一応司令塔やってるからよろしくな」

 

鬼怒川中サッカー部の一応司令塔の令戸が挨拶をする。

 

「あぁ、サッカー部には入るからまあよろしく」

 

 

 

──隣のクラス

 

「おぃっす、倉掛クララだ。テレビで知ってるかもしれないから詳細は省く。気になるやつは個別に対応する。気が向いたら」

 

わざと癖の強い挨拶をして席に着く。前の席には荒城がいた。

 

「覚えてるか? 一応選考試合では一緒だったんだが」

 

「あぁ、私より弱かった奴の一人か。覚えてるぞ」

 

「何だか覚えてほしくない覚えられかたしてるう?!」

 

「で、なんのようだ」

 

「いや、サッカー部に入るんだろ?挨拶しとこうと思って」

 

「まあ入るけどさ……フフ、お前好きなやついるだろ?」

 

「え!?いや、そんな、なんできゅうに?」

 

年頃の男なんだから大抵はいるだろうに、こんな軽く鎌をかけてからかっただけなのに想像以上にわかりやすい反応にクララは面白がる。

 

「いいのか? 私と話してるとふたりの女にアプローチする男と思われるかもしれないぞ?」

 

「だ、断じてそんなことはないからな!? 俺はチームメイトになるから挨拶をしたいだけだからな!?」

 

「はいはい、ならまた練習のときに」

 

 

 

──さらに隣のクラス

 

「皇マキ、知ってる人も多いと思うけど世界大会でも点を取ったストライカーよ。ここでエースストライカーになってあげるからマキの活躍を楽しみにしてなさい!」

 

サッカー部の挨拶で言うならば頼もしい挨拶なのだが、中にはサッカーに興味がなかったり、大会をあんまり見ていない人がいるかもしれない転校初日の挨拶でこのビッグマウスである。

 

「おい花瑞、代表の仲間はこんなんばっかだったのか?」

 

小声で右隣の席に座る花瑞にマキのことを確認をするのは笑太である。

 

「そうだねぇ、マキちゃんらしいかな~少し気合い入れてるっぽいけど」

 

「こ、これが代表になる人間と俺みたいな凡人の差なのか?」

 

勝手にひとりで次元の違いを感じる笑太、マキは自分の自信たっぷりに用意した自己紹介を真面目に聞いていないこの男の存在に気付いてしまう。

 

「こらそこのタラコ唇! ちゃんとマキの挨拶を聞きなさい!」

 

「わ、悪い悪い! すごい挨拶だったから思わず自分の耳がいかれたかとおもってよぉ」

 

「てか、あんた話してたの花瑞じゃない。もしかしてチームメイト?」

 

「あ、あぁ。笑太ってんだ。よろしくな」

 

「はいはいよろしく、それよりマキ花瑞の隣がいいから席変わりなさい」

 

「えぇ!? う、運良くくじ引きでこんな良い席当てたのに」

 

良い席と言うのは別に日当たりが良いとかではなく花瑞の隣ということなのだが、マキに目をつけられたのが運の尽きか、つい先週獲得したばかりの特等席を奪われることになる。

 

「運で手に入れた待遇なんてのは力で簡単にねじ曲げられるものなのよ! あんたも悔しかったら力で手にすることね!」

 

「そんなことしたら学校のルールがめちゃくちゃだぁぉ!」

 

笑太は泣く泣く廊下側の端っこの席に移動した。

 

 

 

 

───さらにさらに隣のクラス

 

「ざわ…ざわざわ」

 

「うわ、めっちゃ可愛い…」

 

「はぁ~い、みなさん初めまして♡ 転校生のベータでぇす♡ まだ何にもわからないのでみんなから色々教えてほしいな♡」

 

ベータは全力で可愛い子ぶり男子生徒の心を鷲掴みにしていた。

 

「「うぉぉぉ!」」

 

「……騒がしくなりそうだ」

 

鬼怒川中GKの黒岩は熱狂する男達の中で唯一冷ややかな目でこの状況を観察していた。それに気付かないほどベータはただのぶりっ子てはない。

 

「あ、私の席どこかなぁ? あ、あの端っこの席ですかね? 失礼しま~す♡」

 

「……」

 

「サッカー部のぉ、黒岩さんですよね♡ わたしぃ、サッカー部のマネージャーになりたいんですけどぉ……放課後案内してくれませんか♡」

 

「……勝手についてこい」

 

他の人にはわからないようにベータは自分が可愛く見えるような奇跡的アングルからの上目使いで話しかけ、黒岩は他人からは視認できないほど僅かに頬を赤らめていた。彼もまた落ちたのだ。

 

『このクラスの男子は制圧完了♡』

 

ベータはなに不自由ない学校生活のために平和な手段で自分の地位を築いていった。

 

 

放課後、グラウンドには鬼怒川中ユニフォームを着た転校生三名とジャージ姿のベータがいた。その四人を紹介するように令戸が前に立っていた。

 

 

「と、言うわけで選手として皇さん、倉掛さん、蓮池さんの三人。マネージャーとしてベータさんが入部してくれた。我がサッカー部はゼウス中との試合やエイリア学園との騒動で先輩が全員退部してしまったが、改めてここから一歩を踏み出していこう!」

 

「へぇ、あんたがキャプテンなんだ」

 

「え?」

 

杏が意外に思いついグサッとくるようなことを聞いてしまう。

 

「実力的には花瑞よね?」

 

「う?」

 

マキもつい悪気はないのだが追撃となるようなことを言ってしまう。

 

「二人ともやめたげろよ、実力では負けててもキャプテンにはなれるんだからさ。選考試合にすら呼ばれないほど実力差があっても」

 

「ぐはっ!!」

 

フォローすると見せかけて上げて落とすとどめの一撃をクララがわざと喰らわせる。

 

「もぉ、そんなひどいこと言っちゃダメですよ? これからみんな仲間なんですから♡」

 

が、この状況を幸いとばかりにマネージャーになるベータが優しい子アピールをして得点を稼ぐ。

 

「うぅ……まさかこんな言葉の暴力を受けるとは……」

 

「元気だしてください♡」

 

「うぅ、転校生でまともなのは君だけか……」

 

令戸は思わず涙が出てしまう。

 

「いいなぁ……俺のクラスにもベータちゃんが良かったなぁ」

 

「なぁにたらこ、マキじゃ不満なわけ?」

 

「たらこじゃねぇし! そりゃルックスも性格もベータちゃんの方がいいんだもん!」

 

「こいつただのぶりっ子だから! 男子全員騙されてるから!」

 

夢も見せぬマキと夢を見せてくれるベータなら、まあ大抵の男子はベータを選ぶだろう。

 

「みんなそこまで! 練習始めよ?」

 

花瑞がパンッと手を叩いて周りを静止させ、練習を開始させた。

 

「……やっぱり花瑞がキャプテンの方が向いてるんじゃない?」

 

マキは一連の流れを見てアップのランニングをしながらそう思った。

 




花瑞「ヒロトさんは来なかったんだ…」

マキ「あ~、それなんだけどさ。最大でもひとつの学校に三人までにしよってなってさ」

花瑞「うん…ベータちゃんは例外ってことね」

マキ「そうそう。で、ヒロトは最後の年に花瑞と戦いたいんだって。だから雷門に行ったわ」

花瑞「そうだったんだね! なら、私も頑張らなきゃ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

即バレ? ベータの本性

ヒロト「大量にエイリアボールが届いてるんだけどどうする?」

筆者「もうそこに閉まっといてくれ、できればマキには見つからないように段ボールにでも隠してさ」

マキ「呼んだ?」

筆者「うわびっくりした!? どっから出てきた」

マキ「移動用のエイリアボールそろそろ取り替えようかと思って」

筆者「いやもうバレてる!? なんなら私的利用されてる?!」

マキ「大丈夫大丈夫、あんたに当てるようのは別に保管してるから」

筆者「輸入禁止ぃぃ!」


 フットボールフロンティア本戦に勝ち進んだ選手、エイリア学園との死闘をくぐり抜けた選手、そして世界大会で切磋琢磨した選手の間には大きな開きがあった。

 

「ブリザードキャノン!」

 

「アイスブロック」

 

「くっそぉぉ! また止められたぁぁ!」

 

「本職ディフェンダーの私に負けるなよ本職フォワードの荒城」

 

「ち、ちっくしょぉ! もう一回だぁ!」

 

クララは少しばかり荒城を気に入っていた。クラスが同じこともあるのだが、からかうと面白い反応を示すからだ。そして偶然にも同じ氷系の技を使う選手であり、直接合間見えることはなかったがエイリア学園と戦った選手でもある。

 

「グングニルV2!」

 

「ダブルロケット! …ぐ」

 

「うわぁ、すごいなぁ~! 俺のとっておきのシュートなんてもっと軽くいなされちゃうのに!」

 

ロングシュートでこのチームの正ゴールキーパー黒岩の渾身の技を容易く撃ち破るマキ、そして久々の登場となる明太陽がそのシュートをみて感心している。

 

「これくらい当然よ! 目指すは来年のフットボールフロンティア優勝でしょ? 円堂に立向居、治もいるんだからもっと強くならなきゃ」

 

「……これが世界クラスのシュートか」

 

ゼウス中の前に手も足も出ず破れ、ジェミニストームとの試合で重症を負い、ダークエンペラーズに堕ちてゴールを守った黒岩ですらマキの単体シュートに手も足も出ない。

 

 

 

 

 

「イグナイトスティール!」

 

「ぬわ!」

 

「令戸、指揮はそこそこだがキープ力も無ければ強いシュートもディフェンスもない。このままではクララ辺りに司令塔の役割もろとも取られるぞ」

 

「くっ、なんてキレなんだ」

 

「試合全体の流れを見て二手三手先をみて指示を出せとは言わないが、クララの観察力の方が優れてるように見える」

 

「な、なあ。天才ゲームメーカー鬼道さんと一緒に試合したんだろ? 正直どうなんだ?」

 

「さっきの要求しなかった二手三手先に加えてボールをキープする力もあって強力なシュート技の構成員にもなる」

 

「さすが天才……」

 

「っ! 悔しいとかは無いのか!」

 

「──っある!」

 

「ならいい、練習を続けよう」

 

 

休憩をするためにベータからドリンクを受け取る花瑞、ベータはにこやかに話しかける。

 

 

「最初はどうなるかと思いましたけど案外みんなまとまるものなんですねぇ」

 

「サッカーが好きなのはみんな同じだからね」

 

「……花瑞さん、練習終了後付き合ってください」

 

「え? うん、いいよ」

 

 

 

──日が沈み、部の練習が終わったあと花瑞とベータは一足早く離脱して人気の少ない体育館裏に場所を移した。

 

「化身は、まあ出せますよね」

 

「うん、それは大丈夫」

 

「アームドは、まだ安定してませんか?」

 

「そうだね、まだリトルギガントの時みたいに時間がかかっちゃう」

 

「そう、それですととても使い物にならないので私が直々に指導しちゃいます♡」

 

「ほんとに! ありがとう」

 

「未来の世界では化身の習得方やアームドもマニュアル化されてますから、それを一からやっていけば今より化身を出すのだけでも少ない負担になるでしょうしアームドも会得できるはずですよ」

 

「よろしくね、ベータちゃん! 私は感覚でしかまだ化身のことわかってないからしっかりと教わらないと」

 

「天然物の化身使い、未来でも結構貴重なんですよねぇ。それをこの時代に……ほんとうにあなたは規格外です」

 

最初の一日は化身というもののおさらいを行い、終了となった。その間、化身を出したままという条件付きの座学であった。それが終わると二人は下校した。

 

──その頃、グラウンドではまだ練習を行っている者がいた。

 

「ブリザードキャノン改!」

 

「ダブルロケット」

 

「ニコニコサンシャイン!」

 

「ショットアボウキャッチ」

 

黒岩、荒城、明、そして令戸と笑太であった。

 

「そろそろ切り上げるか、最終下校時刻も過ぎてるし」

 

令戸が時計を見てそう告げる。

 

「はぁはぁ……頼む、あと一回だけやらせてくれ」

 

「頑張りすぎるなよ、荒城」

 

「ブリザードキャノン改!」

 

「あっ!?」

 

「まずい!!」

 

自分を追い込みすぎたのか、荒城のシュートはゴールから外れ、不幸にもボールの軌道上にはベータの後ろ姿があった。

 

「あぶなーーーーい!」

 

笑太は暗くて誰だかはわからないが人がいたので叫んだ。

声に気づいたベータが振り向くと目の前にボールが迫っていた。咄嗟にボールを恐ろしく早く蹴りあげて空の彼方へと消し去った。

 

「……へ?」

 

荒城だけがその恐ろしく早い蹴り技を見逃していなかった。

 

「お、おい今のみたか?」

 

「わ~びっくりしたぁ♡ 目の前でボールがそれてくれたから良かったけど当たるかと思っちゃいました♡」

 

ベータは自分がお前らより強いサッカープレイヤーだと悟られぬよう咄嗟に取り繕う。

 

「ベータちゃんだったのか、よかった。怪我はない?」

 

「はい♡ 先程も言った通り目の前でボールが逸れたので」

 

「え、いや…いま蹴った…」

 

「荒城さん、何か言いましたか?」

 

「いえ、なにも……」

 

荒城だけは理解した。転校生四人全員が危険人物であり、このベータこそ一番の地雷だということを。

 

 

 




ベータ「あぶねぇ、危うく俺の力がばれるところだったぜ」

杏「なぜ隠す必要がある」

ベータ「考えてもみろ、俺様の力を知ったら試合に出さないわけがない! マネージャー程度ならいいけどフットボールフロンティアで結果でも残したら歴史がおかしくなるだろ!」

クララ「なら大人しく花瑞の家にでも二年間引きこもってれば良かったのに。引きニー生活も案外たのしいぞ」

ベータ「一応言っておくけどお前らの成長度を見るためでもあるんだからな! エリカと戦えるかの!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

時は加速しフットボールフロンティア開幕!

筆者「えぇ~昨日は突如として世間一般で言う残業に該当するようなもので日付を跨ぐまで労働に従事していた為に、帰ってから残りを書き上げようと八割ほどで書き留めてたこの話を投稿できませんでした」

マキ「リアルな暗い話マキ嫌いなんだけど?」

ヒロト「露骨な同情狙いはマキには逆効果なんじゃないか?」

マキ「その通り。疲れた身体にすぐに効く、メテオシャワーを喰らいなさい!」

筆者「仕事全うしただけなのにぃぃ!」

マキ「こっちもこれが仕事みたいなもんよぉ!」


 マキ達の加入後お互い切磋琢磨しあい少しずつ成長しながらあっという間に時は過ぎ、新一年を迎えるも実力差的に即戦力となる選手もいなかったのだ。なぜかフットボールフロンティア準決勝まで進み、尚且つ世界大会に出る選手まで居るこのサッカー部への入部希望者はそう多くもなく、花瑞達二年メンバー+新一年生でフットボールフロンティアに挑むこととなった。

 入部したのはいずれも女子で、足の速さなら男子にも負けないと自負する岸川速香。男子と話すのが苦手だというてっきり女子サッカー部だと勘違いして入部した星原月海。裏表のない元気少女の浜夏天衣の三人のみ。少子化の進む地域の影響がヒシヒシと伝わる。

 

 

 

 

 

 しかし予選では向かうところ敵無しの圧倒的な成績で勝ち進んだ。

予選ではマキが13点、花瑞が14点、荒城が6点、明が1点を奪い、失点は驚異の0点である。

 

 

「練習の成果が出てますね、去年の成績とは雲泥の差です」

 

と、予選の決勝を終えた後に部室でミーティングを開いてベータはタブレットをいじり過去の成績と見比べて全員を褒めた。

 

「でもここからが本番だよみんな。雷門もそうだし他にも強いチームがたくさんいるから。ベータちゃん、決勝トーナメントの情報ってもうある?」

 

花瑞はベータに尋ねた。

 

「はい、とりあえず一回戦の相手が確定したので丁寧にご紹介いたします」

 

ベータは仕入れたばかりの情報をモニターに写す。

 

 

「相手は白恋中、エースの吹雪さんは予選では10得点、さらに、転校してきたゴールキーパーの砂木沼治が6得点、同じく転校生として緑川さんが5点を挙げてます。あと、目だった活躍は無いですけど転校生としてもう一人、凍地愛さんがディフェンスにいますね」

 

「バランスのいいエイリア組の配分だな」

 

クララは割りとフォーメーションとしてどこのポジションにも一人は強力な選手が控えているこのチームのメンバーをみて感心する。

 

「総合力ではこちらが上かと思われますがキーパーの実力は相手の方が上です。現在こちらはストライカーの手数が少なめなので一対一で点を奪える力が欲しいですね」

 

「これ多分俺も明も点を取れないって割りきられてるな…」

 

荒城は何となく察して一人で落胆する。

 

「マキが治から点を奪えばいいのよ! 絶対に負けない!」

 

「まあケアとして花瑞も前に出た方が確実だろう。後ろは私と杏でどうにかする」

 

「任せてくれ、抜かせないから」

 

意気込みは十分、残りわずかな練習期間を存分に使い各々最後の調整に入っていた。

 

「グングニルV3!」

 

「アイクブロックっと…」

 

止められないと判断してすぐにクララは手を引く。

 

「まあこんなものだろう」

 

「治から点を奪えるかどうかが大事なんだけどそれはどっちなわけ?」

 

「やってみないとわかるものか、予選の映像では参考にならない。相手が雑魚過ぎて。だが少なくともマキのレベルは上がってる」

 

「治のことだから、とんでもないパワーアップをしてるはず。マキたちの想像よりもっと強くなってるかも」

 

「そのときは花瑞が決めるさ」

 

「このチームのエースになるのはマキよ! 絶対マキが決める!」

 

「お前実力を認めたり反抗したりいつも忙しいそうだよな」

 

「花瑞は私のライバルなの! いつか絶対マキの方が強くなるんだから!」

 

「まあ頑張れ、頭に血が上って目を真っ赤にして暴走とかするなよ」

 

「そんなことしない!」

 

 

 

 

「はぁはぁ……俺だって、俺だって頑張ってきたんだ…こんなところで諦められるか! ブリザードキャノン改!」

 

 

「そうだ、俺達だって意地がある。 ダブルロケット!」

 

荒城達もまた必死の努力で食らい付こうとしていたのだった。

 

 

 

──試合当日

 

「久しぶりだね、花瑞ちゃん」

 

「吹雪さんお久しぶりです。今日はよろしくお願いします」

 

「お互いが本来のチームで戦うのはこれが最初で最後になるんだね。後悔のない試合にしよう」

 

吹雪と花瑞が試合前の挨拶を交わしている頃、マキと治、クララと愛もまた挨拶をしていた。

 

 

「マキ、久しいな」

 

「治! 今日はマキがあんたからゴールを奪うから!」

 

「ふふ、面白い。そうでなくてはな! 私を楽しませてくれ、マキ!」

 

 

「よぉ愛。お兄ちゃん離れはできたか?」

 

「誰がブラコンだ」

 

「まだ言ってない」

 

「まだってことは言うつもりだったんじゃないか! まあいい、今日は試合に勝ってお前よりわたしの方が強いってことを証明してやる」

 

 

「勝利に貢献してから言えよな」

 

鬼怒川中 スターティングメンバー

 

FW   荒城 マキ

 

 

MF 岸川 明 令戸 笑太

 

 

DF クララ 花瑞 杏 浜夏

 

 

GK 黒岩

 

ベンチ 星原

 

 

 

 

試合開始と同時にマキが仕掛けようとするも、吹雪が颯爽とスノーエンジェルでボールを奪う。

 

「くっ、吹雪さん速ぇ!」

 

一時的には同じチームメイトとしてエイリア学園と対決していた荒城は吹雪の進化したスピードに驚愕する。

 

「驚いてる場合か! 追いかけるのよ!」

 

「わ、わかってる!」

 

吹雪は令戸と明を簡単に抜き去ると花瑞との対決になった。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

「エアライド!」

 

吹雪の後ろから颯爽とあらわれた緑川との連携技で花瑞を飛び越えようとする。

 

「スティールルート!」

 

クララと杏が飛び越える吹雪を追いかけるように花瑞が用意したルートを滑っていく。

 

「くっ……緑川君!」

 

「任せろ! アストロゲート!」

 

ボールを奪われる前に即座に緑川へ託し、緑川は間髪入れずにシュートにいれる。

 

「間に合え!」

 

杏がジャンプして追いかけようとするが黒岩がそれを止める。

 

「シュートは止める。そのあとの動きを始めてくれ。ダブルロケットV2!」

 

緑川のシュートを見事に防ぎ、ボールは杏の元に転がる。

 

「やるじゃん、黒岩」

 

杏から明、そしてマキへとボールが繋がる。マキは必殺技もなしに軽々と相手を抜き去っていき残すは愛のみとなる。

 

「真メテオシャワー!」

 

「ぁぁ!」

 

愛、即突破を許される。

 

「来いマキ! この私が止めてやる」

 

「やってあげるわ治! グングニルV3!」

 

「ドリルスマッシャーV3!」

 

マキ渾身の一撃も治は防ぎ、ボールは弾いたあと丁度治の足元に落下した。

 

「随分腕を上げたものだマキよ! しかし、その技は結局のところ私の技だ! グングニルV3!」

 

「な!?」

 

「そこからシュートか!?」

 

「だ、ダメ!間に合わない!」

 

花瑞含め全体が反撃のためにラインを上げていた為に誰もシュートブロックできる位置にいない。まさかこんな距離からロングシュートを放つとは想定していなかった。

 

「ダブルロケットV2…ぐっ!」

 

先制点はゴールキーパー砂木沼の超ロングシュートにより決まった。

 

「どうだ、これが本当のグングニルというものだ!」

 

「ぐぬぬ……マキ、負けない!」




愛「どうだ! 我々の先制だ」

クララ「いや、お前なにもしてないだろ」

愛「マキのディフェンスに入った」

クララ「瞬殺だったけどな」

愛「それを言ったら今回クララだって役にたってないじゃないか!」

クララ「私は吹雪がシュートを諦めてパスをせざるを得ない状況に持ち込んだが」

愛「その理屈なら私が中途半端にボールカットしたりしなかったことでそのあと治が得点したのに貢献したことになるだろ!」

クララ「いや、そうはならんだろ。お前やっぱまだ兄離れしない方がいいぞ。危ないから」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マキはまだまだ止まらない! 限界突破だグングニル!

筆者「今日は作り置きしといた!」

マキ「料理か!」

筆者「丹精込めて作るという点では同じだな」

ヒロト「まあ作り置ける時間があって良かったよ」

筆者「あぁ、なんとか駆け抜けたいからな」

ヒロト「ところで、この章ってフットボールフロンティア含めて最終章としてエリカとの決戦となってるけど」

筆者「どうした?」

ヒロト「フットボールフロンティアはこのまま駆け足なのかい?」

筆者「まあさすがにな」

マキ「てかタイトル的にマキが活躍する話なんだからそのに触れなさいよふたりとも!」


 規格外のゴールキーパーによる超ロングシュートにより先制点を奪った白恋中キーパー砂木沼治。マキのグングニルも防がれた今、彼から点を奪うには花瑞しかないのだろうか。

 

「次は絶対マキが決める!」

 

「で、でもお前だってあれが最高のシュートだろ!?」

 

試合再開前、荒城がボールを蹴り出す前にこっそりとマキに「花瑞に渡すか」と尋ねたところ、マキは大声で先の通り答えた。

 

「俺がシュートチェインすればもしかしたらいけるかもしれないだろ? な? それならどうだ?」

 

「あんたがマキより先に準備できるわけ?」

 

「お、俺だってそれくらいできる!」

 

「じゃあ、今すぐマキについてきなさい!」

 

荒城にボールを蹴らせてマキがボールを持つと、速攻でメテオシャワーを使って吹雪を突破する。

 

「うおらぁぁぁ!」

 

「こ、怖!?」

 

緑川がマキの気迫溢れる顔面に一瞬物怖じするがスライディングをするもその上をひょいっとマキは突破する。まるで障害物レースのようにスピードを緩めること無く突破して愛も抜き去る。

 

 

「いくわよ、グングニルV3!」

 

「ドリルスマッシャーV3!」

 

「………」

 

「全然間に合ってないじゃん!」

 

「…すまん!」

 

「すまんで済むか! もう、やっぱマキがやるしかないじゃん!」

 

荒城は緑川を抜いた辺りから遅れを取りはじめていた。

 

「まさかこうも早く二回目のチャンスをもらえるとはな! グングニルV3!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

しかし、これは事前に後方で控えていた花瑞がボールの出現位置まで下がってブロックした。

 

「ふん、さすが花瑞か。しかし、まだ我々の攻撃は終わらん!」

 

「スノーエンジェル!」

 

吹雪が花瑞からボールを奪い、絶好のシュート機会を得る。

 

「いくよ! ウルフレジェンドG5!」

 

「ダブルロケットV2! ぐぉっ…」

 

早々に追加点を許し点差は2点となってその後試合は動かずに前半が終了した。

 

「まさか…ここまで作戦通りなんてことないよな」

 

令戸は相手の思いどおりになっている予感がしてふとそんなことをクララに確認する。

 

「恐らくなってる。だがそれの対応をするのがお前の役目だろ」

 

「わ、わかってる。こうなったら、花瑞を前に出してまずは一点を…」

 

「まあ確実だが正直それだとゴリ押しなんだけどな。まあ負けるわけにはいかないしまずは一点それで返そう」

 

「と、言うわけだ! 荒城、ボールを花瑞へ!」

 

「わ、わかった。 マキ、それでいい……よな?」

 

「作戦なんでしょ、一応。従うわよ」

 

あきらかに不満があるようだが、それでもここで負けるわけにはいかないからとマキも了承する。

 

「勝利の女神 ニケ!」

 

ボールを受け取った花瑞は化身を出し、単独突破をはじめる。

吹雪、緑川をまとめてヘブンズタイムで抜き去り、愛のフローズンスティールを飛び越える。

 

「こい花瑞! 貴様の最高のシュートを見せてみろ!」

 

「ゴッドノウズインパクト改!」

 

「ドリルスマッシャーV3! っこれほどか!」

 

ドリルスマッシャーを一瞬で貫きゴールを奪った。

 

「ふぅ、ふぅ…」

 

「う~ん、やはりスタミナが課題ですかねぇ……花瑞さんってレーシングカーみたいなところありますし…‥」

 

ベンチで記録を取るベータはぶつぶつと独り言を呟く。

 

「あ、あのベータ先輩って結構花瑞先輩と付き合い長いんでしょうか? 転校生ですよね? 」

 

ベンチで座っている後輩選手の星原がその独り言を聞いてしまい尋ねる。

 

「そうですね~、短くもあるし長くもある……濃厚な時間を過ごした関係♡……とか?」

 

「へ、そ、それって」

 

「んふふ♡ ご想像にお任せします」

 

ベータはそう言ってこの話を終わらせた。

試合は吹雪がボールを持ち、マキと荒城を抜き令戸達もあっさりと抜かれたところであった。

 

 

 

「花瑞!」

 

「はい! 勝利の女神ニケ! ゴッドフラワーG5!」

 

 

花瑞は吹雪からボールを奪い他の追随を許さずその実力差で強行突破していく。

 

「ゴッドノウズインパクト改!」

 

「やらせるか! うわぁぁ!?」

 

愛が身体を張ってブロックするが、それを込みにしても治のドリルスマッシャーで止められないほどの威力であった。同点に追い付く。

 

 

「ふぅ……」

 

「花瑞かなり疲労してるわね、次はマキに任せなさい」

 

「うん、そうするよ」

 

花瑞は汗を手で拭き、呼吸を整えながらポジションに戻った。

 

「点が入るときはトコトンすごいスピード感だぜこの試合」

 

「そんなこといっても仕方無いわよ。それより…マキが勝ち越し点は奪ってやるんだから!」

 

吹雪は緑川との連携で速攻を仕掛ける。さらに、花瑞を避けるように右サイドにずれていきシュートを狙う。

 

「花瑞、もう一仕事だけ頼む!」

 

「うん、いくよ! スティールルート!」

 

「今度は取る!」

 

二人を分断するように根が現れ、孤立した二人に対してクララと杏が襲い掛かり、杏がボールを奪った。

 

「よし! 令戸、前に繋げ!」

 

「任せろ! おっと、ジグザクスパーク!」

 

MFの烈斗を抜きてパスをマキに出そうとする。

 

「させるかぁ! フローズンスティール!」

 

それを愛が阻止してボールを奪うと、自分で攻め始めた。

 

「こんなやつら、別に私だってやれる!」

 

こんな奴らとは日本代表やエイリア学園出身でもない有象無象の面々のことを指しており、その言葉通り明を技なしで抜きさるが、そこから先は日本代表ゾーンである。

 

「フローズンスティール改!」

 

 

「ウォーターベール!」

 

「無駄」

 

クララはウォーターベールをものともせずボールを奪い去った。

 

「お前が前に出たらディフェンス陣ガタガタだろうが…」

 

クララは手薄になったディフェンス陣をいいことに強めのパスをマキに通す。

 

「よっし、これで勝負よおさむぅぅ!」

 

マキは知っている。治が北海道の地で沖縄に住む人よりも汗をかき血の滲むような努力をするような男だと言うことを。そしてマキもそれを参考に努力のしかたを学んだ。それは今も変わらない。

そして、花瑞という自分よりずっと強くなっていくライバルを越えるためにも今までの努力の一部だけでも、今ここで絶対に実を結ばせる!

 

「あんたのやり方で、あんた以上の力を得て、あんたから教わった技で、あんたを越える! それが治、あんたへのマキからの恩返しよ! グングニルV4ぉぉ!」

 

「V4だと!? ドリルスマッシャーV3!」

 

回転と回転がぶつかりあい、ジリジリと治が押し込まれていく。

 

「強くなったな…マキよぉぉ!」

 

「今度はマキだけの進化をする」

 

限界突破のグングニルがゴールを貫いた。

花瑞ほど大きな進化を遂げられたわけではないかもしれない。だがしかしここで終わるわけではない。彼女の進化もまたこれからなのだ。

 

 

───

 

 

「結局、あれが決勝点かぁ」

 

試合は3-2で鬼怒川が勝利した。荒城は荷物を片付けながら試合を思い返していた。

 

「あそこからの吹雪さん、緑川さん、砂木沼さんの三人での猛攻は凄かったね」

 

その猛攻を必死に防いだのはやはり花瑞、クララ、杏の三人が中心なのだが、黒岩も善戦した。

 

「花瑞さんは化身も安定して出せるようになったんですけど、とうしてスタミナだけはこんなに進歩が少ないのでしょうかね」

 

ベータは息を切らした花瑞の映像を本人に見せながら尋ねる。

 

「私もよくわかんないけど、スタミナの伸びより使うエネルギーが増えてる気がする…」

 

「まあそうですねぇ……どうも燃費が悪いような気はしますからねぇ。来年は省エネ化を中心に鍛えた方がいいかもしれませんね。今年はこのまま行くしかないですけど」

 

「わかった、メニューとか教えてね!」

 

 

 

──次は立向居率いる陽花戸中と帝国学園の一戦であった。

 

「デスゾーン!」

 

「魔王ザハンドG5!」

 

「ちっ、相変わらず固いな」

 

真帝国から帝国に来た不動はキャプテンマークを着けてフィールドに立っていた。

 

「それに、随分とやっかいなやつらが増えたもんだ」

 

「アストロブレイク!」

 

「真無限の壁!」

 

「くっ、相手のキーパーも手強いな」

 

陽花戸中フォワードの八神玲奈のシュートは帝国学園の源田がネオジャパンで習得した無限の壁の前に防がれる。

 

「さぁて、どっちが先に破るか勝負といくか!」

 

 

この試合を制したものが花瑞の次の相手となる!




愛「負けたぁぁぁ!」

クララ「バーカバーカ」

愛「小学生みたいな煽りするな!」

クララ「お前にはそれくらいが丁度いいだろ」

愛「それがバカにしてるってはわかってるからな!?」

杏「お前ら…実は仲良しだろ」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ザ·ギャラクシー復活計画

筆者「今日は作り置きです!」

ヒロト「 書く暇今日はないからね。仕方ない」

マキ「だからってここもコンパクトにしないでもらえる!?」


 白恋中との試合を終え、鬼怒川中では対戦相手が決まる前から強力なシュートを増やすために会議が行われていた。

 

「はい、というわけで次の試合では今まで以上にキーパーが固いのでこちらも強力な技が必要になります。 花瑞さんの化身だよりではやはり準決決勝で勝てなくなるでしょうから今すぐにでも解決していきましょう」

 

ベータはホワイトボードの空白の部分にアイデアを出すよう皆に求める。

 

「新必殺技だと時間が足りないから、やはり誰か使ったことある技にするしかないよな」

 

「だとしたらマキのガイアブレイクや、花瑞のザ·ギャラクシーが候補の筆頭ね。スーパーノヴァとかはマキ達も教わっただけだから教えられるほどではないし」

 

「どちらにしろ花瑞の力が必要になるなら意味なくないか?」

 

「そんなこともありませんよ? 化身を使うことは本人のスタミナを大きく消耗します。花瑞さんの負担を減らすためにも必要なことなんですから」

 

結果としてザギャラクシーを練習することになったのだが、問題は誰が参加するかに変わった。

 

「まあ、ポジション的には荒城、あんたよ」

 

「お、俺!?」

 

「あんたも一応フォワードでしょうが!」

 

意外にもマキからご指名が入り驚く荒城、思わず聞き返してしまった。

 

「そ、そうだよな。で、でも俺なんかでいけるのかな」

 

この前まさにマキに追い付けなかったことを引きずっている様子。

 

「今無理なら明日できるように今日頑張ればいいのよ!」

 

「い、一日で!?」

 

「一応あんたもそれなりに実力はあるんだから必死にやれば最低限いけるはずよ! ほら、時間ないから早くはじめるわよ!」

 

マキに引っ張られてグラウンドに連行される荒城、それを追って花瑞とクララが特訓に参加した。

 

「簡単に言うと花瑞が力を使ってマキとあんたを持ち上げるからその力を貰いつつ同時に全力で蹴る!」

 

「説明が大雑把だがわかった。 まずはやってみないとだよな」

 

「二人ともいくよ! えい!」

 

荒城とマキが宇宙に向かって上昇していく。

 

「ザ·ギャラクシー!」

 

二人が蹴ったボールはゴールへの軌道からから大きく逸れていき学校に生えている木に着弾。木は根本から折れてしまった。

 

「やっべ!?」

 

「あんた蹴るの遅い! もっかい!」

 

「いやアレは無視かよ!?」

 

「校舎に比べたら些細なものよ」

 

そういってマキは構わず再開する。しかし、何度やってもうまくいかずその度に学校に被害が出る。

 

「はぁはぁ……やっぱ俺なんかじゃ力不足なんだ!」

 

二時間ほどぶっつづけで特訓するもなかなか成果が上がらず、荒城も精神的に追い詰められていく。

 

「ったく、もういい。私がやる」

 

それを聞いてクララはマキの横に立った。

 

「え、クララ…?」

 

地面に這いつくばるような荒城を前に氷さえも震えるほどに冷たい視線でクララが見下ろす。

 

「私もガッカリだよ。お前ならもっとやれると思ったのに。でも仕方ない。そんな弱音を吐くなら無理だ」

 

「な…!」

 

「守りが手薄になるが、まあ確実に点を決めれば問題もない…最悪杏がいる。 まあ、本職はディフェンスだからそこまで上手くやれないかもしれないけど、そこのヘタレよりはうまくやるさ」

 

「ま、待ってくれよ!」

 

「待たない。お前が諦めたから二時間ロスしたんだ」

 

「そこまで言われて引き下がるほど俺だって腐っちゃいねぇ! やってやる! こんちくしょー!」

 

マジの顔になった荒城を見てクララは少し微笑むと元の見ていた場所に戻る。

 

「荒城、少し早めに蹴りはじめろ。そうすればマキと蹴るタイミングも合うだろうから。微調整は自分達でやれ」

 

「く、クララ……すまん。ありがとう」

 

「ちょろ」

 

クララは誰にも聞こえない声でそう言った。

 

「ザギャラクシー!」

「合った!」

 

蹴るタイミングは重なった。しかし、ボールは真っ直ぐ飛ばずに横に曲がりながら進んでいく。

 

「マキ、タイミングは合うかもしれないけどパワーの差がありすぎる。少し抑えろ」

 

「クララ! それじゃシュートの威力が落ちる! 三人でやる技の意味がなくなる!」

 

「ひとりでやるより威力はある。それに思った通りに飛ばなきゃ意味ないだろ。あとは相方の努力次第だ」

 

「あぁ! 残り時間全てぶつけてやってやる! 少しでもマキの力に近づけるように!」

 

「ふん、簡単に近づけると思わないでよ!」

 

「いや、合わせろって……」

 

その後、なんとか最低限の形にはなったものの、ヒロト、マキ、花瑞のザギャラクシーの威力には届かなかった。

 

 

 

 

 

「クララちゃん、ありがとう。漣君に強く言ったのもああなるってわかってたからでしょ?」

 

練習を終えて荒城はくたばって爆睡してしまい、マキも力尽きていた。花瑞は練習中多くのアドバイスをくれたクララに改めてお礼を伝えた。

 

「別に、私も万能ではないからたまたま」

 

クララは練習着のまま帰っていった。おそらくひとりで特訓をするのだろう。

 

「嘘ばっかりなんだから」

 

花瑞もまたベータとの特訓がある。各々悔いの残らないよう最大限の特訓を繰り広げるのだった。

 

 

 

──少し時は遡り陽花戸対帝国

 

 

「やはりこれが必要になるか。いくぞ、ふたりとも!」

 

「スーパーノヴァ!」

 

「真無限の壁! なに!?」

 

試合終了間際、この試合最初で最後のゴールを奪ったのはかつて陽花戸中に現れたジェネシスに所属していた三人であった。

 

「次は花瑞たちか。楽しみだ」

 

「私はあの決戦ぶりかしら」

 

「俺はネオジャパン以来だな」

 

どこかしら大きいシルエットを持つジェネシスの三人が鬼怒川中と対峙する。




クララ「おうおう嬢ちゃん焦らすねぇ」

八神「あとふたりはまだ秘密だ」

クララ「そんなに焦らしてるんだからあっさり負けたりするなよ?」

八神「今回は花瑞にたいする秘策もある」  

クララ「ふーん、次回も楽しみにしとくか」

八神「なんだそのエンドカードに書いてそうなやつ!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

八神の秘策 ジェネシス包囲網

筆者「ぜぇはぁ! 」

マキ「何疲れてるのよ」

筆者「疲労困憊です…」

マキ「まだ終わらないのよ! ノルマは完結! 張り切っていきなさい!」

筆者「ブラック上司かよ!」


 フットボールフロンティア準々決勝、陽花戸中対鬼怒川中が始まろうとしていた。このチームを牽引しているのはやはり立向居、八神そして巨漢ウィーズともう一人グラマラスな女性。

 

「あ~、キープねぇさんか」

 

クララは愛称なのか彼女をエイリア時代のキープという呼び名にねぇさんと付けて挨拶をした。

 

「本当に久しぶりになるわね。クララに杏もマキも、そして花瑞さんも」

 

「あっ、ジェネシスのディフェンダーのお姉さん!」

 

「覚えてくれてたのね。今日はよろしく」

 

八神が先に挨拶をしているキープを見て合流する。

 

「久しぶりだな皆。今日はよろしく」

 

「八神さん久しぶり。いい試合にしようね!」

 

「あぁ。どっちが勝っても恨みっこなしだぞ」

 

「もちろん!」

 

挨拶を軽く済ませて試合が始まる。

 

「それにしても強気だな八神。何か策があるのか」

 

クララはいくら立向居が強いキーパーだとしても、あれだけ強気にはなれない。恐らくかなり対策をしてきていると警戒する。

 

「そうだね、何かあったらフォローよろしくね」

 

「任された」

 

キックオフ、八神とウィーズの二人が当時から変わらない連携でマキと荒城を抜き去り、後続からキープがすり抜けていく。

 

「キープねぇさんも前に出るのか。これは大技狙い… 花瑞は後ろで待機、杏だけ前に出て」

 

「よし、イグナイトスティール!」

 

「ライトニングアクセル!」

 

八神が杏を躱したところをクララが狙ってフローズンスティールを仕掛ける。

 

「ウィーズ!」

 

「おう! ガニメデプロトン!」

 

パスを受けたウィーズがそのままシュートを放つ。

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

それを花瑞は余裕のブロック。ボールを手にする。

 

「グラビティション!」

 

と、それを待っていたかのようにキープが必殺技を放ち、花瑞は重力で地面に押さえつけられる。

 

「う……! こ、これ…くら…」

 

何とか立ち上がろうとするもその間にボールを八神に奪われてしまう。

 

「アストロブレイクV3!」

 

「ダブルロケット…っ!」

 

そのまま八神が先制点を奪っていった。

 

「……完全にしてやられたな。完全に相手の計画通りだろう…」

 

クララはこのためのキープかと思いながらボールを拾った。

 

「今度はマキのボールから何だから追い付いてみせるわよ!」

 

マキがボールを持つと同時にメテオシャワーで八神とウィーズを蹴散らし、荒城が追従する。

 

「グラビティション!」

 

「うっ……重。でもこうすれば……グングニルV4!」

 

地面に押し付けられるような技も地面に入るような技なら関係ないとそのままシュートに移る。

 

「魔王ザハンドG5!」

 

が、それなら立向居が止められるという算段のもとのようで難なく止められてしまう。

 

「や、やっぱザギャラクシーが必要か」

 

荒城がマキにそういうとマキも頷く。

 

ボールはキープに渡されそれを荒城が奪おうとするも彼女もライトニングアクセルが使えたために追い抜かれてしまう。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

しかしザギャラクシーが必要と見越した花瑞も前に出てきていたためキープから早々にボールを奪っていた。

 

「マキちゃん!」

 

「オッケ! いくわよ荒城」

 

「おう! 準備できたぜ!」

 

「「「ザ·ギャラクシー!」」」

 

「魔王ザハンドG5!」

 

「な!?」「止められた!」

 

なんと立向居はこの技を自力で止めてしまった。

 

このまま前半戦は得点が入ることはなく、0-1で終わった。

 

「グラビティション、厄介な技だと思う。他の技と違って避けるって方法が基本ないからな。とりあえず先にザギャラクシーの方が先決か。今はマキの力をコースがゴールから外れないように抑えて貰ってるが、それじゃダメだったようだ」

 

クララは想像以上の立向居の力にこのやり方ではダメだったと反省した。

 

「だから二人とも強く蹴れないかどうかだが……」

 

「マキは余裕だけど荒城ぃ…?」

 

「あぁやるよ! やらなきゃ勝てないならやるっきゃねぇ!」

 

「お、今日はマジだな。昨日厳しくした甲斐があったあるってもんだ」

 

「120%の力で蹴るから任せろ!」

 

後半開始、八神とウィーズをメテオシャワーで倒したあとに間髪いれずにメテオシャワーを放ちキープを吹っ飛ばす。

 

「うぉぉぉぉぉ! これでダメならもうどうにでもなっちまぇぇぉ!」

 

「「「ザ·ギャラクシーG2!!」」」

 

荒城の120%の力がマキの力と合わさり先程より強力な一撃になる。

 

「魔王ザハンドG5! うわぁぁ!?」

 

立向居を破り同点ゴールを奪い取った。

 

「よっしゃぁぁぁぁぁ!」

 

「よし、あと一発耐えれる?」

 

「あ、そうだった……あと一回…いける!はず!」

 

「言ったわね? 花瑞、もう一回よろしく!」

 

「わかった! 蓮君無理しないでね?」

 

「あぁ! 大丈夫だ!」

 

しかし八神達はまだ秘策を残していた。それは打倒花瑞のためのまさに取って置きの策であり、ここまで公式戦では披露していない。

そんなことも知らずに勢いづく鬼怒川中は八神から花瑞がボールを奪いボールをマキに渡してシュート態勢に入る。

 

「ザ·」

 

「グラビティション!」

 

「うっ……わたし? で、でも…これなら」

 

キープが花瑞を妨害するが構わずエネルギーをマキたちに送ろうとする。しかし

 

「グラビティション!」

 

「なっ!? ウィーズもだって!?」

 

「うっ………」

 

重力がさらに増して力を出す余力のなくなった花瑞はザギャラクシーを放てなかった。

 

「グングニルV4!」

 

やむを得ず単独シュートを放つも当然止められてしまった。

 

「八神さん!」

 

「よし、これで勝ち越しだ! アストロブレイクV3!」

 

「タブルロケット! っく」

 

ダブルロケットが破られる。もうダメかと思ったそのとき、クララがゴールラインギリギリに割り込みボールをカットする。

 

「す、すまない」

 

「気にするな。それより、まだ終わってない」

 

クララがボールをすぐに杏に渡してゴールから遠ざける。冷静な判断だ。杏はこのボールを繋いで花瑞に託す。

 

「これなら! 勝利の女神 ニケ!」

 

「グラビティション!」「グラビティション!」

 

ふたりによるグラビティションを受けてもなお立ち上がりパスを出し、ザギャラクシーを放てる態勢が整う。

 

「今度こそ! ザ·ギャラク」

 

「グラビティション!」

 

「まさか、八神もか」

 

クララは三人がグラビティションを共有していたことに驚きを隠せなかった。

 

 

「あぁぁ……ぐ!」

 

これには花瑞、化身の力込みでもたまらず地面に押し付けられてしまう。

 

 

「これが我々ジェネシスメンバーで構築するグラビティション包囲網だ!」

 

「はぁはぁ……こんな秘策が…」

 

「マキがもっともっとストライカーとしてちゃんとしてれば……」

 

この場面で自身のシュートでは得点を奪えないことに手から血が出るほど拳を強く握り込む。

 

「グングニルV4ぉぉ!」

 

怒りを力にシュートをするがそれでもゴールは奪えない。

 

「今度は決める! ウィーズ! キープ!」

 

「おぅ!」「任せなさい!」

 

「あのフォーメーションは、スーパーノヴァ!」

 

「杏、なんとしても止めるぞ」

 

 

「あぁ! しかし、何か策があるのか?」

 

「無いことは……無い。シュートブロックだけどな」

 

「なら頼む、私は足止めするからその間に位置についてくれ!」

 

八神達を前に立ち塞がる杏。あえてイグナイトスティールを使わないで勝負を少しでも長くしようとする。

 

「ライトニングアクセル!」

 

「くっ、ここまでか…いや、イグナイトスティール!」

 

ライトニングアクセルに追い付くためにイグナイトスティールで加速する。そしてもう一度立ち塞がる。

 

「くっ、やるな。しかし、ここまで来れば!」

 

「「「スーパーノヴァ!」」」

 

「ちぃ、すまない! あとは、任せた」

 

「あぁ、お陰で間に合った。 ウォーターフォール!」

 

「な、なんだあの技!?」

 

「と言っても、威力を抑えるだけだ。止めろよ、黒岩」

 

「おぅ! ダブルロケット!」

 

クララのブロックで威力の落ちたシュートを見事に防ぎ、ボールは一年生浜夏まで転がり、彼女は必死にボールを笑太へと繋いだ。

 

「よ、よぉし! このボールは絶対に繋ぐぞ!」

 

令戸と協力しながら少しずつ前へ前へと進んでいく。

 

「よし、あとは任せたぞ三人とも!」

 

そしてボールがマキに渡る。

 

「やらせるか! グラビティション!」

 

今度も三人が花瑞を封じようと動くが花瑞も最後の力を振り絞る。

 

「勝利の女神ニケ、アームド!」

 

アームドしたことで身を守り、なんとか力を伝える。

 

「よしきた! ザ·ギャラクシーG2!」

 

「魔王ザハンドぉぉG5!」

 

この一撃が決勝点となり、2-1で鬼怒川中が勝利した。

 

「くっ、完敗だ。 さすがだな花瑞」

 

「八神さんたちもすごかったです。グラビティション、正直本当に潰れるかと思いました」

 

「アームド、あんなにスムーズになっていたとはな。次の試合も頑張ってくれ」

 

「はい!」




キープ「やっほー」

クララ「やぁキープねぇさん。ゆっくりしていってくれ」

キープ「へぇ、結構楽しそうなところね」

八神「少し懐かしいな。それにしてもクララ、いつのまにあんな技を?」

クララ「おいおい、時系列的には一年たってるんだから新しい技のひとつ不思議じゃないだろう?」

キープ「なるほど、ここはメタいことを言える場所なのね」

八神「頼む、できればボケじゃなくてツッコミ側に回ってほしい」

クララ「ツッコミなら私がいるから安泰」

八神「ツッコミとボケのラインを反復横跳びしてかき乱してるやつが言うな!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

準決勝 兄妹対決再び! 

筆者「滑り込み投稿!」

マキ「またか!」

筆者「ちなみに明日は休みかもしれません。書く時間が無さそうなので」

マキ「そうやってまた長期に休んだりしない?」

ヒロト「まあマキ、彼も充分やってるんだしたまにはね?」

マキ「甘いわよ!」

筆者「よし休む」


 準決勝の相手は去年と全く同じゼウス中であった。

 

「さて、ゼウス中はここまで失点はなし。得点はアフロディさんが20点、南雲さん涼野さんが19点。この三人がそのままフォワードなスリートップです」

 

「随分攻撃寄りなチームだ」

 

「はい、キーパーのポセイドンさんも決して弱くは無いのですが立向居さんや砂木沼さんに比べると劣ります」

 

ただし黒岩よりは優秀と小声でベータは言った。

 

「とりあえず私も前の試合であの技が実用範囲とわかったからシュートブロックができるようになったが、何せ涼野達だからな……不安がある」

 

「大丈夫よ、相手のキーパーがそのレベルならマキが攻めれれば十分。花瑞も守りに専念できるわ」

 

「わかった。マキちゃんお願い!」

 

 

 

 

 そうして迎えた準決勝。当然アフロディと花瑞、南雲と杏、涼野とクララが挨拶を交わす。

 

「これも何かの運命なんだろうね花瑞。準決勝、今年も僕が勝たせてもらう」

 

「そうだね、でも今年は負けないよ!」

 

「ふふ、最高の試合になりそうだ」

 

 

 

 

「おう杏、ちったぁ強くなったか?」

 

「当然。レベルそのものが上がったと思ってほしい」

 

「へっ、俺の方が断然強くなってるだろうがどれだけ強くなったか見せてもらうぜ」

 

 

 

 

「風介、今日は凍てついてるか?」

 

「ふん、余裕そうだなクララ。だがお前の想像以上に俺は強くなっているぞ」

 

「そのようだな、前より煽りに強くなってそうだ」

 

「絶対零度すら越える凍てつく闇の冷たさを前に貴様は立っていられるかな?」

 

「あ、違う。前より拗れただけだった」

 

 

 

 

 

 韓国戦同様の豪華スリートップによる攻撃が試合早々始まった。

 

「真ヘブンズタイム」

 

マキ、荒城、令戸、三人をまとめて突破して早々に花瑞との対戦になる。

 

「いくよ、花瑞。ゴッドブレイクG5!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

格段に基礎スペックが上がったのだろう。アフロディの一撃は花瑞を押し込み、花瑞は後方に吹き飛ばされボールはかなりの減衰をしたもののまだゴールの軌道上にあった。

 

「これなら…いける」

 

黒岩がキャッチしようと構えるが目の前に涼野が割って入る。

 

「ノーザンインパクトV3!」

 

「なっ、ダブルロケット ぐ!?」

 

あっさりと撃ち抜かれるダブルロケット。しかしその後ろ。クララが既に回り込んでいた。

 

「ウォーターフォール!」

 

「ちぃ……」

 

「絶対零度どころか氷点下にすらならなかったな」

 

クララは涼野を煽るとボールを杏にパスを出す。

 

「よぉ、俺にも撃たせろよ。もらってくぜ!」

 

「なっ!?」

 

南雲がボールを奪うと空中に大きくジャンプしてシュート態勢に入る。

 

「アトミックフレアV3!」

 

「ダブルロケット! ぐぁ!」

 

「ウォーターフォール!」

 

この攻撃もクララと黒岩の二人がかりで守りきった。

 

「マズイな…」

 

クララがパスを出そうにもアフロディ達が既にパスコースが塞いでいた。こうなれば、アフロディにマークされているが花瑞に頼るしかない。

 

 

「花瑞!」

 

「勝利の女神ニケ!」

 

アフロディとの競り合いを化身の力で打ち負かしてボールを手に入れる。

 

「作戦通り守るんだ!」

 

アフロディがディフェンスに指示を出す。

 

「メガクェイク!」

 

「これくらい!」

 

花瑞はメガクェイクを突破してそのまま自分でシュートしようとが立ちはだかる相手ディフェンスには裁きの鉄槌を持つ二人とアースクェイクを持つ男がいる。消耗を避けるためにマキにパスを出した。

 

「任せなさい! グングニルV4!」

 

「ギガントウォール!」

 

ポセイドンを打ち破るがこちらにも颯爽とゴールとの間に割り込む男がいる。

 

「アトミックフレアV3!」

 

「なっ!? いつの間に!」

 

シュートは打ち返され花瑞達を飛び越えてアフロディに渡る。

 

「ゴッドブレイクG5!」

 

「ダブルロケット!」「ウォーターフォール!」

 

「「ぁぁ!」」

 

二人の力及ばずアフロディが先制点を奪った。

 

「次は花瑞。実力で君を破って決めるさ」

 

 

このフットボールフロンティアで当たってきたチームの中で間違いなく選手の平均値が高いゼウス。確実に一点を取りにきたがここからはどう動くか。




ベータ「ふぅむ、アフロディさんは基礎スペックが大幅アップ。これは成長期……だからですかね」

杏「いや私達も成長期だからな」


ベータ「まあ妹があれですし兄もそうということでしょうか」

クララ「未来にデータは無いのか」

ベータ「データはありますよ? でもどうにもそれ以上な気がするんですよねぇ」

杏「またなにか起こってるのか?」

ベータ「いいえ、常に何か起こり続けてるだけかもしれませんね」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ゴッドVSゴッド

筆者「ええっと、二日休んじゃいました」

マキ「ほら言わんこっちゃない! ヒロト! あんたにも責任あるわよ!」

ヒロト「まさかこんなことになるなんて、君には失望したよ」

筆者「簡単に架け橋を壊すお前にこっちが失望するわ! あと明日も多忙できついかも」

マキ「これはメテオシャワー確定ね」

避けては通れない道もあるのだった……


 0-1でゼウス中が先制点を奪い試合再開。しかしこちらもまだ最大の戦力でもってゴールを奪われた訳ではないという希望こそあるが言ってしまえば最大パフォーマンスを発揮できなかったということだ。

 

「サザンクロスカット!」

 

マキはメテオシャワーでは南雲がジャンプして倒せないと判断して久しぶりに教わった技を使ってアフロディ達三人を抜きにかかる。

 

「アースクウェイク!」

 

「なっ!?」

 

しかし地面に立っていると後方からの支援で必殺技が襲い掛かる。

 

「残念だったな、もらった!」

 

その隙にボールを奪われ南雲が攻撃を始める。

 

「フレイムベールV3!」

 

「ぐぉあ!」

 

荒城が熱されると令戸、明は技も使わず突破される。

 

「スティールルートV3!」

 

「おっと、アフロディ!」

 

南雲は一度空中に逃げてクララと杏を移動させてから下で待機するアフロディにボールを渡し

 

「ふ、真ヘブンズタイム!」

 

三人まとめて突破した。花瑞はゴール側に、クララと杏はそれぞれサイド側にふっとばされた。

 

「こ、今年こそ! フェイクボンバー!」

 

ここで笑太決死の背後からの必殺技を発動。

 

「どうだぁ! って、あれ……」

 

が、しかし何故か自分の持っているものが爆弾。

 

「今年もかぁぁ!」

 

笑太爆発。

 

「簡単には通さないよ!」

 

笑太がアフロディに挑んでいたその間に、勝てる見込みがないのは知りつつも果敢に右サイドバックから一年生の浜夏が立ち塞がる。

 

「いい目をしてるね。でもまだ未熟だ」

 

アフロディは颯爽と追い抜く。

 

「でも、君達の頑張りは無駄じゃなかったようだ」

 

アフロディの視線の先には体勢を立て直して化身を放つ妹の姿があった。

 

「数秒の時間が花瑞の準備に繋がった。けどそれはこちらも同じさ」

 

アフロディと共に南雲と涼野が飛び上がる。

 

「カオスブレイクG5!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

この日最大の力と力の衝突。しかしやや花瑞が押されていた。

 

「一人では無理でも仲間と協力すれば不可能はない。そうだろう?」

 

「そうね……お兄ちゃん。だからこっちも、一人で止めようなんて思ってない!」

 

花瑞が破れると準備万端の黒岩がダブルロケットを放つ。

 

ボールは勢い良く弾き返されて令戸の元に転がる。

 

「また随分と飛ばしたなぁ……よっしゃ、みんないくぞ!」

 

令戸はアフロディ達が居ぬ間にと言わんばかりに反撃に出るがディフェンス四人も令戸より格上。勢いのあるセリフとは裏腹に早々にボールをマキに預けた。

 

「結構厄介なのよねこいつら、むかつく! メテオシャワーV3!」

 

そんなディフェンスを無理矢理突破するのがマキ。絶好のシュートチャンスを得る。

 

「ここで決める! グングニルV4!」

 

「ギガントウォール!」

 

宣言通りこのシュートを決めて同点。そのまま前半が終了した。




ベータ「世代トップクラスの三人がかりで化身を破る。大したものですねぇ」

クララ「化身って実は大したことないのか?」

ベータ「まさか、この世代が異常なんですよ。まあだからこそ、ワンチャンじゃないですけどもしかしたら未来をかえらるかもと思うのですが」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

兄妹対決終結

筆者「日跨いでるやんけ」

マキ「こっちの台詞なんだけど」

筆者「いやめちゃくちゃなことが起こって疲労困憊な身体が風邪を引いた」

マキ「あんた最近よく風邪引いてない?」

筆者「免疫力落ちた気がする」

ヒロト「みんなはどうかな? 最近免疫落ちたなとか感じてるのだろうか?」


 同点のまま迎えた後半戦。両陣営シュートを打たせて複数人で止めるという展開が続いていた。しかし攻撃と守備でおおよその役割が固まっているゼウスメンバーに対して攻守共に活躍を期待される花瑞の消耗は激しい。特にカオスブレイクは化身を使ってもなお自力でのセーブは困難なシュートであり、ダメージも大きかった。

 

「大会屈指のストライカー三人が放つカオスブレイク。厄介なことこの上ないですねぇ~」

 

ベータは水筒を配りながら花瑞に話しかける。

 

「そうだね…でも皆で戦えば勝てないはずはないから大丈夫」

 

「はっきり言ってしまいますとやはりあなたとマキ、クララ、杏以外のメンバーが非力すぎます」

 

「そ、そんなことないよ!」

 

「今までは相手も数名のトップ層が牽引するチームだったから良かったですがやはり平均も中央値も上回られてしまっていると……」

 

「蓮君達だって充分スゴいよ。だから安心して見てて」

 

「まあ、私は見守るだけですし。余計なことお伝えしてごめんなさいね?」

 

ベータは内心自分も試合に出て暴れたい気持ちを抑えつつマネージャーの仕事に戻った。

 

 

 後半開始と同時にマキが前半最初のお返しとばかりにメテオシャワーを放つ。この為だけに蓮にキックオフ時のキックを思い切り真上にあげろと無茶振りをした。

しかしこの攻撃も南雲が得意のジャンプで回避しており、着地と同時に両者が激しいぶつかり合いをした。

 

「ぐぅ……なんてパワーなのよ!」

 

「そんな力業が俺に通じるかよ!」

 

南雲が力のゴリ押しでボールを奪い間髪いれずに攻めに転じる。

 

「いかせるか!」

 

「雑魚は引っ込んでな!」

 

令戸をあっさり抜き去るとアフロディと涼野が合流する。

 

「さぁ、いくよ花瑞!」

 

「勝利の女神ニケ! ゴッドフラワーG5!」

 

「カオスブレイクG5!」

 

この対決もやはりアフロディ達の威力が上回る。

しかしキーパーの黒岩が止める前にクララが割って入る。

 

「パンチングではダメだ。 ウォーターフォール!」

 

 

クララがシュートを止めてそのままドリブルをする。それもアフロディ達の方にだ。

 

「何を考えているんだクララ! こっちに渡せ!」

 

杏がフリーなのにも関わらずあえて強敵に突っ込むように進むクララ。当然三人がボールを奪おうと襲い掛かる。

 

「冷静さを欠いたかクララ! もらった!」

 

クララから涼野がボールを奪ったコンマ一秒後にボールの持ち主はさらに入れ替わって花瑞になった。

 

「なに!?」

 

「ばかめ、私は囮だ」

 

これでアフロディ達を一気に躱して花瑞が攻撃に加わる構図ができた。花瑞は加速し続けて一気に勝負を着けようとする。

だがザ·ギャラクシーを決めようにもマキだけが執拗にマークされており花瑞がシュートブロックされてもなおポセイドンからゴールを奪えるシュートを撃つしか道がないような状況になっていた。

 

「ゴッドノウズインパクト!」

 

「裁きの鉄槌!」

 

シュートブロックされたが威力はまだ充分。これなら勝てる。

 

「裁きの鉄槌!!」

 

しかしマキをマークしていた選手がその場からブロックしてシュートの威力を激減させた。このままではシュートは決まらない。

 

「残念だったな!」

 

相手のディフェンダーが勝ちを確信してそう言ったがまだこのボールに食らい付く男がいた。

 

 

「まだだ! まだボールは死んじゃいねぇ! 真ブリザードキャノン!」

 

マキだけをまーくして軽視されていた荒城が全速力で駆け込んでシュートチェインを決めた。

 

「ギガントウォール! ぐ……こんな!」

 

「よっっっしゃぁぁぁぁ!」

 

「やるじゃない荒城、見直したわ!」

 

マキが珍しく素直に誉める。

 

荒城の執念の一点で勝ち越しに成功。次の攻撃を凌げれば勝利がグッと近付く。

 

「追う側の一点か、面白い。必ず取ってみせる」

 

アフロディがヘブンズタイムで楽々と突破して花瑞が今度は確実に止めるために化身をアームドさせて構える。

 

「カオスブレイクG5!」

 

一瞬、アフロディがボールを蹴る一瞬だけ背後からオーラのようなものが見えた。花瑞がゴッドフラワーで対抗するも先程より威力があるそのシュートは花瑞を破った。

 

「ダブルロケット!」

 

だが花瑞が全力で止めにいったことでシュートの威力事態は消されており問題なく対処できた。

 

「い、今のって……」

 

花瑞は尻餅をついたまま目を丸くして兄を見つめる。

 

「あら、兄妹揃ってというわけですか」

 

ベータはベンチからアフロディを見て微笑んだ。

だが驚いてばかりではいられない。ボールは杏が拾って令戸にパスを出す。だがこの中盤付近でのボールの奪い合いが発生、試合は一度動きが止まって残り時間が少なくなった頃総合力で勝るゼウスがボールを奪った。

 

 

「ここで決める! カオスブレイクG5!」

 

今度のアフロディの背中からはさっきより明確な形をしたシルエットが浮かんでいた。

 

「ゴッドフラワーG5! きゃあ!?」

 

 

「ウォーターフォール! っ!?」

 

花瑞とクララが立て続けに破られる。

 

「ダブルロケット! なん…だと?」

 

さらに黒岩さえも止めることができなかった。

 

「よし!」

 

「何勝った気になってるんだ! まだ入ってないぞぉ!」

 

ゴールを確信したゼウスメンバーに杏がマジの顔でゴールに迫る。

 

「ラ·フラム!」

 

「わあ、なんと…」

 

杏が放った技にベータは驚きの表情を見せる。

 

「ふふ、やはりこの時代は面白いですねぇ♡」  

 

杏のシュートブロックで失点を防ぎ試合終了かと思われたがまだホイッスルがならない。最後の一秒まであきらめないアフロディがボールを奪いに走り出す。ついに形だけでなく色まで見えはじめた化身と共に。

杏はパスコースもなくまして今のアフロディ相手ではパスしたボールを取られかねないからとまるで蛇に睨まれた蛙のように硬直してしまう。

 

 

「杏ちゃん下がって! はぁぁぁ!」

 

アフロディを追いかけて花瑞が回り込み、二人が同時にボールを蹴る。

 

「ぐっ……!」

「くぅ…」

 

かろうじて花瑞が勝ち、試合も終了して勝利した。

 

「はぁはぁ……危なかったぁ……」

 

「負けたよ花瑞」

 

「お兄ちゃん凄かった…はぁふぅ、いきなり化身出てきそうになるし、私も化身なしだったらお兄ちゃんに勝てなかったよ」

 

「あれが化身の感覚か……覚えておこう」

 

 

 

足が震えて立てない花瑞に手を差し出し、起き上がらせるとアフロディはクララに花瑞を預けて自チームに戻っていった。

 

「やれやれ、大した兄だな」

 

「へへ、ほんと」

 

 

 




杏「……」

ベータ「あれ、クララさん。杏さんはどうして不機嫌なんです?」

クララ「せっかくの新技がイマイチ決まりが悪かったから気にしてる」

ベータ「あー、でもあれすごいですよ。未来でかなり特殊な方の技ですし」

クララ「本人に言ってやりたいがなに言っても今は燃えるだけだから鎮火するのを待ってから誉めてやろう」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

決勝 雷門中開始!

筆者「よし、それなりに体調が回復したぞ」

マキ「やっぱメテオシャワーが効くんじゃない?」

筆者「ファイアトルネード療法じゃないんだからやめてくれないか?!」

マキ「これで明日ぶり返してたらメテオシャワーが正しいってことでいいわね? それじゃまた明日!」

筆者「言いたいことだけ言って去りやがった!」

ヒロト「ところで、今回俺も出るんだけど……」

筆者「それどころじゃない!」

ヒロト「なんて不憫な」


「ついに決勝戦か……なんだかドキドキするなぁ」

 

「世界大会で優勝経験があっても感じるものなんですねぇ」

 

会場の更衣室で着替えている途中の花瑞は、胸に手を当てて自分の高まっている鼓動を確認する。すると後ろからひょこっとベータが声をかける。

 

「それはそうだよ。 なんだって別にとびきり美味しいご飯を一度食べてもいつも食べてるご飯が美味しくなくなるわけじゃないでしょ?」

 

「んー、確かに。 ここで食べる料理はどれも美味しいですけど何回食べても美味しく感じなくなることなんてない……ってどんな例えですかそれ!」

 

「やれやれ、食いしん坊キャラでも狙ってるのか花瑞は」

 

クララが一足はやく着替えを終えてロッカーを閉めてそんな二人の会話に混ざる。

 

「いやぁ、他の例えもあったけど恥ずかしくて……」

 

赤面する花瑞を見て惚気話かと思ってクララは追撃するのはやめた。

 

「先にいってるぞ」

 

「うん、こっちもすぐいくから」

 

その頃マキは既にコートでアップをはじめており、試合開始前から相当気合いが乗っているのか誰もいないゴールに向かってシュートを連発していた。

 

「気合いが入ってるようじゃないか皇」

 

「あ~、花瑞と敵として戦うか味方として戦うか苦悩して結局最後に全力で戦いたいからって雷門にいったヒロトじゃない」

 

「んん、その通りだから何も言い返せないんだけどそんな言い方をしなくてもいいんじゃないか?」

 

ヒロトは苦笑いした。

 

「はぁ…拗れた恋心だこと」

 

「俺、この試合に勝てたら……」

 

「ストップ! その発言はしないほうが良いわよ? 何故ならマキ達が勝つから! そのあとを言ったらあんた一生後悔するわよ!」

 

「ふふ、面白い試合になることは間違いなさそうだ。 ウォーミングアップの途中に失礼したね。 俺もあっちに戻るよ」

 

ヒロトは花瑞には会わずに雷門側コートに戻っていった。

 

「全く、自分で挨拶くらいしてきゃいいのに。 奥手なやつはマキ嫌い」

 

 

こんなやり取りを知らない花瑞がその後合流してアップを終え、ついに決勝戦が始まる。

 

 

雷門フォーメーション

 

FW  豪炎寺 染岡

 

 

MF 虎丸 ヒロト 鬼道 マックス

 

 

 

DF 風丸 壁山 栗松 半田

 

 

GK 円堂

 

 

 

ベンチ 宍戸 影野 闇野 少林 目金

 

 

鬼怒川は変わらず

 

FW   荒城 マキ

 

 

 

 

 

MF 岸川 明 令戸 笑太

 

 

 

 

 

DF クララ 花瑞 杏 浜夏

 

 

 

 

 

GK 黒岩

 

 

 

ベンチ 星原

 

 

 

「雷門はこの大会ここまで無失点。そしてヒロト19点、豪炎寺19点、染岡15点、虎丸16点、鬼道2点と大量得点。間違いなく今大会最強のチーム。それに対してこっちはもう花瑞さんがいかに力を発揮して他のメンバーがサポートできるかにかかっていると言っても過言ではないのでは無いでしょうか」

 

 

ベータはデータを見つつそう全員に伝える。

 

「今回ばかりはそれもやむ無し……か」

 

クララは同意しつつそれ以外も無いものかと考える。

 

「マキじゃ勝てないっての?」

 

「多分止められますね」

 

「なっ!?」

 

マキはいつもの調子で聞いてみるがキッパリと答えられてしまう。

 

「でも私だけじゃ絶対勝てない。皆で最大限の力を出しきってようやく勝てるかどうかだと思うからみんなよろしくね!」

 

 

「おお!」

 

 

 

鬼怒川中ボールから試合が開始。マキが挨拶代わりのメテオシャワーで豪炎寺と染岡を突破するが着地と同時に視界が真っ白になるほどの光に覆われる。

 

「フォトンフラッシュ!」

 

ヒロトがそのままボールを奪って後続の令戸と明をあっさりと追い抜いて進撃する。

 

「いくよ、花瑞!」

 

「き、来てください!」

 

「天空落とし!」

 

「ゴッドフラワーG5! きゃ!?」

 

ヒロトの天空落としが花瑞のディフェンスを突破して黒岩に襲い掛かる。

 

「ダブルロケット!」

 

このシュートを防ぐがボールは味方に渡らず虎丸が奪ってしまう。

 

「真グラディウスアーチ!」

 

「ラ·フラム!」

 

杏がシュートを止めるが更に足の速い追撃に来る。

 

「スピニングフェンス!」

 

「ぐあっ!」

 

 

風丸がボールを奪う間に豪炎寺と染岡もメテオシャワーによるダウンから復帰して攻撃に加わる。

 

「いくぞ! 炎の風見鶏!」

 

風丸と豪炎寺の連携シュートが鬼怒川ゴールを休む間もなく襲い掛かった。

 

「ダブルロケット! ぐぅ……」

 

「ウォーターフォール!」

 

キーパーの後ろに回り込んでクララが守り何とか失点を防いだが既にペナルティエリア付近で雷門の攻撃陣形が整ってしまっている。

 

「手数が多すぎる」

 

雷門は円堂と栗松、壁山を残して全員が攻撃に参加していた。クララのパスコースはそのペナルティエリア内に残る花瑞しかいない。

 

「早速頼ることになってすまない。現状打破を頼む」

 

 

「任せて! 勝利の女神ニケ ヘブンズタイム!」

 

花瑞は間髪入れずにヘブンズタイムで突破口を開きマキにパスを出す。

 

「よし! 守りの手薄な今のうちに」

 

マキは栗松を躱すと壁山にメテオシャワーを喰らわせてキーパーと一対一に持ち込む。

 

「喰らえ! グングニルV4!」

 

「ゴッドキャッチG5!」

 

だがやはり雷門の守護神は簡単に点をやらない。マキ渾身のシュートもガッチリと止めた。

 

「ちっ」

 

「いいシュートだぜマキ!」

 

円堂はボールを風丸に渡してカウンターを仕掛ける。

 

「行かせないぞ! フェイクボンバー!」

 

「疾風ダッシュ!」

 

「なぁ!? はや!」

 

笑太があっさりと抜かれると浜夏を虎丸のマークに着けさせ杏がボールを奪いに行く。

 

「イグナイトスティールV3!」

 

「うわ!?」

 

風丸からボールを奪うも鬼道が横から接近している。杏はすぐにボールを令戸に出した。

 

「オッケイ任せろ! 荒城!」

 

令戸は栗松がマークに着いている荒城を走らせるような強めのパスを出す。

 

「追い付く! 追い付くぞ! 真ブリザードキャノン!」

 

栗松を振り切りそのままダイレクトでシュートを撃つ。

 

「ゴッドキャッチG5!」

 

だがこれも決まらない。円堂は半田にボールを渡す。

 

「俺だっていいとこ見せてやる!」

 

半田は岸川と明を躱してボールを鬼道に繋いだ。

 

「よし、染岡!」

 

鬼道からボールを受け取った染岡がドラゴンスレイヤーを放つが、これは花瑞が完全にブロックした。

 

「ふぅふぅ……息をつく暇もないや。ヘブンズタイム!」

 

ボールを奪っても周りは強敵だらけですぐにヘブンズタイムを使わないといけない状況。攻撃の手が多すぎて花瑞もなかなか前に出れない。

 

「仕方ない……ゴッドノウズインパクト!」

 

花瑞は強行手段として超ロングシュートを放った。これを近距離からチェインして貰う算段であった。

 

「止めるっす! ザ·マウンテンV3!」

 

しかし遠すぎたか壁山のブロックでその大部分の威力が失われてしまいマキが受け取る頃にはただのパスになっていた。

 

「グングニルV4!」

 

「ゴッドキャッチG5!」

 

「ぐぅ…! こんなチャンスなのにぃ!」

 

やや鬼怒川不利で展開が続く決勝戦。果たして先制点はどちらが奪うのか。




ベータ「いや~すごいですねこの戦力差」

八神「雷門が鬼怒川に対して得点可能なシュートのパターンが多すぎる」

ベータ「まあザルとまでは言わないですけどキーパーが頼りないですからねぇ」

八神「言ってやるな。あれでも日本では円堂、立向居、源田、砂木沼、ネロ、ベルガ、グレント、ゴリレオ辺りの下くらいには位置するはずなんだからな」

ベータ「いやぁ、その上げた人の中でも雲泥の差があるんですからやっぱザルかもしれませんねぇ」

八神「チームのキーパーをそこまで言うのか」

ベータ「チームのキーパーだからこそですよ。相手のキーパーがザルだろうと気にせずボコボコにシュートを叩き込むだけですので♡」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

花焼き尽くす業火

マキ「2日1回のペースになっていることについて何か真っ当でマキが納得するような説明はできるかしら?」

筆者「ワークライフバランス強化のために……」

マキ「これはどっちよ!」

筆者「ライフ!」

マキ「ワーク減らせ!」

筆者「できるわけねぇだろが!」

マキ「メテオシャワー!」

筆者「おま次の台詞のノリでうつなぎぃやぁぁぁぁ!」

ヒロト「えっと、俺の出る幕…… あー、今回もよろしく」


 花瑞、クララ、杏、黒岩の必死の守りで何とか失点を防いでいる鬼怒川ではあったが、前半からほとんど守ってばかりで疲労も溜まる一方だ。

 

「花瑞……こんなの続けててもジリ貧だぞ」

 

クララは汗を腕で拭いながら花瑞に話しかけた。

 

「わかってるけど……どうする?」

 

「やられる前に絶つしかない」

 

 

「染岡13、ヒロト4、虎丸7、豪炎寺8、半田3、松野3、鬼道7、風丸6……むぅ」

 

「ベータ先輩…あの、先程から何を呟いてるんですか?」

 

ベンチでこの試合の記録を見ながら独り言の激しいベータに後輩である星原が恐る恐る尋ねる。

 

「気付きませんか? この試合のシュート数ですよ。エースストライカーである豪炎寺やヒロトのシュート数がこれまでの試合でのデータから考えると明らかに少なくて他の選手のシュートが多い」

 

「それってどういうことになるんですか?」

 

「勿論なにか企んでるんでしょ、それが何かはあの天才ゲームメーカーにでも聞いてみないとわかりませんが」

 

ベータは鬼道の方に視線を向ける。

 

「そろそろだな……一気に攻めるぞ!」

 

ボールを持っていた風丸が一度ボールを鬼道の声でボールを彼に渡す。すると鬼道はあっという間にフィールドを自由に操り理想の形へと変えていった。

 

「これは……!」

 

ベータが気付いたときにはもう遅い。攻撃とて疲れはするもの。だからこそ彼らは身体を暖める程度にとどめて相手が十分に疲れるのを待っていた。確実に一点を奪うために。

 

「「「グランドファイアG5!!」」」

 

ヒロト、虎丸、豪炎寺の放つ業火がフィールドを焼きながら襲い掛かる。

 

「はぁはぁ………ゴッドフラワーG5! っ~~くうゎ!」

 

化身を出したままのゴッドフラワーをあっという間に焼き付くしてまだ威力は衰えない。

 

「ウォーターフォール! …おいおい」

 

クララも止められない。杏は鬼道の戦略の中でこの守りに入り込めなかった。

 

「だ、ダブルロケット! ぐぉ……」

 

痛恨の一点であった。次の一点を容易にする最初の一点であった。

 

「まずい、後ろはみんな疲れてる……マキ、荒城、頼みがある」

 

令戸は二人を集めてコソコソと話をする。

 

「まあ、仕方無いわね。 気に入らないけど」

 

「さっきまで俺たちなにもできてないわけだしそれくらいしないとな!」

 

どうやらFW、MFで行うつもりのようだが果たして通用するのか不安な中試合が再開された。

 

「メテオシャワーV3!」

 

マキがいつも通りの動きをしたかと思えばあまり深くに攻め込まない。やや中盤深めの位置くらいで荒城にパスを出したかと思えば荒城も明へ、明は令戸へ、そして笑太、マキへとパスを繋ぐ。

 

「単純な手だ。 栗松!半田!風丸!松野! それぞれマークにつくんだ!」

 

 

「まあ、そりゃそうなるわよね」

 

マキは鬼道とボールを巡って激しいやりとりを繰り返す。荒城には風丸、令戸に松野、明に半田、笑太に栗松とどの組み合わせも雷門側が実力的には上回る組み合わせだ。

 

「結局マキがやるしかないじゃない! メテオシャワーV3!」

 

マキが後方を伺うと少しだけ息をつけたディフェンス陣の姿が見えた。が、この程度しかまだ回復できていないのだとマキはまだこの役割を強いられる。

 

「ほら荒城! あんただけでもなんとか出なさいよ!」

 

「んなこと言っても足の速い風丸さんだぜ!?」

 

「足の速さなら私も負けない!」

 

一年、岸川が荒城より前に出てパスコースを作り出す。

 

「ふん、ちゃんとマキのパス受け取りなさいよ? そら!」

 

マキが力強くパスを出す。

 

「くっ間に合え!」

 

風丸が後を追うが岸川も中々に速かった。少しずつ距離は詰められたがボールが渡る方が早かった。

 

「荒城先輩!」

 

そして風丸が到着するまえに思い切り荒城にパスを出す。

 

「よし! 受け取ったぜ!」

 

 

「へぇ、一年生だけど結構頑張りますねぇ…」

 

ベータがまるで敵みたいな口ぶりで岸川の小さな活躍を褒める。

だが彼女がパスの選択肢に加わることで最後の一枚である壁山を向かわせるか豪炎寺達の誰かを参加させなければならなくなる。

鬼道の選択は……

 

「染岡! 松野の代わりにマークにつけ! 松野は荒城だ! 風丸は岸川に着け!」

 

「おう!」

 

 

グランドファイア組は攻撃にすぐ移れるよう温存しつつボールを奪いにくる算段だ。

 

「このまんまじゃ取られちまうぅ!」

 

松野と一対一で奪い合いを続ける荒城は実力が拮抗しているようで決着が着かない。

ワタワタしていたが何とか松野を躱している間に後方の息はだいぶ整ったようで変わりに荒城が疲れている。

 

「はぁはぁ、撒いてもパスコースねぇしどうすんだよこれ!」

 

「攻めていいぞ! 任せた!」

 

「任せるなよ令戸ぉぉぉ!」

 

荒城はそのまま相手ゴールに向かって進むが壁山が立ち塞がる。

 

「いせないっす! ザ·マウンテンV3!」

 

「ええい、くらええぇぇ! ブリザードキャノンV3!」

 

完全に勢い巻かせになっているようだが荒城の放った一撃は壁山の技を破れなかった。

 

「やったっす!」

 

「気を付けろ! マキが来てるぞ!」

 

「もらったぁぁ!」

 

マキがスライディングを喰らわせてボールを奪おうとしたが、ボールはコートの外に出てしまった。

 

「ちっ」

 

マキが舌打ちをするが令戸は急いで花瑞に前に出てもらうよう頼んだ。

 

「これ最初のチャンスなんじゃないか? マキ、荒城は花瑞がボールを取ってくれたらそのままザ·ギャラクシーで頼む」

 

「なるほどね、任せなさい」

 

半田のスローインからマックスが受け取るが花瑞がゴッドルーツでボールを得た。

 

「マキちゃん! 蓮君! いくよ!」

 

「来なさい!」「任せろ!」

 

「ザ·ギャラクシーG2!」

 

「たぁぁぁ! ゴッドキャッチG5!」

 

「うそだろ!?」

 

「ちぃ、さすがね。でもムカつく」

 

「さすが円堂さん…つ、次こそ」

 

円堂は渾身のザギャラクシーを止めた。そして花瑞はパスカットしようとしたのだが円堂はそんな近くに投げるつもりはなかった。

 

「いっっけぇぇぇ! 豪炎寺ぃぃ!」

 

直接豪炎寺に渡して既に揃っていた虎丸、ヒロトと共に花瑞のいない間にグランドファイアを放った。

 

「まずいな、やるだけやるしかない。 ウォーターフォール!」

 

「ラ·フラム!」

 

「「ぁぁ!」」

 

二人の守りを突破してもなお黒岩のダブルロケットを打ち破る威力が自陣コートからのロングシュートであるにも関わらず持っていた。

 

 

これで0-2と差が広がった……




ベータ「カリカリカリカリ」

星原「先輩がスッゴいイライラしてる……男性も怖いけどこの人も怖い……かも」

ベータ(あ~見ててイライラしますねぇ……私がいればこんなざまにはならないのに……あ~我慢我慢、これも未来を取り戻すため……私欲は捨てろぉぉ)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

華は強く

筆者「仕事と身内の不幸で遅くなります!」

マキ「かなしいことをこっちに教えるな!」

ヒロト「えぇこの人は現在勢いだけで誤魔化そうとしてますので勢いに乗ってください」

マキ「やたら他人行儀!」

ヒロト「そんなことないよ。いつも通り」

マキ「低い! 勢いでごまかす手伝い頼むならあんたも勢いに乗れ!」

ヒロト「天空落とし!」

マキ「勢いでマキの仕事奪いやがった!」

筆者「勢いでとばっちりくらった!」


「圧倒されてますね……ったく」

 

ベータは貧乏ゆすりをしながらシャーペンをノックして芯が出すぎれば指で押し戻してまた芯を押し出す。相当この試合で鬱憤が溜まっているようだ。

目の前には三点目を今にも奪われそうな鬼怒川の必死のディフェンスをする光景が広がっている。

 

「真ばくねつスクリュー!」

 

「ゴッドフラワーG5! はぁはぁ……」

 

シュートを防ぐが膝に手を当てて汗を手の甲で拭う花瑞、染岡のスライディングでボールを奪われそうになるがなんとか躱そうとジャンプするが間に合わずボールは大きくぶっ飛びサイドラインを越えた。

ベンチ前に転がってきたボールをベータが手に取り、ボールを受け取りに来た花瑞に手渡す前に激をとばす。

 

「さっきから見てたら何ですかこの様は、あなたの本気はこんなものじゃないでしょう? あんまり私をイライラさせないでください! それじゃ、前半も残り少しですし一点くらい返してきてください」

 

 

「はぁはぁ……うん…なんとかするよ…見ててね」

 

スローインをクララに任せて花瑞がボールを受け取った。

 

「もらった!」

 

ヒロトが花瑞にタックルを仕掛け、花瑞は抵抗するがボールを奪われる。

 

「ま、まだまだ……ゴッドルーツV3!」

 

「花瑞…好きだよ、君のその姿……全てが…! 天空落とし!」

 

ゴッドルーツを退けシュートに入る。

 

 

「はぁはぁ……勝利の女神ニケ! アァァムドォォ!」

 

花瑞は力を振り絞り全速力でゴールに向かって走り出す。

 

「花瑞、無茶しやがって ラ·フラム!」

 

杏が時間を稼ごうとブロックに入る。ジリジリと時間をかけてシュートの威力を抑える。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

 

その時間でもまだ間に合いきらなかった花瑞はゴッドルーツを再び放ち何とかボールを抑え込んだ。

 

「マキちゃん、一旦おねがい!!」

 

花瑞がロングパスを出してマキにゴール前までの切り込みを託す。

 

「ぶっ倒れるんじゃないわよ!」

 

マキは迫りくる雷門ディフェンスを蹴散らして道を切り開く。

 

「花瑞、いつでもいけるわ! 決めなさい!」

 

「ありがとうマキちゃん、ゴッドノウズインパクトG2!!!!」

 

「ゴッドキャッチG5! ぬわぁ!?」

 

前半終了1-2。花瑞は既に疲労困憊でマキに肩を貸してもらってベンチに戻る。

 

「はぁい、良く頑張りました♡ 後半は逆転してくださいね♡」

 

顔はニコニコしているが発言から苛立ちがうっすらと見え隠れするベータ。水筒を渡す手にもいつもより力が入っている。

 

「っっ…はぉはぁ、頑張るよ ふぅ」

 

花瑞は滝のような汗を流し俯きながら水筒を受け取り、一瞬顔を上げて飲み干す。

 

「ぷはぁ……!」

 

生き返るような爽快感で笑顔を取り戻した花瑞はベータにお礼を言って水筒を返す。

 

「まるで本当のお花みたいですね。水あげたらもう元気になっちゃって」

 

「いゆぁ、身体はへとへとだよぉ…もうベンチに身体が張り付いちゃいそう」

 

「そのときは無理矢理引き剥がしてあげますよ♡」

 

その頃マキは頭から水を被って涼を取っていたところ髪型が崩れたので直していた。

 

 

 

──後半戦開始、体力がいくらか回復した鬼怒川は最初のこのタイミングでどうしても同点に追い付きたかった。そのために花瑞を前に置いてスリートップで攻め始めた。

 

「フォトンフラッシュ!」

 

「またこれか眩しっ!」

 

ボールを持つマキ含めて近くにいた荒城、花瑞が視力を光に奪われてしまったがそのままマキだけは闇雲に突撃する。止まっていたら取られるからと単純な理由の行動だ。

当然そんなことをしてもヒロトに奪われてしまう。が、ヒロトがボールを持ったのはほんの一瞬のことだった。次の瞬間には花瑞が目を瞑ったままボールを奪っていた。

 

「なっ!? どうして」

 

「ヒロトさんのことも、マキちゃんのこともよくわかってるから、きっとここだって!」

 

花瑞はそのままヒロトの問いに答えてから化身を繰り出した。

 

「勝利の女神ニケ! アームド!」

 

だがまだ視力が回復していない。うっすらと目を開けるのが精一杯だ。

 

「今のうちでやんす!」

 

栗松がスライディングを仕掛けた。しかし花瑞はボールの上を足で抑えたままその場にいるだけ。なのにも関わらずボールに当たった栗松の足が逆に弾き返されてしまった。

 

「ぎぇぇ! な、なんでやんすか!?」

 

「植物の根は深く強い。なんてね」

 

ゴッドルーツの咄嗟のアレンジとでもいえよう。ボールの下から根が生えているようだ。

そして視力が回復した花瑞はドリブルを始めた。

 

「いかせないっす! ザ·マウンテンV3!」

 

「ヘブンズタイム!」

 

壁山を抜いて円堂と一対一。

 

「これで! ゴッドノウズインパクトG2!」

 

「止める! ゴッドキャッチG5! ぐぬぬぬ!」

 

円堂が粘る。ジリジリと押し込まれるが何とか踏み留まる。

 

「ここで押し込めなきゃマズイ! 荒城、ちょっとあんた行ってきなさい!」

 

「え、この距離から!? ま、まてマキなにを…!」

 

「そぉぉれぇ!」

 

荒城の身体に脚を密着させたところから蹴り出すことで荒城への痛みを無くしてとてつもないスピードで荒城を発射させる。

 

「うわぁぁぁぁ!? も、もうやるっきゃねぇぇぇ! 真ブリザードキャノン!」

 

「なっ!? うわあぁぁ!」

 

あと少しで止められそうだった円堂だがゼロ距離からのシュートチェインを喰らってはひとたまりもなく同点ゴールを許してしまった。

 

「し、死ぬかと思った…」

 

「上出来よ荒城! マキの中であんたの株が微増中よ!」

 

「これで微増かよ!」

 

「二人ともありがとう…やっぱ円堂さんはスゴい。わたし一人じゃ止められてた」

 

だがようやく同点になったばかり。後半もまだ長いが体力は持つのだろうか。




ベータ「ふんふふーん♪」

星原「今度はとっても上機嫌ですね」

ベータ「花瑞さんがガッツ見せてくれたので」

星原「あ、荒城先輩も大分頑張ってましたよ…ね?」

ベータ「まあ頑張ってますけど女に尻蹴られてあんな無様な顔さらしたあとに押し込みシュートしても…自力少なめと言いますか情けなさが勝りますし」

星原「ベータ先輩って結構です毒舌ですよね…女子だけのとき」

ベータ「女子としか喋れないあなたより断然いいと思いますけど?」

星原「そ、そうですね……」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

勝利者はGod Knows‥…

筆者「なんとかしたぞ」

マキ「はいはい二日ペース二日ペース」

ヒロト「忙しい中頑張った方だと思うよ」


 前半最後から後半の最初で同点に追い付いた鬼怒川イレブン、かなりの消耗をしているがなんとか試合再開時の攻撃を凌ぎ逆転の一点を奪うことは出来るのだろうか。緊張感とボルテージの高まる観客達の声援の中試合が再開した。

 

サイドの虎丸から攻め始め阻止しようとしても笑太では止められない。止められずに杏の元にまで侵入を許した。

 

「ちぃ、まあわかってたことだが…イグナイトスティールV3!」

 

虎丸からボールを奪えた杏だが後ろに控えていた鬼道にボールを奪い返される。

 

「しまった、花瑞!」

 

「真イリュージョン!」

 

「うっ、見えない…」

 

抜かされないように後ろにジリジリと下がって花瑞は粘る。

 

「豪炎寺!」

 

鬼道が追い詰めシュートを託す。

 

「真ばくねつスクリュー!」

 

「ゴッドフラワーG5!」

 

「ウォーターフォール!」

 

クララと力を合わせてシュートを防ぎ、クララがそのままボールを令戸へ強めのパスで渡す。

 

「おっし、荒城!」

 

テンポよくパスを繋げて前線に運んでいくが花瑞が追い付けない。さすがにエネルギー切れを起こしそうになっておりヘロヘロだ。

 

「花瑞! くっ、もう限界か」

 

クララが声をかけるももう返事も厳しいのか一生懸命前に走るだけ。

 

「花瑞ぃぃぃぃ!」

「ダメか…」

 

荒城とマキはもう既に前に出すぎている。もうシュートしなければならない。

 

「荒城…ちょっとボール貸して」

 

マキはボールを奪うと大きくゴールから反らしてシュートした。

 

「ちょ!? なにやって」

 

「悔しいけどここでシュートしても取られてまたカウンターされる。なら、ゴールキックにして一気にケリをつけにいくのよ! クララ! 杏! 花瑞! 前に来て!」

 

「マキのやつ、大胆なことを考えたな」

 

クララは意図を理解して花瑞をマキに合流させる。

 

「さて、私達の責任は重大だぞ杏。何としてもボールを奪うんだ」

 

「言われなくてもわかってる。 もっとも、相手もそれをわかっているから随分と対策されているようだが」

 

円堂のゴールキックに対してボールのキープ力に自信のある鬼道と虎丸が受け取りやすい位置につけて壁山は円堂の隣にまで下がって待機しており風丸もパスを受け取れるよう位置につけている。

 

 

 

一瞬の遅れも許されない。誰もが息をのみボールへと意識を向ける。

 

「いっけぇぇ!」

 

円堂がボールを蹴った。変な回転をかけていない直線的な軌道をボールは描いて鬼道の元へ。

 

「やらせない!」

 

杏が反応して競り合おうとしたが鬼道はボールをスルーする。

 

「なっ!? 囮だと!」

 

虎丸でもない、その先にはヒロトがいる。

 

「よしっ、もらっ……」

 

「すまないが頂いてくぞ」

 

完全に通ったと思われたボールら滑り込んできたクララがかっさらっていった。

 

「あとは任せた」

 

クララは滑り込んだ姿勢のままボールをマキに出した。

 

「さあ花瑞ぃ! あと一仕事よ!」

 

「……てやぁぁぁぁ!」

 

「「「ザギャラクシーG3!」」」

 

「ザマウンテンV3 ぬんぁぁぁ!」

 

「ゴッドキャッチG5!」

 

「入れぇぇぇ!」

 

「止めろ! えんどぉぉぉ!」

 

「はぁはぁ……」

 

満身創痍になりながらも円堂はギリギリ踏みとどまった。

 

「う、うそ……」

 

マキもさすがに絶句した。今までで最高のシュートだった。にも関わらず止められた。花瑞ももう視界が霞んでいたが入らなかったことを認識し片ヒザに手を当てて立ち上がる。

 

「ま……まだ終わりじゃない………まだ、勝負は…」

 

フラフラな花瑞だがまだ諦めていない。ボールの行方だけを純粋に追いかける。

 

「風丸!」

 

「おうっ!」

 

風丸がボールを受け取ったはずなのにボールが無い。

 

「えっど、どこに……」

 

「風丸! 後ろだ!」

 

ボールが根に持っていかれてズルズルと風丸から逃げていく。

 

「ゴッドルーツV3……」

 

「花瑞……」

 

マキもそれ以上かける言葉が出ない。だが花瑞はそんなマキにボールを渡した。

 

「マキちゃん……お願い」

 

「……ま、まっっかせなさい! クララ、杏! 力を貸せ!」

 

「全く、じゃああれか?」

 

「そうだろうな。あれだ」

 

二人が集まる前にメテオシャワーでシュートブロックの芽を全て摘む。

 

「さぁ、一発で合わせるわよ! ガイアブレイク!」

 

「やはりか」

 

「簡単に言ってくれる!」

 

三人が力を集結してボールに隕石を集める。

 

「「「ガイアブレイクG4!」」」

 

「絶対に止める! ゴッドキャッチG5!!!」

 

 

シュートのパワーが足りてない。これでは入らない。何故か見た瞬間花瑞にはそれがわかってしまった。そして自分でも知らないうちに走り出した。そんな力が何処に残っているのか、空っぽのエネルギーから絞り出すようにシュートチェインをする。

 

「真ゴッドノウズ!」

 

「なっ! ぬわぁぉぁぁぁ!」

 

円堂ごとゴールに押し込んだ。

 

「は、花瑞!? あ、あんたそんな力どこに残って……」

 

「……私にもよくわかんない!」

 

花瑞は笑った。マキは身体に異常は無さそうなので安心し、こういった。

 

「いいとこ取っちゃって。折角のマキ達のシュートだったのにさ!」

 

「えへへ、ごめんね」

 

「ふふ、まあ試合はまだ終わってないし追加点をマキが奪えばチャラよね!」

 

だがマキもわかっている。今の自分ではそんなこと出来ない。それにこの試合でもう攻撃するチャンスなど残っていないと。

 

 

 

 

 

「限界突破というところでしょうか。今の花瑞さんは」

 

ベータはその様子を冷静に観察する。

 

「残り数分…守りきれればいいですが」

 

雷門は最後まで諦めない。実力よりもその熱血魂が彼らの最大の必殺技だ。

 

「真グラディウスアーチ!」

 

「ラ·フラム!」

「ダブルロケット!」

 

「ドラゴンスレイヤーV3!」

 

「ウォーターフォール!」

「ダブルロケット!」

 

最後まで点を取ろうと食らい付く。そしてヒロトがボールを手にした。

 

「これが最後の対決かもしれない。 いくよ花瑞! 天空落とし!」

 

 

「絶対、私達が! ゴッドフラワーG5!」

 

先程までの満身創痍だった花瑞とは違う力強さのあるゴッドフラワーであった。最後の執念と執念のぶつかり合い。思い人との真っ向からの激しい思いのぶつけ合い。

 

「ヒロトさん……私の、私達の勝ちです!!!」

 

最後の対決で天空落としを完封した。それをみて主審は試合終了の笛を吹いた。

 

「や、やった……勝った……‥勝ったんだ!」

 

「やったな花瑞、今度は気絶した優勝記念撮影にならなそうだな」

 

クララがからかいつつ勝利を喜ぶ。

 

「花瑞ぃぃ! マキ達の優勝よ! ほら、花瑞を胴上げしてあげるからお前ら集まれ!」

 

「おぉ!!」

 

 

 

 

 

満面の笑みで優勝トロフィーを持つ美しい少女の写真は翌日の新聞の一面になった。しかしその新聞を本人が見たのはさらに翌日であった。その日のうちは倒れなかったのだが、翌日になってまるで前借りしたエネルギーを返済するかのように眠りについてしまって目を覚まさなかったからだ。

 

 




八神「みんな優勝おめでとう」

クララ「おお、なにかくれるのか?」

八神「すまない、何も用意してないがジュースくらいなら奢ろう」

杏「気を利かせなくていいぞ」

ベータ「わたしアイスココアもらいま~す」

杏「なんで夏にそんな微妙なチョイスするんだよ! いくらアイスでもココアはカフェにでも行って飲め!」

クララ「あ、ココアなら冬のやつが残ってるから好きに飲んでいいぞ」

杏「あるあるだなぁ! でも氷なんてここに無いだろ」

クララ「無限に作れるが?」

杏「完全にアイスブロックさせる前振りになっちまった!」

ベータ「わぁ、自分で調整できるから濃厚なの飲めて美味しい♡」

八神「腹を壊すなよ?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来への支度

筆者「今回後半がかなりなりゆきであんな展開になってしまって」

ヒロト「なにがあるんだい?」

筆者「大羞恥大変だ」

ヒロト「第三次大戦かな? あれ、マキは?」

筆者「その件で下にいる」


 鬼怒川中フットボールフロンティア優勝からさらに一年、二連覇を果たした花瑞はベータと共に自分の家で会議をしていた。

 

「さて、ここまでお疲れ様でした。この一年で更に強くなりましたね♪」

 

「私もそうだけど皆も強くなった。どうかな、今の私たち」

 

「まあ、可能性は無きにしもあらずというところでしょうか」

 

「そっか、でもきっと大丈夫だよ」

 

「じゃあ、そろそろ決めましょう。あなたの選ぶ最高のメンバーを」

 

「これって、強さ順とかじゃなくても大丈夫なんだよね?」

 

「はい。大事なのはあなたの信頼です」

 

花瑞は目を閉じてパッと浮かんだ順に名前をあげていく。

 

「まず私とベータちゃんと黒嶋さんが必須なんだよね? だから……ヒロトさん、お兄ちゃん、マキちゃん。」

 

「はいはい。とりあえず三人」

 

「クララちゃんに杏ちゃん。八神さんも。」

 

「六人。キーパーもお忘れなく」

 

「円堂さんと豪炎寺さん、鬼道さんかな」

 

「あ、その三人はダメです」

 

花瑞はびっくりして思わず目を開ける。

 

「なんで!?」

 

「いい忘れてたんですけど、三人とも大人の方が居るんですよ。ややこしいことになるので詳細は省きますがダメなんです」

 

「ベータちゃんは二人になるのに?」

 

「私は例外なので。とりあえずキーパーから考えましょう」

 

「う~ん……あっ、ロココさん!」

 

花瑞は一瞬悩んだあと世界大会で戦ったあの最強キーパーの存在を思い出す。

 

「あ~いいですねぇ。あと最低ひとり」

 

「蓮くんかなぁ」

 

「……彼ですか?」

 

「うん、思い返すとずっと一緒に戦ってたなって思って」

 

「ま、まあこれはあなたの気持ちが最優先なんでいいですけど……荒城蓮ねぇ……」

 

ベータからすればちょっと強いモブ程度の認識である。それがまさか花瑞の口から割りと早く出てきたことで空耳かと思ってしまうのも不思議ではない。

 

「とりあえずこれで十一名です。できることなら最小メンバーの方が移動しやすいんですけど」

 

「ならこのメンバーでいくね」

 

「わかりました。今日全員に伝えて明日行くので準備してて下さい」

 

ベータは返してもらった未来の道具を使ってリストアップされたメンバーの元へ連絡に向かった。

 

「話は終わったんだね、花瑞」

 

「あ、お兄ちゃんお帰り」

 

これまでなかなか一緒にいられなかったこの兄妹も今では同じ家で暮らしている。居候のマキとベータを添えて。

 

「お兄ちゃん、未来での試合で一緒に戦ってくれる?」

 

「当然さ、二年前からそう決めていたよ」

 

「ありがとうお兄ちゃん!」

 

「もちろん、マキも選んだのよね?」

 

いつの間にかいたマキが部屋の外の壁にもたれ掛かり腕を組んで格好をつけている。

 

「うん、マキちゃんも入ってるよ。明日はおねがい」

 

「任せなさい! 未来人だろうとマキがゴールに風穴開けるわよ!」

 

 

 

──ご近所の荒城宅

 

「えぇ!? 俺がそんな試合のメンバーに!?」

 

玄関先で突拍子もない話を聞かされて驚く荒城。さらっとそうなった経緯をベータに告げられてさらに度肝を抜く。

 

「花瑞さんがあなたを選んだんですから、来てくれますよね?」

 

「は、花瑞が!? そ、そうか。なら、俺なんかで良ければいくぜ!」

 

「はい、じゃあ明日に備えて準備してください」

 

用件を伝えてベータはもう自分から身分を晒したので未来の道具で一瞬で移動した。

 

「うわ、まじですげぇ……」

 

 

──クララ宅

 

「りょ」

 

「早くて助かります」

 

全て把握済みなので即答だった。

 

──杏宅

 

「もちろん、来てくれと言うなら行く。誰だろうと負けないから」

 

「はぁい、ではまた明日」

 

当然彼女もOKだ。

 

 

 

──吉良財閥 ヒロトの部屋

 

「最初に名前をあげてくれたんですよ花瑞さん、よかったですね♡」

 

「からかわないでくれよ。嬉しいけどさ。もちろん、俺は花瑞のためならなんでもするよ」

 

「はぁい、頑張ってくださいねぇ♡」

 

ヒロトもやる気120%といったところか。花瑞からの願いなので気合いのは入りが違う。

 

 

──八神宅

 

「御無沙汰です♡」

 

「ベータか、まさか私にも声がかかったのか?」

 

「はい、来てくれるかなぁ?」

 

「いいともっ! って、何を言わせる」

 

「いや~、なんかすごい番組だって紹介されててたまたま見たもので何となく」

 

「結構気楽なのだな」

 

「……そんなわけないじゃないですか。笑ってられるのは今のうちなだけです」

 

先程までのニコニコとした顔を捨てるように真剣な目で声のトーンをひとつ落としてそう言った。

 

「そうだな」

 

八神はベータを優しく抱き締め背中をポンポンと二回程叩いてあげた。

 

「選ばれたからには期待に答えてみせる。任せてくれ」

 

「はい。おねがいします」

 

 

 

──黒嶋宅

 

「お姉さんだぁれ? この辺では見かけないけど」

 

「あ、妹さんですかね。黒嶋裕さんいらっしゃいます?」

 

「……まさか私のお兄ちゃんの彼氏?」

 

一言目の天真爛漫な少女の声から低くて警告するような声、目付きへと一瞬で変わる。

 

「おうおう、威嚇するとはいい度胸じゃねえか。本物ってもん教えてやろうか?」

 

釣られるようにベータも荒々しい性格を見せると、家の前で騒がしい声がするものだから黒嶋が家から出てきた。

 

「どうした晴って、お前はベータ」

 

「あ、どうも。お久しぶりです♡ 実はカクカクシカジカなのでご協力お願いします」

 

「なるほどな、あのときの話か。もうそんな経つんだな」

 

「あっ、黒嶋さんはもう高校二年生ですもんねぇ。妹さん共々御同行お願いします」

 

「おう、晴には今日事情を話すからまた明日迎えに来てくれ」

 

「はい。それではまた明日」

 

 

 

 

──ロココ宅

 

「どうも~覚えてますかね」

 

「お前は……俺になんのようだ!」

 

「ヤバ、この人事情知らない上に最後の記憶が敵のまんまの人だ」

 

ベータは慌てて花瑞を呼びに行って承認になってもらい事情を説明した。

 

「そういうことか。わかった、俺に任せてくれ」

 

「ふぅ、花瑞さんも突然呼んですみませんねぇ~まさかお風呂中だったなんて」

 

「は、はやく……帰ろうよ………」

 

一瞬だけ花瑞の家にとんで状態も確認せずにすぐまたワープしたせいで花瑞はバスタオル一枚のままだ。顔面は真っ赤になっており、恥ずかしさで身体が震えている。幸いというわけでもないが発展途上国のコトアールではタオル一枚で出歩く人もいるようなので即通報案件にはならなかった。

 

 

 

 

 

「もぉ、拗ねないでくださいよ~明日大切な日なんですよ?」

 

「だってベータちゃんがぁ、ベータちゃんがぁ……」

 

花瑞部屋に戻るなり布団にくるんで恥ずかしさが治まらないので出てこない。

 

「ベータ! あんた何したのよ!」

 

「ちょ、ちょっと海外旅行……」

 

「御年頃の少女を全裸で海外に行かせたわけ?」

 

「ふ、不可抗力ですから」

 

「いーやこれはベータが悪い」

 

「だって一瞬でも早く誤解を解かないとロココさん私を八つ裂きにしそうなんですもの!」

 

「乙女の裸を世間に晒させたんだからあんたもやってきなさい!」

 

「な、なんでそうなるんですか!」

 

「一回は一回よ! ほら脱げぇ!」

 

「ちょ、花瑞さんはタオルあったのに! や、やめろぉぉこの扇風機頭ぁぁ!!」




ベータ「あのぉ! タオルもないのはフェアじゃないんだけど!?」

マキ「うるさい! 情けで樹海にしたんだからそのまま一分我慢しろぉ!」

ベータ「全裸で森林とか正気じゃないですよ! わ、なんか虫が寄ってくる! かゆい! こ、これ明日響く! 許して!」

マキ「なんか別の別になっちゃったわね」

一般病んでる男性「ひっ!?」

マキ「あ、やっば。こんなところに人きちゃったよ」

男性「露出魔だぁぁぁ!」

マキ「あ、こら待て! ロープもって何処へいく! 逃げるなぁ!」

ベータ「これフェアじゃねぇ!!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

未来に花瑞オールスターズ到着

筆者「今回と次回、あともしかしたらさらにもう一回は内容短めです」

ヒロト「前置きみたいなものだからね」

マキ「前置きにしては長くない?」

筆者「最後の決戦だからな」


「さぁ、みんな集まりましたね。早速ではありますが未来に行きますので皆さん私に触れてください」

 

ベータに全員が触れたのを確認すると転送装置を起動させ、あっという間に未来へと移動した。

 

「ん、ここは?」

 

花瑞達が到着したのは暗い部屋に浮き出たディスプレイを眺める大人達が何人もいる部屋。そのど真ん中に自分達がいた。

 

「ようこそ、私はプロトコルオメガを率いているトウドウ·ヘイキチだ」

 

「なんだ、把握済みなのか。いや、見てたのか」

 

「その通り。クララくんはデータ通り理解力があるようだ」

 

「おいおい、この時代に児童保護法や盗撮に関する法律は消されちまったのか? 大人達が私達のプライベートを覗いてたらしいぞ」

 

クララがちょっと大袈裟にそうアピールして大人の様子をみる。

 

「安心したまえ、見ていたのは試合や練習風景だけだ」

 

「よかったな杏、お前の夜の恥ずかしいところは覗かれてないってさ」

 

「誰がそんなことするか!! それにそうだとしたらお前が知ってたらお前も覗き魔だろ!」

 

「むっつりスケベな杏のことだからきっとそうだろうとな」

 

「誰がむっつりスケベだ!」

 

「さて、本題に入っていいぞ」

 

「あ、こら。無視するな!」

 

クララがシリアスな空気になりそうと察知して即座に作ったコミカル空気は結局すぐに元通りになる。

 

「もぉ、クララさんが話乱すから久々に帰ってこれた私への出迎えとかなくなっちゃうじゃないですか~。兎に角今日はここにいる人以外に見つからないで会場入りしますから」

 

「ここにいる方以外は事情をしらないのかい?」

 

アフロディがクララがボケる暇を与えずに切り込む。

 

「あぁ、他にもラグナロクを戦う選手はいるが彼らは君たちのことを知らない。言うならば君たちは隠し球だ」

 

そう、このことを知るのは一部の人間のみ。この後フェーダと戦う松風天馬達はこの事を知らない。唯一知っているのはもう一人のベータだけである。

 

「さて、会場もできたころでしょうし行きましょうか」

 

「会場ができる? 新設なの?」

 

「はい、あいつらの超能力でこの基地が作り替えられるのでそろそろ避難しますよ~」

 

少し離れたところにワープさせられ、先程まで自分達がいた建物が瓦礫となり、それが再び建造物に変わるところを目撃させられた。

 

「あ、あんなのと戦うのかよ!」

 

荒城はその異次元ぶりに圧倒され腰を抜かす。

 

「へっ! 面白いじゃない。どんな相手でもマキ達が負けるはずない」

 

「……まあとりあえずバレないように中に入って試合の観戦をしましょう」




杏「はぁ……驚いた」

ベータ「あらあら、やはり図星でしたか?」

杏「なっ!? ノーコメントだ」

ベータ「クララさんは洞察力高いですしちょっとしたことでバレてたり……?」

杏「ひとがやましいことしてる前提で話すな!」

八神「お前ら……終わりが近いからと色々自由だな。いや、もう三年生だからな……そんなものか」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

SARUとエリカ

筆者「というわけでお前らはまだ知ることがないがエリカのお話だ」

ヒロト「謎の力で中身がわからない!」

マキ「マキ達はこれを知れないっていうの!?」


───ラグナロク開催数日前 

 

 人里離れた山奥、こんな未来なのにまるで未開の地のように生い茂る木々は人を寄せ付けぬように刺々しくて不規則に立ち並んでいる。そんな辺境の地のさらに奥地にセカンドステージチルドレンの集うフェーダのリーダーSARUがどうしても会わなければならない人物が居る。

 

「……なんのようかしら、SARU」

 

「君の力が必要になった」

 

まるで玉座のように植物の茎を複雑に絡め合わせて作られた椅子に腰かける赤いロングヘアーの少女。

 

「へぇ、そうやって助けって求めるものなのね」

 

随分と嫌味な言い方をするものだと苛立ちを覚えるが、彼女の力を得るためにここはSARUが一歩引く。

 

「不服だったか、ならこの通りだ」

 

SARUは頭を下げる。

 

「……随分と都合がいいのだな」

 

彼女の中では別の考えがあったのか、彼の行動に少し驚いたあとに冷酷な声でそう言う。

 

「それはお互い様だろう」

 

しかしこれ以上食い下がるのは自分の影響力が落ちることを懸念してSARUもここは張り合う。

 

「……まあいいか、これが"最後"だからね」

 

「最後だと?」

 

「お前の顔を見るのがという意味だ」

 

SARUはこれをこの一件が済めば自分達は解放されお互い顔を見る必要も無くなるということを言っているのだと解釈した。

 

「あの時のことを根に持つのはわかる。だが俺達がやるのはサッカーだ。協力してくれ」

 

「サッカーねぇ…フフ、アハハハハ」

 

少女は突如笑いだした。山の木々も笑い出す。不気味だ。

SARUは彼女のことが嫌いだ、彼女もSARUが嫌いだ。だが、SARUは彼女の力を必要としている。彼女もSARUを利用したがっている。

 

「フェーダは最強なのではなかったのかしら? こともあろうにエルドラド相手に私にまで頭を下げにくるなんてねぇ」

 

彼女はSARUを憎んでいる。それはかつて彼女がまだフェーダに居場所があった頃、彼女の思いを踏みにじったから。自分を捨てた人類への怒りや失望を更に色濃くしたから。

 

「結論だけ聞かせてくれ、来てくれるのか」

 

「行くわよ、でもそのタイミングは私が決める。お前のタイミングなんかには絶対従わない」

 

「わかった。それじゃあ……」

 

 

SARUは山を後にした。彼女によって作られた人を拒む山の要塞、彼女のオーラが作り上げた人工的な山を。

 

「ちっ、セカンドステージごときが……」

 

SARUの背中が見えなくなった頃に彼女は不服そうに呟く。

 

「行くタイミングは私が決めるだと? ふざけやがって」

 

SARUは彼女のテリトリーを抜けた後の帰り道で独り言で愚痴を溢す。

 

 

「さぁて、今回はどうなるのかしら。期待してるわよ?」

 

独りになった部屋で彼女は笑う。まるで世界を支配する独裁者のように。

 

 

 




クララ「シリアスな話の臭いがしたからここで中和しよう」

八神「なんだそのフワフワした情報を根拠にした提案は」

クララ「というわけで今回はここで」

杏「待て、待て。お前なに言おうとしてるか先にわたしに教えろ」

クララ「ゴニョゴニョ」

杏「お前それよくも私に耳打ちできたな!? いいか! そんなの絶対言うなよ!?」

クララ「まあその恥じらいの顔に免じて今回はよしとするか」

八神「いったい何を話したんだ……」

杏「考えなくていい! てきとうなこと言おうとしてただけだから!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エリカのデモンストレーション

筆者「いよいよ決戦間近だ」

マキ「あんたも気合い入ってるわね」

筆者「集大成だからな。マキ、うっかり死ぬんじゃないぞ?」

マキ「バカね、マキが死ぬわけないでしょ? 大活躍してみせるわ」

ヒロト「随分とフラグを建てるんだね。まあここなら問題はないか」


 花瑞達は他の誰にもバレないようにしながらラグナロクの試合を見届けていた。一回戦、フェーダが圧倒的な実力差を見せつけるが最後に一点を味方が奪い取る。

 

「確かにレベルが高い……でも」

 

「これなら戦える」

 

花瑞もアフロディもこの戦いを見ても臆することはなかった。問題は自分達が戦う相手がこれよりどの程度上なのかだ。

 

「まあ当然です。このレベルは私が経験させてあげてますから」

 

「ひとついいかい、あの三国ってキーパーはなんで俺の技を使えるんだ?」

 

「あ、それはあなたと同じで円堂大介から伝授してもらったからです」

 

「そうか…ゴッドハンドXにまだ進化があったなんてな」

 

二度のベータ襲撃は当然このレベルに相当するものであった。そこから更に二年間進化した花瑞達ならば苦ではない。試合内容の他にフェイとザナークにトラブルが起きるがこれもノータッチと固く念押しされた。

そして翌日の二回戦、この時空のベータの活躍もあり勝利を納めた。

 

「へぇ、こっちもベータもそれなりにやるじゃない」

 

マキも余裕そうに試合の感想を述べる。

 

「まあ、皆様と戦ったときの私相当ですからね。でもこれが一番わかりやすいんじゃないですかね。あの時は圧倒されてたのに今は普通に見れたでしょ?」

 

そして三回戦が引き分けで四回戦が行われる。

 

 

「さて、未だにエリカの姿が見えてませんね…どうするつもりなのか」

 

ベータは不振がる何せ毎時空エリカの動きはバラバラなのだがここまで姿を見せないのは初めてなのだ。

 

そして始まってしまった四回戦、なんとこの会場ごと本物のワームホールの中に移動させられてしまい逃げることもどこからの干渉も受けることもできなくされてしまった。

今までより一段階上の試合が繰り広げられ一時は天馬達が負けそうになるも形成が逆転し試合時間残り数秒あれば良いだろうと言うところで逆転に成功したそのときであった。誰も干渉できないはずのワームホールから当然のようにコートの真ん中に赤い髪の少女が舞い降りたのは。

 

「え、エリカ! 今さら何をしにきた!」

 

SARUがまるで自分の無様な姿を笑いにでも来たかのようなエリカに口調を荒くする。

 

「なぁに? この試合を終わらせに来てあげたんだけど? 誰でもいい、私と変われ。一秒で終わらせてあげる」

 

「だ、誰がお前なんかと交代するものか! 今まで何してたか知らないが自分勝手なことを言うな!」

 

二回戦で敗北しSARUに頼み込んで出場したカップルのギリスの方が噛みつく。

 

「ふーん、じゃあお前でいいわよ」

 

「なに!?」

 

エリカが指を軽く動かすとギリスはコートの外に吹っ飛ばされた。

 

「お前! ダーリンになんてことを!」

 

「なに? もう試合を再開しましょ? すぐ終わるんだから」

 

エリカは誰も自分を認めないことを知っているからか素行も振り切れていた。センターサークル内には自分がいると誰も手伝おうとしないので仕方なくカップルの片割れであるメイアの身体を操作してその場に立たせた。このとき他の者は超能力で干渉したのだがより強い力でそれをはね除けている。

 

「あなたはそこにいるだけでいい。さあ、あなた達の努力を全て無駄にしてあげるわ!」

 

それは天馬達時空最強イレブンに告げた言葉であった。

 

「破壊天使カマエル!」

 

エリカがそう叫ぶと彼女の化身が現れる。歪な身体をした天使というよりは天界を追われた堕天使に近い形状の化身だ。

そのまま必殺技も使わず直接ゴールめがけてシュートをした。もし、これで誰も触れずにゴールに入ってもそれは無効である。だが天馬達を巻き込む大質量のシュートはゴールキーパー信介に直撃してゴールもろとも吹き飛ばした。

 

「え、エリカ……」

 

試合続行不可能な状態に陥れたエリカに対してSARUもなんて言葉を掛ければいいかわからなくなる。

 

「これで同点、そして試合終了。あなた達の茶番はこれまでよ」

 

「ちゃ、茶番だと!?」

 

「そう、世界の運命を決めるのはお前らじゃない。私と、ずっと隠れてたあいつらよ」

 

「やはりバレてましたか…」

 

ここまで来たらもうバレてもよいのかベータは全員を連れて荒れ果てたグラウンドに姿を現す。

 

「天馬君たち大丈夫!?」

 

ボロボロになった天馬達を花瑞は急いで手当てする。

 

「……へぇ、今回はそうなったのね。ふふふ、最後にふさわしいじゃない」

 

花瑞を見てエリカが不気味な笑みを浮かべる。

 

「さあ、本当の最後の決戦を始めましょう! 私が勝ったらこの世界を消す! お前達には勝つしか道はない!」

 

エリカはもう試合をはじめる気満々であるが、SARUが止める。

 

「言っておくが俺達は誰もお前には協力しないぞ。この世界を消すなんて言うなら尚更だ。そうなれば試合は成立しない。エリカ、考え直せ」

 

「私に協力するやつがいない? 知ってるわよ。何年も前から知ってるわよ。そんなの想定内。私には私がいるから問題ないのよ」

 

エリカが指を鳴らすと彼女に似た容姿の少女が十人ほど現れる。

 

「なっ、お前もデュブリが使えたのか」

 

「そこにいるフェイとはレベルが違うわよ、私の力をほぼそのまま持っている最強の私のコピー、破壊天使の兵よ」

 

「は、破壊天使の兵だと?」

 

「SARU、あなたは結局いつも同じ。面白くないのよね。消えろ」

 

エリカがSARUに向けて何かを放とうとする。

 

「ゴッドルーツV3!」

 

それを阻止するように花瑞がゴッドルーツを放って攻撃を防いだ。

 

「へぇ……」

 

「な、なんの真似だ!? お、俺は敵だぞ!」

 

「関係無いよ! 危険だったから助けなきゃって思っただけだもん」

 

「……全く、なら俺ができることはひとつだ。フェーダの同志に告げる! エリカに対して超能力を使うんだ! せめて、彼女達が公平な試合ができるように!」

 

SARUの指示で手の空いているフェーダ総出でエリカに干渉する。しかし、それでもエリカは余裕そうだ。

 

「別に試合でズルするわけないのに。まあいいわ、さあ準備しなさい。ベータ」

 

「想定内です。皆さん、一度ベンチに移動して準備しましょう」

 

 




クララ「エリカって花瑞の何個先かわからないが孫なんだよな?」

ベータ「はい。他にも血の繋がりがある人はいますが」

クララ「正直言ってマジのやばいやつじゃないか」

ベータ「前から言ってるじゃないですか」

クララ「流石にマジの相手には私はふざけないからな、笑いの要素が減ることになるがすまない」

ベータ「な、何を謝ってるんですか?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終決戦開幕、圧倒的エリカ軍団

筆者「ついに始まりやがるぜ」

マキ「エリカ、髪はヒロトみたいな色してるのね。瞳とかは花瑞のそっくりだけど」

ヒロト「あと少し髪の形も俺っぽいところがあった。花瑞にとっての直接の子供じゃないのにどうしてだい?」

筆者「先祖返りってやつだな。だが実力はイカれてるから気を付けてくれ」

ヒロト「ということは俺は将来…?」

筆者「おっと、口が滑ったか?」

マキ「マキの将来はどうなるのよ!」

筆者「無言を貫く」


 一度ベンチに入って試合の準備を整えている間に、他のセカンドステージチルドレンからの妨害を受けてもなお力を行使し、先程天馬達を蹴散らすときに破壊したグラウンドを作り直した。

 

「おいおい全然力を抑えられてないじゃんかよ。お、俺達大丈夫なのか?」

 

「荒城さん心配は無用です。エリカが試合で超能力を行使したことは一度もありません。過去に何度も見てきた私が保証します」

 

そして今まで実力だけで多くの世界をねじ伏せてきたことも。

 

「ここにいるメンバーは過去最高のメンバーだと私は確信を持ってます。少なくとも私が見てきた世界ではナンバーワンです。ですが、それでも120%の力を出してなお勝つことが困難かもしれません。ただ勝つだけでも精一杯なのにそこから更に求められるものも多いですがそこは花瑞さん、あなたに託したいと思います。私達は、花瑞さんが最適解を見つけるまでに試合が破綻しないようそっちにだけ集中しましょう」

 

ベータがそう締めくくり試合に望んだ。

 

 

 

 

FW マキ ヒロト

 

MF 荒城  ベータ アフロディ 八神

 

DF クララ 花瑞 杏 黒嶋

 

GK  ロココ 

 

 

─エリカ軍団─

 

FW エリカ(本体)

 

MF エリカ エリカ エリカ エリカ エリカ

 

DF エリカ エリカ エリカ エリカ

 

GK エリカ

 

 

 

 

「こう並ばれると異様な光景ね……」

 

「ああ。とりあえず最初はマキに任せる。突破してくれ」

 

「任せなさい」

 

試合開始、マキがボールを持ち先制攻撃と言わんばかりに本体のエリカにメテオシャワーを仕掛ける。

 

「ゴッドルーツ!」

 

「な!? それは花瑞の!」

 

 

メテオシャワーを凌がれボールを奪われてしまう。

 

 

「さあ、まずは一点目を奪いましょうか」

 

エリカはひとりで歩く程度のスピードで前に進む。

 

「行かせない! フォトンフラッっ」

「スロゥタータイム」

 

「僕のヘブンズタイムそっくりだ、だが……あれは」

 

抜かれたヒロトはヘブンズタイムなら吹き飛ばされるところをまるでカマイタチにあったように切り刻まれる。

 

「ぐぅ!」

 

「ヒロトさん!!!」

 

「さあ、次はあなた達よ。ベータ、アフロディ」

 

「そう易々と通すかよ! 虚空の女神アテナ! アーームド!」

 

「ふふ、前よりは強くなったじゃない。 破壊天使ミカエル アームド」

 

両者化身をアームドしてぶつかり合う。結果は一瞬にしてベータが弾きとばされる程のレベル差であった。

 

「ぐぁぉぐぅ!」

 

「さて、はじめまして。花瑞……私はお前が憎い!」

 

先程まで余裕のある顔をしていたエリカだが、花瑞と対面した瞬間に親でも殺されたかのような顔になる。

 

「どうして私が憎いの! 教えて!」

 

「お前は私程では無いが強い…他者より遥かに強い。なのになんで…お前には、お前にだけは!」

 

最後まで言いらずにシュート態勢に入ってしまった。

 

「この動き、ヒロトさんの天空落とし? なら、勝利の女神ニケ! アームド! ゴッドフラワーG5!」

 

「天界落とし!」

 

技名が異なるがモーションは同じ。だが威力は段違いであった。

花瑞が一瞬にして破れるほど圧倒的であったのだ。

 

「タマシイザハンドG5! ぬわぁぁぁ!」

 

そしてロココでも止められずに一点目を奪われる。

 

「あのふたりでもダメなのか」

 

八神はその圧倒的な力に驚きを隠せない。荒城なんてもはや言葉も出ないで固まっていた。

 

 

「大丈夫だよみんな。試合は始まったばかり、皆がいれば不可能はないよ!」

 

「花瑞……そうよね! この程度でまだまだ終わらないわよ! エリカ! あんたから必ずこのマキが点を奪ってやるんだから!」

 

「ふん。そんなに打ちたければ打たせてあげるわよ」

 

エリカは試合再開後マキにメテオシャワーを打たれても何もせずそのまま立って無視した。マキはメテオシャワーを受けてもその場で立ち続けていたエリカに驚きつつも先にいかせてくれるならばと構わず進む。そして、後ろのデュブリエリカ達も全く動かず、マキは何の邪魔もされずシュートを打てた。

 

「グングニルV4!」

 

「ワームホール」

 

しかし、キーパーのエリカがワームホールを放ち簡単に止めてしまった。

 

「な、今度は治の技!」

 

「残念だったわね、実力差がありすぎたようで」

「私達には勝てるわけないのよ」

「あなた達旧人類がね」

 

「こ、こいつら喋るのか…同じ声で三方向から煽ってきてムカつく!」

 

「ほら、ムカつくならもつ一本打ってみなさい」

 

キーパーのエリカがボールをマキに差し出す。

 

「この、後悔させてあげるわ! グングニルZ!」

 

「ワームホール」

 

更に威力を増したマキのシュートも淡々と止められてしまう。

 

「進化しても無駄よ。所詮は旧人類の枠内での進化なんだから」

「私達からしたら誤差」

「諦めなさい」

 

「これっぽちで諦めるマキじゃないわ!」

 

「なら、もう一度試せばいいわ」

 

またしてもボールをマキに渡す。マキの怒りも頂点だ。

 

「格好つけて失点しても知らないわよ! グングニル……∞!!!!」

 

「す、すごい! マキちゃん二回も技を進化させた!」

 

「ワームホール」

 

が、これも止められてしまった。

 

「だから無駄って言ったのに」

「しょうがないんじゃない? 所詮旧人類」

「理解ができなくてもそれは劣ってるからわからないだけ」

 

「そんな動物達には実力でわからせるのが一番」

 

キーパーのエリカがボールを蹴ってマキを吹っ飛ばす。

ボールはマキの腹に食い込んだあとミッドフィルダーのエリカに渡る。

 

「さあ、私からボールを奪えるかしら?」

 

「グラビティション!」

 

八神が遠くから援護してアフロディにボールを取るよう頼む。

 

「そんなの効かないわよ?」

 

しかし重力も何のその。そのまま動き出してアフロディを追い抜く。

 

「スティールルートV3!」

 

だが、花瑞達がボールを奪うことに成功した。

 

「へぇ、少しはできるのね」

 

クララはボールをすぐに花瑞に渡した。

 

「頼む、私達は守りに専念する」

 

「わかった。よろしくね!」

 

花瑞が化身をアームドさせて攻撃をはじめる。エリカのデュブリ個体とはいえこちらの力でボールを奪えたと事実は大きな活力になる。だが、本体が花瑞に襲いかかる。

 

「ゴッドフラワーイロウション!」

 

真っ黒に染まった花が大地に寄生して襲い掛かる。

 

「きゃぁ!」

 

花瑞は必要以上に襲いくるエリカのゴッドフラワーにやられてしまい、エリカはそのままシュートを放ち楽々二点目を奪った。だがまだ誰も諦めてない。すぐにボールを戻して試合再開しようとする。

 

 

「愚かな人達、まだ刃向かうのね。そうでなければ狩り甲斐がないというものだけど」

 

最終決戦は始まったばかり。例え0-2でも終わってはいない。




クララ「あ、圧倒的じゃないか!(古谷の声真似をしつつ)」

杏「だから本編でボケれないからってここでボケるな」

クララ「わかってないな。こういうのは塩梅が大事なんだよ」

杏「それと、物真似もそんな似てない」

クララ「悔しいけど、私は女なんだな……」

杏「そんなに物真似したいなら殴ってやろうか?」

クララ「親父にもぶたれたことないのに……」

杏「お前ボケるのか重い話しにしたいのかわからないこと言うのだけはやめろよな!?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

マキの意地! 限界突破の一撃

マキ「これ絶対マキのいい話!」

ヒロト「タイトルネタバレを自分で補強してくスタイルなんだね」

筆者「このタイトルでいい方向にだけ想像できるとは大したもんだな。ワンチャン自爆みたいな最期のタイトルにも見えるだろうが」

マキ「死んだら毎晩あんたの夢の中に出てメテオシャワーを喰らわせ続けるわよ?」

筆者「マキ、君は一生生きてくれ」


 二点目を奪われたがまだ誰も諦めてはいない。しかし、先程のような遊びをもうエリカがするつもりも無いようでマキ達からあっさりとボールを奪うと三点目を奪いに進軍した。

 

「花瑞さん前に出てください! 二人のアームドならあるいは…」

 

「了解ベータちゃん! いくよ!」

 

「へぇ、試してみる?」

 

エリカ一人に化身アームドした少女が二人掛かりで衝突する。

 

「くっ、これでも押されんのかよぉ!」

 

「何てパワーなの……!」

 

「力を貸すよ」

 

アフロディがそこに加勢して押し戻しはじめた。

 

「お兄ちゃん!」

 

「皆で未来を取り戻すんだろう? ふたりだけで無理はしないでほしいな」

 

アフロディもまた不完全ながら化身のオーラを出した。その力の差で僅かに押し返しボールを奪取することに成功した。

 

「このままいくよ花瑞!」

 

「うん!」

 

兄妹の連携で残るエリカ達を抜いていくが、ディフェンダー四人が止めにはいる。

 

「スティールルート!」

 

エリカ達三人がアフロディと花瑞相手にスティールルートを繰り出した。

 

「くっ、こっちに引き付ける」

 

アフロディがボールをもって右サイドに走る。それを追って来たところで花瑞にパスを出す。

 

「花瑞! マキにボールを頂戴!」

 

「ふふ、無駄よ。彼女のシュートは止めちゃうから」

 

「マキちゃん!」

 

「バカね。あれだけやって入らなかったのに」

 

「マキちゃんなら決めてくれるよ」

 

(確かにさっきは止められた。でも次は決める。一点目はマキが決める! 別にワガママだけじゃないんだから! 今、この試合でボールを奪えたのも相手を躱せたのも花瑞が絡んだプレーだけ。ここでマキが点を奪えれば他のみんなにも勢いがつく!)

「喰らいなさい! スタァァァ!

 

マキはボールを思い切り宙へと蹴りあげ、一瞬のうちにそのボールに追い付く。

 

「ゲイザァァァ!」

 

ボールはメテオシャワーのように複数のエネルギーになりゴールへと降り注いだ。

 

「ワームホールっ!」

 

先程までとは段違いの威力を持ったマキの一撃が、ワームホールをぶち破りエリカの頬を掠めてゴールに突き刺さった。

 

「やっっっ……たぁぁぁ! 見たかぁぁ! マキのシュート!」

 

マキはゴールに入ったのを見届けた後、一度前屈みになり両拳を握りしめてためを作ったあと思い切りジャンプして全身で喜びを表現する。

 

「はしゃいじゃって……ガキみたい」

 

エリカは試合が再開するとすぐに猪突猛進、マキやヒロトを蹴散らして進む。

 

「破壊天使ミカエル! スロゥタータイム!」

 

「なっ! しまっ」

 

ベータとアフロディを切り刻み余裕で花瑞と対峙する。

 

「さぁて…どう狩ろうかしら」

 

「さっきは教えてくれなかったよね。なんで私が憎いの?」

 

「うるさい! お前にわかるものか!」

 

「言ってくれなきゃわからないよ!」

 

「言ってもわかるものか!」

 

「わかるかはわからない。でも、知ることで出来ることもあるはずだよ!」

 

「綺麗事を抜かすなぁぁ!」

 

花瑞の腹部に向かって強烈なシュートを蹴り込む。花瑞はもろにそれをくらってゴールポストに背中を強打する。

 

「大丈夫か! 花瑞!」

 

「ろ、ロココさん。ボールを……」

 

こぼれたボールをロココに拾ってもらい一瞬の安全を手に入れる。

 

「せっかくマキさんが可能性を見せてくれたのに、ここで流れを殺すわけにはいきません……おまえら! いくぞ!」

 

ベータが決心したものとは、マキが作った可能性の穴を広げられるものなのか。




八神「ベータは何を企んでいるんだ」

ベータ「んー、みなさんも知ってることですよ」

クララ「まあ、有益なことであるのだけは信じてやるがここでだけネタバレとかないのか?」

ベータ「残念、なぁぁんにもありませんよ?」

杏「ここでネタバレしたらみんなに見えるだろうが!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

追い風よ吹け!

筆者「やっべ文字数多めの話しにしてたらこんな時間に」 

マキ「なんでいきなりこんな長くしたの?」

筆者「友人の5000文字程度のプロローグを見てたら十分たたずに読み終わったからもしかして今までのは少なすぎたかと」

マキ「今更!?」

ヒロト「これについてのご意見ご感想お待ちしてるよ」


 マキが一点を取り返すもエリカはまだまだ余裕の様子ですぐに力の差を見せつけるように花瑞をいたぶった。

このまま一方的に攻撃されれば折角マキが見せた可能性の光がエリカの力の前に消されてしまう。ベータは意を決してあの技を使う。

 

「お前ら受けとれぇ! ゴーストミキシマックス!」

 

「これは……力が溢れてくる!」

 

ロココはその力の膨大さに驚き、そしてベータではなくエリカに驚愕した。

今感じている力を足したとしても先程のシュートを一人では止められないと直感的に理解してしまったからだ。

 

「ゴーストミキシマックスねぇ…あなた、今までこんな技見せたことあったかしら?」

 

「……やっぱり貴女自身も世界を移動しているんですね。そうですよ、今まで使ったことはありません」

 

「それが今になって何でなのかしら?」

 

「奥の手だったからですよ」

 

「はぁ?」

 

「今までは勝てる気がしなかった。それでも抗い続けた」

 

「今回が最後だから出し惜しみしないってことかしら?」

 

「いいえ、このチームなら勝てるという見込みがあるからです」

 

「ハハハッ! 笑わせてくれる。これくらいで勝てるとでも?」

 

「結果は最後にはわかりますよ」

 

ミッドフィルダーのエリカ一人がボールを持った黒嶋に向かってボールを奪いにいく。

 

「アグレッシブビート!」

 

黒嶋はベータの力も加わりエリカを躱すことに成功する。

 

「確かに、焼け石に水というわけでは無いようね。でも一人消えても変わりはいるの」

 

二人目のエリカがゴッドルーツを黒嶋に向かって放つ。黒嶋は自らを狙って先端は音速を越えるような根のムチより早く動き再びアグレッシブビートで抜かした。

 

「元からそれなりの実力者か。だけど所詮人。スティールルート!」

 

今度は三人で黒嶋を襲う。襲われる黒嶋は冷静にボールを杏にバックパス。杏もそれをわかっていたようにダイレクトでアフロディに繋げた。エリカ二人がアフロディの道を塞いで問いかけた。

 

「他人の力を借りてやっと戦える、それで満足なのかしら?」

 

「人は支えあっていくものなのさ」

 

「……ひとりでも強ければ生きていける。そんなの弱いから群れてるだけの言い訳に過ぎないわ」

 

「なら、今の君達は?」

 

二人で止めようとするエリカに逆にアフロディは問い返す。

 

「私達はひとりなのよ」

 

「……そうかい。一旦お話は終わりにしようか、真ヘブンズタイム!」

 

ヘブンズタイムが通じた。アフロディは二人を抜き去りディフェンダー陣にまで到達した。

 

「さて、そろそろ君も出番がほしいだろう」

 

アフロディは敵陣ど真ん中に突っ込み三人からスティールルートを喰らう。

 

「荒城くん!」

 

「よっしゃ繋ぐぜ! ブリザードキャノンV3!」

 

アフロディは一度時計回りに半回転してそのまま荒城にパスを出し、守りの手薄になったサイドからシュートを打たせた。

 

「ゴッドルーツ」

 

しかし、まるでハエを叩き落とすようにあっさりと残り一人のディフェンダーエリカに止められてしまう。

 

「へぇ、この程度か……」

 

ボールを手に入れたエリカは何かを企んだのか目を少しばかり細めて横目で荒城を見つめる。

 

「まあ、あとでの楽しみにしましょう。まずは……」

 

エリカ達は意思を共有した存在であった。そのため作戦の指示を出さずとも相互に連携を取ることができる。

 

「ゴッドブレイク!」

 

いきなりのロングシュートで意表を突くつもりなのだろうか、だがそこはベータが何とかボールを止める。

 

「さぁ、愚かな彼女に分からせてあげる。何をしても無駄ってことを」

 

前からも後からもスティールルートを使われ、ベータは逃げ場を失う。そして、ギリギリのところを何度も何度もスライディングされて傷付けられていく。まるで檻、悪意によって作られた植物の檻の中で痛め付けられる。

 

「ベータ! ちぃ、こいつら……」

 

今力の差を埋められているのはベータのゴーストミキシマックスがあるからに過ぎない。もしこのままベータが力尽きればその力を失った上にベータが戦えない絶望的な状況に陥る。このことを全員が理解しているが特に理解していて尚且つ救出出来るかもしれないと考えられるのは彼女だけだった。

 

「フローズンスティールV3!」

 

複雑に絡ませた根の檻を一瞬で滑り切りベータからボールを回収して外に脱出する針の穴に糸を通すような芸当。クララのセンスと三年間成長しなかった小柄で控えめなボディだからこそなし得たプレーだった。だがこれでもかなりベータは消耗させられてしまい、身体は傷付き太股に痣も見える。ゴーストミキシマックスを優先して彼女自身は動けそうになかった。

 

「自分が助かるだけならゴーストミキシマックスなんてもう止めればいいだけなのにな。それでも私達に力を貸してくれるんだろう、もう期待に応えるしかないよな」

 

クララはボールをアフロディに渡して花瑞をベータのポジションまで上げさせる。

 

「ベータは一度下がれ、花瑞は前に」

 

「わかった。後ろはお願いね!」

 

兄妹のコンビネーションにベータの力が合わさってエリカ達と互角以上の動きをみせて次々に追い抜く。

 

「仲が良いわね。でも私を倒すには力不足よ」

 

エリカ本人だ。エリカ本人が後方まで下がって全て奪いに来た。

 

「破壊天使カマエル!」

 

「ヘブンズタイムは効かない。花瑞、いいね?」

 

「うん、わかってる。勝利の女神ニケ! アームド!」

 

「力押しで来ようって訳でしょう? 残念だけどそうはさせないから!」

 

二人の立つ場所が突如日陰になる。二人が同時に上を見上げると何か降ってきていた。

 

「黒い……花?」

 

「堕天の烙印!」

 

それはエリカの化身ブロック技であった。漆黒に染まった神の花がアフロディと花瑞を押し潰す。

 

「みんな私みたいになればいいのよ、どうせここにいる奴らだって悪さしたことくらいあるんだから」

 

エリカは振り返り自分のゴール側にいるヒロトとマキに目を向ける。

 

「お前もお前も自称宇宙人の侵略者、日本を征服しようとしたんだから」

 

ヒロト、マキに敢えてメテオシャワーを使っていたぶる。

 

「お前らの技で傷付け!」

 

正気とは思えなかった。サッカーを通じて、彼女はむしろ正気を失っているように周りからは見える。

 

「あんたたちも仲間よね? ウルビダ、クララ、レアン」

 

「来るか……グラビティション!」

「ラ·フラム!」

「ウォーターフォール!」

 

三人は身の危険を感じて三人で同時に必殺技を放って対抗しようとする。

 

「スロゥタータイム」

 

だがエリカを止めることは出来ない。三人まとめて切り刻まれると同じ場所に倒れたまま積み上げられ、追い討ちをかけられる。

 

「メテオシャワー!」

 

「ぐぁ!」

「ぐっ…」

 

この深刻な事態にまだ狙われていない荒城と黒嶋もゴール前に集まり守りに入る。

 

「どうして、どうしてこんな酷いことをするの……?」

 

一度押し潰されてボロボロになった花瑞がフラフラと立ち上がりながらエリカに問いかける。

 

「お前らは私が悪だと思ったから倒そうとしているのでしょう? ならこいつらも同じ。悪だったんだからこうならなきゃおかしいでしょう?」

「過ちは消えない」

「危険な人間は徹底的に排除される」

 

「そうか……花瑞、これは事情を知っているだろう人に確かめないといけないようだ」

 

アフロディも立ち上がり何かを感じたのかその可能性を特定するために事情を知る人物へ直接尋ねることを提案する。

 

「事情を知ってそうな人?」

 

「あぁ、大丈夫。多分彼も君に教えてくれる。問題はそれまで僕らが耐えられるか…さ」

 

アフロディは試合の経過時間を見る。前半は残り十五分もあった。長い、長すぎる。今の自分達にとってはあまりにも長すぎる時間であった。

 

「さぁて、邪魔だからもう少し寝てなさい!」

 

エリカは立ち上がったアフロディと花瑞に再び攻撃して暫く動けないように徹底的に叩きのめした。

 

「さて荒城蓮、あんたも悪人よねぇ? ダークエンペラーズの一員だったんだもの」

 

「そ、そうだ! 俺は悪人だろうさ! やるなら一思いにやれぇ!」

 

荒城は足がガクガクに震えている。威勢の良いことをいっても内心はビビり散らかしているのだ。

 

「フフ、ちょっと邪魔な奴らを片付けるから待ってなさい」

 

そういうと黒嶋とロココに向かって強烈なシュートをお見舞いして荒城以外全員が倒れている状態にした。

 

「あなたは確かに悪人、でも……ふふ。エイリアの力に絶望して惑わされてそっち側に墜ちた人間。なぜ墜ちたのかしら…‥」

 

「そ、それは…」

 

「弱いからでしょ?」

 

「……」

 

その通りだった。だから何も荒城は言い返せない。

 

「悪いようにはしないわよ、あたしに付かない?」

 

「そ、そんなことするわけないだろ!」

 

「あなたも花瑞が好きなんでしょ? でも、悪いけどあなたに振り向くことは無いの。どこを探してもね。わたしなら…少しくらい良い思いをさせてあげてもいいわよ?」

 

年頃の荒城には刺激が強すぎる誘惑を執拗に仕掛ける。

 

「一生手に入らない高嶺の花か?」

「高嶺の花だけど少しばかりの夢を見たいか?」

「選ばせてあげるわ」

 

本体のエリカ以外が荒城を取り囲み四方八方から別々に声を出して問いかけ、エリカ本人はその様子を面白そうに眺める。

 

「俺は別に花瑞を何としてでも欲しいなんて思わねぇ!」

 

「ふふ」

 

エリカに墜ちるのかと思われる言葉にエリカも勝ちを確信し不適な笑みを浮かべた。その次の言葉でその口は不機嫌で怒りに満ちた歯を食い縛る形に変わるのだが。

 

「例え叶わぬ恋でも、その人の幸せのためなら俺は構わねぇ! 俺は花瑞って人柄が好きなんだよ! 何か勘違いしてるようだが可愛いからとかだけじゃねぇんだよ!」

 

「あっそう……雑魚の癖に。この世は所詮強いやつが偉いのよ。あんなエイリア石に手を染めといてもわかってなかったのね。一生負け犬でいればいいわ!」

 

荒城を痛め付けようとボールを空中に上げた。

 

「天界……」

 

「もらったぁぁ!」

 

 

溜めの隙を見事に突いてボールを奪ったのはベータであった。

 

「まだ動けたか」

 

「へっ荒城、意外といいとこあんじゃねぇか。安心しな、まだこのチームは誰一人欠けちゃいねぇ。それだけで充分チャンスはある!」

 

「馬鹿かしら? これほど痛め付けてまだわからないの?」

 

「ええ、馬鹿は死ぬまで治りませんから♡ いくぜぇぇ!」

 

荒城にエリカ達が集まっていたことで他のメンバーはがら空き。ヒロトが立ち上がりロングパスを受け取った。

 

「マキ、いくぞ!」

 

「任せなさい!」

 

最後にマキにパスを出してシュートを放つ。

 

「スターゲイザー!!」

 

「ジ・エンド」

 

だが、この流れでの追加点は許されなかった。エリカの次なる技が先程ゴールを決めたマキのシュートを完封した。

 

「ふふ、ちょっと勝てる気がしてたかしら? 愚かね」

 

 




クララ「エリカやべぇなほんと」

杏「狂ってやがる」

クララ「あれは人工じゃない。天然の狂気だわ」

八神「逆になんだ人工の狂気って……」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エリカの過去

筆者「今日は祝日 正午に投稿」

ヒロト「そんな基準あったっけ?」

マキ「それならむしろ土日もそうするべきよ!」

ヒロト「なんなら昨日は遅刻してたからね」

筆者「許せ! 予定もあるんだ!」

マキ「許してほしければメテオシャワーよ?」

筆者「じゃあ許さなくていーわ」

マキ「許さないから制裁のメテオシャワーね」

筆者「どっちも一緒じゃねぇかよ!」


 マキの新必殺技スターゲイザーはエリカのワームホールは破れたが次なる技ジ・エンドの前には敗れた。前半残り一分、ボールはエリカに渡ってしまった。敵のいない草原を歩くようにゆっくりとゴールに向かって進む。

 

「前半もあと少し、いいものを見せてあげるわよ」

 

エリカは再び化身を出し、そしてアームドしてみせた。

 

「ふふ、これだけでもさっきまでとは比べ物にならない力になる…けどね? 私にはアームド時にしか使えない技がある」

 

真っ黒な三対の翼を生やして大空に羽ばたき、ボールに対してオーバーヘッドキックの形でゴールに向かって叩き落とす。

 

「破壊天使の逆鱗!」

 

その場に立つことしかできない花瑞達はその圧倒的エネルギーを持った暗黒のボールが自分達に向かって来るのをただ見届けるしかなかった。

 

「あ、あれ…女神の逆鱗に‥似て………きゃぁぁぁ!」

 

「タマシイザ…うわぁぁ!!」

 

エリカのシュートでコートの半分が無くなりゴールは消失し、ロココは深刻なダメージを追い意識を失った。

 

 

───前半終了1-3

 

 

「う、う~ん……」

 

花瑞達も気を失っていた。ハーフタイム中に目が覚めたがそれはSARU達のお陰だった。何人かのセカンドステージチルドレンが傷付いた花瑞達に何か超能力を浴びせている。

 

「まだ動かないでくれ、ダメージは深刻なんだ。後半までには皆治すから」

 

「SARUさん…? これは…何をしているんですか?」

 

「俺達の力で傷を治している。お前らに勝って貰わないと未来がないようだからな。それに……助けてもらった借りがある」

 

「ありがとう。ねぇSARUさん、エリカについて知ってることとかってあります?」

 

「エリカについてか……」

 

SARUは表情を曇らせる。語りたくない過去があるのだ。

 

「申し訳ないが私達に話してくれないか? この試合…いや、未来のためにも知らないといけない」

 

表情を曇らせたSARUをみて無理にでも聞こうとしないで躊躇っていた花瑞を見て、同じく治療中だったアフロディが変わりに聞いた。

 

「わかった……どのみち未来が無くなってしまったら意味もないことだ。話そう」

 

 

 

 

───SARUがエリカと出会ったのは、エリカが五歳の頃だった。

そのときもエリカは一人だった。山奥にひとりで住んでおり必要なものがあるときは町に出て盗みを働いていた。セカンドステージチルドレンを集めていたSARUに超能力を使って盗みを働いている姿を目撃され声をかけられたのだった。そのとき、SARUはエリカの生い立ちについて直接エリカから聞いていた。

 エリカには家族がいなかった。生まれながらに持っていた破壊の能力が彼女の産声とともに両親を殺してしまったのだ。そのまま自分の生まれた病院もろともコントロールできない力で全壊させてしまい、彼女は唯一の生き残りの赤ちゃんとして研究所に回収された。

 生まれて一ヶ月と経たないうちに彼女は自我を持ち、歩き、喋れるようになった。そして自分の力を理解した。今自分の置かれている状況も理解した。その力を戦争の道具にするために研究されていることも。

 彼女は研究所を破壊し人里離れた山の中に隠れた。大人に失望し、暫くは誰とも関わりたくなかった。だがいくら超人的な彼女もお腹は空く。彼女は仕方無く町に出たが当然使えるお金などない。そして自分くらいの年の子、生後一ヶ月程度の子が一人で町を歩くなんてことが常識的に考えてあり得ないことだとそこで知り、路地裏に隠れ町の様子を伺っていた。

幸か不幸かその路地裏で彼女はカツアゲの光景を見てしまった、自分より弱い人間が更に弱い人間を力で制圧する光景を見た。彼女は即座にそれを学習してカツアゲしていた男を気絶させてから金品を奪った。

 丁度いいので気絶させたその男の身体を操って粉ミルクを買わせた。こうして離乳期に入るまで上を凌いでいた。

 

 離乳期に入ると彼女は更に知性を得た。わざわざ路地裏で人を襲うのも効率が悪い。彼女はバレないように物を盗むことを覚えた。監視カメラから自分を消し、瞬間移動で一瞬だけ店の中に入り姿を消す。これをSARUに出会うその日まで続けていた。SARUはその犯行を、超能力の使用を認識できたからだ。

 

「君のような力を持った仲間を俺は集めている。俺と一緒にこないか? きっとそこに君の居場所もある」

 

エリカは試しについていった。そこには確かに自分のように特殊な力を持ったSARUの仲間がいた。だがエリカの仲間になることはなかった。SARUはエリカが仲間に溶け込めないのを見てどうしたものかと考えたがリーダーとはいえ彼もまだ幼く、解決法がわからなかった。

その頃のエリカはワガママで自分のやりたいことをやるだけのまさに子供だった。

 この頃には既にSARUは今も続く世界への侵略を始めておりエリカもその力で圧倒的な戦果を築いた。だが集団行動を理解せず、何かあれば力で解決していたエリカはあっという間に彼女は孤立し、SARUは何度もエリカに注意や仲直りするよう促したがなぜ強い自分が自分より弱い奴らに謝らなければならないか理解できない様子だった。

 

「エリカ、申し訳ないが皆は君と一緒にいたくないようだ」

 

「ふーん、じゃああいつらを切れば?」

 

「…‥エリカ、俺から誘っておいて悪いが君は一度俺達から離れてくれないか?」

 

言葉の意味は理解できるがSARUの気持ちは全く理解できない様子でエリカは聞き返した。

 

 

「は? 今、何て言った?」

 

「エリカ、チームから抜けてくれ」

 

聞き間違いでないと理解したエリカは尚更疑問に思った。

 

「わたしの方が強いのに? あいつらを選ぶの?」

 

「エリカ! 何故わからないんだ! お前のやり方じゃ誰も納得しないんだよ!」

 

「わからないわよ! 何をしたら納得されるかなんて! もういいわよ、どうせ私は独り者! こんなところにいる方がおかしかったんだから!」

 

エリカはそれ以来SARUの元に姿を表すことはなかった。SARUも罪悪感があったのか彼女の行方を時間があれば探していた。彼女の居場所を特定したのはわりと最近のことであった。

 

 

───SARUは当時のことを伝え深刻な趣で話を終えた。

 

「なるほど……何となく見えてきたものがある」

 

アフロディはそれを花瑞も感じ取れたか花瑞の顔をみる。花瑞の顔はキリッとしており、それでいていつもの優しい雰囲気を持った表情を見て大丈夫そうだと確信を持つ。

 

「花瑞、最終的な結論は君に委ねる。きっと花瑞なら今の話で必要なものを見つけられたと思うからね」

 

「これが正しいとかはわからない。でも私に出来ることは、やることはわかった気がする」

 

「それでいい。さあ、後半戦に行こうか」

 

 

アフロディと花瑞は再びエリカが作り直したコートに立つ。

ベンチで治療を受けていた他のメンバーも続々完治してコートに復帰する。

 

「やれやれ、花瑞のサポートをしにいくか」

 

クララも話を聞いて花瑞が何か試合に勝つ以外の何かもするのだろうと察してこの後に待ち受ける死闘の先にある未来を楽しみに自分のポジションに着く。

 

「私達は負けない。どんな過去を持っていようと私はやることを全うするだけだ」

 

杏は花瑞が何をやるか想像こそつかないが彼女のやることを信じて今できることに集中する。

 

「世話が焼けるぜ。まあ、最後まで支えてやろうぜ。なあ、荒城」

「そうですね黒嶋さん、微力だけど頑張ります!」

 

黒嶋、荒城もしっかりとサポートするために身体を張るつもりだ。

 

「一個でも多く止める。俺とダイスケのサッカーを終わらせない」

 

ロココは先程のシュートが脳裏に鮮明に焼き付いているがそのシュートだって止めてみせるという強い覚悟でゴールを守る。

 

「やれやれ、世話の焼ける奴が多いものだ」

 

八神は相変わらずな面々を見て少し安心感を覚える。

 

「SARUからの話なんて今まで聞いたことありません。やっぱり、この世界は、花瑞さんなら……きっと」

 

ベータはこれまでにない世界の変化に未来への可能性がぐっと近付いていくのを感じ強い希望を抱いてフィールドに立つ。 

 

「花瑞なら解決できる。マキは兎に角点を取る!」

 

マキは絶対的な信頼を花瑞に持っている。大事なことは彼女が解決してくれるから自分はひたすら試合で点を取ることに集中しようとエリカ相手に悪戯染みた笑みを浮かべる。

 

「花瑞、俺はお前のために……そして君の子孫であるエリカのために全てを捧げよう」

 

ヒロトが思い浮かべる未来は実現するのか、今最後の戦士がフィールドに入った。

 

 

 

「さぁ、最後のショーをはじめましょう?」

 

 




クララ「私は察しがいいからな。花瑞のしたいことがもうわかった」

杏「本当なのか? 言ってみてくれ」

クララ「すまないがネタバレはダメだ」

杏「ネタバレってなんだよ!?」

八神「まあ色々クララにもあるんだろう。それより、杏はわからないということか?」

杏「なんかいい感じにしてくれるんだろってのはわかるけど」

八神「それでいいじゃないか。十分だ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

繋がりの道筋

筆者「昨日はいじる暇無くて投稿出来なかった。すまんかった!」

マキ「終盤キャンペーンでその土下座の背後からグングニルで許してあげるわよ」

筆者「ちょ、待て。それむしろ痛そうなんだけど…ねぇ、その角度絶対あれだよね!? けつなあな…」

マキ「グングニル!」

筆者「確定じゃねぇぇかぁぁ!」

ヒロト「ネタの鮮度が非常に悪い」


 後半戦が開始する頃にはこの試合の前に傷付いた天馬達も治療が済み、この決戦を全員が見届けることができた。円堂も鬼道も豪炎寺も大介もだ。

 

「これが花瑞の選んだメンバーというわけか。面白い」

 

鬼道はその懐かしい姿の面々を見て当時の記憶が甦る。

 

「まさに対となるチームだな」

 

豪炎寺はエリカ軍団と比較して簡潔に感想を述べ、鬼道がそれに付け加える。

 

「強い絆で結ばれたチーム。そしてある意味それが一番強く示されているのは荒城とロココかもしれんな」

 

二人は敵としても味方としても戦ったことがない。さらに言ってしまえばロココにとっては荒城は初対面であった。

だがそれでも、花瑞が信頼を寄せる人物ならば間違いないだろう。

それだけの理由で彼らは共に戦えている。

 

 ただし試合展開は後半に入ってもエリカ優勢である。いくら身体が回復しても元の実力差が覆るわけはない。だが前半の最初に比べればベータのゴーストミキシマックスを踏まえても明らかに全員がエリカの動きに対応しはじめていた。

目は既にエリカの動きを捉えられるようになり後は身体がどれだけついてこられるか、ゴーストミキシマックスを踏まえてもそれが至難の技であった。

 

「スーパーノヴァ!」

 

八神を中心としたヒロト、マキとのスーパーノヴァを打てるチャンスを作り出すがこれもジ・エンドを破ることはできなかった。

 

「あれもダメなんて!」

 

「あぁ、だがいい感じだ。このままいこう」

 

ヒロトも少しずつ手応えを感じている。最初が10対0の比率だったとしたら前半で8対2にひっくり返して、今は7対3くらいまでは巻き返しているというのがヒロトの感覚であり願いでもある。

 これを試合終了までに戦力で6対4の比率くらいに巻き返して尚且つ現在なら三点を取り返さねばならない。状況の改善よりも先に試合が終わってしまいそうだ。

 

「さて、そろそろいいかしら?」

 

本体のエリカが軽々とヒロト達を抜き去りベータも力で突破する。

花瑞が既に化身アームドをして接近に備え、あえて身体と身体をぶつける形でボールを奪いにいく。

 

「今度こそ話して欲しいな。何で私が憎いのか」

 

「しつこいわねぇぇ! そんな明るい顔で私を見るな!」

 

エリカはジャッジスルー2を放って花瑞の腹にこれでもかというほどに蹴りを入れ、とどめの一撃で吹っ飛ばす。

 

「ぐふっ…」

 

「花瑞っ!」

 

クララと杏が着地点に回り込んで受け止め、花瑞はすぐに立ち上がる。

 

「お前だって絶望を知ってるだろう! なのに、なのになんでそんな目ができる! 気持ち悪いんだよ!」

 

花瑞の目は輝いていた。人を信じている目だ。それは仲間だけでなくエリカにも向けられていた。そんな目で見られたことがエリカにはない。故にその目は彼女にとってとても不気味であった。

 

「すごいね……ふぅ、はぁ、過去の私たちのことも見ることができるの?」

 

「あぁそうだよ! 私は過去を見れる! 別世界線に飛べる! そして世界の破壊だってできる! お前らの人に知られたくないこたも全部見れる! どうだ、軽蔑しろよ!」

 

「ううん、今のでひとつの答えが埋まった。ありがとう、教えてくれて」

 

変わらずに輝いた瞳で見続け更にはありがとう等とほざく花瑞にエリカの感情が掻き乱される。どす黒い羽を生やしてエリカが飛ぶ。

 

 

「消し飛べ! 破壊天使の逆鱗!」

 

「ゴッドフラワーG5!」「ラ·フラム!」「ウォーターフォール!」

 

三人の全力でも止められない、威力は落ちてもまだまだ殺人的な威力を保っている。

 

「烈風ブラスト!」

 

黒嶋がシュートコースに割り込みシュート技で押し返そうとするがそれでも止められない。

 

「このシュートは絶対止める! 皆の頑張りに俺も答える! タマシイザハンドGX! うおおぉぉぉ!」

 

まさに魂からの叫び、渾身の力を振り絞りシュートを止める。

 

「なっ、まさか」

 

「はぁはぁ……とめ、たぞ……」

 

ロココは片膝立ちになりながらもボールを掴んだ。

 

「ロココさん!」

 

「心配するよりボールを貰うんだ! あいつの頑張りが無駄になるぞ!」

 

ベータは心配する花瑞に優先順位を伝える。ボール事態は黒嶋がフォローして受け取った。

 

「このボール、絶対無駄にはしない」

 

ボールを黒嶋が受け取って走り去る背中を見て安心したロココはその場に力無くうつ伏せに倒れてしまった。

 

「世界最高峰のゴールキーパーが、命懸けでやっと止められたシュートだ。僕達もそれに答える義務がある、そうだろう? ヒロト君」

 

「あぁ、アフロディさん。 黒嶋さん! 俺たちにボールを回してくれ!」

 

「おぅ!」

 

「そう簡単に行かせないわよ」

 

エリカ二人が行く手を挟むがそれならばと八神にパスを出しそこからヒロトに繋げた。二人はディフェンス陣をアフロディのヘブンズタイムで躱してシュート態勢に突入。仁王立ちで二人が肩を並べて立った。

 

「「はぁぁぁぁ! ザ・バース!!」」

 

「ジ・エンド……!」

 

アフロディとヒロトの渾身の一撃がエリカの力を上回った。2-3と一点差に巻き返した。

だが手放しに喜ぶことはできなかった。ロココが、ロココが意識を失ってしまいもう試合に出れそうにはなかった。

 

「ロココさん……そんな」

 

花瑞はまさに魂を削ってゴールを守ってくれたロココを自ら担架で運んだ。

 

「ありがとうございます……ロココさん」

 

涙を溢しながら感謝を伝えフィールドに戻る。

 

「……さて、キーバーはどうする。私がいくしかないか?」

 

クララは残りのメンバーに確認をする。

 

「そうですね……エリカによって蹴散らされた時空最強イレブンのキーパーもまだ回復してませんし……」

 

ベータも已む無しと言った感じだ。困り顔で右手人差し指をほっぺに当ててもう片方の左手でその肘を掴んで考えている。

 

「待ってくれ! 俺が、俺がまだいる!」

 

コートの外、誰かの声が響き渡る。

花瑞はその声の主を知らない。果たして誰なのか。

 

 

 




クララ「あの孤独なシルエットは…」

杏「いや、孤独ではないだろ! 多分」


ベータ「まあ私は知ってますねぇ…確かにある意味孤独な戦いをしてそう……かもしれませんね」

クララ「辛辣だが強いのかそいつ?」

ベータ「まあ、クララさんがキーパーになってしまう方が戦略的には損失がでかい程度には優秀かと」

八神「なんだろう、嫌な予感がする」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラグナログの生き残り参戦! ダイスケの意思を継ぐ者

筆者「昨日の投稿は出してすぐ感想来たからびっくりした」

マキ「やっぱ2000文字くらいだとあれくらいで詠めるのかしらね」

筆者「まあ読みなれてるならそんなものなんだろうなやはり」

ヒロト「筆者もその気になれば5000文字/10分くらいだもんね」

マキ「ってことは毎話みんな数分で読み終わってたり?」

ヒロト「するかもね」

マキ「筆者! 毎日一万文字投稿しろ!」

筆者「無茶言うなよ! その半分も毎日はきついわ!」


「ふふ、アハハ! この声……あの雑魚か!」

 

エリカはその声を聞いて額に手を当てて高らかに笑いだした。

 

 

「あぁ…はいはい。この人ですか。まあ、知ってますよ。ええ」

 

ベータもそれほど期待してないような様子でその人物の方を見ていた。

そんな登場前の低い期待値ではあるがその男は特徴的なブロッコリーのシルエットを露にする。

 

「雷門中ゴールキーパー三国太一。微力ながらキーパーとして使ってください!」

 

「まあ、二試合目でルジクもダメになってますし彼しか生き残ってませんからねぇ……花瑞さん、任せますよ」

 

「助けてくれるなら是非おねがいします! 天馬君のチームメイトかな?」

 

「はい! 俺は二個上ですがお世話になってます。それに吉良っと……亜風炉花瑞さんには臨時コーチとして実は未来でお世話になってます」

 

「わ、私が臨時コーチ? そ、想像もつかないなぁ」

 

「いえいえ、お陰で雷門のディフェンス陣が強化されたんです。どうかここでも恩返しをさせてください!」

 

「う~ん未来の私のことまではわからないけど、その気持ち受け取るね。ゴールをおねがい」

 

「はい!」

 

三国が意気揚々とゴールに着く。花瑞からすれば知っているのは一回戦で彼がゴッドハンドXを使っていたことと今言われたことだけ。それでも彼の目に嘘は無く、また天馬の先輩でありこの戦いに出ていたことからも花瑞が彼を疑う理由などひとつもなかった。

問題は守備力である。ロココと比べて彼がどれだけのパフォーマンスを発揮できるかは正直未知数。ベータからは今までより守りは手厚くと念押しされた。

ドタバタしてしまったがやっと試合が再開。ただしボールはすぐにエリカが奪う。相当なめられているのかそのままシュートを放つ。

 

「天界落とし!」

 

「虚空の女神アテナ! たぁぁ!」「ゴッドフラワーG5!」「ラ·フラム!」「ウォーターフォール!」

 

四人でボールに勢いを削いで三国に託される。

 

「絶ゴッドハンドX! よし!」

 

味方のフォローもあり三国がっちりキャッチ。最後のバックアップに回ろうとしていた黒嶋がそのままボールを受け取りカウンターに入る。

 

「私がキーパーになっていたら多分無理だったな、助かった」

 

クララも今のシュートがもし自分の抜けたシュートブロックからのキーパーとして止めるといつシチュエーションだったら無理だろうと判断して彼の実力を認める。

 

「ヒロト、アフロディ!」

 

黒嶋から今度は直接パスが通る。

 

 

「ザ·バース!」

 

 

「ふほ、ゴッドフォートレス!」

 

今度はいつぞやに花瑞が出した高威力だが体力の消耗も激しいキーパー限定の大技をエリカが使用してきた。ただし見た目は禍々しい。ゴール全体にトゲトゲとした植物が巻き付いてゴールの上に花を咲かせてる。ザ·バースはこれを前に破れた。

 

「やはりまだ必殺技があったか」

 

「何とか同点までは花瑞を守りに専念させたいところだが、いけるかいヒロト君」

 

「やるしかありませんよね?」

 

「ふふ、そうだとも」

 

エリカの攻撃が始まる。今度は手加減なしのアームド状態で最初から動き出す。

 

「花瑞さん! 前に出てきて一緒に止めてください!」

 

「わかった! ベータちゃんは先にアームドを!」

 

「二人だけでは無理だ! 私も手伝う!」

 

八神も加わり三人、更に荒城も何か出来ることはないかと参戦する。

 

「さぁて、次は誰が耐えられないかなぁ?」

 

身体を壊すためにあえて直接のぶつかり合いで挑んでくる。八神はグラビティションで少しでも行動を制限させようとするがやはり大した変化は見られない。

 

「はぁぁぁ! おら荒城ぃ! 衝撃波で吹っ飛ばされたりすんなよ! いくぞぉ!」

 

「ったく、ベータちゃんの本性がこんなに荒々しいとは!」

 

「二人とも、耐えて!」

 

三人でボールを蹴って止めようとするがエリカの力が上回る。このままでは……負ける。

 

「エリカちゃん、次こそは教えてくれる? 私が憎いのは何故?」

 

「まだ言うか! しつこい! お前は仲間に恵まれてるから……同じように力を持っているのになんで私だけ独りなんだよぉぉ!」

 

「それが、答……きゃぁぁ!」

 

エリカの力が余ったのかボールは花瑞達を吹っ飛ばしたあとゴールの上空にソニックブームを巻き起こしながら消えていった。

 

「はぁはぁ…‥答えてくれてありがとう。エリカちゃんのことが少しずつわかってきたよ」

 

「何故私にちゃんなんてつける! 何故感謝する! 訳がわからない! 何なんだ本当に!」

 

「何って言われても……会話かな? コミュニケーションだよ。私はエリカちゃんのことが知りたい。だから気になってることを聞いてるだけだよ?」

 

「コミュニケーションだと…? 世界を賭けている敵だぞ私は!」

 

「確かにそれはそうだし重大だけど、エリカちゃんがどうしてそう思っているかとか、そういうのを知らないと私はダメだと思うの」

 

「訳がわからん……」

 

何故ここまで自分のことを知ろうとするのか、何故相手にここまでするのか。理解ができない。エリカには花瑞の気持ちが理解できない。花瑞に自分の孤独が理解できないと言った自分も花瑞の気持ちなどわからなかった。

 

「お前に……孤独を感じたことはあるのか?」

 

エリカは自分の口からそれが出ていたことに気付いて驚いた。何故質問した。そう考えている間に花瑞が応えた。

 

「そうだね……エイリア学園との戦いのとき、エリカちゃんが言ってたところだね。私も病んじゃったし絶望してた。そのまんま捕まっちゃったときは孤独感に襲われた。本当は自分のことを心配してくれる人がいてくれるのに、気付けなくなってた」

 

「ふぅん……でもわたしは違う。そんな相手はいない」

 

「そうかな? 私はエリカちゃんのことも平和に済ませたいと思ってるんだけどな」

 

「嘘だ! そうか、そうやってわたしの心を動揺させて騙そうって訳だな! 恐ろしい女だ! そうやって人を惑わして引き連れてるだけだ!」

 

エリカは自分を気にかけているようなことを言う花瑞に反射的に拒絶反応を示して根拠のない自分にとって許しがたい敵であるように花瑞を写す言葉を投げ掛けて一歩後ずさりする。

 

「やれやれ、このアホみたいに優しい彼女がそんな人にほんとに見えてるんですかねぇ? 消し去ろうとした私にも手を差しのべてくれた本物のお人好しですよ?」

 

ベータが対話に加わって花瑞を助ける。本人が言っても信用ならない言葉も他の人から言うならば少しは信頼できるだろうと思ったからだ。

 

「お人好しなんてそんなことないよ、ただ心配でわたしにできることがあるなら手助けしたいってだけで」

 

「それをお人好しって言うんです~」

 

両手を大きく振って否定する花瑞にベータは腰に手を当てて上目使いで距離を詰める。

 

「馬鹿馬鹿しい! 試合を再開するぞ!」

 

エリカは既にゴールキックの準備を済ませている三国を見てそのまま花瑞のマークについた。

 

「私は認めない。 この世は食うか食われるか、利用するかされるか、王になるか奴隷になるか、そういうものだ。何のメリットもなく助けるなんてするものか」

 

「エリカちゃん、ずっと独りだったんでしょ?」

 

「っ! そうか、お前は哀れんでるんだな! 誰からも愛されず、力だけを求められ、力のせいで独りになった私を!」

 

「哀れんでなんかない。でも、私はエリカちゃんを助けたい」

 

会話はここで途切れた。ボールが動き出したからだ。今はエリカ達相手にアフロディがボールをキープして進んでいる。

 

「偽善者の兄め! 兄妹まとめて消えろ!」

 

「例え偽善でも救われる人がいるなら僕は肯定する。 僕は花瑞の行いは正しいと信じている。真ヘブンズタイム!」

 

アフロディからマキにボールが繋がる。本体の動揺がそのまま現れているかのようにデュブリのエリカが苛立った顔で立ち塞がる。

 

「動揺してるの? 自分の心に素直になればいいのに」

 

「黙れ! お前らこそ外面はそうしてるが中では悪巧みしているんだろう!?」

 

「そんなわけないでしょうが! マキは欲望に忠実なタイプなの!全部言葉に出すくらいにはね! 今のマキはあんたを突破したい!」

 

マキはそういって技も使わずに追い抜くことに成功した。そしてヒロトへパスを出す。

 

「下心から花瑞に近付いた男が善人を気取れるわけ?」

 

「下心は心外だな。俺は花瑞が好きなだけだ。それを行動に示したまでさ。君はどうなんだい?」

 

「私はお前らが憎い! それを行動で示してる!」

 

「そうか。なら、これが通るのはどうしてかな?」

 

ヒロトは後方上空にボールを上げる。先程までのエリカ達なら先に反応して奪えただろう。だが一歩反応が遅れた隙に完璧なタイミングで入っていたベータがボールを受けとった。

 

「さぁて、そろそろ同点にしたいですよね。私に力を貸してくれる人このボールに集まってくださ~い」

 

八神がエリカ達の合間を抜けて合流する。俊足の黒嶋も加わり三人がシュート態勢に入った。

 

「さぁて、何を使います?」

 

「メンバーがバラバラだからな」

 

「デスゾーン2でどうだ。俺はやったことがあるしやれるはずさ」

 

「OKです、いきますよ!」

 

三人がそれぞれ自由に回転して力をボールに集める。

 

「よし、いくぞ!」

 

黒嶋の掛け声でボールを蹴るために三人がボールに向かって飛ぶ。

 

「「「デスゾーン2!!」」」

 

「ゴッドフォートレス!」

「残念、こちらの勝ちね」

 

「まだだ! ブリザードキャノンV4!」

 

ダメ押しで荒城が要塞に衝突しているボールを押し込む。このひと押しでギリギリ力が勝ったことで同点ゴールになった。

 

「あ~あ、いいとこ取られちゃいました」

 

「皆さんのお陰っすよ! これはみんなのゴールです!」

 

「おう、誰か一人欠けたら入らなかった皆のゴールだな」

 

荒城の言葉に賛同して黒嶋が荒城の背中を叩く。その頃、エリカは同点ゴールなど気にしておらず謎の鼓動の高まりに困惑していた。

 

 

「ちぃ……なんなのこの気持ちは」

 

胸に手を当てると走っているからという理由だけではない速い鼓動を感じる。どこか締め付けられるような切ない気持ち。エリカはそれも知らなかった。




ベータ「いや~まさかあのブロッコリー頭があんな堂々と助けに来た!って感じで出てくるなんて」

クララ「いや、普通に優秀な気がしたが」

ベータ「時代的に化身無しキーパーは人権ありませんから」

クララ「あー、ソシャゲの人権キャラみたいな感じか。最低ラインに立ててないと」

ベータ「ソシャゲの人権と違って化身は借りられませんからねぇ」

杏「いや人権を借りるってなんだよ」

クララ「人権を借りるってことだよ」

杏「いや人権は全人類に平等に与えられてるもんじゃ」

クララ「物の例えだ、気付け」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最後の力

筆者「昨日と言うか今日まで仕事ぶっつづいててとてもじゃないけど書ける時間がなかった」

マキ「はいはい20時間くらいのお仕事お疲れ様。さすがに可愛そうだからやめとくわ」

ヒロト「よかったね、今日は無傷だ」

筆者「いやメテオシャワー分のダメージを負ってるから免除なんだわ!」


 同点に追い付き後半戦も残りは半分を切った。勢いは完全にエリカから花瑞達に移りつつあるがそれでもなお何かひとつエリカが立て直すきっかけがあればすぐに負けに繋がる状態が続いている。エリカの動きは精細さを欠いてきたがその変わりに凶悪さが増していた。

 

「堕天の烙印!」

 

ヒロトからボールを奪ったエリカはキーパーを残して全員が前に出た。何かが始まるのだというのはここにいる全員が察することができた。

 

「必殺タクティクス……破壊天使の制裁!」

 

五人のエリカが飛んだ。残りのメンバーが花瑞達を通過するようにシュートの威力でボールを出して敵に直撃させる。ボールは上に飛んで上空からエリカが更に他の選手にボールを振り下ろす。フォワードから一人一人確実に攻撃していきゆっくりと前に進んでいく。

そしてクララ、花瑞、三国以外が全員倒れてしまった。

 

「ここまでやれば充分ね、喰らえ! 破壊天使の逆鱗!」

 

もう確実に得点が入ると思ったエリカがシュートを放つ。花瑞とクララがシュートブロックをしたがやはり止められない。

 

「絶対に止める! 絶ゴッドハンドX! うぉぉぉぉ!」

 

気合いは十分、しかし力が足りない。

 

「(くそ! もう打つ手は無いのか……いや、手ならある。俺にはまだ左手が残っているじゃないか!) 左手だけ、無頼ハンドぉぉ!」

 

残っていた左手で無頼ハンドの形を取って更なるパワーアップを行うが、それでもまだ止められない!

 

「(くっ、止めなきゃダメだ! だが、両手も使ってこれ以上は……)」

 

『諦めるな!』

 

三国の心の中に誰かの声が直接届く。その声の主はロココであった。三国は一瞬ベンチに倒れているロココを見るが意識は失ったままだ。これは彼のゴールを守るという魂が叫んでいるのかもしれない。

 

「そうか……両手でもダメなら……やってやる! 見てて下さいロココさん! うおぉぉぉぉぉ! タマシイザハンド!」

 

なんと三国は両手の間からさらに魂からエネルギーを出して第三の手を作り出し見事最強シュートを止めた。

 

「さ、三国さん……!」

 

花瑞とクララがよろけながら立ち上がりボールを貰おうとする。しかし、パスしたボールは無情にもエリカが奪い去り、再び必殺タクティクスの構えを取った。

 

 

「こんなやり方じゃ…止めないと」

花瑞はエリカ達の次なるターゲットがクララに決まった瞬間にそのボールが到達するより前に割って入ろうと力を振り絞る。

 

「勝利の女神ニケ…アームド! 間に合って!」

 

花瑞の背中から三対の純白の翼が羽ばたいて加速する。間一髪のところでクララを翼が包み込んでボールからその身を守った。

 

「すまない、助かった」

 

「よかった……間に合ったぁ」

 

「スゴいなその翼、あのシュートを防げるのか」

 

「そ、そうだね。咄嗟だったから上手くいって良かったよ」

 

止めたボールは花瑞が持っていた。奪い返そうとエリカが恐ろしい形相で睨んでいる。

 

「花瑞ぃぃぃ!」

 

エリカ本人が堕天の烙印を、デュブリのエリカがゴッドルーツで逃げ道を完全に塞いだ。

クララが見た花瑞の横顔には覚悟を決めた眼が映っていた。澄んだ瞳に寄せられた眉、真剣な眼差しで彼女が見ているのは一体なんなのか、クララにそれを考える余裕はない。このままなら二人ともスクラップだ。ヘブンズタイムが仮に通じたとしても自分は助からない、最悪花瑞だけでも助かるならそれでもいいかと諦めもあった。

だが花瑞の行動はクララの想像を遥かに越えるものであった。

 

「なっ…なに!?」

 

エリカのゴッドルーツを全て翼で凪払い、クララを連れて堕天の烙印落下地点から離脱することに成功したのだ。

 

「は、花瑞……何だその頭のは?」

 

花瑞の頭の上に子供が作ったりするような花の冠が女神や天使にある光の輪のように浮いていた。

 

「なんだろうね、私にもまだわからない。でも、今までより力が出てくる。皆を助けるための力なのかもしれない」

 

「皆を助ける力か、なら私はもういいから他の皆に分けてやれ」

 

「うん!」

 

花瑞はクララを下ろしてあげるとボールを持ったまま上空に舞い上がった。

 

「女神の加護!」

 

花瑞が天に向かって手を伸ばすと後光が差し、そして倒れていたマキたちにゴーストミキシマックスのように力が分けられていった。

 

「これは……花瑞?」

 

マキはその暖かく自分を支える力に驚きながら立ち上がる。

続々と倒れていた仲間が立ち上がり花瑞と共に攻撃に参加する。

 

「やらせるか、やらせるかぁぁ!」

 

エリカ達のディフェンスを花瑞達は難なく躱していきシュート態勢に花瑞、アフロディ、ベータ、マキ、ヒロトの五人が同時に参加可能な状態になった。

 

 

「みんないくよ!」

 

「任せなさい!」

 

「やらせるかぁぁ!」

 

エリカが堕天の烙印を同時に二個発生させて五人の連携を絶とうと目論む。

 

「これはこの五人だけじゃない、一緒に戦ってくれたみんなの思いのボール! ジ·アース!」

 

かつて放たれたジアースとは比べ物にならない人数の思いが込められたボールを五人が代表してシュートする。

 

「未来を取り戻す! いけぇぇ!」

 

「俺達の未来への一歩はここからなんだ!」

 

「マキ達が新たな歴史の一ページ、作って見せるんだから!」

 

「花瑞、君は本当に良い友を沢山持った。兄としてこの一撃に加われることを誇りに思うよ」

 

 

 

「ふざけるな! 必ず止める! ゴッドフラワーイロウション! ぐっぐぐぐ……ぐぁぁぁ!」

 

「真ゴッドフォートレス! あぁぁぁぁ!」

 

遂に後半残り僅かなタイミングで花瑞達は勝ち越しに成功した。

だがまだ終わりではない。花瑞はまだしなければならないことがあるとセンタートップにポジションを変更した。

 

「まだだ! まだ試合は終わってない! 今からまたお前らに地獄を味あわせる!」

 

エリカは錯乱しながら宙に舞い上がる。真っ黒な翼から更にオーラが溢れだしている。そのままボールを蹴ろうとするエリカを止めるために花瑞も白い翼を羽ばたかせて飛び上がった。

そして、世界を黒く塗りつぶすエリカをまるごと包み込むように翼で包容した。

 

「なっ!? な、何の真似だ」

 

「怒りに捕らわれちゃ大切なものが見えなくなっちゃう。落ち着いて……エリカちゃん」

 

翼に包まれた二人だけの空間でエリカは花瑞と身体が触れあう。

 

「な、なんだよこの暖かさは! お前と触れてる身体からじゃない、なんで私の内側からこんな感覚がするんだ!」

 

「それはね、エリカちゃんの中にある優しさなんじゃないかな?」

 

「優しさだと? 笑わせるな! そんなもの私にあるはずが」

 

「ううん、誰にだってあるものなんだよ。どんな人にもやさしい心はあるの」

 

「私は違う!」

 

「ねぇ、他の世界をわざわざひとつずつ消していったのは心の何処かで自分が納得のいく結末が何処かの世界にはあるかも知れないって…思ってたからじゃない?」

 

「それは……」

 

「エリカちゃん、生まれたときからずっと独りだった。私達の生活を観ることは出来たからどんなことをしたかってのは分かるかもしれないけど、目に見えないものはわからなかったんじゃないかな?」

 

「………」

 

「それに、助けてもらうってことも知らないんじゃないかな?」

 

「……うん」

 

「誰かに助けてもらう方法も知らなかったんだよね。だからこんなやり方になっちゃった。でも何かあるかもしれないと信じて最後のひとつの世界になるまでひとつひとつ絶望しながらも見てきたんだよね?」

 

「なんでそんなことまで……」

 

「私も絶望したことがあるし、怒りに身を任せてしまったこともあるから……かな」

 

「じゃあ何よ……あんたが私を救うってわけ?」

 

「私一人じゃないよ? エリカちゃん自身も含めて皆でやり直せばいいんだよ?」

 

「これだけのことをした私をあなたは許すつもりなの?」

 

「過去の過ちは消えない。それはエリカちゃんも言ってた通りだと思う。でも今から先は変えられる。悪いことしたならその分これから優しく生きてくれるなら、いつかは皆納得してくれるかもしれない」

 

「なら、わたしを一人にしないで……」

 

「わかった。エリカちゃんが大丈夫になるまで一緒にいてあげるよ」

 

エリカは無言で花瑞の胸に顔を埋めて涙を流した。花瑞はエリカを優しく抱き締めてゆっくりと地面に降りていった。

 

「やれやれ、どんなことをしてたのやら。丸く治めちゃいましたか」

 

ベータはその姿をみてそう言った。だがこれで未来が生まれたのだと、新しい世界の夜明けを見るような気分だった。

 

「丁度試合も終了。マキ達の勝ちだしエリカもあの様子じゃ暴れなさそうだし完全勝利ね!」

 

「そうだな…デュブリも消えたようだしな」

 

クララもデュブリが消えたことでこれ以上の驚異は無いのだと安心した。

 

「花瑞は本当にいい子だ。あの笑顔を絶やしたりでもしたら天罰が下るだろう。君はどう思う?ヒロト君」

 

「あぁ、その通りだと思いますよ。だから俺は、彼女の笑顔を守りたい。誰よりもすぐそばで」

 

「ふふ、花瑞の兄として応援しているよ」

 

 

戦いは終わった。未来に平和が訪れた。彼女達の日常が取り戻されたのだ。

 

 

 

この日から世界を消し去る力を持った少女エリカは過去に行き、花瑞との社会勉強を兼ねた同居生活の一員に加わることになるのであった。




八神「なあ、これって……もう少しだけ続けられるのではないか?」

クララ「君のような勘の良いメスガキは嫌いだよ」

杏「どういうことだ?」

クララ「君のように勘の悪すぎるのも嫌いだよ」

ベータ「さっきからそれ誰の真似ですか?」

クララ「ggrks」

杏「こいつガチの試合が終わったものだからふざけ倒してる!」

クララ「まぁまぁ、せいぜいあと数話この話の後の日常を描いたりとかだろうさ」

ベータ「はぁい、ここで情報が入りました~。この世界以外、つまり消された世界線をメモ書きというかもうあらすじ程度にまとめた一話程度のお話も出すそうです」

クララ「まじで概要だけみたいな話だからな。こういうことがおきて、この試合はこのチームが勝った。みたいなレベル。みんなの想像で隙間は埋めてくれ」

八神「多分それ隙間だらけじゃなかろうか?」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エリカのいる日常

筆者「遅れて申し訳ない」

マキ「完全に本編終わって力抜いたわね」

筆者「だってきりいいんだもん!」

マキ「でももうちっと続く言ってたでしょうが!」

ヒロト「まあまあ、ほら始まっちゃうよ?」

マキ「メテオシャワーは終わってからよ」


 未来での試合を終えた花瑞達は現代へと帰還した。エリカと一緒に。

エリカには依然として世界を消し去る力が残っている。彼女にはセカンドステージチルドレン用に作られた薬は効かないのだ。彼女もそれを初めて知った時には絶望し、そこで初めて世界を消滅させてしまったのだった。だがその力を使うことはもうないであろう。これから花瑞達と共同生活を学んでいくのだから。

 

「っ!!? なんでっは、は、は、入ってきてるの!?」

 

「私もお風呂に入る」

 

「じゅ、順番だから!」

 

「いいじゃん、二人くらい入るんだし」

 

花瑞が帰宅早々に疲れと汚れを落とすためにお風呂に入っていると、エリカがノックもなにもせず突然ドアを開けてきた。花瑞も驚いてしまい取り乱しておりその身体を隠すことも忘れている。

 

「も、もしこれで入ってるのがお兄ちゃんだったらどうするの! わ、私だからいいけど…入るならせめて先に教えてね? ふ、ふぅ…ほんと驚いた」

 

「じゃあ入る」

 

結局花瑞が居るのもお構い無くエリカは湯船に浸かろうとした。

 

「待って! お風呂はみんなが入るから先に身体の汚れを落としてから入るんだよ」

 

エリカが汚れたまま入ろうとしたところを手を掴んで止めてお風呂の椅子に座らせる。

 

「お湯を毎回変えればいいじゃん、どうせ身体を洗ってもお湯は汚れるんだから」

 

「それだとお金がかかっちゃうんだよ。お互い気持ち良く使うために守らないといけないことが沢山あるんだよ? あ、これシャンプーね。こっちはリンスで、トリートメントもあるから」

 

「一人ならこんな気遣いしなくて済むんだけどなぁ……」

 

「みんなと一緒に生活するにはこういうことが出来ないとね」

 

普段シャンプーも使わないのか、それとも知らなかったのかプッシュ式の容器からシャンプーを出せないでいるエリカを見かねて花瑞が代わりにとってやり、そのまま髪の洗い方も教えた。

 

「それにしても、今まで髪を洗ったことないのになんで元からサラサラだったの?」

 

「能力で汚れとか細菌だけ死滅させてた」

 

「便利だねぇ、でももしかしたらエリカちゃんの能力も無くせる方法が未来でも見つかるかもしれないからちゃんとお手入れの仕方も覚えてね?」

 

「花瑞はもうやってくれないの?」

 

「ひとりで出来るようにならなきゃね」

 

「むぅ…」

 

頭を触られるのが気持ち良かったのか明日もしてもらいたかった様子で少しムッとする。

 

「ほらほら、身体も今みたいな感じで洗うんだよ。デリケートなところもあるから私のをお手本にエリカちゃんがやってね?」

 

花瑞はエリカの力加減を教えるために泡立てたスポンジで腕だけを洗ってあげてそこからは自分の洗いかたを見せて見様見真似で洗ってもらった。

 

「はい、そしたら泡を全部シャワーで落としてお風呂入ろ?」

 

「手間がかかるのね……」

 

「そうだねぇ、私もエリカちゃんも髪が長いから他の人より時間はかかるかも」

 

その後ふたりはポカポカになるまで湯船に浸かった。しかし体を拭かずに出ようとするエリカを再び止めて身体をタオルで拭くこととその理由、さらには全裸で廊下に出ようとしたから最低でも下着を身に付けることを教えた。

 

 

 

「あぁ!? ま、マキのアイスがない!」

 

 

一時間とたたないうちに次なるトラブルが発生、冷凍庫のアイスが消えていた。

 

「あ、誰のとかあったんだぁ…」

 

やはりエリカが食べていたようだ。

 

「自分が置いたのじゃないなら食べないでしょ!」

 

「そ、そんなものなの?」

 

「あぁぁそこからかぁ! 冷蔵庫は共有だけど中のものは自分の物って分かれてるの! マキのお風呂後の楽しみだったのに!」

 

エリカは食べてしまったものは仕方ない。と言ってしまいマキはさらにカチンと来てしまう。

 

「人のもの食べたなら謝りなさいよぉぉ! ごめんなさいって! むぅ!」

 

「もぉ、さっきからうるさいですよぉ。何があったんです?」

 

「ベータ! エリカがマキのアイス食べたのよ!」

 

「あー、私達民度高いから名前とか書いてませんでしたからねぇ。やっぱこれからは書いときましょうか」

 

「ま、まあ確かにそれはそうね。でも、食べ物の恨みは恐ろしいわよ?」

 

「はいはい、私がエリカを連れて同じのを買ってきますから。何を食べられたんです?」

 

「ハーゲンダッツのクッキー&クリームよ!」

 

「う、ちょっと高いの食べたんですね……仕方ありません。エリカ、初めてのお使いといきましょう」

 

「お使い?」

 

「そう、ミッションはハーゲンダッツのクッキー&クリームの購入。とりあえずエリカは花瑞の親戚ってことで近所の方には通しておきますのでその設定を守るように」

 

「まあわかったわよ」

 

エリカを連れて買い物に行こうとしたがいつも財布を置いている場所に財布がない。

 

「あ、今御兄妹で夕飯の買い出し中でしたっけ。マキさん現金持ってませんか?」

 

「なんで食べられたマキがお金まで貸さなきゃならないのよ!」

 

「あとでちゃんと返しますから。ベータを信じてください」

 

マキは五百円玉を親指で弾いてベータに渡した。

 

「溶けないうちに戻ってきなさいよね」

 

「はぁい、それじゃお留守番おねがいしま~す♡」

 

ベータがちょっと買い物に出る程度にも関わらずオシャレな服に身を包んでいるのに対してエリカはてきとーな服を雑に着ているだけ、そんな良くも悪くも目立つ二人組が田舎の市街地を抜けて徒歩10分のところにある最寄りのコンビニへと到着した。

 

「そのうち服も買いましょうね? それじゃ引きニートの御兄様方のファッションですから」

 

「素体がよければどうにでもなるんじゃない?」

 

「恐ろしい自信ですね。残念ながらそのダッサイ寝巻きみたいなダボダボの服でかわいいなんてことは……」

 

改めてエリカを見ると花瑞に負けず劣らずの美少女が使い古したダサめの服を着ている姿があんがい悪くないのかもしれないと思い知らされてしまい少し言葉を失う。

 

「……まあもっとマシな服にしましょう。その方がいいですから…もったいない」

 

正直近所のアイスを買うだけのお使いにそんなおしゃれをする方が変なんじゃないかというツッコミを入れる人がいるかもしれないが、年頃の女の子で尚且つ何度目かの挑戦で手に入れたかもわからない平和な世界で生きることができるベータにそんな野暮なことを言う人はいないだろう。

 

「やあベータちゃんいらっしゃい。そちらの嬢ちゃんは?」

 

個人経営の古びた駄菓子屋のおじさんが初めて見る赤い髪の美少女についてベータに尋ねる。

 

「あ、こちら花瑞の親戚に当たるエリカちゃんです♡ しばらくこっちで暮らすのでよろしくおねがいします♡」

 

「おぉ、花瑞ちゃんの親戚かぁ。どおりでべっぴんさんなわけだ。アイス一個サービスしたるよ」

 

気前のいいおじさんの御厚意に甘えてアイスをひとつ多く手に入れたエリカはベータの後にならってお辞儀をして帰路に着いた。家に着くときには丁度花瑞とアフロディも帰ってきたところだった。

 

「おかえり~、今日はシチュー作るから二人も手伝ってね」

 

「シチュー?」

 

「クリーミーで美味しいよ。ベータちゃんと一緒にニンジンとジャガイモを切って欲しいな」

 

ベータに手取り足取り包丁の使い方から教わって野菜を調理していく。完成形もわからぬシチューのためにエリカは精一杯ジャガイモとニンジンを一口大に切る。

アフロディが涙ひとつ溢さず切った玉ねぎやマキが大きめにカットした肉を花瑞が受け取り鍋にかける。

 

「これが…シチュー」

 

完成した料理を見てエリカは目を輝かせる。生まれてはじめて見る白い料理。温かくていい香りのするそれをスプーンですくってそのまま口に入れる。

 

「あつっ!」

 

「出来立ては熱いからふぅーして食べないと火傷しちゃうよ?」

 

そういえば食べ方ひとつ取ってもわからないのだとうっかりしていた花瑞が息を吹き掛けて冷ますやり方を見せ、スプーンの持ち方も教える。

 

「おいひい」

 

「よかったぁ~」

 

美味しいものを食べて笑顔を見せたエリカにほっとして花瑞も笑みを溢す。

夕食を食べ終え気付けば寝る時間になり各々寝支度を済ませてベッドで寝ていたのだが花瑞の部屋にノックもなしに誰かが入ってきた。

 

「!?……エリカちゃん?」

 

「一緒に寝かせなさいよ」

 

「い、いいけど…どうしたの? 一人で寝るの怖かった?」

 

「まさか…わたしはずっと一人でいたのよ? 今更怖いわけないじゃない……………初めて誰かと寝れるんだからそうさせてよ」

 

花瑞はエリカが心の中にずっと溜めていたであろうその最後の言葉を聞いてやさしい声で「おいで」と言って自分の布団でエリカを包み込んだ。

 

「あったかいのね…」

 

「エリカちゃんも暖かいよ」

 

お互い顔を向き合ってそのまま眠りについた。

 

 

 

 

「ふふ、まるで姉妹ですね」

 

ベータはこっそりと扉を開けてふたりの寝顔を見て微笑む。

 

「未来を……世界を救ってくれて本当にありがとう花瑞さん。あなたと出会えて本当に良かった。彼女が自立できるまで……あとどれくらいかわからないけどよろしくおねがいします」

 

眠っている花瑞にそう語りかけるベータの目から涙が溢れる。長い長い旅だった。エリカにとっては更に長い時間だったであろう。他の世界では叶わなかった彼女達の笑顔がここにはある。これからも──




クララ「良い話だなぁ」

杏「お前がそういうと何かこっちの気持ちが削がれるからやめろ!」

クララ「とんだいちゃもんだな。私には平和な日常を噛みしめさせてくれないのか」

杏「……悪かった」

クララ「やたら素直だな、平和ボケか?」

杏「お前のボケは相変わらずだなぁ?」

クララ「いいだろ? こういう奴が必要なのさ」

杏「…そうだな」

クララ「えっ、真面目にお前なんか変なもの食べたか? いつものツンが柔い」


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。