咲 -Saki- 長野の夜鷹 (品吉)
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プロローグ

初投稿の処女作です。
小説を書くのが初めてだったので色々と安定してません。
あとガンダムネタや他の麻雀漫画ネタが入ったりします。
一応1週間ごとの投稿を予定しています。
まずはプロローグのみですが、どうぞ。


「なぁ、葵」

 

 

「何、姉さん?」

 

 

「麻雀は、楽しいか」

 

 

「...あぁ、楽しいよ」

 

 

「これからも続けていくのか?」

 

 

「...何が言いたいの?」

 

 

「いや、来年は何処に進学するのかと思ってな。もしアテがないなら臨海女子に来るといい。お前程の実力があれば麻雀の特待で入れるだろう」

 

 

「...いや、臨海女子には、行かないよ」

 

 

「...理由を聞こう」

 

 

「私は、姉さんを倒したいから」

 

 

___________

 

 

私は辻垣内葵。中学3年。と言ってももうすぐ卒業式なんだけど。

日本人特有の黒髪を後ろで一本に結っている。いわゆるポニーテールというやつだ。姉さんと違って眼鏡はかけていない。特に目も悪くない。趣味は麻雀、特技は麻雀。自慢じゃないが私は麻雀が強いと思っている。

 

 

『自分が最強だと思え。そうでなければ一歩も前に進めないからな』

 

 

そう、姉さんに言われた。

 

 

『なにカッコつけた事言ってんの。似合ってないよ』

 

 

と言ってやりたいが妹の立場でそんなことを言ってしまえばどうなるか考えるだけで血の気が引く。

と言っても未だに姉さんに麻雀で勝てる気はしないが。

 

 

半年前に姉さんに聞かれた。「臨海女子に来ないのか」と。

私は断った。姉さんの事が嫌いな訳じゃない。姉さんと一緒に闘いたい。仲間として高校生の頂点に立ちたい。

でも、姉さんの敵として闘いたい気持ちの方が強かった。

 

 

今まで一度も勝てなかった。ギリギリまで持ち込む事も出来なかった。全ての対局が圧倒的な力でねじ伏せられた。

そんな姉さんは私の憧れであり、最高の敵でもあった。姉さんに追いつきたい。姉さんの隣に並びたい。いつの間にか麻雀の楽しさを忘れてそんな一心で麻雀を打っていたのかもしれない。

 

 

「どうしたんでスカ、アオイ。考え事とは珍しいじゃないでスカ。」

 

 

「あ、ダヴァンさん。お久しぶりです。」

 

 

Megan Davin -メガン ダヴァンさん。私の一つ上で姉さんと同い年の高校2年生。臨海女子高校の副将で、去年はインターハイにも出場し、大活躍だった。

 

 

でも当の本人はどこだっけか、龍なんとか高校の副将相手に逃げてしまったのが唯一の屈辱だとか。まぁ姉さんがなんか言ったみたいで私にはよくわかんないけど。

 

 

「ところで、一体何を考えていたのでスカ?」

 

 

「あぁ、半年くらい前に姉さんに進路のことを聞かれてたのを思い出してまして。」

 

 

「オヤ?結局アオイは臨海女子に進学するのでスカ?」

 

 

「いや、長野の方の高校に進学する事に決めました。私は姉さんと一緒に戦うより、姉さんと闘う方がいいので。」

 

 

「そうでスカ...残念でスネ...。」

 

 

「え、えっと、何かすいません...。」

 

 

「イエイエ、私はアオイが好きな道に進んでくれればそれで十分デス。インターハイでアオイと打てるのを楽しみにしていマス!」

 

 

「ありがとう...ございます。」

 

 

多分副将はやらないと思うけどなぁ...言わない方がいいよね、うん。

 

 

まぁ姉さんが先鋒やるなら先鋒だし姉さんが大将やるなら大将だな。

 

 

「まぁ何処であろうと麻雀を本気で打つと言う信念だけはブレないと思うんでそこんとこよろしくお願いします。」

 

 

「オーケー!私もビリョクながらアオイを応援させて頂きマス!」

 

 

「はい!ダヴァンさん、インターハイで『会う』のを楽しみにしてます!」

 

 

『会う』を強調してみた。が、

 

 

「イエス!私もアオイと『打つ』のを楽しみにしてマス!」

 

 

...どうやら無意味だったぽいね

 

 

「え、えっと、そろそろ荷物もまとめなきゃいぇないんで、この辺で失礼しますね」

 

 

「分かりまシタ!頑張って下さイネ!」

 

 

 

 

こうして私の、姉さんを倒す為『だけ』の学園生活が始まろうとしてた。

 

 

まぁあくまで私の目標は姉さんを倒すことだけ。

 

 

仲間も。練習も。友情も。

 

 

そんなもの必要ないよね

 

 




どうでしたか?
日本語おかしくありませんでしたか?誤字ってませんでしたか?
ダヴァンさんの喋り方がイマイチ安定してない?気にしないでください。
主人公の性格があまりよくわからない?気にしないでください。
結局長野のどこに進学するの?次明らかになります。
これから先も駄文を晒すことになるでしょうが何卒よろしくお願い申し上げます。


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第一話 【流れ】

まぁ最初の内は脳内書き溜めもあるので更新早いです。9月入ったらどうなるかわかりませんけど。初の闘牌シーンということで牌画像変換ツールの使い方が良くわからずに一回全部記号のまま投稿してしまいました。いやぁむずかしい。
一応葵の打ち筋は「オカルト」ではありますが、「異能力者」ではありません。そこのところはもうちょっと後の話で説明させて頂けたらなと思います。
※牌画像変換ツールが上手く使えず仕舞いです投稿してから修正してるので投稿直後に見てる方々申し訳ありません(だってプレビューに反映されないんですもの)


-Side 葵-

 

あれから数日、私は長野のとある高校の麻雀部部室にいた。

 

 

「ツモ。2000・4000。」

 

葵 手牌

 

{二三四[五]六222678⑧⑧} {七}

 

 

「ロン。9600は9900。」

 

葵 手牌

 

{二二四四五[五]⑧⑧335[5] 北} {北}

 

 

「ト、トビです...。」

 

 

ダヴァンさんと話してから数週間私は無事に長野の風越女子に入学した。名門って言われてるらしいけどなんと去年は県予選で敗退したらしい。どうせなら去年優勝した学校行けばよかったかなぁ...。

まぁどこの高校でもそうだろうけどやはり一年生相手は手応えが無い。はやく先輩に認められたいもんだ。

 

そうこう考える内に他の1年生との次の半荘が始まった。

 

 

 

「「よろしくお願いします。」」

 

 

 

東 女子生徒A 25000

 

南 辻垣内 葵 25000

 

西 広部 美世 25000

 

北 女子生徒B 25000

 

 

東一局 ドラ {一}

 

葵 配牌

 

{三五七②③⑤⑦⑦23[5]78}

 

(かなりの好配牌。タンヤオ三色?安い方引く可能性高い。とりあえず平和手を中心として組む。)

 

 

{三五七②③⑤⑦⑦23[5]78} {4}

 

(こんな素直に引いてくるなんて...。もしかして345より567とか?とりあえず両天秤にかけよう。この順目なら頭は後で何とかなる!とりあえずはこっち!)

 

葵 打 {⑦}

 

 

{三五七②③⑤⑦234[5]78} {1}

 

 

(んん?もしかして三色より一通?そしたら頭崩したのは大失敗だ。

そしたらもういっそ{⑦}は嫌ってしまおう。{⑥}引きしか裏目は無いし。)

 

葵 打 {⑦}

 

 

{三五七②③⑤1234[5]78} {⑤}

 

 

(うんうん旨味。この引き方を待ってたんだ。とりあえず萬子を払おうかな?もし嵌張埋まったらタンヤオ移行ってことで。)

 

 

葵 打 {七}

 

 

6巡後

 

{②②③⑤⑤1234[5]789} {6}

 

 

(よし、予想通りのテンパイ。)

 

 

女子生徒A 捨て牌

 

{西北⑧西九1}

{一三③}

 

 

女子生徒B 捨て牌

 

{1⑨③七東発}

{発3③}

 

 

広部 美世 捨て牌

 

{八四西発8東}

{1二中}

 

 

(西家の捨て牌がちょっと奇妙だけど...。テンパってる感じは無いし{③}の壁もあるしここはどう考えても即リーだよね。)

 

 

葵 打 {②}

 

「リーチ」

 

 

「 ロン 」

 

 

 

(え...?七対子?)

 

 

「タンヤオ三色赤赤、8000です。」

 

 

美世 手牌

 

{[五]六七[⑤]⑥⑦234567②}

 

 

(りゃ、{②}単騎!?{③}の壁を利用しての狙い撃ち?いや、{③}は私が一枚持ってるんだ、相手には三枚しか見えてない。いや、それでも3枚壁ってことも...いや、それなら普通リーチをかけるでしょ。どうしてなの...?タンヤオを消して字牌単騎にしても同じ満貫のはず...。もしかして...。)

 

 

東二局 ドラ {六}

 

北 女子生徒A 25000

 

東 辻垣内 葵 17000

 

南 広部 美世 33000

 

西 女子生徒B 25000

 

 

( 私を狙い撃った!?)

 

 

葵 配牌

 

{①④⑧五八九779西西北発}

 

 

(ひどい配牌...。満貫振っただけで今日これまでの流れを全部失った!?私の流れは所詮ハリボテだって言うの?)

 

 

5巡後

 

葵 手牌

 

{④⑤⑧二三八九779西西西} {⑨}

 

 

(あぶれる形になるまで5巡。やっぱりまだ流れを失いきって無いのかな?だったらここはもう一直線!!)

 

葵 打 {④}

 

 

葵 ツモ {8}

 

 

葵 打 {⑤}

 

 

葵 ツモ {一}

 

 

葵 打 {7}

 

 

{⑧⑨一二三八九789西西西}

 

(よし!三色ついて満貫確定!しかも親!このままリーチツモって跳満待った無し!)

 

 

4巡後

 

(テンパイ...できない...。リーチはおろか鳴くチャンスすら無いなんて...。やっぱり思わせぶりの流れ無し?そりゃ酷いわ神様...。)

 

 

女子生徒A 打 {七}

 

 

(うっ!!鳴く...の?この手を?門前でツモれば親ッパネをたったの2900で我慢するの?)

 

 

「え、えっと、ツモらないんですか?」

 

 

ロンされると思ったのかおどおどしながら女子生徒Aが質問する。

 

 

(うるさいよ、今必死に考えてるのよ、邪魔しないで。)

 

 

「すいません、チーします。」

 

(結局チーしてしまった...。悪い流れを変えられたのか良い流れを変えてしまったのか...。こういう中途半端なのがやっぱり一番困るのよねー。)

 

 

美世 打 {⑦}

 

(あっ...。)

 

 

「ロ、ロン、です。2900。」

 

 

 

( や ら か し た )

 

 

 

(こいつの{⑦}、これはツモ切り。つまり私が悪い流れに焦って鳴かなければ門前テンパイでリーチがかかってた...?)

 

「失礼。」

 

(まさかとは思うが鳴かなかった場合の私の次のツモって...。)

 

 

 

{七}

 

 

 

 

(それはちょっと残酷すぎるよ、神様。)

 

 

 

東二局 一本場 ドラ {六}

 

 

八巡目

葵 手牌

 

{2344446五六②③⑤⑥} {④}

 

 

(さっき馬鹿アガリをしたのに案外手が高い?どうゆうこと?うーん、私もまだ流れを完全に理解しきれてないってことなのかなぁ〜。)

 

 

葵 打 {6}

 

 

葵 ツモ {5}

 

 

(うっ...。)

 

 

(これはもしかして456の三色やれってことだったのかなぁ...。やっぱ流れは良くないなぁ。)

 

 

葵 打 {5}

 

 

葵 ツモ {6}

 

 

(いやいや...、それはちょっと流石に...。私牌に弄ばれてる?)

 

葵 打 {6}

 

 

葵 ツモ {西}

 

 

葵 打 {西}

 

 

葵 ツモ {2}

 

 

葵 打 {2}

 

 

葵 ツモ {四}

 

 

(色々あったけど一応すんなりテンパイしちゃうのね。)

 

 

葵 打 {4}

 

「リーチ」

 

葵 捨て牌

 

{東南1九八⑧}

{9北⑨656}

{西2横4}

 

 

美世 打 {6}

 

 

女子生徒B 打 {九}

 

 

女子生徒A 打 {5}

 

 

(二人は中抜きしてベタオリ?まぁそっちの方がツモりやすくていいんだけれど)

 

 

(さぁ来い一発!!)

 

 

気合を込めて一発で引いた牌は、

 

 

見ずともわかった

 

 

何も刻まれていないぬるっとした、

 

 

葵 打 {白}

 

 

「 ロン 」

 

 

美世 手牌

 

{①②③④[⑤]⑥⑦⑧⑨五六七白}

 

 

「一通ドラ赤。8000は8300です。」

 

 

 

 

(うっ...........ぐう。)

 

 

(何なのそのアガリ...。ただ単に親リー相手に生牌の白が切れなかっただけ?絶対違うわよね、それ。しかもこいつまた単騎待ち!?どれだけ狙い撃つのが好きなのよ...。嫌な趣味してるじゃない。)

 

(実際問題こいつはかなり強い!まぁ姉さんには遠く及ばないけど、少なくとも私と互角か、それ以上!)

 

 

東三局 9巡目 ドラ {南}

 

 

「ロン、チャンタ三色ドラドラ、18000です。」

 

 

美世 手牌

 

{123789一二三①②③南 南}

 

 

 

東三局 一本場 6巡目 ドラ {八}

 

 

「ロン、タンヤオドラ赤。5800は6100。」

 

 

美世 手牌

 

{234[5]678④⑤⑥六七八 2}

 

 

 

 

(今度はスピード勝負?どちらにせよ地運が無い今は追いつけない。されるがままってところね。)

 

 

 

(ん....?)

 

ふと、気づく。

 

 

(こいつ、もしかして...)

 

 

 

(いや、まだ決めつけるのは早いかな...?もう少し見てみる必要が...。)

 

 

 

東三局 三本場 ドラ {⑧}

 

 

「リーチです。」

 

 

美世 捨て牌

 

{三八⑧六2③}

{47横赤⑤}

 

 

(まだ確定したわけじゃないけど...。)

 

 

(こいつは【絶対に牌が重ならない】異能者!!)

 

 

(必ずこいつの手牌には頭が無い、そして捨て牌と手牌を合わせても重なってる牌は一つも無い。)

 

 

(そして今回の捨て牌だとどう捻っても四面子がつくれない。)

 

 

女子生徒B 打 {西}

 

 

(つまりこの手ー)

 

 

 

 

「ロン」

 

 

 

 

{一九①⑨19東南西北白発中}

 

 

 

 

「ー48000は、48600です。」

 

 

 

 

 

 

(ー入学早々、面白い奴に出会えたよ、姉さん。)

 

 

 




初の闘牌シーンどうでしたか?
美世の能力についてですが、麻雀牌は36種類、配牌13牌と平均ツモ回数18回で31牌。つまり5種類以外は全部ツモれます。国士が簡単に出来そうと思って一人で牌を並べてやってみたら出来ない出来ない全然出来ない。やはり5種欠けるのは痛いですね。それでも来る時はすんなり来ます。その上重ならないので十三面確定と言うなんと恐ろしい。
あと葵の喋り方が安定しません。すいません。


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第二話 【慢心】

投稿3回目です。最近凄い暇なので小説がはかどります(涙目)
プロローグは1700文字、一話は2800で今回は3500...。はい。
ちょっとずつ成長してるんですよ(大嘘)
あれ、あの、宮永照の連続和了みたいな感じでどんどん文字数増えてきますから!


風越女子高校麻雀部新入生歓迎戦

 

 

(ーもとより、全て勝つつもりだった。先輩方になら一年生に負けるとは思ってなかった...。いや、少し慢心しすぎていた?東京では身内ばかりで打って勝っていたから自分が上だと錯覚していたっていうの...?私は今まで異能者とも戦ってきた...。だけどこいつの異能はー。)

 

 

「ありがとうございました。良い対局でしたよ、『辻垣内』さん。」

 

 

薄く茶色がかった黒髪を肩の辺りまで伸ばした少女が、この対局で1位だった少女が話かけてきた。

 

 

(ー『辻垣内』、か。)

 

 

(別に姉さんと比べられるとかそういうのは全く気にしないんだけど。)

 

 

(姉さんの顔に泥を塗ってる感じの罪悪感が心を埋め尽くす。)

 

 

「ーいえ、こちらこそ。良い対局でした。えっとー

 

 

「広部です。広部 美世、美しい世界で美世です。」

 

 

「良い対局でした、広部さん。色々と参考になりましたよ。」

 

 

「それって、もしかしてー

 

 

 

「皆さん、少し静かにしてください。」

 

 

 

(あれはー。)

 

 

風越女子3年福路美穂子。風越のキャプテンの上に去年は個人戦で全国にも行き、団体戦では副将だったっけ。なんでも手牌読みの達人だとか。

 

 

「ここまで打ってもらった新入生の皆さんの中で、上位成績の方は、2、3年生と対局してもらいます。対局メンバーの調整をさせて頂きますので、これより10分の休憩ととります。10分後に卓ごとにメンバーを発表するので、それに従って卓についてください。」

 

 

(ー多分、打てるかな?1回3位引いたとはいえ他は2位かトップ。1年全体なら上位に入ってるはず。っと。)

 

 

「そだ、広部さん。さっき何か言おうとしてませんでした?」

 

 

「え?あぁ、いやもしかしてもう見破られてるのかなーって。あたしの麻雀が。」

 

 

「......大体予想はしてましたけど確信はありません。答えを知らずに絶対ってのはありえないので。」

 

 

「いや、お察しの通りだと思いますよ。絶対に【牌が重ならない】。そう思ってたんじゃないですか?」

 

 

「......まったくその通りです。手の組み方自体はおかしくないのに待ち牌だけが必ずおかしい。終わってから考えるとあの{⑦}切りも私の【流れ】を崩す為に振ったんじゃないですか?」

 

 

「...いや、あたしはあまり流れは信じない主義なので。」

 

 

「【普通じゃない打ち方】をするのに流れを信じないって言うのもあまり聞かない話ですけど」

 

 

「いやぁ、こういう打ち方になってしまったのもあたしの父親が変なこと言うからなんですよ。」

 

 

「父親が?」

 

 

「『俺は流れを信じない。だから確立は平等であるべき。だから全ての牌は全員に1枚ずつ回る。』って。とんだトンデモ理論ですよね。」

 

 

「...その父親の話が現実になったのがあなたの打ち方って訳ですか...。面白い話ですね。」

 

 

「...だからあたしは【牌に愛された子】じゃないんです。運も並です。宮永照や、神代小蒔、荒川憩みたいには、なれない。」

 

 

「......私は、異能も無いし牌に愛されてもいません。ただ人よりちょっと運が良いだけです。」

 

 

(そう、所詮そこ止まり。一般人には勝てて異能者には勝てない。今日はっきりした。私は所詮全体で見ると中の下だと。)

 

(姉さん、すいません。流石にこれ以上慢心できないかもしれないです。)

 

 

 

 

 

「ー え?」

 

 

「はい?」

 

 

「異能も何も、無いんですか?」

 

 

「え...?」

 

 

何故ここで戸惑ってしまったのか。「自分は異能なんてあるわけ無い」とはっきり言ってやれば良かったんだ。

 

 

「いや、あったらこんな無様に負けませんよ...?」

 

 

「いや、あるんじゃないですか?」

 

 

「はぁ?」

 

(怒声の様なものでは無く半分呆れた様な言い方だった。そちらが大差で負かせた癖に何を言っているんだろうと思いつつ。)

 

 

「......じゃあもしあったらどんなんだって言うんですか?」

 

 

「?【流れ】じゃないですか?」

 

 

「......。」

 

 

(流れっていうのはー異能なんかじゃない。ただ、その場に身を委ねるだけ。悪い言い方をすれば考える事を放棄する【逃げ】。良く言えばその先々を読む【直感】。他にも過去の経験と重なったりしたらその通りにするとか、前局この牌で和了られたからこれは切れないとか。サイコロ振って6が3連続で出れば「これは6の流れだ」と言って6を予想する人と「6の流れはもう無い」といって6以外を予想する人。つまり、同じ状況でも人によって捉え方が違う。だから正解は無い。だからー)

 

 

「ー流れを信じることなんて誰でもできます。私の場合、持ち合わせの運でそれが上手くいっただけの事です。」

 

 

「もうちょっと自分を強く見た方がいいんじゃないですか?」

 

 

「ーえ?」

 

 

( ー あれ? )

 

 

(私は私自信を強く思ってた。姉さんにそう言われた!それなのに何故一回負けてしまっただけでこんな弱気になってしまうの!?)

 

 

(私の夢は、目標は、こんなところで止まっていいもんじゃない!!)

 

 

(姉さんを見習え!!心を、強く持て!!)

 

 

 

(私はー 辻垣内!!)

 

 

 

(決めたんだ!!姉さんを倒すって!!だったらこんなところでショゲてる暇なんか無いでしょ!!)

 

 

 

「っーありがとうございます広部さん。お陰で何か吹っ切れました。」

 

 

 

「いえいえ、そんな大したことしたつもり無いけどお役に立てたなら嬉しい。あと、美世でいいよ。敬語も、ナシで。」

 

 

 

「ー ありがと、美世。」

 

 

 

_______________________________

 

 

「10分間の休憩が終わりましたので、全学年交流戦を始めたいと思います。今からそれぞれの卓のメンバーを発表するのでそれに従ってー

 

 

 

(どうも私達は先輩方に気に入られちゃったのかな?よりにもよってこの面子だなんて...。)

 

 

東 3年 福路美穂子

 

「よろしくお願いします。」

 

 

南 1年 広部美世

 

「...よろしくお願いします。」

 

 

西 2年 池田華菜

 

「よろしくだし!」

 

 

北 1年 辻垣内葵

 

「よろしくお願いします。」

 

 

(この卓、絶対に一筋縄にはいかない...。)

 

 

 

東一局 親 美穂子 ドラ {⑤} 6巡目

 

 

「リーチだし!」

 

 

華菜 捨て牌

 

{東発六①西横⑦}

 

 

華菜 手牌

 

{③④⑤⑥⑦五六七56788}

 

 

「ツモだし!」

 

{③④⑤⑥⑦五六七56788} {⑤}

 

 

「リーチ一発ツモタンピン三色ドラ1!倍満!4000・8000!」

 

 

(いきなり倍満スタートか...。大量失点したとはいえ1年でレギュラーをとっただけはある。だが所詮は豪運。そういうタイプは【流れ】を失えばいとも簡単に崩れる。)

 

 

福路美穂子 17000 (ー8000)

広部美世 21000 (ー4000)

池田華菜 41000 (+16000)

辻垣内葵 21000 (ー4000)

 

東二局 親 美世 ドラ {東} 11巡目

 

 

美世 捨て牌

 

{341⑥75}

{⑦⑤西白横東⑧}

 

 

池田 手牌

 

{2244[5]5677東白白西} {東}

 

(字牌と萬子抱えてオリようと思ったけどドラ{東}ツモってきたんなら話は別だし!)

 

(赤一枚でダマでも倍満あるからここは親リーの現張り!流石にあの捨て牌に{6}は通る!)

 

 

池田 打 {6}

 

 

「ロンです。」

 

 

「......え?」

 

 

美世 手牌

 

{一二三四五六七八九①②③6}

 

 

「リーチ一通...裏二つで親マン、12000です。」

 

 

(な、なんだその手!?一体どんな配牌から組んでるんだ!)

 

 

福路美穂子 17000

広部美世 33000 (+12000)

池田華菜 29000 (ー12000)

辻垣内葵 21000

 

東二局 一本場 親 美世 ドラ {二}

 

 

葵 配牌

 

{三①⑤345南南南西北白中}

 

 

(う〜ん?染め手?ちょっと違うよう気もするんだけどなぁ。)

 

 

葵 ツモ {北}

 

(重なる字牌が役牌じゃないって...嫌がらせか。)

 

葵 打 {①}

 

 

葵 ツモ {赤五}

 

(いや、これは三色か?とりあえず字牌はもう整理してしまおう。)

 

 

葵 打 {中}

 

 

「ポンだし!」

 

 

池田 打 {南}

 

 

(鳴かれた?この鳴きで混一と三色の両天秤からどちらかに落ちる!)

 

 

葵 ツモ {④}

 

 

(____三色ね?オーケーオーケー。)

 

 

葵 打 {白}

 

 

「それもポンだし!」

 

 

池田 打 {七}

 

 

(うっ....げぇ....急にあの手が恐ろしくなったよ...。まぁ先に和了れば問題ナシ!)

 

 

葵 ツモ {四}

 

 

(無駄ヅモ無しの一直線!!ナイス鳴き!!)

 

葵 打 {西}

 

 

「リーチ!」

 

 

(これは一発だ...絶対にっ...!)

 

 

(引けるっ!!この流れなら!!)

 

 

 

 

葵 ツモ {⑥}

 

 

 

(う、わ...........。)

 

 

(一発だけど...これは...)

 

 

(満貫止まり.....。)

 

 

(いや、無和了なんだ。ここは何でもいいから和了って流れをこっちに傾ける!!)

 

 

(いや...)

 

 

(...牌がツモるなと言っている...。ここで和了るなとっ......!!)

 

 

(そのままっ...切れとっ....!!)

 

 

 

 

(...満貫程度で満足するなよ、辻垣内葵ぃ!!!)

 

 

 

 

タァン

 

 

 

 

葵 打 {⑥}

 

 

 

(私の麻雀は、こんなもんじゃ終わらせない。)

 

 

(怖がらない。和了れる時に和了れば流れは良くなるもんじゃ無い!!!)

 

 

葵 ツモ {③}

 

 

 

 

その局のー

 

 

 

 

葵 打 {③}

 

 

 

 

 

 

最高の結果を目指す!!

 

 

 

葵 ツモ {南}

 

 

「カンッ!!」

 

 

 

新ドラ {北}

 

 

 

 

「ツモッ!!」

 

 

葵 手牌

 

{三四[五]345④⑤北北} {裏南南裏} {③}

 

 

 

 

「リーチリンシャンツモ三色赤1ドラドラッ!!」

 

 

 

 

これが、あたしのー

 

 

 

 

「4100・8100!!」

 

 

 

辻垣内の、麻雀だ!

 

 

 

 




展開がぬるぬるいきすぎかなーと自分でも感じております。今話でやっと牌画像変換ツールに慣れてきました。池田の喋り方がどんなんか忘れてしまいコミックを漁りながら書くような状況です(結局余りセリフ無かったけど)。あぁー夏休みはもう一日一話ペースで書けるね←挫折フラグ

※追記:和了後に全員の点数を表示するようにしました
:4000・8000に一本場つけたしました


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