仮面ライダーディスクロス (楓神スラッガーエース)
しおりを挟む
仮面ライダーディスクロス 本編
第一話「戦士、起動!」
初投稿&文才まるでなし なので、いろいろアレな面はあると思いますがよろしくお願いいたします。
———君は『主人公』ですか?
▶YES ▶NO
これは、僕自身のストーリー。
僕は、強く、優しく、どんな困難にも逃げ出さずに立ち向かい、みんなを守る
『主人公』———に憧れているだけだった。
あの日のあの時までは…。
———創都学園高校、午後3:30。
「『タドル戦記』ももう終盤かぁ~」
創都学園高校二年生の神薙洸祐は、愛読書でもある『タドル戦記』の最新刊を読んでいた。
ふと視線を上げると…重たそうにノートを運んでいる女子高生-椎名由衣がいた。大変そうに見えたので、声をかけてみることにした。
「由衣ちゃん!」
「あっ、洸祐くん。」
「そのノートは?」
「現代文の課題のノート、職員室の貴水先生まで持って行くの」
「持つよ。なんか重そうだったし。」
「いいよ、だって私が係なんだし…」
「いいから。」
「あ、ありがとう洸祐くん…あ、!『タドル戦記』の最新刊?いつか貸してね。」
「いつでもいいよ。だって小学校からの仲じゃん。」
「おーい!ユイッチー!!悟の試合始まるよー!!!!」
廊下の先で女子生徒が由衣のことを呼んでいた。
「あっ、そうだった…でも…」
「いいよ、僕が持っていくから。」
洸祐は微笑むと、由衣は洸祐を信頼しているのか、女子生徒のもとに駆けていった。
それから洸祐は職員室の貴水先生のところへノートを渡すと、悟がバスケをしている体育館に行った。
体育館からは観戦している生徒の声や、バスケをしている生徒の声が聞こえてくる。
「よっしゃ行ったれ悟!」
チームメイトからボールを渡された府次悟は、まるでその期待に応えたかのように華麗なダンクシュートを見せた。
歓声と割れんばかりの拍手が体育館に響き渡る。
「やっぱ悟って主人公キャラだなぁ…。」
体育館の二階のフロアを見渡すと、さっきの女子生徒と一緒に歓声をあげている由衣がいた。
「由衣ちゃんも悟みたいな感じがいいのかな?」
ふとそう呟いていると
「お~い、洸祐~!!もう帰るのか?」
悟が洸祐に気づいたのか、大声で声をかけてきた。
「あっ、うん。」
「わりぃ、そろそろ俺も帰らねぇと。じゃ、また明日な~」
悟はそうチームメイトに声をかけると、
「帰ろうぜ、洸祐。」
「うん。」
———創都学園都市、午後3:40
洸祐と悟は、帰り道である市街地の歩道を会話しながら歩いていた。
「マジかよ!?もう『タドル戦記』って終盤近ぇのかよ!?ただでさえまだ『魔王編』も読み終わってねぇってのに…。」
「うん、だってすごくワクワクして主人公の気持ちになっちゃうんだもん。」
「——でも悟のほうがよっぽど主人公っぽいよ。」
「何だよそれw」
「だって、みんなの期待に応えてバシッとシュートしちゃう感じとか。」
「まぁ、たしかに主人公って感じはするなw」
「——でもさ、俺は思うぜ?洸祐のほうが主人公みたいなんじゃねぇかって」
「…どこが?」
「なんていうか、その…そのヘッドホンとかw」
「超テキトー過ぎない?w…ん?あの人…。」
洸祐が見た先には、キャリーバッグを持ってきょろきょろしている男性がいた。
「どうしたんですか?」
「あぁ、地下鉄の駅を探しているんだけど、地図アプリも不調だし、乗るハズだったトラムが不調で運転中止してしまってね…」
「確かバス停ならこの近くにありますよ。案内します。」
「本当に!?助かるよ。」
このやり取りを遠目に見ていた悟はつぶやいた。
「…ほらな。」
と。
———創都学園都市 地下鉄創都線・風樹駅前バス停、午後3:45
「いやいや、助かったよ。本当にありがとう」
「それほどでもないですよ。」
男性と別れた洸祐に悟が話しかける。
「ホント、洸祐って優しいし、周りが見えてるよな。」
「そうかな?…でもさ、困っている人を見かけると放っておけないし、周りが笑っていないと、自分も心の底から笑えないし。
——だからさ。強くて、優しくて、みんなを守れる『主人公』に憧れるんだ。僕なんてただの脇役みたいな感じだけど。できることはやりたいんだ。」
「そっか。…しかし多いよなぁ、アプリの異常にシステム故障が…」
「そうなの?システム故障とかって…」
「ほれ。」
悟はビルにある街頭ビジョンのニュース番組を指さした。
『続いてのニュースは、先日から創都学園都市にて相次いでいるAIシステムの故障、その事件との関係性は不明ですが…本日正午過ぎ創都トラムラインの上り、下り線で突如トラム車両が停車、トラムラインは本日分の運転を中止し、これにより利用者約300人に影響が出たほか、創都工業団地の工場のロボットアームに異常が発生し———。』
「うわぁ…想像以上に大変なことになってるね…」
「あれ?洸祐くんたちも地下鉄に?」
と、そこへ由衣たちが仲間の女子生徒とともにやってきた。
「あれっ、由衣ちゃん!?」
「本当にひどいよね…地下鉄もすごく混んでいたし…。」
そう話している由衣の目には涙が浮かんでいた。
「(何がどうなっているんだ!?でも今は先に由衣ちゃんを…。)」
どうすればいいか分からなくなったその時…
「トラムも地下鉄もダメなら路線バスがあるだろ!それに今の時間なら空いてるかもしれないぜ?」
悟が由衣の肩に手を置いて、声をかけた。
「…うん。」
悟は由衣たちを連れてバス乗り場へと向かった。
「(やっぱり悟はすっごい主人公だ…!それに引き換え僕はただの脇役———)」
悟たちと逆の方向を歩き出そうとしたその時、停止しているはずのトラムの電光掲示板から強烈な光が発せられるとともに、
——神薙洸祐、あなたは主人公ですか?————
YES/NO
と書かれた謎の文章へと変貌した。
「何だこれ…?なんで僕の名前を…!?」
「(僕は…僕は…!)」
電光掲示板に触れようとしたその時、光とともに謎の黒いデバイスが掲示板の柱の根元に置かれていた。
それを手にすると同時に謎の声が洸祐の脳内に響き渡った。
「主人公ニナレルカハ、君次第。ソノ"クロスドライバー"ガ君ヲ導イテクレルダロウ——。」
「クロスドライバー?何なんだこれ?あ、調べてみればわかるかも!」
カバンからスマートフォンを取り出したその時、見ず知らずのアプリがダウンロードされていることに気づいた。
長押ししても削除されるどころか、ダウンロードが一向に進んでいく。そして、眩い光が洸祐の周りを包んで…
——「お前が俺の相棒-バディ-ってことか!!神薙洸祐ッ!!」———
大きなバッタの姿をしたモンスター・ウィンザが洸祐の目の前にいた。
「し、新種のバッタ!?」
「だぁっ、違ぁう!!俺はライドモンスターってやつだ!」
「ライドモンスター?」
「スマートフォンのアプリやパソコンのソフトウエアのプログラムとかが集まって生まれた電子生命体ってやつだ。そして、俺は検索アプリから生まれたウィンザ。ネットの仲じゃ検索しない人間なんてどこにもいやしない!即ち、最強のライドモンスターって奴だ!!」
「…ってことは、要するにこのクロスドライバーっていうのと関係があるってこと?」
「うげぇ!?理解力ありまくりじゃねーか!!」
「いやだって、話的にそうとしか…」
「マジかよ!?」
「さすがはヒーロー!そのクロスドライバーは選ばれた者しか使えない代物ってやつだ!」
「えっ、ヒーロー?」
「要するに、俺とともに強大な敵をぶっ倒そうぜってことだ!!」
「強大な敵!?いったい何なのそれ!?」
「まぁ、アレを見てみな。」
「えっ!?」
ウィンザが見ている方向には、何の変哲もない電光掲示板。
するとそこから二体の怪物が現れた。そのうちの一体は何やらディスクのようなものを手にしている。
「さすがは、地図アプリを司るチカラ、半端ないねェ…!」
「次のポイントは、やはりシティOSしかねぇなァ!」
それを見て洸祐はすかさずウィンザに聞く。
「まさか、今のって!?」
「あぁ、最近巷で起きているトラムのAI暴走の張本人だ!」
だが、その怪物はノイズ交じりとなり消えてしまった。
「消えた!?っていうか、みんなには見えていないんだね。」
「クロスドライバーを持っていると、俺達ライドモンスターや、バグレイダーっていうさっきの怪物まで見えるんだ。恐らく、アイツの手先だな…。」
「アイツって…?」
「人間世界を混乱に陥れようとする最強最悪の人工知能・トロイa…」
するとウィンザの動きが急に鈍くなり始めた。
「えぇっ!?いったいどうしたの!?」
「…うぅっ、危うく『処理落ち』するところだった…。ま、問題はない、とりあえず今はあいつらを追うぞ!」
「あっ、ちょっと待ってよ~」
洸祐はウィンザの後を追いかけていった。
路地裏、午後4:05
何とか二体のバグレイダーを追い詰めた洸祐とウィンザ。
すると二体の内の一体が壁に謎の亀裂を発生させ、二体はその亀裂の中に入っていった。
「うわっ、裂け目に入っていった!?」
「洸祐!俺達も行くぞ!あの先で戦うんだ!!」
ウィンザの発した一言に、洸祐は言い出した。
「戦う…?無理だよ、そんなこと、僕には…」
「いいのかぁ?お前は本が好きだって検索にあったが、今この物語に『主人公』は一人もいねぇ。ヤベェくらいの世界が広がってるんだよ!」
「えっ…」
「嘘だと思ってベルトを差し出してみろ。」
言われるままにベルトを壁に差し出した。すると壁に穴が開き、洸祐とウィンザを『吸い込んだ。』
ビル群、午後4:07
洸祐達が吸い込まれた先は、高層ビルが立ち並ぶビル街だった。
「ここは…シティOS社の本社ビル!」
「ってことはアイツら、街ごとシステム機能をドカンするつもりd…」
なんとウィンザの頭に地図アプリのマーカーのようなものが刺さっていた。
「ちょっと!?ウィンザ、頭に何か刺さってる!」
「マジか!?うおぉぉぉっ引っこ抜けねぇ!!!」
「…目的地補足、グッバイ、『人間』」
すると、背後の方向から、二体の内の一体・ライナーバグレイダーが掌から光弾を撃ち出してきた。
この一撃に洸祐もウィンザも吹っ飛んだ。
「そんな…なんて酷いことを…。」
「酷いことも何もねェぜ?俺らはただ、偉大なるトロイア様に命ぜられているだけだからなァ!」
その片割れ、マニュピレータバグレイダーもまるで挑発するかのように言い放ってきた。
「うぐぐ…」
「ウィンザ!!」
「洸祐、クロスアップするんだ…!!!」
「クロスアップ?」
ウィンザはディスク型のアイテム・ライドディスクを投げ渡した。
「クロスドライバーでその俺のディスクをロードするんだ!!このままじゃ俺もお前も勝ち目がねぇ!!!」
「で、でも、そんなこと僕には…」
「その力は、洸祐、お前にしか使いこなせねぇ!!」
そんな時、スマートフォンに通知が。
その内容は
『———あなたは主人公ですか?———
YES/NO 』
あの電光掲示板の文字だった。
「お前の中に絶対あるはずだ!俺と相棒になって一緒に戦う理由が!!!!」
————僕にやれるか分からない、でも
やれることをやるだけだ!!
もしこの力が、僕にしか使えないのなら…
この力で、ウィンザや、由衣ちゃん、みんなを守れるのなら…!!———
「俺の…俺の検索に間違いってのは一つも存在しねぇ!!洸祐、お前は———」
スマホの返答に『YES』と答える。すると洸祐の勇気に呼応したのか、真っ黒だったクロスドライバーに色が付いていく。
「なるんだ…僕が本当の、『主人公』に!!!!」
[CROSS DRIVER SYSTEM UP!]
[WIND DISC START UP!]
ディスクの起動と同時に、ウィンザの身体が光に包まれる。
ベルトのヘッダを操作し、ディスクをドライバーにセットする。
[WIND DISC SET!!]
待機音声が鳴り響く、そして…
「変身!!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
セットしたディスクを回転、すると洸祐の身体は黒と緑のラインのボディに包まれ、そしてウィンザの身体が分割され、アーマーを形成した。
今ここに、仮面ライダーディスクロスが誕生した。
「すごい…変身した!」
「さっすが主人公!やると思ってたぜ!」
ディスクロスは構えをとり、一気に飛躍、ライナーバグレイダーに近づいて、猛攻をくらわせる。
「力が、体の中から湧き上がってくる…!」
「そりゃあ今、俺とお前が一心同体になって戦っているからだ、お前が足りない部分は俺が補ってる。だから思う存分暴れられるってことだ!」
「小癪な真似を…再びこれの餌食に…!」
「させるか!洸祐、もう一回ベルトのヘッダを操作しろ!」
[WIND DISC ABILITY ACTIVE!!!]
ウィンドホッパーフォルムの特殊能力、それは、相手の弱点の探知。わずか1秒足らずに弱点を見抜いた。
「弱点見えた!」
「よっしゃぁ、洸祐、とにかく回れ!」
「えっ、なんだかわからないけど…」
ディスクロスは兎にも角にも、ライナーバグレイダーの周りを回り始める、ウィンドホッパーフォルムの俊敏さと相まってそれはまるで竜巻のようだ。
「なぜだ!?ディスクの能力が作動しない!?」
戦法が功を奏したのか、ライナーバグレイダーが手にしていたディスクから異変が生じ始めた。
「よっしゃあ!作戦成功!!洸祐、一気にとどめ叩きこむぞ!!」
「あぁ!!」
[FINAL CLASH!WIND HOPPER GO!!!]
烈風のエネルギーがディスクロスの右足を包み込み、高く跳びあがる。そして…
「「烈風ライダーキック!!!!」」
烈風の力を宿した必殺のキックが、ライナーバグレイダーを打ちのめした!
「す、すごい…」
するとディスクロスはライナーバグレイダーが持っていたディスクを拾い上げる。
「もしかしたら、これも…?」
「どうやら、あいつらに利用されていたみたいだな、よし!残りの一体は…」
ウィンザが何かを話そうとしたその時…
「私が彼と戦う、ということでしょうか?」
ディスクが突然しゃべり始めたのだ。
「あぁっ…なんで俺が話そうとしたことを言うんだよ、ライメイ…」
「あなたの言うことは既に予測済みです、ウィンザ」
「なんだかわかんないけど、別の姿に変われる、ってことだよね?」
「要約すれば、そういうことです。」
「よし、分かった!」
[THUNDER DISC START UP!]
サンダーディスクを起動すると、トンボ型のライドモンスター・ライデンが姿を現す。
「初めまして。この状況だと自己紹介はあのバグレイダーを倒してからにしましょう。」
「わかった。一緒に戦おう!」
「承りました。」
[THUNDER DISC SET UP!]
[CROSS UP! THUNDER DRAGON FLY!]
ウィンドホッパーフォルムアーマーがパージされ、ウィンザの姿に.
それとは逆にライメイの身体が分割され、新たなディスクロス-サンダードラゴンフライフォルム-の形態のアーマーとなった。
「うげぇぇぇぇぇ!?姿が変わったァ!?」
この形態変化には、マニュピレータバグレイダーも驚きを隠せない。
[ATTAC-ROSS WEAPON!ACTIVE!]
ディスクロスは間髪入れずにマルチ武器・アタックロスウエポンをボウガンモードへと変形させた。
速足で逃げようとするマニュピレータバグレイダーの足元にボウガンの攻撃を的中させる。
「うぎゃぁっ!?」
「逃がすか!」
[THUNDER DISC ABILITY ACTIVE!!!]
サンダードラゴンフライフォルムの特殊能力・マーカーバインドでマニュピレータバグレイダーの動きを完全に封じた。
「さて、一気にとどめに行きますよ。」
「あぁ、これで最後だ!」
[DISC SET! FINAL BREAK!]
ドライバーにセットしてあったサンダーディスクをウエポンのスロットにセット。
「「稲妻ライダーシュート!!!」」
稲妻の超エネルギーを秘めた一撃がマニュピレータバグレイダーを一瞬のうちに仕留めた!
[SYSTEM SHUT DOWN!]
「や、やった!」
———同時刻
「こいつも『ハズレ』か…次だ…。」
蜘蛛型モンスターを従えた紫の銃を持った黒服の謎の少年も、動き出そうとしていた。
創都学園都市、午後4:30
初めての戦いを終えて、何とか悟と合流した洸祐。
すこし嬉しそうな洸祐をみて悟は…
「どうしたんだ洸祐?そんな嬉しそうな表情して、いいことでもあったのか?」
「うん、なんか僕も、主人公になれた気がしてね。」
「だから言ったろ。洸祐は主人公っぽいって、お前優しいからさ。優しい奴が一歩進みだしたらそれはもはや最強レベルになるんだよ。」
「そっか、そうだよね!」
———この時僕らは知らなかった。すでに僕らの日常は、最凶の人工知能の魔の手に落ちていたということに…。———
COMING TO NEXT STAGE...?
…というわけで始まりました「ディスクロス」。
読んでてアレ?と気づいた方もいると思いますが。
このディスクロス、実は元ネタは「アプモン」です。
と言っても、アニメ版を見ていないので漫画版が基ですが。
勿論、そのまんまではマズいな…ということで編み出したのが「昆虫」モチーフ。いい意味で原点回帰していればなぁと思っています。
後は、登場人物の名前も、懐かしのあのFlash作品から…とか作者の遊び心にも気づいてくれたらなぁと思っています!
改めて、今後ともよろしくお願いいたします。
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第二話 「決意のシルシ」
——ライドモンスター、それはアプリの数だけ存在し、自ら考え、行動する『電子生命体』。
彼らはライドディスクで実体化し、そしてクロスドライバーでその力を発揮する。
今、ネットの海の底から、最凶の人工知能が動き出そうとしていた。
近未来、人類-ヒト-の知能を人工知能-AI-が超える——。
———創都学園都市、高架下 午前10:30
ディスクロスは、小さなバグの集合体が生んだ戦闘兵・バグダストと戦っていた。
「これで決める!」
「よっしゃぁ、行くぜ!」
[DISC SET! FINAL BREAK!]
「「烈風ライダースラァァァァッシュ!!!」」
ディスクをアタックロスウエポン・ソードモードに装填、烈風のエネルギーを纏った斬撃でバグダストの大軍を切り裂いた。
切り裂かれたバグダストは爆炎とともに消滅した。
[SYSTEM SHUT DOWN!]
「あ、そういえば…」
ディスクロスの変身を解いたとともに、洸祐はウィンザに聞き出した。
「バグレイダーとさっきのバグダストもライドモンスターみたいな一種の電子生命体みたいなのだよね?なんで普通に攻撃できるんだろう?」
「あぁ、それはそのクロスドライバーを起動した段階で、バグレイダーやバグダストを強制的に実体化させるプログラムをインプットさせてるからだ。あと、俺達ライドモンスターもライドディスクを起動した段階で実体化されるプログラムが発動されて、ディスクロスのアーマーになってるんだぜ!」
「さすが検索アプリのモンスター!なんでも知ってるし、すごいよ!!」
「おいおいおい!それに気づくお前もすげぇぜ!さすが主人公!」
…と人間1人とモンスター1体(?)が誉め合いをしていると、放置してある貨車の扉が開き、
「えっ、でっかいバッタ…!?」
洸祐と同い年であろう少女が姿を現した…
———創都学園都市、うみそら書店 午前11:00
創都学園都市でも一、二を争うほどの人気書店のうみそら書店。そこには由衣の父親でもあり、この書店の店長の椎名哲也が慌てふためいていた。
「ちょっとちょっと、由衣!あれ一体どういうことだよ!?」
「だよね…」
慌てふためく哲哉をよそに、由衣は苦笑いで応えた。
「だって数日前から行方不明のあの根岸ノノがあそこにいるんだよ!?」
超人気アイドル・根岸ノノ、彼女は数日前、突然マスコミはファンの前から姿を消し、連日報道されるほどの大ニュースとなっていた。
「洸祐くんが知らずにこっちに連れてきたんだって、ってかそろそろ父さん、レジいかないとマズいんじゃない?」
「ゲゲッ!?忘れてた!」
そういうと哲哉は、レジのほうに駆けて行った。
窓側にある、テーブルスペース。そこに洸祐のノノはいた。
「いや、まさかノノさんがそんな有名なアイドルだったなんて…あまりテレビを見てないから…。」
「いいんです、まだ私は駆け出し中だと思ってるんで…」
「でも、なんでウィンザが見えるんですか?」
「実は…。」
ノノはポケットから、ディスクの欠片のようなものを取り出した。
「これを拾ってからなんです。さっきのバケモノやあなたのモンスターが見えるようになったのは。」
「間違いねぇ、これは、『エクスの欠片』だ…!」
「エクスの欠片?」
「あぁ、この欠片を7つ集めると、トロイアに対抗できる究極の力が手に入るっていうやつだ。言わずもがな、それを手にしたものは俺達もバグレイダーも見える。」
「そういえばトロイアって一体何者なんだろう?…でもこの話するとウィンザが『処理落ち』しちゃうし…」
「…あぁ、奴に対抗できるクロスドライバーの適合者がいるんだ、俺もできる限り話してみるぜ。」
そういうと、ウィンザは意を決して口を開いた。
「俺達ライドモンスターもかつてはお前たちみたいにサイバーユニバースで平和に過ごしていた。が、その平和も長く続かなかった。突如ネットワークの海の底で潜んでいた最凶最悪の人工知能、トロイアが突然覚醒しだした、そして俺達仲間をディスクに強制変換して、バグレイダーも操り、インターネット上につながっているものを支配させ、人間世界に恐怖と混沌を陥れようとしている…」
「そんな…そんなひどいことしていたら困る人なんてたくさん出るのに…どうして!?」
「そこまでは分からねぇ…でも、あいつがマジで暴れだす前に止めねぇとヤバイ…でも…俺達なら絶対に止められる!!!!」
「そ、そうだ。僕達なら、絶対…って、ウィンザァァァ!?」
ウィンザはまるで力尽きたかのように『処理落ち』してしまった。
「まさか、私が知らないところでそんなことが…」
とても他人事と思えなかったのか、ノノもそうつぶやいた。すると…
「アイドルのおねーちゃーん!」
遠くから子供の声でノノを呼ぶ声がした。
「まさかファンの子!?居場所バレた!?」
ノノに向かって小学生らしき男の子が走ってくるが…
ビタン!!という物凄い音を立てて、子供が転んだ。
「ううっ…うっ…。」
「大丈夫!?あっ、怪我してる…」
ノノは持っていたリュックサックから絆創膏を取り出し、男の子の膝に貼り付けた。
「痛いの痛いの天まで届け~!」
「…はははっ、おねえちゃん、僕ね、おねえちゃんが出てるテレビすっごく見てるの!!おねえちゃん見てると、すっごく元気になってくるんだ!!」
さっきまで涙目だった男の子も、ノノのおまじないの恩恵なのか、どんどん笑顔になっていった。
「あっ、すみませんウチの子が…」
と男の子を探していたであろう母親が、男の子を引き取りに来た。
「私みたいな駆け出しでも、誰かのためになっているんだ…なんか、嬉しいな。」
その母子を遠目に見守りながらノノはつぶやいた。
『番組の途中ですが、ここで臨時ニュースが入ってきました。創都学園都市の橋ノ基工業団地にて、突然大型のタンクローリーが無人のまま暴走、警察のバリケードを突破し、同都市のコンビナート方面に向かっているとのことです。』
突然入ってきたテレビの臨時ニュースが賑やかだった書店を静まり返らせた。
「まさか!?」
「あぁ、バグレイダーだ。急いで行かねぇと!!」
「ノノさんはここにいてください。」
「わかりました。」
洸祐とウィンザは書店を飛び出し、バグレイダーのいるところへ向かおうとするが…
「よく考えてみれば、ここから橋ノ基って、相当距離あったような…」
「一回ベルトを付けてみろ、そして右側にあるデバイスを手に取れ!」
「わかった!」
[CROSS DRIVER SYSTEM UP!]
「えぇっと、右側のデバイス…これか!」
ベルトの右側にあったCDプレーヤー型デバイスを取り出した。
「よし、そして真ん中のボタンを押してみろ!」
ウィンザに言われて、ボタンを押してみると、デバイスは宙を舞いバイク型のマシン・マシンディスクロッサーへと変形した。
「すごい…すごすぎるよ!」
「もたもたしてると逃がしちまうぞ!さぁ、飛ばしていこうぜ!」
「あぁ!」
ディスクロッサーに跨り、バグレイダーが乗っ取ったタンクローリーを追う。
———創都学園都市、基ノ橋工業団地 午前11:25
人も車も通らない道路に、無人のタンクローリーが走っていた。
そのタンクの上には、自動車のバグから生まれたビークルバグレイダーが立っていた。
「『エクスの欠片』は手に入れた、後は我々の恐ろしさを人間どもが知れば…」
ビークルバグレイダーの手には『エクスの欠片』が収めされていた。
しかし、彼らの向こう側から、一台のバイクが走って来るのが目に見えていた。ディスクロッサーに乗った洸祐だ。
「タンクローリーにバグレイダーが!」
「ビンゴだ!行くぞ!」
「あぁ!」
[WIND DISC START UP!]
[WIND DISC SET!!]
待機音声が鳴り響く、そして…
「変身!!」
その時だった、それと同時にビークルバグレイダーが黒煙の弾丸を発射した。
「フン、これであいつらはコースアウトだ…」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
電子音声が鳴り、黒煙の中には、ディスクロッサーにまたがったディスクロスがそこにいた。
「——僕達で止めよう、ウィンザ。人もディスクにされているライドモンスターも助けて…そして、トロイアを倒す!!!」
「さすがだぜ!主人公!」
「みんなが幸せに生きている毎日を、壊されるわけにはいかないからね。」
「おのれ…ごちゃごちゃと!!!」
ビークルバグレイダーは、バグダストを召喚した。
「ならばレースと行こうじゃないか。キミが勝つか、私が勝つかの死のレースをね…!」
そういうと、ビークルバグレイダーはバグダストはおろか、タンクローリーまで吸収し、巨大な戦車のような姿へと変貌した。
「うそでしょ、こんなこともあり得るの!?」
「所詮はバグの塊だ、なんでもありってやつだろ。」
しかし、巨大なビークルバグレイダーは容赦なくディスクロスに襲い掛かる。
スロットルを全開にして、何とか免れたものの、逃げるのに精いっぱいだったが…
「ライメイ!なんか秘策はないの!?」
「今やっていますよ!…ここから800メートル先に使われていない廃倉庫があります、そこにおびき寄せれば…」
「被害も抑えられるってことか!今はそれに賭けるしかない!」
ライメイの秘策通りに、ディスクロッサーのスピードを上げるディスクロス、勿論、そのことはビークルバグレイダーは知らない。
———創都学園都市郊外、廃倉庫内
廃倉庫の構内にビークルバグレイダーをおびき寄せるディスクロス。ビークルバグレイダーはその大きなボディ故に、廃倉庫の壁を突き破り、突入した。
スピードを上げて、ビークルバグレイダーとある程度距離を置き、バイクをスピンターン。
「奴は恐らく機械の力も持っています。おそらく電気的な衝撃を与えれば数秒ではありますが、動きは封じられると思います。」
「ナイスアイデア!それでいこう!」
[THUNDER DISC START UP!]
[THUNDER DISC SET UP!]
[CROSS UP! THUNDER DRAGON FLY!]
ライメイの提案で、サンダードラゴンフライフォルムにチェンジ。アタックロスウエポンをボウガンモードに組み替える。
[DISC SET! FINAL BREAK!]
ディスクをウエポンのスロットにセット。
「「稲妻ライダーシュート!!!」」
稲妻のエネルギーがビークルバグレイダーを捉えた。すると、動きが段々と鈍くなり、止まった。
「ウィンザ!一気にとどめに持ちこむよ!!」
「OK!これでラストだっ!!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
[FINAL CLASH!WIND HOPPER GO!!!]
ウィンドホッパーフォルムに戻り、ベルトのヘッダを必殺シークに移行。風のエネルギーがディスクロスとディスクロッサーを包み、急発進。
「「烈風ライダーブレェェェェェイク!!!!」」
矢のような突撃が、動かなくなっていたビークルバグレイダーを貫いた。その一撃が追い打ちだったのか、タンクローリーのガソリンが引火したのか、ビークルバグレイダーは爆散した。
「やった!」
———廃倉庫外、
「必ずそのクロスドライバーは頂くわ…我が偉大なるトロイア様のために…」
蛾のような女の怪物が、ビークルバグレイダーの持っていた『エクスの欠片』を手に、去っていった。
———創都学園都市、うみそら書店付近のバス停 午後12:26
「もう行くんですか?」
「うん、まだ私を必要としている人がいる限りね。」
「そうですか…。」
「それと、これ。」
ノノは洸祐に、『エクスの欠片』を手渡した。
「頑張ってね、秘密のヒーロー。」
洸祐たちがいるバス停にバスが到着した。
「そっちも再び頑張ってください。アイドルとして。」
「いや、今度テレビで見るときはロック歌手かなぁ、もうアイドルはこりごりっていうか、もっと違うことをしてみたいし。」
そういうと、ノノはバスに乗り込んだ、そしてノノを乗せたバスは発車し、だんだんバス停から離れていく。
「秘密のヒーローか…なんか悪くないかも。」
洸祐は少し微笑んで、書店へと足を早めた。
COMING TO NEXT STAGE...?
いかがだったでしょうか。
自分自身、文才のへったくれもないので、ちゃんと物語が成立しているのかなぁ…なんて思ってみたり。
ちなみにこの作品(ディスクロス)なんですが、あえてイメージCVはつけていません。
(作者が声優知識が全くないため)
なので、読者の皆様のご想像にまかせています(それでいいのか←)
次回は早くも新フォームと一話にチラッと出てきた謎の少年も出てきますので、お楽しみに!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第三話「繋がるビート」
。新フォームやライバルの出現、あとは作者の好きなアーティストが元ネタのゲストキャラありの第三話です。
——ライドモンスター、それはアプリの数だけ存在し、自ら考え、行動する『電子生命体』。
彼らはライドディスクで実体化し、そしてクロスドライバーでその力を発揮する。
今、ネットの海の底から、最凶の人工知能が動き出そうとしていた。
近未来、人類-ヒト-の知能を人工知能-AI-が超える——。
創都学園高校付近、午後1:30
午前授業が終了するチャイムが鳴り、帰宅する生徒、部活動を始める生徒などが散り散りに行動を始める。
洸祐は特に予定もないため、高校を出て、市街地の図書館に向かう。
創都学園都市、創都自然公園、午後1:35
図書館敷地内の公園で、シンセサイザーの路上ライブの準備をしているすこし年下の少年・浅木涼介を見つけた。
洸祐と涼介は隣近所の付き合いだ。
「あ、涼くん!久しぶり!」
「あれ?洸兄、今日学校だったの?」
「うん。涼くんは路上ライブの準備?」
「1時ごろから始める予定だったんだけど、愽貴が寝坊して今この状態。でもこれがほぼ日常だからw」
二人は公園のベンチに座り、話し始める。
「すごいよね、いつもスマイル動画でNEXSTの動画を見ているけど、博貴くんの歌声と、涼くんの音楽がベストマッチしていて。」
音楽ユニット・NEXST(ネクスト)、ボーカルのHIROKIこと清水愽貴とキーボードのRYOこと浅木涼介の二人で構成されている、スマイル動画限定で活躍しているユニットだ。
「愽貴と知り合ったのは比較的最近なんだけどね、宙ヶ街高校のオリエンテーションで気が合って…みたいな。」
「そういえば、博貴くんってどんな人なの?」
「それがスゴイ家でね、なんでも代々450年くらい続いている日本舞踊の家元なんだって、だから長男の愽貴が直に継がなくちゃならないって…」
「それって、愽貴くんは嫌なんじゃ…。」
「それは僕も思ってヒロキに聞いたよ。そしたら愽貴も生まれたときから、この道で歩いていくか不安だったって、でも大事なのは周りがどうこうじゃなくて、今の自分がノッているか否か。自分の道は自分で切り開いてこそだって。愽貴らしいでしょ?w」
「確かに、生放送の愽貴くんもそんなこと言ってた気がするしw。」
「ま、いずれ後を継ぐかはわからないけど、現状スマイル動画限定での活動を許してもらえたし、みんなも楽しんでくれてるから涼介的にもオールオッケーかなw。」
「(僕も、ある意味ウィンザ達のおかげで一歩踏み出せたようなものなのかな…?)」
ふと、洸祐が思ってると…。
「ごめん!涼ちゃん!今日生放送とライブやることすっかり忘れて!!!」
「んも~…これで通算三度目だよ?」
「本当にごめん!今度お昼奢るからさ!」
「ホント?ならいいや、みんな待ってるし、セッティングはじめるか!」
涼介と愽貴の二人はセッティングを始めた。
「おい、洸祐!」
「えっ、ウィンザどうしたの?」
「なんかヤベーくらいにバグレイダーの気配を感じるんだが…」
「本当!?」
[CROSS DRIVER SYSTEM UP!]
クロスドライバーを装着するが…
「いないよ?」
「あぁ~そうじゃなくて、現れそうな予感がするんだよ…。」
「予感?」
「あぁ。」
その時、涼介のシンセサイザーの外部スピーカーからノイズ交じりのエネルギーが出てきて…
「バグレイダー!?」
「予感的中か!」
スピーカーのバグから生まれたスピーカバグレイダーが現れた。
事前にドライバーを付けていたのが功を奏したのか、スピーカバグレイダーが現れたとともに周りにいた人は蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
スピーカバグレイダーの音波の波動が駐車してある車を、公園の塀を壊していく。
そして逃げ遅れたであろう涼介にまで襲い掛かろうとしている…。
「マズい!」
[WIND DISC START UP!]
[WIND DISC SET!!]
「変身!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
すぐさまディスクロスに変身、スピーカバグレイダーを蹴飛ばして涼介を助け出した。
「君は…?」
ディスクロスは涼介に振り向き、スピーカバグレイダーに立ち向かう。
[ATTAC-ROSS WEAPON!ACTIVE!]
アタックロスウエポンをソードモードに展開、スピーカバグレイダーに一撃をくらわせようとするが…
「っ、いない!?」
まるでホログラムかのように消えた。
「残念、我はここだァ!!」
一瞬のうちにディスクロスの背後にいたスピーカバグレイダーが至近距離で波動攻撃を仕掛けてきた。
その一撃をくらったディスクロスは吹っ飛ぶ。
「そうだ!検索機能でなら…」
「いや、それはムリだ。」
「なんで!?」
「俺の検索機能は敵の隙を付けないと検索できねぇ、あの速さだと、ライメイのマーキング能力もほぼ無理に近い、それにアイツ…おそらく『エクスの欠片』でとてつもなくパワーを増強しているに違いねぇ…。」
「嘘!?『エクスの欠片』って敵が使うとパワーアップしちゃうってこと!?」
「何処を見ていやがるッ!!」
「うわっ!?」
スピーカバグレイダーに蹴飛ばされ、吹き飛ぶディスクロス、その視線にいたのは…
涼介と愽貴だった。
「愽貴、あれ一体何!?」
「確証はないけど、今ネットで都市伝説になっている『仮面ライダー』ってヤツなんじゃない?」
「『仮面ライダー』!?」
「えっ、涼ちゃん知らないの!?バイクに乗って颯爽と現れて、怪物を倒して颯爽と何処かへ行ってしまうさすらいのヒーローだよ!?」
「…作曲に集中しすぎてニュース見てない。」
「えぇっ!?」
「でも、あのヒーローが僕たちのために戦っていることはわかるよ…でもあの状況だと…。」
涼介はスピーカバグレイダーに圧倒されているディスクロスを見る。
「でも、何が起こるかなんて神様にもわからないじゃん。」
「えっ。」
涼介は愽貴の一言で愽貴を見る。
「俺はさ、『奇跡』って言葉を信じてるんだ。俺ね、思うんだ。涼ちゃんと出会ったのもある意味『奇跡』なんじゃないかって。」
「愽貴…。」
「だからさ、信じてみようよ。『仮面ライダー』があの怪物を逆転してくれる奇跡を。」
愽貴の言葉に呼応したのか、涼介が持っていたスマホから青い光がディスクロスの許へ飛んで行った。
「何だ!?これ…。」
ディスクロスの掌の青い光は、青いディスクに形成された。
「こんなことってあり得るの?」
「いや、俺も知らねぇが…奇跡かもしれねぇな。」
[WATER DISC START UP!]
ウォーターディスクを起動、するとそこから青いカマキリの姿をしたライドモンスターが出現した。
「アタシのこと呼んだ?ヒーロー見習いクン?」
「いきなりこんなこと言うのもアレなんだろうけど、僕の力になってくれない?」
「勿論!このアタシ、クアッド様にかかればどんなバグレイダーも一撃!!ってもんよ!!」
「よし、行くぞ!」
[WATER DISC SET UP!]
[CROSS UP! WATER MANTIS!]
緑のアーマーのウィンドホッパーフォルムから、青いアーマーのウォーターマンティスフォルムにチェンジ。
「そんなこけおどしが通用するか!!」
スピーカバグレイダーが高速攻撃を仕掛ける。
「マズい!またあいつが…」
「こーゆー時のためのアビリティでしょ?一気に片付けるよ!」
[WATER DISC ABILITY ACTIVE!!!]
ウォーターマンティスフォルムの特殊能力は音速レベルの高速移動。スピーカバグレイダーの高速攻撃をアタックロスウエポン・ブレードモードで圧倒する。
「なぜだぁぁぁぁ…『エクスの欠片』を持っている我がこのような輩にぃ…!」
「なんでって…それは”僕達”だからだ!」
「よぉし!アタシたちの勝利のビート、あいつに聞かせちゃお!!」
「うん!」
[DISC SET! FINAL BREAK!]
「「激流ライダーカットォ!!」」
ウェポンにディスクをセット。水のエネルギーが刀身に宿り、ディスクロスは波に乗るかのように地面を滑って、スピーカバグレイダーにとどめの一撃をお見舞いした!
「よし!」
「やったぁ!!」
物陰から見ていた愽貴と涼介もディスクロスの勝利に安堵した。
「涼ちゃん、今度こそライブ再開する?」
「そりゃぁもちろん!生放送を待っているみんながいるしね。」
涼介と愽貴は、生放送する場所へと戻っていった、その時に涼介はディスクロスにサムズアップを向けていた。
[SYSTEM SHUT DOWN!]
「よし、『エクスの欠片』ゲット!まさか涼くんのスマホからライドモンスターが出てくるとはねぇw」
「ウィンザにも予測不能なことをするのがアタシクオリティ☆!」
「まさか本当にお前だったとはな、クアッド…」
「何よその表情ー!アタシマジ激おこなんですけどー!!!」
その時だった、紫色の禍々しい波動のようなエネルギーが、自然公園の空気を一変させた。
そして、洸祐達の許に歩いてくる洸祐と同じ年のような少年が見えた。
「ディスクロス―いや、『神薙洸祐』。お前の情報はハッキングした。すぐさま『エクスの欠片』を寄越せ。」
「君は一体誰なんだ!?」
「俺の名は、白堊 靈斗。そしてもう一つの名は…」
[SYSTEM START!]
右手に握っているショットガン・デストローダーから禍々しい音声が流れる
[DEADLY DISC START UP…!]
紫と黒の混ざったディスクを起動、すると紫の蜘蛛のライドモンスター・ペインが姿を現す。
「ライドディスクにライドモンスター!?」
[DEADLY DISC SET!]
「変身…!」
[STAND UP! DEADLY SPIDER!]
靈斗と名乗った少年は黒とガンメタのボディを身に纏い、そしてペインの身体が分割、アーマーを形成した。
「仮面ライダーデストレイ…トロイアには手出しはさせない…!」
COMING TO NEXT STAGE...?
さて、いかがだったでしょうか。
デストレイ出現で洸祐はどうなってしまうのか?
そしてデストレイ・靈斗(レイト)は一体何者なのか?
その真相は次回以降だんだん明らかになりますのでお楽しみに!
目次 感想へのリンク しおりを挟む
しおりを挟む
第四話 「刺客、襲来」
…と前置きはこの辺にして、第四話です。
デストレイの新フォームやトロイアサイドにも動きが…?
前回までの仮面ライダーディスクロスは…
スピーカバグレイダーを倒したのも束の間、謎の少年・白堊靈斗が仮面ライダーデストレイとなり、ディスクロスである洸祐に『エクスの欠片』を渡すように要求してきた…。
——ライドモンスター、それはアプリの数だけ存在し、自ら考え、行動する『電子生命体』。
彼らはライドディスクで実体化し、そしてクロスドライバーでその力を発揮する。
今、ネットの海の底から、最凶の人工知能が動き出そうとしていた。
近未来、人類-ヒト-の知能を人工知能-AI-が超える——。
創都学園都市、創都自然公園、午後2:15
「———トロイアには手出しはさせない。」
「そんな…まさかトロイア側にも仮面ライダーがいるってのか!?」
「ウィンザ!?」
「とにかく降りかかる火の粉は振り払うしかねぇ、行くぞ!洸祐!」
「うん!」
[WIND DISC START UP!]
[WIND DISC SET!!]
「変身!」
[CROSS UP! WIND HOPPER!!]
すぐさまディスクロスに変身。
「とにかくまずはヤツのことを検索するのが先決しかねぇ!」
[WIND DISC ABILITY ACTIVE!!!]
「俺とお前の格の違いってヤツを見せつけてやるよ。いくぞ、ペイン…。」
[READY? DEADLY SPIDER START!!!]
「あぁ、我が力、お前らの記憶に焼き付けろ…!」
デストレイはディスクロスの方向に右掌をかざす。すると紫のエネルギーがディスクロスを包み込む。
「!?エラー表示だと!?」
「うそでしょ!?」
「これが俺のチカラ、お前らとはレベルも格も違うってことだ…!」
デッドリースパイダーの能力、ハッキングにより防御プログラムを改ざんされ、デストローダーによる容赦ない銃撃がディスクロスを襲う。
「このままじゃダメだ!撤退するしか…」
「それしかもう方法はねぇ!」
ウエポンのアタッチメントを取り換えてボウガンモードに、そしてその一撃を地面に撃ち込み、砂ぼこりを発生させる。
砂ぼこりが晴れると、ディスクロスの姿はいなかった。
「フン、尻尾を巻いて逃げたか。」
[SYSTEM DOWN!]
デストレイの変身を解除し、靈斗の姿に戻る。
「まぁいい、力づくでも『エクスの欠片』を奪うまでだ…!」
創都学園都市、うみそら書店 午後2:30
命からがら逃げてきた洸祐は傷だらけになりながら書店の入り口に入っていく。
「ちょ、洸祐くん!?どうしたんだ!?」
カウンターで作業をしていた哲哉がふらふらになっていた洸祐を見つけた。
「あ、店長…」
「一体何があったは知らないけど、なんとか処置を…由衣!」
「何、父さん…って洸祐くん!?なんでこんな姿に!?」
「私は今手が離せない。洸祐くんを地下の書庫で応急処置させてくれ。」
「なんだかわからないけど、分かった。」
由衣に介抱されながら、洸祐は地下の書庫に連れられた。
「救急箱と飲み物を取ってくるからちょっと待っててね。」
由衣は地下書庫に洸祐を連れて行くと、救急箱を取りに行くために書庫を出て行った。
「ねぇ、ウィンザ。」
由衣が出ていくタイミングを見計らって、ウィンザを呼び出した。
「ん、何だ?」
「彼もトロイアに対抗する『仮面ライダー』なんだよね…あの力があっち側にあるってなると、完全に終わったも同然だよね…。僕達、負けたんだ…。」
「洸祐…。」
落ち込んでいる洸祐を、ウィンザはただ見ているだけしかできなかった。
創都学園都市郊外、廃墟 同時刻
「フフフ…ついに『仮面ライダー』が対峙を始めたわ…これであいつ等の『エクスの欠片』を奪えば…。」
「トロイア様の完全復活は近い…ということだね。」
「あら、『ノイジー』にしては察しがいいわね。」
「キミの考えは常にワンパターンだからね。『シュガー』」
蛾のような怪物・シュガーとシバンムシのような怪物・ノイジーは何やら会話をしている。
「ハハッ、面白いねぇ。それじゃぁ、どっちが『仮面ライダー』から『エクスの欠片』をパクれるか、賭けようぜ?勿論『スカ』も参加で。」
「ったく、『カジノ』よぉ、俺はそんな駆け引き嫌だってのに…」
ヨコバイのような怪物のカジノと、カマドウマの怪物・スカも何やら賭け事を行おうとしていた。
彼らの目標はただ一つ、『トロイア』の完全復活である。
創都学園都市、路地裏 午後3:30
「板ノ上のスタジアムでバグレイダーっぽい反応をキャッチしたぞ。」
「そいつが当たりか否かでも、ディスクロスさえ来てくれればそれでいいか。」
「そこで『エクスの欠片』を根こそぎ奪うと。」
「そういうことしかありえねぇだろ。」
靈斗はポケットから、カセットプレーヤーのようなデバイスを取り出すと、スイッチを押す。すると形がどんどん変わっていき、専用マシン・デストチェイサーに変形した。
デストチェイサーに跨り、バグレイダーの許へ疾走する。
創都学園都市、 創都記念スタジアム外 午後3:35
監視カメラのバグから生まれたレンズバグレイダーが、右眼のレンズでとらえたものをすべて破壊していく。無論仮面ライダーがまだ現れていないため、市民の人々にはなんの前触れもなく窓ガラスや鉢植えが突然壊れてるように見えたのか、次々にスタジアムから逃げていく。
[SYSTEM START!]
その時、レンズバグレイダーの背中に衝撃が、静まり返ったスタジアムの外に電子音が響いた。振り向くとそこには、デストチェイサーにまたがり、デストローダーを構えた靈斗がいた。
「何だ?テメェ…?」
「お前が『アタリ』か『ハズレ』か見極めに来た。」
「ほぉう…面白いが、まずはこいつ等を倒してからだな…!」
そういうとレンズバグレイダーはバグダストを呼び寄せた。
「チッ、こんな雑魚ども相手にしてるヒマねぇってのに。」
靈斗はディスクロッサーから降り、デストローダーを起動し、変身せずにバグダストに持ち前の格闘術でバグダストに立ち向かう。
数分も経たずに、バグダストを倒し切った。
「グ…おのれぇ!」
「フン。さぁて、見せてもらおうか、お前が『アタリ』か『ハズレ』か…」
[DEADLY DISC START UP…!]
[DEADLY DISC SET!]
「変身…!」
[STAND UP! DEADLY SPIDER!]
靈斗はデストレイに変身、その間もなくレンズバグレイダーに容赦ない銃撃を喰らわせる。
「…ッ、その姿、テメェも『仮面ライダー』か!!」
「俺はアイツのように甘ったれてはいない。さてはお前、『エクスの欠片』を持ってるな?」
「なぜそれを知ってる!?」
「『アタリ』だな。」
[VENOM DISC START UP…!]
デストレイは黄色と黒のライドディスクを起動する。
「ディスクと起動したってことは、ボクが必要ってことね…。」
スズメバチ型のライドモンスター・ポイズが気だるそうに実体化する。
「行くぞ、ポイズ。」
「ハイハイ。」
[VENOM DISC SET!]
[STAND UP! VENOM HORNET!]
紫のアーマーのデッドリースパイダーから、ポイズの身体が、新たなデストレイの形態・ヴェノムホーネットのアーマーを形成した。
「たかが姿が変わっただけで…!」
「それはどうかな…?」
[READY? VENOM HORNET START!!!]
黄色と黒のエネルギーがデストレイの右拳に集中、間髪入れずにそれをレンズバグレイダーに打ち込む。
「これしきのパンチで俺が打ちひしがれるとでも…」
その時、レンズバグレイダーの身体に異変が発生した。
「か、体が動かねぇ…!」
「それもそうさ、さっきボクがキミに致命的な毒を注入したからね?」
ヴェノムホーネットの特殊能力、それは相手に致命的な毒を注入し、相手の全能力を一斉ダウンさせる能力である。
「ふざ…けんな…。」
「そもそも俺はお前の相手をしてる暇はない、求めてるのはお前の持っている『エクスの欠片』だけだ。とっとと消えてもらうぞ。」
デストローダーの銃身を180度変え、銃口から鋭い剣が展開された。
[BREAK DOWN! VENOM HORNET!]
「「ヴェノミングスラスト!!」」
刀身に黄色のエネルギーが宿る、デストレイはXの字にレンズバグレイダーを斬り、そしてとどめと言わんばかりに貫いた。
「うっ…ぐっ…グアァァァァァァアッ!!!!!」
貫かれたレンズバグレイダーは断末魔の叫びをあげ、爆散した。
「で、結局ディスクロスは出なかったけど、どーするの?」
「構わない、そのうち奴は現れるに決まっている…。」
爆炎の中から『エクスの欠片』を拾ってデストレイは言った。
拾うと同時に、雨が降ってきた。
創都学園都市、うみそら書店地下書庫 午後4:00
「(あんな強さに、僕が勝てるわけないよ…負けたんだ…僕は…。もう、あのライダーに勝てない…。)」
外の雨音も聞こえない地下書庫での隅で、洸祐は座り込み、あの『敗北』を引きずっていた。
COMING TO NEXT STAGE...?
…と言うことで第四話、いかがだったでしょうか?
実はこのデストレイ、モチーフのアプリは「悪質アプリ」(普通のアプリと偽ってスマホにウイルスを入れこんだり、個人情報流出させたりするやべーやつ)です。
そして今回から登場した四人の怪人(シュガーに至っては二話に出てますが…)、すべて実在するコンピューターウイルスから名前をとってます。(気になる人は調べてみてね!)
デストレイの圧倒的な力に精神ともにズタボロの洸祐は立ち直ることができるのか、次回もお楽しみに!!
目次 感想へのリンク しおりを挟む