バカと幼馴染とIFストーリー (現代のイッセー)
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1話
今日は振り分け試験である。いつもより余裕をもっていつもの通学路を軽く復習しながら歩いている二人の姿がある。一人は茶髪で顔はかっこいいというより少しかわいい要素もあるが顔は整っているが、いかにもバカ面であまり勉強はできそうにない感じだ。もう一人はピンク色の髪でうさぎの髪留めをしていておしとやかでかわらしい女の子で、こちらは勉強はできる優等生である。
「正解です。次の問題いきますよ?」
「OK!どんどんきてよ!」
「えっと、CH3COOHとはなんでしょうか?」
「それは確か・・・うう~んと・・・酢酸・・・だっけ?」
「そうです!よくできましたね!」
なんとか頭を働かして答えを言う男子―――――吉井明久。明久が答えを正解したのを自分のことのように嬉しそうに彼に笑顔をみせる女子―――――姫路瑞希。二人は小学生の頃から一緒にいて、遊ぶときも瑞希は明久の後ろについていった。明久は嫌な顔することなく笑顔で受け入れみんなで遊んでいた。明久が勉強でわからないところがあると瑞希に聴きに行き、丁寧にわかりやすく教えるというのが二人のいつもの日常であり、幸せな毎日だった。
「学校が見えてきたので次で最後にしましょう。いきますよ?」
「いつでもいいよ!次も正解してやる!!」
拳をぐっとして意気込む明久。
「ふふふ。最後の問題は~、三権分立は何と何と何で成り立ちますか?」
「えっと・・・確か・・・司法と・・・う~ん・・・立法と~・・・あ!行政だ!!」
「正解です!よく思い出しましたね!」
「だって昨日瑞希ちゃんに教えてもらったところだったからね。これなら瑞希ちゃんと同じクラスに行けるかな?」
「大丈夫だと思いますよ?明久君が凡ミスしなければですが・・・」
明久はそれはやりそうだなと否定しようにもあたっているので否定できないことを言われ、苦笑いして目をそらす。
「だ、大丈夫だよ?さすがにしない・・・はず」
しないと断言しようと瑞希に言おうとするが声が微妙に震え、どんどん声のボリュームがなくなっていく。
「ちゃんとはっきりいってください。・・・あ、ネクタイ曲がってますよ?」
そういって隣にいた瑞希が明久の前にいき、ネクタイを直す。明久の視界は彼女の髪でいっぱいになり、女の子の匂いとシャンプーのいい匂いがしてクラクラしてくる。ふと下を向くと、豊満に育った果実が自分の腹にあたっていることに気付く。テスト前なのになぜ今こんなことが起こるのか。起こるならテスト終わってからこういうご褒美がほしかった。
「どうしました?顔赤いですよ?」
彼女に声をかけられたことで我に返り、なんでもないと首を振る。一部を凝視していたが彼女にはどこを見ているのか気づいてはいないようだ。よかったとホッと胸をなで下ろす。
「でも、瑞希ちゃんも顔赤いよ?風邪?」
「なんでもないです。大丈夫ですよ?」
そういってあとはたわいない話をして学校に入っていく。
テストの時間になり、僕はテストの答案用紙に答えを書いていく。瑞希ちゃんとやったところがいっぱい出てる。これは瑞希ちゃんに感謝だね。あとでなにかお礼をしなきゃ。そう思いながらどんどん答えを埋めていく。すると後ろでガタンという音が聞こえた。
「ん?瑞希ちゃん!?しっかりして!大丈夫!?」
「あ、明久君・・・」
僕が大丈夫か確認しておでこに手を当てようとしたら後ろから試験監督の先生が歩いてきた。
「試験途中の退席は無得点扱いになるがそれでいいかね?」
メガネの教師が瑞希ちゃんに問う。彼女はほっぺを赤くしはぁはぁと息を乱している。傍からみても体調が悪いのがわかる。そして彼女ははいと言って立ち上がりふらふらしながら教室を出ていこうとするがその足取りは不安定で今にも倒れそうで見てるこっちが怖い。僕は彼女のところにいって両腕を肩に回しおんぶして教室を出ていこうとする。
「おい、吉井!貴様も無得点扱いにするぞ!」
「ええ、勝手にしてください。そんな数字よりも瑞希ちゃんのほうが何倍も大事なので」
そういって、僕は教室を後にする。
「瑞希ちゃん大丈夫?」
「大丈夫です・・・。すみません、明久君。せっかくがんばって勉強したのに私のせいで・・・」
彼女がどんな顔しているかわからないが、多分しゅんとした顔で心で自分を責めているだろう。
「違うよ。僕は瑞希ちゃんと一緒にいたくて勉強したんだ。だからそんなに責めないで?」
「うぅ~。明久君ずるいです。そんなこといって。これ以上熱を上げる気ですか?」
「そんなことないよ?これでも励ましたつもりだったんだけど・・・」
言葉を間違えたかな?と内心で溜息を吐いたら保健室が見えてきた。これで瑞希ちゃんは大丈夫だようね。僕は保健室の扉を開けた。
side 坂本雄二
あいつは姫路をおぶって教室を出ていった。おいおい、その言葉はプロポーズじゃないか?とは言っても姫路は意識が朦朧としていて聞いてなかったみたいだがな。このままやってもいいんだが、あいつはFクラスか。Fクラスのほうがなにかおもしろそうなことが起こりそうだな。そうと決まれば点数を調節しないとな。
「ちっ、あのクズが。」
「ああ?お前いまなんていった?」
俺は点数調整しようとしたら教師の声が聞こえ、無意識に席を立ちクズ教師に向かってガンを飛ばし聞き返していた。
「ふん。クズをクズといってなにが悪い?あいつは観察処分者で問題児だ。なにか間違ってるか?」
メガネをクイっと上げて自分は間違っていないといわんばかりに自信満々に言うクズ教師。
「明久がクズだと?確かにあいつはバカで観察処分者であり問題児だ。だがな、まっすぐでいつも他人のために自分のことを二の次にして行動する他人思いの優しいバカだ。少なくともてめえのような自分のことしか考えない人間のクズがあいつをバカにしていいわけねーんだよ!!」
俺は明久をバカにした胸糞悪いクズ教師を思いっきり体重を乗せた本気のパンチを顔にかましてやる。さらに俺はあいつの分のパンチ・・・いや蹴りを脇腹に蹴ろうとしたが秀吉に止められる。
「止めるのじゃ!確かにこやつは許せんがそれ以上やったら明久が悲しむ。それにもし退学にやったらどうするのじゃ?」
「・・・そうだな。こんなやつにこれ以上やっても俺の拳が穢れるだけだな。悪い秀吉。」
「いいのじゃ。・・・それでお主のパンチのせいでのびているこやつをどうするのじゃ?」
「ほっとけ。みろ、誰もこの教師の心配してねーし、むしろ笑ってるやつもいる。気にするな」
「そうじゃな」
俺は自分の席に戻る秀吉に耳打ちする。
(おい秀吉。俺は明久と同じFクラスに行く。お前はどうする?)
(お主も行くのか?ならわしもいこうかのう)
(いいのか?)
(いいもなにもお主たちといたほうがいろいろ面白いからのう。それにわしだけのけ者は嫌じゃ。)
(そうか。恩に着る)
そういって俺は自分の席に戻る。さてと、Fクラスに行くために点数調整しないとな。答案にさっき書いた答えを消し、Fクラスの代表になるために行動を移す。
これからこの学校の、文月学園で起こる物語が始まる。
こんなもんですかね?
感想、意見、誤字脱字等があればよろしくお願いいたします!
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2話
桜の花びらがひらひらと舞い散る道を駆け走で駆けていく二つの姿がある。吉井明久と姫路瑞希だ。明久は、姫路のペースに合わせて走ってるため少し汗はかいてるがそれほど苦しくはなさそうだ。だが、姫路は自分のせいで遅刻するのは嫌なのでなるべく自分が出せる最大限の力で走ろうとするが、まだ体は本調子ではなく完全に風邪が治ったわけではない。
「瑞希ちゃん。そんな急ぐことないよ?遅刻してもいいからね?」
「はぁ・・・はぁ・・・明久君。それは・・・だめで・・・す。これい・・・じょ・・・めいわくかける・・・わけには・・・いきません!」
息は絶え絶えだが、その言葉は明久には自分のせいで評価が悪くなるのは嫌だと鈍感な明久でもわかった。そんなこと気にすることはないと思うが、そういっても彼女は聞き入れてくれないだろう。もしこれ以上走らすのは危険だと思ったらおぶってでも走らすのを止めないと。
途中ふらふらしながらも迷惑はかけまいとしっかりした足取りで学校を目指す。スピードはさっきよりも遅くなっているが、風邪を引いていて運動が苦手な彼女からすればかなりがんばっているほうだろう。
「あ!鉄人がみえてきたよ!」
「はぁ・・・はぁ・・・ほんと・・・ですか?」
「うん!もう少しだから一緒に頑張ろう!」
早歩き並のスピードになっていて走っているとは言わないが、バカにしたような言葉は吐かずむしろ一緒に頑張ろうと励ましの言葉を姫路に送る。
「遅いぞ!吉井!姫路!」
「す・・・すみません・・・。」
「てつじ―――西村先生!おはようございます!」
ビシッっと僕は敬礼して挨拶をする。瑞希ちゃんは胸に手を押さえて息を整えようとがんばっている。
「吉井、いま鉄人と言おうとしなかったか?」
「いえいえ。そんなこと言うわけないじゃないですか~」
危なかった・・・つい日頃の癖で鉄人と言ってしまうところだった・・・。
「吉井、姫路すまなかったな。職員会議で話し合ってお前らにもう一度振り分け試験をやらせてやろうとしたんだが・・・俺の力が足りずにこんな結果になってしまった。ほんとうに申し訳ない。」
鉄人は申し訳なさそうに僕たちに頭を下げてくる。こういうところが鉄人のいいところなのかもしれない。なんというかほんとうに生徒のことを考えて行動してるというのが伝わってくるというか・・・
「西村先生?頭を上げてください。その気持ちだけで私はうれしいですから。」
「そうですよ。僕も好きでやったことですからあげてください」
「ありがとう。そういってもらえると助かる。」
そういって鉄人はポケットから紙を渡される。おそらくクラス分けの結果だろう。
「手渡しってなんだかやり方が古いんですね?」
「ああ。召喚システムという最新の技術を取り入れているが、クラス分けは掲示板ではなく手渡しでいこうと学園長が決めたんだ」
そうなんですかと納得したあと紙を見る瑞希ちゃん。彼女はFクラスだった。ということは僕もFクラスだろう。
「やっぱね。」
折りたたまれた紙を開くとやはりFと書かれていた。
「「では失礼します。」」
「うむ。しっかり勉強するように!」
西村先生と別れたあと自分たちのクラスに向かった。最初に通ったのはAクラスだった。
「ほへー、Aクラスってすごいんですね~」
「ホントにすごいね・・・ノートパソコンに個人エアコン、冷蔵庫にリクライニングシートとかあるらしいからここが教室なのか疑わしいよね・・・」
「本来なら私たちはこの教室に行く予定だったのに・・・ごめんなさい」
「体長不良ならしかたないよ。試召戦争でAクラスに勝てばいいんだから気にすることないよ!」
「そうですよね・・・一緒にがんばりましょう!」
自分のせいでいけなかったことに申し訳ない顔する瑞希ちゃんだがなんとか立ち直ったようだ。彼女はどうも自分を責めすぎるところがあるようだ。僕は彼女に感謝してもしきれないのにな~
ところ変わってここはFクラス前。さっき通ったAクラスとは雲泥の差で扉がボロボロで2年Fクラスと書かれたプレートが真っ二つに割れている。こんなの教室と呼べるのだろうか?教室より廃墟といったほうがいいんじゃないだろうか?
そう思ったが口には出さず扉を開ける。
「よう、明久。遅かったじゃないか。おっす姫路。今日も二人仲良くデートしてから登校か。」
「な!そんなわけないじゃないか!」
「そ、そうですよ!デートなんてそんな・・・ゴニョゴニョ」
ニヤニヤと僕たちを茶化してくる僕の親友の坂本雄二。なんとか反論するが今の僕の顔は真っ赤だろう。瑞希ちゃんはどんどん声が小さくなっていって最後のセリフはなにいってるのかきこえなかった。
「ところで雄二。そんなところでなにしてんの?」
「ああ。俺はこのクラスの代表になったんだ。みろ。こいつらが俺の兵隊だ。」
雄二は教室にいる今年のクラスメイトたちを指さすが、そのクラスメイトたちはゲームをしていたり、寝ていたり、なんか宗教みたいな黒服を着て鎌など凶器を磨いている人たちがいた。
「雄二なんかいろいろおかしくない?」
「そこは気にするな。気にしたら負けだ。」
「えーっと、そこをどけてくれませんか?」
声をかけてきたのはどこか冴えない風貌でヨレヨレのYシャツを着たおじさん。
席は自由らしいので僕はどこか適当な場所に座った。左に雄二が、右には瑞希ちゃんが座っている。
「みなさんおはようございます。今年このクラスの担任を任された福原慎です。よろしくお願いします」
福原先生は黒板に名前を書こうとしたがやめた。このクラスはチョークすらないんだ・・・チョークくらいは支給しとこうよ。じゃないと勉強すらできないよ・・・
「みなさん?全員ちゃぶ台と座布団は支給されていますか?もし不備があるなら申し出てください。」
このクラスには50人程度の生徒がいる。だが全員机やいすではなく例外はなくちゃぶ台と座布団だ。思った以上にこのクラスはひどいようだ。PTAにいったらこの学校どうなるんだろう?
「せんせー、俺の座布団に綿が入ってないんですけどー」
クラスの一人が先生に不備を申し出る。
「あー、はい。我慢してください」
「せんせー、俺のちゃぶ台の足が折れたんですけどー」
「あー、はい。木工ボンドが支給されていますので、後で自分で直してください」
「先生、窓が割れていて風が寒いんですけどー」
「わかりました。ビニール袋とセロハンテープの支給を申請しておきます」
教室の片隅にはクモの巣が存在しており、幸いクモは見当たらない。瑞希ちゃんは虫が大の苦手だからよかったんだけど、どこかにはいそうだから探して排除しなければ。
「なにか必要なものがあったら極力自分で調達するようにお願いします。」
僕たちがいるこの教室からはかび臭い匂いが漂っている。健康な人でもこれは体調を崩しそうだ。
「では自己紹介でもしましょうか。そうですね・・・廊下側の人からお願いします。」
「わしの名は木下秀吉じゃ。演劇部に所属しておる」
一見変わった口調だが、見た目は男子の制服を着なければ女の子と間違ってしまうくらいにかわいい容姿をしている。姉がいるのだが、確か一卵性の双子だったかな?そして、その容姿のせいでこの前他校の男子高校生に告白されたらしい。姉と間違えたのではと思ったんだけどその人は思いっきり木下秀吉さんとはっきりと言ったらしい。告白とかうらやましいな~。一度でもいいから男子じゃなくて女子に告白されてみたいな・・・。まあ、僕みたいな不細工を好きになるやつなんていないと思うけどね。
「―――――なのじゃ。今後ともよろしく頼むぞい」
そういって秀吉は綿の入っていない自分の席?の座布団に座る。
「・・・・・・・土屋康太」
普通の精神の持ち主ならば今の笑みで堕ちているところだけど、日頃から瑞希ちゃんのおかげで秀吉にはときめくことはない。そんなことを思っていると次の生徒が立ち上がって自己紹介をしていた。って今度も知り合いじゃないか。やっぱり今年もおとなしめのキャラでいくんだ。普段の康太のキャラはさすがにここではフォローできないし、鉄人に見つかったら補修は免れないだろうな。あと、AEDの予備と輸血パックの用意もしとかないと。
「――――です。海外育ちで、日本語は会話はできるけど読み書きは苦手です。」
そう考えていると、また次の人が話していた。このクラス女の子いたんだ?瑞希ちゃん以外ってことね?瑞希ちゃんは仕方なくこのクラスにいるんだからね?そこ間違えないでよ?
「趣味は吉井明久を殴ることです」
誰!?そんな恐ろしく怖い趣味を持つ人!?
「はろはろー」
「・・・あぅ。し、島田さん・・・」
「今年もよろしく吉井」
今自己紹介したのは僕の天敵であり瑞希ちゃんとなぜか仲が悪い島田美波さんだ。なぜだろうか?こんなに知り合いが多いとか逆に作為的なものを感じるんだけど?まさか、あの学園長ババアが仕組んだのか?もしそうだったら抗議しにいかないと。
「えっと・・・姫路瑞希です。」
おっと、次は瑞希ちゃんだったんだ。一応聞かないと。
「――――です。あと、もし明久君に危害を加えようとする虫けらさんは排除するつもりですのでそこのところよろしくお願いします。」
最初は普通の自己紹介だったのに、最後になぜ僕の名前が出てきたのか理解に苦しむし瞳のハイライトがなくなっていてMIZUKIモードに一瞬入ってましたよ?しかも、ある特定された人に殺気をぶつけながら。怖いよ・・・ガクガクブルブル
「――――でーす。よろー」
ずいぶん適当な自己紹介だ。まあ、そういうのもありか。っと僕の前の人が終わったから次は僕の番か。立ち上がったはいいがどういう自己紹介にしよう。こういうのは出だしが一番大事だというのはテレビでやってたしここはジョークは入れつつ明るく面白いキャラだという方向でいこう。そうと決まれば!
「僕の名前は吉井明久です。気軽に『ダーリン』って呼んでくださいね!」
「「「「「「「ダーーーーーーリィーーーーーーーン!!!」」」」」」」
「・・・冗談です。忘れてください。今年一年よろしくおねがいします。」
野太い声の合唱のせいで気分が悪くなってしまった。最悪だ。まさか冗談でいったことが本当に呼ばれてしまうとは。さすがFクラス。最後の人になり僕の親友の雄二の番になるところだったが教卓がいきなり無残な姿に変貌した。なにもしていないのに崩れ落ちるとかどんだけ古いのさ。
「替えの教卓を取ってきます。しばらくゆっくりしていてください。」
「なにもしてないのにああなってしまうなんてすごいです・・・。」
隣にいる瑞希ちゃんは苦笑いしながら教卓のもろさに感心していた。むしろ、このクラスの設備のひどさにだろう。ここまでいくとすごいとしかいいようがない。さっさとこのクラスから出たほうがいいかもしれない。よし、雄二に相談しよう。
とりあえず、ここらで一旦区切ります。
感想、意見、誤字脱字等あればよろしくお願いいたします!
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3話
こちらもできるだけ更新していくのでよろしくお願いします。
「それで話ってなんだ明久?」
「話しっていうのは教室のことについてなんだけど、なんとかならないかな?」
「ああ、Fクラスのことか。あれは思った以上にひどいもんだよな」
「やっぱり雄二もそう思うでしょ?だから僕たちがなんとかしてやりたいんだけど・・・」
「まったく・・・Aクラスと比べるとほんとに悲惨だよな。この学園長はほんとに勉学に励ませるようにしようとしてるのかわからんぞ」
ひび割れた黒板に腐ったたたみ、手をのっけただけで壊れる教卓、さらにはチョークすらないFクラスと、黒板ではなく何万するかわからないプラズマディスプレイや、その他もろもろ。こんなの不満を持たない人間がいたら、それは単なるバカではなく大馬鹿野郎だろう。
「雄二も不満あるでしょ?だから僕提案があるんだ。これから試召戦争をやらない?」
「明久それは本気で言っているのか?」
「もちろん。相手はAクラスだよ。冗談とかじゃないからね?」
「・・・それで、なんで試召戦争がしたいんだ?理由を言ってくれ」
雄二は僕に眼光を鋭くして言ってくる。理由?そんなの決まってるじゃないか。
「ぼ、ぼくはべんきょうがしたいんだ。だからせつびがととのわないと・・・」
「声を震わしてなにを言うかと思えば、お前が勉強?はっ、バカも休み休み言いやがれ。さっさと言わないと試召戦争に協力してやらんぞ?」
「だあああ!わかったから!いうよ!・・・はぁ、瑞希ちゃんは体弱いからさ、あんなところにいたら体調崩しちゃうでしょ?それに病み上がりだからさ。また風邪がぶり返しちゃうよ」
「やっといったか。理由はわかってるがやはり本人の口から言ってもらわんとな。しかし、明久はそんなに姫路のことが好きだったんだな」
やれやれといった感じで言った後、みるものをイラつかせるようなニヤニヤした顔をして僕を見る雄二。相談する相手を間違えたかな?
「まあ、嫌いではないよ。どっちかっていうと好きかな?」
溜息を吐き、呆れ顔で姫路もたいへんだなと言われた。む、なにが言いたいのさ。
「まあいいさ。あとな、お前に言われる前にAクラスに試召戦争を仕掛けようと思っていたところだったしな。ちょうどいい」
「え?そうなの?雄二そんな勉強してないよね?多少してたみたいだけど」
「ああ。ちょっと・・・な」
急に哀愁に満ちた目と死んだような顔に豹変した。翔子さんとなにかあったのだろうか?
「どうしたのさ?もしかして翔子さんとなにかあったの?」
「・・・そうだ。笑っちまうよな・・・。確かに翔子は綺麗で俺に尽くしてくれる。だがな!俺はもう少し遊びたいんだ!ほかの女とも付き合ってみたいんだよ!」
「その言葉モテない男の前で言ってみたら?間違いなく殺されるよ?それに若干キャラも崩壊してる」
「ああ。自分でも思ったが別に思ったことを口にしただけだ。後悔はない。話は戻すが、Aクラスに勝つ作戦も思いついている。任せろ。そうこうしてるうちに先生が戻ってきたぞ。中に入るか」
「あ、うん」
雄二との話は終了し、僕たちは教室に入っていく。そして、自己紹介が終了し最後僕らのクラスの代表雄二の番になった。先生に名前を呼ばれた後、席を立ち教壇に歩み寄る。いつものふざけた感じではなく、クラス代表としての顔付になっていた。この顔を見た翔子さんの反応はきっと顔を赤くしながら写真を撮って待ち受けにしそうだ。
雄二は教壇にあがり僕たちのほうに顔を向けた。
「俺はFクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは代表、雄二、坂本等呼び方はなんでもいい。好きなふうに呼んでくれ。それでだ、俺はお前たちに問う」
雄二が教壇に上がる前はざわざわと話声やゲームをしていたバカの集団のやつらがいまでは雄二のほうに注目している。雄二はみんなを仕切るのは得意だ。いつもなにかあったときとか、なにが一番効率がいいとかを考えてみんなに仕事を分担させるのがほんとにうまかった。下手すれば先生より頼りになるかもしれない。
みんなの様子を確認したあと、雄二の視線は教室内を見回す。
かび臭い教室、古く汚れた綿もない座布団、薄汚れたちゃぶ台。
つられて僕らも雄二がみたところをみてしまう。
「Aクラスは冷暖房完備、座席はリクライニングシートらしいが、お前らはこの現状に不満はないのか?」
「「「「「「」大ありじゃああああああ!!!!!!!!」」」」」
F組の、みんなの不満を外に絶対聞こえる音量で叫ぶ。
「そうだよな?俺も不満だ。代表としてこれはどうにかしたいと思っている」
「そうだそうだ!」
「いくら学費が安いからと言ってこの設備はあんまりだ!改善を要求する!」
「それにAクラスのやつらの学費って俺たちと同じなんだろ?あまりに差がひどすぎだろ!そくったれが!!」
「みんながどう思っているのかよーくわかった。そこでだ」
級友たちの反応を見て満足したのか、よく言えば自信に満ちた顔、悪く言えば、これから悪いことを考えている顔で不敵に笑みを浮かべて彼らに言う。
「俺はお前らの要望に応えてやろう。この現状を打破する方法は一つだけある」
「なんだそれは!?はやくいえよ!」
「それはだな・・・Aクラスに試召戦争を仕掛けて勝利することだ!」
充分に間をあけた後Fクラス代表でもあり、僕の親友でもある坂本雄二がみんなの不満を叶えてやると啖呵を切った。が、これの本音は自分の自由が少しでも長くするためのいわば自分勝手な行動だ。そんなことを知らない彼らはどんどん雄二の策略に嵌っていく。だが、まだ雄二の言ったことができるわけがないといっているやつらも少なからずいた。
「いくらなんでも勝てるわけがないだろ」
「これ以上設備を落とされることは避けたいよな」
「姫路さんがいるなら他はなんにもいらない」
そんな悲鳴がポロポロとあちこちから聞こえてくる。おい誰だ、最後に言ったやつ。表でろ。瑞希ちゃんに手を出すやつは許さない。
AクラスとFクラスの戦力差は誰が見ても明らかだ。簡単に言うならば、赤ちゃんが武器を持った大人に勝負を挑みに行くものだ。だからみんなが言いたいこともわからないでもない。
「そんなことない。必ず俺が勝たせてやる」
どんなに圧倒的な戦力差でも僕たちFクラスが勝たせると宣言した。
「なにをバカなことをそんなの無理に決まってるだろう」
「何を根拠にそんなことをいってるんだ」
みんなから否定的なことを言われ続けているが、それでもなお雄二は自信満々の表情でいる。よほどその考え付いた作戦はいいんだろう。
「根拠ならある。このクラスには試召戦争で勝つことができる要素が完璧に揃っているんだからな。」
がやがやとみんながなんだそれ?と疑問の声が飛び交う。
「まずは、おい、康太―――ムッツリーニ。畳に顔を付けて姫路のスカートをのぞいてないでこっちこい」
「・・・そんなことしてない」
「ひゃわっ!」
「ちょっと待て、ムッツリーニ。雄二のところに行く前に僕のところに来てほしい。さあはやく!!」
必死になって手を左右にぶんぶんと否定のポーズをとる土屋康太―――ムッツリーニで僕の友人だ。だがいまは友人ではない!瑞希ちゃんのスカートの中を覗こうとした罪・・・その身をもって償うがいい!!
「ムッツリーニ、いますぐ明久のところいって謝ってこい」
「・・・わかった」
ムッツリーニはこちらに歩み寄ってくる。ふふふ・・・瑞希ちゃんのスカートをのぞくなんてうらやま・・・じゃなくてうらやましい!そんなことをするやつはこの僕が・・・ムッツリーニが僕の耳元でなにかを呟いた。
「・・・許してくれるなら、姫路瑞希の写真集1セット5000円のところ3000円で売る」
「よし買おう。あとで払う」
仲直りの握手をしてムッツリーニは雄二のもとへ。うん、ちょっと出費がいたいけど、これでまたコレクションが増える。ありがたきムッツリーニ様!
「なにを話していたんですか?」
「え!?な、なんでもないよ!瑞希ちゃんには関係ない話だから!」
「でも、私がどうとかって・・・」
「ほんとになんでもないんです。あ、ほら雄二がなにか言ってるから聞こう!」
無理やり瑞希ちゃんとの会話を終了させる。危なかった・・・これ以上詮索されたらボロがでるところだったよ・・・。
そんな瑞希ちゃんとやり取りをやっていたらムッツリーニの紹介は終わっていたようだ。
「姫路のことはいまさらいわなくてもいいだろ?みんなも彼女の力は知っているはずだ」
「え?わ、たしですか?」
「ああ。Fクラスの主戦力だ。期待している」
みんなからすごい期待されてるような視線・・・ではなくほとんどの人は熱い視線を送っている。
「そうだな。俺たちには姫路さんがいる」
「彼女ならAクラスにも引けを取らないな」
「彼女がいればなにもいらないしな」
「誰ださっきから瑞希ちゃんにラブコール送っているやつは?」
「抑えろ明久。そんなに怒りを全面にださなくてもいいだろうが。誰もお前の姫路をとらんから安心しろ」
雄二からまさかのニヤニヤしながらの茶化し発言。この発言に僕は顔が熱くなり、なぜかなにも言い返せなかった。
「・・・!くっ!」
「な、なにをいっているんですか坂本君!・・・もぅ・・・」
彼女も恥ずかしかったのか顔を赤くしながら反論したがすぐに引っ込んだ。チラチラとこっちを見てくるが僕は恥ずかしくてそんなこともできなかった。いうまでもないが、さっきから雄二、ムッツリーニ、秀吉以外の人たちから殺気が主に僕に集まっているのは言うまでもない。
「さあ、いじるのもこれくらいにして、話しの続きだ。木下秀吉もいる」
学歴は結構上位にいつもいるんだけど、そういえばなんでこんなところにいるんだろう?それに演劇部のホープという噂もあるね。
「ああ、確か木下優子の双子の・・・」
「当然俺も全力でやるつもりだ」
「確か坂本は小学のとき神童だったってきいたことあるぞ!」
「そうなのか!?じゃあ、坂本も振り分け試験の時は体調不良だったのか!」
「実力はAクラス並なのか!これは期待できるぞ!」
どんどんクラスの士気がが確実にあがっているのを感じる。さすが雄二だ。すごいや。
「それに、吉井明久もいる」
雄二が僕の名前を言ったとたんに教室が静かになった。
「なんで僕の名前を言うのさ!僕の名前を言う必要なんてなかったよね!?」
「吉井明久というのかあいつ」
「いつも姫路さんとイチャイチャしているうらやましいやつ」
「でも、確か坂本と比べると学力は劣るがそれでも力はあるんだっけか。だけど、観察処分者っていう残念なやつ」
あれ、最後の人以外の人が殺気が・・・。
「そうだ。こいつはバカだが、戦力に数えるくらいには役に立つ。これが俺の、俺たちの仲間であり、戦友だ!力を合わせてAクラスの設備を俺たちの手に!」
「おおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」
「いくぞ!全員ペンを執れ!出陣の準備だ!」
「うおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
「お、おー?」
クラスの雰囲気が最高潮に盛り上がり、瑞希ちゃんも圧されたのか小さく拳を握りしめて揚げていた。かわいいな。よし、これから戦争できついこともあるだろうけどがんばろう!
「ということだ、明久。お前にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。安心しろ、俺もついていくからよ」
・・・は?なにか知らない間に僕はDクラスの使者にならないといけないようです。なんで僕がそんなことを・・・。まあ、雄二が行くならいくけどさ・・・。
ここできらせてもらいます。
キリが悪いですけどね・・・。
感想、誤字脱字等がありましたらよろしくお願いします!
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4話
いま、僕と雄二はDクラスに移動中である。。なぜこんなことになったかは3話を見てみよう。
にしても、雄二はともかくなんで僕も一緒にいかなきゃいけないのさ。確か下位勢力の使者は無事で帰ることはないって話だし。はぁ、少し憂鬱だよ・・・。
「大丈夫だ明久。そんな不安そうな顔しなくても話しだけで終わるはずだ。俺を信じろ」
「雄二・・・。わかった。もしなにかあったら全力で僕は逃げるし、喧嘩とかまっぴらごめんだからね?」
「それは許さん。最後まで付き合ってもらう」
悪人面で目つきも鋭いのに、ギロっと瞳を鋭くして睨まないでよ。余計に怖いからさ。冗談だからそんな目で見ないで。でも、そんな彼なのになぜかモテるのはなぜなんだろう?この前も告白されたって話だし。やっぱり人間顔なのかな?僕よりも雄二のほうが顔は整ってるし、運動もできる。成績も本来ならAクラスにいてもおかしくないほどだし。・・・三拍子揃ってるね。それはモテて当たり前だね。世の中不公平だ・・・。
この世の摂理に絶望し、僕ももう少し顔を良くすればモテてたのかな?と若干嘆きながら足を進めているといつの間にか目的地であるDクラスに到着していた。
「よし、行くぞ明久。使者はお前なんだから教室には先にお前が入れ。あと、俺はもしなにかあったときお前のフォローするから安心しろ」
ニカッとなんとも屈託のない少年のような笑顔を僕に向けて励ましてくれた。さっきまで結構緊張していたからいまのセリフはかなりありがたい。雄二のおかげで緊張も解れた。さて、僕の仕事を遂行しますか!!
教室の扉を開き、Dクラスに足を踏み入れる。勢いよく開けたせいで『バンッ!!!』と思いっきり教室内に音が響いた。そのせいで『シーン』となって、Dクラスの生徒が何事だ?と言わんばかりにこちらに視線を向ける。なんという失態だ。これは出直したいところだけど、はやく任務を遂行して帰らないと、瑞希ちゃんが待ってる。そんな暇はない。
「Dクラスの代表は誰?その人に用事あるんですけど・・・」
「えっと、僕だけど・・・」
そう言って少し警戒しながら前にきたのはDクラス代表の確か・・・平賀くん・・・だったはず。
はっきり言って覚えていない。なぜか平賀・・・くん?の名前がいつもいつも出てこないのだ。理由はわからない。だけど、記憶力は悪くないと自負しているので、人の名前を覚えるのが苦手なのだと思いたい。
「えっと・・・確か・・・FクラスはDクラスに試召戦争を申込みます!!」
「・・・はぁ・・・はぁ・・・結局こうなるんじゃないか!!喧嘩はもうやらないとこの前いったばっかでしょ!?」
「まあいいじゃないか。結果的にはDクラスと試召戦争ができるんだ。それにいい運動になっただろ?」
「いや、まあそうだけどさ・・・」
いま僕たちはFクラスに帰還中である。試召戦争を申し込んだあとDクラスの人たちがふざけるなと罵声を浴びせながら物を投げたり、殴りかかってきたりと、いわゆる大暴動が巻き起こった。そこに雄二が待ってましたとばかりに参戦し、結果、喧嘩は引き分けで終わり、続きは試召戦争で決着つけようということになった。そして、僕たちはボロボロになってFクラスに向かっているわけだ。
「だったらいいだろうが。それに愛しの姫路さんに治療してもらえるんだ。むしろ感謝しろ」
「何言ってんのさ雄二。瑞希ちゃんは争いごとが苦手だって知ってるでしょ?試召戦争は仕方ないとして」
瑞希ちゃんに治療を受けれるのは最高だけど、治療を受けるたびに泣きそうになりながら手当する彼女の顔はあまり見たくないんだ。だからもう喧嘩だってしたくないし、あまり心配かけることもしたくないんだけど、この親友であり、悪友でもある男はことあるごとに面倒ごとに巻き込むのはやめてほしい。まあ、たまに僕も持ち込むからどっちもどっちなんだろうけどさ。
「さすがは明久だ。姫路といつもいるから苦手なものまで把握済みとは恐れ入った」
「茶化さないでよ。それに雄二だって翔子さんの好きなものから苦手なもの、さらに、将来のことまで視野に入れてこれからどうするのか決めてるの僕は知ってるんだよ?」
「おいちょっと待て。前半部分はまあよしとしとこう。だが、後半は聞き逃せなかったぞ。なんでお前がそんなことを知ってるんだ!?」
雄二は僕が知ってるとは思いもしなかったようで驚き100%の顔を僕に向けてきた。まあ自分と嫁がいろいろ話し合って決めた今後の予定を他人である僕が知ってたら驚くのも仕方ないよね。
「翔子さんがこの前教えてくれたんだ。まあついさっきまで忘れてたんだけどね」
嘘だろ・・・と力ない言葉とともに、重い溜息をもらした。その姿はまさに大好きだった彼女に他に好きな人できたと言われそのまま別れた彼氏のようだ。分かりづらいかな?いい例えだとおもったんだけどなぁ・・・。
先ほどは疲労の色は見えてはいたが、それでもピンピンして元気だった彼はどこに行ったのやら。いまはもうそんな面影はどこにもない。すっかり元気が失ってしまった。僕が知ってたのがそんなに悲しかったのかな?それとも、他の理由かな?よくわかんないから別にいいや。
しばらくして教室にたどり着き、元気を取り戻した雄二は自分の荷物をカバンに詰めていく。僕はすでに荷物は片付けているので帰るだけだ。でも、教室に入ったときは誰もいなかった。瑞希ちゃんのカバンもないし、時刻はすでに17時を回っている。カバンもないしさすがにもう帰ったかな?と思いながら、カバンを片手に教室を後にしようとすると、
「あ、明久君!」
出ようとしたドアから瑞希ちゃんが現れた。僕に会えたことが嬉しいのかいつも見せる安心させる笑顔を向けながらこちらに歩いてきた。
「瑞希ちゃん。どこいってたの?」
「私はちょっと図書室で本読んでました。・・・明久君。また、やったんですね・・・」
「えっとこれは正当防衛というやつで、ある意味雄二のせいというかなんというか」
瑞希ちゃんは悲しそうな顔をして俯いてしまった。顔にアザや腫れた頬を見ればひと目で一戦やらかしたと思うだろう。その通りだからどうしようもない。これはどうしたらいいんだろう?雄二に助けを乞おうとしてそちらに目を向けた。
「雄二、遅い。はやく帰らないとお義母さんが心配する。そして今日は、私がご飯担当。夕食何がいい?」
「・・・もう何も言うまい。じゃあ今日は生姜焼きで頼む」
「わかった。愛をこめて夕食作ってあげる」
いつの間にかFクラスに翔子さんが雄二と会話をしている。あの人たまに気配を察知させずに登場するから、たまにびっくりするんだよね。
二人は、今日の献立の話をしながらFクラスというくたびれた施設から新婚さんが帰っていった。
そして、あんなやり取りを見た非リア充が見ればみんなこう口にしただろう。
『爆ぜろ』
と。それほどまでにいちゃいちゃしていた。いまもかすかに会話が聞こえる。聞こえた会話は「今日は寝かせない」とか「子供何人欲しい?」とかだ。その言葉がくるたびに雄二は「そんなのまだはやい」と言葉を落としてそれ以降聞こえなくなった。
まったく、雄二は翔子さんのこと大好きだなぁ。本人は付き合ってないとか言ってたけど、これはどう見てもカップルのそれだ。僕も一人暮らしだからだれかそういう人いないかな?・・・瑞希ちゃんとか瑞希ちゃんとか瑞希ちゃんとか・・・。やめよう。言ってて虚しくなってきたよ・・・。
「・・・いいなぁ。いつか私も・・・」
雄二たちが出ていったドアをぼーっと見つめて瑞希ちゃんはボソッとなにかを呟いた。声が小さすぎて僕にはなにを言ってたのかわからなかった。
「え?」
「あ、な、なんでもありませんよ?そ、それよりも明久君!はやく帰りましょう!明久君の家に行って怪我の治療しないといけませんから!!」
夕日のせいなのか瑞希ちゃんの顔はすごく赤みを差してて、目は落ち着きなくあちこち動き、早口でまくし立ててさっさと教室を出て行ってしまった。
僕は慌てて瑞希ちゃんの後を追いかけて学校を後にした。
~オマケ~
明久の住んでるマンションにて。
明久の寝室。
ふぅ・・・。今日はいろいろあったなぁ・・・。
瑞希ちゃんには世話になりっぱなしだなぁ・・・。いつか恩返ししないといけないかも。なにをしたら喜んでくれるかな?
映画とか誘ったり、クレープとか奢ったりしたらいいのかな?それじゃデートだね。僕といってもそんな楽しくないから却下。プレゼントかな?いつもあのうさぎの髪飾りつけてたっけ。今度髪飾りでも贈ろうかな。
そういえば帰り際なんであんな感じだったんだろう?
来た時はあんな感じじゃなかったんだけど。確か感じが変わったのは、僕の秘蔵のコレクションを隠してる場所に近いところだったはず。
っ!?馬鹿な!!ポニーテール+巨乳シリーズががががががががあああああああああああああああ!
まさか瑞希ちゃんはこれをみて・・・。やばい。明日なんて顔を合わせればいいのだろうか?気恥ずかしくて顔を合わせられないんだけど!?
というかなんでこいつらが顔を出していたんだろう?昨日はきちんと隠し場所に戻したはず・・・。寝ぼけて本を出したのかな・・・。うぅ・・・。これで瑞希ちゃんに嫌われた・・・。
次の日。気分最悪で登校した僕だったが、瑞希ちゃんがポニーテールにして現れたのはびっくりした。でも、すごく似合ってました。似合いすぎて見惚れてしまったのは悪くないはずだ。
お待ちしていた方々、大変ながらくお待たせしてすみませんでした。
約3ヶ月ぶりの投稿ですね。
少々ネタが思いつかず思いついたら書こうと思ったらこんな時間が経ってしまいました。
少々キャラが違うと思っても気にしたらダメです。寛大な心でスルーしましょう。
感想、誤字脱字よろしくお願いします。
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