甘兎の千代子さん (赤山グリテン)
しおりを挟む

第1羽 その娘はやってきた

この拙いお話をご選択いただきまして、ありがとうございます。
ごちうさで、そっくり物ってありそうでなかったので、書いてみました。
それでは、お楽しみいただけると幸いです。
物語のスタートです。

☆オリキャラ説明☆
相須 千代子(あいす ちよこ):通称チョコ。リゼやシャロの通うお嬢様学校に姉妹校から転入してきた、ココアに外見そっくりな高校生。声はあやねるのココアボイスだが、ココアよりはおっとりした口調、雰囲気で喋ります。テンションが上がっていると、口調も早くなりココアと区別がつかなくなります。

相須 萌夏(あいす もか):チョコの妹。(ココアの姉のモカとは別人です)




−プロローグ−

 

千夜「シャロちゃんと甘兎で一緒に働けたら・・」

 

シャロ「私、甘兎庵で働く気はないわよ」

 

千夜「そんな・・・・ぐすっ…」

 

千夜祖母(お祖母様)「…………………」

 

 

 

−甘兎庵−

 

千夜「ひとりラビット・ハウスごっこ〜」

 

千夜「そーれそーれ」

 

千夜「お姉ちゃんにまかせなさ〜い」

 

千夜「食い逃げだ! 発砲許可! あたまを狙え!」

 

千夜「・・・・・・・寂しい」シュン

 

千夜「ねえ、あんこ。なんで私は一人ぼっちなの?」

 

千夜「ココアちゃんは親友だけど、ラビット・ハウスがあるから、無理に来てもらえないし。」

 

あんこ「・・(微動だにせず直立不動)・・」

 

千夜「私のどこが悪いんだろう・・何が悪いんだろう・・・・あ、涙が」ゴシゴシ

 

お祖母様「・・・・・(見ちゃおれんわい。何とかならないもんかねぇ……)」

 

※固定電話「ピロピロ(呼び出し音)・・・」

 

千夜「涙をふいて・・・受話器を取らなきゃ」

 

千夜「はい、甘兎庵です。・・・祖母ですか、少々お待ちください」

 

千夜「おばあちゃん、電話です。」

 

お祖母様「はいもしもし、あぁあんたか。え? あんたの娘をウチで働かせて欲しい? そりゃ、

ウチは常時従業員募集中だから大歓迎だけど、いいのかい?」

 

千夜「!」

 

お祖母様「細かいことは後で。あんたんとこは遠いんだから、きちんと約束ごと決めないとねえ、じゃまた・・」

 

お祖母様「千夜、うちで一人雇うかも知れないよ。いつでも入れるように準備しときな。」

 

千夜「(甘兎にも仲間が来るかも・・)」パァァ

 

 

 

−数日後、甘兎庵−

 

お祖母様「というわけで、その娘は桐間(シャロ)家に下宿する契約だそうだ。お金はすでに(シャロの)ご両親に渡したとさ」

 

千夜「うちに下宿するんじゃないんですか?」

 

お祖母様「その娘の親にはそれを勧めたんだけどねえ、お金がないんだとさ。それと桐間家と知り合いで、格安でなんとかしたとか」

 

千夜「学校は?」

 

お祖母様「桐間さん(シャロ)とこと同じ学校で、同じ学年に転入だそうな。その娘、その姉妹校の特待生で、こっちでも特待生として転校するんだと」

 

千夜「ということは、私とも同い年なのね。そしてシャロちゃんと同じお嬢様学校で同い年・・」

 

お祖母様「それで、それだけだと生活費が大変なので、ウチでアルバイトさせてほしいって電話だったのさ。ウチなら桐間家のすぐ隣だからってさ」

 

お祖母様「その娘がうちで働くのはもう決まったから、千夜、くれぐれも粗相(そそう)するんじゃないよ!」

 

千夜「はい! おばあちゃん」ニコッ

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

−シャロの家−

 

シャロ「ああ忙しい忙しい」

 

千夜「こんにちはシャロちゃん、忙しそうね。」

 

シャロ「そりゃそうよ。ルームシェアの同居人が来るんだもん。準備が〜」

 

千夜「(でも、嬉しそうね)」

 

シャロ「ああ、ベッドまで間に合わない〜机もどうしよう〜」

 

千夜「準備ができるまで、ウチで下宿させてもいいのよ」

 

シャロ「結構よ。千夜の家に泊まらせたあと、ウチの物置じゃその娘、嫌がっちゃうから」

 

千夜「冗談よ(ほほえま〜)。シャロちゃん、私も手伝うわ」

 

シャロ「ありがとう千夜。その娘、甘兎で働くのよね。くれぐれも大事にしてね」

 

千夜「はいはい」ニコッ

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

−駅ホームにて−

 

千夜「お互いの写真が間に合わなかったので、駅まで迎えに行くようお祖母様にいわれたの。この街迷いやすいし」

 

千夜「あとその娘にわかるように、目印に緑のスカーフを巻くよう言われたわ。」

 

シャロ「そんで、私が黄色のスカーフ? 目立つわね。」

 

千夜「目立たなければ、目印の意味がないわ」

 

シャロ「そりゃ、そうだけど・・・」

 

※放送スピーカー「まもなく、1番ホームに当駅止まりの列車が到着します。黄色い点字ブロックまでお下がり下さい。なお、この列車は車庫に入ります。ご乗車になれませんのでご注意下さい。」

 

千夜「いよいよだわ。」

 

シャロ「うう〜緊張する〜」

 

千夜「列車がホームに入ってきたわ」

 

シャロ「結構長い編成ね」

 

千夜「この列車、ずいぶん混んでるわね」

 

シャロ「うわ〜、通路やデッキまでギュウギュウで満員だわ〜」

 

千夜「ここまで来るの、大変だったのね」

 

シャロ「止まったわよ。何だかドキドキする〜」

 

※放送スピーカー「ご乗車おつかれさまでした、「木組みの街中央」終点です。どなた様も車内にお手回り品、お忘れ物・落し物なさいませんよう、ご注意下さい。」

 

シャロ「大量の人・人・人が、列車から吐き出されて〜」

 

千夜「ものすごい群衆が、歩いてくるわ。見落とさないように。」

 

シャロ「う〜ん、それっぽい娘がいるかな〜」

 

ガヤガヤ

 

シャロ「千夜〜、人多すぎ〜 目が回りそう〜」

 

千夜「私も〜」

 

ガヤガヤ

 

???「桐間さんと、宇治松さん、ですか?」

 

千夜・シャロ「!?」

 

シャロ「何冗談言ってるのよココア。他人行儀でからかうのやめて」

 

千夜「そうよココアちゃん、悪い冗談だわ。」

 

???「ココアさんって、誰ですか? 私は桐間さんが黄色いスカーフ、宇治松さんが緑のスカーフを巻いてると母から教えられたので。」

 

千夜・シャロ「えっ」

 

シャロ「ちょっとココア、私達を騙そうったってそうはいかないわよ。」

 

シャロ「こっちは人と合う約束で忙しいんだから、馬鹿言うのはやめて欲しいんだけど」

 

???「なんのことでしょう?」

 

千夜「ちょっと待ってシャロちゃん、この娘はココアちゃんじゃないわ。よく似てるけど」

 

シャロ「千夜、なんでわかるのよ」

 

千夜「ココアちゃんより、ほんの少し小さいわ。それと、ココアちゃんより少し細身よ」

 

シャロ「全然わかんない。私にはココアにしか見えないわ」

 

千夜「毎日ココアちゃんと学校で会っているのよ。それくらいわかるわ。」

 

シャロ「う〜」

 

千夜「それと、ココアちゃんには駅で会う約束とか、目印のことも含めて何も話していないから、このことを知らないはずよ」

 

シャロ「それもそうだわね・・・」

 

???「初めまして、私は、皆様のところに今日からお世話になる相須 千代子(あいす ちよこ)と申します。よろしくお願いします」ペコリ

 

千夜・シャロ(でもココア(ちゃん)と瓜二つ・・・そっくりすぎる)

 

シャロ「は、初めまして。桐間紗路です。今日から私の家に同居するんですよね。」

 

シャロ「(うう〜。まだココアに騙されてる気分・・・)シャロって呼んでね。こ、こちらこそ よ、よろしく〜」

 

千夜「私は宇治松千夜、千夜って呼んでね。お話は聞いてると思うけど、甘兎庵の一人娘よ。私と一緒に働いてくれるなんて、嬉しいわ。よろしくね。」

 

シャロ「千代子さんなんて、古風なお名前ね」

 

???「私は周りの皆さんから、「チョコ」と呼ばれてましたので、「チョコ」と呼んでいただけるとうれしいです。」ニコ

 

千夜「チョコさんね。わかったわ。これからが楽しみ〜」

 

シャロ「チョコさん、一緒にがんばりましょうね」

 

チョコ「シャロさん、千夜さん、ですね。みなさんの足手まといにならないよう、がんばります。」

 

千夜(確かに笑顔も、声もココアちゃんだけど・・)

 

シャロ(ココアよりも、落ち着いておっとりした感じね。)

 

千夜「さて、甘兎庵へ案内するわね。となりがシャロさんの家よ」

 

チョコ「はい、ありがとうございます。」

 

千夜「では、改札口へ向かいましょう」

 

ドタドタ ワー

 

シャロ「向こうからなんか騒がしいのが」

 

ココア「わー、乗り遅れる〜」ドタドタ

 

チノ「ココアさん、待って下さい、ココアさ〜ん!」ドタドタ

 

千夜「本物のココアちゃんとチノちゃんだわ」

 

シャロ(うわー チョコさん、ほんとに別人なのね。ココアが2人いるみたい〜)

 

シャロ「ちょっと、ココア!、これ回送よ!、乗っちゃダメ!」

 

ココア「えっ!」

 

※回送列車、発車

 

ココア「シャロちゃん、ありがとう。危うく車庫へ連れて行かれるところだったよ」

 

シャロ「本当にココアはそそっかしいんだから〜」

 

ココア「ヘヘ〜。千夜ちゃんもこんにちは〜」

 

千夜「ココアちゃんの行き先の列車なら、向こう側のホームから15分後よ。」

 

シャロ「くし型の行き止まりホームだから、一旦改札通路へ引き返して向こう側のホームに回らないと」

 

千夜「ココアちゃんの乗る列車まで一緒にいきましょう。見送るわ」

 

ココア「みんな、ありがとう」

 

チノ「千夜さん、シャロさん、こんにちは。お二人がいて助かりました」

 

千夜・シャロ「チノちゃん、こんにちは」

 

シャロ「ところで、ココアが帰るって話、聞いて無いけど、どうしたの」

 

ココア「お母さんが今朝、ぎっくり腰で動けないから、モカお姉ちゃんからパン屋を手伝ってほしいって急に電話が」

 

チノ「それで急遽、春休みってこともあって帰郷することになったんです」

 

千夜「そうだったの・・お大事にしてね」

 

シャロ「そうよ。たった一人のお母さんだもの」

 

ココア「みんな、ありがとう」

 




千夜ちゃんがいつも孤独なので、こういう娘がきたらどうなるだろう、と書いてみました。仕事が忙しいので不定期更新になりますが、どうぞご容赦下さい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2羽 その娘はやってきた(その2)

 前回に引き続き、木組みの街中央駅での場面が続きます。台本形式です。お楽しみいただけると幸いです。では、どうぞ。


――――前回から引き続き、木組みの街中央駅ホームにて――――

 

チノ「ところで、ココアさんが二人になっている気がするのですが」

 

ココア「え、ミー?」

 

シャロ「違うわよ。そちらにいる娘はココアそっくりなだけで、別人よ。それと今この駅に着いたばかりだし」

 

千夜「この街迷うから、私とシャロちゃんでお迎えしていたの。私も最初ココアちゃんかと思って驚いたわ・・・」

 

シャロ「チョコさん、紹介するわ。こちらがココアとチノちゃん。ラビット・ハウスという喫茶店で働いてるわ」

 

ココア「初めまして、保登 心愛(ほと ここあ)です。ココアって呼ばれてます(何か鏡見ている気分〜)」

 

チノ「(ココアさんと区別がつきません…)私は香風 智乃(かふう ちの)です。チノって呼んで下さい」アセッ

 

チョコ「(ココアさん本当に私とそっくり!)ココアさん、チノさん、ですね。よろしくお願いします」ペコリ

 

チョコ「私は相須 千代子(あいす ちよこ)、チョコって皆さんから呼ばれてます」

 

ココア・チノ「チョコちゃん(さん)、よろしく(です)」

 

千夜「そして、嬉しいことにチョコちゃんは、甘兎庵で働いてくれることになってま〜す」

 

シャロ「さらに、私の家にホームステイするのよ・・・」

 

ココア「へ〜 そうなんだ。千夜ちゃん良かったね。シャロちゃんも嬉しそうだね」

 

チノ「千夜さんところはいつも募集中だったので、本当に良かったです。チョコさん、千夜さんは優しい人だから、きっと楽しいですよ」

 

チョコ「ありがとう。みなさんのお陰で、緊張がすこし解けました」

 

チノ(なぜかココアさんが甘兎庵に転職しちゃったんじゃないか、いう気分にさせられます……)

 

 

※ココアの実家へ向かう列車のホーム

 

千夜「ココアちゃんは、こっちに止まってる列車に乗ればいいみたい」

 

チノ「行き先も間違ってないですね。これでいいみたいです」

 

シャロ「本当にココアは危ないんだから、気をつけてよねっ」

 

ココア「みんな、ありがとう せっかくだから、記念撮影しよーよ、時間あるし」

 

ココア「私のデジカメと、チノちゃんのデジカメ」

 

チョコ「すみませんが、私のスマホでもお願いできませんか? 記念に残したいので」

 

ココア「うん、いいよ〜 すみませ〜ん、青山さ〜ん」

 

青山ブルーマウンテン「みなさんこんにちは〜、楽しそうですね〜」

 

シャロ(神出鬼没だ〜)

 

ココア「私達の写真撮りたいので、シャッターを押してもらっていいですか?」

 

青ブルマ「いいですよ〜 お安い御用です〜」

 

凛「私も手伝いますよ。デジカメ貸して下さい」

 

青ブルマ「ところで、ココアさんがふたりいますね〜」

 

シャロ「実はカクカクシカジカ・・・・・」

 

青ブルマ「不思議なことも、あるものですね〜」

 

凛「そうなんですか。この世には同じ顔の人が3人いるって聞きますけど、ビックリです」

 

青ブルマ「それではみなさん、撮りますよ〜」

 

凛「私も撮りまーす」

 

パシャ ピローン パシャ

 

※撮影タイム終了

 

ココア「チョコちゃん、最後にふたりで自撮りしよ〜」

 

チョコ「ココアちゃんのデジカメと、私のスマホで撮りましょう」

 

ココア「うん!」

 

ココア・チョコ「はい、チーズ」

 

ピローン パシャ

 

ココア「撮れた撮れた。記念にお姉ちゃんとお母さんに見せちゃお!」

 

ココア「びっくりするだろーなー」ワクワク

 

チョコ「私も良い記念になりました。妹に送っちゃいます」

 

チノ「チョコさん、妹さんがいるんですか?」

 

チョコ「ええ、萌夏(もか)っていう名前なんですけど」

 

千夜「ココアちゃんのお姉さんも、モカさんね」

 

シャロ「ココアのモカさんはカタカナで、チョコさんの萌夏さんは漢字なのね」

 

チノ(チョコさんは、現役のお姉ちゃんなんだ……)

 

(発車ベルの音)ジリリリリリ………

 

千夜「発車時刻だわ、ココアちゃん、列車に乗らないと」

 

シャロ「ココア、早く乗って。もう、間違えちゃだめよ」

 

ココア「ありがとう、みんなのことは忘れないよ」

 

シャロ「4〜5日行くだけでしょ。永遠の別れみたい。まあ、お達者で」

 

千夜「ココアちゃん、お体には気をつけてね」

 

チノ「ココアさんがいなくて寂しいです。元気で早く帰ってきてください」

 

チョコ「今日初めてお会いしましたが、またお目にかかりたいです」

 

青ブルマ・凛「ココアさん、お気をつけて」

 

千夜「発車ベルが止んだわ」

 

ココア「また会おうね。みんな〜」

 

(放送スピーカー)「3番ホーム、ドアーが閉まります。ご注意下さい。」

 

(扉が閉まる音)プシュー

 

ココア「さよーならー・・・・・・……」

 

 

※ココアの乗った列車が、ホームを後にした。

 

 

千夜「行っちゃった」

 

シャロ「なんだかんだ言って、ココアがいないと寂しいわね」

 

チョコ「失礼ですが、先ほど撮影していただいたこのお二方は?」

 

千夜「小説家の青山(あおやま)ブルーマウンテン先生と、担当の真手 凛(まて りん)さんよ」

 

シャロ「『うさぎになったバリスタ』『怪盗ラパン』とか有名ね」

 

チョコ「えっ あの小説家の・・こっ光栄です。初めまして・・・・」

 

青ブルマ・凛「初めまして、チョコさん」

 

チョコ「『怪盗ラパン』、ファンなんです〜」

 

チノ「ところで、青山さん達はどうしてここにいるんですか?」

 

凛「私達は、取材旅行の帰りで、さっきの列車に乗ってきたの」

 

チノ「そうだったんですね」

 

青ブルマ「さて、帰りましょう〜」

 

凛「青山先生!、別にお願いしていた原稿がまだ出来てません! 終わるまで離しませんよ!」

 

青ブルマ「あー、あー、聞こえない」

 

凛「あーあー言ってないで、さっさと原稿上げて下さい!この為に個室車にしたのに(みどり)ちゃん(青ブルマの本名)爆睡しちゃうし!」

 

ズルズルズル…… アーアーアーキコエナイ………

 

シャロ「また青山さんあーあー言いながら、凛さんに連れて行かれちゃったわね」

 

千夜「私達も帰りましょう」

 

チノ「私も、店番をリゼさんとティッピーに任せているんでした。すぐラビット・ハウスに戻らないと」

 

千夜「では、チョコさん、甘兎庵へ一緒に行きましょう。もちろん、シャロちゃんもね」

 

チョコ「はい! いろいろ教えて下さい!」

 

シャロ「わかっているわよ。ホントにもう」

 

チノ「千夜さん、シャロさん、チョコさん、今日はありがとうございました。」

 

千夜・シャロ「どういたしまして」

 

チョコ「チノちゃん、またお会いしましょう」ニコッ

 

チノ「はい・・・・」ドキ

 

チノ(チョコさん見てると、ココアさんを見ている気分です)

 

チノ(吸い込まれそうな紫水晶の瞳、髪の色、魅力的な笑顔・・・)

 

チノ(ココアさんにしか見えません・・・)

 




 初対面の場面が多く、どうしようか悩みました。これでお迎えの場面は終わりです。不定期投稿になりますが、なにとぞご容赦ください。

 この拙い作品をお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3羽 甘兎庵にて

相須 千代子こと、チョコは、シャロの家に荷物を置いた後、甘兎庵でのお仕事を開始します。千夜も大喜び。
それでは、お楽しみいただけると幸いです。


―木組みの街、甘兎庵への石畳の道にて―

 

てくてく

 

チョコ「わー、素敵な街・・・」

 

チョコ「ここなら楽しく暮らせそう・・・・」

 

千夜(この娘と一緒に仕事できるなんて、とっても仕合(しあわ)せ・・・)

 

シャロ(私もなんかワクワクしてきた〜)

 

 

――――甘兎庵の前――――

 

千夜「ここが、甘兎庵よ。私とお祖母様で切り盛りしてま〜す」

 

チョコ「素敵なお店ですね。ここで働けるなんて、幸せです」

 

千夜「向かって右隣の慎ましやかなお家が、シャロちゃんのお(うち)よ」

 

シャロ(どう取り(つくろ)っても物置にしか見えない・・・。恥ずかしい)

 

チョコ「きれいにしている家ですね」

 

シャロ「ここでホームステイして、私と暮らすんだけど、大丈夫?」

 

チョコ「はい、今からワクワクしてます。シャロさん、千夜さん」

 

チョコ「ところで、この台車で転がしてるトランクとか、どうしましょう」

 

千夜「それならば、シャロちゃんの家に大きい荷物置いてから、甘兎庵に来るといいわ」

 

チョコ「はい、わかりました」

 

千夜「シャロちゃん、悪いけど・・(仲良くやってね)」

 

シャロ「・・・わかっているわよ」

 

 

――――シャロの家――――

 

チョコ「おじゃまします」

 

シャロ「チョコさん、ほんとになんにもない家だし、ボロだし、ごめんね」

 

チョコ「部屋の間仕切りがなくて、開放感のあるお家ですね」

 

チョコ「天井も広いし」

 

シャロ(単純に建築予算の都合で天井貼ってないだけで、屋根の骨組みが丸出しだけなんだけど……)

 

チョコ「わたしも、こういうお家に住んでましたし、清潔できれいですね」

 

シャロ「えっ」

 

チョコ「私、この家、気に入っちゃいました! シャロさんもいい方で、良かったです・・」

 

シャロ(チョコさんも、私と似た境遇なのかしら・・)

 

チョコ「これは、母からつまらないものですが・・」ゴサゴソ

 

シャロ「ご贈答用のお土産・・そんなに気を使わなくてもいいのに」

 

チョコ「でも、もらって下さい。」

 

シャロ「じゃ、遠慮無くいただくわ。ありがとう」

 

チョコ「改めてよろしくお願いします。シャロさん」ペコ

 

シャロ「私こそ・・」ペコリ

 

 

 

 

――――甘兎庵――――

 

チョコ「お祖母様、初めまして。相須 千代子です。母がいつもお世話になってます。不束(ふつつか)者ですが、どうぞよろしくお願いします」ペコ

 

お祖母様「ああ、おまいさんの力で、千夜を助けてもらうからね!」

 

チョコ「これは、母からつまらないものですが」ガサゴソ

 

お祖母様「お土産かい、悪いねえ。気を使う必要ないのに……でも、お言葉に甘えて頂戴するよ。」

 

千夜「お気遣い嬉しいわ。ありがとう」

 

お祖母様「チョコさんにはこれを」ペラ

 

千夜「労働条件通知書よ。甘兎で働くので、従業員の方には雇う前にみなさんにお渡ししてるのよ」

 

お祖母様「チョコさんのお母さんの要望も入れて、作ったのさ」

 

千夜「雇用期間は卒業までにしました。まだ働く前だからチョコさんの要望があれば、いまなら直せるので言ってね」

 

チョコ「中身を確認しましたが、これで了解しました。シフト制なんですね。がんばります」

 

チョコ「特売の場合は勤務は考慮する、兼職禁止(二重就労禁止)はしません・・とか書いてあるのが嬉しいです」

 

お祖母様「こちらこそ、頼んだよ。あとは千夜によく聞いておくれ」

 

お祖母様「台の上にあるモナカと羊羹は、今日食べないとダメになるから、さっさと食いな。始めるのは食ってからでいいから」

 

チョコ「はい、ありがとうございます」

 

お祖母様「喉がつまったら、このお茶だ。好きなだけ休みなー」

 

バタン(障子がしまる音。お祖母様は部屋から出て行った)

 

チョコ「おいしい〜。やさしい味」

 

千夜「でしょう。自慢のおばあちゃんと和菓子よ」

 

※和菓子お茶摂取終了〜

 

千夜「では、改めて、よろしくね。チョコさん」

 

チョコ「こちらこそよろしくお願いします。いろいろ教えて下さい」ペコ

 

千夜(チョコさんって敬語なのね。それでいておっとりほんわか。でも笑うとココアちゃんね)

 

 

―甘兎庵更衣室―

 

チョコ「千夜さん、さっそく着付けからすみません。早く覚えなきゃですね」

 

千夜「私のことは『千夜ちゃん』でいいわよ。同い年だし。」

 

チョコ「では、千夜ちゃんと呼ばせていただきます」

 

チョコ「この着物、濃い緑で白いラインが入ってる、とっても素敵ですね」

 

千夜「嬉しいわ。この着物、前はココアちゃんとか、お手伝いに来た時に着たことあるのよ」

 

チョコ「そうなんですね」

 

千夜「はい、着付け終わり。(ほんとにココアちゃんみたい〜)」

 

チョコ「似合いますか?」

 

千夜「似合う、似合う。とっても素敵よ」

 

千夜「じゃ、チョコちゃん、少しずつ憶えていってね」

 

チョコ「ドキドキです・・」

 

 

―甘兎庵、店内にて―

 

※1時間後

 

チョコ「らっしゃい! 本日のおすすめは、花の都三つ子の宝石だよ!」

 

チョコ「メニューで〜す」

 

チョコ「ご注文を承ります!」

 

チョコ「お茶ですね!」

 

チョコ「上がり2丁! それと、翡翠(ひすい)スノーマウンテン追加で! 千夜ちゃん、お願い!」

 

千夜「あいよっ 削りたての氷、ぴっちぴちよ」

 

千夜「凄い。こんなに気持ちが良くて楽しい仕事、本当久しぶり〜」

 

千夜(以前ココアちゃんと一緒に仕事して以来、全くなかった感覚だわ。夢じゃないかしら〜)

 

チョコ「千夜ちゃん、お土産コーナーにお客来たので、コーナーに出るね!」

 

千夜「了解!」

 

千夜(チョコちゃんて、テンション上がると、ココアちゃんみたいになるのね。おもしろい)

 

チョコ「千夜ちゃんには、まだまだ私と踊ってもらうよ〜」

 

千夜「うふふふ」ニコ

 

チョコ「あはははは」ニコ

 

※あんこを中心としてクルクル回転して踊りだす千夜とチョコ

 

お祖母様「ふん・・」ニコ

 

 

―仕事終了後、甘兎庵更衣室―

 

千夜「チョコちゃんが来てくれて、いつもの3倍楽しいわ」

 

チョコ「はい、私も謎の充実感がありました」

 

千夜「ウチの店には、同世代の子がいなかったから、チョコちゃん来てくれて本当に嬉しい」

 

チョコ「私も、千夜ちゃんのところでお仕事出来て、うんと(たの)しかったです」

 

千夜「毎日がこうだと良いのにって、ずっと思っていたわ」

 

千夜「だから・・・」

 

チョコ「?」

 

千夜「すぐに着せ替え出来るように、頑張るわっ」シュッ

 

※チョコの着物の帯をもって、こまのようにチョコをクルクル回す千夜

 

チョコ「脱ぐのは一人でできます〜」クルクル

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

千夜「今日はチョコちゃんありがとう。今度は隣でシャロちゃんとね」

 

チョコ「はい、家の鍵はシャロさんから合鍵を渡されました」

 

千夜「そろそろバイト先から戻ってくる頃よ」

 

チョコ「お風呂がシャロさんの家はなかった気がします。どうしてるんでしょう」

 

千夜「お風呂はウチの風呂を使ってるの。また一緒に入りに来てね」

 

チョコ「そうなんですね。わかりました」

 

千夜「今日はありがとう、チョコちゃん」

 

チョコ「どういたしまして。私もとっても楽しかったです」

 

千夜「チョコちゃんと、いつまでも仕事したいわ。じゃ…」

 

チョコ「また明日ですね…」

 

 

※チョコは甘兎庵を後にし、隣のシャロの家へ…

 

 

 




 チョコの性格ですが、最初はココアと同じにしようかと思っていたのですが、中の人(佐倉彩音(あやねる)さん)のアニメ化当時の単行本から受けるファーストインプレッションが、おっとりな印象(アニメ公式ガイドより。確かにその時点の原作を読むと、そうとも読める)・・ということからおっとり落ち着いた印象になりました。(→その後、他作品の例にもれず、原作がアニメ声優の演技に引っ張られてココアが「ヴェアア」とか超元気になっていくのは周知のとおりです)。
 どうしても、頭の中でキャラを動かしてもチョコは敬語しか話さなかったのですが、テンションが上がったらココアのようになったので、そのままそれを採用してしまいました。
 拙いこの作品をお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4羽 シャロの家にて

今度はチョコはシャロの家に向かい、第1夜を過ごします。相変わらず台本形式ですが、よろしくお願いします。


―――シャロの家にて―――

 

シャロ(あれ、家に灯りが(とも)ってる。チョコさんが帰ってるみたいね)

 

シャロ「ただいま〜」

 

チョコ「おかえりなさい。夕飯の支度がもうすぐできますよ」

 

シャロ「えっ チョコさん、悪いわよそれじゃ。私も手伝う〜」

 

チョコ「初日ですから、今日は私にやらせて下さい」

 

シャロ「うーん、私疲れちゃってるので、じゃ、今日は悪いけどお願いしちゃう〜」

 

チョコ「ありがとう〜シャロさん」

 

・・・・・・・・・

 

シャロ・チョコ「いただきま〜す」

 

シャロ「ご飯に味噌汁に、もやしの野菜炒め。おいしそう〜」

 

チョコ「冷蔵庫にあるもので、ありあわせで作っちゃったんですけど、お口に合うかどうか…」

 

シャロ「おいしい」ウルウル

 

シャロ(家族にご飯を作ってもらった記憶なんて、遠い昔のうっすらとした儚い思い出……)

 

シャロ(それが、今日味わえるなんて)グスッ

 

チョコ「シャロさん、どうしたんですか。お口に合わなかったですか?」

 

シャロ「おいしくて、この味がずっと楽しめると思うと、嬉しくて涙がでちゃうのよ…。作ってもらうこともなかったし」

 

チョコ「良かったです。シャロさんに気に入ってもらって、嬉しいです」

 

シャロ「ところで、どうしてウチの学校に転校に?」

 

チョコ「それは・・、学校の都合なんです。前いた高校とシャロさんの高校は姉妹校ですよね」

 

シャロ「うん。そうだったわね」

 

チョコ「突然、校長先生から呼び出しがあって、転校するように依頼されたの。特待生の身分のままで」

 

シャロ「えっ」

 

チョコ「理由はわからないけど、「私を助けて下さい」とか校長先生から頭を下げられちゃって…」

 

チョコ「そのための謝礼金は学校から私の父母に渡ったけど、ほとんどが父母の借金に消えてしまいました」

 

シャロ「………」

 

チョコ「残りがシャロさんのご両親に渡ったはずですが、少なかったですよね」

 

シャロ「ごめんなさい。いま私の父母と連絡が取れなくて、お金も親からはお金が来ない状態で、自活してるのよ…」

 

チョコ「そうでしたか……。私も、いまのシャロさんと同じような家に住んでいたんですよ。母と、私と妹で。父は出稼ぎでいつもいないし」

 

シャロ「そうだったの(知らなかった)」

 

チョコ「本当に下宿先がシャロさんのところで良かった…」グス

 

シャロ「うわ―、チョコさん、泣かないで。これからは私達家族よ。助け合いながらお互いにね…」アセ

 

チョコ「はい、お願いします」

 

シャロ「それと、おたがい「さん」つけはやめない? もう他人じゃないんだから呼び捨てにしない?」

 

チョコ「わかりました」

 

シャロ「あと同い年なんだから、タメ口でお願いね」

 

チョコ「うん」

 

シャロ「チョコ、家族として改めてよろしく〜」

 

チョコ「お言葉に甘えて…シャロ、私からも改めてよろしくね」ペコ

 

・・・・・・・・・・

 

シャロ「ごちそうさまでした」

 

チョコ「ごちそうさまでした〜」

 

シャロ「片付けは、今日は私がやるわ」

 

(チョコの携帯の音)チリリリリン…

 

シャロ「チョコは携帯に出ちゃって。その間私が片付けちゃうから」

 

チョコ「ありがとう、シャロ」

 

チョコ「はい、もしもし……」

 

・・・・・・・・・・※(通話終了)

 

シャロ「チョコ、何の電話だったの」

 

チョコ「私の高校の担任の先生から。私の転校の話、承知してなかったみたいで、いろいろ聞かれちゃった…」

 

シャロ「校長先生や幹部クラスだけの独断で決めちゃったのね…」

 

チョコ「それで、私の高校でなんか揉めてるみたい。担任の先生は若い女の先生で、やさしくて、いい先生だったの」

 

シャロ「そうだったのね。うーん、今度、私とチョコは特待生だから間違いなく同じクラスだし、今年も昨年の担任がそのままだから、転校したらウチの学校の担任に、私からチョコを紹介してあげる」

 

チョコ「ありがとう、嬉しい」パアア

 

シャロ「いい先生よ。頼りになるわ。私がこのバイト生活をしていけるのも、その先生のお陰だもの」

 

チョコ「私、シャロ無しじゃ生きていけない……」ウルウル

 

シャロ「…(なんか照れる…)そ、それと、お風呂は千夜のところで借りてるから、そろそろ入りに行かないと〜。遅くなっちゃうと悪いし」

 

チョコ「うん」

 

※入浴終了後

 

シャロ「あとは早く寝よう。明日もあるし」

 

チョコ「そうだね…」

 

シャロ「お布団2枚敷いたので、一緒に寝よ」

 

チョコ「シャロと一緒に寝るの、楽しそう」

 

シャロ「私も〜 ではおやすみ」

 

チョコ「おやすみ〜」

 

布団にもぐり

 

シャロ「…………ねえ、チョコ」

 

チョコ「なあに、シャロ」

 

シャロ「その、あの、もふもふ、してくれないかな?」

 

シャロ(ココアに以前「もふもふ」やられて、それ以後、私も欲求不満に…)

 

チョコ「いいよ。妹(萌夏)にしてくれってせがまれて、よくやってるから」

 

シャロ「どっちがお姉さん? 誕生日は私は7月、チョコは?」

 

チョコ「私は4月。私のほうがお姉さんだね……」モフモフ

 

シャロ(チョコはお料理とか、洗濯物のいい匂いがする。なんかお母さんに抱かれてる気分で気持ちいい……)モフモフ

 

チョコ(萌夏にしてるみたいに、モフモフの他に、シャロに呼吸を合わせて、ポンポン子供をあやすように同じ間隔で、ゆっくりと手でリズムを取る…)モフモフ

 

シャロ「チョコ、ありがとう…お母さんに抱かれてるみたい…何だか安心する…」グス

 

チョコ(シャロってこういう所、すごく可愛い……それとシャロってハーブのいい香りがする)

 

シャロ「スー、スー」

 

チョコ「…お姉ちゃんに…まかせなさい…」ボソ

 

シャロ「うん……zzz」

 

チョコ「おやすみ、シャロ……」ニコ

 

 

―――翌朝、シャロの家―――

 

シャロ「うーん・・・今何時?」

 

シャロ「うわー寝坊したー(気持ち良すぎたから〜)」

 

チョコ「シャロ、おはよう〜。朝食出来てるよ〜。トーストとベーコンエッグだけど、我慢してね〜。時間はまだ大丈夫」

 

シャロ「またチョコに作ってもらっちゃった。ごめんね。ではいただきます」

 

チョコ「いただきま〜す」

 

※食事後

 

シャロ「じゃ、私はバイト先に行くわ。今日はクレープのワゴン販売だから、すこし早めに出なきゃ…」

 

チョコ「私は片付けしてから、甘兎庵に。気をつけてね、シャロ」

 

シャロ「チョコもね。じゃ、行ってきます」

 

チョコ「行ってらっしゃ〜い」

 

チョコ(さて、片付けたら隣の甘兎庵へお仕事お仕事)

 

 

――ー甘兎庵にて―――

 

チョコ「千夜ちゃん、おはようございます」

 

千夜「チョコちゃん、おはよう。あら、チョコちゃんがしてるこの桜の髪飾り、ココアちゃんと同じだわ」

 

チョコ「そうなんですね。小さい頃、母からもらったんです」

 

千夜「それで、チョコちゃん、悪いんだけど、午後からラビット・ハウスでお手伝いしてほしいの」

 

チョコ「どうしたんですか」

 

千夜「リゼちゃんから、チノちゃんがココアシックにかかって仕事にならないので、助けてほしいって電話があって…」

 

チョコ「私とよく似たココアちゃんと一緒にいた、小柄で髪が長い女性ですね」

 

千夜「で、そのチノちゃんは、ココアちゃんがいないと、ココアばかり淹れてしまう症状「ココアシック」が出るの……」

 

千夜「あなたなら、ココアちゃんに姿も声も似てるし、戦力になるんじゃないかって朝、リゼちゃんが…」

 

千夜「今日の午後と、リゼちゃんが出てこない明日の午前中、お願いできる? 急でごめんね。本当に」

 

チョコ「大丈夫です。千夜ちゃん…。千夜ちゃんの方は大丈夫なんですか」

 

千夜「おばあちゃんとで何とかなるから大丈夫よ。甘兎が午後忙しい明日は、リゼちゃんのいない午前だけにしてもらったし」

 

千夜「それから雇用契約は直接ラビット・ハウスと結んでね。時給とかは同じだと思うけど、労働条件は確認してから働いてね」

 

チョコ「わかりました。がんばります」

 

 

※チョコは甘兎庵で午前中働き、午後、ラビット・ハウスへ向かった。




シャロから見てチョコの関係は、一番近い(同様にココアとの距離は一番遠い)ので、お互い呼捨て関係になりました。(原作にないイレギュラーな感じになるので、悩みました)

次は、お待ちかねラビット・ハウスでチョコがアルバイトします。

拙いこのSSをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5羽 ラビット・ハウスにて

 チノがひどいココアシックに罹患したため、リゼの救援要請に応え、急遽ラビット・ハウスで仕事をすることになったチョコ。
 ここでも、チョコはがんばります。


 では、お楽しみいただけると幸いです。


――――ラビット・ハウス1日目(午後)――――

 

リゼ「悪いな、チョコさん、ココアの代わりに入ってもらって」

 

リゼ「チノのココアシックがひどくて、人手が足りなかったんだ。今日午後と、明日の午前中、よろしくな」

 

ティッピー(午前中も、チノがぼ〜っとしてワシに熱湯を注ごうとして、危うく殺されるところじゃった……)

 

チョコ「リゼさん、チノちゃん、ティッピー、よろしくお願いします」

 

リゼ「なんかココアが敬語で話しているみたいだな・・」

 

チノ「チョコさんのその桜の髪飾り、ココアさんと同じものですね」

 

チョコ「これ、母にもらったんです。小さい頃・・」

 

リゼ「制服はココアのを着てるし、見た目じゃココアと全く区別がつかないな」

 

チノ「それでは、チョコさん、リゼさんと一緒に入ってください」

 

チョコ「わかりました」

 

リゼ「早く一人前になるように、鍛えるからな!」

 

チョコ「はい!」

 

リゼ「上官への返答は、言葉のうしろに「サー」をつけろ!」

 

チョコ「イエス・サー」ビシッ

 

リゼ「よろしい」

 

・・・・・・・・・・

 

チョコ「ちょっと、チノちゃん・・・」

 

チノ「なんですか、チョコさん」

 

チョコ「リゼさんって、女性の格好をしているけど、実は男性なの?」ボソ

 

チノ「はい? どうしてですか」ボソ

 

チョコ「イエス・サーの『サー』をつけるのは男性の上官だけだから、リゼさんは男性?。女性の上官だったら、『マム』じゃないと変なんですよね」

 

チノ「えっ そうなんですか・・・(知らなかった)」

 

ティッピー「確かに、チョコの言うとおり、リゼの場合は女性だから、「イエス・マム」が正しいのじゃ、じゃが・・」

 

チノ「でも、直接誤りとか指摘すると、リゼさんプライドが傷つくし、性別は世間的にも結構ナーバスな問題なので、そのままにしといてあげて下さい・・・」

 

チョコ「イエス・マム!」ビシッ

 

 

―勤務終了後、更衣室にて リゼとチノの会話―

 

リゼ「チノ、チョコはすごいぞ」

 

チノ「リゼさん、どうしたんですか」

 

リゼ「チョコは一度教えたら、完璧に仕事をこなすんだ」

 

チノ「えっ」

 

リゼ「メニューも、値段も、チョコは一発で記憶してしまったし、接客、処理手順は完璧にマスター。お皿も割らないし」

 

チノ「お皿を割るのはココアさんだけです」

 

リゼ「明日は、チョコは即戦力で使えるぞ!」

 

リゼ「私が午前中いなくても、なんとかなりそうだ」

 

チノ(一日目、チョコさんはすこし緊張ぎみでした。そして、翌朝…)

 

 

 

―ラビット・ハウス2日目(午前中のみ、午後からは甘兎庵勤務予定)―

 

 

チョコ「おはようございます、チノちゃん」

 

チノ「おはようございます。チョコさん、今日もよろしくお願いします…」

 

ティッピー(今日も頼んだぞ……)

 

チョコ「うーーーん」

 

チノ「チョコさん、なにやってるんですか」

 

チョコ「いまチューニング中です。う〜ん、テンション上がらない・・ココアちゃん渋滞中です・・」

 

チノ「なんかココアさんの中の人みたいです」

 

チョコ「よしっ チューニング完了!」

 

チョコ「おはよう、チ〜ノちゃん! モフモフさせて〜」モフモフ

 

チノ(いきなりチョコさんがココアさんになった)

 

ティッピー(まったくココアと区別がつかんな・・)

 

チノ「うーん、少しだけですよ(欲求不満でココアさん分が不足してます…)」モフモフ

 

チョコ「チノちゃん分補給〜 千夜ちゃんに『こうしたら、チノちゃん喜ぶわ』と言われて、昨晩、集中特訓してきたんだよ!」

 

チノ「千夜さんはまたヘンなことを……でも悪くないです」

 

チノ(ココアさんと違って、チョコさんからは小麦粉の匂いはしません……)

 

チノ(でもお料理のいい匂い、お洗濯のいい匂いがします。・・お母さんみたいで抱かれると落ち着きます)

 

チノ「チョコさんは、本当にしょうがないチョコさんですね……」モフモフ

 

チョコ「えへへ〜 (チノちゃん可愛すぎる)」ドキドキ

 

チノ(安心できる匂いが、またひとつ増えました・・)

 

・・・・・・・・・・・

 

チョコ「ところで、ここに置いてある大きい袋は、なあに?」

 

チノ「それは、コーヒー豆の袋です。重いので私やココアさんでは持ち上げられないので、午後、リゼさんに運んでもらおうと思ってます。」

 

チョコ「それくらい、私でも大丈夫。どこに運べばいいの?」

 

チノ「重たいですよ」

 

チョコ「大丈夫!」

 

チョコ「お姉ちゃんにまかせなさ〜い!」グッ

 

ピカアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

チノ(うわっ、モカさん(ココアの姉)に劣らない凄い姉オーラです! まぶしい、直視できません!)

 

ティッピー(まるでモカの姉オーラを見てるようじゃ…)

 

チノ(見た目はココアさんなのに、何故かココアさんのオーラが茶番に見えます…)

 

チョコ「さっそく、持ちあげるね! どこに運べばいいの? チノちゃん」ヒョイッ

 

チノ「(本当に軽々と・・すごい) は、はい。こっちの倉庫にお願いします」

 

ティッピー「ココアとはだいぶ違うのう……」

 

※倉庫の中

 

チノ「この戸棚の上にお願いします」

 

チョコ「うん、じゃ、ここに置くね」ザッ

 

チノ(軽々と置いてしまいました。リゼさんでも、ここでは少し大変そうな素振りをみせるのに)

 

ティッピー(リゼはホントは平気なんじゃが、怪力そうに見えて恥ずかしいから、ここでは重そうに演技しとるのう……)

 

チョコ「他に運ぶ物あるかな? チノちゃん」

 

チノ「いいえ、これで全部です。ありがとうございましたチョコさん」

 

チョコ「どういたしまして」ニコ

 

チノ「ドキッ・・・(コ、ココアさんの笑顔……。反則です)」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

チノ「ところで、チョコさんには妹さんがいるって聞いてましたが」

 

チョコ「萌夏(もか)ね。この前の駅でのココアちゃんとの自撮りをメールで送ったら、ビックリしてたよ」

 

チョコ「『お姉ちゃんが二人いる〜』なんて驚いてね。私にとってかわいい妹だよ」

 

チノ「そうなんですか。仲いいんですね」

 

チョコ「天然で喧嘩も良くするけど、歌が上手くて手品が得意で、元気で活発でまわりを盛り上げちゃう……」

 

チノ「楽しそうですね」

 

チョコ「萌夏の写真あるけど、チノちゃん、見る?」

 

チノ「ぜひ見たいです」ワクワク

 

チョコ「このスマホに出すからね・・・これが萌夏だよ」ニコ

 

チノ「ちょっとごめんなさ……………(えっ…う…嘘ですよね)」

 

ティッピー(信じられん、何ということじゃ………)

 

チノ(母とそっくりです………特に母の若い時とは瓜二つです)

 

ティッピー(あやつ(チノの母)の生き写しじゃ……)

 

チョコ「かわいいでしょう〜 あ…勿論チノちゃんも可愛いけど…」

 

チョコ「あれ、どうしたの? チノちゃん、驚いた顔して……。私とは似てないから、ビックリしちゃったかな?」

 

チノ「い……いえ、なんでもないです。萌夏さん、かわいいですね」

 

チョコ「ありがとう、チノちゃん」

 

ティッピー(チノ………………………)

 

 




 チノのココアシックは、ココアが母のぎっくり腰のため急に帰郷したのと、そもそも予定事象ではなかったため、症状は重めになっています。


 拙いこのSSをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6羽 ベーカリー保登にて

 時間はココアが帰郷した時に戻ります。そこではベーカリー保登で、ギックリ腰になった母に変わり、ココアが大活躍します。
 その後、またチョコのラビット・ハウスのお手伝い後の時点に再度進めて、萌夏が明日、木組みの街に来ることを知り、翌日、千夜と駅に迎えに行きます。

※ここでは「もか」さんが2人出てきますので注意して下さい。
・カタカナの「モカ」……ココアの姉。映画でもお馴染み原作キャラです。
・漢字で「萌夏」…………チョコの妹。当作品のオリキャラです。

では、お楽しみいただけると幸いです。


※時はココアが列車に乗った日に戻ります……

 

―――帰郷の道中にて―――

 

※ココアが木組みの街中央駅から、特急に乗り実家最寄り駅で下車、バスに乗り、海を遠くに望む丘沿いの道にある、バス停で降りる。徒歩でベーカリー保登へ帰郷の道中…

 

てくてく

 

ココア(お母さん、ギックリ腰大丈夫かな……)

 

ザワザワ

 

ココア(何?この行列…)

 

モー2ジカンモマッテル・・・・・

ドウシタンダゼンゼンススマナイジャナイカ・・・ガヤガヤ

 

ココア(ウチの実家へ続いている・・もしや・・)

 

 

―ベーカリー保登、店舗前―

 

ココア(やっぱりウチの行列だ、(モカ)お姉ちゃん、どうしちゃったんだろ)ダッ

 

ココア「ごめんなさい、通りま〜す(行列をかき分けて、店内に入る・・)」

 

ココア「お姉ちゃんただいま!、どうなってるのこれ?、大丈夫?」

 

モカ「コ…ココア! き…来てくれたのね。早く手伝って…、へるぷ〜」

 

ココア「もう、しょうがないモカお姉ちゃんだね。じゃ、いっくよ〜」

 

※ココアはベーカリ―の制服に着替えて、モカを手伝い始めた。

 

モカ「袋詰めは、今回は一人につき2.5秒が目標ね…」

 

ココア「了解!、前回は3秒だけど、早くしないとダメなんだね!」

 

モカ「ありがとうございました〜、いらっしゃいませ、お待たせしてすみません」

 

ココア「いらっしゃいませー」

 

お客(行列が進み始めた、ああ、ココアちゃんが来たからね〜)

お客(店主はギックリ腰だとよ。娘は大変だね〜)

 

ココア「おりゃーっ」シュバババ

 

モカ(ココア、ありがとう…)ウルウル

 

※本日の営業終了

 

モカ「全部品切れになったから、今日はこれで営業終了するわ。明日もあるから」

 

ココア「今日はどうしちゃったの、お姉ちゃん」

 

モカ「午前の大行列はなんとか一人で(さば)いたんだけど、お昼の部からなぜかお客が増えてて、ココアが来た時までずっと行列になってたのよ」

 

ココア「やはり一人だときつい?」

 

モカ「お客さん増えちゃったからね。通常はお手伝いの人もいるので大丈夫なんだけど、たまたま今日から3日はシフトの穴が空いちゃってて、ココアしか頼めなくって」

 

ココア「春休み中だから、大丈夫だよ!」

 

モカ「心強いわね」ニコ

 

※ココア、モカの母の部屋

 

ココア「お母さん、ただいま… (動けないから、やっぱりベッドで休んでる……)」

 

母「おかえり、ココア。長旅で疲れてない?」

 

ココア「大丈夫。でも帰り道で、ウチへのすごい行列が続いてて、びっくりしちゃった」

 

モカ「その午後の行列を捌くのに、ココアが来たらすぐ店の仕事に入ってもらったの」

 

モカ「だからごめんなさい。お母さんにココアを会わせるのが、こんな時間になっちゃって」

 

母「いいのよ。お客さんの方が大事だから」

 

モカ「もう、お母さんと私とココアで『三姉妹』なんてお母さん自称してたけど、やっぱり年には…」

 

母「モカ、それを言わないで・・イタタタ・・ぎっくり腰が」

 

モカ「今日は、本当に私ダメかと思ったもん。でも、その時ココアが来てくれて助かったわ」

 

ココア「お姉ちゃん、私、活躍できた?」

 

モカ「ええ、正義の味方が現れたくらい、超大活躍よ。ありがとう、ココア」モフモフ

 

ココア「わーい」モフモフ

 

母「私もココアにもふもふ・・・イタタタタ」

 

モカ「お母さん、動いたらまた再発するよ」

 

ココア「じゃ、私からモフモフ」モフモフ

 

母「ありがとう、ココア・・(ここまで成長したのね。うれしい)」モフモフ

 

ココア「ところで今日来るときにね、木組みの街中央駅で、私とそっくりな娘に会っちゃった」

 

モカ「へえ〜 ココアと?」

 

ココア「その娘、千夜ちゃんとこの甘兎庵でアルバイトすることになって、シャロちゃんの家に下宿するんだって」

 

ココア「写真もあるよ、デジカメで撮ったから・・・・・この娘だよ。私と一緒に写ってる」ピッ

 

モカ「あら、本当にココアが2人いるみたい」

 

母「世の中には似た人が3人いるっていうけど、区別がつかないわね」

 

ココア「でっしょう〜。今度木組みの街に戻ったら、甘兎庵へその娘に会いに行くの」

 

モカ「そうなの。楽しみね」

 

ココア「うん、それと名前はねえ、千代子さんっていうんだよ。通称は『チョコちゃん』って呼んでる」

 

モカ「へえ〜、古風なかわいいお名前ね」

 

母「イタタタ・・・またぎっくり腰がひどく・・・」

 

ココア「お母さん、今日はゆっくり休んで早く治してね。お姉ちゃんと私で頑張るから」

 

モカ「お母さんはゆっくり寝てて。心配してるココアを、一日も早く安心させてね」

 

母「モカ、ココア、ありがとう。そうするわ…」

 

モカ「ココア、明日は四時起きだから、覚悟しといてね。パン屋の朝は早いわよ」

 

ココア「ラジャー、ベーカリー保登の一員として、がんばりますっ」ビシッ

 

モカ「夕飯食べて、今日は早く寝ましょう。いつも(注:ココアが帰るときは歓迎メニューで豪華)と違って(まかな)いメニューだけど、我慢してね」

 

ココア「うん!」ニコ

 

 

 

 

 

―――萌夏が木組みの街に―――

 

※時はチョコのラビット・ハウスお手伝い終了後に、再び進みます。

 

――甘兎庵――

 

チョコ「ただいま帰りました」

 

千夜「ラビット・ハウスの助っ人、お疲れ様。チョコちゃん、どうだった?」

 

チョコ「楽しかったです。千夜ちゃんの昨晩の特訓が役に立ちました。お陰でチノちゃんも喜んでいました」ニコッ

 

千夜「そう、良かったわ」

 

(チョコのメール着信)ヤアヤアバンビーナ♪

 

チョコ「萌夏(もか)からメール・・なにかあったのかな。千夜ちゃん、ちょっと見てもいいですか?」

 

チョコ「なんだろう?」ピッ

 

――――――――――――――――――――

from:萌夏

to:お姉ちゃん

subject:お姉ちゃんに会いにいくよ!

 

チョコお姉ちゃん、こんにちは。

嬉しい知らせがあります。

木組みの街に行けることになりました!

お母さんに何とか許可をもらいました。

もう一人のお姉ちゃんにもひと目会いたいです。

 

いま木組みの街中央行きの列車に乗ってます。

お姉ちゃんが乗ったのと同じ列車だよ。

でも、この列車、今の時間もこんなにお客がいるんだね。

デッキまでぎゅーぎゅー。

木組みの街中央に着いたら、迎えに来てね。

 

楽しみにしててね!私も楽しみ!

 

ps:お客が多いので通話は禁止みたい。

  連絡はメールかSNSでお願い!

 

萌夏

 

(注:デコレーション(装飾文字)は省略)

―――――――――――――――――――――

 

 

チョコ「萌夏がいま木組みの街に向かって列車に乗ってる・・」

 

千夜「おやおや、アグレッシブな妹さんね」

 

チョコ「こんな混んでる時期にあわてて来なくても……」

 

千夜「チョコちゃんに会いたいのよ。やはり…」

 

チョコ「私が乗ったのと同じ、一昼夜走る夜行急行だから、木組みの街中央駅に着くのは、明日の朝になります」

 

千夜「明日はお店が休みだから、ちょうどいいわ。明日、一緒に駅まで迎えに行きましょう」

 

チョコ「ありがとう千夜ちゃん。シャロにも伝えますね」

 

千夜「うん。(妹がいるって、いいわね…)」

 

 

※翌日

 

――木組みの街中央駅――

 

千夜「シャロちゃんと一緒に、チョコちゃんを迎えに行った時を思い出したわ」

 

チョコ「そのシャロがバイトのシフトが入っていて来れないので、『ごめん、姉妹で仲良く楽しんできてね。千夜にも謝っといて』と言ってました」

 

千夜「残念ね。シャロちゃんと一緒じゃなくて」

 

チョコ「うん」

 

放送スピーカー「まもなく、1番ホームに当駅止まりの列車が到着します・・」

 

千夜「いよいよだわ」

 

チョコ「列車が入ってきました…」

 

千夜「相変わらずギュギュウね…」

 

チョコ「私が乗ってた列車より混んでますね。萌夏大丈夫かな……」

 

千夜「本当、デッキまで人が(あふ)れているわね。あ、止まったわ…」

 

放送スピーカー「ご乗車ありがとうございました、木組みの街中央、木組みの街中央、終点です…」

 

ガヤガヤ

 

??「おねーちゃーん、おねーちゃーん」ダダダ

 

チョコ「萌夏!」

 

萌夏「おねーちゃーん、もふもふ〜」ダキッ

 

チョコ「もう、萌夏は本当にしょうがない萌夏ですね〜」モフモフ

 

萌夏「えへへ〜 お姉ちゃん分補給〜」モフモフ

 

千夜(ほほえま〜)

 

チョコ「千夜ちゃん、紹介します。この娘が萌夏、私の妹です」

 

萌夏「初めまして、相須 萌夏(あいす もか)です。姉がいつもお世話になってます。よろしくお願いします。」

 

チョコ「萌夏、こちらは千夜ちゃん、私の勤め先の若社長よ」

 

千夜「私は宇治松 千夜よ。チョコちゃんが甘兎庵で働いてくれるので、チョコちゃんにはお世話になりっぱなしよ」

 

チョコ「萌夏、千夜ちゃんはとっても優しい方です。良くしてくれるのよ」

 

萌夏「千夜さんは和風美人さんだね!」

 

千夜「まあ、お上手ね… あと、私を呼ぶときには『千夜ちゃん』でいいわよ、萌夏ちゃん」

 

萌夏「ありがとう、千夜ちゃん」

 

千夜「よろしくね、萌夏ちゃん」

 

チョコ「では、改札へ行きましょう」

 

てくてく・・・・

 

 




原作やアニメを読んでも、ベーカリー保登は、いつも人手不足感がすごいですね。ココアがモカを助ける、いつもと逆のパターンになってしまいました。


拙いこのSSをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7羽 ひと聴きで、尋常でないもちもちと気付いたよ

仕事が多忙であったため、更新が開いてしまい、申し訳ありませんでした。
ラビット・ハウスで、萌夏が歌を歌います。

チノだけは、少し様子が変です。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。



てくてく・・・・

 

 

千夜「あれ、あそこに歩いている娘、ココアちゃんじゃない?」

 

チョコ「もうひとりの私が、別のホームからこちらの改札へ歩いてますね」

 

千夜「ココアちゃ〜ん、ココアちゃ〜ん」

 

ココア「あ、千夜ちゃん、おはよ〜・・・あれ、チョコちゃんもいる、どうしたの?」

 

千夜「おはよう、ココアちゃん」

 

チョコ「妹を迎えに千夜ちゃんと駅に来ていたんです」

 

萌夏「ココアちゃん、初めまして、チョコの妹の相須 萌夏です。よろしくお願いします」

 

ココア「萌夏ちゃん、よろしくね〜」

 

萌夏「ココアお姉ちゃん大好き。これはまさに運命の出会いだよ。モフモフ〜」モフモフ

 

ココア「うわっいきなりもふもふ? 積極的だね〜 妹がまた増えたみたい」モフモフ

 

チョコ「こらっ萌夏、姉は私だよっ 負けないよ〜」モフモフ

 

千夜「萌夏ちゃんが、2人のお姉ちゃんに挟まれてダブルモフモフ…」ヨダレタラー

 

チョコ「ところで、ココアちゃんはどうするの?」

 

ココア「ラビット・ハウスは今日も営業だから、すぐ帰って、仕事しないと・・」

 

チョコ「私と萌夏は、千夜ちゃんのお祖母様にご挨拶したら、ラビット・ハウスに行くつもり。千夜ちゃんは?」

 

千夜「そうね。私もチョコちゃん達と一緒にラビット・ハウスにおじゃましてもいいかしら?」

 

萌夏「私もココアお姉ちゃんのお店を、是非見てみたいな。甘兎庵も見たかったけど休みだし…」

 

ココア「じゃみんな、ラビット・ハウスで待ってるね〜」

 

チョコ・萌夏「ココアちゃん、また会いましょう」

 

千夜「ココアちゃん、チノちゃん達にもよろしく伝えてね」

 

ココア「うん、楽しみだよっ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―ラビット・ハウス―

 

チノ「それで、ココアさんのお母さんは大丈夫なんですか?」

 

ココア「もっと居るつもりだったけど、早くラビット・ハウスに戻れと母に実家を追い出されたので、帰ってきました〜」

 

ココア「それとおみやげのパンだよっ モカお姉ちゃんの作だけどね」

 

チノ「美味しそうです」

 

ティッピー「うまそうじゃの…」

 

ココア「冷めてもお姉ちゃんのパンはもちもちで断然おいしいもんね…」

 

ココア「早く私も、そういうパンを作りたいな」

 

チノ「ココアさんも、そのうち作れるようになりますよ…では…」

 

ココア・チノ・ティッピー「「いっただきま〜す」」

 

もぐもぐ

 

 

※しばらくして

 

ギイー(ラビット・ハウスのドアが開く音)

 

千夜「おはようございま〜す」

 

ココア「あ、千夜ちゃん、待ってたよ〜」

 

チョコ・萌夏「おはようございます。お世話になります」

 

ココア「あ、来てくれたんだ〜。大歓迎だよっ」

 

チノ(チョコさんの妹さんも来ちゃったんだ…)

 

チノ「チョコさんと、萌夏さんですね…」

 

萌夏「チノちゃん、初めまして〜」モフモフ

 

チノ「な…なんですかいきなり…離れて下さい…」モフモフ

 

チョコ「こら、萌夏、初対面の娘にモフモフしちゃだめでしょ」

 

萌夏「え〜っ 私、初対面でも5秒で友達がモットーなんだけど」モフモフ

 

ココア(私より2秒遅いんだ…)

 

チョコ「チノちゃん、嫌がってるよ」

 

萌夏「おかしいな〜 なんでダメなんだろ〜 ごめんね、チノちゃん」

 

チノ「悪いのは私です。気にしないでください萌夏さん」カァァ

 

ティッピー(ほんとに萌夏はあやつ(チノの母)そっくりじゃ。チノもいやがってるんじゃなくて、恥ずかしいんじゃな…)

 

チョコ(でもチノちゃん顔が赤くなってる…恥ずかしいのね)

 

ココア「萌夏ちゃん、お姉ちゃんが例を見せるね。 チノちゃん、モフモフ〜」モフモフ

 

チノ「ココアさんは、本当にしょうがないココアさんですね〜」モフモフ

 

チョコ「私も負けないよっ」モフモフ

 

チノ(ぽ〜〜〜〜っ)カオ マッカ

 

萌夏「チノちゃんだけずるい〜」

 

ココア・チョコ「「萌夏(ちゃん)にもダブルモフモフ」」モフモフ

 

萌夏(ポ〜〜〜〜〜っ)カオ マッカ

 

千夜「ほほえま〜」

 

チノ「ところで、萌夏さんは、歌とかお得意と聞いてますが」

 

チョコ「うん、上手いよ〜」

 

萌夏「(チョコ)お姉ちゃん、そんなでもないのに、恥ずかしいよ〜」

 

千夜「萌夏ちゃん、ちょっと聴いてみたいわ」

 

ココア「私も聴きたいな〜」ワクワク

 

チョコ「萌夏、皆さん聴きたがってるから、お願い〜」

 

萌夏「しょうがないチョコお姉ちゃんですね。恥ずかしいけどお姉ちゃんの頼みなら…」

 

萌夏「ジャズなんですけど、ではアカペラ(伴奏なし)でワンコーラス(1番だけ)…」

 

チノ(どんな歌なんでしょう)

 

萌夏「『All of me』を歌います」

【注:All of me→歌詞は、何故私の全てを奪ってくれないの?〜という内容の、ジャズでは有名なラブソングです。スタンダードナンバーであり、ジャズヴォーカルを目指す場合、初期に必ず学ぶ曲の一つです】

 

一同 パチパチパチパチ〜

 

♪〜「All of me…

 

千夜(いい声ね。とっても上手。癒やされる歌声ね)

 

ココア(凄い。これはプロの歌姫だよ…)

 

ティッピー(若きヘレン・メリルを彷彿とさせる声…あやつ(チノの母)の歌声じゃ…)

 

チノ(遠い記憶に残ってる、母の歌声そのものです…)

 

Why not take all of me?……〜♪(歌終わり)

 

一同 パチパチパチパチ(拍手)

 

 

萌夏「おそまつさまでした」ペコリ

 

千夜「萌夏ちゃん、凄い上手。もっと聴きたいわ〜」

 

ココア「アンコール、アンコール…」

 

ティッピー(本来騒がしいのは嫌なんじゃが、この落ち着く声はもっと聴きたいの〜)

 

チノ「………」

 

萌夏「(チョコ)お姉ちゃん、伴奏がないと辛い〜」

 

チョコ「そういえばあそこに、アコースティックギターが置いてありますね」

 

チノ「はい、あれは最近バータイムで、青山さんが余興で弾き始めたギターです」

 

ティッピー(昔からウチの倉庫に眠ってた、古い物じゃがな…)

 

チョコ「お借りしてもいいですか」

 

チノ「いいですよ・・・はい、これです」ヒョイ

 

チョコ「ありがとう、チノちゃん」

 

チョコ「これのチューニング(弦の音あわせ)するから待っててね…」

 

プー ペンペン…(調子笛(調律用の小さい笛)でギターを調律するチョコ)

 

ココア(そういえば、モカお姉ちゃんもギター弾いてたな…)

 

千夜(チョコちゃん、ギターも弾けるのね。楽しみだわ〜)

 

チョコ(これ古い楽器だけど、弦は張り替えてあってメンテナンスしてあるから大丈夫ね…)

 

チョコ「では、お待たせしました」

 

萌夏「萌夏(もか)とチョコで、『もちもちバンド』ミニミニライブ〜」

 

千夜「よっ待ってました〜」パチパチ

 

チノ「もちもちバンドなんて、変な名前です…。ね、ココアさん?」

 

ココア「もちもちバンド…」キラキラ…

 

チノ(ココアさん、気に入っちゃってます…)

 

チノ「でもギターと歌じゃ、バンドじゃないですよね…」

 

????「ならば、私も遊びに加えてもらって、バンドにしないかね?」

 

チノ「お父さん!?」

 

タカヒロ「素晴らしい歌声が聞こえて来たからね。私もこれで混ぜてもらえないか?」

 

千夜「チノちゃんのお父さんが持ってきた楽器、大きいバイオリンみたい」

 

ティッピー(息子の奴、とうとうウッドベース(コントラバス)を持ってきたか)

 

チノ「お父さん、前はサックスだったんじゃ…」

 

タカヒロ「確かにここでジャズを()ったときはテナーサックスだったが、青山君とギターをあわせる余興の時は、このベースが好評でね…」

 

ティッピー(ワシがうるさいのが嫌いだから、ベースを勧めたのもあるのじゃな。アコースティックギターとウッドベースだと静かな演奏に向いとるし)

 

ココア「ラビット・ハウスの木の内装と、ベースのニス塗りの雰囲気が本当に似合ってる…」

 

タカヒロ「PA(ピーエー)にこのベースを接続したから、ギターもこの線に繋ぎなさい」

【注:PA→音響拡声装置:ライブに使う、マイクや楽器からの音声のミキサー(混合器)や、エコーやリバーブなどの音響効果を付加するエフェクター、拡声装置(アンプ)、スピーカー等の、装置の総称。(操作する人の意もありますが、ここでは無人の簡易PAなので…)】

 

チョコ「わかりました(このギター、よく見るとピックアップがあって、エレアコに改造してある…)」

【注:「ピックアップ」→ギター弦の振動を磁気等で読み取って、アンプにつなげる部品。「エレアコ」アコースティックギターにピックアップをつけたギターで、エレキギターと違い、柔らかい音が鳴る】

 

タカヒロ「あと、ヴォーカルも、マイクとスタンドを準備したから、萌夏くんもそれを使って欲しい。」

 

萌夏「なんか本格的〜」

 

ココア「チノちゃん、ウチの店ってPAなんてあったっけ?」

 

チノ「ラビット・ハウスのPAはカウンターの下にあって、直接見えない位置にあるので、気づかないんです」

 

ココア「へー、そうなんだ。知らなかった」

 

チノ「ジャズをしてた時は大活躍だったようですが、今は店のBGMのアンプとして、電源のオンオフだけしか触らないから、忘れてしまいますよね」

 

千夜「甘兎庵は、BGM用の小さいアンプと店舗用の埋め込みスピーカーね。別に古いカラオケ装置があるけど、繋がってはいないわね…」

 

ティッピー(ワシが機械が目立つのは嫌じゃ、と反対したので、息子が気を使って、配線は隠蔽(いんぺい)配線、スピーカーもどこにあるかわからないように隠してセットしてあるのじゃ)

 

タカヒロ「時間がなかったので、返し(自分の演奏を聴くためのスピーカー)までは準備出来なかった。みんな、隠しスピーカーから近いのでその音を聴いて勘弁して欲しい」

 

萌夏・チョコ「わかりました。大丈夫です」

 

タカヒロ「他の調整は終了、最後にヴォーカルの音質・音量調整をするから、萌夏くん、声を出してくれないかな?」

 

萌夏「はい、あ、あ、テスト、テスト…」

 

タカヒロ「リバーブはこんな感じかな…」

【注:リバーブ→音響効果で、リバーブを強くすると、お風呂で反響するような音に変わる】

 

ティッピー(午前中だから、いままでお客はゼロじゃな。この歌を聴けるお客がもし来たら、その客は本当に幸運じゃ)

 

タカヒロ「調整完了、チョコ君、萌夏君、開始して大丈夫だ」

 

チョコ「ありがとうございます。チノちゃんのお父さん。記念にこのライブをスマホで録画させて下さい」

 

タカヒロ「ああ、OKだよ。私も青山君に見せたいので、録画させてもらうね」

 

萌夏「それでは、もちもちバンド+1(プラスワン)、ミニミニジャズライブの始まり〜」

 

千夜「いえーい」パチパチ

 

ココア「いよっ日本一!」パチパチ

 

ティッピー(楽しみじゃの〜)ピョンピョン

 

チノ「…………」

 

チノ(こんなに目を輝かせて、子供の様に、はしゃぐ父は初めて見ました。)

 

チノ(娘の私に対しては、今まで一度も見せたことのない、表情と行動です…)

 

チノ(昔、母がジャズライブする時もきっと、そうだったのに違いありません…)

 

チノ(私のすることで、父がこのようになることは、今後もきっとあり得ません…)

 

チノ(私は容姿も、性格も、得意分野も、父や母に全く似ていないのですから……)

 




 最初はアカペラ(無伴奏独唱)だったのに、チョコのギターが加わり、さらにタカヒロさんが加わって、どんどんジャズライブ化してきてしまいました。その中で、PAとか専門用語が頻出してきて解説に悩みました。
 少しでもミニライブの臨場感が出せればいいなと思いました。

 チノ母のヴォーカルスタイルは、ヘレン・メリルのようだとしてしまいましたが、これは独自設定です。
 
 拙いこの台本形式SSをお読みいただき、ありがとうございました。

*18年2/25追記
 【「もふもふバンド」が「ラビレンジャー」になっちゃった】
 この話に出てくる「もちもちバンド」は、2017年2月号まんがタイムMAX連載の6本目の、ココアが「もふもふバンド」と命名→チノが気に入る、をもじったのですが、単行本化(第6巻)の際、「もふもふバンド」のセリフそのものが、「ラビレンジャー」に変更されてしまいました。
 連載話そのものが第6巻の冒頭部分(カラーページ)に順番入替され、その中身もコマの修正、オチの入れ替え等大幅に変更されています。
 結局、「もふもふバンド」は、単行本化時、お蔵入りエピソードになってしまったのでした(甘兎庵では時代劇のBGMを流す等と同様)。
 単行本派の方は、ご注意をお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8羽 タカヒロ・リゼ父・ティッピーの、優雅なJazzLiveチュートリアル

もちもちバンド+1のジャズライブ、始動です。

途中で+2になります(サブタイトルで推測できます)。

チュートリアルとありますが、みんなで好き勝手なことを言い合いしているだけ(w)で、優雅でもありませんm(_ _)m

それでは、お楽しみいただけると幸いです。


千夜(さて、もちもちバンド+1のゲリラジャズライブinラビット・ハウス、始まりました…)

 

萌夏「まずは、さっきも演りましたが、All of meから…」

 

チョコ「いつもの調(キー)(フォー)ビート、テンポはミディアムね。タカヒロさん、この調(キー)です」ボソ

【注:調(キー)→その曲がCメジャー(クラシックでは「ハ長調」)とかFマイナー(同 へ短調)の調(調性)であることを言ってます。】

【注:4ビート(フォービート)→『ときめきポポロン』の「ハートもふもふ〜」付近のリズムが代表例(少々アップテンポですが)】

【ミディアム(テンポ)→アップテンポとか、スローテンポではなく、中庸なテンポのこと。スローだとスローテンポとか、バラードとか言います。】

 

タカヒロ「了解」ニコ

 

チョコ「あとはさっき萌夏と打ち合わせちゃったんですけど、この曲目でいいですか?」つメモ

 

萌夏「プレイリスト(曲目)と、調(キー)と、リズム、テンポが書いてあります…」

 

タカヒロ「助かるよ。うん、スタンダード(曲)で、キーも普通の女性ヴォーカルでよく使うキーばかりだから、大丈夫だ…」

【注:スタンダード→曲目がオリジナル曲やマイナー、マニアックな曲ではなく、「All of me」のように、ジャズでは有名で、ジャムセッション等でもよく演奏されるような曲のこと】

 

チョコ「ありがとうございます」ペコリ

 

萌夏「よろしくお願いします。タカヒロさん」ニコッ

 

タカヒロ「ああ…」テレッ

 

チノ「…………」

 

チョコ「それでは、8小節イントロで…」

 

♪〜

 

千夜「チョコちゃんのギターからイントロ入って、萌夏ちゃんが歌ってる」

 

ココア「タカヒロさんのウッドベースと、チョコちゃんのギターの伴奏も、いい感じだね」

 

ティッピー「ギターはロックで使うエレキギターじゃなくて、ジャズ系のエレアコギターの渋い音色じゃから、ワシもこの音は好きじゃ…」

 

千夜「聴いてて癒やされる歌声ね…」

 

ココア「気持ちいい〜最高だよ〜」

 

チノ(私もあんなふうに歌えたら…声が出たら…)

 

ギイー カランカラン

 

チノ(誰だろう)

 

リゼ「よう、チノ。なんか面白いことをやってるな」

 

ココア「あ、リゼちゃん、おはよう」

 

千夜「おじゃましてま〜す」

 

チノ「リゼさん、よろしくお願いします(そういえば、もうリゼさんの出勤時間でした)」

 

リゼ「それで、チノには悪いんだが、余計なのを連れて来ちゃって、申し訳ない…」

 

リゼ「どうしても行きたいって、止められなくてな。私としては恥ずかしい限りなんだが…」

 

???「余計なのとは何だ、自分の父親に向かって。こんな胸踊るギグはもう無いかも知れないんだぞ」

【注:ギグ→ミニライブのこと。生演奏で小規模なライブによく使います。ロックでも多用しますが、もとはジャズ発祥の言葉のため、リゼ父はこの用語を使ってます】

 

千夜「もしかして、あの眼帯…」

 

ココア「リゼちゃんのお父さん?」

 

リゼ父「俺も、このバンドにシットイン(飛び入り参加)させてもらうぞ。今から準備するからな」

 

リゼ「もう、娘の職場に父親が来るなんて、最悪だ…」

 

リゼ父「リゼ、勘違いするなよ。今の俺は音楽をしに来たんだ。リゼがここの職場かどうかは今日は関係がない」

 

リゼ父「だから、俺がいないように振る舞ってもらって構わないさ…俺はギグが終わったらとっとと消えるからな…」

 

リゼ「了解だ、親父。(親父のヤツ、そこまでして()りかったんだ…)」

 

リゼ父(…なるほど、タカヒロからのメール通り、タカヒロの妻(チノの母)がステージにいるようにしか見えんな…)

 

ココア「ところで、リゼちゃんのお父さんってなんの楽器を()るの?」

 

リゼ父「これだ」

 

チノ「(テナー)サックスなんです。父(タカヒロ)とおんなじ楽器です」

 

リゼ父「タカヒロとこれでよくバトル(同じ楽器で演奏しあうこと)をしてたのさ」

 

リゼ「戦場でのバトル(戦い)とスペルも意味も同じだけどな」

 

千夜「まあ、かっこいい…」

 

ティッピー(リゼの父が来ると、演奏がうるさくなってワシは好かんぞ…)

 

※2曲め終了

 

チョコ「タカヒロさん、あちらにミュージシャンがいますね…」

 

タカヒロ(なんだ、あいつ。メールしたのは確かに俺だが)

 

リゼ父「おい、タカヒロ。俺もその楽しい集まりに、混ぜてくれ」

 

タカヒロ「お前のテナー(サックス)じゃ、アグレッシブ過ぎて、歌伴(うたばん)(歌の伴奏)には向かん。お前が入ると、ヴォーカルより目立っちまう」

 

ティッピー(リゼ父のスタイルは、現代的で音が大きく、和音から外れたように聴こえるフレーズを多用するので、うるさいんじゃ)

【注:外れたように聴こえる→アドリブをするときに、リゼ父はアグレッシブな演奏スタイルのため、その和音に合わないように聴こえるスレスレのフレーズ(旋律)を使うことが多い為】

 

リゼ父「じゃ、俺がベースやるから、お前がテナー(サックス)でフロントをやるならどうだ」

 

タカヒロ(そこまでして、演りたいんだな…)

 

タカヒロ「わかった。ベースは俺のを使ってくれ。以前青山くんとの余興でお前も演ったことがあるから大丈夫だろ。俺はサックスを持ってくる」

 

リゼ父「了解だ…」

 

萌夏「飛び入り参加がありますので、すこしお待ちください…」

 

*打ち合わせ・準備中…

 →打ち合わせは終了…

 

チョコ「それでは準備の時間を利用して、私と萌夏だけで、『Desafinado』(ディサフィナード)…」

 

リゼ「ボサノバだな…」

 

千夜「落ち着くわ」

 

ココア「うっとり…」

 

チノ「よく聞くと、英語じゃないんですね」

 

ティッピー「アントニオ・カルロス・ジョビン作曲のディサフィナードじゃな。ポルトガル語じゃ。意味は「音痴」じゃが、いい曲じゃ」

 

チノ「私も、萌夏さんのように美しく歌いたいです。私もジャズ・シンガーの母の娘の筈なのに、なんで音痴で下手なんでしょう…」

 

ティッピー「チノ……」

 

ガヤガヤ

 

リゼ「ココア、よく考えたら、私達仕事中だ。お客がいつの間にかこんなにたくさん…」

 

ココア「つい聞き惚れちゃった。チョコちゃん達には悪いけど、仕事モードに戻るよっ」

 

チノ「ぽ〜〜〜っ」ブツブツ

 

リゼ「おい、チノ、仕事だぞ」

 

ココア「チノちゃん、どうしたの!?」

 

ティッピー「チノ、大丈夫か」

 

チノ「ぼ〜〜〜〜」ブツブツ

 

ティッピー(チノ………)

 

リゼ「ダメだ。チノは固まって全く動かない」

 

千夜「リゼちゃん、ココアちゃん、私、手伝うわ」

 

リゼ「千夜、悪いが頼む」

 

ココア「千夜ちゃんありがとう、本当にごめんね」

 

カランカラン

 

シャロ「今バイトの休憩時間〜、皆ラビットハウスにいるって千夜やチョコ達からメールもらったので、来ました〜」

 

シャロ「なんか美味しいものでも食べよ〜」

 

シャロ「ってなにこれ。なんでこんなに混んでるの?」

 

リゼ「おおシャロか、いいところへ来た」

 

シャロ「リゼ先輩!?」

 

リゼ「いま緊急事態だ。チョコ達のライブ演奏でお客が急に集まりだして、悪いことにチノが体調不調で動けない」

 

リゼ「千夜も援軍に入っている。休憩時間中の手伝える時間だけで良いので、シャロにも援軍を要請する」

 

シャロ「わかりました」

 

ココア「ありがとう、シャロちゃん」

 

シャロ「んもう、チノちゃんになんか悪いことしたの? ココア」

 

ココア「それが、全くわかんないんだよ」

 

千夜「シャロちゃん、ココアちゃんのせいじゃないわ」

 

ココア「あと、ステージ見て? チョコちゃん達、とっても凄いんだよ」

 

シャロ「え? チョコがギター弾いてる。ヴォーカルは妹の萌夏ちゃん?」

 

千夜「そう。聞き惚れちゃうわよ。録画してあるから、あとでシャロちゃんにも見せるわ」

 

シャロ「で、リゼ先輩のお父さんがベースで、チノちゃんのお父さんがサックス?」

 

千夜「そう」

 

リゼ「親父も途中から飛び入りでな…」

 

シャロ(チョコのギター、確かにリラックスするわね。ハーブティーを飲んでるみたい。あと萌夏ちゃんのヴォーカルは確かに凄い。一見さんのお客さんを、今も集め続けてる)

 

ティッピー(息子のテナー(サックス)は、ベン・ウェブスターとか、スコット・ハミルトンとか、スイングに近いスタイルじゃ。静かで、萌夏のヴォーカルやチョコのギターと良く溶け合ってる)

 

ティッピー(それでいて、このもちもちバンド+2は、ドラムレス(ドラムが入っていない編成)ながらドライブ感もあり、今の明るいこの店の雰囲気にピッタリじゃの)

 

ティッピー(でも、萌夏もまた帰ってしまうので、このライブがもう聴けないのは残念じゃ…)

 

ティッピー(あと、気がかりなのはチノじゃ。何にショックを受けとるのか…)

 

 




最後にシャロが出てきますが、どうしてもココアにツッコミますね〜
(なので、ごちうさメンバーでは貴重なツッコミ要員なんですね)

それと、とうとうリゼ父まで登場してしまいました(キャラを動かしていたら、勝手にリゼについてきてしまった)。父娘で登場するのはめったにないので、慎重にやりましたが、もし原作と違うと思ったらごめんなさい。

原作のチノ母のライブ写真から、後ろでタカヒロとリゼ父(眼帯をしている)と思われる人物が、同じテナーサックスを吹いていることから、着想しました。

ただ同じテナーでも、リゼ父は派手なアグレッシブスタイル、タカヒロは落ち着いたスイングジャズ系の静かな感じで、全くスタイルが違うように設定しました。

でも同じ楽器2台だと、今回はバランスが悪い(伴奏者がベースとギターしかいない)ので、バトル演奏は見送りました。リゼ父にはタカヒロの代わりにベースを担当してもらいました。

萌夏は、チノ母にそっくり設定ですので、性格は天然で積極的に明るくしてます。容姿も、原作の思い出写真(5巻とか、6巻あたり)出るチノ母を若くしてもらえばいいと思います。身長はチョコ(ココア)より低いですが、チノよりは高いです。

チノは、逆に両親に似ていないことを気にしているようです。

最後に、この拙いssをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9羽 スターダスト・ルート66・私たちの愛はずっとここに

ミニミニライブも佳境に入り、盛り上がります。

チノが動かないため、ラビット・ハウスは注文が集中し、ピンチを迎えます。

その時、リゼ父まで出たのに今まで登場しなかった、あのごちうさ重要メンバー2人がラビット・ハウスに来て、お手伝いで大活躍します。

千夜も、一曲だけですが、ジャズを歌います。

それではお楽しみいただけると幸いです。


シャロ(チョコのギターと、萌夏ちゃんの声に誘われて、お客さんが増えたラビット・ハウス。順調にミニミニライブが進んでます)。

 

チノ「……(お父さんのサックスと萌夏さんの歌で、お父さんと萌夏さんが嬉しそうに会話してるみたいに聴こえます。その合間にチョコさんのギターや、リゼさんのお父さんのベースが楽しそうにソロで入ってお話して来ます…)」

 

チノ(私もその会話に参加したいです…。でもその(すべ)がありません…お父さんみたいに楽器は出来ないし、お母さんと違って歌はヘタだし…)シュン

 

 

※一方、厨房では…

 

 

リゼ(注文が多すぎて手に負えないぞ。飲み物をチノが作れれば回るのに、チノの分まで私がやってるから…)

 

ココア「リゼちゃん、パスタの注文がまた4人分入ったよ…。コーヒーもオリジナルブレンドも4つ追加ね…」

 

千夜「パスタは私が作るわ。リゼちゃんは飲み物お願い」

 

リゼ「わかった。悪いな千夜」

 

千夜「シャロちゃん、3番と7番テーブル、注文をお願い…」

 

シャロ「了解、千夜。でも、圧倒的に戦力不足ね…私も居られる時間が限られるし…」

 

カランカラン

 

マヤ「おーす、チノ」

 

メグ「こんにちは〜」

 

シャロ「マメちゃん、いいところへ来たわ」

 

マヤ「シャロじゃん。どうしたの?」

 

メグ「チノちゃん、ぼーっとして動いてないね…」

 

リゼ「マメには申し訳ないが、この通りのお客の入りだ。助けてくれないか…」

 

マヤ「クリスマスでもないのにスゲーじゃん」

 

メグ「あれ、ココアちゃんがギター弾いてる」

 

ココア「カクカクシカジカ…で、ギターのあの娘はチョコちゃんて言うの。私じゃないよ…」

 

メグ「あれあれあれ〜 ココアちゃんが二人〜」

 

マヤ「ココアとチョコって、区別つかないよな…。同じにしか見えないよ…」

 

メグ「ほんとね〜」

 

千夜「マメちゃん、お手伝いお願いして、大丈夫?」

 

マヤ・メグ「妹達にまかせなさ〜い」ビシッ

 

リゼ「本当はお客で来たのに、スマンな…(マヤ・メグのラビット・ハウスの制服、こんな時のために作っておかないとな…)」

 

ココア「メグちゃん、マヤちゃん、ありがとう」

 

ココア(今日は普通のエプロンの千夜ちゃんとシャロちゃんも、ラビット・ハウスの制服を着てほしいな)

 

ココア(そうだ、後でチノちゃんのお母さん作の、緑と黄色のつくりかけの制服を、仕上げちゃおう…)

 

千夜・シャロ「本当に悪いわね…」

 

マヤ・メグ「お安い御用だよ(です〜)」

 

シャロ「じゃ、メグちゃん悪いけど、このキリマンジャロを2番テーブルにお願い」

 

メグ「了解です〜」

 

シャロ「マヤちゃんは、6番テーブルのお客の注文聞いてきて…」

 

マヤ「がってん承知!」

 

シャロ「まったく、お酒の注文まで入っちゃって… ま、ライブだから終わり頃になれば注文もなくなるわ…」

 

※しばらくして

 

ココア「シャロちゃん、本当に注文が無くなってきてる。良く知ってるね〜」

 

リゼ「確かにお客は演奏に集中するからな。そのかわりライブが終わらないとみんな帰らないが…今、立ち見が何人も出てるぞ」

 

シャロ「悪いけど、私、今行ってる別のバイトに戻らなきゃならないから、これで失礼するわ。あとはマメたちに任せるわ…」

 

千夜「シャロちゃん、ありがとう。短い時間だけど、一緒に仕事が出来て良かったわ…」グス

 

千夜(甘兎庵でもシャロちゃんと一緒に…)

 

シャロ「私も嬉しかったわ。千夜…」

 

リゼ「シャロ、助かった。ありがとう」

 

ココア「助かったよ。シャロちゃん」

 

シャロ「どういたしまして。いま演奏中のチョコや萌夏ちゃんたちにもよろしく伝えて…」

 

ココア「うん。気をつけてね…」

 

リゼ「わかった。またな、シャロ…」

 

シャロ「リゼ先輩、お願いします。千夜、ココア、またね…」

 

※シャロはラビット・ハウスから、午前中に仕事をしていたアルバイト先に戻った。

 

 

―ライブは順調に進み、最後の曲も終わる。が、盛大なアンコール―

 

萌夏「それでは、もちもちバンド+2 アンコール曲、『ルート66(シックスティーシックス)』!」

【注:『ルート66』→吹奏楽系の編曲など、ジャズファン以外でも知られている、軽快な曲。アメリカのシカゴから、サンタモニカまで東西に横切る国道をアグレッシブに運転するように、途中通過する都市名を歌詞に織り交ぜ、明るく歌う曲です。アップテンポであることが多いです】

 

会場「イェーイ」

 

ココア「みんな手拍子してる」

 

千夜「楽しい〜」

 

リゼ「なんか熱気が凄い…」

 

*『ルート66』演奏も終わり、最後は大喝采。

 

萌夏「それでは、もちもちバンド+2、最後にもう一度メンバーを紹介します。テナーサックスとベース、香風タカヒロ」

 

パチパチパチ…(会場拍手)

 

萌夏「ギター、チョコこと相須千代子、ベース、天々座(注:名前原作未設定)さん!」

 

パチパチパチ…(会場拍手)

 

萌夏「最後に、ヴォーカルは相須萌夏でした!」

 

パチパチパチ…(会場拍手)

 

萌夏「今日はどうもありがとうございました」一同ペコリ

 

パチパチパチ…(会場大拍手)

 

*(お客が帰り始めた)ザワザワ

 

リゼ「会計に列が出来てる…ココア、悪いが一緒に頼む」

 

ココア「イエス・サー リゼちゃん。得意分野だから任せて…メグちゃんも手伝ってね」

 

メグ「は〜い]

 

 

千夜「リゼちゃんとココアちゃん、メグちゃんは会計に行ったわ…」

 

マヤ「すげー、3列にお客が並んで会計やってる」

 

タカヒロ「やあ、君たち、今日はありがとう」

 

千夜「タカヒロさん、素晴らしいライブでした…」

 

タカヒロ「私は、バータイムの準備があるから、厨房へ行くよ。もし注文があったら作るから伝えて欲しい」

 

千夜「わかりました。」

 

マヤ「お〜い、チノ、なんでさっきからそこに座ったまま、ぽーっとしてるんだ?」

 

チノ「えっ はっ あ、マヤさん、こんにちは」アセアセ

 

ティッピー(ようやっと、正気に戻ったか…)

 

マヤ「『こんにちは』じゃねー。私達、ずっと手伝ってたの知らないの?」

 

チノ「随分会計にお客がいますね…こんなに混むの、初めてです…」

 

マヤ「私とメグが来る前から、チノはずっとそこにいたのに、どうしたんだよ…」

 

千夜「そうよ、どうしたの?」

 

チノ「あ…あの、歌が素晴らしかったので、感動でぽへーっと…」

 

マヤ「そうならいいんだけど、チノずいぶん浮かない顔してたよ?」

 

ティッピー(感動とは違うような気がするのじゃが…)

 

千夜「体調がどこか良くないの? チノちゃん」

 

チノ「ごめんなさい、マヤさん、千夜さん。悪いのは私です…」

 

ティッピー(チノ……)

 

*その時、チョコと萌夏が、ステージから戻ってきた

 

チョコ「ふう、終わった…」

 

萌夏「もう、声が出ないよ〜」

 

千夜「チョコちゃん、萌夏ちゃん、お疲れ様」

 

チョコ「あれ、初対面の娘がいるね〜」

 

マヤ(チョコって本当にココアそっくりだな…)

 

マヤ「初めまして。私はマヤだよ あっちでリゼとココアと一緒に会計してるのが、メグ」

 

千夜「こちらが条河 麻耶(じょうが まや)ちゃんで、マヤちゃん。あちらの会計にいるのが、奈津 恵(なつ めぐみ)ちゃんで、メグちゃんね」

 

チョコ・萌夏「マヤちゃん、初めまして〜」

 

マヤ「よろしくね。ここに居るチノと、私、あっちのメグで、『チマメ隊』ってよばれているんだ〜」

 

萌夏「へえ〜」

 

チョコ「仲がいいんだ」

 

千夜「ところで、チョコちゃん、萌夏ちゃん、お二人共凄いわね。」

 

マヤ「聞き惚れちゃったよ」

 

チノ「感動して、魂が耳から抜けてしまいました」

 

ティッピー(素晴らしい歌じゃの〜)

 

萌夏「ありがとう」

 

マヤ「チョコは歌わないの?」

 

チョコ「私は音痴でダメなんだよ… こんな感じになっちゃう」

 

ギタージャカジャカ

 

チョコ「♪♯ごはんができたよ〜〜♭ ♯食〜べないなら食べちゃうよ♭〜√」ホゲエエ

 

萌夏「(チョコ)お姉ちゃん、やめて〜」

 

マヤ「止めてくれ〜耳から魂が出る〜(これは酷い)」

 

チノ(ココアさんもこんな感じだったような…)

 

千夜「ブラボー、ココアちゃんと同じだわ。耳から魂出ちゃった」パチパチ

 

ティッピー(千夜よ、褒めたらまずいじゃろ。()に乗ったらどうするんじゃ)

 

チノ(おじいちゃんは、(あたま)に乗ってますが…つまんないし関係ないから、言うのはやめましょう…)

 

萌夏「(チョコ)お姉ちゃんは、歌うか弾くかどっちかに集中すれば、とってもいいんだけど」

 

チョコ「歌は萌夏には絶対敵わないし、私は萌夏の歌の伴奏してたほうが、ずっと気持ちいいよ…」

 

萌夏「私もお姉ちゃんの伴奏が、一番歌ってて気持ちいいもん!」

 

千夜「ほほえま〜」

 

お客「あの…」

 

マヤ「(帰らないで残ってるお客さんだ…)はい、なんでしょう」

 

お客「もう、終わりですか…あとから入ってきたもので…もう一曲聴かせてくれませんか…」

 

チノ「申し訳ありませんが、ライブは終わりです…」

 

お客「えーっ もっと聴きたいな〜」

 

チョコ「ごめんなさい。萌夏はもう限界で、勘弁して下さい」

 

萌夏「お客さん、ごめんなさい」

 

お客「じゃ、萌夏さんじゃなくて、だれか歌ってくれませんか…」

 

チノ(う〜ん、私とチョコさんは音痴でダメ…)

 

お客「お願いします。一曲だけでいいので」

 

マヤ「私も上手くないのでごめん」

 

千夜「私が、ひとつだけ知ってるの、歌っていいですか?」

 

チノ「千夜さん…」

 

千夜「曲は、『女一人音頭』…じゃなかった、これよ。チョコちゃん、悪いけど伴奏お願い」

 

チョコ「キー(調)はFメジャー(ヘ長調)ですね。なら暗譜で行けます」

 

千夜「速さはこんな感じで、イッツ・ベリー・クリアー…から歌うわ」

 

チョコ「(フォー)ビートで、ヴァース(導入部)はなしで、コーラス(主題部)からですね。4小節イントロやります」

【注:フォービート…ジャズ系リズムの一種。『ときめきポポロン』の「ハートもふ〜も〜ふ」付近をすこし遅くすると、これに近いリズムになります】

【注:ヴァース…歌の導入部。ジャズ系の歌で、主題部の前で歌われる歌詞。千夜のように省略することも多い。】

【注:コーラス…主題部分のこと。今回は導入部分を省略して、主題部分(It's very clear〜)から歌うことを意味しています】

 

千夜「それでは、今ここにいるみんなの為に、あと今ここにいないシャロちゃんの為に…」

 

千夜「私たちの愛はずっとここに…『(Our) Love is here to Stay』((アワ)ラヴ イズ ヒア トゥ ステイ)…」

 

♪〜

 

チノ(チョコさんのギターが静かにイントロを弾きはじめました。千夜さんの歌って演歌ってイメージなのですが…)

 

千夜「♪〜It's very clear…

(千夜はシャロを思って歌ってます。千夜的解釈です…)

 

『とてもハッキリしてるわ。

私達の愛がここにあって、ずっと変わらないこと。

 

1年じゃないわ。永遠とプラス1日よ。

 

ラジオ、電話、映画のような、

私達が今知っているこれらのモノも、

通り過ぎる幻想で、何時かどっか行っちゃって、

無くなっちゃうかもしれないわ。

 

でも、あのね、私達の愛はここにあって、永遠に変わらないの。

 

私達、ずっとずっと一緒よ。

 

ロッキー山脈も、(堅牢で知れる)ジブラルタル砦も、

いつかは崩れちゃうかもしれない。

だって、ただの土で出来ているんだもん。

 

でもね、私達の愛はここにあって、永遠に変わらないの。』

 

(シャロちゃん…)

Our love is here to stay〜♪」

 

ティッピー(ガーシュインじゃの…萌夏とは違う、やさしさと癒やしじゃな…)

 

萌夏(癒やされる…友達を思う心情が伝わってくる…)

 

チノ(千夜さんは演歌だけでなく、こういうのも歌えるんですね…)

 

マヤ(千夜すげー、普通にジャズ歌ってる。演歌の歌い方じゃない…)

 

〜♪*歌終わり…

 

お客&一同 パチパチパチ…

 

お客「素晴らしい…」

 

千夜「皆、ありがとう(シャロちゃん思い出しちゃった…)」グスッ

 

リゼ「千夜、凄いじゃないか」

 

ココア「心こもってる。感動だよ」

 

メグ「千夜さん、歌上手〜」

 

千夜「リゼちゃん、ココアちゃん、メグちゃん、いつの間に…」

 

リゼ「会計が一段落したからな…」

 

チノ「もう一曲お願いできませんか、千夜さん」

 

ココア・チョコ「アンコール」

 

マヤ「千夜、他にも出来るんだろ?」

 

千夜「ごめんなさい、私はジャズはこの一曲しか知らないの…」

 

千夜(シャロちゃんと喧嘩したり、疎遠になりかけると、この曲を聴いたり歌ったりして、我が身を振り返るのよ…)

 

萌夏「(千夜さんに負けられない…)最後に私が一曲歌わせてもらいませんか。」

 

お客&一同 パチパチパチ(是非聴きたい)

 

萌夏「本当に今日はありがとうございました。では、『Stardust』(スターダスト)…(チョコ)お姉ちゃん、伴奏お願い」

【注:『Stardust』(スターダスト)→古い世代では、シャボン玉ホリデーという番組のエンディングテーマとして、有名。最後にギターソロがあります。通常、ゆっくりしたテンポで、バラードとして歌われる。ライブの最後を飾ることも多いです。】

 

チョコ「お客さまも、みなさまも、私、感謝してます。こんなに良くしてくれて、とっても嬉しいです…」

 

ティッピー(最後にふさわしい、スローナンバーじゃの…)

 

リゼ(スターダストというスローな曲で、ライブは〆となり完全終了した…)

 

リゼ(親父は最初言ってた通り、いつのまにか店からドロンと消えていた…)

 

リゼ(心配なのはチノだ。どうしたんだろう…)

 




 マヤ・メグがやっと登場しました。危機を救ってくれるので、頼もしい限りです。
 千夜の「女一人音頭」ですが、アニメオリジナルで、1部第12羽の、千夜がマイクを持って古いカラオケ装置が出てくる場面で、ブラウン管に曲名が表示されています。(原作は無表示)なので、演歌の得意曲ということにしました。
 あと、私たちの愛はずっとここに『Our Love Is Here To Stay』の原詞「Together we're going a long, long way」の部分は、千夜の「私達、ずっと一緒」とシャロに語っている意味と全く同じなので、千夜のセリフを生かしました。

 次回は、萌夏とチノがからみます。

 この拙いssをお読みいただき、ありがとうございました。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10羽 お話をするお話

大変お世話になります。

もちもちバンド+2のライブが終わりました。
とうとう、萌夏とチノがお話します。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。

追伸:萌夏が歌う歌の『My Romance(マイ・ロマンス)』ですが、早いテンポの演奏もありますが、萌夏はゆっくりしたテンポ(バラード)で歌ってます。


 

 

―ライブ終了後、ラビット・ハウスにて―

 

マヤ「ココアとチョコ、二人並んでみせてよ」

 

ココア「うん…」

 

チョコ「はい、ココアちゃんと並んだよ…」

 

メグ「おんなじ人がふたり〜」

 

リゼ「ココアがラビット・ハウスの制服着てなかったら、わからないな」

 

千夜「ココアちゃんの方が、0.3センチほど背が高いわ」

 

マヤ「そんなのわかんないよ」

 

千夜「あと、チョコちゃんの方が筋肉質というか、体型が微妙に締まった感じね。よく見てもわからない程度だけど…」

 

リゼ「そう言われても、全く同じにしか見えないよ千夜。髪の毛の色も眼の色も同じだし」

 

メグ「ぜんぜんわかんないよ〜」

 

チョコ「そういえば、千夜ちゃんはすぐ見抜いてましたよね。私がココアちゃんじゃないってことを」

 

千夜「私は毎日、ココアちゃんに学校で会っているから、たまたま気付いただけだわ…」

 

ココア「でも千夜ちゃんは凄いよ」

 

リゼ「不思議な能力だな、千夜の…」

 

 

*連絡先等を交換しあうマメとチョコ萌夏

 

メグ「よろしくね〜 チョコちゃん、萌夏ちゃん(会計手伝いで、自己紹介出来なかったので…)」アセッ

 

チョコ・萌夏「よろしくね、メグちゃん」

 

メグ「萌夏ちゃんは私達と同い年なんだね〜。誕生日は12月4日って…」

 

マヤ「チノと同じじゃん」

 

メグ「あ、本当だ」

 

チノ「…………」

 

チョコ「萌夏は、ここ木組みの街で生まれたんだったよね」

 

萌夏「そうなんです。まわりの親戚や母がそう言ってました」

 

チノ「えっ(まさか)…………」

 

マヤ「萌夏の身長は、シャロよりちょっと低いくらいだよね、羨ましい」

 

メグ「(チマメ隊で一番背が高い)私よりも背が高いよ〜 いいな〜」

 

チョコ「姉妹っていっても、萌夏は私よりちょっと低いくらいだよ。近いうちに追い抜かれるんじゃないか、っていつも思っちゃう」

 

萌夏「チョコお姉ちゃんは、シャロちゃんや千夜ちゃん、ココアお姉ちゃん達と同じ学年で、4月生まれ。まさかココアお姉ちゃんと同じとか…」

 

チョコ「残念でした。私は4月11日で、ココアちゃんとは一日違うよ〜」

 

ココア「えへん、じゃ、私のほうがお姉ちゃんだね!」

 

チョコ「ココアお姉ちゃん…」テレ…

 

ココア「お姉ちゃんに任せなさ〜い」ビシッ

 

チョコ「うわ―眩しい(演技)」

 

萌夏(…(チョコ)お姉ちゃんのオーラの方が100倍強いよ…)

 

ティッピー(能ある鷹は爪を隠す、ってところじゃな…)

 

・・・・・・・・・・

 

萌夏「皆さん、本当に今日はありがとうございました…」

 

チョコ「私達、すっごく楽しめました。皆さんのおかげです」

 

チノ除く一同 パチパチパチ

 

リゼ「チノ、なんでさっきからぽへーっとしてるんだ」

 

マヤ「そうだよ。散々メグたちで手伝ったのに、話しかけても返事ないし…」

 

メグ「どこか調子が悪いの? 今日のチノちゃんおかしいよ〜」

 

千夜「心配事があるのなら、相談してね」

 

萌夏「私の歌も、チノちゃんだけ変な顔して聴いてるし、凄く気になっちゃって。私や私の歌が気に入らなかったの? 」

 

チノ「いえ、そんなんじゃありません…」

 

萌夏「じゃ、モフモフするから許して、ね、チノちゃん」モフモフ

 

チノ「う……(この香り、声…)」モフモフ

 

ココア・チョコ(いいなあ〜もふもふ〜)

 

チノ(なんかドス黒い感情が、何度も湧き上がって…でも「違う」って思うことで何とか抑えて…)

 

リゼ「おいチノ、マメたちに謝れ。お前のかわりに仕事たくさんしたんだぞ…」

 

マヤ「メグなんか、大変だったんだよ」

 

千夜「今、その話は…」

 

チョコ(チノちゃん混乱させてるよ…)

 

チノ「〜〜〜〜〜〜〜〜っ」モフモフ

 

ダッ バタン ドタドタトタトタ……

 

千夜「萌夏ちゃん振りほどいて、チノちゃん2階へ上がっていっちゃったわ」

 

リゼ「チノ!」

 

マヤ・メグ「チノ(ちゃん)…」

 

萌夏「チノちゃん…」グス

 

ココア・チョコ「………」

 

ティッピー(ワシも振り落とされたのじゃ……)

 

ココア「まず萌夏ちゃん、チョコちゃん、千夜ちゃん、リゼちゃん、マヤちゃん、メグちゃん。チノの姉として、今回のことは私が謝ります!」

 

ココア「本当にごめんなさい!」ペコ

 

リゼ「ココアが謝ること、無いぞ」

 

マヤ「そうだよ」

 

メグ「ココアちゃん、頭上げて…」

 

チョコ「………(萌夏がいたずらして、他人に迷惑かけて、私が代わりにそのひとに謝ったのを思い出した…)」

 

千夜「(ココアちゃん、お姉ちゃんしてる…)リゼちゃん、今日はこのあたりで勘弁してあげてね…」

 

リゼ「ああ、ココアにあそこまでやられちゃな…勘弁も何も…。じゃあ、時間も遅くなるので、今日はこれであがらせて貰うよ。」

 

マヤ・メグ「私達もこれで…」

 

ココア「ありがとう、リゼちゃん、メグちゃん、マヤちゃん…」

 

*リゼ、マメ帰宅

 

ココア「千夜ちゃん、チョコちゃんはここ(店内)で少し待ってて。萌夏ちゃんはちょっと私と一緒に来てね…」

 

ココア「お店はバータイムになるので、タカヒロさんにお願いしてきたから…」

 

ティッピー(ワシも店番じゃ。頼んだぞココア…)

 

トタトタ

 

ココア「ここがチノちゃんの部屋の前…」

 

萌夏(このドアの向こうがチノちゃんの部屋…)

 

ココア「じゃ、私が先に入るから、私がいいって言ったら入ってきてね、萌夏ちゃん」

 

萌夏「はい…ココアお姉ちゃん」

 

 

―チノの部屋―

 

*チノはベットに潜り込んでいる

 

チノ「う〜〜〜〜〜っ」

 

チノ「私は何てことをしてしまったんでしょう…」

 

チノ(萌夏さんからは、亡き母の匂いと声がします)

 

チノ(萌夏さんと母は、血のつながりがあるようにしか思えません…)

 

チノ(それにひきかえ、私は……)

 

コンコン(ノックの音)

 

ココア「チノちゃん、入ってもいいかな?」

 

チノ「ココアさんですか、どうぞ…」

 

ガチャ ギイー(扉が開く音)

 

ココア「おじゃましまーす。チノちゃん、寝てたんだね。ちょっといいかな…」

 

チノ(ココアさんが私のベッドの脇に椅子を持ってきて座りました。ココアさんが私の傍らに…)

 

チノ「ココアさん、リゼさんたちは…」

 

ココア「リゼちゃんと、マメちゃんは帰ったよ…」

 

チノ「そうですか…」

 

ココア「チノちゃん…」

 

チノ「はい…(ココアさんの優しそうな表情、癒やされます)」

 

ココア「チノちゃん、今思ってること、苦しいことまだあるなら私に言ってごらん、楽になるよ…。決して誰にも言わないから……」

 

ココア「チノちゃんの苦しそうな顔、見るの私やだよ…」ウルウル

 

チノ「ココアさん…」

 

ココア「ねっ…」ニコッ

 

ポタッポタッ

 

チノ(ココアさんが泣いてます。でも優しい笑顔を見せてます…)

 

チノ(そして私の手を取っていたので、ココアさんの涙が私の手の甲にこぼれ落ちてきます…)

 

チノ「ココアさん、実は、萌夏さんが、私の母と瓜二つなんです…」

 

ココア「うん…。確かに、以前、チノちゃんにお母さんのアルバムを見せてもらったけど、本当にそっくりだよね…」

 

チノ「なんか、私の母と血のつながりを、どうしても感じてしまうんです」

 

ココア「そうだったんだね」

 

チノ「私の父が萌夏ちゃんに、私に絶対見せない、違う一面を見せてました」

 

ココア「タカヒロさん、ノリノリだったね。でも、あんなに見せつけちゃって…私がチノちゃんだったら、耐えられないよ…」

 

チノ「あと逆に、私は、父母どちらにも似てないんです。父や母に似ていれば、背の高さだって、萌夏さん並に高いはずですし…。萌夏さんと私、取り違えられてるんじゃないかって黒い感情が…」

 

ココア「うん……うん…」

 

チノ(ココアさんは、ずっと真剣に相槌(あいづち)を入れながら、私の話を聞いてくれました。ココアさんに打ち明けることで、心が随分軽くなりました… ココアさんはそういうところが本当に魔法使いです…。そして…)

 

ココア「でも、チョコちゃんと私みたいに他人の空似とか、似てなくても隔世遺伝(かくせいいでん)ってのもあるし、チノちゃんの誤解もあるのかも知れない。このことはお姉ちゃんの私にまかせて…」

 

チノ「はい」コク

 

ココア「今日のこのことは、タカヒロさんも含め誰にも言わないから。チノちゃんと私だけの秘密だよ…」

 

チノ「……」コクッ

 

ココア「チノちゃんの悩みは、ココアお姉ちゃんが解決してみせます!」

 

チノ「ココアお姉ちゃん…」

 

ココア「お姉ちゃんに任せなさ〜い!」ビシ

 

チノ(いつもと同じ、頼りないココアさんのオーラしか出ていないはずですが、この時はモカ(ココアの姉)さんやチョコさんのオーラよりも激しく、他の誰よりも強いものを感じました)

 

チノ「ありがとう…お姉ちゃん」ダキ

 

ココア「チノ……ちゃん…」ギュッ

 

*しばらくそのまま時は進んだ…

 

ココア「でもね、ひとつだけチノちゃんに考えて欲しいのは、萌夏ちゃんたちが「楽しい」を伝えようとしているのに、チノちゃんがそれを壊そうとしちゃったこと」

 

チノ「あ………」

 

ココア「リゼちゃん達には、私が代わりに謝ったし、明日以降にチノちゃんが会った時でいいから。それよりも、お姉ちゃんのお願いは、今すぐ萌夏ちゃんの「楽しい」をチノちゃんに感じて欲しいのと、萌夏ちゃんとも一緒に「楽しい」を話せるようになって欲しいなーって…」ニコッ

 

チノ「(ココア)お姉ちゃん、私……」グスッ

 

ココア「萌夏ちゃん、お待たせ! 入って来て…」

 

ガチャ…

 

萌夏「失礼しま〜す」

 

チノ「萌夏さん…」

 

萌夏「チノちゃん…」

 

ダキッ

 

ココア「あとは、私がいても邪魔なだけだから、ふたりでお話してね…」

 

萌夏・チノ「はい!」

 

ココア「萌夏ちゃんは、私が座ってた椅子を使ってね…」

 

萌夏「わかりました。ココアお姉ちゃん」

 

*ココアは出て行き、萌夏がココアがいた椅子に腰掛けた。

 

チノ「本当に萌夏さん、ごめんなさい。あまりにも私の母に似ていたので…つい」

 

萌夏(実はココアお姉ちゃんとチノちゃんの会話、扉越しに聴こえちゃってた…)

 

萌夏「そうだったんだね。私、チノちゃんのお母さんにそんなに似てる?」

 

チノ「そっくりです…これを見て下さい」

 

*チノはベッドの傍らにあった「Memories」と書かれたアルバムを取り、チノ母がジャズを歌ってる写真のページを萌夏に見せる

 

萌夏「本当だ、私が大人になったらこんな感じなんだろうね」

 

チノ「あと、こんな写真もあります…」

 

*ページをめくり、チノ母のショータイムの写真を見せる

 

萌夏「ラビット・ハウスにショータイムなんてあったんだね。チノちゃんのお母さん、はっちゃけてる…」

 

チノ「おそらくバータイムの時にBGMに合わせて、お客に手品とか披露したんだと思います」

 

萌夏「私、実は手品もすこし出来るんだよ。今日も仕込んでいたけど、披露する時間が無くて…」

 

チノ「へえ、どういうのですか」

 

萌夏「手を出すと…」アメダマ パラパラ…

 

チノ「それ、母が得意としていた手品です…」グスッ

 

萌夏「そうだったんだ…」

 

チノ「それにひきかえ、私は父母に似ていないことを気にして、黒い感情が出てしまって…関係ない萌夏さんに八つ当たりして…」

 

萌夏「チノちゃん、辛かったんだね」ウルウル

 

チノ「なんか、萌夏さんがお姉ちゃん、いやお母さんみたいです。同じ誕生日なのに…」

 

萌夏「チノちゃんにそう言われると、なんか恥ずかしい…」テレッ

 

萌夏「でもチノちゃんは、間違いなくこのアルバムの方が、チノちゃんのお母さんだと私は思うよ…」

 

萌夏(さっき声がドア越しに私まで届いてたのは、声が遠鳴りしてよく響いてるから。普通の人の声じゃ遮られて聞こえない)

 

萌夏(チノちゃんが発声練習すれば、私(&チノちゃんの母)と同じ声で、同質の歌声になるはず…)。

 

萌夏(チノちゃんの声の才能は私以上、でも練習の機会がなくて原石になってるだけ。チノちゃんがもし本格練習すれば、おそらく私を超えちゃう…)

 

チノ「萌夏さんありがとう。でも、どうしてそう思うんですか?」

 

萌夏「声がとってもいい声だから。チノちゃん、練習すれば上手くなるよ。これはお世辞じゃないよ」

 

チノ「どうすれば、上手くなりますか(興味あります…)?」

 

萌夏「うーん(今の状態でお金を使って習えとは言えないし…)、そうだ、ココアお姉ちゃんとかに、ツッコミを入れる時ってある?」

 

チノ「しょっちゅうありますよ。お皿をよく割るし、トマトジュースは嫌いだし…」

 

萌夏「その時、腹式呼吸で腹の底から声を出すイメージで、思いっきり大きな声でツッコミを入れてね。胸式呼吸(胸の呼吸)じゃダメ、必ず腹の底からね…」

 

チノ「よくわかりませんが、わかりました。やってみます…」

 

チノ「そうだ、メルアドとかSNSとか情報交換してなかったので、萌夏さん教えてくれませんか」

 

萌夏「チノちゃんありがとう! もちろんだよ」ウルウル

 

*情報交換後

 

チノ「萌夏さんの歌、一曲、私も聴きたいです。歌ってもらえませんか?」ニコ

 

萌夏「チノちゃん、嬉しい!(その気持ちと言葉を待ってたの)。それでは、アカペラ(伴奏なし)で、『My Romance』(マイ ロマンス)(私の恋)…バラード(ゆっくりなテンポ)で歌います」

 

チノ「お願いします…」ワクワク

 

萌夏「♪〜

 

(萌夏的 解釈です)

私の恋に、お空のお月さんは要らない。

私の恋に、青い珊瑚礁なんて必要ないわ。

5月の雰囲気も、☆(キラキラ)光るお星様も、

隠れる場所も、ギターの柔らかな音色も要らない。

 

スペインに立つお城も、変化に富んだ踊りも要らない。

私の目がハッキリ目覚めていても、

私の最もファンタスティックな夢は実現するから。

私の恋に必要なモノは何もないわ。

あなた以外は…

 

 

チノ「この歌、私が寝付けない時に母が子守唄として歌ってくれていた歌でした…ああ、歌声は母の声………。聴いてると、気持よくて落ち着きます…………。なんだかとってもうっとりしてきました………zzz」

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

―ラビット・ハウス店内(ココアが店内に戻ってきた時点)―

 

チョコ・千夜「どう?」

 

ココア「大丈夫だよ。良い結果を萌夏ちゃんが伝えてくれるよ」

 

チョコ「そうだね。私もそう思う…」

 

千夜「お姉ちゃん's のカン?」

 

ココア・チョコ「そう…」グッ

 

千夜(いいなあ、お姉ちゃんって…)

 

*しばらくして

 

ギイー(店とスタッフルームを仕切るドアが開く音)

 

萌夏「…お待たせ、お姉ちゃん(ココア・チョコ)、千夜ちゃん」

 

ココア「萌夏ちゃん、ありがとう」

 

チョコ(萌夏も泣いていたのね。涙のあとがある。おそらくチノちゃんも…)

 

萌夏「チノちゃんといろいろお話出来ました。私に対する(わだかま)りも溶けて、お互い打ち解けました…」

 

萌夏「最後はチノちゃんのために、歌を歌ったんです。歌い終わったら、チノちゃん、いい顔してぐっすり寝てました(チノちゃんに涙の痕もあったけど、ナイショ…)。私を解ってくれたみたいで、嬉しいです…」

 

ココア「お疲れ様…大変だったね…」

 

チョコ「それでこそ、私の妹だよっ」

 

千夜「そう、さすが萌夏ちゃんね…」

 

萌夏「お姉ちゃん達と、千夜ちゃんのおかげです。本当にありがとうございました。」ペコリ

 

ココア・チョコ・千夜「ほほえま〜」

 

 

 




 キャラを動かしていたら、ココアが予想外に動いてしまいました。「チノちゃんの姉は私だよっ」と言わんばかりに。
 その大活躍のお陰で、想定より明るい雰囲気になりました。(かえって良かったです)。それと、萌夏とチノのわだかまりが解消できて、ホッとしました。

 萌夏の歌う曲、マイ・ロマンスですが、歌詞の中に☆が出てきますが、ごちうさファンの方は当然ご存知かと…(意味は間違ってません…m(__)m)

 この拙い台本形式ssをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11羽 Jazzに濡れて歌に濡れて涙に濡れて

 萌夏とチノちゃんのわだかまりも解消しました。あとは、宴のあと…みたいな雰囲気に。シャロの家での出来事を書きます。
 萌夏は翌朝の特急(ラビット・ハウス旅費負担)で、木組みの街中央駅から帰ります。
 あと、内容がほんのちょっとエッチに…。

 それでは、お楽しみいただけると幸いです。


―シャロの家―

 

カクカクシカジカ…(千夜とチョコから、シャロへ経過説明)

 

シャロ「へー、いろんなことがあったのね」

 

チョコ「シャロにも迷惑かけちゃった。バイト途中で疲れているのにごめん…」

 

千夜「そう、シャロちゃんも本当は、休み時間で私達に遊びに来たのに…」

 

シャロ「甘兎庵が休みなのに、大変だったわね、千夜もチョコも萌夏ちゃんも」

 

萌夏「zzz……」

 

シャロ「あらあら、萌夏ちゃんもう寝ちゃったわ」

 

チョコ「突然ライブになっちゃったし、チノちゃんともいろいろあったし…」

 

千夜「まあ、そのわだかまりも解けたみたいでよかったわ。萌夏ちゃんは大変だったけど」

 

シャロ「それだけ一日起これば、まあ疲れるわね…」

 

千夜「帰りの交通費は、タカヒロさんがラビット・ハウス出演のお車代として、明日出発の超特急の切符を萌夏ちゃんに渡してくれたわ」

 

チョコ「今日萌夏は泊まらずに、夜行急行で帰るつもりだったんだけど、明日朝、その特急に乗ることにしたの」

 

シャロ「そうなのね…」

 

チョコ「それで結局、萌夏がここに一泊することになっちゃって。ごめんね、シャロ…」

 

シャロ「ううん、気にしないで、チョコ」

 

チョコ「シャロ、ありがとう」

 

千夜「ところで、私やシャロちゃん、チョコちゃん、マメちゃんにもお車代ってことでタカヒロさん、バイト代出してたわね」

 

チョコ「うん、私も貰ってる」

 

シャロ「私も。タカヒロさん、太っ腹ね…」

 

千夜「あら、甘兎庵で同じことしても、私はもっと出すわよ…」

 

チョコ・シャロ「千夜(ちゃん)、太っ腹!」

 

千夜(なんか太っているみたいで、ほめられた気がしない…)プクー

 

チョコ・シャロ(ほめたつもりだったけど、ちょっとマズかった…)アセ

 

千夜(でも、もちもちバンドで、あれだけお客が入るんだから…)

 

千夜(甘兎庵でライブをやれば、チャージ(注)を一人1,500円として…)ウフフ

 

   (注)チャージ…ライブ時の、通常の飲食料金の他に上乗せで取る聴取料のこと。

           今回のラビット・ハウスのミニミニライブはチャージを取って

           いないので、ノーチャージのライブという。

 

シャロ(なんか金儲けの顔してるわ。千夜…)

 

チョコ(私と萌夏でライブして、どれだけ儲かるか考えてる顔ね。まあ、経営者なんだから当たり前だよね…)

 

チョコ(萌夏を呼んでくれれば、お手伝いするよ、千夜ちゃん…)ニコ

 

千夜「どうしたの?、チョコちゃん」

 

チョコ「私達のミニミニライブで、どれだけ収益が上がるか考えている千夜ちゃん見てたら、嬉しくなっちゃった」

 

シャロ「千夜のお金儲け考えてる顔って、すぐわかるわ…」

 

千夜「え゛っ バレてる…」アセ

 

チョコ「でも、千夜ちゃんが私達をミュージシャンとして見てくれて嬉しい。萌夏も絶対喜んじゃう」

 

シャロ「そうよ。それでこそ千夜だわ、甘兎庵の全国展開を目指す女社長なんだから、当然よ…」

 

千夜「ありがとう、とっても嬉しいわ。二人とも、ずっと友達。ずっとずっと……」バターン

 

チョコ「千夜ちゃん、どうしたの?」

 

千夜「うーん」zzz…

 

シャロ「千夜、そのまま寝ちゃったわ」

 

チョコ「考えてみたら、千夜ちゃんがラビット・ハウスのお手伝いで、一番動いていたわね。本当はとても疲れていたんだね」

 

シャロ「千夜は、特別な時以外は体力ないから、すぐ疲れちゃうのに…千夜ったら無理をして…」

 

*チョコとシャロは萌夏と千夜を寝かしつけ、お祖母様にも千夜をシャロの家に泊めることを伝えた…その後…

 

チョコ「今日のライブを録画しといたよ。萌夏のはもう夜も遅いので後で見るとして、これだけはシャロに見せたくて…」

 

シャロ「え…何?」

 

チョコ「千夜ちゃんが一曲だけ歌った、ジャズ」

 

シャロ「えっ千夜って演歌専門だったわよね。まさか」

 

チョコ「一曲だけレパートリーがあって、疲れた萌夏のかわりに歌ってくれたの。私、感動しちゃった。そして千夜ちゃんが歌うときイメージしたのは、間違いなくシャロね」

 

シャロ「チョコ、悪いけど、その部分だけ見せて」

 

チョコ「うん。今、スマホに出すからね。イヤホンで聴いてね」

 

シャロ「わかったわ」

 

チョコ「ここからね」画面ピッ

 

シャロ「………」

 

(スマホ画面の千夜→♪〜とてもハッキリしてるわ。

私達の愛がここにあって、ずっと変わらないこと。

 

1年じゃないわ。永遠とプラス1日よ。

 

ラジオ、電話、映画のような、私達が今知っているこれらのモノも、

通り過ぎる幻想で、何時かどっか行っちゃって、

無くなっちゃうかもしれないわ。

 

でも、あのね、私達の愛はここにあって、永遠に変わらないの。

 

私達、ずっとずっと一緒よ。

 

ロッキー山脈も、ジブラルタル砦も、いつかは崩れちゃうかもしれない。

だって、ただの土で出来ているんだもん。

 

でもね、私達の愛はここにあって、永遠に変わらないの。〜♪→スマホ画面、ここまで)

 

シャロ「千夜……」グスッ

 

ポタッポタッ

 

チョコ(シャロ、泣いてる…)

 

シャロ「チョコ、悪いけどこのスマホ貸して。ずっとこれ見ていたい…」

 

チョコ「うん。歌ってた時に、千夜ちゃん、シャロの顔を思い浮かべてたんじゃないかなーって」ニコ

 

シャロ「あと、充電コードも挿しておくわね。充電が切れてたら悪いから」

 

チョコ「了解だよ…」ニコ

 

シャロ「私の家に4人で並んで寝るなんて、初めてだわ。何か嬉しい…」

 

チョコ「私もだよ…」

 

シャロ「私達も、もう寝ましょ」

 

チョコ「そうだね。明日もあるしね…」

 

シャロ「じゃ、お休み、チョコ。今日もありがとう…」

 

チョコ「シャロこそ。おやすみなさい」

 

*チョコは明かりを常夜灯(ナツメ球)に切り替えた。

 

チョコ(一番向こうで寝ているシャロは、布団に潜って、千夜ちゃんが歌ってた部分を何度も聞き返してる…布団からスマホの灯りが漏れて、すすり泣きの声が聞こえる…)

 

チョコ(幼なじみの千夜ちゃんとシャロの関係は、ずっと永遠だよ…。私も、負けずに仲良くなりたいな…)

 

チョコ(すぐとなりで寝てる萌夏の寝顔、かわいいな…。嬉しそうに気持ちよさそうに寝てる…ライブの夢でも見てるのかな?)

 

チョコ(シャロの隣で寝てる千夜ちゃんは和風美人ね。お人形さんみたい。癒やされる寝顔ってこのことだよねっ)

 

チョコ(私も寝よ〜…皆さん、おやすみなさ〜い)

 

―深夜ー

 

??「もふもふ〜」

 

チョコ「ちょ、ちょっと誰?……なんだ萌夏か。どうしたの?」モフモフ

 

萌夏「明日、帰るとお姉ちゃんとしばらく会えなくなっちゃうから、一緒にモフモフしていい?」

 

チョコ「隣にはシャロや、千夜ちゃんがいるんだよ? ダメだよ…」

 

萌夏「じゃあ、シャロちゃんと千夜ちゃんの方を見てみて、お姉ちゃん」ニコ

 

チョコ「?」

 

シャロ「えへへ〜千夜〜大好き…モフモフ〜」ダキッ モフモフ…

 

千夜「zzz……シャロちゃん…うふふ…」

 

チョコ「シャロ、千夜ちゃんとモフモフしてる…どうしちゃったの?」

 

萌夏「シャロお姉ちゃんが、もっと千夜ちゃんの歌聴きたいからって、さっき目覚ましに缶コーヒー、がぶ飲みしてたよー」

 

チョコ「それでカフェイン酔いなのね。聞いてはいたけど初めて見ちゃった。私の前ではコーヒーを絶対に飲まなかったから。」

 

萌夏「へー。そうなんだ。でも、シャロちゃん嬉しそう…千夜ちゃんは寝たままだね…」

 

チョコ「シャロが、寝ている千夜ちゃんに夜這いモフモフ…。なんか見てはイケないものを見てしまった気分…」

 

萌夏「そういうわけで、私もお姉ちゃんとモフモフ〜」モフモフ

 

チョコ「しょうがない萌夏ちゃんですね〜」モフモフ

 

萌夏「お姉ちゃん大好き〜」

 

チョコ「私も萌夏、だ〜い好きだよっ」

 

萌夏「千夜ちゃんとシャロちゃん、お姉ちゃんと私でダブルモフモフだね…」モフモフ

 

チョコ「あはは…そだね」ニコ

 

・・・・夜は更けていった・・・・

 

 

―翌朝(早朝)―

 

トントン…(包丁の音)

 

萌夏「おはよう、お姉ちゃん」

 

チョコ「あ、おはよう、萌夏」

 

萌夏「もうすぐ、朝食できるよ〜」

 

チョコ「ありがと。萌夏。ところで、シャロたちは?」

 

萌夏「幸せそうにピッタリと、このとおり(明るいとこで見ると、けっこう恥ずかしいな)…」モジモジ

 

チョコ「おやおや…(体を寄せあって、二人共まだ良く寝てる。着衣の乱れが…)」カァァ

 

チョコ「じゃ、寝ているシャロを、元の布団に戻しとくね…」

 

萌夏「そだね。夢の中ならいいけど、リアルじゃ恥ずかしいかも…」

 

チョコ「じゃ、シャロ、ちょっとごめんね…(お姫様だっこで移動して…)」ヒョイ

 

萌夏「お姉ちゃん、相変わらず力持ちだね(私もお姉ちゃんに抱っこしてもらいたいなー…)」

 

チョコ「やっぱりシャロは軽いね。全然余裕だよ…じゃ、元の布団に戻してっと」

 

チョコ「そして、ふたりの着衣の乱れも直して…(シャロったら、千夜ちゃん触りまくり…どこまで触りまくっちゃったの?…)」テレッ

 

萌夏「これで、夢の中は夢の中のままにってことだねっ」

 

チョコ「うん。これでよしっ。ありがと、萌夏…」

 

チョコ(私も同居してるから、シャロをモフモフしているけど、こんなに激しくないし…。シャロには物足りないのかな? 見習って、こんどモフモフする時は、ここまで激しくしてみよっ!)ヨシッ

 

*しばらくして

 

萌夏「朝食できたよ。お姉ちゃん…皆の分、4人分作ったよ。いつもお母さんの看病でおかゆなので、おかゆと卵焼きと焼き魚、サラダで我慢してね…」

 

チョコ「ありがとう、萌夏」

 

萌夏「あとで作り方のコツをお姉ちゃんに教わらないと…。お姉ちゃんのご飯、おいしいもん…」

 

チョコ「萌夏の料理だっておいしいよ〜」

 

萌夏「うれしい〜」ニコッ

 

チョコ「じゃ、シャロと千夜ちゃん起こして、ご飯にしましょう」

 

萌夏「うん!」

 

チョコ(この後、4人で朝食をとりました。シャロと千夜ちゃんは恥ずかしがる素振りもなく、お互い気持ちよさそうな表情で、朝食を取ってました。千夜ちゃんはずっと寝てて気付いてないみたいだし、シャロも憶えていないようです)

 

チョコ(そして、萌夏が帰るため、木組みの街中央駅へ見送りに行きました。千夜ちゃんとシャロは仕事があるため、私と萌夏だけが駅ホームに立ってます…)

 

 

―木組みの街中央駅ホーム―

 

*案内放送スピーカー「1番ホームに停車中の列車は、8時ちょうど発、超特急、スーパーフライングラビット1号、藻霜市(もしもし)行です。この列車は、全車両座席指定です。」

 

*案内放送スピーカー「ご乗車には普通乗車券の他に、座席を指定した特急券が必要です。お手持ちの特急券の号車番号をお確かめの上、『スーパーフライングラビット号乗車口』と書かれた札の、1番から12番の乗車口からご利用ください。」

 

チョコ「千夜ちゃんとシャロからもらった、おみやげは持った?」

 

萌夏「うん、千夜ちゃんからは和菓子をたくさんもらっちゃった。シャロお姉ちゃんからは今日のお昼にってお弁当を。朝食のお礼にって言ってた」

 

チョコ「そう。萌夏はみんなに愛されて、幸せね」

 

萌夏「いよいよお姉ちゃんとお別れ…寂しいな」

 

チョコ「お母さんの世話とか大変だけど、2年の辛抱だからね。」

 

萌夏「私、お姉ちゃんがいろいろ気遣いしてたって、お姉ちゃんがいなくなってから気がついた…」

 

チョコ「急な話で、萌夏に迷惑かけて、本当にごめんね…」

 

萌夏「ううん、こういう形でまたお姉ちゃんと会えるし、今日の夕方には家につくから、お母さんの世話もなんとかなるし…」

 

チョコ「お母さんも本当は寂しいんだけど、私達のことを思って、萌夏の外泊をOKしてくれたんだと思う…」

 

萌夏「うん。私もそう思うよ、お姉ちゃん」

 

チョコ「健康には気をつけてね。メールとかSNSでも連絡とれるから、何でも相談してね…」

 

萌夏「うん。あと、チノちゃんには、ちょっと心残りあるけど…」

 

チョコ「きっと時が解決すると思うよ。次会う時は、もっと仲良くなれるようにね…」

 

ドタドタ ワー

 

萌夏「向こうからなんか騒がしいのが…」

 

チノ「わー、見送り遅れちゃいます〜」ドタドタ

 

ココア「チノちゃん、待って〜、チノちゃ〜ん!」ドタドタ

 

チョコ「ココアちゃんとチノちゃん!」

 

チノ「萌夏ちゃ〜ん」ドタドタ

 

ダキッ モフモフ

 

萌夏(チノちゃんから私にモフモフ…)

 

チノ「はあ、はあ、萌夏お姉ちゃん、も、もふ、もふ、し、しよ…」

 

萌夏「うん!チノちゃん、モフモフ〜」モフモフ

 

チノ「はあ、はあ、間に合って、良かったです…」モフモフ

 

萌夏「で、私がお姉ちゃんでいいの? 同い年で同じ誕生日なのに…」

 

チノ「外見からして、萌夏さんは私より年下には見えませんので…見た目の問題です…」

 

萌夏「妹が出来て嬉しい〜、私、妹がいなかったので…」

 

チョコ(ほほえまー)

 

ココア(チノちゃん、年上だったら誰でもいいのかな? ちょっと心配しちゃう…)

 

チノ「このポット、ウチの店のコーヒーです。私が()れました。車内で飲んで下さい」

 

萌夏「ありがとう、チノちゃん。コーヒーのいい香りがするよ」

 

ココア「あと、これは私が今朝焼いたパンだよ! たくさん作ったから、家でも食べてね!」

 

萌夏「ココアお姉ちゃん、ごちそうさまです。うわ、こんなにたくさん〜おいしそう〜」

 

チョコ「ココアちゃんありがとう。(食べ物系は家計的に)助かるよ。パンの焼きたての香りが漂ってる…」

 

萌夏「チノちゃん、もふもふ〜」モフモフ

 

チノ「萌夏さん、モフモフ〜」モフモフ

 

萌夏(チノちゃんともふもふしてると、なぜか心が落ち着く。ココアお姉ちゃんやチョコお姉ちゃんの気持ちがなんとなくわかる…)

 

チノ(萌夏さんとモフモフすると、お母さんに抱かれたことを思い出します。萌夏さんの匂いも、なぜか母に近いんです)モフモフ

 

(発車ベルの音)ジリリリリリ………

 

チョコ「発車ベルが鳴ったよ。もう発車時刻だから列車に乗ってね。萌夏」

 

萌夏「チョコお姉ちゃん。みんなと別れるの、辛い〜」

 

チノ「また、メールで連絡しますね、萌夏さん」

 

ココア「綺麗な歌声、また聴かせてね。萌夏ちゃん」

 

チョコ「皆に喜んでもらって良かったね。萌夏…」

 

萌夏「うん…」

 

チョコ「ベルが止まったわ。じゃ、気をつけてね。萌夏」

 

*案内放送スピーカー「1番ホーム、ドアーが閉まります。ご注意下さい」

 

(扉が閉まる音)プシュー

 

萌夏「さようなら、チョコお姉ちゃん、チノちゃん、ココアお姉ちゃん…」

 

*萌夏の乗る列車が出て行った。

 

チョコ「いっちゃった」

 

ココア「寂しいね。チョコちゃん」

 

チョコ「ありがとう、ココアちゃん」ニコッ

 

チョコ「あれ、ところでチノちゃん、頭の上、ティッピーはどうしたの?」

 

チノ「ああ、萌夏さんに会いたい一心で…、急いでいたので、途中でどっかに落としてきたみたいです…」

 

ココア「…………」ヤレヤレ

 

 

―どっかの路上にて―

 

ティッピー「こらー、チノ! ワシを落としていくんじゃない!! チノ〜!!」ピョンピョン

 

 




 木組みの街中央駅の構造ですが、阪急の大阪梅田駅とか、JR東の上野駅の地上ホーム、東武線浅草駅のような、櫛(くし)型ホームです。
 自動放送は、JR東と西のものを混ぜてます。発車ベルは電子音でなく、台湾などで残ってるリアルベルなのですが、「なんで非常ベルが鳴るんだ?」という世代もあるので、北○住駅みたいに、とき○きポポロンで発車メロディーを流そうかどうか迷ったのですが、アニメでの駅の効果音がリアルベルなので、アニメと同じにしました。
 あと今回は少しエロくなりました、すみません。

 この拙い台本形式のssをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12羽 初めて転校した日の事憶えてる? 私の家で配管工事してたわよね

皆様、明けましておめでとうございます。
早速ですが、物語はようやっと新学期に入りました。

千夜とココアの学校の始業はチョコ・シャロ達の学校の翌日からという設定にしました。(アニメ1期第1羽の設定)

それでは、お楽しみいただけると幸いです。


*明日から新学期です。

 

  ―シャロの家にて―

 

シャロ「ねえ、チョコ。学校の転入手続きは大丈夫よね」

 

チョコ「うん、全部終わったよ。シャロが手伝ってくれたお陰だよ」

 

シャロ「学校の制服のこと、被服部に校長から話が通ってたのね。考えることは誰も同じね」

 

チョコ「2年しか着ないから、被服部がタダで貸してくれて、助かったよ〜」

 

シャロ「試着、よく似合うわ、チョコ…(ココアが着ている感もあるけど…)」

 

チョコ「ありがとう、シャロ」

 

シャロ「これで、明日から大丈夫ね」

 

チョコ「うん」

 

シャロ「じゃ、私服に着替えよ?」

 

チョコ「明日が楽しみ〜」

 

*二人は制服から私服に着替えた。しばらくして…

 

※ドアをノックする音(コンコン)

 

シャロ「はい、どなた?…」

 

業者「こんにちはアルヨ。相須千代子さんのお家はここですか?」

 

チョコ「はい、そうですけど」

 

業者「ママゾンで注文した品、お届けに来たアルヨ」

 

チョコ「あ、もう届いたんだ〜。ママゾンは早いね〜。今回は販売業者直送だったっけ」

 

シャロ「品って、何?」

 

業者「これアルヨ」

 

シャロ「何、この巨大な物体は…」

 

チョコ「シャワーブースだよ。小型だから、シャロの家のドアからでも入るよ〜」

 

シャロ(ウチにお風呂は無かったから、あるとここでシャワー浴びれて助かるけど…)

 

業者「ここに置いておけばいいアルか?」

 

チョコ「うん、ありがとう。重そうだから、私もお手伝いするね」ニコ

 

シャロ(業者とチョコであんな重いものを…)

 

業者「お嬢ちゃん、パワーアルね。組立説明書と取説はこれアルよ。中国語と英語で、日本語のはないアルヨ」

 

チョコ「まあ、英語版があれば何とかなるよ〜」

 

業者「それじゃ受領印、ここにサインかハンコ押すアルヨ」

 

チョコ「サインするね〜 あ、不良品だったら返品しちゃうよっ」

 

業者「中国で使われた日本製の高級品で、動作確認はしてるし、不良品じゃないアルヨ」

 

シャロ「………」

 

業者「ありがとうアルヨ。それでは失礼するアルヨ」

 

チョコ「どうも、お疲れ様〜」

 

*業者は帰った。

 

シャロ「チョコ、それ、高かったんじゃないの?」

 

チョコ「支給されてた被服代が浮いたんで、税込み配送料込みで4万9千円で日本製の中古買っちゃった」

 

シャロ「これ、工事が必要なんじゃないの?」

 

チョコ「そう、こっちでDIYするから工事費はゼロ。日本製だと本体だけでも新品は本体のみでも35万円超えるけど、中国製しか新品は安いのないし。」

 

シャロ「もしかして、今から?」

 

チョコ「そう、今から配管とかDIYやるよ〜 手伝ってね、シャロ」ニコッ

 

シャロ「はわわわ〜」

 

チョコ「部品をチェックするね〜。これはOK、これは使えないからホームセンターで買ってメーカー品に変えるっと…」

 

シャロ「慣れてるわね。もしかして合間に床に穴開けたり、家の裏でトンカンやってたのって」

 

チョコ「床下は排水工事と防水工事、もう終わってるよ。家の裏は水道配管と、解体現場からタダでもらってきた灯油式瞬間湯沸かし器をつけてたんだよ〜」

 

シャロ「プロ顔負けね…」

 

チョコ「あと外壁の傷んでるところは、ついでに直しといたよ〜」

 

シャロ「ありがとう」

 

チョコ「お互い助け合わないと。これが出来れば夜、ここでシャワー浴びれるから、千夜ちゃんに迷惑かけないで済むし…」

 

シャロ「そうね。バイトで遅くなった時、千夜ん()にお風呂借りるの、気が引けてたし」

 

チョコ「早速、組み立てちゃおう!今日中の完成は無理だけど、少しづつ…」

 

シャロ「わかったわ」

 

チョコ「ホームセンターで、資材を購入してくるね〜」

 

シャロ「あ、私も行くわ。帰りにスーパーも寄りましょ」

 

*ホームセンターで資材を購入して(&スーパーで買い物もして)組立中

 

シャロ「だいぶ配管組み上がったわね」

 

チョコ「もう一回、塩ビ管に変えなきゃならないところと、コーキングは臭いがないやつを選んだけど、明日朝本格的にやっちゃうから。塩ビ管は学校帰りにホムセンで買ってくるね」

(注)コーキング:チューブや注射器状の容器から、防水効果のあるゴム化する接着剤のような白いコーキング剤を隙間に注入し、防水する作業。

 

シャロ「ありがとう。今日はここまでにしましょ…」

 

チョコ「うん。千夜ちゃんところでお風呂借りて、寝ちゃおう…」

 

 

―翌朝―

 

チョコ「朝早く起きて、コーキングは終わったよ。朝食はありがとね、シャロ」

 

シャロ「じゃあ、チョコ、学校へ行く準備はいい?」

 

チョコ「大丈夫だと思う…すこし緊張しちゃうね」エヘヘ

 

シャロ「では、レッツゴー」

 

チョコ「オー!」

 

―甘兎庵前―

 

千夜「あら、シャロちゃん、チョコちゃん、おはよう」

 

シャロ「おはよう、千夜。甘兎庵の道のお掃除、いつもお疲れ様」

 

チョコ「千夜ちゃん、おはよう〜」

 

千夜「私達の学校より1日始業が早いのね。チョコちゃん、制服姿似合ってるわ」

 

チョコ「ありがとう、千夜ちゃん」

 

千夜(二人揃ってリゼちゃんと同じ高校行くのね…)

 

シャロ「じゃチョコ、行くよ。じゃね、千夜」

 

チョコ「じゃ私も。あ、待って〜シャロ〜」

 

千夜「気をつけてね〜」ニコ

 

千夜(シャロちゃん、なんか明るくなったわ。同じ学校のお友達が出来たからかしら…)

 

千夜(でも、シャロちゃんが私から離れていくみたいで、少し寂しい。でも、シャロちゃんが喜ぶなら)

 

千夜(チョコちゃん、シャロちゃんをくれぐれもよろしくね…)

 

 

―お嬢様学校にて―

 

シャロ「予想通り、私とチョコは同じクラスね。特待生同士なのと成績順だから、必ず同じクラスになるんだけど」

 

チョコ「さすがシャロ。すご〜い」

 

シャロ「担任も前年度と同じ先生ね。良かったわ」

 

チョコ「シャロのお気に入りの担任、だっけ」

 

シャロ「ええ、今日授業が終わった時にでも、紹介するわ」

 

チョコ「うれし〜」ニコ

 

―教室―

 

担任「それでは、ホームルームを始めます。まず早速ですが、この4月から転入してきた生徒がいるので、紹介します。相須さん、前へ」

 

チョコ「はい、姉妹校からこの学校に転校しました、相須千代子です。右も左もわからない不束者ですが、よろしくお願いします」ペコ

 

一同「がやがや…」

 

 

―放課後―

 

シャロ「チョコ、大人気だったわね。まずは良かったわ…」

 

チョコ「シャロのおかげだよ」

 

シャロ「それにしてもチョコ、順応しすぎ! なんで皆から「みんなのお姉ちゃん」なんて呼ばれるのよ! たしかにお姉ちゃんオーラ出まくってたけど…」

 

チョコ「えっ そ、そうだった? 私はそんなつもり無いよ。不愉快だったらゴメンね」

 

シャロ「そ、そういうんじゃないわよ。私こそチョコを嫌な気分にさせてゴメンね」

 

チョコ「私、シャロがいなくなったら何にも出来ないよ。だから私を見捨てないでね…」シュン

 

シャロ(そういうところが、チョコの可愛いところなんだよね…)

 

シャロ「あ、あと、担任にも紹介できたし…どうだった? 担任の先生の印象は」

 

チョコ「とっても良い先生だね。バイトにも融通をきかせてくれてるんだっけ」

 

シャロ「ええ、恩人よ」

 

チョコ「そういえば、バイトは今からだっけ?」

 

シャロ「あっ今日フルールのシフトが入ってたの忘れてたわー。私のばかー!」

 

チョコ「私も甘兎庵、今日仕事なのうっかりして、忘れちゃってたよ〜」

 

シャロ「頭脳明晰なチョコにしては珍しいわ。ともかく、超特急で帰るわよ!」

 

チョコ「うん!、今日は私は甘兎庵でシフトをこなして、そのあとホムセン、シャロと合流して買い物、家に帰ったら取り付けたシャワーブースの配管工事の仕上げ、で大丈夫かな?」

 

シャロ「オーケーだわ。じゃ、ダッシュで家まで帰りましょ!」

 

チョコ「ラジャー」

 




 更新が遅くなり、申し訳ありませんでした。
 チョコとシャロを組ませると、シャロがホントしっかりして、かつ明るくなりますね。(シャロが千夜に「お疲れ様」って原作にも滅多に無かったりします)

 今回は少し短めになりました。すみません
 ともかく、本年もよろしくお願いします。

 今回もこの拙いssをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13羽 ラッキーアイテムは野菜の特売とタイムセール

チョコも無事シャロ、リゼのお嬢様学校に転入、シャロと同じクラスに。
その後のお話です。

それでは、お楽しみいただけたら幸いです。


*閑話休題[この部分だけ時系列を考慮してません。おまけなのでご勘弁をm(__)m]

 

チノ「………」ムス

 

ココア「チノちゃ〜ん、なんで機嫌悪いの〜?」

 

リゼ「何でも、まんがタイムきららMAX最新号(2017年12月19日時点)で、自分だけ出番がなかったから、ご機嫌ナナメなんだ」

 

チノ「なんで高校生組(シャロ舞踏会主役、千夜とココア、リゼ)だけで、私が出てないのでしょう。その前の号は端役(はやく)(ココアとメグのスケート話)だし、私が空気になるのも時間の問題です…」

 

ティッピー「まあ、チノ、そう焦るんじゃない…」

 

チノ「おじいちゃんなんてもっと出番ないじゃないですか。スケートの端役(はやく)の時だって、おじいちゃんセリフ無くて単なる飾り、アクセサリーだったし」

 

ティッピー「なぬ、ワシが飾りじゃったとな…」

 

チノ「そのうち、どっかのライトノベルみたいに、私も「チなんとかさん」なんて呼ばれちゃうかもしれません」

 

リゼ(チノの他に千夜もそうだから、そのライトノベルと違ってどっちだか解らなくなるぞ!)

 

ティッピー「それじゃチノもワシも困る。もっと目立つんじゃチノ…」

 

ココア「チノちゃん、次号はチマメ隊とかで、ど〜んって目立つんじゃないのかな?、ね?(根拠全く無いけど…)」

 

チノ「そうなることを私も祈ってます…」

 

*閑話休題ここまで

 

 

*ここから本編→

 

ーラビット・ハウスにてー

 

リゼ「ところでチノ、話は変わるが洗濯機横の洗濯物置き場、カゴがひとつ増えていたんだけど…」

 

チノ「あれはひとつは父専用です。もうひとつの「私とココアさん(+リゼ+ティッピー)用」と分けました。リゼさん、間違っても父のカゴに入れないでください」

 

ココア「いままでは、もともと手洗いのインナー(女性下着)を除けば、一緒に洗濯機で洗っていたよね?」

 

チノ「お父さんは不潔です! これからは別々に洗います!」

 

リゼ「うわぁ」

 

ココア(チノちゃん、スイッチ入っちゃった…)

 

チノ「娘は私ひとりなのに、他の女の子に色目を使うなんて気持ち悪いです。キタナイです!」

 

ココア(そういえば、この前のライブの時にタカヒロさん、萌夏ちゃんにやっちゃってたね…チノちゃん泣きながら私に話してたっけ…)

 

リゼ(これは理屈じゃダメだな…)

 

 

ーラビット・ハウス、その日のバータイムにてー

 

タカヒロ「親父、チノが最近、不潔だってオレの洗濯物をチノやココア君達のものと別に洗濯するようになった。どうすればいままで通りに戻るんだ?」

 

ティッピー「息子よ、娘のDNAはある時期から、父親を本能的に嫌うようにプログラムされておるのじゃ。遺伝子レベルの自然の機能で近親相姦を防止、その子孫における遺伝子起因の病気リスクを減らす効果があるのじゃ…」

 

タカヒロ「それでは、打つ手立てはないのか?」

 

ティッピー「自然の摂理じゃからどうにもならんのう…。もっとも、その引き金を引いたのはお主自身じゃし、結局はその自業自得だと思うのじゃが…」

 

タカヒロ「親父…………」

 

ティッピー「息子よ、気の毒じゃが、これは娘を持つ父親が必ず体験することなのじゃ。耐えるしかないのう…」

 

タカヒロ「う…………」

 

 

*翌日

 

―話は変わり、お嬢様学校にて シャロとチョコ―

 

シャロ「チョコ、今日はラビット・ストアーの特売があるから、放課後の買い物手伝ってね」

 

チョコ「ところでシャロ、その特売チラシいつ手に入れるの? うちは新聞取ってないよね」

 

シャロ「まずはスマホで見て情報収集よ、そのあと学校に配達される新聞にスーパーの広告が入ってるから、学校事務室から貰うの。担任から話は行ってるからスムーズよ。毎日のことだし」

 

チョコ「さすがシャロ。手回しいいね〜」

 

シャロ「残念なのは、平日朝10時開店の早いもの勝ちとか、授業中に当たっちゃう特売はどうにもならないのよね〜」

 

チョコ「学校抜け出せればできるけど、絶対無理だよね」

 

シャロ「あと平日数量限定のは、放課後行ってもすでに売り切れているし。時間フリーの専業主婦には負けるわ」

 

チョコ「主婦パワーには勝てないよ」

 

シャロ「でも、今度の土日はなにかありそうだから、週末は特売回りの準備しといてね、チョコ」

 

チョコ「うん。学校休みの日が勝負だね、シャロ」

 

シャロ「その前哨戦が今日よ。今日は一店舗だけだけど、チョコも一緒に頼むわ」

 

チョコ「うん、一緒に学校帰りに寄ろうね、シャロ。楽しみ〜」ニコ

 

シャロ「私も〜」ニコ

 

*放課後

 

クラスメートモブ「ごきげんよう〜」

 

シャロ・チョコ「ごきげんよう〜」

 

チョコ「シャロ、時間通りに学校を出れそうだねっ」

 

シャロ「そうね。じゃチョコ、走るわよ!」

 

チョコ「了解!」

 

タッタッタッタッタッタッ

 

チョコ「まもなく校門通過!」

 

シャロ「今日の広告チラシの情報じゃ、たまごとじゃがいも、玉ねぎ、キャベツが特売よ」

 

チョコ「他にターゲットは?」

 

シャロ「あとは売り場を見て状況判断よ。タイムセールが不定期にあるから、店内放送にも注意ね」

 

チョコ「ラジャー」

 

*ラビットストア店内

 

シャロ「お互い買い物カゴ、持ったわね」

 

チョコ「うん!」

 

シャロ「マイバッグ、持ってきてるわよね?、チョコ」

 

チョコ「もちろんっ。マイバックだと、代金の3%割引なんだっけ?」

 

シャロ「そう。買い物かごも、店の指定マイカゴだともっと割引あるけど、放課後の買い物には無理ね。」

 

チョコ「さすがに学校に持っていくのは、おもいっきり目立っちゃうよね」

 

シャロ「あと、ラビットストアカード(ポイントカード)は?」

 

チョコ「ふふーん、抜かりはないよ、シャロ。これだよね。もちろん家にあったシャロ名義のカードだよっ」ピラ

 

シャロ「大丈夫ね。それはポイントが貯まると、500円券がもらえるの。絶対忘れられないわ」

 

チョコ「準備完了だよシャロ。それでは…」

 

シャロ「買い物開始〜!」

 

タタタタタタッ

 

買い物客A「なんだあの疾風は…」

 

買い物客B「二人共、お嬢様学校の制服着てるわ…」

 

買い物客C「速いっ 速すぎるっ」

 

チョコ「このミッションってもしかして…」

 

シャロ「今日は、私もチョコもこの後バイトが入ってるから、今回はいかに短い時間で的確に安く買うか、が課題よ」

 

チョコ「うん」

 

シャロ「この後は、ふた手に別れるわ。この後の行動はお互い話した通りだけど、対応しきれない個別事項は各自判断よ じゃチョコ、10分後に3番レジ前に集合よ!」

 

チョコ「ラジャー」

 

*10分後、3番レジ前

 

シャロ「私の方が早かったわね」

 

チョコ「商品の場所確認に見取り図確認してた分、時間かかっちゃった。シャロには勝てないよ〜」

 

シャロ「ふふ〜ん」

 

チョコ「次は負けないよっ 商品の場所は憶えたしっ」

 

シャロ「私だってっ」

 

チョコ「買い物って楽しいね、シャロ」ニコ

 

シャロ「私もこんなに楽しい買い物、初めてよ。チョコ…」ニコ

 

チョコ「レジは、前に並んでる客のカゴの中の商品個数を見て、個数の合計数が少ないレジが待ち時間が少ないんだよね」

 

シャロ「よく知ってるわねチョコ。並んでるお客の人数じゃなくて、商品の数なのがミソなのよね」

 

チョコ「私も家でもスーパーで毎日買い物してたから…」

 

シャロ「お互い現役だったのね。見たら5番レジが合計個数が少なそうだから、そこに並びましょ」

 

チョコ「うん」

 

 

―シャロの家にて―

 

チョコ「ひとつの店しか寄らなかったのに、随分買っちゃったね」

 

シャロ「ええ、早速冷蔵庫に入れましょ。冷蔵庫も大型の新機種にしちゃったんだっけ」

 

チョコ「消費電力は同じだから、電気代は変わらないけど静かだし…」

 

シャロ「いままでのボロ冷蔵庫より、チルドルームと冷凍庫が特に大きめなのね」

 

チョコ「弁当とか刺し身とかの半額セールの保存に、チルドルームは役立つし、ごはんとかパンとかは冷凍しとけばいいし」

 

シャロ「ココアからパン貰って、余った時に役立ちそうね…」

 

チョコ「この後は、シャロはフルールで私は甘兎庵。私のほうがすぐ隣で時間に余裕があるから、私が冷蔵庫に入れとくね」

 

シャロ「わかったわ。ありがとうチョコ」

 

シャロ「そしてバイトが終わって家に帰ったら、チョコの配管したシャワーブースで、早速シャワーを浴びさせて貰うわ」

 

チョコ「どんどん使ってねっ。燃料の灯油タンクは満タンにしてあるから」

 

シャロ「これで千夜に迷惑かけなくて済むわ」

 

チョコ「うん。真夜中にお風呂借りるんじゃ、お互い大変だもんね」

 

シャロ「あっとそろそろフルールに行く時間ね。じゃ、行ってきます、チョコ…」

 

チョコ「行ってらっしゃい、シャロ…」

 

シャロ「チョコも、気をつけてね」

 

 

―甘兎庵―

 

千夜「そう、それで、学校の帰りにシャロちゃんとお買い物をしたの?」

 

チョコ「うん、慣れるまでは大変だけど、シャロについていけるよう、がんばらなくちゃ」

 

千夜「土曜日も買い物予定入れてるのね…」

 

チョコ「シャロが特売してる数店舗回るって言ってたよ」

 

千夜「そう…」

 

チョコ「あと、千夜ちゃん、今日はウチでシャワー浴びるから、お風呂は大丈夫だよ」

 

千夜「チョコちゃんがシャロちゃんの家に取り付けたって言ってたあのシャワーね。わかったわ…」

 

チョコ「でも数日に1回は千夜ちゃんところの風呂に入りに来るので、その時は千夜ちゃんに事前に連絡するね」

 

千夜「ええ…」

 

チョコ「今まで迷惑かけちゃってゴメンね、千夜ちゃん」

 

千夜「そんなことないわ(シャロちゃんも、チョコちゃんも、迷惑じゃないのに…)」

 

千夜(シャロちゃんがどんどん私から離れてく…。でもこんなので私、我儘言っちゃだめよね。これもシャロちゃんの為だもの…)

 

チョコ(千夜ちゃん、なんか寂しそう、何故だろう。よし、こんな時は…)

 

チョコ「千夜ちゃん、ちょっとお店のBGM、変えるね」

 

チャラーンチャラララー

 

千夜「あっこのCDは、もしかして…」

 

チョコ「時代劇、『暴れ狼兎右衛門捕物帖(あばれおおかみうさぎうえもんとりものちょう)』のオリジナルサウンドトラックCDだよ。私これ大好き。千夜ちゃんも好きだって聞いてたけど…」

 

千夜「ええ、私この曲大好き! 嬉しい!」パアー

 

チョコ「やっぱり千夜ちゃんは、その笑顔でなくっちゃ」ニコ

 

千夜「ありがとう、チョコちゃん(チョコちゃんの笑顔は反則だわ…)」ダキッ

 

チョコ「千夜ちゃん、まだ営業中〜」ムギュ

 

 

・・・・その夜・・・・・

 

千夜(zzz…)

 

「ねえ、千夜…」「千夜ちゃーん」 

 

千夜(シャロちゃんとチョコちゃんの声…)

 

千夜(あ 見回すと教室だわ。私寝てたの?)

 

チョコ「あ、千夜ちゃん、起きた…」

 

シャロ「何、教室で寝てるのよ、千夜」

 

千夜「ゴメンね…シャロちゃん、チョコちゃん」

 

千夜(あれ?、私、お嬢様学校の制服着てる…)

 

シャロ「んもう、千夜、お茶会はじまっちゃうわよ」

 

チョコ「千夜ちゃんも私達と一緒に、ね?」

 

千夜「あ、待って〜 シャロちゃん、チョコちゃん」

 

千夜(追いつかない… どんどん二人が遠くに…)

 

シャロ・チョコ「千夜(ちゃん)―、早く〜、こっち来なよ〜」

 

千夜「待ってー、私を置いて行かないでー」

 

 

パチッ

(注:低血圧のため、ガバッとは起きない)

 

 

千夜(あれ、ここは私の部屋…)

 

千夜「ゆ、夢だったの…なんて夢…」

 

千夜(私、シャロちゃんやチョコちゃんと同じ高校に行けば、良かったのかしら)シュン

 

 

 

*土曜日

 

ガヤガヤキャーキャー

 

リゼ「今日は、洋服のバーゲンセール売り場に来ている!」

 

リゼ「見ての通り、50%OFFで、売り場はものすごい人だかりだっ」

 

リゼ「現在、ラビット・ハウスの制服のシャツとスカートが老朽化し、安く購入する必要がある!」

 

リゼ「お前たちは、この中をかき分けて、シャツとスカートを購入するのが任務だ!」

 

チノ「ベストは、買わなくて良いですよね、リゼさん」

 

リゼ「ベストは手作りのため、今のものを手直しする!」

 

ココア「リゼちゃん、何かこの売り場、すごく殺気立ってるんですけど、無理だよ〜」

 

リゼ「そんなことはないっ 私が手本を示す!」

 

チノ(大丈夫でしょうか…)

 

リゼ「突撃〜」

 

ドンっ

 

ココア(リゼちゃんが、バーゲン売り場の人だかりに弾き返された!)

 

リゼ「くっ もう一度! 今度はもっと弾みをつけて!」

 

リゼ「えいっ」

 

ドドンッ

 

チノ(やっぱり弾き返されました)

 

リゼ「私でもダメか。ココア、お前が行ってみるか…」

 

ココア「えーやだよー。リゼちゃんがダメなのに、私が出来るわけないよ〜」

 

???「お困りのようですね」「久しぶり〜」

 

チノ「あなた方は…」

 

ココア「チョコちゃんとシャロちゃん!」

 

チョコ「しばらくぶり〜ココアちゃん、チノちゃん、リゼ先輩」

 

シャロ「リゼ先輩、チノちゃん、ココア、こんにちは」

 

リゼ「見ての通り、ラビット・ハウスの制服が古くなったので、シャツとスカートを買おうとしているのだが、売り場に全く近づけない!」

 

シャロ「じゃ先輩、私達にお任せ下さい。いくよ、チョコ」

 

チョコ「了解!」

 

タタタタ

 

チノ「すでに人だかりの中にっ」

 

タタタタ

 

シャロ「リゼ先輩、お待たせっ」

 

チョコ「無地のシャツとスカート、確保しましたっ」

 

ココア「…速い、速すぎる」

 

リゼ「おお、ありがとう、シャロ、チョコ。人数分は足りてるけど…ちょっとチョコ、悪いな…」

 

チョコ「何ですか、リゼ先輩…」

 

ゴニョゴニョ…

 

チョコ「了解、ではもう一度行ってきます」

 

タタタタ

 

リゼ「忍者みたいだな、まるで」

 

タタタタ

 

チョコ「はい、お待たせしました、リゼ先輩!」

 

リゼ「悪いな、チョコ」

 

チョコ(シャロ、千夜ちゃんとマヤちゃんメグちゃんに、何故か私の分、シャツとスカートです…サイズは考慮してます)

 

ココア・チノ「シャロちゃん(さん)、チョコちゃん(さん)、ありがとう(ございます)」

 

シャロ・チョコ『私達に、買えない特売はないのよ!』ビシッ

 

リゼ(怪盗ラパンのポーズ?)

 

シャロ「それじゃ、行くわよチョコ、あと2店舗、野菜の特売とタイムセールを確認するの」

 

チョコ「確認後、品質と価格を考慮し、良い方を購入だねっ」

 

シャロ「そのとおりだわ。それでは、リゼ先輩、チノちゃん、ココア、ごきげんよう!」

 

チョコ「失礼しますっ またお会いしましょう、皆さん!」

 

タッタッタッタッ

 

チノ「行ってしまいました…」

 

ココア「凄いなあ、チョコちゃん。見た目は同じなのに、私とああも違っちゃうんだもん」

 

リゼ「とにかく、任務は終了だ。ラビット・ハウスにもどるぞ!」

 

チノ・ココア「はーい」

 

ドタドタドタ

 

チノ「なんか、来ましたよ」

 

????「はあ、はあ」

 

ココア「貴女は、青山ブルーマウンテンさん!」

 

青ブルマ「あ、あの、シャロさんたちは…」ゼエ、ゼエ

 

リゼ「ああ、もう、と〜っくに向こうの方に行ってしまったけど」

 

青ブルマ「観察で追いかけてたんですけど、速すぎて追いつけません…」

 

チノ(あの速さを追いかけるのは無理ですね…)

 

ココア「頑張ってくださいね、青山さんっ」

 

青ブルマ「はい、がんばります」フラフラ〜

 

リゼ(青山さんも行っちゃった。あれを追いかけるには、トライアスロン並みの体力が必要だな…)

 

チノ「無理しないでくださいねー 青山さあん!」

 

 




少し更新に間が空いてしまいました。すみません。
幻の原作(単行本化の際に削除)の、甘兎庵は時代劇『暴れ狼兎右衛門捕物帖』のOST(オリジナルサウンドトラック)が流れている設定を活かしてみました。

この拙いssをお読みくださいまして、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14羽 Call Me Sister(その1)

みなさま、お世話様です。
投稿が遅くなり、申し訳ありませんでした。

それではお楽しみいただけると幸いです。



―お嬢様学校への通学中―

 

シャロ「今日は、憧れのリゼ先輩にこのプレゼントを渡そうと思うの」

 

チョコ「綺麗なマグカップね。リゼ先輩ってシャロの憧れのひと、だったっけ」

 

シャロ「そう。私が兎に襲われそうになった時に、助けてくれたカッコいい先輩なのよ」

 

チョコ(ラビット・ハウスでココアちゃんチノちゃんとバイトしてる、あの軍人ぽいツインテの方ね)

 

シャロ「あ〜思い出すだけでも、ドキドキしちゃうわ〜」

 

チョコ「シャロは本当にリゼ先輩の虜ね〜」

 

シャロ「そう。でも、いっっつも、先輩の前だと肝心なときにアガっちゃって失敗しちゃうから、悪いけど手伝ってよね、チョコ」

 

チョコ「わかったよ〜。応援しているよっ 成功するといいねっ」ニコ

 

シャロ「ありがとう〜チョコ〜。持つべきものは、やっぱり友達だわっ」ニコ

 

チョコ「えへへ〜 ありがとう、シャロ」テレ

 

*校内、始業前

 

シャロ「この校舎の階段をあがって、2階がリゼ先輩の教室よ」

 

チョコ「うん、前の学校でもそうだけど、上級生の教室って緊張するね…」

 

シャロ「そうね。でもチョコと一緒だから、心強いわ…」

 

チョコ「まずは挨拶して、シャロをリゼ先輩に印象づけてもらうのね」

 

シャロ「そう。一人の時は緊張でどうしようもなかったけど、二人なら…」

 

チョコ「この教室、だっけ?」

 

シャロ「そう、行くわよ」

 

チョコ「教室の扉は開いてるよ」

 

シャロ「じゃ、中にリゼ先輩がいるから、ここから目線送って、挨拶よっ」

 

チョコ「ラジャー」

 

シャロ・チョコ(リゼ先輩、どこかな〜)

 

 

リゼ(あれっ、教室の入口にいるの、シャロとチョコじゃないか…)

 

シャロ・チョコ(リゼ先輩、おはようございます…)ペコ

 

*リゼがシャロとチョコに会いに、教室の扉付近まで出迎える

 

リゼ「おはよう、シャロ、チョコ」ニコ

 

シャロ・チョコ「おはようございます、リゼ先輩」ペコ

 

リゼ「二人とも、この前はラビット・ハウスであんなに手伝ってもらって、あと服のバーゲンセールも…本当に悪かったな…」

 

チョコ「大丈夫ですよ」

 

シャロ「いえいえ、トンでもありません。リゼ先輩のためなら…」カァーッ

 

リゼ「ああ、みんなバイトで忙しいのに、すまんな…」

 

シャロ「リゼ先輩のためなら、何でもしますぅ〜」アセアセ

 

チョコ(いい雰囲気。これなら大丈夫そうねっ)

 

リゼ「チョコもありがとう」

 

チョコ「どういたしまして、リゼ先輩!」ニコ

 

リゼ(ドキ……こ、これは…)カァァ

 

シャロ「んもう、リゼ先輩、どうしたんですか? 顔、真っ赤ですよ…」

 

リゼ「あ…ああ、何でもない、ちょっと今日は暑いからな…」

 

シャロ「そうでしたら、あとで冷たい飲み物でも。リゼ先輩は何がお好きでしたっけ…」ペラペラ…

 

リゼ「ああ…そうだな」

 

チョコ(シャロがあれだけ熱心にアプローチしてるのに、何で私を見てるんですか先輩!)

 

キーンコーンカーンコーン

 

チョコ「ホームルームの予鈴が鳴りましたよ」

 

リゼ「もうそんな時間か。シャロ、チョコ、自分の教室に戻った方がいいんじゃないか?」

 

シャロ「あっもうそんな時間ですか。そ、そうですね。それでは失礼します。リゼ先輩!」ペコ

 

チョコ「私も失礼します」ペコ

 

*シャロ・チョコの教室

 

シャロ「やったー、ついに第一アタック成功!」

 

チョコ「よ、良かったね。シャロ」

 

シャロ「あとは、第二のアタックよ」

 

チョコ「シャロが買ったあのマグカップを、とうとうリゼ先輩に渡すんだね!」

 

シャロ「そう、この手紙をつけて。私、アッタマいいー」

 

チョコ「シャロ、応援してるよっ」

 

シャロ「それで、悪いんだけど」

 

チョコ「?」

 

シャロ「チョコから、それ渡してくれないかな…」

 

チョコ「えっ シャロからじゃないの?」

 

シャロ「サプライズよサプライズ! ネットで見たのよ! 誰かに渡してもらうといいって」

 

チョコ「ネットの情報って正しいとは限らないよ」

 

シャロ「私とチョコの仲じゃない? お願い!」

 

チョコ「わ、わかったよ。シャロには世話になりっぱなしだし…」

 

シャロ「頼んだわよ、チョコ」

 

チョコ「う、うん」

 

*放課後

 

チョコ(シャロったら『わたしバイトあるからっ』って行っちゃった)

 

チョコ(信用されてるんだか、何だか。うーん、本当に忙しいのね。シャロ…)

 

チョコ(私は甘兎庵のバイトまではまだ時間あるけど…)

 

チョコ(リゼ先輩だってラビット・ハウスでバイトがある筈。それまでに渡さなきゃっ)

 

タッタッタッ

 

チョコ(あ、リゼ先輩見っけ… 一人で周りも誰もいないし、チャンスだよっ)

 

チョコ「リゼ先ぱ〜い」

 

タッタッタッ

 

リゼ「あ、ああっ。チョコかっ」ポッ

 

チョコ「はあ、はあ、こ、これ…リゼ先輩に…」

 

リゼ「!」カアア

 

リゼ「こ、これは、綺麗なマグカップだな。チ、チョコが選んだのか?」ドキドキ

 

チョコ「シャロからです! リゼ先輩のために、選んだカップですっ」

 

リゼ(なんだ、チョコからじゃないのか…)

 

チョコ「中にシャロの先輩を想う手紙がはいってますっ。受け取って下さい!」

 

リゼ「ああ、わかった…ありがとな、チョコ」

 

チョコ「よろしくおねがいしますっ」

 

リゼ「それはそうと、チョコ、時間はあるか? そ、そのへんでお茶でも」カァァ

 

チョコ「リゼ先輩ごめんなさい。この後、甘兎庵でバイトがあるので…」

 

リゼ「そ、そうか。私もラビット・ハウスでバイトがあるからな…」

 

リゼ「メルアドとSNS、こ、交換してもいいか…チョコ」

 

チョコ「うん、リゼ先輩なら大歓迎だよっ」ニコ

 

リゼ「あ、ありがとう、チョコ」

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

―ラビット・ハウス―

 

*更衣室

 

リゼ「♪〜」

 

ココア「あ、リゼちゃん、何か今日機嫌がいいね。なんかいいことあったの?」

 

リゼ「ああ、そうだな。良い事…だよな」ポッ

 

ココア「顔が赤いよ〜」ニコ

 

リゼ「今日は少し暑いよな…」

 

リゼ(なんか、ココアを見てるとチョコに見えてくる。そっくりなんだから当然なんだが)

 

ココア「そうかな。寒い気もするけど」

 

リゼ「そ、それでココア、頼みなんだが、私のお嬢様学校の制服、今着てみてくれないか?」

 

ココア「え、いいの?」

 

リゼ「ああ」

 

ココア「リゼちゃんの制服、うれしいな〜」

 

ゴソゴソ

 

ココア「はい、着たよ〜 私も今日からお嬢様〜」クルッ

 

リゼ「おお、似合うな」

 

ココア「ほんのちょっと服が大きいけどね…」

 

リゼ(でも、こうしてみると本当にチョコだ…)

 

リゼ「そ、それで悪いけど、ココア、私をモフモフしてくれ、頼む」

 

ココア「え? この格好で? リゼちゃんだって今下着だよ?」

 

リゼ「頼む、一生のお願いだ…」

 

ココア「うん、リゼちゃんの頼みなら…」モフモフ

 

リゼ「ありがとうココア…」モフモフ

 

リゼ(ココアってチノの言うとおり、本当に小麦粉の匂いがするんだな。これがチョコだったらどうなんだろう?)

 

ココア「リゼちゃん?」

 

リゼ「しばらくこのままでいてくれ、ココア…」

 

ココア「うん」

 

リゼ(チョコに抱かれている気分になってきた…なんか気持ちい…)カアア

 

ガチャ(ドアの開く音)

 

チノ「リゼさん、ココアさん、お店始まっちゃいますよ。急いで下さい」

 

リゼ「チノ!」

 

ココア「チノちゃん」

 

チノ「リ、リゼさん! こ、これはどういうことですかっ」

 

リゼ「いや、あの」

 

チノ「そういう卑怯なやり方で、ココアさんを誘惑して私から取らないで下さい!」

 

リゼ「誤解だ、チノ!」

 

ココア「リゼちゃんの頼みで、寂しそうだったから、私がもふもふ…」

 

チノ「ココアさんは黙ってて下さい!」

 

ココア「はい」

 

チノ「私に無くて、リゼさんにあるものをココアさんに見せつけて、モフモフさせるなんて最低です!」

 

リゼ「いや、そんなつもりは…」

 

チノ「今日から3日間、おやつは抜きです!」

 

バタン(扉を閉める音)

 

タッタッタッ

 

リゼ「あ、ちょっとチノ〜、説明するから待ってくれ〜」トタトタ…

 

ココア「リゼちゃん、下着のままだよ……あ、チノちゃん追いかけて出てっちゃった」

 

ココア(チノちゃんはその後、数日間、リゼちゃんは勿論、私にも口をきいてくれませんでした)

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

―リゼの部屋―

 

リゼ(チョコと会いたい、と思っても、この前のように無理をすると、友達関係にヒビが入ってしまう)

 

リゼ(私のわがままなのに、好意で協力してくれたココアに、悪いことをしてしまった)

 

リゼ(チノは許してくれたが、次はそうは行かないだろう。直接チョコを先輩風吹かせて誘っても、シャロとの関係が悪くなる…)

 

リゼ(なあ、どうしたらいい? ワイルド・ギース)

 

ワイルド・ギース(…人形のため無言)

 

リゼ(夢は結局、夢で終わるか…)

 

リゼ(いや、夢なら、あの手があったか…なんで気づかなかったんだろ、私)

 

リゼ(早速準備だっ)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―甘兎庵―

 

チョコ「リゼ先輩、私、なんか別人みたいです〜」

 

リゼ「とっても似合ってるぞ、チョコ」

 

千夜「とってもお似合いね」

 

チョコ「男装、じゃないけど、結構ボーイッシュな格好ですよね。いつもの私じゃないみたい」

 

千夜「でもあくまで女性よ。こざっぱりした感覚にコーディネートしたの」

 

リゼ「シャロは、『どてらを着てパーティーには出れない。バイトもあるし』って誘えなかったんだ」

 

チョコ「そうだったんですね。確かに、シャロは今フルールでバイト中です」

 

千夜「シャロちゃんも出ればいいのに…」

 

リゼ「チョコは、転入生だし、早くこの学校の感覚に慣れたほうがいいと思って、無理に誘ったんだ」

 

千夜「衣装は甘兎演劇のストックだから、無料よ」

 

チョコ「いいの? 千夜ちゃん、こんな高そうなの」

 

千夜「経営者たるもの、従業員を慮らないと!、な〜んて、ね。いつまでもチョコちゃんにはウチにいてほしいの」

 

チョコ「千夜ちゃん…」

 

千夜「チョコちゃんには、甘兎庵で仕事してよかった、楽しかったって言ってもらえるよう、がんばるわっ」

 

チョコ「ありがとう! でもこの格好、まるで仮装パーティーみたいだね」

 

リゼ「ああ、名前は進級記念パーティーとか銘打ってるけど、中身はストレス解消、仮装お祭り大会だぞ」

 

チョコ「そうなんですか。楽しみ〜」ニコ




 今回ココアは被害者でした。チノが更衣室ドアをノックしなかったのは、前から扉越しにリゼとココアのやりとりを聞いてて、怪しい行為の様子を確認したかったからです。
 それと短めで続き物になってしまいました。ご勘弁下さい

 今回もこの拙いssをお読み下さいまして、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15羽 Call Me Sister(その2)

お世話になります。

リゼ、千夜、チョコはパーティー会場に向かいます。
パーティーイベントがスタート、夢の始まりです。
2018年2月号(単行本第7巻第6話)をお読みになり、対比させると、もっと楽しめます(知らなくても楽しめます)。

それではお楽しみいただけるとありがたいです。
(今回も途中で終わります。ご容赦下さい)


―パーティー当日、甘兎庵にて―

 

リゼ「チョコ、千夜、迎えの車が来てるから、一緒に乗って行こう」

 

チョコ「あれ、リゼ先輩は着替えてないんですね」

 

リゼ「ああ、私は現地でいろいろやることがあるからな」

 

チョコ「それと千夜ちゃんも甘兎庵の着物姿で行くんですね」

 

千夜「お嬢様学校のパーティーのうち、進級記念パーティーは、甘兎庵が共催・後援してるの。今回は私も会場スタッフの仕事があるのよ」

 

チョコ「さすが若社長、すご〜い」

 

リゼ「ともかく、二人共、準備はいいな!」

 

千夜「ええ、OKよっ」

 

チョコ「よろしくお願いします、リゼ先輩!」

 

―甘兎庵前―

 

千夜「黒塗りのリムジンが止まってるわ」

 

運転手「天々座様、宇治松様、相須様、お待ちしておりました…。どうぞ」

 

ガチャ(リムジンのドアを、運転手が開ける音)

*運転手は開けたドアを持ち、そのまま待機している

 

チョコ「なんか凄い。こんな大きな車乗ったことないよ」

 

リゼ「この車だぞ。さあ、乗った乗った」

 

*リムジンに乗り込む3人。パーティー会場へ向けて出発。

 

チョコ「走行音がほとんどしない。静かな車ね。私しあわせ〜」ニコ

 

リゼ「運転手とは防音ガラスで仕切られているから、プライバシーは保てるんだ」

 

千夜(私も、こんなリムジンに乗る女社長になるわっ!)

 

リゼ(チョコが喜んでる。チャーターした甲斐があったぞ)

 

リゼ「このまま車を会場の正面玄関につける。チョコはここで降りて、会場で受付してくれ」

 

チョコ「わかりました。リゼ先輩と千夜ちゃんは?」

 

リゼ「私と千夜は裏方の仕事があるから、裏の通用口からスタッフとして入る。チョコは単独行動になるけど、きっと楽しめるはずだ」

 

千夜「私も今は甘兎庵の和服だけど、挨拶が終わったら、『きぐみん』のきぐるみで出るわよ」

 

リゼ「みんな仮装するから、誰だか判らない出席者もいるぞ。私も変装するから、チョコは私の所在を探しだせるかな?」

 

チョコ「はい、リゼ先輩の挑戦は受けましたよ」ニコ

 

チョコ「千夜ちゃん、ちょっと心細いけど楽しんできます!」

 

千夜「毎回、お祭り騒ぎになるわ。絶対おもしろくなるわよ、期待してね!」

 

リゼ「そろそろ正面玄関に到着だ」

 

 

―パーティー会場(木組みの街内、とある高級ホテル)、正面玄関―

 

ガチャ(玄関で待機しているガードマンが、外からリムジンのドアを開ける音)

 

*玄関に横付けされたリムジンから降りるチョコ

 

リゼ「悪いが、チョコ、あとは楽しんでくれ。チョコが知ってるOBも来るからな…」

 

千夜「チョコちゃん、またお会いしましょう」

 

チョコ「はい、リゼ先輩、千夜ちゃん」

 

ホテルマン「お嬢様学校進級記念パーティーのお客様ですね、会場へご案内します…」

 

*リムジンはホテルの裏の通用口へ

 

リゼ「じゃ、千夜、始まるまでに私のコーディネートも頼む」

 

千夜「ええ、リゼちゃんには、チョコちゃんも恥じらう素敵なプログラムを用意してるわ…」

 

・・・・・・・・・・・・

 

リゼ「ここの部屋が私個人で借りた、同じホテル内の楽屋部屋だ」

 

千夜「ドレッサーとか必要な調度品は一通り揃っているわ。私とリゼちゃんで使っていいのね。」

 

リゼ「ああ。私と千夜専用だぞ。会場には誰にも知られず、エレベーターで直行できる」

 

千夜「リゼちゃん、こんなに積極的になるなんて、やっぱりチョコちゃんを…」

 

リゼ「そ、そんなんじゃないぞ」カァァ

 

千夜「この前、ココアちゃんに相談受けちゃったの」

 

リゼ「え?」

 

千夜「リゼちゃんにお嬢様学校の制服着せられて、下着姿のリゼちゃんをもふもふしちゃったって」

 

リゼ「………」

 

千夜「さらにその現場を見たチノちゃんから誤解されて、何日も無視されちゃったって困ってたわ」

 

リゼ「…ココア、千夜には喋っちゃったんだ…」

 

千夜「チノちゃんに何かあると、ココアちゃん、黙っていられなくなるの」

 

千夜「今回はショックが大きすぎたわ。リゼちゃん、ココアちゃんを責めないで」

 

リゼ「………(千夜とココアは親友同士だよな。話してあたりまえか)」

 

千夜「ココアちゃんとチョコちゃんってそっくりで、リゼちゃんは区別がつかないでしょ」

 

リゼ「う…」

 

千夜「リゼちゃんは、ココアちゃんをチョコちゃん代わりにしたんじゃないかなって」

 

リゼ「ココアやチノには悪いことをしてしまった…」

 

千夜「でもそのことは、他にはシャロちゃんも含め、誰も話してないわ。安心してね」

 

リゼ「スマン、私どうかしているのかも。欲望が出てきてしまうんだ…」

 

千夜「その欲望のためにここまで努力してきたんでしょ。今我慢しちゃだめよ」

 

リゼ「ああ、そのために、千夜にお願いしたんだったな…」

 

千夜「リゼちゃんは、自分より小さいもの可愛い物を対象にしたり、興味があるの」

 

リゼ「ああ、逆に、自分より大柄な人から子供扱いで撫でられると、普通は恥ずかしさで逃げ出したくなる程、嫌になるんだよな…」

 

千夜「チョコちゃんはリゼちゃんより小柄で小さいから、チョコちゃんの魅力に惹かれちゃったのね」

 

リゼ「そう…なのか」

 

千夜「さらにチョコちゃんは背はココアちゃんくらいなのに、お姉さんオーラが凄いから、リゼちゃんはチョコちゃんに甘えたくなっちゃったのよ」

 

リゼ「チョコは見た目はココアなのに、そこがココアと大きく違うんだよな」

 

千夜「妹属性で可愛い子は自分より小さく可愛い、お姉さん属性がある人は自分より大きいことが多いから、今までそういうことが無かったのよ」

 

リゼ「そ、そういうわけなのか?…」

 

千夜「確かにチョコちゃんは珍しいタイプね」

 

リゼ「こんな気持ちになったのは初めてだけど、どうにも止められないし、いつも夢に出てくるんだ…」

 

千夜「その夢を本当にするお手伝いを、これからやってあげる。チャンスは今日1日だけだけど、夢を叶えてね、リゼちゃん」ニコッ

 

リゼ「ありがとう、千夜」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

*パーティー開始

 

凛「私が今回、このパーティーの司会を仰せつかりました、OBの真手 凛です…」

 

パチパチパチ…

 

チョコ(本当に仮装パーティーだよっ。人数も多いし。あと凛さんはここのOBだったんだ…)

 

凛「…今夜は厳しい校則や世間体などから皆さんの欲望を開放し、無限に発散して日頃のストレスを解消してください…このパーティーは先輩後輩のしがらみも無く無礼講ですから、我慢は禁物です」

 

チョコ(そういうわけなのね。すごいパーティー…)

 

凛「学校でいくつか開かれるパーティーのうち、このパーティーは時期が年度の始めのため、部活に予算がありません。そのため今年度もいつもどおり甘兎庵株式会社様から、多大なるご支援をいただいています」

 

凛「景品も、全てがそのご支援から提供されたものです。それでは、甘兎庵株式会社様を代表して、ご来賓の宇治松 千夜様から挨拶があります」

 

チョコ(千夜ちゃんが甘兎庵の和装で壇上に…マイクの前でかっこいい)

 

千夜「ご紹介に預かりました、甘兎庵株式会社専務取締役、宇治松 千夜です。本日は、第〇〇回、お嬢様学校進級記念パーティーにお招きいただき、ありがとうございます」

 

千夜「今回も各部活からミニゲームや、出し物もあり、景品も用意されてます。皆さん奮って、チャレンジして、楽しんで、景品をお持ち帰り下さい!」

 

千夜「私も会場内で参加してますので、ご一緒に楽しみましょう!」

 

千夜「あと、学校帰り、休日には、ぜひ甘兎庵の天下一品の和菓子をご賞味ください!おみやげもあります!学校帰りに寄っても校則違反にならない旨、学校には確認してます!」

 

千夜「おいしい白玉、あんみつ、抹茶パフェ〜!、学校帰りには甘兎庵へ是非おいで下さい!」

 

チョコ(宣伝も抜け目がない。さすが千夜ちゃん…)

 

凛「ちょ、ちょっと、千夜さん?」

 

千夜「え、なんですか? 凛さん」

 

凛「お店の宣伝もいいけど、景品は私が全ていただくわ」

 

千夜「皆さん、早速凛先輩からの挑戦がありました。皆さんも負けずに闘いましょう!」

 

会場全員「おーっ」

 

チョコ(みんな纏めちゃった…千夜ちゃんの才能見せつけられちゃったよ)

 

凛「私も負けませんよ、それではイベントに入ります!」

 

 

*イベント開始

 

チョコ(ところで、リゼ先輩どこかな…)

 

チョコ(あの軍服風の人がそうかな)

 

チョコ「あ、あの…」

 

?????「な〜に?」

 

チョコ「あ、人違いでした。リゼ先輩じゃなかった」

 

ユラ(結良=吹き矢部長)「はぁ〜い、こんばんは〜 リゼじゃなくてごめんね〜」

 

チョコ「(リゼ先輩を呼捨て…)あの、リゼ先輩のお知り合いかなにか…」

 

ユラ「私、リゼとおんなじクラスだしね〜」

 

チョコ「じゃ、どこにリゼ先輩がいるか、教えてくれますか?」

 

ユラ「吹き矢勝負に勝ったら、教えてあげる〜(本当は知らないけど〜)」

 

チョコ「負けたら、どうなんですか?」

 

ユラ「あなたがこの吹き矢部に入部してね〜」

 

チョコ「わ、わかりました、この勝負、受けて立ちます」

 

*吹き矢勝負

 

チョコ(吹き矢はやっぱり難しいよ。シャロだと凄く上手いって聞いてるけど)

 

ユラ「どうしたの〜 これを外したらあなたの負けよ〜」

 

チョコ「う〜んどうしよう、この部活入ると、バイトができなくなる〜」

 

ユラ「これで部員ひとりゲット〜」

 

チョコ「うぅ〜っ」

 

??「その勝負、待った〜!」

 

チョコ(リゼ先輩の声?)

 

ズザザザ〜

 

チョコ「(とっても綺麗な方が私の前に滑り込んで…)どうしたんですか?」

 

ロゼ「すみません、私はロゼといいます。慣れないハイヒールで、足が痛くて…」

 

チョコ「?」

 

ロゼ「歩けないので、助けて頂けますか?」

 

チョコ「私なら、救護スペースまで抱っこできますが、いいですか?」

 

ロゼ「うれしい〜っ」

 

ユラ「ちょっと〜 勝負はどうするの〜」

 

ロゼ「部長様には、あちらの方と続きをお願いしますわ…」

 

チョコ「きぐみん?」

(注:きぐみんは、木組みの街のイメージキャラクター(ゆるキャラ)で、宣伝用に等身大のきぐるみもある)

 

きぐみん(in千夜)「おまたせ!」ボソッ

 

チョコ「千夜ちゃん!」

 

きぐみん(in千夜)「その吹き矢借りるね、チョコちゃん」

 

ヒュッ ストッ ストッ ストッ(百発百中)

 

ユラ「……」ボーゼン

 

きぐみん(in千夜)「これでも、シャロちゃんの方がもっと上手いのよ」

 

チョコ「千夜ちゃん、凄い」

 

きぐみん(in千夜)「勝負は、チョコちゃんの勝ちね、部長さん」

 

ユラ「もう一歩だったのに〜」

 

きぐみん(in千夜)「悪いけど、チョコちゃんは、そちらのロゼさんの介抱をお願いね…」

 




 シャロのパーティー参加話からヒントを得て、高級シティーホテルで開催されるパーティーにしてみました。それも、千夜(甘兎)が後援してる設定にしました。

 今回もこの拙いssをお読みいただきまして、ありがとうございました。
 


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16羽 Call Me Sister(その3)

お待たせいたしました。

途中までは良い雰囲気ですが、途中から流れが変わります。人の欲望が交錯します。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。
(今回も短め&途中で終わります。ご了承下さい)


きぐみん(in千夜)「悪いけどチョコちゃんは、そちらのロゼさんの介抱をお願いね…」

 

チョコ「うん、わかったよ、千夜ちゃん」

 

チョコ「それではロゼさん、救護スペースまでご案内します」

 

ロゼ「ありがとうございます。貴女、とっても素敵な方ですね」

 

チョコ(なんか恥ずかしい…でも美人できれいなひとだよ)

 

チョコ「それでは、失礼します、お嬢様…」

 

ロゼ(きゃーっ チョコにお姫様抱っこされてる…)

 

チョコ「大丈夫ですか? 頬が赤いようですが」

 

ロゼ「い、いえ、貴女がとっても魅力的な方なので、つい嬉しく…」

 

チョコ「」ボッ

 

ロゼ「まあ、お名前はチョコさん、でしたっけ、チョコさんも顔が赤いですわ」ニコ

 

チョコ「す、すみません。つい・・きれいな方に褒められるのってあんまり無いので…」

 

*救護スペース

 

チョコ「はい、応急処置終わり。履きなれない靴を履いたからだよっ」

 

ロゼ「ごめんなさい、チョコさんにご迷惑をかけてしまいました」

 

チョコ「大丈夫。お安い御用だよ」

 

ロゼ「まあ、心強いわ。チョコさんが迷惑でなければ、私とご一緒にイベント巡りいかがですか?」

 

チョコ「え? 私とですか?」

 

ロゼ「ええ(こ、断られたらどうしよう)」ドキドキ

 

チョコ「ぜ、是非、お願いします。ロゼさん!(さっきも吹き矢部長に騙されそうになったから、いろいろ教えてもらおう)」

 

ロゼ「嬉しい〜」ダキッ

 

チョコ「ちょっ わっ」モフモフ

 

チョコ(ロゼさんいい匂い。彼女の抱き心地、凄くいい。でもこの匂い、どこかで…)カァァ

 

ロゼ(気に入っているみたい。良かった〜)

 

チョコ「では、お嬢様、行きましょうか?」

 

ロゼ「はい!」

 

千夜(それから、チョコちゃんとロゼちゃんは、部活の催し物を一緒に楽しんでます)

 

千夜(まるで、仲の良い姉妹のように…)

 

*調理部

 

部員「それでは、りんご皮むき競争、スタート!」

 

チョコ「それー」シャカシャカシャカッ

 

ロゼ「チョコ速い!」

 

部員「優勝、チョコさん」

 

ロゼ「素敵ですわ、チョコさん!」

 

*バスケットボール部

 

バスケ部員「スリーポイントシュート競争」

 

バスケ部員「優勝、チョコちゃん!」

 

ロゼ「わー」パチパチ

 

チョコ「嬉しい」ニコ

 

ロゼ(いい雰囲気で楽しい。こんな胸がワクワクする思いは初めてだ。このパーティ、出てよかった)

 

チョコ(こんな魅力的な方が私と楽しんでくれてる。この方といると不思議と胸が熱くなる…)

 

 

きぐみん(in千夜)「お楽しみのようね…」

 

ロゼ「はい! 千夜さんのおかげですわ」

 

チョコ「ところで千夜ちゃん、きぐみんはいいとして、お店の宣伝してるの?」

 

ロゼ「きぐみんが甘兎庵のプラカードを持って、お腹と背の前後に広告板を、ひもで両肩から下げてます」

 

チョコ「重くない? 千夜ちゃん」

 

千夜「宣伝よ宣伝。これが今年度の甘兎庵売上を左右するの…」

 

チョコ「千夜ちゃん、私が代わってもいいんだよ。力は自信があるから」

 

千夜「これは経営者たる私の仕事よ。チョコちゃんは気にしないで今日を楽しんでほしいの。ロゼちゃんとともに」

 

チョコ「わかったよ、千夜ちゃん」

 

ロゼ(すまん、千夜)

 

・・・・・・・・・・・・

 

会場スタッフ「宇治松様、ご伝言があるのですが、今よろしいしょうか?」

 

きぐみん(in千夜)「はい、大丈夫です。どうぞ」

 

会場スタッフ「ホテルフロントから電話が入っています。宇治松様の連絡があったお客様が今、フロントにいらっしゃると」

 

きぐみん(in千夜)「わかったわ。フロントに事前に連絡した通り、楽屋部屋の場所を案内してもらって、そこの入口ドア前で待つよう、その方に伝えてもらえますか。私もすぐ行きます」

 

会場スタッフ「了解いたしました。そのようにお伝えします」

 

きぐみん(in千夜)「ありがとう」

 

 

*楽屋部屋の前

 

メグ(ドキドキ…)

 

千夜「お待たせ、メグちゃん」

 

メグ「千夜さん、こんばんは。着ぐるみ着て大変そう〜」

 

千夜「大丈夫、これはお店の宣伝よ。ところでメグちゃんは正面玄関まで送ってもらったの?」

 

メグ「うん、お母さんに車で送って貰ったの〜 帰りも迎えに来るって」

 

千夜「そう。お母様公認でありがたいわ。じゃメグちゃん、この部屋の中へ…」

 

 

*楽屋部屋室内

 

※千夜はきぐるみを脱いで、私服に。

 

メグ「凄いシティホテル〜。お嬢様学校ってこんな会場借りるんだね〜」

 

千夜「そう、この学校のパーティーは凄いわよ。お母様から『ウチの娘の志望校なので、事前に是非体験させて欲しい』って依頼うけてたの」

 

メグ「うん、お嬢様学校へ行くように私、家族から勧められてるの〜 それで、私からお母さん通してお願いしてたの〜」

 

千夜「甘兎庵が関与してるパーティーだから特別許可が下りて良かったわ。これ以外のパーティーは部活主催の自主運営だから、たぶんダメだったと思うの」

 

メグ「ありがとう、千夜さん〜」

 

千夜「それと、メグちゃんが進学して高校生になったら、是非甘兎庵をご贔屓(ひいき)にね…」

 

メグ「私に甘兎庵でアルバイトしてって、誘ってるの? 千夜さん」

 

千夜「そうよ。チョコちゃんとも一緒よ。私、メグちゃんなら大歓迎だわ」

 

メグ「うん、するする〜。千夜さんの頼みだし、チョコちゃんとバイトなんてうれしー」ニコッ

 

千夜「私も嬉しいわ。是非お願い」ニコ

 

メグ「今回はチョコちゃんにメールして、パーティー出るって教えてもらったから、私も体験したくなっちゃった〜」

 

千夜(メグちゃんのお目当てはチョコちゃんね…)

 

千夜「それじゃ、衣装は準備してあるから、早速…」

 

メグ「はーい」

 

*ドレッサー前

 

メグ「なんか別人みたい〜 お姫様〜」

 

千夜「そうよ、メグちゃんにはこれが一番よ」

 

メグ「トルネードのくせ毛が全部ストレートになってる〜。魔法のよう」ワクワク

 

千夜(あんこ(うさぎ)用の整髪料使ったんだけど、言わないほうがいいわね…)

 

千夜「衣装も、甘兎演劇のだけど、どう?」

 

メグ「とっても素敵―。千夜さんありがとう」ニコ

 

千夜「どういたしまして」ニコ

 

メグ「あ、千夜さん、多分そろそろ来るよ〜」

 

千夜「メグちゃんが言ってた以心伝心の相方ね。よくわかるわね」

 

ピロピロ…(部屋の内線電話の音)

 

千夜「(受話器を取り)はい、楽屋部屋です」

 

ホテルフロント『宇治松様、打ち合わせに無かった条河 麻耶さんという方が、宇治松様と先ほどお見えになった方に、ご用件があるとフロントで話されてますが』

 

千夜「わかりました。同じくこの部屋をご案内していただけますか」

 

ホテルフロント『かしこまりました』

 

※内線電話を切る

 

千夜「メグちゃん、お見事ね」

 

メグ「えへへ〜、今日も以心伝心、感度良好〜」

 

コンコン(※ドアをノックする音)

 

マヤ「千夜〜 マヤだよ〜早くドアを開けてくれ〜」コンコン

 

千夜「いま鍵を開けるわ、マヤちゃん…」

 

ガチャ※ドアが開く音

 

マヤ「やっほ〜 メグ〜、千夜〜、こんばんは〜」

 

メグ「マヤちゃん…」

 

マヤ「以心伝心だよー メグのことでわからないことはないのだ」エヘン

 

千夜「マヤちゃん、いらっしゃい」

 

マヤ「千夜、私もこのパーティーに混ぜてくれ〜。メグだけずるい〜」

 

千夜「あれ? マヤちゃんの志望校ってお嬢様学校じゃなかったような」

 

マヤ「うん。私お嬢様じゃないし、あの雰囲気、イーってなっちゃう」

(注:マヤはこの時点は、お嬢様学校志望ではありませんでした)

 

千夜「そうなのね。ならどうして」

 

マヤ「メグからお嬢様学校のパーティーを体験するって、以心伝心で私に伝わってきて」

 

メグ「相変わらず感度良好だね〜マヤちゃん」

 

マヤ「シャロにメールで尋ねたらリゼとチョコが出るっていうし、楽しそうだからメグと一緒に出たくなって、『出たければ現地に千夜を尋ねれば?』ってアドバイス貰って」

 

メグ「それが今度は、私に伝わってきて〜」

 

マヤ・メグ「現在に至る〜」

 

千夜「すごい能力ね。二人共…」

 

千夜「ともかくマヤちゃん、メグちゃんが事前に教えてくれてたから、衣装は用意してあるわよ」

 

マヤ「さすが千夜、そうこなくっちゃ」

 

千夜「じゃ、早速着替えてきてね…マヤちゃん」

 

マヤ「イエス マム!」

 

*更衣室で着替え

 

マヤ「千夜〜 本当にこの格好でいいのか〜?」

 

千夜「良くお似合いよ。黄色い帽子、頭からかぶる水色スモック、黄色い肩掛けかばん、胸のチューリップの名札…」

 

メグ「すごくかわいい〜。抱っこしていい?」クスッ

 

マヤ「幼稚園児のコスプレじゃねーか、これ!」

 

メグ「マヤちゃんとってもお似合い〜。あまりの可愛さにスマホで撮っちゃった〜」

 

マヤ「ちっとも嬉しくなーい」

 

千夜「甘兎演劇の衣装の一つなんだけど」

 

マヤ「こんな格好じゃ、リゼに笑われるだろー?、他にないのかよ千夜!」

 

千夜(マヤちゃんは、リゼちゃんがお目当てなのね…)

 

千夜「あるわよ。じゃ、更衣室に置いといたから着替えてね…」

 

マヤ「今度は大丈夫だよな、千夜」

 

*更衣室で着替え

 

マヤ「これなら、まあ」

 

メグ「ボーイッシュな格好だけど、男の子ってわけじゃない…」

 

千夜「これなら、イケるわよ」

 

メグ「マヤちゃんカッコイイ…」ウルウル

 

千夜(甘兎演劇の小学校中学年用の衣装だってこと、黙っていよう)

 

マヤ「でも、リゼとキャラかぶらないか?」

 

千夜「リゼちゃんも変装してイメージが変わってるから、大丈夫よ」

 

マヤ「そう? なら良かった。ありがとう、千夜」

 

千夜「どういたしまして」

 

マヤ「さて、衣装は整えたところで、パーティー会場へ突撃〜」

 

メグ「おぉ〜」

 

千夜(さあ、舞台は第2幕の開幕よ)




 途中まではチョコとロゼ(=リゼ)のいい雰囲気だったのですが、マメが乱入してしまいました(まだ準備段階ですが)。
 期せずして千マメ隊(?)の会話になりました。どうなることやら…
マヤは元気ですね〜
 それと、メグが17年のクリスマス(サプライズサンタ)の時、いきなり甘兎庵でアルバイトって言ったのは、千夜がこういうアプローチを裏でしていたから、と妄想してみました。

今回も拙いこのssをお読み下さいまして、ありがとうございました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17羽 Call Me Sister(その4)

お待たせをいたしました。

パーティーの第2幕の開幕です。
ちょっとキャラ出しすぎたかもしれません。

最後のオチに、ココアとチノが出てきます。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。





千夜「さあ、第2幕の開幕よ」

 

*ダンスタイム

 

ロゼ(ダンスタイムって言っても派手なんじゃなくて、社交ダンス…)

 

チョコ「それではお嬢様、お手をどうぞ」

 

ロゼ「あ、ありがとう…」

 

※踊り始める二人

 

チョコ(姉妹校で部活で応援に引っ張り出されてたから、何とかなってよかったよ…)

 

ロゼ(けっこうチョコは上手いな…)

 

♪〜

 

ギャラリーA「あの2人のダンス、息があってる」

 

ギャラリーB「誰なんだろうね、あの2人」

 

ギャラリーC「さあ、あんな子いたっけ、ウチの学校に…」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ガヤガヤ……

 

マヤ「よし、メグ、私達もこのパーティーに乱入だ」

 

メグ「えー、あの騒ぎの中に入るの〜? マヤちゃん」

 

マヤ「このままだと、メグ、チョコの妹になれないよ」

 

メグ「マヤちゃんこそ、リゼさんが誰かに取られるのが心配なんじゃない〜?」

 

マヤ「そ、そんなことはないよ…」テレッ

 

メグ「図星のようだね〜」クス

 

マヤ「ちぇっ 以心伝心も、こういう時はなんだかな〜」

 

メグ「ねぇマヤちゃん、どんなことがあっても、私、マヤちゃんの味方だよ〜」

 

マヤ「?」

 

メグ「最近、以心伝心の感度が良くない時があって、マヤちゃんが何考えてるか分からなくなる時が前より増えて…だから、以心伝心の感度を下げるのは、やめて…」メソメソ

 

マヤ「メグ…わかったから泣くなよ…」ナデナデ

 

メグ「ごめんね、マヤちゃん。もし、感度ゼロになった時は…」

 

マヤ「なった時は?」

 

メグ「刑事みたいに、マヤちゃん尾行しちゃおうかなー、なんて」ニコ

 

マヤ「何かストーカーみたいで、怖いよ」

 

メグ「大丈夫、気づかれないようにするから」

 

マヤ「メグはどんくさいから、無理無理〜」

 

メグ「むぅぅ〜 やってみなければわかんないもん!」

 

マヤ「泣いて、笑って、怒るメグも可愛いよ…」

 

メグ「マヤちゃんずるい…。そういうことじゃ」カァァ

 

マヤ「さて、時間なくなっちゃうし、行くよ〜 レッツゴー!」

 

メグ「もう〜 マヤちゃんたら」ニコ

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ロゼ「そろそろ休憩しませんか? 足もまた痛くなってきました…」

 

チョコ「そうだね…さっき手当したばかりだもんね」

 

ロゼ「ギャラリーがうるさいので、目立たないところで、ゆっくり休みたいですわ」

 

チョコ「そうですね」

 

※チョコにエスコートされ、休憩スペースへ

 

マヤ「おっ チョコ発見〜」

 

メグ「あ、チョコちゃんもカッコ良くなってる〜マヤちゃんみたい〜」

 

マヤ「えへへ〜それって私への褒め言葉?」

 

メグ「もちろんそうだよ〜。それとチョコちゃんの隣りにいる、知らない綺麗なひとは誰だろう?」

 

 

ガヤガヤ…アノコタチハ チョコサント ロゼサン ッテイウンダッテ…

ガヤガヤ…ロゼサンキレイ  ウチノガッコウ、ロゼナンテコ イタッケ?

 

 

マヤ「ロゼって周りが言ってるよ」

 

メグ「ロゼさん、凄く美人すぎて、私では太刀打ちできないよ」

 

マヤ「メグだって、負けて無いよ〜」

 

メグ「マヤちゃん、お世辞でも嬉しい〜」ニコ

 

マヤ(あのロゼってよく見ると…な〜んだ、リゼじゃねーか!)

 

マヤ(うまく化けているけど、私の目は誤魔化せないよ!)

 

マヤ(なる程、千夜が私をチョコと似た格好にしたのは、リゼと釣り合いのためなのか…)

 

マヤ(恩にきるよ、千夜…)

 

メグ「マヤちゃん…どうしたの? 黙っちゃって」

 

マヤ「あ…いや何でもない。それよりメグ、こっちこっち〜」

 

メグ「は〜い!」ニコ

 

マヤ(待ってろよメグ、メグの望み、いま叶えてやるから)

 

・・・・・・・・・・・

 

※休憩スペース

 

チョコ「ここでいかがですか?」

 

ロゼ「はい、ここなら周りから見えないし、ゆっくり休めそうです」

 

チョコ「一緒に椅子に座りましょう」

 

ロゼ「はい…」

 

チョコ「ところで、何でロゼさんみたいな美しい方が私なんかに…」

 

ロゼ「そ、それは…」

 

チョコ「吹き矢勝負では助けて頂いて、その後、なんにも知らない私をここまで楽しませてくれて…」

 

ロゼ「あ、あの」

 

チョコ「何か、ロゼさんにお望みがあるなら言って下さい。出来る限りのお礼はします」

 

ロゼ「じゃ、じゃあ、今日だけでいいですから…」

 

チョコ「?」

 

ロゼ「私を妹と呼んで下さい!、チョコさんの妹にしてください!」カァァ

 

チョコ「えっ」カァァ

 

ロゼ「そ、そうですよね。む、無理ですよね」アタフタ

 

チョコ「…い、いえ…わ、わかりました。今からロゼちゃんって呼びます!」

 

ロゼ「ありがとう、それと…」

 

チョコ「それと?」

 

ロゼ「もふもふ、してくれないかな、チョコお姉ちゃん…」

 

チョコ「(うわー)…うん、モフモフしちゃうよ、ロゼちゃん」

 

ロゼ「わーい」ワクワク

 

ダキッ

 

チョコ(さっきも思ったけど、ロゼちゃんっていい匂い)モフモフ

 

ロゼ(ああー何て幸せ。ずっとこのままでいたい…)モフモフ

 

チョコ(ロゼちゃんって、先輩なのかな? 学校の誰も知らないみたいだし…)モフモフ

 

ロゼ「ずっとこのままでいてね……(とっても落ち着いて気持ちいい…)」モフモフ

 

チョコ「うん……」モフモフ

 

※数分経過

 

ロゼ「すぅー、すぅー、zzz……」

 

チョコ(ロゼちゃん、寝ちゃった…。疲れてたんだね…)

 

マヤ「こんばんはー、おや、ロゼは寝ちゃったみたいだね…」ボソ

 

チョコ「あなたは、チノちゃんのお友達の…」ボソ

 

マヤ「そう、マヤだよー」ボソ

 

チョコ「あれ、マヤちゃんは中学生で、高校生じゃないんじゃ…」

 

マヤ「千夜の計らいで、メグとともに特別参加さ」

 

チョコ(千夜ちゃん、また凄いことを…あと何故か私に似たコーディネートね、マヤちゃん)

 

マヤ「それで、チョコ姉に頼みがあるんだ…」

 

チョコ「なあに、マヤちゃん」

 

マヤ「ロゼもチョコの妹希望だったみたいだけど、実はもう一人希望者がいるんだよね…」

 

チョコ「え、誰?」

 

メグ「(マヤの後から)こ、こんばんは。き、希望者のメグです〜」ボソ

 

チョコ「あ、こんばんは、メグちゃん。本当に来てくれたんだ」

 

メグ「千夜さんに頼んで、特別に参加しちゃった〜」

 

チョコ「来てくれてお姉ちゃん嬉しいよ! 最近メグちゃんとはよくメールとSNSで連絡取り合って…」

 

マヤ(メグがこんなにチョコに積極的に…以心伝心でメグの気持ちが、リアルタイムで私に伝わって来てたんだよね)

 

チョコ「メグちゃんの衣装はお姫様なんだね〜。とっても可愛くて素敵だよ」

 

メグ「チョコお姉ちゃんから、褒められちゃった〜」ポッ

 

マヤ「それでさチョコ姉、悪いけど、メグの望みも叶えてくれないかな〜。今寝てるロゼの面倒は、私が見るからさ」

 

メグ「一緒に、か、会場回りませんか…お、お願いします」ペコリ

 

チョコ「わかったよ。お姉ちゃん、頑張っちゃう」

 

メグ「嬉しい〜 ありがとう、チョコお姉ちゃん」

 

マヤ「サンキュー、チョコ姉。じゃ、メグと楽しんできてね…」

 

チョコ「うん、マヤちゃん。それじゃロゼちゃんはお願いするよっ。メグちゃん、お姉ちゃんと一緒に会場巡りしよう…」

 

メグ「はい、不束者ですが、よろしくお願いします。チョコお姉ちゃん」ニコ

 

マヤ「メグ、頑張れよ…」

 

メグ「ありがとう、マヤちゃん…」

 

※チョコとメグは一緒にパーティー会場に消えた。

 

ロゼ「zzz……」

 

マヤ(こうやって見ると、リゼって可愛いな…って何考えてるんだ私…)

 

ロゼ「うーん」

 

マヤ(あれ、目を覚ましそう)

 

ロゼ「あれ、私、寝ちゃった」ポケー

 

マヤ「(ど、どうしよう…こうなったら、行き当たりばったりだ!)お目覚めですか、お嬢様…」

 

ロゼ「ごめんなさい。モフモフしてたら、気持ちよくなって寝ちゃった…」ポー

 

マヤ「ロゼ、夢のつづきをやろう…」

 

ロゼ「まあ、何かしら…」ポー

 

マヤ「ロゼ、目をつむって…(何やってんだ、私)」

 

ロゼ「(きゃー、キス?)……(目をつむる)」

 

マヤ(近くで見れば見るほど、リゼってこんなに綺麗なんだってとても信じられない…)

 

チュッ

 

マヤ・ロゼ「」

 

マヤ(唇が触れちゃった…でもなんて柔らかいんだろ…)カァァ

 

ロゼ(きゃー、キスされちゃった)

 

マヤ「ロゼ、これは今日一日だけの夢だからね。もうゆっくりお休み…」

 

ロゼ「うん、もう一回モフモフして、お姉ちゃん…」

 

マヤ「わかったよ。ロゼって本当に可愛いな」モフモフ

 

ロゼ(あれ、前より小さくなった気が、まあ、いいか。小さいの好きだし)モフモフ

 

マヤ「おやすみ、ロゼ…」モフモフ

 

ロゼ「おやすみ、お姉ちゃん zzz……」

 

マヤ(良かった、寝てくれた。でも…)

 

ロゼ(zzz…)

 

マヤ(なんでリゼが名前まで変えて化けたのか、今ならわかる気がする…)

 

マヤ(リゼの本音は可愛い物が好きなんだ…でもそれはリゼのイメージじゃない)

 

マヤ(だから、ガーリーな格好でロゼに化けることで、本性を出してた…)

 

マヤ(でも、そんなリゼの全部が私は好きだ。リゼの妹でも、姉でも何でもいい…)ナデナデ

 

ロゼ(お姉ちゃん…)

 

マヤ(……)

 

千夜「おや、ロゼちゃん、寝ちゃったのね」

 

マヤ「うん。どうしよう千夜〜」

 

千夜「ご自宅に連絡して、お迎えを呼んだから。それまでの辛抱よ」

 

マヤ「(本当は辛くないけどね)ところでさー、千夜」

 

千夜「どうしたの?」

 

マヤ「リゼとロゼが同一人物だって、気付いている娘って千夜の他には?」

 

千夜「あら、マヤちゃん見抜いちゃったのね。さすがリゼちゃん大好きっ娘ね」

 

マヤ「それと、気づいていないメグには言ってないよ」

 

千夜「そうなの? 偉いわ。実は気付いているのは、今のところ、私とマヤちゃんだけよ。シャロちゃんやチョコちゃん、ココアちゃん達も気づいていないわ…」

 (注:その他、正確にはティッピーも見抜いている)

 

マヤ「そうなんだー」

 

※この間、自宅からリゼ父含むお迎え部隊が参上、リゼは衣装のまま、裏口から誰も気づかれずに運びだされた。

 

マヤ「これで一安心だね」

 

千夜「おや、あちらのコンビも戻ってきたわ」

 

メグ母「それでは、よろしくお願いします」

 

チョコ「分かりました。私もがんばります」

 

メグ「わーい、チョコ先生〜」

 

マヤ「あれ、メグのお母さんも一緒だ…」

 

メグ母「あら、マヤちゃん、こんばんは」

 

マヤ「メグのお母さん、こんばんは」

 

メグ母「時間が来たので、迎えに来たのよ。マヤちゃんも一緒にお願いね。お母さんとお兄さんに頼まれてるから」

 

マヤ「そうなんですか、ありがとうございます。ところで、メグ、凄い喜んでたけど…」

 

メグ「チョコお姉ちゃんが、私の家庭教師になってくれるの〜」

 

メグ母「聞けば、チョコ先生はこの学校の特待生だって言うじゃないの。なかなか適任者がいなくて。頼まない手は無いわ」

 

メグ「嬉しい〜」

 

メグ母「(めぐみ)にはどうしても、私の母校の、このお嬢様学校に受かって貰わないとね。頑張るのよ」

 

メグ「は〜い」

 

チョコ「メグちゃん、一緒に頑張ろうね」

 

メグ「お世話になります。チョコお姉ちゃん」

 

メグ母「『お姉ちゃん』じゃなくて、『先生』でしょう」

 

チョコ「プライベートは「お姉ちゃん」でいいですよ、メグちゃん」

 

メグ「ありがとう、お姉ちゃん」

 

メグ母「さあ、帰るわよ。千夜さん、どこで着替えたらいいんでしょう」

 

千夜「楽屋部屋の鍵をお貸ししますので、そこでお願いします。そのまま衣装は部屋に置いてもらえれば。終わったら、鍵を私にお返し下さい」

 

メグ母「分かりました。恵、マヤちゃん。行くわよ」

 

メグ「チョコお姉ちゃん、千夜さん。楽しかったです」

 

マヤ「チョコ姉、千夜、忘れられない思い出をありがとう。じゃねー」

 

チョコ「さようなら、私の妹たち…」

 

千夜「気をつけてね」

 

※マヤとメグはメグ母の迎えで帰った。

 

チョコ「行っちゃったね。あれ、ロゼちゃんは?」

 

千夜「ロゼちゃんは帰ったわ」

 

チョコ「いろいろ助けてもらったから、お礼言わなきゃ。でも誰だかわからないよ」

 

千夜「ロゼちゃんも喜んでいたと思うわ。仮装パーティーだから、分からなくて当然よ」

 

チョコ「そ、そうだね」

 

千夜「もうすぐパーティーはお開きになるわ…私も締で準備があるから、またね。チョコちゃん」

 

チョコ「千夜ちゃん、頑張って〜」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

凛「あ、ここにいたいた」

 

チョコ「あれ、真手先輩、こんばんは。お久しぶりです」

 

凛「こんばんは、チョコちゃん。駅のホームで会って以来ですね。凛って呼んでいいですよ」

 

チョコ「凛先輩、すごい景品の数ですね…どれだけ獲ったんですか…」

 

凛「少しチョコちゃんにあげますよ」

 

チョコ「だ、大丈夫です…」

 

凛「それで…私もチョコちゃんやシャロさんと同じ特待生って話は聞きましたよね」

 

チョコ「ええ、凛先輩は青山先輩といいコンビだって話も聞いてます」

 

凛「それでね、私もチョコちゃんと同じ、特待生で姉妹校転校してるんです」

 

チョコ「えっ」

 

凛「学校から急に話があってね。2年の4月の時に、校長室に呼び出されて」

 

チョコ「私とおんなじですね…」

 

凛「校長はチョコちゃんの時と同じ人だから、また同じこと考えてるのかも」

 

チョコ「その話、初耳ですね」

 

凛「時間が経つと、姉妹校に在籍したことは伏せられて、消されるから気をつけてください」

 

チョコ「そうなんですか…」

 

凛「表向き、私もこの学校に入学したことになってるけど、実はチョコちゃんの姉妹校に入学してるんです」

 

チョコ「……」

 

凛「チョコちゃん以外にはこのことは話していないから、この話はだれにも言わないで、内密にね…」

 

チョコ「はい、分かりました」

 

凛「困ったことがあったら、これが連絡先です」つ名刺

 

チョコ「ありがとうございます、凛先輩。これが私の連絡先やSNS、メルアドです」つメモ

 

凛「ありがとう、チョコちゃん。じゃ、お互い頑張ろうね…」

 

チョコ「凛先輩も…」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―宴のあと―

 

千夜「さて、会場の撤収も終わったわ。実行委員のみなさんも、お疲れ様でした」

 

スタッフ「それでは、解散とします。気をつけてお帰り下さい」

 

※楽屋部屋

 

千夜「チョコちゃんもお疲れ様でした。衣装の着替えも終わったし、私達も撤収しましょ」

 

チョコ「ところで、帰りはどうするの? 千夜ちゃん」

 

千夜「あっ」

 

チョコ(いやな予感が…)

 

千夜「(フロントへ内線)もしもし、帰りのリムジンの予約は…えっ キャンセルされてる? そうですか、ありがとうございました」

 

チョコ「もしかして…」

 

千夜「リゼちゃんも帰っちゃてたんで、リゼちゃんのお父さんがキャンセルしてたみたい。タクシーも出払ってて3時間待ち…どうしよう…」オロオロ

 

チョコ「シャロに連絡してみるね、千夜ちゃん」

 

千夜「お願い、チョコちゃん…」ウルウル

 

*チョコ、シャロへ携帯にて連絡。

 

チョコ「さっきシャロに連絡したら、ココアちゃんに救援要請してみるって」

 

千夜「ありがとう、チョコちゃん」

 

(しばらくして)

 

チョコ「シャロから折り返し連絡があって、ココアちゃんがなんとかするって言ってたって返事が」

 

千夜「あ、たった今私のところにもココアちゃんから携帯でかかって来たわ。『いま向かってるからねっ』って」

 

チョコ「あれ、ココアちゃんって乗り物の免許もってたのかな?」

 

千夜「さあ、でもココアちゃんだから、何とかしちゃうのかも」

 

チョコ「そうだね」

 

※コンコン(ドアをノックする音)

 

千夜「はあい、どなた?」

 

ココア「ココアだよ〜 千夜ちゃん、開けて〜」

 

千夜「ココアちゃん、すぐ鍵を開けるわ」

 

※ガチャ(ドアが開く音)

 

ココア「こんばんは、千夜ちゃん、チョコちゃん」

 

チノ「こんばんはです。千夜さん、チョコさん」

 

千夜「ココアちゃん、嬉しい〜」ダキッ

 

ココア「千夜ちゃん、苦しいよ〜」

 

チョコ「チノちゃんも来てくれたんだ〜」

 

チノ「方向音痴のココアさん一人では心配なので、ついて来ちゃいました」

 

千夜「ところで、何に乗ってきたの?」

 

ココア「じゃーん、リヤカーだよっ チノちゃん乗せてきたんだよっ」

 

チョコ「これならば、衣装とか全部のせられるね。早速運んじゃおう」

 

一同「おーっ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―リヤカーに乗って―

 

チノ「高級ホテルの正面玄関から、リヤカーってシュールでしたね」

 

ココア「でも、こうやってゆっくり、リヤカーから木組みの街の春の夜景を、眺めながら帰るのもイイね」

 

チノ「ココアさん呑気(のんき)過ぎます。チョコさん一人で、私達3人と荷物載せて引っ張ってるけど、大丈夫ですか、チョコさん」

 

チョコ「私は大丈夫。力仕事は慣れてるので。それより千夜ちゃんの介抱をお願い。今日一番の功労者だし」

 

千夜「zzzz…」

 

ココア「今日も頑張ったんだね、千夜ちゃん」

 

チノ「いい顔して寝てますね。なんか満足気(まんぞくげ)です」

 

ココア「ねえ、チノちゃん」

 

チノ「何ですか、ココアさん」

 

ココア「『お姉ちゃん』って呼んで?」

 

チノ「コ、ココアお姉ちゃん……」

 

ココア「!」

 

チノ「ココアさんも、私を妹と呼んで下さい。私を妹にしてください」

 

ココア「妹はチノちゃんだけだよ!」

 

チノ「ココアさんはメグさんに目標にされたり、年下なら誰でもいいんじゃないですか?」

    (注:マヤとの「捨て姉」冒険はまだ先)

 

ココア「え〜そんなこと、ないよ〜チノちゃんが一番だよ」

 

チノ「そうきましたか。それでは、私が一番という証拠を私に見せて下さい」

 

ココア「どうすれば、いいの、チノちゃん?」

 

チノ「私のお姉ちゃんなら、言わなくてもわかって欲しいです」

 

ココア(チノちゃん、目を瞑ってる…よし)

 

チュッ

 

チノ(うれしいです…ココアお姉ちゃん)

 

 

チョコ(明日もいいことが沢山ありそう)ニコッ

 

 

―おまけ―

※シャロの家にて   ーチョコが帰宅してから―

 

シャロ「ふーん。チョコも大変だったのね。マメちゃんも参加しちゃったんだ…」

 

チョコ「そう、あと青山ブルーマウンテンさんの編集さん、凛先輩もいたよっ」

 

シャロ「それで、リゼ先輩は?」

 

チョコ「変装していて全くわかんないし、会えなかったよ…」

 

シャロ「リゼ先輩は警察官とか、軍人ぽいコスを好むわね」

 

チョコ「へー気づかなかった。今度は見つけるよっ。それと今度シャロも参加しようよ〜」

 

シャロ「あーいうの苦手でね。で、帰りはココアのリヤカーだったんだって?」

 

チョコ「そう。荷物とか沢山あったし、助かったよシャロ。シャロがココアちゃんに連絡してくれたんだよね」

 

シャロ「まーそうなんだけど。千夜ったら、最後の詰めが甘かったわね」

 

チョコ「でも楽しかった。ありがとう、シャロ」ニコ

 

シャロ「どーいたしまして」ニコ

 




 ようやっと、パーティー編は終わりです。
 困ったのは、メグ母→メグの名前の呼び方で、親なので愛称ではなく、本名で呼ぶようにしたのですが、原作やアニメもたしかメグに名前で呼びかけてないので、違和感あるかもしれません。
 またこの時点では、リゼとロゼが同一人物と気付いているのは、ティッピー、千夜、マヤだけです。原作では、この後の設定のまんがきららMAX2017年9月号のロゼ登場時、マヤだけひと目でリゼと見破り、千夜に口止めされることになります。
 あと最後のオチに、ココアとチノには登場いただきました。

【2/24帰宅後エピソード追加→シャロちゃんを出したかったのでm(__)m】

今回も、拙いこのssをお読み下さいまして、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18羽 青山アグレッシブマウンテン

お待たせをいたしました。続編です。
物語は終盤に差し掛かってます。
(少し短め&途中で終わります。また独自設定色が強くなり、キャラ崩壊も感じる人もあるかと思います。ご了承下さい)
それでは、ごゆるりとお楽しみいただけると幸いです。

○お知らせ○
仕事が多忙になっているため、更新スピードが落ちてます。ご勘弁下さい。(2週に一度程度、場合によりもっと開くかも知れません。生暖かく見守っていただけると幸いです)


※ラビット・ハウス

 

チノ(何か、バータイムのお店から、聞き覚えのある曲が)

 

チノ「お父さん…」

 

タカヒロ「チノ、この前のもちもちバンドライブ、プロジェクターで見てるんだが、チノも見るか?」

 

リゼ父「凄いギグだったよな、何回見ても癒やされるし、心を掴まされる…」

 

ティッピー「うるさいのは嫌いじゃが、このライブは別じゃ」

 

チノ「……」

 

チノ(父は、最近、バータイムとか休みには店のプロジェクターで、以前ウチの店で録画した萌夏さんの、もちもちバンドのライブばかり見ています)

 

チノ(店から漏れてくる音声だけでも、私の母が歌っているようにも聴こえます。萌夏さんと母は良く似ていますし当然なんですが)

 

チノ(萌夏さんは、私の母瓜二つですし、なにか私の母と関係がありそうな気がしてなりません)

 

チノ(それよりも、母と父に似てない私は一体、何者なのでしょう?」

 

 

※チノの部屋

 

チノ「もし、リゼさんやココアさんに相談したら…」

 

(空想)リゼ『チノ、自分の実親になんてこと言うんだ! そういうタルんだ心を、いまからトレーニングで叩き直す!』

 

チノ(たぶん、生身の私は生きて帰れない…)ブルブル

 

(空想)ココア『ヴェアアアア! タカヒロさんにそんなこと言っちゃダメ! お父さんは大事にしないとダメだよ! お姉ちゃんが許さないよっ』

 

チノ(愚痴ならココアさんが一番の相談相手ですが、そういうことじゃないんです…)シュン

 

チノ「アドバイスどころか、余計複雑な方向に進むだけ…」

 

チノ「どうしたら…あっ あの人たちならもしかして…」

 

 

※翌日、甘兎庵にて―千夜とチョコは甘兎庵の着物で接客中

 

千夜「ラビットハウスの看板娘、チノちゃん一人でお客さんなんて珍しいわね」

 

チョコ「そうだよ。チノちゃん、一体どうしたの?」

 

チノ「今日はラビット・ハウスのシフトがオフで、千夜さんとチョコさんにご相談が…いま店内にお客さんは私だけですし…」

 

千夜(この前は、『ココアさんは年下だったら誰でもいいんです…』なんてマメちゃん達に嫉妬して、相談に来てたわね)

 

千夜「ココアちゃんは一緒じゃないの?…あとティッピーもいなくて、代わりにあんこを乗せてるのね」

 

チノ「ココアさんやリゼさんは今仕事中です。でも相談しても、怒られるか、余計悪くなるだけと思ったので…」

 

チョコ(チノちゃん、深刻な表情…)

 

千夜(重い話になりそうね…)

 

チノ「私は説明がヘタなので、唐突に主題から入ります」

 

チノ「私って本当に父の娘なんでしょうか…」

 

チョコ(!)

 

千夜「詳しく聞かせて。チノちゃん…」

 

※チノは自分の両親に全く似ていないこと、萌夏が自分の母とそっくりなこと、和解する前の萌夏とのやりとり、自分のざわついている胸の内を千夜とチョコに話した。

 

千夜「そうなのね。(つら)かったのねチノちゃん…」

 

チョコ「チノちゃん、今でもその辛い気持ちは?…」

 

チノ「……どうにもならなくて、さらに日増しに強くなっていく一方です」

 

チョコ「私の妹、萌夏はチノちゃんのお母さんに瓜二つ…そっくりなんだ」

 

チノ「はい、生き写しといってもいいくらいです…歌と手品が得意だったり、天然なところまで…」

 

*チノはラビットハウスのバータイムで歌う、母の写真を取り出し、皆に見せた。

 

チョコ「本当だ〜外見からマイクの持ち方までほんとにそっくりだね。萌夏が大人になったらこんな感じなのかな?」

 

千夜「萌夏ちゃんとチノちゃんのお母さんの写真並べて母娘って言ったら、間違いなくみんな誤解するわね」

 

チノ「千夜さん、チョコさん、私は誰の子なんでしょうか。そして私はどうしたらいいんでしょうか?…」

 

千夜「チョコちゃん、どう思う? チノちゃんの気持ちを聞くだけでは、足らないような気がするの」

 

チョコ「うん、千夜ちゃんの言うとおり、愚痴や不安を聞くだけなら、ココアちゃんが適任だし私達のところには来ないよ…」

 

千夜「そうね。「楽しい」ことはココアちゃん大得意だけど、こういう重い辛い悩みは、すぐ容量オーバー起こしちゃうわね…」

 

チョコ「千夜ちゃん、チノちゃんは私達に助けを求めていて、解決の糸口を掴みたいんだと思うよ…」

 

千夜「きっと、そうよね…」

 

青ブルマ「皆さん、大変そうですね〜」

 

チノ「あれ?、いつの間に」

 

チョコ「神出鬼没だね。相変わらず…」

 

青ブルマ「お茶を飲んでいたら、ちょっと、お話が聞こえてきたので、加わってしまいました〜」

 

凛「みなさん、こんにちは〜」

 

千夜(おや、凛さんも店内にいたのね…)

 

チョコ(さっきまで誰もいなかったはず。お二人は今までどこに居たのかな?)

 

青ブルマ「ま、また凛ちゃんに連れて行かれちゃう〜…もうちょっと待って〜、凛ちゃん」

 

凛「連れて行きませんよ、(みどり)(青ブルマの本名)ちゃん」

 

青ブルマ「だって、〆切が迫ってるから…連れ戻しに来たのでは、ないのですか?」

 

凛「〆切? なんですか、それは」

 

青ブルマ「凛ちゃん?」

 

凛「〆切のひとつやふたつ、どーでもいいです。チョコちゃんのためなら先輩として…」

 

チョコ「凛先輩…」

 

青ブルマ「そ、それは……凛ちゃん…一体どうしたのですか?」

 

凛「考えるポイントはチョコちゃんの妹さんでしょ? 翠ちゃんはストーリーテラーとしての役割を果たして、チノちゃんに解決のアドバイスをしてください!」

 

青ブルマ「私が〆切守らなくて、出版社の業務進行がめちゃくちゃになったら、凛ちゃんが…」

 

凛「良くて始末書、悪くて会社クビですよね。望むところです。そうなったら、会社辞めてチョコちゃんと甘兎庵でバイトします!」

 

チョコ「そ、そこまでしていただかなくても…」

 

凛「いえ、このままでは私の気が済みません」

 

チノ(青山さんと凛さん、いつもと様子が違います…)

 

千夜(従業員は不足してるから、バイト大歓迎よ…)

 

青ブルマ「そんなの、いやです…。いままでの私と凛ちゃんとの仲は…」

 

凛「翠ちゃんとの仲も、それまでだった、ということです。私は、私の新しい妹、チョコちゃんに、先輩、いや姉として役に立ちたいのです。」

 

チョコ(たしかに、凛先輩とはSNSやメールで学校生活の質問なんかで連絡取り合ってたし、私と境遇や育ちが似ていた凛先輩に、SNSで甘えちゃったこともあった…)

 

青ブルマ「わ、わかりました…(まさか凛ちゃん、ここまでチョコさんに…)」

 

チノ「お手数をおかけしますが、よろしくお願いします、青山先生」

 

青ブルマ「まず、この状況ではチノちゃんのお父さん、タカヒロさんに聞いても、埒があかないでしょう」

 

チノ「そうですね。(おじいちゃん(ティッピー)も含めて)父は話そうとしませんし、何か隠しています」

 

青ブルマ「ですから今回の問題のキーパーソンは、チョコさんのお母様だと思います…」

 

チョコ「私の母、ですか…」

 

青ブルマ「そう。もちろん萌夏さんのお母様でもあるわけですから、チノさんの心配される事柄は、よくご存知なのではないでしょうか…」

 

チノ「た、たしかにそうですよね」

 

千夜(今の緊迫(?)した状況でも、冴えてるわね、青山先生…)

 

青ブルマ「あとは、その方からご事情をお話していただける環境を整えないと…。チノさんが急に聞きに行ったとしても、教えてはくれないでしょう…」

 

チョコ「青山先生、どうすれば、いいのですか?」

 

青ブルマ「それは、チョコさんのご尽力次第ですね。チノさんの悩みが解決するかは、チョコさんの行動いかんにかかっています」

 

チョコ「はい、がんばります!」

 

千夜「チョコちゃんが、お母様にまずはコンタクトをとる、ことですか?」

 

青ブルマ「そう。場合によっては、チノちゃんとチョコさんが一緒に、その方とお会いすることも必要かも知れません」

 

チノ「チョコお姉ちゃん〜」

 

チョコ「お姉ちゃんに、任せなさい〜」グッ

ピカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ

 

一同「ま、眩しい」

 

チノ(あいかわらず モカ(ココアの姉)さんのような凄い姉オーラです)

 

チノ「青山先生、アドバイスありがとうございます。一歩進めたと思います」

 

青ブルマ「どういたしまして。お役に立てて幸いです〜」

 

千夜「さすが青山先生ですね」

 

チョコ「青山先生、凛先輩、ありがとうございます」

 

青ブルマ「チョコさんも、チノさんも、千夜さんも、色んなひとに思い思われているって事です」

 

凛「私もチョコちゃん達のお手伝い、するわね」

 

青ブルマ「ちょっと、凛ちゃん? 凛ちゃんは私と一緒に、これからホテルに缶詰です〜。〆切が近いし」

 

凛「え? 私はチョコちゃんともう少し…」

 

青ブルマ「いま、私はチョコさんに強く嫉妬してしまいました」

 

チョコ「……」

 

青ブルマ「でも、これは私の凛ちゃんに対する思いが足らなかったからです。私と凛ちゃんで解決する問題です。チョコさんは悪くありません」

 

凛「翠ちゃん…」

 

青ブルマ「もちろん、〆切は守ります。その前に、凛ちゃんには私が一番ってことを、手とり足取り、また、わからせてあげます…」ニコ

 

チノ(なんか妙な展開に…)

 

凛「わ、私は後から執筆場所のホテルに行きます…」

 

青ブルマ「それだと〆切に間に合いません。さあ、凛ちゃん、私と一緒にホテルにいらっしゃい…」

 

凛「あーあー聞こえない」

 

千夜(ほほえまー)

 

青ブルマ「最後に当然のことですが、チノさんの悩みは、タカヒロさんには勿論、その他の誰にも口外しません。ご安心下さい」

 

チノ「ありがとうございます。青山先生」

 

青ブルマ「それでは皆さん、ごきげんよう〜」

 

千夜、チョコ、チノ「青山先生も、凛さん(先輩)もお気をつけて…」

 

青ブルマ「さあ、凛ちゃん、終わるまで絶対離しませんよ…」ガシッ

 

ズルズルズル…… アーアーアーキコエナイ………

 

チョコ「凛先輩があーあー言いながら、青山先生に連れて行かれちゃった」

 

千夜「いつもと逆さまだけど、微笑ましいわ」

 

チノ(微笑ましいんでしょうか?)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

チョコ「チノちゃん、私の母に早速連絡してみるよ…」

 

千夜「お願いね…」

 

チノ「ありがとうございます。チョコお姉ちゃん…」

 

*チョコ実家へ電話中

*電話終了

 

千夜「どうだった、チョコちゃん」

 

チノ「…」

 

チョコ「…チノちゃん、青山先生の言う通り、私の母に会ってみない?」

 

チノ「えっ…」

 

チョコ「母に聞いたら、チノちゃんの知りたい情報、どうやら知ってるみたい。でも、電話で話すことじゃないから、直接会って話したいって」

 

千夜「話してはもらえそう?」

 

チョコ「うん、でも母は体調が良くないので、母が木組みの街にチノちゃんに会いに来ることはできないの」

 

千夜「だから、チノちゃんがチョコちゃんのお母様に会いに行かないと、ダメなのね」

 

チョコ「うん、それでチノちゃん、一人旅したことある? 私の実家、遠いよ?」

 

チノ「お恥ずかしながら、私自身、一度も街の外に出たことがないんです…」

 

チョコ「そうなんだ…」

 

千夜「…悪いけどチョコちゃん、チノちゃんと、お母様のところに一緒に会いに行ってもらえないかしら」

 

チョコ「チノちゃん、私と長い旅になるけど、いいかな?」

 

チノ「チョコお姉ちゃんとなら安心です」

 

チョコ「千夜ちゃん、大丈夫?、お店の方は…」

 

千夜「千夜お姉ちゃんにまかせなさ〜い」bang!

 

チョコ「千夜ちゃん…」

 

チノ「千夜さん、チョコさん、ありがとうございます」グス

 

チョコ「ほらチノちゃん、泣いちゃだめ」ナデナデ

 

千夜「これで決まったわね。なら早速、作戦会議よ」

 

チノ・チョコ「おー」

 




 千夜、チョコ、チノと青ブルマ、凛のやり取りでした。青ブルマはチョコに凛を取られそうになったと勘違いし、本気(?)を出したのでした。

 これから、チョコとチノで旅をします。

 今後の更新スピードは落ちていくと思いますので、ご勘弁下さい。

 今回も、この拙いssをお読み下さいまして、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19羽 少女はチノちゃんを伴い汽車に乗りて昼夜の鉄路を行く(その1)

みなさまお久しぶりです。
遅くなりましたが、再開します。

調子はあまり良くないのと、仕事が多忙なため、
不安定な更新になりますが、ご了承下さい。

それでは、お楽しみいただけると幸いです。


 

???「千夜ちゃん、千夜ちゃーん」

 

千夜「あれ? ここは甘兎庵… どうしたんだろ、私」

 

???「チョコだよ。いつもどおり、バイトに来たよ、千夜ちゃん」

 

千夜(いつもの甘兎庵の着物姿だけど、チョコちゃんにしては、何か違和感が… 絶対ココアちゃんだわ)

 

千夜「…あなたはココアちゃんでしょ?」

 

???「違うよ、チョコだよ」

 

千夜「私はココアちゃんとチョコちゃんの区別はつくわ。ココアちゃん、私をからかうのはやめて…」

 

ココア「…ふーん、パンの匂いも消していたのに、さすがは千夜ちゃんだね。それでこそ私の親友だよ」

 

千夜「ココアちゃん、どうしたの?」

 

ココア「千夜ちゃんに相談があるんだよ」

 

パッ

 

千夜「あれ、ここはいつもの学校… ココアちゃんも私も学校の制服に…」

 

ココア「千夜ちゃん大好き…」ダキッ

 

千夜「!」カァァ

 

ココア「目をつぶって、千夜ちゃん…」

 

千夜「……」メヲツムリ

 

チュッ

 

千夜「」

 

ココア「千夜ちゃん、こっちこっち…」

 

タッタッタッ

 

千夜「あ、ココアちゃん、待って〜」

 

千夜(あれ、いつの間に深い森の中に…)

 

千夜「ココアちゃん、捕まえた〜」

 

ココア「捕まっちゃった。実は、私が千夜ちゃんに相談したいことはね〜」

 

千夜「?」

 

ココア「チノちゃんのことで、なにか私に隠してないかな?」

 

千夜「…」ギク

 

ココア「親友なら、隠し事は無しだよ〜」ニコ

 

千夜「あ、そ、そのことなら、チノちゃんに置き手紙をするように言ったから、コ、ココアちゃんそれを読めばわかるようにしたわ」

 

ココア「ふ〜ん、そうなんだ。だったら…」

 

千夜「だったら?」

 

ココア「この夢は終わりにして、今すぐ鳴ってるスマホに出てね。お願い…」

 

千夜「夢が終わらなかったら?」

 

ココア「シャロちゃんのワイルドギースの時みたいに、朝までぐっすり爆睡だったら、もう絶交…しちゃうかな?」

 

千夜「イヤよココアちゃん、絶交なんて。私とココアちゃんは親友でしょ?」

 

ココア「そう、千夜ちゃんは私の大切なお友達で親友だよ。だからすぐに目を覚ましてね」

 

ココア「じゃーね、私の大好きな千夜ちゃん」スゥ〜

 

千夜「あ、待って、ココアちゃん…」

 

ココア「目が覚めなければ、もうこれっきりだからね〜」ニコ

 

千夜(どんどんココアちゃんが遠くに…待って〜ココアちゃーん…)

 

千夜(追いつかない…そうだ、私が夢から覚めないと、ココアちゃんと絶交に…)

 

千夜(そんなの絶対イヤーーーーーーーーーーーーーー!)

 

パチッ

 

千夜「あれ、ここは私の部屋。夢だったのかしら? あれ、なんか音が…」

 

ヴーーーーッ ヴーーーーッ ヴーーーーッ(スマホのバイブ音)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ーラビット・ハウス(チノの部屋)ー

 

深夜

 

チノ「さて、千夜さん、チョコさんとの打ち合わせどおり、真夜中から準備を始めて、いま完了です…」

 

チノ「おじいちゃん、お父さんとココアさんには置き手紙を準備しました」

 

チノ「チョコさん、千夜さんと早朝、木組みの街中央駅で待ち合わせ…」

 

チノ「始発の臨時特急に乗って、チョコさんと2人旅です」

 

チノ(本当は黙って出かけるのは気が引けますが、おそらく相談しても、解ってもらえず反対されるだけで終わりでしょう。)

 

チノ(自分のことですから、自分で解決しなければなりません…)

 

チノ(これ以上、皆さんに迷惑かけるわけにも行きません…)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ーココアの部屋の前ー

 

チノ(お父さんには、部屋の前に手紙をおいてきました)

 

チノ(おじいちゃんへの手紙もそこに置いたので、おじいちゃんも読んでくれるでしょう)

 

チノ(荷物も持ったし、後は出かけるだけです)

 

チノ(最後にココアさんには寝ててもいいので、ひと目会ってから出かけたいです…)

 

チノ(いまココアさんは熟睡しているはずです…)

 

ギイー(ココアの部屋のドアを開ける音)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ーココアの部屋ー

 

ココア(すー、すー)

 

チノ(今、目の前にココアさんが寝ています)

 

チノ(布団を全部かぶっているので、顔はわかりません)

 

チノ(寝息だけが聞こえてきます)

 

チノ「(小声で)ココアさん、しばらく留守にします。身勝手な妹でごめんなさい。留守の間、皆さんをよろしくお願いします」

 

チノ「では、行ってきます」

 

ココア「ま〜て〜」

 

チノ(えっ…布団から手が!)

 

*ガシッ(チノの腕をつかむ音)

 

チノ(わっ)

 

チノ(ココアさんの布団の中に、強い力で引きこまれて…)

 

ココア「こ〜ら〜 お姉ちゃんに黙って出かける、悪い妹はいねが〜」

 

チノ(いまココアさんと布団の中でもふもふ。でもココアさん秋田の「なまはげ」のような低い口調で怖いです)

 

チノ(当然怒ってますよね…)

 

チノ「ご、ごめんなさいココアさん」

 

ココア「ゆるさないぞ〜」

 

チノ「…」プルプル

 

*1分経過

 

ココア「なーんちゃって」ニコ

 

チノ「えっ?」

 

ココア「事情は千夜ちゃんから聞いたよ。あ、私が深夜、千夜ちゃんに携帯鳴らして、無理に聞き出したんだ。千夜ちゃんを責めないでね…」

 

チノ「ココアさん、凄いカンですね…」

 

ココア「でも私、チノちゃんがそこまで思い詰めてたの、ぜんぜん解ってあげられなかった。お姉ちゃん失格だよ…」

 

チノ(ココアさんの顔を見ると、涙のあとが、すじになって夜の月明かりに映って…)

 

チノ「私こそ、初めにココアさんに打ち明けておくべきでした。ごめんなさいお姉ちゃん」

 

チノ(こんな大事な人に、心を閉じていた私が恥ずかしいです…)

 

ココア「でもチノちゃんが、出発前に私に会いに来てくれたの、とっても嬉しかったんだ…」

 

チノ「ココアお姉ちゃん…」ダキッ

 

ココア「チノちゃん…」ダキッ

 

*しばらく二人は抱き合った

 

ココア「そういえば、朝の4時ごろ中央駅集合だったよね。そろそろ行かないと…」

 

チノ「そこまでお見通しなんですね」

 

ココア「お姉ちゃんも一緒に駅までチノちゃんを見送るよ! 千夜ちゃんとチョコちゃんにはもう話してあるし」

 

チノ「ココアさん…」

 

ココア「実はもう着替えてあるんだ。すぐ出発だよ!」

 

チノ「はい!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ー木組みの街中央駅1番ホーム、午前3時50分ー

 

チョコ「結局、ココアちゃんには、話が伝わって、わかってくれたんだ…」

 

千夜「ええ。深夜、ココアちゃんから急に電話があって、お話ができたの…」

 

シャロ「ココアのチノちゃん思いの強さは相変わらずね。それで、チノちゃんを見送りに一緒に駅まで来るのね」

 

千夜「そう。それとココアちゃんに伝わると、もちろん他の友達にも…あの近づいて来る人影もそうね」

 

シャロ「あの人影は…リゼ先輩とマメちゃん?」

 

千夜「うまく伝わったみたいね。良かったわ」

 

チョコ「全員集合ですね」

 

リゼ「…おはよう、みんな。千夜もシャロも見送りか?」

 

マヤ「結局みんな揃ってるじゃん。おはよーっす」

 

メグ「おはようございま〜す(ね、ねむいよ〜)」

 

シャロ「リゼ先輩にマメちゃん、みんな来てくれるなんて…」

 

チョコ「リゼ先輩、おはようございます。マヤちゃん、メグちゃん、おはよう」

 

千夜「リゼちゃん、マメちゃん、ありがとう。お話はココアちゃんから聞いてるわよね」

 

リゼ「ああ、最初聴いた時は驚いたよ。」

 

マヤ「チノが自分から行動を起こすって、よっぽどの事じゃん」

 

メグ「チノちゃんは私達の大切な友達だからね〜。マヤちゃんと応援するって決めたの〜」

 

リゼ「ところで、チノとココアは?」

 

千夜「まだ来てないわ」

 

シャロ「んもう、なにやってるのよココアは」

 

(つづく)

 

 

 




列車が発車するまで書きたかったのですが、
ここで今回は終わりです。

不定期更新になることをお許しください。

拙いこのssをお読みいただき、ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 50~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。