八幡は魔法科高校に入学する。 (丹下)
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ちょっと思いついたので書いてみました!(一回八幡を書いてみたかったです…)
更新ペースは不定期でいきます!


とりあえず設定上げておきます。


比企谷家

 

比企谷は四葉の分家であるが、四葉家内でその事を知るのは当主の真夜、姉の深夜と執事の葉山のみが知っている。

当主は存在しない。

 

 

 

 

比企谷八幡

学校 魔法大学付属第一高校 1-E

得意魔法 加速・加重系魔法

CAD 普段は汎用型、戦闘時はカートリッジ式の特化型(どちらも材木座特製)

 

 

 

 

妹の小町の為ならなんでもするお兄ちゃん。

四葉家の分家であることが秘密なので、魔法師であることを秘密にしていた。

真夜からは捻くれた性格と腐った目がなければ次期当主に指名していたと言わせるほどの実力はある。

 

 

総武中学出身で、修学旅行の一件以来雪ノ下、由比ヶ浜に嫌われている。八幡自身はその事について、自分のできることをやっただけなので後悔はしてない。

材木座とは幼馴染で、なんだかんだ仲が良い。昔から新しいCADや調整は全て任せている。

 

 

得意魔法の加速・加重系魔法はかなり高度な魔法も使用可能で八幡しか使えない魔法もいくつか存在する。それ以外の魔法も難なく使えるオールラウンダー。

 

 

 

 

比企谷小町

学校 総武中学2-D

得意魔法 精神干渉系

CAD 汎用型と演算補助型(どちらも材木座特製)

 

兄、八幡のことを1番に想っている。

深雪と同じで四葉家次期当主有力候補であるが、本人はそれを望んでいない。

 

八幡の修学旅行の一件の話を聞いてからは、雪ノ下、由比ヶ浜、葉山の事を表にはださいないが、内心すごく嫌っている。

それ以来お姉ちゃん候補はもういらないと豪語している。

 

 

得意魔法は精神干渉系で、四葉家始まって以来最強と言われる精神干渉系魔法<心理掌握>が使える。

人格の洗脳や記憶改変や精神的な事ならなんでもできる。

深夜の一件で、小町が同じ目に合わない用に真夜が材木座に演算補助型CADを作らせ魔法を酷使しても命を落とす心配がない。

演算補助型CADは四葉の秘匿技術になっており、使用しているのは小町のみである。

 

 

 

真夜からは小町の事を絶対に怒らせてはいけない存在と言われている。

 

 

 

 

 

比企谷亜夜(旧姓 四葉亜夜)

 

八幡と小町の母親である。

真夜と深夜の妹で三姉妹仲良く過ごしていた。

一幡と結婚し比企谷となり、真夜が比企谷を分家として四葉に招いた。

 

八幡が総武高校へ行こうとしていたので、ほぼ強制的に第一高校に入学させる。

理由は達也と深雪が入学するのと、2人と仲良くなって欲しいから。

 

 

 

 

真夜とは現在でも仲が良い。

深夜とも亡くなるまでずっと仲が良かった。

深夜がなくなってからは、達也と深雪にお節介をやいている。

 

 

比企谷一幡

 

八幡と小町の父親である。

特に小町に溺愛しており、小町からはウザがられている。

魔法もある程度の実力の持ち主であるが、詳細は不明。

 

 

 

 

 

 

材木座義輝

学校 魔法大学付属第一高校1-E

得意魔法 硬化魔法

CAD 数えきれない程のCADを所有している。

 

CADに関しては天才的であるが中二病の為、よく八幡や小町に馬鹿にされている。

比企谷家とは昔からの付き合いで、八幡達が四葉の人間だと知っている数少ない人間の1人である。

四葉真夜のCADを調整しているのも材木座である。

真夜のお気に入りでよくいじめられている。

 

四葉家の専属技術者であるが、完全に四葉家の人間という訳ではなく半分は一般人として生きている。

真夜は材木座を完璧に四葉の人間としていつでも迎えるとは言っている。

 

 

 

見た目とは裏腹に、かなり動けるデブである。魔法の方も、自分が考えついた魔法(中二病)を実用化させるなど中々のハイスペックである。

 

 

 

桜井水波

学校 総武中学3-C

得意魔法 障壁魔法

CAD 汎用型(材木座特製)

 

小町のガーディアン兼比企谷家のメイドである。

学校では身分を隠す為小町ちゃんと呼び、家や外では小町様と呼んでいる。

八幡の事は昔からかなり好意的に想っている。

 

八幡の修学旅行の一件で、事の元凶である葉山に対しかなり嫌悪しており雪ノ下と由比ヶ浜に関しては好意的に思っていない。

 

同級生の一色いろはとは親友の間柄ですごく仲良くしているが四葉家の事を隠している。

 

材木座のことは中二さんと呼んでいる。

四葉家の序列的には今は、材木座よりは上である。

昔は義輝さんと呼んでいたが小町が中二と呼び出した辺りから

小町から中二と呼ぶように命じられ中二さんと呼ぶようになる。

当主の真夜の前では中二さんとは呼ばないが呼んでも怒られる訳ではない。

 

 

得意魔法の障壁魔法は十文字家のファランクス以上の強度を誇る。

 

 

一色いろは

学校 総武中学3-C

得意魔法 不明

CAD 不明

 

総武中学の生徒会長である。

生徒会長選挙の一件以来、八幡のことを好意的に思っていて、積極的にアピールしている。

 

水波とは学校では常に一緒にいる。

小町にお姉ちゃんと呼ばしたがっているが、中々呼んでくれない為日々努力している。

 

葉山の事は昔好きだったが、水波に修学旅行の話を聞き嫌悪してしまう。

 

 

一色といえば数字付きの苗字だがその辺の話は詳しくは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

雪ノ下家

七草家の分家である。

 

 

 

雪ノ下雪乃

学校 魔法大学付属第一高校 1-A

得意魔法 振動系魔法

CAD 汎用型

 

総武中学出身の1人

八幡とは奉仕部で知り合ったが修学旅行の一件以来嫌悪している。それからは親友の由比ヶ浜と葉山と一緒に行動している。

 

 

サイオン量が少なく、あまり魔法を連続使用できないが魔法を使うセンスは秀でている。

 

 

 

由比ヶ浜結衣

学校 魔法大学付属第一高校1-A

得意魔法 障壁魔法

 

総武中学出身の1人である。

入学式の日に犬を八幡に助けられて、好意を持つが修学旅行の一件で奉仕部が崩壊し、雪ノ下との道を選んだが八幡の事を未だに好意を寄せていてる。

 

得意魔法は障壁魔法で、対物に関してある程度の強度がある。

 

 

 

 

葉山隼人

学校 魔法大学付属第一高校1-A

得意魔法 振動系魔法

CAD 特化型

 

総武中学出身の1人である。

修学旅行の一件以来雪ノ下との仲を取り戻し、自分のグループを切り捨てて雪ノ下に尽くす様になっている。

 

八幡のことをかなり敵対している。

 

魔法に関してはそこまで優れているわけではなく、普通である。

 

 

平塚静

 

 

総武中学の先生である。

八幡のことを奉仕部に強制入部させた張本人である。八幡の事を評価しており、お気に入りである。

修学旅行の一件を聞いた際に自分の監督不届きだと八幡に頭を下げる。

 

現在も総武中学の先生として、小町を可愛がっている。

 

 

戸塚彩加

 

総武中学出身で、八幡の親友である。

魔法師としての才能がない為総武高校へ入学する。

八幡と材木座から天使トツカエルという不名誉な二つ名をもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 




設定は後で更新していきます…

達也と深雪も八幡が四葉の人間だとは知りません!!
八幡も達也と深雪の事を知りません!!


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入学編
八幡は第一高校に足を踏み入れる。




下手くそですが温かい目で見てもらえると嬉しいです!



ではどぞ!!


 

 

国立魔法大学付属第一高校入学出来ただけでそれはとてもつもなく幸運なことであるらしいのだが……

何故千葉から離れてわざわざ東京にある魔法科高校に入学しなきゃだめなんだ…

 

 

文句を言いつつも内心、比企谷八幡は入学式に期待を胸に踊らせながら胸にエンブレムがない一高の制服を着用し登校していた。

 

「中学の時みたいに事故には遭わない、見ても助けないまである。」

 

中学の入学式の日に犬が車に轢かれそうになった所を助け車に轢かれ足を骨折してしまった。

その時は浮かれていてCADを持っていなかった為、硬化魔法などで防げなかったのである。

 

 

一高の校門が見えたその先には…

 

茶色のコートを羽織い一高の制服を着たふくよかな男子生徒が腕を組みながら立っていた。

 

 

 

 

「はちえも〜ん」

 

八右衛門さん?そんな変わった名前の人がいるんだなぁ…八右衛門さん早く返事してあげて!

 

 

 

「なんで我を無視をするのだ!八幡よ!!」

 

……本当にマジで、声かけないで?すごく目立つから…周りの視線が痛いから…

 

「なんだ…材木座」

 

「お主と一緒に行こうとしたのだが、新しい家の場所を聞いていなかったのでな校門で待つことにしたのだ!!!」

 

こいつの名前は材木座義輝…一応俺の幼馴染である…あくまで一応だから!!!

 

「入学式くらい1人でいいだろう…寧ろこの先ずっと1人なまである」

 

いや…俺には戸塚がいる…戸塚と小町と水波がいればもうハチマンナニモイラナイ

 

「我がいるであろう…」

 

いや……お前が勝手にいるだけだよね??ハチマンシラナイ

 

「はぁ…」

 

ため息をついていると肩に風紀委員会の腕章をしたショートヘアの女性がやってきた。

 

えっ?俺なんかした?普通に登校して来たんだけど!!目が腐ってるから連行されちゃうの??やだ一高怖い…

 

「君、ちょっと来てもらおうか」

 

そう言って材木座の肩を掴む女性。

 

俺じゃないのかよ!ちょっとビビって損したっ!

 

「………」

 

材木座は冷や汗をだらだら垂らし八幡の方へ『助けて!八幡!』と視線を送ってるのだが…

 

「材木座よかったじゃねぇか初の逆ナンだぞ?」

 

そう言って八幡は材木座を見捨ててその場を去る。

 

 

「は、は、は、はちま〜ん」

 

 

と聞こえてるのだが八幡は無視して去って行った。

 

 

「はぁ…かなり早く来てしまった…」

 

朝早く目が覚めてワクワクしながら登校した八幡は暇を持て余していた。

 

すると…

 

「納得できませんっ!!!!」

 

1人の女子生徒が高身長の男子生徒に異議を申し立てていた。

 

リア充め!砕け散れ!!!

 

八幡はそう心で叫び、止まることなくその場を後にした。

 

「マッ缶飲んで本でも読んで時間潰すか…」

 

 

マッ缶を買う為、構内の自販機に来ていた。

 

「マッ缶仕様の自販機があるだと…千葉でも置いてるところが少ないのに…流石一高だ!」

 

八幡が初めて一高の事を褒めたのがマッ缶仕様の自販機だった。

 

マッ缶を買いベンチに座ろうとした時…

 

「新入生の方ですか?会場はあちらですよ?」

 

小柄で可愛らしい先輩であろう方が八幡に声をかける。

 

「ひぃや!マッ缶買いに行ってただけなんで」

 

八幡は最初は挙動不審になるが、すぐに落ち着き冷たく返事をしその場を後にしようとするが…

 

「マッ缶!!貴方もマッ缶が好きなんですね。」

 

えっ?マジで…初めてマッ缶を理解してくれる人に会ったよ!!小町、水波!!

 

 

「先輩もマッ缶が好きなんですね!!」

 

普段なら女子に話しかけられても挙動不振になる八幡だが…マッ缶好きな女性なら話は別らしい…

 

マジべっー!マッ缶好きな人に会うとかマジべっーしょ!!

 

戸部ってしまうくらいテンションが上がっている。

 

「私初めてマッ缶が好きな方にお会いしました、あの自販機を入れた甲斐がありましたね!!」

 

「えっ?先輩があのマッ缶仕様の自販機を…?」

 

この人どんな権力持ってるんだよ!!

でもこの人には感謝しかない…この人のおかげで俺は此処でマッ缶を飲めていると言うことである。

 

「あっ!申し遅れましたね、私は、この第一高校で生徒会長を務めています、七草真由美と申します。ななくさと書いて七草です」

 

七草ってアレだな、十師族だったな…

生徒会長か、どこぞの一色とは大違いだ…

十師族で生徒会長…やだマッ缶先輩権力ありすぎて逆らえない…

 

「ひ、比企谷八幡です…」

 

俺も名乗る必要あったのかな…しかも名乗っても名前覚えてもらえないまである。

 

「貴方が比企谷くんね、噂は聞いているわ」

 

えっ?噂?もしかして四葉の分家の人間って知ってるのん?

 

「噂ってなんですかね…?」

 

「第一高校始まって以来の前代未聞の数学0点を出した子って教員の間じゃ有名よ?」

 

 

がああああああああああ!!布団に入って泣きたい!!

 

でも、まぁ数学は仕方ない…ハチマンワルクナイ数学が悪い!!数学を作ったやつが悪い!!!世界が悪い!!!

 

 

「いや…それはその…アレで…」

 

「ふふっ、数学頑張ってくださいね。私はリハーサルがあるので失礼します、またね比企谷くん」

 

そう言ってマッ缶先輩は去っていた。

 

 

 

八幡はベンチに腰掛け読書をしていると…

 

 

「誰かと思えばヒキタニくんじゃないか、君も此処に入学してたんだね」

 

爽やかスマイルで八幡に話しかけてきたのは、同じ中学出身の葉山隼人。

 

はぁ…なんで此奴と同じ学校なんだよ…此奴がいるってことは…

 

「何のようだ葉山」

 

「同じ中学出身なんだ、話しかけても不思議じゃないだろ?」

 

あくまでこのスタンスを貫くつもりか…うぜぇ…

 

「別にお前とは友達でもなんとでもない、よって話す必要もない」

 

八幡は冷たく葉山を突き放し話を終わらせようとする。

 

「あら随分と偉そうな物言いね、ウィード谷くん」

 

「ヒッキー…」

 

葉山の後ろから二人の女生徒が現れる。

 

俺はこの2人を知っている雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣、同じ中学出身で2年で奉仕部として一緒に活動していた。修学旅行まで。

 

「ウィードってのは禁止用語じゃないんですかね」

 

ウィードとブルーム差別用語である。

一科生はブルーム、二科生はウィードと呼ばれ、一科生は優等生で二科生は劣等生と言われている。

そこにいる、葉山雪ノ下由比ヶ浜は全員胸にエンブレムが付いている。一科生ということである。

 

 

「貴方にはお似合いの言葉だと思うわ、それと真由美さんに気安く話しかけないでもらいたいのだけれども」

 

あー…雪ノ下家って確か七草家の分家だったな、材木座が言ってた気がする。

 

「話しかけて来たのは向こうだよ、それに、もう2度と会わないまであるな」

 

「そうならいいわ、私達にも話しかけてないで貰えないかしら貴方と同じだなんて思われたくないもの」

 

別に俺からは話しかけようとも思ってないから…今もお前らから話しかけて来たんじゃねーか…

 

「はいはいそうかよ、じゃあな」

 

 

「補欠は補欠らしくしてた方がいいよヒキタニくん」

 

葉山は八幡にしか見えないところで黒い笑みを浮かべそう言う。

 

「ヒッキーばいばい…」

 

由比ヶ浜は気まずそうにしている。

 

 

3人が去って行き八幡はようやく一息つく。

 

 

「はぁ…あいつらが此処にいるとは、二科生でよかったかもな」

 

八幡と材木座は二科生で入学することになっている。2人共本来であれば主席クラスの実力を持っているのだが、八幡は四葉家当主の真夜に全力を出すなと言われ魔法実技のテストに手を抜いて挑まさせられた。

手を抜いても一科生になれるはずの予定だったのだが、数学の点数が0点だったので二科生になった。

 

材木座は魔法実技のテストの際に後ろの可愛い女の子に話しかけられ、緊張しすぎて実力の半分も出せなかったらしい…

筆記試験の方は国語以外オール満点で国語以外は優秀である。

 

 

 

「そろそろ入学式が始まる時間か」

 

八幡は端末を終い、立ち上がる。

 

 

「八幡!!よくも我を見捨ててくれたな!見損なったぞ!!!」

 

材木座がやって来た。

 

「あんな綺麗な人に連れて行かれるのを邪魔するほど野暮じゃねぇよ。それよりお前コートは?」

 

材木座はさっきまで着ていたコートを羽織ってすらいない。中学の頃から何があっても着ていたはずなのに…

 

「あの鬼の様な委員長殿に…無理矢理脱がされてしまったのだ…我、泣かなかっただけ偉いであろう!!」

 

 

普通コートなんて羽織って来るやついないだろ…穴開き手袋は許してもらえたんだな…

 

 

「入学式が始まるから早く行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 





ヒロインとかまだ全然決めてないんですよね…

材木座のヒロインも考えなければ…www



次回は入学式ですね!!


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入学式



感想コメントありがとうございます!!
ヒロインについては意見を参考にしながら考えていきます!
材木座にヒロインは無しにすることにしました…w



ではどぞ!


 

入学式会場に入った八幡と材木座。

 

「綺麗に半分に別れてるでござるな」

 

「そんなもんだろ、1番目立たないところに座るぞ」

 

一科生と二科生でこんなに綺麗に別れるんだな、指示されたわけでもなく自然とそうなっているってことですかね…

 

適当に空いてる席についた。

 

「なぁ材木座」

 

「八幡から話しかけてくるとは珍しいではないか!!どうしたのだ我が聞いてやろう」

 

なんでそんな上から目線なんだよ…話す気7割はなくなったぞ…

 

「雪ノ下達もここに入学してたぞ」

 

「やはり雪ノ下嬢は入学しておったか」

 

材木座が珍しく真面目モードだな…

 

「七草の分家といえば当然ってことか?」

 

「そうであろうな、七草真由美嬢は此処の生徒会長殿であるからな」

 

情報収集などは全て材木座がやってくれている為その辺に詳しいのだろう。

 

「あの人は良い人だと思うぞ」

 

だってこの学校にマッ缶仕様の自販機置いてくれるくらい良い人だ。悪い人のはずがない。

 

「八幡んん??!!何故お主が七草真由美嬢の事を知ってるおるのだ??!!」

 

 

「お前が連れて行かれた後に声を掛けられただけだよ…」

 

数学の点数告げられて俺の精神削って去っていったし…さすが七草ってことですかね…

 

「なんだと………な、何故我ではなく八幡なのだ…やはり血か血筋の所為か…」

 

いや…お前も美人な委員長に連行されてただろうが…

 

「隣いいか?」

 

高身長なイケメン男子が声を掛けてきた。

 

「お、おう」

 

こいつさっき彼女?みたいな人に怒られてたやつだよね?リア充め…

 

「司波達也だ、よろしく」

 

初対面で自己紹介すぐにできるとか流石リア充だぜ…

 

 

「ひ、比企谷八幡だ、なんだその…よろしくお願いします?」

 

 

「我の名は「あ、あのここ空いてますか?」……」

 

材木座の自己紹介を制し女生徒が声を掛けてきた。

 

この子大人しそうなのにやる事が大胆だな、2人組ね…さすが女子!

 

「ああ、どうぞ」

さすがの司波も少しびっくりしてるじゃないですか…

 

「私は柴田美月って言います。よろしくお願いします」

 

「ああ、俺は司波達也こちらこそよろしく」

 

そして司波は俺に視線を送ってくる…えっ?俺も自己紹介しなきゃいけないの?なんかリア充みたい…

 

「ひ、ひきぎゃや八幡だ、こちらこそよろしく?」

 

「なんで疑問形?私は千葉エリカ、よろしくね司波くん、八幡くん」

 

えっ?何この子さらっと下の名前で呼んできたよ?司波は司波だったのに…勘違いしそうになっちゃうよ?

 

「我の名は剣ご「そろそろ始まるみたいだね!」……」

 

やめてあげて!材木座がもう再起不能になるから!!CAD調整してくれる人がいなくなっちゃう!!

 

 

入学式が始まり、マッ缶先輩や総代の答辞がありなんもなく終わりさっきのメンバーでIDカードの配布を受け取りにいった。

 

ねえ!小町!入学式出たら友達できるって噂本当だったよ!!友達かどうかわからんけど…

 

「私、E組!」

 

「私もです」

 

「俺もだ」

 

全員E組なんだな…

 

「八幡は?」

 

早速呼び捨てですか?本当に勘違いしちゃうよ?千葉さん!??

 

「Eです…」

 

「我もEであるぞ!!」

 

材木座まで同じクラスかよ…中学の時は運良く一緒にならなかったから違うと思ってた…めんどくせぇ…

 

「ならみんなでHR覗いていかない?」

 

千葉がそう提案した。リア充ってこんな感じなんだな…

 

「すまない、妹と待ち合わせてるんだ」

 

達也がそれを断った。

 

妹と一緒に入学できるなんて羨ましいやつめ!!

 

「我も…風紀委員長殿のところにいかなくては…」

 

どんだけコート返して欲しいんだよ…

 

「あの…もしかして妹さんって新入生総代の司波深雪さんですか?」

 

総代の子そんな名前だったのね…リア充クラスになると人の名前を覚えるのが得意なんだな…

あれ?葉山グループのやつは俺の名前を覚えてなかった…つまり逆説的にリア充同士じゃないと発動しないスキルってことだな。自分で言ってて悲しくなってきた…

 

「へっ?じゃあ双子?」

 

千葉が司波に問いかける。双子にしては全然似てなかったような…

 

「よく聞かれるけど双子じゃないよ、俺が4月生まれで妹が3月生まれなんだ。それにしてもよくわかったね?」

 

司波のお父さんお母さん頑張りすぎじゃないですかね…?

 

「ええ、雰囲気とか…後お2人のオーラは凛とした面差しがよく似ているので…」

 

えっ?柴田さんオーラとか見えるの?司波兄妹は念使えるのん?

それにしても司波がものすごく動揺してるぞ?やっぱり念能力者…うん、違うな

 

「オーラの表情がわかるなんて本当に目が良いんだね」

 

司波が柴田に少し詰め寄る…

 

「そ、それに八幡さんのオーラもよく似てます…」

 

「ふぇ?」

 

がああああああびっくりしすぎて「ふぇ?」とか言っちゃったよ!!俺のバーカバーカ!!

司波は俺を睨んできてるし…オーラくらい同じでもいいだろ…

 

「お主、その眼鏡…」

 

えっ?材木座?いたの?風紀委員長のとこ行ってないの?

 

「お兄様!!お待たせしました!」

 

司波妹がやってきた。いいなあ…俺も小町と入学したかったなあ…

 

「早かったね」

 

すると後ろからマッ缶先輩と新たなリア充が歩いてきた。

 

「こんにちはまた会いましたね、司波くん比企谷くん」

 

再会が随分と早くて八幡びっくり!!

って後ろの方に雪ノ下達がいるじゃねぇか…

 

「ところでお兄様、早速ダブルデートですか?」

 

そう行って千葉と柴田を物凄い笑顔で見る司波妹。ダブルって誰と誰と誰と誰なんですかね…

 

「ひぃ!我は撤退する!!」

 

材木座が逃げた…本能が危険を察知したのか?

 

「そんなわけないだろう、この3人はクラスメイトだよ、そういう言い方は失礼だろ?」

 

 

「も、申し訳ありません。初めまして司波深雪です、よろしくお願いします」

 

頭を下げる司波妹、小町と違ってなんて礼儀正しいんだ…でも小町が1番だけどなっ!今の八幡的にポイント高い!

 

「柴田美月です。こちらこそよろしくお願いします」

 

「私は千葉エリカよろしく!私のことはエリカでいいわよ、私も深雪って呼んでいい?」

 

「ええ、どうぞ」

 

なんてリア充な会話なんだ…俺には無理だ…

とりあえず俺は帰るか…

 

 

 

学校から結構近めな場所に家に引っ越した比企谷家

最初は俺だけ1人暮らしする予定だったのだが、総武中学からもそんなに離れていないこともあり全員で引っ越して来たのである。

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさいませ八幡様」

 

出迎えてくれたこの少女は桜井水波、小町のガーディアンであり比企谷家のメイドである。

 

 

「およ?お兄ちゃん早かったね!おかえり」

 

リビングに入ると小町がソファに寝転んでいた。

 

「おう、入学式だけだっからな」

 

「そうそうお母さん今日夜出掛けるって言ってたから、後真夜伯母さんが話しあるからこっちまで来るらしいよ?」

 

えっ?あの人くるの?マジで?材木座という生贄を早く召喚しなくては……

 

「何しにくるか聞いてるのか?」

 

「まぁ思い当たる事は一つしかないに決まってんじゃん!ね?水波ちゃん!」

 

えっ?七草の人間と話ししたとかバレてるの?でも関わっていけないとか聞いてないよ?ハチマンワカラナイヨ!!

 

「はい!小町様!」

 

「水波教えて!!お願いします!!」

 

ここで俺の伝家の宝刀土下座を決め込む!

 

「は、八幡様!やめてください!!話しますから!!」

 

「だめだよ水波ちゃん!」

 

小町ちゃんお兄ちゃん怒られちゃうよ?理由もわからず怒られるとかやだよ??

 

「で、でも…」

 

「水波ちゃん?話したら真夜伯母さんに怒られちゃうかもよ?」

 

「八幡様申し訳ありません」

 

俺よりあの独身の味方をするんだね水波…

 

「ごみぃちゃん?真夜伯母さんの前で独身とか言っちゃだめだよ?比企谷家に流星群飛んでくるよ?」

 

今さらっと俺の心読んだよね?小町の能力なら読めるけど…

いや…幾ら何でもそこまでしないでしょ…いややりそうあの人なら笑顔でやりそう…

 

「はぁ…とりあえず盾として材木座呼ぶか…」

 

「ついでにCADも見てって言っといてねー、後さっきの能力とか何も使ってないから」

 

 

 

 

そして夜…魔女が比企谷家に来襲する。

 

 






八幡と達也深雪と初対面!!
血縁はいつ明かされるのでしょうか…



次回は例のあの人が出てきますね。


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シスコンブラコンの家系

設定で少し間違っていたところがあったので修正しておきました…!

誤字報告もありがとうございます!!




ではどぞー!



その夜、比企谷家では…

 

 

「お久しぶりでございますご当主様、小町様と八幡様はこちらでございます。」

 

水波が真夜を迎え入れた。

 

「水波さんお久しぶりね、それにしても水波さんだけお迎えに寄越すなんて…」

 

その瞬間比企谷家の気温が10度は下がった。

 

「ま、ま、ま、ま、真夜殿!!」

 

何も聞かされていない材木座と真夜が鉢合わせてしまった。

 

「あら、義輝さん貴方も此処にいたのね…」

 

「あ、いや…その、我は…」

 

真夜は不敵な笑みを浮かべて材木座は冷や汗をだらだらと滝のように流している。

 

「貴方にも話しがあったんです。来なさい」

 

「はい!!」

 

真夜の前では材木座も中二病全開とはいかない様である。

 

「あっ!真夜伯母さんお久しぶり!」

 

小町は真夜に気軽に話しかける。そう小町は真夜の超お気に入りである。

 

「小町さん、お久しぶり会いたかったわ」

 

「小町も会いたかった!あっ、今の小町的にポイント高い!」

 

「ふふっ、それよりも八幡さんは?」

 

八幡の姿がないことを小町に聞く真夜。

 

「ごみぃちゃん早く出てこないと知らないよ?」

 

小町が問いかけても姿を現さない八幡。

 

「逃げたのかしら?外には葉山を待機させてあるから捕まえられるわね」

 

「ごみぃちゃん?出てこないなら小町の記憶を全て消してあげるね」

 

そう言って小町はCADを取り出す。

 

「すいませんでした…」

 

何もない所からいきなり土下座した八幡が現れる。

 

「あら八幡さんそこにいたのね…」

 

八幡を睨みつける真夜。

 

「ひぃや…そのこれはアレがアレで…」

 

「とりあえず正座なさい、義輝さんもね」

 

「は、はい!」

 

八幡と材木座は仲良く正座をして並んでいる。小町と水波はその光景を見てクスクス笑っている。

 

「今の魔法はなんですか?」

 

真夜は先程八幡が使った魔法が気になり問いかける。

 

「今のはステルスヒッキーといいまして…相手の認識を逸らすことができます…」

 

真夜はそれを聞いて目を見開く。

真夜は魔法師の中でもかなり優れている人物である。その彼女が目の前の八幡を認識出来なかったのである。

 

「相変わらず凄いわね…」

 

真夜は呆れた感じ八幡に答える。

 

「でもそれ欠点だらけなんだよね、ネーミングセンスもないし!さすがごみぃちゃん!」

 

小町ちゃんそんな事言わなくてもいいよね?中学の時に頑張って付けた名前だよ?

 

「欠点があるのかしら?」

 

「はいはーい!小町がお答えします!」

 

小町が元気良く手を上げて説明を始める。

 

「まず消費するサイオン量が馬鹿みたいに多いです。発動させるまでに1時間かかります。ステルスヒッキー中は他の魔法が一切使えません!それにこの効果の内容を知ってる人には通用しないであります!」

 

欠点だらけだけど…強いと思うんだけど…発動させるのに1時間かかるのはアレだけど…

 

「実用性に欠ける魔法ね…」

 

流星群とか降って来たら瞬殺されるね…あれ?ステルスヒッキー使えない…

 

「で、今日はなんでここに…?」

 

「小町さんに聞いてないのかしら?」

 

「小町は教えてくれなかったです…」

 

「はぁ…貴方が二科生として入学した事に対して少し話をお聞きしたくて」

 

あれ?手を抜けって言ったの真夜伯母さんだよね?

 

「手を抜けって指示があったので…」

 

「手を抜けとは言いましたが、二科生になれなんて言ってませんわよ?貴方もです義輝さん」

 

「はひぃ!」

 

不意に材木座も突っ込まれ訳のわからない返事をする。

 

「いやまさか第一高校に数学があるなんて思わなかったもので…」

 

「はぁ…まだ数学ができないのかしら…貴方達には罰が必要ですわね」

 

えっ?罰?入学できたんだし普通はお祝いじゃないのん?だからこの人結婚できないんだよ!!

 

「私が結婚できないって誰が決めたのかしら?」

 

………べっー!心読まれた…もうやだ…

 

「真夜伯母さんはいつ見ても綺麗です。周りの男が見る目がなさすぎます」

 

マジで!見た目だけならまだ20代でも大丈夫!真夜叔母さんが結婚できてないんだ、平塚先生が結婚出来てない理由もわかる気がする。

 

「嬉しいことを言ってくれるじゃない、私の旦那にしてあげますわよ?目が腐ってても構いませんわ」

 

「お断りします…ってナチュラルに人の目勝手にディスらないでもらえますか…」

 

腐ってるとか本当に辛辣…泣いちゃうよ?

 

「ふふっ、冗談よ。で貴方達にやって貰いたい事は2つありますわ」

 

2つも?何やらされちゃうの?ってか働きたくないんですけど…

 

「まず、今週末に亜夜の代わりに本邸まで出向いて貰い、あの子の仕事をしてもらいます」

 

へっ?四葉の本邸までいくの?マジで?ってか母ちゃんの仕事を何故俺達がやらないと行けないんだよ…

 

「2つ目は第一高校にブランシュの下位組織エガリテの構成員が潜入しているみたいです、貴方達にはエガリテではなくブランシュの排除をお願いします」

 

えっと…ブランシュってなんですか…?

 

「えっとブランシュって…?」

 

「義輝さん貴方なら知っているでしょう?説明しなさい」

 

「義輝におまかせー!☆」

 

よくこの雰囲気でそんな事言えるよなお前……その辺は本気で尊敬する…

 

「ほむんっ!ブランシュというのはだな、表向きには魔法師と一般人の社会的差別の撤廃を掲げ反魔法活動をしておるのだ、だがその裏ではテロ活動を行っておるらしいだ」

 

テロ組織ってこと?えっと…テロ組織を2人で潰せと…?

 

「テロ組織を壊滅させろと言うことですか…?」

 

「そうよ、お願いできるわね?」

 

「いや…そのアレがアレでアレなんで…」

 

できるできないの前に働きたくないよ…

 

「小町さんが入学するまでに第一高校のゴミは排除するんじゃなかったかしら?」

 

テロ組織が第一高校に潜入してる。このまま放っておくと小町に被害が…

 

「テロ組織ぐらい潰してやります!」

 

「相変わらずのシスコンね…どうしてウチの家系はシスコンやブラコンが多いのかしら…」

 

シスコンブラコン=四葉じゃなかったのん?真夜伯母さんも深夜伯母さんも母ちゃんもシスコン全開だったじゃないですか…って今も…

 

「義輝さんも同意と見てよろしいですか?」

 

「八幡1人にやらせる訳にはいかないのでありますので、我が名は剣豪将軍!材木座義輝なり!戦場の1つや2つお任せください当主殿」

 

寧ろ、こいつ1人でやってくれるんじゃないですかね…小町の為だから俺も頑張るけど。

 

「お願いするわね」

 

「お兄ちゃん!気をつけてね?やり過ぎたらダメだよ?」

 

お兄ちゃんの心配じゃなくて相手の心配しちゃうの…?

 

 

「それと……雪ノ下家のご令嬢も第一高校に入学してるみたいですね」

 

真夜が鋭い目付きになり八幡に問いかける。

 

やっぱりその辺の情報はしっかり掴んでいるんですね…

 

「お兄ちゃん!小町そんなこと聞いてないよ!どういうこと?!!」

 

「八幡様!私も聞いておりません!」

 

小町と水波が凄い形相でこちらに問いかける。

 

こうなるからね…あまり言いたくなかったんだよ…

 

「小町も水波も落ち着け、雪ノ下と由比ヶ浜後葉山も第一高校に入学しているが、別に問題ない」

 

関わらなければいい話だからな…

 

「問題ないとはどういうことかしら」

 

「あいつらは一科生なんで、接点はほぼなくなるでしょう。校内ではCADの携帯は許可されていませんし問題はあまり起こらないかと」

 

暴言とかは聞き流せば良いだけだし、長年のぼっち生活で俺の聞き流しスキルは半端ない。

 

「つまり八幡さんが雪ノ下家如きに見下されるということでしょうか?」

 

四葉が雪ノ下に馬鹿にされる事になっちゃうね…それはあまりよろしくないのかな…ないですね。

 

「けど、四葉だと隠している以上はこの立ち位置がベストかと…」

 

「やはりあの時雪ノ下家を潰しておけばよかったかしら…」

 

なんて物騒なこと…あれくらいのことで潰さないでほしいです…

 

「真夜伯母さん!小町があの人達全員廃人にするよ!!!」

 

小町ちゃん?そんな物騒なことしないで?お兄ちゃんそんな子に育てた覚えないわよ?

 

「小町がそこまでする必要はない、何かあればこちらで対処するから」

 

小町が出るとそれはもうすぐに終わるけど、そこまでは望んでないから…

 

「八幡さん?前の時みたいになることは許しませんわよ?あんな貴方を此処にいる全員見たくないはずです。それに、次はないですわよ?そうなれば四葉を総じて雪ノ下家を潰します。」

 

そこまでしなくてもいいんじゃないですかね……

 

「わかりました。とりあえずはこちらからは手を出したりするつもりはないんで、降りかかる火の粉を払う程度で済ませます。」

 

あいつらもそこまで馬鹿じゃないと思いたい…

 

「それにしても雪ノ下家と関わりのある葉山って方はウチの葉山さんとはえらい違いね」

 

それは本気で共感できる。うん。

 

「義輝さん何かあったらすぐ報告するんですよ?」

 

「御意!」

 

下手なことしたら筒抜けになるか…材木座は真夜伯母さんに絶対服従だからな…

 

 

 

 

 

この後は材木座が真夜伯母さんにいじめられているのを俺、小町、水波、葉山さんで観賞しながら夜ご飯を食べていた。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

その頃達也と深雪は…

 

 

深雪が着替えを済ませリビングにやって来た。

 

「お兄様、今コーヒーを入れますね」

 

「何かあったのか深雪?」

 

不機嫌そうにリビングにやって来た深雪にいち早く気付き声を掛ける達也。

 

「あの人達から先程電話がありました…入学祝いだとか…それで…お兄様のところには…」

 

 

「ああ、親父と小百合さんの事か…いつも通りだよ」

 

深雪はその言葉を聞いて怒りを露わにする。

 

「全くあの人達は…お兄様にはメール一本もなしですか…」

 

深雪の周りが見る見るうちに凍っていく。

 

「深雪寒いわよ?落ち着きなさい」

 

2人しかいないはずの家に誰かがいる。

 

「あ、亜夜叔母様!!」

 

深雪はびっくりして大声をあげる。

今ここにいるのは比企谷亜夜、八幡と小町の母親である。

この2人の前では四葉亜夜と名乗っている。

 

「お久しぶり、ごめんね中々顔を出せなくて」

 

「いえ!わざわざ来ていただきありがとうございます!」

 

深雪は笑顔で亜夜に頭を下げる

 

「入学おめでとうございます。深雪、総代の答辞素晴らしかったみたいねさっき達也から聞いたわよ」

 

そう言って深雪の頭を撫でる亜夜

 

「亜夜叔母様にも聞いてほしかったです…それよりも今日はどうしてこちらに?」

 

深雪は普段忙しい亜夜がわざわざここに来たのが不思議だった様だ。

 

「私の可愛い可愛い甥と姪が入学式なのに顔を出さない訳にはいかないでしょ?」

 

「亜夜叔母様!!」

 

深雪パァとした笑顔になり亜夜に抱きつく。

 

「ふふっ、達也も改めておめでとう。入学祝いに今度の休み何処か出掛けないかしら?」

 

深雪を抱きかえしながら亜夜は2人に問いかける。

 

「ありがとうございます亜夜叔母上。俺は大丈夫です、深雪はどうだい?」

 

「深雪も全然大丈夫です!でも亜夜叔母様は忙しいのでは…?」

 

深雪は忙しい身の亜夜を気遣うが。

 

「心配しなくても大丈夫よ、今週末は私の代わりに優秀な2人が仕事をしてくれるみたいなの」

 

その2人とは…誰なのか深雪と達也は知らない。

 

「今週末が楽しみです!ね!お兄様!」

 

「そうだな、亜夜叔母上本当にありがとうございます」

 

深雪は満面の笑みで喜び、達也は感情がない為喜びはしないが深雪が楽しみにしている姿を見て笑みをこぼしていた。

 

 

 

 

 

「気にしなくていいの。あなた達の折角の入学祝いなんですから、深雪、夜ご飯一緒に作りましょうか?」

 

「はい!」

 

深雪は亜夜の腕にくっつきながら台所へと向かっていった。

 

 

 

 

 

「深雪は亜夜叔母上の事が本当に好きだな」

 

達也はそんな深雪の姿を見て笑みをこぼしていた。

 




叔母さまお二人に登場していただきました!

八幡と材木座が亜夜の代わりに働いている間、達也と深雪が亜夜とお出掛けですね…可哀想に…w


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やはり雪ノ下は八幡に突っかかる。

誤字報告再びありがとうございます!助かります…!





ではどぞー!


翌朝

 

「八幡よ!早く行くぞ!小町殿達は先に行ってしまったぞ!」

 

朝起きてリビングに降りると材木座が新聞片手にコーヒーを飲んでいた。

 

いやなんでお前が此処にいるんだよ…小町と水波…俺を置いて出ちゃったの…?

 

「なんでお前帰らなかったんだよ…」

 

「気付いたら朝になっておったのだ…仕方ないであろう…あ、後、お風呂借りたぞ八幡!」

 

ああ…昨日こいつ真夜伯母さんにいじめられて気絶してたんだった…許してやるか…

 

 

朝食を済ませ、学校へ向かう八幡と材木座。

 

「なぁ材木座、昨日真夜伯母さんが言ってたブランシュ?ってどうするんだ?」

 

「ふむ、どうしたものか…我もこれから色々と調べねばならんからな少し時間をくれ」

 

朝から仕事の話をする辺り俺も社畜が板についてきたのか…やだ働きたくない…

 

すると…

 

「おはよう、比企谷」

 

えっ?マジで?比企谷って俺のこと?登校中に挨拶されたの初めてかも…あっ…一色がよく待ち構えてたな…あれはノーカン

 

「お、おう、おはよう司波」

 

挨拶出来ちゃったよ俺!八幡リア充街道真っしぐら!ないな…うん…

 

「おはようございます比企谷さん♪」

 

司波妹なんか昨日よりテンション高くない?

 

「お、おう、おはよう」

 

って材木座完全にスルーされてない?

あっ…そういえば此奴昨日自己紹介すらさせてもらってないんだった…

 

「そちらの方は…?」

 

「ひぃ…我…このオナゴは…怖いでござる!!」

 

そう言って材木座は全力で逃走していった…

 

「私なにか失礼なことを…」

 

何?この子めっちゃいい子?

普通なら何あのデブくらい思うと思うんだけど…

 

「いや…気にするな、あいつはちょっと女性恐怖症というか…まぁそのなんだ…許してやってほしい…悪い奴ではないんだ。うざいけど」

 

可愛い子や美人な人に弱いんだよな…

主に昔から真夜伯母さんと小町と水波にいじめられてるのが原因なのだが…

 

「そうだったんですね、悪いことをしてしまいました…」

 

「深雪も知らなかったんだ、そんなに気に病む必要はないよ」

 

「お、お兄様!!」

 

やだこの兄妹…千葉の兄妹にも負けてない…俺も小町とこんな関係になりたいなあ…

 

「それにしても2人とも朝から随分ご機嫌みたいだな」

 

見るからにご機嫌オーラが出てる…わかりやすい…特に司波妹…

 

「わかりますか?実は昨日の夜従姉妹の叔母様と今週末にお出掛けすることになったんです♪」

 

なんていい従姉妹の叔母さまなんだ…ウチの独身伯母さんの数百倍優しいな…リア充は身内にも愛されてるのか…

 

「いい叔母様なんだな、俺の従姉妹の伯母さんや母ちゃんとはえらい違いだ…」

 

マジで…入学祝いすらしてもらってない…小町と水波がしてくれたからいいんだけど…

 

「本当にいい叔母様です♪ね!お兄様!」

 

「そうだな」

 

 

 

八幡の母親がこの2人の為に八幡と材木座を犠牲にしてることは真夜と亜夜と葉山しか知らないことである。

 

 

 

 

 

教室に入り八幡は机に突っ伏していた。

 

「おはよう、八幡!」

 

戸塚?戸塚なのか…声変わりした?

 

八幡は謎の期待をし顔を上げると…

 

「なんだよ…千葉か…」

 

「何よその嫌そうな顔は!だからそんな目になるのよ!」

 

エリカは八幡の背中を力強く叩く。

 

戸塚みたいに挨拶してくるお前が悪い……

 

「目は関係ないだろ…朝から俺のハートをブロークンさせないでくれますかね…」

 

「おはようございます、八幡さん」

 

「お、おうおはよう」

 

ガハマさんより大きんじゃないですかね…いや…見たくて見てるんじゃなくて…

そうこれが万乳引力…俺の重力制御魔法よりも強力かもしれない…やだ…勝手に目がひきつけられちゃう…

 

「司波くんもおはよう!」

 

エリカは元気良く達也に挨拶をする。

 

「達也此奴ら誰?」

 

ワイルドな男子生徒が目線を送ってくる。

 

またリア充みたいなのが増えた…そろそろ俺いじめられちゃう…?

 

「うっわっ!初対面に此奴呼ばわりとか失礼しちゃう」

 

やめて!争わないで!!

 

「なんだと!少し面がいいからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

 

顔がいいところは認めちゃうんですね。まぁ普通に可愛い方だと思いますけど。

 

「ワイルドとむさ苦しさを履き違えてる男に言われてもなんとも思わないわよ!」

 

うわ…俺絶対逆らえない…むしろ一方的にやられる未来が見えちゃう…

 

「やめとけ2人共、そろそろ予鈴だ」

 

司波さんマジイケメン!!この2人止めちゃうとか…

 

ワイルドでむさ苦しい人は俺の隣の席だった。

 

「よっ!俺は西城レオンハルトよろしくな!レオでいいぜ!」

 

レオンハルトだと…名前からして敗北してしまった…比企谷エイトマン…だせぇ…

 

「ひ、比企谷八幡だ。よろしく…」

 

「よろしくな!八幡!」

 

名前呼びされちゃったよ…なんなのリア充ってそんな普通に名前で呼びあえちゃうの?

でも戸部って戸部だったよな…あいつ下の名前なんだったんだろうな…

 

午前は工房の見学だったんだが…材木座がテンション上がり過ぎてキモかったです。魔工技師志望だから仕方ないのかもしれんが耐えられなかった…。てかいつお前来てたんだよ…

 

昼はぼっちらしく1人で飯を食べようとベストプレイスを探しに行く予定だったんだが…西城に強制拉致されてしまった…。リア充怖いよ!小町!水波!

 

 

「へぇ達也くんは魔工技師志望だったんだね」

 

「私も魔工技師志望だったのでさっきの見学はとてもよかったです!」

 

「有意義であったな!我も感動したぞ!」

 

しれっと材木座が馴染んでるのがうぜぇ…てかみんな材木座にも優しくない?二科生って優しさで包まれてる…?

 

「そういえば八幡は何志望なんだ?」

 

西城が問いかけて来た。

 

「俺か?専業主夫だ」

 

その瞬間材木座以外の全員からゴミを見るような目で見られた……ふぇぇぇ全員優しくなかったよ…

 

「八幡…あんたがそんな目をしてる理由がわかった気がする…」

 

えっ?専業主夫志望だから目が腐っちゃったの?俺…でも専業主夫以外なる気ないし…目が腐っててもいい…今自分で腐ってるって認めちゃったよ…

 

「八幡さん目の腐り具合が酷くなってますよ…!」

 

メロンさん…追い討ちかけないで!!

 

「お兄様!!」

 

司波妹が笑顔でかけて来た。なんなのお兄様大好き過ぎないですかね?小町もこのくらい懐いてくれたらもう何もいらない…

 

「ひぃ…!」

 

材木座がフリーズした。司波妹のことどんだけ苦手なんだよ…

 

「深雪こっち空いてるよ!」

 

エリカがポンポンと椅子を叩き深雪を呼ぶ。

 

「ありがとうエリカ」

 

 

その瞬間…

 

「あらヒキガエルくん、貴方が誰かと食事するなんて今日は嵐になるのかしら」

 

一瞬司波妹に言われたかと思った…司波妹にヒキガエルとか言われたら我もう立ち直れない…べっー材木座移っちゃったよ…

 

「なんだお前、八幡を飯に誘ったのは俺だが文句あるのか?」

 

西城…なんてお前はいいやつなんだ…

 

「私は貴方に話しかけていないのだけれども、何か用かしら?それに八幡とは誰のことかしらそのヒキガエルくんのことを言っているのなら間違いよ、それは人とは定義しないゴミよ」

 

はぁ…もうめんどくせぇ…やっぱぼっち飯でいとくべきだった…

 

「なんだと…このアマ…」

 

西城さんキレないで!頭にくるのはすごくわかるけど…!

 

「はいはいそうですか、ならゴミは退場してやるよ」

 

「まだ話は終わっていないわよ?最後まで人の話も聞けないのかしら補欠谷くん」

 

関わってくんなって言った割には自分から関わって来てんじゃねぇか…

 

「なんだよ…」

 

「総代の司波深雪さんと何故貴方が一緒にいるのかしら?」

 

「そこの司波の妹だ、俺は関係ねぇよ…」

 

八幡は達也を指差し気だるげに答える。

 

「そうならいいわ、司波深雪さん貴女はこの男に関わるのはやめた方が賢明よ。碌でもないゴミなのだから」

 

「雪ノ下さんの言う通りだよ司波さん!ウィードとのケジメはつけるべきだ!」

 

誰だよコイツ…ウィードって禁止用語だったよね?こんな大声で言って大丈夫なのん?

 

「何よあんた達!!深雪はここで達也くんとご飯食べようとしてるだけじゃない!!」

 

あー…千葉…火に油注いじゃったよ…

 

「深雪、俺はもう食べ終わったから行くよ」

 

司波が戦線離脱した!!乗るしかないこのビッグウェーブに!!キモいな…うん…

 

「材木座行くぞー」

 

「ヒッキーマジでキモい!!」

 

ガハマさんいたの?存在感なかったよ…?

 

司波が去り俺と材木座が去ったことで残りの3人もついてきた。司波妹は悲しそうな顔をしていたがこの場はこれが最善だろう…

 

 

教室に戻った俺はみんなに謝ることにした。事の発端は俺にあるんだからな…

 

 

「なんか…悪い…俺の所為で…」

 

「なんなのあの女!!ムカつく!!」

 

エリカは怒りを露わにしていた。

 

「八幡、知り合いか?」

 

「ああ…中学同じだった奴らだ」

 

レオの問いに素直に答える八幡。

 

 

「何かあったんですか?敵意をすごく向けられていた気がします」

 

「ちょっと色々あってだな…」

 

「あまり深く問い正してやるな、答えたくないこともあるだろう」

 

司波!!何このイケメン…まぁ答える気はないんだけど…

 

「司波の妹にも悪いことをした…今度謝っておく…」

 

「深雪はお前に怒らないと思うぞ、気にするな」

 

妹の事を熟知してるのか…俺も小町の事なら…

 

 

午後は何事もなく過ぎ去り後は帰るだけなんだが…どうしてこうなった!!

 

 

「司波さんは僕らと帰るべきだ!ウィードと一緒に帰るべきじゃない!!」

 

この独占欲むき出しの一科生が司波妹を引き止めてしまったわけだが…

あー、素直にぼっち帰宅出来たら巻き込まれなかったのに…西城は俺の探知センサーでもついているんだろうか…やだそれ怖い…ハチマンノンケですし…

 

「深雪は達也くんと一緒に帰りたいだけじゃない!!なんであんた達が出てくんのよ!!」

 

みんな血の気多すぎじゃない?糖分足りてる?マッ缶みんなに差し入れした方がいいですかね…?

もったいないからあげないけど。

 

 

「まぁまぁ森崎も落ち着きなって、そこの二科生さんもあまり突っかからないで貰えるかな?ねぇヒキタニくん」

 

 

「葉山…」

 

 

 

 

 

 




ガハマさんが空気になってる…次はちゃんと喋りますよ!(多分)


次回は森なんとかさん達のアレですねw


後感想に数学0点なのに演算できるのだろうかとご指摘を受けましたが、魔法演算領域と数学は全く別物として考えてます!
魔法演算領域は無意識領域で内容までは意識できないってあったので数学は関係ないかなと自己解釈してます…違ってたらごめんなさい…w
魔法演算と数学は違うって事で把握しておいて貰えると助かります…


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一科生と二科生

良いタイトルが思いつかない…w


アンチ組が完璧に潰れるのはまだ先の話です…
今はアンチ序章的な…



ではどぞ!


「葉山…」

 

なんでそこで俺に振るんだよ…全員俺に視線向いてるし…わざわざ1番後ろに陣取ってるのがわからないですかね…

 

「司波妹は司波と帰りたいんじゃねぇの?それならそれでいいんじゃねぇか?一科生とかニ科生とか兄妹なら関係ないだろ…」

 

俺が司波の立場なら有無を言わさず小町と帰る!

 

「これは1-Aの問題だ!ウィード如きが僕達ブルームに口出しするな!!」

 

いや?葉山が話し振ってきたんだけど?この森口?森山?森策?もういいや森なんとかさん頭大丈夫?

 

「深雪さんはお兄さんと一緒に帰りたいって言っているんです!!八幡さんの言う通り、貴方達が2人の仲を引き裂く権利なんて何処にあるというのですか!!」

 

俺は別に引き裂くなんて言ってないんですが…

 

「美月ったら引き裂くだなんて…///」

 

なんか目の前で司波妹が悶えてるんだけど…ブラコンすぎて小町にも是非ご教授願いたい…

 

「深雪?何故お前が焦る…?」

 

司波…鈍感野郎か…司波妹可哀想に…気持ちわかるぞ…!!小町も華麗にスルーしてくるから!!

 

「ただ森崎達は司波さんに相談があるからちょっと時間を貸してほしいって言っているんだけどそれも無理なのかな?」

 

葉山…みんな仲良くがこの場で通用すると思ってるんですかね…お互いヒートアップしすぎだからお前じゃ無理だよ…

 

 

「無理だってさっきも言ったでしょうが!」

 

 

さすが千葉、葉山にも容赦ない…

 

「貴女、葉山くんが質問しているのは司波深雪さんよ?貴女が答えるのは間違っていると思うのだけれども」

 

うわぁ…めんどくさいの出てきたよ…

 

「そうだよ!みゆみゆにちょっと聞きたいことあるだけだから!!貴女には関係ないじゃん!!」

 

ガハマさん?みゆみゆはないと思います…

 

「なんですって!あんた昼休みの時もそうだったけど何様のつもりよ!!」

 

千葉は雪ノ下を完全に敵認定しちゃってるな…

 

「私は一科生、貴女はニ科生わかるかしら?どちらが立場が上か理解してから言ってもらえるかしら」

 

うわぁ…相変わらず上から目線だな…

 

「同じ新入生じゃないですか…貴方達ブルームが今の時点でどれだけ優れているというんですか!!」

 

不味いな…こんなこと言ったらプライドの高いこいつらに火をつけることになる…

 

「材木座、時間を稼げ」

 

生贄として材木座を捧げる。

 

「了解しかまつった!!」

 

 

「教えてほしいのかしら?貴女と私の格の違いを教えてあげるわ」

 

雪ノ下さんがお怒りモードに入りましたね…頑張れ材木座!

 

「待てぇーーーーい!!!!」

 

 

材木座が一科生とニ科生の間に割って入る。

 

これでなんとかなればいいんだけどな…

 

「材木座くんだったかしら貴方も此処に入学していたのね、邪魔よ」

 

「中ニマジでキモい!調子乗んなし!!!」

 

材木座上手くやったらサイゼ奢ってやるぞ…

 

「ほむんっ!雪ノ下嬢も由比ヶ浜嬢も待たれよ、校内でのCADの使用は許可されてないのであるぞ?」

 

自衛以外の使用は犯罪行為だからね…

由比ヶ浜はともかく雪ノ下は知っていると思うんだが…

 

「それがどうしたって言うのかしら、私達は一科生、貴方達はニ科生どちらの言うことが信じてもらえるかわからないのかしら」

 

こっちには総代の司波妹いるんだが…でも雪ノ下は七草の分家だから家柄的にも有利ってわけですかね…

 

「なら使えばよかろう、我の前で使えるのであればだがな!!」

 

あの馬鹿…新しい魔法試そうとしてないかあいつ…確か領域干渉で名前は…

 

「戦乱を終わらせた魔法を見せてやろう…<虚無>( きょむ)!!!!」

 

てかあいつその魔法使うならあのコートの埋め込んであるCADが必要だったんじゃなかったけ…?

 

「中ニ病かよ、そこまで見たいなら見せてやる実力の差ってやつを!!」

 

森なんとかさんがCADを取り出し構えて起動式を展開させる…

 

「あっ!我、今コート着てないではないか…八幡んんん!!助けてー!!」

 

ったく…この貸しは100倍にして返してもらうからな…

 

「お、お兄様!!」

 

司波が妹の前に立ち塞がる…この立ち塞がり方…水波が小町の前に立ち塞がる時とそっくりだぞ…?

 

ってそれよりも森なんとかさんを…

 

 

と思った矢先、千葉が警棒みたいなので森なんとかさんの特化型CADを弾き飛ばした。

 

「この間合いなら体を動かした方が早いのよね」

 

はぁ…とりあえずはセーフか…

 

「千葉殿助かったでござる…」

 

「材木座くんだっけ?何をしようとしてたの?」

 

「いや…我はですね…そのなんと言うか…」

 

「材木座あんまり無理すんなよ!」

 

西城も無謀に突っ込んでたよね?お前も無茶するなよ…

 

実は、材木座本当は結構すごいことしようとしてたんだよ…?広範囲の領域干渉…言わないけど

 

 

「バカな…」

 

森なんとかさんが動揺しまくってる…どんまい…圧倒的に千葉の方が強かったってことだな。

 

「ウィードの癖に…」

 

そう言って周りの一科生達がCADを取り出した…

 

「み、みんな…だ、ダメ!!」

 

茶色の髪の女子生徒が大きめの起動式を展開させる…あれやばくないの?止めた方がいい?

 

 

八幡は起動式を読めるわけではない、展開された術式の大きさを見てやばそうだと思いCADを取り出す。

 

自衛目的ならCADの使用を許可されてるから大丈夫だよね…?

 

八幡は女子生徒に向けて術式解体(グラム・デモリッション )を放つ。

 

「えっ?!」

 

女子生徒の術式が解体され、何が起こったか状況が掴めていない。

 

 

司波兄妹が俺の方を見ている…

 

「そのなんだ…ちょっとやばそうな雰囲気だったから…」

 

「比企谷さん術式解体を使えるのですか…?」

 

司波妹が俺に問いかけてきた…えっ?術式解体ってサイオン量が多ければ普通できるもんじゃないの…?材木座は確かに使えないけど…

 

「いや…その…アレがアレで…」

 

 

 

「何をしているんですか貴方達!!!」

 

マッ缶先輩が登場した…生徒会長来ちゃったよ…俺だけCAD使っちゃったけど…自衛だし大丈夫だよね…?

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ、事情を聞きます全員ついてきなさい!」

 

 

材木座曰く鬼の風紀委員長まで登場しちゃったよ…

 

「真由美さん待ってください」

 

雪ノ下が真由美に抗議を申し出る様だ。

 

「雪乃さん…貴女まで何をやっているのですか…」

 

少し呆れた顔をする真由美。

 

「いえ、私達は少し言い争いをしていただけなんですが、そこの比企谷八幡と言う生徒がいきなりCADを取り出し攻撃してきたので、自衛の為私達はCADを取り出していただけです。」

 

そう来たか…CADを使ったのは事実だからな…対抗魔法だと言い張ってもいいが信用してもらえないだろうな…

ってあいつ嘘までつくようになったのか…葉山と絡みだしてから性格悪くなる一方じゃないか…?

 

 

「なっ!あんた何言ってんの?八幡は貴女達が魔法を使おうとしたから自衛の為CADを使用しただけじゃない!」

 

「事情は彼から聞きます、比企谷くん貴女は私と一緒に来なさい。摩利貴女は他の人をお願い」

 

「わかった」

 

はぁ…めんどくせぇ…魔法なんて使うんじゃなかった…

 

「待ってください」

 

次は達也が真由美を呼び止める。

 

「なんでしょう、司波くん」

 

「少し話が違うので訂正させて頂こうと」

 

司波…この状況なんとかできるのん?

 

「雪乃さんが言っていたことに誤りがあると?」

 

「ええ、彼女は比企谷がCADを取り出し攻撃してきたと言いましたが、それは一科生の女子生徒が誤って閃光魔法を使用していたのを、攻撃性の魔法だと勘違いし比企谷が被害を出さない為にCADを使用しただけです」

 

あれ閃光魔法だったの…?てか起動式読み取ったってこと?材木座の眼鏡じゃあるまいし…

 

「つまり、自衛目的で使用していたのは比企谷の方で閃光魔法を使った生徒が悪いと言うことか?」

 

摩利は達也に問いただす。

 

「いえ、彼女も少し驚いてしまったのでしょう…自分が森崎一門のクイックドローを後学の為に見せてもらっていたのですが、それがあまりにも真に迫っていたものですから、危ないと思い閃光魔法で注意を引きつけようとしていたのでしょう、威力もかなり抑えられていました。これも自衛に含まれると自分は解釈します。」

 

 

「ほぅ…どうやら君は展開された起動式を読み取れると言うわけだな」

 

「実技は苦手ですが、分析は得意なんで」

 

摩利がムッとなり達也に言い返そうとするが真由美が2人の間に立つ

 

「ただ教えあっていただけと言うことですね?」

 

真由美が達也に確認を取る。

 

「はい、比企谷が使った魔法もただの対抗魔法です。決して攻撃性の魔法ではありませんでした」

 

「言い争っていたのは少しした意見の食い違いだったんです!」

 

司波妹まで出てきちゃった…総代の一言は結構発言力あるよね…多分

 

「比企谷くん攻撃性の魔法を使用したわけではないんですね?」

 

「ただの対抗魔法です…」

 

術式解体の事は言わない方が良さそうな雰囲気だな…

 

「そうですか。魔法に関しては細かいルールがあります。今回は入学したてと言う事で不問に致しますが今後、魔法を使用した自習活動は控えた方がいいでしょう」

 

「会長がこう仰せられているので今回は不問にします。今後はこの様な事がない様に」

 

その場にいる全員が頭を下げる。

 

もちろん俺も土下座する勢いで頭下げたよ…頭下げさせたら俺が最強なまである…

 

「雪乃さん、貴女には少し話があります。来なさい」

 

「……わかりました」

 

真由美と雪ノ下はその場を去っていった。

去って行く途中、雪ノ下は八幡のことを睨みつけていたのだが八幡は目を合わせようとすらしなかった。

 

 

「君の名前は?」

 

摩利が達也に名を問う。

 

「1年E組 司波達也です」

 

「覚えておこう」

 

そういって摩利も去っていった。

 

「お前が見抜いた通り森崎家に連なる者だ、司波達也にそこの目が腐った奴、俺はお前らを認めない!!」

 

この森なんとかさんにまで目が腐ってるって言われちゃったよ…今日は枕が大洪水ですね…嘘だけど。

って俺まで敵になっちゃったの…?目が腐ってるからですよね…知ってる…

 

「いきなり呼び捨てか」

 

司波が突っかかるがそれを無視して去る森なんとかさん御一行…

 

「ヒッキーの所為でゆきのん連れてかれちゃたじゃん!マジでありえない!」

 

えっ?俺の所為?あいつが嘘ついたのがいけないだけだろうが…

 

「別に俺は悪くないだろ…雪ノ下があんな嘘をつかなければよかっただけだ」

 

「ヒッキーだってあの時人の気持ちも考えないで嘘ついてたじゃん!」

 

「いや…今あの時の話は関係ないだろ…」

 

ガハマさん話ズレてますよ…

 

「うるさい!あの時のこと私許してないから!!」

 

はぁ…まだ引きずってるんですかね…

 

「そうかよ、俺はそんな話忘れてたわ」

 

「雪乃ちゃんや結衣にあんな想いをさせておいてそれは酷いんじゃないかな比企谷」

 

「うるせぇよ葉山…元はお前が原因だろうが…」

 

お前がこっちに依頼を持ち込まず自分達で解決すればこんな事にはならなかっただろうが…

 

「隼人くんは関係ないじゃん!!ヒッキー何言ってんの?隼人くんの所為にするなんて最低だよ!!」

 

関係なくはないだろ…

 

「もういい…俺にあんまり関わらないで貰えますかね…それにいいのか葉山…お前の大好きな雪ノ下が連れて行かれたのにここにいて」

 

八幡のその言葉に苦虫を潰した顔になる葉山。

 

「ヒッキーマジでありえない!誰の所為だと思ってんの!!」

 

由比ヶ浜がCADを取り出す…

 

えっ?マジで?今怒られたとこだよ…?バカガハマさんかよ…しかも俺の所為じゃないだろ…

 

「おい…馬鹿やめろ!今さっきまで怒られてたの忘れたのかよ…」

 

「うるさい!ヒッキー私の気持ちわかってる癖に!!」

 

話が通じないですね…

 

「お前の気持ちなんて知らん知りたくもない…」

 

あの時に全て終わった俺はそう思ってる。

 

「結衣、怒りたい気持ちはわかるけど、雪乃ちゃんが心配だ…早く行ってあげよう。それとヒキタニ君、これだけは言っておく。お前は雪ノ下家に目をつけられている、それだけは覚えておくんだね」

 

葉山は何故か勝ち誇った顔をしながらそう告げる。

 

えっ?魔王まで出てきちゃうの?確か、修学旅行の一件の後に一回会っただけでその後会ってないんだよな…その時もいつも通りだったし…やだ怖い…

それに真夜伯母さんにバレたらヤバいな…うん…材木座に口止めしないと…

 

「で、でも………うん、わかった…ゆきのん心配だし…」

 

葉山に連れられて由比ヶ浜はその場から去って行った。

 

 

 

 




材木座の虚無は俺ガイル2巻の最初のところに術を消す技があったのでそこから引っ張ってきました…w

雪ノ下が真由美に連れて行かれちゃいましたね…
大々的に嘘までついてしまったので無事では済まないかもですね…

八幡が達也の行動を不審に思ってます…正体がバレるまで後少し…
八幡は魔法師としては優秀ですが、周りのレベルを理解出来てない点があるので、術式解体なども使える人が少ない事実を知りません。
周りが優秀すぎるのです…w


そして!雪ノ下家が八幡に目をつけてるみたいですね!
魔王はアンチなのか…味方になるのか…


同じご指摘を受けていたのでここに書かしてもらいます!
八幡が母親の仕事をさせられているのはあくまでも罰なので…
四葉の人間でBS魔法師でもない八幡が二科生になるのはダメだったと言うことです。
説明不足ですいません。
比企谷亜夜は八幡の事を愛してますよ!
色々無下に扱われてるのは否定しませんが…w


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八幡早くも危機迫る…

前回あとがきで書いてたんですが、魔王(陽乃)はアンチなしの味方で行こうとおもいます!!登場はまだ先になりそうですが!!
ご意見頂いた方ありがとうございます!!


ではどぞー!


「はぁ…」

 

葉山と由比ヶ浜が去り一息つく八幡。

 

「八幡大丈夫?目が腐ってるわよ?」

 

エリカが八幡の元へ行き問いかける。

 

「あいつらの事なら大丈夫だ。それと目は元々だからあまり触れないでくれませんかね…?」

 

「帰りましょ!あいつらの所為で遅くなっちゃったじゃない!」

 

エリカが帰宅しようと提案する。

 

「あ、あの…」

 

一科生の生徒が全員の前に立ち声をかけてきた。閃光魔法を使用しようとした女子生徒だった。

 

「光井ほのかです。先程はすみませんでした…それと庇って頂きありがとうございます!」

 

そう言って深く頭を下げるほのか、後ろの女子生徒も一緒に頭を下げてきた。

 

「森崎くんはああ言ってましたが、大事にならなかったのはお兄さんのおかげです。」

 

森崎って言うんだなあいつ…川なんとか……川崎大志!!そう川崎といい森崎といい…わかりにくい名前しないでくれませんかね…

 

 

「どういたしまして、でもお兄さんは辞めてくれこれでも同じ一年生なんだ」

 

妹以外お兄さん呼び禁止かよ!徹底してるな…俺も男だけじゃなく女の子にお兄さん呼び禁止させるか…って俺小町の知り合いからお兄さんとか呼ばれた事なかったよ…

あっ!水波は外では八幡兄さまだった!水波は許す家族だから!

 

「ではなんとお呼びすればいいですか?」

 

「普通に達也でいいから」

 

さりげなく下の名前で呼ばせるのか…これがリア充…俺には後88年早い…

 

「それと…あの…ヒキタニさん!!」

 

この子絶対ワザとだよね?八幡怒っちゃうゾ☆自分で言ってて気持ち悪いです…

 

「ヒキタニって誰だよ…」

 

「へっ?」

 

「ほのかこの人は比企谷さんだよ」

 

ジト目の子…よく俺の名前知ってたね!ちゃんとした名前を覚えられない事では最強だと思ってたんだけどな…魔法科高校来てから八幡成長しちゃったかな…

 

「す、すみませんでした!!はまやくんがヒキタニって呼んでいたので…」

 

 

はまやくんだってよ…あいつが名前間違えられるの初めて聞いたんじゃねぇか…この子すごく面白いです…八幡的に超ポイント高い。

 

 

「ひ、比企谷八幡だ、なんだその…覚えられないと思うが…よろしく?」

 

「八幡さん!先程は私の魔法を止めてくれてありがとうございます!」

 

下の名前で呼ばれちゃったよ…勘違いしちゃうよ???

 

「ああ、なんだその余計な事をしてしまったみたいだったが、誰も怪我なくてよかった…」

 

「八幡さんありがとう」

 

「お、おう…」

 

ジト目の子いきなりお礼とかコミュ症なの?コミュ症だったらお礼なんて言えないか…ごめんなさい…

それにしてもまた下の名前で呼ばれちゃった…小町…お兄ちゃんアイデンティティクライシスになりそうだよ…

 

「北山雫」

 

北山さんですね!八幡覚えた!

 

「お、おう…よろしく?」

 

「よろしく八幡さん」

 

名前呼び流行ってるの…?

 

 

「あ、あのそれで…皆さんがよろしければ駅までご一緒してもよろしいですか…?」

 

何故俺を見て言うのん?そこは司波に聞いて…

 

「ひぃや…そのなんだ……いいんじゃねぇのか?知らんけど…」

 

いいよね?一色なら即ごめんなさいできるんだが…

 

 

「比企谷がいいって言うんだ、みんなも構わないよな?」

 

達也の一言に全員が了承した。

 

さすがお兄様!!こんなこと言ったら司波妹に殺られちゃう…

 

「我も一緒に帰っていいの…?ねぇ八幡?」

 

材木座…お前も聞かれてだだろうが…

 

「いいんじゃねぇのか?お前も答えてたんだし」

 

「我八幡と小町殿と水波殿以外と帰るのなんて初だぞ…緊張してきた…大丈夫かな…」

 

最後の方、素が出てるぞ…

てかお前戸塚と帰ったことねぇのかよ…あんなに好きだったのに…まぁでも一緒に帰ってたら全力で殺すが!

 

 

こうして俺、司波兄妹、西城、千葉、メロンさん、光井、北山、中二のメンバーで帰宅することになった。

 

「じゃあ八幡さんのCADを調整しているのはざい?木材屋さんなんですね!」

 

はまやくんといい木材屋といい…光井さんワザとなの…?葉山と材木座だからいいんだけど…

 

「あ、あの我は材木座です…」

 

材木座…光井に対して緊張しすぎじゃない?

敬語混ざってるし…

 

「ご、ごめんなさい!材木座さんですね…」

 

「それにしても八幡さんが使ったの術式解体(グラム・デモリッション )だよね?」

 

あっ…やば…やっぱ術式解体ってレア魔法なの…?

 

「私も驚きました…」

 

「比企谷はサイオンの量が多いんだな、普通の魔法師じゃ使えないぞ?」

 

司波兄妹が突っ込んでくる。

 

「けぷこんけぷこん!八幡はサイオンの量が普通の魔法師と比べて馬鹿みたいに多いのである!」

 

「らしい、俺魔法師の友達いないから知らなかったけど、むしろ魔法師じゃない友達も1人しかいない…」

 

戸塚何してるんだろうな…会いたいなあ…

ってそんな悲しい目で見ないで!!戸塚がさえいればいい…そういえば戸塚とお風呂入れなかったなあ…

 

 

「けど比企谷あまり人前で術式解体を使わない方がいいぞ?使える人がほぼいないって言われているからな」

 

「そうであったのか…」

 

材木座?なんでお前も知らないんだよ…あっお前もぼっちだったな…

てか研究資料とかに載ってなかったのかよ…

 

「おお、なんかサンキューな勉強になった…司波もそういうのに詳しいのか…?」

 

「お兄様は私のCADの調整などをしてもらっているんです」

 

へぇ…すごいなあ…俺も小町のCAD調整してあげたい…

 

「深雪は優秀だから少しアレンジするだけで済むんだよ」

 

「それでもデバイスを理解出来るほどの知識がないと出来ませんよね」

 

俺も一回挑戦しようとしたけど無理だったんだよな…

 

「材木座も達也もすげぇんだな」

 

西城お前は絶対出来なさそうだよな…

 

「材木座くん達也くん、私のも見てもらえない?」

 

エリカが2人に悪戯な笑みを浮かべて問いかける。

 

「無理、あんな特殊な形状のCADを弄る自信はないよ」

 

特殊な形ってなに?材木座の持ってる槍みたいなCAD?

 

「達也くんすごいね、これがCADってわかるんだ」

 

そう言って警棒を取り出す。

 

「材木座の好きな武装一体型のCADじゃねぇか」

 

「その形的に刻印型の術式を作っておるな、中は空洞にしておるのか?」

 

材木座がそう答えるとエリカと達也がびっくりした顔で材木座を見る。

 

「材木座くんよくわかったね…」

 

「我は武装一体型のCADをこよなく愛しておるのでな!当然であろう!!」

 

一回こいつの家行ったけど武装一体型のCADしか置いてなかったからな…

確か、真夜伯母さんに武装一体型のCADをプレゼントしてたよな…あれどこいったんだろ…

 

「なんでそれでガス欠にならねぇんだ?」

 

レオがエリカに問いかける。

 

「原理は兜割りと同じだからね、振り出しと打ち込みの瞬間だけサイオンを注入すればそんなに消耗しないからね!」

 

「ふむふむ、そんな裏技があったとは…」

 

材木座…お前が普段汎用型のCADを持ち歩いてる理由が理解できた…西城で言うとこのガス欠になるんだな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前が騒がしくなってきたので八幡は全員の三歩ほど後ろで歩き考え事をしていた。

 

(そういえばあの時の司波の妹の庇い方、水波というか…四葉のガーディアンみたいだったよな…気のせいか…)

 

「どうした?比企谷」

 

達也が八幡に問いかける。

 

聞いてみるか…ガーディアンって四葉内でしか使わないはずだし…

 

「なぁ司波お前って…いやなんでもない…」

 

お前ってガーディアン?って聞くのは流石に失礼だよな…

 

「なんだ?聞きたいことがあるなら聞くぞ?」

 

「八幡!どうしたのだ!そんな真剣な顔をして珍しいではないか!!」

 

うぜぇ…けどいいタイミングだ…

 

「司波…後で聞く、すぐ終わる話だと思うが…」

 

「そうか…なら解散した後連絡をくれ、俺のプライベートナンバーだ、比企谷からの質問なんて滅多になさそうだからな」

 

そう言って達也は深雪達の元へ戻っていく。

 

まぁ…実際そうなんだが…

それに司波のプライベートナンバーをゲットしてしまった女子に売れば高値になりそう…売らないけど

 

 

「なぁ材木座、司波兄妹って…」

 

「妹君のことか?八幡も気づいておったか!あの妹君の笑顔は真夜殿と深夜殿並の威圧があるということだな…我、あの妹君の笑顔を見た瞬間過去の恐怖がフラッシュバックしてしまうのだ……」

 

こいつがビビってた理由はそれか…

ならほぼ確定的か…

笑顔見ただけでトラウマが掘り返されるってどんだけあの2人に恐怖を刻まれてるんだよ…

母ちゃんはあまりイジメてないよな…

 

 

 

 

真夜伯母さんと深夜伯母さん以外の四葉の人と会うのは初めてだな。

真夜伯母さんはどう見ても独身だから深夜伯母さんの子供だろうか…。

それなら従兄弟になるのか…小町喜ぶだろうなあ…

小町の笑顔の為にお兄ちゃん頑張っちゃうゾ☆

 

 

 

八幡はそこからも更に考えようとするが本人に聞くまでは意味のない思考を巡らせるだけだと思いやめた。

 

 

全員が解散となり、八幡は達也に電話を掛ける。

 

「もしもし…比企谷だけど…」

 

電話を掛けて待ち合わせってなんか友達みたいだな…

 

「比企谷か、今深雪と近くのカフェに入ったからそこへ来てくれ」

 

達也の指示通り八幡は達也達のいるカフェへ行く。

 

「司波妹までわざわざ悪いな、引き止めてしまったみたいで…」

 

客が俺達しかいねぇのか…マスターも見当たらない…この店大丈夫…?

 

「いえ、お気になさらず!お兄様に御用があるみたいですのが私もご一緒でよろしかったでしょうか?」

 

「大丈夫だ、いてくれた方がいいかもしれん…」

 

司波が四葉だったら必然的に妹も四葉だってことだからな…

 

「では先に謝っておく、もし違ってたりしたらごめんな…」

 

ごめんで許してもらえるのかな…怖いなあ…

 

「先に謝るな、とりあえず比企谷の聞きたいことを教えてくれ」

 

ここまで来て聞かないわけにもいかないしな…怖いけど仕方ない…

 

「司波、お前は…いや、お前達は四葉家の人なのか…?」

 

八幡は真剣な目つきで達也と深雪に問いかける。その刹那…達也が今にも八幡を殺しそうな殺気を出し、特化型CADを八幡に向ける。

 

 

 

 

「比企谷…お前それをどこで知った…?」

 

 

 

めっちゃ殺気出して来た……

小町俺もうダメかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 




魔法科高校の1年生時代の主要キャラはだいたい今回で出揃いましたかね…?
後、十文字と幹彦くらいかな…?(誰か忘れてる気がする…)


そして八幡が達也と深雪に確信に迫ります!
次回八幡生きてるかな…?


メインヒロイン候補は今の所、深雪、真由美、雫、ほのかです…
もしくはこの4人で争ってもらうかもしれません…!(争ってもらう確率が濃厚)





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比企谷八幡!従兄弟が出来ました!

タイトル考えるのが苦手です…。

誤字報告ありがとうございます!
叔母と伯母の違いがわかってませんでした!
ありがとうございます!

八幡は死にません!!


ではどぞー!







「答えろ!比企谷」

 

四葉の人間ってことを認めたってことだよな…?ならこっちも言わないとな…てか言わないと本気で消されそうだ…

 

「し、司波落ち着け…その…アレだ、俺も四葉だ…」

 

「「はっ?!!」」

 

司波妹まで『はっ?』って言っちゃったよ…

 

「どういうことだ?」

 

俺の母ちゃんの名前言えばわかるかな…

よかった…司波がCADを下げてくれた…

 

「四葉亜夜って知っているか…?」

 

「亜夜叔母様を知っているのですか??比企谷さん!!」

 

司波妹の予想以上の食いつきに流石の俺もびっくりだ…

 

「俺の母ちゃんだ…」

 

「えっ?亜夜叔母様がお母様ってことですか…?」

 

「今は、比企谷亜夜だ…お前達の母ちゃんは深夜伯母さんか…?」

 

真夜伯母さんな訳がない…あんな人を嫁にもらうなんて自殺行為にも等しい…深夜伯母さんはすごく優しかったからな…

 

「そうです…お母様を知っているのですか…?」

 

「深夜伯母さんには色々お世話になったからな…」

 

修学旅行の後、深夜伯母さんいなかったらどうなってたんだろうか。

 

「比企谷…亜夜叔母上から俺達のことを聞いていたのか?」

 

「いや、聞いてなかった。だから内心ヒヤヒヤで本気で殺されるって思ってたくらいだ!」

 

一歩間違えば消されてたよね…よかった…これで小町の笑顔は確定だな…

 

「それはすまなかった…何故わかった…?」

 

「さっきの校門前のひと悶着あった時に、森なんとかさんがCADを構えた時、司波妹の前に立ち塞がっただろ?その立ち塞がり方が四葉の守護者(ガーディアン )みたいな動きだったからな…」

 

普通の人なら気づかないからな…俺も小町と水波を見てないと多分わからなかった。

 

「そういうことか…そんな所でバレるとは俺も思っていなかったな」

 

達也は自分の行動の甘さに反省する。

 

「多分俺じゃないと気づいてなかったとおもうが…それより、司波は守護者(ガーディアン )なのか?」

 

「俺は…いえ、自分は深雪お嬢様の守護者(ガーディアン )であります。先程の失礼な物言い失礼しました。」

 

達也は八幡の問いかけに対し、守護者(ガーディアン )である自分の立場と八幡の立場の差を完全に理解し急に態度を改める。

四葉内の階級で守護者( ガーディアン)は1番低い立場にある以上仕方ないことである。

 

「お兄様……」

 

深雪は達也の立場を良く思っていない為、達也の態度の変化に少し落ち込んでしまう。

 

「やめてくれ司波…俺はお前にそういう態度はされたくない…守護者(ガーディアン )だからと言って俺はそういう差別はしたくない…深夜伯母さんの子なら尚更だ…」

 

八幡は四葉の守護神( ガーディアン)という階級分けみたいな制度を嫌っている。小町の守護神( ガーディアン)である水波に対しても家族だと八幡は認識している。

 

「そうか、ならいつも通りで接しさせてもらう。後、司波ってのはやめて達也って呼んでくれ」

 

「私のことも深雪って呼んでください!!」

 

えっ?いきなり名前呼び…まぁ従兄弟だし普通か…

 

「わ、わかった…達也、深雪これでいいか…?」

 

「俺も八幡と呼ばさせてもらうぞ?」

 

「私も八幡さんとお呼びさせてもらっても…?」

 

第一高校に入学してから名前で呼ばれるのはなんか慣れた気がする…まだ入学してから2日目だけど…

 

「それでいいぞ…」

 

「八幡いくつか聞きたい事があるんだが、場所を変えて話さないか?」

 

達也は色々八幡に聞きたい事があるのだろう、四葉関係の話を誰もいないとはいえ、こんなカフェでずっと話してる訳にはいかないのであろう。

 

「それはいいが、どこでするんだ?」

 

「今日、亜夜叔母様は家におられますか…?」

 

深雪は唐突に亜夜の事を質問する。深雪は亜夜の事が大好きなので会いたいのであろう。

 

母ちゃん事情とか興味なさすぎて全くわからん…小町に聞くか…

 

「小町に聞くからちょっと待ってくれ」

 

「あの…小町さんとは…」

 

深雪が問いかける。

 

「俺の愛する妹で天使だ!」

 

「八幡さんの妹さん会ってみたいです!」

 

深雪は八幡に詰め寄り小町に会わせろと言う。

 

「お、おういいぞ…小町も喜ぶと思うからな」

 

 

3人で比企谷宅に向かう事になり、3人は雑談しながら帰っていた。

 

 

「た、達也、そのなんだ…小町の前でもさっきみたいな守護者(ガーディアン )的なアレやらなくていいから」

 

小町もそういうのやられるの好きじゃないからなあ…

 

「わかった。それより八幡には守護者(ガーディアン )はついてないのか?」

 

「妹にはついてるが、俺にはついてないぞ」

 

八幡には守護者(ガーディアン )はついていない。一応次期当主候補ではあるのだが、八幡がそれを完全に拒否した。

 

「何故ついていないんですか?」

 

「昔はつけるってうるさかったんだが、俺につけるくらいなら小町につけて欲しくてな…だから真夜伯母さんからの直々のご達しも完全に拒否したからな…」

 

「真夜叔母様に逆らったのですか??!」

 

四葉の現当主に逆らう、普通ならいくら次期当主候補といえど容易な事ではない。

 

「あの時はマジで死ぬかと思った…流星群(ミーティア・ライン )飛んで来たからな…」

 

「真夜叔母上の『夜』を受けて生きてるお前が凄いんだが…」

 

達也は少し呆れた面持ちで八幡を賞賛する。

達也も流星群( ミーティア・ライン)に対抗はできるがあくまで、達也の魔法と相性がいいからである。

『夜』というのは流星群( ミーティア・ライン)の別称である。

 

「領域干渉で空間を破壊できたからな…対抗の仕方教えて貰ってなかったら俺多分死んでたかも…手加減されてたっぽいけど…」

 

流星群( ミーティア・ライン)を領域干渉で破壊するには『光の分布』の単一要素での干渉力を上回っている必要がある。

当時8歳の八幡が四葉家の当主であり、世界最強の魔法師の1人で<極東の魔王>と呼ばれている四葉真夜の得意魔法に干渉力で打ち勝ったということである。

 

八幡のズバ抜けた魔法に対する才能の理由は八幡自身も知らない四葉の裏事情が絡んでいる。

 

 

「八幡は…なんで二科生なんだ…?」

 

達也の疑問は当然のことである。

四葉真夜に干渉力で打ち勝つ力がある人間が二科生になるはずがないのだから。

 

「真夜伯母さんに実技で手を抜けって言われてな…それと筆記の数学が0点だったのがいけなかったみたいだな…」

 

「数学0点か…」

 

「八幡さんなんで0点なのですか?!!!!」

 

達也は呆れ、深雪は怒っていた。

 

「俺は悪くない数学が悪い…いや数学を作った人間が悪い!」

 

八幡はいつもの調子で2人に言い返す。

 

「何を覇気のないことをおっしゃてるんですか!!お兄様を見習ってください!!」

 

「ひぃや…そのアレだ…すいませんでした!」

 

深雪の勢いに負け八幡は足を止めて頭を下げた。

 

「私が教えて差し上げます!!!数学くらい出来てください!!」

 

深雪が急に八幡に勉強を教えると言いだした。

 

「えっ?第一高校に数学はないというか…その…もう必要ないかと…」

 

第一高校には数学がない!よって勉強する必要性がない…

 

「八幡、将来の夢は専業主夫じゃなかったのか?計算出来ないと専業主夫は務まらないと思うが」

 

達也が正論を口にする。計算出来ないと専業主夫は務まらない。

 

「専業主夫ですか?何をおっしゃってるんですか?八幡さん?」

 

急に辺りの気温が下がっていく…むしろ凍っていく…

 

えっ?凍ってるのん?これが本物の絶対零度の女王じゃないんですかね…雪ノ下とか比じゃないな…

 

 

「ひぃや…あのその…た、達也さん何バラしてくれちゃってるんですかね…」

 

「深雪に教えて貰うなんて滅多にないことだぞ?素直に受け入れればいい」

 

何言っちゃってるのこのイケメン…数学とかいらないでしょ…

 

「決定ですね♪八幡さんには今日から数学の勉強をしてもらいますね!」

 

上機嫌なのかわからないが深雪は何故か笑顔で八幡に教えると言っている。

 

今日からとかどこの教育ママなんですかね…

 

「なんでそんなに笑顔なんですかね…」

 

「亜夜叔母様の御子息なんですから、そのくらい出来て貰わないと困ります!むしろ出来て当然です!」

 

母ちゃんの評価が高すぎるんじゃないですかね…

 

「そういうことだ、諦めろ」

 

達也が八幡にトドメの一言を言った。

 

「はぁ…」

 

八幡はため息を吐き歩きだした。

 

 

「そういえば小町の守護者(ガーディアン )の水波は深夜伯母さんの守護者(ガーディアン )だった穂波さんの姪っ子だから」

 

八幡は軽く水波の事を伝える。

 

達也は言葉にならない程驚いている。

達也はかつて沖縄の戦いで自分の盾となり死なせてしまった桜井穂波の姪っ子が小町の守護者( ガーディアン)という事実に思うところがあるのだろう。

 

「穂波さん…」

 

深雪も達也の盾として死んでしまった穂波の姿をモニター越しで見ていたのでその出来事を思い出しているのだろう。

 

 

 

「その…なんだ、水波とは仲良くやってくれると嬉しい…」

 

八幡は2人の様子を見て反応が違かったのだが、あまり良くない事だと悟りフォローをいれる。

 

 

2人は八幡のその言葉で再起動する。

 

「すまない八幡、穂波さんの姪ということは良い子なんだろうな」

 

「水波ちゃんでしたか?早く会ってみたいです!」

 

2人は前に向きに考え、八幡に心配をかけないようにした。

 

「多分帰ったら出迎えてくれるとおもう…多分…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第一高校には数学の授業がないことにしました…もしあったならすいません!!

八幡と達也深雪の始まりこんな感じにしてみました…



次回は比企谷宅で小町と水波と母ちゃん出てきます!



水波がヒロインではないのかとご指摘を受けましたが、ヒロインというかサブヒロインの位置を固定で行こうと思ってます!
前回のあとがきで書いたヒロインはメインヒロイン候補ってことです!(あとがき修正しておきます!)
後いろはすもサブヒロイン固定です!


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材木座の立場。


誤字報告ありがとうございございます…!
毎度すいません…(確認はしてるつもりなのですが…)



ではどぞー!


 

比企谷宅の玄関前に到着し、家に入る3人。

 

 

「はちまーーん!遅いではないか!我、随分と待った……」

 

家に入り出迎えてくれたのは材木座であった。

材木座は深雪の姿を見た瞬間フリーズした。

 

 

「ったく…なんでお前いるんだよ…帰れよ…」

 

八幡は水波が出迎えてくれるのを期待していのだが、材木座が出迎えてきたのに対して悪態を悪気もなく吐く。

 

「材木座がなぜここにいるんだ?」

 

達也は驚いた様子で八幡に問いかける。

 

あっ…材木座のこと話すの忘れてた…

 

八幡は材木座の事など頭からすっぽりと抜けていた。

 

「ああ…その後で説明する…とりあえずコイツほっといていいから中に入ってくれ」

 

フリーズしてる材木座をスルーし3人は家の中に入る。

 

「「お邪魔します…」」

 

達也と深雪は若干緊張している。

 

 

「おかえりなさいませ八幡様!!そちらの方々は…」

 

リビングに入ると水波が笑顔で迎えてくれた。そして達也と深雪を見て不思議そうに八幡に問いかける。

 

「お兄ちゃん遅い!ってそのイケメンと美少女は誰…?まさか…友達…?」

 

小町は達也と深雪を見てジト目で八幡を見る。

 

「初めまして、司波達也だ」

 

「初めまして、司波深雪です!小町ちゃんに水波ちゃんすごく可愛いですね!!」

 

達也は普通に挨拶し、深雪は小町と水波にキラキラした目線を送る。

 

「小町、この2人はだな…深夜伯母さんの子供だ、つまり従兄弟だ…」

 

「「ぇぇぇぇぇええええええ????」」

 

小町と水波はびっくりし同時に叫ぶ。

 

「小町に水波ちゃんうるさいわよ…って達也と深雪??」

 

リビングに入ってきた亜夜は叫んでいる小町と水波に注意するが、達也と深雪がいることに驚く

 

「亜夜叔母様!!!」

 

深雪はすぐさま亜夜に抱きつく。

 

その光景を見た八幡は…

 

「深雪はどんだけ母ちゃんのこと好きなんだ…」

 

呆れていた。

 

「お兄ちゃんどういうこと?」

 

小町は八幡の元へ行き事情の説明を要求する。

 

「なんで貴方達が一緒にいるのかしら?」

 

「申し訳ありません、俺が深雪の守護者(ガーディアン )と言うことが八幡にバレてしましまして…」

 

亜夜の問いに達也が正直に答える。

 

「八幡が気づいたのね、流石ね。八幡も達也も深雪も小町も色々聞きたいことがあるでしょうし、私で話せる範囲なら答えるわよ」

 

亜夜はこうなる事が予想出来ていたようだがまさか入学2日目にしてバレるとは思ってなかった。

 

リビングに全員集まり腰を下ろす。

亜夜の両サイドに深雪と小町

反対側に八幡と達也と水波

隅っこに材木座

で座る。

 

「とりあえず八幡が達也が守護者(ガーディアン )だとわかった経緯を聞かせてください」

 

八幡は今日校門前の出来事を話す。

雪ノ下達のことを伏せて上手く誤魔化しながら説明する。

 

達也と深雪には家に着く前に事前に口止めして、後で事情を説明すると言ってある為2人は不思議な雰囲気を出さず聞いている。

 

「そういうことね、なら達也は悪くないわ。相手が八幡じゃなかったら気がつかなった筈よ」

 

亜夜は達也に悪くないと説明し、八幡を遠回しに賞賛する。

 

「その森なんとかさんアレだね…一科生ってことに完全に酔ってるね…小町的に超ポイント低い」

 

「義輝ちゃん今の話に嘘はないかしら?」

 

(材木座に口止めするの忘れてた…)

 

「………」

 

深雪がいることにまだビビっている材木座は正座でフリーズしている。

 

「義輝ちゃんどうしたのかしら?」

 

亜夜は材木座の様子を見て首をかしげる。

 

「母ちゃん、材木座は深雪を見ると真夜伯母さんと深夜伯母さんに遊んでもらってたことを思い出してしまうから緊張してるんだとおもうぞ」

 

八幡はオブラートに包んで亜夜に事情を説明する。

 

「お兄ちゃんが深雪さんを名前呼び?!」

 

小町ちゃんそういうところ突っ込まないでくれませんかね…スルースルー

 

「そういうことね、義輝ちゃんあの2人には昔から可愛がられてたものね」

 

「だから私の前で固まってしまうのでしょうか…」

 

深雪は材木座がフリーズしてるのを見ながらどこか違うと思っている。

 

「はいはーい!昨日の中二さんの写真がこちらで〜す!!」

 

小町が満面の笑みで端末を取り出し、深雪に写真を見せる。

 

そこには真夜に縛られて吊るされて真夜に炙られている材木座の姿があった。

 

「これは…」

 

これには流石の深雪も同情し材木座を優しく見つめる。

 

「これは中二さんが悪いんですよー!」

 

小町は材木座が何をしたか言う気である。

 

「何か材木座がしたのか?」

 

達也は写真を見ていないが深雪の様子から大体察したのであろう。

 

「真夜伯母さんのCADに余計な機能をつけてたみたいなんですよね!!あんなことされたら小町でも怒ります!!」

 

以前真夜からCADの調整を頼まれていた材木座は出来心で真夜のCADに何かしたようだ。

 

「真夜叔母上のCADは材木座が見ていたのか…」

 

達也は真夜のCADを誰が調整しているのかずっと不思議に思っていたようだ。

 

「どんな機能をつけたのですか?」

 

深雪は興味本位で小町に質問する。

 

「かなり高性能の音声認識を搭載してしまったみたいなんですよね〜!でそれを知らない真夜伯母さんが流星群(ミーティア・ライン )と言った瞬間に魔法が発動されてしまった訳なんですよ!で、真夜伯母さんはお気に入りだった自分の書斎が崩壊してしまったのであります!!」

 

昨日の夜、八幡と材木座の話が終わり材木座は即座に真夜に縛られていじめられていたのであった。

 

 

「「………」」

 

2人は絶句する。

主に材木座の命知らずな行動に。そして材木座は一体何者なのか。

 

「まぁあれは材木座が悪いな、その後気絶して気づいた時は朝だったみたいだからな…」

 

材木座に被害に遭っているのは深雪達也を除いてここにいる全員が1度や2度じゃない程色々やられている。

 

「義輝ちゃんとても優秀なんですけどね…」

 

亜夜も材木座の技術には一目置いているがやはりやり過ぎな部分が多いことは気になる様だ。

 

「あーなんだその、材木座は四葉専属のCAD技術者だから…」

 

八幡が材木座が四葉専属のCAD技術者だと言うことを明かす。

 

「そうだったのか…人は見かけによらないものだな…」

 

材木座の姿を見ると、とても四葉専属の技術者には見えない。

 

「材木座さんはすごい方なんですね!」

 

「義輝ちゃんが開発したCADは達也も驚くと思うわよ、後で見せて貰いなさい。きっと楽しめるわよ」

 

「是非見せて貰いたいです」

 

亜夜の言葉に対して達也は即答する。余程気になるのだろう。

 

「よかったですね!お兄様!その間私は八幡さんの勉強を見ておきますね!」

 

深雪は兄が楽しめる事があると知り喜び、その空いてる時間に八幡の勉強を見ることに決めたのである。

 

「八幡の勉強を深雪が見るの?」

 

「はい!亜夜叔母様の御子息が数学が出来ないなんていけません!!」

 

亜夜の質問に対し深雪は即答する。

 

「八幡よかったじゃない、深雪みたいな綺麗な子が先生だなんて」

 

「数学なんて誰に教えてもらっても同じだと思うんですが…」

 

やだなあ…深雪先生怖いんだろうなあ…初日にして氷漬けにされちゃう…

 

「お兄ちゃん?数学くらい出来る様にならないとダメだよ?小町数学出来ないお兄ちゃんなんていらないよ?」

 

「深雪先生よろしくお願いします!!」

 

小町の言葉の後八幡は深雪に即土下座し、お願いする。

 

「うわぁ…お兄ちゃん…」

 

「八幡様…」

 

小町と水波はその八幡の姿を見てドン引きする。

 

「八幡さんはシスターコンプレックスなのですね、ふふっ」

 

深雪は小町に土下座する八幡を見てシスコンと笑いながら告げる。

 

「それは否定出来ないな…とりあえず材木座は四葉の人間と同等な訳だ、仲良くできるならしてくれ…」

 

仲良してくれじゃなくできるならって言うのが八幡の優しさである…。

 

 

「さて、そろそろ質問してくれていいわよ?」

 

話が一区切りついたので、亜夜が質問を許可する。

 

「俺を一高に入れた理由は達也と深雪がいたからなのか…?」

 

八幡はほぼ強制的に第一高校に入学させられている。その理由が達也と深雪だと推測する。

 

「そうよ、そろそろ貴方達が出会っても問題ないと私と真夜姉さんと葉山さんが判断したからよ」

 

 

「問題ですか…?」

 

達也は亜夜の言った事に対し質問を投げかける。

 

「ええ、貴方達兄妹は四葉の歴史の中でもかなり優れています。そんな4人を子供の頃から一緒にさせるのは危険だと判断し、接触させない様に計らっていました」

 

「バラバラにするよりか一緒にいた方が守りやすいんじゃないの?」

 

小町は疑問に思ったことを亜夜に問う。

 

「小町それは違うぞ…簡単に言うと一緒にいてもし何かあった時にどちらとも失うよりか、分散して片方だけ失う方がいいってことだ」

 

八幡は深読みをし、小町に説明する。

 

「酷い言い方をすればそうなるかもしれないわね、後は貴方達が四葉の人間とバレない様にする為って言うのが最大の理由です。司波も比企谷も四葉の分家ですが、それは厳密に管理して情報が漏れないようにしてありますが、どこから漏れるかわかりませんからね」

 

「私達は他の分家の方々とはお会いした事ありましたが、八幡さん達は何故分家にも公表されていないのですか?」

 

深雪は疑問に思い問いかける。

 

「この子達が産まれる前に真夜姉さんが決めたことなの、達也と深雪に会わせたのは分家の方々に紹介する前に先に会わせておこうと真夜姉さんと話をして決めたことよ」

 

「大丈夫なのでしょうか…?」

 

達也は他の分家の人間から何か言われる可能性を危惧している。

 

「大丈夫よ、表向きに次期当主候補が2人増えるくらいであまり変わらないと思うわ。この子達の力を知れば余程のことがない限り大丈夫よ」

 

亜夜は余裕の表情でそう答え、続けて話す。

 

「それと小町、この子の能力についてお話ししておきます」

 

亜夜は横にいる小町を抱き寄せ話し始める。

 

「この子は四葉始まって以来の最強と言われる精神干渉系<心理掌握(メンタルアウト )>と言う精神干渉系の魔法が使えます。」

 

心理掌握(メンタルアウト )……」

 

達也は真剣な表情で思考を巡らせている。

 

「この子の能力は外部に漏らしてしまえばかなりの問題になります。記憶改竄、人格洗脳など範囲もさることながら人数は制限がなく一瞬で洗脳なり記憶改竄を行えます。」

 

「それ以外にも深雪のコキュートスや深夜姉さんの精神構造干渉も使えます、まだまだ他にも色々あるのですがそれは今後知っていくと思います。達也と深雪ならこのことの重大さがわかりますね?」

 

「「はい」」

 

2人は小町の能力の恐ろしさを知り、達也は更にそれが世界にどれだけの影響を与えるか把握した。

 

「けど小町的にはお兄ちゃんの能力の方が無茶苦茶だと思うよ?」

 

小町は八幡の方が無茶苦茶だと言い張る。

 

「八幡は確か、真夜叔母上の『夜』を干渉力だけで打ち破ったんだったな…」

 

「あの後、真夜姉さん少し落ち込んでたのよ?まさか8歳の八幡に手加減していたとはいえ、干渉力で負けたんですもの」

 

亜夜は少し嬉しそうに話をする。真夜が落ち込んだ所など滅多に見れるものではないのだろう。

 

「さりげなく人を化物扱いしないでくれますかね…あの時俺死にかけてたんですけど…」

 

「ちゃんと対抗の仕方教えてあげたでしょ?」

 

「いやいやおかしいから…8歳の息子をあんな魔女の所に1人で行かせるなんて…」

 

「真夜も脅すつもりだったわけだし、ちゃんと手加減してたんだから死ぬはずないじゃない…」

 

脅しで流星群(ミーティア・ライン )を使う伯母がどこにいるんだよ…いましたね…四葉に…

 

 

 

 

「水波ちゃんの説明は八幡から聞いてるかしら?」

 

「はい!穂波さんの姪だと八幡さんからお聞きしてます!」

 

深雪が亜夜の質問に答える。

 

「そう、なら説明はいいかしら。水波ちゃん挨拶だけしときなさい」

 

「はい奥様!桜井水波と申します。比企谷家のメイドで小町様の守護者(ガーディアン )です。達也様、深雪様よろしくお願い申し上げます。」

 

亜夜の一言で水波は立ち上がり2人に丁寧な挨拶をする。

 

「よろしくね!水波ちゃん!」

 

「よろしく、水波」

 

2人は嫌な顔1つせず水波を受け入れた。

 

「さて、そろそろ本題に入ります。」

 

亜夜は急に真剣な顔をし、全員を黙らせる。

 

「本題ってなんだよ…」

 

八幡はだるそうに答える。

 

「深夜姉さんからの遺言と言えばいいかしら」

 

その瞬間この場にいる全員の顔が曇る。

 

「達也の感情の話よ」

 

バンッ!

 

「亜夜叔母様!!!」

 

深雪は机を叩き亜夜に異議を申し立てる。

 

 

 

 

 

 




材木座は四葉専属の技術者ということで…
主に比企谷家と当主の真夜と葉山さんのCADを調整しているって感じです!

数学に関してなのですが…原作では数学が課題とかである様なのですがこの作品では数学の課題は無しで行こうと思います!!
この作品の第一高校には数学は存在しません!!




ヒロインに関してなのですが、深雪、真由美、雫、ほのかでメインヒロイン争奪戦で行こうと思います…(この場合だとハーレムになるのかな…?)



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深夜の願い、達也の感情。


ガーディアンは守護神ではなくて守護者でした…すみません!
ご指摘いただきありがとうございます!
修正しておきました!

説明回を今回で終わらせたかったので少し長めになってます!


ではどぞ!!


 

「亜夜叔母様!!それは今ここで話すことなのですか?」

 

「ええ、今ここで話すのがいいと思ってます。」

 

深雪は亜夜に食ってかかるが亜夜は冷静に答える。

 

「感情?」

 

小町はCADを取り出し魔法式を起動させ、達也の頭の中を除き見た。

達也は精神干渉系魔法に対するほぼ完全な抵抗力があるがそれを軽々突破した小町に驚いている。

 

「ねぇ…お母さんこれどういうこと?」

 

小町は全て把握し少し怒った感じで亜夜に問いかける。

 

「見た通りよ、八幡がまだわかってないので説明します」

 

亜夜は小町の質問に一言で返し、説明をする。

 

「達也は生まれてきた時から既に2つの魔法しか使えない魔法師として産まれました。『分解』と『再成』この2つの魔法を通常の魔法演算領域を全て占有され普通の魔法が使えないBS魔法師だったのです。」

 

亜夜は淡々と達也のことを話している。

 

「達也は6歳の時に深夜姉さんに精神改造手術を施され、強い情動を司る部分を白紙化され人工魔法演算領域を植え付けました。これにより普通の魔法も使える様になりました。今彼に残っているのは兄弟愛つまり深雪以外の人には感情を表すことが出来ません。」

 

八幡や水波にとっては衝撃の事実であった。

 

「母ちゃん深夜伯母さんがそれをやったのか…?」

 

八幡は深夜のことを三姉妹の中で1番優しい女性と認識していた為ショックを受けているようだ。

 

「ええ、けどこれは仕方のないこと…だったの」

 

「それはおかしいだろ…」

 

八幡は納得出来きていない…

 

「納得出来ないのは無理もありません、深夜姉さんは最後まで反対をしていましたが、真夜姉さんに説得され実行に移されました。」

 

「真夜伯母さんは一体何がしたいんだよ!!」

 

八幡は大声を上げて亜夜に問いかける。

 

「『分解』と『再成』この2つの力は強大すぎたんです。つまり達也が暴走してしまえば世界を破壊してしまうそのリスクを抑え込む為に感情を消しました」

 

「なんなんだそれ…世界を破壊してしまうからって…」

 

「八幡納得出来なくても構いません、話を続けますね」

 

八幡と小町は納得出来ていない、むしろしたくないと思っている。

水波は内心思うところもあるが自分の立場を理解しているので表には感情を出さない様にしている。

深雪は全てを聞かされているのでずっと拳を膝の上で握り俯いている。

達也は平気な顔をし、話を聞いている。

 

「それでです。深夜姉さんからの遺言いえ、願いです」

 

そう言って机の上に紙を置く亜夜。

 

そこには

 

『八幡さん、小町さん私の息子と娘と会えたのね。亜夜から話を聞かされて納得出来てないと思います、亜夜も私と一緒に反対し続けてくれていました。もちろん真夜もこんなことしたくなかった筈です…言い訳になるかもしれませんが、こうするしか達也さんを守る方法がなかったんです。』

 

 

『あの実験の時に私は2つの感情を残せる様にスペースを少しだけ開けることに成功しました。その2つの感情を八幡さん小町さんへの感情を抱ける様にお願いします…小町さんなら出来るはずです。これは私の最後の我儘です。』

 

『深雪さん貴女が許すなら貴女が許可して下さいお願いします。司波深夜』

 

 

こう書かれていた。

 

 

「お母様…」

 

深雪は涙を流していた。普段達也を守護者(ガーディアン )としてしか扱っていなかった深夜が達也の為に残していたものがあったと感動しているようだ。

 

「深夜伯母さん…」

 

八幡は手紙を読み、泣きはしないが最善を尽くしたことがわかり少しだけ安心していた。

 

「お母さん!!」

 

小町は今すぐやらせてと言いたげな様子である。

 

「深雪、貴女に決定権があります。」

 

亜夜は深雪にどうしたいか尋ねる。

 

「お兄様…お兄様はどうしたいですか…?」

 

深雪は達也に質問する。

 

「今の俺には深雪以外の人に何も思えないが…八幡と小町なら…受け入れてもいいと思える…」

 

達也は深雪以外の事は考えられない、八幡と小町の事をよく知らないが受け入れてもいいそう思った。

 

「お兄様…!!」

 

深雪は達也の返事に喜び

達也の八幡と小町への感情を抱けるように小町へ頼む事を決意した。

 

「小町ちゃん…お兄様の事をお願いします…」

 

「深雪さん!!」

 

小町は深雪の手を取り涙目で見つめる。

 

「亜夜叔母様よろしいでしょうか…?」

 

深雪は亜夜に確認する。

 

「ええ、いいわよ。真夜姉さんも許可を出してくれています」

 

亜夜は笑顔で深雪に答える。

 

「なら小町ちゃん…お願い…」

 

「はい!!!」

 

小町はCADを構え達也に向け魔法式を展開させる。

 

「終わりました!!!」

 

「「「えっ?」」」

 

思ってた以上にあっさりと終わってしまい、深雪と八幡と水波は声を思わず出してしまう。

 

「小町の精神構造干渉は深夜姉さんよりも確実で早いの、義輝ちゃんが頑張ってくれたおかげでもあるんだけどね」

 

小町には魔法演算領域補助CADを常に使用している。達也に埋め込まれている仮想魔法演算領域とは違い、魔法を使う時に掛かる負荷を補助CADで補っているだけである。

補助CADがないと小町の能力は強大過ぎる為、すぐに魔法演算領域のオーバーヒートを起こしてしまう恐れがある為、真夜が材木座に作らせた。

それを材木座が更に改良し速度や正確性を格段に向上させた。

 

「お兄様…?」

 

「達也…?」

 

深雪と八幡は不安そうに達也を見る。

 

「小町ありがとう、まさか本当に感情が戻るとは思わなかったよ」

 

笑顔で小町にお礼をいう達也。

 

「お兄様!!!小町ちゃん…本当にありがとう…」

 

深雪は達也に泣きながら抱きつき小町にお礼を言う。

 

「達也さんの笑顔想像以上に破壊力があるよ…小町メロメロになっちゃうかも…」

 

「こ、小町?!!」

 

小町の発言に八幡が慌てて反応する。

 

「小町ちゃんもお兄様の笑顔は素敵だと言っていますよ!!」

 

「そうなのか…?まぁいい、八幡、小町これからよろしくな」

 

「よろしくお願いします!達也お兄ちゃん!深雪お姉ちゃん!」

 

「よろしくな…でも小町は渡さんぞ!!!」

 

 

こうして、達也は深雪の他に八幡と小町に対しても感情を抱ける様になった。

この後、小町の能力を使えば達也は全ての人に感情を抱ける様になると言う話をしたが、それはつまり、仮装魔法演算領域を失う事を意味するので、深雪を守ることが出来なくなる為達也はそれを認めなかった。

達也は深雪、八幡、小町だけでいいと説明しそれを3人は渋々了承した。

 

 

 

亜夜は真夜にこの事を報告する為に四葉本邸まで話をする為に出発していった。

 

 

「小町様、八幡様、達也様、深雪様、中二さんお食事のご用意ができましたのでお食事にしませんか?」

 

水波は食事の案内を全員に告げ従兄弟同士の初の食事が始まった。

 

「水波ちゃんの料理美味しいですね!」

 

「そうだな」

 

「ありがとうございます深雪様、達也様」

 

2人は水波の料理を気に入ったようだ。

 

「そういえば八幡、さっき後で説明するって言って事聞かせてもらってもいいか?」

 

達也は雪ノ下達の事を後で話すと言っていたので八幡に問いかける。

 

「私も気になります!!」

 

深雪も達也に便乗して聞いてくる。

 

「さっきのこと?」

 

小町は何のことかわからずに不思議そうにしている。

 

「今日学校で八幡が同じ中学だった奴らの事を亜夜叔母上の前では絶対に話さないでくれって言われててな」

 

達也が雪ノ下達の事を小町達にあっさりバラしてしまった。

 

達也様今ここで言わないで欲しかったなあ…でもこの2人なら口止めはなんとかなるか…

 

「お兄ちゃんそれって…」

 

「八幡様…あの男が絡んできたんですか?!!」

 

小町と水波は箸を置き八幡に詰め寄る。

 

「雪ノ下達の事だ、だが何もなかったから心配するな」

 

「八幡さんあれは何もなかったとは言いませんよ?」

 

ですよね…深雪先生のおっしゃる通りですね…

 

「お兄ちゃん正直に話して!!」

 

「八幡様!!」

 

これは話さないと許してもらえなさそうだな…

 

「実はな…」

 

八幡は昼間の食堂の件と放課後の校門前の件の事を正直に話した。

 

 

「今すぐあの男を……許可下さい小町様!!」

 

「小町も行くよ!!雪ノ下さんも由比ヶ浜さんもあの偽イケメンも許せないよ!!!」

 

ヤる気満々になっていた。

 

2人に話すとこうなるから嫌だったんだよな…

 

「待て…頼むから待ってください…」

 

八幡は頭を下げて待つようにお願いする。

 

「お兄ちゃん!?あの人達はもう無理だよ!!」

 

「八幡様!!」

 

が2人は止まる様子がない。

 

「八幡とあいつらは何があったんだ?」

 

達也は雪ノ下達との関係を聞いてきた。

 

「いや…それは…」

 

八幡は言うべきなのか迷った。

 

「お兄ちゃん小町が話すよ!!」

 

「私もお話しさせてもらいます!!」

 

小町と水波が話すと言ってしまった。

 

しょうがないか…2人に隠し続けるのも無理そうだからな…

 

 

そして小町と水波は修学旅行の一件を達也と深雪に話した。

 

「あの人達はなんて卑劣な…」

 

深雪はその話をして激怒し、辺りが凍っていく。

 

流石本物の絶対零度の女王だな…片手が凍ってきた…ってこれ大丈夫なのん?俺死んじゃうのん?

 

「深雪落ち着け!八幡が凍っている…」

 

「はっ!八幡さんすみません…」

 

達也の指摘に深雪は我を取り戻す。

 

お兄様!!八幡助かりました!!

霜焼けもしてないし、ギリギリセーフだったな…

 

「しかし、八幡…あの葉山と言う男は何故お前にそこまで敵対しているんだ?結果的には雪ノ下と由比ヶ浜を自分の手の内に手に入れたんだろ?」

 

達也は葉山の敵対の理由を不思議に思い問いかけた。

 

「あの男が確実に敵対をして来たのはいろはの件が1番の要因だったんだと思います!!」

 

達也の問いに水波が答えた。

 

「いろは?」

 

「説明いたします。私の親友に一色いろはと言う子がいるんですが、いろはは元々は葉山の手の内にいたんです。」

 

水波ちゃん等々葉山の事を呼び捨てにしちゃったよ…やだ怖い…でもやっぱ一色の件だよな…

 

「どういうお話なのですか?」

 

「細かく説明すると長くなるので掻い摘んで説明させて頂きます」

 

深雪の質問に水波が答える。

 

 

「修学旅行が終わり、生徒会長の選挙があったんですがその時にいろはがクラスの女子達に無理矢理選挙に立候補させられたんです」

 

いろはす本当にあの時敵何人居たんだろうな…水波以外全員敵とか?いろはすマジべっーしょ!!

 

「そしていろははその当時生徒会長だった方に相談して奉仕部を紹介して貰いました。その時はもう八幡様は奉仕部から去った後でした。残りの2人が奉仕部としていろはの依頼を受ける事にしたんですが、碌な解決策を見出せなかったんです」

 

あの2人には無理だな、自分から立候補してもまた同じ事の繰り返しになる。葉山もそれを助けようとはしない。

 

「いろははどうしたらいいかわからなくなり、私の所に相談に来てくれました、私1人の力ではどうすることもできず…そこで私は八幡様に相談しました、八幡様は快く協力してくださり動いて下さいました。」

 

水波に頼られたらやるしかない!ハチマンヤサシー!!

 

「そして八幡様の提案にいろはが乗っかる形になり、いろはは生徒会長になりました。それからいろはは、八幡様に慕うようになり葉山の元から去って行きました。その事実を葉山が知った時に葉山の態度が急変しました」

 

あれは凄かったですね…自分のグループすら捨てて雪ノ下を手放さない為か雪ノ下の下僕みたいになってたからな…知らんけど。

 

「多分葉山の中で雪ノ下雪乃を手放したくなかったんだと思います。八幡様が助けたグループをいとも簡単に捨て、雪ノ下雪乃と共に歩む道を決めたみたいです…八幡様があんな思いをして助けたグループをあっさりと捨てたんです…それにいろはにも…」

 

水波は最後の最後で堪え切れなくなり泣いてしまった。

 

「水波話してくれてありがとうな…」

 

八幡は優しく水波の頭を撫でる。

 

「とりあえずそんな感じだ、葉山は一色を俺に奪われたと勘違いして逆恨みしてるって感じだな。元々あいつとはソリが合わなかった部分が多いがそれで一気に悪化したわけだ…」

 

八幡は話はをまとめ、2人に伝える。

 

「そういうことか、八幡お前は少し優しすぎないか?」

 

達也は今日の八幡の行動を見て今の話を聞き、思ったことを口にする。

 

「その…なんだ俺は関わりたくないだけだ、小町やお前達に危害を加えそうでなければ俺は放っておくつもりでいる…」

 

 

「お兄ちゃんがそんなんだからあの人達が調子に乗っちゃうんだよ!!」

 

八幡の言葉にすぐ反論する小町。

 

「俺が動けば雪ノ下家が動く…そうなれば真夜伯母さんが黙ってるわけないだろ…」

 

葉山の言う通り雪ノ下家に目をつけられているのであれば、八幡が動けば雪ノ下家が動き、それを真夜が察知しないわけがない。

 

 

「四葉と雪ノ下家…いや、最悪七草家と事を構える事になるだろう…それだけは避けたい…」

 

「八幡さん…」

 

八幡はとても動きにくい立ち位置にいる。自分が動けば最悪戦争になりかねない。

十師族でもトップと言われる四葉と七草が争う事になれば被害は少ない訳がない。

 

「八幡がそう言うなら俺もこれ以上は言わないが、俺の許容範囲を超えたら話は別だ。それだけは覚えておいてくれ」

 

達也はまだ我慢すると言っているが目が怒っているのは明らかである。八幡への感情がある以上達也は黙って見過ごす事などできない。

 

「八幡さん私もお兄様と同じ気持ちです!!」

 

マジであいつらには大人しくしてもらわないとな…どうしたもんですかねぇ…

 

 

「とりあえず出来るだけ俺の方で対処する…だから今は抑えてくれ…」

 

 

八幡はもう次はないと確信し、どうするか考えるのであった。

 

 

 

そのあとは小町も水波も落ち着き、八幡の昔話を小町と水波からされ精神的にボロボロになり食事は終わった。

 

「材木座?お前のCADの工房を見てみたいんだがいいか?」

 

隅っこで未だ小さくなっている材木座に声をかける達也。

 

「し、司波!いいであろう我がラボを見せてやるぞ!!」

 

いきなり近くで話しかけられた材木座は深雪でないとわかり、いつもの調子を取り戻す。

 

「達也でいい、司波だと深雪と被るからな」

 

「では達也殿行こうではないか!!」

 

「材木座さんお兄様に御無礼のない様お願いしますね」

 

深雪は達也を連れて行く材木座に笑顔で告げる。

 

「た、達也様どうぞこちらへおいでくださいませ」

 

その直後使用人みたいになった材木座は達也を様付けで呼ぶ。

 

「深雪あまりいじめてやるな、材木座いつも通りでいいからな」

 

「お兄様すいません少し言ってみたかったもので、材木座さん今のは冗談です。お兄様を案内してあげてください」

 

深雪は笑いながら達也に謝り材木座に冗談だと答える。

 

深雪の一言で材木座はいつもの調子に戻り叫びながら達也を地下の工房へと連れていった。

 

「では八幡さんそろそろ勉強しましょうか」

 

えっ?マジで?お兄様についていかなくていいの?

 

「お兄ちゃん!頑張ってね!数学出来るお兄ちゃん小町的に超ポイント高いから!!」

 

「八幡様頑張って下さいませ!後でお菓子とMAXコーヒーをお持ちいたします。今の水波的にポイント高いです!」

 

「マッ缶持ってきてくれる水波…八幡的に超ポイント高い!」

 

 

 

「ポイント…?」

 

深雪は初めて聞くポイントと言う言葉に首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 






達也が小町と八幡への感情を抱ける様になりました!
これはすごくやりたかったのでそうさせてもらいました…!


生徒会長選挙の話は魔法科高校の原作の追憶編の代わりにやりたいと思ってます!


次回!!深雪先生と八幡…
後半は原作に戻れるかと…


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誓約



前回説明回は終わりと言っていたのですが…今回半分説明回です…
今回は勉強…しません!!w





ではどぞ!!


 

 

「八幡さんどうですか?」

 

八幡の部屋に入ってきた深雪は制服から着替え、水波から借りた服を着て眼鏡を掛けて登場した。

 

「なんで眼鏡なんかかけてるんですかね…」

 

眼鏡掛けてたら頭良い見たいな発想ですか…深雪先生は実は馬鹿なのんですかね…

 

「小町ちゃんが『先生なら眼鏡掛けないと』と言いまして掛けて来たんですが…」

 

馬鹿な発想をしていたのは小町だったのか…相変わらず偏差値低い本読んでるんだな…

 

「その…なんだ似合ってると思うぞ…?」

 

うん…凄く似合ってる…びっくりするぐらい。

 

「ありがとうございます八幡さん!あの勉強の前に少しお話したいのですがよろしいでしょうか…?」

 

お礼を言った後、深雪の表情が沈む。

 

むしろお話だけでよかったりする、むしろお話だけで帰ってください…

 

「おう、いいぞ?」

 

「お兄様の事についてなのですが…」

 

どんだけお兄様好きなんだよ…

 

「お、おう…どうした?」

 

「私はお兄様の枷になっているのが嫌なんです…八幡さん私はどうしたらいいのでしょうか…」

 

えっ?いきなり?枷になってる?どういうこと?ハチマンワカラナイ!

 

「枷…?」

 

「も、申し訳ありません…私はお兄様の魔法演算領域を誓約( オース)により私の魔法制御力で封印しているのですが、それがお兄様の枷になっている事が嫌なんです…」

 

誓約(オース )か…

 

「俺も小町に誓約(オース )で力を制限されているけど、それを枷になってるって思った事は一度もないんだが?」

 

八幡も小町に誓約(オース )により力を制限されている。この2人の場合はお互いの力を縛る意味で誓約( オース)を使用している。

 

 

「八幡さんもなのですか…?」

 

深雪は驚き、口に手を当てる。

 

「その…アレだ俺と小町の場合はお互いを縛り合ってるって言った方が正しいかもしれないな…」

 

「お互いに…?」

 

「俺は魔法演算領域の封印で、小町には<精神の眼( メンタルサイト)>の封印だ」

 

 

小町の精神干渉系魔法の中で一つだけ封印を施さなければならない強力な魔法がある。それが精神の眼(メンタルサイト )である。

 

精神の眼( メンタルサイト)とは…?」

 

深雪は達也の精霊の眼(エレメンタルサイト )と名前が似ていることから知覚能力だと思ったが知覚能力なら封印する必要はないはずだと思い八幡に問いかける。

 

「広範囲の精神情報を集める…いや把握できる領域型精神干渉魔法だ…小町自身が精神の眼( メンタルサイト)で把握できる相手なら小町の精神干渉を働きかける事が可能だ。範囲は最低でも半径0.5キロ…小町の精神状況に応じて変わってくるが」

 

 

つまりその眼が届く人間全てを小町が操る事も可能である。

真夜が普段からこの眼を使う事を禁止し八幡の魔法演算領域を封印する為に小町に誓約( オース)を教え実行させた。

 

 

「そんな魔法が…」

 

深雪も精神干渉魔法を得意としているが、精神干渉魔法に関しては小町と深雪の能力は雲泥の差である。

 

「でもまぁ…小町は普通の魔法があまり得意ではない…」

 

つまり小町はBS魔法師に分類される。達也みたいに仮想魔法演算領域を設置しなければならない程深刻ではないが、八幡や深雪と比べるとかなりの差がある。第一高校の一科生にはなれるが主席には絶対届かないレベルである。

 

 

「八幡さんの魔法制御力で小町ちゃんのその眼を封印しているということですね…なら小町さんは…?」

 

「小町は精神干渉魔法で俺の魔法演算領域を4割程封印してくれている」

 

これが八幡と小町の誓約(オース )である。解除の鍵の役割は八幡が持っている。

 

「そうだったんですね…」

 

「そのなんだ…俺は誓約( オース)で小町と縛り合ってることを嫌だと思った事はないぞ?だから達也も別に嫌とか枷だって思ってないんじゃねぇの?」

 

材木座との誓約( オース)しろとか言われてたら必死に抵抗してたなあ…

むしろ小町とさせてくれてありがとう真夜伯母さん!

 

「そうでしょうか…お兄様は辛い筈です。充分に魔法を使える訳でもなく、それに加えて封印だなんて…それでも私を必死で守ってくれています…制限しているのは私の方なのに…」

 

「世の中のお兄ちゃんってのはな、妹を守る為に生きている…だから達也も守護者(ガーディアン )とか関係なく守りたいって思っている、例え自分が魔法師じゃなくて相手が魔法師でも例外はない」

 

特に達也みたいなシスコンタイプは何がなんでも守るだろうからなあ…俺もお兄ちゃんとして負けるわけには…

 

 

「八幡さんもそうなんですか…?」

 

 

「当たり前だ…小町がどれだけ俺より強くて優秀な魔法師だったとしても俺が小町を助けない理由にもならないからな…」

 

八幡は深雪に真剣に答える。

 

「だからなんだ…あまり自分を責めない方がいいってことだ…これからは俺や小町もいる…達也も深雪もそのアレだ、頼ってくれていいから…」

 

「八幡さんは優しいですね…本当に四葉の方ですか?」

 

親子揃ってそれ言っちゃう…?自分の血疑っちゃうよ…?実は小町の実兄じゃないとか…やだそれ小町と結婚できちゃう…千葉の兄妹超えちゃう…あっ…ゲームでは結婚してましたね…

 

 

「深夜伯母さんにも言われたんだが…親子揃って言われると自分の血を疑いたくなるな…」

 

「お母様にもですか?!」

 

深雪は驚いた表情をし、八幡に問う。

 

「俺ってそんなに四葉の人間っぽくないの…?」

 

四葉の人間っぽいってどんなんだよ…真夜伯母さん見たいな感じなのん?ハチマンカカワリタクナイ…

 

「私はそう思いますよ?八幡さんの優しさはすごく温かいです」

 

「そ、そうか…ありがとうな…」

 

 

深雪は心の中で八幡に対する認識の変化に戸惑っていた。

 

 

この後、勉強する事なく他愛のない雑談をしていた八幡と深雪であった。

 

 

「はぁ…なんで俺のベットで寝ちゃうんですかね…明日からベット使いにくいじゃねぇか…」

 

深雪は眠さに負け、最初はベットに腰掛けていただけだったのだがそのまま眠ってしまった。

 

「とりあえずお兄様に報告するか…明日学校どうするんだよ…」

 

八幡は深雪に掛け布団をかけ、達也と材木座がいる地下室まで足を運ぶ。

 

 

「達也殿!!そういうことであったのか!!我も気付かなかったであるぞ!!」

 

地下室に入った瞬間材木座の大声が聞こえてきた。

 

「八幡か、どうした?」

 

八幡が入ってきたことに気付いた達也が声をかける。

 

「深雪が俺のベットで寝てしまったからな、お兄様に報告しとこうと思ってな」

 

「お兄様はやめてくれ…お前に言われると気持ち悪い…」

 

感情取り戻したからって酷くないですかね…

 

「それは悪かった…でどうするんだ?明日学校もあるし」

 

「ならここに泊まれば良いであろう!!我もそのつもりだ!」

 

「達也と深雪はいいがお前は帰れよ…家すぐそこだろうが…」

 

比企谷宅から材木座宅までの距離は500mもない。

 

「我も八幡の家に泊まりたい〜」

 

うぜぇ…

 

「八幡、すまないが今日は泊めてもらってもいいか?時間も時間だから深雪を起こすのも忍びないからな」

 

優しいお兄様だなあ…0時だから泊まっていった方がいいだろうしな…

 

「部屋がいくつか余ってるから使えるか聞いてくるからちょっと待っててくれ」

 

 

そう言って八幡は水波の元へ行く。

 

「それにしても俺はどこで寝たらいいんだ…小町に頼んでみるか…フヒッ」

 

八幡は小町と一緒に寝る口実ができたことに顔がニヤついていた。

 

「水波?起きてるか?」

 

水波の部屋の扉をノックし、声をかける八幡

 

「八幡様どうかなさいましたか?」

 

「もう寝るとこか?」

 

パジャマ姿の水波を見て八幡は問いかける。

 

「はい!もうそろそろ寝ようかと思っていたところです」

 

「そうか、布団の予備とかあったっけ?」

 

八幡は水波に迷惑掛けないように自分で用意するつもりでいるようだ。

 

「いくつかありますが?」

 

八幡の質問に首を傾げて答える水波。

 

「どこにあるんだ?」

 

「隣の部屋にあると思いますがどうかなさいましたか?」

 

「そうか、いや大したことじゃないから大丈夫だぞ邪魔して悪かったな。おやすみ」

 

八幡は布団の場所がわかり早々にその場を立ち去ろうとするが…

 

「あっ!もしかして達也様と深雪様がお泊りになられるのですか?」

 

「深雪が俺のベットで寝てしまったからな…達也に相談したら今日は泊めてくれってことだから…」

 

八幡は正直に答えるが答えたらどうなるか八幡はわかっている。

 

「八幡様!なんで最初に水波に言ってくれないんですか!?今すぐ用意するので少々お待ちを!」

 

 

そう言って水波はパジャマのまま隣の部屋に入っていった。

 

「悪いことしたな…」

 

とりあえず達也の寝床は確保したから伝えに行くか…

 

「八幡様!予備の布団が一つしかありません…どうしましょう…」

 

地下室に向かおうとした八幡の元へ水波が慌ててやって来た。

 

「ならその布団を達也に使ってもらうか、深雪は俺のベットのままで俺は小町と寝るか…」

 

これぞ完璧な作戦…退路を絶って小町と寝る…

 

 

「小町様にお伝えしてきますね!達也様の布団は隣の部屋に敷いて起きましたので!」

 

そう言って水波は慌ただしく小町の部屋へと向かって行った。

 

八幡は達也に伝える為に地下室へと再び運ぶ。

 

 

「達也、布団一つだけ余ってたから水波が敷いといてくれたぞ」

 

地下室に入り達也に声をかける。

 

「そうか、すまないな」

 

「我の布団は?」

 

材木座は期待した目で八幡を見てくるが…

 

「お前の布団はねぇよ…それにお前の寝袋そこにあるだろうが…」

 

材木座は地下室にこもることが多いので寝袋を完備してある。水波の優しさで購入したものである。

 

「我には寝袋で寝ろと言うのか八幡!見損なったぞ!!」

 

「その寝袋いらないって言ってたって言ったら水波が悲しむだろうな…残念だ…」

 

「我は寝袋で寝るに決まっているであろう!八幡何を言っておるのか!!」

 

見事な手のひら返しだな…

 

「とりあえずそう言うことだから、材木座風呂の場所とか教えてやってくれ…俺はもう寝る」

 

八幡はその場を立ち去ろうとする。

 

「八幡、今日は色々すまないな。これからよろしく頼む」

 

達也は笑顔で八幡にそう伝える。

 

「あんまり妹に心配かけさせるなよ…」

 

そう言って八幡は小町の元へと向かっていった。

 

 

「小町、起きてるか?」

 

「八幡様!まだ小町ちゃんには説明してなくて…」

 

小町の部屋に入ると水波が出てきてまだ説明してないと伝える。

 

「水波?小町はいないのか?」

 

「何?お兄ちゃん」

 

何故か不機嫌な小町が出てきた。

 

「寝る場所ないから小町の部屋で寝ようと…」

 

八幡は不機嫌な小町に少し控えめになる。

 

「はぁ…どうせそんなことだろうと思ったよ…」

 

「なら…」

 

八幡は目の腐りが消えそうなくらいの目になり、小町が承諾してくれる未来に目を輝かせていると。

 

「やだよ…気持ち悪い…小町、水波ちゃんと寝るから!お兄ちゃんは水波ちゃんの布団で寝てくださいごめんなさい」

 

「いや…それだと水波が可哀想じゃねぇか…」

 

俺が水波の布団で寝るとか水波に悪い…むしろ通報されて捕まる未来しかない…

 

「八幡様…水波は嫌じゃありませんよ…だから小町ちゃんと寝ますね!!」

 

顔を真っ赤にした水波は部屋の扉を勢いよく閉めた。

 

水波…そんなに顔を真っ赤にするくらいまで怒ってるのに許してくれたのか…なんて優しい子…

 

八幡は仕方なく水波のベットで寝ることにし、水波の部屋に入る。

 

「無心無心…水波は家族…家族だ…」

 

八幡は自分にそう言い聞かせ水波のベットに入る。

 

「水波の匂いか…なんでこんなにいい匂いがするんだよ…」

 

八幡はベットで寝る以外の選択肢がない…以前ソファで寝落ちしてしまい、水波に泣かれこってりお説教を受けているのでベット以外で寝ることができない…

 

 

結局八幡は、水波の匂いの所為で寝不足になった。

 

 

 

 





小町と八幡にも封印があります!!
封印を解いたら小町めっちゃ強そう…w
八幡も強いですよ!!
ブランシュの時に初公開になるかな…?


深雪と八幡が仲良く?なりましたね…
そして達也と材木座も仲良く?なったのかな…?w


そして水波のベットで寝る八幡!(羨ましいですね。はい)



次回はちゃんと原作に戻ります!!


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真由美は八幡に勝利する。

気がついたらお気に入りが1000件超えてました…!
ありがとうございます!!


タイトル通り八幡が負けます!




ではどぞー!


翌朝、八幡・達也・深雪・材木座の4人で登校していた。

 

「八幡さん本当に申し訳ありません…」

 

昨日の夜八幡のベッドで寝てしまっていた深雪が朝からずっと落ち込み謝り続けていた。

 

「さっきも言ったが、気にすんなよ…」

 

「深雪も疲れていたんだろう、八幡も許してくれているんだから気に病む必要はない」

 

八幡と達也は深雪に気にかけるなと言っているが深雪の性格上それを簡単には認めない。

 

「ですが…」

 

「なら深雪、八幡に夕食でも作ってあげたらどうだ?昨夜のお詫びを兼ねて、それでいいか八幡?」

 

一向に認めない深雪に達也は提案を出す。

 

「俺は別にそれでも構わないが…」

 

そんなことしたら水波がまた怒りそうなんだよなあ…『夕食のお世話をするのもメイドの務めです!』とか言われる…

 

「八幡さんがそんなことでよろしいのであれば…精一杯作らせて頂きます!」

 

まぁ水波も事情を説明したら大丈夫だな…

 

「おっ!八幡に達也くんに深雪それと材木座くんじゃない!おはよう」

 

「お、おう…千葉か、って…西城と柴田さん?も一緒か…」

 

エリカの後ろからレオと美月がやって来てそれぞれ挨拶を交わす。材木座は『我に今挨拶してくれてた?ねぇ?八幡』と言っていたが八幡はスルーした。

 

「4人で登校なんて随分と仲が良いじゃない!」

 

エリカはそう言いながら八幡の背中を叩く。

 

「こいつらは…アレだ…えっと…」

 

従兄弟だと言おうとしたが、八幡は言って良いことなのか迷い言葉を詰まらせる。

 

「俺達も昨日知ったんだが、八幡は従兄弟だったんだ」

 

すると達也があっさり従兄弟だと言うことを話してしまった。

 

あれ?大丈夫なのん?

 

「えっ?そうだったの?従兄弟の割には全然似てないわねあんた達…」

 

イケメンと美少女の従兄弟がこんな目が腐ったやつですみませんね…って余計なお世話だ…

 

「昨日知ったってことは今まで知らなかったんですか?」

 

「俺達はあまり親戚付き合いをしてない家だからな、今回は同じ学校に入学したってことで紹介されたってわけだ」

 

美月の問いに達也は嘘を織り交ぜて説明する。

 

「そんな偶然もあるんだな」

 

レオは感心した様子で感想を述べる。

 

すると…

 

 

「八幡く〜ん!達也く〜ん!」

 

いきなり大声で声をかけられる八幡と達也。

 

えっ?俺?誰だよ…こんな大声で目立つからやめてくださいませんかね…材木座じゃあるまいし…

 

「おはよ〜八幡くん達也くん!深雪さんもおはようございます!」

 

えっ?マッ缶会長じゃないですか…いつから名前呼びになったんですかね…

 

「お、おはようございます会長」

 

「おはようございます」

 

達也と深雪は真由美に挨拶を返し、他の4人は遅れて挨拶をする。

 

「ども…」

 

八幡は愛想がない返事を返す。

 

「深雪さんと八幡くんに今日お話があるのですが、今日のお昼のご予定は?」

 

何?まさか数学0点だったことに対しての呼び出しなんですかね…

でもそれなら総代の深雪が呼ばれる訳ないか…

一体俺は何をしたって言うんだよ…

 

「食堂でいただくことになると思います」

 

「1人で食べてると思います」

 

深雪と八幡はそれぞれ答える。

 

「深雪さんは達也くんとご一緒に?」

 

「いえ兄とはクラスも違いますし…」

 

深雪は昨日の出来事を思い出し少し俯いて答える。

 

「変なことを気にする生徒が多いですものね」

 

真由美は頷きながら深雪に答える。

 

「じゃあ八幡くんも深雪さんも生徒会室でお昼ご一緒しない?自配機もあるし」

 

「生徒会室にダイニングサーバーが置かれているのですか…?」

 

深雪は驚いた感じで問いかける。

 

「入ってもらう前からこんなことをあまり言いたくないんだけど、遅くまで仕事をすることも少なくないので」

 

第一高校生徒会は完全に社畜養成所なんですね…誰が入るんだよ…って俺にも話あるって言ってたけど俺も生徒会に勧誘されちゃうの…?

 

「生徒会室なら達也くんが一緒でも問題ありませんし!」

 

「問題ならあるでしょう…副会長と揉め事なんてごめんですよ…」

 

真由美の言葉に達也が反発する。

 

「副会長…?はんぞーくんのこと?それなら気にしなくても大丈夫。はんぞーくんはいつもお昼は部室だから」

 

「なんだったら他の方々もご一緒にどうですか?生徒会の活動を知っていただくのも、役員の務めですから」

 

真由美は社交辞令を交えて他の面子にも声をかける。

 

「せっかくですけど、私達はご遠慮します!」

 

その問いにエリカがキッパリと答える。

 

「そうですか。では深雪さんたちだけでも…」

 

深雪は達也と八幡に目線を送りどうしたらいいのか聞く。

 

「はぁ…わかりました。では深雪と八幡と3人でお邪魔させて頂きます」

 

「はっ?」

 

達也の返事に八幡は驚く。

 

えっ?マジで?俺も一緒なの?完全に巻き込まれた…

 

「そうですか、よかった。八幡くん生徒会室にはMAXコーヒーのサーバーもあるので是非お越しくださいね」

 

えっ?何それ?MAXコーヒーのサーバーとかあるの?何それ欲しい…

 

「せっかくですのでお邪魔させて頂きます!」

 

断りを入れようとしていた八幡だがMAXコーヒーのサーバーにあっさり釣られて生徒会室に向かうことを決意する。

 

「ふふっ、では詳しい話はその時に。お待ちしてますね」

 

八幡を上手く釣れた真由美は満足気に微笑み去っていった。

 

「それにしてもなんで八幡は呼ばれたんだ?深雪は多分生徒会への勧誘だろう」

 

達也は八幡が呼ばれた理由に心当たりがないので八幡に聞いてみる。

 

「昨日の雪ノ下の件じゃねぇのか?考えてみたがそれ以外心当たりがないからな」

 

「またあの人は八幡さんの事を悪く言ったって事ですか…?」

 

八幡が心当たりを口にすると、深雪が怒り出す。

 

「まぁ多分大丈夫だろ…事実確認だけだと思うが、仮に変なことを言われていたら朝にすぐ呼び出されるだろうからな…」

 

「そうですね、取り乱してしまい申し訳ありません」

 

 

 

そして昼休みになり八幡・達也・深雪は生徒会室にやってきた。

 

「はぁ…やっぱり来るんじゃなかった…」

 

八幡はため息を吐き、総武時代では生徒会室は馴染みの部屋だったのだが、第一高校は総武とは違う雰囲気が出ていたので、入りたくないと思ってしまう。

 

「今更そういうな、お前も呼ばれてるんだぞ?」

 

「そうですよ八幡さん!」

 

「わかってるよ…」

 

達也と深雪に指摘され、渋々中に入ることを決意する八幡。

 

「失礼します」

 

深雪は中に入り礼儀作法のお手本のようなお辞儀をした。

 

「失礼します…」

 

「失礼します」

 

その後に八幡が入りその後に達也が入る。

 

「えっーと…ご丁寧にどうも…」

 

真由美は深雪の所作にたじろぐ。

 

「どうぞ掛けて。お話はお食事をしながらにしましょう」

 

真由美の指示に従い深雪・八幡・達也の順で席に付いた。

 

「お肉とお魚と精進どれがいいですか?」

 

真由美に種類を問われて、達也と深雪は精進を選び八幡は魚を選ぶ。

 

料理が届く前までの間、真由美が生徒会役員の自己紹介をしていた。

 

リンちゃんにあーちゃんにはんぞーくんって…マッ缶会長はあだ名つけるのが好きなんですかね…ヒッキーとか呼ばれたらどうしよ…ないな…ないと信じたい…

 

「私は違うがな」

 

貴女は鬼の風紀委員長ですね…

 

「そうね摩利は別だけど。準備ができたようですね」

 

ダイニングサーバーが開き料理が出てきた6つ。

 

あれ?1人足りなくない?まさか…いじめ…?これをする為に呼ばれたのかよ…

 

「比企谷さんの目がどんどん腐ってますよ…?」

 

やめて!あーちゃん先輩それを言わないでください!

 

「気にしないでください…えっと…あーちゃん先輩…?」

 

名前覚えてない…あーちゃんってイメージしかない…いいよね…?最悪通報されて捕まればいいし…いや捕まったらダメでしょ…

 

「あーちゃんって言わないで〜!会長が一年生に変な事を教えるから私の立場が…」

 

涙目になっているあずさ。

 

「ふふっあーちゃんはあーちゃんだもの」

 

「諦めろ中条…」

 

真由美の言葉に摩利が呆れた感じで答え、弁当を取り出す。

 

鬼の風紀委員長が弁当なんですね…よかった…俺の分のご飯あった…

 

「お兄様と八幡さんの分です!」

 

深雪が達也と八幡の分の料理を運んで来てくれたようだ。

 

「お、おう…サンキューな」

 

「ありがとう深雪」

 

2人はお礼を伝える。

 

 

謎の面子での食事が始まった。

 

「渡辺先輩、お弁当は自分でお作りになられたんですか?」

 

深雪が摩利に問う。

 

「そうだが、意外か?」

 

「いえ少しも…その手を見ればわかりますから」

 

摩利が深雪の質問に答えると達也が即否定をし、理由を述べる。

 

「なっ!」

 

摩利は顔を赤くして手を隠す。

 

「そうだお兄様、八幡さん!私達も明日からお弁当にしましょうか!」

 

深雪が手を合わせ嬉しそうに提案する。

 

「別に構わないよ」

 

「えっ?俺も?」

 

八幡は何故2人の中に入ったのか疑問に思う。

 

「もちろんです!私はお兄様と八幡さんのお弁当を作りたいです!」

 

えっ?深雪ってそんなに料理が好きなの?作ってくれるならありがたいけど…水波が…

 

 

八幡は中学までは水波が作っていた弁当を食べていたが、八幡が第一高校に入学し引っ越す事になり亜夜の提案でお弁当はなしになった。

水波は作る気満々でいたのだが亜夜の命令だったので渋々了承した。

 

「では明日からはお弁当にしましょう!」

 

明日からは深雪の弁当を食べる事になる八幡と達也であった。

 

「深雪さんは八幡くんとはどういった関係なのかしら?」

 

真由美は生徒会室にいる全員の疑問を代表して質問した。

 

「八幡さんは私達の従兄弟なんです!」

 

「そうだったの?」

 

生徒会室にいる全員がその事実に驚く。

真由美もかなり驚いた表情をし問いかえす。

 

従兄弟がこんなにイケメンと美少女なら当然そうなりますよね…

 

食事が終わり、あずさが紅茶を真由美と八幡以外に配る。

 

「八幡くんこれよ!私が作らせたMAXコーヒーのサーバーよ!」

 

奥の一角にMAXコーヒーと書かれたサーバーが置いてあった。冷たいのと温かいの両方対応している様だ。

 

えっ?マジで?ちゃんとしたMAXコーヒー正規のサーバーとかあったの?作らせたってことは特注ですか…

初めてマッ缶に対しての愛情で負けた気がする…

 

「どう?驚いた?」

 

真由美は悪戯な笑顔で八幡を見つめる。

 

「これは想像以上でした…感服いたしました…」

 

八幡は負けを認める。

 

「ふふっアイスかホットどっちがいい?」

 

「アイスでお願いします…」

 

真由美は八幡と自分の分のMAXコーヒーを入れた。

 

「八幡さん随分と会長と仲が良いみたいですね」

 

席に戻ると何故か怒っている深雪がいた。

 

「仲が良いとかではなくて…会長はマッ缶仲間みたいな感じでして…」

 

深雪の威圧に押され敬語になる八幡。

 

「マッ缶とはなんですか?」

 

「えっ?深雪マッ缶知らないの?千葉のソウルドリンクだぞ?」

 

深雪の質問に八幡は少しテンション高めに答える。

 

「お兄様はご存知ですか…?」

 

深雪は知らないことが常識から外れているのかと思い達也に問いかける。

 

「知ってるが…深雪…あれはやめておけ…」

 

達也はマッ缶を飲んだことがあるようだ。

 

「八幡さん私に一口下さいませんか?」

 

深雪は八幡の飲んでいるMAXコーヒーを飲ませろと言う。

 

「えっ?でもアレがアレだから…」

 

「だめなんでしょうか…?」

 

深雪は八幡に上目遣いで尋ねる。

 

「い、いや別にだめとかではないぞ?」

 

「では一口もらいますね」

 

そう言って深雪は八幡のMAXコーヒーを飲む。

 

あそこで、飲まなければセーフだよな…?達也にまた殺気向けられたら八幡もう生きてける気しない…

 

「うっ…」

 

深雪はどうやらMAXコーヒーはだめなタイプだったらしい。

 

「八幡さんよくこんな甘いもの飲めますね…体に悪そうです…」

 

「美味しいと思うんだが…ほれみろ、会長は美味しそうに飲んでいるぞ」

 

真由美は至福の時間ばりのオーラを出しMAXコーヒーを飲んでいる。

 

「司波、気にするな…私もあの飲み物を今まで真由美しか飲めるやつを見たことがなかった…」

 

摩利がフォローをいれる。

 

「会長があの甘いコーヒーが好きなおかげで自販機の設置、そしてサーバーの設置などしていますが会長以外誰も活用してきませんでしたから」

 

鈴音がそう言って八幡を見る。

 

「まさか…あのコーヒーを飲める方が現れるなんて…」

 

あずさは八幡を凄い人を見るような目で見る。

 

「あのそんな目で見ないで貰えませんか…?」

 

八幡は全員の視線を受けたじろいでしまった。

 

「では、そろそろ本題に入りましょうか」

 

MAXコーヒータイムを中断させ、真由美は本題に入ろうと言い出したので全員真由美に視線を集める。

 

「当校の生徒会長は選挙で選ばれますが、他の役員は生徒会長が選任します。解任も生徒会長の一存に委ねられています。各委員会の委員長も一部を除いて会長に任免権があります」

 

生徒会長権力強すぎないですかね…いくら生徒の自治を重視しているとはいえやり過ぎじゃないですかね…

もし仮に一色がそんな権力を持ってしまったら…いや…考えたくないな…過労死する未来が見えた…

 

「私が務める風紀委員長がその例外のひとつだ。生徒会、部活連、教職員会の三者が三名ずつ選任する風紀委員の互選で選ばれる」

 

「という訳で、摩利は私と同格の権限を持っているんですね」

 

摩利が淡々と説明し、真由美がまとめる。

 

 

「これは毎年恒例なのですが、新入生総代を務めた一年生は生徒会役員になってもらっています。司波深雪さん私は貴女を生徒会に入ってくださる事を希望します。引き受けて頂けますか?」

 

まぁ当然といえば当然だな。

 

 

「会長、兄の入試の成績はご存知ですか?」

 

深雪のそのセリフに達也は目を見開いて驚く。

八幡はブラコンである深雪ならこのくらいはするだろうと予想していたかの様に普通にしている。

 

 

 




さすがに特注サーバーには八幡は勝てなかったようです。


次回ははんぞーくんとの模擬戦までいけるはずです…多分w



感想でご指摘を頂いたので
キャラ設定の八幡の魔法の設定の所をかなり変えました!ブラックホールは少し理論がきちんと決まってから追加します…難しい…w
水波の所に材木座の呼び方の設定を追加しておきました!
ご指摘していただきありがとうございます!


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達也はとばっちりを受ける。


誤字報告毎回すみません…ありがとうございます!!




ではどぞー!


深雪の一言で生徒会室の雰囲気が少し変わる。

 

「ええ、知っていますよ。すごいですよね…先生にこっそり答案を見せて貰った時は自信をなくしました」

 

こっそり見ちゃっていいの?先生も見せちゃうんですね…あっ…俺の数学も見られてるんだった…

 

「成績優秀者、有能な人材を生徒会に迎え入れるなら私よりも兄の方が相応しいと思います」

 

「おい!みゆ…」

 

深雪の言葉に達也は思わず止めに入ろうとするが…

 

「デスクワークならば、実技の成績は関係ないと思います」

 

達也を制し深雪が話を続ける。

 

「残念ながら、それはできません」

 

真由美が答えるのかと思ったが、鈴音が横槍を入れる。

 

「生徒会の役員は第一科の生徒から選ばれます。これは不文律ではなく規則です」

 

そんな規則があるんだな…

 

「これを覆す為には全校生徒の参加する生徒総会で制度の改定が決議される必要があります。決議に必要な票数は在校生徒数の三分の二以上ですから実質今の第一高校では不可能です」

 

鈴音は淡々と深雪に説明をする。

 

「申し訳ありませんでした…分を弁えぬ差し出口、お許しください」

 

深雪は深々と頭を下げる。

 

「それでは、深雪さんには書記として、今期の生徒会に加わっていただくということでよろしいですね?」

 

「はい、精一杯努めさせていただきますので、よろしくお願い致します」

 

真由美の問いに礼儀正しく返事をし、深雪は晴れて生徒会役員になった。

 

「そして、次は八幡くんなんですが…教職員推薦枠で風紀委員会に入るようにと申し出がありました」

 

「えっ?」

 

八幡は理解不能だった、二科生の自分が風紀委員会にしかも教職員推薦枠に選ばれるのはおかしい。

 

「理解が出来ていないようだな、比企谷」

 

摩利が八幡が不思議そうにしているのを見て、問いかける。

 

「俺は二科生なんですが…」

 

「君は昨日、一科の生徒の魔法を対抗魔法で防いだと言っていたな」

 

あ…そんなこともしてしまいましたね…

 

「いや…アレはその…」

 

「本当は森崎を教職員推薦枠に任命する予定だったのだが、昨日の問題を起こしたメンバーの中に彼がいたことにより推薦枠は取り消しとなった」

 

森なんとかさんの代わりってことですね…なんでそんな面倒なことを…

 

「そこで我々に教職員推薦枠に相応しい人物を連れてきて欲しいと言われててな、そこで対抗魔法が使える比企谷に白羽の矢が立ったというわけだ」

 

対抗魔法なんて使わなきゃよかった…てか昨日俺もあの場にいたんですが…いいんですかね…

 

「昨日八幡くんが自衛目的でCADを使用したことは、雪乃さんが正直に答えてくれました。森崎くんに関しては昨日の件は不問としていますが、二科生にあまり良くない感情を持っているようなので、風紀委員には任せられないだろうというのが先生や私達の見解です」

 

あの雪ノ下が正直に話したってことか…

森なんとかさんの対応については少々意外だな…

そして心を読まれたのは気のせいだろうか…気のせいだと思いたい…

 

「それは妥当な判断だと思います…」

 

「八幡くんに白羽の矢が立った理由はわかってもらえましたか?」

 

それだけで俺を推薦なんて普通するんですかね…

 

 

「八幡さん!!」

 

深雪が嬉しそうな顔で八幡を見る。

 

えっ?そんなに風紀委員会に入って欲しいんですかね…それなら達也の方が…達也に押し付けてしまえば…すまない達也…俺は早く帰って小町に会いたいんだ!

 

「それでしたら達也の方がいいんではないですか?俺より知識も豊富ですし…」

 

「八幡?!!」

 

達也は八幡の言葉に驚き声を思わず出してまう。

 

「そういえば達也くんも起動された起動式を読み取れるんだったな」

 

摩利が意地悪い顔で達也を見る。

 

「俺も八幡も二科生ですよ!?」

 

達也は慌てた感じで反論する。

 

「風紀委員会には一科二科と縛る規則はない、……そういえば生徒会推薦枠もまだ決まってなかったな真由美」

 

一瞬、考える素振りして摩利は真由美に問いかける。

 

「それはまだ検討中よ…もう少し…あっ!そういうことね!」

 

真由美は摩利の思惑に気付く。

 

あっ…これ2人共入れられるパターンじゃないのん?

 

八幡は2人のやり取りを見て退路が断たれていくのを感じる…

 

「生徒会は司波達也くんを風紀委員会に任命致します!!」

 

真由美は達也にそう告げる。

 

「ちょっと待ってください!俺の意志はどうなるですか?そもそも風紀委員会が何をするのか説明を受けていません!」

 

達也必死だな…けど達也が頑張ってくれれば俺も逃げれそうだな…頑張ってお兄様!!

 

「妹さんにも生徒会の具体的な仕事について、まだ具体的に説明しておりませんが?」

 

「そうですが…」

 

鈴音が達也の反論を冷静に返す。

 

達也がかなり押されてるこれはまずいかもしれないな…

 

「一ついいですか…?」

 

八幡は達也が押されてるを助けようと発言する。

 

「なんだ?」

 

「そもそも他の一科生の方が優秀な生徒がいると思うんですがその辺はどうなんでしょう…」

 

「比企谷…私は知っているぞ?お前が実技だけなら一科レベルだと言うことを」

 

そういえばこっそりテストの点数見れるんでしたね…

 

「……」

 

「沈黙は肯定とみなすぞ?」

 

八幡は痛いところを突かれて黙ってしまう。

 

お兄様…俺には鬼の風紀委員長には敵わなかった…

 

「はぁ…ですがお断りします。俺は早く帰って妹の世話しないといけないんで」

 

理由をつければ大体は見逃してくれるはず…横で深雪さんがムスッとしてしますがどうしたんですかね…

 

「そういうことか…なら仕方ないな…」

 

身内を理由にされては深入りはできないと思い、摩利は引き下がろうとする。

 

「八幡さん?小町ちゃんに確認してもよろしいですね?小町ちゃんから『何かお兄ちゃんが駄々こねているようなら連絡下さい』と昨日言われていたので!」

 

そういえば深雪さんも身内でしたね…そんな笑顔で言わないで貰えませんかね…てか小町ちゃん何を言ってくれているんですかね…

 

「いやその…アレがアレで…小町も俺の帰りを待ってるというか…」

 

「ほぅ…では司波、確認を取っといて貰えるか?」

 

「お任せください!!」

 

八幡の発言をスルーして摩利と深雪は結託する。

 

「八幡…」

 

達也は墓穴を掘った八幡に残念そうな目線を送る。

 

「比企谷に関しては妹の連絡待ちだな、達也くんについては…」

 

そして再び達也に白羽の矢が立つ。

 

「まだ説明を受けておりません」

 

達也は説明を受けていないことを理由にし、了承しない。

 

「達也くん、風紀委員は校内の風紀を維持することです!」

 

真由美はかなり大雑把な説明をする。

 

「それだけですか…?」

 

達也は真由美の答えに対し、自分が聞いている事に対しての答えではなかった為、不満そうに問いかえす。

 

「聞いただけでは物足りないかもしれないけど、結構大変…いえやりがいのある仕事よ?」

 

「そういう意味ではないんですが…」

 

「はい?」

 

達也の質問の意図を理解していないのか、もしくはとぼけているのかわからない…恐らく後者であることは達也も薄々気付いている。

達也は真由美でははぐらかされると思い他の役員にターゲットを変える。

摩利と鈴音は答えないと意志表示されている。

達也があずさをじっと見つめる。

 

「あ、あの当校の風紀委員会は校則違反者を取り締まる組織です。風紀と言っても服装違反、遅刻などそういうことは基本的に自治委員会が週番で担当しています」

 

鬼の風紀委員長に捕まった材木座は稀なパターンなのか…てかこの学校委員会色々ありすぎじゃないですかね…

 

「風紀委員の主な任務は魔法使用に関する校則違反者の摘発と魔法を使用した争乱行為の取り締まりです。風紀委員長は違反者に対する罰則の決定にあたり、生徒側代表として生徒会長と共に懲罰委員会に出席し、意見を述べます。いわば警察と検察を兼ねた組織です」

 

えっ?警察みたいなことしなきゃいけないの…?めんどくせぇ…

 

「すごいじゃないですか!お兄様!八幡さん!」

 

深雪がもう決まりですねと言ってきている。八幡の場合、深雪に小町に確認された時点で風紀委員会入りがほぼ決定してると言っても過言ではない。

 

「深雪………一つ念のため確認させてもらいますが」

 

「なんだ?」

 

達也はあずさではなく摩利に問いかける。

 

「今のご説明ですと、風紀委員会は喧嘩を力ずくで止めるということになりますが…」

 

「まぁそうだな、魔法が使われていなくてもそれは我々の任務だ」

 

「そして魔法が使用された場合はそれを止めなければいけないと?」

 

達也は相当頑固なんだな…

 

「できれば使用前に止めるのが一番だな」

 

「あのですね!俺は八幡と違い実技の成績が悪かったから二科生なんですが?」

 

俺も成績はそんなによくなかったはずなんですけど…

 

「構わんよ、力比べなら私がいる…っとそろそろ昼休みが終わるな、放課後に続きをしたいのだが、構わないか?」

 

「わかりました…」

 

達也が渋々返事をする。

 

えっ?放課後までこの話するんですか…

 

「比企谷もいいか?その頃には妹と連絡もついているだろう」

 

「わかりました…」

 

八幡は既に半分諦めている様子で返事をする。

 

 

そして昼休みは終わり授業が始まり、レオ達に風紀委員に入るように言われた事を八幡と達也は報告し、軽く愚痴大会となってしまったが、最終的に頑張れと送り出された八幡と達也であった。

 

 

 

授業が終わり、生徒会室に向かう前に深雪と合流する為に待ち合わせの場所へ八幡と達也は向かっている。

 

 

「八幡…お前はもう確定的だな」

 

達也は八幡に風紀委員入りは確定だと宣告される。

 

「俺は小町を信じてるからな!小町なら俺の帰りを待っているはず…」

 

極小の可能性にかける八幡。

 

「お兄様!八幡さん!」

 

深雪がもう既に待ち合わせの場所までやって来ていたようだ。

 

「待たせたか?」

 

「いえ、先程ついたところです!」

 

自然とこう言う会話ができるんですね…

 

八幡は以前いろはに注意されたワンシーンのお手本を見て感心する。

 

「八幡さん!小町ちゃんと連絡がつきまして八幡さんの風紀委員会に入るのは大賛成みたいですよ!」

 

この時八幡の風紀委員会に入ることが確定した。

 

「そ、そうか…ちょっと小町に電話してくる…」

 

八幡は小町に電話する為その場を少し離れる。

 

 

 

八幡は小町に電話をかける。

 

「もしもし小町か?」

 

「せ〜んぱい!」

 

「すいません間違えました」

 

なんで一色が出るんだよ…もういいや…

 

すると再び電話がかかってくる。

 

「何の用だ一色…」

 

「なんでいきなり電話切っちゃうんですかね〜?久しぶりの可愛い後輩ですよ?もう少し相手してくれてもいいじゃないですか」

 

「悪いが今そんな時間ないんだよ…小町に代わってくれ…」

 

「なんで私が電話出たかわかりませんか〜?」

 

えっ?小町に何かあったの?

 

「小町に何かあったのか?!今すぐ行く!」

 

「はぁ…もういいです…小町ちゃんからの伝言です…『お兄ちゃん風紀委員会入らないと、もう小町と水波ちゃんお兄ちゃんと喋らないから』だそうです!」

 

「………」

 

「せんぱい風紀委員頑張ってくださいね♪ではではさよならで〜す♪」

 

そう言って電話が切れた。

 

「風紀委員に入らないと小町と水波に…」

 

八幡はこの時、風紀委員になる事を決意する。

 

八幡は生徒会室に向かっていると達也と深雪が生徒会室の近くで待っていてくれたようだ。

 

「待っててくれたのか…」

 

「流石に先に入る訳にはいかないので、それに今回はお兄様と八幡さんが主役なので!」

 

「俺は八幡のとばっちりなんだが…」

 

深雪の言葉に達也は愚痴をこぼす。

 

「とりあえず入ろうぜ…早く終わらせて帰りたい…」

 

そう言って八幡は生徒会室の扉を開けようとした。

 

 

 

 

 

 





はんぞーくん登場は次回に持ち越しとなりました…
次回は模擬戦まで終わらせたいと思っています!!

いろはすをちょっと登場させたかったので声のみ登場させて見ました…w

とりあえず早くブランシュのところまで行きたいです…!


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服部刑部少丞範蔵副会長


タイトル通りこの人が出て来ます!!

誤字報告ありがとうございます!!本当に助かります…!




ではどぞー!


 

八幡が生徒会室に入ろうとしたのだが、八幡はIDが認証登録されていない為扉が開く事はなかった。

 

「八幡…」

 

達也が八幡の行動に呆れる。

 

「八幡さん緊張なさってるのですか?」

 

「そ、そんなことないですよ?」

 

八幡は顔を赤くして答える。流石に少し緊張していたのだろう。

 

「IDを登録して頂いているので開けますね」

 

深雪がそう言って生徒会室の扉を開ける。

 

「失礼します」

 

深雪が入り、その後に達也と八幡が続いて入る。すると、昼に空いていた座席に1人座っている男子生徒がいた。

 

「副会長の服部刑部です。司波深雪さん生徒会へようこそ」

 

そう言って八幡と達也を無視して自分の席につく服部。深雪は2人をスルーされたことに腹を立てるがそこは抑えた。

 

「よっ!きたな」

 

「いらっしゃい、深雪さん。八幡くんと達也くんもご苦労様」

 

摩利と真由美が3人を迎え入れる。

 

「ではあーちゃんお願いね」

 

「はい…」

 

真由美があずさに指示を出し、あずさはあーちゃんと呼ばれてることに落ち込むが深雪を端末まで案内する。

 

「八幡くんはMAXコーヒーでいいかしら?」

 

「おい、真由美…今からこの2人を風紀委員会本部へ連れて行くんだが…」

 

マイペースな真由美に摩利は呆れた感じに目的を告げる。

 

「えーちょっとくらい、いいじゃない!MAXコーヒー仲間なんて初めてなんだから!」

 

真由美は頬を膨らませ、摩利に抗議する。

 

「はぁ…話が終わってからゆっくり話せばいいだろう…」

 

えっ?終わったらマッ缶会長の相手するの?MAXコーヒートークなら何時間でもできそうな気もするんだけど…できるのかよ…

 

「わかったわよ…八幡くん!後でゆっくりお話ししましょうね!」

 

そのセリフに服部と深雪が反応し八幡を睨む。

 

「時間があれば…」

 

視線が怖い…深雪はなんでそんなに睨んでくるの…MAXコーヒー飲んだらダメとか…?

副会長はなんかすごい形相になってますけど…どうしたんですかね…

 

「では行こうか、と言ってもここの下なんだがな」

 

摩利が達也と八幡を風紀委員会本部を連れて行こうとする。

 

「渡辺先輩待ってください!!」

 

「なんだ、服部刑部少丞範蔵副会長」

 

えっ?今なんて?名前長くないですか…それは…はんぞーくんって呼ばれますね…

 

「フルネームで呼ばないでください!」

 

そんな長いフルネームでも覚えてもらえるって嬉しいことだと思うんですが…俺なんて苗字すらちゃんと覚えてもらえないんですよ…はんぞーくん…

 

「じゃあ服部範蔵副会長」

 

忍者かよ…忍術使いの副会長かよ…材木座が聞いたら羨ましがりそうだな…あの中二病が忍者へとシフトチェンジするだけですね…

 

「服部刑部です!」

 

「それはお前の家の官職だろ…」

 

官職とかあるんですね…

 

「今は官位なんてありません!学校には服部刑部で届けが受理されています!ってそんなことを言いたい訳ではなくてですね…」

 

官位がないのになんで刑部なんですかね…

 

「渡辺先輩、お話ししたいのは風紀委員の補充の件です」

 

服部がそう言って八幡と達也を見る。

 

「なんだ?」

 

摩利は少し前のめりになり服部を睨む。

 

「その一年生二人を風紀委員に任命するのは反対です!」

 

雰囲気的にそうだろうと思ってました…だが小町と水波の為に俺は風紀委員にならないといけないんですよね…

 

「おかしなことを言う。司波達也くんに関しては生徒会推薦枠で指名したのは七草会長だ、口頭であろうが、指名の効力には変わりない」

 

 

「比企谷八幡くんについてだが教職員推薦枠で任命したのは森崎駿の推薦枠が取り消しとなり、任命権を我々に託して貰ったのでな、私と七草会長と十文字会頭の三人で決めたことだ」

 

 

えっ?十文字会頭って誰ですかね…十文字?十師族かよ…ここには何人十師族がいるんですかね…てかその人俺知らないんだけどなんで指名されてるんですかね…

 

「その二人は受諾してないと聞いています。本人達が受け入れるまで正式な指名にはなりません」

 

「それは二人の問題だな、達也くんに関しては生徒会の意思表示も生徒会長によって既になされている。比企谷に関しては先生からも承諾を得ている。よってこの二人の問題だ、君には口出しする権利はないよ」

 

摩利は達也と八幡を見ながらそう伝える。

 

「過去、ウィードを風紀委員に任命した例はありません!」

 

うわぁ…この副会長までウィードとかブルームとか言って優越感に浸ってるタイプなんですかね…生徒会大丈夫ですかね…

 

「それは禁止用語だぞ、服部副会長。風紀委員長である私の前で堂々と使用するとはいい度胸だな」

 

摩利は服部に対して摘発するぞと発言する。

 

「取り繕っても仕方ないでしょう。それにブルームに劣るウィードが校則違反者を取り締まれるはずがありません!」

 

 

「風紀委員は実力主義だが、この二人にはちゃんとした実力がある。何も実力とは力比べな訳ではないだろう」

 

服部の主張に摩利はその根拠を述べる。

 

「その二人にはその適性があると?」

 

「ああ、そうだ。達也くんに関しては展開された起動式を読み取れることができる。比企谷に関しては一科生相手にも通用する対抗魔法が使用できる」

 

あっさりバラされちゃった…いいんですけどね…

 

「なんですって…?」

 

服部は摩利の説明に驚愕する。

 

「これが我々が二人を推薦する理由だ」

 

服部は黙り込んだがすぐに口を開く。

 

「しかし、展開された起動式が読めるからと言って実際魔法が使用された時に止められるわけではないじゃないですか!」

 

服部は達也に白羽の矢を向けた。

 

「そんなものは一科生でも同じだ、それにこの二人を風紀委員会に欲する理由はもう一つある」

 

「今まで二科生が風紀委員会に任命されたことはなかった。それは二科生の生徒の魔法使用違反も一科生が取り締まっていたということだ。それは私が指揮する風紀委員会では差別意識の助長するということは、私の好むことではない」

 

摩利は自分の考えを服部に伝える。

 

「会長!私は副会長として司波達也、比企谷八幡の両名の風紀委員会就任に反対します。渡辺先輩の主張には一理ありますが、やはり二科生には荷が重すぎると思います」

 

服部は真由美に抗議する対象を変えた。

 

「ちょっと待ってください!!」

 

深雪が我慢できなくなったのか横槍を入れる。

 

「僭越ですが、副会長。兄は確かに実技の成績が芳しくありませんでしたがそれは実技テストの評価方法が兄の力が適合しなかっただけです!兄は実戦なら誰にも負けません!」

 

さすがはブラコン深雪先生ですね…けどこれはただはんぞーくんを煽るだけだと思うんだが…

 

「それに八幡さんだって数学が悪くなければ一科生だったはずです!」

 

数学ができないことをこんなところで堂々と言わないで貰えませんか…穴があったら入りたい…

 

「司波さん、魔法師は事象があるままに冷静に論理的に認識しなければいけません。魔法師を目指す者には身贔屓に目を曇らせることのないように心掛けなさい」

 

冷静に論理的にか…そんな綺麗事並べてはんぞーくんが実際できるんですかね…

 

「それに彼は数学の成績が良くないから二科生になったと仰いましたね。一般教科すら碌に出来ない人間に風紀委員が務まると思いますか?そんな死んだ魚の様な目をしているウィード如きに」

 

服部が八幡を挑発した。その一言で深雪が我慢の限界を超えそうになる。

 

「そんなDHA豊富そうに見えますか?かしこそうっすね」

 

「ぷっ」

 

八幡の一言に真由美が思わず笑ってしまう。

 

「き、貴様ふざけているのか?推薦されたくらいで思い上がるなよ!!」

 

怒っちゃったよ…あの時の平塚先生以上に…この人も結婚できないんですかね…誰かもらってあげて!!

 

「魔法師は冷静になんじゃないんですかね?」

 

「ぷっははははもうダメ…八幡くんやめて…!」

 

真由美が笑いを堪えきれなくなり八幡を止める。

 

「お前ってやつは…」

 

「八幡さん…空気を読んでください…」

 

摩利は呆れ、深雪は爆発するタイミングがなくなり八幡に不服そうな視線を送る。

 

「服部副会長、俺と模擬戦をしませんか?」

 

達也が鋭い目つきで服部を睨む

 

「お前までふざけているのか?思い上がるなよ補欠の分際で!!」

 

服部はもう止められないくらいキレている。

 

「風紀委員になりたいわけではないですが…妹の目が曇っていないと証明する為、それに従兄弟が馬鹿にされているのを黙って見てる訳にもいきませんので、やむを得ません」

 

「いいだろう…身の程を弁える必要性をたっぷり教えてやる…」

 

服部に深雪と八幡を侮辱され達也が怒り、模擬戦を申し込み服部はそれを承諾する。

真由美がその模擬戦を認め、風紀委員長の摩利の立会いの元、模擬戦が決定した。

 

 

校内で生徒会役員、風紀委員会、部活連幹部以外の持ち歩きは許可されていない為、許可証が必要になる。

 

「八幡くんもCAD取って来といてね♪」

 

真由美が達也に許可証を渡した後、何故か八幡にも許可証を渡す真由美。

 

「えっ?」

 

なんで俺までCAD取ってこないといけないんですかね…まさか達也のとばっちり…

 

「話に聞いてた通りだね」

 

真由美が去り際に八幡の耳元で囁く。

 

「はっ?」

 

八幡の反応を無視してその場から立ち去る真由美。

 

「どういうことですか…」

 

八幡は真由美の言葉の意味がわからずその場に立ち尽くしそうになるが達也と深雪の後を追いかける。

 

CADを受け取る為、事務室へとやって来た。

 

「八幡も許可証をもらっていたんだな」

 

達也がわかっていたかのように八幡に問いかける。

 

「俺まで模擬戦させられるのか…?理不尽だろ…」

 

「巻き込んでしまったみたいですまないな、でも元は八幡が俺を巻き込んだんだぞ?」

 

「そんなこともありましたね…」

 

「おい………さっきは深雪が爆発するのを止めてくれて正直助かった…」

 

あの時八幡が発言しなかったら深雪は更に怒っていただろうと達也は確信していた。

 

「以前に同じことを言われたことがあったからその時と同じように返しただけだ」

 

「そうか…ありがとう八幡」

 

そう言って達也は深雪のとこへ戻っていった。

 

「お礼言われることしてねぇよ…」

 

八幡は達也に聞こえるか聞こえないくらいの声でボソッと言い、戻っていく。

 

「お兄様…八幡さん…申し訳ありませんでした…」

 

深雪が深々と頭を下げて達也と八幡に謝る。先程の出来事を反省しているのだろう。

 

「お前が謝ることじゃないさ」

 

「俺は何もしてないんだが…それにあれは副会長の差別意識の方が問題あるんだし、深雪は悪くねぇんじゃねぇの?」

 

二人は深雪は悪くないと慰める。

 

「それに達也には今は別の事を言ってやった方がいいんじゃないか?」

 

八幡は続けて深雪に伝える。

 

「はい…頑張ってくださいね!お兄様、八幡さん!」

 

「俺は何もする気ないんだが…」

 

深雪にまで模擬戦あるぞと言われる八幡。

 

そして三人は演習室へと入っていく。

 

 





次はようやく模擬戦です…!
達也ははんぞーくん!?
八幡は…模擬戦するんでしょうか…w

そろそろいろはす登場させたいとか思ってたりします←


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模擬戦

誤字報告が多数…本当にありがとうございます…!


模擬戦開始です!


ではどぞー!


「意外だったな」

 

演習室に入った達也に摩利が声をかける。

 

「何がですか?」

 

「君が案外好戦的な性格だったということさ」

 

達也の問いに摩利は期待した目で答える。

 

「こういう私闘を止めるのが風紀委員の仕事だと思っていました」

 

「これは正式な試合だぞ?真由美も言っていただろう。まぁ一科生と二科生の正式な試合は初めてだと思うがな」

 

普通に考えてみたらやらないですよね…とりあえず俺はどうやって何もせずここから出るか考えよう…

 

「先輩が委員長になってから正式な試合が増えたんじゃないですか?」

 

「増えているな、確かに」

 

達也の問いに普通であれば少し痛いところを突かれて詰まりそうなとこだが、摩利は悪びれもない態度で答える。

 

達也はアタッシュケースから拳銃型の特化型CADを出してカートリッジを入れ替える。

 

「達也殿はカートリッジ式の特化型を使うのであるか」

 

興味心身と頷きながら材木座が達也のアタッシュケースの中身を見ている。達也は少し驚いた表情をしている。

 

「なんでお前がここにいるんだよ…てか何処から入ってきたんだよ…」

 

八幡は本来、此処にいるはずのない材木座に声をかける。

 

「八幡達が見当たらないので西城殿に聞いたら生徒会室にいると聞いたのでな、行ったら行ったで会長殿が今から模擬戦をすると言うからついてきたのだ!」

 

材木座を連れて来たのは真由美であった。

八幡はいつの間に演習室に到着していた真由美の方を見ると、舌をペロッと出して『ごめんね』と言っているが悪気は一切感じられない。

 

「ほぅ、私の前でまたそのコートを着ているとはいい度胸だ」

 

材木座…安らかに眠れ。

 

八幡は心の中で黙祷を捧げる。

 

「い、い、委員長殿?!!何故ここにおられるんでありましょうか?!」

 

材木座は達也のアタッシュケースに目を引かれていたのか、摩利の存在に気がついていないようだ。

 

「材木座さん?今からお兄様が大事な模擬戦を行います。静かにしてて貰えませんか?」

 

深雪が笑顔で材木座に告げる。

 

「はい!わかりましたであります!!」

 

材木座はコートを脱いで、すぐさま隅の方へ移動した。

 

「深雪ありがとう」

 

達也は準備が終わったのか一丁の特化型CADを持ってみんなの前にやって来た。

 

「あいつは司波のことを怖がりすぎではないか?まぁいい、達也くん準備はいいか?」

 

「はい、お待たせしました」

 

すると服部が遅れて演習室に入って来た。

 

「服部も来たな、ではルールを説明する!」

 

摩利がルールを説明する。

 

相手を直接、間接攻撃で死に至らす術式は禁止。

回復不能な障碍を与える術式は禁止。

相手の肉体を直接損壊する術式の禁止。

捻挫以上の負傷を与えない直接攻撃は許可。

武器の使用は禁止。

素手は許可。

勝敗は一方が負けをみとめるか、審判が続行不能と判断した場合に決する。

双方開始線まで下がり、合図があるまではCADを起動しないこと。

 

「ルールに従わない場合はその時点で負けとする。私が力ずくで止めさせるから覚悟しておけ、以上だ」

 

そして両者が位置についた。

 

「始め!」

 

摩利が合図をした瞬間に服部が手を添えていた腕輪型のCADを叩き起動式を展開させ、達也に向けて魔法を放とうとするが、既に達也の姿は開始位置になく魔法が発動されることはなかった。その瞬間服部が倒れた、その後ろには特化型CADを向けた達也が立っていた。

 

「……勝者、司波達也」

 

勝敗は一瞬で決した。

その場にいたほぼ全員が驚いている。審判をしていた摩利も、何が起こったのかわからず勝者のコールが遅れた。

達也は一礼し、アタッシュケースが置いてある場所へ戻っていく。

 

「ま、待て…」

 

摩利が達也を引き止めたので達也は摩利の方へと向く。

 

「今のは予め自己加速術式を展開させていたのか?」

 

「そんなことをしていないのは先輩が一番お分りだと思いますが?」

 

摩利の質問に達也は即答する。

審判をしている摩利はフライングがないように注意深く観察していたのを達也は気付いていた。

 

「しかしあれは…」

 

納得出来ない様子の摩利。

 

「達也殿は正真正銘、身体的な技術だけで動いておりましたぞ、委員長殿!」

 

材木座が隅の方から達也を擁護する。

 

「今のをお前は見えていたのか…?」

 

達也の動きを追えなかった摩利は材木座が見えているのか半信半疑になっていた。

 

「無論でありますぞ!」

 

「その…アレです。こいつ見た目によらず体術とかには長けてるんですよね…」

 

信用されていない材木座に八幡はフォローをいれる。

 

「私も証言します。あれは兄の体術です、兄は忍術使い九重八雲先生の指導も受けているのです」

 

達也は忍術使いなのかよ…あれ?はんぞーくんは忍術使いじゃないの…?

 

「なんと!あの九重八雲殿でござるか!!!」

 

うるさい…材木座うるさい…

 

「材木座さんは先生をご存知なのですか?」

 

深雪が材木座に質問する。

 

「いや…我は名前を知っているだけでございます」

 

深雪に対してはどこまでも恐縮した態度になる材木座。

 

「じゃあはんぞーくんを倒した魔法も忍術なのですか?私にはサイオンの波動をそのまま放ったように見えたのですが」

 

「忍術ではありませんが、サイオンの波動と言うのは正解です。あれは振動の単一系統魔法でサイオンの波を作り出しただけです」

 

真由美は達也に質問し、達也はその問いに正直に答える。

 

「酔ったということであるな」

 

材木座が腕を組みドヤ顔で口を挟む。

 

「正解だ、材木座」

 

「酔った…?」

 

真由美は理解できてない。

 

「達也殿が使っておる特化型CADはシルバーホーンであろう、あれにはループ・キャストが搭載されておる。それで波の合成を生み出したのであろうな。精密な演算能力と多変数化の処理速度それに干渉強度がないとできない芸当であるぞ…八幡以外にそんな馬鹿みたいなことできるやつがおるとは思わなんだぞ…」

 

材木座は昨日の夜、達也と話していてCAD技術者としてかなり評価していた。

その時材木座は達也のことを魔法師としても高く評価した。

 

「流石だな、材木座。見事だ」

 

達也は材木座がすべて把握し、正確に答えたことを賞賛する。

 

「……実技試験における魔法力の評価は魔法を発動する速度、魔法式の規模、対象物を書き換える強度で決まる。実技試験が本当の能力を示していないとはそういうことか…」

 

気がついた服部が、立ち上がりながら材木座の分析について解釈する。

 

「はんぞーくん大丈夫ですか?」

 

「大丈夫です!」

 

真由美の一言に服部はシャキッとして答える。

 

この人わかりやすい…

 

八幡はその姿を見てそう思った。

 

「司波さん!」

 

服部は深雪の元へいく。

 

「はい」

 

深雪は少し冷たい感じで返事を返す。

 

「さっきはその…身贔屓などと失礼なことを言いました。目が曇っていたのは私の方です…許して欲しい…」

 

服部は深雪に頭を下げる。

 

「私の方こそ生意気を申しました。お許しください。ですが………それだけですか?」

 

深雪は大人な対応で服部の謝罪を受け入れたが深雪はまだ服部を許していない。

 

「えっ?」

 

「八幡さんには何もなしですか…」

 

深雪は八幡に対しての謝罪がないことに怒りを露わにする。

 

「いや…その…」

 

服部は深雪にたじろぐが…

 

「数学できないことは事実だから仕方ないんじゃねぇの…目も腐ってるとかよく言われるからな…」

 

八幡が横から口を挟む。

 

「八幡さんでも…!」

 

「深雪はその…アレだ気にしなくていいから、俺も気にしてないから」

 

「数学ができないことは気にしてください!!」

 

「すいません…」

 

「知らないです!数学はちゃんと出来るようになってもらいますからね!」

 

「はい…」

 

さっきまで服部に怒っていた深雪だが、いつの間にか八幡に対して怒っていた。

 

「今日は帰ったらすぐに勉強ですから!!」

 

深雪は八幡にそう言い、服部の方へと向く。

 

「服部副会長…八幡さんがこう仰られているので私はもう何も言いません…ですが今後八幡さんにあのようなことは言わないでください」

 

深雪が服部にそう言って達也の元へ戻っていく。

 

「副会長、別に俺は謝って欲しいんではないんで、どちらかと言うと風紀委員に入らない方が困るんで認めてくれたら俺は何も言いません」

 

「いいだろう…お前の実力も見てやる…!」

 

えっ?そこはあっさり認めてくれるとこじゃないんですか…

 

「いや別に俺は模擬戦をしましょうとは言ってないんですけど…」

 

「比企谷、その模擬戦を受けろ!じゃないと風紀委員入りは認めないぞ?」

 

摩利が模擬戦を受けろと八幡に軽く脅しをかける。

 

「八幡さん頑張ってください!!」

 

深雪は八幡を激励する。

 

「はぁ…わかりました。風紀委員に入るために精一杯頑張ります…」

 

小町と水波の為だから…決して風紀委員に入りたいとかではない…

 

「何故そんなにやる気になったんだ?」

 

摩利は昼休みまで否定的だった八幡に問う。

 

「風紀委員に入らないと妹が喋ってくれないみたいなんで…」

 

「お前ってやつは…」

 

八幡の返答に摩利は呆れるがすぐに真剣な表情に戻る。

服部と八幡は開始位置につく。

 

「ルールは先程と同じだ!説明は省く」

 

服部は腕輪型CADを構え、八幡はタブレット型のCADを取り出す。

 

「始め!!」

 

開始直後に服部は腕輪型CADを叩き、起動式を展開させた瞬間、起動式が弾け飛んだ。

八幡は術式解体( グラム・デモリッション)を使い、服部の展開された起動式を吹き飛ばした。

 

「はっ…?」

 

呆気にとられている服部はすぐさま地面に叩きつけられた。

八幡が得意とする加速、加重系魔法の複合魔法<重力強化>を発動させ、服部を地面に叩きつけた。

 

「ま、参った…」

 

服部は重力場から抜け出せないと判断し、負けをあっさり認めてしまう。

 

 

「しょ、勝者、比企谷八幡」

 

摩利は一方的な展開に驚いている。

先程の達也とは違い、魔法のみで服部に勝利したからである。

八幡は一礼をし、隅の方へ移動する。

 

「八幡くん今のは…」

 

真由美も驚いているらしく、八幡に恐る恐る話しかける。

 

「材木座…説明してくれ…」

 

「ほむんっ!任せておけ!」

 

八幡は材木座に説明を託す。

 

「八幡が最初に使用したのは術式解体(グラム・デモリッション )と言う対抗魔法の中では最強クラスの対抗魔法であるのだ!!」

 

達也と深雪は八幡が術式解体( グラム・デモリッション)を使用できることを知っているのであまり驚いた様子はない、真由美も見てわかったのかそこまで反応はしていない。

摩利、服部、あずさ、鈴音は最強クラスの対抗魔法ということに驚きを隠せていない様子。

 

「そんな対抗魔法があるのか…」

 

摩利は術式解体(グラム・デモリッション )を初めて知ったようだ。

 

「それよりも、材木座…副会長を地面に叩きつけた魔法は…カーディナル・ジョージの不可視の弾丸( インビジブル・ブリッド)か…?少し違うような気がしたが…」

 

達也は初めて見た魔法に興味を示し、材木座に質問する。

 

「八幡が使ったのは、加速、加重系魔法の複合魔法で<重力強化>と言う魔法だ!本来、我がつけた名前は<重力支配( グラビティ・ルーラー)>である!」

 

八幡は材木座のネーミングが嫌で、重力強化と自分で名付けた。

 

「けぷこんけぷこん!副会長殿に相手にかかる重力加速度の事象を改変しておるのだ!」

 

材木座は簡単に説明する。

 

「なるほど…なんとなくだが、理解はできた。だが八幡…お前は地球に対する重力加速度を改変するほどの事象改変力があるのか…だがその負荷は絶大なはずだぞ…」

 

達也は八幡の事象改変力に驚かされるが、規模が大きいほど、術者に負担がかかる為八幡の身を心配する。

 

「そのことか…そのことはあまり言えないんでオフレコでお願いします…」

 

八幡は達也と深雪なら話してもよかったが、他の人達がいる前で話すことではないと判断し、詮索をさせないようにする。

 

「そうか」

 

達也は納得し、追求はしてこなかった。

 

「そんな事象改変力があって八幡くんは何故二科生なのですか?いくら数学が出来ないからとはいえその魔法力なら確実に一科生だと思うんですが…」

 

真由美はごもっともな事を質問する。

 

「そ、その…試験の日体調がすごく悪くてですね…緊張もあって…」

 

八幡はいきなりの事に焦り、誰にでもわかるような嘘をついてしまう。

 

「本当に?八幡くん手を抜いてたんでしょ?」

 

げっ…一瞬でバレた…どうしよう…お兄様助けて…!!

 

「会長ならお分かりになるかと、八幡は一科生に仲良くない生徒がいます。それを避けたいと思うのが普通でしょう」

 

達也は冷静に八幡をフォローする。

 

「雪乃さん達ね…」

 

真由美は昨日の雪ノ下の態度を見て思うところがあるのだろう。

 

「それより…副会長、俺は風紀委員に入ってもいいんですかね…」

 

「先程の失礼な態度と物言い、失礼した…君のことを誤解していた様だ…許してくれ…もちろん私の方からも君と司波達也の風紀委員会入りを推させてもらう」

 

服部は深く頭を下げ、達也と八幡の風紀委員会入りを認めた。

 

「服部もこう言っている、二人共風紀委員会入りしてもらえるか?」

 

「これで小町と水波に見放されなくて済む…」

 

「不本意ではありますが引き受けさせていただきます」

 

八幡と達也は風紀委員会入りを承諾した。

 

 

「八幡さん!お兄様!おめでとうございます!!」

 

深雪は服部に二人の事を認めてもらい風紀委員会入りを果たした二人に歓喜する。

 




八幡の魔法理論ですが…結構無茶苦茶な理論ですいません…
結構必死に考えた結果こうなりました…今後もっといい理論がわかれば変更していきます!

あーちゃんと鈴音が空気になってしまい申し訳ありません…w



次回は真由美とお話です!!


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八幡は期待されている?


誤字脱字報告ありがとうございます…!(毎回言ってる)
見直しているんですが、中々気がつかないもんですね…


前回の八幡の魔法理論の説明を一部変更させていただきました!




ではどぞー!


 

演習室から出て事務室にCADを預けに行き生徒会室に戻って来た。

 

「では少し当初の予定通り風紀委員会本部へ案内する。比企谷、達也くん行こうか。材木座くん、君も来い」

 

摩利の一言で八幡と達也なぜか材木座まで呼ばれる。

 

「ここが風紀委員会本部だ、少し散らかっているが適当に掛けてくれ」

 

摩利が少し散らかってるというが、正直かなり散らかっている部類に入る。

 

「風紀委員は男所帯でね。整理整頓は口酸っぱく言い聞かせているんだが…」

 

「誰もいないので片付かないのも無理はありませんよ」

 

達也は摩利に皮肉か慰めているかどちらともとれる発言をする。

 

「委員長が苦手なだけなんじゃねぇの…」

 

八幡が横からボソッと真実を告げてしまう。

 

「なに…?片付けくらい私でもできる!」

 

そう言って摩利は片付けを始めたが…とても女の子とは思えない片付け方であった。

 

「委員長…俺が片付けてもいいですか…?」

 

「手伝ってくれるのか?頼む…」

 

達也が見ていられなくなり、摩利の片付けの手伝いをする。

 

「我も手伝うぞ!魔工技師志望としては、CADがこんな乱雑に置かれているのは見ておれん」

 

材木座まで手伝い始めてしまい、八幡は一人取り残される。

 

「ちょっと上でMAXコーヒーもらってきますね」

 

八幡はその場から逃げようとしたが…

 

「八幡は専業主夫志望じゃないのか?片付けくらいできるだろ?」

 

「魔工技師と違って専業主夫は昼間はMAXコーヒーを飲むんだよ…」

 

「それは違うと思うんだが…」

 

達也は八幡の言葉に呆れている。

 

「真由美がお前に話があるそうだ、丁度いい片付けている間に話をしてこい」

 

「そんなこと言ってましたね…わかりました、行ってきます」

 

八幡は真由美のところへ向かう。雪ノ下のことだとなんとなく想像していた為素直に向かうことにした。

 

「話が終わったらまた降りてこい」

 

「うっす」

 

そうして八幡は再び生徒会室に戻ってきた。

 

 

「あら、八幡くんどうしたの?」

 

真由美が風紀委員会本部から上がってきた八幡に真っ先に気付き声をかける。

 

「委員長から会長が話があるから聞いてこいと言われたんで」

 

「八幡さんお兄様達は?」

 

真由美が質問しようとするよりも先に深雪が質問をする。

 

「達也と材木座なら委員長と片付け中だ」

 

「片付け?」

 

深雪は風紀委員会本部をまだ見たことがないので首を傾げている。

 

「あの摩利が片付けを…」

 

「渡辺先輩…私が何度言っても聞いてくれなかったのに…」

 

「どういった心境の変化でしょう…」

 

真由美、あずさ、鈴音は摩利の片付けをしているということに驚愕している。

 

「片付けくらいできるって言ってやっていたんですけど、達也と材木座には見るに耐えなかったのでしょう…自ら手伝ってましたよ…」

 

「そういうことね…」

 

八幡の説明に真由美達は納得したようだ。

 

「では、片付けている間にお話をしましょうか」

 

「うっす」

 

真由美は八幡の腕を取り応接室まで案内をする。その光景を見た深雪と服部は八幡を睨む。

 

「会長…一人で歩けますから…」

 

「いいじゃない!減るものじゃないんだし!」

 

真由美は八幡の意見を強引に押し切りそのまま連れていく。深雪と服部はまだ睨んでいる。

 

後が怖いなあ…

 

「あーちゃんMAXコーヒーお願いね」

 

「わかりました会長!」

 

真由美があずさにMAXコーヒーを入れるように指示を出し応接室に入る。

 

「さて、八幡くんお話しというのは…」

 

「雪ノ下達のことですか?」

 

席につき真由美がすぐに本題を伝えようとする前に八幡が答える。

 

「それもあるわね、でも本題はそれじゃないの」

 

「へっ?」

 

八幡は雪ノ下達のことだと高を括くっていた為間抜けな声を出してしまう。

 

「なんで八幡くんが私や摩利そして会ったことのない十文字くんから教員推薦枠として推されたのを不思議に思わなかった?」

 

真由美は悪戯な笑みを浮かべ八幡に問いかける。

 

「そうですね、それは確かにおかしいと思いましたね。対抗魔法なら使える一科生もいた筈ですし」

 

「確かにいると思います。でもまさか術式解体(グラム・デモリッション )が使えるとは思いませんでしたが…今回私達が八幡くんを推した理由は以前から貴方に興味があったからです」

 

えっ?前から目をつけられてたってことですかね…どういうことだよ…

 

「どういうことですか?」

 

「雪ノ下陽乃さんをご存知ですね?」

 

はぁ…そういうことか…あの人ここでもなんか話してたのかよ…

 

「そういうことですか…」

 

「陽乃さんから貴方のことをよく聞かされていました。十文字くんも摩利も同じですよ」

 

八幡は何を言われているか大体想像出来た。

 

「それだけで俺を推薦したってことですか?」

 

「端的に言えばそうなりますね。陽乃さんが八幡くんの話を楽しそうに話していたので、私達が興味を持ったって感じですね。あんなに楽しそうな陽乃さんを今まで見たことがなかったからって言うのが一番大きいですね」

 

真由美は当時の事を思い出しながらなのか、少し懐かしむ様な感じで話す。

 

「雪ノ下さんが何を話してたかは知りませんけど、そんなにおもろしろい人間じゃないですよ俺は」

 

八幡は真由美達の評価は過大評価だと告げる。

 

「そうは思わないけど?さっきだって深雪さんが怒りそうなところを上手く止めてたじゃない」

 

よく見てますね…

 

「あの場はあれが最善だと思ったんで、それに早く帰りたかったですし」

 

「そうかしら?深雪さんを守ったように思えたけど?」

 

真由美は悪戯な笑みで八幡を見ながら問う。

 

「副会長の氷像が見たくなかっただけですよ、それに俺を挑発してきていたので乗っかっただけです」

 

「素直じゃないのね…でも陽乃さんのお気に入りな理由が少しわかった気がするわね」

 

「俺はおもちゃじゃないんですけど…」

 

「ふふっ、陽乃さんがここの卒業生っていうのは知っていましたか?」

 

真由美が急に話題を変える。

 

「何度か制服姿を見ていたので、知ってましたよ。それ以上は何も知らないですけど」

 

「それしか知らないの??結構有名だったと思うんだけど…」

 

真由美が陽乃の事を八幡は結構知っていると思っていたのか、第一高校の生徒だったと言うことしか知らないことに驚く。

 

「あの人ならなんでもできそうなんで有名でも不思議じゃないですけどね…」

 

まぁ七草の分家だということも知っていたんですけどね…雰囲気からして只者ではなかったですし…

 

「そうね、陽乃さんは第一高校に主席で入学してから卒業まで、常に学年のトップを維持していた方だったんですよ?三年生の時には生徒会長も務めてました」

 

「あの人が生徒会長って第一高校大丈夫だったんですか…?」

 

魔王が生徒会長とか…第一高校が魔界になるんじゃないですかね…

 

「素晴らしい生徒会長でしたよ?でも八幡くんが言いたいことはわかりますけどね」

 

「会長も似た感じですもんね…」

 

あの人ほど分厚くないけど仮面ついてますもんね…

 

「それって褒めてるの?」

 

少し黒い笑みを浮かべる真由美。

 

「ほ、褒めてますよ?」

 

うわぁ…この人も魔王ほどじゃないけどやばい人かも…

 

「ふーん…お姉さん更に興味出ちゃったかも」

 

真由美は笑顔で八幡に意味深な発言をする。

 

「いや…別にそういうの大丈夫です…」

 

「ハチくんはお姉さんには興味ないのかな?」

 

えっ?ハチくんってなんですか…はんぞーくんみたいなノリですか…

 

「いや…そ、そういうんじゃなくてですね…」

 

「赤くなって可愛い反応してくれるのね、お姉さんもっといじめたくなっちゃうな」

 

真由美はいつの間にか八幡の横まで接近していた。

その瞬間

 

 

ドンッ!

 

扉が叩かれる音がした。

 

「「えっ?」」

 

真由美と八幡はビクッとなり扉を見てみると…

 

「八幡さん随分と会長と仲がよろしいのですね、ふふっ」

 

凍ったお盆を持った深雪が冷たい笑顔で立っていた。真由美はあずさに頼んでいたが、深雪が代わってMAXコーヒーを入れて持ってきたのであろう。

 

「お姉さんちょっと悪ふざけが過ぎちゃったかな?」

 

ハメられた…このままじゃ通報されて俺の人生が…

 

「深雪…お願いだから通報しないでください…」

 

「通報なんてしませんよ?私はただ八幡さんと七草会長が随分と仲睦まじくしているのが気になっただけですよ?」

 

「これは会長が…」

 

「ハチくんひどい!お姉さんを弄んだのね!」

 

あの人みたいなことしないでくれませんかね…ハチくんって呼ばないでくれませんか…深雪さんの眉がピクッと動きました…

 

「八幡さんどういうことでしょう…」

 

応接室が凍ってるんですが…

 

「すごい干渉力ね…」

 

真由美が深雪の干渉力に関心している。

 

関心するのはわかりますけど…今ここで関心しないでもらえませんかね…

 

「深雪さん?そのこれはアレでして…会長が…」

 

「深雪さん、ハチくんを少しからかってただけですよ」

 

「ハチくん…?」

 

もうやめて!八幡のライフはゼロよ!!

 

「深雪さんありがとう、本当にただ話をしていただけなので安心してください」

 

お盆を受け取り深雪にお礼を言う真由美。

 

「八幡さん?私もご一緒しても?」

 

「後で話すから…とりあえず二人で話をさせてください…」

 

深雪の同席はあまり良くない気がしたので八幡は深雪の同席を断る。

 

「…わかりました。後で必ずですよ?」

 

「お、おう…」

 

深雪は渋々了承して、部屋から出ていった。

 

「ごめんね?ハチくん、少し悪ふざけが過ぎちゃったね」

 

「勘弁してください…」

 

深雪さんなんであんなに怒ってるんですかね…

 

「さて、気を取り直してお話しの続きをしましょうか」

 

「うっす…」

 

手を叩き、仕切り直しをし話を再開する。

 

「私達がハチくんを推薦した理由はわかっていただけましたか?」

 

「なんとなくは…」

 

魔王の影響が大きいのはわかりました…

 

「私達は文化祭の件のことも小耳に挟む程度ですが、聞いています」

 

文化祭の件か…

 

「そうですか…」

 

「その時なんですが…陽乃さんが文化祭の有志同盟に参加するって言って生徒会の仕事を投げ出した時はみんな必死でカバーしてました…」

 

何やってたんだよ…あの人は…ひゃっはろーとか言って楽しそうに登場してた記憶しかない…

 

「それは災難でしたね…あの時は出来れば生徒会に縛りつけてて欲しかったです…」

 

あの人が相模にあんなこと言わなければあそこまで荒れることはなかった気がする…問題はあったとおもうけど…

 

「それは無理でしたね…ハチくんならわかるでしょ?それに最低限の仕事はキチンとこなしていたので言うに言えなかったっていうのもありますけどね…」

 

さすが魔王…

 

「文化祭の一件を知ってて俺を風紀委員に推薦したのはどうなんでしょうか…」

 

あの時…学校一の嫌われ者になってたからな…

 

「その件も含めてですよ?私達が興味を抱いたのは」

 

「そうですか…」

 

八幡はあまり納得出来ていない。

 

「ハチくんにこんな事を私の口から言うのはなんですが、第一高校は差別意識が高い学校って言うのは理解して頂けましたか?」

 

「昨日のアレを見てしまえばそう思わざる得ませんね…」

 

雪ノ下達…いや、一科生の7割はその考えを持っていそうだな。

 

 

「それをなんとかしたいと私は考えていました、その時にハチくんが入学してくると知って最初は生徒会に招く予定だったんですが、ハチくんが二科生と知って迷っていた所に、風紀委員会の教職員推薦枠が空いたので私達が推しました」

 

「俺ならその問題をどうにかできると?」

 

八幡は買いかぶりが過ぎるのではないかと思う。

 

「そこまでは言いませんが、私の理想に近づけるかと思いまして」

 

理想か…差別意識の改善ってとこですかね…

 

「そういうことですか…でも逆効果になるかも知れませんよ?」

 

逆効果になる未来しか見えないんですが…

 

「その時はその時です。私はそうならないと思っていますから」

 

八幡は真由美に何を期待されているかが、理解できなかった。

 

「ハチくんを推薦した理由はこれが全てです。少し強引だったかも知れませんが風紀委員会を引き受けてくれてありがとうございます」

 

真由美は礼儀正しく、頭を下げる。

 

「では俺はこれで」

 

八幡が去ろうとする。

 

「もう一つハチくんにお話があります、雪乃さんのことで」

 

八幡は足を止め、再び椅子に座る。

 

「昨日何か言われたんですか?」

 

「昨日は特にこれといったことはありませんでした。雪乃さんって言うより雪ノ下家についてですかね」

 

真由美は先程までと少し雰囲気が変わる。

 

「俺が目をつけられているってことですか?」

 

 

 

 





陽乃さんの設定を簡単に書いておきます!!

雪ノ下陽乃
第一高校卒業
主席入学入りしてから卒業まで常にトップを独走していた。
2年生10月〜3年生9月末まで生徒会長をしていた。
九校戦
1年 新人戦 アイスピラーズブレイク 優勝
2年 本選 アイスピラーズブレイク 優勝
3年 本選 アイスピラーズブレイク 優勝

今書けるのはこのくらいです!
参考までに…

次回も真由美と八幡のお話しになります!(今回で終わらせるつもりだったんですが)


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雪ノ下家



誤字報告ありがとうございます!


今回はうまくかけてるか自信ありません…w
いつも以上に暖かい目で見てください。


ではどぞー!


 

「俺が目をつけられているってことですか?」

 

八幡は昨日葉山に言われた一言を真由美に告げる。

 

「知っていたんですね…」

 

真由美少し落ち込んだ雰囲気を出す。

 

「昨日、葉山に言われたんで」

 

「葉山くんがね…あの子は今必死だと思うの、それでハチくんにそういう事を言ってしまったのね」

 

真由美は葉山の何かしらの事情を知っているようである。

 

「それよりも、俺なんかに雪ノ下家の話をしていいんですかね…」

 

八幡はあまり聞いていい話ではないと思い真由美に確認をする。

 

「ハチくんに関しては目をつけられている張本人なので、いいと判断しています。他に漏らすことは避けていただきたいですが」

 

要するに話すけど他言無用って訳ですね…

 

「厄介ごとは嫌なんですけど…」

 

「少し遅いかもしれないわね、順を追って説明しますね」

 

真由美は何故八幡が雪ノ下家から目をつけられているのかを説明してくれるようだ。

 

「お願いします…」

 

「雪ノ下家は七草の分家っていうのはご存知ですね?」

 

「はい、それくらいなら」

 

「雪ノ下家は数字付き(ナンバーズ )に対して敵対視していることで有名なんですが…ご存知でしたか?」

 

えっ?そうなの?全然知らなかったです…

 

「知りませんでしたけど」

 

「そうですか、雪ノ下家は数字付き(ナンバーズ )に…特に二十八家つまり十師族になる事を許された家に対して敵対視をしています。今回の一件はその事と少し関係しているのです」

 

へっ?俺が四葉だってバレてるのん?それはないか…

 

「どういうことなんですか?」

 

「師補十八家の一色家のご令嬢…一色いろはさんをご存知ですね?」

 

いろはすやっぱりご令嬢だったんですね…

 

「まぁ…妹達とも仲が良いので…」

 

「中学の時に生徒会長選挙で一色いろはさんが生徒会長になりましたね?ハチくんの協力を得て」

 

まぁ…そういうことになるんですかね…応援演説した水波が凄かったってのが一番じゃないですかね…

 

「協力って言っても俺はただ提案しただけですよ…それが何か関係あるんですか?」

 

「一色家の方が生徒会長選挙に立候補したと言う話を知り、雪ノ下家が雪乃さんが生徒会長になる様に仕向けたんです。実質動いていたのは多分、陽乃さんですね」

 

あの人が動いてたから雪ノ下が生徒会長になるって言い出したのか…?

 

「ハチくんは雪乃さんに立候補させることなく終わらせたと聞いています」

 

「一色がやる気を出せばいい話だったんで…依頼として会長をやらせたって一色の問題は解決しないと思ったんで…」

 

「依頼?それは私にはわかりませんが、それにより雪ノ下家では雪乃さんが一色いろはさんに負けた。雪ノ下家は敵対視している二十八家の一色家に魔法ではなくとも負けたことが許せなかったんでしょうね」

 

中学生同士のたかが生徒会長選挙じゃないですか…

 

「そして雪ノ下家当主の雪ノ下弦蔵( げんぞう)氏が雪乃さんに理由を聞くとハチくんの所為だと言ったみたいなの。それで弦蔵氏はハチくんが一色家と繋がりがあるんではないかと睨んでいるみたいなの」

 

要するに俺は完全に無関係なのに雪ノ下の所為で巻き込まれたってことでいいんですかね…?

 

「一色家と関わりはないんですが…」

 

「この件に関しては私も父から聞いた話なんでどこまでか本当かわかりませんが…一色家と関わりがないならこちらから何か言えるかも知れません」

 

七草の言うことなら雪ノ下当主も納得してくれるってことですかね…

 

「そうしてもらえると助かります…」

 

「ですが今、七草と雪ノ下はあまり良い関係とは言えないのであまり期待をしないでください」

 

うわぁ…それ取り合ってもらえないやつですよね…

 

「どういうことですか?」

 

「私の父…七草の当主が陽乃さんを次期当主候補に上げてしまったのが原因です」

 

えっ?魔王が七草の当主になるかもしれないんですか…日本大丈夫ですかね…

 

「会長的には複雑な感じなんですね…」

 

八幡は本家の人間ではなく分家の人間を当主にするということに対して本家の人間を少しだけ憐れむ。

 

「むしろ陽乃さんなら納得よ、私達の家族は陽乃さんのことが大好きで尊敬しているから反感なんてなかったの。もちろん私もね」

 

「そういうもんなんですか…」

 

八幡は陽乃が凄い人だとは思っていたが七草家を納得させるほどの人物だと言う事実に驚いている。

 

 

「でも候補とは言っても分家から選ばれるなら雪ノ下家にしてみたら嬉しいことなんじゃないんですかね…」

 

「雪ノ下家は数字付き( ナンバーズ)の事を敵対視していると言いましたよね?それは七草も例外ではありません…ですから自分の家の人間が七草になることをよく思いません、特に陽乃さんの様な魔法師としても人としても優秀な人材を雪ノ下から手放したくないんでしょうね」

 

雪ノ下家ってテロ組織予備軍みたいな感じなんですかね…

 

「では何故七草家の分家に雪ノ下家につけたままなんですか…?」

 

「七草家は雪ノ下家を監視下に置いていると言った方が正しいのかも知れませんね」

 

七草家って厄介な家を抱え込まされて困ってる的な感じなんですかねぇ。

 

「監視下ですか…雪ノ下家って危ない家なんですか…?」

 

八幡は真由美に雪ノ下家の危険度を問う。

 

「弦蔵氏は表向きは県議会議員で雪ノ下建設の社長ですが裏の顔も持っております」

 

「裏の顔…?」

 

「詳しくは言えませんがあまり良くないことですね」

 

気になるけど聞いてしまったら最後後に引き返せなくなりそうじゃないですか…

 

 

「そんな雪ノ下家が俺に目をつけられているのは一色の生徒会長選挙だけなんですかね…?それに生徒会長選挙って一年以上も前の話なんですけど、なんで今更って話になるんですが…」

 

八幡は話を変えて真由美に問いかける。

 

「あまり言いたくはないんですが…陽乃さんが弦蔵氏を抑えてたってのが一番大きかったです」

 

えっ?魔王が抑えてた?どういうことですか…

 

「抑えてたってことは雪ノ下さんが俺を庇ってたってことですか…?」

 

信じられないんですが…

 

「そうよ、あの人が誰かを庇うなんて今まで見たこともなかったから聞いた時はびっくりしましたが…」

 

「けど抑えてたってことは…もう抑えてもらえてないってことですか?」

 

だからこれから何かあるかもってことですね…

 

「七草の次期当主候補に選ばれてからは陽乃さんは雪ノ下家での発言力がなくなったのよ…」

 

なるほど…雪ノ下さんの発言は雪ノ下家の次期当主としての立場があったからってことですね…七草家の当主さん何しちゃってくれてるんだよ…

 

「てことは雪ノ下が雪ノ下家次期当主ってことですよね…?」

 

「そうよ…雪乃さんが今雪ノ下家で発言力を陽乃さんより持ってることになるの」

 

事態の深刻すぎることを把握しました…

 

「葉山が言ってたことは脅しではないということですか…」

 

「そうね、あの子も雪乃さんの婚約者になれる様に今必死になっているってとこかしら」

 

どんだけ雪ノ下のこと好きなんだよ…

 

「雪ノ下さんには今度お礼を言わないとですね…」

 

「雪ノ下家の動きがあればハチくんに報告させて頂きます。七草家としてもハチくんに危害を加えさせないようにすると当主も言っています」

 

七草家ってめっちゃいい人達なんじゃないんですか…

 

「ありがとうございます…」

 

「風紀委員なら学校でもCADの持ち歩きができますので、必ず持ち歩くようにしてくださいね」

 

風紀委員に推薦されたの…さっきの話が表向きな理由で雪ノ下家の話が本命な気がしてきたんですが…

 

「それと、これは私のプライベートナンバーです。何かあれば連絡してきてね」

 

真由美はウインクしながら八幡にプライベートナンバーを渡す。

 

「何かあれば連絡しますね…」

 

「ハチくんのプライベートナンバーも聞いておくわね」

 

「これです…」

 

八幡はプライベートナンバーを真由美に渡す。

 

 

「話はこれで終わりよ、ごめんね入学早々に嫌な話しちゃって」

 

「いえ、情報提供ありがとうございます」

 

「今度私の家に招待するね!父も陽乃さんが庇うほどの子を見てみたいって言ってたから」

 

えっ?七草の当主と会うんですか…?真夜伯母さんに確認しないとダメですよね…

 

「わかりました…機会があれば」

 

「今日でもいいわよ?」

 

今日とか無理ですよね…うん…

 

「いや、そのですね…」

 

「冗談よ、じゃあそろそろ戻りましょうか」

 

「…わかりました」

 

応接室から出ると生徒会室の雰囲気が何故か冷たかった。

 

「なんか寒くないですかね…」

 

八幡がそういうと八幡の隣に深雪がいた。

 

「私が隣にいると寒いですか…そうですか…」

 

「いや…そういうわけではなくてですね?ちょっと温度差があったというか…」

 

「会長は温かったと?」

 

「すいませんでした!」

 

八幡は深雪の威圧に耐えれなくなり頭を下げた。

 

「あとで詳しくお話ししましょうね八幡さん」

 

「はい…」

 

深雪の絶対零度の笑顔には敵わないと思った八幡であった。

 

八幡は風紀委員会本部へと帰ってきた。

 

「うわ…めっちゃ綺麗になってる…」

 

「どうだ、私だってやればできるんだ」

 

八幡の一言に摩利が机に座りながらドヤ顔で答える。

 

「委員長、先程もいいましたが机に座らないでください」

 

「わ、悪い…」

 

達也が摩利に指摘する。

 

「ハヨースッ」

 

「オハヨーございまス!」

 

二人の風紀委員と思われる人物が二人入ってきた。

 

「おっ、姐さんいらしてたんですかい」

 

二人の内のガタイがいい方の先輩が摩利の事を姐さんと言う。

 

姐さんって呼ばれてるんですね委員長…似合いますけど…

 

「委員長、本日の巡回終了しました!逮捕者ありません!」

 

もう一人の体育大会系の雰囲気の先輩が摩利に巡回報告する。

 

「……もしかしてこの部屋姐さんが片付けたんで?」

 

ガタイのいい方の先輩が摩利に問う。

 

 

スパァン!

 

いい音と共にガタイのいい方の先輩が摩利にどこから取り出したかわからないノートで叩かれていた。

 

「姐さんって言うな!何度言ったらわかるんだ!鋼太郎お前の頭は飾りか!」

 

摩利は鋼太郎の頭を抑えつけている。

 

「そんなポンポン叩かねぇでくださいよ、あ…いえ委員長。ところでその二人は新人ですかい?」

 

鋼太郎は達也と八幡を見てぼやいた。

 

「こいつらはお前の言う通り新人だ。一年E組の司波達也と比企谷八幡だ、達也くんは生徒会枠、比企谷は教職員枠でウチに入ることになった」

 

摩利は二人の説明をする。

 

「へぇ紋無しですかい」

 

「辰巳先輩、その表現は禁止用語に抵触するおそれがあります!この場合二科生が適切だと思います!」

 

風紀委員の先輩二人は八幡と達也に向かって告げる。

 

「お前達、そんな単純な了見だと足元をすくわれるぞ?先程、服部が足元をすくわれたばかりだ」

 

摩利は風紀委員の二人に先程の模擬戦の話をする。

 

「そいつらがあの服部に勝ったってことですかい?」

 

「ああ、正式な試合でな」

 

「何と!入学以来負け知らずの服部が新入生二人に負けたと?」

 

「大きな声を出すな、沢木。ここだけの話だ」

 

摩利の一言で二人は八幡と達也をじろじろ見つめる。

 

「そいつは心強え」

 

「逸材ですね、委員長」

 

二人は達也と八幡の潔く見る目を変えて賞賛する。

 

「意外だろ?」

 

「はっ?」

 

「この学校はウィードだ、ブルームだとつまらない肩書きで優越感に浸り劣等感に溺れる奴らばかりだ。正直言ってうんざりしていたんだよ、私は。だから私は今日の試合はチョッとばかり痛快だったんだがね。幸い、十文字も真由美も私がこんな性格だって知っているからな。生徒会枠と部活連枠は、比較的そういう意識が低いやつを選んでくれている。優越感がゼロではないが実力の評価がきちんとできる奴ばかりだ。」

 

摩利は嬉しそうに話している。

 

「3-Cの辰巳鋼太郎だ。よろしくな比企谷、司波。腕の立つ奴は大歓迎だ」

 

「2-Dの沢木碧だ。君達を歓迎するよ」

 

そう言って握手を求める二人。

 

「ただいま戻りましたであります!委員長殿!」

 

材木座が何処かに行っていたらしく戻ってきた。

 

「おっ!材木座じゃねぇか、また姐さんにコート取られたのか?」

 

辰巳先輩がなんで材木座を知っているんだよ…コートって初日のアレかよ…

 

「辰巳殿!!今日はこの二人の付き添いであります!!」

 

「あ…委員長、材木座は風紀委員には入れないんですかい?」

 

辰巳は材木座の事を評価しているようだ。

 

「こいつは風紀委員見習いとしてここにいてCADとかのメンテナンスをさせようと思っている」

 

「よかったじゃねぇか材木座!」

 

「我は剣豪将軍!委員長の為に精一杯頑張るであります!」

 

こうして材木座は風紀委員見習い(雑用)として風紀委員会に所属することになった。

 

 

「八幡…なんで材木座はあんなに乗り気なんだ?」

 

達也は材木座の受け入れ態勢に疑問を抱いて八幡に問いかける。

 

「あいつ中学まで碌に人と関わってなかったからああやって接して貰えるのが嬉しいんだと思うぞ…」

 

「そういうことか…」

 

八幡の説明を聞いて少し呆れていた。

 

 

 






雪ノ下家はこんな感じで結構黒い家ということにしました…!
魔法科高校の世界なんで…裏の顔は必ずあるということです…!w

陽乃に関しては七草家次期当主候補ということにしてみました。
まだ本人登場は先になります…w

いろはすはお嬢様でした…w
一色家は二十八家なんで…


次回はあの人が…出てくるかも…?


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突然彼女は現れる。


誤字報告ありがとうございます!


今回は新しく俺ガイルメンバーが出て来ます!



ではどぞー!


 

 

風紀委員会で説明を受けて、いざ帰ろうとした時、八幡の端末が鳴る。

 

 

「お久しぶりですね比企谷くん。風紀委員会に入ったと聞いてお祝いのメールをしてみました。第一高校の風紀委員会は名誉あるお仕事なので頑張ってくださいね、比企谷くんなら良い風紀委員になれるとおもいます。私も昔は第一高校の風紀委員長として毎日走り回っていたことを鮮明に覚えています。その時は私、結構モテてたんですよ(笑)意外でしたか?第一高校といえば学食のラーメンです。食べましたか?比企谷くんなら食べてそうですね(笑)とんこつ醤油ベースで学食にしては結構工夫されてて美味しかったのを覚えてます。特にチャーシューが人気でしたね、あのチャーシューは今まで食べた中でも1.2を争う美味しさだと思ってます。そういえば、卒業したらラーメン食べに行く約束をしていたの覚えてますか?二人で」

 

 

 

「ごめんなさい。途中で送ってしまいました。二人で食べるなら遠くのお店にしようと言っていたのは覚えてますか?何処にするかもう決めました。二人で関西の方のラーメンとか如何ですか?修学旅行の時に食べに行ったの覚えてますよね。あの時行けなかったお店があるので、比企谷くんもきっと気に入ってくれると思います。「なりたけ」くらいのこってりのお店なんですけど、そこの高菜が絶品らしいです。二人で関西なんてちょっとした恋人同士のデートみたいですね(笑)また何処か行きたいところがあるならリクエスト貰えると嬉しいです。今度千葉の方にも顔を出してくださいね、待ってます。」

 

相変わらずですね…平塚先生…風紀委員長とか似合いすぎるんですけど…

早く誰か貰ってやれよ…

 

 

八幡はメールを見てすぐに端末を閉じた。

 

「どうしたんだ?何か嫌なメールでも来たのか?」

 

達也は八幡がメールを見て勢い良く端末をしまったので不審に思い問う。

 

「中学の時の先生だ」

 

「ならいいんだが、八幡、深雪の機嫌が良くないんだが何かしたのか…?」

 

深雪はまだ先程のことを引きずっているのか、不機嫌な様子である。

 

「会長の所為だ…俺は悪くないはず…」

 

「会長と話してた時何かあったのか?」

 

「あっ…そういえば後で話すって言ってまだ話してなかったからなのか…?」

 

八幡は真由美との話をまだ深雪にしてないから機嫌が悪いんだと思い深雪に話そうと振り返ると…

 

「お兄様?八幡さんと何こそこそしてるんですか?」

 

深雪が冷たい笑顔で達也に話しかけて来た。

 

「み、深雪、別にこそこそなんてしないから…」

 

達也は八幡に目線で『またとばっちりか』と訴えかける。

 

「深雪さん?話は帰ってからでもいいですか…?」

 

「ええ、構いません。色々私も聞きたいことがあるので」

 

なんでこんなに怒ってるんですかね…怖い…

 

 

校門をくぐった瞬間。

 

「っべー!ヒキタニくんマジお久しぶりでしょー!!」

 

戸部がいた。

 

「なんで戸部がここにいるんだよ…」

 

「それがよー聞いてくれよーいろはすってば酷いんだぜー」

 

えっ?いろはす来てるの?帰りたいんだけど…

 

「一色がいるのか?」

 

「せーんぱいっ!来ちゃいました」

 

いろはがあざとく頭に手を当てて八幡に話しかける。

 

「来ちゃいましたじゃねぇよ…」

 

達也と深雪は誰かわからない為、八幡が絡まれているのを呆然と見ている。

 

「先輩?その方達はまさか…友達ですか…?」

 

いろはが達也と深雪を見て八幡に問いかける。

 

「ちげぇよ…従兄弟だ従兄弟」

 

「えっ?先輩に従兄弟がいるなんて知りませんでした…」

 

いろはは少し落ち込んだ素振りを見せるが、その瞬間、達也と深雪の前に一瞬で立つ。

 

いろはす早い…自己加速術式なしで早すぎるだろ…

 

 

「一色いろはと申します!よろしくお願いしますね!」

 

「司波達也だ、よろしく」

 

「司波深雪です、よろしくお願いしますね」

 

自己紹介を軽く終わらせ…

 

「っべー!俺も自己紹介しなきゃいけないでしょー!戸部翔よろしくオナシャス!」

 

戸部も慌てて自己紹介をする。

 

「戸部先輩って翔って名前だったんですね。初めて知りました。」

 

いろはが真顔で戸部に答える。

 

「俺も初めて知ったわ」

 

翔って言うんですね…

 

「二人ともマジ酷くねっ?」

 

戸部は即突っ込みを入れる。

 

「ふふっ、八幡さんの友達は面白い方が多いんですね」

 

八幡達のやり取りを見て深雪は笑っていた。

 

「っべー!深雪ちゃん可愛すぎるでしょー!」

 

「深雪に手を出すなよ?」

 

戸部の言葉に達也が深雪を庇うように前に出る。

 

「達也くん怖すぎでしょー…マジでビビったしょ…」

 

達也の威圧に一瞬で負けた戸部はビビって後ろに下がる。

 

「で何しに来たんだよ…」

 

八幡はいろはに問いかける。

 

「やだなー先輩に会いたかったからに決まってるじゃないですかー」

 

「あざといんだよ…」

 

「あざとくないです!素ですよー」

 

一色が頬を膨らませて八幡に言い返す。このやり取りは総武の人間ならいつものことで終わるのだが…

 

「八幡さん随分とその方と仲が良いみたいですが?」

 

「深雪さん?こいつはただのあざとい後輩なんですが…」

 

深雪は二人のやり取りを見て不機嫌な深雪に戻ってしまった。

 

「一色さんでしたか?八幡さんとはどのような関係なんですか?」

 

深雪は笑顔でいろはに問いかける。

 

「ただの先輩後輩の関係だ」

 

そうよはちまん!いろはすにこういう時話をさせてはいけないっ!

 

「最近更に私の扱いが雑になってるんですけどー」

 

いろはが八幡に不満をぶつける。

 

「アレだアレ、お前の扱い方わかって来たってことだな」

 

「はっ!なんですか?口説いてるんですか?私の扱い方がわかったからって彼氏気取りですが?別にそういうのも悪くないですが、まずは正式に彼氏彼女になってからそういうことを言ってください!ごめんなさい」

 

「俺はお前に何回振られればいいんだよ…で何で来たんだよ…」

 

八幡は話が進まないので、再度問いかける。

 

「戸部先輩がバイク買ったらしいので足に…ドライブに連れて来てもらったんですよー」

 

今完全に足にしたって言いかけましたよね…戸部はいろはすに相変わらず甘くないですかね…

 

「せっかく海老名さんと出掛けようと思ったのにマジ酷いでしょー…」

 

海老名さんとやっとデート出来るようになったんだな…頑張れ戸部…

 

「いやいや戸部先輩、海老名先輩別に戸部先輩の誘いオッケーしてなかったですよ?」

 

えっ?そうなの?戸部安らかに眠れ…

 

「また今度ねって言ってくれてたべ?これはもうマジ確定的でしょー!」

 

どんだけポジティブなんだよ…

 

「戸部…女子が言うまた今度ねって言うのは軽く断りを入れてる時だからな…ソースは俺」

 

忘れもしない…小学校の時の出来事を…

 

「また先輩の過去話ですか?聞き飽きました…それよりご飯食べに行きましょうよ!戸部先輩の奢りですよ?」

 

「戸部の奢りなら行ってもいいか…」

 

「八幡さん?今日は私の料理を食べてくれるんじゃないんですか?」

 

深雪が黒い笑顔で問いかけてきた。

 

「悪い…そうだったな、悪いが一色今日はこいつらにご飯招待されてるんだった」

 

「なら水波と小町ちゃん呼びますねー」

 

なんだと…?

 

「深雪、達也?こいつらとご飯行かないですか?」

 

「八幡さん…私の料理が食べたくないんでしょうか…」

 

深雪が俯いてしょげ込んでしまう。

 

「いや…そのだな…」

 

「深雪、八幡も久しぶりに友人と会ったんだ。俺達も来ていいって言ってくれてるんだ、深雪の料理はまた明日にでもすればいいだろ?」

 

友人ってわけでもないんですけどね…友人ってなんだろ…

 

「お兄様がそう仰るなら…」

 

さすがお兄様だな…俺もなんかフォロー入れておかないと氷像にされかねないな…

 

「その、なんだ明日から弁当作ってくれるんじゃーねぇの?楽しみだなぁ…」

 

「八幡さんそんなに私のお弁当が食べたいんですか?しょうがないですね!」

 

なんとか上手くいったみたいだな…

 

「一色!俺達も一緒に行きます!行かせてください!」

 

八幡は頭を下げていろはにお願いする。

 

「我を置いてどこへ行くのだ八幡!!」

 

こいつの存在を忘れてた…うわぁ…マジでめんどくせぇ…

 

「うわっ…」

 

いろはす…先輩(仮)ですよ材木座は…

 

「材木座くんじゃね?っべーわ!お久しぶりでしょー!」

 

戸部いい奴だな…

 

「と、戸部殿ではないか!久しぶりであるな!」

 

いつの間にこの二人仲良くなってるんですかね…

 

「ねぇ先輩先輩、木材屋先輩に戸部先輩の相手してもらえばよくないですか?」

 

いろはが八幡の耳元で囁く。

 

「それは名案だな、材木座も連れてくか」

 

こうして、八幡、達也、深雪、いろは、材木座、戸部、小町、水波でご飯を食べに行くことになった。

 

 

八幡の提案で場所はサイゼに決まった。

 

「達也お兄ちゃん!深雪お姉ちゃん!」

 

小町が八幡の横をスルーして達也と深雪の元へ走って行く。

 

「中学の集まりなのに、俺達まで来てしまってよかったか?」

 

「小町的には全然オッケーです!むしろ来てくれてありがとう!」

 

達也の遠慮気味な問いにハイテンションで答える小町。

 

「小町ちゃん!水波ちゃん!」

 

深雪はようやく話せる女の子が来て少し気が楽になったようだ。

 

「八幡兄さま、達也兄さま、深雪姉さま学校お疲れ様です」

 

水波は外では兄さま姉さま呼びにするようになっている。不本意ながら兄さま姉さま呼びをしている。

 

「戸部先輩早く席取って来てください」

 

「お、おう…」

 

いろはは低いトーンの声で戸部をパシる。

 

そうして席につく八人。

 

席順は

 

いろは小町水波

 

八幡深雪達也

 

の六人席と戸部材木座の二人席に別れた。

注文を済ませて雑談タイムに入る。

 

「聞きたいことがあるんだが、いいか?一色さん」

 

「いろはでいいですよ!質問オッケーですよ!」

 

達也がいろはに質問する。

 

「一色って言うのはあの一色家でいいのか?」

 

「さすがに、一高の人達にはバレちゃいますよね」

 

「みんななんとなく気づいてたぞ?」

 

八幡がいろはにストレートに告げる。

 

「私的にはあまり、そういうの気にしてないんで一色家の人だと思われて恐縮されても困りますし普通でお願いします!」

 

「いろははご令嬢って感じしないもんね」

 

「水波に言われるとムカつく!」

 

水波はいろはと接する時だけ砕けた感じになる。

 

「だから先輩?私のところへ来たら専業主夫の夢が叶いますよ?」

 

「むしろ仕事押し付けられて過労死する気しかしないんだが…」

 

いやマジで…生徒会の手伝いレベルじゃ済まないですね…

 

「確かにいろはは八幡兄さまの扱いが酷い!」

 

「先輩が優秀なのがいけないんですよー」

 

「確かに八幡兄さまが生徒会の仕事を手伝ってくれていた時はすごく助かりました…」

 

水波はいろはの意見に賛同してしまう。

 

「八幡さんは生徒会の仕事がお得意なんですか?」

 

深雪が二人に質問する。

 

「先輩は事務系の仕事とかは超凄いです!計算はダメダメですけどね…」

 

「いいことを聞きましたね!お兄様!」

 

「まさか…」

 

達也は深雪の言いたいことが理解できた、いや達也以外も多分全員理解した。

 

「俺風紀委員なんだけど…」

 

「八幡、風紀委員は当番制と聞いているぞ?」

 

達也は八幡の退路を断つ。とばっちりを受けていた仕返しなのだろうか…。

 

「おい…」

 

「およ?深雪お姉ちゃんは生徒会に入ったの?」

 

小町が不思議そうに聞いて来る。

 

「新入生総代が生徒会にスカウトされてるみたいなの」

 

「深雪お姉ちゃんおめでとう!」

 

「深雪姉さまおめでとうございます!」

 

「深雪先輩おめでとうございます!」

 

小町と水波といろはは深雪に祝福の言葉を述べる。

 

「それにお兄様と八幡さんも風紀委員に入られました」

 

「八幡兄さま!達也兄さま!おめでとうございます!」

 

「達也お兄ちゃん!おめでとう!」

 

「先輩と達也先輩おめでとうございます!」

 

いろはと水波は達也と八幡に小町は達也にだけ祝福の言葉を述べる。

 

「三人共ありがとう」

 

「小町ちゃんなんで俺にはおめでとうないの?」

 

八幡は小町にクレームを入れる。

 

「どうせお兄ちゃんが達也お兄ちゃん巻き込んだんでしょ?」

 

「よくわかったな、小町」

 

達也が小町の一言に驚く。

 

「お兄ちゃんのことなら任せてください!」

 

「我も風紀委員入ったであるぞ!」

 

後ろの席から材木座が報告する。

 

「お前は雑用係だろ…」

 

八幡がボソッと告げる。

 

「っべー!材木座くんマジすごくねっ?これはみんなを祝うしかないでしょー!いろはすケーキ頼むべ!」

 

 

 

その後も楽しく雑談し、喧嘩もなく食事会は終わった。

 

 




戸部いろはす登場です!
平塚先生もメールで登場!(メールは早くやりたかった)

書いてみて思いましたが…戸部もいろはすも書くの難しいですね…w特に戸部!w

戸部がバイクに乗れているのは魔法科高校の世界では中学校卒業で免許が取れるようになるので法的には全く問題ないので!!


全然話が進んでない…w
魔法科高校の原作で言うと1巻すらまだ終わってない…w


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一色いろはは味方である。


誤字報告ありがとうございます…!


重力魔法の理論を変更いたしました!
詳しくは後書きに書きます!!


ではどぞー!


「一色ちょっといいか?」

 

サイゼから出て解散になる前に八幡はいろはを引き止める。

 

「なんですかー?先輩が私に用事なんて珍しいですね!」

 

「悪い、ちょっと二人で話したいから先に帰るなりしててくれ。戸部は待っててくれよ一色送って行って欲しいから…」

 

八幡は戸部以外帰っていい宣言をする。

 

「八幡兄さま、水波はお待ちしてますので!」

 

「お兄様、水波ちゃん達が残るなら私達も残りましょう!」

 

「そうだな」

 

全員八幡を待つことになり、八幡といろはは路地に入る。

 

「先輩私をこんな路地に連れ込んで何をするんですかー?」

 

「いや…変なことはしないから…」

 

むしろこの光景を誰かに見られただけで、通報されて捕まる未来が見える…

 

「別にしてくれてもいいんですけどね」

 

「中学生が馬鹿なことを言うな…一色聞きたいことがあるんだが…」

 

八幡は真剣な顔をしていろはに問いかける。

 

「なんですかー?」

 

「雪ノ下とかから何かされたりしてないか?」

 

八幡は真由美の話を聞き、いろはに被害が出ていないか確認する。

 

「雪ノ下先輩達ですか?別に何もないですよー?いきなりどうしたんですか?」

 

「いや、ないなら大丈夫だ。悪いな変なこと聞いて」

 

八幡はいろはを巻き込まない為、それ以上話はしないように話を終わらせる。

 

「雪ノ下家のことですかー?先輩あんまり深く関わらない方がいいですよ、まぁ葉山先輩くらいなら問題ないですけど」

 

いろはは今の話でなんとなく、話の流れがわかったのか問いかける。

 

「俺も関わるつもりねぇから…」

 

「先輩の場合は向こうから来るんで気をつけた方がいいですよ。水波と小町ちゃんから聞きましたよ、早速色々言われたみたいですね」

 

「あいつらは何話してんだよ…」

 

「水波も小町ちゃんも先輩の事が心配なんですよ?風紀委員の件だって校内でCADの携行が認められてるって平塚先生から聞いたからなんです」

 

はぁ…そういうことか…ったく、余計なことをしてくれる…また心配かけてしまったか…

 

「そうか…」

 

「それに私も心配してるんですよー?」

 

「俺は大丈夫だから、二人のことでなんかあったらすぐ言ってくれ頼りにしてるからな会長」

 

八幡はいろはを信用している。なんだかんだ、やる時はしっかりやる奴だと認識している。

 

「そういう時だけ会長ってちょっと癪に障りますねー。まぁいいですけど、私としてもあの二人に何かあるのは嫌ですし」

 

いろはは頬を膨らませて文句をいう。

 

「頼むからあんま無茶すんなよ…」

 

「何かあったら独身の平塚先生を盾にするので大丈夫ですよー」

 

わざわざ独身って言ってあげないで!静ちゃんすぐ泣いちゃうから!

 

「そうしてくれ、とりあえず戻るか、聞きたいことも聞けたし」

 

「はい。それと先輩、一つ忠告しておきます。これは一色家の一色いろはとしての忠告です。雪ノ下家はいざとなれば禁忌を犯すことに躊躇ないと聞きます、ですので本当に深入りはしないでくださいね。って言っても四葉みたいに『触れてはならない者たち(アンタッチャブル )』とまでは言われてないので何かあれば私の家でも協力できることはあると思います。何かあれば言ってきてくださいね、私は先輩の味方ですから」

 

いろはは真剣な顔であざとさなど感じさせない口調で八幡に忠告をする。

 

「その…なんだサンキューな」

 

「先輩が素直にお礼を言うなんて明日は台風ですかね?」

 

「うるせぇよ…俺だってお礼くらい言える」

 

二人は待ってるみんなの元へ戻り、その場で解散となった。帰るときに小町の提案で達也と深雪は今日も比企谷家に泊まることになった。

 

「ただいまー!」

 

小町が元気良く挨拶をし、家の中に入っていく。

 

「おかえり小町ってみんないるのね、おかえり」

 

みんなそれぞれ挨拶をし家に入る。

 

「奥様、今日は外出許可を頂きありがとうございます」

 

「気にしなくていいわよ、ご飯は作ってくれてたんだし何も問題ないわよ。美味しかったわごちそうさま」

 

亜夜は水波の頭を撫でながらお礼を言う。

 

「ありがとうございます。今、紅茶をお入れいたします」

 

水波は家に帰るなり、仕事を始める。

 

「達也、深雪少し話がある。いいか?」

 

八幡は家に帰るなり、達也と深雪を呼び止める。

八幡の自室に二人を招き、真由美との話をする八幡。もちろん風紀委員会に入れられた経緯のみで雪ノ下家の話はしていない。

 

「そういうことだったんですね、八幡さんが風紀委員会に推薦された理由にそんな話が…でも雪ノ下陽乃さんは…」

 

「雪ノ下陽乃か、すごい人に目をつけられているもんだな、だが大丈夫なのか?雪ノ下家だぞ?」

 

二人は雪ノ下に関して、警戒をしている為八幡に問いかける。

 

「まぁあの人は大丈夫だとおもう、多分」

 

「八幡がそういうならそれでいいが…」

 

達也は八幡の言葉に説得力がないのが気になるが不本意ながらも引き下がる。

 

「まぁそういうことだ」

 

八幡は少し無理矢理話を終わらせた。

 

「では私は着替えて小町ちゃんとお風呂入って来ますね」

 

深雪はそう言って部屋から出て行った。

 

「それで、八幡。他に何を言われたんだ?」

 

達也は深雪が出て行ったのを確認し、真剣な目で八幡に問いかける。

 

「はぁ…材木座のいる工房で話すか」

 

そう言って材木座のいる工房まで移動する八幡と達也。

 

「深雪も気づいていただろうが、遠慮してくれたみたいだな」

 

「顔に不服ですって書いてあったからな…」

 

深雪は話をまともにしてくれていない八幡に不服だったが、達也にアイコンタクトされ部屋を出たのである。

 

「後で謝っといてくれよ」

 

「お、おう」

 

工房へつき中に入ると。

 

「おっ!八幡と達也殿丁度呼ぼうと思っていた所である!八幡これのテストをしたいのだ!!」

 

そう言って材木座は八幡に特化型CADを渡す。

 

「特化型か?」

 

「その通りだ!カートリッジ式特化型の我の自信作だ!」

 

ドヤ顔で材木座は八幡に告げる。

 

「おい…材木座これは」

 

八幡はCADの中身を理解した途端、浮かない顔になる。

 

「お主もそろそろ本気で戦わねばならん様な事態になるかもしれんからな、それは必要である」

 

材木座は話を聞いてる訳ではないが、長年の付き合いからか八幡の状況に異変が起きてるのを察知したのかも知れない。

 

「どんな起動式なんだ?」

 

「我のオリジナルだ、だがこれは八幡にしか使えない魔法であるな」

 

達也の問いに材木座が答える。

 

「念のためだな…」

 

そう言って八幡は近くにあるゴミ箱に向けて起動式を展開させる。

 

その瞬間ゴミ箱が一瞬にして砕け散った。

 

「成功であるな、これは加速・加重・発散系統魔法の複合魔法<重力破壊(グラビティ・ディストラクション )>重力加速度の事象を改変するのは重力強化とは同じなのだが、これは改変力を極限に上げ一気に対象物を圧縮させ発散させる魔法である」

 

「要するに重力で強制的に対象物を圧縮し、発散させるという訳だな」

 

材木座の説明に達也が解釈する。

 

「だが、この起動式何か変じゃないか?上手く読み取れなかったんだが…」

 

達也は八幡が魔法を使う際に起動式を読み取っていたが上手く読み取れない為、異変に気付いた。

 

「さすが達也殿であるな、我の作るオリジナル魔法は起動式をその人専用に作り変えておるのだ。仮に他人が同じ起動式で魔法を使っても全く発動できないのだ」

 

材木座は調整している人によって起動式の仕組みを本人に合わせて作ることで起動式が外部に漏れた場合でも問題のない様に作ってある。発動速度や処理速度も本人に合わせて作る為、汎用型でも普通の特化型と変わらないスピードで魔法が使える。

材木座以外調整ができないリスク以外は特にデメリットはない。

 

「そんなことができるのか」

 

達也はその技術を持ち合わせていなかった為、材木座の技量に関心する。

 

「だが、無闇にその魔法を使うなよ八幡」

 

達也は八幡に忠告する。

 

「俺をどこかのテロ組織の人間と一緒にしないでくれませんかね…」

 

「ちなみにその魔法は領域魔法にも使えるのでな、お主が本当の力を使える時ならだがな」

 

「俺を戦略級魔法師にするつもりですかね…」

 

重力破壊( グラビティ・ディストラクション)は広範囲に使えば戦略級魔法となる可能性は高い。

 

「それで八幡、さっきの話をしてもらうぞ?」

 

達也は戦略級魔法師の話が出たからか、話を本題に戻す。

 

「材木座、音声を外部と遮断してくれ」

 

八幡は材木座に工房の音声を外部に漏れない様にするように伝え話をする。

雪ノ下家の現状況、七草家の次期当主候補の話をする。

 

「という訳だが、この話は絶対外部に漏れない様にしてくれ…」

 

真由美から言うなと言われている事を話した為口止めは絶対である。この二人なら問題ないと八幡は判断しているが念のために言葉にする。

 

「雪ノ下嬢が次期当主とは、少々厄介であるな」

 

「それでだ材木座、雪ノ下家について調べてくれないか?」

 

八幡は材木座に調べてもらうように頼む。

 

「今、我は例の件で少し手間取っている…少し時間がかかるぞ…」

 

例の件とはブランシュの件のことである。

 

「俺が引き受けよう」

 

達也が雪ノ下家の情報を調べると提案する。

 

「頼んでもいいのか…?」

 

「雪ノ下家については俺も気になっていたからな、八幡の状況的にも早めに調べれた方がいいだろう。材木座例の件とはなんだ?」

 

達也は材木座の言葉が気になり問いかける。

 

「達也には言っておいて損はないかもな…」

 

「口外はしないから安心してくれ」

 

「真夜伯母さんがブランシュが一高に何かしようと企んでるって聞いたからな、それの情報収集を材木座に頼んでるんだ」

 

ブランシュという言葉に達也は反応する。

 

「ブランシュが第一高校にか…」

 

「その下位組織のエガリテの構成員が第一高校に潜り混んでるみたいだな」

 

八幡は自分が知る情報を達也に伝える。

 

「エガリテが潜入しているということか厄介な…」

 

この後、三人は今後の雪ノ下家とブランシュについて夜遅くまで相談していた。

 

 

 

 

 

 

その頃深雪と小町は…

 

 

お風呂から上がり、同じベッドで寝ることになり二人で布団に入っていた。

 

「小町ちゃん起きてる?」

 

「起きてますよー!」

 

「八幡さんについてなんだけど…」

 

深雪は小町に八幡のことで問いかける。

 

「およ?お兄ちゃんですか?何かされちゃいましたか?」

 

小町は冗談まじりで深雪に問いかける。

 

「何かされた訳じゃないわよ、ただちょっとわからないことがあって…」

 

「お兄ちゃんのことなら小町になんでも聞いてください!」

 

八幡のことなら任せろと小町は寝ながら胸を張る。

 

誓約( オース)の話をした時に……」

 

深雪は昨日の夜、八幡と二人で誓約(オース )の話をしたことを話す。

 

「深雪お姉ちゃんも私達と同じことしてたんですね!」

 

「小町ちゃんは八幡さんと同じ意見なの?」

 

深雪は小町に問いかける。

 

「基本的には同じですね!でも深雪お姉ちゃんが言ってる枷になっているかも知れないって言うのもわかります。でも、小町はそんなことでお兄ちゃんは絶対に負けないって思ってますよ」

 

小町は八幡を誰よりも信頼している。お兄ちゃんとして、一人の人間として。

 

「私もお兄様は誰にも負けないって思ってます…」

 

「それにお兄ちゃんは口では色々言ってますけど、深雪お姉ちゃんや達也お兄ちゃんのことをすごく大事にしてくれると思いますよ」

 

「従兄弟とはいえ、最近知り合ったばかりなのに…」

 

「深雪お姉ちゃんはお兄ちゃんのことどう思ってますか?」

 

小町は深雪に問いかける。

 

「それがわからないの…八幡さんが今日会長にデレデレしているのを見たら気がつけば周りの物を凍らせてしまってたの…」

 

「へっ?まさか深雪お姉ちゃん…」

 

小町は想像以上の答えが返ってきて動揺する。

 

「お兄様の時でもこんなことは滅多にならなかったのに…」

 

「深雪お姉ちゃんもしかしてお兄ちゃんのことが…」

 

小町は開いてはいけないパンドラの箱を開けた気分になった。

 

「でも…知り合ったばかりなのに…」

 

「深雪お姉ちゃん恋はいつでもハリケーンですよ!」

 

どこかの東の海のことわざを語る小町…

 

「そんな…でも私にはお兄様が…」

 

「ちなみにお兄ちゃんのどこがいいんですか…?」

 

小町は恐る恐る聞いてみる。

 

「八幡さんは今日二回もさりげなく私を庇ってくれたりしてくれたんです…それに昨日だって頭を撫でてくれたり…それに頼ってくれていいとか…………」

 

深雪は顔を真っ赤にしながら八幡との出来事を鮮明に小町に伝える。

 

(お兄ちゃん…深雪お姉ちゃん落としちゃったんだ…深雪お姉ちゃん苦労するんだろうな…)

 

小町は心の中で呟く。

 

「あっでも私にはお兄様が…」

 

深雪は一人パニックになり、その光景を小町はずっと見ていた。

 

翌朝、深雪は若干寝不足だったが八幡と達也と約束していた為、お弁当を作る為早起きをして台所に行きお弁当を作ると水波に伝えるが…

 

「深雪様!お弁当は水波が作るので大丈夫です!」

 

「八幡さんとお兄様は私が作るお弁当が食べたいと言っているんです!」

 

「これはメイドの仕事です!深雪様のお手を煩わせる訳にはいきません!」

 

 

メイドとして水波も譲れない為、深雪と言い合いになり最終的に起きてきた亜夜に二人共怒られ結局お弁当はなしになった。

 

 

 





いろはの味方宣言が出ましたね…!

深雪さん恋はいつでもハリケーンです!!
(ちょっと無理があったかな…)
まだお兄様と八幡をゆらゆらしてる感じですが…


八幡の得意魔法について理論を変更しました…!

重力魔法
加速・加重系統魔法の複合魔法と言う一括りの魔法と言うことにします!
内容的には、重力加速度の事象を改変し対象物にかかるGを改変して行く形にします…!(これで大丈夫かな…?不安)

模擬戦で見せた、重力強化については重力魔法の基本的な部分になります!
今回材木座が新たに作った魔法は
加速・加重・発散系統魔法の複合魔法です
重力強化の応用だと思ってください…!

模擬戦の方も訂正しておきます…!

最初の方にブラックホールを使えると設定に書いていましたが…
ブラックホール作ったらパラサイトいっぱい出てきてしまうことなはなるかも…と思ったのでブラックホールは今の所なしの方向に考えてます!


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部員争奪戦が始まろうとしている。



誤字報告ありがとうございます!!


やっと本編に戻って来ました!(後半から)



ではどぞー!


 

 

週末になり、八幡と材木座は四葉本邸に来ていた。屋敷に到着した二人は真夜の元へ。

 

「いらっしゃい、八幡さん義輝さん」

 

「はぁ…仕事って何やるんですか…」

 

八幡は帰りたいオーラを出しながら真夜に問いかける。

 

「真夜殿!今日も一段とお綺麗でございます!!」

 

「八幡さんは挨拶もできないのかしら、義輝さんありがとう」

 

真夜は八幡に指摘する。

 

「この間振りですね…真夜伯母さん会いたかったです…」

 

「私もよ八幡さん、早速だけど義輝さんCADを見てもらえるかしら」

 

「了解です!」

 

材木座はCADを受け取り工房へ行く。

四葉本邸の中にも材木座の工房があり、今いる応接室にある隠し部屋が材木座専用の工房である。

 

「さて、八幡さん久しぶりに二人でお話をしましょうか。葉山さんお茶を頼めるかしら八幡さんの分もお願いね」

 

「畏まりました」

 

葉山が、そう言ってお茶を入れに向かう。

 

「久しぶりね、八幡さんと義輝さんをここに招くのも」

 

「遠いんであんまり来たくないんですけどね…」

 

四葉家本邸は旧長野県との境に近い旧山梨県の山々に囲まれた盆地に存在する。

東京から近いと言える距離ではない。

 

「貴方達が来る為には、葉山さん以外の人間をここに近づけれないのよ?これでも結構無理してるんだからそんなことを言わないで欲しいわね」

 

四葉内でも亜夜以外の比企谷家の人間の存在を知る人は執事長の葉山と当主の真夜しかいなかった。

屋敷へつくまでは認識阻害魔法を使いひっそりと入り込んでいる。

 

「そんなに無理するなら招待しなくてもいいんじゃないですかね…」

 

「私だって可愛い甥に会いたいのよ?寂しいことを言わないでくれるかしら」

 

笑みを浮かべながら八幡の問いに答える。

 

「仕事を押し付けられて来てるんですが…」

 

「亜夜なら自分の仕事ならしっかり終わらせてたわよ?」

 

「はっ?」

 

八幡は亜夜の仕事をする為にここに来ているはずだが、既に亜夜は仕事を終わらせていた。

 

「ごめんなさいね、八幡さんこうでもしないと此処には来てくれないから」

 

真夜は笑顔で八幡に謝るが、悪気は感じない。

 

「はぁ…本題は別にあるってことですかね…」

 

母ちゃん達にハメられたのかよ…

 

「ええ、けど当初の予定と大幅に変更したんですけどね。葉山さんありがとう」

 

「ありがとうございます…」

 

葉山が二人にお茶を出す。

 

「俺が達也と深雪に会ったからですか?」

 

「そうよ、私達は達也さんが気付くと思っていたんですけどね。正直予想外でした」

 

ぼっちの観察力を侮ってはいけません!!

 

「まぁアレは偶然だったんで」

 

「それについては素直に褒めてあげるわよ」

 

「ありがとうございます…」

 

真夜伯母さんに褒められるのって不気味なんですよね…

 

「達也さん達について聞きたいことはあるかしら?ちょっとしたご褒美に一つだけ答えてあげるわよ」

 

「では…遠慮なく、達也の精神構造実験についてですが」

 

八幡の一言に真夜の表情が変わった。

 

「本当に遠慮ないわね」

 

「そこまでする必要がありましたか?」

 

八幡は真夜に対して問いかける。

 

「あったわよ」

 

真夜は一言だけ八幡に答える。

 

「理由は…?」

 

「一つだけ答えると言ったでしょう?理由は教えられないわよ」

 

真夜は八幡の質問に一つだけ答えた。それ以上の質問は受け付けないと言うことである。

八幡は真夜に一本取られたので少し苦い顔をする。

 

「そうですね…」

 

「ふふっ、私の勝ちかしら」

 

真夜は楽しそうにお茶を飲む。

 

「第一高校はどうかしら?風紀委員会に達也さんと一緒に入ったと聞きましたが」

 

「風紀委員の話ももう知ってるんですね…」

 

「小町さんからメールを貰いましたからね」

 

小町と真夜伯母さんどんだけ仲が良いんだよ…

 

「相変わらず仲が良いみたいですね」

 

「そうよ、羨ましいかしら?でも風紀委員に入ったのは好都合じゃない、CADの携行も許してもらえるんですから。達也さんに関しても同じことを言えますね」

 

「まぁそれはそうなんですが…」

 

「雪ノ下家のこともありますからね、用心に越したことはないでしょう」

 

真夜は雪ノ下家についてどこまで知っているのか?八幡は質問したい気持ちをグッと堪える。

 

「そうですけど…後、報告があるんですけど」

 

「八幡さんが報告してくるなんて珍しいじゃない、何かしら?」

 

真夜は八幡を見つめる。

 

「七草家当主が俺に会いたいらしいんですけど、やめといた方がいいですよね?」

 

「そう…弘一さんが八幡さんをね…」

 

真夜が不敵な笑みを浮かべる。

 

「おもしろそうじゃない、行って来なさい」

 

少し考える素振りをするが八幡に七草家に行ってもいいと告げる。

 

「まぁまだ確定ではないんですけど」

 

「もし行くなら気をつけなさい、あの人は四葉に執着している人だから」

 

真夜は八幡に忠告する。

 

「わかりました…」

 

そんなこと言われたら更に行きたくなくなっちゃうじゃないですか…

 

「亜夜にも相談したのかしら?」

 

「まだ何も…」

 

「亜夜にも話しておきなさい」

 

「はい…」

 

この後、八幡は学校の話を真夜に話すなど、他愛のないただの伯母と甥の会話していた。

材木座が戻ると、八幡達はすぐに四葉本邸を後にした。帰りに八幡達は葉山さんから入学祝いを頂いた。

 

 

八幡達が屋敷を出た後。

 

「葉山さん八幡さんはどうかしら?」

 

真夜は葉山に問いかける。

 

「お言葉ですが、やはり八幡様は四葉の人間としては…」

 

「言いたいことはわかるわよ、けどあの子は紛れもなく四葉の子よ。理性で色々歯止めをきかせてる見たいだけど理性が崩れてしまえばもうあの子は引き返せないわ」

 

「そうなれば…」

 

「四葉の人間として八幡さんは運命に逆らえなくなるわね、雪ノ下家が上手く八幡さんを解き放ってくれると嬉しいんですけどね」

 

真夜はお茶飲みながら不敵な笑みを浮かべる。

 

「やはり奥様は八幡様を…?」

 

「本音としては捻くれててもいいからあの子を次期当主としてあげたいかしら、でも八幡さんはそれを絶対に望まないでしょうね。それよりも早く八幡さんと小町さんのことを分家の方々に紹介しないといけないわね」

 

お茶を飲み終え真夜は席を立ち、外を見ながら葉山の問いに答える。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

八幡達が四葉本邸で出向いている時達也と深雪は亜夜と小町と水波の五人で出掛けていた。

 

「八幡さん達がお仕事しているのに出掛けていいのでしょうか…?」

 

深雪は八幡達が仕事をしている間に出掛けていいのかと少し落ち込んでいる。

 

「深雪、アレは方便よ。私の仕事はしっかり終わらせてあるから」

 

「えっ?どういうことでしょう?」

 

亜夜の言葉に深雪は問い返す。

 

「最初は本当に仕事を残すつもりだったんだけど、達也と深雪のことを知らせに本邸に行った時に持って帰ってきてやっといたのよ」

 

亜夜は笑いながら深雪伝える。

 

「ならどうして八幡さん達は…?」

 

「真夜姉さんが話があるからどちらにしても本邸に招く予定だったのよ、真夜姉さんはなんだかんだ八幡のことを気に入ってるから」

 

秘匿回線で通信してもいいのだが、八幡は必ず逃げるので本邸に呼ぶか真夜が八幡の所へ出向いている。

 

「そうなんですね…」

 

「義輝ちゃんは完全に仕事ね、真夜姉さんのCADでも調整してるんじゃないかしら」

 

亜夜の予想は見事的中していた。

 

「話とは何なのでしょうか?」

 

達也は亜夜に問いかける。

 

「それは秘密よ」

 

亜夜は笑顔で達也に告げる。

 

この後普通に買い物をして、解散となった。

小町が泊まっていけばと言ったのだが、流石に家を何日も開ける訳には行かないので今日は帰ると断り、達也と深雪は自分達の家へ帰ってきていた。

 

「久しぶりな感じだな」

 

「そうですね」

 

達也と深雪は比企谷家にここ数日泊まっていたので久しぶりの我が家に浸っていた。

 

「静かだな」

 

比企谷家では小町や水波が仲良く話していたり、材木座が一人で叫んでいたりしていたので達也は誰もいない家にボソッとこぼしてしまう。

 

「前まではこれが普通でしたのに、少し物足りない感じがしますね…申し訳ありません!決してお兄様と二人でいるのが嫌とかじゃないですよ!」

 

「わかっているよ、今日は二人でゆっくりしよう」

 

達也は必死で謝る深雪に優しく微笑む。

 

「はい、お兄様。お茶を入れますね」

 

久しぶりの二人の空間に少し違和感を感じるが、いつも通り過ごしていた。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

そして再び学校が始まる。

生徒会室でお昼ご飯を食べている。

メンバーは達也、深雪、真由美、摩利そして八幡。

 

『八幡さんが楽しみにして頂いていた、お弁当を作って来ました!』

 

と深雪に朝学校に来る途中に言われ八幡は退路を断たれていた。もちろん水波には内緒である。

 

今週から部活勧誘週間が始まると摩利から告げられる。

 

「その所為で、この時期はトラブルが多発するんだよ」

 

摩利はため息混じりに八幡、達也、深雪に話す。

 

「勧誘が激しすぎて、授業に支障を来たすこともあるの。だから勧誘期間を定めているの、具体的には今日から一週間」

 

真由美が説明する。

 

「この期間は各部が一斉にテントを出すからな。ちょっとどころじゃないお祭り騒ぎだ。密かに出回っている入試成績リスト上位者や、競技実績のある新入生の取り合いにもなる。無論、表向きなルールはあるし、違反したクラブには部員連帯責任の罰則もあるが、影では殴り合いや魔法の撃ち合いになることも残念ながら珍しくない」

 

摩利はルールはあるが実質無法地帯になると説明する。

 

「CADの携行を禁止されているのでは?」

 

達也は摩利に問いかける。

 

「新入生向けのデモストレーション用に許可が出るんだよ、審査はあるが実質フリーパスだ」

 

「学校側も九校戦の成績を上げてもらいたいから。新入生の入部を高める為か、多少のルール破りは黙認なの」

 

摩利と真由美が説明する。

 

「そういう事情でね、風紀委員は今日から一週間、フル回転だ。いや、欠員の補充が間に合って良かった」

 

「良い人が見つかってよかったわね、摩利」

 

そう言って二人は八幡と達也を見る。

 

入学して早々フル出勤ですか…やだなぁ…帰りたいなぁ…

 

「俺の分まで頑張ってくれ…達也」

 

「お前も頑張ってくれ…」

 

八幡の言葉に達也は呆れるが返事を返す。

 

「二人とも即戦力として期待しているからな」

 

「「はぁ…」」

 

二人は同時にため息をついた。

 

お昼休みは終わり気づけば放課後になっていた。

八幡は逃げようとするが一瞬で達也に捕まってしまい風紀委員会本部へ連行されていた。

 

「小町の言う通りだな、何かあればすぐ逃げようとすると忠告を貰っておいて助かった」

 

達也は笑みを浮かべながら八幡に話す。

 

「はぁ…小町は俺のことをなんだと思っているんだよ…」

 

「小町はお前のことを一番理解してると思うぞ?」

 

「そうだな…」

 

 

「おっ!達也くんに八幡、何してるの?」

 

エリカが元気良く話しかけて来た。

 

「エリカか、珍しいな一人か?」

 

達也がエリカに問いかける。

 

「珍しいかな?自分で思うに、あんまり待ち合わせとかして動くタイプじゃないんだよね」

 

「だろうな」

 

エリカの言葉に八幡が肯定する。

 

「何よ、八幡に言われるとなんかムカつく!」

 

「美月とレオはどうしたんだ?」

 

達也がエリカに問いかける。

 

「美月は美術部に入るんだって、誘われたけど私は美術部って柄じゃないからね」

 

だろうな…

 

八幡は今度は口に出さず心の中で肯定する。

 

「何よ八幡!そんなに私が美術部だと似合わないって言うの?」

 

「何も言ってないだろうが…」

 

「顔に書いてあるのよ!」

 

八幡はポーカーフェイスが苦手である。

 

「レオはもう決めてると言ってたな」

 

「山岳部でしょ?似合いすぎだっての」

 

千葉も山岳部にいても不思議ではないと思う。

 

「私は山岳部には入らないわよ!!」

 

「俺ってそんなにわかりやすいのか…?」

 

「八幡はポーカーフェイスを覚えた方がいいと思うぞ?」

 

達也は八幡に告げる。

 

「達也くんと八幡はまだ決めてないの?決めてないなら一緒に回らない?」

 

エリカは二人に提案する。

 

「千葉の頼みなら仕方ないですね…達也後は任せた」

 

八幡は逃走しようとするが…

 

「実は早速風紀委員会でこき使われることになってな。見回りで巡回しながらなら一緒に回るけど?」

 

「八幡あんた逃げようとしてたわね…なら巡回しながらでいいから一緒に回ろ!教室の前で待ち合わせね!」

 

八幡の目論見は見事に達也に潰された。

 

「お前がちゃんとしてくれないと俺が小町に怒られるんだ、頼むぞ…」

 

達也はどうやら小町に八幡のことを頼まれているらしい。

 

そして二人は風紀委員会本部についた。

 

「全員揃ったな?」

 

全員席についており材木座は隅の方に立っている。

 

「そのままで聞いてくれ、今年もあのバカ騒ぎの一週間がやって来た。風紀委員として新年度最初の山場になる。この中には去年、調子に乗って大騒ぎした者も、それを鎮めようと更に騒ぎを大きくした者もいるが、今年こそは処分者を出さずとも済むよう、気を引き締めて当たってもらいたい。くれぐれも風紀委員が率先して騒ぎを起こさないでくれよ」

 

トラブルに巻き込まれたくないな…どこかに隠れてればいいですよね…

 

「今年は幸い、新入生(欠員)の補充が間に合った。紹介しよう」

 

摩利の言葉で達也がすぐに立ち八幡が遅れて立つ。

 

「1-Eの司波達也と1-Eの比企谷八幡だ。今日から早速パトロールに加わってもらう」

 

「誰と組ませるんですか?」

 

二人は二科生である。ウィードと言う言葉は流石にこの場では言えないがその言葉を発した生徒は二人の胸の位置に目をやっている。

 

「部員争奪習慣は各自単独で巡回する。新入りであっても例外はない」

 

「使えるんですか?」

 

さっきの男が摩利に問いかける。

 

「二人共実力はこの目で見ている問題ない、心配ならお前がついてやれ」

 

摩利の一言に八幡はすごく嫌な顔をする。

 

「やめときます」

 

男は嫌味な口調で答える。

 

「他に質問があるやつはいるか?」

 

「そこにいるやつは誰ですか?」

 

さっきとは違う男が材木座を指差して問いかける。その瞬間摩利は忘れていたのかやばいっと言う顔をしたがすぐにいつも通りの表情に戻った。

 

「こいつは1-E材木座義輝、風紀委員見習いとして特別に風紀委員の機器のメンテナンスなどをして貰う予定だ。争奪週間は材木座にもパトロールに回ってもらう」

 

材木座は争奪週間のパトロールの話を聞いていなかったのかあたふたしている。

 

「使えるんですか…?」

 

材木座のことを質問した男は心配そうに問いかける。

 

「材木座は使えるやつだ」

 

辰巳が摩利の代わりに答えた。

 

「心得ました」

 

「他に質問があるやつはいるか?」

 

摩利は再び問いかけるが全員異議なしといった感じである。

 

「よろしい。では早速行動に移ってくれ、レコーダーを忘れるなよ。比企谷、司波、材木座には私から説明をする。他の者は、出動!」

 

摩利の一言で新入生以外全員が出動する。

 

 

 

 

 

 






ようやく本編に戻って来ました!
次回からは部員争奪戦です!


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風紀委員の初仕事。


誤字報告ありがとうございます!!
本当に助かってます…!


今回は優等生ネタ有です!


ではどぞー!


摩利から風紀委員としての説明を受けてレコーダーと通信コードを携帯端末に受信し、CADの携行に関することを告げられる。

使用にわざわざ許可をもらわなくていい代わりに不正使用が発覚すると厳重な罰が下させるというものだった。

 

 

「俺はエリカのとこへ行くがどうする?」

 

「単独行動を指示されてるからな、俺は適当にぶらぶらしてるわ…むしろ単独行動の方が得意だからな」

 

八幡はドヤ顔で達也の問いに答える。

 

「サボるなよ…頼むから…」

 

「お、おう…」

 

「我も単独で動かせてもらう!!剣豪将軍いざ出陣の時だっ!!」

 

材木座はハイテンションで巡回へと走っていった。

 

「俺も行くわ…」

 

八幡は達也にそう言いその場を後にする。

歩いていると前から歩いてくる人物がいた。

 

「比企谷八幡…」

 

えっと…誰だっけ…

 

「誰…?」

 

「貴様は…調子に乗るなよ!!俺は森崎駿だ!」

 

顔を真っ赤にして森崎は、八幡の胸ぐらを掴む。

 

「で…森なんとかさんは何のようなんですかね…」

 

「何故お前が教職員推薦枠で風紀委員会に入っているんだ!元々は俺が入る予定だったんだぞ!」

 

森なんとかさんの所為で風紀委員に空きが出来て無理矢理入れられたんですけど…

 

「あんな所で差別用語を言いまくって自衛目的以外でCADを使う人間を風紀委員会にするわけないんじゃねぇの?」

 

八幡は正論で言い返す。

 

「ウィードのお前如きが、風紀委員が務まるわけがないだろ!」

 

「一応俺、風紀委員なんだけど…禁止用語は拘束対象になるんだが…」

 

八幡は曲がりなりにも風紀委員会の一員である。禁止用語を堂々と使う森崎に対して明らかに優勢である。

 

「脅しているつもりか?ウィード如きが俺を拘束できると思っているのか?!」

 

八幡は森崎が掴んでいる胸ぐらを解き、通信ユニットを取り出し報告する。

 

「えっと…こちら比企谷です。禁止用語を堂々と使い、胸ぐらを掴まれたので暴力行為とみなし拘束します」

 

八幡は適当な説明をして、森崎を重力強化を軽く掛けて森崎を押し倒して腕を掴み捕縛した。

 

「なんのつもりだ!比企谷!」

 

「暴力行為、禁止用語を使用の為拘束しただけだよ…頼むから大人しくしててくれないですかね…」

 

あれ?拘束したらどこに連れて行くんだっけ?普通に風紀委員の仕事してる辺り社畜真っしぐらですね…

 

再び通信ユニットを取り出して連絡をする。

 

「比企谷です…拘束したらどうしたらいいんでしたっけ?場所は…」

 

八幡は自分の現在地を言って誰かが来てくれるのを待つことにする。

 

「お前風紀委員なのにそんなことも知らないのかよ!さすがウィードだな」

 

森崎は強気で八幡に言うが、拘束されて身動きを取れないでいる。

 

「いや…お前今の状況わかってる?」

 

八幡は少し呆れていた。

少しすると摩利がやって来た。

 

「まさかお前が真面目に仕事するとは思わなかったよ…って森崎か、まだ懲りてないようだな」

 

摩利は森崎を睨みつける。

その瞬間、ようやく森崎は事態を理解して恐怖感で顔が引きつっていた。

 

「比企谷、こいつは私が話をしておく。巡回に戻っていいぞ」

 

「うっす」

 

八幡は摩利後の処理は任せてその場を去る。

 

「あっ、拘束したらどこに連れて行くか聞くの忘れてた…」

 

八幡は去ってから場所を聞くのを忘れてたことを思い出したが、もうないだろうと思い歩いていた。

 

「八幡さん!!」

 

深雪が大慌てでやって来た。

 

「えっ?何?どうしたの?」

 

八幡は深雪にいきなり大声で呼ばれる。

 

「大声を出してしまい申し訳ありません。巡回中ですか?」

 

「そうだけど…?」

 

「本当はお兄様にお願いしようと思ったのですが…」

 

ならお兄様にお願いしてくれないですかね…

 

「聞くだけなら聞いてやるぞ」

 

「私と同じクラスの光井さんと北山さんって覚えてらっしゃいますか?」

 

確か…校門前の時にいた奴らだったっけ…?

 

「お、おう」

 

「お昼会長が成績上位者が部活勧誘の標的になるって言っておられたので少し心配で」

 

ああ…なるほどそう言うことですか…ってこの流れアレですよね…

 

「もし何かあれば助けて上げて貰えませんか…?」

 

こうなりますよね…

 

「仕事の内だからな、もし見かけたら対処しておく…」

 

「ありがとうございます!では私はこれで戻りますね!頑張って下さいね」

 

深雪はそう言って去って行く。

 

「はぁ…」

 

校舎から出てみるとお祭り騒ぎどころではないぐらい人で溢れかえっていた。

 

「ぼっちにはキツい仕事だな…」

 

 

すると通信が入る。

 

 

『我だ、危険魔法使用者を一名逮捕した。今から連行するっ!!」

 

材木座は張り切って頑張っているようである。

 

「バイアスロン部だ!とられた!!」

 

大声で誰かが叫んでいた。

八幡の目の前をスケートボードの二人組が新入生らしき人達を抱えて通り過ぎて行った。

 

「八幡さん助けてーー!」

 

八幡が新入生らしき人に呼ばれたので見てみると先程深雪が懸念していた、ほのかと雫が抱えられていた。

 

「……」

 

八幡は深雪に頼まれているとはいえ、大丈夫だろうと思っていたのだが…

校内から出てすぐに二人が連れ去られているとこを見てしまい絶句する。

 

「助けないと氷像になりそうですよね…小町達にも言われたら俺の立場が…」

 

八幡は少し出遅れたが、すぐに追いかける為、慣性中和魔法と移動魔法を展開させて追いかける。さすがにスケートボード相手にはすぐには追いつかない。

 

「風紀委員が来たか、てか走って追いついてるとか何者っ?」

 

誘拐犯の一人が驚いている。

 

「八幡さん!」

 

「八幡さんどうやってそんなに早く走ってるの?」

 

ほのかは涙目になっていたが、追いかけてきた八幡を見て笑顔になり、雫は冷静に八幡に問いかける。

 

「そろそろしんどいんだけど…とりあえず止まってくれませんかね…」

 

八幡がそう言うが誘拐犯達は聞く耳を持たないむしろ楽しんでいるようである。

 

「これならどう?」

 

そう言って誘拐犯の一人がCADを取り出し魔法を発動しようとするが八幡は即座に反応し術式解体で魔法の発動を防ぐ。

 

「なんなのよあの子!!」

 

魔法を発動しようとした誘拐犯が少し怒り気味で文句を言う。

 

「少々強引かもしれないが…仕方ないですよね…」

 

八幡は減速魔法を使いスケートボードの車輪を一気に停止させた。

 

「おおっ!」

 

「まかせて!」

 

車輪は止まり誘拐犯達は前のめりになるが、誘拐犯の一人が魔法を使った瞬間、下から風が吹き上げて誘拐犯達は飛んだが、八幡はほのか、雫、誘拐犯二人に魔法を放つ。

 

先に設置型領域干渉を使用して相手の魔法を無力化し風を止めた。

重力強化の逆の効果である重力弱化を使用して四人にかかる重力加速度を弱めた。

 

「えっ?落ちない?」

 

「まるで無重力」

 

ほのかと雫は驚いている。

 

「何したのあいつ?」

 

「浮いてる…?いや少しずつ落ちてる…」

 

誘拐犯二人も驚いている。

そしてゆっくりと四人は地面に降りてくる。

 

「えっと…過剰な勧誘は禁止行為なんで、先輩方同行お願いします」

 

八幡は二人に同行するように告げる。

 

「お前達はバイアスロン部のOGの風祭に萬屋か!」

 

すると摩利が八幡達の元へやって来た。森崎はもう解放したようである。

 

「久しぶりだな摩利!」

 

萬屋が摩利に悪ぶれもなく挨拶する。

 

「比企谷、よくこの二人を止めれたな」

 

摩利は少し驚いてるが、八幡を賞賛する。

 

「なんなのよこの子!ってその子二科生じゃない!」

 

風祭が八幡を見て驚く。

 

「今年の新入生の風紀委員は二人とも二科の生徒だ。腕がいいだろ?ちなみに比企谷は陽乃さんのお気に入りだぞ?」

 

摩利は二人に告げる。

 

「は、陽乃のお気に入り??」

 

二人の表情が強張る。

 

魔王はここでも魔王をしてたんですかね…

 

「とりあえずお前達に話を聞く必要がある、ついてこい!」

 

そう言って摩利がOG二人を連れて行った。

 

 

 

「八幡さんありがとうございます!」

 

「八幡さんありがとう」

 

ほのかと雫はお礼を言う。

 

「仕事の範疇だ、気にすんな」

 

八幡はそっぽ向いて答える。

 

「八幡さんさっきの魔法は何?領域干渉はわかったんだけど」

 

雫は八幡の使った重力弱化について問いかける。

 

「……加重系統魔法だが?」

 

「八幡さんのオリジナル?」

 

八幡は詳細を言わずに答え、それに対して雫はさらに追求する。

 

「開発は材木座だけどな、俺はそれを使ってるだけだ」

 

八幡は基本材木座に任せているのであやふやな説明をするよりかは軽く説明するように心掛けている。

 

「あんな魔法見たいことない…八幡さんってなんで二科生なの?」

 

雫が問いかける。

 

「八幡さんは入試の時にわざと無駄な工程をいくつか増やしてたんですよね?」

 

いきなりほのかがハイテンションで横槍を入れて来た。

 

「えっ?」

 

「あっ…なんでもないです忘れてください…」

 

ほのかは顔を真っ赤にして俯いてしまう。

 

「光井が言っていることであってるが…なんで知ってるんだ?」

 

八幡は手を抜くために試験の時、工程数をわざと増やして魔法発動速度などを遅らせていた。それがほのかに見られていたようだ。

 

「いや…その…工程数を無駄に増やしているのに凄く自然で綺麗な魔法だったんで…」

 

ほのかは恥ずかしがりながら答える。

 

「綺麗なのか?」

 

「はい!」

 

八幡は理解できていないが問いただす気もなかったのでそのままスルーすることにした。

 

「私、バイアスロン部に入りたい」

 

雫がいきなりそう言いだした。

 

「えっ?」

 

ほのかはびっくりしたのか雫の方を見る。

 

「なら入ればいいんじゃねぇの?」

 

「ほのかも一緒なら」

 

何この子百合百合したいんですか…

 

「うーん…雫が入りたいならいいよ!」

 

ほのかは少し考えるが雫の提案を了承する。

 

「八幡さんバイアスロン部まで連れてって」

 

「えっ?やだよ…」

 

「風紀委員でしょ?また何処かに連れ去られるかもしれない」

 

軽く雫に脅される八幡。

 

「はぁ…ついていくだけだからな」

 

八幡は深雪に頼まれているのもあり、連れていくことにした。

 

「八幡さん、あの雪ノ下陽乃さんのお気に入りって本当?」

 

雫が先程、摩利が言っていたことを聞いていたみたいである。

 

「お気に入りっていうか…遊ばれてたというかだな…俺もよくわからん」

 

「私達と同じクラスの雪ノ下雪乃さんって妹でしょ?あの人も凄い人なのかな?」

 

ほのかが雪乃に少し興味を持っている。

 

「凄いんじゃねぇの?知らんけど」

 

「雪ノ下陽乃さんは別格だと思う。去年の九校戦のアイスピラーズブレイクの本選の決勝で使った<紅炎( プロミネンス)>は特に凄かった」

 

雫は少しテンションが高いようで得意気に話している。

 

「あれは凄かったね!」

 

プロミネンスって…名前からして恐ろしいですね…

 

「何が凄いって一年生の頃からアイスピラーズブレイクで自陣の氷柱を二本以上倒されたことがないこと」

 

雫のテンションが上がっていく。

 

「それにほとんどの試合を一分以内に終わらせる圧倒的な力は最大の魅力で<紅炎( プロミネンス)>を使った時の試合時間九秒だった」

 

あの人やっぱり化物だったんですね…

 

「そんなすごいんだな、知らなかった」

 

「八幡さん知り合いじゃないの?」

 

雫が今までのテンションじゃない勢いで八幡に詰め寄る。

 

「知り合いだけどあんまりそういうことは知らないんだよ…」

 

「一回でいいから会ってお話してみたい」

 

雫はどうやら陽乃のファンのようである。

 

「あの人のことだからその内此処に来そうな気するけど…」

 

今その辺歩いててもあの人なら違和感なさそうですからね…

 

話しながら歩いていると、バイアスロン部の所についていた。

 

「じゃあ俺は巡回戻るわ」

 

「八幡さんプライベートナンバー教えて」

 

雫が八幡に連絡先を聞いた。

 

「えっ?」

 

「また何かあった時用に」

 

「ない方がいいんだが…」

 

八幡は端末を取り出し、雫と連絡先を交換する。

 

「わ、私もお願いします!!」

 

ほのかも顔を真っ赤にして聞いてきた。

 

「お、おう」

 

二人と連絡を交換し、八幡はその場を後にする。

 

 

『司波です。第二体育館で逮捕者一名、負傷していますので、念のため担架をお願いします』

 

怪我させてるよ…お兄様…

 

八幡は心の中で突っ込みを入れて、第二体育館が近くだったので達也の様子を見にいくことにした。

 

 





森崎は少しずつ…少しずつです!w

優等生ネタは使いたかった…!

設置型領域干渉ですが、一部の空間に領域干渉を設置する感じだと思ってください…!
八幡がバイアスロン部のOGを追いかけていた慣性中和魔法と移動魔法は自己加速術式よりも早いと思ってください!
重力弱化については重力強化の反対の効果だと思ってください!


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材木座はヘマをする。

誤字報告ありがとうございます!
前回脱字がかなりありました…
ご指摘していただいた方ありがとうございます!
修正しておきました!




ではどぞー!


第二体育館へやって来た頃には達也が事後処理を終わらせていた。

 

「八幡か、お前の通信が一番初めだったのには驚いたぞ」

 

達也は八幡の姿を見るなり話しかけて来た。

 

「アレだ…森なんとかさんだよ」

 

「森崎か、随分と気に入られたみたいだな」

 

「あいつに気に入られても碌なことがないんだが…」

 

八幡はあからさまに嫌な顔をし達也に返事をする。

 

「今日はそろそろ終わりか、俺は桐原先輩を保健室まで連れていく。その後、事後報告に部活連本部まで行くがどうする?」

 

部活連本部に連れて行けばよかったんだな…

 

「なら先に行ってくるわ、俺も一応報告しないと行けなさそうだから」

 

八幡は一足先に部活連本部へと辿り着いた。

そこには一高の三巨頭と言われる、七草真由美、渡辺摩利、そして巌の様な男、十文字克人がいた。

 

「ハチくんお疲れ様、摩利から聞いたわよ。大活躍だったみたいね」

 

真由美が一番に口を開き八幡を褒める。

 

「どうも」

 

「ご苦労だ、比企谷。森崎とOG達に関しては私の方からキツく言っておいた」

 

摩利は八幡に連れて行った二組の説明を受ける。森崎に関しては次は停学処分になってもおかしくない。

 

「うっす」

 

「お前が比企谷か、話は聞いているぞ。部活連会頭の十文字克人だ」

 

聞き役に回っていた克人が八幡に話しかける。

 

「比企谷八幡です」

 

八幡は一言で克人に自己紹介を済ませる。

 

「これから色々あると思うが、お前の活躍を期待している」

 

「そんなに期待されても困るんですけどね…」

 

八幡は本音をこぼす。

 

「とりあえず、OGの件について事情を説明してもらえるか?」

 

八幡はほのかと雫が連れ去られていた事を告げてどうやって止めたかまで詳しく事情を説明した。

 

「今後OGに対する対策も考えねばならないな」

 

「そうね」

 

克人の一言に真由美が答える。OGによる勧誘は今までどうであったかはわからないが、今後対策される様である。

 

「材木座義輝ただいま帰還いたしました!」

 

元気よく材木座が入って来た。

 

「お疲れ様です。材木座くん」

 

「ご苦労だ、材木座」

 

真由美と摩利は材木座に労いの言葉をかける。

 

「お前が辰巳が言っていた材木座か、部活連会頭の十文字克人だ」

 

辰巳から話を聞いていた克人は材木座に話しかける。

 

「じゅ、十文字殿!お疲れ様であります!」

 

材木座は克人がこの場にいることに驚いている。

 

材木座は辰巳先輩と何があったんだ…?

 

八幡は疑問を抱いているが本人には絶対に聞かない。

 

「さて、材木座お前も事情を説明してくれるか?」

 

材木座もいくつか危険な現場に出くわしたらしく、事情を説明した。

 

「そうか、お前も中々やるみたいだな。残るは達也くんだな」

 

摩利が達也の帰りを待つ。

 

「今年の新入生の風紀委員は本当に優秀ね」

 

「そうだな、お蔭で私も楽ができる」

 

俺も楽したいんですけど…寧ろ風紀委員休みたいんですけど…

 

「失礼します」

 

すると達也が部活連本部にやって来た。

 

「達也くん、ご苦労様」

 

「ご苦労だ、達也くん」

 

真由美、摩利が達也に労いの言葉をかける。

 

「達也くんの所が一番問題だったな、説明してくれるか?」

 

「はい」

 

達也は全員に事の経緯を説明する。

剣道部の新歓演武に剣術部が乱入し、主将の桐原が高周波ブレードを使ったので、それを止めたらそのまま剣術部の人間と乱闘になったと言うものだった。

 

「それにしても十人以上を相手にして良く無事だったね」

 

「正確には十四人か、さすがは九重先生のお弟子さんというとこかな」

 

真由美と摩利は達也を賞賛する。

 

「当初の経緯は見ていないのだな?」

 

「はい、桐原先輩が挑発したという剣道部の言い分も、剣道部が先に手を出してきたと言う言い分も確認しておりません」

 

達也は淡々と答える。

 

「最初手を出さなかったのはその所為かしら?」

 

「危険と判断すれば介入するつもりでした、打ち身程度で済むなら当人同士の問題だと」

 

真由美の問いに達也は答える。

 

「その程度のいざこざを風紀委員で止めるのは人員的に足りない、それにその辺は本来は部活連の管轄だからな」

 

勧誘時のトラブルは原則的に部活連の管轄であり、風紀委員は魔法使用に対するトラブルを専門としていが、魔法使用以外も対応することが多いがこういう時にはそれを盾にできる。

 

「それで桐原はどうした?」

 

「桐原先輩は鎖骨が折れていたので、保健委員に引き渡しました。その際に、非を認めていたのでそれ以上の措置は必要ないと判断しました」

 

鎖骨折っちゃったの?お兄様怖い!!

 

「そうか、保健委員にはめぐりも今年から参加してくれている、すぐ治療は終わるだろう。達也くんがこう言っていることだ、風紀委員としては今回の件は懲罰委員会に持ち込むつもりはない」

 

摩利が十文字に告げる。

 

「寛大な決定に感謝する。高周波ブレードなどという殺傷性の高い魔法を使ったんだ、怪我人が出ずとも本来は停学処分はやむを得ないところ。それは本人もよくわかっているだろう。よく言い聞かせておく」

 

克人は感謝の意を示した。

 

「頼んだぞ」

 

三人は報告を終えて、部活連本部を後にする。

 

「先行っててくれ」

 

八幡は材木座と達也にそう告げてその場に立ち止まる。

目の前には葉山隼人が立っていた。

 

「八幡待ってるぞ?」

 

達也は葉山を睨みながら八幡に伝える。

 

「問題にはならないから大丈夫だ…あいつはそれほど馬鹿じゃないからな」

 

「わかった…」

 

「小町達にも内緒にしててくれよ」

 

八幡はこの件が小町、水波、深雪にバレるのは良くないとおもい、達也に口止めをする。

 

「はぁ…待ってるからすぐ来いよ」

 

達也は諦めて先に行くことにした。

 

「我は残るであるぞ!」

 

「お前も早くいけ…」

 

達也は材木座を連れてその場から立ち去る。

 

「比企谷、風紀委員会に入ったんだね。凄いじゃないか」

 

「お前に言われると嫌味にしか聞こえないんだが…何の用だ」

 

八幡は葉山に問いかける。

 

「君が風紀委員に入ったって聞いたからね」

 

「応援にでも来てくれたのか?」

 

八幡は葉山に嫌味な感じで問いかける。

 

「比企谷、あまり調子に乗るなよ…」

 

「そうかよ」

 

八幡はイラつく葉山に軽く答える。

 

「まぁいいさ。それと材木座くんが最近ちょろちょろしてるみたいだけど、何か知っているかい?」

 

材木座がヘマしたのか…?

 

「何のことだ?」

 

「しらばくれるのか…知らないならいいさ、彼が今調べていることは一般人が手出ししていいものじゃないからね。もしかしたら死ぬよ材木座くん」

 

死ぬよって…忠告のつもりなんですかね…

 

「材木座はゴキブリ並の生命力があるから大丈夫だろ。それに此処に入学できた奴は一般人じゃないらしいぞ、知らんけど」

 

八幡は材木座はそう簡単にやられる訳はないと思っているので強気で答える。

 

葉山がブランシュと手を組んでいるのか…?

いや、手を組んでるなら雪ノ下だな…

ということは材木座がブランシュの事を調べてるのを掴んだのは雪ノ下か…けどセキュリティ的にバレるのは変なんだが…

それに雪ノ下家がブランシュと手を組んでもあまりメリットはなさそうなんだが…

 

「君は相変わらず最低だな」

 

「お前にだけは言われたくないんだが。それと俺からも言っておく…あんまり俺達に関わるな」

 

八幡は葉山を睨みながら伝える。

 

「それは脅しのつもりかしら?」

 

葉山の後ろから雪ノ下と由比ヶ浜が歩いて来た。

 

「本気で関わらないんで欲しいんだが…」

 

「森崎くんと言ったかしらあの程度の未熟者の魔法師を取り押さえたからって調子に乗らないでもらえないかしら?」

 

「それは悪かったな」

 

八幡は悪気もなく謝る。

 

「ヒッキー自分の立場理解するし!」

 

由比ヶ浜が突然八幡に話しかけて来た。

 

「お前は何様なんだよ…」

 

「はぁ?何言ってんの?ヒッキーはウィードなんだから大人しくしろって言ってんの!」

 

「禁止用語は拘束対象になるんだが…」

 

いや…もう捕まえていいのん?権力万歳ですね。

 

「由比ヶ浜さん、風紀委員の真似事をしている人に関わる必要はないわ」

 

「真似事ではないんだが…」

 

八幡はCADを取り出そうとポケットに手を入れる。

 

「ハチくん!!」

 

真由美が後ろの方から叫んできた。

 

 

「隼人いくわよ」

 

雪ノ下は少し顔を引きつりながらその場から立ち去ろうとする。

 

「雪ノ下さんの真似でもしてるのか?」

 

隼人と呼んだ雪ノ下に対して八幡は問いかける。

 

「黙っててくれないかしら、あの裏切り者と一緒にしないでもらいたのだけど」

 

雪ノ下は八幡を鋭い目つきで睨みつけるが、すぐにその場から立ち去った。

 

「裏切り者か…」

 

八幡はボソッと言葉を漏らす。

 

「ハチくん大丈夫?」

 

「何も問題ないですよ」

 

真由美が八幡の元へやってきた。

 

「CAD取り出そうとしてたでしょ?」

 

「禁止用語は拘束対象になるんで、仕事しようとしてただけですよ」

 

真由美はどのタイミングから見ていたかわからないが、八幡の行動を読んでいた。

 

「随分と真面目に働くのね」

 

真由美は悪戯な笑みで八幡に告げる。

 

「初日なんで少し気合い入ってたのかもしれませんね…」

 

言い訳にしては少し苦しい言い訳をする八幡。

 

「そういうことにしといてあげるわ、生徒会室までエスコートしてくれるかしら?」

 

「エスコートとかしたことないんですけど…」

 

「こうしてくれたらいいのよ」

 

そう言って真由美は八幡の腕に抱きつく。

 

「い、いやそれは流石に不味いと思うんですが…」

 

柔らかい、いい匂い、なんなんだよこれ…

 

八幡は顔を赤くしながら真由美に抗議する。

 

「いいじゃない、もうほとんど生徒いないんだし」

 

「いや…そういう訳ではなくてですね…」

 

「さっきの話、深雪さんに言うわよ?」

 

「それだけは勘弁してください…」

 

八幡は真由美には敵わない。

 

「冗談よ、さて少しお話しましょうか」

 

真由美は笑いながら腕から離れていった。

 

「雪乃さん達は今ある事柄について調べてるみたいよ」

 

「ある事柄ですか?」

 

やっぱりブランシュについて調べてるのか、それで材木座が調べてるのを掴んだってことか…

一回材木座に確認しないといけないな

 

「その件については詳しくは言えないんだけどね、雪ノ下家の次期当主としての初仕事だからどうも気合いが入ってるみたいなの」

 

「そうなんですか…」

 

気合いが入ってるって…

要するに雪ノ下家として、ブランシュを処理するってことなんですかね…

もしかして俺、何もしなくてもいいんじゃないですか…?

 

 

「雪乃さんは主席入学を期待されてたの。でも深雪さんが主席入学したことによって親にキツく言われたんじゃないかしら。雪ノ下家の人達はそういうことはすごく気にするから」

 

家柄的にそうなってしまうのか…?

でも相手が悪すぎるってのがな…深夜伯母さんの娘に敵うわけがない…

 

「次期当主になるなら主席くらい当たり前ってことですか…」

 

「そうね…陽乃さんが主席入学してるのもあるんだけど。今年の新入生は十師族や師補十八家の方もいなかったから余計にね」

 

「雪ノ下家は厳しいんですね」

 

主席は四葉なんですけどね…

 

「雪ノ下家くらい大きいと色々あるのよ、私も主席入学しなかったら狸親父に小言を言われてたわね」

 

狸親父って…俺も真夜伯母さんに言われたからそうなるんですかね…

 

「会長も、大変なんですね。あっ、俺はこっちなんで」

 

「ハチくんまたね、明日からも頑張って」

 

「うっす」

 

真由美はそのまま生徒会室の方へ向かい、八幡は校門へと向かう。

校門前には達也、深雪、エリカ、レオ、美月、材木座が待っていた。

 

「八幡さんお疲れさまです!」

 

「おつかれ〜」

 

「お疲れさまです!」

 

八幡を見つけた深雪とエリカと美月が声をかけてきた。

 

「悪いな、待たせて」

 

「気にすんなよ!それより今から達也の奢りで飯行くんだがどうだ?」

 

レオが八幡に提案する。

 

「奢りなら行くか」

 

お兄様太っ腹ですね!

 

「我も行くぞ!」

 

えっ?やめとこうかな…

 

「小町達にはもう連絡してあるからな」

 

「もう言ってるのかよ…」

 

実は初めから退路を断たれていた八幡であった。

 




久しぶりに葉山達が登場!
材木座がやらかしてしまったようです…(お仕置きが必要ですね)

十文字ともう一人名前だけ登場させました!(気付いてもらえるかな…?)


ようやく原作二巻がスタートしました!w
丁度折り返しですね!(入学編終わるのは40話くらいってことかな…)


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八幡は材木座の実験台。


誤字報告ありがとうございます…!


良いタイトルが思いつかなかった…w




ではどぞー!


 

学校の近くのカフェに入った七人は、入部する部活の話や退屈な留守番の話をしていた。

そして次は風紀委員の三人の話だった。

 

「八幡さん、会長からお聞きしました。光井さんと北山さんのことを助けて頂きありがとうございます」

 

深雪は八幡にお礼を言う。

 

「仕事だから仕方なくだな…」

 

八幡はお礼を言われ少し照れているのか、そっぽ向いて返事をする。

 

「けど助けて頂いたことには変わりありません!」

 

深雪は少し前のめりになり八幡に詰め寄る。

 

「そ、そうだな」

 

「ちゃんと仕事してるのね、少し意外だわ」

 

「エリカちゃんそれは八幡さんに失礼だよ!」

 

エリカが八幡を見ながら話すが、美月が注意する。

 

「それに関しては同意だな、八幡ならサボってもおかしくないからな」

 

エリカの意見に同意したレオ。

 

「そんなことないわよ、八幡さんは真面目な方よ」

 

深雪はエリカとレオに誤解を解こうとする。

 

「最初に通信が入ったのも八幡であったからな、さすがの我も驚いたが…」

 

幼馴染の材木座も少し意外だったようだ。

 

「俺の味方は深雪と柴田さんだけかよ…」

 

味方がいるだけでちょっと嬉しくなるな…

 

「八幡の場合は日頃の行動がいけないんじゃない!」

 

「八幡、俺もそう思うぞ?」

 

マジかよ、お兄様…

 

「達也までそれを言うのかよ…」

 

「いや…俺が捕まえなかったら帰ってただろ」

 

そこまでハッキリ言わなくても…

 

「八幡さんどういうことですか!?」

 

深雪が達也の言葉を聞いて八幡に更に詰め寄る。

 

「いや…ちょっとした冗談じゃないですかー」

 

一色八幡降臨!!久しぶりに使ったな…うん…

 

「お兄様!八幡さんには少しお説教が必要だと思います!!」

 

「そ、そうだな、深雪任せてもいいか?」

 

「お任せくださいお兄様!」

 

「お前ら…」

 

何がムカつくって材木座がずっと頷いているのが一番ムカつくんだが…

 

「八幡さんあちらの席に行きましょうか、ここは皆さんの迷惑になりますので」

 

深雪は素晴らしい笑顔で八幡の横に立ち八幡を連行していった。

 

席を移動した八幡と深雪。

 

「八幡さん!どうしてサボろうなんてしたんですか?」

 

「いやそのアレがアレで…」

 

深雪の勢いに負ける八幡。

 

「しっかりしてください!風紀委員は名誉あるお仕事なんです、そんな覇気のないことでどうしますか!」

 

どうしたらいいんだよ…あいつら笑ってやがる…

 

八幡は達也達のいる席を見るとエリカとレオが腹を抱えて笑っていた。

 

「明日からはちゃんと行きます…」

 

「お兄様を少しは見習ってください!」

 

お兄様も結構不本意だと思うんだが…

 

「そうだな…悪かった」

 

八幡は素直に謝ることにした。

 

「わかって頂ければいいんです…それに八幡さんは私のお願いをちゃんと聞いてくださいましたし…」

 

深雪は少し赤くなり八幡に言う。

 

「い、一応、仕事の範疇だったからな、仕方なくだ」

 

氷像になるのは嫌だったからなんて言えない八幡。

 

「先程、八幡さんは何故遅れていたのですか?」

 

「達也から何も聞いてないのか?」

 

八幡は達也がなんて言い訳していたのか聞いていないので答えに困り、聞いてみた。

 

「少し遅れるとしか聞いてないので…それにお兄様も八幡さんをどこか心配してる様子でしたので」

 

「ちょっと葉山がいたから話していただけだ…」

 

変な言い訳は通用しないと思い、八幡は正直に深雪に話すことにした。

 

「またあの方ですか?八幡さんに何か失礼なことを?」

 

深雪が怒り、手に持っていたカップが凍り始める。

 

「お、落ち着けって…葉山一人だったから問題ない、風紀委員に入ったのがどうやら気に食わなかったらしいからな」

 

 

八幡はブランシュの事を深雪には伝えていないので、嘘をついた。

 

「そんなことで…森崎くんでしたか?あの人にも何か言われたと聞きましたが…」

 

深雪の元にも、森崎の情報も入っていたようだ。

 

「森なんとかさんについてはちゃんと対処したから大丈夫だ。葉山に関しても特に問題はなかったから安心してくれ」

 

「ならいいのですが…」

 

納得がいかない様子の深雪。

 

「その…心配かけて悪かったな、サンキューな」

 

八幡は深雪の頭を撫でる。

 

「八幡さん…」

 

深雪は頭を撫でられ顔を真っ赤にする。

 

「わ、悪い…」

 

お兄ちゃんスキル発動してしまった…お兄様に殺されるかも…

 

そう言って深雪の頭からすぐ手を離し、達也を見ると微笑ましくこちらを見ていた。どうやら怒ってはいないようだ。少し気まずくなる八幡。

 

「心配するのは当たり前です…あまり無理はしないでくださいね?」

 

深雪は顔を赤くし、俯きながら話す。

 

「無理はしない…むしろしたくないからな」

 

むしろ働きたくないでござる!

 

「でもサボりはいけませんよ?」

 

「善処します…」

 

 

その一方で達也達はその光景を見ながら話していた。

 

「説教してたんじゃなかったのか?」

 

レオが深雪の頭を撫でている八幡を見ながら問いかける。

 

「達也くんいいの?深雪取られちゃうよ?」

 

エリカか悪戯な笑みを浮かべ、達也に問いかける。

 

「どういうことだ?深雪も八幡に懐いてるからな、良いことだと思うぞ?」

 

達也は二人の光景を見ながら、深雪と八幡を見て少し嬉しい気持ちになっていた。

主に、深雪に自分以外にも心を許せる人ができたという嬉しさが大きかった。

 

「まるでカップルみたいですね…」

 

美月は顔を赤くしながら二人を見ている。

頭を撫でられ赤くなってる深雪と優しい表情で頭を撫でる八幡。

 

「悪ふざけはその辺にしろ、八幡がこっちに気づいたぞ?」

 

達也は八幡が見られていたのに気づいて少し気まずい顔になっているのを見て伝える。

 

「深雪、顔真っ赤じゃない」

 

エリカが深雪を楽しそうに見ている。

この後八幡と深雪が戻り、達也のキャストジャミング講座が始まり、全員が関心して聞いていた。

達也が偶然見つけた、二つのCADの同時操作によるキャストジャミングの応用の『特定魔法のジャミング』これにより、桐原の高周波ブレードを無効化した。

 

「新しい魔法を理論的に編み出したってすごいことじゃない?」

 

エリカが少し呆れた感じで告げる。

 

「オリジナルの魔法なら材木座の方がすごいと思うぞ?」

 

達也は空気になっていた材木座に声をかける。

 

「そうなんですか?」

 

美月が材木座の方へ向き問いかける。

 

「我はそういうのが昔から好きでな、色々実験しながら楽しんでおるのだ!」

 

「実験って自分でしてるの?」

 

エリカは材木座に問う。

 

「我ではない、主に八幡で試しておる!」

 

その瞬間、深雪以外が八幡に軽く同情した。

他にも小町や水波や亜夜そして真夜までもが犠牲になることが稀にある。その後は容赦なく怒りの鉄槌が材木座に下る。

 

「八幡の方が色々と試しやすいのでな、助かっておる!」

 

「人聞きの悪いこと言ってんじゃねぇよ…」

 

八幡が材木座に少し呆れた感じで話す。

 

「材木座さん、どういうことですか?」

 

深雪は材木座を冷たい眼差しで見つめながら問いかける。

 

「いや…そのですね…八幡がしていいって言ったからです」

 

材木座は普通に答えた。

 

「そうなんですか?八幡さん」

 

「小町達を実験台にさせるわけにはいかないからな…」

 

昔それで小町を泣かしやがったんだよな…あの時は本気でキレた。うん。

 

「まさか…小町ちゃん達にもその様なことを…」

 

深雪は材木座の実験台に小町使っていたことに驚く。そして真夜達から洗礼を受けていたことを内心理解した。

 

「けど最近は、実用性はあるかはわからんがちゃんとした魔法を作ってるぞ。ネーミングセンスだけが未だに変わらないんだが…」

 

「ちなみにどのようなものが…?」

 

美月が恐る恐る材木座に問う。

 

「例えば…幻紅刃閃( ブラッディナイメアスラッシャー)とかだな」

 

八幡が一つだけ例にあげる。

これは実際材木座が使う魔法である。

 

「す、すごく個性的なネーミングセンスですね」

 

美月は少し顔が引きつっているような感じがするが、笑顔を作り返事をする。

 

「ねぇねぇ!材木座くん私になんかCAD作ってくれない?遊び用でもいいからさ!」

 

エリカが遊び半分で材木座に頼んだ。

 

「どういうCADがいいのだ?」

 

「武装一体型で日本刀がいいかな?遊び用で使いたいから」

 

遊び用で日本刀ってどういうことなんですかね…ちょっと人殺してくるとか言っちゃうの?

 

「ほむん!我に任せておけ!」

 

材木座がエリカのCADを作ることが決まった。

 

この後レオにもCADを作ることになり、材木座の実験の犠牲者が二人増えたのは後にわかることである。

この後他愛もない話をして解散となる。

 

「八幡、今日はこっちの家にこないか?」

 

達也は八幡に自宅に来るように提案する。

 

「少し、調べたいことがあるからな…今日はやめとくわ」

 

八幡はその提案を断る。材木座がヘマをした理由を調べなければならない。

 

「何かあったのか?」

 

達也は勘付いていたのか八幡に問いかける。

 

「材木座がヘマをしたかもしれん…」

 

達也にしか聞こえないくらいの声で八幡は告げる。その瞬間、達也の表情が強張った。

 

「俺も協力するぞ?」

 

「深雪のことはどうするんだよ…」

 

深雪のことを放っておくわけにはいかない。

 

「そうだな…なら八幡の家に行ってもいいか?俺も協力させてくれ」

 

達也は八幡に協力したいと告げる。

 

「深雪には上手く言ってくれよ…俺は水波に連絡をしとくから」

 

達也は深雪の元へと行ったので、八幡は水波にメールを入れた。

 

 

家に帰った八幡達は、少しリビングで全員と雑談し、男三人で地下の工房に集まっていた。

 

「それでどういうことだ?」

 

工房へつくなり達也は八幡に問いかける。

 

「材木座…お前、ブランシュの件調べてること雪ノ下達にバレてるぞ…」

 

八幡は材木座を見ながら伝える。

 

「ど、どういうことであるか?我のセキリュティは万全であるぞ?雪ノ下嬢が割って入れるほどヤワではないのだぞ?」

 

材木座は慌てて弁解する。

 

「やはり何か言われていたんだな」

 

達也は予想が的中していたようである。

 

「ブランシュの件を雪ノ下家が処理しようとしてるみたいだな」

 

八幡は真由美に聞いたことを話す。

 

「だが、何処でバレたんだ?」

 

達也は疑問に思う。四葉が管理するネットワークを他の十師族ですら看破出来ないのに、雪ノ下家が看破出来るはずがない。

 

「材木座ここ以外でブランシュについて調べたか?」

 

「昨日だな、本邸から自宅へ帰った時に調べていたぞ?」

 

昨日四葉本邸から帰ってきた時に材木座は家に久しぶりに帰っている。

 

「お前の家は大丈夫なのか?」

 

「ここほどではないが、かなりのセキリュティであるぞ?」

 

「確かお前の家マンションだったな…」

 

八幡は少し思い当たるところがあるようだ。

 

「マンションがどうかしたのか?」

 

「雪ノ下建設が建てたマンションか調べられるか?」

 

八幡は少し懸念していた。

雪ノ下建設が建てた建物なら何か細工がしてあってもおかしくはない。

材木座が住んだことは偶然であるのだが、情報を集める為に、建物に細工をすれば色々な情報が得られる。

情報はかなりの武器になる、もしそうであれば雪ノ下家の情報量はかなりの物になりそうだ。

 

「俺が調べよう。材木座、端末を借りるぞ。マンションの名前はわかるか?」

 

八幡は材木座のマンションの場所を教え、達也は端末を操作して情報を集める。

 

「我は…」

 

材木座は落ち込んでいる。もし今回が材木座の失態なら、今までで一番の失態である。

 

「四葉の情報は向こうでは扱ってないな?」

 

「それは徹底しておる…」

 

八幡は材木座に問いかけ、四葉の情報はマンションでは扱っていないようだ。

比企谷家以外では扱わないように真夜からキツく言われている為、守っている。

 

「わかりにくいが、雪ノ下建設が関わってる確率が9割はあるな」

 

達也は調べ終わり、八幡達に告げる。

確信ではないが9割ならほぼ確定的である。

 

「マンションに細工がされているのか…」

 

「その可能性が高いな。材木座、ブランシュの情報は何処まで調べていたんだ?」

 

達也が材木座に問いかける。

 

「アジトの場所は大方絞っておったぞ、構成員にはまだ辿り着けてはないがな…」

 

つまり雪ノ下達にブランシュのアジトの場所がバレた可能性が高い。

 

「四葉の情報が出回ってたらやばかったな…」

 

八幡は四葉の情報が漏れてないことに少し安心する。

 

「だが、どうするんだ?このままブランシュを俺達が処理してしまうと色々厄介になりそうだぞ?」

 

達也は最悪のことを想定して考えている。

 

「雪ノ下達が処理してくれるのを待つか…?」

 

八幡は提案する。

 

「それが一番いいが、真夜叔母上には説明しないといけないと思うぞ…?」

 

八幡は真夜からのお願いで動いている。

ゴミ掃除は八幡が小町の為にやることであるが、提案してきたのは真夜である。

命令であれば、四葉としての仕事として雪ノ下家など関係なく処理しなければいけないが、今回はお願いである。

伯母からお願いであって当主としての命令じゃない限り静観するのも一つの手である。

 

「そうだな…とりあえず母ちゃんに相談するしかないか…」

 

「亜夜叔母上から言ってもらったほうがいいだろうな、材木座もそれでいいか?」

 

達也は材木座に確認をとる。

 

「うむ…今回は我の失態である…」

 

材木座はかなり凹んでいて、ハイテンションないつもの姿が見る影も形もない。

 

「母ちゃん呼んでくるわ…」

 

八幡は重い腰を上げて亜夜を呼びにいく。

 

 

 

 

 





材木座が失態をしてしまいました。
雪ノ下家の情報量は、中々ありそうな感じですね。
バレたらすごいことになりそうですがw


ふと最近気付いたことが一つ…
俺ガイルの原作で、川なんとかさんがバイトしてた件について…
高校時代をそのまま中学にもってきているこの作品ですが…
中学生が朝帰りってバイト設定はキツいと気付いてしまいました(何か早急に考えないと)





次回!材木座死す!!(嘘ですごめんなさい)


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八幡達は今後の方針を決める。

誤字報告ありがとうございます!!
毎度ありがとうございます!!



ではどぞー!


八幡に呼ばれた亜夜が地下の工房へと降りてきた。

 

「話があるってどうしたのかしら?」

 

亜夜は笑顔で表情で問いかける。

 

「そのアレだ、材木座がヘマしたっぽい…」

 

八幡が亜夜に告げる。その瞬間亜夜の顔から笑顔が消えた。

 

「八幡どういうことかしら?ちゃんと説明してくれるんでしょうね?」

 

亜夜は八幡に説明を求める。

 

「雪ノ下達にブランシュのことを調べてるのが多分バレたんだよ」

 

「多分とはまだ確定ではないってことですか?」

 

「ほぼ確実と言っていいでしょう。材木座の住んでいるマンションが雪ノ下建設が関わっているので」

 

八幡の説明不足を達也が補足する。

そして八幡達は事の経緯を説明した。

 

「つまり、義輝ちゃんが自宅でブランシュの件についてハッキングしてた情報が漏れたと?」

 

「そうなります」

 

亜夜は状況を理解できたか問いかけ、達也が肯定する。

 

「四葉に関しては何か漏れた訳ではないんですね?」

 

亜夜は材木座を見て問いかける。

 

「材木座は大丈夫だと言ってるからそこは大丈夫だろ」

 

「義輝ちゃんに聞いてるのよ?八幡は少し黙ってなさい」

 

八幡が代わりに答えたが、亜夜は八幡を制し材木座を再び見る。

 

「それは大丈夫です…四葉関連はここ以外では調べてないです…」

 

材木座が泣きそうになりながら答える。

 

「はぁ…それならまだいいわね、それで貴方達はどうするのかしら?」

 

再び八幡と達也を見る亜夜。

 

「真夜伯母さんに相談して、少し静観した方がいいと思ってるんだが」

 

「真夜姉さんにね…」

 

亜夜は少し浮かない顔をする。

 

「雪ノ下家がブランシュの件に首を突っ込んでいる状況で、俺達が対処するのは少々リスクがあるかと…」

 

「そうね、四葉だと名乗ってるなら関係ないんだけど。秘密裏に処理するのは難しいわね」

 

達也の提案に亜夜は賛同する。

 

「小町がなんとかしようか?」

 

「お兄様、八幡さん今の話はどういうことですか?」

 

「奥さま、八幡さま、達也さま申し訳ありません…」

 

小町と深雪そして頭を深く下げた水波が工房の入り口に立っていた。

 

「貴女達…待ってなさいと言ったでしょ?」

 

亜夜が少し呆れた感じで三人に問いかける。

 

「お兄ちゃんがお母さんに用事があるなんて珍しいからね、それにさっきから様子変だったし」

 

「お前ら…」

 

八幡も呆れた感じで三人を見る。

 

「今の話は本当なのですか?」

 

深雪は心配そうな表情で問いかける。

 

「本当よ、でも問題ないわよ今のところはね。むしろ雪ノ下家の秘密を握れた訳だし、結果的にはよかったのかもしれないわね」

 

亜夜は深雪の問いに答える。

 

「お母さん、あの人達の記憶改竄をしたらいいんじゃないの?それなら穏便にことが進むと思うんだけど」

 

小町が亜夜に提案する。

 

「ダメよ、小町の力を借りる時はあくまで最終手段よ」

 

亜夜は小町提案を却下する。

 

「とりあえず、八幡と義輝ちゃん以外は上に戻ってなさい」

 

亜夜は八幡と材木座以外はこの場から立ち去れといい、達也以外それに従い上に戻る。

 

「達也、貴方もよ?」

 

亜夜は動こうとしない達也に問う。

 

「ですが…俺も協力したいんで…」

 

達也は協力すると言った以上この場から離れたくないと思っている。

 

「命令よ?言うことを聞きなさい」

 

亜夜は冷酷な表情を作り、達也に命令する。

 

「…失礼しました」

 

達也は深く頭を下げた。

 

「すまない…」

 

達也は八幡にボソッと謝りその場を去る。

 

「母ちゃん今のは言い過ぎなんじゃねぇの?」

 

八幡は亜夜に問いかける。

 

「達也をこの場から離れさせる為よ」

 

亜夜はいつも通りの表情に戻り、八幡に答える。

 

「そういうことですか…」

 

「とりあえず状況は理解したわ、けど真夜姉さんに報告する意味がわかってるわね?」

 

亜夜は八幡に再確認の意味を込めて問いかける。

 

「わかってるよ…」

 

八幡と材木座には少し特別な事情がある。

 

「すまぬ八幡…」

 

材木座は八幡に謝る。

 

「こういう時は仕方ないだろ…とりあえず真夜伯母さんに繋げてくれ」

 

八幡は材木座に指示を出す。

 

「うむ…」

 

材木座は四葉本邸へ、秘匿回線を使い連絡を取る。

そして、大型ビジョンに真夜が映し出された。

 

「どうしたのかしら?秘匿回線なんて珍しいじゃない」

 

真夜は通信が繋がった瞬間に問いかける。

 

「真夜姉さん、少し話があるの。時間大丈夫?」

 

亜夜が真夜に問いかける。

 

「大丈夫よ、あまり良い話ではなさそうね」

 

「八幡、後は貴方が説明なさい」

 

「わかった」

 

亜夜は八幡に話を振り、八幡は真夜に事情を説明する。

 

「状況は把握しました。それで八幡さんは責任を負う覚悟はありますね?」

 

真夜は八幡に告げる。

責任を負う覚悟…つまり材木座のミスを八幡が責任をとるということである。

八幡と材木座は7歳の時に、真夜との約束で材木座を四葉に出入りさせる為、もし材木座が何かした時は八幡が責任をとるように真夜から言い渡されている。

7歳からの約束で今回初めて材木座がミスらしいミスをしてしまった。

この約束を知っているのは、八幡、材木座、真夜、亜夜、葉山の五人しか知らないことである。

現段階では、材木座は四葉の技術者としてかなりの功績を収めている為、真夜は材木座を連れてきた八幡には感謝しているが、約束を有耶無耶にする訳にはいかない。

 

 

 

「はい…」

 

「なら、静観するだけではいけないでしょ?」

 

真夜は悪戯な笑みを浮かべ八幡に問いかける。

 

「なんとかして対処します…」

 

「伯母として、一つヒントをあげます。第一高校には十文字家と七草家のご子息とご令嬢がいますわよ」

 

真夜は八幡にヒントを与える。

 

「……わかりました」

 

八幡は少し言葉に詰まるが、返事を返す。

ヒントで真夜が言いたいことを理解した八幡。

 

「それで今回の義輝さんの件に関しては不問にしてあげるわよ」

 

「ありがとうございます…」

 

八幡は頭を下げる。

 

「雪ノ下家の情報については、お手柄ね」

 

「それに関してはどうしたらいいですかね?」

 

八幡は真夜に問いかける。

 

「こちらで少し調べてみるわね」

 

「わかりました」

 

「八幡さん頑張ってくださいね」

 

真夜はそう言って通信を切った。

 

「はぁ…」

 

通信が切れて八幡はため息を吐く。

 

「八幡、くれぐれも無茶はしないようにしなさいよ?」

 

「わかってる…」

 

「達也も手伝ってあげなさい、聞いてるんでしょ?」

 

亜夜が入り口に向かって話しかける。

 

「申し訳ありません…」

 

「本当に、しょうがない子ね」

 

亜夜は出てきた達也に対して、呆れた顔をする。

 

「義輝ちゃんもこれから挽回しなさい、八幡を助けてあげるんじゃないのかしら?」

 

亜夜は材木座に問いかける。

 

「亜夜殿…」

 

「それと、八幡。真夜姉さんのヒントの意味貴方なら理解したはずよ、上手くやりなさい。小町達には私が適当に誤魔化しておいてあげるから、先に戻ってるわよ」

 

そう言って亜夜は工房から去っていった。

 

「はぁ…どうすんだよ…」

 

「八幡よ、我の所為で…」

 

「お前には、たっぷりと働いてもらうからな。挽回してくれ」

 

八幡は材木座に励ましの言葉をかける。

 

「材木座が四葉に出入り出来ている理由が少し気になっていたが、そういうことだったんだな」

 

達也は先程の話をこっそり聞いていた為、二人の事情を知ってしまった。

 

「小町達には内緒だからあんまり言うなよ」

 

「わかっている」

 

達也は少し笑みを浮かべて八幡に答える。

 

「それに今回の件は、真夜伯母さんから対処のやり方を教えて貰っただけになってしまったからな…」

 

「そうだな、真夜叔母上は八幡に甘いところがあるんだな。亜夜叔母上に追い出された理由がわかったよ」

 

真夜は責任を取れと言う割には十文字家と七草家のヒントを出して解決しろと遠回しに言ってきた。

つまり当初の予定通り上手くブランシュの排除しなさいと言うことである。

 

「今後の方針を決めないとな」

 

達也は八幡と材木座に相談する。

 

「そうだな…」

 

「我は何でもするぞ!」

 

そして三人で相談をし、今回決まったことが二つ。

 

雪ノ下達に漏らした情報を潰す。

当面の間は静観して、様子を伺うこと。

 

になった。

 

 

「情報を潰すならどうするんだ?」

 

達也は八幡に問いかける。

 

「ブランシュの奴らにアジトがバレてますよってタレ込みを入れてみたらいいんじゃねぇの?可能性があれば動くだろ」

 

「内通者を作ると言うことか、誰がやるんだ?」

 

達也は八幡に問いかける。

 

「わざわざ内通者を使わなくてもいいぞ、ネットに拡散すればいい。材木座得意分野だろ?」

 

ネットに広がればそれが真実かどうか調べる人間が必ず出てくる。そうなればブランシュも拠点を移すことになる。

 

「うむ、それなら確かに上手く行くかも知れん。噂程度でいくつか流せばいいのだからな」

 

達也は自分では絶対に考えつかないやり方だと思うが口にはしなかった。

 

「それと同時進行でブランシュの構成員とかも調べといてくれ」

 

八幡は材木座にどんどん仕事を振っていく。

 

「ほむん!任せておけ!」

 

材木座は責任を感じている為、反論は一切しない。早速作業に取り掛かる。

 

 

「十文字家と七草家か…」

 

「つまり、十文字家か七草家の名前で処理をさせろと言うことだろうな」

 

八幡のぼやきに達也は反応する。

 

「俺達もその殲滅戦に参加しろということですかね…」

 

「だろうな、真夜叔母上の掌の上で遊ばされているのは少し癪だが…それが今のところ一番いい手だな」

 

今後の方針を少し固めその日はそれ以上話は進行することはなかった。

 

 

 

八幡達が相談をしている頃、亜夜は小町、深雪、水波に誤魔化しながら説明をする為リビングに戻ってきた。

 

「お母さん!どういうことなの!?」

 

小町は工房から上がってきた亜夜に詰め寄る。

 

「今回の件に関しては、小町が出るほどの事ではないのよ?だから冷静に聞きなさい」

 

小町はブスッとし、ソファに座る。

 

「亜夜叔母様、ブランシュとお兄様や八幡さんは何かあったのですか?」

 

深雪はこの中で唯一ブランシュの件の事を知らなかったので状況がちゃんと理解出来ていない。

 

「深雪に黙ってたのね、あの子達は…」

 

亜夜は深雪も事情は知っていると思っていたのか、少し呆れるが深雪に真夜からのお願いで八幡が動いているのとそれを達也が協力していると言う話を教えた。

 

「そうだったんですね…」

 

深雪は何も教えてもらえてないことに、ショックを受けている。

 

「深雪に心配をかけさせない為よ?あの場に小町と水波がいなかったらこの二人も絶対に知らなかったわよ」

 

亜夜は落ち込んでいる深雪を説明する。

更に亜夜は続けて話す。

 

「その件に関しては文句言ってもいいわよ?深雪だけ知らなかったのは可哀想だもの、キツく言ってやりなさい」

 

「お兄様と八幡さんにはキツく言っておきます!材木座さんに関してはお仕置きです…!」

 

四葉の家系は材木座には相変わらず厳しいようだ。材木座の氷像が出来る日もそう遠くない。

 

「それと先程聞いた話は絶対に外部へは漏らしてはいけないわよ?特に雪ノ下家の話に関しては」

 

亜夜は三人に忠告する。

 

「はい、心得ております」

 

「畏まりました」

 

深雪と水波は返事をする。

 

「小町もいいわね?いつまで不貞腐れているの?」

 

小町は機嫌が悪く、返事をしない。

 

「だって!」

 

「小町ちゃん、八幡さんを信じてないの?」

 

小町が抗議しようとした時に深雪が小町に話しかける。

 

「信じてるけど…」

 

「なら心配する必要はないわよ?」

 

「うん…」

 

小町は頷き、それを見て深雪は微笑む。

 

「深雪もお姉ちゃんね」

 

亜夜は深雪の姿を見て微笑ましい顔で見つめる。

 

「亜夜叔母様!からかわないでください!」

 

深雪は顔を赤くして亜夜に抗議する。恥ずかしかったようだ。

 

「ふふっごめんなさいね」

 

亜夜は照れる深雪を見て微笑む。

 

「奥さま、八幡さま達は大丈夫なのでしょうか?」

 

「水波も知ってるでしょう?八幡はなんだかんだ言いながらちゃんとやる子だって、それに達也も義輝ちゃんも大丈夫よ」

 

「はい…」

 

水波は八幡達の事を信用している。それでも心配なことには変わりない。それは、深雪、小町も同じことである。

 

「貴女達は、本当に義輝ちゃんが好きなのね」

 

 

「「「それは断じて違うよ(います)!!!」」

 

亜夜の悪ふざけに、三人は即答する。材木座がこの場にいたら流石に泣いていたかも知れない。

 

 

この後も三人は亜夜に遊ばれ続けていた。

亜夜は誤魔化すことで三人の不安を取り除き、この後八幡達が問い詰められる展開を避けることが出来た。

 

 

 

通信を切った真夜は。

 

「葉山さん、八幡さん達は運が良いのかしらね」

 

真夜は何処か嬉しげに葉山に問いかける。

 

「そうですね、奥様」

 

「葉山さん雪ノ下家の情報を集めるように頼んどいて貰えるかしら…亜夜子ちゃんがいいでしょう」

 

真夜は葉山に指示を出す。

九割は確定的でも残り一割が不安要素になりかねない。確信を得るために四葉の諜報部門に情報を集めさせるようにした。

 

「畏まりましてございます」

 

葉山はすぐにその指示をする為に離席する。

 

「それにしても雪ノ下家の子といる葉山って子は馬鹿なのかしら…」

 

 

 

 

 




八幡達の今後の方針が決まりました!
今回の話で材木座が気合い入ってますが…
ブランシュ事件では材木座が頑張りますよ!!



次回は原作に戻るか悩み中です…!


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謎の一年生、剣豪将軍(仮)、陽乃の子分

誤字報告ありがとうございます!
葉山さんのセリフおかしかったですね…w
修正しておきました!!

「畏まりましてございます」

が正しいやつでした…!(原作から引っ張ってきてたりします←)




ではどぞー!


時は進み、新入生勧誘週間は四日目に突入していた。

八幡と達也と材木座はトラブル現場を走り回っていた。

三人の中で悪い意味で注目を集めていたのが達也であった。桐原武明は第一高校の対戦魔法競技では有望株であり、それを倒したウィードとしてそれを面白くないと思う連中が現れ始め、嫌がらせを受けていた。

 

「大変そうだな」

 

八幡は一息ついていた達也に声をかける。

 

「さっきエガリテの連中にも、攻撃された。そろそろ俺殺されるんじゃないか?」

 

達也は冗談交じりで八幡の問いに答える。

エガリテはブランシュの下位組織で、腕に赤と青の線で縁取られた白いリストバンドをしている。

 

「材木座も結構やられてるみたいだからな」

 

材木座もかなり目立っているので、あまりいい評判ではない。

 

「八幡は余裕そうだな…」

 

「お前らと違って目立ってないからな」

 

八幡はサボっている訳ではない、三人の中で唯一襲撃を受けてないので、サボってるように思われがちだが実際トラブル現場にちゃんと仲裁に入ったりしている。

 

「お前の噂が一番の原因だが、素直に羨ましいな」

 

達也は八幡に嫌味な感じで告げる。

 

「誰だよ、あんな噂言い出したのは…」

 

八幡は初日に捕まえたOGの二人に

比企谷八幡は雪ノ下陽乃の子分と謎の噂を回し始め、それが一気に広まった。

色々な変化をしながら今も広まっている。

 

「あの三人はよくは思ってないだろうがな」

 

達也は校舎の屋上からこちらを見ている三人を軽く見て八幡に告げる。

 

「俺が襲撃されたらあの三人だろうな…」

 

「材木座の一件もあるからな、しかしあれが上手くいくとは思わなかったが…」

 

あの三人とは雪ノ下達である。

 

達也は情報を潰す作戦は少し自信がなかったようである。

だが実際は、効果覿面でブランシュのアジトの場所が変わり、雪ノ下達も振り出しに戻されたということである。

 

 

「とりあえず次の行動をするのは、この勧誘週間が終わってからだな…」

 

「ああ」

 

当面静観するのは新入生部活勧誘週間が終わるまでにしているようだ。

 

 

そして新入生部活勧誘週間は終わりを迎え、いつも通りの第一高校に戻っていた。

時は放課後。

 

「それにしても、お前ら大活躍だったな」

 

レオが三人に向かって笑いを堪えながら話しかけてきた。

 

「魔法を使わず、魔法競技者(レギュラー )を連破した、謎の一年生だっけ?」

 

エリカもレオの話に乗ってきて達也に向かって問いかける。

 

「『謎の』ってなんだよ…」

 

達也は呆れた感じで答える。

 

「一説によると、達也くんは魔法否定派に送り込まれた刺客らしいよ?」

 

エリカはニヤニヤしながら達也に問いかける。

 

「誰だよ、そんな無責任な噂を流しているやつは…」

 

「あたし〜」

 

「おい!」

 

達也はすかさずツッコミを入れる。

 

「もちろん冗談だけど」

 

「勘弁しろよ、性質が悪い…」

 

達也は大きなため息を吐いた。

 

「でも三人共、色々噂あるけどね〜」

 

「八幡は確かアレだよな?雪ノ下陽乃の子分、手を出したヤツには雪ノ下陽乃が直々に鉄槌を下すらしいとかだよな」

 

レオはニヤニヤしながら八幡に告げる。

 

「はぁ…」

 

八幡はため息を吐く。この噂に関しては、被害がなくて感謝しているが…この噂に関してはデマである。

 

「で!材木座くんは、刀を持たない剣豪将軍(仮)だったよね〜」

 

エリカは笑いながら材木座のことを説明する。

 

刀が使えない剣豪将軍(仮)なんだけどな…でも始めてじゃねぇの?あいつが剣豪将軍(仮)とか言われるの…

 

八幡は心の中でツッコミを入れた。材木座は体術はすごいが剣術に関してはほぼ素人である。

 

「よかったじゃねぇか材木座、剣豪将軍(仮)って噂を流してもらえて」

 

「八幡!我は我は…」

 

材木座は感動して泣いている。

 

「うぜぇ…」

 

八幡は泣いている材木座を見て嫌そうな顔をする。

 

「材木座くんって剣術とかできるの?」

 

エリカが材木座に質問をする。エリカは千葉本家の娘で剣術に関しては超一流である。

剣豪将軍を名乗っている材木座に少しは興味があるのであろう。

 

「こいつ、剣術は素人レベルだぞ」

 

泣いている材木座に代わって八幡が答える。

その瞬間、真実をあっさりバラされた剣豪将軍(仮)は違う意味で泣いてしまった。

 

「あんまり虐めてやるな…」

 

達也は泣いている材木座をみて、八幡とエリカに告げる。

 

「三人は今日も委員会か?」

 

「俺と八幡は非番だ、材木座はこれからどういう扱いになるんだろうな…」

 

レオの質問に達也が答えるが、材木座の扱いが少し気になる。

 

「確か材木座は風紀委員見習いだったよな?」

 

「雑用が主の仕事になるんじゃねぇの?機器のメンテナンスとかやらせるって言ってなかったか?」

 

レオの質問に八幡が答えるが、達也に確認を取る。

 

「あいつに備品のCAD触らせて大丈夫なのか?」

 

達也はその話を聞いて別の問題を思い浮かべる。

 

「さすがに無茶なことはしないだろ…」

 

達也の心配を八幡は自信がなく答える。

 

「最悪の場合、風紀委員の人らが実験台になるだけだからな」

 

八幡はさらっと達也の懸念していたことを言ってしまう。

 

「俺も備品のCAD使ってるんだが…」

 

達也は備品のCADを使わせて貰っている。

 

「その…アレだ、その時は深雪に怒ってもらえ」

 

「俺にも犠牲になれと?」

 

「多分達也なら大丈夫だと思うぞ」

 

八幡は達也に答える。

 

レオ達と別れ、八幡と達也は深雪と合流していた。

深雪は生徒会がある。風紀委員と違い生徒会にはオフはあっても非番はない。

 

「申し訳ありません、お兄様、八幡さん。わざわざお待ちいただくことになって…」

 

深雪は二人を待たせるのに罪悪感を抱く。

 

「気にするなと言っても無理なんだろうがな」

 

そう言って達也は深雪の頭を撫でる。達也もお兄ちゃんスキルの持ち主である。

そして三人で歩いていると、様々な視線を向けられているが三人は気にせずに歩く。

 

「司波君」

 

いきなり一人の女子生徒に声をかけられた達也。

深雪と達也は同時に振り返り、八幡は遅れて振り返った。

 

「こんにちわ。一応はじめまして、って言った方がいいのかな?」

 

胸に八枚の花弁がエンブレムをつけていない。つまり二科生の女子生徒が達也に挨拶をする。

 

「そうですね、はじめまして。壬生先輩ですよね?」

 

「壬生紗耶香です。司波君と同じE組よ」

 

壬生紗耶香は達也が新入生部活勧誘週間の初日に桐原と揉めていた当事者である。

剣道部の二年つまり、八幡達の先輩になる。

 

「この前はありがとう。助けてもらったのにお礼を言わないでごめんなさい」

 

壬生は達也にお礼と謝罪をする。

 

「あの時のお礼も含めて、お話したいことがあるんだけど…今から少し付き合ってもらえないかな?」

 

お礼は建前で話が本題ってことなんですかね…なんてわかりやすいんですか…

 

八幡は心の中でツッコミを入れた。

 

「今は無理です」

 

達也はあっさりと断った。

断られた壬生は呆気にとられていた。

 

「十五分後ならば」

 

達也は十五分後ならいけると壬生に伝えるが、壬生は理解が追いついてないようだ。

 

「えと…それじゃあ、カフェで待ってるから」

 

そう言って壬生は去っていった。

 

三人は生徒会室の前についた。

 

「じゃあ図書館で待ってるから」

 

達也はそう言ってその場を立ち去ろうとする。

 

「図書館ですか…?」

 

深雪は何か言いたい様子である。

 

「……その予定だが、何故そんなことを?」

 

「お兄様が壬生?先輩と会うのが深雪からしてみれば心配なんじゃねぇの?むしろ小町が誰かと一緒に会うとかなら俺もついていくまである」

 

八幡が横槍を入れる。

 

「お兄様はやめてくれ…」

 

「嫌なのですか…?」

 

達也は深雪に言った訳ではないが深雪が少し悲しそうな表情で問いかける。

 

「いや、今のは八幡に言ったんだが…それに壬生先輩と長話をするつもりもない。どうせ部活の勧誘かそんなとこだと思うから心配しなくていい」

 

達也は深雪の心配してることの的外れな答えをわざと伝える。

 

「深雪は不安です…お兄様が名声を博するのはとても嬉しいことなんですが、お兄様の本当の力を一端でも知れば私利私欲に群がってくる輩が大勢います…」

 

深雪は胸内を伝える。

 

「達也なら大丈夫だろ、そこまで心配する必要はないとおもうが?」

 

「そうだぞ、俺は何があっても大丈夫だ」

 

「それでも心配なんです!お兄様や八幡さんは、もう少し今置かれている状況を…」

 

深雪もブランシュの件については把握している。材木座がヘマをしたことが発覚した日に深雪には内緒にはしないと言う約束をしていた。

剣道部には少し懸念している部分があり、その事も深雪は心配している。

 

「大丈夫だ、達也は誰にも負けないんだろ?」

 

「はい…」

 

八幡が深雪にそう言うと深雪は少し俯いて返事をする。

 

「それじゃあ行ってくる。八幡、頼んだぞ」

 

達也は八幡にそう言ってその場を後にした。

 

「八幡さん、本当に大丈夫なのでしょうか?」

 

深雪は八幡に問いかける。

 

「達也が誰かに汚染されることはないだろ、心配なら小町に見てもらえばいいからな」

 

深雪は部活連からの報告書で、壬生が汚染されたと言う桐原の言い分を懸念している。

 

「そうですが…」

 

「俺も少し離れたところで話を聞いててやる…それでいいか?」

 

八幡は深雪の頭に手を置いて説得する。

 

「八幡さんはずるいです……それに、会長と話があるんじゃないんですか?」

 

八幡は真由美と話がある為、時間をとってもらっていた。

 

「会長にはメール入れておけばいいだろ」

 

「八幡さん?いつの間に会長のプライベートアドレスを……?」

 

八幡は墓穴を掘ってしまった。

 

「いや…そのですね?達也心配だなー!早く見に行かないとー」

 

八幡はその場から逃げ出した。

 

八幡が去っていくのを見ていた深雪は…

 

「ふふっ八幡さんは何故お逃げになられたんでしょう…?帰ったらお仕置きですね」

 

 

 

そして八幡はカフェへ到着した時には、既に二人の話ははじまっていた。

 

 

「司波君、剣道部に入りませんか?」

 

壬生は達也を勧誘しているところであった。

 

「せっかくですが、お断りします」

 

容赦ないな…お兄様

 

「……理由を聞かせて貰ってもいい?」

 

「逆に俺を誘う理由をお聞きしたいですね。俺が身につけている技は、剣道とは全く系統が異なる徒手格闘術。壬生先輩の腕ならわからないはずはありませんが?」

 

達也は壬生に質問を投げ返す。

 

俺…達也に口で勝てる気がしない…体術でも勝てないな、俺お兄様に勝てるところないんじゃないですか…?

 

八幡は達也と壬生の会話を聞きながらそんなことを思っていた。

 

「魔法科学校では魔法の成績が優先される……そんなことは最初からわかってて、こっちも納得して入学したのは確かだけど、それだけで全部決められるのは間違っていると思わない?」

 

納得して入ったなら諦めるしかないんじゃないですかね…この人、社畜になったらいきなり文句言い出すタイプなんじゃないんですかね…

 

「続きをどうぞ」

 

「授業で差別されるのは仕方ない。あたしたちに実力がないだけだから。でも学校生活はそれだけじゃないはずよ。クラブ活動まで魔法の腕が優先なんて間違っている」

 

魔法科高校だからそれは仕方ないんじゃないですか…?普通のクラブやりたいなら普通の高校行けばよかったんじゃないですか…?

俺も戸塚とテニスやりたかったな…

 

「魔法が上手く使えないからって、わたしの剣まで侮られるのは耐えられない。無視されるのは我慢できない。魔法だけでわたしのすべてを否定させはしない」

 

その後も壬生は達也に色々と話をしていた。

部活連とは別の組織を作り、その組織に達也を招きたいようである。

剣道部というより別の組織に招きたいのが本題だったみたいだった。

そして達也の

 

「考えを学校に伝えて、それからどうするんですか?」

 

と言われ壬生は答え出すことができずに、終わった。

そして達也は席を立って八幡がいる方へと歩いてきた。

 

「盗み聞きは趣味が悪いぞ?」

 

達也は八幡が盗み聞きしていたことを気付いてたみたいである。

 

「仕方ないだろ…」

 

「深雪にあまり余計なことを言うなよ?」

 

八幡が盗み聞きしていた理由もわかっていたらしく、達也は軽く口止めする。

 

「変なことは伝えないから安心してくれ…」

 

「それじゃあまた後でな」

 

そう言って達也は図書館へと歩いて行った。

 

 

 




原作に戻りましたー!
今回は優等生ネタはちょっとずつ挟む感じにしました!


次回はまた原作から少しだけ脱線するかもです!




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八幡は真面目に話す。



誤字報告ありがとうございます!!


なんとか今日中にギリギリ間に合った…
ちょっと今回は真面目な八幡な感じです…(八幡っぽくなかったらごめんなさい)


ではどぞー!


 

 

八幡はカフェを出て当初の目的を果たす為に、生徒会室へやって来ていた。

 

「八幡さん、お兄様は大丈夫でしたか?」

 

八幡が生徒会室に入り一番はじめに出迎えたのは深雪だった。余程達也のことが心配だったようだ。

 

「大丈夫だったぞ、部活勧誘されてたがバッサリ断ってたしな」

 

八幡は真由美を待たせているので、簡単に説明する。

 

「それならいいのですが…」

 

「あんまり気にすんな」

 

八幡は深雪の頭をポンポンと叩く。

 

「……はい、では仕事に戻りますね。それと、帰ったらお話がありますので…」

 

深雪はそう言って端末がある席に戻った。

 

お話ってなんなんだ…やだなあ…怖いな…お兄様に深雪の機嫌の取り方を教えて貰えばいいじゃないか!八幡!

 

八幡は達也に深雪の機嫌の取り方を教えてもらうように心に決めて、真由美の前へと行く。

 

「会長お待たせしてしまい、すいません」

 

八幡は礼儀正しく、真由美に謝る。今回は八幡からアポを取っていた。

 

「そんなに待ってないから大丈夫よ。それに、ハチくんからのお誘いなんだからお姉さんいくらでも待っちゃうわよ?」

 

悪戯な笑みを浮かべ、真由美は八幡を許す。

 

「では、応接室の方へ行きましょうか」

 

真由美に案内され、応接室に入る。

今日こちらに来る要件は、深雪も知っている為普通にしている。服部は席を外しているようだ。

 

「さて、ハチくんが私に聞きたいことはなにかな?」

 

応接室に入るなり、真由美は悪戯な笑みを浮かべ八幡に問いかける。

 

「雪ノ下達が関わってる事柄について、教えて欲しいなと思いまして」

 

八幡は目的を知っているが、真由美に確認と今回の目的を果たす為に質問する。

 

「それは言えないって前にも話したと思うんだけど…」

 

真由美はこの前言えないと八幡に説明していたのに聞いてきたことが少し意外だったのか、驚いた顔をして答えた。

 

「これは俺のただの予想ですが、ブランシュに関わることなんじゃないんですか?」

 

『ブランシュ』この言葉を八幡が口にしたことにより、真由美は更に驚いた顔をした。

 

「その反応は当たりとみていいんですかね…?」

 

「報道規制がかかっているはずなんだけど…はぁ…最近の噂の所為ね」

 

材木座が流した噂は、かなり手広く拡散した為、色々な人にブランシュの存在が明らかになっていた。

八幡が知っていても何も問題はない。

 

「信憑性の高い噂だと思ったんで、少し気になって調べてみたんです。雪ノ下家の次期当主としてはある意味で好都合な仕事なのかなと思いまして」

 

ブランシュは公安当局から厳重にマークされている代表的な組織である。

 

ある意味とは、関東を監視、守護するという七草家と十文字家の管轄内で問題を雪ノ下家が解決しても側から見れば不思議ではないが、雪ノ下家の事情を知る者が雪ノ下家が単独で解決したと知れば数字付き(ナンバーズ )に対しての牽制目的だということがわかる。

それを次期当主の雪ノ下雪乃が解決したとなれば、その功績は確固たる物となる。

雪ノ下家が数字付き(ナンバーズ )に対して敵対視してると言う話を聞いていなければここには辿り着けなかっただろう。

 

そして真夜が八幡にブランシュの殲滅をお願いしたことはこれを防ぐ意味合いがあってのことなのかもしれない。

 

 

「ハチくんの推測は間違ってないわね…」

 

間違ってないが正解ではない。真由美の答えにはそれが込められているような気がした。

七草家はそれを容認した上で、雪ノ下家の単独行動を認めているということであるのかもしれない。

 

「そうですか、それを確認したかっただけなので…」

 

今回の目的は達成された。

雪ノ下達が関与してるのはブランシュの問題。

そして八幡がブランシュの存在に気付いているということ。

ブランシュの事を八幡が知ってるという事を真由美に知らせることで、問題が起これば介入できるように保険をかけておくのが目的である。

 

「ねぇハチくん?ハチくんは雪乃さん達の事はどう思ってるの?」

 

真由美は八幡に質問をする。

 

「特に特別な感情は抱いてませんよ、嫌いでもないですし好きでもないです」

 

八幡は曖昧な答えを返し、応接室から立ち去ろうとする。

 

「そうですか。それと、今回の件は雪ノ下家の動向を見守る形です。これは十文字くんも知っていることよ」

 

動向を見守るということは七草家と十文字家は雪ノ下家が穏便に解決できるならそれで良いということなのかもしれない。

もしくは雪ノ下家では解決できないと踏んでやらせているのかもしれない。真意は不明である。

 

「それは何故です…?」

 

八幡は思わず聞いてしまった。答えてもらえるわけはないはずなのはわかっていたが、つい口にしてしまっていた。

 

「それは教えられないの。私からも質問いいかしら、ハチくんがブランシュについて調べているのはどうして?」

 

真由美は八幡の問いに答えなかった。

そして真由美は八幡に質問をする。

 

「妹がここに入学する予定なんで、不安要素を取り除くのも兄の仕事なんで」

 

八幡は正直に答える。

これは四葉とは別問題な為、言っても支障はないそう判断したからである。

 

「ハチくんは妹さん思いなのね」

 

「千葉の兄妹なら当たり前のことですよ」

 

「そうなのかしら…」

 

真由美は八幡の答えに少し呆気にとられたが、八幡に嘘をついてる様子は見受けられなかったので信じることにした。

 

「会長はブランシュについて、どう思ってるのですか?立場上は仕方ないとは思いますが…」

 

立場上とは生徒会長という立場を指して言っている。国立の施設である第一高校は、国の方針に従わなければならない、学校の運営に関わる生徒会役員は国の方針に縛られている事を意味する。

 

「それをわかってて私に質問してくるなんてハチくんは私をいじめたいの?」

 

「冗談です…では失礼します。お時間をとってもらいありがとうございます」

 

「ハチくんからのお誘いならいつでも大歓迎よ、それと何かあればいつでも相談してね?」

 

「はい…何かあればですが…」

 

八幡は真由美に一礼して応接室から出る。

 

生徒会室から出た八幡は大きくため息を吐いた。

少し歩いていると…

 

「八幡さん!」

 

先程まで生徒会室にいた深雪が声をかけてきた。

 

「…どうした?」

 

「いえ、元気がなさそうだったので心配で…話は上手くいったのでしょうか?」

 

深雪は応接室から出て、すぐに生徒会室から出ていった八幡を心配していたようだ。

 

「多分上手くいったとおもうが…」

 

八幡は自信がなかった。

 

「深雪は八幡さんを信用しています、お兄様も同じ気持ちのはずです!それに材木座さんも」

 

「そうか、心配かけて悪かったな。ありがとな」

 

 

そう言って八幡は図書館に行くと深雪に告げて、その場を後にした。

 

図書館についた八幡は達也を呼び出していた。

 

「どうだった?」

 

「多分上手くいったとおもうぞ」

 

達也の質問に対して、深雪に返答したことと同じことを達也に伝える。

 

「そうか、八幡が真面目すぎる話をするのは少し荷が重い気がしてたが…今回はお前が適任だったからな」

 

達也は少し笑みを浮かべながら八幡に告げる。

 

「こういうのは達也の役目だと思ってるんだが…」

 

「それは厳しいだろう…」

 

話すだけなら達也の方が適任だったのだが、真由美との繋がりや、雪ノ下家との繋がりを考えると八幡以外に真由美と話せる人物がいなかった為、八幡に任せる形となった。

 

「とりあえず、お疲れ様だな」

 

達也はそう言って八幡にMAXコーヒーを渡す。

 

「お、おう…サンキューな」

 

「気にするな、これくらいさせてくれ」

 

「それで、壬生先輩のことはどうするんだ?」

 

八幡は達也に問いかける。

 

「あの人の答えをもらってからだな決めるのは」

 

達也は壬生に最後に伝えた答えを待っている。

 

「そうだな、それと達也…深雪の機嫌をとる方法を教えてくれないか…?」

 

「何かしたのか…」

 

八幡は帰ってから話があると深雪に言われているので達也に深雪の機嫌の取り方を聞くことにした。

達也は八幡のその言葉に呆れてしまっていた。

そして達也は八幡に深雪の好きなケーキを聞き急いで買いに行ったのである。

 

そして深雪が生徒会を終えて、達也と八幡と合流して比企谷宅に帰宅することになる。

 

最近泊まることも増えて、余っていた部屋を達也と深雪の部屋に小町と水波が用意し、着替えなどはバッチリな状態である。材木座は家に帰らないで、工房で寝泊まりしている。

 

「ただいま」

 

八幡はそう言って家に入ると、小町が走ってきた。

 

「お兄ちゃんケーキ美味しかった!小町と水波ちゃんの為に嬉しいよ!小町的に超ポイント高い!」

 

八幡は膝から落ちて手をついて絶望した。

達也はその様子を見て思わず笑いそうになるが堪えて、八幡に同情した。

 

「お兄ちゃんどしたの?」

 

「お兄ちゃん、今、天使二人が堕天使になったのかと思うくらい絶望してるからほっといてくれ…」

 

八幡は小町に対して訳のわからないことをいう。

 

「水波ちゃんお兄ちゃんがまた気持ち悪いこと言ってるよ…」

 

小町はドン引きして、走ってやってきた水波を見ながら答える。

 

「おかえりなさいませ!八幡さま、達也さま、深雪さま!」

 

遅れて水波は大急ぎで玄関へとやってきた、ケーキを食べていたのであろうほっぺにクリームがついていた。

 

「八幡さまどうかなさいましたか?」

 

水波は膝から崩れ落ちている八幡を見て声をかける。

 

「水波、今はそっとしてやってくれ…」

 

達也は水波にそう伝え、八幡を玄関に取り残し全員はリビングに集まっていた。

深雪は状況が把握できていないので、あたふたしていたが達也がリビングへと連れて行った。

 

「達也お兄ちゃん、お兄ちゃんどうしちゃったの?」

 

達也は小町に事情を聞かれて深雪もその場にいるが、説明をした。

物流システムが進化し、店で買い物をしたりする時は小さなものでも宅配してもらえる世の中になっている為、八幡はケーキを買い自宅に届くようにしていた。

 

「私なんてことを…」

 

一番ショックを受けていたのはやはり水波である。だが、まだほっぺにクリームはついている。

 

「八幡さんたら…私をケーキで釣るおつもりだったのですね」

 

この深雪を見て、達也はもう庇えないと判断した。そして深雪は八幡の元へと歩いていったのだが、誰一人それを止める者はいなかった。

 

「お兄ちゃん…連絡してくれたらよかったのに…」

 

小町は呆れていた。

 

「水波、ほっぺにクリームがついてるぞ?」

 

達也は水波にそう告げると水波は急いでほっぺを拭いた。

 

「あ、ありがとうございます…」

 

「水波も小町も悪くないからな、今回は八幡のミスだ、だから気にするな」

 

達也と小町と水波は三人で仲良くお話をしていたら軽く霜焼けをした八幡が帰ってきて、慌てて水波が治療していた。深雪はその後、八幡に謝っていた。達也にも少しやりすぎだと怒られていた。

 

 

 

 

 





一回雪ノ下側視点も書いた方がいいのかなと思ってたりします…
入れないと分かりづらい気がして…w

次回はもしかしたら雪ノ下視点で少し書くかもしれないです!(悩み中ですが…)


そして今回の話上手く書けているか自信ないので質問があればお願いします…


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八幡の反応速度も限界に迫っている。

誤字報告ありがとうございます!!
毎度本当にありがとうございます!

少し今回は長くなりました…!w



ではどぞー!


翌日の昼休み。

生徒会室で八幡、達也、深雪、真由美、摩利、あずさの六人でご飯を食べていた。

全員がお弁当を持参して、ダイニングサーバーは活躍の場を失っていた。

 

「達也くん」

 

摩利が達也を呼ぶ。

 

「何でしょうか、委員長」

 

「昨日、二年の壬生をカフェで言葉責めをしていたというのは本当かい?」

 

八幡はその言葉を聞いて食べているのを吹きそうになるがギリギリのところで堪えた。

 

「……先輩も年頃の淑女なんですから『言葉責め』などという、はしたない言葉は使わない方がいいと思いますが?」

 

達也は少し間があいたが、摩利に問い返す。

 

「ハハハ、ありがとう。私を淑女扱いしてくれるのは、達也くんぐらいのものだよ」

 

摩利が笑ってから答える。

 

淑女って感じではないですよね…

 

八幡は心の中で思うが声に出すと怒られそうなのでグッと堪えた。

 

「そうなんですか?自分の恋人をレディとして扱わないなんて、先輩の彼氏は紳士的な方ではないようですね」

 

「そんなことない!シュウは…」

 

達也の言葉に摩利はさかさず答えるが顔を真っ赤にして、『しまった』と言う顔をした。

 

先輩もリア充なんですね…どこか平塚先生と似てると思っていた自分をお許しください。

 

「………」

 

「………」

 

達也は無表情で摩利を見つめる。

そんな二人を見て真由美は後ろを向いて肩を震わせていた。

 

「……なぜ何も言わない?」

 

「……何かコメントした方がいいですか?」

 

摩利の問いかけに達也は無表情で返す。

摩利は視線を横にズラし

 

「比企谷…何か言いたそうだな…」

 

八幡に言うなよと言わんばかりの圧力がかかる。

 

「ひぃや、何も思ってませんよ?」

 

やっぱりこの人平塚先生に似てないですかね…今の彼氏いなくなったら独身になる未来が見えました…言わないけど。

 

「……それで、剣道部の壬生を言葉責めにしたのは本当かい?」

 

視線を達也に再び向けて、摩利は先程の話がなかったかのように再び問いかける。

 

「ですから…『言葉責め』などという表現は止めたほうがよろしいかと…深雪の教育にもよくありませんし」

 

「…あの、お兄様?私の年齢を勘違いしてませんか…?」

 

達也の言葉に深雪が小さな声で抗議した。

 

「そうだぞ達也、深雪は『言葉責め』をする方だからな…」

 

八幡はつい口に出してしまった。

 

「あら?八幡さん?何をおっしゃってるんですか?」

 

深雪は物凄く笑顔で八幡に問いかける。

達也はそっぽ向いて、助けてくれる様子はなさそうである。

 

「いや、深雪に言葉で責められるの好きだなと思いましてでしゅね?」

 

何言ってたんだよ俺…ただの変態へジョブチェンジしちゃったよ…

 

「ハチくんはそういう性癖の持ち主だったのね…」

 

真由美が意外そうな顔をして八幡を見ている。

 

っべー!これマジでやばいでしょー……戸部ってる場合じゃない…あーちゃん先輩ドン引きしてるんですが…いいんですか?仕方ないですね…

 

あずさは八幡の発言にドン引きしている。

 

「ほう、比企谷は言葉責めで喜ぶドMなのか」

 

摩利はニヤニヤしながら八幡を見ている。

 

「ご、誤解ですよ?決してそういう性癖があるとかではなくてですね?」

 

八幡は慌てて弁解するがもう遅い。

深雪はというと。

 

「八幡さん皆さんの前で好きだなんて…でも私にはお兄様が…」

 

顔を真っ赤にして八幡に聞こえるか聞こえないかくらいの声でボソボソ呟いていた。

今日も深雪さんは絶好調である。

 

「それで達也は言葉責めしていたのか?」

 

八幡は強引に話題を戻す。これを弁解するのは無理だと思ったようだ。

 

「随分と強引だな…」

 

達也は笑みを浮かべて八幡に告げる。

 

「おい…」

 

八幡は達也を見る。

 

「で、どうなのだ?達也くん」

 

摩利は達也に向かって問いかける。

 

「……そのような事実はありませんよ」

 

達也は逃げられないと思い、答える。

 

「おや、そうかい?壬生が顔を真っ赤にして恥じらっているものを目撃した者がいるんだが」

 

摩利の一言で先程まで悶えていたはずの深雪から冷気が出ていた。

 

「お兄様?一体何をしてらっしゃったのかしら?それに八幡さん、問題はないと聞いてましたがどういうことでしょう?」

 

「ま、魔法…?」

 

あずさが怯えながら呟いた。

 

「相変わらず事象干渉力が強いのね」

 

真由美は呟いた。前に八幡と話してたときに経験していたからである。

 

「落ち着け、深雪。ちゃんと説明するから魔法を抑えろ」

 

達也は深雪にそういうと室内の気温が下がっていくのが止まった。

 

「申し訳ありません…」

 

こうやったら止めれるんですね…さすがお兄様ですわ!

 

「夏場は冷房いらずね」

 

「真夏に霜焼けというのは間抜けですが」

 

真由美の冗談交じりの言葉に達也は軽く流した。

 

あれ?俺昨日霜焼けになってたんですけど…?間抜けってことなんですかね…お兄様ひどい…真夏じゃなければセーフですね、セーフだと思いたい…

 

「八幡、別にお前のことを言ってるんじゃない」

 

達也は八幡が何を考えていたのかわかってたようだ。

 

「八幡さん昨日は申し訳ありません…」

 

「いや…俺が悪かった?んだから問題ないぞ」

 

俺が悪かったのか…俺が悪かった事にしとけばすべて解決する。問題ない…けどもうあんな怖い思いしたくない!

 

「どうも風紀委員会の活動は生徒の反感を買っている面があるようですね」

 

達也は話を本題に戻し、壬生との会話を再現した。この話は八幡も聞いていなかった為、八幡も耳を傾けていた。

 

風紀委員はあの程度のよくある問題を自分達の点数稼ぎの為に、強引な摘発をしているというものだった。後は勧誘されたことや、部活連に対抗する組織を作る話や壬生から返事をもらえなかったことに関して説明をした。

 

「しかし、点数稼ぎの為になどということが本当にあるんですか?少なくともこの一週間そういう事例は見聞きしていませんが?」

 

「私もです。私の場合はモニター越しにしか現場を見ていませんが、あの無秩序ぶりからすれば、風紀委員の活動はむしろ寛容だと思われますが」

 

達也、深雪はそれぞれ意見を述べる。八幡は静観しているだけであった。

 

「それは壬生の勘違いだ、思い込みなのかもしれないが。風紀委員会は全くの名誉職で、メリットはほとんどない。対抗戦の成績のように、演習の評価が加算されるというようなことも皆無だ。風紀委員を務めたということで、多少は定性的な評価は得られるかもしれないが、それも校内だけのこと、生徒会役員のように卒業後も高評価の要因になることはない」

 

摩利は二人の意見に回答し、真由美は、

風紀委員会が校内では権力を持っているのも事実で、ヘイトを集めているという。それを印象操作している何者かがいるということを補足した。

 

「正体はわかっているんですか?」

 

達也は質問をした。まさか真由美が口を滑らせるなんて思っていなかったので、揚げ足をとる事に成功した。

 

「え?ううん、噂の出所なんて、そう簡単に特定できるものじゃないから…」

 

真由美は明らかに動揺していた。

 

「俺が訊いているのは、末端であることないこと…「ブランシュですよね?会長」…八幡」

 

達也は襲われた当事者である為、少しヒートアップしていた。

ブランシュの存在を知っていて放置しているのが余程気に障ったのだろう。

だが、それは昨日真由美と話をつけていた為、この場で達也が踏み込みすぎるのは良くないと判断した八幡が庇って入ることにした。

 

「ハチくん…」

 

真由美は少し顔をムッとさせた。この場で八幡が割って入るのもあまりいい策ではないがやむを得ない。

あずさはブランシュと聞いて目を丸くしていた、詳しい事情は知らされていないらしい。

 

「最近噂でよくネットで見るんでブランシュかなと思っただけですよ…」

 

「あの噂か…」

 

摩利も噂のことを知っているようだ。多分この第一高校の七割程はこのことを知っているであろう。

 

「私もその噂なら知ってます。確か、ブランシュのアジトが第一高校の近くにあるとかでしたよね?」

 

あずさも流石に噂を知っていたようだ。

 

「その噂が本当なら、会長も立場的には仕方のないことですから。さてと、時間もそろそろですから、俺たちは教室に戻ります」

 

昼休みが終わるまで、少し時間があったが達也は早々に部屋を出ようとする。

 

「ああ、待ちたまえ達也くん」

 

摩利が達也を呼び止める。

 

「なんでしょう?」

 

「それで返事はどうするつもりだ?」

 

「答えをもらってから考えるつもりです」

 

摩利の問いに達也は答える。壬生の回答待ちだということである。

 

「それに、今の噂が本当なら放ってはおけないと思ってますよ」

 

摩利の問いに達也は冷静に答える。

 

「……頼んだぞ。比企谷もな」

 

「俺あんまり働きたくないんですけど…」

 

摩利に不意に話を振られたがいつも通りの返事をする八幡。

 

「できる範囲で構わない」

 

摩利は八幡は口ではそういうが、ちゃんと働く奴だと認識している為わざわざ追求はしない。風紀委員での仕事ぶりを見ててわかっているのだろう。

 

「達也が頑張るらしいので、その…アレです、達也が引き受けました」

 

「おい…」

 

三人はそのまま生徒会室を後にした。

出ていく瞬間に摩利はボソッと口にした。

 

「多分それがベストな結果につながるだろうからね」

 

 

 

 

 

 

 

時は少し進み、ようやく二科の生徒達にも魔法実技の実習が本格化した。

 

 

「940ms(ミリ秒)達也さん、クリアです!」

 

「やれやれ…三回目でようやくクリアか」

 

達也の成功に喜びながら美月は目を輝かせていたが、達也は疲れ気味の笑顔で答えた。

 

今日の実技は基礎単一系魔法の魔法式を制限時間内にコンパイルして発動する、という課題を二人一組になってクリアするのが目的である。

ペアの一方がクリアできないと一方のペアも自動的に居残りになる為、達也はホッとしていた。

 

「でも意外でした。達也さん本当に実技が苦手だったんですね」

 

「意外って…何度も自己申告したと思うが?」

 

美月の問いに達也は答える。

 

「確かにお聞きしましたが…謙遜だとばかり。だって達也さんみたいに何でもできる人が、実技が苦手なんて」

 

美月の言葉に達也は苦笑いするしかなかった。

 

「……自分で言うのもあれだけど、実技が人並みにできていたらこのクラスにはいなかっただろうな。それに実技ができるのにこのクラスにいるやつもいるんだがな…」

 

そういって八幡の方を見る達也。

 

 

「やはり我の相棒は貴様にしか務まらん!」

 

八幡は材木座とペアを組んでいる。

 

「そうだな、早くやれ材木座」

 

材木座のテンションとは真逆のテンションで八幡は答える。いつも通りである。

この二人はあくまで二科生であるので、実習では軽く手を抜くことにしている。

二人とも平均的な500msで課題をクリアしていた。

 

そして昼休みになり、達也達はレオとエリカの二人に懇願されて居残りに付き合っていた。材木座は摩利に呼び出されて風紀委員会本部に向かっていた為この場には不在である。

 

「1060ms…ほら、頑張れもう一息だ」

 

達也がレオを励ましている。

 

「遠い…0.1秒がこんなに遠いなんて知らなかったぜ」

 

「バカね、時間は『遠い』とは言わないの。それを言うなら『長い』でしよ」

 

レオの間違いをエリカが指摘している。

 

「エリカちゃん…1052msよ」

 

「あああぁ言わないで!せっかくバカで気分転換してたのに!」

 

それから達也が頑張ってコーチをして、徐々に二人のタイムは縮まっていっていた。

 

「八幡、アドバイスしてやったらどうだ?」

 

達也は隅の方で腐っている八幡に声をかける。

八幡はすぐに出ようとしたが達也に深雪がと脅され仕方なくここにいた。

 

「アドバイスか…って俺に聞くのおかしいだろ…」

 

「暇そうだったんでな」

 

達也は笑みを浮かべ八幡にそう言って二人にアドバイスをした。八幡を待たせているのに少し気を使ったのかもしれない。

 

「お兄様…お邪魔してもよろしいでしょうか?」

 

深雪が遠慮気味に入ってきた。

 

「深雪…と光井さんと北山さんだっけ?」

 

エリカは入ってきた三人を見た。

 

「エリカ、気を逸らすな。すまん、深雪次で終わりだから少し待っててくれ」

 

達也はエリカに注意し、次で終わらせろとレオとエリカに遠回しに言う。

 

「分かりました。申し訳ありませんでした、お兄様」

 

二人はプレッシャーをかけられたが、本番に強いタイプなのか二人とも無事課題をクリアできた。

 

「ようやく終わった〜」

 

「ふう…ダンケ、達也」

 

二人はやっと終わり一息ついた。

 

「二人ともお疲れ様、お兄様ご注文の通り揃えてきましたが…足りないのではないでしょうか?」

 

深雪は二人を労い、達也に問いかける。どうやらみんなの分の昼食を買ってきてくれていたようだ。

 

「いや、時間もないことだしこのくらいが適量だろう。深雪、ご苦労様。光井さんと北山さんもありがとう、手伝わせて悪かったね」

 

達也は深雪と一緒に昼食を届けてくれたほのかと雫にお礼を言う。

 

「いえ、この程度のこと何でもないです」

 

「大丈夫。私こう見えても力持ち」

 

達也は三人から昼食を受け取りエリカ達に配る。

 

「深雪…八幡に持って行ってやってくれないか?」

 

達也は存在が危うくなっている八幡に昼食を届けるように深雪に頼む。

 

「えっ?八幡さんがいらっしゃるのですか??」

 

深雪は慌てて八幡を探す、どうやら気付いていなかったようだ。ほのかと雫も気付いていなかったらしく少し驚いていた。

 

「八幡さん!申し訳ありません…これを…」

 

深雪は半泣きになりながら八幡に昼食を渡す。

 

「俺…深雪にまでも気付いてもらえなかったんだな…ステルスヒッキーを魔法なしで使える日もそう遠くはないな…」

 

従姉妹の深雪でさえ存在を察知してもらえなかった八幡は少し落ち込んでいた。

 

「八幡、あまり深雪を虐めてやるな。お前が端っこにいたのが悪いだろう?」

 

「うるせぇよ…」

 

そう言って深雪から受け取ったパンを食べる八幡。結局、エリカ達にこっちに来いと言われ八幡はみんなの輪の中に入り昼食を取っていた。

 

「深雪さん達のクラスでも実習が始まっているんですよね?どんなことをやっているのですか?」

 

ほのかと雫はその美月の発言に気まずそうにする。

 

「多分、美月達と変わらないと思うわ。ノロマな機械をあてがわれて、テスト以外では役に立ちそうもないつまらない練習をさせられているところ」

 

深雪は遠慮の無い毒舌を吐き、達也と八幡以外はギョッとした表情を浮かべた。

その後は二科生の扱いについて、様々な意見が飛び交ったり、エリカが千葉家の道場で稽古を教える時のことなどを話していた。

 

「ねぇ?参考までにどのくらいのタイムかやってみてくれない?」

 

エリカは深雪がどのくらいのタイムが出るのか少し好奇心があったのか問いかけた。

 

「いいんじゃないか?」

 

達也は少し困っている深雪に伝える。

 

「お兄様が仰るなら…」

 

深雪は不本意ながらタイムを計る。

 

「……235ms」

 

美月が表情を強張りながらも伝える。

 

「えっ?」

 

「すげ…」

 

エリカ、レオは驚きを隠しきれていなかった。

 

「何回聞いてもすごい数値よね…」

 

「深雪の処理能力は人間の反応速度の限界に迫ってる」

 

ほのかと雫もため息を漏らすほどのタイムである。

 

八幡と達也は特に驚いている様子はない。

 

「八幡さんはどのくらいのタイムなのですか?」

 

深雪は不意に八幡に問いかける。

 

「えっ?俺?500msだったぞ?」

 

「手を抜きましたね…?」

 

八幡の答えに深雪はすかさず答える。

 

「八幡、俺も少し気になるな。ここにいる面子なら誰も言いふらしたりしないだろう」

 

達也も八幡の実力を把握しているわけではないので好奇心があったのか、八幡を説得する。

 

「でもだな…」

 

「そういえば八幡って手を抜いて二科生になったって言ってたわね!」

 

エリカもそれに乗ってきて、全員が気になりますって顔をしている。断れる雰囲気ではない。

 

「はぁ…」

 

八幡はため息を吐き、深雪は計測器をセットする。

 

「230msです!八幡さんすごいじゃないですか!!」

 

深雪が満面の笑みで八幡の腕にくっつく。

達也も含む全員が驚愕する。5ms違うだけだが、深雪よりもタイムが良かった。これに関しては達也も想定外であった。

 

「そんな人外を見る目で見ないでもらえませんかね…」

 

 

 

このことは必ず秘密と言う約束を交わして、昼休みは終わりを告げた。




雪ノ下に関しては少しだけ書こうかと思います!(触る程度になりそうですが…)

カウンセリングの話は見事にスルーしました…(大丈夫ですよね…多分)


最後のタイムで深雪とほぼ同じタイムだったのには理由があります!
わかるのはかなり先になりますが…わかる人にはわかるかもしれません!w


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工作員は止められる。

誤字報告ありがとうございます!


今回は初登場キャラが数人います!(あの人も出てきますよ!!)
今回は原作からかなり離れてます!w



ではどぞ!


新入生部活勧誘週間が終わり、少し時が進んだ頃、雪ノ下家では。

 

「ただいま母さん」

 

雪乃は家に帰り、挨拶をする。

本来であれば、第一高校に入学する際、近くに一人暮らしをする予定だったのだが母親の命令で実家に暮らすことになった。

 

雪ノ下夏乃…雪ノ下雪乃の母であり、雪ノ下家当主の妻である。

 

「おかえり雪乃、紹介するわね」

 

夏乃がそう言って、一人の男性を紹介する。

 

「周公瑾と申します。雪ノ下家次期当主の雪乃さんですね、お話は伺っておりますよ」

 

見た目は20代半ばくらいの貴公子のような見麗しい青年が雪乃に挨拶をする。

 

「丁寧にありがとうございます。雪ノ下雪乃と申します。ですが、まだ次期当主とは決まった訳ではないので…」

 

雪乃は少し遠慮がちに答える。

 

「何を言ってるの、雪乃はもう次期当主よ」

 

夏乃が外面の笑みを浮かべ雪乃に告げる。

 

「それでは夏乃さん、この件については後ほど返事を聞かせていただきます」

 

周公瑾はそう言って雪ノ下家から去っていった。

 

「雪乃、今回のブランシュの件についてだけど…貴女は傍観してもらうことになるかも知れません」

 

夏乃はブランシュから手を引けと、雪乃に告げる。

 

「何故ですか?」

 

雪乃は内心ホッとしたが、理由が気になり問いかけた。

 

「今の周公瑾と言う男性はブランシュの総帥を主としている方なのよ、私達も彼とは昔から、色々ご縁があって色々と仲良くさせてもらっています」

 

雪ノ下家と周公瑾の間には、何か関係があるのかも知れない。

 

「では、先程の周公瑾さんが手を引けと頼んで来たんでしょうか?」

 

「いいえ、違います。ブランシュ日本支部は雪ノ下家が手を出さずに潰れて貰います」

 

雪乃の質問に夏乃が答える。

 

「だから傍観すると言うことでしょうか?」

 

「ええ、七草も十文字もブランシュの存在は無視はできないでしょう。近いうちに何かあるみたいです」

 

「何かとは…?」

 

雪乃は少し不安そうに問いかける。

 

「それは言えませんが、それが火種になりブランシュ日本支部は崩壊するでしょう」

 

「十師族に対処させてよろしいのですか…?」

 

雪乃は夏乃に問いかける。

 

「そういう時の十師族よ、それに今の計画が上手くいけば七草から解放されるかも知れないですからね」

 

「……」

 

夏乃の言葉に、絶句してしまった雪乃。七草家からの解放はすなわち、十師族と完全なる敵対をすると言うことを意味する。

 

「心配は無用よ、七草から解放されれば私達は自由になるの。雪乃が次期当主として席に座る時には居心地が良いものになってるとおもいますよ」

 

雪乃は自分の母が何をしようとしているのかが全くわからなかった。それがどういうことであれ、雪乃に拒否権はない。雪ノ下家では父母の言うことは絶対である。

 

「それに雪乃、今回の計画は隼人くんが犯したミスを上手くカバーする為もあるんですよ」

 

葉山が犯したミス。

それは雪乃の監督不足でもあり、雪ノ下家が窮地に立たされるかも知れない。

葉山が八幡…いや、部外者に、雪ノ下家の秘密の一つに迫れるような発言をしたことである。

雪乃はあの時止めに入るのが遅くなってしまったことにより、両親に報告せざるを得なかった。雪乃は両親に怒られ、葉山隼人…いや、葉山家は雪ノ下家からの信用を完全に失ってしまった。

だが、その事態が起こった時の対策が夏乃にはあったようだ。元々こういう事が起こると予想をしていたかの様に素早い対応をしている。

そして、今日招いていた周公瑾という男は、その為に呼んだのかもしれない。

 

 

「一つ面白いことを考えつきました。来なさい雪乃、貴女には雪ノ下家次期当主として陽乃にも教えてないことを教えます」

 

 

そう言って夏乃は雪乃をある場所へと連れて行くのであった。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

もうすぐ日付けか変わりそうな時刻…

千葉県のある場所にて…少し良くない事態が起こっていた。

 

「ヨル姉さん、これは困ったね」

 

「そうねぇ、ヤミちゃんまさかこの人がここにいるなんて」

 

ヨルとヤミ、そう呼び合う二人の女性。

 

「おやー?君達はここで何してるのかなー?」

 

ヨルとヤミの前に現れた一人の女性。

 

「これはさすがに不味いわねぇ…飛ばすわよ」

 

ヨルがそう言った瞬間二人の姿が消えた。

ヨルが擬似瞬間移動を使い、その場から急いで立ち去った。

どうやら、この女性と出会うのは避けたかったようだ。

 

「へぇ…逃げちゃうんだ」

 

その瞬間その女性の周りが急に燃え上がった。

が、ヨルとヤミの姿はそこにはなかった。

 

「並大抵の工作員じゃなかったってことだね。それにしても隼人も余計なことをしてくれたね」

 

その女性は楽しそうに独り言を言っているが顔は笑ってなかった。

 

 

「ヨル姉さん大丈夫?」

 

「はぁはぁ…さすがに不味かったわねぇ…」

 

ヨルは擬似瞬間を使いその場を後にしたがさすがに安全圏まで逃げるのに連続をした為に、疲弊していた。

 

「お疲れ様ね。亜夜子、文弥」

 

二人に労いの言葉をかける。

亜夜子と文弥とは、四葉家の分家の黒羽家の当主、黒羽貢の子供で黒羽亜夜子、黒羽文弥のことである。

二人は仕事の時は、亜夜子は『ヨル』文弥は『ヤミ』と名乗っている。名付けたのは真夜である。

 

「あ、亜夜様!」

 

「えっ?」

 

文弥が叫び、亜夜子が驚く。そこにいたのは八幡達の母親である比企谷亜夜…この場では四葉亜夜と言ったほうが正しいのかもしれない。

 

「久しぶりね。上手く逃げられてよかったわね」

 

亜夜は腕を組みながら亜夜子と文弥に冷たく告げた…その瞬間二人の顔が強張った。

 

「冗談よ、よく逃げてくれたわね」

 

亜夜はすぐに笑みを浮かべ、二人に言い直す。

亜夜子、文弥はどちらが本当の意味か読めなかったが答えはすぐにわかった。

 

「真夜姉さんから頼まれてたの、もし雪ノ下陽乃が出てきたら撤収させなさいと」

 

先程、亜夜子と文弥が対峙していたのは、七草家の次期当主候補、雪ノ下陽乃であったようだ。

 

実の所、真夜も雪ノ下陽乃のことを一目置いている。雪ノ下家の人間としてではなく七草家の人間として。

 

「えっ?」

 

文弥は間抜けな声をだした。

 

「彼女は別格よ、貴方達でも出し抜くのは難しいはずよ。それにしても何一つ掴ませてくれないなんて流石としか言いようがないわね」

 

亜夜も雪ノ下陽乃の存在を別格だと認定している。陽乃の実力は日本だけには止まらず、近隣国にも知れ渡っている。一説には、第一高校に在籍していた時には既に、戦術級魔法師並の実力を持っているかもしれないと言われていた。

 

「僕達が不甲斐ないばかりに…」

 

文弥は黒羽の仕事を満足にこなせなかったことを悔いている。

 

「そのようなことで、亜夜様がこちらに…?」

 

亜夜子は不思議そうに亜夜に質問する。

 

「この辺は先月まで住んでたのよ?知らなかったのかしら」

 

「えっ?私達は本邸宅に住んでいられるのだとばかり…」

 

亜夜子の疑問は正しい。八幡や小町な存在を知らない者や本邸宅に住んでいなければわからないことである。

 

「真夜姉さんも今日通達すると言っていたから教えてあげるわね。小町、水波出てきて挨拶なさい」

 

四葉亜夜に子供が二人いること、そして次期当主候補が二人増えるということが、四葉家の分家へ通達された。

 

亜夜の一言で小町と水波が物陰から出てきた。亜夜子と文弥はどうして気付かなかったか不思議なくらい近くに潜んでいた。

 

「はじめまして、比企谷小町です!いやーさっきは危なかったですね!」

 

「比企谷小町様の守護者(ガーディアン )の桜井水波と申します」

 

小町はいつも通りのテンションで登場し、水波は礼儀正しく身分を弁えた挨拶をする。

亜夜子と文弥は、小町を見て亜夜に似ている容姿に少し驚くが水波の挨拶で確信した。この子は亜夜のご息女だと。

 

「「比企谷っていいましたか??」」

 

二人は流石双子と言わんばかりに同時に発言した。比企谷という苗字ということに疑問を覚えている。

 

「そうよ?私これでも人妻子持ちなのよ?」

 

亜夜が笑顔で告げる。

 

「「ぇええええぇええええ!!!」」

 

柄にもなく二人は叫んでしまった。亜夜の子供だとはわかっていたが、驚きが隠せなかったようだ。

亜夜は驚く二人が落ち着くのを待っていた。

 

 

「亜夜様…お聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

落ち着きを取り戻した亜夜子は亜夜に質問した。

 

「どうしたのかしら?」

 

「私達が失敗するとわかってらっしゃったのですか?」

 

亜夜子は問いかける。

黒羽亜夜子を指名し、わざわざ近くとはいえ、当主の妹の亜夜がこの場に出向いて来ていることに亜夜子は不自然に思った。

 

「失敗するなんて思ってないわよ?実際さっきだって正体がバレることなく逃げ果せてたのだから。それにさっきも言ったでしょ?雪ノ下陽乃が出てきたら撤収させろと言われたって」

 

その亜夜の言葉に二人は遺憾ながら納得した。正直、二人にも彼女を相手には、正体がバレず上手く立ち回れる自信がないのかもしれない。

 

「それに今回の件はもう、手を回してあるの」

 

雪ノ下家の情報に関しては達也が引き受けている。八幡、材木座、達也の三人で決めたことだが、材木座の失態した一件で亜夜は三人に隠してることを後日問いただして聞いていた。

 

「そうなんですか?」

 

「ええ、真夜姉さんに報告するの忘れてたの。それにまさか、真夜姉さんが貢さんにまで頼むなんて思ってなかったから」

 

亜夜は二人にそう説明するが、真夜がこういう時は必ず黒羽家に頼むということは亜夜子にも文弥にもわかったが、聞き返さなかった。亜夜もわかっていて発言しているのがすぐにわかったからである。

 

「誰に頼んでらっしゃっるのですか?」

 

文弥は亜夜に問いかける。四葉家では諜報部門の黒羽家がその統括を任されている。

その黒羽家を差し置いて、誰が調査しているか気になったようである。

 

「達也よ、貴方達なら納得してくれるわね?少し前から調べてるの」

 

「達也兄さんが?!」

 

達也にいち早く反応したのは亜夜子であった。

 

「そうよ、自ら調べると言ったらしいの。だから達也に任せることにしたのよ、真夜姉さんからも先程、許可はおりたわよ」

 

そして亜夜は今回の件に関して、二人に謝罪し、家に招待した。

今日この場に八幡と材木座がいないのは司波家に泊まりに行かせていたからである。

理由はこの場に保険として小町を連れ出すためであった。

亜夜子と文弥にもしもの場合があった時は小町の力が必要になると亜夜は判断したからである。

 

「亜夜子お姉ちゃん!文弥お姉ちゃん?よろしくね!」

 

小町は文弥のことをお姉ちゃん?と呼ぶそれは、文弥が女装(変装)しているからである。

それに対して文弥は必死に抗議していたが、小町に終始弄られていた。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

「逃げられちゃったね、静ちゃん」

 

陽乃は何も悔しくない素振りを見せて静に問いかけた。

 

「全く、無茶をする…」

 

呆れた面持ちで登場したのは、平塚静。

総武中学の教員である。

 

「何処の家かな?」

 

「興味がないのに、調べてどうする…」

 

「仮にも私の魔法から逃げられたんだから気になるじゃない!」

 

呆れた静に、陽乃は少し子供みたいな発言をする。

 

「まぁ目的も達成したことだし、いいんだけどね」

 

「七草家としての目的か?」

 

「私もう雪ノ下の人間じゃないみたいだから…それにこの件に関しては漏らしたら七草家が危ないからね。私としてもそれは賛同しかねるかなって思ってるから」

 

静の問いに陽乃は答える。

雪ノ下家が何をするのか掴んでいるのか予想しているのかはわからないが意味があって行動をしているようだ。

 

「雪ノ下はどうするんだ?」

 

「雪乃ちゃんかぁ…静ちゃんならわかるでしょ?」

 

「本当にいいのだな?」

 

「ーーー」

 

静の問いに陽乃は少しだけ考える素振りをして答えた。

 

 

 

 

 




雪ノ下家視点で書きました。
雪乃視点は少しどうやって書くか悩んでます…!

そして黒羽姉弟も登場しました!
陽乃さんついに初登場でーす!
なんとなく黒羽姉弟と対峙させたかったんです…!w

平塚先生も少し登場です!

今回新登場キャラ多かったですねw
八幡出ないのも初めてでしたw


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深雪はお姉ちゃん。


誤字報告ありがとうございます!!

今回は後半から本編にもどります!




ではどぞー!


 

八幡と材木座が司波宅に泊まった翌日の夜、達也と深雪は今日は自分達の家にいた。

 

「お兄様、深雪です。少しよろしいでしょうか」

 

「入っておいで」

 

深雪は達也の元へ訪れていた。深雪が入ってきたのを確認したら、深雪の方へと体を向けた。

 

「昨日のことか?」

 

「………はい」

 

深雪は少し間が空いたが、達也の問いに答える。

 

「亜夜叔母上も考えがあったから八幡を連れていかなかったんだ、それは深雪もわかってるはずだが」

 

「それはわかっております…ですが!」

 

昨日、達也と深雪は亜夜に頼まれて八幡と材木座を家に泊まりに行かせるように、二人に言っていた。

その時に事情を聞いて最初は渋っていたが達也は了承し、ある情報を亜夜と真夜に提供した。

 

「昨日の件は八幡がいれば、確実にそれを止めに入っていた。小町がもしもの時に控えていたなら尚更だな」

 

小町が出る局面があるとすれば、雪ノ下陽乃に亜夜子と文弥が捕まってしまった場合、もしくは正体がバレてしまった場合の時である。

小町の能力ならこれを上手く解決できると判断して亜夜は小町を同行させた。

もっとも、あの二人が捕まるとは思ってなかったが念には念を入れたということであるが。

八幡は小町が出るのに自分がいかないわけがない、それに小町が出る前に片付けようとする。

達也は自分がもし深雪が同じ状況にあれば必ずそうしていた。

 

「お兄様が言いたいことはわかっているつもりです。小町ちゃんをわざわざ連れて行く必要がありましたか?」

 

深雪は小町のことを心配している。お姉ちゃんと呼んでくれる小町のことを深雪は実の妹のように思っていた。

 

「あの場では、小町の能力が一番だ。俺でも深雪でも八幡でもなく小町にしか出来ないことだ。俺も最初は反対したよ、最終的には条件付きで了承をしたんだが」

 

達也も最初は反対をした、小町を連れて行くなら自分が出ると。だが、事情を聞いて小町の能力でしか解決出来ないことであり達也は同行を頼んだが、それすら却下された。

 

「条件ですか?」

 

「俺の眼で追わせてもらうようにし、何かある時まで小町の姿を隠しておくことと条件をつけさせて貰った」

 

深雪の質問に達也は答える。

何かあれば小町の元へ駆け付けられるように達也は昨日の夜は密かに警戒していた。

 

「そうだったんですね…ありがとうございます。お兄様」

 

「小町も俺にとっても妹のような存在だ、失いたくはないさ」

 

達也は深雪にそう告げる。達也も深雪も小町のことを妹と思っている。

 

「私も小町ちゃんの家族として何より姉として、守りたいと思ってます!」

 

深雪は今まで兄しかいなかったが、妹のような存在ができたことにより小町を姉として守ると決めているようである。

 

「深雪もお姉ちゃんになったんだな」

 

達也は深雪の守りたいと言っている姿を見て微笑み掛けていた。達也自身こんな深雪を見れるなんて思っていなかったのかもしれない。

 

「それで、お兄様。今回の件はどうなるのでしょう?文弥と亜夜子ちゃんがこのまま調査するのですか?」

 

「いや…今回の件については俺が引き受けることにした」

 

深雪の問いかけに達也は自分がやると答える。

 

「えっ?」

 

深雪は予想外だったのか驚いたようだ。

 

「今回の一件は俺が適任だと思っている。特に相手が雪ノ下家ならな、これには亜夜叔母上、真夜叔母上も賛成してくれた」

 

「それはどういうことでしょう?」

 

「深雪、今から話すことは必ず内密にしてくれ」

 

そして達也は釘を刺して、深雪に事情を説明した。

深雪は驚きを隠せずに口に終始手を当てていた。

 

「お兄様が動く理由はわかりました…確かに今回の件に関しては、お兄様が一番適任だと思います。ですが、八幡さん達には何故秘密なのですか?」

 

深雪は落ち着き、一息入れ達也に問いかける。

 

「それは俺にもわからないが、口止めしてきたのは叔母上達だ。何か考えがあるんだろう」

 

達也も話してもいいと思っていたが、亜夜と真夜に口止めをされているようである。

 

「お兄様は今回の件に関してどう思われているのですか?」

 

深雪は達也に問いかける。

 

「真夜叔母上が、雪ノ下家のことを調べようとしたのは本当だろうな。でないとわざわざ黒羽姉弟に指示は出さないだろう」

 

「では、それを亜夜叔母様が止めたということですか?」

 

「いや、もしかしたら真夜叔母上は雪ノ下陽乃が動くかが気になってたのかもしれない。雪ノ下家から追い出されたとはいえ、今はまだ雪ノ下を名乗っているわけだからな」

 

雪ノ下陽乃が出てきた場合、あの二人なら逃げられると過程していたのなら今回の人選は理にかなっている。

亜夜子は普通の擬似瞬間移動より高度な擬似瞬間移動が使える。

 

「だから亜夜叔母様や小町ちゃんにフォローを頼んだということですか?」

 

「恐らくだがな、その可能性があるとしか言えないな。それにあの通達も何か関係してるのかもしれないからな…」

 

八幡と小町が亜夜の子であり、次期当主候補として分家に通達されたタイミングとしても何か意味があるのかもしれないと達也は懸念していた。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

時は進み、新入生勧誘週間から一週間が経った。

放課後、達也は壬生にあの時の『宿題』の答えを聞く為に、カフェに来ていた。

まとわりつく監視の目線が鬱陶しかったが、達也の方から何かするつもりはなかった。

 

 

「ごめん待ったでしょう?」

 

壬生が遅れてカフェに到着した。

 

「大丈夫です。連絡をもらっていましたから」

 

達也は連絡を事前にもらっていた為、別に気にしてない様子だった。

 

摩利が登場したり、材木座が叫びながら走っていたが、それを無視し壬生と他愛のない話を、少しだけしてようやく本題に入った

 

壬生が達也の問いに対しての答えはとは。

 

学校側に待遇の改善を要求すること。

二科生の待遇全般。

授業の格差や部活の予算の割り当て。

実技以外が上回っていのに、実技が低いということでウィードと蔑まれるのが許せないと言うのが壬生の答えであった。

 

それに対して達也は質問し、どれも歯切れの悪い返答しか返ってこなかった。

待遇については達也自身も不満に思うところがあったが、達也自身は学校というものに興味がなく魔法大学系列でのみ閲覧できる非公開文献を閲覧出来さえすればいいと壬生に伝えた。

 

「残念ながら、先輩とは主義主張を共有できないようです」

 

そう壬生に告げ、その場を後にした。

 

 

「お疲れさん」

 

八幡は隠れて聞いていたようでカフェから出てきた達也に労いの言葉をかける。

 

「壬生先輩の話は参考になったか?」

 

達也も八幡が隠れていたのに気付いていたようだ。

 

「この前とあまり言ってることが変わってないように聞こえたんだが…」

 

「八幡は二科生で不満か?」

 

達也は八幡に問いかける。

 

「むしろ、教員がいなくてサボれるから悪くはないな」

 

「お前に聞いた俺が悪かった…」

 

達也は八幡の答えを聞いて聞く相手を間違えたと思ったのだった。

 

 

 

そして何事もなく、一週間が過ぎた。

八幡達はブランシュの情報をほぼ集め終わっていたが、雪ノ下達や七草家、十文字家が動きを見せないので静観していた。

そして授業が終わり、放課後に入った直後。

 

 

『全校生徒の皆さん!』

 

突然、大音声が、スピーカーから飛び出した。

周りの生徒達が慌てふためいていた。

 

『……失礼しました。全校生徒の皆さん!』

 

再びスピーカーから音声が飛び出したが、先程とは違いボリュームを調整したようだ。

 

これ恥ずかしいやつですよね…この声の主は黒歴史確定的ですね。可哀想に。

 

八幡は内心そんなことを思っていた。

 

「どうやらボリュームの調整をミスったようだな」

 

「や、ツッコンでる場合じゃないから、きっと」

 

エリカはボソッと言った達也の言葉を拾い、ツッコミを入れる。

 

「お前もツッコンでるだろ…」

 

八幡はエリカの揚げ足をすかさずとった。

 

『僕たちは学内の差別撤廃を目指す有志同盟です!』

 

「有志ねぇ…」

 

達也はスピーカーから聞こえた言葉に呟いた。

 

『僕たちは生徒会と部活連に対し、対等な立場における交渉を要求します!』

 

こんな大事なことをして、対等な立場で交渉できると思ってるんですかね…下手すれば退学になりそうなんですが…いいんですか。

 

「ねぇ、いかなくていいの?」

 

エリカが八幡と達也を見て聞いてきた。

 

「今日は非番だからな、休日出勤とかしたら社畜街道真っしぐらですよ…」

 

八幡はそう言って机に突っ伏した。

 

「おい…多分呼び出しがかかるとおもうぞ?」

 

達也は八幡に休日出勤確定のお知らせを告げる。

 

「八幡!達也殿!お呼び出しが掛かったぞ!行くぞ!!」

 

材木座が大声で八幡と達也に出動要請を告げて、猛ダッシュで駆けて行った。

 

「材木座行くなら俺いらねぇんじゃねぇの?」

 

「多分こなかったら深雪が怒るとおもうぞ?」

 

八幡の言い訳に達也が呆れた感じに答える。

 

 

「はぁ…行きますか…」

 

八幡は諦めて達也と共に教室から出て行った。教室の雰囲気は不安そうにし、このまま帰っていいのかわからなくなり戸惑っていた。

 

「お兄様!八幡さん!」

 

「深雪、お前も呼び出しか?」

 

「はい、会長から放送室の前へ行くようにと」

 

深雪も生徒会で招集されたようで、合流し三人で放送室へ向かう。

 

「深雪と達也いるなら俺いらなくないですか…?」

 

八幡の意見はごもっともだが、風紀委員として招集されている為、現場には行かなければならない。

 

「私は、お兄様と八幡さんの活躍を見に来たのですよ?」

 

「活躍するとこなんてないと思うが…」

 

深雪の問いに八幡は答える。

 

「それにしても、ブランシュの仕業でしょうか?」

 

深雪は八幡と達也に問いかける。

この一件にブランシュが絡んでいるのかと疑問に思ったのだろう。

 

「違うだろ、多分アレだ…なんだっけ…」

 

「エガリテだろ?」

 

「それ」

 

エガリテとはブランシュの下位組織グループであり、第一高校に何名か潜り込んでいる組織である。

そして、三人は放送室前に到着した。

 

「遅いぞ、どうせ比企谷が休日出勤は嫌だと言っていたのだと思うが」

 

摩利が八幡を見ながら三人に告げる。

 

「委員長それは心外ですよ…」

 

「ええ、連れてくるのが大変で」

 

八幡が訂正しようとしたが、横の達也が肯定した。

 

「達也?酷くないですか?」

 

「お前達その辺にしておけ、今の状況を考えろ」

 

言い争いをしそうになっていた八幡と達也に克人が注意した。

 

「「すみませんでした」」

 

二人は揃って頭を下げた。

 

そして三人は鈴音から状況説明を受ける。

放送室のマスターキーを手に入れ、放送室に立て籠もっている。

放送室の電源は落とし、これ以上の放送ができないことを聞いた。

 

「それ犯罪じゃないんですかね…?」

 

「そのとおりです。だから私達もこれ以上彼らを暴発させないように、慎重に対処すべきでしょう」

 

八幡の問いかけに鈴音が肯定し、これからのことを相談する。

 

「こちらが慎重になったからといって、それは向こうの聞き分けが良くなるかどうかは期待薄だな。多少強引でも、短時間の解決を図るべきだ」

 

摩利は早急に取り押さえた方がいいと判断している。さっきまで意見の食い違いで口論になっていたようだ。

 

「十文字会頭はどうお考えなのですか?」

 

達也は克人の意見を聞いた。

少し出すぎた真似かもしれないが、この場はそういうところを考える場ではなかった。

 

「俺は、彼らの要求する交渉に応じても良いと考えている。元よりいいががりに過ぎない。しっかりと反論しておくことが、後顧の憂いを断つことになろう」

 

「では、この場はこのまま待機すべきと?」

 

克人の考えに達也は問いかける。

 

「それについては決断しかねている。不法行為を放置すべきではないが、学校施設を破壊してまで性急な解決を要するほどの犯罪性があるとは思われない」

 

結果的に克人の意見は鈴音寄りだった。

 

「確か達也、壬生先輩にプライベートナンバー教えられてなかったか?」

 

八幡のその一言で全員が達也を見る。その言葉に反応したのは深雪だった。

達也は深雪が反応したことに気付き八幡を見る。

 

「おい…今ここでそれを言うか…」

 

「お兄様?八幡さん?どう言うことですか?」

 

深雪が笑顔で問いかけて来た。

 

「待ち合わせの為にと教えられてたんだ、こんなところで役に立つとは思わなかったが…」

 

達也は深雪に答える。

 

「そうですか、それで八幡さんはその光景を見ていたと?」

 

「見てたな…ばっちり」

 

赤くなりながら壬生先輩が渡してたのすごく見てました。お兄様爆発しないかな…

 

「へぇ、また深雪に秘密ですか。報告の時にそんなことは聞いておりませんが?」

 

……なんだとっ!ここは達也が犠牲になるところじゃないんですかね。

 

「とりあえず、今はだな?その…アレだ早く事件を解決しないとな」

 

「渡辺先輩、少し八幡さんをお借りしてもよろしいでしょうか?」

 

深雪は八幡のことをスルーし、摩利に問いかける。

 

「プライベートナンバーを知っているのが達也くんなら、少しの間だけならいいぞ」

 

摩利は悪戯な笑みを八幡に向けながらそう答えた。

 

「ありがとうございます。すぐ済みますので」

 

「ほどほどにな」

 

摩利は深雪に軽くにしておけと言うが、建前だけなのかもしれない。

何故か、克人も見て見ぬふりをしている。

 

「では、時間もないので早く行きますよ八幡さん」

 

「達也!なんとかしてくれ!!」

 

八幡は柄にもなく大声で達也に助けを求める。

 

「壬生先輩ですか?司波です」

 

達也は八幡を無視して、壬生に電話を掛けていた。

 

 





入学編もいよいよ最終段階に入ってきました!!(40話までには終わるかな…?)


感想で葉山に関して色々言われていましたが…葉山くんはまだ脱落?はしないですよ!!!(多分…今後起こることを脱落と言わなければですが)




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有志同盟が動き出す。

誤字報告ありがとうございます…!
毎回本当にありがとうございます…!




ではどぞー!


八幡は深雪に引きずられ何処かへ行ってしまったが、全員それは見て見ぬふりをして達也に注目する。

 

「それで、今どちらに?…………はぁ、放送室にいるんですか。それはお気の毒です」

 

どうやら壬生は放送室にいるようだ。達也が気の毒と言った瞬間に顔をしかめたのはどうやら大声で壬生に返されたからのようだ。

 

「いえ馬鹿にしてるわけではありません。先輩も少しは状況を……ええ、すみません。それで本題に入りたいんですが…」

 

全員は達也の言葉に耳を傾けている。

 

「十文字会頭は交渉に応じると仰っております。生徒会長の意向は未確認ですが……いえ、生徒会長も同様です」

 

鈴音が達也にジェスチャーし、会頭と生徒会長の意向を伝える。

 

「ということで、交渉の場所やら日程やら形態について打合せをしたいんですが。………ええ、今すぐです。学校側の横槍が入らないうちに。……先輩の自由は保証します。我々は警察ではないんで、牢屋に閉じ込める権利はありませんよ。では」

 

そう言って達也は通話を切った。

 

「すぐに出てくるようです。態勢を整えるべきですね」

 

「態勢?」

 

摩利は不思議そうに達也の問いかける。

 

「中のヤツらを拘束する態勢ですよ。鍵まで盗み出した連中です。CADは持ち込んでるでしょうし、武器も所持しているかもしれません」

 

「……君はさっき、自由を保証するという趣旨を言っていた気がするが」

 

達也の言葉に摩利は問いかける。

 

「俺が自由を保証したのは壬生先輩一人です。それに俺は風紀委員会を代表して交渉しているなんて一言も述べてませんよ」

 

達也のその言葉にその場にいたほぼ全員が呆気にとられていた。克人も例外ではないらしい。

 

「辰巳殿、我の言った通りだったでござろう!」

 

「へぇ、司波はなかなか悪人らしいな、俺の負けだ。材木座」

 

材木座と辰巳は妙に仲良くなりすぎてるような気がすると達也は密かに思った。

材木座は一体辰巳に何を言ったのか…。

 

「お兄様、大事な時に席を外し申し訳ありません」

 

深雪が八幡と腕を組み戻ってきたが。普通であれば美少女の深雪に腕を組まれていれば八幡は色々な目で見られるのは確実だが、八幡の状況を見てそう思う人間はここには居なかった。

八幡は少し赤くなっていた。照れて赤く火照っている訳ではなく、冷やされて赤くなっているようで、震えている。

八幡は達也に助けて!と目で訴えかけていた。

 

「深雪、あまり八幡を虐めてやるな…」

 

達也はさっきスルーしたが、八幡の顔を見て助け舟をだした。

 

「お兄様、八幡さんと腕を組んでいるだけですよ?それと、お兄様も壬生先輩のプライベートナンバーを残してた件については後でゆっくりお話しを聞きますね」

 

深雪が笑顔で達也に告げた。

横にいる八幡は震えながらもドヤ顔を作り達也を見ていた。

助け舟を出したつもりの達也は盛大に巻き込み事故を引き起こしてしまった。元は達也が壬生のプライベートナンバーを残していたのが悪いのであるが。

 

そして放送室の扉が開いた。

 

「我に任せておけ!」

 

扉が開いた瞬間、風紀委員見習いの材木座が放送室に飛び込んで行った。それに続いて他の風紀委員も中に入って行った。そして壬生以外の四人が瞬時に拘束された。

 

「どういうことなの…これ!」

 

壬生が達也に摑みかかろうとしたが、達也はその手を掴み無表情で見ている。

 

「わたしたちを騙したのね!」

 

壬生は激昂し、掴まれた達也の手をふりほどこうとしたのであっさり手を離した。

 

「司波はお前を騙してなどいない」

 

壬生の後ろから克人が告げる。

 

「十文字会頭…」

 

「お前達の言い分は聞こう。交渉にも応じる。だが、お前達の要求を受け入れるのと、お前達のとった手段を認めることとは、別問題だ」

 

克人の迫力に壬生は戦意を喪失させた。さすがは十文字ということであろう。

 

「それはそのとおりなんだけど、彼らを離してあげてもらえないかしら」

 

「七草…」

 

いきなり解放しろと現れた真由美に対して、克人は訝しげな声を出す。

 

「だが、真由美」

 

摩利も真由美に反論しようとする。

 

「言いたいことはわかってるつもりよ、摩利。でも壬生さん一人では交渉の段取りも打ち合せもできないでしょう。当校の生徒である以上は、逃げられるというわけでもないのだし」

 

真由美は摩利を遮った。

 

「わたしたちは逃げたりしません!」

 

壬生は真由美の言葉に反射的に、反論する。

 

「学校側はこの件に関して、生徒会に委ねるそうです」

 

真由美が壬生に告げる。

つまり、施設の無断使用や鍵の盗難それらの措置については生徒会で判断を下すということ。

 

「壬生さん、これから貴女達と生徒会の、これからの交渉について打ち合わせをしたいんだけど、ついてきてもらえるかしら?」

 

「……ええ、構いません」

 

真由美の提案に、壬生は賛成しついていく意思表示を見せた。

 

「ハチくん、大丈夫?」

 

真由美は八幡が震えているのに気づいて問いかける。

 

「だ、大丈夫ですよ?」

 

八幡はこれ以上深雪を刺激しないように大人しくことが終わるのを待っていたのだが…

 

「後でお姉さんが温めてあげるわね」

 

「会長、今はそういう状況じゃないと思いますが…?」

 

真由美が八幡に発した言葉だが、答えたのは深雪だった。

 

「それもそうね。でも、こんなところで仲睦まじく腕を組んでる状況でもないとおもうんだけど」

 

真由美も深雪の行動を指摘する。

 

「八幡さんが逃げない為ですよ?他意はありません」

 

「深雪さんも生徒会役員なら、そういう行動は控えてもらいたいですね」

 

やだなぁ…寒いなぁ…冷たいなぁ…誰か助けてくれないかなぁ…

 

「七草…」

 

克人が深雪と言い合っている真由美に少し呆れながら声をかける。

 

十文字会頭!俺あんたに一生ついていきます!!…とか言っちゃいそうだったわ…

 

「ごめんなさいね。お先に失礼するわね」

 

てへっと言わんばかりに舌を出して真由美は謝り、全員に解散を言い渡して壬生とその場を後にした。

 

 

 

 

そして翌日。

前日に八幡達は相談し、朝早く会長を捕まえ壬生との話し合いの事情を聞くことにした。

エガリテのメンバーが昨日のことを起こしたのは明らかだったので、早く情報が知りたかったのである。

そして、駅で真由美の登場を八幡、達也、深雪、材木座で待っていたが、それほど待つことはなかった。

 

「会長、おはようございます」

 

真由美を見つけ、声をかけたのは達也だった。

 

「達也くん?それにハチくんに深雪さん?材木座くんまでどうしたの?」

 

待ち伏せていたのが、真由美にとっては予想外だった為、驚いていた。

 

「昨日のことが気になりまして。あの後壬生先輩達とどういう結論になったのか教えてもらえませんか?」

 

達也は真由美に余計な遊びを入れず、要件を伝える。

 

「意外ね、達也くん他人のことを詮索するタイプには見えないのに」

 

真由美は意外と表情にも言葉にも出して達也に告げた。

 

「他人事で済めばいいんですが、そうもいかないでしょうから」

 

達也は壬生の一件に関しての当事者である。他人事にはいかない。

 

「なるほど。ハチくんも気になったってこと?」

 

「まぁ…」

 

「なーんだ、残念!朝からお姉さんに会いたかったのかと思っちゃった」

 

そう言って八幡の隣にいる深雪の間に入り、腕を組んだ。

 

「な、な、な、何をしているんですか?」

 

八幡は不意の出来事に動揺して、そして恥ずかしくて赤くなった。

 

「ふふ、昨日は深雪さんにされてたから今日は私がこの腕を貰っちゃおうかと思ってね」

 

「いや…その昨日はアレがアレでして…」

 

ああ…この人なんでこんなことをしてくるんだよ…

魔王に何か入れ知恵されてるんですかね…

あの人も無駄にこういうことするとこありましたね…確実に魔王の仕業…

それにしても柔らかい…いい匂い…

 

その瞬間、八幡は真由美の隣でぷるぷる震えている深雪に気づいてしまった。

 

……終わった。今度は霜焼け程度じゃ、済まないかもしれない…

 

八幡は心の中で氷像になる覚悟をした。

 

「八幡さん?深雪は昨日申しましたよね?」

 

深雪は引きつった笑顔で八幡に問いかける。

昨日あの後、深雪は達也に少しお説教をされていた所為か我慢していてぷるぷるしていたようである。

その時に、八幡は深雪にあることを言われていた。

 

『会長と協力関係にあるのは存じておりますが、深雪としては親密になることをお勧めできません!』

 

と言われていた。八幡は一瞬何故?

と思っていたが、校内でも屈指の人気の会長が八幡と一緒にいるとこを見られたらあまり良くないことだとおもい了承した。

 

「いや…これは不可抗力と言うかだな…」

 

「それで会長、話を聞かせてもらえませんか?」

 

達也は三人の会話に割って入った。

わざわざ余計な話をしないよう要件だけ済ませる手筈だったのだ。

 

「ごめんなさいね」

 

真由美は少し不満そうな表情で謝り、八幡の腕から手を離した。

 

「彼らの要求は一科生と二科生の平等な待遇。でも具体的には何をどうしたいのか、その辺りはよく考えてないみたい。むしろ、具体的には生徒会で考えろ、って感じだったわ。まぁそれで押し問答みたいになってね、結局、明日の放課後、講堂で公開討論会を行うことになったの」

 

「随分と急な展開ですね…」

 

達也は真由美の返事に対して、建前で答える。

 

「ゲリラ活動をする相手に時間的に余裕を与えないという戦略的思想は理解できますが、その分こちらも対策を練る時間がありません。生徒会はどなたが討論会に出られるのですか?」

 

達也の問いに、真由美が自分を指差す。

 

「……まさか会長お一人で?」

 

達也は半信半疑で、深雪に至っては絶句している。

 

「そっちの方がいいでしょうね、会長一人の方が変なことを言われたりしないでしょうから」

 

八幡は真由美が一人で討論会に出ることは賛成らしい。

 

「それはどういうことかな?ハチくん」

 

真由美は八幡に問いかける。

 

「会長が負けるとこが想像できないだけですよ」

 

魔王予備軍だからなんて絶対言えないですね…

 

「負けたらハチくんに慰めてもらわなきゃね」

 

真由美は八幡の言葉に冗談で返し、話を続ける。

 

「ハチくんの言う通り、一人の方が意見の食い違いで揚げ足を取られたり、印象操作されて感情論に持ち込まれるのも怖いからね」

 

「ロジカルな思想なら負けないと?」

 

お前までロジカルとか言い出すんじゃねぇよ…懐かしいなあいつ。

 

真由美は達也の言葉に頷いて話しはじめた。

 

「それにね、あの子たちに私を言い負かすだけのしっかりとした根拠を持っているのなら、これからの学校運営に取り組んでいけばいいのよ」

 

八幡達は、真由美は有志同盟に言い負かして欲しいと言っているような気がした。

 

真由美は話終わると、先に学校に入っていった。

 

「討論会か、何かありそうか?」

 

八幡は達也に問いかける。

 

「どうだろうな、今日の夜に師匠のところに行く予定だから、その時に何か情報がないか聞いておく」

 

「私もお供いたします」

 

達也は今晩、師匠の九重八雲に会いに行く予定だったらしく、ブランシュについて何かわかるか聞いてくると言っている。

 

「とりあえず、気になることは今日の内に調べておいた方がいいだろう。八幡、材木座も頼むぞ」

 

「無論である!」

 

「今回は頑張って上手くいくように、俺もちゃんとやらないとな…」

 

今回の件は八幡が主体となって材木座と動くようになっている。達也と深雪はあくまでも協力する形である。

材木座のミスがなければもう解決していたことだが、今になって言うことではない。

 

そして朝一番に明日の放課後に討論会があると生徒会から発表された。

それから休み時間や放課後は有志同盟(エガリテ)の生徒達の活動が一気に活発になった。

 

達也と八幡は放課後、風紀委員として軽く巡回してこいと摩利に言われ珍しく二人で行動していた。理由は有志同盟が無茶な勧誘をしてる場合止めろと言うことであるが…

 

「こんなの止めるん無理じゃないですかね…」

 

「……さすがに、これは無理だな」

 

二人は廊下に出ると、有志同盟の生徒達が溢れかえっていた。

 

「予想より多いじゃねぇかよ…」

 

八幡達はエガリテのメンバーが十人くらいだと予想していた。さすがにそんなにいないだろうと思っていたのだが、二十人は軽くいそうな雰囲気である。

 

「美月」

 

達也がある男子生徒に美月が絡まれているのを見つけて間に入った。

 

「風紀委員会の司波です。あまり長時間にわたる拘束は迷惑行為と見なされる場合がありますので、お控えください」

 

こいつ、確か…司甲か、ブランシュのリーダーの弟だったけな…

 

美月を勧誘していたのは、司甲と言う。剣道部の主将である。新入生部活週間の時に、達也を襲撃していた張本人である。

 

「分かった、ここは退散しよう。柴田さん、僕の方はいつでもいいから、気が変わったら声をかけてくれる?」

 

そう言って司甲はその場を後にした。

達也は一応、経緯を美月に質問した。

 

「今のは剣道部の主将の司甲さんです。…私と同じ『霊子放射光過敏症』で、同じように過敏感覚に悩む生徒が集まって作ったサークルに参加しないかって」

 

サークル勧誘だったようである。

美月が目のことを話したのは達也自身少し予想外だったみたいだが、その後は美月がちゃんと断っていると聞いて美月と別れた。

 

「霊子なんとかって一体なんなんだ?」

 

八幡は達也に問いかける。

 

「霊子放射光過敏症、これは『見え過ぎ病』とも言われている。意識して霊子放射光を見えないようにすることができない、知覚制御不完全症といったところだな」

 

「そんなのがあるんだな」

 

八幡はあまりそう言う知識はない。基本的に材木座に任せ過ぎている部分が多い。

 

「お前ももう少し、勉強した方がいいと思うんだが」

 

達也は少し呆れた感じで八幡に告げる。

 

「確かに、勉強しないとやばそうな気はしてるんだけどな…」

 

第一高校に入学してから、少し自分の知識の無さを懸念していた。

自分が使う魔法などは、しっかりと理解しているが古式魔法や先程の様な霊子放射光過敏症などのことは全く把握できていない。

 

「深雪に教えてもらったらどうだ?」

 

「数学だけで十分だよ…」

 

達也の提案に八幡は却下する。数学の先生は継続中のようだ。

 

 




八幡の冷却耐性が上がってきたかな…?

日常系を書こうか少し悩んだのですが…
話を進めたかったので、そっちを優先しました!
日常系はブランシュが終わってからですね…(多分)




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討論会前夜は色々ある。



誤字報告ありがとうございます!




ではどぞー!


 

 

討論会前日の夜。

 

達也は予定通り、深雪と八雲の寺へやって来ていた。

 

「それで今日は一体何の用かな?」

 

八雲は達也に問いかける。

 

「実は師匠の力で調べて欲しいことがありまして」

 

達也は司甲とブランシュについて自分達が調べた事を話した。

 

「そこまで調べておいて、僕に何を調べて欲しいんだい?」

 

達也はブランシュの情報を話した為、八雲は達也に再び問いかける。

 

「師匠にお尋ねしたいのは、ブランシュが司甲を使って何を目論んでいるのかわかりませんか?」

 

「もちろん、その程度の事なら調べられるけど」

 

八雲はあっさりと頷いた。この手の話なら九重八雲にとっては朝飯前の事であった。達也もそれを知っていて頼みに来ている。

 

「でも、僕は出家の身だ。俗世には関わらないことにしている。それにそこまで見当がついてるなら、風間くんに頼んだ方が早いんじゃないかい?彼のところには藤林のお嬢さんがいるだろう?」

 

「……少佐に頼るのは」

 

「叔母君がいい顔をしないか」

 

八雲の問いに達也が答えようとするが、遮って最後まで言わせなかった。

 

「そういう事情なら、僕のところに来るのも仕方ないね」

 

八雲は達也と深雪に座りなさいとジェスチャーして、前置きなしで語りはじめる。

 

「司甲。旧姓、鴨野甲。両親、祖父母いずれも魔法的な因子の発見は見られず、いわゆる『普通』の家庭だけど、実は賀茂氏の傍系に当たる家だ。傍系って言っても血薄いんで、そういう意味では普通の家庭と言って差し支えないんだけど、甲くんの『目』は一種の先祖帰りだろうね」

 

達也が司甲の事を、ブランシュの事を聞きにくるのを予知していたかのように話す八雲。

 

「師匠、プライバシーと言う言葉を、ご存知ですか?」

 

「言葉の意味なら知ってるよ」

 

達也は自分からプライバシーの侵害を依頼していながら、自分の事を棚に上げて八雲を非難した達也に、一片のやましさも見られない顔で答えた。

 

「それにしても、俺が司甲の調査を依頼するってわかってたんですか?」

 

達也は話題をいきなり変える。

 

「いや、君の依頼関係なく、彼のことは知っていたよ」

 

「…何か理由が?」

 

「僕は坊主だけどね。同時に、いや、それ以前に僕は忍びだ。とりあえず、縁が結ばれた場所で問題になりそうな曰くを持つ人物のことは、一通り調べておくことにしている」

 

達也の問いに八雲は答え、達也は少し目を細めた。

 

「俺たちのこともですか?」

 

八雲は達也の問いに楽しげに笑った。

 

「調べようとしたけどね、その時はわからなかった。君たちに対する情報操作は完璧だ。さすがと言うべきだろうね」

 

少し二人の間にキナ臭い雰囲気が、流れる。

 

「それに、比企谷くんだっけ?彼についても調べたよ」

 

八雲の言葉に二人がピクッと反応してしまう。

 

「何故ですか?」

 

「少し興味があってね、彼が通っていた中学には様々な人達が集まるからね。その中でも彼は異彩を放っていたからかな」

 

総武中学に通っていることすらも知っていたようだ。達也自身はその辺の話は詳しく知らない。

 

「八幡さんがですか?」

 

「おや?深雪くんが他の男性に興味を示すなんて珍しいじゃないか」

 

思わず質問した深雪に達也は頭を抱えたくなった。

 

「い、いえ、そ、そんなことありませんよ?」

 

深雪は『しまった』と顔に出してしまい、更に動揺してしまった。

 

「君たちの従兄弟だってことは最近知ったよ、正直驚いたけどね。彼らの情報操作も完璧だったからね」

 

八雲が楽しげに二人告げる。

 

「やはりご存知でしたか…」

 

達也が少し苦笑いを浮かべ八雲に答えた。

 

「八幡さんが通っていた中学ってそんなに特殊なんでしょうか?」

 

深雪は開き直り八雲に問いかける。

 

「特殊といえば特殊だね。雪ノ下陽乃、城廻めぐり、雪ノ下雪乃、三浦優美子、一色いろは、そして比企谷八幡、比企谷小町。4.5年の間にここまで魔法師として優秀な家系の人間が集まる中学は日本で、あそこくらいだと思うよ」

 

達也と深雪は八雲から聞かされてようやく理解した。

総武中学は自然的か必然的かはわからないが、魔法師として優秀な生徒が集まる学校であると。

 

「そして、教師には君達の姉弟子がついている」

 

八雲はさらなる追い討ちをかける。

 

「静さんですか…」

 

「そんな繋がりまで…」

 

八雲の言葉に更に驚く二人。

平塚静は達也と深雪にとって姉弟子である。

 

「そういえば最近、静さんを見ていないような気がするのですが…」

 

達也は毎日、早朝に八雲の寺で修行を積んでいる。八幡の家にいるからと言って例外ではない。

 

「あー…この前、ウチの門下生が静くんに結婚するって言ったのが原因でね…」

 

「そんな自殺行為を…」

 

八雲の説明に、深雪は呆れた感じに言葉を発した。ここでも結婚という言葉は禁句なようである。

 

「それ以来しばらく休むと言ってまだ来ていないんだよ。ちなみにその時の門下生は、入院中だよ」

 

笑いながら八雲は話す。

 

「全く、あの人は…」

 

達也も少し呆れているようだ。

 

そのあと本題に戻り。八雲に司一の詳細の事実を知り、司甲が第一高校に入学したのは義理の兄、司一の意思が働いているというものであった。

八雲に美月の『目』のことを教えてもらい、それが達也が懸念するようなものではないと聞かされて、正直安心した達也であった。

 

 

 

 

 

 

その頃、八幡と材木座はブランシュの新しいアジトに下見に行っていた。

 

「おい、材木座。ここ本当にブランシュのアジトか?」

 

「いかにも!我を信じないのか八幡よ!」

 

八幡の問いに材木座は答える。

 

「いくら遮断フィールド使ってるからって大声出すなよ…」

 

「すまぬ…ついテンションが上がってしまったのでな」

 

あくまでもバレないように立ち回らなければならないので、材木座を連れて来たのは間違ってたかと一瞬迷ったがもう遅い。

 

「誰もいなくないか?」

 

「八幡よ、アレを使えばよかろう」

 

「そうだな…」

 

八幡は知覚系魔法が一応使える為、CADを取り出し中を確認する。

一応というのは今の所広範囲には使えない精々50mが限界である。

これは達也と材木座が開発した魔法で知っているのは、八幡、達也、材木座、深雪、小町、水波だけであり、達也以外のCADに組み込んである。

 

「誰もいないぞ?」

 

「へっ?」

 

「へっ?じゃねぇよ、どうするんだよ…」

 

ブランシュの新しいアジトは此処ではなかったらしい。

 

「昨日までは、ここに集まっておったのだぞ?」

 

「ここは予備ってことなのか?………なら最初のアジトが怪しいんじゃねぇの?」

 

材木座は少し焦るが、八幡は冷静に考えて答える。

 

「とりあえず、最初のアジトだった、廃工場に向かってみるか」

 

「無論である!行くぞ!八幡!!」

 

二人は森の中をかけていった。

 

 

 

 

 

その頃、十文字家でも動きがあったようである。

 

「そうか、情報提供に感謝する」

 

「いえ、こちらも協力させてもらっているのでこれくらいさせてください。何かあればこちらも行動を起こしますので、その時はご了承ください」

 

克人は誰かと会話をしている。

十文字家は、情報収集をあまり得意とはしていないが、協力者がいるようである。

 

「うむ、その時は行動してくれて構わない。それにしても、よく調べたな」

 

「私がここにいるのはその為ってこともありますから」

 

何か今後があるようなものいいだが、ブランシュとの関係性が何かあるかもしれない。

 

「こちらとしても大いに助かっている。今後ともよろしく頼む」

 

克人は座りながら、頭を下げる。

 

「十文字さん、頭を下げないでください。元はといえばこちらがお願いしている方なので」

 

頭を下げた克人に少し驚く。立場はこの人物の方が低いようである。急いで克人に頭を上げさせる。

 

「それにしても随分と立派になったな」

 

克人は付き合いは長いようで、少し懐かしむ感じで相手に告げる。

 

「そう言ってもらえるなら嬉しいですね、これでも色々頑張ってますから」

 

「来年はどうするんだ?」

 

克人は進路について問う。どうやらまだ相手は中学生のようである。

 

「第一高校に入学しようと思ってます」

 

「そうか。それは楽しみだな、活躍するのを近くで見れないのは残念だが」

 

克人は卒業する為、入れ違いになってしまう。

 

「私よりも優秀な方がいっぱいいると思いますけど?」

 

「少し過小評価しすぎではないか?少なくとも俺は、来年入ってくるであろう生徒の中では一番だと思っている」

 

「そんなことはないと思いますけど…でもありがとうございます」

 

十文字と謎の協力者はこの後、他愛のない話をして解散した。

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして、千葉の某所でも動きがあった。

 

 

 

「隼人くん、貴方にチャンスをあげましょう」

 

「どういうことでしょうか…?」

 

葉山にチャンスをあげると言い出す夏乃。

 

「明日学校でブランシュの構成員が第一高校を襲います。そこで魔法大学が所蔵する機密文献を盗み出そうとしています」

 

「なっ?」

 

葉山は夏乃の言葉に驚きを隠せず声を出してしまう。

 

「それを雪乃に止めさせます。そして貴方の仕事は………」

 

夏乃は葉山にある事を告げた。

 

「そんなこと…」

 

話を聞いた葉山は少し青ざめていた。

 

「上手くいけば貴方を雪乃の婚約者として認めましょう。貴方にとっても悪い話ではないと思いますよ?」

 

夏乃は更に条件を出す。雪乃の婚約者つまり、葉山を雪ノ下家に招き入れるということである。

 

「それは本当ですか…?」

 

「ええ、私は嘘をつかないもの」

 

「わかりました…引き受けます」

 

葉山は夏乃の言葉を信じて承諾し、その場を後にした。

 

「あの子が上手く行くはずはないもの、これが本当の制裁ってやつよ。葉山隼人くん」

 

夏乃は不気味な笑みを浮かべ独り言を言った。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

そして討論会当日がやって来た。

 

「意外に集まりましたね」

 

深雪が会場を見渡しそう告げる。席はほぼ埋まっている。

 

「予想外、と言った方が良いだろうな」

 

深雪の言葉に達也が反応する。

 

「当校の生徒にこれ程、暇人が多いとは…学校側にカリキュラムの強化の進言をしなければならないかもしれませんね」

 

「笑えない冗談はよせ…市原」

 

鈴音の言葉に摩利がすかさず答える。

 

四人は舞台袖から見ている。

そして少し離れたところに、真由美と服部。そして反対側の袖に有志同盟の四人とその四人の監視の為に、風紀委員が控えている。

そして近くには壬生の姿はなかった。

 

「実力行使の部隊が別に控えてるのかな…?」

 

摩利がわざとらしく聞こえるように呟く。

 

「その為に、八幡と材木座を外の警備に回したんでしょう?」

 

達也が摩利の呟きに反応し、問いかける。

摩利の指示で八幡と材木座は外の警備に出た、これに関しては八幡達からしてみれば好都合な話だった為、引き受けた。何かあればいち早く行動を起こせる。

 

「材木座がここにいると五月蝿くて敵わんからな、外に追い出しただけだよ。比企谷は材木座のお目付役だ」

 

摩利は建前で達也に答える。達也の言うことが間違いではなかったが、それを堂々と答えるわけにはいかない。

 

「さてそろそろ始まるぞ」

 

そして、パネルディスカッション方式の討論会が始まる。

 

 

 






ついに討論会が始まります!長かった…w


次回は討論会です!!


そして今回、三浦優美子の名前を出しましたが数字付きということで、魔法科の原作ではないですが師補十八家で第三研究所出身の家として、三浦家を採用しました…。

そして八幡が使った知覚系魔法に関しては、まだ未完成品です。
精霊の眼ではなく、マルチスコープ寄りの能力になります。
八幡以外でも使用できます。材木座のオリジナル術式が必要になりますが。


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第一高校は襲撃を受ける。

誤字報告ありがとうございます!!


戦闘シーン有りです!自信ないので暖かい目で見てくださると嬉しいです!!


ではどぞー!


討論会前、八幡と材木座は達也から連絡を受けて始まる事を知らされる。

 

 

「さて、配置についておくか。講堂は達也達がいるから大丈夫だろ」

 

「八幡ヘマをするなよ」

 

材木座はドヤ顔でそういった。

 

「いや…お前にそのまま返すわ…」

 

材木座は実技棟付近へ、八幡は裏の森の方へと配置につく。配置に関しては達也と摩利からの指示である。

 

 

 

材木座は実技棟付近に到着した。

 

「おっ!材木座じゃねぇか。こんなところで何してんだ?」

 

レオは材木座を見て声を掛けてきた。

 

「西城殿か、風紀委員の務めで外の警備を任されておるのだ」

 

「へぇ、これから何かあるってことかな?」

 

材木座の答えにエリカがワクワクしながら声を掛けてきた。

 

「ち、千葉殿、何かあるかもしれないだけであるぞ」

 

「なら私もここにいよーっと」

 

エリカは材木座の言葉を聞いて、やる気に満ち溢れた雰囲気になりニヤニヤしている。

 

「それなら俺もここに残るか」

 

レオもやたらと好戦的な性格な為、ここに残ると言い出す。

 

「あんたが居ても役に立たないつーの」

 

「なんだとっ?!」

 

いつも通りと言わんばかりに喧嘩をしだす二人。

 

「お主らは、CADは持っておらんのだろう…」

 

材木座は二人にそう告げる。

 

「持ってるぜ!」

 

「丁度帰ろうとしてたところなんだよね〜」

 

レオとエリカはCADを材木座に見せてきた。

実は、朝から八幡達が話しているのをこっそり聞いていたエリカとレオは何かあると思い、放課後に事務室へCADを取りに行っていたようである。

 

「お主ら…我、一応風紀委員なんだが…」

 

「見習いでしょ?だったらいいじゃない!何もなかったら帰るんだし〜」

 

材木座は不味いのではないかと、思ったが何もなければいいと思い承諾した。口答えしても材木座はエリカに敵わなかったであろう。

 

「いいかお主ら!我はお主らがCADを持ってるなんて知らないのであるからな!バレても我の所為にするでないぞ!!」

 

材木座はやはり材木座である。

 

「わかってるって!それにしてもそれを堂々と言うのはどうかと思うんだけどね〜」

 

エリカが材木座の発言に苦笑いして答える。

 

「材木座は容認してくれたってことだから細かいことは気にしなくてもいいじゃねぇか」

 

「いや我、容認してないんですけど…」

 

材木座は黙認しただけであって決して容認した訳ではない。

 

その瞬間三人の前方の方からグレネードランチャーを構えた工作員がグレネードランチャーを発射した。

 

「「「えっ?!!」」」

 

予想外の出来事に三人は一瞬フリーズした。

 

そして放たれたグレネードランチャーは実技棟へ着弾してしまった。

 

そして第一高校中に、轟音が鳴り響いた。

 

(我、絶対怒られる…)

 

材木座は心の中で泣いた。

 

「グレネードランチャーをぶっ放してくるとは中々過激派なやつらだな…」

 

レオは少し驚いた様子であった。

 

「ここは我に任せておけ!!」

 

材木座は挽回する為に、前に出た。

 

「お主らは我を怒らせたのだ!覚悟するがいい!!延びろ!『鬼灯丸(ほおずきまる )』!!」

 

材木座は一本の槍を取り出してテロリストに向かって猛スピード走っていく。

恐らく武装一体型のCADである。

 

「我の力を舐めるなよ!!豊穣なる幻の大地 岩砂閃波( ブラスティーサンドロック)!!」

 

材木座がそういうとCADが音声認識で発動して、回りの砂が舞い鬼灯丸( ほおずきまる)の周りに集まっていく。そして砂が固定され、砂を振動系統魔法で振動させる。

そしてその槍でグレネードランチャーを斬り、工作員の男を手刀で気絶させる。

 

「やば…今の我…超かっこいい」

 

材木座はボソッと呟いた。

 

「すげぇな、材木座」

 

レオが素直に感心している。

 

「槍の扱い方としては0点もいいところだけどね〜」

 

エリカは材木座にそういうが、使用した魔法については少なからず驚いているようである。

 

「さて、私達も一丁やりますか!」

 

エリカはそう言って、工作員を取り押さえに行った。

 

「俺も働くぜ!」

 

エリカに続いてレオも工作員に殴り込みにいった。

 

「わ、我も負けておれん!」

 

材木座もあわてて工作員を捕らえにいった。

 

そして一分もしないうちに実技棟前の工作員は片付けられた。

 

「材木座!」

 

達也が走ってきた。その後ろに深雪も追いかけて来ている。

 

「達也殿に深雪殿、無事で何よりである!」

 

材木座は二人の顔を見て少し安心した表情をする。この二人に何かあることなどそうそうないとわかっているのであるが。

 

「お前も無事で何よりだ…ってお前達は…」

 

達也はレオとエリカを見て、呆れた様子だった。

 

「材木座くんが許可してくれたからね〜」

 

『オホホ』としながらエリカは材木座を売った。

 

「千葉殿??!」

 

材木座は驚きを隠せずにエリカの名を呼ぶ。

 

「まぁ…聞かなかったことにしてやるか…」

 

「ふふっ、お兄様は優しいのですね。八幡さんは大丈夫でしょうか…」

 

深雪は達也にそう告げて、八幡の身を案じている。

 

「八幡なら大丈夫だ、心配するな」

 

達也はこの場はもう大丈夫だと判断して、今達也がわかっている、状況報告を材木座、エリカ、レオにした。

 

 

 

 

 

 

 

轟音が鳴り響いた時、八幡は実技棟の裏の森の近くまで来ていた。

 

「あの…馬鹿…何やってんだよ…」

 

轟音が実技棟の方から鳴り響き、煙が上がっていたので材木座に悪態を吐く。

その瞬間、八幡の周りに工作員が現れ、CADを向ける。

 

「はぁ…反魔法国際政治団体がこんなに堂々と、魔法使っていいんですかね」

 

八幡はそう言ってCADを操作し、領域干渉で魔法の発動を防ぐ。

 

「ま、魔法が使えない…化物め!」

 

工作員の一人がナイフを取り出し八幡に斬りかかるが、その場にいた全員が地面に一瞬で叩きつけられ気絶した。

 

「化物はさすがにいいすぎじゃないんですかね」

 

工作員は気絶したので、その場を放置して、当初の目的地に急ぐ。

 

 

「こんな時に、部活やってるのかよ…」

 

八幡の目の先にはバイアスロン部の練習場があり、どうやら部活をしていたようだ。

討論会に関しては強制ではない為、部活も普通に行われていた。

バイアスロン部の部員達は爆発音でかなりあたふたしていた。

 

「八幡さん!」

 

ほのかが八幡を見つけて、大声で呼んできた。

 

「ばっかお前!後ろ!」

 

ほのかは八幡の方へ向いているが、背後から工作員の男がナイフを持ち接近してきた。

 

「えっ?」

 

ほのかが後ろを向くと同時に男が吹き飛んだ。八幡は単一系の魔法で男を弾き飛ばした。

八幡の現在使っているCADは汎用型で、特化型ではない、照準補助なしで長距離に魔法をしようしたということである。

 

「八幡さん、ほのかを助けてくれてありがとう」

 

八幡がバイアスロン部の元へ駆け付けて、雫が真っ先にお礼を言った。

 

「お、おう…」

 

「八幡さんありがとうございます!」

 

ほのかも半泣きになりながらも八幡にお礼を言う。

 

「仕事だからな…って、今はそんな場合じゃないんだよ」

 

「何があったの?今の爆発音と関係あるの?」

 

雫が八幡に問いかけてきた。

 

「テロリストが学校に進入したみたいだな、ここは危ないかもしれないから何処か安全なとこに移動した方がいいのかもな」

 

「えっ?」

 

ほのかの顔が若干青く染まる。

 

「まぁ大丈夫だろ、俺以外みんな頑張ってるはずだからな」

 

「八幡さんもほのかを、ううん…私達を助けてくれた」

 

「仕事だ仕事…」

 

八幡はしつこくお礼を言われるのには慣れていない為、そっぽ向いてしまう。

 

「ありがとう」

 

雫はそんな八幡を見て、笑顔でお礼を言う。

 

「光井さんも北山さんも無事ならそれでいい、責任「雫」…へっ?」

 

八幡が喋っているのを遮って雫が声をかける。

 

「北山さんじゃなくて雫って呼んでほしい、ほのかの事もほのかって呼ぶこと」

 

えっ?今ここでそれ言うんですか…?そんな場合じゃないと思うんですけど…

 

「いや…今そう言う場合じゃなくてだな…」

 

「八幡さんダメですか?」

 

ほのかも雫に乗っかってきた。

 

「ああ…わかったよ。とりあえず責任者の人を呼んでもらってもいいか?」

 

八幡は名前呼びのことよりも今は事態をバイアスロン部の責任者に伝えるのが先だと思い、ほのかと雫に紹介してもらい、バイアスロン部の部長の五十嵐に事情を説明して、避難してもらうことにした。

避難場所は第二体育館が安全と連絡して確認をとった。

もしもの為に、競技用のCADを使ってもいいと言う連絡もあったので各自競技用CADを持って移動すること決まった。

 

「俺もついてかなきゃまず…」

 

八幡がついていこうとしたら後ろの森からブランシュの工作員が十人程飛び出してきた。

ほぼ全員が銃を持っている。

 

「先に行ってろ…ここはなんとかしておくから」

 

八幡がほのかと雫にそう言って工作員の方へ走り出した。

 

「八幡さん!!」

 

ほのかが走る八幡に叫ぶが雫がほのかを無理矢理連れて行く。雫も不本意ながらという感じではあるが、八幡を信じての行動だろう。

 

工作員が八幡に銃を向けて発砲した。

 

「俺…水波みたいに上手くないけどこれくらいならいけるだろ」

 

八幡はそう言って障壁魔法を展開させる。

銃弾は全て障壁魔法によって防がれた。

 

「魔法師が調子に乗るな!!」

 

そう言って工作員の一人がアンティナイトを使う。が、非魔法師のキャストジャミングでは八幡に効果をもたらすことができなかった。

 

「あれがキャストジャミングか、アンティナイトって確か高いんだったよな…」

 

八幡はキャストジャミングに驚くよりもアンティナイトの価値に興味があるようだ。

少し距離を取り、工作員達との距離をあける。

 

「とりあえず、鎮静化させてあいつらを追いかけないとな…」

 

八幡は障壁魔法を展開させながら、特化型CADを抜く。

 

「あっ…やば、カートリッジ入れ間違えた…まぁテロリストだからいいですよね…誰も見てないし…」

 

八幡は普通の汎用型とカートリッジ式の特化型CADを使っている。汎用型で障壁魔法を展開させているので、特化型のCADを使用しなければならないが二機のCADの同時操作は、かなりの高難度の技である。

そして、今回カートリッジに入っていたのはこの前材木座が開発した<重力破壊(グラビティ・ディストラクション )>しか入ってないカートリッジであった。

 

「人に使わなきゃセーフだよな」

 

八幡は独り言を言いながら工作員達がいる地面に向かって<重力破壊(グラビティ・ディストラクション )>を発動させた。

地面は消し飛び工作員達はその衝撃に巻き込まれ意識を手放していた。

 

「とりあえず、アンティナイト借りていくか」

 

八幡は工作員のアンティナイトを指から外してバイアスロン部の元へと急いで戻っていった。

 

 

 

 

その頃雪ノ下は…

 

「由比ヶ浜さん、障壁魔法を」

 

「任せてゆきのん!」

 

雪乃の指示に結衣が障壁魔法を展開させ、数人の工作員の銃弾を防ぐ。展開スピードといい強度といい申し分ない、さすが一科生で入学できる魔法力があるようだ。

 

「これで終わりよ、<氷河>」

 

雪乃のそう言って魔法を展開させる。

すると無数の氷が現れて、数人の工作員に放たれた。

 

「さすがゆきのん!前より数が多くなったね!」

 

結衣は雪乃を賞賛する。

雪ノ下家は七草家の分家であることから、群体制御の魔法を雪乃は得意としている。

 

「このくらい当然よ、それにしても母さんが言ってた通りになったわね…」

 

雪乃は、このことを母の夏乃から聞かされていたが、半信半疑だったようである。

 

「そうだね、隼人くん来てないけどどうしたんだろ?」

 

結衣は葉山の姿を見ていない為、雪乃に問いかける。

 

「あの男は、もう私達には関係ないわ。忘れなさいと言ったでしょ?」

 

「そうだね、ゆきのんを裏切ったんだもん!許せるわけないよ!」

 

雪乃は結衣に何を言ったのかはわからないが、もう葉山は雪ノ下の元へは帰ってこれないようである。

 

「とりあえず、図書館へ急ぎましょう。止めなければならないわ」

 

「うん!!」

 

雪乃と結衣は図書館へ目指してかけていった。

 

 

 




材木座と雪乃の魔法を新たに出しました!
材木座の武装一体型のCADに関しては中の人経由で鬼灯丸を持って来ました!卍解はしないの予定です笑

材木座が使った魔法に関しては、あの武装一体型CADなしの方が上手く使えたりします。それは今後使うつもりです。


雪乃の<氷河>に関しては
空気中の水分を氷に変えて群体制御で操る感じになります。
第七研究所っぽくして見ました…(群体制御ってこんな感じでしたよね…多分!)



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重力支配



誤字報告ありがとうございます!!





ではどぞー!


 

達也たちは小野遥に図書館に壬生たちがいると聞いて、図書館に向かっていた。

 

「お兄様、八幡さんに連絡をします!」

 

「頼む!」

 

深雪は八幡に電話をかける。

 

少しコールしたらすぐに出た。

 

「もしもし、八幡さん。深雪です」

 

「今は第二体育館だ、そっちの様子は?」

 

八幡は無事にバイアスロン部の部員を第二体育館まで送り届けたようだら、

 

「今、小野先生からの指示で図書館に向かっています。八幡さんはこれそうですか?」

 

「そうか、ならそっちに向かう。それより深雪、雪ノ下達を見てないか?」

 

八幡は深雪に雪ノ下達の事を問いかける。

 

「いえ、見ておりませんが…何か問題が?!」

 

深雪は慌てて八幡に問い返す。

 

「いや、知らないならいい。あいつらにあったら用心してくれ、まぁ俺がいなかったらあいつらも馬鹿なことはしないとおもうが…」

 

「わかりました。そのように伝えておきます」

 

「助かる。俺もそっちに向かう…って言ってもすぐに終わりそうだが」

 

「お兄様がいらっしゃるのですから、わざわざ八幡さんのお手を煩わす可能性は低いと思いますが、お待ちしてますね」

 

深雪は八幡との電話を切った。

 

「八幡さんは今から図書館に向かってくださるそうです。それと雪ノ下さん達に気をつけろと言っておられました」

 

深雪は達也に八幡からの伝言を伝える。

 

「ブランシュだけではなく、そっちも気にしないといけなかったな…」

 

達也は全員に注意を呼びかけた。すると図書館の目の前で乱戦が繰り広げられていた。

 

「パンツァァー!」

 

レオが乱戦を見つけるなりその中に突っ込んでいってしまった。

 

「西城殿!!」

 

「ここは任せとけ!!」

 

材木座がレオに加勢しようと声をかけたが、レオ一人でやるというのでその場は引いた。

 

「レオ先に行ってるぞ!」

 

「おうよ!」

 

達也もレオなら大丈夫だろうと判断してその場を任せて図書館へ入っていく。

すると入るなり、銃声が聞こえる。

 

「おっ!中で派手にやってるね〜」

 

エリカが楽しそうに銃声を聞いて中に入ろうとする。

 

「千葉殿、待たれよ」

 

材木座はエリカより先に中に入っていたが、すぐに出てきた。

 

「どうしたの?」

 

「雪ノ下嬢達が応戦しておる」

 

どうやら先に雪乃と結衣が到着してたようだ。ブランシュのメンバーを丁度片付けた所だった。

 

「へぇ〜。言うだけの事はあって中々やるじゃない」

 

エリカは二人が応戦している姿を見て少しだけ賞賛する。あくまでも魔法の使い方を賞賛しているだけであるが。

 

「貴方達、ここは私たちで十分よ。引きなさい」

 

雪乃は達也たちの姿を見て告げる。

 

「なんですって!」

 

エリカが突っかかってしまった。

 

「聞こえないのかしら、貴方達は邪魔と言っているの」

 

「そうだよ!これはゆきのんと私でやるから黙ってるし!」

 

雪乃と結衣はこの場を譲る気はないようである。

 

「お兄様…」

 

「風紀委員の司波です。一般の生徒がそこまで出る必要はありませんので、この場は俺と材木座に任せて頂けたらと」

 

達也は風紀委員会として、二人にこの場から立ち去れと遠回しに言う。

 

「お前たちは、外で待っててくれ」

 

達也はエリカと深雪にそう告げて、材木座と奥へ入ろうとする。

 

「ウィードの癖に調子乗んなし!!」

 

結衣がCAD操作しようとする。

 

「………由比ヶ浜結衣…お兄様を愚弄するおつもりですか…後悔するがいい…」

 

深雪が怒りを露わにした瞬間、結衣が地面に叩きつけられ、深雪は少し驚いた表情をする。

 

「深雪も落ち着け…こいつらは俺が引き受けるから…」

 

急いでやってきた八幡が深雪の頭に手を置いて宥めるように話しかける。

 

「八幡さん…ですが!この者達はお兄様を!」

 

深雪は煮え切らない思いで、八幡に詰め寄る。

 

「それでお前が手を汚したとして、達也は喜ぶのか?」

 

「それは………申し訳ありません」

 

八幡の言葉に納得し、深雪は怒りを抑える。

 

「由比ヶ浜さんになんてことを…」

 

雪乃は地面に叩きつけられた結衣を見て怒りを露わにした。

 

「あー…それは悪かった。だが、あれは確実に攻撃的な魔法を使用しようとしたから止めただけだ。……深雪は達也と先に行ってくれ」

 

少しやり過ぎたかも知れなかったですね…でもあのままじゃ氷像完成してたから仕方ない…

 

「わかりました…」

 

「行かせると思ってるのかしら」

 

深雪は八幡にこの場を託して達也と共にその場を後にしようとするが、氷柱が二人を襲う。

 

「早速これを使うことになるとはな……フハハハハハハ!!!裂けろ!鬼灯丸(ほうずきまる )!」

 

材木座が高笑いし、裂けろと叫ぶと鬼灯丸(ほうずきまる )が両サイドの部分が分裂し、氷柱を粉砕した。

 

「なっ!」

 

雪乃は氷柱が破壊されたのに驚く。

 

「お兄様、あれは?!」

 

深雪も少し驚いた様子である。

 

「あれは、硬化魔法を応用した技だな。槍を分裂させて相対位置を固定してるいるんだろう。それに二つ分裂させているということは、並行して硬化魔法を使ってるってことだな」

 

達也は少し関心しながら、材木座の鬼灯丸(ほうずきまる )のことを深雪に解説する。

 

「材木座さんってすごい人なんですね…」

 

「深雪…今気付くことではないと思うぞ…?」

 

達也は深雪の材木座に関する無関心さに少し呆気にとられが、先を急ぐことにしその場から立ち去る。

 

「雪ノ下、ここは引いてくれ」

 

「私が貴方の言うことを聞くと思ってるのかしら…」

 

再び雪乃がCADを操作し、先程とは違い小さめの氷の玉を生成し、八幡目掛けて放つ。

 

「八幡!!」

 

「千葉殿、八幡なら大丈夫である!」

 

エリカが咄嗟に声をかけ八幡の元へ行こうとするが材木座がそれを止める。

 

「お前の魔法に対して、俺の魔法は相性がいいみたいだな」

 

雪乃の放った氷の玉は八幡の前で、急降下し地面に落ちた。

 

「っ!まだよ!!」

 

雪乃は次々に氷の玉を生成して、全方位から八幡目掛けて放つが…全て八幡には届かなかった。真上から来た氷の玉に関しては八幡の頭上を斜め避けてるように飛んでいく。

 

「材木座くん、あれは何なの?」

 

エリカも驚いた様子で、材木座に問いかける。

 

「けぷこんけぷこん!あれが<重力支配(グラビティ・ルーラー )>本来の使い方である。領域型重力操作魔法であるぞ」

 

材木座が<重力支配( グラビティ・ルーラー)>と名付けたのはこの為である。

八幡はその名前が嫌で、重力強化と重力弱化と分割して名称を変えて使い分けている。

他にも色々使い方があるようだ。

 

「つまり、重力を操ってるってこと?」

 

エリカは八幡が重力魔法を使えるのは知らなかった為、よくわかっていない様子である。

 

「いかにも!千葉殿は、八幡が得意としている魔法を知らなかったであるな。今から説明しようではないか!」

 

「 なんか長くなりそうだから、今は聞くのやめとく…」

 

エリカは興味があったが、材木座が語ると長くなりそうなので今は聞かないことにした。

 

「そ、そうであるか…」

 

材木座は少し残念そうにしているが、この場はエリカが正しいだろう。

そして二分程、雪乃は氷の玉を生成し続け、八幡に放つが一つ足りとも届かなかった。八幡の周りはボコボコになっている、直撃していたら重症間違いない程の威力であった。

 

「はぁはぁ…」

 

雪乃はサイオン量が少ない為、すぐに枯渇してしまう。CADがあるからといっても何回も使うのには限界がある。

 

「それ以上魔法を使うのはさすがに危険だ、雪ノ下…」

 

八幡は雪ノ下が限界に来ていることに対して、指摘する。このままでは魔法師として生きていけなくなる。

 

「貴方に私の何がわかるのかしら…私は雪ノ下家の次期当主なのよ…貴方相手に負けるわけには行かないのよ!!」

 

雪乃は再び大きな氷柱を八幡の頭上の上に生成し、落とす。もろに直撃すれば即死レベルの魔法だが、それも八幡の頭上の上で粉々に砕けた。

 

「俺は別にお前と争うつもりなんてないんだが…」

 

八幡は特化型CADを出して、頭上の上の氷柱を重力破壊( グラビティ・ディストラクション)で破壊し、雪乃に告げたが…雪ノ下は限界がきたのかその場に倒れた。

 

「ゆ、ゆきのん!」

 

気を失っていた結衣は、雪乃が目の前で倒れたタイミングで気を取り戻した。

そして、雪乃の状態をみて慌てて声をかける。

 

「ヒッキー…ゆきのんになにしたの…」

 

結衣は八幡を悲しい目で見る。

 

「雪ノ下が魔法を使いすぎただけだ。命には別状はないだろ」

 

八幡は結衣に答える。

魔法を連続して使った為だが、命には別状はないだろうと判断した。

 

「嘘だ!ゆきのんにヒッキーが勝てる訳ないよ!あんなに辛い魔法の練習をしてきたゆきのんに、何もしてないヒッキーが勝てるわけない!!!」

 

結衣は少し暴走して八幡に怒鳴りつける。

 

「俺も魔法の特訓ならしてきたんだが…」

 

八幡も小さい頃から父親に魔法の使い方を叩き込まれていた。材木座も一緒に特訓していたが、八幡はその倍以上は特訓をさせられている。四葉として、なにより八幡自身の為に父親が心を鬼にして叩き込んだ。

 

「うるさい!!どうせ隼人くんもヒッキーがなんかしたからなんでしょ!!私の周りの人を次々と私と引き離してなにが楽しいの!!それにゆきのんまでこんなことを…」

 

結衣は八幡にそう言いながら泣いてしまった。

 

「………材木座、雪ノ下を保健室まで連れていってくれ」

 

「……しかし八幡よ、今のを放っておいてよいのか…」

 

「いいから連れていってやってくれ。あいつらがまた変なこと言わないとは限らないから風紀委員会として連れていけ」

 

八幡は材木座にそう頼むが、材木座もさすがにこれでいいのかと問うが、八幡に言われたので仕方なく、雪ノ下達の元へいく。

 

「中二がゆきのんに触んなし!!!」

 

結衣は雪ノ下を担ごうとする材木座に怒鳴りつけ、自分で雪乃を担いで歩いていった。その後ろを材木座がついていく。

 

「八幡が、二科生になった理由がちょっとわかったかも」

 

エリカがボソッと呟いた。本当の理由はそうでなくても実際は八幡が二科生で入学したのは結果的によかったのかもしれない。

今の雪乃と結衣の行動を見た、エリカもそう思ったのだろう。

 

すると壬生が慌てて走ってきた。達也と深雪は取り逃がし、あとはエリカと八幡に任せたということだろう。

 

「八幡、あの人は私に任せてくれないかな?」

 

エリカは壬生の相手をさせろと八幡に問いかける。

 

「もう俺は働きすぎた…もう何もしないまである」

 

「はいはい、ご苦労様」

 

エリカは八幡を軽く流し、壬生の前に出た。

 

「セーンパイ。はじめまして〜」

 

エリカはニコニコと微笑み壬生に声をかける。

 

「……誰?」

 

壬生は警戒心をむき出しにしてエリカに問う。

 

「一年E組の千葉エリカです。念のために確認させてもらいますが、一昨年の全国中学女子剣道大会準優勝の壬生紗耶香先輩ですよね?」

 

エリカが壬生に問いかける。

 

「……それがどうかしたの?」

 

「いえいえ、どうもしませんよ?ただ確認したかっただけです」

 

八幡は腕を後ろに回してるエリカの手を見た。

 

えっ?日本刀ですか?どこから拾ってきたんですかね…今から殺し合いでもするんですか…やだ帰りたい…

 

「……急いでるの、通して…っ!風紀委員!」

 

えっ?今気付いたんですか?結構堂々としてたつもりだったんですけど…ついに素で存在を消せるようになっちゃったのか…

 

「いや、どうぞ続けてください。もう俺働きたくないんで…」

 

八幡は驚いて少したじろぐ、壬生に告げる。

 

「この風紀委員の子もそう言ってることよ!そこを通しなさい!」

 

なんか俺、あの人の味方みたいになっちゃってるんですけどいいんですか…?

 

「一体どちらに?」

 

「貴女には関係ないでしょう」

 

「答えるつもりはないと…いうことですね?」

 

「そうよ」

 

壬生の問いを聞いたエリカはニコニコしだす。

 

「交渉決裂ですね」

 

エリカは楽しそうに壬生に告げ、壬生は近くに置いてあったスタンバトンを拾いエリカに向けて構える。

 

「そんなに焦らなくても、得物を手に取るくらい待ってあげるのに…」

 

「退きなさい!痛い目を見るわよ!」

 

「これで正当防衛成立かな、風紀委員の目の前でやることじゃないんだけど」

 

エリカは片手に持っていた刀を投げ捨て、警棒を構える。

そこからはエリカが圧倒した。

流石は千葉本家の娘なだけはあり、壬生も決して弱い相手ではないがエリカの方が実力があったということである。

 

「ゴメン、先輩…骨が折れているかもしれない」

 

「……ひびがはいってるわね。いいわ、手加減できなかったってことでしょう」

 

「うん。先輩は誇ってもいいよ、千葉の娘に本気を出させたんだから」

 

「そう…貴女があの千葉家の人だったの」

 

そう言って壬生は意識を手放し、それをエリカが支えた。

 

「お疲れさん」

 

八幡はエリカに労いの言葉をかけた。

 

「じゃあ八幡、壬生先輩よろしく〜」

 

「はっ?」

 

八幡はエリカの一言に驚く。

 

「か弱い女の子に担いで行けっていうの?」

 

「全然か弱くなかったんだが…」

 

八幡の言う通り、今のを見てか弱い女の子とはとても言い難い。

 

「いいじゃない!壬生先輩みたいな綺麗な人を抱きかかえれるのよ?」

 

「いや…別にそういうのはいらないから…」

 

結局この後、達也たちが降りてきて達也が壬生を抱きかかえて保健室まで連れて行くのであった。

 

 

 





入学編も残りわずかとなってきました!(多分後3〜4話で終わるはずです!)

今回八幡の魔法の詳細?的な感じにしてみました。
重力支配の由来って感じですかね。
領域型重力操作魔法です!
設定した領域内での重力の操作が自由自在って感じですね!頭上の上を斜めに落ちて言ったのは加速魔法で向きを変えてると思ってください。


材木座の裂けろ!鬼灯丸に関しては、原作でレオが使っていた小通連と原理は同じですw
これから色々別の使い道が出てくるかもしれませんが…


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八幡は別行動をする。


誤字報告ありがとうございます…!


今回の話はあまり自信ないかもです…。



ではどぞー!


 

校内の問題は一通り片付き、壬生がいる部屋にほぼ全員が集まっていた。

 

「めぐりどうだ?」

 

摩利は壬生を治療しようとしているめぐりに声をかける。

 

「ひびは入ってますが、他に問題はなさそうですね。これならすぐに定着できると思いますっ!」

 

めぐりは意気揚々と壬生の治療に取り掛かる。

城廻めぐり。第一高校の二年B組の生徒で、中学は総武中学出身で八幡の先輩である。

日本でも屈指の治癒魔法を使う、城廻家の長女である。陽乃の紹介で真由美達と知り合い校内で何かあれば頼りにされている。

 

「壬生、治療しながらでいい。質問に答えてもらえるか?」

 

「はい、全て話をさせてください…」

 

摩利の問いに壬生は了承する。

 

「あっ、摩利さん今治療中なのであまり興奮するようなことはなしでお願いしますね」

 

めぐりは摩利に注意をする。いつもめぐりが治療中に摩利が相手を興奮させることがよくあるようだ。

 

そして壬生は全てを話した。

入学してすぐに司甲に声をかけられ、その時はもう既に剣道部が司に同調する者がいたことや、魔法訓練サークルなのを装って思想教育を行われていたことを語る壬生。これには摩利が一番驚いていた。

そして、壬生が去年の新入生部活勧誘週間の時に摩利に言われたことを話すが、それがどうやら勘間違い?のような感じであったことが発覚し、壬生は泣いてしまった。

 

そして、壬生は落ち着きを取り戻し。同盟の背後がブランシュであることが語られた。

 

「さて、これからどうするかですね」

 

達也がまずはじめに声を発した。

 

「その前に一ついいかしら…?」

 

真由美が不安そうに問いかけた。

 

「どうしたんだ?」

 

摩利は真由美に問い返す。

 

「ハチくんは…?」

 

真由美のその一声で全員が周りを見回すが八幡の姿はなかった。めぐりはハチくんが誰なのかわからず不思議そうな顔をする。

 

「あいつどこいったのよ!!達也くん知らないの?」

 

エリカが達也に問いかける。

 

「いや…知らないぞ…まさか八幡の奴…」

 

達也も予想外だったのか、少し動揺している。

 

「一人でブランシュのアジトに乗り込んだってことかしら…」

 

真由美は八幡がブランシュに目をつけているのを聞いている。妹の為に不安要素を取り除くと八幡の口から告げられている。

 

「お兄様!!」

 

深雪は達也に早く追いかけましょうと目で訴えて名前を呼ぶ。

 

「比企谷のヤツ何を勝手なことを!!」

 

摩利は怒りを露わにしている。危険な行動をした八幡に対して。

 

「あー!さっきのやっぱり比企谷くんだったんだ〜」

 

めぐりがいきなりウンウンと一人頷きながら言い出した。その瞬間全員がめぐりを見た。

 

「めーちゃん、ハチくんを見たの??」

 

真由美がめぐりに問いかける。

 

「ここに来る前に比企谷くんっぽい人を見かけましたよ?比企谷くんがここに入学してたなんて驚きましたっ!」

 

マイペースなめぐりは状況を理解してないのか、軽く答えた。

 

「勝手に独断行動をしよって…私が追いかける!」

 

摩利は八幡を引き止めに行こうとする。

 

「待て、渡辺。俺が行く」

 

十文字が自分が行くと言い出す。

 

「俺も行きます。十文字会頭」

 

達也は十文字に参加すると表明する。

 

「相手はテロリストだ、わかっているのか?」

 

「八幡は俺の家族です。助けにいかない道理はありません」

 

「お供します」

 

十文字の問いに一切の迷いなく答える達也と深雪。

 

「私も行くわ」

 

「俺もだ」

 

エリカとレオも参加を表明する。

 

「我も参戦するっ!我が相棒を見捨てる訳にはいかん!!」

 

材木座も参加を表明した。

 

「貴方達まで…」

 

真由美は少し頭を抱えたくなる感じで言葉を発する。

 

「会長は壬生先輩を強盗未遂で、家裁送りにするんですか?」

 

達也は真由美に向かって告げる。

 

「そうだな、警察の介入は好ましくない。だが、七草と渡辺はここに残ってくれ」

 

克人は真由美と摩利を連れてはいかないようだ。

 

「わかったわ…」

 

「学校に誰も残らないのもあれだからな…」

 

真由美と摩利は不本意そうだが、了承した。

 

「アジトの場所はわかるのかしら?」

 

真由美が十文字に問いかける。

 

「問題ない。調べはついてある、本当なら今夜俺一人で行くつもりだったのだが…」

 

克人は一人でブランシュを壊滅させようとしてたようだ。こんな事件が起こってしまっては十師族として見過ごす訳には行かないと言うことだろう。

 

「………あの子ね」

 

真由美は事情を把握したようだ。

 

「それにしても比企谷はどうやってブランシュのアジトを突き止めたんだ…?」

 

摩利がボソッと口にする。達也と深雪は冷静だったが、材木座がビクッと反応してしまった。

 

「ほぅ材木座が何か知っているようだな」

 

摩利は的を材木座に絞り声をかける。

そして達也と深雪は気付かれないように、材木座に目で『馬鹿』と告げた。

 

「兎に角、今は比企谷を追いかけることを優先する。材木座はその後だ、車は俺が運転する」

 

克人は車を取りに向かい、達也たちはそれを待つことになった。

 

「お兄様…」

 

「八幡の奴、何を考えているんだ…」

 

達也と深雪は八幡に何も聞かされていなかったようだ。最後の最後で独断行動され、少し怒っている様子の達也。

 

「深雪!!」

 

声をかけられた深雪が振り返るとそこにはクラスメイトのほのかと雫がいた。

 

「ほのかに雫…どうしたの?」

 

深雪はこの二人まで参加するのかと思ってしまったが、すぐに違うと気付いた。

 

「八幡さんが葉山くんを探してるみたいなの…それでさっき場所を聞かれたんだけどわからなくて、それで八幡さんを探してたんだけど…」

 

「葉山くんを…?」

 

八幡はどうやらブランシュのアジトへ乗り込んだ訳ではないようだ。葉山が姿を見せないことに懸念して探していたようだ。

 

「材木座、何か知っているな?」

 

達也は材木座に目線を向ける。

 

「黙ってろと言われておったのだが…」

 

材木座は観念して、八幡のことを説明する。

葉山を探すから行動を起こすなら、八幡がブランシュに乗り込んだように仕向ければ、克人か真由美が動くと。それには材木座が必ず同行しろと告げていたようだ。

本当は深雪と達也を残していけと、言われていたが、あの場で止めるのは流石に無理だったのであろう。

結果としては、達也と深雪の参戦以外は勝手に八幡の思惑通りに動いてくれたので材木座は何もしてないことになる。

 

説明をし終わった直後に克人が車を回してきた。

 

「ほのかと雫は帰った方がいいわ、私たちは行ってくるから。それとさっきの話は内密にね?」

 

深雪は二人に帰るように伝え、二人はそれを了承し、深雪は車に乗り込んだ。

 

「よっ!司波兄」

 

「桐原先輩」

 

助手席に座っていた桐原が達也に声をかけてきた。

 

「あんまり驚かねえのな」

 

「……いえ、十分驚いてますよ」

 

達也は司波兄と呼ばれたことに対しては少し驚いていた。

 

「司波兄、俺も参加させてもらうぜ」

 

「どうぞ」

 

達也は何故桐原がいるのかわからなかったが、十文字が誰かと電話している方が気になっていた。

 

「むっ、どういうことだ?」

 

少し克人は険しい表情をする。

 

「そうか、それならその件に関してはそちらに任せておこう。こちらも今から行動を開始する」

 

克人はそう言い、通話を切った。

 

「会頭、今のは?」

 

桐原も気になったようで、克人に問いかける。

 

「……協力者だ、少し不味い状況になりそうだったが、問題ないだろう。予定通り俺たちはブランシュのアジトへ向かう」

 

克人達はブランシュのアジトへ向けて出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

克人たちが出発した後、第一高校の森の中で行動を起こそうとしている一団がいた。

 

「これが終われば雪乃ちゃんは僕のものに……」

 

葉山はジェネレーターを五体引き連れて、森の中へ潜伏していた。目的はブランシュと同じ非公開文献である。

襲撃後に更に襲撃されるとは考えないだろうという夏乃に言われ、葉山はその言葉に従いこれから行動に移そうとしているところである。

すると奥から一人の人影が見えた。

 

「1号やれ!」

 

葉山はジェネレーターに人影を始末するように指示を出すが、人影はなかった。

 

「葉山先輩酷いじゃないですかー」

 

葉山は後ろから声をかけられる。この声は葉山も知っている。

 

「い、いろは…」

 

葉山は驚愕している。

先程まで奥にいた人影が背後にいたこと、それがいろはだということ…そして何より驚いているのは今まで見たことない、いろはの表情。あざとい一色いろはではなかったことに。

 

「お久しぶりですね。まさか外れクジを引いちゃうことになるとは思いませんでした」

 

いろはは葉山を見ずに、周りのジェネレーターを見ながら葉山に声をかける。

 

「なんでいろはが此処に…」

 

「知らないんですかー?まぁ教えないんですけどね」

 

いろはは葉山を挑発するかのように問いかける。

 

「いろはでも邪魔をするなら容赦はしないぞ…?」

 

「私も容赦するつもりないんで、いいですけど」

 

いろははかなり余裕があるように見えるが、葉山は汗を流し焦っているように感じる。

 

「1号3号やれ」

 

葉山がそう言うとジェネレーター二体が活動を開始する。

ジェネレーターとは、戦闘中に安定した魔法を行使されるために作られた生体兵器である。

 

「リミッターを外しましたか…」

 

いろははボソッと声を発する。

ジェネレーターのリミッター解除つまり、命令を遂行するまで活動し続けるということである。

 

「いろは残念だよ、君はもっとかしこいと思っていたよ」

 

葉山は口ではそう言っているが、残念そうな顔はしてない。

そしてジェネレーターがいろはに襲いかかる。

が、いろはの姿はそこにはなかった。

 

「葉山先輩は学習能力ないんですかね」

 

いろはは先程いた場所とは全く別の場所へ移動していた。

 

「2号4号5号出ろ」

 

葉山がそういうとジェネレーター全員がいろはに襲いかかる。

だが、ジェネレーターはいろはを捕らえきれない。いろはまるで瞬間移動したかのように移動しているが、魔法を使い移動した様子は見られない。

 

「何故捕らえられない!早くしろ!!」

 

葉山はいつまでもいろはを捕らえられないジェネレーターに苛立ち、怒鳴りつける。

 

「リミッター解除した生体兵器に何言っても無駄ですよ」

 

「っ!」

 

図星を突かれて葉山は言葉を詰まらせる。

 

「さて、生体兵器さん達もそろそろおやすみしてもらいましょうか」

 

いろははそう言ってブレスレット型のCADを操作する。その瞬間ジェネレーター五体は活動を停止した。

 

「さて、残るは葉山先輩一人ですよ」

 

いろはは葉山の前に立つ。

 

「……何をしたんだい?」

 

葉山はいきなり活動を停止したジェネレーターを見ながらいろはに問いかける。

 

「一色家って何の魔法を得意としているか知らないんですかー?」

 

「一色家…神経への干渉」

 

葉山もさすがに知っていたようだ。

一色家は神経への干渉を得意としている。

 

「生体兵器にも神経は存在しますからね、それを弄れば簡単ですからね」

 

いろははジェネレーターの中枢神経に干渉し、活動を止めさせた。

簡単と、いろはは言ったが相手の中枢神経に一瞬で干渉し活動を止めるのは高度な魔法であることには違いはない。

 

「さて、葉山先輩の質問に答えたところで、私も葉山先輩に質問があります」

 

いろはは葉山を睨みつける。

 

「な、なんだい?」

 

「神経への干渉に特化した生体兵器はご存知ですか?」

 

いろはは葉山に問う。葉山が知っているとは思ってないが、確認の為に問うことにした。

 

「……聞いたことも見たこともない」

 

「聞きたいことはわかりました。後は葉山先輩を始末するだけですね」

 

いろははそう言ってCADを操作しようとする。

 

「いろは辞めてくれ!君はこんなことをする子じゃない!」

 

葉山は必死にいろはに抗議する。

 

「葉山先輩が私の何を知ってるって言うんですか?馬鹿にしないでください!」

 

いろはは少し感情が高ぶった感じに葉山に怒鳴りつける。

 

「一色…もうその辺にしとけ」

 

いきなり現れた八幡はいろはに声をかける。

 

「先輩…なんでここに」

 

いろははここに八幡が現れるとは想定してなかった為、驚くがこの場を見られたのが少しショックな様子である。

 

「葉山を探してたんだよ…ってなんだよ、このごっついの」

 

八幡はジェネレーターを見て驚く。

本当に先程、葉山といろはを見つけたばかりのようである。

 

「比企谷…」

 

「葉山が何しようとしてたかは知らんけど、第一高校がなくなると小町、水波、達也、深雪が通う学校がなくなってしまうんだよ」

 

八幡は葉山に告げる。どうやら材木座が通う学校はなくなってもいいようであるが…。

 

「先輩、邪魔しないでください…これは私の仕事ですから」

 

「一色…何馬鹿なことを言ってんだよ、お前はまだ中学生だろうが…あんまり馬鹿なことするもんじゃねぇよ」

 

八幡はいろはに告げる。

 

「これは一色家としての私の役目なんです!」

 

いろはは八幡に言い返す。

 

「それは違うだろ…お前の仕事ってなんだよ。葉山を殺すことが一色家の仕事か?」

 

「それは…」

 

八幡の言葉にいろはは答えられなかった。葉山を殺すことはいろはの一色家としての仕事には全く無関係である。

 

「なら、やめておけ」

 

「……わかりました」

 

いろはは渋々承諾する。

 

「その…アレだ、お前がそんなことしたってもし水波や小町が知ったら悲しむからな」

 

「小町ちゃんと水波のこと好きすぎませんかね…」

 

いろはは相変わらずの八幡に告げる。

 

「ばっかお前、大好きに決まってんだろ!」

 

「そこはいろはの方が好きだぞって言うとこですよ?」

 

いろはは少しだけ、いつもの調子を取り戻したようだ。

 

「いやねぇから…」

 

口ではそういうが、いつものいろはに少しだけ戻ったのを見て八幡は安心していた。

 

「比企谷、俺をどうするつもりだ…?」

 

「とりあえず、会長には報告する。その後のことはしらねぇよ…けど、小町たちに手を出したら俺はお前を許さない。それだけだ…」

 

八幡は葉山を見て告げる。

 

「何かっこつけちゃってるんですか?」

 

「ばっかお前!かっこつけるところだろ!」

 

「全然かっこよくなかったんですけど…シスコン全開でしたし」

 

笑いながらいろはは八幡に茶々を入れた。

 

「で、このでっかいのどうするんだ?」

 

「どうしましょうか」

 

「何も考えてないのかよ…」

 

何か考えがあると思っていた八幡は呆気にとられた。

 

「生体兵器をこの場に置いとくのは不味いですからね」

 

「えっ?生体兵器?なにそれ…」

 

八幡は生体兵器のことを知らない為、驚く。

 

「中枢神経を切断してあるので、動くことはないですから問題はないと思いますよ?」

 

「いやいや…問題ありすぎだから…」

 

「先輩なんとかしてくださいよー」

 

いろはは八幡に頼る。

 

「葉山、この生体兵器持って帰るか?」

 

「いや、遠慮しておくよ…」

 

「お前の持ち物だろうが…」

 

八幡の問いかけに葉山は気不味く問い返す。

 

「とりあえず、葉山はもういけ…お前の顔をあまり見たくない」

 

八幡の言葉に頷き、葉山はその場から去って行った。少なからず八幡も葉山に苛立ちを覚えていたのだろうか。

 

「相変わらず優しいですね?それとも何かあるんですか?」

 

「そんなんじゃねぇよ、あいつはあいつで何かあったんだろ…」

 

八幡は葉山を逃した理由があった。それはいろはに手を汚さない為もあるが、なぜか葉山自身に少し苛立ったが、この事態をあまり責める気になれなかったからである。

 

「で、これどうするんだ?」

 

八幡はジェネレーターを見て再びいろはに問いかける。

 

「どうしましょうか?」

 

「はぁ…ちょっと待っててくれ」

 

八幡は端末を取り出し電話をかける。

 

「先輩が…誰かに電話かけてる…どうせ小町ちゃんたちでしょうけど」

 

いろはが後ろでブツブツ言っているがそれを無視して電話をかける。

 

「八幡!!!何を勝手に行動しているんだ!」

 

電話の相手は達也だった。この手の話なら達也が適任だと思い、電話をかけたがまさか怒鳴りつけられるとは思ってはなかった。

 

「……悪かった」

 

八幡は素直に謝った。

 

「それは後でゆっくりと聞かせてもらう…それでどうしたんだ?」

 

達也は少し冷静になり、八幡に要件を聞く。

 

「それが、生体兵器の処理に困ってるんだが、どうすればいいんだ?」

 

「……今どこにいるんだ?」

 

八幡の言葉に一瞬黙りこむが、場所を聞く達也。

 

「学校の近くだぞ?」

 

「なんで学校の近くに生体兵器が…」

 

達也はボソッと口に出して言ってしまった。

 

「お兄様!?今なんと仰いましたか?」

 

深雪が慌てて達也に問いかけている。

 

「悪い八幡、折りかえし掛け直す…」

 

達也はそう言って通話を切った。

 

 

 

 

 




めぐり先輩少しだけ登場です!(想像以上にめぐり難しかった…原作読み返して勉強しときます…)


さて葉山に関しては今回はこれで退場させました…!(今後の展開的にこうしたかったんです…!)


いろはすの魔法についてですが、一色家は神経への干渉。第一研究所は対人戦闘における生体に直接干渉する魔法だったので、こんな感じにして見ました。詳細に関しては次回に説明いたします!




感想とかで、色々ご意見をもらってますが…、自分のペースで自分の書きたいことを書いていくつもりなので、ご了承ください…。
ご意見をもらう中で参考になるものはどんどん取り入れていきたいと思ってます。


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材木座義輝は新たな魔法を使う。

誤字報告ありがとうございます!!






ではどぞー!


達也からの電話待ちの間、八幡はいろはに問いかけていた。

 

「で、お前なんでここにいんの?」

 

「だから言ったじゃないですかー!一色家のお仕事なんです!」

 

頬を膨らませ八幡に答えるいろは。

 

「お仕事ってなんだよ…」

 

「まぁまぁそれはいいじゃないですか!それよりもこの後、ご飯でも行きましょうよ!可愛い後輩のポイント稼ぐチャンスですよ!」

 

いろはは指を立てて八幡に提案する。

 

「そんなポイントいらねぇよ…てかよくこの状況でご飯食べに行こうと思えるな」

 

「冗談に決まってるじゃないですか!先輩の目が更に腐らないように私が場を和ましてるんです!あっ、今のいろは的に超ポイント高い!」

 

はぁ…水波に移ったと思えば一色にも移ったは…深雪まで言い出しそうで怖いんだが…

 

「人の目を貧しておいてポイント高いのはおかしいだろ…」

 

するといろはの端末が鳴る。

 

「はい、一色です」

 

急に真面目な態度になるいろは。

 

「その件に関しては、外れクジ引いちゃいましたね。こればっかりはしょうがないです。処置はどうしたらいいですか?」

 

いろはは電話の相手に丁寧に答える。

 

「ではすみませんが、そちらにお任せいたします。えっ?先輩をですか?わかりました。一色いろはの全てにかけて必ずお届けいたします!!」

 

えっ?俺?誰と電話してるんだよ…

 

「ではでは失礼します。すぐに追いつくと思うんで!」

 

電話しながら敬礼するいろは。

 

電話しながら敬礼するとかどんだけあざといんだ…この後輩。

 

「では先輩行きましょうか!」

 

「いやいや、おかしいから…それにどこにいくんだよ…」

 

いろはは通話を切り、笑顔で八幡に声をかけるが、八幡は状況を理解してない。

 

「十文字さんが先輩を連れて来いって」

 

……なんでこいつが十文字会頭と知り合いなんだよ…知り合いでもおかしくはないんだろうが…

 

「なんで十文字会頭が一色にそんなことを命じるだよ…」

 

八幡はいろはに抗議する。

 

「正確には、深雪先輩と達也先輩からのご達しだそうですよ?それでは急ぎましょう!相手は車です!」

 

そう言っていろはは八幡の背中に飛びつく。

 

「何やってんだよ…」

 

なんか背中に小さくて柔らかいのが当たってるですが…

 

「私さっき頑張ったじゃないですかー!」

 

いろはは背中にしがみつきながら答える。

 

「いやいや、知らないんだけど」

 

「早く先輩自己加速術式でもなんでもいいんで走ってください。補助しますから」

 

補助ってなにをするつもりなんだよ…

 

「補助ってなんだよ…」

 

「私って神経への干渉が得意じゃないですかー!」

 

「初耳なんだけど…」

 

「いいから走ってください。スピード出過ぎちゃうんで転けないでくださいね!」

 

八幡が文句言っているのをスルーして、出発を即すいろは。

 

「何するのか教えてくれませんかね…」

 

「レッツゴー!!」

 

足をバタバタさせるいろは。

 

「はぁ…で、どこまで行けばいいんだ?」

 

八幡は諦めていろはに従うことにした。

 

「そこの道をまっすぐです!」

 

そう言われて八幡は慣性中和魔法と移動魔法を使い移動を始める。

 

「先輩中々早いですね!では補助するので、しっかり走ってください!」

 

いろははCADを操作し、八幡の運動神経の敏捷性、運動能力を向上させる。その瞬間、先程の倍以上の早さに変わる。

いろははこの技と自己加速術式を組み合わせて使い、さっきの高速移動をしていた。

 

「あっ、ちなみにこれ慣れてないと後で全身筋肉痛になるんでよろしくでーす!」

 

てへっといろはは舌を出して告げるが、八幡は何も言い返してこない。スピードの制御で精一杯な為聞こえてないのかもしれない…。

 

そして八幡はいろはをおんぶしながら克人が運転する車を追いかけていった。

 

 

 

八幡がいろはを背負いながら走り出してから、三十分程度たった時、克人が運転する車内では。

作戦会議が行われていた。

 

「正面突破っということですね。お兄様」

 

深雪が達也に問いかける。

 

「それが一番相手の意表をつくことになるだろうからな」

 

「そうだな、それが妥当な策だ。司波お前の考えた作戦だ、指示はお前が出せ」

 

達也の提案に克人も賛同して、達也に指示を出すように伝え、達也は躊躇なく頷いた。

 

「レオ、お前は退路の確保。エリカはレオのアシストと逃げ出そうとしてるやつの始末」

 

「……捕まえなくていいの?」

 

エリカは始末と言った達也に問いかける。

 

「余計なリスクを負う必要はない。安全確実に始末しろ。会頭と桐原先輩は裏口からお願いします。俺と深雪と材木座は正面から行きます」

 

達也の指示に誰も文句は言わずに了承した。

その瞬間…

 

「あれ…八幡じゃない?」

 

「早すぎねぇか?あいつ化物かよ!」

 

エリカが後ろを振り返って驚いた表情で問いかけ、それを確認したレオが八幡を化物扱いする。

 

「後ろに女の子背負ってるわよ?まさか誘拐??」

 

エリカがいろはの姿を確認し質問する。

 

「あれは一色嬢であるな…八幡もさすがにあそこまで走れるはずはないのだが…」

 

材木座がエリカに説明するが、材木座もあのスピードを出してることに疑問を覚える。

 

「あれが一色家の力ってことか」

 

達也は一色家の能力を知っていた為、関心してみている。

 

「お兄様どういうことですか?」

 

「一色家は神経への干渉を得意とする家系だ。いろはが八幡に何かしたんだろう」

 

深雪は達也に問いかけ、達也が解説するがちゃんと能力が把握できていない為、曖昧な答えになってしまう。

八幡が車に追いついた。

 

「十文字さんお待たせしましたー!お届けものでーす!」

 

運転席の克人にいろはが話しかける。

 

「悪いが、定員オーバーだ。比企谷ブランシュのアジトまで頼む」

 

克人は少し申し訳ない顔をし、八幡に告げる。

 

「だそうです、先輩!もう少し頑張ってくださいねー!」

 

いろはは八幡の頭をポンポン叩き励ます。八幡は頷き、車にペースを合わせる。

 

「一色さん…なんて羨ましいことを…」

 

八幡に背負わされているいろはをみて深雪はボソッと声を発するが、誰もそれを拾うことはしなかった。

何故なら八幡はもう限界って顔をしていたからであるが…。

 

「レオ、硬化魔法を頼む」

 

「おうよ!パンツァァー!!」

 

閉鎖された工場の門扉をレオの硬化魔法で突き破る。

 

 

「レオ、お疲れさん」

 

「……何のチョロいぜ」

 

達也はレオを労う。レオはハイレベルな魔法を使った為、集中力の多大な消費でへばっていた。

 

「八幡さん!!」

 

深雪は車が止まった直後八幡の名を大声で呼ぶ。八幡は到着と同時にその場に倒れこんだので、深雪が飛び出して行った。

 

「もう絶対一色の魔法に頼らないからな…むしろもう走らないまである…」

 

八幡はいろはを背負って、時速150km程で走っていた。そのスピードで走っても問題なかったのは、八幡の慣性中和魔法のおかげであった。

 

「先輩ご苦労様です!」

 

いろはは満面の笑みで八幡を労う。

 

「八幡はもう使い物にならないな…お疲れさん」

 

達也は八幡の様子をみて、作戦に参加させれないと判断し、労いの言葉をかける。

 

「体が全く動かないんだが…」

 

「言ったじゃないですかー!慣れないうちは全身筋肉痛になりますって」

 

いろはは指摘したことを告げるが、走り出した後に言うものではなかったと八幡は心の中でツッコミを入れるが口に出す元気がなかった。

 

「八幡さん大丈夫ですか?」

 

深雪は八幡に駆け寄り膝枕をする。

 

「おい…みんな見てるからそういうのはやめてくれ」

 

八幡は顔を少し赤くしながら深雪に言うが、体が動かない為されるがままの状態である。

 

「深雪、八幡を頼めるか?」

 

達也は、深雪に八幡の面倒を見るように頼む。

 

「はい、お任せください」

 

深雪は達也のお願いを了承する。

 

「深雪先輩ずるいですよー!私が膝枕する予定だったんですけど!」

 

いろはは深雪に文句を言う。

 

「八幡さんは自分をこんなにボロボロにした人に膝枕されても嬉しくないと思いますよ?」

 

深雪といろはは互いに睨み合う。

 

「一色、お前も来い」

 

克人は一色にこの作戦に参加しろと告げる。

 

「……わかりました」

 

いろはは不本意ながら克人の指示に従う。

深雪は八幡にバレないように勝ち誇った顔をいろはに向ける。

 

「せーんぱい!深雪先輩より若いいろはちゃんが後で介抱してあげますからね!ではでは行ってきまーす!」

 

いろはの言葉に反応したのは八幡ではなく深雪だった。

 

「一色さん?八幡さんは私の膝から動きたくないと仰ってますよ?介抱は私がしますので、お気になさらず」

 

深雪は強気な態度で言い返す。

 

「後はブランシュを片付けてからです!」

 

いろはは深雪そう言い残し克人の後ろをついていく。

 

「で…深雪さん?俺をなんで呼んだんですかね?」

 

八幡はずっと疑問に思ってたことを尋ねる。

 

「私やお兄様に黙って独断行動に走ったのは誰ですか?」

 

「……そのアレだ、これが作戦ってやつだったって言うか…」

 

八幡は言い訳をしようとするが、体が痛い所為か上手く思考が纏まらない。

 

「元の作戦でいけたとおもいます。それにお兄様も怒ってらっしゃいました。心配したんですからね」

 

「……それは悪かった」

 

八幡は深雪に謝る。

 

「後は家に帰ってからゆっくりとお話しましょうね」

 

深雪は八幡に笑顔でそう伝えた。

 

 

 

 

ブランシュのアジトに潜入した、達也と材木座は最初の敵と遭遇した。

 

「ようこそ、初めまして司波達也くん!そちらにいるのは風紀委員見習いの材木座義輝くんだね」

 

「お前がブランシュのリーダーか?」

 

達也は男に問いかける。

 

「おお、これは失敬。仰せの通り、僕がブランシュ日本支部のリーダー、司一だ」

 

「そうか」

 

司一は自己紹介をするが達也はそれを眉一つ動かさず一言で返す。

 

「一応勧告はしておく。全員武器を捨てて両手を後ろに組め」

 

達也は特化型のCADを司一に向け告げる。

が、司一はそれに応じないどころか達也が編み出したキャストジャミングのやり方を教え、仲間になれと言うものであった。

達也が襲われていたり、勧誘されていたのは、キャストジャミングを奪う為だったようだ。

 

「けぷこんけぷこん!今のお主の発言すべて録音させてもらったであるぞ!!」

 

材木座は司一の発言を録音していたようだ。

 

「ハハハ、それがどうした…司波達也、材木座義輝。我が同士になるがいい!」

 

メガネを上に投げ捨て、司の両目が妖しい光を放った。達也と材木座は脱力した感じによろける。

 

「ハハハハハ、君たちはもう我々の味方だ!」

 

司は高笑いをし、二人を見ている。

 

「司波達也よ、まずは外にいる妹を始末してくるのだ、妹も最愛の兄に殺されるなら本望だろう!」

 

司は達也に深雪を殺せと命ずる。

 

「お主の<邪眼( イビルアイ)>など我らには、聞かぬ!」

 

材木座は司にそう告げるが、達也が術式を一部抹消していたからである。司一が<邪眼(イビルアイ )>が使えると情報を密かに仕入れていた為、事前にその辺は打ち合わせをしていた。

 

「壬生先輩の記憶もこれですり替えたのか?」

 

「貴様ら…何故…」

 

二人が<邪眼(イビルアイ )>が通じてないことに動揺しているようだ。

 

「撃て!撃てぇ!」

 

司は射殺を後ろに控えていた数十人のブランシュのメンバーに命令する。

が一発も放たれることは、なかった。達也によってすべての武器は部品に分解されていた。

パニックになった司は慌てて背を向けて逃げ出した。

 

「達也殿、ここは我に任せよ」

 

「ああ、程々にな」

 

達也はそう言って歩いて司の後を追いかける。するとナイフを持ったメンバーの一人が達也を背後から襲う。

 

「裂けろ!<鬼灯丸( ほおずきまる)>!!」

 

背後から襲ったメンバーの一人を吹き飛ばす。達也は振り返ることもせずにその場を後にした。

 

「ほむんっ!我は剣豪将軍、材木座義輝である!!今からお主らにはいいものを見せてやろう…」

 

材木座はブランシュのメンバーにそう告げる。達也とは違い、見た目的には材木座は強そうではない。ブランシュのメンバーたちは材木座なら倒せるのではないかと思い、攻撃をしかけ、材木座をナイフで刺した。

 

「……残像だ」

 

刺されたはずの材木座は、先程と全く別の場所にいる。

 

「た、確かに刺したはずだぞ…何をした!」

 

メンバーの一人が少し怯えながら材木座に問いかける。

 

「ほむんっ!残像だと言ったであろう」

 

材木座は振動系魔法で自身の幻影を作り出していた。

 

「そして、今から我が本当の<邪眼(じゃがん )>を見せてしんぜよう………<邪眼(じゃがん )>の力をなめるなよ」

 

材木座の右手を前に構えた。振動系、収束系の魔法…

 

「お主らが、我の邪王炎殺拳の最初の実験台である!………<邪王炎殺黒龍波( じゃおうえんさつこくりゅうは)>!!!

 

そう言って材木座は右手に収束し、加熱された火の塊をブランシュのメンバー目掛けて放った。

材木座が長年かけてようやく実用レベルまで作り上げた魔法である。

 

「ふむ…まだ大勢には無理であるか…」

 

材木座が放った火の塊はブランシュのメンバー二人をなぎ直し、消滅した。メンバー二人は死んではいないが、威力は十分すぎたので全身大火傷にはなっているだろう。

 

 

「同じ技を頻繁に使うのは我の主義に反するが、予備のCADがないので仕方ないであるな…裂けろ!<鬼灯丸( ほおずきまる)>!!」

 

そして材木座は新しい技の実験で、データが取れたので仕方なく<鬼灯丸(ほうずきまる )>で相手をすぐに仕留め、達也の後を追っていった。

 

 

 

 

 




中の人ネタを再び使ってしまった…(この為に、材木座を強くしたっていうのもあるんですけどね!)

次回で入学編は多分終了かな?(40話までには終わった)

書いてて思いました…深雪の活躍シーンをなくしてしまった…!w


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ブランシュ事件は解決する。


誤字脱字報告ありがとうございます!
毎回確認はしているんですが…かなり多くてすみません…



今回で入学編終了です!


ではどぞー!


時を同じくして克人、いろは、桐原たちは。

通路で敵と応戦していた。

 

「一色」

 

克人がファランクスで敵の銃弾を受け止め、いろはの名前を呼ぶ。

 

「ではでは桐原先輩よろしくでーす!」

 

「なんでだよ…!まぁいいけどよ!」

 

いろはは克人の指示をそのまま桐原に投げた。桐原は口では反論しようとしていたが、すぐに了承し、刀を抜き敵を片付けた。

 

「さすが、第一高校の生徒さんですね!」

 

いろはは桐原を賞賛する。

 

「会頭、この子何者なんですか?」

 

桐原は克人に問いかける。

 

「一色家の一色いろはだ、さっき自己紹介しあってただろう」

 

アジトに入る前に軽く自己紹介は済ませていた二人だが、桐原はいろはのことが気になっていた。

 

「どうみてもこいつ、ガキじゃないですか。ここに連れてきた理由を聞いてるんですが…」

 

桐原は克人に問いの意味を詳しく説明する。

 

「誰がガキなんですかね!こう見えても中学では生徒会長をやってたりするんですよね!」

 

えっへんと言わんばかりのいろは。

 

「こいつの実力は多分お前以上だ。心配はない」

 

克人は桐原に端的に説明する。

 

「この中学生がですか?一色といえば師補十八家ってのは知ってますけど」

 

桐原は中学生オーラ全開の一色に疑問を覚える。

 

「まぁしょうがないですね。十文字さんあとは私がやります!桐原先輩の度肝を抜いてやるです!」

 

いろははそう言いながら拳を握り締める。

 

「程々にな」

 

克人はいろはに告げる。

 

「了解です!」

 

いろはは前方に新たに現れたブランシュのメンバーたちを一瞬にして、無力化した。

 

「どうだ、桐原。中々やるだろ?」

 

克人は桐原に問いかける。

 

「正直舐めてました…ここまではとは」

 

桐原は実力はあるとは薄々気づいていたが、それを遥かに凌駕したいろはに対して驚いている。

 

「まぁ家庭の事情ってやつですね!」

 

いろはは桐原に声をかけた。

 

「俺も負けてられねぇな!後は俺が片付けるからチビと会頭は傍観しててください!」

 

「誰がチビですか!」

 

桐原は何故か火がついて、その後は一人で現れるブランシュのメンバーを片付けていった。

 

 

そしてブランシュのリーダーがいる部屋へと克人たちは、たどり着いた。

中はもう達也によって、壊滅状態になっていた。

 

「やるじゃねぇか、司波兄。それでこいつは?」

 

「それが、ブランシュのリーダー、司一です」

 

「こいつが…?」

 

達也の一言で桐原の怒りが頂点に立ち、達也ですらたじろぐほどの怒気を桐原から放射された。

 

「こいつか!壬生を誑かしやがったのは!!!」

 

桐原は高周波ブレードで司の腕を切り落とした。

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ」

 

司が絶叫して蹲っている。

 

「うわぁ…」

 

いろはが部屋に入るなりその光景を見て、微妙な表情をする。

 

「一色」

 

「はーい」

 

克人はいろはを呼び目だけで指示を出し、いろはは意図を汲み取りCADを操作する。

 

「感覚を麻痺させておきました。痛みで絶叫することはないでしょう。後はおまけです」

 

司の腕の感覚神経を麻痺させ、痛みを感じないようにし、出血を止めた。

 

「この件は十文字家で処理しておく。皆ご苦労だった」

 

克人の一言でブランシュ事件は幕を閉じた。

達也は材木座と一緒に出てきて、出口で待っていたレオとエリカと話をしていた。

 

 

「先輩、このことは水波と小町ちゃんには内緒でお願いしますね」

 

アジトから出たいろはは八幡の元へ行き、口止めをしてきた。

 

「わかってるよ…てかまだ動けないんだけどなんとかなんねぇの?」

 

「明日には動けるようになってると思いますよ?」

 

八幡はいろはに問うが、いろは普通に無理だと言い返した。

 

「ですので!今日は私が付きっきりで看病して上げますね!」

 

「水波ちゃんと小町ちゃんに内緒なら家に帰れそうにないので、八幡さんは私の家に泊まるんですよ?」

 

いろはの揚げ足をとる深雪。

 

「さすがに、このままの状態だと言い訳出来ないな…」

 

八幡も小町と水波に内緒にするならそれしかないと思っていたようだ。

 

「まぁ…この後、事後処理があるんで無理なんですけどね」

 

いろはが肩を落としながら八幡と深雪に伝える。

 

「なんで一色が事後処理するんだ?十文字会頭が処理してくれるんじゃねぇの?」

 

八幡は疑問に思ったことをいろはに問いかける。

 

「十文字家には色々お世話になってるので、手伝わないとですからね」

 

「一色が誰かを手伝うとか…明日は槍でも降るんじゃねぇのか?」

 

いろはの言葉に八幡は少し意外そうに答える。八幡はいつも手伝わされていた側、誰かを手伝ういろはを想像出来なかったのだろう。

 

「私がここら辺で自由に動けるのは十文字家のおかげですからね!」

 

一色家の本邸は金沢の第一研究所の近くにある。その一色家の人間が十文字家と七草家が守護する関東エリアで、自由に動く為には十文字家か七草家に了承を得ていないと、色々と面倒なことになる可能性がある。

 

「お前も色々大変なんだな」

 

八幡は自分がどれだけ楽な立場なのか、少しだけ理解した。身分を隠している為、日常的には一般人として見られていることで学生として変な期待も背負わずに生きていける。

もし八幡が四葉の人間だとバレていたなら、今までの日常とはかけ離れた生活することはわかっていたつもりだったが、いろはを見て更にそれを強く思った。

 

「もう慣れましたけどね」

 

八幡は、いろはが慣れたと言った時にどこか寂し気な表情を一瞬だけしたような気がした。いろははそう言うと克人のところへと歩いて行った。

 

 

そのあとは十文字家の車で学校へと送り届けてもらい、エリカとレオと別れ、八幡達は司波家に泊まる為に帰路についていた。

八幡はまだ歩けない為、達也に背負われていた。

 

「八幡、さっきから黙りこんでどうした?」

 

達也は難しい顔をしている八幡に問いかける。

 

「いや…今日、一色を見て色々考えさせられたからな」

 

「そういうことか」

 

達也は八幡の言いたいことがわかったようである。

 

「確かに、俺たちは叔母上たちのおかげで普通の学生を出来ている。だが、その時が来れば俺たちも普通じゃいられなくなるな」

 

「そうだな」

 

達也の言葉に八幡は納得した。実際、その時がどのよう形でかはわからないが訪れるのは確定しているのはわかっていたからである。

 

 

 

そして、今回の事件で達也たちの起こした行動は、よくて過剰防衛、悪くて殺人未遂・プラス、魔法の無免許使用だが、司直の手が彼らに伸びることはなかった。

十師族、四葉や七草が日本の双璧と言われ、その次に十文字家が三番手とされている。

十文字家が関わる事件に普通の警察が関与できるはずはなかった。

これも全て真夜の思惑通りに進んだということである。

 

エガリテのメンバーだった生徒たちは司一に洗脳されてたこともあり、お咎めがなかった。事件の詳細については学校側が隠蔽し、真実は外部に漏れることなく穏便に終息した。

 

葉山隼人は現在、行方不明になっている。事件後何処かに姿をくらましたのか、どうなったかが詳細は掴めていない。

葉山が連れていたジェネレーターに関しても、海外シンジケートの何処かの組織から入手したという情報はあったがそれらの詳細についても明らかになってない。

雪ノ下家がまず一番に疑われたが、葉山家とは関係が完全に切れていることを全面的に公表した。

更には葉山家が雪乃を襲う為にジェネレーターを動員して来たのではと発言をした。

疑いは晴れてはいないが、雪ノ下家からこれという証拠が見つかっていない為、警察は調査を打ち切った。

 

雪乃に関しては、二週間の停学処分となった。退学になってもおかしくはなかったが、テロリストが学校に浸入していたこともありまともな精神状態ではなかったと判断され、停学処分となり少しの間監視対象とされた。

結衣は雪乃みたいに魔法を使ったわけではないので、停学処分とまではいかなかったが、雪乃と同じく監視対象となった。

 

 

そして数日後、達也たちは壬生のお見舞いとその後どうなったかを報告する為に病院へ行っている頃、八幡は予期せぬ来客があった為に予定を断った。

 

「さて、八幡さん。まずは今回の一件、ご苦労様です」

 

「…ありがとうございます。真夜伯母さん」

 

予期せぬ来客とは、真夜だった。

 

「ちゃんと私があげたヒント通りに、上手くいったようですね」

 

「みんなが協力してくれたので、上手くいったって感じですかね…」

 

「八幡さんから『みんなが』なんて聞けるなんて思わなかったわよ」

 

真夜は笑みを浮かべ八幡を見る。

 

「みんなとは言っても、材木座と達也と深雪だけですけどね」

 

「義輝さん以外に、信頼出来る人物が出来たってことかしら?」

 

今まで八幡は、材木座以外と何かをするということはなかった。小町と水波に関しては信頼はしているが、事件があれば巻き込みたくないと思っている。深雪に関しても同じ気持ちだったが今回の件ではやむを得なく参加となった。

 

「従兄弟なんで、信頼しても何も問題ないかと思いますが」

 

「そうね。今回の事件については素直に褒めてあげます」

 

「…ありがとうございます。それで、今日はどのような要件で来たんですか?」

 

八幡は真夜に率直に質問した。

 

「本当に褒めに来たのよ?ご褒美も用意してあります。八幡さんが密かに疑問を抱いていることについて答えてあげましょう」

 

真夜は八幡に告げる。密かに疑問に思っていることはなにか。

 

「真夜伯母さんは俺の考えることがわかるんですかね…」

 

「一色いろはさんがこちらに来ている理由を知りたいのではないかと」

 

真夜は悪戯な笑みを浮かべて八幡に問う。

 

「……」

 

「沈黙は肯定とみなすわよ?」

 

真夜が八幡を見る。

 

「確かに気になってることは気になってますが…」

 

「今から私が言うことは独り言なので、興味なければ聞かなくてもいいですよ」

 

そう言って真夜は一人で語り出す。

 

一色家は十文字家に協力を要請し、中学に入るいろはを派遣した。

神経への干渉へ特化した生体兵器の存在を確かめる為に、一色家が依頼をしたと。

これは、師族会議で十文字家の当主から発表されたと真夜は言う。

詳細の理由については守秘義務ということで不明らしいのだが、恐らく雪ノ下家が一番怪しいということで千葉、それも総武中学へと入学をさせ、調査しやすくする為に、というのが真夜の予想である。

 

 

「神経への干渉へ特化した生体兵器は実在するんですか?」

 

八幡は真夜に問いかける。存在するなら脅威になり得る存在。いろはの能力を自分の体で身を持って体験している為、その存在有無は重要である。

 

「存在してもおかしくはないでしょうね」

 

真夜の答えは曖昧なものだった。

 

「…そうですか」

 

「心配する必要はないわ。それと、この話は八幡さんの中だけに留めておいて頂戴」

 

「言えるわけないですよ」

 

八幡は真夜が何故自分だけに話したのか、理解できなかった。

 

そして達也の所へ出向いていた葉山が真夜を迎えに来て。真夜は帰っていった。

 

ブランシュ事件から解放された八幡たちは再び日常へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 




入学編にまさか36話もかかるとは…
九校戦編は更にかかりそうですね笑

葉山くんが入学編で一旦ログアウトしました。あくまでも一旦ですから!!!(再び現れる)


次回から九校戦編に突入します!
最初の方は日常系を書くつもりでいますので、ご了承ください!
九校戦編はアンチ組に関してはあまり進展しない予定です。


感想を書いて頂いていつもありがとうございます!
今日は感想返す時間があまり取れなさそうなので、今日と明日で感想を返していきたいと思います。すみません。


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九校戦編
久しぶりに千葉に行く。



誤字脱字報告ありがとうございます!


今回から九校戦編です!


ではどぞー!


ブランシュ事件を終え、八幡は日常を取り戻していた。お昼休みに一通のメールが八幡の元へ届いた。

 

「八幡!久しぶりだね。暇な日があれば教えて欲しいな!何処か遊びにいこ?」

 

とメールが戸塚彩加から届いた。

 

八幡は風紀委員が非番だったということもあり、学校が終わるとすぐに千葉に向かった。愛しの天使、戸塚に会うために。

 

 

そして八幡は総武中学のすぐ隣にある、総武高校へとやって来た。

 

 

「八幡!」

 

校門の前で待っている八幡に元気よく声をかけてきた戸塚。

 

「戸塚…やっぱり俺に毎朝、味噌汁を作ってくれないか?」

 

八幡は久しぶりの戸塚に舞い上がっていた。

 

「……ええっ?ど、どういう……」

 

戸塚はいきなりの八幡のプロポーズに困惑している。

 

「……悪い、冗談だ…」

 

戸塚は男。戸塚は男。戸塚は男…………可愛いからついうっかりプロポーズしちまったじゃねぇか…毎朝味噌汁作ってくれないかなぁ。

 

「それが、高校のジャージか?」

 

中学のジャージとあまりデザインが変わらない、緑のジャージ姿の戸塚。

 

「そうだよ!…似合う…かな?」

 

戸塚は八幡に上目遣いで問いかけてきた。

 

「可愛くてよく似合ってるぞ」

 

むしろ…何着ても可愛い。

 

「八幡…僕…男の子なんだけど…」

 

戸塚が何かボソボソ言っているが可愛くて聞き取れなかった。

 

「それが第一高校の制服?」

 

戸塚は八幡に問いかけてきた。

学校が終わり、急いできたので制服のままここへやってきた。

 

「そうだぞ」

 

「かっこいいね!八幡似合ってるよ!」

 

第一高校の制服を来ている戸塚が見たい…深雪貸してくれねぇかな…そしたら戸塚ルート一直線だったな…よかった戸塚が総武高校で…危うく道を踏み外すとこだった…

 

「お、おう。サンキューな」

 

八幡は戸塚に少し照れながら答える。

 

「およ?お兄ちゃん何してんの?」

 

小町が総武高校の門から出て来た。

 

「小町か、ってなんでお前高校からでてきてるんだ?」

 

「姫菜さんのとこに少し用事があったから会いに行ってただけだよ?」

 

えっ?小町ちゃんまさか…お兄ちゃんの知らないところで…

 

「何勘違いしてるの?ごみぃちゃん」

 

小町は冷たい声を発した。

 

「小町…今すぐ海老名さんと関わるのはやめなさい!」

 

小町をあっちの道へ行かせてはいけない…水波はどうしたんだよ…

 

「体育祭の打ち合わせに行ってただけだよ。何考えてたかは知んないけどさ、小町は健全だよ!」

 

なんだ…体育祭か…よかった…本当によかった。えっ?今から体育祭の準備してるんですかね…

 

「そ、そうか…悪かった」

 

「お兄ちゃんそれで何してるの?」

 

「八幡が僕に会いにきてくれたんだ!」

 

とつかわいい…いくらでも会いにきちゃいます。

 

「相変わらずだね、お兄ちゃんは」

 

「今日は非番だったからな」

 

「八幡、風紀委員やってるんだってね!やっぱりすごいよ八幡!」

 

風紀委員やっててよかった…風紀委員やってるお陰で戸塚に可愛く褒められた。

 

「で、今日はどうするんだ?」

 

「どうしよっか!ご飯食べに行くにしてもちょっと早いよね…」

 

「はいはーい!小町に提案があります!」

 

小町が元気よく手をあげて提案してきた。

 

小町に誘導されやって来たのは、八幡にとっては久しぶりの総武中学の生徒会室。

 

「いやいや…小町ちゃん?おかしいよね?なんで手伝う前提で連れて来られたの?」

 

「戸塚さんはこちらどうぞ!今お茶を入れますね!」

 

文句を言う八幡を完全に無視する小町。

 

「小町ちゃん!水波がお茶を入れますので!」

 

水波が小町がお茶を入れようとしているのを見て、慌ててお茶を入れに走る。

学校では、水波は小町さまと学校などでは呼ぶわけには行かないので小町ちゃんと呼ぶことになっている。

最初は家でも小町ちゃんがいいと小町が水波に言ったが、そこは頑固として譲らなかった。

 

「せーんぱい!わざわざ私の為にありがとうございますー」

 

いろはが八幡に仕事を持って来たようだ。

 

「なんでいつもお前は仕事を溜めるんだよ…」

 

「最近忙しかったんですよー仕方ないじゃないですかー」

 

「あいつはどうしたんだ?水波、ありがとな」

 

八幡はいろはに問いかける。水波は八幡にお茶を届ける。

 

「大志くんなら今、戸部さんとパシ…お買い物中だよー」

 

戸塚とお茶を飲みながら答える小町。

 

戸部は相変わらずか…戸部だから別にいいんだけど。川崎大志と戸部は同格か…

 

現在の総武中学は生徒会長はいろは、副会長に小町、書記と会計が水波、雑務に大志となっている。水波が二つ掛け持ちをしているのは大志に雑務を押し付ける為のようだ。いろはが決め、小町が賛成した。

本来であれば水波が副会長になるはずだったのだが、小町よりも立場が上になるのはありえないと水波が猛反発した。

 

 

「桜井はいるか?って比企谷か、久しぶりだな」

 

静が生徒会室にやって来た。

 

「うっす」

 

八幡は一言で挨拶を返す。

 

「どうかなさいましたか?」

 

「来週の件で話があったのだが、比企谷が来てるなら明日でいいか」

 

静は八幡が来ているのに、仕事をさせようとはさせなかった。逆に静は生徒会室に入って来て椅子に座った。

 

「比企谷、第一高校はどうかね」

 

「まぁ…それなりに楽しんでますよ」

 

「そうか、風紀委員も大変だと思うが頑張りたまえ」

 

静は八幡の肩に手を置き激励する。

 

「先生も結婚出来るようにがんば「比企谷、言いたいことはそれだけか?」……先生ならすぐに結婚出来ると思います」

 

「そうか?やっぱり比企谷もそう思ってるか?」

 

この教員は非常にあつかいやすい。生徒会室にいた全員が心の中でそう思った。

 

「そういえば先輩!先輩は九校戦に出ないんですか?」

 

いろはが急に八幡に問いかけてきた。

 

「九校戦?アレか…多分出ないだろ、俺二科生だからな」

 

九校戦。

全国魔法科高校親善魔法競技大会の略である。日本国内に九校ある魔法大学付属高校の生徒がスポーツ系魔法競技を競う全国大会である。

 

「いや、そうとも限らないぞ。一高は一学期の定期試験の結果で九校戦のメンバーが決まるはずだ」

 

静が八幡に出るチャンスはあるぞと言う。

 

「九校戦って僕も見たことあるよ!八幡も出場出来るの?」

 

戸塚も九校戦は知っているようだ。

映像媒体による中継が行われているので、知っててもおかしくはないだろう。

 

「平塚先生の言う通りなら、一学期の定期試験の点数が良ければ出れるみたいだな」

 

「八幡が出場するなら僕…応援に行くよ!」

 

………なん……だと……戸塚が応援してくれるだと…

 

「……いやでも第一高校はすごい奴らがいるからな」

 

「八幡なら大丈夫だよ!僕、あれ好きなんだ、クラウドボールってやつ!」

 

「クラウドボール?」

 

八幡はクラウドボールを知らない。あまり興味がないようだ。

 

「クラウドボールって言うのはだな、テニスを魔法を使ってやるみたいな感じだ」

 

静はかなり大雑把に説明する。

テニスを魔法を使ってやると言う意味から戸塚が好きだという理由が理解できた。

 

「けどやっぱり男子といえば、モノリスコードですよ!先輩出ましょう!!」

 

いろはが目を輝かせながら言う。

モノリスコードが好きなようだ。

 

「モノリスコードなら知ってるぞ。だが俺がモノリスコードに出ることはない」

 

モノリスコードは男子の競技の中でも人気が高い競技である。

 

「まぁ先輩ですもんね、集団行動とか出来なさそうですし」

 

「そうだぞ一色。そもそも俺と組んでくれるやつがいない」

 

「いるじゃないですか…木材屋先輩とか!」

 

いい加減名前覚えてやれよ…木材屋っぽくもねぇから…それに仮に材木座と出ても俺ら二人と組んでくれるやつ…達也がいるな……俺と材木座が見事な引き立て役になるな。

 

「あいつと出るくらいなら死んだ方がましだよ…」

 

材木座が九校戦なんて出たら、色々と危険すぎる…いろんな意味で。

 

「八幡……九校戦……でないの?」

 

戸塚が上目遣いで、目を潤わせ頬を染めて問いかけてきた。

 

「………九校戦出るぞ!戸塚の為に!!」

 

八幡は一瞬放心状態になったが、答えた…出場すると。

 

「嬉しいな…僕もいっぱい応援するね」

 

なんだよ…なんで戸塚はこんなに可愛いんだよ…断れるわけないだろ…応援ってことはやはりチアリーダー…戸塚のチアリーダーだと……これは是非とも九校戦に出場しなくては…

 

比企谷八幡はこの時、九校戦へ出場すると決意する。戸塚の為に。

 

 

その後は、生徒会の仕事を適当に片付け、静の奢りで全員でご飯食べに行って解散となり小町と水波と三人で帰っていた。

 

「八幡さま…本当に九校戦お出になられるのでしょうか?」

 

水波が心配そうに声をかけてきた。

 

「……戸塚にあそこまで言ってしまったからな」

 

八幡は戸塚に出るとは言ったが、まだ真夜の許可がおりなければ参加できない。

 

「戸塚さんは、お兄ちゃんの親友でしょ?応援してくれるって言ってるんだから精一杯頑張ってみたら?実技の方は真夜伯母さん次第だと思うけど」

 

「駄目元で頼んでみるか。久しぶりに俺の百八の特技を使うか…」

 

そして、八幡たちは家に帰ってきた。最近、亜夜は本邸の方へ出向いている。八幡と小町の素性を四葉内で発表してからかなり忙しそうにしている。

 

 

「八幡さま、ご当主様と繋ぎます。よろしいですか?」

 

「……いいぞ」

 

八幡は覚悟を決めた。通信が繋がった。

 

「八幡さん、どうしたのかしら?」

 

真夜は通信が繋がってすぐに八幡に問いかける。どうやら時間はあまり取れないようだ。

 

「真夜伯母さんにお願いがありまして…」

 

「八幡さんからお願いなんて珍しいわね。いいわよ、言ってみなさい」

 

真夜は少し嬉しそうである。八幡からお願いされることは滅多にないので、伯母としては嬉しいのだろう。

 

「九校戦に出たいんですが…その…実技テストで手を抜かずにやるのはよろしいですか?」

 

八幡は少し緊張した面持ちで問いかける。

 

「ダメよ……と言いたいところだけど、丁度いいわね。許可します」

 

真夜は少し考えたが、悪戯な笑みを少しだけ浮かべて許可をした。丁度いいとはどういうことなのか…。

 

「ありがとうございます」

 

八幡は頭を下げてお礼を言う。

思ってた以上にあっさり許可が出た。

 

「ただし、負けることは許しません。相手が誰であろうと必ず勝ちなさい。これは命令よ」

 

真夜は真剣な顔で八幡に命令する。四葉として必ず勝てということだろう。

 

「……はい」

 

真夜が八幡に命令することは滅多にないが今回は命令をした。身分を隠してるが、十師族である以上負けることは許さないということなのかも知れない。

 

「許可していただいた理由を聞かせてもらえますか?」

 

八幡は疑問に思ったので、聞いてみた。

 

「貴方の実力を見せるには丁度いいってことよ。亜夜には私から伝えておくわね、頑張りなさい」

 

真夜はそう言って通信を切った。

実力を見せるとは、誰になのか八幡には想像ができなかった。

 

 

そして翌日…八幡は昨日使わなかった百八の特技の一つをある人物に使っていた。

 

「深雪様…俺に魔法理論を教えてください」

 

深雪に土下座していた。

八幡は魔法理論は出来ないわけではないが、得意ではない。基本的に材木座頼りになっているので、色々とわからないことが多い。

 

「は、八幡さん!土下座なんてやめてください…教えますから!」

 

深雪は八幡に土下座され、慌てて了承したが…

 

「深雪、最近八幡に甘くなりすぎだ。深雪も勉強しないといけないだろ?」

 

達也は深雪に注意する。深雪自身も勉強をしなければいい点数が取れないのは当たり前のことである。

 

「ですが…」

 

「八幡も深雪を困らせるな、俺が教えてやるから」

 

達也が八幡に勉強を教えることになった。

 

「達也さっき無理だって言ってたじゃねぇか…」

 

八幡は深雪に頼む前に達也に頼み、あっさり断られていた。達也は正直かなり忙しい身である為、仕方ないことではあるが。

 

「俺が見れる時は見てやる。それより材木座に聞いたらいいんじゃないか?」

 

「あいつ…何言ってるかわからないんだよ…」

 

材木座はどうやら教えるのは苦手なようだ。

 

 

 

 





やっと戸塚出せたました!


八幡は無事、九校戦メンバーに選ばれるのか…
何より、二科生なのに実技テストで本気を出してどうなるのか…
色々ありそうですね…。
そして、真夜が丁度いいと言っていたのは何故か…。


そろそろ七草家訪問も書きたいですね!
次回かその次かに書けたらいいなと思ってます!


前回、雪乃と結衣のことを書くのすっかり忘れてました…申し訳ありません。後で書き足しておきます…本気で忘れてました


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八幡は勉強が進まない。


誤字報告ありがとうございます!




ではどぞー!


 

 

時は少し進み、学校では九校戦の話題が徐々に増えてきていた。一学期の定期試験で九校戦のメンバーが選出される為、気合いが入っている一科生が多く見受けられる。

 

そして二科生で、唯一九校戦に向けて頑張っている生徒がいた。

 

「八幡、それは違うって前も言っただろう」

 

「そうだったか…?」

 

その生徒とは、風紀委員会所属で一年E組の比企谷八幡であった。

そんな八幡は達也に勉強を教えてもらっていた。

 

「八幡、なんで理論が出来ないのに実技がズバ抜けてるのよ!」

 

エリカが八幡に指摘する。ごもっともな意見であった。

家で勉強すると、水波と深雪が八幡を甘やかせると言う理由で最初は達也と八幡の材木座の三人でカフェで勉強していたが、最初にエリカとレオと美月が混ざるようになり、ほのかと雫も混ざってしまい、深雪が仲間外れにされたと激怒して結局深雪も参加するようになった。

今では、いつものメンバーと馴染みがある顔触れになった。

 

「それなら達也はどうなるんだよ…」

 

「俺は関係ないだろ」

 

達也は八幡と逆の立場にある。実技の成績は悪いが理論の成績はトップである。

 

「でも大丈夫なんですか?八幡さんが実技の成績で上位に入ると悪目立ちするような気がしますが…」

 

美月は不安そうに問いかける。二科生が実技で上位に来ることは普通ではありえない為、美月の言っていることは間違ってない。

 

「美月それは今更じゃない?風紀委員会の三人組は既に悪目立ちしてるんだから」

 

八幡、達也、材木座は二科生で風紀委員ということで既にかなり目立っていた。

八幡は主に、陽乃関係で色々と注目を集めていた。

達也と材木座に関しては新入生勧誘週間での活躍で注目を集めていた。

 

「それに八幡さんの成績を見たら多分、誰も文句言えないと思う」

 

「そうだね!八幡さんはすごいんですから!」

 

雫とほのかは八幡を絶賛している。この二人に関しては二度助けられている為、色々と信頼されてるのであろう。

 

「ずっと気になってたんだが、八幡はどうして九校戦に出る気になったんだ?」

 

レオが疑問に思っていたことを問いかけた。

それに全員が共感した。今まで誰も聞かなかったことが不思議なくらい誰もこのことを質問していなかった。

 

「……まぁそのアレだ。なんとなくだ」

 

戸塚の為って言っても誰もわからないだろうからな…

 

「確か、八幡が千葉に行って帰って来た時だったよな?言い出したの」

 

達也は思い出しながら問いかける。

 

「八幡!千葉に行っておったのか!我何も聞いてないぞ!!」

 

材木座いたの忘れてた。でもこいつに戸塚のこと言うと更にややこしくなりそうだな。

 

「そうだったか?」

 

八幡は少しとぼけた感じで答える。

 

「八幡…まさかとは思うが…戸塚氏に会ってきのではないだろうな!!!!!」

 

材木座は立ち上がり八幡に大声で怒鳴りつける。

 

「そうだぞ」

 

「見下げ果てたぞ比企谷八幡!我という相棒がいながら何故そのような単独行動に走るのだ!」

 

戸塚に会いたかったんだな。まぁその気持ちはわからんでもないが、材木座と戸塚どっち選べと言われると戸塚以外の選択肢がない。

 

「戸塚と話してたが、お前の話題が一切出てこなかったぞ」

 

「……なんだと」

 

「それよりその戸塚さんって方は誰なんですか?」

 

深雪が笑顔で八幡ではなく材木座に問いかけた。

 

「み、深雪殿!戸塚氏はあれでございます!八幡と我の天使でございます!!」

 

材木座は深雪の威圧に負け、すぐに吐いた。

 

「八幡さん、天使とはどういうことでしょう?」

 

深雪はターゲットを八幡に変えて問いかけた。

 

「……その、なんだ。戸塚は男だから」

 

「八幡さんにお友達が!?」

 

深雪さん?俺にも友達くらいいますよ?戸塚とか戸塚とか戸塚とか。戸塚しかいねぇじゃねぇか…いいんだけど。

 

「深雪、その言い方だと八幡に友達がいないみたいな言い方になるぞ?」

 

達也が深雪に注意する。

 

「八幡さん申し訳ありません…そういうつもりではなかったんですが」

 

深雪は少し表情を暗くして謝る。

 

「気にすんな、友達が少ないのは事実だからな」

 

少ないとか見栄はっちゃったよ…戸塚しかいないのに…

 

「その戸塚さんって方と、九校戦に何か関係があるのですか?」

 

深雪は普通に問いかけた。

 

「出るなら応援に来てくれるって言ってくれたからな」

 

「おい、待て八幡。それは本当か!?」

 

あっ…墓穴掘ってしまった…

 

「ふははははは、我もそういうことなら頑張らなくてはいけないであるな!」

 

材木座は高笑いし九校戦に参加する気満々になっていた。

 

「そんなことよりも、早く勉強しないとな」

 

八幡は材木座を無視することにして、勉強を再開した。

 

「うおーん!タツえもーん!」

 

テンションがかなり高くなっているのか、材木座は達也に泣きついた。

最近、材木座は達也に泣きつくことが増えてきている。

 

「材木座さん、お兄様に失礼な態度許しませんよ?」

 

「……はい」

 

材木座は深雪には相変わらず弱いが、八幡はすごくありがたいと思っている。

 

「八幡さんは九校戦に出るならどの競技に出たいんですか?」

 

ほのかは不意に質問してきた。

 

「特別出たい競技はないな。モノリスコード以外ならなんでもいいぞ」

 

八幡は三人一組でやるモノリスコードには絶対に出たくないと思っている。

 

「多分、八幡さんの実力ならモノリスコードのメンバーに選ばれる可能性は高い」

 

雫が八幡の答えに対して、指摘をいれる。

雫はモノリスコードのフリークであり、かなり詳しい部類に入るだろう。九校戦で一番獲得ポイントが高い為、モノリスコードは優秀な選手が選ばれることが多い。

 

「雫さんは詳しいんですね」

 

「……うん、まあ」

 

美月の言葉に雫は少し恥ずかしそうに答える。

 

「けど、八幡ならどの競技でも優勝いけそうじゃねぇか?」

 

「おっ、珍しく意見が合うじゃない」

 

レオとエリカは八幡なら優勝は余裕と見ている。エリカは八幡の魔法を直に見ているだけあり、八幡のことを認めているようである。

 

「八幡さんはすごいけど、油断はできない。今年は三校に一条の御曹司が入ったらしいから、それに七校の総代の人もかなりの実力者みたい」

 

雫は二人の意見を否定する。一条の御曹司、つまり十師族の人間が今年入学したようだ。

 

「十師族とかいるのかよ…」

 

「へぇ…」

 

「一条って、十師族の一条か?」

 

八幡もエリカもレオも知らなかったようで驚いている。他のメンバーはあまり驚いている様子はなかったので、知っていたのであろう。

 

「七校の人はどんな人なのでしょう?」

 

「詳しくはわからないけど、かなりやるみたい。七校だから水や海に特化している人なのは確実」

 

美月の質問に対して雫が答える。

 

「それにしても雫はよく知ってるんだな」

 

八幡が雫が詳しいと思い、思わず声に出してしまった。雫と呼んでいるのは、ブランシュ事件の時にお願いされていたからである。

最近は馴れてきて、詰まらずに名前呼びができるようになってきている。ほのかに関しても同様である。

深雪はまだ聞き馴れていないのか、八幡が名前を呼ぶたびに少しだけ頬を膨らませている。

 

「雫は九校戦毎年見に行ってるもんね!」

 

「うん。それに、今年は私も出たい」

 

雫は九校戦が大好きなようだ。珍しく感情が少しだけ高まっているのが伺えた。

 

どんだけ九校戦好きなんだよ…

 

八幡は雫が闘志を燃やしているのを見て心の中でツッコミを入れた。

 

「今年は女子の方が強敵が多いと聞きましたが」

 

美月も九校戦には興味はあるようだ。

 

「師補十八家が二人いる」

 

「へぇ、今年は男子も女子もすごい試合が見れるってことね」

 

今年は男子も女子も名家の人間が入学しているようだ。

 

「深雪なら勝てるだろ」

 

「八幡さん…ハードルを上げないでください!まだ出れるかもわかっていませんよ!」

 

八幡の発言に全員が頷くが、深雪は謙遜しているのか否定的な発言をする。

 

「師補十八家ってどんなやつなんだ?」

 

レオは気になったのか雫に質問をした。

 

「三校の一色家のご令嬢の一色愛梨さん。もう一人は四校の三浦家のご令嬢の三浦優美子さん」

 

えっ?一色家ってあの一色?あいつお姉ちゃんいたのかよ…あざといんだろうな…

三浦か…四校に行ってらしたのですね…

 

「二人とも出場種目は多分、クラウドボールとミラージバットって予想されている」

 

雫は色々調べているようだ。

師補十八家なだけあって、情報は結構流れている。

 

「あの動きをクラウドボールやミラージバットでやれるのはチートだな」

 

八幡は身を持って体験している為、どれだけ有利に戦えるかわかっていた。

出る気になってから、九校戦の主な種目は既にリサーチ済みである。

 

「そうだな、特にクラウドボールは有利だろうな」

 

達也も八幡の意見に同意した。

一色いろはの魔法から推測しているだけだが、あの魔法が使えるのであれば間違いなく強敵になる。

 

「お二人はどちらの方のことを…?」

 

美月が遠慮気味に問いかけてきた。

 

「あー、すまない。一色家のご令嬢のことだな」

 

その問いに八幡ではなく、達也が答えた。

 

「お知り合いなんですか?」

 

「八幡の中学の後輩が一色家のご令嬢だからそれ繋がりで知っているだけだ」

 

達也は間接的な繋がりしかないと伝える。直接的に知っているが、仲が良いわけでもないので妥当だろう。

 

「八幡さんの知り合いってすごい人が多いんですね!」

 

会話を聞いていたほのかが八幡に話しかけた。

 

「そうなのか…?確かに三浦も同じ中学だったからな」

 

八幡はあまりそういうことを気にしてないので、あまり実感がなかった。

 

「そうなんですか?!」

 

ほのかが驚いた。達也と深雪と材木座以外は全員少なからず驚いていた。

 

「あんたの中学って普通じゃないわね」

 

「うん。普通じゃないとおもう」

 

エリカと雫は遠慮なく八幡に告げる。

 

「そうなのかもな…」

 

八幡は自分を含んだとして、総武中学には無駄に集中していることをおもう。

そしてこの後も九校戦の話で盛り上がり、結局勉強せずに解散となった。

 

帰りは八幡、達也、深雪、材木座で帰っていた。

 

「それにしても八幡よ、何の競技に出るつもりなのだ?」

 

材木座は八幡に問いかける。

 

「何も考えてねぇぞ。オススメはあるか?」

 

「やはり、我の希望はアイスピラーズブレイクであるな」

 

八幡の問いに材木座が答える。

 

「材木座、さすがに八幡でも一条の爆裂はキツいとおもうぞ?」

 

達也は指摘をいれる。一条の爆裂はアイスピラーズブレイクに関していえば無敵クラスの魔法である。

 

「爆裂があったのだな…八幡の<重力破壊(グラビティ・ディストラクション )>を使えればいい勝負ができるのではないか?」

 

「あの魔法使っても大丈夫なのか?」

 

達也は材木座に問いかける。九校戦で使えばかなり注目が集まるため、あまり特殊な魔法は使わない方がいい。

 

「真夜殿に確認しておく。多分許してくれるとおもうがな!」

 

「それにしても、深雪の方がキツそうだな」

 

八幡は深雪の方が辛いと思っている。八幡の場合は一条を避けるのことは可能かも知れないが、深雪に関しては避けることは難しいということである。

それに相手は一色と三浦、簡単には勝てないだろう。あくまで競技としてはの話ではあるが。

 

「深雪は恐らく、アイスピラーズブレイクとミラージバットだろう」

 

達也は深雪の代わりに答える。

 

「いろはさんのあのスピードをその方が出せるのなら正直脅威的ですが、ミラージバットならまだなんとかなりそうな気がします」

 

深雪もさすがにクラウドボールでは不利になるかも知れないと思っている。

 

「その辺の作戦も考えておかないとな」

 

かなり早めの段階で色々作戦を考える八幡たちであった。

 

 

 

 

 





三浦優美子に関しては四校ということにさせてもらいました!


次回は七草家に訪問を書きたいと思ってます!(変更になる可能性有)

それと少しご報告が…
毎日更新をしていますが、12月は色々あるので毎日更新が途切れてしまう可能性がありますのでご了承ください。
年末は確実に更新は止まります!コミケいくので…笑


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生徒会の仕事を手伝う運命には逆らえない。


すごくお久しぶりです……!!(タイトルは適当です!)
忙しくて書かなかったらモチベが少し消えてました…すいません!!
モチベは結構回復しました!!(変な方向に←)
今回は前に書いてたものに、書き足した感じになるので変になってるかもしれません…



ではどぞー!



 

 

 

定期試験まで後二週間と迫っている頃、比企谷八幡は生徒会の仕事を手伝っていた。

 

 

「八幡さん、これを手伝ってもらえませんか?」

 

「お、おう…」

 

八幡は風紀委員会は非番であるが、真由美に七草家へ食事の招待されている為、生徒会が終わるまで待つことになっていた。

真由美が生徒会で勉強してたらいいと提案をされたので、MAXコーヒーが飲めることもあり了承した。が、深雪が凄まじい勢いで仕事を八幡に振っている。

普段の深雪なら人に仕事を押し付ける真似は絶対にしない子であるが、今日は朝から機嫌があまり良くない。

 

 

 

理由は…朝の比企谷家での話に遡る。

 

 

 

「水波、今日夜ご飯いらないから」

 

「畏まりました。奥様から事情はお聞きしてます」

 

水波は亜夜から既に事情を聞いていたようで、一つ返事で了承した。

 

「八幡さん、どこかに行かれるのですか?」

 

横で朝食をとっていた深雪が八幡に問いかける。

 

「今日会長の家に食事に招待されてるんだよ…先延ばしにしてたんだが…断れなくなった」

 

八幡は事情を説明する。

入学してすぐに真由美の父親、七草弘一に一度顔を合わせたいと言われていた。

色々理由をつけて先延ばしにしていたが、亜夜に早く行ってこいと言われ、今日行くことになった。

 

「会長の…ですか?」

 

深雪は手に持っていたパンを思わず落としてしまった。

 

「前から招待されてたんだが…って深雪、制服汚れてるぞ?」

 

パンについていたジャムが制服に飛んでいると八幡は指摘する。

 

「八幡さん…私聞いてませんよ?それに会長の家というのは七草家ってことですよね?」

 

深雪は八幡の指摘に対して一切反応せず、問いかける。

 

「そうなるな…行きたくないんだが…」

 

「ならば、行かなければよろしいじゃありませんか」

 

「深雪あまり八幡を困らせるな」

 

達也は深雪がヒートアップしているのを宥めようと声をかけた。

 

「お兄様は何故そんなに冷静なのですか?八幡さんが七草家に招かれたという意味をお兄様が理解してない訳はないじゃないですか!」

 

「確かに、そうなんだが。叔母上たちも八幡に行かせようとしてるみたいでな…」

 

達也は深雪に説明する。

 

「叔母様たちがですか…?」

 

「俺にも、昨日の夜中に叔母上たちから要請があった」

 

「お兄様も七草家へ行かれるのですか…?」

 

深雪は目を見開いて問いかける。

 

「いや、七草家の近くで何かあった時のために待機してて欲しいと。後で報告するつもりだったんだが」

 

昨日の夜中に亜夜から連絡をもらっていた達也。

念のために達也にお願いしていたようで、達也はそれを了承していた。

 

「なら深雪もお兄様と一緒に…」

 

「深雪は、水波と小町と待っててくれないか?」

 

深雪も同行しようと達也に頼もうとするが、達也は待っているように伝える。

 

「……わかりました。お兄様がそう仰るなら」

 

深雪は不本意ながら返事をする。

深雪が達也に命じればついて行くことは可能だったが、深雪はそれをしなかった。

 

「深雪さま、お着替えをご用意しました」

 

話が一旦話が切れたので深雪の制服を持った水波が声をかけてきた。

 

「水波ちゃんごめんなさい。着替えてきます」

 

深雪は水波から制服を受け取り部屋に入っていった。

 

「それにしても、八幡。あまり無茶なことはするなよ?」

 

「無茶なんかしねぇよ…てか、達也も来なくていいんだぞ?深雪の側にいた方がいいだろ」

 

八幡は達也の問いに答え、近くで待機しなくていいと伝える。達也は深雪の守護者(ガーディアン )である為、基本的には深雪と離れない方がいい。

 

「お前を信用してない訳ではないが、念のためということだ。それにこの家なら安全だろう」

 

比企谷家は見た目は普通の一軒家だが、色々と仕掛けが施してある為、他の人から襲撃を受けることはほぼない。

 

「材木座を肉盾として、置いておくか…」

 

「それならもっと安全だな」

 

達也も材木座のことは認めている。体術は達也の方が上だが、大差ないくらいのレベルだった。魔法もそれなりに使え、肉盾としては十分すぎる存在である。

 

朝のこの出来事がきっかけとなり、深雪ははじめは少し機嫌が悪い感じだったのだが…

昼休みに真由美が八幡にお弁当を持って来たりと深雪の機嫌が良くなることはなかった。

 

深雪がお弁当を作る日は、自宅に帰っている時だけであり、比企谷家の時は生徒会室のダイニングサーバーにお世話になっている。

 

 

そして冒頭に戻る。

 

「それにしても、比企谷くんは事務スキルが本当に高いんですね」

 

鈴音が八幡の仕事振りを見て賞賛する。

 

「不本意ながら、生徒会とかの仕事は色々やって来ましたから…」

 

生徒会で一年以上手伝わされていたこともあり、事務スキルは無駄に高くなっていた。

 

「そもそも手伝わさせていいんですか?比企谷は生徒会のメンバーではないんですよ?それに二科生に生徒会の仕事をさせては規則がですね…」

 

服部が鈴音に問いかける。

生徒会のメンバーでもない八幡が手伝うのはおかしいと指摘する。

ウィードと呼ばなかったのは服部自身成長した証拠であろう。服部と八幡の関係は、真由美関連を除けば決して悪いものではなくなっている。

 

「生徒会役員には規則がありますが、お手伝いに関してはそのような規則はなかったと思いますが」

 

鈴音は冷静に答える。

 

「そういえば…そうでしたね…」

 

服部はそう言って席を立ち、八幡の元へ行く。

 

「比企谷、これとこれとこれも頼む」

 

服部は八幡に仕事を押し付けた。

かなりの量があると見て間違いないだろう…

服部が頼んだ仕事は、紙媒体で見た目からしても結構な厚さになっている。

 

「はんぞー副会長…これは多すぎませんかね…」

 

「誰がはんぞーだ!刑部だと言っているだろう!いい加減その呼び方はやめろ!」

 

八幡は服部のことをはんぞー副会長と呼んでいる。話しかけられた時に名字が思い出せなかった時がきっかけで、それ以来はんぞー副会長と呼んでいる。

 

「まだ副会長がついているだけいいじゃないですか!私なんて『あーちゃん』って呼ばれてるんですよ!」

 

「あーちゃん先輩でしたね、すいません…」

 

八幡はあずさに謝る。

 

「あーちゃんって呼ばないでー!」

 

あずさが涙目になって叫んで突っ伏してしまった。

 

「悪ノリしすぎました…すいません」

 

八幡はあずさに謝る。八幡はあずさに対しては少しSっぽくなる傾向があるようだ。

 

 

「八幡さんは信頼されているのですね。深雪は嬉しいです」

 

深雪は笑顔で話しかけて来た。さっきの服部の話の流れ的に、深雪は服部に対して怒るはずなのだが今日はその様子がない。八幡に仕事が振られたのをすごく嬉しそうにしている。

 

「なんでそんなに嬉しそうなんだ…?」

 

八幡は疑問に思い、深雪に問いかける。

 

「八幡さんが、信頼されるのは深雪としては至高の喜びなんです!」

 

深雪は八幡に力強く答える。

 

「至高の喜びって…大袈裟すぎなんじゃないですかね…」

 

「ハチくん生徒会の仕事手伝ってくれてるの?」

 

いきなり八幡の背後に現れた真由美。

 

「押し付けられたが、正しいような気がしますが…」

 

八幡は真由美に驚くことなく答える。

 

「ちょっとは驚いたリアクションくらいしてくれてもいいのに!」

 

真由美は少しだけ頬を膨らませ八幡のリアクションの薄さに抗議する。

 

「だって、扉開く音しましたし…」

 

「それにしてもかなり量が多いわね、大丈夫?」

 

真由美は八幡が任されている仕事を軽く見て、問いかける。

 

「まぁこれくらいならなんとか…」

 

八幡の答えを聞き、真由美は時計を見る。

 

「今からだと、結構遅くなりそうね…」

 

「会長、私が至らないばかり申し訳ございません。八幡さんの優しさに甘えてしまいました」

 

深雪が真由美に丁寧に謝る。

 

「深雪さんを責めているわけじゃないのよ?今日この後、ハチくんを家に招待しているから時間をずらさなきゃかなって…」

 

「会長?!どういうことですか?比企谷を会長の自宅に??!」

 

真由美の呟きに勢いよく噛み付いた服部。

 

「父が、ハチくんと会いたいって言ってるの。だから都合をつけてもらってたの」

 

服部の問いに、軽く答える真由美。

 

「遅くなったら家に泊まってもらうことになっちゃうわね…」

 

真由美が悪戯な笑みを浮かべて呟く。

 

「えっ?泊まり?」

 

八幡が咄嗟に反応してしまう。

遅くなったからってわざわざ泊まる距離でもない。八幡はそう思っていたのだが、予想外の展開に驚いていた。

 

「ハチくんは今日は大事なお客様だから、夜遅くに帰らせるのは忍びないかなって」

 

「全然忍びなくないですよ…?」

 

むしろ泊まる方が忍びないんですけど…てか泊まるなんてハードル高すぎだろ…

 

「八幡さん!やっぱり深雪が一人でやります!」

 

「比企谷、さっきの仕事俺一人でできそうだ。返してもらう」

 

深雪と服部は慌てて八幡に渡した仕事を回収する。その姿を見て、真由美は悪い顔をしていたのを八幡は見てしまった。

 

こうなることをわかってて言ったのかよ…怖いよぉ…

 

「これで予定通りに行けそうね」

 

真由美は笑顔で八幡に告げる。

 

「……そうですね」

 

八幡は一瞬、間が空いてしまったが普通に答えた。深雪は少し不満そうな顔をしながら仕事を黙々とやっていた。

 

「さて、今日はこれくらいにしておきましょうか」

 

真由美の一声で、今日の生徒会は終了した。

深雪と服部が八幡に振っていた仕事はどうやら急ぎの仕事ではなかったようだ。

 

「八幡さん…お気をつけて…深雪は帰りを待ってます」

 

深雪が俯いて八幡を見送る。よほど行って欲しくないみたいである。

 

「遅かったら無理して起きてなくてもいいからな」

 

八幡は深雪にそう言って真由美と生徒会室から出て行った。

 

少しすると、風紀委員会の巡回を終えた達也が帰ってきた。

 

「深雪、八幡はもう行ったのか?」

 

達也は深雪に問いかける。

 

「お兄様、お疲れ様です。八幡さんは先程会長と出ていかれました」

 

「俺たちも帰るか、材木座は委員長に色々やらされているから先に帰っててくれと言っていた」

 

 

達也と深雪は比企谷家へと帰ってきた。

 

「おかえりなさいませ。達也さま、深雪さま」

 

水波が二人を出迎えた。

 

「さて、俺は準備しなければな。水波頼んだぞ。何かあればすぐに戻ってくる」

 

「はい。達也さま」

 

達也は準備しに比企谷家にある自室に向かって行った。

 

「深雪お姉ちゃんおかえり!」

 

深雪がリビングに着くなり小町が抱きついてきた。

 

「ただいま、小町ちゃん」

 

「深雪お姉ちゃん少し提案があるのですが!」

 

小町は深雪に悪い顔をして提案を申し出る。

 

「どうしたの?」

 

深雪は不思議そうに小町に問いかける。

 

「今日の晩御飯は外食など如何でしょう!都心の方に良いところがあるんですよ!」

 

夜ご飯は外食しようと提案する小町。

 

「都心……まさか!」

 

「お姉ちゃんさえ良ければ…」

 

「……小町ちゃんは本当に良い子ね。外食には賛成よ」

 

小町の意図をすぐに理解した深雪は小町の頭を撫でながら答えた。七草家は都心にある、小町はそれを知ってて深雪に提案したのは間違いないだろう。

 

「……小町さま、深雪さま」

 

後ろで話を聞いていた水波は二人の名を呼びかける。

 

「どうしたの?」

 

「達也さまにはなんとお伝えしたらいいのでしょうか…」

 

水波は達也に二人を頼むと任せられているので、この二人の勝手な行動には否定的な様子である。

 

「では、お兄様も一緒にお食事してはどうでしょう?お食事もお仕事も一緒にできるわけですから」

 

深雪が水波の問いに笑顔で答える。

 

「……畏まりました。達也さまにお伝えしてみます」

 

水波は強引な深雪の返事に不本意ながらも了解する。

 

「水波ちゃんもそんなに拗ねないでね!お母さんも伯母さんも水波ちゃんが頼りないから達也お兄ちゃんに任せたわけじゃないのはわかってるよね?」

 

小町は水波の態度を見てフォローを入れる。昨夜、水波が亜夜から今日の事を連絡を受けた時に猛反発していた。

本来であれば、比企谷家のメイドとして水波が護衛につくのだが、今回の件は達也が適任だった為、水波は八幡の護衛を外された。

達也の方が適任なのは水波もわかっていることであり、理解もしているが余程八幡の護衛を外されたのがショックであった為、拗ねていた。

そもそも八幡に守護者( ガーディアン)がついていればこの状況で、小町や深雪の守護者(ガーディアン )の水波や達也が動かなくてもいいのであるが。

 

「……理解しています…申し訳ありません。小町さま」

 

水波は頭を深々と下げ、達也の元へと向かっていった。

深雪と小町は出掛ける用意をする為自室へと向かった。

 

「……達也さま」

 

水波は達也の部屋の前で声をかける。

 

「どうかしたか?」

 

達也は呼びかけにすぐに反応し、扉を開ける。

 

「実は……」

 

水波は達也に小町の提案を伝えた。

 

「そうか…わかった。俺も同行することにするよ」

 

達也は少し呆れた物言いで、水波に了承することを伝える。

 

「ありがとうございます、達也さま」

 

水波は達也にお礼を言ってその場を後にした。

 

「全く、あの二人には参ったな」

 

達也は少し笑みを浮かべて用意を再開した。

 

 






と…こんな感じになりました!!
久しぶりの投稿は緊張しますね…笑

次回の投稿は七草邸の話ではない方向でいきます!
ちょっとリハビリで書いたものがあるので…(真面目に書いたんですけど…書いた後、どうしてこうなった!って気持ちになりました笑)

次々回の投稿で七草家の話を投稿するつもりです!
久しぶりに書くので前より文が酷くなってる恐れ大いに有り…です笑

マイペースに投稿していきたいとおもいます!!!(早く九校戦いきたい)

コメントの方は返せる時に返します!すみません(土下座)
なんとか一月中に投稿できた…(ギリギリ)


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麻婆豆腐



今回はリハビリ投稿的な感じになってます!!
多分…キャラ崩壊が酷いかも知れません…!w



ある作品のネタを持ってきてます!!(タイトルでわかる人はわかるはず…)


ではどぞー!


達也、深雪、小町、水波、材木座は都心にある中華料理屋に来ていた。

 

中華料理屋の名前は……

 

紅州宴歳館・泰山 東京支店

 

と書いてある。小町が学校で噂を聞き、一度行ってみたいということになりこの店に決まった。

店に入ると中々賑わっている様子ではなく、客が入っていなかった。

そして達也たちは、空いていた一つのテーブルへと案内された。

どうやら店主らしき人が一人だけでお店を回しているようだ。

 

「いやー、思ったよりも人が入ってないですね」

 

小町はボソッと本音をこぼしてしまう。友達に聞いていた情報とは少し違うようで、うっかり口に出してしまった。

 

「少し時間が早いからかも知れないな」

 

達也は少しフォローを入れるように返答する。現時刻は19時前で、普通の飲食屋なら夕飯時ということで繁盛している時間ではあるが。

小町の小言が聞こえていなかったのか店主の男は何も言わずにカウンターに立っている。

 

「我はラーメンと炒飯を頂くであるぞ!もちろん大盛りでな!」

 

材木座はメニューを見ながら早速注文をするものを決めていた。

 

「小町ちゃんオススメとか聞いてないの?」

 

「友達曰く、全部オススメって言ってたからこれは迷いますね…」

 

深雪の問いに小町が返答する。全てオススメほど迷うものはないだろう。

 

「俺は麻婆豆腐にしようか」

 

達也は麻婆豆腐と言った瞬間、店主が反応したのを達也は見逃さなかったがあえてそこはスルーした。

 

「水波ちゃんどれにするー?」

 

「小町さまは何で迷ってらっしゃるのですか?」

 

小町の問いに水波は問い返す。

 

「んとねー、フカヒレスープと青椒肉絲( チンジャオロース)と春巻!」

 

「では私と半分ずつで食べませんか?」

 

「うんっ!」

 

小町の提案に水波は慣れた様子で返答し、小町はそれを笑顔で了承する。二人で食事するときは小町が食べたいものを二人で食べるという流れになることが多い。

 

「深雪さまは如何なさいますか?」

 

「私もお兄様とご一緒で麻婆豆腐を頂くわ」

 

「畏まりました。注文いたしますね」

 

深雪の注文も決まり、水波は店主を呼び注文をする。

 

「以上です」

 

水波は一通り注文を伝えた。

 

「了解した」

 

店主の男は一言だけで返事をし厨房へと足を運んでいった。

 

「なんか少し怖そうな店主さんですね」

 

深雪が店主の男を様子を見て口にする。

店主の男は、中年男性くらいの不気味な風貌である。

 

「コワモテな人ほど料理が上手いとかよくあるし!多分それだよ深雪お姉ちゃん!」

 

小町が期待に満ち溢れた感情を全面に出して深雪に答える。

 

「餃子頼むの忘れてたであるな…」

 

材木座は注文のし損ねて少し凹んでいた。

そして料理が出来るまでの間、全員で雑談をしていた。

 

「待たせたな」

 

店主の男が料理を運んできて、テーブルの上に料理を置いた…

 

「「「えっ?」」」

 

小町、水波、材木座の三人が声を揃えて置かれた料理に唖然とする。

 

「どうかしたのかね」

 

店主の男は、唖然としている三人に問いかける。

 

「我は…ラーメンと炒飯を頼んだのであるが…」

 

材木座が一番に口を開いた。

材木座の元に置かれたのは麻婆豆腐…いや、麻婆ラーメンと麻婆炒飯であった。

 

「それがなんだと言うのだ」

 

中華料理屋の店主が放ってはいけないレベルの殺気を材木座に向けて放つ店主の男。

あまりにも理不尽すぎる物言いである。

 

「………」

 

材木座は店主の男の威圧に負けて黙り込んでしまった。

 

「あのー…これってフカヒレスープじゃ…」

 

小町が恐る恐る店主に質問を投げかける。

 

「どうしたと言うのだね、スープが麻婆なだけだがどうかしたか?」

 

小町の質問にハッキリと答える店主。

 

「……なんでもないです」

 

小町は店主に何を言っても無駄だと察してそれ以上追求するのを諦めた。

 

「………店主さん。これはどう言うことでしょうか!!」

 

水波が店主の男に向かって怒鳴りつける。

 

「何か問題でもあるのかね、小娘」

 

店主が冷静に水波に問いかける。

 

「これは…フカヒレスープでは、ないではありませんか!」

 

「何を言っている。麻婆の上に申し訳程度にフカヒレが乗っているではないか」

 

麻婆の上にはしっかりとフカヒレが乗っている。麻婆がスープと言い張っている以上、店主の男からしてみれば、この店のフカヒレスープはこの状態のことなのであろう。

 

「……ですが!!「水波」……申し訳ありません。少々熱くなりすぎてしまいました」

 

水波がヒートアップし続けるので達也が水波を止めた。

 

「麻婆がこの店の売りということだろう。あまり文句を言ってしまったら店主さんに失礼だろう?」

 

達也は場を落ち着ける為に大人な対応をとる。

 

「………はい」

 

「自らの生という奇跡に感謝しながら食すがいい」

 

店主はそう言ってその場から離れる。

 

「とは言ったものの…お兄様…これは…」

 

深雪が麻婆豆腐を見つめながら問いかける。

それもそのはずである。麻婆豆腐は真っ赤で見た目からして辛いのが手に取るようにわかるレベルである。

 

「食べてみないと何も言えないからな」

 

「(小町が聞いていた全てオススメとはこういうことだったんだな)」

 

達也はそう言い、先程の小町の一言を思い出しながら麻婆を一口食べる。

 

「(なんだこのマグマを口に入れたような辛さは……全身が辛いと言っているのか…)」

 

達也は一口麻婆を食べその辛さに驚愕したが、更に一口麻婆を口に入れた。

 

「(だが…その辛さを超えると旨味が広がる…こんな麻婆豆腐食べたことがない…脳が焼けていくのがわかる)」

 

達也は辛さを乗り越えた先の旨味へと辿り着き、この麻婆豆腐の真の姿を目の当たりにしてしまった。

そして達也は何も言わずに一心不乱に食べ続けた。

 

「お、お兄様?!」

 

深雪は一心不乱に食べ続ける達也を見て、こんな姿見たことがないと驚き声を上げてしまう。

 

「……」

 

深雪の問いにすら答えずに麻婆を食べる達也。

 

「(深雪すまない…この感覚はなんだ…こんなの初めて体験する…)」

 

達也は麻婆を食べながら自分の中の何かが変化したのがわかっていた。四葉深夜によって精神構造改造実験で強い衝動を司る部分を深雪への兄妹愛以外失くしてしまった達也。後に小町の魔法によって、八幡と小町への感情を取り戻した。

その取り戻した感覚と少し似ているが違う感覚が達也の中で芽生えた。

そして達也はすぐさま麻婆豆腐を完食した。

 

「……店主さん、おかわり」

 

達也は店主の男におかわりを申し出て、着ていたパーカーのチャックを開ける。

 

「そうか、少年も辛さの先を見たのだな。良いだろうすぐに用意する。少し待て」

 

店主の男は、不敵な笑みを浮かべ達也が平らげた皿を回収し、厨房へと足を運んだ。

 

「お兄様…?」

 

「深雪すまない、先ほど返事できなかったな。つい麻婆豆腐の旨味に我を忘れてしまったみたいだ」

 

達也は深雪に謝罪する。

 

「い、いえ…お兄様が食事の時にあの様なご様子になられるのは初めてみたので」

 

深雪は落ち込んだ様子で、達也に答える。自分の作った料理では達也を満足させて上げられていなかった現実を重く受け止めていた。深雪にとっては最重要事項なことである。

 

「俺もこんな衝撃は初めてだ…」

 

「そ、そんなにですか…」

 

深雪はこの時決心する。達也にこの麻婆豆腐を超える物を作らなくてはいけない。深雪は麻婆豆腐の味を確かめる為に麻婆豆腐を一口食べる。

 

「ッ〜!!!!!!」

 

深雪は辛さのあまり声にならない声を上げてしまう。

 

「み、深雪?!」

 

達也は深雪の様子を見て慌てて声をかけるが、深雪は麻婆豆腐を再び口の中に入れていた。

 

「(辛い…ですが…これがお兄様の求める味…私が作らなければならない麻婆豆腐!それにしてもこの麻婆豆腐を辛さを感じさせない食べっぷり…さすがです!お兄様!)」

 

深雪は辛さを乗り越えることは出来なかったが、見事に完食した。

 

「……」

 

深雪は完全に戦意喪失状態であった。達也が求めるのは辛さだけではないと思っていて、それが何かわからなかったのである。

実のところ、ただ辛いだけの麻婆豆腐なのであるが…辛さの先とは、その辛さを受け入れるということなのだろう。

 

「……深雪お姉ちゃん?」

 

小町が恐る恐る深雪に声をかける。

 

「………小町ちゃん…今喋れそうにないの…」

 

必死の思いで小町に返答する深雪。

 

「こ、小町さま!ここは水波が…!」

 

深雪の様子を見た小町は自分が頼んだ料理を食べる気を失っていた。それを見て水波は声を発した。

 

「(小町さま…私がお守りします!!)」

 

水波は心を決めてフカヒレ麻婆と麻婆春巻に手を伸ばし、一気に食べた。

 

「………」

 

水波はフカヒレ麻婆と麻婆春巻を見事完食した。

 

「み、水波ちゃん…?」

 

「………」

 

小町が声をかけるが返事がない。

水波はどうやらあまりの辛さに気絶してしまった様だ。

辛いのが苦手なのを我慢していたが、限界がきたのかも知れない。だが、まだ一品残っている。

 

「わ、我は…」

 

材木座は目の前の麻婆料理にフリーズしていたが再起動したが、一切食べようとしていない。

 

「そこの二人、食べ残しは許さぬ。どうしても食べられないと言うのであれば首から下を土に埋めて私が麻婆を流し込んでやろう」

 

達也のおかわりを持ってきた店主の男は、まだ食べてない小町と材木座に向けて言い放つ。

 

「「……結構です」」

 

小町と材木座は口を揃えて店主に答え、すぐさま麻婆料理を食べ始めた。

 

「ひぃぎゃああああああ」

 

材木座は一口食べて椅子から転げ落ちてしまった。

 

「我が…生涯に一片の悔いなし…」

 

そう言い残し材木座は目を閉じた。

小町は麻婆肉絲(マーボーロース )を無心で食べた。

 

「……何この口とお腹が焼けた様な感覚…」

 

小町は見事完食した。一言だけ言葉を発して、口を開けて放心している。

 

「うむ」

 

店主は小町の平らげた皿を見て満足そうに頷いた。

 

「さて、残るは君一人だ。決めたまえ、ここで完食するか私に麻婆を食べさせてもらうか」

 

どちらにしても麻婆を残すことを許さない様である。材木座は目を閉じたまま動かない。

 

「そうか、そんなに食べさせてほしいのか」

 

店主は麻婆ラーメンを手に持ち材木座にマウントを取り顔を抑えて、口の中へ流し込む様に無理矢理押し込んだ。

続けて、麻婆炒飯を流し込む。

 

「情けない奴だ、逝ったか…だが、最後の晩餐が私の麻婆だったことを幸運に思うがいい」

 

店主はそう言い残して厨房の方へと戻って言った。

達也は材木座が逝ってしまったことすら気付かずに麻婆豆腐を食べていた。

すると新しい客が数名入ってきた。達也たちのテーブルを見て、何も言わずに席についた。

 

「じいさん、なんでさ!!なんでここなのさ!!」

 

少年はこの店をあまり良く思ってはいない様子で、中年男性に文句を言っている。

 

「まさか冬木以外に、店を構えているとは思ってなくてね。つい入ってしまったんだよ」

 

少年と一緒に来ている中年男性が答える。

 

「私も辛いのが苦手だったんだけど、案外慣れればいけるものよ?」

 

中年男性の横に座っている妻と思われる女性が少年に声をかける。

 

「お兄ちゃん、私ここに来たの初めてなんだけどそんなにすごいの?」

 

少年の妹と思われる少女が問いかける。

 

「すごいってもんじゃないぞ…あれは…あそこのテーブルを見てみるんだ」

 

少年は少女に達也たちがいるテーブルを見ろと告げる。

そこには、一心不乱に麻婆豆腐を食べる達也。口を開けて放心している深雪、小町、水波。口から麻婆が垂れ流して倒れている材木座の姿があった。

 

「……お兄ちゃん」

 

少女はその地獄絵図がこの店の料理だということに気がついた様だ。

 

「久しぶりだな、少年」

 

店主が少年に声をかける。

 

「な、なんであんたがここに…」

 

店主とは顔馴染みだった様で、少年は店主を睨みつける。

 

「貴様もいたのか」

 

店主は中年男性に向かって声を発した。

 

「まさか、ここの店主が…」

 

「ふっ、貴様にくれてやる麻婆などこの店にはない」

 

店主はこの一行を知っているらしい。

店主の男は注文を取らず厨房へと戻っていく。余程この中年男性には麻婆を食べさせてやりたくない様だ。

 

「……仕方ない。違う店にするか、あの男と僕では違いすぎる。やはり僕はあの男の在り方が恐ろしいよ」

 

そう言って店を出ていく中年男性一行。少年と少女はホッとしている様子で店から出て行った。

謎の一行が去った後、店主は達也の元に向かってきた。

 

「少年、名はなんという」

 

麻婆を食べ終えた達也に質問をする店主。

 

「司波達也だ」

 

「覚えておこう。私の麻婆が気に入ったなら冬木の本店へ行ってみるがいい。もっといいものが食べれるぞ」

 

店主は達也に冬木にこの店、泰山の本店があるということを告げた。

 

「機会があれば是非」

 

達也は少し前のめりになり店主に答える。

 

「お会計は、5万円だ」

 

「カードで」

 

達也は値段を聞き何事もなかった様にカードで支払う。

ぼったくりにも程があるというのに…さすがは世界のトーラスシルバーということであろう、気にせずに会計を済ませる。

達也は放心している深雪たちを起こして店を出ようとする。

 

「ほう、貴様もまだ生きていたか」

 

材木座はふらふらと立ち上がった。

 

「……いかにもっ!げぷっ」

 

材木座は無理矢理声を出そうとするが麻婆の後遺症がまだ残っている様で言葉に詰まる。

達也たちは店を出ようとした時、店主は深雪、水波、小町に向かってこう告げた。

 

「喜べ、小娘。君たちは一日分のカロリーを摂取できた」

 

そう言われた三人は更に顔を青くさせる。

超高カロリーだということを事後報告されたからである。スタイルがいい三人だが、そんなことを言われて気にしない訳はなく顔を青くした。

 

「「「はぁ…」」」

 

店を出た後、深雪、小町、水波はため息を吐いた。

 

「八幡は…」

 

達也は思い出したかの様に八幡の様子を精霊の眼(エレメンタルサイト )で確認する。

 

「どうやら何事もなかった様だな」

 

達也は七草邸の八幡の様子を見て安堵する。麻婆豆腐に夢中で八幡の監視を怠っていたことは達也本人しか知らない。

 

八幡が無事だということで達也たちは家に帰宅した。

そして八幡が帰ってきたのを深雪が出迎える。

 

「おかえりなさいませ!八幡さん!」

 

深雪は先程の麻婆の辛さの余韻が残っているが我慢し、とびきりの笑顔で出迎えた。

 

「おお…ただいま…ってなんか麻婆臭くないか…?」

 

その瞬間パチーンと音がなった。

深雪が顔を真っ赤にして八幡の頬を叩いてしまった。

 

「……えっ?」

 

八幡は何がなんだかわからない様子で頬に手を当てている。

そして深雪は走って自室に走って行ってしまった。

 

「これだからごみぃちゃんは…げぷっ」

 

小町がその様子を見ていたのか、少し苦しそうな感じで八幡に悪態を吐く。

 

「……いや…よく状況が理解できないんだが…」

 

次の日、八幡と達也以外は体調不良で学校を休んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





何故か麻婆をやりたかったんです…!
許してください!!w
今回のネタのキャラの名前を出さなかったんですが…なんとなくわかってもらえると嬉しいです!w
店主さんはまた登場するのかは未定です!!


次回はちゃんと七草家の話をします!!
その後は原作に戻ります!!(多分)



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七草邸


お久しぶりでございます!!
久々に書くと上手く書けないですね…笑

それと前回のネタはFateから持ってきてました!!
偶にFateのキャラが出てくるとか出てこないとかある予感(神父ソンはよく出てきそうですね)



ではどぞー!


 

 

八幡と真由美は七草邸へと到着した。

 

「さっきも言ったけど、狸親父には気をつけてね」

 

真由美は八幡に再度注意した。来る途中の電車でも一度注意されていた。

相手は七草家の当主、真由美が狸親父と言うからには何かあるのだろう。

 

「はぁ…帰ってもいいですか?」

 

「ダメに決まってるじゃない!ここまで来たんだから!」

 

八幡の言葉に真由美はすぐさま反応する。

 

「おねぇーちゃん!」

 

玄関の前から大声で声を発して、真由美に抱きついたショートカットのボーイッシュな少女。

お姉ちゃんと呼んでるってことは、真由美の妹ということだろう。

 

「ただいま、香澄ちゃん」

 

七草香澄、七草真由美の妹で七草の双子という名で数字付き(ナンバーズ )の中で知れ渡っている。

 

「お姉ちゃん、おかえり!その人は?」

 

香澄は八幡を見て真由美に問いかける。

 

「今朝話したでしょ?彼が比企谷八幡くんよ」

 

真由美は八幡を香澄に紹介する。

 

「この人が陽姉のお気に入り?」

 

「そうよ、ちゃんと挨拶なさい」

 

真由美は香澄に八幡へ挨拶するように伝える。

 

「七草香澄です。陽姉から話は聞いてるよ!八幡さん!」

 

香澄は元気良く八幡に挨拶する。

 

「お、おう。比企谷八幡だ、あの人から何聞いているかは知らんが、まぁよろしく…」

 

八幡は何を言われてるのかわからないが、あまり良くないことだと理解した。

 

「香澄ちゃん!お客様の前で、はしたないですわよ」

 

すると香澄の後ろからもう一人の少女が現れた。

 

「チェッ、泉美は本当口煩いんだから」

 

もう一人やって来たのは七草泉美、真由美のもう一人の妹である。

 

「泉美ちゃん、ただいま」

 

「おかえりなさいませ、お姉さま。いらっしゃいませ、比企谷さん。七草泉美と申します、今日は足を運んで頂いてありがとうございます」

 

泉美は真由美に挨拶して、八幡に向かって挨拶し、深々と頭を下げた。

 

七草泉美、七草真由美の妹で七草香澄と双子であるが、ボーイッシュな香澄とは正反対で女の子らしい見た目をしている。

 

「こちらこそ…お招きいただきありがとうございます…」

 

八幡は泉美の礼儀正しい挨拶にかしこまってしまう。

 

「少し、お姉さまとの距離が近くありませんか?」

 

泉美は八幡と真由美の間の距離を見ながら八幡に問いかける。

 

「すみません…」

 

八幡は言われてすぐに謝り真由美との距離を開けた。

 

「気をつけてくださいね」

 

笑顔で八幡に忠告する泉美。

 

「お、おう」

 

「泉美ちゃん?あまりハチくんをいじめないであげてね?」

 

真由美は泉美に遠回しに注意をする。

 

「比企谷さんは危険人物だと、陽乃姉さまが言っておられたので少し警戒をと思いまして」

 

泉美は陽乃に何か八幡について聞いていたのか、真由美を八幡から遠ざけようとしている。

 

「雪ノ下さん何言ってんだよ…」

 

「ボクも色々聞いてるよ!」

 

八幡がボソッと愚痴をこぼすと、横から香澄が話に乗っかってきた。

 

「いや、話さなくていいから…」

 

八幡は七草邸に入る前から手厚い歓迎を受けてるとは思ってもいなかったので、早くも気が滅入りそうになっていた。

 

「シスコンだって、陽姉が言ってた!」

 

「まぁ、それはあってるな」

 

香澄の発言を即答で肯定する八幡。

 

「こんなに堂々とシスコンを肯定する人、ボクはじめて会ったよ…」

 

香澄は若干引いた様子で八幡を見る。

 

「ハチくんのシスコンっぷりはもう慣れたわ」

 

真由美は八幡のシスコンっぷりは何度か体験していた為、既に慣れつつあった。

 

「陽乃姉さまのことが大好きだってことも言っておられました」

 

「………はっ?」

 

泉美の発言に八幡は思わずフリーズしてしまった。

 

「ハチくん…それはお姉さん初耳だなぁ?」

 

真由美は悪戯な笑みを浮かべて八幡に擦り寄る。

 

「それボクも聞いたよ!」

 

香澄も同じことを陽乃から聞かされていたようだ。

 

「陽乃姉さまのように可憐で美しく、文武両道なお方に気を惹かれてしまうのは仕方のないことですわよ」

 

泉美は追い討ちをかけるように八幡に告げる。

 

「どういうことだよ…俺が雪ノ下さん大好きって俺も初耳なんだが…」

 

八幡は陽乃が何を考えているのか訳がわからなかった。

 

「違うんですの?」

 

泉美は八幡に不思議そうに答える。

 

「大体…あの人に会えば碌な目にあってないんだよ…どこをどう間違えたら大好きってなるんだよ」

 

八幡は陽乃とのことを思い出しながら過去を振り返る。八幡的には惚れる要素がなかった。

 

「後で、陽姉こっちに顔出すって言ってたからその時全てがわかるんじゃないかな?」

 

香澄が陽乃が七草邸に来襲すると突然、言ってきた。

 

「「えっ?」」

 

八幡と真由美は揃えて言葉を発した。

 

「香澄ちゃん!陽乃姉さまは秘密だって言ってたでしょ!じゃないと比企谷さんが恥ずかしくて逃げちゃうって」

 

泉美が慌てて香澄に注意するが時すでに遅かった。

 

「今日来れないって陽乃さん言ってたんだけど…」

 

真由美も来れないと言われていたらしく驚いていた。

 

「あの人来るなら俺帰りますね…」

 

八幡は即座に帰ろうとする。

 

「お姉さんそんなに嫌われちゃったかなー?悲しいぞ比企谷くん!」

 

八幡が帰ろうと振り返るとそこには、話題の雪ノ下陽乃本人が八幡の目の前に現れた。

 

「ひぃ!」

 

八幡はあまりにも驚いて声にならない声を出した。

 

「ひゃっはろー!久しぶりだね比企谷くん」

 

八幡に元気良く挨拶する陽乃。

 

「お久しぶりです…雪ノ下さん」

 

八幡は少し気が引けた感じで陽乃に軽い会釈をし、挨拶をする。

 

「ふーん、比企谷くん制服姿中々様になってるじゃない」

 

陽乃は制服姿の八幡を舐め回すように見て褒める。

 

「ども…」

 

「陽乃さん、今日来れないって言ってませんでした?」

 

真由美は陽乃に気になってたことを問いかける。自分だけ秘密にされていたことがどうやら気に食わなかったようだ。

 

「ごめんね、真由美。私がいるって言っちゃうと、比企谷くんに言っちゃうかなって」

 

陽乃はあまり悪びれもなく真由美に答える。

 

「それくらい黙ってられます!」

 

真由美は少し怒った感じで陽乃に食いつく。

 

「本当は香澄と泉美にも内緒にするつもりだったんだけどね、つい口滑っちゃって。それにどうしたのかな?私がいたら真由美は何か困ったことでもあったのかなー?」

 

陽乃は真由美に意地悪い質問をする。

 

「そ、そんなことはないですけど…」

 

「ふーん、私がいたら比企谷くんを取られちゃうって思ったのかな?真由美は相変わらず可愛いなこのこのっ」

 

陽乃は真由美を完全に揶揄っている。

 

「そんなのじゃないですから!」

 

「冗談だからね?そんなに怒らないの、比企谷くんに嫌われちゃうよ?」

 

「陽乃さんが来たらこうなるから色々準備がしたかったんです!」

 

真由美は陽乃に少し怒り、声を上げてしまう。

 

「きゃー比企谷くん、真由美ったら怖いよー助けてー」

 

そう言って八幡の腕に抱きつく陽乃。

 

「はぁ…本当に相変わらずですね…。そろそろやめてあげたらどうですか?」

 

「つれないなー、まぁ実際この後に予定があるのは事実なんだけどね。その前に弘一さんに頼まれたことがあったからそれを報告しに来ただけだよ」

 

陽乃は此処へ寄った理由を正直に告げる。八幡が来るタイミングに合わせたのか偶々なのかは本人にしかわからない。

 

「お父さまにですか?陽乃姉さま」

 

泉美もそこまで聞いていなかった為、不意に質問した。

 

「そうそう、だからこの事を報告したら私すぐ出なくちゃいけないの」

 

陽乃は残念そうに答える。

 

「陽乃姉さま、最近とてもお忙しそうですが…大丈夫ですか?」

 

泉美は心配そうに陽乃に問いかける。

 

「全然平気だから、気にしないでいいわよ。真由美を揶揄って更に元気いっぱいって感じかな。比企谷くんにも会えたことだしね」

 

陽乃はそう言って八幡と真由美の方をみて、先に七草邸の中へと入っていった。急いでいたのは事実だったようだ。

 

「「はぁ…」」

 

八幡と真由美は陽乃が屋敷に入っていったのを見て同時にため息を吐いた。

 

「真由美お嬢様、おかえりなさいませ。比企谷様、今回はお招きに応じて頂きありがとうございます。ご当主様がお待ちになっておられます、こちらへどうぞ」

 

七草家の使用人が、扉を開け八幡と真由美を出迎える。八幡は早速、当主の七草弦一に呼ばれていた。先程陽乃が当主に会いに行ったのは意味があるのだろうか。

 

「では、私も同席した方が…」

 

「ご当主様は、比企谷様だけと言っておられたので、真由美お嬢様はお着替えをお願い致します」

 

えっ?俺だけ?流石に初対面で二人きりとかハードル高すぎませんかね…。

 

「……わかりました」

 

真由美は同席したかったのだが、それを許しては貰えなかった。

 

「ハチくん、本当に気をつけてね」

 

真由美は八幡に心配そうに声をかけた。

 

「…うっす」

 

八幡はあまり気が乗らなかったが、ここまで来てしまっては後に引けないので諦めた。

 

 

屋敷の中に入り、真由美たちは自室へ八幡は使用人に連れられて当主の元へ移動した。

 

 

「ご当主様、比企谷さまをお連れ致しました」

 

使用人は八幡を連れて来たと伝え、扉を開ける。

中に入ると、七草家当主、七草弘一が椅子に腰掛けていた。その横には雪ノ下陽乃が立っていた。

 

「君が比企谷くんだね。私が七草弘一だ、今日はよく来てくれたね」

 

弘一は八幡を笑顔で迎えた。

 

「どうも、比企谷八幡です…」

 

八幡は笑顔で迎えられたのがどうも薄気味悪く感じで、引いた感じで挨拶を返した。

 

「さっきぶりだね、比企谷くん」

 

陽乃も用事を済ませて出て行く様子でもなさそうで、先程とは違い、少し大人びた感じで八幡に挨拶をする。

 

「今日はわざわざ出向いてもらってすまないね、今日来てもらったのは君の事を一目見たいと思っていたのと、君に謝罪をと思ってね」

 

弘一は八幡に今日呼んだ理由を説明する。

 

「…謝罪ですか?」

 

八幡は当主自ら謝罪されるようなことはされていない認識だった為、少し疑問に思い質問を返した。

 

「七草と雪ノ下家のことは、真由美から聞いているね?」

 

「はい、それは聞いてますけど」

 

弘一の問いに、躊躇いなく答える八幡。

 

「陽乃を七草家の次期当主候補に引き抜いたのは私だからね、まさかその所為で部外者である君に迷惑がかかってしまって申し訳ないって思っていたんだよ」

 

弘一は八幡に謝罪したかった理由を説明する。

 

「そのことですか、そのことなら俺自身あまり被害を受けた訳ではないのでお気になさらず」

 

八幡は謝罪などしなくていいと遠回しに答える。

 

「そうか、それはありがとう。これからも雪ノ下家の事で君に迷惑がかかるかも知れないからね、もちろん我々は君に迷惑がかからないようにする所存だよ」

 

「どちらかといえば、そっちが本音って感じですね…」

 

弘一の発言に、食い気味で答える八幡。

 

「ははは、陽乃の言う通りだ。君はおもろしろい」

 

弘一は急に笑いだして、すごく機嫌が良さそうである。

 

「いや…おもろしろいとか言われてもわからないんですが」

 

「すまない。比企谷くんの言う通り、私が言いたかったのは今後、迷惑かけることがあるかもしれないが許して欲しいということだよ」

 

弘一は先の発言を言い直す。

 

「はぁ…あまり迷惑とかそういうの嫌なんで失くしてもらいたいんですが」

 

八幡は遠慮なく弘一に答える。

 

「もちろん我々もそのつもりだ。現在の雪ノ下家の同行は常に監視している」

 

弘一は言葉を濁さずに雪ノ下家を監視していることを八幡に告げる。八幡がおおよその事情を把握しているからだろう。

 

「この前のブランシュのことについては、雪ノ下家は関係ないんですか?」

 

八幡は気になっていたことを弦一に問いかけた。

 

「その件については、陽乃に調べてもらっている。今日その報告を受けたとこだ。陽乃、比企谷くんに説明を」

 

弘一の言葉に陽乃は頷いた。

 

「比企谷くん、この前のブランシュの件と雪ノ下家は関係ないわよ。ただ一つだけ完璧に関係ないとも言い切れないの理由はわかるよね?」

 

陽乃は八幡に問いかける。

 

「葉山ですか?」

 

八幡は陽乃の問いに即答する。八幡もそれが一番気になっていたからだろう。

 

「そう、隼人が何故あの場であのような行動をしたのか、何より隼人がジェネレーターを従えていたのかが問題なのよ」

 

「そうですね、葉山自身の力ではジェネレーターを仕入れるのは無理がありますね」

 

陽乃の考察に八幡は賛同する。弘一は黙りながら二人のやりとりを眺めていた。

 

「結果的に、あのジェネレーターは雪ノ下家が手配したものではなかった。海外シンジケートが手配したジェネレーターで間違いなかったの」

 

陽乃は結果を報告する。

 

「その海外シンジケートに雪ノ下家が依頼したとかではないんですか?」

 

八幡は陽乃に問いかける。

 

「その線もちゃんと調べたわよ。海外シンジケートの名前は<エグリーズ>の日本支部があるんだけど、そこが隼人にジェネレーターを渡したという事実までは辿りついた訳なんだけどね」

 

陽乃は少しバツの悪そうな顔で説明する。

 

「その先がわからなかったってことですか?」

 

「そういうこと、私がエグリーズ日本支部に駆けつけた時にはもう壊滅していたの」

 

陽乃がエグリーズに乗り込んだ時には既に誰かに潰された後だったということである。

 

「それで確証的な証拠がないから、雪ノ下家は関係ないということですか?」

 

「これでこの件に関しては、これ以上の深追いも無駄って感じにさっき話しがまとまったって感じかな」

 

陽乃は八幡にこの件についてはお手上げと遠回しに答えた。

 

「そうですか、葉山の行方は…?」

 

葉山隼人はあの日を境に姿を消した。その後の行方をこの人なら知っているのではないかと思い、八幡は問いかける。

 

「恐らくは、まだ生きていると思うわよ。根拠はどこにもないけどね」

 

「俺もそんな気はしています」

 

陽乃も八幡も葉山隼人は生きていると思っていた。

 

「葉山隼人くんに関しては、何か情報が手に入り次第報告するとしよう。比企谷くんも何かあれば私か、陽乃に連絡してくれ」

 

ずっと静観していた、弘一が話が一区切りついたタイミングで、八幡に提案する。

 

「わかりました」

 

そうして、八幡は弘一と陽乃と連絡先を交換した。

 

「ご当主様、今よろしいでしょうか?」

 

扉の外から使用人の声が聞こえた。

 

「かまわんよ」

 

弘一が答えると使用人が中に入ってきた。

 

「陽乃お嬢様、平塚様がお迎えに来られてますのでご報告を」

 

使用人が用があったのは陽乃のようだった。

 

「弘一さん、では私はこれで。比企谷くんもまたねー!」

 

陽乃はそう言い、部屋から出て行った。

 

「私も少し席を外すとするよ。比企谷くんを真由美のところへ案内をしてくれ」

 

「畏まりました」

 

弘一はそう言ってその場から離れ、八幡は使用人に連れられて真由美の自室へと案内された。

 

「真由美お嬢様、比企谷様をお連れ致しました」

 

使用人はノックをして要件を伝える。

 

「ハチくん!大丈夫だった?」

 

すると私服に着替えた真由美が慌てて出てきた。

 

「雪ノ下さんも一緒だったんで、大丈夫でしたよ」

 

「そっか、それならよかった」

 

真由美はホッとした表情に戻る。余程心配していたのかも知れない。

 

「そろそろ夕食の時間だから行こっか」

 

この後八幡は弘一、真由美、香澄、泉美の五人で食事をし無事八幡は七草邸から解放されたのであった。

食事中は、真由美や八幡の学校での様子や他愛のない話をしていた。

最後の方は、香澄と泉美からもどうやら気に入られたみたいで色々と揶揄われていた八幡であった。

 






陽乃登場!!ついでに香澄、泉美も登場させました!!(パパもいましたね)
後半ちょっと端折ったんですが…お許しください笑



次回からは原作に戻ります!!



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成績発表。


すごくお久しぶりです!!(忘れられてそうかな…)
非公開にしてたのはなんとなくです!


かなり久しぶりに書いたので変なところしかなさそうですが…
温かい目で見てください笑


ではどぞー!


 

学期末テストを終え、数日が経ち結果発表がある日。

 

「比企谷くん、君は一科生に転科してもらうことになる」

 

八幡は生徒指導の教員に呼び出されて、転科の通告を受けていた。

 

「いや…別に二科生のままでいいんですが」

 

八幡は一科生になりたい訳ではなかったので断わろとしていた。

 

「そういう訳にも行かないんだよ。君が入試の時に、体調が悪く入試の成績が芳しくなかったのも聞いているよ」

 

教員はもう八幡は一科に転科することは確定だと言わんばかりに言ってきている。

 

「でも、俺が一科生になると誰かが二科生になるんじゃないんですか?」

 

八幡は教員に問いかける。一科生は100名が定員となっていている為、八幡の入り込むなら他の誰かが二科生に落ちるということである。

 

「そのことについてなら大丈夫だよ。1-Aの葉山隼人くんが退学となっているから、君にはその空いた席に入ってもらうことになる」

 

「まじかよ…」

 

教員の一言に心底嫌そうに答える八幡。

葉山が退学扱いになっていたのを知らなかった為、退路が一つ消された。

 

「でも、やっぱりそういうのは良くないんじゃないんですかね…」

 

「これは第一高校の決まりでね、一科生に欠員が生じた場合は二科生から補充という形になっている。その為の二科生だからね」

 

教員の言う通り、一科生で欠員が出た場合は、二科生から補充するのが第一高校の決まりで普通ではあれば喜ばしいことである。

 

「はぁ…もし転科するならいつからなんですか?」

 

「遅くても九月からは一科生として登校してもらうことになるね」

 

つまり来学期には一科生になるということである。

 

「…わかりました。俺が一科生になったら色々問題が起こると思いますけど」

 

「その時はその時だよ。これは決定事項なので、制服とか色々手続き等が必要なのでまた詳しい話は後日ということで」

 

「…決定事項ですか」

 

教員は笑顔で八幡に告げる。

来学期から八幡は一科生として第一高校に通うことが決定した。

 

「そうそう、教室に帰ったら司波くんと材木座くんを此処へ来るように伝えてもらえないかな?」

 

「うっす」

 

八幡はそう言って生徒指導室から出て言った。

 

 

「はぁ…まさか一科生に転科になるとは…あいつらもいるんだよな」

 

八幡は暗い未来が見えて、かなり腐っていた。

 

 

 

 

一年の各学年の教室に一斉に学期末テストの結果が発表された。

学期末テストは魔法実技と魔法理論の二つの結果で別れる事になり、それを合算して総合成績とし、順位発表されることになっている。

 

 

 

<実技順位>

 

1位 比企谷八幡(1-E)

2位 司波深雪(1-A)

3位 雪ノ下雪乃(1-A)

4位 北山雫(1-A)

5位 森崎駿(1-A)

 

 

<理論順位>

 

1位 材木座義輝(1-E)

1位 司波達也(1-E)

3位 司波深雪(1-A)

4位 吉田幹比古(1-E)

5位 光井ほのか(1-A)

5位 雪ノ下雪乃(1-A)

 

<総合順位>

 

1位 司波深雪(1-A)

2位 比企谷八幡(1-E)

3位 雪ノ下雪乃(1-A)

4位 光井ほのか(1-A)

5位 北山雫(1-A)

 

 

この結果は各クラスで波乱が起こった。

 

1-Aでは。

 

「なんだよこれふざけてるのか?」

 

男子生徒が順位を見て、大声を上げた。それに釣られて他の生徒が順位に注目した。

 

「ウィードが実技1位ってどういうことだよ!」

 

「あり得ないだろ!テスト用CADが壊れてたんじゃねぇのか?」

 

実技の順位の1位は八幡だった為、8〜9割の生徒はこの順位成績に納得がいっていないようだった。それもそのはず、実技で劣る筈の二科生が一科生に実技の点数で負けることはほぼない。

 

「八幡さんとお兄様と並んでる!」

 

クラスが慌ただしくなっている中、順位表を見てうっとりしている少女が一人いた。

 

「深雪、総合1位おめでとう!」

 

ほのかが深雪に駆け寄り、お祝いの言葉をかける。

 

「八幡さんも達也さんもすごい。もちろん深雪も」

 

ほのかの後ろから姿を現し、順位表を見ながら雫も話しかけてきた。

 

「ヒッキー何ズルしてるんだし!ゆきのんより総合成績も実技成績も高いとかありえないし!」

 

机を勢いよく叩きつけて、怒鳴り声を上げる結衣。

 

「由比ヶ浜さん落ち着きなさい。あの男が何をしようが私たちには関係ないわよ」

 

「でも、ヒッキーはウィードなんだよ!?ありえないし!」

 

雪乃は結衣を落ち着くように話すが、少し暴走しているようだ。ただ、雪乃も苛立ちを隠せないのか少し言葉に棘のある言い方になっていた。雪乃に関してはブランシュ事件の件があるからか、真っ向から否定はしていないようだ。

 

「八幡さんは別にズルしてないと思う。入試の時は体調が悪かっただけ、私はテスト以外でも八幡さんの実技の実力をこの目で見た」

 

「私も見たんだから!八幡さんは何もズルしてない!」

 

雫とほのかは雪乃と結衣の前に立ち、言い返しに行った。

 

「北山さんと光井さんは確かあの男と仲良くしているようね。その人たちの言葉なんてなんの説得力もないのだけれども」

 

「そうだし!私たちの方がヒッキーのことよくわかってるし!」

 

雰囲気は最悪といってもいい。雫とほのかも引く様子もなく、雪乃と結衣も二人を睨みつける。

 

「ほのか、雫。そんな人相手にしてはいけないわよ」

 

後ろから、深雪が雫とほのかに声をかけた。

 

「深雪はいいの?八幡さんがこんなこと言わ…!」

 

ほのかは深雪が怒らずに止めに来たことが少し不服だったようで、珍しく言い返そうとしたが、振り返って深雪を見ると言葉を詰まらせた。

 

「今、怒りを抑えるだけで精一杯なの…これ以上何か言われるとこの人たちを…」

 

深雪は激怒していた。殺してしまいたいくらいに。だが、ここは抑えなければ達也や八幡に迷惑がかかると思い、必死に怒りを抑えていた。

実は達也に、前もって釘を刺されていた。達也はこうなることが大体予想出来ていたのでもしもの時は堪えろと言われていたので深雪は怒りを鎮める方を優先していた。

 

「深雪、落ち着いて」

 

その様子を見て、雫は冷静になり深雪をなだめる。

 

「ええ、私は少し席を外すわ」

 

深雪はそう言って教室から出て行った。

教室は真冬並に寒かったが、誰一人として寒いとは言わなかった。

 

「待ってよ深雪!」

 

ほのかは出て行く深雪を追いかけ、そのあとを雫も追っていった。

 

三人が教室を出た後、1-Aの生徒たちは深雪の今までのない怒気にたじろいで、全員黙っていた。雪乃と結衣も含めて。

 

 

 

 

1-Eでは。

 

「まさか、深雪より上だとはな」

 

達也は実技順位表を見ながら、呟いた。

 

「深雪殿との差はあまりないようだがな。運がよかっただけであろう」

 

材木座が達也の言葉を拾い、声をかけた。

 

「お前ら二人も中々えげつないとおもうぜ!」

 

レオを二人に賞賛を送る。達也と材木座は理論で同列一位になっていた。

 

「それにしても、総合2位ってすごいわね」

 

エリカも後ろからやってきて、順位表を見て関心している。

 

「だから、さっき呼び出されたんじゃねぇのか?」

 

「恐らくそうだろうな」

 

レオの疑問に達也が答える。

 

「これは流石に問題になりそうですね。八幡さん大丈夫なんでしょうか?」

 

美月が不安そうにしている。

 

「一科生になっちゃうとか?」

 

エリカが楽しそうに予想をしている。

 

「なくはないな。第一高校では、実技の成績を優先するからな」

 

「達也殿、だが相手は八幡であるぞ?素直に一科生になるとは思わん」

 

材木座の一言に達也だけでなく、その場にいた全員が頷いた。

 

「HRも終わったことだから八幡の所へ行ってみよーぜ!」

 

レオの一言で、達也、材木座、レオ、エリカ、美月は生徒指導室に向かった。

 

他のクラスメイトたちは、ここのクラスの生徒は何かおかしいと以前から思っていたが、今回のテストによりそれが確信に変わった。

 

 

 

八幡が生徒指導室から出て、教室に戻っている途中目の前から般若が歩いて来ていた。

 

「……えっ?俺なんかしたのか?」

 

八幡へ向かって真っ直ぐに歩いてくる般若に少しだけ後ずさってしまった。

 

「おい…深雪さん…?」

 

八幡は目の前で立ち止まった般若…いや、深雪に恐る恐る声をかけた。

 

「八幡さん…私頑張りました」

 

深雪は消え入りそうな声で八幡に話しかけた。

 

「そ、そうだな、深雪はよく頑張ったな」

 

八幡は一瞬訳がわからなかったが、テストを頑張っていい成績が出たと勘違いをし、深雪に返事をし、頭をポンポンと叩いた。

 

「はい…思わずあの人らを殺してしまう所でした」

 

「えっ?」

 

深雪の物騒な一言を発したので、焦ってしまった。

 

「あっ!八幡さん!」

 

すると後ろからほのかと雫がやって来た。

そして、二人から事情を説明された。

 

「はぁ…なるほど。つまり俺は1-Aからはかなり嫌われてるってことになるのか…来期から1-Aに転科とかどうしたらいいんだよ…」

 

八幡は順位発表後の1-Aの様子を聞き、来期からの事を考えると胃が痛くなった。

 

「えっええぇえええええええええー!!!」

 

ほのかが八幡の発言を聞いて大声を出して驚く。

 

「八幡さんそれは本当?」

 

雫も食い気味に八幡に問いかける。

 

「さっき呼び出されただよ…これは本格的に、転科は避けないとやばそうだな…」

 

八幡は転科した後の事を考えると、現状維持でやるしかないと心に決めた。

 

「深雪!深雪!聞いた?」

 

ほのかはテンションが上がり、俯いている深雪に話しかけた。

 

「どうしたのほのか?私はもう少しで、落ち着けそうだから…」

 

深雪は落ち着いてはいないようで、そっとして欲しいと遠回しに言う。

 

「八幡さんが1-Aに転科するんだって!」

 

「へっ?」

 

ほのかの一言で一瞬で顔を上げる深雪。

 

「いや、まだ転科すると決めた訳では…」

 

八幡は深雪の様子が急変したことに驚き、即座に弁明しようとするが。

 

「八幡さん!何を仰ってるんですか!今すぐ転科の手続きを!!」

 

先程までの深雪とは打って変わって、キラキラとした表情になって、八幡の手を取りながら迫る。

 

「あっ、小町ちゃんと水波ちゃんにも報告しないとですね!」

 

深雪はもう暴走していて、手をつけられなくなっている。

 

「おい、深雪…」

 

「八幡さん!今日はお祝いですね!何にしましょうか!?今日は豪華にいきましょう!」

 

八幡の呼びかけは深雪の耳には届いていない。

 

「八幡、ん?深雪もいたのか」

 

達也が、八幡を見つけ声をかけた。

 

「お兄様!!!今日はお祝いですよ!!!」

 

すると深雪が達也の方にかけていく。

 

「み、深雪?落ち着け」

 

あまりのハイテンションな深雪に驚くが、少し落ち着けと告げる。

 

「八幡さんが一科生に転科なさるのに、落ち着いていられません!!!」

 

深雪は、達也に反発する。これが反抗期というものなのか。

 

「やっぱりそうなってたんだな。とりあえず深雪、ここは学校だ、落ち着け!」

 

達也は深雪がおさまる様子がなかったので、少し大きい声を出し叱りつけるように告げた。

 

「……も、申し訳ございません」

 

ようやく、深雪は落ち着きを取り戻した。

 

「助かった、達也」

 

八幡は達也にお礼を言う。

 

「気にするな。それより深雪、生徒会の方はいいのか?お祝いも大切だが、それが理由で遅刻だと格好がつかないぞ?」

 

達也は深雪に生徒会の時間だと教える。

当たり前かのように、深雪のスケジュールを把握している辺り、流石である。

 

「わかりました…。行って参ります」

 

深雪はしょげながら生徒会へ向かおうとする。

 

「深雪、そのアレだ、お祝いたのしみにしてるから」

 

「はい!」

 

八幡の一言で深雪は再起動し、笑顔で返事をし、生徒会へ向かって行った。

 

「で、八幡今の話は本当か?」

 

深雪が去って行った後、達也は八幡に問いかけた?

 

「葉山の席が空いてるから、そこに補充するとかなんとか言われたぞ」

 

八幡は嫌そうな顔をして説明する。

 

「そうか、それなら深雪がああなってしまうのも無理はないか」

 

達也は深雪のテンションの上がり様に、驚いていたが話を聞いてすぐに納得した。

 

「そういえば、達也と材木座も生徒指導までこいって言われてたぞ」

 

八幡は思い出したかの様に、達也に向かって告げる。

 

「まさか…我も一科生に転科になるとは…」

 

材木座は右手に拳を作り天に向かって上げた。

 

「八幡の次は俺たちか…行ってくる」

 

達也は少し嫌そうな雰囲気を出したが、生徒指導室へ足を運んだ。

 

「我の実力がバレてしまっては致し方ないであるな!我も行ってくるであるぞ!」

 

材木座は何故か嬉しそうに達也の後を追って行った。

 

その後八幡達も追いかけるように生活指導室へ足を運んだ。

 

「まさか、エリカちゃんの予想通りになるとは思いませんでした」

 

美月は驚いた表情で、八幡に話しかける。

 

「あれは冗談だったんだけどね、オホホ」

 

エリカはまさか適当に言っていたことが現実になるとは思っていなかったようだ。

 

「それにしても、八幡一科生になったらあいつらがいるんだろ?大丈夫か?」

 

レオは八幡を心配していた。あいつらとは雪乃と結衣のことであろう。

 

「そのことを考えると、胃が痛い…」

 

八幡はレオの問いに答える。

 

「八幡さんなら大丈夫。私たちが必ず守ってみせる」

 

「そうです!八幡さんを悪く言う人は私たちが許しません!」

 

雫とほのかは自信満々に答える。

 

「いや、そんなことしたらお前らが…」

 

「八幡さんの心配は必要ない、それにもう手遅れ」

 

八幡の言葉を制して雫が手遅れと告げる。

 

「はっ?」

 

八幡はその言葉を聞いて驚き、訳がわからなくなった。

 

「さっきもう揉めたから、最終的には深雪に黙らされてたけど」

 

「もう揉めたのか…」

 

八幡は少し呆れた物言いになる。

 

「あんたねぇ、あの成績なら嫌でも色々言われるわよ」

 

エリカが八幡の態度を見て呆れながら話しかける。

 

「俺まだ自分の成績知らないんだが…」

 

「八幡さんは、実技1位で総合2位でした!!」

 

ほのかが八幡に成績を教える。

 

「……今なんて?」

 

「総合2位ですよ!!」

 

八幡は結果を聞いてかなり驚いていた。

そのタイミングで、生活指導室の前に着いた。

 

「まぁ…そのアレだな。最終はいじめられて辞める未来が現実になりそうだな」

 

「いじめられても二科生にはなれないからねぇ、ご愁傷様」

 

八幡の呟きにエリカが意地悪く告げる。

 

「ちょっとエリカちゃん!」

 

「美月、冗談よ」

 

美月が少し言い過ぎだと注意する。

 

「それよりあいつらも呼ばれたってことは、達也も材木座も一科生になるのか?」

 

レオが中にいる二人も一科生になるのかと気になっていたようだ。

 

「それはないんじゃねぇの?達也が実技苦手なのは事実だからな」

 

八幡はレオの意見を即否定する。達也はテストで行う実技については本当に苦手なので急にテストの点数がよくなることはない。

 

「まぁ、出てきたら聞けばいいだろ」

 

八幡たちは達也と材木座が出てくるまで、他愛のない話をしていた。

少ししてから達也たちが出てきて、二人は四校への転校を勧められたとようである。

四校は魔法工学に力を入れているということから転校を勧められたのだった。

もちろん二人は即答で断ったのであった。

 

 

 






最初考えてたことと色々変わってきそうな気がして設定も少し弄りたいとか思ってたりします…。
なので設定と矛盾してることがありそうですが…すみません。


次回は投稿早めにできるといいなぁ…。。。


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