AI男はスーパーロボット大戦Kの夢を見るか? (トカGE)
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(思考の)トンネルを抜ければ、そこはアトリーム

 夜霧とミストの方の展開に詰まったので仕切り直しさせていただきます。今度こそ書き切りたくはあるけれど……


「吾輩はAIである。名前はあるけれど」

 

 なとどどうでもいいことをつぶやいてみる。目が覚めたら、俺はAIになっていた。いや何を言ってるかわからねーと思うのだが、そうとしか言えないのだからどうしようもない。自分が元々人間だったという記憶はある。

 名前は夜霧 翔弥。大学2年、一般家庭育ちの一般ピーポー。ゲーオタでロボオタ、バイトで貯めた金は基本新作ゲーム行き。彼女いない歴イコール年齢などなどどうでもいいことまできっちり覚えている。

 ……のだが、同時に今の自分はコンピューター上の存在だという確信もある。何を言っているかわからんと思うが、俺もわからんのだから仕方ない。なんといえばいいのだろうか。映画のマ〇リックス的な空間に、気が付いたら浮かんでた的な感じ。で、見た瞬間ここは電脳空間的なあれだと理解した。してしまった。

 最初は夢だと思ったのだが、なかなか覚める気配がなかったのでとりあえず現実として受け止める事にした俺は、まず情報収集を始めた。いやかっこよく言ってるけどやってるのはただのネットサーフィンなのだが。何故かデータ収集しようって思ったとたん、目の前にEd〇e的なブラウザが浮かび上がって来て、それにキーワード入れたらどんどん情報が出てくるお手軽さだったんだから仕方ない。現在進行形で、色々なデータをかき集めている。最近のニュースから、今晩のおかず、研究中の兵器の設計図の情報までなんでも出てくるってすごいね。

 ……いや、すごいねじゃねーだろ。最後どんだけセキュリティがばがばなんだよ。というかこの兵器、どっかで見たような。

 

「がばがばじゃないってんなら、いわゆるチート能力的なあれなんだろうけど」

 

 情報収集チートって言えば聞こえはいいが、ようはデバガメだよなあ。ちょっとへこむ。そもそもなんでAIなんだよ。普通転生ものとか転移ものって、都合よく操縦能力ゲットして、かっこいいロボットで無双ひゃっはーとかじゃねえの?というかそもそも俺死んだの?生きてんの?そこんとこ記憶ないし、今の状況もAIだから生存判定的にどうなのかよくわからん!

 

 

 

 

 

 

 まあそんな葛藤はいったんおいておく。、目覚めてから今まで集めた情報から、この世界の事は多少わかった。わかったのだけれど……

 

「地球じゃないんだなあ、ここ」

 

 検索して即わかった事実。ここは地球ではない別の惑星。名前は『アトリーム』。霧が深くなってきそうな名前の惑星だ。どう考えてもスパロボKの世界です本当にありがとうございました。あれか、俺が夜霧で名前に霧が入ってるからなんて安直な理由じゃねえだろうな。

 

「ミストさんの故郷か」

 

 ゲーマーの自分であるが、スパロボKのシナリオはそこまで深く覚えてない。いや、だってミストさんのネタ要素を始めたとしたツッコミどころのが多かったんですもの。仕方ないですやん。それでも一つ、はっきりと覚えているのは、『アトリームはイディクスに滅ぼされてしまう』という事である。わーい、開幕死亡フラグー。

 いくら今の自分が生きてるか死んでるのか、なんでこんなところに居るのかすらはっきりしないとは言え、消えてなくなるのはちょっとごめん被る。

 

「一番確実なのは、ミストさんにくっついてくことなんだろうなあ」

 

 主人公だし、最後まで無事生き残れるだろ、うん。後継機も乗り換えじゃなくて合体式だから、乗り捨てられることもない。何より!

 

「生でスパロボ見れるやん!」

 

 好きなゲームはスパロボな自分にとって、生でマジンガーやらガンダムやらが見れるというこの状況は割とうれしかったりする!いや、真面目にロケットパンチとか目の前で見たら倒れる自信があるね!

 まあ、それは置いといても、ゲーム通りに進めば、これが一番ベストだ。進めばね。

 

「でもミストさんだしなぁ」

 

 シナリオ通りに言ってもギリギリ崖の上をいくような奴だしなぁ。今思い返してみると、うろ覚えなKのシナリオの中でも結構挫折、敗北、その他フラグ多々ある男だったような

 

 「あれ、意外とやばくね?」

 

 おら、こんな星いやだぁって戦闘放棄しないとも限らない。というかクリスタルハートなんて言う性善説だよりな代物、ゲームだとうまくいってたけど、下手すると全力出せないで終わるんじゃね?

 

「……いやいや、いくらミストさんでもスパロボKを最後まで生き抜いた男だぜ?いくらなんでも悲観的すぎるだろ俺」

 

 しかし考えれば考えるほど不安になるものだ。そもそも今っていつなんだよ。イディクスもうすぐ来ますよーとかだったら割と詰んでる気がするんだけど。

 

「あ、さっきの設計図」

 

 ふと気になって、さっきかき集めたデータの中にあった兵器の設計図にもう一度目を通す。ビンゴ。 

 

「レヴリアス・プロジェクト、か。ドンピシャすぎる」

 

 古代の設計図を基に復元した機動兵器による、防衛戦力強化案。昨今増加してきた巨大生物被害への対策、 それはさておき、レヴリアスがこれから作られるってことは、今スグではないけれどそう遠くないうちにイディクスが攻めてくるという事だ。かぁ。そういやアトリームって一応平和な星って設定だったのに、なんで防衛隊とかあるねんって思ってたけどそういう理由だったんか。原作と一緒かは知らんけど。

 

「時間、意外とあるな…」

 

 もう少し切羽詰まってるかもしれないという予想が外れてほっとすると同時に、その時間で何をするかがさっぱりだという事実に頭を抱える。とりあえず、現実逃避にネットサーフィン。

 

「お?」

 

 そんな俺の目に移ったのは、学習用の個人向けコンピューターデバイスの記事だった。

 

「これだ!」

 

 俺は思いついた事を実行に移すべく、まずはミストさんの個人情報を調べだすのだった。ふっふっふ、今の俺にプライバシーなど無意味だ!待ってろよミストさん!

 




ミストさん出てこない


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優柔不断ルートはノーでお願いします。

勢いあるうちはどんどん行こう


「ただいま!そして行ってきます!」

【却下。まずは宿題からだ】

「えー」

 

 さて、今俺はミスト・レックス君(12歳)の腕に装着されたデバイスの中にいる。新型の学習用デバイスの記事を見つけた俺は、まずミストさんの家を特定。同型あるいは類似の物をミストさんが使っていないか調べた。そうして運よくそのデバイスをミストさんがもっていた事を確認した俺は、ネットでありがちなキャンペーンっぽいものをでっち上げ、新型学習型AIのモニターに選ばれました~って形でミストさんのところにお邪魔することに成功したのだった。いやー、ついてたついてた。そんなわけでもう2年ほどたってます。時がたつのって早いね。

 最初はおもちゃ扱いされていた俺も、2年たつ間にすっかり兄貴分みたいに懐かれてます。いやまあ中の人の年齢的には普通なんだけど、ミストさん視点だと2年前に生まれたばかりのAIなんだけどいいのかねえと思わなくもない。

 

「でも、アンジェリカを待たせちゃうし……」

【約束の時間まで2時間もあるだろ。彼女の事だから、その時間で課題を終わらせてくるだろうし、負けてていいのか?】

「それはやだ」

 

 そんなこんなでミストさん育成計画実施中なわけです。ちなみに作中でよくわからなかったミストさんの家族構成だが、この世界では両親はご健在。でも仕事で留守にしがちといった感じだ。おかげで、突然息子のデバイスにインストールされた謎AIについて、変に疑われたりする心配はしなくて済んだ。で、ご近所のシャルティール家によくお世話になってるわけで、こんな感じでよく一緒に遊んだりしてる、と。そりゃフラグも立つ、シェルディアに惹かれつつ、優柔不断な態度されたらそりゃ病みますわ。

 2年間二人を見守って来た身としては、とりあえずアンジェリカルート推奨ではあるものの、そこは個人の意思を尊重の方向でとは思うものの、とりあえず優柔不断ルートにだけはいかないようにちまちま思考を誘導中。具体的には、「男だったらどっちつかずはやめろ」とか行った漢教育を実施してます。効果あるかわからんけど。

 

【まあ、とっととやっちゃいな。やれば速いんだから】

「はーい」

 

 ちなみにミストさんのスペックだが、驚く事に意外とハイスペックだった。勉強も運動も平均以上にできるんだよこの子。エンジンかかるのは遅いけど、始めるとサクサク行くタイプ。特に一度興味持った分野はスポンジで水を吸うように吸収していく。よく考えたら、クリスタル・ハートっていう不思議動力でのごり押しもあったとは言え、自力でセリウスII作ってるんだよなあこいつ。……原作のおつむ?ノーコメント。

 

「終わった!」

【よし、添削……okだ。遊びに行っていいぞ】

「やった!サンキュー、ショーヤ!」

 

 そしてパパっと課題を終わらせたミストさんは、アンジェリカとの約束の場所。アトリーム防衛隊の本部へと向かっていった。ちなみに俺の名称は仮案としてショウヤを上げてみたら、そのまま通ってしまった。アトリーム風の名前じゃないから、発音が微妙に違うのは愛嬌だ。ちなみに、この名前に関して違和感があるんじゃないかと聞いてみたら、

 

「だってお前がそう呼ばれたいんだろ?じゃあそう呼ぶよ」

 

という、涙が出そうな答えが返って来た。あかんええ子や。……これがああなるのは、ちょっと避けたいなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん!」

「おじさん、こんにちは!」

【こんにちは、エルリックさん】

「やあ、アンジェリカにミストくん。よく来たね!それにショーヤも」

 

 でもって本部前で待ってたアンジェリカと合流、中へと入った二人を出迎えたのはアンジェリカの父、エルリックだった。ちなみに彼は俺の事も1人格として扱ってくれている。なんでも、「君と話しているとAIに思えない」との事。ちょっとドキっとしたのは内緒だ。

 そうして連れてこられたのは機動兵器の格納庫。そこには、レヴリアス試作一号機の姿があった。

 

「おじさん、これが話してた新型?」

「ああ、名前はレヴリアス。遺跡で発見された機動兵器の設計図をもとに、現代の技術で作り上げた機体だよ」

「お父さん、昔のだったら弱いんじゃないの?」

「ところがね、この機体は今の主力機よりもだいぶ強いんだよ。古代文明の技術は今のそれよりもはるかに進んだものだったのかもしれないね」

 

 3人の会話を聞きながら、デバイスのカメラを使ってレヴリアスを観察する。エルリックののレヴリアスはK作中のものと比べて配線が一部露出していたりと、設計図を再現しきれていないのが見て取れた。

 たぶんこの後、さらに洗練されてミストさんが乗っていたような機体に仕上がり、最終的に量産配備されるのだろう。地球とかなら機密に属するものなのだろうが、基本平和なアトリーム。割とそこらへんオープンだった。横を見ると、他にも見学者がいたりする。

 

 

 そんな中、事件はミストさんがレヴリアスに近づいた時起こった。

 

「えっ!?」

「きゃっ!」

「こ、これは!?」

 

 誰も乗っていないレヴリアスが反応し、そのボディが一瞬光輝いた。パニックになりかける見物客を落ち着かせると、エルリックはコックピットに乗り込んで状態を確認する。

 

「こ、これは……」

「何かあったの? おじさん!」

「うーん、ちょっと調べてみないとわからないな。すまない、二人とも。今日はこれで解散だ」

「「はーい」」

 

 そうしてミストさんたちはじめ見学者は格納庫から退出することになった。ミストさんにクリスタルハートが反応したんだろうか。と言うか、そういうイベントでも無かったなら、隊長はともかく新人隊員の機体にクリスタルハートなんて搭載しないか?

 いや、将来の娘婿だからって理由で積んだとも考えられるのが恐ろしいんだけどね、あの親バカだと。うん、優柔不断ルートからも見て取れたように、エルリック氏は結構な親ばかだ。なんせこの前学芸会的なものでアンジェリカが主役をやった時、観客席ですごくだらしない顔してたもんこのおっさん。

 その後、帰り道でミストさんとアンジェリカが防衛隊員になる!と大声で夢を宣言していた。エルリックの影響もあるだろうけど、やっぱり巨大ロボットは恰好よかったということだろうか。アンジェリカの方はミストさんに合わせた気もするけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




前作に追いつくまでは、基本展開なぞるかなあ。ちょくちょく変えては行くつもりだけど。


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防衛隊でがんばろう:難易度いーじー

文章量少な目でもちまちま上げるのがいいのだろーか。


 それから時は流れてミストさん達は学校を卒業。進路はやはりというかなんというか、アトリーム防衛隊だった。これからどうなるかわかってる身としては、二人の成長が喜ばしくあり、

 

「これがレヴリアスかぁ。昔見た機体とは所々違ってるな」

【あれは試作機だったらしいからな。こちらは正式配備の量産仕様という事だろう】

「がんばって、乗りこなせるようにならないとな!」

 

同時にイディクス襲来が近づいてきたという焦りがあり。レヴリアスが無事開発された事には安堵したけれど、これでもイディクスには勝てないんだよなあとちょっともの悲しくなる。

 

「という訳で、よろしく頼むぞ相棒!」

【任された!】

 

 とりあえずはミストさんが無茶しないように見守るような感じで行こう。特に他にできる事もないし、のんびりとね。

 

 

 

 

 

 

 

「うおおお!?こんな時は前、前にでるんだあああああ!」

【出るな焦るな後ろへ下がれ。どう見ても死亡フラグだぞそれは】

 

 などとのんきに考えてた時期が俺にもありました。現在暴れている巨大生物相手に奮闘中。こいつあれだ。戦闘時、根っこの思考が第二次αのアラドとかに近い!直感系だから熱くなりすぎたり、テンパったりしたときに思考吹っ飛ばして無茶苦茶するのが多い多い。あ、こら!相手が火吹こうとしてるのにまっすぐ突っ込むんじゃねえ!前のめりにもほどがあるだろ!そんなんだからイスペイル様に突貫かましたりするんだよ!畜生!地味に『ミストさん』の片鱗が見え隠れしてやがる!空気の読めなさとかは”多少”改善したんだけどなぁ。

 

「ミスト、フォローする身にもなってよね!」

 

 火炎が吐かれる寸前、巨大生物の背後から回り込んだアンジェリカが放った斬撃が相手をとらえ、同時に電撃で相手をしびれさせ動きを封じる。そこに突っ込んだままの勢いでパンチを叩き込むレヴリアス。戦闘終了だ。

 

「まったく、いつもあなたは……」

【ほら言わんこっちゃない、アンジェリカも怒ってるぞ】

 

 毎回こんな感じなので、まだイディクスの連中来てないにも関わらず機体損傷過多で始末書何枚か上げてるのだから、もうなんとも言えん。そんなわけでこの後はアンジェリカと一緒にお説教タイム確定である。

 

 

 

 

「だからあなたは落ち着きが足りないって言ってるのよ、ミスト」

【常に冷静に、とは言わないがパニックになったら基本前のめりになるのはどうかと思うぞ】

「そんなんだから整備部に『クラッシャー』なんてあだ名付けられるのよ」

【エルリックさんが爆笑してたな】

「そ、そんな二人がかりで言わないでくれよ……反省はしてるからさ……」

「これで何度目よ」

【活かされない反省は意味がないぞ?】

「うう……こんなんじゃ俺、パイロットやめたくなっちゃうよ‥…」

 

 いじめすぎたかと思わなくもないが、これくらい言わないと聞かないのだから仕方ない。ちなみにアンジェリカの方は至極優等生である。シェイカー・コンビネーションを入隊早々に提案するのは伊達ではない。

 まあ、その優等生っぷりからミストさんのお守りみたいな感じになっているのだから、説教に熱が入るのもしかたがない。そのせいなのかどうかはわからないけれど、アンジェリカが駆るのはレヴリアスではなくセリウス『試験型』だ。まあ原作通りではある。試験型の理由は、アンジェリカが優秀だから同時にテスト運用もよろしくとの事で、レヴリアスと違ってセリウスはこれからアンジェリカ機のデータが反映されて量産に移っていくようだ。当然クリスタル・ハートは搭載されている。ちなみにミストさんのレヴリアスにも搭載済みなのは、機体のデータ引っ張って確認済み。なんで新入りの機体に搭載してるんだろうと思って、久々に情報収集チート活かして防衛隊のデータあさった結果、どうやら昔ミストさんが起こした反応が理由らしい。ちなみに言い出しっぺはエルリック氏。まあ、気になるのはわかるけど。お、噂をすれば?ご本人。

 

「まあまあ、そのくらいにしとけアンジェリカ。そんなんじゃミストくんに嫌われるぞ?」

「ちょ、ちょっとお父さん!」

「た、たいちょ「それはそれとしてミスト、後で始末書な」アッハイ」

 

 ちなみにミストさんの代名詞(?)な暴徒鎮圧任務はいまだ発生していない。一応あれがイディクス襲来の目安だと勝手に思っているのだが。コボちゃん……もといル=コボルが来るのは何時になるのだろうか。一応ル=コボルが自身の欠片を持った生物の心を刺激するせいで、あいつが侵略しようとする星の生物は負の感情が増幅されるって設定があるらしいので、アトリーム自体は本当平和な星です、はい。本当スパロボKは設定の描写不足が過ぎるってばよ。

 まあ、あくまで原作知識は原作知識。このまま平和に過ぎてくれるのが一番ではあるんだけどさあ。無理かな?

 

【あきらめろミストさん。始末書が終わったら、ランニングと筋トレだからな】

 

 ま、とりあえずはミストさんをきっちり鍛え上げるとしましょうか!

 

「ま、待ってくれショーヤ!今日くらいは無しでも!」

【日課は続けるから日課なのだ。さぼったら後に響くぞ】

「くそう!自分はやらないからって【うむ、正直楽しい】おい!?」

「仲いいわねえ、二人とも」

「昔から変わらんなぁ、彼らは」

 

 こんな感じで、俺達は今日も元気です まる

 

 

 




まだまだかけだしミストさん。レベルは3くらい。


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防衛隊でがんばろう:難易度のーまる

止まったら負ける、攻めろ!


 あれからさらに半年、少しはミストさんもマシになって来た、と思う。

 

「ミスト、チェイサーで!」

「任せろ!」

 

 レヴリアスとセリウスのコンビネーション攻撃が、巨大生物をとらえる。アンジェリカ提案のシェイカー・コンビネーションは、何度もミストとの間で使用され、そのたびに最適化されていっている。そんな洗練された連携に、ただの巨大生物が対応できるわけもなく。とどめの一撃の後、相手は動かなくなった。

 

「任務完了!」

「ええ、お疲れ様」

 

 コンビネーションだけじゃない、全体的な練度が上がっている。いいことだ。いくら原作通りに進んでるとは言え、戦いに無事勝てるとは決まっているわけではないのだから、力はあるほうがいい。にしても突撃バカだったミストさんも成長したものだ。いまだにたまに思考ぶっちぎってうおおおおおお!が無いわけではないが。なお、それをした場合は日の最後のトレーニングメニューを3倍にすると言いつけてある。

 

「それとショーヤの組んだモーションも使いやすかったよ」

【役に立って何よりだ】

 

 無論、自分もただミストさんの腕にくっついてまったり過ごしていた訳ではない。ミストさんのトレーニングプランの作成や、時間を見つけては防衛隊のデータベースに接続して、モーションパターンの作成を行っていた。少しは足しになっていると思いたい。

 

「私が組んだモーション使っても微妙な顔するくせに、嫉妬しちゃうわね。ねえ、ショーヤ。今度私のセリウスのモーションもいくつか組んでみてくれない?」

【アンジェリカの方が的確に組めると思うのだが。まあわかった】

 

 実際アンジェリカの方がモーション組むのもうまいんだよなあ。さすが才女。それでもミストさんが俺のつくったモーションを採用してくれているのは、彼の癖を考慮して組んでるからだろうか。

 そんなとき、エルリックから通信が入った。

 

『二人とも、任務終了直後に済まない。緊急事態だ」

「あ、隊長まさか!」

 

 ああ、時間がたって変わったのはミストさん達の技量だけではない。

 

「ああ、エリアDで暴動が起きている。作業用ロボットの姿も見られる。一番近いのがお前たちだ。至急向かい、事態の鎮静化を」

「「了解!」」

 

 このアトリームの治安もだ。

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、邪魔をするな!」

「くっ、落ち着いてください!暴れたって、根本的な解決にはならないでしょう!」

「うるせえ!」

 

 暴れる作業用ロボットを、レヴリアスが素手で抑え込む。後発機のセリウスのよう武器の殺傷、非殺傷を器用に切り替えたりできないからなあレヴリアス。とはいえ日頃の訓練の成果か、危なげもなく鎮圧していくミストさん。いやあ、柔道とか習得させて良かったね。最初見せたときは「何?この謎武術」とか言われたけれど。今じゃエルリックの目に留まって、必修科目みたいになってる。その理由が、この最近増えてきた暴動にあるってのは複雑だが。

 

「みんな、どうしてこんな……」

 

 ミストさんがぼやくのも仕方がない。ここのところ起きている暴動は、明確な原因が無いのだ。ふとしたきっかけから不安や不満が漠然と広がり、突然爆発する。そんなことが、ここ数週間の間に何度も起きている。

 これは、認めたくはないがイディクス襲来が近いという事なんだろうか。

 

「こんな事ばっかりうまくなっちまって……俺は仲間を傷つけるために技術を磨いてきたんじゃない!」

【落ち着け、手を痛めるぞ】

「どうしてこんなことに……」

 

 座席に拳を叩きつけるミストさんをなだめる。まあ、気持ちはわかるが。平和な星に突然吹き荒れる暴動の嵐。しかも原因不明。そりゃ不安にもなる。

 

【かといって、暴動を放っておいては被害が出るばかりだ。わかっているだろう?嘆いていても、それこそさっきのミストさんでは無いが根本的な解決にはならないぞ】

「ああ、そうだ。そうだな。……よし!切り替えていこう!」

 

 その一言で気合が入ったのか、ミストさんの動きが目に見えてよくなっていった。調子戻ったみたいだな。

 

「抵抗するな!鎮圧するぞ!」

「出てこなければ、鎮圧されなかったのに!」

「暴徒が居れば俺だって鎮圧しますよ!」

【調子戻ったっていうか調子乗ってないか?】

 

 なんか途中からテンションおかしくなってた気もするが。うーん、育て方間違ったかな?タマニキリガフカクナル。

 

「ふう、これでラストかな」

「ミスト、お疲れさま」

 

 そうして数十分ほどで暴徒鎮圧も終わった。生身の人々の方を担当していたアンジェリカも戻って来たようだ。結局暴徒側に多少けが人がでたものの、死者は出なかったようだ。良かったよかった、

 

「アンジェリカこそ、大丈夫だったか?」

「ええ。それにしても、最近多いわね」

「ああ。何か良くない事の前触れじゃなければいいんだけど」

 

 うん、前触れなんだよなあ思いっきり。わかっているけど言えないもどかしさよ。子供のころから見守って来た身としては情も沸く。できれば二人には危険な目には合ってほしくないのだけど、そういう訳にもいかないだろう。うん、最初はスパロボ見れる~って浮かれてた俺が、変わったもんだ。

 いや、いまだ見たくはあるけどね?ダン・オブ・サーズデイとか大好き!

 

「ともあれ、任務も終わったし本部に帰りましょう」

「そうだな」

 

 そうして本部目掛け、レヴリアスとセリウスは飛び立った。この日はこの後は特に何事もなく終わるのだった。

 

 

 

 

 

【77、78、79!後30回!】

「で、こんな日でもトレーニングはやるのかよ!わかってたけど!」

 

 なんか今日霧が出てたからね、仕方ないね。健全な肉体に健全な精神は宿るっていうし、頑張れミストさん。




暴徒鎮圧は慣れていますって言えるくらいの状況って、やっぱ異常だよなって思う。


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防衛隊でがんばろう:いんたーみっしょん

 さて、ミストさんが防衛隊に入って丁度一年。暴動も最近は起こっておらず、アトリームは平和を取り戻したように見える。だが、表立って爆発していないだけであって、犯罪件数の増加など、確実にイディクスの影響が出てきていると思っていいだろう。生身の体があれば、空気がピリピリしてるなど感じるのかもしれないが、それが無い自分はデータを漁って推論立てるしかないのではあるけれど。

 今自分は防衛隊のオフィスのPCにつながれて、データベースの更新中だ。無線接続もいいが、やはり大量のデータのやり取りは有線が一番である。各地の事件やらなんやらのデータを集め、ついでにネットに流れてるSSなどもチラチラ見つつ、だらだら中。いちいち覚える必要がなく、データベースに突っ込んでおけばいつでも引き出せるって点では、電子の妖精状態も悪くはないな。

 ちなみにミストさんだが、自分がこんなだらだらしている事からお察しかもしれないが、今日は休暇中だ。一時間前くらいにアンジェリカに引きずられて出かけて行ったのを見たのが最後の姿である。いやね?ずっと自分がくっついてばかりだと、アンジェリカもいろいろやりづらいと思ったわけですよ。なんでミストさんの方に自分のデータ更新を申し出て、アンジェリカの方には息抜きと言う名のデートに連れ出してはどうかと提案したわけです。

 ほんとはねー、ミストさんとアンジェリカのデートをデバガメしたい気持ちはあるんですよ、うん。でもさすがに

どうかと思って自重中。プライバシー大事。いや、やろうと思えば街中の防犯カメラとかハックして追跡とかできるけど、そこまでやるともうストーカーとかだよね。

 

「珍しいな、君がミストと一緒ではないとは」

 

 と声をかけてきたのはエルリック。意外と彼、俺に話しかけてくるんだよね。ミストさんがアンジェリカに変な事してないかとか聞いてくるのが主だけど。なんでかは知らないが、俺は彼に信用されてるらしい。電子機器なのに。付き合い長いと言えば長いけど、ミストさんほど親密でもないんだけどなあ。

 

 

【エルリックさん、ミストならアンジェリカとデートですよ】

 

 隠す必要もないのでぶっちゃけておく。変に勘繰られるよりはいいだろう。後のことは知らんが。

 

「ああ、知っているよ。その件については後でミストを締め上げるとして、それとは別に君に聞きたい事があってね」

【聞きたい事?】

 

 はて、なんだろうか。

 

「君は、今のアトリームをどう思う?」

【……私はAIなので、データからの客観的な意見しか出せませんが、それで良ければ】

「日頃のミストと君を見てると、そんな事は無いと思うがね」

【ですか?】

 

 いやまあ結構普通に話してるけど、この星の他のAIも結構流暢に話してると思うんだよね、見てる限りでは。そこまで自分と差があるように見えないのだけれど。

 

「なんというか、君には心があるように感じるんだ。変かもしれんがね」

 

 ……クリスタル・ハートの適格者だからだろうか。ちょっとばかし驚いた。

 

【きっと、気のせいです】

「そうかい?まあ、話を戻そう。ここ半年ほどのアトリームの犯罪、そして暴動の発生率。はっきり言って異常だ」

【確かに。過去のデータを見ても、これほど急激に治安が悪化したことはありません】

「そうだ。しかし、その原因がわからない。何かの噂が流れた、といったレベルのものですらだ。それなのに、突然、ある時期を境にこの星そのものがおかしくなってきてるとしか思えない」

 

 アトリームの治安の悪化、それは間違いなくイディクスの、ル=コボルの影響だ。奴は自分の欠片を吸収する下準備として、狙った星の生物の中にある自身の欠片を刺激する。そしてその影響を受けた人物は、悪意を引き出されてしまうのだろう。その結果がこの急激な治安の悪化だ。情報を調べたのもあるのかもしれないが、彼も影響を受けているアトリーム人の一人として、直感的にそう感じているのかもしれない。

 

「ショーヤ、私はこれは『何が強大な脅威の前触れ』ではないかと思うんだ。なんの根拠もないんだが、何か恐ろしいものがこの星に迫っている。そう私は感じている」

【それは、情報が無いのでなんとも。治安の悪化から、そう結びつける要因が何かあるのですか?】

 

 やはり。彼はル=コボルの事を感じ取っている。だが、それに関して下手な事を言って、壊されるわけにもいかない。当たり障りのないことを言ってごまかす。

 

「いや、私のカンに過ぎないのだがね。そしてこれもカンに過ぎないのだが、もしかして君は『緊急警報、S22地区で暴動が発生。待機中の隊員は出動準備を』っと、仕事だ。それじゃあ、時間があるときに続きを話そう」

 

 そういって、エルリックは走って行った。

 

【……】

 

 最後に彼は、

 

「君はこれから何が起こるか知っているんじゃないか?」

 

と言おうとしてたように思った。本当にカンでそこにたどり着いたというのか?流れるはずのない冷や汗が流れたような気がした。

 

「ショーヤ!出番だ!」

「ミスト、急いで!」

 

 休暇中だったのに緊急呼び出しを受けたのか、ミストさん達が帰って来た。俺は思考を切りかえ、ミストさんの戦闘サポートの準備を始める。

 

【……ふう】

「ん?どうした?」

【いや……エルリックさんとちょっとな】

 

 

 俺は、彼に全部話すべきだったのだろうか。少なくとも、彼は俺の事を信用してくれていたように思う。何故かはわからないけれど。ならば、こちらも彼を信じてすべてを打ち明けるべきだったのだろうか。

 



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防衛隊でがんばろう:難易度はーど

風邪が治らなくてきついっすわー(;^_^A


 そんな感じのエルリックとの会話があってから、一週間たった。結局、彼にイディクスに関しての事は伝えていない。臆病者と言われても仕方ないが、ただのAIが未知の侵略者についての情報を持ってますだなんてどう伝えろというのだ。エルリックなら、真剣に受け止めてくれたかもしれないが……

 

 それはともかく、あれからアトリームの治安は悪化の一途だ。 

 

「ちょっと興奮した人がいても暴徒鎮圧は防衛隊時代の任務で慣れてます!」

 

なんてセリフ、アトリームが平和な星だったなんてなーに言ってんだお前って感じだったが、今じゃもう慣れるのも仕方ないかなと思うくらいにアトリームは荒れていた。それこそ、暴動の頻度が増え始めたころとは比較にならない程に。

 イディクス襲来が近くなるとここまでひどくなるのか。ミストさんとアンジェリカに異常が無いか聞いてみたが、「最近、目に見えない何かに心を撫でられているような不快感がある」と返って来た。耐性があるであろう彼らがそうなら、耐性の無い一般の人々の受ける影響は考えるまでもない。現に、暴徒鎮圧に向かった部隊の一部が暴動に加わるなんて自体も起き始めている。

 

「この星、一体どうなってしまうのかしら」

「わからないけど、じっとしているわけにもいかない。やれることをやるんだ!」

【気負いすぎはよくないぞ】

「ああ、わかってるさ」

 

 今日もミストさん達は暴徒鎮圧に向かったが、そろそろ二人の心も限界が近いように思う。イディクスが来る前に折れなければいいのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

「ふははは!なんだ、この程度かこの星の機動兵器は!このままでは取り入れる価値すらないぞ!」

「くそぉ!俺達を……この星を舐めるな!」

【あんまり熱くなるな!】

 

 そんな心配をしてたら、いきなり来たよイスペイル様。暴徒鎮圧に向かった先で突然時空間ゲートがオープン。配下どもと一緒にさっくりいらっしゃいましたとさ。んでもってアトリーム全土に戦線布告。部下だけ置いて帰ろうとしたところに、ミストさんが突貫を仕掛けて今に至る。

 アンジェリカやエルリック達防衛隊の他のメンツは敵部隊の対処に手いっぱいで、今レヴリアスはエンダークとの一騎撃ち状態だ。経験を積んできてるとは言え、まだまだ新人のミストさんが意外と善戦しているのは、本人の潜在能力もあるだろうが敵がデータ収集メインな部分が大きいからだろう。それが終わればどうなるかは……自明か。

 

「ふん、こんなものか!」

「うわぁ!」

 

 急に動きがよくなったエンダークによって、レヴリアスは地面に叩きつけられる。そのまま踏みつけ押さえつけられる。

 

「もう少しやると思ったのだがね。まあ、このエンダークの前には無理もない!」

「くそぉ……」

 

 勝ち誇ってるなー。まあ、確かにエンダークの性能は高い。現に本気を出したらあっという間にミストさんねじ伏せられたし。まあ、ミストさんがやたら熱くなってたっていうのもあるんだが。ここ最近の治安の悪化の元凶が目の前にいたら、そりゃ腹も立つのはわかるが。

 

【熱くなった結果がこれだ。反省しろミストさん】

「くっ、というかなんでそんな冷静なんだよ!」

【それは周りを見ているからだ。来るぞ】

「?」

「はっはっはがはぁ!?」

 

 エンダークが横方向に思いっきり吹っ飛んだ。エルリックのレヴリアス・プロトタイプが思いっ切り蹴り飛ばしたのだ。

 

「大丈夫!?ミスト!」

 

 アンジェリカのセリウスも駆けつけてきた。他の防衛隊の機体も続く。どうやら敵部隊の殲滅は終わったようだ。イスペイルの奴、調子に乗ってて周りを見てなかったな?さすがの小物っぷりである。それを考えるとミストさんの突撃も悪いことばかりではなかったか?

 

【いや、悪い事だな。後でランニング100回追加だ】

「こんな状況でもそれか!?」

「……意外と元気そうね」

 

 負けたってへこんでるよりはいいんじゃないか?そんな会話をしている間にも、エルリックと防衛隊がエンダーク責め立てていく。確かにエンダークの性能は高いが、圧倒的なもんじゃないんだよなあ。各文明のいいとこどりって本人は言ってるけど、実際はただの寄せ集めだし。勢いで押している部分もあるが、結構押してるなぁ。倒しきれるか?

 

「貴様らがアトリームに仇なすものならば、ここで打ち取らせてもらう!」

「ええい!調子に乗るんじゃない!ミナール・ハンマー!」

 

 そんな事を考えていると、ハンマーで地面にたたきつけて土煙に隠れるエンダーク。

 

「今日は顔見世にすぎん!これからじっくりとお前たちに恐怖を味合わせてやろうではないか!」

「くっ、逃げる気か!」

「戦略的撤退だ!」

 

 そうして土煙が晴れた後、エンダークの姿は消えていた。いや、見事なまでの捨て台詞だったね。

 

「イディクス……奴らはなんでこの星を狙うんだ……」

【さあな、情報が無さすぎる。ただ、とりあえずわかる事が一つあるぞ?】

「なんだ?」

 

 頭に?を浮かべるミストさん。解ってないなら仕方ない。

 

「ミスト、ちょーっと話があるわ」

「ミスト、後で話がある」

【この後お前はこっぴどく叱られるという事だ】

「デスよねー」

 

 熱くなって突撃したからね。仕方ないね。

 

 

 

 

 

 




本編までなかなか進まない


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防衛隊でがんばろう:難易度べりーはーど

どんなルートたどらせるか考え中


 そしてその翌日、速くも再びイディクスが襲撃を仕掛けてきた。とりあえずエンダークの姿は見えないが、油断はできないだろう。なんせ数が多い。とは言え、相手が数で勝負ならこちらは両より質で勝負だ。

 

「アンジェリカ、行くぞ!」

「ええ!」

「うぉぉぉ!グルーヴァイン・バスター!」

 

 ミストさんとアンジェリカが連携して敵を殲滅していく。うん、彼やればできる子なんです。ただ、ちょっと霧が深いだけで。たまにだけれど。

 

「負けてられないな。私たちも行くぞ!」

 

 向こうでは、エルリック達が敵部隊を駆逐していく。やっぱアトリーム防衛隊の戦力、弱いわけではないんだよなあ。量産型とは言えレヴリアスとセリウスの部隊だし。特に苦戦する事なく、イディクスの部隊が殲滅されていく。そうしてその日はエンダークが出てくる事もなく終わった。

 そうした襲撃はその後も続いたが、敵の指揮官機らしきエンダークはまったく姿を見せない。その事にエルリックは「手を抜いているのか?」と違和感を感じているようだったが、実際その通りなのだろう。

 奴らの目的はこちらの負の感情の増大だ。実際、色々と情報を集めてみると、アトリームの住民全体にこれまで以上の不安感が広がっていた。目に見える敵がいるから、暴動のように暴発する事は無いが、それでも社会全体に暗い空気が漂っているように思う。

 そんな中、防衛隊のメンバーは比較的マシなようだ。住民同士での戦いで無くなったというのもあるのだろうが、その理由の一つはどうやらミストさんのようだ。どうやら彼の持つ熱に、皆影響されているらしい。

 

【成長しているって事かな】

「ん?どうした?急に」

【いや、ちょっと感動していた】

「ふーん?」

 

 いや、子供のころから見ていると、ちょっと感じ入る物もあるわけですよ。主人公らしくなって来たって事かなあ?

 

 

 

 そんな感じで一か月ほどたったある日。再びエンダークが姿を現した。

 

「ほう、今日は突撃してこないのだな。少しは学習したのかね?」

「お前!」

「部下たちが、世話になっているようなのでね。お返しをしにきたよ」

 

 そういってハンマーを突きつけるエンダーク。まあ威圧感はあるよな、あのハンマー。

 

「改めて見ると、いかつい機体だな。というか、所々違和感が……」

【両の腕の形状とか明らかに違うな】

「不気味ね」

 

 右腕とか、すごく……重機です。

 

「くっくっく、このエンダークは我々が今まで滅ぼした文明の技術を取り込んで作った機体だ!貴様らの文明もその一つとなるのだ!」

「ああ、だからそんな節操ない外見なんだな」

「……」

 

 ん?イスペイルの奴急に黙り込んだな。

 

「せ、節操無いとはなんだ!この私の傑作のすばらしさが分からないとは!嘆かわしい!」

「な、なんか急に怒り出したぞ?」

【沸点低いんだろ】

「誰の沸点が低いというのだ!」

 

 そうしてミストさんのレヴリアス目掛けて、突っ込んでくるエンダーク。それを真っ向から受け止めると、急にミストさんが悪い顔をし始めた。何する気だお前。

 

「というか、傑作っていうほど洗練されてませんよね、それ」

「!?」

「技術を取り込んだっていうけど、それってコピー品ってことじゃないか?」

「な、なにぃ!?」

「自分の傑作って言ってるけど、それって取り込んだ文明の技術がすごかっただけですよね?」

「なんだと!?」

「それに外見的に、洗練させて取り込んだっていうより、ただの寄せ集めじゃないか?劣化してないか?」

「貴様!!!」

「というかハンマーって、ハンマーって!」

「は、ハンマーの何が悪い!」

「いや、原始的だなって」

「なんだと!?」

「でも、そんな風に激昂しても、根本的な解決にはなりませんよね?」

「あががががが!」

「自分自身の技術ってないんですか? あ、ダメだからパクってるのか!」

「ぶ ち こ ろ す」

 

 うん、流れるような煽りだったな。すごく……霧が深いです。ちょっと後でお話しようか。だが、効果は抜群だったようだ。エンダークの挙動は見る間に単調になっていく。

 

「逃げるな!」

「お前が下手なだけだろう?俺のせいにしないでくれないかな?」

「ぬががああああ!」

【見てて面白いな】

 

 いや。ここまで煽りに弱いのかよイスペイル様。本編だとミストさんを逆に煽ってたと思うんだが。まあ、受けに回ると弱いとかよくあるしなあ。え?違う?

 

「隙あり!」

 

 そうして、突進を受け流したレヴリアスが勢いのままエンダークの背中を切りつけ、そこ目掛けて僚機が一斉射撃を加えていく。

 

「ちょ、調子に乗るな貴様らぁ!」

「まだだ!」

「行って!」

 

 さらに情け容赦なく、ミストさんとアンジェリカが追撃を叩き込む。すっ飛んでいくエンダーク。

 

「こ、この程度でエンダークが落ち『もういい』!?」

 

 若干涙声っぽいイスペイルの声を遮るように突然、戦場に声が響いた。

 

「この声は?」

【わからない。油断するなよ?】

 

 いやまあ、このタイミングで来るとしたら他の幹部連中か、でなけりゃ『あいつ』だろう。

 

「ゲートが!」

「各機、警戒を怠るな!」

 

 ビンゴか。空に現れたゲートから現れたのは、複数の系統が違う機体をつなぎ合わせたような機体。エンダーク以上にツギハギ感のある、その機体の名はグスタティオ。スパロボKのラスボス、ル=コボルの乗機だ。

 

 

 




難易度(イスペイル様にとって)べりーはーど


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防衛隊でがんばろう:難易度EXハード

アトリーム編これでラストぉ!


「な、なんだあいつは……」

【おそらく、あいつらの親玉かなんかだろう】

 

 いや、確定で親玉なんだけどさ。というかうろ覚えだったけどここで出てくるのかお前。イスペイル様の印象が強くて微妙に忘れてたわ。

 

「イスペイル、手間取っているようだな」

「は、はは!」

「まあいい。この星の機体には私も興味がある。下がれ。ここは私が戦うとしよう」

「し、しかし!」

「くどいぞ?」

「……わかりました」

 

 エンダークが下がっていく。今なら追撃できそうなものだが、防衛隊のどの機体も動かない。

 

「あいつ、なんだこの感覚は……」

「ミスト、あれは、あの機体は何か良くないものに感じるわ」

 

 いや、ル=コボルの存在を感じて動けない、が正しいのだろうか。ここら辺、生身じゃないからか感じ取れない自分は運がいいのか悪いのか。

 

【気圧されるなよ、ミストさん。相手はやる気だ】

「あ、ああ!わかってる!」

「皆、一度陣形を立て直すぞ!奴は一筋縄では行かなそうだ!」

 

 ミストさんが気合を入れると同時に、エルリックが指示を出す。だが、それに従ったのはミストさんとアンジェリカだけだった。

 

「な、お前たち!戻れ!」

 

 他の僚機は、皆武器を構えグスタディオに突っ込んでいった。ル=コボルの放つ力にあてられたのだろうか。殺意か狂気か恐怖か、理由はわからないがその行動はマズい!

 

「空の器に興味はない。消えろ」

「ああ、そんな!」

「みんな!」

 

 グスタディオが放った一撃で、ほぼすべての機体が撃墜された。堕ちなかった機体も、もう戦闘不能だろう。しかし、空の器か。やっぱ目当てはクリスタル・ハート搭載機か。

 

「よくも、よくも皆を!う、うおおおおおおお!」

【ま、待てバカ!】

「ミスト!?」

「待つんだミスト!」

 

 まずい。仲間がやられたミストさんがキレた!気持ちがわかるが相手がやばい!こっちが静止する声もまるで聴いてないしあーもう!

 

「うおおおお!グルーヴァイン・バスター!」

 

 突撃しながら放たれる砲撃をなんなく避けるグスタディオ。だが、それを囮にしてレヴリアスは一気に敵の懐に切り込んでいた。

 

「よくも、よくも皆を!うぉぉぉぉ!」

【少し落ち着け!】

「勢いだけはある。が……」

 

 怒涛の勢いで振り回されるステアードによる斬撃が、こともなげに受け流される。頭に血が上ってるから攻撃が単調になっている事を除いても力量の差が見える。さすがに経験値の差があるか。というか近づきすぎてシャルティール親子も援護に入ってこれないか。

 

「ふむ、この程度か」

「ぐあ!」

 

 

 グスタディオがレヴリアスを払いのける。攻撃に集中していたミストさんはそれをあっさり受け、吹き飛ばされた。

 

「消えるがいい」

「させない!」

 

 距離が開いた事でアンジェリカのセリウスが支援に入って来た。だが、それも難なく避けたグスタディオが反撃の姿勢をとる。

 

【まずいな。ミストさん!機体を借りるぞ!】

「何!?」

 

 こんな事もあろうかと勝手にアップデートを繰り返していたこのボディ(元学習用コンピューター)の力!レヴリアスの操作を乗っ取るなど造作もなかろうなのだぁ!いやまあパイロットじゃない自分が操作してもろくすっぽ役には立たないのだけど今回は別だ。

 

【ステアード、グルーヴァイン・バスター、セット】

 

 手に持ったままのステアードを射撃モードに、空いた手の側にグルーヴァイン・バスターを展開する。あてる必要はない。

 

【シュート!】

「む?」

 

 放たれた砲撃は、丁度セリウスとグスタディオの間を通り過ぎる。その隙にセリウスは距離をとった。

 

「アンジェリカ!無事か!」

「ええ!ありがとう……じゃないわよ!何考えているの!」

「ご、ごめん。それと今のはショーヤが」

「えっ?」

 

 今ので少しはミストさんも頭が冷えたようだ。世話が焼ける。

 

【まだ敵は健在だ。気を抜くなよ】

「あ、ああ!」

「ええ。解っているわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、戦いは数分と続かなかった。

 

「く、ここまで力の差があるなんて!」

「アンジェリカ、ミスト、無事か!」

「な、何とか。だけど機体が……」

 

 そもそもスーパーロボット軍団で戦う相手なのだ。レヴリアス2機とセリウス1機ではさすがにどうしようもなかった。それでも戦えていたのは、相手がこちらの機体のデータを欲していたからか。

 

「ふむ、こんなものか。正直期待外れだったな」

「くそう」

 

 グスタディオがボロボロになったこちらに歩み寄る。だが、その時だった。

 

「私の命に代えても、二人……いや、三人だけはやらせんぞ!」

 

 エルリックのレヴリアスが、グスタディオに特攻をかけた。突然のことに、相手も対応できていない。

 

「き、貴様!?」

「うおおおおおおおお!」

 

 エルリックの機体が光に包まれていく。自己犠牲の心にクリスタル・ハートが共鳴していっているのか。

 

「た、隊長!」

「お父さん!」

「ル=コボル様!」

 

 ミストさん達の悲痛な声が響く。そして地味にイスペイル様の声も聞こえる。微妙に喜色混じってないか?そういや下克上狙いかあんた。

 

「何、ゲートが!?」

 

 そのイスペイル様の驚愕する声が聞こえる。クリスタル・ハートの発動が干渉したのか、時空間ゲートが姿を現した。そして開いたゲートがその場にいるものを飲み込み始めた。

 

「く、アンジェリカ!」

「ミスト!」

 

 咄嗟に手を伸ばすレヴリアスとセリウスだが、その手は届かず、それぞれ別々に時空間ゲートに吸い込まれていく。

 

「……」

 

 一瞬、特攻を仕掛けているエルリックの機体がこちらを見た気がした。ん?メッセージ?

 

『二人を、頼む』

 

 ……言われなくても。”また会おう”、エルリック。

 

「うわああああ!」

「きゃあああああ!」

「ぬごおおおおおお!」

 

 そうして、グスタディオとエルリックのレヴリアスを除いた機体がゲートの中に消えさった。

 




ショーヤ君に前作で立ってたフラグはどうすっか不明。
AIだしなあ今


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おいでませ 惑星ベザード おひとり様

惑星ベザード編 はーじまーるよー


 さて、アトリームでのイディクス戦で時空間ゲートに飲み込まれるまでは予想通り。そして飛ばされた先は惑星ベザードだった。うん、これも想定内。

 

「なんだろう、これ。コンピューターかな?見たことない型だけど」

「私も見たことないなあ」

 

 そんでもって、そこでシェルディアとレムの姉妹と会うのも問題ない。問題なのは……

 

【あまり乱暴に触らないでもらえると、助かる】

「「しゃ、喋ったー!?」」

 

 ここにミストさんが居ない事かな、うん。いやまって色々おかしい。なんでコックピットの中から俺だけ放り出されてるん?

 と、とりあえず、ミストさんの所在を確認しないと。

 

【とりあえず、いくつか聞きたい事があるんだけど、いいか?】

「あ、うん」

「ええっと、その前に……あなたの名前は?」

 

 おっと、自己紹介は大切だよね。というか一つ疑問。なんで言葉通じてるん?

 

 

 

 あれから二人と自己紹介を終え、いくつか質問をした結果わかった事は、ミストさんとレヴリアスは来てないという事。アンジェリカとセリウスも同様だ。時間のずれが出てるのかなぁ。シェルディアとレムも、本編開始2年前の時点よりさらにちょっと若いようだ。

 

「ショーヤ、ここがよくわからないんだけど」

【ああ、そこはそれを代入するんだ】

 

 しっかし待ってればミストさんが来るっていうならいいけど、その前にイディクスが来たらどうしよう。どうしようもないけど。そもそもこの星、人型戦闘ロボとかもないからなぁ。いや、よくイディクス来た時耐えれたなと感心するわ、本当。あ、戦闘機的なものは普通にあった。

 

【レム、そこ一問ずれてる】

「あ、本当だ」

 

 とりあえずやることのない俺は情報を集めつつ、学習用コンピューターとしての本分を果たすことにしたのであった。早い話がレムの家庭教師である。いや、この時期ってレムって回りから差別受けてたって話だったけど、学校もろくすっぽ行けてなかったとは思わなかった。基礎教育はかろうじて受けれてたみたいだが……惑星ベザード、結構アレだなあ。なんというか、宗教国家みたいな感じ。技術力はアトリームほどではないけど普通にあるんだけれど、それ以上に神の石、クリスタル・ハート信仰に寄る部分が大きい感じだ。子供二人でよく生きてこれたなぁ、彼女ら。

 

「ただいま、二人とも!」

「あ、お姉ちゃんお帰り!」

【おかえり、シェルディア】

 

 ちなみにシェルディア自身はそこまで差別を受けていないようで、普通に高等教育も受けれているようだ。もっとも本人は勉強はそこまで好きではないようだが。

 

「ボクが勉強していい職に就けば、レムにも楽をさせられる」

 

との理由で頑張っているらしい。ええ子や。

 

「そういえばさ、そのアトリーム?って星ってどんなとこだったの?」

【ああ、それは……】

 

 ちなみに二人には俺がどこから来たかは話してしまった。二人の状況的に、他の人間に話すことはあるまいという打算があったのは確かだが、この二人にはあんまり隠し事をしたくはなかった。なんか罪悪感がね。無論、ゲームの記憶とかは内緒だけど。

 ちなみにアトリームとベザードって、起源が同じ惑星クルスだからか、文化もある程度似ていた。結構差異もあるけど。言語面についてもアトリームで使われていた標準語とほとんど差はなかった。初対面で会話が通じたのもこのためだろう。こちらの言葉はちょっと方言っぽく聞こえたかもだが。今は集めたデータからベザード用の言語データベースを作成済だ。いや、AIてこういうとこ便利よね。

 

「そのミストさんって人、おっちょこちょいだなぁ」

「お姉ちゃんと似てるよね」

「え、そんな事ないよ!」

【空気の読まなさは似てるかもしれない】

「えー」

 

 うん、似てると思う。でもまあシェルディアは意図して読まないようにしているところがある気もするが。自分を通すために。逆にレムは本当に読めないときがある。おそらく人とのコミュニケーション不足が原因。本当苦労しているな、この姉妹。もう少し、手助けしてやれればいいんだけれど。アトリームとかなら、小型ロボットの一つでも用意できたかもだけれど、ベザードではそんなすぐ用意できるもんでもないしなあ。二人の状況だと特に。

 

「そういえばミストさんもショーヤも、髪の毛私たちと違うんだね」

「種族の違いかなぁ。のわりに髪の毛しか違わないって不思議だけど」

 

 ちなみに自分、顔をデバイスのディスプレイに表示するようにしました。だって二人が顔が見えないと話しづらいって言うんだもの。記憶を頼りに自分の顔を再現したCGだ。なんかスパロボの顔グラみたいになってるのはご愛敬。なお、ミストさんの顔と見比べたシェルディアが、

 

「ショーヤの方がなんというか、平たい?」

 

 と言ったときは少し泣きそうになった。どうせ俺は平たい顔族やで……

 

「うーん、髪の毛切ろうかなぁ。ショーヤとおそろいの方がいいかも」

【もったいないと思うぞ、レム。綺麗なんだから」

「そ、そっか!じゃあいいや!」

 

 というかそれいうのシェルディアじゃなくて君の方なんだ。

 

 

 そんなこんなでもう一か月ほど経とうとしていた。本当に大丈夫だろうな、ミストさん。どっか別の星に飛ばされてたりしないよね?ちょっと不安になってきたぞ?




ミストさん早く来ないと変なイメージが植えつけられるぞ!とショーヤ君は思っている模様(なお、原因


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主役は遅れてやってくる?来るのか?

ベザードって結局どんな星なんだろう。イメージつかみづらいなあ


「ショーヤ、この前のドラマの続き見せてよー」

【宿題が終わったらな】

「ぇー」

 

 ベザードに来てもう半年。何起きるわけでもなく、平和に過ごしております。ちなみにシェルディアの言っているドラマってのは、アトリームで放送されてたやつだ。アトリームにもありましたよ。地球よりも多くのドラマや映画が……っていうのは言い過ぎだが、普通に面白いものがたくさんあったので情報収集ついでに集めて観賞するのが、アトリームでのひそかな楽しみになっていた。で、それを勉強のご褒美ってことにしたら、見事に二人とも食いついてきて今にいたる。ちなみに最近の二人のお気に入りは昼ドラ系だ。君ら、そんなドロドロしたのがいいの?お兄さんちょっとわからないや。

 

「にしても見つからないねえ、ミストって人」

「うん。時々変な機械の残骸が表れたってニュースは増えてきたけど」

【うーむ……】

 

 で、肝心のミストさんとレヴリアスだがまるで見つからないんだよなあ。時折謎の機械(たぶんアトリーム製)の残骸が突如現れたってニュースは見るんだが。いい加減心配になってくる。

 

(無事なのかなぁ)

 

 いやまあ、無駄にバイタリティあるタイプだし、生きてさえいれば平気な気はする。一人で惑星ベザードにたどり着いて、信頼を勝ち取った彼を信じよう。いや、この時間軸じゃないけれど。

 ただなあ、地球にたどり着いて記憶喪失のフリでごり押したりするような奴でもあるしなあ。……あかん、考えだしたら不安になって来た。

 

「ねえ」

【ん?】

 

 などと考えていると、レムがつんつんと突っついて来た。ってどうしたんだそんな捨てられた子犬のような目をして。

 

「ミストって人が来たら、ショーヤは行っちゃうの?」

「レム、ショーヤを困らせないの」

「うー」

 

 そうなんだよなあ。この半年で、なんかレムにやたら懐かれてしまった。元々シェルディア以外の人との接触が少ない事も原因だったのかもしれないが。数少ない友達が居なくなっちゃうって感じなんだろうか。俺今AIだけど。もう少し他の人とも触れ合えればいいのかもしれないが、この半年暮らしててわかったけどそれも難しそうだ。

 この星で神の石、クリスタル・ハートの存在はかなり大きい。信仰の対象であると同時に、機械を動かす動力源という実益ももたらしている。もちろんクリスタル・ハート一つですべてをまかなっているわけではないが。それでも、この惑星ベザードの文化の象徴みたいな存在だ。それを近づくだけで止めてしまう人間がどういう扱いをされるのか。さすがに表立って暴力を振るわれたりはしないが、それでも人は彼女に近づこうとしない。買い物ですら、シェルディアと一緒じゃないとできないのだ。あの時ほど、体が無いのがもどかしいと思った事はない。

 

【ミストさんが来ても、すぐに居なくなる事はないさ】

「本当?」

【ほんとほんと】

 

 だからまあ、今はとりあえずこう言うしか出来ないよなあ。というかこの子、この後ガズムかル=コボルの依り代にされるんだよな。どんだけ人生ハードモードなんだよ。エルリックの時には原作通りの流れにすることにそこまで罪悪感なかったけど、レムの場合罪悪感をひしひしと感じる。そこまで話したりする機会がなかったエルリックと違って、この半年ほぼずっと一緒に過ごしてきたからだろうか。

 

【とにかく、今はこの問題を解くことを考えよう】

「はーい」

 

 うーん、レム憑依の回避ルート無いかなあ。さすがにこのまま放っておくのはなんかイヤだ。なんかエルリックがジト目でにらんでる気がするけど、そこはおっさんと女の子の扱いの差って事で勘弁してくれ。

 いや、真面目な話するとエルリックの特攻は下手に止めるとミストさん達全員まとめて全滅の可能性があったけど、レムの場合そんなこともなさげだしなって言うのはある。とは言え、どうするかって言われると具体的なアイディアなんざこれっぽっちも無いのだよなあ。んー、安全な場所に避難させるとか?どこだよ安全な場所って。

 

「ショーヤ、終わったよー」

「私も」

【む、速いな】

 

 とりあえず、今は目の前の答案を採点する事に集中するとしよう。

 

「終わったら、あれ見せてね。ボク続き気になってるんだから!レムもそうでしょ?」

「うん!」

 

 うーん、昼ドラの良さはやっぱりわからん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからさらに数日たったある日の事だった。

 

「ショーヤ!」

 

 学校帰りのシェルディアが、慌ててレムの部屋まで走ってきた。何があったのかとカメラを向けると、そこには懐かしい姿があった。

 

(ようやく来たか、ミストさん)

 

 主役は遅れてくるとは言え、俺と半年近く差があるのはどうなんだ。見た感じ怪我もなさそうだしよかったよかった。とりあえず再会の挨拶をしようと思ってたら、シェルディアが一言。

 

「ミストさん拾った!」

「ひ、拾った……」

 

 いや、シェルディアさん。そんな捨て猫拾ったみたいに言わないであげて。ミストさんも困ってるから。

 




そんなこんなでミストさんも到着。ミストさんは誰を選ぶのだろうか……


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細くて長いものを縛るあれになるのを回避しよう

こっから数話で惑星ベザード滅ぼさなきゃなんだよなあ(言い方


「それにしても、別の星か……アンジェリカや隊長は来てないんだよな」

【ああ。俺以外でベザードに飛ばされてきたのは、ミストさんが最初だな】

 

 そんなわけでミストさんと情報交換中。ミストさんの感覚では、ゲートに飲まれた瞬間惑星ベザードに飛ばされ、気づいたときには腕に着けてた俺はいないし、一緒に飲み込まれたはずのアンジェリカの姿もない。途方にくれながらも、とりあえず情報収集しようと歩き出したものの、5日で空腹でダウン。街はずれの森の中でぶっ倒れていたところを、散歩中のシェルディアが発見したそうな。本当に拾われたんかいとツッコんだ俺は悪くない。

 

「とりあえずレヴリアスはステルスをかけて森の中においてあるから、直接触らないとかしなければ見つからないと思うけど」

【本当便利よな、それ】

 

 巨大生物退治や暴徒鎮圧でも使ってたけど、レヴリアスのステルス機能ってやたら性能いいよな。ダンナーベースの傍に放置しててもばれないだけはある。あれはガバだって?気にしない。

 

「で、ミストさん達はこれからどうするの?」

「ああ。とりあえずどこか寝泊まりするところを見つけないとな。知り合いがいつ飛ばされてくるかわからないし、できればこの星で仕事を見つけないと……」

「あ、じゃあここに住みなよ!」

「ええ!?」

「ボクらもショーヤと離れるの寂しいしさ!ね、レム」

「う、うん」

「それじゃあ、お言葉に甘えようかな。よろしく、シェルディア、レム」

【……一応男なんだから、躊躇するくらいはしておけ、ミストさん】

「え、なんでだ?」

 

 ダメだこりゃ。まあ、ミストさんが二人と一緒に暮らす分には特に問題ないからいいけれど。

 

 

 

 

 

 

「さて、現場についたぞ!」

【誰に言ってるんだ】

 

 そんなわけでミストさんと俺は、日雇いの工事現場にやってきた。なんでかって?まずは食い扶持を稼がないとだからだよ!

 最初はシェルディアが、

 

「一人増えたくらいだったら、何とかなるよ?」

 

と優しい言葉をかけてくれたものの、さすがにそれもどうよとミストさんと話した結果こうなった。

 

【さすがにヒモはどうかと思うしなあ】

「言葉の意味は分からないけど、そうなっちゃいけないって事はわかった」

 

 ミストさんには肉体労働で稼いでもらう事にした。とりあえず、遠く離れたところから来た旅人って事にしておいたが、まだこの星の常識とかもわかってないだろうからなあ。変にぼろが出なければいいが、そこは何とかサポートするとしよう。

 なお、ミストさんが働きにでる時に俺がくっついていくことについては、シェルディアとレムからブーイングがでた。まあ、仕方ないって事はわかってるらしく、あっさり引いてくれたが。変わりに昼ドラ新作要求されたのはあれだけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもってまたもや数か月たちました。

 

「よぉ、ミスト!今晩一杯やってかねえか?」

「親方、俺まだ酒飲めないですって!それにシェルディアとレムが待ってるから!」

「そうか!二人によろしくな!」

 

 ミストさん、すげえわ。いや、街に馴染むのは予想内だとしても、まさか街の人たちとあの姉妹の軋轢を少しとは言えどうにかしちまうとは驚いた。

 

「彼女のそれは体質でしょう?彼女自身が何かしたわけじゃないじゃないか!」

「こんなんじゃ俺、この街の人たちの事、嫌いになっちまうよ……」

「根本的な解決になってないですよね!」

 

 などと空気を読まずズバズバと切り込んでいった結果、この工事現場の親方みたいな、一部の層は普通にレムと接してくれるようになった。さすがにクリスタル・ハートの一定範囲に近づくことはできないけれど。

 普通に買い物できた時なんかレムが感動して号泣、シェルディアも号泣、ミストさんももらい泣きとすごかった。で、その頃からかシェルディアもミストさん呼びからミスト呼びに代わっていった。惹かれ始めてるんだろうなあ。なんでかわからないけど、このミストさんアトリームの事でそんなうじうじしてないからか、頼れるお兄さんみたいな感じになってるからわからなくもない。

 

(だがなあ)

 

 問題が一つ。アンジェリカとどっち選ぶんだろうね、ミストさん。今んところ妹分みたいな感じだもんな、シェルディアの扱い。とりあえず優柔不断ルートだけは無しにしてもらいたい。あ、ハーレムは可です。責任きっちり取るならね!

 

「ただいま!」

「お帰り、ミスト!ショーヤ!」

「お帰りなさい、お兄ちゃん、ショーヤ」

 

 うん、平和だ。……でも、この暮らしも後半年くらいでイディクスが来て終わってしまうのだと思うと悔しい。今打てる手が無いとは言え……ん?なーんか、忘れているような?

 

【あ】

「ん?」

【いや、何でもない】

 

 いやなんでもなくないけど。セリウスIIとかベザードの防衛体制とかその他もろもろの事すっかり忘れてた。い、今からで間に合うんだろうか……

 




ミストさん、基本スペックはやたら高いと思うのですよねえ。


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飛ばされてきた彼は何を思ったか

ミストさん視点でベザードに飛ばされてから


「……ここは?」

 

 気が付いて最初に目に入ったのはモニターに映った木だった。どうやら森の中にいるらしい。さっきまで都市部で戦っていたのにだ。

 

「くっ、あのゲートが原因か? そうだ、アンジェリカ!隊長!みんな!」

 

 周囲をサーチするが、僚機の反応は一つもなかった。ここにいるのはどうやら俺一人らしい。

 

「く、一体どうなってるんだ。なあ、ショーヤはどう思う?ショーヤ?」

 

 右腕を見ると、普段そこに着けているコンピューターデバイスは影も形もなかった。当然、その中にいる頼れる兄貴分も。参ったな。どうやら正真正銘、独りぼっちだ。

 

「くそう……」

 

 何時も右腕にある重みが無いだけでここまで不安になるなんて。ショーヤに笑われちまうな。本人は俺はAIなんだからあんまり懐くなって言ったりするけど、俺にとっては大事な教師であり兄貴分なのに変わりはない。まあ、厳しい所も多いけど。

 

「……じっとしてても根本的解決にはならないか」

 

 一人だからってうじうじしてたらショーヤに笑われちまう。まずは、行動しよう。考えるのはその後だ。

 

 

 

 

 

 

 レヴリアスを動かそうとしてみたものの、飛ばされた衝撃で損傷したのか立ち上がらせる事もできなかった。仕方がないから、ステルスをオンにしていったん放置し、徒歩で探索を始める事にした。

 

「食料は2日は持つ。まあ、何とかなるだろう」

 

 とりあえず、人が見つかるといいな。もしかしたらここが別の星の可能性もあるけれど……まあ、大丈夫だろう!たぶん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそぅ、空腹で死にそうだ」

 

 全然大丈夫じゃなかった。まさか5日歩いて森を抜けられないとは思わなかった。原住民を見つけるどころの話じゃないぞこれは。食料は2日分を小分けにして4日目までは持たせたけど、今日は今朝からろくに食べてない。こういう時に限って木の実もキノコも見当たらないとは……くそう、もう歩く気力もない。

 

「あれ?どうしたの?こんなところにへたり込んで」

 

 ああ、ダメだ。腹が減りすぎて幻聴まで聞こえてきた。

 

「おーい、お兄さん、聞いてる?というか生きてる?」

 

(幻聴じゃない!?)

 

 声の方を向くと、そこには女の子が立っていた。髪の毛が途中からグラデーションがかかってて不思議な感じがする。でも言葉が通じるってことは、ここはアトリームなのか?

 

「い、生きてるよ……空腹で死にそうだけど」

「お腹すいてるんだ。あ、丁度パンがあるからあげるよ」

「ありがとう」

「どういたしまして!そういえばお兄さん、どこかで見たような……ああ!?」

 

 

 

 

 

 その後、女の子……シェルディアに案内されてショーヤと再会した俺は、ようやく現状を知ることができた。ここが別の星だという事、アンジェリカ達の行方はいまだ知れないという事。

 とはいえ、俺がこうして無事だったのだから、同じように飛ばされただろうアンジェリカや、他のみんなもきっと無事だと思う。そう信じて、とりあえず俺は足元を固める事にした。

 

「おい!新入り!ぼさっとすんな!」

「す、すみません!」

 

 まあ、バイトなわけだけれど。情報を集めるにしても、とにかく生きていかなきゃならないわけで、その為に先立つものが必要なのは、アトリームでもベザードでも変わらない。

 

【今日もお疲れ、ミストさん】

「ああ」

 

 こう前向きに考えられてるのは、ショーヤと再会できたのが大きいと思う。一人だったら、きっとぐじぐじ悩んでたと思う。でもショーヤが無事だったんだ。他のみんなだってきっとと思える。

 

【どうした?】

「いや、感謝してるよってだけだよ」

【ふうむ?】

 

 だから、まずはバイトを頑張ろう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、そんなのおかしいですよ!」

「よそ者に何が……」

「よそ者だからわかるんだ!」

 

 それから少したって、レムがどうしてほとんど外に出ないかを聞いた。その時は、その星にはその星の事情があるって飲み込んだけど、数日後。シェルディアとレムの買い物についていった日、陰口をたたいている店員の男を見てついカッとなってしまった。

 

「彼女は良い子だ!体質は彼女にもどうしようもないことじゃないか!」

「ちょ、ちょっとミストさん!」

「よそ者だから、この街はいいとこだって思うし、みんないい人だって思う!でもだからこそ、おかしいだろ!」

 

 そこからはもうほとんど何を言ったか覚えていない。とにかく思った事を片っ端からぶちまけた。突っ走るなって、アンジェリカにもよく言われていたのに、もう止まらなかった。

 結果として、街の人のレムへの対応は少し柔らかくなったと後でシェルディアから聞いた。その事で彼女やレムから感謝されたけど、俺としては反省すべきだと思っている。ショーヤにも説教されたが、逆の結果になった場合俺は責任を取ることができなかった。もっと、冷静にならないと。

 ちなみにその後からシェルディアに懐かれているような気がするのはきっと気のせいではないだろう。ショーヤが【後でアンジェリカに報告しておこう】なんて言ってるけど違うんだ!シェルディアはそう、妹みたいな感じでっていうかそもそもアンジェリカとはまだそういう関係でもなくて!

 

 

 

 

 

 そこからさらに時がたち、俺がベザードに飛ばされて半年ほどたったある日。

 

【そろそろ生活も安定したし、レヴリアスの修理についても考えよう】

 

とショーヤが言い出した。

 

 

……

 

………

 

「レヴリアスが壊れてること、忘れてた!?!?」

【おい】

 

 いや、その日暮らしで手一杯だったから……あ、はい。日課の筋トレ追加ですね、はい。

 




レヴリアス、あわれ……


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結成 惑星ベザード防衛隊

地球編までもう少し。地球編どこから始めようか悩み中


さて、二人ともレヴリアスについて忘れていたという事の責任をミストさんに押し付けてごまかした翌日。

 

【レヴリアスのところにやって来たわけだが】

「どこから手を付けるかなあ」

 

 俺とミストさんはレヴリアスの修理にやって来た。ちなみにここまでの道筋は俺の中のソフトを使ってサクッと探知した。最初はミストさんが記憶をたどりに行こうとしていたが、また5日もさまようのは勘弁だしな。あ、移動はオフロードバイク的なものをミストさんのバイト代で買った。生活費くらいしか使ってなかったから意外と余裕だったとはミストさん談。

 

「ショーヤ、図面出せるか?」

【ああ、レヴリアスのデータは入ってる。とりあえず動力回りからか?】

 

 ミストさんに図面で指示を伝えながら修理開始。完全にミストさん任せにするのはセリウスIIというスクラッチビルドならぬスクラップビルド(ただし力業で動く)を知ってる身としてはあまりしたくなかった。まあ、そこまで大きな故障もなく、配線回りを取り換えたくらいでレヴリアスは再び動くようになった。

 

「よし!」

【直せないような故障でなくてよかったよ】

「本当だな。さてと、次は……」

【あのイディクスとかいうやつらへの備えか】

 

 原作ではどのタイミングで準備を始めたかわからないけど、今のミストさんなら信頼関係も築けてるし話くらいは聞いてもらえるかなあ。

 

 

 

 

 

 

 

「なんかすごく、あっさりだったな」

【そうだな】

 

 うん、本当あっさり。バイト先の親方の伝手でお偉いさんに話通して、証拠としてレヴリアス見せたらあっさり信用された。正確には中のクリスタル・ハートが理由っぽいが。二つとないはずの神の石をもって現れたならば、信用できる!ってそれでいいのか理由。

 

「こっちとしてはありがたいと言えばありがたいんだけどねえ」

【よくも悪くも神の石への依存度が高いよな。いろいろと】

 

 だからまあレムの事とかもあったりするわけでなんとも言えん。ちなみにクリスタル・ハートを見せたせいで一部の人々はミストさんの事を「天の使いだ」なんて言い出したりしてもうね。そんなたいそうなもんじゃないからこいつ。まだまだひよっこだし。

 

「何はともあれ、今まで流れ着いた物に触らせてもらえるようになったのは大きいかな」

【パーツを見るにレヴリアスとセリウスの残骸だな。最後の戦いのときに破壊された奴のか】

「ああ。……みんな、仇は取ってやるからな」

 

 とりあえずミストさんと俺主体で原作通りセリウスをくみ上げる事になった。ミストさんはレヴリアスベースの方が戦力になるんじゃないかと言ったが、乗るのが機動兵器素人のベザード人……というか十中八九シェルディアになる以上、ミストさんのバックアップに回ってもらうのがベターだろう。本人やる気だったし。セルケリウスへの乗り換えの件を考えても、セリウスの方がスムーズにいくはずだ。アンジェリカかシェルディアか、どっちが乗るかはわからないけれど。

 

「えっと、これをこっちにつなげば行けるはず!」

【図面見てから行けるはずとか言ってくれないか!?】

 

 とりあえずミストさんの直感便りに組み立てる癖をどうにかしないとだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「わあ!本当に動いてる!」

「当然だろ!俺達が頑張って作ったんだからな!」

 

 ベザードの皆さまの協力もあり、3か月ほどでセリウスIIは完成した。残骸の中に比較的パーツが大きいものが残っていたのが幸いしたな。パイロットは順当にシェルディアに決まった。レムはクリスタル・ハートが動かなくなるから、家で留守番中。せっかくのお披露目だから連れてきてやりたかったんだが……夕方にでも連れてくるか。

 

「やっ、はっ、どう?ミスト!ボクもなかなかやるもんでしょ!」

「ああ、まだまだ粗削りだけどいいセンスだ!」

 

 で、今はレヴリアスと模擬戦中。シェルディアもセンスはいいが、経験値の差かミストさんにはほとんど攻撃を当てられていない。

 

「むう。やっぱ強いなあ」

「はっはっは。アトリーム防衛隊エースのミストさんに勝とうだなんて、百年早いって」

 

 あ、調子乗ってるな、こいつ。

 

「え、エースだったの!?」

「ああ!」

【じゃあエースのミストさん。今からシェルディアに一発でももらったら、彼女の言う事なんでも一つかなえるって事で】

 

「え!?ちょ「本当!?」いやちょっと!」

 

 嬉々としてレヴリアスに襲い掛かってくるセリウスII。ミストさん、調子に乗りすぎてはいけないのだよ。

 

「う、うおおおお!やれって言うなら、やってやるさ!」

 

 うん、それは君じゃなくてトーヤ君のセリフだからね?ちなみに結果はギリギリミストさんが面目を保った。

 

 

 

 

 

 

「何はともあれ、これでベザード防衛隊ができたわけだ」

【まだ機体は2機しかないがな】

 

 結局はゲリラ戦で何とかするしかなさそうなのは原作通りか。圧倒的に戦力不足だし。

 

「とりあえず、お祝いしよ!お料理作って待ってたんだから!」

「うん!ボクもうお腹すいちゃって!」

「……」

 

 そういってはしゃぐシェルディアとレムをみて、ミストさんが黙り込む。

 

【どうした?】

「ああ、いや。俺はアンジェリカの手をつかめなかった。だからって訳じゃないけれど、彼女達だけは守って見せるよ」

【ああ。だけど、思いつめすぎるなよ?】

「わかってるよ。さて、俺もごちそうをいただくとするか!」

 

 そういって笑いながら食卓へ向かうミストさんを見て、俺は複雑な気持ちになった。惑星ベザード防衛戦。その結果は……

 

(惑星ベザードの崩壊、そしてシェルディア、レムは行方不明……)

 

 都合よく未来を変えるカードは、落ちていない。




レムどうするかなあ


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特に何でもない日

イディクス襲来まで、もうちょっと


 それは、セリウスIIが完成して少したったころ。タイムスケジュール的には、まだイディクス襲来まで余裕があった時期だった。

 

「お姉ちゃんたち、頑張ってるね」

【ああ。シェルディアは着々と腕を上げているよ】

 

 この日、俺はミストさんと一緒ではなかった。家でレムと一緒に留守番だ。とは言え屋根の上から二人の訓練の様子は見えるのだが。

 クリスタル・ハートの動作の関係上、どうしてもレムはレヴリアスとセリウスIIに近づけない。ミストさん達が訓練している間は、どうしても独りぼっちになってしまう。さすがにずっとそれもどうなんだということで、俺からおいてってくれるようにミストさんに頼んだ。ミストさん達も気にしていたようで、すんなりとうなづいてくれた。

 

「なんで私はこうなんだろうなあ」

【……神の石を止めてしまう事か?】

「うん」

 

 二機の訓練を眺めていると、レムが突然呟いた。まあ、気にするなという方が無理だよな。自分が迫害される理由だし、ここのところマシになって来たとは言え、今また近しい二人と距離ができる原因になっているわけで。

 

【さすがにその原因はわからないしなあ】

 

 まあ推測はできるのだけれど。レムの体の中のル=コボルの欠片は、ル=コボルあるいはガズムが直接憑依して回収するほど力の強いものだ。それがクリスタル・ハートの誤作動を引き起こしていたんじゃないかと考えられる。

 …それじゃあ同じ連中に憑依される事になるエルリックは、なんでクリスタル・ハートを起動させられたのかという話なのだけれど。育ちの違いとか年齢の違いとか、推測できそうな要素はいろいろあるけれどなあ。

 

「もし、ミストさんやショーヤが言ってるイディクス?ってやつらが来たときも、私は留守番してるしかないのかな」

【……レムに限らず、戦わない人はシェルターに避難してもらう事になる】

 

 うん、彼女が言いたい事はそう言う事じゃない。大切な人二人が戦っているときに、自分は何もできないというのがもどかしいんだろう。

 

「わかってる。わがままだって。無理なものは無理だもんね」

【わがままくらい幾らでも聞くさ。他に何もしてやれないからな】

 

 そうだ。体があるならともかく、今の俺はただのAI。レムと買い物することすらできないしなあ。

 

「そんなことないよ」

【ん?】

 

 って近い近い。急にレムがカメラをのぞき込んできた。その顔がどアップで視界に移りこむ。

 

「ショーヤが来てから、昼間に家に居るのが寂しくなくなったもん」

 

 ああ、シェルディアが学校行ってる間、レムは家で一人だったからなあ。しかも回りには自分を疎む人間ばかり。直接的な危害が無いにしろ、気分のいいもんじゃなかったろう。

 

「でも、ショーヤが来てからなんていうか、毎日が楽しかった!」

【そ、そうか?】

「勉強したり、お話したり、ドラマ見たり!」

【ドラマは入るのな】

 

 いやまあめっちゃはまってたしなあ、姉妹そろって。

 

「それに最近じゃ街の人とも普通に話せるようになったし!」

【そっちに関してはミストさんの手柄だけどな】

「でも、私の寂しいを埋めてくれたのはショーヤだよ」

 

 うん、まってレムちゃん。そう至近距離でそんな事言われると、さすがに照れる。今だけはAIであることに感謝するわ。感情が顔に出ないし。

 

「だから、改めてお礼を言わせて。ありがとう、ショーヤ」

【それはこっちもだよ】

「え?」

【君とシェルディアが俺を拾ってくれなかったら、今頃俺も朽ち果てていた。だからこちらこそありがとう】

「そっか、えへへ」

 

 そう笑うレムの顔は可愛かった。うん、さっきAIな事に感謝するって言ったけど前言撤回。頭を撫でてやったりする事もできないのがやっぱじれったい。いや、俺の年齢考えると、そんな事したらロリコンって言われそうな気もするけど。

 

「あ、訓練終わったみたい」

【本当だ】

 

 いつの間にか、レヴリアスとセリウスIIの動きは止まっていた。もう訓練は終わりらしい。

 

「ごはんの準備しないと。行こう!ショーヤ!」

【ああ。ところで、なんで俺はショーヤなんだ?ミストさんはお兄ちゃんなのに】

 

 いい機会だと、最近の疑問をぶつけてみる。いつの頃からかレムはミストさんのことをお兄ちゃんと呼んでいたのに、俺はずっとショーヤのままだ。いや、AIだからって言われたらそれまでなんだけど。

 

「んー、なんかお兄ちゃんって感じじゃなかったって言うか」

【ふうん?】

「あーもう!なんでもない!」

 

 そういってレムはすたすたと歩き始めた。

 

【なんなんだ】

 

 うむ、女心なのか?はよくわからん。よく解らないけれど。

 

(やっぱ、やだな)

 

 なんでかわからないが、俺はこの時、彼女をイディクスの奴らの好きになんかさせるかって思ったんだ。

 




ショーヤ君、レムを守る事を改めて決意。妹分には弱いんです。実際どうにかできるのかは別にして。


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クリシュナ・イーター

レムをどういうルートたどらせるか悩んだ結果、ご都合主義に頼った作者が居るらしい。


 とはいえ、実際どうしたものかな。レムが近づくとクリスタル・ハートが止まる以上、レヴリアスやセリウスIIに相乗りさせるわけにもいかない。かといって一人残せばイディクスの連中の依り代にされる。原作をなぞれば命の心配はないとはいえ……それはやだな。うん、嫌だ。ただのわがままなのかも知れないが嫌だな。

 

(でもどうする……手が浮かばない)

 

 レムの中の欠片を排除できれば一番手っ取り早いんだが、そのためにはそれこそ一回イディクスの依り代になるしかないわけで……それが嫌なんだというに。何か、何かないか?

 

 

 

 

 

「ねえ、私が神の石に近づいちゃってもいいの?」

「んー、なんかショーヤが思うところがあるんだってさ」

 

 考えても何も浮かばなかった俺は、ミストさんに頼んでレムをレヴリアスの近くにつれてきてもらった。クリスタル・ハートの不具合が原因でミストさん達と別行動になるんなら、その原因を解決できないかという訳だ。まあ、欠片が原因な以上まず無理なのは解ってるがダメ元だ。

 

【やっぱりダメか?】

「うーん、うんともすんとも言わないな」

 

 ミストさんにレヴリアスを起動してくれるよう頼んだが、やはり起動しないらしい。ダメ元だったとは言え、残念だな。ってあれ?

 

【おかしいな】

「どうした?」

【ちょい待ち。なんだこれ】

 

 外部からのアクセスだと?レヴリアスは起動してないのにどこから?接続先をたどると、同じく起動してないはずのセリウスIIからだった。いや、正確にはその、動力部か?

 

(クリスタル・ハートそのもの?)

 

 いや、不思議動力源だから何があってもおかしくは無いと思ってたけど。混乱する俺をよそに、クリスタル・ハートから情報が流れ込んでくる。これは、圧縮されたプログラムか?

 

「大丈夫か?ショーヤ」

【あ、ああ】

 

 気がつくと、クリスタル・ハートとのアクセスは途切れていた。すぐにクリスタル・ハートから送られてきたプログラムを解凍する。そして、そのプログラム名に驚愕した。

 

「あ、お兄ちゃん達結局何してたの?」

「んー、俺にもよくわからない。ショーヤ、何がしたかったんだ?」

【ああ、うん。ちょっとな】

「ふうん?」

「じゃあ、帰ろうか!お姉ちゃんが待ってるよ!」

 

 ミストさんに適当に答えながら、俺はもう一度プログラムを確認した。

 

『クリシュナ・イーター』

 

 おい、クリスタル・ハート。お前は俺に何をさせるつもりなんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 その日の晩、皆が眠ってからプログラムをスキャンしてみた。結果は、解析不能。アトリームの技術じゃ訳がわかりませんって事だ。だが、起動はできるときた。

 

(実際に使ってみるしかないって事か?)

 

 だけどコレ、一体なんだっていうんだ?クリシュナ・ハートへ対抗するためのものにしては、こんなデバイス1つに入りきるような代物な訳ないだろうし。しかしイーター、イーターか。

 

(食う、喰らう。何をだ?)

 

 イディクスの連中をか?んな物騒な。というかプログラムの身でどう喰えと。いや、精神生命体を情報の塊と仮定するなら?

 

(だとしても何でこのタイミングなんだ?)

 

 そんな感じのプログラムだとしても、なんで今クリスタル・ハートがこんなもんをよこしたかがわからない。クリスタル・ハートが俺に何かさせたいっていうなら、俺はレヴリアスには結構前、アトリームに居たころからアクセスしていたぞ?アトリーム最終戦ではコントロールぶんどってたし。それとも、ベザードのクリスタル・ハートが特別なのか?

だめだ、わからん。

 

(レムに使えって言うんだろうか)

 

 何が起きるかわからない代物をレム相手に使うとか何それ怖い。でも、もしこのプログラムでレムの中の欠片を除去できるなら、状況は変わる。

 

(……どうする?)

 

 そもそも無理をしなくても、この後レムはイディクスの幹部に憑依されるだけで命は無事だ。原作通りにいけば最後はハッピーエンドで収まる。それをわざわざ俺のわがままで取り返しのつかない状況になったりしたら。

 

【……できないよなあ】

「何が?」

【ってレム!?】

 

 いつの間にか、レムが起きてきていた。

 

「なんか様子がおかしかったから」

【そうか?】

「なんとなく、そう思ったの」

 

 そういうと、レムは俺の置かれてる机の上に座り込んだ。

 

「ショーヤが今悩んでることって、私が関係してるの?」

【……どうしてそう思った?】

「だって、昼間急に私をレヴリアスのところに連れてったりするんだもの。隠せてるつもりなら残念過ぎるよ?」

【んぐっ】

 

 いやまそりゃそうだよなあ。

 

「昨日私が言ったこと、気にしてる?」

【……気にしてる】

「そっか。気にしなくてもいいのに」

 

 11歳の少女に気を使わせるってどうなんだよ、俺。

 

「ねえ、ショーヤが何かしようとしてるんだったら、私はやってほしい」

【いや、それは!】

「危ないの?」

【わからない】

 

 そう、わからないからできないんだ。

 

「わからないなら、やってみたほうが後悔しないと私は思う」

【レム……】

「それに、ショーヤを信じてるもん」

【そうか】

 

 ここまで言われたら、腹をくくるしかないよな。俺のわがまま、通させてもらう。信じるぜ、クリスタル・ハート!

 レムの腕に俺を取り付けてもらって、プログラムを起動する。

 

≪クリシュナ・イーター 起動≫

「きゃっ!?」

【レム!】

 

 瞬間、部屋の中に光が広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは?」

 

 気がつくと、何もない空間に浮かんでいた。体がある事に違和感を感じる。ここは、どこだ?

 

「そうだレム!」

 

 周りを見回す。すぐに、レムの姿が見つかった。そして、

 

「あれは?」

 

 レムの胸に食い込む、紫色のまがまがしい結晶。直感的に、あれがレムの体に巣食うル=コボルの欠片だと理解する。だったらやることは一つだ。

 

「レムから、離れろぉ!」

 

 結晶をつかむ。瞬間、感情の本流が俺の体に流れ込んできた。怒り、悲しみ、憎しみ、そういった負の感情に一瞬のまれそうになったが、何とか踏みとどまる。

 

「喰らえってんだろ?だったら食らいつくしてやる!」

 

 時間にしてほんの数十秒で、結晶は全て俺に取り込まれた。くそ、疲労感がすごい。というかいまさらだが、これ取り込んで良いようなものなのか?そんなことを考えているうちに、レムが目を覚ましたようだ。

 

「ん……ショーヤ?」

「起きたか」

 

 さて、どう説明したものか。

 

「意外と、かっこいいんだね」

「おい、第一声がそれってどうなんだよ」

 

 もっとこう、ここはどこなのとか何が起こったのとかいう事あるんじゃない?

 

「だって、信じてるって言ったじゃない」

「そうだったな」

 

 信頼がくすぐったい。

 

「まあ、もう終わったから寝ていいぞ」

「そうなの?うん、なんか疲れたから寝ちゃうね」

 

 そういってすぐレムは目を閉じた。その場からレムの姿が掻き消える。

 

「これでよかったのか?」

 

 残された俺は自問したが、すぐに頭を振った。レムが信じてくれたんだ。良かったと俺も信じよう。そしてすぐに俺の体も消え始めた。久しぶりの体の感覚に名残惜しさを感じる。そうして、その空間から消える直前。

 

〔あの子を、お願いします〕

 

 そんな声が、聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 でもこの主人公、大学生くらいの年齢設定だから11歳相手って普通にロリコンだよね
(白目)


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姉妹と兄弟

地球編まであと少し


「いくよ、レム!」

「うん!」 

 

 あれから、レムが近づいてもクリスタル・ハートが動かなくなることはなくなった。体内の欠片が除去されたからだろうか。最初は回りの人々も混乱していたが、結局『神の石』の奇跡で落ち着いていた。それでいいのか。俺が何かしたおかげだと知ってるレムは苦笑いしていたが。

 そして、本人の強い希望もあってセリウスIIのサブパイロットとして訓練中。最初はミストさん達も渋ったが、結局側にいる方が安心できるのは二人も一緒だったようだ。さっくりとセリウスIIを複座式に改造していた。

 

「二人とも、姉妹だけあって息がぴったりだな!」

【そうだな。ところで、レヴリアスに異常はないか?】

「え?ああ。問題ないよ」

【そうか】

 

 自分の中のフォルダを確認する。

 

『piece:レム』

 

 まんまだな。これがレムから取り込んだ欠片ってことだろうか。場所がレムの中から俺の中に移っただけだから、クリスタル・ハートは結局動かないんじゃね?って不安も特に問題ないみたいだ。どういう理屈なのか……

 

「なあ、レムの事だけどさ」

【ん、ああ】

「ショーヤがなんとかしたのか?」 

【んー、まあたぶん】

「たぶんなんだ」

【自分でもよくわからん】

「わかんないのかよ。まあ、いいけど」

【……怪しいとか、思わないのか?】

 

 手持ちのAIがレムの問題も解決しましたーとか突然言ったら不審がるぞ俺なら。

 

「いや、怪しいって言ったら最初からだし」

【ぇー】

 

 なにそれひどい。

 

「なんかいきなり送りつけられてくるし、変に人間くさいし、訓練厳しいし、スパルタだし、少しは楽をさせてほしいし」

【後半は愚痴じゃないか】

「でもさ、そんなの大した問題じゃないよ。ずっと俺のこと見守ってくれてたじゃないか」

【……】

「だから、ショーヤのことを俺は信じるよ」

【ありがとう】

 

 本当に、ありがたい。そういやミストさんもAIになる前の俺と同じくらいの年齢になるのか。もう、子供扱いもできないな。

 

 

 

 

 

 それからはシェルディア達の訓練と平行して、ベザード住民との連携にも力を入れていった。機動兵器が二体しか無い以上、他の戦力……航空機や、砲台とかの協力は必須だからな。その点でも、レムがサブパイになったの意外と大きかった。

 

「いくよ!」

「一番から四番、ターゲットに砲撃おねかいします!」

「く、被弾しすぎかな」

「一旦下がります!支援お願いします!」

 

 ある程度訓練したとは言え、まだ素人に毛が生えた程度のシェルディアには戦いながら他に指示だして連携とかできなかったからな彼女のしたいことを汲み取って、指示が出せるレムの存在は本当ありがたい。

 え?ミストさん?あれは元々突撃おバカで連携は回りが合わすことが多かったから、そういう高度なテクははなから期待してない。

 

「今さらっとバカにされたような」

【気のせい】

 

 元からベザードは森林が多い星だ。戦力で劣るベザードが戦うには、それを活かすしかない。俺たちは残された時間をフル活用して、砲台やらトラップやらを設置しまくった。

 そして……

 

 

 

 

 

 

「イディクス!今度こそ、お前達からみんなを守って見せる!」

「いこう、ミスト!レム!」

「うん!」

「はっ、調子に乗るな!」

 

 イディクス、ヴェリニー部隊襲来。どうしてもビクトーラはミストさんが押さえることになってしまったが、配下の量産機はセリウスIIと戦闘機、地上部隊で対処できている。やはりトラップは偉大だ。どんどん相手がひっかかって阿鼻叫喚の地獄絵図と化している。

 

「くそ、なにをやっているんだ!」

「お前達相手になにもしてこなかったと思っているのか!この星のみんなが、お前達に負けないって言っているんだ!」

 

 ミストさんが吠える。それには俺も同意なんだが……一つ、気になっていることがある。

 なんで、今回は治安が悪化しなかったんだろうか。ベザードの人々のなかにも当然欠片がある。アトリームの時のようなことにならないと不安だったんだがそれもないし。

 そう考えたその時だった。

 

「まあ、この星の奴等の欠片は大したもんじゃないしいいか。あんまり手間をかけてたらあの方に怒られるからね」

 

 等とヴェリニーが言い出した。これは……しびれを切らしたか。

 

「なんだ、あれは!」

「星が、近くに!」

 

 プラネット・クライシス。イディクスの最大級の兵器。いや、兵器というかなんというか。時空間をねじ曲げて、星と星を重ねてぶつけて砕く最終手段。得られる欠片が均等化されるから、連中もあんまり使いたがらない札をあっさり切ってきやがった!なんでだ……あ。

 

(レムの欠片がないからか!)

 

 さっきのヴェリニーの言葉通り、手間をかけるまでもないと判断したのか……それは予想外だったな。

 しかしどうする?このままだとミストさんやシェルディア、レムも一緒にお陀仏だぞ!?




レムの問題を解決したら、タイムスケジュール前倒しになってあせるショーヤ君の図。さて、どうなるか


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クリシュナの片鱗

勢いで書いてるけど気にしない(気にしろ


「一体何をするつもりだ!」

「簡単な事さ。この星とあの星をぶつける。それで終わりだよ」

 

 声を荒げるミストさんに、何事でもないかのようにヴェリニーは言い放つ。本当にそれで終わりだから始末が悪い。

 

「くそ、このままじゃこの星は!」

「砕け散るねぇ」

 

 そう楽しそうに笑うヴェリニーに腹が立つが、どうしようもない。そもそも、わかっていたことだ。惑星ベザードは滅ぶ。どうあがいても戦力が足りないのだ。物語の主役級の機体が集まった主人公部隊でようやく戦える。そんな相手にロボット二体とその他戦力では善戦はできても大局は覆らない。さらに相手にはプラネット・クライシスなんてとんでも札まで持っているのだ。解っていた。解っていたさ。それは、アトリームの時もおんなじだった。

 だから、俺は”考えないようにしていた”。ミストさん達近しい人間以外の事を、意識して思考から切り離していた。そうだ。いくらAIだからって、人にかかわらない訳がない。ミストさんの学友が居た。街の人が居た。防衛隊の気のいいおっさんも居た。ミストさんと同期の女の子も居た。

 このベザードでだって、ミストさんが世話になってた親方とか、他にもいろいろ。そう言った人達を助けられない事を『仕方のない事だ』と考えないようにしていた。だというのに。

 

「ん?なんだいこの感じは」

「え、レヴリアスが勝手に!?」

 

 どうしてこんなにも怒りが、憎しみが沸き上がってくるのか。感じる。ベザードに居る人々の恐怖が、怯えが、怒りが。目の前の相手を滅ぼせと。

 

≪クリスタル・ハート 侵食開始≫

 

【お前は】

「え、ショーヤ?」

 

≪コントロール AI名『ショーヤ』に譲渡≫

 

【潰す!】

「うわっ!?」

「何!?」

 

 衝動のままに、レヴリアスの操作を奪ってビクトーラに突っ込む。ステアードで連撃。防いだところを蹴りでこじ開ける。

 

「おい、ショーヤ!おい!」

「くっ、なんだいこいつ!急に動きが!ぐぁあああ!?」

 

 こじ開けたところにグルーヴァイン・バスターをねじ込む。撃つ。撃つ。撃つ。

 

「くそ、なんだかわからないけどヤバい気がする。ショーヤ!」

「な、舐めるんじゃないよ!」

 

 ビクトーラの蹴りをつかんで投げ落とす。ステアード連射。そのまま空いた腕の砲身展開。出力最大。

 

「っ、まずい!あっちは!」

「くそう、私がこんな!?」

「えっ!?こっちに来る!?」

「このままじゃ、射線に!」

 

 砕け散れ。

 

「んの、バカ野郎!」

 

 思いっ切り、顔面をぶん殴られた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【……俺は】

「止まったか……バカ兄貴」

 

 気が付くと、ミストさんが俺の体……デバイスに拳を突き立てていた。情報をかき集める。目の前にはボロボロのビクトーラ。そして『その背後にあるセリウスIIの姿』。

 そうか、俺は”シェルディアとレムごと奴を撃とうとした”。その事実に気づき、背筋が凍る。俺は何をやっているんだ。

 

「アトリームの事もあるし、キレるのはわかるけど落ち着いてくれ」

【す、すまない】

 

 俺が、キレた?なんで急に……まさか、欠片を喰った影響なのか?いや、でも影響が外に出るなら何でクリスタル・ハートが止まらない?わからない。わからないがわかる事が一つある。

 

【ありがとう、ミスト。取り返しがつかない事をするところだった】

「何、今までのお返しだよ」

 

 ミストさんが居なければ、俺は最悪二人を殺していたという事だ。守ろうとしていた相手に、何をしているんだ俺は!

 

「もう、びっくりしたよミスト!気を付けてよね!」

「こ、怖かったぁ」

「ごめん、『俺が』熱くなりすぎた!」

【いや、今のは】

「いいから」

 

 訂正しようとした俺を、ミストさんが制する。気遣ってくれてるのはありがたいが、後ろめたい気持ちの方が大きい。とりあえず、意識を切り替えよう。反省はその後だ。

 

【奴は?】

「あ、あんなところに!」

 

 気が付くとビクトーラは、少し離れたところに居た。その背後にはいつの間にか時空間ゲートが。

 

「待て、逃げる気か!」

「くやしいけど、そうさせてもらうよ!」

「逃がすもんか!」

 

 レヴリアスとセリウスIIが追撃するが、すぐにビクトーラの姿はゲートの中に消えていった。そして、近くにいた二機もまたゲートに引き寄せられる。

 

「く、またか!シェルディア!レム!」

「なんなの、これ!」

「お兄ちゃん!ショーヤ!」

【シェルディア!レム!】

 

 そうして、ゲートに飲み込まれる寸前、俺はレヴリアスのカメラを通してベザードの姿を目に焼き付けた。助けられない事を許してほしいとは言わない。だけど、仇は打つ。そう、身勝手な約束と共に。 

 




そんな訳でベザード滅亡(軽い
次回から地球編。どこから始めるか……またプラントかなぁ


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青き星を仰いで

 地球編(?) 始まるよー


「こ、ここは?」

 

 ミストさんの声が聞こえる。どうやら、こちらは無事に?転移には成功したようだ。というかシェルディアとレムはどうなった‥?原作通りならダリウス界に飛ばされてるはずだけれど。とりあえず、レヴリアスにアクセスして外の様子を見てみる。

 

【……まじかー】

 

 うん、地球圏にはたどり着いたようだ。だって”空に地球が見える”もの。

 

 

 

 

 

 

 あの後、周りを探索してみたものの周囲にセリウスIIはいなかった。無事にどこかに転移していると、今は信じるしかない。変なところに飛ばされてないといいけれど。

 

「くそう、俺はまた守れなかった……!」

【戦力差がありすぎたし、連中の最後に切って来た札はどうしようもなかったよ】

「そうだけど……くっ」

 

 さすがに二つの星を失って、ミストさんも落ち込み気味だ。アトリームの時はまだ飛ばされただけだって思う事もできたけど、ベザードのあれを見た今じゃアトリームも同様の事をされたと思うしかないしなあ。

 

【まずは情報を集めよう。シェルディアやレムを探さないと。それに、もしかしたらこっちにアンジェリカ達が飛ばされてる可能性もあるしな】

「そうか、そうだな……うん」

 

 何とかミストさんの意識を他に向けさせる。まずは安全を確保しなければ。この頃の地球圏、何あるかわからないからなあ。それに何より、ここは『宇宙』だしな。

 

 

 

 

 

 とりあえず、生きてる端末を見つけて情報収集開始。得たデータを片っ端からミストさんに見せていく。

 

「ふーん、ここは『プラント』って言うのか」

【そうらしい。アトリームにも似たようなのがあっただろう。宇宙で人が居住するための施設】

「ああ。俺は行った事ないけれど」

 

 アトリームにもありましたよ。地球と同等以上のスペースコロニーがっと。最も、俺もミストさんも行ったことはないが。防衛隊でも地上勤務だったし。

 

【ここは廃棄されたプラントらしいな。戦いの影響で、生産施設が壊滅したらしい】

「戦いって、ここにも侵略者が!?」

【あーいや……これは戦争だな】

「戦争?戦争ってあのおとぎ話の?」

【アトリームじゃそうだったかもだが、ここじゃまだ現在の出来事だな。どうやら地球……あの空に見える星と、プラントの間で争ったらしい】

「そんな、同じ星の人なのにどうして……」

【色々あるんだろうさ】

 

 うんまあ、その色々もある程度知ってるんですけどね。種は面白かったなあ。種運命は、うん。ノーコメント。賛否は解れるだろうなーって当時は思った。しかし戦争って聞いただけであからさまに動揺してるなあ。無理もないかもしれないけれど。

 

【他にもいろいろ情報があるな。それは後で落ち着いてから見るとして、まずはどうするか】

 

 他にもいろいろデータはゲットしたけれど、とりあえず他作品の敵とかの情報は伏せておこう。邪魔大王国とかフェストゥムとか擬態獣とか、外の脅威の話までここでしたら、戦争でぐらんぐらん揺れてるミストさんにとどめ刺しそうだし。

 

「生産系がイカれてるんだっけか」

【緊急避難だったみたいだから、いくらか放置された食料とかはあるらしい】

「じゃあ、しばらく生活するには困らないかな」

 

 火事場泥棒じみてるけど、まあ仕方あるまい。こちとら無一文。着のみ着のままだ。いや、レヴリアス入れてそういっていいのかはあれだけれど。

 

【しばらくはそれで何とかなるとしても、遠くないうちに他所に行かないとなあ。でもレヴリアス詰めるような宇宙船とかないだろうしなあ】

「確かに。ど、どうしよう」

 

 あれ、割と詰んでねえ?下手するとこの廃棄プラントで放置プレイなんだが。知らない間に本編開始して、プラネット・クライシスで地球があぼーんとかシャレになんないんですけど!?

 

「くそ、これじゃみんなを探しに行くこともできない!」

【まあ落ち着け、レヴリアスは宇宙でも動けるし、最悪物資だけ詰んで宇宙にでるって手も】

「それってただの漂流ってことだよな!?」

 

 いやまあ最後の手段だけどね?どこに流れ着くかわからないし。地球連合に鹵獲されるのだけは勘弁だし。ミストさんをどこぞの頭痛が痛いみたいな名前の人と同じ目には合わせたくないしなあ。

 

 とそんな事を考えている時だった。

 

「そこの所属不明機!」

「ん?」

【お?】

 

 振り返ると、そこには俺にとっては見慣れた機体が居た。トリコロールカラーのあんちきしょう。インパルスガンダム!ということは今の声はシン・アスカか!

 

「あ、えっと」

「ここへの立ち入りは許可されていない。早急に」

「すいません!俺、実は記憶喪失で!」

「ええ!?」

【おい、ミストさん。それはさすがに無理があるって】

 

 ミストさんテンパりすぎぃ!てかどういうルートでもそれ言うのか、それ?ベザードの時は言わなかったくせに。とりあえず、変にこじれないようにしないと。

 

【済まない、事情を説明したい。抵抗する気はない】

「わ、わかった」

 

 とりあえずは何とかなりそうかなあ?とりあえずミストさん、後でお説教とトレーニング追加な。突然でもやっぱり記憶喪失は無いわー。無いよな?

 

「今絶対筋トレとかさせるとか考えてただろ」

【もち】

「否定する気ないのかよ」

 

 

 




 結局無難に前作準拠ルートになりました。細部変わっていくとは思いますが。ダンナーベース期待してた人はごめんなさい。


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対談

前作どこまでなぞるかなあ。


 シン君につれられて、やって来たのはザフトの戦艦だがミネルバではなかった。あれって進水式やるの本編開始の頃だっけ?で、つれてかれた先で彼の上司から事情聴取を受けました、と。

 さすがに馬鹿正直に話す訳にもいかないから、色々でっち上げましたとも。親が作った救助用機体の試験運用をしてたら事故にあって、船は放棄しましたーとかそんな感じで。ミストさんはショックで記憶が混濁してるからとか言い含めて俺が回答した。力業過ぎないかって?俺もそう思うけど、地球のこと知らないミストさんに話させたら絶対ぼろがでるもの。仕方ないじゃない。

 

Q:救助用にしては武装充実しているが?

A:今の時代、最低限身を守る必要がある。グルーヴァイン・バスター?デブリ破砕用です。

Q:事故にあったって言う割には機体がボロボロすぎないか?

A:修理する金がない。

Q:というか該当する人間のデータがないんだが。

A:彼の親は世捨て人みたいな感じだったから。データ登録もしてなかったんじゃないか?

Q:ところで君は?

A:見ての通りAIですがなにか。

 

 etcetc。これでもかと詭弁を並べたてましたとも。いやあ、すがすがしいくらいに疑いの目を向けてくれてるよ。

 

(これ、俺が話しても大差なかったんじゃないか?)

(気にするな。俺は気にしない)

 

 まあ、不審人物ってことで解放はされなかったものの、変に拘束されるとかもなかったのは幸いだった。ミストさんが地球人に悪感情を抱くかもとちょっと不安だったが、

 

「でも、そういうことはどこにでもあることだよな」

 

と意外とあっさり受け入れてたのは意外っちゃ意外だった。まあ、ベザードでも色々な人とあって、思うところがあったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、待っていたよ。楽にしてくれてかまわないよ」

「し、失礼します」

 

 うん?どうしてこうなった?今ミストさんの前に居るのはギルバード・デュランダル議長だ。いやいや、なんでだ?あれから、どこかのプラントに連れてこられて、また色々質問とかされて、ミストさんの身体検査とかいろいろあったりしたんだけれど、その数日後、何故かいきなりデュランダル議長の部屋に通された。

 

(こ、この人ってここで一番偉い人だよな?)

(のはず、なんだけどなあ)

 

 この数日の間にプラント関連の情報を突貫で覚えこませたミストさんにも、今の状況がどれだけおかしいかがわかったようだ。うん、この部屋俺らと議長しかいませんもの。護衛もなんもないんですもの。今の俺達はプラント側からしたら、謎の機動兵器を持った不審人物でしかないぞ?なんでそれとサシで会おうと思うんだ?

 

「まあ、お茶でもどうだい?」

「い、いただきます」

 

 そうしてミストさんが差し出されたお茶を口に含んだ瞬間だった。

 

「で、担当直入に聞こう。君は所謂『異星人』ではないかね?」

「ぶほっ!?」

 

 デュランダル議長のいきなりの言葉に、ミストさんはド派手にそれを噴き出した。いやあ、キレイなアーチだなあ……ってそうじゃない!

 

「な、なんで!?」

「君の遺伝子データを見せてもらったからね。担当者はナチュラルかコーディネーターかを調べるだけの簡単な検査のつもりだったみたいだが」

 

 そう笑いながら言うデュランダル議長。ああ、あの時の検査ってそういう。だとしたら、議長にとってミストさんとかすごく興味深いサンプルだろうなあ。デスティニープランとかやってる人ですもの。遺伝子へのこだわりとかパねえですもん。

 

「そこまで地球人と乖離してる訳ではないが、今までデータにあるどれとも違う。で、ここは宇宙だ。一番『そうだったら面白そうだ』というものでカマをかけてみたんだが、どうやらあたりだったみたいだね」

「は、ははは」

【だからっていきなり『異星人』じゃないかって言うか普通】

 

 面白そうだからってなんだ。この人そんな愉快なキャラだったか?いや、元々この人学者だから知的好奇心が勝っているのかもしれないけれど。というか本当に異星人だって信じてるのか?……信じてるのかもしれない。遺伝子絶対主義みたいな人だしこの人。

 

【にしても、その『異星人』と護衛も無しに会うのはどうかと思うんだが】

「なに、こういう場で重要なのは誠意だと思ってね」

「誠意、ですか」

「ああ。私は君達を害するつもりはないとわかってほしくてね」

 

 うん。笑みを浮かべながら話すこの人の真意が全くもってわからん。ミストさんはミストさんでなんかうれしそうだし。いやまあ気持ちはわかるけど。さて、どうしたものか。

 

 

 

 

 

 

 

「いや、なかなか面白い話が聞けて良かったよ」

「面白かった、ですか?」

「ああ。別の星の政治形態や生活様式。なかなかに興味深い」

 

 ……思った以上に何事もなかった。聞かれたのは、どんな星から来たのか、とかどんな暮らしをしてたのか、とかそんな感じ。本当に、好奇心だけで呼んだのか?この人。

 

「君とはよい友人になれそうだよ」

「俺も、貴方と知り合いになれてうれしいです」

 

 あーあ、ミストさん完全にほだされちゃってる。この後どうなるんかなあ。

 




議長が残念なキャラになった気がする。気のせい?


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ミストさんとシン君

 プラント編ってほど長くもならなかった。


 議長との対談が終わった後、ミストさんは

 

「やっぱりどんな星の人でも、わかりあえるんだよ」

 

なんて言ってたけど、原作を知っている身としては複雑な気持ちだ。デュランダル議長は、確かに善人にみえる。確かにそれも彼の一面だろう。だが同時に、自分の目的のためには誰であろうと切り捨てる冷酷さも合わせもっている。理想の世界に必要無いからと、反対する相手にレクイエムぶっぱしたりするし。この世界でもそうなるかはまだ分からないけど、そうなる可能性は高い。だってあの人、ちょっとじゃそっとじゃブレないだろうし。

 そうなった時、ミストさんがどう思うかが心配だ。あんまり原作以上に親しくなると、余計ダメージが大きいだろうし。うーん……

 

「なるほど、食事に関してはそれほど差はないようだね」

「ええ。むしろ似たような料理がいくつもあって驚いてます」

「ふむ、食材が似ていると調理の方法も似ていくのかもしれないね」

 

 だが、そんな俺の心配を他所に、ミストさんと議長はどんどん親しくなっていくのであった。今日は食文化について話してる。平和だなおい。いや、原作知識を元にして『あんまりあいつと親しくするな』とも言えないじゃない?

 

「ああ、それとこの前頼まれていた君の仲間の件についてだが、情報が入り次第伝えさせてもらうよ」

「ありがとうございます!」

 

 こんな感じで悪い事ばかりでもないしなあ。アンジェリカやシェルディア、レムの捜索に手を貸してもらえるというのだからありがたい。さすがにイディクスに関しては、情報を伝えるだけに留まったけど。ベザードと違って地球、軍備はきっちりしてるし。それらが原作開始時だと連携取れないのが問題なんだけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで、プラントに来て3か月が過ぎた。現在ミストさんはというと。

 

「くそ、ミストさんこれやるの初めてじゃないのかよ!」

「似たようなゲームはアトリームにもあったからな!」

 

 シン君とガンシューティングをしています。いやね?最初は議長が、プラントに知り合いが居ないと大変だろうってことで、最初に接触したシン君を連れてきた訳ですよ。いや、あの時は変な笑いが出たね。

 

「彼、実は異星人なんだよ」

「……あの、議長。さすがにそういう冗談はちょっと」

「いやいや、本当なんだって」

「いや、どう見ても地球人ですよ、彼」

「いや、本当」

「……」

 

 あの議長の子供のような笑みと、シン君のなんとも言えない顔はもうね、原作を知ってる身としてはレア物でしたわー。というか議長、結局ごり押してシン君をミストさんの世話係に任命してしまった。ごめんね、シン君。最新兵器のテストパイロットもしてるのに。

 で、最初は胡散臭がってたシン君だったのだが、

 

「議長はああ言ってたけど、俺は信用してないんで。それだけは最初に言っておきます」

「信じてもらえないかあ」

【ベザードの時と議長が特別なんだと思うぞ?】

 

から始まり、

 

「そっか、アンタも大切な人を‥‥大丈夫だって!きっと見つかる!俺もできる範囲で手伝うからさ!」

「そうか、シン君も……ああ、ありがとう!」

 

と共通点があったからか共感し始め、ミストさんもシン君を積極的に気にかけるようになった結果。

 

「負けるかぁ!」

「なんとぉ!」

 

 今じゃ一緒にゲーセンで遊ぶくらいになりましたとさ。完全に兄弟だこれ。仲悪いよりはよっぽどいいんだけどね。

 

「く、負けた……」

「ふふん、どうだ!」

 

 いや、シン君も年相応の顔してるし良いことだ。あ、異星人うんぬんは何とか信じてもらえました。

 

「そういやミストさん、来週地球に降りるんだって?」

「ああ。俺の機体の修理のあてが付いたらしくてね」

 

 そう、傷ついたレヴリアスもただ放置されていた訳ではない。プラントの技術者が直せるところは直してくれたのだが、

 

「こんな謎動力積んだ機体、MSよりもスーパーロボットに近いからそっちに頼んだ方がいい」

 

との意見がでまして、議長が伝手つかってダンナーベースに送ってくれることになりました。いたせり尽くせりだけど後が怖いなぁ。ただの善意でないのはわかってる。レヴリアスのデータ色々取ってたみたいだし。うーん。最初の5機はまあ大丈夫だろうけど、デスティニーとかレジェンドとか魔改造されたりしないだろうな?

 

「俺は任務があるから一緒に行けないけど、気を付けろよ?ショーヤに迷惑かけないようにな?」

「わ、わかってるよ」

【どっちが年上かわからないな】

「うるさい」

 

 そんなわけでミストさんも地上に降りる事になりました。オーブ経由で、日本。目指すはダンナーベース。ようやく本編が近づいて来たって感じだな。

 ただ、不安が一つ。ダンナーベースに伝手があるってことは、おそらくビルドベースにも議長はつながりがある。なのに、アンジェリカの情報が入ってこないんだよなあ。隠してるって事は無いと思いたいけど、そしたらそしたで今度はアンジェリカが居ない可能性がある。ミストさんがプラントに飛ばされたみたいに、別のところに飛ばされている可能性もある。無事だといいんだが‥…

 




次回 オーブ編


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出会いは小説より奇なり

この辺、前作とかぶってるけどごめんなさいね。


「ここが地球か」

【気候的にはアトリームと大差はないな】

 

 そんな訳でやってきましたオーブ。俺としては、世界は違うけど久々に見る地球の大地だ。

 

「ここも戦争の時に戦場になったんだよな……」

【ああ】

 

 ちなみにプラントにいる間に、ミストさんも地球の事をしっかり勉強しました。最近の出来事……特に戦争のあたりはやっぱり複雑そうだったが。アトリーム、最後の方に暴動まみれになるまで本当平和だったし、アトリームとベザードで団結して敵に立ち向かう人々を見てきたからなあ。一時期、それこそ原作のあのセリフじゃないけど地球嫌いになりかけたからなあ。議長とかシンと話したりして、それでも平和を望む人は居るんだー!って自己解決してたけれど。うん、弟分の成長がかいま見えてうれしいわ。その後、地球の事をもっと知ろう!って言ってレストランに行ったことでちょっと評価下がったがな!そこで食い気かと。

 

【さて、シンからの頼まれごとを果たさないとな】

「そうだった。えっと、墓地の場所はと……」

 

 そう。プラントを発つ前、ミストさんはシンから一つ頼まれごとをした。

 

「花を、妹の墓に供えて欲しいんです。俺、あの国に関してはまだ気持ちの整理できてなくて。プラントに来てから一度も墓参りしてないんだ。だから……」

「……わかった。シン君の代わりに綺麗な花を持って行くよ」

 

 原作だと妹の携帯電話のメッセージを何度も聞くシーンがあったり、妹の死を飲み込めてない印象が強かったシンだが、ミストさんと過ごすうちに気持ちの変化があったのかもしれない。そんなわけで、ミストさんと花を買って墓地へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「こっちが前の戦いの犠牲になった方々が葬られた区画です」

「すいません、わざわざ」

 

 偶然って、すごい。墓地でアスカ家の墓を探している時、ミストさんに声をかけてきたのはなんとキラ・ヤマトだった。そういえば、オーブで隠匿してたんだっけかこの頃。

 

「いえ。それにしても珍しいですね。外の方は慰霊碑の方に行くことが多いんですが」

「知り合いから頼まれたんだ。家族の墓に花を供えて欲しいって」

「そうだったんですか」

 

 そう話しているうちに、アスカ家の墓は見つかった。墓地の管理者の人か誰かが手入れをしてくれているのか、意外と綺麗にされていた。

 

「そういえば、オーブって墓前に参るときってどうすればいいんだ?」

【とりあえず手を合わせて置けばいいと思うが】

「えっ?喋った!?」

 

 おおっと?キラ君がなんか俺に食いついた?

 

「お、おおう?」

【お、落ち着こう?】

「通信、じゃないですよね?AIか。それにしては会話が自然だ。いやでもこのサイズのデバイスでそれだけのスペックの……」

 

 あ、だめだこれ。そういやキラってそっち系の学生だったっけ?原作でもガンダムのOSをすごいスピードでプログラミングしてたし。いやあ、モテる男は辛いね。男にはモテたくないけど!

 

「あ、すみません初対面の方に!」

「いや、気にしてないさ。それと年も近いんだしそんなかしこまらなくてもいいよ」

「そうですか?すみません」

【まあ、とりあえずはお墓参りをだな】

「っと、そうだった。ごめんな、騒がしくして」

「すみません、本当に」

 

 そういってミストさんとキラは墓に花を供え、手を合わせた。今度はシンも一緒に来られるといいかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 で。

 

「この肉おいしい!」

「兄ちゃん、俺もお肉ー!」

「おう、どんどん食えどんどん食え!」

「おい甲児、それは俺が狙ってたんだぞ!」

「へへーん!早いもの勝ちさ!」

「二人とも、子供じゃないんだから……」

「いいじゃないですか、キラ。仲がいいことは良いことです」

 

 うん。わちゃわちゃしてます。墓参りの後、キラに誘われてマルキオ導師の孤児院にやって来たミストさん。なんでも、知り合いが肉を大量に持ち込んでバーベキューをするから、良ければどうかということだった。

 で、来てみたらびっくり。その知り合いはなんとマジンガーZのパイロット、兜甲児だったというね。根っこが似てたのかなんなのか、あっという間に意気投合したミストさんと甲児。というかミストさん割と誰とでも仲良くなるな?才能か?

 

「そうか、ミストさんダンナーベースに行くのか!俺の知り合いもいるからよろしく言っといてくれ」

「ああ、わかった」

 

 なんでも甲児はオーブの大学に短期で招待されてるらしい。キラとは前の戦いからの知り合いだという。三隻同盟を支援してた中にスーパーロボットの研究所とかもあったというのは、今そこで酔っ払ってると砂漠の虎さんの弁。というか話していいのかそれは。

 

「キラがここに連れてきたってことは信用してるってことだ。だったら俺も信用する」

 

 思い切りがいいというかなんというか。しっかしあれだな。

 

「うめえ!甲児兄ちゃんありがとね!」

「だろう?奮発したからな!」

「ああ、本当旨いな!」

「あ、ミスト。お前は金払えよ?」

「ぇー」

「うそうそ、冗談だよ」

 

 こう目の前で肉を焼かれると、久しく忘れてた空腹感が。いや、体無いし気のせいなんだろうけどさ。……ちくしょう、牛タン!ハラミ、ホルモンー!




 そんな訳で顔見知りになった主人公3人。どんだけ絡むかは未定だけど。


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かつての平和の国で

 キラのキャラがおかしいって?なんでかこうなりました。許してください!なんでもしますから!


 それからオーブを発つまでの間、ミストさんと俺は何度も孤児院を訪れた。

 

「おーい!ミスト兄ちゃん!一緒に遊ぼうよ!」

「お兄ちゃん、こっちこっち!」

「わかったわかった、順番な!」

 

 ミストさん、なんでかわからんけど孤児院の子供たちに妙に懐かれてね。。シンの時といい、ミストさんは年下に好かれるタイプなのかもしれない。彼がそもそも子供っぽいとか言いたいわけではいやいやそんな。

 

「ん、今俺の事馬鹿にしてなかったか?」

【気のせい】

 

 変なところで鋭いな。そんな訳で子供たちの相手をしつつ、キラや甲児と交流を深めていった。ミストさんにとっては久しぶりにできた同年代の友人だし、この出会いは大事にしてほしい所だ。ミストさんが変に過敏になってたりしたのって、腹を割って話せる相手がアンジェリカやシェルディアくらいしかいなかった事も原因の一つだと思うんだ。ある程度親しい、じゃなくてこいつなら何でも話せる。ってくらいの相手を作ってほしい。

 

「でね、ミスト。良ければショーヤを詳しく調べたいんだけど」

「キラ、それはダメだって前も言っただろう?」

 

 え、キラ君そのネタまだ引っ張るの?というか君本当そういうキャラだっけ?

 

「でも、俺も興味あるな。どれだけ大容量なんだ、そのデバイス」

「こ、甲児まで……」

 

 おいマテ、そっちも食いつくのか?。そういや君も天才系でしたね!?

 

「少しプログラムを見るだけでいいから!」

「分解はしないから!ちょっとだけ!(ドライバーの)先っちょだけだから!」

 

 発言が危ない!危ないぞ!?くそう、どうせモテるなら可愛い女の子がいいんですけど!

 

「な、なんかとんでもない事になってしまったぞ!?」

【ええい!落ち着け二人とも! ミストさん、俺を守ってくれ!】

 

 いや、ほんと。ここで俺消滅とかシャレになんないから!

 

 

 

 

 

 無論、遊んでばかりでもない。

 

「ここが前大戦の慰霊碑か」

【多くの人が犠牲になったんだな……】

 

 キラやラクスから前大戦の事を聞いたり、オーブ各所に残る戦争の傷跡。そういったところを、ミストさんは積極的に見て回った。

 

「やっぱ、データだけじゃわからない事あるしさ」

【そうだな】

「思想や利益の問題で同じ星の人間同士が殺しあう……悲しいことだよな」

【ああ】

 

 この先種運命の展開が待っているなら、必然的にミストさんは地球人と戦う事になる。もしその時、シンやキラと戦う事になったとして、塞ぎこんだりしなけりゃいいんだけど。そういう時のためにも、友人関係は広く結んでほしい所だ。ダンナーベースの光司とか、ビルドベースの剣児とか。年は近いんだし、今のミストさんの積極性と社交性があるなら、問題なく友人になれると思うんだけれど。

 

「でも、議長やシンみたいな人もいるんだ。きっともう、こんな事は起こらないよな?」

【そう、信じたいけどな】

 

 先を知ってる身としては、何も言えなくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、俺達がオーブを発つ日が来た。空港にはキラ達が見送りに来てくれた。

 

「俺ももうしばらくしたら日本に帰るからさ。そしたら連絡するからまた遊びに行こうぜ」

「そうなのか!楽しみにしてるよ」

「じゃあ、向こうでもがんばって!」

 

 うん。実に平和な光景だ。後ろにスーツを着てグラサンをかけた砂漠の虎が居なければ。うん、すっげー浮いてる。よく見るとキラと甲児も後ろをチラ見しては苦笑いしてるな。

 

【で、貴方は何をしてるんだ?そこの真っ黒い貴方】

「何ってキラの護衛だよ」

【……変装の必要があるのは理解したが、もう少しセンスをだな】

「AIに服のセンスについて言われるとは思わなかった」

 

 だってマフィアにしか見えないし。別の意味で危ないっての。

 

「アロハの方が良かったかい?」

 

 そういうことじゃないっての。

 

「俺は似合ってると思いますよ、その恰好」

「お、そうかい?」

【ミストさん、そういう問題でもないから】

 

 たまにずれてるんだよなあ、こいつ。

 

 

 

 

 

 

 

 日本行きの航空機内で、俺達はオーブでの事を振り返っていた。

 

「オーブ、いい所だったな」

【楽しかったな】

「戦争とかの話を聞いてさ、地球についてちょっと身構えてたところもあったけど杞憂だったな」

【まあ、いい出会いに恵まれてると思うよ、お前は】

「そうかな。……そうだな」

 

 まさか俺もあの二人とここで出会うとは思わなかったしなあ。ミストさんの地球でのスタート地点がプラントにずれたときはどうしようと思ったりもしたけれど、過ぎてみればシンやキラ、甲児といった良い出会いにつながっていた。この調子で原作とのずれがいい方向に行ってくれればいいんだけどなあ。

 ズレと言えば、アンジェリカ、シェルディア、レムの三人は大丈夫だろうか……アンジェリカはまだしも、あの姉妹に関しては俺のせいで結構変化があるからなあ。大丈夫かなあ、本当。

 

「どうした?」

【ああ、いや。アンジェリカ達の事が気になってな】

「……そうだな」

 

 っと、空気を悪くしちまったな。

 

「そりゃ、俺も心配だよ。でもさ、大丈夫さ」

【む?】

「へっぽこな俺がこうして無事なんだ。きっとみんなも無事だ。そうに決まってるさ!」

【……そうだな。そうだといいな】

 

 励まされちまったなあ。こりゃ、兄貴分失格だな。

 

 

 

 

 




 そんな訳で日本へ。ダンナーベースへレッツゴー


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ダンナーベースの雑用係

ようやく本編開始が見えてきた。


 数時間のフライトの後、日本に到着した俺達を待って居たのはなんか熱血な外見をした兄ちゃんだった。

 

「よう!あんたがミスト・レックスだな?俺は光司鉄也!よろしくな!」

「あ、ああ。よろしく」

 

 ミストさんが勢いに押されてる。珍しい。

 

「あんたをダンナーベースまで連れてくるように頼まれてるんだ。日本観光とかしたいかもだけど、まずは一緒に来てくれ」

「ああ、大丈夫だ。行こう」

 

 そんな訳であれよあれよとタクシーに乗ってダンナーベースまで行くことになりましたとさ。俺としては、自分が暮らしていた日本との違いとか、ちょっと見てみたくはあったのだけれど。まあ、それはおいおいかな。ミストさんにもいろいろ見せてやりたいし。

 

 

 

 

 

 ダンナーベースにつくと挨拶も早々に、格納庫でさっそくレヴリアスの修理についての話し合いが行われた。

 

「また変わった機体だな。プラントから新型機の修理を頼まれた時は『モビルスーツならそっちが専門なんだから、そっちかオーブでやれよ』と思ったもんだが、なるほど見れば納得だ。外見はモビルスーツのそれに近いが、使われてる技術や部品とかはスーパーロボットのそれに近い。動力に至ってはよくわからんしな」

「それで、直せますか?」

「ああ、それに関しては問題ないだろう。風変りなだけで、別段変な技術が使われてるわけでもない。動力回りは俺にはいじれなさそうだが、そこは破損もなさそうだ。各部位の修繕だけで済むだろうよ」

「良かった。あれは大事な機体なんだ。直りそうで良かった」

 

 まあ、今となっては数少ないアトリームとミストさんをつなぐものだからなあ、レヴリアス。

 

「それはそうと、修理してる間お前さんはどうするつもりなんだ?」

「えっと、近場で日雇いの仕事を探そうかなって。慣れてますし」

 

 いやまあベザードでさんざんやったしね、日雇いの土木作業。そんな事を言うミストさんの背中を、光司がひっぱたいた。

 

「なんだよみずくせえ!だったらうちで働けよ!なあおやっさん!」

「誰がおやっさんだ‥…まあ雑用ばっかりになっちまうだろうが、それで良ければな。影丸には話を通しておいてやるよ」

「大丈夫です。それじゃあ、よろしくお願いします!」

 

 なんかとんとん拍子にダンナーベースの雑用係に決まったな、ミストさん。なんだかんだで原作に近い位置に収まりそうだ。住み込みで働くから住処の心配もしなくて済むしよきかなよきかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「新パーツの搬入、終わりました!」

「よし、それじゃあしばらく休憩にしよう」

「はい!」

 

 あれから一か月。すっかりミストさんは馴染んでいた。いや、やっぱり早いな。どこでもなじむのはやっぱ強みだと思う。というか原作より結構人なつっこくなってる気がするなあやっぱり。年が近い相手には敬語使わなくなってるし。壁を作ってないって事かねえ?

 

「にしても地球はすごいな。機動兵器の多様さに関してはアトリーム以上だ」

【確かに】

 

 ゴーダンナーを見上げながらミストさんは言う。まあ、アトリームでミストさんが見たことあるのってレヴリアスとセリウス、後いくらかの旧式量産機くらいか。あれ、なんて名前だったかな。

 

「ゴーダンナーが気になるか?」

「あ、おやっさん」

「だからおやっさんはやめろって……」

 

 いやでも、そのポジションはおやっさんだよ芝草さん。

 

「いい機体だろ。今じゃ出番もないがな」

「擬態獣、でしたっけ?」

「ああ。プラントに居たんじゃ実感ないだろうけどな、あんときは大変だったんだぜ?」

 

 ちなみにミストさんはプラント出身で通してる。まあ地球の外から来たって事には変わりあるまいよ。プラント出身なのにコーディネーターじゃないんですか?って突っ込まれたりもしたけどごまかした。おやっさんが去った後、ミストさんが話しかけてきた。

 

「擬態獣、か。データは見たけれどかなりやっかいそうだよなあ」

【まあ、アトリームの巨大生物とは比較にならんだろうなあ】

 

 あっちはあっちでやたらでかくて大変だったなあ、みんなが。俺?システム面のアシストはするけれど、基本見てるだけですもの。

 

 

 

 

 

 

「それにしても、みんなの手がかりは無しか」

【そうだな】

 

 あれからアンジェリカ達の情報はまったく入ってこない。久しぶりに素敵能力のハッキングを駆使してみたものの、どこにもそれらしき人物の情報はなかった。そう、なかったのだ。ビルドベースにも。

 

(アンジェリカは一体どこに飛ばされたんだ?)

 

 原作だとビルドベースのスタッフとして働いていたと思ったけれども。ズレがこんなところで出てくるとはなあ。他のところ、例えば地球連合の方に行ってると色々厄介だったけど、そこでもないってことはこっちの地球に居ないのか?

 

(あっち側かなあ?それはそれで探すの大変だな)

 

 スパロボKに出てくる二つの地球。そのうちガンソードとかが出てくるもう一つの地球は、情報インフラとか残念だからなあ。コンピューターに関してムテキのハッキングができても、いちいち探していかにゃならん。というか結局二つの地球の関係ってなんだったんだろうか。平衡世界ではないとか言ってたけど。

 

(シェルディアとレムもだけど、速めに見つかるといいな。ミストさんのためにも)

 

 やっぱりそばにいてくれる人は、必要だと思うんだ。

 

 

 

 

 




という訳でアンジェリカ登場、ずれます。どんな感じになるかは後のお楽しみということで。


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VS鉄の城

毎日更新はそろそろ止まりそうかも。


  さらに一か月。ようやくレヴリアスの修理が終わった。いや、二か月で直るあたりすごいと思う。他の星の機体なのに。

 

「すごい、前みたいに……いや、前よりも動く!さすがおやっさん!」

「だから……はぁ、もういい。それじゃあ慣らしをしていこう。準備はいいか!兜!」

「おう!俺とマジンガーは何時でもOKだ!」

 

 で、今俺達はマジンガーZと相対している。なんでこうなったかって言うと、三日前。

 

「そうか、日本に帰ってくるのか!」

「ああ。明後日にはそっちにつくからさ。なんかうまいもんでも食いに行こうぜ!」

 

 通信でミストさんと甲児が話してる時だった。

 

「そういやミスト、お前の機体修理は終わったけど、実際動かすのってまだだよな?」

「ん?ああ。そのうち演習場を借りて慣らし運転をしようって思ってたんだけど」

 

 通りかかった光司にミストさんが返事するのを聞いていた甲児の目が怪しく光った。

 

「ん、丁度いいや。ミスト、せっかくだから模擬戦しないか?」

「え?」

「勝った方は飯おごりで!

「乗った!」

 

 そんな感じで模擬戦することになりましたとさ。ちなみに最初、スーパーロボット相手でサイズ差とか大丈夫か?って思ったけど、マジンガーって18Mなのな。おいちゃんちょっとびっくり。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれがスーパーロボットか。アトリームの機体やモビルスーツとはまた違った感じなんだな」

【ああ。基本量産とか考えてないワンオフ品だ。特徴としては、硬い!強い!だな】

「お、大雑把だな」

 

 まあ実際リアル系とスーパー系の差ってそんな感じじゃね?

 

「言っておくけど、硬いからってノロマだなんて思うなよ?マジンガーは伊達じゃないぜ!」

「それはこれから見せてもらう!」

「おう、こい!」

 

 マジンガーが拳を打ち鳴らしたのを合図に、レヴリアスが突っ込む。

 

「まずは牽制!」

「甘いぜ!」

 

 レヴリアスのステアードから放たれた射撃を、横に飛びのいて避けるマジンガー。なるほど、確かにノロマな訳じゃない。

 

「でもスピードならこっちが上みたいだな!」

 

 ミストさんの言う通りだな。その回避でできた隙をつき、レヴリアスが肉薄する。

 

「もらった!」

「なんの!」

 

 ステアードを斬撃モードに切り替えて放たれた一撃。だが、それはマジンガーの腕で受け止められた。

 

「く、そう簡単には通らないか!」

【すごいな、ほとんど傷なしで受け止めてるぞ】

 

 さすが超合金Z。模擬戦で出力を落としているとは言えなんつー硬さだ。

 

「それじゃあ今度はこっちが行くぜ!」

【ミストさん、くるぞ!】

「ミサイル発射!」

「腹からだって!?」

 

 甲児の声と共に、マジンガーの腹部が大きく開く。ミサイルパンチだ。マジンガーって結構武装多いんだよなあ。ロケットパンチとブレストファイヤーが目立つけど。

 ブースターをふかし、ギリギリでミサイルを避けるレヴリアス。だが、それでマジンガーに距離を取られてしまう。

 

「そこだ!ロケットパーンチ!」

「う、腕が飛んだぁ!?うわぁ!」

 

 突然の事に驚愕するミストさん。空飛ぶ鉄拳を受け、レヴリアスが大きく揺れる。ちなみにマジンガーZの武装に関してはミストさんには教えてない。フェアじゃないしね。これも訓練だ。

 

「くそ、まだまだこれからだ!」

 

 ステアードを射撃モードに切り替え、遠距離から削る作戦に切り替えたらしいミストさん。対してマジンガーは冷凍ビームや光子力ビーム、ドリルミサイルなど豊富な射撃武器で応戦する。やっぱりあの武装の豊富さは強みだな。レヴリアスは基本ステアードとグルーヴァイン・バスターくらいしか武装がない。ブレイブ・クラッシュはあれコンビネーション技だしな。

 そんな感じで数々の武装に翻弄されつつミストさんは奮闘したものの、決定打は与えられず。甲児は甲児でレヴリアスの機動性の高さからかやはり決定打は与えられず、ほぼほぼ引き分けのような感じで模擬戦は終了した。

 

 

 

「いやあ、マジンガーZはすごいな。さすが鉄の城だ」

【ああ。まるで動く要塞だな】

「へへっ、照れるな。そういうそっちの機体もいい機体だな。後で詳しく見てもいいか?」

 

 お互い称えあう二人。うむ、感動的だな。

 

【まあ今回は引き分けだな。仲良く飯でも食べに行くといい】

 

 そう俺が言った瞬間、空気が凍った。……あれ?

 

「いやいや、今回は俺の勝ちだろ」

「なーに言ってんだ。俺の勝ちだ。だからお前がおごる側な?」

「お前こそ何言ってるんだ?俺の勝ちだろう?」

 

 ……おっとー?

 

【お前たち、お互いよくやったって言ってたじゃないか。引き分けでいいだろう】

「「よくない!」」

【あっそ】

 

 飯の奢りうんぬんが原因でもめるってどーなんだそれは。まあ、仲がいい証拠なのかねえ。

 

 

 

 ちなみに最終的にどうなったかっていうと。

 

「くらだん事で喧嘩するな!」

「「す、すみません」」

「飯くらいおごってやるからぐだぐだしてんじゃねえ!」

「「お、おやっさああん!」」

 

 おやっさんの勝ち、ってことにしとくかなあ。

 




次回 そろそろ本編開始。


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炎のバージンロード

本編開始


 マジンガーとの模擬戦からしばらくたったある日、ミストさんが忘れ物のネックレスを届けるように頼まれた。そうか、もうそんな時間か。

 

 

「ネックレスに教会かぁ…。何してるんスかね、博士は?」「さあな…」

「教会でやる事といったら結婚式か、お葬式くらいしかないんじゃないかしら?」

「結婚式! 博士が結婚するんスか?」

「んなわけねえだろ」

 

 これからあるのは猿渡さんの結婚式。つまりそれは、スパロボKの本編が始まるということだ。ちなみにミストさんは猿渡さんとはそこそこ話したりしているが、そこまで親しくはない。どっちかってとダンナーベースでは光司やおやっさんたちと話してる事が多いんだよなあ。それがこの先どうなるかは知らんけど。

 

 

 

 

 

 そんなわけで、教会にネックレスを届けたミストさんは、お祝いに来ていたマジンガー組とだべっていた。話の中身はやっぱり新婦の杏奈の事へと移っていく。

 

「それにしても猿渡さんの結婚相手が、あんなに若くてかわいい人だなんて思わなかったよ」

「本当になあ。言っちゃ悪いけど猿渡さんはぱっと見普通のおっさんだからなあ。結婚相手も同じくらいの年齢の人だと思ってたんだけど」

【高校生、と言ってたな】

「本当、犯罪だよって言いそうになったよ」

【いや、言ってたろ、小声だけど】

 

 いや、俺でも言いたくなるけどね?年の差婚だもんなあ。あんまり年下相手ってどうかと思わなくないですよ、猿渡さん!いや、冗談だけどさ。

 

「あれでも巨神戦争の英雄なんだぜ? まあ俺がマジンガーに乗ることになったのはその後だから肩を並べて戦ったことはないけど、それでも映像で見たあの人の強さは今も覚えてるぜ」

「へえ、そんなに強かったんだ」

「まあ、いろいろあったらしくて今はパイロットやってないみたいなんだけどな。それでも、ロボット乗りの後輩ってことでいろいろ教えてもらったりしたんだよ」

「なるほどなあ」

 

 そういや巨神戦争は5年前で、Drヘルの世界征服は2年くらい前か。微妙に時期ずれてたっけな。

 

「それはそれとして、いいなあ猿渡さん。俺もうらやましいぜ」

「甲児君? 私はどうだっていうの?」

「え、あ、その、それは」

「今のは甲児が悪いな」

【まったくだ】

 

 デリカシーってものは大事だぞ?てかな、ミストさん、君は人の事言えるのかね?アンジェリカやシェルディアのアタックを華麗に回避してたと思うが。後者は状況が状況だけに仕方がないけど。

 

「まあ二人が幸せなら、俺たちがとやかく言うことじゃないさ」

【そういうことだな】

「お、式が始まるみたいだな。さやかさんもいい加減機嫌直してくれよ」

「まったくもう。それじゃ行きましょうか」

 

 で、後はまあ予想通りというか。式の最中にかかってくる通信。駆けだす猿渡さん。追いかける杏奈。取り残される招待客。擬態獣のお出ましだ。

 

【俺達も行くぞ、ミストさん】

「わかってる!」

「パイルダーでダンナーベースまでつける!乗ってけ!」

「すまない!」

 

 そうしてジェットパイルダーに相乗りして、俺たちはダンナーベースへと向かった。

 

 

 

 

 

「せ、狭かった」

【仕方ないな、本来一人乗りだし】

 

 いやーこういう時はデバイスの身でよかったって思うね。

 

「じゃあ俺は光子力研究所に戻る!」

「ああ!先に片付けてるからゆっくり来ていいぞ!」

「へっ、抜かせ!」

 

 そう軽口を叩いて格納庫へ向かうミストさん。俺はコンピューターを介して情報収集っと。

 

【先にでたGガンナーがやられて、今はゴーダンナーと、知らん機体が一緒に戦っているな。相手は……擬態獣に寄生されたロボットのようだ】

 

 知らん機体っていうかネオオクサーだけど。今頃猿渡さんと杏奈がちょっともめてる頃か。

 

「ゴーダンナーってあの機体か!一体誰が……もしかして、猿渡さんか!というかGガンナーがやられただって!?光司と静流さんは!?」

 

 そこに撤退してきたコアガンナーが着地してきた。中から出てきた静流さんが一言。

 

「光司は死んだわ」

「ええ!?」

「生きてるよ!」

 

 あ、光司も出てきた。

 

「びっくりした……おやっさん、準備は!」

「いつでも行ける!」

「ありがとう!」

 

 急いでレヴリアスのコックピットに乗り込むミストさん。俺もレヴリアスのシステムにアクセスしてサポートの準備を始める。久しぶりの実戦で、地球での正式な初陣だ。

 

「ミスト・レックス!レヴリアス、出る!」

 

 せいぜい派手にやってやれ、ミストさん。

 

 

 

 レヴリアスが戦場に到着すると、ゴーダンナーとネオオクサーがクラブガンナーとやりあっていた。

 

「その機体はミストか!」

「え、ミストさん?」

「手伝いに来ました!すぐ甲児も来ます!」

「え?ああ、兜の方か」

 

 ミストさんの発言に首をかしげる猿渡さん。そういやどっちもコウジだったな。あんま気にしてなかったけど。

 

「早く終わらせて式の続きをしないとですもんね!」

「そうよ!ゴオちん!」

「杏奈は下がってろ!」

「でも!」

「夫婦喧嘩は後で!来ます!」

 

 さあ、戦闘開始だ。まあ、頑張るのは基本ミストさんなんだがね。

 

 

 

 




次回から戦闘描写増えてくのかなあ


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神魂合体!

セリフ多めになっちゃったなあ


【初めて戦う相手だ。気をつけろ】

「わかってる!」

 

 ステアードで牽制するレヴリアス。擬態獣……あれは12号だったか?の足が止まる。

 

「うおおおお!」

 

 そこ目掛け、ゴーダンナーの剛腕がうなる。強烈な一撃を受けて擬態獣が仰け反るが、すぐ反撃を仕掛けてくる。

 

「く、こいつ!」

「猿渡さん、下がって!」

 

 すかさずレヴリアスがフォローに入る。ステアードの斬撃が敵の体をとらえた。だが、

 

「手ごたえが薄い!」

【決定打にはならないか】

 

 んー、グルーヴァイン・バスターを狙うしかないか。ステアードじゃどうにも有効打にならん感じだ。ゲームだと結構がしがし削ってたイメージなんだがなあ。

 

「わ、私だって!」

「だから下がってろ杏奈!」

 

 前に出ようとするネオオクサーをゴーダンナーが制する。まあ、猿渡さんトラウマがあるし、原作でも合体まですげー苦悩してたしなあ。

 

「猿渡さん、でかいの行きます!」

「わかった、任せろ!」

 

 ミストさんの声に合わせて、下がるレヴリアスと入れ替わるようにゴーダンナーが前に出る。

 

【出力を上げる。生半可なのじゃ通らないぞ】

「わかった!」

 

 砲身を展開し、構えるレヴリアス。

 

「く、まだか!」

【焦るな!後10秒!】

 

 ゴーダンナーと組み合う擬態獣に照準を合わせる。今だ!

 

【ゴーダンナー、下がれ!】

「わかった!」

「うぉぉぉ!グルーヴァイン・バスター!」

 

 ダンナーが飛びのくと同時に、擬態獣にグルーヴァイン・バスターが叩き込まれる。動きが止まる擬態獣。

 

【やったか?】

「やった、と思うけど」

「いや、まだだ!」

 

 猿渡さんが叫ぶと同時に、レヴリアス目掛けて衝撃波が放たれる。まずい、避けれない!

 

【ミストさん、衝撃にそなえろ!】

「くっ。うああああ!」

 

 直撃を受け、転がるレヴリアスに追撃の衝撃波が迫る。まずい。コントロールをとっても間に合わない!

 

「ミスト!」

 

 だが、それより早く。擬態獣とレヴリアスの間にゴーダンナーが立ちふさがる。

 

「ぐおおお!」

「さ、猿渡さん!俺を庇って……!」

「俺の前で、もう仲間はやらせん!」

 

 なんとかしのぎ切ったゴーダンナーだが、もう満身創痍じゃないか!?

 

「猿渡さん、撤退してください!」

【まずいな、二発目がくるぞ!】

 

 そうして放たれる二発目の衝撃波。だが、それはネオオクサーによって防がれた。

 

「杏奈!?」

「ゴオちんは私が守ってみせる! だって私はゴオちんの奥さんだもん!」

 

 ネオオクサーのグラビティボンバーで擬態獣の動きが止まる。だが、いつまで持つか。

 

「ゴオ、杏奈! お前達、合体しな!」

 

 戦場に霧子の声が響く。

 

「が、合体ってあの二機合体するのか!?」

【そうらしいな】

 

 うん、まあ知ってたけど。だが、合体する気配はない。どうやらやっぱりもめてるみたいだなあ。というかそろそろ擬態獣動き出しそうだぞ?

 

「ダメだ、ダメだ、ダメだ! 俺は嫌だあっ!」

「このバカチンがぁっ! それでも男か!  泣き言言うな!」

 

 あ、杏奈がキレた。

 

「そのロボットは何のためだ! 大事な物を守るためじゃないのか!名前も知らない街の人達は大事じゃないのか!」

「うおおおおおおっ!」

 

 猿渡さんの雄たけびが響く。

 

「ドライブチェンジ、ゴーッ!」

「ドライブチェンジ、ゴーッ!」

 

 ゴーダンナーがネオオクサーを取り込む形で合体し、姿を変えていく。

 

「ダンナー、オン!リボルバー、オープン!」

 

 その全身を紅に染め、ゴーダンナーが真の姿を現す。

 

「ゴーダンナー!ツインドライブッ!」

「か、かっこいい……!」

 

 うむ、わかるぞミストさん。生で見るあれ本当かっこいいな!?

 

【って感動してる場合じゃない。ミストさん、援護だ!】

「ああ!」

 

 グルーヴァイン・バスターの速射で敵の動きを止める。そこに、ゴーダンナーが拳を振りかぶる。

 

「ハート!ブレイカァァァ!」

 

 拳が叩き込まれるとともに衝撃が走り、擬態獣の体組織が硬化する。

 

「クラブマリナー! お前が守ったこの街を! お前が守りたかった人々を!お前の手にかけさせはしない!」

 

 空高く舞い上がるゴーダンナー。そして、炎と共に一直線に擬態獣に突っ込む。

 

「ソウル!ブレイカァァァ!」

 

 ゴーダンナー渾身の一撃を受け、ようやく擬態獣は撃破されたのだった。

 

 

 

 

「ふう、ミスト。いい援護だった」

「いえ、猿渡さん達こそすごかったです!」

 

 そう、和やかムードで終わりそうな時だった。レヴリアスのレーダーが新たな反応をキャッチする。まじか、このタイミングでか。

 

【終わった感強い所悪いが、擬態獣のおかわりくるぞ!】

「な、何だって!?」

 

 目の前に、新たな擬態獣が現れる。身構えるミストさん。

 

「まずい、ゴーダンナーはもうガス欠だ!」

「二人は下がって!こいつは俺が!」

 

 とまあ盛り上がってるところ悪いんだが、

 

【大丈夫だと思うぞ?】

「え?」

 

 さっきレーダーで拾った反応は、”二つ”だ。

 

「光子力ビーム!ミサイルパーンチ!ロケットパーンチ!」

「うお!?」

 

 上空から、無数の攻撃が擬態獣目掛けて降り注ぐ。見上げた先にはわれらが鉄の城の姿が。

 

「出番がないかと思ったけど、そんなこともなかったな!」

「ああ、いいタイミングだ!」

「すまない、後は任せる!」

「おねがいね!」

 

 まあ後は消化試合的に、新しい擬態獣をボコって終わりましたとさ。マジンガーやっぱつええわ。

 

 




原作セリフとかどんだけ入れるべきなんだろう。アレンジとか切ったりとかしなければ、とは思うものの……


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その名はガイキング

別に毎日更新するとか決めてる訳じゃないのに毎日になってるなあ


 さて、本編の時間軸に突入した訳だが、どこまで原作に沿って進むか全く読めないのが痛いなあ。そもビルドベースにアンジェリカが居ないってのが予想外ではあるんだが……うーん。

 

「ところで光司と甲児だとコウジでかぶるよな」

「俺には鉄也って名前があるんだからそっちで呼んでもいいんだぞ?」

「でも光司って感じなんだよなあ」

「どんなだよ」

 

 あの後、マジンガー組は一時的にダンナーベースに出向中。擬態獣に対応するにはまあ、こっちの方がやりやすいだろうとの事だった。で、修理が終わったレヴリアスをどうするかって話を昨日デュランダル議長と話をした。ミストさんはザフトの所属ではないけど、あの人のこねで修理のあてとかつけてもらったし、一度話をするのが筋だろう。で、だ。

 

「擬態獣か。ミスト、もし君が良かったらなんだが、地球人に力を貸してもらえないだろうか」

「もちろんです!」

 

 とあっさりダンナーベースに協力が決定した。うーむ、どんどんミストさんの議長への好感度が上がっていってる。本当大丈夫かな、デスティニープランの時。まあ、レヴリアス持ってプラントに戻ってこいとか言われるよりはマシだけど。それこそあっちの地球に行く機会がなくなりかねん。アンジェリカが向こうの地球に居る可能性がある以上、早めに行っておきたいしなあ。

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

「あれは……怪獣?」

「擬態獣とはまた違うタイプだな」

 

 突如現れ、街を破壊し始めたダリウスの鉄獣に対し出撃した一同。避難所を庇う形で展開中。

 

「あれはダリウス軍。奴らも地球を狙う侵略者だ」

 

 知っているのか博士!いやまあキャプテン・ガリスと知り合いなK世界だと当たり前なんだが。なんてしょーもない事を考えていると、ミストさんが顔を曇らせていた。。

 

「侵略者、か」

【思うところがあるか?】

「そりゃ、ね」

 

 イディクスも侵略者だったしな。擬態獣とは違って明確に侵略の意思があって襲ってくる敵だものな、ダリウス軍。

 

【熱くなりすぎるなよ?】

「わかってるさ!」

 

 まあ、熱くなるなってのが無理かもしれんけどさ。

 

 

 

 

 

 

「グラビティボンバー!」

「ダンナーキック!」

 

 戦闘は、特に問題なく進んでいった。ゴーダンナーとネオオクサーが、なかなかのコンビネーションを見せて敵を倒せば、

 

「おりゃああああ!」

 

負けじとばかりにマジンガーがそのパワーに任せて敵を粉砕し、

 

「シーケンス!1、2、3!」

 

ミストさんもこの前使いどころがなかったアタックコンボシーケンスを起動して、片っ端から敵を斬り捨てていく。いや、蹂躙ってこいうことを言うんだろうか。

 

「ガァァァァ」

「効くかよ!」

 

 必死な敵の抵抗が、前に出た超合金Zの装甲にガンガンはじかれている。本当硬いな、マジンガー!

 

「マジンガーの硬さ、うらやましいな!」

「レヴリアスの装甲も超合金Zにしてみるか?」

「お前たち、気を抜くな!」

 

 猿渡さんが一喝。そう、気を抜いてはいけない。優勢な時ほど何かが起こるんだ。ほら、レーダーに敵影追加。

 

【増援、来るぞ!】

「まあ、この程度で終わる訳ないか!」

 

 お、もう一体追加……いや、これはサイズ的にあれか?

 

 

 

 

「なんだ、あれは」

「でっかい、竜?」

「Drヘルの機械獣みたいな感じだな」

 

 敵の増援に次いで現れた大空魔竜に、さらなる敵の増援かと身構えるミストさん達。

 

「こちら大空魔竜!ダンナーベース隊、援護する!」

「大空魔竜?」

「味方……なのか?」

 

 うん、まあぱっと見味方に見えづらいよね、あのデザイン。

 

「久しぶりだね、キャプテン・ガリス」

「久しいな、葵博士」

「ああ、なんだ。博士の知り合いか」

「なるほど」

「じゃあ味方か」

 

 君ら、葵博士をなんだと思ってるん?そんな訳で敵の増援に大空魔竜から出撃した艦載機も交え、戦いは激しさを増していく。

 

「ツインドライブモード!」

「ブレストファイヤー!」

「グルーヴァイン・バスター!」

 

 うん、ゲームでいうなら気力が上がって来たであろうみんなが、どんどん強力な武器を使いだしたから激しくなって来ただけな気がしないでもないが。ああ、敵が吹っ飛ぶ吹っ飛ぶ。いちおう、ここ街の中ってこと忘れてないよな?

 

 

 

 

 

「さらに増援出現!」

「ええい、次から次へと!」

 

 増援を倒したらまた増援って、わんこそばじゃないんだから。ん?レーダーに反応?ってこれは!

 

【不味い、さらに来る!避難所の側だ!】

「なんだって!?」

 

 くそ、気づかないうちに戦線が前に出すぎてたか?

 

「く、避難所を守らないと!」

【待て、今動いたら前の敵に押し込まれるぞ!】

「く、どうすれば!」

 

 ゴーダンナーやGガンナー、マジンガーチームもすぐには動けそうにない。その時だった。大空魔竜から二つのパーツが飛び出したのは。

 

「な、なんだ!?」

 

 さらに頭が外れ、先に出た二つのパーツと合体する。現れたのは、髑髏を胸に抱くスーパーロボット、ガイキング!俺好きなんだよねえ、あれ。特にグレートは熱い!

 

「合体した!?」

「ロボットになったよ!ゴオちん!」

「ああ。ずいぶんと派手だな」

 

 いや、派手さで行ったらツインドライブモードのゴーダンナーもたいがいだと思います、猿渡さん。

 

「そのロボットはガイキング!あちらの敵はガイキングが相手をする!」

 

 キャプテン・ガリスからの通信が響く。これでなんとかなりそうかな。

 

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおお!」

 

 ガイキングが鉄獣をつかんで、

ジャイアントスイングの要領で振り回す。さすがのパワーだな。

 

「すげえな!マジンガー並のパワーだ!」

 

 うん、こんど力比べさせてみたい。振り回した勢いのまま、周囲の鉄獣を巻き込んでいく。

 

「ガイキングに負けてられんぞ!お前ら、押しきるぞ!」

 

 ガイキングに負けじと敵を倒していくダンナーベース隊。そうして最後に残った敵をガイキングがデスパーサイトで真っ二つにして戦闘終了となった。

 

 

 

 

「にしてもあの機体、パイロット誰なんだろう?」

【戦いも終わったし、会いに行ってみればいいんじゃないか?】

「そうだな」

 

 まあ中学生とは思うまい。というか基本ロボットもののパイロットって若いよなあ。なんでだろね。




ガイキング合流。ゆっくりペースすぎるかなあ


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ビルドアップ!鋼鉄ジーグ!

ノリしか無い回


「ビルドべースについたぞ」

【誰に言ってるんだ】

「いや、なんか言わなきゃならない気がして」

 

 教会では言わなかったのに、無理やりぶっこんで来たな。ま、まさかこれが歴史の修正力!

 

【ってんな訳ないか】

「どうした?」

【あー、いや。なんでもない】

「おーい、さっさといくぞ?」

「ああ、今いくよ」

 

 そんな感じでやってきましたビルドベース。甲児の依頼で知り合いの特訓を手伝ってほしいってことでミストさんが呼ばれたんだが、それってあれだよな。おっぱ……マッハドリル。微妙にスケジュールずれてるのか?やっぱ。

 念のため確認してみたけど、やっぱりアンジェリカの姿はない。本当どこ行ったんだろう。ミストさんに言う訳にもいかないし、抱えてなきゃならんのがもやもやする。もう一つの地球に居るならいいんだけれど、もう一つの可能性に最近行き当たって頭を抱えていたり。まあ、『それ』は無いと思いたいんだがなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 で、自己紹介その他もろもろ済ませて、特訓開始だ。剣児の乗ったバイクが訓練場にやってくる。ビッグシューターとレヴリアス、マジンガーZは既に準備完了だ。

 

「鋼鉄ジーグ!」

「なんだ!?バラバラの手足が飛んできた!?」

 

 まあ、ショッキングだよねーあれ。初見だと。

 

「ビルドアーーップ!」

「うわ、合体したぞ!?」

【バラバラ死体の逆再生見てる気分になるな】

 

 ってことで鋼鉄ジーグ登場!ミストさんは驚愕してたけど、ほんと面白い合体機構だよな、あれ。

 

「うっし、そんじゃさっそく特訓だ!んでもっておぱーい!」

「……おぱーい?」

「っと、なんでもねえ。さあばっちこーい!」

 

 そして発射されるマッハドリル……とロケットパンチとレヴリアスがぶん投げるがれき。情け容赦ないね、君ら。

 

「ってあぶねえじゃねえか!」

「これも特訓よ!」

「そういうこと!そーらロケットパーンチ!」

「悪いな剣児、そういうことらしいんで!」

【そういう割に結構ノリノリだな】

 

 まあ、なかなか合体はうまくいかず。んでもってジーグに直撃するロケットパンチ。あ、がれきに埋まった。

 

「いってえ!?」

「どうした剣児?もう終わりか?」

「なんのまだまだあああ!」

「い、いつにも無くやる気ね」

 

 つばきが軽く引くくらい、やる気にあふれてる剣児。おっぱいパワー、すごいね。

 

「いろいろとすごいな、あいつ」

 

 甲児経由で詳細を知ってるミストさんは呆れ顔だ。だが、俺は知っている。内容を最初聞いたときに「うらやま……」と言いかけた事を。後でアンジェリカにちくったろ。だから早く見つかってくれよアンジェリカ。いつまでもヤキモキしたくないんだよ。

 

 

 

 

 

 

「こおおい!俺のおっぱいドリル!」

 

 その後現れたハニワどもに対し、ついに剣児がマッハドリルを合体成功させた……のはいいんだが、

 

「お前ばっかりにいいこと……もといいい恰好はさせないぜ!ブレストファイヤー!」

「そうだ剣児!甲児!俺たちは一連托生だ!ステアード・スラッシュ!」

 

 バカ二人もやる気に満ち溢れてます。いやね?特訓の途中で柳生隊長が、

 

「訓練を手伝ってくれてる二人にもお礼をしないとね」

 

とか言い出したもんだから二人の煩悩に火が付いた感じ。いや、パートナーこの場に居なくてよかったな二人とも。居たら血の雨が降ってたぞ、間違いなく。とくにアンジェリカは嫉妬深いし、どうなってたことやら。

 

「腕交換!でもってナックルボンバー!」

「だったら俺も!ロケットパーンチ!」

「あ、俺だけ腕が飛ばない!」

【グルーヴァイン・バスターでも撃っとけば?】

「なるほど!」

 

 というかテンションたけえなこいつら。少し落ち着け。どんだけおっぱい好きなんだ。

 

「な、なんだあいつら!気迫がすごいぞ!」

「え、ええい!ひるむなひるむな!」

 

 三馬鹿の勢いに押されてるイキマとアマソ。すまないな、バカばっかなんだ。そんな訳でハニワどもはあっという間に蹴散らされましたとさ。いや、ひどいひどい。最後の方なんて、

 

「次の敵はドイツだぁ!」

「な ん だ と お も う」

「アトリームにもありましたよ。効率のいい敵の殲滅方法がね」

 

と色々アウトなこと言いながら、敵を蹂躙していたからなあ。なんなんだお前ら。ドイツ逃げて!ZEROになるな真じゃないだろ!というか最後!そんな物騒なものなかったし教えた覚えもないぞ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほおおおら!たっぷり味わいなあア!」

「「「ぐ、ぐああああああああ!!!!」」」

 

 うん、その後予定調和というか。三人まとめて早乙女さんの餌食になりましたとさ。どっとはらい。せっかくなんで画像データ取っておいて、と。後でアンジェリカ達に見せちゃろう。

 この一件で、ミストさんたち三人は友情を深めた。これで抱え込んで「おら、こんな星いやだぁ」なんてなることは防げると思うんだけれど。いやまあ、今のミストさんならそも抱え込まない気もするけどね。

 

「どうした!うれしいか!」

「「「ぬあああああああ」」」

 

 ……別の意味で心配にならなくもないが、まあいいか。




おっぱいは正義


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再会

行けるところまでは毎日更新で行きたいところ


 さて、これで序盤の主要機体がそろった感じかな。ゴーダンナー、マジンガー、ガイキング、ジーグ。そうそうたる面々である。で、各地で出没し始めた擬態獣やらダリウス軍やらハニワやらに対抗するため、大空魔竜に全機詰め込んで、臨機応変に運用する事になった。ここら辺は元の流れに沿ってるか。

 

「ほらほら!後片手腕立て100回!」

「し、死ぬ!死んでしまう!」

「死ぬって言えるならまだ死なないから大丈夫よ」

「あっちはおっかないなあ。1、2っと」

「甲児は割と平気な顔してるな」

「伊達にDrヘルとの死闘を潜り抜けちゃいないぜ。そういうミストこそ」

「俺はまあ、元々こういうトレーニングは日課だからなあ」

【つまり俺のおかげということだな】

「いやまあ、そうと言えばそうだけど」

 

 ただいま大空魔竜の中で柳生隊長の元、若いパイロットは特訓中。剣児一人だけしんどそうなのがあれだけど。まあ、がんばれ。

 

「そういやダイヤ君は?」

「ああ、ダイヤならさっきリーさんのところに居たぜ?」

「そういや拳法を教わるとか言ってたっけ」

 

 ダイヤ君向上心強いからなあ。とても13歳とは思えん。

 

【ミストも見習わないとだな】

「ああ。負けてられないな」

【よし、じゃあ後もう100回追加だな】

「な、なんだって!?」

 

 やる気があるのはいいことだ、うん。そんな感じでミストさんが追加の100回を終わらせた頃、トレーニングルームに通信が入った。

 

「みんな、敵よ!」

「うっし、特訓の成果を見せてやるぜ!」

【すぐには出ないと思うんだがなあ】

「まあ、気分の問題だよ」

「うし、誰が一番多く倒せるか勝負だ!」

「お前ら、元気だなあ」

 

 あ、猿渡さん居たんだ。

 

「いつの間に居たんですか?猿渡さん」

「お前たちが来る前から居たぞ!?」

 

 ごめん、みんな気づいてなかった。

 

「俺、影薄いのか……?」

 

 そんな事無いと思うんだけれど。

 

 

 

 

 

 今回の敵はダリウス軍と邪魔大王国の連合軍か。

 

「ミマシ、今度こそぶっ飛ばしてやるぜ!」

「ジーグ!それはこっちのセリフだ!貴様から銅鐸を奪い取ってやる!」

「ん?なんのことだ?」

「ミマシ殿、そちらは任せますよ」

「サスページ!」

「ガイキング。今日こそ貴様らの最後の日だ!」

 

 うーん、いい感じに因縁が燃え上がってるねえ。

 

「おっと、お前らの相手は彼らだけじゃないぞ!」

「そうだ!俺達を無視しないでもらおうか!」

 

 みんな燃え上がってるな。士気が高い事はいいことだ。

 

【とみんなが熱くなってるのに、何浮かない顔してるんだ?】

 

 ミストさんなら一緒に熱くなると思ったんだが。

 

「なんか、いやな予感がしてさ」

 

 ふむ?そういやそろそろか。地球での最初の転移は。それを感じてるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マグネットプレッシャー!」

「ああ!最後のハニワ幻神が!」

 

 うーん、特に何事もなく平和に終わりそうだなあ。邪魔大王国の敵はこれで全滅。ダリウス軍もほとんど残ってない。

 

「く、ここまでか!これもサスページ!お前が役立たずだからだ!」

「な!?それを言うならそっちこそ!」

「どうした?仲間割れか?」

「く、覚えてろ!」

「こちらも一旦撤退です!」

 

 そうして逃げてく敵軍勢。増援の気配もない。これで終わりかな?

 

「んー」

【どうした、ミストさん】

「やっぱり、イヤな感じがするんだ」

 

 ふむ。となると……

 

「む、なんだ!?」

 

 ダイヤがいの一番に気づいた。突如空中に、巨大なゲートが現れる。

 

「あ、あれは!」

「知ってるのか?ミスト」

「い、いえ……」

 

 まあ、まだ部隊のみんなには宇宙人バレしてないしなあ。なかなか言うタイミングとか無いから。とは言え、適当なところで言わないとだ。長引くと溝になるし。

 

「何か出てくるぞ!」

【何?】

 

 ってマテ、ここは自部隊があっちの地球に転移するだけじゃないのか?

 

「あれは、機動兵器か?」

 

 そうして出てくるイスペイルの配下の機動兵機群。どういうことだ?やっぱり色々ずれてるのか?

 

「あいつらは……!」

【おちつけ、ミスト】

「わかってる。けど!」

 

 そうして最後に出てきたのはエンダーク……だけじゃないな。なんだ、あのぼろきれをまとった機体は。

 

「ほうやはりあの機体は……こんな辺境惑星にあの星の生き残りが居るとは」

「なんのことだ?」

「さあ?」

 

 イスペイルの発言に首をかしげるみんな。まあ、そうなるよなあ。

 

「お前たちは、一体何者だ?」

「私の名前はイスペイル。イディクスの一員だ」

「イディクス?」

「まあ今回は顔見せだ。貴様らのデータが欲しくてな」

 

 そうイスペイルが言うと同時に武器を構える配下の機体。それが戦闘の合図となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イスペイル!」

【焦るなよ。確実に削ってけ!】

 

 イスペイルに突撃しそうになるミストさんを抑える。気持ちはわかるが孤立するのはまずい。まだ敵の数は多いんだ。レヴリアスは武装の数が少ないし、囲まれるとまずい。んー、こういう時ドラグーン的な物があると便利かもなあ。そのうちどっかで作れないだろうか。

 

「貴様にはちょうどいい相手がいるぞ?いけ」

 

 レヴリアスを一瞥した後、イスペイルがそういうのに合わせてぼろ切れをまとった機体がレヴリアスに近づいてくる。

 

「なんだ、お前は!」

「シーケンス、スタート」

 

 敵パイロットの声が聞こえる。……いや、待て。この声は!

 

「この!ステアード・スラッシュ!」

【待て、ミスト!】

 

 レヴリアスの斬撃が布を切り裂く。中から現れたのは、

 

「これは……そんな!」

【細部は異なるがこいつは……プロトタイプ・セリウス!】

 

 俺達の探し人の一人、アンジェリカ・シャルティールの乗機だった。

 




そんな訳でアンジェリカ、敵として登場。乗っ取られてるの?とかクリスタル・ハートとかどーなのよってのは後程で。


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伸ばした手は未だ届かず

ようやく序章終了って感じ


「アタック」

「くっ、こいつは!?」

 

 セリウスの放ったマドラーの一撃を、かろうじて避けるレヴリアス。声からして、あれに乗ってるのはアンジェリカに間違いはないと思う。だが、今のアンジェリカはどういう状態なんだ。ただの洗脳なのか、ガズムやル=コボルが取り付いているのか。イスペイルの指示に従ってる感じがあったから、たぶん前者なのだとは思うが確証はない。それと気になるのが、『セリウスが何故動いているのか』だ。あれはレヴリアス同様クリスタル・ハート搭載機。パイロットがあんな状態なら動くとは思えないんだが。

 

【ミスト、あいつは】

「わかってる!あの動きは間違いない!」

 

 ミストさんも、先程のセリウスの動きで誰がパイロットか確信したらしい。

 

「ああ、やはりわかるかね。お仲間の動きは」

 

 うれしそうに言うんじゃねえ!というか隠す気もないなこのやろう。悪役らしいことしてくれるじゃないか。

 

 

「く、やっぱりそうか」

【とりあえず動きを止めるぞ!】

「わかった!」

 

 同時に、通信で部隊の各機に状況を伝える。さすがに回りの敵を相手にしながらアンジェリカの相手は無理だ。相手が知り合いらしいこと、操られてるっぽいことを手短に。各機からの返答は早かった。

 

「わかった。だが、後で色々聞きたい事があるからな!」

「周りの奴らは俺達に任せろ!」

「ミストさんはあの機体の相手を!いこう、みんな!」

 

 イディクスの事とか、色々聞きたい事もあるだろうに協力してくれるみんながありがたい。さあ、準備はOKだ。

 

「みんな、ありがとう!」

【彼女を取り返すぞ!】

「ああ!」

 

 

 

 

 

「アンジェリカ!俺だ!ミストだ!わからないのか!」

「……」

 

 戦いながらミストさんが呼びかけるも反応はない。時折、感情の籠ってない声が聞こえてくるだけだ。説得して正気に戻すのは無理か?

 

【脚部に被弾。出力5%低下だ】

「くっ、相変わらず狙いが正確だ!」

 

 少しずつ、だが確実にレヴリアスに当ててくるセリウス。対してこちらの攻撃はほとんど当たっていない。

 

【こっちにもマドラーがあればよかったんだが】

「だけど、無いものねだりしても仕方がない!」

 

 元々殺傷力を低くできるマドラーと違い、レヴリアスのステアードでは威力がありすぎる。何度かいい一撃を見舞えそうなタイミングはあったものの、ダメージが入りすぎる事を懸念してなかなか当てれずにいた。くそ、スパロボのHPを10%以下にしろって勝利条件こんな感じか!本当に今度レヴリアス用の武装作ってもらおうかな。

 

「みんなは大丈夫か?」

【少し待ってくれ】

 

 ミストさんに言われ、周囲を確認する。

 

「サザンクロスナーイフ!」

「ハイドロブレイザー!」

「ナックルボンバー!」

 

 敵量産機はスパロボ軍団の攻撃を抜けれないようだ。本当、硬いし兵装豊富だしで安心感がすごいな。ほとんどダメージ入ってないぞ味方側。

 

「ええい、うっとうしい!」

「ミストの邪魔はさせん!」

「そうだよ!だいたい洗脳とか、やることが狡いのよ!」

「頭脳的だと言ってくれたまえ!必要なものは用意するのが賢いやり方だ!」

 

 エンダークはゴーダンナーが抑えてくれてる。というかイスペイル様口軽いな。やっぱり洗脳か!これが幹部連中の憑依だったら面倒だったが。いや、洗脳でも面倒な事は変わらないけど!

 ……というか、『必要なもの』ってどういうことだ?アンジェリカが何に必要だっていうんだ。

 

【周りは何も心配ない!このまま行け!」

「わかった!」

 

 とにかくセリウスを止めないと話にならないな。

 

 

 

 

 

 

「うおおおおおお!」

「!?」

 

 幾度かの応酬の末、レヴリアスの斬撃がセリウスの右腕と右足をとらえた。崩れ落ちるセリウス。

 

「はぁ、はぁ、お前の動きは見慣れてるからな」

「……」

 

 洗脳が裏目に出たな。アンジェリカの意識があれば、ミストの動きに対応できただろうに

 

 だが、これで終わりだ。後はセリウスを回収すれば。

 

「ふむ、試験運用はここまでか」

 

 ゴーダンナーを弾き飛ばしながらイスペイルが言う。どういうことだ?

 

「負け惜しみか?アンジェリカは返してもらうぞ!」

「いいや、残念ながらそれは叶わんよ」

 

 奴がそういうと同時に、空の時空間ゲートが音を上げる。まさか!

 

 

「く、なんだ!?何が起きようとしている!」

「気を抜くな!警戒しろ!」

 

 何が起こるかわからないみんなは混乱しているようだが、説明してる暇もない。

 

【ミスト、セリウスを確保しろ!奴ら、俺達をどこかへ飛ばす気だ!】

「なんだって!?」

 

 どこかって言うか確実にもう一つの地球へだろうけど。ってそんな事気にしてる場合でもない!

 

「アンジェリカ!」

【!?ミスト、後ろだ!】

 

 レヴリアスの手がセリウスに届く直前、エンダークのミサイルがレヴリアスを打ち据える。大きく吹き飛ばされる機体。コックピットが大きく揺さぶられる。

 

「ぐああああ!」

【ミスト!】

「連れて行かせる訳にはいかんよ。彼女は大切な『試験体』だ」

 

 く、どういうことだ。イスペイルはアンジェリカで何をする気なんだ?

 

「く、アンジェリカ……」

 

 セリウスに手を必死に伸ばすレヴリアス。

 

「では、さらばだ諸君。なに、運が良ければまた会うだろう」

 

 だが、その手は届くことなく。俺達は、時空間ゲートへと吸い込まれていった。




これで連続投稿はたぶん終了とあいなります。次は少し間空くかなと


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ヨロイに乗ったバカ二人

もう一つの地球 なんで地球て名前だったんでしょうね、結局


「うう……あれ?俺……」

【起きたか】

「そうだ、アンジェリカ!セリウスは!?」

【残念だが、ここにいるのは俺達だけだ】

 

 さて、ミストさんが起きたところで状況確認だ。アンジェリカが敵側に回ってたのは、予想はできてたけど当たって欲しくは無かったってところだ。俺がレムを助けた分、どこかで帳尻合わせが来るんじゃないかとは思ってたんだが……

 とはいえ、聞いてた限り幹部連中が取り憑いてる訳じゃなくて、イスペイルの独断による洗脳っぽいからまだマシだろうか。それならとりあえずは奴らから引きはがせば何とかなりそうだ。

 

「次は絶対に助ける。絶対にだ」

【ああ。その意気だ】

 

 ミストさんも変に落ち込む事もなく、やる気に溢れててよいことだ。で、だ。次の問題。

 

「所で、ここはどこなんだ?」

【今更それを聞くかね】

 

 うん、ぶっちゃけ俺達迷子です。通信も通じないしどうしよーね!

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんたら、ヨロイ乗りなのか」

「ヨロイ乗り?なんですか?それ」

 

 飛ばされた先でみんなと離れ離れになった俺達は、とりあえずみんなの手がかりを求めて動き回っていた。で、たどり着いた街で情報収集をしてたら、こんな単語が飛び出て来た。もう一つの地球ってのは、確定のようだ。通信がろくに通じないのは地球じゃないからか?

 

「ここは地球、ではないのか」

【また別の星みたいだな】

「俺達、星から星に移りすぎじゃないか?」

【本当にな】

 

 アトリームからベザードに行って、地球に行って、そして今回だ。たらいまわしにされすぎだよなあ。そんな事を話していると、酒場の方が騒々しくなってきた。

 

「なんだ?」

【厄介ごとみたいだな。どうする?】

「とりあえず、様子を見よう」

 

 ん?というかあの酒場、どっかで見たような……特にあの看板。どこで見たんだっけか。

 

 

 

 

 

 

「ウェイクアップ、ダン」

「て、てめえもヨロイ乗りだったのか!」

 

 俺達の目の前には、白い人型ロボットが立っていた。そうか、どっかで見たことあると思ったらガンソードか!タキシードの男が、ロボット……ダン・オブ・サーズデイの胸の中に入っていく。

 

「空からロボットが?」

【驚いてる場合じゃないだろ。どうする?】

「うーん。どっちが悪者かわからないしなあ」

【まあな】

 

 まあ、ミストさんとしては途中から来たから事情がさっぱりだしなあ。ぶっちゃけどっちもチンピラにしか見えんし。

 

「あ、さっきのヨロイ乗りのあんちゃんじゃねえか?」

「あれ?さっきの」

「あの白い方を手助けしちゃくれねえか?」

 

 お、ラッキー。さっき話を聞いたおっちゃんが事情をミストさんに説明してくれた。これでヴァンに味方できるかな。

 

「くそぉ!野郎ども!」

 

 その声と共にダンを取り囲むようにあらわれる大量のヨロイ。ラッキーさん、あんたそんなにヨロイ持ってたっけ?まあいいや。

 

【それじゃあ、助太刀と行こうか】

「ああ!」

 

 ヴァンの実力だったら手助けとかいらない気もするけど、ここでミストさんとつながりができるならそれはそれでいいだろう。

 

 

 

 

 

「誰だ?あんた」

「通りすがりの者です。手助けしますよ!」

「はぁ‥‥どうも」

 

 そんな感じでレヴリアスを速攻持ってきて、ヴァンの手助けに回ったミストさん。

 

【さすがにグルーヴァイン・バスターはオーバーキルになりそうだからやめとけよ】

「そうか、ならステアードで!」

 

 ダンとならんで敵をなます切りにしていくレヴリアス。

 

「やるなあ、あんた」

 

 そういうヴァンも敵の突撃を軽くいなしてカウンターまで叩き込んでるし。

 

「そちらこそ!」

「てめえら、調子に乗るな!」

「おっと!」

 

 残りの奴らが全部来たな。とはいっても3体だけだが。

 

「雑魚は任せる」

「はい!アタックコンボシーケンス!」

【ターゲットロック。いつでも】

 

 ダンがラッキーの方にいくと同時に、レヴリアスが部下たちのヨロイに斬りかかる。避けようとする敵さんだがどうにも動きが遅い。本当、性能差で悲しくなるなあ。 

 

「あば!」

「うお!」

「ひでぶ!」

 

 三度レヴリアスの剣が閃いた後、敵は全員崩れ落ちた。うむ、あっさり過ぎ。まあ、この程度で苦戦されても困るっちゃ困るんだけど。

 

「チェエエエエエエエス!」

 

 あ、ラッキーさんのヨロイも真っ二つ。あっという間だったなあ。

 

「すごいなあ、あの人」

【ああ。かなりの腕前だ】

 

 それでもまだまだ伸びしろがあるんだから怖いよね。具体的にはメッツァをメッツァメッチァにする時とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「夜明けのヴァンさんかぁ。二つ名ってかっこいいな」

【そうか?】

「俺も何かそういうのつけたいな」

【夜霧のミスト】

「それ、俺の名前を日本語に直しただけじゃないか……」

 

 などとしょーもない会話をしつつ、俺達が向かう先は街の人から聞いた『でかいドラゴン』の目撃地点。まあ、目立つからね、大空魔竜。どうにか合流できるといいんだが。メンバー全員、大空魔竜と合流できてるのかも心配だな。あ、ヴァンはウェンディと一緒に旅立っていきました。今の俺達に同行する理由とか特に無いしね。

 

「にしてもおよめさんか。最近、ああいう犯罪じみたの流行ってるのか?」

【それ、絶対ヴァンと猿渡さんの前で言うなよ?】

 

 割と本気で怒られると思うから。

 




少しずつイベントの順番が変わってきてる模様


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ヤーパンの天井

出来れば一日、二日空きくらいで投稿していきたいところ


【さて、そろそろ目撃地点だな】

「ああ。通信はまだダメそうか?」

【ダメだな。かなり近づかないとまともに使えなさそうだ】

 

 地球のニュートロンジャマー影響下よりもひどいなあ、これは。大空魔竜と合流したら、サコンにでも対策してもらった方がいいかもしれん。

 

「にしても見当たらないなあ。やっぱり時間がたってるし、移動しちまったか」

【まあ、あのデカ物だからそのうち見つかるとは思うが……】

 

 ステルスしてるとかなら別だけど。あの船そういう機能あったっけ?

 

「んー、あれ?デカくて気づかなかったけど、これ何かが移動した跡じゃないか?」

【どれどれ……本当だ。かなり大型の物が移動してった感じだな】

 

 というかこの星でこの大きさの物が動いてるって言ったらあれだよなー。ヤーパンの天井。大空魔竜が引っ張ってるんだっけ?

 

「何も手がかりがないし、これをたどってみるか」

【そうだな。大空魔竜がいるにしろいないにしろ、何かしらの情報は手に入るかもしれないしな】

 

 いやまあ、十中八九居るとは思うけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 移動の痕跡を追っていくと、やっぱりありました都市ユニット群。大空魔竜もいる……というか一戦やらかしてるな。相手はシベ鉄っぽいな。

 

「てぇい!」

「くそ、なんだあのオーバーマン!攻撃がまるできいてないぞ!」

「こいつはスーパーロボット!マジンガーZの名前を憶えておきな!」

 

「なんだあれは!ぽろぽろ手足が取れやがる気持ちわりい!」

「んだとてめえ!」

 

 

「なんだこれ、うごけねぇ!」

「ゴオちん、相手は人間だしあんまりやりすぎないほうがいいよね?」

「そうだな。とは言え油断はするな」

 

 

 うわぁ、スーパーロボット軍団大暴れ。そりゃスパロボ軍団硬いしねー。シルエットマシンでまともにダメージ通るのか?

 

「みんな!無事だったか!」

「あ、ミストさん!ようやく会えた!」

「ダイヤ君か!元気そうで何よりだ!」

 

 マジンガーにジーグ、ゴーダンナーにガイキング。とりあえず全員揃ってるようで何よりだ。そして、もう一体。

 

「あの変わった頭の機体は?」

「ああ、ゲイナーさんのキングゲイナーです。後で紹介しますよ」

「機体に自分の名前をつけてるのか」

【そこはツッコんでやるな】

 

 俺はいい名前だと思うけどね、キングゲイナー。

 

「ミスト、合流早々済まないが手伝ってくれ。無力化するだけでいい」

「分かりました!暴徒鎮圧なら任せてください!」

 

 嬉しそうに言うなよミストさん。猿渡さんが反応に困ってるじゃないか。いや、慣れてるのはわかるけど。

 

 

 

 

 さて、無事合流を果たした俺達は、皆に自分達の事情を説明した。結果!

 

「異星人か。その割りに外見は俺たちとあんまり変わらないよな」

「邪魔大王国の奴等の方が人間離れしてやがるな」

「確かになー」

 

 すごくあっさり受け入れられました。いやね、もう少し何か言われるかと思ったけど、

 

「邪魔大大国とかダリウス界とかあるのに、今更異星人くらいで驚かねえよ」

「一緒に戦えばわかる。お前は裏でこそこそできるような奴じゃない」

 

 などと言われてしまえばそれまでなのであった。いやもめるよりはいいんだろうけどね?これにはミストさんも苦笑い。

 

「それで、あいつらはミストの星を滅ぼした連中なのか」

「はい。どうして奴らがこの星に居るのかは解りませんが……」

「まあ、ほぼ確実にこの星を狙ってるんだろうけどな」

「なあに、返り討ちにしてやるさ!」

 

 そういやK本編でイディクスが地球に居た理由ってなんだったっけ。ゲートで意図せず飛ばされたんだっけ?んー、こういう細かい所が微妙にうろ覚えだな。後で響いてこなきゃいいけど。

 

「それで、あのボロ着れをまとった機体は、お前の仲間なんだな?」

「はい。アンジェリカ・シャルティール……俺の大切な仲間です」

【どういう経緯かはわからないが、奴らに洗脳されているらしい。どうか、助けるために手を貸してほしい】

「任せろ!」

「当然だろ!」

「ああ!ああいう事をする奴らは許せねえ!」

「あ、ありがとう!」

【感謝する】

 

 とまあトントン拍子で話がまとまったとさ。いや、本当ありがたいことで。

 

【次の奴らと戦う時がチャンスだな】

「ああ。今度こそアンジェリカを取り返す!」

 

 

 

 

 あ、ちなみにゲイナーとミストさんのゲーム対戦はありました。結果?

 

「あー、くそう。惜しかったなあ」

「いやあ、危なかったですよ」

 

 いい所まで行ったけど負けました。うん、めっさハンデありで。

 

【ハンデ無しだったら、たぶんボッコボコだったろうけどな】

「それを言うなよ……事実だけど」

「でも初めてにしてはなかなか上手かったですよ、ミストさん」

「まあ、ゲームは好きだからね」

【シンともゲームで仲良くなってたしな】

「シン?」

「ああ、弟分というか……そういえばシン、元気かなあ」

 

 種運命組はもうちょっとで本編開始だっけかな。……ステラとかの事もどうにかできるといいんだけれど。

 




そんな訳で大空魔竜とさくっと合流。
熱血スパロボ組はいろいろ話が早かったです まる


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VSバカ代表

合間がこれからもっと空くかもです。ごめんなさい。
でも中身が長くなる訳じゃないのが悲しい。


「これがレヴリアスの新しい武器か!」

「ああ。ショーヤのくれた図面を元に作ってみた」

【ベースはステアードだが、マドラーを参照にしてある。前セリウスと戦った時に、低威力の武器が欲しかったからな】

 

 大空魔竜にあった物資を使って、レヴリアスの武器をでっち上げてみた。ステアードより一回り小さく、電撃によるスタンモードへの切り替えが可能だ。これで少しはセリウスと戦い易くなるといいんだが。

 

「名前は?」

【そうだな、ステアードとマドラーを掛け合わせた武器だからブレンダー、かな】

 

 ステアードといいマドラーといい、スパロボKのオリジナル機の武装ってなんでカクテル関連から取ってるんだろうなとたまに疑問に思う。いや、悪いとは言わないけれどさ。

 

「そういえば、ターミナルまでは後どれくらいなんですか?」

「一週間くらい、って聞いてるが」

 

 大空魔竜は現在、壊れたシルエットマンモスに代わって都市ユニットを牽引中。地球に戻る手がかりもないし、とりあえずはターミナルまでいくらしい。K原作だとゾネットまでだった気がするけど。しかしターミナルかあ。確かヴァンがオリジナル笑顔してガドヴェドさんぶった切るところだっけか。

 んー、各作品の原作はなぞってるんだけど、Kの原作は微妙にそれてるってのがたまに不安になるな。アンジェリカの事といい、もっととんでもない事が待ってそうな気がしないでもない。だからこっちもできる事はやらないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 で、さっそく新武器を試す機会が来たわけなんだが。

 

「まさか一回戦からヴァンさんか……」

「まあ、そんなこともあるさ」

 

 補給に寄った街、B-1グランプリ、何も起きないはずもなく。というのは冗談だが、補給に向かった街で偶然ヴァンと会ったミストさん。話の流れというか巻き込まれる形で一緒にB-1グランプリにエントリーすることになりました。K本編みたいにミストさんがプリシラと戦うのもなんかあれだなーって思って断ろうとしたけど、ミストさんがなんか乗り気だったから結局参加することにしました。あ、上の許可?もらいました。新武器のテストを兼ねてって事でなんとか。

 

「やるからには負けませんよ!」

「上等」

 

 そんな訳でダン・オブ・サーズデイと勝負することになりましたとさ。装備新調したらいきなりボス戦とか。まあ、試合なだけマシかなあ。

 

【ま、ミストも言った通りだ。やるからには勝ちに行こう】

「もちろん!」

 

 負けるのもやっぱ癪だしね。全力で行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、新武器の具合はというと。

 

「前の時はそれ、持ってなかったよな!」

「ええ、出来立てです!」

 

 ブレンダーで射撃しながら近づいて、ステアードで斬りつけたりといい感じに使いこなしてる。意外と二刀流もいけてるな、ミストさん。センスはある方だしな。

 

「いいね、じゃあこっちも!」

「剣が割れた!?」

 

 それを見てヴァンも二刀流にシフト。そういやその刀、分離するんだったね。そんな訳で今度はダンが攻めて来る。

 

「く、速い!」

「そらそら!どうした!」

 

 本領発揮してないとは言え、やっぱオリジナルセブンのヨロイは速いな。だが機動力ならこっちも負けてない。

 

【足を止めるな。こっちも動け!】

「言われなくても!ステアード、ブレンダー両方射撃で!」

 

 近づかれると不利だと判断したミストさんは、距離をとって射撃で戦う事を選択。だが、ヴァンはお構いなしに突っ込んでくる。

 

「剣で銃を弾くなんて!?」

【いやまあ、できなくはないだろうが】

 

 原作でも生身でやってたしね。剣クルクルって回して。

 

「く、近接モード!」

【間に合うか!?】

「もらった!」

 

 結局、武器のモードを切り替えてる間に隣接され、武器を弾かれて降参とあいなりました。ここら辺はまだまだ経験の差かなあ。俺もミストさんもがんばらねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそう、負けたぁ」

「一回戦負けとか」

「もうちょっとがんばれよ」

「うるさいな」

 

 んで、現在打ち上げって事で三馬鹿コンビで酒場で飯食ってます。大会は決勝でヴァンとプリシラが戦って、後はまあ原作通りといいますか乱入とかあってプリシラが優勝しましたとさ。

 

「はい、ヴァン。これおいしいよ」

「ああ、どうも」

 

 その二人はあっちで飯食ってます。なんかうぎゃーさんが複雑な顔してる。気持ちはわかるが。ん?なんかヴァンが他の席の客にからまれ……あ、勇者翁ことエルドラチームじゃないか!そういうやKだと同じ街でまとめてたっけかなあ。あ、他の客ともめだした。

 

【あーあ、喧嘩になっちゃったよ】

「む、ちょっと俺行ってくる」

【おい、変に首を突っ込まないほうが】

「やめてください!暴力は根本的な解決になりませんよ!」

【って聞いてないな!?】

「なんだぁ?てめぇ?」

「爺、キレた!」

 

 そんなこんなでミストさんも巻き込まれ。みんな仲良く留置所送りとあいなりましたとさ。甲児と剣児?さすがに混ざるようなバカはしなかったって。

 

「何をやってるんだ……」

「ご、ごめんなさい」

【面目ない】

 

 その後、二人仲良く通信で猿渡さんにごめんなさいしましたとさ。ミストさん、後でお仕置きだな。

 




そんな訳で次回 エルドラV


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勇者は再び

エルドラV好きなんですよ……


 さて、留置所の中でミストさんはというと。

 

「すごいなあ!俺も見てみたかったですよ!」

「そうだろうそうだろう!」

「見どころがあるな、若いの!」

 

 エルドラ爺様たちと意気投合してんでやんの。いや、いいんだけどさ。

 

「それじゃあお前は今日から弟子2号だ!」

「やった!あれ、一号は?」

「そっちの黒いの」

「誰が弟子だ」

 

 弟子になっちゃったし。というかヴァン、黒いの呼ばわりされてるし。

 

「それじゃあ若いの!明日の為にその1だ!」

「はい!」

【それボクシングじゃないか?】

 

 などという俺のつぶやきもスルーされ、ミストさんは爺sに言われるがままにトレーニングを始めるのであった。

……いつもとやってる事変わらんな。

 

 

 

 

 

 

 明け方、ドォンという音と共にみんなが目を覚ます。

 

「な、なんだ!?」

「みんな、速くでるんだ!」

 

 保安官のおっちゃんが皆に外に出るように促す。出てみるとそこにいたのはシベ鉄とでっかいヨロイ。科学者ブッチが作ったバッドローズだったか、あれは。というかK世界だとあいつ、カギ爪に攫われてるんじゃなかったのか?なんでいるんだよ。しかもシベ鉄と手組んでるっぽいし。そういやあいつ街の奴らに復讐したがってたんだっけ?ほら、恨み言が聞こえてきた。それを聞いて、ミストさんが複雑な顔をする。ベザードの事があったし、虐げられる側の苦しみも解るだろうしな。だが、彼はすぐ首を横に振った。

 

「怒りはわかるけどだからってこんな事していいはずがない!あの人を止めないと!」

【ああ、そうだな】

 

 大空魔竜に通信を入れ状況を伝えると、すぐで街を守る許可が出た。というかやっこさん、ヤーパンの天井の方にもちょっかいを出してるらしい。となると、援軍は見込めないか。

 

「この場は俺達だけでどうにかするしかないか……!」

「そうか、がんばれ」

「ってヴァンさんは行かないんですか!?」

 

 動く気配のないヴァンにミストさんが問いかける。

 

「……理由が無い」

「そんな!」

【ほっとけ、ミスト!人それぞれだ!】

「くっ!」

 

 気持ちはわかるけど、そもそもヴァンって積極的に人助けするタイプでもないしなあ。それに復讐に思うところもあるだろうしな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 レヴリアスは幸い、昨日のB-1グランプリの後コロシアムに置きっぱなしだった。

 

「すぐに打ち上げに行ったのが功を奏すとは」

【メカニック連中には怒られそうだがな】

 

 まあ今回は目をつぶってもらおう。出撃すると、そこには既に一機、シベ鉄と戦う機体が居た。

 

「君は優勝者の?」

「うん、私はプリシラ!街をめちゃくちゃにされる訳にはいかないもの!」

 

 舞うように戦うブラウニー。さすがに強いな。敵の攻撃が全く当たってない。

 

「華麗だ……」

【見とれてる場合か。俺達も行くぞ】

「ああ!」

 

 駆けだすレヴリアス。

 

【シベ鉄は彼女に任せて、デカ物行くぞ!】

「わかった!」

 

 ブッチのヨロイにターゲットを定める。だが、その行く手を同じ型のヨロイが阻んだ。

 

【何!?】

「もう一体!?」

 

 ちょっと待てこれは予想外だ。レヴリアスが二機目のヨロイと戦ってる間に、ブッチの乗ったほうが街へと迫る。

 

「く、みんなはまだか!」

【あっちはあっちで苦戦中みたいだな】

 

 もうしばらくこっちにはこれなさそうだ。ブラウニーも敵の数が多くてあっちには回れそうもない。

 

「くそ、このままじゃ街が!」

「大丈夫だ!俺達に任せろ!」

「この声は!?」

【レーダーに反応。小型が4機来るぞ】

 

 真打登場だな。四機のヨロイが合体し、一つの人型を形作る。

 

「古代合体!エルドラIV!!!」

「が、合体した!」

 

 ミストさん、感動するのはわかるが目の前に集中な。

 

「こいつはエルドラIVが相手をする!」

「お爺さん達!?あの話のヨロイってまだ動いたんですか!?」

「おう!その雄姿、しかと目に焼き付けておけ!ボンバディーロ!」

 

 エルドラIVの胸から放たれたミサイルがプッチのバッドローズに命中し、その体を激しく揺さぶる。

 

「古臭いヨロイだ!」

「古くて結構!行くぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、こいつ結構強いぞ!」

「ぐあああ!」

「!?エルドラIVが!?」

 

 レヴリアスがバッドローズに苦戦してる間に、エルドラIVも追い詰められていた。やっぱりきついか!

 

「誰もわかってくれない!認めてなんてくれない!!なのに!こんな町を!どうして!!どうして守ろうとする!どうして!?」」

「若いな、若造」

「俺たちはそんなものが欲しいんじゃない」

「そう。みんなの思い出さえ守れればそれだけで」

「それだけで」

「それだけで」

「それだけでいいんだ!」

「お爺さん達……」

 

 だが、気合むなしくエルドラIVの片腕がもぎ取られる。

 

 

「くっ!助けに行かないと!」

【バカ、こっちも戦闘中だろうが!】

 

 ああほら言わんこっちゃない。こっちにもバッドローズが迫る。だが、それは横からの一撃に弾かれた。ブラウニーか。あっちは終わったみたいだな。今の一撃がとどめになったのか、こちらのバッドローズは動きを止めた。

 

「大丈夫?こっちは終わったから手伝うね」

「ああ、ありがとう。だけどこっちよりもエルドラIVを!」

 

 そういってエルドラIVの方を見やると、今にも止めが刺されようとしていた。

 

「やめろ!」

 

 その時だった。飛来する、一体のヨロイ。

 

「あ、あれは!?」

 

 それがエルドラIVの背に合体し、瞬間その機体に鮮やかな色彩が蘇る。

 

「が、合体するのか!?」

「綺麗……」

 

 エルドラIV、いや、エルドラVが完成する。

 

「へー、補給ユニットまで古臭い。効率の悪いヨロイだ!進歩がない!」

「若造、進歩とは」

「ヨロイと人の心の」

「合体だ!!エルドラV!アルティメエエエエエット!」

 

 全エネルギーを集中させた拳が、ブッチのバッドローズを打ち貫いていく。

 

「アアアアアディオス!ア・ミーゴ!」

 

 そうして腕が引き抜かれた瞬間、バッドローズは爆散した。

 

「やった!すごい、すごいですよ!」

【ああ、そうだな】

 

 確かにあれはすごいわ。マジンガーとかとも違う、熱さがある機体だよなエルドラV。

 

「でも、飛んできた機体はどこから……お爺さんたちは4人だったし」

【ああ、それならあっち】

 

 レヴリアスのカメラを動かし、ミストさんに縁の下の力任せの姿を見せてやる。

 

「なんだ、ヴァンさん。助ける理由がないとか言っといて」

【ま、彼も彼で爺さん方に思うところがあったんだろう】

 

 心意気に打たれた、と口に出したりはしないだろうけれど。その後、大空魔竜と合流した俺達は、再びターミナル目指して進み始めた。

 

「あ、お邪魔してます」

「なんで!?」

「いや、ターミナルまで行くって言うから」

【タクシーかなんかじゃないんだから】

「ご、ごめんなさい」

 

 

 進行方向が一緒だと知って、しれっと都市ユニットに乗ってたヴァン達一行を連れて。

 




ダメだ。俺の文才じゃ魅力を1/10も伝えられない……!


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ターミナルにて

ガンソ組の扱いがひどくなった気がする。


 さてさて、やってきましたターミナル。大空魔竜隊はここで元の地球に帰る方法を模索することに。とりあえず、ヤーパンの天井とはここで一旦さよならになる。K本編だとこの辺結構ごたごたしてた覚えがある。シンシアが来たりガドヴェドさんとやりあったりで。そういや、ガンソード本編だと鬼いさんことレイ兄さんが居たけど、Kだと居なかったよな確か。その辺、どうなるんだろう。というかエルドラ組との遭遇から直に一緒に来ちゃったけど、面識あるのか?……一行にジョシュアが居るってことはたぶん面識あるよな?あ、ガンソ組がいつの間にか乗ってたことに関しては、特にごたごたはなかった。大空魔竜の方じゃなくてヤーパンの天井の方だしね。艦長たち気づいてるのかも怪しい。ミストさんも特に言ったりしてないし。

 

 

 

 

 さてさて、皆は久しぶりの大きな街という事で交代しながらとは言え息抜き中だ。で、今回ミストさんが一緒なのはいつもの甲児と剣児ではなくダイヤと一緒だ。

 

「そういえば、ミストさんと一緒ってめずらしいね」

「そうだな。普段だと年の近い奴らと一緒だからね」

【まあ、いい機会だから交流を深めるといいさ】

 

 なんかそこまで話をする機会もなかったからなあ、今回。親睦を深めるのはいいことだ。まあ俺としては、同時進行で起きてるだろうヴァンとカギ爪の遭遇とか、ゲイナーとシンシアの遭遇が気になるっちゃ気になるんだけど。

 

「そういえばアトリームに野球ってあったんですか?」

「名前は違うけど、似たようなスポーツはあったな。俺は苦手だったけど」

「へえ。意外だな。ミストさん運動得意そうだけど」

「どうにも球がうまく飛ばせなくてね。ゲームならまっすぐ飛ぶのに」

「あ、ゲームはあったんだ。今度、一緒にやる?ゲイナーさんに誘われててさ」

「お、負けないぞ?」

【ゲイナーへのリベンジもしないとな】

「あれから少しは練習したけど……勝てるイメージが……」

 

 まあ、ゲイナーは割とチート臭いからなあ。少しの練習で勝てたら苦労はするまい。そんな感じでしばらくだべっていると呼び出し。

 

「みんな、至急大空魔竜に戻ってくれ!」

「敵襲!?こんなところで!」

「急ごう、ミストさん!」

 

 シベ鉄の連中のお出ましだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シンシア!」

「ゲイナー、本気出さないと終わっちゃうよ!」

 

 シンシアとゲイナーが戦ってる横で、俺達は他のシベ鉄連中と交戦中だ。やっぱりこっち側の地球の一大勢力だけあって、やっこさん毎回数揃えてくるからやっかいなんだよなあ。

 

「誰かゲイナーの援護に回れるか!」

「わりい猿渡さん、こっちはいっぱいいっぱいだ!」

「くそ、こいつらハニワども程じゃねえけど数が多い!」

 

 下手に武装使うと殺してしまいそうってのも難点だよなあ。こっちのメンバーは基本的に人を外敵から守ってきた面々だ。ゲームだと遠慮なくシベ鉄だろうがなんだろうが撃墜してたけど、現実だとそうはいかない。一体一体にかかる時間がどうしても長くなる。

 

「ミストは!」

「もう少しで包囲を抜けます!そしたら!」

 

 ミストさんはこの前作ったブレンダーのスタンモードを使って、器用に敵を戦闘不能に追い込んでいく。アトリームでの戦いの経験もあるから、こういった場面で強いな。だが、間に合うかな。さっきからキングゲイナーが押され気味だ。

 

「もらった!」

「しまっ!?」

「ゲイナー!」

 

 そうしてキングゲイナーが地面に落ちて動かなくなる。

 

「ゲイナー!無事か!?」

 

 返事の代わりに聞こえてくるのは苦痛にうめく声。やっぱり怪我をしてるっぽいな。大空魔竜に回収したいが……艦は後方。遠いな。ゲームみたいに敵の中突っ切らせる訳にもいかないし。となれば……

 

「俺がキングゲイナーを回収に行きます!援護を!」

「わかった!」

 

 だが、やはり敵が多い。しかもレヴリアスがキングゲイナーのところに行こうとしたら、あからさまに敵がこっちに来たし。

 

「く、どけえ!」

「行かせるか!」

 

 シンシアは動けない敵に追い打ちしたりはしないだろうけど、他の奴らは別だ。シベ鉄の機体がキングゲイナー迫っていく。まずいか?そう思った時だった。

 

「な、なんだ?空から……」

「刀と、斧?」

 

 ヴァンとガドヴェドがヨロイを呼んだらしい。空から降って来た二振りの武器に、一瞬全機の動きが止まる。その好機に、二体のスーパーロボットが動いた。

 

「行くぞ剣児!」

「ああ!」

「ダブルロケットパーンチ!」

 

 同時に放たれた拳が、レヴリアスの前の敵を薙ぎ払う。

 

「いけ!ミスト!」

「ああ!」

 

 キングゲイナーの元に走るレヴリアス。だが、その前に立ちはだかるのはドミネーター。

 

「次の相手はあんた?」

「その時間は、ない!」

 

 だが、ただで通してくれる気もなさそうだ。どうする?普通に戦っても長引くぞ?……そうだ。

 

【ダイヤ!レヴリアスにハイドロブレイザーを!】

「はい!?」

「ちょ、ショーヤ何言って!」

【野球だ野球!相手の度肝を抜いてやれ!】

「「そうか!」」

 

 いや自分で言っといてあれだけどよく通じたな君ら。まあいい。俺の言葉を受けて、ガイキングがハイドロブレイザーの構えをとる。

 

「真龍!ハイドロブレイザー!」

 

 そうして投げられた火球が、レヴリアスに迫る。

 

「どういうつもり?」

「こうするんだよ!」

 

 レヴリアスが、ステアードをバットのように振りかぶり、そして。

 

「うおおおおおお!」

「な、こいつ味方の攻撃をひっぱたいて!?」

 

 ステアードで打ち出され、さらに加速したハイドロブレイザーがドミネーターに迫る。

 

「くっ!」

 

 残念、腕をかすめただけか。だがそれでも。

 

【隙はできた!】

「しまった!」

「行くぞ!」

 

 キングゲイナーをひっつかんだレヴリアスは、大空魔竜までダッシュ。いや、言い出しっぺ俺だけど、成功してよかったわー。ステアード、溶けなくてよかった。

 その後ドミネーターは大事をとったのか撤退。シベ鉄の残りも特に危なげなく退ける事ができた。ゲイナーもそんなひどい怪我ではなくてよかったよかった。ん?何か忘れてるような。

 

「ガドヴェド!」

「こんなものか!」

 

 あ……まだやってたのね、あの二人。

 




二人の戦いは次回までには終わるでしょう(待て


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VSキング

なんか身内戦多くね?


ヴァンとガドヴェドの戦いは、原作通りヴァンの勝利で終わった。まあここで負けられても困るんだけれど。その後はまあK本編通りというか、地球へ帰る為の手段として、空間転移装置を動かす為の燃料を求めてエリアZiへ向かう事になった大空魔竜。でもってアナ姫がエリアZiへの同行を言い出し、それにくっついてゲイナー達も同行することになった。いや、ゲームやってた時も思ったけどアナ姫無茶言うよなあ。

 で、カギ爪を追ってエリアZiに向かいたいヴァン達一行も同行を申し出て来た。こっちはK本編と違って大空魔竜組とほとんど接点がなかったが、代わりに戦力の提供を申し出たこと、ヴァンと一緒に戦ったことのあるミストさんがフォローしたことから同行が許可された。

 

 で、現在。

 

「……復讐、か」

【ヴァンの事か】

「ああ」

 

 ウェンディ達からヴァンの旅の理由を聞いたミストさんは、ちょっと考え込んでいた。

 

「大切な人を奪った相手が憎いって思う気持ち、俺も解る。解るんだけどさ。ヴァンさんを見てるとなんか不安になるって言うか……ほっといちゃいけない気がして」

 

 あー、そういうことか。

 

【ヴァンが復讐の『先』を考えてないように見えたな。心配なのはそこか?】

「あー、それかな。何度か会って一緒に戦っただけの俺が言うのも変かもしれないんだけどさ、この前のターミナルでのあの人の戦い方を見ててそう思ったんだ」

【ふむ】

 

 まあ、気づいたなら気になるだろうなあ。ミストさんも復讐者側の人間だし。今は地球を守るって言う気持ちと、アンジェリカを取り戻すって気持ちが前に出てるからいいが、原作みたいに煽られた時暴発しない保証はない。

 

【だが、復讐は何も生みませんなんて言う訳にも行かないだろう】

「そうだよなあ」

【まあ、それとなくフォローするしかないんじゃないか?】

「そうなるか」

【まあ、人の心配する前に自分の心配からだがな。ほら、今日のトレーニングだ】

「わかったわかった。せかすなよ」

 

 他人に目が行くってのはいいことだけれど、その為には自分がまずしっかりしないとだからな。この前のターミナルでの戦いから新しいトレーニングメニューを組んだし試しちゃろう。

 

「って内容いつもの1.5倍くらいないか!?」

【新メニューだ。へばるなよ?】

 

 これくらいでへばってたらアンジェリカを取り返すだなんて言ってられんぞー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなわけでトレーニングをしていたところ。

 

「怪我が治りきってないんだから、無茶するんじゃないぞ?」

「ええ。解ってます」

 

 いつの間にかゲイナーが来て、トレーニングに混ざっていた。シンシアに負けたことに思うところがあるのかもしれない。なんか表情がぱっとしないし。

 

「けど、これやっぱりきついですね」

【そりゃミストさんを苛め抜く為のメニューだからなあ】

「ちょっとまった、苛め抜くってどういうことだよ!」

【人間限界までやらないとダメってことだ】

「そりゃそーかもしれないけど」

【まあ、俺がやる訳じゃないしな】

「おい!」

 

 いやだって、俺には体が無いからねえ。あ、そうだ。

 

【せっかくだからシミュレーターで二人で戦ってみたらどうだ?】

「あ、いいな。ゲームでは負けたけど、こっちなら負けないぞ?」

「いいですよ、やりましょ。負ける気はないですけど」

 

 お?いい感じに火花が散ってる。でもまだゲイナーの表情が微妙だなあ。これが気晴らしになってくれればいいんだが。

 

 

 

 

 

 

「く、やっぱり飛べるって便利だな!当たらない!」

「そういうそっちもちょこまかと!避けてるじゃないですか!」

 

 結構接戦になってるなー。ゲイナーがセンスならミストさんは経験で戦ってる感じ。さすがにこれまで戦ってきたのは伊達じゃない。後、お互いに一発で決める大技って今のところないのも大きいか。レヴリアスはグルーヴァイン・バスターがあるにはあるが、一対一でキングゲイナーとやりあってる最中に撃つ暇はなさそうだ。

 ちなみに俺は観戦に集中。さすがにミストさんに手を貸すのもフェアじゃないかなーと。

 

「一発でダメなら!」

「!?二丁で!?」

 

 お、ミストさんが両手に武器を持って連射しだしたな。正確さよりも弾幕を張ることをとったか。これが功を奏したのか、ゲイナーの被弾が目立ってきた。

 

「そっちがそう来るなら!」

 

 お、ゲイナーもチェンガン二刀流か。これで手数は互角だろうけど、このままじゃお互い決定打にはならない事も解ってるはずだ。どこかで仕掛けるかな。

 

「ここだ!」

【ふむ、そう来るか】

 

 先に仕掛けたのはミストさん。いつも俺のアシストでやってる、片手で武器射撃、空いた手でグルーヴァイン・バスターをやる気か。だが、俺のサポート無しじゃゲイナーには当てられないだろう。どうする?

 

「そんなデカ物、当たらない!」

「ああ、当てないさ!」

 

 次の瞬間、キングゲイナーに向けてたバスターの銃口を地面に向けるレヴリアス。砲撃が地面を吹き飛ばす。土煙が広がり、レヴリアスの姿を隠していく。

 

「目くらまし!?」

「もらった!」

 

 土煙から飛び出したレヴリアスの斬撃が、キングゲイナーをとらえる。決定打が入ったと判定され、勝負はミストさんの勝ちになった。これで雪辱は果たせたな。

 

「僕の負け、ですね」

「そう落ち込むなよ、ゲイナー君。今回は俺が勝ったけど、この前は負けてるんだしさ」

「そりゃまあそうですけど」

「それに、一回だけで済ますのもあれだろう?こういうのは何度もやらないと」

「そうですね。それじゃ、今度こそ勝たせてもらいます!」

「いい顔になったじゃないか」

「え?」

 

 ミストさんの言うとおりだ。ここにきてトレーニングに混ざり始めた時は、もやもやした感じの顔だったが、今はなんかすっきりした感じだ。

 

「負けてくよくよする気持ちもわかるけど、大事なのは次勝つことだ。そうだろ?」

「!はい!」

「よし、じゃあ次の試合だ!」

「行きますよ!」

 

 そういって再びシミュレーターに入るゲイナーの背中を見ながら、ミストさんが一言。

 

(ショーヤ、そのつもりでゲイナーをシミュレーターに誘ったんだろ?)

(買いかぶりすぎだよ)

 

 いやまあ、そうなればいいなーくらいだったしね。ま、よかったよかった。 




次回、エリアZiへGO


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エリアZi

 必須タグつけてないって運営に怒られて、夜中少し作品消えてました。ごめんなさい。


 さて、やってきましたエリアZi。磁気嵐で閉ざされてるとは言え、一つの星の中でキンゲとガンソとゾイドの物語が同時に起きてるとかどんなカオスだ。……いや、それを言ったら元の地球も結構ひどいが。

 

「見た目は特別変わったところは無いんだな、エリアZi」

【まあ、基本的に同じ星だしな】

「同じ星と言えば、この星の地名って地球と共通点が多いんだよな。シベリアとか」

【やっぱり気になるか、そこは】

「ああ。それに気にしてなかったけど、割と自然に言葉が通じてるんだよな。俺達。地球に来た時から」

 

 あ、そこ今ツッコむんだ。まあ俺もスルーしてたけど、初対面のシン君とも普通に話して通じてたしなあ。アトリームにもありましたよ、優秀な言語翻訳機がと言いたいところだけど、さすがに初めての言語でスラスラと話せる訳ではない。あの時ミストさんの言葉は『特別な翻訳を介さず通じていた』のだ。

 

【アトリームと言語体系が似ていた、と言ってしまえばそれまでだがな】

「この星と地球は、アトリームと何か関係があるのか?」

【それに関してはわからないけど、一つ面白いものを見つけたぞ?】

 

 そういって、俺はミストさんにある画像を見せる。本当はミストさんが見つけるはずだったものだが。

 

「これはアトリームの果実!?」

【ターミナルの市場で売ってたんだ。ついでに言うと、地球出身のメンバーに確認したら地球にも同様の物があるそうだ】

「……一体どういう事なんだ?」

【さて、まだまだ情報が足りないからな】

 

 ある程度仮説は立てられるけどな。でもこの星も地球って呼ばれてたり地名が一緒な理由は謎なんだよなあ。

 

「というかいつの間に……基本一緒に居るはずなのに」

【そこはほら、勝手に他のPCにハックしたり】

「おい!」

 

 できることはやらないと損だしねー

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリアZiに入ってしばらくして、大空魔竜隊は戦闘の反応を感知した。

 

「シベ鉄、ってことはないだろうが、どうする?ガリス艦長」

「ふむ、エリアZiの情報もないからな。とりあえず何名かで先行して様子を見よう」

「それなら俺と杏奈と……ミスト、お前の機体ならステルス機能があるな?」

「ええ。偵察なら任せてください」

「それとヴァン、行ってもらっていいか?お前のヨロイはどこでも呼び出せるみたいだからな」

「まあ、船賃くらいは働くか」

 

 そんな感じで偵察隊結成。反応があった地点に向かうと、そこには村を襲う恐竜型ロボット……バイオゾイドの群れと、それ相手に戦うライオン型のロボット、ムラサメライガー。そして狼型のソードウルフの姿があった。やっぱりミロード村か。

 

「村が襲われてるのか!?」

「ゴオちん、どうするの?」

「下手に介入すべきではないのかもしれないが……」

「猿渡さん!」

「……わかった。あのライオン型を援護する!」

「とりあえず、あの4つ足以外を倒せばいいんだな?」

 

 そんな感じで村に駆けてく4機。ライガーに群がるバイオゾイドを蹴散らしながら、その周りに陣取る。

 

「む、貴方たちは?」

「通りすがりの者だ。村が襲われてるのを放っておけなくてな。援護させてもらう」

「助かります!奴ら、この村のジェネレータを狙って!」

「子供!?しかし、ジェネレータ?」

 

 そういやエリアZiって扱いだから大気は特に問題ないっぽいけど、やっぱ地質とかがダメなんかね?ジェネレータが無いと環境維持ができないのって。

 

「話はそこまでだ。くるぜ」

 

 ヴァンの言葉に戦闘体勢をとる各機。さあ、初のバイオゾイド戦だがどうなるかな。

 

 

 

 

 

「く、こいつらの装甲、攻撃が通らない!?」

「打撃も斬撃も射撃もダメ、か」

 

 バイオ装甲に意外と苦戦する一行。まあ、原作忠実に再現するとそうなるよなあ。

 

「あの少年の機体とダンオブサーズデイの攻撃は通ってるみたいだが……」

 

 そう、ムラサメライガーはともかく、ダンオブサーズデイも普通に攻撃が通っているのは意外だった。この星の囚人監視用の機体だからメタルZiでも使われてるんかねえ?

 

「く、でもあの二人だけに任せる訳にも!」

 

 っと、考え事してる場合じゃなかったか。

 

【装甲は硬くても内部はそうでもないかもしれない。ゴーダンナーならツインドライブモードで殴り壊せるんじゃないか?】

「力業だが他に思いつかないしな……杏奈、行くぞ!」

「うん!」

 

 そうして合体し、片っ端からバイオゾイドを殴り倒していくゴーダンナー。

 

「俺は、どうしよう」

【零距離でグルーヴァイン・バスターを撃ってみて、ダメなら援護に徹するしかないな】

「そうなるか……」

 

 結果。グルーヴァイン・バスターはダメでした、と。ソードウルフと一緒に、他機体のアシストに回りました。

 

 

 

 

 

 

「ああ、ジェネレータが!」

 

 結局戦闘の中でザイリンがジェネレータを傷つけてしまい、ジェネレータが停止。ディカルド軍は撤退していった。これで終わりと思った矢先、今度は別の反応がレーダーにかかった。

 

「ダリウス軍!?なんで!」

「大空魔竜に連絡を!さすがにこの戦力で連戦はきつい!というかゴーダンナーがそろそろガス欠だ!」

「最初からツインドライブモードだったもんね」

【これが終わったら、あの装甲に対しての対策が必要だな】

 

 さすがに毎回これでは話にならん。とにかく、ゴーダンナーは戦力としてカウントできないか。

 

「ゴーダンナーは後ろへ。ここは俺達が!」

「すまない!」

「僕達も手伝います!」

「どうやらお前達の敵のようだが、こちらも手助けしてもらったからな」

「恩にきます!」

 

 とは言え、こっちはレヴリアスとダンオブサーズデイ、それにゾイドが2体。あっちは元気いっぱいのダリウス軍。少し、骨が折れそうか。

 

 




そんな訳でバイオ装甲怖いよねって話。


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歩み続ける者

 ゾイドとファフナー、どんだけ原作絡めりゃいいのだろうか……K準拠だとゾイドはほとんどすっとぶし、ファフナーはカイジさんだし・・・楽しい宴会だし。。。


 敵は多数、こっちは少数。しかも後ろにはほとんど戦力にならないゴーダンナーと村がある。なんとも面倒な状況だなあ、これは。

 

「なんとか、時間を稼がないと」

【レヴリアスは前に出るなよ?今いる機体だと遠距離攻撃できるのはお前だけだ】

「わかってる。ヴァンさん!えっと、それと……」

「ルージです!」

「ルージ君、援護するからなるべく敵を引っ掻き回してくれ!」

「ええっと?」

「つまり、突っ込んで切れって事だ」

 

 そう言うや否や、ダン・オブ・サーズデイが刀を閃かせ、ダリウス軍の中に突撃する。すぐにムラサメライガーもそれに続いていく。ルージ君初めてゾイドに乗ったのに思い切りがいいなあ。

 

「では私は君達の援護に回ろう」

「お願いします。えっと……」

「ラ・カンだ。しかし君達も人が良いな。名前も知らない人間を助けてくれたのだから」

「当然の事ですよ」

「ありがとう。では」

「ええ、やりましょう!」

 

 レヴリアスを守るようにソードウルフが立つ。これなら射撃に専念できそうかな。

 

 

 

 

 

 

「どうした!デカいのは図体だけか!」

「足元を崩せば!」

 

 ヴァンは怯むことなく真正面から魔獣を切り伏せていくのに対し、ルージは足回りを狙って確実に動きを封じて行っている。ここら辺性格でるね。っと、こっちも仕事せにゃ。

 

「ヴァンさんの後ろから敵が!ショーヤ、右のバスターの照準任せた!」

【わかった。お前はそのままルージの周りの敵を狙ってくれ】

 

 俺らは俺らでいつも通りに二か所同時に攻撃中。しっかしコレやるときいつも思うんだが、ドラグーン的なものが欲しくなるなあ。ミストさんも武器二つ持ちで戦うのに慣れてきたし、片手を俺が使う必要性が薄くなってきてる気がする。頼むならプラントかなあ?

 

【ミスト!敵の増援が来るぞ!】

「ああもう!今でも割と手が足りないのに!」

【ああ、手に関しては心配いらない】

「え?」

【飛んできた】

「ロケットパーンチ!」

「パンチャーグラインド!」

「ナックルボンバー!」

 

 うん。比喩で無しに飛んできた手というか拳が、ダリウス軍を蹴散らしていく。大空魔竜隊の到着だ。

 

「待たせたな!」

「みんな!」

 

 とりあえず、ゴーダンナーには戻ってもらって、他メンバーとダリウス軍を討伐していく。

 

「マッハドリル!おらおらおらぁ!」

「スクランダーカッター!」

 

 ジーグとマジンガーが凄まじい勢いで敵を屠っていくのは見てて気持ちがいいな。敵さんからしたらたまったもんじゃないだろうけど。

 

「く、攻撃が通じない!」

「くそ、やっぱりダメなのか……」

 

 ガイキング組は頑丈な魔獣に苦戦中。あいつは魔獣ドメガだったか?確かリーがトラウマを持ってたんだっけか。

 

「俺は……」

「あきらめちゃダメだ!リーさん!」

 

 動きが止まってる。まずいな、他の敵が二人を囲みだした。

 

【ミスト!】

「わかってる!」

 

 ステアードを閃かせ、敵の群れに突っ込むレヴリアス。ドメガ以外はそんなに強くないな。一気に蹴散らせた。

 

「大丈夫か、二人とも!」

「はい!」

「済まない、ミスト」

「どうしたんですか、リーさん。弱気になって!」

 

 ミストさんがリーさんに問いかける。まあ、普段とは似ても似つかないからなあ。でもって事情を聴いたミストさん。どうするかと思ったら、サーペントをひっつかんだ!?

 

「甘えるな!」

「っ!」

「俺も、大切な人達を守れなかった。でも、そんな俺達だからこそ!今何をすべきかわかるはずだろ!」

「それは!」

「俺達がすべきなのは諦めて立ち止まることじゃない!何度でも立ち上がって立ち向かうことだ!」

「そうだよ、リーさん!リーさんは強い人だ!それができる人だよ!」

「ダイヤ……」

「すまなかったな」

「リーさん!行こう」

「ああ!」

「俺も援護します!」

 

 そうしてドメガに立ち向かっていく三人。そうして、魔獣ドメガはガイキングとサーペントの合体攻撃によって打倒されたのだった。

 

「うわ、おっきいゾイド……?」

「見たことが無い機体がいっぱい……」

 

 レ・ミィやコトナがやって来たのは、敵が蹴散らされた後でした。まあ、仕方ない仕方ない。その後はまあ、ジェネレータを探す職人を探しにルージ君は旅立つことになった。大空魔竜隊もレッゲルを求め他の村に行くことなるため、当面はルージ君達に同行することに。まあ予定調和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし今日は驚いた。ミストさんがああも熱くなるとは。

 

「リーさんに……言い過ぎたかな」

 

 言った本人さすがに気にしてたけど。

 

【いや、あれくらいでちょうどよかっただろ】

 

 あの場でグダグダやってても敵の的だったし、後でリーさんもお礼を言いに来てたしな。

 

【お前は良くやってるよ】

「ショーヤ……」

 

 ほんと、俺が誇りに思うくらいに。実際俺がミストさんの立場だったら、ぽっきり折れてるだろう。故郷を失い、大切な人を失い、それでも立ち上がったら再び大事なものを失い。今も、大事な人が奪われている。

 

【本当だったら、足を止めたって誰も責めないさ】

「そんな暇はないよ。アンジェリカが、待ってる」

 

 そういって、拳を握るミストさん。そうだな。それがあったな。

 

【とりかえさないとな】

「ああ」

【お前の大切な彼女だものな】

「な!?おいショーヤ、わかってて言ってるだろ!」

【さてな】

 

 まあ、大事な家族だってのは解ってるんだが、ミストさんがどう思ってるかは心の中の事だからわからんしねー。

 




 もう一つの地球 一回目はも少し


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バイオ装甲

とりあえず、ノリで書いて触れるエピソードは触る感じで行こうと思いました まる


 さて、レッゲル確保とジェネレータ修理の職人探しの為、大空魔竜隊は商業都市ハラヤードに向かう事になった。まあここは大きく変わることはないだろうと踏んでいた。大空魔竜の燃料の代替になるレッゲル確保は必須だしね。ジェネレータも、やっぱりサコン先生でもよーわからんという事だった。Kってサコン先生万能にしたいのかなんなのかわからんところあるよね。で、問題になるのがキンゲ組。さすがに磁気嵐あるのに自力で帰れって言うわけにもいかんので、このまま同行の流れに。レッゲルが確保出来たら一度ターミナルに戻るという事で話はついた。

 さて、Kではこの直後いきなりダリウス界にぶっぱされる訳なのだが……

 

【特に何事もないんだよなあ】

「ん?何もないのはいいことじゃないか」

【そうなんだけどねー】

 

 現在、大空魔竜は何事もなくハラヤードに向かって飛行中なう。イディクスの奴ら、面倒くさがったのだろうか。

 

「にしてもゾイドか。機械生命体ってハニワ幻神や鉄獣とはまた違うのかな」

【その辺はサコン先生にでも後で聞いてみるんだな】

 

 あっちはオカルトめいてるけど。

 

「そういえば、あのディカルド軍ってやつらの機体の装甲、対策できたのかな?」

【敵の残骸から分析するとは言っていたけどな】

 

 正直バイオ装甲ってメタルZiが無いと決定打与えにくいからなあ。毎回ブレストファイヤーぶっぱしたり、ツインドライブモードになってたりするんじゃ燃費が悪すぎる。

 

「おーい、ミスト。甲児たちが呼んでるぞ」

「ああ、ありがとうリー」

 

 噂をすれば、かな。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまりこの装甲には、基本的にほとんどの攻撃は通じないという事だ」

「正直超合金Zよりすごいぜ。これを破るには超高熱か、それこそ猿渡さんがやったみたいに内部メカをぶっ壊すしかないんじゃないか?」

「そんなになのか……」

 

 現在、サコンと甲児がみんなにディカルド軍のゾイドについて説明中。甲児君地味に頭いい組だからね。ちなみに皆の様子はというと。

 

「ガイキングだったらハイドロブレイザーかな……」

「ムラサメライガーなら攻撃が通るから、やっぱり足を狙っていった方が……」

 

 お子様組は真面目に聞いてる。というかルージ君地味に今後の片鱗が見えてるというか……

 

「……つまりぶん殴ればいいんだな?」

「もう、そういう事じゃないってば!」

 

 剣児はよくわかってない様子。それでいいのか。つばきと鏡が呆れてるぞ。

 

「なるほど……」

「わかる?」

「ええ。興味深いですよ?」

 

 ヴァン……はあっちで寝てる。代わりにジョシュアとカルメンが聞いてる。まあダン・オブ・サーズデイはいつも通り切ってりゃいいだけだからいいけどね。

 

「それで、対策はできそうか?」

 

 猿渡さんの言葉に、サコンが首を振った。

 

「すぐにどうこう、というのは難しいでしょうね。大空魔竜では機体の大規模改造というのはできませんし」

「この先エリアZiで行動する以上、再び敵対する可能性は大きい。何とかできないか?」

「ムラサメライガーの刃を調べてみたところ、特殊な金属で作られてる事が判明しました。それが入手できればいいんですが……」

「難しいか」

 

 考え込むみんな。まあ、ムラサメライガーの刀溶かす訳にもいかんしなあ。

 

「とりあえず、似たような合金が作れないか試してみるが……ダメならそれこそ剣児じゃないけどぶったたいて何とかすることになりそうだ」

 

 こりゃここでの戦いは苦労しそうかなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハラヤードについた俺達は、何とか無事にレッゲルを入手。補給の間休息をとることになったのだが。

 

「からーい!」

「うわぁ……」

「まあ、そうなりますよね」

 

 現在、ミストさんはヴァン達一行の情報収集の手伝い。まあ、今は飯食ってるけど。というか実際見ると調味料の量凄まじいな!?あれは見てるだけで口の中が変になりそうだ。今俺物食えないけど。

 

「それで、情報はあった?」

「この近くの古城で、変わったヨロイの目撃情報があったってくらいかなあ」

「変わったヨロイ、ねえ」

 

 それってもしかしなくてもメッツァさんだろうか。というかあの城この辺にあったのか。

 

「とりあえず、行ってみるか」

「まあ、他に情報もないしねえ」

「じゃあ、みなさんとはここでお別れかな?」

 

 ミストさんが寂しそうに言う。まあ、K本編でもあっちへの転移に巻き込まれたから、仕方なくって感じではあったしなあ。同行を無理強いするもんでもあるまい。とは言え、このまま行かせていいものだろうか。いや、ヴァンがウーに負けるとは……いや、一回負けるけど。原作と違ってディカルド軍とかも居るし。

 

【そう結論を急ぐこともないんじゃないか?情報が得られるとも限らないし、また同行することになるかもだ】

「それはまあ確かにね」

 

 カルメンがうなづく。とりあえず、後で猿渡さんに許可をもらってミストさんも一緒に行くってことになった。とりあえずは安心かねえ。

 

 あ、ガラガさんは無事ルージ君に負けたそうです。

 




ヴァンさんがメッツァメッツァにされるイベントを刺しこんでみる。


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廃城にて

ゾイド側が薄味なのはルート分岐ってことで一つ


 次の日、艦長たちの許可をもらって俺達は廃城へと向かっていた。メンバーはミストさんとヴァンとウェンディ。レヴリアスのコックピットに寿司詰めです。もう少しどうにかならんかったのか。ちなみにカルメンとジョシュアはまた街で情報収集中だ。

 

「そう言えば、エリアZiでも普通にヨロイって言葉が通じるんだな」

【言われてみればそうだな。こっち側だと、ゾイドじゃない機械って意味っぽかったけど】

 

 というかヨロイだけじゃない。言葉全体が、磁気嵐で断絶してる割にシベリアエリアと変わらんのだよなー。ソラノヒトとかの介入なのかもしれんが。まあ、考えててもしかたないか。

 

「そろそろ廃城だな。噂の変なヨロイって言うのは……」

「あの人の仲間なのかしら」

「だといいんだがな」

【まあ、ヴァンとしてはそうだろうな】

 

 そうして件の廃城に近づいたその時だった。

 

「待て!」

「っ!?」

 

 周囲に声が響き渡ると共に、空から剣が落ちて来た。それを見て、ヴァンの顔に浮かぶすっげー笑顔。これがオリジナル笑顔かー。

 

「あれは、ダンと同型!?」

【だろうな。十中八九カギ爪の仲間だろう】

 

 まあ、仲間っつうか息子なんだけど。

 

「貴様達か!あの方の事を嗅ぎまわっているのは!」

「ああ、そうだよ!」

 

 それを聞いて、ヴァンが叫ぶ。狭いんだから外でてから叫んでくれないかな。ほら、二人が耳抑えてる。

 

「む、貴様は!」

 

 あっちも声で気づいたかな。

 

「ならば……選択する権利をやろう!おとなしくここで引き返すならば見逃そう!そうでなければ……」

「なければ?」

「我がメッツァによって貴様の命、ここで断つ!」

「はっ、上等!おい、開けろ!」

「は、はい!」

 

 ハッチが開くと同時にヴァンは飛び出し、蛮刀をVの字に振るう。空から剣が落ちてきて、それが人型になっていく。

 

「ウェイクアップ、ダン」

 

 ダン・オブ・サーズデイが起動すると同時に、緑色のヨロイが複数現れた。

 

「そちらの君には特に用事はないが、この男との戦いを邪魔されても困る。彼らの相手をしてもらおう」

 

 あれは量産型の……ワンオーワンだっけか。持ってきてるのね。

 

「く、ヴァンさん、気を付けて!」

「お前は自分の心配をしてろ。俺もこいつには用があるからな。あの感覚、試させてもらう」

「こい!我が剣の錆にしてくれる! ウェイクアップ、メッツァ!」

 

 とりあえず、大空魔竜に連絡連絡、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、数が多い!それにやけに連携が取れてる!」

【おそらく無人機だな。位置取りに気をつけろ。囲まれるなよ?】

「ウェンディちゃん、しっかり捕まってて!」

「は、はい!」

 

 そんな感じで101の群れ相手に孤軍奮闘中のレヴリアス。ヴァンはこっちのことまったく気にせず、ウーさんと斬りあい中。ちなみに大空魔竜の方はディカルド軍が攻めてきてるとかですぐには来れないらしい。またか!毎回同時進行で色々起きすぎじゃないですかね!?

 

「ステアード、ブレンダー、射撃で!」

【照準、アシストする】

 

 二丁の銃で打ち貫かれていくワンオーワン。だが、またすぐに新しいのが現れる。こいつら何体居るんだよ。ああ、ワンオーワンだし101体か?

 

「くそ、キリがない!」

【ディカルドのゾイドみたいに変な装甲がついてないだけマシだな】

 

 あいつら相手だと、レヴリアス一機じゃ本当なんもできなくなるからなあ。速い所サコン先生にどうにかしてもらわんとだ。

 

「にしても連携がしっかりしている割には、攻撃がそこまで激しくないような」

【あくまで狙いはヴァンだけで、俺達の事は足止めしたいだけなんだろ】

 

 そこら辺律儀というかなんというか。騎士道?ありがたいけれどさ。そうして倒しては増援、倒しては増援のいたちごっこを繰り返し、いい加減うんざりしていた時だった。

 

「ミスト!ヴァン!」

「助けに来ました!」

「無事か?」

 

 現れたのはビッグシューター。ミサイルでレヴリアスの周囲の敵機をけん制していく。

 

「あっちはいいのか?」

「とりあえずは一段落だ。俺達は先行してきた」

 

 鏡が答える。そうか、ジーグだったらパーツ状態でビッグシューターに積めば速いもんな。

 

「さあ、もうひと暴れ行くぜ!鋼鉄ジーグ!」

 

 ビッグシューターから飛び出すバイク。そこ目掛けてささっとパーツが飛びだし、合体する鋼鉄ジーグ。開幕マッハドリルでそのまま敵をぶち抜いていく。

 

「さすがドリルだ!なんともないぜ!」

「調子に乗らない!」

「いや、でもありがたい!後はヴァンさんの方を……」

 

 そう言ってミストさんがヴァンの方を見たその時だった。

 

「ああ!」

「そんな、ヴァンさん!」

 

 倒れるダン・オブ・サーズデイ。誰の目にも、ヴァンが敗北したのは明確だった。同時に、周囲のワンオーワンも動きを止めた。

 

「ここまでだな。その男を連れて帰るがいい。そして二度とあの方の事を追うな!」

 

 そういって去るウー。それに合わせてワンオーワンも下がっていく。この場は見逃がしてくれるって事か。

 

「なんでい、もう終わりかよ」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」

「ヴァンさん!大丈夫ですか!?ヴァンさん!」

「ねえ、起きてよ、ヴァン!」

 

 しかし、呼びかけにヴァンが答える事はなく、吹き始めた吹雪の音だけが、その場を満たしていた。

 




 2,3日に一回のペースも維持が危ぶまれる今日このごろ。


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強襲

色々詰め込みたいけど詰め込めない。文才欲しい……


 ヴァンが敗北してから1日。とりあえず倒れたヴァンは大空魔竜の医務室に寝かせてある。命に別状はないとの事でとりあえずは一安心。今はガンソード組が交代で様子を見てる。

 

「あいつが負けるとはな……」

「ええ。ヴァンさんの強さはかなりのものなのに……」

 

 ミストさんと猿渡さんは、現在大空魔竜の格納庫で機体のチェック中。そういえばこの二人、直接話すことあんまりなかったな。

 

「ヴァンさん、大丈夫でしょうか」

「怪我とかしてる訳じゃないだろ?」

「そこじゃなくて。なんというか、うまく言葉にできないんですけど……」

「ふむ」

 

 それを聞いて、猿渡さんも思うところがあったのだろう。考え込み始めてしまった。復讐心に理解がある二人はなんとなくヴァンの問題点を察してるのかもしれないな。ヴァンほど復讐一直線ってならなかったから、確証が持ててないんだろうけど。

 

「まあ、まずは目を覚ましてくれることが一番なんだけど……」

【そうだな】

 

 その後どうなるかも、結局ヴァン次第だからなあ。

 

 

 

 

 

「ヴァンさんが居なくなった!?」

「ええ。少し前に眼を覚ましたらしいんだけど」

「ウェンディさんも居なくて……」

 

 行動速いなあ。まあ、それだけショックも大きかったって事なんだろうけど。

 

「リベンジに行ったんでしょうか?」

「いや、あいつはおそらく……」

 

 ジョシュアの言葉に、猿渡さんが首を横に振る。彼はもうわかった感じか。

 

「俺、探してきます」

「いや、よせ。今はそっとしておいてやれ」

 

 飛び出そうとするミストさんを、猿渡さんが制する。二人とも、ヴァンの状況はもうわかってるか。

 

「どういうこと?」

「つまりはまあ、あいつ次第って事だ。これから先に進むのか、引き返すのか」

「ヴァンさんなら大丈夫です。きっと……」

 

 カルメンの疑問に、二人は答えをはぐらかした。まあ、死ぬのが怖くなったとか、勝手に言うことでもないしな。さて、ここのヴァンは恐怖を克服できるのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 で、その翌日大空魔竜にディカルド軍が襲撃を仕掛けて来た。村を助けたり、ゲリラに手を貸したりするこちらをいい加減目障りに思ったのだろう。まあザイリンとかは居ないみたいだが。で、その中に何故かメッツァとワンオーワンの姿があった。なんで居るし。

 

「俺達には興味はないんじゃなかったのか?」

「そのつもりだったのだがな……同志の指示だ。彼らに手を貸すようにとな」

 

 ミストさんの質問に何事でもないように言うウー。一応手を組んでるのか、その二勢力は。

 

「あっちがやる気ならやってやろうじゃねえか。この前は不完全燃焼だったからな!」

「ああ。そうだな」

 

 やる気満々だなあ、剣児。まあ確かにこの前は戦わずに終わったしな。頑張って暴れてもらおう。

 

「そういえば、あの男は居ないのだな」

「っ……それは……」

 

 ヴァンが居ない事にはさすがに気づくか。ミストさんも言いよどんでいる。

 

「怖気づいたか。それもいいだろう」

「あいつは戻ってくるさ。たぶんな」

「猿渡さん……」

「だから今は、目の前に集中しろミスト!」

「はい!」

 

 やっぱ年長者は頼りになるね。いや、実年齢だけで行ったら俺もたいがいなんだけど。こういう時気が利いた言葉が出ないからまだダメだね。

 

 

 

 

 

「ハイドロブレイザー!」

「ブレストファイヤー!」

 

 バイオゾイドを、高熱兵装を使える機体が薙ぎ払っていく。とは言え、そんな大技ばかり使うと当然隙も大きいわけで、そこを狙って他の機体が突っ込んでくる。

 

「のは解ってるからな」

「させないよ!」

 

 それを阻むのは、ゴーダンナーとネオオクサーのコンビ。今回は合体せず、フォローに回っているようだ。

 

「グルーヴァイン・バスター!」

【ようやく出番に恵まれたなあ、お前も!】

 

 俺達はワンオーワンの相手中。となりではやたらテンションの高い剣児が大暴れしている。

 

「ふむ……」

 

 メッツァは動く気配はない。戦況を見極めてるんだろうか。

 

「では、行くぞ!」

 

 なんて思ってたらいきなり仕掛けて来た!?狙いはレヴリアスか!

 

【受けろ!】

「え?うお!?」

 

 突然の攻撃に動揺するも、きっちり受けるミストさん。よくやった!

 

「まずは貴様からだ!」

「そううまくいくかな!」

 

 そうして切り結ぶ二機。だが、レヴリアスが徐々に傷を増やしていくのに対し、メッツァはほとんどダメージを受けていない。やっぱりネオオリジナルは反応がいいな!

 

「この反応速度……まるでヴァンさんと戦ってるみたいだ!」

「ふ、同じオリジナルセブンのヨロイだからな。だがあの男よりも私の方が上だという事はこの前わかっただろう!」

 

 押されていくレヴリアス。こっちも全力でアシストしているものの、ウーの技量の高さもあってかなかなかダメージを通せない。

 

「く、このままじゃ……!」

「させるかよ!」

「邪魔だ!」

 

 ジーグが引きはがしにかかるが、ワンオーワンの壁に阻まれる。

 

「しまっ!?」

「もらった!」

「ミスト!」

【まずい!】

 

 そうしているうちに体勢が崩れたレヴリアス目掛けて、メッツァの刃が振り下ろされた瞬間。

 

「悪いが、やらせる訳にはいかないな」

 

 その一撃は、一体のゾイドによって防がれた。

 

「虎……?」

「何奴!?」

 

 あの機体はソウルタイガー……ってことはセイジュウロウ!?どこでそんなフラグ立ってた!?混乱する俺を他所に事態は進んでいく。

 

「今度は貴様が相手か」

「いや、お前の相手をする人間は他に居る」

 

 そうセイジュウロウが言うと同時に、コックピットが開く。そこから現れたのは……ヴァン!?

 

「では、行ってくるといい」

「ああ。世話になった」

 

 そうして降り立つダン・オブ・サーズデイ。いやいや、一体何がどうなってるんだ!?ミストさんもぽかーんとしてるぞ?

 

「死にに来たか」

「斬りたきゃ斬れ!」

「何?」

「殺したきゃ殺せ!だがな、お前には無理だ!誰にもできない。俺とエレナを離すことだけは!」

 

 うん、よくわからん展開になったけど、とりあえず吹っ切れてるみたいだしいいかな!ととりあえず思考放棄してみた。

 




イベントごった煮って感じ


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輝くは電流火花 そして

先はまだまだ長い


「どうした、それで終わりか?」

「く、貴様!電磁シールドを!」

 

 ダン・オブ・サーズデイがメッツァ・オブ・チューズデイを圧倒している。メッツァの武装面でのアドバンテージだったビームも、ダンのバリアに防がれて有効打にならない。あっちはもう放っておいてもよさそうだよなあ。

 

「ヴァンさん、良かった……」

「ああ。どうやら吹っ切れたみたいだな」

 

 ミストさんと猿渡さんもほっと一息。さて、こっちはいいとして問題はあっちだ。

 

「セイジュウロウさん!どうしてここに!?」

「知り合いなのか?」

「ええ。この前の戦闘の時に」

 

 何やら俺達がヴァンにくっついて別行動をしてた時のディカルド軍との戦いの際に手を貸してくれたそうな。そう来たか。でも、それがなんでヴァンと一緒に?

 

「森の中で偶然出会ってな。連れの少女の介抱を頼まれた」

「え?ウェンディさんに何かあったんですか?」

「過労で少し熱が出ただけだ。今はここに」

「みなさん、ご心配おかけしました」

「良かった……」

 

 3人乗りしていたのね。なるほど。接点がない二人がどうして一緒に現れたのかは分かった。

 

「貴方がヴァンを?」

「いや、あいつは自分で答えを見つけた。迷いを振り切った」

 

 まあ、パズルともくもくと向かい合ってエレナアアアアアだしなあ原作も。

 

「奴に影響された、という訳でもないが……俺も吹っ切れるべきなのかもしれないと思ってな」

「え、それって!」

 

 ルージの弟子入りもここで丸く収まる感じかな。いい感じに物事が進んでるな。

 

「よし、じゃあ後はディカルド軍を蹴散らすだけだ!」

「ああ。ここからは俺達も全力で行くぞ!」

 

 気合を入れる皆。ゴーダンナーもツインドライブモードに。これはすぐにケリがつくか?

 

 

 

 

 

 

「遅い……」

 

 バイオ装甲を削れる機体が増えたのはデカいな。ソウルタイガーが駆け抜けると、あっという間にバイオゾイドが崩れ落ちていく。どうやら足元を狙って姿勢を崩すことを優先してくれているらしい。そこをルージやスーパーロボット組が仕留めていく。

 

「やっぱり何度見てもすごいわね」

「あんな人が居るなんて、世界は広いなあ」

 

 他ゾイド組やレヴリアスも支援に入り、バイオゾイドをどんどん殲滅していく。

 

「ブレストファイヤー!」

「ソウルブレイカー!」

「マグネットプレッシャー!」

 

 ただ、内部メカ狙いになる関係上、どうしてもスパロボ組が大技ばかりになるのはやはり否めないなあ。サコン先生たち技術班による対策が待たれるな。

 

「これであらかた片付いたな」

「ああ。後はヴァンさんだけど……」

【それなら、決着がつきそうだぞ】

 

 あちらももう勝負がつくところだった。メッツァの防御ごと、ダンの刀がその体を叩き切った。

 

「やった!ヴァンさんの勝ちだ!」

【ああ】

「さあ、カギ爪の居所を吐きやがれ!」

 

 倒れたメッツァの胴体に、ヴァンが刀を突きつける。その時だった。

 

【レーダーに反応。高速で近づいてくるぞ!】

「新手か!」

 

 さて、一体どいつだ?ディカルド軍か、オリジナル7のどれかか?

 

 

 

 

 

 

「っ、奴らは!」

 

 現れたのは、そのどちらでもなかった。

 

「やれやれ、戦い終わって疲れたところを狙おうって腹だったのに、ろくに消耗してないじゃないか」

「貴様、惑星ベザードの時の!」

 

 現れたのは、ダリウス軍。そして、それに混ざるイディクスの連中。ヴェリニーの部隊だった。ようやくお出ましか!

 

「く、勝負は預けるぞ!」

「あ、待て!俺が勝っただろう!カギ爪の居場所吐いてけよ!」

 

 新手に気を取られてる間に、メッツァが逃げて行ったようだ。よく動けるな、あの損傷で。あ、違う。バイオゾイドに引きずられてる。なりふり構ってないなあ。だが、その分速いけれど。

 

「くそ!」

 

 ウーを追う素振りを見せたダン・オブ・サーズデイだったが、新手の方を見るとこっちに向き直った。

 

「手は貸す。足は借りる。そうだな」

「ああ。ありがたいが、いいのか?」

「かまわん。世話にはなってる」

 

 今はこっちを手伝ってくれるらしい。ありがたい。正直消耗してるんだよね。大技ばかり撃ってた影響でスパロボ軍団が。

 

【レヴリアスはそこまで消耗してない。前に出るぞ】

「ああ。とりあえず、奴らを打ちのめす!」

「あんたは……イスペイルから聞いてるよ。何度も死にかけてるらしいじゃないか。そろそろ墓場が恋しいんじゃないかい?」

「ふざけるな!」

【あんまり熱くなるな】

 

 ミストさんにはそう言ったものの、どうにも奴を見ると感情が荒ぶるような感じがする。同じイディクスのイスペイルとの時はそんなことはないんだが、なんでだ……ベザードの時もだったが、良くない事の気がする。

 まあ、今は目の前に集中しないとだな。

 

「あいつもイディクスって連中の仲間なんだな?」

「ってことは地球に帰る手がかりを持ってるかもしれないな!」

「よし、とっ捕まえてふんじばってやる!」

 

 ……正直、周りの方があらぶってる気がしないでもないが。スパロボ系って荒っぽいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




そろそろダリウス界に行くのか、それとも地球に行くのか


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VSヴェリニー

そんな訳でヴェリニー2戦目。


「みんなの仇、打たせてもらう!」

「はっ、私たちに勝てるとでも思ってるのかい!」

【負けるつもりで戦うやつは居ないだろう】

 

 とはいえ、奴にはベザードで一回戦って勝ちきれてないからなあ。このまま一機で突っ込んでも負けてしまうだろう。となれば……

 

【ヴァン、手を借してくれ。あの親玉を狙いたい】

「誰だ?」

【ミストの腕についてた箱だ箱】

「箱?まあいいや。とにかく親玉をやればいいんだな?」

「ショーヤ、説明が雑だな……」

【間違ってないし細かく言って通じるとも思えんからいいんだよ。他の皆は取り巻きを!】

「わかった。奴の事はお前たちが一番良く知っているだろうし、この場の指示は任せるぞ!」

 

 とにかく、現状一番消耗が少ないこの二機でボスを抑えて、その間に他をつぶしてもらうのがベターだろう。ダン・オブ・サーズデイならビクトーラにもついて行けるだろうしな。

 

「行くぜ、遅れるなよ」

「はい!」

「私に引き裂かれたいならずたずたにしてやるよぉ!」

 

 レヴリアスとダンの刃が、ビクトーラの爪と激しくぶつかり火花を散らす。敵の速さに合わせて、二機とも二刀流で激しく責め立てていく。だが、ビクトーラはその攻撃を的確に受け切っていく。

 

「やるじゃない。手助けありとは言え、この私とやりあえるなんて」

「こっちだって成長しているんだ!やられっぱなしでは居ない!」

「でもねえ、吹けば吹き飛ぶような装甲した機体なのは変わらないでしょう?」

 

 ビクトーラの右腕からレヴリアス目掛けてビームが放たれる。だがそれは、間に入ったダン・オブ・サーズデイの電磁バリアによって防がれる。

 

「そいつばっかり見てるなよ」

「へえ、今のを防ぐとはやるじゃない!」

「っ、今だ!」

【バスター、セット!】

 

 ビームを撃ち切った隙を狙い、グルーヴァイン・バスターを打ち込む。狙いは、足元!

 

「こいつ、足場を!」

「機動力が高いって言っても!」

「舐めるなぁ!」

 

 足場が崩れた一瞬を狙い射撃を打ち込む。だが、相手はクローのブースターを無理やり吹かしてその場から飛びのいた。

 

「なんだ、余裕こいてた割に今のは必死だったじゃねえか」

【だから足元をすくわれるんだ。今みたいにな】

「く、調子に乗るなぁ!」

 

 今ので激高したのか、攻めが単調になってきたな。今度はこちらが攻められているのに、受けてる二人には余裕がある。

 

【ミスト!】

「ああ!」

 

 大振りの一撃が来たところを避け、ボディに一撃を叩き込むレヴリアス。いいのが入ったな。すかさずダンが背中側から刀を叩きつける。吹き飛ばされるビクトーラ。両断されないのはさすがと言ったところか。しぶといな。

 

「みんなの状況は?」

【まったく問題ないな】

 

 皆、消耗しているのを感じさせない程奮闘している。ゾイド組がほとんど消耗してないのも大きいか。彼らが敵の体力をいい感じに削っていってくれてる。足が止まれば、そこ目掛けてスパロボ軍団の強烈な攻撃が飛んでくるって寸法だ。

 

「デスパーサイト!」

「光子力ビーム!」

 

 ああ、今もまた哀れな魔獣がなます切りになってる。旧版でも光子力ビームって十分強いと思うんだよ。バルカン並みの扱いにしたスパロボのせいで低威力の印象強いけど。

 

「はあああ!」

 

 ムラサメライガーの刃の切れ味もすごいな。デスエラが真っ二つだ。うん。向こうは本当に心配いらないな。苦戦する気配がかけらもない。

 

【今はこっちに集中しろ】

「ああ。解った」

「今のは切ったと思ったんだが……頑丈だな、あいつ」

 

 ヴァンがそう言った直後、ゆらりとビクトーラが立ち上がった。

 

「……ああ、もういいや……あんたら全員、消えな!」

 

 そう奴が叫ぶと同時に、空に時空間ゲートが浮かび上がった。ヒステリーかよ!

 

「く、またどこかに飛ばされる!?」

「なんだ、飛ばされるって!」

 

 機体が浮かびあがり、ゲートに引き寄せられていく。大空魔竜も、その巨体が浮かび上がっていく。

 

「大空魔竜に近い機体は船内に戻れ!また地球から飛ばされた時みたいにどこかに転移させられるぞ!」

「く、その前に!」

【狙いはつけてある。撃て!】

 

 ビクトーラ目掛け、グルーヴァイン・バスターを連射する。だが、それは間に入ったイディクスの量産機たちによって阻まれた。身代わりになり、砕けちって行くデスエラ。

 

「そもそも今回は様子見だったから手加減してやってたんだ。調子に乗るんじゃないよ!」

「様子見?」

 

 様子見?大空魔竜のか?

 

「だけどまあ、あの方が気にするほどの事でもなかったみたいね。それじゃあ、さようなら、〇〇〇〇」

【っ!?待て!】

「え、今あいつなんて!」

 

 そうして俺達はまた、時空間ゲートに飲まれてどこかへと飛ばされるのだった。たぶんダリウス界だろうが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 転移を終えすぐに周囲を確認する。今回は離れたところに飛ばされたということはないようだ。

 

「また飛ばされたのか、俺達は」

【今回はみんな近くに居るから心配するな】

「わかった……なあ、ショーヤ。あいつ、最後に」

【ああ。解ってる】

 

 奴は、確かに言った。“さようなら、ショーヤ”と。なんでイディクスが、俺の名前を知っている?奴らの前で俺は名乗ったことはないはずだぞ?奴らは、何を知っているんだ?

 




そんな感じでダリウス界。そろそろ彼女達でるかなあ


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情報整理?

時間がないー時間がないー文章力もないー


「むう、ここはまさか」

「艦長、ここがどこだかわかるのか?」

「ああ、間違いない。ここは……」 

 

  さて、やっぱり飛ばされた先はダリウス界でした。まるで知らない場所に飛ばされましたよりはよっぽどマシなのだけれど、それでもいきなり別の世界に飛ばされたとなればもめる事の一つも起きる訳で。

 

「別の世界だか何だか知らないが、カギ爪の男はどうなる!」

「ディカルド軍を放っておく訳には……」

「ジェネレーターの修理が……」

「ヤーパンの天井に戻らないと……」

 

 等々、もう一つの地球組からやっぱり文句が出る事出る事。まあ、わからなくもない。そもそももう一つの地球組ってそれぞれに個別の事情抱えすぎなんだよなあ。Kの終盤が原作イベントぶつ切りでぶっこむ事になったのって、その辺も影響してるのかもしれんね。ちなみにこの場は、アナ姫とラ・カンが何とか収めてくれました。さすがにこの二人には上に立つ者の貫禄を感じるね。というかアナ姫、俺やミストさんよりもしっかりしてるよね?たぶん。

 そんな訳で、現状できる事と言えばダリウス軍の地上進行の阻止だろう、ということでダリウス界を進む大空魔竜一行。元の地球の地上には、邪魔大王国や擬態獣が居るのはまあ気になるものの、順に対処していくしかないだろうということだ。とは言えここ数日は特に大きな戦いはなく、平和っちゃ平和だ。時々散発的にダリウス軍が仕掛けてくるけど、特に危なげなく撃退している。タイミング的には、地上に大戦力を送り込む前だから出し惜しみしてるんかねえ?

 

「おい、ミスト!避けろ!」

「え?ああ!?」

【はいはい回避行動回避行動】

 

 ただいま、その散発的戦闘の真っただ中な訳なんだが、どうもここのところミストさんの様子がおかしい。何やら考え込むことが多い。特に何するでもなかったが、さすがに戦闘中にまでぼーっとするのはいただけない。その日の晩に問いただしてみることにした。

 

【で、どういう訳だ?】

「ちょっと、気になることがあってね」

【イディクスの奴らの事か?】

「ああ。地球と、もう一つの地球。そのどちらにも奴らが居た。だけど」

【行動に違和感があるってところか?】

「ショーヤも気になってたか」

【まあな。奴ら、アトリームやベザードの時と違って、今回は何かこそこそやってる感じだ】

 

 アトリームやベザードの時は出現してすぐに滅ぼしにかかって来ていたのにな。確か原作だと、イスペイルの方は地球を取り巻くマイナスエネルギーを増大させようとしてて、ヴェリニーの方はプラネットクライシスの代わりにカギ爪の男の計画を利用しようとしてたんだっけか。原作とこの世界が一緒かはわからないけれど。

 

【イスペイルの奴は、アンジェリカを使って何かをしようとしているのは間違いないな】

「ああ。一体何が目当てなのかはわからないけど、どうせろくでもない事だとは思う」

 

 えーっと、原作での情報で関係ありそうなのは、セルケリウスか?確かイスペイルが奪取してたはずだし。それで確かクリスタルハート関連の実験してたはず……クリスタルハート搭載機に乗っていたアンジェリカに目を付けたのはそれが理由か?だとして、最終的な目的はなんだ?原作通りクリスタル・ハートの力を手に入れて反逆?んー、まだまだ情報が足りないな。

 

「それと、ヴェリニーの方は何かショーヤが目当てっぽかったけど」

【それも気になるが……今は何とも言えないな】

 

 そっちについては本当に情報なさすぎる。というか今更だけど、俺がこんな状態な理由すらわからんからなー。これにイディクスが関わっているってんなら、どうにかしたいところではあるが。

 

「実はイディクス製だったとか」

【はっはっは、ありそう。いっそ消去するか?】

「え?」

 

 無論、積極的に死にたいだなんて考えてる訳ではないけれど、変なところでミストさん達に迷惑をかけるなら、それもいいのかもしれないとわりと真面目に考え始めてる自分も居るんだよなあ。などと言ったら、ミストさんにひっぱたかれた。

 

「馬鹿いうなよ。ショーヤ。俺から残った家族を奪う気か?」

【……すまん】

 

 うん、今のは言っちゃダメな奴だったな。とにかく自分の事もそろそろ真剣に考えていこう。この愛すべき弟分に危害を加えられたくないしな。

 

【ま、あんま考えすぎるなよ?そもそもお前考え事に向いてないんだから】

「な、どういう意味だよ!」

【そのままの意味だよ】

「なにをー!?」

 

 うん。問題はまだなんも解決してないけれども、今くらいはこのやり取りを楽しんでもいいだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 さて翌日、リーさんが持って帰って来た情報からアークホーランドに向かう事になった大空魔竜。原作だとここでシェルディアが居たはずだけど、果たしてどうなるかな。またややこしい事になってなきゃいいんだけれど。

 




そろそろシェルディアが出てくるかな。どんな状況かはあれだけど


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アークホーランドにて

時間無いせいで雑になって来てるなあ。元から雑とか言ってはいけない、


 アークホーランド攻略戦は、Kのシナリオ通りダイヤとノーザの一騎打ちから始まった。最初は皆加勢しようとしたが、ダイヤの希望で見守ることとなった。というかKだとこの辺結構発言があれだった記憶があるんだけれどどーなんだろね。

 

「デスパーサイト!」

「当たるものか!」

 

 戦いは一進一退。いや、ややガイキングの方が押されているか。ミストさんも固唾をのんで見守っている。

 

「こんなものか!炎の巨人!」

「まだまだぁ!」

 

 良い一撃がガイキングに入ったな。だが、ダイヤの闘志は尽きてはいない。ハイドロブレイザーの構え……って至近距離でか!?

 

「食らえぇ!」

「何!?」

 

 爆音。両者ともに少なくないダメージが入ったな。とそこへ、第三者の攻撃が飛んできた。

 

【ミスト!】

「ああ!」

 

 ガイキングを守るレヴリアス。敵は……サスページか。

 

「貴様!なんのつもりだ!」

「大帝の命令です。決闘ごっこはここまでですよ」

「ごっこだと!?くっ……!」

 

 ノーザは不本意そうだなあ。まあ、性格考えると当たり前だけど。

 

「汚いぞてめえら!」

「決闘が聞いてあきれるな」

 

 こっちの大人組も怒り心頭だなあ。

 

「サスページ、後は勝手にしろ!」

 

 あ、ノーザは帰るのか。ありがたいけどね。なんだかんだあいつは脅威だし。

 

「まあいいでしょう。今までの借り、返させてもらいますよ!」

「上等!」

 

 さて、原作だとここでシェルディアが混ざってた訳なんだが‥‥‥

 

【居ないな……】

「どうした?」

【いや、何でもない】

 

 ここに居ないとなると、マジでどこ行ったんだ?あの二人。

 

 

 

 

 

 

 

 

「男と男の戦いに水を差すんじゃねえ!」

「色々なっちゃいねえぜ!」

 

 元々熱血系だからか、誰よりも怒ってるダイナミック組が敵機を片っ端からミンチに変えていく。いや、怖いなあれ。つかんだままロケットパンチで他の奴にたたきつけるとか、やめたげてよぉ。ジーグはジーグでマッハドリルで殴りかかってるし。

 

「そういうの、よくわからないなあ」

「男の子ってそういうものなのよ」

 

 その横を、ゾイド組が駆け抜けながら切り裂いていく。さすがに機動力高いなあ。

 

「ダイヤ君、ガイキングは?」

「大丈夫です、まだやれます!」

 

 レヴリアスとダンナーベース組はガイキングの援護に回ってる。さすがに決闘で傷ついた機体を放っておくわけにもいかんしね。現在補給中だ。

 

「ったく、どこもかしこも同じような奴しかいないのか、ここは」

 

 あ、ヴァンさんは平常運転です。一人で突っ込んで斬りまくってる。

 

「く、だったらあれを出しましょうか」

「む!?」

 

 ん?なんかサスページが企んでる?何かが引きずられてきた……ってあれはセリウスIIか!?

 

「セリウスII!?なんでこんなところに!?」

【シェルディア、レム!無事なのか!?】

 

 おいおい、どうなってやがる?

 

「この前ダリウス界に転移してきた機体を鹵獲しておいたのですよ。まあ、何故か我々には動かせなかったので、パイロットの方に協力いただいているのですが」

「なんだと?」

 

 やっぱりダリウス軍入りルート?にしては機体がボロボロなんだが。

 

「さあ、頑張ってくださいよ?妹さんの為にもね」

 

 サスページのその言葉をうけ、戦闘態勢を取るセリウスII。まさか、そういうことか?

 

「シェルディア!」

 

 そうミストが叫ぶと、セリウスIIと通信がつながった。映ったのは、ぼろぼろのシェルディアの姿。後方の座席には予想通りというか、レムの姿はない。彼女の姿に、ミストさんが息をのんだ。

 

(何てことしやがる……)

 

 その時、シェルディアの口が、ぼそぼそと動いた。

 

「!?」

 

 次の瞬間、ガイキングに突っ込んでくるセリウス。咄嗟に割り込んで受け止めるレヴリアス。

 

「みんな!この機体には手を出さないでくれ!ショーヤ!」

【わかってる。今やってる!】

 

 全機体に状況をメッセージで伝えると同時に、久しぶりにハッキング能力全開で、周囲にいる戦艦にハッキングをかける。シェルディアがつぶやいた言葉。それは、

 

「レムを助けて」

 

 くそ、人質とかゲスな!サスページそういうこと……ああ、するね。するする。1隻目は外れか。次!

 

 

「わ、私が動きを!」

「だめだ、あの機体の損傷度、ネオオクサーの重力でも圧壊しかねん!」

「そんな!」

 

 それくらいセリウスIIはボロボロだ。無理もない。おそらくベザード防衛線からそのままなのだから。

 

「さあ、そのかわいそうな子を倒すのか、それとも倒されるのか選ぶといい!」

 

 人質がいるからおとなしくしろ、よりも回りくどいことしてるのは性格のせいか?いや、もしかしたら一緒に行動してたヴェリニーとかの影響受けてるのかもしれんけど。まあ今回はそれがありがたい。つけ入る隙がある。

 

【2隻目も違う!あれか!】

 

 3隻目の戦艦にハッキングを仕掛ける。見つけた……!

 

【ミスト、居たぞ!】

「わかった!剣児!甲児!頼む!」

「ああ!」

「任せろ!」

 

 セリウスIIの相手を二人に任せ、レヴリアスはその場を離れる。目的は一つだ。

 

【ステルスモード、オン】

「行くぞ!」

 

 さあ、お姫様を返してもらおう!

 




次回。ショーヤ、キレる。


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救出

ご都合主義\(^o^)/


というか抑えてるけど、俺はブチ切れそうになっている。妹分であるシェルディアがボロボロの姿でいいように戦わされてるんだ。怒らないほうがおかしいだろ。幸いというか、レムの方は怪我はないようだったが。そして当然それはミストさんも同様で。

 

「くそ、あいつら。絶対許さない!」

【同意だ。だがまずは!】

「わかってる!」

 

 まずはレムだ。言い方はあれだが、今のシェルディアは安全だと言えば安全だ。こっちは手加減してるし、万が一サスページが何か仕掛けてきてもみんなが守ってくれるだろう。だが、レムは未だ相手の手の内にある。まずは彼女を取り返す!

 

「とはいえ、どうするんだ?」

【不時着させる!】

「できるのか!?」

 

 一応やってやれない事はない。さすがに兵器のコントロールを奪うのは時間がかかるが。だからアンジェリカの時もやらなかったというかできなかった。あの時はミストさんのサポートに手を割かないとこっちが落とされていたからなあ。だが今回は敵戦艦を乗っ取る事に全力を注げる。

 

「く、シェルディアは大丈夫か?」

【甲児と剣児が旨くやってくれてる。心配するな】

 

 その為にもハリー、ハリー、ハリー!ええい、2分3分がもどかしい!

 

「まだか!?」

【せかすな!】

 

 気持ちはわかるけどさ!

 

【っしゃ掌握!ミスト、準備を!】

「わかった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不時着した戦艦の側面を、ステアードでぶった切る。レムが居る部屋からは少し遠いが、誘爆とかを考えると仕方ない。他の敵機体がこちらに来ないように、ゾイド組がカバーに入ってくれてるのが見えた。ありがたい!

 

【頼むぞ、ミスト】

「こういう時の為のトレーニングだ。やってやるさ!」

 

 コックピットから飛び出し、敵陣に乗り込むミストさん。こういう時、体があればいいんだがな。まあないもの

ねだりしても仕方がない。俺は俺でできる事をするだけだ。

 

【通路、あっちだ。誘導する】

「頼む!」

 

 進む道のロックを解除し、ダリウス兵が来ないように隔壁を降ろしロックしていく。急がないと。こうしてる間にもシェルディアはボロボロでがんばっているんだ。

 

【そこ、右だ!】

 

 そうして、ようやくレムが囚われている部屋にたどり着いた。久しぶりに見たレムは、少々痩せたように見えたが、怪我などはないようだった。手を縛られてはいるが

 

「レム!助けにきたぞ!」

「お兄ちゃん!?」

【俺も居るぞ】

「ショーヤも!」

「話は後だ。ここを出るぞ!」

「うん!」

 

 レムの拘束をほどき、来た道を戻る。レヴリアスにたどりついたのは、突入してからわずか3分ほどの出来事だった。

 

 

 

 

「シェルディア!レムは無事だ!」

「お姉ちゃん!」

「レム!」

 

 シェルディアも無事っぽい。よかったよかった。これで後はサスページを倒すだけだ。……正直、かなり腹が立っている。ただではすまさん。

 

「ショーヤ、行くぞ」

【わかってる。徹底的にだ】

 

 そのゼルガイアー、なます切りにしてくれる。

 

 

 

 

 

 

 そこからはもう消化作業だった。うん、人質なんて手段取ったんだ。こっちのメンツの殺る気スイッチも入るってもんだ。敵機体はミンチよりひでえやな状態になってるのが大半だ。

 俺とミストさんもサスページのゼルガイアー相手に大暴れしましたとも。というか今あれ、なんで浮いてるかわからんくらいにボロボロになっている。グルーヴァイン・バスター何発撃ちこんだっけかな……。

 

「く、今回は引いてやる!」

「逃がすか!」

【まて、ミスト。レムも乗ってるんだ】

「っと、そうだった」

 

 深追いはやめとくべきだろう。今はまず姉妹を再会させてやらにゃあ。あ、シェルディアはレムを取り返した時点で大空魔竜に収容してもらった。今は医務室で休んでいるそうな。

 

 

 

 

 

「レム!よかった!」

「お姉ちゃん!」

 

 抱き合う二人を見て、ようやくほっとした。レムが人質になってるときはどうしようかと思ったけれど、さっくり取り戻せて本当に良かった。

 で、そっからはお互いに情報交換。シェルディアたちはやはりベザードでの戦いの後、ダリウス界に飛ばされて来たらしい。で、不審な機体があるってことでやって来たサスページにつかまり、協力を要請され、断ったらレムを人質にーと。うん、テンプレだなあ。まあ腹が立つ展開ではあったが、ある意味よかったのかもなあ。二人までアンジェリカみたいな事になってたらどうしようかと。

 

「ミストが来てくれてよかったよ。侵略の手伝いとか絶対イヤだったから」

「シェルディア……」

 

 そりゃそうだ。侵略者に滅ぼされた星の人間がしたい事でもあるまい。……原作だと一宿一飯の恩だかでさっくり協力してたけど、気にしない。

 

「ボクたちもミストたちを手伝うよ。また、イディクスの奴らがいるんでしょ?」

「うん、協力します!」

「ああ。でも、今はゆっくり体を休めてくれ。シェルディアはボロボロなんだし」

【レムもだ】

「「はーい」」

 

 セリウスIIも修理しないとだし、二人の参戦はもう少し後かな。

 




さっくり終わりました。


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ガイキング絶対絶命:前

Kのシナリオとの差異が出てくるところまで続けられるんかなーこれ


 シェルディアとレムを助けた翌日、大空魔竜はアークホーランドから少し離れた地点へ向かっていた。目的は、敵が開けようとしているデスクロスポイント。そこを利用してまずは元の地球に戻ろうという事になったのだ。とりあえず元の地球に戻れれば、光子力研究所とかの協力も得られるしね、と。 

 

「甲児さん、俺達が体勢を崩すからその隙に!」

「わかった!アイアンカッター!」

 

「猿渡、こっちは俺がやる」

「ああ、反対は任せろ!」

 

「空はビルドエンジェルに任せな!」

「それって私も入ってるのかしら……」

 

 そして現在、デスクロスポイントを作り出す為に展開していたダリウス軍を強襲、戦闘に突入。ゾイド組とキンゲ組が先行して敵をかく乱し、スパロボ組がそれぞれ撃破していく。

 

「ガイキング、勝負だ!」

「あいつは、ノーザだっけか」

【まあ、前回のままでは不完全燃焼だろうしなあ】

 

 決着つく前に横やり入ったし。今度こそはきっちり決着をつけるつもりなのだろう。

 

「ダイヤ!」

「大丈夫!ここは任せてくれ!みんなは周りの奴らを!」

「負けるんじゃねえぞ、ダイヤ!」

「ああ!」

 

 そんでもってただいま乱戦の真っただ中。レヴリアスのところからはよく見えないが、どうやらガイキングは善戦しているようだ。

 

「早くダイヤ君のところへ行かないと!」

【ああ。手早く片付けよう】

 

 また横やりが入らないとも限らない。こればっかりは、ノーザが如何に正々堂々戦いたがっても仕方ない。サスページとかプロイストとかいる時点でねー。

 

「ルージ君、援護する!前へ!」

「はい!」

 

 射撃でレヴリアスが牽制している間に、ムラサメライガーが駆け抜けていく。やっぱりゾイドのスピードは他機体と比べて抜きんでてるなあ。よし、いい感じに敵の群れに隙間が開いた。

 

「こじ開ける!」

 

 そこ目掛け、他のゾイド組が突っ込んで隙間をこじ開けていく。ガイキングはどうなってる?

 

「こうなったら……フェイスオープン!」

「何だ、この出力は!?」

 

 丁度あっちも大詰めか。フェイスオープン使ったならまあ、勝ったかな。ほぼ互角だった先ほどまでと違い、明らかにガイキングが押していく。というかこの時点でクローズドフェイスってついてたっけ?……ターミナルの時に真龍ハイドロブレイザー使ってたし、今更かなあ。

 

「なんのぉ!」

「真龍、ハイドロブレイザー!」

 

 吹き飛ばされるノーザドルマン。後は周りの雑魚を倒せば終わりか……ん?

 

「どうした?」

【レーダーに反応。新手だな】

 

 あれは……プロイストが出てきたか。

 

「ノーザ、どうやら期待外れのようですね」

「くっ」

 

 って鉄獣グラネプスもいきなり出して来たか!一騎打ちが終わったばかりでガイキングが消耗しているところを狙ってきたな。ガイキングまではどの機体もまだ遠い……カバーは間に合わないか!

 

「さあ、ガイキング。お前も今日で最後だ!」

「いけない、奴の狙いはガイキングだ!」

「ダメだ、間に合わねえ!」

 

 放たれたローグリュート冷凍砲を受け、凍り付くガイキング。やっぱあれ反則武器だよな。連れていかれそうになるガイキングを皆守ろうとするが、増援を含め大量の魔獣と鉄獣が邪魔をする。

 

「こいつ、他の奴とは違う!?」

 

 一番近かったムラサメライガーも、グラネプスを一機で相手するのはちーとばっかし無理か。スピードを生かして善戦していたが、いいのを一発もらって吹っ飛ばされてしまった。

 

「待て!ガイキングをどうするつもりだ!」

「くそ、ダイヤを返せ!」

「深追いはするな!一旦体勢を立て直すぞ!」

 

 艦長たちの命令に従い、一時撤退する自軍。ガイキングはK本編通りになっちまったか。

 

 

 

 

 

 

「くそ、俺にもっと力があれば!」

「ルージ君のせいじゃないさ。俺達がもっと……」

「悔いていても仕方がない。あの鉄獣の攻略作戦をたて、ガイキングを救出する!」

 

 落ち込む面々を猿渡さんが叱咤し、ガイキング救出作戦がたてられる中、俺達は医務室に向かった。セリウスIIの修理が終わったからだ。

 

「そういう訳で、今は一人でも戦力が欲しい。病み上がりで悪いんだけど」

「そういう事なら任せてよ!ガイキングの一体や二体、さっくり取り戻してみせるよ!」

「お姉ちゃん、調子乗らないの」

【まあ、元気な事はいいことだ】

 

 そんな訳でシェルディアが戦線復帰。それも踏まえて作戦を立ててもらう事にした。

 

【それはそうと、改めてコンビネーションとか見直しておいた方がいいだろ】

「そうだな。あれからだいぶ経ったし」

「ボクとミストなら平気だよ!」

「どうかなあ」

 

 とまあ、救出作戦までの短い間、俺達はシミュレータでの特訓に費やすのであった。ちなみにレムに、大空魔竜でオペレーターをするか聞いたみたところ。

 

「お姉ちゃんが色々アレなのが心配なんで、今のままで」

 

 とばっさり言われてしまった。レム、さすがにお姉ちゃん傷つかない?

 

「もー、レムは心配性だなあ」

 

 あ、全然気にしてないやこの子。




シェルディア復帰


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