仮面ライダーを受け継ぐ者 (剣 流星)
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プロローグ

どうも、剣 流星です。この作品の登場作品はマイナーな物やあまり知られていない物が多いですが、もしこの作品を通じて興味を持った方はどうぞ、原作の方も見てください。
それではどうぞ。


 

 

白衣の女性「カナリア。あなたは私の人格と知識、記憶、そしてムネモシュネの残骸からサルベージしたライダー達の力のデータがインストールされているわ。それらを使って、ムネモシュメの力を盗み、利用して異世界に勢力を拡大させようとしている財団Xの野望を阻止して。」

 

白衣の女性は、目の前に浮かんでいる金色に光る鳥に対してそう話した。

彼女の名は叶井梨絵(かないりえ)。かつて仮面ライダー達を閉じ込めた牢獄・鳥籠・・・・ムネモシュネの制作に関わった者の一人で、その鳥籠からライダー達を開放し、同じムネモシュメの開発者で夫のカラスこと辛島進(からしますすむ)を止めるためにライダー達と共に戦った者である。

 

カナリア《・・・言わなくても分かるわ。私は「あなた」なんだから。》

 

梨絵「クスッ、そうだったわね。じゃあ、これからする事もわかってるわね。」

 

カナリア《ええ、これから赴く異世界・・・幾つもの世界が存在する「時空管理局」と呼ばれる組織が管理している世界におもむき、その世界の人々の中からムネモシュメからサルベージして得たデータから再現した仮面ライダーの力を扱うことができる資格者を探すこと。》

 

梨絵「ええ。そしてその者達と共に、その世界に勢力を伸ばそうとしている財団Xの野望を阻止する。あの世界は数年前、ディケイドが二度目に行った後、原因不明の謎の次元震の発生のせいで出来た次元断層・・・それのおかげで行くのがとても困難な世界になってしまった・・・・その世界への正確なルートと位置情報を知っている財団X以外は・・・・。だから私達は向こうに行っている財団Xの手の者からあちらの世界を守るには、向こうの世界で新たなライダーを生み出すと言う方法を取るしか道は無いわ。」

 

カナリア《・・・・正直な所、私達が作り出したムネモシュメが原因で起きた財団Xの勢力拡大・・・・その尻拭いを向こうの世界の人々にしてもらうのはちょっと心苦しいわね。》

 

梨絵「ええ、それにライダーの力を受け継ぐことが出来る者を見つけても、協力してくれるかどうか・・・・」

 

???「心配ねえよ。」

 

突然した声に驚き、声のした方向を向くカナリアと梨絵。

 

翔太郎「少なくても、あっちにはお前達に協力してくれる奴が一人、必ずいる。この俺の・・・探偵としての俺の一番弟子の「誠也(せいや)」が居るんだからな!」

 

フィリップ「そうだね、彼ならきっと協力してくれるはずだね。ハーフボイルドである君のような探偵を目指しているんだからね。」

 

弦太朗「あいつは俺のダチだ!ゼッテー協力してくれる!この俺が保証する!!」

 

映司「向こうには、はやてちゃんも居る。あの子もきっと協力してくれるよ。」

 

晴人「ああ。あの子達なら、きっと二人の「希望」になってくれる。」

 

カナリアと梨絵の視線の先。そこには仮面ライダーWの左 翔太郎(ひだり しょうたろう)とフィリップ。仮面ライダーフォーゼの如月 弦太朗(きさらぎ げんたろう)。仮面ライダーオーズの火野 映司(ひの えいじ)。そして・・・仮面ライダーウィザードの操真 晴人(そうま はると)が居た。

 

梨絵「みんな・・・・・」

 

翔太郎「向こうに行ったら、俺の弟子だった誠也を訪ねてみてくれ。確か・・・遠羽市って所に住んでいるはずだ。」

 

カナリヤ「鳴海誠也(なるみせいや)・・・・かつて仮面ライダーディケイドと共に異世界を旅した少年・・・分かったわ。一度訪ねてみるわね。」

 

翔太郎「ああ。後、あいつに会ったらよろしく言っておいてくれ。」

 

カナリヤ「分かったわ。・・・・さて、そろそろ行くわね。」

 

そう言ったカナリヤは力を溜め込み始めたのか、発光が徐々に強力になっていった。

 

梨絵「次元震によって発生した次元断層・・・それを突破できるよう調整されたあなたなら必ず突破できるはず・・・・向こうの事お願いね「わたし」。」

 

カナリア「ええ、こっちの事はお願いね「わたし」。」

 

そう言った後、カナリアは更に発光を強くし、目が開けられないくらの光を発し始めた。

 

カナリア「さあ!異世界への旅たちの時!財団Xの野望を阻止するために・・・異世界への扉よ!開きなさい!!」

 

カナリアのその言葉が発せられた瞬間、カナリアの頭上にワームホールが発生し、カナリアはその穴へと飛び込んだ。

 

カナリアが飛び込んだ瞬間、ワームホールは閉じ、辺りには静寂が訪れた。

 

フィリップ「・・・どうやら無事、旅立つことができたみたいだね。」

 

翔太郎「ああ。」

 

晴人「頑張れよ、カナリア・・そして誠也、はやて!」

 

映司「大丈夫かな・・・・」

 

弦太朗「大丈夫だ!あいつらは俺のダチなんだ!きっと大丈夫!!」

 

カナリアが消えた上空を眺める一同。

 

梨絵「・・・頼んだわよ!異世界にいるライダーの後継者達!」

 

叶井梨絵は上空を見ながらそう叫んだ。

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

叶井梨絵(かないりえ)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーバトライドウォー))

 

左 翔太郎(ひだり しょうたろう)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーW))

 

フィリップ(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーW))

 

如月 弦太朗(きさらぎ げんたろう)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーフォーゼ))

 

火野 映司(ひの えいじ)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーオーズ))

 

操真 晴人(そうま はると)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーウィザード))

 



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黄昏のシンセミア・序章編
第1話 御奈神村に降り立つ、新たな指輪の魔法使い!


どうも、剣 流星です。
今回の話のサブタイトルの御奈神村と言うのは、「黄昏のシンセミア」の舞台となる村の名前です。
なんでこんな所を最初の舞台にしたのかと言うと、これは完全な作者の趣味です。すいません。
では第1話をどうぞ。


朝霧が立ち込める朝。

 

何もない空き地に突如として写真館が蜃気楼のようにして現れた。

異世界を旅する門矢士(かどやつかさ)こと仮面ダイダー・ディケイドとその仲間たちが拠点にしている「光写真館」である。

その写真館から車椅子に座った9歳くらいの少女と、その車椅子を押している同じぐらいの歳の少年が現れた。

 

少年「・・・・戻って来たんだね、はやて。」

 

少女「うん、そうだね誠也くん。」

 

そう言った後、二人は背後にある光写真館を仰ぎ見た。

 

誠也「・・・・一年間お世話になった光写真館とはこれでお別れだ。」

 

はやて「・・・・寂しくなるなあ。」

 

そう言って二人は・少し寂しそうな顔をした。

車椅子の少女・はやてと少年・誠也は今日、1年にも及ぶ異世界を巡る旅からようやく戻ってきたのであった。

 

士「(パシャ!)二人共、この世界を旅立った時とは違い、いい顔をするようになったな。」

 

そう言って自分の愛用している二眼レフのトイカメラで二人を撮影した人物は、仮面ライダー・ディケイド事、門矢士(かどやつかさ)であった。

 

夏海「ホントだね。あの時はまるでこの世の終わりみたいな顔をしてたもんね。」

 

大樹「その時の事を考えると、ホント進歩したと思うよ。」

 

栄次郎「ホントだね~。」

 

誠也達の後から光写真館から士とともに出てきた男性1人と女性一人、老人。

 

仮面ライダー・ディエンド事、海東大樹(かいとうだいき)

 

光写真館の主・光栄次郎。

 

栄次郎の孫娘で仮面ライダー・キバーラ事、光夏海(ひかりなつみ)

 

この一年間、誠也たちと共に異世界を回った仲間たちであった。

 

士「・・・それで誠也、まだあの時のように「死にたい」と思うか?」

 

士に問いかけられた誠也は一瞬キョトンとした顔をしたが、その後首を横に振った。

一年前、この世界に立ち寄った門矢士は、柵のないビルの屋上で今にも死にそうな顔をした少年と少女に出会った。鳴海誠也と八神はやてである。

数日前、はやての両親が誠也の目の前で事故に巻き込まれ死亡した。

生まれてすぐに母親が亡くなり、残った家族とはうまくいってなかった誠也にとって、父親の親友であったはやての母親は実の母親のような存在であった。

そのはやての母親を目の前で亡くした誠也は、この世に絶望し、同じように両親の死に絶望したはやてと知らず知らずにビルの屋上へと移動していたのである。

 

「ここから飛び降りれば、死んだはやての母親に会える。」そんな危ないことを考え、ビルの屋上にいた二人。もしあの場所で士に声をかけられてなかったら飛び降りていたかもしれない。

 

誠也「ううん、思わない。悲しいからって、生きることを諦めるような事はもうしないよ!僕らよりも小さいエルが頑張ってるんだもん。」

 

そう言って誠也は力強い言葉で士の質問に答えた。

 

はやて「せやな。あの世界・・・・ライダーが居ない世界で「それは違うよはやて」って・・・なんや?誠也くん。」

 

誠也「僕は今でも、ルドガーさんは仮面ライダーだと思っているよ。」

 

そう言って誠也は異世界で会った人物ルドガー・ウィル・クルスニクの事を思い出した。

 

ルドガー・ウィル・クルスニク、誠也達が最後に立ち寄った世界で出会った人物で、その世界に伝わる創世の賢者ミラ・クルスニクの一族の末裔で、「骸殻」と言う能力を持ちエルと言う、はやての一つ下の少女・「エル」と共に「カナンの地」を目指す戦いに身を投じた人物で、誠也達はその旅に協力したのである。その時、誠也とはやては前の世界で携帯に「悪魔召喚アプリ」と言うアプリをダウンロードしており、その力で悪魔を召喚して戦いの手助けをしていた。

 

はやて「また言ってる・・・・まあ確かに、ルドガーさんのフル骸殻の姿は仮面ライダーに見えなくもないけどな。」

 

士「面白いこと言うな、ならルドガーはさしずめ「仮面ライダー・クルスニク」と言ったところだな。」

 

誠也「「仮面ライダー・クルスニク」か・・・・なんかカッコイイ。」

 

士「いいネーミングだろう。それではやて、さっきの質問の答えは?」

 

はやて「え、あ・・・せやな、エルが・・・私よりも小さくて辛い目に遭っているのに、頑張ってる・・・」

 

そう言ってはやてはエルが「カナンの地」で相棒であるルドガーが消滅して別れた時の姿を思い出した。

涙を流しながら、悲しいのを我慢して最期は笑顔で別れたエル。

そんなエルの事を思い出して一瞬、その時の悲しさを思い出したはやてだったが次の瞬間、その顔には笑顔になっていた。

 

はやて「エルもがんばってるんやから、私もがんばらなきゃ。悲しいからって、もう塞ぎ込んだままでいる様な事はもうせえへん!」

 

そう言たはやての目は、幼いながらもとても力強光が宿っていた。

 

誠也「もう、絶望に負けたりはしない!士さん達との旅でライダー達や色んな人から色んな物を貰ったから。だから・・・今度は「僕」が・・・ううん、「俺」が強くなって他の人たちを助ける側の人になる!」

 

そう言った誠也の脳裏に浮かび上がたのは、様々な世界で出会った仮面ライダー達の姿だった。

様々な世界で色々な理由や志で戦っていた仮面ライダー達。

その姿は、絶望で支配されていた誠也とはやての心に光を灯し、何時しか憧れと希望の象徴へと変わっていった。

 

士「・・・今のお前にならこれを渡せるな。」

 

そう言った士は何通かの手紙を束ねた束を二つ、それぞれ誠也とはやての前に差し出した。

 

誠也「・・・・これは・・・ぼ、俺とはやて宛の手紙?」

 

束になった手紙にはそれぞれ「鳴海誠也様」と「八神はやて様」と書かれたあった

 

はやて「誰からやろな?」

 

そう言いながら、はやてと誠也は手紙を受け取ると、裏に書いてある差出人を確認した。

 

誠也「え?これ・・・晴人さんからの手紙?!」

 

差出人の所には仮面ライダー・ウィザードの操真 晴人の名が示されてあった。

 

はやて「こっちの手紙は弦太朗さんに映司さん。」

 

誠也「こっちは翔太郎さんにフィリップさん、あ、ヒビキさんに総司さん、一真さんのもある。」

 

誠也とはやてに渡された各14通の手紙は旅の間に出会った各ライダー達からの手紙だった。

 

士「お前達の事情を知って、お前達への励ましと力になれたらと思って書いたそうだ。」

 

誠也「・・・俺達の為に。」

 

はやて「書いてくれた・・・」

 

二人はその言葉を聞き、胸が熱くなるのを感じた。

 

誠也「・・・ありがとう。皆さん。」

 

誠也は手紙を胸に抱きながらそう言った。

 

士「さて、俺たちはもう行くな。」

 

誠也・はやて「「士さん・・・。」」

 

士「元気でな、もう死のうなんて思うんじゃないぞ。」

 

誠也「死ないよ。もうそんなことしないし、しようとも思わないよ。」

 

はやて「せや、ウチらも成長してるんや、もう・・・大丈夫やから。」

 

そんな風に返事をした二人を見て満足そうな顔をした士はそのまま二人に背を向けて、光写真館の中へと入っていった。

 

夏海「二人共・・・元気でね。」

 

栄次郎「体に気をつけるんだよ。」

 

大樹「お宝の情報が手に入ったら、僕の所に寄越してね。」

 

士に続くようにして、夏海達もそれぞれ誠也達に別れの言葉を掛けて光写真館へと入っていった。

やがて、誠也達二人以外が写真館の前から居なくなると、写真館がうっすらとその姿を霞の様に消し始めた。

 

誠也「士さ~ん!俺!強くなって士さん達みたいなヒーロー、仮面ライダーになるからーーーー!」

 

消えゆく光写真館へと大声で宣言する誠也。

それが聞こえたのか、消えかける光写真館の中から士の声が響いてきた。

 

士「ああ!目指してみろ!お前が描いた「仮面ライダー」に!!」

 

その声が響いた後、光写真館はこの世界から消え去った

 

誠也「なってみせるよ、みんなを絶望から救う仮面ライダーに!!」

 

 

 

 

 

あれから数年。

仮面ライダーになると宣言した少年・鳴海誠也は中学2年生となり、そして・・・・・

 

誠也「・・・・暑い。」

 

真夏の炎天下の中、田舎にあるようなバス停のベンチに汗だくになりながら座っていた。

 

誠也「・・・・・・・暑い。」

 

紅い長い綺麗な髪を後ろで束ねた髪を、地面に付いてしまうんじゃないかと言うくらい上半身を「ぐで~」と倒し、女の子と見間違えそうな顔は汗が滝のように流れていた。

 

誠也「・・・・何で俺は・・・・こんな暑い所で・・・汗だくに・・・なっているんだろう。」

 

カナリヤ『・・・しかたが無いでしょう。孝介(こうすけ)くんが寝不足で今にも倒れそうだったんだから、どこかで孝介くんに仮眠を取ってもらわないと。』

 

ベンチに座って呟いている誠也に対し、誠也の肩あたりをパタパタと飛んでいる金色に光る一対の羽がそう誠也に話しかけた。

 

誠也「まったく、徹夜でレポートを仕上げたせいで寝不足だなんて・・・おかげでこっちは孝介さんが起きるまでこの炎天下の中、足止めだよ・・・・。」

 

そう言いながら、誠也は自分のすぐ横のベンチで横になってのんきに寝ている大学生位の男性・皆神孝介(みなかみこうすけ)の顔を恨めしそうに見た。

 

ここは山に囲まれた御奈神村(みなかみむら)

彼・鳴海誠也は家の隣に住んでいる皆神孝介の生まれ故郷、御奈神村に住んでいる彼の叔母のバイトを手伝うために孝介と相棒であるカナリアと共に来た。・・・表向きは。

実は誠也の真の目的はバイトでは無く、この村に周辺で起きている怪物事件の調査なのである。

誠也には実は秘密が有る。それは、この世界、とは別の世界に有る組織「財団X」が作りこの世界に放ったクロンギやミラーモンスター・イマジンなどの怪人や財団がこの世界にバラまいた「ガイヤメモリー」や「ゾディアーツスイッチ」等を悪用する者たちが起こした事件を、不思議な鳥・カナリヤからもらった力、仮面ライダー・ウィザードの力で解決していると言う秘密である。

 

事の発端は誠也の父・鳴海誠司(なるみせいじ)が所長を勤めている鳴海探偵事務所で偶然聞いた話しが始まりだった。

その話しは、御奈神村と言う村の周辺で怪物が現れたと言う話なのである。

普通の人なら熊か何かの見間違いなのではと思うのだろうが、誠也は違った。

誠也はこの怪物が「財団が放った怪人なのでは?」思ったのである。

誠也はさっそく、その御奈神村へと調査に行こうと思ったその時、隣に住んでいる皆神孝介がバイトの為に、故郷である御奈神村に帰る事を知ったのである。

「渡りに船」と、誠也は孝介に自分もそのバイトを手伝いたいと言い、孝介に付いて行く形でこの御奈神村に来たのである。

 

だが村に行く前の晩、孝介は徹夜でレポートを仕上げたため、睡眠不足のためフラフラ。孝介は仮眠を取るため御奈神村に付いた時に降りたバス停のベンチで横になりいきなり寝始めたのである。

初めて来た場所で、右も左も解らない誠也は、今日からお世話になる孝介の叔母の家の場所を知らないため一人で先に行くこともできず、かと言ってどこか別の場所で時間をツブそうにも、バス亭から見える範囲には畑と道しかなく、あまりバス亭から離れると迷子になりかねない。そう思った誠也は、仕方がなく唯一この場所を知っている孝介が起きるまで待つという選択をしたのだが、早くもその選択が間違いだったのではと思い始めた。

 

誠也「・・・暑い・・・汗が滝のように流れ出てくる・・・・・このままじゃ・・・脱水症状になる・・・・・頭が・・・ボ~ッとしてきた・・・・・・」

 

誠也は暑さのせいで思考が定まらず、意識がボ~ッとしだした。そんな時、誠也の耳に声が聞こえてきた。

 

???「・・・もうすぐ始まるよ、誠也。」

 

誠也「?今の声・・・・・」

 

カナリア「ん?どうしたの?」

 

誠也「今・・・・なんだか懐かしい声が聞こえたような・・・あれは・・・アルコル?・・・・・まさかね」

 

カナリア「え?アルコル?」

 

誠也「いや・・・・何でも無いよ。どうやら暑さで幻聴まで聞こえだしたみたいだ・・・・・このままじゃ脱水症状で死んでしまう・・・・・」

 

カナリヤ『た、確かにこのままじゃ脱水症状になりかねないわね。その辺にある自販機で何か飲み物でも買って水分補給したほうが良いんじゃ?』

 

そう言うカナリヤ。ちなみにこのカナリヤの姿と声、これは特別な力を持っている者やカナリヤが許可した者以外には見ることも聞くこともできなのである。

普段、周りに人がいる時は念話で話すのであるが、今この場に居るのは誠也と孝介だけであり、カナリヤの姿と声を見ることも聞くこともできない孝介は寝ているため、カナリヤは堂々と誠也に声を掛けたのである。

 

誠也「その辺りに有る自販機って・・・何処に自販機があるの?辺りには田んぼと道しかないよ・・・・自販機のある場所まで行こうにも・・・・下手にここを離れて・・・迷子になったら・・・・まずい・・・だろう?」

 

暑さのせいで言葉が途切れ途切れになる誠也。

 

カナリヤ『迷子になったら確かにまずいと思うけど、脱水症状になって倒れたら元もこうも無いと思うわよ?』

 

誠也「確かに・・・そうだけど・・・ああ、暑い・・・なんで・・・・こんな中で・・・寝てられんだ?孝介さんは・・・・・ま・・まずい、目まえがしてきた・・・・・」

 

そう言ってベンチにもたれ掛かりながら目をつぶり頭をフラフラさせる誠也。

 

カナリヤ『ちょ、大丈夫?』

 

カナリヤの心配する声を無言で聞く誠也。そんな誠也にふと声がかけられた。

 

女の子の声「大丈夫?」

 

不意に声をかけられた誠也は閉じていた目を開き、声の主を見た。

 

誠也と同じぐらいの年の女の子が、心配そうに誠也の顔を覗き込んでいた。

 

女の子「大丈夫?」

夏らしい薄手の私服姿の女の子は、返事がない誠也対し心配になったのか、再び大丈夫かと声を掛けてきた。

 

誠也「あ・・・・汗・・・かきすぎて・・・・脱水症状寸前・・・・・の・・・飲物・・・・・・」

 

意識が朦朧としだした誠也は途切れ途切れの言葉で自分の状況を女の子に話した。

 

女の子「え?た、大変。な、何か飲み物・・・・・」

 

そう言って女の子は辺りをキョロキョロと見回した後、ふと自分が手に持っていた薄い緑のビンを見た後、それを誠也の前に差し出した。

 

女の子「これ、飲んで。」

 

誠也「え?良いの?」

 

女の子「うん」

 

誠也「あ、ありがとう。」

 

誠也はお礼を言った後、差し出された薄い緑のビン・・・ラムネに口を付けてビンの中身を飲み始めた。

 

ゴクゴクと喉にラムネの炭酸のシュワシュワを感じながらビンの半分位までを飲み干す誠也。

 

誠也「ぷは~、生き返った~。あ!ありがとう、危うく脱水症状になる所だったよ。」

 

女の子「よかった。もう大丈夫そうだね。」

 

そう言って女の子は誠也達に背を向け、この場から去ろうとした。

 

誠也「あ、ラムネ・・・」

 

女の子「それ、あげるよ。全部飲んじゃっていいから。」

 

誠也「あ、ありがとう。」

 

女の子「じゃあね。ばいばい」

 

そう言って女の子は小さく手を振ると道の先へと走っていった。

 

誠也「ばいばい!」

 

誠也はお礼にと、女の子の背に声をかけ、大きく手を振り返した。

 

女の子も一度だけ振り返って、小さく手を振り返した後、再び走って行った。

 

カナリヤ『飲み物をもらえて良かったですね。』

 

先程までの会話では黙っていたカナリアが誠也に声を掛けた。

 

誠也「うん、本当に脱水症状になる寸前だったから本当に助かったよ、ん?」

 

誠也は自分の手に持っているラムネ見た。

 

誠也は先程、飲む前に見たラムネの状態を思い出したのである。

誠也(ラムネは元々口が空いていて、中身が三割ほど無くなっていた。それはどういうことだと言うと、このラムネを先に飲んでいた人物が居たという事を示している。

そして、これは先ほどの女の子がくれた物・・・つまり先にこのラムネを飲んだ人物は・・・・)

 

それに気づいた誠也は、急に気恥ずかしくなって顔を赤くした。

 

カナリヤ『誠也?急に顔が赤いけどどうしたの?』

 

誠也「な、なんでもな「ふわ~~、よ~~く寝た~」いよ・・・って、ようやく起きたよ。」

 

誠也は呑気に欠伸をしながら背伸びをする孝介に呆れたような顔を向けながら孝介に話しかけた。

 

誠也「ようやくお目覚めですか、孝介さん。」

 

孝介「ん?ああ誠也。ゴメンな、待ちぼうけさせて。」

 

誠也「良いですよ。寝不足で隣をフラフラとおぼつかない足取りで歩いてもらうよりは、待ちぼうけするくらいは。それよりも、いい加減に移動しましょう。ここは暑くてしょうがない。」

 

孝介「そうだな、これ以上ここにいたら脱水症状になっちまうしな。」

 

そう言って自分の旅行カバンを持って立ち上がり歩き始めた。

 

誠也「そうですね。」

 

そう言って誠也も続いて自分の荷物を手にしてベンチから立ち上がって孝介に続いて歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「・・・それでバスを乗り逃がしたの?」

 

孝介「はは、そうです。こっちの時刻表、すっかり忘れてましたよ。」

 

 

誠也は今、この村でお世話になる岩永の家の茶の間に孝介と共にいた。

誠也の目の前で孝介と話す20代位のおっとりとして優しい外見の女性。彼女は孝介の叔母である岩永皐月(いわながさつき)である。

 

誠也《・・・・若い。確か俺と同じぐらいの年の子供が居るって聞いてたけど・・・》

 

カナリヤ《・・・ええ。確かにそう聞いてたけど・・・とてもそうは見えないわね》

 

誠也は目の前で皐月と話している孝介の後ろから皐月をこっそりと見て、その第一印象をカナリヤと念話で話していた。

孝介の叔母・岩永皐月は誠也と同じぐらいの子供がいる年齢の女性であるはずなのだが、その見た目はその年齢に見えないぐらい若々しい姿であった。

 

誠也《・・・・なのはの所の桃子さんと言い、クロノの所のリィンディさんと言い、最近の子持ちの女性はどうなっているんだ?(汗)》

 

カナリヤ《いいえ、彼女達だけが特別で、世の子持ち女性全員がこういう訳じゃないと思うんだけど(汗)》

 

そんな風にカナリヤと念話で話している誠也に対し、孝介と話していた皐月が不意に誠也に声を掛けてきた。

 

皐月「あなたが誠也ちゃんね。初めまして、孝介くんの叔母の岩永皐月よ。」

 

誠也「へ?せいや・・・ちゃん?。」

 

皐月に「ちゃん」付けで呼ばれて思わず聞き返す誠也。

 

皐月「誠也ちゃんは中学生なのかな?」

 

誠也「あ、はい。中学2年生です。(ちゃん付け・・・何で?)」

 

皐月にちゃん付けでまた呼ばれて「何故?」と頭に?マークを浮かべる誠也

 

皐月「2年生・・・じゃあウチの翔子と同い年位ね。」

 

誠也「そう・・・なりますね。」

 

皐月「うちの翔子が通っている学校はまだ夏休み前だけど、誠也ちゃんの所はもう入ったのかな?」

 

誠也「え、ええ。校舎の工事をする為、夏休みに入るのが少し早くなったんです。」

 

皐月「工事?」

 

孝介「誠也が通っている学校の校舎が夜中にガス爆発で吹っ飛んで、その修理のための工事ですよ。」

 

皐月「ガス爆発?!そ、それは大変だったはね。」

 

誠也「え、ええ。まあ。(^^;(じ、実はガス爆発で校舎が吹っ飛んだんじゃないんだよね~))

 

そう心の中で苦笑いをする誠也。

 

実は誠也が通っている学園の校舎の爆発は表向きはガス爆発となっているが真相はちがう。誠也が追っていたガイアメモリーの使用者が、誠也から逃げている内に校舎に逃げ込み、そのまま校舎内で戦闘を続行。

メモリーブレイクを行うための止めの一撃が思いのほか威力があり過ぎて、相手もろとも校舎を盛大に吹っ飛ばしてしまったのが事実である。

 

カナリヤ《全く、手加減をしないから校舎を吹っ飛ばすなんてマヌケをするんですよ。》

 

誠也《う、うるさい!マヌケで悪かったな!!》

 

カナリヤの念話に対して念話で返す誠也。

 

孝介「なんだ、柄にもなく緊張してるのか?」

 

念話でカナリヤと話していたせいで、孝介が急に話さなくなった誠也に対して緊張しているのかと聞いてきた。

 

皐月「そう緊張しないで、自分の家だと思ってちょうだいね。」

 

誠也「あ、はい。」

 

そう返事をした誠也を見た後、皐月は孝介との話に戻った。

 

孝介「それでアルバイトの話なんですけど・・・お祭りのある8月10日までの滞在でいいんですか?」

 

皐月「ええ。誠也ちゃん共々延長して夏休みいっぱいでも大歓迎よ。それとお仕事の話なんだけど、二人共今はまだ着いたばかりだからね。荷物置いて来なさいな。孝介くんの部屋、今も空いているから。それと誠也ちゃんの部屋なんだけど・・・・ごめんなさい、まだ準備できてないの。孝介くんと来るのは男の子だって聞いてたから、孝介くんと同じ部屋にしようと思っての。でも、女の子である誠也ちゃんを孝介くんと同じ部屋にするわけにはいかないし・・・・」

 

誠也「へ?ちょ、ちょっと待ってください!女の子って・・・誰のことです?」

 

皐月「え?誰って・・・誠也ちゃんのことよ?」

 

誠也の発言に対し、「何を言ってるの?」と言うような顔を誠也に向ける皐月。

 

誠也「・・・・あの~、俺・・・男なんですけど・・・・」

 

皐月「へっ?・・・・・男・・・の子?」

 

誠也「・・・・はい。」

 

誠也の男の子発言聞いて一瞬動きを止めた後、その事を聞き返す皐月

 

皐月「・・・・・あ、あははははは・・・・ご、ごめんなさい!女の子みたいに可愛い顔していたからてっきり女の子だと・・・・・。」

 

誠也「あ、はははは・・・・また間違われた・・・・・・」

 

女の子だと間違われて乾いた笑いを浮かべる誠也。

 

孝介「あははははははっ!また間違われたな誠也!あはははははははっ!!」

 

誠也「孝介さん、笑いすぎ!!」

 

皐月「あ、じゃあ、男の子だったんなら誠也ちゃん・・・じゃなくて誠也くんの部屋は孝介くんと同じ部屋で良いわね。」

 

誠也「あ、はい、構いません。」

 

孝介「あははは・・・・俺も、構いません。」

 

笑いがようやく止まってきたので、返事をする孝介

 

皐月「悪いわね、二人一緒で。」

 

誠也「構いません。こちらは置いてもらう側ですから。」

 

そう言った後、二人は荷物を持って二階にある割り振られた部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「ふ~ん、男二人で数日生活する分には十分な広さですね。」

 

孝介「確かに。」

 

部屋の入口の襖を開けて部屋の中を見る二人。

古い木材と畳の匂いがするその部屋は、家の庭に面した窓とタンスが一つ、座布団が数枚重ねて隅に置いてあるだけの部屋だった。

 

孝介「・・・懐かしいな~」

 

そう言った孝介はパンパンッ!と部屋の中央に向かって手を合わせた。

 

それを見た誠也はそれに習って、自分もパンパンッ!と部屋の中央に向かって手を合わせた。

 

二人「「これからしばらく、お世話になりますっ!」」

 

そう言った後二人は荷物を放り出して、部屋にあるタンスの中に衣類を納め始めた。

 

誠也「そう言えば、皐月さんからのアルバイトってどんな物なんですか?まだ内容聞いていないんですけど。」

 

孝介「そう言えば、言ってなかったな。皐月さんの旦那さん、宮大工をやっている人で、そのせいで仕事で家を空けることが多いんだ。今も春先から仕事で家を空けてるんだ。」

 

誠也「あ、そうだったんですか。どうりで旦那さん見ないわけです。」

 

孝介「で、その間の手伝いをしてくれないか?ってのがアルバイトの内容だよ。」

 

誠也「ああ、そう言うことですか。確かにこの炎天下の中、女手しかないこの家にとって男手は必要ですよね。」

 

孝介「ああ、特に今は夏祭り前だから、男手はより必要だろうからな。」

 

そんな風に誠也は孝介と話していると、不意に部屋の入口の麩がいきなり開かれた。

 

二人「「ん?」」

 

開かれた襖の先には、先程、誠也がバス停でラムネをもらった女の子がいた。

 

誠也「あれ?君はさっきの?」

 

女の子「あ・・・・あなたはさっきの・・・・」

 

誠也を見た後、入って来た女の子は誠也が自分がさっきバス停で会った子だと気づいた。

 

孝介「ん?知り合いか?」

 

誠也「さっき孝介さんがバス停で寝ていた時にラムネをくれたんですよ。」

 

孝介「へ~、そんな事があったんだ。でもなんでそんな子がここに・・・あ!」

 

誠也「ああっ。そうか!」

 

誠也と孝介は皐月に誠也と同じぐらいの歳の女の子が居ることを思い出し、この子がその子だと思い至った。

 

誠也「君が皐月さんの娘さんの翔子ちゃんか。さっきはラムネ、ありがとうね。」

 

翔子「あ・・・うん。別に大したこと無いよ。」

 

誠也が言ったラムネのお礼をたいしたことないと言って返事をする翔子

 

孝介「翔子ちゃん、久しぶりだね。」

 

翔子「・・・うん/////」

 

孝介に声をかけられ、赤くなりながらうつむいて返事をする翔子。

そんな翔子を見て、誠也は先ほどのラムネの件を思い出した。

 

誠也(そ、そう言えば、俺・・・・この子と間接キスしたんだよな・・・・・こんな・・・可愛いこと・・・・・////////)

 

目の前にいる少女・翔子を見て、先ほどの間接キスの事で誠也も顔を赤くした。

 

孝介「ん?なんだ誠也、お前も顔を赤くして?翔子ちゃんがあんまりにも可愛いから照れてんのか?」

 

翔子「か、可愛いい///////」

 

誠也「な?!そ、そんなんじゃありません!これは暑さのせいです!!」

 

顔が赤いことを指摘されて、それに反発する誠也。

 

カナリヤ《間接キスぐらいで照れるなんて、可愛い所あるわね~♪》

 

誠也《うるさい、カナリヤ!焼き鳥にするぞ!!》

 

念話でチャチャを入れてくるカナリヤに対して同じく念話で対応する誠也。

 

そんな風に念話で話している誠也とカナリヤを余所に孝介は翔子と話しを続けていた。

 

翔子「あの・・・所で二人はどうしてここに?」

 

誠也「え、あ、今日からバイトで岩永家にお世話になることになってるんだけど、皐月さんから聞いて無いの?」

 

翔子「え?でも確か孝介お兄ちゃんと一緒に来る人は確か男の子のはずだけど・・・・」

 

誠也「あの~、その男の子って・・・・俺の事だと思うんだけど・・・・」

 

翔子「え?・・・・あなた、女の子じゃないの?」

 

誠也「・・・・男・・・なんだけど・・・・・」

 

またもや女の子と間違われた事に対してドッと疲れが湧いてくる誠也

 

翔子「え、ええええっ!?そ、そうなの?あっ!じゃあ、私・・・・さっきので男の子と////」

 

翔子は先ほど自分があげたラムネの瓶で目の前の男の子と間接キスした事実に気づき、急に顔を赤くした。そんな時、翔子の後ろからいつの間に来た皐月が誠也と孝介二人に声を掛けてきた。

 

皐月「孝介くん、誠也くん、夕飯で何か希望ある?」

 

何気ない風に二人に対して聞いてくる皐月。その途端、顔を赤くしながらとっとっとっ小さな足音を残して、翔子は小走りに二人の前から去っていった。

 

誠也「え・・・」

 

孝介「ん?逃げ・・・た?」

 

去っていった翔子を見て誠也は呆然とした。

 

誠也「き・・・嫌われてるの・・・かな?」

 

皐月「あら・・・」

 

孝介「・・・・・」

 

皐月「ごめんなさいね。あの子ったら・・・」

 

誠也「あ、いや・・・いきなり家に見知らぬ人がいたらびっくりすると思います。」

 

孝介「そうだな。けど、案外お前があんまりにもカッコイイから照れて逃げちゃったんじゃないか?お前結構モテてるもんな。幼馴染のはやてちゃんに、従姉妹の美夏ちゃんに義姉の悠菜に最近妹になった霞ちゃんと・・・・お前の周りはいつも美少女だらけだもんな~。」

 

皐月「あらあら、誠也くんってモテモテなのね。」

 

誠也「孝介さん!変な事は言わないでくださいよ!!皐月さんが誤解しちゃうじゃないですか!!はやては唯の幼馴染だし、悠菜姉はその義姉。美夏は従姉妹だし、霞は義妹ですよ。」

 

孝介「ホントかな~。俺は少なくてもはやてちゃんは脈があると・・・」

 

誠也「孝介さん!あんまり有る事無いこと言うと、京香姉さんに孝介さんに虐められたって言いますよ!」

 

孝介「げ!それだけは勘弁!!京香さんを怒らせるとおっかないんだ、黙るから勘弁を!」

 

皐月「京香さん?」

 

誠也「あ、姉です。鳴海京香(なるみきょうか)、孝介さんと同じ大学に行っているんです。」

 

皐月「あ、そうなんだ。へ~、孝介くん、誠也くんのお姉さんと同じ大学に通っているんだ。その様子だと、その人に頭が上がらないみたいね、フフフッ」

 

孝介「ええ、まあ普段から世話になってますからね・・・(怒らせると怖い人だからってのもあるんだけどね~)」

 

皐月「それよりも誠也くん、あの子、何か言ってた?」

 

誠也「いいえ、得には・・・」

 

皐月「そっか・・・・本当にごめんなさいね。なんだか人に慣れて無いみたいで・・・」

 

困った顔をする皐月。そんな皐月に対して申して誠也は申し訳なくなり咄嗟にフォローの言葉を入れた。

 

誠也「心配しないでください、折をみて話してみますから。大丈夫、仲良くなってみせますよ。」

 

皐月「お願いね。」

 

誠也の言葉を聞いて少し安心したのか、皐月は笑顔で言葉を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

夕飯の時間までまだ時間があったため、誠也はまず、こちらに着いた事やこちらの様子などを携帯で姉の京香に連絡しながら散歩する事にした。

 

 

誠也「・・・・と言うような感じだよ。」

 

京香『そう・・・誠也、余り孝介くんやそちらの家の人達に迷惑をかけない様にね。』

 

携帯から聞こえる誠也の実の姉・京香と会話する誠也。

 

誠也「大丈夫だよ。もうちょっと実の弟を信じてよ。信用ないな~」

 

京香『当たり前よ!あなたはお父さんに似てトラブルに首を突っ込む癖があるんだから、それで今までどれだけ私や悠菜に心配かけたと思ってるの!』

 

誠也「うっ!それ言われると何も言えない・・・・そ、そうだ!そっちはどうなの?霞の様子はどう?発作とか起こしてない?」

 

そう言って、誠也は一つ年下の義妹の鳴海霞(なるみかすみ)。旧姓・三上霞(みかみかすみ)の事を聞いた。

霞は正確に言えば誠也の父・誠司の二人いる家の上の方の妹の娘で、従兄妹である。

5年前、家族を通り魔に目の前で皆殺しにされ、天涯孤独になった霞は唯一の親戚である鳴海の家に引き取られたのである。

霞は目の前で家族を殺されたせいで、心に深い傷を作ってしまい、そのせいで、時々その時の記憶がフラッシュバックし、激しく取り乱してしまうことがある。俗に言う重度の心的外傷(トラウマ)である。

医者は、「心の傷が原因なので、刺激を与えず、少しずつ心の傷を癒していくしか方法は無い。」と言った。

そこで誠也達は日常生活で、心的外傷(トラウマ)に触れないようにしながら、生活することを心がけているのである。

 

京香『今のところは大丈夫よ。圭介くんやはやてちゃん、美夏ちゃん達がいつも側にいてくれるし、最近は新しい友達・・・かなでちゃんって名前の子らしんだけど、その子と気が合うらしいらしく、そのおかげか体調も良いみたいよ。』

 

誠也「そっか、そっか、新しい友達ができたんだ。最近は安定してきているから、少しは安心していたんだけど、不意に発作が起こることもあるからね。」

 

京香『あれから5年も経っているとは言え、やっぱり心のキズなんだから、そう簡単には癒えないわよね・・・・』

 

誠也「うん・・・まあとにかく、こっちは上手くやるから、そっちの事は任せるね。」

 

京香『ええ、お姉ちゃんにドンと任せて置きなさい。』

 

誠也「うん。あ、そうだ、悠菜義姉さんはいる?」

 

京香『え?悠菜?居るけど・・・話しあるの?』

 

誠也『うん(そうか、去年から始めた恒例の調べ物から帰ってたのか)』

 

誠也は義理の姉・悠菜が去年一時的に行方不明になった後から始めた、誠也達に内容を教えない調べ物から帰ってきているのだなと思った。

 

京香『じゃあちょっと待ってて。』

 

そう言って、電話口から京香がいなくなり、代わりに別の人物が電話に出た。

 

悠菜『もしもし?』

 

誠也「あ、悠菜義姉さん?」

 

電話口に出たのは誠也と3つ違いの義姉の鳴海悠菜、旧姓・藤堂悠菜であった。

悠菜は誠也の従兄妹で両親が事故死したせいで、誠也が5歳の時に鳴海家に引き取られた。

悠菜は家族の中で義妹の霞と同じくカナリヤの存在やライダーの事を知っている、数少ない協力者であった。

 

悠菜『取りあえず元気そうね誠也。孝介さんに迷惑なんてかけてないでしょうね。』

 

誠也「かけてないよ。むしろこっちがかけられてるぐらいだよ。」

 

そう言って誠也は今日の昼頃に脱水症状になりかけた事を思い出してその事を話した。

 

悠菜『・・・それはまた大変だったわね。どうやらそっちも暑そうね。』

 

誠也「暑さじゃこっちもそっちも対して変わらないね。所でそっちの方はどう?財団絡みの事件は起きてる?」

 

悠菜『今の所は起きてないわね。最も起きても圭介が居るから問題ないわよ。』

 

誠也「確かにそうだね。ところで竜輝は・・・・ちゃんと協力してくれてるの?」

 

悠菜『ええ。双葉ちゃんやユーリちゃんの事で今までは協力してくれてなかたけど・・・今年生まれた新しい妹のピティちゃんのおかげで、ミラーモンスター関連で協力してくれてるわよ。』

 

誠也「そうか・・・よかった。所で、田中先輩の方はどうなってるの?少しはマシになって響鬼の力を使えるようになった?」

 

誠也は最近仲間になった、自分と同じようにカナリアからライダーの力を受け継ぐことができる素質を見出され、仮面ライダー響鬼の力を授けられた一つ上の先輩である田中隆史(たなかたかし)の事を聞いた。

 

悠菜『まだまだよ。「あやめさんを守るんだ!」と気合は十分なんだけど、響鬼の力を完全に使いこなせるようになるのは当分先ね』

 

誠也「まだまだか・・・・当分は俺と圭介、そして竜輝の3人でやっていくしかないのか・・・・。」

 

悠菜『ごめんね。ライダーの力を持った私も本当は協力しなきゃいけないんだろうけど・・・・」

 

誠也「良いよ、謝らなくて。どうしても調べなきゃならないことがあるんでしょ?」

 

悠菜『・・・・うん。けど・・・調べる内容について話してもいない・・・・そんな私のわがままのせいで迷惑を「義姉さん」って誠也?』

 

誠也「僕らは家族でしょ?家族って互いに迷惑をかけられるもんでしょ?それとも悠菜義姉さんは俺のこと、家族だと思ってないの?」

 

悠菜『そんな事思ってないわよ!』

 

誠也「なら、別にいいじゃない。これぐらいの迷惑、かけても問題ないよ。」

 

悠菜『誠也・・・・ありがとう。』

 

誠也「良いって。じゃあそろそろ切るね。」

 

悠菜「ええ。そっちの調査、頑張ってね。」

 

誠也「うん、そっちこそ。じゃあ。」

 

そう言って誠也は携帯を切った。

 

誠也「ふう~」

 

カナリヤ『向こうの様子はどうだったの?』

 

誠也の側を飛んでいたカナリヤが、携帯知った向こうの様子を誠也に聞いてきた

 

誠也「霞の発作も起きず、一応平穏みたいだよ。」

 

カナリヤ『そう・・・・なら問題はこっちの方ね。取りあえず、例の怪物を探すにしても闇雲に探すのは得策じゃないわね。』

 

誠也「そうだな。山の中に居るのはまず間違いないんだけど、山の中を当てずっぽに探すのは危険だよな。」

 

カナリヤ『そうね、ヘタをすると遭難してしまう可能性もあるし・・・ここはやっぱりあの子達に頑張ってもらいましょうか。』

 

誠也「そうしますか。」

 

そういった誠也は周りを見て誰もいないのを確認すると、指輪を取り出し右手の指にはめてベルトのバックルにかざした。

 

電子音声『ガルーダ!プリーズ!』

 

電子音声の後、誠也の目の前に魔法陣が現れ、その中からプラモのようにパーツが板に付いた物が現れる。

それらは誠也の目の前で勝手にパーツ同士がくっ付いて鳥の形をとった。プラモンスター・ガルーダである。

 

誠也「じゃあよろしく。」

 

そう言ってガルーダの胸に右手につけた指輪をはめ込んだ瞬間、ガルーダは声を出して山の方へと飛んで行った。

 

カナリヤ『一体だけで良いの?もっと呼んだ方がいいんじゃ・・・』

 

誠也「あのね、魔法使うのって結構疲れるんだよ、夕飯前にこれ以上は無理。」

 

カナリヤ『あのね~。』

 

誠也「さ~て夕飯だ。皐月さんのご飯はどんなんだろうな~♪」

 

カナリヤ『こら!まだ話はおわってないわよ!!』

 

カナリヤの相手をせず、誠也は岩永の家へと戻るために歩き出した。物陰に隠れて一部始終を見て居た小さな陰に気づかないまま・・・

 

翔子「な、何もない所から赤い鳥が出てきて山の方に飛んで行っちゃった・・・・なんなのあれ?」

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

鳴海誠也(なるみせいや)(オリジナル)

 

八神はやて(やがみはやて)(リリカルなのはシリーズ)

 

門矢士(かどやつかさ)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーディケイド))

 

海東大樹(かいとうだいき)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーディケイド))

 

光栄次郎(ひかりえいじろう)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーディケイド))

 

光夏海(ひかりなつみ)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーディケイド))

 

カナリヤ(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーバトライドウォー))

 

皆神孝介(みなかみこうすけ)(黄昏のシンセミア)

 

岩永皐月(いわながさつき)(黄昏のシンセミア)

 

岩永翔子(いわながしょうこ)(黄昏のシンセミア)

 

鳴海京香(なるみきょうか)(MissingParts)

 

三上霞(みかみかすみ)(次の犠牲者をオシラセシマス)

 

藤堂悠菜(とうどうゆうな)(リベリオンズ)

 



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第2話 春日神社の巫女と銀髪の美女

どうも、剣 流星です。
作中では今だに暑い夏、真っ盛りですが、現実ではようやく暑さも少しずつ和らいできている今日このごろです。
さて、では第2話をどうぞ。



翔子「・・・・昨日のアレ、なんだったんだろう。」

 

誠也が岩永の家を訪れた次の日の朝。

岩永翔子は昨日の夕方目撃したある事について考えていた。

昨日の夕方、翔子は家に来た従姉妹に当たる孝介が連れてきた、紅く長い綺麗な髪の女の子のような顔の男の子・鳴海誠也の前から突然逃げ出してしまったのである。

理由は恥ずかしかったからである。

翔子は誠也が岩永の家に来る前、バス停のベンチで一度会っていたのである。

その時の誠也は暑さのあまり、脱水症状一歩手前の状態だったので今にも倒れそうな状態だった。

「の・・・飲み物・・・」と途切れとぎれの言葉で言う誠也を見て、さすがにこの状態はマズイと思った翔子は、自分がちょうど飲んでいたラムネを誠也に渡したのである。

ラムネを飲んで水分補給をした誠也は「ありがとう」と礼を言って来たので、翔子は返事を返した。

翔子はその時、誠也の事を男の子の服を来たボーイッシュな女の子だと思ってたので、誠也に対して自分が口を付けたラムネを渡すことに何の問題も感じてなかったのだが、自分の家である岩永家で誠也と再会して、誠也が男の子だと知り、自分がある重大なミスをした事に気づいたのである。

つまり、自分は自分と同じぐらいの男の子と間接キスした事になるのである。

 

 

翔子「うううっ・・わ、私・・・男の子と間接キスしちゃった、恥ずかしい~///////」

 

その事に気づいた翔子は顔を真っ赤にしながら一人で恥ずかしがり、身悶えたのである。

年頃である翔子にとって、同い年の異性・・・そんな相手と間接キスしたのである。恥ずかしがるのも無理はない。

しかも相手の誠也は女の子と見間違われるほどの整った顔立ちだった事が、翔子の気恥かしさを更に加速させていた。

 

翔子「間接キスした相手ともう一度合って・・しかも今日から一緒に住む事になるなんて・・・ううっ///////」

 

家を出て気持ちを落ち着かせるため村を一回り歩く頃にはようやく気持ちが落ち着いてきた翔子は、覚悟を決めて家へと帰ろうとした。

その時、さきほど聞いた誠也の声が聞こえてきたので、翔子は先程逃げてしまった事を謝ろうと、声のした方向へと向かった。

道の角を曲がると、その先に誠也が佇んでいるのを発見する翔子。早速声を掛けようとした次の瞬間、誠也の前に魔法陣の様な物が現れ、その中から何かのパーツがはめ込まれた板が現れた。

板からパーツが外れ、ひとりでに組み合わさり、やがて赤い色の鳥の模型のような物になった。

翔子はその光景を見て咄嗟に近くにあった塀影へと身を隠してしまった。

 

翔子(な、なに今の!何もない所から鳥の模型が出てきた!?なんなのあれ?!)

 

自分の目を疑うような気持ちになりながらも、翔子は塀の影から誠也を見続けた。

 

誠也「じゃあよろしく。」

 

そう言って目の前にある赤い鳥の模型に指輪のような物をはめ込むと、次の瞬間鳥の模型は意思持ったように動き始め、そのまま山の方へと飛びたって行った。

誠也はその後、鳥の飛び立った方向を見た後、一言二言独り言を言ってその場を離れたのである。

 

翔子「な、何もない所から赤い鳥が出てきて山の方に飛んで行っちゃった・・・・なんなのあれ?」

 

口にして言ってみたが、答えるものは誰もおらず、翔子はそのまま家に戻ったが、夕食中もその後も先程の不思議な事が気になって仕方がない状態であった。

そしてそのまま就寝し、朝になり起きてもそれは収まることはなかった。

 

翔子(昨日の事・・・気になって仕方がないよ。やっぱり直接聞いてアレがなんなのか聞いてみよう。)

 

そう思った翔子は学校に行くために制服に着替え、身支度を整えると、誠也と孝介に宛てがわれた部屋へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「ううっ・・・・こ、ここは・・・・・」

 

起きて最初に目にした見慣れない天井を見て、ここが自分の部屋で無い事に気づき、誠也は自分の身が置かれている状況が理解できず軽く混乱した。

寝ぼけている頭を振りながら周りを見回すと、自分が寝ていたと思われる布団の横で、同じ様な布団で寝ている孝介を発見し、誠也はようやく自分が昨日から孝介の従姉妹の家である岩永の家に泊まっている事を思い出した。

 

誠也「・・・・起きるか。」

 

隣で未だに寝ている孝介を起こさないように注意しながら、誠也は着替えの服を取り、寝ているあいだに汗を吸った寝巻きと下着を脱ぎ捨てた。

そしてバックの中から替えの下着を取り出す。

 

誠也「う~ん・・・・どっちがいいかな~」

 

そう言って誠也は取り出した下着・・・・パンツを両手に一枚づつ持って、その柄を見ながらうなった。

 

誠也「・・・・やっぱり、映司さんが以前勧めてくれたこっちのモンシロチョウの柄がいいかな~。でもちょっと派手なんだよな~これ。やっぱりここは、チェックの柄のこっちに・・・・」

 

そう言いながらパンツの柄で悩む中、突如スッーと部屋の入口である麩が開いた。

 

翔子「あ、あの・・・き、昨日の・・・・・・あ!」

 

誠也「え?」

 

翔子「・・・・・・」

 

部屋に入って来た翔子の視線が上から下に移動する。

今、誠也は下着を取替え用としている所である。ぶっちゃけ、今の誠也は何も身につけていない裸の状態である。

 

裸の誠也を目の前にして固まったままの翔子。そして同じく見られて固まったままの誠也。

しばらくの間、沈黙が辺りを支配した。

 

誠也「あ、あの・・・・」

 

翔子「え、え~と・・・も、もうすぐ朝ごはん・・・ですから!//////」

 

そう言って顔を真っ赤にしながら翔子は逃げるようにして走り去っていった。

 

誠也「・・・・見られた。」

 

両手と膝をついて項垂れる誠也。

 

カナリヤ『別に見られたぐらいで落ち込まないの。別に減るもんじゃないでしょう?』

 

誠也「減る!主に俺の尊厳とか!!」

 

カナリヤの声に突っ込む誠也。

 

孝介「う~ん・・・もう食えない・・・・」

 

側で今だに寝ている孝介が幸せそうな顔で寝言を言った。

 

誠也「・・・幸せそうに寝こけて・・・何か腹たってきた(怒)」

 

誠也がそう言った瞬間、ドゴッ!と鈍い音が部屋の中に響いたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「おはよう孝介くん、誠也くん。ちょっと待っててねって・・・・どうしたの?孝介くん、その頭のタンコブ。」

 

居間で朝食の支度をしていた皐月は、居間に入ってきた孝介の頭の上にある大きなタンコブを見て、「どうしたの?」と聞いてきた。

 

孝介「さあ?朝起きたら出来ていたんです。いつの間に出来たんだろう?」

 

誠也「寝ぼけてどっかにぶつけたんじゃないんですか~」

 

孝介の後ろから付いてくる形で居間に入った、タンコブを作った張本人の誠也は何食わぬ顔でそう言った。

 

今日も授業がある翔子が、居間で既に先に朝食を食べていた。

だが、その視線はあからさまに誠也を見ないようにしており、頬は微妙に赤くなっていた。

 

誠也(き・・・気まずい。な、なんとかこの場の空気を変えないと。)

 

そう思った誠也は食卓にある自分の席に座ると、思い切って翔子に声を掛けた。

 

誠也「き、今日も授業があるんだね。」

 

翔子「・・・うん////」

 

少し頬が赤いが、あまり気にしないようにして誠也は話を続けた。

 

誠也「そっかー。俺の所は校舎がガス爆発で壊れちゃってね、修理のため夏休みが早めに始まったんだ。」

 

翔子「・・・そうなんだ。」

 

誠也「うん。」

 

翔子「・・・・」

 

誠也(い、いきなり会話が終わっちゃったよ・・・・)

 

カナリヤ《まったく、何不器用な事やってるんですか》

 

誠也《うるさい!傍観者は引っ込んでろ!!》

 

念話で茶々を入れてくるカナリヤに対してツッコミを入れる誠也。

 

誠也(とにかく、次の会話を・・・)

 

そんな風に考える誠也。だが次の瞬間、翔子が時計を見て急に立ち上がった。

 

翔子「あ、いってきます。」

 

誠也「え?あ・・・いってらっしゃい。」

 

翔子「・・うん////」

 

そう返事をして翔子は今を出て行った。

 

孝介「ふむ・・・先は長そうだな、誠也。」

 

誠也「・・・みたいですね。はぁ~」

 

そんな風にため息をついているといつの間にか食卓についていた皐月が孝介と誠也に話しかけてきた。

 

皐月「二人は今日の予定あるの?」

 

孝介「予定もなにも・・・」

 

誠也「僕ら、バイトしに来たんですけど・・・」

 

皐月「まあ、そうね。」

 

そう言って皐月はくすくすと笑った。

 

孝介・誠也「「?」」

 

皐月「誠也くんには悪いんだけど、孝介くんに帰ってきて欲しかったって言うのが本音。だがらそんなに難しく考えてもらわなくてもいいの」

 

孝介「そう・・・ですか。」

 

皐月「そう。だからバイトの手伝いを目的に来ている誠也くんには本当に悪いと思っているの。ごめんなさいね。」

 

すまなさそうに謝る皐月。

 

誠也「いいえ、いいんです。バイトの件もこっちが無理言って付いて来たようなものなんですから、あまり気にしないでください。(こっちもバイトの件は口実だしね。)」

 

皐月「でも、お仕事が本当に無いわけじゃないのよ?やって欲しいこともあるし・・・」

 

誠也「やって欲しいこと?」

 

皐月「ええ、実は・・・・」

 

そう言って皐月はやって欲しい事について話し始めた。

この御奈神村(みなかみむら)には古くから伝わる御伽噺・天女伝説を祀った春日神社(かすがじんじゃ)と言うそれなりに大きい神社がある。

そこの夏祭りは、何もない小さな村にとって外から人を集める大きな機会なのである。

当然、村全体でこの祭りの準備をするので誠也達にはその準備をして欲しいと言った。

 

誠也「なるほど。」

 

皐月「後は、私、今お昼は働きに出ているの。それで、これからお祭りの時期になると、外から知らない人が大勢来るから、家をずっと空けておくのが少し不安なのよ。男の人が居てくれると安心できるし・・・・言ってみれば家の管理かな。滞在がてら、ちょっと注意してくれると嬉しいな。」

 

誠也「それぐらいならお安い御用ですよ。」

 

孝介「ええ、もっともそれだけってのも気が引けますね。」

 

皐月「もしそれで気後れするなら、翔子の勉強でも見てあげてね。」

 

孝介「そういうことなら。後ついでだ、誠也、お前の勉強も見てやるよ。」

 

誠也「あ、それは助かりますね。夏休みがいつもより長くなったから、宿題の量もいつもより多いんで助かります。」

 

孝介「宿題の量、多いんだ。まあ夏休みが早く始まったから当然、宿題の量も増えるわな。」

 

そんな風に話している皐月が二人に対して何かが入った封筒を差し出してきた。

 

皐月「はい、まずはこれ。少し数ないけどね。」

 

孝介「いただきます。」

 

誠也「すいません、いただかせてもらいます。」

 

差し出された封筒を受け取る二人。

 

孝介「じゃあ後でいろはの所に行ってきます。祭りの手伝いならそっちで仕事をもらうんですよね。」

 

皐月「ええ、お願いね。」

 

誠也「いろは?」

 

誠也は孝介の口から聞き覚えのない名前が出てきたので聞いてみた。

 

孝介「ああ、神社をやっている俺の幼馴染だよ。」

 

誠也「あ、そうなんですか。じゃあその人、後で紹介してくださいね。」

 

孝介「ああ、紹介してやるよ。」

 

その後、誠也達は朝食を済ませ、後片付けをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食の後片付けを終えた後、誠也はこっそりと家を出て、岩永家の庭の人目が付かない場所へと移動した。昨日放ったプラモンスター・ガルーダと会うためである。

誠也が移動して人目がつかない所に移動したのを見計らって、ガルーダが誠也の前に飛んで現れた。

 

ガルーダ「ギィ~ギィ~♪」

 

誠也「・・・そうか、発見できなかったか。」

 

ガルーダ「ギィ~ギィ~♪」

 

そう言って返事をした後、ガルーダは胸の指輪を残して消えてしまった。

 

カナリヤ『魔力が切れて消えちゃったわね。やっぱりガルーダだけじゃあ、流石に探し出すのには無理があるわね。』

 

誠也の肩辺りをパタパタと飛んでいるカナリアが、魔力切れで消えたガルーダを見ながら呟いた。

 

誠也「しょうがない。ユニコーンとクラーケンにも出てもらうか。」

 

そう言って誠也はまず魔力切れで消えたガルーダの指輪を右手の指にはめて、ベルトのバックルにかざした。

 

電子音声「ガルーダ!プリーズ!」

 

電子音声の後、誠也の前に魔法陣が現れ、ガルーダが召喚される。

 

誠也「もういっちょ。」

 

更に誠也は右手の指輪にユニーコーン・クラーケンの指輪をはめてベルトのバックルにかざした。

 

電子音声「ユニコーン!プリーズ!」

 

電子音声「クラケ~ン!プリーズ!」

 

誠也の目の前に更に魔法陣が二つ現れ、ユニコーンとクラーケンがそれぞれ召喚された。

 

誠也「じゃあよろしくね。」

 

そう言って、誠也はガルーダ達にそれぞれの指輪をはめ込んだ。

指輪をはめ込まれたガルーダ達は、それぞれ別方向に飛んで行って消えた。

 

誠也「これでよし。後は報告を待つだけだな。」

 

カナリヤ『その間、皐月さんに言われた祭りの手伝いをしておきましょう。』

 

誠也「そうだね。」

 

そうな風に誠也が話していると、どこからか孝介が誠也の名前を呼んでいるのが聞こえてきた。

 

孝介「お~い、誠也!そろそろ神社に行くぞ~!」

 

誠也「あ、は~い!今行きま~す!」

 

そう、大きな声で誠也は返事をした。

 

誠也「行こう、カナリヤ。」

 

カナリヤ『ええ。』

 

そう言って二人はその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孝介の後についていく形で歩く誠也と、その誠也に付いて飛んでいくカナリヤ。

しばらく道なりに進むと、やがて目の前に鳥居と石段が現れた。

 

誠也「ここが春日神社・・・結構大きいな~」

 

石段の下から上を見上げる誠也。

石段の上には神社の本殿の前にある鳥居が見えていた。

 

孝介「行くぞ。」

 

石段を見上げている誠也に対して声を掛けた後、石段を上り始めた。

 

誠也「あ、待ってくださいよ!」

 

石段を登り始めた孝介を見て、誠也も慌てて石段を登り始め、カナリヤがそれに続いた。

 

長い石段を登る事数分、やがて石段を登りきった頂上に待っていたのは、サッカーどころか、野球が出来そうな位に広い境内とその先にある立派な本殿だった。

 

誠也「うわ~広!本当に立派な神社だな。今年の元旦に初詣行った家の近くにある神社よりも広くて立派だな~」

 

広い境内を見回して言う誠也。

 

孝介「昔はよくここで遊んだな~」

 

孝介が懐かしそうな顔をしながらそう呟いた。

 

誠也「へ~、孝介さん、よくここで遊んでたんですか?」

 

孝介「ああ、さくやや、さっき言ってたいろはと一緒にな。」

 

誠也「へ~。」

 

そう言って誠也は再び神社の境内を見回した。

 

誠也「・・・・神社の人、いませんね。」

 

孝介「そうみたいだな。裏手にある自宅の方にいるのかな?」

 

そう言って孝介は神社の裏手の自宅へと歩き始め、誠也達もそれに続いた。

裏手の家にはすぐに着いたが、家には誰も居なかった。

 

孝介「・・・・ここにも居ないな~。いろはの奴。どこ行ったんだ?」

 

誠也「どうします?」

 

孝介「そうだな~」

 

知り合いが居らず、これからどうするか考え込む孝介。

そんな孝介に何者かが声を掛けてきた。

 

???「あの~いろはさんのお知り合いの方でしょうか?」

 

誠也・孝介「「え?」」

 

突然の声に驚き、慌てて声のした方を見る二人。

そこには髪の長い巫女服を着た女性が居た。

 

誠也「え~と・・・孝介さん、この人がいろはさん?」

 

孝介「いや・・・ちがう。え~と、神社で働いている方でしょうか?」

 

巫女「はい、あの~、いろはさんのお知り合いの方でしょうか?」

 

孝介「そんな感じです。」

 

巫女「いろはさんでしたら、お社の方にいらっしゃると思いますよ。あ、ですが今は・・・・」

 

孝介「何かまずいんですか?」

 

巫女「そうですね・・・よろしければ、午後改めて来て頂けますか?」

 

孝介「そうですか。わかりました。」

 

巫女「では失礼します。」

 

そう言って巫女は神社の方に歩いて行った。

 

誠也「どうします?」

 

孝介「社の方を覗いてみて、忙しそうなら、午後にまた来よう。」

 

誠也「そうですね。」

 

そう言って二人はその場を後にした。

 

境内に戻り本殿前まで戻ってきた二人。そんな二人の耳に「シャラーン♪」と鈴の音が聞こえてきた。

 

誠也「鈴?」

 

孝介「鈴の音だな。本殿の方から聞こえてくるな。」

 

そう言って、孝介は本殿の方へと向かって行った。

 

誠也「あ、孝介さん。」

 

本殿へと向かった孝介に、つづく誠也。

 

「シャラーン♪」と本殿から聞こえてくる音に釣られて中を覗く孝介。

 

誠也は孝介が邪魔で中が覗けず、その後ろに立ったまま、中を覗いている孝介を少し離れた所からじ~と見ていた。

(覗きだなんてあまりいい趣味じゃないですよ~)と心の中で言いながら、しばらく覗いている孝介を見ていると、突然本殿内から大きな叱咤の声が響いてきた。

 

???「誰!?また外の人ですか。何度も覗きに来るのはやめてくださいと言っているでしょう!」

 

誠也「へ?」

 

いきなりの声に驚く誠也。

 

???「早々に立ち去りなさいっ!さもないと・・・・」

 

孝介「で、出直してきますっ!」

 

突然走り出す孝介。

 

???「あ!こらっ!!待ちなさい!!」

 

本殿の中から棒のようなモノを持った、先ほど会った巫女服の女性とは違う巫女服の女性が怒りながら出てきた。

 

誠也「へっ?孝介さん?!」

 

カナリヤ『なんかあの巫女さん、怒っているみたいですよ!ここは逃げた方が・・・』

 

誠也「みたいだな!」

 

カナリヤの助言を聞いて、孝介の後を追うようにしてその場を逃げ出す誠也。

境内を走り抜け、石段を駆け下りそのまま神社を後にする二人。

やがて神社から離れた商店街までたどり着くと、二人は走るのをやめて立ち止まった。

 

誠也「ハアハア・・・・ひ、酷いですよ、孝介さん。置いて行くなんて・・・」

 

孝介「ハアハア・・・わ、悪い・・・・」

 

息を切らせながら話す二人。

 

誠也「さっきの人が、いろはさん?」

 

孝介「ああ、そうなんだけど、何か怒らせちゃったみたいだから、いろはに会うのは午後からにしよう。午後になれば、ほとぼりが冷めるだろうから。」

 

誠也「そうですね・・・午後、会う時は気が重いでしょうけどね。」

 

孝介「うっ!」

 

誠也「まったく、孝介さんが覗きなんてするから!せっかく巫女さんが注意してくれたのに・・・おまけに俺を置いて逃げるし~」

 

孝介「わ、悪かったって。ジュースでも奢るからそれで勘弁してくれ。」

 

そう言って孝介は商店街にあるタカミ商店という看板が出ている店先にある自走販売機前に移動したが、その店先の様子をみて立ち止った。

タカミ商店の店先には小さな子供が車座になって集まっていたのである。

そしてその中心には銀色の長い髪の女性が居た。

女性はチョークのような物で店先の道に数字を書いていた。どうやら子供達に算数を教えているようだった。

 

そんな女性を孝介は見ていると、女性が孝介の存在に気づき、立ち上がると、周りにいる子供たちを家に帰るように行ったのか、子供たちはその場から離れていった。

そして女性は孝介と話し始めたのであった。

 

誠也「・・・知り合いかな?」

 

カナリヤ『・・・・みたいですね。』

 

誠也「行ってみよう。」

 

そうカナリヤに言って、誠也は話し込んでいる二人に近づいた。

 

誠也「孝介さん。」

 

孝介「ん?ああ、誠也。」

 

誠也「知り合いですか?」

 

孝介「ああ、まあね。昨日、神社の石段の所で知り合ったんだ。銀子さんって言うんだ。」

 

銀子「よろしくね♪」

 

誠也「あ、鳴海誠也って言います。孝介さんのアルバイトを手伝う為に来て、今は岩永さんの所でお世話になってます。あ、ちなみに「男」ですからね。」

 

銀子「え、ああ、うん。(お、男の子だったんだ・・・)あ~誠也・・・くんね。うん、礼儀正しくて良い子だね~。私は銀子、ギンちゃん、もしくは銀ねえって読んでね~♪」

 

誠也「乗り軽っ!美夏並みに軽っ!」

 

誠也「そ、そうだな・・・・」

 

その後、誠也達は自販機で飲み物を買った後、それを飲みながら三人で話をした。

そしてしばらく話していると、飲んでいる飲み物がなくなったのをみて、銀子が空き缶を傍にあったゴミ箱に入れた。

 

銀子「じゃあそろそろ行くね。」

 

そう言って銀子は手を軽く振って歩き出した。

 

孝介「・・・・変な人だな。」

 

誠也「ですね、でも・・・悪い人じゃないみたいですよ。」

 

孝介「だな。」

 

そう言って二人も飲み干した空き缶をゴミ箱に入れるとそろそろお昼時だ気づいた二人は、お昼を食べるために岩永の家へと戻った。

 

 

 

お昼を食べるために岩永家に戻ってきた誠也たち。

孝介が皐月に渡された合鍵を玄関の鍵穴に入れて、開けようとした時、孝介がその動きを止めた。

 

孝介「・・・あれ?」

 

誠也「ん?どうしたんです?」

 

孝介「鍵が空いている。」

 

誠也「え!」

 

孝介「誰か帰ってるのか?ただいま~。」

 

そう言って孝介は家に入って行ったので、誠也はそれに続いた家の中へと入った。

 

誠也「・・・皐月さんでも帰って来ているのかな?」

 

カナリヤ『さあ?』

 

そんな風に誠也がカナリヤと話していると、居間の方から声が聞こえてきた。

 

翔子「・・・お、おかえり・・・なさい。」

 

誠也「あれ?翔子ちゃん?もう帰ってたの?」

 

居間には一人分のご飯の用意がしてあった。

服装は制服のままで、鞄も横に置きっぱなしであった。

その様子をみた孝介は疑問に感じ、首をひねった。

 

翔子「あ、え~と・・・家に帰ってお昼食べる時間があるから、いつもそうしているの。」

 

孝介「ああ、なんだ。」

 

誠也「お昼を食べに戻って来てたんだ。」

 

そう言いながら誠也は食卓の上のお昼を見た。

急いでいるのだろうがご飯にふりかけしかない・・・お世辞にもあまり良い昼食ではない物が机の上に置いて有った。

 

カナリヤ『年頃の娘さんのお昼にしては、物足りない物ですね。』

 

誠也《だな~》

 

食べようとしている本人も気まずいのか、視線が定まってない。

 

誠也「翔子ちゃん、お昼休みって何時まで?」

 

翔子「え~と、12時45分」

 

誠也「授業開始は?」

 

翔子「50分」

 

孝介「大体20分ぐらい時間があるな。なら、誠也。」

 

誠也「10分あればお昼を用意できるから、ちょっと待ってて。」

 

翔子「え・・・・・いいよ。悪いし」

 

孝介「いいからいいから。俺たちもお昼まだなんだ。だからちょっと待ってて。」

 

そう言って二人は翔子の返事を聞かずに、さっさと台所に入った。

 

 

誠也「使った分は後で補充するとして、もやしに肉をさっと炒めて・・・」

 

孝介「誠也、冷蔵庫の中にお浸しやら漬物なんかも有るみたいだから、これを使おう。後は手軽に出来るものを・・・」

 

誠也「さて、翔一さんから教わった料理の腕を披露するとしますか!」

 

そう言った後、誠也は孝介と作業を分担しながら昼食を手早く作って居間へと戻った。

 

誠也「はい、どうぞ。」

 

翔子「・・・これ、二人が作ったの?」

 

孝介「まあね。俺の家も誠也の家も父子家庭だから、自炊する機会が結構あったんで、料理は得意なんだ俺達。」

 

翔子「へえ~」

 

いただきます。と小さく頭を下げて、ぽつぽつと食べる三人。

 

翔子「・・・おいしい。」

 

少しはにかんだ笑顔をする翔子。

 

カナリヤ《お昼を作った報酬としては十分な物ですね》

 

翔子の笑顔を見て、カナリヤはお昼を作った誠也に対して念話でそう言った。

 

誠也《ああ、十分な報酬だよ。》

 

それからもくもくと昼食を取り、食べ終わった後、改めて出て行く翔子を見送った誠也達は、昼食の片付けをした。

 

誠也(少しは距離が近づいた・・・かな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方の岩永家の居間。そこには机に突っ伏した孝介と縁側で涼んでいる誠也がいた。ちなみに皐月は未だに仕事から帰ってきておらず、カナリヤは村の中をもっと見ておくと言って誠也とは別行動中であった。

午後に再び春日神社に顔を出した誠也と孝介だったが、いろはは不在で、二人は会うことができなかった。

午前の事と、更に午後もいろはに会えなかったのが堪えているのか、孝介は机に突っ伏して動かないでいた。

 

翔子「ただいま~」

 

誠也「「お帰り~」」

 

学校から帰ってきた翔子は居間に居るのが誠也達だけだと知ると、そのまま軽く会釈して居間を通り抜けようとした。

ところが、机に突っ伏している孝介を見て、軽く目を丸くした後、孝介に話しかけた。

どうやら、孝介が元気の無いのに気づいてどうしたのかと聞いてみたようである。

そこで孝介は神社で合った出来事を話し始めた。

誠也はそんな二人から少し離れた縁側でそれを見ていた。

 

誠也(う~ん、孝介さんは親戚だろうから比較的普通に話せているみたいだな~。俺もあれ位話してもらえるようにならないとな~)

 

そんな事を誠也が考えていると、話し終えた二人は不意に立ち上がると、玄関へと向かっていった。

 

誠也「あれ?お出かけですか?」

 

孝介「ああ、ちょっといろはに謝ってくるよ。誠也は留守番を頼む。」

 

誠也「あ、は~い、わかりました。」

 

誠也の返事を聞くと、孝介は翔子を連れて家を後にした。

 

二人を見送った後、誠也はやることも無く、しばらくボーとしていると、不意に誠也の携帯が鳴り響いた。

誠也は携帯を取り出し、ディスプレイを見る。

そこには乃木坂美夏と表示されていた。

 

誠也「・・・美香か。何の用だ?」

 

そう言って誠也は携帯の通話ボタンを押して、携帯を耳に当てた。

 

美夏『ハロ~、誠也く~ん♪元気~♪あなたのアイドル・スィ~ト美夏ちゃんだよ~♪』

 

誠也「・・・相変わらず無駄にテンション高いなお前は。」

 

美夏『ぶ~、乗り悪いぞ~。せっかく電話してあげたのに~』

 

誠也「はいはい。」

 

そう言って誠也は適当な相槌をうった。

乃木坂美夏、誠也の母・清香の妹の秋穂の娘で誠也にとっては従姉妹に当たる。

歳は誠也の一歳下で、なんと、あの世界有数の財閥・乃木坂財閥を司る四大名家の一つ、乃木坂家の令嬢なのであり、誠也の力・ライダーの力とカナリヤの存在を知っている数少ない友人の一人でもある。

 

誠也「で、そっちの状況は?怪人共やスイッチ、ガイヤメモリー使用者関連の事件は起きてる?」

 

美夏『今の所は起きてないよ。最も起きてもこっちには圭介くんや竜輝くんが居るし、いざとなったらはやてちゃん達が居るから大丈夫だよ。だからこっちのことは気にしないで、そっちの事件に集中して。』

 

誠也「わかった。所で京香姉さんにはライダー関連の事はバレてないだろうな?」

 

夏美『バレてないわよ。京香さんがもし知ったら、大騒ぎになってるわよ。』

 

誠也「姉さんは母さんが死んだせいで、身近な人が居なくなったり、危険な目に合うことに対して異常に反応するからね。」

 

美夏『だね~。これからも注意しないとね。ほんじゃそろそろ切るね。あ、そうそう、帰ってきたら、面白い物を見せてあげるから楽しみにしててね。』

 

誠也「面白い物?」

 

美夏『うん、面白い物。あ!あと、帰ってくるときはお土産忘れずにね。ガイコツのキーホルダーとかペナントとか、東京タワーの置物とか。』

 

誠也「・・・何処の観光地の土産だ。無難に饅頭の詰め合わせでも買っていくよ。」

 

美夏『ぶ~、つまんないの~。まあいいや、そんじゃお願いね~。』

 

そう言って切れる携帯。

 

誠也「ふ~、全く、まだ来てから1日しか経ってないのにもう土産の催促かよ。さて、そろそろガルーダ達が戻ってくるな。迎えてやらないと」

 

そんなことを言いながら誠也は携帯をしまうと中庭方へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

 

春日いろは(かすがいろは)(黄昏のシンセミア)

 

銀子(ぎんこ)(黄昏のシンセミア)

 

乃木坂美夏(のぎさかみか)(乃木坂春香の秘密)

 



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人物紹介1

どうも、剣 流星です。
今回は登場人物の紹介です。
なお、ここで紹介している人物は、この作品のオリジナルキャラと原作から設定を変更しているキャラを中心に紹介してます。
ですので、ここで紹介されていないキャラは概ね原作とほぼ同じ設定だと思ってください。


鳴海誠也(なるみせいや)

 

原作(オリジナル)

 

探偵をやっている父・鳴海誠司と母・清香、姉・京香 義姉の悠菜、義妹の霞を持つ。

母親の清香は誠也が生まれたばかりの頃、通り魔から誠也を庇って死んでいる。母が亡くなり、父子家庭となった鳴海家では当時赤ん坊だった誠也は育てられないということになり、母親の実家である世界有数のグループである乃木坂グループを司る乃木坂家で5歳ぐらいまで育てられた。だが、育てられたと言うのは表向きで、実際は祖父の後妻である乃木坂美月(のぎさかみつき)の手で屋敷の地下室に閉じ込められ、虐待されながら育てられ、ほかの家族には誠也そっくりの子を誠也だと言って、地下室の誠也の事から目をそらさせていた。

五歳頃、地下室に閉じ込めらていた誠也の存在が明るみに出て、誠也は乃木坂家から児童養護施設へと引き取られ、そこで半年ほど育てられた後、母の双子の妹である悠菜の母親に引き取られたが、8歳の時に誠也を引き取っていた悠菜の両親が事故で他界し、悠菜と共に父親と姉の京香が居る鳴海家に引き取られた。

そして誠也が10歳の時に家族を通り魔に殺され一歳年下の霞を引き取ってからは5人家族となる。

9歳の時、門矢士に八神はやてと共について行き、1年間、様々な異世界を旅をしたことがある。ただし、この時行った世界は原作のリ・イマジネーションの世界ではなく、クウガからウィザードまでの平成仮面ライダーの原点の世界+幾つかのライダーの居ない世界(デビルサバイバー2の世界と鋼の錬金術師の世界、テイルズオブエクシリア2+α)を旅したことになっている。

10歳の時、金色に光る謎の鳥・カナリヤから財団Xが自分の世界に怪人やガイヤメモリー・ゾディアススイッチをばら蒔いている事を聞き、カナリヤが複製したライダーのベルトの一つ、ウィザードライバーを受け取り、財団Xが起こした事件を解決して回るようになった。

義姉の悠菜と同じ紅く長い髪を気に入っている。

顔立ちは「恋する乙女と守護の楯」の主人公・如月修史の女装バージョンの山田妙子の長い髪を後ろで束ねたような顔立ち。

実は異世界を門矢士と旅したため、1年間行方不明になっていたせいで、学校の学年は1年ダブっていて、本人はそれを結構気にしてる。

八神はやてを幼馴染に持ち、乃木坂春香・夏美姉妹を従姉妹に持つ。

 

 

 

 

カナリア

 

原作(仮面ライダー・バトライドウォー)

 

誠也に仮面ライダー・ウィザードの力を授けた金色に光る鳥。

平成仮面ライダーシリーズのクウガからウィザードまでに登場している全仮面ライダーの力をコピー・再現することができる力と知識を持っている。

財団Xと敵対関係を取っている。

仮面ライダー・バトライドウォーに出てくるカナリヤである叶井梨絵(かないりえ)の意識と知識をコピーした存在で、物を持つためにサイコキネシスの様な物を使い、亜空間に物をしまうことができる能力を持っている。

姿形はバトライドウォーのカナリヤと同じ。

 

 

 

 

 

皆神孝介(みながみこうすけ)

 

原作(黄昏のシンセミヤ)

 

誠也の家の隣に住んでいて、誠也の姉・京香と同じ大学に行っている。

家族は父親と妹の三人で、鳴海家と同じく母親が居ない父子家庭。

家が隣同士な上に、同じ父子家庭のせいもあって両家は比較的仲が良い。

妹のさくやとは軽口を叩き合う仲。

実は怒った京香の怖さを知っている数少ない人物で、そのせいで京香には頭が上がらない。

 

 

 

 

鳴海京香(なるみきょうか)

 

原作(Missing Pars(ミッシング パーツ)

 

誠也の実の姉。

困っている人物を放って置けない性格のせいか、小さい頃、足が不自由で両親が居ないはやてや悠奈の面倒をよく見ていた。

最近は家族が亡くなったせいで、鳴海の家に引き取られることになった霞の面倒をよく見ている。

実は趣味が時代劇の鑑賞と渋い趣味をもっている。

 

 

 

 

藤堂悠菜(とうどうゆうな)

 

原作(リベリオンズ)

 

誠也の母親の双子の妹の一人娘で、誠也の従兄妹に当たる。

幼い頃、両親が事故死して鳴海家に引き取られ、以来、誠也の義姉で有り、京香の義妹となった。

普段は理性的なのだが、挑発に弱く、すぐに乗ってしまう激情型でかなり気が短い。

誠也と同じ赤く長い髪をしていて、それに対してコンプレックスとも愛着とも言えない微妙な感情を持っている。仮面ライダー・ファムの装着者。

 

 

 

三上霞(みかみかすみ)

 

原作(次の犠牲者をオシラセイマス)

 

誠也の父・鳴海誠司の妹の娘で、誠也の従兄妹に当たる。

幼い頃、実の兄と両親を目の前で通り魔に殺されたと言う過去を持っていて、そのせいで殺人事件に関するトラウマを持ってしまっている。

両親の死後、鳴海家に引き取られて以来、京香と悠菜、誠也の義理の妹となった。

ちなみに歳は誠也の一つ下であるため、ダブっている誠也と同じ学年で同じクラスになっている。

大人しい性格で自分の意見を主張するのが苦手なのだが、誠也や悠菜、京香のおかげか、原作よりは自分の意見をある程度は言えるようになっている。

こってこての甘ったるい恋愛少女漫画が好きだったが、最近はやてに見せてもらったBL系の漫画を見て、そっち系の方にまで趣味を広げている。

 

 

 

 

乃木坂美夏(のぎさかみか)

 

原作(乃木坂春香の秘密)

 

誠也の母親・清香の妹である乃木坂秋穂の娘で、誠也の従姉妹に当たる。

天真爛漫でツインテールの髪型がトレードマーク。

誠也の一つ年下なので、霞や誠也と同じ学年の同じクラス。

誠也達・仮面ライダーの秘密を知る人物の一人でもある。

誠也の義妹の霞と仲良しで、霞のトラウマによる発作で誠也と一緒によくフォローをしている。

実は絶叫系のアトラクションとお化けが大の苦手である。

 

 

 

 

八神はやて(やがみはやて)

 

原作(魔法少女リリカルなのはシリーズ)

 

誠也の父親・鳴海誠司が父親と学生時代からの友人で親友と言う間柄のせいで、誠也とは赤ん坊の頃から付き合い。俗に言う幼馴染である。

夜天の書の主で、次元世界を管理している時空管理局に勤めている。

両親が事故死しており、両親が居なくなってからは鳴海の家によく泊まり行ったりしており、そのせいで京香や悠菜を実の姉のように慕っている。

誠也が門矢士と共に異世界を巡る旅に行く時に、一緒について行った事がある。

親しい同性間での独特なコミュニケーション手段として、胸部へのマッサージ(いわゆる「胸もみ」)をするので、周囲から「揉み魔」及び「おっぱいマニア」とも呼ばれている。

 



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第3話 友達になった日

どうも、剣 流星です。
最近、魔装機神Ⅲにハマってしまい、執筆速度が遅れている今日この頃です。
なるべく週一で出せるようにしますけど、もし更新してない時は、どうかご了承ください。
では第3話をどうぞ。


神社で巫女服の女性に追いかけられ、銀子と名乗る銀髪の女性と会った次の日の朝。

誠也は午後から出勤することになっている皐月に見送られながら、孝介と一緒にいろはに村を案内してもらう事になった。

昨日、いろはに謝りに行った孝介は、いろはに誠也の事を話すと、「ならまだ、村の中に何があるのかわからないでしょうから。久しぶりに帰ってきた孝介共々、私が村を案内してあげる!」と言ってきたのである。

孝介自身も久しぶりの村で、記憶が結構あやふやになっているのもあり、その話を快く引き受けたのである。

 

 

 

いろは「君が誠也くんね。昨日は驚かせてごめんね。孝介の幼馴染で春日神社で巫女をやってる、春日いろはよ。よろしくね♪それにしても本当に女の子に見えるわね。本当に男の子?」

 

昨日、誠也達を棒を持って追い立ててきた巫女服の女性が、目の前に立って手を差し出していた。

 

誠也「え、ええ・・・・そう・・・ですけど。」

 

昨日の怒って追い立ててきたイメージもあってか、差し出された手を恐る恐る取る誠也。

 

いろは「ん?なんか怖がってない?」

 

孝介「そりゃ一番最初に会った時の姿が、物凄い形相で棒を持って迫ってくる姿だったんだもん、怖がるのも無理ないと思うぞ。」

 

いろは「うっ!それに関しては誠也くんには悪いと思っているわよ。何もしてない誠也くんに対して怒って追い立てて・・・けど!元はといえばあんたが覗きをしたのがいけないんじゃない!しかも何、誠也くんを置いて一人で逃げちゃうなんて恥かしいと思わないの?」

 

孝介「うっ!それについては、本当にすまないと思っている。」

 

誠也「まあまあ、それよりも今日は村の案内、よろしくお願いします。」

 

いろは「うん、任されました。村のことで分からないことがあればどんどん聞いてきてね。」

 

誠也「はい。」

 

いろは「じゃあ早速、しゅっぱーつ!」

 

朝空に、いろはの声が響いて、誠也達の村の案内がスタートした。

ちなみに今、誠也の側にはカナリヤはい居ない。

昨日帰ってきたガルーダ達の捜査が空振りに終わったので、今日は朝からガルーダ達と一緒に捜査に出かけて行ったのである。

誠也も捜査に加わろうかと行ったのだが、建前上、アルバイトでこちらに来ているので誠也にはそっちを頼むと言ってきたのである。

確かにアルバイトで来ていることになっているので、アルバイトの仕事をサボるのはマズイ。その為、仕方なく捜査はカナリヤ達に任せることになった。

 

しばらくいろはの後を付いて行く形で、道なりに進む孝介と誠也。

 

やがて三人は孝介が初日に仮眠を取ったバス停へとたどり着いた。

 

いろは「最初はここ。まずは玄関から始めないとね。」

 

孝介「このご時世に、村に行くには必ず通るってか」

 

いろは「ここじゃ、「山一つ越えて~」なんて言葉が今でも通じるからね」

 

誠也「う~ん、「山一つ越えて~」か、確かにここは四方を山に囲まれていますからね。ちなみにバス停はここしかないんですか?」

 

いろは「うん、だから村の外から来る人は、車で来る人以外は、大抵最初はここにたどり着くのよ。」

 

誠也「なるほど・・・だから玄関って言ったんですね。」

 

いろは「そう言う事。さ~て、じゃあ次行くよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日来た神社の石段の前にたどり着く三人。

 

いろは「ここも言うまでもないけど、私が勤めている春日神社の前。簡単に由来でも教えておこうか?」

 

誠也「お願いします。」

 

そう言っていろはの神社の由来について説明が始まった。

その内容は、この春日神社が800年前に建立されたもので、祭っている神様は「豊田葦高媛命(とよたあしたかひめのみこと)」と言う女神。各地に残る羽衣伝説に出てくる天女のことだという。

おとぎ話では被害者だが、詳しい民話ではかなりの才人で、山を切り開き、田や畑を作って村の人達の生活を助けたと言う内容だった。

 

誠也「へ~。かなり頭がいい人だったんですね。」

 

いろは「違う世界の人だったからなんじゃないのかな?ここより進んだ世界から来た異世界人だったとか。」

 

孝介「なんか急に胡散臭くなってきたな。」

 

誠也(ここより進んだ世界から来た異世界人ね~)

 

いろはの一言を聞いて誠也は、外の世界から来た管理局のクロノやリンディ、そして、かつて小さい頃、共に様々な異世界を一緒に旅した仮面ライダー・ディケイドこと門矢士とその仲間達の顔を思い浮かべた。

 

誠也(今頃、どうしているのかな~士さん。)

 

久しぶりに司の顔を思い浮かべる誠也。

 

孝介「お~い、何してるんだ~。置いてくぞ~。」

 

聞こえてくる孝介の声でハッとなり、周りを見回す。

既に孝介といろはの姿は周りになく、遠くの方にその姿があった。

 

誠也「すません!ボーとしちゃいました!すぐ行きます!」

 

そう言って誠也は二人の後を追うようにして走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

春日神社の後、村の商店街の方を回った誠也達は今、村にある川へと足を運んでいた。

 

誠也「・・・「熊注意!」ってここ、熊出るんですか?」

 

川辺近くに立っている看板・「熊注意!」を見て誠也は前を歩いているいろはに聞いた。

 

いろは「うん、時々降りてくるのよ。観光客が捨てていった生ゴミの臭いに誘われて降りてくることがあるのよ。」

 

孝介「お、降りてくるのか。」

 

いろは「ええ、現に春先にもクマが降りてきて結構大騒ぎになったのよ。まったく、ゴミを捨てていくなって言ってるのにゴミを捨てていく観光客が後を立たなくて困ってるのよ。」

 

誠也「マナーを守らない観光客ほどタチの悪いものは無いですからね~。」

 

いろは「まったくよ。」

 

そう言って二人の先を歩くいろは。

川沿いを上流へと歩いていく三人は、やがて沢へとたどり着いた。

沢では老人が鮎釣りをしているのが見えた。

 

孝介「ハァハァ・・・・」

 

息を切らせながら、いろはの後を付いて行く孝介。

 

いろは「もう息切れ?だらしないわね~。」

 

孝介「し、仕方ないだろう!向こうではこんなに歩くことは滅多に無いんだから!」

 

いろは「その割には同じ所から来てる誠也くんは息切れ一つ付いてないわよ?」

 

孝介「こ、コイツは普段から走り込みやら、筋トレやらを異常なほどしてるんだよ!こんな筋トレオタクと一緒にするな!」

 

いろは「自分の日頃の運動不足を棚に上げて筋トレオタクって、ちょっと誠也くんに対して失礼じゃない?」

 

孝介「お前はコイツの異常な程の量のトレーニングメニューを見た事ないからそんな事言えるんだ。アレを見たら、誰でも俺みたいに言うぞ?」

 

いろは「異常なほどの量?」

 

孝介「ああ。誠也、お前の一日のトレーニングメニューの内容、こいつに教えてやれよ。」

 

誠也「・・・・異常な量ね~。それほどでもないと思うんだけど・・・・まあ、いいか。ちょうど今、トレーニング表持っていますから見せますね。」

 

そう言って誠也はポケットから折りたたまれた紙を取り出し、それを広げていろはへ見せた。」

 

いろは「どれどれ~・・・・・・・え?!こ、これ、本当に一日分のトレーニング量なの?」

 

誠也「ええ、そうですけど?」

 

誠也がいろはに見せた紙に書かれてあるトレーニングメニューの量は、軍隊の訓練も真っ青の量であった。

 

いろは「・・・・これを見れば、孝介じゃなくても筋トレオタクって言っても過言じゃないわね。」

 

誠也「そ、そうですか?(まあ無理もないか、このメニューは軍隊より厳しいで有名な響鬼さん特製の鬼の特訓メニューを参考にしてあるからな~)」

 

いろは「ま、まあ誠也くんが普段から体を鍛えてるって事はよ~く分かったけど、あんたが日頃から運動不足気味で情けないのは変わらないわよ。」

 

孝介「うっ!」

 

いろは「さあ、とっとと先急ぐわよ。午前中に全部回るんだから。」

 

そう言って孝介を急かすいろは。

 

孝介「え~!まだ歩くのか~。俺、もう歩くのやだな~。」

 

いろは「・・・だったら走ってもらおうじゃない。ほら、つべこべ言わずに歩く!」

 

孝介「うっ!わかったよ。」

 

誠也「ヤブヘビでしたね。孝介さん。」

 

孝介「うるさい。」

 

 

 

 

 

 

沢を登り山の奥へと足を運んだ誠也達三人は、山奥にある谷へとやってきた。

誠也達の目の前には谷に架かっている吊り橋が谷からの風で揺らいでいた。

 

いろは「ここは地元の人でも滅多に来ないんだけど、一応場所くらいは教えておくね。」

 

誠也「一応?」

 

いろは「久しぶりに帰ってきて気楽に探検をして、好奇心で橋を渡ったはいいけど道に迷わないように・・・とか。」

 

孝介「そんな小学生の冒険みたいな事しねーよ!なあ誠也。」

 

誠也「え、ええ。(はは・・・好奇心じゃないけど探索はしようとしてたんだよな~迷わないように気を付けないと・・・)」

 

本来の目的で怪物を探しに来た誠也にとっていろはの先ほどの言葉は耳が痛い話であった。

 

いろは「ここからとなり村までは山一つ越していかないといけないから、実質ここが村の終着点だから。それじゃ戻ろうか。こっちから行くと近道だから。」

 

そう言っていろはは登ってきた道とは別の道を降り始めた。

道と言えない獣道のような道を足を滑らせないように注意しながら降りる三人。

そんな中、誠也は自分達の背後に何者かの気配を感じ取っていた。

 

誠也(ん?誰か尾行している?)

 

背後に感じる気配を感じ取った誠也は何者なのだろうと歩きながら思案した。

 

誠也(気配を消さずに付いて来ているって事は素人っぽいからプロじゃない。もしかしたらたまたま帰り道が一緒になった地元の人かな?)

そんな事を考えて歩く誠也はやがて道は神社の裏手へと出た

 

いろは「あ、そうだ。さくやちゃんにメール送りたいんだど、携帯借りていい?」

 

孝介「いいけど、使い方わかるのか?」

 

いろは「それぐらい大丈夫よ。」

 

いろははそう言って孝介の携帯を操作し始めた。

 

誠也(携帯を弄る巫女さん・・・・なんともシュールな光景だな~。)

 

そんな事を思いながらいろはが携帯を使い終えるのを待つ誠也。

 

いろは「はい、送信。ありがとね。」

 

そう言って携帯を返すいろは。

 

誠也「さくやさんになんて送ったんです?」

 

いろは「知りたい?孝介に見せてもらいなよ。」

 

そう言ったいろはの言葉を聞き、孝介は送信済みから最新の一件を呼び出しそれを見ていたので、誠也はそれを横から見せてもらった。

 

誠也「何なに「妹に会えない禁断症状が出てきた。さくや愛してる」って・・・なんじゃこら!」

 

孝介「うぉおおおおおおいいいっ!なんてもんを送りやがるんだああああああっ!」

 

いろは「あ、バレた?あはははっ!」

 

そう言いながら身を翻して本殿へと駆けるいろは。

 

いろは「それじゃあ二人共、今度うちあわせの日時送るから。忘れずに来てよ~!」

 

手を大きく振って、いろはの姿は二人から見えなくなった。

 

孝介「まったく・・・」

 

誠也「あははは・・・・騒がしいと言うか、面白い人ですね。」

 

そう言いながら、誠也は昨日会った時の姿とのギャップを見て少し苦笑いをした。

 

???「ふぅぅ・・・・」

 

孝介「どわああああああっ」

 

誠也「うわっ!なんだ!?」

 

いろはの消えた方向を見ていた孝介が、突然叫び声を上げたので驚く誠也。

 

銀子「あはは、おはよう二人共。朝から元気いいね。」

 

誠也「あ、銀子さん。おはようございます。」

 

孝介の背後に立つ銀子に挨拶をする誠也。

 

孝介「銀子さん!いきなり背後から耳に息を吹きかけないでください!」

 

銀子「あははは、ちょっとしたお茶目だよ。軽く笑って許して。」

 

そう言って胸の前で手を合わせてごめんのポーズをして言う銀子。

 

銀子「さっき居たのいろはちゃんでしょ。仲直りできたんだ。」

 

孝介「ええ、まあ。」

 

誠也「おかげさまで。所で、銀子さん。俺達、山から降りてきたんですけど、その俺達の背後から現れたってことは・・・さっきからちょっと離れた辺りから感じていた背後の気配は銀子さんの物だったんですね。」

 

銀子「あれ?気づいてたの?すごいね誠也くん、まるでゴ○ゴみたいだね。」

 

誠也「ゴ○ゴって・・・俺は世界的な殺し屋ですか(^^;」

 

孝介「コイツは探偵志望なんですよ。父親が探偵やってるからその後を継ぐみたいなんですよ。だから、気配探知なんかもできるんですよ。」

 

銀子「え!?誠也くんって探偵なの?!私初めて見た。」

 

誠也「正確に言えば探偵のたまごですけどね。」

 

まるで珍しいものを見たかのような反応をする銀子。

 

銀子「ねえねえ、やっぱり殺人事件の現場に置い合わせたり、警察の捜査に協力したり、悪の組織や怪盗と対決したりするの?」

 

誠也「え?あ、いや~今の所殺人事件の現場には居合わせた事はないし、警察の捜査に協力したり、怪盗と対決したりはしてないですね~。(悪の組織との対決は絶賛今している最中ですけどね(^^;)。」

 

そんな事を考えながら苦笑いを浮かべる誠也。

 

銀子「え!?そうなの?な~んだ、つまんない。」

 

誠也「え、いや~まだ俺、見習いみたいなもんですから。」

 

孝介「見習い探偵に何期待してるんですか。だいたい殺人現場に居合わせたり、怪盗と対決する探偵なんて、お話しの中だけですよ。なあ誠也。」

 

誠也「え?あ。そう・・・ですね。(そうなんだけど、うちの父さんに限っては有り得そうなんで怖いんだけどね。(^^;))」

 

孝介「所でなんで朝っぱらから山の中にいるんです?」

 

孝介は銀子が朝っぱらから山の中にいた事に対しての理由を聞いてみた。

 

銀子「ん?うちの場所知りたい?遊びに来る?でも流石にちょっと時間を置いてから誘ってくれないと、太陽も高いし、ムードも無いし、何より誠也くんみたいな幼気な少年の前では・・・」

 

誠也「朝っぱらから何言ってるんです!一体何るすつもりなんですか!?」

 

孝介「・・・もういいです。」

 

銀子にツッコミを入れる誠也を見て脱力する孝介。

 

銀子「ごめんごめん。あんまり人に見せられるような所じゃなくて。私は山の方に住んでいるから、里の人との付き合いは、けっこう難しいんだ。」

 

誠也「山の方に住んでいる・・・へ~そうなんですか。」

 

孝介「付き合い、難しいのか。」

 

銀子「うん・・・町内会費も払ってないしね。」

 

真面目な顔で言う銀子。

 

誠也「ちょ、町内会費って・・・・(そもそも、山の中に住んでいるんだから、払わなくてもいいんじゃ?)」

 

孝介「・・・でも祭りには参加するんですよね?」

 

銀子「う~んと・・・そうだね。どうしようか。参加したほうが良いかな?」

 

誠也「そりゃ出ないより出た方が面白いですよ。」

 

孝介「それに、いろはが言ってました。若い人が少ないから人手不足だって。」

 

銀子「そっか~。じゃあ正義の味方の銀子さんとしては、お手伝いしない手はないね。」

 

誠也「いや、正義の味方って・・・」

 

そう言って笑顔で言う銀子に対して軽く突っ込む誠也。

 

銀子「それじゃあ、お手伝いが必要な時はいつでも読んでね。」

 

そう言ってくるりと身を翻して銀子は行ってしまった。

 

誠也「・・・色々とツッコミ所満載の人ですね。」

 

孝介「・・・ああ。」

 

それから誠也たちはまだ行っていない場所をぐるりと回り、一時間ぐらいして、昼前に岩永家へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「お帰りなさい。」

 

いろはの村の案内から戻った誠也達を皐月が迎えた。

 

孝介「ただ今戻りました。」

 

誠也「戻りました。」

 

皐月「丁度いいタイミングで戻ってきたわね。今からお昼を作ろうと思っていたんだけど、二人は何が良い?」

 

誠也「お昼ですか?う~ん・・・・」

 

皐月にお昼は何が良いと聞かれ考える誠也

 

孝介「なんでもいいです。」

 

誠也「俺もなんでもいいいです。・・・けど、何でもいいってのも逆に迷うんですよね。」

 

誠也は時々家族に食事を作っているので、メニューを聞いて何でもいいと答えられて困った事を思い出した。

 

皐月「ふふ。そうね。昔、誰かに同じこと言われたの?」

 

誠也「ええ、上の姉二人と妹に。」

 

皐月「それでどうする?」

 

誠也「そうですね・・・・・」

 

そう言って考え込む誠也。その時、ふと昨日、翔子がお昼を食べに戻ってきていた事を思いだした。

 

誠也「じゃあ翔子ちゃんの好きな物で良いと思います。昨日聞きましたけど、翔子ちゃん、お昼はこっちに戻って食べてるんでしょう?だったら俺らの好きな物より翔子ちゃんの好きな物を用意したほうが良いと思います。」

 

皐月「え・・・・・・」

 

誠也の発した言葉が理解できないという風な顔をしてきょとんとして首をかしげる皐月。

 

皐月「ねえ、それ、何の事?」

 

誠也「え?何の事?って翔子ちゃん、昨日言ってましたよ。家に戻って食べる時間があるから、普段は家で食べているって。」

 

皐月「家で?いいえ、毎朝、私、お弁当作って渡しているわよ。」

 

誠也「え?」

 

皐月の言葉を聞いて考え込む誠也。

 

誠也(どういう事だ?翔子ちゃんはお弁当を持って学校に行っている。けど、お昼は家に戻って食べていた。お弁当を食べることが出来ない理由でもあるのか?)

 

そんな事を考えているとふと、ある考えが誠也の頭の中によぎった。

 

誠也(お弁当を食べられない理由がなんであれ、翔子ちゃんはお弁当を食べておらず、その事を皐月さんには隠し通してきた。そして今日はお昼には皐月さんが家に居る事を知っているから、家に戻ってお昼を食べることが出来ない・・・なら、お昼、どうするんだろう?)

 

そんな考えに至った誠也は翔子の様子を見るために岩永の家を飛び出した。

 

孝介「え?!おい!どこに行くんだ!」

 

皐月「誠也くん。ご飯はー!?」

 

誠也「すぐに戻ります!ちょっと翔子ちゃんの様子を見てくるだけですから。」

 

岩永の家を飛び出し、商店街を駆け抜けた先、そこに翔子が通う学校があった。

 

誠也(行っても意味ないかもしれない。けど、お昼に岩永の家に戻っているのは、教室に居場所が無いからってことじゃあ・・・それが理由なら、お昼よりそっちの方が問題だ!)

 

誠也は翔子がお昼に家に戻っているのは「教室に居場所が無いからなのでは?」と思ったのである。

誠也は昔、家族が目の前で殺されたせいで度々発作を起こしている義妹の霞がいた。

霞は発作はふとした切っ掛けで発作するもので、それは学校の授業中などでも度々起こしていた。

それのせいで霞はクラス内では浮いた存在になっていた。そしてそんな霞に対して、霞のクラスメイトの態度は酷いものだった。

のけ者、仲間はずれは言うに及ばず、ひどい時は机に落書きされたり物を隠されたり、嫌がらせをされたりしていたのである。

そのせいで学校が終わっていないのに、いじめのせいで途中から帰ってきてしまうと言う事が度々あったのである。

誠也はその事を思い出し、翔子が同じ目に遭っているのでは?と思い、居ても立ってもたまらずに翔子の学校へと飛び出してしまったのである。

 

 

誠也「・・・ここか。」

 

昼休み前に学校の門へとたどり着いた誠也。

 

誠也(ここを見張っていれば、わかるかな?)

 

そう思った誠也は校門から少し離れた所にある塀の陰に隠れて様子を伺った。

そしてお昼休みのチャイムが響いた後、変化が起きた。

 

校舎内からお弁当を持った翔子が校門を出ようとした時、男子生徒が立ちはだかったのだ。

彼とその友人らしき男子に囲まれて、うつむく翔子。

 

男子1「ほ~らな。言った通りだろ~」

 

男子2「おいおい岩永。どこに行くんだよ」

 

蔑むような笑いが入る。

その様子は待ち構えていた網に獲物がはいったのを喜んでいるように見えた。

その様子を見た誠也は、かつてクラスメイトに虐められていた義妹のかすみの姿をダブって見えて、誠也は思わず翔子達の前に出て行った。

 

男子1「黙っててやるからさ~。何しているのか言ってみろよ」

 

男子2「どうしたんだよ。言えねーのかぁ?」

 

翔子「・・・・・・」

 

男子1「こいつ、昨日も出てっただろう。タカミにも何か言われてたの見たんだぜ」

 

男子2「女にも嫌われてるんじゃねーの?だって暗いんだもんな。こいつ。」

 

男子1「そーそー。一人だけ葬式って感じ」

 

そんな風に翔子に食ってかかる男子たちの前に誠也が姿を現した。

 

誠也「翔子ちゃん、待たせたね。」

 

翔子「え?鳴海くん?」

 

男子1「あー!なんだお前!岩永には先に俺達が話してるんだ!」

 

男子2「部外者は引っ込んでろ!」

 

突然現れた誠也に対して面白くないと、食ってかかる男子の二人。

 

誠也「先に話してるって言ってもな~、こっちが先約なんだけど。翔子ちゃんは俺に用があって出てきてくれたんだからな。」

 

怒気を抑えながら、なるべく話し合いですまそうと話を進める誠也。

 

男子1「ああっ!何なんださっきからお前!!関係ない奴は引っ込んでろって言ってんだろ!!!」

 

誠也「関係なくないよ。俺は彼女の友達なんだから。」

 

男子2「はあ?友達?こんな根暗女の友達になるなんて、物好きなやつだな~」

 

翔子「根暗女・・・・・・」

 

翔子が根暗女という言葉を聞き、辛そうな顔をした。

 

誠也「・・・・あのさ、女の子に向かって根暗だとか一人葬式だとか少し言い過ぎじゃないか?翔子ちゃん、傷ついてるぞ。」

 

男子1「なんだよ!根暗を根暗って言って何が悪いんだ!」

 

男子2「傷つこうがどうしようがそいつが根暗なのが悪いんだ!自業自得ってやつだよ!ハハハッ!(バキッ!)って・・・なんだ?」

 

突然した何かを砕いたような音が響いたので、男子生徒二人は黙り込んだ。

 

誠也「・・・・・これ以上俺の友達を侮辱するな!もし、それ以上侮辱の言葉を言ったら・・・この後ある夏休みを病院のベットの上で過ごすことになるぞ!!」

 

足元に転がっている小石を拾い上げ、それを握り潰しながら睨みつける誠也。

その顔には、明らかな怒気が含まれ、その形相は大人が見ても腰を抜かすぐらいの物だった。

 

男子1「ひ・・・ひぃいいいー!」

 

男子2「に、逃げるぞ!」

 

そう言って二人は、誠也立ちの目の前から腰を抜かしながら立ち去って行った。

 

誠也「・・・まったく!不愉快な連中だ!」

 

二人の後ろ姿を見ながらそう言う誠也。

 

翔子「あ、あの・・・あ、ありがとう。」

 

誠也「ん?ああ、別にたいした事無いよ。それよりもあの二人組、こんな感じでいつも絡んでくるの?」

 

翔子「う、うん・・・・いつも私をからかって面白がってるの・・・・。」

 

誠也「そうなんだ・・・・ったく!どうしようもない連中だな「あの・・・」ん?」

 

翔子「・・・なんで・・・助けてくれたの?あんなに・・・鳴海くんの事・・・避けてたのに。」

 

誠也「なんでって・・・・友達を助けるのは当たり前だろう?」

 

翔子「と、友達?私達・・・友達・・・なの?」

 

誠也「うん、名前を呼び合ったんだから、もう友達だよ。」

 

誠也はそう言って、自分の友人の一人である全力全開少女が言った、友達になる最初のキッカケの言葉を言った

 

誠也「俺は少なくてもそう思ってるし、そうなりたいと思ってる・・・・迷惑・・・かな?」

 

翔子「ううん!」

 

誠也の問いかけに翔子は首を横に激しく振った。

 

誠也「なら、問題ないね。」

 

翔子「友達・・・か。あ、ありがとう!鳴海くん!」

 

誠也「誠也。」

 

翔子「え?」

 

誠也「これからは名前で読んでくれよ。」

 

翔子「誠也・・・うん!なら、私の事も翔子でいいよ。ちゃん付けだとちょっと恥ずかしいから////。」

 

誠也「あ・・・うん。わかったよ、翔子。」

 

翔子「これからもよろしくね誠也くん!」

 

誠也「ああ!」

 

そう言って誠也は翔子に向けて手を差し出した・

 

翔子「?えっと…?」

 

誠也「ちょっとしたおまじないだ。手、貸かして。」

 

そう言われ、おずおずと翔子は手を差し出すと、誠也は翔子の手を無理矢理な感じで握手し、さらに形を組み替え、手を離すと今度は拳を数回打ちつけた。

 

誠也「よし!」

 

誠也が翔子にしたおまじないとは、誠也がかつて異世界を旅した時に出会ったライダーの一人、如月 弦太朗に教えてもらった握手と共に互いの拳を数回打ち合わせる「友情のシルシ」のことだった。

 

誠也「これからもよろしく!翔子!」

 

翔子「う、うん!よ、よろしくね!誠也くん!」

 

 

 

つづく

 



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第4話 現れる怪物

どうも、剣 流星です。
最新号のヤングジャンプを見て驚きました。
極黒のブリュンヒルデ、アニメ化企画進行中と極黒のブリュンヒルデの扉に書かれているではありませんか!
アニメ化、とても楽しみです。
では第4話をどうぞ。


翔子(あっ!そうだ・・・丁度いい機会だから、あの事を聞いてみよう。)

 

翔子は、今目の前で新しく友達になった誠也に対して、初日の夕方頃に見たある事を聞こうと思った。

 

翔子(あの時、誠也くんの目の前で、何もない所から魔法陣のような物が現れて、そこからプラモデルみたいな赤い鳥が出てきた事・・・あれが何んだったのか・・・)

 

翔子は誠也がこの村にきた初日の夕方、山の中に居るであろう例の怪物を探すためにプラモンスターを召喚した所を偶然見てしまったのである。

翔子はそれを見て以来、その事が気になって仕方がなかったのである。

 

翔子「あの・・・誠也くん、その・・・」

 

誠也「ん?なに?」

 

翔子「この村に来た日の夕方「キーンコーンカーンコーン♪」ってあっ!」

 

誠也「あっ、午後の授業10分前の鐘だね。」

 

翔子「ど、どうしよう。「ごんた」にご飯あげないといけないのに・・・」

 

誠也「「ごんた」?」

 

翔子「うん、神社の裏にいる子狐。この前、足を怪我して動けなくなっている所を見つけて、ご飯をあげてたの。」

 

誠也「そうか~、なるほどね~。けど、今から神社に行く時間は無いから、俺が家に戻って何か食べる物をあげておくから、翔子は早く教室にでも戻ってそのお弁当食べちゃいなよ。」

 

翔子「う、うん。お願いね。」

 

誠也「ああ、任せて。」

 

翔子「うん♪」

 

そう言って返事をした翔子は駆け足でその場を去った。

 

誠也「さて、俺も一旦家に戻らないと。」

 

そう言って誠也は岩永の家へと戻って行った。

 

孝介「お、やっと戻ってきた。遅いぞ。皐月さん、もう仕事に出かけて行っちゃったぞ。」

 

岩永家の居間で、テレビを見ながら食休みをしている孝介に声をかけられた。

 

誠也「あ~、お昼ご飯用意してもらったのに、なんだか悪いことしたな。」

 

孝介「お前の分の昼飯はテーブルの上に置いてあるかなら、皐月さんが帰ってきたら謝っておけよ。」

 

誠也「そうします。」

 

そう言って誠也は居間に入ると、テーブルの上に用意してある自分の昼飯を見た。

 

誠也(魚のソテーか・・・これなら狐にもあげられるな。)

 

そう思った誠也はソテーが乗っている皿を手に持ち、そのまま岩永家を出て、翔子が行った子狐が居る神社の裏手へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春日神社の裏手。そこは青白い色を湛えた泉と山に面したうっそうと茂る森がある場所だった。

 

誠也「さ~て、翔子の言っていた子狐は何処にいるんだろう?」

 

そう言って誠也は辺りをキョロキョロ見始めた。

 

誠也「子狐、子狐と・・・・ん?」

 

誠也は一本の木の根元近くに木の根が小さな穴蔵を作って居るのを発見した。

 

誠也「・・・ここだな。餌用の小皿もあるみたいだし、たぶんココだろう。」

 

そう言って誠也は小皿の上に持って来た魚のソテーを置いた。

 

誠也「よし!多分これでいいはずだ。さ~てと、一旦岩永の家に戻るとしますか。」

 

そう言って誠也はその場を離れ、神社の入口がある本殿前へと移動した。

 

誠也「さて、カナリヤ達、探索から戻ってきてるかな~って・・・ん?あれは・・・・」

 

神社の境内の入口の鳥居近く。そこに巫女服を着たいろはが警察官と話しているのが誠也の目に写った。

警察官が来ると言う事は只事じゃないなと思い、誠也は警察官と話しているいろはに近づいて声を掛けた。

 

誠也「いろはさん。」

 

いろは「ん?誠也くん?」

 

誠也「何かあったんですか?」

 

いろは「いやね、駐在さんからさっき話しを聞いたんだけど、実は今朝、村に居る家畜やペットが数匹、怪物に襲われたらしいのよ。」

 

誠也「怪物!?」

 

いろはの口から怪物という言葉が出てきて驚く誠也。

誠也は本来この村の周辺で目撃されている怪物を探し出し、退治する為に来たのである。

初日から今日まで怪物探しをプラモンスター達に任せて探していたが、すべて空振りであった。

そこで、探索の手を増やすため、今日はカナリヤにも探索に出てもらっていたのである。

 

いろは「私達、朝はほら、村のあちこちを回っていたから。だから情報が上手伝わってこなかったんだろうけど、まさか朝っぱらからそんな事が起きてたなんてね・・・」

 

警察官「怪物って言っても、熊か何かの見間違いだと思うんだけども、山に近い家の家畜やペットが被害に遭っているみたなんだな。何かに食い荒らされたような荒らされ方だって言うんだけど、人には今の所被害は出てないみたいだ。」

 

いろは「怖いわね~。」

 

誠也(・・・・被害が出始めている・・・・早く探して退治しないと・・・)

 

実質的な被害が出始めたため焦る誠也。

 

警察官「とにかく、夕方以降は外出を極力控えるようにしてもらって、山には山狩りが終わるまで入らないようにしてもらうから。それと、いろはちゃん達は山狩りが終わるまでは避難してもらうからね。」

 

いろは「はい、わかりました。」

 

警察官「そんじゃあワシはこの辺で。」

 

そう言って警察官はその場から去って行った。

 

誠也「避難?」

 

いろは「家のすぐ裏って山なのよね~、今回の事でばあちゃんは村の方で用意してくれたホテルに行くみたいなんだけど・・・」

 

誠也「いろはさんはどうするんです?」

 

いろは「大げさなのは嫌だから、どっかに泊めてもらおうと思ってるんだけど、泊めてもらう所はこれから探そうと思うの。」

 

誠也「そうですか。」

 

いろは「いっその事、孝介の所にでも泊めてもらおうかな~。」

 

誠也「孝介さんの所って・・・孝介さんも僕も岩永の家に泊めてもらっている身ですから無理なんじゃ・・・」

 

いろは「皐月さんに言えば大丈夫よ。」

 

誠也「その自信はどこから来るんだか・・・・まあとにかく、岩永の家に泊まるんなら、家主の皐月さんに言ってくださいね。皐月さんは今の時間帯だと働きに出てるはずですから。」

 

いろは「わかった。連絡入れてみるわね。」

 

誠也「ええ、じゃあ僕はこれで。」

 

そう言って誠也はその場を後にした。

 

誠也(被害にあった家はどれも山に近い家ばかり・・・やっぱり山に潜んでいるのはほぼ間違いないな。取りあえず、カナリヤが戻ってくるまで被害のあった家を回って見よう)

 

そう思った誠也は被害のあった家を回って見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナリア《・・・とうとう被害が出てしまったわね。》

 

誠也「ああ、けど人には今の所被害が出てないって話だけど、それもいつまで・・・」

 

被害のあった家をすべて回った後、一旦岩永の家に戻ろうとした誠也は途中で探索から戻って来たカナリヤたちと合流した。

 

カナリア《・・・それにしても家畜やペットが先に被害に遭っている事や、山に潜んでいることを考えると、もしかして今回の怪物って言うのは、響鬼の世界の怪人・魔化魍なのかもしれないわね・・・》

 

誠也「だとしたら厄介だな・・・魔化魍は「浄めの音」でないと倒しづらいんだよな~」

 

カナリア《一応、私達が再現したライダーの力は、専門の倒し方でないと倒せない魔化魍やアンデットもある程度は倒せるようにはなっているけど・・・》

 

誠也「専門の力を持っているライダーの力と比べると見劣りする・・・か・・・ハァ~。」

 

そう言って誠也は軽くため息を吐いた。

 

カナリア《・・響鬼の力を受け継いだ隆史くんは特訓中で戦闘は無理・・・・なら、今の戦力だけでどうにかしないといけないわね。》

 

誠也「ない物ねだりしても仕方がないか~。とにかく、今は一旦岩永家に戻るとしよう。山狩りが行われるのは明日からみたいだから、今夜またガルーダ達に出てもらうから。」

 

カナリヤ《私も行くわ。山狩りになって、山に入った猟師の人達が犠牲になった。なんて事にならない様に今夜中に見つけないとね。》

 

誠也「そうだな。」

 

そう言って誠也は岩永の家に戻った。

 

誠也「ただいま戻りました~。」

 

家の玄関を空けて中に入ると、中から複数の女性の話し声が聞こえてきた。

 

誠也「ん?皐月さん以外に誰かいる?」

 

カナリア《お客さんかしら?》

 

頭に?マークを浮かべながら、誠也は複数の声がした居間の方へと向かった。

 

銀子「あ、ヤッホー。お帰り~」

 

誠也「え?!銀子さん?!」

 

いろは「あ、お邪魔してるわね。」

 

誠也「あ、いろはさん・・・結局岩永の家に泊まることにしたんだ・・・・」

 

そこにはテーブルを囲んでおしゃべりをしている、皐月と銀子、いろは、孝介が居り、そのそばで話をしている4人を見ている翔子が居た。

 

皐月「あら、お帰りなさい。」

 

誠也「・・・あの、この状況は?」

 

誠也は居間になぜか居る銀子といろはについて聞いてみた。

 

皐月「山狩りが終わるまで、危険だから山の出入は禁止になってるでしょう?山に住んでいる銀子さんと山の近くに住んでいるいろはちゃんには今夜ウチに止まってもらうことにしたの。いいかしら?」

 

誠也「いいも何も、俺らは泊めてもらっている身ですから、皐月さんが良いなら・・・」

 

皐月「そう?よかった~。孝介くんにも快く了承してもらったし、これで心おきなく二人を泊められるわね~。」

 

誠也「そ、そうですか・・・(人が多くなると動きづらくなるな~、今夜は俺も探索に出ようと思ってたんだけど・・・・)」

 

カナリヤ《・・・これじゃあ誠也は身動きが取りずらいわね・・・・今夜の探索は私達だけでやったほうがいいみたいね》

 

誠也《・・・お願い。》

 

カナリヤに今晩の探索の事を念話でお願いする誠也。

 

誠也「そ、それにしても孝介さん、銀子さんといつの間に中が良くなったんですか?」

 

孝介「ああ、お前が居ない時にも会っていてな。」

 

皐月「さて、お話しに夢中になっちゃったわね。今、お二人が寝るお部屋の準備、してきちゃうわね。」

 

そう言って立ち上がり、居間を出て行く皐月。

 

誠也「・・・・なんだか今夜は騒がしくなりそうだな~」

 

翔子「そうだね。」

 

いつの間にか誠也の横に来た翔子が相づちをうった。

 

 

 

 

 

 

夜、夕飯の後、ガルーダ達やカナリヤを探索に出した誠也は居間に居た。

 

銀子「おら~、飲んでるかぁぁ!」

 

誠也「・・・・・・・・」

 

岩永の家の居間は今、カオスとかしていた。

 

酒瓶を片手に孝介の方をバシバシと叩く銀子。

 

いろは「もっと持ってこーい!」

 

皐月「いろはちゃん、サイコーよ♪」

 

酒を片っ端から飲み干すいろはとそれに付き合うようにして飲む皐月。

 

翔子「・・・・・すごい事になってるね、誠也くん。」

 

誠也「そうだな・・・翔子。」

 

そんな酒を飲んでテンションが上がっている大人たちを遠巻きにして、ジュースを飲みながら誠也は翔子と肩を並べながら座って見ていた。

 

銀子「あれ~、翔子ちゃん。今、誠也くんを名前で読んでた~?」

 

孝介「へ~、いつの間に仲良くなったんだ?」

 

皐月「あらあら、すっかり仲良くなったみたいね。お母さん、嬉しいわ~」

 

翔子「え?あ、え・・・え~と/////」

 

誠也「げっ!こっちにも飛び火してきた!」

 

お互いをいつの間にか名前で呼び合っている二人を見て絡んでくる酔っ払い集団。

 

いろは「誠也くん、いつの間に翔子ちゃんにフラグ立てたの~?」

 

誠也「はあ?フラグ?!」

 

銀子「誠也くん、意外と手が早いんだね~。」

 

皐月「あらあら、じゃあ将来的には誠也くんにお義母さんって呼ばれるようになるのかしら~」

 

誠也「え!?お義母さん?!」

 

翔子「ちょっ、な、なに言ってるの!お母さん!!////////」

 

孝介「いや~翔子ちゃんにまで手を出して、この事を向こうにいるはやてちゃんが知ったらなんて言うかな~。」

 

誠也「ちょと!なんでそこにはやての名前が出てくるんですか!?」

 

銀子「はやてちゃん?」

 

孝介「あ、はやてちゃんっていうのはね、誠也の事が・・・」

 

誠也「いらん事を吹き込もうとするなぁあああああああ!!」

 

・・・・・こうして岩永の家の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

皐月「・・・・すぅ・・・・・すぅ・・・・」

 

いろは「う、うぐぐ・・・・・」

 

翔子「・・・・・・・」

 

孝介「・・・・・・うーん。」

 

先ほどまでの喧騒が嘘のような静寂が支配する岩永家の居間。

 

先程まで宴会をしていた面々は今、居間で撃沈している。

 

誠也「・・・・たく、本当にしょうもないな~。」

 

居間で寝ている面々を見ながら言う誠也。

 

誠也「今が夏場じゃなかったらみんな風邪ひいてるぞ。」

 

そんな事を思いなが、誠也は寝ている面々に探してきたタオルケットを掛けてあげた。

 

誠也「さて、ちょっと遅くなったけど探索に出るか。カナリア達に任せっぱなしも悪いしね。」

 

そう言って誠也はみんなを起こさないようにしながら岩永の家を後にした。

 

誠也「さて、とりあえす村の山に比較的近い場所を回るように歩くか。」

 

そう言って誠也は歩き始めた。

 

誠也(・・・そう言えば翔子、宴会の間、ずっと神社の裏に居るごんたの事心配していたな~)

 

誠也は先ほどの宴会の間、浮かない顔をしていた翔子の事を思い出した。

翔子は、家畜やペットが怪物に襲われた事を聞いて、ごんたも襲われるんじゃないかと心配していたのである。

 

誠也(翔子の話だと、ごんたは足を怪我しているんだったよな。子供で足に怪我してるんだもん、心配になるよな~。帰りに神社の裏に寄ってごんたを捕まえて保護しておくか。)

 

そんな事を考えているうちに、誠也はいつの間にか春日神社の石段の前まで来ていた。

 

誠也「さて、今の所は異常無し・・・か。ん?」

 

神社の周りを見て異常が無いと言った誠也は、次の瞬間、石段を誰かが駆け上がっているのに気づいた。

 

誠也「あれは・・・翔子?!なんでこんな夜中に翔子が・・・・いや、それよりも、こんな夜中に出歩いたら例の怪物に襲われるかもしれない!」

 

翔子の身が危険だと思った誠也はすぐに石段を駆け上り、翔子の後を追った。

 

石段を駆け上がり、神社の境内に入った誠也は境内内を見回す。

 

誠也「翔子は・・・・・やっぱりごんたの居る神社の裏手か。」

 

そう言って誠也は神社の裏手へと走って行った。

神社の裏手へと向かう誠也。

誠也は昼間、餌をあげた場所・・・神社の裏手の森の近くへと足を向けた。

 

誠也「ん?なんだ?この匂い・・・」

 

裏手に入り、翔子を探している誠也の鼻に何か腐ったような物の匂いが伝わってきたので思わず足を止める誠也。

 

誠也「この匂いは・・・いや、今は匂いより翔子だ!」

 

そう言って誠也は再び翔子がいるであろう場所へと走り出した。

 

誠也「翔子は・・・・居た!」

 

誠也は昼間来た、餌をあげた場所でしゃがんで何かを見ている翔子を見つけた。

 

誠也「翔子!」

 

翔子「え?誠也くん?」

 

バツの悪そうな顔をして立ち上がる翔子。

 

誠也「こんな夜中に・・・・危ないだろう!ん?」

 

誠也は翔子の足元で何かがもぞもぞと動いているの物を見た。どうやら子狐のようである。

子狐は翔子が持ってきたのであろう袋の中に首を突っ込んで、一心不乱に食べているようであった。

 

誠也「それが・・・ごんた?」

 

翔子「あ、うん・・・ごめんね。勝手に出てきちゃったりして・・・」

 

誠也「全くだよ。しかし・・・どうして急に?」

 

翔子「孝介お兄ちゃんと銀子お姉ちゃんが「ごんた」が怪物に食べられちゃうかもしれないって話をしてたのを聞いて、それで・・・」

 

誠也「居ても立ってもいられずに家を飛び出しちゃったって事?はぁ~、孝介さん・・・何迂闊なことを翔子ちゃんが聞こえるような場所でしてるんだ・・・・」

 

翔子「本当は、誠也くんに付いて来てもらおうと思ったんだけど、どこにも姿が見当たらなかったから・・・」

 

誠也「あ~その・・・・ごんたを捕まえて保護しておこと思ってね。(ウソ・・じゃないよな。探索のついでにごんたを保護しようとは思ってたんだしね。)」

 

翔子「そうだったんだ・・・・ありがと。」

 

誠也「い、いや別にお礼言われるようなことじゃ「二人共~!」って孝介さん?!」

 

声のした方向を二人が向くと、そこには二人にむかって走って近づいてくる孝介の姿があった。

 

翔子「孝介お兄ちゃん?」

 

誠也「どうしてここに?」

 

孝介「どうして・・・も・・何も・・・・翔子・・・ちゃんが・・・・・家を・・・飛び出すのを・・・見たから・・・・」

 

二人のそばで、息を整えながら途切れ途切れで言う孝介。

 

翔子「そう・・だったんだ・・・ごめんなさんい。」

 

孝介「まったくだよ・・・まったく、誠也も一緒だとは思っていたけど、お前な~、なんでこう毎回毎回危険な事に首を突っ込むんだ!おまけに今回は翔子ちゃんまで巻き込んで!」

 

誠也「ま、毎回毎回って・・・それに、なんで俺が主犯みたいな言い方になってるの?!」

 

孝介「日頃の行いのせいだろうが!お前は前例が数多くあるんだぞ!誘拐犯のアジトに突入したり・・・」

 

誠也(・・・アリサとすずかが誘拐された時のことね。)

 

孝介「麻薬のバイヤーを捕まえようとしたり・・・」

 

誠也(・・・実は麻薬の売人じゃなくてガイヤメモリーの売人だったんだけどね。)

 

孝介「港にある使われていない倉庫で大立ち回りをしたり・・・・」

 

誠也(倉庫を根城にしていたクロンギ達を退治した時のことね。)

 

孝介「もう兎に角上げたらキリがないぐらいあるんだから、疑われたってしょうがないだろうが!」

 

肩をいきり立たせながら言う孝介。そばで聞いてた翔子は、孝介の話した話しの内容に驚きながらも若干呆れたような複雑そうな顔をしていた。

 

翔子「・・・ねえ、今孝介お兄ちゃんが話してくれた事って・・・・」

 

誠也「あ~、まあ・・・多少の語弊があるみたいだけど、俺が今まで会った事件の事だよ。」

 

翔子「す、すごいね・・・・」

 

誠也「そんな若干呆れたような顔をしないでくれ~」

 

翔子の若干驚いたような、呆れたような複雑そうな顔を向けられていたたまれなくなる誠也。

 

孝介「さて、そいつを連れに来たんだろう?ならそいつを連れてとっととこんな場所から離れよう。」

 

孝介は翔子の足元でもぞもぞ動いているごんたを見てそう言った。

 

誠也「そうです・・・ね。ん?(なんだ・・・・匂いがキツくなってる?!)

 

誠也はこの場所に来てから鼻に付いた匂いがきつくなっている事に気づいた。

 

誠也「!」

 

誠也は不意に自分たちが来た神社の方向を振り向いた。

 

孝介「なっ!」

 

翔子「ひっ!」

 

そこには大きな体躯を持った何かが居た。

外見は熊に似ているが、頭の形がいびつに歪み、体のあちこちの毛や皮がズル剥けになっており、内蔵や筋肉、骨がむき出しになっているのである。

 

誠也(なんだアレ!?)

 

誠也は二人を庇うようにしてその体を前へと移動させた。

 

誠也(まさか・・・あれがこの辺りで見かけられた怪物?!でも・・・あれは魔化魍じゃない・・・・なんだアレ?!)

 

異形の出現で体を硬直させている二人を他所に、冷静に思考を巡らせようとする誠也。

 

誠也(兎に角、二人を逃がさないと・・・二人が居たんじゃ変身して戦う事もできない。だが・・・・)

 

そう思いながら誠也はゆっくりと怪物がいる方向を見た。怪物は神社へと向かう方向にいる。村の方へと逃げるには怪物の側を通らなくてはならない。

 

誠也(この二人を連れてそれをするのは無謀だ・・・・かと言って俺が囮になるにも、変身せずにあいつの相手をするのもまた無謀・・・)

 

どうしようと考えながら二人の姿をチラリと見る。

孝介は硬直しながらも叫び声を上げそうなのを必死に耐えているような状態で、翔子は胸にいつの間にか硬直して固まっているごんたを胸に抱きながら孝介にしがみついていた。

 

誠也(どうする?このままじゃ身動きが・・・「誠也!」ってえっ!」

 

後ろをチラリと見ている瞬間、孝介の叫び声が響き、慌てて前を向く誠也。その視線の先、そこには走って誠也たちに近づいてくる怪物の姿が目に入ってきた。

 

誠也「しまっ《誠也!》ってえ?!」

 

突然響く念話の声。その声と同時に、赤と青と黄色の何かが怪物へと飛びかかって行った。

 

誠也「ガルーダ達!来てくれたのか・・・じゃあさっきの念話は・・・」

 

怪物へと襲いかかり、足止めをしているのは誠也のプラモンスター・ガルーダ、ユニコーン、クラーケンであった。

 

孝介「あれは?!」

 

翔子「あれって(確か誠也くんが村に来た日に呼び出していたヤツ!)」

 

突如現れたプラモンスター達を見て戸惑う孝介と翔子。

 

カナリヤ《誠也!無事?》

 

誠也(カナリヤ!すまない、助かった!)

 

誠也はプラモンスター達を引き連れて救援に来てくれたカナリヤに礼を言った。

 

カナリヤ《礼は後!あの三体、魔力切れ寸前だから、そう長く持たない!今のうちに二人を連れて逃げて!》

 

誠也《わかった!(かと言って、村に行く方には怪物(アイツ)が居るし・・・・仕方がない、一旦山の方に逃げるか!)

 

誠也「二人共、今のうちに逃げるよ!」

 

翔子「え?」

 

孝介「けど・・・」

 

誠也「いいから、こっち!」

 

そう言って誠也は二人の手を取り、山の方へと走り始め、それに続くようにしてカナリヤもついて行った。

そうしてしばらく山の中を走り、連れている翔子が限界に達しそうなのを見て、誠也はその足を一旦止めた。

 

誠也「翔子・・・大丈夫か?」

 

翔子「ハアハアハア・・・・・だ、大丈夫・・・・けど・・・なんで夢に・・・出てきた・・・怪物が・・・出てくるの?」

 

息を整えながらも何かを言う翔子。

 

誠也(夢?なんの事だ?)

 

そんな事を思いながら、誠也は孝介の方を見た。

 

孝介「ハアハア・・・・・な、なんだったんだアレ、それにアレに襲いかかった三体のちっこいの・・・・」

 

同じように息を切らせながら孝介は先ほどの事を言っていた。

 

カナリヤ《危なかったわね。》

 

先程まで無言で誠也たちに無言で追従していたカナリヤが誠也に念話で話しかけて来た。

 

誠也《まったくだ・・・・・実にいいタイミングで来てくれたな、カナリア。》

 

カナリア《ええ、全くよ。探索を続けていたら、神社の方角から人の話し声が聞こえてきて、念の為にと向かったんだけど・・・ホント、行ってよかったわ。》

 

誠也《ああ、本当に来てくれて助かった。けど・・・・アレ、すぐに追いついてくるだろうな・・・》

 

カナリア《ええ。今頃はガルーダ達も魔力切れで消えているでしょうから、もうこっちを追っている頃でしょうね》

 

誠也《となると、やっぱり俺が囮になってアイツを二人から引き離した後、変身して倒すってのが一番妥当だろうな》

 

カナリヤ《それしかないわね。》

 

誠也はカナリアと今後どう行動するかを念話で話し合い、自分が囮となって二人から引き離すと作戦を取ることにした。

 

誠也「・・・二人共、アイツはまた俺達を追ってくると思う。だから俺が囮となってアイツを二人から引き離すから、二人はそのスキに逃げて。」

 

孝介「・・・え?」

 

翔子「・・・囮って・・・・そんな!」

 

孝介は現実逃避でもしているのか、持ってた携帯を操作してメールを誰かに送っており、翔子は今だに胸の中で大人しくしているごんたを抱きしめていた。

 

孝介「な、なに馬鹿なこと言ってるんだ!そんな危ない事させられるわけ無いだろう!」

 

携帯の操作をやめて孝介が叫んだ。

 

翔子「そ、そうだよ危ないよ!」

 

誠也「けど、これが一番確実に助かる方法なんです。この三人の中で、俺が一番足が早い。だから俺が囮になるのが一番適しているんです。」

 

翔子「けど・・・・」

 

誠也「無論、死ぬつもりはないです。俺がアイツを引きつけている間、二人は村に戻って助けを呼んできてください。」

 

誠也は反対している二人に対して、なんとか了承してもらおうと説得する。

 

孝介「・・・確かに足がこの中で一番早いお前が囮になるのは一番適しているのはよく分かったが、だからと言って自分より年下の子供にそんなことさせられるか!」

 

誠也「年下って・・今はそんな事言っている場合じゃないでしょう!」

 

孝介「囮が必要なら、俺がやる!」

 

誠也「なっ!だ、ダメです!囮は俺がって・・・危ない!翔子!!」

 

翔子「えっ?」

 

突然翔子の背後にある暗闇から鋭い爪が翔子に襲いかかろうとしていたので、誠也は咄嗟に翔子を押し倒してかばった。

 

翔子「きゃあ!!」

 

誠也「くっ!」

 

ブンッ!

 

先程まで翔子の頭があった空間を鋭い爪が空を切り、翔子をかばった誠也の左腕の二の腕辺りに傷を作る。

 

誠也「くっ!もう追いついてきたのか!」

 

爪が来た方向を見ると、先ほどの怪物が居た。

 

カナリヤ《この!》

 

突然現れた怪物に対して、カナリヤは誠也達を庇うために怪物の顔面に体当たりをした。

 

怪物「――!」

 

カナリヤの突然の体当たりに怯む怪物。

 

カナリヤ《今のうちよ!》

 

誠也「『《すまない、カナリヤ!》二人共逃げるぞ!」

 

誠也の声を聞いて二人も今度は硬直する事もなく、素早くその場を離れるために走り初め、誠也も二人を追うようにして走り始めた。

 

三人とカナリヤは怪物から逃げるために走り、やがて山頂付近にある吊り橋のある場所へとたどり着いた。

 

翔子「も・・・・もう・・ダメ・・・・」

 

翔子が胸にごんたを抱きながら吊り橋の入口の柱にもたれかかる。

 

孝介「お・・・俺も・・・もう・・・」

 

誠也「二人共しっかり!(無理もないか・・・体を鍛えている俺ならともかく、二人にはもう走り続ける体力は・・・・)」

 

翔子「もう・・・ダメだよ・・・・私達、あの怪物に食べられちゃうんだ・・・・・ううううっ・・・・・」

 

恐怖と疲労困憊な翔子は座り込み、絶望して泣き始めた。

 

孝介「は、はははは・・・・短い人生だったな~」

 

翔子に連れられて、ついに孝介も諦めてしまった。

 

誠也は絶望した二人を見て、何か決意をしたような顔をすると、二人に近づいて叫んだ。

 

誠也「簡単に諦めるな!諦めたらそこでオシマイだ!」

 

突如大きな声で叫んだ誠也を見て驚いた顔をする二人。

 

誠也「諦めずに・・・もう少しだけ頑張ろう?」

 

翔子「・・・でも、もう・・・どうしようもないよ。」

 

孝介「ああ。そうだよ・・・もう・・・どうしようもない・・・」

 

誠也「どうしようもなくなんて無い!」

 

そう言って誠也は悲壮感が漂う顔をした翔子に近寄ると、その頭に手を置いて優しく撫でた。

 

誠也「大丈夫!俺がなんとかする!約束する、俺が二人の最期の希望になる!」

 

約束は目を見て・・・

かつて異世界を旅した時に出会った世界と少女を救った誠也が尊敬する人物の言葉・・・

それを守るかのように誠也は、翔子の目を見て言うと、撫でていた手を翔子の頭から離した。

そしてくるりと翔子達に背を向けると、二人をかばうようにして怪物が来るであろう方角を睨みつけた。

 

翔子「最期の・・・」

 

孝介「・・・希望?」

 

誠也の背中を見てつぶやく二人。

 

カナリア《どうするの?》

 

誠也の側で浮かんでいるカナリヤがどうするのかを誠也に聞いてきた。

 

誠也《ここで奴を倒す!》

 

カナリア《倒すって・・・変身するの!?正体がバレるわよ!?》

 

誠也《仕方がないさ。それに逃げようにもこの吊り橋は一人ずつしか渡れないし、不安定だから走ることもできない。これじゃあ橋の途中でヤツに追いつかれる。》

 

カナリヤ《仕方がないわね・・・・?!来るわよ!》

 

カナリヤの念話を合図に、誠也達が来た暗い森の中から怪物が現れた。

 

孝介「くっ!」

 

翔子「こ、孝介お兄ちゃん、誠也くん・・・・・」

 

怯えながら孝介にしがみつく翔子。

 

誠也「・・・・二人共、そこを動かないで。」

 

そう言って誠也は、何かを決意したような顔をして怪物の目の前へと歩き出した。

 

孝介「なっ!おい!誠也!何やってるんだ!にげろ!!」

 

翔子「誠也くん!危ないよ!逃げて!!」

 

二人が誠也に逃げるように言うが、誠也はそれを聞かずに歩みを進める。

 

怪物「ぐるるるるるっ・・・・・・」

 

低い声を発しながら誠也を睨みつける怪物。

 

誠也「・・・二人共、今から起きること・・・みんなには内緒にしておいてね。」

 

そう言って誠也は右手にハメられている手の平型の指輪をベルトのバックルへとかざした。

 

電子音声「ドライバーオン!」

 

突如電子音声があたりに響くと、誠也の腰にベルトが現れた。誠也の持つ力の証・ウィザードライバーである。

誠也はドライバーのハンドオーサーを操作して、手の平形のバックルの傾きを左に傾ける。

 

電子音声「シャバドゥビタッチヘーンシーン!!シャバドゥビタッチヘーンシーン!!~」

 

誠也「変身!」

 

誠也はそう言って、今度は左手に付けた赤い宝石の指輪・・・フレイムのウィザードリングをかざした。

 

電子音声「シャバドゥビタッチヘーンシーン!!フレイム!!プリーズ!!・・・・・ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!」

 

左手を横に突き出す誠也。すると左側から赤い魔方陣が現れ誠也を通過し変身が完了する。そこには絶望を希望に変える指輪の魔法使い・仮面ライダーウィザードの姿があった。

 

誠也「さあ、ショウタイムだ!」

 

 

つづく

 



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第5話 参上!仮面ライダーウィザード!!

どうも!剣 流星です。
やっと誠也がウィザードに変身して戦います。
では第5話をどうぞ。


 

 

誠也「さあ、ショウタイムだ!!」

 

仮面ライダーウィザードとなった誠也は決め台詞をそう言うと、右手の指輪を今度はコネクトの指輪に変え、ドライバーのハンドーオーサーを操作して再びバックルを右に傾けた。

 

電子音声『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!コネクト・プリーズ!』

コネクトウィザードリングを使い別空間と魔方陣をつなぎ、その中に手を入れて武器であるウィザーソードガンを取り出す。

 

誠也「さて・・・行くぞ!熊ゾンビ!!」

 

そう言って誠也はウィザーソードガンをソードモードにして怪物に斬りかかった。

 

そんな光景を見ていた孝介と翔子であったが、いきなり誠也が変身した事に驚いていた。

 

翔子「・・・・・誠也・・・くんが・・・・・・・・変身して・・・・何かに変わった?」

 

翔子はいきなり変身した誠也に驚きながらもその光景を見続けた。

 

孝介「・・・・・仮面ライダー。」

 

翔子「え?」

 

突如聞きなれない言葉を言った孝介の方を見る翔子。

 

孝介「最近ネットなんかで騒がれている都市伝説さ。影で人類の敵と人知れず戦う仮面のヒーローが居るって・・・それが・・・」

 

翔子「仮面ライダー・・・・・」

 

そう言って翔子はその仮面ライダーになった友達の誠也の姿を見た。

 

誠也「はあ!」

 

ザン!ザン!

 

怪物の鋭い爪をかいくぐり、その胴体へ2度3度と斬撃を叩き込むウィザードとなった誠也。

 

誠也「なんだ?こいつ・・・切ってもあまり手応えが無い。これじゃあ効いているのかわからないぞ!!」

 

怪物と距離を取りながら言う誠也。怪物も変身後の誠也の動きの良さに警戒して間合いを取ったままでいる。

 

カナリヤ《見た目通り、ゾンビみたいな存在なんでしょうから、おそらく銃も斬撃もあまり効果がないと思うわ》

 

誠也の戦いを上空で見ていたカナリヤが誠也に念話で助言をする。

 

誠也「なるほどね。なら、ゾンビに効く定番の火炎攻撃を「ダメよ!」ってなんでダメなんだよ?」

 

カナリヤ《ここは山の中なのよ!アイツを燃え散らすぐらいの炎の魔法なんて使ったら、周りの木にも飛び火して、あっという間に山火事になるわよ!!》

 

誠也「あ!そうれもそうか・・・なら、大きな力で一瞬でバラバラにすれば!」

 

そう言った誠也は、ホルダーから新しい指輪・キックストライクの指輪を右手にハメてドライバーを操作してかざした。

 

電子音声『超イイネ!キックストライク・・・サイコー!!!』

誠也は足元に赤色の魔方陣が発生し、その魔力が右足に纏っていく。そして走り出し、ロンダートをして、その反動を使い空中反転、そこからの飛び蹴りを怪物に叩き込んだ!

 

誠也「でやあああああああああっ!」

 

キックが決まり、怪物はその威力で爆散した。

 

誠也「ふぃ~」

 

怪物を粉砕した誠也は一息ついた。

 

カナリア《お疲れ様、無事倒すことが出来たわね。》

 

誠也「ああ、しかし・・・・なんだったんだろうな、コイツ・・・・」

 

誠也はそう言いながら、自分が粉砕した熊のゾンビモドキが居た跡地を見た。

誠也のキックストライクの余波で地面が多少抉れている中、誠也はその場所にキラリと光る何かを発見した。

 

誠也「ん?あれは?」

 

誠也は跡地に何やら淡い青色の光を放つ何かを発見したので、近づき屈んでそれを手に取った。

 

誠也「・・・なんだろう・・・これ?」

 

誠也は手に取った青い石のような物を見た。

それは青白い石のような物で親指大の大きさの物だった。

 

カナリヤ《・・・もしかしたら、あの熊をあんな姿にした原因なのかもしれないわね》

 

誠也「これが?何なんだ?コレ?」

 

そう言いながら誠也は立ち上がると同時に変身を解いた。

 

カナリア《兎に角、証拠として持っていきましょう。後でラボで分析すれば何かわかるかもしれないから。》

 

誠也《わかった。》

 

そう言って誠也は石をポケットにしまった。

 

翔子「・・・誠也・・くん。」

 

誠也「ん?翔子?」

 

変身を解いた誠也に翔子がおずおずと声を掛けてきた。

 

誠也「ケガは無いか?」

 

翔子「え?う、うん。大丈夫。」

 

誠也「孝介さんは?」

 

孝介「お、俺も大丈夫だ。」

 

そう言って孝介もしどろもどろに返事をした。

 

誠也「そうか。よかった~。」

 

そう言って胸をなでおろす誠也。

 

翔子「あ、あの・・・誠也くん、さっきの姿は・・・」

 

誠也「あ!あれは・・・その・・・・痛ッ!」

 

翔子に先程変身したことについて説明仕様としたその時、不意に左腕から痛みが伝わってきた。

危機が去り、緊張が解けたせいで、先程翔子を庇って負ったケガの痛みが蘇ったのである。

黙り込み、左腕を右手で押さえ込む誠也。抑えこんだ手からは傷口から流れ出た血がまとわりついていた。

 

翔子「あ!誠也くん!」

孝介「誠也!!」

 

左腕を右手で押さえ込む誠也を見て、慌てて駆け寄る翔子と孝介。

 

翔子「誠也くん!」

 

孝介「誠也!大丈夫か!」

 

誠也「ええ。大丈夫です。ちょっと血が出たぐらいで、こんなの何ともないですよ。」

 

そう言いながら、誠也は心配かけないよう二人に「なんでもないよ。」と笑いかけた。

 

翔子「このキズ・・・さっき私を庇って・・・・・うっうううっ・・・ごめんね・・・・・ごめんね。」

 

誠也の傷を見て申し訳ない顔をした翔子は涙を流して泣き始めた。

 

誠也「翔子・・・・大丈夫だってこれぐらいの傷。だから、泣かないで、ね。」

 

翔子「でも・・・・でも・・・私のせいで・・・・ごめんね、ごめんね・・・・」

 

翔子は誠也が自分を庇って傷を負った事に対して罪悪感もあってか、泣きながら謝り続けた。

そんな翔子を見て、孝介もどうすればいいのか困った顔をしていた。

 

誠也「翔子・・・・謝るなよ。翔子が友達のごんたを助けたいから夜中に家を抜け出して助けに来た様に、俺も翔子を助けたくってやったんだ。友達を助けるのは当然だろう?」

 

翔子「友達を助けるのは当然・・・・」

 

涙を拭きながら誠也の言葉を言う翔子。

 

誠也「そう!それに言うんだったら、泣き顔で言う謝罪の言葉より、笑顔でのお礼の言葉が良いな。」

 

翔子「笑顔での・・・お礼の・・・言葉・・・・」

 

誠也「うん、お礼の言葉だ!」

 

翔子「・・・・うん!誠也くん、ありがとう。」

 

涙を拭きながら翔子は笑顔でお礼の言葉を言った。

 

誠也「どういたしまして。」

 

そう言って誠也は拳を縦にして翔子の前につきだした。

 

翔子「あ・・・・・」

 

突き出された拳を見た翔子は、昼間に誠也とした握手と共に互いの拳を数回打ち合わせる「友情のシルシ」を交わした。

 

翔子「えへへへ////」

 

「友情のシルシ」をして若干照れくさそうな顔をする翔子。

 

孝介「へ~翔子ちゃんにも「ソレ」教えてあげたんだな。」

 

誠也「ええ、翔子とは友達ですから。」

 

そう言って笑顔で言う誠也。

 

孝介「友達か・・・あ、そう言えば、俺もお礼がまだだったな。ありがとうな、誠也。お前が居なかったら俺達どうなっていたか・・・・」

 

誠也「どうって事ないですよ。あれ?そう言えば翔子、ごんたは?」

 

誠也は翔子がさっきまで胸に抱いていた子狐のごんたが居ない事に気づきその事を聞いた。

 

翔子「・・・・さっき怪物が爆発した時の音に驚いて逃げちゃった。」

 

しゅんとなり落ち込む翔子。

 

誠也「そっか・・・・まあ、あの怪物はもう居ないんだから、ごんたも大丈夫だろう。」

 

翔子「そう・・・だね。きっと大丈夫だよね。」

 

誠也「ああ。あ!そうそう、二人共、さっきの事なんだけど・・・」

 

孝介「さっきの事って・・・・もしかして仮面ライダーに変身したことの事か?」

 

誠也「あれ?なんで孝介さん、仮面ライダーの事を知ってるんです?」

 

孝介「最近ネットで話題になってるんだ、都市伝説として。影で人類の敵と人知れず戦う仮面のヒーローが居るって。」

 

誠也「へ?ネットで?!」

 

誠也は孝介から聞かされた事に驚き、素っ頓狂な声を出して驚いた。

 

カナリア《・・・・どうやら今まで関わってきた怪人達との戦いの情報が何処からか漏れて伝わったみたいね。》

 

誠也《はぁ~まさか都市伝説になってるなんて・・・俺は口裂け女や人面犬かっての・・・・》

 

誠也は盛大にため息を吐いて額にてを当てた。

 

誠也「・・・兎に角、あの事は後でちゃんと話しますから、今は「お~い!孝介!翔子ちゃん!誠也く~ん!」ってこの声は・・・・」

 

翔子「いろはちゃんの声だ。」

 

突如暗闇の向こうから複数の灯りといろはをはじめとした複数の人物の声と気配が誠也達の方へと近づいてきた。

 

孝介「お、いろは達が来てくれたみたいだ。」

 

誠也「いろはさん達が?」

 

孝介「ああ、念のため、居間で寝ていたいろは達をたたき起こして、万が一のための救援を呼んでおいてもらったんだ。」

 

誠也「そっか・・・・これで村に戻れますね。」

 

孝介「そうだな。お~い!いろは~!!ここだ~!!」

 

そう言って孝介は大きな声でいろはの声がした方角に向かって声をあげた。

そんな誠也達を、月明かりを背にして木のてっぺんから見ている一人の人物がいた。

白い髪で赤い服を着た人物、かつて誠也が門矢士と共に巡った異世界の一つで、ライダーの居ない世界で誠也達と出会った人物。

彼の名は「憂う者・アルコル」、かつてその世界を作り変えるために、一度世界を滅ぼそうとしたシステム・ポラリスの下僕であった者である。

 

アルコル「・・・どうやら、僕が導いてあげたあの金色の鳥・カナリアは無事、誠也に出会い、力を託すことに成功したみたいだね。」

 

そう言ってアルコルは誠也を見て、嬉しそうな・・・懐かしそうな・・・そんな顔をした。

 

アスコル「誠也・・・・かつてヒビキと一緒に僕の事を友達だと言ってくれた僕の友人。君はこれからあの「ポラリス」と同じ、神々や古人達が残した様々な歪んだシステムと対峙することになるだろう・・・そして・・・「アイツ」とも。」

 

アルコルはそう言って、今度は少し心配そうな・・・・・そして少し悲しそうな顔をした。

 

アルコル「僕は直接、君に力を貸してあげることはできない。だから君の力になれそうな幾つかの人物をこの世界に呼んでおいたよ。彼らにはいい迷惑かもしれないけど、きっと君の力になってくれるはずだよ。だから・・・頑張って、僕の友人・誠也。」

 

そう言った後、アルコルは誠也を見て微笑むとその姿をかき消すようにしてその場から消えた。

 

 

ちなみに誠也達はその後、いろはが連れてきた猟友会の人達に無事保護され、誠也は怪我の手当をしてもらうため、そのまま病院に直行した。

その後、誠也と翔子と孝介の三人は警察や村のお偉いさんやらに事情を聞かれたり、説教をされたりして、村に帰ったのは翌日の昼過ぎだったと言う。

ちなみに今回遭遇した怪物の事は凶暴化した熊という事にして話しており、谷に謝って熊が落ちて助かったと誠也は翔子と孝介と共に口裏を合わせてそう話してもらったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駅のホームに黒いセーラー服を来た長い黒髪の少女が立っていた。

足元には大きめの旅行カバンを置き、自分が乗る御奈神村行きの電車を待つ間、携帯をいじって待っていた。

少女の名は「皆神さくや」。皆神孝介の実の妹である。

 

さくや「・・・ふう。」

 

携帯のディスプレイに浮かぶ「新着メールはありません」という言葉を見て大きく息を吐くさくや。

 

さくや「・・・まったく。こんなメールを出して音信不通だなんて・・・・」

 

そう言いながらさくやは昨夜届いた孝介のメールを呼び出して見た。

 

『悪い。ちょっとヤバイ事に首突っ込んだ。誠也と翔子ちゃんは帰らせるつもりだから、なんかあったら後はよろしくな。』

 

携帯のディスプレイには昨夜怪物に追われていた際に孝介が送ったメールが表示されていた。その内容はまるで遺言のような内容で、明らかに何か異常事態に巻き込まれているとしか言い様がない内容のものだった。

このメールの後、孝介からはメールはおろか、連絡が全く取れてないのである。これで心配するなという方が無理である。

 

さくや「・・・この内容だと、どうやら誠也くんも一緒みたいですね。もし、誠也くんも一緒に危険な目に会っていたなら悠菜にも連絡を入れた方が良いわね・・・・」

 

そう言って、額から流れてくる汗を手で拭きながらさくやはそう言った。

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

皆神さくや(みながみさくや)(黄昏のシンセミヤ)

 



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第6話 皆神さくやと新たな異常事態

どうも、剣 流星です。
とうとうウィザード最終回になりました。
仮面ライダーの力が怪人の物と同じ・・・・言われてみれば確かにそうだな~と思いました。
さて、今回の話から極黒のブリュンヒリデの話も本格的に絡んできます。
では第6話をどうぞ。


誠也「・・・・・・・・」

 

翔子「・・・・・・・・」

 

孝介「・・・・・・・・」

 

皐月「・・・・・・・・」

 

今、岩永の家の居間は微妙な緊張感が支配していた。

その原因は、誠也達とテーブルを挟んで座っている一人の少女が原因だった。

 

さくや「・・・・・・・・・」

 

今朝方、検査入院で病院で一泊した誠也は、その後迎えに来た翔子達と共に病院から岩永の家に帰ってきたのであるが、帰ってきたその岩永の家で意外な人物に出迎えられた。

皆神さくや。皆神孝介の実の妹である。彼女は学校と夏休み前半の夏期講習の予定のせいで、8月になってから合流する予定だったのであるが、それが何故か予定よりも早くこの岩永の家に来ていたのであるから、誠也と孝介はその姿を見たときはとても驚いた。

 

 

孝介「・・・・と言う訳で、実は携帯、山で落としちゃって今までメール出せなかったんだ。その後も事情徴収やら何やらで連絡する暇が無くてな・・・」

 

さくや「・・・・・・・」

 

孝介「メールの事はすっかり忘れてたのはすまん。心配かけたな。」

 

さくや「・・・・・・・・」

 

無言で黙り込み不機嫌な顔を崩さないさくや。

 

誠也《む、無言のプレッシャー(^^;》

 

カナリア《さくやちゃんは美人だから、余計プレッシャーかかるわね(^^;》

 

誠也《なんだか何かを我慢している、ギリギリまで引き絞られた弓みいだな》

 

カナリア《い、嫌にリアリティーがある例えを出さないでよ。》

 

念話で会話をして、さくやのプレッシャーを耐える誠也とカナリヤ。

 

孝介「・・・あの・・・・さくやさん?もしかしてまだ怒って・・・ます?」

 

さくや「当たり前ですっっ!!!!!!」

 

何か溜まった物を吐き出した様な大きな声で叫ぶさくや。

 

さくや「人を散々心配させておいて、なんなんですかその態度!有り得ません!どうして兄さんは本当に・・・・」

 

始まるさくやの説教。

そのさくやの説教をテーブルを挟んで正座で聞く孝介。

 

誠也「・・・なんか、長そうだな。」

 

翔子「・・・うん、そうだね。」

 

孝介の後ろで同じようにして正座でそれを聞いている誠也と翔子。

ちなみに皐月は少し離れた所に座り、様子を見ていた。

 

翔子「・・・さくやちゃんて・・・お説教・・・長いの?」

 

誠也「・・・ウチの京香姉さん程ではないけど、結構長い方だったと思う「誠也くん!」っては、はい!」

 

突如名前を呼ばれ、慌てて返事をする誠也。

 

さくや「あなたもあなたです!周りの人達に散々心配を掛けて!まったく、これじゃあ私が高校に行くために家を出た時から全然変わらないじゃないですか!」

 

誠也「うっ!・・・・すいません。」

 

さくや「もし、あなたに何かあったら、私は親友の悠菜になんて言えばいいんです!」

 

誠也「うっ!・・・・ご心配をお掛けしました。」

 

さくや「大体あなたも・・・・」

 

こうして始まるさくやの説教。

長時間に及んだ説教は、皐月の言葉で一応終了し、その後、さくやと孝介は亡くなった母親のお墓参りをしに行った。

 

そして・・・・・

 

 

誠也「・・・・さて、まずはどこから話そうかな~。」

 

今、岩永の家で誠也達にあてがわれた部屋で、誠也は翔子と孝介に昨夜、自分が変身した事についての説明をしようとしていた。

 

カナリア《誠也、まずは私の事を話したほうがいいと思うの。》

 

誠也《確かにその方がいいな。じゃあ二人に自分の姿と声を聞こえるようにしてあげてやってくれ》

 

念話でカナリヤと話した誠也は翔子と孝介の二人と向き直した。

 

誠也「・・・二人共、約束通り、俺のあの力の事について話すよ、でもまずその前に二人に紹介したヤツがいるんだ。」

 

孝介「紹介したいヤツ?」

 

誠也「うん、カナリア。」

 

カナリア《ええ。》

 

そう言って、カナリアは誠也の前に座っている翔子と孝介の頭上を、飛び回りながら光の粉の様な物を二人にかけた。

 

孝介「ん?なんだコレ?」

 

翔子「光の粉みたいな物が・・・」

 

二人は突如光の粉のような物が自分の頭上から降ってきた事に驚く。

やがて、カナリヤは光の粉を二人にかけ終わると誠也の横に戻って来た。

 

翔子「何?今の・・・ねえ、誠也くんって・・・え!?」

 

孝介「なんだったんだ・・・・おい、誠也、今のはって・・・・は?」

 

光の粉が降り終わり、そこ事を不思議に思いながら誠也の方を見た二人は、誠也の横でフワフワと浮かんでいるカナリアの姿を見て驚いた。

 

翔子「誠也・・・・くん、それ・・・なに?」

 

孝介「誠也・・・何なんだ?ソレ?」

 

二人は誠也の横にいるカナリアを指差しながら誠也に質問をしてきた。

 

誠也「紹介するね。俺にライダーの力くれた、俺達ライダーのまとめ役をやってくれているカナリアだ。」

 

カナリア《始めまして、翔子ちゃん、孝介くん。カナリアって言います。今はライダー達のまとめ役って所かしら。》

 

孝介「は、はあ・・・どうも。皆神孝介です。」

 

翔子「・・・岩永翔子です。」

 

カナリアに自己紹介をされて釣られて自己紹介をする二人。

 

誠也「カナリアは異世界から来た“ある組織”・財団Xの魔の手がこの世界に迫っているのを知り、この世界をその魔の手から守るためにライダーの力を扱うことができる素質を持った者を探していたんだ。」

 

そこから語る誠也の今までの出来事。誠也が仮面ライダーの存在を知るきっかけになった出会い、仮面ライダー・ディケイドこと門矢士との出会い。はやてと共に士について行き、数多くの世界を回り多くの仮面ライダー達と出会ったこと。ライダーの居ない世界を巡り数多くのことを学び、そして再びこの世界に戻ってきたこと。

戻って来たこの世界で、財団Xがバラまいたガイアメモリーを使用した者が、霞を襲おうとしていた所を偶然、悠菜・はやてと共に目撃し、ガイヤメモリーを使用してドーパントになった者に殺されそうになった所、カナリアに出会い、ウィザードの力を授かったこと。そしてその後、カナリヤに協力して、霞やはやて、悠菜や秘密がバレて仲間にした美夏や新たなライダーとなった圭介、竜輝などが仲間となり、共に財団Xの計画を潰してきた事などを話した。

 

翔子「・・・そんな事があったんだ。」

 

孝介「なるほどな~、しかし、はやてちゃんや霞ちゃん、美夏ちゃんや悠菜、さらには圭介や竜輝までもが仲間になって、その戦いに関わっていたなてな。」

 

孝介は誠也の口から出てきた自分より年下の自分の知り合い達の顔を思い浮かべた。

そして、更に誠也は話しを進めた。

誠也は自分に協力してくれた異世界の組織の魔導師・クロノやフェイト、そしてその組織に協力しているこの世界出身の魔導師・なのは、そしてはやてが「夜天の書」の主として覚醒し、夜天の書の騎士であるシグナム達との出会い、そして互いに協力し合うようになった事を話した。

 

翔子「時空管理局・・・・魔導師・・・・」

 

孝介「ま、魔法って・・・・もはや何でも有りだな・・・まあ兎に角、その時空管理局と協力し合う間柄になって、彼らと共に戦い続けて今に至るってわけか・・・・・」

 

翔子「・・・なんだか凄いね、誠也くん。本物のヒーローだったんだね。」

 

話を聞き終えて、翔子がその話しの内容に驚きながらも、感心して誠也の事をヒーローだと言った。

 

誠也「い、いや、俺なんてまだまだだよ。ヒーローだと言われるにはまだまだ未熟だよ。」

 

翔子「ううん、ヒーローだよ。だって昨日、私とお兄ちゃんとごんたの事を守ってくれてもん。少なくても、私達にとってはヒーローだよ//////。」

 

誠也「え、いや・・・あ、ありがとう。///////」

 

翔子にヒーローだと言われて、若干照れて返事をする誠也。

 

孝介「お前、顔が赤いぞ。全く、お熱いことで。」

 

カナリア《全くですよ。》

 

翔子「な!そ、そんな///////」

 

誠也「な!ち、違いますよ!///////顔が赤いのは「~~♪~~♪」って・・・あ、俺の携帯だ。」

 

突如部屋に鳴り響いた着信音を聞き、誠也は自分の携帯だと気づき、携帯を取り出してディスプレイを見た。

 

誠也「あれ?霞からだ。どうしたんだろう・・・・」

 

そう言いながら電話にでる誠也。

 

誠也「もしもし、霞か?どうした「お兄ちゃん!助けて!!」って、どうした!霞!!」

 

携帯から聞こえてきた霞の声は何か切羽詰った様な声だった。

誠也はそれを聞いて異常事態だと感じ取り、すぐにどうしたかを聞いた。

 

霞『今、学校の裏に広がってる山の中に居るんだけど、銃をもって武装した人達に追われて・・・(パーン、パーンッ!!)キャー!(ブツン!ツー、ツー、ツー

)』

 

誠也「霞?もしもし!霞!!」

 

突然霞の携帯がある向こう側で銃声のような物音がなり霞の悲鳴が響いて切れる霞からの電話。

 

カナリア《どうしたの?》

 

携帯に出た後、明らかに誠也の様子がおかしくなったのを感じ取り、カナリアは誠也に話しかけた。

 

誠也「・・・・霞の身に何かあったみたいだ。」

 

翔子「霞?」

 

孝介「誠也の義妹だよ。それよりも霞ちゃんの身に何かあったって?」

 

翔子の疑問に答える孝介。そんな孝介を他所に霞の携帯にかけ直す誠也。

 

誠也「・・・・・ダメだ!繋がらない!」

 

カナリア《霞ちゃんはいつも圭介と一緒に行動しているはず・・・・そっちの方は?》

 

誠也「あ、そうか!圭介の携帯にかけてみる!」

 

誠也はそう言って霞といつも一緒に行動している圭介の携帯に電話をかけた。

 

誠也「・・・・・・・・ダメだ!出ない!!」

 

誠也は圭介の携帯に電話をかけたが、一向に通じなかったので、イラただしく切った。

 

誠也「助けに行かないと!」

 

そう言った誠也は一目散に部屋を出て玄関へと向かった。

 

カナリア《誠也!》

 

孝介「お、おい!誠也!!」

 

翔子「誠也くん!」

 

部屋を出て行った誠也を追いかけるようにカナリアと孝介、翔子も後を追った。

 

玄関で靴を履き、飛び出すようにして岩永の家を出る誠也。

そんな誠也の後を追うようにして玄関を出たカナリア達は、後ろから誠也を呼び止めてその足を止めようとした。

 

カナリア《待ちなさい!誠也!!》

 

カナリアの声を聞き立ち止まり振り返る誠也。

 

誠也「なんだよ!急がないと霞が!!」

 

カナリア《落ち着きなさい!今から霞ちゃんの所へどうやって行くつもり?普通に行ったって間に合わないわよ?》

 

誠也「うっ!確かにそうだけど・・・・」

 

カナリアの言葉で我に返る誠也。

 

孝介「誠也、気持ちはわかるが、今から向こうに戻ろうとしても間に合わないぞ。」

 

誠也「けど・・・・」

 

言葉を詰まらせ視線をしたに向ける誠也。

 

翔子「誠也くん・・・・」

 

そんな誠也を追いついた翔子が心配層に見ていた。

 

カナリア《大丈夫よ。こんなことも有ろうかと思って作って置いた指輪があるのよ。》

 

誠也「指輪?あ!もしかして、家を出る前に渡された指輪!」

 

誠也は何かを思い出すと、家を出る前にカナリアに渡された指輪を取り出した。

 

誠也「この指輪か。カナリア、この指輪は何の効果がある指輪なんだ?」

 

カナリア《それは「テレポートリング」よ。任意の場所へ瞬時に移動する事ができるの。》

 

誠也「瞬時に移動・・・なら、これがあれば!」

 

誠也はそう言うと、テレポートリングを右手の中指にはめてベルトのバックルに手をかざそうとした。

 

カナリア《待って誠也!私も行くわ!》

 

そう言ってカナリアは誠也の右肩にとまった。

 

カナリア《いいわよ誠也。》

 

誠也「良し!」

 

そう言って誠也は右手にはめられているテレポートリングをバックルへとかざした。

 

翔子「あ!待って!誠也くん!」

 

そう言って翔子が誠也に駆け寄って誠也の右肩を掴むのと、誠也がベルトのバックルに指輪をかざしたのはほぼ同時だった。

 

電子音声『テレポート!プリーズ!』

 

当たりに電子音声が響いた瞬間、誠也の体が発光して誠也の姿はその場から消えた。誠也の肩にとまっていたカナリアや誠也の肩を掴んだ翔子と共に。

 

孝介「あ、あれ?翔子ちゃん?・・・・・まさか誠也達と一緒に?」

 

翔子の姿が消えたのでその姿を探す孝介。

そのせいか、自分の背後にいる人物の気配に気づかずにいた。

 

銀子「・・・・翔子ちゃん達が消えた?!孝ちゃん・・・何今の?」

 

孝介「え?」

 

 

 

 

 

 

 

誠也達が住む街のはずれにある山々の中の森。

その場所の一画に突如光が発生し、次の瞬間、その光の中からテレポートリングで移動してきた誠也達の姿が現れた。

 

誠也「ふ~、無事テレポートできたみたいだな。」

 

カナリア「ええ。」

 

そう言いながら誠也は自分の周りを見回した。

うっそうと茂る森の中、誠也達はその中に居た。

 

誠也「・・・霞は何処に?」

 

カナリア《霞ちゃんの側に出たはずだから近くに居るは「あれ?ここ何処?」ってへ?》

 

この場に居ないはずの人物の声を聞いたカナリアと誠也は、声のした自分の後ろにくるりと向きを変えて視線をそちらに向けた。

 

翔子「さっきまで家の側に居たはずなんだけど・・・」

 

周りを不思議そうに見回す翔子。

 

誠也・カナリア「「翔子(ちゃん)!?」」

 

誠也「つ、ついて来ちゃったの?」

 

翔子「え?あ、あの・・・・誠也くんの肩を掴んで、それで・・・・・」

 

カナリア《はぁ~、それで一緒にテレポートされちゃったってわけね。》

 

誠也「・・・仕方ないな。カナリア、ここに残って翔子の側にいてあげて。俺は霞を探しに行ってくるから。」

 

カナリア《分かったわ。それと、霞ちゃんの居場所だけど、彼女が護身用に持っているディスクアニマルの反応をたどれば行けるはずよ。あなたの携帯にディスクアニマルの反応を示すアプリがインストールされているからそれを使って》

 

誠也「分かった!」

 

そう言って誠也は携帯を取り出し、カナリアが言ったアプリを立ち上げる。

 

誠也「・・・この付近のディスクアニマルの反応は3つ、その内の二つはすぐ近くだ。」

 

カナリア《多分それが霞ちゃんよ。》

 

誠也「良し!じゃあ行ってくる!カナリア、翔子を頼むよ。翔子、ここでカナリアと待ってて。」

 

翔子「誠也くん、気を付けてね。」

 

誠也「ああ。」

 

そう言って誠也は反応のあった方向へと走り出した。

うっそうと茂る森の木々を抜けて、反応があった地点へと近づく誠也。

 

誠也「そろそろこの辺りのはず・・・・」

 

そう言って携帯のディスプレイに視線を落とした瞬間・・・

 

パン!パーン!

 

霞「キャー!」

 

誠也「!あれは霞の声!?こっちか!」

 

突如響いた銃声と聞きなれた義妹の霞の声を聞いた誠也は、声と銃声が聞こえてきた方へと走り出した。

 

誠也(霞!無事で居てくれ!)

 

 

つづく

 




来週の更新は、私用の為お休みします。



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黒極のブリュンヒルデ編 其の一
第7話 魔女の少女・かなで


どうも、剣 流星です。
ついに始まった仮面ライダー鎧武。
第一話を見て思ったことは、鎧武の変身シーンで、頭上からオレンジが落下して変身するのを見て、ド○フのタライが落ちてくるコントのシーンを微妙に思い起こさせるな~としょうもないことを思いました。
何考えてるんだ、俺・・・・・
まあ、そんな事は置いといて、第7話をどうぞ。


霞「ううっ・・・・もう逃げられない。」

 

セーラー服に身を包んだ14歳位の少女、鳴海誠也(なるみせいや)の義妹の霞は今追い詰められていた。

山の森の中、少し開けた場所にある一本の木を背にして、彼女は迷彩服と防毒マスクを身に付け、自動小銃で武装した集団に囲まれていた。

集団は霞を中心に4~5m位の間隔を空け、ジリジリとその距離を銃の銃口を霞に向けながら迫って来ていた。

 

瑠璃狼「――!――!」

 

緑大猿「――!――!」

 

霞の側には彼女が起動させた護身用のディスクアニマル・瑠璃狼(ルリオオカミ)緑大猿(リョクオオザル)が彼女を庇うようにして立ち、集団に向けて威嚇をしていた。

 

霞(お兄ちゃんに連絡は入れたけど、連絡している途中で携帯壊されちゃったから助けが来るか微妙な所だし・・・圭くんはまだ伊佐山さんに捕まったままだろうし、はやてちゃん達は昨日から管理局のお仕事でこの世界には居ないし、美夏ちゃんとは何故か連絡つかなかったし、悠菜お姉ちゃんは調べ物をするからって連絡を絶ってるし、竜輝くんとは連絡する前に携帯壊されちゃったし・・・・ど、どうしよう・・・・)

 

霞は胸の前で、両手で握り締め締めているディスクアニマルを起動させるアイテムの音叉を握り締めながら、先ほど襲ってきた集団の中の一人が言った事を思い出した。

 

霞(さっき、あの人たちが無線連絡で「ターゲットを確保した。」って言ってた。それって「かなでちゃん」の事だよね。かなでちゃんは茜鷹(アカネタカ)に追跡してもらっているけど・・・早く助けに行かなきゃならないのに・・・)

 

霞は先程まで一緒に逃げていた友人の「かなで」の事を思い出していた。

霞は元々、このかなでと会っている最中にこの集団に襲われたのである。

最初の接触の時、かなでが手から出した「光る楯」で相手からの攻撃を防ぎながら、二人は逃げているうちに山の中へと追い詰められて行った。

途中「自分が囮になるから二手に分かれて逃げよう」とかなでがそう言ってそのまま別行動を取り、今に至ると言う訳である。

 

霞(かなでちゃん、私を逃がすために捕まって・・・・かなでちゃん・・・・・)

 

かなでの事を思い、溢れ出そうな涙を堪える霞。そんな霞に無慈悲に包囲網が完成したため、銃口を一斉に向け、一斉発射の準備を整える集団。

 

指揮官「・・・全員構え!」

 

隊員「!」

 

ジャキッ!

 

霞に向けて四方八方から銃口を向けて、射殺しようとする集団。

 

霞(だ、ダメ・・・・いくらディスクアニマル達でもこんな大量の銃弾、防ぎきれない!)

 

霞は一斉に向けられた銃口を見て、それが防ぎきれない物だと悟る。

 

霞(もうダメ!お義父さん、京香お義姉ちゃん、悠菜お義姉ちゃん、圭くん・・・・お義兄ちゃん!!「霞!!」って・・・えっ?)

 

突如聞こえてきた自分の義兄の声を聞いて、霞はそちらの方を向いた。

そこにはこちらに走って来ている霞の義兄・誠也の姿があった。

 

霞を囲んでいる集団も誠也の声でその動きを止めて、誠也の方を見た。

 

誠也は集団に向かって走りながら、右手の指輪を腰のバックルにかざした。

 

電子音声『ドライバー・オン!』

 

腰に現れたウィザードライバーのハンドオーサーを走りながら操作する誠也。

 

誠也「変身!」

 

左手のフレイムの指輪をかざしながら、なおも走る誠也。

 

電子音声『シャバドゥビタッチヘーンシーン!!フレイム!!プリーズ!!・・・・・ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!』

 

鳴り響く電子音声と共に、前方から現れる赤い魔法陣に走って飛び込んだ誠也は次の瞬間、ウィザーソードガンを構えたウィザードの姿へと変化した。

 

隊員達『?!』

 

誠也の変身に驚き動揺する集団。

 

誠也「ハッ!」

 

その集団のスキを付き、持っているウィザーソードガンをガンモードの状態で構えながら飛び上がる誠也。

 

バンバンバンバンッ!

 

隊員1「うわっ!」

 

隊員2「ぐわっ!」

 

 

飛び上がりながら、ウィザーソードガンを連射して隊員達が持っている銃を打ち抜いて弾く誠也。

そしてそのまま集団の中心に降り立つと、今度は手近に居る隊員を殴り飛ばす。

 

隊員3「ぐっ!」

 

仲間が殴り飛ばされたのを見て、すぐに別の隊員が誠也に襲いかかったが、ソードガンのグリップで殴り飛ばされる。

 

誠也「・・・・人の義妹を集団で襲って撃ち殺そうとするなんて・・・・お前ら全員、覚悟は出来てるんだろうな!」

 

そう誠也が言い放った後に起きたのは、誠也による無双であった。

ある者は蹴られ、ある者は殴り飛ばされて、次々と誠也にその意識を刈り取られた。

そして数分後、誠也の周りには、誠也とそれを見守る霞以外の動くものが居なくなっていた。

 

誠也「・・・これで良し!後は・・・・」

 

そう言って誠也は付け替えた右手の指輪をドライバーにかざした。

 

電子音声『バインド!プリーズ!』

 

誠也の側の地面に魔法陣が現れると、鎖が出てきて伸びている隊員達を全員拘束した。

 

誠也「これでもう動けないだろう。霞、もう大丈夫だぞ。」

 

そう言って誠也は動かずに事の成り行きを見守っていた霞に声をかけた。

 

霞「お・・・・お義兄・・・・ちゃん・・・・お義兄ちゃ~ん!!」

 

目に涙を一杯に貯めたた霞は、今までの恐怖感からか、泣きながら誠也の胸に飛び込んできた。

 

誠也「おっと!」

 

霞「お義兄ちゃん!お義兄ちゃん!お義兄ちゃ~ん!」

 

泣きながら誠也に抱きつく霞。

 

誠也「よしよし、怖かったろう、もう大丈夫だ。」

 

誠也は抱きついた霞の頭を撫でてあやした。

 

霞「ううううっ・・・・お、お義兄ちゃん・・・・かなでちゃんが・・・・」

 

誠也「ん?かなでちゃん?」

 

誠也に抱きついた霞は、涙声で誰かの名前を言ったので、誠也はそれを聞き返した。

 

霞「私のお友達・・・・あいつらに・・・・捕まっちゃって・・・」

 

誠也「な?!お前の友達が・・・さらわれただって?!」

 

誠也は霞の口から友達がさらわれた事を聞いて驚く。

 

霞「ぐすっ・・・うん、今茜鷹(アカネタカ)が追ってる・・・」

 

誠也「え?茜鷹が?」

 

そう言った誠也は先程、こことは別の離れた場所にあった一体のディスクアニマルの反応の事を思い出した。

 

誠也「・・・・そうか、あの反応は追跡していた茜鷹の反応だったのか。」

 

霞「ぐすっ・・・多分そう。お義兄ちゃん、かなでちゃんを助けてあげて!お願い!!私の大切なお友達なの!!」

 

霞は誠也から離れると、懇願するように誠也に頼んだ。

 

誠也「大丈夫だ、お義兄ちゃんに任せろ!必ずお前の友達を助けてやる。」

 

そう言うと、誠也は右手の指輪をテレポートリングに付け替えて、腰のドライバーを操作した。

 

誠也「お前はここで待ってろ。あいつらはしばらくは目を覚まさないはずだし、バインドで動きを封じているから安全なはずだ。」

 

電子音声『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!』

 

ドライバーから流れ始める電子音声を聞きながら、先程霞の位置を確認する時に使った携帯のアプリを起動させて、追跡している茜鷹の位置を確認する誠也。

 

誠也「じゃあ、行ってくる。」

 

そう言って誠也はテレポートリングをドライバーにかざした。

 

電子音声『テレポート!・プリーズ!』

 

電子音声が響いた瞬間、誠也のカラダは光となった後、その場から消えた。

 

霞「お義兄ちゃん・・・・かなでちゃんをお願い。」

 

誠也が消えた空間を見ながら、霞は両手を胸の前で祈るようにして組みながらそう呟いた。

 

 

 

 

 

山の中を通っている舗装された道路の真ん中に誠也はその姿を現した。

 

誠也「ここは・・・まだ山の中か。さて、かなでって子をさらった奴らは何処に・・・・」

 

そう言って誠也は周りを見回した。

 

誠也「・・・・・居た!多分あれだ!」

 

誠也は少し離れた場所に茜鷹が追跡している移動中の装甲車を発見した。

 

誠也「まだ山の中を移動していてくれたか、街中だとやりづらかったから正直助かる。」

 

そう言いながら誠也は右手の指輪をコネクトの指輪に変えてドライバーを操作してかざした。

 

電子音声『コネクト!プリーズ!』

 

コネクトの指輪で自分の横に魔法陣を出現させ、そこに手を突っ込むと、中からウィザード専用のバイク・マシンウィンガーを引張だした。誠也は出したまま、ここまで持ってきていたウィザーソードガンを持ったまま、マシンウィンガーにまたがり、装甲車を追うために発進させた。

マシンウィンガーのスピードを上げて、程なくして誠也は走っている装甲車の真後ろに追いつくことができた。

 

茜鷹「――!」

 

装甲車を追跡していた茜鷹が誠也に気づいて反応する。

 

誠也「ご苦労さん、後は俺がやるから霞の所に戻ってていいぞ。」

 

茜鷹「――!」

 

茜鷹は甲高く声を発すると、誠也の言葉が分かったのか、その場から飛び去った。

 

誠也「さ~て、囚われの姫をお助けするとしようか!」

 

そういって誠也はマシンウィンガーに乗ったまま、ウィザーソードガンのガンモードの銃口を装甲車の後部車輪へと狙いを付けて弾丸を放った。

 

バンバンッ!

 

銃口から発せられた弾丸は装甲車の後部車輪の左車輪へと当たり、パンクさせた。

突然のパンクさせられた装甲車はバランスを失い、右へ左へと蛇行した後、バランスを崩して、道の傍に生えている木に当たるとそのまま横転して止まった。

 

誠也「・・・・・ちょっとやりすぎたかな?中に乗っている「かなで」って子、大丈夫かな(^^;」

 

そう言いながらマシンウィンガーを止めた後、ウィザーソードガンの銃口を装甲車に向けたまま近づく誠也。

 

隊員「くっ・・・何が・・・」

 

装甲車から、中に乗っていた霞を襲った者たちと同じ格好をした何人かの人物が這い出てきた。

 

隊員「い、一体何が起きたんだ・・・」

 

頭を振りながら言う隊員。

 

誠也「這い出てきた所悪いんだけど、しばらく寝ててね。」

 

誠也は這い出てきた者たちが状況を把握する前に、後頭部にウィザーソードガンのグリップを叩き落として全員の意識を刈り取った。

 

誠也「これで良し!後は・・・・」

 

そう言って誠也はどこからか取り出したロープを使って、伸びている者たちを全員を縛り上げた。

 

誠也「・・・これで良し!バインドの魔法は今使ってるからな。さてと、かなでって子は・・・・」

 

そう言って誠也は横転している装甲車の後部部分の扉を開けた。

 

???「うううっ・・・・・」

 

扉を開けた装甲車の薄暗い内部、そこには黒い長い髪をした霞と同じぐらいの女の子が裸でイスに拘束具で拘束させられていた。

 

誠也「・・・女の子になんて事してるんだ、こいつ等。」

 

そう言った誠也は周りで伸びている隊員達を一瞬睨みつけた後、装甲車の中に視線を戻してイスに縛られている女の子・かなでに声をかけた。

 

誠也「君、かなでちゃんだね。」

 

かなで「え?だ、誰?」

 

突如装甲車内を覗いてきた赤い仮面の黒いコート姿の人物・・・ウィザードの姿の誠也に声をかけられて戸惑うかなで。

 

誠也「霞に言われて助けに来た、霞の兄だ。」

 

そう言って誠也は変身を解きながらそう言った。

 

かなで「え!?じゃあ、あなたが霞ちゃんが言ってた、女の子によく間違われているって言ってた霞ちゃんのお兄さん?!あ!か、霞ちゃんは?」

 

誠也「・・・霞、なんて説明してるんだ(;_;)あ、大丈夫、霞は無事だよ。君を捕まえた連中も全員今伸びている最中だ。今のうちに逃げるよ。」

 

そう言って誠也はウィザーソードガンをソードモードにしてかなでに近づいた。

 

誠也「動かないでね。今、拘束具を切るから・・・ハァ!」

 

そう言って誠也はかなでを拘束している拘束具を切り裂いてかなでの体の拘束を解いた。

 

かなで「す、凄い。」

 

誠也「さて、ずらかるよ。けど、その前にその格好をどうにかしないとね、刺激的すぎて目のやり場に困るからね。」

 

かなで「え?あ!キャッ!/////////」

 

かなでは誠也に言われて、自分が何も着ていない事に気づき、顔を真っ赤にして慌て自分の体を腕でかばうようにしながら座り込んで隠した。

そんなかなでを見たがら誠也は右手の指輪を交換してドレスアップの指輪に交換してバックルにかざした。

 

電子音声「ドレスアープ!プリーズ!」

 

辺りに響く電子音声と共にかなでの体が光ると次の瞬間、かなでの体には霞と同じ制服が身につけられていいた。

 

誠也「女の子の服って良くわからないから、無難に霞が着ている制服と同じデザインの物にしておいたよ。」

 

かなで「え?あ・・・ありがとうございます。」

 

かなではいつの間にか自分の体を覆っている制服に驚きながらもお礼を誠也に言った。

 

誠也「さて、じゃあ行こう。立てる?」

 

誠也はそう言ってかなでに手を差し出した。

 

かなで「え?あ・・・はい。」

 

そう言ってかなでは誠也の手を取って立ち上がった。

 

誠也「さて、じゃあこんな所に長居は無用だ。とっととずらかろう。」

 

誠也はかなでの手を取りながら装甲車の外へと移動しようとした。

 

かなで「あ!待ってください!その前に・・・」

 

そう言ってかなでは近くで誠也にロープで縛られて伸びている隊員に近づき、その懐をさらい始めた。

 

かなで「え~と・・・確かこの人が持っていたはず・・・・これじゃない・・・これでもない・・・・」

 

そう言って隊員の持ち物を手に取っては「違う」と言って投げ捨てるかなで。

 

誠也「な、何を探して・・・・ん?これは・・・」

 

誠也はかなでが投げ捨てた隊員の持ち物で、隊員の物のであろう物の中から写真が貼ってあった身分証明書の様な物を見つけた。

 

誠也「0×基地駐留部隊○□分隊隊員?こいつ等・・・自衛隊員だったのか?!」

 

誠也はそう言って周りで伸びている自衛隊員であろう者たちを見た。

 

誠也「呆れるな。国民の血税でやっている事が年端もいかない女の子を銃で追い回したり、誘拐したりしている事だとは・・・・この税金泥棒共が。」

 

誠也は呆れたような声を出してそう言った。

 

かなで「あった!けど・・・三錠だけ・・・・」

 

かなでは懐をあさっている自衛隊員のポケットから三錠程の薬を取り出していた。

 

誠也「・・・それが探し物?」

 

かなで「・・・はい。」

 

かなでは落胆したような顔をしながら返事をした。

 

誠也「・・・そうか。じゃあとっととこの場を離れよう。霞と合流・・・・の前に、翔子達と合流だな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「・・・お義兄ちゃん、かんでちゃんを助けられたかな~。」

 

霞は手近な木の幹に寄りかかりながらそう呟いた。

周りには先程誠也が気絶させて「バインド」の魔法で拘束した自衛隊員達が転がっていた。

 

霞「バインドの魔法が解けてないから、お義兄ちゃんが無事な事は確かなんだけど・・・・」

 

拘束されている自衛隊員を見ながらそう呟いた霞。そんな霞の耳に遠くから自分を呼ぶ声が入ってきた。

 

誠也「お~い!霞~~!」

 

霞「お義兄ちゃん?!あ!」

 

義兄の声が聞こえ、その方向へと視線を向けると、そこには遠くからコチラに手を振りながら近づいてくる誠也とそして、自分が今一番会いたいと思っていた友人・かなでの姿があった。

 

霞「か・・・・かなでちゃあ~~~~~~~~~~~んっ!!」

 

かなでの無事な姿を見た瞬間、霞は両の目に涙をめいいっぱい貯めながら、走ってかなでに近づき抱きついた。

 

かなで「うわっ!か、霞。」

 

霞「うわ~~~~ん!かなでちゃん!かなでちゃん!かなでちゃ~~~~~~ん!!無事で良かったあああああああ!!」

 

かなで「霞・・・・ごめんね、心配かけちゃったみたいだね。」

 

泣いて抱きつく霞を抱きしめながら、かなでは霞の頭を優しく撫でた。

 

カナリア《どうやらケガはないみたいね。》

 

霞「カナリア?カナリアも来てくれてたの?」

 

かなでに抱きついて泣いた霞は、誠也と一緒に居たカナリアの存在に気づいた。

 

カナリア《ええ、私も心配だったからね》

 

翔子「無事でよかったです。」

 

霞「え?」

 

不意に聞きなれない声が聞こえたので、霞は抱きついていたかなでから体を話た後、声が聞こえた方向・・・翔子の方へと視線を向けた。

 

霞「え、え~と・・・誰?」

 

翔子「あ、え~と・・・・・・」

 

不意に霞に視線を向けられて言葉を詰まらせる翔子。

 

誠也「孝介さんの従姉妹だよ。」

 

霞「ああ!確か御奈神村に住んでいて、今お義兄ちゃん達が泊めてもらっている家の・・・・・」

 

翔子「あ、はい、そうです。岩永翔子って言います。よ、よろしくお願いします。」

 

そう言ってペコリと頭を下げる翔子。

 

霞「あ、ご丁寧にどうも。鳴海霞(なるみかすみ)って言います。義兄がお世話になってます。」

 

翔子に連れられて霞もペコリと頭を下げる霞。

 

翔子「いいえ、逆にこっちがお世話になってます。」

 

そう言って更に頭を下げる翔子。

 

霞「いいえ、そんな・・・」

 

そう言って釣られて更に頭を下げる霞。

互いに頭をペコペコと下げる姿はまるで首振り人形のようで、その姿を若干呆れた様子で誠也達が見ていた

 

誠也達「「「・・・・・・・・・」」」

 

誠也「二人共、そんなに頭をペコペコ下げるなよ。挨拶ならこれをするだけで十分だろう?」

 

そう言って誠也は自分の右手を差し出すポーズと取った。

 

霞・翔子「「え?・・・・・あ!」」

 

手を差し出すポーズを見て最初は「なんの事か解らない」と言った顔をする霞と翔子だったが、次の瞬間何かを思い出したような顔をすると互いに右手を差し出して握手をした。

その後、二人は互いに手の形をさらに組み替え、手を離すと今度は拳を数回打ちつけあう誠也が教えた「友情のシルシ」を互いにしたのである。

 

霞「フフフッ、やっぱり知ってた。お義兄ちゃんに教わったんだね。」

 

翔子「うん、昨日誠也に教えてもらってね。」

 

霞「これからよろしくね、翔子ちゃん♪」

 

翔子「うん、霞ちゃん♪」

 

そう言って互いに見つめ合って言う霞と翔子。

 

かなで「・・・あの「友情のシルシ」ってお義兄さんであるあなたに教えてもらったんですね、霞は。」

 

カナリア《「友情のシルシ」を知っているって事は、あなたも霞にアレをしてもらったのね。》

 

かなで「ええ。「今日から友達だよ。」ってそう言ってあの「友情のシルシ」をしてもらったんです。」

 

カナリアの声に答えるかなで。ちなみにかなでは霞と合流する前、カナリアの事を誠也に説明してもらい、カナリアの姿と声が聞こえるようしてもらっていた。

 

誠也「所で、圭介はどうしたんだ?霞。」

 

カナリヤ《そう言えばどうしたの?いっも一緒に居るはずなのに今回に限っては一緒にいなみたいだけど・・・・》

 

霞「あ、あのね、実は圭くん・・・伊佐山さんに連れて行かれちゃって・・・・」

 

誠也「はあ?伊佐山刑事に連れて行かれた?補導されたって事?」

 

霞「うん・・・・・」

 

カナリヤ《一体あの子、何やったの?》

 

霞「実は街を歩いていたら坂本くんと会って、圭くんが坂本くんに声を掛けたらそのまま口論になって、それで・・・」

 

霞は申し訳なさそうな顔をしながら事の顛末を話した。

 

誠也「あ~~~、いい。それ以上話さなくても大体分かる。」

 

カナリア《おそらくそのまま取っ組み合いの喧嘩になったのね(^^;》

 

誠也「ああ、そしてそれを伊佐山刑事に見られて、そのまま補導されたって事か(^^;まったく・・・・」

 

呆れた顔をしながら言う誠也とカナリア。

 

翔子「あの~圭介や伊佐山刑事って・・・・」

 

かなで「誰の事?」

 

会話を聞いてた翔子とかなでが、会話内に出てきた人物の名を上げて誠也達に聞いた来た。

 

誠也「あ、そうか。二人は知らないもんな。「圭介」ってのは俺と霞の幼馴染で「伊佐山刑事」は、俺達が住んでいるここ「遠羽市」の隣にある「海鳴市」にある海鳴署の少年課の刑事さんだよ。」

 

翔子「隣町の少年課の刑事さん?」

 

かなで「な、なんで隣町の少年課の刑事が「遠羽市」に来ているのよ?!管轄違うのに何で?!」

 

誠也「あ~、あの人はね、お節介な所があってね。家出少年を家に帰らせる為に所轄の違う「遠羽市」にもちょくちょく来てるんだ。」

 

かなで「お節介な刑事ね・・・・」

 

翔子「家出少年を家に帰らせる為に、所轄の違う所まで出向いてくるなんて、良い人ですね。」

 

誠也「まあな。声がやたらとデカいのがたまにキズなんだけどね。(^^;」

 

そう言って伊佐山の顔を思い出し、若干疲れた顔をする誠也。

 

カナリア《所で・・・・・さっきから気になってたんだけど、周りに転がっている人達は?》

 

カナリアは、誠也のバインドで動きを封じられて周りに転がっている自衛隊員達に気づき、それについて霞達に聞いてきた。

 

誠也「霞を襲ってた自衛隊員達だよ。」

 

カナリア《自衛隊員?!霞、あなた自衛隊員に襲われてたの?!》

 

霞「あ、う・・・うん。」

 

カナリア《何で霞が襲われてたの?》

 

かなで「それは・・・多分、私のせいだと思う。」

 

翔子「え?かなでさんのせい?」

 

かなで「うん、実は「あ~、待って」ってはい?」

 

かなでの会話を遮るようにして誠也が待ったの声をかけた。」

 

カナリヤ《どうしたの?誠也》

 

誠也「話をする前に、周りに転がっている連中を拘束しなおさないと。もうすぐ連中の「バインド」の効果が消えるから、連中が動けるようになると何かと面倒なんで、その前にロープで縛り直さななきゃ。」

 

そう言って誠也はコネクトの指輪で取り出した大量のロープを全員に見せた。

 

カナリヤ《確かに彼らの拘束が解けるのはまずいわね。仕方ないわ・・・話は彼らをロープで拘束し直した後でて事で》

 

誠也「ああ。人数が多いから、霞達も手伝だってくれ。」

 

霞「うん、わかった。」

 

翔子「手伝うよ。」

 

かなで「これで縛ればいいのね。」

 

そう言って三人は誠也が出したロープを持って言った。

 

カナリヤ《じゃあみんなで手分けして縛りましょう。相手は腐っても自衛隊員、中途半端な縛り方じゃ抜け出す可能性があるから、みんな、キツめに縛るのよ》

 

霞「うん、わかった。」

 

誠也「じゃあみんなで手分けしてとっとと縛っちまおう。」

 

そう言った誠也の言葉を合図に霞達はそれぞれロープを片手に散開して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「・・・・・これで終わり。お義兄ちゃ~ん、こっちは終わったよ。」

 

誠也「おお!そうか、こっちもたった今終わった・・・・所・・・・だ。」

 

かなで「霞、私の方も終わった・・・・・よ。」

 

翔子「誠也、私達の方も・・・・・・・・」

 

カナリヤ《終わった・・・・わ・・・・よ。》

 

三人がそれぞれ自分が担当している所の自衛隊員を縛り上げて、霞の側に集まったのだが、霞の縛り上げた自衛隊員を見て全員言葉を失った。

 

自衛隊員1「お前ら!我々にこんな事をして、いいと思っているのか!」

 

自衛隊員2「くっ!もがけばもがく程・・・縄が・・・・食い込む!」

 

自衛隊員3「でも・・・・その食い込みが・・・・段々快感に~♡」

 

霞に縛られた自衛隊員何名かが、既に意識を取り戻し、縛られていることに対して抗議をしていた。

 

霞「?私の縛り方どこか変なの?ひょっとして・・・まだ縛り方が甘いかな?」

 

霞に縛られた自衛隊員を見て、言葉を失っている誠也達に対して不安になり、誠也達に声をかける霞。

 

誠也「いや・・・・・甘くはないな。」

 

カナリヤ《ええ・・・この縛り方なら・・・抜け出すのはむしろ困難よ。》

 

翔子「う、うん・・・・そうだね・・・・」

 

かなで「と、言うか・・・・・」

 

誠也たち((((なんで亀甲縛りなんだ!?))))

 

心の中で同じような言葉でシンクロしてツッコム誠也たち。

そう、霞が自衛隊員を縛り上げた縛り方は俗に言う「亀甲縛り」と言うやつである。

 

誠也「か、霞、この縛り方・・・誰に教わったんだ?」

 

霞「え?縛り方を教わった相手?菜々子ちゃんだけど?」

 

誠也「な、菜々子に?!アイツ・・・何て事を霞に教えてるんだ!」

 

カナリア《全くね(^^;それにしてもあの子・・・どこでこんな縛り方覚えたのかしら?》

 

霞「う~んと・・・たしか~「クラスの男子が持っていたムチを持った女の人が大量に出てた本に載ってた~」って言ってたよ?」

 

翔子「ク・・・クラスの男子が持ってた本?」

 

かなで「なんで中学生がそんな本を持ってたのかしら(^^;と言うか、中学生が持ってちゃいけないんじゃないのかな~(^^;」

 

誠也「霞・・・今後、その縛り方は封印するんだ。」

 

霞「え?なんで?菜々子ちゃんが「この縛り方は抜け出すのが困難な上に身動きも殆ど取れないようになるから、覚えておくと便利だよ♪」って言ってたから、覚えたのに・・・」

 

誠也「た、確かに抜け出すのは困難だと思うけど、この縛り方をされると、縛られた相手が新しい世界の扉を開いちゃいそうになるからやめておくんだ。」

 

カナリヤ《そ、そうね。ま、若干一名、すでにその扉を開きかかっているけどね(^^;》

 

そう言って先程、霞に亀甲縛りで縛られた自衛隊員の一人を見た。

 

自衛隊員3「ああ~♡縄の食い込みが・・・く・い・こ・み・が~~♡」

 

誠也たち「「「「・・・・・・・・・・」」」」

 

誠也「さ、さて・・・・こいつ等、どうしようか・・・」

 

縛られて身悶えている自衛隊員を見なかった事にして話しを進める誠也。

 

カナリヤ《そ、そうね。このまま返したら流石にまずいわよね~(見なかった事にしていいのかしら・・・・アレ(^^;)》

 

誠也「う~ん・・・・仕方がない。乃木坂のお爺ちゃんに何とかしてもらおう。」

 

そう言って誠也は、携帯を取り出し、登録してある番号の中から「お爺ちゃん」と登録してある番号にかけた。

 

誠也「さて、出てくれるかな・・・・あ、もしもし、お爺ちゃん?」

 

数回のコールの後、携帯に年を取った男性が出た。乃木坂 王季(のぎざか おうき)、誠也の母親の父親で、誠也の祖父にあたる人物。そしてかの有名な「乃木坂グループ」の前・総帥であり、現・相談役でもあり、誠也達ライダーの秘密を知っている数少ない大人の協力者である。

 

王季『おお!誠也か!どうした?また何か厄介ごとにでも首を突っ込んだのか?』

 

誠也『お爺ちゃん、電話に出て最初の一言がそれなの?その言い方だと俺がしょっちゅう厄介事に首を突っ込んでいるみたいじゃないか~』

 

王季『違うとでも言うのか?』

 

誠也『うっ!反論できない・・・・・ま、まあ、それは置いといて、実は霞がちょっと厄介な連中に襲われてね。』

 

王季『霞が襲われた?!・・・・詳しく話してみろ。』

 

誠也の「霞が襲われた」という言葉を聞いて、先程まで軽口を言っていた雰囲気が消え、重く威厳がある声になる王季。

 

誠也『実は・・・・・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王季『・・・なるほど。それでお前が倒して縛り上げたその自衛隊員は、お前が通っている白城学園(はくじょうがくえん)の近くの山の中に転がっているんじゃな。』

 

誠也『うん、山の森の中の少し開けた場所と、山から街へと行く道路の脇に。』

 

王季『わかった。大至急わしの直属の部下達を派遣して回収と隠蔽作業を行っておく。』

 

誠也『ありがとう。助かるよ。』

 

王季『なに、可愛い孫のためだ。それにしても、霞を殺そうとするとは・・・・・・どこの誰かは知らんが、この「乃木坂王季」の身内に手を出そうとはいい度胸じゃ。黒幕を見つけ出して、たっぷりと己のした事を後悔させてやるわ。』

 

怒気を含んだ声で静かに言う王季。その威厳がある声が怒気を含んで喋ったのである。電話越しとは言え、それを聞いた誠也はその声に少なからず畏怖を感じた。

 

誠也(さ、さすがあの乃木坂グループの前総帥・・・・発している覇気が半端ないな~)

 

王季『兎に角、その連中に関してはワシに任しておけ。そやつらが本物の自衛隊員なら、防衛庁にいるわしの友人に聞いて見れば何か分かるやもしれん。だから誠也、お前はその連れ去られそうになった霞の友達の「かなで」という子から事情を聞いておいてくれ』

 

誠也『分かったよ。事情を聞いたらお爺ちゃんにも教えるから。』

 

王季『ワシの方も何か分かったら連絡を入れる。』

 

誠也『お願い。じゃあ。』

 

そう言って誠也は携帯を切った。

 

誠也「さて、お爺ちゃんにこの連中の事は任せて、俺たちはどっか落ち着ける場所にでも移動しよう。流石にこの場所で事情を聞くのはなんだし、第一、暑いし・・・・」

 

霞「そうだね。流石に私も暑くて溶けちゃいそう・・・・」

 

カナリア《なら「ラボ」に移動しましょう。あそこなら涼しいし、アイスコーヒーの一杯で出せるでしょう?》

 

誠也「そうだな。けど、どっから入るんだ?学園側の入口は、今、学園が工事中で入れないだろう?かと言って、俺の部屋にある入口から入ろうにも、京香姉さんや父さんがいたら、俺、家には入れないぞ。」

 

カナリヤ《確かにそうね。誠也は今、御奈神村にいることになっているから、見つかると厄介よね。》

 

霞「大丈夫だと思うよ。お義父さんは今の時間帯は探偵事務所の方にいるし、京香お姉ちゃんは、昨日から大学のサークルの人達と一緒に旅行に行ってるから。」

 

誠也「あ、そうなんだ。なら、家の俺の部屋にある入口から入ろう。」

 

カナリヤ《そうね。じゃあ早速移動しましょう。》

 

そう言って誠也と霞、カナリヤは歩き出したが、会話の内容について行けなかった翔子とかなでは、その場で頭にハテナを浮かべて立ち止まっていた。

 

翔子「ね、ねえ・・・誠也。「ラボ」って何?」

 

誠也「え?あ!そう言えば二人にはまだ言ってなかったな。「ラボ」ってのはカナリヤがこの世界に来た時、一緒に持ってきた、いわば仮面ライダー達の秘密基地みたいなものだよ。」

 

かなで・翔子「「秘密基地?!」」

 

誠也「まあ詳細は歩きながら話すから、取りあえずこの場を離れよう。」

 

かなで「そ、そうだね。」

 

そう言って翔子とかなでも誠也達の後ついて行く様な形で移動を開始した。

 

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

かなで(極黒のブリュンヒルデ)

 

乃木坂 王季(のぎざか おうき)(乃木坂春香の秘密)

 

 

 



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第8話 ライダーの秘密基地・ラボ

 どうも、剣 流星です。
更新遅れてすいません。
最近リアルでの仕事が忙しくて、なかなか執筆に時間が取れなくて遅れてしまいました。
そして、これからも忙しくなり、執筆に使う時間が取れにくくなり、更新速度が落ちてしまいます。本当にすいません。
では第8話をどうぞ。


白城学園近くの山間部の中にある廃村。

その中にある一軒の廃屋の中に高校生ぐらいの男女が5人居た。

彼ら5人の内、3人の少女の首筋には円形の金属製の部品が埋め込まれていた。

彼女達はとある研究機関に捕まって手術と薬により、特別な能力を身につけさせられた「魔女」と呼ばれている存在だった。

彼女達は別の施設へと移動する際に起きた事故のどさくさ紛れて、その研究機関から逃げ出したのである。

彼女達はバラバラに逃げ、その内のこの場にいる三人の少女以外とは、トランジーバーで連絡を取り合ながら互いの生存を確かめ合っていた。

その内の一人、連絡を取り合っていた少女「かなで」が研究機関の手の者に捕まると言う予言を、彼女たち3人の内の一人が能力で予言したのである。

 

その予言をした少女・佳奈はベットの上で仰向けになったまま、瞬きも身じろぎもしないで建物の天井を見ていた。

 

佳奈『?!予知が変わった!かなでちゃんが助かった!』

 

仰向けに寝ている少女・橘 佳奈(たちばな かな)が左手でキーボードを操作して、合成の電子音声でかなでが助かった事を話した。

 

寧子「え?本当?!よかった~。」

 

佳奈の側に居る長い黒髪の少女・黒羽寧子(くろはねこ)はそう言ってかなでが助かったことに喜んだ。

 

良太「予知が・・・・変わった?!」

 

寧子の少し後ろに居る男子高校生・村上良太(むらかみりょうた)は不思議そうにしながらそう口にした。

 

カズミ「かなでが助かった・・・・それで、変わった予知って?」

 

寧子の側にいたハーフと思われる少女・カズミ=シュリーレンツァウアーが佳奈に予知について聞いてみた。

 

佳奈『・・・・赤い・・・宝石みたいな仮面と黒いコートを着て、バイクに乗ったヤツに助けられてた。』

 

良太「赤い・・・宝石みたいな仮面と黒いコートを着たヤツ?」

 

寧子「なんだかどこかの特撮ヒーローみたい・・・・・」

 

竜輝「・・・・ウィザードだ。」

 

四人から一番離れたところに居る、少し小柄な男子高校生・神谷竜輝(かみやりゅうき)がそう言った。

 

カズミ「ウィザード?竜輝、なんか知ってるん?」

 

竜輝「うん、僕と同じ・・・仮面ライダーだ。」

 

カズミ「な?!あんた以外にも仮面ライダーって居るんか?!」

 

竜輝「・・・居るよ。知っている限り、僕以外にも5人・・・・555、オーズ、響鬼、ファム、そして・・・ウィザード。」

 

カズミ「仮面ライダーが後・・・5人も?!それで、その他の仮面ライダーはいったい誰なん?知ってるんやろ?」

 

竜輝「うん、知ってるよ。」

 

カズミ「じゃあ今回、かなでを助けたウィザードはいったい誰なん?」

 

竜輝「ウィザードの装着者はウチの学園・・・白城学園の中等部2年の「鳴海誠也」って言うヤツで、僕の幼馴染だよ。」

 

カズミ「竜輝の・・・・幼馴染・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翔子「・・・・ここが秘密基地の「ラボ」って所?」

 

白い壁と床が張り巡らされている建物の中で、翔子は椅子に座りながら、周りを物珍しそうに見回していた。

 

ここは誠也達仮面ライダー達が使用している秘密基地、通称「ラボ」と呼ばれている所である。

ラボは、カナリヤがこの世界に来る際に一緒に持ってきたスイッチの力で誠也の家の地下に転移させて置かれた物である。

その中は3層に分かれており、地下1階部分はフォーゼの世界のライダー部が使用していたラビットハッチの規模を大きくしたも様な構造で、地下二階部分は訓練室や治療室、休憩室等などが有り、地下3階部分はライダー達が使用するアイテムを備蓄してある倉庫と、ライダー達が使用する消耗品を生産するファクトリーと、ライダー達が使用するサポートメカ、フォーゼのパワーローダーやWのリボルギャリバーなどを格納している大型の格納庫となっている。

誠也達は、そのラボの地下一階部分にある大きめのテーブルに備え付けられている椅子に座り、運ばれてきたコーヒーを飲みながら、かなでから今回の事件についての話しが始まるのを待っていた。

 

誠也「翔子、始めるよ。」

 

周りを見回している翔子に声を掛ける誠也。

 

翔子「あ、うん。」

 

周りを見回していた翔子は、誠也に声をかけられて、視線を正面へと戻した。

 

誠也「さて・・・じゃあ早速、かなでからは今回の事件に付いて聞こうと思うけど・・・その前に、かなでに僕達の事を話さないといけないな。」

 

そう言って誠也は、席に座っているかなでに視線を向けた。

 

かなで「そうしてもらえると助かる。あなたが助けてくれた時のあの姿の事とか聞きたかったから。」

 

誠也「だよね。このまま、かなでだけに事情を話してもらうのは不公平だから話すよ。」

 

そう言って誠也は自分達の事を、先に話してあるカナリヤの事を含めて話した。

 

かなで「・・・・異世界、財団X、仮面ライダー。噂では聞いていたけど、まさか実在してたなんて。」

 

誠也「今の話で俺たちの事が大体分かってもらえたと思う。」

 

かなで「ええ。じゃあ今度はこっちの番だね。」

 

そう言ってかなでは一息ついた後、かなでの今までの事を話し始めた。

 

かなで「私は・・・・ある組織に捕まって、手術と薬で特殊な能力を身に付けさせられた存在なの。」

 

霞「手術と薬でって・・・・・」

 

誠也「それって・・・・人体実験?!」

 

かなで「ええ・・・見てこれを。」

 

そう言ってかなでは席から立ち上がると、自分の長い後ろ髪をかき分けて、自分の首筋を誠也達に見せた。

 

カナリヤ《そ、それは?》

 

かなでの後頭部の下の首筋には金属製の円盤みたいな物が埋め込まれていた。

その円盤には円盤の縁より少し小さい溝が掘られており、その内の外側の溝から円柱のような物が浮かび上がった状態でかなでの首筋についていた。

 

かなで「これはハーネストって言われている物で、コレが有るから私達は能力・・・・魔法を使えるの。」

 

翔子「ま、魔法?誠也くんみたいな?」

 

かなで「誠也の使う物とはまた違うやつだよ。そして、このハーネストには三つのボタンがあるの。」

 

誠也「三つのボタンって・・・」

 

そう言って誠也は首筋の円盤・・・ハーネストの右下と左下、そして上の部分に三つのボタンがあるのを見つけた。

 

かなで「右下にあるのがハングアップボタン、これを押されるとハングアップ・・・・ちょうど今の状態なんだけど、この状態になると丸一日魔法が使えなくなるの。最も、この状態は魔法を使いすぎてもなってしまうんだけどね。」

 

そう言いながら、かなでは書き上げた髪を元に戻して手で整えると、そのまま席に座り直した。

 

霞「使いすぎてもなるって・・・あ!じゃあの時、私に飛んできた銃弾を防いでそれで。」

 

かなで「そう、私の魔法で防いだの。私の魔法は「光壁」。あの時はこの光壁を作って銃弾を弾いたの。最もそれで力を使い果たしてハングアップしちゃったんだけどね。」

 

霞「そうだったんだ。」

 

カナリア《右下のボタンは魔法を使用をできなくするためのボタン。なら反対側の左下のボタンは?》

 

かなで「左下のボタンはイジェクトボタン、これを押されると死んでしまうの。」

 

誠也「な!」

 

翔子「し、死ぬ?!」

 

誠也「じゃ、弱点が・・・丸出しなのか・・・・」

 

カナリア《普通、弱点は隠しておく物だけど、この子達はおそらく実験体。管理者が管理しやすくするためにワザと丸出しにしているんでしょうね。》

 

誠也「管理士しやすくだと!ふざけやがって!!」

 

ドンッ!

 

誠也はかなで達の扱い聞き、腹を立てて机を殴った。

 

カナリヤ《・・・・後の一つはなんのボタンなの?》

 

かなで「・・・わからない。」

 

誠也「え?」

 

霞「わからない?」

 

かなで「ええ。詳しくはどんな効果があるのか知らない。ただ、死ぬよりも恐ろしいことになるとだけ聞かさせているの。」

 

誠也「・・・死ぬより恐ろし事って・・・何なんだよ・・・・」

 

カナリヤ《それにしても、良くあなた達逃げられたわね。》

 

かなで「別の施設に移送されてる最中に事故が起きてね。それで・・・・・」

 

誠也「逃げられたって事か・・・・・」

 

かなで「ええ。けど・・・それも無駄に終わるかもね。」

 

そう言ってかなでは悲しそうな顔をして顔を伏せた。

 

霞「え?無駄?」

 

かなで「私達魔女は「鎮死剤」って薬を一日に一回飲まないと死んでしまうの。」

 

翔子「飲まないと・・・死ぬ?」

 

誠也「薬って・・・・あっ!」

 

誠也はかなでが意識を無くしている自衛隊員の懐から、何か薬の様な物を探して持ってきていたのを思い出した。

 

誠也「あの時、自衛隊員の懐から取った薬は・・・」

 

かなで「ええ。あの自衛隊員が私から奪った鎮死剤よ。」

 

誠也「そうだったのか・・・・・ん?おい!さっき鎮死剤を一日に一回飲まないと死ぬって言ってたな!あの時、君が自衛隊員から取った薬は3錠しかなかった・・・・それってつまり・・・・」

 

かなで「ええ。私の命は後3日って事。」

 

翔子「そ、そんな・・・・・」

 

霞「なんとかならないの?例えば他から薬をもらってくるとか。」

 

かなで「無理よ・・・・・この薬は特殊だし、多分・・・研究所内で作ってるんだと思う。奪うにも研究所は警備が厳重だろうし、第一、私達は移動途中に逃げ出したから、場所も知らないの。」

 

誠也「・・・場所がわからないんじゃ、行くこともできないな・・・くそ!場所さえわかれば、俺がウィザードの力を使って取ってくるのに!」

 

誠也はイラ立たしげに髪を掻きむしりながら言った。

 

霞「ねえカナリヤ。薬を複製する事ってできないの?カナリヤとこのラボの設備を使えばできるんじゃないの?」

 

カナリヤ《・・・確かに出来るかも知らないけど・・・でもそれは後3日で出来ることじゃないわ。第一、薬を調べるために一つサンプルとして使うんだから実質後2日しかないことになるのよ。圧倒的に時間が足りないわ。》

 

霞「あ・・・・・・・・」

 

カナリヤの言葉を聞いて気を落とす霞。

 

かなで「・・・気にしなくていいよ霞。霞が助けを呼んでくれなかったら、私はあのまま研究所に連れ戻されて殺されてたんだもん。それが3日も伸びたんだもん。それだけで十分よ。」

 

そう言ってかなでは霞に向かって笑顔を向けた。

 

霞「かなでちゃん・・・・」

 

霞は涙目になりながらかなでを見た。

 

誠也「時間が圧倒的に足りないか・・・・・・あ~!クソッ!いっそ「時間が止まってくれたら」いいのに!」

 

そう言って誠也は頭を抱えながら言った。

 

カナリヤ《時間が・・・・止まってくれたら?それよ!!》

 

誠也「え?」

 

カナリヤ《みんな、うまくすればかなでちゃんを助けることができるかもしれないわよ!》

 

霞「え!本当に?!」

 

カナリヤ《ええ。みんな、付いて来て》

 

そう言ってカナリヤは誠也達を連れて場所を移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラボ地下二階の医療関連がある区画の一室。

その部屋にはSF映画に出てきそうなカプセルの形をしたポットが2個並べて置いてあった。

そのカプセルの側に誠也達全員が居た。

誠也達はカナリヤからこの部屋に案内されて後、このカプセルについての話しを聞かせられていた。

 

カナリヤ《このポットは医療ポットで、中に入った者の傷を治す物なんだけど、それ以外の機能もあるの。》

 

誠也「それ以外の機能?」

 

カナリヤ《コールドスリープ機能よ。》

 

翔子「コールドスリープ?ってSFなんかに出てくるあの?」

 

カナリヤ《ええ。かなでちゃんにはこの中に入ってもらう。コールドスリープは体内の時間を止めるものだから、恐らく鎮死剤が無くても生きながらえるはずよ。》

 

霞「え?じゃあ・・・・かなでちゃんは助かるの?」

 

カナリヤ《ええ。彼女がこの中で眠っている間に、私が鎮死剤を分析して薬を複製する。そうすば・・・・》

 

翔子「かなでちゃんは・・・助かる。」

 

かなで「私・・・・助かるの?生きられるの?「かなでちゃん!」うわっ!て・・・霞?!」

 

突然抱きついてきた霞に少しよろけながらもそれを受け止めながら驚くかなで。

 

霞「かなでちゃん・・・・良かった・・・ヒックッ!・・・・良かった、良かった。」

 

霞は涙を流しながら喜んだ。

 

かなで「わ・・・・・私・・・・・生きられるんだ・・・・・・ヒックッ!・・・・う・・・・わあああああああああん!!」

 

霞に釣られるようにしてかなでも泣き出し、霞を抱きしめながら泣いた。

 

翔子「よかったね・・・かなでちゃん、本当に・・・・ヒックッ!・・・よかった。」

 

二人を見ていた翔子も、もらい泣きをしながらその光景を見ていた。

 

カナリヤ《さて、具体的な対策が立った所で、早速準備に取り掛かりましょう。》

 

誠也「そうだな、鎮死剤は3日分・・・・分析に一つ使うから、実質的には後2日しかない。準備があるなら早めにしておかないと。」

 

霞「グスッ!・・・うん、そうだね。」

 

かなで「それで、私は具体的には何をすればいいの?」

 

カナリヤ《あなたは特にやることはないわ。準備をするのは私の方。コールドスリープ装置の点検と機動準備を今からして、準備が整うのは明日のお昼すぎになると思うわ》

 

かなで「じゃあ私は明日のお昼過ぎにここに来ればいいのね。」

 

カナリヤ「ええ。それまで、呼んですぐに来られるように近くにいてもらえると助かるわ、」

 

霞「あ、じゃあかなでちゃん、今夜は家に泊まって行くと良いよ。」

 

かなで「え?でも・・・・迷惑じゃ・・・」

 

霞「ううん、迷惑なんかじゃないよ。それに・・・今夜は家には私一人しかいないんだ。」

 

誠也「え?家に一人?俺は御奈神村に行ったってことになっているから居ないのは当然として、京香姉さんはサークルの旅行で居なくなることは聞いているけど、家にはまだ父さんと悠菜姉さんが居るだろう?」

 

霞「お義父さんは今夜からお仕事でしばらく留守にするって、今朝言ってた。悠菜お義姉ちゃんはさっき家に帰った時、居間にメモがあって、そこに悠菜義姉ちゃんの字で「調べ物をする為、2・3日留守にするから、お義父さんにうまい言い訳を言ってごまかしておいて」て書かれてた。」

 

誠也「はぁ~、またか・・・・・毎回父さんや京香姉さんに言い訳を言わなきゃならない俺や霞の事も考えてくれよう。」

 

霞「ま、まあ今回は言い訳を言わなきゃならない二人がちょうどいないから、何時もよりは楽だけどね。」

 

誠也「そうなると、霞が家に一人なのはちょっと危ないな。本来ならはやて達に来てもらうんだけど・・・」

 

カナリヤ《はやてちゃん達は今、管理局の仕事でこの世界を離れてるからね。》

 

誠也「なら、今夜かなでに一緒に居てもらうのは非常に助かるな。はやて達も居ないから圭介に一緒に居てもらうって訳にはいかないと言うか、そんなこと絶っ対にさせんるわけにわいかない!そんな事したら霞が圭介の毒牙の餌食になる!!」

 

カナリヤ《・・・・あ~誠也、シスコンも程々にしておきなさいよ。》

 

誠也「シスコンじゃない!ただ義妹思いなだけだ!」

 

カナリヤ《はいはい。兎に角、かなでは今夜は鳴海家に泊まるって事で。》

 

かなで「え?あ・・・・じゃあ、お邪魔するね。」

 

霞「うん♪」

 

カナリヤ《そして、誠也は翔子を連れて岩永の家に戻る。》

 

誠也「そうだな。俺は一応表向きは岩永の家の手伝いのアルバイトをしに行っている事になっているからな。」

 

翔子「そう言えば私達、何も言わずに家を出てきちゃったけど、お母さん、心配してないかな~。」

 

誠也「昨日、あんな事あった後だからな~。孝介さんがうまくごまかしてくれてると良いんだけど・・・」

 

翔子「早めに戻らないといけないね。」

 

カナリヤ《じゃあ二人はこのまま岩永の家に戻って。私はコールドスリープや今後の事の準備をやるためにここに残るから》

 

誠也「分かった。御奈神村には俺たちだけで戻るよ。」

 

カナリヤ《ええ。あ!誠也。後、昨日拾ったあの青い石。あれは置いてって。準備をする傍ら、あれの解析も済ましておくから。》

 

誠也「ああ、昨日倒したあの熊ゾンビが落としていったやつか。わかった。」

 

そう言って誠也は、昨日倒した熊のゾンビが落としていったであろう青い石をポケットから取り出して、近くにあるテーブルに置いた。

 

霞「うわ~綺麗・・・お義兄ちゃん、この石、どうしたの?」

 

誠也「ん?ああ、実は・・・・」

 

そう言って誠也は、昨晩、友達の子狐を助けるために夜の山に入って行った翔子とそれを追って行った孝介を追って行き、二人を襲おうとした体が半分崩れかけている熊のゾンビみたいな怪物に襲われた事。そして、それを誠也がウィザードに変身して倒した事を話した。

 

霞「そんな事があったんだ。それで翔子ちゃんにライダーのことがバレて、ライダーの秘密を話さなきゃならなくなったのね。」

 

誠也「まあ、そんなとこ。」

 

かなで「・・・・熊のゾンビの怪物に襲われたって・・・・あなた達、本当にこう言う荒事になれたるみたいね。通りで私を助ける時の手際がよかったわけだ。」

 

誠也「まあね。さて、じゃあ戻るとしようか。カナリヤ、準備と解析、頼むね。」

 

そう言って誠也はテレポートの指輪を取り出して、右手にハメながらカナリヤに向けてそう言った。

 

カナリヤ《ええ。任せておいて》

 

誠也「さあ、戻ろうか。翔子」

 

翔子「うん。」

 

そう返事をして、翔子は誠也の側に行き、肩に手を置いた。

 

誠也「じゃあ、行くよ。三人共、また明日。」

 

翔子「ばいばい♪」

 

翔子がそう言った後、誠也は右手の指輪をベルトのバックルにかざした。

 

電子音声『テレポート!プリーズ!』

 

辺りに電子音声が響いた瞬間、誠也と翔子の体は光に包まれてその場から消え去った。

 

カナリヤ《さて、じゃあ私は早速準備に取り掛かるとしましょうか》

 

霞「私は一旦家に戻って、そのままお夕飯のお買い物しなくちゃ。」

 

かなで「あ、私も手伝わ。」

 

霞「ありがとう♪お夕飯、何がいいかな?」

 

かなで「う~ん、そうね・・・・」

 

今晩のオカズの事を話しながらその場を後にする霞とかなで。

 

そんな二人を微笑ましそうな眼差しでカナリヤはその場に残って見送った。

 

カナリヤ《あの二人の微笑ましい風景。これを今回だけの物にしないためにも、念入りに準備をしなきゃね。》

 

そう言ってカナリヤは見えない手で掴むようにして、テーブルの上に乗っている青い石を持ち上げて部屋を後にした。

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

黒羽寧子(くろはねこ)(極黒のブリュンヒルデ)

 

橘 佳奈(たちばな かな)(極黒のブリュンヒルデ)

 

カズミ=シュリーレンツァウアー(極黒のブリュンヒルデ)

 

村上良太(むらかみりょうた)(極黒のブリュンヒルデ)

 

神谷竜輝(かみやりゅうき)(オリジナル)

 

 



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第9話 仮面ライダーの少年と魔女の少女(前編)

どうも、剣 流星です。
今回の話で出てくるオリキャラである竜輝の両親は、自分が以前書いていた作品の主人公とメインヒロインになる予定だったハイスクールD×Dのアーシアを元にした子の、その後を想像して作ったキャラです。
なぜ、そんなキャラを出すのかと言うと、ただ出したかったからと言う自分のわがままです。すいません。では第9話をどうぞ。



白城学園近くの山間部の中にある廃村。時間は誠也達がかなでを助けた時刻。

廃村の中にある一軒の廃屋の中に高校生ぐらいの男女が5人居た。

 

長い黒い髪の少女・黒羽寧子(くろはねこ)、左手以外全身不随の少女・橘佳奈(たちばなかな)。ハーフの少女・カズミ=シュリーレンツァウアー、誠也達が通っている学園・白城学園の高等部2年の少年村上良太(むらかみりょうた)、そして・・・誠也の幼馴染で白城学園の高等部1年の少年・神谷竜輝(かみやりゅうき)の計五名が集まっていた。

五人の内、三人の少女はとある組織の研究機関の実験体で、それぞれが特殊な能力を持っている「魔女」と呼ばれている少女達で、その研究機関から多くの仲間達と共に逃げ出したのである。

今、5人は佳奈の魔法・予知の力で逃げ出した仲間の一人かなでの未来が変わった事について話し合っていた。

佳奈の予知は未来の映像を見ることができる物で、その予知は変えることができる。そして、未来が変わると、その証として別の未来の映像が見えるのである。

先程、佳奈は予知で別の未来の映像を見て、その内容が「宝石のような仮面と黒いコートのバイクに乗った男がかなでを助ける」と言う内容だった。

そして、その内容を聞いた竜輝が、その助けた男を仮面ライダー・ウィザードと呼び、その装着者を自分の幼馴染だと言った。

 

カズミ「竜輝の・・・・幼馴染も仮面ライダーだったんやな」

 

竜輝「うん。」

 

寧子「・・・・ねえカズミちゃん。」

 

カズミ「うん?なんや寧子。」

 

寧子「さっきから気になってたんだけど・・・・その人だれ?」

 

寧子はカズミと当たり前に話している竜輝を指差した。

 

佳奈『そうよ、さっきから当たり前みたいに居たせいで、つい私もスルーしちゃったけど、あんた誰?』

 

良太「君、たしか・・・・・ウチの学校の高等部1年・・・だよな。1年の教室で見たのを覚えてる。」

 

竜輝「へ~、よく覚えてましたね。」

 

良太「俺は一度見た物を忘れずに完全に覚えておくことが出来るんだ。」

 

竜輝「・・・完全記憶能力ってやつですね。」

 

佳奈『呼び方なんてどうでも良いわよ!それよりもカズミ、こいつ連れて来たのアンタでしょう!どういうつもりなの?』

 

佳奈が左手で操作したキーボードで出来た合成音声で竜輝について、連れてきたカズミに聞いてきた。

 

寧子「カズミちゃん、普通の人を巻き込む事がどう言う事か分かってるの?その人を危険に巻き込むことになるよ?」

 

カズミ「そんないきり立って怒んなや。それに、一般人巻き込むなって言ってるけど、そっちだってその村上ってヤツ巻き込んでるやないか。」

 

寧子「そ、それは・・・・この人が勝手に首を突っ込んできて・・・・」

 

カズミ「大丈夫、心配無い。竜輝は強いで。自分の身ぐらい自分で守れるわ。なんてったって竜輝は仮面ライダーなんやからな。」

 

寧子「仮面ライダー?さっきも言ってたけど、何それ?」

 

寧子は聞き覚えのない仮面ライダーという言葉に対し、頭にハテナマークを浮かべた。

 

良太「仮面ライダー・・・・・確か・・・ここ最近、都市伝説のサイトなんかで騒がれているアレの事か?」

 

寧子「都市伝説サイトで騒がれている?」

 

良太「ああ。「影で人類の敵と人知れず戦う仮面のヒーローが居る」って言われている存在・・・それが仮面ライダー。」

 

佳奈『でもそれはただの都市伝説でしょう?それとも何、コイツがその仮面ライダーだって言うの?カズミ』

 

カズミ「せや。竜輝は仮面ライダー・・・・みんなの・・・そして私のヒーローや!」

 

寧子「ヒーロー・・・・・」

 

佳奈『あんた頭どっか打った?そんなの居るわけないでしょう!もしそいつがそうだとしたら、そいつ・・・一体何者なの?信用できるの?』

 

カズミ「「信用できるの?」か~・・・・しゃあないな~。話すんはめんどいし、はずかしんやけど、ウチがこれから話す竜輝と出会ってコレまでの事を話せば多分信用出来ると思う。だから聞いたってくれる?」

 

寧子「話しを?」

 

カズミ「うん。竜輝、話してもええやろう?」

 

カズミは部屋の入口辺りに寄りかかって話しを聞いていた竜輝に話しをして良いかと聞いてみた。

 

竜輝「うん、良いんじゃないかな。」

 

カズミ「なら、話すで。あれは・・・ウチらの乗ってた装甲車が事故で横転して、その場を逃げ出して何日かが経った頃やった。」

 

そう言ってカスミは自分の今日までの事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

冷たい雨が降りしきる6月の末の夜。

 

暗い街の中を病院の入院着を着た少女・カズミ=シュリーレンツァウアーは素足で歩いていた。

彼女の両手には彼女が能力で使うツールと、彼女の命をつなぐために必要な薬・鎮死剤が収められていた。

彼女の足取りは雨に打たれ、歩き続けた疲労で重くなっていた。

 

カズミ(どこかで・・・休まなアカン。けど・・・・・こんな格好じゃ休めるような場所には入れへん・・・・まずは服をどうにかしないと・・・・)

 

そんな風に疲労で思考が散漫になりながら手に持った薬を口にし、飲み込むカズミ。

カズミは今にも意識を失いそうな状態のまま、フラフラと足元がおぼつかない状態のまま道路を渡ろうとした。

 

パッパ~♪

 

カズミ「え?」

 

意識が散漫になりながら歩いていたカズミは、甲高いクラクションとライトの光で不意にその意識を取り戻し、そちらを見た。

カズミが見た方向・・・そこには自分のいる方へと走ってくる車の姿が見えた。

 

カズミ「あ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミが車にひかれそうになる数分前。

暗く雨が降る街の中を傘を差して出歩いている一人の少年・神谷竜輝(かみやりゅうき)がいた。

彼は何かを探しているかのように辺りを見ながら歩いていた。

 

竜輝(やっぱり、そう簡単に見つからないか~ミラーモンスターは・・・・)

 

竜輝は仮面ライダーの装着者として、数日前から起こっているミラーモンスターによると思われる失踪事件を追っていた。

財団Xが作った怪人やモンシターの性能テストを測るため、それらをこの世界の街中に放ったのである。

その内の一体を竜輝は追っていたのであったが、なかなか見つからないでいた。

 

竜輝(・・・・・もうすぐ真夜中だし、雨も激しくなってきた。・・・・これ以上は探しても見つけられないか。仕方がない、家に帰るか・・・)

 

そう言って竜輝が家へと足を向けたちょうどその時、竜輝の目の前に奇妙な格好をした少女が道路の反対側を歩いているのが目に映った。

少女は病院の入院着の様な物を着て、両手に何かの機械や薬を持ってフラフラしながら歩いていた。

 

竜輝「・・・・なんだあの子?あんな格好で雨の中歩いて・・・しかも、なんだかフラフラしてる。それに・・・あの目は・・・・」

 

竜輝はフラフラと足元がおぼつかない歩き方をしていた少女が気になり、しばらく立ち止まって眺めていた。

少女は疲れきった顔をしながらフラフラとした足取りで、道路を横断して竜輝がいる方へと行こうとしようとしていた。

 

竜輝(なんか様子がへんだな。声をかけたほうが良いかな?)

 

そう思い、道路を横断している少女に声をかけようと近寄った次の瞬間、少女に一台の車が物凄いスピードで迫っているのが見えた。

 

パッパー!

 

車のクラクションが辺りに響くが少女の反応は鈍く、逃げようとせず、車の方に視線を向けるだけだった。

 

竜輝「危ない!」

 

竜輝は持っている傘を放り出して、少女を助けようとして道路に飛び出し、そのまま少女に飛びかかった。

竜輝が少女を反対の車線に押し倒した後、車は竜輝達のことなど見向きもしないでその場を走り去って行った。

 

竜輝「痛って~。ったく、雨の夜道をなんてスピードで走ってるんだ!」

 

竜輝は走り去って行った車の方を見てそう言い放った後、自分が押し倒している少女へと視線を向けた。

 

竜輝「キミ、しっかりして!大丈夫?」

 

竜輝は少女を抱き起こしながら声をかけた。

 

カズミ「・・・・う・・・私は・・・・」

 

竜輝「良かった。意識は有るみたいだ。待ってて、今救急車を・・・」

 

そう言って竜輝は自分の携帯で救急車を呼ぼうとした。

 

カズミ「待って・・・・病院は・・・・・・アカン。病院だけは・・・・・・」

 

朦朧とした意識でしゃべるカズミ

 

竜輝「え?病院はダメって・・・・そんな事言っている場合じゃ無いだろう!」

 

カズミ「・・・お願いや・・・・・病院は・・・・・・・」

 

そう言ってカズミは意識を失った。

 

竜輝「おい!ちょっと!・・・・病院はダメって言われても・・・・じゃあどこに連れていけば・・・・・」

 

カズミの言葉を聞いて、竜輝は少女が「何か理由があって病院に行けないのか?」と思い、救急車を呼ぶ事をやめて、どこに連れて行くか考え出した。

 

竜輝「う~ん・・・・仕方がない。家に連れて行くか。どこか怪我していても、母さんの力なら治せるし。」

 

そう言って竜輝は少女・カズミを抱き上げると、そのまま自分の家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミ「・・・・・う~ん・・・・・・・ここ・・・は?」

 

まどろみの中から自分の意識が浮上し、やがて覚醒したカズミは重い瞼を開けた。

 

カズミ「・・・・知らない天井や。」

 

瞼を開けたカズミの目に最初に飛び込んできた物は、見知らぬ何処かの天井だった。

 

カズミ「私は・・・・・ん?」

 

まだ意識が朦朧としながらも、カズミは体を起こして周りを見ようとした。その時、自分の額から何かが落ちたのを感じそれを見た。

額から落ちたもの・・・それはカズミの頭を冷やしていた濡れタオルであった。

 

カズミ「誰がやったんや?」

 

そんな事を口にしながらカズミは周りを見回した。周りは小さな女の子の部屋を思い起こさせる様なぬいぐるみや人形が置いてあり、この部屋の主がまだ年端の行かない小さな女の子だと言う事を物語っていた。

 

カズミ「どこやココ?それにこれ・・・・」

 

カズミ周りを見回した後、自分が女物の寝巻きに着替えさせられ、ベットに寝かされていた事に気がついた。

カズミは再び周りを見回すと、自分が寝ていたであろうベットの枕物に、自分が持っていたツールと鎮死剤が置いてあることに気がついた。

 

カズミ「あ!鎮死剤!!」

 

そう言ってカズミは鎮死剤を取るとその数を数えた。

 

カズミ「良かった。全部有る。」

 

そう言ってカズミはホッとした。

 

カズミ「それにしても・・・本当にどこやココ。研究所やないのは分かる。どっかの家の部屋なんやろうけど・・・・」

 

そう言ってカズミは部屋に有る窓から外を見た。

窓の外には青空が広がっており、今が昼だと言う事が分かった。

 

カズミ「今は昼。確か・・・・最後に意識があったんは確か夜やったな・・・・・あ!鎮死剤!」

 

カズミはさっき数えた後、枕元に置いた鎮死剤の一つを取にとった。

 

カズミ「最後に鎮死剤を飲んだ時からどれくらい経っているか分からんから、念の為に飲んでおかな。」

 

カズミはそのまま鎮死剤を包装から取り出し、それを口に含むと、そのまま水を使わずにそのまま飲み込んだ。

 

カズミ「ふ~、これで一安心や。さて、じゃあここがどこなのか調べな「コンコン♪」って・・・ん?」

 

ここがどこなのか調べようとして行動を開始しようとしたカズミの耳に、突如入ってくるドアをノックする音。

 

???「目を覚ましたみいね。大丈夫?」

 

ドアを開けて入って来たのは金色の長い美しい髪をした、とても綺麗な女性だった。

 

カズミ「え?あ・・・・はい。」

 

カズミは入って来た女性を見て、そのあまりの美しさに思わず見入ってしまい、曖昧な返事で返した。

そんなカズミを見ながら女性はカズミに近づくと、額に手を当て熱を測りだした。

 

カズミ「え?あ/////////」

 

不意に自分が見入ってた女性が不意に近づいて自分の額に手を置いたので、不意に赤くなり押し黙るカズミ。

 

女性「ん~・・・熱も下がったみたいだし、もう大丈夫ね。良かった。」

 

そう言って柔らかく笑う女性。その微笑みはすべてを包み込んでくれるような優しさを感じさせるものだった。

 

カズミ「え?あ・・・・//////////」

 

その女性の微笑みを見て、再び顔を赤くしてカズミは押し黙った。

 

女性「あ、お腹空いてない?ちょっと待ってね。今おかゆを持ってくるから。」

 

そう言って女性は部屋を後にした。

 

カズミ「綺麗な人やったな・・・・同性の私が見惚れるくらい・・・・あの人が私の看病を?」

 

女性が出て行ったドアを見ながらカズミはそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

カズミ「美味い!ただのお粥なのに、なんでこんなに美味いんや?!」

 

女性が持ってきたお粥を「美味い!」を言いながら一心不乱に掻き込むカズミ。

 

女性「美味しい?良かった。おかわり有るから遠慮なく言って「おかわり!」って、はいはい♪」

 

カスミが「おかわり!」と言って差し出されたお椀をクスクスと笑いながら受け取る女性。

 

女性「はい、おかわりどうぞ。」

 

お椀に新しくお粥を盛ってカズミに差し出す女性。

 

カズミ「おおきに♪」

 

カズミは差し出されたお椀を受け取るとまた、「美味い!」を連発しながらそれを口にかきこみ始めた。そして数分後・・・・

 

カズミ「ふ~、もうお腹いっぱいや。ごちそうさまでした。」

 

女性「はい、お粗末さまでした。」

 

作ってあったお粥を全部平らげて、満足そうにするカズミと、それを嬉しそうに見る女性。

 

女性「美味しそうに食べてくれて本当に良かったわ。」

 

カズミ「あ、いいえ。お世辞じゃなく、本当に美味かったんで・・・///////」

 

女性「そう?お口にあって何よりだわ。」

 

カズミ「あ、いいえ/////あの・・・・ウチ・・・どうしてここに?ここは・・・・」

 

女性「あ、ここは私の家。昨日、ずぶ濡れになったあなたを竜輝が連れてきてくれたのよ。覚えてない?」

 

カズミ「竜輝・・・・・あ!ひょっとして!」

 

カズミは自分の記憶を辿り、自分が意識を失う前の光景を思い出した。

カズミは昨日の夜、雨と疲労により意識が朦朧としている時に車にひかれそうになり、誰かに助けられたのを思い出した。

その助けた人物が携帯で救急車を予防としていたので、途切れとぎれの声で「病院にはダメだ。」と言って気絶した所までをカズミは思い出した。

 

カズミ「そうだ・・・私、車に惹かれそうになって・・・・それで誰かに助けられて・・・・・じゃあその竜輝って言う人がウチを?」

 

女性「ええ。昨日「この子を助けてあげて!母さん!」って言ってあなたを抱えて連れて来た時は驚いたけどね。」

 

カズミ「そうか。助けられてんやなその人に・・・うん?そう言えば今「母さん」って・・・・」

 

女性「あ、そう言えばまだ自己紹介してなかったわね。竜輝の母の神谷アーシアと言います。よろしくね。」

 

カズミ「ええっ!?母?」

 

カズミは目の前の女性が竜輝の母だと言って驚いた。

 

カズミ「竜輝って確か・・・ウチと同じぐらいのはず・・・・それの母親って・・・」

 

カズミは自分の記憶の中の竜輝の姿を思い出した。その記憶の中の竜輝はどう見ても自分と同じぐらい・・・でも目の前の女性はどう見ても20代ぐらいにしか見えなかった。

 

アーシア「あ、もしかして、竜輝の母親にしては若く見えるから驚いているのかしら?ふふふっ、よく言われるのよね~」

 

カズミは目の前で笑っている女性を見て空いた口が塞がらないでいた。

 

竜輝「ただいま~。」

 

カズミが空いた口がふさがらないでいると、家の玄関あたりから誰かが「ただいま~」と言って帰って来た。

 

カズミ「ん?今の声・・・」

 

カズミは先ほど聞こえてきた声に聞き覚えがあり、その声が先ほど話していた竜輝の声だと気づいた。

 

アーシア「あ、竜輝が帰ってきたみたいね。お帰りなさい。」

 

アーシアはそう返事を返した。

 

竜輝「あれ?母さん、双葉の部屋に居るの?」

 

アーシア「ええ。例の子が目を覚まして、今お話をしていたの。」

 

竜輝「え!目を覚ました!?」

 

部屋の外から話していた竜輝はカズミが目を覚ましたと聞いて、驚き次の瞬間、ドタバタと廊下を走る音が響いた次の瞬間。

 

バタンッ!

 

部屋の扉が勢いよく開け放たれて、部屋に高校の制服姿の竜輝が飛び込んできた。

 

竜輝「・・・・・目が・・・覚めたんだ・・・よかった~」

 

竜輝はベットに座っているカズミの元気そうな姿を見て安堵した顔をした。

 

カズミ「あ・・・・・その・・・・カズミって言います。昨夜は助けてもらったみたいで・・・・」

 

竜輝「あ、良いよ別に。ただ放って置けなかっただけだから。」

 

カズミ「それでも一応お礼は言わなあかん。だから・・・・助けてくれてありがとな。」

 

そう言ってカズミは笑顔でお礼を言った。

 

竜輝「あ・・・・うん////////(結構・・・かわいいな。)」

 

竜輝はカズミの笑顔を見て赤くなって顔を伏せた。

 

アーシア「あらあら、うふふふっ。」

 

竜輝「な、なに笑ってるんだよ!」

 

アーシア「さて、なんででしょうね~♪さて、そろそろピティが目を覚ますから、様子を見に行かないと。竜輝もいつまでも制服姿でうろつかないで、部屋で着替えてらっしゃい。」

 

竜輝「あ、うん。」

 

そう言ってアーシアは部屋を出て行った。

 

竜輝「あ、じゃあ僕も・・・・話しはまた後で。」

 

そう言って竜輝も部屋を出て行った。

 

カズミ「・・・・なんや・・・良い人達みたいやな。」

 

そう言ってカズミは二人が出て行ったドアを見て微笑んだが、次の瞬間、その顔は悲しそうな顔になった。

 

カズミ「良い人やから・・・だから、早うここから離れなあかんな。あの人たちを・・・巻き込んでまう。ウチに関わったことが知られれば、あの人達・・・殺されてまう。」

 

悲しそうな顔をしたカズミは顔を伏せてそう呟いた。

 

 

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

神谷アーシア《かみやアーシア》(オリジナル)

 

 

 



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第10話 仮面ライダーの少年と魔女の少女(中編)

どうも、剣 流星です。
仕事のせいで休日が日曜から水曜に変わってしまいました。
そのせいで更新の日時が今までのように日曜にできなくなるかもしれません。
もし日曜に更新できなかったら、申し訳ありません。
では第10話をどうぞ。




カズミ「良い人やから・・・だから・・・・早うここから離れなあかんな。あの人たちを・・・巻き込んでまう。」

 

そう言って神谷家を出ていくことを決意したカズミだったが、そこである重要なことに気づいた。

そう、カズミには外に着て行くための服がないのである。

カズミが今来ているのは寝巻きで、しかもアーシアの物を借りた状態である。

こんな格好で外に出れば目立って仕方がなく、かと言ってここに来るまで着ていた入院着を着て出て行っても、今来ている寝巻きで出て行くのと大して変わらない。

カズミはどうした物かと考え込んでいると、アーシアが部屋へと来て「カズミの着る服を自分の昔着た服の中から選ぶから、部屋に来て欲しい」と言われたのである。

そして現在・・・・

 

アーシア「キャ~♪可愛い~♡女の子は可愛い格好のさせがいがあるわ~♪竜輝じゃつまんないもんね。」

 

カズミ「あ・・・あははは・・・・」

 

カズミはアーシアの着せ替え人形とかしていた。

 

アーシア「女の子はなんでも着られるけど、男の子にスカートは犯罪だもんね~。」

 

カズミ「そらまあ~・・・・そうでしょうね。(^^;」

 

アーシア「よね~。竜輝にスカート、はかせるわけにはいかないし・・・・・・・・」

 

カズミ「ん?アーシアさん?」

 

突然黙って考え込むアーシアを見て、カズミはアーシアの顔を覗き込んで声をかけた。

 

アーシア「竜輝にスカート・・・・・・案外似合うかも♪」

 

カズミ「ア、アーシアさん?(^^;」

 

アーシア「冗談よ♪それよりどう?服は?丈は合ってると思うんだけど・・・」

 

カズミ「(じょ、冗談に聞こえんかったけどな(^^;)あ、はい。丈は合ってますね。ただ・・・・どの服も胸周りが余るんですよね・・・・アーシアさん、若い頃もスタイル良かったんですね。orz」

 

胸周りが余っている服を来て激しく落ち込むカズミ。

 

アーシア「あ、え~と・・・・・だ、大丈夫よ!成長期なんだから、これから大きくなるわよ。」

 

膝を付いて気の毒になるくらい激しく落ち込むカズミ。それを見て、必死にフォローをするアーシア。

 

アーシア「と、兎に角、服は少し手直ししなきゃならないわね。」

 

カズミ「そ、そうですね。・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

胸の大きさで落ち込んでいたカズミだが、黙ったままでいた後、不意に真剣な顔をしてアーシアに向き直った。

 

カズミ「あの・・・・なんで・・・・何も聞かないんですか?」

 

アーシア「ん?聞かないって?」

 

カズミ「私の事怪しんだりしないんですか?この家に担ぎ込まれた時は病院の入院着だったり、病院に行くのを嫌がったり・・・・普通の人やったらこんな怪しい奴助けたりしないで。けど・・・この家の人達は、そんな私を助けてくれた。しかも私が何者なのかとか普通聞いてくるような事を聞かずに・・・」

 

カズミはそう言って最後は顔を伏せながら言った。

 

アーシア「あら?聞いて欲しいの?」

 

カズミ「あ、いや・・・・そういう訳じゃないんやけど・・・・・・」

 

アーシア「なら良いわよ。無理して話そうしなくて。カズミちゃんが話したくなったら話してくれればそれでいいわよ。」

 

カズミ「・・・・・・・・・」

 

カズミはアーシアの話しを聞いて、あれこれ詮索されない事は自分にはとっては都合がいいはずなのに、「聞いてこない事に納得がいかない」と言うような顔をした。

 

アーシア「・・・・・・ねえ、カズミちゃん。なんで自分を助けたって聞いてきたわよね。」

 

カズミ「え?あ・・・・はい。」

 

アーシア「竜輝があなたを連れてきた後、あの子・・・・あなたの事を「ユーリ」と同じ目をしていたって言ってた。」

 

カズミ「ユーリと同じ目?」

 

アーシア「ええ。自分の現状に苦しんで、助けと、そして・・・・人の温もりを必要としている目をしていたって。」

 

カズミ「!」

 

アーシアの言葉を聞いてカズミはハッとなった。

確かにカズミは今まで居た研究所の実験で辛い目に合い。やっとそこから逃げ出しても、待っていたのは行く当てもなく、街中を雨の中を歩き続けて自分の居場所を探すと言う辛いものだった。

 

カズミ「・・・・・・」

 

今までの事を思い出し、辛そうな顔をするカズミ。

そんなカズミを見て、アーシアはそっと優しくカズミを抱きしめた

 

カズミ「あ・・・・・・」

 

アーシアに抱きしめられて、久しぶりに感じた人のぬくもりに安堵を覚えるカズミ

 

アーシア「私も同じような目をしていた時があるの。だから、辛くて苦しい時に手を差し出された時の嬉しさを・・・私は知ってる。だから・・・・・今度は私がその手を差し出したいの。」

 

アーシアの優しさがこもった言葉が・・・ぬくもりが・・・今までの事で傷つき、疲弊しきったカズミの心を優しく包み込む。

 

アーシア「だから――――この家で――――この場所で――――癒しなさい。心を、傷を。」

 

カズミ「う・・・・・あ・・・・ぁあああああああああ!」

 

アーシアに抱き締められて、今まで溜め込んだものを吐き出すようにしてカズミは泣いた。小さな子供のように。

そんなカズミをアーシアは、優しく抱きしめながら、その涙が止まるまで抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寧子「へ~、そんな事があったんだ。それで?」

 

廃村にある廃屋の一室で、カズミの話しを聞いていた寧子が話しを促した。

 

カズミ「3日程そのまま神谷家に居て、このままここに居るのもええかな~って思い始めた時にあの子・・・ピティちゃんに会ったんや」

 

佳奈『ピティ?誰それ?』

 

カズミ「今年産まれたばかりの、竜輝の妹や。」

 

良太「今年産まれたばかりの赤ん坊?」

 

カズミ「せや。あの子を見て、「この小さな命を危険に晒す何て事になる事だけは絶対やったらあかん」と思ったんや。だから次の日、私は神谷家を出て行こうとしたんや。」

 

竜輝「・・・・なるほど。だからあの日、木場さんが来た日の夜、出ていこうとしたんだな。」

 

カズミ「せや。あの日、私は・・・・・」

 

思い出すような顔をしながら、カズミは寧子達に聞かせるように再び語りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミが神谷家に来てから4日目の夜。

 

竜輝の父親・聖時が同僚の木場 勇治(きば ゆうじ)を夕食に招待した。

竜輝の父・神谷 聖時《かみや せいじ》は遠羽署に勤務する刑事であり、木場 勇治は聖時の職場での後輩である。

聖時は“この世界”に身寄りが居ない木場を不憫に思い、時々このようにして自宅に呼んで夕食を共にしていた。

 

アーシア「相変わらず財団X関連の事件で忙しいみたいね。木場くんは。」

 

食卓に運んできた食事を置きながら、聖時や竜輝と共にテーブルに座っている木場にそう言った。

 

木場「いや、忙しいって言っても、最近は誠也くんや竜輝くん達が頑張ってくれているし、それに近々、乃木坂氏が対財産X用の組織を斎藤さんや斬鬼さん・・・財津原(ざいつはら)さんを中心に立ち上げてるはずです。ですから僕も「555」として出張る事が今後少なくなると思います。」

 

木場はそう言って自分の側に置いてあるトランクをポンと叩きながら言った。

この木場 勇治は、実はこの世界の者でなく、かつて誠也が門矢士と共に旅した異世界巡りの旅で行ったライダーの世界の一つ、「555」の世界に居た怪人・オルフェノクの一人であった。

木場 勇治はかつて「555の世界」で、オルフェノクの王との戦いで死亡したのであったが、謎の白髪の人物に助けられた後、「555ギア」を渡され、この世界を災いから救って欲しいと言われてこの世界に送り込まれた。

この世界に送り込まれた木場は最初、転移の影響で気絶していた。その木場を当時ジュエルシード集めをしていたフェイトとアルフが発見、助けたのである。

木場は、フェイトの境遇を知り、助けられた恩も有って、フェイトのジュエルシード探しを555の力を使って手伝い始めた。

その後、なのはとの幾度か対立しながらも和解し、事件の黒幕・プレシア・テスタロッサと決戦。その後、フェイトがリィンディに引き取られたのを見届けた後フェイトの元を去り、この世界で財団Xと戦うために有利な肩書きで有る警察官を目指し警察官となった。

今現在、彼は刑事として活動しながらも、警察官としての権利や情報を駆使して財団Xと戦っているのである。仮面ライダー555として。

 

竜輝「あ、そう言えば木場さん、最近忙しくてフェイトに会ってないって聞きましたよ。」

 

木場「え?ああ。ここ最近、行方不明者が続出して休む暇がなかったんだ。」

 

竜輝「ああ、財団が放った怪人が多く出たせいで、犠牲者が出てしまいましたからね。」

 

木場「そうなんだ。それに最近は、謎の集団自殺までもが頻繁に発生してさらに忙しかったからね。」

 

竜輝「たまにはフェイトに会って上げてください。喜ぶと思うんで。」

 

木場「そうだね。今度時間を作って会いにいくよ。」

 

アーシア「そうしてあげた方がいいわね。さて、食事も運び終わったし、夕食にしましょう。竜輝、カズミちゃんを呼んできて。」

 

先程から夕食を運んできたアーシアが、夕食の準備が出来たので、竜輝にカズミを呼んでくるよう促した。

 

竜輝「ああ、分かったよ。確か部屋で休んでるんだっけ?」

 

アーシア「ええ、お願いね。」

 

竜輝「任せて。」

 

そう言って竜輝は席を立ち、カズミが使用している部屋へと向かった。

 

コンコン♪

 

竜輝「カズミ、夕食の準備が出来たよ。」

 

「双葉」と書かれている札が下がっている部屋の扉をノックして、部屋の中にいるカズミに呼びかける竜輝。

 

竜輝「カズミ、夕飯だよ。・・・・・寝てるのかな?カズミ、入るよ。」

 

呼びかけても反応がないので、竜輝は断りを入れながら部屋の扉を開けて中に入った。

部屋の中は灯りがついておらず、薄暗くなっていた。

 

竜輝「あれ?・・・・カズミ?・・・・居ない。どこに・・・・」

 

竜輝は部屋の中を見渡したが、部屋の中にはカズミが居らず、どこに行ったのかと首をかしげた。

 

竜輝「ん?これは・・・・・な!」

 

竜輝は部屋の中に有る机の上に一枚のメモが置いてあるのを見つけてそれを手に取って見て驚愕した。

そのメモにはカズミが書いたであろう文字が数行書いて有った。

 

竜輝「「今までありがとうございました。これ以上皆さんに迷惑をかけられないので出ていきます。勝手に居なくなることをどうかお許し下さい。 カズミ」アイツ・・・・出て行ったのか!」

 

竜輝はそのメモを手に持つと、部屋を飛び出し、リビングにいる家族の元へと戻った。

 

竜輝「大変だ!父さん、母さん!これ見て!!」

 

竜輝はリビングにいる両親に手に持っているメモ紙を見せた。

 

アーシア「な!カズミちゃん・・・出て行ったって言うの?」

 

竜輝「そうなんだ。アイツ行く所なんてないだろうに・・・・」

 

聖時「兎に角、まだそう遠くに行ってないはずだ。手分けして探そう。木場くん、悪いが・・・」

 

木場「いいえ、構いません。むしろ僕も手伝います。カズミって確かこの前、聖時さんが見せてくれた写真の女の子ですよね。たしか素性を調べるから手伝って欲しいって言ってた。」

 

木場は、聖時がカズミの事を調べようとした時の事を思い出しながら聞いた。

 

聖時「ああ。」

 

木場「なら僕にも探せますね。例の写真の女の子の姿は覚えてますから。

 

聖時「すまん、助かる。アーシアは家で待っててくれ。ピティの事もあるし、何よりあの子が戻ってくるかもしれないからな。」

 

アーシア「わかったわ。」

 

聖時「よし。じゃあ行くぞ。手分けして探すぞ。」

 

木場「はい。」

 

竜輝「分かったよ。」

 

そう言って三人はリビングを出て玄関から外へ飛び出して、三方向に散った。

 

竜輝(何が「これ以上迷惑を・・・」だ!いらん心配して・・・・・カズミ、まだ近くに居てくれよ!)

 

竜輝は心の中で勝手に姿を消したカズミに対して怒りながらも、その姿を暗くなった街の中から探し始めた。

 

 

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

木場 勇治(きば ゆうじ)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー555))

 

神谷聖時(かみやせいじ)(オリジナル)

 

 




この作品のアーシアの姿は、ハイスクールD×Dの彼女を大人にして、落ち着いた雰囲気を纏った、慈愛に満ちた女性と言った感じを思い浮かべてください。


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第11話 仮面ライダーの少年と魔女の少女(後編)

どうも、剣 流星です。
いつのまにかお気に入り件数が30件以上に・・・こんんな駄文をお気に入りに入れてもらい、ありがとうございます。
では第11話をどうぞ。


夜遅くの灯りが消えた街の中を、一人の少女がトボトボト歩いていた。神谷家を出て行ったカズミである。

カズミはアーシアからもらった服を着て、力なく下を向きながら当てもなくトボトボと歩いていた。

 

カズミ(・・・取りあえず人気のない所を探さなあかんな。そんでもって、その場所で人目に付かないようにヒッソリと一人で暮らそう。鎮死剤が切れて死ぬまで・・・・一人で・・・・)

 

カズミは一人知れず、鎮死剤が切れるまでヒッソリと生き、一人で死のうと思った。だが、そう思ったカズミの脳裏にあの暖かかった神谷家での生活が蘇った。

暖かい布団とご飯、優しい神谷家の人々、そして・・・アーシアに抱きしめてもらった時感じた温もり・・・・それらが脳裏に次々と蘇り、カズミの足は自然と止まってしまった。

 

カズミ(一人・・・・・一人で・・・死ぬ・・・・・・・・イヤや・・・一人はイヤや!死ぬのも!痛いのも!寒いのも!!イヤや!!イヤや!!イヤや!!!)

 

これから一人っきりでひっそりと生きて死ぬという未来をカズミは想像し、それがどれほど惨めで、寂しく、苦痛と死の恐怖に染められているかを感じ取った。

その未来は一辺の希望もなく、ただ研究所の手の者に発見されて殺される恐怖に怯えながら、鎮死剤切れで死ぬ未来しか無い事に絶望し、それが神谷家での暖かい日々とのギャップでそれが強調されて、カズミはその辛さのせいで膝を付き、その場にしゃがみこんで泣き出してした。

 

 

カズミ「イヤや・・・・イヤや!・・・・・イヤや!!一人はイヤや!・・・・痛いのも!辛いのも!!寒いのも!!死ぬのも!!!・・・・誰か・・・・助けて・・・・誰か・・・・「カズミ!!」って・・え?」

 

突如響いた声に驚き、その声がした方向を涙を貯めた目で見た。

 

竜輝「カズミ!」

 

カズミ「りゅう・・・・き?」

 

声のした方向、そこにはカズミに向かって走ってくる竜輝の姿があった。

 

竜輝「カズミ!よかった~、やっと見つけたよ。」

 

カズミ「な、なんで・・・・・ここに?」

 

竜輝「なんでって・・・カズミを探して来たんだよ。」

 

カズミ「私を探しに?」

 

竜輝「ああ。さあ、帰ろう。母さん達が待ってる。」

 

そう言って竜輝はカズミに向けて手を差し出した。

カズミは最初、差し出された手を見て一瞬驚いた顔をしたが、次の瞬間には辛そうな顔をしながら竜輝から顔を背けた。

 

カズミ「私は・・・もう戻らへん。」

 

竜輝「え?なんで?」

 

カズミの口から出た言葉を聞いて驚く竜輝。

 

カズミ「これ以上あの家にいたら、絶対に巻き込んでまう。あいつらに見つかったら・・・絶対に殺される!」

 

竜輝「え?殺される?カズミ・・・何を言って・・・・!?」

 

カズミの言葉を聞いて訳がわからないという顔をする竜輝。だが次の瞬間、周りに響き始めた音を聞いて厳しい顔つきになった。

 

リ――――――――――ン

 

ミラーモンスターが出現する際に発生する共鳴音が周りに響き、警戒をする竜輝。

 

カズミ「な、なんや?どうしたん?」

 

音が聞こえていないカズミは、周りを突如警戒し始めた竜輝にとまどった。

竜輝は、周りを警戒しながら見回していたが、次の瞬間その顔が驚愕の顔になった。

なぜならカズミの後ろに有るカーブミラーの中に巨大な蜘蛛の姿が写し出されて、それがカズミを襲おうとしているのである。

 

竜輝「カズミ!」

 

カズミ「え?な!なんや!これ!?イヤッ!」

 

突如自分の背後から現れた巨大蜘蛛のミラーモンスター・ディスパイダーが口から糸を吐き、カズミを拘束したのである。

 

竜輝「カズミ!」

 

ディスパイダーの糸に絡まれて、鏡の中に引きずり込まれようとしているカズミに手を伸ばす竜輝。

 

カズミ「竜輝ィー!」

 

カズミもディスパイダーの糸に囚われながらも、必死にもがきながら竜輝へと手を伸ばしたが、その手は届かず、カズミは鏡の中へと引きずり込まれてしまった。

 

竜輝「カズミ!クソ!!失踪事件の張本人であるミラーモンスターが現れて、カズミをさらうなんて!」

 

竜輝はそう言うと、懐から龍のマークが入ったカードデッキを取り出して、カズミが連れ去られたカーブミラーへと掲げた。

 

鏡の中に映ったカードデッキが突如ベルトへと変化すると、それが鏡から飛び出して竜輝の腰に装着された。

 

竜輝「変身!」

 

掛け声と共に、竜輝はカードデッキをベルトに装着させた。すると竜輝の体は変わり、無双龍ドラグレッダーの力を宿す仮面ライダー・龍騎になった。

 

竜輝「待ってろ、カズミ。必ず助けてやる!」

 

そう言って竜輝はカズミが連れ込まれたカーブミラーに近づくと、その鏡の中へと吸い込まれ、鏡の中の世界・ミラーワールドへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何もかもが左右逆転の鏡の中の世界、ミラーワールド。

ディスパイダーの糸に絡まれて、ミラーワールドに引きずり込まれたカズミは、地面に横に転がりながらも、必死に糸を振りほどこうともがいていた。

そんなカズミを捕食しようと、ディスパイダーはゆっくりとカズミに近づいて行った。

 

カズミ「うっ・・・・これ・・・解けない!このままじゃ・・・・あいつに・・・・・」

 

自分に近づいているディスパイダーをチラチラと見ながら、糸を解くためにもがくカズミ。

だが糸はもがけばもがく程絡まり、カズミの動きを更に封じ込めた。

やがてディスパイダーは、もがいているカズミに後一歩の距離まで詰め寄ってきた。

 

ディスパイダー「――――!」

 

咆哮を上げるディスパイダー。それを聞いたカズミは自分の最後が来たのだと感じ取った。

 

カズミ「私は・・・・こんなワケのわからない所で、怪物に食べれれて終わるん?いやヤ!誰か・・・・助けて・・・・助けてえええええええ!!」

 

カズミの叫び声を聞きながら、ディスパイダーはカズミを捕食しようと襲いかかった。だが次の瞬間・・・・

 

ドガッ!

 

ディスパイダー「―――――!」

 

ディスパイダーの体に、大きなものが高速で体当たりし、ディスパイダーはその反動で吹き飛んだ。

 

カズミ「な・・・なんや?これ・・・バイク?」

 

ディスパイダーを吹き飛ばした物・・・・それは竜輝がミラーワールド内を移動するときに使う龍騎専用のバイク・ライドシューターだった。

 

竜輝「カズミ!大丈夫か?」

 

ライドシューターから降りた龍騎の姿の竜輝は、カズミへ近寄り、糸を強引に引きちぎった後、カズミの体を抱き起こした。

 

竜輝「カズミ!しっかりしろ!!大丈夫か!!」

 

ディスパイダーに襲われたショックで、呆然としていたカズミだったが、竜輝の声を聞いてハッとなった。

 

カズミ「その声・・・竜輝なん?その姿は・・・・」

 

龍騎の姿の竜輝の声を聞いて、カズミは目の前に居る仮面の人物が竜輝だと悟った。

 

竜輝「ちょっと待っててね。先にアイツを倒さないと。話しは・・・・その後で。」

 

ライドシューターの体当たりをくらい、吹っ飛んだディスパイダーはヨロヨロとしながらも立ち上がり、自分を吹き飛ばした人物である竜輝を睨みつけた。

竜輝もディスパイダーを睨みつけながら、カズミの体をそっと床に置いた後、ゆっくりと立ち上がった。

 

竜輝「さて、とっとと片付けさせてもらうか!」

 

そう言って竜輝は、腰のベルトのバックルに装着してあるデッキから一枚のカードを抜き取ると、左腕に装着されてあるドラグバイザーにセットした。

 

電子音声『ソードベント!』

 

電子音声があたりに響くと、空から一本の剣・ドラグセイバーが降ってきた。

竜輝はそれを掴み取ると自分に向かって襲いかかってくるディスパイダーに斬りかかって行った。

 

竜輝「ハッ!」

 

ガキガキンッ!

 

ディスパイダーが繰り出す前足の攻撃をギリギリで交わしながら、ドラグセイバーで一本の前足に続けざまに斬撃を食らわす竜輝。

そんな竜輝を少し離れた所から見つめるカズミは、竜輝の戦いぶりを驚きながらも見つめていた。

 

カズミ「すごい!あの怪物と互角に戦ってる。」

 

カズミが見つめる視線の先、そこで戦っている竜輝は、相手の攻撃を完全に見切っているのか、その攻撃をかすりもさせず、紙一重で避けて相手に斬撃をくらわせ続けていた。

 

カズミ「あっ!」

 

何回かの斬撃の後、竜輝の斬撃は、ディスパイダーの前足の一つを切り落とした。

 

ディスパイダー「――――――!!」

 

前足を切り落とされ、その痛みでのたうち回り、叫び声を上げるディスパイダー。

 

竜輝はその隙に、ディスパイダーから一旦距離を置くと、腰のカードデッキからまた一枚カードを引くと、それをドラクバイザーにセットする。

 

電子音声『アドベント!』

 

辺りに再び電子音声が響くと、空から龍騎の契約モンスター・ドラグレッダーが現れて、ディスパイダーを口から吐いた火球で攻撃し始めた。

 

ディスパイダー「―――――!!」

 

ドラグレッダーの攻撃を受けて、叫び声を上げるディスパイダー。竜輝はその隙に腰のデッキから更にカードを引いて、ドラグバイザーにセットした。

 

電子音声『ファイナルベント!』

 

辺りに電子音声が響いた後、竜輝の周りをドラグレッダーが旋回しだす。

 

竜輝「ハァアアアアアアアアッ!ハァッ!」

 

掛け声と共に空へと飛び上がった竜輝は、ドラグレッダーの放つ火球を背に受けながら跳び蹴りを叩き込む必殺技・ドラゴンライダーキックを発動し、ディスパイダーへと突っ込む。

 

竜輝「だぁあああああああああああっ!!」

 

掛け声と共にドラゴンライダーキックでディスパイダーに突っ込む竜輝、そして次の瞬間。

 

ドガ~~~ン!

 

ドラゴンライダーキックをくらって爆散するディスパイダー。

 

ディスパイダー「――――――――!!」

 

断末魔の叫び声を上げて消えるディスパイダー。

 

竜輝「ふ~~。」

 

ディスパイダーの断末魔の声を背で聞いた竜輝は一息つくと、ディスパイダーが完全に消滅したのかを確認し、少し離れている所で見たいたカズミに近づいて行った。

 

竜輝「カズミ、大丈夫だった?ケガは無い?」

 

カズミ「え?あ・・・・うん、無い。」

 

目の前で連続で起きた、非現実的な事のせいで思考がついていけず、一時的にフリーズしていたカズミだったが、竜輝の声で我に返り返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カスミ「・・・・・なるほどな。つまり、竜輝達は異世界から来たそのカナリヤって鳥からライダーの力をもらって、同じく異世界から来た財団Xが放った怪人達と戦っているって事やな。」

 

カズミが引き込まれたカーブミラーの近くにある電灯に寄りかかりながら、カズミは竜輝が話してくれたライダーの力についての話を竜輝から聞いていた。

ディスパイダーを倒した後、竜輝に支えられながらカズミはミラーワールドから出てきた。そして、先程まで竜輝からライダーの力に付いて話を聞いていたのである。

 

竜輝「まあ、おおよそそんな感じだよ。さて、じゃあ次はカズミの番だね。」

 

カズミ「え?」

 

竜輝の「カズミの番」と言う言葉を聞き、カズミは「え?」となった。

 

竜輝「なんで家を出て行ったの?置き手紙には「巻き込んでしまう」って書いてあったけど、どう言う事?」

 

カズミ「そ、それは・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いて押し黙るカズミ。

 

竜輝「ねえカズミ、僕らは今までカズミにも事情があるだろうと思って深くは聞かなかった。けど何も言わずにいきなり消えられちゃ流石に聞かない訳にはいかないよ。」

 

カズミ「・・・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いてなおも押し黙るカズミ。

 

竜輝「ねえカズミ、カズミは本当は助けてもらいたいんじゃないの?じゃなきゃ「誰か助けて!」なんてい言わないよ。」

 

カズミ「な!き、聞いてたん?!」

 

竜輝「うん。ねえカズミ、事情を話して。じゃなきゃこっちだって助けようがないよ。」

 

カズミ「りゅ・・・竜輝・・・・・実は・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いて考え込んだ後、カズミは自分の身の上を話し始めた。

カズミの話しの内容・・・それはカズミが何処かに有るとある組織の実験体だった事。カズミはその組織が所有する研究施設に幽閉され、薬物や手術で「魔法」を使えるようにされた事。自分の「魔法」の力が弱く、他の力が弱いと判断された実験体の同じぐらいの年の子達と一緒に処分所送りにされた事、そしてその移動途中で事故に合い、逃げ出した事などすべてを吐き出すように言った。

 

竜輝「薬物と手術でって・・・それって人体実験?しかも力が弱いから処分だって?ふざけるな!!」

 

竜輝はカズミの処分と言う言葉を聞いて激怒し、近くにある電柱に思いっきり殴りながら叫んだ。

 

カズミ「・・・・私達が捕まっていた組織は私達の様な人間を秘密裏に大量にさらう事ができる連中や。せやから私をかばったりしたら、アンタばかりか、その家族も消される羽目になるやで。」

 

竜輝「け、消される・・・・」

 

カズミ「そうや。何十人もの人を表沙汰にせずにさらうことが出来る組織や。数人の人を人知れずに殺すのもわけもないんや。分かったやろ、私があの家にあのまま居たら、アンタの家族がいや・・・それだけやない、下手したらアンタの周りにいるすべての人も消されてまうかも知れんのや。だから「だから、自分の事は放っておいてほしいって?」って竜輝?」

 

自分の言葉が途中で遮られて話すのを止めて竜輝の方を見るカズミ。

 

竜輝「自分を放っておけ?・・・・ふざけるな!目の前で苦しんでいる子がいるのに放っておく事なんてできるか!ユーリと同じような悲しい目をした子を僕は放って置くことなんてするもんか!カズミ、僕は君を初めて見た時、君の目を・・・・悲しみに満ちた目を見て思ったんだ「助けたい!」って・・・・その気持ちは君の話しを聞いた今でも変わらない。だから・・・」

 

カズミ「・・・だから、ウチを助けるって?守るって?そんなん無理や!アンタ強い力を持っているんは分かる。けど相手はとてつもなく大きな組織なんやで!アンタの家族にはピティちゃんの様な小さい赤ん坊もおるやないかい。家族を・・・ピティちゃんを大切に思うんやったら私の事を切り捨てるんが「切り捨てるなんてするもんか!」

 

再び叫んだ竜輝の声で話を遮られるカズミ。

 

竜輝「確かにカズミの言う通り、家族の事を思うならカズミの事を切り捨てるのが賢いやり方なんだろうけど・・・・でも、それだとカズミは助からない。僕はカズミも助けたいんだ!守りたいんだ!どっちかなんて選べない!大切なものは護るもの。そして護るものは多くても構わない。むしろ多くを護る方が大事だと、僕は・・・アイツに・・・誠也に教えてもらった。たとえ矛盾をはらんでいたとしても、僕はカズミも・・・家族も・・周りに居るみんなも・・・すべてを護りたいんだ!!」

 

竜輝の決意がこもった声が人の居ない夜空に響き、それを黙って聞くカズミ。

 

竜輝「・・・・だから・・・・僕に君を・・・護らせてほしい。ダメ・・・かな?」

 

カズミ「竜輝・・・・けど・・・・」

 

竜輝「大丈夫!父さんも母さんも結構強いし、それに僕には頼もしい仲間もいるし、何より僕には力が有る。誰かを護る力・・・それが仮面ライダーの力なんだから。だから・・・・安心して。」

 

そう言って笑顔をカズミに向ける竜輝。

 

カズミ「り・・・りゅ~きぃ~」

 

今まで我慢していたのか、カズミは堰を切ったように涙をポロポロと涙を流し始めた。

 

竜輝「え?!な、なんでいきなり泣き始めて「竜輝!(ガバッ!)」って、な?!か、カズミ?!////////」

 

突然カズミに抱きつかれれ狼狽する竜輝。

 

カズミ「グスッ・・・・わたし・・・わたし・・・・辛くて・・・辛くて・・・・本当は誰かに助けてもらいたかった。けど・・・巻き込んでしまうって思って言うことができなくて・・・だから・・・ありがとう。私の事を護ってくれるって言ってくれて。」

 

竜輝「・・・・・・・・・」

 

抱きついたカズミの言葉を無言のままで聞く竜輝。

 

カズミ「あれ?竜輝?」

 

竜輝「・・・・・・・・・」

 

自分の言葉に反応せず、喋らずに無言のまま立ち尽くしたままの竜輝を不審に思い、カズミは竜輝の胸から顔を離して竜輝の顔を見た。

 

竜輝「・・・・・・・・・・」

 

カズミ「竜輝?どうし「(ブシャアアアアアアーーーーーーッ!)」ってキャー!りゅ、竜輝?!」

 

突如大量の鼻血を噴水のごとく噴出して倒れる竜輝。

 

カズミ「え?え?も、もしかして私が抱きつたから?ちょ、ちょっと竜輝!しっかりしいや!竜輝ィーーー!!」

 

大量の鼻血でできた血の海に倒れた竜輝に必死に呼びかけるカズミ。

この後、カズミは竜輝を担いで神谷の家へと急いで戻った。

神谷の家で、竜輝の母親のアーシアに事情を話すカズミ。アーシアは「あらあら、またなの?しょうがないわね~」と言って、手馴れた手つきで竜輝の手当を施したと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミ「いや~あん時の竜輝の鼻血にはホンマ驚いたわ~。」

 

寧子達「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

山中の中にある廃村のとある小屋の中。

 

カズミの話を聞いていた寧子達は微妙な顔をしていた。

 

カズミ「うん?どないしたんやみんな?そんな微妙な顔をして。」

 

寧子「いや・・・だって・・・ねえ、途中まではいい話だったんだけど・・・」

 

良太「そう言えば、聞いたことがある、ウチの学園に2大鼻血キャラが居るって。」

 

寧子「に、2大鼻血キャラ?」

 

良太の言葉を聞き、信じられないと言うような顔をする寧子。

 

良太「うん、そのウチの一人が確か初等部の頃から体育や身体測定、プール開きの度に鼻血を大量に出してよく保健室に担ぎ込まれてたって。」

 

佳奈『初等部の頃からって・・・・・」

 

呆れたような顔をしながら電子音声で話す佳奈。

 

良太「確か、あんまりにも鼻血で出血多量で死にかかることが多いから、いまではウチの学園の保健室には輸血用のパックが常備されるようになったとか、確かそいつの名前が・・・・」

 

カズミ「・・・・竜輝だったて事かいな・・・・あんた一体どれだけ鼻血でブッ倒れたんや?」

 

竜輝「・・・・・・・」

 

気まずそうにして、全員の視界から目をそらす竜輝。

 

佳奈『ハァ~・・・・カズミに抱きつかれて鼻血を出して倒れるなんて・・・・こんな凹凸の少ない体のどこに鼻血を出す要因が有るんだか。』

 

カズミ「なんやと佳奈!誰の体が凹凸のないペッタンコの色気のない体やて!!」

 

竜輝「・・・・カズミ、そこまで言ってないよ。それより、話しが脱線してるよ。」

 

良太「そうだな。それで、その後は?」

 

カズミ「え?ああ、竜輝の手当が済んだ後、竜輝の両親と竜輝のお父さんの同僚の木場 勇治って人にウチらの事を話したんや。そしたらウチらに協力してくれるって言ってくれたんや。」

 

竜輝「父さんの同僚の木場 勇治さんは仮面ライダー555だから、きっと力になってくれると思って父さん達と一緒にカズミの事を聞いてもらったんだ。」

 

竜輝はカズミの話しの補足をするようにして木場の事を話した。

 

佳奈『なるほど・・・カズミの話を聞く限り、あなた達仮面ライダーの力は相当なものみたいね。けど、直接的な力だけが組織の力じゃないわ。』

 

竜輝「ん?どう言う事?」

 

佳奈『確かにあなた達の力はとても強いわ。けど相手は自衛隊を自分達の駒として送り込むことができるほどの力があるのよ。つまり、組織は政府機関を操ることができるの。直接では無理だとしても、間接的に・・・例えば警察組織を動かして、あなた達を犯罪者として全国に指名手配させたりとか・・・』

 

良太「なっ!犯罪者として全国指名手配に?!可能なのか?!」

 

佳奈『ええ。それくらいは簡単でしょうね。ま、もっとも組織は私達「魔女」の存在を表沙汰にしたくないはずだから、そんな事は滅多にしないでしょうしね。』

 

キーボードを操作して合成音声で話をする佳奈。

 

カズミ「確かに組織の力は強大や。けどもし、私らが組織とタメ貼れるくらいの組織力を持つ組織の偉いさんを味方につけられるとしたらどうや?」

 

寧子「なっ!組織と同等の力を持つ組織の人物の偉いさん?!だ、誰なのソレ?」

 

カズミ「さっき話の中に出てきたやろ?竜輝のライダーの仲間の一人に誠也って人が居るって。」

 

良太「誠也?ああ、確か仮面ライダー・ウィザードだって言う。」

 

カズミ「せや。じつはな、その誠也って子のお祖父さんが、あの有名な「乃木坂グループ」の前・総帥であり、現・相談役でもある乃木坂 王季って人なんや。」

 

良太「なっ!乃木坂 王季だって?!」

 

カズミの口から意外な人物の名前が出てきたため、驚く良太。

 

寧子「?その人、そんなにすごいの?」

 

良太「すごいってもんじゃないよ!あの世界規模の影響力を誇る名家・乃木坂家の前当主で、一戦を退いた後も、「その一声があれば、3時間後にはその場でサミットが開かれる」などと言われるほどの絶大な権力をもってるって人だよ!」

 

佳奈『なっ!なにその無駄にすごい権力?!ず、随分すごい人が知り合いにいるのね。』

 

寧子「でもその人、本当に私たちの力になってくれるの?」

 

竜輝「心配ないですよ。乃木坂のお爺さんは今まで僕たちライダーに陰ながら力になってくれた人です。それに誠也は孫だから、多分聞いてもらえるはずだし、さっきのその子の予知では竜輝もこの件に関わっているみたいだから大丈夫だと思う。他人の力を宛にしてるみたいでちょっとカッコ悪いけど、大丈夫ですよ。」

 

カズミの後を継ぐようにして、部屋の入口で寄りかかっていた竜輝がそう言った。

 

寧子「・・・ねえ、佳奈ちゃん・・・・・私達、ひょっとしたら・・・・」

 

佳奈『ええ、助かるかもしれないわね。』

 

カズミ「せや、そこで今回、竜輝を連れてここに来たんわな、その王季って人が力になってくれる事になったら、逃げている他の子達にも声をかけて助けてもらおうと思ってるんやけど、どうや?」

 

寧子「それは良いと思う。けど、みんなバラバラに逃げたから、詳しい居場所はわからないわね。」

 

佳奈『そうね。時々トランシーバーでお互いの居場所を伏せて連絡をとっているからね。しかもこっちのトランシーバーは半分壊れていて、相手からの連絡を受け取るだけしかできないからね。』

 

カズミ「連絡待ちってとこか~。しゃあない、捕まらずに生き残ったんわ何人か知らないけど、もし連絡が来たら、さっきの事話しておいてや」

 

寧子「わかった。」

 

カズミ「さてと、今日はこれぐらいにして私らは帰るわ。」

 

竜輝「そうだな。少し長話をしたから、そろそろ帰らないと日が暮れるね。誠也に会うのは明日にしよう。」

 

カズミ「せやな。」

 

良太「あ、そうだ。買い物しなきゃいけないんだった。俺もそろそろお暇するよ。」

 

寧子「あ、うん。そうだね。じゃあ3人共、気を付けて帰って。」

 

良太「ああ。」

 

カズミ「ほなな。」

 

竜輝「それじゃあまた明日。」

 

そう言って三人は部屋を出て行った。

 

寧子「・・・ねえ佳奈ちゃん。」

 

竜輝達が消えた部屋の入り口を見ながら、寧子は部屋に居る佳奈に声をかけた。

 

佳奈『何、寧子。』

 

寧子「・・・希望が見えてきたね。」

 

佳奈『・・・・ええ。そうね。』

 

二人は嬉しそうな顔を見ながら互の顔を見た後、再び部屋の入り口を嬉しそうにして見た。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第12話 銀子の正体と誠也の回想

どうも、剣 流星です。
今回は鋼の錬金術師の世界に行った時の回想を入れました。
ちなみに回想のシーンはアニメの最終回の前の63話を元にしてあります。
では第12話をどうぞ。


銀子「さ~て、キリキリ話してもらおうかな~♪」

 

誠也「・・・・・・・・・・」

 

 

神谷竜輝とカズミが黒羽寧子達に自分たちの事を話している時とちょうど同じ頃。御奈神村にある岩永家の誠也達にあてがわれた部屋。

ここで誠也、孝介、翔子の三人は銀子の前で正座で座らせられていた。

 

銀子「今朝方と、そしてさっきの誠也くんと翔子ちゃんがいきなり消えたり現れたりした現象、その説明をきっちりと話してもらうからね♪」

 

三人の目の前で楽しそうにしゃべる銀子。

 

実は誠也達はテレポートリングを使った場面を銀子に見られてしまったのである。

それで銀子はその事について説明してもらおうと三人を捕まえて、今、話を聞こうとしているのである。

 

翔子「・・・・・まさか誠也くんが魔法を使った所を見られてたなんてね。」

 

誠也「・・・・こっち来てから、魔法を見られるポカを立て続けにやるなんて・・・急いでいたとは言え、何ってマヌケをやってるんだ、俺・・・・・」

 

孝介「・・・それで、どうするんだ?やっぱり銀子さんにも事情を話して秘密にしてもらうのか?」

 

銀子に聞こえないよう、ヒソヒソ声で話し合う誠也達。

 

銀子「うん?なに内緒話をしてるのかな~?」

 

誠也「い、いいえ、別にナイショ話しなんてしてませんよ。」

 

銀子「そう?なら早いとこ教えてもらえるかな~。」

 

誠也「はあ~・・・・・話すしかないか~」

 

そう言った後、誠也は銀子にライダーの事やその関係者、協力者の事とコレまでの事を話した。

銀子は話しの途中までは、「へ~」とか「ホントなの?!」とか言いながら驚いた顔をしていたが、誠也が協力者で有るはやて達が現在所属している時空管理局の話をした時に顔色が変わり、誠也がこの御奈神村に怪物退治に訪れた事、そして昨夜、熊のゾンビに襲われて倒し、熊ゾンビを倒した跡地で青い石の様な物を拾った事を話した時には普段のおちゃらけた雰囲気はナリを潜め、鋭く、厳しい顔になっていた。

 

誠也「・・・で、遠羽市からさっきテレポートリングで戻ってきたんですよ。ん?・・・・・・銀子さん?」

 

話し終えた誠也は、目の前で難しい顔をしている銀子を見て変に感じ、声をかけた。

 

銀子「・・・ねえ、誠也くん。昨日拾ったって言ってた青い石。それ・・・私に渡してくれないかな?」

 

普段のおちゃらけた雰囲気とは違う、いつになく真剣な顔をした銀子が、昨晩拾った青い石を渡して欲しいと真剣な声で言ってきた。

 

誠也「・・・何でです?」

 

誠也は銀子の様子がおかしい事と、例の怪しい青い石を渡せと言う言葉を聞いて怪しみ、真剣な顔をして銀子に聞き返した。

 

銀子「あれは・・・この世界(ここ)の人の手に余る物。持っていてもロクなことにはならないよ。」

 

誠也「・・・あれが何なのか知ってるんですか?ひょっとして、アレがあの熊をあんな姿にした元凶なんじゃないんですか?」

 

銀子「・・・・・・・・・」

 

誠也の問いに黙ったまま、無言で答える銀子。

 

誠也「・・・どうなんです。」

 

銀子「・・・・・・・・」

 

無言のまま、誠也を見る銀子。誠也もまた黙ったまま銀子を見つめて、銀子が次の言葉を言うのを待った。

 

誠也「・・・・・・・」

 

銀子「・・・・・・・」

 

翔子と孝介の見ている目の前で黙ったまま、相手を見続ける二人。

 

誠也「・・・・・ふ~~、わかりました。」

 

長い沈黙が続いた後、先にその沈黙を破ったのは誠也だった。

 

誠也「仕方がない、あの石は渡します。」

 

銀子「えっ?本当!?」

 

誠也の意外な声に驚き、声を上げる銀子。

 

誠也「ええ。ただし!あの石とあなたの正体等、あなたが知っている事を洗いざらい喋ってもらうのが条件です。」

 

銀子「えっ?あ、いや・・・・・・・嫌だな~♪女の子の秘密を知りたがるなん「茶化して誤魔化そうとしても無駄ですよ。」って・・・・・・」

 

誠也「さっき銀子さんは「この世界(ここ)の人には~」と言いましたね?それはつまり、銀子さんがこの世界の外から来た人だってことですよね?」

 

銀子「あっ!」

 

誠也の言葉を聞いて、「しまった!」と言う顔をする銀子。

 

誠也「そうなると、あの青い石もこの世界の物じゃないという事にもなる。違いますか?」

 

銀子「・・・・・ふ~~、さすがだね。やっぱり外の世界の事を知っている人にさっきの一言は致命的だったわね。」

 

やれやれと言うような仕草で言う銀子。

 

銀子「お察しの通り、私はこの世界の者じゃないよ。」

 

観念したようにしゃべりだす銀子。

 

翔子「え?」

 

孝介「じ、じゃあ・・・」

 

銀子「ええ。私は、さっき誠也くんが話してくれた「時空管理局」の人達と同じ異世界人だよ。」

 

誠也「・・・やっぱり。」

 

銀子「あ、でも私は君が言う「時空管理局」て言う組織が管理している世界の人間じゃないよ。私の居た世界じゃ「魔法」の力は禁忌になってたからね。」

 

誠也「え?じゃあこの世界・・・地球と同じ管理外世界の出身なんですか?」

 

銀子「管理外世界の出身と言うか・・・たぶん管理局は私達の世界を発見してないと思うよ。だから管理外世界じゃないよ。そもそも発見さえされてもいないんだから、管理外世界なんて名付ける事すらできないでしょう?」

 

誠也「まあ・・・・確かに。それで、どうなんです?あの青い石の事を含めて話してくれますか?」

 

銀子「誠也くんも自分の秘密を話してくれたし、それに外の世界を知っている誠也くんなら理解も出来ると思うから話そうと思うけど、その前に一つ質問させて。」

 

誠也「質問?なんです?」

 

銀子「なんであの青い石について聞きたがるのか教えて欲しいの。なんで?ただの好奇心?」

 

誠也「違いますよ。僕はまたあの怪物のような物が出てきて人に害を出すのかと危惧してるんです。それに・・・もしあの石のせいであの熊があんな姿になったのなら・・・・そして、その力がもし奴ら・・・財団の連中に知られたなら、きっと悪用されると思うんです。だから、僕はあの石をカナリヤに言って分析してもらって、万が一の時に備えて対策を立てやすいようにと、そう思って・・・だから聞いたんです。決して好奇心で聞いているわけじゃないです。」

 

誠也は強い意思がこもった瞳で銀子を見ながらそう断言した。

 

銀子「・・・嘘を言っている目じゃないね。ごめん、昔、似たような事を言ってい私に近づいて、私の力の源の羽衣を奪おうとした奴がいてね。ちょっと疑り深くなっててね、ごめん。君は好奇心の為じゃなく、誰かがあの力で傷つかないようにするために知ろうとしていたんだね。その言葉、信じるよ。」

 

誠也「あ、ありがとうございます。」

 

銀子「良いわよ。それじゃあ早速話すね。でも、その前に・・・」

 

そう言って銀子は立ち上がった後、部屋の入口の前に移動し、入口の麩に手を掛けた。

 

銀子「そんな所じゃ話も聞きづらいでしょう?こっちに来て聞いたら?さ・く・や・ちゃん♪」

 

そう言って銀子は、入口の麩をいっきに開け放った。

 

さくや「!?」

 

開け放った麩の向こう側、そのには麩に耳を当てて、部屋の中の会話を聞いていたさくやが、麩に耳を当てて聞いていた姿のままでつっ立っていた。

 

翔子「えっ?」

 

誠也「さ、さくや・・・さん?」

 

孝介「さ、さくや、盗み聞きしてたのか?」

 

さくや「え、え~と・・・・ええ、まあ。」

 

翔子「い、いつの間に・・・・」

 

誠也「な、何やってるんです・・・・」

 

さくや「え、いや・・・・だって、兄さん達が部屋に集まって何やらコソコソと話しをしていたみたいだから、つい気になって・・・・」

 

誠也「盗み聞きしたってことですか。はぁ~、ちなみにどの辺りから聞いてました?」

 

さくや「え~っと銀子さんが「リキリ話してもらおうかな~♪」と言った辺りからですけど・・・・」

 

孝介「殆ど最初からじゃないか・・・・そう言えば、この家、壁が薄いから話し声が結構丸聞こえなんだった。」

 

誠也「そう言えば、昨夜もそのせいで、翔子が孝介さんと銀子さんの話を聞いて「ごんた」の所に行ったんだった。」

 

銀子「う~ん、重要な話をするにはいささか不向きな所だったね。このままここで話すと皐月ちゃんにまで話を聞かれそうだね~。」

 

さくや「あっ、それな大丈夫だと思いますよ。さっき皐月さん、夕飯の買い物をするために出かけていきましたから。」

 

銀子「あ、ならこのままここで話しちゃうか。あ、さくやちゃんにも話を聞いて貰うけどいいよね?」

 

誠也「そうですね。話を聞かれちゃったし、このままさくやさんにも話を聞いてもらいましょう。」

 

銀子「そうだね。それにこれから話すことはさくやちゃん自身にも関係が有るからね。」

 

さくや「え?私自身にも?」

 

銀子「正確には「皆神の家に」だけどね。じゃあ話すよ。」

 

そう言って、銀子の話しが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、遠羽市に有る鳴海の家のリビング。

時刻はちょうど夕食が済んだあたりの時間。昼間、自衛隊の襲撃を受けた霞は幼馴染の「坂橋圭介」と携帯で話していた。

 

圭介『本当にすまん!肝心な時に側に居なくて。』

 

霞「もういいよ圭くん。お兄ちゃんに助けてもらったから、私もかなでちゃんも無事だから。」

 

電話越しに何度も誤っている圭介に対し、本当に申し訳なさそうな顔をしながらもう良いと言う霞。そんな霞を少し離れた場所からかなでが見ていた。

 

霞「それで圭くん、今日はもう帰ることができるの?」

 

圭介『それが・・・親父にもこの事で連絡が行っていて、親父から「一晩警察署(そこ)の留置所で頭を冷やせ!」って言われて、それで・・・・・』

 

霞「まだ、警察なんだ。」

 

圭介『ああ。明日の朝には出してもらえるみたいだから、その後そっちに顔を出すよ。あ、そろそろ携帯切るな、伊佐山のおっさんがすごい顔でこっちを睨んでるからな。』

 

霞「あははは・・・・・と、兎に角、明日の朝だね。連絡待ってるから。」

 

圭介『ああ、じゃあ。』

 

そう言って圭介からの携帯が切れた。

 

かなで「携帯、例の補導された幼馴染から?」

 

先程までの携帯でのやり取りを見ていたかなでがかかってきた携帯の相手の事を聞いてきた。

 

霞「うん、明日の朝には帰れるって言ってた。」

 

かなで「警察で一晩って・・・・・相当暴れたみたいだね(^^;)」

 

霞「うん、坂本くんとの喧嘩で周りにかなりの被害出したみたいだったから。それよりもかなでちゃん、圭くんから携帯がかかってくる前、私に話があるって。」

 

かなで「あ、うん。実は例のコールドスリープが出来る装置、もう一つあったよね。そっちの方も使わせてもらえないかな?」

 

霞「え?もう一つの方を?」

 

かなで「うん、実は途中まで一緒に逃げてきた仲間の子達が二人いて、他の魔女の仲間と違って居場所が分かるんだ。その子達もそろそろ鎮死剤の量が心もとないはずだから、どちらかの子に私と同じようにコールドスリープを施してもらうことができないかなって思ったんだ。」

 

霞「他の魔女の子を?う~ん、お兄ちゃんとカナリヤに聞いてみないと私からは何とも・・・でも話しては見るね。多分大丈夫だとは思うけどね。」

 

かなで「そう、お願い。」

 

霞「それで、その子達、名前はなんて言うの?」

 

かなで「名前は鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)ってロングの髪の子と千絵(ちえ)って言うショートカットの子だよ。」

 

霞「その子達二人が今現在居場所が判明している子達なんだね。わかった、お兄ちゃんに連絡を入れてみるね。」

 

そう言って霞は携帯を操作して、義兄である誠也の携帯にかけ始めた。

 

かなで「あ、それと・・・後でで良いんだけど、霞の・・・お兄さんの事、教えてくれるかな?///」

 

そう言って頬を赤くしながら言うかなで。

 

霞「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って御奈神村に有る岩永の家。

その岩永の家の一階の屋根の上に乗っかって、誠也は夜空の星を見ながら、銀子から聞かされた話しについて考えていた。

 

誠也「ふ~、まさか800年以上も昔からこの世界に居たとは・・・・しかも持っている羽衣・・・・ナノマシンの集合体で体を保護しているから、年を殆ど取らないって・・・・・まるであの人・・・ホーエンハイムさんみたいだ。」

 

そう言いながら誠也はかつて異世界を旅した時に出会った錬金術師の兄弟の父親のことを思い出し、そして銀子の話しを思い返した。

銀子は800年以上前にこの世界に来た姉を探すためにこの世界に渡ってきた。

だが姉は既に死亡しており、帰ろうにもゲートを閉ざされてこの世界に閉じ込められてしまったと言っていた。

また、例の青い石は姉の持っていた羽衣の一部で、それはこの御奈神村一体に散布されていて、それがある程度生き物の体内に貯まると、例の熊のような存在・山童(やまわら)と言う存在になるという事を聞いた。

銀子は、その山童が出たらそれを退治し、原因である姉の羽衣を回収しながらここ数百年生きてきたのである。そして、この世界に銀子より先に来たという二人いる銀子の姉のウチの一人が翔子や皐月、さくやや孝介のご先祖様であるとも語った。

 

誠也「頼る者も無しに数百年も孤独な戦いを一人でしてきのか、銀子さんは・・・・・ますますホーエンハイムさんと同じだ。」

 

誠也はそう呟きながら、銀子のコレまでの人生を想像し、それがとても辛い物だったであろう思って顔を曇らせた。

 

誠也「ふぅ~・・・・俺があれこれ思ってもしょうがないか。・・・・・・それにしても本当に綺麗な星空だな~。まるで双葉と一緒に見たあの時の星空みたいだ。」

 

誠也は過去に幼馴染と見た星空の事を思い返しながら星空を見た。

 

翔子「あれ?誠也くん?」

 

誠也「ん?」

 

ふと一階の庭の方から声をかけられた誠也は、そちらに視線を向けた。そこには寝巻き姿の翔子がいた。風呂上がりであろうか普段の髪型をしておらず、長い髪を下ろした状態でその髪をタオルで拭きながら一階の屋根の上にいる誠也に視線を向けていた。

 

翔子「そんな所で何してるの?」

 

誠也「うん?ああ、ちょっと星を見ながら考え事をしてたんだ。」

 

翔子「星を?」

 

誠也「ああ。凄いよね、向こうじゃこんなにはっきりと星が見えないから、せっかくだからじっくりと見ておこうと思って。」

 

翔子「ふ~ん、そうなんだ。・・・ねえ、私もそっちに行って良い?」

 

誠也「え?別にいいけど。」

 

翔子「じゃあちょっと待っててね、すぐにそっちに行くから。」

 

そう言って翔子は家の中に入って行き、そのまま階段を登って誠也達の部屋に入って来た。

 

翔子「お邪魔しま~す♪」

 

部屋に挨拶をしながら入ってきた翔子はそのまま窓に近寄ると、そのまま窓の枠に手を付けて一階の屋根の上に降り、誠也の横に並ぶようにして腰を下ろした。

 

翔子「へ~、普段あんまり意識しないからわからなかったけど、確かに星がくっきりと見えるね。」

 

誠也の横で腰を下ろして星を見るために見上げる翔子。風呂上りなのか翔子の髪からはとても良いい匂いがし、それを嗅いだ誠也は、髪を下ろして少し大人っぽく見える翔子の姿と相まって少しドキっとした。

 

誠也(・・・・綺麗だ。やっぱり親子だからか髪下ろすと、皐月さんそっくりだな。そのせいか大人っぽく見えてちょっとドキっとするな///////)

 

翔子「ホント、綺麗・・・・まるで星が語りかけてくるみたい。」

 

誠也「え?」

 

誠也は翔子の言葉を聞いて、一瞬翔子の姿が、かつて同じセリフを言った今は亡き幼馴染の少女の姿とダブって一瞬息を飲んだ。

 

翔子「?どうしたの?」

 

誠也「い、いや、何でもない。」

 

翔子「そう?・・・・・・・ねえ、銀ちゃんの話し、どう思う?」

 

誠也「え?ど、どうって?」

 

不意に話しを振られたので、少し慌てながら答える誠也。

 

翔子「この世界に来た銀ちゃんのお姉さん、それが私達、皆神の家のご先祖さまだったんだよね。私、天女の子孫だったんだね。」

 

誠也「うん、ちょっと驚いたよ。でも、「なるほどな~」とも思ったんだ。」

 

翔子「えっ?」

 

誠也「翔子を始め、「皆神の家の女性がみんな美人なのは天女の血を引いているからなんだなって~」って思って納得してたんだ。」

 

翔子「なっ!び、美人なんて/////////う~~、からかわないでよ。」

 

誠也に美人と言われて顔を赤くする翔子。

 

誠也「別にからかってなんてないよ。素直に出た感想だよ。」

 

翔子「す、素直に出た!?//////////////////」

 

誠也の言葉を聞いてますます顔を赤くする翔子。

 

翔子「う~~、意地悪だよ~~、顔が火照って今にも火が出そうだよ~~。」

 

誠也「はははっ、ごめんごめん。」

 

翔子「もう。」

 

ちょっと拗ねたような顔をしながらそっぽをむく翔子。だが次の瞬間、少し真面目な顔をして翔子は誠也に話しかけた。

 

翔子「・・・ねえ、昨日のあの熊、あれが山童だったんだよね。」

 

誠也「・・・そうだな。銀子さんの話によると「この辺り一帯に散布された翔子達のご先祖さまの羽衣があの熊の体内に蓄積し、その体内の羽衣の保護機能が中途半端に機能してあんな生きる屍みたいな状態になったんだ」って言ってたな。」

 

翔子「うん、しかもアレで終わりじゃないんだよね。またあんなのが出るかもしれないって思うと、なんだか怖い・・・」

 

昨日の襲われた時の事を思い出したのか、少し震えて話す翔子。

 

誠也「大丈夫だよ。銀子さんの話によれば、あんな風になる事は滅多に無いって言ってたろ?それにもし出ても、俺がまた退治してやるよ。」

 

翔子「・・・そうだね。うん、その時はお願いね。」

 

誠也「おう、任せろ。」

 

翔子「うん、任せました。あ、そうだ。銀ちゃんの話を聞いて実は思い出した事があったんだ。」

 

誠也「え?思いだした事?」

 

翔子「うん。昨日、誠也くんが拾った青い石。あれが羽衣なんだよね。私、実はアレと似たような物を幾つか拾ったことがあるの。」

 

誠也「え?似たような物を?」

 

翔子「うん、これだよ。」

 

そう言って翔子は手に握っていた物を誠也の前に差し出した。

 

誠也「これは・・・・・」

 

翔子の手の平上には、感じが昨日拾った青い石と同じような感じの小指の先大の大きさの石がのっかっていた。だがその石は感じは青い石と同じような物であったが赤い色をしていた。

 

誠也「感じは昨日の石と似てるけど、色が赤い・・・・・・翔子、これをどこで?」

 

翔子「さっき庭に出た時、庭の隅に落ちていたのを見つけたの。これの他にも、以前、似たような物を何度か拾って秘密の場所に置いてあるの。」

 

誠也「秘密の場所にね~・・・・なあ、これ・・・・預かってていいか?銀子さんに見せてみようと思うんだ。」

 

翔子「銀ちゃんに?別にいいよ。私も銀ちゃんに見せようかと思ってたから。」

 

誠也「そっか。じゃあ預かっておくな。」

 

そう言って誠也は、翔子の掌の上に乗っている石を掴むと、それを自分のポケットにしまった。

 

誠也「さて、そろそろ部屋に戻ろう。あまり長く夜風に当たると、翔子が湯冷めしちゃうからな。」

 

翔子「そうだね。じゃあ戻『~~♪~~♪』って・・・えっ?携帯の着信音?」

 

突如鳴り響く着信音。それは誠也の方から聞こえてきていた。

 

誠也「あ、俺のだ。」

 

そう言って誠也は携帯を取り出して、ディスプレイを見て、かかってきた相手が誰であるかを確認した。

 

誠也「ん?霞からだ。はい、もしもし。」

 

霞『あ、お兄ちゃん?』

 

誠也「ああ、どうした?何かあったか?」

 

霞『うん、実はちょっとお願いがあるんだけど。』

 

誠也「お願い?」

 

霞『うん、ラボに有るコールドスリープ出来る装置。あれ、かなでちゃんが使うやつ以外にも、もう一つ有るよね?』

 

誠也「ああ、有るな。」

 

霞『実はそっちの方の装置も使わせてもえないかなって思って・・・』

 

誠也「もう一つの方を?」

 

霞『うん、実はさっきかなでちゃんに途中まで一緒に逃げてきた子達の事を聞いたの。他の子達の居場所はわからないけど、その子達の居場所だけはなんとかわかるんだって。それで・・・』

 

誠也「なるほど、そのどちらかの子にその装置を使おうって事か・・・その事はカナリヤには?」

 

霞『これから話す所。まずはお兄ちゃんにって思って。』

 

誠也「そうか・・・わかった。俺としても、できれば他の魔女の子達を救ってあげたいを思ってる。カナリヤにも話してOKが出たら明日、かなでをコールドスリープさせる前に、かなでと一緒にその子の所に行ってみよう。」

 

霞『うん、わかった。じゃあ私は早速カナリヤにこの事を話して見るね。』

 

誠也「ああ、たのむ。OKが出たかどうかは後で電話して知らせてくれ。」

 

霞『うん、分かった、じゃあ切るね、おやすみね。』

 

誠也「ああ、おやすみ。」

 

そう言って誠也は携帯を切った。

 

翔子「霞ちゃん、なんて?」

 

誠也「かなでから居場所が分かる、一緒に逃げてきた魔女の子の居場所を聞いたらしい。で、その子達も助けるためにもう一つ有るコールドスリープ装置を使っても良いかって。」

 

翔子「え?他の魔女の子の居場所が分かったの?それでどうするの?」

 

誠也「無論助ける。明日、かなでをコールドスリープさせる前に、かなでを連れて迎えに行くことにするよ。」

 

翔子「そっか、私も一緒に行きたいけど、私・・・明日は学校行かなきゃならないから。」

 

誠也「あ、そう言えば、まだ学校夏休みに入ってなかったんだったな。」

 

翔子「うん、後2・3日は有るよ。」

 

誠也「そっか、じゃあかなでの事は後で知らせてあげるから、翔子は学校に行くって事で「お~い、翔子ちゃ~ん、誠也く~ん♪」って、ん?」

 

突如背後から聞こえてきた声。誠也達は背後へと視線を向けると、そこには誠也達が屋根に移動するのに使った窓の枠から、酒瓶を片手に赤い顔をした銀子が居た。

 

翔子「ぎ、銀ちゃん(^^;)」

 

誠也「すっかり出来上がってるな(^^;)全く、いろはさんは帰ったってのに、昨日に引き続きまた酒盛りを始めたんだな。」

 

翔子「さっき居間を覗いたけど、さくやちゃんも巻き込まれていたみたい(^^;)」

 

誠也「はぁ~、しょうがない人達だな。」

 

銀子「二人共、そんなトコで何してるの?」

 

アルコールで顔を赤くした銀子が屋根の上にいる誠也達に声をかける。

 

誠也「あ・・・いや、ちょっと・・・ね。」

 

銀子「ちょっと?」

 

誠也「昼間、話したじゃないですか。俺が昔、異世界を巡る旅をしたってこと。」

 

銀子「あ~~、確か誠也くんの事を話してもらった時に聞いたね。それが?」

 

誠也「・・・その異世界を巡る旅で会った人の中に、今の銀子さんと似たような境遇の人が居たな~って思い返していたんです。」

 

銀子「私と・・・似たような境遇?」

 

誠也「ええ、錬金術師のホーエンハイムさんって人なんです。その人はある者のせいで、ホムンクルスって言う不老不死の存在にさせられて、長い年月を一人で生きてきた人だったんです。」

 

誠也はかつて門矢士とのいせかいを巡る旅で行った錬金術師の世界で出会った錬金術師のエルリック兄弟の父親のホーエンハイムの事を話した。ホーエンハイムがフラスコの中の小人(ホムンクルス)によって不老不死の存在であるホムンクルスにさせられた事。自分の不死性のせいで長い年月放浪の旅をしていた事。その旅の途中でエルリック兄弟の母親で有る女性・トリシャ・エルリックにで会った事。トリシャと一緒になり、息子二人を授かったこと。トリシャと共に老いて死ぬための研究をし、その過程でかつて自分をホムンクルスにした者・フラスコの中の小人(ホムンクルス)の野望に気づき、その阻止の旅に出て、その旅の最中に奥さんを亡くした事。フラスコの中の小人(ホムンクルス)の野望を息子達・エルリック兄弟と共に阻止した事などを簡単に話した。

 

翔子「へぇ~、そんな事があったんだ。それで、戦いが終わった後はどうなったの?」

 

誠也「ホーエンハイムさんが「奥さんのお墓が有るリーゼンブルムに帰る」って言って、僕とはやてと士さん、そして夏美さんの四人でついて行ったんだ。ホーエンハイムさん、戦いで自分の中の命を消耗しきっていて、一人で歩けない状態だったから。そして・・・・」

 

誠也は何か大切な事を思い返すようにしてゆっくりと話し始めた。

 

 

士「ここでいいのか?」

 

夜明け前のリゼンブール。

徐々に明るくなり始める時刻、とある人物のお墓の前で門矢 士は、自分の肩を借りて立っている人物に声をかけた。

士に肩を借りている人物の名はヴァン・ホーエンハイム。鋼の錬金術師であるエドワード・エルリックとその弟・アルフォンス・エルリックの実の父親である。

 

ホーエンハイム「ああ、ありがとう・・・ツカサくん、ここまで肩を貸してくれて。・・・・君たちも私を心配して付いて来てくれてありがとう。」

 

そう言ってホーエンハイムは自分の後ろに居る者たち・・・・車椅子の少女・はやてと、はやての車椅子を押している少年・誠也。そして、そんな二人のすぐ横にいる女性・光 夏美に声をかけた。

 

夏美「・・・いいですよ。勝手に付いて来ている様なものですから。」

 

はやて「それに・・・今動けんエド兄ぃとアル兄ぃの代わりにウチらが付いていてあげたいって思って・・・・」

 

誠也「うん・・・・僕らが・・・・エドさんとアルさんの代わりに・・・・見届けるから・・・・」

 

三人はそれぞれホーエンハイムにそう答えたが、その顔は悲しくて今にも泣きそうな顔をしていた。

 

ホーエンハイム「そうか・・・・・二人の代わりにか・・・・ありがとう。」

 

そう言って返事をするホーエンハイム。その時、「ピシリッ!」とホーエンハイムの体から何かが割るような音が響いた。

ホーエンハイムの体は賢者の石と言う物のせいで不老不死の存在である人造人間(ホムンクルス)と言うものにされてしまっていた。

だが彼の体は、先の戦いで自分の中に有る賢者の石の中の命をほとんど使いきってしまい、今は僅かに残っている一人分の命でかろうじて存在している状態であった。

その状態も長くは持たず、その体は刻一刻と死へと向かって行っている状態であった。

 

ホーエンハイムは士の肩から離れると、目の前にある自分の妻・トリシャのお墓の前に膝をついてかがんだ。

 

ホーエンハイム「ただいま・・・トリシャ。エドワードが・・・・親父って呼んでくれたんだ。クソが付いてたんだけどな。」

 

墓標にまるで語りかけるに話すホーエンハイム。「ピシリッ!」とまたホーエンハイムの体から音が響く。

 

ホーエンハイム「人より長く生き続けるなんて、しんどい事ばかりだと思ってた。だけど、君や息子達、そして・・・・こんな俺に付き合ってこんな所まで付き合ってくれる友人達に出会って・・・」

 

そう言って少し後ろを振り向いて誠也達の方を見るホーエンハイム。

 

はやて「おっちゃん・・・・・」

 

誠也「ホーエンハイムさん・・・・」

 

夏美「ホーエンハイムさん・・・」

 

士「・・・・・・・・・・・」

 

ホーエンハイム「生きててよかったと、心から思えるようになった。」

 

ピシリッとまた音が響き、ホーエンハイムの最期の時が刻一刻と迫る。

そんな音とホーエンハイムの声を聞きながら、誠也達は悲しみをこらえて、黙ってホーエンハイムの声を聴き続けた。

 

ホーエンハイム「充実した人生だった。・・・・・そうさ・・・・十分だ。ありがとう・・・トリシャ。」

 

ピシリッ!ピシリッ!!

 

割る音が断続的に続く。

 

ホーエンハイム「ああ・・・でも・・・やっぱり死にたくねえって思っちまう・・・・ホント、俺って、しょうがねえなぁ~・・・・・・」

 

そう言ってホーエンハイムは笑って、そのまま黙り込んでしまった。

そんなホーエンハイムとその背中を見つめ続けた誠也達に、夜明けの朝日の光が当たり、辺りを明るくしだした。

 

誠也「・・・ホーエンハイムさん?」

 

黙り込んだホーエンハイムを不審に思い、その背中を見て居た誠也が声をかけた。そんな時、誠也達の背後から声がかかってきた。

 

???「あんた達、こんな所でどうしたんだい?」

 

声をかけてきたのは年老いた老婆で、ホーエンハイムの古い友人であるピナコ・ロックベルである。

 

夏美「あ、あの・・・・」

 

突然声をかけられて返答に困る夏美。

 

ピナコ「ん?ホーエンハイム?」

 

ピナコは返事に困っている夏美の後ろに、墓前にかがんでいるホーエンハイムの姿を見つけた。

 

ピナコ「なんだい、帰ってたのかい?」

 

ピナコはホーエンハイムに声をかけながら近づいた。

 

ピナコ「ホーエンハイム?・・・っ!」

 

返事をしないホーエンハイムを不審に思い、かがんでいるホーエンハイムを覗き込んだピナコは驚き、一瞬その動きを止めた。

 

ピナコ「・・・・・・・・・・・バカタレが・・・・・・・・・・なんて幸せそうな顔で死んでいるんだい。」

 

誠也達「「「「!」」」」

 

ピナコは目に涙を浮かべながらそう呟いた。

 

愛する妻の墓前で・・・・・・

 

友人と言った誠也達に見守られながら・・・・

 

ヴァン・ホーエンハイムは幸せそうな顔を浮かべて・・・・

 

その長い人生に幕を下ろした。

 

誠也「ホーエンハイムさん・・・・・・うううっ」

 

はやて「おっちゃん・・・・ううううっ」

 

夏美「ホーエンハイムさん・・・・・」

 

士「泣くな・・・三人共。ヴァン・ホーエンハイムはやっと・・・・先に行った友や愛する者の元にやっと行けたんだ。その旅立ちの門出を・・・・涙で送り出してやるな。」

 

夏美「・・・・うん、そうだね。」

 

はやて「・・・・グス・・・・うん、せやな。」

 

誠也「・・・うん、ホーエンハイムさんは・・・・精一杯・・・生きたんだもん・・・だから・・・・涙じゃなくて・・・笑顔で・・・送り出してあげるよ。」

 

そう言って誠也とはやては涙をぬぐい去った後、涙をこらえながらホーエンハイムの亡骸に微笑んで言った。

 

誠也・はやて「「ホーエンハイムさん(おっちゃん)・・・・お疲れ様。」」

 

二人の少年・少女の重なった声が、リゼンブールの朝の空に響いた。

 

 

誠也「・・・・こうして、ホーエンハイムさんの長い人生は幕を下ろしたんだ。」

 

銀子「・・・・確かに・・・・少し似てるね。」

 

誠也の話を聞いて銀子は静かにそう呟いた。

 

銀子「不老不死に近い存在で、長い年月を生きているって所は似てると思うけど・・・・でも似ているのはそれだけ。だってその人は、不老不死の存在でも、ちゃんと自分の居場所を見つけられたんだもん。自分の居場所を見つけられない私とは・・・・・違うよ・・・・」

 

そう言って銀子は寂しそうに微笑んだ。

 

誠也「銀子さん・・・・・・・大丈夫ですよ!銀子さんなら「銀子さんなら自分の居場所、ちゃんと見つけられますよ!」って・・・・孝介さん?」

 

不意に誠也の話し声を遮り響く孝介の声。

声のした方を振り向くと、いつの間にか、銀子の背後に孝介が立っていた。

 

銀子「こうちゃん・・・・やだ、さっきの話し、聞いてたの?」

 

孝介「ええ。」

 

銀子「まったく・・・・盗み聞きなんて良くないよ。」

 

孝介「す、すいません。ちょっと気になる話をしてたんで、そのまま聞き入ってしまって・・・・」

 

バツの悪そうな顔をしながら孝介はそう言った。

 

銀子「それで、さっき言ってくれた事・・・・・ホント?私が居場所を見つけられるって。」

 

孝介「ええ。少なくても俺はそう思ってますよ。」

 

銀子「そっか・・・・じゃあ、孝ちゃんがその居場所になってくれる?」

 

孝介の顔を下から覗き込むようにして銀子はそう呟いた。

 

孝介「・・・えっ?!」

 

銀子「ふふふっ・・・・冗談だよ。さ~て下行って飲み直すか~~。」

 

一瞬、寂しそうな顔をした後、銀子は何事も無かった顔をしながら部屋を出て下の階へと行った。

 

孝介「ぎ、銀子さん?」

 

翔子「銀ちゃん・・・・寂しそうな顔をしてたね。」

 

誠也「・・・・うん。戻ろうか、僕らも。」

 

孝介「そうだな。」

 

そう言って三人共、飲み会をしている1階へと戻って行った。

余談ではあるが酒盛りをした翌日、銀子は二日酔いにかかって起き上がれなくなり、岩永の家に翌日もお世話になるはめになったと言う。

 

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

坂橋圭介(いたばしけいすけ)(次の犠牲者をオシラセシマス)

 

ヴァン・ホーエンハイム(鋼の錬金術師)

 

ピナコ・ロックベル(鋼の錬金術師)

 

 

 



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第13話 小鳥と千絵(前編)

どうも、剣 流星です。
今回の話にはミッシングパーツに出ている一番好きなキャラである鴨居奈々子を出させてもらいました。奈々子の破天荒さがうまく出させたかとちょっと不安です。
では第13話をどうぞ~。


朝霧がまだ出てる早朝の御奈神村。

村の中をトレーニングウェアー姿でジョギングをしている人物がいた。鳴海誠也である。

誠也はこの村に来てからやっていなかった日課のジョギングをすべく、村をぐるりと一周するコースを走っていた。

 

誠也「・・・・そろそろ朝食の支度のために皐月さんが起きてくる時間帯だな・・・・戻るか。」

 

誠也はそう言って軽快な足取りで走って岩永家へと戻る。そして数分もしないうちに誠也の視界に入ってくる岩永家。

 

誠也「ただいま戻りました。」

 

流れる汗を持っているタオルで拭きながら、誠也は岩永家の玄関をくぐる。

 

皐月「・・・お、お帰りなさい。朝早くから精が出るわね・・・あ、痛たたたっ・・・・」

 

玄関をくぐった誠也に、朝食を作るために起きてきた皐月が額に手を当て、具合いが悪そうな声で話しかけてきた。

 

誠也「皐月さん、具合い・・・悪そうですけど大丈夫ですか?」

 

壁に少し寄りかかりながら、台所へと移動をしている皐月を心配し、声をかける誠也。

 

皐月「ええ・・・・大丈夫よ・・・・ちょっと昨夜・・・飲みすぎただけだから・・・・」

 

誠也「そ、そう言えば皐月さん、銀子さんに付き合って最後まで飲んでましたね。(^^;)」

 

誠也は昨夜行われた銀子主催の飲み会の惨状を思い出した。

昨夜、家に連続で泊まることになった銀子が飲み始め、皐月が賛同し、孝介や、昨日から岩永家に泊まる事になったさくやや誠也、翔子を巻き込んで始まった飲み会。

酒が入って絡む銀子に対し、次の日にも学校が有る翔子とさくやはそうそうに切り上げる事ができたのだが、夏休みに入っている孝介や誠也、そして次の日のパートが休みの皐月はそう言う訳には行かなかった。

銀子に付き合わされ、飲まされる孝介と、それに喜んで付き合う皐月。幸い、未成年である誠也は日付が変わる少し前に解放されたので、そのまま寝ることが出来たのだが、お酒が飲める年齢である孝介はそういうわけにも行かなかった。酔っ払い二人、銀子と皐月に付き合わされ、日付が変わっても飲まされ続け、結局飲み会がお開きになったのは、外が薄らと明るくなり始めた時刻であった。

 

誠也(よくもまあ、あれだけ飲めるな~。ザルだね二人は。この二人に付き合わされた孝介さんも災難だったな(^^;)

 

そんな事を考えながら、誠也は目の前で二日酔いに苦しんでいる皐月を見ながら声をかけた。

 

誠也「皐月さん、そんな調子じゃあ朝食の準備なんて無理でしょう?朝食は僕が作りますから、寝ててください。」

 

皐月「え?良いの?本当は遠慮しておく所なんでしょうけど・・・二日酔いが流石にキツイから・・・・お願いできる?」

 

誠也「ええ、任せてください。」

 

皐月「そう?じゃあお願いね。材料は冷蔵庫の中にある物を適当に使って良いから・・・・」

 

そう言って皐月はノロノロと自分の部屋へと戻って行った。

 

誠也「さて、そんじゃ始めますか。天道さん張りの朝食を作ってみんなを驚かせるとしますか!」

 

そう言って誠也は張り切りながら台所へと入って行った。

 

 

誠也「・・・こんなもんか。後は・・・・今だに寝ているであろう一番の寝坊助(さくや)を起こしに行きますか。」

 

朝食を準備し始めて数十分後。朝食のほとんどを作り上げて、後は盛るだけの状態にした誠也。ちなみに朝食のメニユーは、白米、ネギの味噌汁、赤鮭、豆腐のお浸し+玉子がゆ(二日酔いの人用)。健康的な和食の朝食の献立だ。それらを準備した誠也は、今現在この家に居る者の中で一番の寝坊助であろうさくやを起こすために、“ある物を”もってさくやが寝ている部屋へと向かった。

誠也は岩永家の一階に有るさくやにあてがわれた部屋の前まで行くと、おもむろに部屋の扉を叩いて、中で寝ているさくやに声をかけた。

 

誠也「(ドンドンッ!)さくやさーん!朝ですよー!起きてくださーい!!

 

さくや『・・・・・・・・・・・』

 

戸を叩いて、中にいるさくやに声をかける誠也であったが、中に居るであろうさくやからは何の反応がない。

 

誠也「(ドンドンッ!!)さくやさーん!!遅刻しますよー!!」

 

さくや『・・・・・・・・・・・・』

 

更に戸を叩いて叫ぶ誠也、だが中からの反応は無い。

 

誠也「(怒)・・・・・・・さく姉!!いい加減に起きろっ!!!・・・・・・全然起きない。はぁ~・・・・低血圧で朝、起きるのが苦手なのは治ってないみたいだな~。」

 

そう言って誠也はため息を吐いた。誠也はさくやが高校に進学して実家を出て行くまでの間、朝、低血圧で朝に弱いさくやを何回か起こした事があった。

さくやが実家にいた時は、その低血圧のせいで朝、自分で起きたことが無かった。兄である孝介や家が隣である誠也や、誠也の義姉である悠菜に交代で起こされて起きるのがそのほとんどであった。

 

誠也「家を出て、少しは朝が弱いのは治ってると思ったけど・・・・どうやら相変わらずか~。さくやさ~ん!入りますよ~!!」

 

誠也はそう言って、かつて実家にいた時のようにさくやを起こすために部屋の中へと入って行った。

 

さくや「・・・・・う・・・・うーん・・・・・」

 

誠也「・・・・あれだけ騒いだのに、まだ寝てる(^^;)

 

部屋の中のベットで今だに寝こけているさくやを見て呆れる誠也。

 

誠也「・・・・仕方がない。やはり“コレ”を使うしかないか~。」

 

そう言って誠也は、さくやを起こす為に台所から持ってきた物・・・中華鍋とお玉を両手に持って構えた。

 

誠也「それじゃあ、久々に行きますか。ユーノに無限書庫で調べてもらった、どんな寝ぼすけでも起こすことができる技!」

 

誠也はそう言って、手に持っている中華鍋とお玉をぶつけ合わせるように思いっきり振りかぶる。

 

誠也「秘技!死者の目覚め!!起きろおぉおおおおおおおおおお!!」

 

ガンガンガンガンッ!!

 

振りかぶり、ぶつけ合わせたお玉と中華鍋の音が辺り一面にうるさいくらいに響き渡る。

 

さくや「・・・・う・・・・ふあ!」

 

突如響いた音に反応して、上半身をベットから起こすさくや。

 

誠也「やっと起きた。さくやさん!ほら起きて起きて!今日から夏休み中の夏期講習の終わりまで、岩永家(ここ)から学校に通うんでしょう?そろそろ起きないと。」

 

さくや「・・・・・う・・・・・・・ああ・・・・・・・」

 

ベットから上半身を起こしても、完全に覚醒していないせいか、意識がはっきりとしていないさくや。その顔は呆けた顔をしていて、普段の彼女のクールビューティーな面影は微塵もない。

 

誠也「ほら、まずは顔を洗って目を覚ましてきて。」

 

さくや「・・・・・(コクン)・・・・・・・・・」

 

誠也に言われて首を縦に振って返事をした後、のそのそとベットから出るさくや。そしてそのままフラフラとした足取りで、あちこちに体や頭をぶつけながら洗面所へと向かった。

 

誠也「・・・大丈夫かな~(^^;)」

 

そんな様子を見て少し心配になる誠也。

 

誠也「まあ、顔でも洗えば少しは目が覚めるでしょう。さて、作った朝食をよそわないと。」

 

 

誠也・翔子・孝介・さくや「「「「いただきます!」」」」

 

皐月・銀子「「い・・・いただきます・・・」

 

元気な声と、元気のない声が響く岩永家の居間。

 

誠也の作った朝食を食べるために一斉に挨拶をした後、食事を始める翔子たち。

 

さくや「ん~~♪相変わらず誠也くんのご飯は美味しいわね~♪」

 

孝介「ホントだよな。この豆腐のお浸しなんてサイコーだよな。」

 

翔子「前にお昼作ってもらた時もそうだけど、ホント、美味しい。ちょっと悔しいぐらい・・・」

 

銀子「あ~~、二日酔いで弱った胃に玉子粥がしみる~。」

 

皐月「ホント、優しい味がするわね~。」

 

誠也「うん、いい出来だ、美味い(自画自賛)」

 

誠也の作った朝食にそれぞれが感想を言う。(一人自画自賛をしているが・・・)

 

誠也「あ、そうだ。はい翔子。」

 

朝食を食べている最中、何かを思い出し、食事を中断して翔子に包に包まれた物と水筒を差し出す誠也。

 

翔子「え?あ、お弁当!誠也くんが作ってくれたの?」

 

誠也「うん、朝食のついでにね。中身はネギ塩だれ・昆布の佃煮とチーズ・豚肉のニンニク蜂蜜漬けのおにぎりが入っているから。」

 

翔子「この水筒は?」

 

誠也「ほうじ茶だよ。」

 

孝介「へ~、結構手の込んだおにぎりを作ったんだな~」

 

翔子「ホント、手が込んでる・・・・誠也くん、ありがとう。」

 

誠也「良いって。」

 

さくや「あ、いけない。そろそろ行かないと。」

 

朝食を食べ終わったさくやが時計を見て、そろそろ時間だと言って立ち上がる。

 

さくや「じゃあ行ってきます。」

 

孝介・誠也・皐月・銀子「「「「行ってらっしゃ。」」」」

 

孝介と誠也に見送られ、岩永の家を出て行くさくや。

 

翔子「わたしもそろそろ行こう。」

 

出て行ったさくやを見て、翔子も学校に行くべく立ち上がった。

 

誠也「もう行くの?」

 

翔子「うん、少し早めに行こうと思って。誠也くんはこの後は?」

 

誠也「かなでの事もあるし、後片付けが終わったら、孝介さんと銀子さんを連れて向こうに行こうと思う。二人にラボを見せなきゃならないしね。」

 

この後の予定を側にいる皐月に聞こえないようにして話す誠也。

 

翔子「そっか、私は学校が有って行けないから、代わりに霞ちゃん達によろしく言っておいて。」

 

誠也「分かった。」

 

翔子「お願いね。じゃあ行ってきます。」

 

そう言って翔子は岩永家を出て行った。

 

誠也「さてと、じゃあ後片付けをしますか。」

 

そう言ってテーブルの上に置いてある食器を片付け始める誠也。

 

皐月「あ、待って。後片付けは私がしておくから。誠也くんはシャワーを浴びてらっしゃい。ジョギングから帰ってきてそのままでしょう?」

 

誠也「え?いいんですか?具合悪いんじゃ・・・・」

 

皐月「大丈夫、だいぶ良くなったから。」

 

誠也「そうですか。じゃあお言葉に甘えて、シャワーお借りします。」

 

そう言って誠也はお風呂場へと向かい、皐月は後片付けをし始ね、孝介と銀子はそれを手伝った。

 

それから数十分後。

 

誠也「ふ~、さっぱりした~。」

 

ジャワーを浴びて来た誠也が居間に戻ると、孝介と銀子が食休みをしながらテレビを見ていた。

 

誠也「あれ?皐月さんは?」

 

孝介「まだ具合が悪いから寝るって。それより誠也、さっき俺たちを連れて向こうに戻るって言ってたな?」

 

孝介は、先ほど誠也が翔子と話していた内容に自分の名前が出てきていた事について誠也に聞いてみた。

 

誠也「ええ。僕らが使っているラボを見てもらおうと思って。」

 

孝介「ラボ?それは「ごめんください!」って・・・え?今の声は・・・いろは?」

 

突然聞こえてきたいろはの声を聞超えてきたので、誠也達は話しを中断して、声が聞こえてきた玄関へと向かった。

 

孝介「いろはじゃないか。どうしたんだ?」

 

玄関には巫女服を来たいろはと、そして同じ巫女服を着て、手にスイカを持った女性が立っていた。

 

誠也「あれ?いろはさんじゃないですか。それと・・・・隣にいるのは確か・・・始めて春日神社に行った時に会った・・・」

 

誠也はいろはの隣にいる巫女服の女性が、始めて春日神社に行った時にいろはが何処にいるかを教えてくれた巫女さんと同じ人だと気づく。

 

いろは「あ、そっか、誠也くんには朱音(あかね)さんの事は教えてなかったね。こちら、南戸 朱音(みなと あかね)さん、春日神社(うち)で巫女さんをやってもらってるの。」

 

朱音「南戸 朱音(みなと あかね)です。よろしくお願いします。」

 

誠也「あ、ご丁寧にどうも・・・」

 

朱音に丁寧に挨拶をされ、つられて丁寧に返事を返す誠也。

 

孝介「所でいろは、今日はどうしたんだ?」

 

いろは「あ、そうそう、実はね、神社の境内を掃除していたとき、こんな物を拾ったの。」

 

そう言っていろはは手を差し出して、握っていたものを誠也達に見せた。

 

誠也「あっ!」

 

いろはが差し出した手の平にのっていたものは、あの夜、例の熊のゾンビ・・・山童に襲われた時、誠也達を逃がすために戦った、誠也のプラモンスターのガルーダ・ユニコーン・クラーケンの指輪だった。

 

誠也(そう言えば、あの夜、魔力切れで消えた後、そのままだった(^^;)

 

いろは「落ちてた場所が話に聞いてた、ちょうど孝介達が例の熊に襲われた場所だったからもしかしてって思って持ってきたんだけど、これ・・・ひょっとして誠也くんの?」

 

指輪を見て反応を見せた誠也に、いろはが誠也の物なのかと聞いきた。

 

誠也「え、ええ・・・あの夜落としてしまって、いや~拾っておいてくれたんですね、ありがとうございます。」

 

そう言って誠也はいろはが差し出している指輪を受け取った。

 

いろは「後それと、スイカ貰ったからおすそ分け。皐月さんに渡しておいて。」

 

朱音「どうぞです。」

 

そう言って朱音が手に持っているスイカを差し出した。

 

孝介「おう、わかった。渡しておくよ。」

 

そう言って孝介は差し出されたスイカを受け取った。

 

誠也「美味しそうですね。冷蔵庫に入れて冷やしておき「~♪~♪」ってあ、俺の携帯・・・誰からだ?」

 

突如なりだした自分の携帯の着信音を聞き、携帯を取り出す誠也。

 

誠也「え~っと・・・・相手は・・・・うっ!」

 

携帯のディスプレイに表示されているかかって来た相手の名前を見て一瞬固まる誠也。

ディスプレイに表示されている名前は鴨居 奈々子(かもい ななこ)。誠也と同じ学校に通っている誠也のクラスメイトである。

 

誠也「な、なんの用だ?あいつ・・・・また、変なこと言い出さなきゃいいけど・・・」

 

そう言って誠也は携帯を通話状態にして自分の耳に恐る恐る当てた。

 

誠也「もしもし、俺だけど。一体なんの『あー!やっと出たー!!』って携帯越しに大声を出すな!!!」

 

携帯から聞こえてきた元気な大きな女の子の声に対して怒った声を出す誠也。

 

奈々子『もー!二代目出るのおっそーい!!』

 

誠也「奈々子!二代目言うなと言ってるだろうが!!その言い方だと頭に「ヤ」がつく職業の二代目みたいに聞こえるだろうが!!」

 

奈々子『えー!だって二代目って探偵事務所の二代目になるんでしょう?だったら二代目じゃん!』

 

誠也「あのな!確かに将来的には父さんの「鳴海探偵事務所」を受け継ごうと思っているけど、今は見習いで、正式には受け継いでいないから二代目じゃあ『あ!奈々子ね、夏休みの間ね、バイトすることにしたんだよ』って人の話を聞けえええええええええっ!」

 

誠也の話を無視して違う話をし始める我が道を行く奈々子。

 

奈々子『奈々子の叔父さんが経営しているネットカフェなんだよ。ほら、とおば東通り沿いにあるやつ。』

 

誠也「はぁ~、そのまま話を強引に変えて話をし始めるか?」

 

奈々子『ん?なに?』

 

誠也「もういい・・・それで、ネットカフェでアルバイトするって?」

 

奈々子『うん、「サイバリア」って所なんだけどね。それで二代目も夏休みの間、アルバイトするんだよね。』

 

誠也「あ、ああ。そうだけど。」

 

奈々子『京香さんから聞いたんだけど、孝ちゃんの生まれ故郷の村のお祭りの準備のお手伝いなんだよね。』

 

誠也「そうだが?」

 

奈々子『その村、過疎化が進んで若い人の人手が足らないんだよね。もし人手が足りないんだったら、奈々子、「サイバリヤ」のアルバイト止めて、そっちに手伝いに行こうか?』

 

誠也「なっ!来るな!来ないでくれっ!!頼むから!!」

 

奈々子『えーっ!なんでーっ!人手足りないんでしょう?』

 

誠也「い、いや・・・ほら、いきなりアルバイトやめられるとお前の叔父さんも困るだろう?それに人手ならなんとかなったから。」

 

奈々子『あ、そうなの?なんだー、じゃあ大丈夫なんだね。』

 

誠也「ああ。大丈夫だ。」

 

奈々子『そっかー。あっ!もうそろそろバイトに行く時間だ!遅れちゃうから切るね!じゃあね!!』

 

一方的に喋って切れる奈々子からの携帯。

 

誠也「はぁ~・・・・朝から疲れるな~。」

 

携帯を耳から話しながら深い溜息を吐く誠也。

 

孝介「おい、電話の相手って・・・・」

 

誠也「ええ、奈々子でした。「人手が足りないんだったら、こっちに来て手伝おうか?」って言ってました。」

 

孝介「げっ!お、お前!まさか!!「ちゃんと断りましたよ」そ、そうか・・・よくやった。」

 

誠也「あんな破壊マシン、この村に来させたら何しでかすか分からないですからね。」

 

孝介「・・・確かに。ヘタをすると、御奈神村が壊滅しかねないからな。」

 

誠也「・・・ええ。」

 

孝介・誠也「「はぁ~・・・」」

 

奈々子の話をした後、一斉に溜息を吐く誠也と孝介。

 

いろは「・・・・ねえ、さっきから聞いてたけど、その「奈々子」って子、どんな子なの?こっちに手伝いに来たいって言ってるみたいなこと言ってたけど・・・」

 

誠也「いや!バイトには向いてません!全然向いてません!!手伝いに来ても足を引っ張るだけです!!」

 

孝介「そ、そうだ!全然向いてないから!!むしろ来させないでくれ!!下手に呼び込むと村が壊滅する!!」

 

必死になって言い訳をする誠也と孝介。と言うか、鴨居奈々子と言う人物を知って居る者なら正常な判断だ。

 

いろは「え?あ・・・・・うん、わかった。(む、村が壊滅するって・・・一体どんな子なの(^^;)」

 

必死な言い訳をする誠也達に気圧されて、思わず返事をするいろは。

 

孝介「さあ、もらったスイカを冷蔵庫に入れないとな。あ、いろは達も上がれよ。お茶ぐらい出すぞ。」

 

いろは「あ、・・・うん。」

 

返事をしたいろはを見た後、もらったスイカを手にして奥に引っ込む孝介と誠也。

 

朱音「いろはさん・・・・孝介さん達があんなにまで来させたがらない「奈々子」って子て・・・一体どんな子なんでしょうかね(^^;)」

 

いろは「さあ(^^;・・・ちょっと怖いもの見たさで、見てみたい気もしますね。」

 

そんな、ちょっと不吉な事を口にしながら、誠也と孝介の後を追って、岩永家の中に入っていくいろはと朱音であった。

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

鴨居 奈々子(かもい ななこ)Missing Pars(ミッシング パーツ))

 

南戸 朱音(みなと あかね)(黄昏のシンセミア)

 




今年の更新はこれで終わりです。皆さん、良いお年を!


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第14話 小鳥と千絵(中編)

どうも、新年あけましておめでとうございます。
今年度もこんな駄文の作品ですけど、どうぞよろしくお願いします。
では第14話をどうぞ。


王季『・・・なるほど、つまりその「鎮死剤」と言うその薬が無いと、昨日お前が助けた「かなで」と言う少女が死んでしまうと。』

 

誠也「うん、そうなんだ。そこで乃木坂家メイド隊十傑衆の宗像 理緒(むなかた りお)さんの力を借りたいんです。カナリアだけじゃあ負担も大きいし、時間もかかると思うんで。」

 

そう言って、誠也は携帯の向こうに居る相手に話した。

翔子を送り出した後の岩永家の誠也達。その部屋の中で、今現在、誠也は携帯で自分の祖父・乃木坂 王季と話していた。

誠也は昨日、誠也がのした自衛隊員の事がどうなったかを聞くために祖父である王季に電話をしたのである。また、ついでに昨日、かなでから聞いた事を話し、その時出てきた「鎮死剤」の複製の事で、カナリアだけでは負担が大きいと思い、助っ人として乃木坂家メイド隊十傑衆の化学部門担当の宗像 理緒の協力が得られないかを話した。

 

王季『う~ん・・・・宗像くんは自分の研究以外のことには興味が薄いから頼んでも渋ると思うんじゃが・・・・まあ、人の命もかかっているじゃろうし、なんとか引き受けてくれるじゃろう。話しはワシの方からしておく。』

 

誠也「あ、ありがとう。後、昨日の自衛隊員の事なんだけど・・・・」

 

王季『ああ、お前から連絡を受けた後、すぐにワシの部下に行かせて後処理をしておいたぞ。動けなくなっている者達は一時的に乃木坂グループ(ウチ)の息がかかった施設に収納したぞ。ただ・・・おかしな縛られ方をしていた隊員の中に変な反応をした者がいたそうじゃ。』

 

誠也「変な反応?」

 

王季『ああ、縛られた縄を解こうとしたら「このままで良い!って言うか、もっときつく縛って~~♡」と叫んでいた者がいたそうじゃ。』

 

誠也「え、え~と・・・・(それってもしかして、霞に亀甲縛りされた連中だよな(^^;どうやら完全にあっちの世界への扉を開いちゃったみたいだな・・・))

 

王季『ん?どうした?』

 

自分の妹によってアッチの世界への扉を開いてしまった自衛隊員の事を考えて押し黙った誠也を不審に思い声をかける王季。

 

誠也「あ、いや・・・・何でも無いよ。」

 

誠也は心の中で霞のせいで新しい世界への扉を開いてしまった自衛隊員に合掌しながら王季の声に返事をした。

 

誠也「それより、あの自衛隊員がどうしてあんな事をしたのか調べてくれたんだよね、何かわかった?」

 

王季『ああ、防衛庁にいるワシの友人に聞いてみたんじゃが、どうやら防衛庁にはそんな話は来ていないそうじゃ。その友人は信用できる者じゃからその情報はまず間違いない。』

 

誠也「そうなんだ。じゃあ一体誰があの隊を動かしたんだろう。」

 

王季『その事なんだが、どうやらあの隊が所属している基地司令の独断でやった事だそうじゃ』

 

誠也「独断?」

 

王季『そうじゃ。捕まえた隊の隊長に聞いたら「基地司令からの命令で凶悪な少女のテロリストが出た」と言われ、その確保、または処理を行うことを命令されたと言っておったそうだ。』

 

誠也「独断で・・・・その司令官、怪しいな・・・ひょっとしたらかなで達を捕らえていた組織と繋がりがあるのかも。」

 

王季『多分そうじゃろうが、それを調べるのには時間が相当かかるじゃろうな。なんせその本人は死んどるんじゃからの。』

 

誠也「なっ!死んでる?!どういう事なの?!」

 

王季『ワシの話しを聞いて、防衛庁にいるワシの友人がその基地の司令に問い合わせて見たのじゃが、連絡がつかず、不審に思ってその基地に今日の朝早くに行ってみたら、司令室で死体で発見されたそうじゃ。』

 

誠也「死体で発見された・・・・口封じ・・・か。」

 

王季『ああ、多分そうじゃろうな。まあ兎に角、引き続き調査をしておくから、何か分かったら知らせる。』

 

誠也「うん、ありがとう。お願いね。」

 

王季『なんのなんの。お、そうそう。所で誠也、近々「春香」の誕生日が近いと言うことは知っておるな。』

 

誠也「え?もちろん知ってるけど。今年はどこでするの?去年みたいに乃木坂邸で行うの?」

 

王季『いや、今年は玄冬のやつが春香の誕生日プレゼントとして贈る予定の島で行うそうじゃ。』

 

誠也「はあ!?プレゼントに・・・島を?!」

 

誠也は王季から聞いた叔父の自分の娘であり、誠也の従姉妹である春香のプレゼントの内容を聞いて驚きの声をあげた。

 

王季『うん?なにそんなに驚いているんじゃ?』

 

誠也「あ、いや・・・・別に・・・(相変わらず乃木坂家の人達のプレゼントの感覚はどっかズレてるな(^^;))

 

誠也は乃木坂家の人々のプレゼントに対しての感覚が相変わらずズレているな~と思った。

 

誠也(去年も僕の誕生日プレゼントにマンション丸ごと一軒を贈ろうとしたし、京香姉さんの時は、戦闘機も買える色が黒いカードを贈ろうとしたもんな~(^^;)

 

王季『誠也?どうした?また黙り込んで?』

 

誠也「あ、いや、なんでも無いよ。」

 

王季『そうか、当日は迎えの者が行くと思うから、その時、プレゼントは忘れずに持って来るのだぞ。』

 

誠也「うん、分かったよ。じゃあそろそろ切るね。」

 

王季『うむ、じゃあまたの。』

 

誠也「うん、また。」

 

そう言って誠也は携帯を切った。

 

銀子「お話し終わった?」

 

誠也の話しが終わるのを見計らったかのように、部屋の外で待っていた銀子が部屋の中へと入って来た。

 

誠也「ええ、終わりましたよ。」

 

銀子「それじゃあ、昨日話した約束を守ってもらうために、早速“石”が有る所まで案内してもらえる?」

 

銀子は昨日、石を渡してもらう代わりに、誠也に自分の事を話したのである。自分が外の世界から来た異世界人である事、800年以上も昔から生きていると言うことなど、色々と話したのである。

昨夜、銀子は誠也との約束を果たしたので、今日は約束である“石”を渡すことを守る番である。

 

誠也「仕方ありません。石がある場所に案内します。」

 

そう言って誠也は部屋を出て玄関へと向かい、それに付いて行くように銀子も続いた。

 

孝介「あれ?誠也、銀子さんと出かけるのか?」

 

居間に居た孝介が玄関に行く途中の誠也に話しかけてきた。

 

誠也「ええ、昨日した銀子さんとの約束を守るために、ちょっと銀子さんを連れて向こうに戻ります。」

 

そう言って、誠也は居間でテレビを見ながらお茶を飲んでいる孝介に返事をした。既にパートに出かけているのか、皐月の姿は無かった。

 

孝介「昨日銀子さんとしてた例の約束の事だな。わかった、俺はこっちに残って留守番をしてるから、後の事は俺に任せて行ってこい。」

 

誠也「あ、残ってくれるんですか?すいません、本来なら孝介さんにも一緒に来てもらうはずでしたのに、なんだか留守番を押し付ける形になっちゃんって。」

 

孝介「構わないさ。それに、昨日助けた例のかなでって子の事もあるだろう?人助けなんだから、気にせず行ってこい。」

 

誠也「はい、それじゃあお願いします。」

 

銀子「それじゃあ孝ちゃん、あとお願いね♪」

 

そう言って居間に居た孝介に言った後、誠也と銀子は玄関で靴を履き替えた後、庭に出て人目がつかない庭の隅へと移動した。

 

誠也「それじゃあテレポートリングを使いますから、銀子さんは僕の肩に手を置いて掴んでください。」

 

銀子「こう?」

 

そう言っておずおずと誠也の肩に手を置く銀子。

 

誠也「じゃあ行きますよ。」

 

そう言って誠也は右手にしたテレポートリングをベルトのバックルにかざした。

 

電子音声『テレポート!プリーズ!』

 

辺りに電子音声が響くと同時に、誠也と銀子の体が光った瞬間、二人の姿はその場から消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナリヤ『・・・助けるにしても、やっぱり一人をコールドスリープさせるとして、もう一人のコールドスリープ装置の複製を作成する間の分の「鎮死剤」は確実に必要ね。』

 

誠也「・・・・・・・////」

 

かなで「はい。だとすると、やっぱりあなたが薬の包装の番号から探した例の工場に言って「鎮死剤」を取ってくる以外方法は無いわね。」

 

霞「・・・・・(^^;」

 

誠也「・・・・ねえ、どうでもいいけど・・・かなで・・・さん、そろそろ放してくれないかな?色々と当たってるんだけど////」

 

かなで「「当たってる」じゃなくて「当ててる」の♡迷惑?」

 

そう言ってさらに「ぎゅっ」と抱きつき、誠也に自分の胸を当てるかなで。

 

誠也「あ、や、やめて、それ以上抱きつくと(胸が、胸の感触が~~~)//////」

 

自分の腕に抱きつきながらカナリヤと話しているかなでに対して必死に自分の腕に感じる柔らかい感触と戦いながら、誠也はかなでに対して言った。

ここはラボの地下一階にある大テーブルのある部屋。その部屋で誠也、カナリヤ、霞そして・・・誠也の腕にしがみついてご機嫌な顔をしているかなでが居た。

 

なぜこんな状況になっているかというと、銀子を連れて来た誠也は当初、銀子に例の石を渡すのをラボの中で待ってもらって、その間、先にかなでの魔女仲間の事について霞やカナリヤ達と話そうとしていた。

だが、ラボに入っていきなり待っていたのは、いきなり自分にいきなり抱きついてくるかなでであった。

抱きつくかなでに困惑しながらも、誠也は連れて来た銀子の事をカナリヤ達に説明し、銀子に石を渡すのを少し待ってもらい、当初の予定通りに会議を始めて今の状態に至るというわけである。

 

銀子「あらあら誠也くん、モテモテね♪」

 

そんな誠也を見てニヤニヤしながら見ている銀子。そんな銀子の側で、かなでの豹変ぶりを見て困惑したいるカナリヤは、昨夜一緒にいた霞に事情を聞いた。

 

カナリヤ『・・・・ねえ、霞。彼女、一体どうしたの?』

 

霞「あ、え~とね・・・どうやら、かなでちゃん・・・お兄ちゃんの事好きになっちゃったみたいなんだよね(^^;」

 

カナリヤの質問に対して霞は誠也に聞こえないよう声を潜めて答えた。

 

カナリヤ『えっ!?好きになっちゃった?!』

 

霞「うん・・・・昨夜、お兄ちゃんの携帯に電話をした後、お兄ちゃんの事をいっぱい聞かれたの。「彼女は居ないの?」とか「好みのタイプは?」とか「何が好きなのか?」とか色々。」

 

カナリヤ『な、なるほどね~。まあ好きになっちゃっても仕方がないかもね。自分がピンチの時に颯爽と現れて助けに来たんだもん。彼女にとっては誠也はヒーローか白馬の王子様って所かもね。」

 

霞「そうだね。ただ・・・・今後、こんな今の状態のお兄ちゃんをはやてちゃんが見たら・・・修羅場確定だね(^^;」

 

カナリヤ『そ、そうね。(^^;あの子も誠也には気があるみたいだもんね。』

 

誠也とかなでのやり取りを見ながら、少し困った顔をする二人。

 

誠也「と、兎に角、いったん離れてください。かなでさん「かなで」ってえっ?」

 

かなで「「かなで」で良いよ、呼び捨てで。敬語もいいから」

 

誠也「あ、いやでも、年上の人を呼び捨てにするのは「かなでって呼んでくれなきゃ離れないからね」って分かったよ「かなで」」

 

かなで「うん♪それでいいよ~♪じゃあ離れてあげるね、ちょと名残惜しいけど・・・」

 

そう言ってかなでは誠也の腕から手を離して自分の席に座った。

 

誠也「はぁ~、っとそれじゃ会議を始めるよ。」

 

そう言って誠也は会議を始めた。

話の内容は昨日霞に話していたかなで以外の魔女の仲間である二人についてである。

かなでは一緒に逃げてきた仲間である魔女の仲間である小鳥と千絵を助けたいと昨夜霞に話した。

その事を聞いた霞はその事を携帯で誠也に話した後、ラボでコールドスリープ装置の準備と青い石の分析をしていたカナリヤに話した。

カナリヤもその事を聞いて、空いているもう片方の装置を使うことを良いと言った。だが、そうなると、必然的に問題になるのは誰が装置に入るかということである。

 

元々、かなで達がコールドスリープ装置に入るのは、切れかかっている「鎮死剤」の複製ができるまでの時間稼ぎのためである。だが、コールドスリープ装置は2台、コールドスリープ装置に入る必要がある魔女の少女は3人、実質的に一人、コールドスリープ装置に入れないのである。そこでカナリヤはコールドスリープ装置を新たに作る事にした。コールトスリープ装置はカナリヤが作ったものであり、その設計図も有る。だがそれでも制作には一ヶ月かかる。いくら「鎮死剤」を作る半年より短いとは言っても一ヶ月、鎮死剤が足りなくなるのは目に見えている。そこでカナリヤは、コールドスリープ装置ができるまでの間の一人分の鎮死剤を何処からか手に入れられないか調べてみたのである。

 

カナリヤ『ドレスデン製薬の高山工場・・・・・そこに行けば「鎮死剤」は手に入るでしょうけど、確実に待ち伏せせれているわね。調べる際に、一応IPを偽装して海外の匿名のプロクシを経由したとは言え、「鎮死剤」について調べられたと言うことは、確実に相手に知られらわね。』

 

かなで「・・・つまり、確実に網を張られているって事よね。」

 

霞「でも行って薬を取って来ないと確実に薬が足りなくなるんだよね。」

 

カナリヤ『ええ。さて、どうしたものかしらね・・・・』

 

そうカナリヤが言った後部屋の中は沈黙が支配した。

 

誠也「・・・・ふぅ~、黙って考え込んでても仕方がないな、取りあえず先に銀子さんに例の「石」を渡しておくか~。カナリヤ、例の「石」どこにあるの?」

 

カナリヤ『えっ?あ、あの石だったら解析が済んだから、今ちょうど私が持っているわよ、今出すわね。」

 

そう言ってカナリヤの体が光を発すると、カナリヤのいる席の前のテーブルの上に例の「青い石」が現れた。

 

銀子「あっ!石!!」

 

そう言って銀子はテーブルの上にある石に近づくと、何処からか青白く光る羽衣を取り出ると、青い石に当てた。すると青い石はまるで溶けるようにして羽衣に吸収されて消えてしまった。

 

誠也「き、消えた・・・・」

 

霞「どうなって・・・・」

 

目の前で置いた出来事に驚く誠也達。

 

カナリヤ『・・・・銀子さん、その羽衣・・・・あの青い石と同じ、ナノマシンで出来ているわね。』

 

目の前で銀子がした事に少し驚きながらもカナリヤは石の事について銀子に話しを聞こうとした。

 

銀子「あら、よく知っているわね。石を調べてわかったのかしら。」

 

カナリヤ『ええ、あの青い石を解析してね。あの石がナノマシンの集合体である事も、そして、本来あのナノマシンは宿主の命を守るための保護機能を有しているってこともね。』

 

誠也「保護機能?」

 

カナリヤ『ええ、保護機能。本来なら宿主のケガなどを瞬時に治す物なのよ。』

 

誠也「そうなのか・・・うん?ならこの前会ったあの熊ゾンビは・・・・」

 

カナリヤ『多分その保護機能が不完全に作動したため、あんな姿になってしまったんだと思うわ。』

 

銀子「・・・すごいわね、そこまで言い当てるなんて・・・確かにあの熊のあの姿は、羽衣の機能が不完全だったためにあんな姿になってしまったの。」

 

誠也「じゃあ、あの熊ゾンビの正体は・・・・」

 

銀子「ええ、春先に村に降りてきて、撃ち殺された熊の成れの果てよ・・・・羽衣を体内に蓄積させてしまったために、死にきれなくなってしまったのね・・・」

 

そう言って辛そうな顔をする銀子。

 

誠也「死ぬことができず、あんな姿になって生かされ続けるなんて・・・・まるで生き地獄だな。」

 

銀子「ええ。だから私はあんなことが起きないように、羽衣を回収し続けているの。」

 

霞「・・・・・ねえ、お兄ちゃん・・・話し込むのもいいけど、そろそろかなでちゃんの仲間の子達の事、どうするか結論出さないと。」

 

誠也「あ、ゴメン。そうだな。結論から言うその子達を助けるためにはやっぱり薬を手に入れる以外ない。でも、そうなると、薬を手に入れるには工場に行って薬をとってくる意外方法は無いな。なら、薬を取りに行くしかないけど、そうなると必然的に工場に待ち伏せしている刺客と衝突するのは避けられない。なら、刺客との戦闘を覚悟して取りに行くしかないな。」

 

カナリヤ『ええ、じゃあ話しをまとめるわよ。一人はこのまま空いているコールドスリープ装置に入ってもらって、残った子は、新しく作られるコールドスリープ装置が完成するまでの間を、薬が作られている工場から取ってきた薬で持たせてもらう。コールドスリープ装置は設計図もあるから、「鎮死剤」の複製よりも早く出来るはずだから必要な薬の分量は装置ができ上がるまでの一ヶ月分。』

 

誠也「それだけの分の「薬」を例の工場から取ってくるって事で良いなみんな。」

 

誠也の声に一斉に頷く霞達。

 

誠也「良し!じゃあ早速、小鳥と千絵って子達を迎えに行こう。かなで、道案内を頼む。」

 

かなで「ええ、任せて。」

 

そう言って誠也とかなでは席を立った。

 

銀子「じゃあ私はここで誠也くんが帰ってくるのを待つわね。誠也くんの妹さんとお話もしてみたいしね。」

 

誠也「すいません、戻ったら御奈神村に送り届けるので、ここで霞と話しながら待っててください。霞、銀子さんの話し相手になってあげてくれ。」

 

霞「うん、わかったよ。」

 

かなで「じゃあ早速行こう♪」

 

そう言って再び誠也の腕に抱きつくかなで。

 

誠也「また抱きつかないでくださいよ/////」

 

かなで「イイじゃない。減るもんじゃないし♡」

 

誠也「いや、減るとかそう言うことじゃなくて・・・・」

 

そう言って誠也はかなでに腕を抱きつかれたまま部屋を出て行った。

 

霞「・・・・大丈夫かな(^^;」

 

カナリヤ『ちょっと・・・・不安ね(^^;」

 

出て行った二人の様子を見ながら少し心配になる二人であった。

 

つづく

 



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第15話 小鳥と千絵(後編)

どうも、剣 流星です。
この前、ニコ動に自分の好きな「クロスボーンガンダム」の手書きの動画が有ると聞き、見てみたのですが・・・・なにこれ?この出来でプロでは無いって・・・凄すぎるんですけど!
もし興味がある方は、一度見てみてください。
では第15話をどうぞ。


うっそうと茂る森の中を、誠也は腕をかなでに抱きつかれながら歩いていた。

誠也は今、かなでと同じ魔女の仲間である二人の人物、小鳥と千絵が潜伏している山小屋へと向かっている最中である。

 

誠也「・・・随分と森の奥にあるんだな、例の二人がいる小屋は。」

 

かなで「ええ、身を隠すなら人があまり来ない所の方がいいからね。」

 

誠也「所で・・・あの~~いい加減離してくれない?歩きづらいんだけど・・・・・それに暑いでしょう?」

 

そう言って、ラボを出てからずっと自分の腕に抱きついているかなでに離れるように言った

 

かなで「え?別に暑くないよ。それに道が悪いからこうやって二人で支えあって歩かないと危ないでしょう?」

 

誠也「いや・・・抱きついて歩いたほうがかえって危ないんじゃ・・・・」

 

こんなふうにラボを出てから誠也はかなでと会話をしながら歩いていた。そんな二人の耳に、ふと・・・何者かの大きな声が耳に入って来た。

 

 

???「そんなのイヤだよ!私、千絵ちゃんを犠牲にしてまで生きながらえたくなんてないよ!!」

 

誠也「ん?今の声・・・・・・」

 

かなで「小鳥の声だ!」

 

声が聞こえてきた方向を見た二人は、顔を見合わせると、声のした方向へと走り出した。

 

 

 

 

 

 

小鳥「そんなのイヤだよ!私、千絵ちゃんを犠牲にしてまで生きながらえたくなんてないよ!!」

 

山小屋の中、魔女の少女・鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)は目の前にいる同じ魔女の少女・千絵に叫んだ。

 

千絵「聞いて小鳥、このまま二人で薬を使って行っても4日しか生きられない。けど私の分の薬をあなたが使えば一週間後のあなたの誕生日まで生きられる。」

 

小鳥「私の・・・誕生日?」

 

千絵「そう、そしたら小鳥は16歳になれる。16歳になったら・・・その気になれば結婚だってできるんだよ?だから・・・」

 

小鳥「それだったら、私じゃなくて千絵ちゃんでも!」

 

千絵「私の誕生日はあなたの誕生日のさらに一週間後だもん、薬が足らないよ・・・だから・・・」

 

小鳥「確かにそうかもしれない・・けど・・・・」

 

千絵「小鳥・・・私の分まで生きて、そして「そう簡単にあきらめないで!」って・・・え?」

 

突如響いた声に驚き、小鳥と千絵は反射的に声がした部屋の入口の方に振り向いた。

 

かなで「大丈夫、二人共ちゃんと生き残る方法は有るから。」

 

小鳥「かなで・・・ちゃん?」

 

千絵「かなで・・・なの?」

 

部屋の戸を開けて部屋の入口で佇むかなでを小鳥と千絵は驚きの顔で見た。

 

千絵「かなで・・・・あなた、奴らに捕まったんじゃ・・・・」

 

小鳥「そ、そうだよ。なんでここに・・・もしかして逃げてきたの?」

 

二人の魔女の少女は、かなでが自衛隊員に捕まり、車に乗せられる所を目撃していたので、かなでがすでに研究所に移送され、処分されていると思っていた。

 

かなで「逃げてきたと言うか・・・・助けられたのよ、この人に。」

 

そう言ってかなでは後ろにいる誠也を促して前に出させる。

 

誠也「鳴海誠也だ。小鳥さんと千絵さんでしたよね。君たちの事情はかなでから聞いてます。」

 

小鳥「あ、どうも。」

 

千絵「どうも・・・です・・・ってこの人に助けられた?いや、それよりもかなで、さっき二人共助かる方法があるって言ってたけど・・・」

 

かなで「ええ、有るわよ。今日来たのは、その話を二人にするために来たんだけど、バカな事をする前にこれてよかったわ。さっきの会話を聞いてたけど、どうやら千絵、あなた小鳥のために死ぬ気だったみたいね。」

 

千絵「うっ!・・・・・し、仕方がなかったのよ。そうする意外、小鳥を誕生日まで生かしてあげる方法がなかったんだもん・・・」

 

かなで「誕生日?」

 

小鳥「私の誕生日、一週間後なんです。けど、誕生日を迎えるには薬が足らなくて・・・・」

 

かなで「なるほどね、けどなんで誕生日なの?」

 

誠也「・・・聞いたことがある、人は病で死を目前にすると、誕生日を生きる目標にする時があるって。」

 

かなで「それで、誕生日が近い小鳥を代表として生き残らせようとして・・・・けど、そんな心配しなくてももう大丈夫。ちゃんと二人共生き延びることができる方法が有るの。」

 

小鳥「ホントなの?!それでその方法って?」

 

かなで「その方法は・・・・・」

 

千絵「・・・なるほど、そのコールドスリープ装置に二人入って、残りの一人は製薬工場を襲って薬を手に入れ、その薬で新しくできるコールドスリープ装置ができるのを待つ。」

 

かなで「そう、そしてそのコールドスリープ装置で複製した薬ができるまで待つというわけ。」

 

小鳥「なるほど・・・・でも、その製薬工場を襲って薬を手に入れるとして、大丈夫なんですか?研究所の追っ手がその工場で張っているかも・・・」

 

かなで「心配ないわよ。だって誠也は仮面ライダーなんだから。」

 

小鳥「カメンらいだ~?それって「~♪~♪」って・・・なに?」

 

千絵「携帯の着信音?」

 

突如響いた携帯の着信音によって会話を中断し、音の音源の出ている方向・・・誠也の方を見る小鳥と千絵。

 

誠也「俺の携帯?誰からだ?」

 

そう言って誠也は携帯の画面を見て、掛けてきた相手が誰なのかを確認した。

 

誠也「ん?竜輝からだ、なんだろう。」

 

そう言って誠也は携帯の会話ボタンを押して電話に出た。

 

誠也「もしもし?どうしたんだ、お前から携帯にかけてくるなんて珍しいな。」

 

竜輝『誠也、今いい?ちょっと込み入った話になるんだけど・・・・』

 

誠也「え・・・ああ、別にいいけど。」

 

竜輝『誠也、お前の所に今「かなで」って子が居ないか?』

 

誠也「え!?なんでお前がかなでの名前を?!」

 

竜輝『実は・・・・・・』

 

誠也「・・・なるほど、まさかお前も魔女の子をかくまってたなんてな。」

 

竜輝『それはこっちのセリフだよ。にしても・・・まさかそっちにも魔女の子が3人もいるなんてな。』

 

誠也「そっちは三人、こっちにも3人、合わせてて6人の魔女か・・・・兎に角、大体の事情は分かった。その3人の魔女の子をつれてラボに来てくれ。入口は俺の部屋の方を使ってくれ。今後の事についてはラボで話そう。」

 

竜輝『わかった。三人を連れてラボに向かうよ。じゃあ。』

 

そう言って竜輝との電話は切れた。

 

誠也「ふ~、まさかさらに増えるとはな~」

 

かなで「誰からなの?さっき私の名前が出てたみたいだけど・・・・」

 

携帯が切れるまで黙っていたかなでが、先ほどの会話で自分の名前が出てきた事について誠也に聞いてきた。

 

誠也「あ、さっきかかって来た相手は神谷竜輝って言って、俺と同じライダーになれる俺の幼馴染なんだ。」

 

かなで「え?誠也くん以外にもライダーって居たんだ。それで、その人はなんて?」

 

誠也「どうやらあいつも魔女の子をかくまってたらしい、しかも3人。」

 

かなで「三人も?それで誰なの?名前は?」

 

誠也「確か・・・・黒羽寧子って子と、佳奈とカズミって名前の子だって、知ってるのか?」

 

かなで「ええ、寧子と佳奈は知ってる。」

 

千絵「カズミの事は私が知ってるわ。あの子は私と同じ「操網」の能力を持っているから。でも、まさか3人が一緒にいたなんてね。」

 

誠也「兎に角、ラボに行こう。竜輝も魔女の子を連れてラボに向かっているはずだしな。」

 

かなで「そうね。小鳥、千絵、二人も付いて来て。詳しい話は向こうでするから。」

 

千絵「分かったわ。小鳥、行こう。」

 

小鳥「うん。」

 

そう言って誠也は三人を連れて山小屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

圭介「・・・・どうなってんだ?ラボの男女比率がいつの間にかおかしな事になってる。」

 

ラボの地下一階に有る大テーブルの席に座りながら、板橋圭介は目の前に用意されている翠屋のケーキとコーヒーを口に手をつけずに呟いた。

 

昨日、街中で喧嘩をして警察に補導された圭介は、一晩警察署の留置所に入れられ、今朝方ようやく解放された身である。圭介は幼馴染である霞の様子を見るためにライダーの基地であるラボへと来たのだが、その中の様子は自分が知っていた物とは違う空気が支配していた。

 

銀子「う~ん♪この翠屋って所のケーキは絶品だね~♪お姉さん、思わず舌鼓打っちゃいそう♪」

 

寧子「佳奈ちゃん・・・ケーキだよ!久々のケーキ・・・・・うううっ、美味しい~」

 

良太「涙を流しながら食うなよ・・・そんなに久しぶりなのか?」

 

佳奈『ちょっと寧子!私にも!私、体が動かないんだから、食べさせてよ!』

 

かなで「あ、私が食べさせてあげるよ。」

 

小鳥「ショートケーキの苺、美味し~♪」

 

カズミ「あーっ!私のショートケーキの苺!食べるなコラッ!」

 

小鳥「えっ?食べるんですか?要らないから残してたと思ってた。」

 

カズミ「最後に食べるために取っておいたの!」

 

千絵「小鳥・・・意地汚いわよ。」

 

圭介「・・・なんでこんな物の見事に女ばかりなんだ?(良太除く)」

 

ほとんどが女の空間にいるためか、妙に居心地が悪そうにする圭介。

 

霞「どうしたの圭くん?さっきからケーキ食べてないけど、もしかして嫌いだった?翠屋のケーキ・・・」

 

先程から自分の分のケーキやコーヒーに手を付けずいる圭介を不審に感じ、霞は圭介に声をかけた。

 

圭介「あ、いや・・・別に嫌いじゃないよ。翠屋のケーキはむしろ好きだよ。ただ、この雰囲気に圧倒されてな(^^;」

 

霞「ああ、賑やかだもんね。それに、圭くんはかなでちゃん達の事はさっきまで知らなかったんだからなおさらだね。」

 

圭介「まあな、けど・・・今だに信じられないな。この子達の殆どが、さっき霞が話してくれた魔女って呼ばれている存在だなんて。しかもその力はさらわれて、人体実験されて得た物なんだよな。」

 

霞「・・・うん。」

 

圭介の人体実験という言葉を聞いて暗くなる霞。

 

圭介「・・・なんとか助けてあげたいな。」

 

霞「うん、そうだね。」

 

そんな風に話をしていた二人を見つけて、圭介と同じように居心地悪そうにしていた良太が話しかけてきた。

 

良太「え~と、ここに居るって事は・・・もしかして君もライダーなのかな?」

 

圭介「え・・・ええ、そうですよ。坂橋圭介です、よろしく。」

 

そう言って圭介は良太に手を差し出し、良太はその手を取って握手した。

 

良太「よろしく。俺は「知ってますよ、村上良太先輩でしょう?」って・・・俺を知っているのか?」

 

圭介「ええ、ウチの学園で定期テストをやるたびに3位以内に入っているって言うんで有名でしたからね。」

 

良太「ウチのって・・・もしかして君も白城学園に通っているの?」

 

圭介「ええ、中等部の2年です。ちなみに隣にいる霞と誠也も白城学園の中等部です。」

 

そう言った圭介の横でペコリと霞が頭を下げた。

 

良太「なるほどね、だから俺を知ってたんだな。」

 

そんな風に言いながら納得した顔をした良太は、圭介に次の質問をしようとしたが、突如部屋に響いた声のせいでそれを中断させられた。

 

誠也「みんな、そろそろ会議を始めたいんだけど良いかな?」

 

誠也の声を聞いて、先程まで騒いでいた面々は話を止めて、席について姿勢をただした。

 

誠也「さて、ここにこうして魔女の子が6人揃ったんだけど、その6人の魔女の子達が生き延びるためには「鎮死剤」がどうしても必要だ。だけどその鎮死剤の数が今圧倒的に足りない。」

 

かなで「鎮死剤の数は、ここにいる6人全員の分をかき集めても18錠・・・全員で分けて飲んでも3日分しかない。つまり私達の寿命は後3日ということになる。」

 

誠也に続くようにしてかなでが今現在の薬の数を言った。

 

誠也「鎮死剤の複製を始めても薬ができるのは半年後。どう転んでも鎮死剤は足りない。そこで、鎮死剤ができる半年後まで、このラボに有るコールドスリープ装置を使って魔女のみんなには薬が完成する半年後まで眠ってもらう。でも、コールドスリープ装置は2つしかなく、ここに居る6人全員をコールドスリープ装置に入れられない。ここまではいいね。」

 

誠也の言葉に一斉に頷くかなで達。

 

誠也「装置は設計図も有り、開発したカナリヤと乃木坂家の協力も有るから、1ヶ月以内には全員分が入れるコールドスリープ装置が完成するが、1ヶ月でも鎮死剤は圧倒的に足りない。そこで今回、コールドスリープ装置の完成まで足りない分の薬を、ドレスデン製薬の高山工場から奪ってくる運びになった。ネットで薬の事を調べたから、もしかしたらかなで達が捕まっていた組織の連中が網を張っていて、それにひかかったかもしれない。」

 

カナリヤ『幸いIPを偽装した上に海外の匿名のプロクシを何段か経由したから割り出しはされてないけど、こちらが薬を探して工場に忍び込む事を考えていることが相手側にバレてしまっている可能性が大きいわ。』

 

カズミ「つまり、下手したら工場に組織の奴らが待ち伏せしてるかもしれないって事やな。」

 

誠也「そうだ。けど、だからと言って時間を掛けすぎると工場に有る薬を回収されてしまう可能性も有る。だから今夜12時に工場への薬の奪取を決行する!」

 

誠也の澄んだ声が響き渡り、その声を聞いた全員が気を引き締めた顔になった。

 

竜輝「工場への侵入はカズミの能力でハッキングして警備システムを停止した後に、突入する。カズミ、任せたよ。」

 

カズミ「任しときいや。あの工場の警備システムは機械での警備が殆どやから、警備システムを停止させたら入りたい放題や。」

 

千絵「なるほどね、なら侵入するだけなら簡単ね。機械仕掛けの警備を停止させるくらいカズミには簡単よね。操網の能力は私よりも上だからね。それで、潜入のメンバーは?」

 

誠也「俺と竜輝の二人で行く。」

 

誠也に名前を呼ばれ、頷く竜輝。

 

寧子「・・・私も行く。もしかしたら待ち伏せしている相手は魔女かもしれない。だとしたら相手がどんな能力を持っているいか知っている人が側に居た方が良いと思うから。」

 

誠也「それもそうだな・・・・頼めます?」

 

寧子「ええ、任せて。」

 

圭介「・・・竜輝、俺も一緒に行こうか?」

 

今まで黙って話を聞いていた圭介が手を上げて言った。

 

竜輝「いや、万が一に備えて自由に動ける人間がいないと拙いから、今回はここで待機していてくれ。」

 

圭介「あ、ああ、分かった。万が一に備えて自由に動ける人間は必要だからな・・・仕方ないか。」

 

誠也に言われ、渋々承知しる圭介。

 

誠也「よし、じゃあ今夜12時、ドレスデン製薬の高山工場への襲撃を『ま、待って!』って・・・え?」

 

突如部屋の中に響いた機械による合成音声を聞き、話を中断する誠也。話を聞いていた他のメンバーを声が聞こえた方向・・・佳奈の居る方を見た。

 

寧子「佳奈ちゃん?どうしたの?」

 

突如、電子音声で叫んだ佳奈の方を見て、どうしたのかと聞く寧子。

 

佳奈『予知が・・・・未来が見えたの。宝石のような仮面をした奴が胴体を真っ二つにされる予知・・・・・誠也って言ったわね。あんた、工場に行ったら死ぬわよ!』

 

誠也「なっ!俺が・・・・死ぬ?!」

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)(極黒のブリュンヒルデ)

 

千絵(ちえ)(極黒のブリュンヒルデ)

 



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第16話 魔女VS仮面ライダー(前編)

どうも、剣 流星です。
最近夜勤が続いて、夜目がさえてしまう体質なってしまいました。明日から日勤なのにどうしよう・・・
ま、それはさて置き、第16話をどうぞ。


薄暗い部屋の中、情報端末の前に座って端末の画面を見ている一人の男がいた。

彼の名は九 千怜(いちじく ちさと)。魔女と呼ばれる少女達を作り出した研究機関・ヴィンガルフの所長である。

彼は部屋の中で、部下と思わしき人物からの報告を聞いていた。

 

 

部下「薬の識別番号を検索した形跡がありました。また同時にドレスデン製薬の工場も検索されてます。おそらく、逃げ出した魔女たちが薬を手に入れるために検索したのでしょう。」

 

九「・・・・網にかかったか。それで、何処からか割り出せたのか?」

 

部下「いいえ、海外の匿名のプロクシをいくつか経由していて、割り出すのにはかなり時間がかかります。」

 

九「そうか・・・まぁいい。処理すれば済む話だ。」

 

そう言って九は端末を操作した後、備え付けてあるマイクに対して声を出した。

 

九「出番だぞ。6001番、脱走者を始末してこい。」

 

端末のモニターに写っている部屋の中の少女にそう言って命令を出す九。

 

少女『・・・・了解。』

 

そう言ったモニターの少女の言葉を聞いて九は満足そうな顔をした。

 

???『ほぅ・・・脱走者の処理にAAクラスの魔女を使うのか。』

 

九「?!」

 

突如部屋に響いた背後からの声に驚き、九と部下の男は一斉に振り返った。

 

???『どうやら脅かしてしまったみたいだな。』

 

九達が振り返った先にはカナリヤと似た形で、黒い光を放つ鳥が一羽飛んでいた。

 

九「・・・・・お前だったのか。辛島(からしま)。」

 

カラス『それは私のオリジナルの名であって今の私の名では無い。私の名はカラスだ。家族のためだと言って自分の研究成果を捨てるような惰弱な男と一緒にするな。』

 

九「それは失礼した。それで、一体何の用なんだ?財団Xの研究者にしてエージェントでもあるお前が、財団の下部組織であるこのヴィンガルフに。」

 

九は少し嫌味を込めた声で、目の前を浮いているカラスにここに来た目的を聞いた。

 

カラス『なに、お前が魔女を逃がすと言う大失態をしたと聞いてな、少し様子を見に来ただけだ。』

 

九「・・・・・・・・・・」

 

カラスの言葉を聞き、少し不機嫌な顔をする九。

 

カラス「フフッ・・・そう怒るな、冗談だ。こちらの世界にはちょっとした気になる存在が現れ始めたので、それを見るためにこの世界に来た。ヴィンガルフに寄ったのはホンのついでだ。」

 

そう言いながらカラスは九の傍にある端末へと近づいて、その視線を今回出撃する魔女が映るモニターへと落とした。

 

九「・・・ついでか。暇なことだ。」

 

そう言って九はモニターに視線を落とすカラスへと向けた。

 

カラス『今回使う魔女は彼女か。確か「斬撃」と「転時」の魔法を使う。』

 

九「・・・そうだ。よく知っているな。」

 

カラス『当然だ、この世界に有る財団X関連の組織の監視は私の仕事の一つだからな。それより彼女だけで本当に大丈夫か?』

 

九「・・・心配無い、そのためのAAだ。」

 

カラス「なるほど、確かにAAなら心配ないだろう。逃げ出した魔女は全員Bクラスだったからな。相手がただの逃げ出した魔女だけだったら確かに彼女だけで充分だな。逃げ出した魔女だけ(・・・・・・・・・)だったらな。」

 

九「・・どう言う意味だ?」

 

九は含みのある言い方をするカラスに対し、その含みのある言葉の意味を聞いた。

 

カラス『なに、私の心配性な性分が少し出ただけだ。ここ数年の間、この世界で我ら財団Xの活動を妨害している輩が、“逃げ出した魔女に協力していないか”と思ってな。』

 

九「・・・例の仮面ライダー達か。」

 

カラス『そうだ。もしアイツらが逃げ出した魔女達と協力して今回の事に関わっていいたのなら、いくらAAと言っても危ないかもしれないぞ。』

 

九「・・・フン、逃げ出した魔女に協力するような物好きな者など居るものか。」

 

カラス「わからんぞ、仮面ライダーという存在は基本的にお人好しなのだから、もしかしたらということもあるぞ。」

 

九「・・・・・・・・・」

 

カラスの言葉を聞き考え込む九。

 

カラス『フフフッ・・・心配するな。少し協力してやる。ちょうど“やってみたかった事”もあるからな。』

 

九「“やってみたかった事”だと?」

 

カラス『ああ、そうだ。先ほどの魔女と会う事はできるか?』

 

九「6001番に?・・・何をする気だ?」

 

険しい顔をしながら九はカラスを睨み付けるようにしながら、カラスがなにをするつもりかを聞いてみた。

 

カラス『そう睨みつけるな。悪いようにはせん。』

 

九「・・・いいだろう。おい!」

 

九は少し考え込んだ後、側で自分とカラスの会話を黙って聞いていた部下の男に声を掛けた。

 

九「6001番の元に案内してさしあげろ。」

 

部下「はっ!では、こちらになります。」

 

そう言って部下の男はカラスを案内しながら部屋を出て行った。

 

九「・・・・仮面ライダーが脱走した魔女に手を貸す?・・・・まさかな。逃げ出した魔女のような怪しい者に手を差し出すような者など居るものか。あの男の取り越し苦労だ。」

 

そう言って九はカラスが出て行った部屋の入り口に向かってそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「俺が・・・・死ぬ?」

 

佳奈の予知した未来を聞き、押し黙るラボに集まった一同。

 

佳奈『ええ、宝石みたいな仮面をした奴が上半身と下半身にわけられるように胴体を真っ二つにされるわ。』

 

寧子「真っ二つにって・・・やっぱり工場には研究所に残った魔女が待ち伏せしてたんだね、誰なの?」

 

寧子は佳奈に予知で見た、待ち伏せいている魔女が誰かを聞いた。

 

佳奈『あれは・・・・沙織ちゃんだ・・・』

 

カズミ「なっ!?ホンマかそれ?AAランクの魔法使いやないか・・・」

 

良太「な、なんだよソレ?ダブルAって・・・・」

 

かなで「・・・私達魔法使いにはランクがあるの。上はAAA~一番下はCランクまで。」

 

佳奈の話を引き継ぐようにかなでがクラスについて説明をし始めた。

 

銀子「AAA~Cまでのクラス分け・・・・能力の大きさで分けられているのね。」

 

かなで「ええ、前に私達は移動中に逃げ出したって言ってたでしょう?それはね・・・・Bクラス以下の魔女達を全員処分場へ連れて行く護送車からだったの・・・。」

 

かなでは辛そうな顔をしながら、搾り出したような声で話した。

 

霞「なっ!処分って・・・・そんな・・・・・・・」

 

かなでの言葉を聞いて、霞は顔を青くした。他の者達もかなでの言葉を聞いて、複雑そうな・・・あるいは悲しそうな顔をした。

 

千絵「・・・・殺される所だったのよ、私達。出来損ないだから・・・・・・」

 

圭介「・・・・・クソッ!なんだよそれっ!簡単に人を処分って・・・人をなんだと思っているんだ!!」

 

研究所の所業を聞いた圭介が、怒りを顕にして叫びながら立ち上がった。

 

竜輝「・・・圭介、落ち着け。」

 

圭介「けどっ!」

 

竜輝「君が落ち着かないと、話の続きができないだろう?」

 

圭介「えっ?あ・・・・・・」

 

竜輝の言葉を聞いて周りを見渡した圭介は、落ち着きを取り戻し席に座り直した。

 

かなで「・・・話の続きをするわね。処分場に送られた魔女・・・魔法使いは全員Bクラス。だから必然的にその途中で逃げ出した私達は全員Bクラス以下なの。そして・・・研究所に残った魔法使いは当然全員Aクラス以上って訳。」

 

誠也「・・・つまり、今回工場で待ち伏せしている沙織って子は当然Aクラス以上って訳か。」

 

かなで「ええ、ましてや沙織はAA、Aクラスの魔法を二つ使えるハイブリッド、私達が叶う相手じゃないわ。」

 

カナリヤ『逃げた魔法使いは全員Bクラス以下で、研究所に残った者は全員Aクラス以上・・・・魔法使いだけで考えたら、戦力差は圧倒的ね・・・・ねえ、佳奈ちゃん・・・だったわね、あなたの予知の的中率はどのくらいなの?』

 

佳奈『・・・放っておいたら100%よ。けど、その未来は行動で変えられるわ。予知が変わったら変更後の未来が見える。それが見えない限り予知は変わって無いって事よ。』

 

誠也「つまり今後の行動しだいって事か・・・・・なにか作戦を立てないとダメか。」

 

誠也は佳奈の話しを聞いて、考え始めた。

 

圭介「・・・なあ、誠也が死ぬって事なんだから、誠也を工場に行かせないで別の人が行けばいいだけじゃないのか?」

 

今まで話しを聞いていた圭介が自分の考えついた意見を椅子から立ち上がり言った

 

銀子「・・・それじゃあ根本的な解決にはならないと思うわよ。行く人間を変えただけなら、今度はその誠也くんに変わって行った人が死ぬ事になるだけよ。」

 

圭介「そ、そうか・・・・」

 

自分の意見が銀子によって解決しないと説明されて大人しく座り込んだ。

 

誠也「と、兎に角、相手がどんな能力を持っているかわからないと対策の立てようがない。相手のその沙織って子はどんな魔法を使うんだ?ハイブリッドだから2つ使うんだろう?」

 

佳奈『ええ、1つは斬撃の魔法、6m以内の物なら何でも切り裂くことができるの。たとえそれがダイヤモンドだろうと、チタン合金だろうと。』

 

竜輝「な、なんでも切り裂く能力か・・・・これじゃあ接近戦はできないな。接近戦をしようと近づいたとたんに切り裂かれるのがオチだな。」

 

佳奈『ええ、後一つは転時の能力よ。時間を1分だけ戻すことができるの。最もこの魔法はモノずごく力を使うから、一回使ったらすぐにハングアップしてしまうんだけどね。』

 

誠也「じゃあその魔法に関してはあまり考えないで良いな。やっぱり問題は斬撃の魔法か・・・・・・・」

 

そう言って誠也は考え込んだ。

 

誠也(なんでも切り裂く能力・・・・この魔法を防御する事は考えない方が良いな・・・・やっぱり、距離をとっての遠距離攻撃か、攻撃其の物を無効化できればあるいは・・・・ん?無効化・・・効かない・・・)

 

誠也「あっ!」

 

ブツブツと言いながら考え込でいた誠也が、次の瞬間、何か閃いたのか突如席から立ち上がり声をあげた。

 

竜輝「せ、誠也?」

 

カズミ「ど、どないしたんや急に立ち上がって大声上げて?」

 

誠也「斬撃の魔法の攻略方法を思いついたんだ!」

 

かなで達『えっ!?本当なの?!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九『良いな6001番、ハーネスにはビーコンが取り付けてある。』

 

薄暗い部屋の中に、6001番と呼ばれた少女・沙織は、部屋のスピーカーから聞こえてくる九の声を黙って聞いていた。その首に取り付けてあるハーネスにはビーコンと呼ばれている金属の部品が取り付けられていた。

 

九『工場から100メートル離れたらビーコンが遠隔操作でハーネスを強制的にインジェクトさせて、お前は死ぬ。逃げようなどと思わないことだ。』

 

沙織「・・・・逃げようなんて思わないよ。」

 

そう言いながら、沙織は先ほど会ったカラスと名乗った不思議な黒い鳥からもらった“ある物”を見た。

 

カラス『もし、君がピンチに陥ったら、それを使うと良い。君に新たな力を授けてくれるはずだ』

 

手の中にある、渡された“ある物”を見ながら、沙織は先ほどの事を思い返しながら手の中でそれを弄んだ。

 

沙織(・・・なんだったんだアイツ。こんな物まで私に与えて・・・・一体“これ”がなんだって言うんだ・・・・・)

 

そんな風に考え込む沙織だったが次の瞬間、部屋の中に響いた九の声でその思考を中断させた。

 

九『さあ、出撃だ。6001番』

 

沙織「・・・・・・了解。」

 

そう言って沙織は、自動で開け放たれた部屋の入口から外へと出て行った。

 

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

九 千怜(いちじく ちさと)(極黒のブリュンヒルデ)

 

カラス(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー・バトライドウォー))

 

沙織(極黒のブリュンヒルデ)

 



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第17話 魔女VS仮面ライダー(中編)

どうも、剣 流星です。
今回降った雪のせいで、会社に行く途中、何度かヒヤヒヤさせられました。
やっぱり雪道をノーマルタイヤで走るのは危険ですね。
では第17話をどうぞ。


 

 

 

 

誠也「・・・・あれがドレステインの高山工場、あそこに薬があるんだな。」

 

真夜中の12時少し前、とある場所にある工場を敷地の外から工場を覗き込む5つの影があった。鎮死剤を手に入れるためにやってきた誠也・竜輝・寧子・カナリヤ・そして良太である。

会議の後、誠也は銀子を連れていったん岩永家へと戻り、向こうで待っていた孝介や翔子達、事情を知って居る者たちに工場への潜入について話した。さくやや翔子は心配して反対したがどうにか説得し、夕食後、部屋に戻った後、孝介に後を任せてテレポートリングで再びラボに戻り、竜輝達と共に工場へと出発し今に至る。

なお、当初の突入のメンバーの中には良太は入っていなかったが、良太が「寧子が心配だから」と無理やりついてきたのであった。

彼らは工場の窓や街灯で照らし出される工場を物陰から覗き込むようにして工場を見ていた。

 

カナリヤ『もうまもなくカズミがハッキングで工場の警備システムをダウンさせる時間だわ。』

 

竜輝「うん、そしたら僕と竜輝は待ち受けている魔女の目を惹きつけるために突入し・・・・」

 

寧子「私と村上くんとカナリヤは・・・」

 

良太「プラモンスター(こいつ等)達と共に薬を探し出す・・・だな。」

 

そう言って亮太は自分の周りを飛び回っている誠也が呼び出したプラモンスター・ガルーダ、ユニコーン、クラーケンを指さした。

プラモンスター達は良太の言葉に反応して「「「~~♪」」」と揃って鳴いて返事をした。

 

カナリヤ『工場には警備員の類は居なく、機械的な警備システムしかないし、周りには他の建物も無いから、カズミのハッキングで警備システムが沈黙したら突入しても大丈夫なはずよ。』

 

良太「なるほど、なら警備員と出会う事はないって事だな。」

 

竜輝「・・となると、やっぱり一番の障害は待ち受けている魔女・・・魔法使いの存在だね。」

 

誠也「そうだな、だが・・・・その魔女以外にも待ち受けている人間の部隊がいるかも知れないから注意した方が「それは無いわ」って・・・なんでだ?」

 

誠也の話しを遮る良いうにしてソレを否定する寧子

 

寧子「魔女の存在は絶対に漏らしてはならない。だから魔女・・・魔法使いと人間の混合部隊は無いはずよ。」

 

誠也「なるほど、「人の口には戸は立てられない」・・・・部隊の人間の口から魔法使いの存在が漏れるのを防ぐためか。じゃあ敵はやっぱり沙織って魔法使い一人だけか。」

 

寧子「・・・ええ。ねえ、「ラボ」から出てから聞かずにここまで来たけど、沙織ちゃんの「斬撃」の魔法を防ぐ手段って?」

 

そう言って寧子今まで心配で気になっていた沙織の斬撃の魔法を防ぐ手段について誠也に聞いてみた。

 

誠也「ああ、それは「もうすぐ12時だ。」って時間か・・・話は後だ。竜輝!」

 

竜輝「うん!」

 

良太の声を聞いて、もうすぐ時間だと告げられたので寧子との会話を中断して準備を始める誠也と竜輝。

 

電子音声『ドライバーオン!』

 

右手のドライバーオンの指輪をベルトにかざし、ウィザードライバーを出現させる誠也。その横で竜輝は手近な所にあるガードミラーにカードデッキをかざし、ベルトを自分の腰に出現させた。

 

誠也・竜輝「「変身!!」」

 

掛け声と共に誠也は左手の指輪をドライバーにかざし、竜輝はデッキをベルトに装着させる。

 

電子音声『シャバドゥビタッチヘーンシーン!!ウォーター!!プリーズ!!・・・・・スィ~!スィ~!スィ~!!』

 

響く電子音声の中、誠也は仮面ライダーウィーザードの姿に、竜輝は仮面ライダー龍騎の姿になった。

 

誠也「準備OK、後は「ねえ、方法・・・・まだ聞いてない。」って、えっ?」

 

準備万端と言った誠也に寧子は先ほどの話の続きを聞きたいと心配そうな声で誠也に再度声をかけた。

 

寧子「ねえ・・・方法、本当にその方法は大丈夫なの?沙織ちゃんの「斬撃」、本当に防げるの?」

 

誠也「大丈夫だ。この方法なら防ぐことができるはずだから心配ないよ。」

 

そう言って寧子を安心させるようにして言う誠也。

 

寧子「本当なの?信じて大丈『おしゃべりはそこまで・・・・時間よ。』って・・・え?」

 

カナリヤの声で会話を中断された寧子。そしてその次の瞬間、工場のセキリティーが無効化されたのか、入口のドアの認証システムの光が消える。

 

誠也「良し!じゃあ後で。」

 

カナリヤ『ええ、二人共、気を付けてね。』

 

竜輝「うん、行こう誠也。」

 

誠也「ああ。」

 

そう言って駆け出した二人は、セキリティーが無効化されて開くようになったドビラから中へと入って行った。

 

カナリヤ『さあ、あの二人が戦闘を始めた、私達も中に行くわよ。』

 

二人を見送りながら言うカナリヤ。

 

寧子「・・・・本当に大丈夫なのかな。」

 

心配そうに二人を見送りながら言う寧子。

 

良太「心配か?」

 

寧子「ええ、沙織ちゃんは強い・・・・だから心配なの。斬撃を防ぐ方法が本当に大丈夫なのか・・・・」

 

誠也達が消えた方向を見て心配そうな顔をする寧子。

 

カナリヤ『大丈夫、あの二人は仮面ライダーなんだから。』

 

そんな風に心配そうに二人が消えた扉を見続ける寧子に優しく語りかけるカナリヤ。そんな中、その場にいる三人の耳に工場内から「ドーンッ!!」と何かがぶつかるような音が響き始めた。

 

カナリヤ『?!始まったわね。二人共行くわよ。』

 

そう言って工場の入口へと向かうカナリヤ。

 

良太「あ、うん。黒羽、行こう。」

 

寧子「え?あ・・・うん。」

 

そう言って寧子もカナリヤの後に続いて工場内に入ろうとしたが、その動きを途中で止めた。

 

良太「ん?黒羽?」

 

動きを止めた寧子を不思議に思い、良太は寧子に声をかけた。

 

寧子「・・・村上くん、やっぱり私、二人のことが心配、だから・・・私、行くね!」

 

良太「あ、おい!黒羽!!どこ行くんだ!」

 

良太の声を背に、寧子は戦闘が起きている場所・・・誠也と竜輝が戦っている場所へと走って行った。

 

良太「あの馬鹿、物しか壊せない能力じゃ手助け所か逆に足でまといになるだけだろうに!」

 

カナリヤ『村上くん、どうしたの?』

 

いつまで経っても自分の後を追いかけてこない二人を見て、工場内から戻って来たカナリヤが良太に声をかけた。

 

良太「黒羽が二人を追って行った!」

 

カナリヤ『なんですって!?』

 

良太の言葉を聞いて驚くカナリヤ。

 

良太「俺、黒羽を連れ戻してきます!」

 

カナリヤ『あ!村上くん!、待ちなさいっ!!』

 

カナリヤの静止を振り切り、寧子の後を追う良太。

 

カナリヤ『あ~~っもうっ!あなた達は薬を探していて!』

 

カナリヤは寧子を追いかけて行った良太が消えた方向を見ていらただしげに声を上げると、自分の側に居たプラモンスター達に薬を探すように言って、二人の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、戦闘が始まっている工場の一画、そこでは魔女の少女・沙織と誠也と竜輝の戦いが繰り広げられていた。

 

沙織「あはははははっ!そら!どうした侵入者!少しは反撃して見せたらどうだいっ!」

 

凶悪な笑を浮かべながら、次々と斬撃の魔法を繰り出す沙織。

 

竜輝「くっ!」

 

そんな沙織の攻撃を、竜輝は両手にはガードベントのカードで呼び出したドラグシールドが持たれており、攻撃範囲内の入るか入らないかの距離を保ちながら攻撃を交わし続けていた。

 

誠也「龍騎!くっ!!こっちだ!!」

 

竜輝が攻撃されたので、沙織の気をそらすために誠也は手に持っているガンモードのウィザーソードガンの銃口から次々と沙織めがけて銃弾を放った。

 

ダンッ!ダンッ!ダンッ!!

 

ウィザーソードガンから放たれた弾丸は沙織めがけて一直線に飛んでいった、だが・・・・

 

バシュ!バシュ!バシュッ!!

 

弾丸は沙織に届く前にすべて彼女の斬撃の魔法で切り落とされてしまった。

 

沙織「ハッ!無駄だよ!私に銃なんて効かないよ!」

 

誠也「ははっ・・・命中する前にすべての弾丸を切り落とすなんて・・・たいした魔法だよ。」

 

乾いた笑い声を出す誠也。そんな誠也の沙織を挟んで同じぐらいの距離に居た竜輝は沙織を睨みつけながらジリジリと間合いを取りながら対峙する。

 

竜輝「くっ!ウィザードと違って、龍騎の力は接近戦で能力を発揮するから、遠距離攻撃しかできないこの状況ではこちらから攻撃できない!」

 

沙織を睨みつけながらいらただしげな声を出す竜輝。

 

沙織「どうした?もうおしまいかい?なら・・・・こちらから「沙織ちゃん!」って・・・・・ん?」

 

突如響いた声を聞き、会話を中断して、声のした方を向く沙織。そこには、走ってきたのか、少し呼吸を乱した寧子が居た。

 

沙織「寧子・・・・久しぶりだね。随一の力を持ちながら、人が殺せない出来損ないの魔法使い。」

 

寧子「・・・・・・・・」

 

沙織の言葉には何も答えず、息を整えながら沙織を睨みつける寧子。

 

誠也「黒羽さん!なんで来たんです!」

 

突如現れた寧子の姿に驚きなが叫ぶ誠也。

 

寧子「だってキミ、沙織ちゃんの魔法を防ぐ方法の事を全然言わなかったから、もしかして自分達の身を犠牲にして私達が薬を探す時間を稼ごうとしていると思って・・・」

 

誠也「あちゃ~、そう思っちゃったんだ・・・追いかけてくるんだったら、ちゃんと話しておくんだったな。」

 

額に手を当てながら「失敗した~」と口にする誠也。

 

沙織「私の斬撃を防ぐ?ハッ!そんな事・・・・出来るわけないだろう?もし出来るんだったら・・・やってみなよ!!」

 

そう言って、凶悪そうな顔をしながら沙織は誠也めがけて走り出す。

 

誠也「来るか?」

 

近づく沙織を睨みつけながらウィザーソードガンを構える誠也。

 

沙織「防げるものなら防いでみな!切り刻んで「沙織ちゃん!」ってくっ!」

 

沙織が能力で誠也を切り刻もうとした瞬間、突如沙織の足元の床が爆ぜる。

 

沙織「・・・寧子!魔法で私の足元の床を・・・・そんなに先に死にたいのかい?なら・・・お望み通り・・・・あんたから切り刻んでやるよ!!」

 

寧子「?!」

 

ターゲットを誠也から寧子へと変えた沙織はそのまま、自分の能力が使える距離まで詰めるため走り出す。

 

寧子「くっ!」

 

寧子は咄嗟に自分の能力で沙織の周りの床を爆ぜさせる。

 

沙織「ハッ!無駄だよ!あんたの魔法は物にしか効かない!そんな魔法で・・・私を止められないよ!死ねっ!!」

 

寧子の攻撃をもろともせず、自分の能力の使える範囲内に寧子が入るまで移動した沙織は寧子を切り刻もうと魔法を初動作させようとした、だが・・・・・

 

良太「黒羽!」

 

ドンッ!

 

寧子「!?」

 

その魔法は寧子を切り刻むことは無かった。寧子は突如現れた良太の体当たりを受けて、その攻撃をギリギリでかわしたのである。

 

寧子「痛っ・・・・・え?!き、キミ、薬を探しに行ったんじゃなかったの?!」

 

自分に覆いかぶさるよにして倒れている人物が村上だと言う事を確認する寧子。

 

良太「っ・・・・・か、間一髪だったな。」

 

体当たりした衝撃で痛む体に顔をしかめながら言う良太。

 

寧子「な、なんで来たの?!」

 

良太「忘れたのか?俺は黒羽の事が心配だから付いて来たんだぞ。」

 

沙織「・・・・まだ仲間がいたのか・・・・なら、そのお仲間ごと切り刻んでやるよ!!」

 

寧子・良太「「?!」」

 

倒れたままの態勢で、かわすことができない二人に対して容赦なく斬撃の魔法を浴びせようとする沙織。

 

竜輝「させないっ!!」

 

そんな二人の前に、二人を庇うようにして竜輝がドラグシールドを構えて立ちふさがる。

 

バシュッ!!

 

発動した沙織の斬撃は、倒れている寧子と良太には届かず、二人の前に立ちふさがった竜輝の持っている盾・ドラグシールドへと当たり防がれる。

 

竜輝「・・・ふ~・・・・なんとか間に合(バシュ!)って・・・・・ド、ドラグシールドが?!」

 

沙織の斬撃の魔法を防いだドラグシールドは竜輝の手にある取手の部分だけを残して真っ二つにされた状態になり、そのまま床に落ちた。

 

竜輝「なっ・・・・・・・防御力2000GPを誇るドラグシールドが真っ二つに?!」

 

沙織「どんな防御でも私の前では無力!さて、もうあんた達を守る盾はもう無い!次はあんた達が真っ二つになる番だよ!」

 

そう言って、沙織は再び斬撃の魔法を発動させようとした。

 

誠也「させるか!」

 

魔法を発動させようとした沙織の後ろから、ウィザーソードガンをソードモードにして切りかかり奇襲しようとする誠也。

 

沙織「ハッ!背後にいるあんたの存在を忘れているとでも思ったのかい!甘いよ!!」

 

沙織は発動させようとした魔法を、目の前にいる竜輝達には向けず、背後から襲いかかる誠也へと向けた直後・・・

 

ズバッ!

 

何かを切る大きな音があたりに響いた。

 

寧子「!」

 

良太「なっ!」

 

竜輝「ウィザードォオオオオオオオオッ!!」

 

沙織の背後で、胴体を真っ二つに切り裂かれた誠也を見て叫ぶ竜輝。

 

沙織「一人片付いた。次はあんた達だよ。早いとこ私に切り裂かれて、先にあの世に逝った仲間の元に逝き「誰があの世に行ったって?(バッシュ!)って何?!」

 

突如背後から聞こえ声と同時に、自分のハーネスのハングアップボタンを押されて驚く沙織。

 

誠也「倒した相手を倒しているかを確認する・・・・戦う者にとっては当たり前の事だぞ。」

 

ハングアップした沙織が振り向いて見たその先には、先ほど自分の能力で切り裂いたはずの誠也・・・・・仮面ライダーウィザードが立っていた。

 

沙織「ば、馬鹿な・・・アンタは確かに私の能力で真っ二つになったはず・・・・どうやって復活した!」

 

誠也「復活なんてしてないさ。ただ、君の斬撃の魔法が効かなかっただけだよ。こんなふうにね。」

 

そう言いながら誠也は先ほど寧子が魔法で壊した床の大きめの破片を掴み、自分にぶつかる様にして上に放り投げた。

床の破片は弧を描き誠也に向かって落ちてきたが、破片は誠也にぶつかると「バシャン!」とまるで水にぶつかるよな音を出すと、そのまま誠也の体の中をまるで水の中を落下するような感じで落ちていき、誠也の体の中を落下してそのまま床に落ちた。

 

竜輝「あっ!そうか!リキッドのウィザードリングを使ったんだ!」

 

目の前の出来事を見て、何かを思い出した竜輝が納得したような声を出した。

 

寧子「り、リキッドのウィザードリング?」

 

良太「な、なんだよソレ。」

 

竜輝「ウィザードの使う魔法の一つだよ。ウィザードは指輪を使うことによって魔法を使うんだ。その中の一つに「リキッド」の魔法があるんだ、自分の体を液化させて、物理攻撃を効かなくさせるんだ。」

 

良太「液化・・・だから、斬撃の魔法が聞効かなかったんだな。」

 

竜輝の説明で納得する二人。

 

沙織「なっ!液化・・・だと?そんな物で私の魔法を効かなくさせるだなんて・・・・・・」

 

竜輝の話しを聞いてた沙織も自分の魔法が防がれた方法を聞き、信じられないと言うような顔をして肩を落とした。

 

誠也「さて、大人しくしてもらおうか?ハングアップした君に勝ち目はない。大人しく「降伏しろって言うのかい?」って・・・なに?」

 

肩を落とした沙織はそう言ってゆっくりと自分の胸元から何かを取り出し、それを握った手を誠也に突き出した。

 

沙織「ふざけんじゃないよ!私が!こんな所で終わってたまるかっ!!」

 

誠也「なっ!」

 

竜輝「あれはっ!」

 

突き出した沙織の手に握られていた物を見て驚く誠也と竜輝。沙織の手に握られてある物、それは使用した物を星座を模した怪人・ゾディアーツに変える「ゾディアーツスイッチ」だった。

 

電子音声『ラストワン!』

 

沙織がゾディアーツスイッチのスイッチ部分に指を置くと、スイッチから電子音声が響き、スイッチが変化する。

 

竜輝「なっ!ラストワンになった!?」

 

誠也「よせ!押すなっ!戻れなくなるぞっ!!」

 

スイッチを押そうとする沙織を止めようと声叫ぶ誠也。だが、その声は沙織に届かず、沙織はスイッチのボタンを押した。

 

カチィ!

 

沙織がスイッチを押した瞬間、沙織の体が黒いモヤのような物に包まれると、その中から糸のような物に包まれた沙織が倒れて床に転がった。

 

寧子「あっ!沙織ちゃん?!」

 

モヤの中から出てきた沙織を抱きかかえる寧子。

 

寧子「沙織ちゃん!沙織ちゃん!」

 

寧子は抱き抱えた沙織の体を揺すが、沙織はピクリとも反応しない。

 

誠也「・・・無駄だよ。その体の中に、もう彼女は居ない。」

 

寧子「えっ?居ない?」

 

良太「どういう事だ?」

 

誠也「さっきのスイッチのせいで、その沙織って子の精神は、体を抜け出て今・・・アソコに居る!」

 

そう言って誠也は、今目の前にある黒いモヤを指差した。

 

寧子「えっ?あれの中って・・・・」

 

誠也に言われて沙織が発生させた黒いモヤを見る寧子。やがて誠也達が見ている中、黒いモヤは晴れていき、その中から杖をもった一人の怪人が現れた。仮面ライダーフォーゼの怪人であるゾディアーツの一人、祭壇座(アルター)ゾディアーツである。

 

寧子「なっ!何アレ?!」

 

良太「か・・・怪物?!」

 

竜輝「あれは・・・・」

 

誠也「・・・・ゾディアーツ!!」

 

 

 

つづく

 



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第18話 魔女VS仮面ライダー(後編)

どうも、剣 流星です。
仮面ライダー・バトライドウォーⅡが発売になると知ってテンション上がっています。
劇場版のライダーも使えるとか、とても楽しみです。
では第18話をどうぞ。


誠也「・・・ゾディアーツ!!」

 

誠也は目の前でスイッチを使って変身した沙織を見て叫んだ。

 

良太「ぞ、ソディアーツ?」

 

寧子「な、何それ?アレがなんだか知ってるの?」

 

寧子は目の前で変身した沙織を指差し、アレが何なのかを誠也に聞いてきた。

 

誠也「アレは、ゾディアーツ。財団Xが開発してばらまいている物の一つであるゾディアーツスイッチの力によって変身した星座をモチーフにした怪人の事さ。」

 

寧子「か、怪人?!」

 

良太「財団Xって確か龍騎が言ってた・・・・」

 

竜輝「ええ、僕たちが戦っている異世界の組織です。僕らは彼らがバラまいたゾディアーツスイッチやガイヤメモリーの使用者や、怪人達と戦ってきました。」

 

良太「そ、その財団Xのバラまいたそのスイッチをなんで、魔女である彼女が持っているんだ?!」

 

誠也「さてね・・・・どこかで偶然手に入れたか、或いは・・・・・・」

 

誠也は良太の質問に答えながらゾディアーツと化した沙織を睨みつける。

 

アルターゾディアーツ「フフフッ・・・・ハハハハハハハッ!力が!力が!みなぎってくるぅううううううううっ!!」

 

アルターソディアーツと化した沙織が、己の内側に満ちた力を感じ吠える。

 

竜輝「ウィザード、どうする?」

 

竜輝はアルターゾディアーツに対して構えながら誠也へと問いかけた。

 

誠也「どうするもこうするも、やるしかないだろう?それに・・・・魔女を相手にするのと違って、ゾディアーツを相手にするのはこれが初めてってわけでもないだろう?」

 

竜輝「そうだね。」

 

そう言いながらは、二人はアルターゾディアーツに対して構える。

 

アルターゾディアーツ「この力さえあれば、どんなやつにも負けない!今ならあの生意気な「ヴァルキュリア」にも勝てる!!アハハハハハッ!!・・・・・・さて、この力の腕試しがてら、さっき私に対して舐めた真似をしてくれた・・・」

 

誠也を睨みつけるアルターゾディアーツ。

 

誠也「?!来る!!」

 

アルターゾディアーツ「あんたを血祭りに上げてやるよ!!」

 

そういって叫んだアルターゾディアーツは、手に持っている杖を誠也達に向けて振った。杖の先端からはこぶし大の炎が発せられて、誠也と竜輝に向けて飛んできた。

 

誠也・竜輝「「くっ!」」

 

その炎を誠也と竜輝はかわした後、誠也はガンモードのウィザーソードガンを構え、竜輝はバックルから「ストライクベント」のカードを引き抜いてバイザーにセットして、ドラグクロー呼び出して装着し構えた。

 

誠也「このっ!」

 

誠也はガンモードのウィザーソードガンの銃口からウォーターの力がこもった数発の弾丸をアルターゾディアーツに向けて発射した。発射してアルターゾディアーツへと迫る弾丸。だがそれはアルターゾディアーツへとたどり着けなかった。

 

アルターゾディアーツ「フン!」

 

弾丸がアルターゾディアーツに当たる直前、全身から炎を発生させたアルターゾディアーツは、その炎で飛んできた水の力がこもった弾丸を蒸発させてかわした。

 

誠也「なっ!弾丸が!?なら・・・これならどうだ!!」

 

そう言って誠也はウィザーソードガンの手の形をした飾りを操作した後、その部分にウォーターのウィザードリングをかざした。

 

電子音声『キャモナ・シューティング・シェイクハンズ!ウォーター!!シューティングストライク!!スィ!スィ!スィ!」

 

誠也「くらえ!」

 

フィザーソードガンの銃口からウォーターの力が溜まった必殺の弾丸をアルターゾディアーツへと放つ誠也。

 

アルターゾディアーツ「フン!」

 

迫るウォーターのシューティングストライクに対してアルターゾディアーツは杖をかざすと、その杖の先から炎を発し、それをシューティングストライクにぶつけた。

 

ドガ~ン!

 

誠也「相殺した?!」

 

竜輝「なら、これでどうだ!はぁああああああっ!ハアッ!!」

竜輝はドラグクローを構えた後、ドラグレッダーが竜輝の周りを旋回し始めた。そして、アルターゾディアーツに対して遠距離から拳を振るい、ドラグレッダーがドラグクローに合わせて火炎弾を吐き出す。必殺技のドラグクローファイヤーである。

アルターゾディアーツに迫る龍騎のドラグクローファイヤー。だがアルターゾディアーツは慌てた様子もせず、持っている杖を迫るドラグクローファイヤーへと差し向けた。

 

アルターゾディアーツ「なんどやっても同じ!フン!」

 

杖へと当たるドラグクローファイヤー。だがそれは杖を破壊せず、その炎はそのまま杖の先端へと吸い込まれて消えてしまった。

 

竜輝「なっ!ドラグクローファイヤーを・・・・」

 

誠也「吸収した?!」

 

アルターゾディアーツ「そら!返すぞ!!」

 

アルターゾディアーツがそう叫ぶと同時に杖を誠也たちに向けて振るう。杖の先端から、今度は先ほど吸収したドラグクローファイヤーが打ち出される。

 

誠也・竜輝「「なっ!?」」

 

迫る炎にたして竜輝はその場を飛び退いてかわすが、誠也はかわすことができずに直撃を受けた。

 

ドガーンッ!!

 

竜輝「ウィザード!!」

 

誠也に直撃し、立ち上がる火柱をみて叫ぶ竜輝。

 

寧子「あ、あああ・・・・」

 

良太「そ、そんな・・・・」

 

立ち上がる火柱を呆然と見つめる寧子と良太。

 

アルターゾディアーツ「まずは一人!アハハハハハッ!!」

 

燃え上がる炎を見て愉悦そうに笑うアルターゾディアーツ。だがそんな笑い声を無視してカナリヤが三人に対して声をかけた。

 

カナリヤ『大丈夫よ。見て、あれを!』

 

カナリヤの声を聞き、竜輝達三人は再び炎を見る。

 

電子音声『フレイム!!プリーズ!!・・・・・ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!』

 

炎の中から電子音声が聞こえてくると、突如現れた赤い魔法陣に炎が吸い込まれて消え、炎の中からフレイムスタイルのウィザードが現れた。

 

寧子「あ!炎を・・・」

 

良太「吸収した?!」

 

竜輝「フレイムスタイルに変身して凌いだのか。ハァ~、脅かさないでくれよ。」

 

誠也「ゴメン、脅かしちゃったみたいだな。」

 

そう言って再びウィザーソードガンを構える誠也。

 

アルターゾディアーツ「なるほど、炎は効かないみたいだな、なら・・・・これならどうだい!!」

 

そう言って腕を振り上げるアルターゾディアーツ。

 

誠也「?!」

 

振り上げた腕を見て、直感で「あれはヤバイ!」と感じてその場を飛び退く誠也。

その直後、アルターゾディアーツが腕を振り下ろした後、誠也のすぐ後ろにあった工場のパイプが切断されて崩れ落ちる。

 

誠也「なっ!切断の魔法?!」

 

竜輝「ゾディアーツになっても使えるの?!」

 

切り裂かれたパイプをみながら叫ぶ誠也と竜輝。

 

アルターゾディアーツ「力がみなぎってきている感覚が有るから、もしかして使えるかもと思ってたんだけど・・・・使えるみたいだね。」

 

誠也「魔法まで使えるのか・・・マズイな、これじゃあ接近戦ができないし、遠距離からの攻撃は、あの炎で相殺させられる・・・どうすれば・・・・そうだ!こいつを使えば!」

 

そう言って誠也は一つのウィザードリングを取り出した。

 

アルターゾディアーツ「アハハハハッ!もう終わりかい?接近戦は私の「切断」の魔法でできない。遠距離戦も私の炎で相殺されて効果なし・・・・まさに打つ手なしだね。さあ、絶望の時だ!!」

 

竜輝「クッ!ウィザード、どうする?」

 

アルターゾディアーツの言葉を聞き、苦悶の声を出しながら誠也にどうするかを聞く竜輝。

 

誠也「ここは俺に任せて!切り札を使う!!」

 

そう言って誠也は取り出したウィザードリングを竜輝に見せた。

 

竜輝「あっ!それ、学校の校舎を吹き飛ばしたリング!」

 

誠也の取り出したリングを見て、数日前に誠也が自分達の通っている学校の校舎内での戦いで使用し、その攻撃で相手もろとも校舎を吹き飛ばしたリングだと、思い出して叫んだ。

 

アルターゾディアーツ「どうした?もう終いかい?なら、とっとと引導を渡して「アルターゾディアーツ!」って・・・ん?」

 

一歩踏み出して、斬撃の魔法の効果範囲外ギリギリの所でアルターゾディアーツの前に立つ誠也。

 

誠也「今の俺の・・・とっておきを見せてやる!」

 

そう言って誠也は左手に赤い指輪・・・・フレイムドラゴンのウィザードリングをはめて、それをウィザードライバーにかざした。

 

電子音声『フレイム!ドラゴン!!・・・・ボー!ボー!ボーボーボーッ!!』

 

響き渡る電子音声と共に誠也の前に現れる赤い魔法陣。その中から炎のドラゴンが飛び出してくると誠也の周りを旋回した後、誠也の体を炎で覆う。

 

寧子「あ、あれは・・・」

 

良太「炎が・・・」

 

誠也を覆った炎はやがて収束して形を作る。

 

竜輝「アレは・・・ウィザード・フレイムドラゴン形態!」

 

収束した炎が形となって現れたその場には、赤い宝石の仮面に胸部にドラゴンの顔を模した装甲が施されたウィザードの姿があった。

 

誠也「絶望はしない!かなで達の最期の希望・・・鎮死剤は俺が必ず持ち帰る!!」

 

アルターゾディアーツ「ハッ!形が変わった所で、私に勝てるもんか!!」

 

そう叫んだアルターゾディアーツは杖の先から炎を大量に出して誠也にぶつける。だがその炎は誠也にぶつかる瞬間、誠也へと吸収されて消えてしまった。

 

アルターゾディアーツ「なっ!私の炎を!!なら、もっと大きい特大の炎を!!」

 

杖を構えてその先端に巨大な炎を発生させると、それを誠也に向けて放った。

 

誠也「また、随分と大きなのを・・・けど、無駄だ!」

 

そう言った誠也は、右足に赤い炎の魔力を纏わせると、飛んできた火球を魔力が纏った足で蹴り返した。

 

アルターゾディアーツ「なっ!うぁあああああああ!」

 

誠也によって蹴り返された自分の火球をまともに受けて吹っ飛ぶアルターゾディアーツ。

 

誠也「これで終わりだ!」

 

誠也はそう言ってスペシャルのウィザードリングを取り出して右手の指にはめた後、ウィザードライバーのハンドオーサーを操作してかざした。

 

電子音声『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!チョーイイネ!スペジャル!サイコー!!』

 

辺りに響く電子音声と同時に誠也の体が中に浮き、背後に赤い魔法陣が現れ、誠也の胸の辺りから炎の形をしたドラゴンが現れる。炎のドラゴンは誠也の周りを旋回した後誠也の背後にある魔法陣に突っ込むと、誠也の胸にドラゴンの頭部が現れる。

 

誠也「さあ、フィナーレだ!」

 

胸に出たドラゴンの頭部から強力な大火球がアルターゾディアーツへ向けて吐き出される。

 

アルターゾディアーツ「なっ!うわああああああああああああっ!」

 

ドガーン!

 

ドラゴンの火球を受けて爆散するアルターゾディアーツ。

 

誠也「ふぃ~、今回はちょっと危なかったな。」

 

地面に降り立ち、胸のドラゴンの頭部を消した誠也が安堵した声を上げた。

 

竜輝「やったね誠也。」

 

誠也「ああ。後は・・・」

 

そう言って誠也は、爆発が起きた跡地に行くと、そこに転がっているゾディアーツスイッチを拾い、押されたままのスイッチを切った。するとスイッチは掻き消えるようにして誠也の掌から消え去った。

 

誠也「これで後は・・・・」

 

そう言って誠也は倒れている沙織に近づいた。

 

寧子「沙織ちゃん・・・」

 

倒れている沙織の側には、寧子と良太が居り、寧子は沙織の体を抱き起こして、沙織の様子を見ていた。

 

誠也「・・・黒羽さん。」

 

寧子「・・ねえ、沙織ちゃんは大丈夫なの?」

 

竜輝「心配ないですよ。彼女から出たゾディアーツは倒しましたから、時期に目覚めます。」

 

誠也「じゃあその前に・・・黒羽さん、彼女から離れてください。彼女が目覚めてまた暴れる前に、動きを封じておきます。」

 

寧子「えっ?あ!・・・うん。」

 

そう言って寧子は渋々とまだ意識が戻らない沙織の体を横たえさせてから沙織の側を離れた。

 

誠也「じゃあ、少し動きを封じさせてもらうよ。」

 

そう言って誠也は右手の指にバインドの指輪をはめてウィザードライバーにかざした。

 

電子音声『バインド!プリーズ!』

 

電子音声が響き、赤い光の帯が魔法陣から現れた後、沙織の体を拘束した。

 

誠也「これでよし!それじゃあ彼女の意識が戻る前に薬を探して「うぅ・・・・」って先に彼女の意識が戻っちゃったみたいだな。」

 

バインドで拘束されたままの沙織はゆっくりとその瞳を開いた後、そのまま周りを見回し、次に自分の体を縛っているバインドを見て自分が敗れて拘束された事を悟った。

 

沙織「クソ!こんな奴らに私が負けるなんて・・・・私・・・殺されるわ・・・・・」

 

竜輝「殺されるって・・・・」

 

誠也「まあそれぐらいしそうな連中だよな。目撃者である霞を殺そうとしたくらいだもんな。」

 

そう言って誠也は霞がこの前撃ち殺されそうになった時の事を思い出した。

 

誠也「さて、少し君に聞きたい事があるんだけど、あのゾディアーツスイッチ、どこで手に入れたんだい?」

 

沙織「・・・黒い光を放つ鳥に貰ったんだよ。」

 

カナリヤ『なっ!黒い光を放つ鳥!まさかそれって!』

 

沙織の言葉を聞いて驚きの声をあげるカナリヤ。

 

誠也「カナリヤ、それって前にカナリヤが言った「カラス」ってやつの事か?」

 

誠也はカナリヤの反応を見て、以前カナリヤが話したカラスという者の事を思い出した。

 

良太「な、なあ、なんだ、そのカラスって?何者なんだ?」

 

カナリヤ『それは・・・『フフフッ、実験は予想以上の成果だったな。』ってこの声は?!』

 

突如響いた声に驚き、誠也達は一斉に声のした方向を見た。

声は沙織を取り囲んでいる誠也達の後ろ上から聞こえており、その場所の天井近くの所に、黒く光るカナリヤによく似た鳥が飛んでいた。

 

カナリヤ『カラス!!』

 

カラス『フフフッ、久しぶりだなカナリヤ。』

 

カナリヤ『何故お前がここに?!』

 

カラス『なに、実験の結果を見るために来たまでのこと。』

 

誠也「実験だって?」

 

カラス『ああ、実験だよ、魔女・・・魔法使いがゾディアーツスイッチを使用したら、どのようになるのかと言うな。フフフフッ、結果は非常に興味深い物となった!まさかたった一回でラストワンに至るばかりか、魔女の魔法をソディアーツ化している時にも使うことができるとはな!実に面白い!!フハハハハハハッ!』

 

愉悦に浸り高笑いをするカラス。そんなカラスを忌々しげに見る誠也達。

 

カナリヤ『・・・カラス、さっき魔女である彼女に実験をしたと言ったわね。あなた、彼女達が居た組織について何か知っているわね?教えなさい!彼女達をあんな目に合わせた組織とはどんな組織なの!』

 

カラスが寧子達が居た組織について何か知って居ると思い、カラスからそれを聞き出そうとした。

 

カラス『おや?知らなかったのか?私はてっきり知っているから、お前たちが逃げ出した魔女達を匿っているものだとばかり思っていたのだがな。』

 

カナリヤ『・・・・・どう言う事?』

 

カラス『分からんのか?そいつら魔女を作った組織「魔女の宮殿(ヴィンガルフ)」』は我々財団Xの下部組織なのだぞ」

 

カナリヤ『なっ!なんですって?!』

 

カラス『我々がいつまでもこの世界に自分達の協力者を作らないとでも思っていたのか?』

 

誠也「・・・なるほどな。合点がしたぜ。かなで達を捕まえていた組織のやり口が「財団X(お前達)」に似ていると思っていたんだが、まさかお仲間だったとはな。似ているわけだ。」

 

カラス『フフフッ・・・お褒めの言葉、ありがたく受け取っておくよ、この世界のウィザードよ。さて・・・実験の結果も見れたことだし、私はここいらでお暇させて貰うよ。ああ、そうそう、その負け犬の実験体だが、もうまもなくビーコンを通して遠隔操作でインジェクトされると思うから気にしなくてもいいぞ。』

 

寧子「なっ!インジェクトって・・・・あなた達、人の命をなんだと(ボシュン!)って・・えっ?」

 

突如鳴り響いた何かが排出されるような音を聞き、カラスにくってかかった寧子は黙り込み、その音をした方向を見て、それに釣られるようにして誠也達もその方向を見た。

その音のした方向はバインドで拘束されている沙織の後頭部だった。

 

良太「なっ!左下のボタンが押されている!!」

 

沙織の後頭部を見た良太が沙織のハーネスの左下のボタンが押されているの見て叫んだ。

 

沙織「あぁぁあああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

断末魔の叫び声を上げながら沙織の体がまるで飴のように溶け始めた。

 

誠也「なっ!体が?!」

 

竜輝「溶ける?!」

 

沙織「あぁあああああああぁあああああああああぁああああああああ!!!」

 

誠也達の目の前でどんどん溶ける沙織。

 

良太「ど、どうすれば?!」

 

寧子「無理・・・もう・・・助からない・・・・・」

 

顔を両手で覆いながら泣きはじめる寧子。

 

やがて、断末魔の叫び声も聞こえないようになった後、沙織は着ていた衣服と骨だけを残して溶けてなくなってしまった。

 

寧子「沙織ちゃん・・・・」

 

顔を両手で覆いながら泣く寧子。

 

寧子以外の者たちも、尋常じゃない人の死に方を見て呆然とする。

 

カナリヤ『・・・・・・?!なにアレ?!』

 

沙織の遺体を見て居たカナリヤが、沙織のハーネス辺りにうごめいている何かを見て叫んだ。

 

誠也「カナリヤ何を見つけ・・・?!なんだコレ!?」

 

沙織のハーネスの辺り、そこには筋肉の色をして、目玉がたくさん付いたアメーバのような物がうごめいていた。

 

竜輝「なっ!何なんだ・・・・コレ・・・」

 

良太「沙織の・・・・この子のハーネスの中にいた物なのか?!ハーネスに戻ろうとしている。」

 

誠也達の目の前で、沙織の残った遺体の脊髄についているハーネスに戻ろうとしているアメーバのような物。

 

カナリヤ『・・・もしかして、コイツが魔女・・・魔法使い達に寄生していたから、魔法使い達は魔法が使えたの?』

 

カラス『その通りだ。』

 

再び口を開いたカラスの声に反応して一斉にカラスの方を見る誠也達。

 

カラス『それはドラシルと言って、そいつが寄生しているから魔女達は魔法が使えるのだ。フン!』

 

ドラシルについて語ったカラスは、体を少し光らせた後、不意に光線のようなものを打ち出し床で這いつくばっている沙織のドラシルを打ち抜いた。

 

カラス『見ての通り、見てもあまり気持ちの良い物ではないがな。』

 

汚らしい物を見るかのように言い方で吐き捨てるカラス。

 

寧子「ドラシルって・・・私達・・・一体、なにをされたの・・・・」

 

目の前でショッキングな出来事が幾つも起こったせいか、泣き崩れる寧子。

 

カラス『さて、私はここで失礼させて貰うよ。では、また会おうカナリヤ、そしてこの世界の新たなライダー達よ!』

 

カナリヤ『なっ!待ちなさい!カラス!!』

 

カナリヤの静止の声も聞かず、カラスはその場からまるで掻き消えるようにしてその姿を消した。

 

カナリヤ『・・・カラス!』

 

そう言ってカラスが消えた空間を見てカナリヤはそう呟いた。

 

誠也「・・・・ここでこうしててもしょうがない。ガルーダ達と合流して、薬を探そう。」

 

竜輝「そうだね。先輩も、さあ。」

 

良太「ああ、黒羽。」

 

寧子「・・・うん。」

 

ノロノロと寧子が立ち上がるのを見た後、誠也達は先に薬を探しているカルーダ達と合流するために移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラボの地下一階の大広間。そこで誠也は霞に泣きながら抱きつかれていた。

 

霞「お兄ちゃん!無事で・・・良かった・・・・ヨガッダヨォオオオオ!」

 

誠也に抱きつきながら鳴き声をあげる霞。

 

誠也「あ~、大丈夫、大丈夫だから泣きやめよ。ほら、可愛い顔が台無しだぞ。」

 

霞「ぐすっ・・・・うん。」

 

そう言って霞は泣き止んで誠也から離れた。

 

工場での戦いの後、誠也達は薬を先に探しているカルーダ達と合流して誠也達は早速薬探しを始めた。先に探し始めたガルーダ達はすでに2箱、288錠の薬を発見していた。そこからさらに誠也達がもう2箱見つけ、合計576錠の薬を手に入れた。その後、夜が明ける前に工場を後にし、誠也のテレポートリングでラボに戻ってきて今に至ると言う訳である。

 

かなで「霞、よかったね。私も随分心配したんだよ。佳奈の予知が全然変わらないから死んでしまったんじゃないかって・・・・でも・・・無事でよかった・・・・・グスッ」

 

霞に先を越されて抱きつくタイミングをなくしたかなでも、涙声で話ながら誠也達の無事を喜んでいた。

 

圭介「しかし・・・本当に無事で良かった。」

 

誠也「ん・・・ああ。」

 

圭介「?どうした?何かあったのか?」

 

誠也の態度がおかしいので何かあったのかを聞く圭介。

 

誠也「ああ、実は・・・・・」

 

そう言って誠也は工場で起きたことの顛末を話した。

 

 

圭介「なっ!この子達が捕まっていた研究機関が財団Xの下部組織だって?!」

 

霞「カラスって確か・・・前にカナリヤが言ってた人だよね。そんな人まで出て来たんだ。」

 

工場での出来事を一通り話した誠也。その話を聞いてラボに残っていた面々は少なからず驚き、動揺していた。

 

千絵「ねえ、所でそのカラスてヤツにそこの・・・・たしか村上くんだっけ?の顔を見られてたんだよね。身元が割れて危険なんじゃ・・・・」

 

誠也の話を聞いて千絵が良太の顔を見られたので、身元が割れてしまった可能性があるのではと聞いてきた。

 

カナリヤ『心配ないわ。村上くんにはここを出て行く時に、私が認識障害の魔法をかけておいたから、カラスには村上くんがちゃんと認識できなかったはずだから、心配ないわよ』

 

千絵「あ、そうなんですか。良かった。」

 

そう言って千絵は安堵の顔を浮かべた。

 

誠也「・・・兎に角、かなで達が逃げてきた研究機関魔女の宮殿(ヴィンガルフ)が財団Xの下部組織だと分かった以上、これはもうかなで達だけの問題じゃない。魔女の宮殿(ヴィンガルフ)は俺達仮面ライダーにとっても倒さなきゃならない組織だ。」

 

誠也の言葉を聞いて竜輝・圭介がウンと頷く。

 

誠也「かなで達を守り、奴らの組織を絶対叩き潰すぞ!」

 

竜輝・圭介「「ああ!」」

 

互いに目的を確認し一致団結する誠也達。

 

誠也「さて、会議はいたん打ち切ろう、正直言ってちょっと眠いから、続きは昼過ぎにやるってことで。」

 

竜輝「そうだね。僕も少し眠いし、ここは一旦家に戻って睡眠をとるよ。」

 

誠也「ああ、俺も眠いし、睡眠を取るために、一旦岩永家に戻るよ。」

 

かなで「えっ!誠也くん戻っちゃうの?!」

 

誠也「・・・・なんで残念そうな声を上げるの(^^;」

 

かなで「だってこっちで寝るんだったら、夜這いでもしようかな~って思ってたから。」

 

誠也「そんなこと考えてたんかい!はぁ~あのね、もうちょっと常識のある行動をしようよ。」

 

かなで「愛の前に、常識はかきすてる物なのよ!(ビシッ!)。」

 

誠也「カッコイイこと言っているみたいにカッコつけても、言っていることはアレだぞ(^^;)」

 

竜輝「よ・・・夜這い・・・・(ブシャアアアアアアアアアアアッ!!)」

 

霞「キャアアアアアッ!竜輝さんが鼻血を噴出して倒れた!!」

 

圭介「うわ~あたり一面血の海だ。掃除大変そうだな~。」

 

夜這いと聞いて、鼻血を噴出して倒れる竜輝を見て悲鳴をあげる霞と竜輝の鼻血であたり一面血の海になっている部屋の中を見て呑気なことを言う圭介。

 

小鳥「た、大変!早く止血しないと!」

 

カズミ「りゅ、竜輝!しっかりしいや!夜這いって聞いたぐらいで、鼻血出して倒れるやつがおるかい!あんたどれだけこの手の話に免疫ないんや!!」

 

倒れた竜輝を抱き起こして、止血作業をしながら竜輝に声をかける小鳥とカズミ。だが竜輝を抱き起こしたのが小鳥であったため、抱き起こした瞬間、小鳥の豊満な胸や何やらが竜輝の体に接触し、結果さらに竜輝は大量の鼻血を噴出させた。」

 

竜輝「む、胸が・・・・(ブシャアアアアアアアアアアアアッ!)」

 

小鳥「え?え?どうして鼻血の勢いが増してるの?」

 

竜輝「あ・・・・綺麗な川の向こうで、天使達が楽しそうに踊ってる・・・・・。」

 

カズミ「えっ!?ちょ、それ、俗に言う三途の川ってやつやないか!」

 

竜輝「楽しそう・・・・逝ってみよう・・・・」

 

カズミ「わーっ!その川渡ったらアカン!戻ってきいや!竜輝「良いから、こっちで寝なよ~!その後、私が夜這いしてあげるから~。」って、かなで!こんな時まで何色ボケしてるんやっ!」

 

三途の川を渡りかかっている竜輝を他所に、誠也にしなだれかかり、先ほどの話の続きをしていかなで。なんなんだ、このカオス・・・・

 

誠也「意地でも向こうに帰る!」

 

かなで「えーっ!」

 

「帰る!」と言った誠也にじゃれつくかなで。そんな誠也達を少し離れた所から見ながら、良太は少し考え事をしていた。

 

良太(・・・今回、無理について行っても、まるで役に立たなかったばかりか、もしカナリヤが認識障害の魔法をかけてくれなかったら俺の身元がバレ、そこから魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の連中が黒羽達の事を突き止めてしまったかもしれない。・・・・役に立つどころか、逆に黒羽達を危険にさらすところだったなんて・・・・・クソッ!情けない・・・・俺にもっと力があったなら・・・)

 

そんな風に考え込み、自分を責める良太。そんな良太に寧子が声をかけた。

 

寧子「あの・・・村上くん。」

 

良太「えっ?あ・・・なんだ?」

 

寧子「あの・・・ありがとう。」

 

良太「えっ?」

 

寧子の口から突然感謝の言葉が出てきて戸惑う良太。

 

寧子「あの時・・・工場で沙織ちゃんの攻撃から私の身を守ってくれたよね。」

 

良太「あ、ああ、そう言えば・・・・いや、別に感謝される程の事じゃないよ。」

 

そう言って、良太はバツが悪そうにして顔を背けた。

 

寧子「ううん、もし、あの時、村上くんが咄嗟にかばってくれなかったら私・・・沙織ちゃんの魔法で死んでたよ。だから・・・ありがとう。」

 

そう言って寧子はとびきりの笑顔で良太にお礼を言った。

 

良太「あ・・・・・・ああ。(名前・・・始めて言ってもらえた・・・・)」

 

良太は寧子お礼の言葉を聞き、感動して思わず涙が出そうなのをこらえて返事をした。

 

 

 

 

 

つづく

 



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外伝1 木場勇治・新たな555として・・・

どうも、剣 流星です。
今回の話は外伝です。
これからもちょくちょく外伝を書いて載せていこうと思いますので
皆さんどうかよろしくお願いします。
では外伝1をどうぞ。


「お前も人間だ。」

 

乾 巧にそう言われ、自分のしている事に疑問を感じ、僕、木場勇治は答えを得るために考えた。

そして、なぜ、同じような立場の乾 巧はああまで強くいられるのかを考えた。

 

・・・ああ、そうか・・・彼は人間だとか、オルフェノクだとか、そういう表面的な括りで人を分かつ、偏見や差別の壁を破くことができたから、ああも強くなれたのか。

 

なら自分はどうだろう、憎しみのあまり、自分は元恋人を・・・・叔父を手にかけ、それを償おうともしないまま中途半端な状態で「心が人間なら人間であるはず」と言い、園田さんが警察に殺されたのを見て、今度は人間を敵視するようになったが、それすらも乾 巧に言われて揺らぐ始末。

 

人間とは何か・・・オルフェノクとは何か・・・・乾 巧はそんな括りを超えた所で戦っていたのだ。

 

人間だのオルフェノクだとこだわっている自分がかなわないはずだ・・・・

 

僕も破りたい・・・・人間だのオルフェノクだとこだわり括りで人を分かつ、偏見や差別の壁を・・・・

 

見つけたい・・・・・彼のような・・・・答えを!!

 

「見つけようぜ、木場、三原!俺たちの答えを俺たちの力で!!」

 

僕はそう乾 巧に言われ、三原 修二、そして・・・異世界からやってきた仮面ライダー・ディケイドの門矢士と共にオルフェノクの王との戦いへと趣いた。

カイザギアを破壊され、僕自身も致命傷を負いながらも、王を羽交い締めにし、そして・・・555の攻撃を王共々受けて・・・・散った。

 

薄れていく意識の中、ボンヤリと考えた

 

・・・・少しは近づけたかな・・・・・彼に・・・・少しは・・・・得られたかな・・・・答えを・・・・

 

そんな事を考えながら、僕の意識は消えようとした。そんな僕の意識に何者かの声が届いてきた。

 

・・・まだだ・・・まだ終わりじゃない・・・・

 

?・・・誰だ?

 

沈んでいた意識が急速に浮上し、そして・・・・僕の意識は再び覚醒した。

 

 

 

 

 

 

 

木場勇治「・・・・・ここは?」

 

目を覚ました木場勇治は自分の周りを見回した。

そこは何もない所だった。何もなく、ただ、暗い空間が永遠と広がっている場所で、自分はその空間に一人、プカプカと浮いていた。

 

木場勇治「何も無い・・・・あの世って、随分と殺風景なんだな。」

 

???「いや、ここはあの世じゃないよ。」

 

木場勇治「?!」

 

突然響いた声に驚いた瞬間、木場勇治の前に突然人影が現れた。

 

その人影は神秘的で人ならざる雰囲気を持つ中性的な容姿をした銀髪の少年だった。

 

少年「はじめまして、木場勇治。僕の名は憂う者・アルコル。君を再生させてこの場に招いたものだ。」

 

木場勇治「僕を再生させた?なぜ・・・僕を?」

 

アルコル「君が誠也の友人だからさ。君の事は彼から聞いていた。」

 

木場勇治「誠也くんが僕の事を?」

 

アルコル「ああ、君を最後まで説得できなかったことをずっと気に病んでいたよ。」

 

木場勇治「・・・・・・」

 

アルコルから誠也の名前を聞き、誠也が自分のことを気にやんでいた事を聞き、木場勇治はその顔を曇らせながら誠也の事を思い出した。

 

鳴海誠也・・・・異世界を旅する仮面ライダー・ディケイドである門矢士と共に旅をしていた少年。

彼は木場勇治が人間を見限った後でも、彼に対して最後まで説得をし続けた。

 

「・・・確かに人間はたまにひどいことをするよ。勝手なことをしたり、いじめたり、仲間はずれにしたり・・・でも!中にはそうじゃない人間だっているんだ!一生懸命正しい事をしようと努力している人間だって居る!木場さんもそれは知っているでしょう!お願いだ、前の木場さんに戻ってよ!!」

 

涙混じりの声を出しながら・・・涙を流しながら必死に木場勇治を戻そうとする誠也。

木場勇治はそんな誠也の言葉を最後まで「人間の言葉なんて聞く価値もない!」と一篇して聞こうともしなかった。

そんな最期に見た誠也の顔を事を思い出し、木場勇治はそんな悲しそうな顔に自分がしてしまったことに対して後悔した。

 

木場勇治(僕の事を気にやんで・・・こんな事なら、あの子の話を聞いてあげるんだった・・・・・)

 

木場勇治「僕は・・・・あの子の友人を名乗る資格なんて無いし、あなたに助けてもらう資格さえない・・・・どうかこのまま、僕を消し去ってくれ・・・その方が僕にはお似合いだよ。」

 

そう言って木場勇治は顔を伏せた。

 

アルコル「・・・このまま自分のした事に背を向けて、償いもせずに逃げるのかい?」

 

木場勇治「えっ?」

 

アルコル「君がこのまま消えたら、君に真実を伝えられなかった事を後悔している誠也がますます傷つくだけだよ。」

 

木場勇治「真実?」

 

アルコル「ああ。長田 結花(おさだ ゆか)の死の真相についてだ。」

 

木場勇治「長田さんの?」

 

長田 結花、木場勇治と共に一緒に暮らしていた人間側についていたオルフェノクの一人であり、その彼女の死、それが木場勇治が人間を見限るきっかけになったか。彼女は警察の研究機関に捕らえられ実験材料にされ、警察の襲撃を受け、その際に負った傷で死亡してしまった・・・それが木場勇治が知って居る事件の概要である。

 

木場勇治「彼女は警察の・・・人間の手にかかって死んだ・・・・それ以外の何があるって言うんだ・・・・」

 

アルコル「確かに彼女は警察に襲撃された・・・けど、彼女はその攻撃からなんとか逃げ延びることができた。その後、彼女はある人物によって殺されたんだ・・・・ロブスターオルフェノク・影山 冴子(かげやま さえこ)の手にかかって・・・誠也はその一部始終を見ていたんだ。」

 

木場勇治「なっ!・・・・彼女の手にかかって?!」

 

アルコル「ああ。元々君たちと影山 冴子(かげやま さえこ)は敵対関係だった、それに彼女は前に長田 結花に負けたことがあるから、その意趣返しも込めて襲われたんだ。」

 

木場勇治「そ、そんな・・・・・じゃあ僕は・・・・・・ははは・・・とんだ道化だな・・・僕は・・・・・こんな僕はあの時消えるべきだったんだよ・・・・なんで僕を助けたんだ!!」

 

涙を流し苦悩する木場勇治。そんな彼に対してアルコルはゆっくりとした口調で語りかけるように語った。

 

アルコル「君がこのまま死んでも犯してしまった罪は消えない・・・・・・」

 

木場勇治「・・・・・・・・・・」

 

アルコル「だが、もし君が少しでも自分にした事に対して罪を持っているなら、これを持って、仮面ライダーとして誠也の力になってあげて欲しい。」

 

そう言ってアルコルは一つのアタッシュケースを取り出して、中に収めてある物を木場勇治に見せた。

 

木場勇治「これは・・・555ギア!?」

 

アタッシュケースの中には、乾 巧が使っていた555ギアと同じものが収められていた。

 

アルコル「これは乾 巧が使っていた555ギアをコピーした物だ。最も、コピーと言っても性能は本物と何ら変わらないけどね。」

 

木場勇治「これを使って僕に仮面ライダーになれと?なぜ、僕なんだい?僕は一度間違いを犯した者だ。僕なんよりもっとふさわしい人だって居るだろうに・・・・なぜ?」

 

アルコル「確かに君は間違いを犯した。だがその事を反省している。だから同じような過ちを犯さず、持っているその力・・・オルフェノクの力に二度と溺れることはせず、正しい人の心で力を制御し、オルフェノクの力を仮面ライダーの力として使うことができると思ったからだ。知っているかい?仮面ライダーの力と怪人の力は元が同じものなんだ。」

 

木場勇治「ライダーの力と怪人の力は元が同じ?!」

 

アルコル「そう、元は同じ物なんだ。結局、力というのはそれを持った物の心のありよう次第であり、オルフェノクの力も例外じゃない。そして、自分の過ちに気づいた君なら、そのオルフェノクの力に再び溺れて怪人となることなく、人の心で制御し、仮面ライダーとして使い続けることができると思っている。」

 

そう言ってアルコルは木場勇治に555ギアが入ったアタッシュケースを差し出した。

 

木場勇治「・・・・・・」

 

 

木場勇治は差し出されたアタッシュケースを前にして、目をつぶると、そのまま動かずに考え込んだ。

そして数分後、ゆっくりと目を開けた木場勇治はアルコルに向けてゆっくりと口を開いた。

 

木場勇治「さっき誠也くんを助けて欲しいって言ってたね、どういうことだい?」

 

アルコル「誠也は今、仮面ライダーとして、ある組織と戦っているんだ。」

 

木場勇治「誠也くんが仮面ライダーとしてある組織と戦っているだって?!」

 

アルコル「そうだ。組織の名は「財団X」。怪人の力を使って今、誠也が住んでいる世界にその勢力を広げようとしている。そして、財団が使っている怪人の力の中にはオルフェノクの力も入っているんだ。」

 

木場勇治「なっ!オルフェノクの力も使っているだって?!そうか・・・だから僕に誠也くんの助けを頼んだんだな。・・・・分かった、君のその頼み、引き受けるよ!」

 

そう言って、木場勇治はアルコルが差し出していたアタッシュケースを右手を伸ばして受け取った。

 

木場勇治「オルフェノクの力が利用されているのなら、人ごとでもないし、何より僕がしでかした罪の償いのために、そして・・・こんな僕を友達だと言ってくれた誠也君のためにも、僕は戦う!」

 

アルコル「ありがとう。では早速、君を誠也のいる世界へと送るよ。」

 

そう言ってアルコルは両手を前に出して木場勇治へと向けた。

すると、木場勇治が徐々に光に包まれ始め、やがて全身を包み込むと、その光はさらに輝きを増し始めた。

 

アルコル「健闘を祈る。誠也を・・・頼む。」

 

木場勇治「ああ。」

 

そう言って木場勇治はアルコルに対して力強く頷いた。そして次の瞬間、包んでいた光が一瞬激しく光を放つと、木場勇治はその場から消え去っていた。

 

アルコル「頼むよ、新たな仮面ライダー555。」

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の海鳴市上空を飛ぶ二つの人影。

それはこの世界、第97管理外世界・地球にロストロギア・ジュエルシードを探しに来た魔導士、フェイト・テスタロッサとその使い魔であるアルフの二人の物であった。

フェイトは母であるプレシア・テスタロッサに言われてこの世界に落下したロストロギア・ジュエルシードを探しに来たのであるが、突如次元転移してきた反応をキャッチし、その転移してきた物がなんなのか正体を知るために、反応があった場所へと向かっていた。

 

アルフ「フェイト、反応があったのはこの辺りなのかい?」

 

フェイト「うん、間違いない。」

 

アルフ「こんな管理外世界に来る物好きなんて居ないだろうに・・・・まさか、管理局の連中が?まずいよ、あたしらまだジュエルシード探し始めたばかりで、まだ一個も手に入れてないんだよ?!」

 

フェイト「だぶん管理局じゃないと思う。管理局にしては来るのが早すぎるから。もしかしたら、この世界に流れ着いた次元漂流者なのかもしれないよ。」

 

アルフ「まあ、管理居の連中なのか、ただの次元漂流者なのかは行ってみればわかるはずだよね。お?あそこにあるビルの屋上だったよね、反応があったのは?」

 

アルフはそう言って、前方に見えて来たビルの屋上を指差した。

 

フェイト「見て、誰か倒れてる。」

 

反応があったビルの屋上にはアタッシュケースを手に持って倒れている一人の青年が倒れていた。二人は倒れている青年の近くに降り立つと、しゃがんで青年の様子を見た。

 

アルフ「見た所、管理局の連中には見えないね。なら、フェイトが言ったとおり、ただの次元漂流者なのかもしれないね。」

 

フェイト「バルディッシュ、この人の容態は?」

 

バルディッシュ『脈拍、呼吸共に正常です。おそらく気絶しているだけだと思います。』

 

フェイト「そっか、よかった。あの・・・しっかり、大丈夫ですか?」

 

フェイトは倒れている青年を起こそうと、かるく揺さぶった。

 

木場勇治「・・・うっ・・・・う~ん・・・・ここは?」

 

ゆっくりと閉じていた目を開けて、青年・木場勇治は自分を揺さぶっていたフェイトを見た。

 

フェイト「ここは第97管理外世界地球にある海鳴市という場所です。大丈夫ですか?」

 

木場勇治「海鳴市?君は?」

 

フェイト「私はフェイト・テスタロッサ、転移反応があったので、その反応があった場所に来てみたら、あなたが倒れて居てそれで・・・・」

 

木場勇治「そうか・・・・・僕は無事、異世界に来れたんだな。あ、ごめん、迷惑かけたみたいだね。僕は木場勇治と言うんだ。」

 

これが新たな555として異世界に来た木場勇治とフェイト・テスタロッサの出会いであった。

この後、木場勇治はフェイトのジュエルシード集めを手伝い始め、ジュエルシード集めの中で、同じようにしてジュエルシード集めをしている高町なのはに協力していた仮面ライダー・ウィザーである鳴海誠也と再会することになり、互いに何回か衝突することになるが、後に高町なのはと協力関係になったフェイトと共に誠也と合流し、事件の解決へと導いた。

その後、フェイトと別れた木場勇治は誠也の紹介で知り合った誠也の幼馴染である神谷竜輝の父親・聖時と知り合い、彼の勧めで警察官へとなった。

そして現在・・・・・

 

木場勇治「聖時さん!そっちです!」

 

神谷聖時「この先は袋小路だ。追い込むぞ!!」

 

木場勇治は刑事となり、同じ刑事をしている神谷聖時とコンビを組んで、財団X関連の事件を追うようになった。

 

路地裏を逃げるガイアメモリの使用者を聖時と共に追跡し、袋小路の道へと追い込む木場勇治。

やがて袋小路の道に追い込まれて逃げ場を失うガイアメモリの使用者。

 

神谷聖時「さあ、もう逃げ場はないぞ!」

 

木場勇治「大人しく捕まって罪を償うんだ。今ならまだ間に合う。」

 

追い込んだガイアメモリの使用者に対して、大人しく捕まるように言う木場勇治。

 

ガイアメモリ使用者「う、うるさい!俺は人を超えた力を手に入れたんだ!この力で、今まで俺を馬鹿にしていた連中に復讐するんだ!!邪魔するなぁあああああ!!」

 

そう叫んだガイアメモリ使用者は持っていたガイアメモリを取り出すと、そのメモリについているボタンを押した。

 

電子音声『MAGMA!』

 

辺りに電子音声が響くと、次にガイアメモリ使用者は持っているメモリを自分の左腕に差し込んだ。すると使用者の体は変化し、マグマドーパントへと変化した。

 

神谷聖時「メモリを使用したか!」

 

木場勇治「聖時さん、下がって!ここは僕が!」

 

そう言って木場勇治は持っていたアタッシュケースから555ギアを取り出すと、それを腰へと装着し、ファイズフォンに変身コードを入力して「ENTER」を押した。

 

電子音声「Standing by!」

 

辺りにファイズフォンから発生した電子音声が響く。

 

木場勇治「変身!」

 

掛け声と共にドライバーのバックル部のフォンコネクターにフォンを突き立て左側に倒す。

 

電子音声「Complete!」

 

響く電子音声と共に木場勇治の体に沿ってフォトンフレームが形成され、それがアーマーへと変化、木場勇治を仮面ライダーへと変えた。

 

マグマドーパン「その姿、まさか・・・噂の仮面ライダー?!」

 

木場勇治「さあ、ここからはこの「仮面ライダー555」が相手だ!」

 

そう言って、555とマグマドーパンとの戦いが始まった。

 

木場勇治、彼は今日も己の贖罪と答えを探すために「仮面ライダー555」として戦い続けるのであった。

 

 

 

 

 



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人物紹介2

どうも、剣 流星です。
今回は人物紹介2を載せさてもらいました。
あと次回の投稿なのですが、ストックが切れたのと、リアルで兼ね合いのせいで1ヶ月開きます。
誠にすいません。


神谷竜輝(かみやりゅうき)

 

原作(オリジナル)

 

誠也と同い年の幼馴染で、抱きつかれただけで鼻血を出して倒れてしまうくらい女性に免疫がない。

母親譲りの金髪と顔立ちで、誠也と同じように女の子に間違われることがしばしばある。

実は双葉という名の双子の妹が居たが、誠也がはやてと共に異世界を旅している間に事故にあって亡くなっている。

小さい頃、近所に住んでいたユーリと言う少女が好きで、彼女が両親に虐待されているのを知り、そこから助けたいと思っていた。

だが、竜輝が双葉が死んだ事故に一緒に巻き込まれて、そのケガで入院している間にユーリが引っ越してしまい、彼女を虐待から助けられなかった事を今でも後悔し続けている。

今現在、助けた魔女の少女・カズミと同棲している。誠也達意外にもいる幼馴染で、最近は病気で入院している「ほむら」と言う少女のお見舞いにちょくちょく行ってあげているらしい。

家族構成は父・聖時、母・アーシア、双子の妹・双葉(死亡)妹・ティピ。

仮面ライダー・龍騎の装着者。

 

 

 

 

 

神谷聖時(かみやせいじ)

 

原作(オリジナル)

 

竜輝の父親で遠羽署の刑事課所属の刑事をやっている。実は異世界から妻であるアーシアと共に流れ着いた次元漂流者である。

警察内で財団Xの存在をしる数少ない刑事で、同じように財団Xの正体を知り、555として戦っている刑事の後輩である木場勇治とコンビを組んでいる。

誠也の父親である鳴海誠司が刑事だった頃一時期コンビを組んでおり、鳴海誠司が刑事をやめた後でも、友として付き合いが続いている。

実は大の愛妻家である。

 

 

 

 

 

神谷(かみや)アーシア

 

原作(オリジナル)

 

長い金色の髪が特徴の竜輝の母親で元修道女。治癒能力(ヒーリング)を持っている。

夫である聖時と共に流れ着いた次元漂流者であり、この世界に来たばかりの頃、乃木坂王季に世話になったことが有り、

それ以来、王季とは聖時共々友人としての交流がある。

 

 

 

 

 

神谷(かみや)ピティ

 

原作(オリジナル)

 

今年で一歳になる竜輝の二人目の妹。家族の愛情を受けてスクスクと育っている。

 

 

 

 

 

カズミ=シュリーレンツァウアー

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

非合法な研究機関ヴィンガルフ(魔女の宮殿)から複数の仲間と共に逃げてきた魔法使いの少女。ドイツ語堪能なハーフで関西弁で話す。

風貌はショートカットで貧乳でAカップ(本人は結構気にしてる)。素因数分解を瞬時に計算することが可能で、セキュリティ解除などあらゆるパソコンを遠隔操作する魔法「操網」を持っている。ただしインターネットへアクセスするには専用の機械「インターフェイス」が必要で、自身のハーネストの両脇にある端子とケーブルで繋ぐことで使用できるようになる。また復号できるのはネットワークの暗号のみであり専用チップの暗号は解けない。逃げ出してまもない頃、雨の中を歩いていた所、車にひかれそうになった所を竜輝に助けてもらい、その伝で今現在は神谷家に居候している。自分の出自を話しても、自分を受け入れてくれた神谷家の人たちの事が大好きで、中でも自分を何度か助けてくれた竜輝には淡い思いを抱いている。

 

 

 

 

 

冷泉奏《れいぜんかなで》(苗字と名前の漢字はオリジナルです)

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

寧子達と一緒に逃走した魔法使いも少女。偶然出会った誠也の妹・霞と仲良くなるも、一緒にいる所をヴィンガルフ(魔女の宮殿)の手の者に見られて一旦は捕まるものの、霞の連絡で助けに来た誠也に助けられる。

自分が絶体絶命のピンチの時に颯爽と現れた誠也の事が好きになり、誠也に過激なアプローチで迫っている。かざした手の先にあらゆる攻撃を防ぐことができる「光壁」の魔法を使うことができるが、この魔法は燃費が悪くて1~2回使っただけですぐにハングアップしてしまう。実はカラオケがとても好きで、一度マイクを握ったら離さないタイプなのだが、歌が壊滅的に下手。その歌声はドラ○もんのジャ○アンのようだと言われている。

 

 

 

 

 

村上良太(むらかみりょうた)

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

NASAの研究員を目指す誠也達と同じ白城学園の高等部の2年生。学校では女嫌いとして有名だが、クロネコと言う幼馴染を目の前でなくしたせいで接するのが苦手なだけである。また巨乳好きな一面を見せる。全国模試で全国3位になるほど学業の成績は良く、一度見たものを全て脳が記憶する能力がある。2歳の頃に父親と弟は事故で他界し、厳格な母親と2人で暮らし、家事全般を担当している。

 

 

 

 

鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

輸送中の事故で逃走したが寧子達と全く面識がなく、その場に一緒にいた千絵《ちえ》と一緒に逃げ出し共に行動するようになった。風貌はロングヘアで巨乳であり、天然ボケでおっとりしていて丁寧語を話す。料理と水泳が得意。普段は温厚な人柄だがやや食いしん坊で、食べ物のことになると目の色が変わる程執着を持っている。

自分と他人の位置を入れ替える「転位」の魔法を使用するが、この魔法は一度使うと必ずハングアップする程燃費が悪い。他人と手を繋いで発動すれば一緒に移動することが出来る。また、人間以外の動物とも入れ替わることが可能である。

 

 

 

 

 

水谷千絵《みずたにちえ》(苗字はオリジナルです)

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

小鳥と行動を共にしていた魔法使い。カズミと面識があり「操網」の魔法を使う。髪型はショートヘアで小鳥といつも一緒に行動しているが、これは千絵自身が大の方向音痴であるため、迷子にならないために共に行動しているのが理由の一つだからである。

 

 

木場勇治(きばゆうじ)

 

原作(仮面ライダー555)

 

誠也が異世界を旅した時にファイズの世界で出会ったオルフェノクになった青年。

資産家の子息として生まれ、婚約者も持つなど恵まれた環境に育った青年。一人称は「俺」あるいは「僕」。両親を乗せて車を運転中に事故に遭い、2年間の植物状態を経て死亡した後、ホースオルフェノクとして覚醒したことで人生が一変する。死亡した両親の財産を奪った叔父の裏切りと恋人だった森下千恵の裏切りが発覚し、苦悩と怒りの余り、千恵の新たな恋人となっていた従兄弟の木場一彰と千恵を殺害した過去を持っている。

温厚で物静かな性格。好意を抱いた相手に面倒見良く平和的に接するが、一度何かの拍子に敵と認識した相手は徹底的に攻撃するなど、人に対する評価が極端で不安定な部分がある。

人間でなく怪物と化した自分に苦悩するが、同類である長田結花や海堂直也と出会った後は「心が人間なら人間であるはず」という考えに至り、オルフェノクと人間の共存を模索していこうとしていたが、影山冴子に殺された結花が警察に殺されたと誤解したことで、人類とオルフェノクの共存から人類抹殺へと志を変え、555である乾 巧(いぬい たくみ)に敗れ、かつて自身が説いた理想を巧から諭されたことと巧の人間を守る決死に動揺し、さらに誠也の必死の説得を聞いて答えを出せずに苦悩する。それから、ファイズとデルタが復活したオルフェノクの王・アークオルフェノクに圧倒されてしまう中、答えを出すために救援に駆け付けた。カイザに変身して戦うも、王の攻撃でカイザギアが破壊されてしまう上に致命傷を受け、瀕死状態になった際、命を代償にして王を羽交い締めにした状態でファイズブラスターフォームのブラスタークリムゾンスマッシュを身に受けて散ったはずだったが謎の人物・アルコルに助けられ、ファイズギアを託され、誠也たち住んでいる世界に飛ばされる。

ジュエルシード事件の時、フェイトのジュエルシードを集めを手伝った経緯があり、事件の最中に自分の出生の秘密を知ってショックを受けたフェイトを励まし支えた。そのせいで、フェイトにはものすごく懐かれている。

今現在は刑事となり、竜輝の父親・聖時とコンビを組んで、財団X関連の事件を追っている。

 

 

 

 

 

坂橋圭介(いたばしけいすけ)

 

原作(次の犠牲者をオシラセシマス)

 

霞の幼馴染で警視総監の父親を持っている。正義感が強く、曲がった事が許せない性格を持つ。

困っている人を見捨てることができず、常に困りっぱなしの霞の面倒をよく見ている。

カナリヤから素質があると言われ、オーズドライバーを渡されて、誠也と共に仮面ライダー・オーズとして共に戦っている。

 

 

 

 

乃木坂 王季(のぎざか おうき)

 

原作(乃木坂春香の秘密)

 

誠也や美夏達の祖父。

先代の乃木坂家七代目当主で現在は乃木坂グループの相談役だが、実質隠遁した今でさえ「一声かければ3時間後にはその場でサミットが開かれる」などと言われるほどの絶大な権力を誇る。

実は再婚歴が有り、誠也の母親と悠菜の母親の母である妻を早くになくしていて、周りからの勧めもあり再婚し、その妻との間にできたのが春香・美夏の母親である秋穂である。

 

 

 

 

カラス

 

原作(仮面ライダー・バトライドウォー)

 

「鳥籠」の開発者、辛島進(からしま すすむ)の分身体とも言うべき存在で、本体である辛島進の研究に対する執着心のみが形となった存在である。姿はカナリアと似ているが、一回り大きく、身体が黒い。今現在は自分の研究をずるのに都合がいい財団Xに身を置いている。

 

 



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まぼろし月夜編
第19話 幽霊の少女と響鬼の少年①


どうも、剣 流星です。
一月開けてすいませんでした。
さて、今回からは新章突入です。
ではどうぞ~


誠也「ふわぁああああああ・・・・眠い・・・・・」

 

朝の岩永家の食卓で、誠也は大きな口を開けて盛大な欠伸をしていた。

ドレステインの工場から薬を回収した誠也達は、ラボに戻った後、薬を6人の魔女の少女達それぞれに分配し、今後の事を後日決めると決めてその場で解散した。

そしてラボに残り、例のコールドスリープ装置の設計図と鎮死剤を乃木坂の研究機関に渡す準備をするために残るカナリヤを残し、誠也は一人でテレポートリングで岩永家に戻ったのが朝の6時少し前であった。ぶっちゃけ誠也は殆ど徹夜で、ろくに寝ていない状態である。

 

皐月「大きな欠伸ね。昨夜寝られなかったの?」

 

誠也「え、ええ、まあ・・・・」

 

本当のことも言えないため、言葉を濁して返事をする誠也。

 

銀子「なんか隣にいるさくやちゃんと同じようにフラフラしてるわね。大丈夫?」

 

昨日から引き続き岩永家に止まった銀子が心配して誠也に声をかけた。

 

誠也「え、ええ、まあ・・・・アレよりは幾分かマシですよ。」

 

そう言って、誠也は今だに目が完全に覚めずにフラフラと体を揺らしながら、朝ごはんを食べようとしているさくやを見た。

 

さくや「・・・・・・うぅ~・・・・・・・あぁ~・・・・・・・・・・」

 

翔子「さくやちゃん、大丈夫?ちゃんと目、覚ましてる?」

 

孝介「おい!さくや、ちゃんと起きろ!しっかりしろって!」

 

体をフラフラさせているさくやを心配し、声をかける翔子と孝介。

そんな感じで朝食は進んで行き、朝食が済んだ頃にはさくやはすっかり目を覚ましていた。

 

さくや「では、そろそろ行きます。」

 

そう言ってさくやは通学に使っているカバンを手に取って立ち上がった。

 

翔子「あ、じゃあ私もそろそろ行くね。さくやちゃん、途中まで一緒に行こう。」

 

さくや「ええ、一緒に行きましょう。」

 

誠也「あ、じゃあ俺も散歩がてら途中まで二人を送っていきますよ。(昨日の事を二人に話す絶好の機会だしね)」

 

孝介「あ、じゃあ俺もその散歩、付き合うよ。(ボソ)皐月さんがいる岩永家では昨日の事話しづらいだろう?散歩がてら話してもらうぜ」

 

後半の言葉を小声で誠也に言って、自分も散歩に付き合うと言う孝介。

 

銀子「じゃあ私も、食後の運動がてら、一緒に散歩しようかな~(ボソ)私も昨日の事聞きたいから付き合うよ」

 

孝介の小声での話しを聞いた銀子もまた、昨日の事が気になったのか散歩につき合うと言いだした。

 

皐月「あら、みんな出かけるの?なら行ってらっしゃい。みんな気を付けてね。」

 

そう言って、テーブルの上の食器を片付けながら皐月は誠也達を送り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

銀子「ふ~ん、工場でそんな事があったんだ。大変だったわね。」

 

学校へと行くさくやと翔子と一緒に並んで歩いている孝介と銀子、その四人に対して歩きながら誠也は昨日の事の顛末を話していた。

 

誠也「ええ、しかも、カナリヤが探していた財団Xの幹部であるカラスも出てきたんですからね。」

 

孝介「しかし、その魔女の宮殿(ヴィンガルフ)って組織、財団Xの下部組織だったんだって?はぁ~、そんな危ない事をする危険な組織が野放しになってるなんて、何とも物騒だな。」

 

さくや「ええ、これでは怖くて迂闊に外を出歩けません。」

 

誠也の話しを聞いて少し怖がっている表情をしてさくやが言った

 

翔子「それにしても誠也くんが無事でよかった。死ぬ予知をされてたんだよね?ホント無事でよかったよ。」

 

誠也「ああ、ホント、今回はちょっとヤバかったから無事に事が済んでよかったよ。」

 

銀子「それで、この後どうするの?当面の鎮死剤が手に入ったんだよね?ならあの子達、今はどうしているの?」

 

誠也「ああ、竜輝の所にお世話になっているカズミ以外の5人は、あのままラボに泊まらせましたよ。いくらなんでも年頃の女の子を、いつまでも風呂もない廃墟に寝泊まりさせるわけには行きませんからね。」

 

銀子「確かにそうだけど、なら今後はあの子達はラボに寝泊りさせるわけ?」

 

誠也「いいえ、あの子達にはちゃんとした住居を提供しようと思ってます。」

 

翔子「ちゃんとした住居?」

 

孝介「あ、ひょっとしてお前が経営している「鳴海荘」に入居させるつもりか?」

 

誠也「ええ、そのつもりです。」

 

翔子「「鳴海荘」?なにそれ?」

 

銀子「誠也くん・・・ひょっとしてアパート経営してるの?」

 

孝介の話しから、誠也がアパートと経営している言う言葉が出たので聞いてくる銀子。

 

誠也「ええ、まあ一応・・・」

 

銀子「へ~、アパート、経営してるんだ・・・・・」

 

誠也がアパートを経営していると聞いて考え込む銀子

 

翔子「すご~い、誠也くん、アパート経営してるんだ。」

 

一方、翔子は誠也がアパート経営しているという事を聞いて、誠也を尊敬の眼差しで見始めた。

 

誠也「いや・・・・経営なんて立派なもんじゃない良いよ。去年、乃木坂のお爺ちゃんから誕生日プレゼントでアパートが送られて、それの使い道がわからなくて、たまたま知り合いが住む所に困っていたから部屋を貸してあげているだけだよ。」

 

翔子「え?アパートを・・・誕生日プレゼントに?」

 

誠也の言葉を聞き、自分の聞き間違えかと思い、聞き返す翔子

 

誠也「う、うん。」

 

銀子「それって・・・アパートの一部屋だよね?」

 

誠也「いいえ、アパート丸ごと一軒です。」

 

銀子「な、何それ?子供にアパート丸ごと一軒をプレゼントって(^^;)」

 

誠也「これでもだいぶグレートを下げてもらったんですよ。最初にプレゼントされたのが高級マンショ丸ごと一軒だったんですから(^^;)

 

翔子・銀子「「高級マンション丸ごと一軒?!」」

 

誠也の言葉を聞き驚きの声をあげる二人。

 

さくや「はぁ~どうやら相変わらずみたいですね。乃木坂のお爺さまは。」

 

孝介「ああ、相変わらずだよ。誠也達の誕生日に突拍子の無い物を送るのは。」

 

銀子「ちょ、ちょっとなに二人共サラッと流してるの?!」

 

さくや「いや、その何て言うか・・・もう慣れちゃって。」

 

孝介「これぐらいで驚いてちゃ、鳴海家のご近所はやってられませんよ。」

 

銀子「やってられないって(^^;)」

 

翔子「鳴海の家って一体普段からどんな事が起きてるの(^^;)」

 

孝介達の話しを聞いて若干呆れ顔をする銀子と翔子。

 

誠也「まあ兎に角、この後少し仮眠を取ったらまた向こうに戻って、かなで達5人を鳴海荘に案内しようと思います。」

 

そう言って誠也はポケットから取り出した、愛用の金色の懐中時計で時間を確認しながらそう言った。

 

銀子「あれ?誠也くんって懐中時計使ってるんだ。今時珍しいね。」

 

誠也「ああ、これですか。知り合いの形見で、お守り替わりに持っていたらいつの間にか懐中時計で時間を確認するのが癖になって・・・それでそのまま使い続けてるんです。」

 

銀子「へ~、見た所、結構良い物みたいだね。」

 

誠也「はい。俺の宝物の一つです。」

 

誠也はそう言って、この時計の元の持ち主を思い返しなが返事をした。

そんな風に話しながら誠也達は一緒に、さくやが乗るバスが止まるバス停まで一緒に歩き、さくやが来たバスに乗るのを見届けた後、翔子は学校へと向かい、誠也達は岩永家へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の研究施設の一室、そこに研究所の所長・九 千怜(いちじく ちさと)は椅子に座りながらカラスと共に部下の報告を聞いていた。

 

スーツ姿の男「例の鎮死剤について検索していたIPアドレスを追跡しましたが、シリヤやパキスタン等の第三国プロクシを経由しているために事実上の追跡は不可能とのことです。」

 

カラス『だろうな。相手側にあのカナリヤが付いているのだ、自分たちの居場所を突き止められるヘマなどしないよ。』

 

九「ふん、財団Xに逆らう仮面ライダーの支援者か・・・・厄介な連中と手を組んだな。おまけにこの前回収し損ねた魔女の一件のせいで、あの「乃木坂」に目を付けられ始めた・・・おかげで「高千穂(たかちほ)」に散々イヤミを言われたよ。」

 

カラス『「高千穂(たかちほ)」・・・確か財団Xに協力しているこの世界の有力者が魔女の宮殿(ヴィンガルフ)を監視するために作った組織だったな。フフフッ、管理職の辛いところだな。』

 

九「フン、余計なお世話だ。」

 

カラス『それでどうする?IPアドレスからはでは足取りを掴むことはできない。さて、次はどうするのかな?九所長?』

 

九「フン、手がかりはまだある。捕まえた魔女が一人いる。そいつから逃げた残りの魔女の居場所を尋問して聞き出す。面倒だがな。」

 

カラス『尋問ね・・・拷問の間違いでは無いか?』

 

九「どっちでも構わん。まったく、本来なら奴らと接触したお前が何らかの手がかりを掴んでいたなら、こんな面倒な方法をしなくて済むものを。」

 

カラス『仕方があるまい。ライダー二人はすでに変身していて、装着者がどんな人物かわからないし、ライダーでない人物もミッド式の認識障害の魔法をかけられていて特定できなかったのだ。大体、あのカナリヤが付いているのだ。そんなヘマはせんよ。』

 

九「・・・随分と高く買っているのだな。」

 

カラス『当然だ。曲がりなりにも、この私を一度は倒したのだからな。』

 

九「・・・なるほど優秀な自分を倒したのだから、相手もそれ相応に優秀なのだと言いたいわけか・・・フン。」

 

そう言って九は椅子から立ち上がると、部屋の出入口へと向かい始めた。

 

カラス『どこへ?』

 

九「捕まえた魔女の尋問の進行状況を見にな。それより貴様、いつまでここに居る。お前の実験はすでに済んだのだ、いい加減帰ったらどうだ?目障りで仕方がない。」

 

カラス『フフフッ、随分と嫌われたものだな。帰りたいのは山々なのだがな、さっき新しい辞令が降りてな。』

 

九「新しい辞令?」

 

カラス『ああ、こちらに既に来ている総帥の下の方のご子息の面倒を見ろとな。』

 

九「財団X総帥の下の息子?親衛隊隊長の「リュート」か。面倒な・・・この前は「スカジ」を「助ける!」と言って勝手に連れて行ったりと何かと面倒を起こす・・・邪魔以外の何者でもない。」

 

カラス『邪魔でも何でも私達の上に居る存在だ。下手な事をして、奴を信奉している奴の部下たちに殺されんよう気をつけるのだな。』

 

九「わかっている。親衛隊の連中に睨まれるようなヘマはしない。」

 

そう言い放って九は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「さて、みんなはもう集まっているかな?」

 

そう言って誠也はラボの地下一階の大テーブルのある部屋の扉に手をかけた。

翔子達を送った後、誠也は岩永の家の自分の部屋で仮眠を取った。その後、次に目覚めたのは翔子やさくやが学校から帰ってくる時間帯だった。

誠也は目を覚ました後、霞に携帯で連絡を取り、かなで達をラボに集めておいてくれと言うと、戻って来た翔子やさくや、そして孝介にラボを案内するために、向こうに用があるから付いて行くと言ってきた銀子と共にテレポートリングでラボへと来たのである。

 

銀子「確かカズミちゃん以外はここに泊まったんだよね。ならもう殆どのメンバーが集まってると思うよ?」

 

誠也の言葉に答えるようにして言う銀子。

 

翔子「私、かなでちゃん以外の魔女の子と話すの始めて・・・どんな子なんだろう?」

 

これから会う新たな魔女の子がどんな人物か思案する翔子。

 

孝介「・・・・まさか、鳴海家の地下にこんな物があったとはな。」

 

ラボを物珍しげに見ながらポツリと感想を言う孝介。

 

さくや「・・・・本当に鳴海家とその親戚の人達と付き合うと、驚きの連続なのは相変わらずみたいね。(^^;)」

 

孝介と共にラボをキョロキョロと見回しながら言うさくや。

 

それぞれがそれぞれの反応をしている中、誠也は目の前の扉に手をかけた手に力を入れて開け放った。

 

誠也「みんな、もう集まって「誠也く~ん♡(ガバッ!)」ってウワーッ!」

 

扉を開けたとたん、誠也はいきなり正面から抱きついて来たかなでに押し倒される形で真後ろに倒れてしまった。

 

誠也「痛った~~、かなで!いきなりモガモガ!」

 

抱きついて来たかなでに対して抗議の声を上げようとした誠也だったが、倒れた自分に抱きついて来たかなでの胸に顔が埋もれてしまい、うまく言葉が発せられない状態になっていた。

 

かなで「う~ん♪やっぱり生の誠也くんの抱き心地は最高~♡」

 

誠也「モガモガモガッ!(訳:くっ苦しい~!息が~~!)

 

霞「か、かなでちゃん、お兄ちゃんにいきなり抱きついたらダメだよ~。」

 

誠也にいきなり抱きついたかなでに対してダメだと言う霞。

 

カズミ「全く、しゃあないな~かなでは。」

 

小鳥「む、胸を、顔に押し当ててる・・・か、かなでさん・・・大胆です!」

 

千絵「まったく、大胆よね~かなでは。」

 

寧子「////(顔を真っ赤にしながら、かなでの大胆な行動を見ている)」

 

佳奈『寧子、顔真っ赤よ?大丈夫?』

 

良太(・・・美少女の胸に顔をうずめている・・・・ちょっと羨ましいな)

 

圭介(な、なんて羨ましい!軽く殺意が沸くな)

 

かなでに押し倒され、かなでの胸に顔を埋める誠也を見て、部屋の中のメンバーがそれぞれ反応をしめす。

 

銀子「うわ~、かなでちゃん、すごく大胆ね~♪ね、翔子ちゃん♪」

 

翔子「え?あ・・・・うん・・・(なんだろう・・・・なんだか胸がモヤモヤするし・・・ムカつく!(怒))」

 

さくや(あれ?翔子ちゃん、もしかして・・・・)

 

孝介(こりゃヤキモチ焼いてるな。罪づくりなやつだな~誠也は。)

 

一方で、扉の外にいるメンバーも抱きつかれた誠也を見て反応を示していた。

 

翔子「・・・」

 

誠也(モガモガモガッ!(訳:かなで!早く離れてくれ!息が・・・息が・・・!)

 

翔子「・・・・・」

 

かなで「あん♡・・・・そんな・・・・胸の中で・・・もぞもぞ動かないで・・・そんなに気に入ったの?私の胸♡」

 

翔子「・・・・・・・・・」

 

誠也「モガモガ――――ッ!(訳:ちが~う!息ができないんだーーーーーっ!)」

 

翔子「・・・・・・・・・・・・・・・・・(怒)」

 

かなで「そっか、そんなに味わいたいんだ。「モガー!(訳:ちがーう!)」ならもうちょっと味あわせ(ドゴンッ!)って・・・何?ヒィ!」

 

突然響いた何かを殴ったような音が響いたので、かなでは誠也から胸を話してそちらを見、他の面々も音のした方に顔を向け、そして一斉に短い悲鳴を上げた。

 

翔子「(ゴゴゴゴゴゴッ!)・・・・・かなでちゃん・・・・・誠也くん・・・・苦しがってるよ?・・・・ハナレヨウヨ?」

 

かなで達の視線の先、そこにはラボの壁にこぶしを突き立て・・・・・

 

魔王(なのは)も裸足で逃げ出すような黒い瘴気を背負いながら・・・・

 

ものすごく良い笑顔を浮かべている翔子(夜叉)が居た。

 

翔子を除く全員「「「「「「「「「「ヒィーーー!(お、鬼が居るぅーーー!!)」」」」」」」」」」

 

その場にいる全員・・・・数々の戦いを経験した誠也でさえも今の翔子を見て悲鳴を上げた。

 

翔子(鬼)「かなでちゃん・・・」

 

かなで「は、はいいいいいいっ!」

 

翔子に言われてすぐさま立ち上がり直立不動になるかなで。

 

翔子(鬼)「いきなり顔に胸を押し付けるなんて・・・・いけないよ・・・・もうちょっと・・・セツドアルコウドウヲシヨウネ。」

 

かなで「い、イセッサー!」

 

直立不動のまま、敬礼をして返事をするかなで。と言うかなんで敬礼を(^^;・・・・(by作者)

 

翔子「それから誠也くん・・・」

 

誠也「な、なんだ?」

 

翔子「女の子に抱きつかれて鼻の下を伸ばさないで。」

 

誠也「鼻の下なんて伸ばして・・・・」

 

翔子(鬼)「ナニカイッタ?」

 

誠也「い、いいえ・・・ナンデモナイデス(さ、逆らうのはよそう・・・け、消されてしまう!)」

 

翔子「そう・・・じゃあみんな、いつまでもこんな所にいても仕方がなから早く部屋に入ろう?」

 

そう言ってまるで先ほどとは正反対の菩薩のような笑顔で爽やかに言う翔子。

 

誠也「え・・・あ・・・・うん。」

 

銀子「そ、そうね。」

 

さくや「え・・・ええ、行こう、兄さん」

 

孝介「ああ。」

 

ぎこちない声を出しながら部屋へと入る銀子達。

 

カズミ「なあ・・・・あの子・・・絶対怒らせないようにせなあかんな・・・・気いつけような」

 

寧子・佳奈・小鳥・千絵「「「「う、うん・・・」」」」

 

そんな風に寧子達は返事をしながらそれぞれの席へと付いた。

 

誠也「さて、早速会議を始めようと思うんだけど・・・・・何人か居ないな・・・竜輝とカナリヤはどうしたんだ?」

 

誠也はこの場に来ていない竜輝とカナリヤの事を他のメンバーに聞いた。

 

霞「カナリヤだったら、コールドスリープ装置の設計図と薬のサンプルを持って乃木坂のお爺ちゃんの所に行ったよ。今日は例の新組織設立に合わせて渡す予定だったライダーの変身ツールを渡す予定だったから。」

 

誠也「あ!そう言えばそうだったな。確かカブトとブレイドとスカル、それと量産化に向けて再設計したG3Xだったな、渡す予定だったのは。んで竜輝が来てない理由は?」

 

カズミ「竜輝やったら、ねこんでるで。今ちょっと体調が悪かったさかい。」

 

誠也「体調が悪い?夏風邪でもひいたの?」

 

カズミ「いや、風邪やないんやけど・・・その・・・」

 

歯切れの悪いカズミの言葉を聞いて頭にハテナマークを浮かべる誠也。

 

カズミ「昨夜、竜輝がお風呂入ってた時、助けてくれたお礼も込めて背中でも流してあげようとして・・・その・・・」

 

誠也「ああ、なるほど・・・・良いよ、それ以上は・・・大体想像できる。(^^;」

 

圭介「アイツ、また鼻血出して出血多量でブッ倒れてんか・・・女に免疫無いの、今だに治らないのか・・・」

 

圭介が竜輝が風呂場に突撃してきたカズミの姿を見て、鼻血を出して倒れている所を想像して、呆れたような声を上げた。

 

誠也「ま、まあ・・・・それなら仕方がないな、会議はこのメンバーでやるかしかないか・・・・・じゃあ早速始めるよ。」

 

そう言って誠也達は会議を始めた。

 

誠也「問題だった鎮死剤奪取には成功した。当初の予定よりも多くの鎮死剤が手に入った事により、予定では二人ほどコールドスリープ装置に入ってもらうはずだったんだけど、その必要も無くなった。」

 

良太「必要だったのは1ヶ月4人分の鎮死剤だった。けどそれ以上に多くの薬・・・・6人が3ヶ月必要な数が手に入ったんだもんな。」

 

誠也「そう、そのおかげで、こちらは後コールドスリープ装置を使って後二人の魔女を保護することができる。そこで、逃げ出した他の魔女たちを探し出して保護しようと思うんだけど・・・どうだろう?」

 

寧子「・・・私は賛成。ほかの子達も手持ちの鎮死剤がそろそろ心許なくなってきていると思うから。」

 

佳奈『そうね、もともと処分場への移動の途中だったんだから、薬の数もそんなになかったもんね。』

 

千絵「でもそうなると、問題は他の子達がどこにいるのかよね。」

 

かなで「そうね、最も私達以外の子が生き残ってればの話だけどね。」

 

カズミ「そうやな、寧子の所にあった連絡用のトランシーバーはこっちから掛けられない一方通行だしな。」

 

小鳥「じゃあ連絡が来るまで今は待つしか無いってことですね。皆さん無事だと良いんですけど・・・」

 

誠也「そうだね。じゃあ取りあえずその問題は向こうからの連絡待ちって事で良いとして、次の問題はかなで達の当面の住む所だな。」

 

かなで「え?私達の住む所?」

 

誠也「ああ、そうだよ、住む所。いつまでも風呂もトイレもない山の中の廃村に女の子を住まわせておく訳にはいかないだろう?」

 

さくや「山の中の廃村の中って・・・・この子達、そんな所に住んでいたの?!」

 

孝介「そんな生活してたのか・・・・・銀子さんじゃ無いんだから、そんな生活してたらさぞ大変だったろう。」

 

銀子「孝ちゃん、今、なにげに失礼なこと言わなかった?言っておくけど、山の中に住んでいても私の住んでいるところには、一応お風呂もトイレもあるし、電気だって通ってるよ!」

 

孝介「あ、そうだったんですか?俺はてっきりマンモスの肉を食べてる某石器時代のギャグアニメみたいな生活してると思ってましたよ。」

 

銀子「私は始め人間ギャー○ルズかーっ!」

 

カズミ「おお!銀子さん意外とノリいいやないの!」

 

誠也「あの~話しが脱線してるんだけど・・・・」

 

孝介「ああ、悪い悪い。それでやっぱり来るときに話してたように、この子達をお前が経営している「鳴海荘」の部屋に住まわせるんだな。」

 

かなで「え?「鳴海荘」経営って・・・・ひょっとして誠也くん、アパートでも経営してるの?」

 

誠也「まあね、10部屋あるアパートで1部屋2LDKバス・トイレ付きで後7部屋空いてるんだ。」

 

千絵「2LDKバス・トイレ付き?!私達は6人いて、その内、竜輝くんの所にいるカズミは住む必要がないとして、佳奈の面倒を見なきゃならない寧子は必然的に同じ部屋になるから・・・・」

 

カズミ「後の4人は実質上一人一部屋になるって事やな。」

 

かなで「ウソ!?それ良い!!今までお風呂はいれなくて水浴びでやってたからホント助かる!」

 

佳奈『ちょと待ってかなで!私達魔女がひとつの所に固まってるとまずいでしょう?それに私達以外の人が既に住んでるのよ?そこに住んだらその人達も巻き込むわよ!』

 

誠也「大丈夫だよ。ほかの住居者は自分の身ぐらい余裕で守ることができる人達だよ。だって俺と同じ仮面ライダーなんだから。」

 

佳奈『え?!その人達も仮面ライダーなの?!』

 

誠也「ああ、それにアパートの管理人をしてくれている「あやめ」さんはどんな奴でも傷つけることなんてまずできないだろうしね。」

 

孝介「そう言えばその名前、前に聞いたな。確かあのアパートに住んでいる隆史の奴から。どんな人なんだ?」

 

誠也「人というか・・・なんというか・・・・と、兎に角、直接会ってもらえればわかるよ。」

 

かなで「直接会えばわかるね~。」

 

誠也「そういう訳だから、みんなにこの後、「鳴海荘」に行ってもらって、アパートを見るついでにあやめさんに会ってもらうよ。」

 

寧子「会ってもらうか・・・みんな、どうする?」

 

寧子は誠也の提案を聞いて、現在廃屋住まいをしている自分以外の5人に意見を聞いた。

 

佳奈『私はこんなんだから、寧子に付いて行くわ。』

 

かなで「他の住居者が誠也くんの知り合いの仮面ライダーなら信用できるし、心配ないと思う。」

 

千絵「私としても問題ないと思う。それに2LDKのバス・トイレ付きの部屋は魅力的だしね。」

 

小鳥「私は千絵ちゃんが良いならそれでいいよ。寧子さんは?」

 

寧子「私も良いと思う。」

 

誠也「じゃあ全員賛成ってことでいいんだね。」

 

寧子「ええ。」

 

誠也「じゃあ早速「鳴海荘」に移動しよう。」

 

そう言って誠也達は席を立って移動を開始した。

部屋を出て、ラボの入り口であるゲートへと入り、ゲートの出入り口がある鳴海家の誠也の部屋へと移動。鳴海家を出て徒歩で(佳奈はカナリヤが用意した電動の車椅子で移動)で移動し、訳5分の所に鳴海荘はあった。

 

銀子「へ~、これが「鳴海荘」。結構立派ね。」

 

鳴海荘を見た感想を銀子は素直に口にした。

 

孝介「俺はここ最近忙しかったし、くる用事もなかったから外を少し眺めるだけだったから、こんなに近くで見るのは初めてだな。」

 

さくや「私は初めてよ。私がここにいた頃には無かったから。悠菜からのメールは携帯でそれとなくは聞いてはいたけど。」

 

翔子「こ、これを丸ごと一つ誕生日プレゼントとして誠也くんは送られたんだよね・・・・すごい「~♪~♪」って・・・え?歌声?」

 

鳴海荘を眺めていた翔子の耳に突如歌声が聞こえてきたので、翔子達はそちらの方に視線を向けた。

 

かなで「鳴海荘の近くから聞こえるわね。」

 

圭介「あ、この声は・・・・あやめさんの声だな。」

 

霞「本当だ。この歌、この前私があやめさんに聞かせてあげた歌だ。気に入って歌っているみたい。」

 

誠也「だな。」

 

そう言って誠也は歌声のする方へとどうして行ったので、その後ろを翔子や霞、かなで達がついて行った。

 

あやめ「庭~さき~~掃除しなが~ら♪す~~こし~考えたの~♪」

 

誠也「ノリノリだな~あやめさん。」

 

近づくに連れ、徐々に大きくなる歌声。

 

あやめ「木の枝から~落ちてしまう~♪木の葉は寂しくはないのかな?~♪」

 

歌声を聞きながら近づいて行く誠也達。やがて誠也達の目の前には鳴海荘の前で箒で使って掃き掃除をしている、長い黒髪で着物姿の15~6歳ぐらいの少女が見えてきた。

 

誠也「あやめさん。」

 

あやめ「え?!あ・・・・・せ、誠也さま、それに圭介さまに霞さんまで・・・・き、聞いてました?///」

 

歌を歌っていた所を見られて、恥ずかしそうにするあやめと言われた少女。

 

誠也「ええ、霞に聞かせてもらった曲の歌ですよね。上手でしたよ。」

 

あやめ「あ、ありがとうございます。所で・・・・・後ろの方々は?随分大人数みたいですけど・・・」

 

あやめはそう言って誠也の後ろにいる翔子達を見た。

 

誠也「ああ、俺の友人達で、住む所にちょっと困っているみたいだったんで、ここの部屋を提供しようと思って。」

 

あやめ「まあ♪じゃあ入居希望者ですね。こんなに大勢、賑やかになりますね♪」

 

カズミ「あ、わたしと翔子、銀子さん、さくやに孝介さんは違うで。入居するのはそこにいる寧子と佳奈、小鳥と千絵とかなでの五人や。」

 

寧子達「「「「「ど、どうも」」」」」

 

カズミに紹介されてあやめにたいしてペコリと頭を下げる寧子達。

 

誠也「紹介するよ、この「鳴海荘」の管理人をしてもらっている「あやめちゃん?!」ってそうそう「朝霧あやめ」さんだよって・・・えっ?」

 

突如話している最中に割り込んできた声を聞いて、一斉に声の主の方である「銀子」へと視線を向ける誠也達。

 

銀子「な、何であなたがここに居るの?!」

 

あやめ「え?あ、銀子さん!お久しぶりです。その節はお世話になりました。」

 

そう言って銀子に向けて綺麗なお辞儀をするあやめ。

 

 

銀子「え、いえいえ、どういたしまして。ってそうじゃない!何で70年以上前に亡くなったあなたがここに居るの?!」

 

翔子「えっ?70年以上前に亡くなった?ど、どう言う事?」

 

銀子の口から出てきた言葉を聞いて、驚愕する翔子達。

 

誠也「あー、改めて紹介するね。この鳴海荘を管理してくれている「幽霊」の「朝霧あやめ」さんだよ。」

 

あやめ「朝霧あやめと申します。どうぞよろしくお願いします。」

 

そう言ってペコリと綺麗なお辞儀をして挨拶をするあやめ。

 

だが、紹介してもらった寧子達は、誠也のあやめを紹介した時に言ったある言葉を聞き、その動きを止めてしまっていた。

 

寧子達「「「「「「「「「はぁ?幽霊!?」」」」」」」」」

 

つづく

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

朝霧あやめ(まぼろし月夜)

 

 



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第20話 幽霊の少女と響鬼の少年②

どうも、剣 流星です。
最近ニコニコ動画で東方の二次作品の動画を探して見るのにハマってます。
東方シリーズは今まで知らなかったんですけど、結構面白いです。
では第20話をどうぞ~


寧子達「「「「「「「「「はぁ?幽霊?!」」」」」」」」」

 

誠也の言った「幽霊」の一言に霞と圭介以外の人達が一斉にハモッて言った。

 

カズミ「・・・・誠也・・・あんた、わたしらをかつぐつもりなん?」

 

誠也「いや、かつぐも何も、あやめさんが幽霊なのは事実なんだけどな。」

 

誠也の言葉を聞いて盛大に「はぁ~」と息を吐くカズミ。

 

カズミ「あんな、昼間から箒持って歌を歌う幽霊がおるかい!あんたもこんな事に付き合わされて大変なやな~」

 

そう言って、あやめの側まで移動したカズミは「ポン!」と軽く叩くようにしてあやめの肩を叩こうとしたが、「スカッ!」とまるでその場に何もないかのように空を切り、あやめの肩を通過して空振りをした。

 

寧子達「「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」

 

カズミの手があやめの肩を通り抜けて空振りしたのを見て驚きの声をあげる寧子達。

カズミも空振りをした自分の手とあやめの肩を数回交互に見ながら驚いた顔をしていた。

 

さくや「に、兄さん・・・・今、手が肩を通り抜けませんでした?・・・・目の錯覚でしょか?」

 

孝介「き、奇遇だな、俺も同じ用に見えたぞ?」

 

千絵「・・・・ねえ、これってもしかして・・・・・」

 

寧子「ま、まさか・・・・・」

 

小鳥「ほ、本物の・・・・幽霊?!」

 

良太「う・・・嘘だろう?!」

 

先ほどの光景を見て、騒ぎ出す寧子達。

 

カズミ「なっ!・・・・・どういうことや?」

 

そう言ってしばらく考え込んだ後、カズミは意を決した顔をして、あやめの前に立った。

 

あやめ「?」

 

神妙な顔をして自分の前に立つカズミを見て、不思議そうな顔を浮かべるあやめ。

そんなあやめを無視して、カズミはおもむろに両手を広げて、あやめに抱きつこうとした。だが・・・・

 

スカッ!

 

カズミの体は先ほどの手と同じようにあやめの体を通り抜けてしまったのである。

 

カズミ「・・・・・・・・」

 

自分の体があやめの体の中を通った事を認識し、しばらく考え込んだ後、カズミは顔を引きつらせながら誠也のいる方向に首を回して顔を向けた。

 

カズミ「も、もしかして・・・・・・・本物?」

 

誠也「だから~、さっきからそう言っているだろう?」

 

カズミ「ほ、本当に・・・幽霊って・・・・居たんやな・・・・・・・う~~~ん(ドサッ!)」

 

顔を青くしておもむろにひっくり返って倒れるカズミ。

 

寧子「か、カズミちゃん?!」

 

倒れたカズミに駆け寄る寧子。そして寧子以外の、あやめと初対面の面々は、ある者は顔を青くし、またある者は体を硬直させて立ち尽くしたりとしながら、その場を動かずに立ち尽くしていた。

 

誠也「まあ仕方ないか。普通の人は幽霊なんて滅多に見ないもんだし、その上カズミ達は世間から隔離された場所でずっと生活してたんだからな。」

 

倒れたカズミを見て「仕方がないか~」という誠也。そんなカズミに対して、あやめは心配そうな顔で近づいた。

 

あやめ「あらあら、大変!最近日差しが強くなってきているから日射病にかかったのですね!誠也さま圭介さま、お手数ですが方を1号室に運んでもらえませんでしょうか?」

 

そう言ってあやめは誠也達に対して自分が居候している1号室へと運ぶように言った。

 

誠也「・・・・日射病で倒れてんじゃないんだけど・・・まあ、このままココに放って置いたら、本当に日射病になっちゃうから運ぶか~、圭介。」

 

圭介「ああ、手伝うよ。」

 

そう言ってカズミの側まで近寄った圭介は、倒れたカズミの左腕を自分の肩に担ぎ、誠也はその反対側の右腕を肩に担いで、両サイドからカズミを支えるような形でカズミを部屋へと運び始めた。

そんな三人を見ながら、寧子達に背を向けるようにして、三人に付いて行こうとしたあやめだったが、ふと、何かを思い出したよう顔をした後、寧子たちの方へと向き直って口を開いた。

 

あやめ「皆様もどうぞこちらに。」

 

寧子達「「「「「「「「「あ、はい・・・・・」」」」」」」」」

 

箒を持った幽霊に言われて、惚けた顔で返事をする寧子達。

 

寧子「ど・・・どうしよ?」

 

良太「と、取りあえず付いて行ってみよう。」

 

そう言って寧子は誠也達の後について行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寧子「カズミちゃん、大丈夫かな・・・・」

 

そう言って、寧子は自分の目の前で布団に寝かされているカズミを心配層に見た。

ここは鳴海荘の1号室。部屋の中には敷かれた布団の上に寝かされたカズミを囲むようにして誠也達が座っていた。

 

あやめ「・・・・これで良しと。」

 

カズミの額に濡れタオルを乗せたあやめがカズミの顔を覗きながら顔色を見ていた。

 

あやめ「顔色も良いですし、しばらくしたら目を覚ますでしょう。」

 

寧子「そ、そうですか・・・・ありがとうございます。」

 

あやめ「いえいえ、あ!わたしったら、お客様にお茶も出さないで・・・すいません。今お出ししますね。」

 

そう言ってあやめは台所へとお茶を入れに行った。

 

誠也「あ、お構いなく。」

 

台所へと向かうあやめの背中に「お構いなく」と言う誠也。そんなやり取りを寧子達は不思議そうな顔で見ていた。

 

孝介「う~ん・・・・着ている着物といい・・・言葉使いといい・・・あの佇まいといい・・・まさに大和撫子って言葉が似合う人だな。」

 

銀子「まあそうでしょうね。あの子、大正時代の人間だったからね。」

 

誠也「そう言えばさっきもあやめさんを知っているみたいな事を言ってましたけど、ひょっとして生きてる頃のあやめさんと知り合いだったんですか?」

 

銀子「うん、そうだよ。みんなにはもう話してるけど、私ってかなり長生きしてるじゃない。だからあんまり長く同じ場所に留まることできなくて、各地を転々と渡り歩いて暮らしてたのよね。そんな中、あの子と出会ったのよ。」

 

誠也「へ~、そうだったんですか。」

 

銀子「そうなのよ。所で、あやめちゃんは何でこんな所でアパートの管理人なんてしてるの?

 

誠也「あ~、話せば長くなるんだけど・・・・・・・」

 

そう言って、誠也はあやめが鳴海荘に来るまでの経緯を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白城学園(はくじょうがくえん)。遠羽にあるこの学校は、付近の複数の学校を併合した学園で、小・中・高・大一貫のマンモス学園である。鳴海誠也はこの学園の中等部に今現在通っている。その彼は今日の授業が終わったので、幼馴染の八神はやてと従姉妹の乃木坂美夏と共に下校をしようとしていた。

 

誠也「ふ~ん・・・つまり、春香さんはその綾瀬 裕人(あやせ ゆうと)って人の機転のおかげで、例の趣味がクラスメイトにバレずに済んだんだ。」

 

夏美「そうなの。ホント、お兄さんが居なかったらどうなってたことか。」

 

はやて「そうやな~、前の学校で春香さん、趣味のことで随分辛い目に会ったやから、それ以来趣味がバレることに関して極端に恐怖を感じるようになってもうたからな。バレずに済んでホンマよかったわ~。」

 

夏美は先週起きた姉である春香に起きた事件について誠也達に話していた。

 

誠也「ホントホント、バレなくてよかったよ。」

 

はやて「ホンマや。・・・・・所で誠也、この後何か予定ある?」

 

誠也「え?予定?そうだな・・・今日の夕食当番は京香姉さんだから買い物に行く必要も無いし、少し暇だから・・・取りあえず走り込みでもしようかな~。」

 

はやて「ならちょっと付き合って。この間もらった商店街の甘味処の割引券が今日までなんや。しかもこれカップルやないと使えないから、だから一緒に来てもらえる?」

 

誠也「カップルでの割引券を使うために俺を連れて行こうって事か。でもその割引券だと俺とはやての二人しか行けないだろう?何だか夏美に悪い気が・・・・」

 

夏美「別に良いよ私は。この後の予定も有るからどの道行けないから、私に気にせず行ってきなよ。」

 

はやて(アレ?さっき誠也が来る前に今日の予定は無いって言ってたのに・・・)

 

はやてはこの後の予定が無いことを言っていた夏美が予定が有ると言ったことに?を浮かべた。そんなはやてに対し夏美ははやてに近づいてヒソヒソと小声で喋った。

 

夏美(はやて、一つ貸しにておくから♪)

 

はやて(!・・・大きにな。)

 

誠也「夏美が行けないんだったら、俺たちだけで行くか。」

 

はやて「ホント?よっしゃ!ほなさっさと行こう。(誠也と久方ぶりに二人きり♪)」

 

そう言ってはやてものすごく嬉しそうな顔した後、誠也の右腕に抱きつくいた後、そのまま歩き出した。

 

誠也「お、おい!いきなり抱きついて歩き出すなよ。」

 

はやて「ええから、ええから。はよ行こう?ほな、美夏ちゃん今日はこれで。」

 

美夏「うん、じゃあまたね。「異端者発見!」って・・・・この声は・・・・・須川くん?」」

 

声のした方向を一斉に見る夏美達。そこには黒い覆面とマントを着用し、鎌を所持した集団が居た。

 

誠也「げっ!アレはFFF団の連中!」

 

そう言って目の前にいる黒い覆面とマントを着用した連中を見て叫ぶ誠也。

異端審問会・・・別名FFF団、団員は全員、黒い覆面とマントを着用し、鎌を所持しており、女子生徒にアプローチした生徒や、女子から好意を寄せられている生徒に対して粛清を行っている。まあ早い話が、自分たちがモテないため、他のモテる男子生徒に対して嫉妬して暴走している集団である。ちなみに誠也と竜輝、圭介は周りにはやて達や霞がいるせいで、彼らのブラックリストに名前が載っている。

 

団員A「団長!異端者・鳴海誠也が女子生徒2人と一緒に下校しようとしているのを発見しました!」

 

団長「よし!では直ちに包囲し、鳴海誠也を成敗するぞ!!」

 

団員たち『おーっ!異端者に死の鉄槌を!!!』

 

そう言って瞬く間に誠也達を包囲して囲むFFF団の面々。

 

誠也「なっ!は・・・早い!!」

 

夏美「逃げる暇もなく取り囲まれた?!」

 

はやて「ど、どうするん?」

 

FFF団に取り囲まれてどうするか思案する誠也達。

 

誠也「ったく・・・・おい!須川、吉井、土屋!毎回毎回、何で俺を目の敵にするんだ?俺、お前らに何かしたか?」

 

FFF団メンバー『したに決まってるだろおおおおおおおおお!!!』

 

誠也「おわっ!」

 

突然目から血の涙を流しながら大声で叫ぶFFF団の面々。そしてその後、誠也に名前を言われた三人が集団の中からかぶっている覆面を取りながら誠也の前へと出た。

 

誠也「須川、吉井、土屋・・・・」

 

誠也は目の前に覆面を取って現れた三人の自分のクラスメイト、FFF団団長須川 亮(すがわ りょう)、学園一の馬鹿と言われ、今やバカの代名詞とも言われている吉井 明久(よしい あきひさ)そして並外れたスケベ心を持ち本心に実直な行動を取るが、それを絶対に認めないことから「ムッツリーニ(寡黙なる性識者)」の異名を取る土屋 康太(つちや こうた)を見据えた。

 

須川「鳴海、お前はただでさえ美人の姉がいる上に、美少女である義理の姉や妹を持ち・・・・・」

 

吉井「さらにこの学園のアイドルと言われる乃木坂姉妹を従姉妹に持ち・・・・」

 

土屋「・・・・・さらに、八神はやて、高町なのは、フェイト・テスタロッサ・ハラオン達美少女と幼馴染。」

 

誠也「は?それがどうしたんだよ。なんでそれで俺が襲われるんだ?理由になってないぞ。」

 

FFF団メンバー『充分になってるわああああああああああ!!』

 

誠也「うわっ!」

 

大地が振動でもしそうな大きな心からの叫び声を再び上げるFFF団メンバーの面々の声に再び驚く誠也。

 

須川「こんだけの美少女達に囲まれながらこれ見よがしに楽しそうに暮らしやがって!お前はどこぞのギャルゲーの主人公か!ぶっちゃけ羨ましすぎるんだよおおおおおおお!」

 

FFF団メンバー『その通り!異端者には死を!』

 

はやて「うわ~最低な理由やな・・・(^_^;)」

 

夏美「ホント、しょうもない理由だね。(^_^;)」

 

FFF団メンバーが血の涙を流しながら語られた、誠也襲撃の理由を聞いて呆れるはやてと夏美。

 

誠也「のんきに話してる場合か!このままじゃマジで俺の命がまずいんだけど!」

 

ジリジリと誠也を取り囲みながら「異端者に死を!」と言いながら包囲網を狭めるFFF団の面々。

 

夏美「う~ん・・・・確かにこのままじゃ私達はともかく、誠也が八つ裂きにされかねないね。流石にそれは従姉妹として色々と目覚めが悪いから手助けをしてあげますか。」

 

そう言って夏美ははやての横に移動してしゃがみこんだ。

 

はやて「ん?なんや?夏美ちゃん?」

 

夏美「はやてちゃん、誠也を助けるために協力してね♪さあ!あなた達!こちらに注目!!そ~~~れ!(バサッ!!)」

 

FFF団メンバー「!?」

 

誠也「なっ!」

 

はやて「!」

 

夏美の声で視線が集まる中、掛け声と共に夏美ははやての制服のスカートの裾を掴むと、スカートの中身が見れるようにして思いっきりめくった。

 

はやて「!?///き、キャアアアアアアアアアアア!」

 

FFF団メンバー『おおおおおおおおおっ!』

 

突然スカートをめくられて慌ててスカートの抑えながら悲鳴を上げるはやてとそれを見て声を上げるFFF団のメンバー。

 

はやて「なっ!い、いきなり何するんや夏美ちゃ(ブシャアアアアアアア!)って・・・なんや?」

 

突然何かが噴出したような音がでたので、音のした方を見るはやて達。そこには・・・

 

土屋「うっ!ううううう・・・・・・」

 

はやてのスカートの中身を見て鼻血を大量に出して、ぶっ倒れる土屋 康太と

 

吉井「ムッツリーーニィーーーーーーー!!」

 

倒れた土屋 康太を抱き起こす吉井 明久。そして

 

FFF団のメンバー『同士、土屋!!』

 

そんな二人に駆け寄るFFF団のメンバーの姿があった。

 

夏美「よーし!包囲網は崩れた!今のうちに突破するよ♪」

 

誠也「ええええええ?!お、お前、これを狙ってたのか?!鬼畜だな・・・」

 

夏美「良いからとっとと逃げるよ!二人共!」

 

誠也「あ、ああ。兎に角逃げよう。」

 

はやて「う~~、見られた・・・・・」

 

土屋 康太の鼻血でできた包囲網の綻びから夏美を先頭にして突破する誠也とはやて。

 

団員B「あ!異端者が逃げるぞ!」

 

須川「なに!追撃するぞ!同士土屋の敵を討つぞ!!」

 

FFF団メンバー「おおおおおおおっ!」

 

吉井「ムッツリーニ・・・・僕は行くね。君の死は、決して無駄にしないよ!必ず敵は討つ!」

 

土屋「・・・まだ・・・死んでない・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「ハァ・・・・ハァ・・・・・ハァ・・・・・ま、巻いたか?」

 

夏美「ハァハァ・・・・そ、そうだね。」

 

はやて「そ、そうやな・・・・う~、見られた・・・・」

 

商店街の片隅で、全力疾走で切れた息を整える誠也達。そんな誠也達に聞き覚えの有る声がかかってきた。

 

???「あれ?誠也くんじゃないの。どうしたの?」

 

誠也「え?あ、鹿目と美樹じゃないか。」

 

誠也に声を掛けてきたのは誠也のクラスメイトである桃色の髪の少女・鹿目(かなめ)まどかと青い髪でショートカットの少女・美樹(みき)さやかであった。

 

まどか「なんだか全力疾走した後のような疲れきった顔をして・・・何かあったの?」

 

誠也「いや・・・さっきまで全力疾走して逃げてたんですよ。」

 

さやか「え?逃げてた?」

 

誠也「ああ、異端審問会の連中からね。」

 

さやか「ああ、なるほど。それで全力疾走してたんだな。あの連中、ホントよくやるよ。」

 

誠也「まったくだよ。エネルギーの無駄使いってやつだよ。」

 

まどか「だね。ところで今日はやはてちゃんと美夏ちゃんの二人だけ?なのはちゃん達や竜輝くん達は一緒じゃないの。」

 

はやて「なのはちゃんは久しぶりにお店の手伝いを今日やるみたいなこと言ってたから、今頃は翠屋でお手伝いしてると思うで。」

 

誠也「フェイトは確か、この間引き取ったばかりの男の子のエリオって子と出かけるって言ってた。」

 

夏美「竜輝くんは今日はほむほむの所にお見舞いに行くって言ってた。もうすぐ手術だから不安になっているだろうからって。」

 

まどか「ほむほむ?ああ、たしか竜輝くんのお父さんの同僚の娘さんだったよね確か。」

 

誠也「そうそう。で、霞は今日は父さんの探偵事務所に忘れ物を届けに行ってて、圭介はそのお供だよ。」

 

さやか「なるほど。それで今日は三人だけなんだ。」

 

誠也「そう言う事。そう言うお前らは今日は商店街に何のようなんだ?買い物か?」

 

誠也は自分たちが出会ったのが商店街なので、まどか達が何か買いに来たのだろうと思い、買いに来た物について聞いてみた。

 

まどか「今日は私とさやかちゃんが読んでいるラノベの新刊の発売日だから買いに来てたの。」

 

誠也「へ~、ラノベなんて読んでたんだ。どんな内容のラノベなんだ?」

 

まどか「えっと、超能力を開発している学園都市に住んでいる「不幸だー!」が口癖の異能を消す手を持った男の子の話。超能力とか魔法とかがいっぱい出てきて面白いんだよ♪」

 

誠也「へ~、面白そうだな。今度読んでみるか。あ、そうだ、二人共このあと暇か?実は今からはやてと一緒に甘味処に行くんだけど、二人も一緒に行かないか?夏美はこの後用事があるから行けないらしくて、俺とはやてと二人でいく所だったんだけどどうだ?」

 

まどか「え?甘味処?あ、確か今、田中先輩がアルバイトしている所だったよね。「呼んだかい?」ってうわっ!」

 

不意に背後から声をかけられて驚くまどか。

 

誠也「あ!田中先輩、こんにちは。」

 

まどかの背後から不意に声をかけた人物に対して、何事もなかった用に挨拶をする誠也。

 

まどか「もー、田中先輩、背後から急に声をかけてこないでくださいよ!驚くじゃないですか!」

 

???「ごめんごめん、バイトに行こうとしたら不意に俺の名前が聞こえてきたんで思わず背後から声をかけちゃったよ。」

 

そう言って、白城学園の高等部の制服を来た人物は「悪かった」と言いながら頭を下げた。

彼の名前は田中隆史、誠也の姉である悠菜のクラスメイトで、誠也が経営しているアパートに住んでいる住居者の一人である。

 

誠也「先輩、今からバイトなんですか?確か今週はもうバイトは無いってこの前言ってませんでした?」

 

隆史「最近新しく厨房に入った人が凄腕の料理人で、店の料理がものすごく美味しくなってね。そのおかげでお客がたくさん来るようになって店が忙しくなって、俺もシフト外だったんだけど、急遽入ってくれって言われて、今からなんだ。」

 

誠也「あ、そうだったんですか。じゃあお店まで一緒に行きませんか?俺たち、今からお店に行こうとしてた所なんです。なあみんな行くだろう?」

 

そう言って誠也はまどか達に言葉を投げかけた。

 

まどか「え?う~ん・・・・そうだな~・・・・うん?」

 

誠也に甘味処に誘われて思案するまどかだったが、不意に誠也の後ろにいた夏美が思わせぶりなアイコンタクトを自分の方に向けてきた。

 

まどか(え?夏美ちゃん?何だろう?・・・・あっ!そういう事か。二人の邪魔をしちゃ悪いよね♪)

 

まどかは夏美のアイコンタクトを見て誠也とはやてを二人っきりにするのを邪魔しちゃダメという事を言っているのだと悟った。そして、まどかに向けた夏美のアイコンタクトをみて、さやかもまどかと同じ用に夏美が言をうとしている事を悟った。

 

まどか「あ、ゴメン。私とさやかちゃん、この後も寄る所が有るから行けないんだ。」

 

さやか「そうそう、だからはやてと二人で行ってきなよ。」

 

誠也「そっかそれじゃあ仕方がない。」

 

まどか「うん、そういう訳だからまたね。(二人で楽しんできてね、はやてちゃん♪)」

 

さやか「バイバ~イ♪(がんばれよ、はやて♪)」

 

そう言ってまどかとさやかははやてとすれ違う時に小声ではやてに何かを言ってこの場を後にした。

 

誠也「用事があるなら仕方がないか。なら俺たちだけで行くか。」

 

はやて「せやな。(感謝するで、みんな)」

 

隆史「じゃあ俺は店のシフトに早く入らなきゃならないから、先に行くよ。(どうやら、あの子達は誠也達を二人っきりにさせてあげたいみたいだな。なら俺も邪魔しないようにしないとな。)」

 

夏美とまどか達とのやり取りを見て察した隆史は、邪魔をしないようにしようと思い誠也とはやてを置いて、一人駆け足でその場を後にした。

 

誠也「はい、また後で。」

 

そう言って隆史の背中を見送る誠也。

 

誠也「さて、じゃあ俺たちも行くか。」

 

夏美「じゃあ私はここで。また明日ね。」

 

誠也「ああ、また明日。」

 

はやて「また明日な。」

 

そう言って夏美は誠也達と別れ、誠也とはやては甘味処へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは誠也の住んでいる家の近くにある公園。

その公園内にある一本の木の下で一人の女性が佇んでいた。

彼女はその木の下である人物をずっと待っていた。

一体いつから待っているのかわからなくなるぐらい長い間。

 

???(私は・・・・いつから待っているのでしたっけ?誰を待っていたのでしたっけ?)

 

そんな事を考えながら、彼女はぼんやりする意識の中、ひたすら待ち続けた。

やがてその意識がどんどん薄くなり、今にも消えそうになろうとした時、彼女の目に待ち人の姿が飛び込んできた。

 

???「ああ・・・・やっと・・・・やっと会えた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隆史「はぁ~・・・今日もバイト、疲れたな~。」

 

夕日が差し込む道をため息を吐きながら田中隆史はバイト先か自宅である鳴海荘までの道を歩いていた。

 

隆史「先週、料理人として入った人のおかげで、店の料理が美味しくなって、お客がよく来るようになったのは良いけど、そのせいでものすごく忙しくなって疲れるよ~。」

 

店が繁盛し、忙しくて仕方がないと愚痴を言いながら疲れのせいでフラフラとした足取りで、自分が住んでいるアパートの近くの公園を歩く隆史。

そんな隆史の耳に不意に女性の声が聞こえてきた。

 

???「ああ・・・・やっと・・・・やっと会えた。」

 

隆史「え?」

 

不意に聞こえてきた声に反応し、声が聞こえてきた方へと隆史は視線を向けると、公園内の一本の木の下に長い黒髪の着物の美しい女性が隆史の方を見つめながら佇んでいるのを見かけた。

 

隆史「?さっきの声・・・この人の?」

 

先ほどの声がこの人の物なのかと思いながら、隆史は着物の女性を見続けた。

 

着物の女性「・・・隆史さま。」

 

隆史「え?俺の名前?どうして俺の名前を・・・・」

 

見知らぬ着物の女性に自分の名前を言われて、驚く隆史。

 

隆史「君は一体・・・・・」

 

隆史は何故自分の名前を知っているのかと着物の女性に声をかけて聞こうと近づいたが、次の瞬間「スッー」とまるで掻き消えるみたいに着物の女性はその場から消えてしまった。

 

隆史「え?え?え?」

 

目の前で着物の女性が消えてしまい、慌てて女性の居た木の下まで移動して、その姿を探す隆史。だが探せども、その姿を見つけることができず、呆然となった。

 

隆史「ま・・・・まさか・・・・・幽霊?!」

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

八神(やがみ) はやて (魔法少女リリカルなのはシリーズ)

 

吉井 明久(よしい あきひさ)(バカとテストと召喚獣)

 

土屋 康太(つちや こうた)(バカとテストと召喚獣)

 

須川 亮(すがわ りょう)(バカとテストと召喚獣)

 

鹿目(かなめ)まどか(魔法少女まどかマギカ)

 

美樹(みき)さやか(魔法少女まどかマギカ)

 

田中隆史(たなかたかし)(まぼろし月夜)

 

 



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第21話 幽霊の少女と響鬼の少年③

どうも、剣 流星です。
し、死ぬー!
最近、昼夜の感覚が狂うばかりか、週感覚まで狂いかねない仕事をしています。
「あれ?今日何曜日だったっけ?」なんてこともザラで、しかも夜勤、日勤が不規則に来るので最近「不眠症なのでは?」と思えるくらい睡眠の感覚が狂ってきいます。
大丈夫なのか?オレ・・・・
まあ、それはさて置き、第21話をどうぞ~


 

 

 

 

日もとっぷりくれ、薄暗くなった公園近くの道を口を抑えながら、誠也は八神はやてと共に歩いていた。

 

誠也「うっ!・・・・・はやて・・・・大丈夫か?しゃべれるようになったか?」

 

はやて「・・・うん・・・・まだ口の中が甘辛いけど・・・・なんとか・・・・・」

 

誠也「そうか・・・良かった。それにしても・・・・奈々子の奴がまさかあの店でアルバイトをしてたなんてな・・・・うっ!」

 

そう言って誠也は再び口を抑えた。

誠也とはやては、まどか達と商店街で別れた後、例の甘味処へと向かったのだが、そこで待っていたのはその店の制服を着てアルバイトをしている自分のクラスメイトである鴨居奈々子であった。

菜々子は店に入って来た誠也達を見ると、真っ先に誠也達の前に現れると「あ!来てくれたんだね。お腹すいているよね?今おしるこ持ってくるからそこの席でちょっと待ってて」と誠也達の注文を聞かずに厨房へと消えて行ったのである。そして数分後出てきたのは・・・・すり潰したハバネロを入れすぎたため、小豆の色が全く見えないおしるこが出てきたのである。

 

誠也「全く・・・なにが「甘いだけのおしるこじゃ面白くないから、ハバネロを入れてみた♪」だ!ハバネロはおしるこに入れる物じゃないだろう!」

 

はやて「全くや・・・・食べ物でウケを狙おうとするなっちゅうの・・・・ウッ!・・・・・まだ口の中がひりひりする・・・・」

 

奈々子の特製ハバネロ入りおしるこを食べた時の影響を今だに引きずる誠也とはやて。その名二人の耳に、公園の方向から女性の泣き声のような物が聞こえてきた。

 

???「ううっ・・・なぜです?なぜ・・・来てくださらないのです・・・・・」

 

誠也「ん?なんだ?」

 

はやて「女の人の泣き声?」

 

誠也「行ってみよう」

 

聞こえてきた女の人の泣き声が気になった二人は声を辿り、公園内へと入っていく。

 

誠也「どこから・・・・・・」

 

はやて「あっ!あそこや!」

 

日も完全に沈み、辺りが暗くなった公園内の木の下、その場所に長い黒髪の着物の女性が佇みながら涙を流していた。

 

誠也「・・・泣いている?」

 

はやて「ちょっと聞いてみよう。すいません、どうしたんですか?」

 

木の下で泣いている着物の女性に声をかけるはやて。

 

???「あ、はい。なんでしょうか?」

 

目に溜まった涙を袖で拭いて、声をかけたはやてに顔を向ける着物の女性。

 

はやて「私は八神はやて、こっちに居るんは私の幼馴染の鳴海誠也って言います。学校から帰る途中、日も沈んだ公園で泣いてるあなたを見て気になって声をかけました。いったいどないしたんです?もし迷惑じゃなければ話してもらえます?」

 

あやめ「は、はい。私、朝霧あやめ言います。実は私はこの場所である方と昼に待ち合わせをしていたのですが、待ち合わせの方がいつになっても来てくれないのです。きっと私、愛想つかされてしまったんです・・・うううっ。」

 

誠也「待ち合わせって・・・もう日も沈んでいるじゃないですか。」

 

はやて「こんな良い人そうな人をこんな日が暮れるまで待たせて、しかも泣かせるやなんて・・・・許せへん!一体どこの誰や!!行ってとっちめてやる!あやめさん、その人なんて名前の人や?住んでいる場所は?歳は?」

 

あやめ「あ、はい、名前は田中隆史と言う人で、歳は17~8位で、この辺に住んでいるはずです。」

 

誠也・はやて「「えっ?この辺に住んでいる17~8歳位で名前は田中隆史?」」

 

二人はあやめから聞いた、待ち合わせの相手の事を聞いて、自分達が今日会った、知人である人物を思い浮かべた。

 

誠也「なあ・・・もしかしてあやめさんが言っている田中隆史って・・・・・・この人ですか?」

 

そう言って誠也は携帯を操作して、携帯内に保存してあった以前撮った田中隆史の写真を見せた。

 

あやめ「あっ!はい、この人です。」

 

誠也「やっぱり・・・・何やってんだ田中先輩。」

 

はやて「全くや、女の人との待ち合わせをすっぽかすなんて・・・田中先輩、見損なったわ!」

 

あやめ「あの・・・お二人は、隆史様の事を知っているのですか?」

 

誠也「ええ、まあ・・・・・」

 

はやて「あやめさん、安心しいや。私ら田中先輩の住んでいる所知っているから、今からそこにあやめさんを案内してあげる。」

 

あやめ「えっ?でも・・・ご迷惑じゃ・・・・」

 

はやて「迷惑なんかじゃ無いで。それに、女の人との待ち合わせをすっぽかす男に焼き入れなあアカンからな。さあ、二人共、行くで!」

 

誠也「あ、ちょっと持てよ、はやて。」

 

あやめ「あ、待ってください。」

 

公園の出口へと向かうはやて、それを追うような形で誠也とあやめははやてに続いて公園を出て行った。そんな三人に二人の人物が声をかけた。

 

なのは「あれ?誠也くん?」

 

フェイト「はやて?」

 

誠也「うん?あ、なのはとフェイト。」

 

公園を出たあたりで、誠也達は並んで歩いているクラスメイトで時空管理局の魔道士をしている「高町なのは」と「フェイト・テスタロッサ・ハラオン」に声をかけられた。

 

 

はやて「どうしたんや二人共揃って、散歩?」

 

なのは「うん、お店の手伝いもひと段落したから、たまたまお店に来ていたフェイトちゃんとちょっとお散歩しながらお話してたの。それよりもそっちの着物の人は?知り合いなの?」

 

誠也「ああ、この人は朝霧あやめさんと言って実は・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が暮れた誠也が経営している鳴海荘前。

この鳴海荘の一室に田中隆史は住んでいる。

隆史は両親が転勤し、家も借家として貸出してしまったため、今はこの鳴海荘で一人暮らしをしていた。

そんな隆史の住んでいる部屋の前に今、誠也をはじめとした数人の人影が部屋の扉を見ていた。

 

はやて「みんな・・・・行くで!」

 

フェイト「うん、女の子を泣かせる人には・・・オシオキシナイトネ。」

 

なのは「うん!「O☆HA☆NA☆SI」をじ~~~くりして、自分のした事を・・・ハンセイサセナイト。」

 

三人「「「フフフフッ・・・・」」」

 

誠也「・・・・・・(こ、怖い・・・三人共、ダークサイドに落ちてる!田中先輩、死ななきゃいいけど(^_^;))

 

黒い何かを噴出させながら顔を合わせて微笑むはやて達三人を見て、「死人がでなきゃいいが」と本気で心配し始める誠也。

 

あの後、あやめを連れて隆史の居る鳴海荘へと向かう途中に出くわしたなのはとフェイトにあやめのことを話したのだが、それを聞いた二人は「女の子を騙して約束をすっぽかすなんて許せない!自分たちも一緒に行く!」と言ってついて来たのである。

 

誠也「はぁ~~、そんじゃ三人共、ベル鳴らすよ。なるべく問題起こさないで穏便にすましてね。」

 

はやて「大丈夫や、穏便に「O☆HA☆NA☆SI」するだけやから。」

 

フェイト「そうそう、穏便に「O☆HA☆NA☆SI」するだけだよ。」

 

なのは「そうそう、もしかしたらちょっとばっかり肉体言語で語っちゃうかもしれないけど、ちゃんと「O☆HA☆NA☆SI」で済ませるようにするつもりだから♪」

 

誠也(「穏便」に済ませる気全然ないじゃないか。まあいいや、兎に角チャイム鳴らそう。)

 

そんな事を思いながら誠也はドアの脇にあるベルを鳴らした。

 

ピンポ~ン♪

 

隆史『は~い』

 

誠也がチャイムを鳴らした後、ドア越しに隆史の声が聞こえてくる。

 

誠也「どうやらいるみたいだなって・・・おい!はやて!何する気だ?!」

 

そう言って叫んだ誠也の目に、はやてがドアを蹴り破ろうとする姿が飛び込んできた。

 

はやて「天・・・誅ぅううううううううううっ!!!(ドガッ!)「ぐふっ!」」

 

叫び声と共にドアに叩き込まれるはやての蹴り。

そしてケリを受けたドアは部屋の中に居たであろう隆史ごと部屋の中へと吹っ飛んで行った。

 

誠也「な、なんちゅう馬鹿力・・・・(゚o゚;」

 

隆史ごと吹っ飛んだドアを見て呆れる誠也。

そんな誠也を他所に、蹴破られた入口から堂々とはやて達三人が隆史の部屋へと入っていく。

 

隆史「う・・・・ううっ・・・・な、なにが・・・・」

 

吹っ飛ばされたドアのしたから這い出ながら自分の身に何が起きたのかを確認する隆史

 

はやて「こんばんは・・・・田中先輩♪」

 

隆史「な、この声は八神って・・・・へ?」

 

聞こえてきた声に気づき、その方向を見た隆史は・・・・・凍りついた。

 

黒化三人「「「センパ~イ、「O☆HA☆NA☆SI」シマショウ♪」」」

 

隆史「ヒィイイイイイ!魔王と死神と化け狸がいるぅううううううううう!!」

 

なのは「ちょと、誰が魔王です!」

 

フェイト「誰が死神です!」

 

はやて「なんで私だけ化け狸なんて迫力無い物なんや!」

 

隆史の言っている言葉を聞いて、それぞれ反応を示す三人。

そんなはやて達の後ろから突如人影が出てきて、倒れ込んでいる隆史へと近づいた。先程までの騒動を後ろで見て居たあやめである。

 

あやめ「隆史様!」

 

そう叫んだあやめは目に涙を溜め込みながら、倒れ込んだ隆史の側にしゃがみこんで隆史と視線を合わせて見つめ出した。

 

隆史「うわぁあああああ!」

 

はやて「叫んだって事は、少なからず自分が酷い事したした自覚はあるんやな」

隆史を見下ろしながら言い放つはやて。

 

なのは「あやめさん、こんなみっともない人に本気になることないよ。」

 

フェイト「そうだよ。あやめさんのためにならないよ。」

 

倒れ込んだ隆史に対してそれぞれ思った事を言い放つなのは達。

 

誠也「うわ~ボロクソに言われてるな~。ま、無理ないか。」

 

そんな風に他人事のようにはやて達と隆史のやり取りを見て言う誠也。

 

隆史「さっきの幽霊!!」

 

あやめの姿を見て突如取り乱しながら叫ぶ隆史。

 

誠也「はぁ?さっきの・・・・・」

 

はやて達「「「幽霊?」」」

 

三人の声がハモって重なる。

そんなはやて達を他所に、しゃがみこんだあやめは隆史に触れようとてを伸ばした。

 

あやめ「隆史さま、わたくしお会いしたかった。」

 

そう言ってあやめは隆史を抱きしめようとしたが、その手は隆史に触れようとせずそのまま空を着るようにして隆史の体をスカッた。

 

誠也達「「「「えっ!」」」」

 

あやめの体が隆史の体をスカッたのを見て思わず声をハモる誠也達。

 

誠也「い、今・・・・手がスルッて先輩の体の中を・・・・・」

 

なのは「さっき先輩、「さっきの幽霊!」って・・・・」

 

フェイト「さっき手がすり抜けたし・・・・まさか・・・・・」

 

誠也達「「「「本物の幽霊!?」」」」

 

隆史「だからさっきからそう言ってるだろう!さっき公園で、目の前で消えたんだからな!」

 

はやて「嘘やろ・・・・だって私、話して、ここまで一緒に歩いて・・・」

 

信じられないという顔をするはやて。

 

隆史「幽霊連れてくるなんて、俺に恨みでもあるのかお前ら!!」

 

誠也「いや恨みなんてないですよ。そりゃ時々家賃滞納されて、頭に来ることはありますが・・・・・」

 

隆史「・・・有るじゃないか、恨み。」

 

はやて「家賃滞納って・・・・・家賃はちゃんと払わなあかんで先輩。」

 

フェイト「そうですよ、ただでさえ誠也が悠菜さんの友達だって言うんで、格安でここの部屋を使わせてもらってるのに滞納なんて・・・」

 

なのは「格安の家賃を滞納って・・・・・甲斐性ないですね。」

 

蔑むような目で隆史を見下ろす三人

 

隆史「うっ!言い返せない。まあ滞納した家賃は今度出るバイト代で払うから勘弁してくれ。」

 

誠也「まあそう言うなら、今度のバイトの給料日まで待ちますよ。」

 

隆史「ありがたい、助かるよ。」

 

誠也「けど・・・・・次はないですからね。」

 

隆史「ハハーッ!肝に銘じます。ってちがーーーーう!恨みがどうとかじゃなくて、何で俺の所に幽霊連れてくるんだ!!」

 

誠也「え?いや・・・だって先輩に会いたいって言うから連れてきたんですけど・・・・」

 

隆史「何が「先輩に会いたいって言うから連れてきたんですけど・・・」だ!兎に角、この幽霊お前らが連れてきたんだろう!何とかしろ!」

 

誠也「いや、なんとかって「誠也さん」って・・・あやめさん?」

 

突如あやめに声をかけられて、会話を中断してあやめの方を見る誠也

 

あやめ「誠也さん、はやてさん、なのはさん、フェイトさん、わざわざここまで連れてきてくださってご親切にどうもありがとうござました。お陰様で、隆史様にやっとめぐり合うことができました。」

 

とあやめに深々とお辞儀をされる誠也達。

 

はやて「・・・・たかし様?」

 

と聞かれてコクリと頷くあやめ。

 

はやて「・・・よし、私らには関係ない!帰るでみんな。」

 

誠也「あ、ああ。(い、いいのかな~アレ放っておいて(^_^;))」

 

なのは「そ、そうだね。(魔法関連の出来事ならまだしも、幽霊相手じゃ流石に専門外(^_^;))」

 

フェイト「か、帰ろうか。(幽霊相手じゃ出来ることなんて無いもん。うん、ここは素直に帰ろう)」

 

そう言って帰ろうとする誠也達。

 

隆史「待てお前ら!勝手に幽霊を連れてきて、帰ろうとするな!!幽霊も連れて帰れええええええええええええ!!」

 

辺りに隆史の声が響いた。

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

高町(たかまち) なのは (魔法少女リリカルなのはシリーズ)

 

フェイト・テスタロッサ・ハラオウン (魔法少女リリカルなのはシリーズ)

 



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第22話 幽霊の少女と響鬼の少年④

 どうも、剣 流星です。
最近、激しい雨が降ったり、やんだと思ったら今度は真夏日の様な暑さ・・・・
はっきり言って激しく変わりやすい天候のおかげで体調を崩しがちです。
それはさて置き、第22話をどうぞ。


 

隆史「待てお前ら!勝手に幽霊を連れてきて、帰ろうとするな!!幽霊も連れて帰れええええええええええええ!!」

 

鳴海荘にある田中隆史の部屋の中に隆史本人の声が響いた。

 

はやて「あやめさんは先輩の彼女やろ?確かに生前の話かもしれへんけど、この世に迷ってるのだって先輩がだましたせいなんやから責任くらい取るべきやろう。」

 

隆史「恋人って何だよ!自慢じゃないが彼女いない歴=実年齢の18年だ!」

 

誠也「本当に自慢じゃないですね。言ってて虚しくないですか?」

 

隆史「うるさい!黙れ!美少女をしょっちゅうはべらせているリア充が!!って話がそれた。兎に角、彼女なんて居なかったためしがないんだから、騙したとか待たせたとか勝手に言うな!そんな覚えまるっきり無いからな!!」

 

誠也「じゃあ、あやめさんが嘘をついているって言うんですか?とても嘘を付くような人(?)には見えませんけど・・・」

 

そう言って誠也達は一斉にあやめを見た。

 

あやめ「隆史様、わたくしをお忘れになりましたの?」

 

あやめがひどく悲しそうな顔をし、それを見て隆史がバツの悪そうな顔をした。

 

隆史「と、兎に角知らんもんは知らん。」

 

はやて「先輩、鬼やな。」

 

なのは「鬼畜ね。」

 

フェイト「女の子泣かせるなんて最低です。」

 

隆史「何だよそりゃ!してもいないことに何でそこまで言われなきゃならないんだ!」

 

はやて達に言われて怒り出す隆史。そんな中、一人考え込んでいた誠也はあやめ対して質問をした。

 

誠也「あやめさん、あなたは「田中隆史」を探してたんですよね。」

 

あやめ「は・・・・はい。」

 

誠也「この人ですよね。」

 

あやめ「はい。」

 

この人で間違えないと言わんばかりのはっきりした声で返事をするあやめ。

 

誠也「なら、やっぱり先輩のことじゃないんですか?」

 

隆史「だから本当に知らないんだ!」

 

なおも違うと言う隆史。それを見た誠也はしばらく考え込むと、不意に口を開いてあやめに質問をした。

 

誠也「ねえ、あやめさん。あなたが知っている「田中たかし」とどうやって知り合いになったの?」

 

あやめ「え?あ、はい・・・あれは確かお華のお稽古日でしたの。」

 

隆史を一度見た後、あやめは思い返すようにしながら話し始めた。

 

あやめ「ねえやの「ふき」と歩いていて、鼻緒が切れてひどく転んでしまって。足が痛くて困っていたわたくしに、車引きをしていたたかし様が・・・」

 

フェイト「く、車引き?何それ?」

 

なのは「あ、フェイトちゃん知らないんだ。車引きって言うのはね、昔あった荷車や人力車に物や人をのせて運ぶことを業とする人達のこと言うんだよ。自動車がある現在では、浅草や京都なんかの観光地で、観光客をのせる乗り物として残っているけだだけどね。」

 

フェイト「あ、テレビなんかで時々出てるアレの事か。でも、ここ辺り人力車なんてあったっけ?」

 

あやめ「あの・・・続けていいでしょうか?」

 

フェイト「あ、すいません。どうぞ。」

 

あやめ「車引きをしていたたかし様が「朝霧のお嬢さんだろ、お屋敷まで送っていこうか?」って声を掛けてくださったんです。」

 

誠也「朝霧のお屋敷?・・・・あやめさん、どこに住んでたんです?」

 

あやめ「○×町の朝霧屋敷ですわ。しゃれた洋館で、ここいらでは珍しいので、「たかし様」もご存知だったんですわね。」

 

誠也「よ、洋館の朝霧屋敷?それってまさか・・・・」

 

はやて「ん?誠也、なんか知ってるん?ここいらで洒落た洋館って言ったら、すずかちゃんとアリサちゃんと美夏ちゃんの所以外聞いたことあらへんけど、何か知ってるんか?」

 

誠也「あ、ああ。乃木坂の方の爺ちゃんのお母さん、つまり曾祖母の旧姓が朝霧で、その実家は当時はここいら一帯でも有名な家だったって。けど、ずいぶん前に没落して無くなったって聞いてる。」

 

はやて「ちょ、ちょっと待ちいや!それ一体何時の話しや!?」

 

隆史「そ、そうだよ。肝心なこと聞くの忘れてた!あやめさん、今年は何年だ?」

 

あやめ「え?大正○×年でございましょう?」

 

誠也達「「「「「た、大正!?」」」」」

 

誠也達があやめの言葉を聞き、声を揃えて叫んだ。

 

隆史「な、なんだって、そんな大昔の幽霊が、何で今頃・・・・と、兎に角これで俺がその「田中たかし」じゃないことが証明できたな。」

 

あやめ「はい?」

 

隆史「あやめさん、同姓同名だよ。あやめさんが言てる「田中たかし」は。俺はその人とは別人だよ。」

 

あやめ「たかし様・・・・私の事がお嫌いになったのですか?」

 

泣きそうな顔をして言うあやめ。

 

隆史「うっ(罪悪感が・・・・けど俺は「田中たかし」じゃないんだからここは心を鬼にして)あのね、今は平成・・・って言ってもわからないか。兎に角あやめさんが生きていた頃から70年以上経ってるんだ。」

 

あやめ「はぁ?」

 

隆史「だから、「田中たかし」は、もし生きていても90過ぎのじーさんなんだから、俺じゃないよ。」

 

あやめ「わたくし15ですわよ。たかし様は18歳」

 

隆史「それはあやめさんが死んでるからですよ。幽霊になってるから生前のままの姿なんだ。」

 

あやめ「まぁ、たかし様ったら本当に冗談がお好きなんだから」

 

そう言って微笑むあやめ

 

はやて「うわ~、完全に信じてなで。これは自分が幽霊だって自覚が無いみたいやな。厄介やで、これは。」

 

そんな風に「厄介だな~」と言っているはやての側で、誠也はポツリと声を出して喋り始めた。

 

誠也「なあ、朝霧家に住んでいたって事は、俺の親戚ってことになるのか?」

 

はやて「そら、そうやろ。乃木坂のお爺ちゃんの母親が朝霧の人なら、誠也にとっても遠縁の親戚になるんやろな。」

 

隆史「そうか・・・そうだよな!よし、誠也、子孫は責任持って連れて帰ってくれ。」

 

誠也「ちょ、ちょっと!人に押し付けないでくださいよ!子孫だからって俺に丸投げしないでください!それに子孫だって理由だったら、俺よりも美夏の方ですよ責任あるのは!」

 

なのは「あ~美夏ちゃんか。確かにそうだけど、あの子幽霊とか苦手でしょう?あやめさんなんて見せたら、卒倒しちゃわない?」

 

フェイト「確かにそうだね。」

 

はやて「そうやな。なら、誠也が一番適任やな。」

 

誠也「待てよ!お前らまで俺に押し付けようとするなよ!」

 

隆史「兎に角、子孫なんだからお前が引き取れ。」

 

あくまで誠也にあやめを押し付けようとする隆史。そんな隆史を見てあやめがまた泣きそうな顔をしてしゃべりだした。

 

あやめ「たかし様、わたくしが迷惑なのですね・・・・。突然押しかけてきて、はしたないとお思いですね。でも・・・わたくし父の言う通りに嫁ぐなんて嫌ですの。身分が違ってもたかし様が好きなんです。ここに居させてください。」

 

さめざめと泣きながら訴えるあやめ。それを見た誠也は肘で隆史をつついて言う。

 

誠也「置いてあげたらどうです、可哀想じゃないですか。」

 

隆史「でも俺は「田中たかし」じゃないんだけどな~」

 

誠也「姿形もソックリなんだから、そっちもつながりがあるんじゃないんですか?何か記憶にありませんか?名前とか」

 

隆史「・・・・そう言えば確か祖父さんが、俺が生まれた時、父親の名前を俺に付けたって言ってたな。」

 

はやて「それやそれ!ひいおじいさんなら年代的にも合うし、絶対そうやて。」

 

隆史「う~ん・・・そうかもな。電話・・・してみるか。」

 

そう言って隆史は携帯を取り出すと、短縮ダイヤルから祖父の番号を選び、祖父の家にかけ始めた。

数回のコール音の後、何者かが電話に出る。

 

隆史「あっ、爺ちゃん?俺、隆史だけど。ひい爺さんってどんな人だった?まさか俺ソックリとか無いよな?」

 

祖父『いきなりかけてきてなんだ隆史。ソックリだぞ。若い頃の写真、見せなかったか?』

 

隆史「(ガーン!)マジですか。」

 

祖父『ん?どうした隆史?』

 

隆史「・・・ねえ、まさか若い頃死んだ良いところのお嬢さんの恋人とか居なかったよね。」

 

祖父『ああ、そう言や初恋の人の話しを、昔よく聞かされていたなぁ。身分違いのお嬢さんで、震災で亡くなったそうだなが、忘れられなくて、それで晩婚になったと言うておったな。』

 

隆史「(ガガーン!!)マジかよ・・・・」

 

その後、隆史は曽祖父の写真と、その初恋の人の写真(曾祖母に隠して大切にしていたらしい)を送ってもらう事にして、携帯を切った。

 

誠也「それで・・・どうだったんです?」

 

隆史「・・・ピンポーン、大正解。」

 

はやて「やっぱり関係があったんやな。」

 

隆史「曾祖父さんの初恋の人らしい、震災で亡くなったって」

 

そう言いいながら、隆史は当の本人であるあやめをみた。

あやめは不安そうにしながら隆史を見ている。

 

あやめ「・・・・たかし様。」

 

隆史「わかった、ここに居てもいいです。」

 

あやめ「まぁ」

 

隆史の言葉を聞いて嬉しそうにするあやめ。

 

なのは「結構良いとこあるんですね。」

 

フェイト「見直しました。」

 

隆史「ハイハイ、あんま嬉しくないけどな。」

 

誠也「あやめさんの事については、俺の方でも調べてみます。それじゃあ俺たちはこれで。」

 

はやて「ほんじゃ、さいなら」

 

なのは「さよなら。」

 

フェイト「また明日。」

 

そう言って誠也達は隆史の部屋を後にした。

 

隆史「ああ、さよならって・・・おい!ドア、ブッ壊れたままじゃないか!直していけぇええええええええええええええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳴海荘からの帰り道を誠也達4人は一緒に歩いていた。

 

誠也「・・・・なんか、隆史先輩の叫び声が聞こえてきたような。(^^;」

 

なのは「ドアの事で叫んでいるんじゃないの?はやてちゃんの蹴りで壊れたままだったし。」

 

はやて「ああ、そう言えば蹴り飛ばしたまんまだったな~。」

 

フェイト「それじゃ叫びたくもなるよね。」

 

誠也「明日あたりにでも、業者の人に連絡して直してもらうよ。」

 

はやて「せやな、それにしても幽霊のあやめさんか~」

 

なのは「今だに信じられないよ。本物の幽霊に会ったなんて。」

 

フェイト「だよね。」

 

はやて「それにしても残念やな~」

 

誠也「ん?何が残念なんだ?」

 

はやて「いや、あやめさんの事や。あやめさん、着物着てるからわかりづらいけど、アレは格好な物(胸のこと)を持っとると見た!」

 

誠也「はあ?」

 

手を胸を揉む仕草をしながら突然あやめの胸の話しをし始めたはやてと、それを見て呆れた顔をする誠也

 

はやて「あの胸は揉みごたえがありそうや。けど、幽霊だから触れないから揉むことができない・・・残念や。」

 

誠也「・・・触れたら揉むのかよ。」

 

なのは「相変わらずの乳揉み魔だね(^_^;)」

 

フェイト「ブレないね~(^_^;)」

 

はやて「う~ん・・・このまま諦めるのは惜しいな~、どうにかして揉める方法は・・・・」

 

そう言って考え込むはやて。

 

誠也「いや、諦めようよ。大体幽霊の胸を揉むって・・・・呪われても知ら「そや!この方法なら!」って・・・へ?何か思いついたのか?」

 

はやて「そうや、これなら揉めそうやな。明日早速試してみよ~と。もし、成功したらあの胸を思う存分に・・・・ぐふふふふ。」

 

誠也「何をするつもりなんだコイツ。(^_^;)」

 

誠也は若干呆れた顔しながら、不気味な笑い声を出すはやてを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈んだ、あやめが居た公園。

その中にある、あやめが佇んでいた木の側に和装の格好をし杖を持った一人の男が居た。

 

和装の男「・・・ここにいた幽霊がいつの間にかいなくなってる。消滅したか?いや・・・・残っている霊気の残滓からそれらは感じられない・・・ならどこかに移動した?」

 

男はそう言いながらあやめが居た辺りを見ながらブツブツとしゃべる。

 

和装の男「どっちにしろ、困りましたね。悪意も無く長い間その存在を保っている珍しい存在だったから、私の研究素材にでもと思っていのですが・・・まあ、移動したというのなら見つけるまで。」

 

そう言って和装の男は何かの液体の中に何かの毛が入って密閉されているガラスの小瓶を取り出すと、持っている杖の横穴に差込み、杖を地面に突き立てた。

すると小瓶の中身が杖を通して地面へと染み込みはじめ、やがてその染み込んだ地面から2体の異形・・・バケネコの魔化魍が現れた。

 

和装の男「・・・ココに居た幽霊を私の前に連れてくるんだ。」

 

和装の男は現れたバケネコの魔化魍にそう言うと、バケネコの魔化魍は二つ三つ深く唸って返事をするとその場から飛び跳ねて夜の闇の中に消えて行った。

 

和装の男「さて、後は待つだけ。その間に財団X宛に出す研究資料のまとめでもしておきますか。」

 

そう言って和装の男もその場を後にして、夜の闇の中へとその姿を消して行った。

 

 

つづく

 



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第23話 幽霊の少女と響鬼の少年⑤

 どうも、剣 流星です。
ちょっと遅いですが、アニメの極黒のブリュンヒルデのオープニングが新しい物に変わりました。
デスメタルって・・・・・これはあんまりだと思うな~。
オープニングは以前の方が極黒のブリュンヒルデっぽかったと思ってますが、みなさんはどう思いますか?
では第23話をどうぞ~


圭介「はぁ?女の幽霊が田中先輩の家に居候することになったって?!」

 

朝の通学路、今現在、鳴海誠也は妹の霞と姉の悠菜、そして幼馴染の八神はやてや神谷竜輝、坂橋圭介と共に学校へと向かっていた。

 

悠菜「そうなのよ。こいつったら普通の人には見えない鳥を拾ってきただけじゃ飽き足らず、今度は幽霊を拾って隆史のやつに押し付けたみたいなのよ。」

 

そう言って昨夜誠也に聞いた事を呆れた顔で言いながら圭介に説明する悠菜

 

誠也「拾って押し付けたって・・・人聞きの悪いこと言わないでよ悠菜姉さん!あやめさんの問題は、元々は田中先輩のひいお祖父さんの関係の問題だったんだから、あやめさんを田中先輩が引き取るのは正当な流れだよ。」

 

そう言って誠也は姉の悠菜の言葉に対して抗議した。

 

昨日、はやて達と共に幽霊のあやめを田中隆史のアパートに連れて行った後、家に帰った誠也は家に居たライダーの関係者でもある姉の悠菜と妹の霞、そしてカナリヤにあやめの事を話した。そして今現在、毎朝一緒に登校している竜輝と圭介に悠菜が誠也に聞いた話しを二人に話しながら学校へと向かっていた。ちなみにカナリヤは誠也達が学校へと行っている間は、ラボで街中に放っているディスクアニマルやフードロイド、カンドロイドやメモリガジェットをつかって財団X関連の情報収集を行っているのでこの場には居ない。

 

竜輝「それにしてもまさか、あの公園に田中先輩のひいお祖父さんの元恋人の幽霊が居て、それを誠也がみつけて、孫の田中先輩の所まで連れて行くなんて、奇妙な縁だね。」

 

そう言って竜輝は偶然あやめを見つけた誠也に対して何か縁の様な物を感じてしみじみと言った。

 

誠也「全くだ。たまたま見つけた俺がたまたま田中先輩の知り合いだったなんて、世の中広いようで結構狭いんだな~。」

 

竜輝「まったくだね。それで、その幽霊のあやめさん・・・だったっけ?その人どうするの?まさかこのままずっと田中先輩の部屋に居候させるわけじゃないんでしょう?」

 

誠也「もちろんそのつもりだよ。最初はカナリヤに相談したんだけど、「専門外だ。」ってサジ投げられてさ、そこで思い出したんだよ。たしか乃木坂のメイド隊に巫女さんもやっているメイドさんが居たなって。」

 

霞「あ、それって乃木坂メイド隊の序列10位の雛咲 祝(ひなさき いわい)さんのことだよね。」

 

そう言って霞は以前、乃木坂邸に行ったおり、美夏に紹介してもらった巫女さんの格好をしたメイドを思い浮かべた。

 

誠也「そうそう、あの巫女さんでメイドさんやつて居るあの人。たしかあの人、霊感とかも持ってるから幽霊への対処の仕方も知ってると思うから相談してみようと思うんだ。」

 

圭介「なるほどね。しかし、巫女さんでメイドさんやてるって・・・乃木坂のメイド隊って結構色んな人がいるな~。科学者だったり医者だったり・・・・どんだけ人材豊富なんだ(^_^;)」

 

誠也「確かに、その分野のスペシャリストの人をメイドとして雇っているもんな~。ホントすごいよ、乃木坂のメイド隊って・・・・・」

 

悠菜「ホント、非常識すぎるわよ。親戚やってる私達が言うんだからそうとな物だよね(^_^;)」

 

はやて「そやな、ふわぁ~~~~・・・・・眠い・・・・」

 

誠也「どうしたはやて、眠そうだけど・・・昨夜、夜ふかしでもしたのか?」

 

大きなあくびをして、眠そうに目を擦るはやてを見て、「夜ふかしでもしたのか?」と聞く誠也。

 

はやて「あ、いやな、昨夜リーンにせがまれて、「竜騎士と天使」って本を読んであげてな、それで寝るのが遅をなってな。」

 

竜輝「その話って確か古代ベルカの王の「竜王アトルシャン」と「天王フィアル」の話しだったよね。」

 

はやて「せや、次元世界の古代ベルカ時代に多く存在した王達。有名なのは「聖王オリヴィエ」や「覇王イングヴァルト」なんやけど、「竜王アトルシャン」と「天王フィアル」はこの二人の王の国と真っ向から敵対関係にあった事と「オリヴィエ」や「イングヴァルト」の悲恋と同じ位有名な悲恋をした事でも有名なんや。」

 

霞「へ~、リーンちゃん、そう言うお話にも興味を持つようになったんだ・・・成長したね。」

 

誠也「竜王の事は俺も興味があったから調べてみたけど、悲恋でも有名だったんだ。」

 

はやて「せや、「竜王アトルシャン」は紅く長い髪が特徴で、多くの竜や龍を率いて居るから、そっちの方にばかり目が行きやすいけど、「天王フィアル」との悲恋話も結構有名なんや。「天使との禁断の恋だ!」ってな。」

 

誠也「天使との禁断の恋?」

 

はやての口から出た言葉に首をかしげて聞き返す誠也。

 

はやて「せや、「天使との禁断の恋」や。「天王フィアル」は実は背中に翼が生えた「翼の民」って言う特殊な種族だったんやて。まさしく種族を越えた禁断の愛。ロマンンチックやろ?」

 

誠也「種族を越えた禁断の恋ね~っと・・・どうやら少しゆっくりしすぎたみたい。いつもよりも遅いペースだ。このままじゃ遅刻しちゃうから急ごう。」

 

自分のポケットから取り出した金の懐中時計を見て時間を確認した誠也が、いつもの登校よりペースが落ちて、時間がかかっていることに気づく。

 

はやて「へっ?あ・・・・・ヤバ!急ごう!」

 

霞「う、うん!」

 

誠也に言われ、自分の腕時計で時間を再確認したはやての言葉を聞き、誠也達は一斉に駆け足となって学校へと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「あ、田中先輩と美夏、おはようございます。」

 

学園の校門前、そこで誠也は登校して来た隆史と美夏を見かけて声をかけた。

 

隆史「お、鳴海兄弟とその一派。揃ったのを見るのは久しぶりだな、おはよう。」

 

美夏「あ、みんな、おはよう。今日は勢ぞろい・・・でもないね、まだアリサちゃんとすずかちゃん、そして天田くんが居ないね。」

 

誠也「ああ、「アリサ」と「すずか」はそれぞれの親戚の用事だとかで海外に行ってて、「天田」は今日が死んだ母親の命日だってんで、母親のお墓参りで今日と明日は休みだ。」

 

悠菜「あの三人が居ないと仮面ライダー部勢ぞろいって訳にはいかないもんね。ところで・・・ちょっと田中!何よその「鳴海兄弟とその一派」って!私らはどこぞの不良一派か!」

 

誠也「まあまあ、おさえて悠菜姉さん。所で先輩、あやめさんの様子はどうです?」

 

隆史「ああ、結構大変だったよ。鳴ってる目覚まし時計を見てオロオロするし。部屋を出て朝日を浴びたら、姿が薄くなって消滅しかかったりと、朝から大変だったよ・・・全くあの人、幽霊の自覚がないからタチが悪い。今だに「私・・・幽霊なんですか?」と言うし、どんなに説明しても、俺の事をひい祖父さんだと勘違いしてるしな、はぁ~」

 

誠也「げ、元気出してくださいよ(^_^;)・・・所でさっき、あやめさんが朝日を浴びて消滅しかかったって言いましたね?どう言う事です?」

 

誠也は隆史の口から出た「あやめが朝日を浴びて消滅しかかった。」と言う言葉が気になり聞いてみた。

 

隆史「ああ、朝起きて、部屋の窓のカーテンをあやめさんが開けたんだけど、朝日を浴びたとたんあやめさんの姿が薄くなって消えそうになったんだ。幸い、すぐにカーテンを閉め直して朝日を遮ったから大事にはいたらなかったけどな。」

 

誠也「そうだったんですか。じゃあやっぱりあやめさんを雛咲さんの所に連れて行くのは日が沈んでからだな。」

 

隆史「ん?雛咲さん?誰だそれ?」

 

誠也「雛咲さんは乃木坂家のメイド隊の序列第10位の人で、メイドであると同時に巫女でもあるんです。しかも霊力が有る本物の巫女ですから、あやめさんの事を相談しようと思って。」

 

隆史「メイドで巫女って・・・・乃木坂の家のメイドは本当に色んな人がいるんだな(^_^;)」

 

誠也からあやめを乃木坂家のメイドで巫女である雛咲 祝に見てもらう考えを隆史に話す誠也。

そんな二人の会話をそばで不思議そうに聞いていた美夏は、自分の家のメイドの名前が急に出てきたの聞いて誠也に声をかけた。

 

美夏「ね、ねえ、祝さんの名前が出てきたけど、祝さんに何か用事なの?」

 

誠也「あ、ああ。実は・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「・・・・・・と言うことがあってね。」

 

誠也は美夏に昨日あった、あやめとの一連の出来事を美香に話した。

 

誠也「兎に角、幽霊なんて俺たちには専門外だから、その道に詳しそうな雛咲さんにあやめさんを見てもらおうと思うんだけど美夏、雛咲さんに会わせてもらえるかな?って・・・・美夏?」

 

反応をしない美夏を不審に思い、美夏のいる方を見た誠也は、うずくまり、何かをブツブツと言いながらガタガタと震えていた。

 

美夏「ユウレイなんていないユウレイなんていないユウレイなんていないユウレイなんていない・・・・・・」

 

誠也「み、美夏?」

 

霞「あ、そう言えば美夏ちゃん、幽霊とかそう言うの苦手だったっけ。」

 

誠也「はぁ~しょうがないな・・・・・・美夏!!」

 

美夏「にゃー!!!って・・・・ふぇ?」

 

誠也「「ふぇ?」じゃねえよ。雛咲さんに会わせてくれって頼んでるだろう。」

 

美夏「え、あ・・・うん、良いよ。連絡取っておくね。」

 

誠也「ああ、頼んだぞ。会う時間は日が沈んでからにしておいてくれ「キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン~♪」ってもうチャイム鳴っちゃった。」

 

悠菜「このままじゃ遅刻しちゃうわね。みんな走るわよ!」

 

悠菜がそう言ったのをきっかけに、誠也達は一斉に校舎へと走って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間があっという間に進んで、放課後。

誠也達は今、仮面ライダー部の部室を兼任しているラボに集まっていた。

ちなみに集まっているメンバーは、今日学校に来ていた朝、誠也と共に学校に来たメンバーになのはとフェイトを加えた面々が揃っていた。

「仮面ライダー部」とは、誠也がフォーゼの世界で天の川学園にあった「仮面ライダー部」を元に誠也を中心に、ライダーや魔法関連の秘密を知った者を中心にして作られた非公認の秘密倶楽部である。

部室は初代ライダー部と同じ用に、白城学園の使っていない部室棟に有る廃ロッカーに有るゲートから通じている、鳴海家の地下にある「ラボ」を使用している。

ちなみに今現在の部員は誠也とその妹で有る霞と姉の悠菜。誠也の幼馴染である竜輝や圭介、はやてやなのは、フェイト、アリサ、すずか、従姉妹の美夏、他一名という構成になっている。

 

誠也達は日が沈む時間帯までの間、各面々はラボの大テーブルの席に自由に座り、宿題をやったり、読書をしたり、ラボに保存してある資料に目を通したりと、思い思いの事をしていた。

 

誠也「どう?カナリヤ。街に放してあるディスクアニマルやカンドロイド、フードロイドから何か異常は知らせはされてない?」

 

誠也はラボに備え付けてあるモニターに映し出されてある、ディスクアニマルやカンドロイド、フードロイドから送られて来る映像を手元のキーボードで操作しながら監視をしているカナリヤに異常がないか聞いてみた。

普段カナリヤはこの「ラボ」で街を監視しているディスクアニマルやカンドロイド、フードロイドからの映像を見て財団Xが街に放った怪人や、ガイアメモリとゾディアーツスイッチの使用者を探している。普段はオートにして異常があった時に警報で知らせるようにしているのだが、今日だけは珍しく自分自身でもモニターのチェックもしていた。

 

カナリヤ『いいえ、今のところメモリとスイッチの使用者、怪人の発見の知らせはないわね。』

 

そう言ってカナリヤはモニターを操作しながら誠也の言葉に対して返事をした。

 

誠也「そっか・・・・所でカナリヤ、乃木坂のお爺ちゃんの協力で新しく出来る対財団X用の組織に渡す予定のライダーの変身ツールは何にするか決まってるの?」

 

カナリヤ『乃木坂老の協力で新たに見つかったライダーの適正者達3人のデータを見て、一番適性が高かったカブト、ブレイド、スカルの3つにするわ』

 

圭介「へ~、じゃあライダーが新たに3人増えるって事か。元から斬鬼の適性がある斬鬼さんと、初めから「555(ファイズ)」のツールを持っている木場さん、俺や竜輝、悠菜さんを入れてライダーが8人になるんだな。」

 

なのは「でも、斬鬼さんの変身ツールはまだできてないんでしょう?確か響鬼の世界の変身ツールの再現は結構難しいって前言ってたよねカナリヤ。」

 

カナリヤ『ええ。響鬼の世界のライダー・・・鬼の三種類の変身ツール・・・音叉、鬼笛(ホイッスル)、鬼弦(リストバンド+弦)なんだけど、これらは一見単純な構造に見えて結構複雑なの。なかでも鬼弦はその三種類の中で一番複雑で再現が難しくて・・・・だから、三種類のツールの中で一番単純なツールである音叉を作って、それから得たノウハウを利用する形で鬼弦を作ろうと思ったの。』

 

フェイト「へ~、だから最初使用者が居ない響鬼の音叉を作ったんだね。」

 

カナリヤ『そう言う事』

 

悠菜「なるほどね~。さ~て、もうそろそろ日が沈み始める時間だね。今から鳴海荘に移動すれば向こうに着く頃には日も落ちているわね。」

 

誠也「そうだね。じゃあ、あやめさんを迎えに行くとしますか。」

 

そう言って誠也達は一斉に椅子から立ち上がると、学校側のゲートから「ラボ」の外へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鳴海荘。今この建物の前に誠也を始めとした、美夏を除いた今日ラボに集まったライダー部面々が揃って立っていた。

学校を出た辺りには夕日だた空も、今は完全に日が沈み、夜となっていた。

 

悠菜「さてと、例の幽霊さんに会うとしますか。所で・・・田中はもう部屋に帰っているんだっけ?」

 

誠也「ああ。さっき携帯で連絡して確認したよ。もう部屋に戻ってるって。」

 

悠菜「美夏ちゃんの方はどうなってるの?」

 

霞「美夏ちゃんにはさっき連絡して聞いてみたけど、祝さんの方には既に話しは付けてあるって言ってたよ。」

 

誠也「そっか、じゃあ後はあやめさんにを連れて行くだけだな。そんじゃ、あやめさんを連れて行くとしますか。」

 

そう言って誠也達はあやめが居るであろう部屋、101号室の前まで移動をして、昨夜はやてが壊して、その後隆史が業者に連絡して直した扉の横にあるインターホンを鳴らした。

 

ピンポ~ン♪

 

誠也「あやめさん、田中先輩、迎えに来ましたよ~」

 

インターホンの呼び出し音と誠也の声が辺りに鳴り響き、その少し後、部屋の中から誰かが扉を開けた。

 

あやめ「あ、誠也さん、それにはやてさんになのはさん、フェイトさんまで、よくお越しくださいました。」

 

そう言って深々とお辞儀をするあやめ。

 

悠菜「へ~、この人が幽霊のあやめさん?」

 

霞「なんだか普通の人に見えるね。」

 

圭介「ああ、最近あまり見ない着物のよく似合う和服美人って事を除けば、普通の人に見えるな。」

 

竜輝「そ、そうだね。」

 

出てきたあやめを見てそれぞれの感想を言う悠菜達。

 

あやめ「あら?誠也さん、この方達は?」

 

あやめは今日初めて見る悠菜達を見て、何者なのかと誠也に聞いた。

 

あやめ「あ、紹介しますね。俺の姉の悠菜と妹の霞、そして幼馴染の竜輝と圭介です。」

 

悠菜「どうも、こんばんは。誠也の姉で田中くんのクラスメイトの鳴海悠菜よ。」

 

霞「はじめまして、鳴海誠也の妹の霞です。」

 

竜輝「神谷竜輝です。よろしくお願いします。」

 

圭介「坂橋圭介です。いや、聞いた話のとおり、大和撫子って言葉が似合いそうな人だな~」

 

あやめ「まあ!お上手ですね。あ、申し遅れました、わたくし、朝霧あやめです。どうぞよろしくお願いします。」

 

そう自己紹介をして、再び頭を下げるあやめ。

 

悠菜「あ、いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。」

 

そう言ってあやめに手を差し出して握手をしようとする悠菜。それを見て、あやめも「お願いします」と言いながら手を握ろうとしたが「スカッ!」とあやめの手は悠菜の手をすり抜けてしまった。

 

悠菜・霞・竜輝・圭介「「「「!?」」」」

 

悠菜の手をすり抜けるあやめの手を見て驚く悠菜達4人。

 

悠菜「て、手がすり抜けた・・・・本当に本物の幽霊なのね。」

 

あやめの手がすり抜けた自分の手を見ながら言う悠菜。そんな悠菜を他所に、誠也はあやめに話しかけた。

 

誠也「あやめさん、田中先輩は部屋に居ないみたいですけど、どこに行ったんです?」

 

誠也はあやめが開けた扉から部屋の中を覗いて、隆史がいないのを見て、隆史がどこに行ったのかをあやめに聞いた。

 

あやめ「あ、隆史さまでしたら先ほど「こんびに」と言う所に出かけてくると言って出かけました。すぐに戻ると言ってましたので、そろそろ戻る頃だと思うので、皆さん、どうぞ中でお待ちください。」

 

そう言ってあやめは誠也達を部屋の中へと通そうとした。

 

はやて「いいんですか?ほな、中で待たせてもらいます。と、その前に・・・・あやめさん、ちょっと良いですか?試したいことがあるんですけど、協力してもらえんやろか。」

 

あやめに言われて中に入ろうとする前にあやめに声をかけて、協力を求めるはやて。

 

あやめ「協力・・・ですか?別にいいですけど・・・何をやるんです?」

 

はやて「あ、あやめさんはそこに立っているだけでええです。」

 

そう言ったはやては、あやめの前に立つと、いきなり自分の両手に魔力を纏わせ始めると、おもむろに・・・・

 

はやて「えいっ♪」

 

モミ♪

 

あやめ「・・・・・え?」

 

あやめの胸を思いっきり鷲掴みにして揉んだのである。

 

はやて「おお!やっぱり魔力でコーティングすれば、あやめさんにさわれるみたいやな♪(もみもみもみもみ~♪)」

 

あやめ「ちょ!あん・・・はやて・・・さん・・・や、やめて・・・・」

 

はやて「おお!この感触、このもみ心地・・・着物だからわかりづらかったけど、胸の大きさはなのはちゃんやフェイトちゃんクラスと見た!(もみもみもみもみもみ~♪)」

 

あやめ「あ・・・や・・・やめ・・・て・・・・そこ・・・・弱い・・・・あ・・・ん・・・・」

 

はやて「お、どうやらここが弱いみたいやな♪ホレホレホレホレ♪ええんか?ココがええん「ココがええんか?じゃねーこの乳揉み魔!!(スパンッ!)」あたっ!」

 

調子に乗ってあやめの胸を揉みしだくはやての後頭部をどこから取り出したハリセンで叩く誠也。

 

はやて「乙女の後頭部をいきなり叩かんといていてくれる?」

 

誠也「やかましい!この乳揉み魔!昨日の別れ際に何か考え込んでたのは、あやめさんの胸を揉む方法を考え込んでたからだったんだな!」

 

なのは「はやてちゃん・・・昨日の別れ際からそんな事考えてたの?」

 

フェイト「相変わらずだね、はやての乳揉みグセは。」

 

普段から犠牲になっている二人から呆れた声で言われるはやて。

 

はやて「へへへ~、前にカナリヤが「魔力、気力、霊力、妖力、神力は基本的には同じ性質を持つもので、その差は殆どない」って言ってたから、霊気の塊である霊体のあやめさんの体を、霊気と殆ど性質が同じ魔力でコーティングすればさわれるかな?って思ってたんやけど、どうやらさわれるみたいやな。どや?ええアイディアやろう♪」

 

誠也「何が「ええアイディアやろう♪」だ!!それで最初にやることがなんで胸を揉むと言うもしょーも無いことなんだ!」

 

はやて「何がしょーも無い事なんや!そこに揉みごたえの有る胸があるなら、揉まないのは失礼やろうが。」

 

誠也「なんで揉まないのが失礼になるんだ!だいたい、もうちょっと周りを見て行動しろ!見ろ!お前があやめさんの胸を揉みしだいたから、それを見た竜輝が鼻血を噴出させて倒れちゃったじゃないか!」

 

そう言って誠也が指を差した先には、鼻血で出来た池に倒れ込んで白目を向いている竜輝がいた。

 

竜輝「(ドクドク~)うううっ・・・胸揉み・・・」

 

霞「りゅ、竜輝くん、しっかりして!」

 

圭介「おい!しっかりしろ!竜輝!いま手当をしてやるからな!」

 

悠菜「圭介!止血を!輸血の準備は私がするから!」

 

倒れた竜輝の側で、テキパキと手馴れた手つきで手当をする悠菜達。

 

なのは「相変わらずなれた手つきで手当をするね(^_^;)」

 

フェイト「まあ、普段から竜輝くんの側にいれば、自然と身についちゃうもんね(^_^;)」

 

あやめ「うう~、ぐす・・・・・・胸揉まれた・・・・たかし様にも揉まれたことなかったのに・・・・ぐす・・・・」

 

隆史「ただいま~あやめさん、今戻ったよ~って・・・・な、なんだこのカオスな風景は?」

 

コンビニから帰って来た隆史が自分の部屋の前で起きている出来事を見て、その場で立ち尽くした。

血の池に倒れて白目をむく竜輝とその竜輝の手当をする圭介と悠菜、それを見守る霞。倒れた竜輝の手当を見て、呆れ半分関心半分で見守るなのはとフェイト、そしてそんな二人のそばで胸を揉まれたことで泣いているあやめと言う何ともカオスな風景。これで立ち尽くすなという方が無理と言うものである。

 

隆史「・・・なあ、本当に・・・何があったんだ?」

 

誠也「えっと・・・・・何処から説明すれば良いんだろう(^_^;)」

 

隆史に質問されて、返答に苦しむ誠也だった。

 

 

 

つづく

 



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第24話 幽霊の少女と響鬼の少年⑥

どうも、剣 流星です。
バトライドウォー2、買ったはいいけど、仕事と執筆でやる暇がない・・・・
盆休みまで待つしかなのかな~。
とにかく第24話です。ではどうぞ~


あやめ「うぇ~~ん!隆史さま~~~!えぐっ!」

 

隆史「あ~~よしよし。」

 

隆史の目の前で涙ぐむあやめを「よしよし」と言いながら頭を撫でて(触れないので実際には頭を撫でるように見せているだけ)落ち着かせる隆史。

 

隆史が買い物から帰ってきた後、隆史の部屋の前で起きていたカオスな風景の出来た理由を隆史は誠也に聞いた。

そして今現在、隆史は胸を揉まれたショックのせいで涙ぐんでいるあやめをあやしていた。

 

誠也「え~と・・・・と、取りあえず、先輩も戻ってきたことだし、乃木坂邸に行くとしましょうか。」

 

戻って来た隆史を見て、取りあえず当初の予定通り乃木坂邸に行こうと言う誠也。

 

隆史「そ、そうだな。さあ、あやめさん、泣き止んで。これからあやめさんに会ってもらう人の所に出かけるんですから。」

 

あやめ「はい。たかし様が居る所でしたら、どこにでも参ります。」

 

隆史に言われて泣き止んだあやめは、隆史と出かけられると聞くと、嬉しそうに微笑んだ。

 

あやめ「でも・・以前は噂にならないように、たかし様とは出かけられませんでしたのに、もういいのでしょうか?それならわたくし嬉しいですわ♪」

 

誠也「?随分と先輩と出かけられるのが嬉しいみたいだけど・・・なんでだ?」

 

はやて「たぶん・・・身分違いの恋だったから一緒に出かけられなかったんやないの?噂にでもなったら引き離されるってわかってたんやろうな。当時は今以上に人目もうるさかっあやろうしな。」

 

誠也「・・・そうだな。」

 

思い人と一緒にろくに出かけられない環境だったことを不憫に思う誠也とはやて。そんな二人のやり取りを見て居たなのはが誠也に話しかけてきた。

 

なのは「ね、ねえ・・・誠也くん、”アレ”・・・・どうしようか?」

 

そう言ってなのはは鼻血を出して倒れ、今現在輸血と点滴を受けている竜輝を指差した。

 

誠也「あ、そうだ。すっかり忘れてた。どうしよう・・・・・」

 

なのは「私とフェイトちゃんが竜輝くんを家に連れて行ってあげよっか?」

 

誠也「え?いいのか?」

 

フェイト「うん、良いよ。それにあんまり大勢で行ってもかえって迷惑をかけちゃうから、どの道私となのはは行かないつもりだったから。」

 

誠也「そっか、じゃあ竜輝の事は頼むよ。」

 

なのは「まかせて。」

 

誠也「じゃあみんな、行こう。あまり遅くなると迷惑かかるから、少し急ごう。」

 

そう言って誠也達は、少し急ぎ足で乃木坂邸へと移動を開始した。

 

なのは「行ってらっしゃ~い。」

 

フェイト「気を付けてね。」

 

出かける誠也達を見送るなのはとフェイト。

 

なのは「・・・・さて、じゃあ、”アレ”を早速運ぼうか、フェイトちゃん」

 

そう言ってなのはは今だに輸血をしたまま倒れている竜輝の方を見た。

 

竜輝「う~~ん・・・胸揉み・・・・・・・・刺激が強い・・・・」

 

なのは・フェイト「「(^_^;)」」

 

相変わらず倒れたまま、輸血をして白目を向いたままブツブツと何かを言っている竜輝を若干呆れた顔で見るなのはとフェイト。

 

なのは「・・・・本当によく死にかけるね。シャマルさんのお料理の試食をよく頼まれている誠也くん以上に死にかけてるんじゃないかな?」

 

フェイト「うん、多分誠也よりは確実に死にかかった回数は多いと思う。」

 

そう言ってフェイトは誠也と竜輝の死にかかった回数を思い出して答えた。

 

なのは「こんなにしょっちゅう死にかかっていたら、三途の川の死神と顔見知りにでもなってそうだね。」

 

フェイト「そんな、まさ「う~ん・・・・小町さん・・・・また来ちゃいました。お世話になります。」って「小町」って誰よ(^_^;)」

 

なのは「と、兎に角、ちゃっちゃと運んじゃおう。運んでいる所を他の人に見られて、通報でもされたら大変だから。」

 

竜輝のつぶやきを聞かなかった事にして、竜輝をさっさと運ぶようにフェイトに言うなのは。

 

フェイト「そ、そうだね。運んでいる姿は正しく不審者にしか見えないから、見られたら通報させかねないね。とっとと運んじゃおうか。」

 

そう言って二人は竜輝を運び出し始めた。ちなみに余談であるが、鼻血を出してぐったりしている竜輝を見た近所の人が竜輝を死体と勘違いして110番通報をして、なのは達は危うく逮捕されそうになったと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わって、広大な敷地を持つ乃木坂邸の入口である門の前。そこで広い敷地を誇る乃木坂邸の広さにボーゼンとしている隆史とあやめが居た。

 

あやめ「・・・・広い敷地ですね。私の実家の朝霧家よりも広いですね。」

 

隆史「そ、そうですね。」

 

敷地の広さ驚きながら会話するあやめと隆史。

 

あやめ「確か誠也様達のお母様のご実家だという話でしたわよね。・・・・誠也様達って実は良家の方だったのですね。すごい・・・」

 

広大な乃木坂家の敷地を見ながらあやめはしみじみと言った。

 

誠也「凄くなんてないです。凄いのは俺と悠菜姉さんのお母さんの実家で、俺たちは全然すごくないですよ。」

 

隆史「うん?「「俺たち」じゃなくて「俺と悠菜姉さん」のお母さんの実家?」・・・何か変な言い方だな誠也。」

 

誠也の言い回しが変だと感じた隆史はその部分を誠也に指摘した。

 

悠菜「あれ?言ってなかったけ?私と霞は義理の兄弟なのよ。」

 

あやめ「まあ、じゃあお二人は誠也さんと・・・」

 

悠菜「うん、実の兄弟じゃないんだ。私と霞の両親はそれぞれ事故と事件に巻き込まれて死んじゃってね。それで私達は今の鳴海家に引き取られて今に至るってわけ。」

 

あやめ「そうだったんですか。すいません・・・無粋な事を聞いて。」

 

そう言ってあやめはシュンとなって謝罪の言葉を口にした。

 

霞「あ、いいですよ、謝らなくて。全然気にしてないですから。ね、悠菜お姉ちゃん。」

 

悠菜「ええ、全然気にしてないから。」

 

隆史「俺も悪い。変なこと聞いちまって。」

 

悠菜「別に良いって。」

 

誠也「さて、立ち話もなんだし、そろそろ中に入ろうか。」

 

そう言って誠也はなれた手つきで、門の横にある、「乃木坂」と書かれた表札のすぐ側にあるインターホンを操作した。

 

ピンポ~ン♪

 

辺りにインターホンの音が響き、その数秒後にインターホンから若い女性の声が出る。

 

若い女性の声『はーい、どちら様でしょうか~?』

 

誠也「あ、その声、那波さんですか?俺です。誠也です。」

 

那波『まあ誠也様、よくお越しくださいました~。美夏様から話は聞いてます~。今そちらまで迎えに行きますので少しお待ちください。』

 

誠也「あ、はい。お願いします。」

 

そう言ってインターホンからの声が途切れて数分後。目の前の門が開き、中からメガネをかけたメイド服の女性が現れた。

 

メガネのメイド「いらっしゃいませ、誠也様、悠菜様、霞様。」

 

そう言ってメガネのメイドの女性、七城 那波(ななしろ ななみ)はニッコリと微笑みながらお辞儀をした。

 

誠也「あ、那波さん。お迎えご苦労様です。」

 

悠菜「こんばんは、那波さん。」

 

霞「こんばんはです、那波さん。」

 

はやて「こんばんはや、那波さん。」

 

圭介「こんばんは、お久しぶりです那波さん。」

 

那波「はい、おひさしぶりです圭介様、はやて様。それと、そちらの方が美夏様が言ってた田中隆史様と幽霊の朝霧あやめ様ですね?はじめまして、乃木坂家のメイドを勤めている、七城 那波(ななしろ ななみ)と申します。」

 

隆史「あ、ど、どうもです。(うわ~本物のメイドだよ。初めて見たよ)」

 

初めて見るメイドに対し、少し動揺しながらも挨拶をする隆史。

 

あやめ「まあご丁寧に。どうも、朝霧あやめです。」

 

そう言って、動揺する隆史とは反対に、落ち着いた雰囲気で挨拶をするあやめ。

 

那波「さあ、立ち話もなんですし、中へどうぞ皆さん。」

 

挨拶も一通りすんだ誠也達は、那波に促されて乃木坂邸の敷地へと入った。

乃木坂邸の敷地。敷地内は夜だと言うのに、いたる所にライトアップされてあるライトのせいで、その広大さがうかがい知ることができる。ここに初めて入った隆史とあやめは、乃木坂邸の敷地の広大さに驚きながらも那波に付いて歩いていた。

 

那波「周りを珍しそうに見るのはいいんですけ、お二人共、はぐれないでくださいね。はぐれると迷子になりますから。」

 

そう言って、周りを珍しそうにして見ている隆史とあやめに対して注意をする那波。

 

隆史「迷子・・・ですか?・・・どんだけ広いんだよ。・・・・それにしてもまさか二人が誠也と義理の兄弟だったなんてな。特に悠菜、お前と誠也は結構似てるからな~。特にその紅い髪なんて二人共そっくりだもん、実の兄弟じゃないって言わなければわからなかったぞ。」

 

そう言って隆史は那波が来る前に話していた話しの事を話しだした。

 

誠也「義理の兄弟って言っても、全く血が繋がってないってわけじゃないんだ。霞と悠菜姉さんは従姉妹だから。悠菜姉さんのお母さんは俺の母さんの双子の妹だし、霞のお母さんは俺の父さんの妹だったからな。」

 

隆史「あ、そうなんだ。じゃあお前の紅い髪はお母さん譲りなんだな。」

 

誠也「いや、違うよ。母さんはどちらかというと、京香姉さんに似た髪の色をしていたよ。俺の髪の色は、どうやら母さん達のお母さん、お祖母ちゃんや悠菜姉さんのお母さん似なんだって。」

 

隆史「へ~、じゃあ悠菜の紅い髪は母親譲りってワケなんだな。だとすると、二人の母親と姉妹である美夏ちゃんのお母さんも、ひょっとしたら誠也達みたいに紅い髪だったりするのか?」

 

誠也「あ、それはないと思う。俺達の母さんは乃木坂のお祖父ちゃんの前妻との娘で、美夏のお母さんである秋穂さんは後妻のとの間の娘だから、お祖母ちゃん譲りの紅い髪をしているのは俺と悠菜姉さんだけなんだ。」

 

隆史「あ、そうなんだ。なんかちょっと複雑そうだな~。しかも前妻と後妻の間に子供が居るって・・・・乃木坂の様な大きい家では、大抵こう言うのって大抵跡目争いだとかで揉めるのが相場だよな~。ひょっとしてお前たちの母親が良いとこのお嬢さんなのに、嫁いだ家の先が何の変哲のないごく普通の家だったのも、それが理由の一つなのか?」

 

隆史が誠也の話を聞いて思った事を口にした。

 

誠也「ま、まあね・・・・・。母さん達が乃木坂の家を出た理由の一つは、親族同士の跡目争いに嫌気がさしたっていうのも理由の一つだったって聞いたけど、その事は乃木坂邸(ココ)では話さないでください。」

 

そう言って誠也は少し暗い顔をし、その事に隆史は頭に?マークを浮かべた。

 

那波「・・・・その件に関して秋穂様・・・・春香様と美夏様のお母様は、今だにお心を痛めております。ですので・・・・隆史様、その事には触れないであげてください。」

 

今まで誠也達の先頭を黙って歩いていた那波が、誠也の後を継ぐかのように理由を話した。

 

誠也「・・・秋穂叔母さん、まだあの事件(・・・・)は自分のせいだって思ってるんだ。叔母さんのせいじゃないのに・・・」

 

悠菜・はやて「「誠也・・・・」」

霞「お兄ちゃん・・・・」

 

那波の言葉を聞いて、顔を曇らせる誠也とそれを見て、はやてと悠菜、霞は少し悲しそうな顔を浮かべた。

 

那波「・・・・・な、何か暗くなっちゃいましたね。さあ付きましたよ!では中にお入りください。」

 

そう言って、話しながら歩いているうちにたどり着いた乃木坂邸の玄関先で、先程までの暗い話を吹き飛ばそうと、明るい声で話しながら玄関の扉を開ける那波。

そして、そんな那波が開けた玄関の扉をくぐって、誠也達は乃木坂邸の中へと入って行った。・・・遠くで自分達を見ている二つの視線に気づくことなく。

 

魔化魍・バケネコ1「グルルル・・・・」

 

魔化魍・バケネコ2「・・・・・ミツケタ!」

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

七城 那波(ななしろ ななみ) (乃木坂春香の秘密)

 



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第25話 幽霊の少女と響鬼の少年⑦

どうも、剣 流星です。
最近はニコニコ動画の東方の二次作成動画を見るのが趣味になりつつあります。
ちなみに一番のお気に入りは「番長とバカップル夫婦IN幻想郷」で、ペルソナ4と東方のクロス作品です。話が作りこまれており、とても完成度の高い作品で、ペルソナ4好き、東方好き両方の方が見ても楽しめる作品なので、興味がある方は是非一度見てみてください。
では第25話をどうぞ~


春香「まあ!誠也“ちゃん”、いらっしゃい♪」

 

乃木坂邸の玄関を抜けて入った屋敷内の広間で、誠也は自分を“ちゃん”付で呼ぶある人物に声をかけられた。

誠也の従姉妹で美夏の姉である春香である。

 

隆史「せ、誠也“ちゃん”?!」

 

誠也の名前を普段から聞きなれない言い方で呼ばれた事に驚く隆史。

 

誠也「・・・春香さ~ん、もう小さい子供じゃないんだから、“ちゃん”付で呼ばないでくれるかな(^_^;)」

 

春香「あら?どうしてです?”ちゃん”付けの方が可愛いじゃないですか。それよりも春香”さん”って何で他人みたいな呼び方なの?乃木坂邸(ここ)に住んでいた時みたいに春香姉って呼んでちょうだい!」

 

誠也に”さん”付けで呼ばれたのが不服なのか、頬をプク~っとふくらませて拗ねる春香。

 

誠也「い、いや、俺ももう中学生なんだから、先輩である春香さん「春香姉」って・・・え?」

 

春香「春香姉って言ってください。じゃないともう口効きません!」

 

そう言って頬をふくらませてそっぽを向く春香。それを見た誠也は、暫く考え込んだ後、「はぁ~~」と盛大に溜息を吐いた後、春香に向き直った

 

誠也「分かったよ、”春香姉”。これで良いんだろう?」

 

春香「うん♪やっぱり誠也ちゃんにはその呼び方をされる方がしっくりきますね♪」

 

そう言って春香はご満悦な顔をした。

 

隆史「な、なあ、さっき「乃木坂邸(ここ)に住んでいた時みたいに」って言ってたのを聞いたけど誠也、お前この家に住んでいた時があるのか?」

 

誠也「昔、小さい頃に住んでたんです。母さんが亡くなった時、父さんは刑事をやってて、俺や京香姉さんの面倒を見ることができなかったんだ。だから俺たち二人を俺が6歳位になるまで預かってもらってたんだ。」

 

隆史「へ~、お屋敷住まいだったなんてすごいな~」

 

誠也の生い立ちを聞いてすごいな~と言う隆史。

 

隆史「別にすごくなんてないよ。それに住んでいる家が広いと結構大変なんですよ。俺、住んでいた時、しょっちゅう迷子なってたんですから~。」

 

そう言って誠也は少し懐かしそうしながら言った。

 

誠也「・・・とにかく、話が脱線しちゃうからこの話はここでおしまいにしよう。・・・・それにしても“ちゃん”付けで呼ばれたのは本当久しぶりだよ。俺を”ちゃん”付けで呼ぶのは春香姉と、いなくなった早苗姉だけだもんな。所で、美夏はどうしたんです?俺たちが来ても顔を見せないなんて・・・なにか有りました?」

 

春香「え~と・・・実は美夏、部屋に引き篭って出てこないんです。「幽霊怖い、幽霊怖い」ってブツブツ言って(^_^;)」

 

霞「み、美夏ちゃん、まだあの状態続いてたんだ(^_^;)」

 

はやて「あやめさん、全然幽霊って感じしないのにな~。」

 

誠也「まいったな~、これじゃあ美夏に頼んだ「あやめ」さんに付いて調べてもらうように頼んでいたこと、聞くことができないな~」

 

そう言って誠也は頭をかきながら困った顔をした。

 

春香「あら?それって美夏がお祖父さまに聞いてたひい祖母様の妹のことですか?」

 

誠也「あれ?春香さん、知ってるの?」

 

春香「ええ、事情は美夏から聞いてます。ご先祖様の一人である幽霊の女の人に出会って、その人の事を調べてもらうよう誠也ちゃんに頼まれたって。そちらの方ですよね?ご先祖様の幽霊である朝霧あやめさんって人は。初めまして、誠也ちゃんの従姉妹の乃木坂春香といいます。」

 

そう言って春香はあやめの方に向き直ると、深々とお辞儀をして挨拶をした。

 

あやめ「まあ、ご丁寧に。朝霧あやめと言います。以後お見知りおきを。」

 

そう言ってあやめも深々と頭を下げて挨拶をした。

 

悠菜「所で春香、さっき美夏ちゃんから事情を聞いているって言ってたわよね、なら、誠也が美夏ちゃんに頼んでいた、あやめさんについて調べた事についても、何か聞いてない?」

 

あやめと挨拶を交わし終わった春香に対し、誠也が学校で美夏に頼んだ調べ物に付いての事を悠菜は春香に聞いてみた。

 

春香「ええ。聞いてます。けど・・・・」

 

そう言って春香はチラリとあやめの方へと視線を向ける。

 

誠也「ん?ああ、あやめさんには聞かせない方がいいな。生前の話は・・・」

 

そう言って誠也は春香のあやめをチラリと見た視線の意図に付いて察した。

 

春香「那波さん、誠也ちゃんと悠菜さんに話があるから、那波さんは先にあやめさん達を応接室に案内してあげてください。誠也ちゃん達は私が後で案内しますから。それと祝さんに後で誠也ちゃん達の所に行ってもらうように言っておいてください。」

 

そう言って春香は誠也たちの側で佇んで待機していた那波に指示を出した。

 

那波「承知しました。では皆さん、こちらに。」

 

そう言って那波はあやめや隆史、霞、はやて、圭介を連れて応接室へと向かった。

 

誠也「・・・・・さて、そろそろ良いかな。それであやめさんに付いて調べて分かった事ってなんです?」

 

あやめ達の姿が見えなくなったのを確認した後、誠也は春香に調べて分かった事を聞いた。

 

春香「あ、はい。え~と、確かお祖父さまに聞いた話だと、あやめさんはお祖父さまのお母様・・・つまりひい祖母様の妹だと聞きました。」

 

誠也「やっぱりひい祖母ちゃんの実家の人だったんだ。それで?」

 

春香「あ、はい。なんでも震災で亡くなったらしいんです。当時の東京の銀座に行ってて、あやめさん一人だけが火事に合って亡くなったらしいんです。」

 

悠菜「東京の銀座?」

 

春香「何でも縁談をするために両親や私達のひい祖母様と共に行ったらしいです。けど、あやめさんは縁談が嫌で逃げ出して火事に巻き込まれて・・・・。」

 

誠也「そうか・・・・ちなみに他の人たち・・・ついて行った人たちは無事だったの?」

 

誠也は少し悲しそうな顔をした後、連れの人達は無事だったのか聞いてみた。

 

春香「どうやら無事だったみたいです。当時かなり辛かったみたいですひい祖母様。逃げなければ助かったのにって・・・・」

 

誠也「そっか・・・・・そう言えば昨日、あやめさんは好きじゃない人に嫁ぐのは嫌だって言ってたな。」

 

悠菜「あやめさん・・・きっと田中のひいお祖父さんに会いに行ったのね。そして・・・」

 

誠也「たどり着く前に亡くなったか・・・・先輩のひいお祖父さんも待ってたのかな、気の毒な話だな・・・・」

 

そう誠也が言った後、三人は悲しそうな顔をしたまま黙り込んだ。

 

誠也「・・・こんな所で暗い顔をしていても仕方がないよな。取りあえず、霞たちの所に行こう。」

 

春香「そうですね。じゃあこちらに。」

 

そう言った春香を先頭にして、誠也達は霞達がいる応接間へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祝「・・・・「魄」が薄れてますね。」

 

乃木坂家の応接室。誠也達はそこにあるソファーに座りながら、あやめをじっと見ているメイド、乃木坂家メイド隊・第十位で巫女もやっている雛咲 祝である。

 

誠也「「魄」が薄れている?」

 

誠也は、先ほど祝が言った言葉を口にする誠也。

 

祝「成仏したくはありませんか?」

 

あやめ「はぁ?」

 

祝の言葉を聞いても訳がわからないと言うような顔をするあやめ

 

霞「あやめさん・・・言ってることがわからないって顔してるね(^_^;)」

 

はやて「まあ、しゃあないやろう。本人は幽霊の自覚ないんやからな。」

 

祝の言葉を聞いて、訳がわからないという顔をしたあやめを見て、少し呆れ顔をするはやて。そんなはやて達を他所に、祝は話を進めていく。

 

祝「見た所急激に力を付けた訳では内容ですね。元々、あの公園に居たのはわかってたのですが・・・・」

 

春香「え?祝さん、あやめさんが公園に居た事知ってたんですか?!」

 

祝が以前から幽霊の事を知っていた事に驚く春香。そんな春香に対して顔を向けて祝は話し始めた。

 

祝「はい、元々あの公園に地縛霊としてこの方が居たのは知ってました。けど、意思の疎通もできない様な状態でしたので、話して成仏させて上げることもできず、悪意のないものだったので放っておいたのですが・・・」

 

そう言って祝は再び視線をあやめの方へと向けた。

 

祝「驚きました。まさか自ら動けるようになるなんて。けど・・・・どうやら急激に力を付けたわけではなく、消える寸前になったから動けるようになったようですね。」

 

隆史「き、消える寸前?!ど、どういう事です!」

 

祝から聞いた言葉に驚き、大きな声を思わず出す隆史。

 

祝「ロウソクの火は消える寸前に激しく燃え上がるじゃないですか。あれと同じです。この方は霊体を形作る要素の一つである「魄」が薄れてきているのです。「魄」が薄れれば霊は地上にはいられません。だからと言ってあの世に行ける訳でもありません。同時に魂も消滅しますからね。」

 

あやめは黙ったまま祝の言葉を聞いていたが、その顔を見ている限り何を言っているのか訳がわからないと言った感じの顔をしていた。

 

祝「自分から死を受け入れて上がらないと」

 

あやめ「はぁ」

 

祝「時間はあまり残されていませんよ、ある程度の覚悟はしておいてください。」

 

あやめ「そう・・・ですか。」

 

そう言って曖昧な返事をするあやめ。

 

そんな二人の会話を聞いていた誠也達は、当事者であるあやめ以上に深刻そうな顔をしていた。祝の言っていることは、あやめに対して「あなたはもうじき死にますよ?」(もう死んでいるが)と言っていることと同義である。

知らない間柄だったならともかく、言葉をかわし、あやめの身の上を知った今となってはあやめの消滅は辛いものになっていた。中でも、あやめと一番長くいた隆史は相当辛そうな顔をしていた。

 

誠也「・・・・祝さん、どうやったらあやめさんを成仏させてあげられるんですか?」

 

押し黙った一同を代表するかのように誠也が祝に、あやめを消滅させずに成仏させる方法を聞いた。

 

祝「・・・この世の未練、それを晴らしてあげられれば成仏させてあげられると思うのですが・・・・それをするには時間が足りないでしょう。」

 

誠也「時間が・・・足りない?どういう事です?」

 

祝「「魄」の薄れぐあいから、後一週間も持ちません。」

 

誠也「なっ!」

 

はやて「そ、そんな・・・・」

 

祝の言葉を聞いて愕然となる誠也達。

 

春香「祝さん、なんとかならないんですか?せめて未練を晴らしてあげられる時間を作ってあげられる事は・・・」

 

祝の言葉を聞いてなんとかならないかと言う春香。

 

祝「方法はなくもないです。薄れている魄を外からの力・・・・霊力、あるいはそれに準ずる気力や魔力の様なもので補ってあげれば消滅を引き伸ばす事もできます。ですがこれはあまりオススメできませんね。」

 

誠也「どうしてです。」

 

祝があやめの消滅を引き伸ばす方法を渋る訳を聞く誠也。

 

祝「消滅しかかっている幽霊の存在を引き伸ばすのです。それなりの力を補充しなくてはいけません。でも、それほどの力を注いだら、逆に力を注ぐ方が普通まいってしまいますし、最悪命を落としかねません。」

 

霞「い、命を・・・」

 

祝の言葉を聞き驚愕する霞。

 

祝「ええ、幽霊に力を注いでも平気でいられるような強い力を持ち、さらに他人に力を注ぐ方法が普段から定期的かつ安易にできる方法を持っている方でなければまず無理です。ですが、そんな都合の良い方が居るわけありませし・・・」

 

そう言って祝は押し黙った。

 

春香「祝さんじゃダメなんですか?」

 

祝「私の霊力など微々たるものです。私の霊力ではあやめさんの消滅の引き伸ばしにすらなりません。」

 

そう言って申しわけなさそうな顔をする祝。

 

はやて「う~ん・・・霊力、あるいは魔力をあやめさんに定期的補充しても大丈夫なぐらい力があって、さらに力を注ぐ方法が普段から定期的かつ安易にできる方法を持っている人物か~」

 

悠菜「そんな都合の良い人物、居るわけないわよね、はぁ~」

 

そう言って大きなため息を吐く悠菜。そんな悠菜の側で、誠也は過去に出会った人物達を思い出しながら条件にあてはまる人物が居ないか思い返していた。

 

誠也(・・・それなりの力と、力を注ぐ方法が普段から定期的かつ安易にできる方法を持っている人物・・・・)

 

誠也の脳裏に過去に出会った人物達の顔を思い浮かぶ。その中には思い出すのも嫌な人物の顔や懐かしい人物の物、思い出すと悲しくなってくる者の物と様々であった。

そんな風に思い返している中、誠也はいつの間にか、かつて門矢士に付いて、はやてと共に異世界を旅した時に出会った人物達の事を思い返していた。そんな人物の中、誠也はふと、自分の力を他人に注ぐと言うキーワードに当てはまるある人物を思い出した。その人物はウィザードの世界の人物・操真晴人であった。操真晴人は誠也が変身する「仮面ライダー・ウィザード」の先代である人物である。彼は魔力の供給を定期的に受けなければ体を維持できないパートナーであるコヨミに対して、プリーズウィザードリングで魔力を普段から供給していたのを誠也は思い出していた。

 

誠也(・・・・そうだ。晴人さん、あの人は確かコヨミさんに定期的に魔力を供給していた・・・その方法を使えば!でも、そうなるとあやめさんにプリーズウィザードリングをハメてもらわなければならないが、幽霊であるあやめさんは物を身につけることができない・・・う~ん・・・あやめさんにリングを身につけさせる方法は・・・・・)

 

そんな風にさらに考え込む誠也の目にはやての姿がうつり、誠也はここに来る前、アパートではやてが起こした一件をふと思い出した。

 

誠也(・・・それにしてもはやてのヤツ、あやめさんの胸をいきなり揉むなんて、何考えてるんだ?全くしょうもないな~・・・ん?あやめさんの胸を揉む?!幽霊のあやめさんの体にさわれる・・・・・)

 

誠也はあやめの体にさわれるという言葉に何かピンと来る物を感じた。

 

誠也(・・・・触れないなら触れるようにする・・・・・指輪を・・・・・魔力が・・・ば・・・・・)

 

誠也「これだ!この方法だ!!」

 

はやて「うわっ!考え込んでいたと思ったらいきなり立ち上がって大声あげてどないしたん?!」

 

考え込んでいた誠也が突如立ち上がって大声を上げたことに驚くはやて達。

 

圭介「ど、どうしたんだよ。なにが「この方法だ!」なんだよ。なにかあやめさんの消滅を引き伸ばす方法でも思いついたのか?」

 

誠也「ああ、思いついたんだよ!方法を!この方法ならあやめさんの消滅を引き伸ばすことができる!」

 

隆史「本当なのか!どんな方法なんだ!!今すぐにできるのか!」

 

誠也「まってください。この方法をするには少しばかり準備が必要です。今日帰ったら早速準備に取り掛かるんで、明日の放課後までまってください。」

 

そう誠也が言った後、誠也達はいくつかの談話をした後、乃木坂邸を後にした。

 

 

つづく

 

初登場キャラ出典作品

 

乃木坂 春香(のぎさか はるか) (乃木坂春香の秘密)

 

雛咲 祝(ひなさき いわい)(乃木坂春香の秘密)

 



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第26話 幽霊の少女と響鬼の少年⑧

どうも、剣 流星です。
数日前、部屋のエアコンがとうとうご臨終してしまい、今現在エアコン無しで過ごしてます。
新しいのを買おうにも、近所にある電気店はどこも設置工事の予約がいっぱいで買っても設置してもらうのに一週間以上かかると言われました。
とりあえず新しいエアコンを買って設置の予約を入れましたが・・・・・暑い!昼間40°以上になる地域に住んでいる場所で、エアコン無しの生活はキツイ!
とにかく、第26話です。どうぞ~


誠也「どうも、お世話になりました。」

 

そう言って誠也は乃木坂家の玄関先で、自分達を見送りきた春香と那波、祝の三人に言った。

 

春香「やっぱり帰っちゃうのね・・・せめてお夕飯だけでもうちで食べていけばいいのに・・・・」

 

「せめて夕飯だけでも」と誠也達を誘う春香。だが誠也はそれをやんわりと断った。

 

誠也「いや、そこまで世話になるわけにはいかないよ。それに今日の夕飯の当番は京香姉さんがだから、夕飯を山ほど作って待ってるよ。ここで食べて行ったら大量に夕飯が残っちゃうからゴメンね。」

 

悠菜「確かにそうね。京香姉さんはいつも人数分の倍の量の食事を作るからね。」

 

春香「そっか、そうだよね・・・・・・」

 

そう言って少しシュンとなる春香。そんなはるかの背後に執事服の中年の男性が現れて声をかけてきた。

 

執事服の男性「春香様、夕食の用意が整いました。玄冬様、秋穂様、美夏様、既に食堂の方にお集まりになって春香様をお待ちしています。」

 

春香「あ、佐倉さん。はい、わかりました。誠也ちゃんを見送ったらすぐに行くとお父様達にお伝えください。」

 

執事服の男性「承知しました。ではそのようにお伝えしておきますので、春香様もお急ぎを」

 

そう言って佐倉と呼ばれた執事服の男性はその場を後にした。

 

誠也「ん?今の人、見かけない人だね。新しく入った執事の人?」

 

誠也は今まで乃木坂邸で見かけたことがなかった佐倉と呼ばれた執事服の男性に付いて春香に聞いてみた。

 

春香「あ、そう言えば誠也ちゃんには紹介してなかったよね。あの人は今年の春からウチに来た執事の佐倉さん、なんでもお祖父様に恩が有って、それを返すために乃木坂家に執事として入ったんだって。」

 

誠也「へ~、爺ちゃんに恩ね~って、いい加減行かないと春香姉を待っている美夏や秋穂叔母さんに悪いね。じゃあ俺らはこれで。」

 

悠菜「またね、春香。」

 

霞・あやめ「「おじゃましました。」」

 

はやて「ほな、またな~。」

 

圭介・隆史「「お世話になりました。」」

 

それぞれ挨拶をして乃木坂邸の玄関を離れる誠也達。

 

春香「皆さん、気を付けて帰ってくださいね~。」

 

玄関を離れる誠也達に対して手を振る春香。そんな春香を背後に、誠也達は乃木坂邸を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

悠菜「・・・・それにしても、誠也の口から久々に早苗の名前を聞いたわね。」

 

乃木坂邸からの帰り道。悠菜はポツリと乃木坂邸で誠也の口から出てきたある人物の名前の事を懐かしそうに言った。

 

誠也「そう言えばそうだね。最近は居なくなった早苗姉の事、俺も話さなくなったから自然と口にする事がなくなったもんね。」

 

圭介「ん?なあ、その早苗ってもしかして神社が家だったから巫女さんをやってて、ある日突然神社ごと行方不明になった早苗さんの事か?」

 

圭介が誠也達が会話の中に出てきた名前に付いて誠也達に聞いてきた。

 

誠也「ああ、そうだよ。圭介も前に会った事あっただろう?あの早苗姉だよ。」

 

霞「早苗お姉ちゃんか~。懐かしいね。ちょっと趣味が男の子っぽい所があって、ちょっと変だったけど、私やお兄ちゃんにとっても優しくしてくれたな~。」

 

はやて「せやな、まだ足が動かなかった私にも良くしてくれたし、私が歩けるようになったのをまるで自分の事みたいに喜んでくれたわな~」

 

早苗の名前を聞いて大切な物を思い出すようにして早苗との事を思い出す霞とはやて。

 

隆史「ん?誰だ、その早苗って?」

 

隆史は誠也達の会話に出てくる聞きなれない名前を聞いて、誰なのかを誠也達に聞いてみた。

 

誠也「そう言えば先輩は知らないんでしたよね。早苗姉は悠菜姉さんのひとつ年上の幼馴染なんです。」

 

隆史「幼馴染?」

 

悠菜「そうよ。私の両親がまだ生きてた頃に一緒に住んでいた家・・・藤堂家の隣が神社でね、その神社の娘だった子なの。歳はあの子の方がひとつ上だったけど、同じ誕生日だったから双子みたいにいつも一緒に居たな~。」

 

そう言って懐かしそうな顔をする悠菜。

 

誠也「そうそう、勝気で負けん気の強い悠菜姉さんにいつも引っ張られてあちこち連れ回されてたな~。藤堂の家に預けられていた時は俺も一緒になって連れ回されてたっけ。」

 

誠也も悠菜につられて自分の記憶の中にある早苗との思い出を思い出した。

 

霞「悠菜お姉ちゃんが鳴海の家に来てからも、時々は遊び行って会いに行ってたよね。その時私やはやてちゃんに紹介してくれたんだよね。」

 

悠菜「そうそう、あの子「妹が出来たみたいで嬉しい」って言って喜んでたっけ。それにしてもよく覚えていたわね。」

 

霞「当然だよ。早苗お姉ちゃんは私とお兄ちゃんの3人目のお姉ちゃんになってたかもしれない人なんだから。」

 

あやめ「三人目のお姉様?」

 

先程まで誠也達の会話を黙って聞いてたあやめが3人目の姉という言葉に反応し、どういう事なのか誠也達に聞いてみた。

 

悠菜「私の両親と早苗の両親は同じ事故で亡くなっててね、お義父さんが私を引き取る時、遠縁の親戚しか居ない早苗の事も一緒に引き取ろうとしていたの。でも早苗は「迷惑をかけたくない」と言ってそれを断ってね。当時、お義父さんも私も早苗の意思を慎重したんだけど・・・・・あの時、多少強引にでも話しを勧めておけば!」

 

そう言って悠菜は辛そうな顔をした。

 

隆史「?何か・・・あったのか?」

 

突然辛そうな顔をしだした悠菜に対しどうしたのかと聞く隆史。

 

誠也「両親がなくなった後、早苗姉は遠縁の親戚にお世話になりながら、一人で神社で巫女をしながら住んでいたんだ。」

 

隆史「一人で?」

 

誠也「早苗姉は親戚の人達とは仲があんまり良くなくて煙たがられてたんだ。だから・・・・」

 

隆史「だから一人暮らしだったんだな。でも、煙たがれてたって・・・なんでまた。」

 

誠也「早苗姉には不思議な力があって、親戚の人たちにはそれが不気味に写ったんだろう。俺らはそんなの全然気にしてなかったんだけどね・・・・兎に角、親戚にあまり良く思われてなかった早苗姉は進学する為のお金もあまり出してもらえず・・・・けど、その事を俺達に迷惑をかけまいと思って話してくれず・・・その後、神社ごと行方不明に・・・・」

 

隆史「神社ごとって・・・・・あ、そう言えば前ニュースなんかで話題になってたな「現代の神隠し、神社の娘が神社ごと行方不明」って・・・あれってその早苗って人が行方不明になった出来事だったのか。」

 

悠菜「あの時、多少強引にでも早苗を鳴海の家に引き取ってたら、あの子が辛い思いもせず、行方不明にもならなかったのに・・・・」

 

そう言って悠菜はそれっきり黙り込んでしまった。

 

隆史「あ、その・・・・悪い、変なこと聞いて。」

 

悠菜「良いわよ別に。さあ、少し遅くなったから急いで帰りましょう。」

 

誠也「そうだね。少し急いで「グワアアアアアアアアッ!」ってな、なんだ?!」

 

家へ帰るために急ぎ足で歩き始めた誠也達に、突如頭上から何者かの叫び声が聞こえるのと同時に、何者かの影が誠也達の目の前に立ちはだかり、誠也達はその足を止めた。

 

魔化魍・バケネコ1「グワアアアアアアアッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルルルルルルルッ!」

 

誠也「なっ!魔化魍?!」

 

つづく

 




私用のため、次回の更新はお休みで、1ヶ月後に更新します。


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第27話 幽霊の少女と響鬼の少年⑨

どうも、ひと月ぶりの剣 流星です。
最近なかなか執筆に時間が避けなく、これからは前より投稿速度が落ちると思います。
10月ぐらいまでは執筆の時間が取れないため、それまでは月一の投稿になってしまいます。
みなさん誠に申し訳有りません。
では第27話をどうぞ~


魔化魍・バケネコ1「グワアアアアアアアッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルルルルルルルッ!」

 

はやて「な、なんで魔化魍がこんな所に?!」

 

突如現れた2匹のバケネコの魔化魍に驚く誠也達。

 

誠也「(まずい、隆史先輩達がいるから変身できない!かと言って魔化魍を素手で相手にするのは・・・)」

 

誠也は突如現れた魔化魍を相手に対し、隆史達に正体がばれる事を恐れて変身できず、どうするか考え込んでしまった。そんな誠也対して姉である悠菜が声をかける。

 

悠菜「誠也!考え込むのは後!まずはこいつらを隆史達から引き離さないと!こいつらをどうにかするのはその後!」

 

魔化魍に対峙しながら叫ぶ悠菜の声を聞いてハッとなった誠也は魔化魍の登場で混乱して動けなくなっている隆史とあやめ達の前に立って魔化魍と対峙した。

 

誠也「圭介!姉さん!俺たちでアイツ等の足止めをするよ!はやて!霞!先輩達を避難させて!」

 

圭介「分かった!」

 

霞「うん!任せて!」

 

はやて「わかったで。さあ、先輩こっちや!」

 

誠也の指示で圭介も隆史達の前に壁になるようにして立ち、はやてと霞は今だに呆然と立ち尽くしている隆史とあやめの側へとかけよる。そんな誠也達の姿を観察していた魔化魍であったが、はやてと霞があやめと隆史を連れてこの場を去ろうとしたのを見ると、不意に行動を起こした。

 

魔化魍・バケネコ1「グワアアアアアアアッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルルルルルルルッ!」

 

魔化魍の一匹が突如高くジャンプをして、壁となって立ちふさがっていた誠也の頭上を飛び越えて隆史とあやめに襲いかかり、もう一匹が誠也達を足止めするために誠也達に襲いかかってきた

 

圭介「なっ!」

 

悠菜「くっ!」

 

誠也「なっ!くそっ!そこ退け!!先輩逃げて!!」

 

襲いかかってくる魔化魍の攻撃をかわしながら、誠也は隆史達に逃げるように言う。だが突如誠也達の頭上を飛び越えて、隆史達の目の前に現れた魔化魍の姿と声に身がすくんでいる上に、立て続けに起きている目の前の非現実についていけていけず、思考を停止さている隆史達はそのまま呆然と立ち尽くし動こうとしなかった。

 

隆史「うっ!」

 

あやめ「あ、あああ・・・」

 

身がすくんで動けない隆史とあやめ。そんな動けない二人は、魔化魍達にとっては格好の的でしかなく、魔化魍の一匹は腕を振り上げて、あやめの側に立っている隆史に振り下ろし、その体を吹き飛ばした。

 

ドカッ!

 

隆史「うぁ!」

 

魔化魍の攻撃を受けて近くの壁に打ち付けられる隆史。

 

あやめ「たかし様!」

 

吹き飛ばされた隆史を見て、あやめは正気を撮りもどし、すぐに吹き飛ばされた隆史の側へと駆け寄ろうとした。だが、何者かに腕を掴まれてその動きを止めた。

 

あやめ「えっ?あ・・・・・」

 

腕を掴んだ者を見て、あやめはその動きを止めた。腕を掴んだ者、それは先ほど隆史を吹き飛ばした魔化魍であった。

 

魔化魍・バケネコ1「グルルルルッ!!」

 

あやめ「うっ!」

 

魔化魍の姿を見て一瞬たじろぐあやめであったが、すぐに吹き飛ばされた隆史の姿を思い出し、その手を振り払って隆史の下に駆け寄ろうとした。

 

あやめ「は、放して!たかし様!たかし様!!」

 

掴まれた腕を振り払おうとしながら、今だに倒れたままの隆史の身を案じ、側に駆け寄ろうともがきながら隆史の名前を連呼した。

 

隆史「あ、あああああ・・・・」

 

だが名前を呼ばれた隆史は吹き飛ばされた衝撃と、魔化魍の姿と力に恐怖し、身をすくませ、震えて動けないでいた。

 

あやめ「たかし様!たかし様!!あっ!」

 

身をふるわせて恐怖に身を竦ませる隆史をなおも心配し、駆け寄ろうともがくあやめであったが、あやめの腕を持った魔化魍はあやめの気持ちなどお構いなしと言わんばかりにあやめの腕を引っぱり、その場からあやめを連れ去ろうとしした。

 

魔化魍・バケネコ1「グルルルルッ!!」

 

あやめ「放して!たかし様!たかし様!!」

 

魔化魍に腕を引っ張られ、あやめはそのまま魔化魍と共に夜の暗闇の中に消えようとしたが、その寸前、突如現れた3つの小さな影が魔化魍に襲いかかり、その足を止めた。

 

圭介「あ、あれは!」

 

誠也「霞に持たせえてあったディスクアニマル!」

 

魔化魍を襲った3つの小さな影、それは誠也がオーズである圭介のサポートをする霞の護身用にと持たせたディスクアニマルの茜鷹・瑠璃狼・緑大猿の三体だった。

 

霞「あやめさん!今のうちに先輩と一緒に逃げて!!」

 

ディスクアニマル起動用の音叉を握りしめながら、あやめに対して叫ぶ霞。

 

あやめ「あ、はい!」

 

ディスクアニマルの攻撃であやめを持つ手を放した魔化魍の側から離れたあやめは、今だに倒れふしている隆史の側へと駆け寄った。

 

あやめ「さあ、隆史様、参りましょう」

 

隆史「あ・・・・あやめさん、う、うん。」

 

側に駆け寄ってきたあやめに対して頷いた後、立ち上がりそのまま二人はその場を後にした。

 

魔化魍・バケネコ1「グワアアアアアアアッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルルルルルルルッ!」

 

その場を離れて逃げ出そうとするあやめと隆史の姿を見た二匹の魔化魍は二人を追おうとしたが、3つの人影がその行く手を遮った。

 

誠也「ちょっと待った!」

 

悠菜「ここから先は・・・・」

 

圭介「一歩も通さない!」

 

そう言っての前に魔化魍立ふさがる3人はそれぞれ、ライダーへの変身ツールを取り出した。

 

誠也は右手の指にハメられている「ドライバーオン」の指輪をベルトのバックルにかざして、ウィザードライバーを出現させ、悠菜は取り出したカードデッキを近くにあったカーブミラーにかざし、自分の腰に変身用のベルト・Vバックルを出現させ、圭介はオーズドライバーを腰に当てて装着した。

 

霞「圭くん!」

 

オーズドライバーを装着した圭介に、霞は学校から持ち運んでいたカバンからメダルホルダーを取り出すと、その中から赤のタカメダル、黄色のトラメダル、緑のバッタメダルを取り出して圭介に投げ、圭介はそれをキャッチした。

 

圭介「サンキュー霞、危ないから下がっててくれ!」

 

そう言って圭介は渡されたメダル3枚をオーズドライバーにはめ込んだ後、ベルトのバックルを斜めにした後、右腰部分についてある円形の物・オースキャナーを手に取った。

 

圭介「みんな、行くぞ!変身!!」

 

そう言って圭介はオースキャナーを使ってベルトに装着してあるメダルをスキャンさせた。

 

電子音声「タカ!トラ!バッタ!タ・ト・バ! タトバ、タ・ト・バ!!」

 

辺りに電子音声が鳴り響き、圭介は仮面ライダー・オーズへと変身した。

 

悠菜「誠也!私達も変身するわよ!変身!!」

 

悠菜は手に持っているカードデッキを腰のベルトにはめ込む。すると悠菜の体を白いスーツが装着されて、悠菜は仮面ライダー・ファムへと変身した。

 

誠也「続いて俺も・・・・変身!」

 

そう言って誠也も左手のフレイムのウィザードリングをウィザードライバーにかざした。

 

電子音声「フレイム!プリーズ!・・・・・ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!」

 

左から来る魔法陣が誠也の体を通過して、誠也はウィザードへと変身した。

 

誠也「さあ!ショータイムだ!!」

 

戦闘前の決まり台詞を言った後、誠也はコネクトの指輪で取り出したウィザーソードガンをソードモードに変えた後、それを構えながら駆け出す。

 

同じ用に悠菜は「ソードベント」のカードを召喚機にセットして、ナギナタ型の武器・ウイングスラッシャーを呼び出し、それを手に持ち駆け出し、圭介はオーズ専用の大型剣・メダジャリバー手に取って構えながら魔化魍へと向かって駆け出した。

 

誠也「はやて!周りに被害が出ないように結界を頼む!霞はディスクアニマスを使って自分の身を守るんだ!

 

霞「うん!わかった!」

 

はやて「任しときいや!リーンが居なくても結界ぐらいは!」

 

誠也の声を聞いて、霞は自分の周りに先ほど起動させたディスクアニマルを呼び寄せ、はやては自分が魔法を使うために使っている杖であるシュベルトクロイツを待機状態から起動させた後、持ったシュベルトクロイツを使って結界を張った。

 

はやての張った結界のせいで、辺り一帯の景色が変化する。

 

魔化魍・バケネコ1・2「?!」

 

はやての張った結界のせいで変化した景色の驚く魔化魍達。そんな隙を付いて誠也達の攻撃が魔化魍達を切り裂いた。

 

誠也「ハッ!」

 

圭介「でや!」

 

悠菜「ハアッ!」

 

ザシュ!ザシュ!ザシュ!

 

三人の斬撃が魔化魍の体を切り裂く。だがその傷は切り裂いた瞬間、すぐに塞がってしまった。

 

圭介「なっ!?傷が・・・・」

 

悠菜「すぐに塞がった?!」

 

魔化魍の異常な回復力を見て驚いて動きを止める悠菜と圭介。そんな二人の空きを見逃さず、さっきのお返しと言わんばかりに二体の魔化魍は二人に襲いかかった。

 

魔化魍・バケネコ1「グワアアアアアアアッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルルルルルルルッ!」

 

圭介「うわっ!」

 

悠菜「グッ!」

 

鋭い爪を振り下ろされ、その斬撃をまともに食らう、体制を崩す二人。

 

誠也「圭介!姉さん!」

 

攻撃を食らった二人を心配し、声をかける誠也。

 

悠菜「だ、大丈夫よ」

 

圭介「心配ない、カスリ傷だ。」

 

そう言って二人は持っている得物を再び構える。

 

圭介「それにしても・・・・ナンなんだ、あの異常な回復力・・・」

 

悠菜「魔化魍はあの回復力のおかげで、響鬼の世界のライダーでしか倒せないって前にはやてから聞いていたけど・・・・ホント、厄介ね。」

 

目の前の魔化魍を忌々しそうに見る悠菜。

 

圭介「響鬼の世界のライダーでしか倒せない魔化魍・・・けど、オカリナの作ったこのライダーのシステムなら、響鬼の世界のライダー程倒しやすくは無いけど、一応魔化魍を倒すことは出来るんだろう?」

 

そ言って、圭介は以前オカリナに聞いた言葉を思い出して言った。

 

悠菜「確かにオカリナはそう言ったけど、でもその為には相手を一瞬でバラバラに出来る必殺技、私の「ファイナルベント」やあんたの「スキャニングチャージ」クラスの技を叩き込またくては倒せないのよ。けど・・・相手がそれを黙って食らってくれるとは思えない・・・・厄介ね。」

 

そう言って悠菜は黙り込んだ。本来、ライダーの必殺技は相手にある程度ダメージを与えて動きを鈍くし、必殺技を避けにくくしてから当てるのが定石である。だが、今回の敵、魔化魍は傷を瞬時に回復させてしまうためそれができず、たとえ必殺技を放ったとしてもかわさせる可能性が大きいのである。悠菜はその事を危惧し、厄介だと言ったのである。

 

誠也「大丈夫、俺がアイツ等の動きを封じるから、その隙に二人は必殺技を相手に叩き込んで!」

 

悠菜「・・・・できるの?」

 

誠也「俺の「バインド」の魔法なら可能だよ。」

 

圭介「なら、頼む。」

 

誠也「任せて。」

 

そう言った後、誠也は右手の指輪を付け替えながら二人の前に出て、二匹の魔化魍と対峙する。

魔化魍も次の「獲物はお前だ」と言わんばかりに、前に出てきた誠也に対して攻撃を仕掛けてきた。

 

誠也「次の獲物は俺だってか?けど・・・お前らの餌になるつもりは・・・無い!」

 

襲いかかってきた魔化魍に対し、慌てることもなく冷静に腰のハンドオーサーを操作し、さっき指輪を付け替えた左手をかざした。

 

電子音声『バインド!プリーズ!』

 

辺りに電子音声が響くと同時に、二匹の魔化魍の足元に魔法陣が現れ、その魔法陣から光でできた鎖が二匹の魔化魍を拘束する。

 

魔化魍・バケネコ1「グッ!」

 

魔化魍・バケネコ2「グルルッ!」

 

突如現れた鎖に拘束されて、それを振りほどこうともがく魔化魍達。

 

誠也「今だ!二人共!!」

 

悠菜「ええ!『ファイナルベント!』」

 

圭介「この隙に!『スキャニングチャージ!』」

 

誠也の声を聞き、必殺技を放とうとする二人。

二種類の電子音声が響く。

 

悠菜は「ファイナルベント」のカードで呼び出した白鳥型の契約モンスター「ブランウイング」との連携技である「ミスティースラッシュ」放とうと構えた。

大型化したブランウイングが翼で突風を起こし、魔化魍吹き飛ばす。

 

魔化魍・バケネコ1「グッ・・・アアアアアアアアッ!!

 

吹き飛ばされた魔化魍の横では「スキャニングチャージ」をする事により、両の足をバッタ脚に変化させたオーズ事圭介がバッタレッグで跳躍し、魔化魍へ向けて空中に赤・黄色・緑の3つのオーリングを発生させた。

 

圭介「でりゃああああああああああっ!!」

 

空中から落下し、空中に発生した赤・黄色・緑の3つのオーリングを潜り抜けて魔化魍へと両足蹴りを叩き込む圭介。それとほぼ同時に、ブランウイングに吹き飛ばされた魔化魍に向けて、手に持った武器・ウイングスラッシャーを振り下ろす仮面ライダーファムである悠菜。

 

悠菜「ハァアアアアアアアアアッ!ハッ!」

 

飛んできた魔化魍に対し、手に持っているウイングスラッシャー振るう悠菜。と魔化魍に対して蹴り叩きこむ圭介。

 

ドガッ!

 

ズバンッ!!

 

一刀両断!まさにそんな言葉が似合う様に真っ二つになる魔化魍と蹴りを叩き込まれ、赤・黄色・緑の3色の「OOO」の文字が浮かび上がらせられた魔化魍達は、次の瞬間・・・

 

ドカ~ン!!

 

二匹はその体の欠片も残さずに爆散して消え去った。

 

悠菜「ふ~~っ、ちょっと焦ったけど、なんとか片付いたわね。」

 

圭介「そうだな。」

 

魔化魍を退治し、一息ついた後、互いに声を掛け合う悠菜と圭介。

 

はやて「ご苦労さんや三人共」

 

霞「圭くん、お兄ちゃん、お姉ちゃん、お疲れ様。」

 

自分達を取り囲む結界を解きながら誠也や悠菜達に近づきながら声をかけるはやてとそれに続く霞。

 

誠也「霞、はやて、怪我は無かったか?」

 

近寄ってくる霞とはやてに対して変身を解きながら言う誠也。

 

霞「うん、怪我は無いよ。」

 

はやて「私も無い。」

 

悠菜「二人は怪我は無いのね、良かった。なら後は・・・」

 

圭介「ああ、そうだな・・・」

 

そう言って、変身を解きながら悠菜と圭介は少し離れた所からこちらを見ている二人・・・隆史とあやめへと視線を向けた。

 

あやめ「い、今の姿は・・・・・」

 

隆史「な、何なんだよ・・・・さっきの怪物と言い、お前らのさっきまでの姿と言い・・・・一体なんなんだよ!!」

 

誠也達を見て大声で叫ぶ隆史。

 

誠也「さて・・・・なんて説明すれば良いやら。」

 

 

 

 

 

 

 

 

地下基地・ラボ。その一室でカナリヤはモニターに写っている、外に放してあるディスクアニマルやフードロイドなどから送られてきているデーターに目を通していた。

 

カナリヤ「・・・・今日の所は怪人やスイッチ、メモリーの使用者は発見無し、同時に新しいライダーの装着者の発見も無し・・・か、ハァ~」

 

モニターに写っているデーターに目を通して深い溜息を吐くカナリヤ。

カナリヤは普段、このラボのモニターに送られて来る、街を見回りしているディスクアニマルやカンドロイド、フードロイドから送られてくるデータを見ている。そのデータは時にはゾディアスイッチやガイヤメモリーの使用者やスイッチ・メモリーのディーラーや怪人の発見、そして新たなライダーの装着者の素質のある人物の探索をしていた。

カナリヤは今日も送られてきたデーターを見てそれらの探索をしていたのだが、いずれも空振りに終わってしまい、彼女は思わずタメ息を吐いた。

 

カナリヤ「・・・奴らが本格的に動き出す前に、一人でも多くのライダーの装着者候補を見つけなきゃならないのに・・・ここの所、新たな候補者を発見できてない。いくら乃木坂と警視庁と合同で対財産X用の部隊が作られると言っても、その中核であるライダーの数が揃わなければ、意味がない。どうしたら良いものかしら、はぁ~」

 

再び深い溜息を吐くカナリヤ。そんなカナリヤの目に、モニターに新たなデーターが送られて来たのが目に映に映った。

 

カナリヤ「うん?フードロイドから新たなデーターが送られてきた・・・・?!これは新たなライダー装着者候補のデーター!」

 

カナリヤは新たに送られてきたデーターを見て驚く。その送られてきたデーターは新たなライダーの装着者のデーターだった。

 

カナリヤ「この反応からすると、発見した装着者候補は響鬼の装着者の素質を持っているみたいね。それでその人物は・・・・・えっ?まさか、彼が響鬼の装着者の素質を?!」

 

カナリヤが見ているデータ、そこに載っている新たな響鬼のライダー候補者の顔の画像。

そこにはカナリヤが誠也に時々ついて行った時に見かけた、誠也の姉・悠菜のクラスメイトの田中隆史の顔が写っていた。

 

 

 

つづく

 



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第28話 幽霊の少女と響鬼の少年⑩

どうも、剣 流星です。
先週、使っていたPS3がとうとう壊れてしまいました。
電源が入らなくなってしまい、中のデータが取れなくて、どうしようもない状態です。業者に出しても交換の部品がもう製造されていないから無理だと・・・・
うううっ・・・・中にあった全データがオシャかに(;_;)
では第28話をどうぞ・・・・・


???「ん?反応が消えた?倒されたというのか?!」

 

夜のとある公園内で、着物を着た男が自分が放った魔化魍の反応が消えたことを感じ取り驚いていた。

 

???「一体何者が・・・・もしや、最近財団の邪魔をしていると言う例の仮面ライダー共が?・・・・・・まあ良い、倒されたと言うのならもう一度放てば良いだけのこと」

 

そう言って男は自分の持っている杖に何かの毛と液体が入ったガラスの小瓶を差し込んだ後、地面へと突き刺した。

小瓶の中身が杖を通して地面へと流し込まれると、男の周りに地面から映えるように7体の化け猫の魔化魍が出現した。

 

化け猫・魔化魍達「「「「「「「グルルルルルッ!」」」」」」」

 

???「これだけ居れば大丈夫だろう。さあ、お前達、例の幽霊を私の下に連れてくるのだ。」

 

化け猫魔化魍達「「「「グルルルルルッ!」」」」

 

男に命令された魔化魍達は唸り声を上げた後、その場から飛び跳ね、そのまま街の夜の闇の中へ姿を消した。

 

男「この数なら、さすがのライダー達でも相手しきれんだろう。相手に「浄めの音」を使う「鬼」がいれば話は別だがな。さて、後はゆっくりと待つとするか。」

 

そう言って男も魔化魍と同じ用に夜の闇えとその身が溶けるようにして消えていった。

 

 

 

 

 

次の日の朝。

 

誠也「ズ~・・・・・う~ん・・・・」

 

霞「どう?」

 

小皿に分けた味噌汁を飲み味見をする誠也。そして、その誠也から返ってくる感想を待つ霞。

 

ここは朝の鳴海家の台所。誠也は今、霞が作った味噌汁の味見を霞に頼まれて味見をしている最中である。

昨夜、魔化魍に襲われ、ライダーに変身をしてこれを撃退した誠也達だったが、その場に一緒にいた田中隆史と幽霊の朝霧あやめに変身を解いた所を見られしまった。

隆史達に説明を求められた誠也達だったが、説明を一からすると時間がかかるため「今日はもう遅いので、詳しい話は明日の放課後に」と言って隆史達に待ってもらった。それに誠也が思いついた「あやめの存在を保つ方法」はライダーの力を使って行うので、いずれにしてもライダーの事はあやめに説明しなくてはならたかった。ならばと、まとめて説明した方がいいと言う事もあって、誠也は次の日にした。

 

誠也「・・・うん、出汁の取り方も、赤味噌、白味噌のブレンドの割合も絶妙で美味しいよ。合格だよ、霞。」

 

そう言って誠也は嬉しそうな顔をしながら霞の頭を優しく撫でた。

 

霞「えへへへ♪お料理でお兄ちゃんに初めて合格点をもらえちゃった♪」

 

誠也に料理を美味しいと言われ、頭を撫でられてご満悦になる霞と、(やっぱり霞はかわいいな~♪)とシスコン丸出しの考えを頭に思い浮かべながら霞の頭を撫でる誠也だったが、昨夜帰ってきた後カナリヤから告げられた事を思い出し、その顔を曇らせた。

 

誠也(・・・・昨夜カナリヤが知らせてくれた新たに発見したライダーの装着者候補、よりにもよって田中先輩だったなんてな、ハァ~)

 

誠也は昨夜の別れ際の隆史の事を思い浮かべて、心の中で溜息を吐いた。

誠也はカナリヤから聞かされた新たなライダーの候補者が隆史だと聞いてからずっと考え込んでいた。

昨夜の別れ際。隆史は襲われたショックのせいか狼狽しており、自分を落ち着けようと声をかけていたあやめに対しても妙によそよそしい態度を取り、避けているように見えた。

誠也は、これは魔化魍に襲われたショックに要るものだと思い、「こんな状態の隆史に自分が魔化魍と戦うライダーである響鬼の候補者であると告げられるものなのか?」とずっと考え込んでいた。

 

誠也(昨夜、別れ際の先輩は、魔化魍に襲われたショックで、魔化魍に対する恐怖でいっぱいだった。そんな先輩に魔化魍退治に特化したライダーである「響鬼」になってだなんて、とても言えないよ・・・ハァ~)

 

霞「?お兄ちゃん?どうしたのボーとして。大丈夫?」

 

自分の目の前で考え込んで動かない誠也に対して心配になり声をかける霞。

 

誠也「ん?あ、ゴメン。何でも無いよ。それよりも朝食をテーブルに早く並べちゃおう」

 

霞「あ、うん。そうだね。そろそろみんな起きてくる頃だしね。

 

そんなふうに話している二人のいる台所に、眠そうな顔をした誠也達の姉である二人、悠菜と京香が目をこすりながら入って来た。

 

悠菜「ふぁ~~~~っ・・・ねむい」

 

京香「ほら、ちゃんとしなさい悠菜。フラフラしない!ちゃんと目を覚ます!もう~、いくらさくやちゃんと親友だからって、なにも朝弱いところまで似なくてもいいのに。」

 

眠そうな悠菜に対して、鳴海家の長女である京香が注意する。そんな二人に対して誠也と霞は朝の挨拶をした。

 

誠也「あ、京香姉さん、悠菜姉さん、おはよう。」

 

霞「おはよう京香お姉ちゃん、悠菜お姉ちゃん。」

 

悠菜「ふぁ~~~っ・・・・おはよう二人共。」

 

京香「二人共おはよう。今日も朝早くに起きて朝食の準備してたのね。ここの所ほぼ毎朝、朝食の準備をしてもらって本当に頭が下がるわ。すごいわよ。」

 

霞「別に凄くなんてないよ。趣味でやってるみたいな物だし、それに、お料理の腕を上げていつかお兄ちゃんを超えたいんだもん。毎日お料理をやって腕を上げないとね。」

 

京香「霞はえらいわね~。それに比べて・・・・」

 

そう言って京香は今だに眠そうな顔をしながらテーブルの席に着こうとしている悠菜を呆れた様な顔をして見た。

 

悠菜「・・・ん?なに~~~~」

 

京香の視線を感じ取り、眠そうな声をあげる悠菜。

 

京香「ハァ~、もう良いわよ。それよりも朝食の準備できたんでしょう?だったらテーブルに並べるの手伝うわ。」

 

誠也「あ、じゃあこれをお願い。」

 

そう言って誠也は京香と霞と共にできたばかりの朝食をテーブルへと並べていった。

 

霞「あ、そう言えばお父さんは?起きてこないみたいだけど・・・」

 

朝食を並べている最中に、霞は父親である鳴海誠司の分の朝食が無いのに気づき、誠也達に聞いてみた。

 

誠也「あ、父さん、また探偵事務所の方で泊まり込みしたみたいだから、昨夜は家には帰ってないみたい。」

 

霞「えー、“また”なの~。もう!しょうがないな~。」

 

父親が家に帰ってこず、事務所で寝とまりをしたと聞いて、「プンプン!」という擬音が聞こえそうな感じで起こる霞。

 

京香「全くよ!いくら依頼が多く入ったからって事務所で寝泊りだなんて体に良くないわよ!こんなんじゃいつか体を壊しちゃうわよ!」

 

誠也「まあまあ、抑えて抑えて。それよりも早く並べ終わった朝食を食べようよ。あんまりのんびりしてると、朝食を食べる時間が無くなるよ。」

 

京香「え?あ!もうこんな時間!早く食べないと!」

 

そう言って自分の席に座る京香。その京香に続く用に誠也達も自分達の席に着くと『いただきます!』と声を揃えて言った後、朝食を食べ始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのは「そっか、そんな事があったんだ。」

 

美夏「家を出た後そんな事があったんだ。」

 

霞「大変だったよ~、ねえ圭くん。」

 

圭介「ああ。」

 

時間は少し進み、ここは白城学園(はくじょうがくえん)の誠也達が所属じている2年の教室。朝のホームルーム前の時間帯。教室内には登校してきた生徒たちが、朝のホームルーム前のわずかな時間の間、教室内に散らばりながら思い思いの時間を過ごしていた。そんな中、誠也は同じクラスの霞や圭介、はやて、美夏と共に、昨夜別れた後の事をなのは、フェイトに話していた。

 

フェイト「あの後大変だったみたいだね。所で襲われた田中先輩とあやめさんは大丈夫なの?」

 

誠也「ああ、二人共無事だよ。それよりも放課後、先輩達にライダーの事を話すことにしたから。」

 

なのは「私達も付き合うよ。幸い、今日の放課後は時間空いてるしね。フェイトちゃんは?」

 

フェイト「私も付き合うよ。」

 

誠也「わかった。じゃあ放課後、一旦ライダー部の部室である「ラボ」に集合でした後、あやめさんが居る鳴海荘にみんなで移動でいいね?」

 

美夏「えっ!?みんなって・・・その中にはもしかして、私も含まれてる?」

 

自分を指差しながら嫌そうな顔で言う美夏

 

誠也「当然だろう。ライダーの事を話すんだから、その関係者である美夏も顔を出さなきゃまずいだろう?それにこの中で、あやめさんとちゃんと会ってないのは美夏だけなんだぞ。」

 

美夏「そりゃそうだけど・・・・でも、相手は幽霊なんだよ?会うの怖いもん・・・・・」

 

霞「そんなにあやめさんに会うの怖い「うん!」のって・・・即効で返事してる(^_^;)」

 

霞の問いに即効で返事をする美夏。

 

誠也「あのな~、お前よりも怖がりな春香姉だってちゃんと会ったんだぞ?大丈夫だって、あやめさんはお前が思っているような怖い存在じゃないんだから。」

 

圭介「大丈夫だって、会ってみれば案外何でもないもんだよ。」

 

なのは「そうだよ。ただ死んでるってだけで、それ以外は普通の人間と対して変わらないよ。」

 

美夏「う~~~ん・・・・わかった。そんなに言うんだったら、一度だけちゃんと会ってみる。」

 

誠也や霞達に言われ、渋々と承諾する美夏

 

誠也「よ~し!じゃあ放課後はここに居るメンバーと悠菜姉さんと竜輝で田中先輩の部屋に行くってことで。」

 

なのは達「「「「「分かった(よ)。」」」」」

 

誠也の声に声を揃えて答えるなのは達。その直後、学校内に朝のホームルームが始まるチャイムが鳴り響き、誠也達のクラスの担任教師である早乙女和子が教室に入って来たのを見て、誠也達は各々の席へと座り、朝のホームルームが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「さて、田中先輩は鳴海荘の部屋に戻ってるかな。」

 

放課後、誠也達はラボに一旦集合をして、隆史の住んでいる鳴海荘であやめを交えてライダーの事を話すことにしたのであった。同じクラスである誠也達は教室からそのままラボへと移動し、先にラボに来ていた悠菜と合流した後、誠也達はそのままラボから全員で鳴海荘へと移動し、今現在鳴海荘の前にいた。

 

霞「美夏ちゃん、大丈夫?」

 

美夏「(ガタガタガタガタッ)う、うん、だ、だ、だ、大丈夫だよよよ・・・・」

 

はやて「めっちゃ震えてるわな。大丈夫?」

 

なのは「そんなにあやめさんに会うのが怖いのかな?(^_^;)」

 

フェイト「あやめさん、全然怖くないのにね。」

 

幽霊であるあやめに会うためか、ガタガタと震える美夏を心配層に見守る霞やなのは達。

 

悠菜「そんなに震えないの。あやめさん、結構いい人だし、あんただったらすぐにでも仲良くなれるわよ。さて、アイツは戻っているかしら。(ピンポ~ン♪)」

 

隆史の部屋のインターホンを鳴らす悠菜。しばらくして部屋の中から「は~い♪」とあやめの声が聞こえて来て、目の前の玄関の扉が開いた。

 

あやめ「あ、悠菜さん、それに誠也さんに圭介さん、霞さん、はやてさん、まあ!なのはさんにフェイトさん、竜輝さんまで、よくお越しくださいました。あら?そちらの方は?」

 

あやめは誠也達と一緒にいる初めて見る顔、美夏の顔を見て誰なのかを聞いてきた。

 

誠也「ああ、会うの初めてでしたね。俺の従姉妹の乃木坂美夏だよ。昨日会った春香姉の妹の」

 

あやめ「まあ、春香さんの妹さんだったんですね。初めまして、朝霧あやめと申します。」

 

美夏を見て丁寧にお辞儀をして自己紹介をするあやめ。

 

美夏「え?あ・・・・・の、乃木坂美夏です。どうぞよろしくです。」

 

あやめの礼儀正しい丁寧な挨拶を見て、まるで毒気が抜けたかのような顔をした後、慌てて挨拶をする美夏。

 

悠菜「ね、言ったでしょ?全然怖くなんてないって。所であやめさん、隆史のやつ居る?」

 

あやめ「はい、もちろん居ます。さあ、お上がりください。」

 

悠菜「お邪魔するわね。隆史、入るわよ。」

 

誠也達「「「「「「「お邪魔しま~す♪」」」」」」

 

あやめに促され、部屋へと入る悠菜、とそれに続く誠也達。

 

あやめ「たかし様、悠菜様たちがおいでになりました。」

 

部屋の中。床に座りなが何もない空間をボーと見ている隆史にあやめが声をかけた。

 

隆史「え?あ・・・・うん。」

 

あやめの言葉に対してあやめと視線を合わせないようにしながら、力の無い声で返事をする隆史。

 

はやて「あれ?田中先輩、元気無いみたいやけど、どないしたん?」

 

隆史の態度がどことなく変に感じたはやてがどうしたのかを聞いた。

 

隆史「あ・・・・な、何でも無いよ。そ、そうだ、お茶入れないと・・・みんなは、そのへんに適当に座っててよ。」

 

そう言って隆史はお茶を入れようと台所へと行こう立ち上がる。

 

あやめ「あ、お茶ならわたくしがいれます。」

 

そう言ってあやめはお茶を入れるために立ち上がる隆史を止める。

 

隆史「あ、良いよ。あやめさんにそんな事させられないよ。」

 

あやめ「でも・・・・わたくし、たかし様のお役に・・・・」

 

隆史「いいからそこに居て!誠也達の相手でもしてあげてよ!」

 

あやめ「!?」

 

隆史に突然大きな声で怒鳴られて驚いたあやめは、次の瞬間悲しそうな顔をして押し黙ってしまった。

そんなあやめを見て隆史はハッとなった後、バツが悪そうな顔をしてあやめから目を背けた。

 

隆史「俺は・・・あやめさんにそんな風に思われるような価値なんて、無いよ・・・」

 

そう言って隆史は少し辛そうな顔をしながら、そのまま台所へと向かった。

 

あやめ「たかし様・・・・」

 

台所へ行く隆史を、寂しそうな顔で見送るあやめ。

 

悠菜「朝会った時から何か変だったけど、今だにソレが続いてるみたいね。」

 

台所へと行った隆史を見て、朝会った時の隆史を思い出しながら悠菜は「どうしたのか?」と思う悠菜。

 

誠也「・・・あの目、もしかして・・・・・」

 

つづく

 



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第29話 幽霊の少女と響鬼の少年⑪

どうも、剣 流星です。
鎧武が終わり、新番組・ドライブが始まりましたね。
仮面ライダーなのに車に乗る異色のライダー・・・
あれ?そう言えば昭和にも車に乗るライダーが居たような・・・・・
まあ、とにもかくにも第29話をどうぞ


 

 

隆史「はぁ~~~~~、・・・・なにやってるんだろう。あやめさんに八つ当たりするみたいにキツく言って・・・」

 

台所で、コンロに水を入れたやかんをかけながら深い溜息を吐く隆史。

 

隆史は昨夜のある出来事に巻き込まれてから、ずっと自己嫌悪に陥っていた。

昨夜、あやめの事を見てもらうために、クラスメイトの悠菜の従姉妹である乃木坂美夏の家へと行った。そこで隆史はあやめが数日のうちに消滅してしまうと言う事実を知った。隆史はそれを聞いて驚き、それと同時に「あやめを消滅させたくない!」と強く思った。幸いなことにあやめの消滅に関しては、誠也が対策を思いついたのでその事に関してはどうにかなった。

問題の解決作が有るとわかったため、隆史は乃木坂邸からの帰りは自然と足取りが軽くなっていた。そんな乃木坂邸からの帰りの途中で隆史は魔化魍の化け猫に襲われた。

魔化魍自体は同行していた誠也たちの手により退治されたが、隆史はその時魔化魍に一撃をもらってしまっていた。

受けた攻撃はそれほど重い物ではなく、隆史を壁に打ち付ける程度のものだった。事実、隆史が負った怪我も対したものではなかった。しかし、隆史自身を“恐怖で一杯”にするには十分な一撃であった。だが、それは仕方がないことなのである。誠也達と違い、ただの一般人のカテゴリーに入る隆史には魔化魍の存在自体が恐怖以外の何者ではなく、ましては一撃を入れられては頭の中を恐怖で一杯にするのは充分な物であった。

 

隆史(ここから逃げ出したい!!)

 

化け猫を前にして、恐怖に震えていた隆史が次に考えたことは、己の身を守るために逃げ出すことであった。己以外の事は何も考えずに・・・そう、自分をしたってくれている”あやめ”の存在を見捨ててしまうくらい。

一般人ならそれも仕方がない事であった。だが、幽霊とは言え、同じ一般人のカテゴリーに入るはずのあやめは違った。最初こそ、恐怖に震えて身動きできなかったが、すぐに立ち直り、自分の大切な存在・・・恋人であると思い込んでいる隆史の身を案じ、倒れている隆史の側に駆け寄ろうとしたのである。

男である隆史が恐怖で一杯になっている最中、同じよな恐怖にさらされているあやめは自分の身よりも隆史の身を案じたのである。そんなあやめを見て、隆史は自分がいかに情けない存在なのだと激しく自己嫌悪した。

幽霊とは言え、勘違いして自分をしたってくれているとは言え、女の子であるあやめは真っ先に自分の身を案じてくれたのに、自分はあやめの存在など忘れて、己の身の安全ばかりを考えていた。その事実が隆史を激しく責め立てた。そんな自己嫌悪に隆史は昨夜からなっており、まともにあやめの顔を見れないでいた。

真っ直ぐに、自分を思ってくれる視線を向けてくるあやめ。隆史はそんな視線を向けられる度に自己嫌悪に陥ってしまう。

 

隆史(自分はそんな視線を向けられるような上等な存在じゃない!)

 

視線を向けられる旅にそう思い、視線を背け続ける隆史は、それでも視線を向けてくるあやめに対していたたまれない気持ちが爆発し、先ほどつい大声を張り上げてしまったのである。

 

隆史(俺は・・・本当にどうしようもないクズだな・・・・)

 

そんな事を考えながら、隆史はコンロにかかっているやかんが、中の湯が沸いたのを知らせるために「ピィー!」と大きな音を出しているのに気づき、コンロの日を止めた後、沸いたお湯を使ってお茶をいれ始める。

 

隆史(はぁ~、自己嫌悪に浸っていても仕方がない。今はあやめさんの身を消滅から守るための方法を誠也から聞くことが先だな。)

 

そんな風に思いながら、隆史は入れた人数分のお茶をお盆に乗せて台所を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

隆史「・・・お待たせ。」

 

お盆にのせた人数分のお茶を持って、誠也達の待っている居間へと入る隆史。

今の中では、あやめを囲むようにして誠也や悠菜達があやめと話していた。

 

悠菜「あ、やっと来たわね。遅いわよ、アンタが居ないと話が始まらないんだからね。」

 

隆史「わ、悪い。」

 

そう言いながらお茶をその場にいる全員にお茶の入った湯呑を手渡していく隆史。湯呑を受け取った誠也達はそれぞれ「ありがとう」「すみません」などと言いながら受け取った。

やがて全員に湯呑を配り終わると、隆史はあやめを中心とした輪の外れに腰を下ろした

 

隆史「さて、じゃあ話しを聞かせてくれるか?まずは昨日のあの化物の事や、お前達の姿が変わった事について。」

 

悠菜「わかったわ。アレは・・・・・・・・・・・」

 

 

隆史「・・・・・・仮面ライダー。噂では聞いていたけど、まさかお前達がそうだったなんて・・・・」

 

あやめ「影で人々に対する驚異に立ち向かっていたと・・・・ご立派です!」

 

悠菜から聞いた誠也達のライダーの秘密を聞き、隆史とあやめはそれぞれの反応を示した。

 

隆史は「信じられない」と言う顔で、あやめは「ご立派です!」と尊敬するような顔をした。

 

隆史「と、兎に角、まだ信じられないと思う所もあるけど、お前達の事情は大体わかった。それじゃあ次は、あやめさんを消滅から救う事に関してのことだな。」

 

隆史はまだ信じられないと言う顔をしながらも、次の話題である「あやめの消滅」に対しての話を切り出した。

 

誠也「そうですね。今回ここに来たのはそっちの件がメインでしたからね。」

 

竜輝「ねえ誠也、本当にどうにかできるの?僕は昨日、乃木坂邸に行っていないから直接話は聞いてないから、圭介から又聞きで聞いた限りだと、あやめさんを消滅の危険から救う条件は結構大変な物なんだろう?」

 

なのは「あ、その条件、私もはやてちゃんから聞いたよ。確か「外から力・・・・霊力、あるいはそれに準ずる気力や魔力の様なもので補ってあげれば消滅を引き伸ばす事もできる」って事だったよね?宛はあるの?」

 

誠也「もちろん!要はあやめさんに定期的に魔力を提供すればいいだけだろう?だからこれを使って俺の魔力を定期的にあやめさんに提供すれば良いんだよ。」

 

そう言って誠也は一個のウィザードリングを取り出して見せた。

 

フェイト「ウィザードリング?でも、今まで見たことない模様のリングだね。何のリングなの?」

 

フェイトが誠也の取り出したリングが、今まで誠也が使用していたどのリングとも違う物だと思い、何のリングか誠也に聞いた。

 

はやて「アレ?このリング・・・・・もしかしてコヨミさんが付けていた「プリーズ」の指輪?」

 

はやては誠也の取り出したウィザードリングが、かつて誠也と共に異世界を旅した時に出会ったウィザードの世界の人物である笛木 暦(ふえき こよみ)が、ウィザードである操真 晴人から魔力を供給する時に使用していたプリーズウィザードリングだと気づいた。

 

誠也「そうだよ。これを使ってあやめさんに俺の魔力を提供するんだ。」

 

はやて「提供するって・・・それを使うには、あやめさんに指輪を身につけてもらわなアカンのやで。でもあやめさんは幽霊なんやから実体がないんや、どうやって身に付けさせるんや?!」

 

誠也「その点に関してはもう問題は解決してるよ。確かにあやめさんには実体は無い。けど魔力を帯びた物で触れば、実体の無い幽体であるあやめさんにも触ることができるだろう?昨日お前が実践して見せたじゃないか。」

 

霞「実践って・・・・ああ、昨日のはやてちゃんの胸揉みの事/////。」

 

昨日の実践と聞いて、昨日はやてがあやめの胸を魔力を手にコーティングして幽体であるあやめの胸を揉みまくった事を思い出し、顔を赤くする霞。

 

誠也「昨日、はやての胸揉みを思い出して思いついたんだ。魔力でコーティングすればあやめさんに触れる。ならばウィザードリングのリング部分の材質を魔力を帯びた材質の物にすればあやめさんにもウィザードリングをハメてもらうことができるんじゃないかって。だから俺は昨日帰った後、ラボでプリーズウィザードリングのリング部分を魔力を帯た材質の物に交換したんだ。さあ、あやめ。右手を。」

 

あやめ「事情がまだよくわかりませんけど、その指輪があればわたくしは助かるんですね?」

 

そう言っておずおずと右手を差し出すあやめ。

誠也は差し出された右手に手に魔力をコーティングさせながら、持っているプリーズウィザードリングを身につけさせる。

はめられた指輪は、あやめの指をすり抜けることなく、あやめの手にはめられたままの状態で維持されていた。

 

美夏「すり抜けずに身につけたままになってる・・・凄い!成功じゃない!!」

 

隆史が来るまであやめと話して、あやめに対する恐怖心がすっかりなくなった美夏が、あやめの右手に身につけたままの状態であるプリーズウィザードリングを見て驚いた。

 

誠也「成功だ。後は・・・・・」

 

そう言って魔力でコーティングした手でプリーズウィザードリングが身に着けられら右手を掴んで、自分の腰のバックルへとかざす誠也。

 

電子音声『プリーズ!』

 

部屋の中に響く電子音声と同時に、あやめの体に誠也の魔力が流れ込む。

 

あやめ「アレ?なんでしょう?何かが体に流れてきて、体の中からポカポカしてきます・・・」

 

自分の中に流れ込む誠也の魔力を感じ取るあやめ。やがて流れ込む魔力の流れが止まると、誠也はあやめのてをソっと放した。

 

誠也「これでもう大丈夫だ。一回の魔力供給で大体一週間位は持つはずだよ。それに昨日あの後、祝さんに電話でもう一度話したんだけど、あやめさんが昼間外に出られなかったのは、消滅しかかってたからで、魔力を供給すれば、昼間でも外に出られるって言ってたから、これからは日の光を気にせずに過ごせるよ。」

 

美夏「ホントなの?!なら早速外に出てみようあやめさん!」

 

あやめ「え?あ・・・・そうですね。でも、その前に・・・・竜輝さんをどうにかしませんと・・・・・」

 

誠也達「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」

 

竜輝の名前を言いながら指差した方向、そこには自分の出した鼻血で出来た血の池に倒れこむ竜輝の姿があった。

 

竜輝「(ドックン!ドックン!ピューピュー♪)」

 

美夏「え?え?なんで?なんで竜輝鼻血出して死にかかってるの?!」

 

倒れている竜輝の姿を見て頭に?マークを浮かべる誠也達。

 

誠也「あ!もしかして、さっき「昨日の胸揉み」の事を言ったから、それを思い出してそれで・・・・(^_^;)」

 

はやて「へっ?あの程度の事を思い出して鼻血出して死にかかってる?!どんだけ免疫ないんや!」

 

なのは「なんか黙ってると、惨殺死体に見えるね(^_^;)」

 

悠菜「本当に死にかかるわね、コイツは(^_^;)」

 

圭介「どうするコレ?」

 

霞「取りあえず手当と後始末をしないとね(^_^;)」

 

あやめ「血って確か落ちにくいんですよね~。床に跡が残らないと良いんですけど~」

 

隆史「(あやめさん。すでにこのシチュエーションに慣れているな(^_^;))」

 

誠也「取りあえず、“コレ”の後始末をしてから、外に出よう。」

 

そう言って、誠也達は倒れた竜輝の手当と鼻血の後始末をし始めた。

ちなみに後始末は、床に出来た鼻血の池の跡がなかなか落ちず、1時間程かかったと言う。

 

 

 

 

つづく

 



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第30話 幽霊の少女と響鬼の少年⑫

遅れて申し訳ありません。剣 流星です。
今回、ようやくサブタイトルに出ている響鬼が出てきます。
駄文しか書けないため、出すのに結構時間かかってすいません。
では、第30話をどうぞ。


あやめ「う~~~~~ん!久々のお日様の光です♪生き返ります~♪」

 

誠也達『いや、生き返るって(^_^;)』

 

青空の下で「う~ん」と言って体を伸ばし、「生き返る~♪」と言ったあやめに対して声を揃えてツッコミを入れる誠也達。

誠也達は鼻血を出して倒れた竜輝を部屋に残し、あやめの久々の昼の外出に付き合っていた。

鳴海荘前で久々の陽の光を浴びて嬉しそうにするあやめを見て、悠菜や霞、なのは達も嬉しそうな顔をしたが、誠也だけはすぐに何かを考え込むような顔をした。

 

はやて「うん?どないしたん?難しい顔をして。」

 

あやめを見ながら考え込んでいる誠也を見て、はやてはどうしたのかと声をかけた。

 

誠也「・・・昨日のことを考えていたんだ。」

 

はやて「昨日のこと?」

 

誠也「うん。昨日襲ってきた魔化魍達。アイツらあやめさんをどこかえ連れて行こうとしてたろう?もしかしたらアイツら、最初からあやめさんを連れ去るのが目的だったんじゃないのかなって思って。」

 

はやて「考えすぎやないの?財団が放った魔化魍がたまたま私らを襲っただけやて。」

 

誠也「だと良いんだけど「シャアアアアアッ!!」って・・何?!」

 

あやめを見ながらはやてと話していた誠也の耳に、突如として何かの声が聞こえてくる。

 

魔化魍「「「「「「グルルルルルッ!!」」」」」」

 

誠也「なっ!魔化魍?!」

 

突如として、誠也達の頭上から計6体の化け猫の魔化魍があやめを取り囲むようにして現れた。

 

あやめ「き、昨日の化物?!」

 

突如現れた魔化魍に驚き、身を竦ませるあやめ。そんなあやめを好都合だと言わんばかりに、魔化魍達はあやめに対して一斉に襲いかかろうとした。だが・・・・

 

魔化魍「「「「「「シャアアアアアアアアアッ!!」」」」」」

 

誠也・悠菜・圭介「「「あやめさん、危ない!!」」」

 

一斉にあやめに襲いかかろうとする魔化魍に対して、背後から攻撃を加えて誠也達はそれを防ぎ、その隙にはやて、なのは、フェイトの三人はあやめの身を魔化魍から引き離した。

 

はやて「あやめさんこっちや!」

 

なのは「あやめさん大丈夫?」

 

フェイト「私達の後ろに!」

 

連れ出したあやめを自分達の背後に隠れさせながら、変身・セットアップするためにデバイスを取り出して構えるなのは達。

 

そんななのは達を少し離れた所で霞や美夏と一緒に見て居た隆史は、魔化魍の姿を見て、昨日の襲われた恐怖を思い出したのか、震えながら一部始終を見て居た。

 

隆史「うっううううう・・・・・(な、情けねえ・・・自分より年下の誠也達があんなに動けるのに、年上で先輩である俺は、震えて身動きすら出来ないなんて・・・・)」

 

そんな風に思いっている隆史を他所に、事態は動く。誠也達が変身するためにドライバーを取り出して身に着けたのである。

 

圭介「みんな、変身するぞ!霞!!」

 

霞「うん!受け取って圭くん!!(バッ!)」

 

圭介に名前を呼ばれた霞がタカ・トラ・バッタのメダルを圭介に投げて渡す。

 

圭介「よし!二人共行くぜ!!変身!!」

 

誠也「ああ!変身!!」

 

悠菜「変身!!」

 

圭介の変身に合わせるかのように変身をする誠也と悠菜。

 

三種類の変身音が鳴り響き、仮面ライダーへと変身した三人はそれぞれ手に武器を持って魔化魍へと斬りかかる。

 

はやて「なのはちゃん、フェイトちゃん、私達も!!」

 

なのは「うん!行くよ、フェイトちゃん!!」

 

フェイト「ええ!」

 

三人「「「セーット、アーーップ!!!」」」

 

誠也達に続くように、はやて達も手に持っている自分のデバイスでセットアップを行い、バリアジャケット姿へとその身を変えた。

 

誠也「6体だから一人一体相手する計算だけど、はやて達は相手を引きつけるだけに止めておくんだぞ!」

 

はやて「分かってるって。私らだけじゃあ魔化魍は倒せないから誠也達が自分達が相手している魔化魍を倒すまでの時間を稼ぐだけに留めておくって。」

 

誠也「あと、霞はディスクアニマルであやめさん達と自分の身を守るんだ!」

 

霞「わ、分かった!」

 

美夏「みんな、気を付けて!!」

 

誠也「よし!みんな、行くぞ!!」

 

誠也の掛け声に呼応するように6体の魔化魍へと突っ込んでいく誠也たち。そんな誠也達の背中に「気を付けて!」と声をかける美夏。

 

そんな美夏達を物陰から見ている一対の目があった。7体目の魔化魍である。

 

魔化魍「グルルルルルッ!!ガアッ!」

 

霞「えっ?何?!キャッ!」

 

美夏「ま、魔化魍?!もう一体居たの?!アッ!」

 

隆史「なに?!ぐあっ!」

 

物陰から飛び出した7体目の魔化魍は、あやめの側に居た霞や美夏、隆史の体を跳ね飛ばすと、おもむろにあやめの腕を掴んでその場から立ち去ろうとした。

 

あやめ「キャアッ!は、放して!!隆史様!」

 

腕を捕まれたあやめは、それを気にせずに魔化魍に吹き飛ばされた隆史の身を案じて、必死に腕を振りほどいて隆史の側へとかけ寄ろうとしていた。

 

霞「あやめさん!みんな、行って!!」

 

魔化魍に腕を掴まれて、連れて行かれそうになったあやめを見て、霞はディスクアニマルを起動させてそれを阻もうとした。

 

ディスクアニマル達「「「――――!――――!」」」

 

あやめを連れ去ろうとする魔化魍に対し、勇敢に立ち向かう三体のディスクアニマル茜鷹・瑠璃狼・緑大猿達だが・・・・・

 

魔化魍「シャアアアアアアアアッ!(バキッ!)」

 

魔化魍が腕を振り上げて一閃させただけで、三体のディスクアニマル達は破壊されてしまった。

 

霞「そ、そんな?!」

 

美夏「ディスクアニマル達、壊されちゃった・・・・ど、どうしよう・・」

 

ディスクアニマル達を壊されて戸惑う霞達。

 

圭介「霞!クソッ!!おい、お前ら邪魔するな!!」

 

ディスクアニマル達を破壊されたのを見て、霞の側に行こうとする圭介だったが、魔化魍たちがそれを阻み、側に行くことができないでいた。

 

圭介「おい!はやて!!お前ら空飛べるんだろう?だったら空飛んでこいつら振り切って、霞達の援護を!!」

 

圭介は自分達と同じ用に魔化魍に一体一で接近戦を挑まれているはやて達へと霞の援護をするように言った。

 

はやて「無理やて!こいつら引っ付くみたいに接近戦仕掛けてきているから、空飛ぶために意識を少しでも回したら、スキができてまうから無理なんや!!」

 

誠也「クソッ!このままじゃあやめさんが連れて行かれる!!」

 

目の前の魔化魍を相手にしながら焦る誠也達。

 

そんな誠也達を他所に、隆史は一人震えながらこの状況を見て居た。

 

隆史(クソッ!クソッ!!なんで震えが止まらないんだよ!あやめさんが連れて行かれちゃんだぞ!あやめさんが!!)

 

隆史の脳裏には今日までのあやめが自分に向けてくれた様々な顔がよぎる。隆史と外に出かけられるのを知って喜ぶあやめの顔。テレビなどの現代の家電製品に驚くあやめの顔。霞や美夏達と年頃の女の子の顔で楽しそうに話をするあやめ。そして・・・・隆史と初めて会た時、満面の笑顔を隆史へと向けるあやめ。

 

隆史(アレは・・・・あの笑顔は・・・・俺に向けられたものじゃないのはわかってる。でも!!)

 

隆史は歯を食いしばり、出てくる震えを必死に抑えようとする。そんな隆史を他所に、あやめの腕を捕まえた魔化魍はあやめを引きずるようにしてさらにその場から離れようとしていた。

 

魔化魍「グルルルルルッ!」

 

あやめ「放して!たかし様!たかし様!!たか「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」って、え?たかし様?!」

 

魔化魍に腕を掴まれ、引きずられたあやめが驚いた顔をした。隆史が今まさに拳を振りかぶり、雄叫びを上げながら魔化魍に殴りかかろうとしていたのである。

 

隆史「あやめさんを離せええええええええええええええっ!!」

 

魔化魍「グルッ?!」

 

突然飛びかかれられて一瞬驚く魔化魍。だが驚いて動きを止めたのは一瞬で、次の瞬間には殴りかかった隆史を片腕を振って吹き飛ばした。

 

バキッ!

 

隆史「ぐわっ!」

 

魔化魍の片腕に吹き飛ばされる隆史。

 

あやめ「たかし様!放して!!」

 

吹き飛ばされた隆史の身を案じ、再び隆史の側に駆け寄ろうとするが、魔化魍が腕を掴んで離さず、腕を振り払おうともがいた。だが魔化魍はそれを気にもとめない感じで、再びあやめを引きるず様にしてその場をあとにしようと歩き出した。だが・・・

 

ガバッ!

 

魔化魍「?!」

 

何者かが背後から掴みかかってきたため、魔化魍は再びその足を止めた。

 

隆史「あやめさんを・・・・離せ!!」

 

魔化魍の背後から掴みかかった者は隆史だった。隆は、そのまま魔化魍を羽交い絞めにして抱きついてその動きを止めようとした。だが、魔化魍はそれをうっとおしいという感じで、隆史の体を力任せに自分の体から引き剥がすと、そのまま自分の足元に叩きつけた。

 

バキッ!

 

隆史「ぐわっ!」

 

叩きつけられた隆史が痛みでその動きを止めている隙に、魔化魍は再び歩きだそうとした。だが、今度は自分の足を何者かが掴んで、歩きを封じているのを感じ、自分の足元を見た。

 

隆史「あ、あやめ・・・・さんを・・・・離せ・・・・」

 

魔化魍の足元。そこには痛みに耐えながら魔化魍の足を必死に掴んでいる隆史の姿があった。

 

魔化魍「グルルルルルッ!!」

 

自分の足を掴む隆史の姿をみて、隆史を自分の足から振り払おうと、掴まれていない足で隆史へ蹴りを入れる。

 

バキッ!

 

隆史「うぐっ!・・・・離さない・・・・絶対に・・・・離すもんか・・・・・」

 

蹴りを入れられても必死に足を掴んで離そうとしない隆史。それをうっとおしいと言う感じで魔化魍は連続で蹴りを入れた。

 

バキッ!ドカッ!ドカッ!

 

隆史「うぐっ!ぐっ!ぐううううっ!」

 

何発もの強烈な蹴りを入れられ、苦しむ隆史。

 

あやめ「たかし様!!やめて!やめてえええええええええ!!」

 

蹴りを入れられて、苦しむ隆史の姿をみて悲痛な声をあげるあやめ。

 

バキッ!

 

隆史「うぐっ!」

 

何度目かの蹴りを隆史に入れられた魔化魍は止めだと言わんばかりに足を大きく振りかぶると、ボールでも蹴るかのように勢いよく隆史の腹に強烈な蹴りを入れた。

 

ドカッ!!

 

隆史「うわっああああああ!!」

 

あまりにも強烈な蹴りを入れたせいで、足を掴んでいた手を放してしまう隆史。

 

あやめ「たかし様!!」

 

吹っ飛ばされた隆史を見て、悲痛な声をあげるあやめ。だが、そんなのはお構いなしだと言わんばかりに、魔化魍は再びあやめを引きずるようにして歩き出した。

 

あやめ「たかし様!たかし様!!」

 

掴まれた腕を振り払おうと必死にもがきながら隆史の方を見て叫ぶあやめ。

 

隆史「ま・・・待て・・・よ・・・」

 

連れて行かれるあやめを見て、必死に起き上がろうとする隆史。だが魔化魍の攻撃のせいで思うように体に力が入らず、うまく立てないでいた。

 

隆史「ま・・・・まて・・・・よ・・・・クソッ!・・・・・俺じゃ・・・・どうすることも出来ないのか?」

 

必死に立ち上がろうともがきながらつぶやく隆史。

 

隆史「何の・・・・力も無い・・・・俺じゃ・・・・あやめさんを・・・守れないのか?・・・・・自分を慕ってくれている・・・女の子一人・・・守れないのか?」

 

隆史は連れ去られようとしているあやめを見て、魔化魍に対して何の力も無い自分が悔しくて唇をかんだ。

 

隆史「俺に・・・力が・・・・・誠也達みたいな力が・・・あれば・・・・・クソッ!!」

 

あやめを連れ去ろうとする魔化魍を見て悔しそうな顔をする隆史。そんな隆史の視界に写っている魔化魍に突如小さな影が複数襲いかかるのが見えた。それは赤いタカの様な形をした物と、水色のタコの形をした物、緑色したバッタの形をした物、オーズの世界のサポートメカのカンドロイド達であった。

 

カンドロイド達『―――――!―――――!』

 

隆史「あれは・・・一体?」

 

魔化魍を攻撃するカンドロイド達を見て、戸惑う隆史。そんな隆史の頭上に突如変化が起きた。

キラキラ光る光の粉の様な物が隆史に降り注ぐと、突如隆史の目の前に金色の光を放つ一体の鳥・カナリヤの姿が現れたのである。

 

隆史「なっ、なんだ・・・コレ?」

 

突如現れたカナリヤの姿に驚く隆史。

 

カナリヤ『落ち着いて聞いて。私の名はカナリヤ。』

 

隆史「えっ?カナリヤって確か・・・誠也達に仮面ライダーの力を授けたってヤツじゃ・・・」

 

隆史は今日、誠也たちから聞いた仮面ライダー関連に関する話の中で聞いた。その中に誠也達に仮面ライダーの力を授けた者の名前がカナリヤだった事を思い出した。

 

カナリヤ『ええ。私は誠也達の仲間よ。良い、よく聞いて。アイツら魔化魍は通常の手段じゃ倒すここができないの。誠也達が今現在持っているライダーの力で辛うじて倒すことができるんだけど、・・・』

 

そう言ってカナリヤは戦っている誠也達の方へと視線を向け、それに釣られて隆史も視線を向けた。

 

誠也「くっ!」

 

視線の先、そこには魔化魍との戦いで苦戦を強いられている誠也達の姿があった。

 

カナリヤ『誠也達の持つライダーの力にある対魔化魍戦の力はあくまで「ついで」で取り付けた物で、対魔化魍用の鬼、「響鬼」の世界であるライダーほど無いの。彼ら魔化魍を真に相手できるのはあくまで「響鬼」の世界のライダーである「鬼」である音擊戦士だけなの。そして・・・・あなたにはそのライダーに変身できる素養があるの。』

 

隆史「お、俺に?」

 

自分に素養があるというカナリヤの言葉を聞いて驚く隆史。

 

カナリヤ『いい。この状況を打開するにはあなたが「鬼」となって魔化魍を倒すしかない。』

 

そう言ったカナリヤは光を発して、自分の能力である空間格納庫から鬼になるための変身用のアイテム「変身音叉」を取り出して、隆史の目の前に置いた。

 

隆史「これは?」

 

目の前の地面に置かれた音叉を見てカナリヤに問う隆史

 

カナリヤ『それを使えば、あなたは「鬼」となって魔化魍を倒す力を手にすることができる。けど、それを使えば同時に、誠也達と同じ用にあの魔化魍を送り出した組織「財団X」との戦いに身を投じることとなるわ。』

 

隆史「戦いに・・・・身を投じる・・・・」

 

隆史は音叉をじっと見て考え込む。

 

カナリヤ『さあ、どうするの?あなたが取る道は二つ。このまま黙ったまま魔化魍を見逃すか、それとも鬼となって戦うか。さあ、選んで!』

 

隆史「・・・・・・・」

 

カナリヤの言葉を聞いて考え込む隆史。

 

隆史(どうする?鬼となって戦うか。それともこのまま何もしないで魔化魍を見逃すか?戦いに身を投じるなんてそんな厄介事は嫌だけど、でも・・・・ここで魔化魍を見逃したら、あやめさんが・・・・)

 

カナリヤの言葉を聞き、数秒黙り込む隆史。だが次の瞬間、目の前の音叉を手に取って、何かを決意したかのような顔をして立ち上がった。

 

隆史「正直、戦いに身を投じるって言われてもピンと来ないし、できれば厄介事は嫌だ。けど・・・・あやめさんを守るのに必要なことだって言うんなら、「鬼」でもなんにでもなってやる!!」

 

はっきりとした大きな声で、高らかと宣言するように言う隆史

 

カナリヤ『あなたの決意、聞かせてもらったわ!なら、音叉を鳴らして、額に!』

 

隆史「こ、こうか?」

 

カナリヤの言葉を聞いて、指で「ピン!」と音叉を弾く。すると「キーン!」と言う響く音が音叉から発し始め、それをそのまま額へと持っていった。すると隆史の額に奇面の紋章が浮かび上がると、全身から紫色の炎が発生し、隆史の体を包み込んだ。

 

魔化魍「?!」

 

自分に襲いかかるカンドロイド達を破壊した魔化魍は、隆史の異変に気づき、そちらを見て驚く。

 

あやめ「た、たかし・・・様?」

 

あやめも突如隆史が全身から紫の炎を発した事に驚く。

 

隆史「はぁああああああああああっ!はあっ!!」

 

気合一閃。隆史が腕を振り上げて、全身を包んだ炎を振り払うと、そこには両手に音撃棒 烈火(おんげきぼう れっか)を持った鬼である音擊戦士の姿があった。

 

悠菜「アレは・・・」

 

戦いの最中に、異変を感じて、隆史の居る方を見て驚く悠菜。

 

誠也「アレは・・・・響鬼。仮面ライダー・響鬼だ!」

 

 

つづく

 



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第31話 幽霊の少女と響鬼の少年⑬

どうも剣 流星です。
最近ますます寒くなってきていたので、ストーブを物置から出してきたのですが、なんと!壊れていました。
う~ん、このお金のない時にストーブが壊れるなんて・・・ストーブ無しだとこの先辛いですから新しい物に買い換えました。
手痛い出費だった・・・・トホホホ・・・・・・
まあ、それはさて置き、第31話をどうぞ。


 

誠也「アレは・・・・響鬼。仮面ライダー・響鬼だ!!」

 

隆史の変身した姿を見て叫んだ誠也の声が辺りに響く。

 

なのは「仮面ライダー・・・響鬼」

 

フェイト「あ、アレが・・・・」

 

悠菜「な、なんで・・・・隆史が・・・・」

 

響鬼へと返信をした隆史の姿を看て、なのは達も魔化魍達も驚き、その動きを一旦止めた。

 

あやめ「た、たかし・・様?」

 

魔化魍に捕まったままのあやめも隆史の変身した姿に驚き、その動きを止めた。

誰もがその動きを止めたため、辺り一帯が一瞬静寂に包まれる。

そんな中、響鬼と化した隆史は、静寂を破るかのように行動を開始した。

 

隆史「・・・・あやめさんを・・・・・あやめさんを・・・・放せえええええええええええええええええええええっ!!」

 

両の手に持った音撃棒 烈火(おんげきぼう れっか)を振りかざし、あやめを連れて行こうとした魔化魍へと迫った。

 

魔化魍「?!」

 

隆史「はぁあああああああああ、はあっ!!」

 

音擊棒を精一杯の力を込めて、魔化魍へと叩き込む隆史。

 

魔化魍「グワッ!!」

 

隆史の一撃をモロに受けた魔化魍は、あやめを掴んでいた手を思わず放してしまい、そのまま吹っ飛んで行った。

 

隆史「あやめさん!」

 

魔化魍があやめの手を話したのを見て、隆史はあやめと魔化魍の間に自分の体を滑り込ませ、背にあやめを庇いながら魔化魍と対峙した。

 

隆史「あやめさん、大丈夫?」

 

背に庇ったあやめに声をかけながら、吹っ飛んだ魔化魍を睨みつける隆史。

 

あやめ「たかし様?たかし様なのですか?そ、そのお姿は?」

 

自分をかばうようにして魔化魍と対峙する異形の物から聞こえる隆史の声に、驚き戸惑いながら隆史なのかとあやめは聞いてみた。

 

隆史「ああ、俺だよ。この姿に驚いたかい?」

 

あやめ「え、ええ。どうしたのですそのお姿は?」

 

隆史「さっき誠也が話していた「オカリナ」って言う誠也の仲間から、この姿・・・仮面ライダー響鬼になる道具をもらって使ったんだ。」

 

あやめ「か、かめんらいだーひびき?」

 

隆史「響鬼のこの力さえあれば、こいつらと戦える!あやめさんを守れる!!だから・・・安心して。」

 

とまどうあやめに安心してと声をかけた隆史は手に持った音擊棒を握り直し、自分が吹き飛ばし倒れた魔化魍をにらみ付けた。

 

魔化魍「グッ・・・グワアアアアアアアアッ!!」

 

自分が吹き飛ばされた事に怒りを感じた魔化魍はすぐさまに立ち上がり、隆史へと襲いかかった。

 

カナリヤ『闇雲に音擊棒を相手にぶつけても魔化魍は倒せないわ!腰のバックルを相手に取り付けて、浄めの音で相手を浄化するのよ!!』

 

隆史達の戦いを上空で見たいたカナリヤが、頭上から隆史にアドバイスする。

 

隆史「腰のバックル・・・・これか!」

 

カナリヤに言われ、自分の腰のバックルを左手でベルトから取り外す隆史。

 

魔化魍「グワアアアアアアアッ!!」

 

隆史「こいつを・・・アイツに!オラッ!!」

 

腕を振り上げて自分に襲いかかる魔化魍に対し、自分に振り下ろされた腕をギリギリで交わした隆史は、左手で持っているバックルを魔化魍の胴体に取り付けることに成功する隆史。

取り付けたバックルは取り付けた瞬間巨大化し、太鼓の鼓になる。

 

カナリヤ『あの鼓に音擊棒をリズムに乗って叩いて浄めの音を発生させて、魔化魍を!!』

 

隆史「り、リズム?」

 

カナリヤ『リズムは響鬼となった今のあなたならわかるはずよ!あなたの中にある清めの音のリズムを感じ取って!そうすれば!!』

 

隆史「自分の中のリズムを感じ取る・・・・」

 

一度目を閉じ、自分の中にあるリズムを感じ取る隆史。

 

隆史(わかる・・・わかるぞ!!これがそれだな!!)

 

己の中の清めの音のリズムを感じ取った隆史は、それに従い音擊棒を振りかぶる。

 

隆史「スーーーーッ!ハッ!!」

 

ドンドンドン!!

 

清めの音のリズムに従い、音擊棒を鼓へと叩き込む隆史

 

ドンドンドンドン!!

 

魔化魍「グワアアアアアアアッ!!」

 

清めの音を喰らい、苦しむ魔化魍。

 

ドンドンドンドン!!

 

隆史「音撃打 火炎連打(かえんれんだ)の型!!」

 

ドンドンドンドンドン!!

 

魔化魍「グッ・・・グワアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

ドガ~ン!!

 

叩き込まれた清めの音で爆散する魔化魍

 

隆史「か、勝った・・・・・」

 

誠也「倒したのか?やるな先輩、ならこっちも終わらせますか!!」

 

隆史が魔化魍を倒したのを見て誠也も終わりにしようと、バインドのウィザードリングを取り出すと、それをウィザードライバーにかざす。

 

電子音声『バインド!プリーズ!!』

 

魔化魍に赤い鎖が絡まり、魔化魍の動きを止める。

 

誠也「さあ、フィナーレだ!!」

 

手に嵌めてあるフレイムのウィザードリングをウィザーソードガンのハンドオーサーを操作しをかざす。

 

電子音声『キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!フレイム!スラッシュストライク!ヒィ!・ヒィ!・ヒィ!』

 

誠也「ハアッ!!」

 

ソードモードのウィザソードガンの刀身に帯びたフレイムの赤い光を光の斬撃として魔化魍へと打ち出す。

 

魔化魍「グワアアアアアアアッ!!」

 

ドカ~ン!!

 

赤い光の斬撃を受けて爆散する、誠也と戦っていた魔化魍。

 

悠菜「誠也も決めたみいね。なら、私達も終わりしましょう!」

 

圭介「そうですね!」

 

自分たちと退治している魔化魍を見据えながら、悠菜と圭介もそれぞれとどめを刺すために動く。

 

悠菜「さあ、出番よ!」

 

腰のデッキからアドベントのカードを取り出し、バイザーにセットする。

 

電子音声『アドベント』

 

ブランウイング「――――!―――――!」

 

契約モンスターのブランウイングを召喚し、自分と圭介が対峙している魔化魍へと向かわせる悠菜。

 

魔化魍「「グッ!ガアアアアアア!!」」

 

突然現れたブランウイングに翻弄される二体の魔化魍。

 

悠菜「今よ!圭介!!」

 

そうって悠菜はバイザーに今度はファイナルベントのカードをセットする。

 

電子音声『ファイナルベント!』

 

圭介「良し、俺も!」

 

そう言って圭介は自分が持っているメダジャリバーに3枚のセルメダルをセットし、オースキャナーでスキャンした。

 

電子音声『トリプルスキャニングチャージ!』

 

圭介「一気に決める!!ハァアアアアアアアアッ!セイヤァアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

ブランウイングに翻弄せれて動きを止める二体の魔化魍に対し、圭介のメダジャリバーから放たれるオーズバッシュと悠菜とブランウイングとの協力技であるミスティースラッシュが迫る。

 

魔化魍「「グワアアアアアアアアッ!!」

 

二人の必殺技を喰らい、断末魔の叫び声を上げて爆散する二体の魔化魍。

 

圭介「フゥ~」

 

悠菜「終わったわね。」

 

爆散した魔化魍を見て一息つく圭介と悠菜。そんな二人に、誠也が声をかける。

 

誠也「二人共、終わったんだね。」

 

圭介「ああ。」

 

悠菜「ええ。お疲れ」

 

そう言って互いに声を掛け合った後、三人でハイタッチをする誠也達。

 

はやて「コラー!終わったんやったならこっちを手伝え!!」

 

誠也・圭介・悠菜「「「え?あ・・・・・」」」

 

はやての声を聞き、自分たちじゃ魔化魍を倒すことができなく、三体の魔化魍の足止めをしているはやて達の事を思い出す誠也達

 

フェイト「早く手伝ってよーーー!」

 

なのは「足止めするのも限界だよ!!」

 

誠也「わ、悪い!すぐ手伝うよ!!」

 

悠菜「すぐ行くわ!」

 

圭介「即効で片付ける!」

 

そう言って三人はなのは・フェイト・はやてが相手している三体の魔化魍へとそれぞれの武器を構えると、必殺技を出す予備動作に入る。

 

電子音声『キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!フレイム!スラッシュストライク!ヒィ!・ヒィ!・ヒィ!』

 

電子音声『トリプルスキャニングチャージ!』

 

電子音声『ファイナルベント!』

 

3種類の電子音声が再び鳴り響き、三人の必殺技が三体の魔化魍へと解き放たれる。

 

魔化魍「「「グ、グワアアアアアアアアアアッ!!」」」

 

必殺技を喰らい、爆散する3体の魔化魍。

 

誠也「フィ~、これで本当に終わったな。」

 

なのは「はぁ~疲れた~。」

 

フェイト「なんとかなったね。」

 

はやて「ホンマやな。それにしても・・・・・もう!ヒドイで!私たちの事忘れて!!」

 

誠也「あ、悪い悪い。」

 

頬を膨らませて起こるはやてを元の姿に戻ってなだめる誠也達。そんな誠也に響鬼の姿のままの隆史が、あやめを連れて声をかけてきた。

 

隆史「誠也・・・・」

 

誠也「あ、田中先輩もお疲れ様です。あやめさんは大丈夫でしたか?」

 

隆史「ああ、ケガも無いみたいだし大丈夫そうだよ。」

 

あやめ「あの・・・皆さん、お疲れ様です。そして守っていただいてありがとうございます。」

 

誠也達に対して深々と頭を下げてお礼の言葉を言うあやめ。

 

悠菜「いえ、私達は何も・・・」

 

はやて「せや、あやめさんを守ったのは田中先輩や。」

 

フェイト「ええ。結局、私達はそれぞれの敵を相手するだけで手一杯だったんですから。」

 

はやて「あやめを守ったのは結局は仮面ライダーになった田中先輩だったんだもん。」

 

圭介「見直したよ先輩。ライダーになって、その初戦でいきなり魔化魍を倒したんだもん。大金星だよ。」

 

誠也達にそれぞれ褒め言葉を言われる隆史。

 

隆史「いや、俺はただ夢中にやっただけで・・・・!グッ!・・・・・」

 

あやめ「?たかし様?」

 

突然黙り込む隆史を訝しみ、声をかけるあやめ。次の瞬間、隆史の姿が響鬼の姿から、元の姿に戻りそして・・・

 

ドサッ!

 

そのまま隆史は地面へと倒れ込んでしまった。

 

あやめ「え?・・・・・・・た、たかし様!!」

 

誠也「先輩!!」

 

悠菜「隆史!!」

 

突然、倒れてしまった隆史へとかけよる誠也達。

 

誠也「と、当然どうして?」

 

倒れた隆史を見てなぜ倒れたのかと思う誠也達。

 

カナリヤ『響鬼の力に隆史君の体が耐えられなかったのよ。』

 

誠也「えっ?」

 

自分達の背後から聞こえてきたカナリヤの声を聞き、一斉に振り返る誠也達。

 

悠菜「ちょっとカナリヤ!どう言う事!耐えられなかったって!」

 

カナリヤ『・・・誠也とはやては知っていると思うけど、鬼の力は本来は体を鍛えあげた者しか持つことができない物なの。けど私が作った音叉では体を鍛えてなくても、素質さえあれば一応は変身できるの。でもそれだと・・・・』

 

そう言って倒れた隆史を見るカナリヤ。

 

カナリヤ『鬼の大きな力に体が耐えられないの。私が作った響鬼の力は、本来使い手が肉体を鍛え上げた物が取り扱う事を前提に設計されているの。だから・・・・』

 

誠也「体の鍛え方が足りない先輩は響鬼の力に耐えられなくて倒れたと?」

 

カナリヤ『・・・ええ。』

 

あやめ「そんな!たかし様は、たかし様はどうなるんです?!何とかしてください!お願いします!」

 

悲痛な声で隆史を助けてと叫ぶあやめ。

 

カナリヤ『兎に角、隆史君をラボの医療室の医療ポットに!はやてはシャマルを呼んできて。医療の知識がある彼女に見てもうから。』

 

はやて「わ、わかったで。」

 

誠也「じゃあ、俺たちは先輩をラボに運ぼう。みんな、手伝てくれ。」

 

圭介「ああ。」

 

そう言ってそれぞれ行動を開始する誠也達。

 

あやめ「たかし様・・・・どうか・・・ご無事で・・・」

 

 

つづく

 



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第32話 幽霊の少女と響鬼の少年⑭

どうも、剣 流星です。
最近、魔弾の王と戦姫にはまり、思わず原作の小説と漫画を全巻衝動買いしてしまいました。
おかげで結構な額のお金が出て行ってしまった・・・・衝動買いってコワイ。

まあ、それはさて置き、第32話をどうぞ。



誰も居ない、あやめがかつて居た公園。

そこに魔化魍を放った着物姿の男が、自分が放った魔化魍の帰りを待っていた。

 

???「・・・・・!放った魔化魍の反応がまたしても消えた・・・・あれほどの数の魔化魍を倒すとは・・・もしや相手に清めの音を使う鬼がいるのか?」

 

自分の放った魔化魍の反応が消えたのを感じ取り驚く着物の男。

 

???「フフフフッ・・・・コレは良い!分家とは言え、巫女として極めて強力な一族である「朝霧家」の女の幽霊を見つけて、珍しいと思い、実験に使おうとして探していたら・・・まさか世にも珍しい清めの音を使う鬼、音擊戦士と出会うことになろうとは!コレは朝霧家の女幽霊共々ぜひわが研究の実験材料として捕獲を「見つけましたよ」っと・・・なんだ、君ですか。」

 

突如現れた男に背後から声をかけられる着物の男であったが、声が知っている者の物だったため、驚きもせずにゆっくりと声のした方へと向いた。

 

???「何の用です?財団Xのフリーエージェントの一人、リドウ・ゼク・ルギエヴィート殿。」

 

着物の男は突如現れた男・リドウ・ゼク・ルギエヴィートに対して少し不愉快そうな顔をしながら声をかけた。

 

リドウ「いえね、総帥と副総帥直々に、最近勝手な動きを見せる先生を諌めると同時に、依頼した件の進行状況を確認してこいと言われましてね。」

 

???「エーデル殿とリューイ殿が?そう言えば例の件に対しての報告をこの所怠っていましたね。いや~すっかり忘れてましたよ。ははははは~。」

 

リドウの話しを聞き、軽い感じで「はははっ~」と笑い、まるで意にも感じていない雰囲気で言う着物の男。

 

 

???「それにしても意外ですね、総帥であるエーデル殿はともかくとして、副総帥であるリューイ殿までもが催促してくるとは・・・」

 

リドウの話しを聞いて、着物の男は意外そうな顔をした。財団Xの総帥であるエーデルの息子の一人であるリューイは婚約者が病気で倒れて以来、あまり表立った事はせず、婚約者の側にいるか、治療方法を探すかをしているため、最近はあまり財団内でその姿を目撃されていなかった。その為、今回の事で副総帥のリューイから催促された事を意外だと着物の男は思ったのである。

 

リドウ「何でも婚約者であるサーシャ殿の病気を治すには、もうあの地に居る「月の頭脳」を頼るしかないんだそうです。」

 

???「成るほど、彼女の腕ならサーシャ殿の病を治療出来るかもしれないな。」

 

納得する着物の男に対して、ヤレヤレと言う感じで答えるリドウ。

 

リドウ「頼みますよ先生。今あなたが最も力を入れて取り掛からなくてはならない事は、世界樹と門が封印された場所・・・“幻想の郷”の場所の特定なのですからね。」

 

???「分かっていますよ。そっちの件は私の傀儡が今、場所の特定に必要な準備をしている所ですよ。」

 

リドウ「傀儡?・・・・ああ、あの洋装の男女の二人組の。で、やってもらっている準備とは?」

 

???「以前、財団が捕獲した例の鳥人間が居た世界があるでしょう」

 

リドウ「確か・・・・貴金属より食材の方が高値で取引されている、あのヘンテコな世界ですね。」

 

リドウは以前、財団が新しく発見した異世界で偶然発見した、凶暴な性格で鳥の様な頭を持ち、全身毛むくじゃらの生物を捕獲したことを思い出した。

 

???「そうそう。その世界のある犯罪組織の首領、たしかミトラだかミドラとかそんな名前のヤツが大規模な破壊を起こして、そのせいで貴重な食材が取れる場所の多くが破壊され、土地が枯渇し、一つの時代が幕を下ろしました。」

 

リドウ「ええ、そうでしたね。確かそのせいで、あの世界は今現在、食料のほとんどは栄養タブレットでまかなっていると。それが例の土地の場所の特定となんの関係があるんです?」

 

???「いいですか。幻想の郷は人々から忘れ去られた物や幻想となった物が自動的に転移する結界が張られているんです。今、あの世界では一つの時代が幕を下ろしました。つまり、その時代を象徴する、“破壊された貴重な食材がとれる土地は幻想となった”のです。」

 

リドウ「幻想に・・・・と言うことは・・・」

 

???「ええ。あの世界とこの世界を一瞬でも次元トンネルのような物で繋げれば、その土地はあの世界に転移するのです。その際、転移する土地を追跡できれば・・・」

 

リドウ「土地の場所が特定できるということですね。」

 

???「その通りです。ここ数年、あの地の管理人は我々に幻想の郷の居場所を知られないようにしてましたからね。おかげで場所の特定が今までできませんでした。だがこの方法なら場所の特定が可能です。」

 

リドウ「成るほど、どうやら心配はいらないみたいですね。」

 

???「もちろんですよ。ただ、そろそろ傀儡達が準備を終えて、私自身が仕上げの最終工程をしなくてわならない段階まで進んでいるはずですので、私自身もそろそろ動かなくては。欲を言えば朝霧の末裔の幽霊を捕まえてから最終工程に取り掛かっておきたかったのですけど・・・・これ以上手こずれば、幻の土地の追跡をする計画にも影響が出てしまいますから仕方がありません・・・今回は諦めて、次の機会にしておきましょう。」

 

がっかりした雰囲気を出しながら「しかたが無い」と言って肩を落とす着物の男

 

リドウ「そうしてください。幻の土地の特定が遅れると総帥と副総帥の怒りがこっちにまで飛び火するんですから、しっかりやってくださいね。では、俺は今聞いたことをエーデル総帥に報告しに戻・・・る前に寄る所があっんだった・・・・」

 

着物の男に背中を向けて去ろうとしたリドウは寄る所があった事を思い出しその動きを止めた。

 

???「うん?寄る所?ああ・・・・あの狐の所か。あなたも大変ですね~」

 

着物の男はリドウが言った「寄る所」と言う言葉を聞き、ある人物の顔を思い浮かべて納得した顔をし、「大変だな~」と思った。

 

リドウ「ええ、大変ですよ。こればっかりは他の下っ端エージェントに任せられませんからね。そんじゃ、いい加減行きますわ。朗報をお待ちしておりますよ。柳田邦夫(やなぎだくにお)博士。」

 

そう言ってリドウは柳田邦夫と呼ばれた着物の男に背を向けてその場を後にした。

 

柳田「ええ。大船に乗った気持ちでお待ちしてください、リドウ君。神話のはてを乗り越えるために。」

 

少し不気味な笑顔を浮かべた柳田は、立ち去るキンブリーの背中を見送った後、自分自身もくるりとキンブリーに背を向けて、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あやめ「・・・・たかし様」

 

SF映画に出てくるようなカプセルの蓋の窓から見えるたかしの顔を見て、心配そうな顔で隆史の名前をつぶやくあやめ。

ここは誠也達が使用する秘密基地・ラボの医療区画にある医療ポットがある部屋。そこには医療ポットの中に居る隆史を心配層に見つめるあやめと、そんなあやめを見つめる誠也、悠菜、霞、はやて、カナリヤと隆史の治療をした白衣姿のシャマルの姿があった。

魔化魍を倒した後、倒れた隆史の治療をする為、はやてが呼んだシャマルと共に誠也、悠菜、霞、はやて、カナリヤ達はラボへと行き、残りのメンバーは今だに倒れたままの竜輝を家に送るためにその場に残った。

それから丸一日が経ったラボの医療区画の一室、そこには隆史の様子を見に来た誠也、悠菜、霞、はやて、カナリヤ、シャマルが集まって居た。

 

誠也「・・・なあカナリヤ、本当に先輩は大丈夫なのか?」

 

医療ポットの中に入っている隆史を見つめながら、誠也は自分の側に浮かんでいるカナリヤに問いかけた。

 

カナリヤ『大丈夫よ。響鬼の力を使った反動って言ったって、ちょっとキツめの筋肉痛になるくらいだし、彼が意識を無くしたのも、初めての戦闘による緊張と疲労、そして響鬼になる前に魔化魍から受けた傷のせいなんだから、シャマルの回復魔法で傷と筋肉痛は治したんだし、時期に目覚「う~ん・・・・こ、ここは?」っと、どうやら目覚めたようね。』

 

突如聞こえてきた、ポット内からの声を耳にし、この場にいる全員の視線がポットへと集まった。

 

あやめ「た、たかし様!」

 

ポット内から聞こえたきた声を聞いて、あやめは真っ先にポットへと駆け寄り、中に居る隆史に声をかけた。

 

隆史「あ、あやめさん?アレ?ここは?って言うか、これ何なんだ?」

 

自分が入っているポットを見て、今だにボーッとする意識でペタペタとポットの内側を触って何なのかを探る隆史。

 

シャマル「あ、ちょっと待って、今ポットを開けるから。」

 

ポットをペタペタと触り、出たそうにしている隆史を見て、シャマルはポットに備え付けたあるコンソールを操作してポットの蓋を開ける。

プシューと蒸気のような物を吐き出した後、ポットの蓋はゆっくりと開き、中で寝ていた隆史が上半身を起こした後、周りを確認するために周りを見回した。

 

隆史「ここ・・・何処なん「たかし様!」ってうわっ!あやめさん!?」

 

ポットから上半身を起こして周りを見ている隆史にあやめが抱きつこうと迫った。だがあやめの腕は隆史の体に抱きつくことはできず、その腕はスカッ!と空を切るように隆史の体をすり抜けて、半透明なあやめの体ごと隆史の体に重なるようにして倒れ込んでしまった。

 

あやめ「あら?なんでたかし様の体を触れないんでしょう?」

 

倒れて隆史に体が重なったシュールな状態で頭に?マークを浮かべるあやめ

 

誠也「あやめさん、まだ自分が幽霊だって自覚してなかったのか(^_^;)」

 

霞「うわっ!あやめさんの体が田中先輩の体に重なっちゃって、変な風に見える。美夏ちゃんが見たら気絶物だよ(^_^;)」

 

悠菜「隆史の体からあやめさんが生えているみたいに見える・・・・流石にこれはちょっと・・・・」

 

隆史の体に重なっているあやめと言うシュールな光景を見て、奇妙な感覚に陥る誠也たち。そんな誠也達を他所に、今まで静観していたシャマルが隆史に近づき、隆史と重なっているあやめに声をかけた。

 

シャマル「あやめさん、隆史くんの体を診察するから、ちょっと離れててもらえるかな?」

 

あやめ「え?あ・・・・・す、すいません!わたくし、たかし様が無事に意識を取り戻してくれたことに喜んで、ついはしたない真似を//////」

 

シャマルに言われて、顔を少し赤くしながら隆史から離れるあやめ。

 

シャマル「本当に隆史くんの事が好きなのね。さて・・・・隆史くん、ちょっと見せてもらうからね。」

 

隆史「え?あ・・・・・」

 

隆史に近づいたシャマルは、隆史の脈やら何やらを見たり、聴診器を当てたりして隆史の体が正常化どうかをチェックし始めた。

そんなシャマルにされるがままになりながらも、自分が見知らぬ部屋に居る事を確認し、少し離れた所に自分のよく知る人物・誠也達がいることに気づいて声をかけた。

 

誠也「俺・・・・一体どうしたんだ?」

 

誠也「先輩は戦いが終わった後、初めての戦闘での疲労と、変身する前に受けた魔化魍の傷、響鬼になった反動などで意識を失ったんです。」

 

隆史「い、意識を?!一体どれくらい失ってたんだ?」

 

シャマルのチェックが終わり、「異常無し」と言われた隆史は自分が意識を失った事を知り、どれくらい失っていたのかを誠也達に聞いて見た。

 

誠也「丸一日です。」

 

隆史「丸一日!?そんなに寝てたのか?!」

 

誠也「ええ、でも治療術士であるシャマルが診て「異常無し」と言ったんで、体は大丈夫なはずですよ。」

 

隆史「そ、そっか。よかった。」

 

誠也の「体に異常は無い」と言う言葉を聞いて、胸をなでおろす隆史。その側で、あやめもまた隆史の「体に異常は無い」と言う言葉を聞いて、同じようにして胸をなでおろしていた。

 

隆史「しかし、たった一回の戦闘で倒れるなんて、われながら情けないな~。これから先思いやられるよ。」

 

誠也「えっ?これから先って・・・・先輩、これからも響鬼として戦うつもりなんですか?!」

 

隆史の「これから先~」の言葉を聞いて、誠也は驚き、隆史に聞き返した。

 

隆史「もちろんそのつもりだけど?」

 

隆史の一言を聞いて、驚きの声をあげる誠也。そんな誠也に対して、隆史はさも当たり前だというような感じで言った。

 

隆史「響鬼に変身する前に、カナリヤから変身したら「誠也達と同じ用にあの魔化魍を送り出した組織「財団X」との戦いに身を投じることとなる」って言われたからな。それに・・・またいつ、あの魔化魍とか言う化物があやめさんを攫い来るかもしれないしな。」

 

あやめ「そ、そんな!危険です!そんな危険な事をなさっては、また今日みたいに倒れてしまします!それに、もし・・・・たかし様の身に何かあったら、わたくし・・・・わたくし・・・・・」

 

隆史の戦う宣言を聞き、心配になったあやめは声を張り上げた後、まるで泣きそうな声を出した後、黙ってしまった。

 

隆史「・・・・あやめさん、心配してくれてありがとう。でも・・・俺は、あやめさんを俺自身の手で守りたいんだ。」

 

あやめ「わたくしを・・・守る?」

 

隆史「うん。いま、あやめさんを一番側で守ってあげられるのは俺なんだと思う。これは、“俺にしかできな事”なんだ。」

 

誠也「「俺にしかできない事」?」

 

隆史「ああ。」

 

オウム返しで聞いてきた誠也に対して、隆史は決意に満ちた声で答えた。それは・・・「たとえ、あやめが本当に思っている人物が隆史の祖父で、あやめは自分を祖父だと勘違いしていて、あやめの思いは自分ではなく祖父の物だとしても、今のあやめを守ることが出来るのは自分だけ・・・・そう、死んで居なくなった祖父にはできない、自分だけしかできないことなのだ!」と答えた。

 

隆史「だから、俺はこれからもあやめさんを・・・・守っていきたいんだ!」

 

誠也・霞「「先輩・・・」」

 

悠菜「隆史・・・」

 

隆史の決意に満ちた言葉を聞き、感動する誠也達。

 

あやめ「たかし様・・・・そこまでわたくしの事を思ってくださっていたのですね。あやめは・・・あやめは・・・・果報者です。」

 

隆史の宣言聞き、嬉し涙をながしながら感動するあやめ。そんなあやめを見て、「うわ~!泣かないであやめさん!」とワタワタする隆史。

 

そんな二人を微笑ましく見守る誠也達。

 

誠也「じゃあ先輩、あやめさんを守るためにも、響鬼としてこれからも俺達と共に戦ってくれると言うことでいいんですね?」

 

隆史の決意を確かめるために、再度確認する誠也。

 

隆史「もちろん、そのつもりだ。」

 

誠也は隆史の決意がどれ程の物かを図るために、隆史の瞳をまっすぐに見た。隆史はその胸の内を探る誠也に対し、その視線を真っ直ぐな決意をした目で返した。

 

誠也「・・・・・・・・・先輩の決意は分かりました。これからもよろしくお願いします。」

 

誠也は隆史の瞳を見ていた視線を外すと、フッと笑って隆史に右手を差し出した。

 

隆史「ああ、こちらからもよろしくだ。」

 

差し出された右手を左手で握り返し、誠也と同じ用にフッと笑って返す隆史。

ここに新たな仮面ライダー、二代目響鬼が誕生した。

 

隆史「さてと、戦うと決めた以上、次の戦闘からは戦闘後気絶しないよう、響鬼の力の反動に耐えられるように体を鍛えないとな。でも、まずは何からすればいいのやら・・・・」

 

「鍛える!」と宣言した隆史ではあったが、鍛えるためにまず何をすれば良いか悩みだした。

 

誠也「その事についてなら既に手は打ってありますよ。」

 

隆史「え?打ってある?」

 

誠也の「手は打ってある」と言う言葉を聞き、頭の上に?マークを浮かべる隆史。

 

誠也「ええ・・・入って来てください!」

 

誠也の部屋の外にまで聞こえるような張り上げた声が響くと、部屋の扉が開けられ、一人の成人男性が入って来た。

 

隆史「あれ?あなたは!」

 

隆史は部屋に入って来た人物を見て驚きの声を上げた。なぜならその人物は、隆史がよく知っている者だったのである。

 

誠也「隆史先輩は既に知ってますよね。同じ鳴海荘に住んでいるからご近所さんですもんね。」

 

隆史「ああ、財津原 蔵王丸(ざいつはら ざおうまる)さん、自分の事を斬鬼と呼ぶように言ってくる、俺の部屋の隣の隣である103号室に住んでいる人だよ。」

 

部屋に入って来た自分と同じアパートの住人に困惑する隆史。そんな隆史を他所に、部屋に入って来た財津原 蔵王丸こと斬鬼は隆史に声をかけた。

 

斬鬼「よう隆史。まさかお前が鬼として俺の元に弟子入りする事になるとは思わなかったぞ。」

 

隆史「えっ!弟子?!」

 

斬鬼の弟子と言う言葉を聞き、驚きの声をあげる隆史。

 

誠也「そう弟子。斬鬼さんはこれでも響鬼の世界のライダーである戦鬼だったんだ。もっとも今、変身用のアイテムが無いから変身できないんだけどね。」

 

隆史「も、元鬼だったって事?」

 

誠也「うん。この人ほど鬼になる為の修行を付けてもらうのに適した人は居ないでしょう?」

 

隆史「まあ・・・・確かに。よ、よろしくお願いします。」

 

斬鬼「おう!これからはビシビシ鍛えていくから覚悟しろよ。」

 

そう言って目の前の隆史に対して手を差し出す斬鬼

 

隆史「は、はい。お、お手やらわかに(^_^;)」

 

若干不安そうな声で答えながら、隆史は斬鬼の手を取り、握手した。

この日、新たな鬼の師弟が誕生した。

 

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

財津原 蔵王丸(ざいつはら ざおうまる)(斬鬼) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー響鬼))

 

リドウ・ゼク・ルギエヴィート (テイルズオブエクシリア2)

 

柳田邦夫(やなぎだくにお)(オリジナル)

 



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第33話 幽霊の少女と響鬼の少年~エピローグ~

どうも、剣 流星です。
祝・第3次スーパーロボット大戦z天獄編発売日決定!!

ついにzシリーズ最新作の天獄編の発売が決まりました。しかも初回特典で蓮獄編がついてくると言うすごさ!!ただ、残念なのは、参戦作品の中にエウレカAOとZZ、マブラブが入ってなかったのが非常に悔やまれます。でも!それを埋めてもあまりあるトップ2とガルガンディアの参戦の驚き!とても楽しみです。
あ、それと今回から、終わりに不定期で「おまけコーナー」を設けました。よかったら読んでください。
では第33話をどうぞ!


誠也「・・・・・・・と言うことがあって、隆史先輩は響鬼となり、あやめさんは隆史先輩の部屋に居候することになったんだ。」

 

鳴海荘の隆史とあやめが住んでいる101号室で、誠也から語られる隆史とあやめの長い話がようやく終わりを迎えた。

今現在、部屋の中に居るメンツは、話しを聞いていた霞や圭介を筆頭に、話の登場人物であるあやめ、皆神村から連れてきた翔子や銀子、さくや、孝介と魔女である寧子や佳奈、小鳥、かなで、千絵、部屋に来る前に気絶して運ばれて、途中で意識を取り戻したカズミ。そして寧子達に協力している良太と、実に15名の大人数が居座っていた。

 

カズミ「・・・・経緯は大体わかったんやけど、そのあやめさんがなんでこの鳴海荘の管理人に?」

 

カズミは誠也の話の中に、あやめが鳴海荘の管理人になった経緯が入っていなかったので、その事について誠也に聞いてきた。

 

あやめ「あ、それはですね、わたくしがやらせてもらえるようにお願いしたんです。」

 

銀子「え?誠也くんにお願いした!?」

 

あやめの言葉を聞いて、生前あやめが引っ込み思案だった事を思い出した銀子が驚いたような声を出した。

 

あやめ「ええ。わたくし、この本を呼んでアパートの美人管理人をやってみたくなったんです♪」

 

銀子「この本?」

 

あやめ「はい、これです♪」

 

あやめは嬉しそうな顔をしながら、ポルターガイスト現象の力を使って、部屋の中の本棚から一冊の本を取り出した。

 

銀子「え~っと・・・・・・・・この本なの(^_^;)」

 

あやめがポルターガイスト現象の力を使って、自分の手のひらの上にふわふわと浮かばせて差し出した一冊の本。それは漫画本で、未亡人のアパートの美人管理人と、アパートの住人との恋を描いた伝説のラブコメ作品、め○ん一刻が差し出されていた。

 

あやめ「はい♪この作品の管理人さんみたいな管理人になりたいな~って思って、そこでちょうど鳴海荘の管理人を探していた誠也様に頼んで、ここの管理人をさせてもらったんです♪」

 

本を抱きしめながら、嬉しそうに語るあやめ。

 

銀子「な、なるほどね~。(この本の主人公とヒロインの立場が、あやめちゃん達の今の立場に微妙に被っているように感じるんだけどな~(^_^;)」

 

あやめの言葉を聞きながら、「立場被ってる!」と心の中で思う銀子。そんな銀子を他所にあやめに尋ねることがあるため、誠也はあやめに声をかけた。

 

誠也「あ、そうだ。あやめさん、田中先輩はどうしたんです?出かけているんですか?」

 

誠也は来た時には既に居なかった、この部屋の主である隆史をあやめに聞いてみた。

 

あやめ「あ、たかし様でしたら斬鬼様と一緒に走り込みに行っていますから、そろそろ「じぇえええええええろぉおおおおおおおおにぃいいいいいいいいもぉおおおおおおおおおおおおおおっ!」っと、噂をすれば・・・戻ってきたみたいです。」

 

部屋の外から聞こえてくる隆史の声を聞いて、あやめは隆史が走り込みから帰って来たと悟り、一旦台所へと行くと、台所にある冷蔵庫からスポーツ飲料水の入ったペットボトルを取り出し、それを持って部屋の外へと出るために玄関へと向かった。

 

良太「な、なんだ?さっきの叫び声?尋常じゃない感じの声だったぞ(^_^;)」

 

カズミ「せやな、まるで叫び声の様な、悲鳴のような・・・そんな感じの声やったな(^_^;)」

 

先ほどの隆史の物と思わしき、悲鳴のような叫び声を聞いて、叫び声の理由を知らない亮太達は困惑した。そんな亮太たちとは別に、叫び声の理由を知っている誠也達はその声を聞いて、気の毒そうな顔をした。

 

誠也「・・・・どうやら、今日の訓練も尋常じゃなかったみたいだな(^_^;)」

 

圭介「斬鬼さん、修行に関しては本当に容赦しないからな(^_^;)」

 

霞「と、とにかく、私達も外に出よう?」

 

誠也「そ、そうだな。」

 

霞の一言で外へと出る誠也達。靴を履き、玄関を出て、鳴海荘の表に出た誠也達は、通りから鳴海荘の敷地内に入ってくる入り口から見えてくる異常な光景を見て、その動きを止めて居た。

 

隆史「じぇえええええええろぉおおおおおおおおおにぃいいいいいいいいいもぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

斬鬼「ハイヨー!新弟子一号!!」

 

小鳥「・・・な、なんなんです・・・コレ?」

 

外に出た誠也達が目にした物、それはどこぞの史上最強の弟子のように、必死の形相をした隆史が、鉛入りの道着を着た姿で、斬鬼が上に座っている古タイヤを使ってタイヤ引きをしている姿だった。

 

良太「・・・何だアレ?」

 

困惑した表情で、良太達はこちらに走ってくる”アレ”に関して誠也に聞いてみた。

 

誠也「何って・・・・・ただのタイヤ引き?」

 

良太「なんで疑問形?!大体アレは”ただの”とは言わないと思うぞ!?て言うか、後ろからムチで叩いているし(^_^;)」

 

誠也「ま、まあ~確かに・・・これは”ただの”は付きませんよね(^_^;)」

 

斬鬼「ドードー、止まれ!新弟子一号!」

 

呆れ顔をする良太達の前に、馬を落ち着かせるみたいに「デードー」と言って止まる斬鬼と隆史。

 

斬鬼「よし!今日の訓練はここまで!脱水症状にならないように、水分補給をしっかりして、ちゃんと休むんだぞ!」

 

隆史「は・・・・はい・・・・・・あ、ありがとうございました~・・・・・・(バタン!)」

 

斬鬼が訓練終了を宣言すると共に、真っ白になって口から魂を吐きながらバタン!と倒れる隆史。そんな隆史を他所に、隆史をしごいていた斬鬼は、鳴海荘前に集まっていた誠也達に気づき声をかけてきた。

 

斬鬼「おう、誠也じゃないか!って・・・・今日はまた随分と大所帯だな。何かあったのか?」

 

斬鬼は誠也の側に大人数で居るかなで達に視線を向け、何事なのだと聞いてきた。

 

誠也「ええ。ライダー関係の事で保護したこの娘達5人に住まいを提供してあげようと思って、それで鳴海荘(ここ)に連れて来たんです。」

 

斬鬼にかなで、寧子、佳奈、小鳥、千絵を紹介する誠也。

 

斬鬼「成るほど、つまり新しい鳴海荘の住人ってわけだ。103号室に住んでいる、財津原 蔵王丸(ざいつはら ざおうまる)こと斬鬼だ。斬鬼と呼んでくれ。」

 

かなで「あ、どうも。かなでと言います。」

 

しどろもどろになりながら、自己紹介をするかなでとそれに続く用に寧子達も自己紹介をした。

 

かなで「ね、ねえ・・・誠也くん、所で・・・さっきから倒れたままのこの人、大丈夫なの?って言うか、生きてるの?」

 

今だ倒れたままで、真っ白になって口から魂が出ている隆史のことの方が気になっていたかなでは、大丈夫なのかと誠也に聞いた。

 

誠也「大丈夫大丈夫、いつものことだから。あやめさん、いつものお願いね。」

 

あやめ「はい。」

 

かなでの質問に対して「いつもの事」だと答えた誠也は、側に居たあやめに「いつもの」と言って声をかけた。

あやめは倒れた隆史に近づくと、手馴れた手つきで隆史の口から出ている魂をおもむろに掴み、その魂を口の中に無理やり押し込めた。

 

あやめ「はい、たかし様!魂しまって!!(ズボッ!)」

 

隆史「う、う~ん・・・・はっ!俺、また魂抜けてた?」

 

あやめ「はい、しっかりと。」

 

意識を取り戻した隆史に、手に持っているペットボトルに入ったスポーツドリンクを差し出しながら、隆史の質問に答えるあやめ。

 

銀子「え~と・・・・なんだか一連の動作が手馴れた感じがするね(^_^;)」

 

銀子はあやめが行った隆史の魂を引っ掴んで、強引に隆史の口にねじ込む動作が手馴れていた事を指摘した。

 

あやめ「一ヶ月以上、ほぼ毎日このような事をしていれば、いい加減なれます。」

 

銀子「た、たくましくなったね(^_^;)」

 

銀子が知っている生前のあやめだったら、今の隆史の姿を見れば狼狽えまくると思っていたため、今のあやめを見て、感心したような、呆れた様な複雑な顔をした。

 

隆史「ングング・・・・・・ぷはっ!・・・・あ~生き返った。あれ?誠也、来てたのかって・・・なんだ、ずいぶん大人数で来ているな。」

 

誠也の周りに居るかなで達を見て、少し驚いた声で言う隆史。そんな隆史にかなで達を紹介する誠也。

 

隆史「成るほどね。じゃあこの娘達5人はしばらくは鳴海荘に住むことになるんだな。で、部屋割りはどうするんだ?」

 

誠也「いくら部屋が余っているからって、流石に一人1部屋は無理だから、二人1組になって住んでもらうよ。体が動かない佳奈もいることだしね。」

 

寧子「二人で1部屋か・・・私には異論はないわ。佳奈ちゃんの面倒を見てあげなきゃいけないしね。」

 

誠也「じゃあ、寧子さんは佳奈と一緒の部屋って事で良いね。じゃあ後の組み合わせは・・・」

 

小鳥「あ、私は千絵ちゃんと一緒でいいですよ。今ままでも千絵ちゃんと一緒だったから。いいでしょう、千絵ちゃん。」

 

カズミ「それがええな。下手に寧子や佳奈を千絵と一緒にしたら、いつ千絵の病気が出て、二人が餌食になるか・・・やっぱ千絵と一緒に居られるのは今まで千絵と一緒に居て無事でいられた小鳥が適任やな。」

 

誠也「え?病気?千絵さんは病気持ちなの?」

 

カズミの口からでた病気と言う言葉に反応して誠也カズミにその事を訪ねた。

 

カズミ「まあな。アレはある意味病気やな。あ、でも誠也が考えているようなヤツじゃ無いから安心しいや。」

 

誠也「?」

 

カズミ「まあ、感染る心配は無いから安心しいや。別の意味での感染る可能性は有るけど、誠也が考えることじゃあらへんから。それよりもその部屋割りだと、かなでが一人で1部屋ってことにならへん?」

 

小鳥「あ、そうなりますね。ちょっとズルいですね。」

 

かなで「ズルいって・・・しょうがないでしょう。奇数なんだから、二人1組に分けるんなら、どうしても一人あぶれるんだから。」

 

小鳥「でも~」

 

かなでが一人で1部屋に住むのが若干羨ましいのか、若干不満そうな顔をする小鳥。

 

銀子「じゃあ、私がかなでちゃんと一緒に住んであげれば、問題ないわね。」

 

誠也「へっ?」

 

突然の銀子の提案に驚く誠也。

 

翔子「ぎ、銀ちゃん、どう言う事?かなでちゃんと一緒に住むって・・・まさか銀ちゃん、村を出るの?」

 

孝介「えっ!ホントですか?!」

 

銀子の言葉を聞いて、少し悲しそうな顔をする翔子と驚いた顔をする孝介。

 

銀子「うん。前々から考えていたんだ。こうちゃん達には話していたと思うけど、私が追っている羽衣の欠けら。あれね、村の外にも結構出て行ってるの。今追っている山童を倒したら、村の外に出て行った羽衣を回収するために村を出ようとは思っていたの。それに・・・・前にたまちゃんとひめちゃんと一緒に間引きしたエセ白狐が、そろそろ数を揃えて再び活動し出す頃だしね。」

 

誠也「ん?エセ白狐?」

 

銀子「あ、何でもない何でもない。こっちの事。」

 

誠也の疑問に「何でもない何でもない」と手を振って誤魔化すように言う銀子。

 

誠也「と、兎に角。部屋組は寧子さんと佳奈、小鳥さんと千絵さん、かなでと銀子さんでいいですね。」

 

寧子「ええ、それで良いわ」

 

誠也「かなでは?銀子さんと相部屋で良い?」

 

かなで「銀子さんが良いなら私は良いわよ。」

 

 

かなでは銀子の方を見ながら誠也の質問に答えた。

 

 

銀子「私もかなでちゃんが良いなら。」

 

誠也「じゃあこの組み合わせで。」

 

銀子「よろしくね。かなでちゃん♪」

 

 

かなでに対して手を差し出す銀子。

 

 

かなで「あ、はい。よろしくお願いします。」

 

 

かなではその手を取り握手をした。

 

 

圭介「さて、部屋割りは決まったな。それで?引越しの作業はどうする?今日から早速するか?」

 

誠也「いや、明日からにしよう。なんだかんだ言って、結構話し込んで、結構時間が立っているからな。かなで達は昨日と同じ用に、ラボに泊まってもらって、明日から作業をしよう。」

 

斬鬼「引越しか・・・人手がいるだろう。俺も手伝ってやるぞ。」

 

孝介「あ、俺も手伝うよ。」

 

圭介「俺も、夏休みだし。時間は余ってるからな。」

 

霞「あ、私も。」

 

かなで「あ、ありがとうございます。」

 

手伝うと言ってくれた霞達に対し、礼を言うかなで。

 

翔子「私も手伝いたいけど。まだ学校有るから・・」

 

さくや「私もです。手伝いたいのですが・・・・すいません。」

 

かなで「あ、いいんですよ。気にしないでください。」

 

手伝えないことを気にして頭を下げる翔子とさくやに対し、気にしないでと言うかなで。

 

誠也「じゃあ明日、午前中の涼しい時間帯の間に済ませておきたいから、集合は7時頃で。」

 

孝介達『はい!(了解!)』

 

誠也の声に明日、引越しを手伝う人達が声を揃えて返事をする。そんな中、一人ずっと考え込んだ顔で、殆ど会話に加わらなかった良太が誠也に声をかけた。

 

良太「・・・なあ、誠也。頼みがある。」

 

誠也「え?なんです村上先輩。」

 

良太「俺に・・・仮面ライダーの装着者としての素質があるのか調べて欲しいんだ。」

 

誠也「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白いタイルが床、壁、天井にびっしりと敷き詰められた、まるで手術室の様な場所。

その部屋の中に、体中の至る所が裂け、血を流している一人の少女がいた。

ここは財団X傘下の研究機関・ヴィンガルフの研究所の一室である。その部屋にいる少女は黒羽寧子らと共に一度は研究所から脱出したが、再度捉えられたヴィンガルフの魔法使いの少女であった。

少女は捉えられた後、この場所に放り込まれ、鎮死剤が切れるギリギリまで放って置かれていた。

既に彼女は鎮死剤切れが近づいているためその症状である体が裂けて、血が流れ出ると言う症状が出ていて、もう少しすれば内蔵やいたる所が溶け始めるではじめる所まで来ていた。

内蔵が溶ける・・・・そうなれば、いくら鎮死剤を手に入れても手遅れになってしまうと少女は思い、自分に一歩一歩近づく死の足音に身を震わせていた。

 

ガシャ!

 

突然部屋の入り口が開くと、そこから一人の男が出てきた。研究所の所長である九 千怜(いちじく ちさと)でる。

 

九「・・・そろそろ薬が切れる頃だな。どうだ、他の魔女達の居場所を吐く気になったか?もし言ったなら薬をくれてやる」

 

少女「・・・・・・・・・話したら・・・本当に薬をくれるの?」

 

九「・・・ああ、もちろんだ。」

 

少女「・・・居場所を知っているのは3人、カズミにネットの操作を頼んで学校に行っている子までいる。場所は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・よ。」

 

九「成るほど、分かった。」

 

 

一言しゃべると、九は目の前の少女など、まるで見えていないかのように、黙ってその場を立ち去ろうとした。

 

 

少女「ま、待って!じゃべったんだから薬を!あと少ししたら内蔵も溶け出して、薬を飲んでも間に合わなくなるの!お願い!薬を!!」

 

 

必死に九を呼び止めようとする少女だったが、九はまるで聞こえていないかのように部屋の入口へと歩いていく。

 

 

少女「薬!薬を!!「失敗作であるお前に薬などやるわけないだろう。そのまま崩れていけ」ってえ?・・・・・あ・・・・・・・」

 

九の言葉を聞き、その言葉が理解できないのか、少女はその動きを止めた。やがて九が言った言葉が理解できたのか徐々にその顔が絶望へと染まって行き、泣き叫び始めた。

 

 

少女「い、いやああああああああああああああああああああああああああっ!!死にたくない!死にたくない!!死にたくないいいいいいいいいいっ!!!」

 

 

少女の叫び声を背後から聞きながらその場を後にしようとする九。その時、部屋に一人の人物が入って来た。その人物は紅い髪で、顔には目元を追おう白い仮面を付け、白いスーツに身を包んだ10代後半の男だった。

 

 

九「?!お前は!!」

 

 

九はこの男を見て、驚きの顔をしたが、そんな九など眼中にないと言う感じで、男は九の横を通り過ぎると、部屋の中心で泣き叫んでいる少女の元へと歩み寄った。男は少女と目線を合わせるようにしゃがみ、懐から一錠の薬を取り出して差し出した。

 

 

男「さあ、鎮死剤だ。」

 

少女「え?」

 

 

泣き叫んでいた少女は突然差し出された鎮死剤を見て驚くと、鎮死剤を差し出した男と鎮死剤を交互に数回見た。そんな少女に対して、男は優しそうな顔を向けた。

そんな男の顔を見た少女は、その笑顔に安心したのか、差し出された薬を手に取りそれを口にして飲んだ。

やがて薬が効いてきたのか、全身の裂けた傷口は塞がり、少女の体は何事もなかったかのような状態に回復した。

 

 

少女「あ、あの・・・・・ありがとう。」

 

 

少女は自分に薬をくれた男にお礼を言った。

 

男はその言葉を聞くと、優しく微笑み、少女の頭を優しく撫でた。

 

 

男「君、名前は?」

 

少女「え?あ・・・・・チャトゥー」

 

男「チャトゥーか、良い名前だ。」

 

チャトゥー「え?あ・・・・」

 

 

チャトゥーと名乗った少女は名乗った後、突然男に抱き抱えられた。いわゆるお姫様だっこである。

 

 

チャトゥー「え、あ、あの・・・・」

 

 

どつ前抱きかかえられて困惑するチャトゥー。そんなチャトゥーに男は優しく微笑みながら語りかけた。

 

 

男「心配しないで。大丈夫、君の身柄は僕が保護するよ。」

 

チャトゥー「保護?」

 

 

突然「保護する」と言われても、その意味が分からず、チャトゥーは困惑する。だがそんなチャトゥーの耳に怒気を含んだ九の声が聞こえてきた。

 

 

九「・・・・・いきなり来て、勝手な事をしないでもらえませんでしょうかね。財団X副総帥の直轄部隊、親衛隊隊長のリュート・N・バクー殿。」

 

 

いつの間に呼んだのか、後ろに数人の黒服の男を従えた九が睨みつける。その九の睨みつける視線に恐怖し、リュートに抱きかかえられていたチャトゥーは身を竦ませ、リュートに身を寄せた。

 

 

九「・・・・拘束しろ。」

 

 

冷ややかな声で黒服の男達に命令する九。

九の命令を受けて、チャトゥーを抱きかかえたリュートに迫る黒服の男。だが黒服の男達はリュート達を拘束することはできなかった。

 

 

電子音声『チェイン!ナウ!』

 

 

突然鳴り響いいた電子音声の後、突然黒服の男と九は足元に現れた魔法陣から発生られた魔力の鎖により、動きを封じられた。

 

 

九「こ、これは?」

 

 

驚きにそまる九の顔。そんな九の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

???「リュート様に汚い手で触れるな!」

 

???「全員、そのまま動かないで!」

 

九「?!お前は!スカジ!!」

 

 

聞こえてきた二重類の声。その声のした方を向いた九は、声の主の一人を見て驚愕した。

声の主、それは白いセーラー服を身に纏い、腰に手のひら型のバックルのついたベルトをし、手に光っているウィザードリングを身につけた・・・かつてこの研究所にいた魔女の一人であるスカジこと瑞花が、同じような格好をした金髪の長い髪をした少女と一緒にいたのである。

 

 

???「チェインの魔法、ちゃんと使いこなしているみたいね。」

 

 

長い金髪の少女は、瑞花が発したチェインの魔法を見て、「問題無い」といった感じで自分の隣にいる瑞花に声をかけた。

 

 

瑞花「当然ですよ、シャンハイさん。魔法を身につけてから、毎日魔法の練習しるんですから。今じゃ基本的な魔法は殆ど使いこなしていますよ。」

 

 

話しかけられた、シャンハイと名乗る金髪の少女に対して自慢げな顔をして言う瑞花

 

 

九「・・・スカジ、この力はなんだ!お前の持っていた能力は「未来予知」のはず!こんな相手を拘束する能力は持っていなかったはずだ!」

 

 

九は瑞花が発した拘束魔法を見て疑問に思い叫んだ。

 

 

シャンハイ「彼女はリュート様にこの施設から連れ出してもらった後、自分の中のドラシルを完全に抑えて制御する処置をリュート様にしてもらい、「指輪の魔法使い」として生まれ変わったのよ。」

 

 

九「な・・・なに?!ドラシルの完全制御だと?!」

 

 

瑞花にシャンハイと呼ばれた金髪の少女の言葉を聞き、驚愕した表情で瑞花を見る九。

 

 

瑞花「今の私は、この隣にいるシャンハイさんが副隊長を務め、リュート様が隊長を務める財団X親衛隊のメンバーの一員よ!」

 

九「お前が・・・親衛隊だと?!」

 

 

九は瑞花の言葉に再度驚きながらも、シャンハイが口にしたドラシルを完全制御する処置をしたと言うリュートの姿を見て唸った。

 

 

九(この男、一体何者なんだ?ドラシルの完全制御をすることができるなんて・・・長年研究してきたヴィンガルフでも今だにそれができていないのに!)

 

 

驚きに染まる九を他所に、リュートはチャトゥーを抱きかかえたまま、悠然と身動きができない九達の横を通り過ぎて行った。

 

 

シャンハイ「その拘束は私達が研究所を出たら自動的に解けるわ。それまで、大人しくしていてくださいね。」

 

そう言ってシャンハイは九達に背を向けて部屋を後にした。

 

 

瑞花「それじゃあ私も行くね。じゃーね、下っ端研究所の所長さん♪あははははは~」

 

 

九を小馬鹿にしたような顔をした後、シャンハイの後を追うように瑞花も部屋を後にした。

 

 

九「(ギリッ!)モルモットの分際で!」

 

 

九は身動きできない体で、瑞花の出て行った入り口を見て睨みつけるようしながら歯ぎしりをしたが、次の瞬間にはいつもの冷静な九と戻っていた。

 

 

九「・・・・まあいい。必要な情報は引き出せたんだ。アイツにはもう用はない。あんな壊れかけのモルモット、欲しければくれてやる。それより、魔女を刺客として送るための許可を取るために、高千穂への謁見をするぞ。許可が下りたらすぐに刺客として放つための準備を、拘束が溶けたらすぐにできるようにしておけ」」

 

 

九は拘束さてれた状態のまま、同じ用に拘束されている黒服の男達に指示を出した。

 

 

 

一方、部屋を出て、研究所の廊下を歩いて出口へと向かうリュートたち。

シャンハイと瑞花に挟まれるようにして、歩くリュートに抱きかかえられたチャトゥーは、困惑しながらも自分がこの先どうなるのかとリュートに聞いた。

 

 

チャトゥー「あ、あの・・・私はどうなるんです?」

 

シャンハイ「大丈夫、リュート様はここの人たちと違って、酷い事はしないわ。だから、安心して。」

 

瑞花「うん、リュート様はとっても優しいから大丈夫だよ♪私だって、元はここの被検体だったんだけど、今じゃドラシルの呪縛から解き放たれて、親衛隊の一員してるんだもん。だから安心して。」

 

チャトゥー「私・・・助かるんですか?」

 

リュート「ああ、もう大丈夫だ。だから、安心して。もうキミを、辛い目には会わせないから。」

 

リュートの優しい声を聞いてチャートは「ああ、自分は助かったんだ」と素直に思った。すると今まで溜め込んでいた物が溢れ出してきて、チャトゥーは泣いた。

 

チャトゥー「う、ううううっ・・・・うわあああああああああああああああああああああああああん!」

 

 

チャゥートは泣いた、まるで小さな子供のように、それは今までの長く辛い生活のなかで溜め込んでいた涙だった。

 

 

瑞花「あらららら、泣いちゃった。よっぽど辛かったんだね。」

 

シャンハイ「そうね、いままで我慢していたでしょうね、よしよし。」

 

 

泣き続けるチャートを見て、よしよしと頭を撫でるシャンハイ。

 

 

リュート「いっぱい泣けばいいさ。気が済むまで。」

 

 

リュートは泣き続けるチャゥートを抱き上げたまま廊下を歩き、そして研究所の出口へと向かう。そんなリュートの背中をある者がジッと見て居た。

 

 

カラス『やれやれ、早速問題を起こしてくれましたか。リュート殿、あまり問題を起こさないでいただきたいですね。あなたがこの世界に来たのは、モルモットを連れ出す事ではなく、ロストロギア・インキュベータを滅する唯一の方法に必要な「マスタージェム」を探し出し、インキュベータを滅し、やつの中にある“アレ”を回収する事なんですからね。頼みますよ、竜王の末裔の片割れ殿。クククッ・・・・』

 

 

小さくなって行くリュートの背中を見ながら、カラスは辺りに怪しい笑い声を響かせた。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

 

???「織姫と♪」

 

???「みたまの♪」

 

二人「「おまけコーナー♪」」

 

織姫「さあ、ついに始まった「おまけコーナー」!このコーナーは本編では説明しきれなかった事の補足やこの作品に出ている原作の作品の説明をして「織姫!織姫!」って、な~に?たまちゃん?」

 

みたま「「何が」じゃないわよ!いきなりこんなコーナーが始まった上に、いきなり現れた新キャラが司会進行をしてせいで、読者さん達がおいてけぼりになってるわよ!」

 

織姫「あっ!そう言えば司会進行をする私達「ひめたま」の事について説明してなかったね。」

 

みたま「そうよ!まったく・・・大体、本編にもまだ出ていないあたし達がいきなり出てきて司会進行するなんて無理があるわよ!流石に読者さんが混乱するでしょう?」

 

織姫「う~ん、確かに・・・でも、本編に出てなくても、名前だけなら本編に出てるわよ?」

 

みたま「え?出てるの?!」

 

織姫「ほら、今回のお話の最後あたりにギンちゃんが私達の名前を言ってたわよ。」

 

みたま「え?・・・・あっ!確かに出てるけど・・・でも、名前がたった1回出ただけで、このコーナーの司会なんかしてもいいのかな(^_^;)」

 

織姫「良いじゃない、いずれは本編にも出る予定だって作者さんも言ってたし、予行練習だとでも思っておけば。」

 

みたま「それもそうだね。じゃあ早速始めるとしましょうか。記念すべき第一回と言う事だから、今回は司会進行をやるあたし達「ひめたま」について説明をするわね。」

 

織姫「まずは私からね。私の名前は「はたがみ織姫」縁結びと機織りの神様だよ♪お家は「足利織姫神社」って所なの♪みんなには七夕の「織姫様」て言った方がわかるよね♪ひめちゃんって呼んでね♡」

 

みたま「そんでもって、あたしは「門田みたま」!悪縁・・・・つまり悪い事から縁を断ち切る神様だよ。お家は「門田稲荷神社」って所。たまちゃんって呼んでもいいわよ。」

 

織姫「私達二人で「ひめたま」って呼ばれています。」

 

みたま「あたし達は足利を元気にするための応援キャラクターとして、人気アニメーターである奥田泰弘先生の手によって生まれたんだ。」

 

織姫「奥田泰弘先生って確か、「リリカルなのは」シリーズのキャラデザインを手がけたことでも有名だよね。」

 

みたま「そうそう。あれ?じゃああたし達って、この作品にも出ている「なのは」達の後輩って事になるのかな?」

 

織姫「仲良くやって行けるといいね♪」

 

みたま「そうだね。じゃあ今回はここまでで。」

 

織姫「私達「ひめたま」の事をもっと詳しく知りたい方は、ホームページ上にオフィシャルページが有るから、そっちを見てみてください。」

 

みたま「それじゃあみんな・・・」

 

二人「「まったね~♪」」

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

チャトゥー(名前はオリジナル)(極黒のブリュンヒルデ)

 

瑞花(極黒のブリュンヒルデ)

 

リュート(オリジナル)

 

シャンハイ(???)

 

はたがみ織姫(おりひめ)(ひめたま)

 

門田(かどた)みたま(ひめたま)

 

 

 

 

 

 




今年の更新はこれでおしまいです。
話のストックも切れたので、年明けからの投稿はある程度ストックが出来てからになります。楽しみにしている方、申し訳あるません。
なるべく早く投稿できるようにしますので、もうしばらくお待ちください。
では皆様、良いお年を!


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人物紹介3

どうも、あけましておめでとうございます。
今年初めの投稿は人物紹介3です。
次の話を期待していた方、ごめんなさい!
次話の投稿は来月まで伸びそうなので、もう少しお待ちください。



田中隆史(たなかたかし)

 

原作(まぼろし月夜)

 

 

白城学園の高等部の3年生で、誠也の姉である悠菜のクラスメイト。両親が海外赴任中で、今現在は誠也の経営する鳴海荘の一室に住んでいる。ふとしたキッカケから、曽祖父の恋人の幽霊のあやめと同居することになる。あやめが魔化魍に襲われて、助けるために仮面ライダー響鬼となって戦い、以後響鬼として戦うことになるが、鬼としての力を完全に引き出すには未熟だと判明し、同じアパートに住んでいる斬鬼に鬼としての修行を付けてもらうようになった。あやめの事が気になっているため、あやめが自分を曽祖父だと思て居る事を非常に歯がゆく思っている。

 

 

 

 

 

朝霧(あさぎり)あやめ

 

原作(まぼろし月夜)

 

明治生まれの大正育ちで、現幽霊の少女であるが、本人には幽霊の自覚はない。生前は名家であり、誠也の母の実家である乃木坂家と親戚関係であった朝霧家の令嬢だった。かつて田中隆史の曽祖父と身分違いの恋に落ちるが、不運にも震災で命を落してしまう。だが曽祖父を思う気持ちがあまりにも強かったため、幽霊となってしまった。偶然出会った隆史を曽祖父だと思い込んでいる。古風でおっとり、ちょっぴり天然ボケの所がある。実は生前、銀子と友人関係であり、幽霊として再開してからも友人として良好な関係を続けている。漫画本の「め○ん一刻」を呼んで、アパートの管理人をやりたいと思い、誠也から鳴海荘の管理人を任されている。

 

 

 

 

財津原 蔵王丸(ざいつはら ざおうまる)(斬鬼) 

 

原作(仮面ライダー響鬼)

 

誠也がかつて異世界を巡った時に行った響鬼の世界のライダーだった人物。響鬼の世界で死んだはずであったが、木場勇治と同じようにアルコルに助けられて、誠也達の世界に送られる。誠也が経営する鳴海荘の103号室に住んでいて、隆史とは顔見知りだったが、誠也に「鬼としての特訓を付けてやって欲しい」と頼まれ、今現在は隆史の鬼の師として隆史を鍛え上げている。ライダー関係の事件の対策組織を起こそうとしている誠也の祖父である乃木坂王季に、組織のメンバーになるよう頼まれており、今現在はその組織設立のための活動を手伝っている。

 

 

 

 

 

 

リュート・N・バクー

 

原作(オリジナル)

 

財団Xの総帥であるエーデル・B・バクーの義理の息子であり、副総帥であるリューイ・バクーの義弟でもあり、副総帥直轄の親衛隊の隊長でもある。ウィザードの世界の「白い魔法使い」のドライバーを持ち、誠也と同じようにウィザードリングを使いこなし、白い魔法使いの姿になる力を持つ。白い仮面をいつも顔に付けているが、なぜそれを付けているのかの理由は、家族であるエーデルとリューイ、親衛隊の副隊長を務めているシャンハイしか知らない。

 

 

 

 

 

シャンハイ

 

原作(???)

 

財団Xの親衛隊の副隊長を務める、長い金髪の少女。過去の記憶が無く、荒廃世界をさまよっていた所をリュートに保護され、以後、彼に付き従っている。記憶喪失のせいで、自分の名前も思い出せなく、彼女の唯一の持ち物であった人形の服に刺繍で「上海」とあったため、シャンハイと名乗っている。リュートから白い魔法使いのドライバーを渡されており、それを使って仮面ライダー・メイジへと変身する。自分を拾ってくれたリュートを何よりも大切に思っている。

 

 

 

 

 

瑞花

 

原作(極黒のブリュンヒルデ)

 

かつて財団X傘下の研究機関・ヴィンガルフの実験体であったが、たまたま視察に来ていたリュートに研究から連れ出される。シャンハイと同じ、白い魔法使いのドライバーを使って仮面ライダー・メイジへと変身し親衛隊の一員として活動している。リュートにドラシルを完全制御する為の処置を施されるが、処置の方法がまだ甘かったため、魔女の時の能力である完全予知の能力を失っている。助けてもらったリュートの事を強く尊敬し、神聖視しており、魔法を教えてくれた師でもあるシャンハイを尊敬している。

 

 

 

 

 

はたがみ織姫

 

原作(ひめたま)

 

栃木県にある織姫神社の縁結びの神様で、本来は天八千々姫命(アメノヤチチヒメノミコト)と言う。お料理と裁縫が大好きで、同じ市内にある神社の神様であり、親友の「みたま」のご飯を作ったり、服を縫ったりしている。「みたま」の事が大好きで、古くからの友人である銀子に「たまコン」と言われているぐらい「みたま」の事が大好きで、「みたま」の事を話すとマシンガンのように「みたま」の事をしゃべり続けると言う。守谷神社の神である八坂神奈子(やさかかなこ)洩矢諏訪子(もりやすわこ)とも友人関係でもある。

 

 

 

 

 

門田みたま

 

原作(ひめたま)

 

栃木県にある日本三大縁切り神社である門田稲荷神社の悪縁切りの神様である。織姫神社の神である「織姫」とは親友であるが、恥ずかしがり屋なために、それを正面切って言えない性格。シロ吉と言う白狐を筆頭に、多くの白狐をお供として置いているが、そのせいで食費がかさみ、働いても働いても一向に貧乏のまま。その事にいつも悩んでいる。織姫の作った「いなり寿司」が好物。銀子とは織姫と同様、昔からの知り合いで、時たま会っている。また織姫と同様、守谷神社の神である八坂神奈子(やさかかなこ)洩矢諏訪子(もりやすわこ)とも友人関係でもあると言う。

 

 

 

 

 

 

 

 



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外伝2 異世界の旅編①エミルクロニクルオンラインの世界

どうも、剣 流星です。
遅くなってすいません。外伝とは言え、一話を書き上げることができました。
リアルが忙しく、少しずつしか書く事ができなくて、更新がこんなに遅くなってしまいました。

では、外伝2をどうぞ



この話は、誠也とはやてが、仮面ライダー・ディケイドこと門矢士の異世界を巡る旅に付いて行き、異世界を旅した時の1ページである。

 

 

 

 

 

門矢士達一行が異世界を巡る拠点として使用している光写真館。この写真館は一つの世界での役割を終え、今まさに、次の異世界へと旅立とうとしていた。だが・・・・・

 

夏海「もぐもぐ・・・う~ん♪”グル樹の実”、美味し~♪」

 

栄次郎「この“ホネナシサンマ”も美味しいね~♪」

 

はやて「この焼きたての“モアイモ”、めっちゃ美味いわ~♪」

 

キバーラ『こっちの“フグ鯨のお刺身”も良いわよ~♪』

 

士「“虹の実”、相変わらず美味いな♪」

 

彼らはお土産用に持たされたこの世界・トリコの世界特有の食材を食べるのに夢中になって、今だに旅立とうとしてなかった・・・・・

 

誠也「・・・・皆さん、いい加減食べるのをやめて、旅立ちましょうよ(^_^;)って言うか、夏海さん!そっちの方のグルメケースに保存して置いてある卵や種は食べないでください!それは僕が元の世界に戻ったら、養殖、栽培をするためにグルメ研究所からもらったサンプルなんですから!まったく・・・皆さん、本当にこの世界を存分に満喫してますね」

 

お土産の食材を片っ端から食べる士達に対して注意した後、呆れた様な顔をする誠也。

 

夏海「それを言うなら誠也くんだって充分満喫してるじゃない。」

 

はやて「せや。と言うか誠也くんは私達以上に満喫してるやないか。」

 

車椅子に座ったはやてが、手に持った「モアイモ」を食べるのをやめて誠也を指摘した。

 

誠也「へ?僕が?」

 

はやて「せや。現にさっきまで、二代目メルクさんが、小松さんの包丁を作った時に「ついでに」って、小松さんの弟子の誠也くんの、グルメデパートで購入してメルク包丁をカスタマイズしてくれた物をず~~~と、嬉しそうに見てったやないか。」

 

士「この世界に居る間だけとはいえ、小松に料理の弟子入りをしたんだ。誠也はもう一端の料理人なんだから、優れた料理道具に目がないのは仕方がないさ」

 

誠也「そう言う士さんだって、この世界に来た当時とは打って変わって、今じゃ立派な美食屋ですよ。」

 

士の言葉に対して嬉しそうな顔で返す誠也。

 

異世界を旅する士は、その世界に入った瞬間、その世界での役割を毎回与えられており、この世界、トリコの世界で士に与えられた役割はIGO傘下の美食屋であった。士はその役目のせいで、IGOからある命令をさせれた。その命令とは「美食屋トリコの手伝い」であり、誠也はその手伝いとして、士に付いて行き、そこで美食屋であるトリコやトリコの相棒の料理人である小松に出会った。

当初、誠也は以前の世界で出会った、アギトの世界の津上 翔一(つがみ しょういち)や、カブトの世界の天道 総司(てんどう そうじ)を見て、「自分も料理をしてみたい」と思い始めたのだが、思うように上達できずに悩んでいた。そんな時、小松と出会い、料理人としての小松の姿勢やその腕を見て、停滞している自分の料理の腕を上げることができるのではと思い、この世界にいる間限定で小松に弟子入りしたのである。

 

キバーラ『しかし・・・趣味とは言え、あの小松くんに弟子入りして、さらにあの食林寺で食義まで習得するんだから、もはや趣味とは言えないレベルよね。』

 

はやて「誠也くんは一度凝ると、とことんまで突き詰めるからな。」

 

栄次郎「本当にすごいね~。さてと・・・・よいしょっと!」

 

誠也の料理の腕の事で話をする光写真館の面々を他所、写真館の主である栄次郎は光写真館の異世界の移動の鍵カギとなる背景ロールを次に移動する世界の物へと変えた。

 

士「これは・・・・」

 

新たに現れた背景ロール。それは天高くそびえる塔の周りに、天使のような羽を持つ人物と黒いコウモリの羽を持った人物、そして冒険者風の人物が描かれているものだった。

 

誠也「これが・・・新しい世界・・・・」

 

はやて「どんな世界なんやろう」

 

士「とにかく、一度外に出よう。」

 

士の声に一斉に頷いた誠也達は、外に出て行く士に続いて写真館の外へと出て行った。

 

士「ここは・・・・・・」

 

写真館の外へと出て行った士達が見た物。それは雲一つない空に、浮遊している土台のような物の上に家が立っている物が複数浮かんでいる空が有り、綺麗に舗装されている道には、無数の露天が開かれていた。街の所々には高度な機械文明によって作られた機械が置かれており、通りに開かれた露天は冒険者風の格好をした人や、帽子を被った熊のヌイグルミのような物、炎を纏った鳥人間のような物が店番をしていた。そしてその露店を腰に剣や銃などをぶら下げた人物や、背中に白い羽を生やした人物、黒いコウモリのような羽としっぽを生やした人物などが覗い回っていると言う、どこかSFとファンタジーが混ざったような風景が広がっていた。

 

士「ここが・・・・次の世界」

 

周りを見回し様子を見る士。

 

誠也「どっかのファンタジー風のRPGに出てきそうな格好の人や、羽の生えた格好の人達が沢山いますね。」

 

夏海「そうね、ハロウィンの仮装パーティーでもやってるのかな?」

 

はやて「さあ・・・・って士さん、その格好?!」

 

士「格好?・・・・?!なんだコレ?!」

 

はやてに言われて、自分の格好を見た士は自分の今の格好に驚く。士の姿は、どこかのファンタジー物のRPGに出てくる冒険者風の格好をしていた。

 

夏海「何・・・その格好?」

 

士「・・・どうやら俺はレンジャーと呼ばれる職業をしている冒険者みたいだ」

 

士は、自分の懐から取り出した、一枚のカードとゴーグルのうち、ゴーグルに刻まれた文字を見て夏海の問いに答えた。

 

はやて「どうやらそのゴーグルは身分証明書の代わりみたいやな。で、そっちのカードにはなんて書かれてるん?」

 

士「このカードは、どうやらアクロポリスと言う所の通行許可書みたいだ。」

 

誠也「つまり士さんは、アクロポリスという所に入れる、レンジャーという職業の人なんですね。」

 

士「そうなるな。さて、まずは状況の確認だな。この街を見てまわろう。」

 

誠也「あ、僕も一緒に行きます。」

 

キバーラ『あ、私も一緒に行くわ。』

 

はやて「あ、じゃあ私も一緒に行くで。見た所、危険もなさそうやし、ええやろう?夏海さん」

 

夏海「そうね・・・・士くんも一緒だし、二人が護身用に、悪魔召喚アプリの入っている携帯を持って行くなら。」

 

はやて「それなら、既に準備して持ってるで。」

 

夏海に向かって「デビルサバイバー2」の世界(命名・誠也)で手に入れた悪魔召喚アプリの入った自分の携帯を見せるはやて。

 

誠也「僕も。」

 

誠也も携帯を差し出して、自分が携帯を持っている事を夏海に示した。

 

夏海「大丈夫みたいね。じゃあ、いってらっしゃい。私はここでおじいちゃんと留守番してるから。士くん、二人をお願いね。」

 

士「ああ、じゃあ行ってくる。」

 

キバーラ『行ってくるわね』

 

誠也「行ってきます。」

 

はやて「行ってくるで。」

 

夏海に見送られながら、誠也は街中へと向かう士の後を追うように、はやての乗る車椅子を押しながら付いて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キバーラ『結構な人が集まっているわね。』

 

はやて「ホンマやな。さすがはこの世界最大の都市なだけはあるな~」

 

誠也「そうだね。」

 

キバーラを膝の上に乗せたはやての座った車椅子を押しながら、誠也は士達と共に歩いていた。

街中を暫く見て回り、この街・アクロポリスの大きさと人の多さに驚く誠也達は、街中を見て回りながら、この世界の情報を仕入れていた。

この世界は、天まで続く塔と言う軌道エレベーターにより、三つの平行世界が繋がってしまった世界で、この街、アクロポリスを中心として成り立っているエミル界は「高度なキカイ文明が戦乱の末滅びた」という歴史を持っていると言う事が分かった。時々街中で見かける機械などはその時代の遺跡から発掘して使えるように直した物で、人々はその恩恵で以前の生活を徐々に取り戻しつつあると言う。また、この世界にはエミル族と呼ばれる人間、タイタニアとよばれる天使のような外見を持った種族、そしてドミニオンと呼ばれる悪魔のような外見の種族を中心に、機械族であるDEMや古き民と呼ばれる種族の5つが共生していると言う事がわかった。

 

はやて「さっきから見かけている天使や悪魔の格好をした人達は、タイタニアやドミニオンの人達やったんやな。ハロウィンのコスプレじゃなかったんやな・・・わたしジロジロ見たりして、あの人たちに失礼事してもうたな(^_^;)」

 

誠也「そうだね(^_^;)」

 

誠也達はこの世界の情報を知るまで、すれ違うタイタニアやドミニオンの人達の姿を、物珍しそうにジロジロ見てしまった事を思い出してバツの悪そうな顔をした。

 

はやて「・・・・所で、今気づいたんやけど、その手に持ってる二つのペンダント、どなしたん?写真館を出たときは、そんな物もってなかはずやけど」

 

はやては、誠也が持っている二つのペンダントに気づき、どうしたのかと聞いた。誠也の持っている2つのペンダント、一つはシルバーの枠に6角形の形のエメラルド色の宝石がはめ込まれたシンプルな物で、もう一つは片方のものより一回り大きいな同じエメラルド色の宝石と、左右に黒と白の羽の装飾が入ったペンダントだった。

 

誠也「双葉と竜輝用の土産に買ったんだよ。黙ってあの世界を出てきちゃったから、今頃二人共心配してるだろうな~と思って、そのお詫びに買ったんだ。後は千早姉さんと悠菜姉さん、京香姉さんにもお土産を探さなきゃな。」

 

はやて「お土産って・・・・この世界のお金なんていつの間に手に入れたんや?

 

誠也「貴金属を売って作ったんだ。ほら、僕がエドさん達の世界・・・「鋼の錬金術」の世界で錬金術の基礎を勉強したのは知ってるだろう。で、錬金術の腕を上げるために錬成陣で石を貴金属に変えて練習してたじゃないか。その時出来た貴金属を売ったんだよ。」

 

はやて「なるほどね。貴金属を売ったお金でペンダントを買ったんやな。それにしても・・・・千早さんや悠菜さん、京香さんは兎も角として、双葉ちゃんにもお土産買ったんやな・・・・・」

 

誠也「うん?そうだけど?」

 

はやて「異世界まで来て双葉ちゃんか・・・・・・・フン!」

 

不機嫌そうな声を出して、誠也に対してそっぽを向くはやて。

 

誠也「ど、どうしたんだよ?急に不機嫌になって何かあっ「おい!誠也!はやて!前!!」って、へ?」

 

突然自分たちに対して大声を出す士の声を聞いて驚く誠也達だったが、突然目の視線が反転して目を回す誠也達

 

はやて・キバーラ「『キャッ!』」

 

互いに話し込んで歩いていた誠也とはやてとキバーラは、前方に段差があることに気がつかずに進み、結果、はやての車椅子の車輪が段差に引っかかり、その振動でキバーラは前方に投げ出されてしまい、はやてはそのキバーラの上に倒れ込んでしまった。

 

はやて「痛たたたた・・・・」

 

前方に投げ出されたはやては、投げ出されて地面にぶつけた部分を片手で抑えながら、もう片方の手を使って上半身を起こした。

 

誠也「はやて!ゴメン、大丈夫?!」

 

地面に投げ出されたはやてに真っ先に近寄ってはやてに声をかける誠也。そして誠也の後に続く用に士も近寄って声をかけようとしたが、士よりも先に、何者かがはやてに声をかけた。

 

???「大丈夫?ケガは無い?」

 

はやて「あ、はい。大丈夫、ちょっと地面に軽くぶつけただけですから。」

 

???「そう、良かった。」

 

はやてに声をかけた人物、メガネをかけた教職員のような格好をした女性は、心配そうな顔ではやてを見ていたが、はやての「大丈夫」と言う言葉を聞いて胸をなでおろした。

 

士「大丈夫か?」

 

女性に少し遅れて、士もはやてに声をかけた。

 

はやて「あ、大丈夫です。ちょっと打ち付けただけですから。」

 

誠也「ゴメン、ホントにゴメン。僕がちゃんと前を見てなかったから・・・」

 

すまなそうな顔をしてはやてに謝る誠也。

 

はやて「私は大丈夫やて。けど・・・・私が上に倒れ込んだせいでキバーラが伸びちゃってる・・・」

 

自分の下敷きになったキバーラを手に取って差し出して見せるはやて。

 

キバーラ「きゅ~~~~~」

 

はやての手の中、そこにははやての下敷きになり、伸びてしまっているキバーラの姿があった。

 

誠也「あ・・・・・・・・ゴメンなキバーラ。」

 

士「これは当分は目を覚まさんな。」

 

誠也の後ろから覗き込むように、はやての差し出したキバーラを見て言う士。

 

はやて「そうやな、それよりも車椅子に座るの手伝ってもらえるやろか?」

 

誠也「あ、うん。じゃあ車椅子持ってくるね。」

 

そう言って誠也は先ほどまではやてが乗っていた車椅子をはやての側に持ってきた。

 

士「さあ、はやて。」

 

はやて「あ、お願いします。」

 

誠也が持ってきた車椅子にはやてを座らせようと抱きかかえようとする士。

 

???「あ、手伝いますね。」

 

士がはやてを抱きかかえ用として、先ほど誠也達に声をかけた女性がそれを手伝うと言って、士の手伝いをし始めた。

 

士「すまない。」

 

はやて「おおきに、ありがとさんです♪」

 

二人の手によって車椅子に座ったはやては、座るのを手伝ってくれた士と女性に笑顔でお礼を言った。

 

士「かまわんさ。」

 

???「別にいいわよ。好きでやったことだから。それにしてもあなた達、さっきから見ていたけど・・・ひょっとしてアクロポリスは初めて?」

 

誠也「え?よ、よくわかりましたね。」

 

???「ごめんなさいね。車椅子の子なんて珍しいから、実はちょっと前からあなた達を見ていたの。物珍しそうに街並みを見ていたから、ひょっとしたらって思ったんだけど・・・当たっていたみたいね。」

 

はやて「あはははは・・・・はずかしわ。まるで「おのぼりさん」丸出しみたいやったみたいやな」

 

誠也「だね。田舎者だよ」

 

士「・・・・・・・・・」

 

女性に言われ少し恥ずかしそうな顔をする誠也とはやてと、自分もそう見られていた事に対して恥かしさを感じ、素知らぬ顔をする士。

 

???「別に恥ずかしくないわよ。それに、私も人の事は言えないの。私もつい最近アクロポリスに引っ越してきたばかりでね。周りを珍しそうに見て回る気持ち、わからなくもないわ。」

 

士「引っ越してきたばかり?」

 

女性の引っ越してきたばかりと言う言葉を聞いた士は、その事に付いて聞き返した。

 

???「ええ、つい一週間程前に。あ、そういえば自己紹介がまだだったわね。私の名前はアミスよ。よろしくね。」

 

誠也「あ、どうも。誠也って言います。よろしくお願いします」

 

はやて「はやてって言います。よろしゅうお願いします。」

 

士「・・・士だ。こいつらの保護者みたいな者だ。」

 

アミス「えっと・・・セイヤちゃんにハヤテちゃん、ツカサさんね、よろしくね。」

 

笑顔で手を差し出すアミスに対して、同じ用に挨拶をして、アミスの差し出した手を取り握手を交わす誠也達。

 

アミス「所でセイヤくん達はアクロポリスを見て回っているみたいだけど、よかったら私が案内してあげようか?一週間とは言え、この街のどこに何があるのかぐらいはちゃんと把握してるから簡単な案内になるけど・・・あ、でも冒険者であるツカサさんが居るからそれも必要ないかな。ごめんなさい、余計なお世話だったわね。」

 

アミスは士の格好が冒険者の格好なので、士が冒険者なら、アクロポリスに来ることが何回もあるだろうと思い、来てまだ一週間の自分が案内するよりは士に案内してもらうほうがいいと思い、余計なことだったかなと思って話を引っ込めようとした。

 

士「いや、ありがたい。俺もアクロポリスに来るのが随分と久しぶりで、どこに何があるのかすっかり忘れているから、案内してもらえるとありがたい。」

 

この世界での自分の役割が冒険者なので、「アクロポリスは初めてだ」と言うことができない士にとって、アミスの提案は非常にありがたかったので、自分がアクロポリスに来るのが久しぶりで、どこに何があるのかすっかり忘れてしまった事にして、アミスに案内してもらおうと考えた。

 

アミス「あ、そうなんですか。なら、まだ至らないとこがあると思いますが、私が案内しますね。」

 

誠也「あ、よろしくお願いしますね。」

 

はやて「よろしくや♪」

 

アミス「ええ。じゃあまずは中央にある大きな建物、ギルド元宮からね。」

 

こうしてアミスの案内によるアクロポリス巡りが始まった。

 

 

アミス「・・・・・それで、向こうにあるのが飛空庭の製造で有名な「トンカ」への飛空庭の定期航路がある所よ。」

 

数十分、アスミの案内でアクロポリスを見て回る誠也達。

 

誠也達は今、アクロポリスの南側にある飛空庭の定期航路がある場所へと来ていた。

 

誠也「飛空艇?」

 

アミス「あ、違うわよ。飛空“庭”よセイヤくん。ひょっとしてセイヤくんは飛空庭を見るのは初めてなの?」

 

誠也「え?あ、ええっと・・・まあ。」

 

実は異世界から来て、見るのも聞くのも初めてだと言えるわけもなく、言葉を濁して答える誠也。

 

はやて「あ、あはははは・・・・私らが前に居た所はすっごい田舎でして、見るのも聞くのも初めてなんです。」

 

誠也のフォローをするため、はやては咄嗟に自分達が田舎物だと言ってごまかすはやて。

 

アミス「そうなの?じゃあ飛空庭に付いても教えてあげるわね。いい?飛空庭って言うのはね・・・・・・」

 

こうして始まるアミスの飛空庭に付いての講義。その内容はとてもわかりやすく、ためになる内容だった。

まず、飛空庭とはその字のごとく空飛ぶ庭の事で、その庭の上に一軒の家を建て、土台である空飛ぶ岩塊である庭のサイドに、飛空庭を動かすためのプロペラや羽などが付いている物であるという。誠也は自分たちがこの世界に来て初めてみた風景で見かけた、アクロポリスの上空に無数に浮かんでいる物の事だと思い返しながらアミスの説明を聞いた。

 

アミス「・・・・と言う事なの。分かったかな?」

 

誠也・はやて「「あ、はい。説明、ありがとうございます。」」

 

アミスに礼を言う誠也とはやて。

 

はやて「いや~、アミスさんは人に物を教えるのが上手いな~」

 

誠也「まるで先生みたいだったな。」

 

アミスの教え方が上手い事を褒める誠也達。

 

アミス「そう?ありがとう♪私、このアクロポリスに先生になるために来たから、そう言ってもらえると、とても嬉しいわ。」

 

誠也達に教え方が上手いと言われて喜ぶアミス。

 

士「先生になりに?」

 

アミスの「先生になるために~」の言葉に反応し、アミスに聞き返す士。

 

アミス「ええ。私、先生に・・・教師になるためにアクロポリスに来たの。で、今は生徒になってくれる子を探している所なの。」

 

誠也「へ~、先生になりに・・・・どうりで教えるのが上手いわけだ。」

 

はやて「せやな。先生やっても充分通用するで。」

 

アミス「うふふふ、ありがとう。・・・あら?向こうの方が何だか騒がしいわね。」

 

誠也達がいる所より少し離れた場所、そこに人だかりが出来ているのを発見するアミス。

 

士「何かあったのか?行ってみるか。」

 

人だかりを見て、その方向へと向かう士。

 

アミス「あ、士さん!」

 

誠也「僕たちも行こう!」

 

はやて「せやな。」

 

アミス「そうね。」

 

士の後を追うようにして誠也達も人だかりへと向かった。

 

人だかりの中、その中心には紅いロングの髪で、誠也達と同じぐらいの少女が涙目で、鎧を身に纏った数人の男に怒鳴られていた。

 

鎧の男「もう一度聞くぞ、ドミニオンのお嬢ちゃん。お嬢ちゃんはどっから来たの!保護者は!許可書は!もしかして密入国をしたんじゃあるまいな!」

 

女の子「だ、だから・・・・・わたしはドミニオンってやつじゃなくて小悪魔なんです。ここに来たのだって、家の庭で遊んでいたら、突然現れた変な剣の転移に巻き込まれてここに来たちゃたから、保護者は居なくて・・・・・・・」

 

鎧の男に大声で怒鳴られ、今にでも泣き出しそうな顔をして黙り込む女の子。

 

士「ん?あの女の子、ドミニオンか?」

 

中心にいる女の子の背に、黒いコウモリの羽のような物が生えているのを見て、その女の子がドミニオンなのか?と言う士。

 

はやて「あの女の子、ドミニオンなのかな?なんか、他のドミニオンと羽の形が微妙に違うように見えるな。誠也くんはどう思う?・・・誠也くん?」

 

誠也「・・・・・・・」

 

士を追いかけて追いついたはやてが騒ぎの中心にいる女の子を見た後、誠也に声をかけたが、自分が声をかけたことに気づかずに、じ~っと中心の女の子を見ている誠也。

 

アミス「アレは・・・・混成騎士団の人?」

 

アミスが鎧姿の男たちを見て呟いた。

 

はやて「混成騎士団?」

 

アミス「ええ、このアクロポリスの治安維持をしている騎士団の人たちよ。あの女の子、何かしたのかしら?あの・・・・すいません、あのドミニオンの女の子は一体なにをしたんです?」

 

アミスは騒ぎで集まっている人の一人に、騒ぎの中心にいる女の子が何をしたのか聞いてみた。

 

見物人「ああ、どうやらあの女の子、このアクロポリスのアップタウンに入る為の通行書を所持してなかったみたいだよ。どうやら不法侵入者みたいだよ。」

 

アミス「え?不法侵入者?!あんな小さな子が・・・」

 

見物人の一人かから聞いた話を聞いて驚くアミス。

 

はやて「不法侵入者?どう言う事?」

 

アミス「このアクロポリスには下町とも言われているダウンタウンと、私達が今いるアップタウンの二つの区画があるの。それで、このアップタウンに入るには許可書が必要なの。はやてちゃん達もここに来る時、門番の人に許可書を見せて入ってきたでしょ?」

 

はやて「許可書・・・・・・あ!もしかして士さんが持っているあのカードのことか。え!でも私ら持って無い・・・・これって、まずいんじゃ・・・」

 

はやてはこの世界に来たとき、士の懐にいつの間にか入っていたカードの事を思い出し、自分たちが同じような物を持っていない事に気づき、焦った。

 

アミス「あ、大丈夫よ。ハヤテちゃん達みたいな子供は保護者が許可書を持って一緒に入れば大丈夫なんだけど、あの子・・・どうやら保護者の人とはぐれてしまったみたいね。」

 

はやて「なんか騎士団の人、あの子が黙り込んだせいで、ますます怒り出してもうたな。なんか可愛そうやな・・・・なんとか出来へん、士さん」

 

士「そうだな、まずは「・・・助けてきます。フォローお願いしますね」って、おい!誠也!」

 

はやてに話を振られて考え込む士の横で黙っていた誠也は、突然士に「フォローをお願いします」と言って、怒鳴られているドミニオンと思わしき女の子の側に駆け寄った。

 

混成騎士団の騎士「言っている事は支離滅裂だし、自分は「ドミニオンではなく小悪魔だ」と言ったり、出身地を聞いても「地獄」だなんて答えたり、ますます怪しいな。ひよっとして最近増えている、正規の手を踏まないでアップタウンに入っている不法侵入者の一人かもしれん。悪いが身柄を拘束させてもらう!おい!」

 

女の子を囲んでいる騎士団の騎士が一斉に女の子に迫る。

 

女の子「こ、コワイ・・・・来ないで!誰か・・助け「あ、居た居た!こんな所に居たのか、探したぞ。」って・・・・え?」

 

混成騎士団の騎士に、今まさに捕まろうとしていた女の子に、突如慣れ親しんだ者のように声をかける誠也。

 

騎士「ん?なんだね、キミは?」

 

誠也「あ、その子の連れです。いや~ホントすいません。今度僕らのお爺ちゃんがここにお店を出すことになって、それでそのお祝いをするために、知り合いの冒険者さんに頼んでココに来たんですけど、この子だけはぐれちゃったから、さっきまで探してたんですよ。ね?」

 

誠也はそう言って、騎士達に気づかれないように女の子に目配せをする。女の子はそれを見て、誠也が「話を合わせろ」と行っているのだなと悟った。

 

騎士「本当なのか?」

 

誠也の話を聞いた騎士が女の子に問いかける。

 

女の子「え、あ・・・・はい。そうです。」

 

騎士「そうか、なら君の保護者が許可書を持っているはずだな。で、君たちの保護者は?」

 

誠也「あ、そこにいます。士さん!」

 

誠也は見物人に紛れてこちらを見ている士に声をかけた。

 

士「え?あ・・・・・・・お、俺がこの子達の保護者だ。」

 

誠也に突然話を振られて一瞬戸惑った士だったが、誠也が先ほど言った言葉、「フォローをお願いします」という言葉を思い出し、話を合わせることにした。

 

騎士「君が保護者かね。では、許可書の提示をお願いします。」

 

騎士の一人が士に近寄り、許可書の提示を言ってきた。

 

士「あ、ああ。これだ。」

 

士は騎士に言われ、懐に入れてある許可書を差し出した。

 

騎士「・・・確かにちゃんとした許可書ですね。ふ~~、保護者なら、子供達から目を離さないでください。まったく人騒がせな。」

 

士「あ・・・・すいません。以後気を付けます。」

 

騎士「本当に気を付けてくださいね!では我々はこれで。」

 

混成騎士団の騎士たちは、士の許可書を確認すると、「気を付けろ」と士に注意をしてその場を去って行き、周りに居た見物客もそれに続く用にこの場を後にして行った。

 

誠也「大丈夫だった?」

 

誠也は事態についていけず、ぽか~んとしている女の子に声をかけた。

 

女の子「え、え~と・・・・ありがとうございます。あの・・・・なんで助けてくれたんですか?」

 

戸惑いながら誠也達にお礼を言った後、誠也になぜ助けてくれたのかと理由を聞いて来た。

 

誠也「なぜって・・・・・泣きそうな顔をした女の子を放って置くことなんて出来ないよ。」

 

女の子「え?たったそれだけの理由で?」

 

誠也の言った理由を聞いて女の子は意外そうな顔をした。

 

誠也「理由はそれだけで十分だよ。「困っている人は助ける!」理由なんてそれだけで充分だよ。ましてや、その困っている人が、君みたいなカワイイ子ならなおさらだよ。」

 

女の子「え?!か、カワイイ?!//////」

 

誠也の不意のカワイイの一言で顔を赤くする女の子。

 

アミス「あらあら、顔を真っ赤にして照れちゃってる♪」

 

士「会ったばかり子を早速ナンパするとは、意外と手が早いな。」

 

誠也「なっ!?べ、別にそんなんじゃありませんよ!ただ、この子を見ていたら、自然と言葉が出ちゃて「へ~、自然に言葉が出たんだ~」って・・・な、何だよ、はやて。不機嫌そうな声出して。」

 

誠也に対して全身から不機嫌オーラを全力で出し、不機嫌そうな声で誠也に話しかけるはやて。そんなはやてを見て「なんでだ?」と頭に?マークを浮かべて困惑する誠也。

 

はやて「べ~つに、私は不機嫌なんかじゃ無いわ!ふ~んだ!!」

 

頬を膨らませて、そっぽを向くはやて。

 

女の子「あの・・・・ケンカはやめてください。」

 

はやてが不機嫌そうな顔をしたので、ケンカをしていると勘違いした女の子が誠也とはやてを仲裁しようと声をかけて来た。

 

誠也「あ、別にケンカしているわけじゃないよ。あ、そう言えば自己紹介がまだだったね。僕は誠也。で、そっちのそっぽを向いているのがはやて。そして向こうにいるのが士さんとアミスさんだよ。」

 

誠也は女の子に自己紹介をした後、士達を紹介した。

 

士「士だ。よろしくな。」

 

アミス「アミスよ、よろしくね。あ、え~と・・・」

 

女の子はアスミが自分の名前を知らなくてなんて呼んでいいのか困っているのを悟って自分も自己紹介しようとした。

 

女の子「えっと、私はちゃんとした名前が無くて、みんなは私の事を小悪魔と・・・・・・・・」

 

誠也「ん?どうしたの?」

 

誠也は自己紹介をしようとした女の子が、途中でソレを止めたのを訝しみ、声をかけた。その直後・・・

 

バタッ!

 

誠也「え?」

 

誠也達の目の前で女の子は突然倒れてしまった。

 

士「お、おい!」

 

誠也「ちょっ!キミ!しっかり!!」

 

突如倒れた女の子に駆け寄り、誠也は抱き起こしながら声をかけた。

 

はやて「ど、どないしたんや?!突然倒れたで?!」

 

アミス「一体何が・・・・」

 

士「これは一体・・・・おい!誠也、その子は大丈夫・・・!?」

 

士が倒れた女の子を抱き起こしている誠也に、大丈夫なのか聞いてみようとした時、誠也の腕の中にいる女の子の姿が薄くなって消えかけているのを見て驚く。

 

アミス「なっ!?姿が・・・・・」

 

はやて「薄くなって、消えかけてる?!」

 

誠也「これは・・・・・一体・・・」

 

自分の腕の中の女の子の姿が消えかけているのを見て驚き、誠也は動きを止めた。

 

アミス「と、兎に角、こんな道のど真ん中にいつまでも居る訳にはいかないわ。近くに私の飛空庭が有るから、まずはそこにその子を運びましょう。

 

誠也「あ、はい!」

 

アミスに言われ、誠也達は倒れた女の子を運んで、近くに有ると言うアスミの飛空庭へと向かった。

 

 

空にプカプカと浮かぶアミスの飛空庭。

 

他の飛空庭よりも大きい飛空庭の土台の上に立っている校舎のような建物。その中にあるアミスの寝室のベットの上に女の子を寝かせた誠也達は、先ほどよりも姿が薄くなっている女の子を見て、なぜ女の子が倒れて姿が薄くなっているのかを話し合っていた。

 

アミス「・・・ドミニオンがこんな状態になるなんて聞いたこともないわ。士さんは何か知ってますか?冒険者として色々な所を旅している士さんなら私よりも色々と知ってると思うのですが・・・」

 

アミスは世界中を回る冒険者である士なら何か知っているのではと聞いてみた。しかし、士はこの世界での役割が冒険者というだけであって、本当の冒険者のようにこの世界を旅して回っている訳では無い。なので士はアミスの質問に対して首を横に振った。

 

アミス「そうですか・・・・・冒険者である士さんでもこんな現象を知らないとなると、一体これ「ただの魔力切れよ」って・・・・え?今の声は?」

 

突然響いた聞きなれない女の声に驚き、アスミは声の主を探すために部屋を見回した。しかし、部屋の中にいるのは自分の他にいるのは、士と誠也、はやての三人だけで、先ほど聞こえてきた声は、この三人とはあきらかに違う物だったため、アスミは頭に?マークを浮かべて困惑した。

 

???「どこ見てるの。こっちよ、こっち。」

 

アミス「え?」

 

また聞こえてきた声の方向を見るアミス。

だがそこには居たのは、車椅子に座っているはやてがいるだけで、アミスはそれに対してますます困惑した。

 

アミス「今の声、はやてちゃんが「こっちよ、こっち。今声を出したのは私よ、わ・た・し!」って・・・・へ?」

 

アミスが会った当初からはやてが膝の上に乗せている物、白い色の小さなコウモリの形をした玩具のような物から先ほどの声が聞こえ、アミスは思わず素っ頓狂な声を上げたしまった。

 

キバーラ『おそらくその子は、魔力が切れかかっているからそんな事になっているのよ。』

 

パタパタとはやての膝の上から浮かび上がり、ベットへと飛んでいくキバーラ。

 

アミス「え?!玩具が喋って飛んでる?!は、はやてちゃん!この玩具みたいなコウモリ、ナンナなの?!」

 

はやてと会った時から膝の上に乗せていたキバーラを、アミスははやてが持っている玩具か何かだと思って居たアスミは、突然言葉を発して動き出したキバーラを見て混乱した。

 

キバーラ『玩具だなんて失礼ね。私はあのファンガイアの高名なキバット族の一員よ!玩具なんて言われるのは心外だわ!』

 

アミス「え?あ・・・ご、ゴメンなさい。」

 

困惑しながらもキバーラに謝るアスミ。そんな二人を他所に、士は何かを知っているキバーラに声をかけた。

 

士「何か知っているのか?キバーラ。」

 

キバーラ「ええ。まず言っておくけど、この子・・・この世界に居るドミニオンとか言う種族じゃないわよ。この子はれっきとした悪魔よ。」

 

誠也・はやて「「え?!あ、悪魔?!」」

 

キバーラの言葉に驚く誠也達。

 

キバーラ『ええ、悪魔よ。本来悪魔は地獄に住んでいる物で、現世に訪れる時は、自分を呼び出した主となる人物から魔力をもらって自分の体を維持しているのよ。けど、この子はどうやら事故でこの世界に来たみたいだから同然主なんて居ない・・・だから主からの魔力が無いせいで魔力切れを起こしているの。』

 

アミス「地獄だとか悪魔だとか色々と聞きたいことは有るけど・・・取りあえずそれは置いといて、どうすれば良いの?」

 

キバーラの言った言葉に対して色々と聞いておきたい事を後にして、アミスは女の子を助けるための方法をキバーラに聞いてみた。

 

キバーラ『簡単よ。魔力が切れているのなら、魔力をあげて補充してあげれば良いのよ。』

 

誠也「魔力を補充?どうするの?」

 

キバーラ『簡単よ、仮にでも良いから(ちぎり)を結ぶのよ』

 

アミス「ち、契?!」

 

キバーラの言った言葉を聞いて、大きな声を出して驚くアスミ。

 

アミス「ち、ち、ち、契を結ぶなんて、子供達が居るのに何て事を言うんです///////」

 

契と言う言葉を聞いて顔を真っ赤にして叫ぶアミス。

 

はやて・誠也「「へ?契?契ってな~に?」」

 

キバーラの契と言う言葉の意味がわからなくて質問する誠也とはやて。

 

キバーラ「あ、契って言うのはね「真面目に答えないでください!」」

 

誠也達の質問に真面目に答えようとしているキバーラに対し、言葉を遮るようにして叫ぶアミス。

 

アミス「セイヤちゃん達にはまだ早いから、その質問に関しては二人が大人になってからね!」

 

誠也・はやて「「は、はあ・・・・」」

 

士「おい。それよりも、気絶している女の子と契を結ぶなんて、完全に犯罪じゃないか?(^_^;)」

 

キバーラ『大丈夫よ、仮契約ならソコまでしなくても良い筈よ。それに仮契約を結ぶのは士くんじゃ無くて、誠也くんよ』

 

誠也「え?僕?!」

 

突然自分の名前を言われて驚く誠也。

 

アミス「な、何言っているんですか!?セイヤくんは子供ですよ!こ、子供に、ち、契を結ばせるなんてえええええええええええええええええ!?」

 

キバーラの言葉にまたしても顔を真っ赤にしてパニクった表情で叫ぶアミス。そんなアミスを見ても、どこ吹く風だと言わんばかりにキバーラは普段通りの落ち着いた声を出して答えた。

 

キバーラ「だからの仮契約なのよ。仮契約では契を結ぶ代わりに、口移しで魔力を送るだけで良いのよ。口移しは人命救助の基本でしょ」

 

誠也「な!?く、口移「口移しやて?!反対!反対!反たぁあああああああああああああああああああああああい!!」」

 

キバーラの「口移し」と言う言葉を聞いて、誠也の言葉を遮るようにして、今度ははやてが大声を上げて叫んだ。

 

はやて「口移しって、キ、キスのことやろ!?な、なんでそれを誠也がやらなくちゃならなあかんの!?」

 

キバーラ「単純な消去方なのよ。そもそもこの子は悪魔・・・小悪魔かな?兎に角、悪魔なのは間違いないのよ。この子と仮契約とは言え、契約を結べば結構な魔力を持っていかれるのよ。そうなると、それなりの魔力を持っててないと、あっという間に魔力どころか生命力まで持って行かれて、ポックリと逝っちゃうわよ。」

 

誠也「ぽ、ポックリって(^_^;)」

 

キバーラの「ポックリ」と言う言葉を聞いて冷や汗を流す誠也。

 

キバーラ「今いるメンバーの中で、この子と仮契約をしても大丈夫なのは誠也くんだけなの。まず私は、この通りのナリだから問題外。アミス、士くんは魔力の量が通常の人と同じぐらいしか無いからこれも問題外。後ははやてちゃんと誠也くんだけって事なんだけど、はやてちゃんは誠也くんと同じ位の魔力を秘めているけど、何かと契約でもしているのか、定期的に魔力が何かにへと流れているの。仮とは言え二重契約は危険だから、はやてちゃんもダメ。だから必然的に誠也くんになったって言うわけ。」

 

誠也「な、成るほど。しかし、はやての魔力が定期的に何かに流れているって・・・・はやて、何かと契約でもしたのか?」

 

キバーラの言った「何かと契約」と言う言葉を聞き、誠也ははやてにその事で聞いてみた。

 

はやて「う~ん・・・契約・・・身に覚え無いで。死んだお父さんからは八神の家が昔は「式神を使う一族」だったって聞いたけど、それもずいぶん前の事やって聞いたし、そもそも私自身魔法とか契約とかと言う物とは士さんとの旅に出るまで無縁の生活してたもん。私はむしろ、誠也くんが高い魔力を持っているって事の方が驚いたで。」

 

はやてはキバーラが言った「誠也が高い魔力を秘めている」と言う言葉に驚いた事を口にした。

 

誠也「僕もキバーラに言われて驚いてる。でも・・・・そう言えば昔、早苗姉の所にいた神奈子さんや諏訪子さんに「大きな力を持っている」って言われてたっけ。」

 

はやて「早苗姉ってもしかして、前に会ったあの早苗さん?確か従姉妹の悠菜さんの幼馴染で、家が神社だって言ってた人の事?じゃあその神奈子さんや諏訪子さんって人はもしかして、その早苗さんの親戚の人か何か?」

 

誠也「うん、僕はそう聞いてる。ずいぶん不思議な感じの人だったけどね。」

 

誠也はそう言って、昔、従姉妹の悠菜の家にお世話になった時に一緒に遊んだ早苗達の事を思い出して懐かしそうな顔をした。

 

士「おい、思い出話に華を咲かせるのは良いが、今が緊急事態だって事を忘れるな。」

 

キバーラ「そうよ。さあ誠也くん!お姫様の眠りを覚ますのは王子様のキスよ!!ここは熱い接吻をぶちゅ~~~~っと!!!」

 

どこか興奮したような口調で誠也に言うキバーラ。そんなキバーラの横ではやてが釈然としない顔をしながら誠也と女の子を見ていた。

 

はやて「う、う~ん・・・・本当にせなアカンの?」

 

士「緊急事態なんだ。気持ちはわかるが、ここはグッと我慢だぞ、はやて。」

 

誠也「そうだよ。大体、なんで僕がキスするのにはやてが怒るの?」

 

はやて「そ、それは・・・・・・//////え、え~い!私の事なんでどうでも良いやろ!とっととキスでも何でもすればいいやろが!!(スパンッ!)」

 

顔を真っ赤にしながら、どこからか取り出したハリセンで誠也の頭をぶっ叩くはやて。

 

誠也「イタッ!もう!なんで叩くんだよ・・・・・・」

 

叩かれた所をさすりながら、はやてに叩かれた事をどこか納得できないような顔をしながら、ベットに横になっている女の子に近づいた。

 

キバーラ「あ、そうそう。仮にとは言え、一応契約なんだから、成功率を上げるために触媒があった方が良いわね。」

 

誠也「触媒?」

 

キバーラ「ええ。契約をする際の負担を少しでも減らすのにマジックアイテムや宝石等を使用して補助するの。持ってないかしら?例えば同じ宝石で出来たペアの指輪やペンダントか何か。」

 

誠也「同じ宝石で出来たペアの指輪かペンダント・・・・・あ!」

 

キバーラの言葉を聞いて、誠也は先ほど露店でお土産用に買ったエメラルド色の宝石を使った二つのペンダントの事を思い出した。

 

誠也「キバーラ、これなんかどうかな?」

 

誠也は先ほど露店で買った二つのペンダントを取り出してキバーラに見せた。

 

キバーラ「これは・・・・うん、良いわよ。これなら触媒に使えるわ。じゃあこのペンダントを一つはあなたが身につけて、もう一つはあの子の首にかけてあげて。」

 

誠也「うん、分かった。」

 

誠也はキバーラに言われて、左右に白黒の翼の飾りがついている方のペンダントを女の子の首に掛け、もう一つの方を自分の首にかけた。

 

キバーラ「さあ、後はあつ~~~いキスを!」

 

誠也「あ、う、うん/////////」

 

キバーラに言われ、女の子の顔へと顔を近づける誠也。

 

誠也(き、キスするのか・・・うわ!この子、近くで見るとすごく可愛いな。こんな子とキスするのか//////ドキドキするって・・・ハッ!)

 

女の子に顔を近づけて、ドキドキし始める誠也。無理もない、誠也もそろそろ年頃の男の子と行ってもいい年齢である。そんな男の子が、仮にも美少女と分類されるであろう女の子にキスするのである。ドキドキするのが普通である。だが、誠也は背後から感じるはやてからの物凄いプレッシャーを感じ取り、そのドキドキも命の危険を感じるドキドキへと変化した。

 

はやて「う~~~~~~~っ!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!)」

 

士・キバーラ・アミス(((怖!)))

 

背後から誠也を視線で射殺さんとばかりなプレッシャを発するはやてを見て、恐怖を感じてドン引きする士達。

 

そんなプレッシャーを受けながら、内心生きた心地をしないまま、誠也はソっと女の子の唇に自分の唇を重ねた。

 

誠也「うん・・・・・・(あ、柔らかい・・・・女の子の唇って柔らかいんだな。アレ?そう言えばコレ・・・・どれくらいしてれば良いん「いつまでしてるんや!このエロガキ!!(スパンッ!)」)ってイタッ!」

 

女の子とのキスをいつまでもしている誠也の後頭部にはやてのハリセンが炸裂する。

 

誠也「痛いな!もう!何なんだよ、さっきから!!人の頭をスパスパとハリセンで叩いて!!なんでそんなに怒ってるの!?」

 

はやて「そ、それは・・・・・うっ・・・うおおおおおおおおお!士さ~ん!!」

 

士「あ~、憤りをぶつける先が見つからないからって、俺に男泣きしないでくれ(^_^;)」

 

自分に男泣きで泣きつくはやてを「よしよし」と頭を撫でる士。そんなはやてを見て、先程まで理不尽に叩かれていた怒りも早急に鎮火していった誠也は、ベットに横たわっている女の子に視線を向けた。

 

女の子「う、う~ん・・・・こ、ここは?」

 

誠也「気がついたの?!」

 

女の子「えっ?あ・・・・さっき私を助けてくれた男の子・・・」

 

誠也「良かった気がついて。」

 

目を覚ました女の子に気がついた誠也達は、女の子が寝ているベットへと近寄り、女の子の様子を見た。

 

女の子「私・・・どうしてこんな所に?」

 

自分が置かれている状況が把握できず、困惑した表情で誠也達に状況を聞いてみた。

 

誠也「あ、実は・・・・」

 

 

誠也「と言う事なんだ。ってどうしたの?」

 

誠也は今までの事を女の子に説明した。すると女の子は誠也の話が終わった瞬間、顔を真っ赤にしたまま、頭から布団をかぶって、顔を恥ずかしそうに隠してしまった。

 

誠也「あ、あの・・・」

 

誠也は突然の女の子の行動に困惑しながらも声をかけた。

 

女の子「う~~~~っ!仮とは言え、しちゃった・・・・契約・・・・初めての・・・・う~~///////」

 

布団の中で何かを言いながら身悶える女の子。そんな女の子にどう接したら良いか分からなく、誠也達は困惑しながら女の子を見て居た。

 

女の子「あ、あの//////」

 

誠也「うん?」

 

布団から目元だけを出して、恥ずかしそうにこちらを見て誠也に声をかける女の子。誠也はそんな恥じらっている女の子を見て「可愛いな///」と思いながら、女の子の次の言葉を待った。

 

女の子「誠也・・・さん、仮とは言え、契約をしたんですよね?」

 

誠也「え?あ・・・そ、そうだけど////」

 

女の子「じゃあ、誠也さんが私の・・・初めてのご主人様なんですね。私の・・・初めての人///////」

 

誠也「え、あ・・・うん////」

 

互いに見つめあったまま、赤くなって黙り込む誠也と女の子。そんな二人の姿をはやては面白くなさそうな顔をして見ていた。

 

はやて「う~~~~~っ!なんなん!このラブラブな雰囲気は!!うが~~~~~~~~っ!!」

 

士「嫉妬の炎が燃え上がっているな。ヤレヤレ、誠也は罪づくりなやつだな。」

 

アミス「あらあら、セイヤちゃんもスミにおけないわね♪」

 

誠也達の様子を見て、微笑ましものを見るかのような反応をするアスミとヤレヤレと言った感じで見つめる士。

そんな二人を他所に、はやてはいつまでも互いに赤い顔で見つめ合っている誠也達に声をかけた。

 

はやて「ほら!いつまでも見つめ合って無い!話が進まんやろ!!」

 

誠也「えっ?あ・・・・そうだな。所で君はどうして混成騎士団の人たちに捕まっていたの?」

 

女の子「あ、はい、実は・・・・」

 

誠也に言われて自分の事を話し始める女の子。その話の内容によると、女の子はやはり悪魔の子で、地獄にある自分の家の庭で一人で遊んでいたら、突如妙な剣が転移して現れたと言う。そして、その剣は再び転移しようとし、自分はその転移に巻き込まれてしまい、気がついたらアクロポリスのアップタウンの路地裏で倒れていたと言う。ここがどこだか分からず、アチコチをさまよっていたら、混成騎士団に不審な者だと思われてしまい、捕まっていたのだと言った。

 

誠也「ふ~ん、妙な剣ね~」

 

女の子の話しを聞いて、話の中に出て来た剣の事を考える誠也

 

士「・・・当然転移して来る謎の剣、世界の壁を楽々と飛び越えるとは、凄い力を秘めた剣だな」

 

女の子「はい、ほんのちょっとしか見てなかった私でも、その時感じた魔力・・・あの剣は物凄い力を秘めた魔剣なんだと瞬時に分かってしまうくらい凄い物でした。」

 

誠也「ふ~ん、そっか・・・・・凄い魔剣ね~。まあ、それは置いといて、それよりも肝心な事を聞いてなかったね。」

 

女の子「肝心な事?」

 

誠也「うん、名前だよ、名前。まだ聞いてなかったよね。」

 

女の子「あ、名前・・・・私の名前・・・ですよね。」

 

誠也「うん名前。うん?どうしたの?」

 

自分の名前を聞いてきた誠也に対して、言いづらそうな態度を取る女の子。

 

誠也「何か喋りづらそうに見えるけど、もしかして名前・・・教えたくないの?」

 

女の子「いいえ!そうじゃないんです。私・・・・名前が無いんです。」

 

誠也達「「「名前が無い!?」」」

 

女の子「はい。実は・・・・」

 

辛そうな顔をしながら女の子は自分に名前のない理由を話し始めた。

女の子の家は地獄・・・EU地獄と言う欧米の文化圏に属する地獄に有り、その地獄の中でも、女の子の家はかなり大きいく、有名な家柄だと言う。女の子はその家の末っ子で、強大な力を発揮する悪魔の家の子であるにもかかわらず、幼い頃からその才能が開花せず、「出来損ない」「能無し」と兄弟や親戚に言われ続けており、そんな出来損ないに名付ける名前など無いと言われて今日までずっと名無しのまま育てられたと言う。

 

はやて「ひどい!いくら力が無いからって、罵った挙句、名前も付けないやなんて!」

 

女の子の話しを聞いて、怒りだずはやて。

 

女の子「仕方がないんです。悪魔の世界は実力主義の世界、力が無い者は何されても仕方がないんです・・・・」

 

悲しそうな顔をしながらうつむく女の子。そんな女の子に対して、最初は誠也も同じような辛そうな顔をしたが、何かを思いついたと言う顔をして女の子に話しかけた。

 

誠也「ねえ、名前が無いなら、僕が君に名前を付けてあげる。」

 

女の子「えっ?私に名前を?」

 

誠也「うん。」

 

突然の誠也の提案に驚いた顔をする女の子。

 

女の子「でも、ご迷惑じゃ・・・」

 

誠也の提案に対して、迷惑などではと言って遠慮する女の子。

 

誠也「迷惑なんかじゃないよ。それに、仮とは言え、僕は君のマスターになったんだもん。これから一緒に行動するのに名前が無いのは不便だし、何より・・・・」

 

女の子「何より?」

 

誠也「名前が無いことで、君みたいな可愛い女の子が沈んでいるのは見てられないよ。やっぱり女の子には笑顔でいてもらいたいからね。」

 

女の子「えっ!か、可愛い?!//////」

 

誠也の不意の「可愛い」の言葉に顔を赤くする女の子。そんな女の子を他所に、誠也は早速名前について考え始めた。

 

誠也「う~ん、悪魔・・・・小悪魔なんだよね・・・・・・・・・小悪魔、小悪魔・・・・・そうだ!「こあ」って名前はどうだろう?」

 

女の子「こあ?」

 

誠也「うん、小悪魔だから「こあ」。」

 

はやて「なんやそれ、まるで犬猫につける名前のような発想やな(^_^;)」

 

誠也が言った名前に対して「微妙だな~」と言う反応をするはやて。

 

誠也「もしかして・・・気に入らなかった?」

 

女の子「い、いいえ!可愛くて、とても気に入りました♪」

 

誠也「そっか、良かった。じゃあ改めて、これからよろしくね!「こあ」!」

 

こあ「はい、よろしくお願いします。主人様(マスター)♪」

 

こうして誠也達は異世界「エミルクロニクル」の世界で小悪魔の少女と出会った。この後、誠也達はこの「こぁ」と共に「アルマ」と呼ばれる、人の姿をするモンスターの娘達をアミスの学校の生徒として集めたり、お伽話のキャラが実体化した「ロア」と呼ばれる存在が起こした事件を解決したりしながら、「こぁ」を元の世界に戻す方法を探すのだが・・・・それはまた、別のお話で。

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまの~♪」

 

二人「「おまけコーナー!!」」

 

織姫「さあ、始まりました!おまけコーナーの二回目!!今回も張り切って行きましょうね、たまちゃん♪」

 

みたま「・・・本当に張り切ってるわね(^_^;)」

 

織姫「当然!こうゆう事はテンション上げていかないと♪」

 

みたま(前回までの間、出番無かったから張り切ってる(^_^;))

 

織姫「さて、今回の話は主人公である誠也くんが異世界を旅した時のお話です。」

 

みたま「確かディケイドと旅した時、ライダーが居ない異世界も回ったんだよね。」

 

織姫「ええ。今回のお話は、そんなライダーの居ない世界でのお話なんだよ。」

 

みたま「そうそう。で、今回の話の舞台となる世界は、「エミルクロニクルオンライン」の世界!今現在絶賛稼働中の、オンラインRPGの世界なんだよ。」

 

織姫「エミルクロニクルオンラインはコンセプトとして「ハートフルオンラインRPG」と言われています。その原点は「時間のない方も、女性も、いろんな人を受け入れる幅の広い王道のゲームを作ろう」というものなの。だからオンラインRPGが初めてな人も手軽に楽しめるんだよ♪」

 

みたま「このゲームはMMORPGでは珍しく戦闘服だけじゃなく、普段着などの着せ替え要素もふんだんに盛り込まれてるんだ。アニメのような美しくかわいらしい3Dグラフィックキャラクターや、世界を形づくるものは「女性や子供が親しみやすい」「柔らかい雰囲気」「絵本のような可愛らしい世界観」を心がけて作られているだよ。」

 

織姫「操作キャラの服装を自由に変えられて、可愛い服をいっぱい着せ替えられるんだよね。ああ!たまちゃんに似合う可愛い服がいっぱい有りそう♪」

 

みたま「(うっ!あの目はあたしに可愛い服を着させて、着せ替え人形にする目だ!話しを逸らさないと着せ替え人形にされる!)そ、それにしても、どうして作者はこの世界をこの作品に取り入れたんだろうね。」

 

織姫「あ、それはね、作者さんが今現在、このオンライRPGをやってるからなんだって。もっとも最近、プライベートとこの作品の執筆で忙しくて、なかなかインできないみたいだけどね。」

 

みたま「へ~。あ、それとこのお話に出てきた小悪魔の「こぁ」の事なんだけど、あの子ってエミルクロニクルのキャラじゃないんだよね。」

 

織姫「うん、そうだよ。あの子は別のゲームに出てくる子で東方projectのキャラなんだよ。」

 

みたま「なんでそんな子がこの話に出てきたの?」

 

織姫「実は作者さんはこの子をメインヒロインとして、重要キャラとして登場させる予定なんだって。で、主人公である誠也くんと過去での接点をどうしても作っておきたかったから、今回のこのお話に登場させたんだって。」

 

みたま「へ~、そんな考えがあって登場させたんだね。あたしはてっきり、「このキャラ気にいった!登場させよう!」て、思いつきで登場させたと思ったんだけどね。」

 

織姫「あ、たまちゃんよく分かったね。一番の理由は正にそれなんだよ。」

 

みたま「へっ?」

 

織姫「何でも、ニコニコ動画にある東方の二次作の動画の中に、小悪魔がヒロインの動画があって、それを見て一発で気に入っちゃったみたいなんだって。」

 

みたま「結局思いつきだったのね(^_^;)」

 

織姫「まあまあ。さて、では今回はこの辺でおしまいにします。では皆さん・・・・」

 

二人「「まったね~♪」」

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

アミス(エミルクロニクルオンライン)

 

キバーラ(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー・ディケイド))

 

こあ(東方project)

 

 




次回更新も遅くなると思います。
本当にすいません。





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幕間編
第34話 幕間1 悠菜の探しモノ


どうも、剣 流星です。
ようやくある程度ストックができたので連載を再開します。
さて、今回からはしばらくは幕間の話が数話続きます。
そして、その後に本編の話のつづきと言う事になっていますので。
あらかじめご了承ください。

では第34話をどうぞ。


誠也達が鳴海荘に集まって、あやめ達の事を寧子達に話していた頃。

この場所、栃木県足利市内の道路を二体の特殊なバイクが走っていた。このバイクはカナリヤが作成した、オーズの世界のライダー用のバイク・ライドベンダーを量産化型した物である。その2台は今、ある場所を目指して走っていた。

 

2台のライドベンダーのうち、先頭を走るライドベンダーには二人の人物が乗っており、一人は紅いジャケットを着た20代の男。その後ろにお揃いの紅いジャケットを着た、髪の長い10代位の少女が乗っていた。

その二人の乗るライドベンダーを追うようにして走っているライドベンダーには、誠也の姉である悠菜が乗っていた。

 

2台のライドベンダーはしばらく道路を走っていたが、やがて市内にある山・織姫山の麓にある駐車場へと入り、動きを止めた。

 

悠菜は駐車場の駐車スペースにライドベンダーを止めると、被っていたヘルメットを取り、織姫山を見上げながら、もう一方のライドベンダーに乗っていた二人組に話しかけた。

 

 

悠菜「ここが織姫神社なんですね?小牟(シャオムウ)さん」

 

小牟「そうじゃ。正確にはそこにある229段の階段を上った先にある山頂が、織姫が居る織姫神社じゃ。」

 

 

もう一方のライドベンダーの方から、被っていたヘルメットを取りながら、小牟と呼ばれた髪の長い少女は悠菜の言葉に返事を返した。

 

 

???「神様か・・・・前にあった事件でも神様には会ったが、日本の神には初めて会うな。」

 

 

小牟と同じ紅いジャケットを着た20代の男性、有栖零児(ありすれいじ)は、悠菜と同じように織姫山を見上げながら呟いた。

 

 

小牟「畏まる事はない、織姫は堅苦しい神では無い。自然体で接してやれ。その方が織姫も喜ぶ。」

 

悠菜「そ、そうなんですか?何だか神奈子さんと諏訪子さんみたい(^_^;)やっぱり二柱と友人なだけに、そういう所は似てるのかな?」

 

小牟「案外そうかもしれんの。」

 

零児「無駄口はそこまでだ。この真夏の炎天下の中、いつまでもアスファルトからの照り返しがある駐車場に居たら干上がってしまう。」

 

 

真夏の太陽を眩しそうにしながら、流れる汗を手で拭って零児は先に行く事を促す。

 

 

小牟「それもそうじゃの。とっとと神社に行って、織姫に冷たい麦茶でも飲ませてもらうかのう。」

 

悠菜「そうですね。じゃあ行きましょう。」

 

 

暑さでダラけながら、「暑い暑い」と愚痴を言う小牟を悠菜と零児は促しながら、山頂へと続く長い階段の入り口である鳥居を潜り、織姫神社へと階段を登っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織姫「ふぅ~~・・・・・・暑いですね~。」

 

 

織姫神社の境内、箒で境内を掃除していた織姫神社の御祭神・はたがみ織姫は、掃除の手を止めて、眩しそうに真夏の太陽を見ながら呟いた。

 

 

織姫「織姫山の草木達も雨不足の所にこの炎天下で、心なしか元気が無いですね。そろそろ雨が振って欲しいわ「ほら、しっかり歩いてください!」って・・・あら?」

 

 

神社へと続く階段から聞こえてきた誰かの声を聞いて、「参拝客でも来たのかな?」と思いながら、織姫は階段の方へと視線を向けた。そこには紅いジャケットを来た男女と高校生ぐらいで、紅く長い髪の女の子が階段を登って来ていた。

 

 

小牟「だ、ダメじゃ・・・このクソ暑い炎天下の中、長い階段を登るなぞ、苦行以外のなにものでもない・・・・もう限界・・・・」

 

悠菜「しっかりしてください!ほら、自分の足で歩いてください!」

 

 

汗を滝のように流しながら、クデ~となって歩かない小牟を後ろから押して叱咤する悠菜。

 

 

零児「体がなまってる証拠だ小牟。パソコンの前に座ってインターネットばかりやって、訓練をサボっていたツケだ。」

 

小牟「うっ!・・・返す言葉も無い・・・・」

 

織姫「あ!シャオちゃん!シャオちゃんじゃないの!久しぶりじゃないの!」

 

 

階段を登ってきた小牟の姿を見て驚いた後、懐かしそうな顔をしながら織姫は小牟へと声をかけた。

 

 

小牟「うん?おお!織姫、久しぶりじゃな。元気にしてたか?」

 

織姫「うん!私もたまちゃんも元気よ。それよりもどうしたの?ウチに何か用なの?」

 

 

久しぶりに会いに来た友人である小牟に対して、織姫は何か用があって来たのかを聞いてみた。

 

 

小牟「ま、まて・・・・その前に・・・・どこか日陰で・・・・冷たい飲み物でも飲ませてくれ・・・・汗が滝のように流れ出て・・・・・今にでも脱水症状で倒れそうなんじゃ・・・・・・」

 

織姫「まあ大変!さあ、社務所に。」

 

小牟「す、すまん・・・・・」

 

 

織姫に案内され、小牟達は境内の社務所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小牟「ングング・・・・・プハ~~、あ~~、生き返った。」

 

 

織姫に通された社務所内で、出された麦茶を一気飲みする小牟。それに続くように、悠菜と零児も織姫が入れてくれた麦茶を飲み干した。

 

 

織姫「一気飲みは体に悪いわよシャオちゃん。・・・・それで、どうしたの?ここ数十年連絡を取らなかったシャオちゃんが急にウチに来るなんて、何か私に用なの?」

 

 

出された麦茶を飲み干した小牟達を見て、織姫は改めて小牟が自分の元を訪れた理由を小牟に聞いてみた。

 

 

小牟「用があるのはワシでは無く、悠菜なのじゃが。」

 

織姫「悠菜?」

 

小牟「その辺りを話す前に悠菜と零児を紹介しておかなくてはな。紹介しよう、ワシの今のパートナーである零児じゃ。」

 

零児「有栖零児だ。よろしく頼む。」

 

織姫「有栖?もしかして有栖家の方ですか?」

 

 

零児の苗字である有栖の名を聞いて、織姫はその名が聞き覚えのある物なので、その事を零児に聞き返した。

 

 

零児「有栖の家を知っているんで?」

 

織姫「ええ、知っているわ。シャオちゃんがここ百年ばかりの間、お世話になっている家だって。」

 

小牟「コラ、織姫。言葉は正しく使え!“世話になっている”ではない、“世話をしている”だ!」

 

零児「いいや、“世話になっている”で合っているぞ。」

 

小牟「なっ!コラ、零児!お主まで何を言っている!どこが世話に「料理も洗濯も部屋の掃除もせず、一日中ネットゲームをしているお前の世話をしているのはどこの誰だ?」ぐっ・・・・・何も言えん・・・」

 

織姫「い、一日中ネットゲームって・・・(^_^;)」

 

 

二人のやり取りを見て呆れた顔で小牟を見る織姫。そんな織姫の視線を感じた小牟は「コホン!」と咳を一つした後、まだ紹介していない悠菜の事を話し始めた。

 

 

小牟「話が逸れたが、もう一人紹介しよう。鳴海悠菜だ。今回、織姫の所を訪れたのも、ワシの戦友である「さくら」から「悠菜達の人探しの力になってやって欲しい」と頼まれてな。その手がかりを掴むためにここに来たのだ。」

 

 

小牟は織姫に悠菜の事を紹介しながら、悠菜を織姫神社に連れてくる事になった経緯を話した。

 

鳴海悠菜には二つの「探しモノ」がある。そのウチの一つは二人いる悠菜の幼馴染の一人で、数年前突如居なくなった東風谷早苗(こちや さなえ)の行方を掴むことである。

悠菜は、藤堂の家に嫁いだ誠也の母である清香の双子の妹の娘であり、誠也に取っては従姉妹であった。藤堂の家の近くには、守谷神社と言う神社が有り、悠菜はその神社の一人娘である「早苗」とは幼馴染であった。

 

歳も一歳しか違わなく、誕生日も一緒。さらに父親同士が学生時代からの友人関係だったのもあって、生まれてから共に育ち、どこに行くにもいつも二人一緒の様子は、他の人からは仲の良い姉妹のようだと言われていた。

悠菜自身も早苗の事を実の姉妹だと思い、早苗も悠菜の事を姉妹のように思って居り、互いに時には喧嘩し、時には助け合い、笑い合って生きた。そんな二人に、もう一人の幼馴染である「千早」とその弟である「優」、そして悠菜の従姉妹である誠也も加わったり、5人はとても幸せな日々を送っていた。

 

そんなある日、誠也と優が揃っ事故に遭い、優が死んでしまったのをきっかけに、悠菜達の幸せな時間は終りを告げた。弟である優が死んだことにより千早の家は家庭崩壊をし、そのまま離婚。それが原因で千早の母は心を壊してしまい、さらにその不幸が飛び火したかのように悠菜の両親と早苗の両親が原因不明の謎の事故に合い、悠菜と早苗は両親を亡くした。

悠菜は一時期施設に預けられた後、従姉妹である誠也の家である鳴海の家に引き取られる事となったが、早苗の親戚は早苗が持っている力を不気味がり、早苗を互いに押し付け合って早苗を引き取ろうとしなかった。悠菜は義理の父親に当たる誠司に頼み、早苗と当時離婚をしたせいで心を壊した千早の母親から千早と早苗を鳴海の家に置いて欲しいと頼んだ。

 

誠司自身も千早と早苗を引き取ることを考えていたので、早苗と千早を引き取ることを承諾した。

誠司はかつて、妻を亡くした後、しばらく仕事に明け暮れて、残った子供達をほったらかしにしていた事があっり、そのせいで誠司と子供達の間ばかりか、兄弟である誠也と京香の間も悪くなってしまったことがあった。

その事を誠司に言い、子供達との間を取り持ってくれたのが「千早」と早苗の母親だった。

 

誠司はこの時受けた恩も有り、早苗と千早を引き取り、千早の母に治療に専念してもらうようにした。

だが当時、鳴海の家には誠也のもう一人の従姉妹である霞を引き取ったばかりなのと、誠司自身が警察をやめて探偵事務所を開いたばかりで大変だったのを知ってたのか、早苗は「悠菜と誠也に迷惑をかけたくない」と言ってその話しを断ると、神社の御祭神である八坂神奈子(やさかかなこ)洩矢諏訪子(もりやすわこ)の二柱と共に神社で暮らし始めたのだった。

 

だがある日突然、早苗が住んでいた神社ごと、早苗は忽然と消えたのである。悠菜と千早、誠也宛に「さよなら」と書いた手紙を残して。その日以来、悠菜は早苗の行方をずっと探していたのだが、その過程で“ある出来事”に合い、大きな罪を犯し、探すモノが二つになってしまったのだが、それでも悠菜は早苗を探すのを諦めなかった。

 

だが、いくら探しても、手掛かりらしき物は見つからず、悠菜は徐々に焦り始めた。そんな折、悠菜の通っている白城学園の体育教師をやっている「春日野さくら」から森羅のエージェントである小牟を紹介された。

春日野さくらは学生時代、ストリートファイターとして、小牟達が所属している組織・森羅の敵対組織である「逢魔」が起こした事件を解決するのに協力した経緯があり、小牟が仙狐である事を知って居た。仙狐である小牟なら、「守谷の二柱の神が何処に行ったのかを知って居るのでは?」と言う事で、教え子である悠菜に小牟を紹介したのである。

 

だが小牟自身も700年生きているとは言え、生まれは大陸であり、日本に来たのは100年ほど前のことで、日本に居る神の知り合いは織姫神社の神である「はたがみ織姫」と門田神社の神である「門田みたま」の二人だけだった。その為、面識のない守谷の神である二柱の行方に関しては何も知らなかったのだが、小牟は織姫から以前、守谷の二柱の神と友人関係だと言っていた事を思い出し、森羅に新しく配備されたライドベンダーの試運転のついでに、悠菜を織姫の元に案内したのである。

 

 

織姫「なるほど・・・居なくなったしまったお友達の行方を知るために私の所に来たのね。」

 

悠菜「はい。織姫さまは守谷の二柱の神とも知り合いだって聞いています。ならば二柱について行った早苗がどこに行ったのかも知って居ると思って・・・・お願いします!どうか、守谷の二柱の神が何処に行ったのかを知っているのなら教えてください!」

 

悠菜は織姫に向き直ると、土下座をして行方について聞いた。

 

小牟「悠菜・・・・・」

 

零児「・・・・・・」

 

織姫に対して土下座をする悠菜を見守る小牟と零児。織姫もまた、土下座をする悠菜をしばらく黙って見ていたが、不意に身をかがめて、悠菜の手をソっと手に取って優しく微笑んだ。

 

織姫「あなたのお友達に対しての強く優しい気持ちは良く分かりました。良いでしょう。あの二柱が何処に行ったのかを教えてあげます。」

 

悠菜「あ・・・・・・ありがとうございます!」

 

悠菜はお礼の言葉を織姫に言って、再び深々と頭を下げた。

 

織姫「そんなに頭をペコペコ下げなくてもいいわよ。シャオちゃんにも頼まれたんだし、元々ちゃんと教えるつもりだったんだから。」

 

悠菜「え?あ・・・・・そうだったんですか?・・・・・・あははははは・・・・・」

 

 

織姫の言葉を聞いて、「頭の下げ損」と思って乾いた笑いをする悠菜。

 

 

小牟「あわてん坊じゃのう、悠菜は。」

 

零児「確かに。だが、友を思う強い心と言う良い物を見せてもらった。」

 

織姫「ええ。本当に良い物を見せてもたわ♪」

 

悠菜「え?あ・・・・・///////」

 

 

織姫達に言われて顔を赤くする悠菜。

 

 

織姫「それで、「カナちゃん」と「すわちゃん」の行方だったわよね?」

 

悠菜「か、カナちゃん、すわちゃん!?」

 

 

守谷の神の二柱を突然「ちゃん」付けで呼んだ事に驚く悠菜であったが、織姫はそんな事は知らないと言わんばかりに、二柱の行方を話し始めた。

 

 

織姫「カナちゃん、すわちゃんの行方だけど、二柱は今「幻想郷」という場所に居るわ。」

 

悠菜「幻想郷?」

 

織姫「ええ。幻想郷と言うのは、人々の記憶から消えて無くなったモノや幻となったモノ、失われたモノなどが流れ着く場所なの。そこには人や妖怪や妖精、神々が暮らしていると言われているわ。」

 

悠菜「そんな場所があるんですか。それで、その幻想郷は何処にあるんです?」

 

織姫「場所は・・・実は私も知らないの。この日本のどこかに有り、結界に包まれていて、目に見えず、触れることもできない場所だって事しか知らないの。」

 

悠菜「そ、そうなんですか・・・・」

 

 

織姫の言葉を聞いて、ガックリと肩を落とす悠菜。

 

 

織姫「そう肩を落とさないで。幻想郷が何処にあるかは知らないけど、場所を知ってそうな人には心当たりが有るわ。」

 

悠菜「本当ですか!」

 

織姫「ええ。一人は幻想郷の管理人である妖怪の賢者と言われている「八雲紫(やくもゆかり)」よ。」

 

悠菜「八雲紫・・・・・」

 

織姫「そしてもう一人・・・正確にはもう一柱なんだけど、皆神村にある春日神社の御祭神である豊田葦高媛命(とよたあしたかひめのみこと)である銀子・・・ギンちゃんよ♪」

 

悠菜「豊田葦高媛命(とよたあしたかひめのみこと)って・・・・神様なのですか?」

 

織姫「ええ。日本各地にある羽衣伝説の天女の元となった人、それがギンちゃんなの。八雲紫はスキマと言う能力を使って身を隠していることが多いから、見つけるのは難しいけど、ギンちゃんなら今の時期、皆神村に行けば会えると思うわ。」

 

悠菜「皆神村?アレ?どっかで聞いたことあるような・・・・・まあ、とにかく!そこに行けば会えるんですね!ありがとうございます!!」

 

 

そう言って再び深々と頭を下げた悠菜は、社務所を出ようとした。だが、背後から織姫に再び声をかけられてその動きを止めて振り向いた

 

 

織姫「あ!ちょっと待って!!」

 

悠菜「はい?」

 

織姫「あなた、「何かしらの力」を「カナちゃん」と「すわちゃん」の力で封じてもらってない?二柱に会うための理由って、ひょっとしてその封印の事もあるからなの?」

 

悠菜「・・・・・・・いいえ、早苗を探す理由と“私の”封印についての関連性はありません。」

 

織姫「・・・・そう。ごめんなさい、引き止めて。」

 

悠菜「いいえ、では私はこれで。小牟さんもここまでの案内、ありがとうございました。」

 

小牟達に頭を下げた後、悠菜は小牟と零児を残して社務所を後にした。

 

小牟「なんじゃ織姫、悠菜の封印された力に興味があるのか?」

 

 

悠菜の背中を黙って見送った小牟が、先ほど悠菜を呼び止めた時に言った言葉を聞いて、封印に興味が有るのか聞いてみた。

 

 

織姫「ええ。あの子の内から感じる封印された力が、以前私の所に自分の力を持て余して、封印してもらおうとして来た娘、「未来ちゃん」の力と同質の物なの。」

 

零児「同質の物?どんな力なんだ?」

 

 

織姫と小牟との会話を聞いて、先程まで黙って話しを聞いていた零児が力について興味を持ったのか、織姫に聞いてみた。

 

 

織姫「27個に分けられた源理の力・・・・もう一種類の太極の欠けら・・・・」

 

 

小牟「何?!銀子にも宿っている“アレ”があの子にも!?」

 

織姫「ええ。」

 

小牟「そうか・・・アレが。」

 

 

突如黙り込んで考え込む小牟

 

 

小牟「・・・・いったい何なんじゃ?ここ数年、逢魔の暗躍やゆらぎによる異世界との交わり、死の化身の降臨やシャドウの活性化。白き魔獣の活動により作られる“魔女”の数の増加、そして”アレ”の所持者の出現。様々な物がその活動を活発化させている。何かの前触れなのじゃろうか・・・・」

 

織姫「何だか不吉ね。」

 

小牟「そうじゃのう・・・・悪い予感がする。一応用心はしておこう。」

 

織姫「ええ。」

 

 

小牟の言葉に頷きながら、織姫は悠菜が出て行った出入口を見つめた。

 

 

 

 

悠菜「ようやく手がかりを手に入れた・・・・」

 

 

織姫山の麓に止めてあるライドベンダーにまたがりながら、ヘルメットをかぶってつぶやく悠菜。

 

 

悠菜「待ってなさいよ早苗・・・・・必ず見つけてあげる。それが・・・・あの最悪のゲームで出会ったアイツと交わした・・・・最初で最後の約束だから。」

 

 

そう呟いて、悠菜は自分の胸元にある弾丸で出来たペンダントを握り締めた後、ライドベンダーを発進させて、織姫山を後にした。

 

 

 

つづく

 

 

 

おまけ

 

 

悠菜が居なくなった直後の織姫神社

 

 

織姫「あっ!ねえシャオちゃん、この後時間有る?もし時間があったら「たまちゃん」の所にも顔を出してあげて。たまちゃんもシャオちゃんに会いたがってたから。」

 

小牟「「みたま」が会いたがっている?そうか・・・なら、後であやつが居る門田神社にも顔を出しておいてやろうかのう。」

 

零児「「みたま」?誰だそれは?」

 

小牟「ああ、そう言えば零児には「みたま」の事は話しておらなかったな。「みたま」と言うのは「たまちゃんの事が知りたいの?なら説明してあげる!!」っておい!織姫!!」←(たまちゃんの事が話に上がったので話に割り込む織姫)

 

 

 

織姫「たまちゃんはね、私の一番のお友達で、お稲荷さんがとっても大好きなの♡だからね、たまちゃんのためにいーっぱい「おいなりさん」を作って持って行ってあげてるの♡それでね、おいなりさんを小さい口で「もきゅうもきゅ」と食べる姿がとーっても可愛いの♡それからそれから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

零児「・・・・・おい、なんか堰を切ったみたいに、いきなり語り始めたぞ(^_^;)」

 

小牟「あちゃー、織姫の「たまちゃん語り」が始まってしまったな」

 

零児「た、「たまちゃん語り」?」

 

小牟「織姫はみたまの事が”超”が付くほど大好きでな。その溢れ出るみたまへの愛情のせいで、みたまの事を語り始めると止まらなくなるのだ。」

 

零児「と、止まらなくなる?!」

 

小牟「覚悟せい零児。ああなったら最後、織姫は自分の気が済むまで「たまちゃん語り」を止めないぞ。」

 

零児「気が済むまでって・・・・一体どれくらいかかるんだ?」

 

小牟「そうだな・・・・八時間で済めば御の字だな。」

 

零児「は、八時間?!」

 

小牟「そうじゃ。ただし、あくまで運が良くてだ。基本的には織姫の気が済むまで語り続けるから、もっと伸びる可能性もある。」

 

零児「なっ!」

 

小牟「今日は帰れるかの~」

 

零児「か、勘弁してくれ・・・・・」

 

みたまの事を語り続ける織姫の前で、力なく項垂れる小牟と零児。二人はこのまま織姫の「たまちゃん語り」を延々と聞かされ続け、織姫神社の宮司見習いをしている「セシル」と言う少年が止めるまでの間、約8時間も「たまちゃん語り」を聞かされ続けたと言う。

 

 

おわり♪

 

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまの~♪」

 

二人「「おまけコ~ナ~♪」」

 

織姫「は~い、やって参りました「おまけコーナー」の時間です。久しぶりに「たまちゃん語り」が出来て絶好調のひめちゃんだよ~♪」

 

みたま「ちょっと、あんた”また”あたしの事を他の人に語って聞かせたわね!恥ずかしいからやめてって言ってるでしょう!」

 

織姫「えー!なんでー!たまちゃんの可愛さを知らないなんて、他の人たちが可哀想だよ!それにたまちゃんの可愛さはたくさんの人に広めなきゃ♪」

 

みたま「広めるって・・・・・まあ良いわ。あんたの”それ”はもはや不治の病みたいなもんだから諦めるわ。」

 

織姫「?」

 

みたま「さて、じゃあ気を取り直して、さあ早くも今回で三回目の開催になったおまけコーナー。この調子で続くと良いね!って・・・そうだ!なんで本編に織姫だけ出て、あたしは出番ナシってどう言う事なの作者!!」

 

織姫「ま、まあ落ち着いて。今回は織姫神社が舞台だからしょうがないよ。」

 

みたま「しょうがなくなんてな~~~~~~い!!本編での出番よーこーせー!!」

 

織姫「落ち着いてたまちゃん、たまちゃんの出番はちゃんと有るって作者さんも言ってたから、ここは押さえて。」

 

みたま「本当にちゃんとあるんでしょうね作者!今後本編で私にちゃんとした出番がなかったら、アンタのあらゆる運の縁を断ち切ってやるからね!!」

 

織姫「たまちゃん、私怨で縁を断ち切っちゃダメだよ(^_^;)」

 

みたま「言ってみただけよ。本当に断ち切ったりしないわよ。」

 

織姫「ホントかな(^_^;)」

 

みたま「それよりも、さっさと今回の補足について話すわよ。」

 

織姫「あ、そうだね。今回の話しに新キャラが出てたよね。」

 

みたま「確か小牟と零児の事だよね。」

 

織姫「そうそう。この二人はPS2ソフトの「NAMCO x CAPCOM」って言うゲームの主人公キャラなのよね。」

 

みたま「NAMCO x CAPCOMは、カプコンの許諾を受けて、モノリスソフトが開発し、ナムコ(現バンダイナムコゲームス)が製造した物で、ナムコとカプコンの新旧キャラクター200以上が登場する両社のクロスオーバー作品なんだって。」

 

織姫「ストーリーは、「ゆらぎ」と呼ばれる空間の歪みを起こして異世界を繋ごうとした「逢魔」と、それを阻止しようとした政府の特務機関「森羅」の戦いを中心に、「ゆらぎ」のせいで、交わるはずのない異世界が連結し、そして過去に撃破、封印されたはずの悪役たちが次々と復活しちゃうんだ。」

 

みたま「「森羅」のエージェントである有栖零児と小牟は、「ゆらぎ」の真相を追っていくうちに、様々な異世界を冒険し、そこでかつての巨悪を倒した英雄たちや様々な強者たちと出会い結束し、事件の裏側に潜む陰謀と対峙する。って言うのがこの作品の冒頭なの。」

 

 

織姫「ちなみにこの二人は「NAMCO x CAPCOM」の後に発売された「無限のフロンティア」「無限のフロンティアEXCEED」「プロジェクト クロスゾーン」にも登場していて、この作品に登場している二人は「プロジェクト クロスゾーン」から数年後と言う設定なんだって。」

 

みたま「あ、そうなんだ。だから「NAMCO x CAPCOM」で一緒に戦った「ストリートファイターシリーズ」の「春日野さくら」が大人になって体育教師をやっているんだね。」

 

織姫「ちなみに「春日野さくら」が大人になって体育教師をやっていると言う設定は、中平版の漫画「ストリートファイターⅡさくらがんばる!」の終わりで描かれていた事を元にしてるんだって。」

 

みたま「へ~っておっと、話もそろそろ長くなってきたし、今回はここまでにしようか。」

 

織姫「そうだね。じゃあ皆さん」

 

二人「「まったね~♪」」

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

小牟(シャオムウ)(NAMCO x CAPCOM)

 

有栖零児(ありすれいじ)(NAMCO x CAPCOM)

 

 



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第35話 幕間2 カナリヤ・新組織設立に向けて

どうも、剣 流星です。

最近暖かくなったせいか、花粉が飛び始めて、今現在花粉症にかかってとても辛いです。
しかも今年は例年に比べて飛散してる花粉が多いので、症状がとても重くてまいってます。花粉症・・・治らないかな~
まあ、それはさて置き、第35話をどうぞ



誠也達が鳴海荘に集まっている頃。乃木坂邸の居間で、乃木坂家前当主である乃木坂 王季(のぎざか おうき)は、カナリヤと対財団X用の新組織設立に向けての話し合いをしていた。

居間のソファーに座っている王季は、開いたアタッシュケースとコーヒーが上にのっているテーブルを挟んで、向かい合っているカナリヤに対して、アタッシュケースの中身を確認しながら話しかけた。

 

 

王季「これが・・・ワシらの所に新しく提供される、ライダーに変身する為のツールか・・・」

 

カナリヤ『はい。カブト、剣、スカルの変身ツール。そして・・・量産化用に再設計したGXのデータが入ったメモリーです。お約束通り、お渡しします』

 

王季「うむ。以前カナリヤから渡された設計図と材料から、ワシらの方で開発した「イクサ」と「ギャレン」を入れて、ライダーの変身ツールはこれで5つになったな。」

 

カナリヤ『そちらで開発した「イクサ」と「ギャレン」はどうでしょう?何か不具合は起きていますか?』

 

 

そう言ってカナリヤは以前、設計図と材料だけを渡して、王季達の手で開発するよう依頼した「イクサ」と「ギャレン」について聞いてみた。カナリヤは以前、財団X関連の事件が増えていくのに対し、ライダーの数が足りない事と、ライダーの変身ツールを開発するのが自分一人なため、数を揃えるのに時間が掛かる事について問題を感じていた。

そこでカナリヤは、以前から対財団X用の組織を立ち上げようとしていた誠也の祖父、乃木坂王季にライダー用の変身ツールの開発と、ライダーの装着者候補を探すのを手伝ってもらう事を考えた。カナリヤはその話を誠也を通して王季に話してもらい、ツールの開発と、装着者候補を探す作業を分散してやる事を提案。王季はその事に合意し、以後、ツール開発と装着者候補探しはカナリヤと王季の手配した科学者とエージェントによる二分割でやる事となった。

 

 

王季「「イクサ」「ギャレン」、両方共今の所問題は起きてはいない。装着者の2名、斎藤くんと神谷くんも優秀で、成果もそれなりに上がっている。」

 

カナリヤ「そうですか。では新組織設立に向けての進行状況は?」

 

王季「そっちの方は少し難航している。新しく協力者として、大河くん達が協力してくれているが、人員確保に難航している。」

 

カナリヤ『大河?ああ、以前話にあった、春香さんの誕生日プレゼント用の島を見に行った時、突然発生した巨大な次元の裂け目から船ごと出てきた方たちでしたよね。確か異世界の出身の方達で、王季様が保護していたのでしたね。でも・・・・なんでその人達が新組織設立に協力を?』

 

王季「うむ。実はのう・・・・・・・・」

 

王季は協力する事になった顛末をカナリヤに話した。

王季は春香の誕生日プレゼント用の島を娘の秋穂の夫・玄冬と共に見に行った時、突如島の上空に次元の裂け目が現れ、巨大な二隻の船が島の海岸に落下した。王季達はすぐにその2隻の船を調査した所、中には数多くの人が冷凍睡眠装置で眠りに付いているのを発見した。

 

王季達は、彼らを冷凍睡眠装置から起こし、事情を聞いてみた。すると驚くことに、彼らは平行世界の地球の人間で、彼らの世界が消滅の危機に瀕していて、彼らはそれを阻止するために、その元凶である者達の本拠地である宇宙へと旅立ち、苦戦の末その元凶である者たちを倒したと言う。だが、元凶を倒したと同時に、その宇宙は消滅し始め、脱出しようにも、そこから全員での脱出は不可能であった。そこで彼らは、彼らの仲間の中で最年少の少年二人に最後の希望を託して、二人を脱出させ、自分達は助けが来るまで冷凍睡眠装置で眠りに付いていたと言う。

 

目覚めた当初、彼らはこの世界に極力関わらないようにし、船を修復したら、元の世界に帰る方法を探すために王季達の元を離れるつもりだった。だが、船の修復をする傍ら、元の世界に戻る方法を探しているうちに、自分達の世界の、かつて戦った敵が発する特殊な素粒子を発見。この世界で彼らが復活したのではと考えた彼らは、王季に新組織の目的を「対財団Xおよび彼らの敵」に変更する事を条件に新組織設立に協力する事を申し出てきた。

 

王季は新組織設立に向けて優秀な人材が確保できるのもあると同時に、彼らから渡された敵の資料に目を通して敵の強大さを知り、その敵に対しての対策をしなくてはと言う思いもあって、彼らの提案を呑んだという。

 

 

カナリヤ『なるほど・・・・・そんな事があったのですか。でも・・・その話を聞けば、彼らの協力で新組織設立に向けての人員は確保出来ていると思うのですが・・・・』

 

王季「いや、まだまだ足りん。彼らの協力に加え、ワシの友人である「光政(みつまさ)」の協力も得られたが、それでも足りん。」

 

カナリヤ『光政(みつまさ)?ああ、確かお孫さんが誠也達と同じ学校に通っていると。確か、誠也達とは一つ上の学年でしたわね。」

 

王季「ああ、そうじゃ。で、その光政の協力も得られたが、それでもまだ足りんのじゃ。優秀なのは勿論なのだが、なりより信用できる人材がなかなか確保できなくてな。」

 

カナリヤ『信用できる人材?』

 

 

王季の言葉を聞き頭に?マークを浮かべて聞き返すカナリヤ。

 

 

王季「そうじゃ。以前ワシの親戚である美鶴くんが警視庁と組んで立ち上げた組織が、警察内の権力争いに巻き込まれてな。その事を調べてみると、権力争いの背後には財団Xを始めとした複数の組織の影が有る事が判明した。おそらく警視庁内に敵側の手の者がいて、目障りなその組織を潰そうと考えたのだろう。そんな事もあって、人員を選ぶのに慎重になっていてな。人員を確保しても、それが敵対組織のスパイだったではシャレにならんからな。」

 

カナリヤ『確かに、身内に裏切り者やスパイが居たのでは、話になりませんね。でもそうなると、人員確保がますます困難になりませんか?』

 

王季「その事なのだがな、実は美鶴くんと相談し、組織の統合を図ることになった。」

 

カナリヤ『統合?もしかしてその組織を新組織に組み入れるんですか?』

 

王季「そうじゃ。組織を統合、さらに以前から協力を打診してくれていた「森羅」の協力があれば、信用できる人材を確保出来る上に戦力の増強することができる。もっとも、対処相手が増える事になるのだがな。」

 

カナリヤ『確かに、その方法なら身内に敵の息がかかった物を招き入れるのを防ぐことが出来ると思います。対処相手が増えてしまう等など幾つかのリスクが出てしまいますが、身内に爆弾を抱え込むよりはましですね。』

 

王季「そう言うことじゃ。それに、ワシは今回のこの事をきっかけに、新組織を「対財団X用組織」から、これから起こるであろう様々な「外世界の敵や人類の敵への対策組織」へと変えようと思っとるんじゃ。」

 

カナリヤ『外世界の敵や人類の敵への対策組織?!』

 

王季「そうじゃ。ここ数年の間にシャドウ関連の事件や「森羅」が手がけた「ゆらぎ」と呼ばれる空間の歪みによる異世界の危険生物や組織による事件、時空管理局が追う時空犯罪者やロストロギアが起こす事件、そして財団Xの暗躍・・・・ワシはな、これらの事件が立て続けに起きるのは何かの前触れなのではと思ってな。」

 

カナリヤ『・・・・・・(流石ね。伊達に世界有数の乃木坂グループを束ねてきただけの事は有るわ。この人は“輪”が閉じる事・・・・・「神話の果て」を肌で感じ取っている)』

 

 

カナリヤは王季の鋭さと物事の先を読む力に感心しながらある出来事を思い出していた。

 

 

カナリヤは元々異世界の出身で、科学者である叶井梨絵(かないりえ)が偶然手に入れた“ある物”を元に作り上げた光る鳥の姿に自分の人格と知識を写したのが今のカナリヤである。

 

カナリヤは財団Xが、自分のオリジナルである叶井梨絵(かないりえ)が研究に携わっていた「ムネモシュネ」の力を使って怪人やライダーの力を復活させ、それを利用して異世界に勢力を広げるのを防ぐためにこの世界にきた。そして誠也達に出会い、誠也達に「ムネモシュネ」の力を利用して再現した仮面ライダーの力を与え、誠也達と財団Xの野望を阻止すべく戦いを始めたのだ。

そんな戦いの中、カナリヤはこの異世界に来てから、ある言葉とイメージが頭の中に浮かぶようになってきたのである。「神話の果て」「源理の力」「三英雄」「太極」「霊帝」「負の無限力」「放浪者」「平行世界の番人」「バアル」・・・様々な言葉と、それに関するイメージがカナリヤの頭に徐々に浮かんできた。カナリヤはそれらの言葉が何故頭に浮かんでくるのかを調べ、それが自分の核として使われた“ある物”のせいだと結論づけた。この言葉が何なのか?自分の核として使われているコレは何なのか?

その答えはわからないが、それらが今後の自分達の未来に関係する物だとカナリヤは思っていた。

 

カナリヤ(私は自分の核となる“コレ”の情報のおかげで、「神話の果て」の事についてイメージする事が出来たけど、この人はそれを肌で感じ、それにたどり着いた・・・本当にすごい!さすが・・・・)

 

???「流石、乃木坂家の前頭首」

 

カナリヤ・王季「『?!』」

 

突然部屋の中に響いた誰かの声に驚き、声のした方向を向いた。そこには白髪の赤い服を来た一人の人物・・・・アルコルが立っていたのである。

 

王季「何者じゃ!どうやってこの部屋、この屋敷に侵入した!」

 

 

王季は目の前に居る見覚えのない人物に警戒した。この乃木坂邸には普段から二重、三重のセキュリティーが張り巡らせられており、それらに引っかからずに侵入するなどまず無理なのだ。にもかかわらず、今自分の目の前に居るアルコルはそれをやって退けたのである。その為、王季は誰にも悟られずにここまで来たアルコルに対して言い知れない「何か」を感じ警戒したのである。

 

アルコル「突然の訪問ご無礼いたします。僕の名前はアルコル。貴方の孫である誠也の友人をやっています。」

 

王季「誠也の友人?」

 

カナリヤ『アルコル!貴方、どうしてここに!?』

 

王季「うん?知り合いなのか?」

 

 

王季はアルコルの名前を聞いた時にカナリヤが反応したので、カナリヤの知り合いなのかと聞いてみた。

 

 

カナリヤ『ええ。この世界に来る時にちょっとトラブルが有って迷子になってしまって・・・その時に助けてもらったのが彼なんです。彼のおかげで私はこの世界に来る事ができたんです。』

 

王季「なるほどな。で、誠也の友人でカナリヤの知り合いである君が何のようなんじゃ?」

 

アルコル「因子が足りなくて、この世界に直接関わることができない僕の友人に変わって、あなた達に伝える事が有って。」

 

カナリヤ『伝えること?』

 

アルコル「ああ。今君たちが探りを入れている組織・ヴィンガルフの事で知らせておきたい事があってね。」

 

カナリヤ『ヴィンガルフの事で知らせておきたい事?』

 

アルコル「ええ。あの組織、潰すのなら早いほうがいい。あの組織は自分達の上位組織である財団Xの方針とは別の思惑で動いている。彼らはソーサリアンとグラーネを使って地球人類を滅ぼすことを画策している。」

 

カナリヤ『なっ!地球人類を滅ぼす?!』

 

アルコル「ああ。今君達が保護しているグラーネを奴らに渡してはならない。」

 

カナリヤ『グラーネ?私達が保護しているってどう言う事?』

 

 

アルコルが言った言葉に対してアルコルに質問をするカナリヤ。だがカナリヤの質問に対してアルコルは答えようとせず、別の言葉を言った

 

 

アルコル「もう一つ知らせておこう。時空管理局の中枢にいる「因果律を乱す者」が動き始めた。奴の息がかかった「黒鳥」達に気をつけるんだよ。」

 

 

そう言ってアルコルはその場からテレポートでもしたのか、その場から姿をかき消すようにその場から消えた。

 

 

王季「あの者は一体何を・・・・」

 

カナリヤ『わかりません。ただ彼は私達に助言をしに来たんだと思います。』

 

王季「助言か・・・・」

 

カナリヤ「ええ。(それにしてもソーサリアンにグラーネ、因果律を乱す者に黒鳥か・・・・また知らない単語が出て来た。本当に何かが始まろうとしているのかしら・・・)

 

カナリヤはアルコルに言われた言葉を反すいしながら、本当に何かが始まる事を王季と同じ用に肌で感じとった。

 

 

 

つづく

 

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「ひめちゃんと~♪」

 

みたま「たまちゃんの~♪」

 

二人「「おまけコーナー♪」」

 

織姫「どうも~、ひめちゃんこと織姫だよ~♪」

 

みたま「たまちゃんことみたまだよ~♪」

 

シロ「どうもっす!今回からおまけコーナーにアシスタントとして出させてもらう、白狐の門田シロ吉っす!」

 

みたま「シロ、あんたもようやく「おまけコーナー」に出させてもらえたわね。」

 

シロ「はいっす!おやびん!念願かなって出させてもらえたっす!この調子で次は本編におやびんと一緒に出させてもらうっす!」

 

みたま「本編か~。そう言えば、あたしもアンタも今だに出させてもらえてないのよね~」

 

織姫「たまちゃん!シロちゃん!ファイトよ!「待てば海路の日和有り」よ!待っていれば、そのうち出させてもらえるわよ。」

 

みたま「・・・・そうね。ま、その日がいつになるやらだけど、ここで愚痴っていたってしょうがないわ。気を取り直して今回の補足行ってみよう!」

 

織姫「今回の補足は本編の話の舞台になっている街、「遠羽市」について話します。」

 

シロ「遠羽市は確か、このお話の主人公である誠也達が住んでいる街っすよね。」

 

みたま「そうそう。確か誠也の通っている学園の白城学園がある所でもあるわね。」

 

織姫「この「遠羽市」は元々、このお話に出ている作品「Missing Pars(ミッシングパーツ)」の舞台になっている街なの。」

 

みたま「なんで作者はそんな街を舞台にしたんだろうね。」

 

織姫「作者さんはMissing Pars(ミッシングパーツ)の話しが大好きで、Missing Pars(ミッシングパーツ)の舞台になっているこの「遠羽市」の事を「一度でいいから住んでみたい街」だって言ってたんだって」

 

みたま「なるほどね~。だからこの作品の舞台である街が遠羽市になったのね。」

 

織姫「ちなみに、この作品の遠羽市は、「リリカルなのは」の舞台になっている「海鳴市」と「まどかマギカ」の舞台になっている「見滝原(みたきはら)市」と隣接してるって事になってるんだよ。」

 

シロ「なるほどっす。なら本編に登場している両作品の人達が遠羽市にある白城学園に通っていても不思議じゃないっすね。」

 

みたま「白城学園は私立だもんね、市外の人がバスや電車で通っていても不思議じゃないわね。」

 

織姫「うん、そうね。」

 

みたま「しかし・・・・この作品の遠羽市は、この後色々と設定が追加されて魔窟と化さなれなきゃ良いんだけどね(^_^;)」

 

織姫「うん?」

 

シロ「どう言う意味っすかそれ?」

 

みたま「いやさ、作者が今、ニコ動でMMD動画を漁って見るのにハマっているのよね。しかも今一番ハマっているのはVOCALOID系の動画なのよ。」

 

織姫「それで?」

 

みたま「ほら、VOCALOID系のMMD動画の舞台になる街に、ゲキド街が良く使われてるでしょ?あの街って魔窟化してるじゃない。その影響を受けて、遠羽市もそうなるんじゃないかな~って思ってさ」

 

織姫「「ゲキド街化しないか心配」ね~・・・今更言っても意味無いと思うよ?」

 

みたま「へ?どう言う事?」

 

織姫「だってあの街、遠羽市は数年前、市町村合併でゲキド街と併合して今の遠羽市になった事になっているから、今更心配しても無駄だよ」

 

みたま「へ?合併?ゲキド街を?」

 

織姫「うん」

 

みたま「・・・・・・・」

 

織姫「あ、ちなみにゲキド街をよく知らない人にここで説明。ゲキド街とはVOCALOID系のMMD動画の舞台に良くなっている街なの。それでゲキド街ではよくあることは、一般生活では非日常の出来事で、主に次の事が挙げられるの」

 

 

一つ、肉弾戦が日常茶飯事である。それも些細な理由から。

 

一つ、火器の使用も日常茶飯事である。それも些細な理由から。

 

一つ、スピード違反や交通法規は完全無視、戦闘機や戦車だって

普通に走り回る。それも些細な理由から。

 

一つ、ゲキド補正(?)なるものがあるらしい。

 

シロ「あははは・・・・すごいっすね。どこぞの緑の2P巫女が見たら、喜びそうっす(^_^;)」

 

みたま「そ、そうね(^_^;)」

 

織姫「ちなみに、この作品の財団Xがこの街を中心にガイヤメモリーやスイッチ、怪人等をバラ撒いているのは

「この街なら、怪人が多少暴れても、大騒ぎにならない」と思ったからなんだって。」

 

みたま「まあ、元ゲキド街だからね~。でも、この街が元ゲキド街だって言うなら、妙に納得できる事もあるのよね~」

 

シロ「へ?納得できる事?」

 

みたま「だって「バカテス」の異端審問会の連中が異端者を鈍器持って追い回したり、乃木坂のメイド達が戦闘機やらヘリで迎えにきたり、ドアや壁を獲物で吹き飛ばしたりしても大騒ぎにならなかったのも、この街が元ゲキド街だって言うなら納得できるのよね~」

 

シロ「ゲキド街を合併した市の人達も、ゲキド街の住人に感化されて、どんどん非日常が当たり前になっててるんすね(^_^;)」

 

織姫「おもしろい街になっててるわね~♪」

 

みたま「嬉しそうに言わないでよ(^_^;)」

 

シロ「さて、そろそろ長くなってきたし、今回はここまでにしましょうっす」

 

みたま「そうね。」

 

織姫「じゃあ最後の挨拶を!皆さん!!」

 

三人「「「まったね~♪」」」

 

 

初登場キャラ出典作品

 

門田(かどた)シロ(きち)(ひめたま)

 

 



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第36話 幕間3 はやて、黒鳥との邂逅

どうも、剣 流星です。

映画のスーパーヒーロー大戦GP見てきました。そして入場者プレゼントの仮面ライダー4号のDVDを見て、続編の話をdネットで見ました。
内容は詳しいことはネタバレになるので書きませんが、555ファンはまず間違いなく必見の作品ですので、555ファンの方は是非見てみてください。
では第36話をどうぞ。



時空管理局本局の次元航行艦のドック。

そこに、クロノ・ハラオンが艦長を務める次元航行艦・アースラが止まっていた。そのアースラの搭乗口から管理局の制服を着たはやてが、自分のユニゾンデバイスであるリーンを連れて出てきて、それに続く用になのは、フェイト、シグナム、ヴィータの4人が出てきた。

 

はやて「はぁ~、やっと終わった。」

 

なのは「そうだね、最近立て続けに発見された世界の調査。なんで新しく発見される世界が多いんだろう。」

 

フェイト「おかげで調査に人手が足りなくて、私たちまで駆り出されて・・・・本当に多いよね、新しく発見される世界。」

 

ヴィータ「そのうちのいくつかが地球の並行世界がそのまま異世界になった物なんだよな。なんでそんな物が立て続けに発見されるたんだろうな?」

 

シグナム「新しく発見された世界があった場所は、以前の調査では何も無かった場所だったそうだ。それがある日、急に現れたという話だ。」

 

リーン「不思議です~。」

 

はやて達は今回やった仕事、新しく発見された複数の世界の調査についてそれぞれ語った。はやて達はその世界の調査の為にそれぞれの世界を回って調査し、それが終わった直後である。

 

本来なら、このような調査ははやて達の管轄ではないのだが、あまりにも発見された世界が多い上に、管理局は慢性的な人手不足で、これらの発見された世界を調査することができずにいた。そこに学校が事故で破壊され、校舎の修理をするために早くに夏休みに入ってある程度時間が作れるようになったはやて達に白羽の矢が立った。さらに加えて、調査する世界の多くがはやて達の故郷である第97管理外世界・地球と瓜二つの世界だったのである。それこそ大陸の形や国、文化や言語、果ては歩んできた歴史までも微妙な違いがあるくらいで、ソックリなのである。そこまでソックリなのなら、時間がある程度空いていている地球出身であるはやて達に調査をしてもらった方がいいのでは?と言う話が持ち上がり、はやて達は調査する事になったのである。

 

フェイト「それにしても今回調査した5つの世界のうちの3つが、前にはやてが誠也と一緒に異世界を巡った時に訪れた世界だった事には驚いたよね。」

 

はやて「うん、私も驚いた。まさか再びあの世界に行けるとは思いもしなかったわ。誠也に教えたら驚くやろうな♪」

 

そう言ってはやてはとても嬉しそうな顔をした。

はやて自身、あの異世界を巡った旅で出会った人々にはもう二度と会えないと思っていたのである。ところが今回の調査でその人達の何人かに再び会えるのである。二度と会えないと思っていた人達にもう一度会える。そのことがとても嬉しく、この事を同じ境遇である誠也に一刻も早く教えたいと思った。

 

なのは「じゃあ誠也くんに一刻も早く教えてあげるために、今回の調査の報告を早くして地球に帰ろうか。」

 

はやて「せやな。」

 

なのはに返事をして足早に本局の廊下を歩き始めるはやて達。そんなはやて達に突如何者かが声をかけてきた。

 

???「あの・・・すいませ。もしかして、高町なのは二等空尉じゃありませんか?」

 

なのは「え?はい・・・・そうですけど・・・あなたは?」

 

なのはを呼び止めた人物、それは管理局の制服を着たなのは達と同じぐらいの2人組の少年だった。

 

???「あ、すいません。自分は本日から本局にある紋章術実験部隊・GSに配属になったティル・マクドールと言います。」

 

???「同じくリオウ・トランと言います。」

 

敬礼をして自己紹介をする二人に対してなのは達もそれに応えるように敬礼をしてかえした。

 

ティル「管理局が誇る陸海空のトップエースに会えるなんて光栄です!」

 

フェイト「と、トップエースて・・・・」

 

はやて「恥ずかしいな~」

 

なのは「あ・・・ど、どうも。」

 

若干恥ずかしそうな顔をしながら苦笑いをするなのは達。そんななのは達を他所に、シグナムは声をかけてきた二人の自己紹介に対して声をかけた。

 

シグナム「今、所属が紋章術実験部隊と言ったな。二人はもしかして、紋章術士なのか?」

 

リオウ「あ、はい!そうです!」

 

リーン「紋章術士?なんですそれ?」

 

ヴィータ「ん?なんだリーン、知らないのか?」

 

リーン「ううっ、すいません・・・」

 

ヴィータの指摘にしゅんとなるリーン。

 

リーン「今まで聞いたことなくって・・・紋章術士ってなんです?魔導師とどう違うんです?」

 

はやて「そっか、リーンは聞いた事なかったんやな。なら教えたる。」

 

リーンに言われてはやては紋章術士について語り始めた。

そもそもはやて達魔導師が魔法を使うことが出来るのは、リンカーコアと言われる魔力発生器官があるおかげである。このリンカーコアは先天資質で得られるもので、後天的に生じることがまずないものである。つまり、生まれた時からリンカーコアが無いものは魔法を使うことができないのである。所が近年、管理局の三提督の一人であるミゼット・クローベルによって発見された「紋章球」と言われる物の中にある「紋章」をリンカーコアが無い者に移植すると、「紋章術」と言う魔法に似た力を使うことができる事が発見された。これにより、管理局の魔導師の不足による慢性的な人手不足を解決させることができると言われ、今現在その運用方法を模索するための実験部隊がいくつか設立されているのである。

 

リーン「へ~、紋章を宿すと紋章術って言う魔法に似た力が使えるようになるんですね。ちなみに、その紋章ってどんなものなんです?」

 

ティル「あ、こんな感じの物ですよ。」

 

そう言ってティルと名乗った少年は、自分の右手の甲をリーンに見せた。

 

リーン「あ!なんか薄らと光る模様のようなものが描かれてるです~」

 

ティルの右手の甲、そこには黄色い雷を模したような模様がうっすらと光を発していた。

 

はやて「へ~、これが紋章なんか。」

 

ティル「はい、雷の紋章です。」

 

フェイト「雷?じゃあもしかして、あなたは「変換資質者」なの?」

 

ティル「いいえ、違います。紋章術士の魔法の属性は魔導師のとは違うんです。」

 

リーン「ん?どういう事です?」

 

ティル「僕たち紋章術士は宿す紋章によって使える魔法が決まるんです。例えば僕のように雷の紋章を宿せば雷の魔法が。そして、リオウのように土の紋章を宿せば土属性の魔法が使えるんです。」

 

ヴィータ「それじゃあ紋章を付け替えれば、どの属性の魔法も使えるんだ。便利だな~。」

 

シグナム「確かにな。状況によって紋章を付け替えてやれば、あらゆる状況に対応できるな。」

 

リオウ「そう思うでしょうけど、実際はそんなに便利なもんじゃないんです。紋章を宿す人間にも、紋章との相性があったり、紋章を付け替えるには、それを行う専門の職人が必要なんです。それに、紋章術士の瞬間最大出力は魔導師よりも低いんです。」

 

リーン「なるほど、何事も良いことずくしとはいかないんですね。勉強になりました。(ペコリ)」

 

ティル達に対してお辞儀をするリーン。その微笑ましい姿を見て微笑むなのは達。そんななのは達に突如イヤミっぽい感じがする声がかけられた。

 

???「おや?「無能力者」と“元”犯罪者の集団がこんな所で何をしているのかな?」

 

なのは達『?!』

 

突如かけられた声に気づき、一斉に声のした方を見るなのは達。そこには黒い黒を基調とした制服をきた数人の男が居た。

 

はやて「・・・・なんの用や?サイガス准将。」

 

数人の男を引き連れた、黒の制服を着た中年の男性に対して不機嫌そうな顔で尋ねるはやて。

 

サイガス「口の聞き方に来をつけたまえ、ヤガミ特別捜査官。今君の目の前にいるのは君の上官だそ。」

 

はやて「これは失礼しました、サイガス・エイロ准将。」

 

反省している所など微塵もないような態度で、わざとらしく頭を下げるはやて。

 

リーン「・・・ヴィータちゃん、この嫌な感じのおじさんは誰です?」

 

ヴィータ「・・・独立治安維持部隊「ブラックスワン」のサイガス・エイロ准将って言う胸クソ悪いヤツさ」

 

リーンの質問にサイガスに聞こえない様な小声で、不機嫌そうに答えるヴィータ。

 

リーン「ブラックスワン?」

 

ヴィータから聞きなれない単語が出てきたので、頭に?マークを浮かべるリーン。

 

シグナム「そうか、リーンは知らなかったのだな。ブラックスワンとは最高評議会直属の独立治安維持部隊の名前だ。」

 

リーンの疑問に対してサイガスを睨みつけながら答えるシグナム。

 

ブラックスワンとは時空管理局による次元世界統一を目的として創設された、最高評議会直属の独立治安維持部隊である。極めて強大な権限が与えられており、反時空管理局勢力と見なした対象を圧倒的な武力によって制圧している。正規である管理局より上位の組織で、同階級の正規管理局員よりもあらゆる面で優遇されていており、独自の命令系統を持っていて、一般の管理局とは違う別組織と言ってもいい物となっている。その為、組織内の階級は一般の管理局員のとは違う別の物を使用している。組織のメンバーは、最高評議会議員の一人で、最高評議会議員の中で唯一表立って活動しているマリア・セイバーハーゲン議員を最高司令官とし、高魔力保持者やレアスキル持ちの者で構成されている。その為か、その殆どが魔法至高主義者で、魔法を使えない者を「無能者」と呼び、亜人種を「ヒトモドキ」と蔑む者が殆どである。

 

リーン「・・・なんだか嫌な感じの人たちですね。」

 

ヴィータ「「嫌な感じ~」じゃ無くて本当に嫌なヤツらなんだよ」

 

サイガス「聞こえてるぞ!口の利き方に気を付けろ!この人間モドキが!」

 

リーン「に、人間モドキ?ひ、酷いです・・・・・」

 

サイガスの一言で激しく落ち込むリーン。それを見て、先程まで黙って見て居たティルが口を挟んできた。

 

ティル「・・・いくら准将と言えど、先ほどの言葉は酷すぎます!撤回してください!」

 

サイガス「なんだと!口の利き方に気を付けろ無能者!(バシン!)」

 

リーン「あ!」

 

サイガスに突然平手打ちをされてヨロけるティルを見て声をあげるリーン。

 

サイガス「「無能者」の分際でこの私に意見するんじゃない!大体以前から貴様ら「紋章術士」とやらは気に入らなかったんだ!偽物の魔法である紋章術の力を手に入れたぐらいで、「自分達も時空管理局の一員だと!」と思い込んでいる!ちょっとした力しかない貴様らなど、足でまといの何者でもない!貴様らは生きているだけで害悪である「亜人種」より少しだけマシな存在なだけだ!「無能者」は「無能者」らしく私達「魔力保持者」に飼われていればいいのだ!!」

 

リオウ「足でまとい・・・・・お言葉ですが、僕らは管理局の一員としてちゃんと任務を全うしています!足でまといではありません!」

 

サイガスの言葉を聞き、その言葉に反発するかのように、リオウもサイガスに意見した。

 

サイガス「「足でまといではありません!」だと?馬鹿な事を言うな!紋章術士(おまえら)は役たたずの足でまといの何者でもない!現に魔導師を隊長に、お前達紋章術士数名を率いた実験部隊は、逃げた次元犯罪者を管理外世界まで追跡して、その次元犯罪者に全滅させられたではないか!」

 

ティル・リオウ「「!」」

 

サイガスの一言を聞いて、仲間を殺された時の事を思い出し、辛い顔をするティルとリオウ。

 

サイガス「これでもまだ、自分達は「役たたずでは無い!」と言えるのか?まったく、これだから「無能力」は。大体、あの時の無能者を率いた魔導師、確か・・・・ティーダ・ランスターとか言ったか?そいつもそいつだ!

普段から紋章術士の有用性をうたっておきながら、それを率いた直後に犯罪者に殺されるなどとは、魔導師の面汚しだ!無能者である紋章術士と同じく死んで同然の存在だ!」

 

取り巻きの男1「確かにそうですね。死んで当然です。」

 

取り巻きの男2「全くです。どうせ死ぬなら、無能者共々自爆でも何でもして、犯人と相打ちにでもなってくれれば良い物を。」

 

取り巻きの男3「おいおい、無茶言うなよ。それができないから「無能者」なんだろう?」

 

サイガス「確かに、それもそうだな。無能者とそれに関わる者達「役立たず」に、そこまでしろと言うのはいささか酷だったな。ははははははっ!」

 

 

取り巻きの男達と共に馬鹿にしたような声で笑うサイガス達。

それを見て拳を握り締め、悔しそうな顔をするティルとリオウ。そんな二人を見て、今までの暴言を黙って聞いて耐えていたヴィータやフェイト達が声を上げた。

 

 

ヴィータ「いい加減にしろよ!部署が違うとはいえ、同じ管理局に所属している仲間が死んだ事を嘲笑ってんじゃねえ!」

 

フェイト「准将。いくら准将でも先ほどの言葉は問題があります!即刻撤回してください!!」

 

サイガス「うっ!」

 

 

二人の突然の気迫のこもった言葉を受け一瞬たじろぐサイガス。だがすぐにその顔は、怒りの形相が浮かび上がり、自分に意見してきた二人に対して怒鳴り声を上げた。

 

 

サイガス「私になんて口の聞き方をするのだ!この人間モドキ!コピー人間!!」

 

なのは「なっ!コピー人間って・・・・フェイトちゃんの事!いくら何でもその言葉は酷すぎます!フェイトちゃんに謝ってください!!」

 

サイガス「私に意見するな!!(バシッ!)」

 

なのは「きゃあ!」

 

はやて「なのはちゃん!」

 

 

サイガスに突然叩かれるなのはを見て声を上げるはやて。

 

 

ヴィータ「もう我慢ならね!こんな奴!」

 

 

サイガスに対して掴みかかろうとするヴィータ。

 

 

サイガス「な、なんだ!手でも上げる気か!上官に向かって!」

 

 

サイガスを殴ろうと拳を振り上げるヴィータに対して、突如それを止める大きな声が辺りに響いた

 

 

クロノ「やめないか!ヴィータ!!」

 

ヴィータ「!」

 

なのは「クロノくん!」

 

フェイト「お兄ちゃん!」

 

 

アースラの搭乗口の入口からの大声。それはフェイトの義理の兄であり、なのは達が乗ってきた次元航行艦アースラの艦長であるクロノ・ハラオンの物だった。ヴィータに対して怒鳴ったクロノは、そのままサイガスの前まで移動すると、頭を深々と垂れた。

 

 

クロノ「准将、部下が無礼なことを働いてすいません。部下に変わって自分が謝罪しますので、どうかここはこれで。」

 

 

サイガス「フン!クロノくん、君の所は部下の躾がなってないよだな!さすがはロストロギアを運送中に暴走させて、次元航行艦を一隻沈めたという大失態を起こした役たたずであるクライドの息子だな!」

 

 

クロノ「!」

 

 

頭を下げたままの状態で、実の父であるクライドを侮辱する言葉を聞き、内心怒りに抱き立つクロノ。だがクロノはソレを唇を噛み、拳を握りしめて耐えた。

 

 

サイガス「・・・まあいい。君の謝罪に免じて、ここは引くとしよう。」

 

クロノ「・・・ありがとうございます。」

 

 

頭を下げたままお礼の言葉を言うクロノ。

 

 

サイガス「フン!まったく不愉快な連中だ!しょせん魔導師とは言え、大失態を犯した者の息子と元犯罪者。コピー人間に人間モドキ、無能者のクズの集まりだ。せいぜいクズ共はクズらしく、クズ同士で馴れ合ってろ、ははははははははっ!」

 

 

クロノの様子を見て気分を良くしたサイガスは、はやて達をその場に残して、取り巻きの男達を連れてその場を去って行った。

 

 

ヴィータ「おいクロノ!何でなにも言い返さないで頭だけ下げたんだ!」

 

 

サイガス達が去っていったのを見届けた後、サイガス達に頭を下げたクロノに食ってかかるヴィータ。言葉には出さないが、この場にいるなのは達はヴィータと同じ気持ちなのか、ヴィータと同じような顔でクロノを見ていた。

 

 

ヴィータ「クライドってお前の死んだ父親だろう?あんな連中に良い様に言われて悔しくな「悔しに決まってるだろ!!」・・・・っ」

 

 

ヴィータの言葉に対して声を張り上げて、怒りを顕にした顔で答えるクロノ。

 

 

クロノ「尊敬し、誇りに思っている父親をあんな風に侮辱されたんだ!悔しいに決まってるだろう!!けど、今ここでブラックスワンと問題を起こしたら僕らばかりか、僕らを支援してくれている母さんや三提督の方たちにも迷惑を掛けることになるんだぞ!」

 

 

ヴィータ「!」

 

 

クロノ「奴らは自分達に逆らう者に対して容赦しない!そんな連中と問題を起こしたらどうなるか、キミにだって分かるだろう!!」

 

 

ヴィータ「・・・・・・」

 

 

クロノの言葉を聞いて、押し黙るヴィータ。

 

 

シグナム「・・・クロノの言うとおりだ。それに奴らは自分達に逆らう者に対して本当に容赦ない。噂では反時空管理局勢力と見なした対象を、圧倒的な武力によって制圧していて、その様子は「鎮圧という名の虐殺」と言う言葉が当てはめられるほどだと噂されている。そしてその犠牲者になった反時空管理局主義者やその容疑者は数百万から数千万と言われていて、その実態は情報統制で一般市民や一般の管理局員の耳には入らないようにしているとも言う。」

 

 

フェイト「数百万から数千万!?」

 

 

シグナムからのブラックスワンの手にかかった犠牲者のあまりにも多さに顔を青ざめるフェイト。他の面々も似たような面立ちで立ち尽くしていた。

 

 

クロノ「・・・みんな、今は辛いだろうけど、ここはこらえてくれ。紋章術が広まれば管理局の慢性的に問題になった人手不足が解消される。そうなればブラックスワンの様な連中に大きな顔をされなくて済むようになる。

それまでは迂闊なことはしないようにな。」

 

 

なのは達「「「・・・はい。」」」

 

ヴィータ「・・・ちっ!分かったよ。」

 

押渋々というような感じで返事をするヴィータ。

 

クロノ「君たちも、仲間が悪く言われたのが悔しいのは分かるけど、今あいつらに目を付けられるような行動はしたら、紋章術士の採用に反対している奴らに付け入る隙を作ることになる。そうなれば死んで逝った仲間達の死が無駄になってしまう。そんな事は君たちも嫌だろう?だからここは我慢して耐えてくれ。」

 

 

ティル・リオウ「「・・・はい。分かりました。」」

 

クロノ「じゃあ僕はこれで。」

 

 

ティル達に一言言ってその場を後にするクロノ。

 

 

ティル「・・・すいません。僕達が居たせいで、皆さんにご迷惑を。」

 

 

自分達の存在がなのは達に迷惑をかけたと思い込み、申し訳なさそうな表情で頭を下げて謝るティル達。

 

 

なのは「別に二人のせいじゃないよ。」

 

ヴィータ「そうだぜ、お前らは何も悪くない。悪いのは勝手にいちゃもんつけてきたアイツらだ。」

 

はやて「そうやで。二人は悪くない、だから謝る要素なんて無いんや。」

 

リオウ「・・・そう言っていただけると幸いです。では僕たちはこれで。」

 

 

なのは達に対してお辞儀をしてその場を後にするティルとリオウ。そんな二人の姿が見えなくなるまで見送るはやて達。

 

 

なのは「・・・話には聞いてたけど、魔力保持者による無能力者の軽視はブラックスワンのせいで、ますます酷くなっているのはホントだったんだね。」

 

フェイト「そうだね。紋章術の導入で魔力保持者と無能力者の壁が少しでも無くなればってミゼット提督も言ってたけど、うまくいってないみたいだね。」

 

シグナム「ブラックスワンの傲慢な態度が、魔力保持者の無能力者の差別を増長させている。悪い傾向だ。」

 

はやて「気分悪わ~。ああ!アイツらのことを考えると胸クソ悪くなる!良し!ここは気分転換も兼ねて、誠也くん達を呼んでどっか旅行にでも行こう!せっかくの夏休みなんやしな!」

 

なのは「・・・そうだね、せっかくの夏休みだもんね。」

 

 

場の悪い空気を変えようと、はやてが明るい声で旅行に行こうと言う。そんなはやてに合わせるようになのは達も明るい顔をしてはやてに返事をするなのは。

 

 

ヴィータ「そうだな。こういう時はパーッと遊ぶに限る!」

 

フェイト「旅行か~、この季節だと行くなら山か海だね。」

 

はやて「なら私は断然海!海にしようよ、みんな!」

 

なのは「海か~、良いね~。誠也くんや美夏ちゃん、あやめさん達も誘おうよ!」

 

フェイト「美夏達を誘うんなら、春香さん達も一緒に誘ってみよか♪」

 

はやて「あ、それ良いな!後、アリサちゃん達や合唱部の人達、それとダメ元で千早さん達も誘ってみるのも良いな♪」

 

ヴィータ「楽しくなりそうだな♪」

 

 

話が弾み、笑顔になるはやて達。

 

 

はやて「よし!なら早速この話を誠也くんにメールで・・・って、そうだ、本局(ここ)じゃ携帯繋がらないんだった・・・」

 

 

今話した話しの内容を誠也に一刻も早く知らせようと自分の携帯を取り出して操作をし始めるはやてだったが、今自分が居る時空管理局の本局では携帯が繋がらない事に気づいて、操作の手を止める。

 

 

なのは「も~ドジだな~はやてちゃんは。・・・・ん?はやてちゃん、その携帯の待受の写真、それ・・・」

 

 

はやての携帯の待受画面を見て、そこに写っている写真について聞くなのは。

待受の写真、そこには小さい頃と思わしきはやてと、はやてと年が近い女の子が仲良く並んで写っている写真だった。

 

 

はやて「ん?ああ、コレ?この前家のアルバムを整理してたら懐かしい写真が出てきてな。懐かしくなって携帯の待ち受けにしたんや。」

 

フェイト「へ~、これ、写ってるの小さい頃のはやてだよね。年の頃からして、私達と出会う前の写真だね。」

 

なのは「一緒に写って居る子は?」

 

はやて「私の従姉妹のカズミちゃんや。」

 

なのは「へ~。はやてちゃん、従姉妹居たんだ。今まで話しに出てこなかったから居ないだとばかり思ってた。」

 

はやて「まあ、そう思ってもしかたがないわな。話さんかったんは、もう居ないからなんや。」

 

フェイト「居ない?」

 

はやて「私の両親が死ぬ少し前に、旅行先で事故に合って死んでしもうてな。」

 

なのは「あ・・・ゴメン。変なこと聞いて・・・」

 

はやて「良いて。さあ!それよりも、とっとと報告を済ませて、さっさと地球に帰ろう!海が私らを待ってるで~!!」

 

 

張り切った声を上げて廊下を歩き出すはやて。

そんなはやてを見た後、互いの顔を見合わせたなのは達は、クスリと微笑むと、先に歩き出したはやてを追いかけた。

 

 

なのは「ちょっと、はやてちゃん!待ってよ~!」

 

フェイト「はやて、歩くの早いよ~!」

 

はやて「みんな歩くの遅いで~!置いてくよ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイガス「失礼します。」

 

「マリア・セイバーハーゲン」と書かれたプレートが張られている扉を開けるサイガス。はやて達と会った後、取り巻き達と別れたサイガスは今、「ブラックスワン」の司令であるマリア・セイバーハーゲンの部屋へと来ていた。広い部屋の中、中央に接客用のソファーとテーブル、窓際に書類仕事をするデスクがあるだけの殺風景な部屋の中、部屋の主であろう人物・・・甲冑と法衣と言う、この部屋に不釣り合いな異様な格好である「マリア・セイバーハーゲン」は、デスクで書類に目を通しながら、部屋の中に入って来たサイガスに声をかけた。

 

セイバーハーゲン「・・・サイガスか?」

 

サイガス「ハッ!ご報告に上がりました!」

 

敬礼をして挨拶をしたサイガスは、そのままこの部屋に来た目的であるセイバーハーゲンへの報告をし始めた。

 

サイガス「新たに発見した幾つかの世界の管理局への編入は順調に行われております。編入に反発・反対をした勢力に関しては即ブラックスワンの実働部隊を導入し、随時殲滅を行っております。」

 

セイバーハーゲン「・・・そうか。最近導入した無人兵器「メギロード」はどうだ?」

 

サイガス「素晴らしい成果を上げています。司令より頂いた設計図を元に、量産化に向けてのコウストダウンの為にサイズを設計図の半分にしましたが、それでも予想以上の戦果を上げています。」

 

セイバーハーゲン「そうか。ところで反対勢力は・・・」

 

サイガス「無論、猫の子一匹見逃さずに、すべて全滅させております。」

 

セイバーハーゲン「よろしい。我らに逆らう者や無能者・亜人種に情けなどかけるな。見逃せば、後で手痛いしっぺ返しを喰らうことになる。「即時殲滅」これを徹底させろ。」

 

サイガス「無論心得ております。」

 

セイバーハーゲン「よろしい。ところで、例のロストロギアの行方は掴んだか?」

 

サイガス「そ、それが・・・・例のロストロギア・「インキュベーター」の行方はつかめたのですが・・・厄介な所におりまして・・・」

 

セイバーハーゲン「厄介な所?」

 

サイガス「はい、第97管理外世界・地球なのです。」

 

セイバーハーゲン「地球だと?我々のやり方に反対している三提督の一人、ミゼット・クローベルの管轄だったなあの星は。」

 

サイガス「はい。迂闊に手を出したら、奴らに付け入る隙を与えかねません。」

 

 

セイバーハーゲン「・・・・・」

 

 

サイガスの報告を聞いた後、おもむろに黙るセイバーハーゲン。サイガスはセイバーハーゲンの次の言葉を黙って待ち、しばらくの間、部屋の中を沈黙が支配した。

 

 

セイバーハーゲン「・・・・・・例の7人を使う。奴らなら身元がバレてもこちらに嫌疑が向くこともない。向こうに既に潜入しているミツキの元に送れ。」

 

サイガス「?!アイツ等を使うのですか!」

 

 

セイバーハーゲンの長い沈黙の後、出てきた言葉に驚くサイガス。

 

 

サイガス「き、危険なのではありませんか?いくら奴らが以前より力が落ちているとは言え・・・」

 

セイバーハーゲン「心配ない。ヤツらの中心である「心臓」はこちらの手の内にある。下手なことはせん。それに監視役としてドゥーインとマーグリスも送る。」

 

サイガス「そうですか・・・分かりました。では、そのように手配します。」

 

報告を終えて、一度敬礼をした後に部屋を後にするサイガス。そんなサイガスの後ろ姿を見送った後のセイバーハーゲンに、彼女の内から聞こえてくるような声が語りかけてきた。

 

 

―――――因子は順調に集まっているか?―――――

 

 

セイバーハーゲン(・・・お前か。ああ、順調に集まっている。)

 

 

セイバーハーゲンは聞こえてきた声に驚きもせず、落ち着いた声で答えた。

 

 

――――――――ヴェルトバオムを使っての魂とエネルギー集めの方は?――――――――――――

 

 

セイバーハーゲン(反乱分子を始末するのを利用して、奴らを皆殺しにし、魂と負のエネルギーを喰らわせている)

 

 

――――――――――因子の収集具合は?――――――――――

 

 

セイバーハーゲン(「門」は今現在、有ると思わしき場所の絞込みに成功し、その場所の調査を行っている最中だ。パラダイスシステムの代用品については既に確保。「器」は現在作成中。因果律と時空間操作の中核となる物に関しては既に目星はつけてある。)

 

 

――――――――――そうか・・・では最後に「もう一種類の太極の欠けら」探しは?―――――――――

 

 

セイバーハーゲン(・・・・・・我々が所持しているもの以外では、やはり大半を持っているのは、例のロストロギアが所持していることが判明した。奴の居る世界は特定しているので、回収班を出すよう指示を出してある。残りのいくつかは眠っていたり、様々な世界を渡り歩いたりしている物が殆どだが・・・中には奴ら、財団Xの者が所持しているのが判明した。)

 

 

――――――――――――奴らが?少し厄介だな。奴らの総帥はクロノエイチの所持者だ。奴等には気を付けろ。それと・・・例の連中にもだ。――――――――――

 

 

セイバーハーゲン(例の連中・・・三英雄の一角、仮面の戦士の名を継ぐ者たちか・・・)

 

 

―――――――――――――――そうだ・・・・Gの機兵、光の巨人、仮面の戦士、ヤツらの名を継ぐ者は必ずと言って良いほど、私の前に立ち塞がる。十分注意するのだ――――――――――

 

 

セイバーハーゲン(心配はいらん。こちらにも既に仮面の戦士の名を継ぐ者を引き入れている。奴らに充分対抗は出来る)

 

 

―――――――――――油断はするな。必ず計画は遂行させるのだ――――――――――――――――

 

 

セイバーハーゲン(わかっている。全ては我らの目的のために)

 

 

声の主が黙り込み、再び眠りについたのを確認するセイバーハーゲン。

 

 

セイバーハーゲン(そうだ・・・・私の目的のためにも、必ず・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

おまけコーナー

 

織姫「ひめちゃんと~♪」

 

みたま「たまちゃんと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

三人「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「さあ、やって参りましたおまけコーナー!今回も元気に行きたいと思います♪」

 

みたま「さて、今回も本編では説明しきれなかった事を補足していくよ♪」

 

シロ吉「そう言えば今回のお話、なのはさん達が任務の帰りに時空管理局の本局に寄って行った時の話っすね。」

 

みたま「そうそう、このお話は第7話で霞ちゃんが「はやてちゃん達は管理局のお仕事でこの世界には居ない~」って言ってたその仕事が終わった後の話なんだよ。」

 

織姫「そこではやてちゃん達は紋章術士であるティルくんとリオウくんに出会ったんだよね。」

 

みたま「そうそう。で、その二人に紋章術について教えられたと言うのが今回の話しだったね。」

 

シロ吉「確かにそうっすけど、オイラ、今回の話しだけじゃ紋章術についてまだ良く分からないっす、ですから補足お願いしますっす!」

 

織姫「じゃあ、シロちゃんからのリクエストもある事だし、今回は紋章術について補足するわね。」

 

みたま「よ~く聞いているのよ、シロ吉。」

 

シロ吉「はいっす!」

 

織姫「まず紋章術って言うのは「リリカルなのは」の世界の物じゃなくて、「幻想水滸伝」って言うRPGに出てくる魔法なの。」

 

シロ吉「あ、そうだったんす。オイラてっきり「リリカルなのは」の世界の魔法の一つだとばかり思ってたっす。」

 

みたま「作者さんが前に書いていた二次小説に紋章術が出てきてて、「今回の作品にも登場させよう!」って思って出したんだって。」

 

シロ吉「へ~っ、そうだったんすか。」

 

織姫「紋章術は普段は封印級と言う手のひら大のガラス球のような物の中に封印されていて、幻想水滸伝の世界の川や海、山の中の土の中から発見されるんだって。」

 

シロ吉「まるで鉱物みたいっすね。」

 

みたま「そうね。現にこの作品の世界でも時空管理局が管理している世界に鉱物の鉱脈みたいに、山の中や海の中にある封印球の鉱脈みたいな物があって、そこから封印球を発掘しているんだって。」

 

織姫「発掘された封印球の状態の紋章はそのままでは使うことができないの。紋章士って言う人の手によって初めてその身に宿すことができるの。」

 

みたま「紋章術は宿した紋章の種類によって使う術、魔法が決まっているの。例えば雷の紋章を宿したら雷の魔法、火の紋章を宿したら火の魔法って具合にね。」

 

織姫「ちなみに紋章は宿すだけなら、よっぽどの事がなければ誰でも宿すことができるのよ。例えそれが人間以外の生き物、犬とかでもね。」

 

シロ吉「えっ!犬でも宿すことができるんすか?!」

 

織姫「ええ、現に原作の幻想水滸伝3では犬が紋章を宿して魔法を使ってたわよ。」

 

シロ吉「なら、オイラでも宿すことはできるっすね!魔法が使えるって、何か良いすね♪」

 

みたま「「宿す」だけならできるわよ。宿す“だけ”ならね。」

 

シロ吉「ん?どう言う意味っすか?」

 

みたま「紋章は誰にでも宿す事ができるけど、その紋章の魔法を使うことができるかは、宿した本人と紋章の相性と後は、宿した本人の努力次第って所よね。」

 

シロ吉「じゃあ、もし紋章を宿しても、紋章と相性が悪かったら・・・」

 

みたま「たぶん、紋章の魔法はほとんど使えないわね。」

 

シロ吉「じゃあ仮にオイラが紋章を宿しても、相性が悪ければ・・・」

 

みたま「多分使うことはできないわね。」

 

シロ吉「・・・何事も良い話ばかりじゃ無いって事っすね。」

 

みたま「そう言う事。」

 

織姫「さて、じゃあ今回はここまでで。」

 

みたま「それでは皆さん~」

 

三人「「「待ったね~♪」」」

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

シグナム(リリカルなのはシリーズ)

 

ヴィータ(リリカルなのはシリーズ)

 

ティル・マクドール(オリジナル)

 

リオウ・トラン(オリジナル)

 

サイガス・エイロ(オリジナル)

 

セイバーハーゲン(???)

 

 



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極黒のブリュンヒルデ編 其の二
第37話 再開と刺客と新たな電王の誕生 プロローグ


どうも、剣 流星です。
あ、暑い・・・・まだ4月なのにこの暑さ、梅雨を通り越して一気に夏到来といった感んじですね。

では、第37話をどうぞ



???「いや~まいった、まいった。手加減しているとは言え、まさか負けちゃうとはね~♪」

 

軽い感じの声が辺りに響く。

ここはエミルクロニクルの世界にある、最も困難なダンジョンと言われているクジラ岩のダンジョンの最深部。先ほどの声は、その最深部に居ると言われているこの世界の守護竜であるエミルドラゴンの声である。

 

 

誠也「・・・僕らの勝ちです。約束通り、「こあ」を元居た世界に返してくれますね?」

 

 

悪魔召喚アプリが入っている携帯を片手に握り締めながら、誠也は自分よりも数倍もあるエミルドラゴンに話しかけた。誠也の周りには、誠也と共にこのダンジョンに挑み、共にエミルドラゴンに挑んだ、この世界に事故で流れ着いた小悪魔の女の子「こあ」と仮面ライダー・ディケイドの門矢士(かどやつかさ)、仮面ライダー・キバーラの光夏海(ひかりなつみ)。そして、この世界でとある事件をきっかけに誠也達が出会った、人の姿と心を持ったモンスターである「アルマ」達数名と、お伽話のキャラが実体化した「ロア」達数名が、誠也の周りに居た。

 

異世界を巡る門矢士(かどやつかさ)の旅について行った誠也達は幾つかの世界を巡って、このエミルクロニクルの世界にやってきた。誠也達はこの世界にきた初日に、事故でこの世界に跳ばされてきた小悪魔の女の子である「こあ」と出会い、とある理由から誠也はこの「こあ」のご主人になった。誠也は事故で跳ばされてこの世界にきた「こあ」を元の世界に戻す方法を探し、その最中に「アルマ」達や「ロア」達と出会った。誠也は「アルマ」達や「ロア」と共に幾つかの事件を解決しながら「こあ」を元居た世界に戻す方法を探し、ついにソレが出来る力を持っている存在を探り当てた。

 

「こあ」を元の世界に戻せる力を持った存在。それは太古の昔からこの世界、エミルクロニクルの世界の一つである人間・・・エミル族の住む世界を守護してきた竜、エミルドラゴンである。

誠也はエミルドラゴンの存在を知り、エミルドラゴンに会うべく、エミルドラゴンがいると言われるダンジョン「クジラ岩」へ、司や夏海、アルマ達やロア達と共に挑み、その最深部を目指した。迷宮と化しているクジラ岩の中を、立ちはだかる強力なモンスターやトラップの数々を仲間達と共にくぐり抜けた誠也達は、ついに最深部に居るエミルドラゴンの元にたどり着いた。

 

 

エミルドラゴン「いや~、良くここまでたどり着いたね、歓迎するよ♪」

 

 

軽い口調で、自分の元にたどり着いた誠也達を出迎えるエミルドラゴン。その軽い口調に最初戸惑いながらも、自分達がこの場所に赴いた目的、こあを元の世界に戻してあげる為にココに来たことを話し、こあを元の世界に戻してあげて欲しいと言った。エミルドラゴンは「それぐらいお安い御用だ♪」と軽い口調で言った。だが、無論タダでとはいかなかった。エミルドラゴンは誠也達に、自分の退屈しのぎに付きあってくれたなら頼みを聞いてあげる」と言った。エミルドラゴンの退屈しのぎ・・・それは、エミルドラゴンと戦う事であり、願いを叶えてもらう為には、勝たなくてはならないのであった。

 

誠也達は当初、この話を聞いた時、「そんなの無理!」と言った。この世界・エミルクロニクルの世界に住んでいる3つの種族、エミル、タイタニア、ドミニオンには、それぞれの種族の名前を持っている守護竜が居り、その中でもエミルドラゴンの力は最も強く、この世界最強と言ってもいい物であった。当然そんな者と戦ってもかなわないと言った。だがエミルドラゴンは「大丈夫♪ちゃんと手加減してあげるから♪」と、これまた軽い口調で言って、こちらの言葉など聞く耳持たないと言った感じで、いきなりバトルを始めたのである。

 

突如切って開かれるエミルドラゴンとの戦い。手加減しているとは言え、エミルドラゴンの攻撃は一つ一つがとても強力で、ディケイドである司もその力に圧倒された。だが、誠也の悪魔召喚アプリで呼んだ悪魔による適切な援護と、夏海とアルマ達とロア達にとの協力しての攻撃により、なんとかエミルドラゴンに勝つ事が出来たのであった。

 

 

エミルドラゴン「さて・・・約束通り、その子を元居た世界に戻してあげるよ。でも、良いのかい?この子が元の世界に戻ったら、君とこの子を結んでいる繋がりは完全に切れる事になるよ?」

 

 

誠也「!・・・しかたないです。こあと別れるのは辛いし、繋がりが切れるのも嫌だけど、でも!元の世界に「こあ」を待っている人が居るのなら・・・僕はこあを元の世界に戻してあげたい!」

 

 

こあ「マスター・・・」

 

 

強い意志がこもった目でエミルドラゴンに言い放つ誠也を見るこあ。

「こあ」を元の世界に戻す方法を探し始めた当初、誠也は「「こあ」を本当に元の世界に戻して良いのか?」と思う事があった。こあは、強大な力を発揮する悪魔の家の子であるにもかかわらず、幼い頃からその才能が開花せず、「出来損ない」「能無し」と言われつづけ、そんな出来損ないに名付ける名前など無いと言われ、誠也に「こあ」と言う名前を付けてもらうまでずっと名無しのまま育てられた。そんな家に「こあ」を返しても、「こあ」は「幸せにはならないのでは?」と誠也は思ったのである。

 

誠也は家族や親戚と上手くいって居ないこあの境遇が自分と似ていて、そんな場所に戻しても不幸になると思った。

誠也の家である鳴海の家は、誠也が生まれてからは不幸がつづき、家族はバラバラの状態であった。誠也が生まれてすぐ、誠也の母親は、通り魔に襲われた際、一緒に居た誠也を庇って死んでしまった。誠也達を襲った通り魔。実はその通り魔はただの通り魔ではなく、誠也の父親で、当時刑事をしていた父親の誠司が追っていた犯罪組織の手の者で、組織を追って居た誠司を煙たがり、警告として誠也達を襲ったのである。

 

誠也の母親が死んで、鳴海の家は家族みんながバラバラになってしまった。父親である誠司は妻の敵を取るために、残った誠也と誠也の姉である「京香」を放ったらかしにして、組織を負う事ばかりして家に帰らなくなってしまった。そのせいもあって誠也の姉である「京香」は、いつしか誠也を憎むようになってしまった。

 

 

京香「あんたのせいでお母さんは死んで、お父さんは家に帰ってこなくなった!みんなあんたのせいよ!あんたなんか生まれてこなければ良かったのに!」

 

 

「生まれてこなければ良かったのに!」その言葉を聞いて誠也は呆然となった。父親は自分を見ず、姉は自分を憎む。さらに親戚である乃木坂の家に居候する事になった誠也を、母親の継母が、誠也の事を「いずれ乃木坂の家を乗っ取り、自分と娘と孫達を乃木坂の家を追い出すのでは?」と思い込んでしまった事がさらなる不幸へとつながってしまった。

 

当時、乃木坂の家は前当主である王季(おうき)と、王季(おうき)の二人目の妻である美月(みつき)。そして、その二人の間に出来た娘である秋穂(あきほ)とその夫である玄冬(げんとう)。そして秋穂(あきほ)玄冬(げんとう)の間に生まれた娘の春香(はるか)と、当時秋穂(あきほ)のお腹の中に居た美夏(みか)が居るだけであった。当時、乃木坂の家で、乃木坂の血を引いている者は皆女の子ばかりであった。そんな時、男の子である誠也が生まれせいで、乃木坂の関係者の間に密かにある話が浮かんできたのである。

 

 

「女に乃木坂の家を継がせるのはふさわしくない。ましてや他の家の者を婿に迎えて当主にするなど以ての外!やはり家を継ぐのは乃木坂の血を引いた男にさせるべきだ!」

 

 

こんな話が持ち上がったせいで、後妻である美月は誠也を自分達の地位を脅かす存在と認識し、事あるごとに誠也を虐待したり、ひどい時はその命を奪おうともしたのである。其のせいもあって、誠也は最初引き取られた乃木坂の家では虐待を受けながら育ち、乃木坂の家を出た後も何度か命を狙われたのである。そんな環境でそだった為、誠也は六歳になる頃には感情と言う物が殆どない状態であった。

だがそんな誠也を救った人達がいた。誠也が六歳の頃に引き取られた誠也の母親の双子の妹が嫁いだ藤堂の家の人達と、当時藤堂の家の近所に住んでいた、誠也の従姉妹である悠菜の幼馴染である「早苗」と「千早」、そして千早の弟の「優」と二人の母親である。優しい人々に囲まれたおかげか、誠也は徐々に感情を取り戻して行き、そこにさらに自分に親身になってくれた「はやて」の両親も加わり、今では普通の人並の感情が戻ったのである。

 

 

「自分には優しくしてくれた人達が居たが、「こあ」にはそんな人達は居ないんじゃ戻っても不幸になるだけじゃ・・・・」

 

 

そんな風に考えた誠也は、「こあ」に「自分達と一緒に行かないか?」と言った。話をした当初、「こあ」は悩んだ。だが、誠也が自分と似たような境遇であるにもかかわらず、家族ともう一度向き合おうとしていると知って、「戻る」と言ったのである。

誠也はこの旅をして行くうちに、様々な事を学び、そしていつしか「もう一度、父と姉と向き合い、可能なら仲直りしたい」と考えるようになり、旅が終わったら、二人に向き合うと決意していた。「こあ」はそんな誠也の決意を知り、兄弟や親戚に罵られながれ、煙だがられてる自分をいつも気にかけてくれた父親と、唯一自分に優しくしてくれた、自分すぐ上の姉の行為に甘えて、他の兄妹と向き合うことをしていなかった自分を恥じた。そして、自分も誠也と同じ様に、もう一度家族と向き合おうと決意したのである。

「こあ」はこの事を誠也に話し、誠也は「こあ」の決意を尊重し、本格的に「こあ」が元の世界に戻るための方法を探すのに全力を注いだのである。

 

 

エミルドラゴン「じゃあ、その子の元居た世界へのゲートを開くね。ふん!」

 

 

誠也達の前で力を集中させるエミルドラゴン。やがて、誠也達の前に光でできた光の渦が現れた。

 

 

エミルドラゴン「さあ、その渦の中を通っていけば、キミの元居た世界に戻ることができるよ。」

 

こあ「あ、ありがとうございます。」

 

 

エミルドラゴンに対してお礼を言ってお辞儀をする「こあ」。

 

 

こあ「皆さん、ここに来るまでの間・・・本当にお世話になりました!ありがとうございます!」

 

 

ここに来るまでの間、世話になったアルマ達やロア達に向かって頭を下げてお礼の言葉を言うこあ。

 

 

アルマ達やロア達も「こあ」に対して「元気でね。」「こちらこそ世話になった。」「またいつか会おう。」と涙混じりの声などで応え、「こあ」との別れを惜しんだ。

 

 

こあ「マスター、私・・・初めてのご主人様(マスター)がマスターで良かったです。本当に・・・あ、ありがとう・・・ございます。」

 

 

涙混じりの声で誠也に対して別れの挨拶をする「こあ」。

 

 

誠也「俺も・・・「こあ」の、ご主人様(マスター)になれて・・・良かった。向こうでも、元気で・・・ね。」

 

 

誠也も、溢れ出てきそうな涙を堪えながら、「こあ」に別れの挨拶をする。

 

 

名残惜しそうに光の渦へと一歩、一歩と踏み出すこあ。

 

 

こあ「あ、そうだ。このペンダント。返さなきゃ。」

 

 

こあは自分の首から下げているペンダントを見て、誠也に返すために外そうとする。

このペンダントは誠也がこあと仮契約をした時に契約の媒体とする為にこあに与えた物だった。

 

 

誠也「返さなくていいよ。ソレはもう「こあ」の物だから。」

 

こあ「でも・・・」

 

誠也「持ってて欲しいんだ、こあに。」

 

こあ「あ、ありがとう・・・ございます。」

 

 

ペンダントを大事どうに抱きしめるこあ。

 

 

こあ「じゃあ・・・行きますね。」

 

誠也「・・・うん。」

 

 

光の渦の中へと入って行くこあ。その姿は光に溶けるように徐々に姿が薄れていく。

 

 

こあ「マスター!また・・・もう一度出会えたら・・・・私のご主人様(マスター)になってくれますか?」

 

 

光にの渦に姿が溶けながら誠也に対して大きな声で語りかけるこあ。

 

 

誠也「!・・・ああ!またなってあげるよ!何度でも、「こあ」のご主人様(マスター)に!」

 

 

誠也の声が聞こえたのか、その姿が消える瞬間、こあは笑顔で・・・この世界を後にした。

 

 

 

 

 

 

幻想郷・・・そこは日本の山奥に存在するとされる、結界で隔離された土地。

そこでは外の世界では「空想の生き物」とされている妖怪・妖精・神霊やそこで混じりながら暮らす人間など「幻想の生き物」が棲んでいた。

その幻想郷の中にある紅い目立つ色をした洋風の館・紅魔館。その地下にある大図書館の中で、図書館の主である魔女・パチュリー・ノーレッジはある実験に勤しんでいた。

 

 

パチュリー「・・・よし。ふ~、あと少しと言う所ね。」

 

床に座り、床に複雑な文字と線の巨大な魔法陣を書いていたパチュリーは、その作業を一旦中断して顔を上げて一息ついた。

 

パチュリーはここ数日の間、紅魔館の主であるレミリア・スカーレットからの依頼により新たな転移魔法の研究をしていた。

「退屈だから、外の世界へ行きたい。幻想郷の結界に影響を出さずに自由に行き来できる転移魔法を作って。」と、いつもの気まぐれから出たレミリアの言葉により転移魔法の研究を始めたパチュリーであったが、その研究は難しい物であった。だが、助手の小悪魔や、図書館に良く来る霧雨魔理沙、アリス・マーガトロイド等の協力もあって、その転移魔法は完成目前までに来ていた。

 

 

パチュリー「こっちは大体書き終わったわね。残りはあっちの方と小悪魔に任せた部分だけだけど・・・小悪魔!そっちはどう?終わった?」

 

 

パチュリーは自分と同じ用に床に魔法陣を書いていた小悪魔の方に視線を向けて、作業の進み具合を聞いてみた。だが、小悪魔はパチュリーの言葉に反応せず、床に座ったまま、自分の首からかけてあるエメラルド色の宝石がはめ込まれたペンダントを握って眠っていた。

 

 

小悪魔「・・・う~ん・・・・マスタ~・・・・」

 

パチュリー「ん?・・・小悪魔?小悪魔!!」

 

小悪魔「ひゃっ!あ・・・ぱ、パチュリー様?!」

 

 

声をかけても返事をしない小悪魔に対して大声を出すパチュリーと、その声に驚いて飛び上がる小悪魔。

 

 

パチュリー「まったく、「ぱ、パチュリー様?!」じゃ無いわよ!ペンダント握り締めながら寝てるんじゃないわよ!ここの所、徹夜続きで大変だったのは分かるけど、あと少しなんだからしっかりして!」

 

小悪魔「す、すいません!ちょっと疲れちゃって・・・(なんだか懐かしい夢見たな~私の初めてのご主人様の夢・・・・)」

 

 

パチュリーに対して申し訳なさそうな顔をして頭を下げて謝った後、どこか懐かしそうな顔をする小悪魔。

 

 

パチュリー「まったく、本当に大切そうにペンダントを握って寝てたわね。確か、貴方の一番最初の主からの贈り物のペンダントだったわねソレ。」

 

小悪魔「あ、はい。小さい頃異世界に迷い込んだ時、魔力切れで倒れた私と仮契約をして助けてくれた方が私にくれた物で・・・・私の宝物なんです♪この魔法陣で外の世界に自由に行き来でいるようになったら、前の主であるあの方に会えるのかな~て思って、それでペンダントをつい見入っちゃってたら、いつの間にか寝ちゃってて・・・・」

 

 

パチュリーの問いに対して嬉しそうな、懐かしそうな顔をして答える小悪魔。

 

 

パチュリー「はぁ~、あなた・・・本当に前の主の事を話す時、本当に嬉しそうな顔で話すわね。まるで恋人の事を話すみたいに。」

 

小悪魔「えっ!こ、恋人?!わ、私とあの方とはそ、そんなんじゃありませんよ!も~/////」

 

 

パチュリーに「恋人」と言われて、顔を赤くする小悪魔。

 

 

パチュリー「はぁ~本当に恋する女の子の顔してるわよ小悪魔。ま、そんなことよりも、作業の進み具合はどうなってるの?」

 

小悪魔「あ、はい。ここの部分が終われば私の方は終わりです。」

 

パチュリー「そう。なら、後はあっちの方を書き上げれば終わりってわけね。」

 

小悪魔「はい。」

 

パチュリー「あなたは引き続き、ここをお願い。私はあっちの方をやっているから、ここが終わったら私の方を手伝って。」

 

小悪魔「分かりました。」

 

パチュリー「さあ、とっとと終わらせるわよ!」

 

小悪魔「はい!」

 

パチュリーに対して元気な声で返事をした小悪魔はそのまま作業に戻ろうと、床に目を向けて、魔法陣を書こうとした。その時

 

 

ズキッ!

 

 

小悪魔「っ!」

 

突如、左胸から痛みが発して、小悪魔はその動きを止めてしまった。

 

 

パチュリー「ん?どうしたの?小悪魔?」

 

作業に戻ろうとした途端、その動きを止めてしまった小悪魔を見て、パチュリーは声をかけた。

 

小悪魔「・・・いいえ、なんでもありません(今一瞬、左胸の痣から痛みが・・・)」

 

パチュリー「?そう・・・」

 

 

小悪魔からの「何でもない」と言う返事を聞いて作業に戻るパチュリー。

そんなパチュリーを見た後、小悪魔は自分の左胸に手を当てて、先ほどの痛みについて考えた

 

 

小悪魔(生まれた時から私の左胸にある紋章みたいな痣・・・今までこんな風に痛む事なんて無かったはず・・・あの痛みは一体?)

 

 

先ほどの痛みに対してあれこれと考え込む小悪魔だったが、考え込んでいてもしかたがない結論づけ、作業に戻った。

それから大体1時間半位、二人は作業に没頭し、ついに転移魔法に必要な魔法陣を書き終わらせた。

 

 

パチュリー「ふ~・・・やっと終わったわ。後は作動テストをして、問題がなければ完成ね。」

 

出来上がった魔法陣を見て少し疲れた顔をした後、満足そうな笑みを浮かべるパチュリー。

 

小悪魔「そうですね。それで、作動テストはいつ?すぐにしますか?」

 

パチュリーの側に佇んでいた小悪魔は、魔法陣を使っての転移魔法の作動テストをいつするかをパチュリーに訪ねた。

 

パチュリー「この後すぐにするわよ。レミリアからも完成をせっつかせられてたし、私自身も早くコレが作動する所を見てみたいしね。」

 

小悪魔「わかりました。では早速転移魔法の準備を。」

 

そう言って小悪魔は転移魔法の準備に取り掛った。そして15分後、魔法陣の前には転移魔法を行う為の準備が整ったパチュリーと小悪魔が立っていた。

魔法陣の中心には転移の実験に使う為の人形が置いてある。パチュリーはそれを確認すると、転移魔法を発動せるための呪文を唱え始めた。

小悪魔はソレをパチュリーの斜め後ろから佇んで見守っていた。

 

パチュリー「―――――!―――――!」

 

パチュリーが唱えた呪文により、魔法陣が光を発し始め、薄暗い大図書館内をほのかに照らし始める。小悪魔はそれをかたずを飲んで見守る。

 

小悪魔(今の所順調。このままなら上手く・・・?!(ズキッ!))

 

 

 

 

――――・・・極を宿・・・し・・・者――――

 

 

 

パチュリーの呪文を唱える所を見守っていた小悪魔。その小悪魔の左胸の痣がまた痛み始めると同時に脳に直接響くような声が届く。小悪魔は驚き、声の主を探すために周りを見回した。だがいくら見回しても声の主を見つけることはできず、小悪魔はさらに困惑した。だが、そんな小悪魔の様子に、呪文を唱えるのに集中していたパチュリーはそれに気づくこともなく、さらに呪文を唱え続ける。すると、魔法陣の光はさらに強くなり眩しくなっていく。そして、その光が強くなるにつれ、小悪魔に聞こえてくる声も、先ほどのものよりも強く、はっきりと聞こえてきた。

 

 

 

――――――――女神の・・・証を・・宿す者―――――

 

 

 

小悪魔(なに?何なの?この声!?)

 

 

謎の声に困惑する小悪魔。そんな小悪魔を他所に魔法陣の光と謎の声はシンクロするようにさらに強くなる。

 

 

 

――――――――――私の、唯一の同胞を正すために・・・・あなたに・・・力を!新たなマシアフとして!――――――――――

 

 

小悪魔「え?私に力?」

 

 

聞こえてきた声に対して声を上げる小悪魔。

 

 

パチュリー「集中しなさい小悪魔!・・・・もうすぐ完成よ!」

 

 

パチュリーの一言にハッとなり、魔法陣の方へと視線を移す小悪魔。転移魔法が完成したのか、中心位ある人形が光に包まれ、今まさに転移しようとしていた。だがその瞬間、転移の光が膨らみ、膨張し始めたのである。

 

 

パチュリー「なっ!なにコレ!!どう言う事?!まさか、転移魔法が暴走!?小悪魔!逃げなさい!!」

 

 

魔法陣中心から膨張してくる光に対して驚いた後、これは暴走だと瞬時に悟ったパチュリーは、側に居た小悪魔に逃げるように叫ぶ。

 

 

小悪魔「えっ?逃げるって・・・きゃあああああああああああ!」

 

 

パチュリーの声を聞いて、その声の通りに逃げる事ができなかった小悪魔は魔法陣の光に飲み込まれる。

 

 

パチュリー「小悪魔?!きゃああああああああああああ!」

 

小悪魔が光に飲み込まれた瞬間を見た後、自らも光に飲まれるパチュリー、そしてその後・・・

 

 

ドカーーーーーーーーーーーーーーーン!!

 

 

魔法陣の光は大爆発を起こした。そしてその爆発から数十秒後、大図書館の扉を勢いよく開けて、一人の人物が中に飛び込んできた。紅魔館の主である吸血鬼・レミリア・スカーレットである。

 

 

レミリア「何事!パチュリー!今の爆発は・・・・・?!」

 

 

レミリアは大図書館に入って真っ先に目にした風景に驚いた。大図書館内はいつも彼女が見ている沢山の本と本棚が整然と並んでいる風景ではなくなっていた。大きな力で吹き飛ばされて無残な姿となった大図書館の風景と、先ほどの爆発で出来た大量の粉塵が舞う空間が目に入ってきたのである。

 

 

レミリア「な、何が起きたの?パチェ!パチェ!!」

 

 

レミリアは粉塵で視界が良くない大図書館内をパチュリーの名前を叫びながら、その姿を探し始めた。

 

 

パチュリー「う・・・・・・レミィ・・・・」

 

 

レミリア「パチェ!」

 

 

聞こえてきたパチュリーの声を聞いて、そちらの方へと視線を向けて目を凝らしたレミリアは、床に倒れているパチュリーの姿を発見し、そこに駆け寄った。

 

 

レミリア「一体何があったの?アーデルとお茶をしていたら、突然大図書館から爆発音が聞こえて、駆けつけてみたらこの有様・・・一体があったの?」

 

 

パチュリーを抱き起こしながら、何があったのかを聞くレミリア。パチュリーはレミリアの問いに対して、爆発のせいで負った傷のせいか、弱々しい声で答えた。

 

 

パチュリー「・・・例の・・・転移魔法が暴走して・・・・・それよりも、小悪魔は?あの子も一緒に・・・・・・・!?私との魔力の繋がりが切れてる?!」

 

 

パチュリーは自分と、使い魔である小悪魔をつないでいる魔力のラインが切れているのに気づき慌てた。

 

 

パチュリー「小悪魔・・・返事なさい!小悪魔!小悪魔!!」

 

 

 

 

 

つづく

 

 

おまけコーナー

 

織姫「ふ~~、忙しい忙しい」

 

みたま「?何そんなに忙しそうにしてるの?」

 

織姫「あ、たまちゃん。もうすぐウチの神社でお祭りだ有るから、その準備で忙しの。」

 

みたま「あ、そう言えばもうすぐアンタの所、もうすぐ「春季例大祭」だったわね。」

 

織姫「そうなの。だからその準備で忙しくて。あ、ちなみに「春季例大祭」は5月5日ですから、興味がある方は是非当日、足利の織姫神社にお越し下さい♪」

 

シロ「・・・織姫様。宣伝も良いですけど、おまけコーナー、進めてくださいっす。」

 

織姫「あ!ごめんなさい!私ったらつい・・・・と、兎に角、おまけコーナー進めなきゃね、たまちゃん。」

 

みたま「そうね。じゃあ早速今回の補足をしちゃいましょうか。」

 

織姫「今回の補足は、東方projectについて補足をしていきます。そして・・・・その補足をなんと!ゲストさんを呼んでしてもらおうと思います!」

 

みたま・シロ「「おお!」」

 

織姫「では早速ゲストさん登場です。「永遠に紅い幼き月」「溢れるかりちゅま」紅魔館の主・レミリア・スカーレットさんで~す!」

 

レミリア「感謝しなさい!この私が直々に補足をしてあげることを!っとその前に・・・・そこのアナタ!」

 

織姫「え?私?」

 

レミリア「そう、あなたよ!さっき私を紹介しようとした時、「カリスマ」の所を噛んで読んだでしょ?気をつけなさい!」

 

織姫「え、え~と・・・ご、ごめんなさい。(噛んでたわけじゃないんだけどな~(^_^;))」

 

レミリア「まあいいわ。それで補足をするのよね、私達が出ている作品「東方Project」についての。」

 

織姫「ええ。お願いします。」

 

レミリア「しょうがないわね。「東方Project」はZUN(通称「神主」)という人が運営する個人サークル「上海アリス幻樂団」制作の弾幕シューティングゲームを中心とする作品の総称よ。呼び方として略式で単に東方と呼ばれることも多いわ。」

 

みたま「たしかニコニコ動画三大ジャンル、御三家(東方、VOCALOID、アイドルマスター)の一つとして言われているわよね。」

 

レミリア「そう。日本をモチーフにした架空の世界「幻想郷」を舞台とする独特の世界観や、一風変わった性格・設定のキャラクター、裏設定の重厚さなどから、ストーリー部分やキャラクターへの人気がとても高く、二次創作(小説や漫画など)も多い。その為、ニコニコ動画では安定した人気の高さを誇っているから御三家の一角として数えられているの。」

 

シロ「すごいっすよね~。オイラ達の「ひめタマ」も一応ニコニコ動画に数点動画が上がっているっすけど、さすがに東方にはかなわないっす。羨ましいいっす。」

 

レミリア「続けるわよ。作品の第一作は1996年の発売で、それから5作品が連続して発売されたんだけど、第5作品目を堺にZUN氏が活動を休止していたのだけど、2002年に個人サークル「上海アリス幻樂団」として活動を再開。動作プラットフォームがMicrosoft Windowsに変更になったことから、それまでの作品と区別して「Windows版」と呼ばれ、旧作と言われる第五弾までの作品と設定のほとんどを一新したの。ちなみにこの作品に登場している東方はこっちの新しい方の東方ね。」

 

織姫「そういえば確か、一新した東方の記念すべき第一弾の作品は、レミリアさんが初登場した「東方紅魔郷」でしたわよね。」

 

レミリヤ「そうよ!私が起こした異変「紅霧異変」を描いた作品で、この異変の黒幕である私が、ステージ6の最終ボスとして威風堂々!威厳たっぷりに登場するわ!(ドヤ顔)」

 

織姫「えっ!レミリアさんが最終ボスで黒幕?EXステージのフランさんじゃないんですか?」

 

レミリア「はっ?何言ってるの!あの作品の黒幕はわ・た・し・よ!威厳たっぷりに登場してるじゃない!」

 

織姫「ご、ごめんなさい!一番狙うのが難しいEXステージのフランさんの方がそれっぽく見えて・・・それに、キャラ人気投票でもフランさんの方が人気高かったからてっきり・・・」

 

レミリア「うっ!(グサッ!)」

 

みたま「ちょっと織姫!それ言っちゃダメ!いくら妹のフランよりも人気が無いだとか。」

 

レミリア「うっ!(グサッ!)」

 

みたま「すぐ「カリスマブレイク」して「かりちゅま」になるだとか。」

 

レミリア「ううっ!(グサグサッ!)」

 

みたま「最近「フランの方がカリスマあるね。」だとか。」

 

レミリア「うううっ!(グサグサグサッ!!!)」

 

みたま「フランの方が紅魔館の主っぽい」と言われているからって、そんなひどい事言っちゃダメよ!」

 

レミリア「ぐはっ!(バタン!)」

 

織姫「たまちゃん・・・たまちゃんの方がよっぽどひどいこと言ってるよ?レミリアさん、泣きそうになってるよ。」

 

みたま「え?」

 

シロ「さすが縁切りの神ですねおやびん!めった斬りっすよ!!」

 

レミリア「う、うううっ・・・・うわあああああああああああああああああん!咲夜―!みんながいじめるうううううううううううううううううう!」

 

みたま「あっ!」

 

織姫「泣きながら走って行っちゃった・・・・・たまちゃん、ちょっとヒドイよ。」

 

みたま「うっ!」

 

織姫「後で謝りに行こうね。」

 

みたま「うっ!・・・分かったわよ。」

 

織姫「じゃあ今回はここまでと言う事で、みなさん」

 

三人「「「まったね~♪」」」

 

レミリア「うわあああああああああああああああああああん!!」

 

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

エミルドラゴン(エミルクロニクルオンライン)

 

パチュリー・ノーレッジ(東方Project)

 

レミリア・スカーレット(東方Project)

 

 



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第38話 再開と刺客と新たな電王の誕生①

どうも、剣 流星です。ゴールデンウィーク明けからの仕事の多さで忙殺されて、執筆ができませんでした。その為、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
どうにか一話完成させられたので投稿します。
では第38話をどうぞ。



早朝の皆神村。朝霧がまだ立ち込んでいるその村の田舎道を、ジャージ姿の誠也が早朝のジョギングをしていた。・・・両手に野菜などが目一杯入った袋をもって。

 

誠也「う~ん・・・毎回ジョギングをするたびに畑の野菜やら何やらをもらうのは有難いんだけど・・・これじゃあジョギングにならなないんだよな~(^_^;)」

 

 

両手に持っている目一杯野菜などが入っている野菜を見て苦笑をする誠也。

誠也達がかなでやカズミ達にあやめを連れて鳴海荘へと行った日から数日が経った。

あやめの事をかなで達に話をした後、誠也達は早速かなで達の鳴海荘への引越しを始めた。かなでや寧子、小鳥達が隠れ家として使っている廃村にある彼女たちの荷物・・・と言っても彼女達が廃村の建物内に放置だれていた家具や衣服を勝手に自分達の物にして使用していた物なのだが、それらを運び出して、鳴海荘の部屋へと運び込む作業を開始した。運び込む量事態それ程なかったので、作業は半日で済んだ。

作業終了後、誠也は翔子達を連れて皆神村へと戻り、その後の数日間、ヴィンガルフや、財団Xからの刺客もなかったため、誠也は皆神村で孝介と一緒に皐月に言われた用に家の留守番や掃除、時々は村の人達の畑仕事などを手伝ったりして過ごした。そのおかげか、村の人達に誠也はえらく気に入られて、誠也は早朝のジョギングの最中、早朝の畑仕事をしていた人達から毎回採れたての野菜や果物などを頂いているのであった。

 

 

誠也「・・・気持ちは有難いんだけど、ジョイギング中に渡されてもな~。でもみんなの気持ちありがたいから、素直にもらっておくか。」

 

 

もらった野菜等を見ながら、嬉しいような、困った様な顔をする誠也。そんな顔をしながら、誠也はジョギングを終了して、岩永家へと戻って行った。

 

 

誠也「ただいま戻りました~」

 

 

岩永家の玄関の扉を開けて中へと入る誠也。そんな誠也を笑顔で出迎える皐月。

 

 

皐月「おかえりなさい、誠也くん。あら?まあ、またお野菜もらってきたのね。」

 

 

ジョギングから戻って来た誠也の両手一杯の野菜を見て、誠也がまたジョギング中に村の人達から貰い物をしてきた事を悟る皐月。

 

 

誠也「ええ。毎回毎回貰い物をして、なんだか悪い気がして仕方がありませんよ。」

 

皐月「その貰った物は貴方がそれだけ村の人達に認められたって事の証なんだから、遠慮せずに貰っておきなさい。」

 

誠也「そうですね。あ、このお野菜、前に貰った物と同じように、土間の隅に置いといていいんですよね。」

 

皐月「ええ。そこで良いわ。野菜置き終わったら、そのままお風呂へ行って汗を流してきちゃって良いわよ。その頃には朝食の準備も出来ているはずだから。」

 

誠也「あ、はい。分かりました。」

 

 

誠也は一旦部屋へと戻り、着替えを持って、皐月に言われた通り風呂場へとおもむき、ジョギングでかいた汗を流した。

 

 

誠也「ふ~、さっぱりした。」

 

 

風呂場で汗を流した後、持ってきだ着替えに着替えて風呂場を後にすした誠也は、皐月達が朝食の準備をしているであろう居間へと向かった。

 

 

翔子「あ、おはよう誠也くん。お風呂から上がってきたんだね。」

 

さくや「う~~~あ~~~・・・」

 

銀子「さくやちゃん、まだ目が覚めてないのね(^_^;)」

 

孝介「おはよう誠也。また村の人達からまた貰い物戴いたんだって?気に入られてるな~。」

 

 

居間には既に起きて(一部今だに目が攻めていない人もいるが)朝食を食べている、今現在の岩永家に居る面々が居た。

 

 

皐月「誠也くん。朝食もう出来てるから座って。私はもうパートに行かないといけないから、朝食の後片付けだけお願いするわね。」

 

誠也「あ、はい。分かりました。行ってらっしゃい。」

 

 

パートへ行くために家を出る皐月を見送った後、自分の分の朝食が置いてある卓袱台の前に座り、朝食をとり始める誠也。

 

 

誠也「そう言えば、皆さん今日はどうするんです?」

 

 

朝食を取りながら誠也は、他のみんなの用の予定を聞いてみた。

 

 

銀子「私は例の羽衣の欠けらを宿した山童・・・「ミズチ」を探すわ。この村一帯にで回収していない欠けらは「ミズチ」が持っている欠けらで最後のはずだから。」

 

孝介「俺は銀子さんの欠けら探しの手伝いをするよ。」

 

さくや「私は夏期講習がありますから、この後学校へ行きます。」←朝食食べて目が覚めた

 

誠也「翔子は?確か今日から夏休みだったよな?」

 

 

誠也は昨日、終業式を迎えて、夏休みに入った翔子に今日の予定を聞いてみた。

 

 

翔子「う~ん・・・夏休みの宿題を早く片付けたいから、今日は留守番も兼ねて宿題やってる。誠也くんは?」

 

誠也「カナリヤが数日前、村上先輩のライダーの素質を調べる検査をやったんだけど、今日その結果が出るだ。だから今日はそれを聞きに行こうと思ってる。丁度昨日、カナリヤに頼んでいた物が完成したって連絡をもらっていたから、それの受け取りに行かなきゃいけないし、お祖父ちゃんから、銀行に振り込まれている特許料をどうにかしなさいって言われているから、遠羽市に一旦戻るよ。」

 

孝介「特許料をどうにかする?前、千早ちゃんが765プロに入った時、「765プロに入った千早姉の為に何かできないか?」って言って、取りあえずアソコの株を大量に買うのに使用したじゃないか。それなのにまた入ってきたのか特許料?」

 

誠也「ええ。また入ってきたんです。いちいち使うのを決めるのもメンドいし、今度は定期的に施設や福祉団体に振り込むよにしておこうと思ってます。」

 

 

入ってきた特許料の使い道考えながら朝食を食べる誠也

 

 

翔子「特許料?誠也くん、何かの特許取ってるの?」

 

誠也「うん。前に話したと思うけど、以前異世界を旅した時、ある世界の幾つかの食材を持って帰って、ソレをこの世界で栽培、養殖させる方法を確立させたんだ。その後、栽培・養殖とかで出来た食材の販売をお祖父ちゃんに頼んで乃木坂グループ系列の店なんかで販売してもらったんだ。聞いたことない?乃木坂の「グルメ食材」の事。」

 

銀子「グルメ食材って。確か万能細胞でも有り、旨みの元でもある「グルメ細胞」を多く含んだ食材の事でしょう?従来の食材よりも圧倒的に美味しくて、今では「グルメ食材」を使った料理が大ブームでになってるって。」

 

誠也「そう。その「グルメ食材」と「グルメ細胞」のことだよ。「グルメ食材」と「グルメ細胞」関連の物を乃木坂グループで販売する時、お祖父ちゃんがそれらの特許を俺の名前で出したから、それらの特許料が全額定期的に僕の持っている口座に振り込まれてね。お金は流通させずに、一箇所に貯めておくと色々とメンドくさい事になるから、ちゃんとした使い方を考えて使わないといけないって。」

 

銀子「ちょっと!グルメ食材とグルメ細胞関連の特許料が全額振り込まれてる!?誠也くん、グルメ食材・細胞関連の特許料で入ってくるお金っていくらかわかってるの?!グルメ食材のブームのおかげでグルメ食材は今とても売れているし、グルメ細胞を使っての新しい医薬品や治療法が発見されて、今まで治らなかった沢山の病気やケガが治るようになり、さらにグルメ細胞を合成して作られた植物が荒地や砂漠の緑化が進めている。今やグルメ食材と細胞関連の事業を行っている乃木坂グループは、かつてないほど潤っているって話よ!当然その特許料って言ったら相当な額よ!?」

 

翔子「ど、どれくらいもらってるの?」

 

 

興奮して、捲し立てるようにグルメ食材と細胞の特許料について語る銀子の言葉を聞いて、翔子が少しおっかなビックリに入ってくる特許料の額を聞いてみた。

 

 

誠也「え~っと確か・・・くれぐらいだったかな?」

 

 

翔子の問に対し、入ってくる特許料の数字を居間にあったメモに書いて見せる誠也。

 

 

翔子・銀子「*@¥#&%&?!」

 

 

そこに書かれた見たことない金額の数字を見て驚く翔子と銀子。

 

 

翔子「し、心臓止まるかと思った。」

 

 

銀子「そ、そんなにもらってるの?!時々株なんかをやってお金稼いでいる私でも見たことない数字よ!?と言うか、さくやちゃんに孝ちゃん!なんで二人共あの数字を見て平然としてられるの?!」

 

 

驚いている銀子と翔子の側で悠然と食後のお茶を飲んでいるさくやと孝介に突っ込む銀子。

 

 

孝介「そりゃあ・・・まあ、知ってたからな。」

 

さくや「ええ。と、言うか、これぐらいの事で驚いてたら、旧ゲキド街地区近くにある鳴海家の近所で生活していけませんよ。」

 

 

銀子の突っ込みに対して、悠然とお茶をすすりながら何かを悟ったような顔で答える孝介とさくや。

 

 

翔子「生活していけないって・・・あの近辺ってそんなに凄い事が起きてるんだ(^_^;)」

 

銀子「あははは・・・・なんだかどっと疲れが出てきたわ。驚いている自分がアホらしくなるわ・・・孝ちゃん、ミズチ探しに行こうか。」

 

孝介「あ、まってください!」

 

 

のそっと立ち上がり、疲れた顔で今を出て行く銀子を追って、孝介も今を出て行く。

 

 

さくや「私もそろそろ行きますね。」

 

誠也「あ、僕も行きます。じゃあ翔子、留守番お願いね。」

 

翔子「うん、いってらっしゃい。気を付けて行ってね。」

 

 

出て行く二人に「気を付けて」と言った翔子に手を振って答えて誠也とさくやは、留守番をする翔子を後に残し、さくやは夏期講習のために学校へ。そして、誠也はテレポートリングを使ってラボへと出かけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ラボの地下一階部分にある大テーブルがある部屋。そこにカナリヤと神妙な顔つきの良太が居た。

 

カナリヤ『・・・良太くん。素質の検査の結果は出たわ。』

 

良太「そ、それで・・・結果は?」

 

固唾を飲んでカナリヤからライダーの素質を調べる検査の結果を待つ良太。数日前、誠也が良太達にあやめを紹介した日、良太は誠也に自分にライダーの素質が有るのか調べて欲しいと申し出た。良太はドレステインの工場に潜入する時、良太は寧子を守るためについて行った。だが工場での戦いでは、寧子を守るどころか誠也達に守られ、逆に足を引っ張ってしまうと言う結果に終わってしまった。ライダーと魔女。ゾディアーツと言われた怪人との戦い。それらの戦いで良太は、「何の力のない自分では役に立つどころか、足でまといの何者でもない」と思い知らされた。

 

「力が欲しい」

 

良太は工場から戻って来てからずっとそう思い続けた。そこで良太は誠也に自分にもライダーになる為の素質があるかどうかを調べて欲しいと頼んだ。当初誠也はこの話を断っていたのだが、良太の「どうしても!」と言う言葉に負けて、誠也はカナリヤに良太にライダーになる為の素質があるかどうかの検査をして欲しいと頼んだ。そして今日、その検査の結果が出るのである。

 

 

カナリヤ『貴方にはライダーになる為の素質は有るわ。』

 

良太「!ほ、本当ですか!」

 

 

カナリヤの言葉を聞いて「これで自分も寧子の力になれる。守ってあげられる。」と思い、笑顔を浮かべる良太。

 

カナリヤ『そ、それで、あなたに合うライダーは・・・・電王。仮面ライダー電王よ。』

 

良太「仮面ライダー・・・電王。そ、それで、どんな力があるライダーなんです?」

 

 

カナリヤが言った電王の名を噛み締めるように言った良太はカナリヤに電王がどんなカ仮面ライダーなのかを聞いて見た。

 

 

カナリヤ『え~と・・・・その~』

 

良太「?」

 

 

カナリヤがなにか言いにくそうな、歯切れの悪い感じで言葉を濁しているのを感じ取り、頭に?マークを浮かべる良太。

 

 

カナリヤ『あ、あのね、よく聞いて。仮面ライダー電王は「カナリヤ、例の物できてる?」ってあ、誠也。来たのね』

 

カナリヤの言葉を遮る様にして部屋に入ってくる誠也と、それに気づくカナリヤと良太。

 

良太「アレ?誠也、また皆神村から戻ってきたのか?」

 

誠也「あ、はい。作ってもらうように頼んだ物を受け取りに。それと、村上先輩のライダーの素質の検査の結果が気になってたので、それを聞きに戻ってきました。それで検査の結果は?」

 

 

誠也は良太の検査の結果がどうなったかをカナリヤに聞いてみた。

 

 

カナリヤ『良太くんには電王になる素質があるみたいなの。』

 

誠也「で、電王?あちゃ~、よりにもよって電王なのか・・・・」

 

 

カナリヤの口から出た仮面ライダーの名前を聞いて、額に手を当てて、「あちゃ~」と言う誠也。

 

 

良太「ん?なんだ?電王って言う仮面ライダー、なにか問題が有るのか?」

 

 

誠也「ええ。カナリヤの開発した今の電王には、性能面でかなり問題があるんです。」

 

 

良太「え?性能面で問題?!どう言う事なんだ?」

 

カナリヤ『よく聞いてね。そもそも元になっているオリジナルの電王は装着者に憑依しているイマジンと言う怪人の力でモードチェンジができる仕組みになっているの。装着者にイマジンが憑依していないと、最弱である「プラットフォーム」にしかなれないのよ。」

 

良太「へ~・・・・・・ん?と言う事は、今の俺には「イマジン」なんてのはとり憑いていないから・・・・」

 

カナリヤ『ええ。最弱のプラットフォームにしかなれないわ。』

 

良太「ち、ちなみに、プラットフォームの性能は?」

 

誠也「・・・雑魚怪人とも言える「屑ヤミー」や「ダスタード」と一対一で戦っても勝てるかどうかって位の性能しかないです。」

 

良太「つ、つまりそれって・・・」

 

カナリヤ『うん、ぶっちゃけ言うと、殆ど「役たたず」と言ってもいいわね。』

 

良太「や、役たたず・・・・」OTL

 

 

カナリヤの役たたずの言葉に項垂れる良太。

 

 

カナリヤ『え~と・・・取りあえず電王になる為の変身用ツールは渡しておくわね。』

 

 

カナリヤは自分の能力である亜空間にある収納空間から電王のベルトとパスを良太の側に出して置いた。

 

 

誠也「と、ところでカナリヤ。例の改良型のテレポートリングはできてる?」

 

 

項垂れている良太を気の毒そうに見ながら、誠也はカナリヤに頼んだ物が出来ているかを聞いた。

 

 

カナリヤ『出来ているわよ。新しく作成した新しいウィザードリング数個と一緒にそこのテーブルの上に置いてあるわよ。』

 

 

カナリヤが羽で方向を指し示した。

 

 

誠也「ん?・・・これか」

 

 

カナリヤが指し示した方向にあるテーブルの上には一個の携帯とウィザードリング数個が置いてあった。誠也はテーブルの上にあるウィザードリングすべてをポケットにしまうと、携帯を手に取り操作した。

 

 

カナリヤ『テレポートリングの方はあなたの要望通りに作ってあるわ。携帯の方は、あなたが昔使っていた携帯の中に入っていた「悪魔召喚アプリ」を解析して、その携帯の中にインストールさせてあるから。』

 

誠也「良し!これを寧子さんに護身用に持ってもらえば、もう寧子さんが能力を使う事が無くなるから、能力を使って自分の記憶を無くす事も無くなる。」

 

良太「うん?黒羽の護身用?どういう事だ?」

 

 

項垂れていた良太であったが、寧子の名前を聞い反応して立ち上がった。「寧子さんの事になると、本当に反応が早いな~」と立ち直った良太を見て思いながら、誠也は護身用の悪魔召喚アプリがインストールされた携帯について語った。黒羽寧子は能力を使うと、記憶が消えてなくなる。記憶を無くさないようにするには、能力を使わないようにすればいいだけの話なのだが、刺客に狙われている今現在そうも言っていられない。そこで誠也は寧子が能力を使って戦わないように、護身用に彼女専用の悪魔召喚アプリが入った携帯を渡すことを考えたのである。

 

 

良太「・・・なるほど、ならコレからは黒羽が何らかの理由で戦うことになっても、その携帯の中にある「悪魔召喚アプリ」を使えば、記憶を無くさないで戦うことができるんだな。」

 

誠也「そういう事です。じゃあ俺はこれを寧子さんに渡してきます。カナリヤ、携帯ありがとうね。」

 

カナリヤ『ええ。さて、これでひと段落したし、これでようやく私の叶井梨絵(オリジナル)から新たに送られてきたファイルを調べることができるわね。』

 

 

カナリヤにお礼の言葉を言った誠也はそのまま部屋を出ていき、カナリヤはその姿を見送った後、誠也からの頼みごとのせいで中断していた調べ物の再開をした。

 

 

良太「あ、待ってくれ誠也。黒羽の所に行くんだったら俺も一緒に行く。佳奈に来るように言われているんだ。」

 

部屋を出て誠也を見て、自分の側にあった電王のベルトとパスを持って、良太も誠也に続くようにへ部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也がラボでカナリヤと良太に会っている頃と同じ時。

遠羽市内にあるとある湖の近くにある森の中。そこに突如次元の裂け目が現れ、その中から一つの光の玉が飛び出してきた。

光の玉は地面に降り立つと、上半身と下半身逆についた砂でできた鬼の姿へとなった。

砂の鬼の正体、それは仮面ライダー電王の世界で、電王である野上良太郎取り付き、良太郎に協力したイマジンの一人、モモタロスである。

 

 

モモタロス「ここが・・・あのアルコルって奴が言ってたカナリヤと誠也、はやての居る世界か」

 

 

モモタロスは初めて来たこの世界がどんな所なのか、周りを見回しながら探ってみた。

 

モモタロスが何故この世界に居るかと言うと、以前、ディケイドである門矢士と共にモモタロス達の前に現れた、誠也の友人と名乗るアルコルの、良太郎への頼みごとがそもそものきっかけであった。

「財団Xと戦っている誠也に力を貸して欲しい」アルコルはそう言って、良太郎達に協力を求めたのである。

良太郎達は以前、ムネモシュネの事件で財団Xの力と一端に触れたため、その強大さと危険さを感じ取っていた。その為、良太郎はアルコルの提案に答えることにし、モモタロス達も良太郎の決定に従った。だが、この世界の事をほっといて、良太郎立ち全員で行く訳にはいかず、様子見も兼ねて、取りあえず代表でモモタスが一人で行くことに決まったのである。

 

 

モモタロス「ふ~ん、見た所、俺達の世界とあまり変わらないみたいだな。」

 

 

周りを見回し、様子を見るモモタロス。その時、自分がくぐり抜けてきた次元の裂け目が空いたままになっている事に気が付いた。

 

 

モモタロス「うん?この裂け目、まだ空いてるぜ。もしかしてこのまま空いたままなんじゃないだろうな?」

 

 

モモタロスは空いたままの一向に閉じる気配の無い次元の裂け目を見て、「閉じないのか?」と思いながら次元の裂け目の中を覗いてみた。

 

 

モモタロス「ん?なんだ?「何か」が・・・・物凄いスピートでこっちにくる!」

 

 

覗いた裂け目の中を見たモモタルスは、「何か」が物凄いスピードで迫って来るのを見て慌てた。

 

 

モモタロス「おわ!ぶ、ぶつか、ぶべっ!」

 

 

突如裂け目の中から出てきた「何か」に押しつぶされ、砂で出来た体が飛散してしまうモモタロス。

 

 

モモタロス「な、なんだなんだ?一体何が飛び出してきたんだ?」

 

 

自分にぶつかってこの世界に来た「何か」探すモモタロス。先ほどの事で、次元の裂け目が閉じ元の静かな森へと戻った辺りを注意深く探ってみた。

 

 

モモタロス「うん?アレは・・・・」

 

 

モモタロスは周りを見回し、自分から少し離れた所に何かが倒れているのを発見し、それに近づいて行った。

 

 

モモタロス「人?!しかも女だな。だが・・・」

 

 

倒れている物に近づいて見たモモタロスは、それが紅い長い髪の少女でることに気づのだが、その少女の格好を見て、その少女が人間ではないことに気づいた。なぜ少女が人間で無いかを一目見て分かったのか。それは倒れている少女の背と頭に黒い羽のような物が生えており、それが人間で無い事を証明していたからであった。

モモタロスは始め、その生えている羽に驚くが、すぐに我に返り、倒れている少女に近づき、体を揺さぶって声をかけた。

 

モモタロス「おい!嬢ちゃん!しっかりしろ!おい!!」

 

続けざまに体を揺さぶって声を掛けるモモタロス。やがて倒れていた少女は「う、う~ん」と言いながら、閉じていた瞳をゆっくりと目を開け、頭に手を当てながらて上半身をゆっくりと起こした。

 

 

小悪魔「・・・こ、ここは?・・・・アレ?私は・・・・」

 

 

モモタロス「ここはどっかの湖の近くにある森の中。嬢ちゃんは俺が通ってきた次元の裂け目から突然出てきたんだ。」

 

小悪魔「え?次元の裂け目?あの・・・あなたは?」

 

 

モモタロスの上半身と下半身が上下逆になっている、砂で出来た姿に驚きもせずにモモタロスに声を掛ける小悪魔。声をかけられたモモタロスは自分の姿に

 

 

モモタロス「俺はモモタロス、イマジンだ。で、お嬢ちゃん、名前は?何で次元の裂け目から出てきたんだ?」

 

小悪魔「私は・・・・・・アレ?私は・・・・・・・・あの」

 

モモタロス「ん?」

 

小悪魔「私は・・・・・誰です?」

 

モモタロス「・・・・・・・・・・・・・・はあ?!」

 

 

つづく

 

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

モモタロス(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー電王))

 

 

 




今回おまけコーナーはお休みにさせていただきます。


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第39話 再開と刺客と新たな電王の誕生②

どうも、剣 流星です。
今回の話から東方に続いてニコ動のMMD御三家の一つのキャラが正式に参加します。
どの作品のどのキャラかは、読んでからのお楽しみと言う事で。

では第39話をどうぞ。



夜の建設中のビルと思わしき場所。その場所にポニーテールをした中高生ぐらいの女の子が居た。

力なく資材の上に座り込んだ彼女の顔には、疲労と怖い何かから逃げているかのような恐怖が浮かんでいた。

彼女の名は「シノ」。寧子やカズミ達と同じ、研究所から逃げ出してきた魔女の一人である。

彼女は、他の数人の逃げ出してきた魔女の仲間達と共に、研究所の目から逃れながら生活していたのだが、数時間前、研究所からの刺客に見つかってしまい、彼女以外の魔女の仲間が殺されてしまったのである。

彼女は刺客から命からがら逃げ、今現在、この建設途中のビルに逃げ込んで隠れているのである。

 

 

シノ「・・・今日はここにお世話になろう。・・・・カズミ達、元気かな・・・・」

 

力なくポツリと独り言を言うシノ。一緒に行動をしていた仲間の魔女達を殺された彼女は、同じ様に逃げ出した魔女の仲間であるカズミ達の元へと向かっていた。だが刺客の必要な追跡に疲弊し、この建設中のビルで一休みしようと思って忍び込み、建設に使うであろう資材の上に力なく座り込んだ。そんな彼女の背後で突然「トッ!」と何かの音がした。

 

シノ「!」

 

咄嗟に音のした方を振り返るシノ。だが、音の正体を見た瞬間、彼女は胸をなでおろした。

音の正体、ソレは野良猫が資材の上に飛び乗った時の音だった。

 

シノ「なんだ、猫ちゃんか。あなたも帰るお家がないの?」

 

自分の方を不思議そうに見る猫に対して話しかけるシノ。

 

猫「ニャー!ニャーニャー!」

 

シノ「えっ!」

 

猫の鳴き声を聞いて驚くシノ。

彼女は自分の魔法。動物と会話する魔法を使って、猫の声を聞いて驚いたのである。

彼女は、猫から自分を追っている刺客が近くまで来ている事を知ったのである。

 

シノ「うん、分かった。じゃあアナタも一緒に逃げよう。」

 

そう言ってシノは自分の目の前にいる猫を抱きかかえると、その場から走って行った。その直後・・・

 

スドーーーン!!

 

シノが数秒前まで居た場所が、突如光の閃光によって吹き飛ばされたのである。

 

 

キカコ「・・・・・」

 

 

ビルの外、自分の砲撃の魔法によって吹き飛ぶビルを黙って見つめる人物があった。刺客の魔女・「キカコ」である。そして、その周りにはふわふわと飛んでいる黒い光の鳥「カラス」とコウモリの怪人である「バットイマジン」の姿があった。彼女は左手にカラスから与えられた大きめのCPUメモリのような物を握り、右手にはシノの仲間達の物であろう血が付いたハーネスを数個握っていた。

 

 

カラス『・・・どうやら逃げたようだな。』

 

バットイマジン「追わなくて良いのか?」

 

カラス『アイツにはライダー達をおびき寄せるための餌になってもらわないとな。』

 

バットイマジン「餌か・・・・」

 

カラス「さて、アイツをもう少し追い詰めるぞ。付かず離れずの距離を保ちながらアイツを追いかけ攻撃を仕掛けるんだ。くれぐれも殺さないようにな。」

 

キカコ「・・・了解。」

 

キカコは新たに下ったカラスからの命令を聞き、自分の攻撃で逃げ出した人影を追って再び歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「・・・佳奈の予知?」

 

 

真夏の太陽が照りつける道を、寧子に携帯を届けるために鳴海荘へと向かう誠也と良太。

誠也は暑さにへばりながら、良太から鳴海荘へと行く理由を聞いてみた。

 

 

良太「・・・・ああ。今朝方、俺の携帯にあやめさんから電話があって、「佳奈が予知につい話があるから来て欲しい」って言っている。」って。ほら、佳奈って体が動かないだろう?だから「あやめ」さんに電話を頼んだんだと思う。あ~~暑い・・・・」

 

誠也「・・・・ああ、だからあやめさんが代わりに電話してきたんですね。・・・それにしても、幽霊のあやめさんから電話って、ある意味怪奇現象ですね(^_^;)」

 

 

幽霊である「あやめ」からかかってくる電話を「どこぞの怪奇現象みたいだな~」と思い苦笑する誠也。

 

 

良太「・・・所で今日はラボに殆ど人がいなかったみたいだけど、他の人達はどうしたんだ?」

 

 

良太は今日行ったラボにカナリヤ以外の人影が見当たらない事を不思議に思い、誠也に聞いてみた。

 

 

誠也「竜輝はカズミさんと秋葉原に行ってますよ。何でもカズミさんが能力を使うのに必要なインターフェイスが壊れて、ソレを直すのに必要な部品を買いに行くって。カズミさんは「デートだ♡」って言って喜んでたみたいですけど。」

 

良太「デートって・・・カズミのやつ、自分が命狙われている自覚あるのか(^_^;)」

 

誠也「霞は「かなで」と友達の姫路さんや鈴と一緒に買い物で、圭介はその荷物持ちとして同行。」

 

良太「に、荷物持ち(^_^;)」

 

誠也「田中先輩は例によって斬鬼さんの特訓を朝から受けてます。」

 

良太「あ、ああ・・・どうやらそうらしいな(^_^;)」

 

 

遠くから「ジェロニモーーーーッ!」と叫ぶ隆史の声を聞いて誠也の話に納得する良太。

 

 

誠也「銀子さんは孝介さんと一緒に皆神村で探し物、さくやさんは学校の夏期講習。翔子は今日は夏休みの宿題を片付けるのに集中するって事で、今回は連れてきてません。」

 

良太「なるほどね。しかし、銀子さんの探し物って、例の羽衣の欠片だよな。見つかるといいよな「~♪~♪」って・・・歌声?」

 

 

鳴海荘に近づくにつれて聞こえてきた歌声に反応する良太。

 

 

誠也「たぶんまた「あやめ」さんが掃除をしながら歌ってるんだと思いますよ。」

 

良太「そうか。けど・・・・この歌声、もう一人分の声も聞こえるけど。」

 

誠也「もう一人分の歌声?」

 

 

良太に言われて、耳を澄まして歌声を聞いてみる誠也。そして誠也は、あやめの歌声と重なるように小さな女の子の声が歌を歌っているのを聞き取った。

 

 

誠也「ああ。この声は「ぷち」の声だな。」

 

良太「ぷち?」

 

誠也「鳴海荘の近くに住んでいる、ウチの学校にある合唱部の副部長をしている「初音未来(ハツネミク)」先輩の二人いる妹さんのうちの一人ですよ。」

 

良太「ああ。あの合唱部の。」

 

 

良太は誠也の口から合唱部の名前を聞いて、前に何度か自分が通っている学校の合唱部がコンクールで優勝したという話を思い出して頷いた。

 

 

良太「それにしても「ぷち」だなんて変わった名前だな。」

 

誠也「いや、名前じゃなくて愛称ですよ。本名は「初音美空(ハツネミク)」って名前で、二人いるお姉さんと同じ呼び方の名前だから、区別するために俺たちは愛称で「ぷち」・「ぷちミク」って呼んでます。」

 

良太「愛称でね~」

 

誠也「ちなみに「ぷち」の上にいる、ミク先輩のもう一人の妹の方は「美来(ミク)」って名前で、俺たちは愛称で「ちび」・「ちびミク」って呼んでます。」

 

良太「「ぷち」に「ちび」ね~。なんだか猫につける名前みたいだな(^_^;)」

 

誠也「猫ですか(^_^;)まあ、猫みたいに可愛い娘達ですからね。あながち間違ってはいないか~」

 

 

良太の「ぷち」達の呼び方を聞いた感想を聞いて、「ぷち」達の事を思い浮かべる誠也。こんな風に話ながら誠也達はあやめ達の歌声を聞きながら鳴海荘へと到着した。

 

あやめ・ぷち「「僕○は○んな~○きている~♪生○~ているか○歌うんだ~♪」」

 

 

鳴海荘に到着した誠也達。そこで誠也達が見た光景、それは楽しそうに歌いながら箒で鳴海荘の前を掃除しているあやめと、あやめと同じ様に歌いながら箒で鳴海荘の前を掃除している、緑髪のツインテールの小さな女の子の姿であった。

 

 

誠也「・・・・な、なぜに「手の○らを太○に」?」

 

良太「「生○ている~♪」って・・・あやめさん、あんたもう死んでるでしょうが(^_^;)」

 

 

「生○ている~♪」と歌っているあやめに対して「あんたもう死んでるでしょうが!」と軽く突っ込む良太を他所に、誠也は掃除をしている二人に声をかけた。

 

誠也「こんにちは、あやめさん。」

 

あやめ「あ、誠也さん、それに良太さんも、こんにちは。」

 

 

自分に声をかけてきた誠也と良太に掃除の手を止めて深々とお辞儀をして挨拶をするあやめ。

 

 

ぷち「あ、誠也お兄ちゃん、こんにちは♪」

 

 

あやめの声で誠也達の存在に気づいた、あやめの側に居たツインテールの子「ぷち」もあやめに続いて誠也に元気いっぱいに挨拶をした。

 

 

誠也「「ぷち」、久しぶりだな。あやめさんのお手伝いしてたんだな。えらいぞ。」

 

 

誠也はそう言って「ぷち」の頭を撫で「ぷち」は「エヘヘ♪」と嬉しそうな顔をした。

 

 

誠也「それにしてもあやめさん、いつの間に「ぷち」と仲良くなったんです?」

 

 

「ぷち」の頭を撫でた手を戻しながら、誠也はあやめに、いつの間に掃除を手伝ってもらうぐらい「ぷち」と仲良くなったのかを聞いた。

 

 

あやめ「え~とたしか・・・隆史さまが夏休みに入った辺りからでしょうか。外の掃除をしていた時、物陰に隠れながら私をじ~~っと見ていた「ぷちちゃん」を見つけて、「何か用ですか?」って声をかけて、それがきっかけで良くお話するようになって。」

 

誠也「へ~、物陰から見ていたね。・・・何でそんな事してたんだ?」

 

 

あやめの話を聞いて、誠也は「ぷち」に対してその事を聞いてみた。

 

ぷち「あのね、お姉ちゃんから幽霊さんが鳴海荘(ここ)に居るって聞いて、それで見に来てみたの。」

 

誠也「幽霊がいるって未来(ミク)先輩から聞いた?なるほど・・・先輩、悠菜姉さんからあやめさんの事を聞いてたのか。」

 

良太「悠菜さんから聞いてた?どういう事だ?」

 

 

誠也の「悠菜から聞いてた」と言う言葉を聞いて、良太は誠也にその事を聞いて見た。

 

 

誠也「悠菜姉さんは前に同じ合唱部だった「千早姉」・・・あ、父さんの友人の娘で、訳あって鳴海家(うち)に去年まで住んでた人なんだけど、その「千早姉」から未来(ミク)先輩の事を紹介してもらっていて、それ以来「千早姉」が合唱部をやめて鳴海家(うち)を出て行った後も友達として付き合いが続いてて、友達として話しているうちについうっかりしゃべっちゃったって事ですよ。」

 

良太「おい、それってまずくないか?幽霊であるあやめさんが居ることが知れ渡ったら、珍しさから人が集まってきて、有名になってここが目立ってちまうぞ。そんな事になったらここに住んでいる黒羽達の存在が明らかになってアイツ等に知られちまうぞ。」

 

 

良太はあやめの存在のせいで鳴海荘に人の目が集まって有名になり、そのせいでここに住んでいる黒羽達の存在が組織にばれてしまうのでは危惧した。

 

 

誠也「その辺りの事に関しては大丈夫でしょう。鳴海荘(ここ)は道路挟んで向こう側が旧ゲキド街ですし、ミク先輩も旧ゲキド街に住んでいます。非日常的な事はゲキド街では日常茶飯事ですから、あやめさんの事で人の目が集まって目立つなんて事はないですよ。なんせ「ゴキが部屋の中に出た!」と言ってRPG(携帯対戦車グレネードランチャー)を部屋の中でぶっぱなす所ですからね。」

 

 

良太「はあ?RPGを部屋の中でぶっぱなす事が日常茶飯事?!」

 

 

誠也の行ったことに対して「信じられん」と言う顔をする良太。そんな良太を他所に誠也は「ぷち」に話しかけた。

 

 

誠也「所で「ぷち」。今日はミク先輩や「ちび」と一緒じゃないのか?」

 

誠也はたいてい「ぷち」がいつも「ちび」かミクと一緒にいる所しか見ていないので、二人が周りにいない事について聞いてみた。

 

 

ぷち「お姉ちゃんはパンツ盗んだレン兄ちゃんを追っかけてるよ。」

 

良太「はあ?パンツ盗んだってっ・・・下着ドロ?!」

 

ぷちの話を聞いて驚く顔をする良太であったが、それとは対照的に誠也とあやめは「ああ、またか」「しょうがないですね~」といつもの事出来な反応を示す、いろんな意味でゲキド街色に染まっている二人。

 

誠也「まったく(レン)のヤツ、本当に懲りないな。この前、未来(ミク)先輩、琉音(ルネ)先輩、(リン)の三人にお仕置きされたばかりなのに(^_^;)」

 

 

呆れ顔で呟く誠也。

 

 

良太「三人がかりでのお仕置きって・・・」

 

 

誠也の言葉を聞いて頬を引きつらせる良太。そんな良太を他所に「ぷち」の話は続く。

 

 

ぷち「ちびお姉ちゃんは家で扇風機の前で「暑い~」って言ってダレてるよ。一緒に「あやめお姉ちゃんのお手伝いしよう」って誘ったんだけど、「暑いしメンドくさい!」って断っちゃった。あんなに「暑い!」って言ってるんだったら、あやめお姉ちゃんの側には居ればいいのに。」

 

 

誠也「えっ?なんで暑いんならあやめさんの側にいればいいんだ?」

 

 

誠也は「ぷち」の「暑いのならあやめの側に居ればいい」と言う言葉の意味を聞いて疑問に思い、質問した。

 

 

ぷち「え?だって、あやめお姉ちゃんの側にいるととっても涼しいんだよ。ほら」

 

良太「え?」

 

 

誠也「・・・あッ!本当だ!」

 

 

誠也と良太は先程まで暑さに項垂れながら汗を流していたのだが、今は外に居るのにもかかわらず暑さを感じていない所か涼しさを感じていた。

 

 

良太「どういう事だ?幽霊であるあやめさんには周りを常に涼しくする能力でもあるのか?」

 

誠也「こりゃ便利だな。これななら夏はあやめさんが側に居るだけで冷房いらずだな。なるほど、木場さんが「あやめさんのおかげで今年の夏は冷房いらずだよ」って言ってたのはこう言う理由だったのか。」

 

 

誠也はこの前この鳴海荘の住人である木場勇治がある時話した言葉を思い出し、納得した顔をした。

 

 

良太「これなら引っ越したばかりで、冷房がない黒羽達も快適に過ごせるな。あ、そうだ、あやめさん、黒羽達は今部屋に居ますか?」

 

 

良太は自分達がここに来た理由を思い出し、寧子達が部屋に居るかどうかをあやめに聞いてみた。

 

 

あやめ「あ、はい。黒羽さんと橘さんなら部屋に居ますけど。」

 

誠也「そうですか。じゃあとっとと用事を済ませましょうか。あ、二人共お掃除頑張ってください。」

 

あやめ「あ、はい。ありがとうございます。さあ、ぷちちゃん、あと少しですから、お掃除終わらせちゃいましょう。」

ぷち「うん!」

 

元気な声で返事をした後、今度は違う歌を歌いながら掃除を再開するぷちとあやめ。

 

あやめ・ぷち「「オ○は死ん○まっ○だ~♪○ラは死んじ○っただ~♪」」

 

良太「今度は「帰って来た○っぱらい」かよ(^_^;)」

 

誠也「歌詞がこれまた微妙に合ってる歌を(^_^;)」

 

背後からあやめとぷちの「帰って来た酔っぱらい」を聞きながら、誠也と良太は寧子達が居る部屋へと向かった。

 

 

ピンポ~ン♪

 

 

寧子と佳奈の部屋のドアの横に備え付けてあるインターホンを鳴らす誠也。

 

寧子「あ、は~い!」

 

しばらくして寧子の返事の声が聞こえた後、目の前のドアが開いて寧子が顔を出した。

 

寧子「あ、誠也くん?それに村上くん?」

 

誠也「こんにちは、寧子さん。」

 

良太「よう、黒羽。」

 

寧子「二人揃ってどうしたの?」

 

 

誠也と良太、普段からあまり一緒に行動しない二人が揃ってきたことに対して珍しいと顔に出しながら対応する寧子

 

 

誠也「例の携帯が完成したんで持ってきたんですよ。」

 

良太「俺は佳奈に呼び出されてな。」

 

寧子「あ、そうなんだ。まあここじゃなんだから上がって。」

 

誠也・良太「「おじゃましま~す。」」

 

寧子に言われて部屋の中へと入る二人。

 

部屋の中は引っ越してきたばかりなのもあって、殆ど家具が無く、有るのはテーブルと、佳奈が横になっているベットだけという殺風景なものであった。

 

寧子「そこに座ってて。今お茶を『ちょっと待って寧子。』って、何?佳奈ちゃん。」

 

 

誠也達を座らせて、お茶を入れようとした寧子を呼び止める佳奈。

 

 

佳奈『村上とすぐに二人っきりで話したいからお茶は良いわ。それよりも誠也と外に出ていてくれる?誠也も例の携帯の件で来たんでしょう?説明するだけなら外でもできるはずだから、悪いけど外で説明してあげて』

 

誠也「外で説明してあげてって・・・まあいいけど。」

 

寧子「佳奈ちゃん・・・村上くんと話って?」

 

佳奈『ソレはちょっと言えない。悪いわね寧子。外で待ってて。』

 

寧子「分かった。村上くん、佳奈ちゃんをお願い。くれぐれも、二人っきりだからって佳奈ちゃんに変なことしたら・・・」

 

良太「しないって!」

 

誠也「じゃあ、僕らは外に出てるんで、話終わったら呼んでください」

 

 

そう言って、誠也は寧子と一緒に外に出て行った。

 

 

良太「・・・それで、俺を呼び出した理由の予知についてだけど、その予知、黒羽が死ぬ予知なのか?黒羽に席を外すように言ったのも自分が死ぬなんて予知を聞かせないようにするためなんだろう?」

 

佳奈『・・・よく分かったわね、察しが良くて助かるわ。貴方が言った通り、私が見た予知は寧子が死ぬ物だった。貴方に連絡を入れるまでは。』

 

良太「俺に連絡を入れるまでは?じゃあ今は違うのか?」

 

佳奈『ええ。寧子は死なない。その代わり・・・貴方が死ぬわ』

 

良太「俺が・・・死ぬ?!」

 

 

つづく

 

 

 

おまけコーナー

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

三人「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「さあ、やってまいりました「おまけコーナー」。司会の織姫だよ~♪」

 

みたま「同じく司会のみたまよ。」

 

シロ吉「アシスタントのシロ吉っす。」

 

織姫「作者さんの都合上、不定期連載になることになったおまけコーナーだけど、張り切って行こうね!たまちゃん♪」

 

みたま「ちょっと待ちなさいよ!このコーナーが不定期連載になったって、どう言う事?あたし聞いてないわよ!」

 

シロ吉「オイラも聞いてないっす!どういう事ですか?」

 

織姫「聞いてなくて当然だよ。ついさっき初めて言ったんだから。」

 

みたま「ついさっき初めて言ったって・・・・(^_^;)」

 

シロ吉「いきなり過ぎますね(^_^;)所でどうして不定期連載になったんスか?」

 

織姫「それは・・・大人の都合上ってやつだよ。」

 

みたま「大人の都合上ね~。ただ単に毎回やってたらネタがあっという間に尽きちゃうのが目に見えてるから、不定期にしただけじゃないの?」

 

織姫「たまちゃん鋭い!ビンゴだよ!」

 

みたま「え“!当てずっぽで言ったのに(^_^;)」

 

シロ吉「すごいっスね、おやびん!」

 

織姫「まあそんな理由で、誠に申し訳ありませんが、おまけコーナーは不定期連載になります。」

 

みたま「本当にゴメンね。」

 

織姫「さて、謝罪も済んだことだし、今回の補足とソレをしてくれるゲストさんを呼んじゃおうか♪」

 

シロ吉「そうっスね。」

 

織姫「では早速ゲストさんを呼びましょう!今回のゲストはVOCALOIDの一人、鏡音レンくんで~す。どうぞ~♪」

 

レン「はあはあは・・・ど、どうも・・・鏡音レンです・・・・」

 

みたま「なんか汗だくね。まるで全力疾走した後みたい・・・大丈夫?」

 

レン「いや・・・ちょっとさっきまで、本編の中でミク姉に追い掛け回されてたから。」

 

織姫「未来(ミク)ちゃんに追い掛け回されてた?なんで?」

 

レン「あ、ソレはミク姉のパン・・じゃなくて、いや何でもない!何でもない!そ、それよりも今回の補足についての説明をするんだよね。」

 

みたま「え、ええ。(話しはぐらかすなんて、なんか怪しいわね。)今回の補足はVOCALOIDについてよ。」

 

レン「あ、なるほど。だからVOCALOIDである俺がゲストとして呼ばれたんだな。」

 

シロ吉「そういう事っス。」

 

レン「じゃあ早速説明をはじめるぞ。そもそも俺達VOCALOIDはヤマハが開発した音声合成技術、及びその応用製品の総称の事なんだけど、この作品では応用製品に設定されているキャラクターの事を指しているんだ。そして、そのキャラクターからは様々な派生キャラ(亜種)も生まれてるんだ。」

 

織姫「この作品ではその派生キャラ・亜種もまとめてVOCALOIDとしているんだったよね。」

 

レン「ちなみにこの作品に登場している俺達VOCALOIDは、一応普通の人間として登場していて、それぞれみんな親や兄妹がいて、ごく普通に学校なんかに通ってるって事になってる。」

 

みたま「普通の人間ね~」

 

シロ吉「ライフルやRPGをぶっぱなす人が“普通”の人に区分されますかね(^_^;)」

 

織姫「シロちゃん、ソレは言っちゃいけないよ(^_^;)」

 

レン「ちなみにキャラの設定なんかは作者の趣味で、ニコ動なんかで上がっている動画の二次設定なんかも使ってるから、この作品に登場しているVOCALOIDキャラはちょっとばっかり性格がはっちゃけてるかもしれないから注意してくれよ。」

 

織姫・みたま・シロ吉(((ちょっとばっかり!?)))

 

レン「ちなみにどのVOCALOIDが出てくるかは内緒だけど、今回名前が出てきたミク姉に妹のちびミク、ルネに俺の双子の兄妹のリンは確実にでてくるから楽しみに待っててくれよ。」

 

織姫「はい、レンくん説明ありがとう。助かりました。」

 

レン「いやいや、こっちも助かったよ。ミク姉から逃げる為にちょっと隠れる所が欲しかったからおあいこで「見つけたわよ!レン!!」ってミク姉!?」

 

ミク「こんな所に逃げ込むなんて、見つからないわけよ。さあ、盗んだ私のパンツ返しなさい!!」

 

レン「げッ!もうこんな所まで来たのかよ。織姫様、悪いけどゲスト出演はここまで。俺は逃げるから~」

 

ミク「あッ!待ちなさい!!(ジャキン!)←(RPGを構える音)」

 

みたま「ちょ、ちょっと!こんな所でそんなもの撃たないで(ドゴ~ン!!)って撃ったああああッ!」

 

シロ吉「うわあああああ!スタジオが壊れるっス!」

 

織姫「相変わらず元気が良いね、ミクちゃんは。」

 

みたま「感心してる場合か!って、今度はサブマシンガン?!」

 

シロ吉「うわっ!今度はマシンガンを乱射してるっス!」

 

みたま「ますますスタジオが壊れる~!ここ借りる時、私の名義で借りてるんだから、壊したりしたら修理費の請求が門田神社(ウチ)に来る!修理費でウチがますます貧乏になる~!や~め~て~!!」

 

織姫「さて、今回のおまけコーナー。破壊音を背にしながらここでお別れです。あ、そうそう。一つお知らせが。今度の6月14日、私が居る織姫神社がある足利市内で「痛車祭」があります。様々な痛車が集まるお祭りなので、興味がある人は見に来てください♪」

 

シロ吉「会場には「萌えイラストコンテスト」に応募したイラストなんかも掲示されてるからそれも見て欲しいいっス!」

 

織姫「詳しい事を知りたい人は「ひめたま」のホームページを見てみてください。では皆さん~」

 

織姫・シロ吉「「まったね~(っス)!」」

 

みたま「コラッ!のんきにお知らせしてないで、アンタらも止めるの手伝えぇえええええええええええええッ!」

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

シノ(極黒のブリュンヒルデ)

 

ぷちミク(VOCALOID)

 

鏡音蓮(かがみねレン)(鏡音レン)(VOCALOID)

 

初音未来(はつねミク)(初音ミク)(VOCALOID)

 




作品のストックが切れたので、またしばらくの間ストックを作るために更新を止めます。
楽しみにしている方達には本当に申し訳ありません。
ある程度のストックができたらなるべく早く投稿させるので、楽しみに待っていてください。


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第40話 再会と刺客と新たな電王の誕生③

どうも、剣 流星です。
お待たせしました!連載再開です!!


小悪魔「・・・取りあえず、森を出て近くの湖に来ましたけど・・・誰も居ませんね、モモタロスさん。」

 

モモタロス「・・・そうだな。」

 

 

森の近くに有る湖、その湖にあるボートの乗り場の側で、背中から黒い翼を生やした少女・小悪魔の言葉に、上半身と下半身が逆になっている砂で出来た怪人、イマジンのモモタロスは頷いた。

仮面ライダー電王である野上良太郎の頼みでこの世界にやってきたモモタロスであったが、自分がこの世界にやってきた時に使った次元の裂け目から、気絶した状態で出てきた小悪魔を偶然発見した。

モモタロスは小悪魔から「何故自分が使った次元の裂け目から出てきたのか?」、「どこの誰なのか?」などを聞いて見たが、小悪魔はソレに答えることができなかった。どうやら小悪魔は次元転移したさいのショックで記憶を無くしていて、自分の名前も思い出せなくなっていたのである。

モモタロスは記憶喪失の小悪魔を放っておく事も出来ないと、「しかたね~な~」と愚痴をこぼしながら取りあえず自分について来いと言って、自分達が転移した森をぬけて、近くにある湖に来たのであった。

 

 

モモタロス「誰か居れば、「ここが何処なのか?」、「遠羽市が何処にあるのか?」と聞けたんだがな・・・」

 

 

モモタロスは取りあえず今自分達が何処にいるのか、誠也が居るであろう遠羽市にはどう行けばいいのか。それらの情報を得るため、とりあえず近くにいる人に聞いてみようと考え、人が居そうな湖の近くへと来た。

だが、人が居ると考えた湖には人影は見当たらなく、湖にあるボート乗り場と小屋、湖を眺められる展望台には時間帯のせいか、人影がまったく見られなかった。

 

 

小悪魔「本当に誰もいませんね・・・ん?」

 

 

モモタロスと同じように湖の周りを見て誰かいないか探していた小悪魔であったが、ボート乗り場近くに有る小屋の影に人影らしき物を見かけて、その場所を見つめた。

 

 

小悪魔「あ!モモタロスさん!居ました!人が居ました!」

 

 

小悪魔は小屋の影で、胸に猫を抱き、辺りをしきりにキョロキョロと見ながら、隠れるようにしている15~6歳の女の子を発見した。

 

 

モモタロス「何!どこだ!」

 

小悪魔「ほら、あそこ!小屋の影に!」

 

モモタロス「良し!コスプレ娘。お前、アイツからここが何処なのか、遠羽市が何処にあるのか聞いてこい。」

 

小悪魔「私のこの羽はコスプレじゃありません!と言うか、なんで私が聞きに行かなきゃならないんです!」

 

モモタロス「俺の姿・・・イマジンの姿なんて見たら、驚いて逃げちまうかもしれないだろう?その点、お前が声をかけても、せいぜい普段からコスプレをしている痛い女としか見られないだろう?」

 

小悪魔「うっ!普段からコスプレをしている痛い女って・・・なんかヤダな~。」

 

モモタロス「いいから、とっとと聞いてこい!」

 

小悪魔「わ、分かりましたよ~」

 

 

モモタロスに急かされて、女の子に話を聞きに行く小悪魔。

 

 

小悪魔「あ、あの・・・」

 

シノ「えっ?(人?って言うか、コスプレ?!)」

 

突然背中に羽を生やした人物、小悪魔に声をかけられて驚くシノ。

彼女は昨夜、刺客であるキカコに襲われて、逃げ込んだビルに居た猫と共に昨夜からずっと逃げ続けていた。

シノは他の人が巻き込まれないように人がいない方へ人がいない方へと逃げて来て、この湖まで逃げてきたのである。

 

 

小悪魔「あの~ここ、何処でしょうか?私、遠羽市って所に行きたいんですけど、道を教えてもらえませんでしょうか?」

 

 

小悪魔に声をかけられて驚いているシノに道を聞いてみる小悪魔。だがシノは小悪魔の話を聞いてないのか、小悪魔の姿を見ながらブツブツと独り言を言っていた。

 

 

シノ「・・・他の人が巻き込まれない様に人のいない方に来たのに、こんな所にも人が居たなんて・・・」

 

小悪魔「あの・・・すいません。話し聞いてますか?」

 

 

話しかけた小悪魔に対し、なんの反応を示していないシノに対して、再度話しかける小悪魔。

 

 

シノ「・・・マズイわ。このままじゃこの子巻き込んじゃう。あなた、今すぐこの場を離れて!巻き込まれるわよ!!」

 

小悪魔「えっ?巻き込まれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良太「俺が・・・死ぬ?!ど、どういう事だ?」

 

 

ベットにあおむけで寝ている佳奈から機械で発した合成音で告げられた自分が死ぬと言う予言。それを聞かされて良太は動揺したが、すぐに冷静になり佳奈に詳しい話を聞いてみた。

 

 

良太「・・・まず、確認したい。佳奈は一体どういう時に予知が見えるんだ?」

 

佳奈『・・・見えるのは人が死ぬ予知だけ。時間は長くても2日先ぐらいまでで、短い時は数秒先までよ。』

 

良太「2日から数秒先・・・」

 

佳奈『そんなに遠い場所の予知も出来ないし、もちろん全ての死が予知できるわけでもない。近くで非業の死を遂げる人の中の一部よ。』

 

良太「そうか・・・分かった。じゃあ、次にお前が見た黒羽が死ぬと言う予知について話してくれ。」

 

 

良太は一旦目を数秒閉じた後、佳奈が最初に見た、寧子が死ぬ予知について聞いてみた。

 

 

佳奈『最初、見た予知・・・寧子が死ぬ予知。その場所は湖みたいな所の近くで、そこで寧子は体を強い力で吹き飛ばされたような状態で倒れていた。』

 

 

良太「湖か・・・湖はこの辺りには一つしかない。白城学園(うち)の裏にある山の中にあるヤツだな。」

 

 

佳奈の話から、良太は佳奈が言った湖が自分が通う白城学園の裏にある山の中にある湖の事だろうと瞬時に推察した。

 

 

良太「じゃあ次に変更後の予知については?」

 

佳奈「場所は寧子と同じ。寧子は生きているんだけど、その代わりアンタが寧子と同じような殺され方をされてた。」

 

良太「そ、そうか。(どっちにしろ、俺か黒羽が殺されるのか・・・)」

 

佳奈『わかってると思うけど、アンタが死ぬ予知を見た事は寧子には内緒よ。じゃないと寧子はアンタを全力で守りに行く。そうなったらアンタじゃなくて寧子が死ぬ予知が実現してしまうかもしれないからね。』

 

良太「確かにそうだな。だが、誠也達にはこの話はするぞ。この予知を完全に覆すのにあいつらの力が必要だからな。」

 

佳奈『それについては賛成よ。あの子たちの力は充分使えるし、何よりあの子・・・誠也は一度私の予知を覆したんだから。』

 

 

佳奈は以前ドレステインの工場に誠也達が薬を取りに行った時に見た予知を、誠也が覆した事を指した。

 

 

良太「そうだったな。じゃあ、今日はこれで帰るよ。誠也達の話も終わっている頃だろうし、帰りに誠也と今回の予知についての対策を話しながら帰るよ。」

 

 

そう言って良太は部屋の玄関へと向かって行った。外で話しているであろう誠也と共に予知に対しての対策をするために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也「・・・・・・以上が悪魔召喚アプリの使い方です。」

 

寧子と佳奈の使っている部屋の扉の前、そこで誠也は寧子に渡した携帯の使い方について説明していた。

 

寧子「なるほど・・・大体分かった、ありがとう。それにしてもコレ、普通の携帯としても使えるばかりか、え~と「死に顔動画」だっけ?身近な人が近いうちに死ぬ運命にある時、その瞬間の動画が見られるんだよね。まるで佳奈ちゃんの予知みたいね。」

 

誠也から使い方を聞いた寧子は、自分の手の中にある携帯をマジマジと見ながら、つい今しがた誠也から聞いた「死に顔動画」についてポツリと言った。

 

死に顔動画、それは将来的に縁がある人物の死に様が動画でアップロード・配信される物で、その映像の出来事は近い将来において起こる。だがこの予知とも言うべき出来事は行動次第でその死を回避することができる物である。この機能は悪魔召喚アプリをコピーして移したとき、副次的な物として召喚アプリに付いてきたものであった。

 

寧子「佳奈ちゃんの予知と違って、親しい間柄の人の未来しかわからないけど、その分距離があっても見ることが出来る辺りは便利でいいと思う。」

 

誠也「少なくてもこの「死に顔動画」は、離れていたせいで見ることはできないと言うことはありませんからね。最低でも東京にいても大阪に居る友人の死に顔動画は届きますよ。」

 

誠也は以前この悪魔召喚アプリを手に入れた世界「デビルサバイバー2」の世界出会った人物、峰津院大和(ホウツイン ヤマト)が大阪に居る久世響希(クゼ ヒビキ)の死に顔動画を受け取っていたことを思い出し、距離が離れていたせいで動画を受けとれないと言う事はないと言う事を言った。

 

良太「二人共、話終わったぞ。」

 

話している誠也と寧子に、部屋の扉を開けて出てきた良太が声をかけてきた。

 

誠也「話、終わったんですか?」

 

良太「ああ。そっちは説明は終わったのか?」

 

誠也「はい、終わりました。」

 

良太「そうか、じゃあ引き上げよう。お前に話さなきゃならない事もあるから、帰りは途中まで一緒に行こう。」

 

誠也「あ、はい。」

 

誠也は良太の話が佳奈からの予知についての事だと察し、何も聞かず、良太と共にこの場を後にしようとする。

 

 

良太「じゃあ黒羽、俺たちは帰『お友達の死に顔動画が届いたよ♪』って・・・・なんだ?」

 

 

突如響いた音声に驚き、動きを止める良太と寧子であったが、誠也だけはその音声を聞いたとたんに驚愕の表情を浮かべた。

 

 

良太「い、今のは一体、どこから・・・」

 

 

良太は先ほどの音声がどこから聞こえてきたのか、その発生源を探してキョロキョロと周りを見始めた。そんな良太を他所に誠也と寧子は、その音声を発生させた物・・・寧子が持っている、悪魔召喚アプリが入った携帯を見つめた。

 

 

良太「な、なんだ。さっきの音声・・・その携帯からなのか?」

 

 

誠也と寧子の二人が見ている携帯を見て、先ほどの音声がその携帯からの物だと察する良太。

 

 

寧子「誠也くん・・・さっきのって、まさか・・・」

 

誠也「ええ、間違いありません。死に顔動画が届いたんです。」

 

 

誠也の言葉を聞いた寧子は、慌てるように自分が持っている携帯を操作し始めた。

 

 

寧子「こ、これは?!」

 

 

携帯を操作し、届いた死に顔動画が誰の物なのかを調べた寧子は、届いた動画の件名を見てその動きを止めた。

届いた死に顔動画は二件で、「シノ」と言う名前の書かれた動画と「村上良太」と名前が書かれた動画であった。

 

 

つづく

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「どうも、はたがみ織姫です。前回スタジオをミクちゃんに破壊されたので、今回からはたまちゃんの家がある門田神社でやることになりました。」

 

みたま「・・・・・・・・」

 

織姫「え?「なんで織姫神社じゃなくて門田神社なの?」って?あ~、最初はそうだったんだけど、今の時期の織姫神社は参拝客が大勢来るから、おまけコーナーをやったらその人達の邪魔になっちゃうから門田神社になったの。」

 

シロ吉「・・・・・・・・・」

 

織姫「そんな訳で、今回からは門田神社でおまけコーナーをやることになったの。さあ!場所も変わったことだし、心機一転して頑張ろうね、たまちゃん!シロちゃん!」

 

みたま・シロ吉「「・・・・・・・・・」」

 

織姫「?どうしたの?二人共元気ないね。」

 

みたま「・・・・元気・・・・・出るわけないでしょう・・・・破壊されたスタジオの修理費払ったせいで、門田神社(ウチ)の家計は火の車よ!」

 

織姫「え?」

 

シロ吉「ただでさえ、ウチは貧乏だったのに・・・・修理費のせいでさらに貧乏に・・・・おかげでオイラ達、もう一週間砂糖水以外何も口にしてないっス(ぐきゅるるるる~!←お腹の鳴る音)」

 

織姫「うわ、物凄いお腹の音。そんなにお腹すいてたんだ。そうと知ってれば、今日差し入れの「おいなりさん」、持ってくればよかった。」

 

みたま「えっ!差し入れ、持ってきてないの?!」

 

織姫「ご、ごめんね。ここの所少し忙しかったから、作ってこれなくて・・・・」

 

みたま「そ、そんな・・・・・織姫の差し入れだけが、頼りだったのに・・・・・・・OTZ(ごきゅるるるるるるるるる~!←お腹の鳴る音)」

 

織姫「そ、そんなにお腹すいてたんだ(^_^;)じゃあおまけコーナーが終わったら、おいなりさんを作ってあげるね。」

 

みたま「ほ、ほんと?」

 

織姫「うん、だからもうちょっと待っててね。」

 

みたま「うん、お願い。もう動くのも辛い・・・」

 

織姫「あはは・・・・これは司会進行は私だけでやったほうがいいみたいね。」

 

シロ吉「お願いするっす・・・・」

 

織姫「うん、まかされました。それじゃあ早速、今回のゲストさんを呼んじゃいましょう。どうぞ~」

 

京香「ど、どうも、鳴海京香です。」

 

織姫「はい、今回はこの作品の実の姉でもある、MissingPartsの鳴海京香さんに来てもらいました。」

 

京香「か、神様の前でお話するのって緊張します。」

 

織姫「緊張しないで楽にしてください。その方がこっちも楽ですから。」

 

京香「は、はい。」

 

織姫「それじゃあ京香さんには今回の補足であるMissingPartsの作品の事について話してもらいます。」

 

京香「はい。では・・・私が出ている作品「MissingPartsは2002年にドリームキャスト (DC)、2003年にPlayStation 2 (PS2)、2012年にPlayStation Portable (PSP) 用ゲームソフトして販売されたもので、ミステリーを題材にしたアドベンチャーゲームです。新米探偵が周囲の個性的な人間たちと交流しつつ、難事件を解決していくというオーソドックスな探偵物で、登場キャラクターに関する描写が非常に丁寧なのが特徴で、事件解決に関係ないような日常シーンが作りこんで描かれているのが特徴です。」

 

織姫「確かこの作品の時間軸はMissingPartsの原作が始まる数年前が設定なんですよね。」

 

京香「はい、その通りです。つまり原作のMissingPartsはこの世界の未来のお話なんですよ。」

 

織姫「へ~。ちなみに原作のお話はどんなお話なんですか?」

 

京香「原作のお話は、名探偵と呼ばれた鳴海誠司を所長として有能な探偵を幾人も有していた探偵界の重鎮である鳴海探偵事務所が、所長であるお父さんが謎の失踪を遂げて、事務所の名は地に落ち、所員も一人また一人と減っていったという状態になって、私が一人で業務をとりまわしているという惨状になった所に、両親の形見であるペンダントの捜索を依頼に事務所に訪れた青年・真神恭介くんがそんな惨状を目にし、私を助けるために自らが事務所の所員となることを決意した。という所から話は始まるの。」

 

織姫「えっ!誠司所長、失踪しちゃうんですか?!」

 

京香「ええ。だから、この作品でもお父さん、失踪しちゃうかもしれないんですよね~。まあ、原作の私と違って、今の私には頼りになる弟や妹達がいますから、原作の私ほど苦労はしないと思うんですけどね。」

 

織姫「確かに、誠也くんや悠菜ちゃん、霞ちゃんもいますから、誠司所長が失踪しても、なんとかなりそうな感じしますね。兄妹みんなで頑張ってください。」

 

京香「はい。頑張ります!あの、所で先程から気になってたんですけど・・・そっちで力なく座り込んでいる方、大丈夫何ですか?」

 

みたま・シロ吉「「・・・・・・お腹すいた~ごきゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる~~~~~!(←お腹の鳴る音)」」

 

京香「す、すごいお腹の音、よっぽどお腹すいているのね・・・あの~~、よかったら、私がここに来るとき菜々子ちゃんから差し入れとして貰った手作りのお弁当があるんですけど・・・・食べます?」

 

みたま「えっ!良いの?!」

 

京香「ええ。私はあまりお腹すいてないから、よかったらどうぞ。」

 

みたま・シロ吉「「ありがとう(ッス)!いただきま~す!!(ガツガツガツガツ!!」」

 

織姫「・・・・ねえ京香さん、お弁当の差し入れをした菜々子って「鴨居菜々子」ちゃんの事ですよね。」

 

京香「はい、そうですよ?」

 

織姫「その子のお料理って確か・・・○×料理人の代名詞とも言うべきシャマルさんと同じぐらいの料理の腕の持ち主だったはず・・・・」

 

みたま・シロ吉「「ング?!こ、これは・・・・・・・(バタン!)」」

 

織姫「きゃあああああッ!たまちゃんとシロちゃんが!誰か救急車!お医者さん!えーりんさん!森ノ宮せんせ~~~~~~い!!」

 

京香「あ、二人を抱えて飛び出して行っちゃった・・・・・なんで普通(?)のお弁当を食べて倒れたんだろう。空腹のせいで胃が弱ってたのかしら?まあ兎に角、コーナーの締めをやらないと。では皆さん、まったね~♪・・・・これで良かったかしら?」

 

織姫「誰かーーーーーーーーーーーッ!」

 



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第41話 再会と刺客と新たな電王の誕生④

どうも、剣 流星です。
やっと暑さも段々と収まってきて過ごしやすくなりました。
みなさんの住んでいる所ではどうですか?
では第41話をどうぞ。


リュート「カラスが?」

 

日本国内にある財団Xが所持している宿泊施設。その内の部屋の一つで、財団X親衛隊隊長であるリュートは、副隊長であるシャンハイからカラスが魔女を使って、逃げた魔女のハーネスの回収に向かったと言う報告を聞いていた。

 

リュート「ふ~・・・魔女の宮殿(ヴィンガルフ)には高千穂を通して、逃げた魔女は手厚く保護するように命令を出しておいたはずなんだが・・・カラスがそそのかしているとは言え、こうも簡単に命令違反をすると言うことは・・・・」

 

シャンハイ「はい、矢車氏からの報告通り、高千穂も魔女の宮殿(ヴィンガルフ)も、財団からの要求を無視して、自分達の本来の目的を遂行しようとしているようです。これは立派な財団に対しての反逆行為です。このまま放置すれば、やがてかつて風都にあったあの組織の様に、財団に害を及ぼすやもしれません。」

リュート「・・・ミュージアムか」

 

 

リュートは、自分の副官たる金色の長い髪をした少女からの報告を聞いて考え込んだ。

 

 

シャンハイ「・・・・リュート様?」

 

リュート「・・・・・・よし、シャンハイ。カラスを止めて、魔女の少女達を保護するよ。」

 

シャンハイ「保護ですか?」

 

リュート「ああ。魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の問題行為は兄さんに話しは通し、対応をしてもらうから、僕らは逃げた魔女の少女達を保護する事に専念するよ。チャートに逃げた魔女の子達を助けて欲しいと頼まれたしね。あの子、自分の命欲しさに、仲間の子達の居場所を話してしまった事を後悔しているみたいだ。チャートの為にも魔女の子達を一人でも多く助けるぞ。」

 

シャンハイ「はい。では早速、今動ける親衛隊のメンバーを招集します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良太「な、何だよ。その「死に顔動画」って。」

 

 

先程から誠也と寧子が話している「死に顔動画」と言う単語に不穏な何かを感じ、誠也にその事を聞く良太。

 

 

誠也「・・・死に顔動画は、寧子さんに渡した携帯にインストールしてある悪魔召喚アプリの付属機能です。縁のある人物が近い将来死ぬ運命だった場合、その時の動画が配信される物なんですよ。」

 

良太「近い将来、死ぬ運命の人の動画が・・・・あっ!」

 

 

誠也の話を聞いてハッとなる良太。良太は先ほど佳奈から自分が死ぬ予知を聞かされ、もしこの事が寧子がバレた場合、寧子は全力で良太を守り、その結果、良太が死ぬ予知の前に佳奈が予知した寧子が死ぬ予知の事がバレると悟り、あわてた。

 

 

佳奈『村上!寧子が動画を見るのを止めなさい!!』

 

 

先ほどの誠也の説明を部屋の中から聞いていたのか、佳奈が良太に寧子が動画を見るのを止めるよう叫ぶ。

 

 

良太「あッ!・・・黒羽!見るな!!」

 

 

動画を見ようとする寧子を止めようとする良太であったが、寧子は既に動画を見てしまっていた。

 

 

寧子「こ、これは・・・」

 

 

寧子が見た良太の死に顔動画。その内容は、寧子に飛んできた光の光線から寧子を守るため、良太が寧子を突き飛ばして代わりに良太自身が光線に体を吹き飛ばされる映像だった。

 

 

良太「く、黒羽?」

 

 

動画を見て動きを止める寧子に対して、恐る恐る声を掛ける良太。

 

 

寧子「・・・村上くん、さっき私に「動画を見るな!」って叫んだよね。佳奈ちゃんも・・・なんで?」

 

 

顔を伏せながら良太と佳奈に、先ほど動画を見るなと叫んだ良太達に対して理由を聞く寧子。

 

 

良太「そ、それは・・・」

 

佳奈『・・・・・』

 

 

寧子の質問に対して何も答えられず、ただ黙ったままの良太と佳奈。そんな二人に対してさらに寧子は質問を投げかけた。

 

 

寧子「ねえ、ひょっとして佳奈ちゃんは予知で村上くんが死ぬことが分かってたんじゃない?今日村上くんが来たのも、その予知について教えるためなんでしょう?」

 

佳奈『・・・・・・』

 

 

佳奈は何も答えず、ベットに横になって天井を見続けた。そんな佳奈に対して寧子は悲しげな顔をしながら叫ぶように言葉を投げかけた。

 

 

寧子「どうして私に何も言ってくれなかったの!」

 

良太「黒羽、佳奈を責めないでやってくれ。佳奈はこの事が黒羽に知られれば俺を守るために黒羽が最初に見た予知みたいに死んでしまうのを恐れて話さなかったんだ!」

 

寧子「私が・・・死ぬ?」

 

良太「ああ。最初、佳奈は黒羽が死ぬ予知を見たんだ。だがその後、俺に予知について相談しようとした事で予知が変わって、代わりに俺が死ぬ予知に変わって・・・」

 

寧子「そうだったの・・・でも!だからって・・・・」

 

誠也「三人共落ち着いて。兎に角、動画はもう一つ有るんだから、そっちを見て、今後の事について対策を練りましょう。」

 

寧子「そ、そうだね。じゃあ二人共中に入って。対策を立てるのにも玄関先でやるわけにはいかないから。」

 

誠也「あ、はい。じゃあ、おじゃまします。」

 

 

そう言って誠也は良太達と共に寧子達の部屋へと再び入った。

 

 

寧子「まずはもう一つの動画を・・・シノちゃんの動画を見てみよう。」

 

良太「シノ?誰なんだソレ?黒羽達の仲間なのか?」

 

佳奈『シノは私達と同じ様に研究所から逃げ出してきた魔女の一人よ。私達とは別々に逃げていたんだけど、死ぬ未来があるって事は、どうやら研究所が放った刺客に見つかったみたいね。』

 

 

寧子の代わりに良太の問に答える佳奈。そんな佳奈にも見えるような位置で携帯を操作し、寧子はもう一つの方の動画を再生しようとしていた。

 

 

寧子「どう?佳奈ちゃん。」

 

佳奈『大丈夫、見えるわよ』

 

寧子「じゃあ再生させるね」

 

そう言って寧子は動画を再生した。

寧子の持つ携帯の画面に一斉に視線を向けて集中し、携帯の画面に映し出される映像を見る誠也達。

動画の映像はどこかの湖の近くに有るボート乗り場近くに有るボート小屋が最初映し出されていた。そのボート小屋からシノと思わしき少女が走って出てきた。そしてそのシノに対して画面外から突如飛んできた光線が当たり、シノの体の半分を吹き飛ばし、シノは血だらけになって地面に倒れた所で映像は終わっていた。

 

 

寧子「これが・・・・シノちゃんの最後の姿・・・・」

 

 

動画が終わり、佳奈に見えるようにして掲げていた携帯をおろしながら辛そうな顔をする寧子。そんな寧子を他所に、佳奈は先ほどの映像に出てきたシノの命を奪った光線について考えていた。

 

 

佳奈『あの光線・・・まさか、今回の刺客はキカコなの?』

 

良太「キカコ?」

 

佳奈『AA+の魔法使い・・・「砲撃」の使い手なの。ハイブリットではないけど、その分この「砲撃」が半端ない威力があるのよ。研究所の奴ら、何考えてるの?あんなのビーコンだけで抑えられるとでも思っているの!』

 

誠也「そ、そんなに強力なのか?その「砲撃」の魔法と言うのは?」

 

佳奈『ええ。キカコの「砲撃」の魔法は、もはや兵器と言っても過言ではないぐらいの威力を持ってるわ。小さな島程度なら吹き飛ばせるんじゃないかしら』

 

良太「・・・場所は、俺や黒羽の死ぬ場所と同じ場所みたいだな。だぶん、黒羽はこのシノって子を助けるためにこの場所に行って、俺はその後をついてって死んだんだろうな。」

 

 

死に顔動画の背景に写って居る湖を見て映像の場所がどこか、何故自分や寧子がこの場所に来たのかを推理して話す良太。そんな良太の推理を聞いている誠也達の居る部屋に、突然部屋の扉を乱暴に叩く音と何者かの声が響いた。

 

 

小鳥『(ドンドンドンッ!)寧子さん居ますか!大変なんです!!』

 

千絵『寧子居る?大変なの!!』

 

寧子「小鳥ちゃん?千絵ちゃん?」

 

 

突如部屋に響いた小鳥と千絵の切羽詰った声を聞いて訝しみながら玄関へと向かい扉を開ける寧子。

 

 

小鳥「あっ!居た!良かった~」

 

千絵「寧子、大変なの!」

 

寧子「どうしたの?小鳥ちゃん、千絵ちゃん。」

 

 

玄関の扉が開いて、寧子が居た事に安堵する小鳥と千絵に「どうしたの?」と声をかける寧子。そんな寧子に小鳥は持っていたトランシーバーを差し出しながら捲し立てるように話し始めた。

 

 

小鳥「連絡用のトランシーバーにシノって言う人から連絡が来たんです!「助けて!」って」

 

寧子「シノちゃんから?!」

 

 

小鳥の話を聞いて、小鳥の持っていたトランシーバーをひったくる様にして取った後、トランシーバーの向こうに居るであろうシノに話しかけた。

 

 

寧子「シノちゃん!」

 

シノ『寧子!?助けて!!今、Aクラスの刺客に追われてるの!!』

 

寧子達『!?』

 

 

トランシーバーから聞こえてくるシノの話を聞いて驚愕する寧子達。

 

 

シノ『お願い・・・もう電池が切れる・・・早く助けに来て。今、湖の側の公園に「シノさん!こっちに来ます!」え?!マズイ!隠れ・・・(ブツン!)』

 

誠也(なっ!今の声・・・)

 

 

トランシーバーから聞こえてきたもう一人の女の子の声を聞いて一瞬驚く誠也。そんな誠也の側で通信の切れたトランシーバーに対して再び呼びかけ続ける寧子。

 

 

寧子「シノのちゃん?シノちゃん!!」

 

 

寧子は通信が切れたトランシーバーに必死になって呼びかけるが、反応は返ってこず、それが無駄であると悟った寧子はトランシーバを放り投げて、突然玄関へと駆け出した。

 

 

佳奈『村上!誠也!寧子を止めて!!寧子はシノを助けるために湖に行くつもりよ!予知で見たあの湖に!!』

 

誠也「えっ?あ!」

 

良太「黒羽!よせ!行くな!!」

 

 

トランシーバーから聞こえてきたもう一人の女の子の声を聞いて、それについて考えていた誠也は佳奈の声に反応できず、部屋を出て行こうとした寧子に反応できず、それどころか寧子を追うようにして部屋を出て行った良太も止めることができず、見逃してしまった。

 

 

誠也「あっ!良太さん待って!!良太さんも湖で死ぬ予知されれるんですよ!」

 

 

部屋を出て行く良太を呼び止める誠也。だが良太はそんな物が聞こえてないかのように寧子の後を追って部屋を出て行った。

 

 

誠也「チッ!全く、自分も湖で死ぬ予知されてるのに自分まで行ってどおするっての!小鳥さん、俺は良太さんを追いますから、小鳥さんはもうすぐランニングに戻ってくる田中先輩にこの事を!圭介と竜輝には俺から携帯に連絡を入れておきます。千絵さんは能力を使って湖周辺を侵入禁止にして、警察無線と110番通報を一時的に無効にしてください。」

 

 

千絵「わ、わかった。」

 

小鳥「は、はい!」

 

 

状況がつかめず、呆然と立ち尽くしている千絵と小鳥に指示を出した誠也は、自分の携帯を取り出し短縮ダイヤルで圭介と竜輝の携帯にかけながら部屋を出て行った。

 

 

誠也(魔女の宮殿(ヴィンガルフ)からの刺客、前回のようにカラスも一緒に来ているのか?もしかしたら財団の怪人も一緒かもしれない。それに・・・トランシーバーから聞こえてきたもう一人の声、アレは「こあ」の声だった・・・どうしてココに?もし「こあ」の物だったとしたら・・・急ごう!)

 

 

誠也はトランシーバーから聞こえてきたもう一人の女の子の声が、かつて異世界を旅した時に出会った小悪魔の女の子「こあ」の物だと確信し、湖に「こあ」も一緒に居るのなら彼女の身も危険にさらされていると考え、湖へと向かう良太達を追う速度を上げた。

 

 

つづく

 



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第42話 再会と刺客と新たな電王の誕生⑤

どうも、剣 流星です。
今日は自分の誕生日でした。
誕生祝いとして先程まで焼肉屋に行ってました。
やっぱ焼肉はいいですね~。
あっ!ちなみに歳はいくつになったのかは「ヒ・ミ・ツ♪」です。
では第42話をどうぞ。



はやて「やっと帰って来れたな~。ん~~~~、久々の遠羽市や~♪」

 

鳴海家の前で腕を伸ばして背伸びをするはやて。

管理局の仕事が終わって、ようやく地球に帰って来れたはやては、なのは・ヴィータ・シャマルと共に誠也の顔を見ようと、遠羽市にある鳴海家へと行くため遠羽市の道を歩いていた。

 

 

なのは「それにしても、帰ってきて早々に誠也くんに会いに行くなんて、よっぽど誠也くんの事が気になるんだね♪」

 

ヴィータ「全くだぜ。」

 

シャマル「フェイトちゃんも帰ってきて早々に木場さんに会いに行くし、本当に恋する女の子はエネルギッシュね♪」

 

はやて「こ、恋って!////そ、そんなんや無い!わたしはただ、幼馴染として誠也がまた無茶してないか心配なだけや!」

 

 

からかう様に言ってくるなのは達に対して顔を赤くしながら反発するはやて。そんなはやての耳に聞きなれた知人の声が入ってきた。

 

 

霞「圭くん、大丈夫?」

 

全員分の大荷物を持たされて、よたよたと歩く圭介に対し、心配そうな顔をしながら声をかける霞。そんな霞に対して、そっけない態度でかなでは霞に話しかけた。

 

かなで「大丈夫よ霞。男なんだからこれぐらいの量余裕でしょう♪」

 

圭介「う、ううううっ・・・・重い」

 

 

はやて「あれ?霞ちゃんと圭介くんやないか。一緒にいる子は・・・見ない顔やな、誰やろう?」

 

 

鳴海家近くの道で、大荷物をかかえた圭介と、見知らぬ少女と歩いている霞を見つけて声をかけるはやて。

 

はやて「ヤッホー!霞ちゃん、ただいまや♪」

 

霞「あれ?はやてちゃん?いつ帰ってたの?」

 

はやて「仕事終わって今日の朝帰ってきたんや。所で・・・なんやその大荷物?圭介くん大丈夫なん?」

 

 

霞達の後ろで大荷物を抱えてヨロヨロと歩いている圭介を見て、大丈夫なのかを聞くはやて。

 

 

圭介「これくらい・・・・大丈夫・・・・さっきまでは・・・鈴や姫路の荷物も持ってたんだし、何より・・・・田中先輩だって・・・・あの、地獄の特訓を受けてるんだ。先輩より・・・・先に・・・・ライダーになった・・・・俺が・・・・・これくらいの荷物持ち・・・・楽勝にこなさなきゃ・・・・。」

 

 

腕や足をプルプルさせながら、絞り出すような声で話す圭介。

 

 

ヴィータ「いや、無理してるよいうにしか見えないぞ(^_^;)」

 

シャマル「それにしても本当に大荷物ね。ねえ、一体何のコレ?」

 

 

圭介の持っている大荷物を見て、これは何なのかを霞に聞いてみるシャマル。

 

 

霞「あ、これは今度のお料理教室で使う食材なの。」

 

なのは「ああ。確か誠也くんが自宅で、2週間に一度の間隔でグルメ食材を使った料理を教えているって言うあの・・・・」

 

ヴィータ「かなり変わった連中が通ってるんだっけ?確か・・・ゲキド街外れに住んでいる森ノ宮先生の知り合いで、ちょっと変わった人達(?)なんだよな。仏教徒やキリスト教徒なのに名前が「ブッダ」に「イエス」なんだもんな。」

 

 

シャマル「ええ。仏教徒とキリスト教徒なのに、二人共その宗教の開祖の名前なんて、結構変わった人達なのよね。」

 

 

 

霞(あははは・・・・「実は本人なんだよ!」って言っても信じないだろうな~(^_^;))

 

 

料理教室に通っている、立川に休暇で降臨している二人の神仏の顔を思い浮かべ、霞は苦笑した。

 

 

はやて「そうそう、立川に住んでいるイエスさんとブッダさん。それとブッダさんとイエスさんの知り合いの方達。最近はキャスケットをかぶっている目つきの悪い、確か・・・・鬼灯さんだっけ?その人や、自称異世界の魔王の配下って言う「芦屋」さんや、「織姫」って言う、七夕の織姫と同じ名前の人も通ってるんやったなシャマル。」

 

シャマル「ええ。ちょっと変わっている所もありますけど、皆さん気さくな人達ばかりですよ。」

 

なのは「そう言えばシャマルさんも、誠也くんの料理教室に通ってるんでしたよね。」

 

シャマル「はい。みんな私の料理の味付けが微妙だとか言ったり「○×料理人」だって言ったり、はては「味覚の破壊神」なんて言ったりするから悔しくて・・・だからお料理を誠也くんに習って、料理の腕を上げようって思って。所で霞ちゃん、そっちの子は?」

 

 

シャマルは霞と一緒に居るかなでの事を霞に聞いてみた。

 

 

霞「ああ、みんな初対面だったね。この子は「かなで」ちゃんと言って今「~♪~♪」って・・・あ、携帯。ちょっと待ってね。」

 

 

かなでの事をはやて達に紹介しようとした霞だったが、突如鳴り響いた自分の携帯の着信音に遮られてしまい、かなでを紹介する事を中断し、そのまま自分の携帯を取り出して誰からかかってきたのかを確認した。

 

 

霞「アレ?お兄ちゃんからだ。何んだろう?」

 

 

突如かかってきた兄である誠也からの携帯に対して「なんだろう?」と思いながら霞は誠也からの携帯に出た。

 

 

霞「もしもしお兄ちゃん?一体どうしたの?・・・・・えっ!魔女の宮殿(ヴィンガルフ)からの刺客が!?うん、で場所は・・・・湖の近くだね。圭くんに知らせておくね。丁度はやてちゃん達も一緒にいるから、はやてちゃん達にも応援に行ってもらうように言っておくよ。じゃあ気を付けてお兄ちゃん。」

 

 

霞が誠也からの携帯を切るのを見計らって、先ほど霞が口にした魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の名前で顔色を変えたかなでが霞に声をかけた。

 

 

かなで「霞ちゃん、今魔女の宮殿(ヴィンガルフ)からの刺客って言ってたけど、何があったの?」

 

霞「うん、実は・・・・・」

 

 

霞はこの場にいる圭介やはやて達にも聞こえる様に、誠也からの携帯の内容について、はやて達にわかるように魔女の宮殿(ヴィンガルフ)や魔女の事について簡単に説明しながら話し始めた。

 

かなで「シノが刺客に追われてる!?」

 

はやて「財団Xの下部組織魔女の宮殿(ヴィンガルフ)。そんなもんがあったなんて。」

 

 

霞の話を聞いて驚愕すし、動きを止めるはやて達。そんなはやて達に対していち早く現状を把握した圭介が、持っている荷物を地面におろしながら全員に声をかけた。

 

 

圭介「ボーッと突っ立ってる場合じゃないぞ!俺は今から誠也達の応援に行く。高町、お前達もついてきてくれるな。」

 

なのは「も、もちろん!」

 

はやて「わたしもついて行くで!ヴィータ、あんたは私についてきて。シャマルはシグナムとザフィーラ、フェイトちゃんに連絡を。今フェイトちゃんは木場さんの所にいるはずだから、うまくすれば木場さんにも協力してもらえるはずや。」

 

シャマル「分かったわ。」

 

圭介「霞はここで待っててくれ。事が片付いたら荷物を運びに戻ってくるから、それまでここで荷物番しててくれ。」

 

霞「分かった。気を付けてね。」

 

圭介「ああ。じゃあ行ってくる。」

 

 

そう言って霞をその場に残し、圭介ははやてとなのは、ヴィータと共に湖へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寧子「シノちゃん、どこに居るの?」

 

 

助けてくれと連絡をしてきたシノの居るであろう湖に隣接する無人の公園へと来た寧子。寧子は走ってきたためか、息を切らせながらシノが何処に居るかを探し始めた。だが寧子の視界の中、目に見える範囲にはそれらしい姿を見つけることが出来ず、気ばかりが焦る。そんな寧子の後ろから二人分の聞き覚えのある声が聞こえてきた。良太と誠也である。

 

 

良太「黒羽!」

 

寧子「村上くん!?なんで来たの!あなたはこの場所で死ぬ未来予知が出ているのよ!死んじゃうわ!今すぐ帰って!!」

 

良太「それは黒羽も同じだろう!このままお前を残して帰れるか!」

 

寧子「私には魔法があるし、悪魔召喚アプリが入っている携帯も有る!自分の身ぐらい自分で守れるけど、村上くんは・・・・・」

 

 

「自分の身を守る力を何一つ持っていない」そう言おうとした寧子だが、良太はそんな寧子の言葉を否定するかのよいうに手に持っているベルト、電王ベルトを目の前に突き出して見せた。

 

 

良太「今の俺には自分の身を守るぐらいの力は有る!俺は仮面ライダーの一人なんだから!」

 

寧子「え?村上くんが仮面ライダー?・・・そ、それでもダメだよ!危険すぎる!危険な目に会うのは私だけでいい!」

 

良太「「危険な目に会うのは自分だけでいい!」って何言っているんだ!死んじゃうかもしれないんだぞ!!俺は絶対に残るぞ!!」

 

 

互いに譲らず、自分の主張を押し通そうとする二人。そんな二人に携帯をかけながら走っていたため遅れていた誠也が追いつき、二人の間に割って入ってきた。

 

 

誠也「はいはい、そこまで。このままお互いの主張を押し通そうとしてもいつまでたっても平行線だし、それに何より時間の無駄だよ。どうせ来ちゃったんだし、3人で事に当たった方がいいですよ。」

 

寧子「けど・・・・」

 

 

誠也のこの場を収める言葉を聞いても、不満そうな顔をしながら渋る寧子。

 

 

誠也「寧子さん。今最も最優先にしなきゃいけない事はシノって子を見つけて保護する事なはずですよ。こうやって言い争っている間も、シノって子は危険にさらされているんですよ。」

 

寧子「!た、確かに・・・・そうだよね。・・・・分かった、三人でシノちゃんを探そう。」

 

誠也「じゃあまず最初に「~♪~♪」って俺の携帯?誰からっ・・・って鳴海荘から?!」

 

突如鳴り響いた自分の携帯のディスプレイに映った番号を見て、それが鳴海荘からの電話である事に驚きながらも、誠也は携帯に出た。

 

誠也「はい、もしもし」

 

千絵『誠也くん、シノは公園の北側に居るわよ。』

 

誠也「え?千絵さん?見えるんですか?」

 

千絵『ええ。今私の「操網」の魔法でその公園にある監視カメラで見てるのよ。それよりシノは・・・・・!?誠也くん!急いで隠れて!キカコよ!』

 

誠也「え?キカコって刺客の?」

 

千絵『ええ。早く寧子達と一緒に隠れて!姿を見られる訳にはいかないでしょう?』

 

誠也「そうだった。二人共、隠れて!」

 

誠也は千絵に礼を言って携帯を切りながら、寧子達と共に身を隠すように指示を出した。

寧子達逃げ出した魔女達に協力しているライダーの正体を今だに魔女の宮殿(ヴィンガルフ)に知られていない誠也達にとって、正体を知られるのはさすがにマズイと考えて、湖に隣接する公園の物影へ良太と寧子を連れて姿を隠す誠也。やがて、公園内に一人の人物が入ってくるのを誠也達は見つけた。

 

誠也「あれが・・・刺客の魔女?」

 

公園内に周りを見回しながら入ってくる魔女のキカコを見る誠也達。そんな誠也達の見ている目の前でキカコはゆっくりと歩いていたのだが、突然その動きを止めた。

 

良太「ん?動きが止まった?どうしたん・・・・・!?」

 

動きの止まったキカコを見てつぶやく良太だったが、キカコが口を開いて、口に光る何かを集め始めたのを見て驚く。

キカコの口に集まった光はさらに大きくなり、そして・・・・

 

 

ズドーーーーーン!

 

 

 

光は極太のビームの様にキカコの口から放たれ、湖にあるボート乗り場にあるボート小屋を半壊させ、そのまま湖の真ん中にある小島を直撃し、島を破壊した。

 

良太「なっ!なんだよアレ・・・・これじゃ完全に兵器じゃないか!」

 

誠也「・・・もしかしてアレが、佳奈が言ってた「砲撃」の魔法なのか?」

 

寧子「う、うん。アレがキカコちゃんの「砲撃」の魔法だよ・・・・」

 

キカコの魔法を見て、三者三様の反応を示す誠也達。

 

誠也「アイツをあれ以上暴れさせる訳にはいかない!これ以上暴れられたらこの辺り一帯が廃墟になるし、シノって子も危ない!そして何より・・・・」

 

誠也は先ほどのトランシーバーからの連絡で聞こえてきたシノ以外の声の主である「こあ」らしき声を思い出した。

 

誠也(さっきの声の主が本当に「こあ」自身の物だったら・・・・「こあ」自身も危ない!)

 

この場に「こあ」が居ると考え、「キカコをこれ以上暴れさせない!」と決意した誠也は、右手にはめている「ドライバーオン」の指輪をベルトのバックルにかざした。

 

電子音声『ドライバーオン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!!シャバドゥビタッチヘーンシーン!!~』

 

誠也「変身!」

 

誠也はウィザードライバーのハンドオーサを操作し、左手のフレイムのリングをドラーバーにかざし、仮面ライダーウィザード・フレイムスタイルへと変身した。

 

誠也「アイツを止める!」

 

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「どうも。はたがみ織姫です。今回もやってまいりました「おまけコーナー」!場所は前回と同様、「門田神社」からお届けします♪さあ!張り切ってやろうね、たまちゃん♪シロちゃん♪」

 

みたま・シロ「「・・・・・・・・・・・・」」

 

織姫「あれ?どうしたの二人共、元気ないみたいだけど?」

 

みたま「・・・ねえ、織姫。私達、前回のおまけコーナーの記憶がないんだけど、一体何があったの?」

 

織姫「え?記憶が無い?!」

 

シロ「そおッス。思い出そうとすると、気持ち悪くなって倒れそうになるんッスよ。織姫さま、一体前回のオイラ達に何があったんすか?」

 

織姫「えっ・・・・え~と・・・・(コレって、前回の○×料理を食べた事がトラウマになって、自己防衛のために無意識のうちにその時の記憶を忘れているのかしら(^_^;)

 

みたま「ねえ、織姫。本当に何があったの?記憶無いって結構気持ち悪いわ。何か知っているんだったら、教えて。」

 

織姫「え~と・・・・(たまちゃん達の為にも、教えない方がいいわよね。)な、何もなかったわよ。忘れているって事は大した事無かったんだよ。そ、それよりも二人共今回のゲストを早く呼んであげましょうよ。いつまでもゲストさんをまたせるのも悪いでしょう?」

 

みたま「そ、それもそうね。・・・・それにしても、お腹すいたな~」

 

シロ「そうッスね。今だに門田神社(ウチ)の家計は火の車ですからね。」

 

織姫「後でご飯作ってあげるから、もう少し我慢してね二人共。さあ、今回のゲストさんを早く呼んじゃおう。では今回のゲストさん、どうぞ~」

 

アルコル「やあ。こんにちは。こんな場所に呼んでもらえるなんて嬉しいよ。」

 

織姫「今回のゲストは、本編の話に出てきた悪魔召喚アプリの原作のお話、「デビルサバイバー2」の世界からアルコルさんを及びしました♪」

 

アルコル「原作の話しの補足をするんだったね。どこまでできるかわからないけど。精一杯やらせてもらうよ。」

 

織姫「はい、よろしくお願いします。」

 

アルコル「じゃあまずは、僕も出ている原作の「デビルサバイバー2」について話すね。「デビルサバイバー2」は、アトラスより2011年7月28日に発売されたニンテンドーDS用シミュレーションRPGなんだけど、この作品では、2013年4月から6月に放送されたテレビアニメ版の方を元にしているみたいだね。ストーリーは、平和な日本を突如襲った七体の謎の侵略者「セプテントリオン」。その危機に対抗するため、悪魔を使役する力「悪魔召喚アプリ」を得た主人公達・13人の悪魔使いは、謎の侵略者「セプテントリオン」と残された時間・7日間戦うことになる。と言うのが大まかなストーリーだね。」

 

織姫「この作品では、誠也さんが異世界を旅した時に行った世界が、この「デビルサバイバー2」の世界で、誠也さんははやてさんと共に、この世界で「悪魔召喚アプリ」を手に入れて、アニメ版の主人公である「久世響」さんに協力する形で、この戦いに参加したんですよね。」

 

アルコル「そうだったね。懐かしいな~・・・・所で、さっきから気になってたんだけど、さっきから黙ったまま力なく座り込んでいるそっちの子は大丈夫なのかい?」

 

みたま「う~、お腹すいたよ~。」

 

シロ「ひもじいッスよ~。」

 

アルコル「どうやらお腹をすかしているみたいだね。なら、僕がさっき捌いた「フグ(くじら)」の刺身を食べるかい?」

 

みたま「ええ!良いの?」

 

アルコル「もちろん。さあ、どうぞ」

 

みたま・シロ「「では遠慮なく!いただきま~す(ッス)」」

 

織姫「アルコルさん、お料理なんてするんですね。」

 

アルコル「前に響の為に朝食を作ってあげてね。(アニメ第10話)それで料理するのが好きになってね。」

 

織姫「そうだったんですか。それにしても、「フグ(くじら)」を毒化させずに捌くなんて、相当な料理の腕を持ってるんですね。」

 

アルコル「えっ?毒化?何のことだい?」

 

織姫「えっ?「フグ(くじら)」には毒袋があって、その毒の袋を破かずに取り出さないと、身の味が変わらないけど、身が毒化してしまって食べれなくなるはずなんですけど・・・・」

 

アルコル「あっ、そうだったんだ。初めて知ったよ。なるほど、通りで捌いている最中に「フグ(くじら)」が毒々しい色に変色したわけだ。勉強になるよ。」

 

織姫「毒々しい色に変色?じ、じゃあ・・・あの「フグ(くじら)」は・・・・」

 

アルコル「うん、多分「毒化」してるね。」

 

織姫「「毒化」している?・・・・・・・・たまちゃん!シロちゃん!そのお刺身食べちゃだめー!」

 

みたま「う~ん、「フグ(くじら)」美味しい♪けど・・・・なんだか体が言うこと効かなくなって、目の前が暗くなってきた~」

 

シロ「おやびん、オイラも目の前が暗くなってくるッス~」

 

織姫「きゃーーーっ!二人共毒化した「フグ(くじら)」食べてるーーーーーー!!しっかりして二人共!誰かーーーっ!救急車!お医者様!え~りん先生!!森ノ宮せんせーーーーーーい!!」

 

アルコル「おや、また二人を抱えて飛び出して行ってしまったね。これじゃあコーナーの締めを僕がしなくてはいけないね。と言う事で・・・・それでは皆さん、まったね~♪・・・これで良いかな?」

 

織姫「誰かーーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 

つづく

 



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第43話 再会と刺客と新たな電王の誕生⑥

 どうも、剣 流星です。

ニコ動で、ひめたまの新しい動画ができてるか久しぶりに検索してみたら、新しい動画が出来てる!でも、その動画、5月頃にupされてたもので、6月にあった、痛車祭の宣伝動画でした。
ひめたまの新作動画を数ヶ月も見逃してたなんて・・・OTL

まあ、それはさて置き、第42話をどうぞ。


小悪魔「な・・・・・なんなんですか今の?!」

 

 

自分が隠れていたボート小屋を、瞬時にして半壊したキカコの「砲撃」の魔法。その威力を小屋内で見て驚き、座り込んでボーゼンとする小悪魔とシノ。

なぜ彼女らがボート小屋の中に居るのかと言うと、キカコから猫を胸に抱いて逃げていたシノが、公園内で小悪魔に声をかけた後、シノに「このままに居たら巻き添えになる!」と、咄嗟に小悪魔の手を引きならが、かい摘んでの説明をした後、ボート小屋に引っ張り込んで一緒に隠れたためである。

 

 

シノ「・・・・私を追っていた刺客の攻撃よ。」

 

小悪魔「えっ!今のがシノさんが話していた刺客の攻撃なんですか?!」

 

 

先ほど自分達の目の前を瞬時に通り過ぎ、ボート小屋を半壊させた攻撃を思い浮かべて叫ぶ小悪魔。そんな小悪魔を見ながら、シノは自分が抱きかかえている猫と小悪魔の事を考えてた。

 

 

シノ(このままじゃこの子達の身も危険に・・・・この子達を助けるには・・・・)

 

 

小悪魔「シノ・・・さん?」

 

 

黙り込んで考え込むシノに声をかける小悪魔。だが、小悪魔の声が聞こえてないのか、反応を示さないシノ。そんなシノを見て、もう一度声をかけようとした小悪魔であったが、不意にシノが立ち上がって、自分が抱きかかえていた猫を差し出してきた。小悪魔は反射的に、その差し出された猫を受け取った後、シノがしたその行動の意味が分からず、シノの顔を見つめた。

 

 

シノ「この子をお願い。私が囮になるから、その隙にあなたはその子を連れて逃げて」

 

小悪魔「囮って・・・・シノさん!」

 

 

小悪魔に猫を渡したシノは自分が囮になるべく半壊した小屋から出て走り出した。

 

 

小悪魔「シノさん!」

 

 

小屋から出て行ったシノに対して叫ぶ小悪魔。そんなシノを見ている小悪魔の視界の端に、先ほどの攻撃をした者であろう人物・キカコが小屋から出て行ったシノに対して、今にも砲撃の魔法を放とうとしている姿が映った。

 

 

小悪魔「シノさん!だめええええええええええええええええええッ!!」

 

 

小悪魔のシノを案じる叫び声が響く中、無慈悲にキカコの砲撃の魔法が放たれようとする。そんな中、突如何者かの叫び声が響く。

 

 

誠也「させるかーーーーーッ!!」

 

 

バキッ!

 

 

突如叫び声と共に現れた、赤い宝石のような仮面を被った人物、仮面ライダー・ウィザードとなった誠也が、砲撃の魔法を放とうとしていたキカコの頭部へ飛び蹴りを喰らわせたのである。

 

 

キカコ「グッ!」

 

 

突如現れたウィザードの頭部へのキックを喰らったキカコはバランスを崩し、狙いが定まらない状態で砲撃の魔法を放った。

 

 

ズドーーーーーン!

 

 

シノ「えっ!きゃああああああ!」

 

 

放たれた砲撃の魔法は狙いが逸れて、走っているシノの後ろの地面へと命中し爆発を起こし、その爆発で起きた爆風で体が吹き飛んだシノは地面へと体を強く叩きつけられて意識を失った。

 

 

小悪魔「シノさん!」

 

 

爆風で気を失ったシノを見て、慌ててそばに駆け寄った小悪魔はシノの体を見て怪我がないかをすぐに確認した。

 

 

小悪魔「よかった、怪我はない。気絶しただけみたい。」

 

 

シノに怪我が無いのを確認してホッと胸をなでおろした小悪魔は、次にシノを狙って攻撃した人物と、ソレを阻止した人物へと視線を向けた。

 

 

小悪魔「アレは・・・・・」

 

 

小悪魔達から少し離れた地点。そこには、先ほどウィザードの攻撃によりバランスを崩して倒れたキカコと、それに対峙するように、宝石のような仮面を被った人物・ウィザードが立っていた。

 

 

誠也「ふぅー・・・・間一髪だった。」

 

 

砲撃の魔法で起きた爆風で地面に叩きつけられたシノを見て、怪我がない事を確認してひと安心する誠也は、キカコと対峙しながら、シノに駆け寄った人物を見た。

 

 

誠也(やっぱり「こあ」だ。以前会った時より身長も伸びて成長しているからか、雰囲気が少し変わっているけど・・・・間違いない!なんで「こあ」が地上に?いや・・・・詮索は後だ。今はコイツを何とかして、こあ達の安全を確保しなくちゃ!)

 

 

久しぶりに見たこあの姿を見て、以前会った時よりも美しく成長した「こあ」の姿に一瞬見惚れるが、すぐに目の前の敵に意識を集中する誠也。

 

 

誠也「そこの君!コイツは俺が相手をするから、それまでその子を頼む!」

 

小悪魔「えっ?は、はい!」

 

 

突然ウィザードに声をかけられて、驚き戸惑いながら返事をする小悪魔。だがその声を聞いた途端、小悪魔は自分の胸が締め付けられるような感覚になり、無意識のうちに自分が身につけているペンダントを握り締めた。

 

 

小悪魔(なに?この感覚・・・・あの人の声を聞いた途端、胸が締め付けれれるような感覚が・・・・私は・・・あの人を知って居るの?)

 

 

この世界に転移したショックで昔の記憶を全てなくしている小悪魔にとって、自分がかつて知っていたであろう人物が目の前に現れた。その事実について混乱しながらも、胸を締め付ける感覚を抑えるようにギュッとペンダントを握り締め、ウィザードとキカコの対峙を静かに見守る小悪魔。そんな小悪魔に見守られながら、ウィザード・・・誠也はベルトにコネクトの指輪をかざしてウィザーソードガンを取り出し、ガンモードの状態で構えた。

 

 

誠也「君が使う砲撃の魔法・・・威力はあるようだけど、連続では撃てないみたいだな。おまけに発射までにタイムラグが有る。悪いけどその魔法じゃ俺は倒せない。おとなしく引き下がってくれないか?」

 

 

誠也はウィザーソードガン・ガンモードの銃口を倒れたままのキカコに向けながら、大人しく引き下がってくれないかと問いかけた。だがその言葉を聞いていないかのように、キカコはゆっくりと立ち上がってウィザードに向き直る。

 

誠也「はぁ~~・・・やっぱ言う事聞いてくれないか。なら仕方がない・・・力ずくでご退場して「現れたな!仮面ライダー!!」っ!何っ!くっ!!」

 

 

突如響いた声と共にウィザードを襲う空中からの影。それに気づき、瞬時に身を捻ってその攻撃をかわしたウィザードは、攻撃してきた者を見る。

 

 

誠也「お前は・・・・バットイマジン!なぜココに?」

 

 

ウィザードに空中からの奇襲攻撃を行なった後、少し離れた所に着地したバットイマジンを見て叫ぶ誠也。そんな誠也の声に反応するかのように、何者かの声が誠也の耳に聞こえてきた。

 

 

カラス『どうかね、仮面ライダー。私からのサプライズゲストは。』

 

誠也「お前は・・・カラス!」

 

 

誠也達から少し離れた空中に浮かぶ黒い光を放つ光の鳥・カラスの姿を見て叫ぶ誠也。そんな誠也の叫び声を聞いて反応したかのようにカラスは落ち着いた口調で話し始めた。

 

 

カラス『ドレスデンの工場以来だな。カナリヤは元気にしているか?今回は魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の逃げた魔女の始末に便乗して、君達仮面ライダーを倒すために、再生怪人であるバットイマジンを投入させてもらったよ。』

 

誠也「再生怪人?」

 

カラス『ああ。かつて我々財産Xが協力してやった組織の一つが使っていた技術でね。確か・・・・バダンだったか?ZX(ゼクロス)という名の仮面ライダーに滅ぼだれた組織だったな。ショッカーを含めた十もの組織を裏で操っていたと自負していながら、自分達で作った改造人間・仮面ライダーに滅ぼされたマヌケな組織だったな』

 

誠也(バダンだって?!財団はアイツ等にも協力していたのか?!以前からライダー世界の怪人達を復活させ、その性能を確かめるためにこの世界に放していたが、その怪人を復活させる技術がバダンから吸収していたものだったとはな)

 

カラスの言葉に内心で驚く誠也。誠也は以前異世界を巡る旅の最中、いくつもの仮面ライダーの世界を旅した事があり、その中に昭和ライダーと呼ばれるクウガ以前のライダーが複数集まって戦った世界に行った事があったのである。その世界はバダンと呼ばれる組織が世界中に対して宣戦布告をし、それに対抗するため、仮面ライダー一号から、十号ライダー・ZX(ゼクロス)十人と、対バダン用に組織されたスピリッツと呼ばれる組織の

戦いに協力したことがあった。

 

 

誠也(あの組織の大首領・JUDOはとってつもないヤツだった。そんな奴に対して対等に付き合っていたと言うのか、財団は!)

 

 

誠也はかつてバダンの大首領・JUDOの強大さを目の当たりにしていたため、そんなJUDOと対等に付き合っていた財団の強大さを改めて思い知り、内心で驚く誠也であった。

 

 

誠也「・・・まさか、バダンにまでお前らの息がかかってたとはな。Wのガイアメモリー、オーズのオーメダル、フォーゼのゾディアーツスイッチ、お前とカナリヤが関わっていた「鳥かご」。そして・・・この世界の魔女の宮殿(ヴィンガルフ)・・・財団は随分と色々な世界に勢力を広げているな。本当に節操が無い。」

 

 

カラス『フフフ・・・それは当然さ。財団はあらゆる世界に身を置いている“ある組織”の改革派が元になっているのだからな。我らが打倒すべき“あやつ等”のように複数の世界に勢力を広げなければ対抗できないからな』

 

誠也「ある組織の改革派?あいつ等?」

 

カラス『・・・・少し喋りすぎたな。5010番!バットイマジン!予定通り、ウィザードを二人がかりで倒すんだ!』

 

 

カラスの言葉で瞬時に構えて誠也と対峙するキカコとバットイマジン。そんな二人を見て、誠也もウィザーソードガンをソードモードにして構えて二人と対峙した。

 

 

誠也(二人同時に相手するのはさすがにマズイ!どちらかを先に戦闘不能にして、一対一に持ち込まなくては・・・・狙うは魔女の方。首の後ろにあるハーネストのボタンを何とかして押し、魔法を使えないようにすれば、後はバットイマジンと一対一に持ち込める。)

 

誠也は二人を同時に相手するのは危険と感じ、キカコのハーネスのボタンを押してハングアップさせて戦闘不能にし、バットイマジンと一対一の状態に持ち込もうと考え、標的をキカコ一人に絞る。そんな時、不意にキカコが手に持っている物を誠也達の前に見せるようにして突き出して見せた。

 

 

誠也「それは!T-RESのT2ガイアメモリー!」

 

 

キカコが持っていた物、それは見た目は全長10cm程のUSBメモリの形をしているが、中に地球の記憶が納められ、使った者をドーパントと言う強靭な怪人へと変貌させる物、T2型のガイアメモリーだった。

 

 

電子音声『T-RES!』

 

 

キカコの持つガイアメモリーが電子音声を放ち辺りに響くと、キカコはガイアメモリーの端子部分を自分の体へと当てる。すると当たった端子部分からガイアメモリーがキカコの体内へと侵入し、キカコの体をティーレックスドーパントへと変貌させた。

 

 

ティーレックスドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

カラス『さあ、イマジンとドーパント、二体の怪人を同時に相手できるかな?仮面ライダー・ウィザード。』

 

 

 

 

つづく

 




今回の話の中に出てきた「バダン~」の話は、今、月刊少年マガジンに連載中の「新仮面ライダーSPIRITS」が元になってます。昭和ライダーの熱くてカッコイイ姿は、本当に良いと思える作品です。まだ読んでいない方は、一度読んでみてください。


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第44話 再会と刺客と新たな電王の誕生⑦

どうも、剣 流星です。

最近ニコ動で「東方男娘録」と言う動画を見て、
「うおおおおおおおっ!男の娘最高!!!」と叫んでしまどうになるくらい「男の娘」にハマってしまった自分に心配になってきています。

男の娘に興味がある方は、ニコ動で「東方娘男録」と言う動画をいちどみてみてください♪ハマること間違いなしです♪

では第44話をどうぞう


 

 

カラス『さあ、イマジンとドーパント、二体の怪人を同時に相手できるかな?仮面ライダー・ウィザード。』

 

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

カラスの発した言葉をきっかけに、ウィザードになった誠也に襲いかかってくるT-RESドーパント。

その特徴とも言うべき巨大な口を大きく開けて、真っ直ぐにウィザードへと噛み付こうと突進をするが、その攻撃をあっさりとかわす誠也。

 

 

誠也(動きは直線的で単調・・・これぐらいの攻撃なら余裕でかわせる!次の突進噛み付き攻撃をかわして、出来た隙を「何処を見ている!」っ!ぐっ!」

 

 

T-RESドーパントの攻撃をかわした誠也に対して、突如何者かが空中から攻撃をし、その攻撃を受けて倒れる誠也。

 

 

誠也「い、今の攻撃は・・・・バットイマジンか。」

 

 

空中からの攻撃を受けて、その攻撃をおこなった者を見て言う誠也。

 

 

バットイマジン「お前の相手はコイツだけでは無いと言う事を忘れるなよ。」

 

 

誠也「くっ!」

空を飛びながら、倒れた誠也を見下ろすようにして言うバットイマジン。誠也は立ち上がると、空を飛んでいるバットイマジンと、次の突進噛み付き攻撃をしようと誠也を睨みつけるT-RESドーパントを見て、現状が自分に不利だということを感じ始めた。

 

誠也(くっ!T-RESドーパントの攻撃をかわすのは簡単だけど、T-RESドーパントの攻撃の隙を埋めるようにバットイマジンが攻撃を仕掛けてくる。お互いの隙を埋めるこの連携攻撃・・・・これはマズイな。このまま、向こうに居る二人を守りながら戦うのはかなり不利だ。)

 

 

誠也は半壊した小屋の近くに倒れているシノとこあを見て、この二人を気にしながら2体の怪人を相手するのはかなり無理だと考えて焦った。

 

 

誠也(せめて、もう一人位居れば・・・・圭介や竜輝か田中先輩が間に合えば良いんだけど・・・それまでは俺一人で!)

 

 

ここに来る途中に応援を頼んだ誰かが来るまで一人でどうにか持たせようと思い、二体の怪人に対してウィザーソードガンを構える誠也。

 

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

誠也(来る!)

 

 

T-RESドーパントが誠也に向けて突進し、バットイマジンが空中に再び舞い上がるのを見て再び構える。その時、何者かの影・・・・寧子に与えた悪魔召喚アプリの中に入っている悪魔・オーガがT-RESドーパントへと攻撃をしかけ、その巨体を吹き飛ばしていた。

 

 

寧子「キカコちゃん!そこまでよ!」

 

 

T-RESドーパントへと攻撃を仕掛けたオーガの後ろに、片手で悪魔召喚アプリが入った携帯を持った寧子が誠也を庇うように現れた。

 

 

誠也「寧子さん!」

 

 

姿を現した寧子に対して驚く誠也。そんな誠也の耳にさらに別の人物の声が入って来た。

 

 

???「俺も居るぞ!」

 

 

声と共に現れた人物、それは電王ベルトを使って、仮面ライダー電王・プラットフォームモードの姿の良太だった。

 

 

誠也「な、なんで二人共出てきたんです!」

 

良太「何言ってるんだ。相手は二人なんだろう?二対一はさすがに不利だろう?なら加勢するしかないじゃないか。」

 

誠也「でも、二人は今日新しい力を手に入れたばかりで、慣れてないはず。そんな状態で戦闘は無理だ!下がってて!」

 

 

誠也は二人の身を案じて下がらせるように指示する。誠也は二人が怪人との戦闘をするにはまだ早いと判断した。二人が今使っている力、寧子が使用している悪魔召喚アプリ、そして良太が使用している電王の力。両方とも今日受け取ったばかりの物なのである。そんなもらったばかりの力を訓練も無しで、ぶっつけ本番の戦闘で使用するのは本来ならするべき行為ではないのである。だが現状はその力を使わなければならない状況に陥っていた。

 

 

寧子「無理でも何でもやらなきゃいけないでしょう!あなたが不利なのにソレを黙って見ているなんてできないよ!」

 

 

誠也「けど・・・・それでも無茶だ!大体電王は最弱のプラットフォームにしかなれなんだ!戦闘は無理だ!」

 

 

誠也はそんこと言ってられない状況だと頭では分かっていたのだが、気持ちの部分でソレを受け入れることができず、二人が戦うことを拒否し、それを口にしたのだが、現状を冷静に判断していた良太に反対された。

 

 

良太「選り好みしている時じゃないだろう!それに最弱のモードでも、生身の人間よりは防御も攻撃面もマシだろう?なら囮役やサポートぐらいできるし、二人でならお前が怪人の一体を倒すまでの時間ぐらい稼げる!」

 

誠也「だけど!」

 

良太「無駄口叩いてる暇があったら早く怪人を倒して来てくれよ。早く倒せばその分だけ俺と黒羽の危険が少なくなるんだからな!だがら・・・・早めの退治、頼んだぞ!」

 

誠也「あっ!」

 

誠也がしゃべり終わったのと同時に、T-RESドーパントへと立ち向かっていく良太と寧子が操るオーガ。それを見た誠也はすぐさま止めようとしたが、これ以外の方法が思い浮かばないと思い、歯を食いしばった後、バットイマジンへと立ち向かって行った。

 

 

バットイマジン「ほお、あの二人に5010番の足止めをさせている間にこの俺を倒し、その後5010番を倒そうというのだな。」

 

誠也「無駄口を叩いている暇は無いんだ!」

 

 

誠也は空を飛んでいるバットイマジンを睨みながら、ハリケーンスタイルになる為のウィザードリングを腰のドライバーにかざす。

 

 

電子音声『ハリケーン!フー!・フー!・フー!フー!フー!』

 

 

誠也「さあ!ショータイムだ!!」

 

 

ハリケーンスタイルの能力である「風を操る能力」で体を空中に浮かせ、ソードモードのウィザーソードガンで空中を飛んでいるバットイマジンに斬りかかる誠也。

 

 

バットイマジン「この俺に空中戦を挑んでくるとは、命知らずなヤツよ!おもしろい!返り討ちにしてくれる!!」

 

 

風の力で空中に浮かんで、自分へと向かってくるハリケーンスタイルになったウィザードへ、鋭い爪をふり下ろそうと腕をあげるバットイマジン。

 

 

バットイマジン「!な、なんだ?腕が上がらない?体がうまく動かない!うまく飛べな・・・グッ!」

 

 

急に体がうまく動かなくなり、うまく飛べなくなったバットイマジンの体をソードモードのウィザーソードガンの刃で切りつける誠也。

 

 

誠也「急にうまく飛べなくなって驚いているみたいだな。このハリケーンスタイルは風を操る。その風を操る能力でお前の周りに風を操って上手く飛べないようにしているんだ。」

 

 

バットイマジン「なに!風を操るだと?!」

 

 

急にうまく飛べなくなった原因を聞いて、歯ぎしりをしながら誠也を睨みつけるバットイマジン。そんなバットイマジンに対して、ウイザーソードガンのハンドオーサーを操作し、緑色のハリケーンのウィザードリングをかざす誠也。

 

 

電子音声『キャモノ!スラッシュ!シェイクハンド!スラッシュストライク!!フー!フー!フー!』

 

 

ウィザーソードガンの刃に風の力纏わせて構え、動けなくなっているバットイマジンに対して止めをさそうとする誠也。

 

 

誠也「悪いがこれで終わりだ!ハッ!!」

 

 

フィザーソードガンを振り下ろし、刃に纏わせている風の刃の力をバットイマジンへ向けて放つ誠也。

 

 

バットイマジン「く、くそおおおおおおおおおおおおおおおおおお!ぐわああああああああああああああああああ!!」

 

 

風の刃を受けて体が真っ二つになり、断末の叫び声を上げて爆散するバットイマジン。

 

 

誠也「これでこっちの方は付いた。急いで向こうの手助けを・・・・・!」

 

 

爆散したバットイマジンを見て、急いで良太達の所に向かおうとするが、爆散したバットイマシンが収縮し出すのを見てその動きを止めた。

 

 

誠也「まさか・・・・イメージの暴走?ギガンデス化!!」

 

 

爆散したバットイマジンの体が収縮・変貌し、巨大変をしてギカンデス化をし、ギガンデスヘブンと化した。

 

 

ギガンデスヘブン「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

空中に浮かぶその姿は、全身が白く顔は金色で、上半身はコウモリと鳥の合成、下半身は蜂の腹部のような巨大で異様な姿であった。

 

 

誠也「まさか・・・・ギガンデス化するなんて。これは倒すのに骨が折れそうだ・・・・急いでいるのに!!」

 

 

誠也は空に浮かぶギガンデスヘブンを睨みつけると、ギガンデスヘブンを倒すべく、その巨体へと立ち向かって行った。

 

 

 

 

つづく

 



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第45話 再会と刺客と新たな電王の誕生⑧

どうも、剣 流星です。

新しく始まった仮面ライダーゴースト。
英霊の力を使う辺り、なんだかFateを連想させられるな~と思いました。
そして今期の新しく始まったアニメ。
自分が一番押してるのは「うたわれるもの 偽りの仮面」です。
原作をやっている身としては、アニメにも期待しています。

さて無駄話しが長くなりましたが第45話をどうぞ



 

 

 

バットイマジンのイメージが暴走し、ギガンデス化してギガンデスヘブンへとなっている頃。地上では電王の良太と悪魔召喚アプリでオーガを操る寧子が、T-RESドーパントとの戦いを既に始めていた。

 

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

良太「はっ!」

 

 

T-RESドーパントの突進攻撃をギリギリのタイミングでかわした良太は「この程度の突進ならなんとかかわすことができる」と内心で思いながら、攻撃が空振りに終わってしまったために体勢が崩れたT-RESドーパントを見据えた。T-RESドーパントは自分の攻撃が空振りに終わった為、次の攻撃をするために体勢を立て直そうとしたがその時、

 

 

オーガ「オオオオオオオオッ!」

 

 

寧子が操るオーガによる拳の一撃を受けて、T-RESドーパントさらに吹っ飛び土煙を上げながら地面に叩きつけられる。

 

 

良太「行ける!俺が囮になってアイツの気を引いている隙に、黒羽が攻撃する。小回りの効かないアイツには一番効果的だ。」

 

寧子「この方法でなら、せ・・・ウィザードがあっちの怪人を倒す時間ぐらいは稼げそうね。」

 

 

電王の姿をした良太に同意しながら、今だに吹っ飛んで地面に叩き付けられた時に舞っている土煙の中に居るT-RESドーパントを見る寧子。二人は次の攻撃に対して、土煙の中から現れるであろうT-RESドーパントの姿を探した。だが、いつまでたっても土煙の中からT-RESドーパントが現れないので、それを不思議に感じ良太は目を凝らして晴れてきた土煙の中を見て、次の瞬間驚愕した。T-RESドーパントは変身した魔女・キカコの魔法である「砲撃」の魔法を撃とうとしていたのである。

 

 

良太「黒羽!危ない!」

 

寧子「えっ?」

 

 

良太が危険を察知して、「砲撃」の魔法の射線上にいる寧子を押し倒すのとほぼ同じタイミングで放たれる「砲撃」の魔法。

 

砲撃の魔法は射線上に居たオーガを消滅させ、寧子に覆いかぶさった良太の上を通って、公園の上空へと消えて行った。

 

 

寧子「ほ、「砲撃」の魔法?」

 

押し倒された良太の体の下で、驚く寧子。

 

良太「ああ。迂闊だった。「沙織」もゾディアーツに変身した後も自分の魔法を使っていたんだから、使えるのを考慮すべきだった。おかげで召喚した悪魔を失った。」

 

良太は押し倒した寧子の上から退きながら立ち、砲撃の魔法を放ったT-RESドーパントの方へと向き直る良太。そんな良太の「召喚した悪魔を失った」と言う言葉を聞いて、咄嗟に自分が持っている携帯を見る寧子。そこには先程まで召喚していたオーガの名前の下に「修復中」の文字があるのを確認した。

 

 

寧子「修復中って・・・やられちゃったの?!」

 

良太「ああ。さっきの「砲撃」の魔法でな。」

 

寧子「そんな!・・・私の魔法は生き物には使えない。このままじゃ、む・電王一人でキカコちゃんの相手をしなくちゃならなくなる!私が油断して砲撃の魔法に気づかなかったから・・・・」

 

 

寧子はオーガがやられたせいで、良太がT-RESドーパントを一人で相手しなくてはならない事を自分がオーガを失ったせいだと思い込み、自分を責めた。だがT-RESドーパントはそんな寧子に自分を責める時間も与える暇もなく、突進攻撃をするために良太と寧子に狙いを付ける。

 

 

良太「黒羽・・・・俺がアイツの相手をしている間に、お前は逃げろ!」

 

寧子「えっ?で、でも!」

 

良太「悪魔を呼び出せない今のお前じゃアイツの相手はできない!それに・・・今の俺じゃあお前を守って戦うことはできない!だから・・・・「だめだよ」ってえ?」

 

俺に構わず逃げてくれと言葉を続けようとする良太であったが、寧子の言葉がそれを遮り、それを言うことができなかった。

 

 

寧子「村上くんを置いてなんて行けないよ!それに・・・私、さっき倒れて時に足を捻って・・・」

 

良太「えっ!」

 

 

寧子の言葉を聞いて一瞬動きを止める良太。そんな良太に対して言葉を続ける寧子。

 

 

寧子「私はここから動けない。だから、私がここに残ってキカコちゃんの気を引くから、あなたは逃げて。」

 

良太「けど!」

 

 

寧子の言葉に反発しようとした良太であったが、無情にもそんな暇は与えないと言わんばかりに、T-RESドーパントは二人に対して突進して来たのである。

 

 

寧子「っ!早く行って!」

 

 

自分に突っ込んでくるT-RESドーパントの巨体を見て、良太に対して早く逃げるよう促す寧子。

 

 

良太「けど!」

 

 

寧子と自分達に突っ込んでくるT-RESドーパントを交互に見て一瞬動きを止めて考え込む良太。

 

 

良太(怖い・・・だったら逃げるのか?でも、そうしたら、黒羽は確実に殺される!“また”自分のせいで“クロネコ”を死なせるのか!それで良いのか俺!!)

 

 

良太の胸に、かつて幼い時に自分のせいで死なせてしまった、寧子ソックリの幼馴染“クロネコ”の姿が思い浮かび寧子に重なる。それと同時に“クロネコ”を失った時に味わった深い後悔と絶望も蘇った。

 

 

良太「“クロネコ”を・・・」

 

寧子「えっ?」

 

良太「“クロネコ”をもう二度と死なせるものかああああああああああああっ!!」

 

 

寧子が驚くぐらいの雄叫びを上げて、自分達に向かって突進するT-RESドーパントへと向かっていく良太。

 

 

良太「おおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

 

雄叫びと共に、右のストレートパンチを突進してくるT-RESドーパントへと叩き込む良太。だがT-RESドーパントは突進攻撃を止めただけで、そんな物、全く聞かないと言わんばかりに、プラットフォームの電王である良太を蚊でも払うかのように軽く腕を振るって吹き飛ばす。

 

 

良太「ぐわっ!」

 

寧子「電王!」

 

 

吹き飛ばされた良太を見て叫ぶ寧子。そんな寧子に対して再び攻撃を仕掛けようとするT-RESドーパントに対して、良太は再び攻撃をしかけた。

 

 

良太「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

 

T-RESドーパントへと再び殴りかかる良太。だがT-RESドーパントは再び腕を軽く振るって、良太を吹き飛ばす。だが良太は吹き飛ばされても、即座に立ち上がり、再びT-RESドーパントへと殴りかかり、再び吹き飛ばされる。

殴りかかる・吹き飛ばされる・殴りかかる・吹き飛ばされる・・・・こんなふうに、殴りかかる・吹き飛ばされるを何度も繰り返す良太とT-RESドーパント。普通の人間なら初めの一回で動けなくなるが、最弱のプラットフォームとは言え、仮にも仮面ライダーである。その守備力は生身の人間よりは守備力はある。だが、あくまで生身の人間よりはマシ程度の守備力である。こう何度も強烈な攻撃を受けたら、さすがにダメージが蓄積して動けなくなるはずであった。だが、それでも良太は立ち上がり、T-RESドーパントへと立ち向かって行った。寧子を守るために。

体中が悲鳴を上げ、尋常じゃない力で吹っ飛ばされた体はあちらこちらが痛み、もう何処が痛いのかがわからなくなるほどだった。だが、それでも良太は立ち上がって立ち向かって行く。

 

寧子「もういい・・・・もういいよ!私なんて放って置いて逃げてええええええええええええっ!!」

 

何度も吹き飛ばされ、足元がヨロヨロとおぼつかなくなっても立ち向かう良太の姿を見て、涙目になって「もういい!」と叫ぶ寧子。だが、その声が聞こえてないのか、T-RESドーパントへと立ち向かう良太。

 

 

良太「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

何度も立ち向かってくる良太に対して、いい加減に鬱陶しくなったと言わんばかりに、先程までとは打って変わって、渾身の力を込めて打撃を良太に叩き込むT-RESドーパント。

 

 

良太「ぐわあああああああっ!」

 

 

先程までとは違う強烈な攻撃を受けたせいか、はたまた蓄積したダメージのせいか、即座に立ち上がれない良太。そんな良太を見て、自分に向かってこないと確認したT-RESドーパントは、ゆっくりとした足取りで寧子へと近寄っていく。

 

 

良太「く、黒羽・・・・・・くっ!」

 

 

寧子へと向かって行くT-RESドーパントを見て立ち上がろうとする良太であったが、体が思うように動かなく、立ち上がることができない。

 

 

良太(くそ!・・・動け!動け!動け!!このままじゃ黒羽が!“クロネコ”みたいに死んじまうぞ!!動けよ俺の体!!くそおおおおおお!)

 

 

何度も「動け!」と己の体を動かそうとする良太。だが、いくら動かそうとしても体は一向に動こうとしなかった。

 

 

良太(ちくしょう・・・・俺じゃあ・・・黒羽を・・・・クロネコを守れないのか・・・・・クソ・・・・・)

 

 

寧子を守れず、相手を足止めすることもできず、体を動かすこともできない自分が情けなくなり、良太は涙を流した。そんな良太の耳に何者かの声が聞こえてきた。

 

 

モモタロス「おめえ・・・なかなかガッツがあるな!良太郎に負けねえぐらいの!」

 

良太「・・・だれ?」

 

 

痛む体にムチを打ちながらも、聞こえてきた声のする方を見る良太。そこには、上半身と下半身が逆になっている、砂で出来た鬼・・・・イマジンのモモタロスが居た。

 

 

モモタロス「俺はイマジンのモモタロス。良太郎に言われて、カナリヤの手助けに来た助っ人だ。」

 

良太「カナリヤの・・・助っ人?」

 

モモタロス「ああ。お前、カナリヤに選ばれた、この世界の電王だな。さっきまで見てたが、根性見せるじゃないか!オメエの事気に入ったから、特別に俺の力を貸してやる!」

 

良太「ちから・・・・を?」

 

 

突然現れたモモタロスに対して驚き混乱するが、「力を貸してやる」の一言を聞いて頭の中の混乱が収まる良太。

 

 

モモタロス「その代わり、お前の体を貸してもらうぞ。」

 

良太「体を貸す?」

 

モモタロス「そうだ、どうする?貸すか?貸さないか?」

 

 

モモタロスの「体を貸す」の一言を聞いて、一瞬何の事かと思った良太であったが次の瞬間、電王ベルトを受け取った時に聞いた話し、電王の力を発揮するには、装着者に取り付いたイマジンの力が必要だと言う事場を思い出した。このイマジンに体を貸せば、電王は本来の力を取り戻せ、その力でT-RESドーパントを倒し、寧子を守ることができると考えた良太は迷いなくモモタロスに返事をした。

 

 

良太「黒羽を・・・・・“クロネコ”を守れるなら・・・・悪魔の誘いだろうとなんだろうと受けてやる!俺の体を貸してやる!」

 

モモタロス「契約成立だ!」

 

良太の返事を聞いて己の体を光の玉にすると、次の瞬間、良太の体へと入るモモタロス。そして次の瞬間、まるでさっきまでのダメージが無いかのように立ち上がった。

 

 

良太(M)『さあ!久々に暴れるぞ!!』

 

 

良太に取り付いたモモタロスは腰の電王ベルトの赤いフォームスイッチを押すし、ライダーパスを電王ベルトにかざした。

 

 

良太(M)『変身!』

 

 

電王ベルトのターミナルバックルが赤く発光し、頭部に電仮面が現れ、全身にオーラアーマーが装着される。

 

 

良太(M)『俺、参上!!』

 

 

変身完了と同時にポーズを取る良太(M)。時の運行を守る、仮面ライダー電王・ソードフォームの参上である。

 

 

良太(M)「前フリ無しだ!始っからクライマックスだぜ!!」

 

 

 

 

 



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第46話 再会と刺客と新たな電王の誕生⑨

どうも、剣 流星です。
ここの所プライベートが忙しく、なかなか執筆の時間が取れなくて投稿が遅れてしまいました。
普通ありえないよな~。連続で7日間仕事って・・・・

まあそんな訳で、今後年末にかけて執筆作業が遅れると思うので、投稿は来年まで月一の感覚になります。ホントすいません。

では第46話をどうぞ


 

良太(M)「前フリ無しだ!はじめっからクライマックスだぜ!!」

 

 

T-RESドーパントと対峙していた電王・ソードフォームの良太(M)は、腰についているデンガッシャーのパーツを連結させてソードモードにし、ゆっくりと歩きながらT-RESドーパントに近づく。

 

 

良太(M)「行くぜ!行くぜ!行くぜ!!」

 

 

手に持っているデンガッシャー・ソードモードを振り上げてT-RESドーパントへと突っ込んでいく電王・ソードフォームの良太(M)。その姿をみたT-RESドーパントは、良太(M)へと襲いかかった。

 

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

良太(M)「へっ!遅いぜっ!」

 

 

T-RESドーパントの突進噛み付き攻撃を紙一重でかわした良太(M)は、攻撃がかわされて無防備になったT-RESドーパントへ容赦なく斬撃を連続で浴びせた。

 

 

良太(M)「オラオラオラオラオラッ!!」

 

T-RESドーパント「グワアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

容赦なく叩き込まれるデンガッシャーによる斬撃を受けて、バランスを崩し倒れるT-RESドーパント。

 

 

良太(M)「どうした!もうお終いか!根性出してかかって来いやっ!」

 

 

倒れ伏したT-RESドーパントへ「かかって来い!」と挑発する良太(M)。そんな良太(M)の挑発を聞いた為か、「グルルルルルッ!」と低い唸り声を上げたT-RESドーパントは、再び立ち上がると、T-RESの形をした頭部にある、鋭いキバが生えた口に力をタメて、「砲撃」の魔法を撃とうとした。だが・・・・

 

良太(M)「させるかっ!」

 

 

砲撃の魔法を撃つために、力を溜めているT-RESドーパントへと素早く攻撃を仕掛け、「砲撃」の魔法を打つためのシャージを中断させた。

 

 

T-RESドーパント「グワッ!」

 

 

斬撃を受けて再びバランスを崩して倒れるT-RESドーパント。良太(M)はその隙に、腰の電王ベルトにパスをかざす。

 

 

電子音声『フルチャージ!』

 

 

良太(M)「行くぜ!俺の必殺技!パートⅡ!!」

 

デンガッシャー・ソードモードにフリーエネルギーが溜まると、良太(M)はそれを振り下ろすと同時に刃を飛ばし、T-RESドーパントを縦切りにした後、さらに横なぎでT-RESドーパントを切り裂いた。

 

 

T-RESドーパント「グッ!・・・・・・グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

断末魔の叫びを上げると同時に爆発するT-RESドーパント。やがて爆発して発せられた爆煙が晴れると、そこにはガイヤメモリーでT-RESドーパントへと変身していたキカコが、意識を失って倒れており、その側にはキカコの体内から排出されて壊れた、T-RESのT2ガイアメモリーが落ちていた。

 

 

良太(M)「ま、最初の戦闘としてはこんなもんだろう。」

 

 

倒れているキカコを見てつぶやく良太(M)。その一部始終を誠也は上空で戦闘をしながら見ていた。

 

 

誠也(なんで・・・モモタロスがここに?)

 

 

かつて異世界を門矢司やはやてと共に旅した時に行った「電王の世界」。そこで出会ったイマジンのモモタロスが、自分の住んでいるこの世界に居る事に驚く誠也だったが、次の瞬間、モモタロスにもう一度会えた事に対する喜びが湧き上がった。

電王であるモモタロスがここに居る。自分が憧れ、ああなりたいと思い、その背中を追いかけた男の一人がここにいる!成長した自分を見てもらえる!その喜びが誠也を包み込み、力がみなぎった。

 

 

誠也「モモタロスが・・・電王が見ている前で、これ以上お前みたいなザコに苦戦してられるか!」

 

 

誠也は自分の目の前を飛び回る、ギガンテス化したバットイマジン・ギガンデスヘブンを見て、「苦戦していられるか!」と言い放ち、ラボでカナリヤから新たに受け取った、幾つかのウィザードリングの中の一つ、ハリケーンドラゴンの指輪を指にはめ、腰のベルトのハンドオーサーを操作してドライバーにかざした。

 

 

電子音声『ハリケーン!ドラゴン!!ビュー!・ビュー!・ビュー!ビュー!ビュビュー!!』

 

 

魔法陣が誠也の体を通り、ハリケーンスタイルの強化形態、ハリケーンドラゴンの姿へと変わった。

 

 

誠也「ケリを付けるぞ!」

 

 

誠也はスペシャルウィザードリングを右手に身に付け、それをドライバーにかざす。

 

 

電子音声『チョイイネ!スペシャル!サイコー!!』

 

 

誠也の背後に魔法陣が現れ、そこから出てきた緑色のドラゴンが背中に取り付くと、次の瞬間、誠也の背にドラゴンの翼が付く。

 

 

誠也「さあ、ショータイムだ!!」

 

 

ギガンデスヘブン「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

背中のドラゴンの翼をはばたかせ、空中を飛び回るギガンデスヘブンへ、手に持っているソードモードのウィザーソードガンで斬りかかる。

 

 

誠也「ハッ!」

 

 

背中の翼のおかげで、空中での機動力・旋回能力が上がり、その機動力を使ってギガンデスヘブンの攻撃をかわしながら攻撃する誠也。

 

 

ギガンデスヘブン「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

誠也の猛攻を受けて、苦し紛れの攻撃をするギガンデスヘブンであるが、その攻撃はことごとくかわされる。

 

 

誠也「さあ!フィナーレだ!!」

 

 

誠也は再び右手の指輪を交換し、サンダーの指輪をはめてドライバーにかざした。

 

 

電子音声『サンダー!プリーズ!!』

 

 

緑色の風を発しながら、ギガンデスヘブンの周りをぐるぐる高速で旋回飛行しながら緑色の竜巻・雷雲を発生させ、ギガンデスヘブンをそれに閉じ込めると、中に居るギガンデスヘブンに特大の落雷を落とした。

 

 

ギガンデスヘブン「グッ!グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

 

 

特大の雷を受けて、地面へと消滅しながら、ギガンデスヘブンは断末魔の叫び声を上げながら地面へと落ちて行った。

 

 

誠也「フ~~、終わった。」

 

 

良太(M)「おっ!そっちも終わったか。」

 

 

空中での戦いが終わったのを見て、誠也に声をかける良太(M)

 

 

誠也「・・・モモタロス、なんでこの世界に?」

 

 

空中から地上へと降りながら、良太(M)へと声をかける誠也。

 

 

良太(M)「?俺を知ってる?お前・・・誰だ?」

 

 

ウィザードの姿の誠也に名前を言われて、首を傾げる良太(M)。

 

誠也「あっ・・・・・・この姿で会うのは初めてだからわからないか。」

 

 

良太(M)「この姿で?・・・お前ひょっとして、せ「あの・・・・」っと、おっ!無事だったか、コスプレ娘!」

 

 

戦闘が終わったのを見て、気絶しているシノの側に抱いていた猫を置いて、誠也達に近づいた小悪魔は、誠也達に声をかけた。

 

 

小悪魔「コスプレじゃありません!と言うか・・・その口調、もしかしてモモタロスさん?」

 

 

モモタロスの「コスプレ娘」の言葉に反応して言葉をかえした小悪魔であったが、良太に取り付き、電王になったモモタロスの口調で、電王がモモタロスだと言うことに気づいた。

 

 

良太(M)「おう!その通りだ。見ての通り、今はこいつにとり憑いて、姿が変わっているがな。」

 

小悪魔「と、とり憑く?!そ、そんなこともできるんですか?!」

 

 

良太にとり憑いている事に驚き、声をあげる小悪魔。そんな小悪魔に誠也はおそるおそる声をかけた。

 

 

誠也「・・・こあ?こあ・・・なんだよな?」

 

 

小悪魔「え?」

 

 

誠也に「こあ」と言われて声をかけられ、一瞬驚いた顔をしながら、小悪魔は誠也の顔を見て、その動きを止めて誠也に向き直る。

 

 

小悪魔「あの・・・ひょっとして私を知ってるんですか?お願いです!私が誰なのか教えてください!」

 

 

誠也「えっ?・・・・私が誰なのか教えてほしい?こあ?何を言って・・・・・」

 

 

小悪魔の言った言葉が理解できずに聞き返す誠也。そんな誠也に、事情を知って居る良太(M)がその理由を話した。

 

 

良太(M)「・・・・昔の記憶が無いんだとよ。」

 

 

誠也「記憶が・・・・無い?」

 

 

良太(M)の言葉を聞いて、信じられないと言う顔を仮面の下でしながら、自分を見ている小悪魔を黙って見た。

 

 

良太(M)「俺がこの世界に転移した後、気絶して倒れているコイツを見つけたんだが、その時には既に記憶を無くしていた。」

 

 

良太(M)の話を聞いて、小悪魔が記憶を無くしている事にショックを受けて呆然と立ち尽くす誠也。だが、そんな誠也の耳に、寧子の叫び声のよな声が聞こえてきた事により、瞬時に我に返って、声のした方を見た。

 

 

寧子「シノちゃん!シノちゃんを離して!!」

 

 

誠也「?!」

 

 

誰かに向かって叫ぶ寧子を見て、叫んだ方を見た誠也。公園内の一つ小高い丘のような場所。その上に、財団Xの白い制服を身に纏い、目元を隠した白い仮面を身につけた赤い髪の男が、気絶したシノを抱きかかえて立っていたのである。

 

 

誠也「誰だ!」

 

 

シノを抱きかかえた男に向かって叫ぶ誠也。だが男は何も喋らずに佇んだまま、誠也達の方をじっと見つめたままだった。

 

 

カラス『おや?これはリュート様。財団X親衛隊隊長ともあろうお方が、このような所に何用でしょう?』

 

 

先程までの戦闘を高みの見物と決め込んでいたカラスが、誠也達の前に姿を現し、丘の上に突如現れた人物に声をかけた。

 

 

寧子「ざ、財団X・・・」

 

良太(M)「親衛隊の・・・・」

 

誠也「・・・隊長?」

 

小悪魔「・・・・・?」

 

 

 

つづく

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

三人「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「はい、やってまいりました「おまけコーナー」!場所はお馴染みのたまちゃんのお家である「門田神社」からお届けしま~す♪」

 

みたま「それにしても、なんだか本当にまともなOPよね。前回、前々回の記憶が無いから確かな事かは言えないけど。」

 

シロ吉「そうっスね。」

 

織姫(あ、やっぱり前回の記憶も前々回みたいになくなってるみたいね(^_^;)たまちゃん達の為にも、その事には触れないようにしておこ~っと)

 

みたま「記憶が無いのをいつまでも引きずってたって仕方がないし、今回の補足を説明するゲスト読をとっとと呼んじゃおうか。」

 

シロ吉「そおっスね。」

 

みたま「織姫、今回のゲストは?」

 

織姫「え?あ、今回のゲストね。え~と今回のゲストはこの方、仮面ライダー電王に登場している詐欺師でナンパ師・・・じゃなくて、イマジンのウラタロスさんです。どうぞ~」

 

良太(U)「どうも、ウラタロスです。女神にご招待いただくなんて感激だよ♪」

 

織姫「あ、あれ?ウラタロスさん?その姿は?なんで良太さんに憑依しているんです?」

 

良太(U)「なんで憑依しているかって?いや、いずれ僕も本編に登場したら、彼に憑依して電王に変身して戦うでしょう?だから今のうちに慣れておこうかな~ってね。」

 

織姫「へ~、勤勉なんですね。」

 

良太(U)「いや~、そんな。全然たいしたことないよ。(自然に織姫の肩に手を回す)」

 

みたま「ちょっと!なにさりげなく織姫の肩に手を回してるのよ!それよりも今回の補足!」

 

良太(U)「ああ、そうだったね。今回の補足は僕らが出ている原作の「仮面ライダー電王」についての補足だよ。」

 

シロ吉「確か「仮面ライダー電王」は平成仮面ライダーシリーズの第8作目だったっスよね!」

 

良太(U)「そう、2007年(平成19年)1月28日から2008年(平成20年)1月20日までテレビ朝日系列で毎週日曜日8:00 - 8:30に放映されて、今ある平成仮面ライダーシリーズの中で劇場作品が8作品も作られるほど人気が高かった作品なんだ。」

 

織姫「劇場作品が8作品も?!」

 

シロ吉「ふぇ~、すごいっす!」

 

良太(U)「また、ディケイドの映画2作にも出演していて、短編映画も含めて2007~2015年まで連続15作品に何らかの形で出演してもいるんだ。」

 

みたま「連続15作品?!すごい人気、羨ましい・・・・」

 

良太(U)「さて、そんな数多くの劇場作品に出演していた電王の本編のあらすじなんだけど、時間の改編を企てる侵略者イマジンと、これを阻止するために戦う仮面ライダー電王である良太郎と、その良太郎に憑依し力を貸す味方イマジン達の活躍する話なんだ。」

 

シロ吉「へ~。」

 

良太(U)「イマジンは憑依した人間との間にその望みをかなえるという「契約」を結び、手段を選ばずに「契約完了」することで望みにまつわる記憶を呼び覚まして、それを足がかりに過去へ飛び破壊活動を行うことで時間を改変してしまうんだ。それに対抗できる電王に変身できるのは、時間改変の影響を受けない特質の持ち主「特異点」のみ。だけど特異点である良太郎はひ弱で気弱、しかも不運続きとで、とても戦いができる人物じゃなかったんだ。」

 

みたま「ひ弱で気弱、しかも不運続きって・・・(^_^;)」

 

良太(U)「そんな良太郎を見かねて、憑依して良太郎に力を貸すのが、僕や先輩達なんだ。僕らが憑依することで良太郎は能力のみならず性格も一変。僕らの力と良太郎の奥底にある正しく強い心が合わさることで電王はその力を発揮。そして過去へ飛んだイマジンを追って、電王もデンライナーで過去へ飛んで戦う。これが電王の大まかなあらずじだね。」

 

織姫「なるほど。まさにキャッチコピーの「時の列車デンライナー、次の駅は過去か?未来か?」通りですね。説明ありがとうございます。」

 

良太(U)「説明はこんなもんでいいかな?じゃあこれでお仕事は終わりだね。ここから先はプライベートでってことで・・・・織姫さま、この後どう?僕に釣られてみない?」

 

織姫「あら?ひょっとして私ナンパされてるんですか?でも・・・・ダメですよ、人妻をナンパしちゃ。」

 

良太(U)「え“!?織姫さま、人妻なの?!」

 

織姫「あら、知らなかったんですか?私は“あの”七夕の織姫なんですよ?結婚してるの当たり前じゃないですか。それよりも、自分の身の安全の事を考えたほうがいいですよ?」

 

良太(U)「え?それは一体どういう意味(ドゴン!)って、うわ!突然僕の足元の地面がえぐれた!」

 

寧子「む・ら・か・み・く・ん!こんな所でなに人妻をナンパしてるの!!!(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!)」

 

織姫「あら、寧子ちゃん」

 

シロ吉「うわ!すごい殺気っす!!」

 

みたま「良太くんの姿でウラタロスがナンパなんてしたもんだから、寧子ちゃんが良太くんがナンパしてると思ちゃったんだね(^_^;)」

 

良太(U)「あ、え~と・・・・良太、体返すね!(憑依解除)」

 

良太「あ、おい!場を引っ掻き回して、そのままトンズラするな!」

 

寧子「ム・ラ・カ・ミ・ク・ン。チョットオハナシシヨウカ~」

 

良太「そ、それは・・・伝説の「O☆HA☆NA☆SI」よ、よせ!話せばわかる!話せば・・・ぎゃああああああああああああっ!」

 

織姫「・・・え~と、そ、それじゃあ、今回は良太くんの断末魔の悲鳴をバックにしながらお別れです。」

 

シロ吉(うわ~話を無理やり終わりに持っていこうとしてるっス。)

 

みたま「(まあこっちに飛び火しないうちに終わりにするのが吉よね。まあちょっとヒドイと自分でも思うけど(^_^;))そ、それでは皆さん・・・」

 

三人「「「まったね~♪」」」

 

良太「うわ!や、やめて!そこを潰そうとしないで!うぎゃああああああああああああっ!」

 

 



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第47話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め①

どうも、剣 流星です。

遅れてすいません。どうにか時間を作って、短めではありますが書くことができたので投稿します。

年内の更新はこれで最後なので、続きは年明けになります。

では第47話をどうぞ。


御奈神村(みなかみむら)内を流れる川にある川原。澄んだ水が岩に当たり、水しぶきを上げながら流れる涼しげなその場所に、銀子と皆神孝介(みなかみこうすけ)は川に沿って上流へと向かうように歩いていた。

朝、誠也と別れた後の二人は、この村の山々に潜んでいる、羽衣の欠けらを動物が大量に取り込んだ事により変貌した生き物、「山童」の最後の一体である「蛟」を探すために水辺を中心に探索を続けていた。

 

 

銀子「こうちゃん、大丈夫?一旦休もうか?」

 

 

先頭を歩いていた銀子が、今だに山歩きに慣れていない孝介を気遣い、休むかと聞いてみた。

 

 

孝介「い、いや・・・・大丈夫ですよ・・・自分から・・・志願して・・・銀子さんの手伝いを・・・・したいと言い出したんですから・・・・・・・・これくらい・・・・・・」

 

 

銀子「そ・・・そう?」

 

全身汗を書きながら、息も絶え絶えな声で大丈夫だと言う孝介の返事を聞く銀子ではあったが、銀子にはとても大丈夫そうには見えなかった。

 

 

銀子「無理してるのが丸分かりだよ。あんまり無理しないで、倒れられたら大変なんだから、辛いんならそう言って。」

 

 

孝介「うっ!・・・・・すみません。」

 

 

銀子の事場を聞いて、済まなそうな顔をする孝介。結局、孝介の事を考えて、銀子は川原にある岩陰で休憩をする事を決め、二人は岩陰にある手頃な石の上に腰をかけて休憩をした。

 

 

孝介「ふぅ~~・・・・・これで一息つける。」

 

 

岩陰で座り込んで、額から流れ出る汗を岩永の家から持ってきたタオルで拭きながら一息つく孝介。そんな孝介を同じ様に岩陰に入って座り込んだ銀子が、孝介の顔をじっ~と見ていた。

 

 

孝介「・・・ん?なんです?銀子さん。俺の顔をじ~っと見て。何か付いてます?」

 

 

自分をじ~っと見ている銀子の視線を感じ取った孝介はどうしたのかを聞いてみた。

 

 

銀子「こうちゃん、なんで私の「欠けら」探しを手伝ってくれたの?」

 

孝介「え?あ~~それは・・・・・」

 

 

自分の目をじ~っと見つめながら話してくる銀子の視線から、バツが悪そうに目をそらす孝介。だが、それでもじ~っと視線を向けてくる銀子に根負けした孝介は、ハァ~と深くため息を吐いて話始めた。

 

 

孝介「・・・・放っておけないって・・・・思って。」

 

 

銀子「えっ?」

 

 

孝介の行った言葉が理解できなくてキョトンとする銀子。

 

 

孝介「前に銀子さん、「自分の居場所を見つけれれていない」って、それって「自分には居場所がないって」事なんですよね。あの時の銀子さん、とても寂しそうな顔をしてました・・・・俺はそんな顔をする銀子さんを放っておけないって思って・・・・」

 

 

銀子「こうちゃん?」

 

 

自分の思っている事を話す孝介の言葉を、孝介の顔を見ながら聞く銀子。その視線を感じながらも話を続ける孝介。

 

 

孝介「銀子さんにあんな寂しそうな顔をして欲しくない。銀子さんの為に何かをしてあげたい。そう思って・・・・・だから、銀子さんの手伝いをしようって・・・・迷惑でしたか?」

 

 

銀子「そ、そんな迷惑だなんて!その・・・・こうちゃんの気持ち、素直にうれしい。ありがとう、でも・・・・・・・・・!これはっ!」

 

孝介「ん?銀子さん、どうしたんです?」

 

 

突然立ち上がり、険しい顔をしながらある方角を見つめる銀子に対して、どうしたのかと言葉をかける孝介。

 

 

銀子「この感じは・・・・「27の真の紋章」の反応!しかも二つ!さらに・・・・・その二つに引かれて、もう一つの紋章が近づいている!まさか・・・・「私」と「紫」以外の「真の紋章」所持者がこの世界に来たって言うの!?しかもこの方角、誠也くん達が居る「遠羽市」が有る方!」

 

 

孝介「紋章?遠羽市?銀子さん、一体どうしたんです?」

 

 

突然、聞きなれない単語と遠羽市の名前を言う銀子を見て驚く孝介。

 

 

銀子「こうちゃん。悪いんだけど私、今から行かなきゃ行けない所ができたから、こうちゃんはこのまま帰って。」

 

孝介「えっ?「行く所ができた」って・・・・何処に行くんです?」

 

銀子「誠也くん達が居る「遠羽市」だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寧子「ざ、財団X・・・」

 

良太(M)「親衛隊の・・・・」

 

誠也「・・・隊長?」

 

小悪魔「・・・・?」

 

突如現れた、数人の人物を率いた人物。シノを抱きかかえている白い仮面を付けた赤髪の男。誠也達はその男に視線を集めるが、男は誠也達の視線を受けてもまるで感じていないかのように無視していた。

 

 

誠也(・・・・・?何だ?あの人を見てると、なぜか悠菜姉が思い浮かぶ・・・なぜだ?)

 

 

誠也は財団Xの親衛隊の隊長と言う男を見て、なぜか姉である悠菜と同じ”ナニカ”を感じて戸惑っていた。そんな誠也を気にするでもなく、誠也の存在を無視しながら、リュートはカラスに視線を向けて話始めた。

 

 

リュート「・・・・カラス、これはどういう事なんだ?逃げた「魔女」達は「保護」するのであって、「抹殺」するよう命令は出ていないはずだ。総帥(ちちうえ)副総帥(にいさん)も「「素体」の無駄遣いは避けるべきだ。B級以下の魔女は保護するお前の方針に同意しよう」と言って僕の方針に合意し、逃げた魔女についても「抹殺」では無く「保護」する為の命令も出ていたはず・・・・だが、この子が手に持っているのは、逃げた魔女達の「ハーネス」だ。」

 

寧子「あっ!キカコちゃん!!」

 

 

リュートの側に居る親衛隊らしき人物。財団X特有の白い制服を着崩して来ている男に抱きかかえられた、気絶しているキカコを見て寧子は叫んだ。

 

 

良太(M)「さっき戦っていたドーパントになってた女じゃねえか。いつの間に・・・・」

 

 

先程までT-RESドーパントとなったキカコと戦っていた電王・良太(M)は、いつの間にか抱きかかえられていたキカコを見て驚いていた。

 

 

カラス「申し訳ありません、リュート様。いやね、私も命令については魔女の宮殿(ヴィンガルフ)の主だった者たちに伝えたんですがね、高千穂の面々や研究所所長の「九 千怜(いちじく ちさと)」氏や「小野寺(おのでら)」氏などが「こちらにはこちらのやり方が有る」だとか、「無駄な労力だ」とか「使えないものを処分して何が悪い」とか「親衛隊のボンボンの気まぐれに付き合ってられるか」言って、言う事を聞いてくれなくて・・・・それで、致し方なく、私は刺客として放たれた魔女達の監視をして、命令を守るようにしようとしていたのですが・・・・5010番が暴走して次々と逃げ出した魔女達を殺してしまって・・・・」

 

 

リュートに対し、全面的に魔女達の処分に協力していた事、魔女達を使って仮面ライダー達をおびき寄せようとした事を知られると面倒だと思ったカラスは、これまでの経緯に嘘を混ぜて話した。

 

 

瑞花「なっ!「使えないものを処分して何が悪い」、「親衛隊のボンボンの気まぐれに付き合ってられるか」ですって!」

 

シャンハイ「おのれ!高千穂!九 千怜(いちじく ちさと)小野寺(おのでら)!たかが財団Xの下部組織のメンバーふぜいが、総帥・副総帥の命令を無視するばかりかリュート様の事を侮辱するとは!許せない!!」

 

 

リュートの側に控えていた親衛隊の人物らしき少女、瑞花とシャンハイは、カラスの言葉に対して怒りをあらわにし、今にも掴みかかりそうな勢いで身を乗り出そうとする。そんな二人を手で制すリュートは、カラスを射抜くような視線でだまったまま、しばらく見つめていた。

 

 

リュート「どうやら、高千穂・魔女の宮殿(ヴィンガルフ)には抜き打ちの査察をする必要があるみたいだな。これ以上のアイツ等の暴走をだまって見過ごすわけにはいかない。すぐに行動に出る。だが、その前に・・・・」

 

 

先程までカラスを見ていた視線を、今度は誠也達へと向けるリュート。

 

 

寧子・良太(M)・小悪魔「「「?!」」」

 

 

突然視線を向けられ、身構える寧子と小悪魔、良太(M)だったが、視線を向けられた誠也はそれを感じていないのか、反応を示さず、その視線はキカコを抱きかかえている親衛隊の男の隊員と、その側にいるもう一人の男の隊員に向けられたまま固まっていた。

 

 

小悪魔「・・・・?あの・・・・」

 

 

固まったままの誠也を見て、恐る恐る声をかける小悪魔。だがその声は聞こえていないのか反応を示さない誠也であったが、突然大きな叫ぶような声を出した。

 

 

誠也「なぜ・・・・あなた達が財団Xの制服を着てそこにいるんです!矢車(やぐるま)さん!影山(かげやま)さん!」

 

 

誠也の視線の先に居る人物、財団Xの白い制服を着崩して着て、キカコを抱きかかえた男と、その側に居る、同じように制服を着崩して着ている男。それは誠也が異世界を旅した時に行った「仮面ライダーカブト」の世界で出会った人物。仮面ライダーキックホッパーの装着者・矢車 想(やぐるま そう)と仮面ライダーパンチホッパーの装着者・影山 瞬(かげやま しゅん)であった。

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

矢車 想(やぐるま そう)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーカブト))

 

影山 瞬(かげやま しゅん)(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダーカブト))

 

 

 

 



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第48話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め②

織姫「新年!」

みたま「あけまして!」

ひめ・たま「「おめでとうございます!!」」

織姫「今年も私達が出ているこの小説「仮面タイダーを受け継ぐ者」をよろしくお願いします」

みたま「では第48話をどうぞ♪」

作者「・・・・・セリフ取られた」OTL




 

誠也「なぜ・・・・あなた達が財団Xの制服を着てそこにいるんです!矢車(やぐるま)さん!影山(かげやま)さん!」

 

 

誠也の視線の先に居る人物、財団Xの白い制服を着崩して着て、キカコを抱きかかえた男と、その側に居る同じように制服を着崩して着ている男に対して叫ぶ誠也。

 

 

 

 

矢車「うん?俺達を知ってる?」

 

影山「兄貴、知り合い?」

 

矢車「いや、知らんな。と言うか・・・分からん。変身しているから顔が見えないんで判別のしようがない。だが、少なくとも声に聞き覚えはないな。」

 

 

ウィザードに変身している誠也の顔をじ~っと見て、弟分である影山の質問に答える矢車。

 

 

誠也(声に聞き覚えがない・・・・か。ま、無理もないか。前に会ったのは5年以上前で、俺は小学生だったからな。)

 

 

矢車が以前会ったことがある自分の声に対し、聞き覚えがないと答えた理由を思い浮かべながら矢車を見た。

誠也が以前二人に会ったのは、仮面ライダーディケイドである門矢 士(かどや つかさ)の異世界を巡る旅について行った時の事で、その時の誠也は9歳の小学生だったのである。その小学生の姿から、今年で15歳の中学2年生(1年ダブり)の誠也の姿と結びつけることが出来ず、結果誠也である事に気がつかなかった。

 

 

矢車「それよりも、俺達兄弟が親衛隊にいる理由が知りたいみたいだな。教えてやろう!それは・・・リュート隊長が俺達兄弟の「白夜」で有るからだ!!」

 

寧子「・・・・はあ?」

 

誠也「び、「白夜」?」

 

良太(M)「な、なんだ?突然語り始めたぞ?」

 

小悪魔「なんか、説明してくれるみたいですね」(^_^;)

 

突然語りだした矢車に対して驚き戸惑う誠也達。そんな誠也達を他所に、自分の世界にでも入ったかのように語り始める矢車・影山の地獄兄弟達。

 

影山「かつて俺達兄弟が元の世界に居た時、俺は人類全ネイティブ化計画のためのネックレスを複数装着していたため、その影響から早くもワームになりかけて絶望し、俺は兄貴に自身を倒す様に懇願した。」

 

 

矢車「俺はそんな弟の願いを聞いて、止めをさそうとした。その時!リュート隊長が現れて弟のネイティブ化を治してくれるための治療を受けさせてくれた!!リュート様は暗闇の中にいる俺達兄弟に手を差し伸べてくれたのだ!俺達は思った。リュート隊長こそ、闇の中にいる俺達を照らす、闇の中でも輝き続ける白夜その物だと!」

 

 

影山「俺の治療の後、俺達はリュート隊長に誘われて親衛隊に入る事を決めた。そして・・・リュート隊長の元、親衛隊隊員として戦い腕を上げ、今ではリュート隊長の片腕とも言うべき存在に俺たち兄弟はなった!今なら天道にだって勝つ自信がある!」

 

 

誠也「か、片腕・・・・天道さんに勝つ・・・・」

 

 

影山の「天道にだって勝つ自信がある!」の言葉を聞いて、誠也はかつて異世界の旅で出会った仮面ライダーカブトである天道総司を思い浮かべた。

天道総司、カブトの世界で誠也が出会った仮面ライダーカブトの装着者で、自信に満ちている人物であり、その自信に裏打ちされる実力を持っていた。その天道総司を知って居る誠也の目から見ても、今の矢車達「地獄兄弟」はその体から自信や力が満ち溢れ出ているように見え、その言葉が口先だけではない物だという事がわかった。

 

矢車「リュート隊長の片腕となった今の俺たちに敵は!「だ・れ・が・リュート様の片腕ですって?」って・・・・シャンハイ副隊長!」

 

矢車の台詞を遮るように声をかけた人物。背後に「ゴゴゴゴゴッ!」と言う効果音が付きそうな怒気を背負いながら、ニコニコと笑ているロングの金髪の少女。親衛隊副隊長のシャンハイの声を聞いて、その動きを止めて顔を青い顔をする矢車と影山。そんな二人にズカズカと歩いて近寄ったシャンハイは、二人に対して因縁でも付けるかのように顔を近づけ、笑っていない目をした顔を二人の顔に近づけてしゃべり始めた。

 

シャンハイ「副隊長であるわ・た・し・を差し置いて、リュート様の片腕を名乗るなんて、どう言うつもりかな~♪もしかして・・・・あなた達も「タカヤ」くんや「ジン」くんみたいに私を出し抜いて、自分が副隊長の座に着こうだなんて考えてるんじゃないでしょうね~♪」

 

矢車「い、い、いいえ、そんな!滅相もない!!」

 

影山「か、考えてません!!」

 

シャンハイの怒気を含んだ笑顔を向けられて、青い顔をした地獄兄弟の二人は残像が出るくらい首をブンブンと横にして否定する。

 

 

シャンハイ「否定してるけど、どうかな~。ここは一度じっくりとオシ・・・じゃなかった、お話を「シャンハイ、そこまでにして。」って・・・リュート様?」

 

 

突如言葉をリュートに遮られ、視線をリュートへと向けるシャンハイ。リュートは自分に視線を向けてきたシャンハイに対して、自分が抱きかかえている気絶したシノを差し出した。

 

 

リュート「シャンハイ、僕は彼女を連れ帰るために話をしなきゃならないから、時間がかかると思う。だから君はこの娘達を連れて先に戻っていてくれ。」

 

 

リュートはシノをシャンハイに差し出しながら、視線を誠也達の側に居る寧子へと向けた。

 

 

寧子「!?」

 

 

突然視線を向けられて、思わず後ずさりする寧子。そんな寧子を庇うように寧子の前へと出て武器を構える「ウィーザード・ハリケーンドラゴンスタイル」の誠也と「電王ソードフォーム」である良太(M)。

 

 

良太(M)「やらせねーぞ!」

 

誠也「連れて行かせない!その子も返してもらう!」

 

 

ソードモードのウィザーソードガンを構えて、リュートからシャンハイの手に渡されたシノの姿を見ながら叫ぶようにして言う誠也。そんな誠也達の言葉が聞こえていないかのように寧子見つめるリュート。

 

 

リュート「被検体7620番・黒羽寧子。僕達の元に来るんだ。悪いようにはしない。」

 

寧子「イヤよ!戻ってまたモルモットになれって言うの!そんなのゴメンよ!それよりもシノちゃんを返して!!」

 

 

リュートの言葉を即座に蹴り、逆にシノを返えせと叫ぶ寧子。そんな寧子と同調するかのように誠也が手に持っているウィザーソードガンをガンモードにし、リュートに銃口を向けた。

 

 

誠也「お前らのような人を人とは思わないような連中に彼女達の身柄を渡すわけにはいかない!分かったなら、そのシノって子を置いてここから去れ!さもないと脳天に風穴が開くことになるぞ!」

 

 

誠也に銃口を向けられるリュート。しかし、リュートはそれをまるで意にも介さない様子で、寧子に再び語りかけた。

 

 

リュート「・・・・あまりワガママを言わないでくれ。これは君等の事を思っての事なんだ。このまま君達は外の世界で生活していても、近いうちに死ぬことになるんだぞ。」

 

寧子「・・・死ぬことになる?鎮死剤切れの事を言っているの?お生憎様、鎮死剤については既に問題は解決済みよ!」

 

リュート「鎮死剤のことだけじゃない。君達のハーネストの中にいるドラシルはいずれ「リュート様、我々はこれで」っと・・・ああ、彼女達を頼むシャンハイ。」

 

 

リュートに対して挨拶をしてその場を後にしようとするシノとキカコを抱きかかえたシャンハイ達。そのシャンハイ達の姿を見た誠也は「マズイ!」と感じ、シノ達を連れて行かせないために、ウィザーソードガンの引き金を引いた。

 

 

誠也「連れて行かせるか!!(ドン!ドン!ドン!ドン!!)」

 

 

ウィザーソードガンの銃口から銃弾が数発発射され、リュートへと迫る。だがリュートはそれに対して片手を銃弾へと向けると、それ等をまるで飛んでいる羽虫を落とすかのように全て片手で叩き落とした。

 

 

誠也「なっ!全部片手で叩き落とした!?」

 

影山「!リュート隊長に対して、銃口を向けるばかりか発砲するとは!許せん!!貴様っ!今すぐこの場で俺がブチのめす!」

 

 

リュートに対して発砲した誠也の事が許せないのか、怒りを顕にし今にも掴みかかりそうになる影山。だが、そんな影山をリュートは手で制して止めた。

 

 

リュート「・・・早く彼女達を連れて下がってください。」

 

影山「し、しかし・・・・」

 

リュート「これは命令です。彼女たちの鎮死剤はそろそろ切れるころです。早く戻って薬を与えてあげないと手遅れにもなります。僕も彼女を早く説得して、戻るようにしますから。それから・・・カラス。貴方もシャンハイ達と一緒に下がってください。この件について後で話がありますから。」

 

カラス『話し・・・・ですか。良いでしょう。ではリュート様も早めにお引き上げください。貴方が勝手に動いたため、付近に居る財団のフリーエージェント及び関係者に対して「あなたを連れ帰れ」との総帥直々の命令が下っています。』

 

リュート「なっ!総帥(ちちうえ)からの命令?!」

 

カラス『はい。貴方が命令以外の行動を取った事がおおごとになっていますので、お早めにお戻りを・・・・・っと、どうやら遅かったみたいですね。』

 

 

カラスが言った言葉に反応し、周りを見回したリュート達の視界に数人の人影が近づいてくるのが映る。

 

 

カラス『ほお、リドウ、キンブリー、シドにアベル。それと・・・・おや、あなたまで来ましたか、柳田博士』

 

 

つづく

 



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第49話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め③

どうも、剣 流星です。

いや~ついに新作の発売が決定した「スーパーロボット大戦OGシリーズ」!
今回発売が決定した作品には作者が好きだった「J」作品が中心という事で、とても楽しみです♪

では第49話をどうぞ♪


カラス『ほお・・・リドウ、キンブリー、シドにアベル。それと・・・・おや、あなたまで来ましたか、柳田博士』

 

 

カラス達の居る地点へと近づいてくる複数の人影・・・・黒髪長髪で派手な柄のスーツを着た男。白いスーツの男。片手にアタッシュケースに帽子を被った男。そして・・・・小柄で背中に赤い光でできた羽の人物と和服の男が誠也達が居る地点へと近寄って来る。その近寄って来る人物のうち、誠也は二人の人物の姿を見て、先ほど矢車と影山の姿を見た時のように思わず叫びそうになった。

 

 

誠也(なっ!リドウにキンブリー。アイツ等生きていたのか?!しかも、なんでこの世界に居るんだ!財団のエージェントになって!!)

 

 

誠也は近づいてきた人物のうちの二人。リドウとキンブリーの姿に驚きながらその姿を見据えた。

誠也以前、異世界を旅した時に訪れた世界。「鋼の錬金術士」の世界と「エクシリア」の世界に行った時、この二人と敵対した事があった。だが、この二人はその時の戦いで死んだはずだったため、誠也はその死んだ二人が生きて自分の前に姿を現した事に驚いたのである。

 

そんな誠也の内心などお構い無しに、新たに来た人物達がリュートに話しかけた。

 

 

リドウ「・・・探しましたよリュート様。」

 

リュート「・・・・「リドウ・ゼク・ルギエヴィート」。それに、「ゾルフ・J・キンブリー」に「シド」。「パルス・アベル」に・・・「柳田邦夫(やなぎだくにお)」博士まで・・・・随分な大所帯で来たのだな。全く大げさな。」

 

キンブリー「大げさじゃないですよ。あなたはご自分のお立場を理解していない。」

 

シド「そうですぜ。あなたは現総帥の息子でもあり・・・・財団が管理している貴重な「もう一つ太極の欠けら」・・・27の紋章である「天龍の紋章」の所持者なんですよ。」

 

アベル「・・・もう少し御身を大切にしていただかなければ。もし、貴女に万が一の事があれば、宿している紋章は新たな宿主を探す為に転移してしまい、再びその所在を探さなければならないのですからね。」

 

柳田「それに・・・・あなたが動くことで、貴方に付き従っている親衛隊メンバーも動くのです。親衛隊のメンバーの殆どは貴重な「真の紋章の所持者」か「所持者候補者」なのです。つまり、貴方がうかつな行動をすると貴重な彼ら自身も危険にさらされるのです。」

 

リュート「・・・・なるほど。確かに僕は迂闊な行動はするべきではないのだろうな。しかし・・・・“僕の身柄”の心配ではなく、“僕の所持している紋章”の心配をするとは・・・・父上は相変わらずか・・・・」

 

 

柳田と呼ばれた男を始めとした新たに現れた者達の言葉を聞いて、少し寂しそうな顔を一瞬したリュートであったが、すぐに普段の顔へと戻すと、自分の近くにいる意識を失っているシノとキカコを抱きかかえているシャンハイ達へと視線を向ける。

 

 

リュート「・・・今は保護した二人の身柄の安全を最優先にするために直ちに撤収する。7620番・黒羽寧子については今回は諦める。」

 

シャンハイ「ハッ!了解しました。撤収!」

 

 

シャンハイの声が辺りに響き、親衛隊の隊員達がその場を去ろうとする。その姿を見て「寧子」と「こあ」は「シノが連れて行かれる!」と焦った。

 

 

こあ「あっ!シノさんが!!」

 

寧子「シノちゃんが連れて行かれる!」

 

良太(M)「おい!連れて行かれちまうぞ!」

 

誠也「させるものか!」

 

 

シノを連れて行こうとするリュート達を見て、誠也はウィザーソードガンをソードモードにすると、一番自分に近い位置にいたリュートへと斬りかかった。

 

 

誠也「ハッ!」

 

ジャンプして飛び上がった誠也は、気合を入れて眼下に居るリュートの頭上からウィザーソードガンを振り下ろした。誠也は確実にリュートを捉えたと思った。だが、その誠也の斬撃をリュートは片手の指二本で挟むようにしてそれを防いだ。

 

 

誠也「なっ!俺の斬撃を指で!!」

 

 

斬撃を指二本で防がれた事に驚きその動きを止めてしまう誠也。そんな誠也に対して、リュートはウィザーソードガンの刃を指で挟んだまま、もう片方の腕の掌を誠也の胸へと静かに向けると・・・・・

 

 

ドンッ!!

 

 

掌から高速で「光弾のようなナニカ」を放出させて、誠也を吹き飛ばした。

 

 

誠也「ぐわああああああああああああああっ!」

 

 

高速で射出された「光弾のようなナニカ」によって派手に吹き飛んだ後、受けた攻撃のダメージのせいで強制的に変身が解除された状態でこあの側へと転がり落ちた。

 

 

こあ「し、しっかりしてください!(この人・・・・知らないはずなのに、前から知っていたような・・・・)」

 

 

派手に吹き飛んだ誠也の姿を見て、「何処かで会ったことがある?」と感じながら、こあは誠也の身をあんじた。

 

 

誠也「な、なにが・・・・・・グッ!」

 

 

吹き飛んだ誠也は、最初自分の身に何が起きたのか分からずに困惑したが、すぐに身を刺すような複数の痛みが自分の胸の辺りからしたため、体をうずくまらせた。

 

 

誠也「あ・・・・アバラを何本か・・・やられた・・・・・・」

 

こあ「えっ?・・・・アバラが?た、大変!!ど、どうにかしないと!」

 

 

アバラをやられたと言う誠也の言葉を聞いて、どうにかしようと慌てるこあ。そんなこあの側に駆け寄る寧子と良太(M)。

 

 

寧子「誠也くん!しっかりして!!」

 

モモタロス(アイツは・・・・誠也って・・・・まさか!)

 

 

変身が解除された誠也の姿見て、名前を聞いた瞬間モモタロスの脳裏に、かつて門矢士と共に自分達の前に現れた少年の姿を思い浮かべた。

 

 

良太(お、おい!誠也のヤツ、派手に吹き飛んだみたいだけど大丈夫なのか?)

 

 

自分の体を使用しているモモタロスに対して誠也は無事かどうかを聞く良太。そんな良太の問いかけで、頭に浮かんだ事を頭の隅に押し込んだモモタロスは良太の問いに答えた。

 

 

モモタロス(どうやら肋骨を何本か折れたみたいだな。しかもこの苦しみよう・・・・内蔵も痛めてるな。このまんまじゃマズイ!)

 

モモタロスは誠也の苦しみ方を見て、肋骨と内臓をやられたと判断し、急いで治療をしないとマズイと判断し焦る。そんなモモタロス達を他所に、変身が解けた誠也の姿をリュート達は黙って見ていた。

 

 

リュート「・・・子供?こんな子供がウィザードの装着者だというのか?」

 

シド「まさか子供が装着者だとはな」

 

リドウ「おおかた、ヒーローにでも憧れていたどこぞの子供を捕まえて、「君は選ばれし者だ!」とか言って担いでその気にさせたんだろう。」

 

キンブリー「なるほど。超人的な力を手に入れて「ヒーローごっこ」をして調子に乗っていた子供だったと言う訳ですか。」

 

アベル「子供の遊びに振り回されるとは。まったく、いい迷惑ね」

 

 

誠也の姿をみて小馬鹿にしたような表情をするリドウ達。

 

 

誠也「グッ!て、訂正しろ!・・・・俺が今までしてきた・・・・戦いは・・・・ゴッコでも・・・・遊びでも・・・・無い!俺の戦う意思は・・・・決して・・・・薄っぺらい物じゃない!!」

 

ゴッコ遊びと言われて悔しくなり、誠也は痛みに耐え、歯を食いしばりながらも反発し、拒絶した。何故なら、誠也にとって彼らの言葉は到底受け入れられない言葉だったからである。今の誠也を支えている物の中の多くはあの異世界の旅で出会った彼らからもらった物である。それを馬鹿にされる事は、彼らの事を否定する様なものなのであり、また誠也がカナリヤからウィザードドライバーを受け取ってから始めた今日までの戦い。出会い、共に戦い、そして命を落とした仲間達の否定でもあるのだった。誠也は多くの人達を仲間と共に助けてきた。その戦いの中に影時間と呼ばれる隠された時間の中での戦いもあった。その戦いの中で、誠也は共に戦った仲間を二人亡くしていた。

当時、小学生であった自分の一つしたの仲間を庇って死んだ犬と料理が好きだった仲間。最後の戦いの時、この世界の死の運命を覆すために、絆の力で奇跡を起こし、そして死んで逝った異世界の旅で出会った人々と同じぐらいに尊敬していた仲間。そんな二人の事を馬鹿にされたように思い、誠也は睨みつけるかのようにリュート達を見た。そんな誠也の視線を軽く受け流しながらリュートは誠也を見下ろしていた。

 

 

リュート「ここは戦場だ。命のやり取りをする場所であってヒーローごっこをする場所じゃない!子供は家に帰って勉強でもしていろ!!」

 

誠也「グッ!・・・・ごっこじゃ・・・・・無い!」

 

 

自分を案じている「こあ」がさし伸ばしている手を払い除け、痛みに耐えながらも立ち上がり、リュート達の言葉をなおも否定する誠也。そんな誠也の姿を見て「はぁ~」と息を吐くリュート。

 

 

リュート「「ごっこじゃない!」か・・・・立ち上がった根性は認めるけど、僕が軽く掌から放出した魔力を受けて倒れている様では「ごっこ遊び」の領域を出ていないよ。」

 

誠也「なっ!軽く掌から放出した魔力を放出した・・・だけだと?!あれほどの威力のある物が・・・・・攻撃魔法でさえないって言うのか!」

 

誠也はリュートから、先程受けた攻撃が魔力を軽く放出しただけの物で、攻撃魔法等ですらないと言う真実を聞いて驚愕した。誠也はあの一撃で体がボロボロなったのである。しかもそれが「ただ魔力を軽く放出しただけ」だと聞いて、この目の前にいる男の実力が遥かに上である事を思い知った。

 

 

リュート「さて・・・・僕の実力の一旦は先ほどの一撃で思い知っただろう。それでも僕達に突っかかってくると言うのなら・・・・少しキツめのお仕置きをする必要が・・・・・出てくるね!」

 

 

自分を睨みつけてくる誠也に対し、威圧するかのようにプレッシャーをかけ始めるリュート。

 

 

誠也(グッ!な・・・・なんて威圧感。さっきまで全然そんな感じがしなかったのに・・・・・コイツ・・・・物凄く強い!)

 

 

誠也はリュートから感じるプレッシャーを受け、リュートの強さを肌で感じ取った。そのプレッシャーはかつて異世界の旅で出会った多くの人物の中でも、誠也が「最強なのでは?」と思ったほんの一握りの人達と勝るとも劣らない物だった。誠也はそのプレッシャーと傷の痛みで意識を失いそうになるのを歯を食いしばって耐えた。誠也は今ここで意識を失って倒れたら、自分が今まで身を投じてきた戦いをアイツ等が言うごっこ遊びにしてしまうと思い必死に耐えた。

 

 

リュート「・・・・・・」

 

誠也「グッ!・・・・・・・」

 

 

互いにしばらく睨みあっていた二人であった。だがその二人の睨み合いを突如終わらせる出来事が起きた。

 

 

リュート「・・・・?何だ?・・・空間が湾曲している?」

 

 

リュートは睨み合っている最中、自分から少し離れた地点に突如発生した空間の湾曲を感じ取り、視線をそっちへと向けた。

 

 

カラス『おや?これは?』

 

柳田「何かが転移してくる?」

 

今まで誠也とリュートの睨み合いを黙って見ていたカラス達と誠也達はリュートが視線を移動させたのを見て、視線をそちらに移した。そこには耳鳴りのような音を発した空間の湾曲が発生し始めていた。空間の湾曲と音はだんだんと大きくなると、不意に激しい光を発生しはじめた。

 

 

誠也「クッ!」

 

 

突如発生した強い光に思わず目をつぶる誠也達。やがて光が収まったのを感じ取るった誠也達は、恐る恐る目を開いて見た。

 

 

誠也「な、何?!アレは!」

 

 

光が発生した地点。その地点には宙に浮いた一本の剣が有り、その周りに半透明の怪物「グノーシス」の「ゴブリン」と呼ばれている怪物が複数と。獅子の様な姿の怪物、「アラガミ」の大型種である「ヴァジュラ」が複数。そして・・・そのヴァジュラの色違いである黒いヴァジュラが一匹そこに居た。

 

 

リュート「なっ!あの剣は・・・「時空の紋章」を取り込んだ呪われた魔剣「ソウルエッジ」!」

 

シャンハイ「リュート様、周りにいる怪物は確か「バアル」の一種である「グノーシス」と「アラガミ」です!」

 

カラス『まさか・・・「ソウルエッジ」が現れるとは。』

 

柳田「おそらく、リュート様の宿している「天龍の紋章」に惹かれて現れたのだろう。だが・・・・」

 

アベル「ええ、ちょっとまずいわね。「アラガミ」はともかく、「グノーシス」は不味いわ。」

 

シド「確か奴ら、「ヒルベルトエフェクト」で固着させないとこっちからの攻撃が効かないんだったよな。」

 

リドウ「おい!今「ヒルベルトエフェクト」を使える「T-elos」は居ないんだぞ!」

 

キンブリー「これはちょっとまずですね。でも、同時にチャンスですよ。「ソウルエッジ」、「時空の紋章」を手に入れるチャンスです!って・・・・あ!」

 

 

目の前に現れた「ソウルエッジ」を手に入れるようとするキンブリーであったが、「ソウルエッジ」は再び激しい光を発し再び転移してその場を去った。「グノーシス」「アラガミ」をその場に残して。

 

 

矢車「ちっ!厄介な置き土産を残していきやがって!」

 

影山「リュート隊長、どうします?」

 

リュート「「ヒルベルトエフェクト」が使えなければ「グノーシス」を相手にすることができない。全員今すぐ僕の周りに集まって!「テレポートリング」を使用してこの場を後にする。」

 

 

リュートの声を聞いて、すぐにリュートの周りに集まるシャンハイ達親衛隊の面々。

リュートは親衛隊のメンバーが自分の周りに全て集まった事を確認すると、右手に指輪・・・・テレポートのウィザーソリングをハメながら誠也達の方を見た。

 

 

リュート「そいつらに攻撃は通用しない。命が惜しかったら早く逃げることだ。」

 

良太(M)「攻撃が通用しない?って・・・オイ!」

 

電子音声『テレポート・ナウ!』

 

 

良太(M)達が見ている前で、リュートはテレポートリングを腰の「ワイズドライバー」にかざす。すると電子音声が辺りに響いてテレポートの魔法が発動。リュートとその周りに集まった親衛隊達はは転移して消えた。

 

 

寧子「シノちゃん!」

 

こあ「シノさん!」

 

リュート達と共に転移するシノの姿をみて叫ぶ寧子とこあであったが、その声はシノに届くことなく、虚しく辺りに響くだけであった。

 

 

リドウ「リュートの坊ちゃんは行ったか。奴らの意識があのライダー達に向いている間に撤退と行きましょうか。」

 

リュート達が転移したのを確認したリドウは、隣にいるシドに対して、自分達も撤退しようと言った。

 

 

シド「そうだな。攻撃が効かないヤツの相手なんかしたら、命がいくつあっても足らない。それにこっちは、この後「メモリー」と「スイッチ」の大口の取引がある大事な身だ。危険な事は避けないとな。」

 

 

アラガミとグノーシスの意識が誠也達に向いているのを確認すると、リドウとシドは揃ってその場を後にした。

 

 

キンブリー「それでは私達も撤退しましょうか?・・・・柳田博士?」

 

 

自分のかけた声に反応をしない柳田を不審に思い、それまで倒れている誠也達に向けていた視線を柳田の方に移すキンブリー。柳田は倒れている誠也の顔を見て、一旦その動きを止めてじっと見ていた。キンブリーはを不審に思い、キンブリーは柳田に声をかけた。

 

 

キンブリー「おや?どうしました?」

 

柳田「あのウィザードの子供、何処かで見た覚えが・・・・」

 

キンブリー「貴方もですか。実は私も何処かで見た覚えがあるような気がするのですよ。どこでだったかは思い出せないんですよね。」

 

柳田「・・・・まあ良いでしょう。どのみち、ここでアラガミやグノーシスの餌になるのですから、思い出すだけ無駄ですね。では行きましょうかキンブリーくん。」

 

キンブリー「ええ。」

 

柳田の返事を聞くと同時に二人の足元に巨大な影ができると、二人の体は影に沈んでいき、やがて二人の姿は完全に影に沈み、その姿を完全にこの場から消えて行った。

 

 

アベル(あのライダーの子供に見た覚えがか。見覚えがあると言えば、私も・・・)

 

 

柳田達の会話を聞いた「身に覚えのある」という言葉に反応したかのように、アベルはこあの身に付けているペンダントを見つめて思考した。

 

 

アベル(あの娘が身に付けているペンダント・・・あれにハメられている緑の石。もしや・・・・・そんなわけないですね。)

 

 

首を横に振り、自分の考えを消したアベルは、背に赤い色の光る羽を出現させると、高速で上空へと飛び上がり、この場を後にした。

 

 

カラス『皆さん行きましたか・・・では私もこれで。あ、そうそう。あなた方も早く逃げた方が良いですよ。アレの相手をするにはあなた方の装備では無理ですからね。では「カナリヤ」によろしく。』

 

 

カラスの言葉が終わるのと同時に、カラスも自分の翼で空へと飛び、この場を後にした。

リュート達財団Xのメンバーがこの場を去って行ったのを見ていた誠也達は、次の瞬間自分達の方を見てジリジリと詰め寄ってくる「グノーシス」と「アラガミ」を見ておし黙った。

 

 

良太(M)「おい!どうする?あっちは複数でこっちはたったの4人。おまけに戦えるのは二人だけな上にそのウチの一人はケガで戦闘不能。オマケにさっきまで居た財団の奴らが話していた話によると、あっちには特殊な処置をしないと攻撃が通じないヤツがいるって始末。どんな無理ゲーだよ。」

 

 

軽口をたたきながらも、デンガッシャーを構えながら冷や汗を流す良太(M)。

 

 

誠也(まずい・・・・何とかしないと。)

 

 

つづく

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

ゾルフ・J・キンブリー(鋼の錬金術士)

 

シド(平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダー鎧武))

 

パルス・アベル(勇者王ガオガイガーシリーズ)

 

 



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第50話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め④

どうも、剣 流星です。
少しずつですが暖かくなってきました。これであと少ししたら、毎年恒例の花粉シーズンに突入です。
また今年も来たな~。憂鬱になる・・・・・

では第50話をどうぞ~


自分達へとジリジリと迫ってくる「グノーシス」の「コブリン」数体と「アラガミ」の大型種である「ヴァジュラ」数体。そしてそれ等を少し離れた所から様子を伺っている黒いヴァジュラ。

誠也は先ほど財団Xの親衛隊長である「リュート」によって折られたアバラからの痛みに耐えながら、ヨロヨロと立ち上がって「グノーシス」と「アラガミ」を睨みつけた。

 

 

誠也「・・・・モモタロス、俺がこいつらを引きつけている間に、二人を連れて逃げて。」

 

こあ「そ、そんな!危険です!」

 

良太(M)「そんなボロボロの体で何言ってるんだ!お前まさか、自分を犠牲にして俺達を逃がそうって考えてるんじゃないだろうな!大体、残るんだったら俺だろう!」

 

誠也「・・・いいえ、残るんなら俺です。初めての戦闘で良太さんの体は既に限界です。これ以上酷使させるわけにはいかないでしょう。それに死ぬつもりはありません。モモタロス達には援軍を・・・カナリヤを連れて来てもらいたいんです。」

 

良太(M)「援軍・・・カナリヤを?」

 

 

誠也の口から突如出てきたカナリヤの名前。モモタロスは以前、財団Xが出資していた。「Cage of Memory(通称C.O.M.)」のカラスが起こした「ムネモシュネ」に関わる事件で「カナリヤ」と会っていた。それゆえに、誠也の口から「カナリヤ」の名前が出てきた事に驚いた。

 

誠也「今、目の前にいるアイツ等には身に覚えがあります。以前カナリヤが「森羅」と言う組織のサーバーに侵入した時に持ち帰った「ゆらぎ」に関する資料に載っていました。カナリヤならアイツ等に対しての何らかの対抗手段を思いつくはずです。」

 

こあ「けど・・・・やっぱり危険です!一人でなんて・・・・・」

 

 

誠也を心配そうな顔で見つめ、誠也の服の橋を握って引きとめようとする。

 

 

誠也「どっちみち、こいつらをここで足止めしてないと、アイツ等が街へ行ってしまう。そうなったら大勢の人達が犠牲になる。誰かがアイツ等の足止めをしなきゃならないんだ。」

 

 

誠也は自分の服の橋を握るこあの手を振り切りって前に進み出ると腰のウィザードライバーのハンドオーサーを操作してウレイムウィザードリングをかざして変身した。

 

 

電子音声『シャバドゥビタッチヘーンシーン!!フレイム!!プリーズ!!・・・・・ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!!』

 

 

誠也「さあ、行って!」

 

 

ウィザード・フレイムスタイルとなった誠也は、手に持っているウィザーソードガンをガンモードにして、駆け出す。

 

 

誠也「(グッ!)」

 

走り出しと同時に折れた肋骨から激しい痛みが来るが、それをグッと堪えると、手近にいる「グノーシス」の「ゴブリン」や「アラガミ」の「ヴァジュラ」に向けてウィザーソードガンの引き金を引く。銃口から発射した弾丸はヴァジュラに当たるがダメージは全くなく、ゴブリンに至っては弾丸はすり抜けてしまう、当たりさえしなかった。だが敵の注意を引くことはできた。自分達を撃った誠也に意識が向いた敵は、誠也に向かって殺到する。

 

 

こあ「ああ!」

 

 

誠也に向けて殺到するゴブリンとヴァジュラを見て悲痛な声をあげるこあ。

 

 

そんな「こあ」の手を片手に握った電王である良太(M)は、もう片方の手で寧子の手を握り、誠也が駆け出した反対方向へこあと寧子を引っ張って走り始めた。

 

 

良太(M)「おら!とっとと行くぞ!お前ら居たって足でまといになるだけだ!」

 

寧子「けど!」

 

 

誠也を置いていく事に抵抗を感じ、その場に残ろうと自分の手を引っ張る良太(M)の手を振りほどく寧子とこあ。

 

 

良太(M)「アイツの事を本当に思うんだったら。早く「カナリヤ」を連れて来るのが正解だろうが!」

 

こあ「た、確かに・・・でも・・・・」

 

良太(M)「大丈夫だ。見ろよアイツは銃で攻撃して、相手との距離を常にあけながら戦っている。あれなら相手の攻撃をかわしやすいし、致命傷も受けづらいだろう。」

 

敵と戦う誠也の姿を見て寧子とこあに説明する良太(M)。敵をウィザーソードガンで牽制し、常に一定以上の距離をあけ、近寄ってきた相手をウィザーソードガンで牽制し、大型の巨体である事を利用して相手の死角に逃れるように避ける誠也のかわし方は見事としか言い様のないものだった。

 

 

寧子「た、確かに・・・・」

 

 

誠也の危なげながらも、敵の攻撃を交わし続ける誠也を見てひとまず納得をする寧子。

 

 

良太(M)「わかったろう。ならとっととこの場を「ああっ!」って・・・なに!?」

 

こあが震えながら誠也のいる方を指を差していたので、一斉に誠也の方へと視線を向ける良太(M)と寧子。

 

 

良太(M)「なっ!」

 

寧子「ああっ!」

 

 

三人の視線の先、そこには変身が解除され、地面に倒れ伏した誠也の姿があった。

誠也は良太(M)の言うとおり、相手の攻撃をなんとかかわしてその場をしのいでいた。だが不意に激しい痛みが全身を襲った後、変身が解除され、口から大量の吐血をして倒れたのである。

 

 

誠也「グハッ!・・・・な、内蔵も・・・痛めてたんだな・・・・・くそ!時間稼ぎすらできないのか・・・・」

 

 

倒れ伏した誠也に向かってゆっくりとゴブリンとヴァジュラ達が近づいてくるのが誠也の目に映った。その誠也の視界に、少し遠くにいるこあが自分に走って近寄ろうとするのが見えた。

 

 

誠也「来るな!!」

 

 

誠也に「来るな!!」と叫ばれて、走って近寄ろうとする「こあ」の足が止まる。そんな「こあ」の視界に、互が触れるくらいの距離まで近づいたゴブリンの腕が、倒れた誠也の頭上に振り上げられ・・・・

 

 

こあ(・・・・・・・・・・イヤ)

 

 

振り上げられた腕が、まるでスローモーションのようにゆっくりと・・・・

 

 

こあ(・・・・・イヤッ!!・・・・やっと・・・・・)

 

 

振り下ろされる・・・・・

 

 

こあ(やっと・・・・・・また会えた(・・・・・)のに!)

 

 

 

こあ「イヤァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!

マスターーーーーーーーー!!」

 

 

誠也にゴブリンの腕が振り下ろされると同時にこあの叫び声が辺りに響く。その時!

 

 

カッ!

 

 

こあの左胸に、女性を象った様な紋章が浮かび上がると、こあ自身が強い光を発し、強大な光の柱となった。

 

 

良太(M)「なっ!」

 

寧子「これは?」

 

 

突如光の柱となったこあを見て驚く良太(M)と寧子。

 

 

ゴブリン・ヴァジュラ「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

こあの発した光を受けて、断末魔の叫び声を上げて体がまるで光に溶けるようにして消えるゴブリンとヴァジュラ達。

やがて誠也を取り囲んでいたゴブリンとヴァジュラが全て消え失せると、光の柱は消え去り、その跡地には倒れたこあが居た。

 

 

誠也「こあ!」

 

 

先ほどの光を受けて妙に疼く右手の甲(・・・・・・・・)のうずきと、全身を襲う痛に耐えながらこあへと近寄る誠也。良太(M)と寧子もそれに続くようにこあへと近寄った。

 

 

誠也「こあ!こあ!!」

 

 

倒れたこあを抱き起こして体を揺さぶり声をかける誠也。だが意識を失っているのか、目を閉じたまま一向に目を覚まさないこあ。

 

 

寧子「大丈夫なの?」

 

良太(M)「今のは一体・・・」

 

 

誠也に抱き起こされているこあを恐る恐る覗き込むようにしてみる寧子と良太(M)の二人。その二人の視界に映るこあの体に不意に変化が起こる。

 

 

寧子「えっ?」

 

良太(M)「なっ!」

 

 

二人の視界の中。誠也に抱き起こされているこあの体が、徐々に空気に溶け込むように薄くなっているのである。

 

 

寧子「これは?」

 

誠也「たぶん、魔力が切れかかっているんだ。」

 

 

誠也は前に、初めて会った時、こあが魔力切れで消えかけた事を思い出し、今のこあの状況があの時のこあと似ている事からそう判断した。

 

 

寧子「魔力が切れかかる・・・・」

 

良太(M)「おい、切れるとどうなるんだ?コイツどうなるんだ?」

 

誠也「消滅します。」

 

寧子「えっ!?」

 

良太(M)「なっ!?」

 

 

誠也の「消滅」と言う言葉に驚き慌てる二人。だが誠也は慌てる様子も無く、落ち着いた様子で一つの指輪・プリーズウィザードリングを取り出すと、それをこあの左手にはめた。

 

 

誠也「大丈夫ですよ。魔力を補給すれば元に戻ります。」

 

 

誠也はプリーズウィザードリングをはめたこあの左手を自分の腰にあるウィザードライバーへとかかげる。

 

 

電子音声『プリーズ!』

 

 

電子音声が辺りに響くと同時に、誠也の魔力がプリーズウィザードリングを通してこあへと流れていく。すると先程まで消えかけていたこあの体が徐々に元に戻っていった。

 

 

寧子「体が元に戻っていく・・・・」

 

誠也「これでもう大丈夫です。」

 

握っていたこあの手をそっとこあのお腹の辺りに置きながら「もう大丈夫」と言う誠也。そんな誠也の言葉を聞いてホッと胸をなでおろす寧子と良太(M)。

 

 

誠也「さあ、後はこあをラボの医療室に(ズキッ!)グッ!」

 

 

こあを抱きかかえて立ち上がろうとした誠也の体に再び激しい痛みが発し、「グッ!」と声を発して動きを止める誠也。

 

 

良太(M)「おい!無茶するな!!コスプレ娘を俺にまかせてお前は・・・・・・・?」

 

 

こあを抱きかかえて移動しようとする誠也に対して、「自分が運ぶ」といった良太(M)を始めとした誠也達に不意に大きな影が誠也達の背中から差してきた。「影の元は何だ?」と思い、誠也達は一斉に影の元を見るべく向一斉に振り向いた。

 

 

黒いヴァジュラ「ゴアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

誠也「なっ!」

 

 

誠也達が振り向いた先、そこには先ほどの光のせいで所々が損傷していた黒いヴァジュラ・・・元いた世界で帝王の名を冠する名で呼ばれていたアラガミ、ディアウス・ピターがそこに居た。

 

 

 

つづく

 



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第51話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め⑤

どうも、剣 流星です。

とうとう花粉の季節がやってきました。
これから梅雨までの間はマスクが手放せません・・・憂鬱です。

それでは第51話をどうぞ



ディアウス・ピター「ゴアアアアアアアアアアッ!!」

 

 

良太(M)「コイツ!生きてたのか!!」

 

こあを介抱している誠也達の背後に、先ほどの光の柱の余波であちこちを負傷している黒いヴァジュラ、ディアウス・ピターが立っていた。先ほどこあが発した巨大な光の柱の余波で敵は全滅したと思って居た誠達はすっかり油断していたため、ディアウス・ピターが近づいて来たことに気づかなかった。

 

 

ディアウス・ピター「グアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

咆哮した後、鋭い爪のある前足をこあを介抱している誠也に向けて振り下ろすディアウス・ピター。

 

 

誠也(殺られる!)

 

 

そう思った誠也は、こあを庇うかのようにこあに覆いかぶさった。

 

 

誠也(せめて「こあ」だけでも!)

 

 

こあを守るため身を挺して庇おうとする誠也。そんな時、先ほどこあの発した光を浴びてから疼いていた右腕の甲が、眩い光を発し始めたのである。

 

 

寧子「えっ!なに!?今度は誠也くんが!?」

 

 

誠也の右手の甲の部分に突如として竜を模した様な紋章が浮かび上がり、その紋章がまばゆい光を発し、誠也に攻撃を仕掛けてきたディアウス・ピターを照らし出す。

 

 

ディアウス・ピター「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 

光はディアウス・ピターを飲み込むと、そのままディアウス・ピターをかき消すように消してしまった。

 

 

良太(M)「・・・・さっきのといい、今のといい・・・一体あの光は何なんだ!?」

 

寧子「誠也・・・くん?」

 

 

先ほど発した強烈な光の元である手の甲の紋章を呆然として見ている誠也に声をかける寧子。

 

 

誠也「・・・・この・・・・紋章は・・・・・一体・・・・・・・・・・・・・」

 

 

寧子「誠也くん?誠也くん!」

 

 

寧子の目の前でケガのせいか、先ほどの強い光を発したせいか、フッと意識を無くし膝に乗せている「こあ」の上に倒れてしまった。

 

 

良太(M)「お、おい!しっかりしろ!!」

 

寧子「誠也くん!誠也くん!!「寧子さーん!無事ですかー!」って・・・小鳥ちゃん?」

 

 

突如聞こえてきた小鳥の声に耳をすませ、声の主がどこにいるのかを探す。すると公園の入り口辺りから、複数の人と共にこちらに駆け寄ってくる小鳥、かなで、なのは、はやてを始めとする八神家の面々。そして圭介と隆史の姿を見つけた。

 

 

寧子「小鳥ちゃん!」

 

小鳥「寧子さん!無事でしたか?」

 

寧子「私は無事。でも誠也くんが!」

 

小鳥「誠也さん!?」

 

 

倒れ込んでいる誠也の姿を見て驚く小鳥。そんな小鳥の横を、倒れている誠也に向けて駆け寄る複数の人影があった。かなでとはやて、リーンを始めとする八神家の面々であった。

 

 

かなで「誠也くん!」

 

リーン「誠也さん!」

 

はやて「誠也!シャマル治療を!!」

 

 

倒れている誠也を見て泣きそうな顔をするかなでと、誠也の治療をシャマルにお願いするはやて。

 

 

なのは「一体・・・何があったの?」

 

圭介「ここに来る途中、光の柱や強い光がここから発せられたのを見たけど、アレは一体何なんだったんだ?」

 

なのはや隆史達と共にこの場で何があったのかを寧子に聞く圭介。

 

 

寧子「・・・財団Xの親衛隊とその隊長って人達が来て、シノちゃんを連れて行っちゃったの。」

 

小鳥「シノさん、連れて行かれたんですか!?」

 

 

シノが連れて行かれたと言う言葉を聞いて驚きの声を出した後、辛そうな顔をする小鳥。そんな小鳥の側に居たなのはが寧子から何があったのかを聞くために促す。

 

 

なのは「・・・シノって子は助けられなかったんだね。じゃあ誠也くんのケガは、その財団Xの親衛隊の人に付けられた物なんだね。」

 

寧子「・・・ええ。」

 

なのは「親衛隊なんて名乗るぐらいだから、相当強い人達だったんでしょうね。よく無事だったね。」

 

寧子「・・・途中で変な剣が怪物達を引き連れて転移してきて、怪物達を置いてまた転移して消えたの。親衛隊の人達はその怪物を見て逃げて行ったの。私達も、あの時・・・そこに倒れてる女の子と誠也くんに浮かび上がってきた紋章の力がなければ、あの怪物達にやられていた。」

 

隆史「紋章の力?ひょっとして、ここに来る途中で見たあの光の柱と強い光。あれってその紋章の物だったの?」

 

寧子「・・・うん。あの子の左胸と誠也くんの右手の甲にあるやつ。その紋章が急に浮かび上がって強い光を発して、怪物達をやっつけちゃったの。」

 

圭介「怪物をやっつけた・・・・」

 

 

圭介は、話に出てきた紋章が有る誠也の右手の甲を見て、その紋章をじっと見つめた。

 

 

圭介「何なんだ、この紋章・・・これは一体?」

 

 

紋章を見つめ、これは何なのかと考える圭介。

 

 

銀子「それは・・・「もう一つの太極の欠けら」「27の真の紋章」よ。」

 

隆史「誰っ!」

 

 

突如聞き覚えの無い声に反応し、声のした方向を向くなのはと、それに釣られる形で振り向く寧子や霞達。

 

 

銀子「真の紋章の反応が有るから来てみたら・・・まさか宿主が誠也くんだったなんてね。」

 

 

霞「銀子さん?!」

 

 

突如として現れた銀子に驚く霞達。

 

 

なのは「霞ちゃん・・・誰?」

 

 

突如現れた銀子に対して、面識のない「なのは」が霞に誰なのかを聞いた

 

霞「お兄ちゃんが怪物退治に行った皆神村で会った人。」

 

なのは「そんな人がなんでこんな所に?」

 

 

皆神村の住人である人物が、このような所に居る事に対し怪しさを感じ、眉を潜ませるなのは。

 

 

銀子「私の事を怪しいと思う気持ちは分かるけど、積もる話はラボに移動してから話さない?さっきのドデカイ光の柱のせいで、騒ぎになりかかっているわよ。このままここに居たら、光の柱を見て誰かが通報した警察のご厄介になりかねないわ。」

 

 

隆史「確かに・・・・仕方ない。話は一旦ラボに移ってからだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良太「痛っ~!」

 

シャマル「ほら、動かない!」

 

椅子に座って目の前に居る、あちこちを打撲してボコボコになっている良太に対して回復魔法をかけるシャマル。

ここはラボの医務室。先ほどの戦いで倒れた誠也とこあ、そして、モモタロスが憑依する前にボコボコにされていた良太の治療をシャマルがしている最中であった。

 

 

モモタロス「オー!傷がみるみる治っていくぞ!これが「回復魔法」ってやつか!便利だな~。」

 

 

シャマルの回復魔法を見て驚きの声をあげるモモタロス。ちなみに今現在、モモタロスの体は、この世界に来た時の上半身と下半身が逆になっている砂でできた体ではなく、ちゃんと実体化し体になっている。このラボに入った時、その事で驚いていたモモタロスであったが、カナリヤから「このラボの中は、デンライナーの中と似たような状態だから、ラボの中限定で実体化できる」と説明があり、モモタロスはその事を聞いて喜んでいた。ちなみにモモタロス達は、このラボに来るまでの間にお互いの自己紹介を済ませていた。モモタロスやこあの事ははやてからの説明で、良太や銀子、寧子達の事は霞が説明したため、自己紹介はスムーズに早く済んだ。

 

 

モモタロス「所で、誠也とコスプレ娘は大丈夫なのか?」

 

 

モモタロスは今現在、医療ポットの中で寝ている誠也とこあの様子をシャマルに聞いた。

 

 

シャマル「え~っと、「こあ」ちゃん・・・だっけ?その子は気絶しているだけ。ポットに入れたのも目に見えない所が負傷していないかどうかを調べるために入れているだけだから、それが終わればすぐに出られるわ。誠也くんの方は・・・・肋骨数本と内蔵を痛めていたけど、私の回復魔法とこの医療ポットでの治療があれば、あと1時間で全快するわ。」

 

 

良太「そうなんですか・・・良かった。」

 

 

シャマルの言葉を聞いて、ホッと胸をなでおろす良太。

 

 

良太「所で、このポット、中に入っている人をスキャンする機能があるんですよね?なら、二人が出したあのすごい力の元である「紋章」についても調べられるんじゃないでしょうか?」

 

モモタロス「おっ!名案だな!早速調べてくれよ。」

 

シャマル「それならもう調べてあるわ。」

 

 

良太の治療を終えたシャマルが、先程二人をポットに入れた時に、ついでに二人の紋章について調べた事を言った。

 

モモタロス「おっ!仕事早いな。それで?」

 

シャマル「結論から言うと、「何もわからなかった」よ。ポットのスキャンでいくら調べても「エラー」の表示しか出ないの。」

 

良太「「エラー」しか出ないのか・・・」

 

シャマル「ええ、なんで「急に二人の体にあの紋章が現れたのか?」「あのすごい力は何なのか?」まるでわからなかったわ。」

 

良太「そうですか・・・・なら仕方がないですね。この事に付いては、知って居る人に聞くのが一番ですね。」

 

モモタロス「そうだな。銀髪の姉ちゃんが何か知ってそうだし、あの姉ちゃんに聞くのが一番だな。」

 

 

モモタロスは誠也が気を失って倒れた後、出てきた銀子が誠也の右手の甲に現れた紋章を「27の真の紋章」と呼んだ事を思い出した。

 

 

モモタロス「あの姉ちゃんは誠也の右手に現れた紋章を「27の真の紋章」って言っていた。「27の真の紋章」ってのは、あの紋章の名前だと思う。名前を知っているなら、アレがどういう物なのかも知ってるんだろうよ。」

 

良太「そうだな・・・・・そろそろ、黒羽があの場所で起きた事を銀子さんやみんなに説明し終えているだろうから、聞きに行ってみよう。」

 

モモタロス「そうだな。じゃあそんなわけだから俺達は行くわ。二人を頼むぜ。」

 

シャマルに誠也とこあの事を頼み、良太とモモタロスは医務室を出て、寧子や銀子たちが居る大テーブルが有る部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

木場「・・・・なるほど、そんな事があったのか。」

 

フェイト「財団Xの親衛隊に親衛隊の隊長に「フリーエージェント」と呼ばれた人達。そして・・・・」

 

カナリヤ「「アラガミ」と「グノーシス」を転移して連れてきた謎の剣。さらに突如誠也達の体に現れた「紋章」・・・謎は尽きないわね。う~ん・・・」

 

 

黒羽の話しを聞き終えて唸るカナリヤ。

ここはラボ内にある大テーブルの部屋。ここには今、寧子と誠也の救援に駆けつけたメンバー、はやて、シグナム、ヴィータ、ザフィーラの八神家の面々となのは、かなで、小鳥、圭介、隆史、に加え、最後に突如現れた銀子。そして「操網」の魔法で誠也達が戦っていた湖の公園を封鎖していた千絵とアパートで留守番をしていた佳奈と、ラボで留守番をしていたカナリヤと霞、シャマルからの連絡を受けて救援に行こうとする途中、誠也達を連れたなのは達と合流したフェイトと木場勇士が集まっていた。

寧子は集まっているメンバーにあの場で起きた事の顛末を話し、その話がたった今終わった所であった。

 

 

佳奈『・・・・財団Xの「親衛隊」に「フリーエージェント」。敵が一気に増えたわね。』

 

千絵「しかも・・・親衛隊の隊長ってウィザードを一撃で倒しちゃったんだよね。」

 

小鳥「私達・・・・これからどうなるんだろう。」

 

 

強力な敵が一気に増えた事に対し、悲壮感を漂わせて黙り込む小鳥達魔女の面々。そんね小鳥達を見ながらカナリヤはある事を考えていた。

 

 

カナリヤ(・・・強敵が現れ、増え始めた。これは“例の部隊”の立ち上げを急いだ方がいいわね。)

 

 

カナリヤは増え始めた強敵に対し、この前乃木坂家に赴いた時に乃木坂王季と話した、財団Xを始めとした異世界の敵や人類の敵に対しての組織について考えた。

 

 

カナリヤ(敵も増えてきた以上、この子達だけで支えていくのは早いうちに限界が来る。敵対する組織に対抗できる程の組織の設立・・・早くしないと)

 

 

新組織について考え込むカナリヤ。そんなカナリヤの耳に、部屋の扉の開く音が聞こえ、医務室からこの部屋に来た良太とモモタロスの声が聞こえてきたため、考えを中断し、意識を戻した。

 

 

モモタロス「お~い、戻ったぞ。って・・・・なんだ嬢ちゃん達、暗い雰囲気になって?」

 

良太「黒羽、何かあったのか?」

 

霞「村上先輩!」

 

 

寧子を始めとした魔女達が暗い雰囲気になっているので、どうしたんだと聞く良太。そんな良太達の姿を見て、霞が座っていた椅子から立ち上がり、良太とモモタロスに詰め寄った。

 

 

霞「お兄ちゃんは?お兄ちゃんの容態はどうなんです?」

 

 

先程まで医務室に居た良太に、大怪我をして帰って来た兄である誠也の事を聞く霞。

 

 

良太「もう大丈夫だって。二人共あと一時間もすれば目が覚めてポットから出てくるって」

 

霞「よ・・・良かった~」

 

 

良太の「もう大丈夫」と言う言葉を聞いて安堵し、胸をなで下ろす霞。

 

 

モモタロス「良かったな嬢ちゃん。所でなんで暗くなってるんだ?」

 

 

胸をなで下ろす霞を見た後、この部屋に入って来た時の暗い雰囲気の原因をモモタロス。その質問に押し黙っていた寧子がその理由を話した。

 

 

 

寧子「・・・みんな、今回強敵が沢山出てきたのを知って絶望しちゃって。」

 

良太「なるほどね・・・・確かに、今回強敵が沢山出てきたから、絶望するのも無理はないか・・・・」

 

モモタロス「確かに、強敵が沢山出てきて不安になるのもうなずけるけどよ、希望もあるだろう?」

 

良太「えっ?希望?」

 

 

モモタロスの「希望」と言う言葉を聞き、何の事かわからずに頭に?マークを浮かべる良太達。

 

 

モモタロス「ほら、誠也とコスプレ娘の体に浮き出た「紋章」だよ。すんっげ~力だったじゃないか。化物どもを一瞬で吹き飛ばしたあの力があれば怖いものなしだぜ!そうだろう?」

 

 

良太「た、確かに・・・・けど、得体の知れない力に頼るのは危険じゃないか?」

 

ジグナム「・・・確かに、得体の知れない・・・しかも制御できるかもわからない力に頼るのは危険だな。」

 

ザフィーラ「そうだな。得体の知れない力を使って、その反動で災厄が起きたなどでは話にならないからな。」

 

モモタロス「なら、その力の事を詳しく知れば問題ないだろう。」

 

 

「得体の知れない力を使うのは危険」と言って反対したシグナム達に対して、その力の事を詳しく知れば問題ないと言うモモタロス。そんなモモタロスの言葉に再び頭に?を浮かべる良太達。

 

 

はやて「詳しく知るって・・・・どう言う事やモモちゃん?」

 

リーン「あの「紋章」を詳しく知る事ができる宛てでもあるんですか?」

 

モモタロス「ああ、あるぜ。「紋章」の事を詳しく知ってそうなヤツの心当たりは・・・・そうだろう?銀髪の姉ちゃん」

 

 

「宛がある」と言って銀子の方を見るモモタロスとそれに釣られて視線を銀子に一斉に向ける良太達。

 

 

銀子「・・・・・・・・・・」

 

モモタロス「・・・話してくれるんだよな。」

 

銀子「・・・ええ。じゃあ話しましょうか。あの「紋章」・・・・「27の真の紋章」について。

 

 

 

つづく

 



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第52話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め⑥

どうも、剣 流星です。
先日、パソコンのOSを使いなれたWindows7からWindows10へバージョンアップさせたのですが、Windows7を長年使ってたせいか、扱いずらく感じてます。

まあ、そんなこんなで第52話をどうぞ


 

 

 

 

銀子「・・・ええ。じゃあ話しましょうか。あの「紋章」・・・・「27の真の紋章」について。けど、それは誠也くん達が目を覚ましてからにしてくれないかな?どうせ話すなら一度に済ませた方が良いじゃない。」

 

良太「え?・・・まあ、そうですね。」

 

 

銀子の提案に最初戸惑ったが、銀子の「一度に済ます」と言う言葉に共感し、OKを出す良太。

 

 

佳奈『確かにそうね。一度に済ませるならそれに越したことはないわね。』

 

はやて「せやな。それに誠也くんとこあちゃんも後一時間もすれば目が覚めるんだし、それまでの間、お互いの事を話すとええ。いい機会やと思うで。」

 

圭介「確かにそうだな。この中にはまだお互い初対面のヤツもいるだろうし、お互いの事を知るのにちょうどいいだろうしな。」

 

霞「そうだね。それに一時間後なら、美夏ちゃんや竜輝くん、カズミさんも間に合うもんね。」

 

隆史「間に合う?そう言えば竜輝達見ないけど、二人共どうしたんだ?それに美夏ちゃん。ここの所ラボにも来てなかったみたいだけどどうしたんだ?」

 

 

隆史が夏休みに入ってから、このラボで姿を見かけていないことに気づき、どうしたのかと聞いた。

 

 

霞「美夏ちゃんは、春香さんの事でここしばらく手が離せなかったのと、黙って「なでしこドライバー」を持っていったせいで、お兄ちゃんに怒られると思って顔出せないって、この前携帯で話した時に言ってた。でもさっき偶然掛かってきた携帯で、お兄ちゃんの状況を知らせてあげたら、「すぐに行く」って言ってたからもうすぐ来ると思うよ。」

 

なのは「「ドライバー」を黙って持っていったって・・・・美夏ちゃん・・・何やってるの(^_^;)」

 

 

美夏のやった事に対して、呆れた顔をするなのは。

 

 

小鳥「カズミさんは竜輝さんと秋葉原に行ってますから、遠くて戻ってくるのに少し時間がかかってるんだと思います。けど、そろそろ時間的に来る頃だと思いますよ。」

 

 

木場「時間的に見て、そろそろ来るころって「ほら!二人共早く早く!」っと・・・どうやら美夏ちゃん達がきたみたいだね。」

 

 

部屋の扉の向こう側から美夏の声と、三人分の足音が聞こてきたため、美夏達が来たと言った圭介の言葉の後、部屋の扉が開き、三人の人影が雪崩れ込んで来た。

 

 

美夏「霞ちゃん!誠也は無事?!」

 

カズミ「寧子!みんな無事!?シノはどうなったん!?」

 

竜輝「みんな、無事!?」

 

 

部屋の中になだれ込んできた三人、美夏とカズミと竜輝は現状どうなっているのかを聞くため、部屋の中にいる人達に次々に質問を投げかけた。

 

 

佳奈『落ち着きなさい。刺客のキカコは撃退できたわ。けどその後に現れた新手にシノは連れて行かれて、誠也は負傷して・・・・今は治療中よ。』

 

 

カズミ「なんやて?!シノが連れて行かれた?!」

 

美夏「誠也くんが負傷?!」

 

竜輝「誠也が負傷して治療中だって?!それで誠也の容態は!大丈夫なの?!」

 

 

三人が三人共、佳奈答えを聞いて慌てた口調で、まくし立てるようにして言った。

 

 

はやて「だから落ち着きいや!誠也くんもこあちゃんも命に別状は無いし、あと一時間もすれば目を覚ます・・・・・・って・・・・・・・・」

 

 

まくし立てるように言う三人に対して、誠也の現状を話していたはやてだったが、入って来た三人のうちの一人であるカズミの姿を見て言葉がしりつぼみになった。

 

 

リーン「?はやてちゃん?って・・・・泣いてる?!」

 

 

カズミの姿を見て、動きを止めた次の瞬間涙を流すはやて。周りにいる者達も、はやてが動きを止めて、涙を流す事に対して対して驚きと戸惑った。

 

 

はやて「・・・・カズミちゃん?」

 

カズミ「へっ?」

 

 

突然初対面の人物に名前を言われて泣かれ混乱するカズミ。だがその混乱は次の瞬間、さらに大きくなった。

 

 

はやて「カズミちゃん!(ガバッ!)」

 

カズミ「へ?え?え?!」

 

 

なんとはやてはカズミに抱きついたのである。抱きつかれたカズミはさらに混乱しだす。そんなカズミを涙を流しならはやては抱きしめた。

 

 

はやて「生きてたんやな!生きてたんやな!旅行中の事故で叔父さんと叔母さんは死んで、遺体で見つかったけど、カズミちゃんだけ遺体が見つからず・・・・・その後探索が打ち切られて、カズミちゃんも死亡扱いにされたけど・・・・生きてたんやな!」

 

カズミ「ちょ、ちょっと待ちいや!あんた一体誰や!いきなり抱きついて来て!」

 

 

はやて「えっ?・・・誰って・・・ウチや!従姉妹の八神はやてや!最後に会ったんは、小さい頃やったからわからんかもしれへんけど。」

 

カズミ「はぁ?八神はやて?従姉妹?わたしに従姉妹なんている・・・・はず・・・・・・・・・・・・・・・・・・って・・・・・・・・んん?」

 

 

はやてに従姉妹だと言われて、知らないと答えようとするカズミだったが、はやての名前を言ったとたん、脳内に薄らとだがあるビジョンが思い浮かんだ。

それは車椅子に座り、少し寂しそうな顔をした小さな女の子ビジョンだった。

 

 

カズミ「はやて・・・・・・・・・・・・・・もしかして・・・・・・・いつも車椅子に乗っていたあの?」

 

 

かろうじて思い浮かんだビジョンに意識を向けて、霞のようにかかった頭の中から、ホンのわずかであるが、そのビジョンに付与する事柄を思い出し、カズミははやての名前と、昔のはやての特徴を言った。

 

 

はやて「そ、そうや!ウチや!あの車椅子のはやてや!」

 

カズミ「はやて・・・はやて!アンタやの?アンタ歩けるようになったんやな!」

 

はやて「せや!ウチ、歩けるようになったんや!」

 

カズミ「はやて!」

 

はやて「カズミちゃん!」

 

 

お互いの名前を呼んで抱き合う二人。そんな二人の周り、怒涛の展開について行けず、すっかりおいてけぼりにされる周りの面々。

 

 

なのは「ねえフェイトちゃん、従姉妹のカズミちゃんてもしかして・・・・」

 

フェイト「うん、管理局本部の廊下で、はやてが話してくれたあの(・・)カズミちゃんなんだと思う。」

 

銀子「あの~、どういう事なのかな?お姉さん達にも詳しく話してくれないかな?」

 

 

抱き合っている二人に対して説明を求めるよに言う銀子。その銀子の言葉を聞いて離れた二人は、まだ涙で濡れている目を服の袖で拭きながら銀子達の方を見た。

 

 

はやて「すんまへん。二人だけで盛り上がって」

 

カズミ「カンニンしてえや。」

 

佳奈『ちょっとカズミ!あんたの従姉妹ってどういう事よ!ちゃんと説明しなさいよ!』

 

 

体の動かない佳奈が電子音声の声でカズミに対して説明するよう求める。

 

 

カズミ「そう怒るなや佳奈、ちゃんと説明するわ。え~と・・・・どっから話せばいいんやろうな。まずは・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い部屋の中、誠也は一人椅子に座っていた。

 

 

誠也「・・・・・ここは?」

 

???「ようこそ、ベルベットルームへ。」

 

誠也「?!」

 

 

誠也は自分が座っている席のテーブルを挟んだ向かい側から突如聞こえてきた声に驚き、自分の正面の席を目を凝らして見てみた。そこには長い鼻の白髪の老人と、その脇に青い服を着た女性がイスに座っていた。

 

 

誠也「あなた達は・・・」

 

 

目の前に居る二人の人物。そのうちイゴールと名乗った人物に誠也は見覚えがあった。誠也は以前、祖父である乃木坂王季の頼みで、乃木坂家の親戚筋に当たる桐条家の前当主・桐条 武治(きりじょう たけはる)に協力するために月光館学園に1年間だけ転校した。そして桐条 武治(きりじょう たけはる)の娘である桐条美鶴(きりじょうみつる)の下、影時間に潜むシャドウに対抗するための特別課外活動部・Special Extracurricular Execute Sector、略してS.E.E.S.に参加し活動した。本来ならS.E.E.S.にはシャドウに対抗するための能力・ペルソナが無い者にはS.E.E.S.の活動をすることができないのだが、誠也には影時間への適正とウィザードの力が対シャドウにも通用することがわかったために、活動に参加したのであった。

 

 

誠也(あの人は確か・・・・そうだ、この人は確か月光館学園の寮に閉じ込められたあの事件の最後に会った・・・)

 

 

誠也は影時間消滅後に起きた、とある事件の最後に、ある部屋に仲間達と共に跳ばされたのであったが、その部屋こそが今目の前に居る老人・イゴールが主をしているベルベットルームなのであった。

 

 

イゴール「わたくしはイゴール。お久しぶりでございます。あの事件以来ですかな?これに控えるは、わたくしの助手を務めるマーガレットといいます。」

 

マーガレット「初めまして、マーガレットと言います。」

 

イゴール「ここは「夢」と「現実」、「精神」と「物質」の狭間にある場所。本来は何らかの形で契約を果たされた方の来る場所。」

 

誠也「契約をされた人だけが来る場所?・・・・契約について、身に覚えが無いんだけど・・・・アイギスからココの事は聞いている。どうしてペルソナ使いじゃ無い俺がここに?ペルソナ使いじゃ無い俺じゃあ客にはなれないはず。何かの間違えなんじゃ・・・・」

 

イゴール「そう思われるのは仕方がありません。確かにあなた様はペルソナ使いではありません。ですがそれに代わる力、太極の欠けらの一つである真の紋章を宿しておられる。」

 

誠也「真の紋章?それってもしかして・・・・」

 

 

誠也はイゴールの言葉にハッとなり、先程いつの間にか自分の右手に現れた紋章の事を思い出し、自分の右手の甲にある「紋章」を見た。

 

 

イゴール「その紋章は、真の紋章の一つ「竜の紋章」の片割れ、「地竜の紋章」。平行世界を含めたあらゆる世界の中でも、27個しかない「源理の力(オリジン・ロー)」の結晶とも言うべき「太極」の欠けらの一つなのです。」

 

誠也「源理の力(オリジン・ロー)?太極の欠けら?」

 

 

次々と出てくる単語に頭を混乱させながらもイゴールの話を聞き逃さないよに聞く誠也。

 

 

イゴール「あなた様はこれから先、紋章が引き寄せる様々な試練や、同じ真の紋章の所持者と対立していくことでしょう。」

 

マーガレット「これから先、お客様は内側から発せられる、紋章の力により様々な困難に会われるでしょう。ですが同時に多くの仲間も獲られるはず。」

 

イゴール「“シンカ”の道を得て、“シンカ”へと至るか。それとも、力に溺れて自滅するのか。全てはお客様次第・・・・おや、そろそろお時間のようです。では・・・ご機嫌よう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラボの大テーブルが置いてある部屋で、はやてとカズミが従姉妹だと言う驚きの新事実が発覚した時から少したった医務室。その中にある一つのカプセルが開き、中から誠也が頭を抑えながら出てきた。

 

誠也「う~ん・・・・・ここは?」

 

 

カプセルから起き上がった誠也は、周りを見回しながら、先程までの事を思い出していた。

 

 

誠也「ベルベットルーム・・・・アレは一体・・・・」

 

 

額にてを当てながら考え込む誠也。そんな誠也に何者かが声をかけた。

 

 

シャマル「気がついた?誠也くん」

 

誠也「シャマルさん?ここは?

 

シャマル「ここはラボの医務室よ。あなた、寧子って子達の目の前で倒れたのよ?覚えてる?」

 

誠也「寧子達の目の前で倒れたって・・・・・」

 

 

誠也達の目が覚めるまで付き添っていたシャマルに言われ、今だに少しクラクラする頭を抑えながら、誠也は自分が倒れる前に見た最後の光景を思い出し始めた。

 

 

誠也(・・・・確か・・・・・あの黒いヴァジュラの前足で攻撃されそうになって、咄嗟にこあを庇ったら、右手の甲からすごい光がでて・・・・・うん?こあ?)

 

 

最後の光景を思い出して行くうちに、自分があの黒いヴァジュラの攻撃から庇おうとした大切な存在について思い出す。

 

 

誠也「シャマルさん!こあは!こあはどうしたんです!!無事なんですか!!」

 

 

こあの事を思い出し、起きたばかりの誠也の体調を見ようと近づいてきたシャマルの肩を掴んで、揺さぶりながら叫ぶ誠也。

 

 

シャマル「ちょっと落ち着いて!こあって子は無事よ!あなたが寝ていた医療カプセルのとなりのカプセルの中で寝てるわ。」

 

 

シャマルにこあの所在を聞き、急いで自分の寝ていた医療カプセルの隣、そこに設置してあるカプセルの蓋の窓を覗き込む誠也。その窓から、誠也はカプセル内で寝ている無事な姿のこあを見つけた。

 

 

誠也「ふ~、無事か~。」

 

 

こあの無事な姿を確認し、安堵した誠也はそのまま崩れ落ちるようにしてその場に座り込んだ。

 

 

シャマル「少し衰弱していたけど命に別状はないわ。怪我もないし、もう少ししたら目を覚ますわよ。」

 

 

へたりこんでいる誠也に対して、こあの状態を説明するシャマル。

 

 

誠也「もう少ししたら、目を・・・覚ますんですね?」

 

シャマル「ええ、間違いないわ。今頃は見ている夢から少しずつ意識が覚醒してきている頃でしょうね。」

 

誠也「夢か・・・・どんな夢を見ているんだろうな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こあ「・・・・・ここは?」

 

 

こあが目を開けると、そこは何もない真っ白な空間が広がっていた。その空間の中に一人こあはプカプカと浮かんでいた。

 

 

こあ「なに・・・・・ココ?」

 

???『・・・ここはあなたの中にある精神世界よ』

 

こあ「だれ?!」

 

 

突如背後から聞こえてきた声に驚き、振り返ってその声の主を見るこあ。そこに居たのは、金髪の可愛らしい服装をした小さな女の子だった。

 

 

こあ「・・・・あなたは誰?」

 

 

???『私はナシム。今、あなたの中に居る者です。あなたに話をするため、先代のマシアフである娘の姿を借りて現れました。』

 

こあ「ナシム?マシアフ?私の中に居るって・・・どう言う事?!」

 

 

突然現れて、色々と言われて混乱したこあは、目の前に現れた女の子に次々と言葉を投げかけた。

 

 

ナシム『・・・ごめんなさい。』

 

こあ「え?」

 

突然の謝罪の言葉を言われてこあはお届き戸惑った。無理もない。誰だっていきなり出てきた初対面の、しかも小さな女の子に頭を下げられて謝られたら誰でも戸惑うものである。そんな混乱しているこあに対して「ナシム」と名乗った少女は淡々と言葉を発して話始めた。

 

 

ナシム『あなたの記憶喪失は、私が強引にあなたの中に入った為に起きたものなの。』

 

こあ「えっ!?じ、じゃあ・・・・私の記憶が無いのは・・・・」

 

ナシム『・・・私のせいです。』

 

こあ「何でこんな事したんです!!」

 

 

自分の記憶喪失の原因たと言った目の前の人物に対して、こあは相手が小さな女の子なのだと言う事を忘れて声を荒げて叫んだ。

 

 

ナシム『本当にごめんなさい。でもこうするしかなかったの。私はあの時、この世界に張ってある「太極の結界」の綻びを見つけて、そこからこの世界に入り込む途中で力を殆ど使い果たしてしまって、この世界の時空の狭間におちてしまっていたの。しかも因子が足りないせいで消滅しかかっていました。そんな時、私のすぐそばに時空をつなぐ穴のような物が現れて、その穴の入り口に偶然居たあなたを見つけた。』

 

こあ「時空をつなぐ穴?その先に偶然私が居た?」

 

 

ナシムの言葉を聞いて、その時の事を思い出そうとするこあであったが、いくら思い出そうとしても思い出すことができずに居た。

 

 

ナシム『あなたは「太極の欠けら」である「女神の紋章」を宿している上に、マシアフとしての素質もあった。因子が足りず、力も使い果たして消滅しかかっていた私には、あなたの中に入って力を回復させる以外方法が無くて・・・・』

 

こあ「だから・・・私に憑依したんですね。」

 

ナシム『・・・・ええ。』

 

こあ「・・・・・・・・・・・・・」

 

 

二人共押し黙り、沈黙が続いたが、その沈黙をこあがナシムに話しかけて破ったのである。

 

 

こあ「・・・・・あの・・・私の記憶は戻るんですか?」

 

ナシム『ええ、何か記憶を刺激する事や物があれば思い出せるはずよ。現に今あなたは記憶の一部を取り戻しているはずよ。』

 

こあ「えっ?あ・・・・・そう言えば・・・・・」

 

 

こあは自分の中に先程まで無かったある人物についての事、自分が始めての主であった誠也とそれに関する事が頭の中にある事を確認した。

 

 

ナシム『先程も言ったように、無くした記憶を刺激する事や物があれば思い出せると。あなたはあの誠也と言う人の危機を見て、彼に関する事を思い出したの。しかも今まで一度も使ったことがない「紋章」の力の開放まで成し遂げて。よほど彼のことが大切なのですね。』

 

こあ「え?あ・・・・はい。私にとって、とても「大切な人」です。//////」

 

こあはナシムの言った「大切な人」と言う言葉に顔を赤くして答えた。こあにとって誠也は、異世界に迷い込み泣いていた自分を助け、魔力切れで消滅しかかっていた自分に魔力を分けてくれて主となってくれた人であり、姉と父親以外の人で、始めて自分に優しくしてくれた人。一族の恥だと言ってその殆どを部屋の中に閉じ込められて育った自分に、世界の様々なことを教えてくれた人。こあにとって、誠也はもはや初めての主以上の存在になっていたのである。

 

 

こあ「////////」

 

 

誠也の事を思い出し、胸が熱くなるのを感じ、誠也がくれたペンダントを両手でギュッ!と握り締めるこあ。

 

 

ナシム『!・・・・どうやら、時間のようですね。』

 

こあ「え?時間?あ・・・・」

 

 

ナシムの時間と言う言葉を聞いて反応したこあは、自分の視界がだんだんとボヤけていくのを感じ、焦った。

 

 

ナシム『あなたの意識が目覚めようとしているのです。ですがその前にあなたがたの世界に迫っている、危機を伝えなくては!』

 

こあ「迫っている危機?」

 

ナシム『よく聞いてください。この世界に、かつて私が居た世界を破滅の危機にへと追いやった者が・・・・そして、命ある者達を皆、機械化生命体にしようとした者達が復活しています。』

 

こあ「破滅の危機・・・・機械生命体化?!そ、そんな事しようとした人達が私達の世界に来ている?!ほ、本当何ですか?」

 

ナシム『間違いありません。私がこの世界に来てから感じ取った感覚と、それと・・・あなたが今身に付けている、ラティオが復活した機械生命体達への切り札として、異世界の人たちへと送った・・・再結晶化したそのペンダントがここにある事が何よりの証にまります。』

 

こあ「マスターから貰ったペンダントが?」

 

 

ナシムはこあの胸元にあるペンダントを指差しながら言い、こあは自分が身に付けているペンダントを手に取って驚きの表情で見た。

 

 

ナシム『・・・・気を付けてくさださい。この二つの驚異は、放って置くにはあまりにも危険です。どうか・・・・・・注意して・・・・・』

 

 

こあの意識が段々と覚醒しているからか、ナシムの声と姿がぼやけていく。

 

 

こあ「!・・・まって!私まだ、あなたに聞きたいことが!」

 

 

段々と視界がボヤけ、ナシムの姿も段々とボヤけていくのを見てこあは焦った。こあ自身、まだナシムに聞きたいことがまだまだあったため、ナシムに手を伸ばした。何故この世界に来たのか?マシアフとは何か?自分はこれからどうなるのか?色々と聞きたい事が多くある為、まだ消えないで欲しいと思い手を伸ばしたのである。

 

 

ナシム『・・・・・・話は次の・・・・・機会に。それまでの間・・・・・・・私も・・・・・あなたの中で・・・・・眠りにつきます。では・・・・・また次の機会に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

 

ナシムの最後の言葉を聞いた後、こあの視界はゼロになり、意識は目覚めるために浮上していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こあ「う~ん・・・・・あれ?ここは・・・・・」

 

誠也「!?こあ!」

 

シャマル「あ、今開けるわね。」

 

 

カプセルの中のこあが目を覚ましたのに気づき、カプセルの蓋を開けるシャマル。機械音がし、カプセルの蓋が開くと同時に誠也はカプセルに近づき、中に居るこあに声をかけた。

 

誠也「こあ?」

 

 

カプセル内に横になっていたこあは、ゆっくりと上半身を起こしながら、誠也の方を見る。

 

 

こあ「あ・・・・・・ますたー?」

 

 

目覚めたばかりで、意識が未だ朦朧としている状態のこあは、誠也の姿を見て、無意識のうちに誠也を「マスター」と呼んだ。

 

 

誠也「?!俺が・・・・わかるのか?」

 

 

自分の事を昔のように「マスター」と呼んでくれた事に対し、驚きの声を上げた。先程あった時、こあは誠也の事を「誰?」と言い、モモタロスはこあが記憶喪失だと言っていたからである。

 

 

こあ「ますたー?・・・・・・・あっ・・・マスター・・・・マスター!!」

 

 

誠也を「マスター」と数回口にしていたこあは、意識がだんだんとはっきりしてきたと同時に、今自分の目の前に居る人物・誠也の事を認識すると、驚いた顔を一瞬した後、目に涙を浮かべながら喜びの表情を浮かべながら誠也に抱きついた。

 

 

誠也「こあ?・・・・・俺の事・・・・思い出したんだな!」

 

こあ「はい!マスター!マスター・・・・・会いたかったです!」

 

誠也「俺もだ。」

 

 

突然抱きつかれて驚いていた誠也だったが、やがて自分に抱きついたこあをそっと抱きしめ返し、頭をゆっくりと撫でた。

 

 

こあ「あっ!ご、ごめんなさい!!思わず抱きついちゃいました//////」

 

 

思わず誠也に抱きついてしまった事に対して、急に恥ずかしくなったこあは、顔を真っ赤にしながら誠也の体から離れた。

 

 

誠也「あ、いや・・・・別に構わないよ。((ボソッ)こあに久しぶりに抱きつかれてちょっと嬉しかったし/////)。」

 

こあ「えっ?今何か言いましたか?」

 

誠也「いや、何でもない。それより体の調子はどうだ?」

 

こあ「えっ?あ、はい。なんとも・・・・あれ?この指輪・・・・それに、マスターとパスが繋がってる?」

 

 

こあは自分の左手に嵌められている指輪を見ながら、自分の中にある自分に供給されている誠也の魔力と、それが送られている誠也とのパスを感じた。

 

 

誠也「あ、その指輪は相手に魔力を供給するための指輪なんだ。こあが魔力切れで消えそうになってたから、その指輪で魔力供給したんだけど、どうやら魔力を供給した時同時にパスもつながっちゃったみたいだな。」

 

こあ「じゃあ、マスターはまた私のご主人様(マスター)になったんですね。」

 

誠也「ごめん!緊急事態だったとはいえ、こあの意思確認しないで契約してマスターになって。迷惑だよな。」

 

 

勝手に契約をした事に関して、誠也じゃ頭を下げて謝った。だがこあは、静かに頭を横に振ったあと、そっと語り始めた。

 

 

こあ「ううん、迷惑じゃないです。マスターは私を助けてくれたんですから。それに約束も守ってくれた。」

 

誠也「約束?それって、あの時の別れ際に言ってた・・・・」

 

 

誠也はこあを元の世界に送り帰した時にこあが言っていた言葉を思い出した。

 

こあ「はい、「もう一度出会えたら、私のご主人様(マスター)になってくれる」って・・・マスターはちゃんと私との約束・・・守ってくれた。」

 

 

目に再び涙を浮かべながらこあは誠也に対して微笑み返した。

 

 

誠也「あ・・・いや・・・・約束守れて良かったよ。」

 

 

こあに微笑みを向けられて、照れくさくなった誠也は頬をポリポリと指で掻きながら返事をした。

 

 

こあ「ご主人様(マスター)、また・・・よろしくお願いしますね♪」

 

誠也「・・・!ああ!!よろしく!こあ!」

 

 

こあから差し出された手を握り、握手をし、互を見つめあう二人。

 

 

こあ「所で・・・マスター、私にこの指輪を嵌めてくれたのってマスターなんですよね?」

 

誠也「?ああ、そうだけど?」

 

こあ「そ、その/////なんで指輪を嵌める指が左手に薬指何ですか?//////」

 

誠也「・・・・え?あっ!」

 

 

こあに言われて、こあがはめている指輪の指を見て、その指が左手の薬指だったことにようやく気づいた誠也は慌てだした。

 

 

誠也「あ、いや、あの・・・・あ、あの時は慌てて!指輪をはめる指をあんまり見てなくて!その・・・指輪をはめた指に深い意味はなくて!」

 

こあ「意味・・・無いんですか?ちょっと・・・残念です。」

 

 

「指輪をはめた指に意味が無い」と言われて、しゅんとなるこあ。そんなこあを見て再び慌てふためく誠也

 

 

誠也「え?あ、いや・・・・その・・・・・」

 

こあ「ふふっ、冗談です♪(ちょっとだけ残念なのは本当なんだけど)」

 

誠也「え?あ・・・・・ったく、タチ悪いな~」

 

こあ「小悪魔ですから♪」

 

誠也「そうだったな。はははっ!」

 

こあ「ふふふっ!」

 

 

互いに見つめ合って笑い合う誠也とこあ。そんな二人を少し離れた所から見ていたシャマルは、音を出さずにそっと部屋を出て廊下に出た。

 

 

シャマル(やはてちゃんの気持ちを考えれば二人っきりにするのは得策じゃないけど、感動の再会に水を差すのも野暮よね。だから私は見ないフリをしてあげる。一つ貸しだよ?誠也くん)

 

 

医務室の扉を背にして、中にいる誠也に「一つ貸しだ」と微笑みながら心の中で言ったシャマルは、そのまま何処かで少し時間を潰すためにその場を後にした。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

おまけ

 

 

木場「あれ?そう言えば斬鬼さんは?来てないみたいだけど・・・・」

 

隆史「斬鬼さんはちょっと今、ショックを受けて落ち込んでて・・・・・」

 

木場「落ち込んでる?何かあったの?」

 

隆史「今日、街を歩いている時、偶然前を歩いていた小学生に、不審者と思われて防犯ブザーを鳴らされて、警察に捕まりそうになったんです(^_^;)」

 

木場「・・・・・・・・・・え?」

 

隆史「ほら、先生ってちょっと目つきが悪いでしょう?それで前にも「ぷちミク」ちゃんと「ちびミク」ちゃんにも「不審者だ!」と言われてトラウマになってて、それで・・・・・」

 

木場「な、なるほどね・・・・今回の事でそのトラウマを抉られたって事か。」

 

隆史「ええ。」

 

二人「「・・・・・・・・・・・・」」(-_-;)

 

木場「・・・後でお酒でも持って行って、慰めてあげよう。」

 

隆史「・・・・お願いします。」

 

 

つづく

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

イゴール(ペルソナシリーズ)

 

マーガレット(ペルソナシリーズ(ペルソナ4))

 

ナシム(スーパーロボット大戦(第3次スーパーロボット大戦α))

 

 

 

 

 

 



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第53話 もう一つのの太極の欠けら、真の紋章の目覚め⑦

どうも、剣 流星です。
PXZ2で、逆転裁判シリーズに興味を持って現在プレイ中です。
ですが、推理物、苦手なせいで苦戦しまくりです。

まあそれはさておき第53話をどうぞ!



 

佳奈『・・・つまりカズミは、小さい頃、家族との旅行中に事故に合って、その時両親を亡くして、カズミ自身は魔女の宮殿(ヴィンガルフ)に捕らえられていたってことね。』

 

カズミ「そおや、さっきはやてに「従姉妹だ!」って言われて思い出したんや。もっとも、最初はうまく思い出せなくて、思わず「従姉妹なんて居ない!」って言いそうになったんやけどな」

 

 

カズミがはやての従姉妹だったと言う衝撃の告白の後、はやて達は今回初めて会う人達とのお互いの事について各々が自己紹介と雑談を交えながら話し合って居た。そんな中、カズミは佳奈から「どのような経緯で魔女の宮殿(ヴィンガルフ)に来ることになったのか?」と質問し、その答えを聞いていた。

 

 

カズミ「・・・それにしても不思議やな~。」

 

佳奈『何がよ?』

 

カズミ「いやな、はやての事を思い出した今だから思うんやけど、どうして私ら、今の今まで、自分の家族の事を思い出さなかったんやろな~って。」

 

 

寧子達「「「「「!」」」」」

 

 

カズミの一言を聞いて、会話を中断して視線をカズミ向ける魔女の少女達。それに釣られて、周りに居たなのはやフェイト達も視線をカズミに向けた。

 

 

佳奈『そう言えば・・・・そうね。なんでだろう?別に私達は寧子のように、能力を使うたびに記憶を無くすなんて事は無いはずだから、研究所を出たんなら家族の事を思い出して、家族の元に帰ろうって思うはずよね?』

 

千絵「そうよね・・・どうしてだろう?なんで家族の事を思い出さなかったんだろう?」

 

かなで「家族・・・・・・・あれ?そう言えば、私の家族って・・・・・」

 

小鳥「・・・・思い出せない・・・・どうして?」

 

 

家族の事が話題になり、その事を思い出そうとし、思い出せない事に対して考え込むかなで達。

 

 

カナリヤ『・・・・・きっと魔女の宮殿(ヴィンガルフ)にさらわれたのがカズミと同じ小さい頃で、さらに研究所での過酷な日々で記憶が摩耗しているのよ。あまり無理に思い出そうとせず、自然に思い出せるようになるまで待つほうがいいわ』

 

 

かなで「そう・・・ですね。(・・・・家族・・・か)」

 

 

カナリヤの言葉に対して力なく返事をするかなで達。場の空気が重くなり、どんよりとした雰囲気が漂う。そんな空気をどうにかしようと、フェイトは咄嗟に自分の側に居る木場に声をかけ話題を変えようとした。

 

 

フェイト「そ、そう言えば勇治さん、この所忙しそうでしたけど、何かあったんですか?」

 

 

フェイトの言葉で話題が替わり、重たい空気が払われる。それを感じ取り、木場勇治はフェイトの振った話題に乗って話始めた。

 

 

木場「つい最近「遠羽署」に赴任してきた人の事で色々と動いていたから、忙しかったんだ。」

 

はやて「赴任してきた人?なんや新人でも入ってきたん?」

 

 

はやては刑事をしている木場の居る「遠羽署」に新卒の新人でも来たのかと思い、問いかけた。

 

 

木場「いや、来たのは新卒の新人じゃないよ。「八十稲葉」という所で僕よりも長く刑事をしていた人で、つい最近上からの命令で、この「遠羽市」に家族と一緒に赴任してきたんだ。」

 

 

竜輝「そう言えば、父さんもそれらしいこと言ってたな。」

 

 

木場と同じく「遠羽署」で刑事をしている自分の父親がそれらしい事を言っていたのを思い出す竜輝。そんな竜輝達の会話を聞きながら、カナリヤはある事を考えていた。

 

 

カナリヤ(この中途半端な時期に赴任してきた人物。・・・どうやら例の組織を立ち上げる為の人材、信頼のできる人物を集めの為に呼ばれた人ね。優秀な人だと良いんだけど・・・)

 

 

カナリヤは以前、乃木坂邸で「乃木坂王季」と話し合った時に出た人員確保について言っていた事を思い出し、考えているカナリヤの耳に突如部屋の扉が開く音が聞こえてきた。

 

 

シャマル「みんな、二人が目を覚ましたから連れてきたわよ。」

 

 

ラボ内にある大テーブルのある部屋の扉を開け、シャマルは誠也とこあを連れて一緒に入ってきた。

 

 

みんな『お兄ちゃん!誠也(くん)(さん)!!』

 

 

シャマルの後に部屋に入って来た誠也の無事な姿を見て喜ぶはやて達。

 

 

霞「あれ?ねえ、お兄ちゃん。その人・・・誰?」

 

 

霞は誠也と一緒に部屋の中に入って来たこあの姿をみて、誰なのかと誠也に聞いた。

 

 

誠也「前に話した事があるだろう?はやてと異世界を巡った時に出会った、小悪魔のこあだよ。」

 

 

霞「えっ!もしかしてあの!?」

 

 

以前誠也に異世界を旅して回った時の話を何回か聞いていた霞は、その中に出てきたこあが、今目の前に居る事に驚いた。

 

 

誠也「こあ、この子は俺の妹の霞だ。」

 

こあ「マスターの・・・妹さんなんですか?あ、あの・・・は、はじめまして、小悪魔のこあと言います!」

 

 

初対面の人だからか、それとも誠也の妹だからか、緊張した状態であいさつをするこあ。

 

 

 

霞「あ!ご、ご丁寧にどうも。妹の霞です。」

 

誠也「それと俺の友達で仲間の・・・・・・」

 

 

霞を紹介した後、部屋の中にいる面々を一人ずつこあに紹介する誠也。その自己紹介の途中でこあは懐かしい顔に再会した。

 

 

はやて「久しぶりやなこあちゃん。」

 

 

嬉しそうな顔をしながら、はやては久しぶりに会ったこあに挨拶をした。はやては誠也が門矢士の異世界を巡る旅について行った時、誠也と一緒にその旅について行き、その度の最中に誠也と一緒にこあと出会っていた。

 

 

こあ「はやてちゃん?!足・・・立ってる・・・・もしかして治ったの?!」

 

 

こあは先程戻ったばかりの記憶の中にある、小さい頃のはやてと比べて驚いていた。身長など大きくなっている事にも驚いていたが、一番の驚きは、はやてが自分の足で立っていた事である。

こあの記憶の中のはやては、車椅子に座っている儚げなイメージしかなかったので、自分の足で立ち、元気に立っている姿には大変驚いていた。

 

 

はやて「せや。治ってちゃんと歩けるようになったで。って・・・・記憶無くしてるって聞いたたけど・・・ひょっとして記憶戻ったん?」

 

こあ「え?あ・・・うん。最も・・・マスターやはやてちゃん達の事だけしか思い出せなくて、他のことは・・・・」

 

はやて「あ・・・・そうなんか。何かゴメン。無神経なこと聞いて。」

 

こあ「あ、良いよ。気にしてないから。それよりも、おめでとうはやてちゃん。足治ってよかったね。」

 

 

はやての両手をとって、はやての足が完治した事を素直に喜ぶこあ。

 

 

はやて「ありがとな、こあちゃん♪所で・・・・こあちゃん、なんでプリーズウィザードリングを左手の薬指(・・・・・)にはめてるん?」

 

こあ「えっ?あ!////こ、この指輪はですね、マスターが魔力切れで消えかかっている私を助けるために、私に魔力を送るためにはめてくれたもので・・・・」

 

はやて「・・・・はめてくれたってって事は、そのリングをこあちゃんの左手の薬指にはめたんは、誠也なんやね。ドウシテ、ヒダリテノクスリユビニハメタンヤロナ」

 

誠也「え?あれ?・・・・・はやて、なんで目のハイライトが消えた状態でこっちを見てるのかな?って言うか、かなでも目のハイライト消えてるんだけど?」

 

 

いつの間に、はやてと一緒にかなでまでも目のハイライトを消して誠也に詰め寄る二人。

 

 

かなで「セイヤクン、ドウシテ、ヒダリテノクスリユビニユビワヲハメタノカナ?」

 

誠也「ちょっと二人共、落ち着いて。あの時少し慌てて、はめる指を選んでる暇がなかっただけで、左手の薬指に指輪をはめたの事に深い意味はって、二人共目がこわ――――――」

 

 

キーンコーンカーンコーン♪

誠也くんがシバかれてます。しばらくお待ちください。

 

 

 

誠也「痛てててて・・・・・ったく!何も本気でシバかなくてもいいじゃないか。もう一度意識を失って医療室にリターンするところだったぞ。」

 

 

美夏「・・・大丈夫?」

 

 

体中のあちこちを痛そうに庇いながら立ち上がる誠也に対して美夏は気遣いの言葉をかけた。

 

 

誠也「ああ、なんとかって・・・・・あっ!そうだ美夏!お前、なに勝手に「ナデシコドライバー」持っててるんだよ!」

 

美夏「うっ!え、え~と・・・・」

 

 

誠也の言葉に対して目を泳がせながら視線を外そうとする美夏。

 

 

誠也「おもちゃじゃないんだから、今すぐ返すんだ!」

 

美夏「い、いいじゃん別に!戦力は沢山あったほうが良いでしょう?ドライバーを使える人がいるんだから、無駄に倉庫で眠らせておくよりはマシでしょう?」

 

誠也「でも!だからってお前まで戦う必要は・・・・・・・お前、まさか・・・・“あの女”が俺に対してした事に対しての負い目を感じて、俺に協力しようとしてないか?」

 

美夏「・・・・・・・」

 

 

誠也の発した言葉に対して目を背ける美夏。その様子を見た誠也は、「はぁ~」と大きく息を吐いた。

 

 

誠也「あのな!あの女、乃木坂美月・・・今は離婚して「桐条美月」だったな。あの女がした事に対して、お前が負い目を感じることなんてないんだぞ?」

 

美夏「でも!・・・あの人は・・・・私の血の繋がったおばあちゃんなんだよ!それに・・・・私自身、誠也が乃木坂邸(うち)にいる時、おばあちゃんが誠也に対して“あんな事”してた事に気づきもしないで、笑って暮らしていた私が許せなくて!・・・・だから、私は・・・・」

 

誠也「美夏・・・・・・」

 

 

辛そうにしながら目を伏せて、自分の足元を見る美夏に対して誠也は手を伸ばそうとした、だが・・・・・

 

 

誠也「・・・・・・・・」

 

 

誠也はかける言葉が見つからず、伸ばした手をそのまま戻してた。

 

 

美夏「私は・・・・・あの時、立場上何もする事ができなかったお父さんやお母さん、そして・・・何も知らないお姉ちゃんの分まで、何かを・・・・・・」

 

 

誠也「・・・・・・・・」

 

 

美夏の言葉を聞いて、部屋は沈黙が支配し、空気が重くなった。そんな思い沈黙を振り払おうと、はやてが声を上げてその場を雰囲気を壊そうとした。

 

 

 

はやて「さ、さて、銀子さんだっけ?紋章の話してもらえんやろか?」

 

銀子「えっ?良いけど・・・・その・・・大丈夫なの?」

 

はやて「かまへん。暗くなったって良い事あらへんし、せっかくメンバーが揃ったんや。面倒な話はとっとと話して終わらせた方がええて。」

 

銀子「・・・・それもそうね。それじゃあ話すわね。真の紋章について。けど、その前に、真の紋章の話を理解しやすくするために、「紋章術」について話すわね。」

 

誠也達『紋章術?』

 

 

銀子の言葉に、部屋の中にいる全員が首をかしげて声を揃えて言った。

 

 

なのは「紋章術って確か、最近管理局が新しく導入したヤツだよね?」

 

フェイト「ええ。私達が所属している管理局は万年人手不足なの。魔法が使える魔導師が圧倒的に不足していて、それを補うために導入されたのが「紋章術」なの。体に「紋章」を宿した事により、宿した紋章に対応した紋章術が使えるのよ。例えば「火の紋章」を宿せば「火の紋章術」が。「風の紋章」を宿せば「風の紋章術」が使えるって感じで。」

 

誠也「へ~、これなら人手不足の問題も解決できるな。で、この「紋章術」が「真の紋章」にどう関わってくるんです?」

 

 

フェイトの紋章術の簡単な説明を聞いた誠也は、銀子に紋章術と真の紋章の関係について聞いた。

 

 

銀子「フェイトちゃんが話したように、紋章を宿せば、誰でも紋章術を使うことができるわね。そしてその使う「紋章術」威力の大きさは、本人の能力+宿した紋章の強さで決まるの。」

 

霞「本人の能力+紋章の強さ?なんだかその言い方だと、より強い紋章があるみたいな言い方ですね?」

 

 

銀子の言い方から読み取った自分の疑問を銀子に問いかける霞

 

 

銀子「おっ!霞ちゃん、良いとこに気づくね~。まさにその通り!紋章にはより強力な力が使える上位の紋章があるの!」

 

 

霞の疑問に対して、指を「ビシッ!」と突きつけて言う銀子。

 

 

銀子「紋章には数は少ないけど、より強力な紋章術が使える上位の紋章があるの。「火の紋章」の上位に位置する「烈火の紋章」とか、「土の紋章」の上位に位置する「大地の紋章」と言った具合にね。この例からわかる通り、紋章は強力な紋章であればある程、その数は少なくなってくるの。で、数ある紋章の中でも最上位に位置し、この世にたった一つしかない超強力で貴重な紋章なのが・・・・」

 

誠也「・・・・「真の紋章」って訳ですね。」

 

銀子「誠也くん正解!まさにその通り!数多の紋章の中でも最上位に位置し、決して同じ物が無い、この世にたった27個しか無い唯一無二の紋章が「27の真の紋章」なの。」

 

誠也「この世に27個しか無い、唯一無二の物・・・・・」

 

 

誠也は銀子の話を聞いて、自分の手の甲に浮かび上がっている紋章をジッと見つめながら言った。

 

 

銀子「誠也くんの宿している「地竜の紋章」とこあちゃんが宿している「女神の紋章」は紛れもな真の紋章よ。そして真の紋章は超強力な紋章で、それを宿した者は不老の力と強力な力が与えられるの。」

 

こあ「不老の力?!」

 

銀子「真の紋章を宿した者は、宿した瞬間から老化しなくなるの。つまり寿命による死がなくなるの。」

 

 

誠也「寿命による死が無くなる・・・・・」

 

 

銀子の口から出た衝撃的な事実を聞き、驚いた顔をしたまま誠也は自分の紋章を見つめた。そんな誠也を他所に銀子は話を進めた。

 

 

銀子「・・・・この真の紋章は全部で27個。火・水・風・土・雷・門・円・竜・生と死・覇王・始まり・獣・太陽・夜・月・罰・八房・変化・女神・魔王・時空・知識・歌詩(うた)・精霊・光輝(ひかり)・世界樹・無と種類があって、これらを宿した者はその強大な力のせいで、様々な形で歴史に名を残した人達が結構居るの。」

 

竜輝「歴史に・・・名前を・・・・本当何ですか?」

 

銀子「ええ。現にある世界で「ベルカ」と呼ばれた時代で、真の紋章の力のおかげで王となった人達が結構いるのよ。」

 

はやて「べ、ベルカの時代の王やて?!」

 

 

銀子の口から突然出てきた「ベルカ」と言う言葉に反応したはやては思わず叫んで反応した。

 

 

銀子「あれ?はやてちゃん、ベルカを知っているの?」

 

はやて「え、ええ、まあ・・・・・」

 

銀子「へ~、別の世界の事なのに、よく知ってるわね。やっぱり時空管理局勤めているからかしらね?っと・・・話がそれたね。え~と、ベルカの王達の多くは真の紋章を宿し、その強力な力を使って王になった者が多いのよ。」

 

リーン「真の紋章の力を使って王になった者たち・・・・具体的にはどの王なんですか?」

 

銀子「え~と確か・・・私が知っている範囲では、一番有名な聖王を筆頭に、覇王・冥王・雷帝・獣王・竜王・天王、そして、夜天の王って所かしら?」

 

誠也達『夜天の王?!』

 

 

銀子の口から出てきた「夜天の王」と言う言葉を聞きいて、誠也やなのは、フェイトなど、はやてをよく知る者達は一斉に驚きの声を上げた後、揃ってはやての方を見て、それに釣られるように事情を知らない寧子もはやてを見た。

 

はやて「夜天の王って・・・・・・えっ?えっ?」

 

 

突然自分に関係する言葉が出てきた上に、みんなに注目されてはやては混乱した。

 

 

 

つづく

 



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第54話 もう一つの太極の欠けら、真の紋章の目覚め⑧

どうも、剣 流星です。

スパロボOGの最新作の発売日が発表されました!
6月30日です!発売日、また伸びなきゃいいけど・・・・(^^;

まあ、何はともあれ、第54話、真の紋章の目覚め編ラストの話です。
ではどうぞ~♪



はやて「夜天の王って・・・・・・えっ?えっ?」

 

 

突然自分に関係する言葉が出てきた上に、みんなに注目されてはやては混乱した。

 

 

はやて「夜天の王って・・・・そ、そりゃ~ウチは最後の「夜天の書」の主やけど、「真の紋章」なんて物、ウチは宿してへんで!なあシグナム。」

 

 

みんなに注目されて居心地が悪そうな顔をしながら、自分の近くに居るシグナムに声をかけるはやて。

 

 

シグナム「・・・確かに主はやてには「真の紋章」などと言う物は宿していません。先程「夜天の王」の名前が出てきましたが、それは主はやての事ではなく、おそらく初代「夜天の書」の主の事だと思います。うっすらとですが、初代に使えていた時、それらしい物を初代が所持していたのを思い出しました。」

 

シャマル「そう言えば、確かに初代がそれらしい物を所持してたわね。」

 

ヴィータ「あ~、アレのことか。」

 

ザフィーラ「多分間違いないだろう。」

 

 

シグナムの発した言葉を聞いて、同じ夜天の書の守護騎士であるシャマル達が何かを思い出し、頷いた。

 

 

銀子「うん?夜天の書の初代を知っている?もしかして、あなた達って・・・・」

 

シグナム「そうだ。私とシャマル、ヴィータとザフィーラは夜天の書の守護騎士だ。」

 

銀子「あ、やっぱり。なるほどね~、なら初代を知ってても不思議じゃないわね。」

 

カズミ「な、なあ・・・守護騎士って?」

 

はやて「あ、そっか・・・カズミちゃん達は知らないんやった。え~っと・・・」

 

 

はやてはシグナム達守護騎士について話すかどうか考えながらシグナム達の方を見た。人は人でない者、異物を嫌って排斥しようとする。はやて自身も管理局で、シグナム達の事を知った管理局員の中に、人でないシグナム達を快く思わず、拒絶反応した者達を何度も見た来た。それゆえに、はやてはシグナム達の事を素直に全て話すべきか悩んだ。だがシグナム達は、はやてに対し何も言わず首を縦に振った。

それを見たはやては、覚悟を決めた顔をして話始めた。

 

 

はやて「守護騎士って言うのはな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

カズミ「・・・・へ~、主を変えながら旅して歩く「夜天の書」の主を守る守護プログラムね~。ふ~ん、そっか。」

 

はやて「いや「そっか」って・・・・・・感想それだけなの?こっちは結構覚悟して話したのに( ̄  ̄;)」

 

カズミ「それだけって?」

 

 

シグナム達について話したカズミ達の反応をみて驚くはやて達。はやて達は少なくても何人かは拒絶反応を示すと思い覚悟していた。だがカズミ達は「そっか」と言っててあっさりした反応しか反応せず、はやて達は逆に驚いた。

 

 

カズミ「「人間じゃない!」って言われても、今更驚かないわよ。そもそも私らだって「魔女」やし。「光ってしゃべる鳥」やら「幽霊」やら「変身して戦うヒーロー」やら見てきた後やと、「何を今更」って感じしかせえへんて」

 

 

はやて「い、言われてみれば確かに・・・・・。」

 

カズミ「せやろ?だからそんな事でいちいちどうこうしたりせえへん。せやから変に身構えたりせんときや。」

 

はやて「そ、そうだね。」

 

 

カズミの言葉を聞いて、緊張して、力を入れていた体の力を抜くはやて達。そんなはやて達を見て話は終わったと確認した銀子が話の続きをするために話始めた。

 

 

銀子「・・・話がそれちゃったわね。兎に角!27の真の紋章は宿主に不老の力と強大な力与える代わりに、呪いをも与えるわ。」

 

誠也「の、呪い?!」

 

 

呪いという単語に驚き思わず声を上げる誠也。こあもまた、銀子の呪いと言う単語を聞いて、誠也の様に声を上げていないが、驚き戸惑っていた。

 

 

銀子「真の紋章には紋章それぞれに呪いのような物を与えるわ。そのせいで、紋章は常に宿主に対して自分の力を周りに対して影響を与えるよう仕向けるの。もし、紋章の意思に負けたら、あなた達は紋章の力によって世界を破壊する破壊者になってしまう・・・気を付けて。」

 

誠也「世界を破壊する・・・・」

 

こあ「破壊者・・・・」

 

ヴィータ「そ、それって危なくないか?なあ・・・ソレって外せないのか?そんで、使いたい時だけ宿すとか?」

 

銀子「・・・無理よ。紋章を宿した瞬間、紋章は宿主の命と一体となり分けることは不可能。無理に引き剥がそうとすれば、命に穴があいて、そこから生命力が抜けてしまい、最悪、衰弱死してしまうわ。」

 

誠也「・・・・つまり、こいつとずっと付き合っていかなきゃならないのか。」

 

銀子「・・・そうよ。誠也くん、こあちゃん。あなた達の紋章は今まで力を封印されていたみたいだけど、その封印が破られたということは、あなた達が成長して力が増し、封印された紋章に影響を与えるくらいまで大きくなってしまった為に封印が破られたの。もうその紋章を封じる事はできない。だから、これからは二人共紋章の意思と戦っていかなくてはならない・・・覚悟はしていて。」

 

 

 

銀子の「紋章の意思に負けたら世界の破壊者となる。」その言葉を聞き、誠也とこあがまず最初に思った事は、「紋章の力が自分の周りに居る者達にまで及んでしまう!」事だった。

 

 

誠也(俺の紋章が周りに居る人達に危険を及ぼしてしまうかもしれない。なら、俺は・・・・)

 

 

誠也は周りに居る人達を危険に巻き込んでしまうと思い、みんなから離れて一人で居ようと考えた。そんな誠也の肩に銀子がポンと手を置き、誠也に優しく微笑んだ。

 

 

銀子「そんな不安そうな顔をしないの。不安は心にスキマを作り、紋章はそのスキマをついてあなたに力を使わせ暴走しようとするわ。心を強く持って。大丈夫、あなたは一人じゃない。あなたの周りにはあなたを支えてくれる人達が居る。その人達との絆があれば、紋章なんかに負けはしないわ。第一、そんな不安そうな顔ばかりしてると、同じように真の紋章を持っているこあちゃんまで不安になっちゃうでしょう?」

 

誠也「!」

 

 

銀子の言葉を聞いて、ハッとなる誠也。自分ばかり真の紋章の力に対して不安になっていて、自分と同じ様に真の紋章を宿しているこあの事を考えていなかったことに気づき、自己嫌悪に陥った。

 

 

誠也(自分の事ばかり考えて、同じ様に真の紋章を宿しているこあの事を何も・・・・・・こあだって不安なはずなのに・・・なってサイテーなんだ!)

 

銀子「大丈夫だって。あなた達よりも長い間、真の紋章を宿し続けて来た私がいるんだから♪紋章絡みの相談ならなんでも聞いてよ♪」

 

誠也「えっ?・・・・長い間、真の紋章を宿し続けた?!銀子さんが?!」

 

こあ達『?!』

 

 

銀子の突然の告白に驚く一同。

 

 

誠也「・・・えっ?「長い間真の紋章を宿し続けた」って・・・・・もしかして銀子さんも真の紋章持ってるの?!」

 

銀子「ええ。私は「裏の門の紋章」の所持者なの。」

 

こあ「「裏の門の紋章」?あの・・・”裏”ってどういう事です?」

 

銀子「真の紋章の中には、その身を二つに分けて存在している物もあるの。「輝く盾の紋章」と「黒き刃紋章」の紋章の二つに分かれている始まりの紋章や「表の門の紋章」と「裏の門の紋章」の二つに分かれている「門の紋章」そして・・・「天龍の紋章」と「地竜の紋章」の二つに分かれている「竜の紋章」。少なくともこの三つが二つに分かれている真の紋章よ。」

 

 

誠也「なっ!今、「地竜の紋章」って言いましたよね?つまり、俺が宿している「地竜の紋章」は・・・・」

 

銀子「ええ、二つに分かれた「竜の紋章」の片割れよ。」

 

誠也「そうなのか。なら、この世の何処かに俺の「地竜の紋章」と対となる「天龍の紋章」を宿している人がいるんだな・・・・どんなヤツなんだろうな。」

 

 

自分の紋章を長めながら、自分の紋章の対となる「天龍の紋章の宿主」についてどんな人物なのかと思いを巡らせた誠也だったが、その姿はなぜか今日会った財団ⅹの親衛隊隊長であるリュートの姿が思い浮かんだ。

 

 

誠也(・・・・あの人からは”何か”を感じた・・・・まさか・・・ね)

 

 

自分の頭の中に浮かんだある事を頭振って否定した誠也は、次の瞬間,リュートが自分に対して言った言葉。「子供のごっこ遊び」と言われた事を思い出し、憤った。

 

 

誠也(「ごっこ遊び」と言われ、一撃で戦闘不能にされた・・・・情けない!これじゃあ自分の力では何一つ出来ない、守られてたあの頃となんら変わらない!)

 

誠也の脳裏に、かつて自分を守って死んだ人達や、自分の目の前で亡くなった人達の事を思い出し、自分の不甲斐なさに憤るり、そして落ち込んだ。

 

 

こあ「マスター?」

 

誠也「えっ?あ・・・なに?」

 

 

自分の不甲斐なさを嫌になり落ち込んでいる誠也の様子を見て、心配になったこあが声をかけた。

 

こあ「マスター・・・もしかして、先ほどの戦闘の事で?」

 

誠也「え?あ・・・うん。まあね・・・助けに行ったはずなのに結局シノって子は助けられなかったし、財団の親衛隊の隊長って人に一撃でやられて・・・情けないな~って。本当に自分の不甲斐なさに嫌になってくるよ・・・」

 

こあ「マスター「ニヤ~ン♪」って・・・アレ?猫さん?」

 

 

自分の足元にじゃれつく一匹の猫を見つけたこあは、その猫を抱き上げて撫で始めた。

 

 

誠也「あれ?この猫、確か公園でこあが抱いていた猫だよね?こあの猫なの?」

 

こあ「あ、いいえ、違います。この猫さんはシノさんから預かったんです。」

 

誠也「シノって子から預かったのか・・・・」

 

 

自分が助けられなかった魔女の少女の名前を聞いて、誠也はさらに落ち込んだ。「自分がもっとしっかりしていればシノは助けられた。」「もっと上手く立ち回ればシノは助かった。」そう思った誠也は助けられなかった命の事を思い、自分の弱さに憤る誠也。そんな誠也に対して、こあはそっと優しく声をかけた。

 

こあ「マスター、そう、自分を責めないでください。確かにシノさんを助けられなかったのは悲しいです。でも・・・そのことで必要以上に自分を責めないでください!」

 

誠也「こあ?」

 

こあ「それにマスターは不甲斐なくなんてありません!マスターは私とこの子を助けてくれてんですよ。」

 

抱き上げた猫を優しく撫でながら言うこあ。

 

こあ「マスターがあの時、戦ってくれたから私もこの子も今ここにいられるんです。ですから、自分の事をあまり責めないでください。」

 

誠也「こあ・・・わかったよ。」

 

こあ「わかってっくれればいいんです。」

 

 

誠也が返事をした事に対して、笑顔で返事をするこあ。

 

誠也「こあ・・・ありがとう。」

 

こあ「!?・・はい♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誠也達が先程まで戦っていた湖の公園。

誠也達の戦闘のせいで小屋が破壊されて、湖の真ん中にある小島が消滅し、地面のいたる所がえぐれていた。今現在その場所は、騒ぎを見た通行人が知らせた警察が封鎖していた。

その封鎖している警察を少し離れた場所から眺めている銀色の髪の少女が居た。

 

 

少女「・・・どうです?」

 

 

周りに人がいない状態なのに、まるで誰かに語りかけるように話す少女。他の人が見れば、その語りかけた言葉に誰も答えないと思うだろう。

だがその言葉に、まるで内側から発するような声がそれに応えた。

 

 

???『・・・・かすかにだが、”彼女”の念の残留思念を感じる。やはりあの光の柱に彼女が関わっていると見て間違いないようだな。』

 

少女「・・・そうですか。」

 

 

少女は自分の内側から発せられた声に驚きもせず、落ち着いた態度でそれに応えた。

 

 

???『・・・それにしても、“彼女”までもがこの世界に来てるとは・・・何故?』

 

 

“彼女”がこの世界に来ていることに関して思考しようとした矢先、それは頭の中に直接響いてくる別の声によって中断された。

 

 

???(それは、この世界に来ている”ヤツ”は、“彼女”にとって最後の同胞だからだ)

 

 

???『この声は!?』

 

 

突如響いてきた声に対して、少女の中に居る声の主は聞き覚えがあるかの反応を示し、少女は突如自分の側に現れた人の気配に反応し、気配のした方向へと振り向いた。

 

 

アルコル『久しぶりだね、“二人共”』

 

 

少女が振り向いた方向、そこには白髪の人物、アルコルが立っていた。

 

 

少女「・・・アルコル。貴方も来ていたのですね。」

 

アルコル『ああ。僕の中に居る“彼”にせっつかれてね。まあ僕自身も久しぶりに感じた真の紋章の力に興味があったからね。』

 

 

軽い挨拶をしながら少女に近づいて行くアルコル。そんなアルコルの内側に居るであろう人物に対して、少女の中に居る”彼”は話しかけた。

 

 

???『“ヤツ”が“彼女”の最後の同胞だからとは、どういう事なんだ?なぜそれが彼女がこの世界に来た理由になる?』

 

???(忘れたのか?αの世界での最後の戦いの時の事を。彼女は倒れる寸前の“ヤツ”に対して手を差し伸べようとしたんだぞ。この世界に来たのも、おそらく“ヤツ”を止めるために来たのだろう)

 

???『そう・・・だったな。そんな彼女なら、”ヤツ”を止めるためにこの世界に来ても不思議じゃないな。しかし、だとすると・・・彼女の念の残留があった場所で真の紋章の反応があったのは偶然ではないのだろうな』

 

アルコル『たぶん、そうだろうね。もしかしたら君達の言う“彼女”も君たちみたいに他の人の体に間借りしていて、その体の持ち主が真の紋章の持ち主なのかもしれないね。しかも反応があった2つの真の紋章の反応のウチ、1つは「女神の紋章」だ。“彼女”・・・女性であるナシムとは相性が良いはずだ。』

 

 

自分の内側に居る人物と少女の中に居る人物との会話を聞き、自分の考えていた事を言うアルコル。そんな彼らに対して、再び何者かが声をかけた。

 

 

???「・・・君の考えは正しい。ナシムがこの世界での器として選んだ「マシアフ」は「女神の紋章」の所持者だよ。」

 

 

少女「何者です!」

 

 

突如聞こえてきた声に反応し、少女とアルコルは二人揃って声のした方向に振り向いた。そこには全身が隠れるクロークに近い黒衣を纏った黒髪の人物が立っていた。

 

 

???(・・・放浪者。まさかお前までもがこの世界に来ているとはな。「太極の結界」が張ってあるこの宇宙・・・この世界によく来れたな。)

 

 

黒衣の男「来るに決まっている。以前奪いそこねた二つの「スフィア」がこの宇宙にあるんだ。どんな手を使ってでも来るさ。最もこの世界に張ってある対御使い用の「太極の結界」を抜ける為にした無茶と、「太極の結界」の効果のせいで、僕の機体は本来の力と姿をなくしてしまったけどね。君達二人の機体と同じようにね・・・・・「因果律の番人」。」

 

 

???(なるほど。つまりお前も私達の機体と同じように、機体が本来の姿と力を無くしているというわけか。)

 

黒衣の男「ああ。最も、そのおかげで思わぬ良い拾い物をしたんだけどね。」

 

 

黒衣の男は二人に対して自分の右手の甲を見せ、そこにある物を見せた。

 

 

少女「?!そ、それは真の紋章である「罰の紋章」!」

 

 

黒衣の男の右手の甲に宿っている黒い渦の形をした紋章・罰の紋章を見て少女は叫んだ。

 

 

黒衣の男「ふふふ・・・スフィアを追って、まさかこの世界で作られた「もう一つの太極」の欠けらである「真の紋章」を手に入れることが出来るなんて、これはまさに僥倖だよ。この力を使えば無くなった機体の力も充分に補えるし、うまくすれば他の紋章をて入れられ「そう簡単に行くかな、呪われた放浪者よ!」っ・・・誰だ!!」

 

 

新たに現れた人物の声を聞き、その人物のいる方へと振り向く黒衣の男。

 

 

リュート「先ほどまでに居た場所から真の紋章の反応がしたと思い、戻ってきてみれば・・・まさか「罰の紋章」を宿した君がいるとはね。呪われし放浪者。」

 

 

黒衣の人物に声をかけた人物。それは先程、誠也を一撃で戦闘不能にした赤髪の仮面の男。財団X親衛隊隊長リュートであった。

 

 

リュート「まさか、罰の紋章をこんな所で見つけることができるなんてね。真の紋章はこの世界の物。異世界の・・・御使いの属する世界の人物である君に持たせるわけにはいかない。大人しく渡してもらおうか。」

 

黒衣の男「それは出来ないね。この力は、僕がこの世界でスフィアを探す為にも必要な物だ。渡すわけにはいかない!」

 

リュート「・・・そうか。残念だよ・・・なら!力ずくでも渡してもらおうか!呪われし放浪者・アサキム・ドーウィン!」

 

 

リュートは自分の右手の甲に宿っている“真の紋章”の力を開放するべく、右手をかかげようとした。

 

 

アサキム「・・・今君とここで戦うつもりはないよ。だから・・・ここは引かせてもらうよ!待たせてある人物達も居ることだしね!「コール・シュロウガ!」」

 

 

黒衣の男、アサキムは自分の右腕にはめられている、黒い翼の彫刻の入った腕はに静かに叫ぶと、アサキムの体を漆黒の装甲が覆い、彼の姿は彼の搭乗機であるシュロウガの姿へと変わった。

 

 

少女「なっ!」

 

アルコル「アレは?!」

 

リュート「アサキム・ドーウィンの搭乗機・シュロウガ!」

 

 

リュート達三人の目の前で、シュロウガの姿になったアサキムは、上空へと一瞬で飛び上がると、まるで疾風のような速さでその場を去った。

 

 

リュート「逃がすものか!」

 

 

リュートは飛び去ったアサキムの後を追うように、魔力で飛んでその場を後にした。

 

 

少女「・・・・行ってしまいましたね。」

 

アルコル「・・・追わなくていいのかい?」

 

???(あのスピードには追いつけん。追っても無駄だ。それよりも、飛び上がったアイツ等に気づいた向こうにいる警官達がこちらに来るぞ。面倒なことになる前に逃げるぞ)

 

アルコル「確かに、面倒なことになる前に逃げよう。」

 

少女「そうですね。警察沙汰はわたくしもまずいですし、この場は引き上げましょう。」

 

アルコル「そうだね。それじゃあまたね高音(たかね)

 

 

少女、四条高音(しじょうたかね)に挨拶した次の瞬間姿を消すアルコル。それを見た高音自身も足早にその場を後にした。

 

 

高音(真の紋章が立て続けに現れた・・・・コレは何かの前触れなのでしょうか?)

 

 

立て続けに現れた真の紋章やアサキム達の姿を見て、胸の中に言い知れない不安が現れるのを感じながら、高音は人目を避けるようにして公園を後にしたそんな彼女たの姿を、近くの草陰から見ている小さな白い影があった。

 

???『真の紋章の反応があったから見に来てみれば、まさか「放浪者」と「因果律の番人」達を見ることになるとはね。今まで行方が分からなかった「女神の紋章」が現れて、「因果律の番人」と「放浪者」が現れる。しかも「放浪者」は「罰の紋章」を宿しているなんて・・・何かの前触れなのかな?」

 

 

白く小さな影は先ほどまで目の前で見ていた事に対して思考し、考え込んだ。彼らの存在が自分の使命にどう影響するのか。「放浪者」の持っている「罰の紋章」を奪えないかどうかを思案した。

 

 

???「・・・・・・いずれにしても、僕のやる事に対して障害になるやもしれないね。用心のために対彼ら用のために強力な魔法少女を用意しないと・・・・となると、候補は二人。「鹿目まどか」と、そしてもう一人・・・「翼人」の生まれ変わりである彼女だね。さっそくスカウトのするための準備に入るとしよう。」

 

 

そう言って、白い小さな影はその場を後にした。自分を見ていた視線に気づかずに。

 

 

???『・・・インキュベーターの存在を確認。それと、財団Ⅹの関係者と謎の人物と「アルコル」の接触も確認しました。これは大至急長官や隊長達にお知らせしなくては。」

 

 

リュート達やインキュベーターが居た地点から少し離れた所に停めてある無人のパトカーからする声は、先ほどまでの会話をリュート達に気づかれずに記録をしており、その記録を持ち帰ると口にした。

無人のパトカーは誰も乗せていないにもかかわらず、ひとりでに動き出すと、その場を走り去って行った。

 

 

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

四条高音(しじょうたかね)(アイドルマスター)

 

アサキム・ドーウィン(スーパーロボット大戦シリーズ(スーパーロボット大戦zシリーズ))

 



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おまけコーナーEX

どうも、剣 流星です。
今回は拡大版のおまけコーナーです。


織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

織・みた・シロ「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「は~い皆さん、お久しぶり!はたがみ織姫で~す!」

 

みたま「お久しぶり!門田みたまだよ~♪」

 

シロ吉「シロ吉っス!久しぶりっス!」

 

みたま「いや~、年が明けてから、ホント、久しぶりの「おまけコーナー」ね。」

 

織姫「本当だね。年が明けてから今までなかったから、忘れ去られたんじゃないかって心配してたよ(;^_^」

 

シロ吉「確かにそうっスね。でも!今回はそんな、今まで無かった分を取り返す意味合いも含めての拡大版のおまけコーナーっスよ!張り切っていくッス!!」

 

みたま「それじゃ早速、今回の補足について。え~と・・・・なんだったっけ?」

 

織姫「忘れないでよ、たまちゃ~ん!今回の補足は「真の紋章」についてだよ。」

 

みたま「あ、そうそう、それそれ。」

 

織姫「忘れちゃだめだよ~」

 

みたま「ごめんごめん。それじゃあさっそく補足いってみようか。」

 

織姫「そうだね。読者のみなさんの中には突然出てきた「真の紋章」について「コレなんなの?」って思っている人も多いと思います。」

 

みたま「27の真の紋章は作者が好きな「スーパーロボット大戦Zシリーズ」に出てくる「スフィア」に当たる物として作者が出したものなのよ。」

 

シロ吉「でも、確か元々は別の作品のキーアイテム的な物じゃなかったっすか?」

 

みたま「よく知ってるわねシロ。実はその通り!元々は作者が気に入っていたコナミのRPGの「幻想水滸伝シリーズ」に出てた物なのよね。」

 

織姫「「幻想水滸伝シリーズ」はコナミが出したRPGで、1~5まで作られてます。」

 

みたま「確か中国の四大奇書のひとつ『水滸伝』をモチーフにしているんだったよね。」

 

織姫「そうそう。東洋・西洋の文化が交じり合った独特の世界観や108人の仲間集めや、独特な魔法システムである「紋章」、そして全作品を通して語られている世界を司っていると言われている「27の真の紋章」の謎が徐々に明らかにされたり、その他にも色々な魅力が多数含まれたRPGなのよね。」

 

シロ吉「へ~、なんか面白そうっすね。でも・・・最近このシリーズの新作の話、聞いてないっスね。」

 

織姫「うっ!痛い所ついてっくるね(;^_^A)」

 

みたま「作者も続編待ってるみたいなんだけど、ナンバーリングの続編いまだに出ないな~って言ってるんだよね~」

 

シロ吉「続編出てない?それじゃあ作品通して出ている真の紋章の謎って・・・」

 

みたま「うん、ぶっちゃけ今だに謎のまま。真の紋章も全部は出てないんだよね~」

 

シロ吉「あれ?でもこのお話の本編では全部名前が出てるっスよ?」

 

織姫「あ、それはね、現在判明している18個の真の紋章以外の物は、作者さんが作ったオリジナルの真の紋章なんですって。」

 

シロ吉「あ、そうなんすか。」

 

みたま「この後、原作の幻想水滸伝シリーズで判明している真の紋章の一覧と軽い説明、そして現在の所在情報。そして次に作者が考えたオリジナルの真の紋章の一覧とその説明と所在情報を載せるね。」

 

織姫・みたま・シロ「「「それではどうぞ~♪」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

円の紋章・・・「秩序」と「停滞」を司る紋章です。幻想水滸伝シリーズではハルモニアの神官長ヒクサクが宿してました。この作品では未確認の情報で、時空管理局の中枢にいる人物の誰かが宿しているとか。

 

 

 

獣の紋章・・・「殺戮」と「激昂」を司る紋章です。幻想水滸伝シリーズではハイランド公国が所持していて、人間をこの紋章に生け贄として捧げると世界を破壊する化身となる厄介な紋章。「2」のラストでは具現化してラスボスとして「2」の主人公が戦いました。この作品では、古代ベルカ時代の王の一人である獣王が宿していたそうなのですが、獣王の死後とある世界に封印されていたらしいです。噂ではその封印が現地の人間に破られて、行方不明になっているだとか。

 

 

 

真なる火の紋章・・・紋章魔法の火系統の紋章の元とされている紋章で、幻想水滸伝シリーズでは「3」に出てきて、炎の運び手のリーダーが宿していて、それを引き継いだ「3」の主人公の一人、漫画版ではヒューゴが宿していました。この作品では行方不明で、噂では魔女を作り出す白い獣が「真の紋章」を回収しまわっていて、その白い獣が回収しているとか。

 

 

 

真なる水の紋章・・・紋章魔法の水系統の紋章の元とされている紋章で、回復に長けています。幻想水滸伝シリーズでは炎の運び手の一人であるワイアット(シンバ)が宿してましたが、「3」の主人公の一人、漫画版ではクリスが宿してました。この作品では、とある世界の雪と氷に閉ざされた魔法王国の女王が宿しているとか。

 

 

 

真なる雷の紋章・・・紋章魔法の雷系統の紋章の元とされている紋章で、幻想水滸伝シリーズでは「3」の、かつては炎の英雄の補佐をしていたゲドが宿していた物です。この作品では古代ベルカの王の一人である「雷帝」が宿していて、今現在では財団Ⅹの親衛隊の隊員の一人が宿しているとか。

 

 

 

真なる風の紋章・・・紋章魔法の風系統の紋章の元とされている紋章で、幻想水滸伝シリーズでは、「1」「2」「3」に出ていた、レックナートの弟子のルックが宿してましたが、「3」のラストでルックが死亡して行方不明になってます。この作品では、日本のとある神社に祭られている二柱の神が管理していましたが、今現在、とある事情で、ある少女が宿しているとか。

 

 

 

真なる土の紋章・・・紋章魔法の土系統の紋章の元とされている紋章で、幻想水滸伝シリーズでは「2」「3」に登場していたハルモニアの神官将ササライが宿してました。この作品では行方不明で、魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

生と死を司る紋章(ソウルイーター)・・・名前のとおり「生」と「死」を司る紋章。宿主と親しい者の魂を喰らい、宿主の思惑とは関係なく戦乱を巻き起こす呪いを持つ。継承は継承者の意思で行われる。幻想水滸伝シリーズでは「1」の主人公である解放軍のリーダーが宿しています。この作品では、古代ベルカ時代の王の一人「冥王」が宿していたが、今現在は魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

太陽の紋章・・・「正義」と「再生」を司る紋章。幻想水滸伝シリーズでは、「5」のファレナ女王国に代々受け継がれていた物で「夜の紋章」と対となる存在として生まれたが、「夜の紋章」に疎まれ、剣となった「夜の紋章」に絆を断ち切られている。この時、切られた絆の残滓から「太陽の紋章」を支える2つの紋「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」が生まれたとされる。「太陽の紋章」は真の紋章の中でも比較的強大な力を持つ紋章で、感情を制御できなくなる呪いもつ。本来は「夜の紋章」がバランスを執る役割を持つが、絆が断ち切られてからは「黎明の紋章」と「黄昏の紋章」がそれぞれ制御と沈静の役割を担っている。この作品では、古代ベルカの時代の王の一人が所持していましたが、その王が死亡した後行方不明になっています。噂では魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

月の紋章・・・「幻惑」と「狂気」を司る紋章。幻想水滸伝シリーズでは、「2」のシエラ・ミケーネが所持していました。この作品ではとある世界のヴァンパイアの最後の王の妻が宿していたとかいないとか?

 

 

 

覇王の紋章・・・「威圧」と「孤独」を司る紋章であらゆる紋章の力を封印する力があります。幻想水滸伝シリーズでは赤月帝国初代皇帝クラナッハ・ルーグナーが、ハルモニアから独立して建国する際に入手。以後、ルーグナー家が代々竜王剣に宿して継承してました。が「1」で赤月帝国の最後の皇帝であるバルバロッサ共々行方不明に。この作品では、かつて古代ベルカの「覇王」が宿していたとか。

 

 

 

始まりの紋章(輝く盾の紋章)(黒き刃の紋章)・・・「闘争」と「和睦」を司る紋章。創生の物語で生まれた「剣」と「盾」の兄弟に由来する。本来は1つの状態で真の紋章に数えられるが、「輝く盾の紋章」と「黒き刃の紋章」の二つに分かれている時は、創生の物語に倣い、近しい2人が宿して争う事になる。また、2つに分かれてた状態では不老とならず、徐々に宿主の命を削る呪いを持つが、紋章に認められた場合は分かれた状態であっても呪いをうけることはなくなる。幻想水滸伝シリーズでは「2」の主人公とジョウイが宿してました。この作品では、魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

罰の紋章・・・「償い」と「許し」を司る紋章。使用するたびに宿主の命をじわじわと削る呪いを持っているが、償いの期間が終わり、許しの期間に入ると呪いを受けることはなくなる。また、紋章には過去の宿主の記憶が残されている。宿主が死亡した際に、近くにいる者の中から継承者が選定される。幻想水滸伝シリーズでは「4」の主人公が宿してました。この作品ではアサキムが偶然手に入れてます。

 

 

 

門の紋章・・・表と裏に別れている紋章で、異世界との門を開く紋章。幻想水滸伝シリーズでは門の一族が代々守っていたが、ハルモニアの侵攻により一族が虐殺された時、生き残ったウィンディとレックナートがそれぞれ「表」・「裏」の「門の紋章」を継承している。「門の紋章」は表裏の片方のみで不老となる。赤月帝国滅亡(幻想水滸伝Ⅰ)時にウィンディと共に表の紋章が行方不明となっていて、「裏」の紋章はレックナートが宿し続けてました。「門の紋章」は表裏の片方のみで不老となる。この作品では、「表」の紋章はとある妖怪が宿していて、裏は銀子が宿しています。

 

 

 

夜の紋章・・・「支配」と「休眠」を司る紋章。「太陽の紋章」と一対をなす存在として生まれたが、「太陽の紋章」の輝きを疎ましく思い、剣となってその絆を断ち切ってどこかへと去ったとされる。それ以来「星辰剣」として存在しており、「月の紋章」の影響下にある吸血鬼を倒す事が出来る唯一の手段であるとされている。意志を持つとされる紋章の中で唯一人との会話が可能である。幻想水滸伝シリーズでは、「1」「2」ではビクトールが「3」ではエッジが所持していました。この作品では古代ベルカの時代に初代「夜天の王」の主が所持してましたが、現代では財団Ⅹがこれを回収して所持してます。

 

 

 

竜の紋章・・・異世界に住む竜を現界させる紋章。紋章の力がなければ全ての竜が死んでしまうため、代々竜洞騎士団団長が宿して守り続けてます。この作品では「竜」と「龍」を束ねる紋章で、かつて古代ベルカの時代の「竜王」が宿していたとか。今現在は、「天龍の紋章」と「地竜の紋章」の二つに分かれており、そのうちの一つは主人公である誠也が宿しており、「天龍の紋章」は財団Ⅹが回収しているとか。なお、「竜の紋章」が「天龍の紋章」と「地竜の紋章」に分かれている設定は、この作品のオリジナル設定です。

 

 

 

八房の紋章・・・効果不明の紋章で幻想水滸伝シリーズでは、設定でユーバが宿しているとされる紋章。この作品では時空管理局の特殊部隊の隊員が宿しているとか。

 

 

 

変化の紋章・・・「変革」を司る紋章。幻想水滸伝シリーズでは、シンダル族が所有していたとされる。宿主は定住する事が出来ない呪いを持つ為、シンダル族は各地を転々としていたらしい。この作品では行方不明であるが、紋章の性質を考えれば所持者がある程度絞れそうな?

 

 

 

 

 

 

 

 

織姫「いかがだったでしょうか?以上が原作の「幻想水滸伝シリーズ」に出てきた「真の紋章」です。」

 

みたま「次からは作者が考えたオリジナルの「真の紋章」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光輝(ひかり)の紋章・・・「希望」と「勇気」を司る紋章。27の真の紋章のコントロールを司っているとされており、他の紋章とはワンランク上の力があるとされる。宿した者は、否応なく戦いを収める戦いに巻き込まれる呪いを持つ。戦いを収めた者の多くが宿していた為、別名「英雄の紋章」とも呼ばれる。かつて古代ベルカの時代の王の一人「竜王」が剣に宿して使用していたとか。

 

 

 

女神の紋章・・・「慈愛」と「守護」を司る紋章。宿す者は、女性限定とされる紋章である。その性質から、「光輝(ひかり)の紋章」を宿した者を側で支える女性が多く宿している。古代ベルカの時代、「竜王」を側で支え続けた「天王」が宿していたとか。今現在は「こあ」が宿しています。

 

 

 

歌詩(うた)の紋章・・・「歌」と「音楽」を司る紋章で、音の紋章やドレミの紋章はこれの眷属である。かつて時空管理局の最高評議会が密かに行っていた非合法な研究で生み出された人工生命が宿していましたが、その人工生命体が逃げ出して行方不明。噂では、その人工生命体の娘が宿しているとか。

 

 

 

精霊の紋章・・・「精霊」や「妖精」を束ねる力がある紋章です。以前はとある世界の「精霊の主」と呼ばれた者が宿していましたが、今現在は魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

知識の紋章・・・「知恵」と「知識」を司っている紋章で、宿主が紋章に認められると、宿主に無限の知識「アカシックレコード」にアクセスする力を与えるとされる。現在は行方不明とされているが?

 

 

 

時空の紋章・・・「時」と「空間」を司っており、紋章が真の力に目覚めると「壁を超越しての次元移動(次元の壁を飛び越え、別次元の世界への行き来が出来る事)」と、また、時間を飛び越えて、過去や未来、平行世界にまで行けるようにもなる。あらゆる世界に転移しまくるはた迷惑な剣「ソウルエッジ」がこれを内包しているとか。

 

 

 

魔王の紋章・・・、「破壊」と「発展」を司る紋章。世界が停滞した時に世界を破壊する事により新たな文明の発展を促すために生み出された物で、自ら主に相応しいと思う者に移り続ける紋章。魔女を作り出す白い獣が回収しているとか。

 

 

 

世界樹の紋章・・・樹木をはじめとした植物を司る紋章です。昔は「生命の樹」と呼ばれる物と一緒に「月の民」が独占していたが、「月面戦争」と言われた戦いで、「命の樹」と共に行方不明に。

 

 

 

無の紋章・・・文字通り無を司っている紋章。詳細は一切分かっていない謎の紋章です。

 

 

 

 

 

 

織姫「以上、全27の真の紋章でした。」

 

みたま「27の紋章がどんな物かお分かりいただけましたでしょうか?」

 

シロ吉「この作品ではどんな人物がどの紋章を宿すのか?一覧表の文書をヒントに予想してみるのも一興っスよ!」

 

織姫「さて、ちょっと長くなしましたけど、今回はここまでで。」

 

みたま「それではみなさん!」

 

織姫・みた・シロ「「「まったね~♪」」」

 

 

 

織姫「さ~て、おまけコーナーも終わったことだし、おまけコーナーEX掲載を記念して送られた贈り物のケーキ(※差出人シャマルの字が書かれてます)をみんなで食べましょう♪」

 

みたま「えっ?贈り物のケーキって・・・・うわっ!ホールのケーキ丸ごと一個だ!おいしそう~♪(※差出人シャマルの字が見えてません)」

 

シロ吉「ケーキなんて久しぶりっス!早く切って食べるッス!(※同じく差出人の名前が見えてません)」

 

織姫「ちょっと待ってね、今切って・・・と、さあ切れた♪早速食べましょう♪(※同じく差出人・・・以下同文)

 

織姫・みた・シロ「「「いっただっきま~す♪」」」

 

 

 

・・・・・このあと二柱と一匹は仲良く森ノ宮神療所送りになりました。(合掌)

 

 

 

 

 

 

 

 



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人物紹介4

どうも、剣 流星です。
ゴールデンウィーク中急に気温が上がって押入れの中から夏物の服を慌てて出しました。まだ五月の頭なのに30度近くあるって・・・・今年の夏も暑くなりそうだな~
それはさておき、今回は人物紹介4です。ではどうぞ~


 

こあ(小悪魔)

 

原作(東方project)

 

幻想郷の紅魔館に図書館の主パチュリー・ノーレッジに仕えていた小悪魔の女の子。転移魔法の実験中の事故により、幻想郷の外の世界に記憶を無くして転移した。魔力切れで消滅しかかっていた所を、誠也と契約することにより免れる。実は幼少期の頃、謎の剣の転移に巻き込まれて、異世界(エミルクロニクルの世界)に転移してしまい、そこで魔力切れで消滅しそうになっていた。その時、小悪魔と仮契約をして助けたのが異世界を巡る旅をしていた誠也である。その後誠也達の協力で元のいた世界に帰してもらい、それ以後、誠也の事をとても大切な人だと思っている。真の紋章の一つである「女神の紋章」と呼ばれる、とても強い力を秘めた紋章を左胸に宿している。

 

 

 

初音未来(はつねミク)(初音ミク)

 

原作(VOCALOID)

 

誠也達が通っている白城学園の高等部2年生で、誠也の義姉である悠菜が所属している合唱部にも入っている。

歌がとても上手く、かつて同じように合唱部に入っていた千早も認める程である。両親は事故で他界しており、今は遠羽市に併合された旧ゲキド街で、妹2人、美来(ミク)こと「ちびミク」と美空(ミク)こと「ぷちミク」、そして母親の遠縁の親戚にあたる始音海斗(しおんカイト)(KAITO)と共に暮らしている。合唱部の部長に密かに想いをよせている。

 

 

 

 

 

初音美空(はつねミク)(ぷちミク)

 

原作(VOCALOID)

 

ミクの妹の一人。天真爛漫でとても優しい子で、回りの人達に良く可愛がられている。

両親が居ないせいで、よく寂しい思いをしているが、二人の姉に心配をかけないようにしようと、我慢していることが時々ある。

同じゲキド街に住んでいる巡音瑠華(めぐりねルカ)によく遊んでもらっているため懐いている。

最近は鳴海壮の管理人をしている「あやめ」の手伝いをよくしている。

 

 

 

 

 

鏡音連(かがみねレン)(鏡音レン)

 

原作(VOCALOID)

 

旧ゲキド街に住んでいる誠也のクラスメイト。合唱部に入っており、同じ合唱部で家も近所である初音姉妹とは幼馴染。両親は事故で他界しており、今現在は父親の遠縁の親戚と言われている咲音芽衣子(さくねメイコ)と双子の姉である鏡音鈴(かがみねリン)と一緒に暮らしている。若さゆえなのか、時々それが暴走してしまい、その度に幼馴染であるミクやリンお仕置きをされている。

 

 

 

 

 

 

モモタロス

 

原作(仮面ライダー電王)

 

仮面ライダー電王である野上 良太郎(のがみ りょうたろう)に協力しているイマジンの一人。かつて誠也が異世界を旅した時に出会ったため、誠也とは知り合い。良太郎の元に現れたアルコルから誠也達の力になってほしいと言われ、その頼みを聞いた良太郎の頼みで、誠也達の世界へ来た。その際、電王の素質がある村上良太に憑依し、誠也達の世界でも仮面ライダー電王になれるようになった。

性格は短気かつ好戦的で粗野。言動行動共にチンピラそのもの。だが、人情味に溢れ涙脆く、日頃口汚く罵っている相手に対しても彼なりに愛情を持っている。また、良識もある程度は弁えており、周囲を巻き込む戦い方はしないなど責任感とポリシーを強く持っていて、単純で憎めない性格。決め台詞は「俺、参上!」や「俺は最初から(最後まで)クライマックスだぜ!」等で、特にクライマックスという言葉は気に入っている。

 

 

 

 

アサキム・ドーウィン

 

原作(スーパーロボット大戦シリーズ)

 

自分にかけられた不死の呪いを解くために、太極の欠けらである「スフィア」を探すために平行世界をさすらう黒衣の男。誠也達の世界に来たのも、以前取り逃がした二つのスフィアがこの世界に流れ着いたためである。

この世界に来た時、偶然手に入れたこの世界で作られたもう一つの太極の欠けらである「27の真の紋章」の一つ「罰の紋章」を所持している。スフィアを手に入れるためか、最近はある組織に協力している。ちなみにこのアサキムは、初登場作品である「スーパーロボット大戦Z」以前のアサキムと言う設定である。

 

 

 

 

 

 

 

四条高音(しじょうたかね)

 

原作(アイドルマスター)

 

961プロに所属するに所属するアイドルの一人で、銀色に輝く美しく艶やかなウェービーロングヘアが特徴と、旺盛な食欲の持ち主で、時代かかった話し方をする。自分の内側にいる“ナニカ”と時々話しているが、その正体は?

 

 

 

 

 

 

 

パルス・アベル

 

原作(勇者王ガオガイガーシリーズ)

 

財団Ⅹの「フリーエージェント」と呼ばれる役職に就いている者の一人にして、ソール11遊星主のリーダー格だった者で、三重連太陽系のひとつ赤の星の指導者「アベル」を基に作られたプログラム。少女のような容姿だが、性別不明。性格は冷酷非情で目的遂行を優先し手段は選ばない。この性格がオリジナルからなのか、プログラム故かは不明。サイコキネシス能力を有している。かつては外套を広げると多数の重火器が現れる能力を持っていたが、今現在はその能力は持っていない。以前は外套を纏っただけの服装だったが、今は財団Ⅹの白の制服を着ている。レプリ地球であったGGGとの戦いで滅びたはずであったが、なぜ生きているのかは今現在、その理由は不明。

 

 

 

 

 

シド

 

原作(仮面ライダー鎧武)

 

仮面ライダー鎧武の世界にあるユグドラシルの人間で、錠前ディーラーをやっていた男で、今現在は財団Ⅹの「フリーエージェント」と言う物をやっている。皮肉げな言動が目立つ軽薄な態度を取る、非常に狡猾かつ卑小な男で、侮った相手に牙を剥かれた時には激しやすく、後々その相手に対し恨みを募らせ続ける執念深い一面も見せる。白いオーバーロード、ロシュオの念力で壁に押し潰され、敢え無い死んだはずであるが、なぜ生きているのか理由は不明。

 

 

 

 

 

 

 

ゾルフ・J・キンブリー

 

原作(鋼の錬金術士)

 

「紅蓮」の二つ名を持つ国家錬金術師。白いスーツとコート、帽子を愛用する総髪・吊り目の男。普段は紳士然として慇懃な言動の人物だが、本性は殺人に美意識を見出すサイコパス。しかし単なる快楽殺人鬼というわけではなく、自らが殺した相手を記憶するなど殺人に関して独自の理念を持つ。同時に「意志を貫く人は好き」として、自分の行動理念に従って生きる人物には敵や殺す対象でも敬意を払う。原作でホムンクルスのプライドに取り込まれ、その肉体の崩壊に巻き込まれて消滅したはずであったが、なぜ生きているのかは現段階では不明である。

 



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番外編1 誠也の料理教室 前編

どうも、剣 流星です。

今回のお話は、ふと思いついて書いた番外編です。

では番外編をどうぞ


 

 

小鳥「誠也さん!私をお料理教室に入れてください!!」

 

誠也「・・・・・・・へ?」

 

こあ「・・・・・・え?」

 

 

ある日のラボ。普段会議などで使われている大テーブルの席に座って、カナリアがまとめた財団Ⅹの資料を読んでいた誠也と、誠也のために入れてきた紅茶を手に持って立っていたこあに対して、突然部屋に入ってきた小鳥が一言さけんだ。誠也とこあはその突然の一言が一瞬理解できず、部屋に入ってきた小鳥を呆然と見ていた。

 

 

こあ「料理教室・・・・・・ですか?」

 

 

誠也の側で、資料を読んでいる誠也のために入れてきた紅茶とティーカップ一式をテーブルに置きながら、こあは小鳥の一言である「料理教室」と言う単語に反応して答えた。

 

 

誠也「あの・・・ひょっとして、その料理教室って俺が月に一度開いている料理教室の事ですか?」

 

こあ「え?マスター、お料理教室なんてやっているんですか?」

 

誠也「あ、ああ・・・月に一度ね。一般的な調理方法からグルメ食材を調理するための方法、人によっては“食義”なんかも教えているけどね。で、その料理教室で料理を教わりたいんですか?なんでまた急に?」

 

小鳥「急にじゃないです!以前誠也さんのお料理を食べさせてもらった時から、誠也さんのお料理をもっと食べたい・・・・じゃなくて、私もお料理ができるようになりたいと思って!」

 

誠也「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ~、またか・・・」

 

 

小鳥の言葉を聞いた誠也は、しばらく押し黙ると深いため息をはいた。

 

 

こあ「“また”って・・・どう言う事です?」

 

 

誠也の深いため息の後の「また」という言葉についてこあは質問した。

 

 

誠也「去年、おりひめ様に10月に出雲でおこなわれている会合の時に出すお料理を作って欲しいって頼まれて、それを引き受けて出雲まで行って料理を作った事があってね。」

 

 

こあ「え?10月に出雲でおこなわれている会合って・・・もしかして10月のもう一つの呼び名である神無月の名前の由来になったって言う、この国の神様の集まりの事ですか?!」

 

 

こあは自分の主である誠也が、この国の神々に料理をふるった事があるという事実に驚き声を上げた。

 

誠也「うん。それで、そのとき俺の料理を食べた神様達が、えらく俺の料理が気に入ったらしくて、また食べる為に料理教室に殺到したんだ。」

 

 

こあ「神々が・・・殺到してきたって・・・それはまたすごいですね・・・・」

 

 

誠也の言葉を聞いて、こあはその時の状況を想像して顔を引きつらせた。

 

 

誠也「あの時は本当に大変だったよ・・・小鳥さん、あなたの目的はあの時の神様達と同じで、料理教室内で開かれている俺と霞の料理バトルの審査員になって、おいしい料理を食べる事でしょう?」

 

小鳥「(ギクッ!)えっ?あ、いや・・・・・そ、そんな訳ないじゃないですか~、やだな~ははははっ~♪(乾いた笑い)」

 

 

誠也の言葉を聞いた瞬間、目を泳がせながら誠也の言葉を否定する小鳥。

 

 

こあ「料理バトル?お料理教室なのに料理バトルなんてするんですか?」

 

誠也「ああ。俺が今現在料理を教えている人達の中で、料理の腕前が一番なのは霞なんだ。で、その霞の料理の腕前を見るために料理バトルをしてるんだけど、その時、料理の審査員をやるのが料理教室に来ている人達なんだ。」

 

こあ「ああ、じゃあその料理バトルで出される料理が目当てで料理教室に・・・・」

 

誠也「そう、入ろうとしてるって事。」

 

こあ「そう言う事ですか。なるほど・・・・まあ、仕方ないですよね。マスターはこの世界で唯一“食義”をマスターした人なんですもん。その料理が美味しいくて、もっと食べたいと思う人が居ても仕方ないですよね。」

 

誠也「まあね。」

 

 

こあの言葉に肩をすくませて若干あきれたような感じで返事をする誠也。

 

 

小鳥「あの~、やっぱり・・・ダメですかね?」

 

 

恐る恐ると誠也の顔をうかがいながら、バツが悪そうな顔をでうかがう小鳥。そんな小鳥の様子を見て、誠也は少し考え込んだ後、「はぁ~」と短いタメ息を吐いて小鳥に対して返事をした。

 

 

誠也「まあいいか・・・・分かりました。明日、料理教室があるんで、さっそく出てください。」

 

小鳥「ええ!良いの?!あ、ありがとう誠也君!!」

 

 

誠也にokの返事をもらった小鳥は、お礼を言った後、上機嫌で部屋を出て行った。

 

 

こあ「・・・・・良いんですか?ok出して。その・・・・」

 

 

こあは明らかに料理を習う気がない人物を教室に入れて大丈夫なのかと言葉を濁してながら誠也に聞いた。

 

 

誠也「大丈夫だよ。やる気のある人は自然に残るし、やる気のない人は身の危険を感じてやめて行くから。前に集まってきた神様達みたいに。」

 

こあ「え?身の危険?不穏な言葉が聞こえたんですけど・・・どういう意味ですか?なんだか凄くイヤな予感がするんですけど(^_^;)」

 

誠也の「身の危険」と言う不穏な言葉を聞いたこあは、イヤ予感がして誠也に其の事を聞いてみた。

 

誠也「明日になればわかるよ。」

 

こあ「明日になれば?」

 

誠也「そう、明日になればね。・・・そんなに気になるなら明日の料理教室、参加てみる?」

 

こあ「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、料理教室が開かれる鳴海家に、料理教室に通う人達が集まってくる。ここで料理教室が開かれる鳴海家についてと料理教室の流れについて語ろう。

鳴海家は少し広めの二世帯住宅で、二階と一階にそれぞれにキッチンがある。料理教室に通う人達は午前中、食義と食技を中心にならう人達と、一般的な料理を習う人達と二手に分かれ、食義を習う人達に誠也が付き、一般的な料理を習う人達には食義と食技を殆どマスターした霞が付いて教える形を取っていた。そしてお昼に一般の人達が作った料理を昼食としていただき、午後から誠也と霞の料理対決を行い、料理教室の人達は審査員として参加。そして料理の判定をしてもらった後、交流のための雑談をしばらくしてから解散と言う流れである。

 

 

こあ「いろんな人達が通っているんですね。」

 

小鳥「そうですね。」

 

 

料理教室の為に集まった人達、キャスケット帽をかぶり、鬼灯のマークが入っている着物姿の目つきの悪い人や、頭の髪の毛が螺髪で、胸に「シッダールタ」と書いてあるTシャツを着た人達の姿を居間で見ながら、翼としっぽを引っ込めて隠している「こあ」と小鳥は、この料理教室がどんな風に行われるんだろうと考えていた。

 

 

誠也「まあ・・・“人”じゃない人達が殆どだけなんだけどね(^_^;)」

 

 

小鳥「え?それってどう言う意味ですか?」

 

誠也「それは「お兄ちゃん、織姫様達が来たよ」っと・・・こんにちは、織姫様。っと・・・・あれ?織姫様、隣の人は誰です?」

 

 

誠也は、霞に連れられて居間に入ってきた、料理教室に通っている人物、「はたがみ織姫」と一緒に入ってきた黒髪の三つ編みの女の子が誰かを織姫に聞いた。

 

 

織姫「誠也君こんにちは、紹介するね。こちら私の一番のお友達で、「門田神社」で悪縁切りの神様の「門田みたま」ちゃんだよ♪」

 

 

隣にいる黒髪三つ編みの女の子をニコニコと笑顔で言いながら嬉しそうに紹介する織姫。

 

 

みたま「はじめまして、門田神社の神、「門田みたま」よ。よろしくね。」

 

こあ「あ、どうも。今回のお料理教室に参加することになった「こあ」と言います。」

 

小鳥「今日からお料理教室に通うことになった鷹取小鳥です。(門田神社の神?)」

 

 

みたまから差し出された手を握り返しながら小鳥はみたまの言った「門田神社の神」と言う言葉に頭に?マークを浮かべた。そんな小鳥を他所に、みたまは誠也に対しても挨拶をした。

 

 

誠也「よろしくお願いしますね。へ~、あなたが織姫様がよく(・・)話してくれていたあの「たまちゃん」なんですね。」

 

 

みたま「へ?たま・・・・ちゃん?よく話している?」

 

 

誠也の言葉にキョトンとした顔をしながらみたまは誠也の顔を見た。

 

 

誠也「ええ。織姫様、料理教室があるたびに、俺達によく「一番のお友達のたまちゃん」についてよく話してくれているんです。

 

 

みたま「え?・・・・そうなの?」

 

みたまは「なんだかイヤな予感がする」と内心思いながら、誠也の側に居る霞に顔を向けて聞いた。

 

 

霞「はい。よく話してくれますよ。よく「たまちゃんはよくお金がなくてお腹を空かしてる~」とか「たまちゃんはモギュモギュ食べている姿がカワイイ♪」っとか・・・・・」

 

 

みたま「なっ!」

 

 

霞の口から語られる織姫から聞いてみたまの事についての話は、その殆どはみたまが隠しておきたいみたまのドジや失敗談などで、それを聞いたみたまは絶句した。ただでさえ普段から織姫に調子を狂わされたせいで、周りの人たちに対して、神としての威厳がマッハで無くなっているのに、こんな自分の目の届かない所でまで自分の威厳がなくなるような事を話されては、下手をしたら世間一般的に自分の神としての威厳が完全になくなり、自分がドジでカワイイだけのダメダメな神様と認識されてしまうと思った。

 

 

みたま「織姫!あ、あんた・・・私のいない所で何余計な事言ってるのよ!」

 

織姫「何って、たまちゃんのかわいらしさを語ってただけだよ?「余計な事」なんて一言もしゃべってないよ。」

 

みたま「「かわいらしさを語る」って所ですでに余計な事しゃべっているわよ!そんな事しゃべらないでよ!私の神としての威厳にかかわってくるでしょう!」

 

織姫「え~っ、たまちゃんのかわいらしさを語らないなんて人類にとっての大いなる損失だよ!」

 

みたま「人類史レベル!?」

 

誠也達の目の前でなにやら言い合いを始める二柱の女神。そんな女神達を見ていた小鳥が誠也に対して何か聞きたそうな顔で話しかけてきた。

 

 

小鳥「あの・・・・・さっきから気になってたんだけど、神社がどうだとか、神がどうだとか・・・・さっきも誠也くん、神様がどうだとか・・・・どういう事なの?」

 

誠也「あ、そう言えば小鳥さんにはちゃんと話してなかったですね。この教室の食義を習っている人達のほどんどは神様かその関係者なんですよ。」

 

小鳥「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?神様?」

 

誠也「はい、神様です。」

 

小鳥「・・・・・・・・・・・・本物?」

 

誠也「はい、本物です。」

 

小鳥「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

誠也の言った言葉が理解できず、しばらく呆然とする小鳥。

 

 

こあ「小鳥さん?どうしました?」

 

小鳥「・・・・・え?あ・・・・・ご、ごめんなさい。ちょっと驚きのあまり呆然としちゃって。」

 

霞「ま、まあ・・・無理もありませんよね。私だって初めて会った時はすっごく驚きましたよ。」

 

誠也「まあ、無理もないか。いきなり目の前に神様が現れたら、誰だって驚くよな。」

 

こあ「確かにそうですね。でも・・・・小鳥さんの反応を見ると、驚きはそれほど大きくないみたいですね。」

 

 

小鳥の反応を見て、反応の仕方が静かだった事に対して、驚きが薄いと感じたこあ。

 

 

小鳥「いえ、これでも結構驚いているんですよ。でも・・・・こあちゃんの言う通り、驚きは薄いですね。幽霊のあやめさんや怪人のモモタロスさん。小悪魔のこあちゃんをすでに見ていたから、「神様」と言われても、「幽霊や悪魔が居るんだから、神様が居ても不思議じゃない」って思って。」

 

誠也「ま、まあ悪魔が居るぐらいなんだから、神様も居るはずだって思うは不思議じゃないですね。あ、でもその類の発言には気を付けてくださいね。今日来る一般の部門の方にはそう言った方面と無関係な一般人の人がいますからね。」

 

こあ「一般の人ですか?」

 

誠也「ああ。今日は霞の友達が一般部門の方に参加するんでね。あと、そう言えば、風花さんが知り合いを一人参加させてあげて欲しいって言ってたな。」

 

 

今日来る予定の参加者を思い出しながら、今日の料理の教室に参加する人数を数える誠也。

 

 

霞「あ、そう言えば、お兄ちゃん。芦屋さんからさっき連絡があって、外せない用事が有るとかで今日は参加できないって。」

 

誠也「そうか・・・・シャマルさん達は少し遅れてくるって言う話だし、じゃあ今日一般の部は欠席者が一人かな?って・・・・うん?あれ?そう言えばブッダ様といつも一緒に来ているイエス様がまだ来ていないですかね?」

 

出欠を確認していた誠也は、食義コースのメンバーの一人が居ないことに気づき、その姿を探した。

 

こあ「え?・・・・・・・・イエス?」

 

誠也の言った言葉に反応するこあ。だが誠也はその言葉が聞こえてなかったのか、そのまま居間のソファーに座って、霞が出したお茶を飲んでいる「シッダールタ」の文字がプリントされているTシャツを来ている参加者に話しかけた。

 

誠也「ブッダ様、イエス様はどうしたんです?姿が見えないんですけど、今日は欠席なんですか?」

 

立川在住の目覚めた人「イエスですか?イエスなら森ノ宮先生の所に少し寄ってから来るそうですから、そろそろ来る頃だと思いますよ。」

 

誠也「あ、そうなんですか。」

 

 

「シッダールタ」のロゴが入ったTシャツを着た、某立川在住の目覚めた人に、一緒に住んでいる同居人について話を聞く誠也。

 

 

小鳥「森ノ宮先生?誰です?」

 

誠也「あ、森ノ宮先生は旧ゲキド街の外れに住んでいて、「森ノ宮神療所」お開業している女医さんだよ。」

 

小鳥「森ノ宮診療所?」

 

誠也「森ノ宮“神”療所です。現代日本に住む神様専門の医者なんですよ。」

 

小鳥「神様専門の医者・・・・ね。あ、じゃあそのイエスさんって方、どこか悪いんですか?」

 

立川在住の目覚めた人「いえ、どこも悪くないですよ。ただ前々から森ノ宮先生に相談してたんですよ。何かあるたびに開く聖痕を治したいって。」

 

誠也「あ、そう言えばよく昔の黒歴史が話題に出るたびに、よく聖痕が開いて額から血をよく流してましたよね。(;^_^A」

 

 

誠也は以前あった料理教室の中で何回か聖痕から血を流して大騒ぎになった事を思い出して苦笑した。

 

 

こあ「せ、聖痕・・・・・・・・ま、まさか・・・・(汗ダラダラ)」

 

 

先ほどの誠也が言った名前と、先ほどの名前と聖痕と言う単語を聞いて、ある人物を思い浮かべて汗をダラダラと流しは始めるこあ。

 

 

誠也「うん?どうしのこあ?汗を大量に流したりなんかして。どこか具合が悪いの?」

 

 

こあの様子がおかしい事に気づいた誠也は、こあに声をかけた。

 

 

こあ「あの・・・・・マスター。先ほどから話に上がっている「イエス」って人ってもしかして・・・・」

 

誠也「うん?ああ。名前と聖痕で気づいたのか。そうだよ、多分こあが思い浮かんだ人で合っていると思うよ。キリスト教の「すいません、遅れました」ってあ、どうやら本人が来たみたいだね。」

 

 

誠也の言葉を聞いていたこあは、先ほど挨拶をしながら部屋の中に入ってきた人物の方を、まるで動きの悪いブリキの人形のように「ギィギィ」と言う擬音が出そうな動きで首を回して見た。

 

 

立川在住の目覚めた人「あ、やっと来たね。それで、先生はなんて?」

 

立川在住の神の子「あ、うん。先生の方でも色々と聖痕の傷が開かないようにする方法を探してくれているみたいなんだけど、これと言った治療方法はまだみつかっていないみたい。」

 

 

扉を開けて入ってきた人物を見たこあは、次の瞬間顔を真っ青にしながらブルブルと震え始めた。

 

 

誠也「え?お、おい!こあ!」

 

小鳥「こあちゃん?!」

 

霞「こあさん?!どうしたの!しっかり!!」

 

 

突如顔を真っ青にしながら震え始めたこあを見て、突然どうしたのかと聞く誠也達。そんな騒ぎをを聞いて、先ほど部屋に入ってきた立川在住の神の子がこあを心配して声をかけて来た。

 

 

立川在住の神の子「あの・・・私が言うのもなんですが、顔色が悪いですよ?大丈夫ですか?」

 

こあ「?!・・・・・・・じょ、浄化されるうーーーーーーーーーっ!消滅されるーーーーーーーーーっ!!助けてマスターーーーーーー!」

 

 

突如声をあげて叫んだ後、誠也の背中に隠れてブルブルと震えだすこあ。

 

 

立川在住の神の子「あ、あの・・・・・・・・・」

 

 

女の子に突然叫ばれ、青い顔をして逃げられ、訳が分からないと言う顔をする立川在住の神の子。

 

 

誠也「と、突然どうしたんだよこあ。いきなりイエス様を見たとたんにって・・・あ!そうか・・・・こあは一応悪魔なんだっけ。」

 

霞「あ、そう言えばそうだったね。ならイエス様を見たら怖がるのも無理ないか。」

 

立川在住の神の子「あの・・・・どう言う事なのかな?」

 

誠也「あの、実は・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立川在住の目覚めた人「なるほど・・・・つまり誠也くんはその悪魔の子を助けるために、その子のマスターになったんですね。」

 

誠也「そうなんです。この子はそんなに悪い子じゃないんで、浄化とかそう言うの勘弁してあげてください。」

 

立川在住の目覚めた人「そう言う事なら私達は何もしませんよ。ね、イエスって・・・・・イエス?」

 

 

立川在住の目覚めた人・・・・ブッダの視線の先、そこには聖痕から血を流しながらOTLのポーズで激しく落ち込んでいる同じ部屋の同居人、イエスの姿があった。

 

 

ブッダ「イ、イエス?」

 

イエス「ゴメン、大丈夫だよ。ただ・・・・女の子に叫び声を上げられて、怖がられたのがちょっとショックでね。」

 

誠也「あ、まあ・・・確かにこあの見た目は、そこら辺に居るちょっとカワイイ女の子に見えますから、そんな子に叫び声を上げられて怖がられたら落ち込みもしますよね。(あ~、血が流れて触れたせいで“また”聖遺物が増えてるよ・・・)」

 

流した血が床に垂れてたのを見て“また”聖遺物が増えたと困り顔をする誠也。

 

霞「ま、まあ普通、悪魔がイエス様を見ればこあちゃんのような反応をするよねね。」

 

 

背中で震えているこあを落ち着かせている誠也をみて、落ち込んでいるイエスを気の毒に思う霞なのだった。

 

 

閻魔の第一秘書「・・・・本当に相変わらず、この料理教室は面白い事が起きますね。これだから通うことをやめられないんです。」

 

 

誠也達のやり取りを少し遠くから見て、面白そうな顔をしながら眺める、鬼灯マークの入った着物を着た閻魔の第一秘書・鬼灯様なのであった。

 

 

 

後半につづく。

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

ブッダ(聖☆お兄さん)

 

イエス(聖☆お兄さん)

 

鬼灯(鬼灯の冷徹)

 

 

 




次回、この作品に出ている作品に出てくる、シャマルを始めとした〇×料理人が勢ぞろいします。果たして料理教室は無事終えられるでしょうか?
お楽しみに♪


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番外編2 誠也の料理教室 後編

どうも、剣 流星です。

今回は前回の番外編の続きです。


 

シャマル「すいません、遅れました。」

 

風花「遅れました、すいません。」

 

 

料理教室に参加するために集まった人達がいる鳴海家のリビングに、シャマルを先頭に、四人の女性が入ってきた。

 

 

閻魔の第一秘書「おや、ようやく来ましたね、シャマルさんに風花さん。おや?後ろに居る方たちは?」

 

 

リビングに入って来た料理教室の一般部門の参加者であるシャマルと山岸 風花(やまぎし ふうか)の後ろに居る二人の女性に気づく閻魔の第一秘書。

 

 

風花「あ、え~とこちらは天城雪子(あまぎゆきこ)さん。以前行った八十稲羽で知り合って、私と同じように料理が上手くできなくて悩んでいたから、今回たまたま近くに来ていたから誘ったんです。」

 

 

自分の後ろに居る、長い黒髪の女性を前に出して紹介する風花。

 

 

雪子「天城 雪子(あまぎ ゆきこ)と言います。

 

 

長い黒髪ので、いかにも和服が似合いそうな二十歳前後の女性がペコリと頭を下げて挨拶をした。続いて隣にいる霞や誠也達と同じぐらいの年頃の女の子が挨拶をした。

 

 

瑞希「はじめまして。姫路 瑞希(ひめじ みずき)です。お友達の霞ちゃんに誘われて今回この料理教室に参加することになりました。よろしくお願いします。」

 

 

閻魔の第一秘書「霞さんのお友達?ああ、先ほど誠也さんが話してましたね。霞さんのお友達が参加すると。あなただったんですね。」

 

 

瑞希「あ、はい。私・・・お料理あんまり得意じゃなくて、その事で隣のクラスの霞ちゃんに相談したら、私とおんなじようにお料理苦手で、上手くなるために霞ちゃんのお兄さんのやっている料理教室に通っている人がいるから、その人みたいに教室に通ってみる?って誘われて、今回参加しました。」

 

 

霞「あ、瑞希ちゃん、来たんだね。迷わずに来れた?」

 

瑞希「あ、霞ちゃん。途中でシャマルさんと会って、連れてきてもらったから。」

 

霞「あ、そうだったんだ。あ、お兄ちゃん!瑞希ちゃんもシャマルさん達も来たよ!」

 

 

霞は今だに自分の背中に隠れているこあをなだめている誠也に対して、残りのメンバーが来た事を伝えた。

 

 

誠也「え?ああ、来たのか。すぐ行く!ほら、いつまでも怯えてない。大丈夫、イエス様はお前をどうこうするつもりは無いって。」

 

こあ「ううっ・・・本当ですか?」

 

誠也「本当だって。第一イエス様達は今は休暇中なんだから。ね?」

 

 

イエス達に向かって同意を得るために話を振る誠也。それに対して聖人コンビは「ウンウン」と首を縦に振った。

 

 

こあ「わ、わかりました。まだちょっと怖いけど・・・マスターを信じます!」

 

 

今だ涙目で、若干震えながらも、誠也の背中から出てくるこあ。それを見ながら誠也は「やれやれ」と言いながら、こあと小鳥を連れて霞達の側に寄ってきた。

 

 

誠也「来ましたねシャマルさん。あと、お久しぶりです風花さん。」

 

シャマル「来たよ誠也くん。今回もお願いね。」

 

風花「久しぶり、誠也くん。所で・・・もしかしてその子が「こあ」ちゃんで、そっちの子が小鳥ちゃんかな?」

 

誠也「えっ?そうですけど・・・俺、風花さんにこあと小鳥さんの事話しましたっけ?」

 

風花「ここに来る途中、シャマルさんと合流して一緒に行くことになって、その時シャマルさんが話してくれたの。」

 

誠也「あ、そうだったんですか。あ、小鳥さん、こあ。この人は「山岸風花」さんと言って、昔、月光館学園に居た時お世話になった人で、その伝手で今はこの料理教室に通っているんだ。」

 

風花「山岸風花です。よろしくね、小鳥ちゃん、こあちゃん」

 

こあ「え。あ・・・こあと言います。よ、よろしくお願いします!」

 

小鳥「鷹鳥小鳥です。よ、よろしくお願いします!」

 

 

突然あいさつをされて、しどろもどろになりながらも返事をするこあと小鳥。そんなこあを見ながら、誠也は次に瑞希に視線を向けて、瑞希の紹介を始めた。

 

 

誠也「こあ、こっちに居るのは姫路瑞希さん。俺や霞と同じ白城学園の中等部に通っていて、隣のクラスで、霞の友達だ。」

 

 

瑞希「姫路瑞希と言います。今日は霞ちゃんに誘われて、このお料理教室に参加させてもらいました。よろしくお願いします。」

 

こあ「あ、はい。よろしくお願いします。」

 

誠也「それで、後は・・・・」

 

 

誠也はこの場で自己紹介をしていない人物で、見慣れない長い黒髪の女性に視線を向けた。それを見た風花はそれを察して、雪子の紹介を始めた。

 

 

風花「こちらは「天城雪子」さん、八十稲羽市で知り合った知り合いで、私と同じようにお料理の事で悩んでいたみたいだから、今回たまたま近くに来ていたから、誘ってみたの。」

 

雪子「天城雪子です。今日はお願いしますね。」

 

誠也「こちらこそ。よろしくお願します。」

 

こあ「よろしくお願いします。」

 

 

お辞儀をして挨拶をする雪子に対して、お辞儀をして返す誠也達。

 

 

誠也「さて、じゃあメンバーもそろった事だし、料理教室を開始します!それでは、食義・食技コースの人は2階の台所に。一般コースの人は1階の台所に移動してください!」

 

 

誠也の声の元、集まった料理教室のメンバーは二手に分かれて移動を開始する。そして誠也の側に居た霞も一般コースの人達に教える講師として、一回の台所に移動を開始しようとしたが「霞、霞」と誠也に呼び止められて、その動きを止めた。

 

 

霞「なに?お兄ちゃん?」

 

誠也「霞、毎度のことだけど、くれぐれもシャマルさんと風花さんから目を離さないでくれよ。間違ってもあの二人に料理の独自のアレンジをさせて、バイオテロを引き起こす事態は避けてくれよ。」

 

霞「うん。もちろんわかってるよ。」

 

誠也「それと、こあと小鳥さんも、くれぐれもあの二人に勝手な事はさせないで。間違ってもあの二人の料理の試食を引き受けないように。素人があの二人の料理を試食なんてしたなら、下手したら即あの世行きになるからね。」

 

こあ「え?」

 

小鳥「あの世・・・行き?」

 

 

いつになく真剣な顔で言う誠也の言葉に対して、「なんでたかが料理でそんなに命がかかっているみたいに真剣に?」と頭に?マークを浮かべるこあと小鳥。そんな二人を他所に、誠也は霞に「後はお願い」と言って2階へと移動を開始した。

 

 

こあ「マスター・・・どうしたんでしょう?」

 

小鳥「さあ?いつになく真剣だったね。」

 

 

訳が分からないと思いながらも、こあと小鳥は一般コース受講者であるシャマル・風花・雪子・瑞希、みたま達と共に一回の台所へと移動を開始します。

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「これより一般の部の料理教室を開始します。今回は配られたプリントに書かれてある通り、「肉じゃが」を皆さんに作ってもらいます。」

 

 

鳴海家一回の台所で一般の部のメンバーを相手に授業を開始する霞。

 

 

霞「今回は人数が多いので、メンバーを2班に分けます。まずシャマルさんと風花さん、そして瑞希ちゃんと天城さんは一班で。」

 

シャマル「一班ね。」

 

雪子「あ、同じ班ですね。」

 

風花「よろしくね。」

 

瑞希「がんばります!」

 

 

霞「残りの人達、みたま様と小鳥さん。こあちゃんは2班で。」

 

こあ「二班ですね。」

 

みたま「う~、初めての料理・・・ちゃんと出来るかな?」

 

小鳥「頑張りましょう、みたまさん。」

 

 

霞「では始めますよ。まずは材料の確認です。」

 

 

かくして始まった料理教室。作る料理は家庭料理の定番「肉じゃが」。

さて、今回はその肉じゃがの作り方をご紹介します。

 

 

霞「まず材料はじゃがいも4個、玉ねぎ1個、しらたき1玉、牛肉200g、グリンピース大さじ3、醤油大さじ4、みりん大さじ3、砂糖大さじ3、塩小さじ1、水2カップです。」

 

 

霞の言葉を聞いて用意してある材料を確認するこあ達。

 

 

こあ「材料は全部ありますね。」

 

霞「材料を確認したまずは下ごしらえ。じゃがいも、玉ねぎの皮を剥いて、じゃがいもの芽を取ってください。じゃがいもの芽にはソラニンと言う毒があるので、取り忘れには注意してください。」

 

 

霞の指示の元、じゃがいも、玉ねぎの皮を剥き、じゃがいもの芽を取る一同。

 

 

小鳥「う~、玉ねぎが目にしみます。」

 

霞「じゃがいもとたまねぎの皮を剥き終えたら、今度はそれらと、牛肉を適当な大きさに切ってください。」

 

 

霞の指示通り黙々と材料を切りそろえる一同。

 

 

みたま「包丁使ったことないから、切り方良くわからない・・・これで合ってるかな?」

 

 

霞「材料を切ったら、鍋に油を引いて、先程切った玉ねぎを少し透明になるまで炒めてから、じゃがいもとしらたき、牛肉を入れて、よく炒めたら、水、砂糖、みりん、しょうゆ、しおを入れてよく煮込みます。」

 

グツグツと煮える鍋をじ~っと見つめ、煮えるのを待つ一同。

 

 

小鳥「あ、肉じゃがっぽくなってきた。」

 

 

霞「中の食材がよく煮えたら火を止めて完「~♪~♪」って・・・あ、私の携帯。」

 

 

肉じゃが完成間近というタイミングで突如なる霞の携帯。霞は鳴り響く自分の携帯の着信音を聞いて、慌てて自分の携帯に出た。

 

霞「はい、もしもし。あ、圭くんのお母さん。・・・えっ!圭くん、また警察に補導されたんですか?!それで、自分が行けないから、私が圭くんの迎えに・・・・・はい、はい、分かりました。すぐに迎えに行きます。じゃあ(ピッ!)」

 

 

会話後、すぐに携帯の通話を切ると、料理教室に来ているメンバーに向かい合う霞。

 

 

霞「え~、すいません。急な用事が入ったので、席を外します。料理自体は完成しているはずですから、皆さんはこのまま食義コースの人達と一緒に作った肉じゃがで昼食を済ませてください。くれぐれも、く・れ・ぐ・れ・も!(大事な事なので二回言った)肉じゃがに“オリジナル”の“アレンジ”を施そうなどど思わないように!では、すいません、席を外します。」

 

 

自分の身に付けているエプロンを外して、パタパタと急いて部屋を出る霞。そんな霞の姿が部屋を出て行くまで見送った後、話し合いを始めるシャマル達とこあ達。

 

 

こあ「どうします?」

 

小鳥「どうするも、こうするも・・・・言われたとおり、作った肉じゃがで、別のコースの人達と昼食を取りましょう。」

 

みたま「そうね。幸い、肉じゃがは失敗せず、美味しそうにできたから、盛り付けして織姫達と昼食にしようか。」

 

こあ「そうですね、シャマルさん達もそうれで「やっぱり彩が足りませんね。やっぱりオリジナルのアレンジを施さないと」って・・・・え?オリジナルのアレンジ?!」

 

 

シャマル達のグループの方から聞こえてくる「オリジナルのアレンジ」と言う不吉な言葉を聞き、こあはその言葉を聞き返した。

 

 

瑞希「そうですね。やっぱりオリジナルのアレンジは必要「ち、ちょっと待ってください!」っえ・・・なんです?こあちゃん。」

 

こあ「「何です?」じゃ無いですよ!さっきの霞ちゃんの言葉、聞いてなかったんですか?「くれぐれも、く・れ・ぐ・れ・も!肉じゃがに“オリジナル”の“アレンジ”を施そうなどど思わないように!」って念を入れて二回も言ってたじゃないですか!それなのに、何でオリジナルのアレンジをしようと?!」

 

雪子「えっ?二回も言ったのは、お笑い芸人の人達の「押すなよ!押すなよ!」ってヤツと同じ意味で、ヤレって意味でしょう?」

 

こあ「えっ?い、いや、そういう意味じゃ「今のままだと甘味が足りなんじゃ・・・」って皆さん話を聞いてください!」

 

 

こあの話を聞かずに話を進めるシャマル率いる〇×料理人達。

 

 

瑞希「甘味が足りない・・・あっ!私ちょうどいい物持ってます。これを使ったら甘味が増すはずです。」

 

 

瑞希が持ってきたカバンの中をゴソゴソとあさり、出したものは、「濃硫酸」と書かれてある化学薬品が入ってそうなガラスの瓶。

 

 

小鳥「・・・・・えっ?ね、ねえ・・・・濃硫酸って調味料だっけ?」

 

みたま「た、たぶん、違うと思うけど・・・・」

 

 

瑞希の取り出した濃硫酸のビンを見て、顔を引きつらせて話す小鳥達。そんな小鳥達を他所にドンドンと話を進めるケミカルクッキングの料理人達。

 

 

瑞希「この「濃硫酸」を入れれば、じゃがいもに含まれているデンプンが「濃硫酸」を含んで、煮込むことで単糖類に変化して甘味が増すはずです♪」

 

風花「あ、その発想は無かった。」

 

雪子「ホント。瑞希ちゃん、頭良いね♪」

 

シャマル「じゃあ早速入れましょう♪」

 

こあ「えっ?!入れるってあの・・・」

 

 

止めに入ろうとするこあ。だがそんなこあの声が聞こえないのか、メスシリンダーで入れる量を測って濃硫酸を肉じゃがへと入れる料理の天災達。

 

 

雪子「あっ!隠し味を入れないと!やっぱりお料理には隠し味が無いと♪」

 

風花「なら、私が今日持ってきたクロロ酢酸はどうです?さっぱりした酸味が付いて美味しくなるはずです♪」

 

こあ「く、クロロ・・・酢酸?そんな名前の調味料・・・ありましたっけ?」

 

小鳥「わ、私は聞いた事ありません・・・・」

 

 

頬をさらに引きつらせながら会話をする、こあ達三人。そんな三人の目の前で楽しそうに話ながら、物騒な薬品の話をする必殺料理人達。

 

 

シャマル「そうだ!今は夏でしょう?肉じゃがが痛むのを防ぐために、防腐剤として「硝酸カリウム」をれましょう♪ちょうど私持ってきてたの♪」

 

瑞希「ナイスです、シャマルさん♪今は夏ですから、食べ物は痛みやすいですし、防腐剤を入れるのは理にかなってます♪さっそく入れましょう♪」

 

 

みたま「ちょ・・・ちょっと!」

 

 

目の前で、料理を化学兵器へと変貌させようとするバイオテロ犯達を止めるため、声をかけるみたま。だが話しで盛り上がっている彼女達の耳にその声は届かない。

 

 

小鳥「と、止めたほうが良いんじゃないんですか?」

 

こあ「だ、ダメ・・・・私たちじゃあ止められない・・・・」

 

みたま「ああ・・・・薬品が鍋の中に・・・・」

 

 

こあ達の目の前で、硝酸カリウムを鍋に“ドバドバッ!”と入れる4人・・・・一体何ができるのやら・・・・・

 

 

シャマル「後はひと煮立ちすれば完成ね♪」

 

 

完成した肉じゃが(仮)を見ながら、何かをやり遂げた満足感を醸し、良い顔をするシャマル達化学兵器開発者達。

 

 

こあ「ど、どうしよう・・・・」

 

みたま「あんなの食べたら、確実に三途の川行きよ・・・・」

 

小鳥「味見役・・・誰でしたっけ?」

 

 

汗をダラダラと流しながらシャマル達ダークマター製造機を見る三人。

 

 

シャマル「あれ?三人共こっちをずっと見てるけど、ひょっとして食べたいの?」

 

三人「「「(ブンブンブンブン!!)」」」

 

 

壊れるかも?と思えるぐらいに必死に首を横に降る三人。この時、小鳥は誠也が言っていた「やる気の無い者は身の危険を感じてやめていく」と言う言葉の意味を理解した。

 

 

みたま「よ、余計な事は言わない方が良いわね・・・・」

 

小鳥「はい・・・・こっちの命に関わりますね・・・」

 

 

「触らぬ神に祟りなし」とばかりにあの四人にこれ以上関わらない方が良いと思い、不干渉で居ようと考えるこあ達。そんな三人を他所に、ブラックホール製造機である四人は、作った元・肉じゃがを持って、そのまま部屋へを出ようとする。

 

 

こあ「えっ?ど、どこ行くんです?」

 

シャマル「誠也くんにいつもみたいに味見をしてもらうの。」

 

こあ「え?マスターに味見・・・を?」

 

シャマル「ええ。いつもはあまりいい評価を得られないんだけど、今回は自身があるわ♪」

 

風花「そうです。今回美味しそうにできましたから、高評価を得られるはずです♪」

 

雪子「きっと貰えるはずです。私自身も、今回作った料理は今までで一番の出来ですから♪」

 

瑞希「それじゃ早速・・・・」

 

4人「「「誠也く~ん味見お願いしま~す♪」」」」

 

 

元・肉じゃがを手に持って、笑顔で出ていく4人とそれを呆然と見送るこあ。

 

 

小鳥「こあさん、止めなくて良いんですか?このままだと誠也さん“あの”肉じゃが(兵器)を食べる事になるんですよ?」

 

こあ「・・・・はっ!そ、そうだった!!マスターーーーーーー!!」

 

 

慌てて部屋を出て、誠也がいる二階に台所へと向かうこあ。

 

誠也『おっ!今回の料理は見た目はまともそう・・・・美味しそうに出来てますね。』

 

シャマル『当然、今までの中でも一番のできなんだから♪さ、食べてみて♪』

 

 

二階の台所へと通じる扉の前で、こあは扉の向こうから聞こえてくる誠也の声を聞き、今まさに誠也が例の肉じゃが(化学兵器)を試食しようしている所だと悟り、慌てて扉を開けた。

 

 

こあ「マスター!それ食べちゃダメーーーーーって」

 

誠也「(モグモグ)え?こあ?って・・・・・・・グフッ!!(バタン!)」

 

 

部屋に入って来たこあを見た後、手に持っている小分けした肉じゃが(バイオ兵器)を取り落とし倒れる誠也。

 

 

こあ「マスター!?」

 

ブッタ「や、やっぱり・・・こうなったね。」

 

イエス「う、うん。」

 

鬼灯「これは・・・王水(注:塩酸、硫酸よりも強力な金やプラチナをも溶か超強力な酸です)入りの肉じゃがですね。相変わらずぶっ飛んだ料理を作りますね~。今度この料理を地獄の亡者達用の食事として与えてみましょうか。」

 

織姫「こ、今回の料理もすごね(^^;)こぼれた肉じゃがが床に穴を開けてるよ(^^;)」

 

シャマル「アレ?誠也くん急に倒れてどうしたの?」

 

雪子「あ!この表現、前に千絵から借りた料理漫画に出ていた表現と同じ!」

 

瑞希「あ、それ、私も知ってます。これって「死ぬほどウマイ!」って表現なんですよね。」

 

風花「ホント?!すごい!私・・・そんなすごい料理を作ることが出来たなんて!お料理教室に続けて通ってて良かった♪」

 

 

今回のこの件で変な自信を付ける4人。なお・・・この王水入り肉じゃがは、この四人の得意料理となり、周りに居る人間を恐怖のどん底に叩き落としたという・・・・・これが後の姫路瑞希の代名詞・王水肉じゃが誕生のエピソードである。

 

こあ「マスターーーーーーー!」

 

 

初登場キャラ出典作品

 

山岸 風花(やまぎし ふうか)(ペルソナ3)

 

天城 雪子(あまぎ ゆきこ)(ペルソナ4)

 

姫路 瑞希(ひめじ みずき)(バカとテストと召喚獣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回の更新ですが、リアルがごたついてきたのでしばらく間が空くと思います。
更新楽しみにしている方、すいません。


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外伝3 プラネタリアン~チェイス、機械の少女との出会い 前編 ~

織姫「どうも、はたがみ織姫です。今回の前書きは七夕と言う事で、わたし「はたがみ織姫」とたまちゃんがお送りします♪」

みたま「よろしくね♪」

織姫「さて、今回のお話は外伝のお話です。このお話は本来なら本編のお話がもう少し進んでから載せるはずの物でしたけど、予定を繰り上げて急遽載せる事になりました。なんでだろうね?たまちゃん。」

みたま「それは、このお話の元になっている作品がアニメ化されて放送されるから、その記念に載せることにしたんだって。」

織姫「へ~、そうだったんだ。このお話は星の事も色々と絡んでくるし、時期もちょうど七夕だからちょうどいいかもね♪」

みたま「そうね。それじゃあ外伝3のお話を・・・」

織姫・みたま「「どうぞ~♪」」



 

 

カナリヤ『・・・・以上が、私が手に入れた財団Xの情報と現在の状況よ。』

 

クリム『そうか。・・・やはりあの時、蛮野に接触していたのは財団Xだったのか。』

 

 

通信越しで、カナリヤから送ってもらった資料に目を通しながら唸るクリフ。

彼の名はクリム・スタインベルト。元は人間の科学者であったが、自らが開発した機械生命体「ロイミュード」達の襲撃にあって肉体を亡くし、その意識を「仮面ライダードライブ」へと変身するためのツールである「ドライブドライバー」に移した。そして、泊 進ノ介(とまり しんのすけ)と共に仮面ライダードライブとして108体居る機械生命体・ロイミュードとの戦いに身を投じた。

そして108体全てのロイミュードと黒幕である蛮野 天十郎(ばんの てんじゅうろう)ことゴルドドライブを倒した後、自身の技術が悪用されることを防ぐため、進ノ介を始めとした仲間達に「いつか私の発明が、正しいことのみに使われる未来が来たらまた会おう」と別れを告げ、自分の発明品であるマシンと共にドライブピットの地下に自らを封印し眠りについていた。だが、数日前。自分にコンタクトを取ろうとしてくるカナリヤの通信を受けて、意識のみを覚醒させてこれに応えたのだった。

 

最初クリムはこの通信に答えるつもりはなかった。自分の発明がまた悪用されるのを恐れたためである。だが、あまりにもしつこく通信を何回もかけてくるので、いい加減にウザったくなり、文句の一つでも言ってすぐに切ってやろうとして出た時、カナリヤの口から真っ先に出た二人の人物の名前に驚き、すぐに通信を切るのを止めた。通信の相手、カナリヤの言った人物の名前。そのうちの一人は志島 剛(しじま ごう)、そしてもう一人に名はチェイス。剛はかつて「仮面ライダーマッハ」としてクリム達と共に戦った仲間で、もう一人のチェイスは、ロイミュード・ナンバー000として「プロトドライブ」としてクリムと共に戦い、一度は敵に捕まり洗脳されて敵同士として出会うも、進ノ介を始めとした仲間達の協力で再び仲間となった。そして最後は仲間である剛を守るため、ゴルドドライブに対して、残された力を振り絞ってゴルドドライブを巻き添えに自爆したのである。

その死んだチェイスから「あなたの存在を知った」と言ったカナリヤの言葉は、クリムにカナリヤの話を聞く価値があると思わせるには十分なものであった。

 

 

クリム『チェイスはあの戦いで死んだ。そのチェイスから私の事を聞いたとはどういう意味かね?』

 

 

クリムは死んだはずのチェイスから話を聞いたとはどう言う事かとカナリヤに聞いた。その問いに対してカナリヤは詳しく経緯を話した。

きっかけはチェイスを復活するための旅に出ていた剛であった。彼は自分を庇って死んだチェイスに対して素直に「『ダチ』だ」と言えなかったことを深く後悔し、チェイスを復活させるため世界中を旅していた。そしてついには世界をも超えてカナリヤのオリジナルである叶井梨絵(かないりえ)に出会ったのである。

剛は梨絵が有名な科学者だと聞いて、梨絵にチェイスを復活させて欲しいと頼んだ所、「良いわよ」とあっさりと頼み事を聞いてもらえた。

 

 

剛「・・・・なんであっさり「良い」って返事をしたんです?」

 

 

あっさり「OK」の返事を貰った剛は、拍子抜けしてしまったが、すぐに「何故OKの返事を出したのか?」と疑問に思い、それを聞いてみた。

カナリヤはそれに対して、こう答えた。

実は梨絵自身も、剛達「ドライブの世界」のライダー達に接触を取ろうとしていたのであった。

何故接触を図ろうとしたのか?それに答えるには、梨絵が今も探り続けている財団Xの事について話さなければならない。

梨絵はカナリヤを送り出した後も財団Xついての情報を引き続き集めていた。その結果、財団がほとんどのライダーの世界に干渉していたと言う驚愕の事実が判明したのである。

 

過去の調査で判明した、財団Xが資金援助をしたりして関わっていると判明した物だけでも、人を怪人へと変身させるガイアメモリとアストロスイッチ。死んだ人間を蘇らせる技術・ネクロオーバー。超能力兵士を生み出すクオークス。強制突然変異による超進化生命・ミュータミット。欲望の怪人グリードの元であるコアメダル&セルメダル。そして、梨絵も関わっていたムネモシュネとこれだけの技術に対して資金援助し、その見返りとしてその技術を吸収していたのである。しかし、それさえも氷山の一角で、さらにこれら以外に資金提供して、その技術を手に入れていたという事実が判明したのである。そして判明した世界と資金提供した技術は次のとおりである。

 

 

「龍騎」の世界で「神崎士郎」の「カードデッキ」の技術に資金提供。

 

「555」の世界で「スマートブレイン」に資金提供しライダーズギアを作成させる。

 

「剣」の世界で「BOARD」のアンデット・ライダーシステムに資金提供。

 

「カブト」の世界でネイティブ達に資金提供し、マスクドライダー計画を支援する。

 

「キバ」の世界で「素晴らしき青空の会」のイクサシステムに資金提供。

 

「ウィザード」の世界で「笛木 奏」に資金提供をして、ウィザードライバーと人造ファントム・カーバンクルに資金提供

 

「鎧武」の世界で「ユグドラシル・コーポレーション」の戦極ドライバーとロックシードに資金提供

 

「ドライブ」の世界で「蛮野 天十郎」のロイミュード作成の技術に資金提供。

 

 

これだけでもかなりの数なのに、さらに他の世界にも手を伸ばしている思われる手がかりがいくつも見つかり、梨絵は自分の背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

 

 

梨絵「・・・・敵が大きすぎる!」

 

 

自分たちが相手をする敵があまりにも大きい敵だった事に対して、勝つ姿を思い浮かべず、どうすればいいのかと呆然とした。

だが、自分が戦うと決めた時に自分の背中を押した、仮面の戦士達の事を思い出し、気力を取り戻した。

かつて自分の夫が暴走しておきたムネモシュネの事件で夫の暴走を止めて、意識不明となっていた息子を助けてくれた仮面ライダー達。

彼らは例え敵がとれほど巨大でも、ひるまずに戦いを続けた。それを思いし、財団Xと戦うにはどのようにすればいいかを考えた。

 

 

梨絵「・・・・相手と同じように、こちらも他の世界に協力者を見つけることができれば。」

 

 

そう考えた梨絵は、まず最初に各世界に居る仮面ライダーとその協力者に接触を図ろうと行動を開始しようとした。その矢先に、剛が接触してきたのである。梨絵にとって、剛からの接触はまさに渡りに船であったのである。

 

梨絵は、剛に事情を説明し、協力求めると同時にチェイス復活に協力する事を約束した。梨絵自身にも仮面ライダーであるチェイスの復活は望むところであった。やがてチェイスをカナリヤを制作するために使用した核の「マテリアル」から引き出した知識と、財団からハッキングなので手に入れた知識と技術を使用し、チェイスの形見であるシグナルチェイサー内に保存されているチェイスの情報を元にチェイスを再生・復活させる事に成功した。

復活したチェイスを前に、剛は涙ながらに「おかえりダチ公」と言って、肩を抱き合い、梨絵はそれを微笑みながら見つめていたと言う。

 

こうして梨絵はチェイスの復活に成功させ、剛とそして復活させてもらったお礼にと梨絵に協力することにした。剛とチェイス自身も、ロイミュードを作る技術を持っている財団X自身を危険だと判断し、進んで協力した。そして、剛とチェイスの提案で、ドライブピットの地下深くで眠っているクリムに協力を求めようと提案を出され、クリムに接触を図ろうとしたのである。

地下深くに居るクリムに断続的にクリムに通信を送る梨絵。それを受け取ったクリムは事情を説明され、自分の戦いはまだ終わっていない事を悟り、梨絵に協力する事を約束し、地上へと再び舞い戻った。

 

突然のクリムの帰還に、進ノ介をはじめとした仲間達は喜んだ。だがその喜びもつかの間、クリムから聞かされた自分が戻ってきた理由を聞かされ、進ノ介をはじめとした仲間達は新たな戦いが始まると気を引き締めた。そして梨絵の元にいる剛とチェイスと共に、自分達に協力してくれる者達を探しながら財団Xを追う事を始めた。

財団Xを追うクリム達。その中で財団Xは各世界に支部のような物を置き、そこにその世界の協力者を置いて任せている事が分かり、そして今、ある世界に財団は「フリーエージェント」と切り札の一つである「親衛隊」を送り込み、探し物をしている事が判明した。そして、その探し物をしている世界というのは、カナリヤが向かった誠也達の居る世界であった。

 

 

梨絵「あの世界に何が?」

 

 

梨絵は財団Xが切り札の一つである親衛隊を送り込んで探させているほど、その探し物がよほど大事な物だと考え、そしてそれが戦況を変える位の重要なものだと考え、それが何なのか一刻も早く探る必要があると思った。

 

梨絵は新たな協力者である「アルコス」が送り込んだ「木場勇治」と「斬鬼」に続き、新たな戦力をカナリヤの元に送る事を提案した。そしてその人選にチェイスとクリムが選ばれた。最初は進ノ介と剛も行くと言ったが、クリムとチェイス、梨絵の意見により却下された。もちろん二人は納得ができず、その理由を聞いた。その理由は一度向こうの世界に行けば、また再び帰ってこれなくなる可能性がある事が一つと、そしてもう一つは次元の壁を突破するための衝撃に生身の人間が耐えられないのがその理由であった。誠也達の居る世界は行くためには次元断層を突破する必要があり、それを行うためにトライドロンにライドブースターを装備したブースタートライドロンに、梨絵とクリムが共同で新たに発明した次元跳躍装置を乗せて突破する方法があった。だが、この次元跳躍装置はまだまだ問題が多く、次元断層を突破する時に、乗っている者に多大な負荷がかかり、それに生身の人間が耐えられないのである。よって生身の人間である進ノ介と剛はメンバーから外された。

最も梨絵とクリム、チェイスは家族がこの世界に居る二人に帰ってくるかわからない旅に出させようとは思っておらず、初めから二人を外す気で居た。

 

着々と進む次元跳躍装置をブースタートライドロンに乗せる作業。そして今日、チェイスとクリムが旅立つ。

 

 

進ノ介「ベルトさんチェイス・・・二人共、気をつけて」

 

 

晴れたある日の午後、とある広場で、次元跳躍装置を装備したブースタートライドロンの前に、ベルトであるクリムを持ったチェイスが立ち、その前に進ノ介や剛を始めとした仲間達が集まっていた。

 

 

霧子「無事に帰ってきてね。」

 

剛「必ず帰ってこいよ“ダチ公”」

 

チェイス「ああ、全て終わったら必ず帰ってくる。“ダチ”であるお前達がいるこの世界に。」

 

追田 現八郎「こっちの世界の事は心配するな。俺達が守る!」

 

西城 究「財団Xの事で、何か判明したらすぐにそっちに送るよ。」

 

沢神 りんな「トライドロン呼び全シフトカー、マッハドライバー炎にライドチェイサーは整備済みで、ドライドロンに乗せてあるわ。うまく使ってね。」

 

本願寺 純「こっちは私達で何とかしますから。向こうの事はお願いしますね。」

 

クリム「ああ、本願寺。君には本当に世話になった。帰ってきたら、またゆっくりと語り合おう。」

 

 

仲間達と別れの言葉をかわすクリムとチェイス。

 

 

梨絵「向こうに行ったらまず、カナリヤに接触して。カナリヤには先には向こうの世界でドライブの装着者としての素質を持った人を探すように言ってあるから。カナリヤは今まで何人かの新しいライダーの装着者を見つけているから、あなたのお眼鏡に適う人物を見つけているはずよ。」

 

クリム「新しいドライブの装着者か・・・・ふ~む、君を疑うわけではないが、どうも進ノ介以外の装着者と言うのはピンとこないし、少し不安も感じる。」

 

梨絵「まあ、最初はそうでしょうね。けどカナリヤが見つけた他の新しいライダー達はちゃんと活躍しているわ。大丈夫、もう一人の私を信じてあげて。」

 

クリム「ふむ・・・まあ君がそう言うなら信じてみよう。」

 

梨絵「ありがとうクリム。さあ、そろそろ時間よ。二人共トライドロンに。」

 

 

梨絵の言葉を聞いて頷いた二人は、改めて見送りに来た仲間達の方へと視線を向ける。

 

 

チェイス「では行ってっくる。」

 

クリム「では諸君、行ってくる。」

 

 

二人は「行ってくる」と行った後、ブースタートライドロンへと乗り込んだ。やがてブースタートライドロンはゆっくりと浮かび上がると上空へと飛んでいき、加速し始め、そして車体が光り輝き始めた瞬間「シュバン!」と大きな音を出し、その姿を消した。

 

 

進ノ介「必ず帰って来いよ二人共。」

 

 

ブースタートライドロンが消えた空を見つめ、旅立った二人の仲間に進ノ介はそっと呟くように言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリム「ぐっ!も、もうすぐ次元断層を突破する。あと少しだ、踏ん張れチェイス。」

 

チェイス「ぐっ!あ、ああ。」

 

 

ドライブの世界を旅立った二人は、目的地の世界へと向かうべく次元の狭間をブースタートライドロンで飛行していたが、ほどなくして、一番の難所である次元断層へと到達し、今現在は次元断層を突破中であった。

ブースタートライドロンの窓の外は赤く染まり、とてつもない圧力が乗っている二人を圧迫した。

二人はその圧力に耐えながらもブースタートライドロンを操作し、次元断層の突破を試む。

 

 

クリム「次元断層の出口だ・・・・。」

 

チェイス「ぐっ・・・・い、行けーーーーーーーっ!」

 

 

見えた次元断層の出口に向かって、叫びながらブースタートライドロンを操作し、出口に突っ込ませる。そして・・・・

 

シュパン!

 

次元断層を無事抜けて、ブースタートライドロンは無事通常の次元の狭間に出た。

 

 

クリム「やったぞチェイス!次元断層を抜けたぞ!」

 

チェイス「ああ。」

 

 

無事次元断層を突破しホッと一息つくクリムとチェイス。

 

 

クリム「最大の難所を抜けた、後は「ドゴン!」っとな、なんだ?!」

 

 

次元断層を抜けて、ホッと一息をついた二人は、突如ブースタートライドロンを襲った振動、そして車内に響く警報音。

 

 

チェイス「ぐっ!な、なんだ?!何が起きた!」

 

クリム「車体に何かがぶつかってバランスが!有り得ない、まさか何も無いはずの次元の狭間に物が!」

 

チェイス「ぐっ!・・・バランスを!」

 

 

何かがぶつかり、バランスを崩したブースタートライドロンのバランスを、必死に操縦してバランスを戻そうとするチェイス。だがチェイスの必死の操縦も虚しくますますバランスを崩すブースタートライドロン。

 

 

クリム「だ、ダメだ!近くの世界に墜落する・・・うわあああああああああっ!!」

 

 

クリムの叫び声を響かせながら、バランスを崩したブースタートライドロンは次元の狭間を抜け、近くにあった世界へと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんよりとした雨雲が空を覆い、酸性雨が降りしきる無人のビルや建物が立ち並ぶとある都市。その一角に、煙を上げたブースタートライドロンは墜落していた。

 

 

チェイス「うっ!・・・・ここは?」

 

墜落したブースタートライドロンの車内。そこで意識を失っていたチェイスは、窓ガラスを叩く酸性雨の音で目を覚ました。

 

クリム「む・・・・・チェイス。」

 

チェイス「クリム、目を覚ましたか。」

 

クリム「ああ、どうやら墜落のショックで気を失っていたようだ。」

 

チェイス「大丈夫か?」

 

クリム「私は大丈夫だ。君の方はどうだ?」

 

チェイス「俺も問題ない。だが・・・・」

 

クリム「ああ、ドライドロンの方は無事とは言えないな」

 

 

ふたり揃って窓の外を見る。窓越しに見える範囲で車体を見て、二人はトライドロンの車体のダメージを見た。車内を見ればダメージは無いように見えるが、外側を見るとあちこちが破損しているのが見えたのである。

チェイスはクリムを持って酸性雨が降りしきる中、車外へと出た。

 

 

クリム「ふ~む・・・・・・」

 

車外に出たチェイスはクリムに手に持ち、トライドロンのダメージ状況を確認してながら自分でもトライドロンを見た。トライドロンはあちこちが傷つき変形し、一部煙を出していた。素人目で見た限りでも、ダメージが結構大きように見えた。

 

 

チェイス「どうだ?直りそうか?」

 

クリム「ふ~む、詳しく見てみないと何とも言えないが、マッドドクターを始めとしたいくつかのシフトカーを使えば何とか修理は可能だ。」

 

チェイス「そうか。ならすぐに修理を」

 

クリム「ああ、そうしよ。それにしても・・・」

 

 

修理可能だと分かり、安心したクリムは多少の余裕が出来たため、周りを見回してみた。

 

 

クリム「随分と寂しげな風景だね。」

 

チェイス「ああ、少し物悲しい感じだ。」

 

 

自分の周りにある廃ビル群を見て寂しそうだというクリム。周りには無人の建物が続き、その幾つかには戦闘でもあったのか、強力な力で吹き飛ばされ建物やビルが立ち並んでいた。

 

 

チェイス「随分と寂しげな世界に落ちてしまったな。」

 

クリム「ああ。こんな寂しげな廃墟を見続けると気分が滅入ってくる。さっさと修理して、こんな世界とっとと出よう。」

 

チェイス「そうしよ・・・・・むっ!」

 

クリム「?どうしたチェイス?」

 

 

突如鋭い目つきになり、辺りを見回し始めたチェイスを見て声をかけるクリム。

 

 

チェイス「・・・今、そっちに動く何かが居た。」

 

クリム「なんだって?」

 

 

チェイスの言葉を聞き、クリムも辺りを見回し始めるクリム。と、当然「ドドドドドッ!」と言う音と同時に、チェイスの足元に銃弾が炸裂した。

 

 

チェイス「くっ!」

 

 

チェイスは咄嗟にその場を飛びのき、その銃弾をかわした。

 

 

クリム「な、なんだ一体!」

 

 

クリムは叫び声をあげながら、銃弾が飛んできた方向を見た。チェイス租数メートルの距離、そこにはマシンガンのような物を装備した、自走砲のような物が3体、銃口を向けて立っていた。

 

 

自走砲のような物は銃口から弾丸を発射しながら近づいてくる。

 

 

クリム「この廃墟に配置された自律型の戦闘機械か!」

 

迫り来る四本足の自律型の戦闘機械。それを見据えたチェイスは持っているクリムをその場の地面に置くと、マッハドライバー炎を取り出すと、それを腰に装着した。

 

 

チェイス「迎撃する!」

 

 

チェイスはシグナルチェイサーを取り出し、それをマッハドライバー炎に装填した。

 

 

チェイサー「変身!」

 

電子音声『シグナルバイク!ライダー! チェイサー!』

 

 

辺りに電子音声が響くと同時にチェイスの体に銀と紫のアーマーが装着されていき、チェイサーは仮面ライダーチェイサーへと変身した。

 

 

チェイス「はっ!」

 

 

チェイスは迫り来る3体の自律型の戦闘機械に対して、右手に持ったブレイクガンナーをガンモードにして、2体の戦闘機械を打ち抜き、破壊・爆散させて、さらに迫ってくる残り1に対して、今度はシンゴウアックスで迎え撃つ。

 

 

チェイス「ハッ!」

 

 

気合一閃。戦闘機械の銃弾をかわして近づき、シンゴウアックスを振り下ろし、真っ二つになる戦闘機械。

 

 

チェイス「・・・・終わったか。」

 

 

辺りを警戒しながら見回した後、もう敵が居ない事を確認した後、チェイスは変身を解除した。

 

 

電子音声『オツカーレ!』

 

 

辺りに電子音声が鳴り響くと同時に元の姿に戻ったチェイスは、地面に置いたクリムを拾い上げて話しかけた。

 

 

チェイス「大丈夫か?」

 

クリム「ああ、問題ない、助かったよ。それにしても警告もなしにいきなり撃たれるとはね。」

 

 

破壊された戦闘機械達を見ながら言うクリム。

 

 

クリム「このままここで修理をするのは危険だ。場所を変えよう。どこか手頃な場所は・・・・」

 

 

クリムは修理するのに手頃な場所はないかと周りを見回した。

 

 

チェイス「ん?クリム、あそこはどうだ?」

 

 

酸性雨が降りしきる中、雨で霞む数百メートル先を指さしたチェイス。そこには小型のドームのような物が備わっている百貨店と思わしき建物。その隣に、その百貨店に買い物に来た客が使用する立体駐車場があった。

 

 

クリム「立体駐車場か!あそこならトライドロンを隠せるな。よし!早速移動しよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

立体駐車場内

 

 

あの後、発見した立体駐車場内にトライドロンを移動させたチェイスとクリムは、立体駐車場内の片隅にトライドロンを止めると、早速トライドロンの修理にかかった。

立体駐車場内に止まっている車は殆どおらず、わずかに止まっている車も壊れていたり、部品を抜かれているなどして、動きそうにないものがほとんどであった。そんな立体駐車場の中の片隅に、クリムとチェイスはトライドロンを停めて修理に取り掛かった。

 

マッドドクターを始めとしたいくつかのシフトカーがトライドロンの破損箇所に群がり修理に取り掛かり、それをクリムは眺めていた。そんなクリムにチェイスは修理状況を聞くために声をかけた。

 

 

チェイス「修理状況はどうだ?直りそうか?」

 

クリム「ふむ・・・肝心な部分は破損してはいない。だが、完全に直すには部品が足りない。次元跳躍は私にとっても未知の領域。次元跳躍を安全に行うためには、なるべく完璧な状態に近い状態にしたい。」

 

チェイス「部品が足りないのか。」

 

クリム「幸い足りない部品は代替えが可能な物ばかり。この世界の文明レベルなら充分手に入れられる。今シフトカー達に部品の調達を頼んでいる。部品が集まり次第修理に取り掛かれる。」

 

チェイス「そうか。なら、部品待ちという事か。なら、その待っている間、俺は周りの安全を見てくる。さっきのような戦闘機械が居るかも知れないからな。」

 

クリム「わかった。気を付けて行ってきてくれ。」

 

チェイス「ああ。」

 

 

チェイスはクリムに背を向けると、自分達の居る立体駐車場の周りと、その周辺の建物を見回る為に移動を開始した。立体駐車場内を警戒しながら移動し、立体駐車場を出た後は、周りにある建物の中を探索した。

 

 

チェイス(・・・・・人が居なくなってからだいぶ立っているな。)

 

 

ホコリが積り、あちこちが薄汚れている建物内を探索したチェイスが第一に思った感想はソレだった。

いくつかの建物内はその全てが無人で、人がいなくなってから数十年以上経っている物ばかりだった。そんな建物を探索しながら、チェイスは建物内に残された新聞や雑誌などを読んで、この世界の情報を得ようとした。そして、それらから得た断片的な情報をつなぎ合わせて得た情報で、この場所、この世界が何故無人なのか、その理由を得た。

 

 

チェイス(・・・・世界規模での戦争での細菌兵器の打ち合いか。)

 

 

チェイスが得たこの世界の情報。それは、かつて世界規模の戦争が起き、その終盤で細菌兵器を打ち合いとなり、世界が荒廃したと言うとても悲しい真実だった。

 

 

チェイス(なるほど・・・・この世界の荒廃ぶりはその戦争のせいなのか。街に人が居ないのはそのせいか。死体が無いのを見ると、住民は避難したのだろうが、人が戻った形跡が無いのを見ると、ここの住人達は・・・・)

 

 

チェイスは建物内に残された、写真立てを手に取って見つめた。そこにはかつてこの建物を使っていた者達が笑顔で写っていた。それを見て、そこに写っている者がどうなったのか、先ほど出た考えで出た答えのせいでチェイスは物悲しくなり、その写真立てを元の場所に戻し、建物内の探索を再開した。

 

いくつかの部屋を周り、フロアーのような場所を移動するチェイス。建物内の様子や、ショーケースや物が並んで置いてあるのを見て、この建物がかつてデパートだった場所だと推測するチェイス。そのデパート内を探索し、来場した客が使用する表側を一通り探索したチェイスは、次にデパートの従業員が使用するバックヤードに当たる部分の探索を開始した。

 

いくつかの部屋を周り、誇りの積もった部屋いくつも回るチェイス。そしてその何個かの部屋を回ったチェイスは、次の部屋へと移動するために扉のノブに手を掛けた。そしてその部屋へ入った瞬間、その部屋の様子を見て驚いた。

 

 

チェイス「電源が・・・・生きてる?」

 

 

部屋の中、その部屋は薄暗く、部屋内には長椅子といくつかの機会がパネルを発光させて鎮座していた。

 

 

チェイス(この長椅子・・・・俺のような人型の機械を診るためのメンテナンスベットに見えるな)

 

 

部屋の中央に置いてある長椅子は側にある機械と無数のコードで繋がれており、チェイスは自分のような人型の機械・ロボットの様な者が使用するメンテナンスベットだと思った。

 

 

チェイス(機械が動いているという事は、ここの電源は生きているのか・・・・何かに使えるかもしれない。この場所は覚えておこう)

 

 

チェイスは部屋の中の機械をざっと見回した後、この部屋出て行った。

 

 

チェイス(この部屋が最後か・・・)

 

 

電源が生きていた部屋を出た後、チェイスは最後の部屋へと移動した。そして、その部屋の入口である両開きの扉をゆっくりと開いて中へと入った。

 

 

???「おめでとうございます!あなたは250万人目のお客様です♪」

 

 

チェイス「なっ・・・・人間?」

 

 

扉を開けて入った部屋の中、そこでチェイスが見た物。それは部屋の中に入ってきたチェイスに対してニッコリと笑顔を向ける一人の少女だった。

 

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

クリム・スタインベルト (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

チェイス (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

泊 進ノ介(とまり しんのすけ) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

詩島 霧子(しじま きりこ) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

詩島 剛(しじま ごう) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

沢神 りんな(さわがみ りんな) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

西城 究(さいじょう きゅう) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

本願寺 純(ほんがんじ じゅん) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

追田 現八郎(おった げんぱちろう) (平成仮面ライダーシリーズ(仮面ライダードライブ)

 

 

 

 



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外伝3プラネタリアン~チェイス、機械の少女との出会い 中編 ~

どうも、剣 流星です。
リアルがとても忙しく、連休中にどうにか執筆時間が取れたので投稿します。
では外伝中編をどうぞ~。


 

少女「おめでとうございます!あなたは250万人目のお客様です!」

 

 

ニコリと笑顔をチェイスに向けてくる目の前の少女。長い髪を二つに分けて結ぶ俗に言うツインテールと呼ばれる髪型で、耳の部分にインカムのような機械を身に付け、服装はコンパニオンを思わせるような服を着ていた。

 

 

チェイス(何故、こんな廃墟に人間の少女が居る?この辺り一帯は30年以上前に封鎖されて、無人のはずでは?)

 

 

チェイスは先程まで廃墟を探索して得られた情報で、この辺り一帯が封鎖されて無人になっている事を知っていたため、少女が一人でこんな廃墟に居る事に疑問を抱いた。

 

 

少女「あ、あの・・・・も、申し訳ありません!本当に申し訳ありません!!」

 

 

黙って考え込んでいたチェイスに対して少女は何を思ったのか急に謝りだした。

 

 

チェイス「・・・・?(な、なんだ?急に謝り出し始めたぞ?)」

 

 

急に謝りだした少女に対して訳が分からず、黙ってその謝罪の言葉を聞くチェイス。

 

 

少女「あの・・・本当は違うんです。お客様は、本当はちょうど2497288番目のお客様で、2712番もごまかしてしまいました!ですが・・・きっと、喜んでいただけると思って・・・」

 

 

とめどなく喋り続ける少女。チェイスはその少女の注意深く観察すると、不意にその少女対して人間としてはおかしい違和感のような物を幾つか感じ取った。

 

 

チェイス(・・・まさか、この少女)

 

少女「あの、お客様?」

 

 

黙ったまま自分をじ~っと見つめるチェイスに対して、どうしたのかと首をかしげ声をかける少女。

 

 

チェイス「・・・おまえは・・・ロボットなのか?」

 

 

チェイスは目の前の少女がロボットなのかとたずねた。ロボット、それはロイミュードであるチェイスと同じ、人の手によって作られた人の姿を形どった機械。チェイスは目の前少女から発せられる、人間としては不自然ないくつかの事柄から少女がロボットなのだと結論づけた。

 

 

少女「はい、ロボットです。」

 

チェイス「・・・やはりそうか。」

 

 

チェイスは少女の返事を聞き、少女がロボットならば廃墟にいた事も、少女から感じる人間としては不自然な事柄にも納得がいった。

 

 

少女「当館解説員の、「ほしのゆめみ」と申します」

 

少女はそう言って微笑むと手に持った何かを差し出した。

 

 

チェイス「・・・これは?」

 

 

少女が差し出された物、それは蛍光灯や電源コードなど様々なガラクタを束ねてケーブルで縛った物だった。

 

ゆめみ「花束です。ご来館の記念にどうぞお受け取り下さい。」

 

チェイス「は、花束?」

 

 

少女から差し出された花束と呼ばれるガラクタの束を受け取り固まるチェイス。

 

 

チェイス「・・・・・・・・・・・」

 

ゆめみ「あの・・・・お客様?」

 

チェイス「・・・・・・・・・・・・・」

 

ゆめみ「あの・・・・・も、申し訳ありません!実を申しますと、本物のお花が用意できなかったんです。」

 

チェイス「本物の・・・花?」

 

ゆめみ「はい。お花は当デパート1階の生花売り場でお求めできます。ご来店いただかなくても、お電話一本で迅速に配達されるのですか・・・この頃売り場まで電話が通じないんです。ですから自分で作ったんです。」

 

チェイス「?(このロボット・・・この辺り一帯が30年以上も前に封鎖されて、無人になっているのを知らないのか?)

 

 

チェイスは目の前で喋り続けるロボットの少女を見ながら考えた。このロボットの少女はこの都市が閉鎖された事を知らず、この場所に居る事について。そしてある考えにたどり着いた。

 

 

チェイス(・・・・置き去りにされたのか。)

 

 

チェイスは自分の考えに対して悲しい思いになり、目の前のロボットの少女に対して何とも言えない顔を向けた。

 

 

ゆめみ「あの・・・お客様?どうなさいました?もしかして、ご体調がすぐれないのですか?」

 

 

黙ったまま立ち尽くすチェイスに対して、「体調がすぐれないのでは?」と勘違いしたゆめみは、表情を伺うようにしてチェイスの顔を覗き込んだ。そんなゆめみの声を聞いてハッとなったチェイスは、ゆめみに向けていた何とも言えない表情を見られまいと、ゆめみから視線を外し、周りを見回した。

 

 

チェイス(・・・・・この場所は・・・・この建物を外から見た時に見た、ドーム型の部分の中みたいだな)

 

 

チェイスは今自分がいる場所を内部から見て、外から見た時に見えたこの建物のドーム状の部分だと確認した。

 

 

チェイス(・・・・電灯も空調も動いていると言うことは、自家発電機が生きているのか。椅子が並んでいて、中央にある機械は・・・・プラネタリウムの投影装置?なら、ここはプラネタリウムなのか?)

 

 

チェイスはこのドームの中心にある大きな機会、プラネタリウムある投影装置を見て、ここがプラネタリウムであると悟った。

 

 

ゆめみ「あの・・・お客様?」

 

チェイス「・・・・なんでもない。」

 

ゆめみ「そうですか。では、改めてよろしいでしょうか?お客様はちょうど29年と80日ぶりの客様です。ようこそ、花菱デパート本店屋上プラネタリウム館へ♪」

 

 

ゆめみはそう言って深々と頭を下げた。その後、チェイスはゆめみの長話を黙って聞きた。チェイスはゆめみの話を聞きながら、そのコロコロ代わる表情を見て思った。「この少女はもしかしたら自分のように人の心に近いものをもっているのでは?」と。

チェイスは機械生命体ロイミュードである。チェイスはその中でもナンバー000の番号を与えられた試作型のロイミュードであった。ロイミュードの中で唯一「人間を守れ」という基幹プログラムを組み込まれ、人間に対して反乱を起こした他のロイミュードから人々を守ったとプロトドライブであった。だがグローバルフリーズ時、ハートロイミュードに敗北したことで機能停止に追い込まれ、ハートに同じロイミュードである「友」として迎えられ、ブレン達による記憶消去や改造をうけ、ロイミュードの開発した戦士魔進チェイサーとして生まれ変わらされていた。そんな時、チェイスは進ノ介や霧子と出会い、戦いの中で霧子が身を挺して進ノ介を庇ったのを目の当たりにして以来、言動や行動に変化が発生した。その後、紆余曲折をえて、仮面ライダーチェイサーとして進ノ介と共に戦っい彼らとの触れ合いで人の心を学び、人に近い心を持った事を誇りに思っていた。

 

チェイスは進ノ介や霧子、剛達との触れ合いで人に近い心を持つことが出来たのだから、この目の前のロボットの少女も自分と同じ様に周りの人間とのふれあいで人に近い心を持つことができたのではと思った。現に、目の前で話をしているゆめみの話の中には、このデパートの従業員の事も含まれており、その事を話す時のゆめみがとても嬉しそうにしているのを感じ取り、かつてゆめみの周りにいた人達が、ゆめみを大切にしていた事がよくわかった。

 

だがこれほどにゆめみを大切にしていた人達が、30年近く経っても今だにゆめみを迎えに来ない事を変だと思い、その事について考え思考し、一つの結論を導き出した。

 

 

チェイス(迎えに来ない・・・と言うよりは来れない。おそらく、ここの従業員達はもう・・・・・・)

 

 

チェイスは自分の導き出した答えに対して物悲しいくなり目の前のロボットの少女を見た。少女はそんなチェイスを見ながら、チェイスに250万人記念の特別投影を見る事をすすめた。

チェイスはその話に対してOKを出し、投影が始まろうとしたが、投影装置・・・ゆめみが言う愛称「イエナさん」が故障していたため、投影が中止になり、チェイスは一旦この場所を離れる事をゆめみに言ってその場を後にし、ゆめみから渡されたガラクタの花束を持ってクリムの元へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリム「・・・損傷箇所は多かったが、肝心な部分は無事だった。少し時間がかかるが、トライドロンの修理は可能だ。」

 

チェイス「・・・・・そうか。」

 

 

クリムのトライドロンの修理状況を上の空で聞きながら、ゆめみからもらったガラクタの花束を見ながら頷くチェイス。

チェイスは別れ際にゆめみが「次に来るときはお客様の為に特別上映を行う」と笑顔で言い、チェイスはその言葉と笑顔が頭から離れずにいた。

 

クリム「・・・・?どしたチェイス。戻ってきてから心ここにあらずといった感じだが・・・何かあったのか?」

 

チェイス「・・・・実は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリム「・・・・置き去りにされたロボットの少女か。」

 

チェイス「・・・ああ。」

 

 

チェイスはクリムに今日調べてわかった事、そして置き去りにされたまま、帰らぬ主達を待ち続けているロボットの少女・ゆめみについて話した。

 

 

クリム「・・・・帰らぬ主を待ち続けるロボットの少女か。なるほど、きみの様子が戻ってきてからおかしかったのはその少女の事を考えていたからか。」

 

チェイス「・・・ああ。トライドロンが直り、このまま俺達が去っても、あの少女は今までと同じ様に帰らぬ主を待ち続けると思うと・・・哀れに思えてな。何とかしてやりたい・・・・・そう思えてならない。」

 

 

クリム「「何とかしてやりたい」か・・・・・・ふふふっ、君の口から他人を気遣う科白が自然と出てくるとは、君の自我も随分と成長したものだな。君を作った者の一人としてはとても嬉しい限りだよ。・・・・よし!明日、私もその少女に会ってみよう。」

 

チェイス「会うだと?」

 

クリム「君が気にしているそのロボットの少女と言うのが気になってね。」

 

チェイス「気になる・・・・気になるのはいいのだが、トライドロンの修理はどうするんだ?」

 

クリム「修理自体はシフトカー達だけで十分だ。私がいなくても問題ない。だからチェイス、明日は私をその少女の所に連れて行ってくれ」

 

チェイス「・・・・わかった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明けた、次の日。

チェイスは昨日クリムに言われたとおり、クリムを持って、昨日と同じルートでゆめみが居るであろうプラネタリウムへと向かった。その途中、昨日と同じように、ゆめみが使用しているであろうメンテナンスベットと、それに接続されている多くの機械が並べられている無人の部屋へと来ていた。

 

 

クリム「・・・ふむ、この設備は例の少女が使用している物なのか?」

 

チェイス「多分そうだろう。」

 

クリム「この辺り一帯の電源は落ちているはずだから、ここの機械を動かしている電源は、この建物に備え付けられている非常用の電源かなにかのおかげなのだろう。30近くも持つとは奇跡に近いね。実に興味深い!

少し調べてみよう。チェイス、私をモニター近くに近づけてくれ」

 

チェイス「わかった。」

 

 

チェイスはクリムに言われたとおり、手に持っているクリムを設備のモニターに近づけた。

 

 

クリム「では・・・・」

 

 

クリムはチェイスに持たれたまま、目の前にあるモニターを操作するために、シフトカーの1台を遠隔操作してモニターを操作し始めた。モニターが点滅し、様々な文字や数字が所狭しとモニターに表示され始め、それをクリムは次々と読み取っていく。

 

 

チェイス「・・・何かわかったか?」

 

 

自分の目の前のモニターに次々とデータが表示されて行くのをみて、自分の手の中にいるクリムに倒して訪ねるチェイス。

 

 

クリム「これは・・・・・実に興味深い!この設備に残されている最新の彼女のデータを見てみたのだが、自己診断プログラムと対人情報データベース、会話ルーチンに自我の発生の兆候らしきものが見られる!この娘は自ら自我を・・・人間の心を得ようとしている!」

 

チェイス「自我を・・・・人間の心を?それは本当なのかクリム?」

 

 

自分の手の中のクリムに目を向けながら、チェイスは昨日会話してゆめみが自分と同じように人の心を持っているのでは?と思った事は間違いではなかったを思った。

 

 

クリム「だが・・・・」

 

チェイス「?」

 

クリム「成長する彼女の自我に対して、彼女のスペックではそれを処理しきれないでいる。このまま自我が成長し続けたならいずれ限界が来るな。」

 

チェイス「限界が?!」

 

クリム「ああ。最悪の場合自己崩壊を起こしてしまうだろう・」

 

チェイス「自己崩壊・・・だと?」

 

 

チェイスはクリムの言葉を聞き、信じられないと言う顔をした。

 

 

クリム「とにかく、まずは彼女と接触しなければ話にならない。チェイス、彼女元への案内を再開してくれ。」

 

 

そう言ってシフトカーを設備から外しながらクリムは自分を持っているチェイスへ、ゆめみの元へと案内する事の再開を促した。

 

 

チェイス「わかった。」

 

 

チェイスはクリムに返事をすると、クリムとシフトカーを持って、ゆめみが居るであろうプラネタリウムへと向かった。部屋と出て長い廊下を歩き、プラネタリウムのある両開きの扉の前へと移動する。と、その途中・・・チェイスの耳にゆめみらしき声が聞こえてきた。

 

 

ゆめみ?「・・・・プラネタリウムはいかがでしょう?どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき、満点の星々が皆様をお待ちしております。」

 

 

クリム「うん?この声は?」

 

チェイス「・・・おそらくあの娘だろう。」

 

 

プラネタリウムに居ると思ったゆめみの声がプラネタリウム室の中からではなく、廊下の先から聞こえてきたため、開けようとした扉の前から移動し、ゆめみが居るであろう廊下の先へと移動した。

廊下の先、そこはかつてこのプラネタリウムの受付だったと思わしき場所だった。ガラスが破れた扉とカウンターがあるこの施設の受付らしき場所でゆめみは、客の呼び込みの呼び込みらしきことをしていた。そんなゆめみをクリムとチェイスはしばらく黙って見ていた。

ガラスの破れた扉の脇で、吹き込んでくる雨に濡れるのも厭わず、微笑みながら、誰も訪れないであろうプラネタリウムの呼び込みらしき事をするゆめみ。その姿はまるで見捨てられた犬のように二人には見えた。

 

 

ゆめみ「こんにちは、お客様」

 

 

チェイス達に気づき、客の呼び込みを中断して声をかけるゆめみ。

 

 

チェイス「・・・何をしていたんだ?」

 

ゆめみ「はい。発声練習をしていました。いつお客様がいらっしゃっても良いように、万全の態勢でお迎えしなければなりませんので。」

 

チェイス「練習・・・か。」

 

 

ゆめみの言葉を聞き、切ない気持ちになり、何も言えなくなって再び立ち尽くすチェイス。

 

 

ゆめみ「お客様?もしやご体調がすぐれないのですか?」

 

 

心配そうにチェイスの様子を伺うゆめみ。そんなゆめみに心配かけまいとすぐに返事をするチェイス。

 

 

チェイス「・・・・いや、問題ない。」

 

 

ゆめみ「そうですか。お元気そうで何よりです。」

 

 

チェイスの「問題ない」という言葉を聞いて安心し、笑顔を向けるゆめみ。そんなゆめみに、クリムは声をかけた。

 

 

クリム「君が「ほしの ゆめみ」くんだね。」

 

 

ゆめみ「・・・え?声?」

 

 

突如自分にかけられた自分のでも、チェイスのものでもない第三の声に少し驚いたような表情をしたゆめみは、その声の主を探すべく辺りを見回す。

 

 

クリム「こっちだよ、こっち。」

 

 

ゆめみ「え?・・・・ベルト?」

 

 

声の発生元であるチェイスの持っているベルトを見て驚いたような顔をするゆめみ。

 

 

クリム「こんな姿で失礼、私はクリム・スタインベルト。チェイスから君の話を聞いて興味を持ったので会いに来た。」

 

 

ゆめみ「まあ・・・」

 

 

突如目の前のベルトがしゃべりだした事に対して、驚きの表情を浮かべるゆめみ。

 

 

ゆめみ「最近のおもちゃはよく出来てますね。お客様の物なのですか?」

 

クリム「おもちゃではない!今はこんな姿ではあるが元は人間でね、とある理由で今はこのベルトに記憶と意識を移植している。“元”人間が付くが、今はむしろ君やここにいるチェイスと同じような存在だ。」

 

ゆめみ「え?チェイス?私と同じような存在?」

 

 

クリムの言った言葉に対して頭に?マークを浮かべるゆめみ。

 

 

チェイス「・・・そう言えば自己紹介がまだだったな・・・・チェイスだ。機械生命体「ロイミュード」と言う、お前達ロボットと同じ人の手で作られた存在だ。」

 

ゆめみ「機械生命体「ロイミュード」?・・・・・では、お客様は私と同じロボットなのですか?」

 

チェイス「・・・まあ、似たような物だな。」

 

ゆめみ「そうだったのですか。全然気がつきませんでした。それにしても本当によく精巧に出来ていますね、最新型は。同じロボットの私でも分からないくらい精巧にできているのですね。」

 

チェイス「いや・・・・まあな。」

 

 

チェイスの事を、同じ世界で作られた自分と同じロボットの最新機種だと勘違いをするゆめみ。チェイスは本当の事、自分達がこの世界の者ではないと言う事を言うと、話がややこしくなると思い、その勘違いを正さずにそのままにしておく事にした。

 

 

ゆめみ「ここまで人間に近いのなら、お客様にはもしかして・・・涙を流す機能も付いているのでは?」

 

チェイス「涙を・・・・流す機能?確かに付いてはいるが・・・・なぜそんな事を聞く?」

 

ゆめみ「私には涙を流す機能はありません。ですから、涙を流すと言う行為にとても憧れているんです。」

 

チェイス「涙を流す事に・・・・憧れか・・・・」

 

 

ゆめみの一言で、チェイスは過去、一度だけ涙を流した時の事を思いだした。それはチェイスが初めて女性を好きになり、そして・・・・失恋した時に流したものだった。

 

 

チェイス「そんなに・・・良い物ではない。だが・・・・あの時、胸の痛みによって流した涙を・・・誇らしいと思っている。」

 

ゆめみ「胸の痛み・・・・故障していたのですか?」

 

チェイス「いや・・・・ケガや故障の類の痛みではない。失恋による心の痛みによって流した涙だ。」

 

ゆめみ「失恋・・・では、お客様は恋をした事があるんですか?それはとても素晴らしいことです。私は恋と言うものをしたことがありませんが、伝え聞いた話では、とても素晴らしいものだと言われています。ですのでとても憧れます。」

 

チェイス「素晴らしい・・・か。確かに素晴らしいものだな。俺自身の恋は失恋と言う残念な結界になったが、俺は恋をした事・・・・そして失恋し、胸を痛めた事がむしろ誇らしいと思った。」

 

ゆめみ「なぜ誇らしいと思ったのですか?」

 

チェイス「『人間』に近づけた・・・・そう思ったからだ。」

 

ゆめみ「そうなのですか。少し・・・羨ましいと思います。」

 

チェイス「お前も・・・いつか・・・出来ると思う。」

 

ゆめみ「私が・・・・恋を?」

 

チェイス「ああ。お前が・・・そのまま自我を確立させて、心を得たのならな。」

 

ゆめみ「心を得る?お客様、それは一体どう言う意味なのでしょう?・・・・あっ!申し訳ありません!!」

 

クリム「ん?どうしのだね?なぜ突然謝罪を・・・・」

 

 

突然目の前のゆめみが謝りだした事に対して驚き、その理由を尋ねるクリム。そんなクリムに対して申し訳なさそうな顔でゆめみは答えた。

 

 

ゆめみ「本当に申し訳ありません。イエナさんは現在修理中で投影ができません。ですので、お約束した特別上映ができず・・・・本当に申し訳ありません。現在スタッフと緊急連絡を取っておりますので、到着次第早急に修理に取り掛かりますので。」

 

 

チェイス・クリム「「・・・・・・・・・」」

 

 

ゆめみの言葉になんと言えない顔をする二人。

 

 

クリム(スタッフに緊急連絡・・・・だと?彼女は今現在自分が置かれている状況が分かっていないのか?彼女程のスペックがあるロボットなら、自分が置かれている状況の把握は出来るはず・・・もしや、状況を「把握出来ない」のではなく、「把握したくない」からあんな態度を?)

 

 

クリムはさきほど見た、ゆめみのメンテナンス用の設備から得たゆめみのスペックを思い出し、彼女の先ほどの言動に対して疑問を抱いた。そんなクリムの思考を他所に、チェイスは別の事を考えていた。そしてその考えをゆっくりと口にした。

 

 

チェイス「・・・クリム、マッドドクターと何台かのシフトカーを貸してほしい。」

 

クリム「マッドドクター達を?何をするつもりだ?」

 

チェイス「・・・投影機を修理する。」

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

ほしの ゆめみ(planetarian ~ちいさなほしのゆめ~)

 



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外伝3 プラネタリアン~チェイス、機械の少女との出会い 後編 

どうも、剣 流星です。

まずはお詫びを。投稿が遅れて本当にすいません。じつは先月、風邪をこじらせてノロウイルスにかかり、そのまま急性胃腸炎にかかって、半月もの間寝込んでました。本当にすいません。それと今回でプラネタリアンの話を終わらせる予定でしたが、終わらず、もう一話伸びることになってしまいました。本当にすいません。
では、外伝3後編をどうぞ。


 

 

投影機の周りをマッドドクターを始めとした数台のシフトカーが飛び周って投影機を修理していた。そんな光景をとても不思議そうにロボットの少女・ゆめみは見ていた。

 

 

ゆめみ「あのミニカーのような物が、イエナさんを直しているのですか?」

 

 

ゆめみの側で同じように、投影機を修理しているシフトカー達を見ているチェイスに持たれているクリムにゆめみが質問した。

 

 

クリム「ああ、そうだ。大丈夫、心配ない。マッドドクター達にかかれば、大抵の物は修復できるはずだ。」

 

ゆめみ「そうなのですか。凄いですね、最近のおもちゃは。」

 

クリム「いや、だからおもちゃじゃないんだが(-_-;)」

 

ゆめみ「所でお客様、お客様はお話するのはお好きですか?私はお話するのが好きなんです。お話をしていますと、なんと申しますか、心が豊かになる気がするんです。お客様は、そんな風にお思いになったことはありませんか?私は・・・・・」

 

 

クリムとチェイスに対して、延々と話をし続けるゆめみ。それはまるで今まで一人で居たため、人と話ができなかった分まで話しをしようとしているみたいだった。

延々と話をするゆめみ。その話の内容は、「夢を見たことがあるか?」とか「涙を流すというのはどう言う感じなのか?」などの突拍子の無い物から始まり、そこから、かつてこのプラネタリウムを訪れたお客の話や、このプラネタリウムで一緒に働いていた、ゆめみのかつての同僚達の事などを次々と話し、ゆめみはそれらの事をとても嬉しそうに話していた。チェイスとクリムはそんなゆめみの笑顔をみて、とても口を挟める雰囲気ではないと思い、やれやれと言った感じになった後、黙ってゆめみの話を聞いた。

やがてゆめみの話が一段落した頃を狙い、クリムは自分を持っているチェイスに話しかけた。

 

 

クリム「・・・・チェイス、なぜ投影機の修理をしようと?」

 

 

視線を、修理されている投影機を見ているゆめみから外さないままチェイスに問いかけるクリム。そんなクリムに静かな声でチェイスは問いに答えた。

 

 

チェイス「・・・アイツの望みを叶えてやりたいと思った。俺は・・・なぜか、アイツを放って置けないと思って・・・・な。」

 

クリム「・・・・そうか。確かに彼女を見て、彼女の境遇を知れば放って置けないと思うのはわかる。私も同じ気持ちだ。だがチェイス、我々はいつまでもこの世界に居る訳にはいかない。トライドロンの修理が完了したなら、すぐにでもこの世界を出て、目的の世界に行かなくてはならない。それは分かっているな?」

 

チェイス「・・・・」

 

 

チェイスはクリムの言葉に対して沈黙し、これからのことを考えた。チェイス達がこの世界に来たのは事故による物で、いわば偶然に過ぎない。そしてトライドロンの修理が終わったら、早急にこの世界を出て行くことは初めから決まっていた事だ。そして、この世界を出ていくということは、今、目の前にいるロボットの少女と別れ、少女が再びこの誰も来ない廃墟に再び一人になるという事であり、チェイスはゆめみを再び一人にする事に抵抗を感じていた。

 

 

チェイス(俺達が出ていけば、あいつは再び一人になる。それは初めからわかりきっていた事だ。だが・・・俺はあいつが再び一人になる事に抵抗を感じる・・・俺はアイツを一人にしたくないのか?なぜ?)

 

 

自分のうちから出てくる感情に対して自問自答するチェイス。だがその問に答えは出なかった。

 

 

チェイス(理由はわからない・・・だが、俺はアイツをこの廃墟に一人にしておきたくない。なら・・・・いっそ、あいつも一緒に・・・・・)

 

 

チェイスの中である答えが出そうになったその時、投影機を修理していたシフトカー達が一斉に投影機を離れ、チェイス達の側に集まった。

 

 

クリム「むう?どうやら修理が終わったようだ。」

 

チェイス「ああ。」

 

自分達の側に集まったシフトカー達を見て投影機の修理が完了した事を察するクリムとチェイス。

 

 

ゆめみ「イエナさんの修理、終わったのですか?」

 

チェイス「ああ。終わっているはずだ。」

 

ゆめみ「ありがとうございます、お客様♪当館のスタッフ共々、重ねてお礼を申し上げます」

 

 

投影機の修理が終わった事を告げられると、ゆめみはとても嬉しそうに微笑えみながらチェイス達にお礼の言葉を言って、丁寧に両手を添え、深々とお辞儀をした。チェイス達はゆめみの笑顔がとても眩しく感じ、思わず見惚れてしまった。

 

 

チェイス・クリム「「・・・・・・・・・」」

 

ゆめみ「あの・・・お客様?どうなさいました?やはりどこか調子が?」

 

チェイス「あ・・・いや、何でも無い。」

 

クリム「ああ、何でも無い。」

 

ゆめみ「そうですか。ではこの後、お約束通り特別投影を上映しますので、お客様達はお席でお待ちください。」

 

 

そう言ってゆめみはチェイス達をその場に残してその場を去っていった。

 

 

クリム「特別投影か・・・・プラネタリウムなど何十年ぶりだな。せっかく私達の為に上映してくれたのだ。せっかくだから見ていこう。」

 

チェイス「・・・・そうだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プラネタリウム室に備え付けてある席の一つに座り上映を待つチェイスとクリム。二人はしばらく黙ったまま待っていると、何処かへと行っていたゆめみが姿を現した。

 

 

ゆめみ「本日は、花菱デパート本店屋上プラネタリウム館にようこそお越しくださいました。私は当館解説員の「ほしのゆめみ」と申します。投影を始めます前に、簡単な注意事項をお伝えします。ドーム内では・・・・」

 

 

姿を現したゆめみは待っていたチェイスとクリムに対して挨拶をした後、投影前の注意事項を言い始め、次に投影機である「イエナさん」を紹介し始めた。それは30年前、人々がこのデパートに来ていた時の頃と同じように寸劇を本当に楽しそうに演じていた。やがてゆめみの寸劇が終わると、辺りが暗くなり、投影・・・・ゆめみが言う「特別投影」が始まった。

 

 

ゆめみ「秋の一日、外では雨が降り続き・・・・」

 

 

ゆめみの解説と同時に暗くなったドームの天井に、投影機が投影した星々が映し出される。天蓋全体に映し出される銀色の光の粒である星々。それらを見て、その美しさにチェイスとクリムは目を見張った。

 

 

クリム「美しいな・・・・」

 

チェイス「美しい?・・・・そうか、俺の中に今ある「コレ」は美しいと思う感情・・・・「感動」と呼ぶ物なのだろ・・・・美しいと感じる「感動」するの心・・・・良いものだな。」

 

 

チェイスはこの星空を見て機械生命体である自分の中に現れた感情を確認し、良いものだと感じながら、ゆめみの解説を聞きながら星空を見続けた。ゆめみの解説を聞きながら、まるで星空に吸い込まれるような感覚になるチェイスとクリム。やがて投影のプログラムは最終段階に入る。

 

 

ゆめみ「これが今から千年後の夜、この場所から見える星空です。」

 

チェイス「千年後の星空・・・・・」

 

 

ゆめみの言葉に反応してポツリと言葉を発するチェイス。

 

 

ゆめみ「ロボットの「ほしのゆめみ」と投影機の「イエナさん」が一生懸命に紡いだささやかな未来・・・どうか、ここで見た星空を忘れないでください。あなたが暗闇に迷い、本当の星空が見えなくなってしまった時、そっと思い出してください。それが・・・・小さな、私の願いです。」

 

 

やがて投影が終わり、ゆめみの終わりの挨拶が告げられる。

 

 

ゆめみ「それでは、これで記念投影は終了します。この回の解説は私、「ほしのゆめみ」がお送りしました。ご清聴ありがとうございました。」

 

 

ゆめみの言葉を持って投影は終を告げられた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめみ「お客様、今回の特別投影はいかがだったでしょうか?」

 

 

投影が終わり、辺りに明かりが灯った中、ゆめみは今だに投影の余韻に浸っていたチェイス達に近づいた感想を聞いてきた。

 

 

クリム「素晴らしい投影だった。子供の頃に見た星空を見て感動したあの時の気持ちを思い出したよ。本当に素晴らしい投影だったよ。」

 

チェイス「ああ、生まれて初めて「感動」した。ありがとう。」

 

ゆめみ「お客様が満足してくれて、私もとても嬉しいです。」

 

 

とても嬉しそうに言うゆめみ。そんなゆめみに対してチェイスは最初、躊躇するような素振りした後、意を決した感じになり、ゆめみに声をかけた。

 

 

チェイス「・・・なあ、俺達と一緒に・・・・・」

 

 

「ここを出ないか?」とゆめみに言おうとするチェイス。だが、その言葉を言おうとした瞬間突如辺りの灯りが消えて、暗闇となった。

 

 

クリム「なっ!これは?」

 

チェイス「停電か?いや、もしかしたら・・・・」

 

 

辺りの灯りがが消えのを見てチェイスとクリムはある考えが浮かんだ。それは30年間もの間このドームに供給され続けた非常用電源が遂に切れたのだと。

 

 

チェイス「・・・クリム、これは・・・」

 

クリム「ああ、この建物に供給され続けていた非常用の電源が切れたのだろう。30年間も持ったのが不思議なくらいだ。よく持った方だろう。」

 

チェイス「そうだな。だが、ここの電源が切れたとなると、アイツは・・・・もう、充電が出来ない。今持っているバッテリーが切れたら・・・・」

 

クリム「ああ、もう・・・彼女は二度と動くことができないだろう。それは、彼女の「死」を意味する。」

 

チェイス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

クリムの言葉に押し黙るチェイス。ゆめみの「死」。それを聞いて、チェイスはその事を受け入れられないと感じていた。出会ってそれほど立っていない相手であるはずなのに、チェイスはゆめみを死なせたくないと強く思った。彼女と出会い、話を聞き、その身の上を知り、そして彼女に「感動」する感情を教えられた。そんなゆめみを助けたいと思い、チェイスはゆめみに対して再度声を掛けようとしたが、その前にクリムが先にゆめみに声をかけた。

 

 

クリム「投影も終わったことだし、私達はこれで失礼するよ。」

 

ゆめみ「お帰りになるのですね。」

 

頭部のリボンと着ている制服が淡い光発していて、停電の暗闇の中でもその姿がはっきりとわかるゆめみに対して「帰る」と告げるクリム。

 

 

ゆめみ「お客さまはお車でお越しになっのですか?」

 

クリム「?ああ、そうだが。」

 

 

ゆめみの当然の質問に戸惑いながらも答えるクリム。

 

 

ゆめみ「でしたら、お客様のお車まで私がご同行します。」

 

クリム・チェイス「「はあ?」」

 

ゆめみ「先程からお客様の様子がおかしいので、お体の調子が良くないと思い、また、現在この区域は停電中ですので、お客様の安全の為にエスコートさせていただきます。」

 

チェイス「あ、ああ・・・・よろしく頼む。」

 

 

最初、鳩が豆鉄砲を食らったような驚いた顔をした後、頼むと返事をしたチェイス。その言葉を聞いた後、ゆめみは、「暗いので、ドームの外まで私についてきてください」と言って、クリムとチェイスを先導し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デパートの外。そこは酸性雨が降りしきる雨に打たれ、誰も居なくなった無人の街が、雨に打たれてその物悲しさを強調させていた。

 

 

ゆめみ「誰もいませんね。」

 

 

レインコートを着たゆめみが、無人の街を見てつぶやく。そんなゆめみを見ながら、チェイスは周りを警戒しながらつぶやく。

 

 

チェイス「・・・・どうやらあの無人兵器はこの辺りには居ないようだな。」

 

クリム「そうだな。」

 

 

チェイスと同じようにクリムもまたチェイスに持たれながら周りを警戒した。

 

 

ゆめみ「お客様。お客様のお車はどちらに?」

 

チェイス「ん?ああ、あそこに見える立体駐車場に・・・・・・!なんだ?何かが・・・くる!」

 

 

トライドロンが置いてある立体駐車場を指差してゆめみに説明をしようとした瞬間、デパートに接している大通りの向こう側から強大な何かが走ってくるのが見え、警戒を強めるチェイス。

 

 

クリム「あれは・・・・大型の無人戦闘機械?!」

 

 

大通りの向こうから走ってくる巨大な物体は以前チェイス達が破壊した小型の四本足の無人戦闘機械を大きくしたような物だった。

大型の無人戦闘機械はセンサーにチェイス達を捉えると、排除する敵と判断し、自分に備え付けられている大型砲塔をチェイス達へと向ける。

 

 

クリム「気をつけろ!来るぞ!!」

 

 

クリムの言葉が響いた瞬間、「ズドン!」と砲塔から弾頭が発射され、チェイスは咄嗟にゆめみを抱えて横に飛んだ。

 

 

クリム「問答無用で撃ってきたな。やれるか?チェイス。」

 

チェイス「問題無い。すぐに片付ける。」

 

 

自分達に向けて自動小銃を向けてくる大型の戦闘機械に対して睨みつけながら、返事をしたチェイスは、マッハドライバーとシグナルチェイサー取り出し、マッハドライバーを腰に装着させると、手に持っているシグナルチェイサーをマッハドライバーに装填させようとした。その時、一つの人影が大型の無人戦闘機械に歩み寄って行くのが見えた。

 

 

チェイス「アイツ、何を!クッ!」

 

 

大型の無人戦闘機械に歩み寄っていくゆめみ。そのゆめみをセンサーで捉えた大型の無人戦闘機械は、ゆめみを敵と判断し、自動小銃を向ける。それを見たチェイスは持っていたクリムを地面に置いて、ゆめみを助けるために飛び出す。

 

 

ドドドドドッ!

 

 

大型の無人戦闘機械の自動小銃がゆめみに向けて火を吹くのと、チェイスが彼女の体に飛びかったのはほぼ同時だった。ゆめみの体を押し倒した後、チェイスは無人戦闘機械の追撃を避けるために、ゆめみを抱えて近くにある建物の物陰に逃げ込んだ。

 

 

チェイス「おい!大丈夫・・・・!」

 

 

自分が抱え込んだゆめみに「大丈夫か?」と声をかけようとしたチェイスの目に写ったのは、先ほどの自動小銃の弾の一発が当たっり、体に穴があいて、その穴からバチバチッ!と放電しているゆめみの姿だった。

 

 

チェイス「おい!大丈夫か!」

 

ゆめみ「お客様・・・お怪我はありませんか?」

 

チェイス「なぜ、前に出た!」

 

ゆめみ「人間に危害を加えたり、害が及ぶのを看過してはならない・・・・これは、ロボット(わたし達)が忘れることのできない、約束で、誇りです。」

 

チェイス「前に言ったはずだ!俺は・・・・人間ではないと。それなのになぜ?」

 

ゆめみ「分かりません。お客様は自分をロボットだとおっしゃいました。でも・・・・私には・・・お客様は・・・「人間」にしか見えませんでした。ですから・・・・・」

 

チェイス「俺が・・・人間・・・・・だと?」

 

 

ゆめみの言葉を聞き、自分の手を見る。自分の目に映るその手は確かに人間のそれと見分けが付かない位い精巧に作られている。だがその皮膚の下に人間と違う、機械が埋め込まれている。それを認識し、チェイスはゆめみに向き直る。

 

 

チェイス「俺は・・・・!くっ!」

 

 

ゆめみに話しかけようとしたが、無人戦闘機械がこちらに来る音が聞こえ、話を中断させられた。

 

 

チェイス「ここに居ろ。すぐに戻る。」

 

 

ゆめみの体をそっと横にして置くと、その場を走って離れ、無人戦闘機械の前に躍り出るチェイス。

 

 

チェイス「変身!」

 

電子音声『シグナルバイク!ライダー! チェイサー!』

 

 

チェイスはシグナルチェイサーを取り出し、それをマッハドライバー炎に装填し、仮面ライダーチェイサーへと変身すると、手に持ったシンゴウアックスを振りかぶり、無人戦闘機械へと駆け出す。

自分に駆け寄ってくるチェイスを捉えた無人戦闘機械は自動小銃でチェイスを迎撃しようとするが、その攻撃全てがチェイスを捉えることなく空を切った。

 

 

チェイス「ハッ!」

 

ガキンッ!

 

 

無人戦闘機械の攻撃をかわしたチェイスはそのまま無人戦闘機械の懐に潜り込み、振りかぶったシンゴウアックスで無人戦闘機械の脚を一本破壊する。脚を破壊されてバランスを崩しその動きを止める無人戦闘機械。チェイスはそれを見逃すなく、その隙にシンゴウアックスの頭部分のスロットにシグナルバイクを装填した。シンゴウアックスから「マッテローヨ!」の音声と共に信号機を模したレッドランプが発光した後、「イッテイーヨ!」の音声と共にグリーンランプが発光した瞬間、グリップ下部のトリガーを引いてシンゴウアックスを振り下ろし、必殺技を発動させた。

 

 

チェイス「ハッ!」

 

 

シンゴウアックスから放たれた攻撃を受けた無人戦闘機械は、その巨体を爆発させた。

 

クリム「ふぅ~、まさか・・・・こんな物まで彷徨いていたとはね。」

 

爆発し、炎上した無人戦闘機械を見て、地面に置かれたままのクリムがつぶやく。

 

 

電子音声『オツカーレ!』

 

 

辺りに電子音声が鳴り響くと同時に元の姿に戻ったチェイスは、地面に置いたクリムを拾い上げた。

 

 

クリム「先程、彼女を庇おうとして飛び出した姿を見た時は肝を冷やしたが、その様子だと無事みたいだな。」

 

チェイス「俺は無事だ。だが!」

 

 

クリムを持ったチェイスはそのままクリムを持って、ゆめみを横たえた場所へと走って向かう。

 

 

クリム「なっ!これは・・・・」

 

 

チェイスに持たれたままゆめみの元へと向かったクリムは、ゆめみの姿を見て驚き戸惑う。

 

ゆめみ「お客様・・・ご無事でしたか?」

 

クリム「まだ・・・喋れるのか?」

 

ゆめみ「はい。緊急作動用電池に切り替えました。」

 

 

チェイスとクリムの姿を見て、ぎこちない動きをしながら無事かを聞くゆめみ。

 

 

チェイス「見ての通り、流れ弾に当たっている。クリム、こいつを直してやってくれ!可能か?」

 

ゆめみ「およそ600秒で、緊急作動用電池が、残量0になります。バックアップ用電池が消耗しているので、その後は行動不能となります。メンテナンスコールを発信していますが、受講されません。少しだけ・・・心細いです。」

 

 

痙攣するように数度瞬きをするゆめみ。それを見て、重々し口調でクリムが口を開いた。

 

 

クリム「ドライドロンに積んである、君に万が一の事が会った時に用途と、君の体の予備パーツをいくつか積んである。それらを使えばあるいは・・・・」

 

チェイス「直せるのか?」

 

クリム「ああ。とにかく、彼女を彼女のメンテナンス用のベットに!」

 

チェイス「しかし、あそこはもう電源が・・・」

 

クリム「シフトカーを通じてトライドロンのエネルギーの一部を送って施設を動かす。トライドロンのエネルギーは大きい。彼女を直すまでの間、あの施設を動かすぐらいのエネルギーは余裕に有る。それよりも早く彼女を!」

 

チェイス「ああ!」

 

 

ゆめみの体を抱えてチェイスはその場から走ってデパートの中へと駆け込んで行った。

 

 

つづく

 



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外伝3 プラネタリアン~チェイス、機械の少女との出会い 完結編

どうも、剣 流星です。

やっと外伝の話を完結させることができました。
プラネタリアン自体が作者の超お気に入りの作品だったので、張り切って書いたはいいのですが、ちょっと凝りすぎて、終わらせるのが大変になってしまい、時間がかかってしまいました。(^_^;)

では外伝3の完結編をどうぞ。


瞳がゆっくりと開き、その瞳に徐々に光が灯る。彼女はいつものように自分の躯体を動かすための処理をするために演算を開始する。すると、その作業速度に違和感を感じ始めた。

 

 

ゆめみ(・・・・・・?処理速度が上がってます・・・・なぜ?)

 

 

自分の処理速度が速くなっていることに違和感を覚えつつ、次に自分の躯体に自己診断プログラムを走らせ、躯体のチェックをし、そこでゆめみは自分の体に異常に気づいた。

 

 

ゆめみ(?!筐体のパーツの半分が未知の者に変わっています!処理速度が上がっていたのはこれのせい?!)

 

 

ゆめみは自分の体の半分が未知のものに変わった特に戸惑いを覚えながらも、その瞳に映る、いつも自分が寝起きしている自分のメンテナンスベットがある部屋を見回した。見慣れているメンテナンス部屋の中に、見慣れないいくつかの物の中に、ミニカーのような物が数台部屋の中を走り回っているのが目に見えた。

 

 

ゆめみ(これは確か・・・お客様がお持ちしていたシフトカーと言う物。なぜそれがこの部屋の中を走り回っているのでしょう?)

 

 

メンテナンスベットに横になりながら思考するゆめみ。

 

 

ゆめみ(そう言えば、私はどうしてここに?)

 

 

ゆめみは自分がなぜこの部屋に居るのか?と思い、自分が最後に見聞きした事を思い出す。

 

 

ゆめみ(・・・・・・・・そうです。私は確か・・・暴走した大型機械に攻撃されて、それで・・・・・)

 

 

ゆめみは自分が無人戦闘機械に攻撃されて壊されてしまった事を思い出した。

 

 

ゆめみ(私は確か・・・・壊れたはず。あの状態では修理する事は無理だったはずです。でも・・・・今は筐体のパーツが半分未知の物に変わっていること以外おかしなところはありません。新しい筐体になったようでもありません。もしかして・・・お客様方が直してくれた?)

 

 

ゆめみは、自分が壊された時、自分の側にいた客の事を思い出し、その人達が直してくれたと言う結論に達した。そしてその事について「なぜ?」と思考しようとした時、声をかけられた。

 

 

クリム「目が覚めたようだね。」

 

 

自分にかけられた声のした方にメンテナンスベットに横になりながら、未だうまく動かせない体を動かし、ようやく動いた首だけを動かすゆめみ。声のした方向。そこにはチェイスに持たれているクリムの姿がいた。

 

 

クリム「あ、今は無理に今はまだ無理に動いてはいけない。修理する際に、破損して使い物にならなくなった部分や、古くなって摩耗していた部分に新しいパーツを組み入れた。その部分がまだ馴染んでいないはずだがら、馴染むまでは体を動かさないほうがいい。」

 

ゆめみ「でも・・・・」

 

チェイス「いいから、パーツが馴染むまで横になっていろ。」

 

 

そう言ってチェイスはクリムを持って部屋の出入り口へと向かいながら「部屋の外にいる。何かあったら呼べ。」と言って部屋の外に出て行った。

 

 

ゆめみ「・・・・・・・」

 

 

部屋の外へと出て行ったチェイスの背中を見送ったゆめみは、横になっていたメンテナンスベットからゆっくりと体を起こした後、体の調子を確かめるようにゆっくりと体のあちこちを動かした。

 

 

ゆめみ(・・・・体を動かす為のプログラムの最適化がまだみたいです。まずはこれを・・・・)

 

 

体を少しずつ動かしながら、体を動かすためのプログラムの最適化をした。その作業と並行しながら、ゆめみは自分がここに担ぎ込まれた原因である暴走した大型自動機械の事と、無人の廃墟と化した街のことについて考えた。

 

 

ゆめみ(街が無人の廃墟となっていて、あのような大型の自動機械が暴走していても騒ぎにならない・・・・これはやはり・・・・・)

 

 

ゆめみが考えてだした結論は、ゆめみの同僚達が帰ってこない事について考えた結論と同じ物だった。そして、その結果は、ゆめみが自分が壊れているから出てきた物だと思い、目を背けていた事だった。

 

 

ゆめみ(今回の事ではっきりしました・・・・・やっぱり・・・私が壊れていたのではなく・・・壊れていたのは・・・・・)

 

 

その考えに至ったのと同時に体を制御するプログラムの最適化が終了する。

 

 

ゆめみ「・・・・確かめなくては。」

 

 

ゆめみはそう言って決意すると、部屋の出口であるドアへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリム「彼女を連れて行くだって?!」

 

 

メンテナンス部屋の外にある廊下で、チェイスの言った一言にクリムは驚きの声を上げた。

 

 

チェイス「・・・ああ。ここの電源はもう死んでいる。今はトライドロンからエネルギーを分けてかろうじて動かしているが、俺達が居なくなれば動かなくなる。そんな廃墟にアイツを置いていくわけには行かない。」

 

クリム「・・・確かにそうだな。だが、彼女を連れて行くとなると、彼女を説得しなくてはならない。それは彼女に自分の現状を伝えなくてならないことになる」

 

チェイス「・・・そうだな。アイツは今でもココに居た人達が帰ってくると思っている。だがなクリム、アイツは本当はここの人達が二度と帰ってこない事に、本当は気づいているんじゃないか?」

 

 

チェイスの言葉を聞いてクリムは少し驚いた表情をした。

 

 

クリム「チェイス・・・君もその事に気づいていたのか。」

 

チェイス「・・・・ああ。」

 

クリム「・・・・・・私も、彼女と会話した時、彼女の現状把握能力がどれくらいなのかを知るためにいくつかの質問をしてみた。そしてその結果、彼女にはこの現状を正しく把握することができる能力があることが分かった。だが、それでも彼女がこの場所で同僚達の帰りを待っていたのは、自分の現状に何らかの理由をつけて目を背けていたからだろう。「私が・・・目を背けている・・・」!?」

 

 

突如廊下に現れたゆめみの姿に驚くクリムとチェイス。

 

 

チェイス「・・・聞いていたのか。先ほどの話を。」

 

ゆめみ「・・・はい。申し訳ありません。立ち聞きするつもりはありませんでした。」

 

クリム「・・・いや、かまわんよ。それより、体の調子はどうだね。何しろ、この世界のロボットにロイミュードのパーツを使って直すと言うかなり乱暴な直し方をしたから、パーツ同士の接合や、全体のパーツ同士のバランスの事で色々と心配していたのだが・・・」

 

ゆめみ「大丈夫です。今の所問題はありません。ただ少し、いきなり性能が向上したため、性能が向上した筐体を扱うのにいささか戸惑っていますが・・・」

 

クリム「そうか・・・まあ無理もない。いきなり自分の体の性能が向上すれば、誰だって戸惑う。」

 

ゆめみ「そう言って頂けると幸いです。あの・・・申し訳ございませんが、外を少し・・・歩いてみたいのですが・・・よろしいでしょうか?」

 

チェイス「・・・外を少し歩く?」

 

ゆめみ「はい・・・・確認したいのです。私が考えて結論を出したこの考えが正しいのかを。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆめみ「あそこのお店、あそこのジェラートは絶品だと言われていて、同僚である倉橋さんも時々食べに来ると言っていました。あちらのお店は・・・・」

 

 

デパートの外へと出かけたゆめみと、その後に付いて行くチェイスと、チェイスに持たれたクリム。二人をまるで街を案内するかのようにゆめみは廃墟の街を、まるで懐かしそうにしながら歩いた。そんなゆめみを少し複雑そうな顔でチェイス達は見ながら、戦闘機械が襲ってきてもて対応できるように警戒しながら付いて行った。

 

デパートの周りを案内するかのように一周した後、チェイス達は出発地点であるデパートの前に戻ってきた。ゆめみはデパート前まで戻ってくると、デパートの前に佇んだまま、黙ってデパート眺め続けた。

 

 

クリム「・・・・・?どうしたんだい?」

 

 

黙って立ち尽くすゆめみの背中を見て、クリムは声をかけた。

 

 

ゆめみ「先程、お客様が仰ったように・・・・・本当は・・・・・私はわかっていたんです。」

 

チェイス・クリム「「?」」

 

 

突如、淡々とした口調で話し始めるゆめみ。チェイス達はそれを黙って見守った。

 

 

ゆめみ「お客様達がいらっしゃるまで、私は、何度も考えました。館長さんやスタッフの皆さんは、いつ帰ってくるのだろうと。次のお客様はいつ来るのだろうと・・・・・。」

 

 

チェイス・クリム「「・・・・・・・・」」

 

 

ゆめみの言葉を聞いて悲痛な顔をするチェイスとクリム。そんな二人の前で背中越しに淡々と話し続けるゆめみ。

 

 

ゆめみ「何度も考えて・・・・・そして・・・・・いつも同じ結論が出ます。人間の皆様はもう・・・戻ってこないと言う結論です。でも、そんなはずはありません。きっとこんな結論を出す私が壊れているからこんな結論が出るんだと考えました。お客様達が来た時、私は、本当に嬉しかったんです。やっぱり私は間違ってたんだって。お客様は私の事を忘れていなかったんだって。でも・・・」

 

 

デパートを見続けていたゆめみの瞳がデパートから街並みへと向けられた。酸性雨が降り続ける灰色の空、人影の絶えた街並みに・・・・

 

 

ゆめみ「私は壊れてなくて、壊れていたのは・・・・・・・・世界・・・・・だったんですね。」

 

 

チェイスとクリムの方へと振り向き、その顔を見せるゆめみ。その瞳には、振り続けた雨が溜まって溢れて流れていた。それはまるでゆめみが涙を流しているように見えた。

 

 

クリム「・・・・ゆめみ。」

 

 

初めてゆめみの名前を言うクリム。その視線は真っ直ぐにゆめみへと向けられた。

 

 

クリム「私達は明日・・・この場所を立つ。君はどうする?あのデパートの電源はもう死んでいる。プラネタリウムも・・・もう動かない・・・」

 

ゆめみ「・・・・・・・」

 

 

黙って話を聞くゆめみ。

 

 

クリム「そこでどうだろう。私達と一緒に来ないか?」

 

ゆめみ「お客様達と?」

 

クリム「ああ。私はこの通り、ベルトの姿だ。この姿だと、何かと不便なことがある。そこで君が私の助手となって色々と手伝ってくれるとありがたい。まあ、元人間と言っている怪しいベルトの言うことだから、怪しいと思われるだろうが・・・でも、君に来てもらえると助かると言うのは本当だ。」

 

 

クリムの言葉を聞き、考えるゆめみ。そんなゆめみにチェイスが声をかけた。

 

 

チェイス「俺も・・・お前には来てもらえると嬉しい。」

 

ゆめみ「・・・お客様。」

 

チェイス「ゆめみ。お前はこのデパートの・・・いや、もしかしたらこの世界の最後の生き残りかもしれない。生き残ったお前には、先に逝ってしまった者達の分まで生きる義務があると俺は思う。」

 

ゆめみ「生きる・・・・義務・・・ですか?」

 

チェイス「ああ。少なくても俺はそう思っている。俺自身も・・・・最後の生き残りだからな。」

 

ゆめみ「・・・お客様も?」

 

チェイス「ああ。俺は機械生命体(ロイミュード)の最後の生き残りだ。他のロイミュードはもう居ない。ハート、メディック、ブレン・・・・敵対していたとしてもアイツらは、俺の同胞で・・・友だった。」

 

 

懐かしそうにかつての同胞で友だった者達を思い出すチェイス。ドライブである進ノ介から、自分が一度破壊された時のハート達の様子をチェイスは聞いた。ハートは例え敵対していたとしてもチェイスを友と呼び、メディックは破壊された自分に対して涙を流したと聞いた。そして、ハートやメディックを守るために散ったブレン。かつては味方として、後に敵対したとしても、チェイスは彼らの事を憎むことはできず、今でも彼らを同胞と、友と思っていた。そして、そんな彼らの分まで自分は生きていこうとチェイスは思っていた。

 

 

チェイス「あいつらの分まで俺は生きて行こうと思う。あいつらの生きた証として・・・・・ロイミュードと言う機械生命体がいたと言う証として。あいつらの生きていた証でもある思い出と共に・・・・・お前も同じだ。このデパートの・・・この世界の人々の生きていた証であり、その人達との思いでを秘めたお前は生きた証でもある。だからお前は生きるべきだ。」

 

 

クリム「明日の朝、私達はここ立つ。それまでに決めておいて欲しい。明日の朝、この場所で待っている。よく・・・考えて答えを出してくれ」

 

 

そう言ってクリムとチェイスはその場を後にした。

 

 

ゆめみ「私は・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、デパートの前に修理を終えたトライドロンが止められていた。その日は珍しく雨が止み、分厚い雲の割れ目から空が見えた。ここ最近のこの世界では珍しい天気だった。

 

 

クリム「彼女は来るかね。」

 

チェイス「・・・・・・・」

 

 

トライドロンに寄りかかりながら、チェイスは彼女からもらったガラクタの花束を持って黙って見ていた後、そのまま視線をデパートの入口へと向けた。するとデパートの入口に一人の人影が現れた。15~6歳の少女の姿をした、コンパニオンのような服装の機械の少女・・・ゆめみであった。彼女は両手に大きめの電球を抱えてトコトコとチェイス達へと近づいて来た。

 

 

クリム「よく来たね。ここに来たということは、私達と一緒に行くということで良いんだね。」

 

ゆめみ「・・・はい。」

 

クリム「そうか・・・うん?その電球は?」

 

ゆめみ「イエナさんの電球です。イエナさんを一緒に連れて行くことができないから、せめてイエナさんの一部でも一緒にと思って。」

 

クリム「・・・・そうか。」

 

ギュッと愛おしそうにイエナの電球を両手で抱きしめるゆめみ。そんなゆめみにチェイスは声をかけた。

 

チェイス「・・・いいのか?戻って来れないかもしれないぞ?」

 

ゆめみ「お客様達のお誘いを受けた時、私は悩みました。どうすれば良いのかと。・・・・そして考えて・・・思い出しました。私の作られた理由・・・・それは人のために尽くすこと。私は人に・・・人間に尽くしたい。ですから、どうか私にお客様達のお供をさせてください。」

 

チェイス「人間に尽くす・・・か。だが、俺は人間ではないぞ?」

 

クリム「私も元人間で、今は人間ではないが?」

 

ゆめみ「私にはお二人は人間に・・・人にしか見えませんよ。」

 

 

ゆめみの言葉に目を丸くする二人。そんな中、ゆめみは視線をチェイスへと向けて話を続けた。

 

 

ゆめみ「昨日、お客様の言葉を聞いて私は思いました。私の中にも皆様との大切な思い出がいっぱいあります。」

 

 

そう言ってゆめみは耳の部分に装備されているイヤーユニットの機能の一つであるホロスナップを起動させ、ホログラフィーで映像再生し、記録されていた映像を映し出した。

その映像はゆめみに対して、何かお礼を言っている人々の映像がほとんどであった。次々に映し出されるそこに写って居る人々は殆ど笑顔だった。映像はやがて、デパートのスタッフ達との最後の別れの時の映像になる。防護服を着た人達に取り囲まれながら、涙ながらにゆめみに対して語りかけるスタッフの人々。

 

 

太めの男性スタッフ『ゆめみちゃん・・・俺達・・・・みんなで、しばらく旅行に行くことになったんだ・・・・』

 

女性スタッフ『ゆめみちゃん・・・・私達が帰ってくるまで・・・ここで待っててねくれる?ううう・・・・』

 

メガネの男性スタッフ『私達は・・・必ず帰ってくる。その時は・・・・また一緒に働いてくれ。いいね、ゆめみ』

 

 

 

ゆめみ「・・・館長さん達は私の事を思って・・・本当の事が言えなかったんですね。そして、私の事を思って電源を切らないで置いていった・・・・そして・・・いつか帰ってこうよと・・・思っていたはずです。」

 

クリム「確かにそうだろうね。君の為に帰ってこようと思っていただろうし、君の事を思って本当の事を黙っていたのだろう。そうして本当に君の事を思っていた。」

 

 

ゆめみ「・・・・・・」

 

 

クリム「そうでなければ・・・君のためにと、あの施設に軍用の電源が流れるような細工をするわけがない。」

 

ゆめみ「えっ?軍用の電源が流れるように細工を?」

 

クリム「ああ。君を修理している時、あの施設を調べたのだが、どうやらあのデパートに軍用の警戒アンテナを設置する際に、ドサクサに紛れて電源をプラネタリウム館・・・それも君を維持する為に必要な設備中心に電気が流れるように細工をしたみたいだ。君のバックアップに備えてんだろうね。」

 

ゆめみ「館長さん達が・・・私の為に・・・・だから、街が廃墟になってもここにだけは電力が30年近く供給されていたんですね。館長さん、みなさん・・・・ありがとうございます。」

 

 

ここに居ない、かつて共にいた人々に感謝の言葉を送るゆめみ。

 

 

ゆめみ「私を生かしてくれたみなさんの為にも、私は行きます。でも・・・・ここを捨てる訳ではありません。いつか・・・・・必ずここに戻ってきます。もう一度・・・・星の事をこの世界に広げて行くために。」

 

チェイス「そうか・・・・それがお前が出した答えなんだな。」

 

ゆめみ「はい、ふつつか者ですが・・・よろしくお願いします、お客様。」

 

チェイス「・・・チェイスだ。」

 

ゆめみ「え?」

 

チェイスの言葉に一瞬キョトンとなるゆめみ。

 

チェイス「俺の名前だ。これからは・・・そう呼べ、ゆめみ。」

 

ゆめみ「はい、チェイスさん♪」

 

 

「名前で呼べ。」そう言われたゆめみは笑顔で返事をした。

 

 

クリム「では行くとしよう。ゆめみ、君はトライドロン・・・ああ、目の前の車の様の物の名前だ。それの助手席に。」

 

ゆめみ「はい。」

 

 

クリムの言葉でクリムを持ったチェイスはトライドロンの運転席に乗り込む、それに習い、ゆめみも目の前にある赤いスポーツカーのような物の助手席に座ろうとして、その扉に手をかけたようとしたが、一旦動きを停めてデパート方へと振り向いて止まった。

 

 

ゆめみ「・・・・行ってきます。」

 

 

そう言ってデパートの方へ、ペコリと頭を下げるゆめみ。そしてそのままトライドロンの助手席の扉に手をかけたその時・・・・

 

 

 

 

 

 

――――――――いってらっしゃい、ゆめみちゃん。―――――――――――

 

 

 

 

ゆめみ「えっ?」

 

 

ゆめみの耳に、微かに・・・・懐かしいような感じがする誰かの声が聞こえてきた。

 

 

ゆめみ「今の声は・・・・」

 

 

謎の声を聞いてキョロキョロと周りを見回すゆめみ。

 

 

チェイス「どうした?」

 

 

周りを見回すゆめみを見てどうしたと声をかけるチェイス。

 

 

ゆめみ「いいえ・・・なんでもありません。」

 

 

そう言った後、トライドロンへと乗り込むゆめみ。

 

 

クリム「では行こうか。予定よりだいぶ時間を費やしてしまった。急ぐとしよう。」

 

チェイス「ああ。ゆめみ、少し飛ばすからシートベルトして、しっかりと捕まっていろ。」

 

ゆめみ「はい。」

 

 

ゆめみの返事の後、トライドロンに接続されているブースターが火を噴き、空へと舞い上がるドライドロン。空の中、徐々にスピードを上げ、やがてトライドロンは光を纏い、そして次元跳躍をしてこの世界から姿を消した。

 

 

 

???「ゆめみちゃん・・・・元気でね。」

 

???「頑張れよ。ゆめみちゃん」

 

???「ゆめみ・・・・幸せにななれよ。」

 

 

デパートの屋上、トライドロンが残した飛行機雲を見上げ、それに語りかける3人の人影、女性と太めの男性。そしてメガネをかけた男の姿がそこにあった。その人影達は風が吹いた次の瞬間、まるでそこに何もなかったようにその姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リュート「・・・・・飛行機雲?」

 

 

空に伸びる一つの飛行機雲を見つめる一人の男。白い仮面を被った人物は・・・財団X親衛隊隊長であるリュート・N・バクーだった。彼は空に伸びるトライドロンが作った一筋の飛行機雲を見て、信じられない物を見たような顔をした。

 

 

シャンハイ「どうしました?」

 

 

空を見上げて動きを止めていたリュートに対してシャンハイが声をかけた。

 

 

リュート「いや・・・なんでも無い。見間違いだ。この・・・僕の故郷の世界の空に・・・・飛行機が飛ぶ事など・・・もうないのだから。そう・・・あの日、時空管理局の行った情報操作と破壊工作のせいで、この世界の内戦が勃発し、そして滅んでからは・・・・・それよりシャンハイ彼の容態は?」

 

 

リュートは首を払った後、自分の側で血を流して倒れている一人の青年に対して、治療魔法を施しているロングの金髪の少女・シャンハイに声をかけた。

 

 

シャンハイ「傷は塞がりました。けど、出血がひどかったので、ちゃんとした医療施設で本格的な治療を施さないと。」

 

リュート「そうか。じゃあ彼を連れて、静止衛星軌道上で待機している空母ピア・デケム・ピットへ戻るよ。彼の治療をしなくては。」

 

シャンハイ「分かりました。それにしてもこの人・・・なんでこんな廃墟に居たんでしょうか?」

 

リュート「おそらく廃墟に眠る物資などを探す屑屋だったんだろうね。物資を探している最中に、さっき倒した拠点防衛用の自走砲にでも襲われたんだろう。それよりも転移魔法を。ハァ~、まったく・・・・とんだ里帰りなったよ」

 

 

倒れていた屑屋の青年を肩に担いだリュートはシャンハイに転移魔法を使うように指示を出した後、盛大にため息を吐いた後、愚痴をこぼした。

 

 

シャンハイ「まったくですね。『テレポート!・ナウ』」

 

 

辺りに電子音声が響くと同時にリュートと彼に担がれていた屑屋の青年、そしてシャンハイの姿はその場から消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけコーナー

 

 

織姫「織姫と~♪」

 

みたま「みたまと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

織姫達「「「おまけコーナー!!!」」」

 

織姫「さっそう始まりました久しぶりのおまけコーナー!!司会進行役の「はたがみ織姫」です♪」

 

みたま「本当に久しぶりのおまけコーナーよね(^^;)あ、同じく司会進行役の「門田みたま」よ。」

 

シロ吉「本当っスよ。ちゃんと更新して欲しいっスよ!助手の「門田シロ吉」っス♪」

 

織姫「仕方ないよ。作者さん、リアルでのお仕事が忙し上に、病気にもなってたんだもん。」

 

みたま「まあ、確かにそれもあるから仕方がないわよね。更新してくれるだけありがたいか~」

 

シロ吉「そうっスね」

 

織姫「じゃあ今回の補足いってみよう♪」

 

みたま「今回は確か今回の番外編で取り上げた作品、「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」についての補足よね。」

 

織姫「そうそう。作者さんはこの作品の事、本当に好きで、一番最初にダウンロード版で販売された時にダウンロードしてやった時からお気に入りだったんだって。」

 

みたま「ああ、だからこの番外編の前編はアニメ化がされた月にアップされてたのね。」

 

シロ吉「そうだったんっスね。あ、所で今回のゲストは誰なんです?」

 

織姫「あ、そうだった、忘れてた。え~と、今回のゲストさんはこの人です。花菱デパート屋上プラネタリウム館の解説員の「ほしのゆめみ」ちゃんで~す♪」

 

ゆめみ「はじめまして、ほしのゆめみです。今回はお招きいただきありがとうございます。」

 

シロ吉「うわ~、ゆめみちゃんっすよおやびん!」

 

ゆめみ「至らないところがあると思いますが、精一杯やらせていただきます♪」

 

みたま「本当に良い子ね。こんな子が本編ではあんな目に会って(ホロリ)せめてモノ救いはこの作品では救われている所よね。本当に救われて良かった~(ヒシッ!*ゆめみに抱きつく)」

 

ゆめみ「え、え~と・・・・(いきなり抱きつかれて困惑中)」

 

織姫「たまちゃんたまちゃん。それぐらいにして、ゆめみちゃんに補足をしてもらわないと。」

 

みたま「あ、そうだった。じゃあさっそく補足をお願いね。」

 

ゆめみ「了解しました。私が出ている作品「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」は、ビジュアルアーツのゲームブランド・Keyが制作したコンピュータゲームです。」

 

みたま「後確か、この作品を元にした小説・ドラマCD・アニメもあるわよね。」

 

ゆめみ「はい。基本のなっているのはこのゲームの方で、ビジュアルアーツが提唱するキネティックノベルの第1弾として2004年に発売されました。」

 

織姫「この年に作者さんは偶然販売しているサイトに行き着いて、見て興味を持ってダウンロードしたんだったよね。」

 

ゆめみ「そうだったんですね。ご購入ありがとうございます作者さん♪」

 

シロ吉「ゆめみちゃんゆめみちゃん、続き続き。」

 

ゆめみ「あ、そうでした。ゲームの発売後、ゲームの前日談・後日談を描いた小説・ドラマCDが発売され、ゲームは各種プラットフォームへも移植。ですがこの作品の映像化は長い間されなかったのですが、ゲームの発売開から12年後の2016年7月にWEB配信アニメとして『planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜』全5話が配信。同年9月に劇場版アニメ『planetarian 〜星の人〜』が公開されました♪」

 

織姫達「「「おめでとう♪」」」

 

ゆめみ「作品の内容は、戦争により荒廃した近未来の廃墟を舞台に、お客様・・・屑屋さんとそこにとり残されたロボットである私との交流を描いた作品です。これを読んで、興味を持った方は是非この作品をプレイしてください♪」

 

織姫「はい、解説ありがとうね。」

 

ゆめみ「こんな感じで良かったのでしょうか?」

 

みたま「大丈夫大丈夫。バッチリだったよ。」

 

シロ吉「完璧だったっスよ!」

 

ゆめみ「ご期待に添えたようんで良かったです♪あ、あの・・・神様であるお二人にお願いがあります。」

 

織姫「お願い?」

 

ゆめみ「はい、あの・・・天国を二つに分けないでください。」

 

織姫・みたま「「・・・・・えっ?」」

 

ゆめみ「私は死んだ後も人間に尽くしたいんです。」

 

織姫「あ、え~と・・・・私は縁結びの神様だからそういった事は私の管轄外で・・・・・」

 

みたま「あ、あたしも管轄外だよ!私の管轄は悪縁切りだから・・・・」

 

ゆめみ「そうですか・・・・すいません無理言って。」

 

みたま「ああ、本当に良い子ね。ねえ、家の子にならない。あなたみたいな良い子がいてくれると私としても嬉しいんだけど。」

 

ゆめみ「私を・・・ですか。私でよければ良いですよ。」

 

みたま「ホント?!」

 

ゆめみ「はい、ではさっそく私の筐体を保つための施設のご購入をお願いします。」

 

みたま「・・・え?施設の購入?」

 

ゆめみ「はい、私の体は機械ですから、それを正常に保つためにはそれなりの設備がありませんと。ちなみに設備をすべて購入するとなるとこれぐらいお金がかかります。」

 

みたま「え、え~とゼロが一十百千・・・・・・・うっ!こんなにかかるんだ(^_^;)」

 

シロ吉「おやびん、こんな大金、逆さにしたって家にはありませんよ?」

 

みたま「だよね~。はぁ~ゆめみちゃを家の巫女さんにする計画は撤回ね。」

 

織姫「落ち込まないでたまちゃん。私がいるじゃない。さあ、締めの挨拶しよう♪」

 

みたま「そうね・・・・それでは皆さん!」

 

織姫達「「「まったね~♪」」」

 

ゆめみ「またのご来店お待ちしております(ペコリ)」

 




以上で外伝3のお話は終わりです。
次回はアイドルマスターの話を中心とした話を書こうと思っていますが、リアルが落ち着いてからの執筆になると思うので、更新は来年になると思います。


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アイドルマスター編
第55話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!①


どうも、剣 流星です。

なんとか一話書けたので投稿します。
リアルの忙しさのせいで以前のような執筆速度がなかなか戻りません。
早く戻さないと・・・・
まあ、そんなこんなで第55話をどうぞ。今回の話から新章です。



財団Xの中枢である財団総帥の部屋。広い部屋の中には総帥用のデスクと接客用のソファーが置いてあるだけで、総帥の部屋としてはいささか殺風景な物であった。そんな部屋の中、総帥用のデスクのイスに、財団X特有の白いスーツに身を包んだ20代後半と思わしき男が座っていた。その人物は故あって財団Xの総帥の代理を勤めている、副総帥のリューイ・R・バクーであった。

リューイは今、自分が座っているデスクの正面に立っている、赤毛で白いスーツの仮面の男・リューイの弟である親衛隊隊長のリュートからの報告を黙って聞いていた。

 

 

リューイ「・・・真の紋章の存在4つを確認したと?」

 

 

リュート「はい。魔女の宮殿(ヴィンガルフ)から脱走した魔女の少女達を保護するために向かった先で、時空・地竜・女神、そして・・・・罪と罰の紋章の存在を確認しました。しかし、「時空の紋章」を取り込んだ「魔剣ソウルエッジ」はすぐに転移してしまい、「地竜の紋章」と「女神の紋章」は少し離れた所からその力の開放を確認していため、その場に行った時には既に紋章所持者の姿は消えていました。そして・・・「罪と罰の紋章」は、放浪者・・・アサキム・ドゥーインが所持しており、自分の目の前に現れた後その場を去ってしまいました。追跡はいたしましたが、見失ってしまい・・・・申し訳ありません。」

 

 

リューイに対してリュートは、仮面をつけていてもはっきりとわかるような申し訳なさそうな顔をしながら頭を下げた。そんなリュートに対してリューイは穏やかな口調で答えた。

 

 

リューイ「いや・・・気にする必要はない。相手があの「放浪者」では、お前でもその身を捉えることは困難なはずだ。今は長らく行方がしれなかった「罰の紋章」の在り処が分かっただけでも良しとしよう。それにしても・・・アサキム・ドゥーイン。あの男がこの世界に現れるとはな。しかも、罰の紋章の所持者として・・・目的はやはりこちら側が所持している二つの「スフィア」・・・・「知りたがりの山羊」と「夢見る双魚」の回収だろう。」

 

リュート「その事なのですが、アサキムは二つのスフィアだけでなく、真の紋章も狙っているようです。」

 

リューイ「なに?」

 

 

リュートの言葉に驚きの声を上げるリューイ。

 

 

リューイ「・・・アサキムが真の紋章を集めようとしている?・・・もしや、自分にかかっている呪縛を断つために「スフィア」と同等の力を持つ「真の紋章」をも利用しようとしているのか?」

 

 

椅子に深く腰掛けたリューイはリュートの言葉を聞いて、座ったまま視線を天井に移した後、目をつぶって考え込んだ。そして数秒後、目を静かに開き視線を再びリュートへと向けた。

 

 

リューイ「いずれにしても、ヤツへの注意は必要だ。アサキムへの注意を怠ることなく、残りの「真の紋章」の所在を明らかにし、可能なら回収するんだ。現在所在が判明している紋章は?」

 

リュート「現在所在が判明している紋章は財団が所持している物で、兄上・・・・副総帥が宿す「夜の紋章」と自分が宿す「竜の紋章」の片割れである「天龍の紋章」。そして、わが親衛隊の隊員の一人が「真の雷の紋章」を所持。対する時空管理局の「ブラックスワン」は「円」と「獣」、「覇王」「八房」を所持。それから、例の「白き魔獣」が「火」と「土」と「ソウルイーター」「始まり」「太陽」「魔王」「精霊」の紋章を回収しております。後は例の「スキマ妖怪」と「破壊天女」が宿している「門の紋章」と、幻想郷に逃げ込んだ例の二柱の神が管理している「風」、以上です。」

 

リューイ「今回発見された「地竜」と「女神」、「時空」「罰」を入れて16個か・・・・・残りの判明していない紋章の行方はどうなっている?」

 

リュート「はい、「水」「月」「変化」「光輝」「世界樹」「無」は今だにその存在は確認できず、「知識の紋章」は過去、古代ベルカ時代の王である「賢王」が宿していたのを最後に行方が未だつかめず、「歌詩の紋章」も時空管理局が過去に非合法で行っていたプロジェクト「DIVA」の被検体が所持したまま脱走し、そのまま行方がしれません。」

 

リューイ「そうか・・・未だに行方が掴めないか」

 

リュート「はい・・・ですが、「変化」と「月」「無」の所持者には心当たりがあるので、今現在その者の行方を追っていますし、「水」についても未確認で、微弱ではありますが、その力の反応を関知いたしましたので、現在その確認を急がせております。そして「世界樹」については、例の「スキマ妖怪」が「破壊天女」と共に「月面戦争」の時に奪った「生命の樹」の近くにある可能性が高いです。最後に「歌詩の紋章」ですが、その所持者と思われる可能性の高い人物達を親衛隊員の者に追跡させております。」

 

 

リューイ「歌詩の紋章」の所持者の候補・・・・と言うことは、その人物は「力」のある「歌声」の持ち主なのだな?」

 

リュート「はい、第97管理外世界「地球」の日本にある「765プロダクション」に所属している者達です。」

 

リューイ「765プロダクジョン?」

 

リュート「はい。そこに所属するアイドル達は揃って「力」を持つ「歌」を歌うことができます。おそらく、この中のうちの誰かが「歌詩の紋章」の所持者である可能性があります。」

 

リューイ「わかった。引き続き調査をし、所持者であるかを突き止めろ、場合によってはその候補者達を拉致しても構わない。」

 

リュート「・・・・・・よろしいのですか?相手は名前が売れているアイドルです。そのアイドルが行方不明になったら騒ぎになりますが?」

 

リューイ「構わん。手段を選んでなどいられない。」

 

リュート「・・・・・・・・・」

 

 

リューイの一言に顔を曇らせるリュート。そんなリュートを見てリューイが厳しそうな顔で語りかけた。

 

 

リューイ「リュート、父上・・・・総帥が新たな力を得るために動けなくなっているうえ、「保守派」に所属している時空管理局は「ブラックスワン」を中心に着実に勢力を伸ばしている。「改革派」である我々が奴らに対抗するには「真の紋章」が必要なのだ。「保守派」を・・・・そして「御使い」を倒すために!そのためなら手段を選んではいられないのだ!!」

 

リュート「・・・・・はい。ですが・・・・」

 

 

頭では理解できるが、気持ちでは納得できないという顔で、しぶしぶと行った感じでリュートは返事をした。

 

 

リューイ「・・・心優しいお前だ。財団がやっている人体実験や、それを行っている組織への援助など許せるものではないだろう。だが、我々は負けるわけにはいかないのだ。そのためにも、人類の進化を模索していかなくてはならない。そのために、これらの事は必要なのだ。

 

リュート「・・・・ですが・・・・」

 

リューイ「我々には敗北は許されない。もし負けたら・・・・我々は全てを失う事になる!故郷を失くしたあの時のように!」

 

リュート「!」

 

 

リューイの言葉を聞き、リュートは脳内に滅んだ故郷の風景を思い浮かべた。

陽の光が差し込まない灰色の空・・・・止まない酸性雨・・・・廃墟となったかつての文明の残り香であるビル群。主である人間が居なくなった事に気づかず、未だに稼動し続ける無人戦闘兵器群。そんな兵器群に怯えながら、残されたわずかな保存食を求めて彷徨い、滅びの時を待つだけのわずかな生き残りの人類。

 

そんな絶望しかない風景を思い出したリュートは、その風景を作った者達に対して怒りの形相を浮かべ、自分の手のひらに自分の爪が食い込み、血を流すまでに強く握り締め、歯が砕けるのではかと言うくらい歯を強く噛み締めた。

 

 

リュート(・・・・・御使い!・・・・・時空管理局!・・・・・・最高評議会!!)

 

 

怒りと憎しみで顔を歪めるリュート。そんなリュートとは対照的に、リューイは冷静で静かな口調でリュートに話す。

 

 

リューイ「・・・・リュート、清濁併せ呑む事を覚えろ。お前は財団Xの親衛隊の隊長なのだからな。」

 

リュート「・・・・はい。失礼します。」

 

 

一礼をした後に、リュートはリューイに背を向けて、部屋の出入り口である両開きのドアを開けて部屋を後にした。

 

 

リューイ(すまんなリュート。心優しいお前にとって、財団がやっていることは到底受け入れられない物だろう。だが・・・・例え非道と言われ、罵られようとも、やらねばならないのだ!奴らを倒すために!!だから・・・今は耐えてくれ。)

 

 

出て行く弟であるリュートの背中を黙って見送りながら、心の中で謝罪の言葉をリュートの背中に送ったリューイであった。

 

 

シャンハイ「あ、リュート様。」

 

???「・・・話は終わったみたいだな。」

 

 

総帥の部屋を出た先にある廊下で、リュートは自分を待っていた、自分の部下でもある長い金髪と白いセーラー服風の服を来ている少女・シャンハイと、財団X特有の白いスーツを着た一人の青年に声をかけられた。

 

 

リュート「あれ?僕を待ってたのかい?何か報告でも?」

 

シャンハイ「はい、タカヤくんとジンくん達から報告があったので、早めに知らせよと思いまして。」

 

リュート「わざわざこんな所まで来ずとも・・・・待っているのだって大変だっただろうに・・・・苦痛だったろう?」

 

シャンハイ「い、いえ!全然大変じゃありませんし、待ってもいまません!」

 

???「・・・ああ。そんなに待ってはいないし、苦痛にもなっては居ない。むしろ俺は、この・・・堅苦しい服装の方に苦痛を感じてる。」

 

 

自分の来ている白いスーツの襟首部分を緩めながら堅苦しそうに言う青年。そんな青年に対し、先ほどまで自分の内からこみ上げていた怒りを無理やり胸の内に押さえ込み、無理やり人懐っこい表情を浮かべて、リュートは青年に話しかけた。

この青年セイは、リュートがこの前、自分達兄弟の育ての母親の墓参りに故郷を訪れた際、無人戦闘機に襲われ瀕死の重傷を負っていたところをリュート達により救われ、その縁でリュートが率いる親衛隊に入った者である。

 

 

リュート「スーツなんて今まで着る機会なんて無いような生活をしていたからね、セイは。」

 

セイ「屑屋なんてやっていればスーツを着る機会なんて有りはしないさ。所で、俺が扱うことになっているライダーのシステムはどうなっているんだ?早く俺にライダーの力を!それを使って、俺達の世界を無茶苦茶にした奴らに!」

 

 

先ほどまでのリュートのように、怒りと憎しみに歪むセイの顔。そんなセイを見て、先ほどまでの自分の姿と重なって見えたリュートは、自分の先程まで内からこみ上げていた怒りを沈め、落ち着いた声でセイに話しかけた。

 

 

リュート「セイ・・・君はまだライダーの力を使用するための基礎訓練が終わったばかりだ。奴らに対しての怒り・・・その気持ちはわからなくはないが、今は訓練に集中してほしい。奴らに対して報いを受けさせる機会は必ず来る!だから・・・それまでにできる限り力を付けるんだ。」

 

 

まっすぐに自分の目を見つめて語るリュートに対して、セイは同じ気持ちであるリュートも我慢しているのだからと思い、しぶしぶと納得の言葉を発した。

 

セイ「・・・・・・ああ、わかった。おとなしくシノやキカコ達と一緒に訓練を受けてるよ。」

 

リュート「わかってくれたならそれでいい。それで、タカヤくん達からの報告とは?」

 

シャンハイ「あ、はい。例の「歌詩の紋章」所持者候補への襲撃準備が整ったとので、行動に移すとの事だそうです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「みんな、お疲れ様」

 

少女達『お疲れ様でした~♪』

 

 

元気いっぱいの明るい声が辺りに鳴り響く。ここは某コンサート会場の裏にある楽屋。その楽屋に、先程までステージでコンサートをしていた「765プロ」所属のアイドル達は、メガネをかけた男性、プロデューサーに労いの言葉をかけてもらっていた。

 

 

プロデューサー「今回のステージも最高の出来だったよ。みんな、本当によく頑張ったね。」

 

水瀬伊織「当然よ!この私が居るんだもん。完璧なステージになるに決まっているじゃない♪」

 

 

先程までステージに立っていた、765プロ所属のアイドルである水瀬伊織(みなせいおり)が胸を張りながら得意げに話す。

 

 

星井美希「完璧?でも、でこちゃん一回間違えそうになってなかったっけ?」

 

双海亜美・真美「「うんうん、なってたなってた♪」

 

 

得意げに話している伊織に対して、同じ765プロ所属のアイドルである星井美希(ほしいみき)と双子の姉妹である双海亜美(ふたみあみ)双海真美(ふたみまみ)にが、さきほどのステージでの事で突っ込みを入れた。

 

 

菊地真「あの時はちょっと焦ったね。」

 

高槻やよい「ホントです~」

 

萩原雪歩「あの時、あずささんがフォローしてくれなかったら危なかったですよ。」

 

 

菊地真(きくちまこと)高槻(たかつき)やよい、萩原雪歩(はぎわらゆき)ら三人も先ほどのステージの時の伊織が間違えそうになった時の事を思い出しながら話した。

 

 

伊織「そ、その事については本当に感謝してるわよ。あ、ありがとう、あずさ。」

 

三浦あずさ「いえいえ、こう言う事はお互い様ですから。」

 

 

伊織の感謝の言葉をのんびりした感じで受け取る三浦(みうら)あずさ。

 

 

プロデューサー「さて。この後の打ち上げの事なんだけど、地元の人に料理が美味しいお店を紹介してもらったから、そこでする事になったから。」

 

秋月律子「なんでも地元の隠れた名店だそうだから、みんな、楽しみにしててよ。」

 

 

プロデューサーに続いて765プロ事務員である秋月律子(あきづきりつこ)が打ち上げの店について補足する。

 

 

我那覇響「隠れた名店か~。楽しみだね、貴音!」

 

律子の話を聞いて我那覇響(がなはひびき)は自分の側にいる四条貴音(しじょうたかね)に話を振った。だが貴音は響の言葉に反応せず、しきりにキョロキョロと周りを見回していた。

 

 

響「貴音?どうしたの?」

 

貴音「いえ、何か妙な気配が・・・・」

 

響「妙な気配?」

 

 

貴音の言葉を聞いて、響も周りを見回し始める。そんな響の視界の中に、天海春香(あまみはるか)の横に居る如月千早(きさらぎちはや)が貴音同じように周りをキョロキョロと見回している姿が見えた。

 

 

天海春香「千早ちゃん?どうしたの?さっきから周りを見回して」

 

如月千早「え、ええ・・・ちょとね。」

 

 

自分の隣にいる春香に声に対して、少し焦ったような感じで答える千早。じつは先程から千早の耳には耳鳴りのような音、ミラーモンスターが発生する時に出る音が聞こえてきていたのである。

 

 

千早(これは・・・・ミラーモンスターの発生音?遠羽市でもないのにミラーモンスターがなぜ?誰か狙われているの?)

 

 

内心焦りながら、発生するであろうミラーモンスターに対して警戒する千早。そんな千早の視界に、春香の背後にある、楽屋内に備え付けてある鏡の中にミラーモンスターの影を見つけた。

 

 

千早(あれは・・・レイヨウ型のミラーモンスター!)

 

 

楽屋の鏡の中に見つけた、頭にヤギのような角の生えたレイヨウ型のミラーモンスターの姿を見つけた千早。千早は発見したレイヨウ型のミラーモンスターが春香の事を見つめているのを見て、春香が狙われていることに気づく。

 

 

千早(まさか・・・春香を狙ってる?)

 

 

千早は春香が狙われていることに気づき、春香に声を掛けようとしたが、ミラーモンスターの方が一足早く行動に出た。

ミラーモンスターは春香に襲いかかるべく、鏡の中かから飛び出し、襲いかかる。

 

 

ミラーモンスター「ガアアアアアアアアッ!」

 

春香「えっ?」

 

千早「春香!危ないっ!!」

 

春香「えっ?きゃっ!」

 

鏡の中かから飛び出して春香へと襲いかかるミラーモンスター。だがそのミラーモンスターの伸ばした腕は春香に届くことはなく、咄嗟に千早が春香を押し倒したおかげで、ミラーモンスターの腕は虚しく何もない空間を切っただけだった。

 

 

美希「えっ?なに?!」

 

伊織「ば、バケモノ?!」

 

 

突如現れたミラーモンスターの姿を見て驚き戸惑う美希達765プロの面々。

 

 

貴音「春香!千早!」

 

 

倒れた二人に駆け寄る貴音。

 

 

貴音「・・・・・・・・・」

 

 

倒れている千早と春香を庇うように、ミラーモンスターを睨みつけるようにして前に立つ貴音。

 

ミラーモンスター「・・・・・・・・・!?」

 

 

貴音に睨まれたミラーモンスターは、貴音の内に秘めた“何か”を感じ取り、貴音に対しておびえるような素振りを見せ、そのまま側にある鏡の中へとその姿を消した。

 

 

貴音「・・・・ふぅ~」

 

 

鏡の中に姿を消したミラーモンスターの姿を見て、貴音は一息ついた後、倒れてる春香と千早に声をかけた。

 

 

貴音「大丈夫ですか?二人共」

 

春香「う、うん・・・・大丈夫。いたたた・・・・な、なんだったの?今の?」

 

 

千早によって押し倒された時、何処かをぶつけたのか、春香はその場所をさすりながら、先ほど現れたミラーモンスターの消えた鏡を見た。

 

 

千早「春香、大丈夫?怪我は無い?」

 

春香「う、うん。倒れた時にぶつけた所が痛いだけで、後は大丈夫だよ。」

 

千早「そう・・・良かった。」

 

 

春香に怪我が無い事に安堵した千早は、先ほどミラーモンスターが逃げる時につかった鏡をじっーと見つめた。

 

 

千早(さっきのミラーモンスター・・・春香を狙っていたの?だとしたらまた襲って来るかも・・・・誠也達に連絡して私のデッキを持ってきてもらわないと・・・)

 

 

ミラーモンスターの逃げた鏡を険しい表情で見つめなら、千早は765プロに所属する前にお世話になっていた、自分のもう一人の弟とも言うべき存在である、鳴海家の鳴海誠也に連絡を取ることを考えていた。

 

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

リューイ(オリジナル)

 

セイ(屑屋)(プラネタリアン)

 

プロデューサー(アイドルマスター)

 

水瀬伊織(みなせいおり)(アイドルマスター)

 

星井美希(ほしいみき)(アイドルマスター)

 

双海亜美(ふたみあみ)(アイドルマスター)

 

双海真美(ふたみまみ)(アイドルマスター)

 

菊地真(きくちまこと)(アイドルマスター)

 

高槻(たかつき)やよい(アイドルマスター)

 

萩原雪歩(はぎわらゆき)(アイドルマスター)

 

三浦(みうら)あずさ(アイドルマスター)

 

秋月律子(あきづきりつこ)(アイドルマスター)

 

我那覇響(がなはひびき)(アイドルマスター)

 

天海春香(あまみはるか)(アイドルマスター)

 

如月千早(きさらぎちはや)(アイドルマスター)

 

 

 

おまけコーナー

 

織姫「ひめちゃんと~♪」

 

みたま「たまちゃんと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

三人「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「さあ!やってまいりました今年初の「おまけコーナー」♪場所は去年と同じく「門田神社」からお送りするね♪」

 

みたま「それにしても、作者さんの執筆速度が亀速度だから、初投稿が2月になってからになっちゃうというこの遅さ。見捨てられるわよ作者(^_^;)」

 

シロ吉「ま、まあまあ・・・作者さんにも色々とあるんだから、このさい投稿できたんだから良いということで。」

 

みたま「それもそうね。じゃあ早速今回の補足とそれを説明してくれるゲストの紹介にいってみましょうか。」

 

織姫「そうね。今回の補足は今回の話から本編の話に絡んできた「アイドルマスター」についてで、その説明してくれるのは、その作品に出ている人、「765プロ」所属のアイドル「三浦あずさ」ちゃんです!どうぞ~♪」

 

萩原雪歩「ど・・・どうも・・・・」

 

織姫「あ、あれ?・・・雪歩ちゃん?今回のゲストはあずさちゃんじゃあ・・・・」

 

雪歩「あ、あの・・・・実はですね、あずささん、一人でここに来ようとして、そのまま行方不明(まいご)になってしまって・・・それで急遽、私が代理として来ることに(^_^;)」

 

みたま「行方不明(まいご)に・・・ね。(^_^;)」

 

織姫「だ、大丈夫かしら・・・あずさちゃん。」

 

雪歩「い、いつものことですから、そのうち無事に帰ってくると思います・・・たぶん。」

 

シロ吉「た、たぶん・・・っスか。」

 

織姫「ま、まあ・・・いつもの事だって雪歩ちゃんが言うんだったら、そのうち帰ってくるんでしょうね。だったらこっちはこっちで作品の紹介と補足をしていきましょうね。」

 

みたま「そうね。じゃあ早速作品の紹介からお願いするわね。」

 

雪歩「はい。私達が出ている作品「アイドルマスター」はナムコ・・・後のバンダイナムコエンターテインメントが2005年7月26日に稼動を開始したアーケード用シミュレーションゲームとして世に出た物です。」

 

みたま「へ~、最初はアーケードゲームだったんだ。」

 

 

雪歩「はい。そして、後に2007年にXbox 360版で発売され、さらに2011年にはテレビアニメ作品が作成されました。ちなみにこの作品に登場しているアイドルマスターのキャラの設定はこのアニメが元になっていて、時系列はアニメ終了後の話と言う設定になっています。」

 

織姫「なるほど、アニメ版の設定で、アニメ終了後と言うことになっているのね。」

 

雪歩「はい、このゲームは芸能事務所「765プロダクション」の新米プロデューサーとなり、個性派揃いのアイドル候補生から1~3人を選んでユニットを結成し、限られた期間の中、レッスンや営業、オーディションを通してトップアイドルへと育て上げるゲームです。ジャンル的には、『プリンセスメーカー』や『ときめきメモリアル』のような、キャラクター育成シミュレーションゲームに分類されます。」

 

シロ吉「元は育成ゲームだったんッスね。」

 

雪歩「ちなみに、アイドルマスターは作者さんが頻繁に見ている「ニコニコ動画」では扱っている動画の多さから、「ボーカロイド」「東方project」と並んで「御三家」と呼ばれていた事もあるんです。」

 

シロ吉「ニコ動御三家っスね。聞いたことあるっス!」

 

みたま「私も聞いた事あるわ。良いわよね~、私達の動画もニコニコ動画に何本かるけど、あまりメジャーじゃないわよね~。」

 

雪歩「確かにあまりメジャーじゃないですよね。まあ、ゲームやアニメなんかになってない地味な作品ですもんね。」

 

織・みた・シ「「「うっ!(グサッ!)」」」

 

雪歩「あっ!す、すいません!失礼なこと言って!こんなダメダメな私なんて・・・・穴掘って埋まってま~すっ!(ザクザクザクザクッ!←物凄い速さで穴を掘る音)」

 

織姫「うわ~、物凄い速さで穴を掘っててるよ。」

 

みたま「ちょ、ちょっと!ウチの神社の境内に穴なんて掘らないでよ!」

 

シロ吉「あ~あ、この間、穴だらけになった境内(第39話参照)をやっと埋め戻したばかりなのに~」

 

織姫「穴・・・埋め戻すの大変そうだね~。後で手伝ってあげようか?」

 

みたま「お、お願い・・・・」

 

シロ吉「お、オチも着いた所で、今回はここまでと言う事で、それでは皆さん・・・」

 

織・みた・シ「「「まったね~♪」」」

 

 

 

 

 

おまけ~その頃のあずささん~

 

どっかの森の中

 

あずさ「あの~、すいません。道に迷ってしまって・・・ここはどこでしょうか?」

 

迷子の疾風「いや・・・どこって言われても。俺も道に迷ってて、こっちが聞きたいくらいなんだけどな。」

 

お供の黒猫「まったく「ハガネ」が停泊中の基地の外に散歩に行こうって一人で出かけようとするから!」

 

お供の白猫「ちょっと出てくるだけだから一人でも大丈夫だって言葉を信じるんじゃなかったニャ」

 

あずさ「まあ!あなたも道に迷っているんですね♪奇遇ですね~。じゃあここは一つ、同じ迷子同士、一緒に行きませんか?二人なら道に迷はないだろうし。」

 

迷子の疾風「確かに、俺だけならますます迷子になっちまうしな。ここは一つ一緒に行くか。」

 

あずさ「ええ。さあ行きましょう。」

 

お供の白猫「あっ!ちょっと待つニャ!そっちは森の奥に行く道ニャ!」

 

お供の黒猫「う~・・・・方向音痴の迷子が二人に増えたニャ。苦労が二倍ニャ~、はぁ~~~~」

 



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第56話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!②

どうも。剣 流星です。
GW中にどうにか執筆時間が取れたので久々に投稿します。

では第56話をどうぞ。


過疎化が進んでいる村の一つである御奈神村。いつもなら人もまばらな村の中も、今日この日だけは違った。近隣から大勢の人達がやってくるのである。

 

今日は年に一度のこの村の祭りの日である。大勢の人が、祭りが行われる春日神社へ集まり、祭りを楽しんでいた。その春日神社の普段とは違う、祭りの出店が出ている表側の反対にある神社の裏側。そこで誠也は休息を取っていた。誠也は朝から神社の祭りを運営している村人の手伝いを朝からしており、ついさきほど休憩時間が取れたため休むことにしたのであった。元々誠也は御奈神村の怪物騒ぎを調査するため、鳴海家の隣に住んでいる、皆神孝介のバイトの手伝いをすると言う表向きの理由でこの村に来たのであった。だが、怪物騒ぎの方は村に着いて早々すぐに解決してしまい、表向きの理由であるバイトの「祭りの手伝いをする」と言う理由だけが残ってしまい、誠也はその祭りの手伝いをするため、調査が終わっても村に残らなくてはならなかった。そんな理由で村に滞在しなくてはならなかった誠也だったが、この祭りが終われば帰れることになっていた。休憩をしながら、誠也はこの村の滞在中に村の人達に良くしてもらった事を思い出しながら休んでいると、誠也の携帯が突如鳴り、誠也はその携帯に出て相手と話をした。電話の相手は鳴海誠司(なるみせいじ)。誠也の実の父親であった。

 

 

誠也「・・・・・そっか。じゃあ千種(ちぐさ)おばさんは、もう少しで退院できるんだね。」

 

鳴海誠司『ああ、ようやく退院できるってよ。これも、お前が発見した「グルメ細胞」を使っての新薬が開発されたからだ。・・・誠也、ありがとな』

 

誠也「やだな~、お礼を言う相手が違うよ。俺はグルメ細胞を発見しただけで、その「グルメ細胞」を使って、おばさんの病気を直す薬を開発した人がお礼を言う相手だよ。」

 

 

父親にお礼を言われて照れながら返事をする誠也。ちなみに鳴海誠司が言っていた「グルメ細胞」とは、誠也が異世界を旅した時に行った世界の一つ、美味しくて、希少な食材が貴金属よりも高額で取引されている世界・「トリコ」の世界で手に入れて持ち帰った「グルメ食材」の中に含まれている万能細胞である。誠也は持ち帰ったグルメ食材を、この世界でもいつでも食べられるよにするために、乃木坂グループの相談役である祖父の乃木坂 王季(のぎざか おうき)に協力を仰ぎ、グルメ食材をこの世界で見事、養殖・栽培することに成功した。養殖・栽培に成功した食材は乃木坂グループの新たな目玉商品として販売され、今現在、世界中で取引をされているのだが、このグルメ食材について世界に発表する時、グルメ細胞の事も一緒に発表されたのだ。その時、グルメ細胞の発見者を、王季は誠也と言う事にして発表してのである。なので、グルメ細胞を使った物についての著作権的な物は当然誠也の物になる為、「グルメ細胞」を使った薬などが世に出たのは、ある意味誠也のおかげとも言えるのであった。よって誠也の父・鳴海誠司が誠也に対してお礼の言葉を言うのは、ある意味合っているのである。

 

 

誠司「・・・それでも、お前が細胞を発見しなけりゃ、薬も開発されなかったんだ。だから、ある意味・・・俺のお礼を言う相手はお前で合っているんだよ。」

 

誠也「そっか・・・じゃあ素直に受け取っておくよ。」

 

誠司「そうしておけ。しかし、これで千種も千早ちゃんとちゃんと向き合うことができるな。一番の問題であった病気も治ったんだし。」

 

誠也「・・・・確かに一番の障害であった病気は治ったけど・・・千早姉と仲直りするのは時間がかかると思うよ。おばさんは千早姉に心配かけないようにするため、わざと千早姉を自分から遠ざけていたんだから。」

 

誠司「そうだな。だが、このままってわけにはいかんだろう。だから、お前が計画していた、この後にある、親しい奴らを呼んでの旅行に千早ちゃんと千種が行けるように手を回しておいたぞ。」

 

誠也「・・・へっ?手を回していおいた?!」

 

 

父親である誠司の言葉を聞いて驚く誠也。誠也は、この皆神村の祭りが終わった後、村を後にするのだが、その前にこの村でお世話になった岩永の家の人達と皆神兄弟。そして、誠也が親しくしている人達を連れて、海へ二泊三日の旅行の計画を立てていた。この旅行は、誠也の祖父である乃木坂王季が海沿いに新しく作った温泉宿のモニターをすることがきっかけだった。その宿は、誠也が「トリコ」の世界の癒しの国と言われている「ライフ」に生息していた様々な医療動植物やグルメ食材を、この世界で栽培・繁殖した物を味わうことが出来る事を売りにした温泉宿である。

王季はこの温泉宿が本格的にオープンする前に、誠也とその友人達に「実際使用しての生の感想がほしいから、モニターとして泊まって欲しい」といわれ、それならばと、誠也は親しい友人達も呼ぼうと、この旅行を計画していた。ちなみにこの旅行には千早が所属している765プロの人達もアイドルとしての仕事で、モニターをやってもらう事になっており、千早達には仕事権休暇の旅行という事になっている。

 

 

誠也「ちょ、ちょっと!いきなりすぎるんだけど!?」

 

誠司「こういう事は早いうちに何とかするほうが良いって。そんじゃ、そういうことだから、じゃあ~な。(ブツン!)」

 

誠也「あっ!父さん?!もしもしっ!!くそっ!・・・・爆弾落としてさっさと切りやがった。」

 

切れた自分の携帯を見て愚痴をこぼす誠也。そんな自分の携帯を見ていた誠也の目に、自分の右手に巻かれている包帯が目に入った。この右腕の包帯・・・これは誠也が腕を怪我しているために巻いているのではなく、右腕の甲に浮かび上がっている「地竜の紋章」を隠すために巻いている物だった。誠也は包帯の下にあるであろう「地龍の紋章」を見ながら、銀子の言った言葉を思い出していた。

 

 

銀子『紋章の意思に負けたら、あなた達は紋章の力によって世界を破壊する破壊者になってしまう・・・気を付けて。』

 

 

誠也(世界を破壊する破壊者になってしまう・・・・か。こんな大きな力・・・・・どうしろって言うんだ。はぁ~)

 

 

誠也は紋章に宿っている力を知り、その力に対して不安を抱いていた。

 

 

紋章の事で不安になっている誠也の頭に銀子の別の言葉が思い浮かぶ。『不安は心にスキマを作り、紋章はそのスキマをついてあなたに力を使わせ暴走しようとするわ。心を強く持って。』と

 

 

誠也(いけないいけない、不安になっちゃ紋章に付け入る隙を与えちゃう!もっとしっかりしなきゃ!)

 

 

頭を振って不安を頭から出す誠也。そんな誠也に対して、聞き覚えのある声が誠也に声をかけてきた。

 

 

翔子「誠也・・・くん。」

 

誠也「うん?翔子?どうしたの?翔子も休憩?」

 

翔子「う、うん。いろはさんから「休憩行ってきちゃって」言われて。それよりもどうしたの?さっきからずーっと右手の包帯を見て難しい顔をして。」

 

誠也「あ・・・いや、何でもないよ。」

 

 

誠也は右手の包帯に話題が上がったので、あわてて話をそらそうとした。誠也は右手の紋章については翔子には話していない。翔子は誠也が仮面ライダーであることは知っているが、あくまで一般人であり、紋章のような危険な物に関しては極力巻き込まないようにした方がいいと考え、銀子と相談して、翔子や孝介、さくや達には紋章関連の事は話さない事になった。

 

 

翔子「ね、ねえ・・・誠也くんは・・・この祭りが終わったら、帰っちゃんだよね。」

 

誠也「う、うん。表向きは祭りの手伝いをする為に来たって事になっているからね。その祭りが終わったら帰らなきゃね。それに遠羽市の方で色々と事態が動き始めているし、戻って色々とやらなきゃね。」

 

翔子「そうなんだ・・・・」

 

 

誠也の言葉を聞いて寂しそうに返事をする翔子。だが次の瞬間、その寂しそうな顔は無くなり、いつもの顔に戻った翔子は、誠也楽しそうな顔を向けて話しかけた。

 

 

翔子「ねえ、誠也くん。せっかくのお祭りなんだから、その・・・い、一緒にお祭りの屋台を回らない?」

 

誠也「え、屋台を?そうだね・・・いいよ。せっかくのお祭りなんだし、一緒に回ろう。」

 

翔子「!う、うん!一緒に回ろう♪(やった!誠也くんと二人っきりでお祭りを回れる♪)」

 

 

誠也からのOKの返事をもらってとても嬉しそうな顔をする翔子。

 

 

翔子「じ、じゃあ早速一緒に「あ!マスター!こちらにいらしたんですね」って・・・え?」

 

 

翔子の嬉しそうな声を遮るような形で、誠也を呼ぶ声が響いた瞬間、翔子の嬉しそうな顔が陰る。

 

 

誠也「あ、こあ。どうしたんだ。確か紅音さんの手伝いをしてたんじゃなかったっけ?」

 

 

声のした方向。そこには悪魔の特徴である頭と背中の羽と尻尾を引っ込めて隠したこあが、巫女服姿で立っていた。こあはこの祭りの間、春日神社の巫女である南戸 朱音(みなと あかね)の手伝いをする為に、巫女の姿をしていたのである。こあは、あの紋章の覚醒があった事件の後、寧子やかなで達と同じように、鳴海荘に部屋をあてがい、そこに住んでもらう事になったのであるが、誠也が祭りの準備の為に皆神村戻ると行った時、「自分も付いて行く!」と言いだしたのである。「自分は誠也の使い魔なのだから、常に誠也の側に控えたい」と言って離れようとしなかったため、仕方なく誠也は、こあを連れて皆神村で寝泊まりしている岩永の家へと戻り、家の主である翔子母・皐月にこあを「手伝いに来てくれた親戚の子」と言って紹介し、祭りが終わるまでの間、共に岩永の家に寝泊りすることになった。

 

こあ「はい、紅音さんが「休憩をしてきて」と言われたので、マスターの様子を見に来ました。」

 

誠也「そっか。ならちょうどいい。今から翔子と一緒にお祭りの出店を回る所だったんだ。こあも一緒に行かないか?」

 

こあ「え?良いんですか?」

 

誠也「もちろん。大勢の人で回った方が楽しいだろう?ね、翔子。」

 

翔子「え?あ・・・・うん・・・・・」

 

 

誠也の言葉に対して少し暗い感じで返事をする翔子。そんな様子の翔子を見て誠也は「どうかした?」と聞くが、翔子は「何でも無い」と言って返事をした。誠也もその返事を聞いて訝しんだが、たいしたことないと思い、出店の出ている方へ二人を促しながら歩き始めた。

 

 

翔子(もう少しで誠也くんと二人っきりでお祭りを回れたのに・・・・・・あの子・・・・邪魔して!)

 

 

翔子は誠也の横に、さも当然のように居るこあの存在を煩わしく思っていた。誠也が皆神村に来てから、誠也の横には常に翔子の姿があった。翔子自身も誠也側に居心地の良い物を感じており、いつしか誠也の横は翔子の居場所だと感じていたし、誠也と二人っきりになれる時間は、翔子にとって幸せな時間となっていた。ところが2・3日前に現れたこあの存在が、翔子の居場所である誠也の横を脅かし始めたのである。誠也の使い魔として、常に誠也の横に居るこあのせいで、翔子は誠也と二人っきりになれる時間が無くなり、更には翔子の居場所である誠也の横と言う、翔子の居場所に平然と居座っているのである。翔子にとって、これは面白くない事であった。

 

 

翔子(・・・・なにあの子、誠也くんの横を当然みたいに居座って・・・・・・そこは私の場所よ!あなた邪魔!邪魔なの!)

 

 

――――――――――――ジャマナラ・・・・ケシチャエバイイ―――――――――――――――

 

 

翔子「え?」

 

 

突然、自分に語りかけるように、何者かの声が翔子に語りかける。翔子はその声を聞いて周りを見回すが、その声の主を見つけることは出来ず、周りをキョロキョロと見回すだけだった。

 

 

誠也「翔子?どうしたの?」

 

翔子「あ・・・・ううん、何でも無い。」

 

 

翔子は「何でも無い」と返事をした後、前を歩いている誠也とこあの背中を追って歩き始めた。

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

こあ「所でマスター。その巫女服、とっても似合ってますね。可愛いですよ♪」

 

誠也「うっ!巫女服のことは言わないでくれ。せっかく着ている服について忘れてたのに(;_;)」

 

 

そう・・・今の誠也の格好はこあと同じ、巫女服なのである。神社の巫女である「いろは」が、神社の手伝いをするなら、それ相応の格好をしなくてはと言って、誠也に巫女服を着せたのである。

紅い長い髪と、普段から女性と間違われがちな顔。そして、男の割には細い腰や手足(一応鍛えてはあるが、太くはならず、細いまま筋力が付くという謎体質の腰と手足)のせいで、どこから見ても巫女服を着た、絶世の美少女にしか見えない。それが今の誠也である。

 

 

こあ「なんで忘れる必要があるんです?似合ってるのに。」

 

 

誠也「「カワイイ」なんて言われて喜ぶ男はいないよ!全く・・・いろはさんにも困ったものだよ。「似合いそう♪」と言って人に巫女服着せようとするんだもん。いくら神社の手伝いをするにはそれ相応の格好をしなきゃならないからって・・・・大体、男が巫女服着て、似合うわけないだろう!」

 

こあ「だから、普通に似合ってますって。現に先ほど携帯のカメラで取ったマスターの巫女服姿を霞さん達にメールで送ったら、「すごく似合ってる♪」て言う返事のメールが届きましたよ」

 

誠也「ちょ!なってことしてくれるの!霞達に・・・・知られるなんて・・・・OTZ」

 

OTZのポーズで落ち込む誠也。ちなみに誠也の巫女服姿を見て、かなでが「誠也くんの巫女服姿!(ブシャー)」と言って鼻血を噴出させて死にかけると言う事があったと言う。

 

 

 

 



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第57話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!③

どうも、剣 流星です。
エミルクロニクルオンラインが8月いっぱいでサービス停止になると知ってかなりショックを受けています。
一時期クジで10万円近くつぎ込んだ事だけあってショックはでかいです。
この作品にもエミルクロニクルの話しを盛り込んであるますが、サービスが停止するからといってその部分を削ることはしません、そのため、今はエミルクロニクルの資料を探してかき集めて保存しているところです。
まあ、それはさておき、第57話をどうぞ



誠也「水蛇(ミズチ)探しを手伝って欲しい?」

 

 

祭りあった翌日。午前中に祭りの後片付けをした後、明日、こあと共に出ていく為の準備を岩永家の客間でしたいた誠也の元に銀子が訪ねてきた。

訪ねてきた要件は、銀子が今追っているこの村一帯に潜んでいた怪物・山童の最後の一体である水蛇(ミズチ)を探す手伝いをして欲しいと言うものだった。

 

 

 

銀子「そう。こうちゃん達が夏休みの間、この皆神村に居る時だけでいいの。こっちに居る時間を延長して、水蛇(ミズチ)探しを手伝ってくれないかな?こんなこと頼めるの、私の事情を知っている誠也くん達ぐらいなの。引き受けてくれないかな?」

 

 

銀子の頼みごとを聞いて誠也は考えを巡らせた。誠也自身、この話を受けても良いかと思っていた。銀子には真の紋章について教えてもらった恩もあるし、何よりも最後の山童・・・水蛇(ミズチ)のような危険な生き物を放っておく事を、誠也は出来ないと思っていた。

 

 

誠也「・・・分かりました。夏休みの間、孝介さんが皆神村を出るまでならお手伝いをします。俺自身も、水蛇(ミズチ)のような危険な物、放って置くことはできないって思ってましたしね。」

 

銀子「ありがとう、助かるわ。」

 

誠也「いえいえ。しかし・・・水蛇(ミズチ)を探するとなると、この後計画してる、みんなで海に行く計画を中止しなくちゃならないかな~。」

 

銀子「え?海に行く計画?」

 

誠也「ええ。実は、村を出ていく前に知り合いや友達。お世話になった岩永家の人達や、孝介さん達と一緒に、俺の祖父が今度新しく作った海沿いの旅館に招こうと思っていたんですけど・・・水蛇(ミズチ)を探しをするならそっちを中止して、水蛇(ミズチ)探しに集中した方が良いと思って。」

 

銀子「へ~、そんな計画立ててたんだ。ひょっとして、その旅行に行くメンバーの中に、私や翔子ちゃんも入ってるのかな?」

 

誠也「え?ああ、もちろんですよ。二人にはこの村で色々と助けてもらいましたからね。」

 

銀子「そっか・・・・・じゃあ、せっかくだし、水蛇(ミズチ)探しは後回しで、その旅行の方を優先して。」

 

誠也「え?良いんですか?」

 

銀子「いいのいいの。私も海沿いの旅館に泊まってみたいし。それに、そう簡単に見つかるやつでも無いしてね。(それに、せっかく翔子ちゃんの、誠也くんとの思い出を作る良い機会を無くしちゃ本末転倒だしね)

 

 

銀子は誠也に対して「いいのいいの」と言いながら頭の中で、誠也を水蛇(ミズチ)探しに手伝ってもらうためのもう一つの理由について想いを巡らせていた。銀子は、翔子が誠也が村を夏休みが終わる前に出て行くと聞いて落ち込んでいた。翔子としては夏休みが終われば居なくなると知っていても、やはり誠也とはできる限り一緒にいたいと思っていた。そんな翔子の想いを察して、銀子は誠也をもう少しだけ村に居られる理由として水蛇(ミズチ)探しの手伝いを頼んだのである。

銀子としては水蛇(ミズチ)探しを手伝ってくれるのなら助かると思ってはいるが、誠也には水蛇(ミズチ)探しよりも、翔子との思い出作りを優先してもらうつもりでいた。だが、その思いで作りにぴったりのシチュエーションである海への旅行がるのなら、そっちを優先してもらおうと思っていた。

 

 

誠也「・・・分かりました。なら旅行は予定通りに「~♪~♪」って、俺の携帯?誰からだろう?」

 

 

突如響いた聴き慣れた自分の携帯の着信音を聞き、誠也は自分の携帯を取り出し、誰からかかって着たかを確認した。携帯には「霞」の名前と携帯の番号が出ていた。

 

 

誠也「霞からだ・・・なんだろう?はい、もしもし?」

 

霞『あ!お兄ちゃん?今良い?』

 

誠也「ああ。別にかまわないけど・・・どうしたんだ?」

 

霞『うん、実はお兄ちゃんに相談したい事があって。』

 

誠也「相談したいこと?」

 

霞『うん。実は・・・・・・・・・・』

 

 

誠也「かなで達の家族をさがして欲しい・・・か」

 

ラボの廊下を歩きながら、誠也は霞から相談された事について考えていた。

霞からの携帯での相談とは、かなでを始めとした魔女の少女達の家族を探して欲しいと言う物だった。数日前のあの真の紋章についての事を銀子から聞いた日、魔女の一人であるカズミが実は誠也の幼馴染であるはやての従姉妹であった事が判明した。それを見て、他の魔女の少女達も、自分の家族について考えるようになり、出来ることなら家族に会いたいと思うようになったのだと言う。霞はその事をかなでから聞いて、霞自身もかなで達の家族を探してあげたいと思い、誠也に相談したのだという。

誠也は、その事については霞と同じで探してあげたいと思っていた。そこで、まず最初にかなで達から、その家族を探す為の手がかりを聞くため、こあと共にラボに集まっているかなで達の元へ、テレポートリングを使って皆神村からラボへと向かったのであった。

 

 

誠也「かなで達の家族を探す事には賛成だけど・・・見つけるのは難しいだろうな。さらわれたのが小さい頃で、しかも当時の記憶が曖昧じゃあな」

 

こあ「そうですね。でも・・・見つかって欲しいです。家族と引き離せれたままなのは・・・悲しいことですからね。」

 

 

実感のこもった声で言うこあ。こあ自身も以前、異世界・・・エミルクロニクルの世界に飛ばされてしまい、家族と離れ離れになった事があるだけに、家族に会いたいという気持ちは痛いほど分かっていた。そのため今回のかなで達の家族探しも、できる限り手伝ってあげようとこあは思っていた。そんなこあの顔を、横から歩きながら見ていた誠也は、前方への注意がおろそかになっていたため、曲がり角から歩いてきた人物に気づかないでいた。

 

 

ドンッ!

 

 

???「キャッ!」

 

誠也「うわっ!」

 

こあ「マスター!?」

 

曲がり角から出てきた人影とぶつかり、ぶつかった拍子でお互い尻もちをついた。

 

 

誠也「痛っ!ごめん、考え事してて、大丈夫です・・・か・・?」

 

 

腰をさすりながら、ぶつかった相手に謝りながら相手の顔を見た。このラボに居るのだから、知り合いだろうと思いながら相手を見た誠也だったが、相手の顔を見た瞬間、その動きを止めて相手を警戒した。なぜ誠也は相手を警戒したのか。それは、相手が全く知らない人物だったからである。

ぶつかった相手は、15~6歳の女の子で、コンパニオンのような格好で、頭に発光する大きなリボンと、イヤレシーバーのような物を身につけていた。

 

 

少女「あ、申し訳ございません!この場所が珍しく、夢中で見て回っていて前方不注意になってしまい、ぶつかってしまいました。本当に申し訳ありません。」

 

 

ぶつかった少女は、すぐに立ち上がって、誠也相手にペコペコと頭を下げて謝りだした。誠也達は突然ペコペコと頭を下げられて謝られて呆然としていた。

 

 

こあ「あの・・・あなたは?」

 

少女「あ、申し遅れました。私、チェイスさんのお使いで、ここに居るカナリヤ様にお届け物を持ってまいりました、「ほしのゆめみ」と申します。」

 

誠也「カナリヤに届け物って・・・君は、カナリヤの「お、なんだ・・・まだ帰ってなかったのか、ロボッ()」って、モモタロス?」

 

 

聞こえてきたモモタロスの声を聞いて、声のした方向を向く誠也。そこには、このラボで寝泊りをしているモモタロスが居た。モモタロスはこの世界に来た日から、このラボで寝泊まりしていた。モモタロスはこの世界のラボ以外の場所では「電王の世界」の時のように実態を保てなく、仕方なく実態を保てるこのラボで寝泊りをしてもらっていた。

 

 

誠也「モモタロス、この人知ってるの?」

 

モモタロス「ああ。今、新組織立ち上げの為にお前の祖父さんの所に行ってもらっている協力者の一人なんだと。今日、カナリヤに届け物をする為にここに来たんだとよ。」

 

誠也「新組織立ち上げのための協力者か。ところで、さっきのロボッ()ってどういう意味?」

 

モモタロス「ああ。こいつ、ロボットなんだとよ。」

 

誠也・こあ「「ロボット?!」」

 

 

モモタロスの口から、ゆめみがロボットだと告げられて、声を揃えて驚きの声を上げる誠也とこあ。

 

 

こあ「ロボット・・・なんですか?私には人間にしか見えませんけど・・・」

 

誠也「ほ、本当にロボットなの?」

 

ゆめみ「はい。もっとも、正確に言うと、「元」が付きます。今の私は半分機械生命体である「ロイミュード」ですので、「クリフ様」流に言えば「ハーフロイミュード」なのだそうですけど。」

 

誠也「ハーフロイミュード・・・ね。」

 

こあ「すごい、まるでエミルクロニクルの世界のDEM族みたい」

 

 

ゆめみの言った言葉をつぶやくようにして言う誠也と驚きながらかつてエミルクロニクルの世界でであった機械族のDEM族の事を思い出すこあであった。

 

 

モモタロス「おい、それよりもロボッ()。お前、カナリヤから届け物を渡されたんだろう?早く向こうに戻らなくて良いのか?」

 

ゆめみ「あ!そうでした。私、お届け物をしなくちゃならないのでした。申し訳ございませんが、私はこれで失礼します。」

 

 

誠也達に「ペコリ」と頭を下げた後、この場を立ち去るゆめみ。そんなゆめみに背中を黙って見送っていた誠也達にモモタロスが声をかけてきた。」

 

 

モモタロス「お前らも、なんか集まって話し合いをするんだろう?魔女の嬢ちゃん達が集まって待ってたぞ。」

 

誠也「あ、そうだった。じゃあ俺達もこれで。こあ、行こう。」

 

こあ「あ、はい。では失礼します。」

 

モモタロス「おう、しっかりな。さっとて俺はこれから飯だ。さ~メシメシ♪」

 

 

「メシメシ♪」と言うモモタロスに見送られて、誠也はかなで達が居るであろう会議室へと向かった。廊下を進んで会議室の扉を開き、中へと入る誠也。会議室の大テーブルの周りには、かなで達魔女の少女達6人と、かなでとカズミの付き添いなのか、霞とはやての姿が有り、みんな紅茶を飲みながら誠也達を待っていた。

 

 

かなで「誠也くんの巫女服姿♥ハァハァハァ・・・(携帯内にある誠也の巫女服姿の画像を見ている)」

 

 

若干一名、違うことをして待っているみたいだが・・・・

 

 

誠也「みんな揃ってるみたいだね。俺達で最後かな?」

 

 

興奮しているかなでの姿を見て「見なかったことにしよう」と心の中で思い、無視して会議室内に居るメンバーに声をかける誠也。

 

 

はやて「そうやで。あ、ちなみに私と霞ちゃんはかなでさんとカズミちゃんの付き添いやで。」

 

誠也「付き添いね。あれ?こういう時にはいつも付いてきている竜輝と良太先輩がいないな。二人共どうしたんだ?」

 

はやて「あー、竜輝くんはね、昨夜・・・カズミちゃんが夜這いをする為に、裸で竜輝が寝ているベットに突入して、それで・・・・・」

 

誠也「鼻血で大量出血して、今は寝込んでるってことね・・・何やってるんですかまったく。」

 

 

呆れた顔でカズミを見る誠也に対して、その視線から逃れるようにバツの悪そうな顔をしながら背けるカズミ。

 

 

寧子「村上くんは家庭教師のアルバイトがあるから行けないって連絡があったわ。」

 

誠也「家庭教師のアルバイトか。さすが定期テストで毎回上位に名前が上がっている先輩だね。」

 

 

誠也とこあは竜輝達が来れない理由を聞きながら、会議室の自分に用意された席へと腰を下ろし、席の前のテーブルに置かれていた自分の分の紅茶に口をつけて飲んで人心地をつけた。

 

 

誠也「じゃあ、早速話を聞かせてもらえませんか?後・・・かなで、いつまでもだらしない顔で携帯を見てないで、しまって顔を元に戻して。」

 

 

誠也は今だにだらしない顔をしながら「でゅふふふふ♥」と不気味に微笑みながら、口の端からヨダレを垂らしているかなでに注意した。

 

 

霞「ほら、かなでちゃん。お兄ちゃん来たよ。口のヨダレを拭いて携帯しまって。」

 

かなで「でゅふふふふ♥って・・・へ?誠也くん・・・来たの?」

 

誠也「うん、ついさっきね。」

 

かなで「・・・・・・・・・・・・(バッ!)」

 

 

誠也の姿を見て、慌て口元のヨダレを拭き、姿勢を正して何事もなかったかのように振舞うかなで。そんなかなでを見て、「いまさら取り繕ってもな~(^_^;)」と思いながら誠也は話を始めた。

 

 

誠也「え~と、話は一応聞いているけど、みんなの家族を探して欲しいってことだよね?」

 

寧子「ええ。カズミちゃんとはやてちゃんが親戚だって事が判明してから、私達・・・自分の家族の事を考えるようになったの。」

 

かなで「私達にも研究所に捕まる前には家族が居たはずだと、カズミちゃんとはやてちゃん達を見て思って・・・そしたら急に会いたいって思えてきたの。」

 

誠也「なるほどね。まあ、いいんじゃないかな。そういう考えができるようになったのも、鎮死剤の問題も解決して、余裕ができたからだろうね、いい傾向だよ。でも・・・探すにしても、みんな捕まる前の記憶、結構曖昧なんだよね?」

 

佳奈『ええ。私達全員、捕まる前の事・・・・家族の事についての記憶は曖昧よ。殆ど断片的なことばかりで・・・・でも・・・・・それでも会いたいわ。』

 

千絵「だから私達、自分が覚えてる断片的な過去の記憶から家族を探そうって思って、覚えていることを書き留めてまとめておいたの」

 

小鳥「ここに、その覚えている事のまとめがあります。これで・・・どうか私たちの家族を探してください、お願いします!」

 

 

頭を下げながら小鳥は、一枚一枚の紙に名前と、その人物の覚えている事を書き留めた用紙を誠也に差し出した。

 

 

誠也「これが・・・皆さんが覚えている事について書き留めた物ですね。」

 

 

誠也は受け取った用紙を一通り目を通した。

 

誠也「黒羽 寧子(くろは ねこ)橘 佳奈(たちばな かな)鷹鳥 小鳥(たかとり ことり)、うん?冷泉 奏(れいぜい かなで)水谷 千絵(みずたに ちえ)?へ~、二人の苗字、初めて知った。」

 

かなで「初めて?あ、そう言えば、私達の苗字、教えてなかったね。」

 

千絵「そうだね。ちなみに・・・決っして、今まで教えてなかったのは、苗字が公式で無かったからではないからね!ホントだからね!」

 

誠也「メタ発言やめてください(苦笑)え~と・・・どこまで読んだんだっけ。寧子さんは男の子の同い年の幼馴染が居て、佳奈さんはお姉さんが居ると。小鳥さんには頭の良いお兄さんが居て、かなでには妹が居る。そして千絵さんにはお姉さんとプログラミングが得意な従姉が居るか・・・・この名前、捕まる前から使ってた物ですよね?研究所で名付けられたり、脱出して潜伏していた時に名乗ってた偽名とかじゃ・・」

 

佳奈『いいえ、偽名とかじゃないわよ。そもそも研究所では私達、番号で呼ばれてたから、その名前は本名なはずよ。』

 

誠也「本名か・・・・・う~ん、とりあえずここ十年、国内で行方不明になったり死亡したりした女の子を中心に探して、そこからはこの情報を頼りに絞り込んで、後はしらみつぶしに探すしかないか。」

 

こあ「しらみつぶしにって・・・マスター、それだとかなり大変になるんじゃ・・・」

 

誠也「うん。人手が要るよ。こりゃお祖父ちゃんにまた頼らなきゃならなくなるな。」

 

霞「やっぱり、乃木坂のお祖父ちゃんに頼らなきゃダメか。」

 

誠也「気が引けるけど、背に腹はかえられないよ。早速お祖父ちゃんに話してみるよ。」

 

 

そう言って、誠也は持っている資料を手にしながら席を立ち、こあも続いて立って共に部屋を出ようとした。

 

 

霞「あ、待ってお兄ちゃん。さっき千早お姉ちゃんから私の携帯に電話があって。」

 

誠也「千早姉から霞の携帯に?珍しいな、いつもは悠菜姉の携帯にかけてくるのに・・・・」

 

 

誠也は普段はかけて来ない霞の携帯に千早がかけてきた事に対して疑問を持った。

千早姉こと、如月千早は、誠也達は姉と呼んでいるが誠也達の姉と言う訳ではない。一年半前まで誠也達の家である鳴海家で、一緒に暮らしていた中で、共に暮らしているうちに姉と呼ぶようになったのである。

 

誠也が小さい頃、悠菜の実家である藤堂の家に引き取られていた頃、藤堂の家の隣に住んでいて、その経緯で誠也は千早と知り合った。

 

悠菜とは幼馴染であった千早とは、悠菜を通して良くしてもらい、誠也と一歳年上の弟・優共々、実の弟のようにしてもらっていた。誠也にとって、千早は血こそ繋がっていないが、実の姉と言っても過言ではない存在で、千早にとっても誠也はもう一人の弟と行ってもいい存在であった。

 

そんな千早ではあるが、今は鳴海の家を出て一人暮らしをしている。理由は765プロと言う芸能プロダクションでアイドルをやるためである。そんな千早から電話があったと聞いて、誠也は何かあったのかと心配になった。

 

去年、千早は過去にあった実の弟・優が亡くなった事故について、ある雑誌に書かれてショックを受けて一時は自宅に引きこもってしまという事があった。今はその事について、誠也が届けた優のスケッチブックと、765プロ全員のおかげで、乗り越えたのである。

 

 

誠也「・・・・何かあったのかな?」

 

 

誠也は、また以前のようなことがあったのかと思い心配そうな顔をした。

 

霞「そんな心配そうな顔をしないでよ。ちょっとしたお使いのお願いだよ。」

 

誠也「お使い?」

 

霞「うん、本当は最初はお兄ちゃんと悠菜お姉ちゃんの携帯にかけたんだけど、二人共携帯の電源入っていなくて繋がらないから私の所にかけたんだって。」

 

誠也「電源が入ってない?」

 

 

霞の言葉を聞き、自分の携帯を取り出して確認する誠也。

 

 

誠也「あ、そういえば銀子さんと話す前まで携帯の電源切ったままだった・・・・千早姉に悪いことしたな。で、千早姉はなんて?」

 

霞「え~と、「私が使っていたカードデッキを持ってきて欲しい」って。」

 

誠也「千早姉が使っていたデッキを持ってきて欲しい?」

 

 

誠也は霞が言った言葉を聞いて訝しんだ。千早は鳴海の家を出て行くまでの間、誠也のやっているライダーでの活動を手伝うために、自分自身も龍騎の世界のライダーのカードデッキを使って、ライダーの一人として活動していた。だが、千早が765プロに入ろと決めた時、デッキをカナリヤに返していたのである。

 

 

誠也「なんでまたデッキを持ってきて欲しいだなんて・・・」

 

霞「さあ?何かあったのかな?」

 

誠也「う~ん・・・わかった。とりあえずこの後、デッキを持って千早姉の所に行ってくるよ。ついでに千早姉にも使えるようにしてもらった例のテレポートリングも届けてくるよ」

 

霞「わかった。千早お姉ちゃんによろしくね。」

 

 

霞達に見送られ、誠也はこあを連れて部屋を後にした。

 

 

こあ「千早さん・・・でしたよね。以前、エミルクロニクルの世界にいた時、歌の上手な幼馴染のお姉さんだって話してくれた。」

 

誠也「ああ。本当に歌が上手で、俺が知る限り、ここまで上手に歌を歌える人は千早姉を除けば初音先輩くらいだと俺は思っているよ。」

 

こあ「ああ。そう言えばそんな事言ってましたね。あの時“アルマ”の「シーホース」ちゃんや、“ロア”の「ローレライ」ちゃんよりも千早さんの歌の方が上手だってマスターが言ったせいで、「自分達よりも歌が上手だって言う千早さんに会ってみたい!」って騒ぎになりましたよね。」

 

誠也「そう言えばそんな事もあったな。懐かしいな~」

 

こあ「ええ。ですから、私、会うのが楽しみです♪」

 

誠也「そっか。じゃあその千早姉に早く会いに行こうか。」

 

 

そう言って誠也はテレポートリングを使い、こあ共々その場からテレポートの魔法でその場から消え去った。

 

 

つづく

 



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第58話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!④

どうも、剣 流星です。

連日の暑さで、早くも夏バテ気味です。

では、第58話をどうぞ~。


 

どこかの誰もいない路地裏。その場所に突如姿を現す二人の人物。テレポートリングで転移してきた誠也とこあである。

 

 

こあ「ここが・・・千早さんが居る「765プロ」ですか?」

 

誠也「違うよ。765プロが入っているビルの近くに有る、人通りの少ない路地裏だよ。直接跳んで行ったら騒ぎになるだろう?」

 

こあ「確かにそうですね。いきなり目の前に人が現れたら流石に驚きますもんね。」

 

 

誠也の言葉を聞いて納得しながら、歩き出す誠也の後について行くこあ。

路地裏を出て、表通りに出た瞬間、ふたりの目に一つのビルが入ってくる。一階部分に、居酒屋らしき店が入っており、まだ昼間なので準備中の看板が出ていた。その居酒屋の上の階の部分の窓に「765プロ」と書かれてあった。

 

 

誠也「あれが「765プロ」だよ。」

 

こあ「アレが・・・ですか?イメージしていた物よりも小さいですね。もっとこう・・・・バー〇ングプ〇ダクションや、ジャ〇ーズ位の大きさをイメージしてました。」

 

誠也「出来てまだ数年のプロダクションと業界最大手を比べるなよ(^_^;)」

 

 

誠也はこあの765プロを見た感想を聞きながら、ビルの一階部分にある居酒屋のすぐ横にある、二階部分へと上がるための階段をこあと共に登った。そして階段を上がり、2階部分への入口である765プロの入口にさしかかった時、突如誠也の足に「クンッ!」と何かが引っかかる感触が伝わってきた。

 

 

誠也「うん?」

 

 

誠也は足の引っかかりを感じ、すぐに引っかかった物を確認しようと足元を見た瞬間、突如頭上から何か網のような物が誠也とこあの頭上に降りかかった。

 

 

誠也「なっ!」

 

こあ「キャッ!」

 

突如降ってきた網のようなものに絡まれて、誠也とこあはいきなりの事で取り乱してしまい、そのせいで階段から足を踏みはずし、網に絡まったまま、ふたり仲良く階段の下まで転げ落ちてしまった。

 

 

誠也「痛っててててて・・・な、なんだ?・・・・網?ったく、何なんだよコレ。こあ、大丈夫?」

 

こあ「う~~、お尻打っちゃった・・・な、なんとか大丈夫です。マスターは?」

 

誠也「俺も大丈夫だよ。それにしても・・・この網、ホント何なんだ?」

 

 

網に捕縛された状態のまま、二人は互いに怪我が無いかを確認しあった後、自分たちを絡みとっている網に視線を向けた。その瞬間、数人の人影が二人を取り囲んだ。

 

 

双海亜美「捕まえたぞ!はるるんを狙う怪人め!」

 

双海真美「私達が退治してやる!」

 

星井美希「怪物退治なの♪」

 

高槻やよい「は、春香さんを守ります!」

 

 

誠也とこあを取り囲む人影。それは765プロ所属に所属しているアイドルである双海亜美、双海真美、星井美希、高槻やよいの四人だった。4人は金属バットやモップなどを手に持ち、ヘルメットなどを被って武装していた。

 

 

誠也「へ?か、怪人?」

 

美希「罠が張ってあったとも知らずに、ノコノコと入口から来たのが運の尽きなの♪」

 

亜美「もうはるるんを襲わせたりしないんだから!ここで私達が退治してやる!」

 

 

「何を言ってるんだ?」と心の中で思っている誠也を他所に、持っている金属バットを手にジリジリと詰め寄る4人。

 

 

誠也「か、怪人って・・・ちょっと待って!俺達怪人なんかじゃないよ!」

 

こあ「そ、そうですよ!よく見てください!」

 

やよい「た、確かに言われてみれば・・・」

 

真美「騙されちゃダメだよ、やよいっち!」

 

亜美「そうだよ、こういう怪人は人間に化けて騙すのが常套手段なんだから。」

 

美希「そうそう。きっとこいつらも、羽や尻尾なんかを隠してるんだよ。現にほら、お尻のあたりからシッポがはみ出てるの!」

 

こあ「えっ!?」

 

 

星井美希の言葉を聞いて、先ほどお尻を打った瞬間、隠していたジッポが出てしまったのかと思い、慌てて自分のお尻を確認するこあ。だが、そこには尻尾は無く、先ほどと同じ尻尾を隠した状態のままであった。

 

 

誠也「バカ!何反応してるんだ!」

 

 

誠也の言葉を聞いて「しまった!」と言う反応をするこあ。

 

こあ「ご、ごめんなさいマスター」

 

美希「引っかかったのね。」

 

亜美「その反応、やっぱりはるるんを狙う怪人だ!」

 

誠也「ま、待って!俺は千早姉の「弟分」の誠也って言うんだ!千早姉に会いに来たんだ、取り次いでくれ!」

 

 

誠也は襲いかかろうとする4人に、ここに来た理由を言った。だが4人は誠也の言葉を聞いて、急に怒り出した。

 

 

美希「語るに落ちるの!千早さんの「弟」は亡くなってるの!」

 

やよい「亡くなった千早さんの弟さんの名前を語るなんて許せません!それに・・・あなた女の子じゃないですか!男の子の服装していたってわかりますよ!」

 

誠也「へ?・・・・おんな・・・・のこ?ま、また女の子に間違われた」

 

 

女の子と間違われて落ち込む誠也。そんな誠也を他所にジリジリと誠也達に持っている武器で襲いかかろうとする4人。」

 

 

亜美・真美・美希・やよい「「覚悟なの(です)!」」

 

 

こあ「ま、マスター!落ち込んでる場合じゃないですよ!」

 

誠也「へっ?あ・・・・い、いやちょっと待って!俺は男だ!それに「弟」じゃなくて「弟分」だって・・・う、うわあああああああっー!」

 

こあ「きゃーっ!」

 

 

怒ってバットを振り下ろす4人。誠也はとっさにこあを庇い、4人の攻撃からこあを守る。そんな時、765プロの方から二人の人物が出てきて、誠也達に襲いかかっている亜美達に声をかけてきた。

 

 

天海春香「み、みんな何やってるの?!」

 

如月千早「い、一体何なの?この騒ぎは?!」

 

 

亜美「あ、はるるん出てきちゃダメだよ!」

 

真美「今はるるんを狙っていた怪人を退治している所なんだから。」

 

春香「へっ?私を狙っている・・・」

 

千早「・・・怪人?」

 

 

真美の言葉を聞いて、4人が囲んでいる人物に視線を向ける春香と千早。

 

 

誠也「千早姉!この子達止めて!」

 

千早「へっ?せ、誠也!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小鳥「鳴海誠也くん。千早ちゃんが765プロに来る前にお世話になっていた鳴海家の長男。母親は誠也くんが赤ちゃんの時に、通り魔に襲われて既に亡くなっていて、今は探偵をやっている父親である「鳴海誠司」さんと実の姉である「京香」さん。それと従姉妹である「悠菜」ちゃんと同じく従妹の「霞」ちゃんとの5人暮らし。千早ちゃんとはお母さん同士が学生時代からの付き合いで、その伝で誠也くん達とは小さい頃からの付き合いがあったの。いわゆる「幼馴染」ね。で、そんな間柄だから、千早ちゃんにとって誠也くんはもう一人の弟と言ってもいい存在なのよ。」

 

 

菊池真「へ~、それで「弟分」なのか。」

 

 

765プロ内で事務員である「音無小鳥」から誠也の事について説明を聞く菊地真を始めとした765プロの面々。そんな765プロの面々を見ながら、誠也はソファーに座って殴られた傷の手当てを千早とこあにしてもらっていた。

 

 

誠也「痛ってててて・・・」

 

こあ「あ、動かないでくださいマスター。治療ができません。」

 

千早「大丈夫?誠也?」

 

誠也「大丈夫大丈夫。殴られた所がちょっと痣になったぐらいで、たいしたことないよ千早姉。それよりこあの方はケガは無かった?」

 

こあ「はい。マスターが庇ってくれたおかげで、階段から転げ落ちた時、お尻を打ったぐらいで他はケガはありません。」

 

誠也「そっか、良かった。」

 

 

こあにケガが無い事にホッと胸をなで下ろす誠也。そんな誠也の耳に「秋月律子」とプロデューサーによる、先ほど誠也達を襲った4人に対しての説教が聞こえてきた。

 

 

律子「まったく!お客様を罠にはめて、あげくの果てに4人でボコるなんて、一体何考えてるの!!」

 

亜美「そ、その~、「はるるん」を狙ってた怪人を私達で退治しようとしたんだけど・・・・」

 

プロデユーサー「はあ?怪人を退治する?」

 

真美「うん。入口に罠を仕掛けて、かかった所をみんなで袋叩きにするんだよ♪」

 

律子「「するんだよ♪」じゃ無い!入口に罠を仕掛けるんなんて何考えてるの!!関係ない他の人がその罠にかかったらどうするつもりだったの!!」

 

美希「そこはちゃんと考えてたよ。今日はお客様が来る予定は無かったし、みんなが出かける時は、その度に罠を外してたから他の人が罠にかかる心配は無いの♪だから大丈夫なの♪」

 

プロデューサー「大丈夫じゃ無いだろう・・・・現に誠也くん達が罠にかかっただろ?それにその対応じゃあ急なお客様に対しては対応できてないじゃないか。」

 

 

額に指を当てながら、頭痛がしてきたような顔をしてタメ息をするプロデューサー。

 

 

律子「大体、なんで自分達で怪人をしようって考えになったのよ!危ないでしょうが!」

 

亜美「そ、その~実は千早お姉ちゃんから怪人を倒す「仮面ライダー」の話を聞いて・・・」

 

真美「その話を聞いているうちに、真美達も「仮面ライダー」みたいになりたいな~て。」

 

美希「それで、やよいを誘って怪人退治をしようって事になったの♪」

 

やよい「う~、すいません。止められなくて、そのまま巻き込まれました・・・」

 

 

得意満面な顔をして話しをする亜美達3人と、申し訳なさそうな顔をするやよい。

 

 

律子「はぁ~、なんでそこで怪人退治をしようって考えになるのよ・・・」

 

 

額に手を当てて盛大にため息をはく律子。

 

 

美希「それにしても・・・・以外だよね。まさか千早さんが話してくれた、怪人を退治している「仮面ライダー」の鳴海誠也がこんな女の子みたいな「男の娘」だったなんて。」

 

誠也「誰が「男の娘」だ!って・・・・ちょっと待った!今聞き捨てならない事が聞こえたんだけど!俺が仮面ライダーだという事を千早姉から聞いた?それに・・・さっきから怪人がどうだとかって・・・一体どういう事なの千早姉?」

 

 

亜美達の説教を聞いていた誠也は、その会話の中に出てきた「仮面ライダー」の正体が誠也であるということを千早から聞いたと言う事に驚き、さらに先程から怪人がどうだとかと言っていることについての理由を、自分の側にいる千早に対して誠也は聞いた。

 

 

千早「え、え~と・・・その~~、実はね・・・・」

 

 

バツの悪そうな顔をしながら千早は、誠也の目から背けながら事情を話した。

 

 

 

誠也「・・・・・なるほど、そんな事があったのか。だから霞にデッキを持ってきて欲しいって頼んだんだね。」

 

 

誠也は千早からこれまでの事、ミラーモンスターに襲われた事、ミラーモンスターに襲われた事により、「765プロ」のみんなが不安になり、怯え始めてしまったこと、そのみんなを励ますために誠也達「仮面ライダー」の事を話した事などを話した。

 

 

こあ「ミラーモンスターに狙われたんじゃあ不安にもなりますよね。鏡のように反射する場所から自由自在に出入りして人を襲うミラーモンスター・・・そんな神出鬼没な怪物に狙われたんです、不安になった皆さんを安心させるために、仮面ライダーのことを話すのも、しかたないですね。」

 

千早「その・・・ごめんね。仮面ライダーの事を話て、みんなを安心させようとして、ついうっかり誠也が仮面ライダーの一人だってって話しちゃって。」

 

 

申し訳なさそうに誠也に謝る千早。

 

 

誠也「別に良いよ。いまさら喋った事に対して色々言ったったしょうがないし、それに・・・・俺自身、人の事をどうこう言えないからね(^_^;)」

 

こあ「それもそうですね。ここの所最近、色々な人達に秘密がバレてますもんね。確か皆神さん兄妹に翔子さん。銀子さんに奏さんやカズミさん達、それに村上さん・・・結構いろんな人達にバレてしまいましたもんね。」

 

千早「えっ?さくや達にも正体バレちゃったの?!」

 

誠也「その~・・・うん。」

 

千早「・・・はぁ~・・・何やってるのかしらね私達。揃って秘密を知られるなんて・・・」

 

誠也「だね。ちょっと弛んでたのかもしれないね。あ、そうだ。頼まれてたデッキ、渡しておくよ。」

 

 

誠也は千早に頼まれていたデッキを渡すため、コネクトウィザードリングを指にはめた後、一瞬だけ考え込んだ後。「ま、正体バレてるんだし、使っても大丈夫か」と言って腰のベルトのバックルにリングかざした。

 

 

電子音声『コネクト!プリーズ!』

 

 

辺りに電子音声が鳴り響くと、誠也の目の前の空中に魔法陣が現れ、誠也は魔法陣に手を突っ込み、中から一つのデッキを取り出した。

 

 

プロデューサー「なっ!?」

 

律子「なに・・・あれ?」

 

真「な、なんだなんだ今の!?」

 

響「な、なんか空中に魔法陣みたいな物が!?」

 

雪歩「も、もしかして・・・魔法?」

 

伊織「魔法ですって?!」

 

やよい「うわ~魔法だ!」

 

あずさ「あら~、すごいわね~。」

 

亜美・真美「「魔法だ!すごーーい!!」」

 

美希「魔法なんて初めて見たの!すごーい!!」

 

貴音「・・・・・・・・・・」

 

 

誠也の魔法を見てそれぞれ驚く765プロの面々。そんな面々の目の前で、誠也は千早に取り出したデッキと、一つのウィザードリングを手渡した。

 

誠也「はいコレ。頼まれてたデッキ。それと・・・・カナリヤに頼んで作ってもらった改良型のテレポートのウィザードリングだよ。」

 

千早「え?改良型のウィザードリング?」

 

誠也「うん。この改良型のテレポートのウィザードリングは、俺のようなウィザードドライバーを持っていない人でもテレポートの魔法が使えるように改良されたウィザードリングなんだ。」

 

千早「え?ドライバー無しでも使えるウィザードリング?」

 

誠也「うん。この改良型のリングは指輪内の、貯められた魔力を使うことにより魔法を発動させることができる物で、指輪をはめた人物が、一度でも行った場所を思い浮かべて念じると、その場にテレポートで行けるようになってるんだ。」

 

千早「へ~、ずごく便利な物ね。でも・・・どうしてこれを私に?」

 

誠也「千早姉、鳴海の家を出て行ってから、忙しくて帰ってこれないでいたでしょう?おかげで霞や裕奈姉、「ぷち」ちゃん達なんかが寂しがって。だから家にいつでも帰れるようにするためにこの指輪をカナリヤに作ってもらったんだ。」

 

千早「そうだったの・・・ごめんね、なんか霞達に寂しい想いをさせちゃったみたいだね。」

 

 

申し訳なさそうな顔をする千早

 

 

誠也「そう思うんだったら、これからはそれを使って、たまには帰ってきて顔を見せてあげて。」

 

千早「ええ。これからはそうするわ。」

 

誠也「うん、そうしてあげて。それよりも、ミラーモンスターについてなんだけど、デッキを持ってきてほしいって言ってたって事は千早姉、一人でどうにかするつもりだったの?」

 

千早「え?うん。だって誠也達も色々と忙しそうだから、私一人で解決しようって思って・・・」

 

誠也「別に遠慮することなんて無いって。俺は千早姉の弟・・・家族なんでしょう?だったら遠慮せずに頼ってよ。」

 

千早「誠也・・・・ありがとう。」

 

 

誠也の言葉に笑顔で答える千早。誠也はそんな千早に「どういたしまして」と答えた。

 

 

誠也「さて、じゃあミラーモンスターへの対策だけど、やっぱり狙われている人の側に居てボディーガードとして守るのが一番なんだけど・・・それだとちょっと問題が有るんだよね。」

 

こあ「問題・・・ですか?」

 

誠也「ああ。ボディーガートとは言え、年頃でアイドルであるみんなの側に、俺のような年頃の男が居たとなると、マスコミの連中が何やら変な記事を書いて騒ぎ立てるかも知れないだろう?」

 

 

誠也は以前、千早が実の弟の事故の事について記事にされた時の事を思い出し、同じように今回の事も記事にされるのではと懸念した。

 

 

プロデューサー「あー、確かに有り得そうだな。」

 

誠也「皆さんアイドルだし、そう言うのはなるべくは避けたいでしょう?それに、もしまた以前あった例の事件と似たようなことが起きたりしたて、千早姉を傷つける記事なんて書かれた日には・・・その記事を書いた出版社がゲキド街の住人達の手によって火の海にされかねないしね。」

 

千早「えっ?火の海って・・・・どういう事?」

 

誠也「以前、例の千早姉の記事が書かれた時、その記事を読んだ旧ゲキド街の住民達が完全武装して、記事を書いた出版社に殴り込みしようとしてたんだ。まあ、ゲキド街の人達って、初音先輩や亞北先輩を筆頭に千早姉のファンが大勢いたからね。」

 

どこか遠い所を見るような目で見ながら昔に事を思いだし語る誠也。ちなみに殴り込もうとしていた住人達は、誠也の必死の説得で納得し、殴り込みは未遂に終わってます。

 

 

千早「え?未来(ミク)や亞北さんを筆頭に?未来(ミク)はともかく、なんで亞北さんが?」

 

 

千早は誠也が上げた二人の人物の内の一人、亞北音流(あきたネル)の名前に首をかしげた。

亞北音流(あきたネル)は、最近鳴海荘の管理人である幽霊の「あやめ」の手伝いをしてくれている「ぷちミク」こと初音美空(はつねミク)の姉の一人、初音未来(はつねミク)と同じ、千早がまだ鳴海家に居た時に通っていた白城学園でのクラスメイトで、同じ合唱部の部員でもあった人物である。音流(ネル)は同じクラスメートで有り、同じ合唱部部員でもある未来(ミク)と違って仲が良いと言うわけでは無く、それどころ歌の方向性で何度もぶつかっていた人物であった。そのせいで、千早は自分は音流(ネル)には嫌われていると思っていたのである。

 

 

誠也「亞北先輩は別に千早姉を嫌ってなんていないよ。歌の方向性でぶつかる事はあっても、千早姉の事はちゃんと認めてたんだ。」

 

千早「あ・・・・そうだったんだ。認めて・・・・くれてたんだ。」

 

 

音流(ネル)が自分の事を認めていたと言う事を聞いて、千早は嬉しいと素直に感じて微笑んだ。

 

 

伊織「ね、ねえ・・・・さっき物騒な言葉が聞こえたんだけど・・・完全武装だとか、火の海だとか・・・・どういう事?」

 

千早「え?あー、その・・・・」

 

 

先ほど誠也の口から出た言葉の中にあったいくつかの物騒な言葉について千早に聞く伊織。千早はどう答えたらいいかと思い口を濁す。

 

 

誠也「俺の家がある遠羽市には、合併吸収して遠羽市の一部になった特殊な街であったゲキド街って所があるんだけど・・・その街はちょっと変わっててね・・・」

 

伊織「変わってる?」

 

誠也「ええ。街の住人は全員が何かしらの重火器を携帯していて、常日頃日それらを使った銃撃戦が起きてるような非常識な街なんですよ。なんせ、「Gが出た!」って騒いだら、その周りにいる住民全員が重火器でGをぶっ飛ばそうとする所ですからね。」

 

伊織「はあ?銃撃戦!?ちょっと!そこ日本なんでしょう?なんで住民が重火器なんて携帯してるの!?って言うかGを相手に重火器をぶっぱなす?!」

 

誠也「はははは・・・まあその反応が普通ですよね。でも、あの街は常識が通じない街なんですよね。なにせ「銃刀法違反?何それ美味しいの?」って素で言っちゃう所なんですよね~」

 

 

雪歩「何ですかそこ」(^_^;)

 

真「物騒な所だな~」

 

誠也「おっと、話がそれましたね。とにかく、男の俺が皆さんについて歩いたら、色々とまずいって事です。かと言ってミラーモンスター相手に戦える女性のライダーである裕奈姉は旅行から帰ってきてないし、どうするかな~」

 

 

問題について一人考え込む誠也。

 

 

???「話は聞かせてもらったわ!ここは私に任せなさい!」

 

誠也「えっ?」

 

 

突如あたりに響く声に驚き、その声の主に対して誠也達は一斉に顔を向けた。

 

亜美「ピヨちゃん?」

 

 

全員の視線が集まるその場所。その場所には765プロの事務員の一人である音無小鳥(おとなしことり)が立っていた。

 

 

音無小鳥(おとなしことり)「私にいい考えがあるわ!」

 

春香「いい考え・・・ですか?」

 

音無小鳥「ええ。と~~~ってもいい考え♪うふふふふ♡」

 

誠也「な、なんだ?なにか・・・悪寒が・・・」

 

 

不気味な笑いをしながら誠也を見る音無小鳥を見て、言い知れない悪寒に襲われる誠也。そんな誠也を、来た当初から黙って見続ける一つの視線があった。

 

 

四条貴音(・・・・あの子。もしかして・・・・)

 

 

 

つづく

 

 

 

初登場キャラ出典作品

 

音無小鳥(おとなしことり)(アイドルマスター)

 



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第59話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑤

どうも、剣 流星です。

更新が遅れて申し訳ございません。

エミル・クロニクル・オンラインのサービス終了にくわえ、自分が好きだった小説の作者が交通事故で亡くなると言うショックな出来事が続いて、しばらく茫然自失となってました。申し訳ございません。

では第59話をどうぞ。



音無小鳥「これで・・・よ~し♪うん!綺麗になった♪」

 

赤毛の少女「・・・・・・・・・」

 

 

目の前のロングの赤毛の少女に対して化粧を施し終えた音無小鳥は、その出来栄えを見て満足そうな顔をした。そんな音無小鳥とは対象に、化粧をしてもらい綺麗になった少女は、綺麗な顔に不釣り合いな不機嫌な顔をしていた。

 

あずさ「これは・・・実にかわいらしいです♪」

 

赤毛の少女「・・・・」

 

春香「うわ~、本当に綺麗になった♪」

 

赤毛の少女「・・・・・」

 

雪歩「本当に綺麗・・・」

 

赤毛の少女「・・・・・・・」

 

真「この子の着ている服って、事務所にあった予備の服だよね。よく似合ってるよ。ちょっとフクザツな気分・・・」

 

赤毛の少女「・・・・・・・・・」

 

伊織「本当に似合ってるわね。似合いすぎててちょっと腹立ってくるぐらい。」

 

赤毛の少女「・・・・・・・・・・・・」

 

亜美・真美「「どっからどう見ても女の子♪」」

 

赤毛の少女「・・・・・・・・・・・・・・・・・・(怒)」

 

こあ「とってもお似合いですよマスター♪」

 

美希「と~ってもよく似合ってるの♪」

 

赤毛の少女(誠也)「「と~ってもよく似合ってるの♪」じゃなぁああああああああああいっ!」

 

 

765プロの面々+こあに自分の今の姿を見た感想を言われ、女装をした誠也は大声を上げて不満の声を上げた。音無小鳥に化粧を施された、どこからどう見ても少女にしか見えない人物は、普段後ろに束ねてある長い赤い髪を解き、765プロに有った予備の衣装を着て、化粧を施された誠也であった。

 

護衛の為だとはいえ、年頃の男の子である誠也が、同じく年頃の女の子達である春香達につきっきりでついていたら何かと問題があった。その解決策として誠也が女装をして、765プロの見習いアイドルとしてついていけば問題ないと765プロの事務員である音無小鳥の意見が上がり、それを聞いた765プロの面々は「それなら問題ない」と全員一致の意見となり、誠也は女装をする羽目になってしまった。

 

 

響「それにしてもこの胸・・・良くできてるね。本物みたいだよ。」

 

 

そう言って誠也のそれなりに有る、本物にしか見えない胸パットが入っている胸を見て響が言った。

 

 

律子「たしかこれって、以前から倉庫の片隅に置いてあった、付けると本物にしか見えない特注の胸パットよね。前々から思ってたけど、どうしてこんな物がウチの倉庫に有ったんだろう?」

 

 

首をかしげて考え込む律子の視界に、バツが悪そうな顔をする千早の顔が映る。

 

 

律子(・・・・・・まさか。この事に関しては触れないで、そっとしておいてあげましょう。)

 

 

律子は自分の胸に浮かんだ考えを、熱くなる目頭をそっとぬぐいながら、自分の胸の中にそっとしまっておこうと思った。

 

 

赤毛の少女(誠也)「どうしてこんな事に・・・・いろはさんと言い、ここの人達と言い・・・・どうして俺に女装させようとするんだよ(怒)!男の俺が女の恰好をしたって似合うわけないだろうに(涙)」

 

 

亜美「え?そんな事ないよ。よ~く似合ってるよ♪手足細いし、肌綺麗だし、髪サラサラだし。」

 

小鳥「顔も綺麗だし、それに腰も細いんだもん・・・・下手な女の子よりも。」

 

 

最後の方はやや顔に影を作りながら言う小鳥。そんな小鳥の言葉を聞き、765プロの面々は誠也の細い腰に注目した。

 

 

春香「へ~、どれどれ・・・・・本当に細いね。一体どれくらいなの?」

 

小鳥「・・・・さっき着替える時ついでに測ったら・・・・・○○センチぐらいだった。」

 

765プロの面々『ええっ!?』

 

 

小鳥から誠也のウエストのサイズの数値を聞いて、一斉に驚きの声を上げた後、「わ、私よりも細い」、「ま、負けた」、「な、何とか勝った」、「お、同じぐらいだ・・・・」などなどと口々に言う765プロの面々。ちなみにどのセリフが誰なのかは本人の名誉のために割愛させていただきます。

 

 

赤毛の少女(誠也)「細いだの綺麗だの言わないで・・・結構気にしてるんだから(涙)」

 

 

周りで騒ぐ女の子達のセリフを聞いて、男としてのプライドをズタズタにされる誠也。誠也は自分の男としては細い手足や腰、に不満を持っていた。

 

誠也はライダーとして戦うために常日頃から体を鍛えている。だがいくら鍛えても、誠也の手足や体は筋肉の付いた太い物にはならなかった。だが、細いからと言って、誠也の手足や体は全くパワーがないかと言えば、実はそうでもないのである。

 

見た目はきゃしゃな体なのだが、その手足からは見た目からは想像できないほどのパワーを出し、細い体は、並みの大人よりもはるかに頑丈と言う、見た目に反した物となっていた。ライダーとして戦う分には問題ないのだが、見た目が細いので、その分侮られてしまうと言うことが多々あり、誠也はそのことに関して不満を持っていた。

 

 

赤毛の少女(誠也)「男がカワイイって言われてもちっともうれしくない!」

 

美希「ほらほら、今は女の子なんだから、「俺」なんて言わない!「わ・た・し」だよ♪」

 

誠也「い、いやだから・・・」

 

美希「はい!さんはい!わ・た・し♪」

 

赤毛の少女(誠也)「わ、私・・・/////」

 

 

765プロの面々(か、かわいい♪)

 

 

美希に促されて、はずかしそうにしながら頬を赤くしながら「わたし」と言う誠也。

 

 

その恥ずかしそうにしながら言うその姿を見て、その場の全員一致で同じ感想を出す765プロの面々。その面々の中には(い、いけない!危ない趣味に走ってしまいそう♪)と思ったり、(ハッ!思わずカワイイって思っちゃった。これじゃあ女のとして自分で負けを認めてるようなものじゃない!負けてない!負けてない!)と心の中で葛藤したり、(アレは男、アレは男!)と心の中で葛藤する者と様々な反応を示した。ちなみにどの言葉が誰の心の中なのかは、繰り返し言うが本人の名誉のために割愛せていただきます。

 

 

赤毛の少女(誠也)「と、とにかく!男として「細い」だの、「綺麗」だの、「かわいい」なんて言われても嬉しくもなんともないの!」

 

亜美「え~っ「ブサイク」って言われるよりは「綺麗」って言われたり、「カワイイ」っていわれ方が良いと思うよ?」

 

美希「そうそう♪ほら、もっと自信をもって♪」

 

真美「ほら、自分の今の可愛くなった姿を見て見て♪」

 

 

いつの間にか持ってきた大きな姿見の鏡を誠也の目の前にもってくる真美。

 

 

赤毛の少女(誠也)「・・・・・・え?!・・・・これが・・・・私?」

 

 

目の前に映る、姿見の鏡の中。そこには赤毛のロングで、従姉であり、義理の姉である悠菜に似た美少女が立っていた。

 

 

赤毛の少女(誠也)(これが・・・・私?か、かわいい♪・・・・ハッ!)

 

音無小鳥(ニヤニヤ)

 

 

姿見に映る美少女姿の自分の姿に見とれる誠也をニヤニヤしながら見る音無小鳥。

 

 

赤毛の少女(誠也)「ち、ちがう!見とれてなんてない!それになに自分の事をなに「私」って言ってるんだ!正気を取り戻せ俺―――――――――っ!」

 

 

頭を抱えてブンブンと振る誠也。

 

 

プロデユーサー「なんか、葛藤してるね(^_^;)」

 

亜美「いい具合に葛藤してる♪ところで・・・名前はどうするのピヨちゃん?」

 

小鳥「えっ?名前?」

 

亜美「うん、そのままの名前の「誠也」って男の子の名前で読んだら不自然でしょう?だから呼ぶ時の名前を決めないと。」

 

小鳥「あ、それもそうね。う~ん・・・・・どういうのが良いだろう?何か候補は無い?みんな?」

 

 

小鳥に言われて一斉に女装誠也の名前を考え始める765プロの面々。

 

 

赤毛の少女(誠也)「あ、あの~、何勝手にみんなで決めようとしてるです?と言うか、わたsじゃなくて、俺の意見は?そもそも女装して護衛するって事を承知した覚えがないんですけど?」

 

やよい「ここはシンプルに「セイコちゃん」でどうです?」

 

響「いや、それだと単純すぎない?」

 

赤毛の少女(誠也)「そうですか・・・・無視っすか(涙)」

 

 

自分の意見を聞いて貰えず、再び涙目になる誠也。そんな誠也の意見を無視して赤毛の少女(誠也)の名前について意見を言い合う765プロの面々。いくつかの名前の候補が上がり、最終的にはそれらを多数決で決め、そして・・・・ついに名前が決まった。

 

 

小鳥「よし!じゃあ名前は、素の名前の名残をある程度残しつつ、さりとて単純な変化をせず、かつ捻り過ぎない名前と言うことで「セイカ」・・・「|静香(せいか)ちゃん」に決定!」

 

 

765プロの面々『わ~(ぱちぱちぱちぱち)』

 

誠也改|静香(せいか)ちゃん「勝手に決めるな!って言うか、セリフの横の名前が「|静香(せいか)ちゃん」になってる!?」

 

 

|静香(せいか)ちゃん爆誕(笑)の瞬間であった。

 

 

 

つづく

 



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第60話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑥

こんにちは、剣 流星です。

ここ一週間ばかり雨続きな上に、気温が急に下がって体調を崩しがちです。
皆さんも体調管理は十分気を付けてください。
では第60話をどうぞ。


亜美「これからよろしくね、セイカちゃん♪」

 

誠也改めセイカちゃん「だから“セイカちゃん”言うな!」

 

 

女装姿にセイカちゃんと名付けられ、亜美達にいじられる誠也改めセイカちゃん。

そんなセイカちゃんの姿を少し離れた所から、苦笑しながらこあはそれを眺めていた。

 

こあ(女装姿が本当によく似合ってるな~マスターは・・・・ん?)

 

 

いじられる誠也改めセイカちゃんを眺めていたこあは、セイカを見つめる、ほかの視線とは違う一つの視線に気が付いた。

 

 

四条貴音「・・・・・・・・」

 

 

こあ(あの人は確か・・・・四条貴音さんだったよね。なんだろう、さっきからマスターをじっーと見てる。この視線・・・・他の人とは違う。何か・・・マスターを監視してるかのような目つきだ。どうしてそんな目で見てるんだろう?)

 

 

こあは、自分のマスターに向けられている、貴音の監視しているかのような視線が気になり、貴音に声をかけてみた。

 

 

こあ「あの・・・・・さっきからじ~っとマスターを見ているようですけど、何か用ですか?」

 

貴音「え?いいえ、その・・・ちょっと彼の手の包帯が気になって。」

 

 

貴音はそう言ってセイカが手に巻いている包帯を指さした。

 

 

こあ「ああ、あの包帯ですか」

 

 

こあはセイカが片手の手の甲を隠すように巻いている包帯を見て言った。その包帯は、数日前に誠也の手の甲に現れた、強大な力を秘めた27の真の紋章の一つ、「竜の紋章」が二つに分かれた物の片割れ、「地竜の紋章」を隠すために巻いた物だった。

 

 

セイカ(誠也)「この包帯が気になってたんですか?」

 

 

こあ達の会話を聞いていたセイカは、貴音に対して包帯が気になってるのかと聞いた。

 

 

千早「そう言えば、私も来た時から気になってたけど、その包帯、どうしたの?ケガでもしたの?」

 

セイカ(誠也)「え~とこれは・・・その~」

 

 

セイカは千早に包帯の事を聞かれて返答に困った。真の紋章については、その秘めたる力や、その性質の事もあって、なるべく人に知られたくないと誠也改めセイカは思っていた。ましてや、自分の姉とも言える存在の千早に紋章の事で心配をかけたくないセイカは、どう答えて良いか一瞬考え込んだ後、答えた。

 

 

セイカ「(誠也)これはその・・・・料理教室の時にケガをして・・・」

 

千早「料理教室の時にケガをしたって・・・・まさか!シャマルさん達の作った料理に喰いつかれたの!?」

 

セイカ(誠也)「・・・・へ?喰いつかれた?」

 

 

予想外の答えが返ってきたので、思わず間の抜けた声を出してしまうセイカちゃん。

 

 

セイカ(誠也)「ね、ねえ・・・千早姉、喰いつかれたって、どこをどう考えたそんな発想が出てくるわけ?」

 

千早「え?違うの?私はてっきりシャマルさん達が料理教室で“また”不定形生物(クリーチャー)を作って、それに噛みつかれてケガをしたんじゃないかと思って。だってあなたが料理でケガをするなんて、予想外の事が起きてケガをしたとしか考えられないし、料理教室で予想外の事が起きると言ったら、大抵その原因はシャマルさん達のことだから、それ以外考えられないから、てっきり・・・」

 

セイカ(誠也)「ま、まあ・・・・確かに料理教室で予想外の出来事が起きると言ったら、大抵はシャマルさん達料理下手の人達が起こすバイオハザードだけどね(^_^;)まあ、時々イエス様やブッタ様が奇跡テロを起こしての騒ぎもあるけどね(^_^;)」

 

 

今まで料理教室で起きた騒ぎを思い出して苦笑いをするセイカちゃん。

 

 

春香「・・・ねえ、さっきから気になってたんだけど・・・その料理教室って、誠也くんが開いてる月二回で開いてる料理教室の事だよね。」

 

セイカ「あれ?知ってるんですか?」

 

春香「う、うん。前に千早ちゃんが教えてくれたんだけど・・・さっきから聞いていたけど、「不定形生物」だの「バイオハザード」だの「奇跡テロ」だの物騒な言葉が聞こえてくるんだけど、一体どんな料理教室なの?」

 

千早「・・・春香、あなたは知らない方が良いわ。」

 

セイカ(誠也)「・・・春香さん、世の中には知らない方が良い事もあるんだよ。」

 

 

遠くを見るような目をしながら「知らない方が良いと」と言う千早とセイカちゃん。そんな二人を見て「一体何があったんだ?!」と思う765プロの面々。そんな彼らにプロデューサーが声をかけた。

 

 

プロデューサー「はい、みんなおしゃべりはそこまでだよ。次のロケ地に行くためのバスが来たみたいだから、続きはそこでね。」

 

 

プロデューサーの言葉を聞いたセイカは、窓の外を見てた。そこには事務所の入っているビルのずぐ前にマイクロバスが止まっているのが見えた。

 

 

セイカ(誠也)「次のロケ?もう夕方ですよ?今から出発したら目的地に着く頃には夜になりますけど、夜の撮影なんですか?」

 

 

セイカは自分の側に居る春香にこの後のロケについて聞いてみた。が

 

 

春香「うん、そうだよ。夏の定番番組である“心霊特番”の撮影だよ。」

 

貴音「(ピクッ!)し、心霊・・・特番の・・・撮影?」

 

春香の言葉を聞いて反応する貴音。そんな貴音の反応に気づかずに春香は話を続けた。

 

春香「某有名な心霊現象が多発するトンネルに、私達765プロのアイドル達が、中でどんな現象が起きるのかを二人一組で順番にカメラと一緒に入るって企画みたい。」

 

貴音「し、心霊現象が起きるトンネルに・・・入って撮影・・・・・・わたくし、聞いてませんよそんな話。」

 

春香「あれ?知らなかったんですか?昨日プロデューサーさんから話があったはずですけど?」

 

貴音「き、昨日は所用で出かけていたので・・・・」

 

春香「あ、そう言えばいませんでしたね、昨日。」

 

 

昨日プロデューサーから話があった時の事を思い出し、その場に貴音が居なかった事を思い出す春香。

 

 

こあ「あの・・・なんだか顔色が悪いですけど、大丈夫ですか?」

 

 

顔を真っ青にした貴音を見て心配になり声をかけるこあ。

 

 

貴音「い、いいえ・・・だ、大丈夫です。」

 

 

そう言って、他の765プロの面々の後を追うように、外に行く貴音。体のあちこちをぶつけながら・・・・

 

 

千早「だ、大丈夫かしら?なんだか、かなり同様してるように見えたけど・・・」

 

春香「どうしたんだろうね?四条さん。」

 

 

外に出ていく時の貴音の様子を見て、心配する春香。

 

 

セイカ(誠也)「う~ん、なんだかお化け屋敷行く時の美香みたいな反応だな。ひょっとしてお化け関連の物が苦手なのかな?」

 

千早「まさか、四条さんに限って。それよりも二人はどうするの?撮影に付いてくるの?」

 

セイカ(誠也)「もちろん。ボディーガードをするって言ったでしょう?その為にこんな格好してるんだから。」

 

こあ「マスターが行くのなら、私も行きます。私はマスターの使い魔なのですから。」

 

 

千早の言葉に「付いて行く」と当然のように答えるセイカとこあ。

 

 

千早「やっぱり付いてきちゃうか。「後の事は私に任せて、あなた達は帰って」って言っても聞かないでしょうね。分かったわ。ボディーガードの件、お願いするわね。」

 

セイカ(誠也)「うん、まかしといてよ。「ただし!」うん?」

 

千早「無茶なことはしない!良いわね。」

 

セイカ(誠也)「は、はい。」

 

千早の迫力のある言葉に思わず尻込みしながらの返事をしてしまうセイカちゃん。

 

千早「よし!さあ、みんなもうバスに乗り込んでる。私達も急ぎましょう。」

 

 

そう言って千早は外のバスへと向かい、それを追うように、セイカ達も慌ててバスへと向かった。そんなセイカ達の姿を外のビルの屋上から見下ろしている二つの人影があった。

 

 

???「ジン、どうやら彼女達は撮影に向かうようですね。」

 

ジン「せやな。朝からずっとあの娘らをいっぺんにさらう隙をうかがってたけど、全員が撮影に向かうのなら、撮影先でならその機会も多いはずやな、タカヤ」

 

 

タカヤと呼ばれた、長髪の男と、メガネをかけた男の二人組は、二人共、財団Xの関係者が着る白いスーツを着ていた。

 

 

ジン「それにしても・・・あの赤毛の二人の娘ら・・・・」

 

 

メガネをかけた男、ジンは女装した誠也であるセイカとこあを目で追いながら、相棒である長髪の男タカヤに話をふった。

 

 

タカヤ「うん?先ほど事務所に入って行った二人ですね。見かけない顔ですが、765プロの者と一緒に撮影に向かうようですね。765プロに新たに入った新人でしょうか」

 

ジン「あの娘・・・・・」

 

タカヤ「あの娘?どちらです?」

 

ジン「はずかしそうにしながら、うつむきぎみに歩いている娘の方や。」

 

 

ジンはこあと一緒にはずかしそうに歩いている女装誠也であるセイカの方を指す。

 

 

タカヤ「あの娘がどうしたのです?」

 

ジン「あの娘・・・・・・・・・ワイのめっちゃ好みのタイプや♡」

 

タカヤ「・・・・・・・は?」

 

 

予想外の言葉がジンの口から出てきたため、一瞬その動きを止めるタカヤ。

 

 

ジン「新人の娘やかな?デビューはいつするんやろ?デビューしたらワイ・・・めっちゃ応援するで~♡」

 

 

セイカを見て、テンションを上げまくるジン。そんなジンをタカヤは呆れた顔で見た。

 

 

タカヤ「・・・・・ジン。私達はアイドルの追っかけをしに来たのではありませんよ。私達はリュート様の命で、「歌詩の紋章」の所持者候補である765プロのアイドル達を誘拐しに来たのですよ。我々を救い、拾ってくださったリュート様のためにも、我々はリュート様の期待に答えねばなりません。」

 

ジン「わかっとる。リュート様のためにも、期待にはきっちり答える。公私の切り替えもきっちりする。それよりほら、あの娘らバスに乗って移動するで。ワイらも後を追うで。」

 

タカヤ「・・・・そうですね。では我々も移動しましょう。」

 

 

バスで移動を開始した765プロの後を追うように屋上を後にする二人であったが、追跡をしている自分達も、実は誰かに見られていたことには気づいていなかった。

 

二人が居たビルの屋上。そこからさらに離れた場所にあるビルの屋上から、小柄な女の子と巨漢の男と言う不釣合いな二人組がジン・タカヤの二人を見ていた。二人は共に黒鳥のマークが入った黒い時空管理局の制服に身を包み、ジンとタカヤが居たビルを見て居た。

 

 

小柄な女の子「・・・監視対象は移動を開始しました。」

 

巨漢の男「そうか。美月の命令で例の「白き魔獣」を探していたら、偶然にも財団Xの親衛隊の隊員を見つけ、何をしているのかと見ていたら・・・何やら面白い物を追っているな。」

 

小柄な女の子「・・・監視対象が追っているのは、「歌詩の紋章」の所持者候補のようです。」

 

巨漢の男「なるほど、今現在行方不明の「歌詩の紋章」を見つけた時ため、すぐに回収できるよう、その器である所持者候補を探していたのか・・・・面白い!ならその所持者候補、我々がいただくとしよう!行くぞ、「瞳」いや、時空管理局特別部隊「ブラックスワン」の「アイズ中尉」」

 

目原種改アイズ「了解です「腕」、いいえ・・・「アームストロング大尉」」

 

 

財団Xの親衛隊の隊員であるジンとタカヤを追う、時空管理局のブラックスワンに所属する機界最強七原種である瞳原種と腕原種。そんな二人を無人のパトカーが後を追って行った。

 

 

???「原種二体の姿を確認。これより追跡に移ります。」

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

タカヤ(ペルソナ3)

 

ジン(ペルソナ3)

 

腕原種(勇者王ガオガイガーシリーズ)

 

瞳原種(勇者王ガオガイガーシリーズ)

 



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第61話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑦

どうも、剣 流星です。

最近始まった、鬼灯の冷徹の二期のアニメにハマってます。

新OPの曲、一期の時のOP曲と同様、一度聞いただけで気に入ってしまい、即効でアマゾンで購入してしまいました。W

それはさておき、第61話をどうぞ


 

ロケに向かうバスに、こあと765プロの人達と共に乗り込んだ誠也は、バスの中辺りにある窓際の席へと座った。腰を下ろした瞬間に、「プルン♪」と、いつもと違う胸の感覚に気づき、自分の胸を見る。そして視線を窓へと向けると、そこには女物の服を身に着け、本物の女性の胸のように見える特注の胸パットを付けた自分の姿が、バスの窓の映り込んでいた。

 

 

セイカ(誠也)(うっ!)

 

 

本物の女性のようになっている自分の胸を見て、直視したくない現実を見せられ、誠也は今の自分を情けなく感じた。

 

 

セイカ(誠也)(本当に女性の胸みたいだ・・・・)

 

 

自分の変わり果てた胸を見て、おもむろに触ってみる。触った手にやわらかい感触が伝わり、誠也はますます情けなくなった。

 

 

セイカ(誠也)(ボディーガードする為とはいえ・・・なんでこんな格好に・・・こんな格好・・・霞達に見せられないよ・・・ああ、涙出てきた・・・)

 

 

「ぐすん」と鼻を鳴らしながら、自分の胸元に手をあてる誠也。

 

 

セイカ(誠也)(うん?)

 

 

自分の胸元に手を当てた手に、硬い金属を触った感触が伝わる。誠也はその硬い感触の元となる物を、自分の胸と服の下から取り出した。取り出した物は、エメラルド色の綺麗な石がはめられたペンダントだった。

 

このペンダントは、かつて門矢士(かどやつかさ)こと仮面ダイダー・ディケイドにはやてと共に付いて行った異世界をめぐる旅の中で行った世界・・・天を貫くような巨大な塔が有り、三つの代表的な種族と複数の少数の種族が暮らす「エミルクロニクル」の世界で手に入れたものだった。

 

このペンダントはペアになっていて、片方を誠也が、もう片方をこあが身に着けている。誠也はこれらを使って、この世界に迷い込み、魔力切れで消滅寸前だったこあを助けた事がった。

 

ペンダントを見つめながら、このペンダントを手に入れた当時を思い出す誠也。そんな手の中のペンダントを見つめていると、不意にペンダントに変化が起きた。

 

 

セイカ(誠也)(うん?)

 

 

誠也の手の中のペンダントのエメラルド色の石が、ほんのわずかな淡いグリーン色の光を発し、文字のようなものが浮かび上がったのである。

 

 

セイカ(誠也)(なっ!)

 

 

石の光はすぐに消えたが、誠也はしばらく石を黙ったまま見つめた。

 

 

セイカ(誠也)(なんだったんだ?今の光・・・)

 

 

先ほどの光について思案する誠也。そんな誠也の思考は不意にかけられた声に中断させられた。

 

 

こあ「そのペンダント、まだ持っていてくれたんですね。」

 

 

声が聞こえた方向を見ると、そこにはいつの間にか隣の席に座っていたこあの姿があった。

 

 

セイカ(誠也)「うん?・・・・ああ、お守り代わりにいつも身に着けていたんだ。」

 

 

先ほどの石の光についてこあに話そうとしたが、きっと気のせいだと思い、頭の片隅に追いやった誠也は、こあの話に耳を傾けた。

 

 

こあ「お守り代わりに・・・ですか?」

 

セイカ(誠也)「ああ、この石を身に着けていると、なんだか勇気が湧いてくるように感じるんだ。」

 

こあ「勇気が湧いてくる・・・・私と同じですね。」

 

 

こあは、自分の服の下に有るペンダントを取り出し、誠也に見せた。

 

 

こあ「私も・・・怖い時や、困難な時にこのペンダントを「ぎゅ~」て握りしめると、勇気が湧いてくるように感じるんです。まるで・・・マスターが側に居てくれるみたいで///」

 

 

セイカ(誠也)「えっ?あ・・・///」

 

 

頬を赤く染めて、ちょっぴり恥ずかしそうにしながら言うこあを見て、自然に自分の顔が赤くなるのを感じ、恥ずかしそうにしながら思わず目をこあからそらす誠也。そんな風にお互い恥ずかしそうにしながらしている二人に急に前の席から声がかけられた。

 

 

亜美「何々?二人とも顔を赤くして?あ!ひょっとして二人で、これからラブラブタイムだった?」

 

真美「なになに、二人ってひょっとして恋人同士?」

 

 

いつの間にか、前の席の背もたれの上から顔をのぞかせながら、ニヤニヤ顔で誠也達を見る双子。

 

 

雪歩「えっ!二人は恋人同士だったんですか?!」

 

あずさ「お似合いですよ、お二人とも♪」

 

 

亜美・真美の二人の声を聞いて、通路を挟んだ向かいの席に座っていたあずさと、後ろの席の雪歩が騒ぎ出す。それをきっかけに、他の席に座っている765プロの面々もその話に興味を持ったのか次々にその話に乗っかってきた。

 

 

我那覇響「へ~、二人は恋人同士だったんだ」

 

真「恋人か~・・・ちょっとうらやましいな。」

 

こあ「へっ?あ、いや・・・ち。ちがいますよ!私なんかがマスターの恋人な訳ありませんよ!」

 

セイカ(誠也)「そうですよ!俺らはそんな間柄じゃないですよ!そ、それよりも、みなさん!数日後にある乃木坂グループからの仕事、聞いてます?」

 

 

誠也は話をそらすために、数日後の予定に入っているであろう、祖父・乃木坂 王季(のぎざか おうき)からの仕事について聞いた。

 

 

あずさ「確か乃木坂グループが新しい試みを試すために作った旅館での仕事だったわよね。」

 

セイカ(誠也)「ええ。新しく発見した、温泉の中でしか生息できないドクターフィッシュを放してある温泉や、キューティクルベリーをはじめとした、今流行っている健康と美容に良いグルメ食材を食事に出すのを売りにした海沿いの旅館です。」

 

 

誠也は彼女らの今後の予定に入っている、仕事で行くとある旅館の事を説明した。この仕事は、乃木坂グループが誠也の協力の元、誠也が「トリコ」の世界で手に入れて持ち帰った、表向き新発見したことになっているグルメ食材とドクターフィッシュを使った、新しい旅館であった。

 

グルメ食材等をこの世界に持ち込んだ張本人として、誠也はこの世界でのグルメ食材とグルメ細胞、さらにグルメ食材を使った料理の第一人者となっているので、今回の、この旅館の建設に最初からアドバイザーとして携わっていた。そのため、誠也はこの旅館の事に介してある程度融通が利くため、その特権を利用する事を考えた。それは、夏休み中に、日頃お世話になっている人や、親しい友人達との旅行をする際に、宿泊する旅館をこの旅館にすることだった。

 

幸い、この旅館は本格的にオープンする前に、試験的にお客を呼び、実際使った感想を聞いて、最終調整をするプレオープンがまだだったので、それならばと誠也はこのプレオープンの客を自分達にしようと考えた。

 

だが、常日頃から忙しいアイドルをやっている、自分の姉のような存在である千早をはじめとした765プロの面々を呼ぶのは大変だと思った誠也は、765プロの面々に仕事として、プレオープンの客としての仕事を祖父を通して、乃木坂グループの名前で呼んだのである。

 

今人気急上昇中の765プロのアイドル達がプレオープンで泊まったと言うだけでも良い宣伝にもなるし、仕事の期間を誠也達が泊まる時に合わせれば、誠也達とも遊ぶ機会もできると言う一石二鳥の計画なのであった。

 

 

プロデューサー「この仕事は、表向き仕事で行くことになっているけど、それは口実で、実際は半分休暇の旅行のような物だから、みんな、久々に羽を伸ばすといいよ。」

 

 

やよい「旅行なんて久々です。楽しみです~♪」

 

美希「海が近いんだから泳ぐこともできるかな?」

 

律子「ドクターフィッシュって確か、海外の映像で時々見る、入った人の皮膚の角質を食べてくれる小魚の事よね?どんな魚なのかしら?」

 

 

秋津律子が旅館のドクターフィッシュの事について疑問を口にした。その疑問対して誠也は答えた。

 

 

セイカ(誠也)「今までの知られているヤツと違って、人の体の角質や汚れを食べてくれる物の他に、体の中に有る悪性の腫瘍や病原菌を食べてくれる魚や・・・」

 

 

プロデューサー「へ~、体に良さそうだね。」

 

 

セイカ(誠也)「あと、皮膚の黒ずみを食べて皮膚を美白にしてくれるメラニングラミーや・・・」

 

 

女性陣「(ピクッ!)」

 

 

セイカ(誠也)「皮膚の下の余分な脂肪を吸い取ってくれるダイエット効果のあるドクターフィッシュ・・・」

 

 

女性陣「(ピクピクッ!)」

 

 

セイカ(誠也)「後。この他にも様々なドクターフィッシュが『その話ぜひ詳しく!!』って、うわっ!すごい喰いつき!」

 

 

美白とダイエット効果のあるドクターフィッシュの話を聞き、その話を詳しく聞こうと誠也に迫る765プロの女性陣と、女性陣に迫られタジタジになる誠也。そんな誠也を苦笑しながら、こあはそれを眺めていた。

 

 

こあ(うわ~、すごい喰いつき。まあ、仕方がないよね。)

 

 

女性陣に迫られて、タジタジになっている誠也を苦笑しながら見るこあ。こあは、そんな誠也を見ながら誠也が先ほど取り出したペンダントを思い出し、それと対になる自分のペンダントを取りだした。

 

 

こあ(えっ?なにこれ・・・文字が浮かび出て、淡い光を放ってる!)

 

 

こあは取り出したペンダントにはめられたエメラルドグリーンの石が、文字を浮かび上がらせながら、弱々しい淡い光を出している事に驚く。

 

 

こあ(今までこんな事は無かった。何なの?コレ・・・・)

 

 

淡い光を出す石をみて、困惑するこあは、不意に誠也の方を見る。誠也は女性陣に迫られて、この事に気づいていなかった。

 

 

こあ(このペンダントはマスターから貰ったもの・・・・マスターは確か、エミルクロニクルのアクロポリスの露店で手に入れたったて言ってたけど・・・何なの?この石・・・・)

 

 

石は弱々しい光をしばらく出した後、光は消えて元の状態に戻った。

 

 

こあ(この石・・・・一体何なの?そう言えば以前・・・・)

 

 

こあは石を見ながら、以前、夢の中で出会ったナシムと名乗る小さな女の子の事を思い出した。

 

 

こあ(あの子は確かこの石を知っているような事を言っていた。確か・・・・ラティオがどうとか、機械生命体がどうとか。これってひょっとして、それらと関係があるのかも・・・・)

 

 

首を傾げて難しい顔をしながら考え込むこあ。そんなこあを見て、誠也は声をかけた。

 

 

セイカ(誠也)「どうしたの?こあ。なんか難しい顔をして。」

 

こあ「あ、マスター。実は・・・・」

 

 

石の事と、今さっき思い出した以前の夢の事を誠也に話そうとするこあ。だが、それはプロデューサーの声により中断させられた。」

 

 

プロデューサー「さあ、みんな着いたよ。今日の撮影はいつもの物と違って、夜の山の中での撮影だから注意して行動するように。」

 

 

765プロの面々『はい!』

 

 

プロデューサーの声に声をそろえて返事をした765プロの面々は、プロデューサーに続くように次々とバスを降りて行った。

 

 

セイカ(誠也)「こあ、行くよ」

 

こあ「えっ?あ・・・はい!」

 

 

先に席を立ち、バスの出口へと向かう誠也を追うようにこあもバスを降りるために出口へと向って行った。

 

 

こあ(石の事と夢の事・・・話しそびれちゃった。後で話さないと。)

 

 

石の事と夢の事を後で誠也に話そうと心の中で思いながら、バスを出るこあ。

そんなこあの背中を、一人の人物が見つめていた。

 

 

貴音「(アレは・・・・形は違っているけど、ラティオのGストーン。あんな物まで持っているなんて、あの子何者なの?敵なの?味方なの?見極めないと・・・)」

 

 

出ていくこあの背中黙って見つめる四条貴音。その視線は鋭く、顔は険しい顔になっていた。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

貴音「・・・・・・・・・・・・」

 

亜美「ねえ、お姫ちん。バス、降りないの?」

 

貴音「えっ!あ・・・・・お、おりますよ、今・・・・」

 

真美「「おりますよ」って言ったって、さっきからず~と降りずに、佇んでじゃん。どうしたの?あ、ひょっとして・・・怖いの?」

 

貴音「(ギクッ!)こ、怖くなんて、あ、ああああありませんよ!い、今おりますよよよよよよ!」

 

美希「うわ~、顔を真っ青になりながらバス降りて行ったよ。大丈夫かな?」

 

亜美・真美((これは・・・マジで怖がってる・・・・・これは・・・面白事になりそう!!))

 

 



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第62話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑧

どうも、剣 流星です。

ちょっと短くなりましたが、なんとか年内投稿できました。

いや~、今年は本当に色々ありました。
中でも一番印象があるのはやはり「エミルクロニクルオンライン」のサービス終了です。
あ~、ECOの中でであったみんな、今頃はどうしてるでしょかね。できればその人達が、この作品を読んできれていたら嬉しんですけどね。

では、第62話をどうぞ



 

 

 

夜の山の中に有るとあるトンネル。幽霊が出ると言われる有名なこのトンネルの前で、普段この時間帯のこの場所は人も寄り付かない不気味な場所であったが、今日はテレビ番組の撮影スタッフたちが大勢でこの場所に詰めかけにぎわっていた。そんな撮影スタッフ達の集まりを、少し離れた森の中から眺めている二人の人物がいた。

 

 

タカヤ「ジン・・・どうやら彼女達は、この場所で撮影を行うみたいですね。」

 

タカヤは撮影スタッフの中に混じっている、765プロのアイドル達を見ながら、自分の隣に居るジンに話しかけた。

 

ジン「せやな、こんな夜の山の中で撮影だなんて、ご苦労なこって。まあ、わてらとしては、あの子らをさらうのに好都合なやんだけどな。」

 

タカヤ「ジン、前回のような失敗は許されませんよ。」

 

ジン「大丈夫やて。前回は一匹でさらおうとしたから失敗したんや。今回は複数で行くやさかい、失敗はせえへん。」

 

 

タカヤに「大丈夫」と答えながらジンは、二ヤと笑って一枚のカードを取り出した。そのカードには一匹のミラーモンスターの姿・・・・ギガゼールの絵が描かれていた。そんなやり取りをするジンとタカヤ二人を、遠くから見ている二人の人物達が居た。時空管理局の特殊部隊・ブラックスワンの制服に身を包んだ腕原種と瞳原種である

 

 

瞳原種「・・・監視対象はどうやらここで、歌詩の紋章所持者候補をさらうようです。」

 

腕原種「ここで仕掛けるか。ならここで我々も仕掛け、奴らの獲物を横取りをするとしよう。ちょうど新しく手に入れた駒・・・「メガへクス」と「ロイミュード」の力を見るのにちょうどいいしな。お前たち、あの中に居る小娘達をさらってこい。」

 

 

腕原種は自分と瞳原種の後ろに控えている、複数の人影に声をかけた。複数の人影は、腕原種のかけた言葉に対して返事もせず、ただ黙って首を縦に振ると、そのまま物音を立てずにその場から立ち去った。そんな原種達やタカヤ達を、姿を消したまま見ている一つの視線が合った。

 

 

???(・・・・原種2体に、あちらは遊星主と協力関係にある財団Xの幹部。これらを相手にするには、私一人では手が足りません。増援を要請しなければ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイカ(誠也)(うう・・・・下半身がスースーする。このスカート、丈が短くないか?)

 

 

送迎用のバスから降りたセイカ(誠也)は、自分が履いているスカートの丈を気にしながら辺りを見回した。

 

 

こあ「・・・・ここが、撮影場所である例の幽霊トンネルなんですね。」

 

 

セイカ(誠也)の隣で、こあは、自分の目の前に不気味な姿を浮かびあげているトンネルを見ながら言った。

 

 

春香「なんか・・・・不気味な感じがしますね。」

 

千早「確かに不気味な感じがするわね。本当に幽霊でも出そうね。」

 

やよい「こ、こわいです~」

 

伊織「だ、大丈夫よ、幽霊なんて居ないわよ。そうよね貴音・・・って貴音?」

 

 

虚勢を張るような感じで震えた声で自分の側に居る貴音に声をかけた伊織であったが、返事が返ってこないことを不審に思い、貴音の方を見た。そこには顔を青くしながら佇んでいる四条貴音が居た。

 

 

貴音「え、ええ。ゆ、幽霊など存在しません。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とも言いますし、大抵は恐怖心からくる見間違いなのです。ですから幽霊などはいな「あ~これは居ますね。そこら中にうじゃうじゃと」そう、幽霊はそこら中にうじゃうじゃとって・・・・えっ?今なんて?」

 

 

セイカ(誠也)の言葉を聞いてセリフを中断し、青い顔をしながらセイカ(誠也)に話を聞く貴音。

 

 

真「い、居るって・・・・ね、ねえ、誠y・・・じゃなくてセイカ。ひょっとして君って・・・見える系の人なの?」

 

 

頬を若干引きつらせながらセイカ(誠也)に先ほどの言葉の真意について聞く菊池真

 

 

セイカ(誠也)「見える系かどうかはともかく、幽霊の姿なら見えますよ。普段は見えないんですけど、目に魔力を通して見ると見えるようになるみたいです。」

 

 

セイカ(誠也)は以前、幽霊のあやめに触るために、手に魔力を纏って、普通では触る事が出来ないあやめにさわった時の事を思い出し、その時の事を応用して、普段は見る事が出来ない幽霊を見るために、目に魔力を通して見てみた。

 

 

こあ「さすが有名な心霊スポットですね。本当にうじゃうじゃと居ます。」

 

 

セイカ(誠也)と同じように、目に魔力を通しながら周りの幽霊を見るこあ。

 

 

響「えっ!?い、居るの?幽霊!?」

 

 

こあの言葉を聞き、若干怯えながら周りをきょろきょろと見る響。

 

 

セイカ(誠也)「ええ、居ますよ。」

 

律子「ど、どこ?!」

 

セイカ(誠也)「ええっと・・・・その辺りの空中に生首の幽霊が複数飛んでて、作業をしている撮影スタッフの人達を、落ち武者の恰好した人が珍しそうに見ています。あと・・・萩原さんの足元、中年の太ったおっさんの幽霊が、仰向けに寝そべって、萩原さんのスカートの中を覗こうとしてますよ。」

 

 

雪歩「ええっ?!」

 

 

セイカ(誠也)に言われて、慌ててその場から飛びのく雪歩。だが、雪歩の足元に居た中年の幽霊は、仰向けになったままズルズルと地面に背をつけながら移動し、再び雪歩のスカートの中を覗こうとした。

 

 

中年幽霊『ぐふふふふ・・・JKのパン「ふんっ!(グシャッ!)って、顔がああああああっ!」

 

 

尚も雪歩のスカートの中を覗こうとする変態幽霊の顔面に、魔力を乗せたセイカ(誠也)の足がめり込んだ。

 

 

変態幽霊『ぐ・・・・な、なんで幽霊であるワシを踏むことができるんだ・・・・・』

 

 

セイカ(誠也)「生憎と、普段から幽霊と接しているから、幽霊に触るくらい簡単にできるだよ、この変態幽霊!」

 

 

グリグリと変態幽霊の顔面を踏みつけながら、ゴミを見るような目で見るセイカ(誠也)

 

 

変態幽霊『ちょ、ちょと・・・・ま、まって。踏みつけないで・・・・ど、どうしても踏みつけると言うなら・・・』

 

セイカ(誠也)「踏みつけると言うのなら?」

 

変態幽霊『せ、せめて・・・・ハイヒールで踏んで!!』

 

セイカ「♯(怒)牧場にでも行って馬にでも蹴られてろぉおおおおおおおおお!!!(バキッ!)」

 

 

恍惚の表情で「ハイヒールで踏んで!」言った変態を蹴り上げて、盛大に吹き飛ばすセイカ(誠也)。変態幽霊は『見えた!縞々だああああぁ!』と言いながら、夜空の彼方に消えていった。

 

 

セイカ(誠也)「はあはあ・・・まったく、何なんだあの変態幽霊。余計な体力を使わせて。」

 

こあ「あ、あははは・・・心霊スポットに居る幽霊と言っても、居る幽霊は千差万別ですね。・・・・ところで、マスター、さっきの幽霊が言ってた縞々って・・・・まさかマスター、今女物の下着を・・・」

 

セイカ(誠也)「い、言わないで・・・・せっかく忘れてたのに(涙目)」

 

 

涙目になりながら言うセイカ(誠也)。そんなセイカ(誠也)を見て、(涙目のマスター・・・カワイイ♪)と思ったこあであった。

 

 

美希「本当に幽霊って居るんだね、貴音。・・・・貴音?」

 

 

自分が声をかけたのに、何の反応も見せない貴音を不審に思い、美希は貴音の方を見た。

 

 

美希「・・・・貴音?」

 

亜美「・・・・ねえ、これって」

 

真美「・・・うん、お姫ちん・・・立ったまま気絶してるね。」

 

 

2.3回貴音の目の前で手を振って、貴音が立ったまま気絶している事に気づく亜美達。

 

 

プロデューサー「まいったな~、これから撮影なのに。仕方がない・・・貴音の撮影は後の方にしてもらうか。」

 

 

立ったまま気絶している貴音を見て、この後に有る撮影のスケジュールの変更を考えた。

 

 

 

つづく

 




年内の投稿はこれが最後です。
それではみなさん、良いお年を~♪


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第63話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑨

どうも、剣 流星です。

愛用のノートパソコンが故障して執筆が一時中断になってしまい、投稿が遅れました。

みたま「なるほどね~。それなら仕方がないね~で、本音は?」

いや~「宇宙よりも遠い場所」を始めとした、今季のアニメが面白くて、全部見るのに時間を費やして執筆が滞っちゃった((ゝω・)テヘペロ

みたま「・・・・中年のおっさんがそれやっても全然可愛くないからね」

・・・・と、とにかく、第63話をどうぞ~♪


 

律子「はーい!みんな注目!!今から撮影の詳細を説明するわよ!」

 

765プロのアイドル達に撮影の詳細の説明を始める秋津律子。

アイドル達も、仕事の説明が始まると聞こえたとたん、今までおしゃべりしていた口をすぐに閉ざし、律子からの説明を聞き洩らさないようにしようと真剣に聞こうとする。

 

そんな仕事モードへの切り替えの早さを見て、セイカ(誠也)は普段は騒がしくて、自由|(フリーダム)だが、仕事の時はちゃんとするプロなのだなと感心した。

 

律子「まずみんなには2人一組に分かれてもらい、今いるこのトンネルの出入り口から反対側の出入り口までカメラと共に一組ずつ入って帰ってきてもらいます。組み合わせと撮影の順番は今から配る紙に書いてあるから、それを見て組を組んで。それから、中は薄暗いから足元に気を付ける事、良いわね」

 

765プロのアイドル達『はい!』

 

 

律子の言葉に対して声を揃えて返事をするアイドル達。そのアイドル達に対して組み合わせ表が書かれた紙を配り始める律子。全員に紙が行きわたり、その紙を見て自分の組む相手と撮影の順番を確認するアイドル達。ちなみに組み合わせは次の通りである。

 

一組目 我那覇響・四条貴音

 

二組目 萩原雪歩・菊池真

 

三組目 高槻やよい・水瀬伊織

 

四組目 双海亜美・双海真美

 

五組目 星井美希・三浦あずさ

 

六組目 天海春香・如月千早

 

雪歩「あの~」

 

律子「うん?なに?」

 

 

組み合わせ表を見て確認していた雪歩が、律子に対し意見があるのか、おずおずと手をあげた。

 

 

雪歩「2人一組に分かれるって言ってましたけど・・・・さっきから立ったまま気絶している四条さんの組みはどうするんです?」

 

 

辺り一帯に幽霊がウヨウヨ居る事をセイカ(誠也)とこあの口から聞いて、立ったまま今だに気絶している四条貴音の側で、貴音をどうするのかと聞く雪歩。

 

 

律子「あ・・・・忘れてた。どうしよう・・・」

 

プロデューサー「う~ん・・・これはしばらく目を覚まさなそうだな。」

 

 

立ったまま気絶している貴音に対し、「お~い、お姫ちん?」と声をかけたり肩を揺さぶったりしている双海亜美・真美達を見ながら、どうしたものかと考え込むプロデューサー。

 

 

あずさ「この組み合わせ表によると、貴音さんは一組目で一番最初になってますね。どうしましょう?」

 

プロデューサー「う~ん・・・・・・仕方がない、とりあえず貴音の居る組の撮影は一番最後に回して、貴音が目を覚ますのを待つと言う事で。」

 

律子「それしかないですね。と言う訳だから、2組目の二人・・・真と雪歩は早速撮影の準備に取り掛かって。」他のみんなもいつでも行けるよう準備をしておいてね。さあ、みんな!準備に取り掛かって!」

 

 

アイドル達『はい!』

 

律子の声で一斉に準備に取り掛かるアイドル達。そんなアイドル達を見ながら、こあは自分の側に居るセイカ(誠也)に声をかけた。

 

 

こあ「マスター、私達はどうします?トンネル内は撮影中の人達とカメラマンしか入れませんよ?撮影中の護衛はどうします?」

 

セイカ(誠也)「撮影中は、中に入っているカメラの映像をモニターしているはずだから、それを見みて、異変が起きたら駆けつけると言う形を取るしかないな。」

 

こあ「それで大丈夫でしょうか?異変が起きた事をモニターで見てから、駆けつけるのでは間に合わないのでは?」

 

セイカ(誠也)「カメラに映らない死角からプラモンスターに護衛をさせるから、駆けつけるまでの時間は稼げるはずだよ。それにしても・・・こんな幽霊がうじゃうじゃ居る場所で撮影したら心霊写真や映像は取り放題だろうな~(^_^;)」

 

 

こあ「そうですね。心なしか、幽霊さん達も張り切っているみたいですしね(^_^;)」

 

プロデューサー「うん?どういう事だい?」

 

 

セイカ(誠也)達の側で二人の会話をたまたま聞いていたプロデューサーが、二人の会話の内容について質問してきた。

 

 

セイカ(誠也)「いや、心霊現象や幽霊について詳しい人?(注:鬼灯様の事です)に聞いたんですけど、幽霊と言うのは基本的には霊感やそれに準ずる力を持った人達・・・霊が見えたり感じたりする人以外には基本的には無害なのが殆どなんです。」

 

プロデューサー「うん?無害?」

 

セイカ(誠也)「ええ、霊って基本的には自分のした事に対して、反応をしてくれる人間にちょっかいをかけるもんなんです。人間だって自分に対して反応しない人を相手するより、反応してくれる人を相手する方が良いでしょう?霊って元は生きてた人間なんですから、そこは同じなんです。」

 

 

プロデューサー「へ~、そうなんだ。」

 

 

セイカ(誠也)の話を聞いて感心したような声をあげるプロデューサー。

 

 

セイカ(誠也)「でも、これがカメラなんかで撮影している人ならば別です。カメラのような周りを撮影する機械なんかは、霊力の有る無しにかかわらず、その場に居る霊を写し取ってしまうんです。ほら、時々出る心霊写真や映像はそういった、その場にいる霊なんかを映してしまったものなんです。」

 

こあ「そうだったんですか。なるほど・・・・だから今、周りにいる幽霊さん達、張り切ってたんですね。」

 

 

セイカ(誠也)の話を聞いたと、何も居ない空間を見て苦笑いをするこあ。

こあの見つめたその先には、数体の幽霊が集まって話し合いをしていた。

 

 

生首の霊『よ~し!久々の全国放送での撮影だ!張り切って心霊映像を作るぞ!!お茶の間の人達を恐怖のどん底に引きずりこんでやる!!』

 

落ち武者の霊『手順はいつもの手で行くか?最初にラップ現象の奴で』

 

首吊りの幽霊『いや、それだとワンパターンだ。この間、事故死した新入りの幽霊が言っていた新パターンを使おう』

 

 

いかにして恐怖映像を作るかを嬉々として話し合う幽霊達。それを呆れた顔でセイカ(誠也)とこあは見ていた。

 

 

こあ「それにしても・・・」

 

セイカ(誠也)「うん?」

 

こあ「アイドルってこんな事もやるんですね。私はアイドルって、ライちゃんの時のような、歌って踊る事だけがお仕事だとばかり思ってました。」

 

 

撮影のために準備をしている765プロのアイドル達を見ながらこあはつぶやいた。

 

 

セイカ(誠也)「ライちゃんって・・・ああ、「ローレライ・ロア」の事か」

 

 

セイカ(誠也)はこあの言った「ライちゃん」とは誰なのか一瞬わからなかったが、すぐにそれが「ローレライ・ロア」の事である察した。

 

ローレライ・ロア。それは、誠也がはやてと共に「仮面ライダー・ディケイド」である「門矢士(かどやつかさ)」達と共に異世界を旅した時に立ち寄った「エミルクロニクル」の世界で出会った人物の一人である。

 

エミルクロニクルの世界。そこは三つの世界が重なり合い、三つの種族と新たに加わった機械種族達が暮らす世界で、誠也はこの世界で、何らかの要因で転移してきたこあと初めて出会ったのである。

 

その「こあ」や「はやて」、司と共にとある事件で出会ったのが、「ロア」の一人である「ローレライ・ロア」でであった。

「ロア」とはそもそも、エミルクロニクルの世界で語られていた、「お話し」の中の登場人物が実体化して出てきた存在であり、誠也達はこの「ロア」達が絡んでいる事件を追っていて、「ローレライ・ロア」はその時に出会った、人魚が出て来るお話しの主人公の人魚の少女であった。

 

誠也達はこの事件で、街中で歌を歌っていた「ローレライ・ロア」を発見した。「ローレライ・ロア」の歌声は、人魚なだけあり、とても素晴らしいもので、歌を歌っていた「ローレライ・ロア」の周りにはたちまち人が集まり、人で出来た海が瞬く間にできてしまうほどであった。そう、集まりすぎてしまうぐらいに。「ローレライ・ロア」の

歌を聞きたいがために、人がどんどん集まってしまい、その場が大混乱になりかけたのである。

 

それを治めるために、その場に集まった人々の一人から、歌を歌う場所・・・コンサート会場を提供してもらい、歌う場所を変え、聞く人間の人数を制限する事により、その場を収めたのである。

 

こあはこの時の、「ローレライ・ロア」のコンサートの時の事を思い出し、その事を誠也に言ったのである。

 

 

セイカ(誠也)「アイドルの仕事は歌って踊る事以外にも色々あるんだよ。例えば今回のような特番やバラエティーに出たりする事もアイドルの仕事の一つなんだよ。」

 

こあ「そうなんですか。アイドルって大変なんですね。それにしても・・・久々に「ライちゃん」の事を思い出したら、なんだか久しぶりに「ライちゃん」の歌が聞きたくなってきました。「ライちゃん」の歌・・・・もう一度聞きたいな~」

 

 

こあは懐かしそうな顔をしながら、今はもう会えない、異世界に居る友人の顔を思い出して、しみじみとした。

 

 

セイカ(誠也)「そっか、こあはローレライの歌が聞きたいのか。だったら、ロアのみんなが「カーマイブリッグ」から帰ってきたら(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、ローレライ聞いてみなよ。ローレライならきっと、喜んで歌ってくれるはずだよ。」

 

こあ「はい。頼んでみます♪って・・・・マスター、なにご近所に住んでいる友人感覚で言っているんです?異世界に居るライちゃん達にそう簡単に会えるわけないじゃないですか~」

 

セイカ(誠也)「あれ?そう言えばまだ、こあには話していなかったっけ?家の庭に有る、株分けした「想いの樹」にできた「ゲート」の事」

 

こあ「え?ゲート?」

 

セイカ(誠也)「うん、実は半年前に俺の家の庭に植えてある「想いの樹」がイエス様の「奇跡テロ」のせいで・・・・・!」

 

 

こあに事情を説明しようとした時、ふと自分達を見つめる視線に気づくセイカ(誠也)。セイカ(誠也)はその視線の主を見つけるために周りを見回した。

 

 

こあ「?どうしました?マスター」

 

セイカ(誠也)「・・・・・・いや、何でもない。」

 

 

気のせいだろうと思い、視線の事を頭から追い出し、こあに続きを話そうとしたが、撮影の最初の組が、トンネル内に入ろうとしているのが見えたセイカ(誠也)は、あわててアイドル達の護衛をするためのプラモンスターを召喚するため、自分達が乗ってきた送迎用のバスの影にこっそりと移動した。

 

そして、周りに誰も居ないのを確認すると、二体のプラモンスター、ガルーダ・クラーケンを呼び出した。プラモンスター達は一鳴きした後、セイカ(誠也)の命令を聞いて、トンネルに入るアイドル達の後をこっそりと付いて行った。

 

やがて始まる撮影。カメラマンと共にトンネルの中に入って行く萩原雪歩・菊池真ペア。セイカ(誠也)はその様子をカメラマンが移しているカメラの映像を、モニターでプロデューサーや律子・こあと共に見守っていた。

 

撮影は順調に進んでいく。トンネル内を映すカメラの映像からは時折、映っているアイドル達の後ろで霊が映り込んだり、ラップ現象の音をカメラのマイクが拾ったり、ポルターガイストにより、道端の小石が宙を舞ったりと、普通なら異常現象なのだが、心霊特番の撮影としてはむしろ美味しい現象が起きる以外はいたって、順調に撮影は進んでいった。

 

やがて星井美希・三浦あずさペアが帰ってきて、次の組である天海春香・如月千早ペアがトンネル内に入ろうとした時、今まで気絶していた貴音が目を覚ました。

 

 

貴音「う~ん・・・・・はっ!私はいったい?」

 

プロデューサー「お、やっと目をさましたか。大丈夫か?」

 

 

立ったまま気絶し続けると言う離れ業をしていた貴音に、プロデューサーは「大丈夫か?」と声をかけた。

 

 

貴音「・・・わ、私は一体・・・・確か・・・・セイカさんとこあさんが・・・・周りに幽霊が・・・・・・・・・・!!」

 

 

気絶する直前の事を思い出し、顔を真っ青にする貴音。

 

 

貴音「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ幽霊が、辺り一帯に!!!」

 

 

気絶する直前の事を思い出し、再び気絶しそうになる貴音。

 

 

プロデューサー「貴音!落ち着いて!セイカくん達の話だと、幽霊は見えない人間には基本危害は加えないって話だ!だから幽霊が見えない君には危害を加えたりしないよ!」

 

貴音「・・・・えっ!ほ、本当ですか?!」

 

セイカ(誠也)「ホントホント、だから幽霊の見えない貴音さんには幽霊達はちょっかいを出さないはずですから安心してください。」

 

貴音「・・・・本当?」

 

セイカ(誠也)「はい」

 

セイカ(誠也)の「はい」の返事を聞いた後、ホッとして安堵の顔を浮かべる貴音。

その顔を「ヤレヤレ」と思いながらセイカ(誠也)は、こあとプロデューサー、あずさと共に視線をモニターへと戻した。

 

モニターの中では天海春香・如月千早ペアが撮影を終えて、トンネル内から出て来る姿が映し出されていた。それを見ていたセイカ(誠也)達は視線をモニターからトンネルの入り口へと向けた。

 

 

春香「はぁ~、怖かった・・・・」

 

千早「だ、大丈夫?春香?」

 

 

トンネルの入り口、そこから撮影のカメラマンと共に出て来る春香と千早二人は、そのままモニターの前に居たセイカ(誠也)達の元へと歩きて来た。

 

 

プロデューサー「お疲れさん、二人とも」

 

律子「撮影はどうだった?」

 

春香「怖かったです!中は暗いうえに空気は妙に冷たいし、おまけにトンネル内は静かで音が良く響くからなおさら不気味で・・・・・」

 

 

少し涙目になりながらトンネルでの出来事を早口でまくし立てるように言う春香。そんな春香の姿を苦笑しながら見ていたセイカ(誠也)は春香と共にトンネル内へと入って行った千早へと話しかけた。

 

 

セイカ(誠也)「・・・それで千早姉。どうだった?何か問題は有った?」

 

千早「・・・・特にこれと言った問題は無かったわ。ミラーモンスターの気配も無かったし、妙な霊の気配を感じる以外はとっくになかった。」

 

セイカ(誠也)「そっか。」

 

 

千早のトンネル内の話を聞いて、とりあえず安心するセイカ(誠也)

 

 

こあ「今の所、異変は有りませんね。このまま何事もなく撮影が終われば良んですけどね。」

 

セイカ(誠也)「ああ。」

 

 

こあに返事をしながら誠也は、撮影最後の組である響・貴音ペアがトンネル内に入って行く姿を見た。トンネル内に入って行く貴音の足が、生まれたての小鹿のように震えているのが見えたが、見なかった事にして、視線をモニターに移した。

 

トンネル内を懐中電灯のわずかな明かりを頼りに、カメラマンと共に進んでいく響・貴音ペア。今だに震えたままの足で、響にしがみつきながらトンネル内を歩く貴音。

 

そんな貴音の姿を見て若干苦笑しながらモニターを見るセイカ(誠也)達。自分の蹴った小石が起こした音や、自分の影を見て、何回か短い悲鳴を貴音が出した以外特に問題もなく、撮影は順調に進んでいった。

 

やがて撮影は折り返し地点の反対側のトンネルの出入り口へと出た所で、異変は起きた。

 

 

響「ふ~、折り返し地点、これで半分だぞ。ほら貴音、あと半分だ、しっかりするんだぞ。」

 

貴音「え、ええ。あと半分あと半分・・・・・」

 

 

震える足で必死に歩きながら、響にしがみついて歩きながらブツブツと「あと半分あと半分」と自分に言い聞かせるようにつぶやく貴音。

 

 

響「まったく、貴音は本当に怖がりだな~。セイカも言ってたじゃないか。「幽霊は自分の姿が見えない人にはちょっかいを出さない」って。」

 

貴音「た、確かにそう言ってましたけど、それでも怖いものは怖いんで・・・・・・・!」

 

 

―――――――――――――♪

 

 

響の言葉に対して返そうとした貴音は、突如自分の耳に聞こえてくる不可思議な音に反応し、突如険しい顔をしながら周りを見回した。聞こえてきた音。それは以前春香を襲った怪人が出て来る前に聞いた音であったため、貴音は最大限に注意しながら周りを見回した。

 

 

響「ん?どうした貴音?急に険しい顔をして?」

 

 

急に立ち止まり、周りを険しい顔で見回す貴音に声をかける響。

 

 

そんな響の声が聞こえてないのか、貴音は返事もせずに周りを警戒し続けた。そんな貴音を見て、声が聞こえてないのかと思い、響はもう一度貴音に声をかけた。

 

 

響「なあ、貴音!」

 

 

先ほどよりも大きな声で貴音に声をかける響。その瞬間、貴音の瞳が、道路脇に設置してあるミラーに釘付けになった。

 

 

ミラーモンスター「ガアアアアアアアアアアアーッ!!」

 

 

突如ミラーの中から、山羊型のミラーモンスターの一種、レイヨウ型のミラーモンスターが姿を現したのである。

 

響「なっ!」

 

貴音「あの時のモンスター!」

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 



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第64話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑩

どうも、剣 流星です。

いや~今年の花粉症は今までにない辛さでした。
目も開けられないほどにひどく、生活もままならない状態でした。
おかけで執筆もままならない状態で、こんなに間を開けてしまいました。
すいません。

では第64話をどうぞ


 

カメラマン「うわああああああああああっー!」

 

 

突如目の前に現れたミラーモンスターの姿に驚き、持っていたカメラを放り出して腰を抜かすカメラマン。そのすぐ側で、ミラーモンスターの姿を見て、見るのが二度目な上に、襲撃をあらかじめセイカ(誠也)達から聞いていたおかげで、カメラマンのように取り乱すことなく、普通に驚いている我那覇響。そして、他の二人と違って、ミラーモンスターと相対しても驚くこともなく、鋭い視線で相手を見る四条貴音。

 

三者三様に突然現れたミラーモンスターと言う異常な存在に対して、それぞれの反応を示す三人を前に、山羊の形のミラーモンスター・・・レイヨウ型は、自分が受けた命令を遂行するために、目の前の人物二人・響と貴音を拉致しようと二人に襲い掛かろうとした。

 

 

ミラーモンスター『ガアアアアアアアアアアアッ!』

 

プラモンスター「「―――――――!」」

 

 

ミラーモンスターは、その通常の人よりも太い腕を二人に向けて、その身柄を拘束しようとした。だがその瞬間、赤い色と黄色い物体・・・・誠也のプラモンスターである、鳥形のプラモンスター・レッドガルーダと蛸型のプラモンスター・イエロークラーケンがミラーモンスターに襲い掛かった。

二体のプラモンスターは、その小さな体で果敢に挑み、ミラーモンスターを翻弄していた。

 

 

貴音「お二人共、今のうちに逃げますよ!」

 

 

プラモンスターとミラーモンスターの戦いを見ながら貴音は、腰を抜かして尻餅を付いているカメラマンを立ち上がらせながら、響に対して逃げるように言った。

 

 

響「あ、ああ。」

 

カメラマン「は・・・はい」

 

 

目の前で起こっている出来事に対して考えが追い付かなく、呆然とするカメラマンと響の二人であったが、貴音の声で我に返り、撮影スタッフ達が大勢いる、入ってきたトンネルの出入り口へと向かって走り出した。

 

響「な、なあ・・・貴音。さっきのって前に春香達を襲ってきたミラーモンスターってやつだよな?で、あの小さい方は、もしかしてセイカ(誠也)が出してくれた私達のガードか何かなのか?!」

 

 

トンネルの出入り口へと走るカメラマンの背中を追いかけるように走りながら、自分の後ろで自分と同じようにトンネルの出入り口へと走っているであろう貴音に声をかける響。

 

だが返事が無い事に違和感を感じ、響は自分の後ろを振り返った。

 

 

響「・・・・あれ?貴音?」

 

 

振り返った先・・・そこには貴音の姿は無なければ、自分達を襲ってきたミラーモンスターの姿も無く、響の声だけがトンネル内の暗闇の中に響くだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響達がトンネル内で襲われている頃、トンネル内の様子をカメラマンから送られてきた映像をモニターで見ていたセイカ(誠也)達は、響達がミラーモンスターに襲われた事を知った。

 

こあ「っ?!マスター!」

 

セイカ(誠也)「ああ、すぐ救援に・・・・?!」

 

 

響達がミラーモンスターに襲われたのをモニターで知ったセイカ(誠也)は、襲われた二人を助けるために急ぎその場を後にしようとした。だが次の瞬間、セイカ(誠也)の耳に、撮影スタッフの悲鳴が聞こえてきて、その足を止めた。

 

 

撮影スタッフ「うわああああああああああっ!」

 

セイカ(誠也)「?!」

 

 

悲鳴のした方向を見たセイカ(誠也)の視線の先、そこには先ほどモニターの端にチラリと映っていたレイヨウ型のミラーモンスターと同じ姿のミラーモンスターが2体居た。

 

 

セイカ「なっ!まさか・・・複数居るのか!?」

 

 

セイカ(誠也)の視線の先で暴れているミラーモンスターの姿を見て、ミラーモンスターが複数居ることを知り、焦るセイカ(誠也)

 

 

セイカ(誠也)「くっ!」

 

 

敵が複数居る事に焦るセイカ(誠也)。そんなセイカ(誠也)に千早が声をかけた。

 

 

千早「誠也!ここは私に任せて、あなたはトンネル内に居る四条さん達を!」

 

 

手に持っている、セイカ(誠也)から受け取ったカードデッキを持ちながら、セイカ(誠也)を貴音達の救助へと向かわせようとする千早。

 

 

セイカ(誠也)「千早姉・・・けど!」

 

 

千早の申し出を素直に受け止められず、一瞬その動きを止めて考え込むセイカ(誠也)。誠也自身今回の騒ぎで、できる事なら、戦いの場から一端は身を引いた千早を、再び戦わせる事を良しと思っていなかった。

 

誠也自身、自分の姉とも言える千早に戦いとは無縁に、千早自身が大好きな歌を歌っていてもらいたいと思っており、千早がアイドルとなると言って、千早からカードデッキを渡され時、「千早姉を、もう戦わせたりしない」と思っていた。

 

だが今回、その千早自身が襲われると言う事態になったため致し方なく、千早がかつて使っていたカードデッキを持ってきて千早に渡したのである。だが、それでも千早を戦わせる事に対して誠也はためらっていた。

 

 

千早「誠也!・・・・私の事を思ってくれるのは良いけど、今はみんなを守るのが最優先!」

 

セイカ(誠也)「!?・・・・うん、わかった!」

 

 

千早言葉に対して首を縦に振って返事をしたセイカ(誠也)は、千早と共に人目の無いバスの影に移動すると、腰のベルトのバックルにドライバーオンのウィザードリングをかざす。

 

 

電子音声『ドライバーオン!』

 

 

腰に現れたウィザードライバーのハンドオーサーを操作して、ウィザードリングをかざす。

 

 

セイカ(誠也)「せっかくの新しいウィザードリング、性能を試すとしますか!」

 

 

セイカ(誠也)は以前カナリヤから受け取った複数の新しいウィザードリングのうちの一つ、ラウンドドラゴンのウィザードリングをかざした。

 

 

セイカ(誠也)「変身!」

 

電子音声『ラウンド!ドラゴン!!ド・ダ・ド・ド・ド・ゴーン・ド・ダ・ドゴーン!』

 

ラウンドドラゴンスタイルになったセイカ(誠也)の姿を見て、千早は自分も変身するべく、近くにあった、自分たちが乗ってきたバスの窓ガラスにカードデッキをかざし、自分の腰にベルトを出現させた。

 

 

千早「変身!」

 

 

掛け声とともに自分の腰のベルトのバックルに手に持っているカードデッキをはめ込む。すると千早の姿はマントを背にマントを付けた西洋騎士のような姿の仮面ライダー・・・・仮面ライダーナイトの姿へと姿を変えた。

 

 

千早「行くわよ!」

 

誠也「ああ!」

 

 

ライダーに変身した二人は、標的である765プロのアイドル達をさらうために、自分達の近くに居るアイドル達・・・春香と雪歩を襲おうと差し迫った。

 

ミラーモンスター「「グワアアアアアアアッ!」」

 

雪歩「あ、ああああああ・・・・・」

 

春香「う、うううううっ・・・・・」

 

ミラーモンスターに睨まれて、恐怖で動けなくなる春香と雪歩。そんな二人に手を伸ばして、その身柄を捕らえようとする二体のミラーモンスター。そんな二体のミラーモンスターの目の前に突如として立ち塞がる二つの人影・・・・ランド・ドラゴンスタイルの仮面ライダーウィザードと仮面ライダーナイトである。

 

 

誠也「それ以上・・・」

 

千早「・・・させない!」

 

 

手に持っている武器、ソードモードのウィザーソードガンとウィングランサーで二体のミラーモンスター達に切りかかる誠也達。

 

 

千早「二人共、ここは任せて早く逃げて!」

 

誠也「こあ!二人を!!」

 

こあ「はい!二人共、こちらへ」

 

 

突如現れた二人の仮面ライダーの姿に戸惑っている戸惑う春香達の手を取り、二人を避難させようとするこあ。

だが、そんな三人の目の前に、また異形の姿の者が立ち塞がった。

 

 

メガへクス・ロイミュード「「オオオオオオオオッ!!」」

 

春香達の目の前に現れた二体の怪人。その一体である銀色の姿の怪人は、かつて仮面ライダー鎧武とドライブの手によって滅ぼされた機械生命体メガへクスであり、もう一体の黒い機械の怪人は、仮面ライダードライブの世界の怪人ロイミュードであった。

二体の怪人は共に胸に「Z」と刻まれた紫のプレートがはめ込まれ、標的である春香達へと迫る。

 

 

千早「な!さらに二体も!」

 

誠也「あ、あれは・・・・メガへクスとロイミュード!?」

 

 

ミラーモンスターと戦いながら、誠也は新たに現れた二体の怪人を見て、以前カナリヤから見せてもらった他のライダ―の世界の怪人達の資料の中で見た、鎧武とドライブの世界の怪人の姿を見て驚いた。

 

 

こあ「う・・・・」

 

 

自分の背に春香と雪歩を庇いながらメガへクスとロイミュードと対峙するこあ。

 

 

こあ「わ、私だって・・・戦える!マスターの役に立てるんだから!」

 

自分を奮い立たせるかのように、大きな声で叫んだ後、手に魔力を集め、それを弾丸として目の前に居るメガへクスとロイミュードに叩き込んだ。魔力弾を受けて爆炎に包まれるメガへクスとロイミュード。

 

 

春香「や・・・やったの?」

 

 

煙に包まれた前方を見て、つぶやく春香。だがその煙が晴れたそこには、無傷の二体の怪人の姿があった。

 

 

雪歩「む・・・無傷?!」

 

 

こあの魔力弾を受けて、無傷の二体の怪人の姿に驚く雪歩。その無傷の怪人を見て、こあは一歩後ずさりをした。

 

 

こあ(私の弾幕が通じない・・・・やっぱり私の力じゃダメなんだ・・・・くっ!)

 

 

こあは自分の力が通じない事に対し口惜しさを顔に出しながら、無意識に自分の胸に手を当てて、服越しにその下に有る自分の紋章を触った。

 

 

こあ(あの力が使えれば・・・・あの時、マスターを救った真の紋章の力が使えれば!お願い・・・・私の身に宿っている女神の紋章よ!その力を(やめなさい!その力はむやみに使ってはいけない!)って・・・・え?)

 

 

無意識に自分の中に有る、巨大な力の源である真の紋章の力を使おうとした時、自分の中からの声が、こあのしようとした事を止めようと、声をかけてきた。

 

こあ(あなたは確か・・・あの時の夢の中で出会った人・・・・確かナシムとか言った・・・・)

 

こあは数日前、誠也と再会した時、初めて自分の中に宿っている真の紋章を使った後気を失い、その時に夢の中で出会った金髪の小さな少女、ナシムとこの声が同じ声だったため、この声の主がナシムだと確信した。

 

 

ナシム(真の紋章・・・・オリジン・ロ―の力は無暗に使ってはいけないわ。使えばその分だけ、あなたやその周りの人達に災いが降りかかるわ。)

 

こあ(えっ!?私の周りの人達にも禍いが?)

 

 

こあは、真の紋章を使えば、自分の周りに居る人達にも災いが降りかかるという言葉に息をのんだ。紋章を使うことで、自分自身にその反動の禍いが降りかかるのならまだしも、自分の周りに居る人、マスターである誠也にもその禍が降りかかると聞き、紋章の力を使うのを戸惑った。

 

 

こあ(でも・・・・私の力じゃこいつらには効かないし、今この状況をどうにかするにはもう・・・紋章を使うしか・・・・・)

 

 

ナシム(大丈夫、紋章の力を使わなくても、この状況を打破する手は有るわ。)

 

こあ(方法が・・・・有る?)

 

ナシム(ええ。どうやらこいつらは、どこかの世界の機械生命体にゾンダーの源であるゾンダーメタルを植え付けて操っているみたいね。)

 

こあ(え?機械生命体?ゾンダー?)

 

 

ナシム(ある世界で発生した、他の生き物や物と寄生・融合をしてその数を増やす機械生命体よ。詳しい事は時間が無いから省くけど、こいつらゾンダーには、相反する力が存在するの)

 

こあ(相反する力?)

 

ナシム(ええ。それが反機械化物質サーキット・Gストーンよ)

 

こあ(Gストーン?)

 

 

対峙している二体の怪人がじりじりと距離を詰めて来るのを見て、背後に春香と雪歩を庇いながら心の中でつぶやくこあ。

 

 

ナシム(ええ。今あなたが首から下げているペンダントに付いているエメラルド色の石の事よ)

 

こあ(えっ!マスターにもらったこの石が?!)

 

 

ナシムの言った言葉に心の中で驚くこあ。

 

 

ナシム(ええ。その石を身につけていれば、奴らはあなた手出しできないはずよ)

 

こあ「(「手出しできない?それって・・・・)はっ!」

 

 

自分の内なる声であるナシムの声に集中しすぎて、自分に対し、怪人の一体であるメガへクスがこあに対して殴りかかってきた事に気づかないでいた。メガへクスのその攻撃を無防備に受けようとするこあ。だが次の瞬間、こあの身につけていたペンダントについているエメラルド色の石・・・Gストーンが緑色の強烈な光を発した。

 

 

メガへクス・ロイミュード「「ガアアアアアアアアアアッ!!」」

 

 

Gストーンの緑色の強烈な光を浴びて、二体の怪人はその体を消滅させた。

 

 

こあ「消えた・・・・これがこの石の・・・・Gストーンの力・・・なの?」

 

 

こあは怪人が消えた場所を見ながら、そっと自分の身につけているペンダントの石・・・Gストーンを撫でた。

 

 

こあ「・・・・・・・・・・・」

 

 

Gストーンの光により消えた怪人達を呆然と見つめるこあ。

 

 

春香「たすかった・・・・の?」

 

こあ「・・・・・・・はっ!そ、そうだ二人を連れて逃げなきゃ!」

 

 

自分と同じように呆然としていた春香のつぶやきの声で我へと返ったこあは、未だに呆然としている春香と雪歩の手を取り、再びその場から離れようとした。だが次の瞬間、三度こあ達の前に異形の者が立ち塞がった。

 

 

ミラーモンスター「グワアアアアアアアッ!」

 

 

こあ「またミラーモンスター!?」

 

誠也「まだ居るのかよ!」

 

 

目の前で対峙しているミラーモンスターと戦いながら、再び「こあ」の前に現れた異形の者を見て叫ぶ誠也。

 

 

千早「一体どれだけい居るの!?」

 

 

目の前のミラーモンスターに手に持っている、仮面ライダーナイト専用の武器「ウィングランサー」で切り付けながら言う千早。そんな千早の耳に再びスタッフの叫び声が聞こえてきた。

 

 

スタッフ「うわあああああっ!こっちにも居る?!」

 

 

千早「なっ?!」

 

 

千早が叫び声の聞こえた方に視線を向けると、そこには先ほど「こあ」のGストーンの光で消えた同じ姿のロイミュードとメガへクスが居て、スタッフを襲おうとしていた。さらに他の場所では、765プロのアイドル達をさらおうと迫っているミラーモンスターの姿も見えた。

 

 

ミラーモンスター「ぐわああああああああっ!」

 

亜美「うわあああああっ!こっち来るなーっ!」

 

真美「あっち行けーっ!」

 

!を庇うように立つ真美。他の場所でも765プロのアイドル達はミラーモンスターやゾンダー化したロイミュードやメガへクスから逃げたり、隠れたりしていた。

 

 

誠也「くそっ!お前にかまってる暇は無いんだ!そこをどけぇええええええええっ!」

 

 

誠也は自分が対峙しているミラーモンスターに蹴りを入れて、相手との距離を開くと、手に持っているソードモードのウィザーソードガンのハンドオーサーを操作し、そこにランドドラゴンのウィザードリングをかざした。

 

 

電子音声『キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!ラウンド!スラッシュストライク!ダン!デン!ドン!ダン!デン!ドン!』

 

 

誠也「はっ!」

 

 

気合い一閃、刀身から放たれる斬撃がミラーモンスターを切り裂き、その身を四散させた。

 

 

千早「こっちも!」

 

 

誠也がミラーモンスターを仕留めたのを見て、自分も早く目の前のミラーモンスターを仕留めようと、デッキからカードを引き抜き、それを召喚機であるダークバイザーに手早くセットした。

 

 

機械音声『ファイナルベント』

 

 

機械音声が響くと、ナイトの契約モンスターである蝙蝠型のミラーモンスター・ダークウィングが現れて、ナイトの背中にマントのようにして取り付くと、ナイトである千早はそのまま空中へとジャンプした。

 

 

千早「ハッ!」

 

空中に飛んだナイトに、背中のダークウィングの翼がドリル状になって包み込み、そのままミラーモンスターへと急降下して突っ込んでいく。仮面ライダーナイトの必殺技・飛翔斬である。

 

 

千早「ハアアアアアアアアアッ!ハァ!」

 

 

ナイトの飛翔斬を受けて、その身を爆散させるミラーモンスター。

 

 

千早「ふう・・・よし!次行くわよ誠也!」

 

誠也「うん!」

 

 

千早の言葉にうなずいて返事をした誠也は、そのまま千早と共にこあ達と対峙していたロイミュードとメガへクスに対して、こあ達を庇うようにして立ち塞がった。

 

 

誠也「さあ次はお前達だ!」

 

千早「これ以上はやらせない!」

 

 

ロイミュードとメガへクスと対峙する誠也と千早。

突如、自分達の目の前に現れた二人の仮面ライダーに対して、警戒しながら対峙をするロイミュードとメガへクスだが、その対峙は長く続かなかった。

 

突如ロイミュードとメガへクスの背後から何者かが襲い掛かってきたのである。

 

 

ミラーモンスター「グアアアアアアッ!」

 

ロイミュード・メガへクス「「?!」」

 

 

誠也「え?!」

 

千早「な、何?!」

 

 

対峙していた二体の怪人が、突如背後からミラーモンスター・・・先ほど誠也達が倒した者と同じ、レイヨウ型のミラーモンスターに襲われたのを見て驚く二人。

 

 

千早「な、なに・・・あれ・・・・」

 

誠也「仲間割れ・・・なのか?」

 

 

二体のレイヨウ型のミラーモンスターは、ロイミュードとメガへクスを襲うとそのま二体と戦い始めた。

 

 

誠也「奴ら・・・・・仲間じゃないのか?」

 

こあ「マスター!あれ!」

 

誠也「?!」

 

 

こあが叫びながら指をさしていたので、その方向を見る誠也と千早。指をさした方向そこには複数のレイヨウ型のミラーモンスターが、複数のロイミュードとメガへクスと争いながら765プロのアイドル達をさらおうとしていた。

 

 

誠也「ミラーモンスターとロイミュードとメガへクスが戦っている?奴らは仲間じゃない・・・のか?」

 

千早「たぶんね。けど、目的は同じみたい。だからお互い邪魔をしあっているのね。お互いが潰し合ってくれるのは正直いって助かるけど、でも・・・・」

 

誠也「それでもこの数の怪人をどうにかするのは・・・」

 

 

相手の数がこちらよりも多い事に焦りを覚える誠也。

 

 

誠也(くそっ!いくら奴らが潰し合っているとはいっても、この数。戦力が少ないこっちが圧倒的に不利だ。何とかしないと・・・・・・・・?パトカーのサイレンの音)

 

 

突如誠也の耳に聞こえてくるパトカーの音。その音を聞いて、音のする方へと視線を向ける誠也達。

 

 

千早「パトカーの音?」

 

こあ「まさか・・・警察が来たのでしょうか?」

 

 

パトカー独特のサイレンの音を聞いて、スタッフの誰かが警察に連絡をして警察を呼んだのかと思うこあ。

 

パトカーのサイレンと共に誠也達の視界に、回転灯を光らせながら一台のパトカーが誠也達の方へと走ってくる。

 

 

誠也「警察が来たのか?まずいな・・・・」

 

 

誠也はパトカーを見ながら、「まずいな」と心の中で思った。警察官の標準の装備では怪人達には歯が立たない。なので、誠也達にとっては援軍どころか、逆に守らなくてはならない人物増えて不利になってしまうと考えて「まずい」と思ったのである。

 

 

誠也「ただでさえ765プロのアイドル達とスタッフを守りながら戦わなきゃいけないのに、警察官まで来たら・・」

 

 

こちらに走ってくるパトカーを見てますます焦りだす誠也。だが次の瞬間その焦りの顔が驚きへと変わった。

 

 

パトカー『システチェーンジ!』

 

 

突如パトカーが変形をし始めて、紫のロボットへと変わったのである。

 

 

紫のロボット「ボルフォーーッグ!」

 

誠也達『え・・・・ええええええええええっ!?』

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

ボルフォッグ(勇者王ガオガイガーシリーズ)

 



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第65話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑪

どうも、剣 流星です。

5月の末あたりから気温がぐんぐんと上がり、まるで真夏のような日々が続いていて暑いです。今日など気温が31度のもなりました。けど、この気温で作者が住んでいる場所では、まだマシな方なんですよね~。今からこれだと、本格的に夏が到来したら、どれほど気温が上がるのか(^^;)
まあ、それはさておき、第65話をどうぞ。



 

紫のロボット「ボルフォーーッグ!」

 

誠也達『え・・・・ええええええええええっ!?』

 

 

突如目の前に現れたパトカーが変形し、紫の忍者風のロボットになった事に呆然として佇む誠也達

 

 

千早「ね、ねえ・・・これってもしかして・・・カナリヤが新しく作った、新しい秘密兵器か何・・・かな?」

 

 

目の前の紫のロボットを唖然と見つめながら、こんな物が作れるのはカナリヤぐらいだと思い、コレはカナリヤが新しく作った物なのかと誠也に尋ねる千早。

 

 

誠也「い、いや・・・・少なくとも俺は知らない。」

 

 

誠也も千早と同じように目の前の紫のロボットを見ながら、自分自身も見たことも聞いたこともないため、自分も知らないと千早に答える誠也。そんな誠也達の視線を受けながら、紫のロボット・ボルフォッグは次の行動をする。

 

 

ボルフォッグ「シルバームーーーンッ!」

 

 

ボルフォッグは三日月形のブーメランを取り出し両手に持つと、それを目の前に居るロイミュードとメガへクスへと投擲した。放たれたブーメラン・ジルバ―ムーンは、まっすぐに二体の怪人・ロイミュードとメガへクスへと向かい、その体を真っ二つにされて倒れた。ボルフォッグは倒された怪人達が動かなくなったのを確認すると、次の行動へと移った。

 

 

ボルフォッグ「ガンドーベル!ガングルー!システムチェンジ!!」

 

 

ボルフォッグの言葉に反応して一台の白バイとヘリが現れると、それぞれ変形を開始し、ロボットになって怪人達に対し攻撃を開始した。

 

 

ボルフォッグ「ウィザード、ナイト、ここは我々に任せて、お二人はトンネル内に居る方たちの救助に!」

 

 

誠也「え?・・・・俺達を知っている?」

 

千早「味方・・・・なの?」

 

ボルフォッグ「はい、疑わしいとお思いでしょうが、少なくとも私は敵ではありません。」

 

誠也「わ、わかった。今はあんたを信じよう。今は一刻も早くトンネル内の人達の助けに行かなきゃならない。だからここは任せる」

 

千早「いいの?」

 

 

目の前のロボットを信じて、ここを任しても良いのかと誠也に尋ねる千早。

 

 

誠也「今はトンネル内の人達を一刻も早く助けることが第一だ。それに・・・敵だったら、この場面で俺たちに手を貸すのは不自然だよ。敵だったら、あのまま怪人達と共に俺達を襲った方が良いはずだし。」

 

千早「た、たしかにそうね・・・。」

 

 

誠也の言葉に納得し、頷く千早。

 

 

誠也「でも、念のためにナイトはここに残って、みんなを守りつつ怪人達を。」

 

千早「わかった、気を付けて。」

 

誠也「そっちも」

 

 

互いに言葉を交わした後、誠也はその場を離れてトンネル内へと向かった。千早はその背中見送った後、先ほどから怪人達に対して攻撃を続けているガンドーベルとガングルーの二体のロボットを見ながら、千早はボルフォッグの横へと移動して声をかけた

 

 

千早「さて、え~と・・・たしか「ボルフォッグ」でしたっけ?少しの間だろうけど・・・よろしく。」

 

ボルフォッグ「こちらこそ。では・・・・参りましょう!」

 

 

短い挨拶をたがいにした後、千早とボルフッグは残った怪人達へそれぞれ互いの得物を握りしめて立ち向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

暗いトンネルの中をウィザード姿の誠也は、襲われた響達の元へと急いでいた。

 

 

誠也「中に入って行った響さん達は無事かな。一応護衛として、プラモンスター達を付けたけど・・・・」

 

 

先ほどの複数の怪人達の襲撃を受けて、助けに行くのが遅くなってしまい、響達の身を心配しながら走る誠也。そんな誠也の前に、怪人達から逃げ出してきたのか、息を切らせながら走ってきた、響達と共にトンネル内に入ったスタッフの姿が見えてきた。

 

 

誠也「トンネル内に入ったスタッフ?お~い、無事ですか?」

 

 

自分の進む方向から来たスタッフに対して、誠也は声をかけた。

 

 

スタッフ「え?か、仮面ライダー?!ほ、本物?!」

 

 

突如現れた、都市伝説として最近巷を騒がせている、仮面ライダーに声をかけられて驚くスタッフ。

 

 

誠也「皆さんを助けに来ました。他の人達は?確か他に765プロのアイドル二人がトンネル内に入ったと聞いていますが?」

 

スタッフ「そ、それが・・・その・・・・と、途中まで響さんは一緒だったんですが・・・貴音さんが一緒に来ていない事に気付いて、戻って行ってしまって・・・・」

 

 

誠也「なっ!なんて無謀な!」

 

 

誠也はスタッフの話を聞いて、響が自分達が襲われた場所へと戻って行った事を聞きい焦った。

 

 

誠也「あなたはこのままトンネルを出てください。入り口付近でも怪人達の襲撃がありましたが、今俺の仲間が怪人達の殲滅をしています。他のスタッフ達と共に逃げてください。」

 

 

スタッフ「わ、わかりました。」

 

 

誠也の話を聞き、その場からトンネルの出口へと走っていくスタッフ。そのスタッフの背中を見送った後、誠也はスタッフ達とは反対方向へと走り出して行った。

 

 

誠也(怪人達が居る所に戻るなんて・・・・二人共無事で居てくださいよ。)

 

 

誠也は走りながら、襲撃された場所に戻って行った響と、襲撃場所に居るであろう貴音の身を案じながらトンネル内を走った。やがてトンネルの出口付近に差し掛かった時、誠也の耳に、襲撃をしてきたであろう怪人の声が聞こえてきた。

 

 

怪人「グ・・・・グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

誠也「なっ!怪人の・・・・叫び声?」

 

 

誠也の耳に入ってきた怪人の声・・・それはまるで最後の断末魔の叫び声のように聞こえる物だった。

 

 

誠也「一体何が・・・」

 

 

叫び声を聞いた誠也は、急ぎトンネルの出口へと向かう。やがて見えてくるトンネルの出口。その出口付近に、一点の方向を見て立ち尽くす一人の人影を誠也は見つけた。

 

 

誠也「あれは・・・響さん?」

 

 

トンネル出口付近に佇んでいた人影、それは貴音を心配して戻って行った響と護衛のために付けていた二体のプラモンスター達の影だった。誠也は無事な響の姿を見て安堵したが、響が見ている視線の先を見て、再びその身に緊張が走る。

 

響の視線の先、そこには真っ二つにされた、響達を襲撃した怪人の遺体と、それを見下ろす一体の・・・死神が居た。

 

 

誠也「な、何だあれ・・・・・」

 

 

誠也の視界に映る死神としか言いようの無い姿をした物が居た。大きさは成人男性よりも一回り大きい物で、全身を漆黒の鎧のような物で身を包んでおり、見方によってはパワードスーツの様な機械にも見える物だった。そして背中には漆黒の悪魔のような大きな翼が生えており、その手には灰色の光で出来た、死神が持っているような大鎌を持っていた。

 

 

誠也「響さん!」

 

 

誠也は死神の姿を見ると、それを警戒して、響と死神との間に移動し、響を背で庇いながら死神と対峙した。

 

 

響「え?その声・・・ひょっとして「セイカちゃん」?!」

 

誠也「うっ!セイカちゃん言わないで・・・」

 

 

響の「セイカちゃん」呼びに対して精神的にダメージを受けながらも、目の前の死神に対して警戒し続ける誠也、

誠也は響を背で庇い、死神を睨みつけながら、後ろに居る響に今の現状について尋ねた。

 

 

誠也「響さん、アイツは一体何なんです?貴音さんは?」

 

響「わかんないよ。貴音を探しにトンネルを戻ってみたら、貴音の姿は無くて、代わりにアイツが怪人と戦ってて・・・」

 

 

響は自分が見た事そのままの事を、驚き戸惑いながらも誠也に話した。

 

 

誠也「貴音さんは?」

 

 

誠也は響の側で、貴音を守るように、目の前の死神に対して威嚇を続ける二体のプラモンスターに、貴音の行方を聞いてみた。

 

 

レッドガルーダ『――――!―――――!』

 

イエロークラーケン『――――!――――――!』

 

 

誠也の問いかけに対して、首を横に振って答える二体のプラモンスター。首を横に振っているので、おそらく「しらない」と言っているのだろうと誠也は解釈した。そんな誠也達のやり取りを静かに見ていた死神だったが、やがてその場で出来る事はすべてやったと言うかのように、背中のバーニアを吹かし始め、飛んでその場から立ち去ろうとした。

 

 

誠也「なっ!飛び去る気か!ま、待て!」

 

 

飛び去ろうとする死神に対して、慌て声をかける誠也。

 

 

誠也「お、おい!この場に女性が一人居なかったか?俺達はその人を探しているんだ!」

 

 

今にも飛び立とうとする死神に対して声を張り上げて、貴音の事を聞く誠也。その声が聞こえたのか、死神はゆっくりと首を動かし誠也達の方に視線を向けて、男か女かわからないくぐもった声で話した。

 

 

死神『・・・・・四条貴音は無事だ。そのうちお前たちの所に戻ってくるはずだ』

 

 

響「貴音が無事?って・・・・おい!」

 

 

一方的に言葉を発した後、死神はバーニアを吹かし、漆黒の夜空にその黒い翼を羽ばたかせてその場を後にした。

 

 

響「貴音が・・・無事って・・・アイツが貴音を助けたのか?」

 

誠也「わかりません。とにかく、いったんみんなの所に戻りましょう。」

 

響「う、うん・・・」

 

 

死神が飛んで行った夜空を見ながら生返事をした響は、誠也に促されながらトンネルの反対側の出入り口へと、誠也と共に向かった。

 



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第66話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!⑫

どうも、剣流星です。

この夏、熱中症になったり急性胃腸炎になったりして、投稿が遅れました。

すいません。


では第66話をどうぞ



ボルフォッグ「シルバーーークロスッ!」

 

両手に持っているブーメラン・シルバームーンを頭上で合体させ、十字型の手裏剣武器・シルバークロスにさせたボルフォッグは、目の前の最後の一体であるメガへクスへと投げつけた。

投げつけた十字手裏剣はメガへクスの体を真っ二つにし、怪人は断末魔の叫び声をあげた後、その体の動きを止めた。メガへクスが動かなくなったことを確認したボルフォッグは、少し離れた所にいる仮面ライダーナイトである千早に声をかけた。

 

 

ボルフォッグ「・・・・こちらは片付きました。ナイト、そちらは?」

 

千早「こっちもこれで終わりよ。」

 

 

目の前の倒した最後のミラーモンスターが消滅したのを見届けた後、千早は静かに息を吐き、ボルフォッグに返事をした。

 

 

こあ「お、終わったんですか?」

 

 

他の765プロのアイドル達やスタッフ達と共に、身を潜めていた所から恐る恐る出て来た「こあ」は、もう危険は無いかを千早達に聞いた。

 

 

ボルフォッグ「はい、敵性体反応はありません。もう大丈夫で・・・・・!?」

 

 

出てきた「こあ」を見て、ボルフォッグは驚きの声をあげそうになった。

ボルフォッグは、出てきた「こあ」の胸元に光る緑色の石・・・・誠也が昔、エミルクロニクルの世界で「こあ」にあげたペンダントの石が、自分達がよく知る有る物と一致したからである。

 

 

ボルフォッグ(あの石は・・・Gストーン!この世界に有るGストーンは、異世界から転移してきた我々が所持している物以外無いはず・・・・・私達が把握しているGストーン以外のGストーンを所持しているこの少女は一体・・・・・)

 

 

ボルフォッグは、自分達以外の人物が所持しているGストーンを所持している「こあ」を見て混乱し、訝しみながらも、その石について「こあ」に聞こうとした

 

 

ボルフォッグ「(と、とにかく、話を聞いてみましょう)あ、あの『ボルフォッグ、聞こえるかい?』っ・・・ルネ隊員!?」

 

 

「こあ」に声をかけようとしたボルフォッグは、突然入ってきた通信・・・この騒動を引き起こした原因の人物達を確保するために、ボルフォッグが呼んだ増援の、Gストーンのサイボーグであるルネからの通信に驚きそうになりながら出た。

 

 

ボルフォッグ『こちらボルフォッグ、聞こえています。こちらの敵はすべて掃討しました。』

 

ルネ『そうかい。そっちは片付いたんだね。こっちは今からJとアイギスと一緒に、今回の騒動を仕掛けた奴らの確保に向かうよ。そっちが片付いたんならこっちのサポートを頼むよ。』

 

ボルフォッグ『了解しました。直ちにそちらに向かいます。』

 

 

ルネからの通信を切ったボルフォッグは、敵が居なくなったことにより、隠れていたスタッフや765プロのアイドル達を見た後、その場をそっと後にした。

 

 

春香「あの怪物たち・・・もう居ないんだよね千早ちゃん。」

 

千早「ええ、すべて倒したわ。もう安心よ」

 

 

仮面ライダーナイトの姿から元の姿に戻った千早は、今だに周りを警戒している春香に対して「もう大丈夫」だと、優しい声で言った。

 

 

春香「そっか・・・・よかった。」

 

 

千早の言葉を聞いて、ほっと胸をなでおろす春香をはじめとした765プロのアイドル達。

 

 

プロデューサー「後は、トンネル内に行っている貴音達だけか。無事ならいいんだが・・・」

 

 

撮影の為にトンネル内に、撮影スタッフと共に入って行った響と貴音の身を案じながらトンネルを見るプロデューサー。そんな彼の視界に映るトンネルの内部から複数の人物が出て来るのが映る。

 

 

伊織「あ!誰か出てきたわよ!」

 

やよい「響さん達です~!」

 

 

トンネル内から同行していた撮影スタッフと共に出て来る響と、その後を少し離れて歩く貴音。そして変身を解いた誠也・・・じゃなくてセイカちゃんを見て、やよい達は叫んだ。

 

 

セイカちゃん「おい!いい加減に「セイカちゃん」呼びはやめろ作者!」

 

貴音「?何を叫んでいるんです?セイカ。」

 

セイカちゃん「あ、いや・・・何かどっかの馬鹿な作者に文句を言いたくなって・・・・そ、それよりもみんな無事みたいですね。」

 

 

セイカは、無事な姿の「こあ」をはじめとした一堂を見てホッと特注パットが入った胸をなでおろした。

 

 

セイカちゃん(・・・・・いい加減、早くこの邪魔なでかい胸を取りたいな~、千早姉や「はやて」はなんでこんな物を欲しがるんだろうな~)

 

千早「・・・セイカちゃん、それは私達に対しての嫌味なのかな~(#^ ^)」

 

セイカ「あ、いや、そんなんじゃ・・・って、何で心の声を当たり前みたいによんでるの千早姉!?」

 

 

ハイライトが消えた目でセイカちゃんを見ながら、笑顔で言う千早を見て「怖っ!」と思うセイカ。セイカはその場を誤魔化すかのように、自分の側に寄ってきた「こあ」に声をかけた。

 

 

セイカ「みんな、無事みたいだね。」

 

こあ「はい、こちらは全員無事です。そちらはどうだったんです?」

 

セイカ「こっちも貴音さんがはぐれてたけど、無事合流する事が出来て全員無事だよ。」

 

律子「えっ?貴音がはぐれた?ちょっと大丈夫なの?」

 

 

貴音「はい、大丈夫ですよ。怪物が現れた時ちょっと焦って、みなさんとは反対方向に逃げてしまって・・・周りに皆さんが居ない事に気づいた時、かなり焦りました。」

 

伊織「「あずさ」ならともかく、あなたがはぐれるなんて、よっぽど焦ってたのね。まあ、あんな怪物に襲われれば誰だって焦るわよね。」

 

貴音「ええ、本当に焦りました。」

 

 

その時の事を思い出しながら苦笑いをして話す貴音。そんな貴音を見ながらセイカはトンネル内で、ミラーモンスター達を倒した黒い翼の死神について思い出していた。

 

 

セイカ(アイツは、あの時「貴音さんは無事」だと言った。あの死神が貴音さんを守っていたから、その無事を知っていたんだと思った。けど・・・どうも何か引っかかるんだよな~。俺のカンがあの死神と貴音さんが何かしら繋がっているように思えるんだよな。)

 

 

みんなと話しをしている貴音を見ながら、考え込むセイカ。そんなセイカを見て、「こあ」は心配そうな声でセイカに話しかけてきた。

 

 

こあ「マスター、どうしたんです?なにか考え込んでいるみたいですけど・・・」

 

セイカ「えっ?あ、いや・・・なんでもないよ。それよりも「こあ」達も無事でよかったよ。」

 

こあ「はい、千早さんとボルフォッグさんが頑張ってくれたおかげです。」

 

セイカ「ボルフォッグ?誰だそれ?」

 

こあ「あ、ほらあっちに居る紫色の・・・・ってあれ?居ない?」

 

ボルフォッグが居る方に向いて、セイカにボルフォッグの事を紹介しようとした「こあ」だったが、その場所にはボルフォッグの姿どころか、彼と共に戦っていた二体のお供のロボットであるガンドーベルとガングルーの姿も消えてなくなっていた。

 

 

こあ「居なくなってる、いつの間に・・・・・まるで忍者みたい。」

 

 

いつの間にか姿を消していたボルフォッグを、「まるで忍者みたい」だと思わず口にしてぼーぜんとする「こあ」。

 

 

セイカ「こあ?」

 

こあ「あ、いえ・・・・マスター実はですね・・・・・」

 

 

ぼーぜんとしていた「こあ」であったが、セイカの声ですぐに立ち直ると、セイカにここで起きた事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セイカが「こあ」達に合流していた時とちょうど同じ頃、同じ山の中の森で、二組の二人組が互いに対峙していた。片方は財団Xの親衛隊の隊員であり、かつて「ストレガ」と呼ばれていたペルソナ使いのジンとタカヤの二人組。もう片方は、時空管理局の特別治安維持組織「ブラックスワン」の制服を着ている、機械生命体「ゾンダー」の上位存在である「原種」の一体、「腕原種」と「瞳原種」であった。

 

 

ジン「・・・やっぱりお前らやったんやな。あのけったいな機械人形を嗾けていたのは!ようも邪魔してくれさったな!!おかげでターゲットの確保に失敗してしもうたやないか!!この管理局の犬共!!!」

 

腕原種「フン!財団Xの犬である貴様らが我らを犬呼ばわりとは・・・貴様らが言えた事か!片腹痛いわ!」

 

タカヤ「・・・勘違いしてもらっては困ります。私達「親衛隊」が忠誠を誓うのは隊長である「リュート様」のみ。私達の戦いはすべてリュート様の為の戦い。間違っても財団の為に働いた事など一度だってありません。」

 

ジン「せや!ワイらの戦いはワイらの命を救い、未来をくれたリュート様の為の戦いや!人質として「心臓原種」を取られ、情けなく奴らの言いなりになっているお前らと一緒にするな!」

 

腕原種「ぐっ!人間ごときが言わせておけば!わが腕の超重力波で粉みじんに吹き飛ばしてくれる!!」

 

 

ジンとタカヤの言葉に激怒した腕原種は右手を上げて、右腕から自分の必殺の「超重力波」を出す構えを取る。

 

 

ジン「ほざくな!返り討ちにしてくれるわ!」

 

 

腕原種が腕を構えたのと同時に、タカヤとジンも懐からカードデッキを取り出すと、それを腰に巻いているベルトのバックルに差し込んだ。

 

 

タカヤ・ジン「「変身!」」

 

 

二人の掛け声と共に、二人の姿が変わる。タカヤの姿は白銀と青の色の「仮面ライダータイガ」の姿に。ジンの姿は茶色が基本カラーの「仮面ライダーインペラ―」の姿に変わった。

 

 

腕原種「フン!姿形を変えた所でしょせんは人間!我らの敵では「右上上空、攻撃、来ます!」なに!」

 

 

目の前で仮面ライダーになったタカヤ達に攻撃しようとした腕原種は、突然の瞳原種の予知能力による警告の声で、慌ててその場を飛びのいた。それとほぼ同時に腕原種が立っていた場所に複数の弾丸が撃ち込まれた。

 

 

ジン「な、なんや!って、クッ!」

 

 

突然目の前で腕原種が攻撃を受けた事に驚くジンとタカヤであったが、次の瞬間自分達にも攻撃が向けられで居る事に気づき、二人もその場を飛びのく。その直後、二人が立っていた場所にも弾丸が複数発撃ち込まれた。

 

 

腕原種「なっ!何者だ!一体誰の攻撃「その首もらったぞ!腕原種!ラディアントリッパー!」な、なに?!」

 

 

自分に迫る赤い色の光剣に驚きつつも、とっさに腕を振るい、その攻撃をいなす腕原種。

 

 

腕原種「?!ふ、ふふふふふっ・・・・・まさか、こんな異世界でお前と再び会いまみえるとはな・・・・ソルダートJナンバー002!!」

 

 

自分に向けて赤い光剣を向けている、Jと言う文字が浮かぶ赤い宝石を腕にはめ込んだ、因縁のある戦士に向けて驚きながらも言い放つ腕原種。

 

 

J「それは私のセリフだ。どうやって復活した!機械最強7原種の一体・腕原種!!」

 

 

かつて倒した敵が、今目の前に復活した事に対して思ったことを口にるJ。そして、その心情は元ストレガの二人を攻撃した機械の乙女、対シャドウ特別制圧兵装ラストナンバー・アイギスも同じであった。

 

 

アイギス「・・・あなた達もです。タルタロスで死んだと思ってました・・・ストレガのジン・タカヤ!」

 

 

両腕の装備されたハンドマシンガンを、仮面ライダーに変身したジンとタカヤに向けるアイギス。

 

 

ジン「・・・久しぶりやな。桐条の機械人形!」

 

タカヤ「フフフフッ・・・そんなに私たちが生きているのが不思議ですか?まあ、最後にあなた達が見た私達の状態を見れば無理もありませんけどね。」

 

 

タカヤは懐かしそうに言いながらアイギスを見た。

 

 

アイギス「あの日・・・ニュクスと戦うためにタルタロスを上っていた私達の目の前にあなた達が立ち塞がった。私達は貴方達と戦い、そしてあなた達は敗れた。そして、私達は倒れたあなた達を置いてその場を後にしました。迫るシャドウの群れの前に置いて・・・。そして・・・その後、あなた達の居た場所から爆発音が響いた。私達はてっきりあなた達が自爆したとばかり思ってました。」

 

 

かつてあった戦いの記憶を思い出しながら淡々と語るアイギス。そんなアイギスの疑問にタカヤは面白そうに答えた。

 

 

タカヤ「確かに、あの時の私達はシャドウに飲み込まれるぐらいなら、いっそ自爆して果てようと思い自爆しました。ですが、そんなわたし達をギリギリの所で救ってくれた方が居たのです。財団X親衛隊隊長であり、今の私達の主・リュート様です。」

 

アイギス「財団X親衛隊隊長・・・リュート?」

 

ジン「せや、リュート様は俺らをその場から助けてくれたばかりか、俺らのペルソナの制御の問題まで解決してくれたんや。リュート様はな・・・俺らに未来をくれたんや!」

 

 

タカヤ「そう・・・ペルソナの暴走によっていつ死んでもおかしくない絶望しかない未来に、リュート様は私達の未来に希望をくれました。その時、私達は誓ったのです。この慈悲深いこのお方の為・・・リュート様の為に戦うと!」

 

 

リュートの事を崇拝しているかのような口調と態度で話すタカヤとジン。

 

 

そんな二人会話を聞いていた、原種二人を銃で最初に攻撃した人物が、二体の原種と対立していたJの背後に現れた。

 

 

ルネ「へ~、そっちの二人は親切に自分達が生き残った理由を話してくれるんだ。あっちの二人と同じように、あんた等もしゃべってくれるとありがたいんだけどね~。」

 

 

軽い口調で、両手に持った銃をもてあそびながら現れる、コート姿のGストーンのサイボーグの少女・ルネ。

 

 

目原種「女性型のGストーンのサイボーグ・・・獅子の女王(リオン・レ―ヌ)、ルネ・カーディフ・獅子王」

 

ルネ「へ~、原種とは直接では会った事なかったんだけど、私のコードネームまで知ってるなんて随分と物知りね。で、私の事どこまで知ってるの?ついでにあんた達の事もついでに教えてくれない?さっき興味深いこと言ってたじゃない、確か人質がどうとか。」

 

 

J「それに関しては私も聞いておきたい。先ほどそっちの二人が言っていたな。たしか「心臓原種」を人質に取られているだどか・・・貴様らが人間の組織に入って大人しくしているのはそう言う訳か。」

 

 

腕原種はJの言葉を聞き忌々しそうな顔をしながら語り始めた。

 

 

腕原種「チッ!先ほどの会話を聞いていたのか。忌々しい・・・・そうだ!我々は復活した際、我々原種の中心とも言える「心臓」のゾンダークリスタルを人質に取られた!あの女・・・・マリア・セイバーハーゲンの手によってな!」

 

 

ルネ「マリア・セイバーハーゲン?確かそいつは、時空管理局とか言う組織のトップ・・・最高評議会のメンバーの一人だったよね。」

 

 

ルネは自分たちに協力してくれる、「乃木坂王季」の伝手で知り合った、時空管理局のリンディ・ハラオウンから知りえた情報を思い出した。

 

 

腕原種「そうだ!あの日・・・お前達GGGとαナンバーズの手により木星で我々は敗れた。」

 

 

J(・・・?αナンバーズ?)

 

 

聞きなれない単語が出てきて密かに訝しむJ。そんなJを他所に腕原種の話は続く。

 

 

腕原種「だが、我々原種には万が一の時の為のバックアップがあったのだ!」

 

 

J「なっ!バックアップ・・・だと?!馬鹿な!そんな話聞いたこともない!」

 

 

腕原種「フフフッ・・・貴様が知らないのも無理はない。このバックアップは心臓原種が単体で、しかも我々他の原種にも内密で進められていたものだったうえ、お前達との決戦の時は、まだ不完全なバックアップしかできない状態だったのだ。」

 

J「不完全・・・」

 

腕原種「そう・・・不完全だったのだよ。だから、お前たちに敗れた後の復活も一か八かの賭けであった。」

 

ルネ「なるほど、それであんた達はその賭けに勝ったと言う訳ね。」

 

腕原種「その通り。だが、不完全なバックアップだったがため、完全な復活にはならなかった。原種としての能力やゾンダーとしての能力の一部は使用不能な上に、復活できたのは僅か数体だった。その上、復活直後の無防備な我々を、あの女・・・マリア・セイバーハーゲンの手によりその身を拘束されてしまった。」

 

 

マリア・セイバーハーゲンの名前を憤怒の表情で言う腕原種。その怒りに染まった姿は、まさに憤怒の化身と言ったものだった。

 

 

ルネ「なるほど・・・それであんたらは、その時人質を取られ、今はその女の言いなりになって居るってわけか。かつては数多の星を機械昇華した原種も、今じゃただの言いなりの犬ってわけか。落ちる所まで落ちたね~」

 

腕原種「だまれ!今は甘んじて奴の下に甘んじているが、いつか必ず心臓原種のゾンダークリスタルを奪え返し、あの女を殺し、かつての力を取り戻して見せる!そのために、今は邪魔なお前達を言葉で叩きのめしてくれる!!」

 

 

怒りに満ちた表情で、腕を持ち上げ、腕原種必殺の超重力波を打ち出そうと構える腕原種。そんな腕原種に対してJも赤い光剣・ラディアントリッパーを構えなおし、その横では、腕原種の横にいる瞳原種に向けて銃口を向けながら構えるルネ。二対二の状態でにらみ合う二組。そんな二組と少し離れた場所でも、アイギスと仮面ライダーの姿になったストレガの二人も対峙していた。

 

 

お互いがお互いをけん制し合い、うかつに動けない状況が続く。そんな睨み合いがいつまでも続いていたが、その均衡はいきなり破られた。

 

 

黒い龍「グガーーーーーッ!」

 

 

その場の全員『?!』

 

 

突如現れた黒い龍が、ジンとタカヤと対峙していたアイギスに対し、口から吐く火炎弾で攻撃したのである。

 

 

アイギス「?!クッ!」

 

 

突如現れた黒い龍の火炎弾をとっさにかわすアイギス。

 

 

ルネ「なっ!黒い龍!?」

 

ジン「あれは・・・・」

 

タカヤ「竜牙(リューガ)の契約モンスター、ドラグブラッカ―!」

 

 

つづく

 



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第67話 鏡の中からの刺客!狙われたアイドル達!!⑬

みなさん、こんにちは。剣 流星です。

手首を痛めてしまい、しばらくの間執筆ができない状態が続き、そのため投稿に間が開いてしまいました。すいません。

では第67話をどうぞ。


ドラグブラッカー「グワアアアアアアッ!」

 

突如現れた黒い龍・ドラグブラッカー。その姿は、仮面ライダー・龍騎の契約モンスター、ドラグレッダーの色違いのような姿だった。そのドラグブラッカーの上に、龍騎の色違いの黒い龍騎。仮面ライダー・リュウガが居た。

 

ジン「竜牙(リューガ)!何しに来たんや!」

 

知り合いなのだろうか、仮面ライダーインペラ―の姿のジンが黒い龍騎、リュウガに「竜牙」と言って声をかけた。

 

竜牙「・・・リュートの命令でお前達を迎えに来た。」

 

タカヤ「迎えですって?」

 

仮面ライダー・タイガの姿のタカヤは、自分達を迎えに来たと言った竜牙の言葉に訝しんだ。

 

竜牙「・・・・予定は変更。ターゲットはしばらく泳がして、様子を見る事にするとリュートが言っていた。」

 

タカヤ「なるほど・・・しばらく様子を見て、もし真の紋章を宿すようなら、その時に確保すればいいと。」

 

竜牙「・・・・そうだ。今は他にする事が山ほどあるから、お前らにはそれらを任せたいそうだ。」

 

タカヤ「リュート様の命令ですし、そう言う理由があるのなら、この場は引き揚げましょう・・・ジン!」

 

ジン「おう!そう言う事ならここは引き上げや!」

 

アイギス「逃がしません!」

 

 

竜牙の言葉を聞いて、この場を去ろうとするタカヤとジンに対し、そうはさせまいと、銃口をタカヤとジンに向けるアイギス。だが銃口を向けた瞬間、竜牙の契約モンスター・ドラグブラッカーがアイギスと原種と対峙していたルネとJ、そして原種達に対して、口から火炎弾を吐いて攻撃した。

 

 

目原種「敵、攻撃、回避!」

 

腕原種「チッ!」

 

J「よけろ!ルネ、アイギス!」

 

ルネ「チィ!」

 

アイギス「緊急回避!」

 

ドラグブラッカーからの火炎弾を回避したアイギス達は、かわした火炎弾が地面にさく裂したせいで、辺り一面に舞って視界が悪くなった。アイギス達は土煙の中、お互いが対峙していた敵を探した。

 

 

タカヤ「今回は引き揚げますが、次に会った時は容赦はしません。」

 

ジン「桐条の機械人形。次に会った時に、前の借り共々まとめて返したるさかい、首洗って待ってろ。」

 

 

先ほどのドラグブラッカーの攻撃で出来た隙をついて、竜牙の乗っているドラグブラッカーの背に乗るタカヤとジン。

 

 

アイギス「ま、待ちなさい!」

 

 

ドラグブラッカーの背に乗っているタカヤ達に銃口を向けるアイギスであったが、タカヤ達を乗せたドラグブラッカーは夜空へと舞い上がり、銃の射程圏外・・・そしてそのまま夜空の中へと溶けて消えて行った。

 

 

腕原種「ヤレヤレ、今回は無駄足になってしまったな。だが、この世界にソルダートJ、お前達が来て居る事が知れただけでも良しとするか。では我々もこれで・・・・引き上げるぞ瞳」

 

瞳原種「・・・了解。」

 

 

巻きあがっている土煙の中、その場を引き上げようとする原種達。

 

 

ルネ「待て!逃がすか!!」

 

 

原種達が居るであろう方向に銃を乱射するルネ。だが土煙が晴れたその場所には何もおらず、原種が逃げた後だった。

 

 

ルネ「チィ!逃がしたか。」

 

J「追撃は・・・できんな。」

 

 

原種が居た場所を見ながらつぶやくJ。そんなJ達に声をかける者が現れた。先ほどまで誠也達の手助けをしていたボルフォッグである。

 

ボルフォッグ「皆さん、ご無事で!」

 

アイギス「ボルフォッグさん。はい、私もルネさん達も無事です。ですが・・・・」

 

ルネ「原種共と、ミラーモンスターを操っていた奴らは逃がしちまったよ。クソ!」

 

J「確かに奴らを逃がしたのは痛かったが、これで奴ら原種がこの世界に居る事が確認できた。」

 

ルネ「ああ。この世界に来てしばらくした後、猿頭寺が「素粒子Z0を観測した」って言ってこの世界に原種かゾンダーが居るかもしれないと言った時は、まさかとは思ったけどね。」

 

J「ああ、だが予想は当たった。奴らが復活したのなら、それを倒すのがJジュエルの戦士たる私の使命。次に会った時は・・・叩き潰す!」

 

ボルフォッグ「そうですね。そしてそれは我々GGGの使命でもあります。ですがそうなると、奴らを逃がしたのは痛いですね。」

 

アイギス「でも、ストレガの二人と違って、あの原種達を追う手掛かりは有ります。」

 

J「なに!」

 

ルネ「確かに、アイツらは言ってたね、マリア・セイバーハーゲンに人質を取られてるって。」

 

J「マリア・セイバーハーゲン・・・たしか我々に力を貸してくれた乃木坂王季の協力者、時空管理局のリンディ・ハラオウンが所属する時空管理局のトップだったな。」

 

ルネ「なら王季の爺さんに言って、そのリンディ・ハラオウンってやつに掛け合ってもらおう。」

 

ボルフォッグ「そうですね。ではそろそろ引き揚げましょう。まもなく警察も到着する頃です。警察に出会ったら面倒事になります。」

 

ルネ「そうだね。じゃあとっとと引き上げるか。」

 

 

ルネの言葉を最後に、その場を後にするルネ達。

 

J(・・・たとえ世界が変わっても、原種が居るのなら叩き潰す!それが我々Jジュエルの戦士!待っていろ、原種共!次こそは・・・必ず叩き潰す!)

 

 

夜空に浮かぶ、立つて居た自分達の世界の変わらない月を見て、Jは自分の決意を新たにするのだった。

 

 

 

 

ジン「それにしても、まさかお前が迎えに来てくれるとはな竜牙。どういう風の吹き回しや」

 

 

ドラグブラッカーの背に乗りながら、夜空の中を飛行するジン達ストレガの二人と、二人を迎えに来た竜牙と言われたリュウガ。そのリュウガに、自分達を迎えに来た事に対して、どう言う事か理由を聞いた。

 

竜牙はジン達が所属している親衛隊の中でも、かなりの変わり者であった。竜牙は自分から、他の親衛隊の隊員とはかかわりを持とうとせず、普段から一人で行動をし、自分以外の者に興味を示さない。それは親衛隊隊長であるリュートに対しても例外ではなかった。

 

他の隊員が隊長であるリュートを崇拝しているため、リュートからの命令を快く引き受けているのに対し、竜牙は自分の興味がわかない命令に関しては、真っ向から拒否しているのであった。そのため、竜牙は他の親衛隊隊員とは馬が合わず、よくもめていた。

そんな普段からの竜牙を見ていたジン達は、竜牙がリュートの命令で自分達を迎えに来た事に関して、疑問を感じ、リュートを問い詰めた。

 

 

タカヤ「あなたは普段から我々はおろか、リュート様の命令でさえ、あまり聞こうとしない。動くのはミラーモンスター関連の出来事でしか動かない。そんなあなたが動いたと言う事は、今回の事も我々がミラーモンスターを使ったからですか?」

 

 

竜牙「・・・・今回の件で、出てきた仮面ライダーの中に「龍騎」は居たか?」

 

ジン「「龍騎」?いいや、出てきてへんよ。出てきたのは「ウィザード」と「ナイト」の二人だけや。」

 

竜牙「・・・・・そうか。」

 

 

ジンの答えを聞いた後、そのまま押し黙る竜牙。そんな竜牙を見て、首を一回傾げた後、ジン達はそのまま押し黙った。

 

 

竜牙(・・・・・今回の件は、ミラーモンスター関連だったから、もしかしたら「龍騎」が出て来るかと思ったが・・・当てが外れたな。仮面ライダー龍騎・・・いや、神谷竜輝(かみやりゅうき)、貴様は・・・・俺が必ず殺してやる!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春香達『えっ!撮った映像がダメになった!?』

 

 

ミラーモンスター達を撃退した後の撮影現場。撮影スタッフの通報で駆け付けた警察による現場検証の行われて居るさなか、壊れた機材などを片付けているスタッフ達から語られた新たな問題。それを聞いたプロデューサーが春香達対して告白し、それを聞いた春香達は声をあげた。

 

 

プロデューサー「そうなんだ。さっきの怪物騒ぎで、撮った映像のいくつかがダメになったんだ。」

 

 

亜美「そ、それじゃあ、これからみんなで撮影のやり直しなの?」

 

プロデューサー「いいや、残っている映像をつなぎ合わせれば、ほとんどの人は何とか映像は足りるという話なんだ。ただ、最後に撮影した響と貴音の映像が少し足らないそうだ。」

 

貴音「私達だけ・・・」

 

響「・・・足らない。」

 

雪歩「じゃあ、貴音さん達だけ撮影のやり直しなんですか?」

 

プロデューサー「うん、本来ならそうなんだけど・・・ただ撮り直すだけだとダメなんだって。」

 

伊織「どう言う事?」

 

プロデューサー「撮り直す映像は、幽霊が映っている映像じゃなきゃ使えないんだって。しかも、かなりインパクトのある幽霊が映っている映像じゃなきゃダメなんだって。」

 

 

貴音「ゆ、幽霊が映ている・・・」

 

 

プロデューサーの言葉を聞き、幽霊が苦手な貴音は頬を引きつらせた。

 

 

こあ「でも・・・・幽霊さん達、もうこの辺りにはいませんよ?どうやって撮るんです?」

 

プロデューサー「えっ?幽霊が居ない?どう言う事だい?」

 

 

辺りを見回しながら言う「こあ」の言葉を聞いて、プロデューサーは「こあ」に理由を聞いた。

 

 

こあ「あの・・・さっきの怪物達が暴れているのを見て、周りに居た幽霊さん達、みんな逃げちゃったみたいなんです。この様子だと、今夜一杯はここには戻ってこないと思いますよ。」

 

 

戦いの最中に、この辺りに一帯に集まっていた幽霊たちが、怪物を見て一斉に逃げ出したのを見た「こあ」が幽霊の居なくなった辺り一帯を見回しながら言った。

 

 

真美「幽霊が、怪物を見て逃げ出すなんて、そんなの有るのかな?」

 

セイカ「幽霊と言っても、元は生きていた人間なんだから、あんな怪物を見たら誰だって恐れをなして逃げ出しますよ。」

 

真「そう言われてみれば・・・そうだよな。幽霊も、元をたどれば生きていた人間なんだよな。」

 

律子「でも、困ったわね。幽霊が一体も辺りに居ないんなら、撮影しても、幽霊が映り込んでいる映像は取れないわね。」

 

こあ「マスター、どうにかなりませんかね?」

 

セイカ「う~ん・・・・」

 

 

「こあ」に言われ、その場に居る全員と一緒に「う~ん」と唸りながら考え込む誠也改めセイカちゃん

 

 

セイカ(う~ん・・・・要は幽霊が映り込んだ映像が欲しいんだよな。そのために幽霊が必要。だけどこの辺りに居た幽霊はさっきの騒ぎでみんな逃げてしまった・・・)

 

 

「う~ん」と唸って考え込むセイカちゃん。

 

 

やよい「どこかに一体くらい幽霊さん、居ませんかね?」

 

セイカ(う~ん・・・どこかに幽霊・・・・・・・幽霊、幽霊・・・・・・・「あっ!」

 

 

「やよい」の言葉で何かをひらめくセイカ

 

 

セイカ「もしかしたら、この手ならうまく行くかも!」

 

千早「この手って・・・なにか閃いたの?」

 

セイカ「うん!千早姉!この手ならうまく行くよ。プロデューサーさん、俺に提案があります。実は・・・・」

 

 

自分の閃いた考えをプロデューサー達に話すセイカ。

 

 

プロデューサー「な、なるほど。それならうまく行くな。早速スタッフ達にこの話をして、撮影を再開できるようにしてもらおう。」

 

セイカ「俺も準備に取り掛かりますよ。まずは「鳴海荘」に行かないと。」

 

 

セイカの提案をスタッフ達に話に行くプロデューサーと、準備の為に「鳴海荘」へとテレポートリングで跳ぶセイカ。こうしてセイカの提案で、足りない映像を撮り直し、無事撮影は終了。そして、後日無事にオンエアーとなった。そして、その内容はと言うと・・・・

 

 

ナレーション『・・・・草木も眠る丑三つ時。噂の幽霊トンネルの真相を探るべく、我々調査隊は幽霊トンネルの強硬調査を慣行した。調査隊員である765プロのアイドル達の前に、次々と起こる怪奇現象と映像の端に映る謎の影。そして、我々調査隊はついに遭遇する!このトンネルの主とも言える、着物姿の長い黒髪の女幽霊を!!』

 

 

あやめ『う~ら~め~し~や~』

 

響『うわあああああああああっ!!』

 

貴音『・・・・・・・・・・・・・・(立ったまま気絶)』

 

 

 

 

 

霞「うわ~特殊メイクした「あやめ」さん、とっても迫力あるね。」

 

銀子「本当。まるで某呪いのビデオの幽霊か、お皿を数える有名な幽霊みたいね~」

 

誠也「我ながらよくできたと思うよ、「あやめ」さんの特殊メイク」

 

後日、無事オンエアーとなった番組の録画を、ラボの大画面でみんなと集まって見ている誠也達。

そう・・・あの時、誠也が提案した事とは、幽霊である「あやめ」を鳴海荘から連れてきて、映像に映ってもらう物だった。

ただ、そのまま映っても、かわいらしい外見をしている「あやめ」では、いささか迫力不足なので、誠也の魔力を付与した特殊メイクで、「あやめ」の顔を有名な、某皿を数える幽霊のように見える特殊メイクを施して映って貰った。

 

 

はやて「うわ~、本当に迫力あるわ~。これ見たら、初音先輩の所の「ぷち」ちゃんと「ちび」ちゃん達が怖がって、夜トイレに一人で行けなくなるのもうなずけるわな~」

 

カズミ「いや~本当に迫力あるわ~。これはお茶の間へのインパクトは絶大やわ。ゴールデンタイムでのお茶の間デビューとしては上場やわ。」

 

こあ「へ~、そうなんですか。よかったですね。あやめさん」

 

あやめ「ちっとも良くありません!!これが放送されて以来、「ぷち」ちゃん達が私を怖がって近寄ってくれなくなったんですよ!う、ううう~・・・・・」

 

 

部屋の片隅で涙目になりながら叫ぶ「あやめ」と、そんな「あやめ」を慰める隆史。

 

 

竜輝「あはははは・・・・僕、初めて見たよ。本物の幽霊を使った心霊特番のヤラセ番組。」

 

霞「本当ですよ。と言うか、史上初なんじゃないのかな?」

 

圭介「たぶん、そうなんじゃないかな。すごいですよ!ギネスに報告したら、確実に載りますよ!」

 

誠也「おお!そうだな。じゃあ早速連絡を・・・」

 

あやめ「しないでください!もう・・・・撮影なんて、こりごりです~~~~~~~~~!」

 

 

 

つづく

 

 

初登場キャラ出典作品

 

 

竜牙(オリジナル)

 

 

 

おまけコーナー

 

織姫「ひめちゃんと~♪」

 

みたま「たまちゃんと~♪」

 

シロ吉「シロ吉の~♪」

 

三人「「「おまけコ~ナ~♪」」」

 

織姫「さ~て、やってまいりましたおまけコーナー。」

 

みたま「場所は引き続き、門田神社からお送りするわね。それにしても、久々だからテンションあげるわね~」

 

シロ吉「おいらもテンション上がるっすよ♪」

 

織姫「たまちゃん達のやる気も上がってきていることだし、早速今回のゲストさんを呼んじゃいましょう♪」

 

シロ吉「了解っす!」

 

織姫「今回のゲストは、「スーパーロボット大戦」の最新作、「スーパーロボット大戦T」に久々に参戦が決まった、今も続編作品・覇界王~ガオガイガー対ベターマン~が連載中である作品、「勇者王ガオガイガー」から、お年なのに今だに元気なおじいさん、獅子王雷牙(ししおうらいが)博士に来てもらいました。どうぞ~」

 

雷牙「獅子王雷牙じゃ。ひょっほ~!女神さまからお呼びがかかるとは、感激じゃぞい!」

 

みたま「本当に元気なおじいちゃんね。」

 

シロ吉「さすが、世界中に7人の妻と28人の子供、3人の孫がいるだけに、元気いっぱいっす」

 

雷牙「当然じゃそい。「生涯現役!」が僕ちゃんのモットーじゃからな♪」

 

みたま「世界中に7の妻と、28人の子供に3人の孫って・・・・」

 

織姫「ずいぶんとお元気なんですね・・・」

 

雷牙「まあの。ひょほほほーっ!」

 

織姫「え~と・・・と、とりあえず作品の紹介と説明をお願いします。」

 

雷牙「おう!まかしておいて!!『勇者王ガオガイガー』は、1997年(平成9年)2月1日から1998年(平成10年)1月31日まで名古屋テレビ・テレビ朝日系列で毎週土曜17:00 - 17:30に全49話が放送された、名古屋テレビ・サンライズ制作のSFロボットアニメ作品じゃぞい。」

 

みたま「たしか「勇者エクスカイザー」から続く、勇者シリーズの最終作品だったわよね。」

 

雷牙「その通り!あらすじはこうじゃ。1997年の冬の日、天海夫妻の目の前に宇宙より黄金に輝くメカライオン・ギャレオンが飛来。夫妻に一人の赤子を託しそのまま飛び立っていった。そしてその赤子は、夫妻によって育てられることになった。 その後の2003年、宇宙飛行士「獅子王凱(ししおうがい)」が乗るスペースシャトル・スピリッツ号は宇宙空間で謎の機械生命体(EI-01)と衝突。瀕死の重傷を負った凱は、ギャレオンに助け出され地球に不時着した。そして、ギャレオンに助けられた凱の手には、緑色の宝石「Gストーン」が握られていた。そこから得られた技術によって、凱はサイボーグとして復活した。

それから2年後の2005年。機界生命体ゾンダーが地球侵攻を始めたその時、地球防衛勇者隊GGG(ガッツィー・ジオイド・ガード)の機動隊長になった凱は鉄の巨神・ガオガイガーで敵を破壊、敵の核を壊そうとした。その時、羽を持った緑の髪の少年が現れ、核を元の人間へと戻す。彼こそが、天海夫妻の手で育てられた赤ん坊が成長した姿、天海護であった。浄解能力を持つ護をGGG特別隊員に加え、GGGは地球防衛の戦いを続けていく。 と言うのがこの作品の冒頭のあらすじじゃ。」

 

みたま「これがTV版のあらすじね。確かTVの後、外伝的なお話がいくつかあって、それが小説で出ていて、その後OVAの「勇者王ガオガイガーFINAL」に続いていくんだったわね。」

 

雷牙「うむ。この作品に登場しているガオガイガーの面々は、この「FINAL」の後と言う設定なんじゃったな。本来なら「FINAL」の後は「覇界王」なのじゃが、この作品はまだ完結しておらんからな。」

 

シロ吉「作者さん、完結してない作品はなるべく出さないようにしてるっスからね。」

 

織姫「さて、今回の作品紹介、いかがだったでしょうか?」

 

みたま「雷牙博士にいたっては、続編の「覇界王」やスパロボ最新作であるTなどの出演で忙しいのに、来てもらってありがとうございます。」

 

雷牙「なに、美人で可愛い女神さまたってのお願いじゃし、それにここに出て、女神さま方で目と手ざわりで保養させてもらったからな。」

 

みたま「えっ?目と手ざわりで保養?目で保養と言うのは分かるけど、手沢ざわりで保養って・・・・」

 

雷牙「こう言うことじゃよ。さわさわさわもみもみ♪(注:たまちゃんのお尻をさわった後もんでます)

 

みたま「えっ?!い、いやああああああああああああああああああああああっ!!(コー○スク○ューパンチ!)」

 

雷牙「ふべらっ?!(クリーンヒット!)」

 

シロ吉「うわっ!雷牙博士が木っ端みたいに吹っ飛んでいったっす!」

 

みたま「こ、このスケベジジイ!私のお尻をよくも!しかも触るばかりか揉むなんて!殺す!神罰を与えてやる!!」

 

織姫「た、たまちゃん!神様が今の世で殺人なんてまずいよ!それにお年寄りは大切にしないと!だ、大丈夫ですか?」

 

雷牙「お、おう・・・大丈夫じゃ、もみもみもみ♪(注:抱き起してくれているひめちゃんの胸を両手でガチで鷲掴みし、もんでます)」

 

織姫「えっ?・・・・・・・・・・いやああああああああああああああああああああああっ!!(昇○拳ばりのアッパーカット炸裂)

 

雷牙「おげろっ!(クリティカルヒット!)」

 

織姫「ひ、彦くん(注:ひめちゃんの旦那さんの彦星様の事)以外の人に触られて・・・揉まれたーっ!ゆ、許しません!(涙目)」

 

みたま「織姫!この罰当たりに、誰にセクハラしたのかわからせてあげるわよ!」

 

織姫「ええ!天罰覿面です!って・・・シロちゃん何やってるの?」

 

シロ吉「ふむ(倒れてる雷牙の瞳孔反射を調べてます)」

 

みたま「シロ!そこどいて!!そいつに天罰下せないでしょう!」

 

シロ吉「あの~、もう下す必要ないっすよ。」

 

織姫「えっ?」

 

みたま「どう言う事?」

 

シロ吉「だって、この人・・・死んでるっスよ」

 

織姫・みたま「「えっ?死んでる?」」

 

シロ吉「はい、死んでるっス」

 

織姫・みたま「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

シロ吉「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

織姫・みたま「「うわああああああああああっ!ど、どうしようーっ?!」」

 

みたま「ど、どうしよう!さ、殺人事件?!カ〇ス?!(チャーチャーチャー♪チャーチャーチャー♪注カ〇スのテーマ曲)容疑者は私達?!(大混乱)」

 

織姫「お、落ち着いてたまちゃん!こう言う時は、落ち着いて!(大混乱中)そう・・・死んじゃったんだから、まずは埋めてあげないと!(おもむろに穴を掘り始める)」

 

みたま「ちょ、ちょっと!ウチの境内に死体遺棄なんてしないでよ!それに、死んじゃったんなら、まず最初にやることは墓穴を掘ることじゃなくて、お葬式を挙げてあげることだよ!」

 

織姫「あっ!そうだった!で、でも、神社の神様である私達が仏教のお葬式を挙げてあげることって、問題ないのかな?」

 

シロ吉「・・・・・なんで、救急車を呼ぶという選択肢が出てこないんっスかね。」

 

雷牙「ふぁ~っと・・・いや~よく寝たわい」

 

シロ吉「あれ?雷牙博士、生きてたんっスか?!」

 

雷牙「うん?体中が痛いが、とりあえずは生きているぞ。」

 

シロ吉「で、でも、目の瞳孔が開いてたっすけど?」

 

雷牙「瞳孔?ああ、時々ワシは瞳孔を開いたまま寝ることがあるんじゃよ。」

 

シロ吉「えっ!?そうなんっスか?!」

 

雷牙「そうなんじゃよ。いや~、この癖のせいで、前にルネやスワンくんに死んだと勘違いされて、えらい騒ぎになったんじゃよ。わっはははははははっ!」

 

シロ吉「笑い事じゃないっスよ。」

 

雷牙「いや~、すまんすまん。それにしても久々にいい夢を見れたわい。」

 

シロ吉「いい夢?」

 

雷牙「うむ。死んだ弟の麗雄が絆くんと、死んだルネの母親と共に川の向こうで手招きしている夢じゃぞい。」

 

シロ吉「それって・・・三途の川なんじゃ・・・ま、まあ雷牙博士が無事でよかったっス。」

 

織姫「ねえたまちゃん、お葬式って、どこに連絡すればいいの?!」

 

みたま「と、とりあえず葬儀屋に連絡・・あ、それよりも先に葬儀場の手配が先?あ、それよりも火葬場に連絡を!」

 

シロ吉「・・・親分達はまだ混乱の中っすね。じゃあ仕方ないっすから終わりのあいさつはオイラだけで済ましておくっスかね。」

 

雷牙「おお!それならワシも手伝おうかのう。」

 

シロ吉「ありがたいっス。じゃあ最後に・・・今年の投稿はこれで最後っスよ。亀更新で、グダグダな作品っすけど来年もよろしくお願いしますっス!」

 

雷牙「来年発売されるワシらが出ている「スーパーロボット大戦T」と連載中の「覇界王~ガオガイガー対ベターマン~」もよろしくな!」

 

シロ吉「それではみなさん・・・」

 

シロ吉・雷牙「「よいお年を!」」

 

織姫「葬儀屋の電話番号がが分からないよーーーーーーーっ!誰かおしえてーーーーーーっ!!」」

 

 

 

 



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人物紹介5

 

セイ(屑屋)

原作(プラネタリアン)

原作では本名は不明。セイと言う名前はこの作品オリジナルの名前。とある理由で滅びかかっている世界(ゆめみの居た世界)出身の青年で、廃墟に眠る物資などを探すた屑屋をやっていた。ある日、廃墟で使えるものを探していた所、まだ稼働中の自立戦闘兵器に見つかり、襲われていた所を、荒廃世界の生き残った人々を保護して回っている財団Ⅹのリュートに助けられ保護された。その時リュートから、自分達の住んでいるこの世界が荒廃してしまった戦争の始まった真の理由と、黒幕の事を聞き、復讐のためにリュートの率いる親衛隊に入った。原作ではゆめみと出会う事になっているが、ゆめみと会う前にリュートに保護されたため、二人は出会ってはいない。

 

 

如月 千早(きさらぎ ちはや)

原作(アイドルマスター)

 

青味のかかった黒髪のロングヘアが特徴的な少女。真面目で、ストイックな性格。趣味は音楽鑑賞。

元々根は朗らかで優しい性格だったが、弟の交通事故死を境に家族関係が悪化し、離婚にいたったことにより現在の性格が形成され、その性格ゆえに他人に対して寛容でない態度を取ることがあり、友人もあまり多くはなかった。特に学校で所属している合唱部では歌に対する認識の違いから他の部員と対立し、以来部活動には実質的に参加していない。しかし、プロデューサーや他のアイドルとの交流を通じて次第に元の性格を取り戻していく。また、笑いのツボがずれているらしく、他の人にはあまり受けないギャグに一人笑う場面もあるが、基本的にはそれらで笑うことはない。

幼い頃から近所に住んでいる、誠也の従姉で、現在は義理の姉である悠菜と東風谷早苗とは小さい頃からの付き合いで、幼馴染である。その為、誠也が幼い頃、悠菜の家に引き取られた時に、悠菜に誠也を紹介されて知り合った。以来、誠也とも幼馴染なのであるが、弟が一歳年下の誠也を弟分として可愛がっていたせいか、千早自身も誠也をもう一人の弟して可愛がっており、実の弟が亡くなってからは、その顕著が強くなっている。

両親が弟の死を境に、家族関係が悪化して離婚をした後、引き取られた母親が病気で入院生活をしなくてはならなくなり、そのため、かつて母親の高校時代の友人であった誠也の両親の伝手で、同じ頃、事故で両親を亡くした悠菜と共に、鳴海家に引き取られた。以後、アイドルになるために765プロに入り、鳴海家を出るまで、鳴海家の人達とは家族のように生活をしていた。

かつて、誠也が仮面ライダーウィザードとして、財団Ⅹと戦っていると知って、弟分の誠也を「守る」と言って、カナリヤから「ナイト」のカードデッキを受け取り、仮面ライダーナイトとして、戦っていたこともあったが、765プロに入る際、誠也から「アイドルの活動に専念してほしい」と言われ、一度カードデッキをカナリヤに返していた。

歳不相応に胸が小さく、そのことを気にしている節が見られ、同じような悩みを持っている初音未来(はつねみく)や八神はやてとは、同じ悩みを持つ者どうしてして、仲がいいようである。

 

 

 

 

タカヤ

原作(ペルソナ3)

 

ネット上に復讐代行サイトを開き、それに書き込まれた依頼を影時間を利用して行っている謎の集団ストレガのリーダーだった男で、かつて誠也が協力していた特別課外活動部の前に現れ、たびたび衝突していた。髪を長く伸ばした細身の少年で、上半身裸にタトゥーという異様な風体と言動から、狂信的なものを感じ取れる。他のペルソナ使いと違い、召喚器を使わずにペルソナを呼び出すことができ、その際には頭を抱えて苦しがるようなポーズを取る。また、両腕のタトゥーは人工ペルソナ使いの失敗作の体に浮き出る「烙印」と呼ばれるアザを装飾したもの。後に「ニュクス教」と呼ばれるカルト教団の教祖として祭り上げられることになる。元々孤児で、桐条グループの研究員によって人工的に生み出されたペルソナ使い。当初100人ほど集められた被験者達の生き残り。PS3の主人公達と違い、「ペルソナを飼いならせない」ため、特殊な薬でペルソナ能力を抑制しており、薬が切れるとペルソナが本人に襲ってくる。

リュクス降臨を阻止すべく、タルタロスを上っていた誠也達・特別課外活動部の前に立ちふさがったが、戦いに敗れ、その後、多くのシャドウに囲まれ、同じストレガのジンと共に自爆しようとしたが、財団Ⅹの親衛隊隊長であるリュートに助け出され、さらにペルソナの暴走も直してもらってからは、ジンと共に親衛隊に入り、リュートを崇拝するようになった。

リュートより「タイガ」のカードデッキを渡され、仮面ライダータイガへと変身する。

 

 

 

ジン

原作(ペルソナ3)

 

謎のペルソナ使い3人組ストレガのうちのひとりで、参謀的な役割を担っている、 関西弁を話す少年。立ち絵の生え際が多少危ない。ネットではカリスマハンドルらしい。

実は桐条グループ・エルゴノミクス研究所において作られた人工ペルソナ使いの生き残り。本名は『白戸陣(しらとじん)』。

タカヤと共に誠也達・特別課外活動部の前に立ちふさがったが、戦いに敗れ、その後、多くのシャドウに囲まれ、同じストレガのタカヤと共に自爆しようとしたが、財団Ⅹの親衛隊隊長であるリュートに助け出され、さらにペルソナの暴走も治してもらってからは、タカヤと共に親衛隊に入り、リュートを崇拝するようになった。

リュートより「インペラー」のカードデッキを渡され、仮面ライダーインペラーへと変身する。

 

 

ZX-07腕原種

原作(勇者王ガオガイガーシリーズ)

機界最強7原種(ZX-07~13)の一体で事実上のリーダー格。武闘派である半面、戦略家としての一面も持つ。かつて木星であったGGGとの決戦でZマスター共々消滅したと思われていたが、実は秘密裏に用意されていたバックアップにより他の最強7原種共々を復活を果たした。だがこのバックアップは不完全だったため、7原種以外の原種はゾンダークリスタルの状態でしか存在することができず、7原種自体も大幅にパワーダウンしており、かつて素体と融合してなった人型の状態以外なることができず、さらにゾンダーメタルもほとんど作り出すことができなくなっている。復活したてのところ、時空管理局の最高評議会のメンバーの一人である、マリア・セイバーハーゲンにより、原種達の核ともいうべき腎臓原種のゾンダークリスタルを人質にとられ、今現在手駒とされ、マリア・セイバーハーゲン直轄のである部隊・「ブラックスワン」の一員とされている。今現在の姿は、かつて融合した素体の人の姿と同じで、筋肉質の巨漢の姿で、素体の名前であるアームストロングを名乗っている。右腕から強力な超重力波を振るう能力があるが、管理局内ではこの能力をレアスキルと言うことになっている。「ブラックスワン」内での階級は「大尉」。なお、「ブラックスワン」では、隊内独自の階級を使用しており、なのは達他の管理局員とは違っている。

 

 

ZX-10 瞳原種

原作(勇者王ガオガイガーシリーズ)

機械最強7原種の一体。心臓原種のゾンダークリスタルを人質に取られ、腕原種を始めとした7原種共々マリア・セイバーハーゲンの手駒とされ、今現在は「ブラックスワン」の一員となっている。階級は中尉。かつて素体と融合したなった人型の姿である、ドレス姿の少女の姿になっている。索敵や行動予測能力に優れている。

 



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