戦姫絶唱シンフォギア ~Dの軌跡~ (天狐空幻)
しおりを挟む

設定
各設定及び単語解説


この後も色々と肉付けしていく予定です。
何か設定が変だなぁ~っと思う人も居ると思います。残念、俺も思う。


【主人公側の地球の情勢】

現代地球にて電脳空間・デジタルワールドが存在する世界。

平成初期にてデジモンの存在が囁かれ、多くの子供たちが密かにデジモンとパートナーとなりデジタルワールドを冒険を繰り広げていた。

やがて平成末期にてデジモンや、そのパートナーなどが世間に知れ渡るようになり多くの問題が発生した。

戦争、密猟、道具化、色々な多くの問題が多発する中で人間界《リアルワールド》と電脳界《デジタルワールド》での全面戦争勃発一歩手前まで事が進んだ時、1組の人間とデジモンにとある行動にて戦争は回避された。

やがて人間界と電脳界での取決めが行われ、表面上の問題は解決された。ただし、裏側では多くの問題が抱えている状態である。

 

【デジタルワールドの情勢】

デジモンワールド内でも闇戦力との小競合いは存在しており、多くの闇勢デジモンたちが双方の世界にて進軍を繰り返している。現在では沈静化はされているものの、闇勢側のデジモンが全て封印されている訳ではない。

これら闇勢側に対して個々ではなく軍隊にて態様する事となり、大まかな軍が結成された。

《ホワイトタワー》を頂点に――

《ウィルスバスターズ》

《ネイチャースピリッツ》

《ウィンドガーディアンズ》

《ジャングルトルーパーズ》

《ディープセイバーズ》

《メタルエンパイア》

――などの多くのエリア環境に合わせた部門が存在する。

 

【パートナーデジモンに関して】

初期では1人に対してデジモンが1体のツーマンセルが主流ではあったが、現在では1人に対して複数のデジモンを引き連れるのが今日の常識となっている。ただし、複数のデジモンを組む場合は申請して合格しなければならない。

デジタマからの育成、野良デジモンのスカウト、施設に預けられたデジモン、などのデジモンをパートナーにする手段は複数ある。パートナーとして組んだ場合、そのデジモンと組んだと報告をしなければならない。

 

【テイマーランク】

テイマーの実力を現す表。

SからABCDEFのランクがあり、これらのランクにて応じて受けられる任務が決まっている。

ランクの後に+や-が付けられる事がある。

+なら、特殊能力などで規定ランク以上の力を一時的に解放出来るテイマーに与えられる。

-では、常時では規定ランクには届かないが限定条件が整えばランクを超えられるテイマーに与えられる。

 

【デジモンの進化】

ある特定の究極体はデジタルワールドにて1体しか存在できないシステムになっており、パートナーデジモンにはならない。

・ロイヤルナイツ

・七大魔王

・オリンポス十二神

・四聖獣

・十二神将

・三大天使

・十闘士

・D-ブリガード

・バンチョー

etc.

 

 

【デジタルウェーブ】

デジモン個々によって発生している波状エネルギー。

同じデジモンでも個体差が存在しており、人間で言うなら指紋やDNAに近い。出現や行動、攻撃などにもそれは現れる。

意図的にエネルギー放出を抑える事で身を隠すことは可能。ただし、攻撃など大きな行動を行うと抑えることは不可能。

 

 

【デジヴァイス】

デジモンの健康などや色々な道具などを収めることが出来る小型端末の総称。テイマーの身分証明でもある。

一昔前は小さなポケベルだったが、時代が進むに連れて携帯電話、小型ゲーム機、そしてスマフォやタブレットなど変化していった。

決まった形状は存在しない為、異様な形をした物もある。

 

 

【デジタルゲート】

強大な力を持った一部のデジモンが作り出すことが出来る移動用のゲート。

特殊な結界《フィールド》が存在しない場合では何処にでも展開が可能であり、そのゲートを潜れるのは展開したデジモンのみである。

ただし展開には膨大なエネルギーを消費する為、直ぐには出口のゲートが開けずに閉じ篭ったままの状態が続く。

 

 

封印最下層(コキュートスエリア)

《ホワイトタワー》地下1000mにて設けられている封印エリア。

危険と指定されている暗黒勢側のデジモンが封印されている。

現在封印されているのは――

・ルーチェモン

・リヴァイアモン

・ベルフェモン

・グランドラクモン

・ミレニアモン

・アルカディモン(逃走)

他にも幾つかの危険デジモンが封印されている。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

序章
交わる世界 001


12月28日。

Happy Birthday!!雪音クリスちゃん!!

っで、踏み切り発進でよ!!

プロット?
ナニソレ美味しいの?
っで、ガチャ回してきたよ!!
まっ爆死しましたけどね!!

何故出ない限定解除ェ……。


 フードを全身に覆った1人の人物が暗い空間を歩いている。

 そして、とある場所で足を止めたその人物はゆっくりと視線を上にへと上げていく。その視線の先には1メートルはあるかと思われる紫色のタマゴがあり、それが幾つもの鎖で雁字搦めにされていた。

 そのタマゴを見詰めた後、人物は両手を前に出すと空中ディスプレイが現れそれを操作する。その後、周囲はけたたましいアラームが鳴り響いた。

 

 

『不正アクセスを感知。アクセスを中断して下さい』

 

 

 電子音による注意勧告が述べられるが人物はそれを無視、そのまま作業を続け――

 

 

封印最下層(コキュートス・エリア)にて"カテゴリーα"の封印解除シーケンスが起動しています。ただちに中断を、ただちに中断を――――中断確認できず。防衛プログラムを起動します』

 

 

 人物は未だにディスプレイを操作するなか、その背後から2体ほどの影が姿を現した。

 巨大な騎士甲冑を身に纏い、背中には盾を片手に身丈と同じ巨大な両刃剣を持っていた。

 2体の騎士は眼光をフードの人物を捉え一歩前に歩を進ませた。

 

 

「作業の邪魔だ。相手をしてやれ」

 

 

 未だに作業を続ける人物は振り返る事無く煩わしそうに呟く。

 すると、その人物と2体の騎士の間に1体の影が姿を現した。

 それは先ほど現した騎士より更に巨体であり、そのギラついた金色の眼光を騎士たちを睨みつける。

 騎士たちも己の大剣を構え斬りかかろうとする。だが、その大剣を容赦なく拳一撃で砕かれ、騎士の頭を振り下ろした拳で潰された。

 潰された騎士はそのまま後ろに倒れ粒子の塵へと消失、残された騎士はうろたえながらも大剣を構えるが、その巨大な手で握られそして――

 

 

ぐしゃり

 

 

 ――騎士の上半身は生々しい音と共に消えた。

 残った下半身は捨てられ、先ほどの騎士と同じく粒子の塵へと消えてしまう。

 

 

「汚い食い方をするな」

 

 

 フードの人物はそう呟きながらディスプレの操作を止めない。

 そして、操作を終えて色々と現れていたモニターが消失、一つだけモニターが現れた。そのモニターには

 

 

『――――最下層封印エリア――――

■■■■■■■の封印を解除します。

本当に宜しいですか?

――――――――Yes/No――――――――』

 

 

 っと表示されており、人物はYesを押した。

 モニターは消失、それを確認したフードの人物は視線を上げてタマゴを見詰めた。タマゴに雁字搦めになっていた鎖が徐々に日々が入っていき最後には粉々に砕け散ってしまう。

 砕け散った鎖の見詰め終えた後、踵を返してその場を後にした。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 ――数日後――

 自然豊かな森林にて大円の泉があり、その中央に白亜の巨大な塔が聳え立ち。

 ホワイトタワーと呼ばれる建造物であり、その中では多くの人間たちが慌しく動き回っていた。そんな中、最上階にて2人の人物が対峙していた。

 

 

「……」

 

 

 白を基調した大きな部屋。

 その奥に二十歳前半らしき若い男性が椅子に座って両手をテーブルの上に置いている。

 前髪は多少白く染まったぼさぼさ頭に頬は少しやつれており全体的に痩せ細って見える。そんな人物と対峙している十代後半の男性。

 伸びきった髪を無理矢理にポニテにしたような青黒い髪、額の下に多少隈が浮かべていた。

 

 

「久しぶりですね藍くん」

 

「うっス」

 

 

 そんな気だるそうな返事をする藍と呼ばれる青年に痩せ細った男性は少しだけ頬を緩ませ、手元に置いていた資料を手渡した。

 手渡してきた書類を藍は無言で受け取り視線を前方の男性に向ける。それに気付いた痩せ細った男性は気付き、軽く頷いた。

 それを合図として書類に視線を向けた。

 10分ほどの黙読が続き、書類をパサッと閉じて溜息を藍を吐いた。

 

 

「何です。これ?」

 

「何だと思う?」

 

「……『"α"逃走。その討伐・封印を右の者『朝倉 藍』にて任命する。』ハッハッハッ、ご冗談を」

 

「残念、冗談じゃないんだなぁ~これが」

 

 

 その言葉を聞いて藍の額に血管が浮かび上がり明らかに怒気を醸しだす。だが、それを一度咳き込んでから表情を整えて言葉を続けた。

 

 

「相手はあのαですよ? 明らかにテイマーランクA以上難易度、B+ランクの俺じゃ無理じゃないんですか?」

 

「表向きのランクじゃなかったら無理だろうけど、裏だといけるでしょ?」

 

「……正直言って良いですか?」

 

「うん」

 

「面倒なので辞退したいです。いや、辞退させろコラァ」

 

「ダメなんだなぁコレが」

 

 先程とは違って明らかに嫌そうな表情を隠さずに露にした。

 その様な表情を浮ばせる藍に対して、痩せた男性はニコニコと表情を一切変えずに藍の申し出を却下した。

 

 

「そもそも俺がしなければ成らない理由はないでしょ。それこそ大粒揃いの後輩たちが居るじゃなないッスか。例えば此間Aランクになった若手ナンバー1の子が」

 

「あぁ彼女ね。君の元教え子だった」

 

「えぇ。一週間ぐらいで教える事無くなりましたけどね」

 

「いやぁ、ああいう子が天才なんだろうねぇ」

 

「凡才の身には分かりませんけど。っで、そんな子に任せれば良いじゃないですか。こんなロートル使わなくても」

 

 

 自虐的に溜息を吐きながら藍は頭を左右に振る。

 そんな年寄り染みた発言に対して痩せ干せた男性は苦笑を浮かべた。

 

 

「いやいや藍くん。君まだ十台でしょ」

 

「まぁロートルは言い過ぎかもしれませんが、俺以上のテイマーなら後から幾らでも出てくるでしょ。そんな奴らに実績を兼ねてやらせるべきでは? 良い経験にもなる」

 

「隠居した老人みたいな言い方しないでよ。若き頃のギラギラした輝きはどうした?」

 

「あぁ黒歴史として封印して捨てました」

 

「いやいや」

 

 

 遠く見詰める腐った瞳。

 そんな態度を見せる藍に対して溜息を吐きながらも一度咳き込み見詰めなおす。

 

 

「悪いけど、これは決定事項なんだよね」

 

「……ケッ」

 

「こら悪態付かない」

 

「……」

 

「睨みつけるように見ない。一様、私は君の直属の上司なんだからね」

 

「立場上はね」

 

「君は……はぁ、ここで言い争っても決定は決定。さっさと準備して向う事、良いね?」

 

「……」

 

「返事!」

 

「ウッス」

 

「……はぁ~」

 

 

 その曖昧な返事を返した後、藍は踵を返して部屋を出て行きその後ろ姿を見ていた痩せた男性『藤波 甲』はもう一度溜息を吐いた。

 一方、藍は不貞腐れた表情を浮かべならが小型端末を弄りながら歩いていた。

 

 

「何で俺が、ほぼ引退同然だったろう。えっと、後はどれ準備すればよかったっけ?」

 

 

 不満を呟きながら端末を弄っていると――

 

 

「先輩。藍先輩」

 

 

 透き通ってキリッとした声が藍の耳に届く。

 確かに藍はその声に聞き覚えがあった。だが、藍はあえてその声を無視した。

 声をかけた人物の横を素通りしていく藍だが、その肩に力強く鷲掴みしてくる手が現れる。

 

 

「何故、そこで無視するんですか先輩」

 

「……ちっ誤魔化せなかったか」

 

「聞えてますよ」

 

「……何だ。後輩(・・)よ?」

 

「そうです。初めっからそう態様してれば良いんです。手間を取らせないで下さい」

 

 

 一言多いんだよ。

 そう思わずにはいられない藍であったが、その言葉を喉元で止め飲み込む。

 ここで言い返しても話が長引くだけ。そう判断してぎこちない笑みを浮かべながら藍は肩を鷲掴みしている人物に振向く。

 金髪のストレイトの髪形、顔質は東洋人ではあるが瞳が蒼穹を思わせる透き通った青色。

 アリア・M・神代。

 それが彼女の名前である。




一様は序章は書き終えているんで今日中には全部上げようかなと。

えっ本編?
まだ書いてませんけど?

だって年末年始で忙しいし。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交わる世界 002

シンフォギアXDで気づいた事がある。
バトルアリーナで限定解除と抜剣の調ちゃん、やばくね?

いやね、アレの沈黙と麻痺を同時に受けてダメージ受けながら回復されて……家の限定解除393が容赦なく潰されるのよ。
更に星3体クリス5凸が居たらね……震えが止まらないデス。

あっでもシンフォギアXD面白いです。


 アリア・M・神代。

 自他共に認める"天才"と称される才女である。

 筆記実技双方共に最高得点を更新、それに慢心せず更に己を実力に磨きをかけ、更には誰もが振向くような美しい美貌。

 そんなパーフェクトな経歴を持つ彼女だが、多くの者たちからその経歴に汚点として見なされているモノが存在する。それが、彼女の教師担当であった朝倉藍だった。

 

 彼女と藍との関係は教師生徒のような間柄であり、特に男女の仲らしきモノはなかった。現に、藍は彼女と会うのを避けている節があった。

 その原因は周囲たちの非難する声。彼女の名が挙がるたび、藍の名も挙がり比較されてしまう。

 その比較される度に浴びせられる非難の声が嫌となり藍は姿を暗ます事になった。

 

 

「珍しいですね。この様な場所で出会うなんて」

 

「おう。そうだな」

 

「何かの任務ですか? 最近、任務をこなしていないようですが」

 

「おう。そうだな」

 

「いつまでもランクBで甘んじてないで早くAに昇格して下さい。それ位の力量ぐらい有ると私は見てるんですよ」

 

「おう。そうだな」

 

「……先輩」

 

「おう。そうだな」

 

「これ以上、曖昧な返事を返してると蹴り上げますよ」

 

「おう。待てや物騒だぞ」

 

 

 明後日の方向を向きながら機械的に返事を返していた藍だがいきなりの物騒な声に反応して視線を下げた。

 そこには半目で睨むように頬を少し膨らませたアリアの顔があった。

 自身の先輩である藍のそんな反応を見て、溜息を吐きながら肩を落とすアリア。

 

 

「それで、本当に如何してこの場所に?」

 

「んっ、上司の直々の任務だな。詳細は言えんけど」

 

「……珍しいですね。甲さんが直々に任務を言い渡すなんて、それも先輩相手に……そんなに難しい任務なんですか?」

 

「何でそうなる。俺程度の人物に言い渡す任務など簡単なものしかないぞ」

 

「……私、先輩のその自虐的な所、嫌いです」

 

 

 不満そうな表情を浮かべながら藍を見詰める。

 そんな青色の瞳で見詰めてくるアリアに対して居た堪れなさそうに藍は視線を逸らし頭をワシワシとかく。

 

 

「悪いが準備があるんでね。これで失礼する」

 

「あっ、まっ――」

 

 

 藍はアリアの返事を聞かずにその場を後にして去っていった。

 ただ1人、その場で佇むアリアの顔には寂しげな影が差していた。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 アリアと分かれた藍は指定されている自室に入った後、両手で顔を覆って座り込んでしまう。

 一瞬見てしまったアリアの寂しげな表情に藍は後悔の念で押し潰されていた。

 

 

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ~~~……」

 

 

 押し潰されていく藍は最終的には四つん這いになって変な声を上げる。

 そんな哀れな姿に誰かが声を掛けてきた。

 

 

『そんなに後悔するなら最初から優しくすれば良いのに。変ですよね』

 

『そう言ってやるな。頭では分かっていても出来ぬ事もある』

 

『そんなモノですか?』

 

『そう言うモノだ』

 

 

 美しき聞き入ってしまう様な綺麗な女性の声。

 その声に返事するのが若々しいキリッとした男性の声。

 2人の会話に顔を上げて視線を壁に埋め込まれたモニタに向けた。

 

 

「煩いよ2人とも」

 

『だが、あの態度は頂けないな』

 

「……まぁこの件は後にしよう。今はそれ以上に頭を悩ませいるのはコレだ」

 

 

 持っている書類を扇ぐようにパタパタと振るう。

 その任務の難易度に眉間に皺を寄せて睨むように書類の記載されている詳細な読み漁る。

 相手は"カテゴリーα"。

 歴代の中でも最も厄介であり数少ない真最終進化形態になれる存在。

 

 

「逃走場所が平行世界。また面倒臭い所に逃げたな」

 

『平行世界、そこまで悩む事ですか?』

 

『そうかお前は初めてだったな。平行世界には幾つかのアタリハズレがあるのだ』

 

『アタリハズレですか?』

 

 

 女性の疑問に男性の声が答える。

 そんな疑問に藍が代わって答えた。

 

 

「アタリが普通の何の変哲もない世界。っで、ハズレが常識では訳判らんモノが存在する。神様が居たり悪魔が居たり、変な化物が跋扈してたり……まぁ色々だな」

 

『化物、ですか。例で上げるなら何でしょう?』

 

『何でも食べる細胞群のモンスター。見た目は人間だが悪魔だったり天使だったり』

 

「東京の場所が異動してて変な化物とロボットが戦ってたり。太平洋に人工島があって真祖が居たり」

 

『何ですか、それ?』

 

『「さぁ~」』

 

 

 男性2人は何か疲れたように言葉を伸ばした。

 そんな会話をしながら藍は椅子に座ってテーブルに設置してあるパネルを操作する。

 空中モニタが広がり、そのモニタに表示された色々なデータをパネルなどで操作しながら色々と準備していく。

 時には悩んだり唸ったりと作業が進まない事にイライラしながらも一時間後にはモニタを消した。

 

 

「いまだ不安はあるが、コレで行くか」

 

『この備蓄で大丈夫か?』

 

「知らん」

 

『戦力的にも……あの、私初めてなのですが大丈夫でしょうか?』

 

「知らん」

 

『今回行く平行世界の事前調査なしだが大丈夫なのか?』

 

「知らん知らん知らん。全部その場態様、臨機応変OK!?」

 

『『行き当たりばったりってこ――』』

 

「行くぞオラァ!!」

 

 

 問題指摘してくる声を無視して小型端末を持ち部屋を出た。

 大人が横に5人並んでも広い廊下を歩いていると幾つもの視線を藍に向けられていた。それらはアリアのファンたちでもあった。だが、それらの視線に藍は無視して多少早歩きして去っていく。

 そして、とある扉の前に到着した。

 扉は開かれ藍はその部屋に入っていった。

 その部屋には幾つもの機械が設置されており一番奥にはカプセル型の機械が設置されている。

 そのカプセル型の機械は大人が数人入れる大きさであり、頭上には太いケーブが何本も繋がっている。

 藍はそのカプセルの前で佇む。そして――

 

 

「……改めて任務内容を言う。今回は対象"カテゴリーα"の討伐封印だ。気合い入れろよ!!」

 

 

 振向くと数体の影が姿を現した。

 1体は銀色の鎧を纏った龍人の様な出で立ちに緑色のマントを靡かせ。もう1体は銀の仮面を被った黒き鎧武者の出で立ちに白銀の髪を靡かせている。

 背中に四対の白の翼を持ち、白亜の衣に身を包む美しい女性。そして、両腕が機銃でジーズをはいた獣人。

 

 

「じゃっ行くぞスレイヤードラモン、ガイオウモン、エンジェウーモン、ガルゴモン!!」

 

「応ッ!」

 

「御意」

 

「はい!」

 

「OK~!」

 

 

 4体のデジモンたちは藍の持つ小型端末『デジヴァイス』に吸い込まれ、カプセル型転送装置『デジタルゲート』に入り、そして姿を消した。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

「此処、何処じゃ?」

 

 

 荒野の中央に藍は立たされていた。




総受け愛されクリスちゃんが誕生日中には序章は投稿し終えるぞ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交わる世界 003

和服姿のクリスちゃんが欲しい。

セレナちゃんまだですか運営さん?

来年には水着393は出ますかね?

もっと百合咲き誇れシンフォギアァァァーーー!!!

セレナちゃんは最強と見た(確信)!!


 雲一つない澄み切った蒼穹の空。

 昼時なのだろう太陽は堂々と中央真上で燦々と輝いており、その日差しは暑く感じる。

 そんな太陽を手で目元を影させながら睨みつめる藍、手元のスマフォ型小型端末『デジヴァイス』に視線を移す。

 

 

「一様、αのデジタルウェーブが最も感知した場所に転移してきたけど……見事に荒野だな、人っ子一人居ない」

 

 

 そんな光景に悩ませながらも視線を巨大な樹に向け、そこに向って歩き出す。

 樹に辿り着くのに数分も掛からずに到着、その樹の根元に腰を下ろして樹影でデジヴァイスを操作する。

 モニタには波グラフが表示しており時に激しかったり緩かったりと波が定まっていない。そんな表示に顔を歪ませて溜息を吐く。

 

 

「この状態だとαが動くまで待ち惚けだな」

 

「あぁ。それと、急に出てくるなよ人に見られたらどうする?」

 

「半径三m以内に人間は感知されなかった。それに、デジヴァイスの中は窮屈でない」

 

「あっそう。ならお前らも出てきて良いぞ」

 

 

 スレイヤードラモンの言葉に半分呆れながらも周囲に人間が居ないのなら他のデジモンも出て良いだろうと思い、デジヴァイスから出ることを許可した。

 その言葉に反応して残りの3体のデジモンも姿を現した。

 

 

「ふぅ少し窮屈でしたね」

 

「ヨッシャアァーーー!! 今日も撃ち狂うぞぉーーー!!!」

 

「ふんっ」

 

 

 出てきた3体のデジモンたちは思い思いに声を上げる。

 特に一番テンションが高いのが未だに両腕をグルグル回しているガルゴモンだった。そんな一番煩いガルゴモンを藍は睨むように見るが、それも溜息を吐いて肩を落とす。

 

 

「お前ら暫く自由行動な。ただし身勝手な振る舞いと現地人にはバレないように」

 

「そうか、なら。ガイオウモン少し付き合え、手合わせだ」

 

「心得た」

 

「僕は少し離れた場所で空向って銃弾ブッパしてくる!」

 

「では私は藍のお傍で待機していますね。藍、何か飲みたい物は?」

 

「アイスコーヒー」

 

「はい」

 

 

 スレイヤードラモンとガイオウモンの2体は己の獲物を持ってその場を離れ、ガルゴモンも両手を振り回しながら楽しそうに何処かに走っていく。

 唯一残ったエンジェウーモンは藍の傍でコーヒーの準備をする。

 準備してもらったコーヒーを啜りながら青空を眺め、遠くから僅かに聞える金属音と銃声を子守唄にしていると眠気に襲われ船を藍は漕ぎ出す。

 そんな藍の姿にエンジェウーモンは微笑を浮ばせ肩にそっと手を置き、そのまま藍の頭を自身の膝に乗せた。

 

 

「そのまま寝ても良いですよ」

 

「んっそう。なら、一時間ぐらいに起こして」

 

「はい」

 

「…………」

 

 

 エンジェウーモンに膝枕されながら藍は眠ってしまう。

 穏やかに眠る藍の前髪を少し弄って楽しむエンジェウーモン。そんな穏やかな時間が過ぎる中、藍の言っていた一時間を経過しようとした時だった。急にデジヴァイスからアラームが鳴りだしたのだ。

 そのアラームに眠気を吹き飛ばし起き上がる藍に、その音を聞いて戻ってきた3体のデジモンたち。

 

 

「捕捉、南南西40キロ先、スレイヤードラモン俺を抱えて走れ!!」

 

「応ッ!!」

 

 

 その指示にスレイヤードラモンは藍を肩に乗せて走り出し、残りのデジモンたちは一斉にデジヴァイスの中に戻っていった。

 スレイヤードラモンの一蹴りで凄まじい早さで駆け抜け、その後方には凄まじい砂煙を舞い上がらせていた。

 走る続けて十数分後、デジヴァイスに幾つもの反応が示した。

 

 

「これは……」

 

「どうした? 残り数分で到着だぞ」

 

「いや、幾つかの人間の反応がね」

 

「人間っか……どうする?」

 

「迷ってる暇も無さそうだし。そのまま突貫」

 

「了解した!」

 

 

 多少の迷いは藍にはあった。

 デジモンの存在を公に知られるのは後々、自身の行動を支障をきたす恐れもあった。だが、対象αを放置すれば大きな損害を蒙る恐れもある。

 その両方を天秤にかけ、今回は後者を優先した。

 数分後、前方に巨大な建物が見えてきた。

 

 

「アレがそうっぽいな。反応は……その地下か」

 

「何故地下に?」

 

「知らん。兎に角突撃しッ!?」

 

 

 建造物が見えこれから突撃しようとした時、その建造物が大爆発をあげ黒い煙を舞い上げた。流石のスレイヤードラモンも驚き咄嗟に足を止めて煙を舞い上がらせる建造物を睨みつけた。

 

 

「これは対象αの仕業か?」

 

「いや、これは違うな。そもそも暴れる理由がない」

 

「となれば事故か?」

 

「事故は事故っぽいけど……あの物々しく重装備した軍人、何であんなに居る?」

 

「軍事施設。その軍事兵器の試験中の事故――この線ならどうだ?」

 

「にしては白衣を着た明らかに非戦闘員も居るぽいっけど……まっ反応は確かにあの施設の地下にある以上、向うしかないか。下ろしてくれ」

 

 

 その指示に従ってスレイヤードラモンは身体を屈ませる。

 地に下りた藍は身を屈ませて施設の侵入を試みる事にした。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 施設潜入は容易に出来た。

 その原因は不明だが、何らかの事故により内外共に人間たちは混乱して指揮系統が乱れていたからだった。

 これが平常時ならば簡単には潜入は出来なかったろう。

 幸いが効して簡単に潜入した藍は対象αが居るであろう地下に向って歩き出す。

 内部はかなりボロボロの状態であり地下に進むにつれてその酷さが増していく。そんな地下にも多くの重武装した軍人がいた。

 そのような軍人とは相手をせず足音を消して息を殺して潜り抜ける。

 そうやって人間との接触を最小限に抑えながら進むに連れて疑問が藍の脳内を占めていく。

 

 

「此処、何の施設だ?」

 

 

 明らかに軍施設ではない。

 研究員らしき人物の屍骸も転がっており、少なくとも何かの実験がこの悲劇を引き起こした。では、その実験とは何か?

 これ程の被害と重装備した軍人を配置する意味……何か嫌なモノに関わっている気がして藍の眉間に皺が寄りだす。すると――

 

 

「そこに誰か居るんデスか?」

 

「ッ!?」

 

 

 藍は咄嗟に口元を手で押さえる。

 聞こえたのは幼さが残る少女の声だった。

 余りにも今の場所とは不釣合いな声に、藍は本当に何の施設か疑問を募らせていく。そんな疑問を募らせる中、声がした扉の前に静かに身を屈めて耳を当てた。

 

 

「やっぱ誰も居ないデス」

 

「切ちゃん。本当に誰か居たとしても施設の人だから意味無いよ」

 

「でっでも、その声は他の人と違った気がするデスよ」

 

 

 どうやら2人ほど幼き少女が扉の中に居るようだ。

 先程、自身に話しかけた妙なデスと使う少女と落ち着いた綺麗な声の少女。何故、この様な場所に居るのかと疑問を浮ばせながら更に会話を盗み聞きする。

 

 

「マリアもセレナも居なくなって大きな爆発、一体全体何が起きてるデスか!?」

 

「マリア、セレナ。マムも大丈夫かな」

 

「マムも一緒だから大丈夫に決まってるデス!」

 

「だと、良いんだけど……」

 

 

 ここで藍は悩む。

 話し掛けてきたって事は何か話が有るからである。では、一体通りすがりの相手に何の話があるのか……。

 頭を少し傾げた後、扉をノックした。

 

 

「ッ!? 誰ですか?」

 

「……通りすがりの部外者だ」

 

「あっ、さっき聞えた声デス! ほら私の言う通りだったデェス!」

 

「うん。流石は切ちゃん」

 

 

 2人だけで何やら勝手に盛り上がる。

 そして元気な声でデスデスと言っている子が藍に話しかける。

 

 

「部外者って言ってましたけど、何者デス?」

 

「んっ、少しこの施設の地下に用事があってね」

 

「地下……聖遺物が狙いですか?」

 

「せいいぶつ?」

 

 

 大人しげな少女の聞きなれないワードに頭を悩ませる。

 ブツブツと『せいいぶつ』の言葉を繰り返して、やっと漢字で『聖遺物』を変換出来た。だが、それが藍には一層意味が分からなくなる。

 

 

「いや、自分は考古学者じゃないしそんな物には興味はないよ」

 

「……いえ、私はてっきり聖遺物を奪いに来たと思って」

 

「何で自分が聖遺物を盗むと?」

 

「もしかして知らないんですか?」

 

「そうデス。私達も一様は装者にはなれるデスよ」

 

「いや待て、話が見えん」

 

 

 話が噛み合わない。

 少女たちと言葉の意味が判らず困惑する藍であったが地下から更に爆発する音と振動が襲ってきた。

 

 

「あの、お願いがあります」

 

「お願い?」

 

 

 急なお願いに藍は聞き返す。

 

 

「そうデス。地下に行ったマリアとセレナを助けてほしいデス!」

 

「多分、地下でネフィリムが暴れてると思うから」

 

「ネフィリム?」

 

「はい。その、身勝手かも知れないけど私達にとって数少ない家族なんです」

 

「お願いするデスッ!!」

 

 

 藍は顔を少し歪ませ、本当に話の内容が分からないと思う。

 だが、ここまで懇願する以上なにかがあるのだろう。それに、家族を救って欲しいと願う少女の思いを無碍には出来ない。

 それが年長者としての"力"を持つ者の勤め。

 

 

「――分かった。君達の願いは聞き入れた」

 

「本当デスかッ!?」

 

「良いんですか?」

 

「あぁ。それじゃ行って来るね」

 

「マリアとセレナをお願い」

 

「お願いするデス!」

 

 

 藍は扉から離れて先程の爆発がしたであろう地下にへと向った。

 

 

 




うぇ~ん!!
家の限定解除393が星3体クリス5凸に容赦なく一発轟沈させられる。

いくら防御貫通でも容赦なさすぎですよ……んっ?

クリスちゃんが393を倒す……響ちゃんを巡って奪い合う?

閃いたぞシンフォギアァァァーーー!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交わる世界 004

もっとだ、もっとカデンツァヴナ姉妹の百合力(ゆりりょく)を私に分けてくれッ!!

シンフォギアXD。
その内、2人で1人みたいなシンフォギアカードが出そうで怖い。
特にひびみくが最強と見た。

デジストハッカーズメモリー。
最初買うか迷ってたのよ。でも、パッケの背後に見たことのあるデジモンを見た瞬間、買うのを決めました。
まぁリリスモン最強にしてウンチで経験値がっぽするんでしょうけど……。


 少女達の願いを聞き入れた藍は更に地下へと進んでいく。

 進むに連れて壁や天井が崩壊して火災まで発生しており、更には人間らしき亡骸も多くなっていく。

 そんな中――

 

 

「ッ! アレはッ!?!?」

 

 

 眼に入った光景に藍は絶句する。

 言うなれば巨大な蛹らしき物体に、それに対峙するように眼と口元から血を流す少女。そこまでは良い。いや、全体的に言えばダメなのだが今は良い。

 問題はその対峙しあう蛹と少女の間にいる存在が問題であった。

 バスケットボール位の灰色のお玉じゃくしに、計六本の鉤爪を生やしている。

 この存在こそが藍が目標にしていた『カテゴリーα』、デジモン名『アルカディモン』である。

 アルカディモンは少女に向って獲物(エサ)を見るかのように見詰めていた。

 

 

「セレナッ!」

 

「逃げ、て……マリア姉さん」

 

「ギチギチッ!」

 

 

 不気味な声で鳴きながらセレナと呼ばれる少女に襲い掛かる。

 だが、寸前で巨大な二振りの剣が壁となって遮り、その剣の出現にアルカディモンは跳ねるように後方に下がった。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 私セレナは死ぬ筈だった。

 ただ、それは予想外の出来事で終わり別の死が待ち受けていた。

 F.I.S.で管理していた完全聖遺物『ネフィリム』を歌を用いらないで機械のみで起動させる実験。でも、起動は出来たが制御下から離れ『アルビノ・ネフィリム』と化して実験室内を暴走しだした。そして、その暴走を止められるのは私の絶唱(うた)だけ。

 マリア姉さんは止めたけど、このまま暴走を続かせる訳にもいかない。

 シンフォギアを身に纏い『ネフィリム』と対峙する。

 

 

「ッ!」

 

 

 恐怖が無い訳ではない。

 絶唱での死の恐怖も、無い訳ではない。

 それでも、姉さんやマム、切歌や調たちを守れるのは私だけ。なら――

 

 

「--Gatrandis babel ziggurat edenal Emustolronzen fine el baral zizz--」

 

 

 全身に味わった事のない激痛が走るが、それでも私は歌を止めない。

 戦いは嫌いだし、傷付き傷付けられるのも嫌い、だから私のシンフォギアとしての能力は誰もが傷付かない"エネルギーベクトル操作"。これで『ネフィリム』を起動する前まで戻す。

 私の絶唱は放たれ『ネフィリム』を抑えようとした瞬間、ソレは現れた。

 

 

「ギチギチ」

 

「えっ?」

 

 

 巨大なお玉じゃくしみたいな生物が突如として姿を現した。

 急な出来事に驚きながらその生物と視線が交わり、私は先程より背筋を凍らすほどの恐怖に見舞われた。

 アレは『ネフィリム』とは比較に成らない()かがある。

 足が竦み、奥歯が震え、身体に力が入らない。

 そんな恐怖を感じていると全身から力が抜けていく感覚に襲われ、次に強烈な光と衝撃に襲われた。そして、次に見た光景がボロボロとなった実験室が炎に包まれ、蛹へと成った『ネフィリム』だった。

 私はまだ『ネフィリム』に絶唱の効果を発揮させてない。それなのに『ネフィリム』は既に蛹へと成っている。なら誰が――

 

 自然と私の視線は突如として現れた生物に向け、一つの結論に至った。――私の絶唱のエネルギーと『ネフィリム』のエネルギーを喰らった?

 

 

「あ……あっ……」

 

「ギチギチ」

 

「ひっ!?」

 

 

 絶唱のバックファイヤで動けない私に真紅の瞳が見詰めてくる。

 真紅に輝くその瞳は不気味に笑っているように見え、更に私は恐怖で身が竦む。

 

 

「セレナ! セレナッ!!」

 

 

 マリア姉さんの呼ぶ声が聞える。

 私は恐怖しながらも視線をマリア姉さんに向けようと身体を動かす。

 そこには今にも泣き出しそうなマリア姉さんがいて、後ろのF.I.S.スタッフに助けを呼ぼうとしていた。

 

 

「誰か! 私の妹がッ!!」

 

「貴重実験サンプルが自滅したか!」

 

「それより、あの生物は何だ!?」

 

「実験はタダではないんだぞ!」

 

「ッ! どうしてそんな風に言うのッ!? 彼方達を守るために血を流したのは私の妹なのよッ!?」

 

 

 セレナ姉さんが声を荒げて泣いている。

 でも今は泣いている暇などない。このままじゃ、この生物は私達を――そう思った瞬間、その生物は私に突撃して来て、

 

 

「セレナッ!」

 

「逃げ、て……マリア姉さん」

 

「ギチギチッ!」

 

 

 

 

――斬ッ!!!!――

 

 

 

 

「えっ?」

 

 

 巨大な剣にてその生き物の突撃は弾かれた。

 私の左右に見た事のない2つの存在が姿を現し、守るように背を向けていた。そして私の背中を優しく包む優しい温もりが伝わり、ゆっくり視線を上げた。

 

 

「あな、たは?」

 

「良く無事だった。後は任せろ」

 

 

 F.I.S.では見た事ない東アジア系の顔質に黒髪の男性。

 その優しげに微笑む顔に気が抜けたのか身体が崩れ落ち、男性はそんな私を支えてお姫様抱っこをしてくれた。

 お姫様抱っこ。

 絵本などで読んで憧れた事のある抱っこが此処で叶うとは思っていなかったので驚いてしまう。すると、天井が崩れだし無機質な瓦礫が降注いできた。

 

 

「スレイヤードラモン」

 

「分かっている!」

 

 

 右にいた青い存在は刺していた大剣を振り抜いた。

 大剣の刀身は蛇の様にくねらせながら伸びていきマリア姉さんに降注ごうとしていた瓦礫を粉々に切り裂いてしまう。

 そして私に降注ごうとする瓦礫は、

 

 

「ガイオウモン」

 

「御意ッ!」

 

 

 左にいた黒い存在も刺さっていた大剣を抜き両手で持った二本の剣を振るい、それは斬戟の衝撃波となり全てを切り裂いて粉々にせしめた。

 私のそんな光景を見詰めていると男性は険しい顔を浮ばせた。

 

 

「チッ、進化しやがった」

 

「しん、か?」

 

 

 男性が向けている視線の後を追うと、その先では先程の生物の光の繭に包まれていた。

 生物の光の繭に包まれ数秒後、その繭を砕いて新たな姿に変わって現れた。

 全身ピンク色で両手足に大鎌を思わせる一本の鉤爪、足はカンガルーに似ており背中には突起物が見られる。そして、更に鋭くなった眼光が私を見る。

 息を呑み恐怖で身体を震わせて男性の服に捕まる。

 

 

「成長期か……お前ら気合い入れろよ」

 

「油断はせんさ」

 

「常在戦場。抜かりはしない」

 

「そうか――行けッ!!」

 

「「応ッ!!」」

 

 

 男性の合図と同時に一斉にアレに突撃していく。

 2体の動きは俊敏であり私程度の眼では追いきれず、大剣を振っているのだろうが剣先の軌跡しか見えないほどに速い。

 そんな戦いに見惚れていると男性はマリア姉さんの元に歩き出した。

 

 

「セレナ!」

 

「マリア姉さん」

 

 

 目元には涙を浮ばせ心配そうに私を見詰めてくるマリア姉さんと、奥から駆け寄ってきてくれたマムも心配そうにしていた。

 マリア姉さんは不審そうに男性を見詰める。

 

 

「あの、彼方は?」

 

「悪いが話は後でここは危険すぎる。避難できる場所にこの子を」

 

「貴方が何者かは後で問い質すとして、確かに今は避難を優先しましょう」

 

「お手柔らかに。ガルゴモン、頼むぞ?」

 

「OKだよ!」

 

「えっ何、この生物!?」

 

 

 私達の後ろから大きな耳を持った犬の獣人?が両手の機関銃を掲げていた。

 マリア姉さんが驚く中、獣人はこの場にいる私達を抱えてF.I.S.スタッフ達がいる場所まで飛んだ。

 

 

「邪魔だ退け!!」

 

「うわぁーー!?」

 

「飛んできたッ!?」

 

 

 急に飛んできた事にスタッフ達は驚き慄きながら逃げ出す。

 広がったスペースに私達を下ろしてクルッと振向いて戦っている場所に向って声を荒げた。

 

 

「避難したから全力でGOだよ!!」

 

 

 その瞬間、強烈な衝撃波が私達を襲ってきた。

 暴風と化す衝撃破は斬戟となって実験室の壁や天井を切り裂いていく。

 甲高い金属音の弾く音、床のコンクリートを砕く音、荒狂う暴風の音、それらの色々な音が響き渡る中、またしても男性は難しそうな表情を浮ばせていた。

 

 

「アレでも押し切れないってかッ?」

 

「えっ?」

 

 

 ――ギンッ!!!!――

 暴風と衝撃が止み、残ったのは金属の甲高い音だけ。

 実験室の中央にピンクの生物が左右から大剣を両鎌で防ぎ切っており、接触部分から火花を散らしていた。

 そんな光景に青と黒の2体が悔しげな声を漏らした。

 

 

「これで斬れぬかッ!?」

 

「クロンデジゾイドではあるまいにッ!?」

 

 

 せめぎ合いながら2体は両手に力を籠めて圧殺するかの如く押していく。だが――

 

 

「ギャアッッッ!!」

 

「「ッ!?!?」」

 

 

 それ以上の力で2体は吹き飛ばされ、そのままこっち側に飛ばされてきた。

 行き成りの出来事に身体を硬直していると男性が私を守るように抱きしめてくれた。そして、2体はそのままスタッフ達がいる場所に叩き付けられた。

 

 

「ッ! 大丈夫か!?」

 

 

 男性の心配するように声を掛ける。

 その声に青と黒は瓦礫の山から這い出てきた。

 

 

「あぁ。だが、コレは厄介だな」

 

「建物倒壊を警戒しながら戦うなど厄介極まりない」

 

「何だ、言い訳か?」

 

「冗談は休み休み言うが良いスレイヤードラモン?」

 

「それだけ言えれば大丈夫そうだなガイオウモン?」

 

「当然」

 

「なら行くぞッ!!」

 

「言われるまでもないッ!!」

 

 

 2体は瓦礫や埃を払って大剣を構えなおす。

 だが、第二ラウンドは起きる事はなかった。何故なら、

 

 

「あっ、アイツ逃げる気だ!!」

 

 

 そのピンクの生物は光の輪っかを出現させてその中に入ろうとしていた。

 男性もそれに気付いて眼を丸くして驚きながらも手を翳し、それと同時に青と黒の2体が一気にピンクの生物に斬りかかる。だが、

 

 

「くそっ!」

 

「逃したかっ!」

 

 

 斬られるより先に輪っかに入っていったピンクの生物は姿を消してしまった。

 その結果に男性も苦虫を噛み締めたような苦い顔を浮ばせ、歯を強く噛み締めていた。その後、男性は深い溜息を吐いて渡しに顔を向けた。

 

 

「大丈夫か? 怪我は?」

 

「あっ、いえ、大丈夫、です」

 

「そう」

 

 

 男性は安堵するように微笑を浮ばせる。

 そこで私はある事に気付いた。

 この男性の名前を私は知らない。

 名前を聞く為に問おうと声が掛けようとするが、全身に痛みが走り意識が朦朧としてきた。

 

 

(あぁそうだ私、絶唱してたんだっけ?)

 

 

 急な出来事の連続のすっかり忘れていた。

 意識が朦朧とする中、私は必死に男性の名を問おうとするが声も出せない。そして、そのまま男性の衣服を握り締めたまま意識を落とした。

 

 

 




何故、シンフォギアXDの運営はセレナよりウィル博士を最初に出したのでしょう。未だに謎。

序でにバトアリで最近見ないなウィル博士。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交わる世界 005

くそぉ~~~!!!
クリスちゃんの誕生日時に全て投稿出来なかったッ!?!?

って言うわけで一時間半ずれて投稿だよ。


 重たい目蓋を開いて最初に見たのは泣いているマリア姉さんだった。

 反対側には切歌と調、少し離れた場所にはマムが私を見守っていた。

 

 

「あぁセレナ。本当に、本当に良かった」

 

「もう、マリア姉さん泣きすぎよ」

 

「仕方ないじゃない。アレから3日間も眠り続けてたのよ」

 

「3日も……」

 

「そうデス! 私も心配で心配で心が爆発しそうだったデス!」

 

「切ちゃん、それを言うなら心が破裂しそうだよ。私もすっごく心配した」

 

「2人とも、ゴメンね。心配かけて」

 

 

 そっか、アレから3日……。

 ゆっくり自身の手を見つけて記憶を蘇らせていく中、私を抱きしめて守ってくれた男性の事を思い出した。

 

 

「マリア姉さん、あの人は?」

 

「あの男性のことね。あの後の混乱に乗じて姿を消したわ」

 

「そう」

 

 

 結局、あの人の名前も訊きそびれてしまった。

 私の手には確かにあの人の温もりが残っており、今でもあの光景を思い出せる。

 颯爽と助けてくれたあの横顔、強く抱きしめてくれた力強さ、そしてお姫様抱っこ……。そこで、私は全身が熱くなってきた。

 多分、顔も真赤に成っているだろう。案の定、マリア姉さんが慌てだす。

 

 

「セレナ、顔が赤いわよ? もしかして風邪ッ!?」

 

「えっ? あっちが、違うの、コレはッ!」

 

 

 その後はマリア姉さんの勘違いで色々と慌しくなってしまう。

 慌てるマリア姉さん、それに同調して切歌も慌てだし、それを抑えようとする調、そんな光景を少し離れた場所で見詰めるマム。

 少しだけ特殊であるも掛替えのない日常、それを守ってくれたあの人。

 

 

「今度はお名前、訊けると良いな」

 

 

 そんな事を胸の中で誓いながらマリア姉さんたちを見詰めた。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 その事件の後、朝倉藍は南米に逃げ込んで身を隠れて現世界の情報を集めていた。

 何処から集められてのか分からないパソコンや電子機器を扱いながらデジヴァイスを操作していた。

 

 

「黒人の軍人が居たからもしかしてと思ったがアメリカに居たとは思わなかったな」

 

「だから現地調査は大切だと言ったんだ」

 

「今言ったって後の祭りだよっと」

 

 

 片手でキーボードを弄りながら最後にタッと弾く。

 するとモニタが不規則なデジ文字が乱立していき、次に色々な数字が流れていく。それらが終わるとモニタの真っ暗となり新に映し出された。

 

 

「おっ出てきた出てきた」

 

「何か分かったか?」

 

「……櫻井理論?」

 

 

 藍自身、聞いた事ない論文を見つけて黙読を続けた。

 他にも認定特異災害"ノイズ"など知らない情報がモニタに映し出され、それらを更に黙読を続けていると遠くから爆発音が響いてきた。

 

 

「そう言えば南米に逃げて来たけど、ここ何処の国?」

 

「知らずに来たのか?」

 

「いや、身を隠すので精一杯だったし」

 

「あの後、追っ手を振り切るのに精一杯だったからな。っで、ここの国名は?」

 

「"バルベルデ共和国"って国だそうだ」

 

 

 異世界からデジモンを従えて後『シンフォギア世界』と命名される世界に姿を現した朝倉藍。

 強大な力を持った凶悪なデジモン"アルカディモン"を討伐封印する為、この世界で多くの戦いを繰り広げる事になる。だが、それは今の藍は知る術はない。

 かくしてデジモンとシンフォギア、二つの世界が交わりだす。

 ソレが何が起きるかは誰も知らない。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第一章 ~彼女たちの歌には、血が流れている~
ツヴァイウィング 001


ちくしょぉ~着物393ゲット出来なかった……。
まぁ着物防人はゲット出来たんですけどね。後で分かったけど効果てきには着物たやマの方が強いみたいですけどね……。
くそぉ縁がねぇなぁ~……。

さて、愚痴はここまでにして……。
デジモン側の独自設定の単語がチラチラと書いてしまい読者の皆さんを混乱させてしまっているようですね。スミマセン。

なので、新に出てくる単語や設定なのは後書きに書いて紹介します。
その後は、『各設定及び単語解説』に書き足していきます。

何かあったら感想などで指摘して下されば色々直していきます。
今後とも宜しくデス!


 4年。

 それだけの月日が流れ、朝倉藍は現在、極東の島国『日本』に来ていた。

 対象αこと『アルカディモン』のデジタルウェーブが日本で観測され、藍は急遽この日本に不法入国していた。

 そもそも藍はこの世界の住人ではない以上、戸籍など存在しない。言うなればこの世界では朝倉藍と呼ばれる人間は存在しないのだ。

 今、日本に訪れた藍は何処かのマンションの一室から望遠鏡を片手にとある学園を覗いていた。

 

 

「あれがリディアン音楽院ねぇ」

 

 

 私立リディアン音楽院。

 そろそろ創立10年の区切りを迎える小中高一貫の女子校。女の花園である。

 そんな学園を遠くから眺める藍は正しく変質者に見えなくもないが勿論、理由がある。そのリディアン音楽院に在学している『風鳴 翼』がターゲットであり、その彼女には秘密があった。

 

 

「世界初の適合者、第1号聖遺物『天羽々斬』の装者"風鳴翼"ねぇ」

 

「双眼鏡を覗きながら片手でパンを食べない。はしたない」

 

「良いじゃん。誰かに迷惑掛けてる訳でもないし」

 

「それでもです」

 

 

 注意してくる声に対して藍は双眼鏡から一度離して振向く。

 そこには腰に両手を置いて怒ってますよって雰囲気を纏ったエンジェウーモンが居り、片手に掃除機を持ったいた。

 

 

「何、掃除? 一昨日したばっかじゃん?」

 

「掃除は定期的にしないと埃が溜まるんです。さっ、そこを退いて下さい」

 

「へぇ~い」

 

「返事は『はい』です」

 

「ハイよ」

 

 

 双眼鏡をそこらに捨て置きながら部屋から出て行くと、掃除機の起動する音が響く。

 部屋から出てから藍は台所に向って冷蔵庫から水入りペットボトルを取って、キャップを外して水を飲む。

 

 

「ふぅ……観測があってから早2週間が過ぎ、それ以降は反応無し。騙されたか?」

 

 

 藍はこの4年間、アルカディモンの調査や聖遺物の情報を集めるだけ掻き集めた。

 その結果、アルカディモンの何故この世界に逃走して姿を現したのかが判明した。

 アルカディモンは他のデジモンと違って他者のエネルギーを奪う事で初めて進化が可能なデジモン、それ故に1世代進化するのに膨大なエネルギーが必要である。

 そして、そのエネルギーを高純度で効率良く吸収するのにもってこいなのが聖遺物の中でも完全な状態で保たれた『完全聖遺物』だ。

 4年前、アルカディモンを追ってアメリカのとある施設を潜入(後に米国連邦聖遺物研究機関=F.I.S.と知った)、そこで奴と戦闘になってごたつき色々と後回しになったが、あの近くには『完全聖遺物』が確かにあった。

 『ネフィリム』と呼ばれる、見た時には蛹状態で基底状態に封印されてはいたが当時、機械を用して起動実験が行われ一様は成功はしている。まぁ、制御下から離れて暴走してしまったが……。

 そこで暴走した場合の安全装置として適合者の資質を持った少女"セレナ・カデンツァヴナ・イヴ"を使って封印する予定だった。だが、

 

 

「そこにアルカディモンは狙った」

 

 

 予想が正しければ『ネフィリム』だけではなく、少女セレナが使ったと思われる絶唱のエネルギーも喰らったのだろう。

 機械で起動できる聖遺物のエネルギー程度では進化には足りなかった。だから、絶唱で生じた膨大なエネルギーを同時に捕食した。

 アルカディモンの根底にあるのは超究極体に進化して破壊しつくす事……。そして、次も狙うなら『完全聖遺物』だろう。

 

 

「あれからずっと大国あたりを調査するも痕跡はなく、完全聖遺物の所在も分からず。っで、最近になって日本にアルカディモンのデジタルウェーブが観測して来てみれば、それ以降は音沙汰無し」

 

 

 おちょくられてる?

 そう思わずにはいられない藍ではあったが、この2週間か調べれるだけ色々と調べた結果、日本に数少ない適合者2名いる事が分かった。

 1人が先程述べた"風鳴翼"と、その彼女と組んでいる『ツヴァイウィング』呼ばれるツインボーカルユニットの片翼"天羽奏"と呼ばれる女性だ。

 

 

「まぁ表向き、なんだろうけど……良い曲だ」

 

 

 偶然、適合者同士がツインボーカルユニットを組んで歌手デビュー。

 その様な奇跡が起きる訳もなく、裏では別の部隊に所属していることが分かった。

 "特異災害対策機動部二課"それが彼女たちが所属している所であり、唯一"ノイズ"に対抗できるシンフォギア・システムを保有している部隊でもある。

 

 

「一課の方は何処にあるのかは分かってるけど、二課が何処にあるか分からないんだよな」

 

 

 結局分かったのは『ツヴァイウィング』の風鳴翼と天羽奏の2人が装者であり、特異災害対策機動部二課に所属している事だけ。後は彼女達の個人的な情報くらいか……。

 

 

「F.I.S.に関しては『ネフィリム』起動実験失敗のごたつきで色々と探れたけど、こうもガッチリ守られては調べようがないな。これ以上の調査では良い情報は出てこないな」

 

 

 藍はテーブルに置かれているリモコンを操作してテレビを点けた。

 すると、画面には『ツヴァイウィング』のライブが開催されるとCMが流れており、それが明日に迫っていた。

 

 

「ライブねぇ」

 

 

 今頃になってチケットを手に入れることは不可能だろう。

 表向きとはいえ『ツヴァイウィング』の人気は相当なものであり、それに関連したCDやグッツなどは飛ぶように売れ、ライブチケットとなれば手に入れるのは困難に等しい。

 

 

「空から見るのもアリか」

 

 

 都合の良いことに空飛べるデジモンも居るし。

 そっと横目で部屋の掃除をしてくれているエンジャウーモンを見て、明日の予定が決まった。

 

 

◆◆

◆◆◆

◆◆

 

 

 翌日。

 『ツヴァイウィング』のコンサートライブを行われるドーム会場に到着した藍は水平線に沈みだした夕陽を眺めていた。

 スマフォ型デジヴァイスで現在時刻を確認、そろそろ夕刻の時間帯であり開始時間も夕方だ。

 

 

「そろそろっか」

 

「藍、本当に此処にアルカディモンが?」

 

「可能性は低いけど一様警戒に越した事はないでしょ」

 

「ただライブを観賞しに来た訳ではないでしょうね?」

 

「……」

 

「ちょっとこっちを見て下さい、黄昏てるんじゃありません」

 

 

 図星を突かれた藍は明後日の方向に視線を逸らし、それを咎めるエンジェウーモン。

 現在、エンジェウーモンは人間の姿に化けている。そもそも、デジモン状態で街中歩き回っていたら騒動になってしまう。

 だけど護衛が無いのはデジモン側も不安で仕方ないとしてエンジェウーモンが人間の化けて付き人兼護衛役として付いて来てもらっていた。

 

 

「少し人気が無くなったら俺を抱えてドーム会場の屋上まで運んでくれ」

 

「タダで観賞する気ですか?」

 

「いいや、コレはあくまでもアルカディモンに対しての警戒だ。……表向きは」

 

「裏向きは?」

 

「ファンとしては一度でも良いから生ライブ観賞したかった」

 

「はぁ~……」

 

 

 こみかみを抑えながら呆れたように溜息を吐きながら頭を左右に揺らす。

 完全に飽きられながらも、藍はそんなエンジェウーモンを無視しながら徐々に沈んでいく夕陽を眺めているとドームから大きな歓声が聞えだした。どうやら、ライブが開催されたらしい。

 

 

「エンジェウーモン、頼んだ」

 

「……以前から思ってましたが。藍、彼方はデジモンの扱いが少しズレてます」

 

 

 周囲に人気が無いのを確認してエンジェウーモンは本来のデジモンへの元に戻り、藍を両腕で抱えて空を飛んだ。

 ドーム屋上へには1分も掛からずに到着、そこからドーム中央に降り立った『ツヴァイウィング』の2人が歌い踊っていた。

 

 

「……改めて思うが良い歌だし、美人だね」

 

「あら、藍にしては珍しいですね。女性をその様に素直に褒めるなんて」

 

「褒める時は褒めるぞ俺」

 

「でずから珍しいと」

 

「ふんっ」

 

 

 そんな会話をしながらライブを観賞していると『ツヴァイウィング』を走り出し奥へと移動、ドームの仕掛けが起動して屋根になっていた部分が開き、夕陽をバックにして翼の様に広がって展開された。

 

 

「凄い仕掛けですね」

 

「『ツヴァイウィング』故に両翼を象ってる訳だ。ッ!?」

 

 

 藍が何かに気付きデジヴァイスを取り出した。

 エンジェウーモンもまた藍の表情が真剣になった事で緩んでいた意思を張り詰めさせる。

 

 

「どうしました」

 

「アルカディモンだ」

 

「なっ!? 何処に?」

 

 

 デジヴァイスに画面に表示されているグラフの波が激しく揺れ、それがデジタルウェーブが強くなっている証拠であった。

 そのデジタルウェーブの一番強く発している発生源を探して更に藍は驚いた。

 

 

「発生源は――此処かッ!?」

 

 

 座り込んでいた藍は立ち上がり周囲を見渡す。

 その頃、『ツヴァイウィング』の最初の一曲が終わって多くの観客が声を上げて歓声をおくる。だが、今の藍には集中力を削ぐ雑音に成ってしまっていた。

 

 

「まだまだ行くぞーーーッ!!!!」

 

 

 天羽奏の声がドームに響き、それが一層ライブ会場を盛り上げていく。

 ライブ会場の観客たちは興奮する中、藍はやっとデジタルウェーブの細かな発信源をキャッチした。そして――

 

 

「この下ッ!」

 

 

 ライブ会場が爆発が起きた。

 その爆発に多くの観客達が巻き込まれ、その爆風は藍を襲うがエンジェウーモンが身を盾にして守る。

 急な爆発に藍は顔を歪ませ背筋がゾッとする感覚に襲われ、自然と視線は空を見上げた。

 

 

「"ノイズ"!? このタイミングでか!」

 

 

 紅く染まる空に不気味な緑色の飛行物体が数え切れないほど飛行して此方に向ってきてた。

 更に爆発地点から深青色の芋虫が姿を現し、数え切れないほどの人型やお玉じゃくし型も姿を現して観客達を襲おうとしていた。

 

 

「藍、どうしますかッ!?」

 

「ここでアルカディモンを見逃すわけには、でもッ!」

 

 

 藍の脳内では多くの情報を整理していく。

 だが、最終的な決断であるアルカディモンを追うか、観客達を守るか。その二択が決められずにいた。

 頭を悩ませる中、藍の背後から一体のデジモンが姿を現した。

 

 

「藍、何を迷う事がある」

 

「ガイオウモン」

 

「お前は何故デジモンテイマーに成った?」

 

 

 ガイオウモンの言葉を訊いた藍はゆっくり目蓋を閉じた。

 自身が何故テイマーとなったか、その記憶が脳裏に浮かび上がる。

 見慣れた故郷が、業火に燃え上がり全てが灰へと化して逝き、そんな地獄の様な光景を亡骸となった両親の手を握り見詰めている。

 何故、テイマーに成ったか。そんなの

 

 

「決まっている」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。