転生したら何故か親友がTSヤンデレ勇者に生まれ変わって求婚してくるんですけど!? (エスト瓶)
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異世界転生じゃ!

続くかは未定


「っと言うわけでお主は死んだのじゃ」

 

「いや、何がどう言うわけだよ……」

 

いやいや、何その「折角説明してやったのに、また1から説明させるのかよ」見たいな顔されても正直言って困るんだが………

 

そもそも何故自分はここに居るのだ?さっきまで横断歩道の信号機の色が青になるまで待っていたのに、気が付いたらこんな所に居るし

 

「はぁ、もう一度説明するぞ。お主は信号機の色が青まで待っていたが、お主の後ろに居た女子生徒がお主の背中を押して、そのまま走ってきたトラックに引かれて此処に居る。分かったか?分からなかったらお主の魂を砕いて輪廻転生を無くすぞ」

 

「わ、分かった」

 

え、何このお爺ちゃん怖い!?最近の年寄りは皆こんな感じなの!?

 

てか、後ろに居た女子生徒って誰?

 

「お主の親友のハーレムメンバーの一人」

 

「把握した」

 

親友!フラグ管理はしっかりしてくれよ!ハーレムメンバーのフラグ管理は主人公の大事な仕事の1つですよ!そしてハーレムメンバーは絶対に許ざん!

 

「ふむ、お主は親友の事は恨まんのだな」

 

「え?何でアイツを恨まなきゃいけないんですか?」

 

確かにアイツと居た時はハーレムメンバーから逃げる為にアイツを抱えながら走ったり守ったりした事はあるが、アイツは俺にとって大事な親友であり、幼馴染なのだ。たまに喧嘩をする事はあれど、本気で喧嘩をした事は1度も無い程に仲は良かった筈だ。俺視点で言えばだが

 

「お主は変わっとるのぉ」

 

「そうですかね?」

 

あ、そう言えば今日アイツと新作のゲーム買いに行く約束してたのに破っちまったなぁ。まあ、アイツの事だから何とかなるだろう。うん!

 

「よし、そろそろお主を転生させるかの」

 

「え?異世界転生ですか?」

 

「ふむ、異世界転生じゃ。テンプレじゃな」

 

「詳細はよ」

 

「お主が行く世界は二次元の世界では無く、オリジナル世界じゃな。勿論その世界には魔王を始めと言った魔物や魔族と言った者達も居るぞ」

 

「大体分かった」

 

本当にテンプレ道理ですね。と言っても俺は勇者って柄では無いのでパスです。どう頑張っても村人Fくらいだと思うんだよ

 

「転生特典とかあるんですか?」

 

「そうだのぉ、1つなら良いぞ」

 

普通の転生者なら最強の肉体とか無限の魔力とか王の宝物だったりとか世界観をぶち壊す転生特典とか糞だと思いません?せめて世界観を守れと言いたい所だよ

 

「あ、なら盾役としての能力が欲しいかも」

 

「ほう、戦士や魔法使いではなく、盾使いかの?」

 

「うん。何か自分的に戦士も魔法使いも柄じゃないから、親友を守ってた意味で盾役が一番しっくり来るんですよ」

 

「まあ、お主がそれで良いのなら………」

 

書類に書き込むと青い炎と共に先程書き込んだ書類が燃え尽きてしまった

 

「さて、後はお主が転生するだけじゃな」

 

「お世話になりました」

 

「いやいや、久し振りに楽しい会話が出来て嬉しかったぞ。ではな」

 

その言葉と共に俺の意識は暗転してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぅ、まあ、お主の親友は恐らくすぐに再会することになるじゃろうな」

 

一人残った部屋に老人は何処か疲れた様な視線を先程まで居た男の椅子に向けていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那様!お生まれになりました!」

 

「おお!そうか!」

 

「元気な男の子です」

 

「おお、ついに我が家にも男が生まれたか!」

 

「おぎゃああああ!!(お爺ちゃああああああああん!?)」

 

転生した男はまさかの赤ちゃんプレイから始まるとは思いもしなかった




TS作品て最高ですよね


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何で異世界ではフラグが立つのだろうか?

何故か続いてしまった


はい、皆さんこんにちは。無事異世界転生を果たした者です。今の俺の名前はイクス・クラウンと言う名前だ、よろしくな。さて、俺が赤ん坊から転生して既に12年の月日が過ぎ、年齢は12歳になった。俺が産まれた家は中流階級の貴族の家だったが幸運の事に屋敷に居る人達は皆優しい人たちだった、よく小説だと小物感全開のデブが居る印象だったから驚きが禁じ得なかった。まあ、全員が全員屑貴族じゃない事が判明して一安心だ

 

「弟君?そんな所で何やってるの?」

 

「あ、ちょっと考え事を」

 

後ろから声を掛けられたので振り返り、声の正体は俺より1つ上の姉さんだった。姉の名はフル・クラウン、クラウン家に最初に産まれた子供で、天才だった。勉強、武術、礼儀作法、魔法と言った物に全てに置いて他の者を凌駕した。13歳と言う年端も行かぬ少女が既に王国でも片手で数える程度にしか居ない程の最上級魔法を扱えてしまう。武術も格闘戦に始まり、槍術、剣術、棒術、その他色々と言った物までも超一流の域に行けてしまう程の天才ぷりだった。俺が全力で攻撃しても触れる事さえ出来ないだろうな

 

うん。スペックと肩書きを見れば普通にそこら辺によく居るチート転生者に見えるのだが、この姉は天然物の混じりけ無しの本物の天才だった

 

「そう言えば今年で弟君も王国騎士団に入隊できる年齢になったね♪」

 

「まあ、そうだね」

 

この国では13歳になると騎士団に入隊する事が出来る、勿論魔法が扱える者でも入隊は可能。姉さんは1年前に騎士団に入隊したて異例の速さで昇進し、今では王国騎士団の魔法部隊副隊長の地位に居る。マジパネェ

 

「弟君なら絶対に受かるよ!だってお姉ちゃんの弟だもん!」

 

「あ、あはは……、頑張ってみるよ」

 

「うん!」

 

ここまでの会話を聞いて分かる通り、この姉は超がつく程のブラコンです。どのくらいかと言うと騎士団の仕事が無い日は一日中ベッタリ張り付かれで挙げ句の果てには風呂まで付いてくると言う恐ろしい事態になってます

 

いや、別に美少女だから悪い気はしないけど、姉弟で禁断の関係とかヤバイでしょ?

 

「ほら、お姉ちゃんが鍛練に付き合ってあげるから行こ♪」

 

「ア、ハイ」

 

差し出された手を握ると姉さんはゆっくりと屋敷の庭の方に歩き始めた。姉さんの鍛練はハッキリ言って常人だと死んでもおかしくないんだよなぁ。初っぱなから上級魔法を連続で相手目掛けて放ってくる、それを俺はひたすらに防御スキルを使い耐え続けるのがメニューなのだ

 

正直言って泣きたい、何処の世界で弟に上級魔法を連続で放ってくる姉が居るだろうか?鍛練が終わる頃には全身が黒焦げになってるよ!まあ、終わったら姐さんが回復魔法で癒してくれるけど……

 

「それじゃあ、始めるよ!」

 

「今日も生き残れると良いなぁ……」

 

神様、何故貴方はこんな試練を俺に与えたのだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バクション!風邪かの?」




お姉ちゃんは全人類より強い!(ブラコンは世界一!)


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何で異世界ではフラグが立つのだろうか?(フル視点)

勇者(親友)を出す前に色々とフラグを建てなくては……


私の名前はフル・クラウン。自分で言うのもなんですが天才です。小さい頃から英才教育を受けて覚えられる物は全て覚えてきた。10歳になる頃には既に大人顔負けの知識と実力があった

 

10歳の頃の私は色々と荒れていた、周囲の大人からは天才、神童、神からの授かり物と色々と言われ、同い年の子達からは忌み嫌われていた。『何故自分より格下の凡人達に虐げられなくてはいけないのか?』と言う気持ちに支配され、ある日全てが嫌になり両親達が行っては行けないと普段から注意していた森の方に逃げてしまった

 

走り疲れた私は気が付くと森の奥の方まで来てしまっていた。木々が高く生えているので日が上っていてもこの森は基本的に薄暗く、森の奥に行く程に太陽の光は届かなくなる

 

思考が冷静になる頃には周囲から伝わってくる雰囲気に私の足は震えていた。茂みの奥から私を射る視線を複数向けられ私は声も上げられなかった。そしてそんな私に神は悪戯をしたのか私の目の前に額に角を生やした大きな熊が目の前に現れたのだ。熊は私を視界に捉えると後ろに何歩か下がった後に私目掛けて突撃してきた

 

普段から魔法の鍛練はしてきた筈なのに自身の死を前にして魔法を唱える事も逃げ出す事も出来なかった私は思わず目を瞑ってしまった

 

「?」

 

何時まで経っても自身に来る痛みが来ない事に疑問に思い、ゆっくりと目を開けるとそこには信じられない光景があった。それは1つ下の私の弟が右手に持っていた鉄の盾で熊の突進を受け止めていたのだから

 

「うおおぉぉぉぉぉ!!」

 

弟の叫び声と共に受け止めていた盾を横にずらすと何かが砕ける音が二つ聞こえてきた。1つは熊の角が折れる音、そしてもう1つは

 

「いっ……!」

 

盾を持っていた右手はボロボロだった。指は曲がってはいけない方向に曲がり、骨折した骨が皮膚を突き破り外に出ていた。その光景に思わず悲鳴が上がりそうになったけど必死に耐えた

 

角を砕かれた熊は鳴き声をあげながら森の奥の方へと消えていってしまった。残された私達はしばらく熊が逃げた方を見ていたが正気に戻った私は慌てて弟のイクスの元に駆け寄った

 

「何であんな無茶したの!?」

 

「だって、お姉ちゃんが危なかったから……」

 

「今回は運が良かったけど、もしあの突進を防げなかったら貴方は死んでたのよ!」

 

「うん。それでも良いよ。お姉ちゃんが無事なら」

 

「!?」

 

イクスの言葉に私は思わず声が上がらなかった。弟はよく周囲から私と比較されていた、出来損ない、無能、クラウン家の恥さらしと言った罵倒が他の貴族から言われ、普通なら私を恨んでも良い筈なのに弟は私の事をずっと「お姉ちゃん」と言ってくれた。イクスだけが私と言う個人を見てくれた、それは物凄く嬉しかった

 

その後はイクスの治療をしてゆっくりとした足取りで家に帰った。家に帰ってからは両親に二人して怒られたけど、それでも私は幸福感に包まれていた。私を命懸けで助けに来てくれた弟の頭を優しく撫でると弟は首を傾げる。その姿に私は自然と頬が緩み、弟が可愛く見えてしまう

 

『どうかこんな幸せな時間が何時までも続きます様に……』

 

例え、何を引き換えにしてもイクスだけは私が守る。それが例え、悪魔に魂を売り渡してでも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば何で私が森の方に居たって分かったの?」

 

「んー、勘かな?何かお姉ちゃんが危ない気がしたから、探したら森の方に走って行くのが見えたんだよ」

 

「へぇー、流石は私の弟君だね!」

 

「あはは、ありがとう」



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ステータス確認は大事だと思うんだよね

ステータス関係を書くと後々面倒になるよね


さて、姉さんの地獄の試練から生きて帰ってこれた俺は普段着に着替えた。近くに置いてある椅子に座り、自身の意識を己の奥深くに集中させる、すると頭の中に幾つかの文字と数字が浮かび上がってきた

 

 

【名前 イクス・クラウン】【 性別男】

 

【レベル 27】【 クラス ナイト】

 

【筋力B】【魔力D】【敏捷C】【耐久A】

 

今見ている物は《ステータス》と言ってこの世界では誰もが持っている物、この世界はレベル制で最高レベルが100であり、最低レベルが1になる。ギルドや騎士団と言った者達の戦いに精通している者達の平均レベルが30前後で王国騎士団長のレベルが50後半にぐらいの様だ。ステータスは本人の了承があれば他人にも見れるがそれは余程の親しい者以外には見せない様に言われている

 

次に筋力とか魔力の隣にある物だが、これは自身の今現在のランクに位置する。ランクはE~Aまであり、Aに近ければ近い程に強くなる。例えばステータスがオールEの人物とオールDの人物が戦えばどちらが勝つかと聞かれればオールDの人物が勝つ。ステータスは産まれた時から存在し努力次第ではランクを上げる事は出来ても1ランク上げるのが限界らしい

 

それより先にランクを上げた者は居ない為、現状では2ランク上げる事は不可能とさえ言われている。某RPGみたいに馬車で仲間が休んでいてもレベルは上がる事は先ず無い

 

他にもスキル等もあるけどこれは他人には絶対に見せてはならないと言われており、相手に自分の切り札等を知られてしまう恐れがあると言われている為にスキルを見せる事を禁じている

 

俺のレベルが年齢の割に高い理由は主に姉さんのせいなのだ。何かと理由を付けては鍛練に付き合わせたり、同じ隊の親しい部下に練習相手をさせられたりと言った事で俺のレベルはモリモリと上がっていった

 

それと関係ない話なのだけど前、姉さんが自分のステータスを見せてきたのだけどそのステータスに驚きが禁じ得なかった。レベルは俺よりも10上でランクも敏捷と魔力がA、筋力とか耐久がBと言った恐ろしい物だった。それも努力次第ではオールAになるので更に強くなるとかヤバ過ぎないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言えば話は変わるけど、この前一人で街を見て回っていたら路地裏でローブを纏っている女の人が倒れていたんだ。話を聞いてみると腹が減って動けないとの事なので何か居るか聞いてみると、女の人はいきなり立ち上がり、自分の首筋に噛み付いてきた。そしてそのまま数秒に満たない程の合間に血をそれなりに吸われてしまった

 

俺が慌てて女性から離れると女性の顔が驚いた表情を浮かべていた。理由を聞こうとしたら今度は名前を聞かれ、答えると女性は少し笑い、お礼にとイヤリングを渡してきた。理由を聞こうと視線を上げた時には既に女の人は姿を消していた。結局あの女の人は誰だったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、遂に見つけたぞ」

 

女は薄暗い路地を歩きながら先程まで話していたイクスの事を思い浮かべていた

 

「私の吸血で死ぬ事も眷属になる事も無いとは」

 

本来であれば女が行った吸血は普通であれば一瞬で人間がミイラに変わる程の速さの行いだった

 

「今はまだ未成熟だが、あと数年もすれば……ふふ」

 

「お嬢様、そろそろ城にお戻りください。部下達が心配しています」

 

「ふむ、そうだな。そろそろ帰るか」

 

いきなり現れた男に女は気にする事無く歩き始める

 

「次は何時会えるであろうな、イクスよ」




イクス君は歳上にモテるねぇ


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生前の思い出

今回は生前の主人公の死ぬまでの事かな?あと親友登場


「あ、春人!」

 

少し離れた場所で手をぶんぶんと振りながら笑顔で近寄ってくる男に春人と呼ばれた男は小さい溜め息を吐いた

 

「叫ばなくても聞こえてる。それとあまり外で大声を出すのもどうかと思うぞ?」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「それより何か用事があったんじゃないのか?」

 

「あ、そうだった!春人はこれから暇?暇なら駅前に出来たレストランに行かない?」

 

「んー、別に良いけど。たまには女子を誘えよ」

 

「何で?僕は春人と行きたかったんだけど。もしかして嫌だったかい?」

 

「いや、別に嫌じゃないけどさ」

 

「なら問題は無いね。ほら早く行こう」

 

「ちょ!?腕を引っ張るな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うわ、超懐かしい夢だな』

 

先程の光景を何処か遠い目で見て居たのはイクスだった、先程の光景は生前の春人…イクスの記憶の1つだった。転生してからは生前の夢を見る事は無かった筈なのに今日は何故か色々の生前の事が夢で現れてくるのだ

 

例えば幼稚園の頃の夢は初めて親友の奏とであった時の記憶だった。幼稚園の頃は女みたいな名前だって笑われていたのを俺が止めに入ったんだけかなぁ。そこから奏は俺とよく居る様になったんだよな

 

「全く!名前を弄るなんてアイツら最低だな!」

 

「…君は僕を虐めないの?」

 

「虐めるわけないだろ!あ、俺は春人って名前なんだ!よろしくな!奏」

 

「うん、よろしく春人!」

 

何故だかアイツの頬が赤かったのは照れ臭かったんだろうな。初めての友達にどう言った態度で接して良いか分からなかったんだろう

 

 

 

小学生になってから奏は色んな人物に注目されるようになった。女の子からはキャーキャーと黄色い声が飛び交い、男の子から運動や勉強などが出来る事から引っ張りだこだった。

 

「相変わらず他の皆に人気だな」

 

「そうかな?僕的にはどうでも良いんだけど」

 

「全くお前は……」

 

「それよりも今日は春人の家で遊ぶんでしょ?早く行こうよ!」

 

それでも何故か奏は常に隣に居たのだがどうしてだろう?親友としては早く他の友達も作って欲しかったのだが

 

 

 

中学に上がる頃には奏は何処かの小説に出てくる様な完璧超人な爽やかイケメンに成長していた。文武両道、才色兼備と言った言葉がまさに似合う男に成長した奏はこの頃から上級生、同級生、下級生から週に数回告白される事が多くなった。何故か告白される度に俺も同伴させられるのだが何故だ?

 

「あ、あの!わ、私と付き合ってください!」

 

「ごめん。僕には君の気持ちに答える事は出来ないんだ……」

 

「そうですか……」タッタッタ

 

「何であの子の愛の告白を断ったんだ?」

 

「えっと僕には心に決めてる人が居るから……」

 

「へぇー、お前を落とす奴が居るなんてなぁ。誰だ?」

 

「ふふ、内緒」

 

結局その後は奏と一緒に駅前で遊んだけどアイツの想い人って誰なんだろうか?

 

 

 

 

高校に入ると奏の凄さが更に膨れ上がった。ギャルゲーでよく見る展開が自分の目の前で繰り広げられていた。ほんわかした先輩だったりツンデレ同級生、甘えん坊な後輩だったりと言った面子が奏を取り囲んでいた。俺のポジションは完全に親友ポジションに収まりましたよ!やったね!チクショ!

 

「あまり奏を困らせてると嫌われるぞ?」

 

「うっさいわね!馬鹿春人!」ドゴォ

 

「痛った!?」

 

「ふん!」スタスタ

 

「どうしたの!?春人!怪我してるじゃないか!?」

 

「ん?ああ、ちょっと◯◯と言い合いになってな」

 

「◯◯さんが……」

 

「ん?どうかしたか?」

 

「ううん。何でもないよ。それよりも早く保健室に行こう」

 

「ああ、分かった」

 

怪我の原因を教えると小さな声でツンデレの名前をボソッと呟いた後に何かを考える様な素振りをしていたが一体何を考えていたんだろう?

 

 

 

次の日からツンデレの同級生は学校に来なくなってしまった。何でも精神的に不安定になってしまい、学校に行けなくなってしまったらしい。一体アイツに何があったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

僕は人が大嫌いだ。他の者より変だと感じるとすぐに周囲を囲んでその人物を虐げる。一人では何も出来ない低能風情が……、そんな中で彼は現れた、低能共から僕を救ってくれたヒーローが現れた。彼は何て事も無い様に僕に笑顔を向け、握手を求めてきてくれた。そして僕は彼、春人と友達になった、それからはずっと春人の後ろを付いて行く様になった。小学校の頃に彼から親友と呼ばれた時は涙が出そうな程に嬉しかった。彼はそこまで僕の事を思っていた事に感謝と感激が同時に襲ってきた

 

中学に入る頃には僕の周りには低能共が群がってくる様になった。周囲が僕を称賛の声を向けるがそんなどうでも良い事は頭に入ってこなかった。春人から愛想良くしろって言われたから周囲に愛想良くしていたらそれを勘違いした低能な雌共が僕に告白をしてきた。正直言って虫酸が走った、『気持ち悪い』『吐き気がする』『僕に話し掛けるな』と言った事を言いたかったが近くに春人が居るから適当に振ることにした。その後は春人に先程の低脳な雌の事を聞かれたがどうでも良かったが適当に答えた。僕にとって君が一番なのだから

 

高校に入ると中学より更に酷くなり、僕の周囲には雌共が常に群がっている状況に陥ってしまった。その程度ならまだしもあの雌はあろうことか春人を邪魔者扱いし始めたのだ。その光景を見て僕は強い殺意を覚える程に雌を心の罵倒を放っていた。春人の姿が見えなかったから探してみると右足を怪我していたので理由を聞いてみるとあの春人に対して罵倒を放つ雌が蹴ってきたらしい。あの雌だけは絶対に許さない。殺しても殺しつくせない程に殺したい衝動に刈られたが今は春人を保健室に送らなくては……

 

その後はあの低能な雌を呼び出し、徹底的に心のへし折り、2度と外に出れない程に心を殺してやった

 

 

 

 

 

 

 

春人が死んだ。原因は車に跳ねられて後頭部を強く打って死んでしまったらしい。本来なら運転手を今すぐ殺したい衝動に刈られるが周囲の証言を聞いてある疑問が浮かんだ。春人は普通に信号が変わるまで待っていたが突然飛び出した事によって跳ねられたらしい。そして春人の真後ろに居た女子生徒が春人が死んだ時に何処かに逃げていく様を見ていたらしい。そして調べた結果分かった。春人を殺した真犯人が、犯人はあの心を折った低能の雌だった。そして僕の中の何かが切れた

 

 

 

 

 

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ殺す殺す殺す殺す殺すコロスコロスコロスコロス

 

あの女だけは何があっても絶対に殺す!僕から春人を奪った償いをさせてやる!

 

春人、少し待ってて欲しい。僕もすぐにそっちに行くから、今度は絶対に春人を守って見せるよ




初っぱなから親友が闇落ちしてましたね


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無表情の女騎士

今回でヒロイン関係のフラグは終わりかな?多分

感想が思いの外来てたので結構楽しみにして読んでます


俺が騎士団に入隊してから2年が過ぎた

 

え?早く無いかだって?馬鹿を言わないで欲しい、13になってから騎士団に入隊してから訓練に訓練が重なり、更に実戦と言う名の地獄に叩き落とされた時の記憶なんて思い出したくないんだよ。それと何故か騎士団では俺はボッチだった。誰も話し掛けてくれないし、目も会わせてくれないんだよ!ストレスで死にそう(白目)

 

「……イクス、おはよ」

 

「ああ、おはよう。アリア」

 

騎士団の中でボッチの俺だが先程俺に挨拶してくれたアリアと呼んだこの子だけは俺に話し掛けてくれる、勿論口数は物凄く少ないけど……

 

騎士団に入隊した時は見習いとして色々な知識や訓練をやり、その後は新人騎士団の歓迎会で先輩騎士に色々と戦場のいろはを教わったりと色々と騒がしかった。そして一番辛かったのは訓練で近くの森の調査をしていたらオークの群れに襲われた。見習い騎士達はパニックになり、我先にと逃げ出す始末。残った何人かの見習い騎士と残ってくれた先輩騎士の人と一緒にオークの群れを食い止める事に成功した

 

その際にオーク達の視線が何故か俺に集まり、一斉に襲ってきた。俺は咄嗟に他のメンバーから離れ、右手に装備してある盾で何とか防ぎながら後衛のメンバーによって迎撃してくれたけど何故自分だけ?

 

「……格好よかった」

 

戻る時に見習いの騎士の一人の女の子にそんな事を言われたが何処が格好いいんだ?

 

そんなハプニングに遭遇しながらもあっと言う間に2年が過ぎていました。一番解せないのが俺が出掛ける度に魔物や犯罪者に遭遇する事だった、そして毎度の事ながら初めて格好いいって誉めてくれた女の子が仕事が終わる度に抱き付いてきて寝てしまうのだ。本当にこの子は何がしたいのだろう?

 

あ、そう言えば最近何故か何処からか視線を感じる事が多くなった、何て言うか悪意の視線じゃないのは分かるけど好意的な視線でもないのが凄い気になる……。まさかストーカー!?いやいや、こんな平凡な男をストーキングする物好きは居ないだろう。何故か奏には何時も行く先々で遭遇していたが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリアside

 

今日から私、アリア・ローベルも遂に騎士団に入隊することになった。別にギルドで冒険者をするのもアリだけど、あっちだと成果と報酬が釣り合わないし、無駄に命を捨てたくない

 

騎士団に入隊すると色んな種類の人間が居る。自信に満ちている者、成り上がろうとする者、嫌々入った者と様々な人間が居た。その中で一際目を引いた存在が居た、灰色の髪に黒い瞳を持ち、誰とも話さずにただ待っている人が居たのだ

 

周りを寄せ付けない雰囲気を醸し出し、同年代の彼等では怖くて話し掛けられないのは仕方無いことだろう。勿論私も彼等と同い年だけど。勇気を持って話し掛けてみよう。女は度胸だ

 

「……こんにちは」

 

「……ああ」

 

視線をチラッと此方に一瞬だけ向けた後はすぐに視線を戻し、また無言の空間が広がってしまった

 

「……名前は?」

 

「イクス、イクス・クラウンだ」

 

名前を告げると今度はお前の番だとばかりに視線を向けられた

 

「……私は……アリア・ローベル……よろしく」

 

今度こそ興味を無くしたのかイクスは何も喋らなくなり、会話が終わってしまった。その後は騎士が来て訓練の内容を告げられた。私はチラッとイクスの方に視線を向けるが特にこれと言った反応は無く、ただ淡々と聞いていた

 

それから何ヵ月も己が扱う武器の訓練や雑学を学んでいった。そして先輩達の引率で近くの森の調査に来てみると何処から現れたか分からないけど大量のオークの群れが現れた。それもオーク達のレベルは1体が40超えの奴等ばかりだった。オーク達の姿を見た同期の者達は声を上げて真っ先に逃げだしてしまった

 

今の私達ではどう頑張ってもオークを倒す事は不可能だ。どうしたら生き残れるのかと考えていると突然イクスが私達から距離を放した。すると先程までイクスが居た場所にはオークの持つ斧が降り下ろされていた。一瞬何が起きたのか理解できなかった。だけど私の脳が理解するよりも先に状況が動いた、オーク達が一斉にイクスの方に向かって攻撃し始めたのだ。普通なら40超えのオーク達の攻撃を一斉にされたら生きてはいない。だが私の目の前でそれは起きなかった。何故ならばイクスは手に持っている盾でオーク達の攻撃を受け止め、弾き、往なし、もう片方の手には剣が握られ確実にダメージを与えていたのだ

 

正気を取り戻した先輩騎士達がイクスの援護に回り、オーク達は森の奥に撤退していった。どうやら私達は生き残れたようだ、それもイクスのお陰で。だからか自然と言葉が出てしまった

 

「……格好よかった」

 

私の言葉にポカンとしたイクスがしていたが私にはそれを気にする余裕がなかった。何故ならば私の顔は真っ赤になっていたのだから……

 

その後は特にこれと言った事は起きなかった。あれ以来私はイクスと会話をするようになり、イクスも初期よりも良く喋ってくれる。こんなに他の者と会話をするのが楽しいとは思わなかった

 

だから感謝するよイクス。ありがとう




無表情の女の子って良くないですか?心の中では必死に頑張って会話を広げようとするけど、周りが勘違いしていくとか最高だと思えます

あと、勘違い物を書いていると色々と難しいですね


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最強勇者現れる

今回は【あの】人物が出てきます


今俺は王宮に来ている。何故王宮に来ているかと言えば自分が所属している騎士団の隊長に無理矢理護衛と言った目的で拉致されてきました。何故か副隊長とアリアも協力して俺を騙していた、正直言って泣きそうです……

 

さて、愚痴はここまでにして、本題に入ろう。隊長の話では近年魔物達が活発化してきたので何か良くない事が起こるのではないのかと言う王宮の中で噂されていたらしい。そこで王族は勇者の子孫である者を王宮に呼び出し、王国最強と言わしめた騎士団の総大長ムーク・バルトと模擬試合をさせた、結果は勇者の子孫が圧勝だった。国王はそれを見て国の為に魔物達の調査を依頼したが勇者はそれを一蹴したらしい……、そんな反応を見て大臣達が怒り始めたがそれを勇者は無警告で大臣達にギリギリ当たらない程度に放った。見事大臣は気絶、勇者は何事も無かったかの様に王宮を後にしたらしい

 

そして今回は国王がもう一度勇者を呼び出したのだか何故か王宮騎士達だけではなく、騎士団である俺達も召集させられた、恐らくは万が一の事を考えての処置だろう。それと王宮騎士と騎士団の仲は物凄く悪い、王宮騎士は自分達こそが真の騎士と呼び、俺達騎士団を騎士擬きと馬鹿にしてくる。まあ王宮騎士は貴族出身の屑が集まるところだ。勿論貴族の中には俺みたいに騎士団の方に入る者も居るが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王宮をしばらく歩き、王が居る王の間に到着した。既にそれなりに人は集まっているが肝心の王と勇者の姿は見当たらなかった。恐らくはまだ時間では無いのだろう

 

「隊長、何で俺を連れてきたんですか?」

 

「それはお前が俺の隊の中で一番硬いからだよ」

 

「要は盾になれと?」

 

「正解♪」

 

「盾で殴っても?」

 

「それは困る!」

 

この隊長は普段は不真面目だが緊迫した時や非常事態の時は頼れるのにどうしてこんなにも緊張感が無いのだろう?

 

「イクスも馬鹿の言葉に一々乗らないの」

 

「すみません」

 

俺達の会話に入り込んできたのは副隊長のノーラさんと言って隊長の奥さんとの事らしい。夫婦で騎士団の隊長、副隊長とは恐れ入ります

 

「……来たみたい」

 

アリアの言葉に俺達は私語を止め、扉の方に視線を向けると王が入室してきた。それに対して全員が項を垂れた、王からの一言二言の後に立ち上がり周囲に異常は無いか確認をする

 

「勇者様が参られました!」

 

王宮騎士の言葉に王の間に緊張が走った。前回みたいな事になれば自分達が出なくてはならないのだ

 

「私に一体何のお話ですか?魔物調査の件ならお断りしますよ?私にはやるべき事があるので」

 

王の間に入ってきた勇者の姿を見て俺は視線を奪われた。簡単に言ってしまえば美しかったからだ、恐らく周辺諸国の誰よりも美しいと感じてしまった。それと同時に頭の中で何かが鳴り響く【この人物は危険だ】【関わってはいけない】【逃げろ】と言った物が頭の中で鳴り響く、だがそれとは裏腹に体が言う事を聞かない。例え彼女に殺されてもその姿を心に焼き付けたいと言う衝動に刈られてしまう

 

「おい、意識をしっかり持て!」

 

「!?」

 

自分は一体何を考えていたんだ?あの勇者を見た瞬間に心の奥底から訳も分からない衝動に刈られていた自分に困惑してしまう

 

「あれは一種の呪いだ」

 

「呪い?」

 

「男女関係なく、魅了しちまう程に強力な魅了だ。魅了されたら最後あの勇者の奴隷になるぞ」

 

隊長の言葉に衝撃を受けた。ならばあれは本当に呪いではないのか?誰をも魅了し相手の心さえ奪うなど呪い以外に考えられなかった。現に俺や隊長達に王以外は皆魅了されてしまっている

 

「調査をしてくれるのであれば褒美も授ける」

 

「だからいらな……?」

 

「?どうした?」

 

急にキョロキョロと勇者が何かを探すように周囲を見始める。王の言葉を無視し勇者はキョロキョロと視線を向けると偶然目が合ってしまった。その瞬間異様な程の寒気を感じた。そして勇者はニッコリと微笑み、ゆっくりとした足取りで此方に近付いてきた

 

「退きなさい」

 

その言葉に俺の周囲に居た者達はモーゼの様に道を開けた。隊長達も自分達の行動に驚き、目を見開いていた

 

「やっと、見付けた。私の私の為の私だけの王子様♪」

 

その言葉と共に勇者はゆっくりと両手で俺の顔を掴みそして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ」

 

キスされました

 




やっとメインヒロイン(白目)が登場しましたね。これからイクスはどうのなろうか?


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修羅場?何それ美味しいの?

力を持った者通しの争いは既に修羅場ではない……


まさか勇者にキスをされるとは思わなかった。キスなんて生前罰ゲームで奏とポッキンゲームをして事故でキスした程度だ、まさかファーストキスが爽やかイケメンの幼馴染とは思わないよな、何故か知らんが奏は頭から湯気が出る程に真っ赤になっていたな。お互い忘れたい過去になったな……

 

ドコンッ!バンッ!

 

さて、そろそろ現実逃避は止めて目の前の事実に目を向けなくては……

 

今俺の目の前では大魔法使いと呼ばれるフル・クラウンと勇者の家系に産まれ、歴代最強と噂されているアーシャ・イザヨイが激しくぶつかり合っていた。お互いに女の子が出してはいけない声や言葉を吐き散らしながら全力で相手の息の根を止めに掛かっていた

 

「このクソビッチが!よくも私の可愛い弟君の純潔を奪ったな!」

 

「あれは私の物だ!お前の様な屑に春人を渡すか!さっさとくたばれ!」

 

「クソビッチがぁ!★★★を■■■■で■■■■やろうか!」

 

「はっ!その前にアンタの■■■を★★★で●●●てやる!」

 

えー……非常にお聞かせできない程の罵倒が飛び交いながらも最上級クラスの魔法をバンバン射っている状態が既に一時間過ぎています。誰か助けてください……、そして何故アーシャは生前の俺の名前を知っているんだ?

 

因みに俺以外には誰も居ないので(アーシャとフルに睨まれた王が決闘の場を用意しました)問題は無いはず。勿論声が漏れることも無いので安心できるが俺の精神がガリガリと削られています。あの何時も優しくブラコンでも皆の前では凛々しかったフル姉さんは何処に行ってしまったのだろう……。あの誰もが魅了される程の美貌をもった美しいアーシャも何処に行ってしまったのだろうか……

 

そもそも何故二人が戦っているのかと言うと、あの後にアーシャが王に何かを言って、懐から紙の様な物を近くの王宮騎士に渡し、そのまま俺を担いで帰ろうとして居た所にフル姉さんと遭遇し、最初は笑顔で対応していた姉さんも徐々に表情を消し、何故か良く分からないけど訓練場を借りて試合と言う名の殺し合いが始まった

 

「■■■■■■■■■■■!!」

 

「●●●●●●●●●●●!!」

 

既に文面にすら乗せられない程の言葉を吐き散らしながらも攻撃が更に激しくなって行く。こんな光景を見せられて自分は女性恐怖症に陥りそうです(白目)

 

仕方無い、ここは必殺技のアレを使う事にするか

 

「フル姉さん!それ以上続けるなら今後一切他人として接するぞ!」

 

「!?」

 

「フッ、お前はやっぱり春人に相応しくないな!」

 

「アーシャさんもこれ以上するなら今後一切貴女とは関わらない様にしますよ!」

 

「!?」

 

俺の言葉に二人の動きが止まり、その表情は絶望に染まっていた。いや、そこまでの事か?姉さんなら分かるけどアーシャさんの方は今日が初対面ですよね?

 

「イクスに嫌われる?嫌ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「春人と2度と会えなくなる?嫌!嫌だ!もうあんな想いをするのは嫌!」

 

これ端から見たら完全に俺が泣かせたことになるんだろうなあ、姉さんは男性騎士や一般男性に非常にモテる存在だし、アーシャは言うまでも無い。そんな二人を泣かした俺は全国民を敵に回したも当然……、ひぃ!死にたくない!

 

「ふ、二人共?もう俺は怒ってないから泣き止んでくれないか?」

 

「グスン……本当に?お姉ちゃんの事嫌いになってない?お姉ちゃんの事愛してくれる?」

 

「本当だよ、姉さんの事を嫌いになるわけ無いだろ?勿論愛してるよ?家族的な意味で」

 

「うぅ~、春人は私を捨てない?ずっと一緒に居てくれる?それと結婚して?」

 

「俺の名前はイクスだからな?捨てないも何も捨てたこと無いし、ずっとは流石に無理だけど一緒に入れると思うぞ?それと俺には結婚はまだ早いから無理だな」

 

何か知らないけどアーシャさんに求婚されたけど適当に答えて、二人の顔をハンカチで拭いた後は荒れ果てた訓練場を三人で戻すことにした。あれ?結局何で俺はここに居たんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……求婚されて嬉しかった?」

 

「いや、あれは悪ふざけでっ「ギュ」って痛いよ!」

 

「……今度の休みに私とデートすること良い?」

 

「デートって俺達別に付き合ってる訳じゃ……」

 

「……何か言った?」キッ!

 

「ナ、ナンデモアリマセン。今度の休みの日に予定を空けときます」

 

「うん、よろしい」




イクスは着実にフラグ強化をして行く模様


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勇者と騎士の他愛ない会話

今回は甘いかも?

※コメントは返した方が良いのだろうか?


アーシャと姉さんの騒ぎから数日が過ぎ、俺はまた王宮に呼び出されていた。理由は王が異世界から勇者召喚をするとかで騎士団の方にも警護の依頼が来ていたのだ。そして今回は隊長達は居らず、自分だけが王宮に訪れる事になった。いや、せめてアリアか近接戦の人を着けて欲しかったよ、こちとら防御特化だから攻撃が弱いんだよ、戦闘になったらただの体の良いサンドバックですよ!?

 

「まあまあ、そんなに落ち込まない!イクスだけじゃ心配だから私も付いてきたんだから♪」

 

「いや、アーシャは無理矢理俺の後を付いてきたような……」

 

「でも、もしもの時に備えて戦力は必要でしょ?こう見えても勇者だよ、私?」

 

「否定できないのが辛い……」

 

何故かアーシャが付いてきたのは驚いたけど、単純な戦力として見れば確かに有難い。勇者にも強弱はあるがアーシャはその中でもトップに入るくらいの力を持つ勇者らしい、初代勇者も異世界から呼ばれ、魔王を倒したとか。初代勇者も相当強かったが歴史から見ればアーシャの方が強いらしい。アーシャの説明通りならだけど……

 

「ね、イクスは男の親友とか居ないの?」

 

「いきなりだね?」

 

「だって、旦那様の友人関係を知るのも妻の役目だからね」

 

「いや、俺達結婚してないよな?」

 

「それで?どうなの?」

 

「話聞いてないし……。まあ、良いや。今は居ないけど昔一人だけ居たよ。頭が良く、運動も出来て、女の子に超人気だった親友がな」

 

「……そうなんだ」

 

イクスの言葉にアーシャは下を向くがイクスはその事を気にせずに話を続ける

 

「親友と並んで歩いてると周囲からはよく比較されてたなあ、「何でアイツが親友なんだ」とか「どうせ媚を売ってるんだろ」とかよく言われたな」

 

「…………」

 

「でもな、俺はそんな事を気にした事は無かったんだ」

 

「え?」

 

イクスの言葉にアーシャは顔を上げてイクスの顔を見る。そこには何処か誇った様な顔をして居るイクスが居たのだ

 

「だって、俺はアイツの親友で、アイツが評価される事を誰よりも喜んだんだからな。アイツが周囲に認められる度にアイツの周りに人が集まる。それが俺にとって何よりも嬉しかったんだ」

 

「……あ」

 

アーシャの口から小さい言葉が出掛けた。それは生前彼から聞けることが無かった言葉だったから、周りに人が寄れば寄る程に春人が遠くなって切なくなる気持ちを押さえ込んでいた自分とは対照的に春人は自分の事を喜んでいた

 

「でもな、アイツは実は寂しがり屋でってどうしたんだ?」

 

「っ、ううん、何でもないよ。その親友もイクスの事が今でも大好きだと思うよ////!」

 

「はは、男に想われてもな。でもそうだと嬉しいかな」

 

「ありがとう春人、大好きだよ」ボソ

 

イクスには聞こえない程の小さな声で彼に感謝の言葉を送った

 

「ん?何か言ったか?」

 

「ううん。何でもないよ!それよりも早くお城に行かないと怒られるよ///?」

 

「ちょ!?引っ張るな!ま、待って、転んじゃうから!待ってください、お願いします!」

 

(今イクスに顔を見られるのは恥ずかしいからね///)

 

耳まで真っ赤にしたアーシャはイクスに気付かれない様にする為に彼の手を引っ張りながら城に向かって歩き出す




アーシャはイクスが関わらなければ結構良い人かも?


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異世界の勇者

異世界の勇者が召喚されました(今後出番があるとは言っていない)


アーシャと会話をしていたらあっと言う間に王宮に到着した。アーシャは慣れた足取りで王の間に案内してくれた、案内された王の間には以前と同じくらいの人と何故か第二王女様が王の隣に居た。恐らくは異世界の勇者と言うものに興味があるのだろう、それはそれとして王女様は何故俺を見つけて毎回頬を染めるのだ?俺と王女様には何の接点も無い筈なのに……

 

「これより召喚を始める!」

 

王の言葉に数人の召喚魔法に秀でた者達が中央に集まり、魔法陣を書き始めた。書き終えると今度は人の真ん中に紙の様な物を起き、何かを砕いた様な粉を振り掛けると魔法陣が光だした。魔法陣の光はどんどん強くなり、魔法陣を中心に風が吹き荒れる。眩い光が王の間を一瞬で包むと同時に魔法陣の中央に誰かが立っていた

 

姿を確認すると魔法陣の中央には一人の男が立っていた。何処かの制服って事は間違いなく勇者ですね分かります

 

男の姿を確認すると何処かのギャルゲーの主人公になりそうなオーラを放ち、尚且つ爽やかイケメンの男だった。まあ、奏の方が遥かに爽やかイケメンだけどな!ウチの親友の方が主人公に向いとるわ!

 

王の間に居る人物達も勇者の姿を確認すると近くに居る者達で会話が始まった。まあ、殆どがあの容姿の事なんだがな。そこで俺はアーシャの方に視線を向ける、もしかしてアーシャもあのイケメンに惚れたのかと思い確認してみると

 

「ん?どうかしたの、イクス?」

 

まるで何事も無かったかの様に俺の視線に気が付いたアーシャに俺は少し驚いた

 

「いや、アーシャは見惚れないんだなって……」

 

「あの程度で私が見惚れるわけないでしょ?それに私は、イクスに惚れ込んでるからね、君の方がよっぽどイケメンだよ♪」

 

「はは、お世辞でもありがとう」

 

「もう、お世辞じゃないのに……」

 

さて、俺達がこんな会話をして居る間に召喚された勇者(仮)が王様の説明を受けている。内容はアーシャの時と同じで近くの森で魔物調査をお願いしていた。いや、普通は知らない場所に飛ばされて死ぬかも知らない調査に受けるわけ「分かりました!僕に出来ることなら協力させてもらいます!」…………嘘やん

 

え?馬鹿なの?あの勇者馬鹿なの?いきなり死と隣り合わせの所に飛び込むのに何の躊躇いも無いとかあの勇者怖いんですけど……

 

あ、これは昔携帯小説で見た偽善者勇者の様な気がする。もしくは見た目は爽やかだけど中身が屑の様な性格をしてる奴とか。どっちにしろあの勇者は面倒な種類の人間だと分かった

 

そしてあの勇者はハーレムを築くんだろうなぁ、姫様、女剣士、魔法使い、盗賊、エルフと言ったまさに異世界ハーレムだな、羨ましいぞ!少しは俺に分けてほしいな!いや、嘘です、ごめんなさい、自分にそんな度胸無いのでハーレムとか無理です

 

「………………」

 

先程から勇者がこっちを見てるような……あ、もしかしてアーシャの魅了を受けたな?

 

「何か凄い舐め回される視線を感じるんだけど……」

 

「アーシャは綺麗だからな」

 

「イクスになら体の隅々まで見られても困らないけど、あれは無理。何て言うか視線が完全に私の胸とお尻と顔を見てるもん。下心が丸見えだよ」

 

悲しいかな、俺はそれを否定できなかった。俺自身も最初に見た時は魅了の効果もあって、食い入る様にアーシャの顔をマジマジと見ていたのだから。因みに俺は背中フェチなので尻とか胸に興味は無い

 

「あ、こっち来た」

 

勇者が此方に向かって歩いてきた。勿論目的はアーシャだった

 

「は、はじめまして!僕は佐藤創です!」

 

「………………」

 

アーシャさんまさかのガン無視です。俺ならこの時点で心が折れて来世に旅立って居るに違いない

 

「あ、あの」

 

「煩い、私とイクスの時間を邪魔するな」

 

「!?」

 

勇者が何か言おうと口を開いたがそれを被せる様にアーシャは口を開き、彼に対して拒絶の言葉を放った

 

「私はお前と関わる気がない。分かったのなら早く元の場所に戻れ、邪魔だ」

 

これ程まで新しく召喚された勇者に対しての暴言を吐いてる筈なのに誰も止めに入らないのには理由があった。かつてアーシャに対してネチネチと嫌味を言っていた者はアーシャに胸ぐらを捕まれ、岩石すら砕くその拳で死ぬ寸前まで殴り続けたのだ、それも王の間で。それ以降は彼女に対して不満は思うも言葉には出さない、聞かれれば今度は自分が同じ末路を辿るから

 

そしてその事を知らない人物がこの場に一人居た。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ、何であんなモブと楽しく話してるんだよ……」

 

勇者が誰にも聞こえない程の小さな声でそんな事を言っていた。そしてそれを勿論聞き逃す筈も無く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

「ん、何か「バキッ!」ガッ!?」

 

アーシャが放った全力の右ストレートがもろに勇者の右顔に入り、そのまま近くに立っていた柱に吹き飛ばされた

 

「お前は私の逆鱗に触れた。楽に死ねると思うなよ?」

 

そこに立っていたのは美しいアーシャでもなければ勇者としてのアーシャでも無い。その姿はまさに悪魔だった




ヒロイン達の前でイクスの悪口を言えば地獄すら生ぬるい恐ろしい事態になります。一途って素晴らしいね(白目)


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アーシャの実力と狂気の第二王女

ヒロイン紹介が終わったと言ったな、あれは嘘だ

戦闘描写が雑です


「王よ、召喚された勇者の力を見たいので死合(誤字じゃありません)をしても?」

 

ゆっくりと王の方に視線を向けるアーシャに強ばった表情で小さく頷いた。彼女の視線には「断れば今ここでお前を殺す」と言った意味を含まれた視線を向けられていたのだ。アーシャが小さく指を鳴らすと周囲に結界が張られた、恐らくは周囲の強度を上げる結界の類だろう

 

「さて、何分お前は持つかな?」

 

「糞が!舐めるなよ、雑魚キャラがよ!」

 

完全に先程までの爽やか系のイケメンの雰囲気は無くなり、口調も荒々しい物に変わっていた。恐らくはあれが彼の本来の性格なのだろう

 

「王の財宝!」

 

勇者の後ろに黄金の波紋が幾つも現れ、そこから剣や槍と言った武器が現れる

 

「死ねぇ!」

 

一斉に放たれ、アーシャに目掛け飛んでくるが彼女は1歩も下がること無く、一番最初に飛んできた剣を掴みとり二撃目の攻撃を掴み取った剣で迎撃する。勇者から放たれた武器は数百を越えていたがアーシャは顔色を変えること無くその全てを破壊する

 

「凄い…!」

 

その光景に俺は見惚れていた。一撃一撃が死に至る攻撃を彼女は難なく破壊していく、英雄とはまさにああ言うのだろうと俺は思った

 

「チッ!糞神が!使えないもん渡しやがって!」

 

攻撃を続けながら勇者は自身の近くに波紋を出し、そこから1本の剣を取り出した。それは生前でよく見た武器だった

 

「……エクスカリバーか」

 

何故転生者は王の財宝やエクスカリバーや無限の剣製を望むのだろうか?自分の力で成り上がろうとは思わないのだろうか?

 

「テメェもこれで終わりだ!エクス……」

 

「お前遅すぎ」

 

「なっ!?」

 

剣を構える勇者にアーシャは先程まで迎撃に使っていた剣を捨て、一瞬で勇者の目の前まで接近し勇者の両腕を手刀で切り落とした

 

「お前には過ぎた力だよ」

 

切り落とされた腕からエクスカリバーを取り上げるとそのまま真っ二つに折り、スキルで粉々に砕いた

 

これが本物の勇者の力ならそれは何と恐ろしい事だろう。昔読んだ本には勇者一人で国を一つや二つ落とせる程の力があると言われている

 

彼女は先程までの戦闘では一切その場を動かずに数百の攻撃を難なく破壊し、一瞬で相手の懐に飛び込み手刀で相手の両腕を切断した。恐らくは1/10の力も出ていないだろう。もし彼女が敵になった事など考えたくない

 

「ふぅ、色々と考えさせるな……?」

 

不意に何処からか視線を感じ、周囲に視線を向けるが何処にも気配が無い。騎士団に入隊してしばらく経ってから何処からか視線を感じる事がよくある、近くに気配が無いことから魔法で覗かれているのかと考えたが魔法の痕跡も見当たらなかった。あの視線の正体は何なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二王女side

 

うふ、うふふふふふふふふふふ、私(わたくし)の勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様勇者様!

 

もっと私に気が付いて!もっと私を見て!私の勇者様、今日は貴方を間近に見れて私はとても幸せですわ!もし、ここにお父様や女勇者が居なければ私は貴方をその場で押し倒していましたのに……でも良いのです!私は勇者様のお姿を見れれば幸せですわ!

 

ふぅ、それにしてもお父様が新しく召喚された勇者は大ハズレですわね。何と言うか顔だけで成り上がった感が物凄いですし、何よりもつまらないですわ

 

(スキル・タクティカルスコープ)

 

 

【名前 佐藤創】【 性別男】

 

 

【レベル 1】【 クラス 勇者】

 

 

 

【筋力A】【魔力A】【敏捷A】【耐久A】

 

【スキル 王の財宝、エクスカリバー、無限魔力、状態異常無効化、作成、万能の知識、無詠唱】

 

彼女の前に勇者のステータス画面が現れる。それは本来なら見える筈の無いスキルまで彼女には見えていた。そして彼女は慣れた手つきで作業を始めた

 

(スキル・剥奪者)(スキル・改変者)

 

今のあの男には過ぎた力ですね。ですから私が全部【貰いましょ♪】良いですよね?

 

王女のスキルは特別なスキルにより、1日1回が限界だがそれすらもデメリットにならない程な強力なスキルだった

 

【剥奪者】は視界に捉えた者のスキルを奪う事が出来るスキル、奪われた者はスキルが無くなると言う恐ろしい事態になる

 

【改変者】は視界に捉えた者のステータスを任意で変更する事が可能で自身よりも低いレベルの物に対して発動できる

 

【タクティカルスコープ】視界に捉えた者のステータスやスキルを見る事が可能になる

 

王女のスキルにより勇者の欄から全てのスキルが消え去り、勇者のステータス欄の全てがオールEに変えられてしまった

 

ふふ、お父様にはそのお人形を上げます。存分に可愛がってあげてくださいな♪

 

新しく手に入ったスキルに第二王女は笑みを更に深め、両腕を切り落とされた勇者を花の様な笑みで見つめた

 

これも全ては私の勇者様の為ですわ♪踏み台になってくれた事に感謝しますわ♪




この国で最も危険なのは姉でも勇者でも無く、第二王女です


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騎士団としてのイクス

この作品は俺TUEEEEE系では無く、俺の周りTUEEEEEです。一応主人公も強いけど周りが更に強いだけです


勇者召喚儀式から数日が過ぎ、今俺は溜まりに溜まった書類整理をして居る。隊長が書類整理をしなかったお陰で部下の俺とアリアで手分けして期限が近い書類から片付けている

 

「あの馬鹿隊長があああ!何処行ったんだよ!」

 

「……酒場じゃない?」

 

「糞が!」

 

既に作業を開始してから三時間が過ぎたが一向に減る気がしない。こう言う時に限って副隊長は居ないし!てか絶対に狙ってたろ!

 

「……気分転換に街の見回りに行かないか?」

 

「良いよ」

 

流石にずっと部屋に缶詰は体に良くないので気分転換に外に出る事にした。決して書類仕事が嫌になったからではない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よし、執務室から抜け出したので息抜き兼街の巡回を始めるか。と言っても特に見回る所は無いので適当にぶらつきながら仕事をサボった隊長を見つけるとしますか

 

「……この前ここで猫の親子が」

 

「へぇ~、良かったな」ナデナデ

 

「……んっ////」

 

アリアは頭を撫でると普段は無表情な顔も撫でてあげると僅かに嬉しそうな表情を浮かべてくれる。何だかんだ言ってアリアとも入団してからずっと一緒に居るんだよなぁ

 

「どうかした?」

 

「いや、何でもないよ」ナデナデ

 

「……んんっ////」

 

はあ、アリアが癒しだ。最近何かと大変だったけどアリアのこの顔を見れると和むよ……

 

「あ、一応ギルドに寄って隊長居ないか確認しなくちゃ」

 

「……うん」

 

ギルドとは冒険者が所属する組織で魔物討伐から薬草とりと言った幅広い仕事をこなす組織である。酒場兼依頼受付をしているので家の隊長が居る可能性は大である。冒険者と言っても平均レベルが一般騎士と同じくらいなのでそこまで秀でた者は居ない

 

「……相変わらず酒臭い」

 

ギルドに入るとアリアは部屋に充満した酒の臭いに顔をしかめる程に臭っていた。外で待つか聞いたが付いてくると言ってきたので一応注意だけはして受付嬢の所まで向かう

 

「すまない、自分は騎士団のイクスだ。ここに家の隊長は来なかったか?」

 

「ギルドマスターと2階で何か話しておられますよ」

 

「会えないだろうか?」

 

「すみません。ギルドマスターに誰であろうと通すなと言われていまして」

 

「そうか、仕事中に邪魔してすまなかった」

 

「いえ、お気に為さらずに」

 

受付嬢に軽い謝罪をしてからギルドを出て帰ることにした

 

「そう言えばギルドで面白い話聞いた」

 

「面白い話?」

 

「ん、何でも帝国のギルドに勇者と同じくらいの魔力を持った兄妹が登録に来たらしい」

 

「……他に情報は?」

 

「兄の方は見た事の無い服装を着てたらしい、妹の方は手足に枷の跡があったらしい」

 

「魔力の方は?」

 

「兄は勇者と同じかそれ以上、妹は大魔法使いフル隊長と同じ」

 

「…………」

 

そこまで情報から考え、ある1つの仮説が浮かんだ。それは小説ではよくある展開だ。巻き込まれ異世界ではないのだろうか?恐らくは数日前の勇者召喚に巻き込まれて帝国側の方に飛ばされたのだろう

 

「アリア、その兄妹の情報をもっと集められないか?」

 

「わかった。任せて」

 

もし巻き込まれ君が敵に回ると面倒だ。早めに手を打たないとな……せめてあの勇者の様な性格じゃありません様にお願いします




異世界転生ではよくある展開だと思います


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第二王女の過去

ダイニオウジョサマカワイイヤッター



私の人生は既に産まれながらに決まっていた。国の為に好きでもない相手と政略結婚して好きでも無い男の子を産み、好きでもない子を育て、好きでもない者達に看取られながら死んで行くのが私の決められた人生。私には最初から自由が無かった、国の道具として育てられた私は周囲から人形だと言われていた。私にとって人形になった方がどんなにマシだったか……

 

私は呪われていた。神がしたのか、それとも悪魔がしたのかは定かではないが私は呪われていた。体の至る所に黒い痣の様な物が幾つもあった。それだけならまだ良かったがたまにその黒い痣から目玉の様な物が現れ、見た物を無数の目が凝視する

 

お父様も私をどう扱って良いのか困惑していた。普通に他の兄弟姉妹の様に接して良いのか、それとも客人の様に接するのが良いのかで悩んでいた。私にとってお父様の考えは余りにも低レベルの悩みであり、そんなことを考えていることに私は頭を痛めた。本当にこんな男が私の父なのかと?本当に色々と考えさせられた、父だけではなく産みの親の母や兄弟姉妹も余りにも考えが幼稚すぎる。兄達は自分が次期国王になる為に色々と貴族達を抱え込もうとしたり姉妹達は恋愛の話や男について語り合っていた。本当にこんな者達が私の血を分けた存在なのだろうか?

 

そんな下らない日々を過ごしている中でたまたま騎士達が訓練している所を目にした。普段なら気にも止め居ないのだけど今日だけは何故か騎士達が訓練の様子が気になってしまった。そこで私はある存在に気が付いた、3人掛かりで一人の子供と訓練していた。最初は虐めかと思っていたがお互いの顔には真剣の文字が書かれているのかと錯覚する程に真面目だった

 

3人組の方はそれなりに任務をこなしてきたベテラン騎士に対して子供は恐らくは入隊したての子だろうか?何故ベテランの彼等が子供の彼を相手に攻めきれてないの気になり、タクティカルスコープを発動して彼のステータスを見た

 

彼のステータスは既にレベルが30を越えており、ステータスも王国でも貴重なAランク持ち、更にはスキルもありと興味を引いた

 

(イクス・クラウン……)

 

彼の名前を心の中で呟きながら私はある事を思い付いた。すぐにメイドに準備させて私は彼が居る訓練場に向かった

 

「お疲れ様です。喉が乾いておりませんか?」

 

「あ、有難う御座います」

 

私から受け取った水を一気に飲み干した彼はお礼を言い、立ち上がった

 

「えっと、君は?」

 

「私ですか?私はこの城で使用人をさせてもらっています。名はローズ、ローズ・マリアです」

 

「あ、自分はイクスです」

 

「イクス様ですね?」

 

「イクスで良いですよ。様付けとか自分には似合わないので」

 

「まあ♪ではイクスさんと呼ばせてもらいますね?」

 

「よろしく、ローズさん」

 

「私の事もマリアとお呼びください」

 

「えっと、ならマリアさんで」

 

「ふふふ♪」

 

ああ、何と言うことでしょう。彼と話しているとまるで心の中にある闇が消えていく感じがします。この人なら私が抱えている闇も狂気も受け入れてくれるのでしょうか?私の狂気を見ても壊れないでしょうか?試したい、この人に自身が持ちうる限りの狂気を当てたい

 

そんな衝動に刈られ私はある1つの賭けをして彼の手を掴み人が来ない場所まで連れてきて彼を壁際に追い込む

 

「な、何!?」

 

「イクスさんに少し見て欲しい物があるので」

 

そのままメイド服を脱ぎ始める私に顔を真っ赤にするイクスさんに少しの嬉しさとこれからの展開で彼の表情が変わる事に心苦しさがあった。メイド服を脱ぎ終えた私はイクスさんの表情を確認する。先程までの真っ赤な顔から何処か真剣な表情に変わっていた彼の表情に私は少しドキッとした

 

「それは痣?誰かにやられた?」

 

「いいえ、これは生まれ付きです。そしてこれも……」

 

私の言葉と共に痣の部分から一斉に目玉が現れ、イクスを凝視する。普通の人間なら顔を真っ青にして逃げ出すだろう

 

「……これを俺に見せたかったのか?」

 

「…はい。これを見て私をどう思いますか?」

 

気持ち悪い、化け物、歪み子、疫病神と数々の言葉が頭の中で流れては消えていく、それはかつて実際に言われた言葉が今でも頭の中に残っていた

 

「別に?綺麗な身体と思うよ俺は」

 

「は?」

 

思わずそんな言葉が出てしまった私は悪くないだろう。この男はこの様な醜い身体を見て綺麗だと言うのか?

 

「私が綺麗ですか?嘘を言わないで下さい!本当は心の中では醜いと思ってますよね!?こんな醜い身体を見て何処が綺麗なんですか!?」

 

「いや、マリアの身体は綺麗だろ?何処が醜いんだ?その痣か?それとも目玉か?そんな物を気にしてる奴は結局は外見だけしか見てないんだろ。俺にとってはその身体は綺麗だし美しいと思うぞ?」

 

「っ!?」

 

彼の言葉に思わず言葉が詰まってしまった。今まで誰にも誉められた事が無かった私にとっては大きすぎる衝撃だった。結局は私も誰かに認められたかったのだろう、だからイクスが言った言葉に私はここまで動揺してしまった。そこからは私は目から溢れる涙が止まるまで彼に抱き付いて泣いていた

 

それから数分間泣いた後には私の心は晴れていた。こんなにも晴れ晴れな思いになった事は1度も無かった。彼が私を認めてくれた、他でも無い彼に私は惚れてしまった。彼が欲しい、彼を手に入れたい、彼が手に入るのなら私は喜んで民を見捨てよう、彼が手に入るのなら悪魔に魂を捧げられる

 

「私、貴方が好きよ」

 

「自分にはまだ早いと思うんだよ」

 

「ええ、だから貴方が大人になったら返事を聞かせてくれるかしら?」

 

「う、うん」

 

例え貴方が私を選ばなかったら私は貴方を捕まえに行くわ。首に鎖を巻き付けて私の部屋に閉じ込めて一緒に暮らすの♪だからそんな飼い殺しになりたくなかったら良い返事を待ってるわ。私の勇者様♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、そろそろ服を着てくれないかな?」

 

「あら、私の身体は綺麗じゃないのかしら?」

 

「いや、目のやり場に困るって言うか……」

 

「ふふ、何なら下着も外しましょうか?」

 

「それだけは勘弁してください!社会的に死んでしまいます」

 

「ふふ、冗談よ♪」

 

 




意外と長かったです

次回の更新から深夜帯に更新していきます


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イクス君のお仕事と厄介事

イクス君出張編です


どうもイクスです。今俺はあの馬鹿隊長の命令で帝国に来ています。何故俺が帝国に来ているかと言うと最近世間を賑わせてる奴隷商人達が次に行う場所を特定し、現地の帝国兵と協力して捕まえてこいよと言われ、放り出されてきました。いや、いや普通は他国の事情に首を突っ込むのはどうかと思うんだけどな、どうやら第二王女様が帝国の皇帝と話をつけたらしいので何故か自分が派遣されました。まあ、王国でも奴隷商人に拐われた者も居るので見過ごせないので良いんだけどな……

 

「帝国も王国とそんなに変わらないな。街並みは俺的には帝国の方が好きだけど」

 

よく小説や漫画では何かと帝国が敵になる事が多いが所詮は創作物に過ぎなかった。確かに治安的な意味では王国より帝国の方が悪いがそれでも人々が笑顔があるのは確かなのだ。それに市民からはよく王族の話を聞いたりと民からの信頼も厚い。それと何でも帝国には四天王の様な者達も存在してるとか?

 

さて今回の任務は長期任務になる為に隊長から多目に渡された資金だが余り使いたくないので適当に安宿を探す事にするか。それと今回の任務に当たって王国を離れる際に姉さんとアーシャが大泣きして離してくれるまでに丸1日の説得が続いた。いや、姉さんはそろそろブラコンを卒業しようよ?姉さん程の美人なら男なんて選り好み出来るのに……、まあそんな事を言えば俺は姉さんに愛の鞭と言う名の地獄の訓練が待っているだろうけど、そして帝国に来てからも例の視線は消える事は無かった

 

「帝国の名物と言えば魔法学校か?」

 

帝国には魔法を学ぶ為の学舎が存在する。前世で言う所の学校だろう、毎年多くの受験生が色んな国から集まるのはある意味お祭り騒ぎだ。王国やその他の国は魔法学校は無い為に必然的に帝国に魔法使いの卵が集まるのは仕方の無いことだろう

 

そもそも魔法は誰にでも扱える物では無い、魔法使いに必要なのは魔力と才能だ。才能があっても魔力が無ければなれないし、その逆もまた同じだ。だから王国でも魔法使いは貴重な戦力として数えられている、最上級魔法を扱える者は国から優遇される程に

 

そしてスキルも同じだ、スキルは産まれ持った才能であり、似た様な物はあれど同じ物は一切無い。そしてスキルを多く持つ者ほど優秀と言われる。先代勇者でさえ8保有する程の持ち主だった

 

「ん~、粗方見回ったけど特にこれと言った目新しい物は見当たらなかったな」

 

まあ、当たり前か。こんな白昼堂々と人拐いが起きていたら帝国の兵達は何をやってるのだと怒鳴りに行っている所だ

 

「でさ、先生がな」

 

「全く兄さんは!」

 

「はは、本当に面白ぇな」

 

前方から歩いてくる魔法学生に視線を向けるとグループで買い物でもしているのかワイワイと騒ぎながら歩いてるのが目に入った

 

「…………」

 

その集団の中でも1番目だったのは黒髪黒目の少年だった。アリアの情報に乗っていた人物の特徴と合い、その隣の少女の腕辺りには上手く隠せているが枷の跡もあった。そして気配を探れば彼等の周囲には人とは如何なる気配も感じ取れた。恐らくは使い魔の類だろう、今は彼等と関わりたくないのでそのままスルーさせてもらおう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ……」

 

「ん?どうかしたのか?ルー」

 

「いや、何でも無い」

 

ルーと呼ばれた使い魔は先程までのイクスの視線に気が付いていたが何か思い当たることがあったようだ




転生者の中でアーシャ→越えられない壁→イクス→巻き込まれ君→越えられない壁→男勇者です


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盾役の本気 試合上

初の主人公の戦闘を書いていこうかと思います(物凄い雑です)


帝国に来てから既に1週間が過ぎた。奴隷商人達に関係する殆どの資料は集まり、帝国兵達と協力しながら作戦を計画していた。案外帝国兵の人達は良い人が多いのか皆フレンドリーに接してくれたので特にこれと言った衝突イベントはありませんでした、寧ろ来なくてホッとしてます

 

(それにしてもここ最近になって妙な視線を感じるな)

 

それは今までの視線ではなく、何処か探りを入れた様な視線だった。視線の正体を探ってもすぐに姿を消して追い様が無いので半ば諦めているが……

 

「イクス殿、ランケー隊長がお呼びです」

 

「あ、はい。今行きます」

 

帝国兵の人が俺を呼びに来たので従い隊長が居る部屋に案内された

 

「ランケー隊長、イクス殿を連れて参りました!」

 

「ふむ、ご苦労。君は下がってくれて構わないよ」

 

「ハッ!失礼します!」

 

部屋に残ったのは俺と隊長のランケーだけだ

 

「いきなり呼び足して悪かったね、イクス君」

 

「いえ、大丈夫です」

 

「そうかい?それと君の所属している騎士団から手紙を受け取っていてね。中身は見てないから安心してくれ」

 

「はあ、失礼します」

 

手渡された手紙を確認するとそこには衝撃的な事が書かれていた。内容を纏めると第二王女が帝国の最高戦力の四天王の一人を自分と勝負してみては?と言う無茶のお願いをしてきたのだ。最初の方は皇帝も俺の事を心配して断ろうとしたが第二王女の【お願い】により渋々と許可を出したらしい

 

(王女様ああああああああ!?何故只の一般兵にそんな無茶な事を頼んだのですか!?)

 

恐らくは帝国の最高戦力の四天王の強さを知りたいと言う願いなのは分かりますが、そう言うのは姉さんやアーシャが居ますよね!?

 

イクスの考えとは違い、彼女は単にイクスの戦う姿が見たいだけのお願いだと言う事はイクスの知らぬ所だろう

 

「何て書いてあったのだい?」

 

「……国からこの国の最高戦力の四天王の一人と戦えと……既に準備は出来ているらしいです」

 

「………………」

 

ああ、隊長まで顔が歪んでますよ?まあ、俺も同じ様な顔をしてると思うけど……

 

「取り敢えず城に向かうか……」

 

「……はい」

 

俺達は重い足取りで城に向かう事にした。その様は今から処刑される囚人の様に気持ちが落ち込んでいた。俺、王女様に何かしたかなぁ?

 

一方のその頃第二王女と言えば

 

(ふふ、勇者様の勇姿この【目】でしかとお見受けします♪)

 

部屋にはマリアだけが居り、マリアの手には人間の目玉が握られていた

 

「さて、帝国の者がどのくらい私の勇者様と戦えるか楽しみですわ♪」

 

手に持っている目玉を握り潰すと小さな光と共にマリアの視界にはイクスとその周囲の物が写し出されていた

 

(本当にこのスキルは役に立ちますわね)

 

 

【深淵の瞳】は距離、場所、時間を関係無く見たい物とその周囲を使用者の視界に映し出す。デメリットは魔力を保有した者の目を代償にしなくてはならない所である




第二王女様は可愛いですよね?(真顔)


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盾役の本気 試合下

んー、戦闘描写が相変わらず雑!


既に話は通っているのか警備の兵士に止められる事無く、指定された部屋に入ると中には男女2名ずつイスに座り待っていた

 

「へぇ~、アンタがイクスかい?」

 

「普通に見れば只の兵士だな」

 

「中の上か上の下かな」

 

「女の子が良かった」

 

何だろう対面すると同時に自分に対する評価が決まった事に泣きたくなってきた……、まあ、俺はイケメンじゃないからそこら辺は諦めてるし良いかな

 

「はい、自分は王国騎士団大17師団隊長補佐のイクスです」

 

「ほう、【あの】17師団の隊長補佐か……」

 

イケメンと筋肉が合わさり最強に見える男の人が俺の所属部隊を聞いてどうやら興味を引いたらしい

 

まあ、無理もない。17師団と言えばかつて大軍の魔物達相手に唯一壊滅する事無く生き残り、勝利を納めた伝説の部隊と言われる程に有名な話だ。その時の隊長を勤めていたのが今の馬鹿隊長なのだけど普段の態度を見ていれば嘘に思えてくる。何で俺がそんな所に居るかって?姉さんに無理矢理入れられたからだ。言わせんな恥ずかしい

 

「今日はアタシ達の誰かと模擬戦をするんだろ?」

 

「はい。ですが模擬戦をするにも自分の装備が無いのですが……」

 

「あ、それなら心配しなくて良いよ。貴方の隊長さんが装備一式届けてくれたわ」

 

隊長おおおおおおおお!何してるんですか!?人の武具勝手に運ばないでくださいよ!

 

「アンタは隣の部屋で着替えてきな。その間にアタシ達は誰が戦うか決めとくから」

 

「あ、はい」

 

チクショ!完全に逃げ道塞がれたよ!帰ったら覚えてろよ隊長!戻っても書類整理手伝ってやらないからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、こんなものかな」

 

鎧を着込むのに5分も掛からなかったけど、相変わらずこの鎧は自分には似合わないな

 

鏡に写し出されている自分を改めて確認する。鏡には黒で統一された騎士、俗に言う黒騎士だ。隊長が何処からか持ってきたこの鎧を無理矢理着させられたのは悪い思い出だ。それと何で黒騎士何だろう?他の騎士達は白で統一されてるしアリアの格好は完全に姫騎士だしさ。俺だけ何か魔王の手下って感じなんだけど!?やめてよね!虐め、良くない!

 

嘆いていても進まないので仕方なく、さっきの部屋に入ると四天王の皆さんがガン見してきます。違うんです、僕の趣味じゃないんです

 

「ほぅ、あれが噂の【鉄壁】か」

 

「人は見掛けに寄らないわね」

 

ロリっ子と筋肉さんが何やら感想を言ってるけどこの鎧って遠くの声が聞こえないから何をいってるのか分からないんだよね。陰口だったら俺はその場で泣く自信がある

 

「それで?相手は誰だ?」

 

「!?あ、ああ、今回は新しく入った新人とやってもらいたい。大丈夫か?」

 

あ、つい何時もの癖で口調変えちゃった。姐さんがすごい顔でこっち見てるよ

 

「ああ」

 

「そうか、では訓練場に行こう」

 

姐さん系の女性に後を付いて行くと訓練場に到着した。既に訓練場には皇帝と対戦相手のと思うローブを深く被った人物が待っていた

 

「今回は非公式だからな、見物人はここに居るメンバーだけだ」

 

「了解した」

 

本来なら皇帝に対して挨拶しないといけないんだけどそんな勇気は俺には無い!それと対戦相手の人もごめんね!こんな茶番に付き合わせて!

 

「それではお互いに構えろ。今回のルールは相手が戦闘不能か参ったを言えばその時点でその者の勝利。相手を死に至らしめる攻撃や後遺症、精神を破壊する魔法も禁止だ」

 

「…………」コク

 

「わかった」

 

「それでは試合開始!」

 

彼女の声と同時にローブの人物は複数の魔法を展開しイクス目掛けて飛ばしてくる

 

「【硬化強化】【高速化】」

 

イクスが幾つかの言葉を唱えると共にその場から彼の姿が消えた。余りの速さに対戦相手を含む全ての者が驚愕の顔をしていた

 

「甘い、戦場で油断するな」

 

「なっ!?ぐっ!」

 

彼が持っていたメイスに横脇腹を叩き込まれ数メートル吹き飛ばされたが何とか持ち直し、再度魔法を放とうとするが

 

「遅い」

 

先程まで数メートル離れていたイクスが既に男の真正面まで近づいていた。対応が遅れた男の片腕を掴み、何も無い方の放り投げると同時に一瞬で飛ばされた場所に先回りし、メイスを両手に持ち、力一杯に男の腹に叩き込んだ。叩き込まれた男は地面に接触すると地面が少し凹み、リバウンドする男を蹴り、遠くに飛ばした

 

「これで終わりか?」

 

イクスの言葉によろよろと立ち上がる男に未だに諦めの文字がは無かった。そんな男を見てイクスは小さな溜め息を吐きながら構える

 

(スキル・チェンジ・シールド)

 

先程まで何も持っていなかった片手にタワーシルドが現れた

 

【チェンジ・シールド】はイクスが保有している盾の中から必要とする盾を召喚する事が出来る。盾を持っている時にチェンジ・シールドを使えば必要な盾と使用している盾が入れ替わる

 

「ふぅ、来い。お前の魔法を全て受け止めてやる」

 

その言葉に男の表情はピクリと動くと何やら詠唱を始める。魔法に精通している者なら今詠唱している魔法が如何に危険かが分かるだろう。それに気が付いた女性二人が制止の声を掛けるが聞こえてはないであろう

 

「全てを燃やし尽くせ!【ダブル・フレイム・ドラゴン】!」

 

男の真後ろから2匹の龍を型をした炎の龍がイクス目掛けて突撃してきた。【ダブル・フレイム・ドラゴン】は火属性の最上級魔法の1つで全てを焼き尽くすとさえ言われる程に強力な魔法だった

 

(スキル・精霊王の鎧)(スキル・不動の盾)

 

彼の周りに奇妙な風吹き起こると同時に男が放ったダブル・フレイム・ドラゴンが彼に当たった。当たると同時に激しい炎の柱が現れる

 

「はぁ、はぁ、これで、ど、どうだ?」

 

流石に先程まで一方的にやられていた男は脇腹を押さえてその場に座り込んでしまった。既に彼の体力は限界なのだろう。そして未だに凄まじく燃え盛っている火柱を見て、周囲は彼が死んだと思った。思ったはずだった

 

「これで終わりか?」

 

その言葉と共に先程まで燃え盛っていた炎の柱が一瞬で消え去り、燃えていた場所には無傷のイクスが立っていた

 

「はは、化け物が……」

 

「しょ、勝者イクス!」

 

その言葉と共に男は意識を失い倒れてしまった。結果勝負はイクスのほぼ圧勝で終わった

 

【精霊王の鎧】は装備者の魔法に対して大幅に魔法威力を下げる事が可能。ただし使用すると一時的に全ての魔法が使用不可能になる

 

【不動の盾】は盾でガードする事で物理ダメージを全てを無効化する。ただし使用後はしばらく使用不可能になる




主人公は決して弱くはないありません。強さ的には上位に食い込む程の強さですが周りが規格外の化け物クラスなので弱く見えるだけです


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イクス君の帰還

さて、そろそろヒロイン無双の準備でも……(多分まだ先)


オリジナル日間ランキングにて7に入ってました。やったぜ!


いや~、帝都での2週間はマジで地獄だった。新人の四天王?を倒したと思ったら何故か他のメンバーとも対戦させられ、何とか勝つことが出来た。皆さん本気を出さないであの強さだから凄いと思ったよ。筋肉さんの素手のラッシュは凄い速いし、姉さんの槍術も流石と言うほか無いし、ロリっ子の魔法も凄かった(手加減したのか姉さんよりも弱く感じたけど)、ツンデレ系のお嬢様はレイピアの速度が筋肉さんより速くて驚いた。でも模擬戦と言う事もあり、本来の力を出す事が無かったのが悔しい。是非四天王の本気を見てみたかった……

 

それからは鎧を送り返すのも面倒なので皇帝に許可を取り、帝国内でも鎧を着ることを許可してもらった。見た目に反した凄い軽いから負担は全然無いんだけど、これを来ている時は何故か人が一切近寄ってこない。近寄って声を掛けると「ヒッ!?こ、殺さないで…!」と怯えた表情をされる、正直言って俺の方が泣きたいんだけど?でも子供達には何故か人気で出歩く度に子供達に抱っこをお願いされる

 

あ、それと例の奴隷商人のアジトを襲撃する際に何故か部隊の指揮を任せられたよ。いや、俺は只の一般兵なのに何で指揮を執るんだ?まあ普段から隊長不在の時にお偉いさんの相手をしてるので良いけどさ。裏口がある場所と正面から同時に攻めたら物の見事に全員捕まえる事が出来ましたよ。捕らえられていた人々も皆解放出来て良かった、その際に助けた人達から何やら視線を感じたんだけど何だったのだろう?あ、もしかてこの格好が気になったのかね?見た目、黒騎士ですし

 

任務も終わり、いざ帰ろうとしたらお世話になった帝国兵の皆さんに泣き付かれた。何でもランケー隊長が数日の間不在なので書類整理を手伝って欲しいと泣き付かれてきた。いや、自分これでも王国の兵なんで機密情報がある書類を捌くのは無理ですよ?そんな事を聞いてみると機密関係はランケー隊長にやってもらうらしく、自分はそれ以外の書類をやって欲しいとか。まあ、お世話になったので恩返しも込めて手伝いますけど

 

そして全ての書類が終わる頃にはランケー隊長が帰還していた。帝国兵の皆さんは大歓喜し、ランケー隊長も物凄く喜んでいた。いや、普段からしてくださいよ。

 

そんな事もあり、無事に王国に戻り隊長に戻ってきた報告と任務終了の報告書を提出して、いざ帰ろうとしたら隊長に呼び止められた

 

「すまんが手伝ってくれ。お前が居ない間に結構溜まっててな」

 

「は?」

 

視線を向けるとそこには机を埋め尽くす程の紙の束が幾つも置いてあるのだ。いやいや可笑しいよ!出掛ける前に全部終わらした筈なのに何でこんなに溜まってるの!?

 

「どう言うことですか!?」

 

「いや、ちょっと、用事でここを離れていてな?そしたらどんどん溜まっていってな?」

 

「へぇ~用事ですか?どんな用事ですか?」

 

「いや、それは~その~……」

 

「ん?」

 

「ちょっと洋館に遊びに行っt」

 

その言葉を最後まで聞くことはなかった、何故なら俺は隊長が言い切る前に盾で隊長を殴り飛ばしていたからだ。こちとら仕事疲れでイライラしてるんじゃ!そんな馬鹿な事やってないで仕事せい!馬鹿が!

 

結果俺は手伝う事をする事無く、実家に戻り久々に母さんの手料理を食べながらゆっくりとその日を終える事が出来た

 

翌朝執務室に顔を見せると涙を流しながら必死に書類仕事に勤しむ隊長の姿を確認してから手伝う事無く、俺は久々にアリアと一緒に鍛練に勤しんだ。あ、帝国で買ったお土産を皆にあげたら喜んでくれたので満足満足

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2週間ぶりのイクスだああああああああ!!イクスニュウムを補充だああああああ!!」

 

「弟君!お姉ちゃんが何れだけ心配したか分かってるの!?弟君が居ない間お姉ちゃん、心配で心配で毎日二時間しか寝れなかったんだよ!」

 

「……イクス罰を受ける。私を連れて行かなかった罰を」

 

(やっと私の勇者様が帰ってきましたわね。お爺様も今回の試合で私の勇者様の強さをご理解出来たかしら?)

 

「ちょ!?皆待って!脱がさないで、お願い!アーシャ下着だけは止めて!お婿に行けなくなるから!姉さんも一緒に脱がすのを止めろ!俺達姉弟だぞ!アリアは傍観してないで助けて!え、ちょ!?手を縛るな!足も縛るな!誰か!誰か助けてえええええ!」

 

その後何とか守りきる事は出来ました。何がとは言わないが……




王女様無双書きたいな


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不思議な出会い

ヒロインじゃないよ


最近王国内がピリピリとした空気が流れている。その原因は今王国を騒がしている連続殺人鬼が自分のすぐ隣に居ると思うとピリピリするのは当たり前だ。一応騎士団の方でも見回りを強化しても全く捕まる気配が無い、流石のアーシャも放置する事が出来ずに独自に調べてもらっているが未だに手掛かりは見つかっていない

 

連続殺人鬼は夜遅くに現れ、相手を路地裏に誘い込み相手を殺すと言った手段だった。そして殺人鬼はご丁寧に殺した相手をバラバラにしてその場その場に残していくと言うサイコっぷりで隊長達も頭を悩ませていた。俺も出来るだけ見回りをして居るが一行に見つからん。取り敢えずは事件があった場所に行ってみるか……

 

「ねぇ、おにーちゃん♪私達と遊ぼうよ♪」

 

「は?」

 

死体があった場所に何か無いかと調べていたら目の前に黒のゴスロリを来た女の子?が片手に斧を持ち話し掛けてきた

 

「クスクス、どうしたの、おにーちゃん?」

 

ジリジリと近付いてくる女の子?に1歩下がりそうになったが下がれなかった

 

「クスクス、どうしたの?おにーちゃん?」

 

目の前に居る女の子?と同じ声が聞こえ、振り返ると白のゴスロリを来た同じ顔の女の子?が同じ様に斧を持ち、近寄ってきていた

 

「ねえ、私達と遊ぼうよ!」

 

「一応聞くけど何をして遊ぶんだ?」

 

「それはね!」

 

その言葉と共に同時にイクスに近寄り斧を振り下ろしてきた

 

「「解体ショーごっこするの!」」

 

「ッチ!【硬化強化】!」

 

振り下ろされてきた斧を硬化した籠手で防ぎ、少し距離を取ると双子姉妹は少し驚いた表情を浮かべていたがすぐに笑みが溢れる

 

「凄いわ!凄いわ!おにーちゃんは一撃で死なないのね!」

 

「僕達の攻撃をしても生き残るなんて凄い!」

 

「お兄さんはある意味悲しくなるけどね……」

 

「あら、そうなの?」

 

「僕達は嬉しいけど?」

 

純粋無垢な瞳を向けられてるけどこの状況では寧ろ最悪だな。純粋な思い程に厄介な物は無い、彼女達は純粋な殺しを楽しんでいる瞳なのだから

 

「あ、そうだわ!おにーちゃんのお名前を聞いても良いかしら?」

 

「……イクス」

 

「え!?本当に!?やったよ姉様!これでお嬢様に喜んでもらえるね♪」

 

「ええ、兄様(にいさま)これでやっと私達のお父様が出来るわ」

 

彼女達は一体何の話をしているんだ?それにお嬢様って事は誰かに誰かの元に居るかと可能性もあるのか?

 

「そうだ!僕達の名前も言ってなかったね!僕はヘンゼル」

 

「私はグレーテル」

 

ヘンゼルとグレーテルって確かグリム童話に出てくる兄妹の名前だった気がするんだが……

 

「悪いんだけどおにーちゃんには私達に付いて来てもらうわ♪」

 

「大丈夫だよ!おにーちゃんには何もしないから!」

 

「……嫌だって言ったら?」

 

「私達はとても悲しくなって何をするのか分からなくなるわ……」

 

「もしかしたらおにーちゃんを殺しちゃうかもしれないよ?だからね?僕達に付いて来てほしいな?」

 

今ここで戦闘になれば間違いなく双子を相手に戦わなくちゃいけない。幼女と戦闘する趣味は無いんだけどなぁ。それにお嬢様と呼ばれる存在も気になるし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その必要は無いわ」

 

悩んでいると双子の後ろに誰かが立っていた。その姿は日頃からよく見る人物だった

 

「アーシャ……」

 

鎧に身を包んだアーシャが背中に背負っている大剣を引き抜くと双子目掛けて斬り込んだ

 

「今ここで殺すのだから」




性別不明の双子って良くないですか?


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女勇者VS双子殺人鬼 上

皆双子と聞いて思い浮かぶのは一緒でしたね。自分はあの双子が大好きです


「あら?貴女は誰かしら?」

 

「僕達はおにーちゃんの方に用事があるのに」

 

アーシャの接近を何でも無い様な顔で二人で攻撃を防ぎ、後ろに飛び退く双子にアーシャは小さく舌打ちをした

 

(スキル・強制表示)

 

【強制表示】は相手のステータス欄を相手の任意関係無く知る事が出来る。ただし、スキルの閲覧は不可

 

()内の表示はグレーテルのステータスです

 

【名前・ヘンゼル(グレーテル)】【性別・男・女】

 

【レベル・75】【クラス・暗殺者】

 

【筋力C】【魔力C(A)】【敏捷A(B)】【耐久D(C)】

 

(レベル75か……、私よりは低いけどさっきの攻撃を防げるって事は何かあるわね)

 

武器を構え直すアーシャに双子はケラケラと小さな笑いを上げながら自身の武器を構える

 

「そうだ、姉様!お嬢様から貰ったアレを使おうよ!」

 

「そうね、兄様。それじゃあ使いましょうか!」

 

「させない!」

 

再び双子に近接戦を仕掛けるがヘンゼルが邪魔に入り妨害する事が出来なかった。それを好機と見たグレーテルは懐から1枚のカードを取り出した

 

「さあ!此所に居る皆をお茶会に招待しましょ!」

 

カードが光ると同時にアーシャもイクスも目を瞑ってしまった。次に目を開けると驚く光景が二人の目に写り込んできた

 

「あはは♪ようこそ!僕達の秘密基地に!」

 

「ここに人が来るなんて思わなかったから片付けをするのを忘れていたわ」

 

双子が微笑んでいるがイクスにはそれを気にする余裕が無かった。何故なら目の前の光景に声が出なかったからだ。辺り一面には何十何百と言った人の死体が無造作に置かれ、顔が無い死体、頭に何本も釘が刺さっている死体、四肢がバラバラにされている死体と数え切れない程の死体が部屋に置いてあるのだ。吐き気を催す程の充満した血の臭いに一瞬だけ意識を持って行かれてしまいそうになったが何とか耐えて見せた

 

「何?ここは?」

 

カタカタと手を震わすアーシャに双子はニッコリと答える

 

「何ってここは僕達の秘密基地さ♪そこに転がっているのは食べ飽きた物や飽きて遊ばなくなった玩具だよ?あ、もしかして君も欲しい?」

 

「そう、生憎と私には必要無いわ」

 

「そう言えばお嬢様の殺害リストの中に貴女も入っていたわね。ついでにここで殺しておきましょ♪」

 

「そうだね、姉様!コイツを殺したらお嬢様もきっと喜んでくれるよ。そしたらもっともっと色んな人を殺せるよ♪」

 

「そうね、兄様♪」

 

微笑み合う二人にアーシャは一層警戒を深めイクスを自身で隠す様に立つ

 

「イクス、何があっても絶対にそこから動かないで」

 

「いや、でも俺も協力した方が」

 

「お願い、貴方を失いたくないの……」

 

「……分かった」

 

「ありがとう」

 

絶対に譲る気の無い目で見られたイクスは先に折れる事になったがそれでももし、彼女が危険になったら自身が盾になる事を決めていた

 

「そろそろ良いかしら?」

 

「ええ、そろそろ始めましょ♪」

 

「お姉さんはどのくらい持つのかな?」

 

「これでも私、勇者なのよ?余り調子に乗るなよ?ガキ共」




レベル70代はこの世界に置いて大英雄クラスの強さを持っています


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女勇者VS双子殺人鬼 中

これが終わったら各キャラのイチャイチャ回でも書こうかな……。特にアーシャとの濃密な奴とか


「それならこっちも全力で行こうか姉様!」

 

「ええ、そうね兄様」

 

「「【スキル・血の宴】!!」」

 

双子が声を合わせ、何かを叫ぶと周囲に放置されていた死体から血が全て抜き取られ、双子の中に吸い込まれていく

 

【血の宴】は自身を中心に半径500mの生物の傷口から血を全て引き抜き自身のレベルを一時的に大幅アップする。ただし使用した者は理性を失い、狂気に陥る事になる

 

そして今回ヘンゼル&グレーテルが血の宴で集めた血は数百人分の血を取り込んだ事でレベルは一時的にだが20上がり、レベルだけ見れば一人で世界と戦えるレベルに達した

 

「姉様、これ凄く気持ち良いよ♪」

 

「そうね♪私も気持ちが押さえられないわ♪」

 

「それじゃあ殺そうか?」

 

「ええ、そうしましょ♪」

 

その言葉と共に双子は一瞬にしてアーシャの視界からヘンゼルがアーシャの懐に潜り込み、斧を振り下ろそうと腕を上げた瞬間にアーシャはヘンゼルを力一杯に脇腹を蹴り、距離を取るが今度は背後からのグレーテルの攻撃を感じ取り、何の躊躇いもなくグレーテルの顔目掛けて拳を振るうがそれを受け止めたグレーテルにそのまま真後ろに投げ飛ばされてしまった

 

「チッ、速い……」

 

「クスクス、貴女遅いのね」

 

「遅すぎ」

 

空中で体制を直し、着地すると同時に先程と同じ様に二人が同時に仕掛けてきた

 

(スキル・未来予知)

 

【未来予知】は魔力を消費して10秒先の未来を見る事が可能になる

 

「勇者をナメるな!」

 

「グッ!」

 

「キャ!?」

 

迫ってきていたヘンゼルの腹目掛けて力一杯に拳を振り抜き、真後ろに迫ってきたグレーテルに回し蹴りを与え、二人から距離を取る

 

「生憎と私も手加減が出来ないから死んだらごめんね?」

 

(スキル・戦乙女の力)(スキル・英知の瞳)(スキル・魔力解放)(スキル・武具召喚)

 

【戦乙女の力】はアーシャの体内に存在する戦乙女の血を一時的に解放し種族を人間からヴァルキリーに変更される。ステータスも一時的に大幅に上がる(解放時に背中から天使の羽が現れる)使用後はしばらくは体が動かなくなる

 

【英知の瞳】は視界内に存在する全ての生物のステータス、スキル、次に何をするのか等と言った事を全て読み取る事が可能になる。ただし英知の瞳を使用時は戦乙女の力を使わなくては発動できない

 

【魔力解放】は押さえ込まれていた魔力を解放する事が出来る

 

【武具召喚】はアーシャ内に埋め込まれていた戦乙女の専用武具を体から取り出す事が出来る。ただし発動には戦乙女の力を発動してからしか発動できない。武器は剣であり、その刀身には冷気と聖属性が付与されている。防具は全ての呪いを払い除ける術が施されている

 

「やっぱりお嬢様の言っていた事は正しかったわ」

 

「うん、コイツを生かしているとお嬢様の脅威になるよ」

 

目の前のアーシャの存在感に双子は生唾を飲み込み、お互いに頷き合い息を整え合う

 

「行くよ!」

 

「ええ!」

 

「…………」




流石勇者TUEEEEEです。それに食い付く双子も大概ですが……ヒロインはイクスだった?


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女勇者VS双子殺人鬼 下

よし、次からはイチャイチャ回だ!(白目)


そこからはまさに一方的だった。放つ魔法や技を全て相殺し、アーシャが放つ技を一方的に受けた双子は既に死に体になっていた

 

「どうして?僕達はお嬢様から産み出された最高傑作なのに!」

 

「許さない!貴女だけは絶対に許さない!」

 

「………」

 

倒れ付しても尚も睨み付ける双子にアーシャの瞳には感情が宿っていないかの様な視線で剣で構える。そしてアーシャから放たれる全力で剣を双子目掛けて振り下ろそうとした瞬間だった

 

「もう良いだろ?」

 

イクスが双子を庇う様にして振り下ろされた剣を受け止めていた

 

「…………」

 

「確かにこの二人がやった事は許されないけどさ、それでも戦う力が無くなった子供を殺すのはどうなんだ?」

 

「……退いて」

 

「悪いけど退けないな。生憎と俺は偽善者なんでね?目の前で戦う力が無くなった子供を殺す勇者を放置できないんだよ」

 

「……その双子はまた同じ事をする。だから今の内に殺した方が良い」

 

「確かにな。今のこの双子を黙って放置するとまた同じ様に殺すかもな?でもさ、勇者が子供を殺すのはどうかと思うんだよな!」

 

剣を跳ね退けたイクスは懐から青色の液体が入った瓶を双子の方に放り投げた

 

「それ飲んだらさっさと帰れよ。今回は目を瞑ってやるから」

 

「何で僕達を助けるの?」

 

「私達は貴方を殺そうとしたのに……」

 

「だってお前達が殺した人間は全部何かしら罪を犯した奴等だったろ?騎士団としては面倒な事が減った事には感謝してるが、それでもお前達子供が行ったと心苦しくてな」

 

苦笑を浮かべながら答えるイクスに双子は何処か驚いた表情を浮かべていたがすぐに消し、落ちている瓶を拾い上げて中身を全て飲み干した

 

「……おにーちゃんは不思議だね。僕達みたいな壊れた人形に優しくするなんて」

 

「はは、当たり前だろ?子供に優しくするなんて当たり前の事なんだからな」

 

ナデナデと頭を撫でてあげると二人は頬を染めながらもイクスのナデナデを目を閉じながらも感じていた

 

「よし、お前達は帰れ。この事は俺が報告しておくから、それと今後こんな危ない事はするんじゃないぞ?」

 

「ふふ、僕達を誰だと思ってるの?」

 

「私達は暗殺者よ?危ない事なんて今後も沢山あるわよ」

 

「それでも危険な事はあまりするなよ?」

 

「……分かったよ。おにーちゃんのお願いなら聞いてあげるよ」

 

「全くレディーに対する態度じゃないわね」

 

「はは……」

 

「今回は帰るけど今度は僕達に付いて来てよね?」

 

「多分な」

 

「むぅー!良いもん!今度はお嬢様と一緒に来るもん!」

 

「兄様、帰る準備が出来ましたよ?」

 

「それじゃあまたね!おにーちゃん!」

 

「今度はお嬢様も連れてくるからね!」

 

眩しい光と共に双子の姿が消えると共に先ほどまでの空間が消え去り、先程と同じ路地裏に戻っていた

 

「……何で止めたの?」

 

いつの間にか元の姿に戻っていたアーシャの声には怒気が含まれていた。まあ怒るのも無理は無いけどな

 

「言っただろ?俺は偽「嘘つかないで!春人がそんな事するわけ無いだろ!」……」

 

「知ってる?私が何れだけ春人の事が心配してたか?突然目の前から消えて、僕の唯一の心の拠り所だった場所が無くなった気持ちが分かる!?」

 

「アーシャ?何を……」

 

「あの双子に狙われていた時の春人を見て僕の頭の中が真っ白になったんだよ。また春人が僕の前から消えるのかって?」

 

「お前……まさか!?」

 

「でも、もうそんな事はさせない!僕の春人を誰にも渡さない!例え世界がどうなろうと関係無いよ。だからね、春人……」

 

あり得ない力でアーシャはイクスの腕を掴み、壁際に押さえ付け顔を近づける

 

「僕の側から離れないでね?じゃないと君以外の生物が死んじゃうからね♪」

 

そしてアーシャと交わした2度目のキスは口の中に血の味しかしなかった




今回物凄い強引に終わらせてしまった……。そして勇者が闇落ちしかけている……


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設定紹介

先にキャラ設定を出しときます


【名前イクス・クラウン】【性別・男】

 

【レベル・59】【クラス・ナイト】

 

【筋力B】【魔力D】【敏捷C】【耐久A】

 

【不動の盾】【聖霊王の鎧】【全身硬化】【チェンジ・シールド】【挑発の瞳】【???】【???】【???】

 

 

生前では親友の奏と共に学園ライフを過ごしていたが、ある日奏のハーレムメンバーの一人に逆恨みされ道路に突き飛ばされて車に跳ねられ死亡してしまったが神により転生をさせてもらった。その時に貰った特典は誰かを【護れる力】らしいが詳細は不明

 

転生してからは中級貴族の長男として産まれたが家の中では特にこれと言った差別や虐待も無かったが周囲の貴族達からは影口を言われていたがイクスは気にする事なく、スクスクと育ち、13歳で騎士団に入団する事になった。2年の内に様々な経験(主に隊長の後始末)をしてからか騎士団での彼の評価は高い。どんな任務に置いても常に最前線に出てスキルと魔法を活用しどんな魔物からも味方を守る事から周囲からは【鉄壁のイクス】と呼ばれている(本人は知りません)脱走癖のある隊長を持った影響か脱走した隊長が残した書類をイクスと彼の右腕のアリアの二人で片付けている。この事は既に騎士団の中では当たり前なので特に異論を唱える者は居ない

 

イクスが普段着ている鎧は隊長が用意した物だが何処で手に入れたかは不明、ただしその鎧は人を選ぶらしく選ばれなかった者には着た途端に鎧の内側から人がギリギリ死なない電流を流される。イクスが着た時にはピリッとした電流が流れたがそれ以降は電流が流れることが無いらしい、ただしイクスが鎧を着ない時間が長くなると着た時には電流が流れるらしい

 

イクスの容姿は灰色の髪と瞳、身長は175くらいでそれなりに鍛えている。周囲からの評価は中の上か上の下らしい

 

 

 

【名前フル・クラウン】【性別・女】

 

【レベル・68】【クラス・魔法使い】

 

【筋力C】【魔力A】【敏捷B】【耐久C】

 

【魔力増幅】【無詠唱化】【二重魔法】【???】【???】

 

 

イクスの1つ上の姉、基本的には誰に対しても物腰が柔らかく周囲からの人気が物凄く高いが幼少期に同年代の子供達から心無い言葉をぶつけられていた。そんな毎日に嫌気から逃げる為に普段は人が居ない森の方に逃げてしまった、そこに運が悪い事に魔物と遭遇するが駆け付けたイクスにより魔物は退いたがその際に腕を負傷したイクスを見て【イクスを護らなくちゃ!】と心の中で誓った。その日を境にフルはイクスに対して姉として甘やかし、時には女として迫ったりを繰り返す日々が続いた

 

生まれ持った膨大な魔力と才能により16歳で魔法部隊全ての指揮を任せられる程の地位を手に入れた。だがフルにしてみれば弟のイクスを守る為の駒に過ぎないと考えているので、そこまで部隊に関心を寄せていない。ただしそれを悟られない様に常に愛想笑いを浮かべているので部隊からの人気は高い

 

王国でも数少ない最上級魔法を使える事から王国でもかなり良い待遇を受けているがフル本人はどうでも良いらしい。それ同時に複数の婚約者候補を見せ付けられるが全て蹴っているらしく、本人曰く「私より弱い男に嫁ぐなんてありえません」との事らしい

 

フルの容姿は綺麗な銀髪に少し深い蒼い色、腰に掛かるくらいの長髪。身長は170ちょっとでBよりのAらしい。何がとは言わないが

 

 

 

 

【名前アーシャ・イザヨイ】【性別・女】

 

【レベル・95】【クラス・勇者】

 

【筋力A】【魔力A】【敏捷A】【耐久A】

 

【戦乙女の力】【強制表示】【未来予知】【英知の瞳】【魔力解放】【武具召喚】【聖剣召喚】【???】【???】【???】

 

生前では名前の事からよく虐められていたが春人が助けに入ってからは虐めは無くなった。奏にとっては自分を助けてくれた正義の味方であり、初恋の人であり、自分の全てを捧げる事が出来る唯一の存在だと考えている。それからは春人が何処に行くにも奏が付いてくる様になったが春人は特に気にした様子も無く、奏の行動を受け入れていた。高校進学の時に教師からもっと上の所を進められたが春人が居ない事により断った。高校に入ってからは周囲に人が集まり始めたせいで春人との時間が取れなくなりイライラが溜まる事が多くなり、限界を越えると無言で春人を抱き締め、そのまま一晩過ごすことが起きていた(春人は昔からの癖だと思って受け流している)

 

転生してからは勇者の末裔として産まれてきた。産まれてきたアーシャは才能の塊で、幼い頃から色々な鍛練を積んできた事もあり、勇者としての才能も開花したがアーシャにとっては全てがどうでも良かった。春人が居ない世界に絶望していたアーシャは王の頼みにより王の間に来たらまさかの春人との再会により白黒だった世界が一気に色鮮やかに変わった(姿は変わっていたが雰囲気と春人特有の匂いで特定した)それからは時間が許す限りイクスにベッタリで生前では叶わなかった子作りも出来ると分かり、彼女の脳内は常にイクスの事しか考えていなかった

 

アーシャの容姿はこの世界では珍しい黒髪黒目、背中まである髪をポニーテールにまとめ上げている(イクスの好みの1つな為)身長は165くらいで本人曰くDはあるらしい

 

 

 

【名前アリア・シリウス】【性別・女】

 

【レベル・56】【クラス・ナイト】

 

【筋力C】【魔力E】【敏捷B】【耐久C】

 

【不可視化】【怪力】【属性付与】

 

イクスと同年代で同じ部隊の仲間、入隊時から常に一緒に行動してる為か周囲からはおしどり夫婦と呼ばれている。アリアは否定する気も無いので特に気にしていない。騎士団として活動する時は常にイクスのサポートに回りる事が多い、見回りの時も常に二人で行動することが多い

 

彼女の過去に関しては不明な点が多く、隊長ですら彼女の過去を調べる事を諦める程だった

 

アリアの容姿は灰色の髪と薄黒い瞳、髪型は少しボサボサのショートヘア(イメージは魔法科高校の劣等生の雫の髪型です)身長は160くらいでAらしい

 

 

 

【名前ローズ・マリア・ベルジュ】【性別・女】

 

【レベル・75】【クラス・王女】

 

【筋力E】【魔力A】【敏捷D】【耐久E】

 

【剥奪者】【改変者】【深淵の瞳】【タクティカルスコープ】【ライフ・ドレイン】【死滅の猛毒】【レベル・ドレイン】【???】【???】

 

イクス達が住む王国の第二王女として産まれたが産まれてきた時から既に身体中に黒い痣があり、痣から無数の目玉が現れた事により城では誰もが彼女を恐れて距離を取るようになった。そんな中にイクスを見付け、自身の秘密を見せ付けると今までとは違う答えが帰って来た事により動揺と今まで誰にも認められなかった事から涙が溢れてしまった。それからはイクスと会えない日はスキルを使い、イクスの事を見守っていた。マリアはイクスの事を妄信的に愛しているがそれと同時にイクスの事を恨んでいた。何故なら自分に恋心を覚えさせてくれたのに自分に会いに来てくれないし、常に女の子を侍らせているからだ。もし自分以外の女の子と結婚でもしたらその伴侶を公開処刑してイクスは自分の部屋で飼うとまで考えている

 

アリアの容姿は金髪碧眼で髪は腰まで伸ばしたロングストレートにしている。身長は165くらいでCはあるらしい




うん。改めて見てもヒロインズが強すぎますね


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事情説明と二人の関係

TS娘はBLに含まれるのだろうか?

それと最近また劣等生とCCさくらにハマりました


双子との戦闘から1日明けて今現在俺はアーシャの家にお邪魔していた。何故アーシャの家に来ているかと言うと人には色々と聞かせられないので最も安全で防音対策されているアーシャの家に決まったからである

 

「それで?説明をしてくれるんだよな?奏」

 

「うん、春人には知っていて欲しいからね。何から説明して欲しい?」

 

「先ずはどうやって此所に?」

 

用意された茶を飲みながらアーシャこと奏が説明を始めてくれる

 

「うーん、正直言って分からないんだ」

 

「分からない?」

 

「うん。春人が居なくなってから僕は入院してたからね。気が付いたらこの世界に産まれていたんだよ」

 

「入院?何処か怪我したのか?」

 

「まあ、それに近いものかな?それで気が付いたらこの世界に産まれていたって事」

 

「そうなのか……」

 

奏が入院する経緯が物凄い気になるが深く聞くのも奏に悪いし、聞かない方が良いのか?

 

「それじゃあ一番の疑問なんだが何でお前はその……俺にキ、キスをしたんだ?」

 

男同士の時は罰ゲームでしたけどあれは男同士で尚且つお遊びだったから気にしなかったが今は仮にも男女なのだが……

 

「ああ、その事?それなら簡単だよ。僕は春人の事を愛しているからだよ。勿論生前から含めてね」

 

可愛くウィンクをする親友に一瞬ドキッとしてしまったが俺は悪くないと思う。だって超絶美少女に愛してると言われてドキッと来ない男は居ないだろう。それが例え生前からの親友だろうと……

 

「いや、でもな、俺達は男同士だろ?それに親友だしな」

 

「今は私は女の子だよ?これでも体型には自信があるんだけど。それに春人も好きでしょ?この体型と髪型」

 

「ああ、大好きだ。お前が奏じゃ無かったら襲ってたかもな?」

 

「良いよ?私の純潔は春人の為にあるもんだし。それに私を貰ってくれるんでしょ?なら良いよ……」

 

シュルシュルと服を脱ぎ始める奏に俺は慌てて止めて自分が着ていた上着を奏に着させる

 

「馬鹿!簡単に女が肌を出すな!俺じゃなかったら本当に襲われてるぞ!」

 

「私が春人以外に肌を露にするわけ無いでしょ?」

 

さも当然と言わんばかりに言う親友に頭を痛めるが特に怒るも無いので咎める事もない

 

「私は春人の事が好きだよ?春人は私の事どう思う?」

 

真剣な表情を浮かべる親友に少し眉間に皺がよる。確かに好きと呼ばれて嫌な訳では無い。寧ろ嬉しいとさえ思うのだが、仮にも親友であり、元男同士なのだ、倫理的にどうなんだ?

 

「本当に奏は俺の事が好きなのか?それは虐められた時に助けた時に感じた感情が好きに変わったんじゃないのか?」

 

「……何が言いたいの?」

 

「つまり奏は吊り橋効果でその時感じたドキドキを恋だと思い込んでるんじゃ「違う!私の気持ちはそんなのじゃない!」………」

 

「何がいけないの?私が春人の親友だから?それとも男だったから?それともこの体が嫌いだから?」

 

「違う。俺はお前の事が心配でな?」

 

「心配?何が心配なのさ!」

 

「俺みたいな凡人がお前に好かれて良いのかって思ってな……」

 

「春人は凡人じゃないよ!私は春人に救われた!私にとっては春人こそが正義の味方なんだよ?」

 

涙目になりながらも一生懸命に俺の良い所を説明してくれる奏に俺は心がズキズキと痛みだした

 

「でもな……」

 

「そんなに言うなら証明してあげる。僕が何れだけ春人の事を愛しているかを」

 

「は?どうやっt「んっ……」んむ!?」

 

「んむ……んあ……」

 

3回目のキスをされるが今までのキスとは違い、奏が無理矢理口の中に舌を入れてくる事に驚いて硬直してしまった

 

「んん……ぷっは!ハア…ハア…これで分かってくれた?私が春人の事が何れだけ好きだって事が?」

 

「奏……」

 

「春人が望むのならこの続きもするよ?私は春人の為なら何でもするし、何でも受け入れるよ」

 

「……俺もお前の事は好きだ。だけど本当に良いのか?奏は後悔はしないなのか?」

 

「私は春人が居なくなったあの日から後悔ばっかしてたからね。でも今は春人が居るから何も怖くないよ!」

 

「奏……」

 

「だからね?これからも私の側でずっと一緒に居てくれる?」

 

「俺なんかで良ければな……」

 

「ふふ、春人以外なんて考えられないよ♪」

 

もう一度キスをしてから俺達の関係は今日から変わった。そして夜が過ぎていく

 

一応言っておくが何もなかったからな!健全な関係だからな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、イクスちょっと良いかな?」

 

「何だ?」

 

「うん。イクスがハーレムを作っても私は気にしないから沢山女の子を捕まえて良いからね?」

 

「は?」

 

「私が正妻なのとちゃんと構ってくれるなら僕は何人妻が増えても気にしないから。寧ろ妻が増える程に私はイクスの事を誇らしく思うよ。私はこんなにも素晴らしい夫と結ばれたんだってね♪」

 

「はあ、俺に好意を寄せる物好きがお前以外に居るとは思えないんだが……」

 

(本当に春人って鈍感なんだから……)

 

「何だよ、その目?」

 

「別にー、イクスは良い男だなって思ってね」

 




よし、先ず最初のヒロインは攻略したぜ。後最低3人のヒロインを攻略しなくては

この作品は一人と付き合ったからと言って他のメンバーと付き合わないと言う事はありません。ヒロイン達は何がなんでも主人公と付き合おうとします。それが例え既成事実をしてでも


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無表情騎士とデート?

アーシャさんが良い女過ぎて物凄い違和感が……

無表情クール系ヒロインて良いですよね


奏じゃなくてアーシャと恋人関係になったが特にこれと言った変わった事は無かった。かなりの頻度で抱き付いてきたり、キスを求めてきたり、ナデナデを要求されるがそれ以外は変わった様子は無かった。そもそもの話だがキス以外は基本的に生前からアーシャがやっていたので特に気にする必要もなかった。そしてそのアーシャなのだが昨日

 

「あ、明日アリアとデートしてきてね?勿論その日の内に落としてきてね?」

 

「は?」

 

今朝会って最初の会話がこれだったのだ。正直言って頭が痛い、何故恋人のアーシャ自ら他の女性とデートさせるのか俺には理解できなかった

 

「だってイクスの事が好きな女の子を諦めさせるなんて可哀想でしょ?しかもいきなり現れた女に盗られるなんて」

 

その奪った本人が何を言うのだろうか?それにアリアは俺の事を只の仕事仲間の一人だと思ってるだろうし

 

そんな事を考えていたら約束の時間になり周囲を探してみると丁度こっちに向かってくる人影を見付けた

 

「……お待たせ」

 

入隊時から一緒に居るがアリアの私服を見るのは片手で数えるくらいしか無いからある意味新鮮だな

 

「その服似合ってるな」

 

「……本当に?」

 

「ああ、アリアによく似合ってるよ」

 

「……嬉しい////」

 

「それじゃあ行くか?」

 

「……うん」

 

そう言って歩き出そうとするがアリアが一向に歩き出さないので視線を向けると俺の手をジッと見つめていた。えっと、これは……

 

「手を繋ぐか?」

 

「!?……良いの?」

 

「ああ」

 

そう言うとアリアは少し遠慮しらながらもゆっくりと手を握り、そのまま腕に抱き付いた。此方からは見えないが抱き付いた時にほんの一瞬だけ嬉しそうな表情を浮かべていたような?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから俺達は色んな所を回った。お互いの行き付けの店、普段は立ち寄らない場所、人気観光スポット、城の近くとか色々と回り、辺りは暗くなり始め今は少し高めな場所でディナーを楽しんでいる。勿論料金は俺持ちだ。女の子にデートで払わすのもどうかと思うしな

 

「……今日は凄く楽しかった」

 

「そうだな。普段は見ないアリアを見て俺も楽しかったよ」

 

「…もう////」プー

 

頬を染め、膨らませているアリアについ笑みが溢れてしまう。本当にアリアとは長い事ずっと一緒に居たな。入隊時からアリアはよく俺に話し掛けてきてくれた、自分が話すのが苦手なのに一生懸命に話題を振ってきてくれるから俺もそれに合わせる様にアリアとよく話していたな。新しい部隊に入ってからも常に一緒に居て背中を唯一預けられる存在になってたんだよなぁ

 

「……イクス?どうしたの?」

 

「ん?いや、何でもない」

 

「……そう?」

 

その後も色んな事を話し合ったりとしている内にディナーも終わり、今はアリアを送っている最中

 

「今日は楽しかったか?」

 

「……うん、凄く楽しかった」

 

「そうか」

 

そこで会話が途切れてしまう。何と言うかお互いに話す事って苦手だから話が続かないな

 

「……イクス」

 

「ん?何だ?」

 

アリアに呼び止められ、アリアの方に視線を向けると何かを決意したような顔で此方を見つめていた

 

「……私ね、イクスが好き」

 

突然の告白に俺の頭は真っ白になってしまった

 

「……初めて会った時から好きだった。だからね?私と付き合って?」

 

「アリア、俺はな……」

 

普段の俺だったら動揺してテンパっていたに違い無い。でも今は既に恋人が居るから素直に喜べないんだよな

 

「……知ってる。アーシャと付き合ってるの」

 

「は?」

 

「……でもね、それを知っても私は諦めきれなかった。ずっとずっと一緒に居たのに、いつの間にか他の誰かに気が付いたら盗られてるなんて酷いよ!私だってイクスの事が大好きなのに……!」

 

「アリア……」

 

涙を流しながら抱き付いてきたアリアを優しく抱き締め、頭をゆっくりと撫でる

 

「ごめんな?お前の気持ちに気づいてやれなくて」

 

「ううん、良いよ?でもね、お願いがあるの」

 

「お願い?」

 

「うん。2番でも3番でも良いから私を愛して欲しい。イクスが望むなら私の体を好きに使って良いから!」

 

お前もアーシャと同じ事を言うんだな。俺にそこまで言われる程の価値は果たして在るのだろうか……

 

「……それ程の価値が俺にはあるのか?正直言って俺はアリアやアーシャに好意を向けられる程の価値のある男だと思わないが……」

 

「そんな事無い!イクスは私にとっての憧れだよ!何時も皆の前に出て守ってくれる、そんなイクスを見て私は安心してイクスに背中を預けられるんだよ!」

 

「ありがとう」

 

正直言ってアリアの言葉に俺は驚きが隠せなかった。それ程までに評価されている事に

 

「……俺は1番も2番も関係無く愛するよ。俺を愛してくれるアリアを俺も愛するよ」

 

「それって……」

 

「えっとこれからもよろしくな?アリア」

 

「うん!」

 

その日見たアリアの表情は今まで見たどの表情よりも綺麗で可愛くてとても良い泣き笑顔だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばアリアもアーシャの事知ってたんだな」

 

「……うん。そもそもこのデートを提案したのも彼女だから」

 

「え?そうなのか?」

 

「……そうだよ。私がイクスの事が好きなのも見破ってたし、イクスとの関係も教えてくれたよ?」

 

「…………」

 

「……でもね?アーシャからね、一緒にイクスの奥さんにならないかって誘われたの」

 

「その話に乗ったのか?」

 

「うん。イクスが断ったら諦めるつもりだったんだ」

 

「……何か悪かったな」

 

「……ううん、いいの。だって私の初恋が実ったんだから♪」




やはりイクスは押しに弱い気がしてくる。強気に押し倒せばその先も……


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大魔法使いの憂鬱

近親相姦はそんなに甘くはないからこそ盛り上がると思っている


「…………」

 

今私は物凄い憂鬱だ。その原因は二つある。1つはお父様から見合いの話を持ち掛けられた事、もう1つは数日前に私の大切で何よりも愛している弟が彼女を作ったからだ、それも二人も。一人は弟が入隊時からずっと一緒だったアリアちゃん、この子は私も気に入っていたし、イクスと付き合うなら認める程に親しかったので気にしなかったけどもう一人が私をこんな気持ちに追い込んだ悪の元凶の勇者アーシャだった

 

初対面のイクスにいきなり恋人でも無いのにキスをしたり、ベタベタと体を触ったり、挙げ句の果てには恋人になっているのだから正直言って憂鬱を通り越して死にたくなった

 

別に弟のイクスが誰を彼女にしようと私に関係無いし…………やめよう、今の台詞で私に対して物凄いダメージを受けて余計死にたくなった。やっぱりイクスにはまだ恋愛は早いと思うな。せめて私が殿方と結ばれてからじゃないと心配で心配で(作るとは言っていない)

 

そもそも何故私とイクスは姉弟なのか?姉弟じゃなければ今頃は結婚して1、2歳の子供が居ても可笑しくない年齢なのに……この際後先の事を考えずに既成事実を作ってあげようかしら?それが1番まともに思えてきたわ

 

確か今日はイクスは非番だったわね。この憂鬱な気分を晴らす為にもイクスには頑張ってもらわなくちゃ

 

「弟君居る?」コンコン

 

「何?姉さん」

 

扉を数回叩くとすぐに出てきたイクスに私は挨拶と言わんばかりに抱き締める。既にこの光景は見慣れているので周りからは何も言われないし気にされない

 

「ちょっと弟君に用があってね。部屋に入っても?」

 

「そうなの?別に良いよ」

 

部屋に入ると仕事机に大量の紙の束が置いてあることに気が付いた私はイクスの方に視線を向けるとイクスも私の視線に気が付いたのか苦笑を浮かべていた

 

「うちの隊長がサボり過ぎたせいで間に合わないから隊長補佐の俺も手伝ってるんだよ」

 

そう言うけど明らかに手伝うレベルでは無いのだけど……1番上に置いてある書類に目を通して見る

 

そこには魔物調査での判明した事や各町で起きている事情、その他色々な物がぎっしりと書かれていた

 

「それで?姉さんの用事って?」

 

「えっと、座って話さないかしら?」

 

二人してベットに座る。何だか物凄いドキドキしてきた……

 

「最近どう?最近はお姉ちゃんも弟君も忙しかったから騎士団の方でも顔を会わせられなかったから」

 

「特に変わった事はないかな?相変わらず隊長が抜け出して俺とアリアで残った書類を処理してる事が日課かな」

 

「はあ、今度弟君の所に行って直談判でもしてあげましょうか」

 

「ハハ、多分姉さんの姿見たら窓から飛び降りる勢いで逃げ出すと思うよ、あの隊長は」

 

「全く、逃げ出すなら最初から仕事をやれば良いのに……」

 

確かにイクスが居る部隊にはたまに顔を見せるがそれでもあの男は私が訪ねる日は見計らったかの様に何時も留守にしている

 

「それでね」

 

そこからはお互いの起きた事の話をしていると時間はあっと言う間に過ぎ去ってしまった。そろそろ夕食の時間になり、イクスが立ち上がり扉の方に向かう背中姿は何処か遠く感じてしまった。そしてその背中姿を見て不安が押し寄せる

 

「弟君!」

 

「姉さん?」

 

思わずイクスに抱き着いてしまったがそれでもこの不安は消せなかった。もう私が知っている弟君は何処にも居ない。此所に居るのは姉を必要としない立派になった弟なのだから

 

「姉さん何かあったの?」

 

「……弟君はお姉ちゃんの事をどう思う?」

 

「それってどう言う意味?」

 

「お姉ちゃんを異性として見れる?」

 

「……姉を異性として見たら色々と不味いんだけど」

 

知ってる。姉弟でそんな恋をしてはいけにい。どんなに相手を好きになっても相手が弟だとその恋は決して実ってはいけない……でも私は

 

「…………」

 

「フル姉さん?」

 

分かっていてもこの気持ちは押さえられないだろう。だからこの気持ちを諦める為にこの言葉を言う。イクスは絶対に答えてくれない言葉で

 

「お姉ちゃんは、いや、私はイクス・クラウンの事を愛しています。だから私と生涯を共にしてくれませんか?」

 

「!?」

 

私の告白に目を見開くイクスに心の中で少し微笑んだ。どんなに格好良くなってもイクスはイクスなんだなって

 

「……ごめん。姉さんの告白は嬉しいけど俺達は姉弟なんだよ。だから……」

 

「…………」

 

分かりきっていた答えなのに何でこんなにも心がズキズキと痛むんだろう。これが失恋なんだろうか?

 

「……姉さん」

 

「ごめんね!変な事言っちゃって、もう戻るね!それと彼女さん達を幸せにするんだよ?」

 

イクスから離れ、出来る限りの笑顔を向けて足早に部屋から出ていく。部屋を出る時にイクスが何かを言い描けていたが私は止まらなかった。自室に戻った私はベットに倒れ混む

 

「ハハ、初めての失恋が実の弟なんて笑えるよね……」

 

涙が溢れてくる事を我慢せずに私は泣いた。こんなにも辛いなんて誰も教えてくれなかった!こんなにも辛いなら初めから恋なんてしなければ良かった!

 

どれくらい泣いたのだろう……外はすっかりと暗くなり、部屋の中も真っ暗だった

 

「そうだ。私あのまま泣き疲れたんだ」

 

泣きすぎたせいで頭がふらふらするけど今は大分マシになったかな?

 

「姉さん」

 

「え?何で弟君がここに居るの!?」

 

「姉さんが心配だったからね……」

 

「…………」

 

お互いに無言になり、先程の告白もあり視線を会わせずらくお互いに見ないようになってしまった

 

「……さっきの姉さんの告白は正直言って嬉しかった、でもどんな理由があっても姉弟で結婚は出来ないと思うんだ。それに父さん達も許してくれないし」

 

「……ねえ弟君はお姉ちゃんと姉弟じゃなかったら告白を受けてくれたの?」

 

「うーん、どうだろね?俺にそれ程の価値があるか分からないし」

 

「弟君の価値は十分にあるよ。だってお父様とお母様の息子で私の弟だもん」

 

「アハハ、嬉しいな、姉さんにそんな事を言われるなんて……」

 

苦笑を浮かべるイクスに私は先程まで落ち込んでいた気持ちを持ち直す為に優しくイクスを抱き締める

 

「やっぱり弟君の事を諦めるのは無理そうかな……ごめんね?こんな駄目なお姉ちゃんで……」

 

「良いよ。もし、父さん達がOKを出してくれたら改めて考えよう。それと姉さんは駄目なお姉ちゃんじゃないよ」

 

「うん。ありがとう」

 

暗い室内でお互いに微笑み合いながら先程までの雰囲気が嘘の様に消えていった。後でお父様とお母様にこの事を話そう。どんな結果が待っていても私はやっぱり弟君の事を諦めるのは出来ないのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事後

 

「ん?イクスと婚約?別に構わないぞ」

 

「え?」

 

「お前達の関係なんて10年前から知っていたからな。それにこれは遺伝だしな」

 

「遺伝?」

 

「ああ、母さんも俺の実妹だからな。因みに親父もそうだし、その前も同じだ。だからお前達がそう言う関係になっても特にとやかく言う事は無い」

 

「「えええええええええええ!!」」

 

「何だ?母さんから聞いてなかったのか?」

 

「そんなの聞いてないよ!」

 

「可笑しいな、母さんなら事前に教えてると思ってたんだが……」

 

「じゃ、じゃあ私と弟君が結婚しても?」

 

「ああ、別に何の問題も無い。寧ろ我が家の血筋を濃くする為ならイクスを襲っても問題ない」

 

「……お父様、すみませんが今日は早く寝ますね。行こ、弟君」

 

「待って姉さん!これから起こる事が凄く嫌な予感がするんだけど!?」

 

「大丈夫。弟君は天井を見てれば良いだけだから」

 

「ちゃんと孕めよ~」

 

「ちょっと父さん!止めてよ!」

 

「さて、今日は母さんと寝る日だったな」

 

「聞けや!このクソ親父ぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 

その後イクスの言葉は誰にも届く事は無く、フルの部屋に引きずり込まれてしまった。彼の為に言っておくが何とか守りきれたらしい。流石は鉄壁のイクスである




イクス君が男を見せてくれる事を期待しましょう。そしてこの家系はかなり歪んでますね


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マリア女王の愉快で不愉快な計画 上

編集中だった物が寸前で消えて絶望に叩き落とされました(´・ω・`)


「全く、お父様は何をお考えになってるのでしょ!」

 

第二王女マリアは先程父親の言葉に相当頭にきたのか普段からは考えられない程の怒気を出しながら怒鳴っていた

 

「国王様もお嬢様の事を思っての事だと……」

 

「それは無いわね。あの人が私にそう言った感情を向けた事など一度もないのだから」

 

「…………」

 

「はあ、今は一人にさせて」

 

「畏まりました」

 

メイドを部屋から追い出し周囲に誰も居ない事を確認し、防音結界を作り、先程までの怒気が嘘の様に消え去り誰に向けるわけでもないく深い笑みを浮かべていた

 

「ふふ、本当にあの男は私の思う様に動いてくれるわね♪よくあれで国王なんてやっていられるわ」

 

国王がマリアに伝えたのは魔法学校で毎年恒例の闘技大会があるから代役として代わりに見に行ってこいと言われたので表面上は嫌々と言った感じにしていたが彼女にとってはまたと無いチャンスたった

 

「帝国には貴重なスキル持ちが居るかもしれませんしね♪そして手に入れたスキルで……フフ」

 

マリアは何処までも惚れた男に貢ぐタイプの様だった。そしてその対価は男の全て、人権、時間、思考、発言、行動、男の全てをマリアは欲した。己を唯一認めてくれる存在を他の誰にも渡すわけにはいかないのだ

 

「既に薄汚い雌犬が3匹居ますが関係ありません。私の全てをもって勇者様を綺麗にさせてあげますわ♪」

 

それから1週間の時間が過ぎ、マリア第二王女は帝国に向かう際に護衛役をイクスに任命し、王国帰還までの間は如何なる理由であろうと決して側を離れる事を禁じられた

 

「イクス様は闘技大会は見たことは?」

 

「いえ、自分はありません」

 

「そうなのですか?では私と一緒ですわね♪」

 

自分の取って置きの笑みを浮かべるとイクス以外の者達が赤面し顔を背ける。そんな光景を見たアリアは表情は変えなかったが心の中では舌打ちをしていた

 

「イクス様は今回の闘技大会はどう思われますか?」

 

「そうですね、魔法使いの卵達がどれくらいの実力を発揮するか楽しみです」

 

「まあ、そうですの?優秀な者達が居れば良いですね♪」

 

「はい。そろそろ開会式が始まります。準備をお願いします」

 

「分かりました♪」

 

それから間もなく開会式が始まり、マリア第二王女が来た事に生徒達や観客席は大変盛り上がっていたのは言うまでも無い

 

「お疲れ様でした。大変素晴らしい物でした」

 

「ありがとうございます♪そろそろ始まりますね」

 

視線を向けると丁度選手達が現れ開始の合図が聞こえた

 

(ふふ、精々頑張ってくださいね♪私が欲しいと思う程のスキルを持ってる人達は特にね♪)

 

(そして優勝者チームには取って置きの【ご褒美】がありますから頑張ってくださいね♪)

 

この後の展開を考えるだけでマリアの表情は緩み、自身が考えた計画が進めばイクスを手に入れると言う笑みが溢れる




欲しい物は何を犠牲にしても絶対に手に入れるのがマリア第二王女様です


コメントでクラウン家の子供は大丈夫なのかと言うコメントがありましたが大丈夫です。生まれる前に魔法や錬金術で処置し、本来よりも性能や見た目を良くしているのがクラウン家です


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マリア女王の愉快で不愉快な計画 中

書いていく内にどんどん第二王女様が黒くなっていく!この子もヒロインの一人なのに!


(何か退屈ね……)

 

闘技大会を眺めていてもこれと言った逸材は見当たらなかった。確かに中には何人の選手に注目していたがそれもある程度分析したら興味を失ってしまった

 

「次のチームは学校全体が注目しているチームらしいですよ」

 

「そうなのですか?それは凄く楽しみですね♪」

 

どんなに退屈でも暇でも決して顔には出さない。王女としての面子もあるがやはり、好きな殿方に幻滅されたくないのが1番の理由だろう

 

(まあ、どんな相手かは知っていますしね。そしてこれからの展開も……)

 

彼女にとってはこれから起こる事もそしてその先の未来も彼女は知っている。知っているからこそ彼女は何もしない。その未来が彼女にとっては只の余興に過ぎないのだから

 

「あの銀髪の子が居るチームは魔法学校では底辺に居る者達らしいですね。魔力が少ない為に差別を受けたりとか」

 

「まあ!酷いです!魔力だけで人を差別するなんて!」

 

「ローズ王女様の言う通りです」

 

そんな会話をしていると試合が始まる。相手は魔法学校で優等生とされるチームだが難なく優等生チームを倒す所で視線を切った

 

(退屈ね……こんな生も死も無い退屈な試合を見て何を学ぶのかしら?戦いとは【死】が合ってこその争いなのに……)

 

表情だけは微笑みながら試合を眺めてるが既にマリアにとっては試合など頭の中に無かった。そんな暇があれば1秒でもイクスとの距離を縮める方法を考えた方が有効だと思っている程に。その後も試合は進んで行き、遂に決勝戦を迎えた。上級生のチームと銀髪の子が率いるチームがぶつかる事になった

 

お互いのチームは激しい戦いだった。お互い2勝2敗により最後はチームリーダー同士の試合が始まった。お互いの全力で向かい合い、そしてお互いの最後の力を振り絞りぶつかる瞬間、二人の間に何かが落ちてきた

 

「……ふふ、来た♪」

 

誰にも聞こえない程の小さな呟きと同時に落ちてきた物を確認する

 

「我は魔王様に支えし悪魔の一人、ハーゼ!貴様等下等種族を滅ぼす者なり!」

 

ハーゼと名乗る悪魔はその場に居るだけで押し潰されそうな程の空気をまとい、観客席の方に視線を向ける。そしてニヤリと笑うと手をゆっくりと観客席の方に向ける

 

「死ね下等種族共」

 

そう言い放つと手から黒い光線の様な物が飛び出しそのまま観客席の方に当たり爆発した

 

一瞬で会場は大混乱に陥り、観客や生徒達は我先にと出口を目指す

 

そんな光景を見てもマリアは怯える所か少し笑みを深めた。既にこの光景を知っているからだ。そして先程の攻撃も本来なら防がれていた筈なのに彼女が見た光景とは全く違っていた。何故なら本来ならハーゼが放った黒い光線はイクスが防ぐ筈だったのに彼は防げなかった。いや、正確に言うのであれば防げなかったのでは無く【防ぐ事が出来なかった】のである。その理由は目の前の少女の命令のせいである。【如何なる理由であろうと決して側を離れる事を禁じる】この命令によりイクスは一切マリアから離れる事が出来ないのだ

 

「ローズ王女様、今すぐに此処から離れた方が良いです」

 

「大丈夫です。私が先に逃げたとあれば王国の恥です。それにイクス様が守ってくださるのでしょ?」

 

「はい。この命に変えてでも」

 

「なら、問題ないでしょ?」

 

小さく微笑みながら中央に居るハーゼに視線を向ける。既にハーゼの目の前には先程の銀髪の少年と彼の使い魔の天使が対立していた

 

(別に何人死のうが生きようが私には関係ない。殺したければ殺せば良い。ただし私の勇者様に刃が向けば…………)

 

(ふふ、だからせめて足掻いてくださいね。私と勇者様の為にも♪)




第二王女のスキルはこの世界ではチートを越えた何かだと個人的に思うんだよね。後は思考力とか


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マリア女王の愉快で不愉快な計画 下

マリア王女様はとてもお優しい方ですよ(反らし目)


(スキル・タクティカルスコープ)

 

【名前ハーゼ】【性別・男】

 

【レベル・47】【クラス・悪魔】

 

【筋力B】【魔力B】【敏捷D】【耐久C】

 

【狂戦士化】【物理半減】

 

(魔王に仕える割には雑魚ね)

 

魔王に仕えると言うからどんなステータスを持っているかと思えば雑魚も雑魚ね。恐らくは今回の騒動で何か戦果を上げて魔王に取り入ろうとした小者かしら?

 

銀髪の少年と天使が連携しながらハーゼに挑みながらも周囲の様子を伺っている事から少しは余裕があると言うことが分かり少しマリアは興味を引いた

 

【名前 竹中真人】【性別・男】

 

【レベル・42】【クラス・転生者】

 

【筋力B】【魔力B】【敏捷B】【耐久B】

 

【無限魔力】【身体能力上昇】【状態異常無効化】【作成】

 

また【転生者】ですか……ここ最近は何かと会いますね。転生者と呼ばれるのだから男勇者みたいに何処からか召喚されたのか、それとも蘇ったのかが気になりますが、先ずはやる事をやりましょう

 

(スキル・剥奪者)

 

丁度持ってないスキルがありましたので貰い受けますね♪

 

剥奪者の能力を使い、ハーゼの狂戦士化のスキルを奪い取り自分のスキルに加える。既にマリアが今まで他者から剥奪してきた物を合わせれば優に100は越えており、マリアはその全てを完璧に使いこなす程の才能もあった

 

「ッチ!ならば最後に彼処の人間を殺してやる!」

 

「あ!待ちやがれ!」

 

ハーゼは己の敗北が確定したのを知り、最後の悪足掻きで素早い移動でマリアが居る場所まで近付き、手刀でマリアの命を絶とうとしたが

 

「お前ごとき悪魔が触れられる人物じゃない」

 

一瞬で二人の間に入り込み、手刀を盾で防ぎ、メイスでハーゼの頭を殴りつける。ハーゼは何が起こったのかすら分からずに頭だけを飛ばし死んでしまった

 

「……ご無事ですか?ローズ王女様」

 

「はい!イクス様が守ってくださったので大丈夫です!」

 

「それは良かった」

 

本当ならハーゼの接近すらさせる事なく一方的に殺せたがそこは乙女なので好きな人に守ってもらいたいので今回は接近を許した

 

そしてハーゼが起こした騒動は終わり、王国に帰還する事になったマリアとイクスは帰りの際もマリアの楽しそうな表情を見て兜越しに少し頬が緩んでいたイクスを見てマリアも微笑んだ

 

そして王国に帰還した二人はすぐに王の間に呼び出され、今回の騒動の事を報告した。その際に王は苦い顔をしたのは言うまでも無いが。そして今回の騒動でマリアの命を助けた褒美をやろうと言われたがイクスは特にこれと言ったものは無かった

 

「ではお父様、私はイクス様との婚約が結びたいです!」

 

「何?」

 

周囲にざわめきが起こる。あの王女が婚約を持ち掛けることなど今までに1度も無かった出来事だし、王女の痣の件を知っている者は更に驚いていた

 

「こう言っているが貴殿はどう思う?」

 

「いえ、自分は」

 

「イクス様、私では駄目なのですか?私はイクス様の事を心から愛しています」

 

マリアの言葉に完全に逃げ道が防がれてしまい。イクスは小さな声で答えた。マリアも顔を赤くし嬉しそうな表情を浮かべながらイクスの頬に手を添えて軽めのキスをした

 

「これからよろしくお願いしますね♪私の勇者様♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの腹黒王女様はやっぱり強行手段で来たね。まあ、最初から分かってたから良いけどね」

 

「あーあ、それにしても王族達も馬鹿だね。あんな有能な人を進んで手放すなんて」




さて、次回からはほのぼの系を書いて行こうかな(ほのぼのとは言っていない)


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イクスとアーシャのある日の会話

……イクスよ、強く生きろ


これはある日の会話の風景を一部

 

「そう言えばアーシャは何で彼女作らなかったんだ?」

 

何時もの様にイクスは恋人兼親友のアーシャの家に遊びに来ていた。前までなら休日でも隊長に無理矢理書連れ出されて類整理をさせられていたが今回は恋人のアーシャを優先した。そして今現在は自分達以外に人が居ないので前世の話に華を咲かせていた

 

「私は女性に興味が無かったもの」

 

「ん?それだと何時俺を好きになったんだ?」

 

「私を救ってくれた時」

 

「そうなのか」

 

生前の事を思い出してみると確かにアーシャの行動は色々と変だった。何かと理由を付けては身体をペタペタと触られたり、極希に尻を触られたりと今思うとそう言った感情があったからか……

 

「因みに私のファーストキスもイクスだよ?」

 

「それってあの罰ゲームの時か?ならあれは違うような」

 

「ううん。それよりも前だよ」

 

「へ?何時だ?俺は覚えていないんだが……」

 

いくら記憶を探ろうがアーシャとキスをした記憶が無い事から訪ねてみると顔を赤くし(俺の彼女が可愛い)して答えてくれる

 

「えっと中学1年の時に修学旅行に行ったよね?その時に色々と問題があって私とイクスの二人室になったでしょ?」

 

確かに中1の頃に余りにもアーシャがモテすぎた為に部屋に女子が押し寄せた為に学校側が急遽俺とアーシャを別室に移された。何故俺も一緒かと言うともし誰かが訪ねても俺がストッパーになる為だとか

 

「それでね?疲れて寝てるイクスを見てね、ちょっとムラッて来てね?それでね?」

 

「寝てる隙に奪ったと?」

 

「えへへ////」

 

いや、そんな可愛い照れ顔をしても許されないぞ?何人が寝てる隙に唇奪ってるの?親友のお前じゃなかったら確実に息の根が止まるまで殴りまくってたと思うよ、俺は

 

「……念の為に聞くんだが他には何もしてないよな?」

 

「えっと、えへへ////」

 

おい、まさか……

 

「イクスのって結構大きいんだね////それに一杯出してくれたよ////」

 

いやああああああああ!!親友に貞操を奪われてた!ってか何してるのこの娘!いくら親友のお前でもやって良い事と悪い事はあるからね!

 

「ちょっと来世に旅立ってくる」

 

「ま、待って!謝るから!イクスの初めてを黙って貰った事は謝るから!」

 

「うるせぇ!何かッてに俺の初めて奪ってるの!?流石の俺でもそれは我慢できないからな!」

 

「だ、だってイクスが寝言で他の雌豚の名前を言うからイラッて来たんだもん!」

 

「イラッて人の初めてを奪う親友が何処に居るる!?」

 

「ここに居るよ!」

 

「うるせぇ!馬鹿野郎!」

 

その後二時間の間はアーシャの説得と土下座により多少は機嫌を治したイクスはそれでもしばらくの間はアーシャから距離を離したのは言うまでも無い




この親友歪みが酷いですね。でも個人的には好きです


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クラウン家の秘密

クラウン家の秘密の1つが今明らかに!?


「少し前から気になってたんだけど何で家は近親婚なんだ?」

 

久し振りに帰省したイクスはたまたま父親と書物室で遭遇した。そして特にこれと言った会話は無かったが前から気になっていた疑問を父親に聞いてみることにした

 

「また突然だな。まあ近親婚は珍しいから気になるのも仕方ないか」

 

読んでいた本をパタリと閉じ、イクスの方に視線を向けるとイクスも本を閉じて父親の方に視線を向ける

 

「そもそもクラウン家は余り外の者達を良く思っていないんだ」

 

「え?何で?」

 

「随分と昔にクラウン家の娘が他の家の所に嫁いだのだけどそれ事態が間違いだった。嫁いだ先には十数人の暴漢達が待ち構えていて嫁いだ娘は酷い目にあった」

 

「…………」

 

「それに気が付いた当時のクラウン家の当主は自分達の持てる全ての力を使ってその一族を皆殺しにした。勿論それに関わった他の者も同じだ。この事を知ってるのはクラウン家と王族の一部だけだ」

 

「汚された娘の記憶を全て消し去ったがそれでも身体が覚えているのか外の者を恐れた。そして娘が求めたのは娘の実の兄だった」

 

「娘は何時しか兄に盲目的になり当主の許可を得て結ばれた。それ以降のクラウン家は外の者の汚れた血を受け入れる事は無くなった」

 

父親の説明を聞いてイクスの心の中には1つの考えが生まれた。確かにそんな事件が起きてはクラウン家は他者の血を拒むだろう

 

「それからはクラウン家では男女の子供が産まれればその二人を夫婦にする様に教育をなされてきた」

 

「でも近親相姦だと異形な子供が産まれる筈だけど?」

 

「普通はな……当時のクラウン家の当主は夫が錬金術に精通し妻が精神に干渉する特殊なスキルを持っていたんだ。それで当主が娘に様々な錬金術で作った薬を使い身体や魔力を強くし、お腹の中に居る赤ん坊に精神干渉して兄弟を異性で愛せるようにしたんだ」

 

「その薬とスキルのお陰かクラウン家は子供が産まれる度に魔力や身体能力が強化されていった、それも美形な子ばかりが産まれてくる。そして兄弟姉妹の恋愛観も強くなった」

 

「だから父さんも母さんも40代なのに20代前半の若さを保ってるのか……」

 

「ああ、そうだ。話を続けるぞ」

 

「俺やお前もそうだが兄弟として産まれてきた場合は少し恋愛感情がある程度だけど母さんやフルの姉妹として産まれた場合は兄弟以外の異性に対しては悪寒や吐き気があるらしい。これはスキルの影響が強いらしい」

 

確かに思い浮かべてみると母さんも姉さんも女性に対しては普通に接するのに男性になると二人とも顔が強ばる

 

「ん?でもそれだど片方が産まれなかったらどうするの?」

 

「いや、それはあり得ない。クラウン家は必ず両方産まれてくる。過去1度も産まれなかった事は1度も無い」

 

「へぇー」

 

「だからクラウン家は外からの血を拒む、外からの血が入ればクラウン家の今までが汚れるし子供が異形として産まれたり、何の魔力も才能も無い子が産まれたら大変だからな」

 

何て言うか家が物凄い闇が深い家系だと分かった事に少し絶望する

 

「本来ならフル以外の異性には諦めてもらいたいんだが……まあ、何とかなるだろう」

 

「何かごめん……」

 

「いや、気にするな。そろそろ新しい血が欲しかったからな。そう言う意味合いでも今回の事は好都合だ。だからお前は気にしないであの子達を守ってやれ」

 

「分かってるよ」

 

「ハハハ、流石は俺の息子だ。さて、次は俺と母さんの結婚までの話なんだがな!母さんはな昔から俺の事をお兄様、お兄様って後ろから付いてくる超絶可愛い妹でな!」

 

それから父親から解放されたのは3時間後の事だった




世代を重ねる事に美形が産まれるとか神ですか?将来が困らない家系で安心だね(反らし目)

身内に対しては激甘、外の者に対しては激厳です


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彼女達のお茶会

次の茶番回を終えたら本編に戻ろうかな


現在、第二王女マリアの部屋ではマリアを含めた4人でお茶会を開いている。メンバーはイクスの婚約者のアーシャ、フル、アリアのメンバーだった。そもそも何故この3人がマリアのお茶会に参加したかと言うと

 

「たまには旦那様を抜きにして話をしませんか?」

 

と言う誘い文句で集まっていた。呼ばれた際にアリアとフルは仕事が残っていたのだがマリアが騎士団に直接お願いに向かった事によりマリア王女を表向きには護衛に当たる事になった

 

「それで?マリアはどうして急にこんな事を?」

 

今まで黙っていたアーシャが出されたお茶を飲みながらマリアに質問すると彼女もニッコリと微笑む

 

「今日お茶会に誘った理由はズバリですね、イクス様の性癖を知りたいんです!」

 

お茶に口を付けていたフルが吹き出しそうになったが何とか押さえてマリアの方に少し強めの視線を向けるが当の本人は何処吹く風の如くスルーしていた

 

「マリアも知ってるんじゃないの?スキル使って」ボソ

 

「いいえ、私はイクス様の趣味や性癖までは分かりません。それとスキル使ってもそこら辺が分からないのです」ボソ

 

お互いに最後の部分はお互いにしか聞こえない程の音量で会話をしていた

 

「……弟君の性癖かぁ、髪フェチとか?」

 

「……後は背中もそう」

 

「そう言えばイクスって普通の男の人なら真っ先に胸やお尻に目が行くのにイクスは先ず最初に髪や背中を見るね」

 

「髪フェチは分かりますが背中フェチはニッチ過ぎませんか?」

 

「そう?背中フェチもそれなりに居ると思うけど」

 

「それで?イクス様は私達の髪と背中は気に入ってるのかしら?」

 

マリアの発言にピクリとアリアの耳が動くが他のメンバーは気にする事なくアーシャの方視線を向ける

 

「背中の方は分からないけど、髪の方は気に入ってると思うわよ。私はよくイクスに髪を触って良いか訪ねられるし」

 

「私も弟君にお風呂上がりに髪を乾かしてもらってるな」

 

「……ご褒美にナデナデは至高」

 

「私だけ撫でられてませんが?」

 

「まあ、マリアは王女様だし気安く触れられないんじゃない?」

 

「皆さんズルいですわ!私だけ除け者なんて!」

 

マリアの抗議にフルとアリアは困った顔をしながらアーシャの方に助けを求めるがアーシャも流石に手が無いのか首を横に振った

 

「こうなったらイクス様に直接お願いに行ってきます!」

 

「えっと、「頭を撫でて欲しい」と?」

 

「いえ、私を抱き締めながら撫でて欲しいとお願いしてきます!」

 

「流石にそれは私でも許さないよ?」

 

「あら、正妻気分に浸かってる貴女に拒否権はありません。一番最初に告白をしたからと言って正妻になれるとは限りませんもの」

 

「イクスもこんな【見た目だけ】可愛い王女様を正妻にするとは思えないかな♪」

 

お互いにお互いを牽制した結果部屋には何とも言えない重苦しい雰囲気が部屋の中に見ていてた

 

「ここら辺で1度も立場を分からせてあげましょう」

 

「良いね、私もそう思ってたんだ♪」

 

お互いに武器を構える二人を横目にフルは小さい溜め息を吐き、アリアは出された茶菓子を淡々と食べていた

 

 

「うふふふふふふふ!」

 

「あははははははは!」

 

それからイクスが余りにも帰りが遅かった3人を心配して迎えに来るまでこの不毛な戦いは続いたとか




自分は好きな事を書いているのでそれが合わないのならこの作品を読む事はお勧めしません。自分の趣味をやりたい放題にやるのがこの作品の見所なので。それでも良いと言う方だけこれからもこの作品をよろしくお願いします


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一般騎士視点からのイクスの日常

今回はモブから見たイクス君の日常回です


皆さんこんにちは!僕は騎士団に所属しているリールです!今日は僕の尊敬しているイクス隊長補佐の日常を紹介したいと思います!

 

今朝の訓練を終えたイクス隊長補佐は汗を流してから執務室に入っていきました、その際には右腕のアリア副隊長補佐も一緒に居ました。お二人は入隊時から一緒らしく片時も離れた事が無い程に仲が良いらしいです。それから数時間が経過して時間はお昼になりお二人は執務室から出てきました。どうやらお二人はこれからお昼の様です、しかも副隊長補佐が持参したお弁当を二人で食べてます!凄いラブラブですね!あ、隊長補佐の口に付いていた食べカスをキスで取りました!桃色の空間が二人の間に広がってます!甘いです!口から砂糖が出そうな程に甘いです!周りに居た他の騎士メンバーも二人の雰囲気に当てられてダウンしてますよ。流石は隊長補佐です!

 

「リール、すまんがこの書類を執務室まで頼む」

 

「分かりました!ですが何で僕に?」

 

「いや、あの二人の空間に入れるのはお前くらいだからな……」

 

うちの隊長も流石にあの二人の空間に耐えられないのかお腹を押さえながら遠い目をしてます

 

「それじゃあ頼んだぞ」

 

「分かりました!」

 

あれから頼まれた書類を届けに行くと今度は魔法部隊総大長のフル様が隊長補佐とイチャイチャしてました。正確に言うのであればフル様が隊長補佐を壁際に追い込み少し強めにキスをしてました。立場が逆なら凄く絵になっていました!お二人の邪魔をするのも悪いので隊長補佐に一声掛けて隊長補佐の机の上に書類を置いて部屋を出ることにしました。その際に隊長補佐が何か目で訴えてきた様な気がするけど分からないのでそのまま部屋を出ました

 

「それじゃあ僕はこれから見回りに行ってきますね」

 

「おう、気を付けて行ってこいよ」

 

王国の治安を守る為に毎日見回りにに出る事は当たり前です。それにしても風の噂で聞いたのですが第二王女様のローズ様は近々降嫁されるとか、一体何処に嫁ぐのでしょうか?

 

そんな事を考えていると前方の方に見覚えのある鎧姿の人を見かけ、少し近くに寄るとやはり隊長補佐だった。隣に居るのは勇者アーシャ様だった。確か勇者様は隊長補佐の事を凄く気に入っているとか。あ、そんな事を考えていると素行の悪い者達が勇者様に絡んでいます!隊長補佐は何をしてるんですか!?って隊長補佐が少し勇者様から離れています。何かあるのでしょうか?

 

そんな事を考えていると勇者様が目にも止まらぬ早さで素行の悪い者達の顎を次々と砕いていってます!?凄いです!流石は勇者様です!あ、そんな事よりもあの者達を捕らえなくては

 

「今日はお疲れ様です!」

 

仕事も終わり、今日はゆっくりと帰ろうかと思っていたら隊長補佐が一人訓練場に居る事に気が付いたので挨拶しようと近付いたら近くにメイド服を着た人が居たので足を止める。あのメイドの人何処かで見たような……凄くローズ王女様に似ているような……

 

あ、隊長補佐がメイドとキスをしてます!今日だけで3人にもキスしていたのに更にメイドにもするとか流石は隊長補佐ですね!性欲も相当強いらしいですね!ですが何で隊長補佐はあんなに慌てて離れたのだろう?

 

「ふぅ、今日も色々あったけど明日も頑張ろう!」

 

そんな事を考えながら今日あった事を振り返りながら執心に付いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、今日凄く見られていた様な気がするんだが……」

 

「気のせいじゃない?」

 

「そうなのかな?あ、それと仕事中に襲い掛かってくるなよ!」

 

「あは♪」




よし、次の回から本編を再開します。それにしてもイクスは何時も何時もヒロイン達に襲われてますね


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定例会議 上

やっぱり一転特化の方が強く感じるよね

出来れば深夜にもう一本上げたい


騎士団では月に一回行われる定例会議に各部隊の隊長と副隊長が集まり情報を共有したり何か無かったかそう言った報告会が行われる。そんな定例会議に何故か俺とアリアが隊長代理と副隊長代理で出席する事になった。何故だ……

 

そもそも何故この定例会議に出席する事になったかと言えば、今朝執務室に着くと同時に隊長が『何か調べる為に出掛けるから代理で出席してくれ』と言い何処かに消えてしまったのだ。普段なら力ずくで止めるが今回は隊長の表情が今まで無い程に真剣だったので止める事が出来なかった。アリアの方にも話は通っていたので心配する事はなくて安心したが

 

「はあ……何で俺が代理なんかを……」

 

「……一応私達は補佐だから、これも仕事」

 

「いや、分かってるんだがな……」

 

そんな愚痴を溢しながらも会議室に到着した。中に入ると既に何人かは来ている様で扉を開けた事により注目を浴びてしまう

 

「何でお前が此処に居るんだ?イクス」

 

「うちの馬鹿隊長が逃げたんで代理ですよ」

 

「相変わらず彼奴の逃げ癖は治ってないようだな」

 

今話しかけてくれた人は第8師団隊長のキール・ロイヤル。騎士団の中では剣客と呼ばれており、騎士団の中では剣を扱わせれば最強と呼ばれる程に強い。うちの隊長とは入隊時から仲で騎士団の中でもかなりの発言力を持つ人だ

 

「アルちゃんは相変わらずね。ノーラが心配になってきたわ……」

 

呆れた様な声を出したのは第3師団隊長のアイン・ハルト、騎士団の中でも最も治癒魔法に優れており同時に数百人を一瞬で治癒する事が出来るらしい。昔はノーラさんと隊長を奪い合った恋敵だったらしいが……

 

因みにアルちゃんとはうちの隊長の愛称らしい。正式名所はアルトリウス・ペン・ドラゴンとか、何処かで聞いたような気がする

 

「あの阿呆はどうせまた無駄な事に首を突っ込んでおるよ」

 

何処か困った様な表情を浮かべるのは第5師団隊長のノーム・ロード、騎士団の中では最古参であり誰よりも魔法を熟知しているお爺様。初級魔法でさえもこの人だと上級魔法の威力に匹敵する。キールさん、ノーラさん、隊長、アインさんの魔法の師でもある

 

因みにうちの隊長もついでに紹介しとくと第18師団隊長のアルトリウス・ペン・ドラゴン、騎士団最強と呼ばれているムーク・バルトのライバルであり、剣と魔法を同時に使えばムーク・バルトすら凌駕すると噂されている

 

他にも色んな隊長達は居るが異常な強さがあるのは先程紹介したメンバーと思い出したくは無いが【アイツ】だと俺は思っている

 

そんな事を考えていると徐々に人が集まり、総大長のムーク・バルトが来た事により全員が席から立ち上がり頭を下げる

 

「これから定例会議を始める」

 

はあ、何で俺がこんな窮屈な会議に出なきゃならんのだ…………




騎士団の体長達は普通に強いです。何れくらい強いかと言えば転生者を狩るくらいには強いです


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定例会議 下

この世界インフレし過ぎぃ!


「先ずは各自報告を頼む」

 

「魔物の活動についてですが、ここ数ヵ月に色んな場所に魔物が大量発生しています。外壁外の町にも被害が出ています」

 

「研究者達の話によればここ数ヵ月に異常なまでに魔物達の体内に生成されている魔力が大幅に上がり、凶暴化している様です」

 

報告を聞いたムークは何かを考える様に顎に手を当てる

 

「今回の魔物の件は16師団に頼めるか?」

 

「お任せください。私と数名の部下で調べてみます」

 

「任せた」

 

第16師団は隠密能力に優れた者が多く、その事を生かし情報収集をメインに活動している

 

「他に何か報告は?」

 

「ふむ、ここ最近は王国、帝国、共和国で人拐いが起きているようじゃ。王国の見回りを強化した方が良いと思うのじゃが」

 

「見回りの強化の方は17、18師団の者達で協力して今まで以上に頼む」

 

「分かりました」

 

その後も各師団から報告を受けては指示を出す事を繰り返しながら十数分が経過した

 

「前に召喚した勇者の件なのだが、彼のステータスを見せてもらったがオールEでスキルは何一つ無かった。レベルもここ数ヵ月で4上がった程度だ」

 

ムークの報告に師団長達は動揺が隠せないでいた。勇者召喚は異界の中でも特に優れた者を呼び出す筈なのにオールEで何のスキルも持たない者などこの世界に存在する筈が無い。そこら辺の子供ですらDランクで何か1つスキルを持っている。更にレベルで言うのであれば子供と変わらないレベルだ

 

「ほ、本当にその子は勇者なの?」

 

流石のアインもムークの報告に何時もは穏やかな表情が焦りの表情に変わる程に衝撃的な報告だった

 

「ああ、18師団隊長アルトリウスと副隊長ノーラ及び彼等の部下が召喚の時に立ち会っている」

 

「では仮に巨大な敵が出てきた場合はどうするのですか?」

 

「我々騎士団と勇者の子孫のアーシャ様でどうにか対処するのが今の所考えられている」

 

「アーシャ様か……最近は前みたいにトゲが無くなったがそれでも軽く承知はしないだろうな」

 

キールの言葉に他の面々も小さな溜め息や頷いてみせた

 

(今度アーシャに相談してみるか……)

 

「それと先程の勇者の件だが勇者を現れた強敵にぶつけてみる事になった。王には既に了承を得ている。他に何か無いか?……では今回の会議は終了だ。解散!」

 

会議が終了し次々と会議室を後にする師団長達を見送りながら俺達も出ようとするがそれより早く俺達の前に人影が現れた

 

「やあ、久し振りだね。僕のイクス」

 

そう言って俺の手を握り締めて顔を近付く人物に俺は顔が引きつった

 

「あ、ああ、久し振りだな。カーランド……」

 

俺の手を取った人物は第1師団隊長カーランド・ブレイズ、僅か18歳にて第1師団隊長にまで上り詰めた人物。王国でも次世代の次期総隊長と噂される程に彼は強い、あのアーシャですらカーランドの実力を認める程の強者が何故隊長補佐の俺に先程の言葉を掛けたかと言うと

 

「僕の本気の一撃すら君は防いでしまう。ああ、僕は君が凄く欲しい!どうだい?僕の補佐になら無いかい?」

 

昔カーランドと決闘した時に彼の本気の聖剣の一撃を奥の手を使って防いで以来この様に接してくる様になってしまった。見た目は完璧に女子が夢見る王子様系の顔をしてるのに……

 

「悪いが俺は移る気は無いよ」

 

「うむ、それは凄く残念だ。だけど僕は諦めないよ!何時かきっと君を僕の補佐に入れて見せるからね!」

 

それだけを言い残しカーランドは部屋を出ていってしまった。その際に彼の副隊長の子がすまなさそうな顔をしながらお辞儀をして部屋を出ていってしまった

 

「……相変わらず騒がしい人」

 

「あはは……好い人なんだけどな」

 

何でああなってしまったんだろうな。彼は……




イクスは男女共に人気が高いですね(異性として)


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アーシャの秘密のお仕事

今回はイクスや他のメンバーは出ないかな?

誤字が酷すぎて死にたくなってきた……一応見直しているのに


「はあ、全く何で私があの王の為に働かなくちゃいけないのよ……」

 

独り言をブツブツと言いながらアーシャはとある洞窟に来ていた。本来この場所は立ち入る事が禁止されている場所なのだがアーシャは気にする事なく洞窟の奥にズンズンと進んで行く。洞窟の中は外よりも気温が低く少しひんやりとしていた

 

「……ッチ、やっぱり面倒な事になった」

 

小さく舌打ちをし、後ろを振り返ると数体の人形が武器を構えて居た。この人形達は大昔に魔法使いが作り出したゴーレムの1つらしく、普通の人間なら手も足も出ない程に強いらしい

 

「人形に時間を割いてる程暇じゃないんだけどなぁ」

 

(スキル・聖剣作成)

 

【聖剣作成】はこの世界に存在する聖剣を複製して作り出す事が可能になる。ただし無名の聖剣であれ一本作り出すのに膨大な魔力を持っていかれるし、(普通の魔法使いならば作り出した途端に命が燃え尽き、聖剣も壊れる)性能も大幅に下がる

 

「まあ良いや。気分転換に遊んであげるよ」

 

適当な無名の聖剣を作り出し構える。それを合図にゴーレム達は一斉にアーシャに襲い掛かるがニヤリと笑った後にアーシャの姿は消え、気が付けば人形達の真後ろに立ち、その手にはボロボロになった聖剣が握られていた

 

「うん、やっぱりこの程度の聖剣だと壊れるね。まあ知ってたけど」

 

既に興味を無くしたのか手に持っていた聖剣を適当な場所に放り投げると地面に落ちた瞬間に聖剣は砕け消えてしまった。ゴーレム達はそんなアーシャの背中を見た後に襲い掛かろうとするが動く事が出来なかった

 

「あ、それと君達も弱すぎて話になってないよ?大昔に魔法使いが作ったわりには程度が知れたね」

 

それだけを言い残してスタスタと奥に進んで行くアーシャをゴーレム達は追い掛けようとしたが足が動かなかった。それもその筈だ、既にゴーレム達の頭以外は粉々に吹き飛んでいたのだから。ゴーレム達はようやく自分達の状態に気がつき次々と活動が停止していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む?誰だ」

 

洞窟の一番奥深くに到着すると大きな空間が広がっており、その中央では何やら作業をしている異形の者が立っていた

 

「あ、貴方がここの主?悪いんだけど今すぐにここを出て行ってもらえる?近くの村の人達が貴方の作ったお人形さんに困ってるから」

 

「ふん、人間なぞ、我等魔族にとっては只の食料だ」

 

「別に貴方が何人殺そうが私にとっては関係無い話なんだけどね?本当ならあの糞王の仕事を頼まれるのは嫌だけど、でも私の愛しの愛しの旦那様がね、私にお願いしてきたから此処に来たの。だから今回は目を瞑ってあげるから此処から消えて?」

 

ニッコリと微笑むアーシャだがその笑みからは想像も出来ない程の殺気を異形の者に叩き付けていた。更に右手に先程の聖剣が握られており、NOと言えば即座に首と胴体がサヨナラする事は目に見えていた

 

「………分かった。ただし1つだけ聞かせてくれ」

 

「うん。それくらいなら良いよ」

 

「お主何者だ?」

 

「私?私は貴方達が最も忌み嫌う者よ」

 

「……そうか、では私はこの辺で逃げさせてもらう」

 

そこで会話を終え、異形の者が背中を向け転移の魔法を唱えようとした時だった

 

ザシュ!

 

「ゴハッ!?」

 

異形の者の胸から先程までアーシャが持っていた聖剣が心臓を貫いていた。異形の者は一体何が起きたのか分からずに首だけを後ろに向けると、先程までそれなりの距離に居たアーシャが真後ろでニッコリとした笑みで異形の者の背中に聖剣を突き刺していた

 

「な……ぜ……」

 

「んー、別に私は貴方に興味は無いんだけどね?マリアが貴方が持つスキル【ネクロマンサー】に興味を持っちゃってね?だから貴方を殺してスキルを貰おうかと♪」

 

「約束……が……違……う……」

 

「アハハ、魔族が勇者の事を信じちゃ駄目でしょ?信じて良いのは同族と信頼している主だけだよ?だから貴方は敵の前で油断したのが悪いかな♪」

 

一気に剣を引き抜くと突かれた部分から大量に血が流れ出すがアーシャは気にする事無く微笑み、異形の者が死に逝く姿を微笑みながら眺めていた

 

「うーん、そろそろ終わったかな?」

 

スキルで相手のステータスを確認すると相手のレベルと【ネクロマンサー】が無くなっているのを確認してから剣を構える

 

「何か言い残すことは?」

 

「こ……の……悪魔……め……」

 

「アハ♪【僕】はイクスの為なら世界だって殺せるよ♪」

 

そう言いアーシャは何の躊躇いもなく異形の者の首を跳ねた後に火の魔法で跡形も無く燃やし尽くした

 

「もう、急にお願いされる身にもなってよね!」

 

先程までの雰囲気は消え、近くに売れそうな物をが無いかを粗方探った後に部屋に炎を放ち全てを燃やし尽くした後に落石で部屋を封じた

 

「全く今回の依頼はたんまりと貰わなくちゃ割に合わないよ!」

 

プンプンと起こりながらも10秒もすれば頭の中ではイクスにどうやって虐められるかを妄想に変わっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そう言えばあの洞窟で見つけたこの魔剣どうしようかな?私は使わないしイクスに譲ろうかな?でも呪われてたら困るし折る?うーん、あ!適当な人に持たせて効果を見れば良いじゃん!」

 




冗談でもヒロイン達の前で「世界征服したいなぁ」等言ってはならぬ。言えば1日で世界は滅んでしまう


最近魔法少女(主人公は男)物の設定を無意識に考えてしまう……


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裏切りの勇者

50話くらいで終わるかな?


「クソ!何なんだよこの世界はよ!俺は勇者だぞ!選ばれた人間なんだぞ!それが何でこんな事になってるんだよ!」

 

部屋の中で叫んでいるのは数ヵ月前に召喚された異世界から召喚された勇者だった

 

「あの糞神が!何がこの世界に来れば俺の思い通りだ!何一つ思い通りにいかないじゃないかよ!それにいつの間にか王の財宝も使えなくなってるしよ!」

 

召喚されてから訓練に訓練を重ねてきた。だがどんなに訓練を積んでも彼のレベルが10になる事は無く、現在の彼のレベルは7であり、そこら辺の子供と同じ程度だった。その事から周囲は周囲の王宮騎士達からは馬鹿にされ、メイド達にすら影で馬鹿にされているのだ

 

「そもそもあの糞女が余計な事をしなけりゃ、今頃はこの国の女は全部俺の物だったのによ!」

 

前の世界でも彼は自身の顔を使い、色んな女性を食い物にしてきたので自業自得なのだが今の彼には理解する事は不可能だろう

 

「そう、なら貴方にこれをあげるわ」

 

「!?誰d「ザシュ!」あ……」

 

突然室内に自分以外の声が聞こえ、顔を上げ確認しようとするよりも先に彼の胸に剣が突き刺されていた

 

「それを使って精々役に立ってね?【元】勇者様♪」

 

床に倒れ込んだ男を見て小さな笑みを浮かべている人物はこれからの展開に胸を踊らせながら何処かに姿を消してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イックス!たまにはお城に行ってみない?」

 

ニコニコと微笑みながらアーシャはイクスの腕に抱き付きながら城に行く提案をしてきた

 

「いや、城に用は無いし、それに俺が何の用も無く城に入れないだろ?」

 

「大丈夫!マリアもお城に用があるらしいからイクスはその護衛をすれば大丈夫!」

 

「……用意が良すぎないか?」

 

「そんな事ないよ?」

 

最近のアーシャとマリアの考えが分からないイクスは数秒の間考えを巡らしたが特にこれと言った考えが思い浮かばなかった

 

「分かった。恐らくは依頼が来てるから受けてからな?」

 

「うん!」

 

見回りも終わり執務室に戻ると確かに護衛依頼が来ていたのでイクスとマリアで依頼を受ける事になった。その際に城に用があったフルもついでにと付いてきた

 

「それじゃあお姉ちゃんは此方だから、またね♪」

 

城に入りフルは目的地の方に向かう為に別れ、イクス達はマリアの用事を済ませる為に用事があるらしい訓練場に向かった

 

「それでマリア様、どの様なご用事があるのですか?」

 

一応婚約したが仕事中と言う事なので敬語口調で話すイクスに少し眉を潜めるマリアだがすぐに元に戻し内容を伝える

 

「今日はあの勇者様のお姿を見たいと思って」

 

マリアが言う勇者とは恐らくはあの男の方だろう。何故彼女があの勇者に興味を持つのかは分からないが彼女が望むのならば従うしかないのだから

 

「勘違いしないでくださいね?私の心も体も全てイクス様の物ですよ?私が勇者様を見に来たのは何れくらい強くなってるかです」

 

「……そうですか」

 

そんな会話をしながら訓練場に到着すると驚愕な事が起こっていた

 

「■■■■■■■■■!!」

 

訓練場には何人もの王宮騎士達が地面に倒れ付し、地面や壁には無数の深い傷が刻み込まれていた。そしてこの惨状を引き起こしたであろう人物は既に声にならない程の叫び声を上げていた

 

「アーシャはマリア様を安全な所に避難させてくれ!それと急いで他の者達にも伝えてくれ!マリア様はこの場所に誰も近付かない様に伝えてください!アリアは俺と一緒にあれを止めるぞ!」

 

「了解」

 

「イクス様、どうかご無事で」

 

「危なくなったら私を呼んでね!」

 

マリアを連れて逃げる際に倒れていた王宮騎士達を何処かに転移させた事に心の中でお礼を言い、武器を構える

 

「さて、何があったか知らないが覚悟してもらうぞ?」

 

「■■■■■■■■!!」




一体あの勇者に何があったのだろうか?誰が彼をあんな姿に!(剃らし目)


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魔剣に魅入られし者

最近【さすおに】が格好良すぎで悶えてます


「さて、出来る事なら捕縛しときたいんだが……」

 

チラッと黒い靄に包まれた勇者の方を見るが明らかに理性と言う物は存在していないだろうな。先程から言葉より唸り声しか上げてないし

 

「アリアは隙を見て攻撃を仕掛けてくれ。防御は気にするな」

 

「了解」

 

何処からか槍を取り出したアリアは一気に勇者の元に向かって走り出す

 

「先ずは一発」

 

接近したアリアは勇者の心臓目掛けて突きを放つが手に持っている剣で弾き、そのままアリアに向けて剣を降り下ろす

 

「重い!」

 

マリアと勇者の間に割り込み勇者の降り下ろされた剣を受け止めた瞬間小さなクレーターが出来る程に勇者の剣が重かった。離れ際に数回メイスを振るうが全て防がれてしまった

 

「■■■■■■■!!」

 

「速い!?」

 

目に見えぬ程の速さに剣を振り回す勇者にイクスも攻撃を捨て防御に徹していた。アリアが隙を見て攻撃を仕掛けても片手で全て防がれてしまう

 

「この強さ尋常じゃないぞ……」

 

勇者の力を抜きにしてもあり得ない力に素早さ。まるで身体に掛かる負担を全て無視した様な戦い方にイクス達も押されていた

 

「ハア…ハア…どれだけ体力が有るんだ……」

 

「手が痺れてきた」

 

「■■■■!!」

 

此方はかなり疲労してるのに相手はまだまだ元気の様だ。正直言って泣きたくなってきたな。それにしてもあの勇者が持っている剣が少し気になる、何でか分からないが物凄く嫌な気配をバンバン放っているし

 

「■■■■■■■■■!!」

 

「しまった!?」

 

それは一瞬だった。近くに落ちていた王宮騎士が使っていた剣を拾い上げ、それをそのまま防ぐと勇者はその隙に訓練場の壁を破壊して外に逃げたした

 

「待て!」

 

勇者が破壊した場所に向かうが既に勇者の姿は何処にも居なかった

 

「一体何だったんだ?あれは……」

 

それからすぐに王宮騎士達が部屋に入ってくるが既に意味は無いのでイクスとアリアはアーシャ達を探し、一度騎士団の方に戻った。その後今回の事を報告してからイクスはアーシャを個室に呼び、今回の事を聞くことにした

 

「アーシャはあの勇者が持っていた剣に何か感じなかったか?」

 

「そうだね。剣から邪悪な気配を感じたかな?」

 

「魔剣の類か?」

 

「多分ね?私も詳しくないから詳しくは言えないけど」

 

「いや、それだけでも収穫だ。だが気になるのは勇者は一体何時の間に魔剣を入手したかだ……」

 

「私も調べてみるよ」

 

「ああ、頼む」

 

アーシャとの会話を終えた俺は事後処理の為にそのまま執務室に向かい、今回の事を書類に書かなくては……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふーん、あの魔剣って所有者の理性を無くす代わりにレベルとステータスを上げるんだ。まあ言葉も話せない様な獣に堕ちるのはどうかと思うけど」

 

 

 




やっぱり戦闘シーンが微妙過ぎだな


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魔王の影

異世界物の勇者って何故か不遇の居る事が多いよね


勇者が逃亡してから既に1ヶ月が過ぎ、この世界で色々と問題が起き始めていた。街の外で暮らしている幾つもの村が魔物に襲われて滅ばされてしまった。この事を重く見た王族は騎士団の方に情報収集と村の様子を見る様に依頼してきた

 

そして先日騎士団全ての隊長が宮殿に呼ばれた。呼び出された理由はここ最近になって魔物が凶暴化したり複数の魔物が村を襲ったりと色々と王に説明をする為に集まったらしい

 

(絶対に良くない事が起きるだろうな……)

 

ここ最近は何かと物騒な事ばかりだ。帝国では悪魔の襲撃、双子とアーシャの戦い、勇者の脱走に終いには今回の騒動だ。何か起きる事は明白だ

 

「クラウン補佐、ちょっと良い?」

 

「はい。何ですか?」

 

呼ばれて振り返ると何時もの姉さんじゃなく、仕事モードの姉さんなので俺もそれなりの態度で返す

 

「最近は魔物の活動が頻繁なのはご存知ですよね?」

 

「ええ、うちの隊長も頭を悩ませていますね」

 

「その事で少し確認がしたい事があるのでアルトリウス師団長と会えないかしら?」

 

「今からですか?」

 

「ええ、急ぎの用事なので」

 

「分かりました。しばらくお待ちください」

 

隣に居たアリアにフルの相手を頼み、イクスは少し急ぎ足で執務室に向かうと珍しくアルトリウスは机に座り、何かの資料を見ていた

 

「隊長、魔法部隊総大長のフル・クラウンがお会いしたいらしいですが?どうしますか?」

 

「お前の口からフルネームで呼ぶって事は余程の用事だろうな。分かった、連れて来てくれ」

 

「了解」

 

会う事を許可されたので近くに待機していたフルに声を掛ける

 

「それでは俺達はこれで」

 

「ああ、ご苦労さん」

 

イクスとアリアが退室した事を確認したフルはこの部屋に防音と人払いの結界を張ってからアルトリウスに視線を向ける

 

「それで?お前さんが俺に用事があるなんて珍しいね」

 

「チマチマするのは嫌いだから直接聞くわね?最近の魔物の活動と先日の勇者の脱走の件に何か知ってるわね?」

 

「ああ、その裏付けの為に最近はイクスとアリアに無理をさせていたからな。そのお陰で大分掴めてきた」

 

「聞かせて」

 

「…………」

 

一瞬の沈黙の後にアルトリウスは真剣な面持ちに切り替えて話を切り出した

 

「魔王が復活した。それも数百年前に倒された魔王よりも遥かに強い魔王がな」

 

「……本当なの?」

 

「ああ、俺、ノーラ、信用出来る部下数名で魔族達の動向をチェックしていた。そして先日魔王が復活した事が判明した」

 

「と言うことはここ最近の魔物達の行動が変だったのは」

 

「魔王が影響してるだろうな。それに先日の勇者の脱走にも魔王が関わってると俺は思ってる」

 

「その根拠は?」

 

「イクスの報告には勇者は魔剣の類を使用していた。それもそこら辺の魔剣よりもタチの悪い物がな」

 

確かに報告書には魔剣の類が使用されていたと書かれていたがそこまで強力な物だったとは……

 

「恐らくは近い内に魔王軍が攻めてくるかもな。だからその間に何とか手を打たなくちゃな」

 

「そう。素直に教えてくれてありがとう。私の方でも何か無いか探してみるわ」

 

「ああ、頼む。あ、それとちょっと聞きたいんだが」

 

話が終わりフルは結界を解き部屋から出ようと瞳を返した時にアルトリウスに呼び止められた

 

「何?」

 

「イクスとはもうヤったのか?」

 

「なっ!?」

 

アルトリウスの発言に顔まで真っ赤にするフルにニヤニヤとした表情を浮かべるアルトリウス

 

「その反応だとまだか?早く捨てた方が良いぜ?アイツは何かとモテるからな、気が付いたらお前以外は全員終わってるかも「死ね!」グッハ!?」

 

真っ赤になった顔でサッカーボールくらいの大きさの氷の塊をアルトリウスの顔面に全力を投げた後にフルは強めにドアを閉めた

 

「さ、流石は天才魔法使いだぜ……」ガク




よし、魔王の影も出せたので物語も終わりに向かってるな(多分)


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動き始める勇者一行

遂に勇者パーティーが結成されました。本来なら勇者一人で十分なんだけど……


「と言うわけでアーシャ様と共に魔王倒してこい」

 

「は?」

 

皆さんこんにちは最近彼女達に寝てる隙に貞操を奪われそうになったけど守り抜いたイクスです

 

朝一番に呼び出されて何事かと言うと訳と分からない説明をされて、それなりの荷物を持たされて旅に出されそうになっている状況なんですが……

 

「魔王が復活してな、魔王軍が攻めてくる前に魔王をアーシャ様と共に倒してこい」

 

「いや、どう言うこと?」

 

「魔王復活→魔王軍が攻めてくる→ヤバい→ならその前に魔王を倒せば良くね?って感じだ。分かったか?」

 

「いや、何で俺がそのメンバーに入ってるんだよ!?」

 

「我々騎士団と王でメンバーの選出で最も守りが強いからな。様はメイン盾だ」

 

「……流石にキレても?」

 

流石のアルトリウスの物言いに眉間に血管が浮かび上がり、笑顔も歪な物になっていた。そして手にはメイスが握られていた

 

「ま、待て!これは既に王の決定なんだ!それとアーシャ様もこれを了承している!」

 

「…………」

 

渋々と言った感じにメイスをしまうイクスにアルトリウスも安堵な表情を浮かべていた

 

「一応メンバーはこれだな」

 

「……凄い見覚えがあるんですけど……」

 

渡された資料には自分を含む4人の名前が書かれていた。イクス、アーシャ、アリア、フルと言う完全に何時ものメンバーにより構成されていた

 

いや、絶対に変だからな!何で一般兵の俺が勇者パーティーに編成されてるの!?俺は英雄とかに興味ないよ!今でもこのアホ隊長の後処理をするので忙しいのに!!

 

「火力面で言えばアーシャ様とあの貧乳がメインで防御面はお前が担当してその他支援はアリアがする。見事なパーティーだな」

 

「……分かりました。行けば良いんでしょ!」

 

どう言っても既に手遅れなので渡された資料と荷物を受け取り、扉の前まで移動して、最後に意思返しをすることにした

 

「因みに帰って来た時に書類が少しでも溜まってたら今後は一切手伝わないからな」

 

「ちょっ!?それはズルいぞ!」

 

後ろからアルトリウスの焦った声が聞こえるが既にイクスは聞く耳を持たずにズンズンと騎士団を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後何時ものメンバーでマリアの家(嫁ぐ時に上流貴族が住む家)に集まり、マリアの部屋でお茶会をしていた

 

「何で俺達が魔王討伐に行かなくちゃ行けないんだ?」

 

「……仕方ない、これも仕事」

 

「お姉ちゃんは弟君と一緒に旅行が出来ると思うと気が楽だな♪」

 

「やろうと思えば此処から魔王が居る場所を消滅させられるけどね」

 

「皆さんズルいですよ!こんなおもじゃなくて!大変な任務に行くのに私を除け者にするなんて!」

 

「いや、マリアさんは降嫁されたと言っても王族の人なので何かあっては大変ですよ?」

 

「へぇ~、イクス様は私を置いて旅に出るのですか?」

 

「い、いえ、そんな事は!」

 

「ふふふ、少しイクス様にはお仕置きが必要ですね。ちょっと此方に来て下さい♪」

 

「ま、待って!悪かった!俺が悪かったから一時間のディープキスは嫌だあああああああああああ!!」

 

無理矢理引きずられる様に部屋から出ていくイクスとマリアを見届けた後にアーシャは茶菓子を口にする

 

「相変わらずマリアは性欲が強いわね」

 

「王族だと色々と溜め込むからね」

 

「大変」

 

「さて、私達も冒険の準備をしますかね」




イクス君はこのパーティーだと姫プレイが一番似合いそうだな。後はストレス解消の為に相手をさせられたり?


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イクス君の性事情

今回は何と豪華な二本立て!イクス君の性事情が分かるかも?


昔から小さい頃から母さんに女性と付き合った時に幾つかの事に注意する事を聞かされていた。1つ男が女に迫るな、2ついくら相手が迫っても結婚まで手を出すな、3つ浮気をするな。した場合は大人しく殺されろ

 

この3つを絶対に守れと笑顔で言われ、俺は今まで守ってきた。前に一度母さんにキスは良いのかと聞くと「キス程度なら良いけどペッティングは駄目よ?」と事らしい。もしこの約束を破れば俺は2度と目覚める事は無いだろう……

 

「成る程、イクス様のお義母様はそこまでの事を考えているのですね」

 

「クラウン家は昔ながらの考えだからな。俺達もそれに疑問を持つ事は無い。寧ろそっちの方が正しくさえ思えるほどにな」

 

「もしかしてイクスの家系は乙女の柔肌を見せるのも禁止なの?」

 

「ああ、肌を見せて良いのは伴侶だけだな。だから姉さんも家に居る時はなるべく肌を出さない服を着るよね?」

 

「うん、私の場合は外でも同じだけどね。お母さんの教えもあるし」

 

「熱い日とかは大変だね」

 

「まあね。一応魔法で涼しくはしてるんだけどね」

 

「……私も魔法覚えようかな」

 

「教えて上げようか?」

 

「ん、お願いします」

 

「よし、こんなものか?」

 

アーシャ達が会話に花を咲かせている内にさっき襲ってきた盗賊達の死体を片付けなきゃな。あ、それと資金回収をしなくては。一応言っておくが追い剥ぎてはないぞ?これは正当な対価だ

 

勇者パーティーが死体から金品を漁るとか中々無いけど此方も生活が掛かってるんだよ。休んだだけでHP:MPが満タンになるわけないだろう。後は食料を買う為の資金だったりな

 

そう言えばこの世界に転生してから俺って男の友達とか居ないなぁ、同期の仲間達は何か話し掛けると逃げていくし、周りには同い年の男も居ないし……たまには男同士で語り合いたいなぁ

 

そんな事を考えながら死体を片付け、資金も十分確保したのでアーシャ達の方に戻ると既に焚き火の準備を終えてテントも張り終えていた。アリアは水汲みに向かい、アーシャとマリア(何故か付いてきた)が焚き火の為の枝集めに向かっていた

 

「あ、弟君お帰り。そっちの方はどうだった?」

 

「まあまあの資金が集まったかな?これなら次の村でも食料が買えるかな」

 

「ありがとう。お礼にお姉ちゃんのハグをして上げよう」

 

「ちょっ!?」

 

有無を言わさずにイクスの手を強目に引き、体制を崩したイクスを優しく抱き止めながらゆっくりと頭を撫でる

 

「それで?姉さん達はさっきまで何を話してたんだ?」

 

「弟君との初夜は誰が一番最初にするかとか?」

 

「……またそんなどうでも良い事を」

 

「どうでも良くないよ!初夜は女の子にとってはとても大事な事なんだよ!」

 

「あ、はい」

 

あまりの迫力にイクスも流石に反論すること無く素直に受け入れてしまった

 

「それで?話し合いの結果皆で一緒に初夜を迎える事になりました!」

 

「ねえ、俺の意思は?」

 

「弟君は嫌?」

 

「いや、そんな事は無いけど……」

 

はあ、姉さん達は何でそんなに俺に拘るんだろうな。俺よりも強い奴や格好いい奴が沢山居るのに……

 

「……今「何で姉さん達は俺を選んだんだ」って考えたでしょ?」

 

「…………」

 

まるで心を読まれたかの様な感覚に陥り思わず黙ってしまった

 

「弟君は本当に自己評価が低いよね?まあ高過ぎるのもどうかと思うけどね。確かに弟君より沢山素敵な人が居るかも知れないけど私達は弟君以上に素敵な人は居ないと思ってるの。どんなに見た目や力が強くても一緒に居て楽しいかと聞かれたらきっと楽しくないよ。私達は弟君と居るからこんなに笑顔で居られるんだよ?だからもう少し自分に自信を持ってくれるとお姉ちゃんは嬉しいかな♪」

 

「…………」

 

分かってはいるんだよ。俺も姉さんやアーシャ達の事は大切にしたいと思ってるがそれ以上に守れなかった時の事を考えるとやっぱり俺じゃない方が良いような気がするんだよ

 

「弟君」

 

「何、姉さn「んむ」!?」

 

突然のキスに驚いていたが次第に状況を理解したのか目を閉じ、背中に手を回す

 

それから何れくらい時間が経ったのか分からないがゆっくりとお互いに離れるとフルの顔は真っ赤に赤く染まっていた

 

「えへへ////やっぱり弟君とのキスはドキドキするね♪」

 

「俺は違う意味でドキドキしたけどね」

 

「不安は消えた?」

 

やっぱりこの姉には隠し事は出来ないようだ。どんなに隠していてもすぐに分かってしまうのだ

 

「本当に俺で良いのか?俺よりも他に強い奴は沢山居る。もし何があった時に俺よりもソイツ「弟君」……何?」

 

「あまり私達を舐めないでね?弟君が思ってる程私達は弱くないわ。そして弟君は絶対に私達を守ってくれる、そうでしょ?」

 

「ああ、例えこの身を犠牲にしても姉さん達は絶対に守って見せるよ」

 

「ふふ、期待してるよ♪」

 

それからしばらくして他のメンバーも戻ってきたのは良いが何故か全員顔を赤くして頭から湯気が出ている様な現象が起きていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても何で弟君は婚約したのに私達を襲わないの?」

 

「仮に襲ったとして次の日にミイラになりたくないから。それと愛欲に溺れたくないから」

 

「なるほど」




男である以上は愛欲に溺れる可能性もあるのでイクス君はそれを嫌がります。それと今の関係が崩れる事を酷く恐れています


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魔王とメイドと吸血姫

メイド服のスカートはロングが一番だと自分は思いますね

訂正メイドの水無月さんをツクヨミさんに変更しました


城を出てから1か月が過ぎ、俺達は遂に魔王城に到着した。道中に勇者を狙う魔族達が居たがアーシャが一人で全部追い返した。アーシャは異種族には凄く甘いので余程の事がなければ殺しはしないらしい。ただし人間は問答無用で躊躇い無く殺るとの事

 

道中は特にこれと言ったハプニングも無かった。魔王の四天王とか出て来て戦う場面とか想定していたが一切そんな事も無く、順調に魔王が住んでいる魔族の国に到着した。中に入ると魔族の人達が凄いフレンドリーで俺は驚かされた、逆に俺以外のメンバーは特にこれと言った驚きも無く普通に魔王城に向かって行った

 

「お待ちしておりました。勇者様方」

 

魔王城に入ると銀髪の綺麗なメイドさんに出迎えられました。その際に見惚れていたのは言うまでもない。メイドと聞くと時間を止めるメイド、魔王の嫁のメイド、異業種達が作ったメイドを思い浮かべるが目の前に居るメイドは魔王の嫁のメイドを思い浮かべるな。因みに今も昔も前二人のメイドは大好きです!寧ろ目の前に居るメイドさんなら嫁に欲しいです!

 

「おや、私の様な者を欲しがるとは随分と変わった殿方ですね」

 

「え?」

 

クスクス笑うメイドさんに俺は呆けた顔をして居るが周りのメンバーが呆れた様子で此方を見つめていた。つまり……

 

「口説くのは構わないけど用事が終わってからね?」

 

代表として切り出したのはアーシャだったが流石の俺でも顔が真っ赤になるのは分かった。恥ずかしいいいいいいいい!!

 

「ふふ、それでは魔王様が居る所にご案内しますので付いてきてください」

 

「ほら行くよー」

 

「うぅ、穴があったら入りたい……」

 

何で初対面のメイドさんにあんな事を言ってしまったんだ俺は……いや、あのメイドさんが魅力的過ぎるのが悪いんだ!あの銀髪もそうだけど顔も美人だしスタイルも良い、これでモテないと言ったらこの国の男の価値観は可笑しいと笑ってやる

 

「イクスーまた声に出てるよ?」

 

「へ?」

 

視線をメイドさんの方に向けるとこちらには向いてなかったけど耳が真っ赤なのが見て分かった。可愛いなぁじゃなくて!本当にすみません

 

「ここが魔王様が居られる部屋です」

 

しばらく歩くと目的の場所に到着した。そのままメイドさんが三回ノックした後に扉を開けて中に入ると玉座が見えた

 

「遠い所から良く来てくれましたね。勇者様方」

 

玉座に座っていたのは女の人が優しい笑みを浮かべながらこちらに来るように手招きしていた。俺が困惑していると他のメンバーは気にする事無く奥の方に進んでいくので俺も付いて行く事に

 

「魔王様お久し振りです。最後にお会いしたのは3年ぶりですかね?」

 

「ええ、そうですね。貴女が勇者になる為に此処に来てから既に3年ぶりですね」

 

何でこんなにほのぼのなの?普通は殺伐とした雰囲気で決戦前に少し会話をしてから戦いが始まるような……

 

「あ、紹介が遅れましたね。私の仲間のマリア、フル、アリア、イクスです」

 

「皆さん初めまして。私はこの魔王城の主のアーケスト・フェニックスです。アーレスとお呼びください」

 

「フェニックスって事は」

 

「はい、私の能力は不死です。どんなに殺されようと決して死ぬ事はありません」

 

倒せない魔王とかどうやって倒せば良いんだよ……

 

「ここで話すのもどうかと思うので私の部屋で話しましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

玉座から移動した俺達はアーレスさんの部屋にてお茶会が始まっていた。お茶を淹れてくれたのはさっきのメイドさんだった。名前はツクヨミさん、何でも先祖が魔王に転生した異界の者が日本人だったとか。だからツクヨミさんも相当に強いらしい。強さで言えばアーレスさんの次に強いとか

 

「アーレス入るわよ」

 

お茶会を楽しんでいると突然誰かが部屋に入ってきた。そちらに視線を向けるとゴスロリに身を包んだ少女だった

 

「あら?お客さんが来てたの?」

 

「ええ、勇者様達が訪ねて来てくれたのでお茶会を開いていたのよ。貴女もどう?」

 

「いや、私は遠慮するよ。娘達が待っているからね」

 

二人の会話をしている中、俺はある事が気になった。ゴスロリを着た少女に何処か既視感があった。だけど何処で見たかは覚えて無い

 

「あら?坊やもしかしてあの時の坊やかしら?」

 

一通り会話が終わったのか俺達の方に視線を向けるとゴスロリ着た少女にそんな事を言われた

 

「やっぱり何処かで会ったのか?」

 

「ええ、数年前にね。あの時はお腹が空いて倒れている所に貴方が食べ物を分けてくれて助かったわ」

 

「もしかしてあの時の人か!」

 

言われて思い出した。確かに何年か前に行き倒れていた女の人に食べ物を分けてあげようと思ったら血を吸われたのだ

 

「でも姿があの時のままなんだが……」

 

「ふふ、それはそうだもの。私は吸血鬼なのだから。貴方から分けてもらった血のお陰でここ数年は吸血する必要も無い程に渇きが無いのよ」

 

「はあ……それはどうも?」

 

「ええ。それに貴方のお陰で私も二児の母になれたのだもの感謝しきれないわ」

 

「は?」

 

彼女の言葉に一瞬で部屋の温度がマイナスに突入した。正確に言うのであればアーシャから異常な程の冷気が出ていた

 

「貴方から分けてもらった血が余りにも生命力が濃くて吸収しきる前に身体に入っちゃてね。それで吸収しきる頃には私のお腹の中に子供が出来ていたのよ」

 

「あの子達も喜んでいたわ。貴方が父親だって事にね、帰って来た時には興奮しっぱなしだったわ」

 

「えええええええええええ!!」




知らぬ間に二児の父親になるとかイクス君の女難は凄いとしか言い様がないなぁ(遠い目)



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吸血姫の事情説明

何故彼は生前にモテなかったのか?これが分からない


知らぬ間に二児の父親になってた。話を聞く限りその子供達は前にアーシャと戦ったあの双子だとか……年齢を聞いてみると4歳だとか。吸血姫さんが得意とする時間を加速させる魔法を使い肉体年齢を14歳まで成長させたとか、どうりで精神が幼いと思った

 

「別に認知はしなくても良いわよ。私もまさか人間との間に子供が出来るとは思わなかったし」

 

「いや、流石にそれは……」

 

間違いとは言え、相手を妊娠させてしまったのだから男として責任は取らなくてはいけないと思う。てか妊娠させて認知しないとか人間として屑だと思ってる

 

「ふーん、人間の男は女を無理矢理犯して孕ませるのが趣味だって聞いたけど貴方は違うのね」

 

「いや、それは極一部で殆どの男はちゃんと認知します」

 

「ならちゃんと認知してくれるのね?」

 

「はい」

 

「そう、この【原初の吸血鬼】を貰い受けるのだから覚悟しなさいね?」

 

「え?」

 

原初の吸血鬼?それってこの世界で然も力を持っている一人と言われている人物じゃ……

 

「あ、因みに私って物凄く嫉妬深いから浮気した日には覚えておきなさい。一晩かけて貴方の血を全部抜き取ってあげるから」

 

呆けているイクスに小さな笑みを浮かべた後に彼女はイクスの頬に手を添えて優しく頬にキスをして部屋から出ようとする

 

「そうだわ、名乗るのを忘れていたわ。私の名前はシルフィリア・アルカードよ。呼ぶ時はシルフィとでも呼んで、これからよろしくね【旦・那・様】♪」

 

部屋を出ていったシルフィリアを尻目に部屋の温度はマイナスを突破しイクスは後ろを振り向く事が出来なかった。背中からは6人分もの冷たく鋭い冷気を纏った視線がイクスの背中に突き刺さっていた

 

「イクス、ちょっと【お話】しようか♪」

 

「そうですね。私もイクス様と少し【お話】したいですね♪」

 

「…………【お話】」

 

「お姉ちゃんは悲しいよ。今日で弟君が消えてしまうから……」

 

「殿方が人前で口説くのはどうかと思われますが?それと私への言葉は嘘だったと?」

 

「んー、これは少し【教育】が必要ですね」

 

「あの、ちょっと待って!」

 

ジリジリと近付いてくる彼女達にイクスは必死の説得を試みるが全て失敗に終わり、お話と言う名の教育が三時間に渡り続いたとか

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

「もう、次からは気を付けてね!」

 

お話が終わる頃にはイクスはその場で土下座をしてひたすらに同じ言葉だけを繰り返していたのは言うまでもなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お母様何があったの?凄く嬉しそうだよ?」

 

「そうね。凄く良い事が合ったわ。それに貴方達にとっても良いことよ?」

 

「良いこと?」

 

「ええ、前に王国で会った人を覚えているかしら?」

 

「うん!覚えているよ!僕達を作ってくれた人でしょ?」

 

「もしかしてあの人が私達のお父様に?」

 

「ええ、あの人も貴方達を受け入れてくれたわ」

 

「「やった!」」

 

「ふふ、これからは存分にお父様に甘えなさい」




やったね、イクス君!子供には困らないね!


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最強の切り札

今回は長めです。時間が守れなかったけど自分が書きたい展開が書けて満足してます


それは突然だった。アーレスとのお茶会を終えて一息ついている時だった

 

「アーケスト様!緊急事態です!」

 

バンッ!と言う音を鳴らして入ってきたのは鎧を身に纏った兵士の姿だった。兵士は急いでアーレスの近くまで寄り、一礼してから耳打ちをした

 

「!?それは本当ですか?」

 

「はい。既に偵察隊からの連絡も途絶えています」

 

「分かりました。私も玉座にすぐに行きます」

 

先程までののほほんとした時間は無くなり、場には緊張した空気が流れ始めた。アーレスは何かを考え込む様にして、数秒が過ぎた。そして何かを決意したのかアーシャの方に視線を向ける

 

「勇者アーシャ様にお願いがあります」

 

「……何?」

 

「昔、貴女に借りがありましたよね?その借りを今ここで返してはもらえませんか?」

 

「…………理由を聞いても?」

 

「現在我が国は私を支援する平和派と魔族至上主義派が存在すると説明しましたよね?」

 

「まあね。平和派は他の種族と手を取り合って次世代を育てることを良しとする派で魔族至上主義派は他の種族を奴隷として自分達の種族こそが一番だと掲げる派でしょ?」

 

「はい、その通りです。そして現在その魔族至上主義派が数を揃えて城壁の外で構えているらしいです」

 

「ふーん、様は私にそいつ等の説得をしてほしいと?」

 

「いえ、既に彼等はこの国を脅かす害虫に過ぎません。ですから一人残らず殲滅してください」

 

アーレスの決意した瞳にアーシャも少し目を見開き見詰めていたがすぐにアーレスに優しい笑みを浮かべる

 

「うん、良いよ。親友の頼みだもんね?」

 

過去の二人に何があったのかは分からないが『あの』アーシャがアーレスの事を親友とまで言うのだから余程の関係なのだろう。そしてアーシャの視線がアーレスから俺に変わるのが分かった

 

「【春人】お願い、【僕】に力を貸して欲しい。勿論タダとは言わないよ、君が欲する物ならどんな物でも揃えて見せる。だから僕に力を貸して欲しい」

 

俺の事を【春人】と呼び生前の口調が出る程にアーシャは真剣なのだろう。フッ、【奏】は本当に馬鹿だな。俺がお前の願いを断った事あったか?

 

「任せろ。外はお前が戦い、中は俺が守ろう。それとそうだな、王国に帰ったらお前の特製のフルーツタルトでも作ってくれれば良いよ」

 

「……分かった。ありがとう春人」

 

何て言うかお互いがお互いに死亡フラグを建ててるが俺なら兎も角アーシャに至っては大丈夫だろう。例え神が相手でも今のアーシャなら倒せるからな

 

「私達の存在を無視するのはどうかと思いますよ?」

 

「そうだよ!折角新しく出来たお友達の為だもん、私達も協力するからね!」

 

「……任せる」

 

「はは、頼もしい人達だな」

 

それからすぐに戦いの準備の為に自身の装備を確認して、アーシャと姉さんは敵を討つ為に外に向かっていった。残った俺、マリア、アリア、アーレスは玉座の所に向かった

 

「アーストさん、ここがこの国の中心で合ってますか?」

 

「はい、この城を中心に街が出来たのでここがこの国の中心です」

 

「そうですか、分かりました」

 

チェンジ・シールドで手に持っていた盾を今必要な盾と交換する。現れたのは神聖な光を放つ自身と同じ程の大きさの盾

 

「これは…!」

 

「聖剣よりも神々しいです」

 

(この盾はあまり人に見せたくないんだがな)

 

「【スキル・守護神】!」

 

【守護神】とは国1つを包み込む程の大きさの光の壁に守られる。この世に存在する全ての物から範囲内の者達を守ってくれる。それが例え病や迫り来る死であろうが

それらを全て無に返す。自身の生命力と精神力を消費し続ける事によりこのスキルは維持する事が可能だが現在のイクスでは5分を過ぎれば死に至る

 

「っ!此方は何とかしているからアーシャ達も早くしてくれよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イクス……」

 

城壁の外に出ると同時に城を中心に光の壁が現れ、国1つを丸々と覆った。アーシャにとってこのスキルがどの様な効果は分からないが見ているだけで心の底から早く終わらせないと後悔してしまう事にアーシャは直感的に分かった

 

「アーシャ、悪いけど私は最初から本気で行くね?何だかここで無駄に時間を使っているときっと後悔しそうだから」

 

「私もそう思う」

 

お互いに小さく笑い合いながらアーシャは戦乙女の力を解放する。フルの方も奥の手であるスキルを使用したのか今までに無い程の魔力が彼女の周りに溢れだしていた

 

「貴様等があの女の手の者か?」

 

「そうだけど?」

 

首が無い馬に乗った中身が存在しない鎧の悪魔が一番前に出てきた

 

「そうか、ならば死ね!」

 

放たれた槍の一突きをアーシャは避ける事無く右手で掴み取り、鎧の悪魔をそのまま無理矢理引きずり下ろし、核である場所を正確に踏み抜き殺した

 

「生憎と雑魚に掛けている時間は無いの。だから一撃で死ねる事を有り難く思いなさい」

 

「貴様等二人で何が!」

 

他の魔族の者達が何かを言い切る前に彼等は燃えカスとなりこの世から消え去った。何をしたのかなど簡単の事だ。無駄口を叩いている魔族達にフルが一切の容赦も無く、無詠唱で最上級魔法にスキルを上乗せして禁忌レベルの魔法を放ったのだ

 

「言った筈よ?私達には時間がないの。だから静かに死になさい」

 

そこからは戦いでは無く、一方的な虐殺だった。魔族達が何かを使用とすればフルが全てを焼き殺し、戦意を失い逃げる者達をアーシャが何の躊躇いも無く後ろからバッサリと切り捨てたのだ。そして虐殺が終わる頃にはアーシャとフルを除く他の者達は誰も立っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わったか……」

 

「イクス様!」

 

「これは危険」

 

「ツクヨミ!急いで治療室に」

 

「ハッ!」

 

戦いが終わった事を聞き、イクスはスキルを解除すると同時に倒れ込んでしまった。灰色だった髪は完全に色が抜け真っ白になり、瞳も赤く染まっていた。明らかにスキルの影響だった。既にイクスの命は風前の灯火だったがそれでもイクスは笑っていた。自分の力で守ることが出来た嬉しさもあるが一番は誰も失わずに済んだ事への安心感だった

 

(……ああ、やっぱり俺ってヒーローとかに一切向いてないや)

 

そんな事を考えながらイクスは遠くから聞こえるアースト達の声を聞きながら意識を手放した




イクス君は自分をヒーローとは思いませんが人々から見て彼は既に英雄として見られてるのかもしれませんね


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生と死の間にて

おや、イクス君の様子が……


「……ん、ここは?」

 

スキルの影響か頭がボーっとして目も少し霞むがイクスは無理矢理その場がから立ち上がり、周囲をざっと見渡してみた

 

「……何もないな」

 

辺りを探してみても特にこれと言った物が無かった。目得る範囲には見渡す限りの灰色の空間だけが存在していた

 

「ここは生と死の間じゃよ」

 

「貴方は……」

 

声を掛けられて振り向くとボロボロのローブを来た老人がそこに立っていた。先程まで何もなかった場所に突然現れた老人にイクスは少し警戒した

 

「なに、構えんでもよい、儂はお主の敵ではない。まあ、味方でもないがの」

 

「……さっき言っていた事は何なんだ?」

 

しばらく睨んでいたが時間の無駄だと分かり、老人に質問することにした

 

「先程も言ったが、ここは生と死の間じゃよ。今お主はどちらでも無い所に居る」

 

「…………」

 

老人の言葉にイクスは黙り混み、こうなった原因がスキルのせいだと分かっていたので特に慌てる事はなかったがどうやって此処から出て、彼女達の居る方に戻れるか考えていた

 

「何故お主が此処に居るのかと言うと儂が一時的にお主の魂を此処に繋ぎ止めたからじゃ。勿論儂の質問に答えてくれたらすぐに現世に返す」

 

「何?」

 

「儂はお主を見てどうしても聞きたい事があった。それを確認したいのじゃ」

 

「何だ、それは」

 

数秒の間を置いた後に老人は目を細めながら聞いた

 

「お主の周りには才に溢れている者達が沢山居る。なのに何故お主はその者達に対して憧れ、尊敬、嫉妬、渇望、怒りを覚えぬのだ?」

 

老人の質問に僅かにイクスの表情が驚愕していた。確かに普通の者なら才能溢れる者達が自分の近くに居れば色々と思う事はあるがイクスにとって既に答えは出ていた

 

「……そんな事決まっているだろ。才能溢れる人達なんて俺にとってはどうでも良い存在だ。そこら辺に落ちてる石っころと何も変わらない」

 

イクスの回答に今度は老人の方が驚愕していた。普通に取ればただの強がりに聞こえるが、イクスは心の底から才能溢れる者達をそこら辺に落ちてる石にしか見てないのだろう。何故彼はそう思うのだと老人は考えた

 

ここで少し生前の彼の話をしよう。彼の周囲には才能に溢れる者達つまりは天才が集まっていた。彼の家族である両親は父親が昔から存在する由緒正しき武家だった。母親も同じで家同士の約束で結婚したが、それでも仲はとても良かった。父親も母親も天才の呼ばれていた。そんな二人の間に出来たのが春人だったが彼は一切の才能が無かった。どんなに努力しても二流程度の腕に両親を含む全員が落胆した。両親の実家では鍛練と言う名の一方的な暴力を振るわれ、両親に助けを求めても助ける事は一切無かった

 

そして春人には弟が一人居る。弟は両親の才能を両方持って生まれた。これには両親含めてお祭り騒ぎだった、それからは両親の興味は弟だけに向けられ家での存在が無かった。ならば外では存在が合ったのかと聞けばそれも違う。春人の周りには天才が寄ってくる、その事もあって周囲からは常に天才達と比べられていた。そして春人はいつしかこう考えた

 

「何だ、天才ってのはそこら辺に沢山居るじゃん」

 

その考えに至ってから彼は努力する事をやめた。どんなに努力を重ねても彼等は一瞬で今まで努力してきた事を何事も無かったかの様にして抜き去っていく

 

外では常に周りから比較され、家では自分の存在が無いかの様な扱いを受けていた春人だったがそれでも譲れないものがあった。それは唯一自分の事を認めてくれた親友の奏だった。奏も確かに天才だったがそれでも彼は常に春人の隣に居た。普通なら自分よりも遥か先に進んでいる筈なのに奏は何時も凡人であるイクスの隣を歩いてくれた

 

春人にとってはこの上無く嬉しかった。誰からも認められず、比較される中で唯一自分の隣を歩いてくれる奏に春人は心の底から彼を親友を信頼していた。例え奏に殺され、騙され、人生が崩壊しても春人はそれを軽く笑って許せる。何故なら彼にとって奏は本当の意味での【天才】だったのだから

 

「本当の意味で才能に溢れているのは奏…アーシャだけだ。他の人達は才能と言う物に溺れたどうでも良い存在だ。だから俺にとっては才能に溢れる者達の存在は気にした事もない」

 

ゆっくりと老人の方に視線を向けるイクスの瞳は何処まで黒くドロドロと溶けた様な何処か狂気を感じさせる瞳がそこにはあった

 

「……お主狂っておるな」

 

イクスに聞こえぬ程の小さな言葉に老人は小さな溜め息を吐く

 

「分かった。儂の質問に答えてくれてありがとう。ではお主を現世に戻そう」

 

「どうやって?」

 

「ゆっくりと目を閉じるのじゃ。そして数回深呼吸をする」

 

言われた通りにすると段々と眠くなり始め立って要られなくなり座り込んでしまった

 

「お主が闇に落ちたらこの世界は本当の意味で終わってしまうな」

 

老人が何かを言っていたが意識が遠退いて行く彼の耳には届くことはなかった。

 

イクスは才能ある者を無意識に憎んでいた。そしてこれからも彼は無意識に多くの才能を持つ者達を恨むだろう。もしも才能溢れる者達が彼の宝物に触れたら彼は闇に落ち、世界すら滅ぼす残酷な魔王になるだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ程の狂気を無意識に内に隠し込んでおるとは儂も随分と老いたの……」




何時からヒロイン達だけがヤンデレだと思った?

イクス君が周囲からの評価を気にしない理由は才能ある人達の言葉に彼は一切の興味を示さないからである。ヒロイン達の事は才能の事を気にせずに接したお陰で今の様な関係になりました。本当の意味で一番愛してるのはやっぱり親友だけかな?(無自覚で)



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目覚めた君の姿は……

誰か春人×奏の絡みを書いてくれないかなぁ(自分では無理)


イクスが気を失ってから既に一週間が過ぎていた。体の傷の方は完治していたが肝心の意識の方は未だに戻る事は無かった。最初の頃は全員が自分達が出来ることをしていたが次第に手段が無くなり、アリアとアーシャが眠っているイクスの世話をし、フルとマリアは魔王城にある書物室に籠り、何か手段は無いか探していた

 

「イクス聞いてよ、またマリアとフルさんが徹夜で書物室に籠ってたんだよ?それでね、ツクヨミさんに無理矢理連れ出された時の二人の顔が凄く可笑しくてね♪」

 

「アリアはこの城で何だか食に目覚めたのか色々な料理を試してるんだよ?昨日の晩御飯なんてアリアが全部一人で作ってたんだよ?それも何れも美味しくてね!」

 

ここ一週間アーシャは用事が無い時は常に彼の隣に寄り添っていた。その日に起きた出来事を心の底から楽しそうに話す姿は他人の目見たら女神が微笑んでいる様な感じだった

 

「それでそれで!この城のメイドさん達って人間のメイドさんよりも美人美少女が沢山居るんだよ?イクスが目移りしちゃう程にイクスの好みの子が沢山居るんだよ?」

 

「今回はイクスは頑張ったから特別に見る事を許してあげる。春人が望むなら僕もメイド服を着て君に奉仕しちゃおうかな?だからね?早く目覚めてよ。僕を一人にしないでよ……」

 

優しく握っていた手を強く握りながら今にも泣きそうなアーシャの髪に何かが触れる様な気がした。急いでアーシャは視線を上げるとそこには彼女の頭を撫でているイクスが居た

 

「春……人?」

 

「どうしたんだ?そんな死人を見る様な目で俺を見て?」

 

「春人!」

 

遂に我慢が出来なくなったアーシャは目覚めたばかりのイクスの体に飛び付き泣き始めてしまった。この一週間アーシャは泣く事は無かったがそれは我慢していただけだった、泣いてる暇があれば1つでも可能性を見付ける方が彼女にとっては大事な事だった。だからアーシャは泣く事は無かったがもうは我慢する事は無い

 

「何だ?アーシャは俺が寝ている内に随分と泣き虫になったな」

 

「うぅ、全部春人が悪いんだよ!」

 

「はは、それはすまないな」

 

ゆっくりと微笑むとアーシャも釣られて笑う。その笑みはとても愛らしかったのかイクスは先程よりも更に強く抱き締めた

 

「春人?」

 

「奏は俺の物だよな?他の男に絶対に渡さない」

 

「春人どうしたの?」

 

「今のお前は他の男に見せられない程に可愛いよ。下心でお前を見て、近寄ってくる獣を殺したくなる程にそいつ等が憎いよ」

 

今まで優しく抱き締めていた筈が今では押し潰されそうな程に強く抱き締められていたがアーシャはそれを気にすること無く、イクスの状態を見た

 

(経緯は分からないけど今の春人は精神が不安定になってる……なら)

 

「大丈夫だよ。僕は春人だけを愛しているよ。君以外の男に興味も無いし何だったら春人以外の男を全部殺してあげても良いよ?それで春人が満足するなら」

 

「……いや、良いよ」

 

「そう?あ、今から皆を呼んでくるから春人じゃなくてイクスはそこでちゃんと寝てるんだよ?良いね!?」

 

「ああ、分かったよ」

 

それだけを言い残してアーシャが出て行くのを確認してからイクスは先程までの己の行動に顔を真っ赤に染めて項垂れていた

 

「俺は馬鹿か……あんなの俺のキャラじゃない」

 

先程までのドロドロとした感情が消えると同時に羞恥心で先程までの自分を殺したい程に恥ずかしかった

 

その後他のメンバーを連れてきたと同時に全員に抱き付かれ泣かれたのは言うまでもない。何故かアーストや双子が混ざっていたのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしてもイクスの髪と瞳の色も変わっちゃったね」

 

「そうだね。前は灰色だったのに今じゃ白髪赤目だもんね」

 

「……意外と似合う」

 

「そうですね。イクス様はどんな色になっても似合うと思います」

 

「前の色に戻せないのか?」

 




初期の考えだと少しの間イクスは失明にする予定だったけどそれじゃあつまらないからヤンデレを注入することに変更しました


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訪れた平和

大きな平和よりも小さな平和を守る方が難しいと思うな


イクスが目覚めてから更に一週間が過ぎ、漸く王国に戻ったイクス達を迎えたのは民衆の感謝の声では無く、王国を出た後に何があったのかと言う報告書作りと魔族達は争いを望まないと言う説明会がすぐに開かれた。国王、大臣、各騎士団の師団長を集めて和平への会議を数時間行い、アーシャがアーレスに報告して近々此方に来るとの事。5分の休憩を挟んだ後にフルは溜まった報告書を片付ける為に魔法部隊の執務室に籠ることになった。そしてイクスとアリアも案の定アルトリウスが物の見事に手を付けてない書類を無言で処理し始める。マリアは一度城に向かい今後の魔族達との交流の事を考えて自身の父親を話し合いに向かった

 

アーシャも他のメンバーと同じで事後処理に終われていた。事後処理と言っても書類整理では無く、国民を安心させる為にパレードを無理矢理開かれ作り笑顔で国民達に手を振っていた

 

そして数日過ぎて漸く事後処理も終わり、久しく一息付くことが出来た。ここ最近忙しかった為に他のメンバーと会う事が出来なかった事と寝不足も合わさり、少しだけ不機嫌だった

 

「イクス~♪お夜食持ってきたよ♪」

 

「少し心配でしたので着いてきました♪」

 

「やっぱり書類仕事には甘いものだよねぇ~」

 

「……ケーキ!」

 

「…………相変わらずだな」

 

突然の訪問に少し呆けてしまったがすぐに気を取り戻してイクスは書類を片付けて机の上を全て自分の机に移して綺麗にする

 

「皆で食事するか」

 

イクスの言葉により全員の表情に笑みを浮かべ、少し遅めの夜食をする事になった。料理は全てアーシャが作ってきてくれたのでそれを頂いた。しかも全部日本料理だったので懐かしさに少し涙が零れそうになった

 

「アーシャさん、このお料理は何と言うお名前なのですか?」

 

「和食だよ」

 

「ワショク?」

 

「僕が一番得意な料理なんだ」

 

アーシャの説明にマリアは頭の上に?マークが浮かび上がってるのが目に見える

 

「何と言うか味わい深い料理だよね?」

 

「和食は奥が深いからね♪」

 

フルはだし巻き玉子を食べながら聞くとアーシャは笑顔で答えるがもっと奥が深い日本食はあると思うぞ

 

「……この芋甘くて美味しい」

 

「それは大学芋って言ってね、糖蜜を絡めてあってとっても美味しいんだ」

 

確かに大学芋は美味しいよな。特にアーシャが作る物はそこら辺にある店よりも美味しいから困る

 

「はい。イクスが大好きな鯖の塩焼き」

 

「お、相変わらずアーシャのは良い見た目だ」

 

手作り料理なんて自分で作るかアーシャが作って来てくれるしか食べたことが無いから本当に久しぶりだな

 

「……前よりも腕が上がったな」

 

「まあね。前に比べたら材料も無いし、全部自家製なんだよ?」

 

アーシャの言葉に思わず食べている手を止めてアーシャの方に視線を向けるとニッコリと笑いながら口元に着いた汚れを取ってくれていた

 

「ふふ、良いお嫁さんになる為に花嫁修業を積んできたんだよ?」

 

「むむ、私も花嫁修業を積んできたつもりでしたけどまだ修業が足りませんでした。アーシャさんが良ければこのワショク?を教えて下さいませんか?」

 

「あ、私も教えて欲しいかな」

 

「……私も」

 

「任せて!私の覚えている和食料理を伝授してあげる」

 

食事を終えた後にそんな風景を遠目に眺めていたるとこれが本当の平和な様な気がしてきた。大きな平和よりも小さな平和の方が俺にとっては大事だと感じさせた。だからこの平和を破壊する奴が居るのならば俺は何の躊躇いも無く、奴等を滅ぼそう




今回はほのぼのだったな。次回からは番外です


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誰にも見せられないとある少女の秘め事

今回はある人が少しヤバめ?です。苦手な方はお気を付けてください


「~~~♪」

 

夜、誰も居ない廊下で小さな鼻歌を歌いながら黒いドレスを身に纏った少女はゆっくりとした足取りである場所を目指していた

 

たまに人とすれ違うがすれ違った者達は少女の事がまるで見えていないかの様な様子で通りすぎて行く。少女も気にした様子も無く目的地に向かう

 

しばらく歩くと目的地の場所に到着した。そこには何一つ無い平原だったが少女は指で小さな音を鳴らして、また歩き出した。平原をゆっくりと進む少女は次の瞬間には何処にも居なくなっていた。それもその筈だ、先程まで何もなかった平原には最上級魔法の幻影魔法が何重にも掛けられていたのだから、普通の魔法使いですら見付ける事は不可能で余程の実力差が無いとこの幻影魔法を掛けられた場所を見付ける事は不可能に近い

 

そんな隠された場所に向かった少女は少し歩くと小さな小屋があり、何の躊躇いも無く扉を開け、床に隠してある隠し扉を開けて地下に降りていく

 

地下に降りると顔を歪ませる程の血の臭いが充満していたが少女は表情を崩すどころか更に笑みを深めた。地下の廊下を歩くとそこには何十物の牢屋があり、そこには何人もの人々が捕らえられていた

 

牢屋の中に居る者達は少女の姿を見ると口々に「出してくれ!」「俺達が何をしたんだ!」「何故私がこんな所に!」「お願いします!此処から出してください!」と言った少女に向けて助けを求める声が大量に寄せられたが少女は歪んだ笑みで彼等に微笑み、更に奥へと進む。奥に進むと何かの実験台の様な場所に到着し、白衣の様な物を纏った男が現れた

 

「これは【黒薔薇様】がいらっしゃるとは珍しいですね。何か有りましたか?」

 

「ええ、【家でキャンキャン吠える犬を引き取って貰いたくてね】♪」

 

「それはそれは大変でしたね。では【狩人】を向かわせますので詳細を教えてはくれませんか?」

 

「メイドの服を着る変な趣味な犬よ。それも手入れがされてないのか毛が私の背中くらいある子よ?色はピンクの犬よ?」

 

「分かりました。すぐに【狩人】を向かわせてます。では今回の報酬の件ですが、これくらいですか?」

 

「そうね、それくらいでお願い。後は少し魔力が籠った【目玉】が欲しいわ、なるべく純度の高めの」

 

「分かりました。すぐに用意致します」

 

男が離れる際に「見ていきますか?」と聞かれたが少女は興味が無いのか断り近くに置いてあった木の椅子に腰を下ろす。すると全身黒で覆い尽くされ三角帽子を深くまで被った人物が少女に飲み物を渡すと少女も「ありがとう」とお礼を言うと男は近くの壁際に戻り、じっとその場に立たずむ

 

「お待たせしました。今回は純度の高い目は全部で8個ですが宜しいですか?」

 

「ええ、ありがとう。ここは純度が高くて助かるわ」

 

「いえいえ、何かご入り用でしたらまたいつでも来て下さい」

 

「ええ、そうするわ」

 

そう言って少女は出された飲み物を飲み干して代金を支払い、目玉が入った瓶を懐に入れて帰ろうと足を動かす時にある事を思いだし振り返る

 

「分かっていると思うけど捕らえるのは罪人だけよ?もし私が見ていない所で罪人以外を捕らえてるのならどうなるか分かっているわね?」

 

殺気染みた視線を白衣の男に向けると目を見開き、額からは冷や汗を流していた。男は少女に聞こえる様に「わ、分かっています」と言うと少女は殺気を引っ込め「そう、なら良いわ」とだけそれだけを良いその場を離れていった

 

薄暗い廊下を歩いていると前の方から先程と同じ黒服を着た男とその後ろに首輪を付けられた女が居た

 

「あらあら、また新しい罪人が連れて来られたのね」

 

クスクスと笑う少女に女は少女に殴り掛かろうとするがそれよりも男が腰に差していた剣で女の腹に突き刺した。女は激痛の余りにその場に踞るがその場で傷を治す物は誰も居なかった

 

「【商品】が暴れるのはどうにかならないの?」

 

「申し訳ありません。黒薔薇様」

 

「別に気にしていないわ。あと、あの男にはちゃんと【商品】の管理をちゃんとしろと言っておいて」

 

「畏まりました」

 

男は未だに踞る女の髪を掴み、無理矢理引きずる様に奥へと進んでいく

 

「さ、帰りましょう」

 

少女は何事も無かったかの様に来た道を辿る様にして家へと帰っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近は犯罪が少なくて見回りも楽で本当に嬉しいよ」

 

「まあイクス様ったら♪」




【少女】の正体は商品と最後の文で誰か丸分かりですね

一応言っておくと【少女】にとっては罪人がどうなろうと気にも止めません。【少女】が購入した目玉は代償を肩代わりする為の物です。一回一回潰すのが面倒だとか


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母親と息子の会話

マザコンじゃないよ?


「イクス」

 

「はい、何でしょうか母上」

 

今日は珍しく母さんに声を掛けられた。念の為に言っておくが俺と母さんの仲は決して悪くない。生前の奴等と比べるまでも無い程に俺を愛してくれる人だから俺も敬意を持って接している

 

本当に珍しく母さんは俺一人を自身の部屋に呼び出した。普段なら必ず父さんが居るのに今日は不在らしい

 

「子供は?」

 

「生憎と彼女達とはまだに肉体関係に及んでいません。それと俺もまだ16なのでもう少し時間が経ってからかと思っています」

 

「そう」

 

そう言って母さんは用意されたカップに口を付けて中身を飲み始めた。母さんは俺が産まれた時から無表情、無感情、無口と言った三拍子揃った【無】の人だった。俺や姉さんが産まれても表情1つ変えた事も無く、例え目の前で家族が殺されても母さんは顔色1つ変えないだろう

 

姉さんや父さんが一方的に話を続けても極希に相づちをする程度でこれと言った反応を示さない。なら、母さんは俺達を愛していないのかと言うとそれは外れで、母さんは俺達家族やこの家の使用人を愛している。本当に極希に母さんに誉められたりお祝いに料理を作ってくれる事がある。俺達はそれがとても嬉しかった

 

父さんは産まれた時から一緒だったから母さんの考えている事や感情を読み取ることが出来るらしい。何でも「彼奴は本当ならお前達を溺愛するくらいに愛しているから心配するな」と言われた時は流石に驚いた。母さんが彼処まで【無】なのは自身が持っているスキルの影響があるらしいが本当はどうなのだろう?

 

「仕事は?」

 

「毎日書類整理の仕事が主流ですが、たまに外に見回りをすると良い気分転換になって書類仕事にまた身が入ります」

 

「そう」

 

カップが空になったのか後ろに控えていた使用人に視線を向けるとすぐさま新しい紅茶を注ぎ入れる。視線で俺の方にも淹れるかどうかと聞かれるが視線を外す

 

「…………」

 

「…………」

 

お互いに話す事が無く、沈黙が流れるがこの沈黙は不快感など一切無く俺にとっては至福の一時の1つだった。普段は同じ家に居る筈なのに余り会う事が出来ないし、何よりも俺は父さん達と違って話続けるのが苦手だから母さんに不快感を与えかねないから余り話し掛けない様にしていた

 

「……貴方は」

 

「え?」

 

沈黙を破ったのはまさかの母さんだった為に俺は視線を母さんに向けた

 

「私達の誇りよ。だから頑張りなさい」

 

「―――!?」

 

母さんの言葉に思わず瞳から涙が溢れそうになった。俺は母さんや父さん達に誇りに思われていた事に嬉しく感じた。姉さんを誇りに思うのは分かるが魔法の才能も無い俺なんかを誇りに思ってくれる母さんに俺は言葉が出なかった。本当に認めて欲しい人に認められるとこんなにも嬉しかったんだな……

 

「はい、これからも母上に誇りに思われる様に精進します!」

 

「そう」

 

それから特にお互いに会話は無かったが俺にとって素晴らしい時間だったのは言うまでもなかった




本当は誰よりも家族に認めて欲しかったイクス君。生前は本当に運が無かったとしか言い様が無い程に不運でしたからね


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動き出せなかった悪役達

一応本編です

アーシャとマリアが優秀すぎて敵が行動に移す前に潰されるとか笑えない


???視点

 

ここはとある室内、その部屋の中には数人の人物が集まり何かを話し合っていた

 

「王国は力を付け過ぎた」

 

「王国だけじゃない。帝国も今では新たに加わった男の影響で四天王も力を付けすぎている」

 

「魔族も帝国と協定を結び、既に奴等にとっては驚異ではなくなっているぞ」

 

「その事だがどうやら魔族の協定に持ち込んだ者が居るらしい」

 

「ほう、誰だ?」

 

「勇者一行だ。勇者の名前はアーシャ・イザヨイ。歴代最強と呼ばれている程に力を付けている」

 

「最強と言ってもたかが16程度の小娘だろう」

 

「ふん、どうだかな」

 

男はつまらなそうにしながら手元にある資料に目を通しているとある事に気が付いた

 

「勇者一行の中で面白い存在が居るな」

 

「面白い存在だと?」

 

「ああ、この男だ」

 

男が注目したのは勇者一行の唯一の男であるイクスだった

 

「何でも勇者の婚約者だとか。こいつを手込めにすれば勇者は我々の物に「ふーん、僕のイクスに手を出そうとする馬鹿は此処かな?」なっ!?」

 

先程まで誰も居なかった空間に突如現れた人物に男達は驚きの表情に満ちていたが現れた人物はそれを気にすること無く懐に入れていた短刀を男の喉元に突き刺した

 

「最近何かと視線を感じると思ってマリアに調べてもらったら、こんな暗い部屋でおっさん達が集まって僕のイクスに何かしようとか頭が腐ってるんじゃないの?」

 

「貴様!」

 

我に帰った男が魔法を放とうとするがそれよりも早く動いたアーシャは先程と突き刺した短刀を素早く拾い、男の両腕を切り落として頭を跳ねる

 

「遅いよ?20レベル程度の雑魚が僕に勝てると思ってるの?毎日酒と女で遊んでいた奴等に僕が負けるわけ無いでしょ?」

 

「ま、待って!我々を殺すと共和国が黙っていないぞ!」

 

「はあ?知らないよ、そんな事。僕達の邪魔をする奴等が居るならイクスが知る前に滅ぼせば良いだけの話だし」

 

アーシャの言葉に顔を真っ青にする男に興味を失ったのか何かを取りだし、それを部屋中に撒き散らした。ついでに男にも大量に浴びせる

 

「こ、これは油!?」

 

「そうだね、お前は楽に死なさない事にするよ。情報提供ありがとう。そしてさようなら」

 

転移で消える際に懐から火炎袋を地面に落とすと火が付き、一気に部屋中に燃え広がる

 

「ぎゃあああああああ!!熱い!熱い!熱い!誰かああああああ!!」

 

男が必死に助けを呼ぶがこの部屋に助けは決して来ない。何故ならここに来るまでに彼女は屋敷の人間を全て殺してから此処に来たのだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最近共和国の方がキナ臭くなってきたな。イクスが知る前に何とかして潰さなきゃ」

 

「生憎と僕は勇者として産まれたけど人を救う事に興味は無いし、何だったら僕達以外の人間を殺せば良いしね」

 

「そろそろこの世界も【分別】しなきゃいけないよね。特に神々が勝手に送ってくる転生者とかね」

 

アーシャの手元にはマリアに調べさせた今現在この世界に転生した者達の居場所やスキルと言った詳しく書かれた書類が握られていた

 

「ふふ、この世界にもう転生者は入らない。僕とイクスだけの楽園を汚す奴等は掃除しなきゃね♪」




アーシャが本気を出せば国取りなぞ一時間も要らぬ

彼女にとっては人とはイクスと知り合いだけであり、他の者達はそこら辺に落ちている石や虫程度の認識なので殺しに抵抗はありません


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転生者狩り

どんどん闇落ちして行く……


「ハッ……ハッ……!」

 

暗い森の中で男は必死に走っていた。何かから逃げているのか身体中に切り傷や焦げ痕があるが今の男にとってはそんな事を気にしていられない程に必死に逃げていた。しばらく森を走り続けていると丁度森の真ん中に来たのか周囲に木々が無く、近くに泉がある程度だった

 

「ハァ……ハァ……に、逃げられたのか?」

 

男は安心したのかその場に座り込み何かを考え始めた

 

「クソ、彼奴が最近話題になってる殺人鬼かよ!何で俺の所に来るんだよ。俺はただ平穏に第二の人生を歩きたいだけなのに……」

 

この男は転生者である。神の気まぐれによりこの世界に転生させられたが特にこれと言った活躍をする事無く平穏に過ごしていた

 

「何なんだよ!あの殺人鬼は!」

 

「僕?僕は貴方達を狩る者だよ」

 

「―――!?」

 

男は慌てて振り返ると先程まで誰も居なかった筈なのに男の真後ろに黒いローブと顔を隠す為の仮面を付けている人物がそこには居た

 

「な、な、な、何で!?」

 

「あの程度で逃げれると思った?残念だけど特典を使いこなせなかった君の敗けだね」

 

ローブの人物の手には斧が握られている。その斧にはベッタリと血が付着しており黒ずんでおり、既に何人もの人物の命を喰らってきたのは言うまでもない

 

「俺はアンタに何もしていないだろ!俺はただ平穏にこの世界で暮らしたいだけだ!」

 

「ふーん、そうなんだ。僕には関係無いね」

 

「クソ!」

 

男は悪足掻きで砂をローブの人物にぶつけてから逃げようと背中を見せる「遅いよ?」とその言葉と共に背中に衝撃と同時に鋭い痛みが襲い、その場に倒れ混んでしまった

 

「人に物を投げるなって教わらなかった?」

 

ローブの人物の手には先程まで持っていた斧が無く、ゆっくりとした足取りで男の背中に刺さっている斧を引き抜く

 

「君がいくら平穏に過ごしていても僕にとってはどうでも良いことなんだよ?でもね、君は転生者だ。だから僕は君を殺す、僕の望みの為に」

 

「こ、この化け物め!」

 

男が叫ぶと同時にローブの人物は手に持っていた斧を男の首を跳ねた

 

「僕は化け物じゃないよ?ただ愛しい人の為に頑張るか弱い妻だよ」

 

物言わぬ存在となった男にローブの人物はニッコリと微笑んだ後に男の事が書かれた紙を死体に投げると紙は一瞬で燃え始め、死体と一緒にこの世から消え去ってしまった

 

「さて、これで46人目だっけ?あの子が全部特典持っていってるから危ないなぁ。後何れだけこの世界に転生者が居るんだろうね。まあ後一ヶ月もあれば狩り終わるから良いけどね」

 

既にこの世界に転生した者を46人を狩り終えているがそれでもまだまだ転生者が居る事に彼は溜め息を吐きながら歩き出す

 

「これが終わったら今度は神狩りでもしようかな。この世界に2度と転生者が現れないように」




チートキャラが特典を大量に所持してるとかマジで笑えない件について


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狩人は再会する

奏×春人の妄想を最近頭の隅で妄想してしまっている今日この頃


「あぅ~イクス成分が足りないよぉ……」

 

46人目の転生者を狩ってから既に10日程過ぎた。その際に狩った転生者の数は34人で合計80人ほど狩っていた。その中には赤ん坊として産まれてきた者も居たが流石の彼女でも赤ん坊を殺すのには抵抗があったので転生者の人格と生前の記憶と生まれ持ったスキル以外を全て消し去った。文字通りこの世界の住人になったのだ

 

そして現在ローブの人物改めアーシャは共和国の方に向かっていた。理由を説明すると王国や帝国は転生者の数はそれ程居なかったが共和国には数多くの転生者が居るので狩る為に向かった

 

それと流石に何日もイクスに姿を見せなかったら怪しまれるのでマリアが転生者から奪ったスキル【写し絵】を使い自身の不在を誤魔化していた

 

【写し絵】は対象をコピーして召喚する事が可能になる。ただしオリジナルの30%の力しか出せない

 

「今の所はバレてないけど早く帰らないとコピーに先を越されそう……」

 

そんな事を思いながらも共和国に向かっていると前方にある物を見付けて足を止める

 

「あれって」

 

一キロ先で盗賊と何処かのパーティーが戦っているのが見えた。普段なら気にしないが盗賊と戦っているパーティーの方に少し気になる事があり、資料を取り出す

 

「あー……、あったあった。共和国が極秘に勇者召喚を行った時に男が一人、女が三人が召喚されたんだ。しかもパーティーに居る戦士と盗賊の男もこの世界に転生した奴か……」

 

少し話はずれるけど随分前に前に王国から逃亡した勇者だけど討伐されました。理性も無くなり本能でしか動けなくなった勇者もとい獣は森で偶然遭遇した帝国の学園生活を送っている転生者とその友人達に討伐されました。そこで小さなドラマが起きていたけど私にとってはどうでも良いので無視しました。流石にあの魔剣は他に渡すのは惜しいので消滅寸前で獣から奪い取り、私の部屋で保管してますけど

 

そもそもこの世界は勇者召喚を行い過ぎだと思うんですよねね。最初は魔王討伐の為だったのに今では国の戦力として見てる説が強いし……

 

よし、話は戻りますけど今ここで勇者パーティーは此処で全滅してもらいます。理由?転生者だからです。それに少し確認したい事もありますし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで盗賊は最後かな?」

 

「ああ、周囲に人の気配はないな」

 

「和人さんお疲れ様です!」

 

「ふん!ちょっと活躍したからって調子に乗らないでよ!」

 

「あらあら、お姉さんも和人君に甘えようかしら」

 

盗賊を倒したことに安堵していた勇者一行だったがすぐにその雰囲気は壊された

 

「随分と楽しそうに会話をして居るね?僕も混ぜて欲しいな」

 

「誰だ!?」

 

和人と呼ばれた勇者はすぐさま剣を引き抜き構える。それに釣られて他のメンバーも武器を構えるが

 

「僕?僕は狩人だよ」

 

「狩人?」

 

「そう、君達みたいな存在を狩る狩人さ」

 

アーシャはゆっくりとした動作で己が付けていた仮面を外して姿を表す。最も幻影魔法で生前の姿に見えるようにしているが

 

「ま、まさか奏で!?」

 

「奏先輩!?」

 

「奏君!」

 

仮面を取ると今度は後ろに控えていた女達がアーシャの姿を見て驚きを表情を浮かべていた。彼女達の驚きは最もだった、何故なら生前は彼女達は奏を取り巻いていたハーレムメンバーだったのだから

 

「ああ、やっぱり君達だったんだ」

 

アーシャは特にこれと言った興味は無かったが彼女達は何処かバツが悪そうな表情を浮かべていた

 

「まあ、どうでも良いけどね?」

 

「3人とも彼と知り合いなのか?」

 

「高校時代の時に……」

 

かつての同級生であるヒロインの一人が答えるとアーシャはある事を思い出して同級生だった彼女に視線を向ける

 

「ああ、やっぱりお前か……、今まで良くも僕の春人に色々としてくれたね。お前のお陰で僕の目の前から春人が消えちゃったよ」

 

「あ、あれは!」

 

彼女の言葉に耳を傾ける気は一切無かった。この女のせいで春人が怪我をしたし、何よりもこいつに春人は!

 

「予定変更だよ。楽に殺してあげようと思ったけど、そいつが居るなら話は別だね。惨たらしく殺してやる!」

 

アア、サガシモトメテイタエモノガメノマエニイル……コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス

 

己の思考が歪んで行くのを感じながらアーシャは抗う事無くその歪みを受け入れた。この女が僕と春人を引き裂いた一番の原因なのだから




この世界に転生者や勇者が多過ぎ案件なんですが(現在急激に減っている模様)


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復讐者の狩人

アーシャはイクス君至上主義の一人である


「畜生!アイツどんだけ強いんだよ!」

 

「分かるかよ!糞!」

 

前衛を任されていた戦士がアーシャの一撃を受けて片腕が吹き飛び、戦士の補助をしていた盗賊もアーシャが放った投げナイフで左肩を持っていかれていた。逃げようと背中を見せた二人に躊躇いも無く彼女は最上級の炎の魔法で跡形も無く焼き尽くす

 

「止めてください!何で奏先輩と戦わなくちゃ「五月蝿いよ?」ゴッハ!?」

 

僧侶である元後輩だった彼女の言葉にアーシャは耳を貸さずに蹴りで数メートル吹き飛ばした後に全身に余す事無くナイフを突き刺す

 

「ま、待って?お姉さんは奏くんと争うつもりは「僕には貴方達を消す理由がある」ヒッ!?」

 

魔法使いの元先輩には一瞬で近付き、腹目掛けて拳を振り抜く。恐らくは彼女の体の中身はグチャグチャになっているだろう

 

「よくも皆を!」

 

仲間の仇を取る為に突撃してきた勇者をアーシャは一瞬で近付き、手に持っていた2本の短刀で一瞬でバラバラに解体した。勇者は自分が殺された事にすら気が付かないで死んだであろう

 

「ヒッ!?な、何でこんな事するのよ!昔のアンタならこんな事!」

 

「ハ?何言ってるの?僕が君達を殺すのに躊躇うと思ってるの?寧ろその逆だよ。僕はずっと君達を殺したかった」

 

最後に残った元同級生の彼女はアーシャに対して非難の言葉を投げるがアーシャにとってはどうでも良いことだった。目の前にイクスを殺した犯人が居るのだから死よりも恐ろしい目に遭わせてやる

 

「君は最初に会った時から気に入らなかったよ。たまたま隣の席に座ってから君は僕にベッタリだった。休み時間も昼休みも休日さえも僕の前に現れた。分かる?僕は君よりも春人と居る方がずっとずっと大切だった。本当なら僕の隣の席は春人だったのに君が無理矢理に春人から席を奪い、昼休みも春人と話してると君が割り込み春人を追い出した、僕が春人の為に作ってきたお弁当も君は厚かましくも春人から奪い、それを我が物顔で食べていた。何よりも許せないのは僕の春人に暴力を振るっていたことだよ!」

 

「あ、あれはアイツが!」

 

「お前が春人の何が分かるんだい?外見だけしか見てないビッチの君に何が分かるんだい?教えて欲しいな?僕の憧れであり、ヒーローであり、僕の全てだった人の何が分かるんだい?」

 

「あんな低脳グズと一緒に居たら奏の才能が埋もれると思って私は!!」

 

「……黙れよ」

 

彼女の言葉にアーシャの何かがキレた。この世界に転生してからアーシャはイクスが他の貴族から影で悪口を言われていた事は知っていたが本人は気にも止めなかったしアーシャも影でしか悪口しか言えない貴族に興味を示す事は無かった。だが目の前の彼女は知ってか知らずかアーシャの最も触れてはいけない逆鱗に触れてしまった

 

「春人と居たら才能が埋もれる?ハッ!低脳クズなのはテメェ等の方だろうが!春人の才能すら気付けない低脳クズ以下のテメェ等には本当に吐き気がする」

 

「な、な、何ですって!?」

 

アーシャにとっての逆鱗はイクスと才能で比べられる事だった。確かにアーシャは生前の頃から成績優秀、スポーツ万能と世間で注目されている才能に溢れていたがその全てはイクスに褒めてもらいたくてやった事に過ぎない。自分とイクスを比べる事すら馬鹿馬鹿しく思える程にアーシャはイクスに才能では勝てないと思っている。イクスの才能を言葉で表すのならば【他人を天才にする事】だとアーシャは思っている

 

その理由は簡単だった。過去に自分以外にも虐められたり挫折したり心が折れた人達をイクスは必死に慰めてくれた。そして慰められた人達はまるで生まれ変わったかの様に才能に目覚めていた

 

チームで埋もれて心が折れていた野球部の選手を慰めたらその翌日からメキメキと力を付けて試合の日に出された日には全てホームランを決める程だった。そしてその数年後には日本一有名な名選手に成る程だった

 

他にも有名な投資家、サッカー選手、社長、大統領、政治家、警察、医者、その他多くと言った1度は心が折れた者達をイクスは救って来た。当の本人は気が付いてなかったが

 

だからアーシャにとってイクスは神とすら言える彼と比べるのは愚かとすら言える事だった

 

「やっぱりお前だけは楽には殺さない」

 

「いや、待って!お願い!いやああああああああああ!!」

 

平原で彼女の声が鳴り響くが誰も助けに来る者は誰も居なかった




いやぁ、イクス君マジで何者かな?


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とある神様の過去話

今回は二本立てです


随分と昔に私は退屈しのぎに下界に降りた。神とは暇の生き物だ、人々が信仰してくれるお陰でこうして神々は力を蓄える事が出来る。その見返りが世界の維持だった。人間が何千年も生きて行ける様に神々は世界の維持をしていたが最近はめっきりと信仰も減り、神々は暇をもて余していた。そんな中で私は本当に退屈しのぎに下界に降りたのだがそこで運命の出会いを果たした

 

私は地上に降りてから色々の場所を回ったがある思いが心の中に生まれていた。「人間とは醜いにも程があると」その昔神々は1度人間を地球上から消し去ろうとしたが失敗に終わった。そして年月が過ぎる頃にはまた人間は増えていた。確かに人間の中には綺麗な心を持つものが居るが知れないが今の時代では心が醜い人間の方が圧倒的に多かった

 

疲れた私は近くの公園で休むべく、公園のベンチで腰を下ろすと先に座っていた隣の人間の子供がじっとこちらを見ているのが分かった

 

「お姉さん、どうしたの?」

 

「ん?何でもないわ」

 

「そうかな?何か公園に入ってきた時には何処か疲れた様な顔してたよ?」

 

子供の言葉に少し眉間に皺が寄ってしまった。子供にすら分かる程に今の自分は疲労しているのかと

 

「僕で良かったら話聞くよ?」

 

「いえ、子供に話すような」

 

「良いんだよ?子供だから聞かせられないとか大人だからだって話せないとか、誰かに話をするとすっごく心が軽くなるんだよ」

 

ニッコリと微笑む子供に私は何故かポツリポツリと話始める。自分が神と言う事を隠しながら人間の醜さを見て心が折れてしまった自分の話を黙って聞いてくれる子供に私は話す事が止まらなかった。気が付けば一時間弱も子供に愚痴を言ってしまった

 

「お姉さんは人の醜さを見て心が折れちゃったんだね。でもね?人は確かに醜いよ?だってそれが人だもん。醜いのも綺麗なのも全部全部引っくるめて人間だもん、僕も醜いよ?僕は才能がある人が憎い!でもね、そんな僕でも大事な友達が才能がある事を誇りに思うんだ!その友達は才能があるのにずっと僕と一緒に居てくれるんだ。だから僕もその友達とはずっと一緒に居るんだ」

 

ニッコリと微笑む子供に私はある物が見えた。この子供は他人を励ます時だけにその才能を表す。どんなに挫折、心が折れた、裏切り、絶望に染まっても顔を上げさせてくれる。そしてもう一度自分や他人を信じて見たくなる。それがどんな結果を招いても、もう一度諦めずに頑張れると不思議に思えてしまう程にこの子から感じてしまう

 

「……君の名前は?」

 

「僕?僕は春人!お姉さんは?」

 

「私は……メーティス」

 

神である私にまで影響を与える程の才能を持つこの子は将来どの様な未来を辿るのか少し楽しみに思うのと同時に不安があった。この才能が人間達に明るみになるのは避けたかっただから私は

 

「これはお礼よ」

 

子供のおでこに軽くキスをすると同時に彼の才能を隠した。彼が本当に人を助けたいと思った時だけに才能が現れるようにした

 

「それじゃあ私は帰るわ。相談に乗ってくれてありがとう」

 

「またね!お姉さん!」

 

子供の言葉にニッコリと微笑みながら私は公園を後にした後に天界に戻った

 

「ふふ、あの子は本当に凄い子だわ。神である私に人間をもう一度信じさせるとはね……」

 

そしてもう一度私は人間を信じながら神の仕事に勤めることにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……またこの夢」

 

ムクリと布団から起き上がるアリアは先程見ていた夢を見て小さく呟いた。あの夢は小さい頃から見てきた夢だが誰の夢かは分からない。自身の夢では無いと言い切れるのだが

 

「……気にしても無駄。イクスの手伝いに行こ」

 

部屋着から仕事着に着替えたアリアは何時も通りに騎士団に居るイクスの所に向かった

 

夢の最後は何時も神と名乗る女が人間に対しての憎悪を抱いている所で終わるのだがアリアはそこまで見る事は今まで無かった




女神すら救済するとかイクス君マジで何なんですかね?神様?


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全てはこの手の中に

外ではアーシャが暴れ、中ではマリアが暴れるとか最悪の展開ですね


随分とアーシャさんは暴れてますね。まあ彼女にとっては最も許せない存在がこの世界に存在しているのなら仕方の無いことだと思いますが

 

マリアは【目】でアーシャの事を見ていたが一方的に殺されていく勇者一行には興味が湧く事は無く、勇者が持っているスキルを奪ってから休憩がてら【目】を閉じる。今現在マリアは少し用事で城に来ていた。イクスが護衛に着こうとしていたが今回は血涙を流しながら断った

 

マリアが何故城に来ているかと言うと【国が欲しくなったからだ】。正確に言うのであれば自身の手足として動く組織と捨て駒が欲しくなったからだ。これから共和国辺りが騒ぎだす事が分かっているマリアにとっては都合が良かった、マリアはイクスを【英雄】にしたかった。誰もが認める英雄にして人々に彼の事を崇めさせる。それになんの意味があるのかと問われれば迷い無くこう答えるだろう

 

「私の勇者様はこの世で最も神に近いお方です。ですから貴方達は勇者様の糧になる為の生け贄になってくださいね♪」

 

マリアにとって自国民とは使い勝手の良い駒に過ぎないのだ。今のマリアなら自国民全ての意識を操る事が可能だがそれでは意味がない。彼等にはしっかりと正気の状態で教えなくてはいけないのだから

 

「お父様?お入りになっても?」

 

「ああ」

 

扉を開けると生物学上の父親とその周囲には大量の大臣達が席を囲っていた。それを見たマリアは笑みを漏らした、何て都合が良いのかと。今この場に居るのは国の重要人物達なのだ、これで無駄に相手側に赴く事をせずに済む

 

「それで?用事とは何だ」

 

「ああ、そうでしたね。お父様、この国を私に下さいな♪」

 

マリアが微笑むのと同時に部屋の中から音が消えた

 

「……それは何の冗談だ?」

 

「冗談ではありません。この国は何かと便利なので私の道具として欲しいのです」

 

「…………」

 

王の沈黙にマリアは一切の表情を崩す事無く笑みを深める。そんな中だった

 

「貴様!これ以上我が国を愚弄するのであれば王の娘でも容赦はせんぞ!」

 

大臣の一人が徐に立ち上がり、怒鳴り散らし始めたがマリアは一切の興味は無かった

 

「貴様!」

 

大臣が魔法をマリアに向けようとするのを流石に止め様と視線を上げると同時にマリアから凄まじい殺気を感じた

 

「ッチ、面倒ですから【喰らいましょ】」

 

その言葉と共に先程まで立っていた大臣の姿が一瞬で消えてしまった。いや、正確に言うのであれば大臣は何かの衝撃を受けて後ろに飛ばされた。そして飛ばされた方向から何かを食べる音が聞こえてくる

 

「んー、人ってあんまり美味しくないのですね」

 

場違いの事を良いながらマリアはそんな感想を言っていたが王にとってはそんな事はどうでも良かった。今となりに居る人物に恐怖を覚えた。隣に居るのは確かに娘のマリアだが彼女の右腕は何だ?獣の様な存在が先程まで立っていた大臣を食っている?馬鹿げている!

 

「この腕の事ですか?これは【捕食】ですよ」

 

【捕食】とはかつて転生者が持っていた神機のスキルを奪った。このスキルを発動した際に何でも喰らう事が出来る反面常に空腹を感じ続ける。本来は武器にその役割を果たすのだがマリアは一時的に自身の片腕を捕食モードにして発動した

 

「さて、お父様?話の続きをしましょうか?私にこの国を下さる話を♪」

 

この日王は理解した。本当の悪魔はこの少女だと言うことに




皆さんからそれなりの質問があったので答えましょう。マリアは転生者ではありません。神から加護を授かってもいません。完全な天然物です。誰の力も借りずにこの強さです


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灼熱が訪れた日

マリアはお兄様枠だった?


共和国の勇者一行が殺されてから数ヵ月が経過した。共和国は勇者を失った事で暴走を始めた。正確に言うのであれば勇者に惚れ込んでいた王女が怒り狂い王国に戦争を仕掛けてきた。理由は勇者を殺せるのは魔王か勇者だと言うよく分からない理由で仕掛けてきた。そしてその展開を予想していたのかマリアは深い笑みを浮かべながらかつて父だった生きた人形に小さな声で指示を出す

 

国の上層部はこの数ヵ月でマリアの手によって支配された。反抗力、感情、思考力を完全に消し飛ばした。その次にスキル【寄生虫】を使い、他に怪しまれない様に疑似人格を植え付けた。彼等はマリアの言葉にしか従う事は無い。そして戦争を仕掛けられた時に【製作】を使い、転生者の記憶の中からとある物を作り出した

 

マリアは【目】を使い、共和国の動きを確認してから作り出した物を構える

 

【製作】で作り出したのはとあるキャラが使用していた補助装置だった。マリアは魔力はあるが常人が使える魔法は一切使えなかった。その代わりある魔法に特化している事に彼女は気が付いていた。そして転生者の知識から覗き見た時に己と同じ魔法を扱っている人を見付けた。その知識を試してみると見事に成功した。そして彼女はこの魔法である事を試す為に共和国に戦争を仕掛けさせた

 

念の為に防御はイクスに頼んだがマリアは前回の事もあり余りイクスに頼りたくなかったが保険の為に彼に頼んだ。イクスの負担を減らす為にアーシャを補助に付けたので心配する事は無い事を祈ろう

 

「さて、共和国の皆様には実験に付き合ってもらいましょうか♪」

 

少し大きな部屋には補助装置を構えるマリアとその周辺には人避けの為に作ったメイド型のホムンクルスが数名だけ

 

魔法を発動する前に目標を定めてからゆっくりと息を吐き、小さな笑みを浮かべる

 

「アンチマテリア・ルバーストを発動します」

 

目標と定めた場所に魔法が発動すると共に国一つを何もかも焼き付くす。恐怖を与える前に灰とかす

 

「ククク、アハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

 

今まで魔法が使えずに悩んでいた事が馬鹿に思える程に愉快であった。イクス様は魔法の余波を防いでくれましたね。流石です

 

国民?知りませんよ。多分あの魔法の中居たんじゃないんですか?まあ、私には関係の無いことです。

 

「本当にこの魔法の方法を教えたくださった転生者の人には感謝致します♪」

 

「この魔法でよりイクス様をお慕えする事ができます」

 

この日を境に共和国と言う国は消え去り、その国に住んでいた国民もこの世から消え去ってしまった




ヤベェ、やっちまった……。これも全てはイクス君の為なのだろうか?


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イクスの決意?

これを含めて本編は後数話で終了します。後は適当に番外編を書いてこの作品は終わります


共和国が消え去ってから一月が過ぎた。その間に帝国と王国は兵を使って共和国国があった場所に向かうがそこには巨大なクレーター以外何も残っていなかった。人々が歩んできた営みなど最初から存在していない様な気配さえ感じてしまったらしい

 

共和国の件は帝国と王国が預かり、一旦この話に折り目がついたお陰でイクスとアリアはこの一ヶ月間で送られてきた膨大の書類を終えて自分達の家に帰宅した。共和国が消えた次の日に何故かマリアから家と変わらない程の家をプレゼントされた。理由を聞くと

 

「これからはイクス様と暮らすのですから当たり前です♪」

 

との事だがハッキリ言って意味が分からなかった。使用人はマリアが連れて来た使用人を住み込みでお世話してくれるとか、その理由から今までバラバラに生活していた婚約者+魔王+吸血姫+メイド+双子が何時から聞いて居たのかは分からないが既に引っ越しの準備を終えて自室でまったりとしていた

 

自分の部屋に案内されて中を確認すると前の部屋と全く同じだった事に驚きを感じながらもアッサリと受け入れることが出来た。そしてある程度部屋の中を見た俺はマリアに案内されてとある場所に向かっていた。場所を聞いても教えてくれなかったので頭を悩ませるが答えは出なかった

 

「此処です。イクス様」

 

部屋の中に入ると一番最初に目が言ったのは巨大なキングサイズのベットだった。その大きさは全員が一緒に寝ても余るくらいの大きさのベッドだった。次に目に入ったのは机の上に置かれている赤い液体が入ったボトルだった

 

「……なあ、あれは何だ?」

 

「あれですか?あれは【ラックスネーク】の血液から作り出した精力にとても効くお酒ですね♪名前の通り運が良ければ1発で当たりますよ♪」

 

「マリア……流石にその言い回しはどうかと思うぞ?」

 

マリアの説明を受けて痛む頭を押さえながら溜め息を吐く。要するに此処は子を作る為の部屋か?別に性交をするのは別に構わない。母さんからも早く孫の顔を見せろと言われているから。だが流石に全員まとめて相手をしろとか言わないよな?

 

チラッと視線を向けるとマリアはまるで考えている事が分かっていたのかニッコリと微笑み返してきた

 

マジか……

俺この世界で生きていけるのかな?

 

少しの絶望に打ちのめされながらマリアに手を引かれて向かった場所は食事場だった。既に俺達以外のメンバーは来ていたのか俺達を見や否や早く座るように視線で訴えてきた

 

その視線に従いイクスは空いているアーシャとシルフィの真ん中に座りると見計らっていたのか次々と使用人達が料理を運んできた。運ばれてきた料理に口を着けるとあまりの美味しさに少し目を見開いてしまった。その後は全員と楽しい会話を加えながら出された料理を完食した。料理の後はゆっくりとお風呂に入り自室に戻ると同時に部屋の扉が鳴らされる

 

「はい、どちら様?」

 

「私だよ」

 

訪ねてきたのはアーシャの様だった。何か用があると思い聞こうとするがそれよりも早くにアーシャはイクスの手を掴み歩き出す

 

「ア、アーシャ?」

 

イクスの呼び掛けに反応する事無くアーシャは目的地の場所に向かった。そして到着した場所はさっきも説明した【あの】部屋だった。部屋の中に入ると先程のメンバー全員が肌色面積の多い下着を着てスタンバっていた

 

「あ、あの、これは一体?」

 

「何ってこれからイクスと私達で子作りだよ」

 

まるで何でもない様な風に言うアーシャに流石のイクスも顔が赤く染まってしまった。既に逃げ道である扉は魔法により空かなくなっており、扉も同じ様に割れない様に何重にも魔法が重ねられていた

 

「女がここまでしてるんだよ?イクスも覚悟を決めて?」

 

「…………分かった」

 

長い沈黙の果てにイクスは彼女達を抱くことを決意した。ここで抱かなければ彼女達を傷付けてしまう結果になるし、何よりも自分も男なので……分かってくれ

 

「それじゃあ、イクスには頑張ってもらおうかな?一人最低でも三回だならね?」

 

「…………逃げたい」

 

その後彼女達が部屋から出てきたのは三日後の夜だったらしく、全員が肌に艶があり逆にイクスはミイラ寸前になっていたらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イクス!」

 

「何だ?」

 

「僕と初めてを貰ってくれてありがとうね!」

 

「……どういたしまして?」

 

「僕も生前はイクスの童貞を貰ってたから大丈夫だよ!」

 

「あ、その事で後で詳しく聞くからな?」

 

「ヒィィィィ!」




イクス君が遂に決意しましたて!IFの世界では散々な目に遭っていたのに……


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発覚と就任

男は子供が生まれるまで父親としての自覚が持てない!


初夜を迎えてから2ヶ月が過ぎた。季節を言えば春だ、去年は色々有りすぎたんだ。そして年も明けて春になる頃にある事が発覚した。それは

 

「イクス、私達妊娠したよ♪」

 

「は?」

 

何時も通り騎士団の仕事を終えて帰宅したイクスにとても良い笑顔で報告してきたアーシャに思わずイクスは間抜けな声をあげてしまった

 

「まあ、妊娠したのは私、マリア、アーレスなんだけどね」

 

「……こう言う時何て言えば良いんだ?」

 

「素直に喜んだら?」

 

女性の場合は自覚を持てるが男性の多くは生まれてくるまでの間はどうも自身が持てない。特に妊娠が発覚した時の場合は特にそれに当てはまり、確かに愛する人との間に出来た子供は嬉しいのだがどうしても実感が沸かないのだ

 

「イクスが今何を考えてるのか当てて上げようか?父親としての実感が沸かないんでしょ?」

 

「良く分かったな」

 

「ふふ、何れだけ一緒に居たと思ってるの?イクスの考えなんて何でも分かるよ♪」

 

「そうか」

 

優しく頭を撫でるとアーシャは嬉しそうに目を細目ながらイクスのナデナデを堪能していた

 

「恐らく来週辺りに他のメンバーも分かると思うよ?」

 

「……全員か?」

 

「うん。イクスの子供が早く出来る様にお願いしたからね」

 

「……毎日全員を相手に5回も相手すればそうなるだろうな」

 

「ふふ、これも私達がイクスを想う愛ゆえだよ♪」

 

「……そんなものか?」

 

そんな会話をしながら他のメンバーにも話を聞きながらその日は妊娠が発覚した事にお祭り騒ぎだった。両親+魔族の幹部達が家に押し寄せて家の中でパーティーが開かれた

 

一番驚いたのが妊娠したメンバー全員が双子だと言うことだった。何故分かったかと言うと母さんのスキルの家の1つにそう言った物があったらしい。これは代々家に伝わるスキルだとか……それはもうスキルでは無く魔法なのでは?

 

しかも驚く事に物の見事に性別が男女に別れていたのだ。何て言うか此処まで来ると笑えなくなる

 

そんな騒動もありアリアとフルは一時的に騎士団から離れる事になった、妊婦になる女性に無理をさせる訳にもいかないのでアルトリウスが気を使って休ませてくれたのだ

 

「あ、それと今日からイクスは新部隊の隊長な。副隊長はアリアだから安心しな」

 

「は?どう言うことですか?」

 

まさかの言葉に持っていた書類を全部落としてしまった

 

「いや、去年から会議で話し合っててな。お前が率いると部隊の負傷率が圧倒的に下がるからな。そこで俺達はお前の為に新しい部隊を作ることにした」

 

「簡単に言ってしまえばお前達の部隊の役目は他の部隊の盾役だ。どんな状況下でも護衛対象を守り抜く部隊がお前達の役目だ」

 

「……要は弾除けですか?」

 

「言い方は悪いが概ねそうだ」

 

「…………」

 

アルトリウスの言葉にイクスは少し考える為に腕を組む。別に自分はその部隊の隊長になること事態は構わない。だが妻であるアリアをそんな危険な任務に付かせて良いのだろうかと悩んだ。もしも彼女に何かあれば自分は決して正気では居られなくなるだろうと自身を持って言えるだろう

 

「その顔は嫁の事を心配してる顔だな」

 

「……ええ、まあ」

 

アルトリウスの指摘に少し不貞腐れながら答えてしまったが別に自分は悪くない

 

「まあ、こんな仕事をしてるんだ、常に危険は付き物だ」

 

「隊長は奥さんの事は心配じゃないんですか?」

 

「俺か?俺は別に心配してないな」

 

「何故?」

 

「そんなの決まってるだろ?アイツに何か起きた時は全力で助けに行くからな」

 

その時のアルトリウスの顔を見てイクスは何処か不思議そうな顔を浮かべていたが妻を持ったイクスには彼の言っている事には素直に賞賛を贈った

 

「お前も男だろ?だったら惚れた女くらい軽く守って見せろ」

 

「……分かりました」

 

イクスの返事に気を良くしたのかアルトリウスは仕事の途中にイクスを連れて肌面積が多い女の子が沢山居るお店に連れて行ったがその日の内に嫁全員から説教と言う名の武力行使が行われたのは言うまでもなかった




キャバクラとかに行った日には浮気判定を食らってその日の内にイクス君はミイラ以下の存在になり果てるとか……


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そして世界は今日も平和に過ぎて行く

本編は今回にて最終回です


「…………暇だ」

 

就任式も終わり、時期的にも仕事が無くイクスは暇を持て余していた。書類関係はカーランド(定例会議で出てきたイクスに執着している男)が手伝ってくれたお陰で本当にする事が無いので暇なのだ。カーランドとは書類を手伝ったお礼に手合わせをしていたが地形が変わる程にやりあった結果各隊長にお叱りを受けてしまった

 

一方のイクスの妻達は自宅にて療養中だった。お腹も大きくなり、何処かに行く時は常に世話をするメイドが付いて回り、仕事が休みの日はイクスが妻達の世話をしたりと休みの日まで仕事に励む姿を見たアーシャによって同じくお叱りを受けてしまった

 

そんな事もありイクスは現在自室にてやる事も無く部屋のベットで寝転びながら冒頭の言葉を吐いていた

 

仕事もお世話もする事が無いとこんなに暇だとは思いもしなかったなぁ。何て言うか他に趣味も無いから余計にそう感じちゃうんだろうな

 

この世界に転生してからはハッキリ言って前の世界に比べたら何倍も良かった。あの世界には得られなかった幸せが今此処にあるのだから。俺に後はもう何も要らないな

 

何時も思ってしまう。これが都合の良い夢で目が覚めたらあの何もない世界に戻されるんじゃないのかって思えるほどにこの世界は俺にとって過ごしやすい

 

「イクス?寝てるの?」

 

ベットでどのくらい横になっていたのかは分からないが気が付いたら隣にアーシャが腰掛けて頭を優しく撫でて居てくれた

 

「私ね、今がとっても幸せだよ。前の世界だと私達は男同士だったからきっとお互いに辛い結果になってたと思うな」

 

確かに俺達は前の世界だと男同士で奏はあの日から俺に好意を持っていたが多分あの世界で告白されても俺は受け入れる事は出来なかったと思う。性別の話じゃなくて俺が奏に惚れられる程の人間じゃないからだ。何の才能も家族にすら受け入れられなかった俺が誰かを愛する資格さえなかったからだ

 

「だからこの世界に来て、イクスにあえて、想いが通じ合った時は涙が出るほどに嬉しかったんだ」

 

「……俺もだよ」

 

ゆっくりと瞼を開けるとそこには少しも驚いた風な表情を浮かべる事無く、ニッコリと微笑むアーシャがそこに居た

 

「私達はきっと産まれる世界を間違えたんだと思うな」

 

「かもな」

 

ゆっくりと起き上がり、首を鳴らしながらアーシャの頭を撫でるとアーシャは嬉しそうに微笑む

 

「さ、夕食の準備ができてるから一緒に行こ?」

 

「ああ、そうだな」

 

この世界に転生してから俺は本当の意味で生まれ変わる事が出来たのかもしれない。だって俺の隣には最愛の妻達や仲間が居てくれるのだから




本編は終わっても番外編は終わらへんで!


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BADEND集
暗く閉ざされた世界で《アーシャ編BADEND》


今回は前々から書きたかったヤンデレバージョンのBADENDです。時系列は特にありません


何でこんな事になってしまったのだろう……

何処で道を間違えてしまったのだろう……

 

「…………」

 

「フフフ、春人ぉ~♪やっと僕だけの存在になってくれたね♪」

 

目の前には返り血で赤く染まったアーシャの姿だった。そして彼女の足元には既に事切れて血の海に沈んでいる姉さん達、あんなに楽しそうに話していたのに何故彼女はここまで狂ってしまったのだろう……

 

「アハハ、可笑しいよね?春人の事を一番分かってるのは僕なのに彼女達ったらそれは違うって言うんだよ?だから否定の意味を込めて殺しちゃった♪」

 

何故、何故、何故、何故、何故彼女は狂ってしまったのだ。何処で俺達の歯車は狂ったのか……

いや、既に考えても遅いことだろう。彼女にとっては今の現状なぞ些細な事に過ぎないのだから

 

「でもでも、春人も悪いんだよ?何時まで経っても僕の気持ちに答えてくれないから、僕もこんな手段を取ることになっちゃったんだから」

 

「でもね!マリア達を殺せたお陰でやっと春人は僕のだけの存在になった!だから彼女達には悪いけど良い踏み台になってくれたよ♪」

 

彼女達の返り血を浴びた顔で拭う事もせずにまるで太陽の様な眩しい笑みを向けてくるアーシャにイクスは少しでも反抗の視線を向けると

 

「何その目?気に食わないなぁ~。そんな目を向ける春人にはお仕置きが必要だね♪」

 

その言葉と共にイクスの脚に剣を突き刺した。それも抜け難いように返し刃があるものだった

 

「ぐっ!?」

 

「これで終わりじゃないよ?」

 

グチャ、ビジャ、ズズスと言った効果音を発しながらアーシャは何の躊躇いも無く、剣を無理矢理イクスの足から引き抜く

 

「―――――!?」

 

「アハ♪今のイクスの表情とても素敵だったよ?」

 

声になら無い悲鳴を上げながら飛びそうな意識を必死に繋ぎ止めるがアーシャは再び躊躇い無く同じ場所に剣を突き刺す

 

先程と同じ痛みが走り痛みで頭が可笑しくなりそうだった。既に突き刺された足は使い物にならなくなり逃げる事もほぼ不可能になった

 

「春人は何時も僕の前から消えるからね、だから逃げられない様に」

 

そう言ってアーシャ自分の手をイクスに添えると強烈な電撃を彼の両腕に無理矢理流し込んだ

 

「ああああああああああああ!?」

 

激しい痛みで一瞬だけ意識を失うが再び強烈な痛みで意識が覚醒した。意識が朦朧とする中、イクスは先程流し込まれた腕の方を見るが外傷は無く、綺麗のままだった。そして腕を動かそうとした時に彼は気が付いた。腕が動かない事に腕だけじゃなく、指や脚までも動かなくなっていたのだ

 

「フフ、驚いた?僕がイクスをどれだけ愛しても今のイクスはきっと逃げちゃうからね。だから生命を維持する所以外の神経は再生不可能まで壊しちゃった♪」

 

「これからはずっと僕がイクスのお世話をしてあげるからね!」

 

狂気に染まった彼女の顔を見てイクスは悟った。自分が知っている彼女はもうこの世には居ないのだろうと、そして自分は死ぬまで目の前に居る少女の皮を被った怪物に飼われるのだと

 

「……どうして……こんな事になっちゃたんだろうな……」

 

瞳から涙が溢れる。俺はただ皆と一緒に楽しく過ごしたかっただけなのに……何処で間違えたんだろう

 

「泣かないで、春人の側には僕が着いてるからね?例え異世界に行こうが僕達は絶対に再会するから。何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何度でも何回でも何回でも何回でも何回でも僕達は引かれ会う。君があの日、僕を助けた日から運命は決まったんだよ。だからね、ボクダケノモノニナッテネ♪」

 

彼女の言葉にやがてイクスは自らの思考を投げ捨てた。今の自分には必要の無い事だと。この命が無くなるまで彼女は自分の事を飼い殺すだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はぁやはりあの時に奴の魂を砕いてやる事が奴にとって救いだったか」




後悔はしていない!最近の彼女達にはヤンデレ成分が不足していたからここで補充しときたかった。各ヒロイン達のヤンデレBADENDも今後は書いていこうかな


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終わり行く世界《マリア編BADEND》

マリアが敵に回ると世界がヤバい(割りとマジで)


「ウフ、フフフフフフフ♪」

 

マリアは狂った様な笑みと声で世界の終末を見つめていた。彼女の生まれ持っての魔法とスキルにより世界は崩れた。彼女を止めるべく俺達は戦いを挑んだが結果は惨敗だった。彼女が持つ無数のスキルにアーシャ以外は抵抗する事すら出来なかった。アーシャも長期戦の果てに敗れてしまった。そして俺も殺される筈だった……

 

「イクス様、見てください!あの人々の絶望した顔を♪」

 

マリアが指差す場所はかつては俺達が住んでいた王国だったが今は地盤が崩壊して国の半分が崩れ去り、人々が逃げ惑っている。それを俺達は空中からそれを眺めていた。彼女が作り出した空に浮かぶ城で世界の終末を見届けていた。何故こんな事態になっても彼女は笑っていられるのだ

 

「フフ、この世界はそれなりに楽しめましたね♪次の世界はどんな事が起きるんでしょ?」

 

「……まさか」

 

「流石はイクス様ですね。イクス様のお考えの通りです、私達はこの城と共に新たな世界に向かいます。そしてその世界で新しい技術を手に入れます」

 

「そして用が無くなれば」

 

「はい、世界を破壊します。用が済めば必要性がありませんので」

 

「その世界に住んでいる人々はどうするんだ!」

 

「?普通にその世界と共に消え去るだけですが?」

 

「…………」

 

彼女の言葉に俺は声が出なかった。何故ここまで彼女は狂ってしまったのだろうと。才能のせいなのか、それとも周囲の環境のせいなのかは分からないがここまで狂った彼女を止める者はここには居ない

 

「イクス様は私とこの先もずっとずっと居てくれますよね?」

 

「……ああ」

 

「ありがとうございます♪もし断られていたらほんの数十回程殺していましたが♪」

 

彼女の言葉に背筋から嫌な汗が流れているのは言うまでもなかった。今の自分はただの人間だ。スキルもステータスも何もない人間だ。恐らく彼女に勝てる者は例え神でも居ないだろう

 

「私はイクス様を束縛はしません。外に出たいのであれば出します。ただし、この首輪を付けて貰いますがね♪」

 

優しくゆっくりとイクスの首に黒い首輪を着ける。首に着けると同時に首にチクリと何かが刺さると同時に目眩が襲ってきた

 

「これで永遠に一緒ですね。イ・ク・ス様♪」

 

遠くから聞こえてくる彼女の声に俺は何もする事が出来ずに意識を闇の中に放り込まれた

 

世界の崩壊と共にマリア達はこの世界から消え去った。そしてイクス達が居なくなった世界は崩れ去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、ここが新しい世界ですね。イクス様♪」

 

「…………はい」

 

何処か新しい世界に空中に浮かぶ城に二人は新しく来た世界にマリアは心が受かれていた。この世界は何れだけ自分達を楽しませてくれるのか




その後マリアは幾つもの世界を渡り、破壊尽くしたとか何とか


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魂を捕らわれて《フル編BADEND》

ブラコンのお姉ちゃん可愛いよね(目そらし)


この空間に落とされてから一体どれだけの日が過ぎたのだろう。此処には時間が分かる物やそれらしい物など1つもない。あるのはただ同じ風景だけだ。この光景を受け入れたら最後、俺は正気を保てなくなるだろう。

 

そもそも何故俺はこの空間に飛ばされたんだ?……確かアーシャと婚約を交わした時に両親に挨拶をしに行ったら急に眠気がさして、そこで……

 

歩きながら当時の記憶を掘り起こしてみると段々とその時の光景を思い出すことが出来た。そして何故自分がこの空間に飛ばされたのかも分かった気がした。そう、俺は両親にアーシャを紹介したら母さんに全力の殴りを食らってそのまま気絶したんだ。そして目は開かなかったが音が聞こえてきた。「これでずっと」とかそんな声が。あれは間違いなくフル姉さんの声だった

 

そして気が付けばこの空間に服以外何も持っていない状態で目を覚ましたのだ。何故かこの空間では空腹、睡眠、性欲と言った人間に必要な機能が一切働いていないのだ

 

「はあ、アーシャは大丈夫かな?」

 

自分がこんな事になっている事をアイツが分かるかは不明だけどアイツならその内助けに来てくれそうだなあ

 

ああ、外は一体どうなってるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっとやっと弟君が私だけの物になったわ

 

フルの目の前には目を閉じて動く気配の無いイクスの体がそこにはあった。まるで死んでるかの様に見た目だが彼はちゃんと生きている。ただし、目覚める事は無いのだが

 

弟君にはまだ結婚は早いと思うの、せめてお姉ちゃんが素敵な旦那様を手に入れるまでは弟君にそう言った話は認めません。勿論お母様にも話は通ってますがね。弟君を誘惑したアイツは今は何処に居るのやら……フフ

 

フルの魔法でイクスの体と魂を分離させ、体は腐らない為と時間を止めた。魂の方は今彼女が手に持っている少し大きめの瓶の中に大魔法で封じ込められていた

 

「これでやっと本当の意味でずっと一緒だね♪弟君」

 

時間ならいくらでもある。肉体の若さなどは魔法や薬でどうにかなるし、寿命もこの大魔法使いの私に掛かれば意味など無いのだから。弟君の汚れきった魂を1度綺麗にしてから肉体に戻そう。そうすれば弟君もきっと私に振り向いてくれる筈

 

さあ、弟君これからもお姉ちゃんとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっ~~~~~~~と一緒ダヨネ?ワタシだけの弟君?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「許さない!僕から春人を奪ったアイツを絶対に許さない!殺してやる!この手で絶対に殺してやる!」

 

ボロボロになった体を引きずりながらアーシャは己の恋人を奪ったフルに復讐を近いながら何とか逃げ出した

 

そして数年後には大魔法使いフルと復讐鬼に落ちたアーシャの壮絶な戦いがあったとか




今回はアーシャの告白ルートからそのまま彼女ルートになったのを認めなかった両親とフルでイクスを気絶させた後に両親+使用人でアーシャを撃退した後にイクスの魂と体を分けて冒頭にイクスのナレーションからです

どんなに頑張ってもイクス君は絶対に報われないのはある意味で凄いと思う


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拷問の後にはとっても甘いご褒美が《アリア編BADEND》

今回のルートは全員の告白を断った後の世界線です。理由は勿論自己評価の低さが原因です


「……うっ、此処は?」

 

視界がボヤける中でイクスは周囲を探ろうと立ち上がろうとすると椅子の様な物に座らされ、手足や首をガッチリと手枷足枷で固定されていて動けなかった。勿論スキルも試したが失敗に終わった

 

「先ずは何でこんな状況になったのかを考えなくちゃな」

 

考えを巡らす

何時も通りに騎士団で隊長が残していった書類をアリアと共に何時と同じ風に片付けて、休憩がてらアリアのお茶を飲んだら少ししてから眠気がして、それから……

 

そこからの記憶が無いことから恐らくはアリアが関係しているだろうとイクスは考えるが一体何の意味があって自分はこんな事になっているのだろうか……

 

周囲を探してみると窓の無い部屋に寝る場所とトイレと顔を洗う場所しか無い。これは明らかに独房よりも酷いよな?

 

ガチャンと言う扉が開く音と共に誰かが入ってきた。暗闇に慣れたせいで扉から来る光に少し顔を歪ませながら入ってきた人物を確認する

 

「ア、アリア?」

 

「ん、起きてた?」

 

入ってきたのは真っ白のワンピースに着替えたアリアだった。こんな状態だがあまりの可愛さに言葉を失ってしまった

 

「アリア、これは一体どう言うこと何だ?何かの冗談なら止めてくれ。今なら俺は何も見なかった事にするから」

 

「変な事を言うね、イクス」

 

「は?」

 

「冗談でこんな事する分けない」

 

「……なら何の意味があってこんな事を」

 

「分からない?イクスならとっくの昔に気が付いてると思った」

 

「…………」

 

アリアが言っているのはあの時の告白の事だろう。俺は結局誰とも付き合うことはなかった、告白の後にはアリア以外は俺の前から居なくなってしまった。アーシャはまるでこの世の終わりでも見たかの様な顔をして何処かに旅だった。フル姉さんは最初は笑顔で答えてくれたがその笑みは何処か壊れた笑みを浮かべていた。そして目の前に居るアリアは告白の後も特に関係が変わる事は無く、お互いの事が分かる仕事仲間として過ごしてきた

 

「私ね、イクスの事を諦めてないの」

 

「…………」

 

「最初はあの時のオークの群れから救ってくれた憧れから、その後は色々あって恋に目覚めた。私の初恋、最初で最後の恋愛、それが貴方」

 

「……俺はそれ程の人間じゃない」

 

「貴方はそう思えば良いわ。でも私のこの感情は変わらない」

 

その言葉に再び静寂が支配した。お互いに特に喋る事は何もない。そんな事よりも此処からどうやって逃げたそうか……

 

「ねぇ」

 

「ん?何「グシャ」ッ!?」

 

名前を呼ばれて視線を再びアリアに向けると共にアリアは一瞬でイクスの椅子の側に近寄り、その小さな手でイクスの腹を突き刺した

 

「意外とお腹の中を掻き回すの楽しい」

 

「―――――ッ!?」

 

声にならない程の声を上げながらジタバタとこの痛みから逃れる為に暴れるがビクともしない

 

「ん、それにイクスの血はとても濃厚」

 

腹から引き抜いた真っ赤に染まった手を、その小さな下手ペロペロと舐め始め、感想を漏らす

 

腹に穴を開けられたイクスは大量の血が腹から垂れているのを確認して意識を失い掛けるが今度は椅子から強力な電撃により意識を強制的に元に戻される

 

「んく、次は右指ね」

 

「は?」

 

彼の疑問よりも早くに血を舐め終えたアリアはイクスの右指を適当に掴みそして

 

「えい」

 

バキッ

 

その音と共に右指から猛烈な激痛が脳に直撃した。アリアを見ると無表情ながらも何処か楽しそうに彼の指を一本一本丁寧に凄まじい音と共に折っていく。勿論激痛により気を失いかければ強力な電撃で強制的に元に戻される。右指が終われば今度は左指を、左指が終われば右腕を折っていく。そして全身の骨を折り終わった後には回復魔法で元に戻される。そして回復したら同じ事を延々に繰り返されていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!……ハッ!……ハッ!」

 

既にイクスの精神は壊れ掛けていた。終わる事の無い永遠の拷問で精神と痛みで頭に異常が起き始めていた。そんな彼を見てアリアはゆっくりと小さな笑みを浮かべる

 

完全に回復しきった体を見届けた後にアリアはポケットから1本の注射器を取り出して、そのまま彼の首に突き刺し、中に入っている液体を注入する

 

「何を!?――――――ッ!?―――――――ッ!!」

 

先程までグッタリしていたイクスは突然暴れ始める。その目は血走り、ガタガタと暴れだす。そんなイクスを見るアリアは恍惚とした表情で眺めていると突然椅子の拘束具が壊れる音が部屋に鳴り響く

 

「オンナ犯ス……!オンナ産マス……!」

 

既に人語すら危うくなり始めているイクスにアリアは小さな笑みを浮かべながら自身が着ていたワンピースを脱ぎ、下着姿になる

 

「イクス、私は此処だよ?」

 

「オンナ!」

 

イクスはアリアを見付けると共に近くにあった簡易ベットに押し倒す。既に完全に理世と知性は文字通り消え失せたのだろう。今目の前に居るのは生殖機能に特化した雄なのだから

 

「ふふ、一杯辛い思いをしたんだもんね。ご褒美をあげなきゃ」

 

「勿論ご褒美は二人で一生ここで暮らすことだよ。イクスが望む事なら何でも叶えて上げるね」

 

イクスに使った物を自分にも使うと同時に体の奥底から沸き上がる感情を隠す事無く流されるままに理性と知性を投げ捨てた

 

彼等が使ったのはこの世界で劇薬を遥かに越える禁忌レベルの薬だった。これを使えば理性は一瞬と内に蒸発して生殖機能に特化した生物に作り替えると呼ばれる程に危険な物だった。質が悪いことにこの薬を使っても先頭経験や魔法知識と言った物は無くならないから更に厄介な物だった

 

「イクスゥゥゥゥゥゥゥゥ♪」

 

「アアアアアアアアアアアア!!」

 

狂った様な声をあげながらも二人の行為は止まる事は無かった。そして彼等を発見する事は恐らく無いだろう。アリアが連れて来たのは絶対に人が歩み寄らない森の奥底にある家の地下に彼等は居るのだから

 

その後二人を見た者は誰も居なかった




拷問で心が折れた後に劇薬で強制的に発情させるとか流石はアリア先輩だ!

魔王、メイド、吸血姫のBADENDを書くかイクス君のBADEND先に書くか思案中


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君の全ては俺の物《イクス編BADEND》

今回のルートは特にありません。ただイクス君を狂気に落としたかっただけです。その結果でスキルの変質が起きました。それと既に色々とイクス君が壊れています

それと今回の被害者はアーシャさんです


アーシャと共に街をゆっくりと歩いていると彼女に気が付いた人々は彼女の周りに集まりだし口々に「勇者様!」「勇者様は私達の希望です!」「勇者様は何時見てもお美しい!」等々と賞賛を贈られながらもアーシャは自前の興味が無い人に対しての笑顔を向ける。そんな中にある子供がアーシャに花を渡す

 

「勇者様!ぼ、僕と結婚してください!」

 

……何ヲ言ッテイルンダ?コノ餓鬼ハ?俺ノアーシャに求婚ダト?ブチコロスゾ

 

そんな黒い感情が沸き上がる気持ちを無理矢理に押さえ付けながら傍観を決め込む。もしこの感情を押さえ付けなかったら今頃アーシャの目の前には薄汚れたボロ雑巾が目の前に置かれてただろう

 

「ゴメンね。私は君の想いには答えられないな。勇者は誰の物でも無いからね」

 

ナデナデと優しく撫でるアーシャに子供は頬を赤くしながらしっかりと頷いた

 

(目の前でこの子供を殺せばアーシャはどんな反応をするんだろうな?激怒するか?それとも泣くか?または何事も無かったかの様に振る舞うのか?)

 

子供の頭を撫でるアーシャを後ろで眺めながらイクスはそんな事を考えていたが流石にこれ以上アーシャを周りに拘束されるのは気が許さなかったのかイクスは撫で終わったアーシャの手を掴み、無理矢理立たせる。驚いた表情を浮かべるアーシャを楽しみながらも少し強引に彼女の唇を己の唇で塞ぐ。アーシャは驚いた表情を浮かべ、周囲の者達も同じ様に驚きの表情を浮かべていた

 

そんな周囲の反応を楽しんだイクスは唇を離した後はアーシャをお姫様抱っこしてその場から逃げ去った

 

「ちょ、ちょっと春人?」

 

逃げた先はアーシャの部屋だ。彼女が普段使用しているベットにお姫様抱っこをしている状態で近寄り、ベットの上に下ろした後に自分も彼女の上に覆い被さる

 

「随分と街人達にデレデレしてたな?そんなに俺を嫉妬させたかったのか?」

 

「ち、違う!あれは何時もああ言った人達が集まるから何時もと同じ様に対応してただけだからね!」

 

「告白までされてか?」

 

「相手は子供だよ?春人は子供にも嫉妬するの?」

 

「ああ、するさ。俺の女に気安く触れたあの子供を今すぐに殺したい程に嫉妬しているな」

 

「……春人ちょっと怖いよ?」

 

イクスの雰囲気に流石のアーシャも眉間に皺が寄り、イクスを押し退けようと両手で彼の胸を退かそうと頑張るが

 

「それ程までにお前を愛しているからだ。本当なら何処にも出したくないし、誰の目にも見られたくない。簡単に言えば奏を何処か俺だけしか知らない場所に閉じ込めたいよ」

 

「……笑えない冗談だね」

 

一向に退かないイクスに流石のアーシャも少し力を入れて退かそうとするがビクとも動かない彼に疑問を覚えた。本来なら力を使えば例え100キロの鉄の塊でも片手で動かせるのに力を入れても彼は動かないのだ

 

「あ、そう言えばさ俺のスキルが幾つか変質したんだよ」

 

「変質?」

 

「そう。その中でも面白いのがな【牢獄】と言ってな、このスキルを使えば俺を中心に好きな範囲まで相手の全てのステータスとスキルを封じ込めることが出来るんだよ」

 

イクスの説明にアーシャはある事に気が付き、イクスの顔を見るとイクスはニッコリと笑う

 

「まさか!?」

 

「そう。この部屋に入った来た時からスキルを発動していたんだよ。範囲はアーシャの部屋全体だけだ」

 

「どう……して……」

 

「うん?分からないか?俺はお前を心から愛しているからだ。あのグズ共から俺を救い出してくれた奏に俺は心を引かれた。だがあの頃は純粋にお前を尊敬していた。そして今は一人の男としてお前を愛せる。他の奴等には指一本触れさせない。俺の物に手を出そうとするなら俺は全力でそいつを排除するまでだ」

 

濁った瞳でアーシャを見詰めるイクスに彼女は恐怖した。自分が知っている彼はこんな瞳をしてなかったと

 

「だから俺は証明する。奏は一体誰の物なのかをお前を含めて分からせる」

 

「は、春人?」

 

「安心してくれ。少し痛いかも知れないが我慢してくれ。その後に埋め合わせもするから」

 

シュルシュルと己が着ている服を脱がされながらもアーシャは抵抗できなかった。今ここで拒めば本格的に彼は自分を閉じ込めるだろうと感じた。だがこんな時にも自分は心から彼を望んでいるのが分かっていた。結局は自分は彼に依存していたのだ、だらかと言って止まるわけにはいかなかった。止めたら今度こそ自分の目の前から存在が消え去る様な嫌な気がしたから

 

「凄く綺麗だ」

 

脱がされた自分の裸体を見ても彼はニッコリと微笑みながら抱き締める

 

(……ああ、自分達は何処までも溺れていくのだろう。本当ならもっと良い解決方法があったのかも知れないが今の自分には成し得ない)

 

抱き締めている最中に両手に手枷を付けられるがもう、自分は彼を拒めない

 

「さ、始めようか」

 

「……うん」

 

もしもIFが存在するのならこんな事になら無い様にしたかったな……

 

その後アーシャはその生涯を終えるまで1歩たりとも外に出ることは無かったとか何とか




完全にイクス君が壊れてましたね。独占欲が限界突破するとこんな感じですかね?正規のルートは平和ルートだから安心だね!


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時間の牢獄《ツクヨミ編BADEND》

ツクヨミのイメージはハイスクールDxDに登場するグレイフィア・ルキフグスと十六夜咲夜の中間的な感じです


「今日の仕事は此処までね」

 

今日の仕事を終えたツクヨミは一息吐きながら少し急いで自室に戻る。ツクヨミは少し前までは魔王城に支えていたが少し事情があり、今は森の中ひっそりと建てられた屋敷に住んでいる

 

この森の中では人間は入ってくる事は無く、屋敷の周囲には魔物が近付かない様にと結界も張られている。この屋敷に住むのはツクヨミを含めて2名だけだ。そのもう一人の住人と言うのは

 

「ただいま戻りました。イクス様」

 

自分の部屋に入ると既にもう一人の住人のイクスが椅子に座り待っていた。だがツクヨミの声にイクスは反応する事は無く、椅子に座り何処か見つめていた

 

「すぐに紅茶を淹れますね」

 

イクスの返事を待つ事無く、ツクヨミは自室に備え付けてある物で素早く準備を始めた

 

「出来ました」

 

ソッとイクスの前に出来た紅茶を差し出すがイクスはそれに目もくれる事なくじっと何処かを眺める。そんなイクスをツクヨミは何処か熱を帯びた視線をイクスに向ける

 

「ふふ、あの日から私はイクス様に心を奪われました。きっとこれが一目惚れと言うものでしょうね」

 

そっとイクスの頬をゆっくりと撫でるツクヨミは何処までも幸せそうに笑っていた。そして何処までも狂っているかの様な狂気に満ちた視線でイクスを見つめる

 

「イクス様の求婚はとても嬉しく感じました。あの様な場所でなければ貴方の求婚を受け入れてました」

 

ゆっくりとゆっくりと頬を撫でる手を下に向ける。そしてたどり着いた場所はイクスの喉元だった。ツクヨミは何の躊躇いもなく両手でイクスの首を強く締める。

強く首を締められているイクスは何故か顔色を変える事なく何処かを見つめている。そう彼は返事をしたくても出来ないからだ。彼の時間は止められてしまっている、それも何十年前も昔からあの時に彼の時間は止まっている

 

「イクス様が魔王城を守ってくださった事には感謝します。ですがそれで貴方様に何かあっては私が困ります。ですから貴方は何があっても死なせません。例え貴方の時間を止めても……」

 

首を締める事を止めたツクヨミは少し赤くなってしまったイクスの首に治癒の魔法を掛けてから再び彼の後ろに立つ

 

「私は魔族ですから欲しいものは己の力で奪い取る事が正しいのです。ですからイクス様の時間を奪いました。だって人間は短命ですからね。魔族の私ではどう足掻いてもイクス様を先に見送ってしまいます。ですから貴方様の時間を止めて長い時を一緒に居て貰おうと思いました。イクス様はどうお考えて?」

 

時を止められているイクスに質問をするが当然返事は帰ってこないのだが

 

「まあ、イクス様ったら♪そんなにも私を思ってくださるとは照れてしまいます♪」

 

ツクヨミには都合の良い返しが聞こえてくるらしい。魔族の寿命は長く平均でも数千年は生きると呼ばれる。恐らくは彼女も数千年は生きるので彼が目を覚ます事は無さそうだ

 

 




今回から今回から週一で更新していこうと思います。理由はゆっくりとネタ探しと流石に毎日投稿はキツく感じたからです。楽しみにしてた皆さんにはすみません


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永遠に貴方の側で《アーケスト編BADEND》

魔王は欲しいものがあれば何でも奪うのが鉄則!


「これが僕達がこの旅で身に付けた力だ!」

 

目の前に居る青年が持つ聖剣から眩しい程の輝きを放ちながらアーレスに向かって放たれたが彼女の前に一人の黒騎士が前に立ちはだかり、その手に持っている盾で見事に防ぎきった

 

「何!?」

 

「…………」

 

「今回の勇者も見事に外れですね。では消えてもらいましょうか【インパクト・ノヴァ】」

 

アーレスから放たれた小さな太陽の様な物が部屋の中央で爆発し、黒騎士とアーレスが居る玉座以外は全て吹き飛ばされ、何も無くなっていた

 

「ふぅ、流石にここ数百年も質の悪い勇者と対峙するのも疲れますね。少し汗を流しましたしシャワーを浴びたいですね」

 

アーレスは立ち上がる為に手を差し出すと黒騎士が無言でアーレスの手を掴み優しく起き上がらせる

 

「ふふ、それでは行きましょうか♪」

 

ゆっくりとした足取りで何事も無かったかの様に部屋から出て行くアーレスに黒騎士も無言で彼女の後ろに付いて行く

 

(ああ、ここ数百年は本当に孤独を感じませんね。魔王だからと言って周りから距離を置かれる事も無いですし、名が欲しいと求婚する者達も消え去りましたし、本当に彼には感謝しなくては♪)

 

後ろを歩く黒騎士にアーレスは少し緩んだ笑みを浮かべながら廊下を歩く。本来なら廊下には使用人達が仕事の為に働いているのだが今回は勇者が襲撃してきたので非戦闘員の者達は一時的に身を隠してもらっているのでこの廊下どころかこの城には兵士と四天王の者しか居ないので必然的に出会うことは無い

 

「本当にここ数百年で勇者の質が大幅に落ちましたね。それに兵力や魔法使いの質も数百年前に比べたら見る影も有りません」

 

あの日を境に世界は一気に変わった。今までは人間側が有利だったのにあの日を境に見事に逆転した。今では下級悪魔を倒すのに兵士が10人居てやっと倒せる程度までに落ちていた。それとそんな事になれば当然魔族達は人間から略奪をする事になるがアーレスは先に手を回した。

 

人間から略奪をする際には6割までと決めており、女子供や戦う意思の無い者を殺す事は固く禁じられており、人間を捕まえて身売りをするのも禁止されており、商人にはそれらを禁ずる為に首に首輪の様な物を付けて、破った場合は爆発する流れになっている。仮に協力者が居ても首輪が感知して商人共々消え去る流れになっている

 

「あの日を境に本当に人間は弱くなりました。その原因を作ったのは私ですが後悔はしていません。だって貴方が私の隣に居るんですから♪」

 

後ろを振り向くと無言の黒騎士がアーレスの事を見詰めてくるがアーレスは聖母の様な微笑みを浮かべながらゆっくりと鎧越しに触れる

 

「親友やそのお友達を消し去ってしまったのは心苦しいですが私はどうしても貴方が欲しかった。だから心が壊れた貴方を私が引き取り、何もかも封じて私の側近にしたんですよ?」

 

「これからも私の側に居てくださいね♪」

 

微笑む彼女は再びゆっくりとした足取りで廊下を進む。そしてその背中を追い掛けるように無言で黒騎士は付いていく




BADEND編ではイクス君には救いは有りません!


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