お前、ジョシュアだよ…… (藤芳)
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お前、ジョシュアだよ……
俺の名前はジョシュア。
クソったれな職場だが、まあ、慣れたもんだ。自慢じゃないが俺はけっこうこのLobotomy社でも長生きしてるし、アブノーマリティの世話だって腐るほどやってきた。命綱になるE.G.Oはミミックっていう最高クラスの装備を貰ってる。
単騎でアブノーマリティの鎮圧に向かう。いつものことさ。単騎で笑う死体の山を鎮圧する。デイリークエストだ。たまに「何もない」相手に壁役をやる。お前とのgood-byはまだみてぇだ。ああ、残念ながら静かなオーケストラ相手には出して貰えない。ただの物理的な攻撃はお呼びでないそうだ。
そんな俺でも昨日はヤバかった。もう何度も死ぬかと思ったね。
T-03-46というアブノーマリティの登場は、この支部を崩壊の危機に陥れた。
職員12人を変異させたあの鐘の音は絶望そのものだったよ。さっきまで冗談を言い合ってた仲間が人間を辞めちまったんだ。肉体を捨てて不死身のバケモノになった。仲間が仲間を大勢殺した。結局、俺たちはまだアブノーマリティに対しての認識が甘かったんだ。
更にT-03-46は支部の全域を攻撃する手段も持っていた。一瞬で仲間が死んだ。
ともかく。俺たちは生き残った。悲しいが、失った仲間たちは戻らない。名前を覚えていてやるのが俺が唯一出来ることだ。
お前らのことは忘れないぜ。一緒に管理人部屋から酒をパクったジョシュア。あと後輩のジョシュア、俺より先に逝っちまいやがって。いつも厳しく俺たちのやんちゃを叱ってくれたジョシュア先輩。福祉チームのジョシュア、部門は違うが一緒に大鳥を殴ったな。関わりが薄い奴ももちろんいた。ジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアだ。こんな職場だ。お前らのことも尊敬できる。立派な奴だったよ。
あとバケモノになっちまったジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュア。なんでこんなことになっちまったんだ。特にジョシュア!あいつは同じ懲戒部門で、よく話してたんだ。クソ!
今朝は俺とジョシュアとジョシュアとジョシュアで昨日の話をしていた。みんな暗い顔だ。
心の穴は大きいが、仕事の穴も大きい。別の部門のチーフのジョシュアとジョシュアとジョシュアとジョシュアとも連携を取ってやっていこうと話し合った。
「おい、ジョシュア!」
「なんだよジョシュア」
「管理人が人員補充として新人を大量に雇用したんだ。 ジョシュアだけじゃ手が回らないからジョシュアも手伝ってくれってさ」
「俺が、かぁ?」
「ジョシュアはジョシュアに借りがあんだろ? ま、頑張れよ」
「ジョシュアの野郎」
嫌々教育部門まで足を運ぶと、ジョシュアと新人と見られる人間が大勢いた。
「来てくれたかジョシュア! 新人、紹介しよう。 こっちは懲戒部門チーフのジョシュアだ」
「こっちの新人は右からジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュア、ジョシュアジョシュアジョシュアジョシュアジョシュアジョシュアジョシュア──
「ジョシュアって誰だよ! 俺はジョシュアじゃねえ!」
飛び起きると、インカムから管理人の呼びかけが聞こえた。
『空虚な夢はずいぶんと愉快な夢を見せるんだな』
冷たい管理人の呟きを最後に、通信は一方的に切られた。通信がこちらを省みない少々乱暴なものであるのはいつものことだが、なんだか動機がいつもと違う気がする。
「おい、大丈夫か?」
仲間の声で顔を上げる。心ここにあらずで主要部門に帰ってきた俺を心配してくれたようだ。きっと昨日の惨劇のせいで俺がまだ落ち込んでいると思っているんだろう。確かに引きずってはいるが、仕事中にそんなことを考えている余裕はない。それは俺が一番よく分かっていることだった。
「いや、大丈夫だ」
やっぱり仲間という存在は良い。たったの一言で俺を立ち直らせてくれる。ジョシュアだなんだって夢も冷静になって考えれば馬鹿らしいじゃないか。
「そうだ新人が来たんだよ」
「そ、そうか」
「ちょっと話しただけだが、新人にしてはしぶとそうな奴でな。 きっとお前も気にいるぞ」
仲間が休憩している新人を手招きして呼んだ。なんだかわからないが、嫌な予感がする。無意識のうちに冷や汗が頬を伝っていた。なんだ、この感覚は。ALEPHが逃げたって平気な俺が。
「はじめまして! 僕はジョ──
「うわああああああああああああああああああああ!」
「ージアと言い……」
「おい、マズイ! パニックだ! 星の音呼んでこい! ダ・カーポもだ!」
「なんでパニック者が出るんだよ! 今収容違反はしてないぞ!」
「まじかよこいつって正義心が人一倍強いんだぞシャレにならねぇよ!」
「パニックに釣られて罰鳥が逃げた!」
「ヤバくなる前に殺しちまえ!」
「ミミック装備だぞ殺してみろよ! うわああこっち来る助けてくれぇ!」
「ジャスティティア呼べジャスティティア!」
「ああああ審判鳥逃しやがった!」
「管理人! 管理人!」
「赤ずきんの傭兵が逃げたぞ!」
「なんで大鳥も逃げるんだよ! おい! エンサイクロペディア間違ってんのか!?」
「憎しみの女王がなんで変身せずここに出てきッ……!」
正気に戻った俺には、なぜか羽根が生えていた。
仲間から俺が連呼していたジョシュアとは誰だと聞かれたが、俺だって知らねぇよ……。知らないんだよ……。ジョシュアって誰だよ……。
ペスト医師来た途端にジョシュアバグになったので夢オチじゃなく半分実話だぞ。
やーいお前の使徒ジョシュア〜!
解説
空虚な夢が逃げる→主人公パニック→パニック者に合わせて罰鳥脱走→正義が高いので施設を破壊して周り審判鳥が脱走→ここで3体脱走なのでクリフォトカウンターが3から0になった赤ずきんの傭兵が脱走、同時に三鳥の内二体脱走なので残りの大鳥が脱走し黒い森の入り口が形成、憎しみの女王が鎮圧を手伝ってくれるためにワープ、パニックレベル2だと悟るエージェント
パニックから戻ったら鎮圧終わってるってことはたまたまクリフォトカウント無いアブノーマリティの部屋を破壊してたんじゃないかな。運が良い。更にコイツが絶望の騎士の加護を受けてたり、だんご三兄弟が収容されてたり、赤ずきんが狼の収容室を通るとリスタート案件なのでやめました。でもゲームじゃよくあることなんだよなぁ
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