神室町の伝説とガールズバンド (ガリュウ432)
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1話 堂島の龍とpoppin'party

時系列的には6終了後の、桐生の存在が消えずに残り、沖縄に戻った場合のパラレルです。6が終わってからしばらく経ってます。作者のほかの龍が如くシリーズとは関係ありません。基本的には神室町とCiRCLE周辺を舞台とします。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー沖縄 夕方ー

 

桐生は長い入院を終え、沖縄に帰っていたが、生憎アサガオの面子が修学旅行に行ってしまい、桐生は暇していた。

 

「・・・暇だな。」

 

「ええ暇っすね。兄貴。」

 

勇太も暇をしている様子だ。

子供に対してあれかもしれないが、毎度毎度アサガオの子供たちが買ってくるお土産は謎のセンスがある。

そんな他愛のないことを考えていたら見慣れた名前から電話がかかってきた。

 

「・・・真島の兄さんから・・・?」

 

「えっあの人からっすか?」

 

「ああ・・・。ろくなことじゃないとは思うが・・・。」

 

何だろうか。あの人は基本メールで済ます人だ。電話ということは何かあったんだろうか。

 

「もしもし。」

 

『よう桐生ちゃん!元気しとるか!!』

 

「そっちも相変わらずだな、真島の兄さん。」

 

『そんな訳あるかい。ワシは桐生ちゃんと喧嘩ができんで、退屈しとるんやで!』

 

「それは無理な話だ。東京に行く用事もないしな。」

 

『いや、それやねんけどな。ちょっと手伝って欲しいんや。』

 

「なに?悪いが抗争とかは・・・」

 

『いやそんなんちゃうねん。会場設営を手伝って欲しいんや。』

 

「会場設営・・・?」

 

真島の兄さんからはこうだ。神室町の劇場前広場であるバンド達のライブがあるらしい。それの会場を真島組、まあ真島建設が引き受けたらしいのだ。しかし、明日設営というのに組員の殆どが体調を崩す、家族との用事などで来れないらしい。人数不足で困っているから俺に助けを求めたというわけだ。

 

「冴島とか、秋山にも頼めばいいじゃないか。」

 

『アホ!お前で5人目じゃ!』

 

「5人目・・・?」

 

『冴島の兄弟、秋山、それに谷村、品田、+桐生ちゃんで5人や。』

 

「いやいや2人はいいとして谷村は警察が忙しいだろうし品田は東京に来る金がないだろう。」

 

『谷村は明日非番で駄賃やる言うたらすぐなびきおったわ。品田は飯と交通費と駄賃やる言うたら食いついた。』

 

(それはどうなんだ・・・。)

 

『まあ礼はする。どうせ子供の声が聞こえんちゅうことは修学旅行かなんかで子供ら全員出張っとるんやろ?戸締りと連絡だけして、こっち来いや!ついでに例のあの弟分も連れてきいや!』

 

ブツップーップーッ

 

「相変わらず滅茶苦茶な人だぜ・・・。」

 

「兄貴、何だったんすか。」

 

「ああ、かくかくしかじかでな。」

 

「まるまるうまうまなわけっすね。」

 

「いや2人で何言ってるの・・・。」

 

あ、遥が洗濯から戻ってきたみたいだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「真島のおじさんから?」

 

「ああ。バンドのライブの会場設営を手伝って欲しいらしい。しかも、『ガールズバンド』?ってやつらしい。」

 

「マジっすか!?そんな今流行りのやつらが神室町に来るんすか!?」

 

「おじさんそれ本当!?」

 

おおう夫婦揃ってびっくりするな。こっちまでびっくりする。

 

「なんだ、知ってるのか?」

 

「逆に兄貴、知らないんすか?ガールズバンド。」

 

「ああ。」

 

「ええ・・・。おじさん、流行りものくらいは押さえとこうよ・・・。」

 

「む、むぅ・・・そうか・・・。」

 

「ガールズバンドといったら全国のバンドをやってる女子高生達のことを総称している言葉っすよ。どんなバンドがくるかも分かってるんすか?」

 

「ああ、ある程度な。5組来るらしい。」

 

「poppin'party、Roselia、Pastel❀Palette、After Glow、ハロー!ハッピーワールド・・・!?すごいよおじさん!今をときめくバンドが来るよ!」

 

「これマジモンっすよ!」

 

「そんなに凄いのか・・・?」

 

「ええ、行けるなら行ったほうがいいっすよこれは!」

 

「おじさん羨ましいなぁ・・・!」

 

・・・・・・。

 

「・・・お前達も来るか?」

 

「マジっすか!?」「ホント!?」「あー!」

 

ハルトまで!?

 

ー夜 東京 神室町ー

 

「よう真島の兄さん。」

 

「よっ桐生ちゃん!おっ、遥ちゃん、それに宇佐美ちゃんも来とんな!てかくんの速!」

 

「ご無沙汰してます!」

 

「お久しぶりです、真島のおじさん。」

 

「ハルトちゃんも久しぶりやのー!」

 

「キャッキャッ」

 

ハルトは真島の兄さんを怖がらない。・・・というか東城会の知り合いの強面の顔全員見ても怖がらなかったんだよな。流石遥の子供というべきか・・・。

 

「ほな、今日は別にすることないから自由にしててええで。明日、集合場所に遅れへんかったらええから。あっちなみに真島の兄弟はセレナにおると思うわ。行くなら寄ってみ。それじゃほな!」

 

そう言うと真島の兄さんは颯爽と去っていった。

 

「じゃあ2人には悪いが先戻っててくれるか?俺は幾つか挨拶に回っときたいんでな。」

 

「分かりました、それじゃ先ホテルに戻っときますね。」

 

「おじさん、気をつけてね。」

 

「ああ。戻り道気をつけろよ。勇太、なんかあったら頼むぜ。」

 

「勿論です!兄貴!」

 

・・・あの時、本当に伊達さんには感謝しなくてはな。俺は本当に自暴自棄になっていた。自分の存在を消してしまう覚悟でいた。・・・でもそれは沖縄にいる家族を幸せにしない決断だと気付かせてくれたのは伊達さんだったな。感謝してもしきれねえぜ。

そんなことを考えていたら、ニューセレナについていた。

 

カランカランッ)

 

「いらっしゃ・・・、あら桐生さん!?」

 

「っ!?桐生!?」

 

「おう、桐生やないかい。」

 

「久しぶりだな、伊達さん、ママ、冴島。」

 

「どうだ、あの後からの沖縄での暮らしは。」

 

「良くしてもらってるよ。何も変わらず、みんなと接している。勇太もみんなに歓迎されていたさ。新生アサガオとして、頑張ってるさ。」

 

「そりゃ良かったわ。桐生が旦那いびりしてないか、心配やったわ。」

 

「冴島、そりゃねえだろ。」

 

「いや有り得るな。お前ここで、『1発殴ってやらなきゃ気がすまねえ』つってたじゃねえか笑」

 

「それは流れの問題でだな!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

少しの酒を飲んだ後、秋山にも挨拶をしなきゃならないので引き上げる。

 

「ありがとう3人共。」

 

「なんだ?もう上がるのか?」

 

「ああ。秋山にも挨拶しときたいからな。」

 

「そうか。ほな桐生、また明日な。」

 

「ああ。」

 

バタンッ

 

「・・・あした?おい冴島、明日なんかあんのか?」

 

「アレや。何やったっけ・・・?ライブ・・・や。それの設営を手伝うんや。」

 

「劇場前広場のか?そうか、あれもう明日の夜か。」

 

「下見に来てるバンドもおるやろなぁ。」

 

「までも神室町だからな。治安が悪いことには違いねえから、気をつけねえとな。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

知り合いってのもいいもんだな。

 

「姉ちゃん達、俺と遊ばない!?」

 

「いやあの・・・、私たち帰らないと・・・。」

 

いつでもいるんだな神室町には。

 

「そんなこと言わずにさぁー!」

 

「おい離せよ!香澄が嫌がってんだろ!」

 

金髪の少女が振り払い、男を押す。

 

「・・・おい姉ちゃん。何してくれてんの?女だからって調子乗ってっと痛い目見るぞ?」

 

「やってみなよ・・・!」

 

「ちょっ有咲・・・!」

 

「このアマが・・・!これでも喰らえやぁ!!」

 

パシッ

 

「・・・えっ?」

 

全く・・・。

 

「女に手を上げるところを見せられて、止めねえわけにはいかねえよな。」

 

「っ!!なんだよオッサン!てめぇには関係ねえだろ!」

 

「関係あろうがなかろうが、この子達が困ってんだ。いいからさっさと消えろ。」

 

「あれあれー?そんなくちきいていいのかなぁー?俺らここら一帯で強いことで有名なんだぜ?」

 

「そんな強えヤツらが女に手え出すとか、軽い名声だな。」

 

「・・・、なに?ひょっとして馬鹿にしてんの?」

 

「ひょっとしなくても、俺はてめえらがこの子達に絡んでんところを見た瞬間からバカにしてたんだが。」

 

「てめぇ・・・!」

 

「おい、下がってろ。」

 

「は、はい・・・。」

 

「みんな、行くよ・・・!」

 

タタタタタ・・・

 

「もういい!女は後回しだ!テメェら!このおっさんぶっ殺すぞ!」

 

ータチの悪い男ー

 

「喰らええっ!!」

 

「・・・(なんだこのパンチ・・・。)」

 

ヘロヘロのパンチを見切り、(見切るまでもないが)背後に回り込んだ後にラッシュコンボからのフィニッシュブロウを入れる。

 

「オラァッ!!」

 

男は情けなく吹っ飛ぶ。

 

「もう終わりか?」

 

「馬鹿め!どこ見てやがる!」

 

後から男が襲いかかる!

だが桐生は一瞬の攻撃のスキをついて振り返ったその瞬間にラリアットを当てた!

古牧流・無手返しだ。

 

「ひぃぃぃぃぃ!!?」

 

残りの男が腰を抜かす。

 

「ごめんなさいごめんなさい!もうしません!」

 

「ナンパはてめぇらの勝手だが、女に手ェ出すんじゃねえ。それも見ず知らずのだ。あんなもん見せられて不愉快にならねえ奴はいねぇ。・・・二度と顔を見せるな。」

 

「はいいい!!ごめんなさいぃぃぃぃぃ・・・!!」

 

男達は情けなく逃げていった。

 

「・・・変わらねえな。」

 

「あ、あの!」

 

声をかけられたので振り返る。そこにはさっき、ナンパされて困っていた5人だった。

 

「「「「「助けてくださってありがとうございました!」」」」」

 

「いやいい、気にするな。それよりも、この街は治安が極端に悪いぞ。特にこの時間帯はあまり立ち寄らない方がいい。お前ら、まだ学生だろ?なんで神室町にいるんだ?」

 

「私たち、ガールズバンドなんです。明日、ライブなんで下見しとこうと思って・・・。それで帰りに・・・。」

 

髪の毛が猫耳みたいなヘアスタイルの子がいう。

・・・そういえばこの5人・・・。

 

「・・・もしかしてお前ら・・・。poppin'party・・・とやらのバンドか?」

 

「えっ!?はいそうですけど!なんで・・・。」

 

「ああ、明日ライブ会場の設営やらをやるんでな。多少知ってるんだ。ポスター渡されただけだからもしかしてと思っただけなんだが・・・、まさかその当の本人たちとはな。」

 

「ええ、私達もびっくりしてます。まさか名前を知ってくれてる人がいるなんて。・・・早いですけど自己紹介しときます?」

 

「ああそうするか。俺は桐生一馬だ。桐生でいい。」

 

髪の毛が猫耳みたいな少女から自己紹介が始まった。

 

「ボーカルとギターの戸山香澄です!よろしくお願いします、桐生さん!」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「あっそうだ。連絡先交換しときましょう!」

 

「え?何故だ?」

 

「明日用ですよ!何かあった時に連絡用として。」

 

「ああそうだな。」

 

「LINEでいいですか?」

 

「(らい・・・?)あ、コレか。ああいいぜ。」

 

「一瞬桐生さんLINEがなにか分かってなかったよな・・・。」

 

「有咲、そこ突っ込んじゃいけないとこだと思う。」

 

次は黒髪の大人しそうな少女。

 

「ギターの花園たえです。よろしくお願いします、桐生さん。」

 

「ああよろしく頼む。」

 

「それにしても桐生さん、只者じゃないんですね。」

 

「!?(まさか・・・、根っからねカタギじゃねえって気付いたのか?いや女子高生だぞ・・・!?)」

 

「なにかスポーツやってらしたんですか!?」

 

「え?」

 

「桐生さん豆鉄砲喰らったね。」

 

「どんな質問来るって思ってたんだろ・・・。」

 

次は・・・、常香澄の後に隠れてるな・・・。

 

「う、牛込りみ・・・です。・・・よ、よろしく、お願いします・・・

き、桐生さん・・・。」

 

「ひょっとしなくても俺は怖がられているのか・・・。」

 

「まあ厳ついの確かですし。」

 

「香澄、もう少しオブラートに包もう・・・?」

 

たえからのツッコミが入る。

次は茶髪の元気そうな少女。

 

「ドラムの山吹沙綾です。よろしくお願いします、桐生さん。」

 

「ああ、よろしく。」

 

「紗綾のところのパンはとても美味しいですよ!食べに行ってみてください!」

 

「ああ、ぜひ来てください!」

 

「あ、ああ・・・。(何処にあるんだ・・・?)」

 

最後に、さっきチンピラに反抗した、金髪の少女だ。

 

「市ヶ谷有咲。よろしく。桐生さん。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「桐生さんには普通の口調なんだね。」

 

「どういうことだ?」

 

「ちょっ!それ今言わなくていいだろ!」

 

「?」

 

「まあまあ桐生さんわかってない感じだしいいじゃん・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ明日はよろしくお願いします!」

 

「ああ。明日ここに来る途中も気をつけるようにな。日の高いうちに来た方がいいぞ。」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

そう言うと5人は帰っていった。

 

「・・・さて、秋山のとこに挨拶に向かうか。」

 

to be continued…



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2話 神室町のダニとRoselia

前回はキャラ崩壊というよりポピパのメンバーのキャラが掴めてませんでした・・・。申し訳ありません。手を出してから間もないコンテンツですので、多少はご容赦願いますが、極度のキャラ違いであればご指摘お願いします。


〜少しだけ桐生視点が入ります〜

 

ースカイファイナンスー

 

コンコン

 

「空いてますよ。」

 

ガチャッ

 

「久しぶりだな、秋山。」

 

「なっ、桐生さん!?帰ってきていたんですか!?」

 

「ああ。ついさっきな。」

 

「そうなんですか・・・。・・・なんて、さっきそこのとおりで喧嘩してましたもんね。すぐに桐生さんだとわかりましたよ。あ、どうぞお座り下さい。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

「しかし、真島さんも妙な依頼を受けたもんですね。」

 

「ああ。あの人の事は裏のことなんて読めやしないが、ガールズバンドのライブの会場設営を引き受けるなんて・・・。」

 

「真島さんらしくないといえばないですねぇ。」

 

「だが、あの人は流行りものには敏感なところがあるからな。ひょっとしたらそれに食いついたのかもしれないな。」

 

「そんな子供みたいな・・・。」

 

「まあ子供みたいな人だからな。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー谷村視点ー

 

ー桐生が東京に来た翌日の朝ー

 

・・・さてと、そろそろ行きますかね。

しっかし真島さんも面白い仕事を持ってくるもんだ。

ガールズバンドのライブの会場設営だなんて。

 

「非番とはいえ、事件が起きなきゃ基本的に非番みたいなもんなんだけどね。」

 

あんただけです。

 

ー劇場前広場ー

 

「・・・流石に早く来すぎたかな。」

 

誰も来てないみたいだ。資材だけ隅に置かれてる感じだ。

 

「・・・会場はまだ出来てなかったわね。」

 

「うーん、流石に早く来すぎたみたいだね。でも、今から練習場所を借りるには時間が無いでしょ?」

 

「ええ。・・・。」

 

あの口ぶりと・・・。・・・。ああ、やはりそうだ。ポスターに載ってる顔と一緒だ。

 

「君たちもしかしてガールズバンド?」

 

「え、ああそうですけど・・・。あなたは?」

 

「ああ、俺は今回のライブのスタッフなんだけど、まだ少し早かったみたいだね。」

 

「そうですか。この辺りで、時間を潰せるところはありますでしょうか?」

 

青髪の子が聞いてくる。

 

「時間を潰せるとこかぁ・・・。神室町だしなぁ・・・。強いて言えばボウリング場くらいだけど・・・。ライブ前には体力使えないよね。」

 

「ええ、そうですね・・・。」

 

「・・・どうします?」

 

紫の髪の子が悩んだ顔で言う。

 

「あ、じゃあさ、自己紹介しとこうよ!今日、スタッフでお世話になるんだし。」

 

「・・・じゃあそうするかい?」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

そんな経緯で自己紹介が始まった。

 

「俺は谷村正義だよ。よろしく。」

 

次は銀髪でいいのかな・・・?まあいいや。銀髪の子。

 

「ボーカルの湊友希那・・・。よろしく。」

 

・・・・・・。

 

「アッハイ。」

 

「前回との自己紹介編との差!?」

 

「わっ!?リサ姉どうしたの!?」

 

「あっ、いや何でもない・・・。」

 

ごめんなさい何も思いつかなかったんです。

 

「作者・・・。」

 

次は青髪ロングの子。

 

「ギターの氷川紗夜です。よろしくお願いします。」

 

「ああ。よろしく。」

 

・・・・・・。

 

「アッハイ。」

 

「何!?作者は真面目キャラ弄るの下手なの!?」

 

「わぁ!?だからリサ姉どうしたのって!?」

 

「あのなんかごめんねうちの作者が。」

 

しかし個人的ではあるがこの子のタイプは苦手なタイプ。

 

次は先程からありがたいくらいツッコミを入れてくれてる茶髪の子。

 

「えーと、ベースの今井リサです!よろしくっ☆」

 

「ああよろしく。なんか、ごめん。うちの作者どこまでそっちのキャラを崩壊させていいか分からないみたいで。」

 

「あー・・・。そっち側は原作で崩壊してますしね・・・。」

 

(な、なんかよくわからないけど・・・、すごい話をしてるのは確かだ・・・!)

 

「宇多川さん、どうかされましたか?」

 

「あっ!?あっ、いえ何も・・・。」

 

次は紫の髪の子。

 

「ふふふ・・・、わらわの右目に封じられし龍が目覚めようとしている・・・。これはー・・・、そのー・・・、魂をすいとる的な・・・?」

 

・・・・・・・・・。

 

「え?」 「え?」

 

・・・・・・・・・。

 

「えーと・・・。まとめると?」

 

「あっ、ドラムの宇田川あこです!」

 

(諦めた・・・。)

 

最後に、黒髪の子。

 

「えっと・・・、キーボードの・・・白金燐子・・・です・・・。」

 

「・・・大丈夫?なんか今にも押しつぶされそうな感じだけど・・・。」

 

「りんりんは人混みが大の苦手なんですよ。」

 

「神室町絶対ダメじゃん。」

 

「ライブじゃなかったら・・・、来ることないです・・・。」

 

だろうね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これで一通りかな?」

 

「そうですね・・・ってうわぁ!?」(ドンッ

 

大柄な男が急にリサちゃんにぶつかった。

・・・まさか。

 

「大丈夫、今井さん?」

 

「う、うん・・・。何だったんだろう、今の人・・・。ってあ!?ポケットに入れてあった財布がない!?」

 

「!!やっぱりか!!ここに居てて!」

 

ダッ!!

 

「あっ!谷村さん!!」

 

「行ってしまったわね・・・。」

 

ー追え!ー

 

あんな前衛的なひったくり久々に見たから油断しちまってた!

てか目の前で起こされて見逃さないわけには行かないでしょ!!

 

「捕まえてみなぁー!」

 

カチンッ

 

頭にきたねぇ。

一先ず、路肩においてあるビール瓶を取る。

 

「止まれぇっ!!」

 

できるだけ頭を狙い、なかなかのスピードで投げる。

 

ズゴッ!!

 

「ぐぁ!?」

 

少しひったくりがよろけたので距離が縮まる。

 

「今だ!」

 

スピードを上げ、近づき、ダメージの大きい足に蹴りを、引っ掛けるように入れる。

そして最後に、飛び蹴りを食らわせた!

 

「ぐあああ!?」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。・・・終わりだ!!」

 

やっと捕まえた・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとうございます!谷村さん!!」

 

盗られた財布をリサちゃんに渡す。

 

「おいおい、仲間に何してくれちゃってんの。」

 

「あ、仲間・・・!?」

 

燐子が怯えたように声を上げる。

 

「はぁ・・・。5人とも、安全なとこに避難しといて。」

 

「わかったわ・・・。」

 

「おい!こいつやっちまうぞ!」

 

ーひったくり集団ー

 

しかしこの人数は分が悪い。しかも囲まれている。

 

「あっ!?谷村さん!!危ない!!」

 

グアッ

 

あこちゃんの声。・・・助かった!

後ろからの攻撃を素早く撫でるように流し、そのまま首根っこを掴んだ!谷村が得意とする、捌きだ。

 

「やろっ、そいつを離しやがれ!」

 

「・・・近づくと危ないよっ!」

 

すると谷村は掴んでる男の腕を足の間を通して引っ張った!

男は力が後ろ方向に行くことにより、逆サマソの形にすっ転ぶ。

そして向かってきた男の頭にかかとがクリーンヒット!

股抜き投げの極みだ。

 

「谷村さん・・・、とても・・・強いです。」

 

「ホントだね。何かスポーツでもやってるのかな?」

 

リサが疑問を持つ。

まあ谷村の職業の一環で柔道をやってるだけだが。

 

「さあ、最後はあんただけだぜ。」

 

「ふん、こいつらはただの腰抜けだ。俺はこいつらとは一味ちがあっ!?」

 

バキイッ

 

口上中に殴るあたりクズである。

 

しかもさらにその卑怯殴りからラッシュコンボに入り、5段目が入ったあとフィニッシュブロウを入れ、すかさず浴びせ蹴りを入れた!

コンボ追撃の極み・伍だ。

 

「ぐあああああ!?」

 

「お前らさ、実は俺、警察なんだよね。」

 

「えっ!?」

 

「あっ!?」

 

「「「「「ええっ?」」」」」

 

Roseliaほぼ全員驚いたな・・・。

 

「前科つきたくなかったら、さっさと逃げた方がいいよ。」

 

「ひいいい!?すみませんでしたあぁああああ!!」

 

全く、あー言うやつはいつでもいるもんだね。

 

「谷村さん。」

 

「?どうしたの、紗夜ちゃん。」

 

「あなたが警察だったことに驚きましたが・・・。逮捕しなくてよろしかったのですか?」

 

「・・・?あぁ。いいんだよ。ああいう奴らは。あーいうしょうもないことをしているやつはこの町ではまっさきに痛い目見るもんだからな。君たちも気をつけた方がいいよ。この町は基本は危険だ。ヤクザもいるし、あんなやつもわんさかいる。ま、会場ができたら終わるまでそこの控え室から動かないのが確実かな。」

 

「そんなことが・・・、」

 

「許されないかもしれないけど、許されちゃうんだ。この町は普通じゃない。ちょっとした無法地帯だ。所持物の管理はしっかりとね。」

 

「は、はあ・・・。」

 

「友希那、想像以上にやばい町っぽいね・・・。防犯には気を受けとかないと・・・。」

 

「・・・そうね。」

 

「おっ、珍しいのう。谷村ちゃんが1番かいな!」

 

「「「ひっ!?」」」

 

「っな・・・!?」

 

「・・・!?」

 

3人はめっちゃ驚いて、1人は声も出さず驚いて、1人は声だして驚いてる。

 

「もっと悪そうな人がきたぁ・・・!?」

 

リサちゃんの怯えはまあ当たり前の反応だ。

 

「真島さん、もう少し柔らかく登場してあげてください・・・。」

 

「・・・そりゃ無理な話やの。」

 

to be continued…




不真面目刑事と実力派ガールズバンドの出会い。
・・・紗夜と谷村の相性は悪そう。


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3話 18人殺しの男とハロー、ハッピーワールド!

タイトルだけで正反対な言葉が並んでますね。でもまあ、サブストーリーのカオスさはこの人が1番だし、多少はね?


ーライブ当日の朝ー

 

さて、そろそろええ時間や。兄弟が待ってるやろから、そろそろ行こか。

 

ー天下一通りー

 

「劇場前広場言うたら・・・。ここをまっすぐやったな。」

 

道を確認しつつ、劇場前広場へと足を動かそうとしたその時だった。

 

「ん・・・。なんやあの子、えらい困っとるな。」

 

冴島が見つけたのは道の端っこで1人でオドオドしつつ誰かを探しているかのようにも見える、空色の髪色をした少女だった。

 

(神室町を女の子1人で・・・?ちょっと危険すぎるで。急いどるけど、ここは事情を聞いた方が良さそうやな。)

 

冴島は少女の方に足を動かす。

 

「お嬢ちゃん、こんな所でどないしたんや。」

 

「あ、・・・えっと、道に・・・迷って・・・ってふぇあああっ!?」

 

(・・・俺ってそんな怖いんか・・・。)

 

「大丈夫や嬢ちゃん。別にとって食おう言うわけやないから、安心し。こんな所に一人で来たんか?」

 

「いや他のみんなと来たんですけど・・・、その、はぐれちゃって・・・。地図見ても・・・、わかんなくて・・・、」

 

確かにこの街は地図あっても分からんやろなあ。

 

PPP.....

 

「あ・・・、美咲ちゃんからだ・・・。」

 

「ん、出たり。声聞いた方が相手も安心するやろ。」

 

『もしもし!?花音さん!今どこですか!?』

 

「あ、美咲ちゃん・・・ごめんね、私また迷っちゃって・・・。」

 

『いつもの事ですよ。慣れっこです。周りになにか目印らしきものはありますか?』

 

「周りに・・・。」

 

「天下一通りっちゅうでっかい看板があるわ。その下で待っとったらええやろ。」

 

『・・・え?今の・・・、花音さんの声ですか?』

 

「そ、そんなわけないよ!私が迷ってたところを助けてくれた人がいて・・・。」

 

『なんだろう、素性が分からないのに迷ってる花音さんのそばにいる人は全員安心できる気がする。』

 

「どういう意味やそれ。」

 

「と、とにかく、私さっきの看板の下で待ってるね・・・。」

 

『分かりました!・・・あの、動かないでくださいね。』

 

「う、うん・・・。」

 

ピッ

 

「大丈夫やったか?」

 

「は、はい。それじゃあ、看板の下に行きましょ」

 

「嬢ちゃんそっちちゃう!こっちや!あんなでかい看板見逃したあかん!」

 

「ふ、ふぇぇ!?」

 

ー移動後・・・ー

 

オドオドはしとるけど、礼儀の正しいええ子やな。・・・しっかし、なんかどっかで見た気がするんやけど・・・、なんやろか。

 

そう考えていると柱に貼られていたポスターが目に入った。

ガールズバンドフェスティバル・・・。せやったな。これの準備やったな。はよ行かなあかんけどこの子の面倒も見たらんとな。

 

「・・・・・・あっ!!」

 

「はえっ!?」

 

「あ、驚かせてすまんのう。・・・せやけど、今やっと思い出したわ。嬢ちゃん、ガールズバンドやったんやな。」

 

「あ・・・、はい、そうです・・・。ハロー、ハッピーワールド!っていうバンドのドラム担当です・・・。」

 

「ポスターに描かれてる子やったな。実はな・・・」

 

→俺もガールズバンドやねん

俺は今日のフェスティバルの役員やねん

 

「俺もガールズバンドやねん。」

 

「・・・ええ!?女の方なんですか!?」

 

「嘘や、冗談。今日のフェスティバルの役員や。」

 

「で、ですよね・・・。」

 

「まあ今日は嬢ちゃんが最高のパフォーマンスできるよう、仕事はちゃんとやったるからな。」

 

「は、はい!」

 

ー数分後ー

 

「・・・遅いな。・・・せやな、来るまで自己紹介しとこか。」

 

「あ、はい・・・。」

 

「俺は冴島大河や。よろしゅう頼むわ。」

 

「ハロー、ハッピーワールド!のドラム担当の松原花音です。・・・よろしくお願いします・・・。」

 

・・・・・・・・・

 

終わってしもたで。時間つぶしにもならんかったわ。

 

「せや、花音はなんか好きなもんとかあるんか?」

 

「私・・・、クラゲが好きなんです・・・。」

 

「クラゲ?」

 

「はい。・・・だから水族館にこの前1人でクラゲを見に行こうと思って・・・、電車に乗ったら・・・。」

 

「どないしたんや?」

 

「2駅乗り過ごして右往左往してたらはじめ乗った駅に戻ってたんです・・・。」

 

「それもう方向音痴超えとるやろ。」

 

「だからバンドのみんなにも迷惑かけちゃってて・・・。今回もそうですし・・・。」

 

「ええねんそれで。人はほかの人に迷惑をかけて生きる生きもんや。俺かていろんな人に迷惑かけたし、逆もある。嬢ちゃんもやけど、他のメンバーから迷惑食らってる時もあるんちゃうか?」

 

「・・・それは・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「心当たりが・・・ありすぎて・・・。」

 

(波瀾万丈なメンバーなんやろなぁ。)

 

「あ、いたいた、おーい花音さぁっ!?」

 

やっぱ俺見て驚いとる。

 

「花音さんが初対面の人と仲良く喋ってる!?」

 

「そっちかいな!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すみませんありがとうございました。」

 

「いやええんや。・・・ところでほかの4人もガールズバンドやねんな?」

 

「ええ、そんなところです。」

 

「ほなちょうど良かったわ。俺もガールズバンド・・・」

 

「そのネタさっきやったじゃないですか・・・。」

 

「花音さんか初対面の人にツッコミしてる・・・!」

 

「もうええやろそこは・・・。まあ冗談は置いといてやな。今回のフェスの役員をやっとる冴島大河や。よろしゅう頼むわ。」

 

「私は奥沢美咲です。ハロー、ハッピーワールドのDJです。」

 

「え?ハロー、ハッピーワールドのライブではミッシェルじゃなかったかしら?」

 

「こころ、ややこしくなるからちょっと静かにしてて。」

 

「ん?どういうことや?」

 

「あーあの・・・、ちょっとわけアリで私着ぐるみに入ってDJしてるんですよ。それをあの金髪の娘を含め3人がわかってなくて・・・。花音さんは分かってるんですけど。」

 

「なるほど、つまりあの3人が苦労の種っちゅうことやな、花音。」

 

「本人の前で言うの!?」

 

「大丈夫ですよ、多分聞こえてないし聞こえても響いてません。」

 

「じゃあ次は私が自己紹介しようかしら!私はハロー、ハッピーワールド!のボーカルでリーダーの弦巻こころよ!楽しいことが大好きなの!よろしくね!」

 

「ああ。よろしゅう頼むわ。楽しいことが好きか・・・。俺も楽しいことは好きやで。」

 

「あらそうなの?だったら今度私の家の庭でBBQをハロハピのみんなでやるの!招待するわ!」

 

ザワザワッ・・・

 

「黒服の人達がざわついた!?」

 

「まあ俺パッと見悪者に見えるからのう。アレやろ?この子ええとこの子やろ?」

 

「え、なんで分かるんですか?」

 

「雰囲気。」

 

「え、えぇ・・・。」

 

次は紫髪の子やな。

 

「どうも子猫ちゃん。」

 

「・・・え?」

 

「はは・・・、ぶれないなあこの人。」

 

「アハハ・・・、そうだね・・・。」

 

美咲と花音は呆れたように笑う。

 

「薫、瀬田薫だ。ハロー、ハッピーワールド!のギター担当だ。よろしく。」

 

「ああ。よろ」

 

「儚い・・・。」

 

「え?」

 

「冴島さんの理解が追いついてない・・・。」

 

「いや無理ないよ・・・。」

 

「50近くで何十歳も年下の子から子猫ちゃんとか儚いとか言われるとは思わんかったわ。」

 

「あっでも薫さんをよく見てください花音さん。」

 

「え?・・・あ、凄く汗かいてる。」

 

「強面の男の人に対してキャラ維持するのに大変なんですよ。」

 

最後にオレンジ髪の子やな。

 

「ハロハピのベース担当!北沢はぐみだよ!よろしくね冴島さん!」

 

「元気いっぱいやなぁ!よろしく頼むわ!」

 

「自分で言うのもなんだけど、うちの肉屋さんのコロッケはとても美味しいよ!」

 

「コロッケがうまいんか?」

 

「ええ、本当に美味しいですよ。」

 

「・・・せやな、今度買いに行ってみよかな。」

 

「うん!絶対来てね!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・主に3人の個性が強すぎひんか。花音の方向音痴も相当やけど、3人の強さに腰抜かしそうになるわ。」

 

「「なんか本当にごめんなさい。」」

 

「しかし・・・、『ハロー、ハッピワールド!』か。・・・俺にとったら無縁な世界な名前かもしれんのう。」

 

「・・・冴島さん?」

 

「ああ、いやええんや。俺の独り言や。きにせんとき。」

 

「それなら貴方もハッピーになる方法があるわ!」

 

「え!?」

 

「なんかヤな予感・・・。」

 

「貴方もボーカルとして歌えばいいのよ!」

 

「「「いやその理屈はおかしい(やろ)!!」」」

 

・・・正反対な世界の子達やなぁ・・・。

 

to be continued…



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4話 風俗ライターとAfterglow

品田とafterglowの出会い。別に初の顔合わせがこの人らなだけであって、これとは別の組み合わせも沢山あります。


ー東京駅ー

 

「ふぅー。着いた着いた。」

 

今日は休み(お前は年がら年中休みだろとか言わないで)だが、俺は今、久しぶりに神室町に向かっている。

まあ理由としては真島さんに呼び出されたからだね。とはいえガールズバンドのライブを神室町でやるなんてねぇ。

 

「危険極まりない行動なんじゃないのこれ・・・?」

 

あっ補足しておくと俺今はそこまで金ないってわけじゃないからね。貧乏なのは変わってないけど借金には追われてないし、どちらかというと安定してる方だよ。

 

「今日は交通費も出てるしね〜。」

 

さてと、タクシーを拾うか。ってあっ。珍しい。ワゴンタクシーだなんて。

 

「へい、お客さんどちらまで?」

 

「神室町までお願いできます?」

 

「構わないけど・・・。お客さん運がいいねー。ついさっき俺、あのガールズバンドのAfterglow?だったかな?を神室町に送ったんだよ。」

 

「へぇ!そりゃあまた!」

 

「兄ちゃんも見に行くんだろう?」

 

「見に行くって言うよりかは運営側ですね僕は。」

 

「それもまた運がいいじゃないか!仲良くなってきな!女っけなさそうだし!」

 

「んぐぅ・・・、なんでわかったんですか・・・。」

 

「男は雰囲気でわかるもんだよ。」

 

この運ちゃん・・・。強い。

 

ー神室町ー

 

予想以上に早く着いちゃったな。

 

「どうしますかねぇ・・・。」

 

と歩いていて目に付いたのはバッティングセンター。

するとすれ違った人達が喋っている内容が聞こえた。

 

「なあ!さっきバッセンにいたのガールズバンドじゃね?」

 

「そんなわけないだろ。・・・マジで?」

 

「・・・マジで。」

 

・・・なんでまたバッセンに?

まあいいや。時間つぶしがてら、何本か打っていきますか。

 

ーバッティングセンターー

 

「さってと今日の景品はっと・・・。」

 

プロフェッショナルコースは・・・。

レスポール・・・?あぁ、ギターの型だっけ?

んー・・・、売れば金になるかなぁ?

ま、やってみますか。っと先客?女の子だ・・・。

 

「ふっ!」

 

カキャンッ

 

「おー、当たってきたねー。」

 

「・・・でもダメ。もう来ない。つぐみ、今何時?」

 

「まだ全然時間あるよ。」

 

「・・・どうしよ・・・。」

 

「やっぱ欲しいのか?あのレスポール。」

 

「・・・ん、まあ・・・。」

 

「限定版だもんねー。」

 

「まさかこんな所で出会えるとは思わなかったのよ。」

 

・・・まあ次やらせてもらおうかな。

 

「ごめん、話し込んでるとこ割り込むようで悪いけど、次、入っていいかな?」

 

「あっ、どうぞ。すみません、話し込んでて。」

 

「いや、いいよいいよ。」

 

ま、10本打てればいいかな?

 

ー成功条件ー

ホームランを25本中10本以上打て!

 

「そういえばあの人、すっごいガタイよかったよね!」

 

「そう言われれば凄くがっしりしてたな。」

 

「すごい見た目では打てそうー。」

 

「たしかに分かるかも、」

 

カーンッ!!

 

「「「「打った。」」」」

 

バァンッ

 

「「「「ホームランだ。」」」」

 

「・・・すごい。」

 

「蘭も絶賛ー。でもすごいねー。1発目ホームラ」

 

バカーンッ!!

 

「「「「「また打った。」」」」」

 

バンッ

 

「「「「「またホームラン。」」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すげぇ・・・。今んとこ全球ホームランだ・・・。」

 

「次ラストかな?」

 

バシュッ

 

(っ!!キレのあるカーブっ!?パーフェクト・・・逃すか!!)

 

シュウウウウ・・・

 

グウワキーンッ!!!!!

 

バァンッ

 

「いぃっよっしゃあっ!!」

 

成功

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「本気喜びー。」

 

「兄さんやるねぇ!ほらこれ!景品だ!持ってきな!」

 

レスポールの限定版を手に入れた。

 

「さてと・・・。はい、これあげる。」

 

「え・・・?」

 

「いやー多分だけど君たちガールズバンドでしょ?後ろのギターのカバンとかベースのやつで思ったんだけど・・・。違ったかな?」

 

「いや、そうですけど・・・。いいんですか?」

 

「うん。俺、ギターわかんないし、このバッセンに来たのも時間潰しだったしね。俺がそれ持ってるよりかは君が持ってた方が良さそうだしね。」

 

「あ、ありがとう・・・ございます。」

 

「蘭の嬉しそーな顔ー。」

 

「そ、そんな顔してないし!」

 

「口角上がってるぞ?」

 

「そ、そんなことないし!!」

 

「あっはは!素直に喜んどこうって!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ありがとうございます。」

 

「いやいや、何度も言わなくていいって。さっきの理由もそうだけど、まあ俺からのよろしく的なプレゼントだと思って。」

 

「え?」

 

「よろしく的な・・・?」

 

「そう。俺、今回のライブの役員だからさ。まあ偶然とはいえって感じだけど。」

 

「じゃあ自己紹介しとこうよ!アタシ達のライブを支えてくれているんだし、困ったことがあったときに聞けるじゃん!!」

 

「そうだね。俺は品田辰雄だよ。まあ適当に呼んで。」

 

まず最初はさっきのギターをあげた赤メッシュの子。

 

「美竹蘭・・・。Aftergrowのギター、ボーカル担当です。よろしくお願いします。」

 

やっぱりギター担当とは思ってたけど、ボーカル担当でもあったのか。

 

「ああ、よろしく。・・・まだ嬉しそうだね。」

 

「そ、そんなことっないですよっ・・・!」

 

顔からダダ漏れである。

 

次は・・・うん。優しそうな普通の子。

 

「羽沢つぐみです!えっと、キーボード担当です。よろしくお願いします。」

 

「ああ、よろしくね。」

 

・・・・・・。

 

「あっ終わりなんだ!?」

 

ピンク髪の子がつっこむ。

 

「いやまあ普通の自己紹介ということで・・・。」

 

「そうそう。」

 

次はワインレッド色の髪色の子。

 

「ドラム担当の宇田川巴だ。よろしく頼む。」

 

「うん、よろしく。」

 

「品田さんは凄くガタイがいいってさっき話題になってたんだけど、スポーツを何かやってたのか?」

 

「(まあそうか・・・そうだよな。)いやまあちょっと野球をね。なんだかんだバッセンだけ行ってる感じかな?」

 

「それでもパーフェクトは凄いよ。流石だな!」

 

「ああ、ありがとう!そう言って貰えると嬉しいね。」

 

次は銀髪の女の子。

 

「ギター担当の青葉モカでーす。モカちゃんでいいよー。好きなものはパンでーす。よろしくねー。」

 

「よ、よろしく。(すごい軽い子だなぁ。)」

 

「まあ、、モカはこれが通常運転なんです。」

 

蘭ちゃんからの言葉。

 

「なるほど。」

 

最後にピンク髪の子。

 

「ベース担当の上原ひまりだよ!よろしくね品田さんっ!!」

 

「ああ、よろしくひまりちゃん。」

 

「品田さんバッティング凄かったです!アタシ感動しました!」

 

「ああ、ありがとう。そう言われると嬉しいかな。」

 

「・・・?なんで今少し悲しそうな顔を?」

 

つぐみちゃんから言われた。

 

「・・・そう?気のせいじゃない?」

 

「それならいいんですけど・・・。」

 

はは。この子達には何も関係ないからね。

 

「ん、もういい時間だね。そろそろ会場に向かおうか。」

 

「そうですね。」

 

ーバッティングセンター前ー

 

「ちょっと待ちな兄ちゃん達。さっきレスポールを手に入れてたよなぁ?あれ俺が手に入れるもんだったんだけどさぁ・・・。」

 

「・・・。みんなこれガン無視でいいから。」

 

「おー、ガン無視ー。」

 

「いやおい・・・。」

 

「設営ってどれくらいしんどいかなー?」

 

「まあ割ときついんじゃないか?」

 

「まあ飯出るしいいかな?」

 

「おい待てよ!!ここ通りてえんならさっさとレスポール置いてけってんだよ!!」

 

「このギターは俺からこの子にあげたものだよ?あんたがどうこう言えたことじゃないの。」

 

「てめぇっ!!」

 

バキィッ

 

「あっ!?」

 

「品田さん、大丈夫ー!?」

 

「全然。屁でもないね。みんな、離れておいて。・・・それと、あんた、手ぇ出しちゃったね。・・・後悔しないでよ?」

 

ーVS チンピラー

 

「はっ!やかましい!もう1発くれてやる!」

 

グアッ!!

 

ガシィッ

 

「甘いよっ!!」

 

飛んできた拳を受け止めそのまま胸ぐらをつかむ。

 

「せぇいやっ!!」

 

そしてそのまま蹴飛ばす。

 

「けっ!クソが・・・ッ!」チャキッ

 

「うえっ!?ナイフ!?ちょ、それはせこくない!?」

 

えーとなんかないか・・・。・・・前と似たような棒がこんな所にも。

 

「まあいいや!これで五分五分だね。」

 

「へへ・・・!死ねやぁ!!」

 

カキィッ

 

ナイフを棒でいなし、そのまま下から殴り上げる。

 

「がぁっ!?」

 

男はあっけなく浮き上がる。

 

「行くよ・・・!せえいやっ!!!」

 

グアキンッ!!!!

 

「ぐわあああああっ!?」

 

「おー、よく飛んだー。」

 

「品田さん戦いも強いの!?」

 

「すごい・・・。」

 

「なんというか、すごいフィジカルだな・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「す、すみませんでした・・・。」

 

「もうこんなことしないようにね。」

 

「は、はぃぃ・・・。」

 

「さ、時間取られちゃったね。会場に行こうか。」

 

「ええ。・・・それで品田さん・・・。」

 

「なんだい、蘭ちゃん?」

 

「さっき咄嗟に拾ったはずの棒なのにあんな素早く・・・?」

 

「まあ俺は武術とかやってはないんだけどさ。野球人なのかものを大切にするんだよね。だからかなぁ?だから蘭ちゃんにすんなりギターを渡せたのかも。」

 

「え?」

 

「音楽を本気でやってる人ってさ、身の回りのものを大切にするんだよ。楽器もそうだし、仲間も、友達も、身内も。そのギターケースだってキズはあるとはいえちゃんと綺麗に保ってる。だから思ったんだよ。『このギターはこの子が持つべきだ、俺なんかが引き受けていいものじゃないって。』」

 

「なんか・・・、プロフェッショナルって感じだな!」

 

「はは、懐かしい響きだなぁ。」

 

「・・・なんかのプロだったってことー?」

 

「あ、口に出てたか。・・・俺、プロ野球選手だったんだ。『1日』だけね。」

 

「やっぱどおりで・・・って1日だけ!?なんで!?」

 

ひまりちゃんを中心にみんなが驚く。まあだよね。

 

「・・・まー色々あってね。でも野球に対する情熱は確かだったつもりだし、手を抜かなかった。だから1日だけでもプロに入れたと思ってる。みんなもやるなら高みを目指すといいと思うよ。・・・高みへの道を掴んだ時から、世界が変わるからね。」

 

「・・・なんか品田さんカッコイー。」

 

「ああ、そうだな。輝いて見えるよ!」

 

「ありがとう。美人に行って貰えると嬉しいな!」

 

ガンッ

 

「っつぅ〜ッ・・・!!」

 

「褒めた途端に電信柱にぶつかった・・・。」

 

「大丈夫ですか・・・?」

 

つぐみちゃんにもひまりちゃんにも心配された・・・。

 

「・・・実はこんな人なんだよね・・・。」

 

そう言ったら少し5人は微笑んで

 

「「「「「まあ見た目からそうかなぁと。」」」」」

 

「それ酷くない!?」

 

to be continued…




つぎ、出会い編終わり。秋山とPastel*Paletteです。『現役アイドル』と何かと関係ができる秋山さん。


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5話 神室町の金貸しとPastel*Palettes

秋山だけ他の主人公と出会い方が違います。
ほかの主人公は偶然でしたが、秋山はパスパレのメンバーを迎えに行くという感じになります。


ー東京駅ー

 

「・・・あと少しか。」

 

神室町の金貸しであるスカイファイナンスの社長、秋山駿は東京駅の新幹線の出口あたりで待機していた。

なぜこんな状況になっているのか。それは品田が東京駅に着いてから数分後、今から約1時間弱前くらいのことである。

 

ースカイファイナンスー

 

Prrrr・・・

 

「・・・あれっ?真島さんか・・・。(Pi)はい、もしもし?」

 

『おう秋山か?』

 

「ええそうですけど・・・、どうしたんです?集合時間よりかはまだ幾分早いですよ?」

 

『いやーそれはせやねんけどな。秋山には悪いんやけどちょっと迎えに行ってほしい子らがおるんや。』

 

迎えに行ってほしい子ら?

それって・・・

 

「もしかしてガールズバンドですか?」

 

『せや。その通りや。せやけど、そのガールズバンドだけはちょっとわけがちごうてのう・・・。』

 

真島さんの話をまとめるとこうだ。

俺が迎えに行かないといけないガールズバンドはどうやら大手芸能事務所の若手女優で組まれたバンドらしく、人気も上がっており、テレビ露出も多い。そのため、あまり彼女達が固まって動くところを襲撃されるとどうしようもない。しかし、マネージャーらしいマネージャーもつけられてなく不安が残るということで迎えを頼まれたそうだが・・・

 

『ワシは見た目で怪しまれるし何分、今こっちはこっちで荷物を出しててのう。手が離されへんねや。ホンマに悪いんやけど、頼むで!それじゃっ!』

 

ツーッツーッ・・・

 

「・・・押し付けられたけど・・・。」

 

まあ時間も持て余していたし、行ってあげますか。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ーというわけだ。まあ暇してたしいいんだけどね。

すると、改札から出てきた女の子達が話しているのが聞こえた。

 

「彩さん、迎えに来てくださってる人は、どんな人なんですか?」

 

「えっと・・・、たしか赤いジャケットに黒いズボンを履いてる男の人って聞いたけど・・・。」

 

・・・多分俺だろうねぇ・・・。

真島さんからもピンク髪の子を中心に『あっ、あの子らガールズバンドだな』って分かると思うって言われたけど本当に雰囲気でわかるもんだな。・・・ってあっ!?パスパレじゃないか。雰囲気でわかるも何も、今テレビで沢山出てるアイドル的ガールズバンド・・・。だったはず。実際今日の朝の番組にも出てたし、終わってすぐに移動してきたってことか。忙しいな。

ま、話しかけてみますか。

 

「あのー、もしかして君たちガールズバンド・・・かな?」

 

「え?あっ、もしかして・・・、秋山さん・・・という方でよろしいですか?」

 

「あっそっちはこっちの名前把握してるのか・・・。(それならそうと言っといてくれないかなぁ真島さん・・・。)」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ータクシー乗り場ー

 

「もう少しで車来ると思うから、ちょっと待っててね。」

 

「はい!・・・あの、自己紹介、しませんか?」

 

・・・それもそうか。こっちは一方的に知ってるとはいえ、出演者とスタッフの関係になるわけだし。

 

「そうだね。そうしようか。・・・俺は秋山駿。今回のライブの役員だよ。よろしく。」

 

まずはじめにピンク髪の子。・・・たしかセンターの子だったかな?

 

「えーっと、Pastel*Paletteってバンドでボーカルをやってます、丸山彩です!よろしくお願いします、秋山さん!」

 

「よろしく、彩ちゃん。そういえば今日みんな朝のテレビに出てたね。」

 

「見てくれたんですか!?」

 

「まあいつも見てる朝のテレビ見てたら偶然って感じだけど。まさかこんなところで本物を見れるなんてね。」

 

「それでも嬉しいです!ありがとうございます!」

 

次は銀髪のハーフっぽい子。

 

「押忍!」

 

「!?」

 

「キーボード担当の若宮イヴです!よろしくお願いします!秋山さん!」

 

「よろしくねイヴちゃんって言いたいけど待って!突っ込みたいところが1つある!なんで押忍を入れたの!?」

 

「あっ、私は日本のブシドーという文化に憧れてまして・・・。秋山さんも何かブシドーについて分かりますか!?」

 

「いやいやいや!今のご時世日本人でもわかる人少ないよ!!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「えっとぉ・・・、どうも、ドラム担当の大和麻弥です。よろしくお願いします。・・・へへっすみません、あまりこういうの慣れなくて・・・。」

 

「いいんだよ、気にしないでね。よろしく。」

 

「趣味は機材いじりっす。この前も中古屋にものすっごい機材を見つけてついそれを買ってしまって、それをいじり出したらすっごい面白いんっすよ!!」

 

「いや豹変したね!?」

 

「麻弥ちゃんは機材の話になるとこうなるんですよ・・・。」

 

彩ちゃんからの補足。なるほどね。

 

次は金髪の子・・・。だけどなんかのドラマで見たことあるな・・・。

 

「どうも、ベース担当のの白鷺千聖です。よろしくお願いします、秋山さん。」

 

「よろしく。千聖ちゃん。・・・うん、名前聞いて思い出した。君、前々からも子役で活動してたよね?」

 

「あら、ご存知でしたか、ありがとうございます。」

 

「この前もドラマに出てたしね。うちの秘書が好きな女優さんだって言ってたよ。」

 

「本当ですか!?ありがとうございます!」

 

次は鮮やかな青色のショートヘアの子。

 

「氷川日菜でーっす!パスパレのギター担当です!よろしくねっ!秋山さん!」

 

「日菜ちゃんか。ああ、よろしく。」

 

「最近また暇なことが多くなっちゃってー。秋山さんなにか暇つぶしになるようなものって知ってる?」

 

「・・・ん?ギターとかの練習とかしないの?」

 

「え?しないよ?しなくてもできるもん!簡単だし!」

 

ああ。これが天才というやつか。

 

『末恐ろしいものです。』

 

「誰今の!?」

 

「お姉ちゃんの声がした!?」

 

「何故!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「これで自己紹介は終わったね。・・・そろそろ車が来てもいいと思うんだけど・・・。」

 

ブロロロロロ・・・

 

「おっ、来たね。じゃあ行こうか。」

 

「分かりました。」

 

彩ちゃんが返事をして乗り込もうとしたその時。

 

「ちょぉおおっとまったああああ!!」

 

「!?」

 

「!?」

 

「「「?」」」

 

「あなた達、ひょっとしなくてもpastel*paletteの皆さんでは!?」

 

まあちょっと熱狂的なファンって感じだしいいかな。

握手とか一通り終えた後、

 

「写真よろしいですか!?」

 

「あ、ごめんなさい、写真はちょっと・・・。」

 

「・・・は?」

 

「ごめんなさい、写真はご遠慮いただきたいんです。」

 

「・・・なんだよ、調子乗ってんなよ三下アイドル共が。」

 

「ッ!!あなた今なんと!!」

 

「千聖ちゃん、行かなくていいよ。」

 

「・・・秋山さん。」

 

「てめぇらなんざ量産型アイドルのひとつなんだよ!!分かったら消費者である僕らに対してヘコヘコしてりゃいいんだよ!!」

 

「・・・言いたい事は以上でしょうか?」

 

「なんだよてめぇ!今社会の厳しさをこいつらにわからせてやってんだから邪魔してんじゃねえよ!」

 

「・・・それ、あんたの方わかっている必要あるって分かってる?」

 

「・・・なんだよ?僕が間違ってるっての?」

 

「その通りってことです。あなたのような人に、パスパレのファンだけでなく、誰かを支えることをする資格はないってことです。」

 

「・・・うるせえうるせえ!僕のいうことに違いはないんだ!!邪魔するならやっちゃうよ?」

 

「いいよ、来な。後悔だけはしないでくださいね。・・・みんな下がってて。」

 

「は、はい・・・。」

 

ーVS タチの悪い男ー

 

「僕の必殺拳受けてみろぉ!!」

 

どんなやばい拳が飛んでくるかと思ったらハエでも止まっているかのようなヘロヘロパンチ。

 

「あんた、・・・倒す気あるの?」

 

心配になってきたよ。これパスパレの子たちの方が強いんじゃないの?

 

「ま、手加減はなしだけどねっ。」

 

容赦なく回り込み、背後から蹴りを入れる。

そして、打ち上げてエアストライクに入る。

 

「わー!!秋山さん宙に浮いて戦ってる!!」

 

日菜が驚く。

 

「人間業じゃないっすねぇ・・・。」

 

麻弥も呆れつつ驚く。

 

地面に着地し、落ちてきたところをさらに打ち上げる。

そして、アルファ、ベータ、ガンマとドライブコンボをフルコースで叩き込んだ!!

 

「セイヤァァ!!」

 

「ぎゃあああああ!?」

 

「ワオ!!ブシドー!!」

 

「秋山さんかっこいい・・・!」

 

「スタントマンもびっくりですね・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「何でこんなことをしたの?」

 

男に聞く。

 

「・・・ごめんなさい、最近自分の好きなアイドルよりノリに乗ってて・・・気に食わなくて・・・それで・・・。」

 

「いいんですよ。」

 

彩ちゃんが口を開ける。

 

「・・・え?」

 

「私達も新人、急に出てきて人気になって、気に食わないのもわかります。でも、私たちは本気でやっています。嫌いでもいいので、私たちのことを記憶の片隅に置いてくれるだけでも、私たちはとても嬉しいです。だから、今回のことは気にしないでください。・・・あ、でももうしないでくださいね?」

 

「丸山さん・・・。すみませんでした!!僕、心入れ替えて、ファン活動を続けたいと思います!調子のいい話になりますけど、パスパレのファンにもならせていただきます!!!」

 

「本当ですか!!ありがとうございます!これから、パスパレをよろしくお願いしますね!」

 

・・・すごいなあこの子は。テレビでアドリブが苦手って言ってたけど、これ見てたらそんなでもない気がしてくるね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー車の中ー

 

ブロロロロロー・・・

 

「すみません、お待たせしました秋山さん。」

 

「いやいや、そんなに待ってないよ。それにしても災難だったね。」

 

「大丈夫ですよ。よくあることです。」

 

千聖ちゃんが言う。・・・大変だなアイドルも。

 

「だけど凄かったね!秋山さんのあの技!」

 

日菜ちゃんが興奮気味に言う。

 

「日菜さん出来そうっすけどねー?」

 

「いや空飛ぶのは無理だよ。人間だから。」

 

「いや俺も人間だよ?」

 

「けれど凄いです秋山さん!またこれも、ブシドーなんですね!!」

 

「うんもうなんかわかんなくなってきた!多分そうじゃないかな!うん!」

 

なんだろ・・・、たしかにpalette(パレット)だから、色とりどりな子達ではあるけど・・・。

 

特色が強すぎる!!

 

 

to be continued…



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6話 BAND PARTY!!

今回で序章が終わったって感じっすね。
邂逅編最終回です。


ー谷村&Roselia サイドー

 

「怖いは流石に傷つくやないか・・・。」

 

「いや無理ないでしょう・・・。」

 

突如現れた真島さん。・・・まあ突如ではないんだが。

Roseliaのみんなちょっとビビっちゃってるよ。

 

「た、谷村さん・・・っ、その人はっ?」

 

リサちゃんが少し震えた声で聞く。

 

「あぁ・・・、この人は真島吾朗さん。今回の会場設営のリーダーをやってる人だよ。」

 

「よぅ!真島吾朗や!お嬢ちゃんたちはRoseliaやったな!今回はよろしく頼むで!!」

 

「「「「「よ、よろしくお願いします・・・。」」」」」

 

まだビビってるのか・・・。まあなりがなりだしなぁ・・・。

 

「えぇと・・・、ほならリーダーの湊友希那ちゃんはおるか?」

 

「え?私ですけど・・・。」

 

「ああ、言い忘れとったな。今回、運営のリーダーもわしがやっとるから流れとか説明せなあかんから、全バンドが集合した後、ここの会議室に来てな。」

 

・・・この人なんでもやるなぁ・・・。

 

ー桐生サイドー

 

「よし、勇太、遥、準備は出来たか?」

 

「ええ、大丈夫っす。兄貴。」

 

「うん、大丈夫だよおじさん。」

 

「じゃあまず天下一通りの門の前に行くぞ。」

 

「え?タクシーで直接劇場前に行かないんすか?」

 

「少し待ち合わせをしているんでな。お前達もついてきてくれ。」

 

「う、うん。」

 

ー天下一通り 入口ー

 

「ところで兄貴、誰を待ってるんですか?」

 

「まあ今回のライブに関係あるやつだ。もう時期に来るぞ。」

 

すると駅がある道から声が聞こえてきた。

 

「桐生さーん!すみません、待ちましたか?」

 

現れたのはpoppin’party。

昨日のこともあり、今日の朝、香澄から待ち合わせをしようと連絡が来たのだ。

 

「香澄か。いや、俺達も今来たところだ。」

 

「え!?」

 

「おじさんポピパと知り合いだったの!?」

 

「まさか。昨日知り合っただけさ。」

 

「私たちが絡まれているところを助けて貰って・・・。」

 

「本当に助かりました。」

 

たえと沙綾が感謝を述べる。

 

「ここではよくある事だからな。気にするな。」

 

「いやいやいや!それも驚きっすけど、今目の前にポピパがいることに信じられねぇっすよ!」

 

「ファンなのか?勇太。」

 

「え、ええまあ・・・。って本人の前で言わせないでくださいよ!」

 

「私たちのファンだってさ。やったじゃねーか!」

 

「嬉しいね香澄ちゃん!」

 

「うん!」

 

「喜んでくれたみたいだね。」

 

遥が勇太に言う。

 

「あ、うん・・・。みたいだな・・・。」

 

「じゃあそろそろ広場に向かうか。」

 

「はい!」

 

ー劇場前広場ー

 

さて会場は・・・。

骨組みができ出した頃か。

 

「あ!友希那先輩!」

 

「あら、おはよう戸山さん。」

 

「おはようございます桐生さん。」

 

「谷村もいたのか。」

 

「ええ。偶然Roseliaの子達と出会ったんで。」

 

「よっ桐生チャン!!」

 

「真島の兄さん。」

 

「谷村さん。この方は?」

 

紗夜が谷村に聞く。

 

「桐生一馬さん。俺と一緒で運営側の人。」

 

「桐生だ。よろしく頼む。」

 

Roseliaと挨拶を済ませた。

 

「他のバンドはまだ来とらんようやししばらくここで待とか。」

 

ー冴島&ハロー!ハッピーワールドsideー

 

朝飯を何人か食べていないということで喫茶アルプスで軽い朝食を済ませた。

 

「ここのお店、美味しかったわ!」

 

「チェーン店だから、探せばうちの近くにもあるんじゃないかな?」

 

「かもな。せやけど、俺はここと北海道にあることしか知らんわ。」

 

「冴島さん、北海道にも行ったことがあるんですか?」

 

「まあな。結構楽しかったで。」

 

そんなたわいのない話をしながら劇場前広場についた。

 

ー劇場前広場ー

 

「あら、あれは・・・」

 

紗夜ちゃんが誰かに気づいたようだ。

 

「ハロハピの人達かな?」

 

たえが予想する。

 

「みたいだね!はぐみもいたし!」

 

「桐生さん・・・、あの横にいるでかい人・・・、」

 

「ああ。冴島だな・・・。」

 

「なんか、すごい組み合わせっすね・・・。」

 

谷村が呆れたように話す。

 

「しかし、なんでかしっくりくるんだよな。」

 

「何がしっくりくるんや?」

 

「ああ冴島。気づいたのか。」

 

「よう兄弟!!そのようやと、お前もガールズバンドと合流してから来たみたいやな!」

 

「まあ成り行きやけどな。で何がしっくりくるんや?」

 

「・・・雰囲気だな。」

 

「どういうことやねんそれ。」

 

「あのやりとり・・・、すごく儚さを感じるね・・・!」

 

「いや、絶対に儚さだけは感じないでしょ。」

 

薫に対し、美咲が突っ込む。

 

「でも、すごく楽しそうなメンバーになってるのは確かね!!」

 

「うん!ライブが楽しみだね!!」

 

すると、バッセン方面から声が聞こえた。

 

「あ、あそこが集合場所っぽいね。」

 

品田がその集団を見つける。

 

「どうして品田さん分かったのー?」

 

「知り合いの姿が見えたからね。・・・相変わらずガタイでかいなぁ・・・。」

 

「たしかに・・・。遠近感が狂うぜこれは・・・。」

 

巴が苦笑いを見せる。

 

「お、品田。・・・それにガールズバンドも連れてきたみたいだな。」

 

桐生が谷村に気づく。

 

「俺は成り行きっすけどね。」

 

「・・・?桐生さん、この人誰っすか?」

 

「そういえば初対面だったな。谷村は。こいつは品田辰雄だ。この前の五大都市の事件で協力してもらった奴だ。」

 

「そうなんすか・・・。谷村です、どうぞよろしく。」

 

「ええ!俺は品田です!よろしくお願いします!」

 

ーーーーー

 

「ってあんたが谷村さんっすか!?」

 

「えっ?そうだけど・・・。」

 

「あんたのせいで俺、亜門一族とかいう変態一族と戦わされるはめになったんすよ!?」

 

「そういやあん時、秋山が電話しても出えへんかったな。」

 

「あれ?言ってなかったすかね?俺ケータイ変えたんすよ。皆さんにもメアドも番号変更のメール送りましたよね?」

 

「ああ。たしかに来ているな。」

 

「来とるで。」

 

「あれ?おっかしいなぁ。・・・まあいいや、その節についてはすまなかった。まあ秋山さんの連絡ミスと1課の仕事で忙しかったということで・・・。」

 

「あ、あんた刑事さんっすか。じゃあ仕方ないっすね!」

 

「美竹さん・・・。あなたたち、どんな人と合流してるの・・・?すごく・・・その・・・、見窄らしい姿なんだけども・・・。」

 

「いやまあ それはその・・・。成り行きというか・・・。」

 

「そこの子、あんまり言わないで。40前後のおっさんが泣くよ?」

 

「泣くな品田。」

 

「今は人並みには生活出来てるもん!!」

 

「なんの否定やねん・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あとはパスパレと秋山だけやな。ここは同時にくるから安心やわ。」

 

「ん?どういう事だ?」

 

「ワシから頼んだんや。迎えに行ったってくれって。パスパレの事務所が少しやかましくてのう・・・。迎えを出したってくれってやかましいんや。」

 

「まあ芸能人ですし・・・。」

 

香澄が納得したような顔で言う。

 

しばらく時間が経ち、集合時間ギリギリになった頃。

すると突然、ミレニアムタワーの方面から声が聞こえた。

 

「秋山さん、みんな!急いで!!集合時間に遅れちゃうよ!!」

 

「ちょっ・・・!!彩ちゃん、落ち着いて・・・」

 

「彩ちゃん速すぎだよ・・・!!そんなにいそがなくてもまだ大丈夫だって・・・!!」

 

「彩さん・・・っ、とても・・・っ、はやいですっ・・・!!」

 

6人が猛ダッシュでこっちに来た。

 

「はあーっ・・・、久々にダッシュしたっす・・・!」

 

「秋山、どないしたんや全速力で。」

 

「途中・・・っ、じゅ、渋滞に捕まっちゃって・・・。はぁ〜っしんどっ・・・!!煙草やめよっかなぁ・・・!!」

 

「そう言ってやめれてないんだろ?」

 

「桐生さん・・・、どうも・・・!」

 

「こんにちは、秋山さん!!」

 

「遥ちゃんも来てたんだね。」

 

「彩先輩、おはようございます!」

 

「おはよう!香澄ちゃん!ほかの皆さんも、おはようございます!」

 

その後、全体で一通り挨拶を済ませた。

 

「よっしゃほな揃ったな!ほな、男性陣は設営行ってきてくれ。メンバーは控え室に移動、リーダーはワシについてきてくれ!」

 

真島の兄さんの指示で動き出す。

 

ー設営サイドー

 

「桐生の叔父貴!おはようございます!」

 

「西田か。久しぶりだな。」

 

「お久しぶりです!西田さん!」

 

「遥ちゃんもお久しぶりです!・・・ところでそちらの方は?」

 

「私の夫の勇太です。」

 

「夫の勇太です!よろしくお願いします!!」

 

「よろしくって!?夫!?遥ちゃん結婚したんすか!?」

 

「ああ。そんなところだ。」

 

「叔父貴が遥ちゃんの結婚を許すなんて・・・。」

 

「まあ勇太は骨のある奴だ。遥を任せられる男なのは間違いないさ。」

 

「それほんまか?俺が聞いた限りでは、1発殴ったらな・・・」

 

「冴島!それはもういいだろう!!」

 

「結局親バカじゃないっすか。」

 

品田に言われてしまった・・・。

 

ー真島&バンドサイドー

 

「ほな、今回のライブやけど・・・。まずは了承してくれてほんまにありがとうな!」

 

「いえいえ!私達も、人前で演奏したいって気持ちがありましたから。」

 

香澄ちゃんが言う。

 

「ええ。それに、なかなか私たちの演奏を聞いてもらえない人達に聞いてもらえるから、メンバー全員、気も引き締まってると思うわ。」

 

友希那ちゃんも賛同する。

 

「私も同じ。いまのaftergrowがどこまで通用するか、見てみたい。」

 

「私達もいまの、私たちが認めてもらえているのか・・・!」

 

「ええ!それでみんな笑顔で楽しめたら、とってもいいわね!」

 

「・・・おうし!気合いはバッチリのようやな!!ほな、ライブの構成から行くで・・・。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー数時間後ー

 

「驚いたな・・・。」

 

「ああ、俺らで建てたはずやのに・・・、その実感があらへん。」

 

「まさかここまで大掛かりなものとは・・・。」

 

「金かける所はかけますねぇあの人。」

 

「すげぇ・・・!!マジのライブ会場だ!!」

 

出来上がったのは、装飾、規模、どれをとっても申し分ないくらいに見事な会場だった。

 

「兄貴、みなさん、お疲れ様っす。これ、遥が持って行ってくれって」

 

勇太が持ってきたのはスタミナン。

疲れた体にはやはりこれだな。

 

ゴクゴクゴクゴク・・・

 

プハァーッ!!

 

「・・・あとは、あの子らの出番やな。」

 

「ええ。」

 

「そうっすね。」

 

「じゃ、俺は見回りでもしてきますかねえ。」

 

「せやな、俺も一緒にやるわ。」

 

男達は思い思いにライブの為になることを考え、行動する。

 

そして・・・

 

ー開始時間ー

 

ザワザワザワ・・・!

 

『只今より、ガールズバンドフェスティバルを開演致します。』

 

ワアアアアアアアア!!!!!!!!

 

スポットライトに照らされ現れたのはpoppin'party。

そして香澄が前に出る。

 

「今日は、たくさんのお客さんに来ていただいてとても嬉しいです!!今日来ているバンドみんな、ドキドキキラキラするために、本気で頑張ります!!だからみなさんも!!どんどん盛り上がって、キラキラドキドキしていきましょー!!!!」

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

「大熱狂って感じだな。」

 

「そうっすね。」

 

「遥、勇太。久々に来た神室町はどうだ?」

 

「・・・すごく楽しい。ガールズバンドのみんなと出会えて、あんな近くでお話出来て。」

 

「それに、兄貴の友人の皆さんとも、仲良くなれた気がしますし。」

 

「フッ。そう言ってくれると、神室町に来た甲斐があるぜ。・・・俺達もしばらく東京に滞在するから、また暇な時、あいつらのところに遊びに行ってやるか。」

 

「え?いいんすか?」

 

「ああ。香澄からいつでも遊びに来てくれってライブの始まる数分前に言われた。どうやらCiRCLEっていう場所で今来ているバンドは練習しているらしい。いつでも俺たちだったら歓迎するだってよ。」

 

「ウフフッ、友達がまたできたみたい♪」

 

「あー!」

 

遥とハルトも喜ぶ。

 

「ああ、そうだな。・・・ですが兄貴、今はひとまず、」

 

「ああ。・・・そうだな。」

 

「え、2人ともどうしたの・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

「「ライブに集中するぞ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

「「オイッ!!オイッ!!オイッ!!オイッ!!オイッ!!オイッ!!ウーーーッ!!フッフゥッ!!!」」

 

「・・・アハハ・・・、おじさんらしいや。」

 

ーライブ会場 舞台上ー

 

香澄は歌いながらある声が聞こえる。

 

(・・・あれ?この声・・・。)

 

「「ウーーーッフッフゥッ!!!!!!!!フゥーーーーッオイッ!!!!!!!!」」

 

(こっちまで聞こえるコールってどんな声量してんだあの人ら・・・!?)

 

有咲が少し呆れながら思った。

 

(でも、今までのライブで1番楽しいかも!)

 

沙綾はドラムを叩き、今までにないくらい楽しい気持ちで演奏しているのだ。

 

(香澄ちゃん・・・!わたし、上手くできてるかな・・・!!)

 

りみも今まで以上に自信を持って演奏に励んでいた。

 

(・・・桐生さん、この会場の中で1番楽しそう。)

 

たえは純粋にこう感じた。・・・そして、客とバンドという関係でありながらも、盛り上がりで負けるわけには行かないと、ポピパもさらにヒートをあげていく。

 

「よーっし!!2曲目行くよー!!」

 

「「「「おーっ!!!」」」」

 

「「いいぞーっ!!!」」

 

「それでは聞いてください!!」

 

 

『ときめきエクスペリエンス!!!』

 

 

 

 

to be continued…




次回からはごちゃまぜで、物語の舞台がCiRCLEだったり、学校だったり、神室町だったりします。


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7話 CiRCLE

ライブの数日後の話です。


ーCiRCLE前ー

 

「ここやな。」

 

「兄さん、ここは?」

 

俺は真島の兄さんに連れられて車である店に来ていた。

 

「CiRCLEや。この前来てたバンドが練習でよー使うてるとこらしいわ。」

 

なるほど。香澄が言っていた店はここか。

 

「この前のライブの機材はここから借りてたしな。デカ目の車もこさえれたし今日返しに来たんやけど、ワシひとりじゃちょいと時間かかるからのう。せやから、桐生ちゃんに頼んだんや。」

 

「そういうことか。それに、さっきの兄さんの話からしたら、今日は休日だから、もしかしたら誰か練習してるかもしれないな。」

 

「かもしれんなあ。よし、さっさと作業してまおか。」

 

ーCiRCLEー

 

「よー!まりなちゃん元気にやっとるかー?」

 

「あ、真島さんどーもー!」

 

店に入って迎えてくれたのは、若い女性だった。

 

「あら、隣の人は初めましてですね!」

 

「あ、ああ。」

 

「こんにちは、CiRCLEのオーナー。月島まりなです。よろしくお願いします。」

 

「ああ、桐生一馬だ。よろしく頼む。・・・そういえば、ここはどういう店なんだ?」

 

「ライブハウス兼、カフェテリアって感じかな?」

 

「なるほどな。いまもどこか練習してるのか?音が少し聞こえてくるが・・・。」

 

「まあ見に行けばわかるんじゃないかな。倉庫ならその練習場の近くにあるから、私も片付け手伝うから、行きますか!」

 

「せやな。ほな桐生ちゃん、荷物出していこか。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

運んでいる荷物は主に、ライブの際に使った機材だ。マイクやスピーカーなどなど。

 

「さて、ここがスタジオだよ。練習中だからゆっくり入ったげてねー。」

 

「ああ。」

 

言われた通り、ゆっくりと扉を開けた。

すると、そこにはこの前トップバッターとして見事な演奏を成し遂げたpoppin'partyが練習していた。

 

「倉庫はもう片方側にあるから、もう少しだけここで待機しとこうか。練習中に前を横切られると、邪魔だろうしね。」

 

まりなに言われた通りにする。

ただ、此処で待ってるのもあれなので、演奏にも耳を傾ける。

 

「・・・なんというか、すごいな。」

 

「・・・せやな。女子高校生が独学でやってるとは思えん完成度やな・・・。感心するわ。」

 

「ああ・・・。」

 

演奏が終わったところで、香澄が俺たちに気がつく。

 

「あ、桐生さん、真島さん!こんにちは!」

 

「よっ、みんな!」

 

「いい演奏だったぜ。」

 

「本当ですか?ありがとうございます。」

 

たえが褒め言葉に対し礼を言う。

 

「ところで、まりなさんも含めてだけど、3人は何しに来たんだ?もしかして、もう時間か?」

 

有咲が俺達が来た理由について聞く。

 

「いやまだ時間じゃないよ。ライブの機材の片付け。」

 

「え、じゃあ手伝いましょうか?」

 

「いや、それは気にしなくてええで、紗綾ちゃん。心遣いはありがたいんやけど、みんなはここで練習しとき!」

 

「でも、この前私たちも使った機材だし・・・。」

 

香澄も言ってくる。

 

「大丈夫だ。そんなに荷物も多くないし、練習時間も有限なんだろう?俺たちに構わず、練習を続けておけ。」

 

「・・・はい、分かりました!ありがとうございます!」

 

ふう、どうやら納得してくれたようだ。

 

「じゃあ、私たちは練習再開しよっか!!次は・・・。ってあれ?りみりん?」

 

「・・・・・・・・・。(ボーゼン」

 

「あー・・・、こういうと悪いが・・・、強面ふたりが出てきて、意識が飛んじまったらしい・・・。」

 

「「俺たち(ワシら)そんな怖いのか!?(んかいな!?)」」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「す、すみません・・・、まだ慣れなくて・・・。」

 

「まあ普通は慣れんでええ顔やからなぁ・・・。」

 

「仕方ないことだ・・・、気にするな・・・。」

 

((((あ、少し傷ついてる。))))

 

「ご、ごめんなさいぃ・・・。」

 

ー片付け後ー

 

MAIN MISSION

CLEAR/CiRCLEの片付けを手伝う

 

「片付けはこんなものか?」

 

「うん、そうだね。手伝ってくれてありがとね。」

 

「いや気にするな。・・・そういえば真島の兄さん。」

 

「どないしたんや?」

 

「今日他の奴らはどうしたんだ?」

 

「あー、秋山は秘書の子に絞られて仕事中。冴島の兄弟は別件で無理。谷村は仕事。品田は会長直々に東京案内してもろてるわ。」

 

「今日暇だったのが俺だけだったってわけか・・・。」

 

「まあな。」

 

「そうズバッと即答されると・・・。」

 

「ちゅーか、勇太はどないしたんや。桐生ちゃんと一緒に来おへんかったんか?」

 

「勇太は・・・、その、遥に付き合わされていろんな店回ってるらしい。あいつもあいつで今は苦労してるぜ。」

 

「一時の桐生ちゃんみたいやな。」

 

「なんで最近俺の周りの奴らは過去のことを言い出すんだ!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ふと今は何時なのか気になり、店の壁にかかっている時計を見る。

 

(・・・昼前か。兄さんを昼飯にでも誘ってみるか。またしばらく会えなくなりそうだしな。・・・喧嘩は何としてでも避けよう。)

 

そう計画していると、

 

「桐生さん!」

 

後ろから声をかけられた。

 

「香澄か。練習は終わりか?」

 

「はい。時間が来たみたいで。ああ!それで今からみんなでお昼をとろうかなって思ってるんですけど、桐生さんも一緒に来ませんか?」

 

「俺もなのか・・・?別に俺自身は構わないが・・・、他のやつ・・・、特にりみは大丈夫なのか?」

 

「はい・・・、何とか慣れましたかr」

 

「いよ桐生ちゃん!まだこんな所で油売ってんのかいな!」

 

「ふぇあああぁあぁ!?(バタァンッ」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「桐生ちゃん・・・、ワシ・・・、なんかしたんかな・・・?」

 

「いや・・・、何もしてないと思うぜ・・・。」

 

「りみ!真島さんだよ!さっき見た顔だろ!!よくみろ!そこまで怖くないだろ!!」

 

「待て有咲!それどう考えてもフォローになってないぞ!!」

 

「あっ、わわ、悪い・・・。」

 

「まあ怖いのは事実だしねー。」

 

ポロッとたえが一言。

 

「なぜたえはそれを今言った!?必要あったか!?」

 

「桐生ちゃん・・・。ワシなんかさぁ・・・。」

 

「おい真島の兄さん!!何あんた消極的になってんだ!!」

 

「じゃあ喧嘩してくれるか・・・?」

 

「なぜそうなるか分からんが神室町でならいいだろう。」

 

「いよしゃ!じゃあ飯行こか!!」

 

「「「「「立ち直り早!?」」」」」

 

りみ抜きのポピパメンバーと桐生が同時につっこんだ。

 

 

 

「本当にすみません!!」

 

「いやええんやて。なれる必要の無い顔やしな。普通に過ごしてたら会わんわな、眼帯つけたおっさんとか。」

 

「いや絶対眼帯だけじゃないよね。」

 

「も、もうおたえ一旦静かにしよ?」

 

紗綾が流石にたえを止める。

 

「そういや、みんなはいつもどのファミレス行ってるんや?」

 

「ここからすぐ近くですよ。この通りを抜けて、国道沿いにあるジョセフって言うファミレスです。」

 

「ジョナサンなら聞いたことあんねやけど・・・。」

 

「いや時期的にジョルノじゃないか?」

 

「関係ないアニメの話はやめろ!」

 

おぉ、有咲のツッコミもおっさん二人のネタもメタいメタい。

 

ーファミレス 『ジョセフ』ー

 

「ふむ、色々あるなぁ。」

 

「じゃあドリンクバー頼む人ー!」

 

「いつも通り全員だねー。桐生さんたちはどうします?」

 

紗綾から聞かれる。

 

「まあ滅多にこんなとこ来おへんしな。つけてみよか。」

 

「ああ。じゃあ俺もそれでいいぜ。」

 

「じゃあ何頼むか決めっかー。」

 

「私カルボナーラで、あとフライドポテト頼んどこうよ!みんなで食べれるように!」

 

「香澄少し静かにしろって!・・・じゃあま、玄米定食にすっかな。」

 

「それファミレスにあるメニューとちゃうで・・・。」

 

「じゃ、じゃあ私チョココロネで・・・。」

 

「あるわけないやろ・・・、パン屋やないねんから・・・。」

 

「いや兄さん・・・、このファミレス・・・、チョココロネが単体で売っている!!」

 

「もはやコンビニやないか!!」

 

「なら私はペペロンチーノかなー。」

 

「私はデミグラスハンバーグで。」

 

「なんか・・・、紗綾とたえの頼んでるメニューがまともに見えるんだが。」

 

「奇遇やな桐生ちゃん。ワシもや。」

 

「私カルボナーラだよ!?」

 

「桐生さんたちは決まりました?」

 

「せやなぁ・・・。ほな、この500gステーキにしよかな。」

 

「そうだな。俺もこれにしよう。」

 

「す、すげえ食うんだな・・・。」

 

「まあな。力仕事やから力はつけとかんとな!!・・・でも500で足りるやろか?」

 

「・・・足りない気がするな。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「じゃあ500gステーキふた皿にしようか。」

 

「せやな!じゃあわしも2皿頼むわ!!」

 

「ふ、2人で2kg食べるんですか!?500gでも相当な量ですよ!?」

 

紗綾が流石に驚く。

 

「まあさっきそうこの片付けして腹減ってるしな。」

 

「な。せやから満腹にしようおもて。」

 

ひとまず注文した。店員さんに3回確認された。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・・・。」

 

「あれ?桐生さんどうしたんですか?」

 

たえが聞いてきた。

今、この俺達がいる座席にはたえと紗綾と俺しかいない。

他はドリンクバーに行っている。

 

「真島の兄さんに俺のを任せたのは間違いな気がしてきてな・・・。」

 

「あー・・・。でもまああの人も大人ですし大丈夫じゃないですか?」

 

紗綾が苦笑いで答える。

 

「そうだといいg」

 

「桐生ちゃん!入れてきてやったで!!」

 

ことっ。

 

「深い緑!?側溝にこんなの溜まってるの見たことあるぞ!?」

 

「大丈夫やて!!美味しいに決まってるで!」

 

がしっ

 

「じゃあ味見はしたんだろうな。」

 

「あっ!?桐生ちゃんアカン!!暴飲の極みはアカンて!!」

 

ー小休止ー

 

水道でコップを洗ってコーラを入れました。

 

「なんやおもろないなぁ・・・。」

 

「あれは口にしちゃいけねえ色だろ。」

 

「真島さん嬉嬉として混ぜてましたね・・・。」

 

「いやー何年ぶりやからのう。」

 

オマタセシマシター

 

「おっきたでー!!じゃあみんな食べよか!」

 

「はい!」

 

「・・・なんて味だ・・・!」

 

ー体力が全快したー

ー500経験値を手に入れたー

 

ーファミレス前ー

 

「すみません、お金払ってもらって・・・。」

 

紗綾が申し訳なさそうに言う。

 

「いや気にしたアカンで。まあ、大人には甘えとき!!」

 

「ああ。気にするな。練習、頑張るんだぞ。」

 

「はい!!」

 

ーポピパと別れたー

 

「桐生ちゃんはこのあとどうするんや?」

 

「近くに2人が来てるらしいから、そっちに合流するよ。兄さんは?」

 

「ワシはこの車を店に返してくるわ。」

 

「じゃあここで解散だな。」

 

「せやな。ほな!」

 

「ああ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ。店に車も返したし、どないしよかなぁ。・・・ってあの子・・・どっかで・・・?」

 

駅のベンチに黄昏ているのか俯いているのかよくわからないが、座っている少女がいる。

 

「・・・友希那ちゃんやないか。・・・どないしたんや?」

 

真島が友希那の元に歩いていく。

 

「よっ友希那ちゃん!どないしたんや・・・、こんな・・・、とこで・・・。」

 

「・・・ま・・・じま・・・さん?」

 

真島が駅前で出会った友希那は・・・

 

 

 

 

 

大粒の涙を流していた。

 

to be continued…




次回、少しシリアス&ちょっとシリアスギャグです。
Neo-Aspect編での出会ったのが香澄ではなく真島だったら・・・というクロスオーバーらしい展開です。


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8話 音楽

Neo-Aspect編×真島の兄さんです。
音楽に対する姿勢を題材に描きました。


真島と友希那は場所を移し、近くの公園に来ていた。

 

「ほら、これ食い。」

 

「・・・これは?」

 

「たこ焼きや。なんか悩んでる時は、美味しいもん食いながらの方が、人に話しやすいんやで。」

 

「・・・ありがとう。」

 

「ん、おおきに。・・・そいで、どないしたんや、あんなとこで友希那ちゃんが泣いてるなんて、らしくないやないか。・・・ライブでなんかあったんか?」

 

「・・・どうして、ライブで何かあったと思うの?」

 

「友希那ちゃんが悩むなんて相当やと思ったんや。それも涙流すほどのな。・・・Roseliaのみんなと衝突でもしたんか?」

 

「・・・ええ。そんなところよ・・・。ライブをやって、演奏も完璧だったはずなのに、観客は何故か離れていったの。・・・けれど、それはレベルが足りていないという証拠。だから、またやり直したのよ。『前のRoselia』のように。」

 

「そうしたら、あこが、私に対して怯えるようになってしまって・・・。でも、前のRoseliaにそれは戻っただけよ。」

 

「ほう。・・・前のRoseliaっちゅうんは・・・。」

 

音楽をひたすらに追求してた時期か。

・・・悪くない姿勢ではあるんやけど・・・。

 

「よくよく考えても見れば、Roseliaは最近は仲良しごっこをしすぎていたわ。私たちは、Roseliaというグループは音楽を追求すべく集まっているの。それに同意出来ないものは離れていっても構わない・・・。そういうはずだったのに・・・。なぜか、・・・。」

 

 

『いま、そういう状態になった瞬間、私自身、何もわからなくて、ただ、涙が止まらないの・・・。』

 

 

 

そう言い、また友希那は涙を流し始めた。

 

 

「・・・・・・。」

 

「ひっぐ・・・。わからないのよ・・・。どうすればいいのか・・・。」

 

「・・・友希那ちゃん。」

 

「ぐすっ・・・。なにかしら・・・?」

 

「今からカラオケいこか!!おっさんとふたりは嫌かもしれんけど!!」

 

「・・・え?」

 

「行くと決めたら行くでぇー!!あ、安心してや、代金はわしがだすから!!」

 

「ちょ、ちょっと・・・!!」

 

そういうと真島は友希那の手を引っ張り、近くのカラオケ館に向かっていった。

 

ーカラオケ館ー

 

「歌う気おきひんかったら、わしの歌聞いてるだけでもええで。・・・でも、後で感想よろしゅうな!!」

 

(真島さんの・・・、歌・・・。)

 

ーGET TO THE TOP!ー

 

(え、これ女性ボーカルの・・・。)

 

ピッピッピッピッ

 

(キーをほぼ最大にまで下げた!?)

 

「レェェェェッツゲェットゥザトォップ!!!!!」

 

「!?」

 

「あいそっ!わらいっ!ドタキャン!土下座っ!?行き交う!日常!くりかえしやでぇ〜!」

 

(アレンジがきつい・・・。)

 

「きょ〜おか〜らトラァイやでぇーーー!!!!!」

 

(・・・。)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ダラララララララララ・・・

デンッ

 

100/100

Perfect!!

 

(何故・・・!?)

 

「・・・ふう!最高の気分やでェ!!・・・さてと、友希那ちゃん。正直に教えてくれ。点数は100点やけど、友希那ちゃんはわしの歌、どうおもた?」

 

「・・・正直、歌とは思えなかったわ。・・・でも、とても楽しそうだったわ。」

 

「ヒヒ、せやろ?わしはこういつも言うてんねん。わしは『誰よりも音楽を楽しんでる自信』がある。」

 

「音楽を・・・、楽しむ・・・。」

 

「せや。音を楽しむって書いて音楽っちゅうくらいやねんから、楽しまな損やで。仲良しごっこを楽しまれへん奴に、音楽を楽しめるとはわしは思えん。」

 

「・・・!!でも!!」

 

「友希那ちゃんの言いたいことは分かる。でもな、Roseliaのライブ見た時、確かに圧巻の演奏やったし、真剣に音楽に取り組んでるんやろなぁとは思った。・・・せやけど、一瞬思うんや。『楽しんでるんやろか』って。」

 

「・・・?」

 

「せや。本人は楽しいっておもてるかもせえへんけど、人前で演奏してる以上、『演奏者が楽しく演奏してるのを観客がわからなかった』ら、はたして、観客はそのライブを楽しめるやろか?」

 

「・・・。」

 

「Roseliaの音楽に対する取り組み方は素晴らしいもんや。せやけど、メンバー同士で、音楽を楽しいって思ってることが共有できてないのに、『その空間が楽しい』って思えてないのに、音楽を楽しめる訳ない。わしの歌は確かにフリーダムや。せやけど、確かに音楽を楽しんでるっちゅう自信はある。・・・あ、フリーダムに歌えっちゅうわけちゃうで。」

 

「それはお断りよ。」

 

「うん断って。」

 

「・・・でも、楽しむのを分からせるって・・・、どうすれば・・・。」

 

「簡単や。人間、誰でも出来ることや。」

 

「・・・え・・・。」

 

「・・・『笑う』んや。無理に笑えって言うてんちゃうで。Roseliaのライブを見てた時、あまり笑顔を見られへんかった記憶がある。・・・もっと、口角上げて歌ってみ?ほら、リサちゃんとか楽しそうに演奏しとるでェ?多分、リサちゃんが一番、『このRoseliaという空間が楽しい』とおもてるで。音楽をただひたすらに追求するのはええことや。・・・でもな、この5人でしか追求できない音楽を追求するんやったら、優先されるもんは練習量でも音楽に対する姿勢でもない。『Roseliaというバンドが絆で繋がらなあかん。』ただひたすらに練習だけして、それを合わせて、完成にするんやったら、そんなもん5人でやる必要は無い。録音して、合わせて、曲にすればいい。せやけど、Roseliaというグループなんやったら、5人がひとつになって、『この空間を楽しんで』『音楽を楽しんで』演奏することが、最重要なんやないか?そのための第一歩として、わしは『笑う』ことが、一番ええことやと思うで。」

 

「・・・真島さん・・・。」

 

その言葉を聞き、友希那は立ち上がりマイクを持つ。

 

「私も、歌うわ。」

 

「お、せやな!カラオケに来たんや!1曲くらい歌っていき!!」

 

ーBLACK SHOUTー

 

「暗い夜も〜♪怯えずに今〜♪」

 

(やっぱ、友希那ちゃんの歌声は凄いなぁ。)

 

ーーーーーーーーーーー

 

「たとえ明日が〜行き止まりでも〜♪自分の手で〜切り開くんだ♪すくむ身体〜♪強く抱いて〜♪」

 

(せやけど、前と違うところがひとつある・・・。爽やかな笑顔で、いま、友希那ちゃんは歌っとる・・・。それが、楽しむゆうことや。)

 

「覚悟で踏み出し〜♪叶えたい夢、勝ち 取れ 今すぐに」

 

「「SHOUT!」」

 

(一緒になって言うてもうた。・・・せやけど、今の一体感、)

 

(真島さんが合わせてコールしてくれた瞬間・・・。)

 

((すごく楽しかった《で》!!))

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

100/100

Perfect!

 

「ま、こんなものね。」

 

「さっすがやなぁ!友希那ちゃん!どやった!?」

 

「・・・すごく楽しかったわ。別の面から音楽に触れられた気がする。・・・今日はありがとう、真島さん。」

 

「気にしいなや!・・・気ぃ向いたらでええから、またカラオケ一緒に来よや!」

 

「・・・ええ。勿論。その時はRoseliaのみんなも一緒で、いいかしら?」

 

「ヒヒ!それもおもしろそうやなぁー!」

 

ー後日ー

 

Roseliaは再びライブに立った。

 

「みんな、行くわよ!!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

(・・・歌を歌い、楽しく、音楽を楽しむ・・・。)

 

「・・・Neo-Aspect。」

 

ーNeo-Aspectー

 

笑顔を見せ、歌った友希那の歌に対する姿勢はほかのRoseliaのメンバー、そしてメンバーから観客に伝わり、音楽を楽しむという空間をライブ会場1面に作りだした。

 

(今日の演奏・・・、いや、Roselia全体が、何かが違う!!・・・これが楽しむということ・・・!!)

 

ワアアアアアアアッ!!!!!

 

ーRoselia ライブ後ー

 

「みんな、ライブお疲れ様。」

 

「・・・友希那、雰囲気変わったね。」

 

「・・・ええ。なにか、吹っ切れたような・・・。」

 

「やっぱり紗夜もそう思う?深く思いつめてなきゃいいんだけど・・・。」

 

「けど、今日のライブは、あのライブと比べて格段に良かったし、人も離れなかったし・・・。」

 

「Roseliaのなかで、何かが変わったということでしょうか・・・。」

 

「あと・・・、みんなに謝っておきたいことがあるの。・・・私ひとりで思いつめててごめんなさい。・・・Roseliaの追求という目標に捕われすぎてて、仲間であるあなた達と絆を深めることや、音楽を楽しむことさえ忘れて、疎かにしていたわ。・・・本当にごめんなさい。特にあこ、あなたには強く当たってしまったわ。・・・なんと言えばいいか・・・。」

 

「友希那さん・・・。・・・気にしないで下さい!元はといえば、あこが練習についていけなかったことを隠してしまっただけですし。・・・それに、あこはまたこのRoseliaが団結して、曲を演奏できるってことが1番嬉しいです!」

 

「・・・そうね。ありがとう。燐子も、強く当たって、ごめんなさい。」

 

「いいんです。お互い様ですから。・・・また団結して、完成させましょう!!」

 

「・・・ありがとう。それと、リサ、紗夜。ばらばらになった時、2人がまとめてくれたのよね。・・・ありがとう。」

 

「いやー、私もRoseliaがなくなるのは嫌だからさ。この5人でRoseliaだから。それは変わらないしさ。」

 

「はい。この5人で完成させるから意味があるんです。また、1からやり直す気で、また始めましょう。」

 

「ええ。・・・楽しんで、ね。」

 

「楽しむ・・・。ええ、原点にして、最高の目標、ですね。」

 

「そう言えば、友希那、今日いつもより歌う時に笑顔が多かったよね。何かあったの?」

 

「・・・特に何も無いわ。ただ、『音楽を楽しんでた』だけよ。」

 

「・・・?ふーん。」

 

「・・・あ。・・・みんな、この後、真島さんからカラオケに誘われてるのだけれど、みんなも来るかしら?」

 

ザワザワっ!?

 

「みっ、湊さんがっ!?」

 

「か、カラオケ・・・!?」

 

「友希那!?どうしたの!?熱でもあるの!?」

 

「無いわよ。・・・真島さんが教えてくれたのよ。・・・音楽を楽しんでこそ、音楽を極められるって。音楽を本気で楽しめる場所なのよ。・・・真島さんのカラオケ、とても面白いわよ。」

 

「あ、ちょっとみたい・・・かも。」

 

「あの人・・・、カラオケ行くんですね・・・。」

 

「みたいだね・・・、りんりん・・・。」

 

「人は見かけによらないものですね・・・。」

 

「楽しい事好きなイメージはあるけど。」

 

「・・・で、どうするの?行くの?」

 

「まあ、まだ昼の2時だしね!Roselia ライブ打ち上げINカラオケ!with真島さん!面白そうじゃん!!」

 

「たまにはこういうのもいいかもしれませんね。」

 

「はい!」

 

「あこは何歌おっかなー!」

 

「行くと聞こえてジャジャジャジャーンやでぇー!?」

 

「「「「「真島さん!?」」」」」

 

「前にワゴン車あるからそれでカラオケに行くでぇ!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

「あ、あとこれ、車でみんなで食い。」

 

「なんですか?」

 

「たこ焼きや。ライブ後で腹減ってるやろ?みんなで食うたこ焼きはうまいでぇー?」

 

「ありがとう。・・・前もくれたわね。」

 

「ヒヒ、せやな。いつどうであれ、みんなでたこ焼き食えば、丸く収まるっちゅうもんやで!たこ焼きみたいにな!」

 

「ふふっ。そうかもしれないわね。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「アイソッ!ワライッ!ドタキャンッ!ドゲザッ!!」

 

「あははっ!真島さんフリーダムすぎ!!」

 

「真島さんノリノリー!!」

 

リサとあこが楽しそうに笑う。

 

「ふふ、個性的ですね。」

 

「ええ・・・、ふざけてるようにも見えますけど。」

 

「ふふ、確かにそう見えるわね。」

 

でも、やっぱり、真島さんはとても楽しそうに歌うわね。

 

 

「・・・ありがとう、真島さん。」

 

 

友希那は小声で呟いた。

 

to be continued…



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EX9話 ライブ当日 side月島まりな

龍が如くスタジオ、新作発表記念回です。
まあこれで誰が出てくるかある程度わかったかも知れませんが。
まあこの回限定にするつもりですし、龍が如くキャラとの繋がりもまだわからないですしで、まりな以外との出会いにはしません。
バトルスタイルは体験版時点のものです。


ーガールズバンドフェスティバル当日ー

ー開始1時間前ー

 

CiRCLEの店長兼オーナーである月島まりなは自分のスタジオで練習しているバンドのライブを見に行くべく、1人、神室町に来ていた。

しかし・・・。

 

「予想通りとはいえ、迷っちゃったなぁ。」

 

真島さんが初めてうちに来たとき、迎えに来てくれって頼んどくべきだったよ・・・。たはは・・・。

 

「けれど、迷ったのも問題だけど治安が悪いことで有名だからね・・・。できるだけ大通りを通ろう。」

 

いままりなが居るところは中道通り裏。すこし入り組んでおり、あまり安全とは言えない道だ。神室町の中で、安全な道というのは無いに等しいが、路地裏というのは特に危ない。・・・しかしそこはやはり定石通り怪しい男がまりなに目をつけていた。

 

(アイツだな・・・!ヒヒ・・・。)

 

しかしその後ろにも、パーマ気味のミドルヘアーの男が立っていた。

 

「見つけた。アイツだよね、海藤さん。」

 

『そうだ。もう直に目の前にいる女に手を出すだろう。・・・そうそうそいつはサクラじゃねえぞ。少しばかりそのへんも考えろよ、ター坊。』

 

「分かってるって。」

 

ター坊と呼ばれた男は仲間と協力し、とある事情で前にいる男を追っているのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ここを抜けた先が、大通りっぽいしさっさと行こーっと。」

 

大通りに出ようとしたその時、まりなの腕を何者かが掴み、路地裏のさらに裏へと連れ込んだ。

 

「きゃっ・・・!?」

 

「声を出すな・・・。」

 

口を抑えられる。

 

(なっ、何この人・・・!?怖い怖いッ・・・!?)

 

「ダメだよお嬢ちゃん・・・。こんな町を一人で歩いてちゃあ・・・。襲われちゃうよォ・・・?・・・俺みたいな人に!」

 

財布を盗ろうとしてるのか、それとも『そういう』ことをするのか。はたまた両方なのか。

得体の知れなさからか、まりなの顔がみるみる青ざめる。

 

(助けてっ・・・!!誰かっ・・・!誰かぁっ!!)

 

パシャッ

 

すると道の方からカメラのシャッター音がした。

 

「よし、証拠GETと。」

 

「なっ、誰だっ!?」

 

「だ、だれ・・・!?」

 

「誰も何も・・・、ただの探偵ですよ。」

 

後ろから現れた八神は撮影したと思われるスマホを揺らしながら飄々と喋る。

 

「たん・・・てい・・・?」

 

男も拍子抜けだ。そして、男は大笑いし、その八神に近づく。

 

「探偵さァん。あんた俺が誰かわからないわけ?このバッジを見てご覧よ。東城会直系の錦山組のモンだぜ・・・?」

 

男は凄む。

 

「や、ヤクザ・・・!?」

 

さすがにまりなもヤクザとわかり、怯える。

しかし、

 

「・・・あっ、はい。」

 

八神には響いてないようだ。

錦山組の男はさらに口調を荒らげる。

 

「なっ、てめぇ!錦山組だぞ!この辺のシマ仕切ってんだぞ!!てめえがやってる探偵業なんざ潰すなんて簡単なんだよ!!」

 

仕事を潰される発言にビビる様子もなく、八神は事実を述べる。

 

「いや、その言い難いんですけど。『うちの依頼主さん、錦山組の組長さんなんすよ。』」

 

サラッと重要なことを言う。

 

「へ・・・!?おやっさんから・・・!?」

 

「あんたの素行が酷くて、最近いい評価を受けてる錦山組の信用がまた下がり出してるんだとさ。だけど、あんたに聞いても否定するんだと。でも、原因はあんたとしか考えられないから、うちに組長さん直々に依頼がきたわけ。」

 

「う、うそだろ・・・。」

 

「ホントだって。それを証拠に、あんた役職は貰えてないにしろ上の方にいるのにでかいシノギ貰えずに、最近ほぼフリーだったでしょ?それね、組長さんが調整して、俺が尾行しやすいようにしてるんだよ。そしたらビンゴってだけ。ダメだよ、もう少しバレないとこでやんなきゃ。」

 

「て、てめぇ・・・!!も、もうやけだ!!てめぇをぶっ殺して、おやっさんもぶっ殺してやる!!」

 

ヤクザは無我夢中に殴りかかってきた。

 

「ちょ待てよ!!そんなのありかよ!!」

 

タチの悪い男

 

八神は距離を少し取り、構えをとる。

1対1の対戦に強い一閃スタイルだ。

 

「死ねやぁ!!!」

 

ヤクザからの意外と素早いパンチ。

 

「よっ!」

 

それを軽やかに避ける。

そしてそのまま回り込みパンチとキックを混ぜたコンボを与える。

さらに蹴りを何発もぶち込み・・・

 

「せいやぁッ!!」

 

思い切り上から蹴りをぶち当てた!!

 

「げぶぅ!?ぐっふ・・・、やるじゃねえか・・・!!」

 

「おおう、意外と根性あるんだねぇ。」

 

「うるせえ!これならどうだァ!!」

 

ヤクザは八神の動きに合わせ回り込み、後ろから掴みかかってきた!!

 

「・・・。まだ動きが単純だね!!」

 

「えっ・・・!?嘘でしょ・・・!?」

 

まりなは目を見開く。

 

八神はなんと壁を登り、ヤクザの少し上あたりでヤクザに向かって飛んでいき、ほぼ逆立ちに近い状態で、手はヤクザの足、そして足で頭を挟んだ!飛びついた勢いで少し体を回転させ、そのまま倒れ込み、ヤクザを頭から叩きつけた!

 

「ゲハっ!?なにぃ・・・!?そんなのアリかよ!?」

 

ヤクザは尚もよろよろっと立ち上がる。

 

「トドメだ!」

 

立ち上がった隙を狙いヤクザの頭上の窓枠を掴み、膝蹴りを顔にくらわせ、降りる勢いで腹にも足を振り下ろした!!

 

「ぐああああっ!?」

 

ヤクザは蹴られた勢いで吹き飛ぶ。

 

「あらら・・・?少しやりすぎちゃったかねぇ・・・。」

 

『そのくらいが逃げられないからちょうどいいんだよ。依頼主も依頼通り、捕まえたら呼んでくれという話だから、もう呼んであるぞ。』

 

「ん、サンキュー、海藤さん。」

 

「な、なにもんなんだよ・・・!なんで・・・こんなやつが・・・!!てめぇ・・・、何もんなんだよ・・・!!」

 

「俺?俺はねぇ。探偵。ただの。」

 

そう言いながら探偵の男は懐から名刺入れを出し、名刺を投げ捨てるように座り込んだヤクザに渡す。

 

「『八神探偵事務所 所長 八神隆之』。よろしく。」

 

「八神隆之・・・!クヒヒ・・・覚えたぜ・・・!いつかこの恨み!晴らしてやるからな!!」

 

ヤクザが捨て台詞を吐いた瞬間、

 

「おいゴラァ!!田代ォ!!!」

 

「あっ、山城さん。」

 

「ヒィっ!?おやっさんっ!?」

 

「てめぇ人様に迷惑かけるわ、カタギにてぇ出すわ、組の信用ガタ落ちさせるわしながら『この恨み晴らしてやる』だぁ!?先にワシの恨みをはらしてからにせんかぃ!!」

 

山城と呼ばれた錦山組の組長は思い切り田代と呼ばれる先程のヤクザの男を踏んづける。

 

「ひぃ!!許して下さいぃ!?」

 

「あっ、あのー・・・、山城さん?」

 

「なんですか八神さん!止めんといてください!!」

 

「いや、あのほんとにそのへんで・・・。」

 

「ッチ・・・!今回は八神さんに免じてここまでにしといたら。せやけど、組帰ったら覚えとけよ!!」

 

「ヒィっ・・・!わ、わかりましたァ・・・。」

 

「あとお嬢さん。ウチのアホンダラが迷惑をかけた。なんとお詫びしてええかわからん。」

 

「いえ、いいんです。結果的には何もされてませんし、この方にこってりやられてましたから。」

 

「お嬢さん・・・。すまん!恩に着る!・・・おい田代!キサマもはよ謝らんかい!!」

 

「お嬢さん・・・、誠に申し訳ありませんでしたああぁぁ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

八神は田代の犯行現場の写真と音声を山城に渡し、報酬を受け取った。

 

「さてと、一旦事務所戻りますか。」

 

「あ、あの・・・。や、八神さん・・・でしたっけ・・・。」

 

「ん?あ、はい。そうですが・・・。まだ何か?」

 

「ありがとうございました・・・。助けてくれなかったら、どうなってたか・・・。」

 

「いえいえ、俺は特に何も。仕事の延長線上でしたし。だけど、こんな町に一人で路地裏はかなり危ないですよ。それにこの町に来るのはなにか理由でも?」

 

「あー、はい。それは・・・。」

 

と、まりなは今の時間は何時だったかと思い出す。

 

「・・・あ。」

 

「あ?」

 

「・・・ああああああああぁぁぁ!!!!」

 

「うわぁ!?びっくりした!?」

 

八神が思い切り驚く。

 

「八神さん!!今何時ですか!?」

 

「今?今はだいたい6時30分位だけど・・・。」

 

「あと30分くらいしかないじゃない!!」

 

「もしかして、劇場前広場のガールズバンドのライブに行きたいんすか?」

 

「はい!そうです!ここからどれくらいですか!?」

 

「歩いて5分もかかりませんよ。・・・送りましょうか?」

 

「・・・はい。お願いします。」

 

断ろうかと思ったが、断らなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

また会う気もしないが、一応自己紹介を済ませておき、劇場前広場へと出発する。

 

「しかし、こんな町でライブとはねぇ・・・。治安が悪いんだし、もう少し別のところでやったらいいんじゃないすかね。」

 

「あはは・・・。私も最初、ライブの話を持ちかけられた時は迷いましたよ。でも、彼女たちはまだまだ成長を秘めてますから。作れるライブ環境は作った方がいいと思ったんですよ。」

 

「あ、月島さん運営側なんすね。」

 

「まあ、簡単に言えばそうですね。そこまで何もしてないですけど。」

 

「それでも、ライブの場を作ってやれるってのは、すごいと思いますけどね。」

 

「あはは・・・、八神さんみたいな人に褒められると、照れるなぁ・・・。」

 

「ん?」

 

「あぁ、いや!なんでもないです!!」

 

「そうすか?ならいいんすけど。」

 

しばらく無言が続いたが、直ぐに他愛のない話が始まり、二人で話しながら、劇場前広場まで歩いていく。だが劇場前広場までもうすぐというところで。

 

「それで、CiRCLEに琴奨菊が来た時の話なんですけどー。」

 

「ちょ話が飛躍しすぎてるから。世界観おかしいのにさらにおかしくなってるから。」

 

「へいへーいお兄さん方ー!カップルでおデートかい?いいねぇー!!」

 

不良グループのリーダーらしき男が絡んできた。

 

・・・・・・・・・。

 

「ま、、、こんなこともあるんすよね、月島さん。」

 

「カップルじゃなくて道案内なんですけどねぇ。」

 

「おい!何無視して2人でひそひそ話してんだゴラァ!!・・・ん?姉ちゃんよく見ると可愛いなぁ・・・!よし姉ちゃん!!俺らと遊ばn」

 

取り巻きが月島をナンパするが

 

「嫌です。」

 

「あららぁ、振られちゃったね。」

 

「・・・うるせぇうるせぇ!!」

 

「まあこの人は俺のお客さんなんで、手ぇ出さないで貰えます?」

 

「お?なに?俺らとやろうっての?」

 

「うん、そういうこと。邪魔だから、道を開けろって意味。」

 

「・・・舐めやがって・・・!構わねぇ!お前ら、こいつを殺っちまえ!!」

 

ー不良グループー

 

八神は先程の一閃スタイルから、多人数戦向けの円舞スタイルに切り替える。

不良グループはその間に、八神を取り囲む。

 

「へへ・・・てめえら!!袋叩きにしちまえ!!」

 

「甘いね!!」

 

八神は1番早く出てきた男を叩き、直ぐに反対方向の別の男を叩く。そして縦横無尽に男達をなぎ倒し、最後に1番人が固まっているところに回し蹴りを食らわせた!!

 

「「「ぐわぁあああああ!?」」」

 

「おぉう、一掃だね!さすが八神さん!」

 

この喧嘩が起きる環境に慣れたのか、まりなはもうテンションが上がっている。

 

「・・・おや?もう終わり?」

 

「オラァ!!どこ見てやがる!!」

 

背後からの攻撃。しかし、八神は反転攻撃を食らわせる。

そしてよろけた所に壁を利用して、こめかみに蹴りをぶち当てる。

 

「があぁ!?」

 

「・・・もうこんなことしないでね。」

 

「・・・うるせ・・・え。てめぇ・・・、訴えてやる・・・。」

 

「(はぁ・・・前もこんなことあったなぁ。)いやいや、あんたらが先に手ぇ出したんじゃん・・・。」

 

「いいや俺達が後だ!!このケガ見せりゃぜってえに俺らが・・・」

 

ここで八神はあるものを出す。

 

「え・・・。」

 

「べ、弁護士バッジ・・・!?」

 

これにはまりなも驚く。

 

「いやー、そっちは大人数でかかってきてるし、こっちは司法わかってるし・・・。ちょっと相手が悪いんじゃない?」

 

「あ・・・、あ・・・。」

 

「よし、行こっか、まりなさん。」

 

「あ、はい。」

 

呆然する男達を放っておき、八神とまりなは歩き出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーライブ後翌日ー

 

ーCiRCLE スタジオ内ー

 

ライブ翌日のCiRCLEでは、各ユニットにまりなが労いの言葉を掛けていた。

 

「いやーみんなライブお疲れ様ー!いいライブだったよー!」

 

「まりなさん見ててくれたんですか!?」

 

香澄が聞く。

 

「もちろん!ここのオーナーだよ?ここのお得意様がライブやるんだから、見に行くに決まってるじゃない!」

 

「ま、それもそうですよね。・・・ところで、まりなさん、あの人は?」

 

蘭がコーヒーを飲みながら座っている男の方を見る。

 

「あ、あの人?あの人はね、私の恩人の八神隆之さん。迷った時助けてくれたの。」

 

「あ、ども。」

 

「ど、どうも・・・。」

 

「CiRCLEを見に来るかって言ったら来てくれたの。」

 

「まあ今日は休みですしね。昨日のライブもすごかったですし。」

 

「八神さんも見ててくれたんですか!?」

 

「うん、なんだかんだで全部見たよ。正直すごいなぁって。」

 

「ありがとうございます!!」

 

彩が褒めたことに対して礼を言う。

まりなが、

 

「ところで、八神さんって楽器とかやるの?」

 

「あんまり触ったことはない・・・と思う。」

 

「あら?そうなの?じゃあ少しやって見たらどう!?きっと楽しいわよ!!」

 

こころが楽しそうに言う。

まあ、物は試しか。

 

「なんの曲を引くのかしら?」

 

友希那が気になったように声を出す。

 

「まあ、そこまでやって無さそうだし、コードを弾くくらいじゃない?」

 

「まりなさん、なんか楽譜ある?」

 

「これくらいなら・・・。」

 

「・・・なるほど。よっしゃ、じゃあ少しばかり弾こうかな。」

 

「え、弾けるの!?」

 

「まあまあ。・・・聞いてください。」

 

 

 

「『青いイナズマ』。」

 

 

 

 

「「「「「「ちょ待てよ!!!!」」」」」」

 

 

 

ちなみにとても上手でした。byまりな

 

to be continued…?




はい、キャラ像かわかる前にキャラ崩壊しました。
これじゃ八神じゃなくてキムタクだ。ただまあちょ待てよ!は絶対に使いたいなぁとは思ってました笑


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EX10話 2018→2019

大遅刻大晦日回&新年回。
短くて、ネタも少なめですが、これが、一応2018年最後と2019年最初のということで。時系列に関してはガン無視の方向でお願いします。


「今年も、早かったな。」

 

11時頃、CiRCLEの前にいる桐生が呟く。

それに同意するように遥も頷く。。

 

「私たちが1緒に住んでから5年。そして・・・、ガールズバンドのみんなに会ってからもう1年経つんだね。」

 

「ああ。そうだな。」

 

「おじさん!!」

 

「太一。みんな帰ってきたか?」

 

観光と初詣をするべく、あさがおの子供たちも東京に来ており、ホテルから各ガールズバンドや、冴島や真島達を呼びに行ってもらってたのだ。

 

「桐生さん!こんばんは!」

 

「ああ、香澄。」

 

poppin'partyの香澄が桐生に声をかける。

 

「1年間ありがとうございました!」

 

「こちらこそな。また来年もよろしく頼むぜ。」

 

「はい!」

 

そして、その後ろにいたほかのメンバーも楽しみそうに個々にしゃべっている。

 

「いまから、新年の挨拶と初詣に行くのよね!このメンバーなら新年から楽しそうだわ!」

 

「せやのう。新年からこのメンバーなら、オモロい元日になることは間違いなしかもしれんな。」

 

冴島とこころの考えが合致する。

 

「・・・お二人さーん。まだあと1時間ありますよ。」

 

その後ろで美咲が静かに突っ込む。

 

「・・・寒い。」

 

「・・・寒いのは事実だけど、なんだかんだで楽しみだったくせにー。」

 

「ちょっ、モカ・・・!」

 

「俺が練習会場に迎えに行った時、いち早くに準備してたもんね。」

 

「品田さん!やめてください!」

 

Aftergrowの蘭が、メンバーのモカと迎えに行った品田にいじられる。

 

「谷村さん。どこか既に疲れてる感じがしてるけど・・・。」

 

「年末年始の警備だってさ・・・。一応仕事中だけど・・・。まあ、自警団が頑張ってくれるでしょ。」

 

「堂々のさぼり宣言ね・・・。」

 

Roseliaのリサが最初の谷村の疲れように心配になるがその後のサボり宣言に隣で聞いていた友希那が呆れる。

 

「・・・眠いんだけど・・・。帰っていいかなぁ。」

 

「ダメですよ秋山さん!せっかく集まったんですから!」

 

「そうですよ!ブシドーに反します!」

 

「いや武士道関係ない・・・。」

 

秋山が眠気に襲われつつもPastel❀Paletteの彩とイヴに突っ込む。それくらいの元気はあるようだ。

 

「ヒヒ!夜遅うてもみんな元気なようやのう!!」

 

「あんたがいちばん元気じゃねえか。真島の兄さん。」

 

「ワシはそれだけが取り柄やからのう!!さ!ほなみんな行くで!!初詣済ませて、新年会と洒落こもうやないか!!」

 

おー!!

 

そんな楽しそうな様子を、CiRCLEのオーナー、月島まりなは眺めていた。

 

「じゃ、私は留守番してるから。みんないってら・・・」

 

「何を言うてんねや~!まりなちゃんも行くでぇ~!」

 

「うぇっ!?真島さん・・・!!」

 

「ヒヒ!もうこうなったら強制やで!・・・っとその前に、カウントダウン・・・いくでぇ~?」

 

「「「「「「5」」」」」」

 

「「「「「「4」」」」」」

 

「「「「「「3」」」」」」

 

「「「「「「2」」」」」」」

 

「「「「「「1」」」」」」」

 

 

 

「「「「あけまして!おめでとうございまーす!!!!!!」」」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ー神社ー

 

神社に着いた一行はそれぞれの思いをのせ、初詣をすませる。

そして、石段の前に一行は並び、街を眺める。

 

「まだ街は明るいわね!」

 

「この日ばかりはねぇ。」

 

こころが楽しそうに言う。この年越しの瞬間ではまだ街は明るい。

 

「ヒヒ!ほな、今は帰ってちゃんと寝て!今日の12時!CiRCLEに集まって、新年会と洒落こもうやないか!!」

 

「ハードスケジュール!?」

 

「・・・でも、楽しいことの連続のハードスケジュールなら、幸せだね。」

 

「かもねー。」

 

さすがに深夜まで起きているので、一旦全員解散し、家に帰る。

桐生達もホテルに戻ろうとした時、

 

「桐生さん。」

 

「ん?どうした、香澄。」

 

「・・・来年も、よろしくお願いします!」

 

「・・・ああ。よろしく頼むぜ。」

 

ガールズバンド達と、神室町の伝説の波瀾万丈な日常は、2019年も続く。




次回からまた、通常のネタ多めの回に戻ります。
新年会の回ももしかしたら書く・・・かも。


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11話 音楽の龍

お久しぶりの投稿です。

ここで序章終了ということで、一度桐生達は沖縄に帰りますが、
ガールズバンドフェスティバル編が終了したということで。


RoseliaのNeo-Aspectのライブの翌日。

この日は桐生達が沖縄に帰る日だ。夜に現地に着く予定なので、まだ全然余裕はある。

 

「・・・飛行機は夕方頃だからな・・・。遥、勇太。どこか行きたいところとかあるか?」

 

桐生が聞くと、遥が答えた。

 

「おじさん、私あそこ行ってみたいかな。CiRCLE。前のライブの日にパスパレの彩ちゃんとLINEを交換してて、さっき良かったら練習に来ないかって連絡が来たの。」

 

「いつの間にLINE交換してたんだ・・・。」

 

「嫁ながらコミュ力恐るべしっすね・・・。」

 

「CiRCLEか・・・。まあ沖縄に帰る前に月島にも挨拶しておくのもいいだろう。バンドの子達にも挨拶しておくか。」

 

「うん!そうと決まればしゅっぱーつ!!」

 

「あー!」

 

・・・なんか、楽しそうだなあいつ。というよりハルト最近自我を持ち出した・・・?はやくないか・・・?

 

「自分は元とはいえ、アイドルの友達が出来たからじゃないっすか?同じ境遇にいた身として共感出来るところがあるとか。」

 

「かもしれないな。」

 

ーCiRCLEー

 

ウィーン・・・

 

「いらっしゃー・・・あ。桐生さんじゃないですか!それに、宇佐美さん、遥ちゃんも!どうかした?」

 

「今日で沖縄に帰るからな。挨拶をしておこうと思ってな。」

 

「そうなんですか・・・。あ、今はパスパレの皆が練習してますよ。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おじゃましまーす。」

 

演奏を終えたところらしく、パスパレのメンバーは休憩していた。

 

「あ!遥ちゃん!来てくれたんだね!」

 

「うん。彩ちゃん。遊びに来ちゃった!」

 

「あ、桐生さんと宇佐美さんもいらっしゃったんですね。」

 

「ああ。今日の夜にもう出発するからな。」

 

「最後に挨拶しとこうって。」

 

彩と千聖と挨拶を交わす。

 

「ハルト君もいらっしゃいっす!」

 

「あー!」

 

「あ、返事したよ!!るんっと来たね!!」

 

・・・やはり自我を持っているよな・・・?

 

「ところで、みんなは次のライブの練習?」

 

「ハイ!次のライブで演奏する新曲の練習をしてたんです!!」

 

イヴが元気よく返答する。

 

「ほーう、精が出るな。」

 

「はい。お客さんの前では半端な演奏はできませんから。さ、みんな、水分とったら、もう一度合わせるわよ。」

 

「えー!?千聖ちゃんもう!?もーちょっとだけ.......。」

 

「だめよ。というか、彩ちゃんだけ少しズレてるわよ。」

 

「ぶえぇ!?」

 

「苦難してるようだな.......。」

 

「そ、そうみたいだね.......。」

 

「そうっすね.......。」

 

オッサン2人と少女は不思議と納得した。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「.......そろそろ時間だね。じゃあ、今日はここまでにしよっか。」

 

長い練習が終わり、彩がメンバーに声をかける。

 

「.......そういえばさ、桐生さんってギター弾けるのかな?」

 

急な話題に桐生は困惑する。

 

「うぇ!?お、俺か.......!?ウクレレなら弾けるが.......。いや、エレキなら少し.......。」

 

「ほんと!?じゃあなんか弾いてみてよ!!」

 

突然の日菜からの無茶ぶりに桐生は困惑する。

 

「ここは流れでやってみようよ、おじさん。」

 

「えぇ〜.......。」

 

そういいつつも、桐生が構えるとファンシーな柄の日菜のギターが何故か似合う。

 

「わ、私のギターなのにちょっとイメージ変わっちゃった。」

 

.......何を弾こうか。というより、『何なら指が覚えてるだろうか』。

やはりJUDGMENT-審判-だな。

 

「よし。じゃあ、弾いてみるぞ。」

 

頭の中でJUDGMENTの曲を思い出しながら指を動かす。

意外と覚えていたようで、スラスラと音を出せた。

 

「す、すっご.......。」

 

「るんときたね.......!」

 

あっという間に弾き終えてしまった。やはりこの曲はいい曲だな。

 

「「「「凄い!!!!」」」」

 

「!?」

 

「キリュウさん!とってもいい演奏でした!!」

 

「兄貴、ギター弾けたんすね!!めっちゃすげぇっス!!」

 

「おじさん、かっこよかった!!」

 

「凄いですね桐生さん。私びっくりしちゃいました。」

 

「凄いっすよ桐生さん!!どこで練習してたんですか!!?」

 

引き終えると物凄い詰め寄られた。

 

「お、落ち着け.......。」

 

―――――――――――――――――――――

 

「あー、もう桐生さんたち、沖縄に帰っちゃうんだね。ちょっとだけ楽しくなくなっちゃうな。」

 

「大丈夫だ。また会える。なんなら、夏休みとかにうちに遊びに来てくれても全然構わないぞ。」

 

「それいいね!子供たちも喜びそう。」

 

パスパレとCiRCLEの前で挨拶を交わしていると遠くから声が聞こえてきた。

 

「桐生チャーン!!!」

 

「桐生さーん!!!」

 

真島の兄さん!?それに香澄まで.......!?

 

「いやおじさん、ガールズバンドとかおじさんの友達とかみんないるよ!」

 

「挨拶もなしに帰ろうとするなんで酷いやないか桐生チャン!!」

 

「行こうと思ってたが時間が無くなってな.......。まさか来てくれるとは思わなかったぜ、真島の兄さん。」

 

「桐生が帰ってまうって言うて、こいつが突然飛び出しおったからの。みんな呼び出して、ここにおると思たからみんな来たんや。」

 

「.......冴島、有難う。」

 

「暇が出来れば俺もそっちに顔出しますから。」

 

「まあ、休暇が取れればアリかもしんないっすね。」

 

「俺は金が出来たらだけど.......。谷村くん、また貸してくんない?」

 

「借金チャラにしたんだからもう借りちゃダメでしょ.......。」

 

「皆も、ありがとう.......。」

 

「おじさん、良い友達を持ったね。」

 

「.......。まあな。」

 

「また次にいつでも会えるわよ!!今度は私たちガールズバンドが沖縄に行きましょう!!」

 

こころがそう言う。

先程話した事だが、それに関して他のバンドも食いつく。

 

「沖縄ですかー。こりゃまた楽しそうだねー。」

 

「確かに、楽しそうかも。」

 

「こりゃあ行くしかないっしょ☆ね、友希那!」

 

「ええ。沖縄でも、私たちの音楽をやりたいわね。」

 

「さっきも言ったけど、本当に行っちゃおっか!彩ちゃん!」

 

「うん!私たちパスパレで沖縄の人も楽しませよう!」

 

「またキラキラドキドキ出来るよ!!有咲ぁー!!」

 

「わかったからくっつくなって!?」

 

沖縄での夢を語り出したその時、真島が笑いだした。

 

「ヒーヒッヒッ!!こりゃあ決まりやな皆!!」

 

「!?」

 

「第2回ガールズバンドフェスティバル、開催決定や!!」

 

「!!!」

 

「場所はもちろん.......!!」

 

 

沖縄やでぇー!!」

 

 

「「「「やったぁぁ!!!」」」」

 

 

嬉しい決定にみなが喜び、その声に釣られCiRCLEのオーナー、まりなが出てくる。

 

「まりなちゃんももちろん来るんやでー?」

 

「は、はい!もちろんサポートさせていただきます!!」

 

すると桐生の元に香澄が寄ってくる。

 

「桐生さん、次もよろしくお願いします!」

 

「ああ。よろしく頼むぜ。」

 

堂島の龍と星を求める少女は固く、そして熱い握手交わした。

 

To be continued...




最終回のノリですがまだまだ続きます。


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12話 羽沢珈琲店での事件

今回の話ではオリキャラが登場します。
それと、警察官としての谷村が動きます。


桐生達が沖縄に帰ってしまった翌日、神室町のダニ、谷村正義はパトロールも兼ねて散歩していた。

今日はいつもの神室町ではなく、江戸川橋あたりにパトロールに来ている。

 

「.......いやまあ、非番なんだけどね。」

「あ、谷村さん!」

 

声を掛けてきたのは今井リサ。

 

「お、リサちゃん。どうしたのこんな所で。」

「アタシはちょっと買い物に来たんだ〜。谷村さんはどうしてここに?」

「今日は非番なんだけど、まあ気分転換がてら散歩にね。冴島さんがこのとおりにある肉屋のコロッケが美味しいって言ってたから。」

「ああ!そこははぐみのお肉屋さんだね!アタシ知ってるから、案内したげよか?」

「本当?じゃ、お願いしようかな。」

 

商店街とはいえ、どのお店もよく繁盛しているな。

まあ、歓楽街によくいる俺が言えた義理じゃないが。

 

「ん.......?羽沢珈琲店?」

 

羽沢ってどこかで聞いたような.......。

 

「あ、あそこの喫茶店はつぐみの親がやってる店だね!」

「お、つぐみちゃんと目が合った。.......ってアレ?もうひとり知り合いが.......。」

 

ってかこっち来るぞおい。

 

「タニムラさん!!こんちには!!」

 

どわぉ!?イヴちゃん!?

 

「バイト中でしょ.......。出てきちゃダメだよ。」

「はっ、そうでした.......!」

「い、イヴちゃん急にどうしたの.......!?って谷村さん!それにリサ先輩も!?」

「やっほー☆、つぐみ!」

「どうも。」

「どうしたんですか?」

「アタシは買い物。谷村さんは冴島さんから紹介されたはぐみのとこに案内してるとこだよ。」

 

とりあえず立ち話もなんだったので、喫茶店に入ることに。

 

「つぐみ、どこ行ってたんだ......ってリサちゃん!久しぶりだね。」

 

つぐみの父親がマスターをしているようだ。

 

「お久しぶりです☆」

「おや、後ろのその方は?」

「ああ、初めまして。谷村正義です。まあ、この前のライブで役員をしてまして.......。」

「なるほど!つまりつぐみの友人か!いやぁ、つぐみも隅に置けないな!」

「え?お父さんどういうこと.......?」

「そりゃあ、こんな好青年を連れてくるなんてつぐみもなかなかやるじゃないか!」

「ふぇ!?ちちちちがうよおとうさーん!!」

 

好青年.......ね。勤務中に麻雀行く警察官が好青年.......ね。

 

「.......谷村さん、なんか後ろめたいことでもあるのかなー?」

「別にないよ。ないからそんな目で見ないでリサちゃん。」

 

――――――――――――――――――――――――

 

「イラッシャイマセ!!ご注文は何にしますか!?」

 

イヴちゃんが元気に注文を聞いてくる。

.......なんか寿司屋の雰囲気が凄いぞ。

 

「じゃあ俺は今日の珈琲ってやつにしようかな。」

「あ、じゃあアタシもそれで。」

「カシコマリマシタ!!テンチョーさん!今日のコーヒー2つ、お願いします!」

「りょーかい!」

 

しばらくするといい香りのするコーヒーが運ばれてきた。

珈琲店のコーヒーを飲むのってあまりないな.......。

喫茶アルプスくらいか。

 

「.......ん、美味いな。」

「やっぱりつぐみのコーヒーは美味しいや!そういや、モカがなんか言ってたな〜。『つぐみ』を感じるとかなんとか.......。」

「ほんとに何言ってんのあの子。」

 

すると、先客がいたようで、1人の高校生と見られる黒髪でポニーテールの少女が席から立ち、レジへと向かった。

 

―SUB STORY 『万引き犯』―

 

「ケーキひとつとコーヒー1杯で520円になります!」

「1000円からでいいですか?」

「はい、480円のお釣りになります!」

 

.......なんか様子が変だな。変にカバンを気にしている。

 

「谷村さんどうしたの?」

「しっ、静かに。.......あの娘、多分.......、『盗ってる』。」

「.......それホント.......!?」

「ああ。財布を外に出しているのに、カバンを執拗に気にしている。それに、周りをキョロキョロ見回していてかなり不自然だ。」

「.......さすが刑事だね。」

「まあね。」

 

会計を終え、つぐみちゃんが礼をする。

 

「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしてます!」

 

会計を終え、立ち去ろうとした女子高生の腕を、谷村は掴む。

 

「はい止まって。カバンの中見せてもらっていいかい?」

「なっ、何.......!?あなた急に!!」

「た、谷村さん!?どうしたんですか!?」

「タニムラさん!?」

 

事情を知らないふたりは驚く。

 

「俺、警察だから。大人しくして。とりあえず、カバン見せてもらうだけでいいから。何も無かったらちゃんとお詫びするから。」

「.......い、嫌。なぜ見せなきゃならないの。」

「.......じゃあ、しゃあないか。つぐみちゃん、この人の前に豆は売れた?」

「いえ、今日はまだ売れてないですけど.......。」

「だとしたら変だな。棚からちょうど1箇所だけ豆の袋がなくなってんだよ。」

 

 

!!

 

 

少女の顔がわかりやすく青くなる。

すると店の奥から店長であるつぐみの父親が出てきた。

 

「.......カバン、見せてもらってもいいかい?」

「.......ごめんなさい。」

 

少女のカバンからコーヒー豆の袋が取り出される。

 

「.......どうしてこんなことしたのかな?」

 

谷村は優しく問いかける。

 

「.......。こうしなきゃ.......、また虐められるから。」

 

また虐められる?

 

「谷村さん、あの物陰に隠れてる子達.......。」

「ん?」

 

商店街の通りの方を見ると、ちょうど向かいの看板の裏に高校生が数人いる。どうやらこちらにケータイを向けているようだ。

 

「多分あの子たちが黒幕だね。」

「はぁ.......、面倒だな。」

 

谷村は財布から1万円を出し、つぐみの父親に渡す。

 

「どうやらこの子、訳ありっぽいからここは僕が奢ります。」

「.......確かに、訳アリのようですね。」

「.......あれ?店長知ってるんですか?」

「.......ごめんなさい、店長さん。」

「この子はうちの常連さんなんですよ。珈琲がとても大好きで、自分で豆を挽くくらいだし、豆の挽き方も僕が教えたくらいですから。」

「.......レミちゃん.......、そんなことになってたの?」

 

つぐみがレミという名の少女の元へ行き、話しかける。

 

「つぐみちゃん.......、ごめんね。私、虐められてて.......。この店から何か盗んでこないと、もっと酷い目に合わせるって言われて.......。」

「んー、良くないね。盗もうとした君も良くないけど.......。人に汚い事やらせて自分は笑ってるって言うのが気に入らないな。」

 

谷村の目付きが鋭くなる。

 

「谷村さん.......?どうするの?」

 

リサが谷村に聞く。

 

「直接話しをつけに行くよ。」

「ショーメントッパ!ですね!.......、わたし、レミさんにこんなことをさせたの、許せません.......!」

「.......私の友達を傷つけられて.......!!」

「レミちゃん、イヴちゃん、つぐみちゃん。ここは俺に任せといて。」

 

谷村は少女達の頭を撫で、笑っていた高校生たちの元へ行く。

 

「谷村さん!気をつけてね!心配ないと思うけど☆」

「まあね。皆も外出ないでね。」

 

リサからの忠告を受け、高校生たちの前へとたどり着く。

 

「ちょっといいか?」

「.......んだよオッサン。」

「あそこの店の商品を盗むようにあの子にけしかけたのは君たちかい?」

「.......んな事答える義理あるの?」

「まー大正解だけど!あははっ!」

「というかおニーサンイケメンだね!あたし達と遊ばない!?」

「ごめんね、平気で汚いことするアバズレとは遊ぶ気は無いから。」

「.......お前何俺の女バカにしてくれちゃってんの?」

「別にこの女だけじゃないし。お前らのこと全員バカにしてるから。」

「テメェ!!」

 

男子高校生は激高し、谷村に殴り掛かる。

が、谷村はそれを捌き、そのまま投げる。

受け身のとり方など知らない男子高校生は、衝撃を全身でモロに受ける。

 

「ぐぁっ.......!?」

「そんなパンチじゃ当たらないよ。というか、相手の身分はしっかり確認してから喧嘩は売ろうな?」

「な、何が言いてぇ.......。」

「.......俺、警察だから。被害者から君たちに虐められてるっていう通報を受けたんだよね。」

「.......は?」

「いやいやいやいや!!俺ら何もしてねーし!??」

「そうだよ!あたしたちは何もしてないっしょ!?勝手にあいつが万引きしただけだし!」

「.......?何を言ってるんだ?あの子は何もとってないから。」

「は!?いやいや、このカメラにバッチリ写ってるし!」

「だから会計の時に足りないことに気づいたから、店員の友人ってことで、俺もその店員と友人だから、その子に奢ってあげたの。万引きなんかしてないよ?」

「だけどよ!ここに証拠があんだぜ!?」

「.......なるほど?面白いね。店の外から、その子を決め打ちで撮ってたなんて、まるで撮ることを知っていたかのような行動だね。仮に取っていたとしても、君達がけしかけたんだから犯罪教唆になるね。君たちも罪に当たるよ。.......なんならイジメの手口だから、君たちだけが罪を被ることになるかもね。」

「な、なんであたしらが.......」

 

ごねている不良どもの元に、羽沢珈琲店の店長が来る。

その視線は白い。

 

「.......君達。君たちのしている事は、店側が訴えればそれは営業妨害だ。すぐに学校に連絡する準備もできている。」

「お、.......お願いします!!そ、それだけは!!す、すみませんでした!」

「なら、もう彼女をいじめたりしないことだ。自分たちの不良行動、楽しみたいだけに、この商店街の店を利用したことは、ゆるされることでは無い。.......それに謝るべきは相手は私ではない。レミちゃんにしっかりと謝りなさい。」

 

不良たちは不服そうながらもレミに謝った。

レミはもう二度と関わらないことを約束させ、不良たちはその場を去った。

 

「つぐみちゃん.......!店長さん.......!イヴちゃん.......、本当にごめんなさい.......!!私が、私が弱いばかりに.......。」

「ううん、いいんだよ、レミちゃん。それよりも正直に言ってくれてありがとう。最初、万引きしてた時は何事かと思ったけど。パパも、もう、いいよね?」

「ああ、もちろんだつぐみ。.......レミちゃん。また、うちをご贔屓にね!」

「.......!はい!.......お巡りさんも、ありがとうございました!つぐみちゃんの先輩さんも、ありがとうございます。」

「いやいや、アタシは偶然居合わせただけ!凄いのは谷村さんだよ!」

 

リサは何もしていないというふうに腕を振る。

 

「何言ってんの。リサちゃんがイジメグループを見つけたんじゃないか。お手柄だよ。」

「あは.......、そうなのかなぁ.......?」

 

照れくさそうにリサは頭をかく。

谷村は微笑みながら頭をポンポンと叩く。

 

「そうさ。.......ってあ、まだコロッケ売ってんのかな。」

「北沢さんのところならまだやってると思うよ。.......というより、そろそろ来るかもな。」

 

来る?不思議なことを言うなぁ、店長さんは。

.......そう思っていると店の扉が開く。

 

「こんにちは店長さーん!!」

 

元気いっぱいの挨拶が広がる。

 

「う、うおお.......、こ、こんにちははぐみちゃん。」

「あれ?谷村さんだ!こんにちは!.......っとそうそう。はい、店長さん!ご注文のコロッケ7個だよ!」

「ありがとうはぐみちゃん。これ、代金ね。.......これ、1個はぐみちゃんの分だから、食べていきな!」

「え!?いいの!?ありがとう!!」

 

元気よく笑顔でお礼を言う。

 

「テンチョーさん、そのコロッケはどうしたんですか?」

「さっき谷村さんが話をつけに行っているときに、つぐみから実はリサちゃんと谷村さんが北沢さんのところに行く途中だって聞いてね。お礼も兼ねて、注文しておいたんだ。」

「それはそれは!ありがとうございます。あ、お金、払いますね。」

「ああいやいや!これはお礼なんだから。さっき君がレミくんに奢ったように、ここは店長である私に奢らせてくれ。もちろん、みんなの分もあるぞ!合うかは知らないが、コーヒーを入れてみんなで食べよう!」

「テンチョーさん!イタダキマス!」

「お、お父さん本当に注文したんだね!」

「はぐみも貰えるなんて嬉しいなー!」

 

みんな各々で喜びの言葉を挙げる。

 

「さ、レミちゃんも食べよう。」

 

俺とリサちゃんはおどおどとしているレミちゃんに声をかける。

 

「い、いいんですか.......?」

「もちろん。そのコーヒー豆も俺が買ってあげたものだからね。.......また、君の淹れたコーヒーでも。」

「あ、その時はアタシも呼んでね☆さ、レミ!みんなでコロッケ食べよ!」

 

「.......!!!はい!!」

 

.......成り行きではあったが、事件を解決した。

あとコロッケはものすごい美味しかった。ま、たまに食べに来るのもいいだろう。それに、ここの珈琲店も。

れみちゃんはこれ以降、何事もなく普通に過ごしているようだ。

 

―帰り道―

 

「とはいえ、ホントにリサちゃんはお手柄だったよ。分かりやすかったとはいえ、すぐにいじめグループを見つけ出すなんて。」

「気は回る方だからねー。アタシ、助手としての才能あるかも!?」

「あはは、危険だよ?」

「ま、アタシもあまり危ないことはしたくないからね。けど、アタシもつぐみの友達を助けられて、良かったかな。さすが警察、さすが谷村さんだね。」

 

突然の褒め言葉に谷村は豆鉄砲を食らう。

この男も顔は褒められても、行動は褒められ慣れてない人種なのだ。

 

「.......急に言われると照れるな。」

「あはは!谷村さんもかー!.......ところで、なんで谷村さんは、つぐみのお父さんからお父さんから好青年と言われた時に目を逸らしたの?」

「.......。」

「.......また目逸らした。」

「.......トップシークレットだ。」

「なにそれー!」

 

To be continued...




何はともあれ、余計な犯罪を起こさずに、大元を叩けてよかったよ。いじめなんてもちろんダメだし、犯罪教唆なんかもっとダメだ。
.......好青年.......。屈託のない笑顔でその評価を投げられると来るものがある.......。

―CLEAR 『万引き犯』―


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