次元を導くサーキット (島知真)
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決闘者の出現
第1話 何がが起こりそうな予感


どうも、懲りずにまた新しいのを書き始めた島知真です。







「ペンデュラム召喚!現れろ!我が僕のモンスター達よ!」

 

天へと伸びる一対の光の柱。その中心に現れた輝くペンデュラムが魔方陣を描き出し、鮮やかな光と共にモンスターが現れる。

 

「雄々しくも美しく輝く二色の眼!オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン!」

 

「オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが相手のモンスターとバトルするとき、相手に与えるダメージは2倍になる!リアクション・フォース!」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

僕は藤愛(ふじいと)ユウカ。ここ舞網市にある舞網第一中学校の女子生徒、所謂JCというやつだ。

舞網市はデュエル────遊戯王というカードゲームによる対戦────の技術がとても発展した街で、リアルソリッドビジョンという最先端の技術によりデュエルに質量を持たせることを可能にし、世界中の人々を熱狂させている。

 

と、ここまで説明したものの、僕自身は舞網市の地元民と言うわけではなく、この世界の住人ですらない。

 

そう、私は別の世界からやって来た転生者と言うやつなのだ。

高校の修学旅行で乗っていたバスが事故に遭い、目の前が真っ暗になったと思ったらいつの間にかここ舞網市、つまりは遊戯王ARC-Vの舞台に流れ着いていたと言うわけだ。アニメはVRAINSの途中まで見た筈だがストーリーはおろかメインキャラでさえ何かのコテ入れなのか全く思い出せず、最初に持っていたのは生前に使っていたデッキとデュエルディスクのみ。お金も何もなく茫然自失状態だった僕に、遊勝塾の塾長である柊修造さんの娘さんである柊柚子に声を掛けられ、拾われたと言うわけだ。柚子中学生とは思えないような美しいプロポーションで最初は少々興h…………おっと失礼。僕は性同一性障害と言う障害らしく、可憐な女の子の見た目でも中身はバリバリ男の子である。ベットの下にエロ本を隠していたりするのだが、バレたらどうなるかと思うと内心ヒヤッヒヤだ。まずエロ本を所持しなければいいのでは、と言う意見は聞こえない。

 

茶番はさておき、僕は今買い出しに出掛けている。先日の遊矢による未知の召喚であるペンデュラム召喚───僕は知っていた訳だが───によってか、遊勝塾に二人もメンバーが増え、しかも片方はお菓子が大好きとあって、買い置きの菓子類がすぐさま底をつき、何故か僕が買い出しを命じられたと言うわけだ。遊矢許すまじ慈悲は無い。エロ本が見付かったら遊矢に罪を被せてやる。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

無事スーパーで大量の菓子類を買い(重い)ジュース類を買い(重い)ついでに本屋で小説を10冊ほど買い(何のジャンルなのかは訊かないでほしい。あと重い)完全に女の子に持たせる量では無くなった荷物を抱え、やっとの思いで中間地点である公園へと辿り着く。ベンチには先客が一人──柚子や遊矢と同じくらいの年齢のポニーテールの少女だ。スパッツとかエロい──いるが、座れない訳ではない。

 

「あのー、隣失礼しますねー」

 

「む……あ、あぁ」

 

無事女の子の隣に座ることに成功する。間に荷物を置くなんて野暮な事はしない。

あぁ~いい匂い。疲れた身体が癒されるわ~

 

少女の膝の上にはカードの束が幾つか置かれている。デッキの調整でもしているのだろうか?

 

「ねぇ、君もデュエルするの?」

 

気になったので話しかけてみる、と言う名目で仲良くなろうと話しかけてみる。共通の話題は大事だ。

 

「…………あぁ、そうだが。お前もするのか?」

 

「うん」

 

「っ、そうか!」

 

ポニテ少女はパァッと顔を輝かせてこちらに顔を向ける。よく見たら柚子に超似てる、というかまんま柚子だった。でも柚子はいま遊勝塾にいる筈だし、他人の空似かな?まあ、柚子と同じ顔ってことはとてつもなく美少女ってことだ。今の挙動も含めてかわいい上にかわいく、かわいさがオーバーキルである。そうか、この子が女神か。ウッ、鼻血が。

 

「?どうした?」

 

「いや、なんでもないよ……。君、名前は何て言うの?」

 

自然な流れで名前を訊く。やっぱり僕コミュ力高いね。

 

「私か?私はセレナだ。お前は?」

 

「あぁ、ぼ……私の名前はね、」

 

とそこで、僕のデュエルディスクに着信が入る。こんな良いときに空気の読めないヤツめ…………

 

「はい、もしも『ちょっと、遅いよ!僕お腹空いてるんだから早くして!……プツッ、ツー、ツー、』……はぁ」

 

ほんと、あの甘党融合使いは世話が焼ける。まためんどくさいのが入ってきたもんだ。

 

「ごめん、セレナ!今直ぐ帰んなきゃだから、それじゃね!」

 

「あっ、」

 

急いで荷物を抱えて公園を飛び出す。しばらく走って、はたと気付く。

 

「あ゙あ゙!連絡先交換すんの忘れた!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、公園に取り残されたセレナは。

 

「結局名前訊いてない…………」

 

 

 

 

 

この二人の出会いが物語を動かすのは、もう少し先の話。

 

 





「藤」木+「Ai」→藤愛

遊作→遊+作→「ゆ」+「ふか」→ゆふか→ユウカ




え?デュエルシーンがない?あるじゃん、最初の方に。



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第2話 黒・魔・導!

どーも、島知真です。いやぁ、ギャラクシーアイズ新規でしかもリンクとか激アツですね。遊作くんも融合使うみたいですし、これなら次はペンデュラムですね。ほんとサイバースでペンデュラム出してほしい


──以下言い訳──

いやぁ僕、前投稿からこれまでハリポタSS2つ読破してたんですけど、ハリポタSSのあの引き込まれていく感じと地味に長く続く感じは僕をダメにします。




「おっそ~い!」

 

僕は現在水色の髪を後ろで束ねた小柄な少年───紫雲院素良のお叱りを受けている。理由は明白、菓子を買って帰ってくるのが遅かったからだ。

 

「こ、これには深い訳が……」

 

「その手は通じないよ。どーせ可愛い女の子でも見付けて話し掛けてたんでしょ」

 

「うぐっ……」

 

素良は見事僕がどのようにして道草を食っていたかを言い当てる。

僕は素良が少し苦手だ。顔を会わせるなり僕の心のイレギュラーを見抜き、僕が相当な性欲魔神だと言うことも知られている。流石に何にも知らない他の遊勝塾のメンバーには言っていないようだが。デリカシーはあるらしい。現にこの説教も他の皆がお菓子を食べて出払った後だしね。

 

「もう皆に言っちゃえば良いのに」

 

「それはさぁ、その、社会的な問題があると言いますか?」

 

「面倒だねぇほんと。そんなに気になるの?」

 

素良はつい最近入った遊勝塾のメンバーであり、遊矢に弟子入りを求めるもデュエルに敗北しそれは叶わず、ならばと遊矢の友として遊勝塾に入ってきた。

僕の睨みでは、素良もまた何らかの闇、とまではいかなくとも隠し事をしている。まぁ僕の勘なんて信用できるものじゃないけどね。

 

「そう言うもんだよ。あとそれを言っちゃうとせっかく沢山の女の子達と仲良くなったのが台無しになる」

 

「…………ユウカはやっぱりユウカなんだって改めて認識させられたよ」

 

酷くない?僕男の子なんだからしょうがなくない?女の子と仲良くしたいっていうのは男の子の性じゃない?

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 

それから数日後。

 

なんか遊矢が沢渡って奴と色々あったり、柚子がどうたらこうたらしただかなんかして、いつの間にか素良が柚子に融合を教える流れになっていた。因みに僕は柚子に教える上での相手役として、今回素良に呼び出されている。僕働きすぎ。しかし女の子のためと言われると断れない辺り、僕はやっぱり女の子が大好きである。健全で何よりだ。

 

「じゃあユウカ、準備はいいね?」

 

「オッケー」

 

「「デュエル!!」」

 

ユウカ LP4000手札5

素良 LP4000手札5

 

 

「先攻は私か…………まずは手札から、永続魔法『黒の魔導陣』を発動!」

 

僕のフィールドに、不思議な文字が描かれた魔方陣が出現する。

 

「その効果で、発動時デッキトップを3枚めくり、その中にブラック・マジシャンまたは『ブラック・マジシャン』とテキストに書いてあるカードがあれば手札に加える!……私はブラック・マジシャンを手札に!他のカードは好きな順番でデッキの上に戻す」

 

ユウカ 手札4→5

 

「そして手札より、『マジシャンズ・ロッド』を召喚!」

 

マジシャンズ・ロッド ATK1600

 

フィールドにモンスターが召喚される。と言ってもただの仰々しい杖だ。

 

「その効果で、デッキから『ブラック・マジシャン』のカード名が記された魔法・罠カードを一枚手札に加える!私は罠カード『マジシャンズ・ナビゲート』を手札に。……カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

ユウカ LP4000 手札5

 

「僕のターン!ドロー!」

 

素良 手札5→6

 

「僕は手札から、永続魔法『トイポット』を発動!」

 

素良のフィールドに舌を生やしたガチャガチャの様なものが現れる。

 

「そして効果!手札を1枚捨て、デッキから1枚ドローする!」

 

素良 手札5→4→5

 

「ドローしたカードが『ファーニマル』モンスターなら、手札から『ファーニマル』モンスター1体を特殊召喚できる!そうでないなら捨てるけど。僕がドローしたのは『ファーニマル・オウル』!そのまま特殊召喚!」

 

ファーニマル・オウル ATK1000

 

続いてフィールドに降り立つのは賢そうなフクロウのぬいぐるみ。天使のように愛らしい姿だが、こんな可愛いモンスターも素良のデッキでは鋏で引き裂かれたあげくバイオレンスな悪魔と化すのかと思うと可哀想になってくる。どうか鋏の餌食になりませんように。

 

「オウルの効果!このカードが手札から特殊召喚されたとき、デッキから『融合』を手札に加える!そして発動!僕が融合するのは、フィールドのオウルと手札の、『エッジインプ・シザー』!」

 

『融合』によって出現した渦に2体のモンスターが吸い込まれ、フクロウの体を鋏が切り裂く。

 

「融合召喚!現れ出ちゃえ!デストーイ・シザー・ウルフ!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ ATK2000

 

そして現れる禍々しい悪魔。引き裂かれた狼のぬいぐるみの中から赤い眼光が覗く。

 

「柚子、これが融合召喚だよ。魔法カード『融合』を発動して、その効果で自分のフィールド、手札から融合素材モンスターを墓地に送って、エクストラデッキから融合モンスターを特殊召喚するんだ…………それじゃバトルに移るよ!デストーイ・シザー・ウルフはその効果で、融合素材にしたモンスター1体につき1度攻撃できる!融合素材は2体!よって2回攻撃できる!僕はデストーイ・シザー・ウルフでマジシャンズ・ロッドを攻撃!そしてダイレクトアタック!」

 

「ぐっ……」

 

ユウカ LP4000→3600→1600

 

「僕はカードを2枚伏せる」

 

「罠発動!『マジシャンズ・ナビゲート』!手札から『ブラック・マジシャン』を特殊召喚!」

 

ブラック・マジシャン ATK2500

 

フィールドに魔方陣が描かれ、黒き魔法使いが召喚される。

 

「さっき手札に加えてたやつか……」

 

素良が悔しそうな顔をする。

 

「そゆこと!さらに、デッキから魔法使い属の闇属性モンスターを1体特殊召喚できる!私が特殊召喚するのは『ブラック・マジシャン』!」

 

ブラック・マジシャン ATK2500

 

「1度に2体も!?」

 

デュエルを見ている柚子が驚く。

 

「まだまだ!『黒の魔導陣』の効果!『ブラック・マジシャン』が召喚、特殊召喚されたとき、相手フィールドのカード1枚を除外する!私は伏せカードと『デストーイ・シザー・ウルフ』を除外!さらにここで手札の『マジシャン・オブ・ブラックイリュージョン』の効果発動!相手ターンに自分が罠を発動したとき、このカードを特殊召喚できる!」

 

マジシャン・オブ・ブラックイリュージョン ATK2100

 

フィールドを崩壊させられても、素良の顔にはまだ余裕がある。恐らく残った伏せカードには逆転の可能性があると言うことだろう。

 

「やっと終ったか……全く、相手のターンに上級モンスターを一気に3体特殊召喚して相手フィールドを更地にするとか、友達なくすよ。僕はこれでターンエンド」

 

素良 LP4000 手札1

 

「余計なお世話だよ!私のターン、ドロー!」

 

ユウカ 手札2

 

「私は罠カード『永遠の魂』を発動!」

 

カードの発動とともに、フィールドに巨大な石碑が現れる。

 

「そして効果!デッキから『黒・魔・導』を手札に加える!そして発動!フィールドに『ブラック・マジシャン』が存在するとき発動できる!相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

2体のブラック・マジシャンとマジシャン・オブ・ブラックイリュージョンが黒い魔力の弾丸を放ち、素良のフィールドにあるたった1つの伏せカードを破壊する。見た目は明らかにオーバーキルである。まあ、詰めるときは徹底的に詰めるのがスタイルだから。性格悪いとか言わないで。

 

「うっそぉ……」

 

素良があんぐりと口を開けている。いや、自分でやっておきながらめちゃくちゃ可哀想。

 

「2体のブラック・マジシャンでダイレクトアタック!黒・魔・導!」

 

素良 LP4000→1500→0

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「何もわざわざ追い出さなくても……」

 

素良とのデュエルが終わると、そのまま追い出されてしまった。何でも『ユウカは加減を知らないから、こっちが柚子に融合を教えようとして引き延ばしてるのにそれに構わず攻めてくるから全く話にならない』らしい。これでもサブのデッキで加減した方なんだけどなぁ。

 

「ん?こんなところにカードが…………ってうわ!?」

 

道端にカードが落ちていてラッキーと思い拾ってみると、恐怖に目を見開いた人間のイラストだった。というかこれ……LDSの塾生?

 

カードを拾って周りを見渡すと、怪しい人影がひとつ。

 

「ちょっと待って!」

 

怪しい人影に声を掛ける。

 

「何だ」

 

声からして男か。それにしても…………冬でもないのにコートは少し暑くない?

 

「これをやったのは、君かな?」

 

そいつにカードを見せる。

 

「っ!貴様、もしやLDSの者か!」

 

「えっ、ちょっ」

 

僕は何も言ってないのに勝手に自己簡潔した。えぇ…………

 

「LDSなら問答無用!デュエル!」

 

「えぇ…………デュエル」

 

めんどくさいのに捕まった…………

 




今回はユウカが素良をいとも簡単に倒していましたが、素良は本気を出さない上で柚子に融合を教えるため力は抜きまくり、ユウカもユウカでサブのデッキなのでどちらが強いかはまだ分かりません。

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第3話 嵐と重力と勘違い

サイバースデッキ回すの楽しい。


「デュエル!」

 

「デュエル」

 

どうも、なんか変なのに絡まれてデュエルを挑まれた藤愛ユウカです。

─────それにしても、状況からみてこの人がカードになっているLDS生をデュエルで打ち負かしたのだろうが、LDSの塾生は基本みんな優等生なのだ。先日遊勝塾の遊矢がLDSの沢渡とか言う輩に勝ったが、あれはただ遊勝塾には下手なLDS生には負けない者が揃っているだけで、別に沢渡が雑魚い訳ではない。むしろ沢渡はLDSの中でもかなりトップクラスの実力者だ。まあ僕からすればそんなに変わらないが。

まあこの不審者はLDSの塾生を下しただけでなく如何なるテクノロジーによってかは知らないが人間をカードにすることを可能にしている。警戒するに越したことはないだろう。遊びで組んだブラマジデッキじゃなく本気のデッキを使った方が良さそうだ。

デュエルディスクには対戦相手の名前が表示される。『SHUN』……『シュン』か。相手の持っているデュエルディスクは見たことのないものだが、こうしてしっかりデュエルが出来ると言うことはシステム上の問題は特に無いのだろう。

 

ユウカ LP4000 手札5

シュン LP4000 手札5

 

「私のターン!手札からフィールド魔法『天空の虹彩』を発動!そして『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカー 星4 ATK1600 

 

フィールドの上空に輝く魔方陣が現れ、それに続いてフィールドに『EM』のピエロが降り立つ。

 

「ドクロバット・ジョーカーの効果で、デッキから『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』を手札に加える!そして天空の虹彩の効果!ドクロバット・ジョーカーを破壊し、デッキから『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』を手札に!」

 

さぁて、早く帰りたいし初っぱなから飛ばしちゃいますか。

 

「さぁ、ここからがShow timeだよ!まず私は、手札のスケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』とスケール8の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』でペンデュラムスケールをセッティング!」

 

2体のオッドアイズが空へと浮かび上がり、その2柱の間に現れたペンデュラムが魔方陣を描き出す。

 

「これで、レベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、導きのペンデュラム!光のアークよ、我が未来を映し出せ!ペンデュラム召喚!現れよ、我に仕えしモンスター達よ!まずは、幻想を映す二色の眼、『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!そしてEXデッキから甦れ!『EMドクロバット・ジョーカー』!」

 

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン 星7 ATK2500

EMドクロバット・ジョーカー 星4 ATK1600

 

「ペンデュラム召喚だと!?」

 

シュンくんはペンデュラムを見たことが無いようだ。遊矢のストロング石島戦見てないのかな?

 

「さらに、私は手札から魔法カード『螺旋のストライクバースト』を発動して、デッキから『EMオッドアイズ・ディゾルヴァー』を手札に加える。私はこれでターンエンドだよ」

 

ユウカ LP4000 手札0

Pゾーン 2 1-8

 

「俺のターン、ドロー!」

 

シュン 手札5→6

 

「ペンデュラム召喚……初めて見るな。スケールの間のレベルを持つモンスターを一度に複数特殊召喚する召喚法か。しかしドクロバット・ジョーカーは天空の虹彩の効果で破壊された筈。何故特殊召喚できる?」

 

シュンくんが疑問を口にする。ペンデュラム召喚の仕組みのほとんどを一瞬で見抜いただけでもかなりのものだけど、まあこれは初見じゃ分からないか。遊矢でも素良のズタズタくまちゃんの効果のトリガーをヒントにしないと分からなかったし。

 

「ドクロバット・ジョーカーみたいなペンデュラムモンスターは、フィールドを離れるとき、墓地に送られる代わりにEXデッキに表側表示で加わるんだ。で、ペンデュラム召喚は手札のモンスターだけじゃなくて、EXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターも特殊召喚出来るってわけ。分かった?」

 

「成る程、幾ら破壊しようとも甦るとは強力な召喚法だ。これまでのLDSの輩にペンデュラムを使う者は居なかった。つまり貴様はLDSの中でもエース級の実力者と言うわけだ。貴様を倒せば、今度こそ赤羽零児を誘き出せる」

 

「いや私LDSじゃないし…………そうだな、それじゃあ、私が君に買ったら私をLDS生じゃないと認めてほしい。その代わり、私が負けたらカードにでもなんでも好きにするといいよ」

 

言ってからはたと気付く。僕体は女の子じゃないか。負けたら何されるか分かったものじゃないな。負ける訳にはいかなくなった。まあカードにされるの嫌だし最初から負ける気は無いけど。

 

「ふん、LDSの輩などには負けん。俺は手札から、『RR-バニシング・レイニアス』を召喚!」

 

RR-バニシング・レイニアス 星4 ATK1300

 

「そしてその効果で、手札より2体目のバニシング・レイニアスを特殊召喚する!」

 

RR-バニシング・レイニアス 星4 ATK1300

 

「さらに2体目のバニシング・レイニアスの効果で、3体目のバニシング・レイニアスを特殊召喚!」

 

RR-バニシング・レイニアス 星4 ATK1300

 

瞬く間にフィールドへと3体の鳥が舞い降りる。プレイングもさることながら、初手の手札がかなりいい。運も実力の内ってことかな。

そしてフィールドにはレベル4が3体──────来るか。

 

「俺は3体のバニシング・レイニアスで、オーバーレイ!雌伏のハヤブサよ!逆境のなかで研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4『RR-ライズ・ファルコン』!」

 

RR-ライズ・ファルコン 星4 ATK100

 

攻撃力100……いや、ここまでしてその程度で済むわけはないだろう。

 

「ライズ・ファルコンの効果!1ターンに一度、このカードのORUを1つ使い、相手フィールドの特殊召喚されたモンスター1体の攻撃力分だけライズ・ファルコンの攻撃力をアップする!俺はライズ・ファルコンの攻撃力をお前のオッドアイズ・ファントム・ドラゴンの攻撃力2500アップさせる!」

 

RR-ライズ・ファルコン ORU3→2 ATK100→2600

 

「くっ……」

 

確実にこっちの攻撃力を上回ってくるって訳か。それに加え永続効果と来ている。なかなか面倒だね。

 

「バトル!ここでライズ・ファルコンの効果!ライズ・ファルコンは、相手の特殊召喚されたモンスター全てに攻撃できる!オッドアイズ・ファントム・ドラゴンとドクロバット・ジョーカーに攻撃!ブレイククロー・レボリューション!」

 

「私は手札の『EMオッドアイズ・ディゾルヴァー』の効果発動!このカードを特殊召喚し、このターン、ファントムは破壊されない!」

 

EMオッドアイズ・ディゾルヴァー 星8 DEF2600

 

「だがダメージは受けて貰う!」

 

赤く燃え上がるライズ・ファルコンが、ドクロバット・ジョーカーとファントムを貫く─────

 

「ぐ、うぅぅぅぅぅ!?」

 

ユウカ LP4000→3000→2900

 

突然体を痛みが駆け巡る。自分の体を見てみると、あちこちに傷ができていた。何故、ソリットビジョンは発動していない筈─────向こうのデュエルディスクの機能か?

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

シュン LP4000 手札1

 

「私のターン、ドロー!」

 

ユウカ 手札0→1

 

ソリットビジョンがなくともダメージに質量が伴うと分かった以上、今後相手の攻撃には気を付けなければならないか。だったら、手っ取り早く終わらせるまで。何より早く帰りたい。

 

「天空の虹彩の効果発動!ファントムをリリースし、『オッドアイズ・アドベント』を手札に加える!そして、セッティング済みのペンデュラムスケールでペンデュラム召喚!EXデッキから甦れ!『EMドクロバット・ジョーカー』!幻想を映す二色の眼!『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!」

 

フィールドに3体のペンデュラムモンスターが並ぶ。でもこれだけで終わらせるつもりは毛頭無い。

 

「オッドアイズ・ディゾルヴァーの効果!このカードと、ペンデュラムゾーンのカード1枚で融合召喚を行う!」

 

「融合…………!」

 

融合召喚というワードを聞いた瞬間シュンくんの顔が歪む。嫌な思い出でも有るのだろうか。

 

「私が融合するのは、オッドアイズ・ディゾルヴァーとペンデュラムゾーンの『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』!闇夜に輝く二色の眼達よ!今こそ交わりて、新たなる力へと生まれ変わらん!融合召喚!現れろ、疾風纏いし二色の眼!レベル7『オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン 星7 ATK2500

 

フィールドに新たな『オッドアイズ』のドラゴンが召喚される。そしてその効果は────正に疾風。

 

「ボルテックスの効果!このカードが特殊召喚に成功したとき、相手の攻撃表示モンスター1体を手札に戻す!ライズ・ファルコンには控え室に戻って貰うよ!」

 

「罠発動!『RR-レディネス』!ライズ・ファルコンはこのターン、破壊されない!」

 

ライズ・ファルコンに破壊耐性を与えた………?すぐにEXデッキに戻るのに何故?まあ考えても仕方がないか。

これでライズ・ファルコンの除去は出来た。あとは後ろの伏せカード。

 

「まだまだ!私は手札から儀式魔法『オッドアイズ・アドベント』を発動!フィールドのファントムをリリースし、儀式召喚!二色の眼の竜よ!捧げられし贄を糧とし、大いなる大地を揺り動かせ!現れろ、レベル7『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン 星7 ATK2800

 

フィールドに次なる『オッドアイズ』が降臨する。ボルテックスの効果を疾風と例えるならば、グラビティの効果は、相手にとって満足に動くことも出来ない重厚な枷となる。

 

「グラビティの効果!このカードが特殊召喚に成功したとき、相手の魔法・罠カードを全て手札に戻す!」

 

「何!?」

 

これで相手を守るものは何も無くなった。そろそろ勝負を決めようか。

 

「さぁ、バトルだよ!グラビティでダイレクトアタック!震撃のクエイク・ストライク!」

 

「墓地にあるレディネスの効果!墓地にRRモンスターが存在するとき、このカードを除外することでこのターン受けるダメージを0にする!」

 

成る程、墓地で発動する効果か。それならさっき意味もなくライズ・ファルコンに効果を使ったのも頷ける。最初から墓地に送ることが目的だったか。

 

だが──────詰めが甘い。

 

「甘い!ボルテックスの効果発動!1ターンに一度、このカード意外の効果が発動したとき、EXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターをデッキに戻し、その効果を無効にする!」

 

「何!?ぐぁぁぁぁぁぁ!」

 

シュン LP4000→1200

 

「さぁ、フィナーレだ!ボルテックスでダイレクトアタック!烈旋のストームストライク!」

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

シュン LP1200→0

 

 

ふぅ、終わった。

 

「よし、私がデュエルに勝ったから、私はLDS生じゃないって認めてね─────────ってあれ?いない。帰っちゃったかなー」

 

いつの間にかいなくなっているシュンくん。まぁ、そこそこ楽しいデュエルだったかな?でも本気を出すにはちょっと足りないかなぁ。

 

「それにしても────これ」

 

私は落ちているカードを拾い上げる。

 

「やっぱ人がカードになってるよなー。どんなテクノロジーなんだろ」

 

カードをくまなく調べてみる。カードの色は通常モンスターで、レベル、攻守の表示は無し。───────お世辞にも使えるカードとは言えない。なんのためにカードなんかに?

 

 

 

「見付けたぞ!」

 

誰か男の人の声と共に、私の回りをデュエルディスクを構えた大人達が包囲する。

 

「貴様がLDSの人間をカードにして回っている犯人だな!今すぐ投降しろ!」

 

「───────え?」

 

どうやら僕の受難はまだまだ続くようだ。

 




藤愛ユウカ

遊矢、柚子と同じ中学校に通う少女。遊勝塾の塾生であり、現在は柊家に居候中であり、そんな中エロ本を部屋に隠し持つと言う何とも精神の強い、否、性欲に勝てない人間性を持つ。素良には男の心を持っていることがバレているため、苦手意識を持っている(と本人は思っている)。女好きなのでガンガン女の子に話し掛ける上、中身は男なので男とも遜色無く会話できる。正にコミュ力の塊である。
使用デッキ→オッドアイズ?





エースのファントムくんが攻撃を1度もすることなく、役割がライズ・ファルコンの攻撃力上昇とグラビティくんの生け贄というまさかの事態。次のデュエルでは活躍させてあげたい。
ユウカくんのデッキはまだまだ本領を発揮していません。タイトルから皆さん分かると思いますが、今作では主人公はある召喚法を使うことになってるので、まだ本気の20%くらい。それでも2ターン目で黒───シュンくんを下してしまうのだからかなり強い子です。




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第4話 衝撃の事実

や、別にエタってないから。





…………遅れてごめんなさいぃぃ


「今すぐ投降しろ!!」

 

どーも、怪しげなデュエリストに絡まれたと思ったら今度はLDSのデュエリスト集団に絡まれた藤愛ユウカです。いやぁ、今日僕絡まれすぎじゃない?

 

「えっ…………いや、人違いじゃないですか?」

 

「言い逃れする気か!!…………ならばしようがあるまい、デュエルで勝利し強制的に連行するまで!!」

 

「いやいやいや!ちょっと待って!おかしいでしょう?何の証拠があってそんなこと言ってるんですか!?」

 

「何を今更!貴様がカード化されたLDSの人間をその手に持っている、それが何よりもの証拠ではないか!!」

 

リーダー格っぽい人が激昂したように大声を出す。────────唾が飛んできて汚い。というかそんなもの持って…………いや持ってた。いやちょうど拾って眺めてたタイミングで来るとかタイミング悪すぎでしょうよ。

 

「えぇっと、これは今拾って…………」

 

「そんな見え透いた嘘信じるわけがないだろう!!お前ら、準備はいいか!!」

 

「「「「「おう!」」」」」

 

黙っていた男達も一斉にデュエルディスクを構え、大きな声で応える。────────唾汚い。つーか話訊けし。

それにしても全部で6人か。大人ってことは講師かなんかだろうし、いくら僕でも少し骨が折れるかな?

 

「いくぞ!「「「「「デュエ「待て」…………え?」」」」」」

 

突然の声に顔を向けると、そこには背の高い眼鏡の少年が一人。こちらへと歩みを進める度、首に巻いたマフラーが揺れる。いや暑くないの?

 

「しゃ、社長!」

 

「えっ?」

 

男達の一人が驚いたように声を出す。…………え?社長?この人が?マ?

 

「し、しかし!」

「私は待てと言っているんだ…………聞こえなかったか?」

「い、いえ!」

「ならデュエルディスクを下ろせ。暫く口を出すな」

 

彼の言葉で、デュエルディスクを構えていた人達がすごすごとデュエルディスクを下ろす。

 

「すまない、紹介が遅れたな。私は赤馬零児、LDSの社長だ。うちの社員が君に失礼を働いたことは謝ろう」

「え、あっ、はい」

 

少年────零児くんは、本当にマジもんの社長さんらしい。

 

「えーっと、で、社長さんが私に何か用でも?」

「ふざけるな!まだ言い逃れする気か!?」

「私は口を出すなと言った筈だが?」

「すいません…………」

 

零児くんに睨まれたものの僕を警戒するように睨み付けている。こわ。

 

「話を戻そう。実は君に頼みがあるんだ。なので────共に来て頂きたい」

「へぇ、結局そうなんだね。社長自らだなんて、私の事をそんなに疑ってるのかな?」

「安心したまえ。私は君の事を疑っているわけではない。野蛮な真似はしないし、させないと約束しよう」

「うーん、イマイチ信憑性に欠けるよねぇ─────私が嫌だと言ったらどうするの?」

「その時は、LDSトップクラスの実力を持つ彼等とデュエルをしてもらい無理矢理にでも連れていくが。しかし君も彼等に負けるようなデュエリストではないだろう?」

「おっしゃる通りで」

 

というかこの人達でトップクラスなんだ。それならLDSに行ってもそんなに危険はないか。

 

「付いてきてくれるのなら、我が社が開発している新たなカードを見せてやるのもやぶさかではないが」

「いいよ、ついてく」

「フッ、そういうと思っていたよ。……さぁ、行こうか」

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「ほぇ~、ここがLDSかぁ。施設に金かけてるねぇ」

 

LDSの内部を見渡しながら呟く。遊勝塾なんかのようなボロボロの塾とは真逆のような、全てが最新設備で小綺麗な印象だ。ただLDS生の目線が物凄く痛いのが欠点か。いや普通部外者がいたらどこでもそうなるね。

 

「自慢ではないが収益はあるのでな」

「へぇ~、すごいね」

 

零児くんはそう言って振り替えることなく歩き続ける。会話続かなすぎィ!

 

暫く歩くと、扉が見えてきた。黒服の男の人が扉を開ける。

 

「さぁ、着いたぞ。適当に座ってくれ」

「あいあいさー」

 

先ず目に入るのは、大きなデスクの向こうの座り心地がとても良さそうな椅子。でも絶対社長用の椅子なので、仕方無くソファーに座る。

 

「で、話って何~?」

 

あー、このソファー力抜けるー。人をダメにするソファーってヤツだね。なんでこんなもの社長室に置いてあるんだろ。…………ハッ!?これはまさか陰謀……?

 

「LDSに来るのは初めてだろう?もう少し警戒心というものがないのか……?」

「そうは言っても、何にもしないって約束してくれたし、零児くんもそんな人には見えないし」

「成る程……それなら結構。先ずはこれを見てくれ」

 

そう言って零児くんは僕の前にパソコンを置く。画面に映っているのは────エクシーズ召喚の召喚反応?なにこれ?

 

「これは今日のエクシーズ召喚の召喚反応のグラフだ。先程とても高い反応があった。─────分からないという顔をしているな。説明しておこう。融合、シンクロやエクシーズ、それに加えペンデュラムのような特殊な手法を用いる特殊召喚時には特有の波動のようなものが存在する。一般的にこのエネルギーはそこまで強いわけではなく、問題になることは滅多にない。しかし例外はあり、それぞれの召喚法にデュエルディスクが高い適正を示した場合だ。その場合、反応は基準値をゆうに越える。そしてこれは君がいた場所で観測された。これはあの場所ではエクシーズ召喚に高い適正を示したデュエルディスクを用いてデュエルが行われたことを意味する。君は、エクシーズ召喚を使うデュエリストとデュエルしたのだろう?」

 

エクシーズ召喚を使うデュエリスト…………シュンくんか。

 

「まあそうだね。つまり彼の使っていたデュエルディスクはエクシーズ召喚に適正があるわけだ。でもどういうことなの?特定の召喚法に高い適正を示すなんて。それにあのデュエルディスクはソリッドビジョンがなくてもダメージに質量を与える機能があった。そしてディスクの形状がかっこいい。いくらなんでも品質が平等じゃないよ。デュエルディスクを生産してるのLDSでしょ?」

 

そう言って零児くんに左腕に取り付けたデュエルディスクを見せる。

 

「確かに世界に出回っているデュエルディスクは我が社が生産している。しかしそのデュエリストが使用したものは我が社の製品ではない。それ以前に、まずこの世界のものではない可能性が高い」

 

??どゆこと?零児くんの口から出た突拍子もない言葉に首をかしげる。

 

「心して聞いて欲しい。──────世界は我々のものだけではない。世界は4つ。融合次元、シンクロ次元、エクシーズ次元、そして我々が住むスタンダード次元。そのデュエリストは、その内のひとつ、エクシーズ次元から来た可能性が高い」

 

 

……………………は?

 




召喚反応についての説明は個人の勝手な妄想です。素良くんの融合召喚はディスクがスタンダード仕様のときそこまでの反応ではなかったので、こうすると矛盾がないかと思いまして。


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第5話 社長!

オリ主強すぎじゃね?と思い始めてきた自分がいる…………


毎回思うけどサブタイが支離滅裂すぎじゃない?


「彼はその内のひとつ、エクシーズ次元から来た可能性が高い」

 

僕の行動は早かった。

まずソファーから飛び起きて零児くんの前までダッシュし、零児くんを抱えてソファーに横たえる。何処からともなく取り出した大きめのサイズのブランケットも忘れない。

 

「…………何のつもりだ?」

「いやぁ疲れてるんだよきっと。しっかり休眠はとらないとダメだよ?」

 

きっと零児くんは疲れているんだろう。そうでなければこんな突拍子もない話は思い付かない。

 

「残念ながら私はふざけているわけでも、錯乱しているわけでもない。私が今言ったことは紛れもない事実だ」

「えぇー…………」

 

衝撃の事実。いやそう言えばここ遊戯王世界だった。それならこんぐらいの事はあって当たり前か。出来れば僕は物語には関わりたく無かったけど、零児くんからこんなことを聞かされるってことはいずれ関わることになるんだろうな。僕は女の子とキャッキャウフフらぶらぶちゅっちゅしたいだけなのに!

 

「簡単に信じられないのは分かるが、これについて理解してもらわねば次の話ができない」

「はぁ…………信じる。信じるよ。零児くんはこんなしょーもない冗談いう人じゃないでしょ?」

「助かる。───────先程、スタンダード、融合、シンクロ、エクシーズの4つの次元があるという話をしたな?」

「うん」

「その内のひとつである融合次元だが、そこにはアカデミアというデュエリストの集団があり、そのアカデミアは他次元の侵略を企てている。件のエクシーズ次元のデュエリストの存在からして、エクシーズ次元はすでにアカデミアによる侵略を受けた可能性が高いだろう」

「成る程……じゃあ彼は故郷が攻撃され、スタンダードに逃げてきたわけか」

「そう言うことだ。────アカデミアはまた他の次元の侵略に乗り出すだろう。恐らく次の標的はスタンダードになる可能性が高い」

 

次はスタンダードか…………名称からしてそれぞれの次元はその名に冠する召喚法に特化していると言うことだろう。融合次元なら融合召喚、エクシーズ次元ならエクシーズ召喚というようにだ。しかしスタンダードはその名からも分かるように、そのようなものはない。エクシーズなどのEXデッキを使用する召喚法もここ最近出てきたばかりで普及しているとは言い難い。強いて言えばメインデッキを使用した儀式召喚なんかはそこそこ戦力になるだろうが、それも使用者はそれほど多くない。スタンダードは他次元に比べて明らかに弱小だ。エクシーズより先に狙われなかったのが不思議でならないほど、スタンダードを狙うのは当然のことだと言える。

「君も分かると思うが、スタンダードは戦力に乏しい。このままでは融合次元に太刀打ちなど出来ないだろう。そこで私が目を付けたのが、スタンダードで普及している『アクションデュエル』、そして榊遊矢が使用した、『ペンデュラム召喚』だ」

 

あー、話の流れが読めてきた。さっき零児くんが召喚反応について何か言っていたとき、確か彼は『ペンデュラム』と口にしたはずだ。遊矢がすでに使っているのだから、召喚反応の解析が進められても不思議じゃないか。

冷や汗をダラダラ流す僕を尻目に、零児くんは話を進める。

 

「ここで先程の話に戻るが、君とエクシーズのデュエリストがデュエルしたポイントで、エクシーズの他にもうひとつ、ペンデュラムの強い召喚反応が確認された。スタンダード出身ではないエクシーズのデュエリストがペンデュラムを使用するとは考えにくい。そうなれば、自然とペンデュラムを使用したのはスタンダードの方のデュエリストという結論になる。─────つまりは、君がペンデュラムを使用したと言うことだ」

「えぇーっと、それは…………はい、そうです……」

 

咄嗟に言い逃れしようとしたものの、零児くんの鋭い眼圧に耐えきれずに認める。怖いよ。

 

「やはりな。……しかしペンデュラムは榊遊矢が初めて使った筈だ。どこでペンデュラムカードを手に入れた?」

「うーんと、こればっかりは自分でもよく分からないんだよねぇ」

「と言うと?」

「気付いたら持ってた」

「そうか…………となるとカードの創造か?有り得ない話ではないが………」

「?なんか言った?」

「いや、何でもない…………しかし君もペンデュラムを隠していたということは、人に知られたくないということだろう?」

「まぁ、そうだね」

 

正確には違うけど。遊矢がペンデュラムを披露したあと、自分もできるとみんなに言おうとしたのだが、遊矢が新たな召喚法を編み出したとお祭り騒ぎの遊勝塾の面々を見てとても言い出し辛くなってしまったのである。

 

「そこで提案がある。私は君がペンデュラムを使えるということをできる限り秘匿しよう。その代わり、頼みを聞いてほしい」

 

頼みとはなんだろうか。流石にペンデュラムカードを寄越せとか言われたらちょっと困るなぁ。デッキにモンスターがいなくなる。

 

「これを見てくれ」

 

そう言って零児くんはパソコンの画面を見せる。そこに映し出されていたのは、

 

「『DD魔導賢者ケプラー』、『DD魔導賢者ガリレイ』、『DDD死偉王ヘル・アーマゲドン』…………?」

 

見たことのないカードだ。しかも上半分はモンスターカード、下半分は魔法カードと同じ配色────ペンデュラムモンスターか。

 

「これはLDSが榊遊矢のペンデュラム召喚のデータを元に開発したペンデュラムカードだ」

「えぇーっと、見せてくれたのは有り難いんだけど、こんなの私なんかに見せていいの?どーせ機密情報でしょ?」

 

ていうか何だ『死偉王』って。CEO?駄洒落かよ。

 

「確かにそうだが、最初に開発中のカードを見せてやると約束したのと、君の協力を仰ぐのに不可欠だからだ──────私とデュエルして、ペンデュラムのデータを採らせてはくれないだろうか?」




オリ主遊作くんみたいな名前にしてあれだけど、サイバースのEXデッキめちゃくちゃオッドアイズと折り合い悪いからサイバースじゃないリンクモンスター使う可能性大。ごめんなさい。


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第6話 異次元のCEO

頑張れ零児くん!負けるな零児くん!


「これよりデュエルを行うが、私はデッキにペンデュラムモンスターを加えてデータを採る。君にもできる限りペンデュラムを使って欲しい」

「分かってるって。データ採りには全面的に協力するよ。でも手加減する気はないから、すぐ終わっちゃってデータ採れませんでしたとか言われても責任とらないからね」

「随分な自信だな。そちらこそペンデュラムを使う間もなく負けた等と言うことにはならないようにしてくれ」

「随分な自信はそっちもじゃんか」

 

僕と零児くんはLDSのセンターコートに来ている。因みにLDS生達や講師達は設備のメンテナンスという理由で既に全員帰宅しており、今LDSには僕と零児くん、秘書さんに必要最低限の研究員しかいない。社長無茶苦茶かよ。

 

「形式はアクションデュエルだが────やり方が分かるか等という質問は愚問か。遊勝塾ならば当然アクションデュエルに関しては精通しているだろう」

「まぁね」

 

そんなことを言うけど、いつもダミーで使ってるブラマジデッキはビートダウンが強く火力もそこそこ高いし、妨害札も揃ってるからそんなにアクションマジックを使う機会がないのが本音だ。基本人の取ろうとしてるアクションマジックを横取りするぐらいしかしない。うわぁ僕害悪。

 

「それでは始めよう───────アクションフィールド、オン!『ウィンディー・キャニオン』!」

 

ソリッドビジョンによってフィールドが形成され、断崖絶壁の渓谷となる。アクションカードも散らばりはまばらで、常に動き回ることが必要とされそうだ。また人を選ぶようなフィールドだね…………

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」「モンスターと共に、地を蹴り、宙を舞い!」「フィールド内を!」「駆け巡る!」「見よ、これぞデュエルの最強進化形!」「「アクショーン」」

 

「「デュエル!」」

 

零児 LP4000 手札5

ユウカ LP4000 手札5

 

「先攻は貰おう、私のターン!私は手札より永続魔法『地獄門の契約書』を2枚発動!このカードの効果で、私は自分のスタンバイフェイズに1000ポイントのダメージを受ける」

「自損の永続魔法……?しかも合計2000ポイント……」

「しかしそれに値する効果を持っている。私は2枚の『地獄門の契約書』の効果で、デッキから『DD』モンスターを手札に加える。私は『DDリリス』と『DDバフォメット』を手札に!」

 

毎ターンダメージを受ける代わりにノーコストで『DD』モンスターをサーチできる永続魔法か。ダメージが少し重いが、優秀なサポートカードと言える。

 

「さらに私は手札より、永続魔法『魔神王の契約書』を発動!このカードも効果でスタンバイフェイズに1000のダメージを受ける。そしてもう1つの効果発動!1ターンに1度、手札、フィールドから素材モンスターを墓地へ送り、悪魔族融合モンスターを融合召喚できる!」

「成る程、ダメージと引き換えに毎ターン融合召喚か」

「そういうことだ。私は手札よりリリスとバフォメットで融合!冥府に渦巻く光の中で、今ひとつとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ!レベル6『烈火王テムジン』!」

 

烈火王テムジン 星6 ATK2000

 

フィールドに降り立つのは、火炎を纏った悪魔。その名に恥じないような、王者の風格を醸し出している。

 

「私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

零児 LP4000 手札0

 

「私のターン、ドロー!」

 

ユウカ 手札5→6

 

「私は手札より、『EMドクロバット・ジョーカー』を召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカー 星4 ATK1500

 

さっきぶりのEMのピエロがフィールドに現れる。このデッキの展開のキーカードだ。

 

「召喚時の効果で、デッキから『EMオッドアイズ・ミノタウロス』を手札に!そして手札より、スケール6の『EMオッドアイズ・ミノタウロス』とスケール8の『オッドアイズ・アークペンデュラム・ドラゴン』で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

フィールドに1対の光の柱が聳え立ち、オッドアイズの牛戦士と、『ペンデュラム』の名を冠するドラゴンが浮かび上がる。

 

「来るか…………?」

「これでレベル7のモンスターが同時に召喚可能!…………と言いたいところだけどまだお楽しみは先だよ!手札からフィールド魔法『天空の虹彩』を発動!その効果で、ペンデュラムゾーンのオッドアイズ・ミノタウロスを破壊して、デッキから『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』を手札に加える!そしてアークペンデュラムのペンデュラム効果!自分フィールドの『オッドアイズ』モンスターが破壊されたとき、手札、デッキ、墓地から『オッドアイズ』モンスターを特殊召喚できる!デッキから現れろ!幻想映す二色の眼!レベル7『オッドアイズ・ファントム・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・ファントム・ドラゴン 星7 ATK2500

 

「行くよ、ファントム!」

 

ファントムの背中に飛び乗り、断崖を駆け上がる。こうして高い場所から周りを見渡し、アクションカードを見逃すことが無いようにするためだ。

 

「─────さぁ、まだまだだよ!私は手札から魔法カード『オッドアイズ・アドベント』を発動!その効果で、フィールドのドクロバット・ジョーカーと手札の『オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン』をリリースし、儀式召喚を行う!二色の眼の竜よ!捧げられし贄を糧とし、大いなる大地を揺り動かせ!儀式召喚!現れろ、レベル7『オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン』!」

 

オッドアイズ・グラビティ・ドラゴン 星7 ATK2800

 

「そして手札からスケール1の『オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン』をセッティング!」

 

ミノタウロスが破壊されたことで欠けていた柱が再び現れ、二色の眼の竜が浮かび上がる。

 

「これでレベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!揺れろ、導きのペンデュラム!光のアークよ、我が未来を写し出せ!ペンデュラム召喚!現れろ、我に支えしモンスター達よ!レベル4『EMオッドアイズ・ミノタウロス』、『EMドクロバット・ジョーカー』!」

 

EMオッドアイズ・ミノタウロス 星4 ATK1200

EMドクロバット・ジョーカー 星4 ATK1600

 

フィールドに現れたのは、先ほどまでペンデュラムゾーンにいたオッドアイズの牛戦士。

 

「来たか、ペンデュラム…………それにペンデュラムの前にもここまで多様な展開を見せてくれるとは、恐れ入る。だが、オッドアイズ・ミノタウロスは先程破壊され、ドクロバット・ジョーカーは儀式召喚の素材になったはずだ。何故ペンデュラム召喚出来る?」

「ペンデュラムモンスターは、フィールドから墓地へ送られるとき、墓地へは行かずにEXデッキに表側表示で加わるんだ。そしてEXデッキの表側表示のペンデュラムモンスターは再びペンデュラム召喚出来る」

「成る程、ペンデュラムモンスターは何度倒しても甦る、か…………」

「そういうこと!さぁ、バトルだよ!ファントムでテムジンを攻撃!夢幻のスパイラルフレイム!」

「罠発動!永続罠『戦乙女の契約書』!その効果で、自分のスタンバイフェイズ毎に1000のダメージを受ける代わりに、私の『DD』モンスターの攻撃力は1000アップする!」

 

DDD烈火王テムジン ATK2000→3000

 

やばい、ファントムの攻撃力を越された!急いでアクションカードをゲットし、デュエルディスクに叩き付ける。

 

「ファントムを対象にアクション魔法『奇跡』を発動!ファントムは破壊されず、ダメージは半分に!っぐぅ……」

 

ユウカ LP4000→3750

 

それにしてもまたスタンバイフェイズにダメージを受けるカードか。これで4枚、つまり零児くんは次のスタンバイフェイズに4000のダメージを受けることになるが、そんな戦術ミスをするとは考えにくいので、恐らく回避する方法があると言うことだろう。3000ダメージならあるいはと思ってグラビティの効果を発動しなかったことが裏目に出たかもしれない。

 

「私はこれでターンエンド……」

 

ユウカ 手札0 LP3750

 

「私のターン!スタンバイフェイズに各種『契約書』のダメージを受けるところだが、ここで罠発動!『契約洗浄』!『契約書』を全て破壊し、1枚につきカードを1枚ドロー、LPを1000回復する!──────契約は破棄された」

 

零児 手札0→4 LP4000→8000

 

「…………わぁお」

 

なんというぶっ壊れ性能。カテゴリーに限定されるとはいえ、あまりにもキチガイすぎる。やっぱミスったな。LP8000とかもう笑えないんですけど。

 

「そして、ドローフェイズでもう1枚ドロー」

 

零児 手札4→5

 

「さて、私は手札から『DDナイト・ハウリング』を召喚」

 

DDナイト・ハウリング 星3 ATK300 チューナー

 

フィールドに現れたのは禍々しい獣の大顎。悪魔族ならではでデザインがいつも仰々しい。

しかしチューナーか。今度はシンクロ召喚か。魅せてくれるね。

 

「ナイト・ハウリングの効果!墓地から『DD』モンスターを1体特殊召喚する!甦れ、『DDリリス』!」

 

DDリリス 星4 ATK100

 

「私はレベル4のリリスにレベル3のナイト・ハウリングをチューニング!闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て、新たなる王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ、レベル7『DDD疾風王アレクサンダー』!」

 

DDD疾風王アレクサンダー 星7 ATK2500

 

「そしてテムジンの効果!フィールドに『DD』モンスターが特殊召喚されたとき、墓地から『DD』モンスターを特殊召喚する!再び甦れ、『DDリリス』!」

 

DDリリス 星4 ATK100

 

「そしてアレクサンダーの効果!『DD』特殊召喚されたとき、墓地からレベル4以下の『DD』モンスターを特殊召喚する!甦れ、『DDバフォメット』!」

 

DDバフォメット 星4 ATK1400

 

凄まじい展開を見せてくれる…………これでフィールドにはレベル4が2体。ということは恐らく…………

 

「私はレベル4のリリスとバフォメットでオーバーレイ!この世の全てを統べるため、今、世界の頂きに降臨せよ!生誕せよ、ランク4『DDD怒濤王シーザー』!」

 

融合の烈火王。

シンクロの疾風王。

エクシーズの怒濤王。

フィールドに三種類の召喚法のモンスターが並ぶ。

デュエルはまだまだこれから。

 

 




今回のデュエルの流れは遊矢vs零児の最初のデュエルのパクリです。



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