あなたがいるから、わたしがいるから (鎌寺正一@D-Alderz/神咲ハルカ)
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あなたがいるから、わたしがいるから

どうも、鎌寺正一です。
今回はたまたま執筆小説に残ってた物を少しだけ修正して、このまま放置するのも後味悪くなったので出してみました。
字数はいつも通り少ない、とても目に入れられるようなものでは無いことは重々承知ですが、それでもいいよと言ってくださる方はこのままご覧下さい。

なんでこんなもん書いたんだとか言う方はどうぞお目に入れないことをオススメします・・・駄作が過ぎるので・・・

あ、誤字報告はお願いします。
たまに誤字ってる事があるので。


暑い夏の日。

蝉の声が響き渡る炎天下のアスファルト。

私と彼は2人、歩道を歩いていた。

 

「今日はどこいくの?」

 

彼が言う。

心做しか浮かれてる。

 

「・・・買い物の荷物持ちを手伝ってもらうだけ。それ以上でもそれ以下でも無いから」

 

私がそう呟く。

車道では、多くの車が行き交い、結構ガス臭い。

隣を、大型トラックが騒音を立てて通り過ぎる。

 

「でも、君と出掛けたこと、あんまり無かったから楽しみなんだー!」

 

「・・・そう・・・」

 

無邪気そうに言う彼に、私はそう言った無愛想な返事しか返せない。

たまに、私の頭に過ぎる、彼の姿。

 

見るも無惨に引き裂かれた、彼・・・

 

「・・・っ!!」

 

不穏なイメージを、私は頭を振りかぶって払拭する。

 

「そう言えばさ・・・・・・」

 

そんな私を気にも止めない彼は自分の話を進める。

その横顔を、私は見ないふりをしながらただ、歩道を歩いていく。

 

その時だった。

 

「・・・?」

 

風が啼いた。

その音にふと足を止めてしまった私。

それが行けなかった。

 

「っ!?」

 

トン、と後ろに押される感覚。

体が傾き、私を押し出した男の子と空を見れるような形になった時、ソレは見えた。

 

沢山の工事に使う鉄骨が、彼に降り注ぐのを。

 

轟音、騒音。

 

けたたましいセミの鳴き声と、音が鳴り止んだ世界に1つ、紅い華が咲く。

 

やがて、状況を理解したくない私の耳に、劈くような悲鳴が、否が応でも入ってきた。

 

理解したくなかった。

 

「・・・ーーー。」

 

目に入れたくなかった。

 

「・・・ぁ・・・っ・・・た・・・」

 

聞きたくなかった。

 

「・・・よかった・・・ーーー・・・。」

 

受け入れたくなかった。

 

「・・・いやっ・・・いやぁぁぁっ!!」

 

目を閉じ、動かなくなった彼を見て、私は絶叫する。

目の前に突き刺さる鉄柱に、血の臭いが充満し、私を現実へと突き落とす。

 

「うそ・・・嘘だと言ってよ・・・っ!!そんなとこで寝てないでさぁ・・・っ!!」

 

必死に彼を起こそうとする。

それでも、彼は動かない。

頭の片隅では分かってた。

もう、彼は目を覚まさないと。

 

「いやぁぁぁっ!!」

 

大きく絶叫したところで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ・・・・・・はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・・・・」

 

目が覚めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月15日。

私は決まって夢を見る。

悪夢と言っても良いほどの、恐ろしい夢。

 

毎日、繰り返し、夢を見て。

大体が、楽しそうに笑う彼が死ぬ夢。

だから、私は。

 

「ダメだっ!ーーーっ!?」

 

彼の静止を無視して、赤信号へ飛び出した。

迫り来るトラック。

私はその迫る巨体に少しだけ顔を向けながら・・・

 

「・・・よかった・・・」

 

自分らしくもない、微笑みを・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那、交差点にひとつの赫が咲いた。

鋼の巨体からのガス、衝突による騒音、血飛沫の色。

少女の・・・幼い女の子の優しい香りと・・・サビ鉄の様な鼻を裂く匂いが混ざり合い・・・

 

そこで少年は、ゆらりと揺らめくヒトカゲを幻視する。

 

「これは夢だ、嘘だ」と嘆く少年に、そのヒトカゲは無情にも

 

「嘘じゃあ・・・無いぞ?」

 

と、嗤っていた。

 

受け入れたくない現実が少年の頭を駆け巡り、受け入れたくないが故に意識が朦朧としていく中

 

「・・・ーーーっ・・・」

 

花を咲かせた少女の横顔は・・・笑っているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『・・・繰り返した、なんども。

あいつが私を助けようとしてくれてたのも知ってるし、なんども私に手を差し出したのも知ってる。

でも、その手を振り払ったのは私だ。

 

だから・・・私はあいつにだけは幸せになって欲しい。

もういない私が願える、最後の思い。

 

永遠に醒めることの無い・・・繰り返す悪夢を代償とした、私のエゴが生み出した願い。

 

あぁ・・・でも・・・最後に・・・あいつと・・・もう一度・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

買い物、行きたかったなぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 




もう時期夏ですね・・・
久方ぶりに執筆してみようかとこれを見て思い始めた今日この頃。
でもまた批評で押しつぶされるのが目に見えてるから、執筆小説の残ってるのを出したら本当に活動を停止しようかと考えてます。
もちろん全て短編で、続きを書くことはありません。
昔の私は無知過ぎたんです・・・・・・

それでは長くなりましたがこのあたりで失礼させていただきます。
お目汚し、本当に失礼致しました。


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君のいない世界で、僕のいる世界が・・・

少しだけ、ほんとに少しだけモチベが戻ったので書いてみることにしました。
こんな小説に需要なんてほとんどないでしょうけど・・・。

それと、独自解釈独自設定が目立ちます。
それが嫌な方は今すぐブラウザバックを。
気分を害されても私は一切の責任を持ちません。
それでもという方はどうぞ、下へスクロールしてください。

なお、気分を害されたからと言って批判は受け付けませんのであしからず。
もう一度言いますが責任を持ちません。
自己責任でお願い申し上げます。


「・・・ヒヨリ・・・」

 

 僕は夜の公園でブランコに乗っていた。

 大都市に来て3日。

 初日は僕の憧れの子、ヒヨリの荷物持ちとしてあちこち回っていた。

 電車に詰め込まれたり、ヒヨリとの会話中に車の煙で噎せたり。

 ケータイ電話をヒヨリが見に行くって言ってくれた時はものすごく喜んだ。

 でも、そんな幸せは直ぐに壊されちゃったんだ・・・。

 

 僕と彼女を、1台のトラックが轢いたんだ。

 咄嗟に彼女を庇おうとしたけど、さすがに間に合わなかった。

 共々もんどり打って痛みを感じた次の瞬間・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ()()()()()

 ベッドで寝ていたんだ。

 

 今のは、夢なのか・・・

 

 随分嫌な夢だ。

 

 そう思いながらその夢を忘れて、()()()()()()の時計を見て慌てて外にとび出たんだ。

 

「ゴメンっ、ヒヨリ!」

 

「遅い。何やってたのよ・・・」

 

 呆れためで僕を見るヒヨリ。

 萎縮しながら謝ると許してくれたのか、

 

「・・・ま、今日はせいぜい宜しくね、荷物持ちさん」

 

 と、振り返ることなく都市を進んでいった。

 

 少し歩くと公園と黒猫が見えた。

 

「・・・猫・・・」

 

 ヒヨリはその猫を抱えると、公園のベンチへ腰をかけた。

 僕もその隣に座る。

 

「・・・暑いね・・・」

 

「まぁ、夏だしね・・・暑いものよ・・・」

 

 僕ら2人は汗をかきながら会話する。

 今思えばなんで店に入らなかったんだろ、僕達。

 

「でも、僕は夏が好きだよ」

 

「私は・・・嫌いかな・・・」

 

 その時のヒヨリの表情は僕には読めなかった。

 けど、今ならわかる。

 きっと絶望してたんだ。

 

「・・・あっ・・・」

 

 黒猫がヒヨリの膝から飛び出し、公園を出ていく。

 ヒヨリはその後を追って駆けだしていく。

 それを見た僕は猛烈に嫌な感じがして慌てて走り出した。

 

 嫌な予感ってほんとに当たるんだね。

 

 猫と彼女が向かう先には赤信号。

 猫に至っては飛び出ている。

 

「ダメだっ!ヒヨリっ!?」

 

 僕が手を伸ばして叫ぶ。

 でも、僕の声が届く前に・・・

 

「・・・ーーーー・・・(ノイズ音)」

 

 彼女は・・・

 

「ヒヨリ・・・っ・・・!?」

 

 赤信号に・・・

 

「・・・かふっ・・・」

 

 飛び込んでしまった。

 

「ヒヨリぃぃぃっ!!」

 

 目の前が鮮血で染まり、宙を舞う彼女の体が彼女の香りと鮮血の匂いを振り撒く。

 その匂いは混ざり合い、なんとも言えない不快な匂いに変貌し、僕は思わずむせ返った。

 

「ぐっ・・・ヒヨリ・・・ヒヨリっ!」

 

 轢いたトラックはどこかへ行き、道路に倒れてる彼女を僕は抱えた。

 

「・・・ヒビヤ・・・よかった・・・」

 

 弱々しく微笑む彼女は、すぐに目を瞑って醒めない眠りに着いてしまった。

 

「嘘だ・・・これは・・・夢なんだ・・・じゃなきゃ・・・彼女が死んでいいわけが・・・」

 

「残念だが、これは現実だよ、雨宮響也。嘘じゃぁ、ないよ」

 

「っ!?」

 

 抱えて涙を流していると、突然目の前から声が聞こえた。

 咄嗟に顔を向けるとそこには揺らめくような僕もおなじ体の人物が、嫌に顔を歪めながらこっちを見ていた。

 

「・・・お前は・・・」

 

「彼女の命を奪いに来た死神って所かな。まぁいいや、なんでも。こっちはやることはやったし、彼女の願いも叶えた。俺にはやることは無いな」

 

 意味のわからないことを言うそいつに問いただそうと睨みつけた。

 

「待っ、待てっ!!うぐっ・・・頭がぁッ・・・!?」

 

 途端、頭が割れるような痛みに襲われた。

 目の前が歪み、そいつの顔も見れなくなった。

 セミの音と炎天下の青空が混じり合い・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・!!」

 

 気がつけばまたベッドで寝ていたんだ。

 ベッドと寝巻きは汗でぐっしょり。

 息も荒い。

 

 でも、()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 思い出せないんだ。

 

 そんなこんな考えているうちに。

 

 気がつけば

 

「でもまぁ・・・夏は・・・嫌いかな・・・」

 

 あの公園にいた。

 僕はすぐに行動に移った。

 彼女の腕をつかみ、公園を強引に飛び出る。

 

「なっ、何すんのよ!」

 

 後ろで彼女が怒って話しかけて来るけど、それすらお構い無し、彼女を生かす方法だけを考えていた。

 そして、公園を出て歩道を歩いていたその時。

 

 突風が吹いた。

 

 少し強かったから立ち止まって顔を腕で覆ったんだ。

 そしたら・・・

 

「ヒヨリ?」

 

 突然彼女が走り出して、目の前にとび出ていく。

 

 そのすぐあと・・・

 

 轟音と共に鮮血が舞った紅い華が咲いた。

 

 先程までの轟音はなりを潜め、風鈴の音と遠くから聞こえる蝉の声が、公園脇の並木の隙間を埋めてから回っていく。

 

「ヒヨリぃぃぃっ!!」

 

 沢山の鉄骨に串刺しにされた彼女は、貫かれた体から紅い華を綺麗に咲かせた。咲かせてしまった。

 

 僕は、目の前の光景が信じられなくて。

 

「・・・そうか・・・これは・・・夢なんだ・・・」

 

 伸ばした手をだらし無く落とし、ふと顔を上げるとそこには紅い僕が。

 

『夢じゃないぞ?』

 

 紅い僕は嗤いながらそう言った。

 

 そいつの笑い顔になんにも考えられなくなったのか遠のく意識。

 その閉じてく視界に捉えた君の横顔はどこか・・・笑っているような気がしたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8月15日。

 

 決まって、夢を見る。

 

 彼女が死ぬ夢を。

 

 でもこんなに繰り返すのなら。

 

 本当の答えは一つだけなんだよ。

 

 そうと分かれば。

 

 僕は。

 

 

 

 

 

 

 

 目の前に彼女がいる。

 信号は赤。

 視界右端にトラック。

 手を伸ばせば届く。

 

 

 

 

 

 

 

「ヒヨリっ!」

 

「っ!?」

 

 届いた手を掴んで引き戻す。

 すれ違いざま、僕は体を反転させる。

 彼女を引き戻した時、僕の体は道路に飛び込んだ。

 後ろに飛ばされた彼女は、今にも泣きそうな顔で僕を見ていた。

 そして・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 紅が咲く。

 狂い咲く。

 

 

 

 

 

 

 

「ざまぁ・・・みろよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「ヒビヤぁぁぁっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 8月15日。

 

「・・・また、ダメだったよ・・・」

 

 少女はベッドで猫を抱き抱え泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 8月18日。

 

「・・・必ず、助けるんだ・・・」

 

 少年は、月に向かって叫んでいた。

 

「・・・やってやるさ・・・っ!」

 

 カゲロウデイズ(繰り返す悪夢)は、また繰り返す。

 悪夢が終わるその時まで。



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全ての終わりが、願いの世界で・・・

どうも、鎌寺正一です。
お久しぶりでございます。
今話は蛇足になります。
2人がカゲロウデイズを抜けたあとの話。
そして後書きに少しだけ解説を入れようと思います。
解説らしい解説になるかわかりませんが読んでいただけると幸いです。



わーにんぐっ!
今回は完全に蛇足回です。
ブラウザバック推奨です。
それでも観るって言う方は・・・どうぞ、覚悟を決めてご覧下さい

例のごとく批判は受け付けません。
読むのは自己責任でどうぞ


「・・・ヒヨリ・・・帰ろう?」

 

「・・・全く・・・そういう所よ・・・バカヒビヤ・・・っ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月16日。

 

「・・・昨日は・・・散々だったね・・・」

 

「・・・そうね・・・」

 

2人の少年少女が、夕焼けを背に歩いていた。

 

「・・・でも、良かったよ・・・僕達・・・無事でさ・・・「いいわけ無いじゃないっ!!」・・・ヒヨリ・・・?」

 

突然大声をあげる私。

 

「・・・あなた・・・心が・・・死んじゃったじゃない・・・」

 

そう、ヒビヤの目は何色も映さない濁った黒色へと変色してしまっていた。

 

「・・・それでも・・・僕はそれでいいって思った。僕の感情が代償で君を救えたなら、それで。」

 

虚ろな目には何も映らず、それでも強い意志を感じ取ることが出来た。

 

「でも・・・目も、見えてないんでしょ・・・?」

 

目に光が映らないのは、そういう意味でもあった。

彼の目は、風景をも映さなくなっていた。

 

「ふふ・・・君の命には、変えられないからね・・・」

 

くすり、と笑うヒビヤ。

その姿が、とても儚くて・・・私には、眩しく見えた。

 

「・・・まったくもう・・・バカヒビヤ・・・」

 

気がつけば私は目の前がぐにゃりと歪んでるのに気がついた。

 

「・・・ヒヨリ?」

 

「・・・うんん、なんでもないわ」

 

それが涙によるものだと気がつくのに少し時間がかかった。

少しだけ漏れた嗚咽に気が付かなければ涙を流してたなんて気が付かなかったでしょう

 

「・・・ヒビヤ・・・ありがとう・・・」

 

「・・・どういたしまして」

 

そんな私たち二人を夕日が照らす。

水平線の向こう側、蜃気楼が見える辺りで2人のヒトカゲが仲良く手を繋いでいるように見えた。

1人は紅く、1人は蒼く。

まるで、私たち二人を写すかのように歩く2人は・・・

瞬く間に揺らぎ消えていった。

 

それが私たち・・・いや・・・

 

()()()()()()()()()()()()()

 

仲睦まじげに歩いて消えていくカゲロウたち。

消えかけた片方のカゲロウが、その時ふと振り向き・・・

 

 

笑った。

 

 

それはもう綺麗に、奇麗に。

 

「・・・ヒヨリ?」

 

「・・・なんでもないわ」

 

しばらく声を失ってその様子を見ていた私を訝しげに見ながらヒビヤが声をかけたから、私は頭を振り目を閉じでなんでもないと告げる。

再び目を開いた時には憎いくらいの眩しさを放つ夕焼けの太陽と何の変哲もないいつもの風景に戻ってた。

 

私はヒビヤに気づかれないよう前を向いて。

確りと足を踏み締めて。

今、生きていることを実感して。

 

「さぁ、帰ろう?」

 

「・・・うんっ!」

 

わたしとヒビヤは笑った。

屈託のない、綺麗な笑顔で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これもまた、ひとつの結末。

本来有り得なかった特殊な結末。

私ですら予測できなかった、幸せだけど悲しい結末(トゥルーエンド)

でもこれだと、みんなに出会わない。

だから、この結末は受け入れられない。

 

・・・それでも、夢見るくらいは、いいよね?」

 

夕焼けの時計塔。

赤いマフラーをまいた少女が、1人、夕焼けを背に涙を流す。

 

「きっと・・・恨まれちゃうな・・・」

 

閉ざされた目が開き、赤く光る。

涙は止まらない。

彼女の、心を代弁するかのごとく。

 

「・・・さ、これでこのお話は終わり。

みんなはいつかこのお話を忘れちゃう。

だから、私だけは語り継いでいくの。

 

違う世界線の、語り継がれなかったお話(エクストラストーリー)を・・・」

 

時計塔から、影が消えた。

そして、その時計塔の時計が、とある時間をもって止まる。

もう二度と、その針は動かないーーー




こんにちわ、こんばんわ。
作者の鎌寺正一です。
これにて短編「あなたがいるから、わたしがいるから」はおしまいとなります。

軽い解説。

1話
ヒヨリ視点でのカゲロウデイズ。
本来のストーリーとなるべく沿うように執筆致しました。
実は既に冒頭からカゲロウデイズに入ってしまっています。
ですが、2週目なのでまだ気がついてないという設定です。
そしてヒビヤに庇われた結果、一回目を思い出し発狂。
現実を受け入れられずにまた繰り返してしまったわけです。

そして、そのあと何回も何十回も何千回も繰り返して、ヒビヤを助けるためだけに自らの命を投げ出す覚悟を決めました。

最後の一言は彼女の本音です。
何度も救われるうちに恋心を抱いてしまったようで、原作にはない一方的な心です。


2話はヒビヤ目線。
基本的に楽曲、カゲロウデイズに寄せて作ってあります。
ここでヒビヤが身代わりになった結果、カゲロウデイズから一時的に脱出してしまったと言うのがこの話の結末。

第3話、この話ですが・・・完全に駄文です。
まず、ヒビヤが代償を払ってヒヨリを生き返らせている点。
いや、どうやったらそんなの出来るんだよ・・・
本来の世界線ならば、コノハに取り付いていた冴える蛇にコノハが願ったからヒヨリが生き返ったのですが・・・

ヒビヤが払った代償は2つ。
ひとつは視力の永遠剥奪。
もうひとつが笑う以外の感情全ての剥奪。

これらを用いてカゲロウデイズそのものに願いをかけて全ての蛇から願いを叶えてもらった、という強烈なこじつけ設定。

絶対起こるはずがないものですが、例えばこんな設定でもいいんじゃないか、そんな世界線もあるんじゃないかという私の妄想が筆を動かせました。

そして最後にサラッと登場、アヤノ。
彼女はこの世界観では神の存在に等しく、ほぼ全知存在であると言える存在になってます。
だからこの世界、というセリフが言えるしストーリー、という言葉も使えます。

最後にこの世界の時計塔が止まりました。
世界の針が止まる、それはつまり世界の時が止まることと同義。
・・・ここまで言えばヒビヤとヒヨリがどうなったか、分かりますよね?
・・・わからないです?やっぱヒントが少なすぎました?

ヒビヤとヒヨリの世界は永遠に凍結、二度と時を刻むことは無いのです。
ヒビヤとヒヨリはもう二度と動けない、考えることも出来ない。
世界の針が止まる、とはそういう事なのです。

と、ここまでが全容となります。
3話はほんとに蛇足なので正直書かなくてよかったかなと思ってますが、もし気に入ってくださればうれしいです。
文字数が全体的に少ないのがなぁ・・・
まぁその辺はおいおい頑張っていきます。
それでは皆様、また逢う日まで!


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EX 俺はどうして、こうなったんだろうか。

書くつもり無かったのにできた何か。
また8月15日ってことで書出しました。
今回はシンタローメインでかつ、アニメ版を参照にしており、鎌寺ワールドが炸裂しております。
意味がわからないとは思いますが私もよくわかっておりません。
この事で作者に問い合わされても一切の問答は出来ませんのでご了承ください。

(分かりにくかったら教えてね(矛盾))

それでは、夏を、どうぞ!


いつからか、俺は毎日に既視感を持っていた。

 

毎日知ってることを教えられ、テストは満点。

周りは俺の事を天才と口を揃えて言うけれど、俺自身、そんな事は無い。

知らないことがあれば覚えられない。

 

あくまで、知ってる事だから答えられるだけ。

 

「・・・」

 

今日もいつも通り、知ってる毎日。

つまらない。

 

『ふふ♪また100点なんだね♪』

 

夕焼けに染る路上。

1人で歩くアスファルト。

 

『え?なんでいつもマフラーをつけてるのかって・・・?主人公みたいでしょ?♪』

 

暑く、熱く。

焼かれた道上を俺は今日も歩いている。

 

『・・・そっか・・・私は・・・』

 

橋の上。

俺は沈む夕日を睨みつける。

 

『・・・今度は、手を振り払わないでね・・・』

 

手が届かなかった。

いや、意図的に避けてたんだ。

 

その結果。

 

アイツは死んだ。

全部、俺のせいだ。

 

『もう、シンタローっ・・・!』

 

アイツの笑顔が頭から離れない。

どうしても、罪悪感が無くならない。

当たり前だ。

俺はあいつを、見殺しにしたんだから。

 

『・・・シンタロー・・・ごめんね・・・』

 

・・・くそっ!

 

燦々と照りつける太陽が、俺の顔に影を這わせていく。

散々になった思い出と、アスファルトに影が這って行く。

 

そして今日も、俺は・・・オレは・・・。

 

「・・・さみぃ・・・」

 

独りごちるしかないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8月15日。

俺はいつも夢を見る。

あいつを助けられず目の前で喪う、そんな夢を。

 

『・・・あはは・・・私、死んじゃった・・・』

 

真夏の夕暮れの教室。

決まってあいつの亡霊はそう言う。

 

『ごめんね・・・さようなら、しようか・・・』

 

ーーダメだ、行くなっ!

 

そんな声も届かずあいつは瞬きした間に消える。

伸ばした手が掴んだのは虚空で、あいつを捉えることなんて出来やしない。

悔しかった。

あいつの思いに気がつけず、のうのうと生きてきた自分に対して。

苦しかった。

あいつがどんな思いで命を絶ったのか。

俺にはわかった。

わかってしまった。

 

あいつがどうして、涙を流して()()()()()()()()()()()

 

()()()()()()()()()()()()()()()んだ。

 

漸く、だけどな。

 

『次こそ、手を払わないでね。』

 

・・・当たり前だ。

もう離さない。

俺には、あいつしか居ないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全部忘れてしまった。

思い出したのが遅かった。

何のための赤い目なのか。

マリーは泣き、キドとセトは倒れ伏し、カノは呆然としてる。

俺は口から血が出てるしモモは瓦礫の下敷き。

ヒビヤは俺が庇ったから無事だが・・・やべぇ。

俺の腹に鉄骨が刺さってる。

 

・・・モモは無事だったみたいだ。

なんとか瓦礫の隙間から出てきたのを見つけた。

 

「・・・お兄ちゃん!?」

 

モモが駆け寄ってくる。

多方、俺の血を見て慌てたのだろう。

 

「・・・モモ・・・わりぃ・・・しくじった・・・」

 

「しゃべらなくていい!死んじゃう!」

 

・・・モモ・・・わりぃ・・・

 

「間に合わねぇ・・・話を、聞いてくれ・・・」

 

「いやだっ・・・死なないでよ・・・!」

 

後ろで高笑いしているクロハ(コノハの黒いバージョンだからクロハ)を横目に、俺は最後の力を振り絞ってモモに伝える。

 

「・・・気づくのが遅くて、ゴメンな・・・」

 

冴える蛇の思惑を思い出していれば・・・こんな事にはならなかった。

 

「おにい、ちゃん・・・?」

 

この最後の光景を俺は()()()()()()()

二度と忘れないように。

 

「・・・モモ・・・お前だけでも逃げろ・・・あいつに、気づかれないように・・・今なら、まだ間に合・・・ぐぼっ・・・」

 

「・・・嫌だよ・・・お兄ちゃん・・・」

 

「行けっ、モモぉぉ!」

 

「・・・っ!!」

 

大粒の涙を流して去っていくモモ。

 

「・・・クハハハハ!感動のお別れだねェ?でも無意味さ・・・この世界は全て、カゲロウに埋まるのだからなぁ!」

 

・・・冴える蛇・・・

 

「・・・いまに、みてろ・・・いつかかならず・・・おれのへびが・・・おまえを・・・たおすぜ・・・」

 

薄くなる視界に、あいつの声が響いた。

 

『シンタロー、頑張って!』

 

・・・今度こそ、上手くやるさ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿な・・・お前は・・・どうしてお前が・・・!?」

 

「わりぃな・・・お前を止めるために、俺は何度も人生やり直してんだ。対策なんて、お手の物だ。」

 

青空の下。

冴える蛇と対峙する俺たちメカクシ団。

 

「くそっ・・・」

 

「それに、お前は蛇だろ?だったら足元のそいつの願いも叶えるよな?」

 

「・・・はっ!?」

 

咄嗟に下を向く冴える蛇。

地面にはクロハ・・・では無くコノハが映っていた。

 

『・・・あの子が、もう一度人生を歩めるように・・・。』

 

願いを聞いてしまった冴える蛇は猛スピードで贄にされていく。

 

「どうしてだ!?なんで、こんな・・・そうだっ!願いを!

俺の願いを叶えろぉぉ!!」

 

「そんなことしても無駄だ。蛇一体につき願いはひとつまで、だろ?」

 

そう言っている間にも冴える蛇は水面へ沈んでいく。

そして・・・完全に沈みきった蛇の格が、水底で弾け崩れた。

 

「・・・ようやく・・・終わらせた」

 

犠牲も大きく、大変だったけど・・・。

これで、ようやく・・・。

 

カゲロウデイズが、終わったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は沢山の未来を見てきた。

俺が死ぬ未来。

仲間が死ぬ未来。

何一つ救えなかった世界。

 

けど、今俺がいる場所はその全ての世界の結末とは違う結末になった。

 

今までは18歳の8月15日には死に、記憶を受け継いで来た。

それが今は18歳の8月30日。

 

もうすぐ、夏が終わる。

 

「シンタロー!早く行くよー!」

 

「おう、ちょっと待ってくれ」

 

そろそろアヤノが煩いから行かないとな。

 

まぁ、なんだかんだ言って俺は。

 

夏が大好きだーーーーー



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