我、島田流ノ息子ナリ (超甲形巡洋艦)
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プロローグ

どうも探偵のLです
この作品は私が読んだ純情戦車道、もといサクラメッセージと言う小説がこの作品のきっかけです
似たような作品を書くと言うのは許可を得たので悪しからず


 

意識が戻ったら、そこはとても狭くてとても暗い場所だった。その中で思い出すのは産みの親、実の姉からの罵倒、暴力、熱湯風呂(ダ◯ョウクラブのではないマジのやつ)反対の冷水風呂、そして無理やり口の中に押し込まれた最早ゴキ◯リですら食べないであろう残飯の糞みたいな味、自分は今、どこに居るのだろう

 

~彼の日常~

毎日、毎日、仕事、家事、学校でストレスの溜まった家族からの虐待、暴言の日々、風呂に入れて貰えたとしても、沸騰仕掛けた熱湯、キンキンに冷えきり氷が浮いている水、その上体は力を込めて硬い金属タワシで削られ、沸騰したお湯を飲まされる

母「お前が全部悪いんだ、女じゃないから」

 

そういってバットで殴られその辺に血が飛び散る

 

主人公(なんで?) 

 

姉「お前は屑だ、生きる価値もない社会の塵だ」

 

殴られ、蹴りつけられ、踏みつけられ、

 

主人公(どうして?)

 

父「まただよ、お前のせいで仕事でへましちまったじゃねえかどうしてくれるんだ」

 

鞭で叩かれ、鉄パイプで刺され、ナイフで切りつけられる

 

主人公(どうして、僕は、)

 

(コンナコトヲサレナケレバイケナイノ、ネエダレカ、オシエテヨ) 

 

~そして時間は巻き戻る~  

 

主人公(ああ、僕はこのまま死ぬのか)

 

その時だった、彼の入った段ボールが開けられたのだ。太陽の光が彼を照らしている。彼が目を開けた先には箱の中の傷だらけの主人公を見て慌てて何かを操作する女性主人公の意識はここで途切れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

[島田千代side]

森の中の道を教え子達の指導を終えて帰っている途中、あからさまに不審感マシマシな大きな段ボールが置いてあった。これが延びたり、水でふやけていたら放置したのだが、それは厳重に梱包され、子供一人余裕で入るくらい大きく、綺麗だった。

開けてみたらその中には至るところに傷がある男の子直ぐに119で救急車を呼び、応急措置を取る。開けたときに少しだが意識はあったので生きている、今は意識が飛んでいるようだが心音が微弱だが聞こえる。体に付いている蟻とハエを追い払い、水筒の中の水をタオルに浸けて身体中の血を拭い取り、傷を綺麗に拭いていく。私が傷に触れるたび身体がビクッとするが、無視して傷を拭く。暫くしたら救急車のサイレンが聞こえたので、車は使用人に任せて子供と同伴する

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

[主人公side]

目が覚めたら、知らない場所だった。辺りを見回す。自分はベッドの上に居た。そしてらベッドの隣に白い髪の女の人が椅子に腰かけていた。話しかけようにも言葉が分からない。

「あら?目が覚めたのね」

 

女の人が話しかけてくる、返事をしようにもどう言えば良いのか分からない

「貴方、喋れる?」

 

「一応、すこし、話せる」

ほんの少しなら家族からの罵倒、暴言で言葉を覚えていた

「そう、お名前は?」

 

「...無い、分からない」

 

彼に名前は無い、正確には有るがその名前で呼ばれたことが無いのだ。

 

「ありがとう」

 

そう言って病室から出ていく。入れ違いに看護師さんが入ってくる、ここからのことはよく覚えていない

 



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主人公設定 そして、オリキャラ

今回は主人公の設定集になっています。話数が出るたび更新していきます
すこし、ネタバレを含みますのでご注意下さい。



名前・島田 衛一(しまだ えいいち)

 

性格・極度の人見知りからだんだん陽気に

 

容姿・少し顔に傷痕が残っており、顔立ちは一般的

頭の傷跡を隠すため髪は長く首下五センチ位、後で髪を纏めている。このために学校から許可を取った

 

簡単な身の上話・幼い頃、実の両親から捨てられ山中の段ボールの中で島田千代によって発見、そのまま島田家の養子となる

そしてプラウダ学園に進学、そこで色々あり戦車道に関わっていく

 

使用戦車・今のところ自分が一番好きな戦中戦車のT-44-100を使用予定

 

T-44-100乗組員

 

車長兼任通信手 波川 紅葉 (なみかわ こうよう)

 

大洗二年生

 

大洗に来たのは単純に近いこと、そして学費が安いことが決め手となった。

乱戦での指揮能力が高い。ただしあまり複数車両相手の指揮は得意でないため、基本的にみほから単機の駒として扱われる

結構滅茶苦茶な指令を出している。がそれに答えられている。各々の実力をきっちり把握しており、他の乗組員からの信頼は厚い

昔からエースコンバット等の戦闘ゲームをやって来た。理不尽な状況程、燃える

好きな事は、ゲームなど。今はHoi4にはまっている

 

 

操縦手、宮古 日向 (みやこ ひゅうが)

 

大洗二年生

 

大洗に来た目的は元女子高ということで可愛い子が居るだろうと言うこと、あと制服が可愛かったから。他の男子から『人類の天元を突破した変態』称される程の変態。その為あだ名は変態紳士。男子からは羨望の目で見られ、女子からは蔑まれ、軽蔑された目で見られる。

本人も全く隠す気がないため風紀委員に追いかけられる。

ただ、逃げ足はゴキブリ並みに高くこいつを捕まえられるものはいない

波川からの無茶苦茶な命令に答えるだけの操縦能力と風紀委員から逃亡する時に培った野生(変態)の感を持つ

好きな事、女の子をからかうこと(下ネタで)

 

 

装填手 早崎 蒼汰 (はやさき そうた)

大洗に来たのは学力のせい。昔から筋トレをしていて力が強く、無茶苦茶な命令に装填速度で答える縁の下の力持ち。スポーツ万能で、他の人に対しても、自分に対しても厳しく、妥協はしない。周りからのあだ名は『凶戦士(誤字ではない)』装填時間、大体10秒~8秒

好きな事。運動、スポーツ、筋トレ

 

砲手 島田 衛一 (しまだ えいいち)

 

物語の主人公、大洗に来たのは高校一年の時に起こしたある出来事が原因。悪魔的な思考回路を持ち、みほに隊長として推薦されるも、一試合、一つ新ルールを追加させるようなスポーツ精神?なにそれ美味しいの?的な作戦立てても良いならいいけど?、といった瞬間推薦が下げられた。ただ人一倍優しさは強く、人が傷つくようなことは滅多にしない。たまに気分が高揚すると暴走するあと、Hoiが上手い(原因は波川)

T-44 -100は私物で中学の卒業祝のプレゼント

 




もうお気に入りが二桁を越えたのか...
お気に入り登録してくださった皆様ありがとうございました。感想等も全て返信するので感想を下さい
お願いしますなんでもしますから(何でもするとは言っていない)


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第一話

どうも、もうお気に入り登録が30件を越えたことに驚きを隠せない探偵のLです。
本当にありがとうございましたっ!!

小説の中に出てくるお母さんはほぼこれから基本的に千代さんを指していきますご注意下さい


不思議な事が有る。あの女性、名前を聞いたら『島田千代』と言っていた。千代さんは毎日お見舞いに来てくれて、言葉や戦車道?と言うものを教えてくれた。

そして、退院する日なのだがあの家に最早居場所など無いだろう。

帰れたとしてもまたあの虐待の日々帰るのは嫌だ。そして今日もあの人が来た。

 

「おめでとう、今日退院なのよね?」

 

「はい、」

自分があの家に帰らなければいけないのか、そう思うとこのまま病院に居たいとおもった

 

「なら、提案なんだけど」

千代さんが一呼吸置くそして

 

「私の家族にならない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?」

凄く、すっとんきょうな声が出た

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は君の事を調べたのだけれど、と言っても名前が分からないから詳しいことは分からなかったけど、親御さんからいじめられていたんでしょう」

 

この時の僕は『いじめ』と言う言葉を知らなかったが何故かわかった、本能的に理解したと言うべきか。まあ分かった

 

「本当の家族の元に戻りたいのならそれでもいいのだけど、私の家に来ない?」

 

「・・・」コクッ

はっきりと覚えているのは黙って頷いた事だけだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

[車の中で]

病院を出た後、別の人が運転する車に乗っていた。それで千代さん・・・いや、お母さんの膝の上だったが

「不安かしら?怯えなくて大丈夫よ」

不安は無いと言ったら嘘になる。ただお母さんの膝の上に居ると安心する。

 

「そうだ!貴方年齢は?」

 

「分かんない」

 

「は~やっぱりか。予想はしてたけど・・・」

このあと戸籍が何とか、年齢が何とか、他の家族がどうとか言っていた気がするが難しく当時の俺には分からなかったらしい。だからなのかほとんど覚えてない

 

~島田千代side~

少し時間は遡る。大体病院から退院する前くらいかな?

(私は彼を養子として育てることにした。何故だからかはよく分からない。でも何か放って置けない)

千代さんは今入院している彼、後の島田衛一の事をある人物と重ねていた。

この事は衛一が知ることは無いだろうが。いや、有るかもしれないがそれはずっと先の話だろう。

私は今日も病院に行った。ここ毎日彼のお見舞いに行っている。

彼の体の傷の多さを見たら大人なら誰でも虐待を疑う。そして彼の家庭事情は大方予想が付く。

そして、彼をもとの家に帰したらどうなるかも。

 

~そして時は戻る~

「私の家族にならない?」

言った。言ってしまった。3日程しか会った事の無い人に『家族にならないか?』と言われたのだ。勿論断られる覚悟もしていた。

 

「へ?」

 

すっとんきょうな返事が来た。まあ無理も無いだろう。

提案、と言うよりも脅しに近いような感じだったが結果的に了承してくれた




難しい、書くのが。誰かネタをくれー
活動報告にネタを募集します


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第二話

もう、お気に入り登録が65件...ありがとうございます
m(_ _)m


~島田千代side~ 

(彼が、いえ、衛一がこの家に来て5日がたった。最近来客も多かったせいか、だいぶ知らない人に慣れたと思う。娘の愛里寿にも慣れてきている。と言っても愛里寿はまだ二歳だけども。)

ここで少しの身の上話、衛一は戸籍が存在しなかったため五歳ということに、そして誕生日は発見した日の5月9日という感じになっている。発見して病院に搬送後、警察に通報、警察は児童虐待の容疑で捜査をしているらしい。何度か家に警察の方が来て話を聞いていったが、まだ虐待の犯人の家族は見つかっていないらしい。

「母さん?どうしたの?」

 

「何でもないわ、それよりこの家には慣れた?」

 

「うん、けど広い。迷う」

 

「思ってたより他の人に慣れるの早かったわね」

 

「優しい人が多かったから。けど昨日来た西住さんは怖かった...根は優しい人だと思うんだけど...」

 

「(あら、この子よく人を観察してるのね)愛里寿はどうかしら?」

 

「可愛い妹かな。母さんは...優しいけど不思議な人」

 

「何か、素直に喜べない...」

 

「お兄ちゃん」  

 

「愛里寿?どうしたの」

 

「これ、」

愛里寿が小さな両手を差し出す。その手の中に高さが5センチ程の青く輝く透明な正八面体で透明な石があった

 

「石か?それにしては透明だし、青いな、母さん、これ宝石?」

 

「うーん、こんな石見たこと無いわ、宝石には独特の形が有るけど、カットしてあったらわからないし、それにしても綺麗ね」 

 

「お兄ちゃん、これ...あげる」

 

「え?くれるの?」

 

黙ってうなずく愛里寿。

 

「ありがとう、愛里寿。でもこれ何処にあったの?」

 

「えっと、お庭の池の中にあったの」

 

「庭?何でそんなところにあるのかしら?」

 

「母さん、誰か最近庭に入ったお客さん居ない?」

 

「うーん?居ない筈よ」

 

「いろいろ変だけど、まいっか。ありがとう。大切にするよ」

 

「うん!」

 

「(この感じなら大丈夫そうね)」

 

 

~主人公、もとい波川衛一side~

突然だが時間は昨日に巻き戻る

「(母さんの昔からの親友だと言っていた西住しほと言う人が訪ねてきた。僕がらみの事らしい)」

 

「それで、警察も詳しい身元は分かっていないんですね」

 

「警察のでーたーべーす?でも分からなかったそうよ。警察の方も、『虐待を受けていたのは確かだろう』と言っていたし、それに...」

 

「彼を、あの人と重ねてしまったんですね。容姿が似ているので分からなくもないですが」

 

「(あの人?誰だろう?お父さん?でも...顔似てないからなぁ)」

 

「彼を育てるのはまあ、良いでしょう。本人もそれを望んだんですし」

 

「うん、どうせ帰っても殴られるだけだし」

 

「千代、この子本当に五歳ですか?」

 

「うーん、どうだろう...医者がそれくらいだと思うって言ってたから。」

 

「身体はともかく、精神年齢は高いみたいですね」




さて、無駄に精神年齢が高いことが発覚した主人公。まあ、これに意味はほぼ無いのですが。 
愛里寿が拾ってきた石で後々大変な事になります。それも結構後の話


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第三話

どうも、探偵のLです
今回は少し時間が飛びます。大体小学三年くらい

軽い登場人物説明
新津先生・・・小学校の女司書、学校内で一番仲が良い先生

使用人さん・・・愛里寿が産まれたときから居る女の人。趣味はお菓子作り


俺は本が好きだ。休み時間はずっと本を読んでいる。そして軽いガーデニング。

母さんに『庭の一部を好きにして良いわよ』と言われた。なので夏に向けて西瓜や胡瓜、向日葵を育てている読んでいる本は基本農業関係の本。読めない漢字は誰かに聞くそんな感じの日常を送って居た。放課後は基本図書室に居る

「新津先生、何か良い感じの農業本無いですか?」

 

「もうあらかた読んでるわよ。本を読むのは良いことだと思うけど、普通の本も読んでみれば?か◯◯つゾ◯◯とか」

 

「か◯◯つ◯◯リ、あれ面白くない。」

 

「うーん、なら羅生門でも読んでみる?」

 

「羅生門?」

 

「昔の本よ。でもちょっと難しいかも」   

 

「面白そう。読んでみたい」     

 

「え~、でも難しいからなー、前提としてぼくらのシリーズを読むことが最適か、」

 

「んな本ありましたっけ?」

 

「明日から出す予定だけど、まあ、ばれなければ良いでしょ」

 

「俺たちに出来ないことを平然とやってのけるッそこにシビれる!憧れるゥ!」

 

「よく知ってるわね、そんな言葉」

 

~帰り道~

帰り道、と言っても一緒に帰るような友達も居ない。

そもそも、家の回りには他の家が無い。警察の話では、本当の家族はこの辺に居ないらしい。居たら居たで俺が困るけど...

本を読み歩きながら、帰路につく。

途中爆発音聞こえるが慣れて気にならなくなったごくまれに砲弾が飛んでくるが気にしない。

 

~家~

「ただいまー」

 

「お帰り、お兄ちゃん」

 

「愛里寿、母さんは?」

 

「えっと、戦車に行った」

 

「生徒の指導中ね、了解。」

 

まあ、いつもこんな感じの会話が展開される

今は家に居るのはこの二人と使用人さんが一人だ

母さんは戦車道チームの指導、父さんは、知らん(仕事中です。内容?考えてないに決まっておろう)

 

「二人ともおやつですよ」

 

「はーい!今行きまーす。愛里寿、いくぞ~」

 

「うん!」

使用人さんはお菓子作りが得意らしい。週一位の頻度で作るそうだ。それで作った物をくれる本人に愛里寿が「食べないの?」と聞いたところ

「二人が美味しそうに食べているのを見ているだけでお腹が一杯です(変な意味はない)」らしい。

今日はマドレーヌだった。檸檬が練り込んであって少しの甘味と酸っぱさこれまた美味しい。・・・今度教わろうかな?

 

「美味しいですか?お嬢様、衛一君?」

補足だが、使用人さんの言葉で、お嬢様は愛里寿指している。衛一はお坊っちゃまと言われていたが、衛一が何か歯がゆいので衛一が頼んで衛一君と呼んでもらっている

 

「うん、美味しい」

 

「美味しいでふ。モゴモゴ」

 

「衛一君、口に物を入れながら喋らないの。はしたないわよ」

 

「ゴックン、ごめんなさい」

 

「よろしい」

 

こんな感じのやり取りをしながらおやつを食べ終えた後は部屋(和室)に籠り、本を狂ったように読む



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第四話

どうも、探偵のLです
今回、また時間が飛びます。
大体小学校終わった所ぐらいです
そして、最初は居酒屋での千代さんとしほさんのお話から始まります。
今回は衛一君の千代さん目線からの回想回です


~居酒屋~

しほさんと千代さんが呑んでいた

二人は結構な飲み仲間である。そして愚痴の言い合い

余談だが、ここに蝶野教官が入ると収集が着かなくなる

 

「で、衛一君の様子はどうなんですか?」

 

「別に、変わらないわよ~。ただ人見知りは治ってきたわね~」

 

「そうですか」

 

「ただねー困ったことが有るのよ。これに関しては嬉しいやら、複雑な心境ね」

 

「何がですか?」

 

「あの子、野菜育てることにのめり込んでるのよ。特に果物と西瓜とか向日葵とかその他季節に合うもの片っ端から栽培して、庭だけでは飽きたらず、使ってない演習場にも手を出し始めたから。部屋の中掃除してたら田んぼ作るための計画書まで出てくる始末で、既にこっちから手がつけられない段階にまで達していたわ」

 

「植物栽培ですか、確かに叱るようなことでも無いですし、かえって始末がつけられないですね。学校生活の方はどうだったんですか?」

 

「基本的に本しか読んで無いみたいってことを担任の先生から毎年聞いたわ。交友関係も皆無で、人見知りがまだ払拭しきれて無いのかもね。成績は真ん中より少し上。国語は学年でも高いらしいけど、友達の片鱗も見せないから心配されてるのよ」

 

「戦車に対して興味を持ったりしなかったんですか?彼は。むしろ持ってそうですが」 

 

「何回か見せたことが有るのだけど、あんまり興味無さそう。だけど武道には興味を持って、これやりたい!って言ってたのが有ったわね。確か弓矢で名前は...」

 

「弓道ですか?」

 

「そう!それ!正直弓道に興味を示すなんて思っても見なかったから、どうしたものかしらそれも近くに有る武道館に暇なときは行って弓道の見学しに行ってるから、あの子珍しく本気なのよ」

 

「そこまでするならさせても良いじゃ無いですか」

 

「ま〜そ~なんだけど~。やっぱりね。私としては戦車道やってほしいって、考えも有るのよ。」

 

「何事も強制させるのは良くないですよ。昔のことも有りますしね」

 

「そっちのまほちゃんとみほちゃんはどうなの?」

 

「特に変化はありません。進学は黒森峰中等部に行きますし、強いて言うならみほがおとなしくなった位でしょうか衛一は近くの中学校に行くんでしたよね?」

 

「ええ、本人がまだ人見知り残してて、「知り合いが居ない閉鎖環境に放り出されるのは勘弁してくれ」だって、本音は畑触りたいからだと思うけど」

 

「学校生活に問題がないなら学校行事なんかは特に何もなかったんですね」

 

「いえ、むしろ逆のような気がするわ」

 

「逆?」

 

「勿論目立ったことは運動会でも卒業式でもしてないと思うわよ。いや、卒業式はあったわ」

 

「一体何をやらかしたんですか?」

 

筆者<はーい回想入りまーす

 

ーーーーー

小学校六年の卒業式、衛一は体調を崩した。

具体的に言えば高熱、吐き気、頭痛等々。勿論千代さんもこれは不味いと学校に相談はした。学校からの返答は『来てください。何かあったときとために教員も近くに待機しているのでby 校長』と言うものだった。

「うえぇ頭が痛い。吐きたいけど吐けなくて気持ち悪い。体が重い言うこと聞かない」

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

 

「愛里寿か、伝染するからあんま近づいたら駄目だよウプッ」

 

「本当に大丈夫?衛一?端から見たら死にかけてるけど」

 

「来いって言うなら行かなきゃ駄目だろ。吐いても」

 

「学校では吐かないようにね。一応わたしも行くけど」

 

~学校、体育館~

無理矢理来たはいいもののやはり辛い。口から80cm嘔吐砲を撃ち出して周りに多大な(精神的)被害を出してしまう何としても阻止せねばならない

(ウエップ気持ち悪い。来賓の話長いタヒねば良いのに。吐きそう。むしろあいつらに対して吐きたい)

 

<卒業生、起立  バッ

卒業生が全員音を立てず素早く立つ衛一もやっとの思いで着いていく

 

<礼 ペコ イチ,ニ,サン

衛一(駄目だ。お腹揺らしたらなかも揺れる...)

 

<卒業証書 授与

 

順々に生徒が呼ばれ、卒業証書を受けとる

やがて衛一の番となった。

<島田 衛一

 

蚊の鳴くような声で返事をしてなるべく体調が優れないのを隠して歩きだす

階段を登り証書を受けとる

その時だった

(うっ、ヤバい今は不味い)

吐き気の波が襲ってきた

(ヤバいもうだめ)キラキラキリキラキラキラ

校長の目の前で吐いた

一部から悲鳴が上がった

 

そして衛一は後ろに倒れ、階段から落ちて気を失った

 

ーーーーーー

 

「ってことが有ったのよ」

 

「それは大変でしたね...」

 

「本当にね。慌てて教員が保健室に運び込んで、顔が面白いくらいに青かったからそのまま病院に直行したわ」

 

「さてとそろそろ良い時間ですし作者のネタも尽きたことですそろそろお開きにしましょう」

 

「そうね」

 




実は私が小学校の卒業式で体調を崩したのは実話だったりします。流石に吐いたまでは行かなかったんですが卒業証書を受けとる前に卒業式をリタイアしています。今となっては笑い話ですがね


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第五話

衛一は小学校卒業式で卒業証書授与の時に吐いて倒れると言うことをしでかしており、それなりに有名に成っていた言わずとも悪い意味で。だ

そして入学式を終えて二ヶ月の月日が流れた

相も変わらず本に入り浸っている衛一君。まだ人見知りは完全には抜けていないのだが裏では結構男子からも女子からも人気が高かったりする。

少し顔に傷が残っているが作りは悪くないため黙っていれば文学少年に見えるのだ。

 

給食を食べ終えた後はほかの人が食べ終わるのを待ってから全員で挨拶をしたあと昼休みになる

衛一は真っ直ぐ図書室に向かう。毎日のクラス内行事(笑)であり行かなかった日には何か大変なことが起きるのではないか?と言う噂が立っている

そして今日、図書室で待ち合わせをしていたのだが面倒な事が起こった。衛一は変わらず図書室までの廊下を歩いていた。人通り少ない廊下。大体端の方を進んでいたが対面から質の悪いことで有名な二年生三人が歩いている。そして衛一の肩にぶつかった。

A「痛って~~。これ折れてるわ~~。絶対脱臼してるは~~」

ぶつかった一人が喚く。一方衛一は無視し立ち去ろうとする

 

C「おいてめえどこ行くんだよ?」

 

「(チッめんどくせえ)何か用ですか?」

 

A「おい、今お前の肩がぶつかって脱臼したんだけどよ~どうしてくれんだ?」

 

B「そうだよな~。誠意を見せるべきだよな~」

 

C「それに先輩に対する敬意もなってないよな?」

 

「(図書室に行かなけりゃあの人が来るだろうし少し遊ぶか)スミマセン ワタシニホンゴワカンナイネー」

 

B「てめぇなめてんのか?ああん?」

 

「トイッテモワタシネッカラノロシア人アルヨ」

 

C「色々混ざりすぎだろ取り敢えず舐めてんだな?」

 

「Exactly Дурак и(そのとおり 馬鹿共)」

とっさにと英語とロシア語をひねり出す

 

A「ああ?何て言ってやがんだ」

 

「英語でexactlyはそのとおり 次二つのロシア語で馬鹿共」

 

A「ほうてめぇ痛い目に遭いたいらしいな。ならお望みどおりにしてやるよ」

 

「(広辞苑か六法全書借りとけばよかったな)」

心の声で何をしたいのかわかる

 

B&C「「死ね!!」」

殴りかかってくる三人組。それを見て衛一は「何だ直線的で遅い弾だな」と思った愛里寿の戦車道の練習に付き合わされ、近くから飛び交う砲弾を見ていた衛一にとっては止まって見える。つまり回避は余裕

ひょひょいのひょいと避けまくる。

A「くそっちょこまかと」

 

「お。そろそろ来るかな?」

 

B「あ?」

 

その時曲がり角から一人の生徒が歩いてきた

「おい衛一いつまで待たせる気だ?」

 

「あ。郷地さんわざわざ来てもらってすいません」

最中和 郷地(さなかわ ごうじ)この学校の図書委員長兼臨時生徒会長だついでに弓道部部長。生徒会長が転校、副会長が骨折で入院してるためこうなっている。生徒からも教員からも信頼が厚い。

数々の暴力沙汰を起こしているのだが、痴漢を締め上げたり、引ったくりを捕まえたりとその内容は良いものである。おまけに成績も優秀でありまさにリアルチート

「おうおう、どうした衛一」

 

「いえ、絡まれてるだけですご心配なく」

 

C「おん。・・・」

 

さんにんは、いちもくさんににげだした。しかしにげたさきでかいだんからおちてしまった

 

「すいません郷地さん。郷地さんの読みたいって言ってた本、家に有ったので持ってきました」

 

「済まねえな恩に着るよ」



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プラウダ学園編
第六話


どうも、探偵のLです
前回の三バカは郷地さんによって無事にしばかれました
いきなりですがまた時間が二年ほど飛びます
ちなみに郷地の歳は衛一の一つ上です


中学三年生の秋。衛一は弓道部部長を担っていた。おまけに二年間の県弓道大会で個人で優勝二連覇、団体の部で3位と二位に成っており、全国大会で3位に入った。そして初段も入手した

そんな彼、高校のことで悩んでいた。弓道での好成績で結構な数の高校から声がかかっている。この中から選ぼうと思っているのだが、案外悩む。教師と相談しても『成績の面もあまり苦にはならない。後悔の無く好きなところを選びなさい』と言われた

正直弓道と農業、成績の事しか考えておらず進路の事などアウトオブ眼中だった。

「つってもな~全部弓道あるし。母さんどうすれば良いんだろ?」

 

「ふーんこの中から選ぼうと思ってるの?」

 

「まあ、そうだけど」

 

「ならサンダース大付属は?」

 

「英語の成績が絶望的な俺にアメリカ風の学校に行けと?はぁ、ロシア語なら多少話せるのに」

 

「え?ロシア語話せたの?」

 

「Конечно,(当然だ)」

 

「何て言ってるかは知らないけど、ロシア語話せるのならここにすれば?ソ連風の学校よ」

 

「プラウダ高校?あー今年戦車道で準優勝した学校だったっけか」

 

「貴方には丁度良いんじゃない?」

 

「うーんそうだなここにしよう」

と言うような軽い感じで進学目標が決まった

「衛一、あと卒業祝いが有るからガレージに来てくれる?」

 

「・・・ガレージ?うん、取り敢えず分かった」

 

少年達移動中

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ガレージに来た衛一を待っていたのは父さんだった。

そして父さんの後ろには布の掛けられた巨大な何か。そして中身は見えないがペットを入れる小さなケース。そしてそれに関連するであろう段ボール

「父さん。何そのでかいの?」

 

「何、お前の卒業祝いだ。手に持っている方は知り合いから譲り受けた動物だ。この段ボールの中身はゲージやらその他諸々だな」

 

「え?つまりその布の掛けられたでかいのは卒業祝い?」

 

「この動物もだよ。まあいい、この布を取ってごらん」

 

「よいしょっと・・・え?戦・・・戦車。え?」

 

その布の中には丸みを帯びた砲搭を持ち、車体前部がきつい傾斜装甲を施している。そしてその戦車はその砲身を誇り高くあげているように見えた

「こいつは・・・ソ連のT-34中戦車?」

 

「不正解。これはソ連のT-44Ⅴだこいつの主砲は元々85mm砲を搭載している。だがこいつの主砲は100mm砲だ。おまけに速力は60km、砲搭180mm車体120mmの超傾斜装甲、あの当時世界最先端だったT-54に迫る実力を持っている」

 

「T-44Ⅴ・・・卒業祝いってこれ?」

 

「と、これだ」

手に持っている方のケースを渡される

 

「これは梟?」

中には白と灰色の梟が入っていた

 

「そうアフリカオオコノハズクっていう種類、雄の梟で知り合いから譲り受けたんだけど家には千代も僕も家に居ないし衛一が学園艦の寮に連れていけば良いじゃん。小動物オッケーって書いてあったし」 

 

「うーんプラウダは雪積もるらしいけどホグワーツじゃないからな~・・・と言うか逃げようとしないのなこいつ」

指を差し出すとあまがみされる

 

「生後一ヶ月だったかな?人懐っこいでしょ」

 

「うん、けど、いや分かった。連れていこう。そして飼うからには責任を持つ」

 

「ふっ、衛一ならそう言うと思っていたよ。あと二週間程家で可愛がって上げて」

 

「よし、なら名前はホクだな」 

 

「なんか由来は?」

 

「無い!!思い付いただけ」

※鷹が英語でホークと言うことは知らない

 

━━━━━━━━

 

 

なんやかんやで合格した衛一。(英語は絶望的な点数だった)しかし、プラウダ学園は学園艦の名のとおり船なのだ。なので寮に入る。明日、プラウダに行くため一時的にこの家を離れる。今日はその準備をしていた

 

「えっと本はこっちの段ボールで衣服はここに、えっとホクのゲージはこの中でいっか。でホクは父さんがくれた時のに入れて、後は」

部屋で荷物をまとめている衛一、すると誰かが部屋に入ってきた。

 

「お兄ちゃん」

 

「ん?ああ愛里寿か。どうしたの?」

いつも通りボコられグマのボコのぬいぐるみを持っている。

「今日でお別れ?」

 

「まあ、そうなるかな。でも夏休みとか年末年始とかは帰ってくるよ。少しホクの事任せていいか?」

少し愛里寿の表情が明るくなった

「うん!分かった」

 

「俺は荷物纏めるので忙しいから、うーん父さんの部屋の中にでも様子見ながら放鳥しておいて。あそこなら糞しても困ること無いし」

 

「え?う、うん」

ホクをバックのままお父さんの部屋に持っていく愛里寿を確認したあと、再度荷物を纏めにかかる。

しばらくして、全部持っていく物はまとめ終わった

「ふう、このくらいか」

日が高く登り、そろそろ引っ越しのトラックが来る時間

 

大体段ボール六個位にまとめ上がった(しかしその内三箱の中には本がぎっしりでクッソ重い)

その後は畑の後片付けをしに行く。

残った果物や茎等を放置しておくと色々大変なことになる。その為、全部まとめて焼き払う

 

「さーて、後はここの区画だけか、ちゃっちゃとやっちまおう」

畑に残った雑草や、根などをまとめて土に埋めて

上に残った茎をまとめてしまう。家にあったルノーueに荷台を連結させておいて、その荷台に乗せる。そしてまとめてある場所へ運んでいく

 

「凄い量だな。事前に干しておいて正解だった」

大きいマッチ箱を用意して一本取り出し火を着けて、箱の中に戻し、乾いた植物の山に投げ込む。十分程あとに、凄く燃え上がった。(語彙力低下)

最早火の山である。後は回りに燃えるようなものは置いていないため放置する

※燃えている物を放置するのは辞めましょう。良い子も悪い子も真似をしないでください

 

ーーーーーー

 

~自宅、夜~ 

この家で食べる夕食とも一旦お別れ。

衛一は気が向いたので台所に来て冷蔵庫の中身、自分の育てた野菜のストック、スパイス等の調味料を覗く

 

「そうだ!カレー作ろう(唐突)」

と、育てた野菜のストックから人参、玉葱、ジャガイモ、棚からカレールー、コーヒー、冷蔵庫から肉やその他色々をだし、鍋に油を引いて余熱、その間に包丁を使って皮を剥き丁度いいサイズに切り分ける。切り分けたら鍋で肉を炒めて火が通ったら、刻んだ玉葱やら人参やらジャガイモ投入して再度炒める。

玉葱が黄金色になったら水を量を計りながら入れる。適当な時間待ってルーを投入、後は放置

と、買ってもらったスマホを弄くる。が、実を言うと使い方が一ヶ月経った未だに良く分かっていない

と五分ほどしたらお母さんが帰ってきたのか?裏玄関から音がした。ずいぶん静かだが

 

「何だ?えらく静かだな。驚かすつもりか?」

と、少し怪しみつつ静かに裏玄関に向かう。

 

※表の玄関が島田流の門下生が出入りするのと、威厳を保つため大きい。その為普段は裏の玄関から出入りする。手紙なども裏玄関のポストに届く

 

「お帰り~早かったね」

 

「あら、脅かそうと思っていたのに」

 

「んなことお見通しだ。何年一緒に住んでたと思ってる?」

 

「十年位ね。」

 

「ここで十五年と言われないのが悔しいところ」

 

「・・・やっぱり気にしてる?」

 

「まあな、小学校の時俺はそんなに気にしてなかったんだけど、少し成長して来てさっき水面に映る自分の顔みたんだ母さんにも父さんにも、ましてや愛里寿にも似ていない。やっぱ血の繋がりは無いんだな~と」

 

「ふーん」

 

「まあ、母さんは母さんだし父さんは父さんだ。愛里寿も他人なんかじゃない。俺の可愛い可愛い妹だ」

 

「そう、その答えで安心した。だんだん成長して行くにつれて自分は島田家の人間じゃないって言う考えを持たれるのはちょっと悲しいから」

 

「そっか...そうだ、お風呂沸いてるのと気が向いたからカレー作った」

 

「あらそう、何か外食行こうと思っていたのに」

 

「最後の最後にこの家での日常を崩したく無いから」

 

「そう、もう少しでお父さんも使用人さんも帰ってくるわ、皆で一緒に食べましょうか」

 

「うん」

 

その後は、家族皆で一緒に衛一作のカレーを談笑しながら食べた

 

そして、衛一はプラウダに向けて旅立った




どうでしたか?今回更新が遅れてすいませんでした

次回辺りからプラウダ編(一年目?)に突入します


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第七話

どうも、探偵のLです 
投稿が遅れてごめんなさい。テストとか試合とか色々あったんです許してください


長い間列車に揺られながら衛一は考える。

十年間母さんや父さんや妹の愛里寿と生活していた。一時的に旅行で家を離れたこと、一人での留守番等は今まで無かったわけでもない。

衛一の心境は複雑だった。勿論過去の事を忘れてはいない。むしろ本当の家族(屑)(※注 実の家族、この場合は島田家のことでは無い)に会ったらぶん殴って殺ると考えている、話を戻そう。

自分は島田衛一、それ以上でもそれ以下でもない。母さんの前ではそう言った物の、日に日に自分は別人ではないか?と嫌でも痛感する。

衛一もプラウダ学園にいったからと言って特別何かをしようと思っているわけではない。今までどおり弓を引いて寮の自室の中にプランターを置いて植物を育て、ホクの世話をする。このくらいしかすることが思い付かないない。だけど母さんが前に

『郷地くんから聞いたわよ~衛一結構モテてるみたいじゃない。彼女の一人ぐらい居ないの~?』

と聞いてきたことが会った。彼女を作る気は今の所皆無である。

 

 

━━━少年・列車に揺られながら移動中━━━

 

 

着いたのはプラウダの学園艦が母港としている青森県むつ市大湊町だ。駅からもう巨大な学園艦が目にはいる

そして駅からのシャトルバスで移動し、そして学園艦の停泊する港に到着した

改めて化け物的なサイズに唾を飲み込んだ。プラウダ学園艦、今日から衛一が生活する場所、ゲートで身分証を見せて甲板(街)にでる。

 

「うっわ、これ本当に艦上なのかよ」

 

人が行き交い、建物が立ち並ぶ光景を見て思わず呟く。

取り敢えず衛一は自分が住む予定の寮に向かう。

途中、何人か痴漢をしてる奴を締め上げている人を見て、その締め上げている人の方に見覚えが有るのだが気にも止めず寮に行く。

 

━━━━━

 

~男子寮~

「取り敢えず来たわ良いものの、誰もいねえな」

寮の中に入るが人気が無い。と次の瞬間!

「何か要かい?あんた。」

 

「うおっと。失礼しました。えっとここに入寮する者です。誰も居なくて困ってたものでして」

 

「何だ、なら話が早い。私は寮母をしている谷岡 智香だよ。よろしく頼むね」

 

「今年入学の島田衛一です。よろしく」

と、寮母さんが若干驚いた顔をする

「なあ?あんたの事かい?今年入ってくる島田流の不思議な息子ってのは?」

 

「まあ、多分。でも何で?」

 

「あんた本人なのに知らないのかい....一から説明するとまずあんたは戦車道関係者からすれば何の前触れもなく出てきたんだ。それこそ島田千代があんたの妹を産んだ時は戦車道ではちょっとした話題になった物さ。だけどその二年後になるのか、とある記者が記事を書いた。居ない筈の子供が居ると。それがあんたなのかね」

 

「へー、でも真相は結構単純ですよ。それに母さんと顔見比べて俺は似てますか?」

谷岡寮母が携帯の画像と衛一を見比べる

「いや、似てないね。どう言うことだい?」

 

「大人なら分かってるでしょう?」

 

「ああ、だけど違ったら申し訳ないからなぁ。是非、本人から真相を聞きたい」

 

「はあ、そんなに聞いていて気持ちの良い話では無いですよ。」

 

前置きもそこそこに昔の事を覚えている限りで話した。自分は本当の親から捨てられたこと。そこで千代に拾われたこと。そして今までしてきたことを話した

 

「辛い人生だったんだね。あんたがそうなのを見ると千代に拾われて幸せだったんだね」

 

「ええ、基本自由奔放に生きてきました。その結果が今の俺、島田衛一です」

 

「そうかい......千代良い子を拾ったねボソッ」    

その呟きは衛一には聞こえていなかった。だがその表情で何かしら隠してることに衛一は気付いた

 

「あと、あんたの部屋は205号室だ。あんまり騒ぐんじゃないよ」

 

「お!衛一、久しぶりだな」

その声の主は最中和郷地、衛一の先輩だ。

 

「え?郷地先輩!?何故ここに」

 

「いや...俺はプラウダの生徒だぞ」

 

「そうだったんですか!」

 

「後、千代さんから『衛一のことよろしく頼むわ~』って云われてるからな」

 

「いつの間に連絡を取っていやがった」 

 

「二人は知り合いかい?」

 

「こいつは中学の後輩だ」

 

「郷地さんもプラウダ進学してたんですね。てっきり黒森峰辺りかと」

 

「あんな堅い学校、行きたかねぇよ」




なんやかんやで、プラウダに馴染めそうな雰囲気、次回はプラウダのお二人さんが登場予定です


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第八話

どうも、探偵のLです。
今回は久し振りのガルパン要素になります
 
お気に入り240件突破して・・・え?


取り敢えず寮で、郷地さんに手伝ってもらいながら荷ほどきを終わらせた。もう外はもう暗かったので郷地さんはじしつに帰った、特にすることはない。ホクはまだ新しい環境に慣れていないのか首をキョロキョロさせている、カワイイ もう疲れたので本読んで寝ることにする。畳にごろ寝は変わって居ない。変えるつもりもない

 

━━━━━

 

入学式の日、さっさと飯食って制服に着替えた。ホクにも生肉を食べさせて、弓具を纏めて、制服に着替える

男子の制服は深紅のシャツにネクタイと濃緑のズボン、同じ色のブレザーだ。 

寮からはトロリーバスに乗って学校に移動する。学校に着いたら生徒玄関でクラスを確認

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスは・・・アーチャーだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うのは冗談。三組である、ってことでさっさと移動

 

「肌寒いな、ここ」

 

愚痴をこぼしながら教室へ、少し早めに来たため人は少ない。さっさと席について本を読む

やがて人も集まってきて、少し騒がしくなる

一冊読み終わった頃に担任が入ってきた

「えー、クラス担任の藤嵜 坂路(ふじさき さかじ)だ。えー」

 

ほぼ話を聞き流し、入学式のでの作法を軽く教わった。そして名列順に並び体育館へ

 

 

━━━━━━

 

 

入学式は終わった。別段変わったこともなかったので執筆はしない。強いて言えば郷地さんが司会で噛んだことで笑いが起きたくらいだ。

クラスに戻ると自己紹介の流れになった

 

「島田衛一です。静岡から来ました、趣味は読書と弓を引くことです」

全員が終わった後には、色々な話を聞かされた。

無断欠席した時には雨漏りなどいっぱいの旧校舎25日間補習らしい。大半の生徒がただの脅しだと考えているようだが、郷地さんにさっき聞かされた。それにこの学校の校風はソ連だ。十分信憑性は高い。

色々見た後は、一年生は帰宅する。まだ部活には入っていないためだ。だが衛一は弓道場に向かう。

 

»少年 移動中«

 

~弓道場~

的場に的が付けられているところ。まだ準備中だったが構わず入る。入る前に靴箱に下履きを突っ込む。道場は基本裸足か靴下だ。と、いきなり後ろから声がかけられた

 

「あれ?見ない子だね。一年生かい?」

 

「おっと?!あ、はい島田衛一です。郷地さんの後輩です。」

 

「ほう?郷地君の・・・と言う事は君が全国大会優勝者かい?」

 

「はい。今日は見学がてら腕ならしに来ました」

 

「ほーう、だから弓具を。私は部長の唐沢 千晴(からさわ ちはる)だ。」  

 

「以後お見知りおきを、後自前の弓道具一式持ってきました。滅茶苦茶重いデース」

 

「ハハハ、そりゃそうだ。弓の重さは?」

 

「17・7キロです」

 

「それなりの強さだね」

 

「ええ、こいつから変えるつもりはありません」

 

「自分の相棒はそう簡単に変えない方が良い。郷地君なら今着替えてるよ。衛一君も着替えてきて。メンバーに紹介するから」

 

「あいよー」 

 

~男子更衣室~ 

中では6人の人が着替えている。郷地さんも着替えの途中だ。衛一もバックの中から弓道着を引っ張りだし、着替える。

 

「お!やっぱり来やがったか衛一」

 

「弓は1日触らないだけで腕が落ちますからね」

 

『郷地こいつ知り合い?』

 

『ネクタイの色は、一年生か』

 

「俺の中学の後輩だ。」

 

『へ~?お前の後輩か。君名前は?』

 

「島田衛一です、よろしく。郷地さんの痴話話なら沢山有りますので聞きたかったら言ってください」

 

『島田 衛一?』

 

『おい!郷地こいつまさか?!』

 

「例の全国優勝者だ!自慢の後輩!弓道歴ならお前らより長いからな」

 

『『『『『『マジカヨ!!??』』』』』』

 

「ああ」

 

「ノリ良いですねーこの人たち」

 

「先輩と同級生だ。まあ、基本良い奴らだから心配すんな」

 

『ねえ?君?さっき郷地の痴話話知ってるって言ってたよな?あ、俺は楠田 翔真(二年)翔真先輩と読んでくれ』

 

「ええ。どれも郷地さんの黒歴史でしょう。翔真先輩」

 

『試しに一つ聞かせてくれ』

 

「あいよ」

 

「おま!ふざけんな!」

 

郷地さんは即刻先輩方に取り押さえられている

 

「そうですね、じゃあ───」

 

 [回想]

ある日の学校帰り、郷地さんと衛一は部活帰りに引ったくりと遭遇しました。郷地君は荷物を衛一に預け

 

『ドケーー!』

 

道行く人は反射的に避けてしまいます。そこに郷地君は立ちふさがり、引ったくりにCQC をかけて投げ飛ばし、捕まえて、警察に通報、荷物を奪われた人、ゴテゴテのオカマに返しました

 

それから色々あって衛一が出掛けると偶然、そのオカマに郷地君が言い寄られているを見つけました。写真を撮りつつ(周りの人にその写真見せつつ)救援に入ろうとしたのですが相手はオカマです。入るにも入れないので傍観することにしました。するとなんと口づけされそうに成っていたのですwww写真を撮って、これには流石に止めに入りましたが、(また写真を見せつつ)

 

「諦めないわよ~」

 

と言いつつオカマは去っていきました。

その後は聞いた話でしか無いのですが、随分と長い間付きまとわれていたそうで、最後にはそういう人たちが行くお店にまで連行されたそうです。脱出 出来なかった郷地君は、知り合いのお父さんがそこに来ていたので、助けてもらえましたが、その出てきたときの顔写真がまた爆笑物でしたwww (写真を見せつつ)

めでたしめでたし 

 [回想終了]

「どうです?」  

 

『駄目だ。笑い死ぬwww』←二年生

 

『顔に口紅だらけじゃねえかwww』←三年生

 

「ハハハ、これは傑作物だね」←部長

 

「何でよりにもよってその話なんだよ」

 

「一番受けがよさげだと思ったから」

 

「衛一君、さっきの写真、後でラインの部活グループに上げといてwww」

 

「あ!了解しました・・・って部長、ここ男子更衣室」

 

「いやはや、面白い話を聞いたなぁ。でもあんたら、もう練習始まるよ」 

 

『『ウッス』』

 

「ぶ、部長ど、どこから聞いていたので?」

 

「え~っと、部活帰りの引ったくりの下りから」

 

「ほぼ全部じゃねえかーーー」

 

「あれーなんかヤバい?」

 

『ああ、部長は校内屈指の情報通でな、これからこの話は広がっていくことだろう』

 

「ああ、ドンマイです郷地先輩」

 

その後は一人真っ白な郷地さんを放置して練習開始色々あって弓を握るのは一ヶ月ぶり、更にここで引くのは初めてなので一本しか命中しなかった。

そこから引き続けていた、30分位経っただろうか?来客がある

 

「ちょっと、あなた!」

突然何処かから声が聞こえる。が振り返っても、誰も居ない。

「疲れてんのかな。家かえったら風呂入ってさっさと寝よ」

 

「こっちを見なさい!」

周りを確認するがやはり誰も居ない

「どうしたの?後輩君」

 

「部長さん、ちょっと幻聴が聞こえてくるのですが、耳鼻科行った方が良いですよね」

部長は衛一の方を一見しただけで破顔した

「後輩君、足元見てごらん」  

 

「足元?・・・なにこのチビ助。どっかから迷い混んだのか」

足元にはプラウダの制服を着た金髪のチビがいた。そして現在進行形で足を殴られている。そんなに痛くない

 

「あなたこのカチューシャ様を知らないの?」

 

「ハハハ、この子はここの生徒だよ」

 

「へー、俺の妹より小さいんじゃね?」

 

「いい加減になさい!てあれ、ノンナ?ノンナーー!」

 

「・・・ノンナってもしかしてあの隙間からカメラ構えて覗いてる色白黒髪ロング?」

後ろに指差す

「うん正解だよ」

観念したのかカメラをしまってこっちに来る

「・・・いつから気づいてましたか?」

 

「あそこにスタンバった時くらいから。弓引いてるときは色んな事に敏感に成るのでな。視線位なら直ぐ分かる」

 

「ふつーの人はわかんないと思うけどな~」 

 

「相変わらずだな、お前。部長こいつは弓に対して馬鹿正直何ですよ。ありとあらゆる感情が全て弓に出てきます。例えば悩んでて自覚がある時は体の形がおかしい。自覚が無いときは外しまくる。怒ってるときは全体的に雑になる。悲しいときははやけになる。負の感情が出てきやすいですよ」 

 

「へー?まあ良いや。機甲科の生徒が何の用?入部なら歓迎するよ」 

 

「ちがうわ!ここに島田衛一が居ると聞いたのだけど?居るかしら」

 

「島田衛一?知らない子ですね」

 

「さらっと嘘つくんじゃねえ本人」

 

「あなたが衛一ですか。話がありm「断る」

 

「さっき部長機甲科っていってたよね。てことは大方戦車道やれって話だろ」

 

「何で断るのよ。このカチューシャ様がわざわざ出向いたのに」

 

「今の俺には戦車道をやる理由が無い。それに実家でもあんま戦車には触れてこなかった。多少砲撃が出来るだけだよ。それも二年前だし」

 

「そうですか。今日は引かせてもらいます。また気が変わったら戦車格納庫に来てください」

 

「ノンナがそう言うなら仕方ないわね。いいわ、また来るから首洗って待ってなさい」

といって立ち去っていった

「首洗って待ってろって、俺殺されん?」

 

「まあ良いだろ。お前なら逃げ切れる」

 

「でもな~ここで新戦力の衛一君が戦車道に引き抜かれるのは嫌だからな~」

 

「ま、来たら来たでまた突っぱねますよ」




ウェイ、たくさんのお気に入り登録、ありがとうございます。まだ感想や評価、改善して欲しいところなど有りましたら、どしどし書き込んで下さい
また、この作品のネタを活動報告で募集しているのでそちらも是非お願いします

捕捉 
※トロリーバスは簡単に説明すると架線から電気を取り
入れて走る無軌道電車である。日本では主に富山の黒部でみられる。と言うか多分そこだけ。ロシアでは結構走っているらしい by バスオタの友


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第九話

どうも、探偵のLです。
この物語初の、戦車戦が始まる・・・かも!?


昨日、また来るから首洗って待ってろと言われた。(前話参照)ので良いとこ三日くらいは静かになるだろうと思っていた。が、その翌日の昼休み図書室で本を読み漁っていたときだった。

 

「勝負よ!!」

 

「はあ?」

 

図書室に来た途端これだ、えぇ(困惑) 

しかしカチューシャ一人しか来ていない。まあ、ノンナが居ないため適当にあしらうかと方針を脳内会議で決める

「だから勝負って言ってるの」

 

「めんどくさいんで断ります」

 

「なによ?もしかして負けるのが怖いの?」

 

「(まあ、挑発の常套句だな)いや、別にそんなんではない。昨日も言ったけど俺は戦車道をする気はない。ついでに図書室ではお静かに」

 

気づけば周りがざわついている。後から聞いた話だが、カチューシャは相当プラウダでは権力があるらしい。その誘い(衛一にとっては迷惑行為)を断っている島田流の息子と言う構図で学校中に噂が知りわたるまで時間は掛からなかった

 

「ふーん、なら私と勝負して勝ったら勧誘は諦めてやるわ。けど負けたら・・・これでどうかしら?」

 

「んー、これ以上付きまとわれてもめんどくさいんでその勝負受けます」

 

「言ったわね?」

 

「ええ。言いました。そしてこの会話は図書室に今居る全員が証人です」※ちなみに録音済み

 

他の人「(あれー?しれっと面倒事に巻き込まれた感が否めない)」

 

「よ、用意周到ね。まあいいわ」

 

「(用意周到?何か違う気がする)でも、練習も無しにいきなり勝負はお断りさせて頂く14日の猶予を寄越せ」

 

「それくらい良いわ。他の乗員は機甲科の生徒から適当に決めなさい。使用車両も決めるから放課後暇なときに格納庫に来なさい。良いわね?」

 

「あーい。んじゃ、そう言うことで~」   

 

━━━━━━

 

~放課後 弓道場~

「てことが合ったわけですよ。ですから部長、郷地さん誰か機甲科の生徒に知り合い居ませんかね?」

 

「居るには、居るんだけどねぇ?協力してくれるかどうか、ここに呼んでみるけど駄目だったら駄目まあ条件次第かな?」

 

「あいにく整備士にしか縁がなくてな、俺にはどうにもできん」

 

「ありがとうございます。じゃあこっちでも行動起こしますので、しばらく弓引けないかも」

 

「そう。まあ、事が全て済んだら引けるさ」

 

「なので戦車格納庫に行って使用できそうな車両見てきまーす」

 

「行ってらっしゃ~い」

 

━━━━━━

 

~戦車格納庫~

「んーと、誰か居ねえかな~」

 

「両手を頭の後ろにつけなさい」カチャ

入っていきなり後ろから拳銃突き付けられた。なので大人しく投降する

「ん?貴方は・・・決心が付いたんですね」

 

「ちげぇよ。あんたあのチビ助から話聞いてねえのか?」

 

「カチューシャ様の事をチビ助等と言うのは辞めなさい。今度は容赦しませんよ」

 

「お、おう」

 

「それと話とは?」

 

「ああ、これ聞いてくれや」

レコーダーを聞かせ、疑うならその時図書室にいた人に詳しく聞けばよいという旨を告げる

「そうでしたか。ただカチューシャ様からは何も聞いていません、少し事実確認をしてくるので待っていてください」

 

«10分後»

「お待たせしました」

 

「来たのね、まあ好きな車両位選ばせてやるわよ」

 

「いや、今日は協力してくれる人を探しに来た。人が居なけりゃ戦車は鉄屑だ」

 

「そうですか、分かりました。後は勝手にしてくださいカチューシャ様、練習に行きますよ」

 

「分かったわ。ノンナ」

二人はT-34に乗ってどっか行く。それを確認してから適当に誰か探す。と格納庫の角でたむろ?している三人を見つけた。服装から一年生だ

「あのー」

 

「えっ?あ何でしょう」

真ん中の子が答える

「えっとまず暇?」

 

「ええ、私たちは戦車に乗っていませんし」

 

「戦車に乗っていない・・・どういうことだ?」

右の子が説明してくれた

「私たちは落ちこぼれだ。実力が無いから戦車に乗せてもらえない。練習すらさせて貰えないんだこんな私たちをあんたは笑うのか?」

 

「落ちこぼれ...ね。よし三人に手伝って貰いたいことがある。時にお前ら周りを見返したくないか?」

 

「・・・・そりゃ見返せるなら、見返したい、だがなにする気だ?」

左の子が尋ねる

「ちと状況説明から、まず俺は戦車道の勧誘を受けたがする気なんてこれっぽっちも無い。でカチューシャとか言う奴の指揮する戦車に負けたら戦車道をしなきゃならんくなる。だが俺は戦車道関係者に知り合いは居ない。だから一から戦車の乗員を集めなけりゃならんのだ。ここまではOK?」

 

「ええ、けど私たちに何の関係が...」

 

「このタイミングでその相談を持ちかけた...さらに図書室でカチューシャ相手に喧嘩売った奴が居るっていう噂...まさか!?」

 

「・・・私たちに協力しろと?」

 

「ええ!?」

 

「話が早い。まあ、そういうこった。俺は島田衛一だ。よろしく頼むぞ」 

 

「島田衛一?って、ああ納得しました私は桐原 亮子です。」

 

「本城 未来だ。」

 

「・・・池本 冬」

 

「よろしくねー。さてと、で?協力してくれる?」  

 

「はい。私たちなんかで力になれるなら」

「いつまでも偉そうな先輩たちの鼻へし折ってやる」

「・・・殺ってやる」

 

「良いねぇ、その感じ大好きだよー。んじゃあ一泡ふかせてやりますかぁ」 

そこで意気投合した後乗る戦車だけT-34/76に決定して解散しようかと思ったのだが、現隊長に声をかけられた

「君たちか。地吹雪と言われる彼女に戦いを挑むのは」

 

「貴方は?」

 

「た、隊長!?」 

他の休憩している戦車道関係者はすぐさま敬礼、今この場に居るなかで敬礼していないのは衛一のみ。

「ふむ、もう忘れられたのか、私はプラウダで隊長をしているものだ。一年生の入学式でスピーチをしていたのにな」

 

「あー?あー。そういえば進行表に書いてあった」

 

「隊長、この度はどんな御用で?」

 

「噂が凄いからね。私もその結末が気になるだけだ。じゃあね」

 

「不思議な人だな。隊長さんは」

 

「ええ、ちょっと失礼ですけど生粋の変人として有名です」

 

「生粋の変人ねぇ、とりあえず今日は解散で」




前書きで戦車戦を書くといったな。あれは嘘だ
これから登場するか分かんないけどキャラ設定?
桐原 亮子・一年生 通信者
本城 未来・一年生 操縦者
池本 冬・一年生 装填者


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第十話

どうも探偵のLです。
今回、今度こそ戦車戦闘です。
<←この記号は無線通信です


~勝負当日~

「さてと、やるか」

 

「・・・負けられない戦いがここにある」

 

「勝ちましょう」

 

「負けねえよ、この四人なら」

 

衛一が組み立てた急造チーム、10日間に出来ること、勝つための作戦も練った。だが成功するかは全員の連携次第だ!

 

「あら?逃げずに来たの。まあ、そんな急造チームで勝てるとは思わないことね」

 

「そっちこそ、死神の鎌は見えないところから振り下ろされる。その事を忘れるな」

 

そう言って踵を返す二人その背中には確かな闘志が宿っている。

 

━━━━━━

 

~プラウダ 演習場~

「作戦どおり行くぞ。まずは陽動、そしてキルゾーン(攻撃圏内)への誘導、最後に桐原メテオでフィニッシュだ」

 

「その名前どうにかなら無いんですか?」

 

「・・・分かりやすいから良い」

 

「まあ、諦めろ桐原」

 

「ハハ・・・」

 

「おーい島田、そろそろ時間だぞ」

 

「えっ?まじで?まあ良いや。お前ら、あの小生意気なチビ助の泣き顔を拝むぞ」

 

「「「はい!⁄おう!⁄うん!」」」

 

~試合開始!カチューシャ視点~

 

「さああなたたち、あの生意気な一年生をピロシキの具にしてやるわよ」

 

「「「урааааааааааа」」」

 

「カチューシャ様、どういたしますか?」

 

「見つけ出して、撃破するだけよ。ノンナ」

ノンナはそれを聞くと射撃用スコープに顔を戻す。そしてカチューシャが指揮するT-34のエンジンが唸りを上げ、その鋼鉄の怪物を前進させる

 

~五分後~

 

「どこに居るのよ。あの連中」

衛一が乗るT-34の痕跡すら分からない(普段から同じ車両が走り回っているため履帯の跡が大量である)エンジンの音もしないことは無いのだが、そこに行っても居ない

「カチューシャ様、あれは?」

射撃用スコープを覗きながら、報告をあげる

 

「どこ?」

 

「前方、1500メートル程先です」

 

カチューシャが双眼鏡を使い確認する。車体正面を向けた衛一の車両が居た

 

「居たわ、あれよノンナ。操縦手、あそこに向けて前進、早くなさい!」

 

「はい!」

 

~衛一車両~

「ん?うーん?これ来てない?」

 

「どうした桐原」

 

「あれ」

指を指す

「・・・ヤベッ、見つかった。本城さっさとここから離れろ。桐原絶対に見つかるな。見つかったら作戦が根本から崩壊する」

 

「分かりました。観測は任せてください」

 

「頼んだぞ」

 

「島田ァ、スラローム機動で逃げるぞ砲撃任せた!」

 

「OK!」

 

本城が器用に操縦に車体をうねらせ回転の一瞬をついて砲撃をかまして左の履帯を切断する。ノンナからの砲撃も来るがギリギリで回避し、そのまま逃走。砲塔をカチューシャ車両に指向したまま煙幕弾を目眩ましに一発撃ち込む。

 

「・・・撒いたか?」

 

「それは逃げ切ってないフラグになる」

装填している池本が呟く

「死亡フラグでも建ててみるか?」

 

「勝ち目なくなるかもしれないよ」

 

「冗談だ。そろそろ桐原に通信かけるか」

<桐原、聞こえてるか?  

 

<こちら桐原、感度良好。問題ありません

 

<了解、そちらの状況どうか?

 

<目標は警戒しつつ逃げた方向に向かっており、このまま進みさえすればキルゾーンに入ってくれます

 

<了解、引き続き報告頼む、アウト

「本城、例のポイントまで急いでくれ。陽動の必要は無さそうだ。予定より早く桐原メテオを使う」 

 

「了解、早く決めてくれよ。静止させるの結構むずいから」

 

「あいよ。まあ、桐原との連携次第だがな」 

 

~カチュー車両視点~←誤文にあらず

「履帯修理完了しました」

 

「おそい!逃げられちゃったじゃないの」

 

「カチューシャ様、さすがに履帯を切られたらどんなに早く修理しても逃げられます」

 

「そ、そうね。今回のことは不問にするわ。早く追いなさい」

 

「「「понимание」」」

 

再び行動を開始した。

すぐ近くに監視の目があることも知らずに・・・

そして暫く進んだ時、上から死神の鎌が振り下ろされた

 

━━━━━

 

<目標後10メートル程でキルゾーン侵入、弾種榴弾射撃用意よろしきや

 

<こちら池本、了解、我射撃用意完了す。いつでもよろし

 

<第一射キルゾーン南南東地点αの5、射撃モトム

 

<南南東地点αの5、了解、南南東地点αの5、発砲

 

「復唱、方位南南東地点αの5、射撃開始」

第一射発砲、その砲弾は上空へ飛び出していく。湾曲な軌道を書きながら着弾した

 

<着弾・・・今!・・・初弾外れ、目標より14メートル後方、修正射!

 

<了解、島田

「修正射、了解」

第二射発砲、同じような軌道を描き、敵車両に向かって行く  

 

<着弾確認、目標への至近弾確認履帯破損、弾種徹甲、効力射

 

衛一車両は坂の中程で停止、仰角を上げている

そこから撃ち放たれた砲弾は上空に上がった後落下し敵車両を狙っている。こちらの車両はカチューシャとの間に丘が有り捕捉されず一方的に撃ち込むことができる

 

「徹甲弾装填完了、いつでも良いぞ」

 

「あいよ。第三射、発射」

 

敵車両は急いで離脱しようとして、破損した履帯が完全に切れた。よってほぼ行動不能。そこに容赦なく徹甲弾を落とし続ける。第六射、第十一射で命中を出すも撃破に至らず、第十七射で徹甲弾がエンジンルームの天板に命中、カチューシャの車両から白旗が上がっていた




やったぜ。
衛一にやらかさせ過ぎた気もしないでもない。反省はしない


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第十一話

どうも、探偵のLです
カチューシャとの試合に勝ち、晴れて弓道人生を歩む衛一君。ただし面倒事を無くさないのは得意技だッ!


弾着観測射撃とか言う変態的技法で勝利をもぎ取った衛一。ただ、このあと弓を握っていた。が・・・

 

「あんた戦車道やりなさいよ!」

 

「あれを教えてください」

 

カチューシャとノンナがまた弓道場に来ていた

 

「・・・」

 

「あー、弓を引いているあいつには声は届かんぞ。それにオススメしない」

 

「それに今声をかけるのはマナー違反だ。」

 

「過去にあいつが弓を引いている時に怒鳴り込んできたやつがいてな、俺と勘違いして殴ったんだ。まあ当然外れて、その時あいつぶちギレて弓を槍のように扱い腹に一撃ぶちこんだ後、ノーモーションで喉仏ぶん殴ってそいつ三時間位意識取り戻さなかったことがあった。ほか全員死んだか?思ってたwww」

 

部員一同「「「「「怖っ!!」」」」」

 

バンッと心地良い音がした。的への命中音、衛一が引き終わったらしい

 

「・・・また来たのか。面倒くさい、あの勝負できっちり諦める契約だろ」

 

「ですが、あんな軌道を描く弾着観測射撃なんてできる砲手なんて世界でも両手で数えるくらいしか居ません。その才能が有るとしか思えないのです」

 

「才能なんて大したもんでもねえ。俺は桐原の提示した着弾結果を元に撃っただけだ。それにあの傾斜した状態で装填速度を落とさない池本や、スラローム機動で命令なしに的確にノンナ先輩の持ち前の勘だけで避けて見せた。大したもんだよ」

 

実際に衛一は車長兼砲手だが、命令は桐原か個々の判断に任せていた(面倒くさくて丸投げしただけ)

 

「それにもう終わった話だ。決着はついてるし、何ならその約束の会話を録音してある。聞くか?」 

 

「・・・いいえ、構いません。ただ何かあったとき、例えば試合に出る人数が足りなかったりするときにはお願いしても構いませんか?」

 

「ああ、特に予定も無くて暇ならな」

 

「で?これで諦めるのか。お二人さん?」

 

「私は諦めないわよ!」

 

「私はカチューシャ様の意思に付き添います」

 

「結局俺の面倒事減ってねえ」

 

「まあ、安心しなって衛一君。他の所に引き抜かせるなんて私がさせないよ~」

 

「部長がそういうなら大丈夫だな」

「ああ、プラウダ学園情報科主席が味方とは。心強い」

 

「取り敢えず二人はもう帰る?」

 

「はい。そうさせていただきます」

 

「ピロシキ~」

 

「до свидания」

 

「・・・何故にピロシキ?」

 

「さあ?ロシア語だと思ってるんじゃない?」

 

「えぇ、(困惑)ピロシキって確かカレーパン的なあれでしょ。あー、言ってたらまた作りたくなってきた」

 

「主に東欧、アジア圏で食べられるパンだね。まあ、見た目カレーパン」

 

━━━━━━━

~寮、自室~

部活が終わって帰宅

「ただいま~ホク」

 

「♪~」

 

衛一の部屋には物が少ない。有るのは小さな机に壁一面の本(ここに有るのは個人所有している半分ほど、残りは家)それ以外はホクのゲージに自分の布団と備え付けの冷蔵庫やレンジ、テレビだけ

 

「あ~、癒されるんじゃ~」

決まってゲージから出すと体のどこかに乗っかって来る(大体頭。くすぐったい)そしてそのまま晩飯を作るこの時はホクを絶対台所に入れない。包丁とか使ってて危ないからしゃーない

それから白米と味噌汁作って、ついでに鮭の切り身を帰り際に買ってきたので焼いて食べる。旨い

で、その後読書。そしてホクは左腕に乗ってくる。正直邪魔だけど可愛いので放置。そして寝る。基本夜更かしはしない。遅くても23:00には寝る。

そして1日が終わる



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第十二話

どうも探偵のLです。  
投稿に時間が空いてしまって申し訳ない


朝ホクに飛び蹴りされて布団から出た衛一、突然寮の電話が鳴る。

「はい、もしもし、こちら葛飾区亀有公園前派出所です」

寝ぼけてて間違えた(確信犯) 

 

「え?あ、すいませんかけ間違えました」

 

騙されて電話を切った

声から推測すると恐らくカチューシャ、用件はあらかた予想がつく。取り敢えず登校準備

<デンワヤデッ

「・・・またか。はい、もしもし、こちら葛飾区亀有公園前派出所です」

 

「え?あ、ご、ごめんなさい」プツッ

 

「これでかけてこないだろ」

 

朝の6時起床、だらだらと朝ごはんと弁当を作り、待ち時間に制服に着替える。珈琲を飲みながらホクの餌の準備、餌の準備を悟ったのかホクが本棚の上から右手に飛んでくる。体重計に載せてウズラの肉を食べさせる。この時に箸であげるのだが、嘴を細かく動かす仕草がかわいいのだ。同時進行で自分の朝食をとる

 

 

━━━━━

~放課後~

相変わらず本を読んでいる。キリの良いところまで行ったら、弓を引きに行く

「なあ、島田お客さんきてんぞ」

 

「あ?お客さん?」

来てたのは金髪のチビと色白黒髪ロング、カチューシャとノンナだ。

 

「・・・適当に追っ払ってくれる?」

 

「おま、ふざけんなブリザードと地吹雪に逆らえってのか」

 

「問題ねえだろ。佐藤」

 

「ほう、お前は俺がこの学園から居なくなっても良いと言うのだな?」

 

「なんか不味いことでもあんのか?何で退学?」

 

「ちょっと、早く来なさいよ。いるんでしょ。衛一」

 

「・・・え~、そっちいかなきゃダメ?」

 

「来なさい(威圧)」

 

ノンナから殺気が飛んでくる。うおぉ、怖っえぇ

観念して・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するわきゃねえだろ!!!

どうせ強制連行されるのがオチだ。

もう放課後、これから部活!そして席は窓際、衛一はバックを持って二階の窓から飛び降りる。雨戸に足を掛けて、そのまま走る。

 

━━━━━

 

「んな!?窓から逃走?」

カチューシャはてんぱっていた。そりゃ窓からいきなり飛び降りたら驚くだろう。

「追いますか?カチューシャ様」

 

「勿論よ。捕まえて連行してきなさい」

  

「понимание」

 

━━━━

衛一はそのままの勢いで、玄関の真上に来た。そこから飛び降りて、靴を履き替えて弓道場に急ぐ。

「居たぞ。捕まえろ!」 

 

「そこだ、包囲しろほかのメンバーに連絡」

 

「くそっ、追っ手か。あいつそこまでして俺の事捕まえたいのか」 

走り始めたその時、校内放送が始まった

『いまから言うことをよく聞きなさい。一年生の島田衛一を捕まえて、戦車格納庫に連行してきた生徒には報酬を約束するわ』

 

「・・・・指名手配状態マジかよ」

 

もう弓道場に先回りされていることだろう。ならばどこが安全か?取り敢えず段ボールに隠れて考える

(図書館は・・・・駄目だな今日は図書委員会の集まりの日か。弓道場は先回り・・・・確か部長は情報科の主席立ったはず、なら上手くそこまで行ければ!)

「・・・・もしもし部長、放送を聞いてたなら助けてください・・・・はい、玄関の近くの段ボールに潜んでいます。そっちに行くので匿って下さい・・・・え?監視カメラハッキングしてルートをナビゲートする?・・・・はい、わかりました。よろしくお願いします・・・・近くの物置?そこに役立つものがある?・・・・わかりました」

 

アフリカハシリバコに変身しそのまま移動、途中何人か轢き逃げして物置に急ぐ

 

「物置につきました・・・迷彩の箱?・・・・はい、見つかりました。開ければいいんですね・・・・ナニコレ・・・・いや松明とSARUの仮面、ワニキャップなのはみてわかりますが・・・・え?後は無線連絡?わかりました困ったときにかけます」

箱の中にある無線機を腰に取り付け、SARUの仮面を被る。ワニキャップはおいていく。松明は・・・・一応持っていこう相手を殴りつける事くらいできるだろう

 

<こちら衛一、ナビゲートよろしく頼みます

<分かってるよ。まずは二つの棟を移動しなきゃいけないから、まずはBC棟渡り廊下に向かってくれ。念のため仮面は被っておいて

 

 玄  関  前  廊  下

━━━━━━━━━━━━━━━

Передний коридор в подъезде

 

先の放送でちょこちょこ衛一を探している生徒がいる。迷惑極まりない。そう言う輩には松明で殴打されてもらう。五、六発殴ったら気絶したので入ってた段ボールの中に押し込んで封をする

そのまま廊下を外から見えないように移動、ただ廊下は一本道、空き教室に身を隠しつつ少しづつ進む、何人かに見つかりかけたが、仮面を被っていたので問題ないそして渡り廊下、ここは遮蔽物が無い長い一本道、どう攻略するのか、お楽しみに



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第十三話

どうも探偵のLです
この話は儀式の人ネタがとても強いです。苦手な方はご注意ください


  B C 棟 連 絡 廊 下

━━━━━━━━━━━━━━━━

BC здание контактный коридор

今の所見つからずに来た衛一、そこに立ちはだかるのは身を隠す場所のない長い一本道

(一か八か走るか?・・・・誰か来る!)

奥から生徒が五、六人歩いてくる強硬突破は困難だ

衛一が居るのは連絡廊下の角

 

    ☆

   ┏━━━

 誰か┃

↑位置関係図、見にくかったらごめんなさい

 

(ここにいたらバレる。ヤバイな)

<衛一、松明に火を付けて後は身を任せて

<はあ?火を付けるもっと発見されやすくなるじゃないですか

<良いから、早く

生徒は段々と近づいてくる。もう、すぐそこだ

<ええい、どうにでもなれ!  

松明に着火、そして衛一は壁際で松明を振り回す。その動きは儀式その物、なのに気づかれなかった

 

(うっそだろおい) 

 

それからおもむろに掃除用具のロッカーをあける。その中にはエロ本が三冊隠してあった

 

(えっ!ちょっ!体が言うこと聞かない。何でエロ本拾ったの!?)

 

そのまま衛一?は連絡廊下を松明を持ちながら駆け抜ける。

(まてまて、なにやってんだ俺?)

 

そして近くの倉庫と化している空き教室にドアをローリングで破って侵入、誰が作って置いておいたのだろうか?Mk.22麻酔銃+サプレッサー 指向性爆弾(クレイモア) TNT チャフグレネード  パトリオット を回収して開いた窓から飛び降りる。(さすがに学校の窓は割れない)

 

<ねえ、この先はたくさんの巡回が居る。いくら君でも気付かれないのは無理だよ。そしてその体は私じゃない

<(えっ?部長誰に言ってんの?)分かった、ならどこから行けば良い?

<君ならそうだなぁ、外に出て戦車演習場を通ったら一番近いかな?

<了解した。任務を継続する

 

(ええ....(困惑)部長多分俺が俺じゃないこと気付いてやがるな。その上で指示出してんのか。部活始まったらみんなの前でボロ負かしてやる。覚悟してろよ)

 

衛一?は二階から飛び降り、そのまま演習場へ走った。途中見つかりかけたが松明の着火と鎮火を繰り返しスルーさせた後パトリオットで昏倒させ、遠距離に居るところをmk-22で眠らせ、固まっているやつをエロイモアで無力化(引っ掛かるのは例外除いて男のみ)する

 

 戦 車 演 習 場

━━━━━━━━━━━

Учебный центр танков

森の中、足元には戦車の履帯の跡、榴弾炸裂のクレーターが大量にある。そして衛一はドラム缶に入って転がりながらBT-7快速戦車と並走、気付かれて止まった所に拾ったTNTを八王子個設置、(誤字にあらず)し起爆、そのまま沼に突っ込ませて撃破。更に発見の方を受けた戦車隊が全速力で向かってきている

 

~カチューシャside~

「カチューシャ様、衛一を砲撃訓練中の部隊が発見、付近の部隊に至急捜索、自走砲部隊を展開中です」

 

「ようやくね、必ず捕まえて私の前に連れてきなさい」

 

ジジッ『HQ こちら自走砲部隊、射撃位置に付きました』

 

HQ通信者「了解した。射撃要請がありしだい目標地点に砲撃を開始せよ」

 

?「HQこちらパトロール、火力支援を要請する」

 

ジジッ『了解、火力支援を開始する、通常交戦規定に則ってこの周波数は使用しない、アウト』

 

━━━━━━

 

衛一の捜索に出てきた三両のT-34、その上に砲弾が降り注ぐ。

「HQ!HQ! 」

 

「こちらHQ何かあったのか?」

 

「攻撃を受けた。敵の位置は不明、これより警戒体制に入る」

 

━━━━━━

 

言うまでもない。このメテオ(火力支援)を要請したのはSARUだ。BT-7の乗員を尋問して手に入れた無線周波数を使った

 

(はえ、ー何で無線で気付かれなかったんだろう)

 

すると更に通報を受けたT-34がさらに集結している

 

(囲まれてんなー。この状況どうする気だ)

 

発見された。即座に榴弾と機関銃弾が大量に飛んでくる。戦車道基準では機関銃程度の弾なら人に当てても痛い位で問題はない。が、主砲はその運動エネルギーだけで撲殺出来る。しかしSARUはココアシガレットを口に加えその場で縦横に少しずつずれるように踊り始めた。するとなんと言うことでしょう、弾が全て外れるではありませんか、それだけではありません。榴弾も当たらず後ろで虚しく爆発するだけ。弾はかすりもしません

やがてココアシガレットを片手に舐めたように避けられまくることにストレスが限界に達した乗員が、顔を出してきた。そこにすかさず麻酔銃を眉間に撃ち込んで一両一両車長を無力化。やがて増援は来なくなったその代わり一時的に無力化した、戦車が復帰し攻撃を仕掛けてくる・・・・・・・・・・・・・・・・がなぜかSARUが居ない、そのときだった。チャフグレネードが銀紙をばらまいたそれに連動して次々と車両が爆発していく。その光景に唖然としている一堂

( ; ゜Д゜)(え!?)

 

━━━━━━━

 

そしてSARUは近くの木の上でTNT起爆のスイッチをとにかく押しまくっていた。しかもTNTの設置位置を少しずつずれるようにセットしたので最後のTNTが爆発した三秒後、戦車隊に背中を向けてよくわからない薬を飲む

 

ウォーホーと言う何処かから聞こえてくる歌と共に戦車の外部燃料タンクに引火、全ての車両が大爆発を起こすそしてチラッと後方確認、そのままそこから走り去った。




SARUによる今のところの損害
T-34 32両
BT-7 12両
生徒
気絶7名
軽症100名以上
重症5名(命に別状無し)


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第十四話

どうも、探偵のLです。
また今回もSARUが静かに大暴れします


   E  棟

━━━━━━━━━━

электронное здание

 

プラウダの戦車隊を壊滅的ダメージを与えたSARUはそのまま部長が居るE棟に道中何人か顔びたーんして無力化して来た、部長の居る情報集約室は三階階段の程近くだ。

そしてどこかで情報でも漏れたのか、めっちゃ巡回が居る。まあSARUにかかれば警備の数など問題など無い。壁に立ったまま張り付き近くの段ボールの隙間に入り込み壁を叩く

 

半身だけ(ほぼ出てる)体をだした状態で

 

コンコンコンコンコンコンコンコン

 

ん? ん? ん? ん?

 

(えっ、ちょっ、何やってくれちゃってんの。こいつ?普通に自殺行為してんじゃねえか)

 

近くにいた奴らと二階の階段の近くにいた人、それにつられて遠くに居た人も寄ってくる。集まってからも、後ろの壁を叩き続ける

 

(なぜ見つからない?体半分以上出てんじゃねえか。それともなにか?目の前の奴らが無能なのか・・・・)

 

そのまま右へ移動し、また叩いて右へ誘導、移動してきたら左にに移動、再び壁を叩いて左へ誘導、左に誘導仕切ったら隙間から出て閃光手榴弾を投げ全員無力化する

(あーあ、まーなんだ、相手が悪かったな)

 

ただ階段を上る時に閃光手榴弾の炸裂に気づいて見に来た三人の生徒、ドアのすぐ横の壁に張り付いて、一人目は見逃す。二人目も見逃す。三人目をおもいっきり床に叩きつけた。そして何事も無かったかのように部長の元に向かって行く

 

情報集約室

「部長~、いますか~」

 

引き戸を閉めてまつあきを便りに暗い中進む

 

「やあ、待っていたよ衛一...いや、BIG_SARU」

 

「いまさら何の用だ?」

 

「いや、特に理由は無い。後輩が困ってたから君の力を貸して助けてあげただけさ。なにか文句でもある?」

 

「そうか・・・お前、何か隠してるだろ?」

 

「・・・君の前で隠し事は無理か。ただ抵抗しないことをお勧めするよ」

 

(抵抗しないことをお勧めする?・・・まさか!?)

 

小銃等で武装した集団が姿を表す。そして囲まれた。その武装集団の中にノンナとカチューシャもそしてSARUは仮面を取った

 

「マジかよ部長!?あれ?戻った?」

 

「良くやってくれたわ。唐沢千晴」

 

「さて、約束は守った。例の物は?」

 

「しっかり用意しておいたわ。後で格納庫まで取りに来て頂戴」

 

「了解、後で逃げられたとしてもこっちで責任は取らないよ」

 

「分かっています。」  

 

「(覚えてろ部長、後で○す)抵抗しても捕まるな。投降するよ」

 

「本当はここまで大事にする予定は無かったのですが、主力機甲隊をあんな壊滅的な状態に追い込まれたらこちらも手段を選んでいる場合では無くなりました」

 

「つまり・・・・やり過ぎたと?」

 

「そういうことです。」

 

後ろから黒い袋を被せられ、意識を刈り取られた




今回のSARUによる被害
生徒
30人(気絶)


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第十五話

今回がSARU編の最終回かもしれません。あとアカウント名変えました





目が覚めたら牢獄に居た居た件について

 

「あー、ここは?」

 

壁に耳をつけ音を聴くと、微弱だがタービンの音が聞こえる

 

「そんなに船のエンジンからは離れて無さそうか。とりあえず、逃げるか!」

 

柵から回りを見ると見張りは一人。しかしその一人もその辺の部屋のガラス越しに寝ているのが見える

 

見取り図

    ┃  ┃見張りが ┃ 

    ┃  ┃寝てる部屋┃  

━━━━┛  ┗━━━━━┫

             ┃

━────━━━━━━━━┛

 ↑衛一柵

 

見た感じ監視カメラはついていない。ただ柵に鍵穴が見当たらない。鍵は当たり前だが着いている

 

「あー、これあれか?電子ロックか?」

どうやらそうらしい。ロックをド突いてもうんともすんとも言わない

 

「そいや、ポケット何か・・・なんだこれ」

 

ポケットには何やら怪しい黒い箱が一つ。だが開かない叩きつけたり、鍵穴が隠してないか細かく調べたりするも駄目だった

 

「・・・どうやってここから出ようか。バレたら困るし」 

 

牢獄のなかに金属パイプのベッド、申し訳程度に壁がつけられたトイレ、汚れた洗面台のみ

 

「檻をぶち壊すのは無理か、鍵さえ壊せれば良いんだが?・・・・!」

 

出てきたのは自分から開けるのでなく、他人に開けさせると言う方法、苦しむ振りをしてたおれても看守が寝てたら意味は無い。看守を起こす為に大きな音も出さなければならない。看守が鍵を開け、更に無力化しなければならない。そこでベッドに目をつけた。

おもむろにベッドの表面を剥ぎ取り、持ち上げる。以外に軽い。そして鉄棒だけになったベッドを鉄柵に叩きつけ始めた。 

 

ガギン、ドゴン、ギャギン

 

付近に轟音が響き渡る。寝ていた見張りも飛び起き何か喚いている。だが轟音に掻き消されて何も聞こえない。そしてこの奇行を止めようと檻の扉を開けた。すかさず見張りにベッドを投げつける 

うまい具合に壁とサンドイッチになった見張りはそのまま倒れた

 

「・・・生きてるよな?」  

 

恐る恐る首に手を当てる。脈拍は合った。がちょっとやり過ぎた感が合ったため担いで監視室の仮眠室に手足を縛って寝かしておいた。そしてポケットや、寝ていた部屋の中を荒らし回り、発煙筒、五色ボールペン型麻酔銃を入手した

 

「装弾は、5発か」

 

上の消しゴムを押すと発射する仕組みらしい。機構が謎過ぎる。そして黒い箱も何か分からない

 

~B3~

牢獄の近くに合った階段を上り壁際に身を隠しながら様子を見ると何やら騒いでいる。轟音がなんたらとか言っているがさっきのだろう。あんな轟音を出しておいて今さら隠れる気もないそしてこの身をさらし叫ぶ。

 

「俺はここだーーーーー」

 

瞬時に静かになって、捕獲せんと襲いかかってくる。

 

「面倒かけやがる!喰らえしほさん直伝戦闘術!」

 

足を払い手を引き、顔に手を掛け後頭部から床に叩きつける。そして続けままに後ろの敵を担いで集団に投げ付けた後一緒に発煙筒を炊いて突っ込んで暴れる。日々郷地さんと変質者や犯罪者との戦い(に巻き込まれ)、毎年夏休みにはしほさんが直々に戦闘術を仕込んでくれた。その戦闘スキルは決して低くはない。何回か増援を挟みながら、煙が晴れた後には数ヵ所に傷を負った衛一だけがたっていた。

 

「何か無いかな~。えっと・・・合った合った。サバイバルナイフか、良いじゃないか(ゲス笑い)。お?カロリーメイト持ってる奴も居る~大収穫じゃ~。ほーかーにーは?発煙筒かよしよし(悪い笑顔)、あーとーはー?カードキー?どっかで使えるだろ。後はメモ帳を持ってる奴から全員回収と(暗黒微笑)、これで良いだろう」

 

入手品

サバイバルナイフ×1

カロリーメイト×8

発煙筒×12本 ※結構見つかった

メモ帳×30冊 ※全員漁ってこの量、揺するネタを確保

        

そのまま見つけた階段を上がる

 

~地下二階~ 

さっき叫んで近くの敵を全員誘引、撃破したので敵は二、三人程しか見つからない

 

(ここは見つからずに行けるかな?)

 

と、後ろから肩を叩かれる  

 

「誰だ?・・・なんだ、桐原か」 

 

 

「えっと、他の二人が待っているので来てください」 

 

「とりあえず分かった」

 

ーーーー

 

どこかの小部屋に移動した。そこには本城、池本がいた

 

「あれあれ?皆さんお揃いで、どんな用事ですか?」

 

「率直に言います。戦車道をしてくれませんか?」

 

「ヤダ。何でわざわざそんなやりたくないことしなくちゃならない?一週間であそこまで出来たならレギュラー入りもできるだろう。家柄だけに人を見る目には自信はあるぞ」

 

「まえのカチューシャ様との戦いで勝つための切り札になったのは衛一だ」

 

「精神論を言うつもりは無いが、あの撃ち方は誰にでも出来るだろう」※恐らくできません。

 

「・・・出来ないから言ってんの。ボソッ」

 

「ええ?ホントかなぁ~」

 

「あんな精密に一ヶ所に曲射弾道を描いて砲弾を送り込む何て芸当、どんなに難しかったことか」

 

池本は興味本意で衛一から教わったが、止まっている目標にしか命中させられず、マウス程の的に命中弾を与えるまで、時間がかかった。それを衛一は三斉射以内で命中弾をだしている。はっきり言って変態

 

「ま、何を言われようがする気は無いからな。そろそろこの辺で」

 

「まてまて、弓道部の部長から戦車道を頑なにやろうとしないのなら、お前に渡しておいてほしいってものが有るんだ」

 

そう言って差し出されたのはいつぞやのワニキャップ、クリスマス迷彩服とピポザルの仮面を除いた各種装備品

 

「これを部長が?」

 

「ああ。」

 

「分かった。感謝する(ピポザルの仮面があれだったとすれば。ワニキャップも)」   

 

衛一はクリスマス迷彩服に瞬間的に着替え、ワニキャップをかぶり、流れ込んでいる意識に身を任せた。

 

(この感覚、ピポザルの仮面と同じだ) 

右手にまつあきを持ちそして無線機が鳴る 

<やあ衛一君。君なら逃げてくると信じてたよ

 

<おまえ、裏切ったのか

 

<確かに裏切った。けどどうしてもほしい機材が合ったのでね、信頼の裏返しとでも考えてほしい 

 

<この状況でなぜ信用されると思っている

 

<信用してくれないと困るんだけど、

 

<ハァー、分かった。ただ今回だけだぞ

 

<ありがたいね。とにかく今は甲板に上がってきて

 

<分かった

 

「いくなら気をつけてください」

桐原からの忠告を後ろ目に部屋を出た

 

「・・・で、何でワニキャップと松明?」

 

「さあ?しらねえな」

 

━━━━━━

 

地下一階

(見張りがざっと十人程か。さっきので大部分を無力化したと思っていたが。しかもこれが全員戦車道履修生ってことに驚きだ。って5人もこっち来た)

 

SARUは一旦退き、残りから見えないところまで誘い込む。そしてスモークグレネードを投げ連続CQCで無力化した。そして残りの処理にかかる。すぐちかくの角まで行き、黒い箱を普通に開けた

 

(え"。こいつ普通に開けやがった)

 

中に入っていたのは二種類のクスリ。松明を持ち、そして1錠づつ口に放り込んだ。

 

(えっちょっ、ま)

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

腹を押さえて倒れる

SNAKE DEAD

 

確認に来た見張りが、近づいて屈む。そして、火が着いた。二人めも一人目に目もくれず確認にくる。がまた火が着いた。三人目、四人目、五人目も同じ

三大儀式

 仮死焼く 

 

(え?何で火傷してんの?大丈夫?生きてる?)※生きてます。このあとフルトン回収されました

 

そのまま最寄りの階段を登り、甲板へ登る戦車道の演習場の奥地に出た。高低差が激しい。

<甲板で君の反応を確認したよ。その辺は見て分かるように、地形が複雑でね、見張りに見つかりやすい

<分かった

<あと、スナイパーが出てくる可能性が有るから注意して

 

(警備としてスナイパーか、どんだけ厳重なんだよ)

 

そしてそのまま進む。まだ見つかっていない目の前の見張りに、数発麻酔弾を撃ち込み

 

「誰だ!」

見つかった

「俺だぁ」 

見張りは眠った

 

(体にどんだけの早さで麻酔が回るか見極めて行動してんのか。見張りの視界の範囲とかも完全把握して、本当にこいつ何なんだ?)

 

その瞬間、SARUは壁に引っ付き儀式を始めた。目の前を見張りが通りすぎていく。いつもの事と割り切り更に奥へ、この辺は高低差が激しく、背の高い草木が多い。スナイパーが潜むには理想的な状況。そして弾がとんできた。衛一は一瞬の殺気を感じて、SARUは長年の勘で間一髪で回避した。そのまま岩影で視線を切りながら徐々に近づく。しかし、回りに見張りの姿が確認できない。スナイパーだけようだ。

(殺気であらかた方向は分かるが、細かい位置が分からんな)

SARUも完全には把握しきれていないようで、細かく索敵しながら岩影を進んでいく、そして別の方向から弾丸がとんできた。移動したにしても距離が距離、別のスナイパーと考えるのが自然だか弾が飛んでくる方向から殺気を感じない。SARUが弾がとんできた方向をみるも何も居ない。今更だがSARUと衛一は感覚と考えがリンクしている。衛一が殺気を感じれば、SARUも分かるそのまた逆もしかり。そして二人の間で一つの結論が出た。

 

 

 跳弾

 

 

衛一がカチューシャとの戦いで用いようとした手法でもあるが、戦車砲威力が高すぎてでは出来なかった。しかしライフルならそれが可能。敵スナイパーはこの辺の地形に相当詳しいらしい。腕も変態だろう

取り敢えず匍匐して進む。しかし移動したようで何処に行ったか衛一には分からなくなった。だがSARUは捕捉しているようだ。少し回り道しながら背の高い草に紛れながら徐々に距離を近づけていく。スナイパーは撃ってこない。こちらを見失ったのだろうか?スナイパーが居る崖のすぐ真下に着いた。崖に沿うように移動する。登れそうな所を見つけたので床ズサーを繰り返し登る。丁度V字型の場所に居た。SARUは気づかれないように後ろを全力疾走し両端にいくつかクレイモアも仕掛ける

 

  ◯←スナイパー >←クレイモア

   ┏━━━━━

   ┃ 

   ┃

   ┃

   >  

 

そして、スナイパーを蹴り飛ばす。驚いたスナイパーはすぐに体勢を建て直し、この場から離れようとする、そしてSARUは追尾。しかしスナイパーが逃げた先にはクレイモアが仕掛けてある。一回目引っ掛かった。直ぐに反対側に逃げる。しかしそっちにもクレイモア。これを三往復程繰り返し、スナイパーは無力化された。

 

(いとも容易く行われるえげつない行為。てこの人、何でノンナさんが)

 

━━━━

 

 




今回の被害
生徒およそ55名

最終回にならなかった。


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第十六話

前回、スナイパーを死の反復横飛びで無力化したSARU
しかし、衛一を捕らえようとする刺客はスナイパーだけでなかった 


お気に入り登録300件突破・・・嘘やろ⁉️
皆様有り難うございます(圧倒的感謝!


(学園艦どんだけ広いん?)

 

高低差が激しい地形から遮蔽物が少い平坦な地形に出たさっきからエンジン音が聞こえるものの正確な位置と車種が不明。そして段ボールを被り移動する

 

(段ボールが凄いのか、SARUが凄いのか、よう分からん。しかも天候が芳しくない。こりゃ雪か雨が降るな)

 

プラウダ学園艦は今かなり北の方を航行しているため4月上旬でも普通に雪が降るので衛一としては早く学校に戻りたいところ。また段ボールを被ったまま草原を疾走する。しばらくすると何やら特徴的な空気を斬り裂く音が聞こえてきた。

 

(この音、ヘリのローター音?)

 

プラウダの校章が付いた古そうなヘリコプターが飛んでおり、側面に機関銃がついている。そしてその機関銃はこちらに向けられていた。今SARUは対空兵器を持っていない。逃げ一択。しかしSARUは撃たれながら無線機を取り出して何やらし始めた。何をやろうとしているか、感覚が共有されている衛一にも伝わる。

 

(おいおい、正気か?こんなの直接狙わないと当たるわけ)

 

SARUがヘリを誘導し、ある位置に来たら円を描くように走る。ヘリの上空には気球が付いた1台のジープがヘリの真上に移動していて、真上に付いた瞬間気球が切り離されジープがヘリに直撃、そのまま爆発四散した。ジープは何も無かったかのようにその場に着地した。そしてジープに乗り込み移動を開始した

 

 

━━━━━

 

 

ジープで移動している現在、今度はヘリコプターと戦車に同時捕捉されてしまい、絶賛逃走中ナウ。正直なんで避けられているのか分からない。しかも戦車は撃破したのが復旧したのか数が多い。ヘリも三機は居る。だが一人しか居ないので反撃しようにも反撃出来ない。その時前方に人影があった。こっちに手を振っている

 

「おーい。援軍だー」

 

(郷地さん?!なんであんな所に)

 

SARUのハンドル裁きで郷地のすぐ真横を通過する。郷地はそれに飛び乗った。

 

「運転は任せてくれ。攻撃を頼む。」

 

運転を交代しSARUは拾ったモシン・ナガンを装備。ヘリの機銃主に向けて連射した(なんか一回一回消えては出てきてを繰り返しているのは気のせいだろう)。大体数発当たれば当たってねむる。これを三回繰り返しヘリは無力化。

戦車はTNTを直接投げつけて撃破していくが、何分数が多い

 

「そうだった。部長からのお土産だ」

 

と言ってこっちに何かを投げてくる

 

「こいつは・・・パンツァーファウストか。なんでこいつがここに?」

 

「細かい事は知らん」

 

「まあいい。ありがたく使わせてもらう」

 

そして構え、大量に居る戦車に適当にぶっ放す。数が多く固まっているので当たる。威力の問題で撃破に至らない事もあるが大体撃破できる。大体うしろで玉突き事故が発生しているのも原因の一つ。所々で爆発が起きている。パンツァーファウストを連射し続け(こっちも一回一回消えては出てきてを繰り返している気がする)次々撃破。数も半分を下回っている。そろそろ学校に入る。さすがに学校の中までは追尾してこないだろう。

 

 

━━━━━

 

 

ジープは学園敷地内を走り抜け、今回の黒幕が居る場所。戦車格納庫に突っ込んだ。もう追っては無い

 

「おい、止まるときくらいブレーキを踏め。危うく舌を噛むところだった」

 

「悪い悪い。何回か被弾してブレーキ壊れてたの気付かなかった」

 

幸い、空の格納庫に突っ込んだため、あんまり被害は無かった。乗っていた二人は直前で飛び降りた。

そして突っ込んだ格納庫のなかには現プラウダ戦車隊隊長とカチューシャ、ノンナが居る

 

「やあ、島田衛一君。久しぶりだね」

 

「誰だお前は」

 

「忘れてしまったのかい?悲しいなぁ」

 

(あー、そっかSARUの状態では会ったことは無いからか、ちょい変わって)

「お久しぶりです隊長さん。戦車の大半を撃破したのは謝りますので、ここはもう帰って良いですか?」

 

「良いと言うと思うのかい?」

 

「絶対帰らせないわよ。ここまでされたら意地でも戦車道をやってもらうわ」

 

「でも一つだけチャンスを上げよう。無理矢理勧誘してるのはこっちだからね」

 

「チャンスとは?」

 

「君はそこに居るカチューシャの乗る車両を撃破した。なら私も君に挑もう」

 

「なるほど、だが───」

 

「今無事な車両が丁度二両ある。今から勝負しよう」

 

「・・・こうなるの読んでましたね?

 

「なんの事かな?偶然二両残っただけだよ」

 

「そう言うことにしておきます」

 

━━━━

~対戦車道隊長~  

 

「すまんな、またこんなことになっちまって」

 

「いえ、別に良いですよ」

 

「気にすんなって」

 

「・・・気に病む必要はない」

 

「といってもこっち不利すぎね?あちらさんis-3でこっちBT-7、頭おかしいだろ」

 

「プラウダにis-3があるのはじめて知ったな」

 

「・・・確か今年導入した新車。多分実戦で整備に問題がないか確認するのも目的」

 

「まー、取り敢えず桐原メテオで行こうかと考えたが、警戒されてるよな」

 

「今回は自走砲弾がないからそれも使えないかも」

 

と、作戦を練って居る内に考えるのが面倒臭くなって衛一がSARUの仮面を被って隊長の戦車を襲うと言う、完全にSARU任せの作戦になった

 

(えっと何て呼べば良いんだ?)

(スネークと呼べ。俺を知っている奴からはBIG_SARUとよく呼ばれる)

(じゃあ俺もおれもSARUと呼ばせてもらうよ。で、頼めるか)

(分かった、久々に楽しめたんだ。礼くらいはする)

(恩に着る) 

 

「嬢ちゃん方、頼みたいことがある」

 

━━━━━

 

「さてさて、彼らはどうするのかな?」

 

Is-3のキューポラからだを出している隊長

 

「隊長ってドSだったんですか」

 

「勘違いしないでくれ。彼らが練度差と性能差をどう乗り越えるのかと思ってね、彼らに殺られるのが楽しみだよ」

 

「ええ...(困惑)」

 

生粋の変人と言う肩書きは伊達ではない

 

━━━━━

 

「と言ってもこんな無茶苦茶な頼みを実効出来るんでしょうか?」

 

「さあ?頼まれたからにはやるしかないだろう」

 

「・・・と言ってもわざと見つかって逃げるだけだけど」

 

SARUから頼まれた任務は見つかって気を引くこと。砲撃はある地点までせず、その地点に着いたら足を止める事だった

 

「対戦車火器でも撃ち込むのか?」 

 

「・・・重戦車相手だと装甲の問題がある」

 

 

━━━━━

 

 

SARUは頼み事をした後馬で疾走していた。is-3が通るであろう予想進路に向けてBT-7が待ち構えているところだろう。

ブロロロロロロロロロ

 

BT-7が位置に着いた。そして空砲を発砲

 

(来たか。しくじらないでくれよBIG_SARU)

 

馬を軽く道として整備されている通り道のど真ん中に待機させる。そして道路脇で段ボール(パスver)をかぶりis-3の停車を待つ。

 

(今更だが何で俺は三人称視点なんだろうか)

 

段ボールを被っているはずなのに段ボールとその回りの風景が見えている。幽霊にでもなったのか、ゲームをしている感覚だ。

 

(エンジン音・・・来たかな?)

「いや、何かおかしい。何か違和感がある」

(違和感?)

「少しうまく行きすぎじゃないか?少なくともBT-7は発砲した。だが見つかっていないような仕草だ。こう言う時は」

(身を張った囮?今回はお互い一両ずつだぞ) 

「いや、まさに俺たちがいましている手だ。戦車を囮に撃破する」

(おいおい、まさか)

 

「そのまさかだよ。衛一君♪」

 

「な!?」

 

「いやぁ、君なら一人で動くだろうと予想していたどんな手を使おうとしているのか知らないけど、じゃあね」

 

手に持った拳銃を発砲しようとする。が、弾は出てこなかった。

 

「え?あ!」

 

セーフティ(安全装置)がかかったままだった

 

「戦場では致命的、基本が出来ていないと証明する行為だ。死ぬぞ」

 

とこっちも麻酔銃を発砲、隊長の頭部に撃ち込んだ

 

「後はis-3を仕留めるだけ・・・ウグッ」

(どうした!視界が、仮面が割れた?)

 

「こっちも・・・簡単に・・・くたばらない!」

 

「SARU...SARU!答えてくれ!」

 

壊れた仮面を被ってみる。流れ込んできたのは一言だけ

(お前ならやれるはずだ)

 

「そうか。ならばやってみせよう。武器を借りる」

 

後ろを向くと、そこには眠った筈の隊長の姿がなかった

 

「チッ、逃げやがったか。しかし麻酔は当たった筈だよな。考えても仕方ないか」

 

と、そんなことをしている内にis-3を確認した。

 

「殺りますか」

 

パンツァーファウストを真正面から撃ち放つ。しかし相手は重戦車。しかし損傷がないため直ぐに近くの草むらに飛び込み、呼び寄せた馬で砲撃を回避しながらBT-7へと向かう。

 

 

━━━━━

 

 

「すまん、予定が狂った。BT-7の足を生かして援護してくれ!攻撃は嫌がらせ程度で良い!」

 

「え?」

 

「今すぐ!じゃないと殺られるぞ!」

 

「わ、分かりました。本城さん」

 

「あいよ!!」

 

「衛一ィィィィィィ、私を倒してみろぉぉぉぉぉぉ」

 

「何で元気に動けてんだよ!」

 

戦車の上からパンツァーファウストを足回りを狙い撃ち放つが車体を旋回されて上手く当たらない。直ぐに狙いを照準機辺りに切り替え、撃ち放つ。残りのパンツァーファウストは三発。止めを指すのに二発は必要と考えたのでもう一度撃つ。命中はしたが照準機に加害出来たかは不明。走る戦車から飛び降り側面に回ろうとするが隊長が撃つ機銃の弾幕がそれを許さない。

 

「うぐう、なかなか隙が生まれない」

 

気休めにBT-7の搭載機銃を外したものを撃ってみるが効果効果は全くない。その時、is-3が発砲。そして砲弾はBT-7の足回りを破壊した、撃破の白旗は出ていないが次撃たれたら撃破され、衛一の負けになる

 

「ケガ覚悟で特攻するか」

 

パンツァーファウストを持ち、is-3の防御機銃を回避しながら近づく。そしてそれに呼応するようにis-3も衛一に突っ込んでいく。しかし砲塔はBT-7に指向されたままだ。さっきからの平均装填時間は25秒、既に5秒経っているのでタイムリミットは20秒少なく見積もっても17、8秒で止めを指す必用がある。しかもパンツァーファウストでは正面からの撃破は望めない。確実に撃破するなら狙う場所は後ろか天板、そう決めるとパンツァーファウストを機銃に撃ち込んで沈黙させる

 

━5秒経過━

 

「うおぉぉぉぉぉぉ」

 

そのままis-3の前の傾斜装甲に手をつき体を無理矢理乗り上げ、砲塔の天板に立つ

 

━また5秒経過━

 

パンツァーファウストを真下に照準

そして、引き金を引いた

 

爆発にもろに巻き込まれ、吹き飛ばされる。天板から放り出された衛一が見たのは煙を噴き上げ白旗を上だったげているis-3



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第十七話

目が覚めたら家にいた。身を起こすとホクが飛び付いてくる 

 

「おお久しぶりだな。ホク~元気だったか?」

 

頭を上下左右にくるくるさせご機嫌な様子、元気そうだ。立ち上がって時間を確認すると23:57と時計は差していたので少し水を飲んで寝てしまおうと考えたが枕元に一通の書き置きが置いてあった

 

『これを読んでいると言うことはやっと起きたんだな。お前が逃避行をしている間は俺が代わりにフクロウに餌をやっといたから安心しろ。お前の意識がない間に戦車道の事に関しては決着が付いた。代わりにノンナとか言うやつに弾着観測射撃を教えることになってるから日時は5/@の放課後だ。あとお前や俺、他の奴らが壊したものについては戦車道の練習中の誤射と言うことになって校長の顔が面白いぜwww 最和中 郷地』

 

「ふーん、んで今日は・・・え?あれから3日経ってんのか。」

 

とりあえず寝た

 

 

~翌日~

起床、身体中が痛い。あんなことをしたのだから仕方ないと納得して取り敢えず起き上がり、軽く朝ごはんを作って食べて、ホクにご飯をあげて、学園へ。メールが来たのだが一部実習授業が無いらしい。と言うのも俺の反撃と戦車の攻撃で使い物にならないのが一つ、校長室でKV-2の榴弾が炸裂したのが一つ。それで校長が現在再起不能状態に。理由は秘蔵のエ○本が燃えたから、ほんとどうでもいいね!

 

「この学校これから(残りの設備的な意味で)大丈夫かなぁ」

 

「よぉ、衛一四日ぶりか」

 

「ん?翔真さん、久しぶりです」

 

「噂は聞いたぞ~。ほぼ全校生徒と戦車から逃げ続けた上に戦車道の隊長までしとめたんだって?」

 

「あー、確かに撃破しましたが、正直怒られる戦い方しかしてないので」

 

「何をしたんだお前は・・・」

 

「上に乗ってゼロ距離対戦車擲弾撃ちました。」

 

「うっわ、それ自分も吹き飛ばされるだろ。お前はAT教団だったのか」

 

「対戦車兵の気持ちを味わういい機会でした。翔真先輩もやってみたらいかがです?そうだ次のガルパン二次創作書くとき対戦車道の小説書こ」

 

「メメタァんで、部活は来るのか?」

 

「行きます。もうあと一日位したら禁断症状が出てきそうで・・・もう手先が痙攣し始めてます」

 

「中毒レベルじゃねーか。もう治療不可能だな」

 

「アヘェ、ヘヘヘヘヘヘ、モット!モットヒキタイノー」

 

「汚い、そして気持ち悪い」  

 

雑談をしながら登校、授業を終えて部活へ。そこには意外な来客が

 

「何でいんの?」 

 

「お邪魔してます」

 

ノンナがゴム弓を引いていた。 

 

「あ!衛一君」

 

「部長・・・何でノンナさんが?」

 

「それは私から説明します。まず戦車砲の大半は・・・」

 

話が長かったので要点っぽいとこだけを説明する

戦車砲は大体、『平射弾道』をする。砲弾の弾道が直線に近く、着弾までの時間が短い

榴弾砲、迫撃砲の大半は『曲射弾道』をする。砲弾を撃ち飛ばし放物線を書く。着弾までの時間が長い

矢の機動が『曲射弾道』に近く、衛一が長い間弓を引いている。ならヒントはここに有るんじゃないかと考えたらしい

 

「成る程、だいたい分かった。部長、今日は遠的してます」

 

「準備と片付けは自分でね」

 

「へいへい、わかってますよー」

 

━━━━━━━━

 

「うーん、六本撃って三本当たりか調子悪いな」

 

ぼやきながら次を引く準備をしていると、ノンナが来た

「見学させてもらいます」その一言を発して道場の後ろに座る。

 

「遠的は望遠鏡無しじゃ当たったか見えねえぞ」

 

と言って、近くに置いておいた双眼鏡を投げつける。普通にキャッチしてピントを合わせ始めた。なのでそのまま射場に入る。一射、矢は高く上がり遠的用の的を射ぬいた

 

「ふう」

 

「丁度真ん中の円に刺さりましたね」

 

「正直、学園艦じゃやりづらい。定期的に陸で練習しなきゃな」

 

「この距離を精度が良くない筈の弓で当てるコツは何ですか?」

 

「まず、弓の精度は人による。当てられるかは、長年の勘と感覚、あとは・・・弓を、己を信じる事」

 

「己を信じる?ですか」

 

「そそ、まあ着弾観測射撃は観測手からの情報ありきだからな。自分の腕をあげてもその辺に落とすことしか出来ない。こっちでできるのは調整だけだ。まあ、どんだけ連携と信頼できるかだな」

 

「信頼ですか・・・」

 

「そう、信頼。いくら撃ったとしても正しい情報がなければ当たらない。もうそろ片付けるか」




道具説明
ゴム弓・・・弓道を始めたばかりの初心者が引く姿勢を覚える時に使う道具。種類は結構あるが棒の上の方に大きく中が空洞なゴムをつけている。個人製作も可能であり、糸ゴムを丸く結ぶだけ


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第十八話

どうも、また衛一が軽く超人的なことを軽~くやります


~演習場~

「んじゃ桐原、観測とカチューシャへの指導頼んだ」

 

「分かりました」

 

「私が完璧な指示を飛ばしてあげるわ。大船に乗った気でいなさい」

 

そう言い残しカチューシャは桐原と一緒に的近くに向かった

 

「さて、指導を始めます。まずは実際にやって感覚を次の掴む所から」

 

今日はノンナに弾着観測射撃を教える日だ。本城と池本にも手伝ってもらう。取り敢えず土嚢で傾斜を作り、その上でis-2を静止させる  

 

「さて、まずは車体がどれくらい傾いてるのかを計測しようここに道具を借りたので自分でやってみ」

 

「はい」

 

器具のスコープをノンナが覗きこむ。少しして計測が終わったらしい。

 

「何度に傾いてた?っても実際に撃って弾の機動見た方がはっきりするから。ぶっちゃけこの作業要らなかったりする」    

 

「・・・」

 

何か言いたげな目だが衛一は気にも止めない。

 

「後は桐原からの情報元に数撃て。それで感覚を掴め」 

 

━━━━━━━━━

 

「さて、そろそろ良いだろう。砲撃戦をしよう、実践あるのみだ。移動は禁止、観測主からの情報を元に先に当てた方の勝ち」

 

「分かりました」

 

━━━━━━━━━

sideノンナ

 

「では、観測よろしくお願いしますよカチューシャ」

 

「分かったわ。任せなさい!」

 

《んじゃ、始めようか~》

 

気の抜けるような声で号令がかかる。

 

「カチューシャよ。敵発見。距離はえっと、2000で11時の方向、地点は・・・д5・・・あっ発砲したわ」

 

「了解。撃ちます」

 

小気味良い炸裂音と共に砲弾が撃ち上がる。そしてノンナの視界から消えた。曲射は着弾まで時間が掛かる

 

ーーー

衛一side

 

「さて、動かない重戦車に徹甲弾落とすとか簡単だな(ゲス)」

 

「お前最初から勝たせるつもり無いだろ」 

 

「当たり前じゃん。負ける勝負は挑まない性分でね、もうそろそろ弾着報告が来るだろう。後あちらの砲撃も(ズガーン)ほら来た。近いな、もう効力射か」

 

「観測主より砲主へ、目標より後方10メートル、左7メートルに落下」

 

「こちら砲主、弾着情報に感謝。第二射撃つ」

 

「分かりました。敵が発砲、注意してください」

 

「いや、第二射少し待ってくれ。やってみたいことがある」

 

「何ですか?」

 

「そっちに迷惑はかけんよ。池本弾種、徹甲弾」

 

「・・・まさか、正気?頭おかしくなったんじゃないの?」

 

「おい、なにしようとしてるのか教えてくれよ」

 

「見てたら分かる。今の衛一は頭がイカれたみたい」

 

池本が何をしようとしているか勘づいた。衛一がやろうとしていることと、池本が思っていることは同じである弾着まで後10秒程

 

「よし見えた!はよ砲塔動けや」

 

スコープで何かを見つけ砲身を動かす。弾着まで5秒程

 

「Начало перехвата(迎撃開始)」

 

衛一が狙っていたのは・・・

 

━━━━━━

カチューシャside

「ノンナ、いいコースじゃない。直ぐ後ろに落ちたわ。諸元このまま撃ちなさい」

 

「継続射撃します。情報任せました」

 

「任せなさい!」

 

ノンナの撃った砲撃は順調に衛一車に向かっていた。カチューシャは結果を見て内心大笑いしていたが・・・

 

「さあ、終わりよ島田衛一!」

 

空中で砲弾が炸裂した

 

「んなっ!・・・信管の誤作動?整備のやつ後でシベリア送りにしてやるんだから!」

 

数秒後、また砲撃が来るがそれは外れ

また来るがそれも空中で炸裂する。

 

「どういう事?ノンナ!空中で信管が誤作動してる。問題はない?」

 

「誤作動ですか?私が点検して何も問題は無かった筈です」

 

「整備不良じゃないの?なら何が」   

 

また空中炸裂、そこでカチューシャが違和感に気付く

 

「ノンナ、さっきから砲撃が来てる?」

 

「・・・来てません」

 

「どういう事?」

 

━━━━━━

衛一side

「うぇっひっひっひ。あいつらこっちが迎撃してるとは思わないだろうなぁ」

 

「笑いかた気持ち悪い」

 

「おおう、ド直球」

 

着弾5秒前位に衛一がノンナの砲撃に対し徹甲弾をぶち当て粉砕していた。

 

「池本、is-2の砲弾積載量は?」

 

「確か28発のはず」

 

「よし、このまま迎撃し続けたら勝てるな。ヘッヘッヘッ」

 

その発想が出てくるのもどうかと思うが、それを実行するのもどうかと思う。

その後も衛一は淡々と砲撃を迎撃し続ける

 

━━━━━━

カチューシャside

一方、カチューシャは衛一がノンナの砲撃を迎撃しているのに気が付いた。

 

「ノンナ!今すぐ撃つのやめなさい!」

 

「да?」 

 

「あいつノンナの砲撃を撃ち落としてる!」

 

「まさか!?そんなことが可能なはず・・・」

 

いつも冷静なノンナが動揺した。飛翔している砲弾を撃ち落とすのは不可能では無い。不可能では無いのだ。だがそれはあくまで物理的に可能な事であって普通にやって出来る事ではない。

 

「衛一が射撃したのと同じタイミングでノンナの砲撃が爆発してる。そうとしか思えないわよ・・・このまま撃っても迎撃されて弾切れするわ」 

 

「・・・」

 

ノンナは頭の中で、この状況を打開する策を練るがどれも自分では現実的じゃない。

 

「装填主、徹甲弾に変えて。ノンナ、砲撃しなさい」

 

「ですが・・・」

 

「少し考えたら分かったわよ。打開策、つまり向こうより重い砲弾を使えばいいのよ」

 

カチューシャは考えた。どうすれば迎撃を突破できるのか

短時間で二発以上の砲弾を落とす?

駄目、is-2の射撃速度ではそんな事不可能

 

煙幕で目眩まし?

無理、煙幕弾は今無い

 

何とかして射撃の妨害?

禁止だし、そのために必要な物もない

 

どうする、どうする?何か手は?何か方法は?

 

刹那、多数の打開策が頭を過る

そして正解

相手の車両はT-34/76、つまり砲弾が軽い。なら迎撃出来ないようなもっともっと重いものを落とせば良い。それは何か、is-2の徹甲弾、これなら質量差で押し勝てる!

 

「数で勝てないなら、一撃を重くすれば良いわ!」

 

カチューシャに呼応するように遠方でis-2が咆哮をあげる。

やがて砲弾はT-34に降り注ぐ。カチューシャの目論み通り、徹甲弾は衛一の迎撃を受けるも質量差で迎撃に出てきた徹甲弾を粉砕した。そして弾着、迎撃でコースが逸れたのか、それとも元々外れだったのかは分からない。

 

「装填主、徹甲弾は後何発?」

 

「装填中含めて5発です」

 

「ノンナ、それで仕留めなさい。良いわね?」

 

「分かりました」

 

━━━━━━━

「やつら徹甲弾撃ってきやがったな。迎撃が粉砕された」

 

「どうするの?」 

 

「こっちも向こう狙って早期決着を図る。桐原、弾種何でも良い、観測再開要請。第1射、撃つ」

 

「観測再開了解です」

 

「いつでも装填出来るぜ!残り十二発」

 

「そんだけあれば十分だ。射撃再開!」   

 

ノンナの砲撃が右側面を掠める。

 

「直撃弾・・・じゃないな」  

 

「装填完了!」

 

「第二射、撃つ」

 

「こちら桐原、第一射着弾、効力射」

 

「装填完了!」

 

「第三射!てぇー!!」 

 

原作の戦車戦では本来起きないであろう歪な砲撃戦。だが手数で勝るT-34を使っている衛一に軍配が上がった

 

「衛一さん、命中弾確認しました。私たちの勝利です」

 

「ふぅ、今回は危なかった」

 

勿論ふざけて迎撃戦なんてしなければもっと早くケッチャコ...はついている

 

「本城、俺のおふざけで負担かけてすまなかったな」

 

「良いって、良いって。それより迎撃されてたと知ったあの二人の顔が早く見たいぜ。池本、もっと飛ばせねぇ?」

 

「これ以上速度出したら履帯が千切れる」

 

━━━━━━━

 

衛一が車庫に戻る。既にis-2が戻ってきていた。池本と本城に車庫入れを頼み先に降りる

 

「同じ砲主として負けました。完敗です・・・まさか迎撃されるなんて」

 

「うん、何かやろうとしたら意外とできた」

 

「あー!もう、島田衛一!あんたたまに練習に顔出しなさい!」

 

「え?なんで?」

 

「あんた言ったわよね。暇だったら良いって」

 

「そんなこと・・・言ったなそいや」

 

確かに言った。そして暇だったら試合に出ても良いと

 

「あと、月曜日と日曜日は部活休みなんでしょ」

 

「えー、こっちも高校生だから・・・」

 

「どうせあんたの事よ。部活無い日もやってるんでしょ。勉強ほっといて」

 

「な、なんの事かな~」 

 

「あとあんたたちの車両に使える砲主が居ないのよ。隊長はあの三人とあんたを一緒に動かしたがってるし」

 

「はえ~、まっ、暇ならやってやるよ」



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第十九話

今回原作直前入ります。


「おい!お前は今回のことが正しいと思ったからやったのか?」

 

「は?当たり前じゃない」

 

「人の命がかかっている現場で隊長の命令を無視してまで掴んだ勝利が勝利だと?」

 

「何が言いたいのかしら」

 

「お前は地吹雪と呼ばれているみたいじゃないか。ああ、確かに吹雪だろうが心まで冷たいのか?人の心が無いのかと聞いているんだ!」

 

「そんなこと言ったらあんたもそうでしょ。味方を撃破したじゃない」

 

「おまえが!救助の為に!車長が居なくなった!フラッグ車を砲撃しようとした、いや!砲撃したからだ」

 

「衛一!熱くなりすぎだ!頭を冷やせ!」

 

「郷地君の言う通りだ。一度冷静になれ!」

 

郷地と部長が仲介に入る。何でこんな喧嘩が勃発したのか、それは滑り落ちた車両の救助の為に飛び出した所で、カチューシャの車両が発砲した。細かい経緯はこれから

 

━━━━━━━━

 

「は?決勝に出ろ~?」  

 

頼みたいことがあると言われて聞いてみたらこれだった

 

「頭大丈夫か?こんな事するって」

 

衛一の疑問ももっともである。普段あまり顔を出さない奴に決勝戦と言う大舞台に出ろと言っているのだ 

 

「認めたくないけど、あんたの腕は確か。持てる戦力を出し惜しむのは愚行って言ったわよね」

   

「そりゃ言ったが、流石に頭の構造に不備が生じてないか疑うぞ」 

 

「カチューシャ様は正常ですし本気です。それに桐原車の砲手がいま食中毒で使えないのです」

 

「食中毒って、なに食ったんだよ・・・そう言うことなら仕方ないか。日程は?」

 

「三日後」

 

カチューシャが言った

 

「Пожалуйста, скажи это снова」

 

「Три дня спустя」

 

「ちょっとあなた達日本語で喋りなさいよ」

 

「ええ・・・うせやろ。まあ暇だから良いけどさ」

 

━━━━━━

~当日~

「また、よろしく頼むわ」

 

「・・・本来の選手じゃないやつをあろうことか決勝に突っ込むなんてなに考えてるのか」

 

「それゆえの生粋の変人か」

 

「まあ、隊長さんのことです。何か考えがあるんでしょう」

 

「「「合ったら良いな/ね」」」

 

「んで、今回の作戦って何かあるの?」

 

「黒森峰の主力を少数車両で押さえ、残りの車両でフラッグ車を包囲、確実に仕留めるそうです」

 

「ふむ、姉御がそう簡単に乗ってくれるとは思わんが」

  

「姉御?」

 

「ああ、現黒森峰戦車部隊隊長西住まほ。母親同士の仲が良くてな、昔良く会ったんだ。姉御呼びはその名残だな」

 

「もしかして隊長が衛一さんを起用したのも」

  

「それも有るんじゃね?つっても戦車乗ってんの見たこと無いけど。そいやみほも黒高だったか」

 

「・・・みほって、西住まほの妹の?」

 

「そーだよー。中学入って会う機会がめっきり減ったけど昔は超が付くくらいには活発だった。元気かな~」

 

~ちょっと小話~

衛一は何回か西住姉妹に会っている。小6の夏休みにふざけてで言った姉御呼びが存外気に入られ定着した。まほは衛一の過去について知っている。と言うかバレた。みほは知らない。なお衛一の記憶に微かに残っている千代さんが衛一と重ねた人物についても少し知っているらしい

 

『皆作戦は頭に叩き込んだね?さあ、行くよ』

 

「「「「「ураааааааааааааааа!」」」」」

 

━━━━━━

 

その後、何故かほぼ全ての作戦が上手く行き、フラッグ車の包囲が成功した。

 

「なんだこの化け物は、あの姉御が綺麗に策に嵌まるとは・・・」

 

「これが隊長の凄いところです。相手がどんなに対策を練ろうとも、事前に察知して完璧な対策を一瞬で練る。そろそろ砲撃指示が・・・」

 

「うっせやろ、ガチ物の怪物ジャマイカ」

 

『全車、目標が網に入った・・・射撃開始』

 

近くに潜んで居たT-34群が射撃を開始した。衛一も射撃を開始する。狙いはフラッグ車

 

「んー、なんか懐かしい感覚だな」  

 

「なにがだ?」

 

「いや、なんかフラッグから懐かしい気配がするの」

 

「西住姉妹のどちらかがのってるんじゃないか?」

 

「ああ、成る程。乗ってるならみほだな。姉御は前線だろう」

 

撃ってみるがパンターの正面装甲に阻まれる。

 

「ありゃ、装甲抜けないな。この車両にパンツァーファウストかデグチャレフ対戦車ライフル積んでない?」

 

「何をしたいか分かるが辞めろ」 

 

カンカンカンカンカンカンカンカンカン

 

「うっわ、機銃垂れ流し始めやがった。照準機煙で見えねえ」

 

カンカンカンカンカンカンパキッカンカンカンカンカン  

 

「おい、何か嫌な音がしたぞ」 

 

「やべぇ、スコープのレンズ壊された、照準不能」

 

「ええ!?こちら十二号車、照準機破損」

 

『ふむ、適当でも良いから撃ち続けてくれ。心理的効果を狙う』

 

「適当に射撃続行、心理的効果を狙うそうです」

 

「えー、同士撃ちしちゃうかもよ?」

 

『君はそんなことをする無能ではないだろう?』

 

「会話聞いてたんかい!」

 

『無線開きっぱなしだったから。後射撃継続ね』

 

「・・・桐原、砲手一時的に頼む、キューポラから顔出して指事出すわ」

 

「分かりました。」

 

衛一がキューポラを開き雨の中身をさらす。そこで見たのは、Ⅲ号戦車が雨でぬかるんだ斜面を、濁流に向かい滑り落ちる光景だった。

 

『っ!、全車射撃停止、射撃停止。救援を出す準備だけしておいて。これから命令するまで発砲は禁ずる』

 

「うん?何でみほは体を出して・・・あいつまさか!?」  

 

みほがパンターからⅢ号に飛び移る。その影響でフラッグ車のパンターは停止した。みほはⅢ号の乗員救助を続けている

 

「(ん?なんだ?なんか嫌な予感がする)」

 

回りを見渡す。土砂が崩れる様子もない。何か、何か原因があるはずだ。双眼鏡で確認した、双眼鏡には砲身を動かしているT-34が一両

 

「あの車両なんで砲身を・・・!桐原、砲塔旋回右60!車体も回せ!」

 

「え?」

 

「良いから早く!」  

 

車体と共に砲塔も旋回、こうした方が指向も早い

 

「ストップ、左2度修正、角度は水平、撃て!」

 

「はっ、はい!」

 

射撃の衝撃波を受けないようにするため一瞬車内に戻る。次に顔を出したときに見たのは先程砲身を動かしていた車両が白旗を上げているのだった。だが、フラッグのパンターも白旗を上げていた・・・

 

━━━━━━

そして話は冒頭へ

 

「お前がこう言う曲がったことが嫌いなのは昔からだ。だが、あのチビ助のやったことはルールには反してないんだ」

 

知っている人間に聞いてもカチューシャはルールは破っていない、破っていないのだ。

 

「そうだよな、ルール上は間違ってない。それは分かってるんだ。だが、人として、」

 

「ああ、あいつはスポーツマン精神は欠落してる。それは分かる。だから押さえろ」

 

「衛一、君は少し落ち着いた方が良い。そうだね・・・戦車道から離れる・・・知り合いにとある高校で会長をしている子が居る。そこに転校してはどうだろう」

 

「転校・・・」

 

「形はどうであれ一種の裏切りをしたわけだからね、いずれにせよもうプラウダには居られないだろう」

 

 




次回から本格的に本編に入ります。衛一と言うイレギュラー、どんなスパイスになるかお楽しみに


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大洗(原作)
第二十話


本編、開始ィ!


大洗『元』女学園。生徒数の減少から共学になった、そこに部長のコネと衛一の今までの成果で大洗に転校した。そんなことが会ってから一年が経とうとしていた

 

「変態紳士、進捗どうだ?」

変態紳士と言われた男子生徒、『宮古 日向』

 

「予定より進み具合が良い。二、三時間余裕が出きる。凶人、そっちは?」

 

凶人と呼ばれた『早崎 蒼汰』

 

「ちと気持ち遅れてる。波川、余裕あったら手伝ってくれ」

 

将来の車長『波川 紅葉』

 

「こっちは予定どうりに進んでる。手伝いは変態に頼むんだな」

 

「手伝ってくれ、宮古」

 

「構わない」

 

「滅茶苦茶です。担任、伝達ミスで急げは」

 

「そう言うな波川、お陰で購買の割引券貰えたんだから」  

 

担任のせいで余計な仕事をさせられている四人、そこに?

 

《二年生の西住みほ、島田衛一、至急生徒会室に来るように、繰り返す・・・》

 

「俺とみほ?何か臭いな」

 

「記憶が正しければ、戦車道の有名どころだよな」

 

「ああ、島田流と西住流、みほは言い方悪いが純血、俺は養子だがな」

 

━━━━━━

 

「わるいね~わざわざ来てもらって」

 

「仕事が残ってるから手短に頼む。角谷会長」

 

「何の話ですか?」

 

「実は戦車道を復活させることになったんだ。だから君たちに戦車道を履修してほしくてね」

  

戦車道、その単語を聞いてみほがびくり、と反応した。去年のことがまだ忘れられないらしい

 

「そうか、じゃあ一・・・みほと俺が何でここに来たかはしってんだな?」

 

「承知の上だよ」

 

「答えはnoだ」

 

「私も、やりたくありません」

 

「ふーん、そーか。まあじっくり考えてみて。すぐ答えが出るとは思ってないから」

 

━━━━━━━

 

「まさかな、ここでこんなことになるなんてな。みほ大丈夫か?」

 

「はい・・・」

 

「只何でいきなりこんなことを言い出したんだ?そこが不思議で叶わん・・・変態紳士に調査してもらうか」

 

「変態紳士?」

 

「宮古日向やつはこの学園で生徒会に悟られず情報網を敷いている。こいつが本気出せば機密情報だろうがまる分かりよ」

『やっほー島田だ。たのみごとがあるんだが』

 

『珍しいな。どうした?』

 

『生徒会長がいきなり戦車道を復活させると言い出した、何か裏、真の狙いがありそうだから・・・それを調べてほしい』

 

『ふむ戦車道を復活か・・・確かに違和感を感じるな。分かった。個人的にも気になるから、あと友達割り』

 

『今度飯でも作ってやるよ』

 

『契約成立だ。二日後にまとめて伝える』

 

『頼んだぞ』

 

「さて、これで何かしら掴めるはずだ。なんか不審なことがあったらあいつに頼めば分かる。おまえだったら水着でも着てやれば何でも調べるだろうな」

 

「水着?」

 

「あいつは変態だ。だが紳士だ。あいつの盗撮写真見たけど体操着や弾けるほどの笑顔を撮っている。まあそれを売っているらしいが・・・ただ女子更衣室とかではしないらしい。奴曰く『俺は全うでありたい』だそうだ」 

 

「は、反応に困る所・・・」

 

「おっと、んじゃ俺はこっちだからまた明日」

 

「はい!また明日」

 

━━━━━━━二日後

「んで、何か分かったか?」

 

「結論から言う。この学園がヤバい」

 

「何があった?」

 

「実は・・・」

 

 ❲生徒会室❳

宮古が生徒会室の上のダクトから部屋を見渡す。部屋には誰も居ないことを確認し、降りる。服装もいつものような制服でなく、全身黒いタイツで名探偵●ナンの犯沢さんである。 

まず生徒会長の机を調べる

鍵付きの棚をピッキングし、解錠。なかを見ても干し芋のカタログしか入っていない。鍵のついていない棚も干し芋しか入っていなかった

机の上にも特にそれらしい情報がなかった 

 

副会長の机に目をつける

また鍵をピッキング、全ての棚を調べてもやはり目ぼしいものはない

書記の机には何もないだろうとふんで、見つけた金庫を開けにかかる。六桁のダイヤル金庫、ポーチから聴診器を取り出しダイヤルを丁寧に回す

カチャリと小気味良い音をたて蓋が開く。中には今後の方針、予算案をまとめたプリントが入っているだけだった

 

「(戦車道復活に繋がりそうなものが無い。とっとと退散するか)」

 

入ってきた天井のダクトに再侵入、脱出した

 

 ❲校長室❳

「(ここに無かったらただの気まぐれだな)」

 

ガラス戸の古い棚をしらべていた。そこには『学園艦の廃統合について』と言う資料がある。取り敢えず中身を撮影し机の引き戸を調べる。一番上に『大洗学園の廃校について(仮)』という資料があった。

 

「これは!」

中身を読み込む。そこには今年いっぱいでこの学校が廃校になる。と言う内容だった

 

「生徒会の戦車道復活の目的はこれか!」

 

外に足音が聞こえてきた。主要部だけ急ぎで撮影、開いていた窓から逃げ出した

 

━━━━━━

 

「こう言うことがあった。この写真はその資料、大方分かったが何をするんだ?」

 

「成る程ねぇ、学園艦の廃統合、ここの廃校。そういうことか」

 

「もったいぶってないで教えろ」

 

「まだ仮説だ。仮説は立証する為にある(ニタァ」 

 

「仮説をお聞かせねがいたいが」

 

「仮説としてもちょっと無理矢理なんだ。まず生徒会はこの学園の廃校を阻止したい。理由は分からないが、その時に目をつけたのが戦車道、そしてみほと俺。まあ、なんだ?つまり俺は廃校を阻止するための駒ってわけだ。二つ目は廃校の前のおもいで作り。あくまでも仮説だがな」

 

「確かにな、筋は通る」

 

「後はこの情報をどう生かすかだな」

 

「面白い仮説を聞かせてもらった。ファンタで手を打つ」

 

「お!ありがとう」




衛一君の仮説と宮古の情報、どうしようか


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第二一話

『ふーん、大洗の廃校ねぇ』

 

『何か変な噂とか舞い込んでないですかね、千晴さん』

 

『話を聞く限り文部科学省も大きくか変わってるからなぁ。今のところ特には』

 

『そうですか。ありがとうございます』

 

衛一は元部長、千晴に連絡を取っていた。無論何か知らないかを聞くためだ。その前にも母さんとしほさんにも連絡を取ったが何も分からなかった

 

「戦車道と廃校阻止、何がどう繋がる?」  

 

無限機動杯?

違う。それはとっくの昔に廃止された

戦車道復活での入学者狙い?

違う。今年いっぱいで廃校だ

戦車道で学園を有名にする。廃校にできないような付加価値をつける、じゃあ戦車道で何をするつもりだ?

今年中にある戦車道で有名になる手段、みほと俺を勧誘したからにはそれなりの難関・・・

 

「全国大会・・・そうか!」

 

━━━━━━━

 

「おっす。呼び出してすまないなみほ」

 

「それより何か分かったんですか?」

 

「おおよそな。多分生徒会は戦車道大会で優勝又はそれなりの結果を残そうとしてる」

 

「優勝ですか!?でもなんで」

 

「これ見てみろ。すぐ分かる」

 

出したのは『廃統合について』『廃校について』の資料と予算の割合の計画書の写真 

 

「ほほう、正解だ。それで・・・どうやって調べた?」  

 

「うわぁっ!何時から居やがった?」

 

「『これを見てみろ』位からだね~」

 

「ほとんど全部じゃねえか。気味悪い」

 

「で、どうやって調べあげたの?」

 

「俺は唐沢千晴の後輩だぞ。情報網の一つや二つ、持ってて当たり前だろう」

 

「なるほどねえ、だけどこれを知ったらこっちも後に退く訳にはいかないよ」  

 

角谷杏は確固たる意思のこもった目でそう言った

 

「ほう、まあこれを俺が知っからといってなんの拘束力を持つ訳じゃないがな」

 

「あ、あの・・・これって本当・・・何ですよね」

 

「そうだ。我が大洗学園は全国大会で優勝しないと廃校になる」

 

「待ちなさい!/待ってください!」

 

「武部さん、華さん?」

 

「あら?衛一さん、どうしたんですか?」

 

「いや、むしろこっちが聞きたいんだが、なにしに来た?」

 

毎日図書室浸りの衛一とはそれなりの面会がある五十鈴

 

「みぽりんが生徒会からの脅迫を受けてるって聞いたからとめにきたの!」

 

と言ってみほの前で手を広げ守る

 

「そうねぇ、もし止めるなら・・・みんなこの学園に居られなくするよ?」

 

「お、脅すなんて卑怯です」

 

「いや五十鈴、面白そうじゃないの。小説にも色々あるのさ。廃校を阻止する話」

 

「廃校?」

 

「お足下の資料をご覧ください。そこに全ての原因が」

 

五十鈴が写真と纏められた紙を真剣な顔で読み込んでいく

 

「衛一さん、これは一体・・・」

 

「要点まとめると戦車道全国大会で優勝しないとここ廃校だ」

 

「え、嘘でしょ⁉️そんな話聞いてないよ!」

 

「これは機密情報だろう生徒会長?大方この情報が流れて更なる生徒の減少を防ぎたかった。ってくらいだろ」

 

「でも・・・これは横暴です」

 

廃校になる。その真実を知った二人の声の勢いは少し減っている。その傍らで俯いているみほ

 

「だがな、お前にも言いたいことがある。みほ、お前はいつまで逃げる気だ?」

 

「え?・・・」

 

衛一がそう言いはなつ。すべてを見透かしているかのような目で

 

「俺は気に食わねえよ。武部と五十鈴にずっと守ってもらって、いつまでもあの事を引き摺って、いつまで被害者面してるつもりだ?」

 

衛一はみほの顔色が悪くなっている気がした。容赦せずつぎを叩き込む

 

「あの状況だ、黒森峰はどうせ負けてた。黒森峰はそれを分かってたんだ。嫌でもな。その責任をお前に押し付けることで逃げているだけ。それとお前は俺からしたらなんにも変わらない」

 

「それは・・・」

 

「島田君!みぽりんは明らかに被害者じゃない!」

「そうです!」

 

「こいつを戦車道から少しでも離したい、しほさんが言っていたそれも分かるが、それは偽善でしかない。あの時のしほさんは母親ではなく、西住流師範として接した。あの人が子育てに不器用なのはよーく知ってるさ。だけどそれはお前が逃げていい理由にはなり得ない。」

 

「・・・」 

 

「みほが西住と言う名を捨てない限り戦車道は付きまとうぞ。その過程で何時かは乗り越えなきゃいけない障害だ。西住流的に言うのであれば『西住流に逃げると言う道はない』辺りか」

 

沈黙が辺りを支配する。みほはうつむいたままだ

 

「昔お前は言っていた。人によって異なる戦車道があると、なら・・・お前の戦車道は一体何だ?」

 

少し、少しづつでも、みほは前に進む

 

「私、戦車道やります!」 

 

「!やってくれるか」

 

「はい!」

 

今のみほには強い意志が宿っているように、否!強い意志が宿っている

 

「みほ、これは苦難の連続だ。それを俺も手助けしよう。そのための戦車も一両あることだ。会長、適当に乗員集めとく。母さん指導の大学チームになんとか転がり込む算段だけはついてるから、そこで錬成してくる」 

 

「車両の維持費と消耗品はこっちで負担する手筈になってるからそこだけよろしく。いや~、戦車を出してくれるのはありがたいね。因みに何なの?」

 

「秘密」

 

━━━━━━━

後日、格納庫前に集合した戦車道履修生たち。しかし戦車を1から探すはめになっているのはt-44を取りに行った衛一と御一行は知らない

 



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第二十一話

ウェイ、ウェイ、ウェェェェェイ!






はい本編行きます


~島田家~

衛一は他三人と実家に帰ってきた。もちろん目的はt-44

 

「ただいま~」

 

「え!鬼ちゃん、おかえり。どしうしたの」  

 

「まて愛里寿、吸血鬼になった覚えはないぞ」

 

「えっと、お兄ちゃんの部屋の銀の箱に入った赤い本に書いてあった」

 

「成る程把握、そうだ、母さん今居る?連絡した筈だけど」

 

「それが・・・」

 

「?」

 

━━━━━━━

リビングにはうつ伏せに倒れた母さんが居た。頭にギャグ的なタンコブが出来ている。そして側には重そうな箱が落ちていた

 

「なあ愛里寿、予想はつくが何があった?」

 

「あの箱を持ち上げようとしたら倒れちゃって、頭の上に箱が・・・」

 

「分かった。母さん、生きてる?」

 

「あら衛一、お帰りなさい。体は大丈夫?」 

 

ひょっこりおき上がり椅子に座る

 

「むしろこっちが聞きたいんだが、頭いろんな意味で大丈夫?」

 

「酷いわね、母さんそんな子に育てた覚えないわよ」

 

「むしろ五年位虐受けてたらまともな奴にならないと思うんですが(迷推理)」 

 

「それよりお友達は?」 

 

「あ」

 

━━━━━━━

~外~

「先に行くから待ってろって言ったまま戻ってこんぞあいつ」 

 

「これ以上待たすならしばきまわすか」

 

「プールへの隠しカメラ設置をやらせる」

 

と衛一が戻ってきた。

 

「悪い、少しトラブった。入ってきて。後宮古、変なことしたらお前を弾にするからな」

 

「心配要らない。節操は守る」

 

━━━━━━

 

「こいつらだよ」

  

「どうも、いつも馬鹿息子がお世話になっています」

 

「え?お前の母さん若くない?」

 

「これでも(ズドン」  

 

すぐ横の壁に扇子が刺さった

 

「何か言おうとしたかしら?」

 

「イイエナンデモゴザイマセン」

 

「で?いつまでにこの子たちを戦力化すれば良いの?」

 

「会長曰く、今日除く5日程らしい」  

 

「5日かぁ、分かったわ。大学生の練習に放り込むからそのつもりでね」

 

「はい!/うっす!/コクッ」

 

「今日はもう遅いし、さっさと夕食にしましょう。使用人さんが作ってるわよ」

 

「おれ手伝ってくるわ~」

 

「そう言えば、役割は決めたのかしら?」

 

「ええ、俺は車長で、そこの変態が操縦士、脳筋が装填主」

 

━━━━━━

~緊急錬成任務日記一日目~side衛一

母さんの指導する大学選抜に放り込まれた。父さんが定期メンテナンスをしてくれていたらしく、t-44は綺麗だった。今日は役割ごとに別れて、各々の指導を受ける。他の奴は知らないが俺は愛里寿の巡航戦車センチュリオンの砲主にされた。約三名程から殺気の籠った視線を感じるが気にしない。

しかし母さんに俺が戦車に乗っていたことをいつの間に知られていた。弾着観測射撃のことは知らなそうだが、バレそうだ。それで行きなり実戦、三両のパーシング相手と戦うことになった。それぞれの車長がバミューダ三姉妹と呼ばれ鬼神のごとしコンビネーションを出すらしい。正味驚いたが愛里寿は毎日たたかっている。後で知ったが、三両にはそれぞれ波川、早崎、宮古が乗っていたらしい。まあ完全勝利した。長距離狙撃で一両一両丁寧に側面ぶち抜いた。早崎が殺気に感ずいて回避しやがったが愛里寿が機動戦に持込み問題なく撃破。

母さんからの講評は初心者にしては良い程度だった。

バミューダ三姉妹の評価は多少は使えるくらいだった

 

 



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第二十二話

今回は完全日記形式


~緊急錬成任務日記、二日目~

前回、多少は使えると評価を頂き、t-44を出して本格的な錬成に入った。母さんから提示されたメニューはひたすらバミューダ三姉妹の内一人と戦い続ける。勝てたら二人、また勝てたら三人で、ラスボスは愛里寿(ウラボスも居るらしい)・・・無理ゲーだな(確信) 

一回目(ルミ)正面から堂々かち合ったが、俺が砲撃する前に仕留められた。

 

二回目(メグミ)波川の判断ミスで撃破された、そろそろ撃ちたいんだけど   

 

三回目(アズミ)面白いほどに策中にはまっていた。面白いので放置したら後ろから砲撃された

とまあ、こんな感じで撃破され続けてた

どの勝負も衛一が砲撃する前に撃破された。今日の講評はこの子たち相手なら善戦してる方らしい

バミューダ三姉妹からはまだ弱いだった。何か途中で『ルミに負けるのは無いわ~』とか言い出して喧嘩になったが愛里寿を召還することで強制中断させた

波川の食事はキュウリの塩揉み(丸々一本)と米だけにしておこう

後、宮古が血を吐いて倒れた。理由を聞くと『俺は、俺は大切な『何か』を逃した気がする』と血涙を流しながら言った。何かやってるかみほに聞くと水着で戦車を洗車していたらしい。成る程

 

~緊急錬成任務日記、三日目~

昨日キュウリと米だけにしたら何故か喜んで食べて困惑してる俺だ。米とキュウリだぞ?漬け物でもなくただ塩降っただけだぞ!なんでだ!

さて、前置きはこれくらい。またバミューダ三姉妹との勝負だ。今度は二、三勝できると良いが

一回目(アズミ)波川が一向に発見できず、むだに時間を浪費、その上準備し、待機中に発見された。詰んだと思ったら早崎が覚醒。聞くところでは『殺気を感じて本能で動いた。風紀委員相手にいつもしてること』らしく、衛一が即座に反撃。攻撃は正面装甲に阻まれたが、始めて一撃食らわせた。まあ撃破されたが

 

二回目(ルミ)今度は無理に曲射をせずに普通に戦うことになった。早崎がバミューダ三姉妹の性格や戦術を聞いて回っていたらしい。変なこと聞いていないと良いが。今度は高台に陣取り、俺が砲撃する事になった。結果は相討ち。砲撃音でバレたけど、砲撃戦で相討ちに持ち込んだ

 

三回目(メグミ)やたら挑発的にその辺を走り回り、出てきた所でなんとか森林に誘導、機動(ゲリラ)戦をしかけ圧勝さすが中戦車、素晴らしい機動力だ。

その後も戦い続けたまに勝てるようになった

 

~緊急錬成任務日記、四日目~

会長から聖グロリアーナ女学院と練習試合をすると言う連絡が届いた。母さんと他三人に朝食で伝えると、愛里寿は「お兄ちゃん、頑張ってね♪」とやる気の出る応援、母さんは不敵に微笑んだ。嫌な予感がする

が昨日とやることは変わらない

で、三勝位したら時間もないと言う理由で愛里寿(ラスボス)戦をさせられた。

結果は惨敗。あいつ戦車に神経繋がってんじゃねえの?

 

そんなこと無い。お兄ちゃん達は強かった ありす

そうよ、自信持ちなさい! 千代

 

~緊急錬成任務日記、五日目~

よりによって母さんと愛里寿に日記見られた。まあ、困るようなこと書いてないんだが・・・

昨日愛里寿戦は強制負けイベントだったと考えよう。そうしよう。母さんからはバミューダ三姉妹を相手の練習しなさい。と言うお達しだ

一回目 連携化け物だな

二回目 攻撃したら他の奴が庇いにきて弾かれる

三回目 ジェットストリームアタック

四回目 弾着観測射撃を実行。コソ練してた。事前の三日分を解析し、通りやすい道を選んでそこに波川が待機、上手いこと罠にかかったから徹甲弾を落とした。結局一両落とせただけで砲弾が尽きた。

 

母さんからの総評 5日では良くやった。あの姉妹に不安定だが勝てるなら聖グロリアーナ女学院は問題に成らないらしい

 

愛里寿からの総評 試合頑張ってね!

 

バミューダ三姉妹からの総評 私たちが直々に鍛えたんだから、そんじょそこらの敵に負けたら許さない

 

ふむ、家の書庫を漁ったが聖グロの資料があんまりなかった。ので、卒業生に聞いて回った。今の隊長はかなりやり手らしい。警戒せねば



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第二十三話

本当は二話くらいに分けるつもりだった。


「おい変態紳士、あと何時間かかる?」

 

「不明」

 

「まあ、波川、そうあせるなって。一応連絡はしたんだからさ」

 

真の敵は運が悪いことに交通渋滞だった。

 

「ここで渋滞かよ」

 

早崎が装填手順を確認しながらぼやく。

 

「間に合わないな。前の遅い原因の車は見えてるから、破砕榴弾装填する。衛一、撃て」 

 

「やめろ」

 

━━━━━━━━

「え!衛一さん達が遅れる?」

 

「なんでも交通渋滞に捕まったらしい。短く見積もっても三十分は遅れるそうだ」

 

「うーん、困ったな~。それにあのチームがどんな戦車持ってくるか分からないしね~」

 

「そう言えば、もう一チームは島田流らしいですね。楽しみです!」

 

「でもどんな戦車かも知らせないで作戦立てるの苦労したよね。ほんと!挙げ句の果て残したのが『強さは保証する』だもん」

 

「ほかのヒントから推察するとソビエト連邦戦車としか断定出来なかったですしね」

 

この時点では衛一が何に乗ってくるか盲目だった。付近から独特な履帯音とエンジン音が近付いてくる

それはチャーチル歩兵支援戦車とマルチダIIの音だった

そしてあのダージリン(出るだけで笑いをとれる ガルパン界の檀黎斗(神) 語録しか喋らない女の子 ※以上ニコニコより抜粋)隊長が降りてきた

「本日は急な申し込みにも関わらず試合を受けていただき感謝する」

 

「構いませんことよ。それにしても、個性的な戦車ですことねぇ」

 

衛一がいたら確実に『うるせえ歩く英国面もどき』とでも言い返したであろう。まあ無理はないピンクのM3lee、金の38T、カラフルで旗のついたⅢ号突撃砲、色々かいてある八九式戦車。まあ、個性的だ

 

「ですが、私達はどんな相手にも全力を尽くしますの。サンダースやプラウダみたいに下品な戦い方は致しませんわ。騎士道精神でお互いがんばりましょう。所で、聞いていたよりも一両少ないようですが」

 

「実は一両交通渋滞にはまってね~」

 

「そうですか。そうねぇ、こちらも一両減らすかしら?」

 

「いや、ミスがあったのはこっちだから気にしないで~」

 

審判からの試合開始の挨拶。

 

━━━━━━

「波川、ラジオ放送してるはずだ。流してくれ」

 

「あいよ」

 

『ジジッ、大洗学園M3lee試合放棄、聖グロリアーナ女学院損害無し』

 

「若干ヤバイな、早崎は強装薬装填、衛一、空砲撃って脅かせ」

 

「マジで?やって良いの?やっちゃうよ!」

 

ズーーン100mm砲からの轟音、前の遅い車があわててスピードを上げた。

 

「よっし渋滞緩和。後は時間との勝負!」

 

『両校は市街地に突入したもようです。戦力も経験も劣る大洗は市街地の複雑な道を生かしてゲリラ戦をしかけるのか?』

 

「宮古、飛ばせ」

 

「限界まで速度だしてる。さっきまで混んでたから思うように速度出ない」

 

「もう一発やっちゃう?」

 

「今とそう変わらないからやめろ。」

 

『おおっと、ここで角待ちⅢ号突撃砲がマルチダを一両撃破!更に八九式が立体駐車場を使って更に一両損害!これは熱い戦いです』

 

「おお!流石だな」

 

『ですが、情報によると大洗は更なる切り札を隠して居る模様。だがその内容は明らかにされていない。とても楽しみです』

 

「おい、俺ら期待されてんぞ」

 

「悪い気はしねえな。むしろヒーローは遅れてやってくる位か」

 

『あーー!八九式、マルチダを撃破しきれていなかった。手痛い反撃、八九式ここで撃破されたー!ん?Ⅲ号それは危ないぞ?あちゃーⅢ号突撃砲、その旗が仇となった。マルチダII、家越し射撃でⅢ号撃破。残るはⅣ号と38Tのみ、対する聖グロリアーナの戦力はチャーチルとマルチダII5両これを覆せるのか』

 

「芳しくない所の話じゃないぞ完璧に33-4状態じゃねえか」

 

「「「なんでや阪神関係ないやろ」」」

 

波川のボケに綺麗に反応して見せた

 

『まだ聖グロリアーナはⅣ号と38Tの位地は把握していないのか?』

 

「ふむ、衛一これ殲滅戦だったよな?」

 

「だよ」

 

「俺らがつく前に終わったらどうなるんだ?」

 

「試合終了、欠席扱い」

 

「やベエ、宮古現在地は?」

 

「もうすぐ。手続きは済ませてあると言う生徒会の言葉を信じる」

 

『おっとここでⅣ号追い詰められた。前には聖グロ、後ろは通行止め。絶体絶命だ』

 

「やべっ、波川無線飛ばせ。参戦だ。聖グロリアーナ相手に宣戦布告するぞ」

 

「待て、まだ審判からの許可が出てない」

 

『おー!履帯を切られた38T!ここに参陣!・・・え?』

 

「おい?何があった?」 

 

『えー、実況の私も混乱していますが、至近距離での射撃を外し、38Tが撃破されました』   

 

「おい!38Tの無能砲主は誰だ!」

 

「確か生徒会」

 

「じゃあ、副会長の桃だな。今度射撃勝負舐めプしまくって泣かしたろ」

 

「えげつないね」

 

『だがその隙にⅣ号離脱、ここで大洗の秘密兵器が到着した模様。今渡されたデータによるとT-44/100!?』

 

『こちら審判、参戦を許可します。遅れてすいません』

 

『いや遅れたこっちが悪い。御迷惑をかけてごめんなさい』

 

「ラジオ切るぞ。さて宣戦布告だ『こちら大洗学園所属戦車、コールサインはそうだな・・・フクロウで頼む。これより戦線に参加する。フクロウよりアンコウへ、しばらく持ちこたえてくれ。後はこっちで何とかする。後はそうだな(周波数弄り)どうも初めまして、試合に遅れて申し訳ありません。綺麗な挨拶はこれくらいにして・・・踊れ踊れ英国被りの淑女共 地獄を見せろこの私に』」

 

『アンコウからフクロウへ、そろそろ何に乗ってるか教えてよ』

 

『そうだな。フクロウはt-44を使用している』

 

━━━━━━━━

~あんこうチーム~ 

『そうだな。フクロウはt-44を使用している』

 

「T-44?!えっと戦車道のレギュレーションでは最強候補一角の戦車です。細かい型は分かりませんが、今の聖グロリアーナの車両なら性能差は圧倒的です!まさか味方になるなんて」

 

「これなら、勝てる!」

 

━━━━━━━━

~フクロウチーム~

「衛一、市街地が見えた。ゲリラ戦の準備はよろしいか?」

 

「さあ、反攻作戦開始だ」

 

T-44はほぼ最高時速で走っている。

 

『こちらアンコウ、ごめんやられそう。長く持ちこたえられるかわからない』  

 

『構わん。もう少しで市街地に突入する。現在地知らせ』

 

『えっと、a-2b地点』

 

『了解、急行するアウト』

 

「今市街地入った。確か通り道に八九式が撃破された立体駐車場がある」

 

「成る程、まだいるな。一時的にも撃破と勘違いされたならかなりの損害かもしれん」

 

「この先だ。もう見えた」  

 

『こちらあんこう、マルチダII二両撃破だよ』

 

『おお!こっちも八九式撃破したマルチダII血祭りにあげてから行くアウト』

 

「こっちからも確認した。行進間射撃でも構わんぞ」

 

「スモーク焚いてこっちの手の内を隠す。できるな?」

 

「余裕」

 

脳筋の早崎が発煙筒(六個くくりつけ)をなげこむ。煙で一気に視界が無くなるが宮古は速度を維持し直線

衛一が砲塔をブロック塀ギリギリまで回す。そして発射した。轟音が少し煙を吹き飛ばしそれと共に鈍い金属音が鳴る。命中した。明らかに跳弾の音ではない。それにマルチダIIごときが100mm砲に耐えきれるとも思えない

 

「撃破だろう。弾かれてない」

 

『こちらフクロウ、マルチダ一両撃破確実』

 

『こっちももう一両撃破したよ!あとこっちで片付けちゃうからね』

 

『頼もしいな』

 

キューポラから頭を出して索敵に専念する波川。耳を研ぎ澄ませば履帯の音、砲撃音が聞こえてくる。

 

「あとマルチダ二両とイギリス首相が一両か」

 

と目の前の道にⅣ号戦車がひょっこり出てきた

 

「おっす隊長?」

 

「え?何だ・・・フクロウさんか」

 

「嘘でしょ、しかも100mm砲搭載型!?こんなの使ってるチーム滅多に聞かないです!」

 

「とりあえず目先の聖グロだ。ゲリラ戦で良いな?」

 

「はい、敵を撹乱しつつ撃破してください。チャーチルの正面装甲は脅威です」

 

「衛一がこいつの砲ならぶち抜けるってさ。さあ、行くぞ」 

 

━━━━━━━

~忘れかけてた紅茶視点~

『どうも初めまして、試合に遅れて申し訳ありません。で綺麗な挨拶はこれくらいにして・・・踊れ!踊れ!英国被りの淑女共 地獄を見せろこの私に』

 

「あらあら品のない挨拶ですこと」

 

「そうでしょうか?私は結構好きですけど」

 

「でも英国被りの淑女共とは我が校最大級の侮辱ですねダージリン様」

 

「そうねアッサム。けちょんけちょんにして差し上げましょう」

 

結構頭に来たダージリン、ただフクロウが何に乗ってるか分からない。

 

「ダージリン様、MI6からの情報ではかなり強力な車両とのことですが」

 

「心配要らないわ。どんな戦車に乗ろうとも、急造品では私たちに敵いませんのよ」

 

この時のダージリンは知らなかった。急造品であることには代わりないが、大学選抜で鍛え抜かれ、軽く人間やめた集団であることに

 

『すいません、ルクリリ車撃破されました』

 

『修理中でしょう。仕方無いわ。相手が何だかわかるかしら?』  

 

『煙幕を張られたと思ったらもうやられてました』

 

「煙幕で身を隠しながら撃破・・・急造品であっても侮れない相手だったようね」

 

「まるで忍者ですね。闇夜では無いですが気付かれない内に撃破する」

 

「そうねオレンジペコ。でもね忍者も「あ!」どうしたのアッサム?」

 

「西住流が居るとは調べがついていました。でも増援に来た戦車の砲主が・・・島田流です。さらに悪いことに今のプラウダの隊長、カチューシャに急造チームで勝利した・・・と言う噂を聞きました」

 

「アッサム、それは本当なの?」

 

「かなり信頼できる情報です」

 

「これは思ってるより面倒なことになりそうですねダージリン様」

 

そんな会話を展開してるときに、前を走行していたマルチダが撃破された。アッサムが反撃を試みたが弾かれる

 

「ダージリン様、一瞬しか見えませんでしたがおそらくソビエト戦車です」

 

「ソ連戦車でマルチダIIの角度がついていても正面を抜ける火力をもった戦車・・・T-34の確率が高いかしらね」

 

「お言葉ですがT-34よりも明らかに大きいです。サイズ感はis-2を少し小さくした程度かと。速度から考えても重戦車では無いです」

 

「・・・ダメね、思い浮かばないわ」

 

 

いかに思考を巡らせようと車種が分からない

 

「ダージリン様、エンジン音です。近くにⅣ号が潜んでいます」

 

「アッサム、射撃用意」 

 

Ⅳ号が角に居た。至近距離での早撃ち大会。制したのはⅣ号だったがチャーチルの無駄に固い正面装甲に阻まれ撃破出来ず反撃を受けて撃破された。その二分後位だろうか、チャーチルに衝撃がはしる

 

━━━━━━━━

 

エンジンが再び唸りをあげる。フクロウがあんこうが通って通って来た道を戻る。すぐにマルチダIIにぶち当たる。後ろにはチャーチルも見え、衛一が速射、わざと一番固い防盾をぶち抜いて撃破。チャーチルからの砲撃は砲塔前部側面の傾斜で弾いた。

 

「圧倒的ではないか、我が戦車は」

 

「そりゃ強いだろうよ。車体120mm砲塔180mmの超傾斜装甲と100mm砲を時速60kmで振り回すって、センチュリオンにも負けてねえ」 

 

「波川、このまま足を生かして回り込むで良いんだな?」

 

「ああ。チャーチルの速度考えても逃げ切れるとは思えない」

 

『こちらアンコウ、ごめん撃破された。あとよろしく』

 

「だってよ。車長様どうする?」

 

「よし、ガン待ちしよう」

 

「面白くないから却下。それなら弾着観測射撃しようぜ相手鈍足だし長いし一両だし行ける行ける」

 

「おっそうだな。それで行くか、で観測主は?」

 

「波川、お前に決まってんだろ。これやるからさっさと出ろ!」

 

車長にパンツァーファウストを持たせて蹴りだし、市街地外の適当な傾斜に移動。車両側の準備ができた時、丁度波川がチャーチルを捕捉したらしい。おまけに履帯をパンツァーファウストで破壊、詳細な位置情報をもらい射撃開始

 

「射撃開始する。流れ弾に注意せよ」

 

『あいあい、射撃開始了解』

 

無線は一時的に衛一が担う。臨時車長は宮古だ  

取り敢えず三連射する。

 

『発砲した。着弾までおおよそ40秒だと思う』

 

『随分適当だなおい』

 

「10,,,,5 4 3 弾着、多分今」 

 

『おし、おおよそ40秒だ。初弾目標の前方6メートルに着弾。第二射前方2メートルに着弾。第三射、後方1メートルに着弾。化け物かお前は』

 

『夾叉だな、同一緒元、連射する』 

 

━━━━━━━━

 

この時のダージリンは何が起こっているのか分からなかった。いきなり衝撃が走ったと思えば履帯が吹き飛んでいる(波川のパンツァーファウスト)そして謎の砲撃が飛んでくるため(衛一の着弾観測射撃)車外に出ようにも出れない

 

「何!?何があったの?」

 

珍しく取り乱すダー様

 

「分かりません。どこから撃たれているのかも不明です」

 

「でも撃たれているって言うより降ってきてるって言った方が正しいと思いますけど」

 

砲撃は止まない。やがて耳を打つような音が聞こえた。直撃弾が出たのだ。そして、白旗が上がった

 

「ここまでね、完敗だわ」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

~試合後~

「今日は楽しい試合だったわ」

 

「いえいえ、そんな」

 

「やっと撤収終わった。そこにいるのは・・・聖グロリアーナの隊長さん?」

 

「ダージリンですわ。以後お見知りおきを」

 

「島田衛一です。遅刻車の砲主してます。試合中に車長があんな事を言ってしまい申し訳ありません」

 

「『英国被りの淑女共』のことかしら?」

 

「ええ、聖グロリアーナのあなた方には最悪の侮辱でしょう?」

 

「確かにそうね。過去の記録を見ていても、それを言ったのはその車長さんが初めてでしょうね」

 

「おーい、衛一!ちょっと来てくれー!」

 

「ん?今行く!」

 

━━━━━━━━━━

その日の夕方、正式な隊長がみほに決定した。そして2セットの茶器と茶葉が送られてきた。みほと衛一の分だそうだ衛一は受け取っただけで中身を知らずこの中身を知るのは全国大会終了後なのはまだ誰も知らない



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第二十四話

大洗での初の戦車戦


~戦車格納庫~

聖グロリアーナ戦の翌朝、フクロウの腕前を見ると言う名目でⅣ号、Ⅲ突との2対1での演習をすることになった衛一が『そいえばどっかの生徒会無能砲主が至近距離砲撃はずしたらしいな』と煽り38tも巻き込んだ

 

「それにしてもT-44Ⅴ型なんて車両、どこから持ってきたんですか?」

 

「俺の私物だよ。中学の卒業祝でな」

 

「戦車を卒業祝に・・・羨ましいです」

 

「秋山、そいや俺こいつの性能以外なんにも知らないに等しいから、史実でどんな車両だったか教えてくれ」

 

「はい!」

 

「(めっちゃ目輝いてる)」 

 

「まずT-44中戦車は1943年3月にアレクサンド・モゾロフがウラル戦車設計局で試作車両のT-43を開発しました。T-43はT-43/43と約七割強の部品を共有している戦車です」

 

「T-43がt-44の試作品な訳だ」

 

「少し違いますね。主な違いは砲塔中人数が二人から三人になったことですね。装甲の強化で増えた重量の分、最大速度は48km/hに低下しましたが、サスペンションが従来のコイルスプリングを使ったクリスティー式ではなく、KV戦車と同じトーションバー式に変更され、走行性能そのものはT-34を越えていました。これは3000km走行耐久比較試験でも、従来のクリスティー式に比べ優秀であることが証明されています」

 

「ふむ、早速専門用語の羅列で頭がパンクしそうだ」

 

「T-43は1943年に一旦正式採用されることで決定しましたがすでに古くなっていた武装の新型戦車を正式採用することに異論が出たり、T-34の生産に支障が出る恐れがあることから、正式採用は見送られ、再設計が行われることになりました。その代わり、T-43の砲塔をベースに改良し85mm戦車砲D-5Tを載せたものをT-34に載せかえることで武装を強化することが決定しT-34-85として生産が開始されたんです」

 

「なるほど」

 

「モロゾフは車体を再設計して車体は履帯の上にスポンソンを設けない完全な箱型にし傾斜した前面装甲は90mmもの厚さになりました。エンジンもT-34のV-2ディーゼルエンジンを改良したV-44を搭載してエンジン出力も向上し、横置きにすることで車体もコンパクトにまとめられ、重量も31.8tに抑えました。砲塔はT-43に似てはいますが前後に長く装甲も厚い新型となり、主砲は85mm戦車砲ZIS-S-53を搭載してます。車重がT-34-85より軽量で、車高も低いことから、機動力も良好で路上では最大50km/hを出すことができました」

 

「さっきからt-44が空気だな」

 

「まあまあこれからです。この戦車は1943年7月、「T-44」として正式採用され、ドイツ軍から奪い返したハリコフ機関車工場で生産が行われました。大戦終了までに965輌が生産されたとされてます」

 

「へえ」

 

「T-44の開発当初はD-5TおよびZiS-S-53と共にD-25-44T 122mm戦車砲を搭載したT-44-122が1944年初めに試作されました。最初の試験で砲に故障が生じ、4月から5月にかけての試験でも搭載弾薬の少なさなど問題とされ、不採用となりました。車体側面にドイツ戦車の“シュルツェン”に似た増加装甲を実験装備した車両も存在します。戦車道のレギュレーション的にシュルツェンを浸けるのも有りかもしれません」

 

「装填大変そうだな」

 

「T-44の武装は大戦末期には標準的なもので、すぐにでも力不足になる代物です。だから生産開始とともにさらに強力な100mm戦車砲を搭載する研究が始まりました。試作されたT-34-100やT-44-100のように、単純に主砲を交換するだけでは、100mm砲の反動をうまく車体で受け止めることができず、砲塔を新設計するとともにターレットリング径を拡大して車体からはみ出す形となり、問題が多かったトランスミッションも新型が搭載され、履帯も変更、この新砲塔の100mm戦車砲搭載型はT-44Vと呼ばれたが、すぐにT-54と改称されました。T-54は1946年から試験的に部隊配備された後、1950年に正式採用され、更にお椀型の新型砲塔に変更し大量生産されていて、T-54は当時世界最強と名高い戦車です」 

 

「そのt-44Ⅴ型はほぼT-54か、弱いわけないわな」

 

「ええ。総合バランスでは最強と言っても過言じゃありません。で衛一殿は大学生チームで鍛え上げられたんですよね?」

 

「せやで」

 

「衛一さん、まだですか?」

 

「秋山連れて今行くわ」

 

~学園艦上、森林~

砲塔側面に躍動感のあるフクロウの磁石を張り付け(宮古作)大洗の校章を追加したT-44、更に自動車部の魔改造で舗装された道の最高速度が75キロに増加し、砲の安定感も増していた

 

「これが自動車部の力か」

 

「よく動いてエンジンの機嫌も良い」  

 

「砲の安定感も増したらしい。狙撃するのが楽しみだ。で、波川、今回の作戦は?」

 

「第一にⅣ号を撃破、次Ⅲ突、最後に38t血祭り」

 

「あいよ。変態紳士、早崎行くぞ」



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第二十五話

とりあえずⅣ号戦闘


~演習場~アンコウside

「かめさん、先攻して偵察をお願いします。かばさんは地形が複雑な所で待ち伏せてください」

 

『了解』

 

『分かったよ~』  

 

まとめて行動して弾着観測射撃で一網打尽にされるのを防ぐため散会する。衛一の弾着観測射撃の有効な対処法は不規則に動き続ける事、単調な動きをしないことだ。後波川を見つけ次第撃破することだ

そして五分程たった

 

『かめさんより、フクロウ発見したよ~。マッブ中央の高地を占拠して索敵してるっぽい』

 

「あそこの高地は攻めにくいですね。こっそり近づこうにも念入りに索敵してると思いますし、衛一殿の射撃能力を考えると」

 

「下手な策略は通じない」

 

「まるで敵を待ち受ける魔王だよ」

 

「真正面から敵を迎え撃つ構えですね。動かざること山の如しです」

 

「動かない・・・これなら勝てるかも!」

 

そう言うとⅢ突の現在地を確認する

 

『かばさん、その地点から少し北に行って射撃体制を取ってください。かめさんはそのまま監視を』

 

『ん。了解』  

 

『了解したがあいつ相手に砲撃戦で勝てる気がしないぞ』

 

『Ⅳ号と挟撃します。反撃には十分警戒してください』

 

『うむ、心得た!』

 

「まこさん、砲撃が来たら回避してください」

 

「分かった」

 

━━━━━━━

~フクロウside~

「波川、そっち見つかった?」

 

「駄目だ。そこに居る38t以外見つからない。向こうには見つかってるはず」

 

「なんのアクションも無いな。どうしたものか」

 

「衛一、この作戦で大丈夫だろうな?」

 

「変態紳士、そんな気にすんなって。38tの無能砲主の心折る為だけに考えた作戦だから」

 

「おい、心折るためって、それで折れるどころか壊れたらどうする?」  

 

「無理やり治してまた壊すを繰り返す」

 

「「「そいつぁひでえや」」」

 

「つっても衛一、お前の作戦、囲まれる前提だったよな」

  

「そろそろ動かない事の気づいて挟撃されると思うんだけど」

 

━━━━━━━━━━

『射撃準備完了した』

 

『分かりましたこちらとタイミングを合わせます・・・3・・・2・・・1・・・撃て』

 

同時に射撃する。Ⅳ号とⅢ突の位地は正反対でt-44を中心に直線を引くと丁度同じ位地に居る。つまり同じタイミングで撃てば同時に着弾する。そうやって調整した

 

『二両とも外れ~。反撃はあんこうみたいだね』

 

衛一からの砲撃は外れ。距離があり奇襲でも無い、回避運動もされている。こんなときに当てれるほど衛一は人間辞めてない

 

「華さん、秋山さん、全力射撃お願いします」

 

「分かりました」

「了解です!」

 

━━━━━━━━━~かばさんチーム(Ⅲ突)~  

 

「同じ弓の道を行くもの同士・・・勝負!」

 

衛一も弓の道を辿る者だ。実は左衛門佐は衛一と面識がある。衛一がゲリラ参加したとある大会の男女総合決勝戦で競い合い、負けたと言う因縁?のようなものがある。と言っても衛一の方は覚えていない。

 

『二両とも外れ~。反撃はあんこうみたいだね』 

 

「敵は背中を向けている。我々を舐めているようだな」

 

「本当なら射抜きたい所だが、撃ち抜くのも悪くはないな」

 

━━━━━━━━~あんこうside~

「こんな状況になっても大きく動かない。フクロウチームは何を考えているんでしょうか」

 

「うん。いつ被弾するか分からない上に視界が通る状態でその場に留まるなんて」

 

『よお、俺達の行動で大分まよってんじゃないかな?』

 

『ちょくちょく敵側の無線に混ぜてくるの辞めてくれないかな?』

 

『嫌だね。一つヒントをやろう。❲世の中には手段の為なら目的を選ばないどうしようもない連中も確かに存在するのだ❳』

 

「手段の為なら目的を選ばない?」

 

「勝利が奴等にとっての目的ならその中に手段がある。今の奴らにとってはその手段こそが目的だろう」

 

「そういえば試合の後衛一殿が言ってたことがありました」

 

「言ってたことですか?」

 

「衛一殿曰く『至近距離での砲撃外す無能は死ぬべき』らしいです。だから手段は38tの撃破?」

 

「この試合片方全滅でしょ。あんな意味深なこと残したならもっと別の何かがあるんじゃないかな?」

 

「別の何か・・・?」

 



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第二十六話

「別の何か・・・」

 

「『至近距離での砲撃外す無能砲主』は副会長を指しているな」

 

「桃さんを?」 

 

「まず昨日の試合での第一声がイカれてたからな。精神的破壊が目的でも違和感無い」

 

「精神的破壊・・・流石にそこまではしないでしょう・・・しないですよね?」

 

若干の不安に襲われる一同であったが流石に精神的破壊何て事はヤラかさ無いだろうと判断した。

 

━━━━━━━~フクロウside~

 

「なあ、あんなヒント残したらバレないか?」

 

「俺達にとって勝敗が目的なら、無能砲主の心を折ると言うのは勝敗に対する一つの手段だ。この手段のためなら目的は選ばんよ」

 

「答えになってないぞ。で、いつまで撃ち合う気だ?」

 

「おい島田、砲弾20発切るぞ」

 

「致し方ない。敗北を選ぼうか」

 

「じゃあ38tまで速度一定、ただ真っ直ぐ突撃する」 

 

「至近距離での機銃掃射で煽った後ぐるぐるして逃げながら撃破だな」

 

変態と波川の発案に乗った衛一、後は酷いの一言だった。概ね衛一の思惑通りになってしまったのだ。その後桃の姿を見たら真っ白でも真っ黒でもない。灰色に変色し、号泣していた(衛一は大爆笑)至近距離から煽り散らされ、撃っても避けられ、当たっても被弾箇所を選ばれて弾かれる。これを繰り返し完全に『手段』を達成した。負けたけど

 

━━━━━━━━

 

「衛一、結構ボッキリ行ったけど大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題無い。これから全国大会行くなら無能には消えてもらう方が勝ち率は上がる」

 

「そりゃそうだが酷いな」

 

「多分あの車両なら桃じゃなくて会長が砲主やった方がいい」

 

「会長が?」

 

「最後の射撃の感覚が違った。分かりやすく言えば殺気の変化だな」

 

「全然わかんねえよ・・」

 

「ここまで言ったらわかんだろ」

 

「まあな、最後だけ会長が撃ったって事だろう?」

 

「そそ。まあ、面倒くさいとか言う理由で桃のままだろうがな」

 

「なんじゃそりゃ・・・おい、お前とっくに気づいてるよな」

 

「なにがだ?後ろでステルスしてる茶髪の装填主の存在なんか知らないぞ」

 

━━━━━━━━━

 

「いつから気付いてたでありますか~」

 

「その程度、気付かないわきゃあねえだろ」

 

「で、実際のところいつから気付いてた?衛一」

 

「最初から。こんなに付けてくるんだ。よっぽど面白い理由があるんだろうなぁ?」

 

「お、面白いか自信はありませんが、不思議で・・・」

 

「不思議?」

 

「衛一殿は西住殿の話を聞く限り非道な事をするような人とは思えなかったもので」

 

「そうかぁ、姉御は知ってるはずだよなぁ」

 

「軽く聞いたお前の『過去』の話だな?」

 

「なんだ?波川知ってたのか。まあ、こんなに色々古傷があったから察しられても可笑しくないか」

 

「過去、古傷、」

 

「best match! 変身! are you ready?」

 

「おい、衛一、今はシリアスタイムだ」

 

「armortime?」

 

「そろそろ〆るよ?」

 

「あー、この状況で言って良いのでしょうか・・・」

 

「気にすんな」

 

「衛一殿は虐待を受けていたでありますか?」

 

「正解だ。丁度10、11年前の話だよ。

この十六と言う年齢も5月9日と言うのも書類上の物でしかない。『島田衛一』と言う名前も俺の本質ではない。俺の本名を知ってるのは『元』家族位な物だ。俺の本名を確認するのは不可能に近い」

 

「西住殿は知ってるのでありますか?」 

 

「姉御は知ってる。みほは知らない筈だ。誰かが言っていない限りな。聞かれたら答えるが聞かれなければ答えない。まあ一連の出来事が『島田衛一』と言う虚像を作り上げた。だが今の俺は『島田衛一』が本質であり本物である、複雑怪奇だな」 

 

「ちょっと何言ってるか分かりませんが」

 

「五年位虐待されたらまともな人格は作られないよな」

 

「あの・・・衛一さん、その話って?」

 

ひょっこりと角からみほが出てきた。話を聞いていたらしい

 

「カクカクシカジカ」by衛一

 

「シカクイムーブ」by波川

 

「何でそれ言ってくれなかったんですか!?」

 

「聞かれなかったし」



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第二十七話

全国大会トーナメント抽選会


~戦車喫茶ルクレール~

「まさかな~、みほ、いきなりサンダースとぶち当たるとはな~」

 

「すいません、運が悪くて」

 

フクロウの面々(早崎以外何故か迷子のなる)とアンコウの面々だ

 

「逆に幸運」

 

「どうした変態紳士?いきなり強豪と当たることが幸運なのか?」

 

「成る程、隊長考えたら初戦サンダース相手なら幸運だな」 

 

「おい、何で納得するんだ?」

 

「おいおい、逆にみほや他の面々は分からないのか?」

 

「ヒントはアメリカ風高校」

 

「そう言うことか」by 冷泉

「え?どう言うこと~!」by 武部

「どういう事でしょう?」by 五十鈴

「そう言うことですね?」by 秋山

「え?・・・あ!」by みほ

 

アンコウは武部と五十鈴以外は気付いた。

 

「詳しく筆者が説明しよう」

 

『え?俺?』

 

「当たり前だろ?口調考えて書くのも面倒だろうし」

 

『わーたったよ』

 

まずサンダースのドクトリンが優勢火力ドクトリンであることだ。簡単に説明すると火力(戦車)の集中運用で敵を撃破するものです。つまり沢山戦車を与えれば与える程強くなる。なので車両数が少なく砲弾の制限がかかる初戦で当たるのが一番楽な相手である。初戦は最大十両出せる。ただ大洗は6両だ。しかしT-44と言う大きな戦力がある上にフラッグ戦と言う勝負、38tが全力で逃げる間に他が敵フラッグを撃破できれば良い。つまりフラッグ以外は殺られてもあまり問題は無い(無いとは言っていない)のだ。

 

「解説ごくろうさん」

 

『またね( ̄ー ̄)ノシ』

 

「衛一さん、何で筆者と話せるんですか?」

 

「さあ?ご都合主義ってやつだろう。因みにフクロウ全員が話せるぞ。気にするな」

 

「はあ、」

 

「今の筆者の話を要約する。つまり戦車が少ない内に当たった方が都合は良い相手って事」

 

「成る程、そういう事でしたか」

 

と会話が弾みかけた所で?

 

「副隊長?」

 

黒森峰の制服を着た二人組が来た

 

「ああ、元、でしたね」

 

「久しぶり姉御、隣の濃厚なデミグラスソースの匂いがする銀髪誰?」

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「まだ戦車道をやっているとは思わなかった。衛一共々な」

 

「隊長、何かそこの男から変な目線が・・・」

 

「衛一、そこの銀髪から秋山と同じ感覚をキャッチした」 

 

「戦車好き?」

「違う」

「ハンバーグ教信者?」

「合ってるが違う」

「♂」

「違う、そうじゃない」

「♀」

「そう。で忠犬エリ公」

 

「謎の会話やめーや」

 

「みほ、これが男子高校生と言うノリなのか?」

 

「大丈夫、違うから安心して」

 

「さっきから何の会話してるのよ!?」

 

エリカからツッコミが入る

 

「で?結局この忠犬エリ公だれ?」

 

「あんた何名前知って言ってんでしょ!」

 

「逸見エリカ、黒森峰の副隊長だ。よろしくしてやってくれ」

 

「ねえ、さっきから私たちが空気なんだけど」

 

フクロウ一同&筆者「「「『気にするな』」」」

 

「あれ?姉御、何も食べていかないのか?」

 

「ああ、予定を思い出したんだ。全国大会で当たったら全力で相手をしよう」

 

「成る程、こちらも全身全霊で叩き潰しにかかろう」




ちょっと終わりかた変な気がするけど気にしないで


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第二十八話

サンダース大付属戦、序章


~T-44車内~

「M4系列か~、雑魚の集団かな?」

 

「そんなことはない。現状どれも大洗の戦車を楽に撃破される」

 

「なあ、俺戦車のことあんまわかんねえから帰って良いか?」

 

「そう言うな早崎、もうちょいで衛一とのランデブーポイントだからさ」

 

いまは高速道路を走っている。秋山とは別でサンダースに、今度はSARUの力は借りず自分の力で潜っていた。秋山はコンビニ艦での潜入だが、衛一は段ボールに潜み荷物に紛れての潜入である。

 

「お?そこのパーキングエリアだ。この辺の自販機の横にいるはずだが」

 

夜の自販機は目立つ。直ぐに見つかり、自販機に衛一が寄りかかって寝ていた。早崎が叩き起こそうとしたら背負い投げを喰らいかけたが気にしない

何をやっても起きなさそうなので砲塔の上にくくりつけて運ぶことにした

 

━━━━━━━━━━━~大洗、生徒会室~

「まあこんな感じだ」 

 

取り出したのは盗んでコピーしてきたサンダースの過去の試合資料、車両の性能とその内訳、戦車以外の備品一覧、選手データ等々セーフな物から(法律的に)アウトな物までよりとりどりだ。

 

「後これ。サンダース出身の大学生に聞いて回った情報。みほ、疲れたから作戦はよろしく。会長、眠いから早退する」  

 

「いくつか突っ込みたい物はあったけどありがとね~」

 

「おう、なんかあったら明日の朝連絡しろ」

 

と言い残し帰宅した

 

「あとはこれを元に」

  

━━━━━━━━~翌日、戦車格納庫~

「へぇ、面白い作戦に仕上がってるね。個人的にはナオミとか言うのが乗るファイアフライと狙撃戦を展開するのも一興だぁ」

 

「そうですか」

 

「あとは練習あるのみだな」  

 

━━━━━━━━~どっかの島~

学園艦が来たこの島で試合をする。衛一がgoogleマップで地形を確認したが着弾観測射撃には十分に耐えうる。と言うか索敵さえしっかりできれば着弾観測射撃は凶悪化するだろう。そう結論付けた衛一はニヤリと嗤う。そして会長らに合流した所に来客が

 

「ヘイ、アンジー」

 

「やあ、ケイ」

 

「お互い正々堂々、いい試合にしましょうね!ってあれ?あー!」

 

「ヒッ!西住殿、助けてください~」

 

「え?え?」

 

「そこのあなた私の学校に来てたわよね?」

 

「な、何でバレたんです!?」

 

「眼鏡が無いだけじゃない。でも不思議なのよね、貴方と丁度同じ位に誰かが侵入した形跡があったのよ」

 

(俺だな。バレてなさげか)

 

「監視カメラも壊されてたりハッキングされてたり、警備の人が眠らされてたり、誰がやったのかしら」

 

「あははは・・・」

 

「まあいいか。大洗の皆を私たちのところへ招待するわ!」 

 

━━━━━━━━━~なんかこう、サンダースの陣~

サンダースはアメリカ風の学校。まさに圧巻だった。一言で表すのなら『数の暴力 質の支配』だろう。

大型電源車は当たり前、ちょっとした美容室や数々のジャンクフード屋台、それに西瓜・・・西瓜?

 

「なにやってんの?使用人さん!」

 

「西瓜スティックお願いします」

 

「西瓜ジュースくださーい」

 

「西瓜ゼリーおいしそー」

 

「なにやってんの?」

 

「あら、衛一君、種と畑が残っていたので、私も作ってみました。けど植えた時期を間違えて早く食べ頃になって、大学生に配ろうにも数が数で、なら販売してみたわけです。サンダースの場所が偶然空いていたので使わせてもらいました。水道や電気が整備されてて使いやすいです」

 

「それにしても沢山並んでるな・・・今年の梅雨は蒸し暑いからな、手伝いますよ」

 

「準備は良いのですか?」

 

「終わってるよ。」

 

━━━━━━━

衛一もお手伝いを始めた屋台。しかし客足は途切れない

「はーい、西瓜ジュースsお待ちどうさま」

 

「あれ?衛一バイト始めたのか」

 

「違う。家の使用人さんのお手伝い。見ての通りお客さんがすげえんだわ」

 

「儲かってんな~。大玉西瓜ジュースくれ!」

 

「作るのめんどくさいんだけど」

 

「私は限定一個の巨大西瓜ジュースをお願いします」

 

「あ!まだあったのか!」  

 

「巨大はその大きさゆえ限定一個だからな。」

参考

小玉西瓜ジュース 450円

大玉西瓜ジュース 900円

巨大西瓜ジュース 1500円

 

「二人とも、番号札を持ってまってろ」

 

衛一はクーラーボックスから大玉西瓜、巨大西瓜こと入善西瓜をとりだす。巨大過ぎて外で作業、上のへたの部分を切り、お玉とスプーンで中身をくりぬく。くりぬいたものを圧縮機にかけて果汁を搾る間に、切った部分にストローの穴を開ける。圧縮し終わった100%果汁を流し込み上の部分をのせて完成。作業にギャラリーがついていて、完成時に拍手が起こった  

 

「五十鈴、早崎、できたぞ」 

 

「おお!」

「大きい...///惚れ惚れしてしまいます」

 

五十鈴が雌の顔になって居たのは気にしない。渡したら直ぐに次の注文も作り始める。時間がたち、客足が緩やかになったそして

 

「ふむ、西瓜ジュース二つを貰いたいのだが」 

 

「あいよ・・・姉御」

 

「衛一?何をしている?もう試合の招集はかかっているぞ」

 

「げぇ、まじ?使用人さん!ごめん試合始まりそう」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

━━━━━━━━

❰これより、大洗学園対サンダース大学生付属との試合を始めます❱

 

「「「「よろしくお願いします」」」」




小玉、大玉、巨大西瓜ジュース
中身をくりぬいき、果汁を搾り、中に入れる 

西瓜ジュース
あらかじめ搾ってあった物を容器に詰める
 
西瓜ゼリー
数量限定品。後は西瓜のゼリー


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第二十九話

サンダース戦、開始

system simada1 起動


「うさぎさんチームは右方向の偵察をお願いします。アヒルさんは左方向を。フクロウは射撃ポイントについて支援してください」

 

「了解しました」「こちらも了解」「フクロウ了解」

 

「波川、またパンツァーファウストやるから行ってこい」

 

「カバさんと我々アンコウはカメさんを守りつつ前進します」  

 

知っている人が大半だろうが一応確認しておく

アンコウ Ⅳ号中戦車

カバさん Ⅲ号突撃砲

うさぎさん M3lee中戦車

カメさん 38(t)軽戦車

アヒルさん 八九式中戦車甲型

フクロウ T-44Ⅴ型

 

「パンツァー・フォー」

 

「暑い~」「蒸し蒸しするぅ~」「静かに!」

 

澤ちゃんが双眼鏡を持ってキューポラから体をだし回りを偵察する。稜線の先からM4シャーマンが三両姿を表した

 

「こちらB-5-S地点、シャーマン三両発見、これから誘き出します」

 

『誘導してくれりゃ絶対撃破してやるから安心しろ』

 

動き出し、誘導しようとした瞬間林の奥にもM4が

 

「シャーマン6両に包囲されちゃいました」

 

「うさぎさんチーム南西から援軍を送ります」

 

『こちら島田、波川そのままアヒルに乗っかってろ。近くに良さげなポイントがあるからそこから射撃する』

 

「アヒルさんチーム、ついてください!」

「はい!」

 

─────うさぎ─

 

「ちょっとついてこないでよ」「エッチ」「変態」「ストーカー」「これでも喰らえ!」

 

上部砲塔の37mmを撃つがあたらない

 

「はははは、全然当たらないよー」

 

M4シャーマン群も射撃開始、M3の回りに土煙が舞い上がるそして

 

『さあ処刑のお時間です』

 

衛一による死の宣告が告げられた。そして一番右翼にいたシャーマンに鎌が振り下ろされる

 

『側面晒してたら駄目ですよ~www』

 

ケイが急ぎ射撃があった方向を確認するが、車両は愚か発砲煙も見えない。第二射、乱数回避を徹底しているにも関わらず今度は間反対の左翼のシャーマンが撃破された

 

『一番遠いからって油断しては逝けませんよー』

 

第二射撃の砲煙でやっとケイはフクロウの位置が分かった。しかし分かっただけだ。少なくとも1.7kmは離れているこの距離で反撃などナオミしかできないだろう。更にここは林の中のはずで外からは見えにくいはずだ。そんな状態で当ててくる砲主が居る。ケイが撤退を選択するのにそう時間はかからなかった

 

━━━━観客席━

「アメリカ大統領が自慢したそうよ。我が国には何でもあるって。そしたら外国の記者が質問したそうよ。『地獄へのホットラインもですか』って」

 

「あの人外共の射撃能力までは把握してなかったようですね」

 

「あれは一回身をもって体験しないとわからないわ」

────アンコウ─

 

一方アンコウとアヒルさんもシャーマン二両、ファイアフライ一両に包囲されていた

 

「北東から三両、南南西から6両・・・凄い、フラッグ車以外この森に投入ですか!」

  

「ずいぶん大胆な作戦ですね」

 

『こちらフクロウの狙撃でシャーマン二両撃破確認しました』

 

「・・・衛一が指定した射撃ポイントと時間を考えるとそう移動してなさそうだぞ」 

 

「えっとさっき射撃位置についたって言ってたから・・・最低でも1.5kmは離れてます」

 

「そんなところから!?」

 

「衛一さんなら殺りかねない気もしますが」

 

「待って、しかも林の外から射撃してるよね」

武部の一言で会話を聞いていた全員が沈黙した。アレなら本当に殺りかねないと

「「「「・・・」」」」 

 

『みほ、うさぎを追跡してたほう逃げたぞ』

 

「え!あ、分かりました。うさぎさん、もうすぐフクロウと合流します。追撃を警戒しつつ、南東に向かって下さい。フクロウも合流してください」

 

『分かりました』『あいよ』

 

────サンダースフラッグ車─

アリサは大洗の無線を盗聴していた。だから行動が筒抜けだった。しかし衛一の変態性までは盗聴できていなかったようだ

 

『うさぎさん、もうすぐフクロウと合流します。追撃を警戒しつつ、南東に向かって下さい。フクロウも合流してください』

 

「隊長、そのまま南東に向かって下さい」

 

「オッケー、またこんなこと無いわよね?」

 

「・・・」

 

「ちょっと、そこで黙らないでほしいんだけど」 

 

─────アンコウ─

『居た!隊長』

 

「はい、落ち着いて」

 

冷泉が前の追っ手に気付いた、更にバレー部、一年生も気づく

 

「回り込まれた」

 

「どうする?」「撃っちゃう?」

 

『このまま全力で前進してください。敵戦車と混ざって』

 

『はーい、さっきのことから何も学習してないのかな?見晴らしの良いとこで止まっちゃうなんて』

 

狙撃でまたシャーマンを撃破する

そして三両居るシャーマンの隙間をきれいに抜けて、追っ手を撒いた




大洗損害
今のところ無し

サンダース損害
M4シャーマン三両


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第三十話

多分、次の話でサンダース戦は完結


────サンダースフラッグ車─ 

『ドンマーイ、深追いNGよ』

 

「チッ」

 

────アンコウ─

「ふう」

 

「何とか逃げ切りましたね」

 

「うん」

 

サンダースはシャーマン三両を撃破されすぐに襲われることは無いだろうと考えていた

 

『そっち見えたぞ。もうそろそろ合流する』

 

「分かりました。索敵結果はどうですか?」

 

『車両は完全に姿を眩ませた。音一つしない』

 

合流まで衛一は望遠鏡で索敵をしていた。だが変なものを見つけた

 

「衛一、そろそろ戻らせてくれ」

 

「着弾観測は・・・もうしなくていいか。アヒル、ちょっと並走してくれ。変態、速度落として前進」

 

「オーライ、オーライ、ここ!」 

 

「よっとっと」

 

ギリギリまで近付いて(接触して)火花を上げながら並走する八九式とt-44波川はそれを飛び移る

 

「波川、なんか気球見つけたんだけど」

 

「気球?」

 

「白い気球。なんかしたに紐?が延びてた」

 

「・・・・・・なるほど、こっちの動きが面白い程手に取られてたのはそう言うことか。隊長!一回無線切ってくれ。気球が上がってるらしい多分盗聴されてる」

 

「え!」

 

そのあと抗議しようとか色々あったが衛一が悪魔的に嗤いながら「こんな面白いものがあるんだ。知らぬ存ぜぬふりしてイタズラしようぜ」と

 

──────サンダースフラッグ車─

『全車、0958の道路を南進、ジャンクションに移動して!敵はジャンクションを通過するはずなので通り過ぎた所を左右から挟撃して』『了解です』『こっちも了解』『フクロウより全車、敵フラッグ捕捉、殺す』

 

「へ?」

 

ながれるような撃破予告、しかしなにも起こらない

 

『ここでの嘘は辞めろぉ』『良いじゃねえか桃ちゃん』

 

心臓に悪い冗談だ。本当に何はともあれ敵の狙いは分かった

 

『目標はジャンクション、左右に伏せてるわ。囮を北上させて左右から包囲!』

 

『オーケーオーケー、でもなんでそんなことまで分かっちゃうわけ?』

 

『女の勘です』

 

『ハッハッハッ、それは頼もしい』

 

─────フクロウ─

今はカバさんと一緒に草の中に身を隠し待機している。八九式の陽動と無線盗聴がうまく働いてるかが鍵だ

「しかしよく逆利用しようと思ったな」

 

「悪魔」

 

「そんなに褒めんなよ」

 

「最終的に撃墜するとこまでワンセットか。ドッキリ音源も準備できた」

 

宮古は無線機を盗聴機で慣れた手で弄りながら自分の再生機器に接続した

 

「さあ、また獲物がキルゾーンを入ってくるぞ~」 

 

「今は待機だ。勝手に撃つなよ」

 

「撃てねえよ。安全装置かけられて、砲弾一時的に抜かれてんだから」

砲弾は入ってるものの装薬は抜かれてる

 

─────サンダースフラッグ車─

 

『見つかった。皆バラバラに為って待機、38t はc24r地点に隠れてください』

 

「38t、敵のフラッグ車、貰った!」

 

『チャーリー、ドックc24rに急行、見つけ次第攻撃!』

 

─────チャーリー車─

現場について索敵を開始した。砲塔を回しスコープで大洗のフラッグ車を探す。何かが見えた、よく確認すると、草むらに身を隠したⅢ号突撃砲と車体を埋めて全高を下げたT-44が見えた

 

「Jesus!」

 

─────フクロウ─

「Welcome to kill zone♪(処刑場へようこそ♪)」

 

妙に発音の良い英語を(内容は物騒)言いつつⅢ突やⅣ号、M3leeとタイミングを合わせて射撃

「確実に殺せ」

「了解」

情報戦に踊らされた二両のシャーマンは天に召された。

 

─────サンダース─

『チャーリー、ドック共に撃破されました』

『なに!』

『Why!?』

 

サンダースに残されたのはM4シャーマン三両、M4A1、ファイアフライ の五両、対する大洗は六両既に数的有利は失われている   

 

───────あんこう─

「無線じゃなくてメールで連絡とってたもんね」

 

「作戦成功です」  

 

『じゃ、耳殺し殺っちゃうね~』by衛一

 

──────フクロウ─ 

 

「さあ、今限りのお祭りの時間だ。対象は多分一人の耳!今宵放たれるは史上最悪の音響兵器」

 

波川が機械を弄り、早崎が音楽プレイヤーを弄くる

 

「さあ、エネルギー充填完了。喰らえソビエトの最新鋭音響兵器、『音割れソビエト!』」 

 

「左砲戦、対空戦闘用意、殺れ」

「時限信管設定完了、いつでもいける」

「左砲戦、対空戦闘用意了解、目標、気球、撃つ」

 

砲弾はきれいに気球を貫き気球ごと炸裂、もう二度と使われることは無いだろう

 

──────アリサ─

『じゃ、耳殺し殺っちゃうね~』

 

「?」

その瞬間、アリサの耳が麻痺した

『デェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ェ"ン"』

「!ーーーーーーー」

そして、気絶した




我ながらひどい終わり方だなぁ


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第三十一話

前回の三つの出来事は?
一つ サンダースの戦力を半減させた
二つ 通信傍受に気がついた
三つ 音割れソビエト国歌でアリサの耳を無力化した


「よっしゃ、気球撃墜!これで盗聴の心配は無くなったな」

 

「なあ、衛一、波川本当にこんなことして良かったのか?」

 

「「ルールブックに書いていない!」」

 

「手伝った俺が言うのもなんだが、死神と悪魔だな」

 

二人は大音量で音割れソビエト国歌を流したことについて不服そうだ

 

──────サンダースフラッグ車─

「アリサさん!アリサさん!起きてください!」

 

「何かいきなり倒れたけど大丈夫?」

 

「きれいな顔してるだろ。ウソみたいだろ。死んでるんだぜ。それで。」

 

「今それは洒落になら無いからやめて!」

 

フラッグ車はいきなり倒れたアリサの事でてんてこ舞いだった。

 

『隊長!アリサさんが倒れましたー!アセアセ』

 

『大丈夫!熱中症?』

 

『いえ、多分いきなり無線から耳をつんざく音がしたので・・・驚いたんだと』  

  

『Why?誰もそんな声出してないわよ』

 

『いえ・・・言って良いんですかね?』

 

「この際、言っちゃった方がいいよ。」

 

『アリサさん、大洗の無線盗聴をしてて、ただ盗聴に気づかれて、それ相応の対応力をされたのかと』

 

『盗聴?!何で私に言ってくれなかったの!』

 

『ヒィィ、すいません!』

 

『まあ今は良いわ。早くアリサを起こして』  

 

起こせと言う命令が下った。さっきから呼び掛けても体を揺らしても起き上がる気配が一向に無い。  

 

「水でもかけてみる?」

 

「誰か冷水持ってない?」

 

最早容赦もなかった

 

「水筒に氷ガンガンのお茶あるよ!」

 

「よし、やろう」

 

外に運びだし、おもいっきり顔にかけた

 

「冷た!何すんのよ!」

 

「こっちのセリフです。何やってんすか!いきなり気絶して。車内に戻ってます!」

 

「気絶?・・・あー!あの爆音!」

 

いまいち働かない頭で何で気を失ったか思い出した

そして・・・横から八九式が出てきた

 

「ん」

「あ」

 

「「「・・・」」」

 

しばしの沈黙、沈黙を破ったのは磯部だった

 

「右に転換、急げー!」 

 

「・・・蹂躙してやりなさーい!」 

 

「連絡しますか?」

 

「するまでも・・・いや、してちょうだい」

 

大洗の砲手にナオミ並みのとんでもない化け物がいる。それは今の車両状況を見れば一目瞭然だった。それに連絡しなければその狙撃で自分が殺られるかもしれない

 

─────アヒル─

「敵フラッグ車、0765地点にて発見しました。でも、こちらも見つかりました」

 

『0765地点ですね、逃げ回って敵を引き付けてください0615に全車両前進してください』

 

無線傍受の気球は衛一が撃墜した。もう無線を使っても問題はない。しかし一方的に後ろから撃たれている 

 

「そうだ!煙幕棒と『アレ』とって!」

 

「これ使うんですか!?」

 

「使って良いって言われたし」

 

磯部が先にバレーのサーブの動きでM4A1に煙幕棒を投げる。これで視界は一時的に封じた。そして取り出したのは波川が置いていったパンツァーファウスト、ただ見た目で手榴弾と勘違いしたんだろうか、そのままぶん投げ、ただM4A1に当たった

 

「あれー?」

 

「あれそうやって使うものでしたっけ?」

 

「いやー、何か似たような形のもの見たことあって」

 

ここで磯部は柄付手榴弾と勘違いしたらしい

 

──────フクロウ─

 

『まもなく、アヒルさんと合流します』

 

『こちらアヒル、敵の残存車両に見つかって追尾されてます!』

 

『おい、渡したらアレ使え。時間稼ぎ位にはなるぞ』

 

『もう使ったよ!何か不良品だったみたいだけど』

 

『不良品?点検しても何も問題は無かったぞ』

 

『投げても何にもならなかったよ』

 

『馬鹿か?それ投げるもんじゃねぇぞ!』 

 

『え?』

 

『アヒルさん!こっちの隊列に加わって!全車射撃開始、ファイアフライへの対応はフクロウに頼みます』

 

『衛一からの伝言だ。全車の砲手!一人六発以上外したら特別射撃講習一週間コースだとさ』

 

『『『『『!?』』』』』

 

特別射撃講習

それは衛一が組んだ短期間射撃講習だ。大学選抜での練習と衛一独自の練習方法を濃縮した代物。中には砲でなくライフル、パンツァーファウストの射撃訓練、行進間射撃etc...とにかくキツイ。だが効果覿面で確実に腕は上がっている

 

─────ケイ─

「アリサ、こっちこっち~」

 

「ハッハッハッ、これで終わりよ!」

 

残りの車両と合流したアリサ、すっかり強気だ




次回 サンダース戦、終章


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第三十二話

正直ご都合主義だなこりゃ、反省反省


────フクロウ─

「衛一、ファイアフライ早く仕留めろ!」

 

「・・・よっし、撃墜」  

 

何時かの如く、砲弾を迎撃して遊んでいた

 

「お前さっきから何やってんだ!」

 

「迎撃してる」

 

「普通に撃破しろや!」

 

「えぇ~~」

 

『衛一ぃ、さっさとしろー!』

 

『うるせぇ無能砲手!俺がとどめ指すぞ!』

 

『衛一さん!大洗の現状思い出してください!』

 

「そうだ衛一。俺が調べた情報を忘れるな」

 

「あ?・・・・・・なんかあったっけ?」

 

『『『お前なぁ!』』』

 

「なんだこのクソ茶番」by早崎

 

衛一が廃校の事を忘れていた。とは言うものの戦況は芳しくない。38(t)の履帯が切れてt-44の後ろで修理中。Ⅲ号突撃砲、M3leeが撃破された。だがこっちもⅢ突がM4一両と相討ちしている。

 

「先に隊長車っぽいの殺るか。波川、お前の目から見て隊長車どれだ?ッチ、また避けられた」

 

「まず、フラッグ車は違う。ファイアフライも違うだろう。となるなら残りの」

 

「無印シャーマンどっちかだな」

 

戦力差は4対3、しかし衛一の頭の中では2,5対3である。理由はカメの砲撃はゴミであること、フラッグだから前に出れないこと、八九式の火力では撃破が難しい事があげられる

 

「じゃあ先に右のやつを」

 

『こちらアヒル、履帯破損』

 

「じゃけんさっさと障害排除しましょーね」

 

さっきまで衛一は表面上ファイアフライを狙っていた。いきなり目標を変えたことで狙われた無印シャーマンは対応が遅れ、車体正面に直撃した

 

「シャーマン一両撃破確認・・・敵フラッグどこ行った?」

 

「さあ?」

 

「「・・・」」

 

波川と衛一が黙り混む。そしてみほから無線が

 

『後方より砲撃!』

 

「ここで裏取りかよ!」

 

M4A1と無印シャーマン(ケイ)、ファイアフライに挟撃された。

 

「どっちにしろ履帯直してない鈍亀はいい的だぞ!」

 

『うおーーー』

 

M4A1がカメに砲撃をした。が履帯を直した八九式が割り込んできて一時的に難を逃れる。しかし八九式は撃破された

 

「徹甲装填完了!残弾榴弾四発、徹甲弾五発!」

 

「分かった。衛一、榴弾での撃破は可能か?」

 

「装甲の薄い車体下部、天板なら保証する」

 

「この状況じゃあ使えねえな。」

 

「次目標ファイアフライでいいか?」

 

「ああ。それでいい」

 

「移動の必要は?」

 

「八九式の残骸がいい感じに盾になってる。ここで移動したらファイアフライの盾もなくなる」

 

フクロウ(H)、カメ(K)、アヒル(A)の位置関係

→敵からの攻撃方向

  →  HKA  ←

 

「おれの戦車を盾扱いとはなぁ?」

 

「こんな装甲もってるなら使わない手は無いからな」 

 

ズドンと車内に轟音が鳴り、早崎が次弾を装填する。衛一の砲撃は・・・迎撃された

 

「おい衛一、迎撃されてんじゃねえ!(錯乱)」

 

「俺が出来るんだァ!相手に出来ても可笑しくねえダルロォ?ギャハハハハ!面白くなってきたねぇ!」

 

「装填完了ォ!撃ってこないところを見るとこっちが撃つの待ってるぞ」

 

「煙幕展開!砲撃を隠せ」

 

「なんで今までしなかった?」

 

小気味良い音をたてて少し前に煙幕が展開する

 

「煙幕あるの忘れてた!」

 

「まあ、そんなときもあるなぁ。砲撃照準はどうすればいい?」

 

「心眼でなんとかしろ!」

 

「無茶苦茶だぁ!」

 

──────アンコウ─

『フクロウよりアンコウへ。これより再度ファイアフライの撃破を試みる』

 

「分かった、そう伝える。みぽりん、フクロウがファイアフライ狙うって」

  

「分かりました。華さん、攻撃目標を後ろの敵フラッグ車に変更します。まこさん、フクロウの後ろに移動してください。ぶつからないようにお願いします」

 

「分かりました/分かった」

 

「西住殿、こちらからフラッグ車を狙って逃げられないでしょうか?」

 

「多分逃げない。ここで向こうが火力を減らしたらフクロウの餌食になってフラッグ車が孤立する。それに戦力を集中した方がカメさんを撃破しやすいから」

 

「成る程ってフクロウ煙幕撒き始めましたよ!?」

 

「時間稼ぎかな?でも位置バレしてるし」

 

「先ほど砲撃が撃墜されたので砲撃したのを隠そうとしてるんじゃないですか?」

 

「砲弾って撃墜できるの!?」

 

「物理的には可能ですが、実際にやったのははじめてみました」

 

「照準もまともに・・・衛一さんなら大丈夫ですね」

 

ぶっちゃけ迎撃は腕が伴えば有効な戦術だったりする。撃墜したら被弾はしない。しかし、撃破できるなら撃破した方が早い

────フクロウ─

「駄目だわ、音的に当たってはいるっぽいけど」

 

『アンコウへこちら波川、そちらはどうか?』

 

『えっと・・・敵フラッグ車に攻撃中』

 

『分かった、こっちも耐え抜く』

 

「早崎、次弾榴弾頼む」

 

「分かったぜっと、よいしょ!」ガコン

 

────ファイアフライ─

衛一が煙幕の中放った砲弾はファイアフライに命中、撃破した。もともと当たらない砲撃だったが、ナオミが迎撃したことにより弾の軌道が変化、砲塔正面に命中し撃破されてしまった

 

「チッ」 

 

少し怪訝な顔をしたが、満足したかのように後ろの子に倒れ込み、ニヒッと笑った

 

────フクロウ─

「衛一、霧吹き飛ばしたらファイアフライの状態確認、動けるなら止め刺せ。撃破できてるならもう一両の無印シャーマンだ」 

 

時限信管で榴弾が空中炸裂、煙を吹き飛ばす。衛一はスコープから、波川は双眼鏡でファイアフライの安否を確認した

 

「目標無印シャーマンしろ!」

 

同刻、五十鈴もM4A1に止めを刺そうとしていた

 

「偏差修正、仰角調整・・・/花を生けるように・・・」

 

大洗の二人の砲手はこの試合に幕を下ろすため、慎重に狙いをつける・・・そして

 

「Огонь!/発射」

 

二両の獣が咆哮を上げる。その咆哮は寸分の狂いもなくそれぞれの目標に空気を切り裂きながら突き進んだ。

 

━━━━━━試合後━ 

「exciting!こんな試合が出来るとは思わなかったわ~」

 

いきなりみほにケイが抱き付いた

 

「ブフッ!!」

 

宮古(変態)が鼻血を出して倒れる。しかし、誰も何も処置をしようとしない

 

「そうだ、ケイさんでしたっけ?家の車両で流してた歌が盗聴されて、それが原因で一人大変な事になったと聞いたんですが・・・当人は大丈夫でした?」

 

「驚いて気絶しただけよ。こっちも盗聴なんて無粋な真似して悪かったわね」

 

「いえいえ、こちらも(表面上は)悪かったと思っているので」

 

(((((こいつ口から出任せ言ってるな)))))←勘のいい大洗の人達

 

「心配要らないわ。それに戦車道は戦争じゃない。道を外れたら戦車が泣くわ」

 

「みほ、じゃあ撤収準備の手続き手伝ってくるわ」

 

「あ、はい分かりました」

 

━━━━━━━空が橙に染まった頃━

「離せ!」

 

衛一がその辺ブラついてると取り乱している冷泉の声とそれを制止する声が聞こえてきた。あの冷泉が取り乱すとは何事か?と不思議に思った衛一

 

「どうかしたか?」

 

「そうだ、!衛一なら何か持ってないか?」

 

「持ってるってなにを?」

 

「衛一殿、実は冷泉殿のお婆様が倒れてしまって」

 

「成る程、ふむ・・・駄目だな。使用人さんも船で帰ったし・・・」

 

「そうだ!この島にヘリで来てる人も居るかもしれません」

 

「だがなぁ、大半はもう飛び立ってったぞ」

 

冷泉の顔色もどんどん悪くなっていく

 

「そうだ、確か姉御が」

 

「あ、お姉ちゃん」

「姉御!」

後ろから独特の風切り音と強烈な風が吹き付ける

「急げ」

 

「隊長!こんなやつらにヘリを貸すんですか?」

 

まほとエリカが近くにヘリでおりてきたらしい

 

「エリカ、これも戦車道だ」

 

「姉御・・・なんで?」

 

「帰ろうとして飛んでいたら何かあわてて海にダイブしようとしている大洗の生徒が見えたんだ」

 

その後、冷泉に沙織が付き添う形でヘリは飛び立った



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第三十三話

前回の出来事
サンダース大学付属を破り二回戦へと駒を進めた大洗学園、しかし待ち受けていたのは冷泉麻子のおばあちゃんが倒れたとの連絡だった

しかし、今回の内容にはあまり関係ない


━━━━サンダース戦の夜━

帰宅した衛一はホクと戯れつつ課題を進めるためパソコンを立ちあげた。すると珍しく学校以外からのメールが一件。少し怪しみつつそれを開くとメールの送り主はサンダース大学付属のナオミであった

 

件名、話がある

夜遅くに済まないわね。実は顔見知りの記者にあんたの事を取材できないかと相談が持ちかけられた。私も取材の事ならそっちの生徒会に回せと言ったんだが、一度断られたらしくてな、本人に許可を取りたいらしい

 

(取材を断る?大洗を有名にしたいならむしろ受けるべきだろうに・・・とりあえず返信どうやんだろ)

 

件名、取材

生徒会が取材を断ったなら何か目的があるはずなので今無理だと伝えてほしい。謝罪?としてはなんだが西瓜を送らせてもらう

 

(これでいいか。とにかく課題すませよ)

 

<電話ヤデッ

 

(こんな夜中に誰だ?)

『もしもし』

 

『君かい?青い石の持ち主は』

 

『誰だ?(愛里寿から貰った石の事を知っている?)』

 

『いやぁ、そんなたいした者ではないよ。それに石を持っていたからと言ってデスゲームに巻き込まれたり特別な力を授かるわけじゃあない』 

 

『石はお前の物だったのか?』

 

『そういうわけでもない。っと話がそれた。僕はそうだなぁΔ(デルタ)とでも名乗ろうか』

 

『分かった。これからは333と呼ぶように善処しよう。で、話の本筋は?』

 

『333・・・よく知ってるね。それで僕は君のお母さんやしほさんを知っているし知られている、それに君の成り立ちも把握している』

 

『おい、誰から聞いた?』

 

『噂が舞い込んできただけだよ。その反応を聞くと、本当のようだね』

 

『ッチ、カマ掛けられたわけか』

 

『おっと、もう夜も遅い。おいとまさせてもらおう』

 

『おい、待て!』

 

<ツーツーツー

 

(しほさんと母さんに知られているか・・・今度聞いてみるか。あと通話記録と電話番号で唐沢さんにたどってもらえねえかな)

 

誰だこいつと言う疑問を抱きつつ、課題を進めていった

明日、愛里寿が大洗に来るというのを忘れたまま

 

━━━━大洗駅━

「やベエ、愛里寿来ることすっかり忘れてた。まあ、列車の時間に間に合って良かった~」

衛一は自分でT-44を大洗駅の前に停めて愛里寿が乗って来る予定の列車を待つ

数分後、駅から愛里寿が出てきた。

 

「よお、愛里寿」

 

「あ!お兄ちゃん!」

 

「でも何でいきなり大洗に来たんだ?」

 

「これ!」

 

といって愛里寿がポケットから取り出したのは一枚の紙切れだ。紙には『大洗限定!!幻の激レアボコ』と書いてある。しかし売られている場所が書いていない

 

「これどこで売ってんだ?」

 

「調べても聞いてもわからなかった」

 

「ふーん・・・」

 

頭のなかで考えを巡らせる。そしてすぐに考え着いた。みほならどこに売ってるか知ってるんじゃ無いだろうかと。生憎衛一は僅かなヒントから探すような事は面倒なのでしない

 

『もしもし、みほか?』

 

『衛一さん?どうしたんですか?』

 

『この間お前大洗にあるボコとやらをコンプリートしたと言っていたな?』

 

『うん、言ったけど』 

 

『大洗限定!!幻の激レアボコってやつ分かる?』

 

その他の画像から見とれる情報も伝える

 

『それなら駅の売店で売ってますけど・・・』

 

『嘘だろ!?幻も糞もねえじゃねえか』

 

『そこでしか売ってないからじゃないかな?でも衛一さんがボコに興味あるなんて・・・』

 

『違う違う。妹に聞かれたのよ。何処かで見たことないかって』

 

『へぇー、そうなんですね。いつかお話してみたいな~』

 

『お前会ったこと無かっ・・・いや、ないか。まあその内会えるって。んじゃまた』

 

『はい』

 

・・・それにしても駅の売店とは思わなかったな

 

「なあ愛里寿、どうもこの駅の売店で売ってるらしいぞ」

 

「え?本当!」

 

「わざわざ嘘を吐くようなやつじゃねえし、本人が勘違いしてない限りはあるだろう」

 

それから駅を調べていたら三分もたたずに見つかった。どうしようか・・・思った以上に暇な時間だ。愛里寿が帰るにしても早すぎる。みほもお見舞いに行ってから何処かに行くと言っていたし・・・愛里寿が楽しめそうな施設か。

聖グロとの交流試合の時に叩き込んだ脳内地図を開き周辺の施設を思い出す。

 

「愛里寿、水族館でも行くか?」

 

「うん!」

とりあえず、アクアワールド・大洗に向かい、十分に楽しんだ。

 



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第三十三話

『どうも、作者です。前回の事をさらりとおさらいします。愛里寿が大洗にきた。以上』


~大洗、生徒会室~

「アンツィオ高校ねぇ、名前からしたらイタリア戦車相手か?」

 

当然のように衛一、秋山は潜入している。そろそろ帰ってくる頃だろうが・・・

 

「ただいまです!」

 

秋山が帰ってきた。だが衛一の影がない

 

「秋山さん、お帰り。衛一さんは?」

 

「少し寄るところが有るらしくて」

と、秋山が言ったとたんに天井のダクト鉄格子が落ちてきて、衛一が降りてきた

  

「ただいま~。ほい、色々な資料撮ってきたぞ。それにしてもアンツィオは良く学校として運用出来てるな。いっそ陸上に移しても良いんじゃないか?」

 

「なんてところから出てくるのさ」

 

「さぷらーいず、後ね、これ」

 

衛一が胸ポケットから取り出したのは一冊のノート

表紙には『島田千代の戦術書』と書いてある。こっちに来る愛里寿に衛一が頼んだものだ

 

「お前らなら、こいつを生かせるだろう。じゃ、寝るから帰る」

 

そう言い残し、衛一は帰った。

 

「これは・・・」

 

「・・・衛一のお母さんの戦術書だろう」

宮古がページを捲っていく。三分程し、全ページに目を通した。そして宮古が出した結論は

「役には立つ。だが・・・劣化して所々読めないが重要事項は残ってる。推測は可能、後はこっちでやる仕事」

秋山が持ち帰った資料と衛一が持ち帰った資料、後はみほや波川らの仕事だ。

 

「えっと、豆戦車の欄は・・・あった!」

 

「ふむ・・・こりゃ家の練度じゃ厳しそうだな。てか偵察を出してフラッグ遠距離狙撃って、衛一にしか出来ねえだろ」

 

「あははは・・・」

 

役に立つ(出来るとは言っていない)

 

「西住、こいつは?書類上は重戦車だが・・・性能はⅣ号とそう変わらないように見えるぞ」

 

「それはイタリアのP40重戦車です。アンツィオで動いているのも見ました」

 

「脅威に成りえるか。こいつがフラッグになるんだろうな」

 

波川の携帯に着信が入る。『窓を開けろ』と

 

「そこの窓開けるぞ」

 

「構わないけど、どうしたの?」

 

「いや、衛一から窓開けろってメールが・・・」

 

と言い、大きめの窓を開けた。開けた刹那、波川の頬を掠め天井に矢が刺さる。秋山が甲板を除くと弓を持って残心の姿勢を取る衛一がいた

 

「西住、その矢に紙がついてるようだが」  

 

「紙?」

 

「矢文ですか。衛一さんらしいですね」

 

はしごを用意し、五十鈴が器用に結ばれている紙を矢からとり外す

 

『次の相手は豆戦車だ、小型高機動の相手に対する射撃講習やるのでそのつもりでヨロ』

 

この内容を知った河嶋は、戦慄した

 

─────砲撃講習─

講習を開始して30分後、砲手連中は既にグロッキーだった。一番ヤバいのは河島である

 

「おぉい河嶋ぁ、さっさと当てろよぉ。最初の目標達成してないのお前だけだぞぉ?」

 

「・・・」

 

無線で煽る衛一に対しもはや抵抗する精神力も残っていないらしい

※河嶋の現在目標

500m先の直径1mの的に当てる。五発連続して撃ち、2発当たれば合格。達成できなければまた五発、といった具合に合格するまで続けるのだ。因みにもう数えるのが嫌な数不合格してるぞ☆その為に煽られ続けて精神がヤバい。装填してる早崎曰く『心を捨てている』

 

「さあ、目標は女子からは憎き変態だぁ、ライフルを一番最初に当てた奴は近くの喫茶店のスイーツ食べ放題券を進呈しよう!」

小さく、すばしっこい目標の動きを予測し、当てる練習だ

『『『『『『!』』』』』』 

女子の間に衝撃が走る

『その言葉、嘘ではなかろうな』

 

「おう、ゲベは宮古の着せ替え人形だ!」

さらに戦慄も走る

トップはM3leeの副砲手『大野あや』だ。弾を使わずライフルで直接殴るというトンチをした。多少の物議が有ったが、衛一が『その発想嫌いじゃない』とそれをみとめた。ゲベは以外にも八九式の『佐々木あけび』だった。(あとで聞いたが、メイド服、スク水、まあ、色々着せられたらしいが、途中で大量の鼻血で死んだ)

 

「次、演習場を逃げ回れ、うまく隠れて俺を撃て!ただし、こっちが見つけたら容赦なく撃つ!」

身を隠し気配を消して狙撃の訓練と、相手の殺気をよ読み取る訓練だ

被弾が一番多かったのは河嶋

 

「次、各々の車両で行進間射撃をあのCV-33をもした看板を一人三枚つづ壊せ!これ終わったら演習場の中にも隠れてる看板がある。それを一人三枚、破壊してこい」

 

こんな調子で試練は続く。終わる頃には全員が疲れ果てていた

 

「よし、こんだけやれば大丈夫だ!後は己の技量と仲間を信じて戦え」



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第三十四話

─────アンツィオ戦開場─

大洗のほぼ全員が揃った。しかし約一名いない

 

「ええい、あの馬鹿は何処へ行った!」

 

「えっと・・・」

 

「衛一殿なら近くで弓道大会が合ったらしく、ゲリラ参加するって言って消えました」

 

アンツィオ高校との試合があるにも関わらず、衛一は弓を引きに行った。

 

「あいつのことだ。どうせ優勝して帰ってくんだろ」

 

男子連中はもう大会が終わるまで来ないだろうと諦めている。しかし居ないなら居ないで試合をするだけ。幸い衛一の射撃技能を必要とする作戦ではないため何とかなるだろう

 

「たのもぉ~」

 

「やあチョビ子」

 

「アンチョビ!アンチョビだ!もしくはドゥーチェ」

 

「何そのドリル、スッゴい。そのウィッグ改造して回転機構着けたい」

 

「地毛だ!」

 

波川の妙なテンション、アンチョビと金髪は引いている。が何故か青髪だけは乗り気だ。

<面白そウッスね

<ダルォ?だからまずあれ剥ぎ取って・・・

 

「あー、そこのは無視してくれ、試合前の挨拶に来た私はアンツィオ校隊長、ドゥーチェアンチョビだ。そしてそっちの隊長は~?」  

 

「私です」

 

「あんたがあの西住流か、アンツィオは西住流だろうが島田流だろうが負けない!いや、勝つ」

 

と、金髪もといカルパッチョが誰かを探して居るようだ

「たかちゃん!」

「ひなちゃん!」

 

ソウルネームカエサル事、たかちゃんがカルパッチョと仲良く話をして居た。早崎がメモ帳に凄まじい勢いでペンを走らせる

 

「カエサルの意外な一面、だな」

「たーかちゃん、ぜよ」

「ひゅーひゅー、お熱いねえ」

「うっ! うるさい!」

 

 

────弓道大会、会場─

衛一の元に一本の電話が掛かってきた。着信元は西住しほからだ

 

「ただいま、電話に出ることができません。【放送規制】音が鳴ってからメッセージをどうぞ」

Pー

 

面倒臭いのでそれらしく声真似をして見る。衛一も、これしきで騙せるとは思っ────

 

「私です。みほが戦車道をしている件について話があります。夜またかけ直してください」

 

ツーツーツー

 

ウッソだろオイ、しほさんが機会音痴だというのは衛一も母さんから聞いている。衛一自身も携帯は苦手だ。しかしここまでだとは思っていなかった。掛け直すべきか否か・・・と、

 

「まさかお前が飛び込み参加してくるなんてな」

 

「その声は・・・なんだ、やっぱりお前か」

 

二澤与一(にさわ よいち)これでも女である。衛一と度々弓で競いあう選手だ。衛一と多分同年齢であり、全国大会準優勝者だ。衛一とは良好で、弓で決着がつくまで何時までも引き続ける。冷静沈着である。色々な意味で衛一と間反対。周りからは双子のようだと言われる

 

「やぁ、プラウダに進学したって聞いてたけど」

 

「色々合ってな、お前は黒森峰だったか?」  

 

「ああ、で、今お前は何処に居る?まさか中退ではないだろ?」

 

「転校して大洗ってとこに今落ち着いてる。今日は戦車道の試合があるけど、この地域の試合ならお前も出てくるだろうとの読みでシカトしてきた」

 

「お前なぁ・・・相変わらずか。で、さっきは何かを考え込んでいた様子だったが」

 

「ああ、めんどくさいからただいま、電話に出ることができませんっての声真似したらすっかり騙せたもんで、多少の罪悪感が」

 

「まだ時間は・・・無いな。取り敢えず行くよ。久しぶりにお前と競えるのを楽しみにしていたんだ!」 

 

「奇遇だな。俺もだよ」

 

─────アンツィオ戦、開始─

審判からの試合開始合図でアヒル、ウサギ、フクロウはみほの指示で偵察に出た。

アヒル、ウサギは幸先良く十字路にてCV-33を発見した。フクロウも付近を走行する集団を捕捉、追尾している・・・が発見した車両数と合計車両数が合わない

 

「さて、衛一が居たらトリックにも速攻気づくだろうか」

 

早崎がぼやく。宮古、波川は「こいつマジか」って顔している

 

「お、おい。なんだよその顔」

 

「気付いてないのかお前・・・」

 

とっくに二人の中に仮説は立っている。てか数日前に訓練に使った手だ

「多分ダミー。でも俺たちが追尾してるのは本物」

 

宮古の仮説、エンジン音をなるべく立てないようにCV-33に追従している。恐らく発見されていない

このまま追いつづければ送り狼でフラッグの所まで案内してもらえるかもしれない、ただ今日の砲手は波川だ。しかし衛一とは天と地程の差がある。見つけた所で撃破出来るかわからない

 

「てかさ、ダミーの事連絡しなくて良いのか?」

 

「衛一みたいに言えば[あいつなら気づくだろ]かな、まあ、西住なら大丈夫だと思うが『こちらフクロウ、敵集団進路さほど変わらず』」

 

『アヒルさん、ウサギさん、その豆戦車を機銃掃射してみてださい。くれぐれも慎重に』

 

無線で流れる通信、みほが気付いたらしい。波川も双眼鏡で周囲を確認する。が特に動きはない

 

『隊長、あれ看板でした!』

 

『やっぱり、移動してください。フクロウの報告と合わせると恐らく機動力を生かして包囲してきます。フクロウさん、その敵集団の足止めは可能ですか?』

 

『やれるだけやろう「変態、早崎、合戦準備。目的は足止めだ」

 

早崎がささっと破砕榴弾を装填、100mm砲弾の至近爆発なら十分撃破できるだろう。波川が車載機銃に初弾を込め、宮古も速度を上げる。自動車部の手により強化されたT-44は速力だけなら豆戦車にも劣らない。

 

「道攻めるつもりだ?下手しなくても抜けられるぞ」

 

「速度上げろ、横から殴り付ける。早崎、装填弾種は?」

 

「破砕榴弾だ。近くで炸裂させたら撃破できると思うぞ」

 

「3・・・2・・・1・・・0!」

 

波川が大雑把に集団前方に行進間偏差射撃、撃破は無いが一両履帯が外れた。速度を出していた為か派手にスリップし、後部を向けて停止。波川が間髪いれずにそこに12,7mm機銃を集中掃射。大半が命中、撃破。薄い豆戦車の装甲ならば12,7mmでも撃破可能らしい。ならば榴弾でスリップしたところを仕留めるのがよさげか。

 

「げぇ、見つかってたか、まあ良いや。野郎共、返り討ちにしろ!」

 

当然だがペパロニも7.7mm連装機銃で反撃に転じてくる。しかしうるさいだけで撃破される心配は無いが小回りを生かし履帯や砲の照準口を狙ってくる

 

「波川、代わりに主砲使うぞ!」

 

「おう、近くに撃ち込んでくれ」

 

今度は早崎が適当に主砲を射撃、だが目立った成果はない。軽快な音を立てながら12.7mmが射撃を継続、銃身過熱なんか気にしていない。

 

「野郎共、こいつはほっとけ!進むぞ」

 

ペパロニが進軍を開始、T-44を置き去りにして走り去る。すかさずそれを追撃、後方から主砲と機銃で攻撃するも森の中ではCV-33の機動力に軍配が上がる。直ぐに見失った

 

「すまん、逃げられた」

 

『いえ、期待以上です。こちらは敵のフラッグ車を見つけました。そこから北東に向かってください。それで合流できるはずです』 

 

「『了解』変態、進路北東に変更」

 

『こちらアヒルさんチーム、敵豆戦車に囲まれました。現在応戦中』

 

『分かった。えっと・・・アヒルさん、そのまま応戦してて、フクロウを応援に出すって』

 

『了解しました!』

 

『こちらフクロウ、了解した。アヒル、現在位置知らせ』

 

さっさと位置情報を貰い、そこを目指す。幸いそこまで離れているわけではない。到着まで時間はかからないだろう



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第三十五話

今回長いです


─────プラウダ学園─

元々衛一が居た学校である。その中のとある真っ赤なカーペットが敷き詰められた一室に聖グロの隊長、ダージリンとプラウダの現隊長、カチューシャ、副隊長ノンナが集まっている。

 

「大洗学園と言う学園艦を聞いたことがあるかしら?」

 

「大洗学園?名前だけならどこかで聞いたような・・・」

 

「その高校がサンダースを撃破したらしいわよ」

 

「そんな学園艦があのサンダースを?」

 

ケイが指揮するサンダースが新参者に破れたと聞いて耳を疑ったカチューシャ

 

「ええ、そうよカチューシャ・・・というかそれは1回戦の話だけど」

 

「ふうん。まあ、仮にも戦車道。本来そういうものでしょ」

 

「その通りね」 

 

「もー!ノンナはまだかしら。お茶飲みたいのに!」

 

「おいしいお茶を入れるのには時間がかかるものよ」 

 

「それより、練習しなくてもいいのかしら。……大洗の隊長は、あの西住流よ」

 

「・・・はぁ!?」

 

「まあ、西住流の妹のほうだけど」

 

「な、なーんだ妹って、去年の試合で戦車を離れた妹って、なら楽勝よ!」

 

ダージリンは含みのある笑い方をしている。まるでカチューシャの反応を楽しんでるようだ

 

「何よ、その顔、気味が悪いわ」

 

「それにあそこには貴方もよく知る天敵が居るわよ」

 

「天敵?そんなものこの栄えあるプラウダには存在しないわ」

 

去年結果はどうあれ黒森峰相手に勝った。残る天敵など居ただろうか

 

「ええ、『プラウダ』の天敵はスツカ高校対戦車道航空課エースの『ルーデル』以外に存在し無いわ。ただ、貴方の宿敵は居るんではなくて?」

 

「もう、あのサイレンは聞きたくないわ」

 

苦い記憶が甦る。去年の練習試合では単騎で十両中十両を吹き飛ばされた

 

「カチューシャ様に天敵など存在しません」

ノンナがきっぱりと言いきった

「あら、怖い怖い。でもこういえばわかるかしら、『死神の鎌は上から振り下ろされる』」

 

「誰の言葉よ?」

 

「!?」

 

ノンナは感づいた。ダージリンが言っている宿敵の正体に

 

「カチューシャ様、早急に遠距離狙撃に対する訓練をした方がよろしいかと」

 

「なんでよ?」

 

「カチューシャ様も忘れてはいないでしょう。あのスナイパーを」

 

「スナイパー?・・・・・・あ!」

 

「私はこの辺で失礼するわ。ご機嫌よう」

 

─────アンツィオ戦、ドゥーチェside─

「おい、マカロニ作戦はどうなっている?」

 

『姐さん、後にしてください!』

 

「何で?」

 

『T-44と交戦中ぅ!』

 

「阿呆!何でもっと早く報告しない!」

 

『すいませんって』

 

「今のところの損害は?」

 

『えっと・・・一両やられました』

 

「ええい、包囲作戦中止!全員フラッグの元に集まれ!分度器作戦を発動する!」

 

ペパロニらが見付かっているのなら看板を置いていても直ぐにバレるだろう。それに敵が直ぐ近くまで近づいているのかもしれない

 

「カルパッチョ、出動だ!敵は直ぐそこまで来ている」

 

アンチョビの乗るP40、カルパッチョのセモヴェンテ、CV-33が移動を開始した。そしてさっき居た地面を多数の砲弾が抉る。アンチョビのP40はアンコウ、カバさん、ウサギさんに捕捉された。アンチョビ達も当然反撃にかかる。運良く初撃でウサギさんを撃破した。

 

「隊長、Ⅲ突は私が押さえます」

 

「頼んだぞ」

 

カルパッチョが見たのはⅢ突に付いているカバのマーク。カエサルのメールアイコンと同じものだった。試合前にこんな会話をしていた

 

「たかちゃんも戦車道始めたって本当なんだ!」

 

「うん。何に乗ってるかは秘密!」

 

Ⅲ突とセモヴェンテがぶつかり合う。どちらも固定砲塔の自走砲である。その戦闘風景は多分中世ヨーロッパの槍兵同士の戦いのようだ。そして至近距離での砲戦が繰り広げられる

 

「相手はⅢ突・・・なら防盾を狙って!」

 

「どこでも良いから当てろ!こいつの砲ならどこでも抜ける」 

 

そしてまた、車体がぶつかり激しく火花を上げる

 

───sideフクロウ──

「居た!前方だ!速度上げろ」

 

「限界だ。主砲で何とかしろ」

 

T-44の最高速度(自動車部の改修有り)で追いかけているが八九式も豆戦車も最高速度、そう簡単に追い付けない

 

「安心しろ!弾は榴弾装填済みだ。だからやれ」

 

「集団の中にアヒルが居て下手に撃てねえよ。この距離だったら機銃も効果があるかどうかわかんねぇ・・・弾種軽量徹甲弾装填」

 

「軽量徹甲了解、お前に当てれんのか?」

 

「相手に心理的圧迫感を出すだけなら十分だろ」

 

と言って主砲での砲撃開始、だが徹甲弾の手持ちは五、六発しか無い。衛一が『どうせ相手装甲紙なんだから徹甲弾大量に要らんだろ』と言ったからだ。端から衛一は榴弾で横転させ機銃で撃破するつもりだった

 

『こちらフクロウ、アヒルさんチームへ。後ろから援護はするが榴弾が使えない。あまり期待してくれるな』

 

『いや、助かる』

 

「こっちに寄ってこないな」

 

「当たり前だな」

 

「おい、残りの徹甲弾四発だぞ、大丈夫だろうな?」

 

「大丈夫ではないな」

 

『ええい、アヒルさんチームへ。爆発注意!榴弾使う!』

 

『ええ!?わ、わかった』

 

「榴弾装填!」

 

「榴弾了解した、八九式巻き込むなよ」

 

「おれはあの化け物じゃねえんだ」

 

そう言って榴弾を撃つ。二両程CV-33を巻き込んで吹き飛ばした。かなり近くで炸裂したので二両とも撃破だ

 

『大丈夫か!?』

 

『戦車が簡単に壊れるか!っとそっちに寄り付いて良い?』

 

『どうした?』

 

『少しでも撃破しやすくならないかなって。火力方向が何とかで』

 

『言いたいことは把握した。速度落としてくれ』

 

取り敢えず合流というか、側面でぴったりくっついて攻撃の最適化を図る

 

「よし、遠慮無く榴弾で吹き飛ばすぞ装填急げ」

 

榴弾を装填し直すまでの間12,7mm機銃での銃撃、銃身を小刻みに動かしながらCV-33の動きに追従しようとするが追い付かない

 

「装填終わり!いつでも撃てる」

 

急いで車内に戻り側面の地面ごと迫るCV-33を吹き飛ばすが横転するだけで撃破には至らない事が多い

 

「・・・?・・・!」

 

宮古は操縦手席に地図を付けている。それを数秒眺め、自分等の予想進路とさっき波川が言っていた敵フラッグ車と交戦しているアンコウやカメの予想進路がぶつかり合う事に気が付いた

 

「・・・(別に言わなくていいか、その内気づくだろうしな)」 

 

残念ながら機銃掃射で手一杯の波川にそんな余裕無かった。衛一ならば片手間で気付いたかもしれないが

 

「よっし、やっと一両撃破」

 

抵当に早崎に撃たせ榴弾で吹き飛んだところに機銃掃射して一両撃破、確認出来ていないだけで他にも撃破しているかもしれないがこれだけ波状攻撃されたらもう何両残っているか分からない

 

「クソッ、後どんだけ居やがる?」

 

「多くても8両程度じゃねえの?少なかったら4両かもしれんが」

 

実際は残り6両だが知るよしもない

 

「よっし、装填」  

 

『こっちも一両撃破した!』

 

波川が機銃掃射に徹してしまっているためもう砲手と化している早崎。以外にも砲撃は良い味を出しており吹き飛んで姿勢を崩させると言うより相手に予測させて回避させたところで機銃掃射。と言うやり方に自然に変化した。

 

「よし!一気に二両行った!」 

 

榴弾の回避先で片方が集中機銃掃射、もう片方はアヒルさんの主砲を受けて撃破された

 

「波状攻撃が落ち着いてきた・・・数が減ったか?」

 

回りを見渡しても3両しか確認できないし、他に来る様子も無い  

 

『フクロウよりアヒル、多分この3両でここは最後だ。だから慌てず慎t『割り込み済まない、宮古だ。このまま行ったら直ぐにでも敵フラッグとかち合わせする』

 

「おい!何時から気付いてた!?」

 

「ん?「よし!やっと一両撃破!」のところ辺り」

 

「結構前じゃねえか『磯部先輩!さっさと終わらせるぞ』」

 

『うん!』

 

ガガガガガ ズン! ガガ ズドン!

まるで機銃の音と砲撃音が協奏曲を奏でているようだ

そして、残りはペパロニの乗るCV-33だけになった

 

「前方に敵フラッグ車確認したぞ、波川」

 

「後は包囲殲滅だな」

 

この後、無事にこの場の残りのアンツィオ高校の戦車は殲滅された

 

─観客席─

試合が終わり弓道着を着たまま与一と会場に来た(自分達の出番が終わって閉会式をすっぽした)そして今、聖グロのお茶会に混ざっていた

 

「ほーん、そんな流れか。カエサルの奴、直々に教えたんだから負けるなよ」

 

「なあ、本当に良いのか?私までここにいて」

 

「別に構いませんわ。それに日本の弓道選手のツートップをお茶会に誘えたんですもの」

 

「そんなものなのか?」

 

「まあ、ダージリン様が良いと言っているんですし・・・あ、クッキーどうぞ」

 

まあこんな雑談をしながら試合を観戦している。と言っても終盤で、大画面にはぶつかり合うセヴェモンテとⅢ号突撃砲がぶつかり合っている

 

「ねえ、あれは聖グロの隊長からしてあの一騎討ちはどうよ?」

 

「優雅だはありません・・・でも熱い戦いね。つい興奮するわ」

 

そんな中、勝負が一騎討ちの勝負が決まった。それと同時に試合の勝敗も決まった

 

「Ⅲ突とセヴェモンテは・・・相討ち、まあ及第点か」

 

「初心者なら上出来だと思いますけど」

 

「あいつの腕前なら機動戦してる最中でも当てられるはずだ。本番弱い奴でも無いしな」

 

「大洗の砲手は逸材が多いと聞きます。貴方が育てているのなら納得ですが」

 

「最悪プラウダ、黒森峰と殺り合わなくちゃならない。家の戦車で撃破するなら弱点を正確に狙い撃つのが手っ取り早いんでね」

 

弱点さえ狙えればM3leeで虎ⅠやT-34を落とせると話す衛一。そして、撤収作業が始まり、その手伝いに行く衛一だった。



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第三十六話

今回は息抜きのつもりで書きました


「やあ皆、おめでとさん」

 

夕日を背中に無駄にカッコ良く拍手しながら歩いてきた衛一だったが

カチャ、カチカチカチカチ

いきなり波川から手錠を嵌められ、後ろには刀を持った宮古が待機、何故か畳の上に正座させられ、目の前には短刀が置かれている

 

「俺が何をしたって言うんだ!」 

 

「「「「「本気で言ってんのか?/言ってるんですか?/言ってんの?/言ってるの?」」」」」

 

「え?」

 

「あ~、お前は自分がしたことを忘れたのか?」  

 

「さっきまで聖グロの人と友人と一緒にお茶飲んでた」

 

「違えよ、と言うか何やってんだよ」

 

「そうじゃないだろ!何で試合をすっぽかした!?」

 

河嶋がブチギレモードだ。他のメンバーも少からず怒っていたり、呆れていたり、戸惑っていたりする

 

「別に良いじゃねえか、負けてねえんだしよお」

 

「そういう問題じゃ無いだろー!」

 

「まあまあ、そう怒んなって、桃ちゃん?」

 

的確に油を注いでいく衛一

 

「ウガー!桃ちゃん言うなー!」

 

そんなこんなしている内に来たのはアンツィオの生徒達、ただ和服を着た男が畳の上に正座しており、その後ろには刀を持った奴が待機、目の前には短刀が置かれている。完全に切腹直前としか思えない光景に戦慄した

 

「う、うわぁーー!」

 

~五分後~

「成る程、こいつが大洗の『島田』か!」

 

大笑いしながら衛一の背中をバンバン叩く。近くではアンツィオの生徒達が何やら野外キッチンを設営している

 

「ねえ?誰かこれ取ってくれない?」 

 

回りからガン無視されている衛一、その内何故か二澤まで来た。

 

「何で手錠かけられてるのさ・・・」

 

「知らね(すっとぼけ)」

 

アンツィオ生がキッチンを設営し終えたのを見計らい、衛一が近くのペパロニに声をかけた。何やら企んでいる様子だが・・・

 

「なぁ、お詫びに何か作りたいんだけど、材料ってあるか?」 

 

「うーん、大抵の物は揃ってるっすよ!」

 

「よし、二澤、手伝え」

 

「え?」

 

「いい花嫁修業にはなるだろ」

 

と、強制的に手伝わせた。

 

──────

「試合だけが戦車道じゃないぞ!試合に関わった選手、スタッフを労う!これがアンツィオの流儀だー!」

 

ドゥーチェの後ろではすごい量のイタリア料理が用意され、現在進行形で作ってる生徒も居る。その中にさらっと混じってる衛一には誰も触れなかった  

 

「アンツィオ高校は食事の為ならどんな苦労も厭わない!・・・この子達のやる気が試合にもう少し生かせるといいんだけどなぁ」

 

全員が苦笑い、作っている生徒以外が席についた。そして食べ始める、と言うときに衛一の料理が完成した。

 

「ほい、和風パスタ。油そんなに使ってないから低カロリーだよ~」

 

衛一が作っていたのは醤油ベースのキノコパスタだ。彩りに小松菜を入れたもの。低カロリーと聞いて大洗、アンツィオ、他女性スタッフが興味を示した。なんとなく、ドゥーチェが代表?で試食してみた。結果は大絶賛!直ぐに無くなり衛一が急ぎで次々作っていった(二澤は食べる方に回っている)しかし衛一の手錠はそのままだ(誰も突っ込まない)

このパーティーは陽が落ちるまで続いた

 

「ねえ?衛一君、あの子誰?」

 

武部が料理の後片付けを終えた衛一に尋ねに来た。みほと秋山も居る

 

「あいつは二澤与一。弓道全国大会の総合準優勝者で女子の部優勝で俺のライバルだ」

 

「衛一さんのライバル?」

 

「ライバル何て者じゃない。どっちかと言うと私が越えるべき壁だ。こいつは私の踏み台だ」

 

直接二澤が来た。衛一は彼女のことを気を抜いたらあっという間に抜かれるライバルと考えているのだが、彼女は違うらしい

 

「でもそれはライバルと大差無いのでは?」

 

秋山の質問にはライバルとはお互いを高め会う関係性だが、私の目的は一方的に越える為だからと答える。衛一からすればライバルだと考えているが

 

「で、変態紳士、真面目に鍵どこにあんのよ」

 

「100mm砲で消し飛ばした」

 

「は?」

 

「まあ、がんばれ」

 

「ウッソだろオイ。ま、いいや。ちょっと一人にしてくれ」

 

と、衛一が夜にまた電話をかけ直せと言うしほさんからの伝言を思い出した。ちょうど片付けも一段落してるし、電話をかけることにした

 

『もしもシィ?』

 

『衛一ですね』

 

『そだよー』

 

『単刀直入に聞きます。なんでみほが戦車道をしているのを黙っていたんですか?』

 

『だって聞かれなかったんだもの。それに姐御経由で知ってると思ってたし』

 

『千代を口止めしてしたのは何なんですか?』

 

『だって、黒森峰負かした後に知れば絶対面白い事になると思ったから黙ってた』

 

『本当に貴方という人は・・・昔は素直で良い子だったのに』

 

『昔を引き合いに出さないでもらいたいねぇ』

 

『また今度、プラウダとの試合の時にお話しましょう』

 

『嫌でーす』プツッ 

 

「あの、いまの相手って」

 

「ん?しほさんだけどそれがどうした?」

 

「いえ・・・」

 

「?」




衛一の手錠が外れたのは翌朝の事らしい。無理矢理拳銃で真ん中の鎖を撃ったは良いが、輪っかはそのままだった


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第三十七話

~大洗、生徒会室~衛一side

「いや、ここは絶対ダメだ。ここはこう動かれて包囲殲滅される」

 

今はみほが建てた戦術に対し容赦なくダメ出しをしている。次の相手はプラウダ学園、と言うのもあのチビ助の性格だ。絶対に包囲して嬲り殺しにしてくるのは容易に出来る。ならばその思考を読んで奇襲をかけてやろう

だが一つだけ問題がある。自分がここに居ることをチビ助は知っているのか?と言うことだった。勿論知ってるなら対策を立ててくるだろう。

 

「まず俺はカチューシャに二度勝っている。その時は想定外と非常識の合わせ技で何とかなったが、今度はそうも行かないだろう。しかもプラウダが得意な雪マップ」

 

「定石で攻めたら負ける・・・かといって変に戦略を練っても対抗される・・・」

 

「あいつ見た目と態度はアレだが天才だ。タイマン張るなら兎も角、集団戦なら圧倒的だろうよ」

 

「もうダメだぁ、おしまいだぁ」

 

「うるせぇ桃、黙ってろ!勝つには・・・いや、このまま行くか」

 

「へ?包囲されるんじゃ無いんですか?」

 

「秋山、逆だ。包囲させるんだ」

 

「ええ!?流石にT-34やis-2の火力で殲滅されますよ!衛一殿の狙撃能力があっても、砲火の中は無茶です!」

 

「阿呆、包囲してるときは基本的に内側にしか目は向かん。外側から狙えば良い。そうだな・・・Ⅲ突かⅣ号当たりが妥当か。少数で何とかできるならカモさん当たりが餌に適当かな」

 

カモさん事、ルノーb1biss少し前に全員でまだ見ぬ戦車を探して見つけたものだ

 

「つまり・・・囮」

 

回りは否定的だ。大洗は車両数が少ない。それで失敗したら勝ち筋が無くなる

 

「まあ、今のはふざけ半分だがな。ただあのチビ助の事だ。包囲できたら調子に乗る可能性が高い・・・時に秋山、お前はどうやって敵を包囲の網に誘い込む?」

 

「うーん、通りやすい道で張り込むか、高い機動力で包み込む。でしょうか」

 

機動力で包囲はアンツィオがやろうとしていた作戦だった

 

「後は囮を使って誘い込むくらいか」

 

「ほう?流石だ冷泉。包囲の時に使うであろう作戦は少数の車両を餌に引き込む戦術だと推測できる。そういう奴だからな」 

 

「わざと敵の包囲に乗るってことかな?」

 

杏が確信を突いた

 

「そんなところだ。このマップは数年分のデータによればこの時期は雪が積もってる。それに天候が変わりやすく、晴れていていきなり吹雪ってこともあったらしい」

 

「だから包囲に穴が空きやすい?」

 

「ああ。だから確実に逃げられない所に誘導しようとしてくる筈だ。だがこのマップならどこだ?」

 

「うーん・・・ここなんかどうですか?」

 

「ん?どこどこ?」

 

「ここです」

 

みほが指したのは村のような所だ。真ん中に広場が有りその周りには家や大きな教会がある

 

「家屋が障害になって数本の道を押さえればもう抜けれませんし、大きな教会かな?があってここに逃げ込むことも出来そうです」

 

「教会なら基本石造りだし、戦車道用の脆い砲弾なら防げる公算も高いかなら後は・・・」

 

包囲される前提で話が進められるが、勿論包囲されなかった時の作戦も練る。そして、当日・・・

 

─大洗vsプラウダ試合会場─────

衛一の予想どうり当日は結構な雪が積もっていた。これならプラウダが得意な条件。包囲させるのには絶好だろう。そして波川がすべての車両に太い筒のような物を積み込んだ

 

「おーい、隊長ー!荷物積載終わったぞー」

 

「ありがとうございます。衛一さん知りませんか?」

 

「あいつは『チビ助に俺が居るという確定情報を与えたくない』って言ってどっかに行った」 

 

「過去の試合を見たら見つかると思いますが・・・」

 

「因みにあいつは今までメディアに顔をだしていない。周到なこった。相当警戒していたみたいだな」

 

「そこまでして!?」

 

「少なくともプラウダだけには知らないままにしときたかったみたいだな」

 

「じゃあどこに居るんでしょうか?」

 

「知らん。携帯の電源は切ってあるらしい」

 

─観客席────

衛一は持っていたプラウダの制服を着て軽く変装。観客席で郷地と待ち合わせていた

 

「よっ!久し振りだな、衛一」

 

「郷地さん、久し振りです。でもどうして俺が戦車道してることを知っていたんで?」

 

「唐沢さんから聞いた」

 

「唐沢さん何やってんだよ、で本題ですがチビ助は俺の存在に気づいてるのか?」

 

「ああ」

 

「そうかぁ、もしかして狙撃訓練とかしてます?」

 

「それを俺に聞くなよ。ただ、最近音が変わったな」

 

「音か・・・砲声から着弾音が伸びました?」

 

「確かに飛翔時間が長くはなっている気がするな」

  

「それだけ分かれば十分です。試合開始をお楽しみに」

 

─何処か─────

『Приятно познакомиться, Eiichi♪』

 

『Кто это?』

 

『Я клара』

 

『Это униформа, Правда』

 

衛一は内心「誰だこいつ?」である。体格はノンナに近く、金髪の外人で名前をクラーラと言った。しかしこいつプラウダ学園の制服を着ている。それに試合もすぐ始まるし、どうしたもんか

 

「あ、衛一さん!」

 

「って桐原か、都合が良い。このロシア人連行してくれねえか?」

 

「えっと、この人はクラーラさん。私の車両で臨時砲手をしてもらっています」

 

「アナタの弾着観測、マネさせて貰いました♪」

 

「ほう?興味深い。試合中で機会が会ったら是非一騎討ちしたいねぇ。桐原、んじゃまた」

 

─試合直前─────

プラウダ、大洗の車両は全てエンジンを吹かし、いつでも発進可能な状態で整列している

 

『衛一より各車へ、聞いていると思うが赤共は長距離狙撃訓練もこなしてくれたらしい。一部の野郎は俺の弾着観測射撃すら再現してくれやがった。総員、気を引き締めろ!』

 

『『『『『了解!』』』』』

 

《試合、開始!》

 

みほの号令で鋼鉄の獣達が動き出す。そして今まで付いていなかったが今回からT-44に枝に止まった梟のエンブレムが書かれている

 



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第三十八話

~プラウダside~

「貴方達、連中からの狙撃は注意しなさい!あいつ等まとめてピロシキの具にしてやりなさい!」

 

『『『『『Ураааааааааааааа』』』』』

 

無線に民謡のメロディが流れる

 

~大洗side~ 

雪中行軍の大洗。途中にアヒルが坂を登れなくなったり榴弾で雪を吹き飛ばしたりしたが、恐ろしいほど敵影が無い 

 

「衛一、隊長から通信だ」

 

「ういうい、『どうした隊長?』」

 

『衛一さん、妙じゃありませんか?』  

 

『ああ確かに妙だ。居なさすぎる』

 

「衛一、どういう事だ?」

 

『いや、考えられる包囲予測地点に俺らを誘い込むならもう既に餌を撒いて釣りあげなきゃだし、言い方は悪いが格下相手には露骨に舐め腐り面倒臭がって短期決戦で終わらせようとする傾向が見られるからな』

 

『ねえ衛一君、つまり私達は格下に見られてないってこと?』

 

『ああ、そうかもしれないな会長。全く面倒臭い』

 

『面倒臭がりなのは衛一君も変わりないんじゃない?』

 

『そうだろうな』

 

大体の無線機手が賛同した

 

『ハハッ違いねぇが、だが姿を表さないのは・・・姿が見えない?』

 

何か違和感を拭えない衛一、黙りこんで思考をまわす

何故だ、何故姿を表さない?狙撃戦でこちらを削る?それをする理由は無い。潜伏して一気に決める?これなら既に仕掛けられているはずだ。それとも姿を見せない内に仕留めるのか?それは現実的ではない、それなら正面から突撃したほうがよほど勝算がある。ん?姿を見せずに仕留める・・・

 

『どうしたの?』

 

「姿を見せない。何故だ?」

 

『(姿を見せない敵、まるで・・・)衛一さん!』

 

「おい、どうした衛一」

 

『全車、今すぐジグザグに動いてください!』

 

「ヤバい!攻撃は上からだ!」

 

みほと衛一が思い付いたのは弾着観測射撃、全車がジグザグ走行する直前に砲弾の群れが襲い掛かかった。衛一が耳を澄ませた結果は弾着数は五発程度、衛一がキューポラから顔を出し着弾地点を確認した。一発がカバさんを掠めていたが損傷はない

 

『クソッ弾着観測射撃だ!砲手に仕込んどくべきだったか。だがお前ら対処法は分かってんな?』

 

『うむ。心得ている』『分かってます。気合いですね』『オッケーオッケー』

 

『皆さん、近くに観測手がいる筈です。全速でここを離れます』

 

波川が双眼鏡で観測手を探す、しかしそこに現れたのはT-34だった

 

『十時方向に敵集団、数最低7。車種は良く分からん。でもKV-2は見えん。恐らく弾着観測射撃で混乱した所に強襲してきたんだろう』

 

「カチューシャらしくない。堅実に攻めてきたな、こりゃ余程警戒していると見えるんで車長、ilじゃなかったis-2は見えるか?」

 

「いや、t-34より大型の戦車は確認できなッ(ガーン」

 

T-44の砲塔側面に直撃弾がでた。しかし砲撃は防ぎきる

 

「敵弾直撃、射撃を俺らに集中するあたり相当警戒してるようだなこりゃ。よし!無線貸して『アンコウ、敵の強襲部隊はT-34だけ。何故か知らんが俺らに集中砲火している、こちらで殿を勤めよう。だから離脱してくれ』

 

『だそうだ。フクロウに任せてくれないか?』

 

『でも危険じゃない?』

 

『俺等ならやってみせよう。その隙に全車離脱してくれ。後衛一からは逃げるなら三時方向に逃げろと』

 

『任せるって。全車三時方向に離脱して』

 

乱戦になっている現状はこちらも効果的に応戦できていない。ただ離脱命令が出た。

 

~プラウダside~

雪の中に潜んでいるのは桐原の車両だ。他の車両の観測手が乗っている

 

「来ました。皆さん準備は良いですか?」

 

「「「「はい」」」」

 

『こちら観測班、目標B-45-8地点に捕捉、こちらと目標の距離50m方向10分から15分、進路は南南東に向け走行中。順次射撃開始してください』

 

─プラウダ榴弾陣地─────

『情報ありがとうございます。各車順次射撃開始』

 

サクッと曲射用の坂を構築し

 

『強襲部隊、準備はいいかしら?着弾と同時に突入よ。第一目標はあいつが乗ってるt-44よ』

 

カチューシャの車両は弾着射撃をするほうに居る。が通信指揮の為にis-2に乗っている

 

『こちら桐原、弾着確認しました二発が集団の中に着弾。細かい指示は各々の観測手からお願いします。あ、目標群、回避運動初め』

 

『射撃隊、砲撃継続して。強襲部隊状況は?』

 

着弾の合図を受けた強襲部隊は大洗戦車団に突撃を敢行した

 

『強襲には成功しました。敵は散発的に応戦中です』

 

桐原は戦場を見下ろしている。強襲部隊は大洗の集団に混じり始めていった所で大洗の車両が離脱を開始した。カチューシャの指令でT-44に集中砲火をしていた為、効果的な追撃は出来きず、大半の離脱を許してしまうだろう

 

(あの動き方、殿を)

『桐原です、既に大洗車両群は離脱を開始しました。ですがT-44は殿で残りそうです』

 

『分かったわ。ここで確実に潰すわよ!』



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第三十九話

原作と比べてプラウダ学園の作戦をほぼ一から考えました。すごく大変だった


~観客席~

衛一の知らぬ所で西住しほがこの試合会場に訪れていた。しかし

「みほに、勘当を言い渡します」

この場にいた二人は一瞬頭が回らなかった。そしてしほが放った言葉を理解した。勘当、そう言った

 

「ま、待ってください。なぜいきなり!」

 

「二人は知っていた筈ですね?みほが戦車道をしている事を」

 

「・・・」

 

「衛一が口を滑らせました。二人はみほが戦車道をしていたのを知っていることを」

 

(衛一ィ!)

 

二人はこの場に居ない気楽な馬鹿を恨みつつ気まずい雰囲気の中試合を見ることになるのだった

 

~波川side~

「全車両離脱開始。よし予定通り俺らで足止めするぞ」

 

「ハァ↑ドッコイ┗(*゚∀゚)┛(射撃)一両撃破したぞ。敵の残り何匹よ?」

 

「えっと、見える限り後4両だな」

 

『フクロウさん、殿をよろしくお願いします。絶対無事に帰って来てください』

 

『了解した』変態紳士、Uターンして敵集団に向けて進路取れ、集団のちょい前方で行手を塞ぐように動いてくれ。早崎は衛一が撃ち次第次々装填、弾種は軽量徹甲。衛一は隙みて射撃。撃破しないでもいいから敵の足を削るのを最優先にしろ」

 

「да/了解/分かった」

 

離脱している大洗集団から分離しプラウダの襲撃部隊の足止めに赴く

 

「野郎共!全部返り討ちにする気概で行くぞ」

 

「「「応!」」」

 

~桐原side~

『敵集団北西へ離脱開始。多分衛一さん射撃部隊の方向に勘づいています』

 

T-34で坂付きの曲射を行う場合、一番安定するのが正面への射撃だ。だが砲塔を左右に動かすと砲身の角度の調整が一気に面倒になる。そして左右にずれればずれる程誤差が大きくなるのだ。それを感覚で補正して正確に砲弾を叩き込める衛一は変態としか言えない

 

『射撃部隊、強襲部隊と合流するわよ!観測車は私たち合流して乗員整理!』

 

『分かりました。「本城さん、先に射撃部隊と合流します南へ向かって下さい」

 

「分かった。南だな」

 

~フクロウside~波川side

6対1で殿を勤めているフクロウチーム、基本的には引き撃ちで対応している

 

「うーん、流石にプラウダも逃げの姿勢入ったか?」 

 

正確無比な砲撃で敵の行く足を塞ぐ衛一、既に三両の足を止めている(一両撃破、二両足回り破損)ので無理も無い。残った三両も速度を落としている

 

「よし、全速前進。ここから離脱するぞ」

 

「寒いなぁ。あ、的が増えた」

 

「おいまて、今お前何て言った?」

 

スコープを覗きながら衛一が漏らす『的が増えた』そう言っただろうか?いや、言っていないに違いない。ここで増援が来たら流石に撃破される

 

「寒いなぁ?」

 

「違う、その後だ」

 

「的が増えたな」

 

「つまり?」

 

「まあ、増援だ。よし、全速で逃げよう」

 

「そうだな。変態紳士、コース任せるから全速で逃亡しろ。衛一は煙幕を焚け、因みに何色積んだ?」

 

「聞いて驚け。ふざけて祭りとかにしか使わない蛍光イエロー積んでみたぞ」 

 

「ああ、別の意味で驚いたよ。今すぐ焚け」

 

「あいよ」

 

全力で逃亡すると同時に蛍光イエローの煙幕がばらまかれる。これを観ていた観客は?

 

~観客席~

「どうせ衛一でしょうけど・・・なんなんですかあのふざけた煙幕は」

 

((どうしよう、露骨に機嫌が悪くなっている))

 

「あ、あえて変な色をつかうことで心理的効果を狙っているのでは?」 

 

現状のなけなしの勇気をエリカが振り絞った

 

「ふむ、確かに相手から冷静さを奪えるかもしれませんね」

 

(あ、納得しちゃった。これなら)

 

「しかもフィールドは基本暗いですし、強い蛍光色では視界が変になるんじゃ」

 

「どうせならショッキングピンク使えば良かったのに」

 

姉は姉で何か言っているがスルー

 

─────

 

さて、ここで視点をフクロウチームに戻そう。蛍光イエローと言うトチ狂った煙幕を炊いて逃走を図るフクロウチーム、煙幕の中に機銃を乱射され凄く車内がうるさいくらいで特に問題もない。まあこんな状態ではさすがの衛一も命中は運になる

 

「なあ、垂れ流されてる機銃から大まかな方向に砲撃出来るが、やるか?」

 

「いや、弾の損耗は押さえたい。攻撃はするな」

 

「車長、煙幕は無限じゃない。これからどうする?このまま逃げてもジリ貧に近いぞ」

 

宮古がそう訪ねた。しかしいいアイデアが浮かばない

 

「ついでに言うとひたすら走ったから現在地不明。煙幕で地形把握もまともにできん」 

 

「うそん、現在地分から無いのが一番辛いな。このまま集団に突っ込んで出来るだけ道ずれにするのも選択肢だが」

 

『フクロウさん、なんか凄い黄色い煙見えるけど大丈夫?』

 

『なんだ武部か、びっくりしたわ。あと煙幕今炊いてまーす』

 

「おい紅葉、そろそろ煙幕が切れるぞ。具体的には後20秒程」

 

「・・・衛一、弾が飛んできてる方向から敵の方向察知できるよな?ちょっと機銃が何処から飛んできてるか見てくれ」

 

「了解・・・・・・左右後方だな。真後ろは居ない」

 

「変態紳士、全速後進開始」

 

「なるほど、分かった」

 

T-44の行き足が止まり、全速で後退し始めた。自動車部のチューニングのおかげで後退速度は30km以上になっている。波川が頭だけ出して音を聞いていると断続的な機銃の発砲音と共に多数のエンジン音が左右を通り過ぎた

 

「・・・取り敢えずやり過ごせたな。よし、直ぐにここから離れるぞ。進路は東で現在地は後で確認するか『こちらフクロウ、一時的に追っ手を撒いた。だが現在地不明、ここから距離とって場所を確認する』

 

『え?あの量から逃げ切ったの?』

 

『まだ近くには居るはずだから完全に撒けたわけじゃないぞ』

 

『分かった。場所が分かり次第連絡頂戴って』

 

『ちなみにお前らどこにいるんだ?あのまま真っ直ぐ逃げた訳じゃあるまい?』

 

『場所は・・・第一包囲予測地点の近くに居るよ』

 

『おっ!思ったより早く合流出来そうだ。取り敢えずそこに向かう』

 

『分かった。気を付けてね』

 

~カチューシャside~

『全車、機銃で居るかどうか確認しなさい。こんな状況じゃ当たらないから主砲は使っちゃダメよ。両翼の車両は側面警戒』強襲部隊だけで衛一は仕留められる筈が、チッ面倒な事になったわね」

 

「カチューシャ様、このまま追尾を続けますか?待ち伏せを受ける可能性がありますが」

 

「勿論このまま続けるわよ。あれだけでも撃破出来れば総合火力でこっちが有利になるわ。でも黄色い煙幕なんて、こっちをおちょくってるのかしら」

 

「ですが煙幕も無限じゃありません。逃げるにしてもそろそろ仕掛けて来るはずです」

 

機銃弾の跳弾音が聞こえる。かろうじて衛一の乗るT-44を追跡できている様だ

 

(煙幕はもう持たないはず、身を隠す物が無くなったら終わりよ)

 

ほんの一瞬だけ機銃掃射が途切れた。直ぐに再開されたが、その時撃たれた弾は何も居ない煙幕を突き抜けるだけであった

 

(あら、煙幕が切れて・・・)

 

煙幕からプラウダ全車が抜けた。が、そこには追っていたT-44は居らず、無限軌道の跡も無かった

 

(逃げられた?こんな短時間で?)

「全車、まだ近くにいるはずよ。探しだしなさい」

 

「カチューシャ様、これ以上は危険です。こちらはフラッグ車を連れています。無闇に探し回ったら狙撃でフラッグ車が落とされかねません」 

 

「・・・全車、捜索打ち止め。そうね・・・東へ向かうわよ」



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第四十話

~村跡地~アンコウside

『そろそろ合流出来そうだったんだが、確認した座標がズレてたっぽくてもう少し時間かかるかも、それじゃ』

 

「みぽりん、フクロウさんの合流遅れるって」

 

「そっか・・・」

 

「波川殿の情報によればプラウダがこちらに来てる可能性もありますが」

 

「じっとしてるのは危険かな。少し移動しよう」

 

原作でも逃げ込んでいた教会に身を隠している大洗の戦車団、遠目で外から見つかる危険は薄いが見つかったら一気にやられてしまうだろう

 

「どこに行くんだ?」

 

「この村の南の方に向かいます。プラウダの予想進路からは視界が通りにくい場所なので」

 

プラウダの予想進路とそこの間は大量雪が積もっている。元々丘のような地形だったのだろうか

 

『場所が完全に分かった。と言うか隊長らが居る廃村見えてるわ。だけど距離不明でエンジン音するんだよ。近くにプラウダの戦車が居るから気を付けな』

 

「みぽりん、フクロウさん、直ぐにでも合流出来るって。やっぱりプラウダ校も近くに居るみたい」

 

「近くに居る?可能ならフクロウチームの場所を聞いて下さい」

 

「分かった『フクロウへ、こちら武部。今村のどの辺に居るの?』

 

『えっと、あ。うさぎ見つけたわ。ついでにプラウダの本隊も。こっち見てないから放置でよさげだがこっちからはM3のケツが見えてる』

 

『そんなに近かったんだ』うさぎさんを見つけたって」

 

『こちらうさぎ、敵フラッグ発見。座標は・・・』

 

『分かった』みぽりん、うさぎさんがフラッグ車見つけたって!」

 

「分かりました・・・そうだ。フクロウさん、照明弾って積んでますか?」

 

『積んでるぞ。雪降ってきたから光源確保には使えなさそうだが』

 

「それを敵の進路上で炸裂させてください。勝負を決めます。全車、作戦は・・・」

 

~プラウダside~

「やられたわ。完全に逃げられたわね」

 

「ええ、見事です」

 

衛一に逃げられた。ここで撃破出来ればかなり優位にたてたのだが

 

『さすが衛一さん達、と言った所でしょうか。これからどうしますか?』

 

と、話していると雪が降り始めた

先ほど煙幕がばら蒔かれた時ほどでは無いが視界が効きにくくなる。そして、フラッグ車を切り離し、潜伏させた所で、プラウダの戦車隊に衝撃が走る

空は暗いが頭上に太陽が出てきた。

 

「なに!?」

 

「照明弾です!狙われています!」

 

「全車警戒しなさい!この雪の中よ。向こうもろくな視界してないはずよ。ノンナ一応乗り換えて!」

 

確かにカチューシャの読みは正しい。雪は降り始めと言えど結構ひどい。照明弾があっても視界は悪いのだ。

だがこの照明弾の役割は射撃の光源確保では無かったのだ。これは目印だ

 

~大洗side視点フクロウ~

「まさか今度は俺らが強襲する羽目になるとは」 

 

と、早崎が呟いた

 

「ま、これで勝負が決まるんだ」

 

「・・・紅葉、こっちの強襲戦力は?」

 

「俺らとアヒル、うさぎ、カメだな」

 

「内二両は撃破するなら十分な火力を持つ車両だ。固定だが75mm砲を装備してる。うさぎの砲手二名は優秀なスナイパーに育った。心配なのはアヒルチームの錬度くらいか。ま、心配所の話じゃないのは桃くらいなものだが」

 

「だが不透明じゃないか?俺らが暴れてる間に敵フラッグを奇襲するたぁ」

 

「そうでも無い。華と左衛門佐は俺を除いて狙撃成績ツートップだ。相手が豆戦車や軽戦車でも無いかぎり問題ねえよ」

 

「さて、そろそろ照明弾撃つぞ」

 

波川が照明弾を打ち上げた。そして宮古がエンジンを全開にし、他三両も追従する

 

『こちら波川。第一目標は敵を引き付ける事だ。逃げ回りつつ確実に弱点に砲撃叩き込め』

 

そして四両は九両に向け突撃した。照明弾はまだ光っている。そして波川が照明弾のおかわりを撃つ

そして雪の中から浮かび上がったシルエットに衛一が射撃を開始した。この中じゃ旗が上がっているかよく見えない

 

「衛一、分かってると思うが第一目標はis-2だ」

 

「流石に視界が悪い。影は見えるんだがいかんせんシルエットが似ててな。判別つかん。だがKV-2が見当たらん。フラッグの護衛に付いてるな」

 

「ま、分かればでいいさ『こちらフクロウ。おそらくそっちKV-2に居ると思うから注意して』

 

「装填完了!」

 

「んー、居た!」

 

もう一射する。波川が顔を出すと残り三両も射撃を開始した。砲門だけなら6門あるので少しでもこちらの戦力が多いと思ってくれればいいが

 

「・・・もう彼我の距離100m切る」

 

「お、もうか『強襲部隊全車へ、そろそろ視界がどっと良くなる。注意せよ』

 

「居た!is-2」

 

衛一が砲塔を回す。だが照準がつく前にis-2が射撃した。100mの距離を載んな程の砲手がはずす筈もないが宮古の直感で砲塔上部に命中させ跳弾を誘発した

 

「・・・俺の直感を舐めるな」

 

「ナイス変態!よっしゃこっちの番じゃオラァ」

 

狙いは車体正面のなんか出入りするところ。行進間射撃だが目標は動いていない。よし、動かれてもこの距離なら外さない!

ズドーン!

 

「あ、間違えて榴弾装填してた」

 

「ウソォ!」

 

衛一の放った砲撃は命中したが、榴弾では撃破なぞ出来ず、攻撃は正面装甲に阻まれた

 

「お前後で〆てやるよまじで。波川!機銃掃射で照準妨害!」

 

「あいよ。通信と指揮はしばらくお前にまかせる」

 

そそて7,7mm機銃が小気味良い音で連射される

 

『カメさん!一番機動力があるのはお前らだ。is-2の周りうろちょろして気散らせてくれ。確実に次で仕留める』さて、命中しても墜とされなけりゃいいんだけど」

 

「なんでだ?」

 

「Is-2の砲手、多分ノンナって奴がやってんだけどそいつは砲弾を迎撃できる」

 

「この距離でもか?」

 

「それはちょっとわかんない。次はしっかり軽量徹甲弾詰めてくれよ?」

 

「わかってるよ。二度と同じヘマはしねえ」

 

『こちらのウサギチーム。一両撃破しました』

 

『こちらカメ、is-2の履帯破壊したよ~』

 

『何気にありがてー。カモさんは無事か?』

 

『アウトスレスレで無事よ』

 

「装填完了!」

 

「照準妨害は継続中!今なら撃ってもバレないぞ!」

 

「Огонь!」

 

衛一の第二射は移動を封じられたis-2を完璧に捕らえ、その装甲を無力化し、撃破した

 

「よし!第一目標撃破!」

 

「なら指揮はまた俺が取る。『全車へ、敵の最重要目標は撃破された。残りの任務は暴れるだけだ』

 

『こちらカモ。敵一両と刺し違えました!』

 

『おー、おつかれさん』

 

「装填完了!次弾装填準備も済んでるぜ」

 

「回避重視の動きかたで良いんだな?」

 

「カチューシャはどの車両だー?」

 

「分からん。金髪のちびは少なくとも顔だしてない」

 

「ッチ、仕方ねえ適当なやっ狩るか」

 

と、衛一のお遊び()の時間が始まってしまった

 

~アンコウside~

『こちら波川。第一目標は敵を引き付ける事だ。逃げ回りつつ確実に弱点に砲撃叩き込め』

 

「みぽりん、向こうで強襲が始まった!」

 

「分かりました。後は時間との勝負です。カバさん、準備はいいですか?」

 

『うむ!いつでも』

 

「分かりました。これよりフラッグ車を奇襲します」

 

『こちらフクロウ。おそらくそっちKV-2に居ると思うから注意して』

 

「みぽりん、KV-2こっちに居るみたい」

 

「やはり護衛無しとは行かないな」

 

「構いません。退けて進みます」

 

「カッコいいです。西住殿」

 

「みほさん、なんだか衛一さんっぽさが移ってますね」

 

「うん。退けて進むって言う言い回し凄く島田君っぽい。なんかこう、真正面から打ち砕くってあたり」

 

『居たぞ!KV-2!』

 

エルヴィンからの報告が飛び込んだ。みほが直ぐに望遠鏡を覗く。だがKV-2はこちらの二両に気がついておらず側面を見せていた

 

「砲撃準備!」

 

『心得た!』

 

数秒後、五十鈴及びカバの砲撃準備が整った

 

「砲撃開始!」

 

二門の75mm砲が火を吹いた。衛一の無駄に過酷な射撃訓練をツートップでクリアしている二人には低速で動いている図体の大きなKV-2など動いていないも同然だった

 

「このままフラッグ車が居るところまで一気に突っ切って、報告では家と家の相田に居る筈です。挟撃します」

 

『了解した!』

 

報告が有ったのはKV-2が居た今の地点から100mくらいの場所だ。KV-2からの撃破報告を聞いて慌てて動いてももう遅い

見つかった事にKV-2の報告まで気付けず、乗員皆で小パーティーをしていたのが仇となったのだった

 

~フクロウside~ 

「衛一、向こうの奇襲開始を確認したぞ」 

 

「後は時間との勝負だな。さっさとこっちも片付けねえと」

 

と、フクロウの前に一両静止しているt-34\76が居る

 

「なあ早崎、あれは決闘の申し込みか?」

 

「じゃねーの?」

 

「時間稼ぎしてんのに誰が乗ってやるかバーカ。どうせ桐原だろ。あれ」

 

問答無用で他に砲撃した。桐原車だというのは合ってはいたのだが、決闘を申し込んでいたわけては無い。単純に自分に短時間でも衛一の目を向けることが目的だったのだ

 

「お前さぁ、そりゃスポーツマンとしてどーなのよ」

 

「気付かなかった。俺達はなにも見ていない。イイネ?」 

 

「「「アッハイ」」」

 

衛一にそれを受けてやるほどの優しさと戦車乗りとしてのプライドは無かった訳で、失敗した

 

「っと、むこうさんも俺らが相手にする気が無いのに気付いたらしい。車体と砲塔旋回全速前進ヘッドオン!」

 

「はぁ?」「いよっしゃ!」

 

全速力で近付く。桐原車のクラーラは一瞬の隙を見逃すまいと神経を研ぎ澄ます。それに対し衛一はソーラン節を口ずさみながらスコープを覗く

 

「ハァドッコイショードッコイショー」

 

「ソーランソーラン」

 

「タイミング任せる。確実に撃破し(ズドン早えよ!」

 

「タイミング任せるって言ったじゃん」

 

衛一の砲撃はクラーラが射撃する前にt-34に到達した。本城が回避機動を取るが衛一はそれすら計算に入れて射撃していたのだ

 

「よっしゃ!撃破~。桐原もまだまだだな」

 

「お前が規格外なんだと思うぞ」

 

『フラッグ車、撃破しました!私たちの勝ちです!』

 

「おっ、勝った勝った~。さすがに疲れたわ。少し寝させてもらう」

 

「おう、おつかれさん。変態、撃破されたカモ引いて帰るぞ」

 

「了解。後何両残ってるんだ?」

 

「そういえば中盤から聞き流してたな『強襲部隊残存車、途中から無線聞いてなかったけど何両残ってるんだ?』

 

『うさぎ無事でーす』

 

『履帯片方吹き飛ばされたけどカメ無事だよー。誰か助けてー』

 

『よし、うさぎさんチーム、カメさんチームを引いてくれ。俺らでカモさん引っ張るから』

 

『分かりましたー』 

 

『プラウダ学園フラッグ車戦闘不能、よって大洗学園の勝利』

 

「お、観客席も大盛り上がりだろうな」

 

═══════ 

 

『プラウダ学園フラッグ車戦闘不能、よって大洗学園の勝利』

 

このアナウンスが鳴った瞬間、会場から大きな歓声が上がった

そして終わりの挨拶を済ませた。(寝てる衛一は来なかった)後から衛一がなぜいない、と言う苦情があったが

今は撤収の準備をしている時間だ。仮眠を取った衛一が「ちょっと出てくる」と言って消えた

 

══════

 

「こんにちは、唐沢先・・・唐沢さん」

 

「別に唐沢先輩で良いんだよ?こーはい君」

 

「いえいえ、何か嫌なんで」

 

「君何気に酷いね。わざわざ例の電話の犯人特定して連れてきたのに」

 

「連れてきた?」

 

「うん。送られてきた電話番号見た瞬間自分の電話帳漁った」

 

「因みに、今居るんですよね?」

 

「ああ、居るよ。おーい、来てくれー!」

 

出てきたのは20代くらいの男性だった

 

「やぁ、久し振りだね。妙・・・島田衛一君」

 

「初めまして、Δさん。みょう、と言ったのは俺の本名を知っているので?」

 

「地獄耳だね。まあそんなところさ」

 

「ええ、自分の事Δって呼ばせてるの?」

 

「うん、本名伝えても良かったけどカッコいいじゃないか」

 

「うん、良く分かんない。衛一君、彼は優秀な探偵兼記者でね」

 

「因みに君に一度接触しようとしたのを拒まれている。砲手として取材しようとしたら生徒会に阻止されたよ」

 

「つまりナオミネキ経由で取材申し込んできたのもあなただったわけか」

 

「そうだよ。まあ取材は建前だけどね。後スイカありがとう。美味しく頂いたよ」

 

「お粗末様でした」

 

「後島田千代や西住しほとも面識があってね。彼女らに助けて貰った事もあったんだ」

 

「母さん達と?」

 

「今は探偵をしているが彼は昔戦車道に関わっていてね。彼が助けられたのはその時じゃないかな?」

 

「いや、全然違うよ?私は助けられた状況は衛一君に近いかな?」

 

「なるほど、虐待されてた訳か」

 

「うん、親に殴られてたと思ったらいきなり壁ぶっ壊れたんだもん。そこかな、私の人生の分岐点は」

 

「あー、その穴開けたのが母さん達だった訳ね。でもわざわざなんで俺に会いに来たのさ」 

 

「僕は君の本名や血の繋がった家族を知っている」

 

「ふーん。それを教えてくれるってのかい?正直教えて貰ったからと言って特になにもする気ないぞ?」

 

「いや、教える訳ではない。私が一番聞きたいのは君の持つ石についてだ」

 

「石?そいやそんなこと言ってたな。何かあんの?」

 

「いや、別に何か特別な力は無いよ、ただ地球上には存在しない物質と言うだけだ」

 

「まって、それ初耳なんだけど?」

 

「つまり宇宙から来た石ってこと?」

 

「そう。正確には宇宙から降ってきた石を僕が知り合いに加工して貰った物だよ」

 

「ふーん、じゃあ返せばいいか?」

 

「いや、別にいいよ。あれ調べ終わってるし。でもあれをどこで手に入れたんだい?日本じゃ盗品を販売するのは違法のはず、それに未知の宝石なんて販売するかね」

 

「実家の庭で愛理寿が拾ってきたのをくれた」

 

「島田家の庭・・・そんなところにあったのか」

 

「ほんとに返さなくていいのか?」

 

「うん。僕には必要ない物さ。まあ、その石を君が持ってるって多くの人に知れたら面倒かもしれないけど」

 

「やっぱり何かあるんじゃないか」

 

「考えても見なよ。それ一応地球上に存在しない物質なんだよ?僕が調べたと言っても素人が調べられるレベルだし。科学的に解析すれば何かあるかもしれない」

 

「因みに君に無断で少し前にプラウダの設備を使って調べたこともある。まあ、特になにも無かったけど。でも戦車にコーティングされてる特殊カーボンに似てたんだよね」

 

「あ、僕はそろそろお暇するよ。これ以上ここにいたら面倒な事になりそうなのでね」

 

と言い残し、Δと名乗る男は雪の中に姿を消したのだった



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第四十一話

~観客席~

Δと名乗った男と唐沢先輩が消えたあとすぐにしほさんがきた

 

「何の御用でしょうか」

 

「みほの件です」

 

「黙ってたことなら反省しないよ?」

 

「いえ、その事ではありません。もう過ぎた事なので」

 

「じゃあなにさ?次の試合負けたらみほと絶縁するとでも言うのかい?」

 

「その通りです。次の試合でみほが負けたら勘当を言い渡します」

 

「ほーん。で?」

 

「で?って、何か無いのですか」

 

「そんなこったろうと思ってたからね。こう言う事はしほさんスゲエ単純なんだもの。で?何でそれ俺に言うの?みほには言い渡さんのかい?」

 

「いえ、余計なストレスになってはいけないかな、と」

 

「変なところで気を・・・いや、しほさんらしいっちゃらしいのか」

 

「・・・では私は帰ります」

 

「えぇ、本当にみほ勘当の事いいに来ただけなんかい」

 

~少し先、大洗学園艦。生徒会室~

「こんな感じの編成が予想されるんだな?」

 

みほが出したのは黒森峰の車両で機動力のある編成だった

 

「ふーん、でも姉御も立場あるからな。確実に倒しにくると思うしもっと装甲と攻撃力ある編成じゃなねえの。それに鼠も出てくる可能あるぞ」

 

それに勘当の件もある。恐らく姉貴も知っているだろう。だからと言って手を抜いてくる人ではない

 

「鼠・・・ですか、確かに想定するべきですね。でも私がここに来た時点でアレはまだ稼働状態に無かったですよ?」

 

「唐沢さん経由の情報だ。鼠は元気かどうか知らんが走り回ってるらしい」

 

「あのぉ、さっきから衛一殿が言ってる黒森峰の鼠ってまさかとは思いますが」

 

「そのまさかだよ。うちの現有火力で撃破できるか怪しいわ」

 

「カバさんやアンコウはともかくフクロウの火力なら撃破可能なのでは?」

 

「怪しー所だな。撃破出来なくとも砲身に破砕榴弾ぶちこんで射撃不能に持っていくことはできる。ただ砲身をピンポイントで狙える距離となるとなぁ50mで行けるかどうか」

 

超至近距離からの射撃になるだろう。姉御がそんな近距離まで近付けさせてくれるとは思いにくい、腕の良い直衛くらい付けてるだろう()

 

「勝負を付けるなら短期決戦での正面からぶつかり合いがいいだろう。こそこそフラッグ車を隠す人でもあるめえ」

 

そうして対黒森峰の作戦会議は続いていく。練習も対パンター等を意識した物になった。そしてこの会議が終わる頃、衛一の携帯に電話が掛かってきた

 

「あれ?しほさんから?」

 

「ビクゥお、お母さんから?」

 

「ああ、聖グロとの試合終わった頃だろ?次覚悟しとけみたいな内容か?」はいもしもし?』

 

『私です。そこにみほは居ますか?』

 

『ん?隣に居るけど?』

 

随時動揺している声色だ。何かあったのだろう

 

『一緒に聞いてください』

 

衛一はスピーカーにし、会議中の全員に聞こえるようにした

 

『やられました』

 

「は?いったい何が何に?」

 

『黒森峰が、聖グロリアーナに負けたんです』

 

「はぁ!?どういうことだよ!」

 

「え?嘘でしょ?」

 

全員が大きく動揺した。衛一もみほもここで聖グロが勝つとは想定していなかったのだ。たしかにダージリンはやり手だが車両の性能差が激しすぎる

 

『聖グロリアーナを裏から強化していた奴が居ます』

 

「裏から強化?・・・・・・・・・・・・まさか」

 

『そのまさかでしょう』

 

「なにやってんだ!あの馬鹿親ァ!」

 

普段の衛一は絶対に吐かないであろう千代への暴言、顔には青筋も浮かんでいる

 

『あら衛一、馬鹿親とは酷いじゃない』  

 

『千代。携帯を取らないで下さい!』

 

「丁度良い、どういう事だお母様よお?」

 

めっちゃ顔がピクピクしている

 

『あら?私なりに面白いと思った事をやっただけよぉ』

 

「そうかい、こっちは頭が痛てえよぉ。しかし何をやった?お母様の力だけであそこの凝り固まった頭はカチ割れねえと思うが?」

 

「西住殿?まずいです。黒森峰を倒せたと言うなら作戦面だけじゃなく、車両も変えているかと」

 

「うん。何を持っているか情報集めないと」

 

『あら、それなら今までの努力賞ついでに教えてあげるわよ。一方的な勝負もつまらないもの』

 

「桃ちゃん、メモの準備を」

 

「分かった。あと桃ちゃん言うな!」

 

そして、車両のメモを取る

 

『じゃあ私は帰るわぁ、じゃあね~』

 

『・・・私にも出来ることがあったら教えてください。では』

 

そう言って電話を切った

 

「はぁ~、まじか~」

 

今まで考えてきた作戦が全ておじゃん。しかも聖グロの車両が一新されていた

ブラックプリンス歩兵戦車

バレンタイン歩兵戦車

クロムウェル巡航戦車

と言う構成らしい。強い(確信)前までは火力貧弱(個人的見解)だったけどマジすか

母さん容赦ねえなぁまじで・・・しかし母さんの力だけで主力を一新出来る程予算があったのか?

裏がありそうだ。情けない後輩で申し訳無いけどまた唐沢さん頼ろう

 

「・・・これ黒森峰相手に立てた作戦、細かいところ直したらそのまま使えるかも?」

 

「どうしたんですか?西住殿」

 

「山の上から撃ち下ろす戦法はちゃんと使えそうです」

 

こうして時間が過ぎていく。後はやれることをやるだけだ

 



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第四十二話

 

~大洗学園~

 

対聖グロリアーナ戦を見据えた訓練を始めた。幸いと言うべきなのか、黒森峰程総合火力は高くないだろう

しかし大洗にとっては十分な火力である

 

「しかしなー、完全に重戦車相手の対策プラン作ってたからな、どうすっぺ?」

 

ここにいるのはみほ、衛一と秋山、エルヴィンと各車の車長だ

 

「衛一、やはり一番の脅威はブラックプリンスとクロムウェルではないか?」

 

と、エルヴィン

 

「んだなー6ポンド高速野郎と17ポンド重装甲野郎だっけ?誰かこいつらの弱点、思い付くか?」

 

「私は戦ったことないです。二両とも」

 

「みほでも戦ったことないかー。秋山、スペックと練度加味してブラックプリンスとタイマンしたら勝てる車両は?」

 

「えーと、我々アンコウと、カバさん、フクロウ、新しく加わったポルシェティーガーでしょうね」

 

ここに来てポルシェティーガーを繰る自動車部ことレオポンチーム、三式中戦車を繰るアリクイチームが加わった

 

「しかし秋山、レオポンは厳しくないか?」

 

波川の指摘、確かにそうだ。主砲火力だけ見れば十分可能ではあるが練度はそこまでだ

 

「ああ、俺が鍛えられるのは砲手だけなんでな。だがアリクイ含めて砲手の腕は格段に上がったぞ。既に腕前だけなら川嶋抜いてる。その川嶋も最初からは考えられないくらいに成長したよ」

 

しみじみとした雰囲気を出しながら半泣きだ

 

「ボク達も努力は続けます」

 

ねこにゃーが小さくなってる

 

「責めてるわけじゃない。この期間でよくやってるよ。みほ、レオポン含めた総合練度はどうだ?」

 

「そうですね・・・」

 

と、みほが総評すると?

 

レオポン        アリクイ

砲手 上々       砲手 悪くない

操縦手 最高      操縦手 うーん?

 

と言う感じだった。指揮に関しては他の車長が代わり代わり教えていたので混乱しなければ問題ないだろうくらいには成長した

 

それに廃校の情報を流し、他の部活から義援金を貰いⅣ号、38t、t-44を強化したのだ。Ⅳ号、t-44にはシュルツェン(追加装甲)を追加し、38tはほぼ新造クラスの魔改造を受けヘッツァー駆逐戦車となった

 

「うん・・・これなら対黒森峰用作戦の一部分を流用します」

 

「何処を抜粋する?個人的に山の上の陣中構築は十分使えると思うが」

 

「そこも使います。ですが修正の必要がありますね」

 

「気合いでなんとかしましょう!」

 

「あの・・・」

 

「澤ちゃん?どうしたんだい?」 

 

「波川さん、頼みがあります!」

 

「ほう?話を聞こう」

 

「市街地戦の時に・・・」

 

「ふっふっふっ、面白いじゃないやってやろうじゃないの。しかし俺の一人の力だけじゃ処理しきれない。各車の通信手に手伝って貰うぞ」

 

「西住殿、これをものに出来れば絶大な力を発揮できますよ!」

 

「うん、でもこれできるかな?」

 

「出来る」

 

波川が言いきった。その背中には衛一が『インキュバス』と書いた紙が張られていた。全員気付いていたが誰も教えていなかったのだった

そして練習していくことになる。そして衛一はとある場所に電話をかけた

 

『もしもし、姉御?』

 

『どうした衛一』

 

『ちょっとばかし手伝って欲しいことがあってさ?』



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第四十三話

島田千代の手によって強化された聖グロリアーナに敗退した黒森峰
その報を聞き動揺する大洗、しかし澤のとある提案により大洗は強化した聖グロリアーナに絶大なダメージを与えられるであろう作戦を編みだす



~大洗市街地~

 

「助かるよ。姉御」

 

「ありがとう、お姉ちゃん」

 

「何、気にすることはない」

 

今大洗には見慣れない黒森峰のマークが書かれた戦車がいた。来ている車輌はⅠ虎、Ⅱ虎、パンターD型×2の合計四両である。それぞれまほ、エリカと小梅など縁のある人が来ていた。そしてエリカが口を開く

 

「まず一つ言わせてもらうわ。今年の聖グロリアーナの強さ今までの比じゃない。一回、二回り。いえ、それじゃ言い表せないほど強くなってるわ」

 

「エリカの言う通りだ。勝つのは一筋縄では行かない」

 

「その為に来てくれと頼んだからね」

 

「しかし衛一、何をするんだ?」 

 

「最初は学園艦の市街地を移動して逃げる大洗の車両を見つけてほしい。それでいつ、どこで、どの車両を見付けたかを記録、そして追いかけていつ見失ったかの記録をしてほしいの。射撃は禁止、戦闘じゃないからね。交通ルールは守るでお願い」

 

ようは簡単なかくれんぼだ

 

「わかった。しかしなぜだ?」

 

「終わったら説明するよ」

 

そして衛一は無線機で通信を入れる

 

「よし隊長、こっちは全員準備オーケーだ」

 

「分かった。お姉ちゃん」

 

「分かった。エリカ、皆に伝えてくれ」

 

そして一部を除き戦車に乗り込んだ。

 

──────

~西住まほside~

しかし戦闘でもなくただのかくれんぼとは、一体何をするために衛一は私達を呼んだんだ?

 

「各車散開して大洗の車輌を捜索、頼み通り捜索、記録を行ってくれ」

 

『あーあー、黒森峰の皆さん聞こえてる?』

 

『ああ、聞こえてる』

 

『聞こえてるわよ』 

 

『聞こえてます』

 

『悪いね。来てもらって早速の頼みがこんなので』

 

『いや、それは構わないが』

 

『そう?んじゃしっかり頼んだぜ、姉御』

 

『分かっている』

 

衛一の無線の後ろにはエンジン音が聞こえなかった。あいつはどこに居るんだ?無線越しではかるが強い風の音がした。別に風は強くないのだが

 

 

──────

 

 

捜索、もといかくれんぼが始まって三十分が経とうとしていた。しかしそれにしては妙だ、発見の報告がM3Leeの一件しか来ていない。それもすぐに撒かれてしまった

なぜだ?今までも敵が巧妙に隠れていることはあった。今はマップも狭く一般車も走っている状況でここまで見つけられないものだろうか?なぜこんなにも見つけられない?

 

『隊長、奴ら本当に居るんですか?』  

 

ここまで見つからないのでさすがのエリカも虫の居所が悪いだろうか

 

『さすがの衛一でもこんな悪戯はしないだろう』

 

『姉御ー、そろそろ終了時間だよ。これからの時間交通量が増えるから港に戻ってきて』

 

『分かった。各車港へ帰還してくれ』

 

これだけ見つけられないなら絶対にカラクリがあるな。聞いたら教えてくれるだろうか?

 

~聞いてみた~

「衛一、見つけられないカラクリがあるだろ?」

 

「あるよ」

 

「はぁ?なによそれ?」

 

黒森峰の隊長、副隊長から質問責めにされる衛一

 

「でもぉ教えなぁい」

 

「何でよ!」

 

「出来るだけ秘匿したいんだよ。聖グロリアーナ相手ならどこから情報漏れるか分かったもんじゃない」

 

わざわざ作戦会議をする部屋に盗聴機を仕掛けられていないか確認していた



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四十四話

~鉄道輸送中~深夜

 

早く、貨物列車に戦車を乗せ輸送されている大洗一行、共に連結されている寝台車で生徒の大半は眠りについていた

 

「ふぅ、旨い」

 

「あ、衛一さん、起きてたんですね」

 

「みほか。寝てなくて大丈夫なのか?お前眠気には弱かったろ」

 

「なんか起きて、眠れなくなっちゃって。そういう衛一さんは?」

 

「俺も眠くなくてな。取り敢えず西瓜一玉食べて小腹満たそうかとね」

 

衛一の目の前には切り分けられた一玉分の西瓜が並んでいる

 

「一玉で小腹って・・・私も一切れ貰ってもいいですか?」

 

「いいぞ。キンキンに冷えてるから腹下さんようにな」

 

「隣失礼します」

 

「・・・」

「・・・」

 

西瓜を食すシャキシャキという音だけがこの二人しか居ない車両に響く

 

「衛一さんは何のために戦ってきたんですか?」

 

「最初と変わらんよ。お前の目的のお手伝いだ。それ以上でもそれ以下でもない。別に大洗が廃校になろうが知ったこっちゃないからな」

 

「え?」

 

「そうだぞ?俺は弓が引ければどうでもいい。それに廃校の話が外部に漏れたであろう時期からなーんか他校から勧誘が来てるし弓を引く場所には困らないから」

 

「あはは(失笑)」

 

「さてと、俺もそろそろ寝ますかね」

 

みほが見ると半玉以上残っていたであろう西瓜が全て消えていた。話し始めてからそう時間は経っていないはずだが

 

「あの、」

 

「あ、そうだそうだ・・・いや、今はいいか」

 

勘当の事を言いかけたが、やめておいた

 

「どした?」

 

「衛一さんは勝てるとおもいますか?」

 

「さあな、俺らの奇策を・・・えーと、誰だっけ?名前が・・・あの紅茶女をいかに出し抜くかだな」

 

「ダージリンさんです」

 

「そう格言女、そいつそいつ。あいつはやり手だな。タイマンなら勝てると思うが、チーム戦だと・・・な」

  

と言い残して、衛一は眠りにつく。大洗の命運は全て明日の試合にかかっているのだ

 

(せっかく策を用意したんだ。引っ掛かってくれよ、イギリスかぶれ)

 

 

~富士山麓~

 

戦車の最終点検地のガレージで各々が作業をしている

 

「ヘーーイ、みほ!」

 

「あ!この声は!」

 

「来たわよ♪」

 

ジープに乗ったサンダースのアリサ、ナオミ、そしてケイだった

 

「衛一、私をやっつけたあなた方なら、勝てるわ。自信を持ちな」

 

「ふっ、自信なんてアンタらに勝ったときから持ってるよ」

 

「ほう、言ってくれるじゃない。また今度タイマン張ろうじゃないか」

 

「いつでも受けてたちますよ」ニヤァ

 

みほはみほでケイからの激励を受けている。そして、観戦のために行ってしまった

 

そして次に、アンツィオと、島田家のお手伝いさんが来た。

 

「衛一君、寝ていた子達が居たので起こしてきました」

 

「あ、ああ?」

 

若干困惑気味の衛一

 

「大洗の諸君」

 

「あ、アンツィオの皆さん」

 

「とにかく頑張れ!演説は思い付かなかったが、軽食を用意してみた。試合前に食べてくれ。『腹が減っては戦は出来ぬ』と言うしな!」

 

「ありがとうございます!」

 

「お手伝いさん来て母さんとか来てないの?」

 

「来る・・・とは言っていたのですが」

 

「・・・このタイミングで行方不明とか絶対なんかしてるだろ」

 

「まあ、怪しい事はしてないと想いますよ」

 

「裏で動いて突然聖グロの車両ほぼ全部更新したの母さんの力じゃないか」

 

「ではこの辺で」

 

「んじゃまた」

 

そうしてアンツィオの面々とお手伝いさんは行ってしまった

 

 

「衛一!」

 

「ん?」

 

振り替えると誰もいない 

 

「島田衛一!」

 

やはり誰もいない。この声とこの状況、なんか身に覚えが

 

「ふざけているのですか?」

 

「衛一さん、下です」

 

「あ、チビ助」

 

「誰がチビ助よ!ノンナ!」

 

「はい」

 

ノンナがカチューシャを肩車するいつもの奴だ

 

「んで何しに来たの?冷やかしならお断りだよ」

 

「違うわ。まあ、あなた達は私達を倒したのよ。あんな奴等に負けんじゃないわよ!」

 

「はい!」

 

と、行ってしまった。えらく短かったな

 

「カチューシャ様、あれで良かったのですか」

 

「良いのよ。下手に激励するよりは」

 

 

═─═─═

 

「みほ、全車両の点検終了、後は砲弾積むだけだ」

 

決して長い時間とは言えないがやれる事はやり尽くした。後はそれが上手く行くか、そして、勝利の女神がどちらに微笑むかだろう

 

「さあみほ、準備はいいな?」

 

準備中にサンダース、アンツィオ、プラウダからの激励を受けた。心意気も十分だ

 

「はい!」

 

 

 

 



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