オフェリアさん、君が口を割らないから悪いんだよ (レモンの人)
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オフェリアさん、君が口を割らないからいけないんだよ

キャラ崩壊&淫夢ネタ&ネタバレ注意




「無駄よ。私はキリシュタリア様に忠誠を誓っている。何をしようが口を割るつもりは無いわ」

 

独房に閉じ込めたオフェリアがキッとこちらを睨んできた。念の為にとこちらで用意した対魔眼用の眼帯をしっかり固定させた事・室温を低めに設定して鼻声にさせた事で実力行使はされないようにしておいた。

 

「ククク……今に口を割るようになるさ。いつまで保つか楽しみだねぇ」

 

俺はわざとらしく下劣な笑みを浮かべて、メイヴさんからレンタルした鞭でヒュッと音を立てた。さて、どうやって尋問しようか……

 

 

 

 

 

①楽しい映画鑑賞

 

「ところで、アメリカンコミックを見た事は?」

「……言うわけないでしょ」

「まぁいい。今日は映画を上映する予定なんだ。24時間耐久リレーだ」

「?」

「今からこっちで色々流すからまぁ気楽に観てくれ。水とポップコーンは常備しとくから追加で欲しくなったら言えよ」

 

それだけ言うとスクリーンを下ろして俺は出て行った。ククク……

 

 

 

 

 

 

「先輩、一体何を上映するんですか?」

「『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』、『恐怖!キノコ人間』、『アタック・ザ・キラートマト』、『ジュラシック・シャーク』、『ロスト・ジョーズ』、『死霊の盆踊り』、『エイリアンVSアバター』……etc」

「ヒェッ」

 

独房は常に録画されておりリアルタイムでも見る事が出来る。因みにオフェリアは既に目が死んでいた。幸い、この手のクソ映画は得意中の得意だ。

 

 

12時間後……

 

 

「やぁやぁ、今日は奮発してラーメンを作ったよ。北欧で色々貰えたからね、加工して作ったお手製だ。麺がまずかったら残してもいいよ」

 

ラーメンをコトリと置いたが、オフェリアは白眼を剥いて放心状態だった。まぁ、よほどメンタルが鍛えられなければキノコ人間の時点で心が折れる。

 

「どうだ?まだまだ頑張るか?」

 

オフェリアの目からツーっと涙が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

②一緒にごはんを食べよう!

 

 

「さて、まずは食事を摂るとしよう。このレンゲは掬うのは出来るが少しでも無理に力を加えると砕けてしまう粗悪品だが許してくれ」

「?」

 

指を鳴らすと、マシュが首を傾げながら俺の作った料理を運んできてくれた。そう、俺の大好物……!

 

 

「……泰山名物麻婆豆腐だ」

「麻婆豆腐?中国の料理ね…食べさせてくれるの?」

「あぁ、手ずから食べさせたいのは山々だが、ささ…食べるといい」

 

マシュの分も用意して取り敢えず食事を摂る事に──したのだが、

 

 

 

 

「ごはぁっ!?!?」

 

 

オフェリアが豪快に噎せた。

 

「ハハハハハ!どうだ?美味いだろう!どんどん食えよ!」

「これ毒入ってる!!!藤丸!これ毒入ってる!」

 

口の周りを真っ赤にし、半泣きで怒鳴るオフェリアを笑顔でスルーして俺は笑顔で頬張った。舌が痺れる程の山椒とこれでもかと注ぎ込んだ辣油が『告密羅職経』の如く拷問にかける…だが、その奥底にある確かな旨味がたまらない!

 

「はふっ!はふっ!うめぇ…この一口のために生きてきた……!」

「先輩、私も一口いいですか?」

「いいぜ、はいあーん……」

 

オフェリアは焦った。このままではマシュの口内が辛さと痺れという名の『王の軍勢』に犯されてしまう事は明白だ。だが、庇えばあの地獄のような時間がやってくる……それ故に

 

 

「待って!私にちょうだい!あーん!」

「おぅおぅ、そんなにがっつかなくても何杯でも食わせてやるよ。はい、あーん」

 

だが、それこそが狙いだった。オフェリアの口内を襲うは地獄すら生温い辛さと痺れの『竜鳴雷声』!

 

「ごほっごほっ!?んぉぉぉ〜……ぬぐぅぇ……」

 

明らかに女の子が出してはいけない苦悶の声でもがくオフェリアの口にどんどん麻婆豆腐を流し込む。

 

「はいどーんどん♪はいじゃーんじゃん♪」

「qtうぃrんsgxbうぃdmwpjdhしlq!?!?」

 

それでも気になるマシュのためにと健気に麻婆豆腐を噛んで呑む姿には感動すら覚える。だが……

 

「ははは、そんなに気に入ってくれたか!じゃあ毎日麻婆豆腐を食べよう!今日から君は麻婆豆腐ソムリエだ!」

 

辛さと痺れが限界に達し脳が完全に逝ってしまったオフェリアは、虚ろな目で最後の一口を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

③レクリエーションで仲良くなろう!

 

「さて、ここにグツグツ煮えたアツアツのおでんがある。マシュ、鍋を触ってみ」

「は、はい……ってゔぁあああああああああ!アッツイ手がぁああああああ!!!」

 

ゴロゴロ転がりながらフェードアウトするマシュをスルーして、俺はおでんを少し混ぜる。うん、いい出汁が出ているな!

 

「あ、あの……まさかとは思うけど…」

 

オフェリアが何かを察し始めたタイミングでメンバーが一斉に集まり始めた。

 

「さてと…これからレクリエーションゲームをやろうと思うんだけどさ。見てみて〜このアツアツのおでん!こりゃあ試食しなきゃダメでしょ?」

「ヒッ!い、イヤよ!なんでこんなアツアツのおでんを食べなきゃなんないのよ!」

 

ちょっとおたまを勢いよく鍋に突っ込むと汁しぶきが飛んでオフェリアの顔にかかり、熱さでビクッと体を震わせた。流石にビビったらしい…彼女は激しく身を捩って逃げようとしていた。

さて、ここからが本番だ!

 

「あーぁ、せっかくの晴れの舞台を用意したってのに主役がやらないなんてサイテーだな。じゃあ俺が主役やるよ」

 

俺が手を挙げると……

 

「何ぃ!?主役はここの所長である私だろう!」

「いやいや、ここは諸君に代わり私が」

「い〜や、ここは天才たるダ・ヴィンチちゃんの出番だね」

「いや、俺でしょ!」

「僕だろう!?」

 

ゴルドルフ新所長が続く。それにつられるように他の人が次々と挙げていく。え!?え!?と焦るオフェリアだったが、マシュが戻ってきたタイミングで冷や汗が流れた。このままではマシュがアツアツのおでんを食べる羽目になる!

 

 

「あ…あの……私が…」

「「どうぞどうぞ」」

 

 

手を挙げた瞬間、オフェリアは嵌められた事を悟った。即座にマシュが彼女を羽交い締めにし、俺は満面の笑みでおでんの具をチョイスした。

 

「ほら見とけよ見とけよ。まずは美味しい汁を吸った大根だァ……」

「やめっ!ちょっ…!捕虜への拷問は禁止されて──」

「残念ながらテロリストに法律は当てはまらんなぁ!ハハハハハ」

「ほら、アツアツだよ。はい、あーん」

「やめっやめて!」

 

湯気を立てる大根とオフェリアの唇が当たる数ミリ…そのタイミングで軌道を頬に移した。当然

 

「アツゥイ!!!」

 

……熱い

 

 

******************

 

 

「ってな事をやりたかったんだけどなぁ……」

 

モニターに映る2人の様子を見て俺は溜め息を吐いた。なーんか嵐のように過ぎ去った北欧異聞帯だが……疲れたもんだ。

 

「あーあ…ゲルダちゃんにも食べさせたかったなぁ…………麻婆豆腐」

 

聞く者が居たら総スカンされ兼ねない呟きは、誰にも聞こえる事無く宙に消えたのだった……。




シグルドのCV.は郷田ほずみさんの方が合うと思います(断言)
シグルド出た日には有りっ丈のお金を注ぎ込んで宝具2まで上げました。ワルキューレも当たりましたし、ガレスちゃんが来るまで貯金します


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おま○け

≫熱湯風呂が入ってないやん!
熱湯風呂があると思ったからこの小説開いたの!
わかる? この罪の重さ。

リクエストにお応えしておま○け



④お風呂に入ろう

 

「い、言われた通りに着替えたわよ!」

「クックック、優等生な委員長キャラにスク水を着せる背徳感…たまんないぜ」

 

名前を書く欄にフルネームをひらがなで書き込んだスクール水着を着せられたオフェリアは顔を真っ赤にして更衣室から出てきた。脱出経路になりそうなダクトには清姫が進んで待機(オフェリアは嘘吐きだかららしい)しているので何の心配も無かった。いや、逃走経路にラミアみたいな怪物が潜んでたら卒倒案件だろ。

 

「さて、あれを見て欲しい」

「?」

「あれは日本の五右衛門風呂という物でな、直接かまどの上に鉄釜を据えて、下から火をたいて直接に沸かす風呂なんだ。入浴のときは、浮いている底板を踏み沈めて入るんだ」

「へぇ……気がきくじゃない」

 

そういって踏み台を登って風呂の中を覗き込み……ある事に気付いた。

 

「ちょっと待って!底板が無い!底板が無いわよ!?」

「あぁ、鉄釜で予算が切れた」

「馬鹿じゃないの!?こんなの入れないわよ!?」

 

と、いいタイミングで水着姿になったメンバーが一斉に出てきた。

 

「あーあ、一番風呂が最高なのにな。仕方ないから俺が先に入るよ」

「何ぃ〜!一番風呂は私が先に入ると決まっているだろう!」

「いや、私もバリツを極めし者。イチバンブロとやらに興味がある」

「いーや、一番風呂の爽快感を味わって1日の仕事に精を出したいから私が!」

「え!?え!?」

 

「先輩…あの……」

 

このタイミングで水着姿のマシュがやって来た。オフェリアは焦った。このままではぐつぐつ煮えたぎった釜の中でマシュが茹でナスビにされてしまう!それだけは阻止したかった。

 

「あの!私が……」

「「どうぞどうぞ」」

 

嵌められたと悟ったが、オフェリアには秘策があった。そう、魔眼を自分に使い“風呂に入る可能性を先延ばしにすればいい”。

 

「よし、“私は、それが輝くさまを視ない”」(小声)

 

これでいいと踏み台に登りながら内心ほくそ笑んだ……が、急に背後に別の気配を感じ、恐る恐る振り返ると……

 

 

「何を呟いたんですか?センパイ♡」

 

 

悪魔のような笑みを浮かべた紫色の髪の少女が立っていた。

 

「え?いや、あの……」

「あれあれ〜ズルはいけませんよ〜?『黄金の杯』発動です♪」

 

黄金の杯:敵単体の無敵状態解除&確率でスタン付与(1T)

 

「え?嘘!?魔眼が無効になってる!?」

 

つまり、今のオフェリアは丸裸……顔面蒼白になり、BBの悪魔的な笑みに震えていた。降りようとするがBBが行く手を塞ぎ、満面の笑みを浮かべる。そう、分かりやすく言うと「詰み」。

 

「イヤ……ちょっと!タンマ!一旦降りるから押さないでね!絶対押さないでね!」

「えいっ♪」

 

刹那、オフェリアの目の前には走馬灯が浮かんでいた。いや、思い出したくもないが浮かんでしまった。苦悩の日々、自分を取り合って戦う男(?)達の姿、マシュとの思い出(事実改竄)……それらをもう一度思い返す間もなく、オフェリアは尻から浴槽に突っ込んだ。

 

「アツゥイ!?熱っ!熱っ!」

「ほら!オフェリア!こっちに冷たい氷があるぞ!冷たいビールもセットだ!カマン!」

「もういやぁあああああああああああああ!!!」

 

どこを触ってもめっちゃ熱い鉄釜の中から何とか這い出した彼女は氷の中に頭からダイブした。

 

「ゴール!」

 

 

 




やっつけ気味ですが以上です。
自分の書くオフェリアさんが上島竜兵になっていくのが辛い。いや、シリアスな本編のオフェリアさんが思い出せないだけか……(絶望)


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おま○け2

≫あとゴムパッチンとかどうすか?(純粋)

≫まずはサメ映画。次にサメ映画。締めのサメ映画。やっぱりサメ映画がないとなー。(チラッチラッ)

≫おでん、熱湯ときたら次はザリガニorクワガタだな!


一部リクエストにお応えしておま○け2


⑤吉○新○劇

 

「て事で、オフェリア。ゴムを咥えろ」

「……は?」

 

大きめのゴムを手に俺は満面の笑みで告げた。オフェリアはキョトンとした顔で返したが……すぐに悪意あるネタである事に気付いた。

 

「ふざけんな伝統芸だぞ?片方がゴム咥えて片方が引っ張って手ェ離す奴」

「私お笑い芸人じゃないんだけど!?やらないわよ!」

「はぁ〜…これだから若いもんは」

「藤丸は私より年下( *)でしょ!?」

 

※お酒が飲める年頃らしい

 

と、そのタイミングでカルデアのメンバーが集結した。ギョッとするオフェリアだったが、こういう時の打開策を知っていた。

 

「はぁ〜…分かったわよ。じゃあ今回の異聞帯の主役だった私が──」

「「どうぞどうぞ」」

「なんでよ!?」

 

渾身の奇策、裏目に出る……

 

 

 

「というわけで、やり方は分かったね?ゲルダちゃん」

「うん♪この細長い紐をいっぱい引っ張って手を離せばいいのよね?」

「…………いやいやいや!?なんで異聞帯の子供が生きてるのよ!?」

「はぁ〜…空気読めよ〜……って事でゲルダちゃん。よろしくね?」

「うん」

 

オフェリアは考えた。引っ張っている途中で手を離せばノーダメージで済むのではないかと。だが、そうすればどうなるか?ほわんほわんおふぇりあ〜……

 

 

 

『うぇーん……痛いよぉ〜……』ガチ泣き

『はぁー……そんな事する女だとは思わなかったぜ。分かる?この罪の重さ』呆れ

『オフェリアさん……最低です』ドン引き

 

 

 

「(無理!その選択肢だけは絶対ありえない!)」

 

マシュに嫌われるルートだけは絶対にあり得ない!

 

「ん〜!ん〜!(でも怖い!怖い!!!)」

「のーびのーび♪」

 

ギリギリと引き絞られるゴム、噛み締める歯が引っ張られる感触、視覚情報にはっきりと伝わる恐怖、それらがオフェリアから色々大事なものを奪っていった。

 

「じゃあ、せーので行こう!」

「うん♪分かったわ!せー……へっ…」

「っ(えっ)?」

 

だが、せーのというタイミングでゲルダの手が止まり、刹那。

 

 

「へっくち!あっ……」

 

 

部屋の冷房が効きすぎた事が災いしくしゃみ。くしゃみの瞬間に手に持っていたゴムが抜け出し……

 

 

 

 

「ヴァア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!イイッ↑タイ↓メガァァァ↑!!!」

「おい…パクリはダメだろパクリは」

「先輩……それを言ってしまうと…」

 

 

解き放たれたゴムが顔面に直撃した。

 

************************

 

⑥アサ○ラム

 

 

「って事で今日はサメ映画連続視聴すっぞ」

「サメ映画?あ……ジョ○ズみたいな映画なの?ジ○ーズは観たことあるわ」

 

意外にも俗な物を観ていたようなのでそんな純朴少女(?)を調教していこうと思います(ゲス顔)

 

 

1作目「ビーチシャーク」

「ちょっと待って、これ私の知ってるサメ映画じゃない!」

「は?サメ映画はサメ映画だろ」

 

 

2作目「シャーケンシュタイン」

「……いやいやいや!名作と融合させないでよ!?サメが陳腐過ぎるし!」

「いつものサメだろ」

「いつものサメとは!?」

 

 

3作目「ジュラシック・シャーク」

「…………は?……は!?もう終わり!?サメはどこ行ったのサメは!?」

「サメは概念」

「うんざりよ……なんで永遠と駄弁りに毛が生えたような演技を見せられてるの……?」

「サメ映画の常識だろ?」

 

 

4作目「ロスト・ジョーズ」

「ちょっと待って!?ジュラシック・シャークのシーン使いまわしてない!?」

「よく気づいたな。続編だ」

「続編!?あれ続編あったの!?……なんで私、こんなのに無駄な時間使ってるんだろ…」

 

 

5作目「デビルシャーク」

「シャークソシストって何!?聖堂教会にそんな人居たっけ!?」

「まじめに観るなって、ポテチ食う?」

「……いただくわ」

「ついでにコーラも」

「……ありがと」

 

 

6作目「シャークトパス」

「サメとタコを融合させるとかアホじゃないの!?」パクパクゴクゴク

「サメ映画の特権だろ」

「ところでちょくちょく挟まるセクシーシーンとか要る?」

「要る……と思う」

 

 

7作目「シャークネード」

「……誰かが居て話しかけないとクソ映画の視聴って辛すぎるわね」ボソッ

「俺は1人で観てるぞ」

「は?」

「てか今までと比べたら見やすいほうだろ?」

「ま、まぁ……///」

 

いつの間にか距離が縮まる2人。嫉妬に燃えたマシュによって別のゲテモノ映画を流されるも無事粛清され、眼鏡(ほんたい)を叩き割られたのだった……。

 

 

happy end

 

 

 

 

 

 

⑦鼻ザリガニ

「ちょっとタンマァ!ちょっ……ちょっと待てぃ!?さっきまでいい感じだったのになんで次のコマで手足縛られてるの!?」

「残念だったなぁ……トリックだよ」

 

残念、番号は振られているが話は続いていないのだ(メタ発言)

 

 

「クックック、その綺麗な鼻にこいつを引っ掛けようと思ってな」

「ヒッ!?何その生き物!?」

「アメリカザリガニだ……早い話が淡水のロブスター」

「えっ!?ロブスターってそんな姿してたの!?」

「マグロが切り身で泳いでると思ってた発言と互角だぞそれ」

 

貴重な情報を得られたのでこのまま尋問(?)を続行する。

 

「い、嫌よ!?鼻切って感染症にでもなったら──」

「大丈夫、ウチにはプロがいるから」

 

そのタイミングでウチの名医ことナイチンゲールが出てきた。うん、今日も綺麗だな。

 

「ご安心ください。即座に患部を除去します」

「除去しない選択肢はありませんか!?」

「ほら、ワガママ言わないの」

「正当な権利を主張してるだけなんだけど!?」

 

どんどん鼻先に近づいていくアメリカザリガニ……頭をブンブン振って抵抗していたが、その拍子に眼帯がすっぽ抜けた。

 

「やった!───“私は、それが輝くさまを視ない”」

 

その言葉と同時に俺の中で選択肢が消えた。

 

「……私を甘く見ないことね。このくらい容易なこと──」

 

が、俺はすぐさま別の物を提示した。

 

「仕方ないから阿寒湖で捕れたウチダザリガニにするわ」

「ちょっとタンマ!!!なんで状況が悪くなってるの!?デカイ!デカイってそのハサミ!鼻削げる!絶対削げる!!!」

「オフェリア〜、君が悪いんだよ〜?」

「い〜や〜だ〜!!!」

 

ガシッ!

 

 

「いっだぁあああああああああああ!!!鼻に!鼻にザリガニのハサミ挟まってる!?」

「実況ありがとうございます」

 

必死になって抵抗するオフェリアは数秒後ようやく解放されたものの、大事な何かを失った気がしてベソをかいた。

 

 

 




やっつけ気味。思ったけど選択肢を先延ばしにする…って、それ逃げだよね?恥ずかしいと思わんの?

─────

うん、サメ映画選んだ人ごめんね。先に出したネタと被っちょるせいでこんなオチにしか出来んかったわ。

オフェリア「オナシャス、センセンシャル……って何言わせてんのよ!?」


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終わりッ!平定ッ!

≫ヘシアン・ロボさんにペロペロは…危険性高くて無理か。

≫クソかわいい。その勢いでくすぐりもしよう(黒い笑み)

≫じゃあ次は電気ウナギを直接触ろうか、、(真顔)
→反応が楽しみ(震え声)

一部を弄って書いてみましたがここでシナリオを書くエネルギーが尽きたので締め切ります。後書きで残ったネタを出来る限りで消化していきますのでご了承ください(絶望)


⑧いっぱい笑う君が好き

 

「何これ!?ねぇ!この格好何!?」

 

ヘソの出たスポーツウェアを着せられたオフェリアはベッドに寝たまま手足を吊られていた。俺とマシュは筆を手にニコニコ笑っていた。

 

「今からオフェリアさんにはたっぷり笑ってもらいます」

「え!?笑う!?」

「ずっと眉間に皺寄せてるから笑ってもらいたいんだってさ。健気な友達だよな〜」ヨヨヨ

「わざとらしい……」

 

さて、今彼女の露出箇所は顔、首筋、手、脇、お腹、足……そういう機械もあるが敢えての真心込めた手作業で──

 

「そういうところにおもてなしの精神持ち込むのやめなさいよ!」

「じゃあ、まず私からいいですよね?先輩!」

「……いいぜ」

「じゃあ、まずはテンプレートに足の裏から……」こちょこちょ

「───っ!」ビクッ

 

筆で足の裏をなぞるとオフェリアはビクッと痙攣した。しかし、耐えているようで口を一文字に結んでキッとこちらを睨んでいる。

 

「こちょこちょ〜こちょこちょ〜」

「……(屈しないという顔)」

「ダメだダメだ。俺に任せろ」

 

俺はそんなオフェリアをSッ気満々で筆を手に目の前のくっころ娘に挑んだ。

 

 

3分後……あっけなく陥落した。

 

「あははははははははは!!!やめひぇ!あはははははは!!!」

「従順になるまでやるからなぁ〜!」

 

10分後……異常が見られた。

 

「ひゃめひぇ!あはははははは!かひぃ!あはははははは!!!」

 

15分後……生命の危機を感じたのか暴れ始めた。

 

「ひゃめろー!ひゃめろー!!!あははは……げほっげほっ」

 

20分後……泡を噴いて痙攣する肉塊と化した。

 

「」ビクンビクン!

「やべ……やり過ぎた!マシュ!人工呼吸やれ!俺は心臓マッサージを──」

「先輩、それはセクハ───」

「バカヤロー!面白いオモチャが減ったら辛いだろー!!!」

「えぇ(困惑)」

 

3分後、オフェリアは蘇生した。が……

 

「あれぇ?細長いお日様がキラキラ輝いてる……おおいぬ座かしら。イヤ、違うわね。お星様ならもっとぱぁって輝くもん…………狭っ苦しいわねコレ。ん...出られないのかな。ねぇ...誰か解いてくださいよ、ねぇ〜?」

 

 

ストレス過剰で心が崩壊してしまったのだった……

 

******************

 

⑨ワンちゃんと遊ぼう!

 

「オフェリアは犬好きか?」

「えぇ、嫌いではないけど……じゃなくて!私からクリプターの秘密を聞き出そうと言うなら私の答えはただ一つ。一切教える気はないわ!!!」カッ!

「おぉ、怖い怖い……それでも、いつまでも独房で毎日贅を尽くした料理を食ってるから流石にお腹周りとか気にならないか?ん?」

「……先輩、最低です」

 

マシュが蝿を見る目でこちらを見てくるが、オフェリアはさりげなく視線が自分のお腹周りに向いていた。

 

「ドッグランで汗を掻く…なんてどうだい?」

「それは……」

 

 

 

 

「って事で今日は綺麗な花畑を丸一個借りた。好きなだけワンちゃんと戯れてくれ」

「……手足の拘束を解いちゃって、私が逃げるって選択肢は考えなかったの?」

「その心配は無い。オフェリアには魔力に反応して爆発する爆弾をチョーカーとして取り付けてるからね」

「そういえばそうだったわね」

 

とりあえず、着ている服に合うようなチョーカーは身につけさせた。まぁ、魔力が働かなければ普通の女の子の筈なのでこれくらいの対策でいい。

 

「それとこれ」

「?」

「ウチのワンちゃんは直接ご飯を貰うのを嫌がるからさりげなくどこかに置くようにしてね」

「……たまに居るわね。そういうプライド高いの」

 

獣臭さが残る羊肉を渡した俺は、マシュと一緒に安全地帯に避難した。首を傾げるオフェリアを他所に俺は手旗信号を送った。

 

 

 

 

 

「ワンちゃんかぁ〜……どんな犬なのかしら?シェパード?セントバーナードかもしれないわね…」

 

少し明るい気分になりながらも、遠くから駆け抜ける孤影を見つけた……が、すぐに違和感に気付いた。

 

「あ、来た!ワンちゃ〜ん!…………あれ?ちょっと……デカくない!?しかも速ッ!?」

 

オフェリアはその影がどんどん大きくなる事でそのワンちゃんの正体に気付いた。灰色の巨体を持つ……それは

 

「あれワンちゃんじゃない!オオカミ!しかもデカっ!?あっ……この速度でじゃれつかれたら死ぬ!!!私死んじゃう!!!」

 

オフェリアは回れ右をすると全力疾走で走り出した。それでも人間が出せる距離には限界がある。あっという間に距離が縮まっていく。

 

 

『ゥゥワォオオオオオオオオオオオオオオオン!!!』

「イヤァァァアアアアアアアアアア!!!私まだ死にたくない!!!死にたくない!!!」

 

持っていたエサを放り投げ、上着もかなぐり捨てて走るオフェリアを安全地帯で観察しながら俺はフォウを愛でた。

 

「いや〜楽しそうだね〜」

「先輩の目は節穴みたいですね」

「ハハハ!ご冗談を」

「フォウ……」

 

 

「ワンちゃんステイ!ステイ!!!その速度で突っ込まれたらホントに死────」

 

********************

 

⑩この中の物は何でしょう?

 

 

「こんな爆弾付きのチョーカーなんか付けさせて……支配欲でも満たすつもり?」

「俺はブリュンヒルデ一筋なんで(興味)ないです」

 

⑨の物と同じチョーカーを装備させた俺は、目の前の大きな箱を指差した。

 

「アレの中身を当てられたら解放してやる」

「えっ?」

「ちょっ!?先輩!?」

 

狼狽するマシュを一瞥して、俺はオフェリアに追加で軍手を渡した。

 

「触っていいからな。時間制限は3分だ」

「へぇ……面白そうじゃない。やってあげるわ」

 

あっさりと乗った彼女は軍手を装着して箱の前に立った。

 

「(キリシュタリア様…見ていてください)」

 

心の中で勝利宣言を終えたオフェリアは意気揚々と手を2つの穴の中に入れ────

 

 

 

「痺デバビデブゥウウウウウウウウウウウウウウウ!?」

 

 

 

突然痙攣した直後に白目を剥いてそのまま倒れた。

 

「よし、息はある。大丈夫だな」

「何に触れたんですか?」

「マシュも触るか?はいゴム手袋」

「えぇ…そんなに危険な物なのでるるるるるるるるるるるるるるる!?」

 

ゴム手袋を装備した手を穴の中に突っ込んだマシュは小さく痙攣したものの、なんとか手を離した。

 

「先輩!何ですか!?これは!?」

「実はな───」

 

俺は箱を隠していたカバーを開けた。その中身は……

 

 

「───デンキウナギ」

「馬鹿じゃないですか先輩!?」

 

というわけでオフェリアには罰ゲーム!!!

 

 

 

 

 

「ちょっ!?目が覚めたらもう制限時間過ぎてて手足が縛られてるんだけど!何をされるの私!?」

「ロシアンルーレットなんだが……大丈夫だって!リボルバーでやるアレじゃないから!」

 

激しく抵抗するオフェリアを宥めた俺は、目の前に1枚の皿を見せた。その上にはツヤツヤしたネタが乗った寿司が5つあった。

 

「これは……ニッポンのスシね?」

「あぁ、実はこの中に1個だけ絶品のイチオシネタがあるんだ」

「嘘だッ!絶対それが罠なんでしょ!私知ってるもん!」

「ったくワガママだなぁ。じゃあもう少し選抜して3つにしよう。2つはマシュ食べていいぞ」

「本当ですか!?ありがとうございます!……美味しいです!なんのネタを使っているのですか?」

「アブラソコムツだ。コンビニのおにぎりでも『ホワイトツナ』の名前で使われてる事もあるくらい絶品なんだ……美味いだろ?」

「はいッ!」

「(ってことは最後の1つはアブラソコムツより美味しいって事?)」ゴクリ

 

「さぁ、どれにする!」

「左ッ!」

 

オフェリアは意を決して一個を食べた。

 

「美味しい……トロッとした脂と濃厚な旨味がたまらないわね!なんていうお魚なの?」

「バラムツだよ〜大当たり〜♪じゃ、俺は一旦会議室行ってくるわ」

「行ってらっしゃい、あ。オフェリアさん。残り食べます?」

「えぇ、いただくわ」

 

俺はさりげなく紙おむつをドアの手前に置いた後、そっと部屋を出た。俺は知っていた。この後……

 

 

「うっ!?」

「っ!?」

 

 

 

…………惨劇が始まる事を。

 

 

 

********************

 

 

【EX】ご飯を食べよう!(プリヤ編)

 

「……はっ!?ここは…?」

 

気がつくとオフェリアはいい匂いが漂う食堂に居た。椅子に座らされ手足は拘束されているものの、無事らしい。

 

「腹が空いたか?」

「ふっ、藤丸……!?」

 

ラーメンを茹でる姿にオフェリアは内心安堵した。麻婆豆腐は来ない。ラーメンならば一度食べた事がある。だが、そんなものをちらつかせられても屈するつもりはない。

 

「まぁ、いいさ。腹が減った女の子に飯を食わせないというのも難だからな。気にせず食べるといい」

「ど、どうも……」

 

敵意は感じないし先程まで追跡して来た時とは様子がまるで違う。このままぬるい尋問を受けて隙あらばペーパームーンでも奪取して逃げ出せばいい。手土産があればあの方もきっと喜んでくれるに違いない……そう思いながら、オフェリアは目の前にコトリと置かれた物を凝視した。

 

スルトのように真っ赤なスープ、底知れぬ闇の中には豆腐や挽き肉が入っており……

 

「あの……これ、ラーメン…よね?」

「?……変な事言わないでくれ。これは正真正銘のラーメンだ」

「嘘!このラーメン、麺が無い!where is noodle!?」

「麻婆の海の中に申し訳程度に沈んでいる」

「それラーメンって言わない!ラーメンという名の麻婆豆腐!!!」

「一々注文多いなぁ…ほら、早く食えよ」

 

西洋人であるオフェリアへの気遣いか、箸ではなく先割れスプーンが置かれた。手の拘束が解かれたものの、俺へ何度かチラチラと視線を移しつつも逃走の機会を伺うが……先程から背中目掛けて強烈な殺気が送られているせいで脱走する気も起きない。

 

「……っ!」

 

長時間の逃走のせいで脳と胃袋がエネルギーを要求しており、オフェリアは諦めてラーメンを食べる事にした……のだが

 

「ッ!?!?!?」

 

辛い!主に舌が辛い!全身の細胞が異物への拒否反応に震え、何個かは自壊してしまった。そんな激痛すら生温い感覚にオフェリアは慌てて水を飲んだ。

 

「ラー油と唐辛子と華北山椒(花椒)をふんだんに使った麻婆豆腐を麺に掛けた逸品だ。あの神父の逸品には劣るが美味いだろ?」

「ふぁ…ふぁらぃ……」

 

口の周りを真っ赤にして涙ながらに訴えるオフェリアをスルーして俺は彼女の顔をジッと見つめていた。

 

「ほら、早く食べないと麺が伸びるぞ」

「ふぃっ!?ふぉれふぉくふぁいってふ!むふぃ!(特別意訳:ヒィッ!?これ毒入ってる!無理!)」

「わがまま言うな!はい、あーん」

「ふぃ〜やぁ〜!」

 

目を剥いて抵抗するオフェリアを無視してその唇に麻婆豆腐をしっかり絡めた麺を突っ込んだ。

 

「ふぁっふぇ!!まはふぁんふぇなふぃ!!(特別意訳:待って!!まだ噛んでない!!)」

「オラっ!ラーメンは啜って麻婆豆腐は噛むんだよあくしろよ」

「ふぉんふぁー!!!(特別意訳:そんなー!!!)」

 

10分後……オフェリアは濁った目でスープを飲み始めた。麺は何とか食べ切ったものの、未だにスープと具が残っていた。

 

「もう……ダメ……」

 

辛さで全身から汗が噴き出し、ガタガタ震えて涙を流すオフェリアに俺は満面の笑みで希望を与えた。

 

 

「おいおい、諦めるのかぁ〜?キシュなんとかの為に頑張るじゃないのか?」

「!!!」

 

その言葉でオフェリアの目に光が灯った。

 

「──キリシュタリア様に…」

「そうだぞ。キシュタなんとかの為にお前が出来る事はなんだ?ん?」

 

 

「キリシュタリア様!見ていてください!私は……負けないッ!!!」

 

そう宣うので早速俺はマシュに指示してZA○Dの『負けないで』をBGMに流した。虚ろだが確かに闘志に燃えるオフェリアはどんぶりを掴むとそのまま一気に喉へ流し込み始めた。とてもじゃないが高貴な生まれには見えないような豪快さでスープを飲むオフェリアだったが……

 

 

「げほっ!げほっ……」

 

やっぱり無理だった。少し気管に入りかけたのか激しく噎せたオフェリアは辛そうな顔で俯いた。堕ちるの早くなぁい?

 

「ほらっ!きっとキリなんとかが見てるぞ!情けない姿晒していいのか!!!」

「むぅ……りぃ……」

 

テーブルに突っ伏したまま情けない声を漏らす姿に俺は喝を入れた。

 

「バカヤロー!倒れたままでいいのか!?お前の力はその程度なのか!!!もっと熱くなれよぉ!!!」

「先輩……流石にこれ以上の続行は不可能かと思われます」

「止めないで……マシュ。たとえ囚われの身になろうと……惨めな姿を晒そうと私は…負けない……!」

「いいぞ、もっと食え!奥底の感動を手繰り寄せるんだ!」

 

ゴクゴクと喉を鳴らしてスープを飲む姿を俺は固唾を飲んで見守った。肉体は既に瀕死だろう、だが精神はまだ死んでいなかった。精神力だけで死んだ体を操りスープを飲んでいた。幾らかが漏れて服を汚す…容赦の無い辛さを堪えてはしたなくスープを啜りながら飲んだ彼女は…………

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……、飲んだ。飲んだわよ!!!」

 

目を血走らせ、死に体になった肉体に気迫を放ちながらオフェリアは叫んだ。だが、まだだ!まだ終わっていない!

 

 

「まだ具が残っているぞ!どうする!」

 

オフェリアはどんぶりの底に貼り付いた鷹の爪もどき、総勢10個。それもただの唐辛子ではない、アヒ・チーノと呼ばれる炒め物、スープ、煮込みなどの辛味付けに最適なペルー産の唐辛子だ。だが、オフェリアはそれすら先割れスプーンで掻き込んだ。

 

 

「ごはっ…げはっ……ひぃ……ひぃ……」

 

 

完食した……俺が旨いといいながら時々食べている麻婆ラーメンをオフェリアは完食したのだ。オフェリアはどんぶりを置き、天を仰いだ。その神々しい姿にマシュは涙を流した…敵ながら見事な戦いぶりを讃える涙であった。

 

 

 

その後……

 

「おはようございます、先輩……ってなんで当たり前のようにオフェリアさんがスタッフに混じってるんですか!?」

「あら、おはよう。マシュ」ハフッハフッ

「今日もいい朝だな。マシュ」ハフッハフッ

 

麻婆豆腐の奥底の旨味に気付いてしまった俺と一緒にオフェリアは軽装で朝麻婆を食べていた。汗をダラダラ流して熱く辛い麻婆豆腐を掻き込む姿を呆然と見るマシュに俺とオフェリアは麻婆豆腐を掬ったレンゲを向けた。

 

 

 

「「食うか?」」

「食べませんッ!!!」




おま○け。

①足つぼマッサージ

「痛い痛い痛い!!!」
「そのツボが痛ぇのは分かってんだよぉオイ!(あと20回以上残ってんだよ)オイ!オラァァァァァァ!!YO!!」
「ひぎぃっ!?」

②オフェリアいじめるマーン
「デビルマン……これすごい漫画ね!これ映画とかやってるのかしら?」
「やってるよ。実写で…観る?」
「観る!」

視聴後

「」(レイプ目で呆然と座るオフェリア)
「面白かったか?」


④世界の果てまで

「ちょっと待って!なんで腰に肉を括り付けられてるの!?」
「今からコモドドラゴンと駆けっこしてもらいます」
「待って!?コモドドラゴンって何!?幻想種なの!?」
「行くよ〜よーいドン!」
「え!?何あのトカゲって速ッ!逃げなきゃ!!!助けて!キリシュタリア─ッ!?」


⑤死者蘇生で首を増やすぞ

「サメ映画観ようぜ〜!」
「待って!サメの頭増やせば凶暴さも倍になるとか馬鹿じゃないの!?なんでそれぞれの頭が別行動するとか想定してないの!?」

視聴後……

「クソ映画だったー……」(レイプ目)



⑥ターボマンって知ってる?

「アイアンマン観る?」
「観る!あの主人公ダンディでいいわよね」
「そっち派だったかー……」

視聴後……

「これアイアンマンじゃない!メタルマン!」
「よく分かったな」
「あなたが真面目に映画を観せた事無かったじゃん!」


⑦三厳め……

「このゲームを3時間以内にクリアしたら釈放してあげる」(『じゅうべえくえすと』を渡す)
「3時間?楽勝じゃない。撤回しないでよ!」

5時間後……


「待って!エンカウント率高ッ!?敵強すぎて─あーあ、全滅しちゃった……あっ!ボタン押し過ぎた!?」
「大丈夫か……?まだ始まったばっかみたいだけど」ガチャッ
「え…?もう5時間!?」


********************


オフェリア「今回はこんなクソ小説をクソ真面目に見ていただいてホントにありがとうございました。作者の不甲斐なさとかその他諸々は全て私が持っていきますのでこの辺でご容赦ください」土下座

いや、ホントにこんなクソ小説に付き合ってくれてありがとうございました。


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小ネタ:ゲッテルデメルング予告(誰も真面目に撮影する気無し)

精神的に余裕なくなってきたのでリハビリがてらおま○け






Take-1

 

「私はキリシュタリア様の為に全てを尽くす……!」

「クリプターよ、暇だからなにか面白いことをしてみよ」

「……は?」

 

氷雪の幻想息づく北欧世界。それは、戦乙女の花散る古き神話の終焉地。

 

「さ、さぶい……」(極寒の海で寒中水泳)

「つまらんな、せめて飛び込みでもやって私を笑わせてみよ」

「殺す気ですか!?」

 

 

その太陽は、赫奕と大地を照らす。

 

 

「やーめーてー!おでん芸は勘弁してください!陛下!」(椅子に縛られる)

「クク、 許せ 逆らえんのだ」(もがくオフェリアを押さえる)

「どーれーにーしーよーうーかーな♪」(アツアツのおでんを選別中)

「いや、ホントに勘弁してください」

 

 

-コスモス・イン・ザ・ロストベルト- 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング 消えぬ炎の快男児

 

 

「押さないでよ……絶対押さないでよ!アッツゥ!?」

 

 

 

Take-2

 

「あたしゲルダ!ピッチピチの13歳!」

「いや、それじゃまるで私がババa──」

 

氷雪の幻想息づく北欧世界。それは、戦乙女の花散る古き神話の終焉地。

 

「ふざけんな、訴えてやるからなぁ!」(眼帯を叩きつける)

「ひぇっ、こ、こうそするぞー!」(←意味わかってない)

「なんだとこのヤロー!」

「なんだとこのや──」

「「はい、友達で〜き〜た♪」」

 

その太陽は、赫奕と大地を照らす。

 

「……」(曖昧な表情で俯く女王陛下)

「……」(頭を抱える戦乙女)

「……」(苦笑する子供達)

「……」(反応に困るス○ト)

「やってくれたわねぇ!?」

 

-コスモス・イン・ザ・ロストベルト- 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング 消えぬ炎の快男児

 

「いい加減にしなさいよッ!」(土を踏む)

「ぴょーん♪」

 

 

 

 

Take-3

 

「私はキリシュタリア様の為に全てを尽くす……!」

「クリプターよ、暇だからなにか面白いことをしてみよ」

「……は?」

 

 

氷雪の幻想息づく北欧世界。それは、戦乙女の花散る古き神話の終焉地。

 

 

「えーっと……オフェリア、逆立ちしながら歌います!」

「そういうのいいから、まずは背中にこの蜂蜜酒の入った小さな樽を背負ってな」

「?」

「よいぞ、数々の働きへの対価だ。そこな女が背負う褒美を取らせる!」

 

 

「「●□△○◇!!!!」」(城内の巨人達)

 

 

その太陽は、赫奕と大地を照らす。

 

 

「聞いてないわよぉ!?」

「さぁ、れっつらごーだ」

「「●□△○◇!!!!」」(全速力ダッシュ)

「いやぁああああああああああ!!!死ぬ!私死んじゃう!!!」(全速力ダッシュ)

 

 

-コスモス・イン・ザ・ロストベルト- 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング 消えぬ炎の快男児

 

 

「わ、私はそれが輝くさまを──あ、間に合わな」

 

(プチっ

 

 




憧れの人のために打ち上げ花火をやろうと玉を作っていたが当日湿気って乾かそうとした結果自爆する女、それがオフェリア。

オフェぐだで小ネタ作ろうと思うのですがラブコメにするか徹底的に弄るか……(支離滅裂な思考)


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おま○け?:火鍋チャレンジ

グッさん参戦!!!(スマブラ風)

残業のストレス過多につきおま○け






「だから何でまた椅子に縛られてんのよ!?」

「私にこんな事して許されるとでも思ってるの!?」

「はいはい許されない許されない」

 

オフェリアに加え新メンバーこと虞を拘束した俺はテーブルの上のガスコンロに火をつけた。彼女の目の前には鉄製の鍋が置かれ、具材を煮始めていた。

 

「っていうか……ッ!吸血鬼の私ですら解けない縄とかどんな構造してんのよッ!?早く止めなさいオフェリア!」

「諦めなさいヒナコさん。藤丸はやると決めたら魔眼の拘束すら通用しないから」

「宝石級の魔眼すら効かないの!?」

「ほら、そうこうしている内に煮えてきたぞォ」

 

本当はもう少し時間がかかるが都合上さっさと煮えるよう魔術を行使。グラグラと煮えたぎるソレの匂いにオフェリアは思わず顔を顰めた。

 

「ねぇ……これって……」

「火鍋」

「」

「四川麻辣火鍋」

「ねぇオフェリア!コイツ殺す気なの!?私辛いの苦手なんだけど!!!」

「大丈夫よ……泰山名物麻婆豆腐を死ぬほど食べさせられた被害者がココに居るもの……(死んだ目)」

「」

「まずは味見っと……うん、美味しい!」

「これでもかと山椒と唐辛子をぶち込んで言う台詞じゃないわよソレ!?舌イかれてるわよ!?」

 

今回は野菜・蒟蒻・鶏肉・鱈・火鍋粉等多岐にわたる食材を用意している。先程から体を揺らしながら逃げようとしているオフェリアだが、逃げられないように縛ったので動けば動く程縄が絞まる。諦めろ。

 

 

「さぁて…まずは味のよく染みた大根から行こうか」

「おいバカ止めろ」

 

薬味を入れた胡麻油をかけた取り皿に大根を入れた俺は箸で掴んでゆっくりと虞の口に近づけた。

 

「ヒィッ!?あ、あ、あ…!止めろぉ!私は絶対食わないわよ!はーなーせー」

「おっと、手が滑った」

「アッツゥ!?っていうか痛い!ヒィッ!?」

 

ここでお決まりのほっぺに直撃。ほっぺが痛々しい赤に染まり、思わず声をあげた瞬間に大根を突っ込んだ。

 

「あふい!あふっ!?あふぃ!?あふぃぃぃ!!!」

 

そう言いつつも律儀に咀嚼する虞。何とか飲み込んだ彼女の目からは涙が流れていた。

 

「ゲホッ、ゲホッ…もう嫌…私死にたいわ……」

「そう言ってるウチが華ゾ。じゃあ火鍋粉行ってみよっか」

「ヒィッ!やめてぇ……!次のページで犯される〜!」

「1コマでやりきるから諦めろ」

「あふぉおおおおおおおおおお!?むふぅ…!むふぅ!?」

 

よーくスープと絡ませた火鍋粉を口に突っ込んだ俺は、放心状態になる虞美人を一旦休ませてからオフェリアに標的を移した。

 

「い、嫌よ!?次私!?」

「お前さっき逃げようとしたろ?」

「(ドキッ)」

「じゃあ特別な食材食わせてやろうか」

「ヒィッ!?なんで水餃子入れてんの!?」

「美味いゾォ……俺の手作りだ。ニンニクとニラとお肉をしこたま詰め込んである絶品だ」

「ヒィッ!さっき食べたハーゲンダッツでお口の中ハッピーになってるの!止め───あふいッ!!!ふぉい!こふぇあふいだふぉ!!!」

 

スープをたっぷり吸い込んだ水餃子を食わされ思わずマジギレするオフェリア。流石に辛い料理を食べさせられた経験からか虞のように辛さで悶える事は無いものの、熱さの方が辛いらしい。

 

「熱いのは分かっててやってんだヨォ!」

「ヒィッ!?アフィ!?アフィィ!!!」

「口臭くなっちゃったねぇ。今日はもう人前出れねぇぞ」

「ふぉんふぁぁああああああああ!!!」

 

絶望するオフェリアから視線を外し、今度は虞に視線を移した。よく見ると体を溶かして逃げようとしたようだが、魔術的な干渉を施してある為、逃げられない。

 

「次、蒟蒻行ってみよっか」

「嫌……やめて!何でもするから助けて!」

「ん?今君何でもするって……言ったよね?」

「え?……あ、それは…」

「じゃあ、次スープ一気飲み行ってみよっか」

「イヤァアアアアアアアアアア!!!却って悪い選択肢になってる!?」

 

次はスープを別の取り皿に入れて虞の口元に向けた。

 

「じゃあ…1番気持ちいい時間始めようか」

「嘘だッ!それ死ぬ!絶対死ぬ!私でも死ねる!!!」

「飲まないなら鼻から突っ込むけどいい?」

「ヒッ!?」

 

口から入れるか鼻から入れるか……2つに1つだ。

 

「う…ぅぅ……」

 

しゃくり上げて泣く程嫌がる虞だったが、俺が本格的にサイフォンの原理で突っ込もうとしている事に気付き、諦めて口を開けた。

 

「はい、どーん!」

「gぢwhdんlxべやねうsぁhすqんhrひくぉくぉfんdyw!?!?ゴホッ!ゴホッ!?死ぬ!私死ぬ!!!」

 

蓮華で口に流し込んだ俺は苦しみもがく彼女に構わず連投した。こんな美味い飯を嫌がるとは人生損しているに決まってる。

 

「流石に同情するわ……」

「お?オフェリアも飲む?」

「ヒナコによバカァ!!!」

 

取り敢えず、2人とも瀕死なので俺も手をつける事にした。グツグツ煮える火鍋粉を食べれば全身から汗を掻き、その暴力的な辛さと共にスープへ染み出した食材の旨味が溢れ出る。

 

「うめぇ……麻婆豆腐には劣るがうめぇ……」

「オフェリアぁ……ここにキチガイが居るぅ……」

「ヒナコ、ここは鍋の具が切れるまで耐えま──」

「うわニンニク臭ッ!?」

「酷いッ!?」

 

早々に仲間割れムードだな。あの2人…

 

「虞や、虞や、お主も水餃子食わぬか?」

「ヒィッ!?嫌……項羽様に会った時に口がニンニク臭いなんて嫌ッ!!!」

「大丈夫、さっき項羽にも麻婆豆腐食わせたら動かなくなった」

「項羽様ァアアアアアアアアアア!!!」

 

あの絶品を口に入れた瞬間に動かなくなったからなぁ〜、よほど感動の味だったのだろう。

 

「許さないわよこの鬼畜生!こんな縄!意地でも引きちぎってやる!ふんぬぅううううううう!!!ふんがぁあああああああ!!!」

「……正気で言ってるから怖いのよね」

「ほい、その頑張ってる口にスープをたっぷり絡めた水餃子をどーん!」

「gskすあkどsbzyくぉjbyjんhs!?」

 

流石に限界を迎えたようで彼女は口の中の物を呑み込んだ後、意識を失ってがっくりと項垂れた。時折痙攣しており、瀕死の状態である事だけは分かった。

 

「ちょっとやり過ぎじゃない?」

「……誰にも食べられず床に打ち捨てられた麻婆豆腐の仇だ」

「………それは仕方ないわね。で、そろそろ解いてくれるかしら?もう復讐は終わったでしょ?具材も底をついたみたいだし…」

「まぁ、そうだけど。それはそれ、さぁ次は雑炊にして食べようかぁ……」

「ヒィッ!?誰か……誰か助けてぇええええええええ!!!」

 

 

ここは拷問部屋……ただの尋問室だが、お仕置きとして時折使われるんだとか……




虞「項羽様!あの不届きものに誅を───」
項羽「虞や、虞や、息が臭くてかなわん」
虞「」

ニンニク入れると味も健康にもいいがその代償はあまりにもデカァい


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おま○け:新年明けまして

おめでとう。今回はおせち料理作りながら書いたので雑です。




「だから何で私がまた弄られるのよ!?項羽様は!?」

 

さて始まりました!新年おめでとうスペシャルのお時間です!

 

「司会は私、藤丸と」

「オフェリア・ファムルソローネがお送りします」

「さて、熱湯コマーシャルですよ!」

「藤丸、熱湯コマーシャルとは?」

「熱湯に浸かれた時間を計測しその時間内でコマーシャルが出来るコーナーです。今回の挑戦者は虞美人です」

 

早速入場するは虞美人……それも第2霊基の姿。艶かしい気がするがそんなものはこの競技とは関係無いのでスルー。

 

「今回使うアイテムはこちら!グラグラ煮え滾る水で満たされた五右衛門風呂!肩まで浸かってゆっくり体を癒そう!」

「煮え滾ってる時点で殺しにかかってるわよね!?」

 

オフェリアのツッコミを無視して、全力で逃げようとする虞の首根っこを捕まえた。

 

「ほら、ワガママ言わないで!貴重なCMが流れないぞ」

「別にいいもん!項羽様とのほほんと過ごせてるから宣伝しなくていいもん!!!」

「……あーあ、今回の主役の癖にビビりなんだ〜?じゃあ仕方ないから俺がやるよ」

 

その宣言と同時にぞろぞろとカルデアのメンバー達が現れた。

 

「なぁ〜にぃ〜?ここはカルデアの代表者である私、ゴルドルフ・ムジークが!」

「いや、ここは頭脳にひと時の癒しを与えたい私、シャーロック・ホームズが」

「いーや、天才である私、レオナルド・ダ・ヴィンチが!」

「俺が!」

「私が!」

「ではここは私、オフェリア・ファムルソローネが──」

 

「「どうぞどうぞ」」

「なんでよ!?」

 

「では、オフェリア・ファムルソローネには先輩としてのお手本を披露していただきましょう!」

「お手本とか無いから!ちょっ!?なんで体掴まれて─」

 

「「へい、わっしょい!わっしょい!」」

 

哀れオフェリア……胴上げされてしまい、完全に逃げ場を失ってしまった。幸い五右衛門風呂は広めに作ってあるので投げ込んでも安心。

 

「また底板無いじゃないの!?予算足りてるでしょ!?」

「いや、そっちの方が面白いし」

「安全性くらい考慮しなさいよ!!!というかお願い!一張羅のままドボンはやめ──」

 

「「せーの!ほいさぁ!!!」」ドボーン!

 

 

「アツゥイ!?熱ッ!熱ッ!?これ死ぬ!死ぬ温度!?」

「ほら!もっと熱くなれよ!CMに時間が割けるぞ!」

「もうイヤァアアアアアアアアアア!!!」

 

1分後……五右衛門風呂からまろび出てきたオフェリアは息も絶え絶えだった。

 

「では、約60秒のコマーシャルです。オフェリアさんどうぞ!」

「異聞帯『無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング』……それは氷と愛と炎が錯綜する物語…カルデアのメンバー達はこの異聞帯の恐るべき実態を目の当たりにする。果たして彼等は異聞帯を解決出来るのでしょうか?乞うご期待くださ───がくっ」

「瀕死でも仕事するなぁ…」

 

瀕死状態のオフェリアだったが、そのまま冷水の入った浴槽に放り込まれ──

 

「ヒィッ!?ちべたい!?」

 

無事蘇生した。お前はカートゥーンキャラか何かか!?

 

 

**********************

 

「さぁ、仕事しようか」

「ヒッ!?やらないわよ!!!なんで人間のくだらない行事に付き合わなきゃならないの?」

「へー、項羽の活躍するお話を宣伝しなくていいんだ〜?」

「!」

「じゃあ終わりに──」

「熱湯風呂に入るだけでしょ!?出来らぁっ!!!」

 

何故かめちゃくちゃ気合を入れて宣言した……直後、助走を付けて走り出した。しかも完璧な陸上競技の走りで。

 

「項羽様ァアアアアアアアアアア!!!私の活躍、とくと御覧あれ!!!」

「お、おーい……着替えは───」

 

ドボーン

 

 

「熱ッァアアアアアアアアアア!!!ふざけんなマジで!!熱いッ!?ホントに死ぬわこれ!?」

「ほら、早く出て来い!荊軻が待ってるぞ!」

「ウェーイwwww早く飲もうぜwwww」

「なんでそっち!?項羽様呼びなさいよ!?」

 

湯船の中でツッコミを浴びせる虞だったが、熱過ぎる所為で得意技が使えない。

 

「熱ッ──ていうかこのお湯…深い─ぼぼぼぼ!?ごぶっ!?誰か!助けぼぼぼぼ!?」

「ヤベッ……カナヅチだったのかよ!?」

 

流石に新年早々溺死ループコンボを味わってもらうのも縁起が悪いので慌てて刺又で虞を引きずり出した……が、ビクンビクンと痙攣しており急いで腹を押して水を吐き出させたのだった……。

 

「ごはっ!?ごはっ……殺す気!?私を殺す気なの!?」

「メンゴメンゴ、設計ミスだったわ」

「ざけんなマジで!!!」

 

取り敢えず、新年おめでとう!俺は今から逃げる!止めるな!!!

 




さつまいもを濾す作業はいいゾォ〜腕の筋肉が鍛えられるからお袋さんがもし作業していたら勇気を出して「手伝おうか?」と言ってみましょう。もしかするといい事があるかもしれません(笑)


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椀子そばっていいよね

繁忙期明けに一発。うーん、オフェリア成分が少ないぞ。もっと寄越せ(錯乱)




その日…朝早くから俺とモードレッドと厨房係であるエミヤ・ブーディカは無心で蕎麦を打っていた。

 

「…」

「…」

「…」

「………ぁあああああああああああああああああああ!!!気ィ狂いそうだ!!!何時間やってんだよ!!!」

 

とうとう沈黙に耐えられなかったモードレッドは包丁を置いて床に突っ伏した。床に飛び散る小麦粉を吸ってしまい噎せる彼女に俺はコーラの入った瓶を渡した。

 

「お疲れさん。休憩していいぞ」

「すまねぇ………こういうの苦手なんだよなぁ」

 

木製の椅子に腰掛けてコーラを飲むモードレッドをほっこりとした顔で眺めてから、俺は再び無心で蕎麦を打った。

 

 

 

(回想)

 

カルデアの倉庫にあったブラウン管をエジソン&テスラの手で修復した物で俺はあるテレビ番組を見ていた。無論、旧世代の遺物であるテープで…だ。

 

「マスター、何見てるの?」

「お、ブーディカじゃないか……!『椀子蕎麦大食い大戦』ってテレビ番組を見てんだ。勿論、録画した奴だけどね」

「へぇ…」

 

俺の隣に座るブーディカを一瞥して、視線をテレビに集中した。多くのフードファイター達が立て続けに食べ続ける姿に俺はある願望を持っていた。

 

「俺も椀子蕎麦食いてぇ……」

「マスターはいっつも何か食べてるわよね」

「ギクッ!?……まぁ、食べる事って人間三大欲求の1つだし!仕方ない事なんだよ〜…って事にしてくださいお願いします」

「ふぅ〜ん…」

 

やがて、試合は終盤に差し掛かり、選手達の椀の量に差が出てきた。

 

「あ、そういえばこの年は暴食もぐーら選手が優勝したんだっけか」

「…確かに、この差は歴然よねぇ」

 

 

「話は聞かせてもらったぞ」

 

突然、言葉が別な方向から飛んできた。声の主を探さんと振り返ると、エミヤ(アーチャー)が視界に映った。

 

「椀子蕎麦…私も食べてみたい逸品だ。」

「───って事は?」

 

俺の問いかけに彼は腕組みして胸を張った。

 

「椀子蕎麦…作るぞ!マスター!」

「しゃあオラァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「マスターも作るのだが…」

「なんでさ!?」

「それは私の専売特許だ!」

 

(回想 終了)

 

「…」

「…」

「…」

 

ひたすら無言で切り続ける。最初こそ和気藹々としていたが、3時間後には全員目が死んでいた。途中覗きに来たモードレッドを無理矢理参戦させてひたすらに続けた作業によって想定していたより多くの蕎麦が打てていた。参加者に名乗りを挙げるサーヴァントには食材集めをしてもらった事で調理は滞りなく進んでいた。

 

「一旦休憩だ!」

「ま、まだ行けるわよ!?」

「無理だ。蕎麦の長さが変わってる」

「えっ?しまった…やらかした」

「よし、一旦休憩といこう」

 

取り敢えず、調理班は一旦休憩に入る。気を利かせて2人には内緒で作っていた団子をプレゼントした。

 

「開催は今日の晩だ。それまでに少しでも多く作る…」

「えぇ、あの獅子王が参加するからには相当量用意しないとね」

「健啖家とされる聖女も来る…いくら作っても足りんだろう」

 

まるで休憩中の出面さんのようにベンチに腰掛けて菓子やジュースを飲む俺達はしばらく足や心を休め…10分後、再び作業を再開した。それ以上休むと足が根を張る可能性が高いからである。

 

「まぁ、気ィ楽にして行こうや!」

「そうそう!しりとりとかしてな!しりとり!」

「り、リボン。さ、バカな事やってないでやるわよ」

「ひでぇ…」

 

********************

 

18:00 カルデア 管制室

 

その日、ヘッドホンでヒップホップな音楽を聴きながらノっていたアストルフォは、音楽を消してヘッドホンを外すとCDを抜き出し、新たなCDを突っ込んだ。今回の実況を任された手前、最後までやり抜く覚悟で彼はその場にいた。

 

─BGM 『Samba de Island ~SUMMER BATTLE~』─

 

『カルデアの皆さんこんばんわ!カルデアわくわく放送局の時間がやって参りました!今回実況を務めさせていただきますアストルフォです!そして今回お招き致しましたゲストのご紹介です!』

 

アストルフォが合図すると今回のゲストが席に着いた。

 

『カルデアのローマ市民達よ!余はネロ・クラウディウスである!』

『うげぇ…事前に知らされてなかったとはいえこれは……さぁ気を取り直しまして!今回出場するメンバーの紹介です!』

 

“ブリテンより食いしん坊乳王 アルトリア・ペンドラゴン!”

“マスターは槍の方しか持っていないからな”

 

「今回、蕎麦粉と小麦粉を回収するだけでお蕎麦食べ放題と聞きまして、出場を決意致しました。出るからには優勝を目指します」

 

外野から円卓の騎士達が『我が王』とか『ブリテン王国に栄光あれ』とか書かれた横断幕を掲げ、ガウェインに至っては鎧の上に法被を纏い国旗まで振っている。

 

“フランスより救国の腹ペコ聖女 ジャンヌ・ダルク!”

“随分酷いネーミングセンスじゃな!”

 

「隠し事は致しません。お蕎麦食べ放題と聞いて蕎麦粉と小麦粉を抱えて参上致しました!」

 

ジル・ド・レェ元帥がジャンヌの持っている旗を手に力強く振っている。そういうイベントじゃないから!てか何時から『椀子蕎麦食いたい』から『椀子蕎麦大食い大会』に発展したんだよ!?結局エミヤは食い損ねたし!

 

“思わぬ伏兵となり得るか!?海賊代表 フランシス・ドレイク!”

“あの伝説の海賊じゃな!余も知ってるぞ!”

 

「随分と面白そうな祭りやってるみたいだから参戦したわけよ!おいお前達!声が小さいよ!もっとデカイ声出しな!」

 

ヤケクソでテンションを上げている海賊組が勝鬨を挙げる。ドレイク船長はホント祭り好きだよなぁ!

 

“カルデアより今回のイベントのスケジュール及び会場設営を指揮した我らがマスター ぐだ男の参戦です!”

“錚々たるメンバーではないか!これはいい勝負になりそうだな!”

 

「やれやれ、まぁ楽しんでくれるなら何よりって奴だ」

「先輩!頑張れ〜!」

 

マシュがご丁寧にチアガールの格好で応援してくれている。恐らくダ・ヴィンチちゃんの入れ知恵だろう。まぁ、勝負って事だから勝ちに行くつもりだ(震え声)

 

 

“ゲストからの参戦。オフェリア・ファムルソローネです”

 

「腰と手足を縛って拉致する事をゲストとは言わないわよ!?」

 

オフェリア、お前はネタ枠だ。諦めろ。

 

“では、椀子蕎麦のルールについてお伝え致します。ルールは簡単!1時間までにお椀に入った蕎麦を沢山食べるだけです。スタッフがひたすら麺の無いお椀に麺を、汁が無ければ汁を入れていきます。満腹になった際は蓋を閉じて下さい。永遠に続きます。リバースした場合、点数は無効になりますのであしからず”

“分かりやすいルールだな!”

“因みに、オルガマリーさんの資料によるとマスターの歴代最高記録は9r「うるせぇ!マナプリズムにすんぞ!」ひぃっ!?なんでもありません!!!”

 

危ない危ない……まぁ、俺もあれから腕を上げた。ナイチンゲールから大量の食事を摂取し続ける方法などをご教授いただいたのでなんとかサーヴァント達に食らいつける筈だ(代償として5時間も説教を貰ったが)。

 

“ではここで、中継を厨房へ繋いでみようと思います!ギルく〜ん!”

 

「はーい!今、カルデアの食堂に来ております!凄まじい湯気と労働者達の熱気がここまで伝わってきていますよ!現在、厨房ではサーヴァント達が全力で蕎麦を打ち、食べやすいよう成形しているそうです。労働者はエミヤ・ブーディカ・モードレッド・クーフーリン・メドゥーサという錚々たるメンバー!実はこれでも労働者不足!求人まで出しているそうです!是非力になりたい・自分の力を試したい・誰かの役に立ちたいという方はまっすぐ食堂までお越し下さい!……さて、ここで少しインタビューをしたいと思います。ではインタビューです。こちら、カルデアわくわく放送局の子ギルです!モードレッドさん、少々お付き合い下さい!」

「何故1番忙しいオレに絡んだ!?」

「だって1番弄りやすそうでしたので…」

「マジかぁ〜…まぁいっか!今オレがやってるのは『包丁で蕎麦を切る作業』だ。1ミリもズレないよう細心の注意を払って切ってる。ここで数ミリでもズレれば食べる奴が美味しく食えないだろ?」

「なるほど、素晴らしい心がけですね」

「出るんだろ…?父上」

「えぇ、ブリテン代表で」

「じゃあ、伝えといてくれ……“味わって食えよ”ってさ」

「分かりました。お伝えしましょう!では、ありがとうございました!因みに、このインタビューはカルデア内に放送されておりますのであしからず」

「────は?ちょっ!?」

 

 

 

 

 

 

“はい、中継ありがとうございました!”

“モードレッド…健気で良い子ではないか…余もうるっときたぞ”

 

モードレッド…ホントに良い子だ。良くここまで育ってくれたよ。

 

「───フッ」

 

彼女の言葉にアルトリアも少し緊張が解けたようだ。

 

“次に、本日蕎麦を供給してくれるスタッフのご紹介です。ブリテン組はアサシンエミヤ(以下キリツグ)&イリヤ!”

 

「よろしくね〜♪」

「よろしく頼む」

「ゲェッ!?キリツグゥ!?」

 

 

“フランス組はマリー・アントワネット&シュヴァリエ・デオン!”

 

「ヴィヴラフラーンス♪今回和服が着られると聞いてデオンと2人で参加を決意したの」

「あの…頑張ります」

「マリーの為にも頑張りますね。」

 

 

“海賊組はジャック・ザ・リッパー&ナーサリー・ライム!”

 

「がんばるよ」

「頑張って運ぶわ!」

「おぅ!頑張れよちびっ子共!」

 

 

“カルデア及びゲストはダ・ヴィンチちゃん&ロビンフッドが担当します”

 

「足を引っ張らないようにやるね」

「まっ、堂々とやらせてもらいますわ」

「よし、君らがついてるなら百人力だ」

「ねぇ、自力でお椀閉じられないんだけど!?」

 

 

 

“速報です!早速記念すべき1個目の椀子蕎麦が届きました!”

 

「待たせたな!1個目の椀子蕎麦だ!」

 

割烹着に袖を通したモードレッドが盆に載せた椀を配って回り、遅れて着物姿のブーディカがそれぞれのスタッフ1人ずつを連れて行った。食堂から管制室までの盆運びの話だろう。

 

「いいか!一本も残すなよ!オレ達厨房係とマスターが必死に打ち続けた蕎麦だ!ルールだとかそういうのはどうでもいい!“たんと食え!しかして命に感謝せよ!”」

 

どっかの受け売りを真似して話したモードレッドはニカッと笑い去っていった……。

 

“では、カウントダウン…開始します!”

 

10

 

9

 

8

 

7

 

6

 

5

 

4

 

3

 

2

 

1

 

“スタートである!!!”

 

「「いただきます!!!」」

生命への感謝を述べ全員揃って椀の蓋を開けた。

 

「おっ!美味そう…!」

 

蓋を開けた第一声がそれだった。エミヤの出身地が反映されているのか、お出汁の香りが強い汁に沈んだ麺は綺麗に結ってあり食べやすそう(外国人は啜る行為が苦手な為、そういった配慮だろう)。

 

「うまっ…!」

 

安物にありがちな蕎麦粉8割:小麦粉2割の味。都合上十割は出来なかったが、しっかりと蕎麦の風味が出た麺が出来上がっている。厳しい懐事情とはいえ、他のサーヴァントが美味そうに食っている姿を見れば作った甲斐があったというもの。

 

「キリツグ、おかわりです」

「任せろ」

 

「マリー、お願いします」

「はいどんどん!」

 

「…締まらねぇなぁ。酒があれば」

「はい、ビール」

「うひょー!生き返る〜」

 

「空だ」

「どんどん入れてくよ〜」

 

「そうやって無理やり流し込むのやめなさい!」

「じゃあどうやって口に入れたらいいんだよ!?」

 

食べやすい形に調整された蕎麦が次々と食べられていく。美味しいと言いながらモグモグ食べているサーヴァント達の手前に次々とお椀が並んでいく。サーヴァント達よ、本当の地獄はこれからだ………。

 

********************

 

30分後…

 

「そろそろお腹いっぱいですね…」

 

最速で食べ進めていたジャンヌのフォーク(箸が使えない人への配慮)が明らかに遅くなっていた。時折苦しげに呻く声も聞こえ、他のサーヴァント達も同様の反応が見られた。それもそうだろう。“味が変わらないのだから”。

 

「マリー、もう無理で「はいどんどん♪」!?」

「ごめんなさいジャンヌ、ルールはルールなの。蓋を閉じなきゃ…」

「え?あ、はい!蓋は……あれ?」

 

マリーにそう言われてジャンヌは蓋を目で探した。しかし…蓋が無い!

 

「あれ!?あれ!?どこにいったんですか!?」

「あらぁ…?おかしいわね…どこにも無いわ」

 

 

“おおっと!ここで健啖家のジャンヌにアクシデントだ!あるべき蓋がどこにも無い!!!”

“いや…一瞬見えたのだが、黒いジャンヌがすっごい悪い顔で蓋を盗んでいったような…”

 

異変はジャンヌに留まらない。

 

「キリツグ…うぷっ……おかわりです…」

「無理をするな。美味しく食べられる内に止めるのが賢明だ」

「だま…れ……!」

 

“ここでアルトリアもペースが落ちてきました!”

“やはり青はオワコンだな!はっきり分かるぞ”

 

アルトリアの奴、ムキになってるな……。盛る奴がアイツだってのも問題だな。てか何でキリツグが担当したんだよ…………。

 

「先輩頑張って〜!」

「(グッ)」

 

因みに現在は『アルトリアが250杯、ジャンヌが200杯、ドレイクが125杯、俺が109杯』という状況だ。意外にみんな食わないなぁ。

 

「ま、俺は俺のペースで…っと」

 

焦っていたら蕎麦の美味さが分かんないしな。折角みんなが作ってくれたんだ。気楽に「オロロロロロロロロロロロ!!!」ほら見ろ言わんこっちゃ無い。

 

「「我が王ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

円卓の騎士達から悲鳴が聞こえ…

 

「そらみたことか」

 

キリツグの呆れ声が聞こえ…

 

「父上のバカあああああああああああ!!!」

 

モードレッドの嘆きの叫びが聞こえた。哀れ…モードレッド。

 

 

「鐙が………切れ…て…しまった……か………」

 

モザイク確定のヘドロの中でアルトリアは意識を手放した。すぐに救護班と清掃班が今の出来事を無かったかのようにすべく慌ただしく作業を始める。

 

「衛生兵!衛生兵ぇええええええええええ!!!」

 

どこかで見たような光景を一瞥し、俺はゆっくりと箸を進めた。

 

“えー、ブリテンチーム。豪快にゲロをブチまけた為失格です。お疲れ様でした。”

“セイバー顔の恥晒しだな”

 

これはアルトリアの判断ミスだ。てか、皆正直にやり過ぎなんだよ。実はこんな事出来るってのをドレイク以外誰も知らないのか?

 

「刻みネギ追加で!」

「了解だ!」

 

ロビンフッドがさっと刻みネギを椀に追加する。ネギ特有の香りが心地良い……なんて感じでこうやって誤魔化す事も出来る。

 

「よし、ドレイクの手もビールに向いてきた。ペースは落ちるだろうな」

 

周囲の状況を一瞥した俺は少しペースを上げた。ジャンヌはトラブルの為に精神的に揺れているようでほぼ食べていない。

 

“ここでジャンヌ・オルタが登場しました!主に顔を中心にボコられた状態での登場です!痛々しい姿です!”

“悪さをするとロクな目に合わん。あやつは全く成長してないな”

 

「ワタシハフタヲヌスミマシタ、モウシワケアリマセン」

 

スカサハによって捕獲され、主に顔を中心にボコられたジャンヌ・オルタは痛々しい姿でジャンヌに蓋を返還した。フランス組もこれには苦笑い。

 

「では儂は帰るとしよう。おい竜の魔女(笑)、練習の続きだ。逃げるなよ?」

「ひっ!」

 

因果応報だ。そこまでして苦しむ姿が見たいとなると相当なビョーキだな。後でナイチンゲールと2人で治療してやるとするか。

 

「では、私はそろそろ────そろそろぉおおおおおおお!!!」

 

蓋を閉めようとするも、マリーが割り込むように蕎麦を入れた。いや、これはルールだからね。実際それをやられているシーンも見た事あるし。

 

「ごめんなさい、ジャンヌ」

「───うぷっ…大丈……夫………です」

 

今度はさっと蓋を閉じてフランス組は終了となった。210個…厳しいな。後104杯か……。食えるっちゃ食えるが残り10分。時間が足りない。

 

“ジャンヌさんが終了しました。お疲れ様です!”

“引き際を心得ておるな。世の中そういうものが役に立つのだぞ?”

 

「(──せめてドレイクは抜かす!)」

 

チラチラとドレイクの様子を伺いながら俺は蕎麦を胃に流し込んでいく。因みにオフェリアは53杯目で自ら呼吸を止めて自殺を企てた為、ナイチンゲールに拉致された。語呂がゴミとはこれいかに。

 

「(よし、間に合いそうだ)」

 

何とか自分のペースで箸を進めていく事10分……なんとかドレイクより多い134杯で試合は終了した。ぶっちぎりでジャンヌが勝ったものの、やや悲惨な結果に終わった……と思う。

 

“うむ、優勝者はジャンヌに決定だ。皆、拍手喝采の嵐を以って祝おうぞ!”

“優勝おめでと〜!”

“ジャンヌには優勝商品として『カップ麺1年分』をプレゼントするぞ”

 

「あはは……もうしばらく麺は食べたくないですね…」

 

まぁ、椀子そばを体験出来ただけ幸せとしよう!会場を片付けながらそう思った。




虞美人「うっぷ、お腹が…一旦爆発するか」
藤丸「爆発した場合、点数が無効になるがよろしいか?」
虞美人「はぁ!?」

虞美人、12杯





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おま○け「ぬぇぇぇいぷりるふーる」

小林女史の「えぇい!」って「ぬぇぇい!」って聞こえません?という事でエイプリルフール記念投稿


その日、カルデアのメンバー…オフェリアは殺気立っていた。何しろ今日は嘘を吐かれる日と言われている「エイプリルフール」。気を抜けばすぐに腰を抜かすような事をしでかすバカがこのカルデアには居るか──

 

「オフェリア〜、今日は冷蔵庫が壊れたから待ってもデザートにプリンは出てこないぞ」

「えっ?嘘!?苦情言いに行かないと!」

 

 

…………

 

 

「まんまと嵌められた〜!そもそも今日はデザートが出る日じゃないじゃないの〜!!!」

 

早々に嘘を吐かれたオフェリアは苛立っていた。アレほど警戒していた筈なのにあの忌々しい男…藤丸にあっさり騙されてしまったからだった。大好きなプリンが食べられなかった(※どっちみち今日は食べられない)事で彼女は先程以上に殺気立っているのだ。因みにオフェリアにつられてクレームを言いに待っていた虞美人は怒りのあまり壁を蹴った拍子に小指を骨折した。

 

「オフェリア〜、所長が呼んでたぞ。今日は通信機器が故障してるから口で伝えろって言われてさ」

「嘘だッ!!!騙されないわよ!」ダッ!

 

「……行っちゃった」

 

もう騙されない!オフェリアは強い決意を持って藤丸の言葉を振り切った。が……

 

………………

 

 

 

「酷いわ…!私が何をしたっていうの……」シクシク

 

オフェリアは泣いていた。嘘だと思っていた事が実は本当で所長からこっぴどく叱られた上にぐちぐちネチネチと小言を言われたからだ。だがそれ以上に、自分を嵌める事が大好きな藤丸が善意で教えてくれていたのにそれを嘘と決め付け無下にした自分に彼女は怒っていた。

 

「オフェリア〜」

「ヒッ!やめて!私をこれ以上惑わせないで!」ジリッ…

「昼だけど酒でも飲まない?」

「え!?飲む!」パァッ

 

オフェリアは藤丸の手元にある酒とおつまみにすぐ機嫌が良くなった。目に見えるものに嘘は無いからだ。早速藤丸の部屋にロックを掛け、用意した酒とおつまみで小さな宴会を開く事となった。曰く「オハナミ」という物を模倣する為に桜の小枝を小瓶に入れているがあくまで雰囲気らしい。

 

 

******************

 

「く〜っ……!昼間に飲む甘いビールは堪らないわね!」

「それな!通信機器が故障してるから任務も無いし、安心して飲めるわけよ!最高だな!」

「炙りエイヒレ美味しいわね…そっちの鮭とばももらっていい?」

「いいよ。ビーフジャーキーと交換な」

 

仕事をサボって飲む酒は美味い。オフェリアは藤丸から学んだ。肩の力を抜いて生きる事は悪い事ではない。

 

「そろそろ水飲みたいわね。藤丸〜、一杯ちょうだい」

「ほい」

「ゴクゴク……ってこれウォッカやないかーい!」

「「ハハハハハ!!!」」

 

余談だが、この数時間後…ベロンベロンに酔っ払った2人は無事スタッフに捕まり、こびっとく叱られたとさ。

 

 




オフェリアは藤丸の影響で酒癖が悪くなってそう。



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ラクシュミー「やってしまったぁああああああああああああ!!!」

面白セイバー実装につき、投下。オフェリア成分低い一発ネタでごめんね。


やらかした……その時、間違えて違う人の盆を持って行った事も、それに気付いて声をかけてきた人のタイミングが遅かった事も、今思えば全てが予定調和だったのだろう。私はそれを食べた時……背徳的な美味さと後悔が襲った。

 

 

「ぁああああああああああああああああああああ!!!やってしまったぁあああああああああああああ!!!」

 

 

************

 

証言①:藤丸 立香

 

うん、あれは俺が食堂でいつものように麻婆豆腐と山盛りのサラダを食ってた時だった。最近入ってきた新人のラクシュミー・バーイーとかいうセイバーのサーヴァントが突然絶叫しながら崩れ落ちたんだ。どうしたんだと思ったらよ、アレを食ってたんだよ。まー…事故だわな。しゃーない。

 

 

 

証言②:ブーディカ

 

思えば私も迂闊だったわ。疲れが溜まってたなんて言い訳だよ……。ラクシュミーから受け取った券の番号を逆さに読んでしまって、勘違いしたまま違う料理を渡してしまったのよ。反省してるわ。現にあの子、ガン泣きして部屋に閉じこもっちゃったし。またご飯持って行ってあげようかしら。

 

 

 

証言③:オフェリア

 

変だと思ったのよ。私が頼んだいつものカレーの味が違うんだもの。妙に甘いし、味付けがスパイス多めだったし…チキンだったし……しかも私が食券持ってきたらブーディカが首を傾げたのよ?私も変だなーと思ってたらラクシュミーが泣きながら絶叫してたって訳。あの人には不思議と好感が持てるわね。きっと私と同じような属性があ─────

 

 

 

 

 

証言④:ラクシュミー

 

ぐすっ……いいだろう。ドア越しに話してやろう。あの日は私も疲れていた。姉を名乗る不届き者に絡まれたりマハトマを名乗る不審者に絡まれたりと正直なところ疲労困憊といった感じだった。そんな時、イギリス式でも何でもいいからインドに纏わる料理が食べたくなった。チキンカレーでいいだろうと、ちょっと甘口にしてもらって一気に掻き込みたい気分になり私は注文した。だが、不運にも似たような注文をした…逆から読めばそう読める食券を買った者が居たらしい。それに気付かずに私はライダーから受け取ったカレーライスを掻き込んだ。だが、そこで一瞬辛いと思ったんだ。うん。あの時に注文が間違ってるのではないかと一瞬思ったが、空腹に負けて食べてしまった。そして、全て食べ終わった時、マスターによく絡まれてる女がこう言ったのだ。

 

 

 

「あれ?私中辛のビーフカレー頼んだんだけど?」

 

 

とな。そこで私は知ってしまったのだ。『私が食べたのは神の御使の肉』だとな!!!あぁ、なんと罪深い!私は不浄を犯してしまった!そう思った時には絶叫していたという訳だ……という訳でしばらくは引きこもらせて欲しい。自分で自分の罪を許せるようになった時に出てくるとも。

 

 

 

 

 

味は?死ぬほど美味かったぞ。




オフェリアはそろそろ墓場から蘇って。






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闇鍋勝負

前回チキンレースばりのネタを使ったので今回は感想欄にあった闇鍋をネタにしてみたぞ(ニッコリ)。

オフェリア成分は60%

因みに今日は誕生日なんだが、この歳になると誕生日の喜びより老いの恐怖の方が大きいなぁ……


「なるほど、余に」

「私に」

「「命令とな」」

「御二方の力添えをいただければより楽しい企画になるかと」

「……良かろう」

「まーいーだろー」

 

2人の承認を得た俺はニッと笑った。今回の企画も上手くいきそうだ。

 

**********************

 

「と言うわけで今日は闇鍋パーティーだ。覚悟はいいな?」

 

クリプター三人衆(カドック・オフェリア・虞)を手早く椅子に縛り上げた俺は満面の笑みでコンロに火をつけた。

 

「おい!?そこのお笑い芸人とリアクション芸人はいいとしてなんで僕まで巻き込まれてるんだ……!?」

「訂正しなさいカドック!」

「私を道化呼ばわりとはいい身分ね人間!」

 

早速仲間割れを開始した3人の周りを回るように歩きながら俺は今回の内容を説明する。

 

「まず今回の企画は『君達クリプターが仕えた異聞の王が入れた食材を食べて当てるゲーム』だ。当然ながら具はバラバラだし王が入れた食材を当てなければならないので成功率はガクッと落ちるだろう」

「待て……なんだその企画。聞いてないぞ」

「拒否権は無いの!?」

「諦めろ。雷帝を呼びつけるなんて無茶はなかなか出来ないんだ」

「じゃあ呼ぶなよ!?」

 

と、言うわけでまずは3人には目隠しをしてもらう。次にそれぞれのメンバー担当の王様に食材を入れてもらい、煮込む。充分に煮立てたら電気を消して食べてもらう…という訳だ。

 

「今回は流石に難しいのでそれぞれのクリプターにサポーターを付ける事にした。カドックにはアナスタシア」

「よろしく、カドック」

「……おう」

「オフェリアにはマシュ」

「よろしくお願いします。オフェリアさん」

「よっしゃ勝った!第2部完!」

「ぐっさんには項羽をつけるぞ」

「虞よ、必ず勝つぞ」

「項羽様、貴方とならば……」

 

サポーターが居るのであれば成功率は多少上がるだろう。

 

「因みに成功したら?」

「こちらで出来る範囲内で王とクリプターの願いを叶えよう」

「失敗した場合は…?」

「代表してクリプターとサポーター及び異聞の王には麻婆豆腐〜藤丸スペシャル〜を食べてもらう」

「死ねッ!やっぱ人間クソだわ!」

 

悪態を吐く虞の後ろではさっきから始皇帝がニマニマと微笑んでいる。これは面白い展開になりそうだ。

 

 

さて、役者は揃った。では、スタート!!!

 

 

**********************

 

目隠しされている間に俺は異聞の王3人と円陣を組んだ。

 

「準備は良いな?」

「うむ、万全だ」

「朕の食材を当てられるか見ものであるな」

「いや、失敗したら麻婆豆腐食わなきゃいけないんだが……」

 

そして、それぞれのメンバーが一斉に食材を投げ入れた。鍋を閉じて煮ている間にせっかくなので取材をする事にした。

 

「因みにカドアナペアは成功したらどんな願いを?」

「言えるわけないだろ」

「あらカドック、私にも言えないお願いなの?」

「う、うるさい」

 

カドック&アナスタシアペアはまぁゲロ甘な空間を広げやがって。とっとと失敗して麻婆豆腐でも食え。

 

「オフェマシュペアは?」

「私は……マシュとお友達になりたいなぁ〜なんて」

「願望器に頼らないと友達作れないような人は生理的に無理です」

「───は?」

 

マシュお前…知らない内に罵倒芸を───オフェリア、強く生きろよ。

 

「グッさん&項羽ペアは?」

「カルデアにプライベートルームを一室設けてちょうだい。誰にも邪魔されずに項羽様と過ごしたいのよ」

「……私はその願いを叶えるのみである」

 

うん、一室設ける予算は無いんで諦めろ(無慈悲)

さて、こうしている間に鍋が煮立ってきたようだ。早速電気を消して火を調節しつつ蓋を開けた。

 

「では、闇鍋パーティーのスタートだ。思考時間は3分。まずはカドアナペアから」

 

 

 

①カドアナペアの場合

 

「あむ……カドック、これ何かしら?」

「うーん…魔術に頼らず味覚と嗅覚だけで判断しろったって無茶だろ」

 

俺から受け取った具材(イヴァン雷帝が選んだ具を優先)+スープを食べた2人は同時に首を傾げた。当然ながら凄まじい味がするのだが、それにはあまり気にならないようだった。

 

「まずスープが甘すぎるわね。喧嘩を売ってるとしか思えないわよ」

「そうなんだよ!ゲロ甘過ぎて具材の味が判別しにくいんだよな……でも、この具材は形状的にキャベツか……?」

「少し絞れてきたわ。でも……味が分からないわね」

 

3分経過……

 

「さて、答えを聞こう」

 

俺の問いに2人は頷き、そっと答えを伝えた。この解答が他の挑戦者に伝わらないようにする為だ。

 

「「シチー」」

 

「Молодец!!!」

 

その解答を聞いた瞬間、先程まで沈黙していたイヴァン雷帝がいきなり立ち上がりガッツポーズした。相当嬉しかったらしいな……。

 

「マジか…正解しやがったよ」

 

リア充は世界すら救うのか!?誠に遺かゲフンゲフン…だが、願いを叶える事にしよう。

 

「では、願いをどうぞ」

「カドック、貴方のお願いは?」

「……僕の願いは───」

 

 

 

②オフェマシュペアの場合

 

 

「カドック……アナスタシアと2人で聞く為に耐用年数の長いイヤホンが欲しいだなんて…涙腺壊れちまうだろ……!」ウルウル

「カドック、立派になって」ウルウル

「次はオメェがやるんだよオフェェリアァ!!」

「ス○トみたいな言い方はやめなさい!」

 

さて、次は2人に食べてもらうとしよう。具材とスープをよそって…スタート!

 

「マシュ、何この甘ったるいスープ……」

「キャベツとか色々な野菜が混ざってますね」

 

オフェリアは食べて早々に吐きそうな顔をしていた(暗視補正付きビデオカメラで撮影済み)。

 

「うぷ……吐きそう」

「先輩、オフェリアさんが全然役に立たないのですが……」

「ほっとけ、麻婆豆腐ルートはほぼ確定だろ」

「先輩!?その場合私も麻婆豆腐を食べる事になるんですが!?」

 

さて、先程からスカディが目を輝かせて待っているんだが、答えられなかったら恐らく処刑案件だぞ。

 

「誰よスイーツ突っ込んだ馬鹿は……!不味くて食べられないわよ!」

「オフェリアさん、野菜が入ってます!野菜の食感があります!」

「それよ!恐らくスカディ様ならお腹に優しい料理を選ぶわ。恐らく北欧料理ら辺を選んだ筈よ…」

 

オフェリア……それ、イヴァン雷帝のシチーなんだわ。あ、3分経ったな。

 

「では、答えを聞こう」

「これはスモーブローね。オシャレで美味しいし様々な野菜をトッピングする事も出来るデンマーク料理よ。スカディ様なら絶対に選ぶ筈!」

 

「……ブッブー!不正かーい!」

「……は?」

 

オフェリア…実はさっきからスカディが青筋浮かべて爆発寸前なんだわ……てか誰か助けろ。

 

「そうかー、お前死ぬかー」

「え!?違うんですか!?先輩!スカディさんは何を───」

「…アイス」

「……は?」

「ハーゲ○ダッツ」

 

闇鍋の内容を聞いた瞬間にウッキウッキでハーゲ○ダッツ(バニラ)3個をドボンしたんだよ!王2人が素で引いてたぞ。

 

「じゃあ、オフェリアとマシュはお仕置き部屋へどうぞ」

「いやだー!死にたくないー!!!」

「先輩!助けてください!」

「ちょっ!?何故私も連れて行かれるのだ!?」

「約束通り、異聞の王も道連れになりますので何卒御了承ください」

 

第2章組失敗っと……

 

「さて、そなた達にはいよいよ朕の入れた物が何か当ててもらう時となったなぁ」

「……行きましょう項羽様。必ず勝つのです!」

 

 

③項羽&虞の場合

 

 

「一体どうやったらこんな味になるのよ」

「計測困難……例の作戦を推奨する」

「絶対に勝ちに行きますよ項羽様───」

 

 

「藤丸〜、ぐっちゃんズルしたぞ〜」

「────は?」

 

始皇帝、突然の裏切り。

 

「冗談もいい加減にしなさい!わ、私がどんなズルをしたっていうの!?」

「ぐっちゃん、君…項羽クンの集音機能使って前の人の情報を記録してたよな」

「なっ!?」

「お?ぐっさん、お仕置き案件か?」

 

そういえば項羽は人じゃなかったな。忘れてたわ。

 

「どれどれ〜……あー、これ俺の声じゃないか。解答とかも入って……なんだこれは、たまげたなぁ」

「クーッ!!!作戦は完璧だった筈なのに〜!!!」

「ズルしたって事で2人には俺特製の別の料理を振舞ってやるよ。あ、陛下には通常通り麻婆豆腐を振る舞いますのでどうぞお手柔らかに」

「ひぃっ!?助けて…項羽様……」

「虞よ……お前を止められなかった私の責任だ」

「正攻法で攻めればよかった……」シクシク

「因みに朕が入れたのは牛肉のミンチだ。うん、普通だな」

 

 

**********************

 

「と、言うわけでオフェリアチームにはお仕置き兼サービスとして麻婆豆腐を振る舞うぞ。目の前で作ってやるからありがたく思えよ」

 

お仕置き部屋の中で威圧感を放つナイチンゲール女史(レベルマ&スキルマ&宝具マ)の仁王立ちにオフェリア達は戦慄した。てかスカディと項羽すら縮こまってるってどんだけ怖いんだよ。始皇帝まですごい顔してるし……。

 

「さぁ完成だ。木綿豆腐で歯ごたえバッチリ!これでもかと唐辛子と山椒を効かせた絶品麻婆豆腐、腹いっぱい召し上がれ(ニッコリ)」

「……麻婆の海に沈む事くらい読めてたわよ」

 

 

①オフェマシュペアの場合

 

「はふっ!はふっ!」

 

オフェリアは苦しげな顔で麻婆豆腐を咀嚼する。しっかり噛まないといけない木綿豆腐をチョイスした所為で口の中に辛味が残留しているらしく水を頻繁に飲んでいた。

 

「もむもむ……(でもやっぱり藤丸の麻婆豆腐は美味しいのよね…。死ぬほど辛いけど後から旨味が伝わってくるし)」

 

一方……

 

 

「オフェリアさぁん…いつもこんなの食べさせられていたんですか…?」ガタガタ

「あふいふぉ……たふけて……」ガタガタ

 

マシュとスカディはガタガタ震え全身から汗を流し唇を真っ赤にしながら麻婆豆腐を食べていた。特にスカディに関しては半泣きだった。甘味で舌が貧弱になっていた為の悲劇だ。一口食べるごとに全身をゾクッと震えさせ、瞳孔は開ききっている。

 

「おふ……おほ……こふぇ……きふふひふ…」

「先輩…ホントに死んでしまいます……」

「ぅぁ……ふ……ご馳走様です」

「偉いぞオフェリア、お代わり要る?」

「要らないわよ!?」

 

 

②虞美人チームの場合

 

「うむ、美味である」

「ありがたき幸せに御座います」

 

流石は中華の王だ…麻婆豆腐の何とやらを分かっていらっしゃる。

さて、そんなチームだが…ぐっさんは現在、俺の料理を前にガタガタ震えていた。

 

「さぁ、ふーやーちゃんが時々俺に直接料理を依頼してくる程の絶品料理『熱凉面』を召し上がりな!」

「私でも死ぬわよ!」

「……(三途の川が)見えた」

 

因みに今回の別の料理とは山椒・辣油・ニンニク・モヤシをこれでもかとぶち込んだ中国版冷やし中華である。俺好みの分量で入れている為、すごい色になっている。

 

「がはっ!がはっ!うぉ……ぉ……」

「───」

 

ヒキガエルのような声を搾り出しながら麺を食べるぐっさんと早々に機能不全に落ちた項羽。こういう時ロボはズルイよなー。

 

「愛しの旦那サマが動かなくなったからぐっさん2人分食えよー」

「死ねッ!胃袋破裂して生き絶えろ!」

「それは一生無いから諦めろ」

 

半泣きで麺を食べるぐっさんだったが、ここでとある人物がやって来た。

 

「くっふっふ〜、藤丸〜!中華を振る舞っていると聞いて飛んで来たぞ!泣いて喜べ!」

「ふーやーちゃんお疲れさん。熱凉面まだあるけど食べる?」

「おー!?妾の食べたいものが何故分かった!?」

「食べたい時にいつも来るからだよ。そら召し上がれ」

「うむ、美味である!褒めてつかわすぞ」ズルズル

「マジかー……」

 

全員麻婆の海に沈められなかったのは遺憾だが、オフェリアを麻婆の海に放り込めただけ満足だな。うん。




※IFです。

イヴァン4世「麻婆豆腐……美味である」
カドック「がふっ!?ごほっ!ごほっ!これは……!なんて劇物なんだ!!!」
アナスタシア「カドック……私もうダメ…」ガクッ

言峰「おかわりを」
藤丸「いい食いっぷりだ。気取らなくていい」


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飲んべえの夜

長尾景虎参戦!例によって酒飲み会です。





「「今日は酒飲み〜♪明日は宴会〜♪」」

 

 

「駄目だあの飲んべえ共そろそろなんとかしないと」

 

俺はオフェリアと新人の長尾さん(長尾景虎)とで肩を組み、景気良く歌を歌いながら廊下を歩いていた。

 

「ところで、長尾さん。今日は部屋で仕込んだリキュールがあるんだが宅飲みしてく?」

「えぇ、えぇ!飲みますとも!あっはっは!!!」

「長尾さん目ぇ怖いけど話したら全然いい子で気に入ったわ〜♪」

 

今日も仕事をサボって飲む酒が美味い。早々にレイシフトを拒否するべく酒を飲んだので作業は中止。早速なので部屋で仕込んだ酒と飯を食べる事にした。

 

「お邪魔しまーす」

「散らかってるけど許してな」

 

スリープモード中のRPGが映るテレビ、シンクに積まれた食器、散らかった毛布と着替えが申し訳無さを引き立てるが、そんな些細な事は酔いの回った俺達にはどうでもよかった。

 

「とりあえず、肴を作っとくから待ってろ」

「私はその辺の服を片付けておきますね」

「じゃあ私は掃除」

 

酔ってはいるが、テキパキと料理とその他諸々を済ませた後…早速、出来立ての料理を並べた。

 

「取り敢えず、茹でた枝豆と麻婆豆腐、長尾さんのリクエストで塩と梅干しも用意したぞ。遠慮なく食って飲もうや。」

「やっぱり麻婆豆腐は出すのね」

「ところで、肝心のお酒は?」

「ちょっと待て」

 

そして、今回のメインである密造酒を隠し部屋から引っ張り出した。没収されたのに懲りずに作る…それが俺という生き物だ。

 

「ひいふうみいよお……かなり作りましたね。むむ?変なお酒があります」

「それはエッグリキュールだ」

「えっぐりきゅうる?」

「卵黄、砂糖、ブランデー、バニラを配合して作ったお酒よ。というか、よくこんなの知ってるわね」

「まぁそこは企業秘密って事で。まずはコイツから行こう」

 

早速、来客用のコップを用意してそこにエッグリキュールを注いだ。長尾さんは怪訝な目をして、匂いを嗅いだり色を見ていたが…思い切って飲んだ。

 

「プリン味のお酒とよく言われる奴ね。いい配合率よ藤丸!美味しいわ!」

「あははは!これはなかなかに乙な味わい!次のお酒も期待できそうですね!」

 

早速枝豆をぽりぽりし始める俺達3人。

 

「辛ァッ!?あははは!!!これは尋常じゃないレベルの辛さです!マスターは毎日食べているのですか!?でも美味いです…!?あれ?なんで美味しいと感じたのでしょう?……まぁいっか!次のお酒くださ〜い!」

「よし、次はこいつだ」

「よっ!ドイツビール待ってました!!!」

 

オフェリアが酔っ払って変なテンションになっている中、俺は次の逸品を差し出した。

 

「いい香り♡ヴァイスビールね」

「横文字が随分とまた多いですねぇ」

 

ヴァイスビールは小麦を多くの割合で使用して醸造したビールで、通常上面発酵である。今回はドイツ式のヴァイツェン(大麦麦芽と小麦麦芽で造られる。フルーティーな香りを持ち、ホップの苦味は少ないことが特徴)を採用し、ヘーフェヴァイツェンという濾過していない白ビールを基としている。

 

「あ”〜!美味しい!」

「ビールに豆の組み合わせ…実は神なのでは?」

「そこに気付くとは…罪深いな」

 

やんややんやと酒を飲み肴を食べていると、今度はオフェリアが俺の酒蔵から1本の瓶を抜き出した。バレたか…

 

「やっぱりまだ隠し持ってたのね。開けていい?」

「これは?」

「ブランデーのボトルよ!しかも有名なニッカウヰスキーの1940年モノじゃない!!!激レアよ激レア!」

「70年以上昔の…という事ですか?腐ってません?」

「腐ってはないぞ」

 

鼻息を荒くして俺の宝物について熱弁するオフェリアは栓抜きを探していたが……少ししてから栓を開けようとする手を止めた。

 

「……やっぱり畏れ多いわ。他の無い?」

「北雪 大吟醸の味を擬似再現したモノならあるぜ」

「本当ですか!?やっぱり日本酒は越後のモノに限りますねぇ!」

 

佐渡の品なんだが、というツッコミは野暮と判断して黙った俺は、日本酒の入った瓶を外した。

 

「山田錦っていう品種の米で長期低温醗酵で仕上げた逸品だ。きっと喜んでくれるだろうと思ってね」

「うんうん♪早速グイッと一杯」

 

そう言うと長尾さんは何処からともなく盃を取り出した。そこに酒を注ぐと、彼女はうっとりとした顔で匂いを楽しみ始めた。

 

「そしてこのお塩♡早速戴いちゃいますね♪」

「「(ゴクリ)」」

 

長尾さんは俺達が見守る中、それをグイッと一息に飲み干した。

 

「ぷはぁ〜♡さいっこぉ♡♡」

「(一々がエロい)」

「(エロいわね)」

「繊細でいて深みのある味わい…見事な一杯でした。この長尾景虎…脱帽です」

「いやいや、寧ろ手作りでよくここまで再現できたと思ってね。喜んでくれたなら何よりだ」

「藤丸、人理修復終わったら酒造り始めたら?経営は私がやるわよ?」

「では!私は営業で!」

「気が早いって!それより今は酒だ酒!」

 

そこから先はスイッチが入り暴走が始まった。長尾さんは突然ストリップショーを始めて俺とオフェリアが阻止。オフェリアは絡み始めてたかと思えば泣きながら失恋話を1人語りし始める。俺は麻婆豆腐を黙々と食っていたが、長尾さんが美味いと言ってくれたので意気投合するなど混迷を極め……

 

 

 

 

 

次の日…

 

「おはようございます先輩……って臭ァッ!?しかも先輩が2人の女の子侍らせて寝てるんです!?」

 

最高の飲み会が出来たが、次の日からナイチンゲール女史に説教を受けたのは言うまでもない。




父が10日に亡くなりましたので供養という事で投稿しました。
生前お酒が好きだったので内容も飲み会っぽくなりました。やはり親の死は辛い……


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タピオカ自体は100g350kcalくらいです

賛否両論の内容となっています。何が言いたいかと言うと、『外食は太るぞ』という話です。






休憩所に行くと、鈴鹿御前が自撮りしながら何やら粒々の入った飲み物を飲んでいた。気になったので入手ルートを辿ってみるとそこには…やはり居たモリアーティ教授。

 

「教授、何やってんだ?」

「あぁ、タピオカミルクティーとやらを売っているんだ。1ヶ月の期間限定でネ」

「セコイなぁ、期間限定の4文字で客を釣り上げる作戦だろ?」

「それと、物珍しい甘〜い飲みものでネ。ほら、このカルデアにはレディやお嬢さんが多いだろう?彼女達に甘いものを提供して日々の疲れを癒してあげようと言う魂胆さ」

「ふ〜ん」

 

俺もとりあえず勉強という事で一本購入した。すると、教授は何やら奥の小さな厨房でゴソゴソやると、例の飲みものを持ってきた。

 

「さぁ、存分にタピりたまえ!」

「タピる?」

「タピオカミルクティーを飲む事を言うんだよマスター」

 

よく見るとストローは中がくり抜かれた細い竹に、容器はガラスになっていた。最近はプラスチックが不足し始めているのでこうした形で節約しているらしい。

 

「どれどれ……!」

 

俺は飲んだ瞬間にこれは飲めないと判断した。

 

「ごほっ!ごほっ!甘ッ!!!こんなの病気になるわ!」

「ハハハ!辛党のキミには甘味は苦手のようだネ」

「よくまぁ飲めるな」

 

と、そのタイミングでメイヴがやって来た。スカディを引き連れており、何やら楽しげに談笑している。

 

「メイヴか、チッス」

「マスターじゃない。あ、マスターもタピ活してるの?」

「よく分からんけど甘過ぎて飲めなかったわ。飲む?」

「えー?私に間接キスさせるの──って痛い痛い痛い!!!堕ちる!堕ちる!!!」

 

何やら頭悪い言葉を宣ったのでギロチンチョークでお仕置きした。悪いが俺は男にも女にも平等にお仕置きする主義だ。

 

「はぁ……はぁ……」

「これに懲りたら馬鹿な事言うんじゃないぞ」

「メイヴ、私が飲んでも良いか?」

「まぁいいけど」

 

スカディが飲んでくれるそうなので、彼女にタピオカミルクティーを託すと俺はその場を離れた。

 

 

 

********************

 

「マスターか」

「エミヤ、チリコンカン作ってくれ」

 

食堂に戻るとエミヤが居たのでチリコンカンを注文した。早く辛い物を食べて中和させたかったのだ。その時間で今日の周回組の様子を見ていると…ふとゴミ箱にタピオカミルクティーが入れられている事に気付いた。しかも飲みかけや分別すらしていない物も混じっている。

 

「マジかよ、マナー悪過ぎだろ」

「あぁ、近頃はタピオカ?なる飲み物をここに捨ててくる馬鹿が増えてきたようだ。私も掲示板で呼びかけてはいるがな」

「ふーん……」

 

間もなくエミヤがチリコンカンを持ってきたのでありがたくいただいた。うん、刑事コロンボを観ていた時から気に入ってたんだよな。美味い。

 

「そういえばタピオカって芋の加工品だろ?」

「そうだな。タピオカ自体は炭水化物の塊で100g当たりで340〜350kcalはある」

「ゲッ、そんなの毎日飲んでたら太るだろ」

「ただし、水で煮た場合は別だ。炭水化物が流出し水分を吸収する事で60〜70kcalに低下させる事が出来る」

「ふーん…」

「まぁ、“水”で煮た場合はな。あの黒い色の正体は砂糖だ。砂糖が大さじで数杯入っているぞ」

「ゲッ…それに甘いミルクティーとを融合させたらラーメンと変わらないだろ!?」

 

流石はモリアーティ教授……甘くて美味しいという謳い文句で女の子をデブ活させてやがる。

 

「まぁ、炭水化物以外にもカルシウムやカリウム、マグネシウムがある。タピオカ自体を食す分についてはいいだろう。パンに混ぜる等のやり方で利用する方が建設的だ。だがミルクティーなぞ論外だ!大量の糖分で太る!私としては今すぐにでも奴を止めたいが」

「まぁまぁ、俺が毎日麻婆豆腐を食ってるのとそう大差無いって。毎日運動して、1日に摂るカロリーを計算しながら食べるのが1番だって」

 

そんな話をしながら食事を楽しんでいると、オフェリアがやって来た。

 

「こんにちは藤丸。ところで、タピ活って知ってる?さっき鈴鹿御前から聞いたんだけど」

「止しとけ。その綺麗な体型が崩れるぞ」

「え!?止める!」

 

余談だが、モリアーティ教授は宣言通り1ヶ月程で店を畳み、行き場を失ったタピ活女子はエミヤの監修した低カロリータピオカティーに群がるのであった……。




タピオカミルクティーは一度少し飲ませてもらいましたがくど過ぎて止めました。オススメは家で手作りする事です。使う砂糖の量を自分で調整出来ますし安く売られているので外食するよりも自分で色取り取りのタピオカを作ってインスタに上げた方がいいですよ。そっちの方が自分の趣味にも合わせられますし……それともう1点。ゴミのポイ捨てや飲み残しの処分は迷惑にならないように行ってください。家で捨てるとかしてください。蝿が集りますし、まず自分以外の多くが不幸になります。用量・マナーを守って楽しいタピ活ライフを


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どぜう鍋、そのまま入れるか裂いて入れるか

どぜう鍋の作り方が時代劇の放送中に流れた時は衝撃でした。
昔、江戸時代は軽い氷河期で火鉢が近くに置かれていたらしいです。






「やっと手に入ったぜ…お栄さんが使っていた火鉢!」

 

お栄さん(葛飾北斎の娘)が借金の返済の為に放出した火鉢がオークションに出品されていたので、高い買い物ではあったが無事に買い取る事が出来た。

 

「さってと…使ってみますかね」

 

早速、セットで購入した黒炭と備長炭を入れて火を点けると……これはまた暖かい。暖を取るには充分な温もりが伝わって来た。ストーブとはまた違う暖かさと言うものだ。

 

「あったか〜……よし、早速アレをやるとするか!」

 

思ったが吉日。薬缶に水を入れて即席のコンロを取り付けたソコヘセットした。これで蒸気によって湿度が保たれるので乾燥を防ぐことが出来る。うん、時代劇のセットだなこれは。

と、感心しているとインターホンが鳴った。モニターで顔を覗くと…

 

「ごめんください」

「うおっ!?」

 

至近距離でマジキチスマイルを披露した長尾さんが待っていた。

 

 

********************

 

部屋に入ってきた長尾さんは片手に桶、片手に徳利と瓢箪水筒3つを持っていた。これも時代劇にありそうなセットだ。

 

「おぉ〜、七輪とはまた風情がありますねぇ。早速、熱燗で一杯やりませんか?」

「OK、徳利は?」

「勿論、用意していますとも。あ、それともう1つ…藤丸にコレの調理を頼みたいのです」

 

そこで、長尾さんは桶の蓋を開けた。中に入っていたのは……

 

「ドジョウか!丸々と太ってて美味そうだ。使っていい酒はあるか?」

「どうぞこちらのお酒を。桶も調理用の物ですので」

 

まずはドジョウの入った桶にたっぷりとお酒を注いで蓋をして30分待つ。こうすると最初は暴れているドジョウが酒をたっぷり吸う事で麻酔が効いて動かなくなる。

 

 

「では、熱燗とどぜう鍋が同時に出来上がる形に致しましょう。それまでは……」

「一杯やるか」

 

 

30分後……蓋を開けると、アレほどに暴れていたドジョウはすっかり伸びてしまっていた。麻酔にかかったように動けなくなった彼等を今度は浅めの鉄鍋に移動する。

 

「よし、いい感じに酔っ払ってくれた」

「越後の米で作ったお酒…ドジョウも気に入ってくれたようですね。あはははは」

 

続けて、すき焼き用に甘辛く仕立てた割下を注いでからコンロに移動。炭火でよーく煮立てる。ちゃんと火が通れば出来上がりだ。

 

「ネギ刻んでくるわ」

「では私はお酒を補充してきます」

 

まだまだ居座る気のようで、長尾さんはパタパタと忙しなく出て行った。その間に薬味を用意した。ネギ、山椒、七味唐辛子でお好みに味つければ出来上がりになる。

 

「うん、夕飯に備えて炊いた米も艶が出て美味そうだ」

「藤丸、申し訳ありません。お客が増えてしまいました」

「藤丸!私を無視して酒盛りしないでよね」

「はいはい、そろそろ出来るから長尾さんは熱燗頼むわ」

「了解です」

 

長尾さんは七輪で温めていた薬缶に徳利を入れて熱燗を作っていた。しっかり45℃くらいまで温度の上がった湯の中に徳利を入れ、大体2〜3分温めれば完成だ。

 

「あちっ!……よっ、と」

 

間もなく、長尾さんの熱燗が完成。卓袱台に出来たての熱燗が置かれる。同時に鍋も出来上がったようで火鉢から引き揚げ、鍋敷きの上に鍋を置いて蓋を開けた。

 

「なにこれ?」

「ドジョウ」

「えぇ!?あのコリドラスみたいな魚食べられるの!?」

「まぁまぁ、酒の肴だから」

 

最後にたっぷりネギをかけて完成だ。人数分の箸と小皿、どぜう鍋をよそう為のおたま、炊きたてのご飯を人数分用意して、俺たちは手を合わせた。

 

「「いただきます」」

 

完成したどぜう鍋は少し割下が濃すぎたが、美味しく仕上がった。山椒をかけるとこれはまたピリッとして美味しく戴ける。ご飯との相性も良い。

 

「熱燗美味し〜♡」

「オフェリア、キャラ壊れてるぞ」

「今更じゃない?」

「まぁそれもそうか!どぜう鍋もっと食うか?」

「食べる!結構美味しいわ」

「美味美味、お酒も進みますねぇ。お塩も舐めたいのですが…」

「フランス産の岩塩ならあるが?」

「構いませんよ。やはり、酒には塩!堪りませんにゃあ〜…」

 

グツグツ煮える薬缶が湯気を立て、数人で鍋を囲って酒を飲むというのもまたいいものだ。

 

********************

 

「いやぁ、旦那が新しい持ち主なら安心ってものサ。どれ、鍋を食ってる姿を描いてやるよ」

 

3日後、お栄さんが遊びに来た。曰く、リフォーム前の大掃除で避難してきたらしい。ただ、当たり前のようにゴミをホイホイ捨てるのはやめていただきたい!

 

「俺は墨以下の価値もないから描かん方がいいぞ」

「そんなこたぁ無いぜ?旦那を描いた絵は一定層に需要があるんだ。どうだい?取引しないかい?売れた絵をおれと旦那で7:3の分け前で分け合う…悪くない話じゃねぇだろ?」

「売れなかった場合はどうなる?」

「……あははは」

「おい」




オフェ「ところで、私の出番無くない?」
ぐだ「出番が欲しいか?」
オフェ「当たり前でしょ?……って藤丸!?なんでグツグツ煮えたおでん持ってるの!?やめて…!やめアッツゥウウウウ!?」


当時から1人鍋をする文化があったそうです。また、ドジョウはどぜう汁としてファストフード扱いを受けていたそうですね。


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バームかバウムか忘れた

ところでみなさん、火の粉というドラマを知っていますか?ユースケさんが出演しているドラマなので気になったら見てみよう(ニッコリ)





「すみませんでしたぁあああああああああ!!!」

 

いつものようにマイルームに戻ると、何故か勝手に入ってきていたオフェリアが土下座してきた。よく見ると…綺麗にラップして保存していたアレが食べられている。OK、理解した。8人分全部食ったんだな……じゃあ、死刑って事で。

 

「お前……食ったのか?」

「…あまりにも良い匂いしてて……紅茶と一緒に食べてしまいました……」

 

半泣きで謝ってくるオフェリアにいつもの雰囲気は無かった。

 

「じゃあオフェリアには罰を与えようか」

「私の尊厳が傷つかない範囲なら何でもしますから!」

「謝る気ゼロじゃねぇかテメェおらぁあああああ!!!」スパーン!

「あひぃっ!?」

 

 

藤丸の楽しいお料理コーナー

 

①バームクーヘンを作ろう

 

「さてと、バームクーヘンを作っていくぞ」

「プラスチックバットでフルスイングされたお尻がまだ痛い……」

「……」スッ

「分かったから釘バットはやめて!お尻千切れ飛んじゃう!」

「…バームクーヘンを作っていくぞ。使う食材はこれだ」

「とほほ…私のお小遣いが……」

 

●薄力粉…150g

●グラニュー糖…300g

●コーンスターチ…150g

●バター…300g

●卵…12個

●バニラビーンズ×1本(生の物)

 

「次に使う器具はこちら。こっちは俺が用意した」

 

●ボウル(25cm~30cm)×3

●泡立て器×2

●おたま ×1

●ゴムべら×1本

●包丁×1本

●まな板×1枚

●取り皿×3枚

●コンロ×1

●竹の棒またはステンレス棒(1.5m程度)×1本

●アルミホイル(25cm程度)×1本

 

「って、かなり使うのね」

「こうでもしないと美味くならないからな」

 

と、ここで何を嗅ぎ付けたのか…長尾さん・オルトリンデ・ヒルド・スルーズがやって来た。かたや飲む気満々、かたやつまみ食いする気満々の問題児しか居ないが……?

 

「ここで何やらお菓子を作ると聞きました。是非ご相伴に預かりたい」

「ここに行けば何かしら戴けるとオフェリア様から伺いまして」

「…」

「お願い!SM用の鞭は勘弁して──いっだぁああああああああああああ!!!」スパーン

「ふぅ、スッキリした……あ、4人は手伝ってくれるなら食わせてやるぞ」

「絶対お尻が裂けた……」

 

 

 

「では気を取り直して作っていくぞ」

 

手をしっかり殺菌消毒してから作業を開始した。

 

「ワルキューレ3人組はボウル3つにそれぞれ黄身、白身、薄力粉を入れてくれ。薄力粉はふるいにかけて半分の75g入れて。長尾さんはバニラビーンズを刻んで欲しい。俺はコーンスターチをふるいにかけ、150g用意するぞ」

「私は?」

「オフェリアは後で重要な仕事を任せるから待っていてくれ」

 

同じ作業を繰り返すのはワルキューレの得意分野。待たせた方がいいと判断したのは正解だった。オルトリンデとスルーズが機械的に卵を割っては黄身と白身を分け、ヒルドが薄力粉をふるいにかけていく。

長尾さんも綺麗に揃えてバニラビーンズを刻んでくれたおかげでいい感じに出来そうだ。

 

「OK、よく出来たな。次はアレコレやり取りしている間に常温になったバターを薄力粉の中に入れて泡立て器で混ぜていくぞ。長尾さん、頼まれてくれるか?」

「お任せを」

「混ぜている間にバニラビーンズと黄身を少しずつ入れていくぞ」

 

長尾さんが泡立て器でボウルの中を混ぜている間に俺はタイミングを見計らってバニラビーンズと黄身を少しずつ投入していく。これにより少しずつ中身の様子が変わっていくのが分かる。

 

「次はコーンスターチを投入して欲しい。これはヒルドに任せよう。」

 

同時に俺は結構めんどくさいメレンゲ作りに移る。白身を混ぜてメレンゲを作る……のだが、不純物が入るだけでメレンゲが出来にくくなる。慎重に素早くかき混ぜていく…で、泡がピンと立つようになればメレンゲはOK。向こうはテンポ良くコーンスターチが投入され、長尾さんも同じ速度でかき混ぜ続けている。生地がマヨネーズのような柔らかさになればいい。その前にメレンゲが出来上がったのですぐに指示を出す。

 

「次にグラニュー糖を3回に分けて投入して、混ぜ終わったら残りの薄力粉も投入するぞ……その辺はスルーズに任せた」

 

さらにかき混ぜ続けながらスルーズがタイミングよくグラニュー糖を投入していく。メレンゲが混ざり終わったタイミングで続けて薄力粉が投入される。

 

「おー……すごいですねぇ。あ、こちらは出来上がりました」

「よし、混ぜ合わせていくぞ。こっちのボウルに長尾さんのボウルの中を投入して欲しい」

 

ここで2つの生地が融合してバウムクーヘンのタネが融合召喚される。こっちはさっくり混ぜ合わせればいいのでテキパキと。その間に事前に指示した要項が終わったようだ。

 

「マスター、コンロの準備が終わりました。管制室にも申請を出してありますのでご安心を」

「火力も充分だよ!」

「OK、最高だ。オルトリンデにはこの竹の棒の中央にアルミ箔を巻く作業を頼もうかな」

「はい」

「アルミホイルの継ぎ目には糊として生地をほんの少し塗るんだ。後は炙っておけばすぐに接着する」

 

そしていよいよしんどい作業が始まる。

 

「オフェリア、軍手は装着したな」

「えぇ、大丈夫」

「じゃあいよいよ焼いていくぞ。生地は火のそばに置いておくと艶と柔らかさが出るからオススメだ」

 

その言葉にオフェリア以外のメンバーが拍手する。

 

「まずはアルミ箔の上にたっぷり生地をかけておくぞ。満遍なく、垂れないように塗布したらいよいよ焼き始める。オフェリア、回すの頼んだ」

「分かったわ。任せなさい!」

 

オフェリアは俺が用意した椅子に座ると竹棒を回し始めた。

 

「テンポ良く、垂れないように速く回すんだぞ」

「うん」

「生地が乾いたらこっちに持ってこい。生地をかけ直すから」

 

さぁ、地獄はここからだ。

 

 

 

 

「ふじまるぅ……もう手ぇ疲れたぁ……」

「まだ5層目だぞ。あと15層頑張れ!」

「ひぃ…!」

「お前が食ったバームクーヘンがどんなに苦労して作られた物かコレで分かったろ?」

「はぃぃ……」

 

オフェリアは5層目で半泣きになっていた。幾ら頑張っても時間がかかる。しかも早いペースで回し続けなければならない。オフェリア……お前はこの苦行を乗り越えて作ったバームクーヘンをたった十数分で平らげたんだぞ。

 

「らめぇええええええおててばかになりゅぅうううううう!!!」

「突然みさくら語になるのやめろや」

 

結局、オフェリアの精神は10層で壊れた。その後は仕方ないので俺が代わり、手早く生地を焼いていく。

 

「よし、みんな!生地をかけてくれ!」

「にゃー!」

「美味しくなーれ美味しくなーれ」

「ヒルド!なんか目が怖いからやめなさい!」

「(…美味しく焼き上がりますように)」

 

俺も昔聞いたスペインのラブソングを鼻歌交じりに歌いながら竹棒を回していく。ワルキューレ達には驚かれたが、しばらくすると真似して口ずさむようになっていた。因みに長尾さんは途中から酒を呷り始めたので休んでもらっている。オフェリアはまだ手首を抑えてベッドで悶えている。

 

「よーし、そろそろ出来上がりそうだ〜。よし!終わった!」

 

俺はそのタイミングで竹棒をまな板の上に移し、バームクーヘンの両端を切り落とす。こうする事でアルミ箔を滑らせるだけで簡単に抜ける。火の始末はオルトリンデがさっさとやってくれた上にスルーズも洗い物をしっかり洗ってくれたので安心だ。

 

「よー……っと!抜けた!」

 

ようやく形になったバームクーヘンにいつの間にかケロっとした顔でメンバーに戻ったオフェリアを含め全員で拍手した。全員で作ったバームクーヘンだ。結構時間がかかったが、満足のいく出来だろう。

 

「じゃあ……切っていくぞ」

「「お〜!!!」」

 

俺はアルミ箔をしっかり取り除くと、ざっくりと大きく8つに切り分けていく。見事な黄色と茶色の年輪が出来上がっている。美味しそうな匂いがこの料理をバームクーヘンだと伝えてくれる。

 

「それぞれ1輪分だぞ」

 

そして、それぞれに1輪分が貰えるように切り、残りは冷蔵庫に入れた。

 

「いいの?藤丸…」

「反省してくれたならいいさ」

 

全員にバームクーヘンが行き渡ると、一同にナイフとフォークを渡した。

 

「じゃあ、美味しいスイーツを味わって食べてくれよ!」

「「いただきます!!!」」

 

美味しい料理に舌鼓を打ち、その日は無事終えることが出来た。総勢6人で作ったバームクーヘンは美味しかった。それは別としてオフェリアは腱鞘炎になった。




マシュ「先輩!バームクーヘンを作っていると聞きま─」
ぐだ「あ、もう終わったぞ」
マシュ「」

マシュ、ありつけず……


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イチゴシロップ

シャルロット・コルデー、ガレスちゃん!我がカルデアへようこそ(満面の笑み)






二振りの聖剣が打ち合う。互いに同じ動きで同じ方法で攻撃を防ぎ、同じような気迫を放っている。

 

「今度こそ……今度こそ父上に勝つ!」

「やれるものならやってみるがいい。結果は同じこと!」

 

禍々しいオーラを纏う聖剣クラレントを握るモードレッドと美しい光を持つ聖剣エクスカリバーを軽やかに振るうアルトリア。ここは2人にとって最も思い入れのある場所…カムランの丘。

 

「クソッ!流石に強い……」

「……」

「でも負けられない理由があるんだよ!」

 

何度やっても嘲笑うかのように同じ手で防がれる事でモードレッドは苛立ち、剣筋も徐々に精彩を欠き始めていた。そして、決着の時は迫っていた。

 

「あっ」

 

エクスカリバーに打ち払われたクラレントが宙を舞う。絶望に染まるモードレッドを前に一切表情を変えないアルトリアはそのままの勢いでモードレッドを仕留めようとした……その時

 

 

「ッ!?」ドカッ

 

 

突然その足にナイフが刺さった。

 

 

***************************

 

「オイ!撮影中に邪魔すんじゃねぇぞ!」

「あはははは〜♪」

 

アルトリアがかなり深めに刺さったナイフを押さえながら悶絶する中、モードレッドはナイフを刺した犯人を怒鳴りつけた。が、その犯人…8/4に実装したアサシン「シャルロット・コルデー」は無邪気に笑いながら廊下をスキップして逃げていった。オフェリアも肩を竦めつつも俺の判断を仰いだのでいつも通りに答える。

 

「カット、モードレッド。止血が終わったら撮影続行だ」

「はぁ!?」

 

因みに、今やっているのが何かと言うと早い話が「アーサー王伝説」の焼き増しである。ガレスちゃんをお迎えした事でアーサー王伝説を自分達で撮影したいというアルトリアの一言で立ち上がった企画で、かなり多くの人が関わっている。ただ、メンバー全員は再現出来ないので何人かは代役でやる事になった。ヴォーティガーン役にアルトリアオルタ、ギネヴィア役にアストライア(拒否しようとしたモードレッドがスピアーを喰らったので渋々承認)、モルガン役にセミラミスが参戦する等、最早やりたい放題である。そもそも決めた台本通りに誰も喋らないので撮影スタッフがカリカリしていたという事もあり、今回のシーンはいいキッカケになった。シリアスなぞ無かった!

 

「じゃあ行くぞ、3、2、1」

「ちょっと待って……」

 

 

******************

 

不意の一撃。名も無き天使(?)の不意打ちを受けたアルトリアだったが、そんな事は些末な問題。

 

「こ、この程度で私が負けるとでも?」足ガクガク

「オレは今日こそ父上を超える!覚悟しろ!」

 

再び激しい打ち合いを繰り広げる2人。しかし、さっきと比べ明らかに脚を負傷したアルトリアが押され始めている。

 

「ッ……!」

 

それでも風王鉄槌を放ち、モードレッドの体勢を崩した。今度こそとやや脚を庇いながらエクスカリバーを振り上げる……

 

「───ッ!?」ドカッ

 

だがその脚を狙い、再びシャルロットの一刺しが決まった。寸分違わぬ職人技を前にアルトリアはまたしても悶絶した。

 

「おいいい加減にしろテメェ!!!」

「あははははは〜♪」

 

モードレッドが流石にブチギレてぶっぱしたビームをシャルロットは軽快なステップで回避しつつ再び姿を消した。

 

「なんなんだ…職人のように正確に同じところを!!…なんという恐ろしい町娘だ!!」

「落ち着けモードレッド」

 

だが、アルトリアは痛みに堪えながら起き上がった。そして、脚に自分で破ったマントの切れ端を巻いた。

 

「ち、父上……精一杯の強がりを…!」

「黙れ。私がこんな程度で屈するとでも……」

 

が、すごく痛そうな顔をしている。次が来たら流石にまずそうだ。が、側から見るとすごく面白いので撮影は再開する。

 

「鬼かテメェ!?」

 

 

***************************

 

「やるな……それでこそ我が宿敵……」

「(え?アドリブ!?ならオレも)オレがここまで来たのはオレ1人の力じゃねぇ!オレをここまで連れて来た多くの友…仲間がオレを強くした。そして、幸運の女神(シャルロット・コルデー)!みんな!オレに力を貸してくれ!」

 

勝手に勘違いしたモードレッドによる突然のフェイスターン宣言に困惑したアルトリアだったが、それはそれで面白そうで撮影を続行する。と、ここでシャルロットの姿が見えた。手にはやはり同じナイフ……だが、そこに別の影が現れた。その正体は……

 

 

「我が王をこれ以上やらせはせん!」

「砦を守るおっさん!」

「知っているのかオフェリア」

「第6特異点の無機質で凶悪な獅子王軍の中でも死した騎士達を丁重に埋葬し最期は理不尽にトリスタンに切り刻まれた砦を守るおっさんじゃない!」

 

いや、確かにいたけど細かいわ!!!

 

「あははははは〜♪」

「シャルロットが仕掛けたぞ!」

「させん!」

「砦を守るおっさんも迎撃に向かったぞ!」

 

最早直接対決そっちのけで実況を始めるモードレッド。何故か熱い展開(?)になり始めている。

 

「さぁ、刺すなら私の脚を刺すがいい!」

 

番兵のおっさんは両手剣を武器にシャルロットと互角の戦いを繰り広げた。下級とはいえサーヴァント、それでも食い下がる姿には感動すら覚える。激しい刃の打ち合い、時折徒手格闘も交えての激戦は…

 

「勝ったぞ!」

 

番兵のおっさんが自分の脚を刺させ、その隙に無理矢理武器を奪う事で決着した。見事な戦いぶりだったぞ、おっさん。シャルロットも驚いている。

 

「陛下…どうか……!」

「分かった。お前の為にもこの戦い…勝利しよう!」

 

所詮はデータなので消滅するおっさんを一瞥し、アルトリアはかつてないほどに魔力の出力を上げた。モードレッドも怯むが、それでもクラレントにエネルギーを充填する事はやめなかった。

 

「これで決着だ!」

「来い!オレの全力と勝負だ!!!」

 

そして、2人の戦いは遂に宝具の撃ち合いにて決着する事となった。静寂に包まれる空間……2人はそれぞれに互いの剣を胸に掲げた。

 

「束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流」

「此れこそは、我が王を滅ぼし邪剣」

「“約束された勝利の───(エクス…カリヴァッ)」ドカッ

 

 

油断したその脚にシャルロットの包丁が刺さった。撮影はアルトリアが消滅した為延期になった。




フェスの映像を見た1発ネタですが、そこそこ大きいエネミーを相手にするとターバンのガキを再現出来ますのでオススメです。いや、初見でどう見てもターバンのガキだった。そして飲んでいたトマトジュースを撒き散らしてしまった……(世紀末感)

余談ですが、性能見ても「回避も無敵もブチ抜いて正確に同じ所を刺す」点がやはりターバンのガキ


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わふぅ!

ガレスちゃん参戦記念に。弊カルデアはアットホームな職場が売りの優良企業です(ニッコリ)


ガレス卿は不浄のギフトを得た。もうこれ以上汚れないようにと願ったからだ。だが彼女は連日の戦いで、とうに心が砕けていた。

愛すべき同胞たちを手にかけた事。

偽のものとはいえ騎士たちを、聖地の人々を手にかける日々。

その瞳の下にはミイラのごとき痣ができ、誰よりも美しいとされた白指は、戦闘のあとに行われる洗浄で見る影もなく炭化していた……

 

「ごめんなさい。ごめんなさい。わたしは、こちらを選んだのに」

「もう耐えられません。もう戦えません。どうか、どうか」

「愚かなわたしに、罰を与えてくださいませ」

 

ガレス卿はその身を貫かれながらもかの敵…リチャード1世を拘束した……それは彼を討ち取るのに絶好の好機だった。それを見たランスロットは動けなかった。ガレス卿の気持ちはわかるものの、二度も手にかける事は躊躇われた。モードレッドは激怒した。そんな犠牲を払わなくても倒してみせるとガレス卿を止めた。アグラヴェインは静かに腰の剣に手をかけた。自分の仕事だと把握したからだ。

しかし。その剣を振るったのはガウェインだった。ガウェインは最後に残った心ごと、自らの妹に別れを告げた。

 

 

 

 

 

 

 

そんな悲劇を迎えた彼女は今……

 

「わふぅ!」

 

元気に原っぱを駆け回っている。

 

*********************

 

11:00 某特異点

 

 

「よしよし、いい子だ。もう一投行くぞ!そらっ!!!」

「わふぅ!」ダッ!

 

ここは小規模なとある特異点を攻略中に立ち寄った草原。新人のガレスちゃんを新しい職場に馴れさせる為に選んだ比較的難易度の低い地域である。敵も精々原生動物くらいで楽な内容だった。今は休憩中だが、フリスビーにどハマりしたガレスちゃんと遊びながらも旅に同行したオフェリアを適当に弄っていた。

 

「ガレス卿って仔犬みたいね。可愛いし、人懐っこいし」

「その点オフェリアは弄りやすくていいよな。汚れ仕事たっぷり経験したし」

「あんたのせいでしょうが!!!」

 

ハハハと笑いながらも俺はガレスちゃんがフリスビーを手に戻ってくる様子を確認した。そのまま手招きすると、彼女の最近気に入っている膝枕ナデナデを始める。相当な懐かれようで、座っている時に太腿を軽く叩くだけで寄ってくる。

 

「取ってきましたよマスター!」

「偉いぞ〜よしよし」

「えへへ〜…♪」

「なんかムカつくわね……」

「お前もナデナデするか?」

「……ナデナデすっごく気持ちいいですよぉ〜///」

「うぐ…じゃあ、お願いしよ─」

 

オフェリアも吸い込まれるように近づいていくが……

 

「あっ、マスター!お昼食べま─あっ」

「モルスァ!?」

 

ガレスちゃんが思い出したかのように飛び起き、その結果オフェリアの顎がガレスちゃんの頭にアッパーカットされる形となった。

顎にダメージを食らったオフェリアはそのままひっくり返って伸びた……

 

 

*********************

 

13:00 円卓組専用部屋

 

「すげぇ……料理が出来るのか」

「これでも陛下の料理人でしたから」フンス

 

ガレスちゃんは意外にも料理が美味しい。それはオークニー諸島が肥沃な土地である事に由来すると俺は考える。そんな今日の料理はコロッケ・サラダ・コンソメスープ・ライ麦パン・ブルーベリージャムと結構多い。

 

「美味しい…すごいわね」

「ただ、この料理はご馳走だったんです。大抵は予算不足で雑穀パンと魚介スープくらいしか…いえ、パンすら出せない日もありました…陛下には申し訳ない気分でいっぱいです。もう少し食材が確保出来たら……」

 

結局、自給自足もままならないブリテン王国はランスロット卿の仲介で敵国フランスから食材を手に入れてやっと維持出来るくらい荒廃していた……やはり詰んでいたんだなというのがこの雑穀パンの味で理解出来た。白いパンに慣れた人にとってこのパンは辛い。何度も噛んで噛んで唾液と混ぜなければ甘みを感じられないのだ。

 

「じゃあ、せっかくだし今日はアルトリア達に料理を振る舞うとするか。オフェリア、食材買って来い」

「格上をパシリ扱い!?」

「雑魚に負けた時点でお前も雑魚ゾ」

 

 

15:00 円卓組専用キッチン

 

 

「マスターの料理も美味しそうですね!」

「今回は自重率100%だからな。」

 

俺とガレスちゃん(とオフェリア)は円卓組へとびっきり美味しい料理を作る為に厨房に立った。今日はビュッフェ形式にする事に決まり、俺は業務用の食材を使っている。ただ業務用と言っても美味しい物を厳選している。

 

「遠征した円卓組の帰還まであと2時間だ!気合い入れてくぞ!」

「おー!」

「待って……寸胴鍋運び過ぎて腰が壊れる…」

「しっかりしろ盛り付け担当!お前の感性に全てがかかってるんだぞ!」

「ビーフシチューが出来ました。お願いしますね♪」

「ひぃっ!!!」

 

俺とガレスちゃんで料理を作り、オフェリアが運搬&盛り付けする。円卓組が遠征から帰ってくるのもそう遠くない。急がなければせっかくのパーティーがちょっと残念になってしまう。

 

 

*********************

 

17:00 円卓組 帰還

 

「いや〜、参った参った。かなり頑丈な敵だったな」

「ヴォーティガーンを思わせる凶悪な怪獣でした…我等が結束していなければ今頃敗北していた事でしょう」

 

円卓組はインド異聞帯の周回に出ていた。真理の卵を手に入れる為にマハーナーガを何度も討伐し続けた彼等は疲労と空腹で参っていた。

 

「食堂まで行くか?」

「遠過ぎて行けねぇや……」

「では私がポテトをマッシュ……」

「ガウェイン卿、ポテトはもう底をついたぞ」

「なんと……」

 

重い甲冑を引き摺り、そんな会話をしていると…いい匂いが漂ってきた。

 

「ん?ガレス卿…そういえば今日はガレス卿に休暇を与えた日でしたね。作ってくれているのでしょうか?」

「でも色んな匂いがしてるぜ?」

「お腹が…空きました……」

 

それぞれにフラフラと自身の部屋に入ると……

 

 

 

「お帰りなさい!陛下!先輩方!今日は特別にビュッフェを用意しました!どうぞ遠慮なく!」

「お疲れ、円卓のみんな。今日は俺とガレスちゃんでビュッフェを作ったから遠慮なく食えよ!」

「盛り付けたの私……」

 

「「おおおおおおおおおおお!?」」

 

豪華とは言えないものの、時間内に作られた多くの料理が深めのトレーに盛り付けられている。

 

「ポテトサラダに…グラタンに…一口ハンバーグまであるぞオイ!」

「その場でステーキまで焼いてくれるとは………!これは…日頃の行いが良かったおかげですか!?」

「ガレス卿、マスター…感謝する。我々を労ってこのような骨の折れる企画を…」

「気にすんな!今日は満腹になるまで楽しめ。明日からしばらくは疲れを取って欲しい」

「私の疲れは……?」

 

円卓の騎士達はアルトリアも含め、子供のようにはしゃいで自分のプレートに料理を盛り付けた。そのどれもを楽しげに味わいながら、ビュッフェを楽しんでいる。

 

「ガレス卿も食べなさい」

「いえ!私はまだ追加注文に備えて待機しなければ─」

「心配すんな。遠慮なく食いに行け」

「じゃあお言葉に甘えて行ってきまーす!」

「……オフェリアがその分頑張る」

「勘弁して」

 

こうして俺は景気良くステーキを焼いては円卓の騎士達に配り、酒を求めれば酒蔵の酒を躊躇無く開けた。

 

「ところで、最近憂いを帯びた顔をした御婦人を見ました」

「後日アプローチをかけてみましょう…」ポロロン

「おい日頃の行い」

「まぁまぁ、それよりモーさんともいっぱいお話ししたいです!」

「久しぶりの御馳走…これはおかわりです!」

「まだ若いですが美味しいワインです。陛下もいかがですか?」

 

酒が入ってからはカオスな空気になってきた。それでも、ある程度は節度を持って楽しくビュッフェを楽しんでくれた。大いに飲み、沢山食らった円卓の騎士達は無事こちらの用意した全ての食材を味わい尽くしてくれた。

 

「マスター、この御恩に報いる為…我等円卓の騎士団は喜んでこの剣を捧げましょう」

「全員剣を胸に構えなくていいから。周回の御礼だから!」

 

酔いのせいか変なスイッチが入っている彼等に苦笑しつつ…そういえば今日の収穫を貰っていない事に気付いた。

 

「そういえば、真理の卵はどれくらい手に入った?」

「「(ギクッ…)」」

 

ん?どうしたお前ら

 

「5時間以上駆け回ったんだ。せめて3つくらいあるだろ?」

「あ、あのですねマスター……」

「そ、その…」

「言いにくいのですが……」

 

一同目を泳がせている……おい、お前らまさか…

 

 

「陛下が空腹のあまり聖剣で卵を叩き割り全て食べてしまいました……」

 

 

 




ガレスちゃんは入手直後に宝具5、レベル80まで上げました。これからゆっくり育てて可愛がろうと思います。いずれはガウェインと背中を預けて戦わせられるようにしたいですね。オフェリア?ギックリ腰で倒れたよ


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ビフォーアフター

なんと言う事でしょう……という事でボツ案の集合体です。後書きまでボツ案なので要注意。



①メルティー……

 

周回組に指示をしながら歩いていると、メルトリリスが優雅に床を滑りながらやって来た。その姿はかなり美しい……フローリングがガリガリ削れている事に目を瞑れば。

 

「あら、ごきげんようマスター」

「メルトリリスか、床のフローリングするのはスタッフだかんな」

「ハァ?なんで私がそんな汚い仕事しなきゃいけないの?」

「OK、把握した」

 

10分後……

 

「よーし、上出来だぞ〜メルト」

「ヒィ…ヒィ……もうクソダサダンスなんて嫌……」

 

流石にスタッフにやらせるのは癪なので、メルトのヒールをモップに換装してしっかり脚で床を磨かせた。しかもめっちゃ不安定なので頻繁にコケる。

 

「お前が傷つけた廊下分全部磨くぞ〜!俺も付き合ってやるからな、嬉しいだろ〜?」

「もうイヤァアアアアアアアアアア!!!」

 

頑張れメルト!まだ作業は50km分残ってるぞ!

 

 

 

②意見は言え、でも口答えすんな

 

「オフェリア、お前眼帯どうした?」

「実はね、邪ンヌが欲しいって遠回しに言ってきたから貸してあげたのよ」

「そうか」

「……魔眼が効いてたらキリシュタリア様の下に戻れたのに」ボソッ

「そうか」

 

10分後……

 

「待って!また熱湯ネタなの!?お願いタンマ!!!押さないでよ……絶対押さないでよ!」

「うるせぇ!反抗心が折れるまでやるぞオラァ!」

「アッツゥウウウウウウ!?」

 

オフェリア、お前はいつになったら心が折れる?

 

 

③今日の……わんこ

 

「もういっちょ!それっ!」

「わふっ!わふっ!」

 

ガレスちゃんとフリスビーで遊んでいると…ガウェインがやって来た。やや不機嫌な表情を浮かべてこちらを見ている。

 

「マスター、妹を犬扱いするのはやめていただきたい」

「えー…でもフリスビーって楽しいんだぞ?」

「いいえ!それでもです!」

「実際やってみると楽しいから。10分!10分だけやってみな!」

 

10分後……

 

「よし、もういっちょ行くぞ!」

「わふっ!わふっ!」ダッ

「結構奥が深いですね!今回は私の勝ちです!」ナイスキャッチ

「むーっ、マスター!もう一回お願いします!」

「いいぞ!それっ!」

 

「……犬ね」

 

フリスビーに向かって夢中で走る2人にオフェリアはボソッと呟いた。

 

 

④バレなきゃ大丈夫

 

「カーマお前何やってんの?」

「何って、ポーカーよ」

 

レクリエーションルームに行ってみると、カーマと他大人なサーヴァント達がポーカーに興じていた。第3霊基姿のカーマは対戦相手に挑発的な笑みを浮かべている。今のところは彼女が優勢らしい。

 

「マスターもポーカーやりませんか?」

「遠慮しとくわ。それと…ホドホドにな」

「何故ですかぁ?私ぃ〜、あの人達が悔しがる姿を見たいからやっているんですよ〜?」

「そうか」

 

10分後……

 

「こんなのってあんまりですぅ〜!」

「イカサマがバレて多額の借金とかギャグかよ」

 

身包み剥がされ、テンプレの奴隷服でトイレ掃除するカーマの姿があった。

 

 

⑤輪唱

 

「オルトリンデ、ヒルド・スルーズと共に参りました」

「何の用かな?マスター」

「今から輪唱してみてよ。同期して」

「……はい?」

 

10分後

 

「静かな湖畔の森の影から」

「静かな湖畔の森の影から」

「静かな湖畔の森の影から」

「静かな湖畔の森の影から」

「静かな湖畔の森の影から」

「静かな湖畔の森の影から」

 

「……やっぱ無限ループするんだな」

 

 

⑥異物混入

「ぉぉ……いいぞぉ……もっと揉めぇ…」

「……」

「ぁぁ…生き返る〜……」

 

※スカディシステムでボロボロの彼女の脚をマッサージしています。

 

「許す…もっと解すが良い。あと、美味なアイスを用意せよ」

「……」

 

が、流石にイラッとしてきた。先程からずっとマッサージばかりやっているのだが、冷静に考えるとスカディよりも頑張ったのは横でビームを撃ちまくったエドモンの筈なのに……

 

「うむ、美味いぞ……このアイスはとろけるような口どけだ…もっと食べたい。もっと寄越せ」

「」ブチッ

 

 

10分後…

 

「歯がァアアアアアアアアアア!!!ほぉおおおおおおおお!!!ふぉぉおおおおおおおおおお!!!」ゴロゴロ

「ありがとう……あず○バー…」

 

目を閉じて食べるようになった隙を突いてスプーンをあず○バーにすり替えたところ、何を思ったのか勢いよく噛み付いた事でスカディは口を押さえて悶絶した。マスターに甘えられるからと増長しやがって…許さねぇからなぁ……

 




オフェリア感薄くなぁい?気のせいだ。
盆休みが忙し過ぎて初めてアヴェンジャークラスになりそうになりました(目真っ黒)



《予告》

ダ「第5次聖杯戦争に異常事態が発生した。藤丸とオフェリア君には至急、2004年の冬木に行って欲しい!」
ぐ「捕虜使うのかよ」
オ「やります!やらせてください!」

ある日、発見された冬木への特異点。藤丸はガレスとマーリン、オフェリアはシグルドとブリュンヒルデを引き連れて介入に向かう。だが、それこそがカルデアの者を誘う敵の卑劣な罠だった……


ぐ「ここって……そもそも聖杯戦争自体やってないぞ!?」
オ「でも大気中のマナは神代の域まで達しているわ…これって……」
ガ「大変です!住民が…ゾンビに……!?」

突如、冬木市の住民が次々とクリーチャーになる異常事態が発生する。四方八方が敵だらけの戦場で強大な敵が現れる……!


《この世、全ての病》

《変身する憎悪の竜》

《ヴィランの騎士》

《炎の剣》

《日ノ本一の絡繰弓兵》

《偽りの抑止力》

《怨念の黒き海鷂魚》


藤丸達はこの地獄から抜け出し、大いなる悪を討ち亡ぼす事は出来るのか!?次回、『Fate/Grand Order─亜種特異点「冬木」─』。ネタ切れに付きここでさいなら!



オ「サイテーだわ作者!」

※言い訳しますと、キャラ付けまでは完成したのですがストーリー構成で行き詰まり断念しました。いずれは書き上げようとは思ってますが、その間に次々と実装されそうで怯える作者なのだった……


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コマーシャル

オフェリア…お前、ひょっこり地面から生えて来ないかの?






「コマーシャル?」

「うん」

 

いつものように書類整理をしていると、広告申請書という物を見かけた。しかも何枚もあるのでアストルフォに聞いてみた所、CMを作りたいという意味と分かった。

 

「このカルデアでは、既に農業プラント・養殖池・工場・薬局・放送局・家電量販店とかいっぱいあるよね?」

「それは知ってる」

「みんなもっと人手と利益が欲しいんだよ。売り上げはカルデアの利益、そして施設の拡張にも繋がるからね!」

「それで広告をねぇ…」

 

確かに、誰の入れ知恵か知らないがこのカルデアは現代社会に似た構図が出来上がっている。今では非番のサーヴァントが鍬を握り、魚を育て、薬を作り、放送を流し、家電を販売している。それほどまでに過剰になったサーヴァントが暇を持て余した挙句に現代人のような社会を生み出したのだ。

 

「やるとしたらカルデアわくわく放送局で放送する事になるか。出来るか?アストルフォ」

「任せて!CMの放送時間も制限を付ける予定だけど…応募数が多過ぎてねぇ…」

 

読んでみるほど、奇っ怪な物ばかりだ。『(株)エルギル通販』・『アストライア製薬』・『(株)エジソン重工』・『クーフー林業』・『ファラオ建設』・『(株)エドモン運送』……あーもうメチャクチャだよ!いつのまにか株式のシステムまで出来上がってるのか!?

 

「会社まで乱立してるとなるとやむを得ないか…許可しよう。放送時間の制限は任せた」

「オッケー!CMにも色々制限を設けるからそこのところは任せてね!」

 

アストルフォ……放送局長になってから随分と頼もしくなったな。

 

********************

 

突然

 

カルデアわくわく放送局には2種類の放送がある。具体的に言うとバラエティ豊かなテレビと、トリスタンの音楽放送やシェヘラザードの読み聞かせコーナーなど耳で味わうものが多いラジオの2つだ。因みにシェヘラザードは読み聞かせの他、落語などにも引っ張りだこで本人曰く、「過労で死んでしまう」らしい。喋れる内はまだ元気なので今後も扱き使え。

また、テレビ番組もすごい種類がある。覚えている限りでも……

 

 

●「かいぞくといっしょ!」(ドレイク船長と黒髭が面白おかしく子供達と体操したり歌ったりする番組。ドレイクは毎度再放送の度に黒歴史と叫んで悶絶しているが、老若男女に人気の番組だったりする。この番組で黒髭の評価が爆上がりした)

 

●「いきもののふしぎ」(ダ・ヴィンチちゃんのナレーションで生き物の生態を教える特に捻りのない教育テレビ)

 

●「連続テレビ小説 キャメロット」(現代日本に転生した円卓組の日常をマーリンの脚色でドラマ化したもの。ハッキリ言って面白くないものの、毎度キッカリ7:15に放送され7:30に終わるので朝食を摂る人にとって時間を図る目安になるという事で取り敢えず視聴する人が多いらしい。マーリンの目の付け所は流石といったところ)

 

●「剣客日誌」(柳生但馬守宗矩が江戸時代を舞台に朝は冴えない旗本・夜は剣客として法で裁けぬ悪を討つ時代劇。高度な技術も紹介されており、剣豪サーヴァント達からの人気が高い)

 

●「नृत्य!」(アルジュナとカルナが織り成す学園友情系ドラマ。お約束のダンスは唐突にねじ込まれる。最近、転校生役でアシュヴァッターマンとカーマが登場し、視聴率が爆上がりしたらしい)

 

●「エミヤごはん」(エミヤ・パールヴァティー・イシュタルが明るく料理を作る番組。ティーン受けしやすい内容で人気も高いが、無自覚で織り成されるラブコメ度が強いので人を選ぶ)

 

●「閻魔亭直伝料理指南」(紅閻魔が自ら撮影している硬派な料理番組。ぎこちない動きが可愛いと好評。料理共々手作り感があっていいらしい。どちらかと言うとやり方はYouTuberに近い)

 

●『メルトリリス・スタァシアター』(サリエリの書いた楽譜を基にメルトリリスが即興で踊る番組。上から目線気味の内容なのでウケは悪いものの、口の悪さに反し芸術的なダンスは人気が高いので視聴率はボチボチ。たまにアマデウスが乱入するが、サリエリが暴走したりアマデウスの無茶振りにメルトリリスが顔芸を披露する等、カオス回として有名)

 

●『エルキドゥくんちゃんとギルガメッシュのウルク通販チャンネル』(そのまんま。ギルガメッシュが考案した発明品や各企業が売りたい商品を通販という形で販売する番組。誇張しているように見えるが、謳い文句通りの性能を発揮してくれる商品ばかりなので人気が高い。放送時間は10分だが、ギルガメッシュ曰く『3分で宣伝出来るからCMにしたい』らしい。毎度エルキドゥのファッションが可愛い)

 

●『ぐだオフェの無茶ぶリズム』(俺とオフェリアが色んな企画にチャレンジする番組。最近の思い出は四川料理満開全席を2人で完食した回だ。オフェリアが許容オーバーで口と鼻からリバースして病院送りになる中、俺が黙々と食べて完食した回なんだけど、それは別としてめっちゃ美味かった)

 

etc……

 

 

等、ものすごく多い。合間の時間をどれだけ割けるかは局長の腕の見せ所だろう。

 

 

「頼んだぞ放送局長〜!俺の代わりにバリバリ働いてくれ〜」

「適材適所だね!うんうん!」

 

 

というわけで、CMを間に挟むという試みが始まった。しかしここで問題がある……CMが入れる番組と入ったらまずい番組がある事だ。例えば、時代劇だとCMが入るとせっかくの空気感が台無しになる事がある……そういったところに留意しながら放送しなければならないのでCMの内容もよく吟味している。

 

「うーん……このCMはこの番組と相性がいいね。教育テレビや子供向け番組にCMは付けたくないからここには入れない……」

「(……頑張れ)」

 

夜通しでCMを吟味する姿を遠くから見ながら俺は夜食を置いて部屋を出た……。

 

 

***************************

 

次の日……

 

『CM放送の御案内』

 

「本日より、カルデアわくわく放送ではCMが合間に放送される事となりました。雰囲気を崩さぬよう吟味しましたのでどうぞよろしくお願いします」

 

 

と書かれた放送がラジオとテレビで流れた。アストルフォ本人からの放送で、いよいよ新しい放送の形に変わっていくんだと俺は実感した。

 

「藤丸、CMって何?」

「お前そこからかよ!?」

「仕方ないじゃない!カルデアに拉致されるまでテレビのテの字も知らなかったんだもん!」

 

というわけで、俺はオフェリアと早速テレビ番組の視聴を始めた。ちょうど朝食なので番組は『連続テレビ小説:キャメロット』だ。さて、どうなる?

 

 

 

「……特に変化無いな」

「ねぇ!アルトリア社長の会社が潰れそうだったんだけど大丈夫!?」

「今回ばっかりは自業自得だからなぁ」

 

因みに今回は、『獅子王が社長を務めるブラック企業を「社長は社員の心が分からない」と言ってトリスタンが辞表を提出し、社員の空気が一変した……』という内容だ。アルトリアがガチ凹みしていたのが痛々しかったが、早々に退職したモードレッドが小さい喫茶店を開いて社員の愚痴を聞いているという視聴者にとって予想外の展開になった事で早速SNSが動いていた。

 

 

「あ、CMが始まったわ!」

「トップバッターは……やっぱあいつらか」

 

 

『エルキドゥくんちゃんと!』

(オレ)の!』

『ウルク通販チャンネル〜!』

 

早速、画面には売り出したい商品を挟むようにギルガメッシュとエルキドゥが立っていた。

 

『今日の連ドラは衝撃的な内容だったね』

『ここからどう巻き返すかは実物ではあるな…そうだ。巻き返すと言えば今日はこの商品を紹介するぞ!』

『DVDデッキだね!分かるとも!』

『このDVDデッキはエジソン重工とBBソリューションズが開発した製品でな、視聴したテレビ番組が終了すると『録画するか否か』と選択画面が出て承認すればAIが先回りして最終話まで自動録画してくれる画期的なシステムだ』

『たった1回のボタン入力で録画できるなんて便利だね!』

『しかも最終話の放送が終わるとAIが“DVDに焼く”かどうか聞いてくる。承認すればなんと!1話から最終話までをまとめて1本のDVDとして焼いてくれるのだ!』

 

『金ピカ〜?私が録画してって言ったビデオ入れた?』

 

『それくらい自分でやれ阿呆!』

『流石は駄女神、ボタンを押すだけでいいのに人頼みとはね』

『おぉっとそろそろ時間だな!それではテレビの皆。今から30分までの受け付けだ。それ以降は受け付けぬからな!フハハハハハ!』

『それではみんな』

『『また見てね〜!!!』』

 

『あぁっ!あんの金ピカ!前の前からずっと頼んでたのに1つも録画してないじゃないの!ムキー!』

『お前が操作するとすぐ壊すからな』

 

 

 

 

「…ポチる」

「オフェリア買うの早ッ!?」

「うるさいわねぇ!私だって一日中流れてくるネジを検品するバイトで疲れてるの!これくらい買わせてよ…」

「そもそもテレビ無いじゃん……いや、今気づいたみたいな顔すんなよ」

 

まぁ、その後もCMは番組の合間に流れたが見事なテンポで挟んでくるので番組の中で起こる緊張感も無い…今回のCMプロジェクトは成功らしい。

 

 




カルデアも一歩間違えれば独自の社会生活が誕生しそうで楽しみだったりする。



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ベリークルシミマス

リハビリがてら投稿。ややシリアス気味で賛否分かれるぞ






「「ベリークルシミマス!」」

 

オフェリアと2人でワイングラスを鳴らし、俺は中に注いだ若いワインを飲み干した。今回は奮発して鶏の丸焼きやラザニア、野菜サラダ、果物ゼリー等…色々と作った。因みにケーキも作ったのだが、完成したショートケーキを運んでいたオフェリアは疲れからか不幸にも物陰から現れたラクシュミー・バーイーと激突して大破させてしまったので没になった。

 

「チクショー!マシュにあんなキモデブの彼氏が居るなんて誰が予想出来るのよー!!!せっかく2人でクリパやろうと思ったのに〜!」

「残念だったな。貴様は俺の暇潰しの手伝いだ。泣いて悦べ」

「喜ぶ訳ないでしょ!…ご飯は美味しいけど」

 

2人ともクリスマスに合わせた赤い衣装を着ているのにどちらもテンションが低いので全然映えない。

 

「キリシュタリア様もいらしたら誘ったのに…」

「嘘付け。誘えないだろ」

「さーそーえーまーす〜!お酒の力は借りるけど!」

「えー?ホントにござるかぁ?」

「藤丸こそ!ブリュンヒルデとシグルドを誘えばよかったのに」

「馬鹿野郎!あの2人はあのままラブラブでいいんだよ!」

 

会話の内容も終始酷いが食事の手だけは止めなかった。

 

「あーあ、暇ねやっぱ」

「お前のネタがあと下しか残ってないからだろ」

「うっさいわ麻婆野郎!あんたこそ話上手いこと繋げなさいよ!」

「…」

「…喧嘩すら続かないとかもう終わってるわね」

「どう考えても無理して入れたクリスマスケーキ作りの夜勤バイトの所為だろ」

「アホくさ。やっぱ誘いましょうよ。どうせ独り身とか言う人くらい居るでしょ」

「そうだな」

 

流石にこのままだとただの夕食会なので誰かを誘おうと独り身と思しきスタッフからサーヴァントまで電話をかけてみたのだが…

 

「なんでみんな用事あるねん!」

「ここまで断られると最早清々しいな」

「もうとことん飲むわよ!負け犬らしくね!」

「はいはい…」

 

全員に断られてしまい、オフェリアもキレ気味に端末をベッドに投げつけた。ワインを飲むペースは早いし、食事を食べるペースも早い…大丈夫か?と心配しつつもまぁオフェリアなのでいいかと諦めて俺は食事を続けた。と、このタイミングで1番デカい爆弾が落とされた。

 

「そういえば…藤丸はブリュンヒルデが好きなんですって?」

「まぁ〜な。初めて呼んだサーヴァントだからな。ハッキリ言って一目惚れだ。あの時は盲目的に愛してしまったし、シグルドの代わりに夫になろうとか本気で思ってたからな」

「うわぁ…重……」

「まぁ結局のところ、シグルドが来て…自分の燃え上がるような恋の炎を踏み消して折り合いを付けたって訳だ。反動で誰も愛せなくなったがな!」

 

ハハハと笑い、俺はワインを呷った。まぁ、あの時はアイドルを追っかけするファンの気持ちが分かったような気がしたよ。アイドルが突然誰かの人になってしまうNTRのようなキュッと胸を締め付けられるようなあの苦痛と向き合って生きなければならない訳だから…

 

「強く生きなさいよ」

「お前は反省が足りないんじゃねぇのか?」

「そうねぇ……は?」

「ところで、俺実は熱々のおでんを作ってたんだけどさ」

「おいバカやめろ!」

 

そんな感じで2人のマスターは笑いあり涙ありでクリスマスを過ごした。余談だが、朝目を覚ますと一緒にベッドで寝ていたのだがごっそり記憶が抜け落ちていたんだとか…




弊カルデアの事情

藤丸…ブリュンヒルデ一筋。失恋の反動で恋愛感情が消え失せ、愉悦属性が付与された。
マシュ…キモデブの彼氏持ち。見た目がアレなだけで実際優しいので非常に関係は良好。
オフェリア…生存ルートを得た代わりにロクな目に合わない。魔眼が通用しない連中ばかりなので最近その存在を忘れかけている。


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帰れませぇん!

タイトルオチです。まぁ、色々詰め込んでます。







「カルデアの皆さんこんばんわ!カルデアわくわく放送局の時間がやって参りました!今回は特別企画『第1回カルデア食堂の人気メニュー全部当てるまで帰れませぇん!』のコーナーだよ☆」

「色々突っ込みどころは多いですが今回はスルーしましょう。そう、風のように」ポロロン

「うー…よりによってトリのお兄さんがゲストだなんてぇ……」

 

以前の椀子そば企画がウケた為か、いつのまにか「カルデアわくわく放送局」が本格的にカルデア内のレギュラー番組となり、司会者のアストルフォは何かと苦労しながらも毎週2回の放送をこなしている。

 

「今回の企画はとっても簡単!厨房係のサーヴァント達が切り盛りしているカルデア食堂の人気メニュー上位10位までを当てるだけ!ただし、その前に料理を戴いてから決めるからお腹の目盛りに注意して食べようね☆」

「おぉ……なんと簡単」ポロロン

「ではメンバーの紹介だよ!そのノリはもはやお笑い芸人!我らがマスター『藤丸立香』と『オフェリア・ファムルソローネ』!」

 

 

「ちょっと!訂正しなさいよ!誰がこんな激辛スキーとコンビ組んだって言ったの!?」

「ところでオフェリア、ヘソ見えてるぞ」

「え……?嘘!?」

 

 

「……続いて!今回呼び止められたからというしょーもない理由で強制参加!『虞美人』ことぐっちゃん!」

 

 

「逆ゥ!虞美人が名前(?)よ私!?」

 

 

「そして今回、唯一の良心となり得るか!?『カドック・ゼムルプス』君!の以上4名!」

 

 

「……胃薬くれ…誰か……」

 

 

「さぁ!早速ゲーム開始!……と行きたい所だけど一旦CM挟みまーす!」

「……ところでそこのマダム、後で私と一ぱ──ゴハァッ!?」

「虞を口説くとは…“愚”の骨頂」クワッ

「項羽様、スベっております」

 

 

──

 

『エルキドゥくんちゃんと!』

(オレ)の!』

『『ウルク通販チャンネル〜!』』

『このコーナーでは雑種共に我がありがた〜い限定商品を有償で提供する!ありがたく思うがいい!』

『ところでギル…最近服の匂いが取れないんだ』すんすん

『フハハハハ!そういう時はこの《ギルガメッシュ印の消臭スプレー》がオススメだ!この商品は現在進行形で感じる嫌なニオイに有効である事に加え、これから臭うであろう嫌なニオイの予防にもなる消臭スプレーである!これはおトクだな!』

『試しにそこに居る駄女神にシュッシュ……うん、いいニオイ!』

 

『ちょっと!私に消臭スプレーかけないでよ!せっかくの香水が台無しじゃない!』

 

『フハハハハ!!!早速効果覿面だなァ!』

『もし欲しいと思った方はこちらの電話番号にお電話ください。』

『良いか?放送開始から30分以内だからな!それ以降は受け付けんぞ!』

 

 

──

 

「さて、CMも終わったしそろそろ準備も終わったっぽいよ」

「トリスタン卿が搬送されたので代理人として拙が参加しています」

「グレイちゃんもよろしく♪ところでアッド君は?」

「技術班に解剖されてます」

「…………さぁ!参加者のみんな!準備はいい?」

 

 

 

 

「ん?」麻婆豆腐を食べさせようとしている途中

「え?」麻婆豆腐を食べさせられそうで抵抗している最中

「は?」項羽と会話中

「あ?」ヘッドホンを被っていたので聞こえなかった

 

 

「みんなやる気出そうよ〜!特にマスターはもう食べてるし!」

「あの……こんな調子で大丈夫なのでしょうか?」

「大体上手く行くし寧ろ今までよりはマシだから全然オッケー!じゃあメニュー表を渡してゲームスタート!」

 

 

 

「藤丸、ところでカルデア食堂の名物って何かあるの?なんか広辞苑みたいな厚さなんだけどこれ……」

「そもそもグランドメニューが全世界の料理図鑑と化してるから分からん」

「えー……」

 

そんな事を言われても日替わりで頼むと毎日違う食事が出るから答えようがない。

 

「じゃあ、試しに…グラタンとかどう?」

「お前達の勝手にしろ」

「無難な線だな」

「麻婆豆腐じゃないの?」

「「「それは無い!!!」」」

 

 

 

一品目…グラタン

 

「待たせたな。グラタンだ。我々も日替わりで作っているので比較的多めに入れていた具を選んだつもりだ」

「ありがとうエミヤ。じゃあみんなで食うか!」

 

試食中……

 

「めっちゃ美味かった…」

「しょっぱくなく薄くなくの絶妙な組み合わせね」

「具はマカロニと海老、ブロッコリーが多かったのか…」

 

絶品のグラタンを4人で分けて食べる中、順位に入っているかを決める会議が始まった。

 

「入ってるでしょ」

「ドリアって線は無いか?」

「話を拗らせないでカドック!」

「長期戦は厳しい…定番で攻めるのが吉だと思うわよ」

 

「それでは、グラタンは10位以内に入っている?でいいかな?」

「あぁ!グラタンは10位以内に入っているだ!」

 

アストルフォがその言葉を聞いた後、デデデデデ…デデン!と持ち込みの小太鼓を鳴らしてから口を開いた。

 

「大正解!グラタンは8位だよ☆」

「8位なのですか?拙は五本指に入る料理と思いましたが……」

「実は子供からの注文が中心だから全体で見ると順位はそれほど高くないんだ…とはエミヤ談。さて!次行ってみよ〜!」

 

 

────

 

「次は何だと思う?」

「俺はナポリタンだと思う」

「ナポリタン!?あのパスタもどきの?」

「いや…あの口煩いカエサルが無言で食ってたから美味い可能性がある。ローマ人の口に合うんなら高順位もあり得るんじゃないか?」

「それには反対だ。リスクが大きすぎる……僕ならカレーライスを選ぶ」

「カレーにする?」

「カレーにするか……じゃあカレーお願いします!」

 

 

二品目……カレーライス

 

「大変遺憾ですが、カレーライスです!味付けは中辛にしてますのでどうぞ!」

「あー……パールさんはインド出身だもんな」

「どういう事?」

「インドにおけるカレーっていう言葉は、実は外来語なんだ。インドの人たちにとって、香辛料を使った煮込み料理は数多くあって、それぞれをそれぞれの料理名で呼ぶんだ」

「そうなの!?」

「カレーの語源には諸説あるけど、タミル語で食事を意味する『kaRi』という説が有力らしい」

「じゃあカレーって名前の料理はインドには無いのね」

「そういう事。カレー粉の発祥もイギリスだし、今のカレーの原型もイギリスが発祥なんだ。正確には小麦粉を混ぜたルーをご飯の上に乗せたカレーライスは日本なんだけどね」

「ふーん…そんな事より早く食べたいんだけど」

「悪い悪い。じゃあ食うか」

 

試食中……

 

「めっちゃ美味い(語彙力崩壊)」

「ヒナコが壊れた」

「隠し味を入れると美味しくなるとはよく言うけど何を入れたの?」

「カルデア食堂では蜂蜜・白桃・ヨーグルト・チョコレートを入れています。複雑な味がしますよね…」

「うん、確かにインデ○ンの味に近い」

「唐突の道産子発言!?」

「あれは魂の味だぞ。持ち帰りしたい時に鍋持って行ったらそれに入れてくれる親切サービスもある」

「話脱線してる!」

 

「それじゃあ、カレーライスは10位以内に入っている!って事でいいかな?」

「お願いします」

 

アストルフォがその言葉を聞いた後、デデデデデ…デデン!と持ち込みの小太鼓を鳴らしてから口を開いた。

 

「大正解!カレーライスは3位だよ☆」

「やはりカレーライスは神でしたか……」

「一旦CMを挟みます」

 

 

────

 

『はぁっ……!はぁっ……!疲れましたわ……例のドリンクでも飲もうかしら』

 

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『美味しいですわ!もう一杯!』

 

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────

 

(フハハハハ!順調に売れているぞ親友ゥ!)

 

「CM終了!英雄王より短いけどインパクトが足りないね」

「イシュタルさんを弄った方が購買意欲が増すのでは…と拙は思うのですが…」

「毒舌ゥ!」

 

 

 

「あいつら何やってんだよ……」

「まぁいいでしょ。そんな事より早く当てて帰りましょ」

「次は何にする?」

「鉄板のハンバーグで」

「いや、ハンバーガーだろ」

「ハンバーガーは食堂の売り物じゃないんだぞ」

「マジでか」

「ジャンクフードはカルデア食堂とは別の『Cosmos Junk』の商品だ。神出鬼没に現れてはフーポリ激怒(げきおこ)案件なジャンクフードを売り捌いてる謎の組織の売り物なんだ。取り締まろうにも需要がある限り禁止も出来ないからどうしようもない……」

「Cosmos Junk……一体どんな組織なんだ…」

 

 

 

 

 

「へっくち!あ"ッ!腰がッ!ピキッとキテしまった!!!」

「共犯者よ、今は休むがいい…」

「毎日ハンバーガー用のパン生地を捏ね続け遂に腰が逝ったか…」

 

 

 

 

三品目……ハンバーグ

 

「お待たせ〜♪今回はおねーさん奮発して花丸ハンバーグにしちゃったゾ☆」

「ありがとうブーディカ。よし、先に黄身割る?」

「割っていいわよ〜」

 

試食中……

 

「切った瞬間から肉汁が出るイメージだったけど完全に肉汁が閉じ込められてるんだな。なるほど、そういう調理方法もアリか」

「ん〜♪」

「これは問答無用で1位だろ!」

 

「それじゃあ、ハンバーグは10位以内に入っている!って事でいいかな?」

「お願いします」

 

アストルフォがその言葉を聞いた後、デデデデデ…デデン!と持ち込みの小太鼓を鳴らしてから口を開いた。

 

「正解!ハンバーグは7位!」

「流石ですね、拙も食べていいでしょうか?」

 

ここまでは順調だった。そう、ここまでは……

 

──

 

四品目……シチュー

 

「シチューは11位!不正解!」

「は!?」←カドック

 

 

五品目……サンドイッチ

 

「サンドイッチは20位!不正解!」

「なんでやねん!?」←オフェリア

 

 

六品目……ナポリタン

 

「ナポリタンは9位!正解!」

「ほらみろ」←藤丸

 

 

七品目……かに玉

 

「かに玉は13位!不正解!」

「嘘だッ!」←虞美人

 

 

 

******************

 

「藤丸ゥ!もうキツイわ私!」

「しっかりしろよぐっちゃん。カドックですら脂汗掻きながらもまだ食べてるんだぞ!」

「僕もう試合放棄していいか?」

「ダメよカドック!貴方が居なくなったら藤丸の暴走を誰にも止められないわ!具体的に言うとずっと四川料理オンリーになるから!」

 

だいぶ泥沼化してきた上に少食のメンバーが半分を占める現状ではこの企画は正直かなりキツい。自爆は禁止の為、ぐっちゃんはほぼ役に立たない。

 

「次の注文何にする?決めないなら麻婆豆腐に──」

「次はマルゲリータじゃないかなと思うの!そうでしょカドック?」

「え?あ、そうだね。確かにピッツァならあり得そうだ」

「いいわよね藤丸?」

「ちぇっ……」

 

 

八品目……マルゲリータ

 

「マルゲリータお待たせ。引き続きあたしが作ったわ」

「ありがとう。美味そうだな……」

「シンプルにトマト・バジル・チーズっていうのが好感持てるわ」

 

大分お腹がキツくなってきたメンバーは明らかにノロノロとした動きで料理を食べた。それでも美味しい事には変わらない。なんとか飲み込んだ俺達は順位を決める事にした。

 

「入ってる」

「入ってるでしょ」

「ちょっと待てよお前ら、満腹だからって適当過ぎないか?確実に当てに行かないとまた食うんだぞ」

「って言ってもこれ以上思いつかないわよ!」

 

 

 

「それじゃあ、マルゲリータは10位以内に入っている!って事でいいかな?」

「お願いします」

 

アストルフォがその言葉を聞いた後、デデデデデ…デデン!と持ち込みの小太鼓を鳴らしてから口を開いた。

 

「正解!マルゲリータは10位!」

「危なかったですね。しかし、藤丸とオフェリアさんを除いた2人は既に死に体。使えそうにないです」

「じゃあ次行ってみようか!絶対にギブは許さないよ♪」

 

 

 

 

「じゃあどうする?」

「ここは俺に任せてくれないか?」

 

ここで俺は勝負をかける事にした。どうせ麻婆豆腐だろうと思っているだろうが今回は当てに行くぞ。

 

「ひよこ豆のスープだ」

「……はい?」

「…スープ?」

「いいから俺の言う言葉を信じてみろ」

 

 

 

九品名……ひよこ豆のスープ

 

「ふむ、流石は食堂で決まった席に陣取るマスターだ。このゲームの本質的な欠陥に気づいていたか」

「そういえばアーラシュと同席した時に言っていた言葉を思い出してね。これなら当たりだ」

 

ひよこ豆とあっさり目の野菜の入ったスープ…アーラシュと同席した時に彼が注文していた料理だ。これを選んだのには訳がある。

 

「あ……。これ、あっさりしてて食べやすいわね」

「ふーん……今までの料理とは全く違う味ね。こんなのがウケるの?」

「アストルフォ、俺は確信している。この料理は五本指に入っている!」

「ちょっ!?待てよ藤丸!五本指って……既に三位と五位は決まって───」

 

 

 

「正解!ひよこ豆のスープは1位!」

「嘘ォ!?」

「え……?これが1位なのですか?」

 

 

ひよこ豆のスープが1位になるのにはあるカラクリが存在する。それは、アーラシュが好んで食べる料理である事…そして、ムスリムにとってこのスープこそが重要な料理である事だ。

 

「ムスリムにはラマダンという断食月がある。1ヶ月間日の出ている時は飲食しない月だ」

「……それは知ってるわ。でもそれと何が関係してるの?」

「断食月は日の出ていない時に食事をするんだけど、日が昇るまでのギリギリまで食事を摂るケースが多い。そこで喉を潤し十分な栄養を満たせるのがこのスープだった」

「!」

「さらにカルデアにはムスリムが多い。加えて、子供や老人など弱い者には日の出ている間にも食事が許されている。出前で時々厨房係がハサン達のグループが暮らす区画に行くのはそういった人達に食事を供給する為だ。全員が熟練しているとはいえ、体の弱い者も中にはいる……」

「話が見えてきたわ…百貌のハサンはこのカルデアではバラバラの個体として存在しているから必然的に注文の割合が増える。しかも、断食月の食事の必須品となっているから固定客がいる……それが1位になった理由という事ね」

「そういう事だ。おまけにムスリムにとってアーラシュは流行の発信源と同意義。アーラシュがひよこ豆のスープが好きだったからそれに倣って食べた事も決定的と言えるだろう。単純に美味しいから飲む人も多いって言うのも及第点ってとこだな」

「……よく分かんないけど1番の難関を突破できたって事ね」

 

1位はゲット出来た。だが、後の順位は分からない。ハサン達が共通して食べていたのがひよこ豆のスープというだけで、他は確信までに至っていない。

 

「次はどうする?」

「ケバブとかどう?」

「携帯出来る料理は全部Cosmos Junkの商品」

「マジかよ最悪だなCosmos Junk」

「よし、食べそうな物選ぼう!和食定食とか日本出身なら食べるだろ」

「えー…味噌汁〜?こんな色々食べられるのに味噌汁はね〜」

「よし藤丸、ヒナコを麻婆豆腐の刑に処して」

「おいバカやめろ」

 

 

「えー……番組の途中だけどニュースが入ってきたよ!……何々…『行方不明の貼り紙が出されていました、アレキサンダー君とナーサリー・ライムちゃんが無事保護され、マシュ・キリエライト容疑者とアタランテ容疑者が誘拐の罪で現行犯逮捕されました。容疑者は事件について、“お菓子やアイスティーを食べさせ獣のような眼光でその様子を眺めていたが、まだ手は出していない”等と供述しており、カルデア警察が詳しい捜査を進めています』だってさ」

「控えめに言って最低ですね。『触れたら転倒!』で1ヶ月程脚を没収しては?」

「エグい事言うね!?」

 

 

 

 

 

「ひでぶっ!?」(麻婆豆腐を食わされ爆散)

「た…わ…ばぁ……」(麻婆豆腐を食わされオーバースペック)

 

「さて、麻婆豆腐で調子を取り戻したし和食定食を頼むとしよう」

「藤丸!?今なんとか羅漢撃とか叫びながら貫手を繰り出した後、中華組2人の動きを止めた技は何!?すごく怖いんだけど!?」

「細かい事はいいんだよ。さっさと食べようぜ」

「……見なかった事にしよう」

 

 

 

十品目…和食定食

 

「和食定食だ。腹に重いかもしれないが……ついて来られるか?」

「当然さ」

「白米・味噌汁・おひたし・焼き魚か…シンプルでいいわね」

 

さっさと料理をお腹に入れた俺達の快進撃が始まった。中華夫妻は動けないので3人で協力して食べる事にする。

 

「正解!和食定食は4位だよ♪」

「ダイエットコースの減塩メニューの定番ですので、当然ですね」

「よし!よし!よし!」

「良い流れが来てる!」

「次は…オムライスとかどうだ?子供からティーンまで人気みたいだし」

「オムライス私も食べたい!」

 

 

 

十一品目…オムライス

 

「今流行りのふわとろオムライスというものを作ってみたぞ。さぁ食べるがいい!」

 

タマモキャットの手で生み出された柔らかそうなオムライスがやって来た。

 

「ん〜♪とろっとしてて美味しい!」

「中に入ってるチキンライスの味付けも悪くないな」

「ふーん…スフレオムにしてるのか」

 

結果は2位、これも上手くいった。後は5位と6位を当てるだけ。3人の思いは1つ、この窮地を脱するだけだ。

 

「次は何だと思う?」

「もっと初歩的な所に落とし穴があるはずだ」

「トーストじゃない?」

「エジソンがやたらゴリ押ししてるモーニングセットか」

「なんか注文したら好みのオプションが付くらしいわね」

「よし、頼むか」

 

 

十二品目…モーニングセット

 

「HAHAHA!ついに私が考案したメニューに興味を持ってくれたか!今回は私が!好みの焼き加減通りにパンを焼いておいたぞ。“直流”でな!」

「そこ大事なんだ」

 

俺は小倉トーストセット、オフェリアはシンプルなバタートースト、カドックはハニートーストを注文し、それぞれの前に注文のオプションが置かれた。1人1枚は譲れなかったらしい。

 

「アンコとトーストって合うの?」

「食ってみ」

「……イケるわねコレ」

「マジかよ、今度試してみる」

 

昔食べさせられた小倉トーストを思い出しながら俺達はモーニングセットを完食した。結果は5位だった。あとは6位を当てるのみ。

 

「よし、ここまでは上手くいっている」

「でもこんなに大量のメニュー表があるのよ?どうやってそこから5位だけ狙い撃つのよ…」

「「「……」」」

 

「ジャンケンで決めるぞ。勝った奴直感を信じて注文しろ」

「はぁ!?無理だよ!」

「待ってこれ全力で藤丸を阻止しないとヤバい奴じゃない!?」

「もう後には引けないぞ。行くぞ!じゃんけん─」

「ちょっ待っ…」

 

藤丸:グー

オフェリア:パー

カドック:グー

 

「か…勝った?」

「いいからさっさと注文しろ」

「…じゃあ、炒飯で」

 

********************

 

十三品目…炒飯

 

「よくここまで辿り着いたな少年少女達よ!私がラスボスだ!」

「SSF!」

 

何故か道着を纏い竹刀を担ぎながら炒飯を出してきたジャガーマンに思わず口から言いたい事がこぼれ落ちた。

 

「勢いで炒飯って言っちゃったけど当たってるのかしら…?」

「当たってなかったら次強制的に麻婆豆腐な」

「ひぃっ!?」

 

さて、肝心の炒飯だが…パラパラとした感じで中々に美味しそう。具も卵・肉・ニンジン・ピーマン・アクセントとしてカニカマを入れており、実際に食べても美味しかった。

 

「今度頼んでみるかな」

「庶民的な味ね」

「オフェリアはご馳走食い過ぎだかんな。捕虜の癖に堂々とアフタヌーンティー楽しんでるしな」

「お願いそれだけは勘弁してください。大事な息抜きなので!」

「…今度作ってみるか」

 

「それじゃあ、炒飯は6位に入っている!って事でいいかな?」

「お願いします」

 

アストルフォがその言葉を聞いた後、デデデデデ…デデン!と持ち込みの小太鼓を鳴らしてから口を開いた。

 

「残念〜、炒飯は18位!」

「いやそこは当たる流れでしょ!?」

「残念だったな少女よ、実はただの中間管理職だ!」

「SSF!」

 

******************

 

十四品目…藤丸特製麻婆豆腐

 

 

「お・ま・た・せ」

「いやぁああああああああ!死にたくなぃいいいいい!!!」

「この鬼畜生!覚えてろよ!僕が食べ切ったら砂糖漬けにしてやるからな!」

 

一切手を加えずその調理法を守って作られた「泰山名物激辛麻婆豆腐」が2人の前に置かれると、各々に怨嗟の叫び声をあげた。

 

「じゃあ全ての食べ物に感謝していただきます!」

「藤丸〜?ここは半分の量で手を打たないかしら?実は借り物の食べ過ぎで痔になっちゃって〜…」

「そういう時はハイ◯オールCだぞ」

「確かに謳い文句は痔に聞こえるけどさ!?」

「分かる嘘は吐くな〜、じゃあいただきます!」

 

という訳でスタッフ共々顔を顰める中、最高の時間を味わう事にした。

 

 

 

「ゲホッ…ゲホッ……もうダメ…」

「ごめん…アナスタシア……」

 

結局2人ともひっくり返ったので残った分を完食。水を一杯飲みながらアストルフォの言葉を待った。

 

「うん、なんでマスターが麻婆豆腐をゴリ押ししたか知ってるよ」

「当然さ。伊達に毎日食ってないからな。番組終わったら残り食お…っと」

 

 

 

「結局…麻婆オチ…なのね……ガクリ」

 

 

※6位は麻婆豆腐でした。




会社に直談判して待遇改善を勝ち取り、少しずつリハビリ中の作者です。出世は絶望的になりましたが、プレッシャーが無くなって却って楽になりました(笑)

以上!報告終わりッ!正月の新規キャラにオフェリア来ないかな…


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貝に酢

色々あって時間ができましたので久しぶりの投稿です。カイニス…お前素質がありそうだな(フラグ)


「ハッ、オレが簡単に秘密なんて吐くかよ」

 

サーヴァント捕縛術で以ってカイニスを鹵獲した俺は、下劣な笑みを浮かべながらメイヴから借りた鞭を弄った。うーんデジャヴ。

 

「言っとくが、鞭打ちなんざぁオレには効かないぜ。この無敵の体にはそんなぬるい拷問は通用しねぇぞ」

「知ってる。だから──」

 

良いタイミングで玉藻の前がカイニスに約束の呪術を浴びせ、用が済んだのでさっさと退出した。

 

「あ?何をした」

「まぁまぁ。後は俺のぬる〜い拷問を味わってもらうからな。せいぜい吠えてろ」

 

ちょうどよくモードレッドが七輪を運び、炭に火をつけた。長尾さんもやって来て背負った籠から食材を次々と取り出し、徳利の酒を飲みながら仕掛けるタイミングを待っていた。

 

「?」

 

?マークを浮かべてその様子を眺めるカイニスだったが、間もなく良い感じの炭火が出来、モードレッドと長尾さんはワクワクしながら用意したソレを並べ始めた。そう…

 

養殖場で育てたプリップリの大きな牡蠣を。

 

「じゃあ腹減ったし飯食うか」

「よっしゃあ!」

「待ってました!」

「ハァ?お前らのマスターは馬鹿なのか?」

 

カイニスの罵声は無視して早速料理を始めた。まずは網の上に牡蠣を並べて焼く!ただそれだけ。その間にカボスを搾り、バターを小さく切り、焼けるのを待つ。間もなく貝のエキスが煮え、貝特有の濃厚な香りが漂ってきた。

 

 

ぐぅ〜………

 

 

「…っ!?」

「ほらほらぁ、いい匂いがしてきただろぉ?」

「馬鹿な…!神霊であるこのオレが…腹を空かせる……だと…!?」

 

そう、玉藻の前がかけた呪術とは「腹が減ってくる」呪いである。神霊になった為に久しく忘れていた空腹感が、カイニスに容赦無く纏わり付き始めたのである。ついに……

 

 

パァン!………

 

 

と、牡蠣が開いた。こちらは事前に用意したバリケードが守ってくれたので無事だったが、元々露出面積の多いカイニスには容赦無く煮えたぎった汁が飛んだ。

 

「熱ッッァァァアアアアアア!?」

「おぉぉおおおお!遂に焼けたなマスター!」

「くーっ!早く食べたいですよマスター!」

「まぁまぁ、こう言う時は焦らずな」

 

ギャーギャー騒ぐ神霊はガン無視して俺達は牡蠣にそれぞれ入れたい調味料を入れ、再び七輪に戻す。俺はバター醤油、モードレッドはカボス、長尾さんは自分で調合した塩を入れた。カイニスはというと…容赦無く感じる空腹に苦しみながらもその様を見せ付けられていた。

 

「よーし、縮み始める前に回収してっと…」

 

軍手でしっかりと牡蠣を回収してから紙皿の上に牡蠣を乗せ、次の牡蠣も並べてから手を合わせた。

 

「「「いただきます!」」」

「!?」

 

そして目の前で食べる!それだけ。

 

「うめぇ…!この濃厚な牡蠣の味…ブリテンに居た頃を思い出すぜ!確か小さい頃に海に潜って食ったんだっけ?あれは旨かったぁ…」

「そういやイギリスも牡蠣が美味いんだってな。いつか観光に行くかな」

「んー!濃厚な牡蠣の味が酒に合う!あはははは!」

 

ひたすらに牡蠣を褒めちぎりながら牡蠣を喰らう。それがこの拷問の特徴である。

 

「クゥウウウウウウウウウウウウウウウ!やめろやめろやめろ!!!オレにこれ以上良い匂いを嗅がせるなぁぁあああああ!!!」

「ポン酢もうめぇな」

「カイニスだけに?あはははは!」

「オメェは笑い過ぎだ!」

「クソがぁああああああああああああ!!!」

「焼き牡蠣ってのはいいな。この塩気!このミルクみてぇな旨味!養殖した甲斐があったぜ!」

「貝だけに?」

「「「あっははははははは!!!」」」

「…ぅぅ」

 

空腹と牡蠣の美味そうな姿に流石の神霊もごっそりと理性を削られていた。それもそのはず、その呪いは急激にサーヴァントから魔力を消費させ、空腹として魔力欠乏状態を表現させているのだ。そしてカルデアからは現界できるギリギリの分量でエネルギーを供給し続ける…つまり、極限の飢餓状態にあるという訳だ。

 

「(食べたい…食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい食べたい!!!)」

「あ?なんだその目は、ん?食いたいってか?神霊の癖にクソザコ人間の飯が食いたいんだぁ〜?」

「……」

「じゃあ土下座してこんな事言えば食わせてやるよ」

 

そして彼女に屈辱的な言葉を話すようにと耳打ちしてから、改めて牡蠣に舌鼓を打った。これは拷問だ。贅を尽くした飯を食いながら敵から戦意を奪う作戦なのだ。

 

「にしてもうめぇな」

「貝毒が出ないように新しい飼料を用意したんだってな。おかげでノーリスクで食える。こいつぁ極楽だ」

「海のミルクと言われるだけはありますにゃあ…ひっく」

 

飲んで食べて騒いで贅を満喫する一方…カイニスは半泣きになっていた。今まで彼女も屈辱的な行為を受けた事が2度あった。だが、この拷問は人間だった過去を持つカイニスにとって最も屈辱的で原始的な苦痛だった。

 

「やだやだやだぁ…おれも食べたいよぉ……」

「あ?なんか言ったか?」

「…ハッ!?ち、ちげぇ!なんでもねぇよ…なんでも…な…い……」

 

喋るだけでエネルギーをごっそり持っていかれ、四肢の全てが上手く動かない程に弱り切ってしまったカイニスは唯一の拠り所であるちっぽけなプライドに縋って生きている状態だった。だが、それも長くないだろう。

 

「痩せ我慢はやめなって。な?俺もよ、ホントは食わせたいんだぜ?でもよ…そうやって反抗的な態度ばっか取ってるようじゃ食わせられねぇんだよ。な?分かるだろ?」

「ぅぅぅぅぅぅぅう!」

 

うわぁ…かーちゃんと同じレベルの畜生だぜアイツ…とか言う声が飛んできたがそれをスルーして俺は牡蠣の貝殻でカイニスの頬をツンツンと突いた。

 

「じゃあ、そろそろお開きにするかな。残念だ…お前もこっち側に来てくれると信じていたんだがね…」

 

そう冷酷に告げて牡蠣の貝殻を手で弄びながらバリケードの向こうに戻ろうとした時だった。

 

 

「…です……」

「あ?」

 

カイニスは涙をポロポロ流しながら残りの力を振り絞って叫んだ。

 

「“私はダニにも劣る神霊の面汚しです!どうかこんなゴミクズの私に人間様の温かい御飯を分けてください!お願いします!もう反抗もしません!忠実な雌犬になりますからどうか…どうかご慈悲をくださいぃいいいいいいいいいいいいい!!!“」

 

プライドをかなぐり捨て、絶叫するように屈辱的な言葉を叫んだ。後からくる後悔ですすり泣くカイニスだったが、ここまで心をへし折れば充分だろう。俺もちょっとやり過ぎたかなとは思っているが、北欧でやられた分はキッチリやり返した。うん、スッキリ(ゲス顔)

 

「よく言えました。さぁ、行け!たらふく食え!」

 

俺はカイニスを拘束していた縄を緩めた。その途端に彼女は這うように七輪の方に向かった。

 

「よっ、歓迎するぜ新人」

「よろしく〜♪」

 

そして、2人から牡蠣とスプーンを受け取ると、カイニスは一気にそれを口に放り込んだ。口の中が焼けるように熱くなるのを無視して牡蠣を咀嚼して…呑み込んだ。

 

「美味い……!」

「よーし、新人の為に牡蠣増量するぞ!どうせ人工埠頭管理のバイトサボってるオフェリアも連れて来い!」

「待ってました!」

「よし!あいつにまたイタズラ仕掛けるぞ!」

「……お前ら、クリプターへの扱いどうなってんだよ」

 

10分後、牡蠣祭りをやっていると聞いてバイトを中抜けし、ついでにバケツ一杯の牡蠣を手に駆けつけたオフェリアを交えて例の如く祭りを始めた。長尾さんイチオシの酒で酔っ払ったカイニスがベラベラ機密情報を漏らしてくれたおかげで労力の甲斐はあったと俺は牡蠣から出てきたエキスを飲みながら満足げに眺めていた。

 

 

余談だが、1時間後にバイトをサボった事がバレたオフェリアは休日返上で廊下掃除をする羽目になるのだった…。




マシュ「先輩!牡蠣が食べられると聞きました!」
ぐだ「いや…もう食べ終わったぞ。あ、貝の殻を加工して石鹸を作ったんだが、要る?」
マシュ「要らないです!」


※後日、石鹸はオフェリアを転ばせる為に再利用されました。


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恐れていた麻婆の復活!

約1年ぶりのオフェ虐です。稚拙な文章ですがオフェリア概念礼装の実装という事でいてもたっても居られず…







「ストップ!タンマ!朝起きたらなんで椅子に縛られてるの!?はやらせコラー!はやらせコラー!」

「もう抵抗しても無駄だぞ」

 

抵抗するオフェリアを簀巻にした後、椅子に縛り付けた俺は会心の笑みを浮かべた。当然ながら手元にはグツグツ煮えたぎる自家製土鍋麻婆豆腐が用意されている。

 

「待って!藤丸!1年間ログインしなかったでしょ!?てっきり解放されたって…!」

「オフェリアお前さぁ……」

 

俺はここぞと言わんばかりに概念礼装を見せつけた。

 

「いい顔してるよなぁーオフェリア?『雨雲を越えて』?すっげぇいい顔してるからさぁ〜……こんなん虐めるしかないやん?」

「いいわけないでしょ!待って!最近辛い物食べてないからお腹が優しくなってるの!お願いだからやめてぇえええええええ!!!」

 

今にも死にそうな形相で首をブンブン振り回して抵抗するオフェリア…だが、その前にゆっくりと麻婆豆腐の乗ったテーブルが近付いてくる。

 

「いやぁ〜…ねぇ?あんな澄んだ顔してたら汚したくなるでしょ」

「男の嫉妬は見苦しいわよ!?そんな事したって何の解決にもならないの!OK?」

「残念ながらウチのオフェリアはリアクション芸人なので汚れ仕事の方がお似合いだから」

「酷い!」

「さて、目の前にテーブルを置いた訳だが。暴れたらテーブルが倒れる…麻婆豆腐が台無しになる…そうなったらどうなるか─分かるよなぁ?」

「ぅ……」

 

この段階でオフェリアはじっとりと汗を掻いてガタガタと震えていた。そんな彼女の目の前で俺はレンゲを使い、麻婆豆腐を掬ってゆっくりと顔へ近づけていく。

 

「ソーシャルディスタンス!密です!」

「うるせぇ、ごちゃごちゃ言ってないで食え!」

 

顔を逸らして露骨に抵抗するオフェリアだったが、遂に口へ麻婆豆腐が放り込まれた。全身を突き抜ける熱々の麻婆…“麻”と“辣”が彼女の五臓六腑を蹂躙する。全身から汗を流すが吐き出せば粛清される事を知っていた為、必死になって呑み込んだ。

 

「ごはっ…ごはっ……じぬぅぅぅ………」

「うん、美味しい」

「やっぱり藤丸頭おかしい…」

「なんだとおいっ!!!本気で怒らしちゃったね?俺の事ね?」

「むぐっ……!?ごはっ!ごはっ!」

 

立て続けに麻婆豆腐を突っ込まれ、オフェリアは全身から体液を漏らしてその辛さと痺れに苦しんでいた。

 

「お願いだから待って…ね?話し合えば分かるわ!ね?ね?アッツゥ!!!」

 

ムカついたので頬に熱々になった麻婆豆腐をちょっとぶつけてから口に放り込む。流石に頬は拭いたが、涙目になる姿はやっぱり可愛い。これだよこれ。

 

「これ食べ終わったら次は熱湯に放り込むからな」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛も゛う゛や゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」

 

 

因みに、麻婆豆腐を最後まで食べさせた時点でオフェリアは気絶してしまった為、続きは無しという事にした。まぁ、ほぼ1年ぶりのオフェ虐だからな…やむを得まい。




弊カルデアではオフェリアのサーヴァント化を募集しています。




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食育用麻婆豆腐の作り方

※注意

今回は料理回となりますが、厳密には麻婆豆腐ではないモドキの麻婆豆腐です。コロナ下の中で大変かと思いますので、中華が食べたい時にでも思い出していただければ幸いです。


「どうも、体は麻婆で出来ている…藤丸 立香です」

「藤丸の被害者…オフェリア・ファムルソローネです」

「今回は麻婆豆腐の紹介です。と言っても、なんと山椒と豆豉を入れない!辣油や豆板・甜麺醤を重視した口当たり優しい…鍋とフライパンで作る麻婆豆腐です」

「それ麻婆豆腐じゃないわよね!?…アッツゥ!?」

「お仕置きはこれくらいにして…さて、1つずつ調理をしていきましょう。コンロ2つ分を贅沢に使っていきます…まずは豆腐を300g一口サイズに切ってからお鍋に入れ、浸るくらいまで水を注いで塩をひとつまみ入れて火にかけましょう」

「藤丸ー?どれくらいまで煮たらいいの?」

「“踊るくらい”だな」

「?」

「ある程度まで火が通るとお湯の中でホップするんだ」

「OK、分かったわ」

「じゃあ次に餡を作ろう。餡の材料は以下の通りだ」

 

●餡

・豆板醤(大さじ1)

・甜麺醤(大さじ1)

・おろしニンニク(小さじ1)

・辣油(小さじ1)

 

「これは後で入れるけど、この材料は今混ぜ合わせておく」

「めっちゃ優しい…確実に子供を麻婆豆腐に慣れさせる布石なのでは……?」

「じゃあ本格的に始めるぞ。まず油を引いて温めたフライパンで『ひき肉(100g)』を炒める。しっかり火を通したら火を止めて、先程の餡を入れて再び火をつけて炒めるぞ。ある程度火を通したら水200mlを入れて一旦ストップ」

「藤丸ー?豆腐が全部踊ってるわー」

「ありがとなー…よし。次は踊った豆腐を湯切りしてフライパンの中に入れ煮込む作業だ。この間に味付けをしていくぞ。鶏ガラスープの素少々入れる。小さいパックがいくつも入ったタイプならパック1個分でもいい。胡椒適量…次にオイスターソース小さじ1…酒少々…醤油大さじ1入れて、足りなければ各自調整してくれ」

「嘘みたいに平和…」

 

「よし、次に刻み葱を入れて丁寧に混ぜるぞ。そして、一回火を止めて水溶き片栗粉を作る。片栗粉大さじ2杯に水を入れて混ぜて…まず半分を回すように入れたら火をつけて加熱しつつもう半分を入れ…〆にごま油を垂らしたら……ビギナー向けの麻婆豆腐の完成だ!おめでとう!これでキミも初心者向けの麻婆豆腐が作れるぞ!」

「わぁ…美味しそう♡いただき──」

「オイ!誰が食っていいっつった!?お前は俺と一緒に激辛麻婆豆腐を食べるんだよ!」

「チクショー!!!!!」

 

余談だが、今回作った麻婆豆腐はゴルドルフ所長に献上。オフェリアはトイレで咽び泣いたという…




麻婆豆腐でも水分次第では出来上がりの感じがかなり変わってきます。自分は水分を減らしてトロミを含めてドロっとした麻婆豆腐を作るのが好きなのでなるべく煮込んで水分を飛ばすようにしています。水分をあまり飛ばさないようにするとコンビニ弁当にあるような見た目の麻婆豆腐になります。
また、今回は山椒を使いませんでした。あのピリッとした感じが苦手な人もいるかも思いますので意図的に外しました。


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トリ子「私の名前を言ってみろ」

小ネタ投下です。長編作品を考えてあれこれ考えていますが、その過程の小ネタです。2部6章を完走した記念という側面もあります。









「い、いや…2部6章ネタバレになるから……ぐはっ!」

「キャハハハハ!!!バーカ!」

 

今日も朝麻婆豆腐を終えて食堂を出てみると、自称トリスタンの妖精騎士が男子職員をヒールで踏んで虐めていた。それにしても…全く靡く事なくこの道我が道と言うが如くの振る舞いを続けているあたり中々いい性格をしている。名前は……えーっと、なんだっけ?

 

「そこまでにしておけよ。バンバンジー」

「ちげぇよ!それは蒸し鶏に芝麻醤みたいなゴマのソースをかけた四川料理だろぉ!?」

 

ちゃんと真名で注意した筈だったが、何故か癇癪を起こしてしまった。その隙に男子職員は脱兎の如く逃げ出しており、間接的に助けられたようだった。が、それ以上に自称トリスタンの真名が思い出せない事が1番の問題だった。

 

「え?違った?えーっと…赤パンジー?」

「ちげぇよ!それは『思い出』が花言葉のスミレ科スミレ属の赤い花だろぉ!?」

「ん?おかしいなぁ…名前なんだっけか。バンシィ・ノルン?」

「ちげぇよ!それはユニコーンガンダム2号機のマイナーアップデート機だろぉ!?お前ちゃんとサーヴァントの名前覚えてねぇのかよ!?」

「なんでそんな詳しいんだよ!?」

 

癇癪を起こして激しく足踏みする自称トリスタンはマジギレしているようだが、呪詛返しの護符を所持しているので問題は無い。安心して真名当てに集中できる。しかし…喉の奥から出かかっているので出てこないという不快感は半端なかった。

 

「あ〜、さてはお前!」

「ハッ、ようやく思い出したのかよ。言ってみろよ」

「クランシーだろ!」

「ちげぇよ!それはバイオ7で劇中のネット配信番組『スーワ・ゲーターズ』でカメラマンやってた奴だろぉ!?」

「違ったかー、チクショウ」

「それはこっちのセリフだよ!ちゃんと言えるまで引くに引けなくなっちまったじゃねーか!どうしてくれんだよ!」

 

そっちの事情は知らないが、自称トリスタンは律儀にノッてくれるあたり根はモードレッドと同じくいい子らしい。

 

「あ!分かった!確か…バ?から始まるんだっけ?」

「そうだろ!?なんでそこが覚えられないんだよ!」

「で…確かバルザック的な名前が」

「ちげぇよ!それは19世紀のフランスを代表する小説家オノレ・ド・バルザックだろぉ!?」

 

なんでそこまで詳しいんだ…というツッコミは更なるカオスを生み出すのでギリギリ喉の奥で押し留めた。

 

「頭だけは合ってるから思いついただけ言ってみろよぉ!」

「バ…バー…」

「よし、いいぞ!いい線来てる!」

「パールハーバー」

「ちげぇよ!それはアメリカ合衆国のハワイ州オアフ島にある入り江だろぉ!?しかも頭がパになってるじゃねぇかよオイ!」

「(さっきからなんでそんな詳しいのか誰かツッコミ入れてくれよ!)」

 

フーッ…フーッ…と荒い息をしながらツッコミを入れてくる自称トリスタン。これで掴みかからないあたりまだ理性が残っているらしい。

 

「バー…までは合ってるんだよな?」

「聞くなよ。せめて自分で考える努力をしろよ」

「なに偉ぶってんだよバーバパパ」

「ちげぇよ!それはフランスの絵本作家アネット・チゾンとアメリカの絵本作家タラス・テイラー夫妻が描いた絵本のキャラクターだろぉ!?」

「違うのか……」

「いいか?最後に1回だけチャンスをくれてやる。間違ったらブッ殺す」

 

流石に我慢できなくなったのかラストチャンスと言ってきた。そろそろ当てないと危ないと思っていたところなのでここで当てていきたい。

 

「最後のチャンスだから大ヒントをくれてやる!“バーヴァン”だ。あと数文字入れたら答えになるぞ!言えよ!答えろよ!?」

「バーヴァン…!」

「さぁ、言ってみろ!“赤いカカト”のぉ?」

 

 

「…バーバンク!」

「ちげぇよ!それはアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡の都市だろぉ!?もぉやだぁああああああああ!!!」

 

そして何故かこっちに襲い掛かる事なく泣きながらどこかへ逃げて行った。最後まで名前が分からなかったが一体なんて名前だったか。

 

「わかんねぇ……」

「どうしました?我が夫よ」

「あ、モルガン」

 

その後ろ姿を見送っていると、食堂からモルガンが出てきた。確かさっきまでムキになってアルトリアと大食い競争をしていたようだったが…苦しそうに腹をさすっている様子から負けたらしい。

 

「まさか…あの子を泣かせたのですか?」

「ご、誤解だって!妖精騎士トリスタンの真名が出てこなかったんだよ!」

「全く…我が娘の名前を忘れるとは情けない」

「悪いって…で、なんて名前だっけ?」

 

 

 

 

 

 

 

「バンバンジーです。間違えないように」ドヤァ

「だよなぁ!」

 

 

※モルガン様はバンバンジー大食い競争のためゲシュタルト崩壊しております。実際はちゃんと覚えていますのでご安心ください。




今回は2部6章があまりに美しかったので真名は明かさないようにしました。トリ子はウチの中では妙に雑学が多いツッコミ役で第2のオフェリアになり得るような気がします。


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クソデカ赤ずきん

めちゃくちゃ久しぶりの投稿です。久しぶりに書いたので稚拙な文章かと思いますがお許しください。







昔々、ある所にクソデカい女の子がいました。身長190cm、体重120kgの巨体は可愛いお洋服をパッツパツにしています。

ある時、その女の子のおばあさ──ゲフンゲフン、若くて麗しいお姉様が赤いビロードの布で、女の子のかぶるずきんを作ってくれました。

 

「そら、ルーンで編んだ赤ずきんだ……頭デケェなぁ…痩せてこいよ少しはぁ…」

「も、申し訳ありません///」

 

そのずきんが女の子にとても似合っていたので、みんなは女の子の事を、『赤ずきん』と呼ぶ様になりました……何処かの漫画で見た?恐らく気のせいです。

ある日の事、お母さんは赤ずきんを呼んで言いました。

 

「赤ずきんや、おばあさ──ゲフンゲフン、若くて麗しいお姉様がご病気になってしまったのよ。あの方はお前をとっても可愛がってくださったのだから、お見舞いに行ってあげなさい。きっと、喜んでくださるから」

「はっ!必ずや─じゃなかった。分かりましたわ、お母様」

「それじゃあ、このケーキと、上等なブドウ酒を一本持ってお行き。おば──ゲフンゲフン、若くて麗しいお姉様はこれを食べると元www気wwwにwww……ゴホン、これを食べると元気になるの。暑くならないうちにでかけなさい。行くとき、ちゃんと静かに歩いて、道をそれないのよ。そうしないと転んでビンを割って、おばあさ──若くて麗しいお姉様は何ももらえなくなるからね。部屋に入ったら、お早うございます、と言うのを忘れちゃだめよ。ご挨拶の前にあちこち覗き込んだりしないでね」

 

赤ずきんがおばあさんの所へ一人で行くのは初めての事だったので、お母さんは心配でたまりません…はい!心配でたまりませんですとも!

お母さんには用事があって、一緒に行けないのです…具体的にはこの後別の収録番組があるのでテレビ的にも仕方ないのです!

 

「いいですか、絶対に途中で道草をしてはいけませんよ。それから、オオカミに用心するのですよ。オオカミはどんな悪い事をするかわからないから、話しかけられても知らん顔しているのですよ」

「はい、お母様。大丈夫ですわ」

 

赤ずきんは、お母さんを安心させるように元気良く、

 

「行ってきまーす!」

 

と言い、ドアを上の壁ごと壊しながら元気よく出発するのでした……赤ずきんにはこのセットが小さすぎたのです。

 

 

 

 

 

「………ごめんwwwwww耐え切れないwwwwww」

 

──それはこちらの台詞です。最後まで役を演じ切るようもう少し頑張りましょうね、メイヴさん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーっはははははwwwwwwwwwwwwもう無理wwwwww腹ァ捩れて死んじゃうwwwwwwwwwwww」

「オwwwwwwフェwwwwwwリwwwwwwアwwwwww」

 

テレビを見ながらオフェリアは椅子から転げ落ちて大爆笑していた。かくいう俺も耐え切れずにゲラゲラ笑っていた…

 

『ウチでお芝居でもやろう!』

 

とアストルフォが言い出した事で始まったこの企画は「童話を基に立候補した人に役を演じてもらう」というキチガイぶりで、ジャンケンで決めたとはいえ赤ずきん役にバーゲストが選ばれたのは腹筋に悪過ぎた。しかもナレーションは新人の太公望に依頼したのだが、また彼が冷静にツッコミを入れるのがさらに腹筋にダメージを与えてくる。おばあちゃん役に至ってはスカサハが選ばれるというセンスの塊…アストルフォは果たして生きて帰れるのか?

 

「スキップするだけでセットが揺れるの卑怯過ぎでしょwwwwwwこんなのズルいってwwwwww」

 

オフェリアがまだ爆笑する中、ストーリーは絶賛進行中だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おばあさ─ゲフンゲフン、若くて麗しいお姉様は村から1.5キロ離れた森に住んでいて、赤ずきんが森に入ったちょうどそのとき、狼に会いました。

 

「おい!このチョイス悪意あるだろ!?」(狼役:クー・フーリン)

 

…赤ずきんは狼が悪い獣だと知らなくて、まったく怖がりませんでした…まぁ彼女ならワンパンでしょう。

狼は言いました。

 

「うっす、赤頭巾のねーちゃん。景気はどうよ?」

「ご親切にありがとうございますわ。狼さん…これからおばあさんのところへ行きますの」

「バッ───ゴホン、エプロンには何が入ってるのかな?」

「ケーキとワインですわ。昨日焼きましたの。可哀そうな病気のおばあさんにおいしいものを食べてもらって丈夫になってもらう予定ですわ」

「赤頭巾のねーちゃん、その……婆さんはどこに住んでいるんだ?」(ヤケクソ)

「森をあとたっぷり700メートルいったところ。おばあさんのお家は3本の大きな樫の木の下にありますの。はしばみの木がすぐ下にあるから、きっと分かりますわ」

 

と赤ずきんは答えました。狼はその肉体を見て冷や汗を掻きながらも台本通りに話し始めました。

 

「なんて柔らかそうで若いんだ。なんておいしそうに太ってるんだろう。婆さんよりうまそうだ。おれはうまくやって両方つかまえなくちゃならん」

 

彼は子供にも分かるように口を出して考えました。彼はもう…おしまいですね。狼はしばらく赤ずきんのそばを歩いて、それから言いました。

 

「赤頭巾のねーちゃん、見てごらん、このあたりの花はなんてきれいなんだろうな。周りを見回してごらん。小鳥たちもとてもきれいにさえずっているのに君は聞いてないみたいじゃないか。君は学校へ行くみたいに真面目くさって歩いてんだな。まぁたまにゃ楽してやってきゃいいんだよ!」

 

赤ずきんは目をあげました。太陽の光が木の間からあちこちにおどっていて、きれいな花が一面に生えているのを見ると赤ずきんはパァっと笑顔になりました。

 

「そうですわ!おばあさんに摘んだばかりの花束を持って行けば、それも喜んでくれますわ。まだ早いから今摘んで行けばきっと間に合いますわ!」

 

それで花をさがしに道から森の中へ走って行きました。一本摘むと、もっと向こうにもっときれいな花を花があるように見えてそのあとを追いかけ、だんだん森の奥へ入って行きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クー・フーリン…骨は拾ってやるぞ」

「可哀想にwwwwwwひ〜wwwwww」

「お前笑いすぎだろwww」

 

オフェリアはまだツボに入っているようでゴロゴロ転がりながら爆笑し続けていた。よほどバゲ子のパッツパツ具合が面白いらしい。と、このタイミングでマシュが入ってきた。爆笑している声がうるさいと言っていたが、番組の映像を二度見すると必死に笑いを堪えながらこちらに注意していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ずきんは花を摘んで走り回っていました。たくさん集めてもう持てなくなるとおばあさ──若くて麗しいお姉様のことを思い出し、道を進みました。赤ずきんは家の戸が開いたままになっているのに驚き、部屋に入るととても変な気分になったので、

 

「まあ、今日はとても不安な気持ちだわ。いつもだとおばあさんといるのが好きなのに」

 

と思いました。それもそのはずです…家のあちこちには鮮血が飛び散っていたからです。ランサーが死んだァ!この人でなしィ!!!

 

「おはようございます!」

 

と叫びましたが返事がありませんでした。それで赤ずきんはベッドに行き、カーテンを開けました。そこに顔まで深々と帽子をかぶったおばあさん(?)がいて、とても奇妙に見えました。

 

「まあ、おばあさん、とても耳が大きいわ」

 

と赤ずきんは言いました。

 

「お前の声がよく聞こえるようにだ…」

 

「だけど、おばあさん、とても目が大きいわ。」

 

と赤頭巾は言いました。

 

「お前がよく見えるようにだ」

「だけど、おばあさん、とても手が大きいわ。」

「お前をよく抱けるようにだよ。」

「だけど、おばあさん、おそろしく大きな口よ。」

 

「お前を…よく食えるようにだ!!!」

 

直後、帽子を脱いだその姿はなんと死んだはずの狼(ランサー)でした!しかもオルタの方に変わっています!狼はこう言うか言わないうちに一跳びでベッドから出ると赤ずきんを飲み込んでしまいました。はい、あくまで演出です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっwwwwwwクー・フーリンオルタが妊婦のコスプレしてんのズル過ぎwwwwwwんひぃいいいい〜wwwwww」

「笑い方キモすぎだろwwww」

 

オフェリアの下品過ぎるゲラ笑いに俺も釣られて笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狼は食べ終わると、またベッドに入りとても大きないびきをかき始めました。猟師(が本職のウィリアム・テル)がちょうど家を通りがかり…首を傾げました。

 

「あのご婦人はなんといういびきをかいているんだ。大丈夫か…ちょっと見てみなくては」

 

と言いながら得物のボウガンを担いで部屋に入り、ベッドに来てみると狼が寝ているのが見えました。

 

「お前をここで見つけるとは。この罰当りめ」

 

と猟師は言いました。

 

「お前をずいぶん探したぞ」

 

それから狼を狙って撃とうとしたとき、猟師は周囲の血痕と口元の状態を見てふと思いました。

 

「狼はご婦人を飲み込んだかもしれない…まだ助かるかもしれんな」

 

という気がしてきました。それで撃つのをやめナイフを取り出して眠っている狼の腹を切り開き始めました。ザクザクと2回切ると、赤い頭巾が輝いているのが見え、またザクザクと切りました。すると色々とデカい女の子が飛び出て、

 

「ああ、とても怖かったですわ。狼のお腹の中の暗かったこと!」

 

と叫びました。そのあと、おばあさ─若くて麗しいお姉様も生きて出てきました。

 

「よかった。全員無事なようですな。ではお嬢さん…大きな石を用意してくれないかな?代わりの物を詰めてやらんとな」

 

ところで、赤ずきんは急いで大きな石をとってきて、狼のお腹に詰めました。狼は目が覚めると逃げようとしましたが、石が重すぎて倒れてしまいました。そして、恐る恐る顔を上げると…そこにはニコニコ微笑む若くて麗しいお姉様が……

 

「おいおいおいおい!?待て待て待て!!!それは台本になアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

オルタニキに勝ち目はありません……。

3人は喜びました。猟師は狼の皮(服)を剥ぎ、若くて麗しいお姉様は狼を亀甲縛りにして家に持ち帰りました。そして、赤ずきんが持ってきたケーキを食べ、ワインを飲みましたが、赤ずきんは

 

 

『これからは、お母さんさんがそうしちゃいけないって言ってるとき、一人で道を出て、森へ走っていかないわ。』

 

 

と思いましたとさ。あーもうめちゃくちゃだよ。

 

 

************************

 

「最後の最後までカオス過ぎたわね…」

「バゲ子が最後の最後まで卑怯だったな…」

 

そんな感想を述べながらコーヒーブレイクを終えた俺は、外へ出て口笛を吹きながら廊下を歩いていると…向こうからバーゲストがやって来た。重厚な体を鎧に包んで歩く姿はやはり威圧感がすごい。しかし、そんな彼女は俺を見るなり顔を真っ赤にした。

 

「マ、マスター!?」

「どうしたんだバゲ子?」

「あ…その……もしや、本日の放送を…」

「あー…まぁ、オフェリアと観てた。バゲ子なりに頑張ったんじゃないか?俺は素直に評価したい」

「!!!」

「ところで、赤ずきんやってみてどうだった?」

 

色々思うところはあったもののそれらを全て口の中で噛み砕いてから出した質問にバーゲストは照れ臭そうに答えた。

 

「貴重な体験をさせていただきましたわ。憧れがあったかと言われたらやはり…ありましたので」

「なら良かったじゃないか。これからも粉骨砕身頑張ってくれよ!」

「…はっ!」

 

バーゲストの笑顔に俺も色々言いたい事を我慢して良かったと強く感じ、彼女とはその場で別れてそれぞれにやりたい事へと向かうのだった……余談だが、その日の夜に精魂が抜けたクー・フーリン(オルタ)が発見され、医務室に運ばれたがその後、看護師の追い打ちを受けて死亡が確認されたという…




「レッドフード」からヒントを得て書きました。はい。
パッツパツの服ってなんで笑いを誘うんだろうか…

※太公望のキャラが掴みにくくて某Vの者の探偵っぽくなってしまった事をお詫び申し上げます…



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