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1時間目~櫛田桔梗の時間Ⅰ

 こちらは『綾小路清隆× 櫛田桔梗』の加筆修正版です。


 

「あーもう、なんなのあいつ……っ!?」

 

 高度育成高等学校の女子寮の一室で、女生徒……櫛田桔梗は苛立ち紛れに壁を蹴り飛ばしていた。

 

 その目つきはかなり据わっており、眼光は鋭く荒んでいる。

 

 もしも普段の彼女を知る人間が今の状況を見れば、己の眼を疑う事は間違いない。

 

 彼女は表向き誰とでも仲良くしている善人の優等生として認識されているが、その笑顔の仮面の下には狡猾な本性が隠されている。

 

 そして、その本性を知る人間はなんとしてでも排除したい。それが彼女の最優先事項だった。

 

  櫛田は周囲の信頼を得て優遇される事に異常な程執着しており、その為普段は己の心を押し殺して心優しい少女を演じている。

 

 しかし、その行為は少なくないストレスを彼女の内に溜め込み、そのストレスを言葉として吐き出す事で心身の状態を保っていた。

 

 外部と隔絶されたこの高校であれば、彼女と同じ中学であり、彼女が起こした()()の事を知る女生徒である堀北鈴音さえ排除すれば安心出来ると思っていた。

 

 だが、自身がストレスを吐き出す為に一人罵詈雑言を垂れ流している場面をクラスメイトである綾小路清隆に見られてしまった為、最早堀北を排除するだけでは安心する事は出来なくなっていた。

 

 綾小路には本性が知られた際に強引に胸を触らせて、この事を言いふらしたら彼の指紋が着いた制服を持って警察に突き出すと脅してはいる。

 

 しかしそれからかなりの時間が経過してしまっている現在、綾小路の指紋が残っているかは非常に怪しい所であるし、第一本当にそれが証拠になるかどうかも分からない。

 

 そもそも、胸を触らせて脅した事も半ばパニックになってやってしまった事であり、その脅しが本当に有効だったかどうかは未だ半信半疑である。

 

 その為、堀北だけではなく綾小路も本格的な排除対象として暗躍していた。

 

 だが結果として何をどうやっても綾小路の裏をかく事が出来ず、策は全て潰された上に温情までかけられる始末である。

 

 このままでは、逆に自分が排除される未来もそう遠くない……そんな危機感を、 櫛田は抱いていた。

 

「そもそも、堀北なんかとイチャイチャしてうざったいんだっての!? なに?、私があの女より魅力がないってのっ!? 胸の大きさだって実際に触ったんだから分かってるでしょうに、ムカつく……っ!」

 

  綾小路にストレスを吐露する場面を見られた反省の為、 ストレスの吐露は自室で行うようにしておりポイントを支払って部屋は完全防音にしている。

 

 その為櫛田の声が外に漏れる事はないが……それがなければ周囲に聞こえてもおかしくない声量で 櫛田はそう吐き捨てた。

 

 彼女の脳裏にはいつも一緒に動いている綾小路と堀北の姿が浮かんでおり、その光景を思い返すと自分でも理解出来ない苛立ちが沸き上がって来て壁を思い切り蹴り飛ばした。

 

 荒い息を吐きながら壁に足を押し付ける櫛田の表情は何処か赤みがかっており、仄かに妙な色気が漂っている。

 

 冷静に考えれば彼を排除しようとしている自分と彼と協力関係にある堀北では立場が違うので自分と堀北で彼の態度が異なるのは当然なのだが、今の彼女はそこまで頭が回っていない。

 

 今の彼女はただ、苛立ちのままに思った事を吐き出しているだけで、()()()()()()()()()()()()()という事に、彼女は結局気付いてはいなかった。

 

「……こうなったら……この手だけは、使いたくなかったけど……もう、他に手もないし……覚悟決めるか」

 

 ギリ、と歯を食い縛りながら拳を握り締める櫛田の表情は暗く、眼も据わっている。

 

 しかし、頬に指す赤みが妙に目立ち……瞳も何処か、潤んでいる様子だった。

 

 

「で? 話ってなんだ?  櫛田」

 

 俺、綾小路清隆は開口一番、そう切り出した。

 

 此処は寮の櫛田の部屋である。俺は先程突然櫛田に呼び出され、彼女の部屋に赴いていた。

 

 既に周囲は暗くなっており、男子生徒が女生徒の部屋にいていい時間ではないのだが、此処で断ると後が怖い為に綾小路は渋々ながらこの部屋を訪れていた。

 

 櫛田は一見心優しい少女に見えるが、その裏には平然と人を陥れる悪辣な本性が隠されている。

 

 以前とある一件でその事を知った俺は、今となっては明確に櫛田の排除対象となっている。

 

 そんな彼女からの呼び出しに何の疑念も抱かない程、俺は呑気じゃない。

 

 とうの櫛田は綾小路が部屋に入ってからは終始無言で、何を考えているかは分からない。

 

 普段の優等生モードのままであれば何かしら話しかけて来る筈だが、それがないとなると何かあるのではと勘ぐってしまう。

 

 今まで櫛田は自分の秘密を知る俺や堀北を退学に追い込もうとあれこれ策を弄して来た。

 

 その全てを潰して来た俺であるが、未だ櫛田が俺達の排除を諦めていない事は明白だろう。

 

 櫛田の猜疑心は尋常なものではなく、決して口約束などでは納得出来ないであろう事は確実だ。

 

「……綾小路くん。話があるの」

 

 ずっと黙り込んでいた櫛田が話を切り出した時、彼女の目つきは本性を露わにする時のものになっていた。

 

 普段優し気に開かれている瞳は今は相手を射殺さんばかりの眼光に満ち溢れ、じっと俺を睨みつけている。

 

 今まで彼女が自分からこうして本性を出す事は滅多になく、それだけで尋常な事態ではないと感じ取れた。

 

「……今まで、綾小路くんを排除する為に色々策を練って来たけど……全部、潰されちゃったよね。正直、綾小路くんを舐めてた。やっぱり、実力を隠していたんだよね」

「別にそういうワケじゃないさ。買い被るのは勝手だが、そんな事を言うって事は俺の排除を諦めたって解釈でいいのか?」

 

 無論、そんな事は思っていない。

 

 櫛田の執念深さは充分知っているつもりだし、彼女が自分の秘密を知る者を放置出来る筈もない。

 

 だが、櫛田から返って来たのは予想外の答えだった。

 

「……そうだね。私じゃどう足掻いても綾小路くんに勝てそうにないし、排除するのは無理かな。流石にこれ以上やれば、綾小路くんも私を排除しにかかるよね」

「……それは……」

 

 違う、とは言えなかった。

 

 事実、綾小路は櫛田が今後も一向に自分達の排除を諦めないようであれば、櫛田を退学に追い込む事も考慮に入れていた。

 

 その沈黙を肯定を受け取ったのだろう。櫛田は溜め息を吐きながら、口を開いた。

 

「正直、綾小路くんが本気で私を追い込もうとしたら勝てる気がしないの……けど、だからと言って私の秘密を知ってる綾小路くんを放置する事は出来ない。なら、残る手段は()()()()()()()よね」

 

 櫛田はそう告げると何を思ったのか服のボタンを外し、スルスルと衣服を脱ぎ始めた。

 

 突然の櫛田の行動に俺はぎょっとなり、慌てて制止の言葉を口にしようとして……目の前の光景に、息を呑んだ。

 

 ──櫛田は完全に服を脱ぎ去り、その裸体を俺の前に晒していた。

 

 染み一つない肌は健康的な色香で満ちており、豊満な胸が衣服から解放されてたぷん、と揺れる様子は俺の眼を楽しませた。

 

 櫛田は未だ据わった眼を向けたまま、吐き捨てるように言葉を紡ぐ。

 

「要は、秘密を黙って貰う交換条件としてセフレになるって言ってんの。アンタは私っていう動くオナホールが手に入るし、私はアンタが裏切らないっていう安心を得られる。悪い話じゃない筈だよ。アンタ、時々私の胸を見てたでしょ? そういう事にはそれなりに興味があるんじゃない?」

「う……」

 

 確かに男の生理現象として、ボディタッチや急接近を繰り返して来る優等生モードの櫛田の胸に眼を奪われてしまった事は一度や二度ではない。

 

 

 これだけのスタイルを持ち一見無防備に接近して来る櫛田に劣情を催さない程、俺は男を捨ててはいない。

 

 櫛田をおかずにした事も、ないとは言えないのだ。

 

 現に、櫛田の全裸を見てしまった綾小路の股間は勃起して服の上からでもその膨らみが確認出来てしまっている。

 

 その事はしっかりと、櫛田にもバレてしまっていた。

 

「ほら、私の裸を見て勃起してるのがその証拠じゃない。ヤリたいんでしょう? ならいいじゃない。それともなに? 堀北に操でも立ててるワケ? あの女の事だから、どうせ怖がってヤラせてくれないんでしょ?」

「おい、俺と堀北はそんな関係じゃ……」

「じゃ、やっぱり経験ないんだ? だったらほら、据え膳を食えない理由でもあるっての? アンタみたいな年頃の男子は、年がら年中発情してるようなもんじゃないの?」

 

 櫛田は煮え切らない俺に焦れったくなったのか、そのまま俺に近付いて服に手をかけて来る。

 

 いい加減我慢の限界だった俺はこのまま流れに身を任せてもいいんじゃないかと思い始め、そして……視界の隅に、光るものを見つけた。

 

「……へぇ……成る程、ね……っ!」

「あ……っ!?」

 

 その光の正体を見た俺は一瞬で頭が冴え渡り、その光源に手を伸ばした。

 

 櫛田が遅まきながらも俺の行動に気付いて止めようとするが、既に俺は光源……()()()()()を、その手に掴み取っていた。

 

「やっぱりな。セフレになるって申し出はブラフで、本命はこいつで俺がお前を襲っているように見えるシーンを撮影する事か。今回はちょっと危なかったぞ」

「……あーあ、結局失敗かぁ……ホント、綾小路くんって鋭いよね。まったく、普段どれだけ手を抜いてるのよ。殆ど詐欺の領域じゃない」

 

 仕掛けがバレた櫛田は嘆息し、やれやれと両手を挙げた。

 

 その所為で剥き出しの巨乳が綾小路の前に無防備に晒されるが、意に介する様子もない。

 

「ま、これで今回の策も失敗だろ。もういい加減服着ろよ……流石に眼の毒だぞ」

 

 俺は櫛田の身体を張った策を見破った事で安心し、櫛田の裸体から意図的に眼を逸らしながらそう話した。

 

 こんな美少女の裸を見続けていれば流石に我慢が効かなくなる為、これで櫛田に服を着て貰えば今日の所はこれで終わりだと思っていた。

 

 しかし、そんな俺の魂胆は次の瞬間盛大に裏切られる事になる。

 

「──そんな必要ないよ。だって、それなら()()()()()()()()()()()()なんだから」

「へ……? むぐ……っ!?」

 

 ──今度こそ、俺が度肝を抜かれる番だった。

 

 櫛田はいきなり俺に抱き着くと、頭をがっしりと掴んで唇を重ねた。

 

 女の子の柔らかな唇の感触が、俺の身体を硬直させていた。

 

 俺は身体に密着した櫛田の乳房の感触を感じながら、されるがままに櫛田に口内を蹂躙されていく。

 

 ようやく櫛田が唇を離した時には二人の唇の間に唾液の糸が連なり、その淫らな光景に俺の逸物は更に巨大化してしまっていた。

 

「……元々、この程度の策が通じるなんて思ってなかったんだ。要するに、ダメで元々ってやつ。つまり、セフレになりたいってのは本当なワケ。要は命乞いよ……()()()()()()()()()()()()()()()()()っていうね。騙そうとした矢先で信用するのは難しいだろうから、そのカメラを使って私の裸でもなんでも撮ればいいよ。そうすれば私を脅す弱みを握れるよね」

 

 櫛田はそう投げやりに言うが、その瞳の奥に隠れた企みを看破出来ない程俺は馬鹿じゃない。

 

「馬鹿言え……そんな事したら逆にその写真をお前を脅迫した証拠にして俺を追い詰める気だろ。ハメ撮り写真なんて誰が持つかよ」

「ちぇっ、残念……ま、それなら普通に抱けばいいよ。私は抵抗しないし、この部屋は私がストレスを吐き出す為に完全防音にしてあるから外に音が漏れる事はないよ。あ、言っとくけど処女だからね。誰でも身体を許す軽い女だなんて思わないで欲しいな」

 

 櫛田は完全に開き直っているのか、積極的に俺に胸を押し付けながらそんな事を言って来る。

 

 正直罠にかけられそうになった矢先である為完全に信用する事は難しいが、いい加減俺の理性も我慢の限界になりつつある。

 

 目の前に極上のご馳走があるのに手を出していない状況は、どうしようもなくストレスが溜まる。

 

 正直興味があったのは確かだし、此処まで来れば選択肢なんてあってないようなものだ。

 

「……いいんだな?」

「……うん。もう、私が安心するにはこれしかないから。正直好きでもない男に身体を許すなんて身の毛のよだつ思いだけど、背に腹は代えられないしね」

 

 何処か捨て鉢な櫛田の言葉に俺は溜め息を吐き、やれやれと首を振った。

 

 以前に嫌いだと明言されている以上仕方ないが、少しは夢を持たせてくれてもいいだろうに。

 

「そこは嘘でも『好きだよ』とか言う場面だろ。ま、流石にそれは高望みし過ぎか。そこまで言うんだったら、抱いてやるよ。途中で嫌って言っても、遅いからな」

「もうっ……あぅ……っ!」

 

 俺の言葉に櫛田は微妙に機嫌を損ねた様子を見せたが、俺が 櫛田の乳房を鷲掴みにするとびくん、と身体を強張らせた。

 

 俺は突き立ての餅のような弾力の櫛田の乳房を手でこね回し始めた。

 

「うぁ、おっぱい、吸っちゃ……っ!」

 

 やがて俺はそれだけでは足りなくなり、その巨乳にむしゃぶりついた。

 

 櫛田の胸を吸う度彼女は身体を痙攣させ、秘所から愛液が溢れ出し部屋に女の匂いが充満していく。

 

「さて、と……」

 

 辛抱たまらなくなった俺は服を脱いで全裸になり、自慢の逸物を露わにした。

 

 櫛田は俺のペニスを見て眼を見開き、あからさまに驚いている。まあ、自分でも巨根の類だと自覚はしているから無理もないが。

 

「ちょっ、チンコってこんなに大きいの……っ!? 流石に大き過ぎだって……っ! 本当にこれが、中に入るの……?」

「まあ、入るように出来てるらしいぜ。とにかく、もう我慢が効かないからちょっと失礼させて貰うぞ」

 

 俺はそのまま櫛田に馬乗りになると、その巨乳でペニスを挟み込んだ。

 

 ふわふわの感触が四方八方から俺のペニスを包み込み、天にも昇る心地で腰を動かし始める。

 

「うわ、私のおっぱいの中を綾小路くんのが動いてる……熱いし、おっきい……」

「く……っ! こりゃ、我慢が効かないな……っ!」

 

 俺は射精欲の赴く侭櫛田の乳房をがっしり掴みながら腰を激しく前後させ、尿道に精液が一気に溜め込まれて行く。

 

 櫛田の胸はとても暖かで弾力があり、俺の獣欲をこの上なく刺激してくる。

 

 瞬く間に俺は限界に達し、躊躇う事なく精液を吐き出した。

 

「う、おぉぉ……っ!」

「きゃ……っ!」

 

 びゅるるるるるるる!と凄まじい勢いで噴出した精液は櫛田の胸や顔を汚し、シミ一つない肌を俺の欲望の証が染め上げて行く。

 

 ようやく射精が終わった時には櫛田の上半身は俺の白濁液で真っ白に染め上げられており、酷い有り様となっていた。

 

「……うわ、べとべとする。ちょっと、出すなら出すって言ってよね。この早漏」

「無理言うなよ。こんな極上の身体相手に、我慢なんか効かないって。正直、此処まで凄いとは思ってなかったんだから」

「……へぇ、余裕がなくなる程良かったんだ。そりゃそうだよね……堀北なんかより、あたしの方が胸大きいし……そっか、あたしのおっぱいそんなに良かったんだ…」

 

 俺の言葉に何故か気を良くした櫛田は、上機嫌でナチュラルに堀北をディスりながら笑顔を浮かべている。

 

 別に何か特別な事を言った覚えはないのだが、何かが彼女の琴線に触れたらしくこの上なく上機嫌な様子だった。

 

「で、そろそろいいか。正直、すぐにでも挿れたいんだが……」

「……うん、いいよ。けど、これは取引だからね。あたしはアンタのオナホールになる代わりに、アンタはあたしの秘密を絶対喋らない事を誓う……これだけは、しっかり約束してね」

「……ああ、分かったよ。お前の秘密は漏らさないって約束する。俺の邪魔をしないなら、お前を排除する必要もないしな」

 

 俺の漏らした言葉に櫛田は安心した様子で、力を抜いて俺に身体を預けて来た。

 

 猜疑心の塊のような櫛田にとっては、単なる口約束よりギブアンドテイクの関係の方が信用出来るのだろう。

 

 裏切るデメリットより、関係を継続するメリットが大きいのは確かなのだから。

 

 俺達は互いの意志を確認し、後は関係を結ぶだけとなった。

 

 俺はその場で押し倒した櫛田の両足を抱え込むと、ペニスを櫛田の秘所に押し当てた。

 

「……行くぞ」

「……うん、来て」

 

 そんな、恋人同士のようなやり取りの後俺は一気に腰を突き出し、ペニスを櫛田の胎内に叩き込んだ。

 

 内部を強引に割り開くように俺の巨根が根本まで埋まり、櫛田が息を吐き出すようにして悲鳴を漏らした。

 

「くぅ……っ! か、は……っ!」

「きっ、つ……っ!」

 

 当然のように処女だった櫛田との結合部からは破瓜の証が流れ出ており、俺の逸物が巨根である事も相俟って櫛田は苦し気な吐息を漏らした。

 

 一方俺は処女特有の窮屈な締め付けに歓迎され、動いてもいないのに射精欲が沸き上がって来るような状態だった。

 

 しかし、このまま射精しては再び早漏と呼ばれてしまうだろう事を考えて射精欲をぐっと我慢し、櫛田の足を掴んで俺はピストン運動を開始した。

 

「うぁっ、うぅ、うぁぁ……っ!」

「くっ、おぉ……っ!」

 

 カリ首が見える所まで腰を引き、そこから一気に打ち下ろす。

 

 パァン!という肉を打つ音と共に俺のペニスが根本まで埋まり、その度に櫛田の膣内は全力で俺の肉棒を歓待してしごきあげて来る。

 

 極上の膣の感触に忘我の心地になりながらも腰を振り続け、部屋に肉を打つ音が響き渡る。

 

「う……っ! そろそろ、射精()そうだから離れ……っ!?」

「ダメ……っ! 中で射精()して……っ!」

「うぉ……っ!?」

 

 いい加減射精欲が限界になった為俺は腰を引こうとするが、その瞬間櫛田が両足を俺の腰に絡め、自分からぐっ、と腰を押し付けて来た。

 

 子宮を差し出すようなその姿勢に俺の理性はぷっつりと切れ、櫛田と全身を密着させながら腰を打ち下ろし、腰を震わせて射精を開始した。

 

「うぉ、おぉ、おぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ!」

「うあぁ……っ! 熱い、よぉ……っ!」

 

 腰と腰をぴたりと密着させたまま、俺のペニスから夥しい量の精液が櫛田の膣内に注ぎ込まれる。

 

 俺が腰をぶるぶると震わせる度にどくりどくりと新たな精液が送り出され、櫛田の膣内を白く染めあげていく。

 

 結合部からは収まりきらなかった精液が漏れ出ており、射精が終わった頃には精液溜まりが広がって床を汚していた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……っ! お、おい、い、いいのか……? 中で全部出してしまったが……」

「……いいのよ。もしアンタが私を裏切ったら、ピルを飲むのを止めるだけだし。そうなったら、責任取って仲良く退学になって貰うからね。ま、もう女の身体を味わったアンタが私を手放すなんて無理だと思うけど」

「……ったく、まあいいさ。これからもお前とセックス出来るんだったら俺も大歓迎だ。これでも、健康な男のつもりだしな」

 

 相変わらずの櫛田に若干呆れつつも、櫛田に執着しつつある自分を明確に感じ取る。

 

 此処までの快感を味わったのだ。今後もずっと、と願うのは性欲旺盛な男子としては何らおかしい事ではない。

 

 最早、自慰が馬鹿らしくなる程の快感だった。確かにこれを味遭ってしまえば、安々と櫛田を手放す事など出来そうもない。

 

「……なあ、もう1回、いいか?」

「……ふぅん、やっぱ童貞だから溜め込んでるワケ? 別にいいよ? もうあたしはアンタのオナホなんだから、好きに使えばいいじゃない」

 

 そして、童貞だった俺が一度の射精なんかで満足出来る筈がない。

 

 櫛田の胎内に埋め込んだままのペニスは未だ硬度を保っており、櫛田の許可を得た俺は早速櫛田の身体を持ち上げ、対面座位の体勢になると櫛田の腰を掴んで上下に揺さぶり始めた。

 

「うぁ……っ! うぅ、あぁ……っ!」

「やっぱ、お前、最高、だよ……っ!」

 

 俺は櫛田と密着しながら腰を突き上げ、その極上の身体を貪っていく。

 

 腰を突き上げる度に櫛田の巨乳が俺の胸板で潰されて柔らかな感触が広がり、ぎゅうぎゅうと締め付ける膣内の感触と合わせて俺を楽しませてくれる。

 

 膣内射精した精液が潤滑油となって俺の巨根はスムーズに櫛田の膣内を抉っており、容赦なく櫛田の膣奥を叩いていく。

 

「くぅ……っ! あ、アンタのチンコ、なんかあたしの中でぶるぶるって震えてる……っ! ねぇ、射精()そうなんでしょっ!? なら、そのまま射精()しなさいよ……っ! 生で中出し、気持ち良かったんでしょっ!? ほら、あたしのマンコに思う存分種付けすればいいじゃない……っ!」

「言われ、なくても……っ!」

 

 俺は櫛田の挑発に乗り、どんどん腰を突き上げるスピードを上げていく。

 

 そして最後に思い切り抉りこむように腰を突き上げると、櫛田の尻を思い切り掴み腰を密着させて射精を開始した。

 

「く、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ!」

「うぁぁ……っ! 中、あつ、い……っ!」

 

 俺は腰を震わせながらどくりどくりと夥しい量の精液を櫛田の中に注ぎ込んでおり、胎内を熱い白濁液で灼かれた櫛田はびくびくと痙攣している。

 

 より深くへ射精しようと腰をぐいぐい押し付けながら、大量の精液が俺のペニスから櫛田の膣内へ注入されていく。

 

 俺の射精量はペニスの大きさ相応に多いようで、数分経ってからようやく終わりを迎えた。

 

「く、ふぅ……やべぇ、癖になりそう」

「……いいよ、アンタがあたしの身体に夢中になればそれだけ信頼出来るもの。お気に入りのオナホールを、手放したくはないもんね?」

 

 櫛田は何処かからかうようにそう告げ、くすりと笑った。

 

 その笑顔は何処か照れ臭さが混じっているようで妙に微笑ましく、俺は思わずその笑顔に見惚れてしまった。

 

 俺と櫛田は至近距離で向かい合い、互いの顔を見つめ合った。

 

 普通の、恋人のような関係ではない。けれど、こんな歪な関係こそが今の俺達には相応しいように思えた。

 

「……アンタなんて、大好き(大嫌い)よ。約束はちゃんと守ってね」

「分かってるって。愛してるよ(相変わらずだな)、櫛田」

 

 お互い、顔を見合わせて笑い合う。

 

 その本心はともかくとして、こうして俺と櫛田は俗にセフレと呼ばれる関係となった。

 

 これからどうなるか分からないが、少なくとも平穏からは遠い事だけは確信出来る俺だった。




 取り敢えず『よう実』第一弾、櫛田編その1です。櫛田は初登場時はそこまで注目してなかったんですが、例のあのシーンで好きになりました。アニメで見た櫛田のあの荒んだ顔を見てなんだかムラムラして、筆を滑らせた次第です。
 この話の時間軸は原作より少し先、二年生編の後あたりを想定しています。なので詳しくは書きませんが櫛田が綾小路を退学させる為に暗躍を繰り返したり、軽井沢と色々親交を深めたりしてます。
 次は軽井沢編のリメイクです。彼女も彼女で好きなんで、相当趣味に走りました。


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2時間目~軽井沢恵の時間Ⅰ

 こちらは『綾小路清隆×軽井沢恵・前編』の加筆修正版です。
 投稿して1日でランキングに載ってて驚きました。評価して下さった方、ありがとうございます。


 結論から言って、俺と櫛田はほぼ毎日のように肉体関係を持つようになった。

 

 初めて知った性行為の快感に魅了されたというのも、勿論ある。

 

 櫛田とのセックスは自慰が馬鹿らしくなるくらいの快感を俺に与えてくれたし、他に経験がないので比較は出来ないが……櫛田桔梗という女生徒の肉体は、極上と言って差し支えないものだった。

 

 肉感的な肢体に、豊満な乳房……そして、俺の逸物を柔らかく包み込んで来る膣内。

 

 裏の顔という最大級の地雷が埋め込まれているものの、セフレという関係を結ぶのに櫛田桔梗はこの上ない逸材だった。

 

 俺とのセフレ契約は、櫛田なりに俺への最終的な対処を考えた末の妥協案だ。

 

 俺を陥れる事が不可能だと悟り、その代替案として自らの身を差し出して自分の身の安全を図ったというのが今回の顛末だ。

 

 間違っても、好意から俺に身を委ねたのではない……筈だ。

 

 櫛田は確かに、優秀な生徒である。

 

 勉強も運動も人並み以上に出来るし、誰が相手でも交友関係を結べる常軌を逸したコミュニケーション能力と、それを可能にした人間観察能力……そして、笑顔の裏に隠した手段を選ばない悪辣さは大したものだ。

 

 だが、櫛田は()()()()()()()()()()()()()

 

 確かに平均以上の能力と脅威的な対人能力を持ってはいるが、謀略面に関しては駆け引きの巧みさで目を見張るものを持つ龍園等と比べるとどうしても一歩譲る事になるのだ。

 

 櫛田の最大の武器は、そのコミュニケーション能力を用いて勝ち取った()()()()()だ。

 

 クラスの誰もが櫛田に全幅の信頼を置いている以上クラスの情報は自然と櫛田の元へ集まって来るし、中には()()()()と自らの秘密を曝け出した者もいるだろう。

 

 そうやって集めた()()こそが、櫛田の謀略の肝なのだ。

 

 しかし逆に言えば、その()()を使えない状況や相手には極端に弱くなる事を意味している。

 

 俺は最初から誰も信用していなかったから秘密を口走ったりはしていないし、普段から能力を隠して生活している為に櫛田は俺に関する決定的な秘密を握る事が出来ず、俺を排除する事が出来なかった。

 

 言うなれば櫛田の攻撃能力は内から切り崩す裏切りの際に真価を発揮するものであり、相手の弱みを握れなければ成立しないものなのだ。

 

 勿論どんな手段でも実行してしまう胆力は脅威だが、自らの暴君ぶりを隠そうとしなかった龍園と違い、櫛田は普段模範的な優等生として振る舞っている。

 

 故に下手に派手な行動を起こせば今まで積み上げて来た信頼が台無しになる為、櫛田は自分自身に課したルールによって自分を縛り、行動に大幅な制限がかかっている状態にある。

 

 そんな相手に、俺を潰せる筈がない。

 

 それを理解したからこそ、 櫛田は()()()()()という最終手段に出たのだから。

 

 だから、俺と櫛田の間に恋愛感情なんて甘ったるいものはない。

 

 櫛田も以前俺の事が嫌いだとハッキリ言っていたし、櫛田から感じる他の女生徒とは違う種類の感情も、恐らく憎悪とか苛立ちとかそういう類いのものだろう。

 

 俺も男女の感情の機微には疎いが、少なくとも佐倉あたりから感じるものとは違う気がする。

 

 自分を男性として執着していないならば、関係を清算する時に面倒がなくていい。

 

 櫛田との関係も、この高校を卒業すれば終わりだろう。

 

 櫛田はあくまで高校生活の中で秘密を暴露されたくないだけで、その後まで執着する理由はないのだから。

 

 ともあれ、折角出来たセフレは有効活用しないと損だ。

 

 性交を行ったのは櫛田との情事が初めてだが、思わずハマってしまうくらいにはセックスは俺の興味を惹くものだった。

 

 俺は今日もまた、部屋にやって来た櫛田と情事に耽っていた。

 

「あぅ……っ! 猿、みたいに腰を、振って、まるでケダモノ、だね……っ! 女の子を好き放題出来るのは、楽しい……っ!?」

「くっ、はっ……っ! 自分から、抱かれに来てるお前が言うのかよ……っ!」

 

 俺は櫛田の腰を背後から抱えながら、激しく腰を打ち付けていた。

 

 櫛田は俺の前だからか裏の顔を曝け出しており、据わった眼でこちらを詰って来る。

 

 普段の優等生の仮面を脱ぎ捨てた櫛田の姿に、他の連中が知らない櫛田の顔を見ながらその身体を貪っている事実に、俺の興奮は高まるばかりだ。

 

 俺は櫛田の罵倒に対し適当に相槌を打つが、櫛田は顔をにやけさせながら返答した。

 

「その、私の身体に夢中になってるのは、アンタの方でしょ……っ! そんなに顔を真っ赤にしちゃって、それだけ、私の身体が気持ちいいんでしょっ!? 当然、よねっ! 堀北なんかより、あたしの方が、ずっと、魅力的に、決まってるんだから……っ!」

 

 櫛田は自ら目の敵にしている堀北を揶揄し、眼を血走らせながら激情を口走る。

 

 その間にも俺は腰を打ち付けるのを止めずに櫛田とのセックスにのめり込んでいるが、櫛田は構わず続けた。

 

「堀北はっ、どう思うでしょうねっ? あいつが、頼りにしてるアンタが、あいつを敵視してるあたしの身体に夢中になってるなんて……っ! あいつ、お高くとまってるから、どうせ処女でしょうし、事実を知ったら、軽蔑してっ、自然と離れてくんじゃないっ? いいじゃないっ、あんなブラコン女放っとこうよ……っ! 性欲処理なら、あたしが全部やってあげるわよ……っ!」

「……そろそろ、射精すぞ」

 

 俺は櫛田の言葉には耳を貸さず、射精欲に身を任せて腰を打ち付けるスピードを上げて行く。

 

 櫛田はまだ何か言いたげだったが俺は無言のピストン運動でそれを封じ、射精欲が限界を迎えた時、遠慮なく俺はそれを解放した。

 

「うぐ……っ!」

「……ッ! うぁ、あぁぁぁぁぁ……っ! あつ、い……っ! 熱いよ、綾小路くん……っ!」

 

 俺は櫛田の尻に指を食いこませ、腰をぴったりと押し付けたまま射精を開始する。

 

 びゅるるるるる!と凄まじい勢いで精液が櫛田の中に注ぎ込まれ、熱い白濁液が膣奥を叩く度に櫛田は痙攣し、快感の呻きを漏らした。

 

 俺はぐいぐいと腰を櫛田の尻に押し付けながら射精を続け、最後まで精液を出し終えるとそのまま櫛田の身体の上に倒れ込んだ。

 

 男一人の体重がのしかかった事で櫛田は呻き声をあげるが、特に文句は言わずに俺の身体の下で荒い息を吐いている。

 

「……あーあ、こんなに出しちゃって……本当に、私を妊娠させる気? 言っとくけど、私は退学なんてしたくないからね。裏切ったら勿論道連れにしてやるけど、好き好んで学校を辞めたいワケじゃないし」

「俺だって、退学なんてごめんだよ。心配しなくても、裏切ったりなんかしない」

 

 俺は本心から言っているのだが、櫛田の視線からは猜疑心が消えていない。

 

 俺がどう言おうと、彼女の中では俺が絶対に裏切らないという確信がないのだ。

 

 こればかりは櫛田の性格の問題なので、どうしようもないのだが。

 

「どうかな? もしも堀北が私と同じように身体を使って来たら、そっちに乗り換える事もあるんじゃない? あの女、外見だけはいいもんね……性欲旺盛な綾小路くんからしたら、別の女子の身体も味遭ってみたいんじゃないの?」

「あのなあ……もうお前を抱けてるのに、無用なリスクを冒す真似なんてするワケないだろ。まだ童貞だったならともかく、俺はお前相手に童貞卒業してるし……今のままなら無理なく抱けるお前がいるのに、他の女子を漁るような理由はないだろ」

 

 そう言って櫛田を抱くまで童貞だった事を打ち明けると、何故か櫛田は上機嫌になり口元を歪めた。

 

 全く、何がそんなに嬉しいんだか。

 

「ふぅん……そっか、やっぱり童貞だったのか……じゃあ、私が童貞喪失の相手って事ね。どうだった? 最高の童貞喪失だったでしょ?」

「……最後に脅迫されてなければ、最高だったな。まあ、そうでもなければお前を抱く機会なんて巡って来る事もなかっただろうが」

「そうだね。根暗な綾小路くんじゃ、あたしが相手してあげなかったらずっと童貞のままだったんじゃない? 少しは感謝してくれてもいいと思うけど」

 

 確かに櫛田の身体は最高だったが、最後にきっちりこちらを脅迫して来た相手に感謝するのは無理があると思うぞ。

 

 まあ、故意に妊娠して俺を道連れにするなんて自爆戦法もいい所だから、この手は濫用して来ないだろうって事は確かだが。

 

 --ピンポーン!--

 

 櫛田との情事の余韻を楽しんでいた時、不意に部屋のチャイムが鳴った。

 

 今の時間に来訪の約束なんてしていない筈だが、とにかくこのままではマズイ。

 

 何せ、今の俺達は共に全裸で、しかも櫛田は俺の精液を股から垂れ流している状態だ。

 

 この状況を他者に見られれば、俺も櫛田も無事では済まない。

 

「わ、悪い櫛田! 俺が時間を稼ぐから、お前は早く着替えててくれっ!」

 

 俺は櫛田の返答も待たず、大慌てで服を着て玄関に直行した。

 

 多少服が乱れているが、自分の部屋という事である程度言い訳は出来るだろう。

 

 とにかく今は櫛田が恰好を整えるまで時間を稼ぐ事が最優先事項なので、相手が疑問を覚える前に応対する必要があった。

 

「あ、なんだ……いるんじゃない。もう、折角来たんだからさっさと出なさいよね」

 

 来客は意外な事に、クラスメイトの軽井沢恵だった。

 

 俺と彼女はとある事情から協力関係を結んでおり、彼女は俺の事情も他のクラスメイトよりも多く知っている間柄だ。

 

 しかし、今日は此処に来いなどという指示は出していなかった筈だが…一体、何の用件だろうか。

 

「……お前を呼んだ覚えはないぞ。一体、何の用だ?」

「何よ。許可がなきゃ来ちゃいけないっての? もうあたしは平田くんの彼女じゃないんだし、別に来たって不都合はないでしょ」

 

 俺の返答が不服だったのか、軽井沢……いや、恵は頬を膨らませてそう告げた。

 

 恵はこれまで平田というイケメンの男子生徒の彼女だったが、つい先日その関係は解消された……正しくは、()()()()()()()()()()()だけなのだが。

 

 恵と平田は、本当の彼氏彼女ではなかった。

 

 クラス内での地位を得る為、恵が平田に()()()()()を頼んだだけの間柄だ。

 

 恵は人気者の平田の彼女という立ち位置を得る事で自分の地位を守って来たのだが、今彼女は自らその地位を放棄した。

 

 そしてその原因に関して、俺は無関係ではない。

 

 俺は恵を協力者にする為、他のクラスの女生徒に恵をいじめるように嗾け、その女生徒から身を守る事を約束する事で自分という宿り木に依存させて、彼女を協力者に仕立て上げた。

 

 そしてつい先日、Dクラスで策略を巡らせた俺の正体を突き止める為に龍園が恵を呼び出して過去のいじめを再現する事で追い詰め、俺がその場面で助けに入った事で恵の俺への依存は完璧なものになった。

 

 恵はこの一件で俺の事を()()()()()()()()()()()()()()()()()として認識した為、例え俺がどれだけ非道を働いても裏切る事はないだろう。

 

 恵は俺という存在の強さを再三目の当たりにした事で平田の彼女という地位に固執しなくなり、先日正式に平田との関係解消を宣言した。

 

 平田と恵が別れた事でクラスに少なくない波紋が広がったが、平田の取り成しによって大した問題にはならずに済んでいる。

 

 平田としても、もう自分が必要ないと分かればいつでも恵との関係を解消する気でいたので、渡りに船でもあったのだ。

 

 その後平田から「彼女を頼む」と頭を下げられたのだが、俺としては恵の事をどう扱っていいか判断がつかずにいた。

 

 櫛田と関係を持ってしまった今となっては、どうするのが正解は分からなかったからだ。櫛田とセフレの関係になっているなどと話せば、恵がどう反応するか不明な部分があるからだ。

 

「そういうワケで、ちょっとアンタ付き合いなさいよ。あたし一人で街に出たらナンパされる事もあるかもしれないし? 虫よけとして付いて来なさい」

「おいおい、虫よけ役が俺でいいのか? 変な噂が立っても知らないぞ」

「大丈夫よ。アンタの評価って前はともかく今はそこそこイケてるし、なんだったら本当に付き合ってる事にしちゃう? その方が今後色々とやり易いんじゃない?」

 

 恵は何げない風を装って喋っているが、頬は上気して眼は泳いでおり本心が別にある事は丸わかりだ。

 

 割と頭が回る彼女でも、こういった事には不慣れと見える。

 

 正直に言ってしまえば、恵が俺に対して向けている好意には気付いている。

 

 しかし、その好意は俺に対する依存から発生したものに違いない。

 

 更に言えば、今の俺は櫛田と肉体関係を持っている。

 

 そんな状態で彼女の好意を受け入れるのは違う気がして、どうすればいいか悩んでいた。

 

 恵と彼氏彼女の関係になるという()()()()()()()()に対する興味と、櫛田と関係を結んでいる現状でそれをしていいのかという葛藤が、俺の中で渦巻いていた。

 

 ()()()()では男女の関係など経験しようもなかったし、恋人という関係性に興味があるのは確かなのだが……俺自身恵に向ける感情がなんなのか、整理がつかないでいた。

 

 恵は俺の役に立つ手駒、の筈だ。

 

 少なくとも俺はその為に暗躍したし、恵はそんな俺の魂胆を知りながら俺に依存しきっている。

 

 2年生とのいざこざの際にも恵の協力は役に立ったし、既に彼女は俺にとって替えの利かない存在と言えた。

 

 そして、恵が平田と別れた時、なんともいえない興奮を覚えた事も確かだ。

 

 恵は俺の誘導によって平田という偽装彼氏と別れ、俺に従う事を選んだ。

 

 その事が、()()()()()()()()()()()という歪んだ所有欲を沸き上がらせたのだ。

 

 だから恵からの好意は嬉しく思うし、恵を独占したいという想いもある。

 

 結局は歪んだ所有欲と普通の恋人関係に対する憧れが交じり合い、俺は恵に対する態度を決定出来ずにいた。

 

 今もこちらを見つめて来る恵に対し、俺はどう答えたものか悩んでいた。

 

「──こんにちは、軽井沢さん。奇遇だね? こんな所で会うなんて」

「え……? 櫛田、さん……?」

「……っ!?」

 

 ──そんな時、不意に冷たい声が耳に入り反射的に振り向く。

 

 そこには、笑みを浮かべた櫛田が立っていた。

 

 だが、その眼はどう見ても笑っていない。

 

 ……しかも、その恰好も問題だった。

 

 一応服は着ているが、靴下は履かず素足のままであるし、ネクタイも結んでおらずシャツの隙間から胸元が覗いている。

 

 ハッキリ言って、同年代の男子の部屋でしていい恰好ではない。

 

 しかもその素足には俺が吐き出した精液が太腿を伝って垂れており、勘のいい人物ならば一目で彼女が此処で何をしていたか察しを付けてしまうだろう。

 

「え、嘘……? アンタ、まさか櫛田さんと……」

 

 そして、マズイ事に恵はその勘のいいタイプの人間だった。

 

 即座に櫛田がこの場所で何をしていたかを察してしまい、瞬く間に顔面蒼白になっていく。

 

 俺も咄嗟の事で言うべき言葉が見つからず困惑している最中、櫛田はそっと恵に歩み寄り耳元に口を近付け、酷薄な笑みを浮かべつつ彼女を追い詰める言葉を囁いた。

 

「……お察しの通りだよ。私、綾小路くんに抱かれたんだ。この意味、分かるよね?」

「……っ!!??」

 

 恵は櫛田の言葉を耳にするなり声なき悲鳴をあげて踵を返し、走り去っていく。

 

 一瞬呆気にとられた俺だったが振り返って櫛田を睨みつけ、舌打ちした。

 

「……後で、説明して貰うからな」

 

 俺は強い口調でそう告げると、恵を追って駆け出した。

 

 今此処で、彼女を失うワケにはいかない。

 

 独占欲と所有欲に塗れた想いに駆られ、全力で走り去った俺は、櫛田の漏らした呟きを聞き届ける事はなかった。

 

「……なんで私、こんな事……綾小路くんの、ばか……」

 

 櫛田の言葉は風に溶け、消える。

 

 その眼に浮かんだ一瞬の涙は、何よりも彼女の心境を如実に物語っていた。




 というワケで軽井沢編の前編です。と言いつつ、半分以上櫛田回でしたが。
 櫛田も好きだけど、軽井沢も好きです。綾小路への依存じみた感情と7.5巻で見せた純情さがなんとも言えません。依存癖のある子との関係って退廃的でいいと思います。
 まあ、エロパロである以上純情さがあるとやり難いので、少々純情さを取っ払って依存を強くさせていますが。
 ところで、7巻くらいからヒロインが軽井沢としか思えなくなって来たんですが、どうでしょう。堀北はどちらかというともう一人の主人公っぽくあるし、櫛田はどうなるか読めないしなあ。次巻発売が待ち遠しいです。


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3時間目~軽井沢恵の時間Ⅱ

 こちらは『綾小路清隆×軽井沢恵・後編』の加筆修正版です。
 sm130039さん、ちょっと通りますよ。さん、朝潮さん、サリエリキキさん、a092476601さん、マイさん、ヤーパムさん、評価ありがとうございます。今後の励みにしていきたいと思います。 


 

 ──あたしは、過去に酷いいじめを受けていた。

 

 教科書やノートを隠されたり、物に落書きをされるなんて事は序の口。

 

 水泳の授業の時下着や制服がなくなったり、クラスメイトの前でスカートを下ろされたり、挙句の果てに好きでもない男子に告白させられた事もある。

 

 あたしの中学時代は、そんな……重く苦しい、地獄のような毎日だった。

 

 だから、この高校に入ったのはチャンスだと思った。

 

 この高校は外部と隔絶されており、関係者以外は出入り出来ない。

 

 必然的にあたしの中学時代を知る人間はいなくなり、あたしはこの学校で新しい自分を始める事が出来た。

 

 あたしはまず、自分の()()()を選んだ。

 

 イケメンで気配りが出来るというお手本のようなモテ男の平田くんはあたしの寄生先として最良で、あたしの()()()()()()()()()というふざけた申し出にも快く頷いてくれた。

 

 自分の過去を話して同情を買おうとしたのは確かだが、予想以上にあっさり承諾して、しかも見返りを求めないものだから拍子抜けした事を覚えている。

 

 表向き平田くんの彼女になった事で、クラス内でのあたしの地位は確かなものとなった。

 

 自分の容姿は割と悪くない自覚はあるし、平田くんの庇護下に入った事で彼の覚えを良くして貰いたい女子を中心にあたしの周りに友人と呼べる子達が集まって来た。

 

 そこからは特に苦も無く女子の中心人物になり、一定の地位を確立する事に成功した。

 

 勿論、あたしを気に入らないという生徒もいる。

 

 幾ら何でも櫛田さんのように誰とでも分け隔てなく仲良くするなんて異様な真似はあたしのやり方じゃ無理だし、ある程度の女子を仲間にする事が出来た時点であたしの目的は達成されたようなものだから別段気にする事はなかった。

 

 けど、何もかも上手くいくワケがなかったのだ。

 

 あたしはちょっとした事でCクラスの真鍋という生徒に眼を付けられ、いじめられる羽目になった。

 

 過去のトラウマを思い出したあたしは自分でも無様に思うくらいに泣き出し、その様子をクラスメイトの男子……綾小路に見られてしまった。

 

 綾小路清隆という生徒は、あたしから見て目立たない存在だった。

 

 顔はそこそこイケてるけどコミュニケーション能力が割と壊滅的で、女子の話題に上る事も殆どなかった。

 

 だから、適当に強気に脅しておけば大丈夫かと思っていたのだが──そこで、あたしは綾小路の本性を知った。

 

 綾小路は今まで見た事もない冷徹な目で、あたしを脅迫して来た。曰く、()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

 その時はてっきり犯されると思い込んだものだが、今だから分かる。

 

 ……あの時あいつは、あたしに劣情を抱いたりなんてしていなかった。

 

 ただ、()()()()()()()()()()()()とあたしに思い込ませる為にそう見せかけただけなのだと。

 

 それからあたしは、清隆の庇護を受ける事を条件にあいつの言う事を聞く手駒になった。

 

 あいつが何を考えているか殆ど理解は出来ないけど、あいつの指示をこなす日々は思いのほか悪くなかった。

 

 まるで主人公を影から支えるヒロインみたいで、非日常にいるような気がして面白かった。

 

 そんなある日、あたしはCクラスを纏めるガラの悪い生徒、龍園に呼び出された。

 

 龍園はあたしが真鍋からいじめられた事を知り、その情報を盾にあたしからDクラスを影で動かす存在が誰か吐くよう迫ったのだ。

 

 龍園は、容赦しなかった。

 

 寒空の下で延々とバケツの水をかけられ、あたしは心身共に震え上がった。

 

 正直、情報を吐いて楽になりたいと思った事は否定出来ない……けれど、あたしはそうしなかった。

 

 清隆は、最初からあたしを裏切ってた。

 

 あたしが真鍋からいじめられる事になった元凶こそ、清隆だったのだ。

 

 清隆は自作自演であたしをいじめから救い出す事で、あたしという手駒を手に入れたのだ。

 

 ……それを知った時は、正直ショックだった。

 

 自分の頼りにしていた男が、よりにもよってあたしを追い込んだ元凶だったんだから。

 

 ──けど、それでもあたしはあいつを裏切ろうとは思えなかった。

 

 だってそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とあいつが思ってたって事なんだから。

 

 清隆に裏切られてた事を知った時、ショックだったのは確かだが……けど同時に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という事が……どうしようもなく、()()()()()のだ。

 普通なら、あんな仕打ちを受けてこんな事を考えるなんて馬鹿げてると思うだろう。

 

 けど、どんなに手段が悪辣なものであっても……あいつは、()()()()()()()()()()と思ったからこそあたしを追い込んだ。

 

 それはつまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って事なんだ。

 

 あたしは中学時代、周囲から徹底的に孤立していた。

 

 女子からばい菌のように扱われ、褒められた事なんて一度もない。

 

 そんなあたしだからこそ、どんな手段を使ってでもあたしを()()()と思ってくれた清隆に惹かれたんだろう。

 

 清隆は、最終的にはあたしを助けに来てくれた。

 

 その時もわざとあたしが龍園に追い詰められる事を見逃したらしい事が分かったが、そんな事は全然問題だとは思わなかった。

 

 こいつなら、途中で酷い扱いを受けるかもしれないけど…最後にはきちんと、助けてくれるんだって思えたから。

 

 多分、あたしがこう思う事も清隆は想定通りなんだろう。

 

 あいつは、人の心を掌握するのが上手い。

 

 クラスでは目立たないように振る舞っているけど、本気を出せばテストの点数だって誰にも負けないだろうし、喧嘩が強い事もあの龍園とその取り巻きを無傷で叩きのめした事で実証されている。

 

 そんなあいつからしてみれば、あたしの心を思い通りにする事なんて簡単なんだろう。

 

 けど、それが何か問題だろうか? 

 

 あたしは、あいつに支配される事を()()()()と感じている。

 

 だって、あいつの支配下にある限りあたしは最終的にはあいつに助けて貰えるし、清隆の指示で動くあの快感をまた味遭う事が出来る。

 

 ──それは、何よりあたしの心を躍らせた。

 

 唯一不満があるとすれば、あいつがあたしにいやらしい事を求めない事だ。

 

 あたしはあいつの言う事には、何でも従わなきゃいけない。

 

 それがいやらしい事だとしてもそれは同じで、そもそも初めから抵抗する気はないのだが。

 

 ……そもそも、あたしの立場を考えればあいつはいつでもあたしの身体を好きに出来た筈なのだ。

 

 なのに、あいつは徹底的にあたしを()()としか扱わなかった。

 

 手を出し易くなるように平田くんと別れた後も、一向にあいつはあたしに手を出す気配がない。

 

 自分でも容姿がそれなりに優れている自覚があるだけに、その事がどうしても不可解だった。

 

 あいつだって、性欲は人並みにある筈なのに……。

 

 ──けど、あたしは今日予期せぬ形でその()()を知ってしまった。

 

 あいつの部屋を尋ねたら、部屋の中からクラスメイトの櫛田桔梗が出てきたのだ……しかも、服を乱れさせた状態で。

 

 部屋の奥から出てきた櫛田は、ネクタイと靴下がなく下着も付けていないようだった。

 

 常識的に考えて、女子が男子の部屋で靴下を脱ぐ筈がない。

 

 そんな状況があるとすれば、()()()()()()()()()()()()()()だ。

 

 ジュースか何かを零して仕方なく脱いだ事は考えられるが、それなら下着だけを脱いでいる事は有り得ない。

 

 同じ寮に住んでいるのだから、男子の部屋で服を脱ぐよりは、自分の部屋に戻って着替える事を選ぶ筈だ。

 

 男子の部屋で服を脱ぐなど、()()()()()()と言っているようなものだからである。

 

 それに何より、櫛田さんの足を伝う白い液体をあたしは見逃さなかった。

 

 実際に見た事はないが、あれは男子が性行為の時に吐き出す精液ってやつに間違いない。

 

 栗の花のような匂いもしていたし、何より……櫛田さんからは、清隆の匂いがしていた。

 

 そして、あたしの嫌な予感は的中した。

 

 あたしに近付いて来た櫛田さんはあたしの耳元で、普段の彼女とはかけ離れた冷たい声で、自分が清隆に抱かれた事を告げた。

 

 ショックでワケが分からなくなったあたしは外敵を見るような櫛田さんの視線から逃げるように、衝動的に自分の部屋に引き返した。

 

 ……清隆があたしに身体を要求しなかったのは、櫛田さんという()()がいたからなんだ。

 

 だからあたしに手を出そうとはしなかったし、あたしのアピールにも反応する事はなかった。

 

 櫛田さんにしてみれば、あたしは自分の男に横恋慕する泥棒猫に他ならない。

 

 だから敢えて性行為の痕跡を見せつけ、あたしを部屋から追い出したんだ。

 

 あたしはもう、どうしていいか分からなかった。

 

 理屈じゃ分かってる……清隆はあたしを、女として必要だから支配下に置いたんじゃないって事は。

 

 だから、あいつに彼女がいてもあたしの立場は変わらない。

 

 けど、今までどんな境遇に陥っても潰れきる事のなかったあたしの心は、今どうしようもなく罅割れていた。

 

 ……あたしは、清隆の彼女になれない。

 

 それを思い知った時、あたしの中の大切な何かが折れたのだ。

 

 いや、彼女じゃなくていい。

 

 セフレでも奴隷でも、あいつに()として求めて貰えるならあたしはなんだって良かった。

 

 けど、櫛田さんという彼女がいる以上女としてのあたしは邪魔者でしかない。

 

 以前は、初めて異性に抱いた好意に振り回され、()()()()()()()()()()()なんて事を思うだなんて考えてもみなかった。

 

 けれど、あいつの手駒として動いて、あいつと深く関わっていくうちに、過程に拘るのが馬鹿らしくなったのだ。

 

 清隆は、あたしが今まで見て来た誰よりも()()男だった。

 

 普段は手を抜いているようだが、その気になれば勉強も運動も、喧嘩だって出来る。

 

 そして、どんな非道を働いていても最終的にはあたしを守ってくれるという事も分かった。

 

 あたしがあいつにとって利用価値がある限り、あいつはあたしを決して手放さない。

 

 その事は、()()()()()と言って佐藤さんを振った事からも理解出来た。

 

 話を聞く限り、清隆は男女の関係に全く興味がないワケじゃない。

 

 けれど、恋人を作る事に関しては何故か消極的に思えた。

 

 それは恐らく、あたしの知らないあいつの過去にも関係のある事なんだろう。

 

 明言はしてくれないが、あいつが他の連中と違う事だけは確かだ。

 

 それこそ、以前冗談で言った()()()()()()()()()()()()()()なんて事が事実だった、と聞いても驚かないだろう。

 

 ともかく、あいつは男女関係には興味があるが恋人を作るつもりは今の所ないようだ。

 

 それなら、身体の関係からだとしてもあいつと深く繋がれたという()()が欲しい、とあたしは考えるようになった。

 

 以前のあたしから見れば、何を馬鹿な事を、と思うかもしれない。

 

 けれど、あたしはどうしようもなく清隆の魅力にやられてしまった。

 

 DV男から離れられない女ってこんな感じなのかな、と思わなくもないけれど……それでも、清隆に抱いて貰えるなら他の事はどうでもいい、と思う程にはあたしは清隆に参っていた。

 

 悔しいけど、櫛田桔梗という女子生徒はあたしから見てもかなりの美少女だ。

 

 あたしと櫛田さんのどちらかを選ぶとしたら、大抵の男は櫛田さんを選ぶだろう。

 

 ……それだけ、彼女は周囲から見て魅力的な存在なのだから。

 

 清隆の彼女になれる、と思いあがっていたワケではない。

 

 けれど、櫛田さんと清隆を取り合う事になるなんて予想もしていなかった。

 

 櫛田さんは誰とでも仲良くなれる愛想のよい子で、あたしとは人脈の広さも段違いだ。

 

 あたしと櫛田さんが何かの拍子で争えば、大抵の人間は櫛田さんに付くだろう。

 

 勝ち目はないと、そう思えた。

 

 自室で膝を抱えながら、あたしはただぼうっと虚空を見つめていた。

 

 何もかもどうでもいい……そんな諦観を覚えながら、あたしは何をする気力も湧かずに脱力する。

 

 ……そこで、部屋の入口に人の気配を感じて顔を上げた。

 

「……悪いな。勝手に上がらせて貰った」

「……清隆……」

 

 ──そこに立っていたのは、清隆だった。

 

 その手には、あたしが以前渡したあたしの部屋の合鍵が握られている。

 

 表向きはあたしとの連絡を円滑にする為、と言って自分から渡したものだ。

 

 正直に言えば、この合鍵を使って清隆が夜這いに来てくれないかなと期待して渡した事を思い出し、今更ながら顔が熱くなった。

 

「……何よ。何しに来たのよ、アンタ……彼女なんでしょ? 櫛田さんを放っておいていいワケ?」

「勘違いするのも無理はないが、櫛田は彼女じゃない。有り体に言えば、セフレだよ。以前ちょっとした事で 櫛田の秘密を知って、その秘密を守る代わりにセフレになれと脅されて関係を持ったんだ。それ以上でもそれ以下でもない」

「何それ……そんなんであたしが納得すると思ってんの?」

 

 あたしは半眼で清隆を睨みつけ、吐き捨てるように呟いた。

 

 あの櫛田さんが自分からセフレになると言った事も信じ難いし、それに秘密を守る代わりに身体を要求するならなんであたしにやらないの、という嫉妬も抱いた。

 

 胸は確かに櫛田さんの方が大きいけど、これでもスタイルには自信があるのだから。

 

「──逆に聞くが、お前が納得するかどうかを俺が考慮すると思っているのか?」

「……あ……」

 

 ──けど、次の瞬間にはそんな事どうでも良くなった。

 

 清隆は冷たい眼であたしを見据え、冷気さえ感じる声色であたしを打ち据えた。

 

 この雰囲気には覚えがある。真鍋達にいじめられた直後、あたしを脅迫して来た時の清隆だ。

 

 あたしは自然と、清隆の瞳に魅入っていた。

 

 冷たく、温度の感じない視線。

 

 けれどその視線に射竦められたあたしは、思わずお腹の奥がきゅんとなる感覚を覚えた。

 

 だって、今の清隆の視線には……明確な、あたしに対する欲情が秘められていたのだから。

 

「どうやらお前は、自分の立場を忘れているようだな。此処まで色々と優遇した俺の落ち度かもしれないが、俺とお前の上下関係をもう一度教え込んだ方が良いようだ」

 

 そう告げると清隆は、あたしの胸や太腿に視線を向けて来る。

 

 あたしはその視線を受けて……思わず、興奮してしまった。

 

 清隆が、あたしに劣情を催している。

 

 その事を感じた瞬間、私は歓喜のままにお決まりの言葉を口走った。

 

「な、何よ……身体でも要求しようっての?」

「身体か……それも悪くないかもな」

 

 あたしの言葉(誘い文句)を聞き、清隆はあたしの太腿に手を触れた。

 

 あくまで脅しだけだったあの時とは違って、清隆の手はそのままあたしのスカートの中に潜り込み、あたしのお尻を鷲掴みにした。 

 

 あたしは抵抗する素振りを見せながらも清隆がお尻を触り易いように若干腰を浮かせ、清隆が好き放題お尻を揉む度にあたしの秘所が眼に見えて濡れていく。

 

 もうショーツはびしょびしょで、清隆に好き勝手に身体を触られている事がどうしようもなく嬉しかった。

 

「……脱がすぞ」

 

 清隆は散々私のお尻を触った後、あたしの上着に手をかけた。

 

 あたしはそこである事を思い出し、反射的に抵抗するが……清隆はあたしの抵抗なんて跳ねのけて、シャツごとあたしの上着を剥ぐ。

 

 こうして、あたしは下着を残して上半身裸になった。

 

 清隆の眼が、あたしの左脇腹の辺りに向けられる。

 

 ──そこには、あたしの最も忌まわしい傷跡が刻まれていた。

 

 鋭利な刃物で刺されたようなその傷跡は、あたしが抱える最も深い闇の部分だ。

 

 思い出したくもない記憶が脳裏を駆け巡り、反射的に清隆から眼を逸らす。

 

 でも、綾小路はあたしの頭を掴んで、強引にあたしと眼を合わせた。

 

「な、何よ……こんな傷跡を見て、萎えちゃったんじゃないの? いいわよ、正直に気持ち悪いって言っても……」

「──誰がそんな事を言った? この傷跡の事を、俺はもう知っているんだ。いいか、この高校じゃ俺だけがお前のこの傷を知っている。なら、この傷は俺の入れた焼き印のようなものだろう? お前が誰のモノかを証明するのに、丁度いいじゃないか」

「……この傷が、アンタの……焼き印……?」

 

 清隆の言葉を聞いた瞬間、あたしの全身に沸き上がったのは……どうしようもない、歓喜だった。

 

 眼を背けたくて仕方なかったこの傷跡が、何故か誇らしいものに思えて来る。

 

 これがあたしが清隆のモノだって証明になるなら、この傷跡にも意味がある。

 

 何より、あたしの傷跡を見ても清隆の興奮が冷めていないのは彼の股間の膨らみを見れば理解出来た。

 

 清隆はこの傷跡を見ても、あたしを抱きたいと思ってくれている……その事が、あたしの口を自然と開かせた。

 

「ねぇ、清隆……あたし、もう櫛田さんとの関係についてはどうこう言わないからさ。あたしがアンタのものだって充分理解出来るまで、あたしを滅茶苦茶にしてよ。物分かりの悪いあたしにもわかるように、あたしを徹底的に犯してよ」

「……分かった。恵、まずは……こいつを舐めて貰おうか」

 

 清隆はそう言うと、ズボンを脱いで股間のものを露わにした。

 

 初めて見る男性器はびくびくと震えてまるで鎌首をもたげた蛇のようで、何処かグロテスクにも思えたが……それが清隆のものだと考えただけで、愛おしいもののように思えた。

 

「あむ、んちゅ、ぺろ……」

「く……」

 

 あたしは覚悟を決めて、ぱくりと清隆のものを口の中に咥えこんだ。

 

 想像以上の熱さが口の中いっぱいに広がり、熱せられた鉄の棒を咥えているような感触に見悶えしながら、あたしは懸命に清隆のものに舌を絡ませていった。

 

 どうやら清隆は相応の快感を感じてくれているみたいで、普段の清隆からは考えられないような切羽詰まった表情を浮かべている。

 

 あたしはそれが嬉しくなって、夢中になって清隆のものをしごきあげた。

 

 拙い知識を頼りにしたあたしの愛撫はどうやら効果覿面だったらしく、口の中のものがどんどん硬くなっていくのを感じ取れた。

 

「……もういいぞ。恵、股を開け」

 

 あたしの口の中で清隆のものが震え始めた時、清隆はあたしにそう命じた。

 

 あたしは清隆のものから口を離し、あたしの唾液塗れになった清隆のものがぶるん、とあたしの前に飛び出した。

 

 あたしの口の中で膨れ上がった清隆のものは信じられないくらい大きくなっていて、これがあたしの中に入るとはとても思えない程だった。

 

 清隆の命令通りあたしはスカートをたくし上げ、あたしの秘所が清隆に丸見えになるように足を開いて見せた。

 

 綾小路は素早く服を脱ぎ捨てて全裸になると、股間に聳え立つ巨大な肉棒をあたしの秘所に押し当てた。

 

 そして、ゆっくりと清隆のペニスがあたしの膣内に侵入して来る。

 

「か、は……っ!」

 

 最初に感じたのは、股を圧迫する異物感だった。

 

 焼けた鉄の棒のようなものが、むりむりと音を立ててあたしの股に突き刺さって行く。

 

 股が裂けちゃうんじゃないかと思う程清隆のおちんちんは大きくて、あたしは成す術もなく清隆の股間の凶器を身体に埋め込まれて行った。

 

 とてつもない痛みがあたしを襲うが、これが清隆の与えてくれる痛みだと思うと……何故か、全然苦には思わなかった。

 

「ぎっ、あ……っ!」

 

 ぷつり、と音を立ててあたしの処女膜が千切れると同時に、清隆のペニスが根本まであたしの身体の中に埋まった。

 

 反射的にあたしは潰れたカエルのような声をあげ、びくり、と身体を痙攣させた。

 

 恐る恐る自分の下半身に眼を向けると、清隆とあたしの腰が密着して、清隆のペニスが見えなくなっている。

 

 けれどあたしの股から流れ落ちる鮮血が清隆によってあたしの処女が奪われた事を明確に示し、清隆のおちんちんが埋め込まれた下腹は心なしか膨らんでいるように見える。

 

 正直声を発するのも辛い激痛が身体を苛んでいるが、それよりもあたしは……絶頂を我慢する事に、必死だった。

 

 清隆によって純潔を失い今も激痛を味遭っている事実が、あたしの心に暗い歓喜を齎した。

 

 この痛みも、この異物感も、この快感も、清隆が与えてくれていると考えるとそれだけで絶頂しそうだった。

 

 別に我慢する意味はないが、此処で絶頂したら愛液が溢れて清隆から受ける痛みは減る事になる。

 

 そんな、()()()()事は出来れば避けたかったのだ。

 

「動くぞ」

「う……っ! くぅ、あぁぁ……っ!」

 

 けど、清隆は容赦しない。

 

 あたしの腰を掴むと、一端腰を引いて加減もなしに叩きつけて来た。

 

 あたしの膣内が清隆の巨根で抉り取られ、凄まじい激痛が迸る。

 

 思わず悲鳴を漏らしてしまったあたしに構わず、清隆は激しく腰を打ち付け始めた。

 

「く……っ! キツくて気持ちいいぞ、恵……っ!」

「あぅ、うぅ……っ! 嗚呼、うれ、しい……っ!」

 

 処女を失ったばかりの痛んだ膣内を清隆のペニスが容赦なく蹂躙し、あたしは悲痛な(歓喜の)声を漏らした。

 

 冗談でもなんでもなく、清隆に徹底的に痛め付けられているのがこの上なく嬉しかった。

 

 あたしの痛みを一切気にせずこんなに激しく腰を振る程、あたしの身体で興奮してくれている。

 

 その事が、どうしようもない程あたしの心を歓喜で満たしていったのだ。

 

 あたしの胎内を抉る清隆のペニスはどんどん大きくなっていて、清隆の射精が近い事を直感した。

 

 勿論、射精()す時は中で射精して貰いたい……その想いが通じたのか、清隆が苦し気な声で告げる。

 

「……ぐ……っ! 中に出すぞ」

「く、うぅ……っ! 好きに、しなさいよ……っ!」

 

 言葉とは裏腹にあたしは両足を清隆の腰に絡ませ、自分からぎゅううと清隆に腰を押し付けた。

 

 清隆はあたしの背中に手を回して背骨を折るんじゃないかって程の力であたしを抱き締めて、最後に抉るように腰を打ち付けると身体を震わせる。

 

 そして、あたしの中に熱い液体が流れ込んで来た。

 

「うぅ、あぁぁぁぁぁぁ……っ! あ、つい……っ! お腹の中、熱いよぉ……っ!」

「く、おぉぉぉぉぉぉ……っ!」

 

 膣内の一番奥に密着した清隆のペニスがどくん、と脈動する度にあたしの奥に熱い液体が注ぎ込まれ、下腹の内側に熱い液体が溜まっていく感触にあたしは感極まった声を漏らした。

 

 清隆の射精はペニスの大きさの通り尋常な量じゃなくて、あたしの中がパンパンになってもまだ飽きずに精液を注ぎ込んでいる。

 

 収まり切らなかった精液が股から流れ落ちる事を勿体ないと感じながらもあたしは全身を清隆に押さえつけられたまま、清隆の膣内射精を受け続けた。

 

「……ふぅ……」

「……く、うぅ……」

 

 ようやく清隆の射精が終わった時には、あたしの腰の下には精液のプールが出来上がるくらいあたしの中から溢れ出した精液が溜まっていた。

 

 射精を終えた清隆は脱力してあたしに体重をかけて来て重いけど、その重さすら心地よかった。

 

 もう、櫛田さんの事がどうこうとかは考えない。

 

 清隆は、やっとあたしを犯してくれた。

 

 つまりそれは、あたしも清隆の性欲処理を手伝う事を認めてくれたって事だ。

 

 あたしは何を、勘違いしていたんだろう。

 

 あたしは清隆の()()で、自分のモノにいつ手を出すかなんて清隆(ご主人様)が決める事で、あたしが決める事じゃない。

 

 単にこれまでは、その機会がなかっただけ……清隆があたしを性欲処理の相手として認めてくれたんなら、どんな時でも清隆の求めを受け入れるのがあたしのやるべき事なんだ。

 

 結局清隆と櫛田さんの関係が何なのかは分からないけど、櫛田さん程目立つ生徒が常に清隆の性欲処理に付き合えるワケじゃないだろう。

 

 なら、そこを埋めるのがあたしの役割だ。

 

 学校でも寮でも、例え街中であっても清隆が性欲処理をしたいのなら、あたしは何でもやろう。

 

 流石に他の男に見られるような場所だと抵抗があるが、それなら隠れてやれる場所を探すだけの話だ。

 

 路地裏でも映画館でも、公園の茂みでもいい……何処であろうと清隆の求めがあれば身体を開く、そんな生活を考えるとそれだけで背筋にゾクゾクとした快感が駆け巡って来るから不思議なものだ。

 

 結局、あたしは清隆の掌の中にいる事が一番幸せなんだ。

 

 他人から見れば酷い扱いかもしれないけど、あたしにとっては今の状況こそがあたしの望んだ結果なんだ。

 

 誰がなんと言おうと、これだけは確かな事なんだからむしろ誇らしいくらいだ。

 

 あたしはどんな形でも、清隆の役に立てているんだから。

 

「ん……」

 

 あたしの中に思う存分射精した清隆は、そっとあたしと唇を重ねて来た。

 

 あたしは突然のキスに驚いたが、清隆は容赦なくあたしの口内を舌で蹂躙して来る。あたしも夢中になって清隆に舌を絡ませ、清隆の唾液を飲み込んだ。

 

「ぷは……っ! もう、いきなりキス……? あたし、さっきあんたのを舐めたのに気持ち悪くないワケ?」

「別に。口の中に射精してはいないし、このくらいどうって事ないさ。単に、キスしたくなっただけだし」

「……っ! へぇ、そう……で? どうだった? あたしの身体は。櫛田さんと比べてさ」

 

 こんな事を聞くつもりはなかったのだが、どうしても聞かずにはいられなかった。

 

 そんな不躾な質問をされた清隆はあたしをじっと見つめ、口を開いた。

 

「お前の方が良かった、と聞いて信じるのか? 俺から言えるのは、これからもお前を捨てる事はないという事だけだ」

「……まあ、確かにその方が清隆らしいか。いいよ、今はそれで騙されてあげる。それで? 清隆は一回だけでいいの? あんたのこれは、まだやる気満々みたいだけど」

 

 あたしはそう言いながら腰を揺らし、あたしの中に突き刺さったままの清隆のペニスを刺激した。

 

 あたしの中を埋め尽くす清隆のペニスはその刺激でびくりと震え、心なしか体積が増しているように思えた。

 

「……そうだな。続きをするぞ、恵」

「あぅ……っ!」

 

 清隆はあたしの誘いに乗って、あたしの身体を持ち上げてあたしを自分の身体の上に跨らせた。

 

 騎乗位、と言うのだろうか……そんな体勢になったあたしの腰を掴んで、ずんずんと突き上げ始めた。

 

「くぁ……っ! うぅ、あぁ……っ!」

「……いいぞ、恵。最高だ」

 

 あたしは清隆の突き上げに翻弄され、髪を振り乱して見悶えた。

 

 先ほどとは違う角度から清隆のペニスがあたしの中を抉って、内臓を無遠慮に直接抉られる感覚が再びあたしに凄まじい快感を与えていく。

 

「くぅ、あぁ……っ! 太い、清隆……っ!」

 

 清隆が腰を突き上げる度、あたしの身体は清隆の巨根に切なく絡みつき、締め上げている。

 

 見るからに許容量を超えた清隆のペニスがあたしの中を蹂躙し、あたしの中が清隆の形に変わっていくのを感じた。

 

 今、あたしの膣内は清隆専用に作り変えられている……その事が、あたしを瞬く間に絶頂へと導いて行った。

 

「きよ、たか……っ! いっしょ、に……っ!」

「……ああ、射精()すぞ。恵……っ!」

 

 あたしの懇願を受け止めた清隆は猛然と腰を突き上げて、あたしのお尻に思い切り指を食いこませる。

 

 そして、腰を震わせてあたしの中で再び熱い液体を吐き出した。

 

「ぐ、うぅぅぅぅぅぅぅ……っ!」

「あぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ! 清隆、あつい、あつい、よ……っ!」

 

 清隆の精液があたしの中に注ぎ込まれ、あたしはその熱さを感じて絶頂した。

 

 容赦なく注ぎ込まれる液体があたしの中を満たして、お腹の中が清隆の吐き出したものでいっぱいになっていく。

 

 清隆の精液の量は膨大で、もし今日は危険日なら間違いなく妊娠していただろう。

 

 けど幸か不幸か今日は大丈夫な日で、少々残念に思いながらもあたしは生で注がれる清隆の精液を絶頂と共に受け止め続けた。

 

「ふぅ……よかったぞ、恵」

「ふん、櫛田さんにも同じ事言ってるんじゃないの? けど、ありがと……例え嘘でも、そう言ってくれるんなら嬉しい」

 

 清隆の射精が終わって、あたしはくたりと脱力して清隆の身体の上に倒れ込んだ。

 

 清隆の裸の胸に顔を埋めて、思った以上に逞しいその身体にあたしはこの上ない安心感を覚えた。

 

 これが、あたしを守ってくれる強い男の身体なんだ……そう考えるとどうしようもない愛おしさがこみ上げてきて、衝動的に清隆と唇を重ねた。

 

 清隆はあたしのキスを拒む事なく受け入れ、あたしはそのまま清隆に身を委ねる。

 

 あたしの中突き刺さったままのペニスは、今も一向に衰える様子がなくその存在をあたしの中で全力で主張している。

 

 暫くして清隆が再び腰を振り始め、あたしは再び悲鳴(嬌声)をあげ始めた。

 

 そしてあたしがもう一度絶頂するまで、大して時間はかからなかった。




 というワケで軽井沢編です。エロを書くにあたって軽井沢の純情さは大分削り、依存度をブーストしています。要は清隆に対する依存度を極限まで上げて、純情さに蓋をしたワケですね。こうでもしないと軽井沢と関係を持つのは難しいように思えたので。
 次は再び櫛田編となりますので、お楽しみに。


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4時間目~櫛田桔梗の時間Ⅱ

 こちらは『綾小路清隆×櫛田桔梗・2』の加筆修正版です。
 デブ山さん、ashbrainさん、評価付けて下さりありがとうございます。
 R-18ランキングで5位になってたのでびっくりしました。なるべく期待に応えられますよう、投稿を続けていきます。
 あ、今回はエロはなしです。


「……っ!」

 

 時刻は夜、街灯以外の灯りがない中で櫛田は寮を出て一人海辺の方に向かって歩いていた。

 その足取りは何処か苛立った様子で、表情も普段の優し気なものとは明らかに違う……そして、街灯とベンチが立ち並ぶ海辺の路地に辿り着くと、舌打ちと共に近くの柵を蹴飛ばした。

 

「……あー、ウザい……ホント、何なのあの女……っ! あいつ相手にあんな媚びた面見せやがって、平田と別れてそんなに経ってないのにとんだ尻軽女……っ! あたしの一言であんなに顔真っ青になって、いい気味っ!」

 

 櫛田は激情のままに柵を蹴飛ばしながら、その口から暴言を吐き出して行く。部屋の中に防音を敷いている以上、以前のようにわざわざ外に出て他者に見つかるリスクを負ってまで鬱憤を晴らす意味はない……にも関わらず、この場所に来てこんな事をやっている理由は……恐らく、此処が綾小路に本性を見られた場所だからだろう。

 

 櫛田は自分で気付いてはいないが、綾小路の事を無意識のうちに()()()()として扱っている……だからこそ彼に色目を使った軽井沢が見過ごせず、性行為の痕を見せつけるという、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という表向きのキャラクターならばまずやらないと思われる行動を取ってまで、軽井沢をあの場から追い払ったのだ。

 

 正直、あそこから軽井沢が立ち去らなければ櫛田は彼女相手に本性に露わにしてしまった可能性がある……それを無意識に自覚していたからこそ、櫛田はあんな行動を取ったのだ。

 

 彼女が綾小路相手に抱いている感情は、単純な恋愛感情とは言い難い。確かに、綾小路を排除しようとしていくうちに彼が隠していた能力を垣間見て、彼の事を特別視していたのは事実だ。

 好きの反対は無関心とよく言うが、彼女は綾小路を排除しようと強く意識していたからこそ、彼の長所や本性と言うべき部分も見えて来ていたのだ。

 

 櫛田桔梗は、()()に強く憧れていた。他の人よりなんでもいいから上に立つものを持っていたい、誰からも認めて貰いたい……彼女はそういった()()()()が、人と比べて行き過ぎていると言っていい程高いのだ。

 

 櫛田は優秀であるが天才ではなく、勉強でもスポーツでも二番手三番手になる事は出来ても一番になる事は出来ない……それを自覚していたからこそ、彼女は無理をしてまで()()()()()()()()()()()という自らのキャラクターを作り上げた。

 

 彼女の普段の振る舞いは、その殆どが演技と言っていい。全てが嘘とは言わないが、本来の彼女は我がとても強く人と人との仲立ちには向いていない……その本来の性格を抑え込んでまで優れた洞察力を駆使して立ち回り、周囲の人間の反応を逐一観察し適切な行動を取る事で、彼女は()()()という立ち位置を手に入れたのだ。

 

 当然、そんな真似をやり続けていれば凄まじいストレスが溜まる。かつて彼女はブログに罵詈雑言を書く形でストレスを発散していたが、そのブログが見つかって()()に繋がってからはこうして言葉でストレスを吐き出す事で精神の均衡を保っていた。

 

 だが、携帯を部屋に置き忘れるという失態が原因で、綾小路にストレスを吐き出している場面を見られてしまった。彼女らしからぬ失敗だが、あの時は一刻も早く鬱憤を吐き出したくて忘れものに気付かなかったのだ。

 

 綾小路に自分の本性を見られた事で一瞬パニックに陥った彼女はわざと胸を触らせてその場で見た事を口外しない事を約束させ、結果として綾小路はあの()()を知る堀北鈴音以外では、唯一櫛田の裏の顔を知る存在となった。

 

 正直、櫛田は本性を見られた時点で綾小路が自分を見る眼に軽蔑が混じる事を予想していた。少なくとも、過去に櫛田の本性を知ったクラスメイト達は櫛田に蔑みの視線を向け、罵詈雑言を叩きつけて来た。

 表面上取り繕っても、自分の本性を知る以上内心では自分には負の感情を持つものだと思っていたのだ。

 

 しかし、綾小路の態度は予想に反して殆ど変わらなかった。本性を知った事で自分を完全に信頼する事はなくなったようだが、彼が自分を見る眼に明確な負の感情が宿る事はなかった。

 それは彼を追い詰めようとした後も同様で、精々()()()()という感情をチラつかせる程度であり、自分に悪感情を抱いている様子が全くなかったのだ。

 

 無論、彼が他人に無関心である事も原因の一つだろう……だが、理由はどうあれ櫛田にはそんな綾小路の態度は酷く新鮮に映った。有り体に言えば、好奇心をそそられたのだ。

 

 以前櫛田は綾小路に面と向かって()()と発言しているが、それはあくまでその時点での感情であって現在までそれが続いているとは限らない……自分の本性を知っても態度を変えず、裏で動いてDクラスを導き自分の策の悉くを潰してみせた綾小路は、櫛田にとって今まで見た事のない()()に映った。

 

 そうなれば、好奇心が好意に変わるのは時間の問題だった。綾小路の()()な面をもっと見てみたい、そんな()()な存在の女になって他の女とは違う存在になりたい……そんな感情が、櫛田に綾小路と肉体関係を結ぶ選択を選ばせた根本的な原因だった。

 

 いざ関係を持ってみれば、普段超然としている綾小路が一心不乱に自分の身体を貪る様子を見て、櫛田は言い様のない優越感を感じる事が出来た。

 あんなに凄い男が、自分の身体にこれだけ夢中になっている……その事実は、櫛田の自尊心を充分以上に満たしていた。

 

 だからこそ、綾小路に色目を使う軽井沢恵という女の存在が許せなかった。カラオケボックスでの一件を考えれば、彼女が綾小路の指示で動く手駒のようなものだろうという事は想像出来る。

 あくまで、彼の下僕として動いているだけならば容認出来た……少なくとも、自分のように彼を夢中にさせているワケではない。自分の方が立場は上だと、そう思う事で櫛田は軽井沢の存在を黙認していた。

 

 しかし、あの時軽井沢は明確に綾小路に色目を使った。本人が気付いているかどうかは知らないが、あの時の彼女が綾小路に向ける眼は恋する少女そのものだった。

 

──こいつは、私の男だ──

 

 はにかみながら綾小路と話す彼女の姿を見た瞬間、櫛田の中にそんな強烈が感情が沸き上がった。目の前の女がどうしようもなく憎い存在に思えて、笑いながら性行為の痕を見せつけた。結果として軽井沢はその場から逃げ去り、綾小路は彼女の後を追いかけた。

 

 そして櫛田は自分を置いて軽井沢を追った綾小路の行動がどうしても許容出来ず、気付けばこの場所に来て鬱憤を吐き出していた。此処でこうしていれば、綾小路がやって来てくれるかもしれない……そんな、淡い期待が、彼女の無意識下にあったのだろう。

 

「──随分不用心ね。貴方らしくないわよ、櫛田さん」

「……っ!? 堀、北……っ!」

 

 ──しかし、やって来たのは綾小路ではなかった。聞き覚えのある声に振り向くと、そこには長い黒髪を靡かせるスレンダーな美少女……櫛田の過去を知る忌々しいクラスメイト、堀北鈴音がこちらを見据えていた。

 

「……何の用? こんなトコに一人で、綾小路くんと逢引きの約束でもあるワケ?」

「最初から本性全開ね。貴方がそんなに余裕をなくす程、嫌な事でもあったのかしら?」

「……っ!? うるさい……っ! アンタには関係ないでしょ……っ!? それより質問に答えなさいっ!」

 

 櫛田は図星を指された事で苛立ち交じりに堀北を睨みつけ、舌打ちする。今の彼女は、どう見ても余裕を失っている。それは、誰が見ても明らかだった。

 自分でも理解出来ない焦燥感に焼かれ、櫛田は優等生の仮面を完全に脱ぎ捨ててしまっている。しかも、目の前にいる相手が入学以来ずっと排除したかった堀北である事が、彼女から感情のブレーキを取り払う要因になっていた。

 

「散歩をしていたら物音が聞こえて、気になってやって来ただけよ。そうしたら、貴方が見た事ない程余裕をなくして暴言を吐いているのだもの……正直、驚いたわ」

「……っ! だから何……? あたしの本性を知ってるなら、これくらいで驚くなっつの。まさか、あたしが心を入れ替えたとでも思ってるワケ?」

「別に、そんな事は思ってないわ。けど、そうね……最近の貴方は前より余裕があるように見えたの。綾小路くんとも表向きの関係以上に仲が良い気がするし、私や綾小路くんを陥れようとする様子も見えなかったしね」

 

 櫛田は堀北の指摘に思う所があったのか咄嗟に反論しようとするが、直前で口元に薄笑いを浮かべ……堀北相手に、優越感に満ちた声で……今まで、言うつもりがなかった事を口走った。

 

「……ええ、だってあたしは綾小路くんと肉体関係を持ってるもの。仲良くなるのも当然でしょ? お高くとまってるアンタにも、分かるように言ってあげるわ。あたしはね、綾小路くんとセックスしたの……それも、一回や二回じゃない……最近じゃ、ほぼ毎日かな。アンタが頼りにしてる綾小路くんは、あたしの身体に夢中ってワケ」

「……そう」

 

 櫛田としては、綾小路との関係を暴露する事で堀北の動揺を狙ったのだろう……初心な堀北が顔を真っ赤にして反論する所を見たかったというのが、正直な本音だった。

 しかし、堀北は顔を赤らめる事すらなく、普段通りの冷淡な目で櫛田を見つめたままだ。その様子が気に入らなかった櫛田は、苛立ちのままに再び口を開く。

 

「なに? まさか嘘とでも思ってるワケ? 愛しの綾小路くんが自分を裏切るワケないって、馬鹿な事でも考えてるの? 疑うんなら綾小路くんがどんな風にあたしとセックスしたか、事細かに語ってあげようか?」

「別に、疑ってるワケじゃないわ。貴方が振り翳す武器は()()であって、()じゃないもの。必要とあれば嘘も言うんでしょうけれど、こんな無意味な嘘を言う人じゃないわ」

「じゃあ、何でそんなに落ち着いてるワケ? アンタ、綾小路くんをあたしに取られたのよ? アンタさ、あいつの事好きだったんじゃないの?」

 

 櫛田は何も、当てずっぽうでこんな事を言ったのではない。櫛田から見て、堀北は綾小路に恋慕の情を抱いているように見えた……人並外れた彼女の観察眼は、その見立てが間違っていないと感じている。

 だが、好いた相手が自分に寝取られた事を知らされても堀北は一向に動揺する様子がない……その事が、どうしても櫛田には納得出来なかった。

 

「……そうね。私が彼に向ける感情は、男女としての好意なんでしょう……今まで何度も、彼に助けられて来たのだもの……恋愛感情を持つ事自体、別に不思議でもなんでもない。そして、その感情は女として先を越された程度で揺らぐ程軽いものでもないの」

「え……?」

 

 堀北は真っ直ぐ、曇りのない瞳で櫛田を見据えている……その済み切った瞳を見て、自分のない純粋さを見せつけられているように思えて……櫛田は思わず、たじろいた。今の彼女の眼光には、それだけの力があったのだ。

 

「貴方がそうやって余裕をなくしているのは、多分綾小路くんに別の女性の影が見えたからなんでしょう? 強力なライバルが出来て苛立つのは分かるけど、そもそも彼の相手がたった一人で務まると思う? 貴方は多分、彼と肉体関係を結んではいても恋人というワケじゃないんでしょう? 大方、肉体関係を結ぶ事で秘密を守るよう迫ったとか、そのあたりじゃない?」

「……っ!?」

 

 堀北はまるで見てきたように櫛田の現状を言い当て、秘密を暴かれた櫛田は眼に見える程狼狽える。まさか、人の感情の機微に疎そうな堀北相手にこんな醜態を晒すとは思ってもいなかったのだろう。

 学力や運動で上を行かれても、洞察力だけは負けない……そう思っていた相手だけに、櫛田の衝撃は大きかった。

 

「貴方がそんな所で躓くようなら、彼の恋人の座は私が貰うわよ。少なくとも嫌われてはいないと思うから、それなりに良い返事が貰えると思うのよね。断られても、貴方と同じように肉体関係から始める手もあるのだし」

 

 堀北は、なんてこともないようにそう告げた。その堀北の言葉に頭に血が上り、櫛田は声を荒げて堀北を睨みつけた。

 

「……っ!? あ、アンタにそんな真似が出来るワケ? 今まで男の手も握った事のないようなお嬢様が、セフレでいいなんて妥協出来るっての……っ!?」

「普通の相手なら無理ね。けど、綾小路くん相手なら話は別よ……だって、彼は()()だもの。貴方もそう思ったから、肉体関係から始めたんじゃないの?」

「……っ!?」

 

 櫛田は堀北から漂う異様な迫力に押されながらも、鋭い視線で堀北を睨みつけた。その視線は、単純に気に入らない相手に向けるものではなく……明確な、()()に向ける眼だった。

 

「素直になればいいじゃない。綾小路くんは幸か不幸か、貴方の本性を知っている……今更、何を気にしているのかしら? 彼は少し失態を演じた程度じゃ、見捨てたりはしないと思うわよ」

「……っ! うる、さい……っ! さっきから好き勝手言いやがって、もうたくさん……っ! 絶対、後悔させてやる……っ!」

 

 櫛田はそう吐き捨てると踵を返し、寮への道を戻って行った。その後ろ姿を見ながら、堀北は溜め息を吐いた。

 

「……やれやれ、慣れない事をするものじゃないわね。敵に塩を送るなんて、我ながらどうかしてるわ」

 

 堀北は一人そう呟くと、盛大な溜め息を吐いた。彼女の声は夜闇に溶け、雲間から覗く月に照らされた彼女の顔は憂いと達成感の入り混じった複雑なものとなっていた……




 というワケで櫛田回二回目です。櫛田は特に好きなキャラなので、3回に分けて書いています。次はきちんと濡れ場ですので。


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5時間目~櫛田桔梗の時間Ⅲ

 こちらは『綾小路清隆×櫛田桔梗・3』の加筆修正版になります。
 マイさん、sm130039さん、評価コメントありがとうございます。今後もよろしくお願いします。


 俺は軽井沢の部屋を後にし、自分の部屋へと向かっていた。時刻は既に深夜、女子の部屋からこんな時間に出て来る所を見られれば疑いの眼が向けられるだろうが、櫛田曰く頻繁でなければ問題はないらしい。

 

 監視カメラには姿が映ってしまうが、それだけでどうこう言われるワケではない。

 ちなみに櫛田と関係を持つ時は、会う時間を昼間にしたり俺と櫛田の部屋を交代で使い分けたり校舎の屋上を使ったりする事で誤魔化している。誰かに見られるような下手も打っていないし、問題はない筈だ。

 

 結局、恵との関係は櫛田と同じくセフレのようなものという事で落ち着いた。恵の俺への依存の深さは明らかであるし、強引に行けばどうにかなると考えていたが……なんとか、恵を納得させる事には成功した。

 

 今まで俺は、恵に対し俺の力を必要以上に見せつけて来た。真鍋達を使った暗躍を始め、龍園を取り巻きを含め正面から薙ぎ払ったりする等、徹底的に恵の脳裏に俺に対して()()()というイメージを刻み込んで来た。

 

 恵からしてみれば、俺は自分をあらゆる存在から守ってくれる万能の救世主のように見えたに違いない。

 

 そう思わせる()()は怠らなかったし、例え()()に気付かれたとしても()()()()()()()()()()()()()()()()()と考えてくれれば益々俺に傾倒させる事が出来る……それだけに、今回櫛田がしでかしてくれた事は見過ごせなかった。

 

 あのまま恵を放置すれば、俺から離れていくか俺への忠誠が揺らぐ事も充分以上に考えられた。

 櫛田は俺を嫌っている筈だから他の女子を牽制するような真似はしないと踏んでいたのだが、どうやら()()というものを完全に理解するには俺には経験が足りなかったらしい。女心というものは時に論理を超越するから、読み難くて厄介だ。

 

 ともかく、俺はすぐに恵を追いかけて()()を行った。櫛田と肉体関係を持っている事を知られた以上、恵とも肉体関係を結ばなければ恵も納得はしなかっただろうから、恵とも関係を持ってしまったのだが。

 

 しかし、俺は果たしてそんな打算だけで恵を求めたのだろうか? 確かに、恵という手駒の存在は俺にとってなくてはならないものだ……彼女の機転や行動力は、中々に得難いものである。

 

 裏で動く必要が出た時、彼女がいるといないのとでは出来る事にどうしても差が出て来る……そんな有用な彼女を失う事など、あってはならない事だ。

 

 だが、同時に俺が恵に何かしら特別な感情を抱いていると思うのは気の所為だろうか? 

 

()()()()()()()()()()()と教え込まれて来た俺にとって、他の人間は価値の差こそあれ特定個人に入れ込む事はないと考えていたのだが……思えば、()()()()()()()()()()()()というのが俺の願いなのだから()()()()()()()という考えは決しておかしなものではない筈だ。

 実感はまるでないが、それならばあの時感じた焦りのようなものも納得出来るというものだ。

 

 ならば、櫛田は俺にとってどういう存在だろうか? 確かに、櫛田の肉体は素晴らしい……童貞だった俺は柄にもなく彼女の肉体に夢中になり、殆ど毎日その身体を抱いていた。だが同時に、完全には信用出来ない彼女をどう扱うか悩んでいた事も確かだった。

 

 櫛田は自分の本性を知る俺と堀北を、何がなんでも排除したかった。しかし今は少なくとも俺を排除する事は無理だと悟り、身体を使った交渉を仕掛けて来ている段階にある。

 

 恵と違い、櫛田はいつ裏切ってもおかしくない存在だ。今まで櫛田がやって来た事を考えれば、この評価は間違っていない筈である。

 

 事実、櫛田は今回裏切り行為を行った。恵相手に性行為の痕跡を見せつけるなど、俺にとっては不利益以外の何物でもない。

 後で問い詰める必要があるな、と考えていたその時……不意に俺の部屋の前に気配を感じて眼を向ければ、そこには俯いたままの櫛田が立っていた。

 

「櫛田……」

「…………っ!」

「お、おい……っ!?」

 

 櫛田は無言のまま有無を言わさず俺の腕を掴むと、強引に部屋の中に連れ込んだ。そういえば鍵も閉めずに追いかけたんだっけ、と今更ながら思い出すも櫛田は玄関の鍵をかけるとそのまま俺を引きずり、寝室まで来るとようやく俺の腕を離して……突然、胸元に飛び込んで来た。

 

「……一体、何のつもりだ……?」

「……この、匂い……やっぱり、軽井沢さんとエッチして来たんだね……」

 

 ぼそりと呟いた櫛田の言葉に、俺は舌打ちした。どうやら、俺に染み込んだ恵の体臭を敏感に嗅ぎ取ったようだ……最初からそれを確かめる為に抱き着いて来たと思われるあたり、矢張り 櫛田は油断ならない。

 

「……それが、お前に何か関係があるのか? お前は俺のセフレで、恋人じゃないだろう? そんなお前に、俺の交友関係に口出しする権利があるのか?」

「……あるに決まってるじゃない。アンタが他の女を抱くようになれば、アンタの中の()()()()()()が下がるじゃない。どうせアンタ、エッチしてくれる女なら誰でもいいんでしょう? あたしの身体であれだけ好き放題やっといて、他の女が出来たからハイさよならとかアンタなら言い出しかねないじゃない。そんなの、あたしが軽井沢さんに女としての魅力で負けてるみたいで嫌なのよ。アンタもあんな平田くんの中古品より、アンタ専用のあたしの方がいいんじゃないのっ!?」

 

 櫛田は恵への敵意を剥き出しにして、そう吐き捨てた。()()()である事に拘っていた櫛田にしてみれば、俺が自分より恵を選んだ今回の状況が気に食わなかったのだろう……だからこそ、恵に性行為の痕跡を見せつけて追い払ったワケか……つくづく、面倒な性根の女だ。

 

「平田と軽井沢はピュアな関係だったようだから、バッチリ処女だったけどな。心配しなくても、今更約束を反故にする事はない……だが、今回のように軽井沢を攻撃するのは止めてくれ。それが約束を履行し続ける条件だ」

 

 此処で恵を呼び捨てにすると櫛田が彼女に妙な敵意を向ける可能性もある為、敢えて恵の事は苗字で呼んだ。そもそも二人きりの時以外、名前呼びはしていないのだから当然といえば当然なのだが。

 

「そう……なら、軽井沢さんとの関係も続けるワケ?」

「そうだな……恐らく、そういう事になるだろう。言っておくが俺と彼女の関係の詮索はなしだぞ……お互い、秘密にしたい事は色々あるだろう?」

 

 此処で櫛田に恵が俺の手駒だと明言するのはリスクしかない。カラオケボックスの一件で薄々勘付いてはいるだろうが、確証がなければ武器には成り得ない……この女に()()という武器を持たせれば、どんな使い方をするか分かったものではないからな。

 

「……なら、これまで以上にアンタをあたしの身体に溺れさせれば問題ないワケよね──あの女よりあたしの方がいいって、思い知らせてやる」

「は……? むぅ……っ!?」

 

 そんな時、櫛田が一瞬据わった眼をしたかと思うといきなり俺の顔を掴んで……突然、唇を重ねて来た。櫛田の舌が俺の舌を絡め取り、痺れるような快感が口内に迸った。

 

 暫くして唇を離した櫛田は、口元に付いた唾液を拭いながら情欲に歪んだ瞳で真っ直ぐこちらを見上げて来る。

 

「……アンタはあたしの処女を奪ったんだから、あたしの男も同然でしょ!? そんなアンタが、他の女に現を抜かしているのがどうしても気に食わないっ! だから、徹底的にアンタをあたしに溺れさせてあたし以外見えなくしたげるっ! ホラ、さっさと脱ぎなさいっ!」

「ちょ、ちょっと待……っ! う……っ!」

 

 反論しようとする俺を無視して、櫛田は慣れた手つきで俺のズボンをずり下げ陰茎を露出させた。櫛田は自分も服をはだけて乳房を露出させると……俺の陰茎を、その豊かな胸で包み込んだ。沈み込むような乳房の感触が俺のペニスを覆い尽くし、俺は思わず溜め息を漏らした。

 

 このパイズリという行為は、俺がとても気に入っている行為だった。巨乳に包み込まれる男根という視覚的なインパクトもそうだし、四方八方から圧搾するようにペニスが刺激される感覚がたまらない。

 

 故に、櫛田との性行為では毎回一度以上はパイズリをして貰っている。当然それだけの数を繰り返した為櫛田もパイズリは既に手慣れており、胸を存分に使った愛撫は俺のペニスを加速度的に膨張させていく。

 

「あむ、むちゅ……」

「くぅ……っ!」

 

 胸で挟むだけではなく、櫛田はペニスの先端を口内に迎え入れフェラチオまでやり始めた。

 

 パイズリフェラの威力は凄まじく、乳房の圧迫感と口内の絶妙な締め付けがペニスを襲い、あっという間に俺は上り詰めてしまい呆気なく精液を吐き出した。

 

「ぐ、射精る……っ!」

「んむぅぅぅ……っ!」

 

 俺はたまらず櫛田の頭を掴むと、そのまま喉奥までペニスを突っ込みそのまま射精を開始した。

 俺のペニスが脈動する度どくりどくりと白濁液が櫛田の喉奥に注ぎ込まれ、頭を掴まれている櫛田はそれを全て飲み干すしかない。

 

 喉を鳴らしながら俺の精液を飲み込む櫛田の姿は煽情的で、結局最後の一滴を放ち終えてようやく櫛田の頭から手を離し、忘我の心地のまま 櫛田の口内からペニスを抜き取った。

 櫛田の口内からは呑み込み切れなかった精液が漏れ出ており、彼女の胸元を白く汚している。

 

「げほっ、げほっ……! ほ、ホラ見なさい……っ! アンタ、口でどうこう言ってもあたしの身体に夢中じゃないっ! 頭を抑え付けてまで口の中で射精して精液飲ませるとか、マジ変態っ! 軽井沢さんは此処までやってくれた? ああ見えて純情そうだから、精々普通のエッチだけでフェラチオも出来なかったんじゃないっ!?」

「……いや、頼めばパイズリもフェラチオもやってくれたぞ。あれはあれで気持ちよかったな」

「……っ!? この……っ! あの女とあたしを、比べるな……っ!」

 

 最初に比較するような事を言ったのは櫛田なのだが、そこを指摘しても激昂させるだけで意味はないだろう。こういう時の女は、どんなに間違った事を言っていても自分の考えだけが正義なのだ。

 下手に藪をつつく趣味もないので放置していたら、櫛田は乱暴に全ての服を脱ぎ捨てて全裸になると俺をベットに押し倒し、その上に跨って来た。

 

「なら、どっちがいいか徹底的に分からせてやるっ! ……っ! ぐぅ……っ!」

「く……っ!」

 

 櫛田はそのまま俺のペニスの上に腰を落とし、俺のペニスが櫛田の膣内に根本まで突き刺さった。何度使っても緩まない櫛田の膣内が、俺のペニスを四方八方から締め付けて来る。

 

 パイズリフェラをしているうちに自分も濡れていたようで、櫛田の膣内は潤滑液には事欠かない。櫛田は俺の腹に手を突くと、激しく腰を上下に揺らし始めた。

 俺のペニスが櫛田の中に飲み込まれる度、ばちゅん、という肉を打つ音が響き渡り、衝撃で櫛田の巨乳がぷるんと揺れる。櫛田はそのまま一心不乱に腰を振り、俺のペニスをしごきあげて来る。

 

「どう、かしらっ! アンタのおちんちん、あたしの中でどんどんおっきくなってるわ、よっ! あたしの身体、最高でしょうっ!? あんな女より、あたしの方がいいって言いなさいよっ! 今更あたしの身体に飽きたとか言ったら、アンタにレイプされたって遺書を残して自殺してやる……っ! そうなりたくはないでしょうっ!? だったら素直になりなさい、よっ!」

 

 櫛田の声にはいつの間にか狂気が入り混じり、血走った眼でそんな事を口走っている。ペニスを襲う快感の所為で思考が途切れがちになるが、それでも櫛田の瞳の奥の懇願するような光を直視して……俺は、気付いた。

 

 今の櫛田は、あの時の恵と一緒だ……俺に捨てられるんじゃないかと怯え、身体を使って俺を繋ぎ止めようと必死になっている……そんな彼女に対して疑いの眼を持つ事が馬鹿らしくなり、俺は櫛田の腰を掴むと思いきり下から突き上げた。

 

「きゃ……っ!? ちょ、ちょっと……っ!?」

 

 俺はそのまま上半身を起こし、櫛田の身体を思い切り抱き締めて対面座位の体勢になった。俺に抱き締められた櫛田は呆けた表情で俺を見つめており、そんな櫛田の眼を見据えて俺は口を開いた。

 

「……そんなに心配しなくても、お前を捨てたりはしないよ櫛田。お前は、いい女だ……こんないい女を捨てたら、何か罰が当たりそうだしな」

「ふ、ふん……っ! 分かればいいの、分かれ、ば……あぅ……っ!」

 

 顔を赤らめてそっぽを向く櫛田の姿に苦笑し、俺は腰を突き上げ櫛田は嬌声をあげた。気の所為か先程よりも膣壁がぴっちりと俺のペニスにくっ付いており、締め付けも増しているように思えた。

 

 俺はそのまま櫛田をきつく抱き締めると、激しい突き上げを開始した。腰を突き上げる度に櫛田の巨乳が俺の胸板で潰れ、心地よい刺激を与えて来る。俺は夢中になって櫛田の身体を上下に揺さぶり、櫛田の中でどんどんペニスが膨張していく。

 

「あぅ、うぅ、あぁ……っ!」

「くっ、もう射精そうだ……っ! 中に射精すぞ、櫛田……っ!」

「き、来て……っ! 綾小路くんの、中に頂戴……っ!」

 

 櫛田の懇願を受けて俺は櫛田の尻を指が食い込む程思い切り掴み、思い切り突き上げ亀頭を子宮口に押し付けると身体を震わせて射精を開始した。

 

「ぐ、射精る……っ!」

「あ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ! 熱い……っ! 綾小路くんの精液が中に出されて、お腹の中が、焼けちゃいそう……っ!」

 

 俺は櫛田にぐいぐいと腰を押し付けながら精液を吐き出し、ペニスの脈動と共にどくどくと夥しい量の精液が櫛田の膣内に注ぎ込まれていく。

 櫛田は膣奥に精液を浴びる度にびくびくと震え、瞬く間に彼女の膣内は白い液体で染め上げられていく。

 

 ようやく射精が終わった時には、櫛田は過剰な快感によってくたりと脱力し、結合部から流れ落ちる精液がシーツを汚していた。

 

「く、ふぅ……っ! いつ抱いても、お前の身体は最高だな……櫛田」

「……当然、でしょ……あたしの身体、アンタに散々開発されたんだから……っ! 嬉しいでしょう? アンタ専用のマンコが出来て、いつでも性欲処理が出来るんだからね」

 

 櫛田は俺の言葉に満更でもなさそうに赤面し、照れ隠しのつもりなのか背中に手を回すと……そのまま、俺の肩に思い切り噛み付いた。

「痛……っ!」 

「ふ、ふふ……っ! あたしの歯型、ついちゃったね……っ! これ、軽井沢さんが見たらどう思うかなぁ? 開き直るか、あたしを直接問い詰めるか……それが嫌なら、これが消えるまでは軽井沢さんに手を出さない方がいいと思うよ」

 

 櫛田が方から口を離すと、俺の肩には確かに櫛田が残した歯型が付いていた。うっすらと血も滲んでおり、暫くは消えそうにない。

 その歯型を見ながら、櫛田は上機嫌でそんな事をのたまった……これは彼女なりの、独占欲の発露なのだろう。我ながら、面倒な女と関係を持ってしまったものだ……それでもいいかと思うあたり、大分櫛田の魅力にやられているようだが。

 

「……本当に、お前は相変わらずだな櫛田……分かったよ。少なくとも、暫くはお前を優先する……だから、軽井沢へちょっかいを出す事は止めてくれ」

 

 俺の言葉を聞くと、櫛田は何処か悪戯っぽい笑みを浮かべて来た。口元は笑っているが、眼は全く笑っていない……櫛田が本気である、証拠だ。

 

「それは綾小路くん次第かなぁ? 何にせよ、あたしを裏切らせたくなかったらちゃんとあたしに構ってね。アンタがあたしを放っとくようなら、あたしにも考えがあるから……裏切らないでよ、綾小路くん」

「それはこっちの台詞だよ、櫛田。お前が裏切らない限り、俺がお前を裏切る事はないさ……これからもよろしくな、櫛田」

「うん、こちらこそっ!」

 

 俺の返答に満足したのか、櫛田は満面の笑みを浮かべて俺を抱き締める力を強めて来た。俺は暫く櫛田を抱き締めていたが、櫛田の中に突き刺したままのペニスがまだ足りない、とばかりに自己主張している事に気付き、櫛田はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「ふふ、まだ足りないんだね。いいよ、もっかいやろっか……どの体位がいい?」

「……そうだな。バックで頼む」

「はい、どうぞ」

 

 櫛田は俺の要請に応え、一端ペニスを引き抜くと四つん這いになって俺に尻を突き出して来た。俺は遠慮なく櫛田の腰を掴むと、そのまま後背位でペニスを突き刺した。

 

「く、はぁ……っ! ホント、アンタのおっきいんだから……っ! こんなの体験したら、もうアンタじゃないと満足出来ない、よ……っ!」

「……安心しろ、お前を他の男になんてやらない。お前はずっと、俺に抱かれてよがってろ」

 

 俺のその言葉は、殆ど本心だったと言っていい。確かに、櫛田は付き合うに当たってはリスクの多い女だ……櫛田を敵に回せば彼女の人脈がそのまま敵に回る可能性があり、尚且つその本性は自己中心的で狡猾だ……これ程、隣にいて安心出来ない女はいないだろう。

 だが、そんな所もひっくるめて櫛田という女生徒の魅力なのだと俺は考えるようになっていた。確かに櫛田は危険な女だが、その危険性は危うい色気とも言うべきものとなって櫛田の魅力を引き立てている……何より、どうせ付き合うならば普通の女よりこういった女の方が面白い。少なくとも俺は、そう思えた。

 

 だから、櫛田を他の男にやるなど冗談ではない。少なくとも俺が飽きるまで、この女は俺のものだ。櫛田は俺への攻撃を無為だと悟り、降伏の条件として自分自身を差し出して来た……つまり、櫛田の身体は俺にとって櫛田との戦いにおける戦利品なのだ。

 

 櫛田は俺の戦利品なのだから、俺の所有物であるべきだし俺が所有物である櫛田を守るのも当たり前だ。流石に櫛田の為に誰かを排除したりはしないが、少なくとも彼女が本性を隠す手伝いくらいはやってもいいか、という気になっていた。

 

 我ながら鬼畜同然の事を考えているが、櫛田の相手はこのくらい割り切らないと難しいだろう。言うなればこれは、俺の決意表明だ。誰かに告げるワケではないが、俺自身が男女関係にある程度本気になる宣言のようなものだ。

 損得勘定ではなく、ただ感情のままに女を求める。未だ恋愛感情というものは理解出来ていないが、今後はもう少し理解する努力をしてみようと思う……まあ、相手が櫛田一人とは言っていないので真剣かどうかは判断し難いだろうが。

 

「あはは……っ! そうよ、それでいいのよ……っ! あたしは、アンタ専用のオナホールなんだから、もっともっと夢中になればいいのよ……っ! ほら、あたしの身体は気持ちいいでしょう……っ!? だったら、黙ってあたしの身体に溺れてなさいよ……っ! うぁ……っ!」

「……言われなくても、そうするさ」

 

 血走った眼でそんな事を口走る櫛田の言葉を、俺は腰の打ち付けで封じ込めた。右手を伸ばして櫛田の乳房を無茶苦茶に揉みしだき、激しく腰を打ち付けて膣奥をペニスで抉り、櫛田の膣内を掘削していく。櫛田は俺のピストン運動に翻弄され、頬を上気させながら嬌声を漏らした。

 

「く、うぅ……っ! そう、よ……っ! アンタ、は……っ! 猿、みたいに、腰を、振ってればいいのよ……っ! 避妊薬は、ちゃんと、飲んでる、から……っ! アンタの精液、全部、中に出しなさいよ……っ!」

「……射精()すぞ」

 

 俺は櫛田の懇願を受け、膣内射精する事を短く告げると櫛田の腰を掴んで猛然と腰を打ち付けた。そして思い切り腰を打ち付けて櫛田の尻に腰を密着させると射精欲を解放し、精液を解き放った。

 

「ぐぅ、うぅ……っ!」

「……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ! あつ、い……っ! お腹の中、火傷しそう……っ!」

 

 俺は背後から櫛田にのしかかって密着しながら、腰を震わせてどくりどくりと精液を注ぎ込んで行く。俺が膣奥に精液を注ぎ込む度、櫛田はびくびくと痙攣し絶頂している。あっという間にパンパンになった櫛田の膣内に収まり切らなかった精液が結合部から流れ出て、櫛田の太腿を汚している。

 

「ふぅ……やっぱ、最高だよ、櫛田」

「当然、じゃない……あたしを抱いて、それ以外の感想なんてない、でしょ」

 

 最後の一滴まで注ぎ終えた俺は脱力し、 櫛田と共にベットに倒れ込んだ。俺達は互いの汗に塗れ、部屋の中は男女の行為の臭いが充満している……そんな中、俺と櫛田は互いに様々な思惑を抱えたまま笑い合い……再びセックスを始めるまで、そう時間はかからなかった。

 

 こうして、俺と櫛田は無事に関係を続ける事になった。今後気を遣わなければならない事は多いだろうが、彼女が味方になるのなら安いものだ。その考えが計算から来たのか情から来たのか、俺は未だ測りきれずにいたが……それでも、悪くない結果である事は確かだった。




 というワケで櫛田編ラストでした。櫛田は色々と拗らせてますけど、綾小路の事は少なからず意識してるだろうし、原作でも進展がある事を望みます。まあ、そんな彼女は彼女じゃない、って意見もあるだろうけど。
 綾小路も男女の関係に興味自体はあるみたいだし、切っ掛けがあればのめり込みはするんじゃないかなあ、と。
 次は椎名編です。お楽しみに


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6時間目~椎名ひよりの時間Ⅰ

 こちらは『綾小路清隆×椎名ひより・前編』の加筆修正版です。
 fumo666さん、クロクロ@さん、評価ありがとうございます。気が付けば評価バーも赤になっていましたし、皆さんの応援に応えられるよう投稿していきます。


「綾小路くん、一緒にお昼食べに行こうよっ!」

 

 昼休みが始まるなり、櫛田は満面の笑みで俺の腕を抱えながらそんな事を言って来る。

 抱え込まれた腕が櫛田の胸にめり込み、柔らかな感触が俺の腕を包み込む。

 一見普段通りのスキンシップの延長に見えるが、口元が笑っている所から見て、この胸への接触はわざとやっているらしい。

 

 そんな俺の姿に、クラスの男子の嫉妬の視線が集中する。櫛田が俺に絡んで来るのは以前からだが、先日の一件以来、こうしたボディタッチが過剰になりパーソナルスペースも妙に近くなっている気がする。 

 

 それに伴い、人気者の櫛田を独り占めしている、と他の男子に睨まれる結果となっている。

 

 とうの櫛田は笑みを浮かべてはいるが、密かに周囲の反応を観察しているあたりこの行動の変化は他の女子に対する牽制、といった所か。

 

 櫛田は持ち前の卓越したコミュニケーション能力により、クラス内で高い地位を獲得している。

 

 恵のように女子グループを牽引するのではなく、人の輪の中に自然と入り込んで行く為このクラス内で櫛田に悪感情を抱く人間はいない。

 

 そんな櫛田が俺に対して()()()()()()()()と言わんばかりのアピールを繰り返せば、他の女子は黙る他なくなる。

 

 事実、先日俺に告白して来た佐藤等は複雑な表情で俺の方を見ているが、櫛田が視線を向ければ慌てて眼を逸らしている。

 普通の女生徒に、人心掌握術に長けた櫛田の相手は荷が勝ち過ぎる筈だ。

 

「そんな風に強引に腕を組んで、綾小路くんも困っているんじゃないかしら? 彼は私と昼食を共にするのだから、その手を離してくれないかしら」

 

 ……だが、それはあくまで()()()生徒の話だ。勉強・運動共に高いスペックを誇り、櫛田と色んな意味で因縁がある堀北は櫛田の放つ笑顔のプレッシャーをものともせず、俺と櫛田の間に割り込もうとして来る。

 

 二人の美少女が俺を取り合う構図に、男子からの視線がより厳しいものに変わる。

 堀北に気がある須藤など、拳を握り締めながらこちらを睨みつけているような有り様だった。

 

 櫛田が俺との普段の距離を詰めて来たのとほぼ同時に、堀北はまるでそれに対抗するかのように俺と櫛田の間に割って入るようになった。

 

 今までは必要に応じて俺の方から話しかける事が多かったが、今は特に用がない時でも俺の傍に寄って来るようになっていた。

 

 これまでも堀北とは共に行動する機会が多かったが、今の堀北からは今までになかった俺への執着のようなものが感じ取れる。

 

 そして、何故か櫛田はそんな堀北の()()()()に関しては驚く事なく対応しているのだ。

 

 表向きいがみあってはいるが、何故か以前より堀北と櫛田のわだかまりが緩和されているような気がするのは気の所為だろうか? 

 

 どうにも、櫛田の中で堀北に関する認識が変わったような気がしてならない。

 そんな櫛田の変化に堀北が動揺する様子もない以上、俺のいない所で二人の間に何かあったと見るべきだろう。それがなんなのかまでは、俺には分からないが。

 

「……へぇ、堀北さんは綾小路くんと一緒にお昼を食べる約束でもしてたの?」

「約束はしてないわ。単に、これまでも一緒に食べる機会が多かったから今日も同じようにするだけよ。貴方だって、約束なんてしてないでしょう?」

「それは堀北さんも同じでしょ? だったら、先に誘った私に譲ってくれてもいいんじゃないかな」

 

 疑問形で尋ねるのではなく断定形で宣言し、櫛田は俺の腕をより深く抱え込みその胸をぎゅううと押し付けて来る。その光景を見た堀北の額に青筋が浮かび、がしりと俺の手首を掴んだ。

 

「……胸を押し付けて、はしたないと思わないの? 貴方の築き上げて来たイメージが、台無しになるんじゃない?」

「生憎、ボディタッチが多いのは前からだよ? そりゃ誰にでもやる気はないけど、私のコミュニケーションのやり方に口を出して欲しくはないなあ……納得いかないなら、堀北さんも同じようにすればいいんじゃない? ま、堀北さんの胸じゃ出来るワケないけど

「……っ!? ふぅん……じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うわ」

 

 櫛田がぼそりと呟いた一言を耳聡く聞き届けた堀北は、顔をひくつかせながら俺の左腕を抱え込み、自分の胸に思い切り押し付けた。

 

 堀北の胸は櫛田のようなたっぷりとしたボリュームこそないものの、確かな膨らみが俺の左腕に押し付けられて、なんとも言えない気分になって来る。

 

 どうしようかと悩んでいると、不意に少し不機嫌そうな表情の恵がつかつかと近付いて来て口を開いた。

 

「ちょっと、二人共止めなって。()()も困ってるよ。喧嘩するくらいなら、3人で食べに行けばいいじゃない」

 

 恵としては、二人に絡まれて困っている俺を助けたつもりなのだろう……正直、悩んでいたのは事実なのでありがたいといえばありがたいのだが……ただ一点、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という失態が全てを台無しにしてしまっているのだが。

 

「……そうね。折角だから、()()で昼食に行こうかしら。異存はないわね? 櫛田さん」

「……そうだね。そろそろ、釘刺しとかなきゃって思ってたしね」

「え? え? ちょっと、何で二人であたしを引っ張って……って、堀北力強っ!? ちょっと清隆、なんかヤバイ気配感じるし助けてってば……っ!」

 

 哀れ恵は失言を聞き逃さなかった女子二人に連行され、成す術なく学食へ向かって行った。

 

 俺は溜め息を吐きつつ3人の後を追いかけ、男子からの射殺すような視線を背に浴びながら教室を後にする。

 これが、あの一件の後に出来上がった俺の現在の()()だった。

 

 

「……ふぅ……」

 

 放課後、俺は図書室で一息ついていた。櫛田と堀北は互いに牽制し合った結果、恵を巻き込んでいつの間にか何処かに消えてしまっていた。

 俺に見捨てられた呈になった恵は、恨めし気に俺の事を睨んでいたが。

 

 堀北がいれば櫛田も無茶な事はしないと思うが、最近だと堀北のブレーキも緩んでいる気がするので確かな事は言えない。

 後でフォローするか、と考えていると……背後に人の気配を感じて、振り向いた。

 

「…………」

 

 そこには、艶やかな銀の長髪の女子生徒……C……いや、()D()()()()の椎名ひよりが普段通りのぼんやりとした目でこちらを見つめていた。

 

 椎名ひよりは前Cクラスの生徒でありながら龍園とは距離を置き、独自の立ち位置を持っていた生徒だ。

 争い嫌いだということだが、どうにも掴み難い不思議な雰囲気を持っている女子生徒だ。

 

 龍園の依頼で動いた事もあったが、基本的に龍園が仕掛けて来る謀略からは一歩引いた位置で傍観していた印象がある。

 

 その性質は前Cクラスの生徒達に多い素行不良が目立つタイプではなく、堀北のような優等生タイプに近い。

 

 しかし、割と単純な堀北と違い独自のペースで話を進める為に、真意がとても掴み辛く俺としても現段階では評価を下しきれていない生徒だ。

 

 社交的なタイプではないというのは分かるが、龍園も椎名の事はある程度尊重していた節があるので、どういう生徒なのかは未だ判然としない。

 

 そんな椎名が、何をするでもなくじっとこちらを見つめている……何か用があるのかと待ってみたものの、椎名は一向に話し始める気配はない。仕方なく、俺から話を振る事にする。

 

「……何か用か?」

「……? 図書室にいるのに本を読むでもなくただ座っているので、どうしたのかな、と考えていただけですが……ご迷惑でしたか? 私」

「……いやまあ、近くで立たれてジロジロ見られるのはちょっと勘弁願いたいけど」

 

 気になったから見ていただけ、と告げる椎名に俺は内心溜め息を吐いた。矢張り、この少女は扱い難い……天然なのか計算なのか分からないが、悉くこちらのペースを無視して会話を進めるので常に肩透かしを食らっている気分だ。

 

 かと言って怒る気にもなれないのは、彼女の持つ不思議な雰囲気が影響しているのだろうか。

 ふわふわした独特の雰囲気の彼女と話していると、怒るのが馬鹿らしくなって来るのだ。

 

「……って、何してるんだ……?」

「……? 近くで立たれると落ち着かないとの話でしたので、私も座ったのですが……問題でしたか?」

「別に座ったから見ていいってワケじゃ……はぁ、なんだか反論するのも疲れて来たな」

 

 いつの間にか椎名は俺の隣の椅子に座り込み、再び俺を正面からじっと見つめ始めていた為、何のつもりか尋ねたものの、またしても奇妙な返答を返され俺は気力が萎えていくのを自覚した。

 

 この子とまともにやり合っても、疲れるだけという事は充分に分かった。このまま此処にいては埒が明かないと感じ、俺は帰り支度を整える。

 

「とにかく、用がないなら帰ってくれ。俺もそろそろ帰ろうと思っていた所だし、もう行くからな」

「そうですか。なら、行きましょうか」

「……何で、俺の後を付いて来ようとするんだ……?」

 

 俺が席を立つと、椎名も同じように席を立った……それはいいのだが、何故か椎名は俺の後ろに立ったまま微動だにしない。

 

 挙句に俺が歩き始めると椎名も歩き始め、無言のまま俺の後を付いて来ようとした為流石に黙っていられずに尋ねると、椎名は相変わらずのとぼけた様子で平然と答えてみせた。

 

「今から綾小路くんの部屋の伺おうと思っていたのですが、駄目でしたか? 綾小路くんの部屋がダメなら、私の部屋に来て貰いたいんですけど」

 

 平然と大して親しくもない男と一緒に個室に入ろうとする椎名に眩暈を覚えつつ、ふと俺は椎名が今の現Dクラスを率いる人間の一人である事を思い出す。

 

 もしかして、以前龍園に依頼した件で何か進展があってそれを話し合う為に二人きりになろうとしているのかもしれない。そう考えると、此処で彼女を拒絶する事は憚られた。

 

「……何か、人に聞かれたくない話があるって事か……?」

「そうですね。否定はしません。それで、どうでしょう? 私としては、どちらの部屋でも構いませんが」

 

 既にどちらかの部屋に行く事は決定事項であるらしく、椎名は俺に断られる事など考えてもいない様子だった。

 

 少々頭が痛くなったが、特に代替案も思い浮かなかった為、俺はしばし逡巡した後、ゆっくりと口を開いた。

 

「……椎名の部屋でよければ、そっちで頼む。俺の部屋は、誰が来るか分からないからな」

「分かりました。私の部屋に尋ねて来る人はおりませんので、ご心配なく」

 

 椎名は事もなげに部屋を尋ねる友達がいない事を暴露しつつ、俺の前に進み出た。俺は椎名の先導に従い、彼女の部屋へと向かって行った。

 

 

「此処が椎名の部屋か……予想通りというか、なんというか……」

 

 俺が訪れた椎名の部屋は、読書好きの彼女らしく大きな本棚が置かれ……棚の中には、様々なジャンルの小説がびっしりと並んでいた。

 

 心なしかミステリー系の小説が多いようで、俺の知っているタイトルの小説なんかも発見出来る

 

 割と几帳面な性格のようで、小説はジャンルごとに五十音順に並べられ、そこだけ見れば図書館の一角をそのまま切り取って来たかのような錯覚を覚える。

 

「友達と遊ぶより本を読んでいる方が好きなので、専ら余ったポイントは小説の購入に充てているんです。龍園くんがクラスの纏め役から退いてしまったので、これからは読書だけに集中出来ないのは残念ですけど」

「……今日俺を呼んだのは、その事についての話か? 龍園から何か指示を受けたのか?」

「関係ない事柄ではありませんが、龍園くんからの指示ではありません。此処に貴方をお呼びしたのは、真相が知りたいからです」

 

 ……その言葉に、俺の警戒レベルが一段階引き上がった。そして、そんな俺の反応に気付いたのか気付いていないのか、椎名はそのまま話を続けた。

 

「──龍園くんを負かしたのは、貴方なんじゃないですか? 綾小路くん」

「……何故? そう思う?」

「あの日、龍園くんはいつも一緒にいる人達を連れて何かをやろうとしていました。そして、龍園くんの態度が変わったのはそのすぐ後です……あの時、龍園くんは前Dクラスで暗躍している存在を探し当てようと躍起になっていました……そして、前Dクラスの中で最も疑わしいと話題に上がったのは、幸村くんと……貴方です」

 

 それは、綾小路も予想はしていた事だった。真鍋達が恵をいじめた現場を発見したのが俺と啓誠である事は、真鍋達から話を聞けば分かる事だ……その事を同じクラスの椎名が知っていたとしても、不思議ではない。

 

「ですが、幸村くんの運動能力の程度は体育祭で確認しています……なので、龍園くんを()()()()となれば実力が未知数な貴方以外に考えられません。何より、先日龍園くんから貴方をサポートするよう要請を受けました……あの龍園くんがそんな事を言う以上、貴方は龍園くんが認めざる負えない存在だと言う事です……そして、彼の性格上頭が回っても腕っぷしで劣る相手を正直に認めるとは考え難いです……ですので少なくとも一度は、貴方相手に実力行使を行ったと見るべきです」

 

 椎名は理路整然と話しており、そこにハッタリなどを行う時の気負いは見られていない。

 つまり、彼女は自分の考えに相応の自信があるのだろう……そして、その推測の正確さは正直に認めざる負えなかった。

 

「つまり、龍園くんが負傷したのは内輪もめなどではなく、貴方に挑んで負けたから、という事になります。石崎さんが貴方を見る眼に怯えがあるのは見れば分かりますし、伊吹さんも貴方を意識しているのは一目瞭然です。まだ証拠の提示が必要でしょうか?」

「……証拠とは言うが、全て推測からの状況証拠に過ぎないだろう? そんなもので、俺を追い詰めたつもりか?」

「いえ、追い詰めるつもりは元からないです。貴方の反応を見れば何が正解かは察しがつきますし、私も貴方の正体をこれ以上詮索しようとは思いません……一連の流れで貴方に興味が湧いたのは事実ですが、迂闊に踏み込んで痛い目に遭うのは嫌なので……あくまで、個人的な興味だけで留めるつもりです」

 

 椎名の表情は依然として変わりなく、彼女が何処まで本気なのかは分からない。

 とにかく、今言えるのは彼女は俺と龍園の間のやり取りの内容をかなり正確に読み当てているという事だ。

 

 龍園があの事を他言する筈がないので、あくまで状況から推測しただけだろうが、その推察力には感心せざる負えなかった。

 そして、その言い方から何を知っても他の人間に他言する気がない事も理解出来た。今の所、何か処置が必要なワケではないだろう。

 

「ともかく、本題はこれからです。私は今回の一件で、貴方に大変興味を持ちました……しかし、調べても出て来るのは上っ面の情報だけ……これでは、私の知的好奇心を満たす事は出来ません。なので、こう提案させて貰います」

 

 俺の眼を覗き込むように見据え、椎名は何を言い出すのかと身構える俺に対し、その()()を口にした。

 

「──私と、肉体関係を結んで貰えませんか?」

「……は……?」

 

 ──そんな、突拍子もない提案を受け……俺の思考は一瞬、硬直せざる負えなかった……




 濡れ場は次回です。一応、濡れ場に至る経緯にきちんと書こうとした結果、文章が長くなってしまったので。
 取り敢えず櫛田、恵、堀北の3人は悪くない関係に収まっています。櫛田は堀北と本音で語り合った結果無意識のうちに堀北を認めていますし、軽井沢の場合は押しの強さでは二人に勝てないので一歩譲っている感じですが。


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7時間目~椎名ひよりの時間Ⅱ

 連続投稿です。いけそうな感じがしたので。
 こちらは『綾小路清隆×椎名ひより・後編』の加筆修正版となっています。


「……お前は一体、何を言っているんだ……?」

 

 俺がジト目で椎名にそう言ったのも、無理からぬ事と言えるだろう。何せ、俺の正体について言及していたかと思えば、いきなり「私と、肉体関係を結んで貰えませんか?」等と発言したのだ。正直、何故そういう結論になったのかまるで理解出来ない。

 

「……? 言い方が悪かったでしょうか? 私と性行為、セックスをして頂きたいとお話したのですが」

「だから、何でそういう事になる? 今までの話から何がどうなってそうなるのか、まるで理解出来ないぞ」

 

 本気で首を傾げている椎名に、思わず頭が痛くなって来る。独特の思考回路をしている娘だとは思っていたが、まさか此処までズレている子だとは思わなかった。

 

 もしや頭の回転が速過ぎて、結論から先に言うから周囲に理解されないタイプだろうか……? だとしても、感覚というか常識が何処か他の人間と異なっているように感じる……天才なのか天然なのか、イマイチ分からない相手だ。

 

「成る程、私がどうして貴方とセックスしたいのか理由を知りたいと……そういえば、説明を全て省いていましたね……反省です。綾小路くんなら言わなくても理解してくれるかな、と思ったのですが」

「買い被り過ぎだ。アンタの考え全部分かるなんて……俺は、サトリじゃないんだぞ」

「では、私はサトリが読み切れなかった石でしょうか? 綾小路くんは何でもお見通しな人だと思っていたので、正直意外です」

 

 適当に選んだ例えにわざわざ反応する必要もないのに、椎名はそんな事を呟いた。いや、読書家の椎名が反応しそうな例えを用いた俺にも原因があるか……この子、色んな小説を読んでいるみたいだから日本の妖怪なんかにも詳しそうだし、妖怪の覚りくらい知っていて当然か。割と有名な妖怪ではあるし。

 

「先ほど説明したように、私は綾小路くんに興味を持ちました。ですが、あの龍園くんを相手取ってまで正体を隠したがった綾小路くんですので、そう簡単に内情を明かしてくれるとは思いません……内情とは言っても、私が知りたいのは綾小路くんの来歴などではなく、そのパーソナリティです。どういう考えを持ってどういう行動をして、どういった性格なのか……それを知る為には、恋人になるのが一番手っ取り早いんじゃないかと思いました」

 

 確かに、恋人になれば必然的にプライベートの時間を一緒に過ごす事になるから相手の事を色々と知る事になるだろう。俺も、常に一緒に過ごす相手に隠し事をし続けるのは骨が折れる。

 

 そう思えば、椎名の言う事は間違ってはいない……しかし、椎名は恋人になろうと言うのではなく肉体関係を結ぼうと言って来た……それには、それなりの理由がある筈だ。

 

「ですけど、話を聞く限りクラスメイトの櫛田さんや堀北さんと特に親しいようです……もしも彼女達の誰かが貴方の恋人だった場合、私が恋人になるには多大な労力を払う必要があります。私としては、それは望む所ではありません」

 

 自分が()()()()()()()ではなく()()()()()と言うあたり、彼女も中々良い性格をしている。つまり椎名は、あの櫛田や堀北が相手でも俺の恋人の座を勝ち取る自信があるらしい……こういう所は、つくづく油断ならないと感じてしまう。

 

「なので、手っ取り早く肉体関係を結べば私の目的も達成されるのでは? と思ったのです。仮に既に恋人がいたとしても、男性は浮気をしたがるものと聞きます」

 

 それに、と椎名は言い募る。

 

「違うクラスの私であれば浮気をしてもバレ難いと思いますし、私も不本意ながらクラスを纏める立場になりましたので貴方とは話し合いを持つ口実もあります。それとも、私は浮気相手……いえ、セックスフレンドの相手としての魅力が足りないでしょうか?」

「……いや、椎名が魅力的じゃないとか、言える筈ないだろ……」

 

 正直に言って、椎名は女性として見れば非常に魅力的な容姿と言わざる負えなかった。これは、お世辞抜きでそう言える。

 

 長い銀髪は手入れを欠かしていないのか非常に艶やかだし、胸も櫛田のような巨乳でないにせよ充分に膨らんでおり、制服の上から分かるお尻のラインは非常に艶めかしい。

 安産型、と言うのだろうか……正直、許されるなら好き放題に揉みしだきたいと思わせるお尻だった。

 

 独特のペースを持っていて浮世離れした雰囲気もあり、着飾れば童話から出て来たお姫様と呼んでも通用しそうだ。

 

表向き天真爛漫な櫛田や垢ぬけた雰囲気の恵、クールビューティーの堀北とは違ったタイプの美少女だ。彼女に魅力がないなどと、口が裂けても言えないだろう。

 

「では、何を躊躇っているのですか? もしかして、櫛田さん達にバレたら面倒……とか思ってます? ご心配なく、私口は堅いですよ」 

 

それにですね、と椎名は告げる。

 

「櫛田さん達相手に恋の鞘当てなんかもする気はありませんし、丁度今日は安全日なので妊娠して退学になる心配もありません。処女膜は破れちゃいますけど、他に恋人を作る気はないので構いませんし」

「いや、そういう事じゃなくて……本当にいいのか? 単なる好奇心で自分の貞操を捧げても」

 

 俺がそう尋ねると、椎名は暫く疑問符を浮かべていたが……ようやく俺が何を問題にしているか理解が及んだようで、得心したように頷いた。

 

「……? ああ、勘違いなさっていますね。私はちゃんと、綾小路くんに好意を持っていますよ。小説の話が出来たのは楽しかったですし、男女関係になっても別に束縛とかしなさそうですし……幾ら何でも、好意の欠片も持っていない男性に処女を捧げるつもりはありませんよ。私が少なからず綾小路くんに好意を持っているからこそ、こうした申し出をしているのです。もしかして私、軽い女とか思われてます……?」

「いや、流石にそんな事は思っていないが……」

 

 椎名の申し出に、懐疑的だったのは確かだ。 

 

それはそうだろう……()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて言われて、喜んで頷くような考えなしは……いや、池あたりなら何も考えずに頷くか。 

 

女とセックス出来る機会とか、間違いなく飛びつくだろうし。

 

 ともあれ、椎名はきちんと俺に好意を持って関係を持ちたいと言っているらしい。確かに俺は櫛田や恵と肉体関係を持っているが、正式な恋人になったワケでもない。

 

 櫛田達には悪いが、義理を通す理由は薄いワケだ。 

 

そもそも、二人以上の女性と関係を持った時点で義理も倫理も何もない。 

それに、現Dクラスのまとめ役である彼女と親密になるメリットは大きい筈だ。

 

 それに、正直に言ってしまえば興味もあった。 

 

常に眠たげな眼をしているこの少女が、セックスの時にどれ程乱れてくれるのか……それを考えると、自然と下半身が熱を帯びて来る。

 

 考えてみれば、椎名は俺と肉体関係を持つ為にわざわざ部屋に招いたのだ。 

 

そう思うと、ついつい彼女の胸元やお尻に視線を向けてしまう。

 

 あの二人と情交を重ねた事で、すっかり性的なブレーキが緩くなっているらしい。 

 

そんな俺の視線に気付いた椎名は、頬を赤らめて笑みを浮かべた。

 

「どうやら私に欲情して貰えているようですし、肉体関係を結ぶ事に異存はないという事でよろしいですか? えっと、私から脱いだ方がいいのでしょうか?」

「……いや、脱がせたいんだが……いいか?」

「構いませんよ。どうぞ」

 

 椎名はそう告げるとベットにちょこんと腰掛け、俺の行動を待った。 既に抵抗する気が失せていた俺は椎名の制服のネクタイを解き、胸元のボタンを次々に外していく。

 すると、ブラに包まれた椎名の乳房が俺の前に晒け出された。

 

 俺はブラをずらすと、はだけられた椎名の乳房にむしゃぶりつく。

 

「あぅ……っ!」

 

 胸にいきなり吸い付かれた椎名は頬を上気させ、色っぽい声を漏らした。 

 

俺は椎名の胸に痕が残る程の力で吸い付き、甘い香りのする椎名の乳房を文字通り貪っていく。 

同時に右手を伸ばして椎名のお尻を鷲掴みにし、手に吸い付くような椎名の尻の感触を思う存分堪能していく。

 

「うぅ……おっぱい、吸われちゃいました……恥ずかしいです……」

 

 ようやく俺が椎名の胸元から離れ惜しみつつもお尻から手を離すと、椎名は赤くなった顔でそんな事を呟いて来る。

 

 その姿に俺は興奮を高め、素早く服を脱ぎ捨てると勃起した逸物を椎名に見せつけるようにして突き出した。

 

「……え……? あの、こんなに大きくなるものなんですか……?」

「……取り敢えず、俺のは大きい方らしい。悪いが、舐めて貰っていいか?」

「……フェラチオ、という行為ですね。本で読んだ事があります……えっと、失礼しますね……」

 

 椎名は俺の巨根におっかなびっくり近付きながら、いきなりぱくり、と俺の逸物を口内に飲み込んで見せた。

 

 俺の肉棒が大き過ぎて全てが口内に入ったワケではないが、それでも椎名の暖かな口に包まれた肉棒から得も言われぬ快感が襲って来る。

 

「あむ、んちゅ、ぺろ……」

「く……」

 

 椎名は恐る恐る飲み込んだ俺のペニスに舌を絡め、ゆっくりとしごき始めた。

 

 初心者らしく拙い口戯だが、椎名の小さな唇に俺のペニスが突き入れられている光景は俺の支配欲を刺激し、あっという間に射精欲が襲って来る。

 

「ぐ、出る……っ!」

「んむっ、むぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 俺は反射的に椎名の頭を抱え込むと、無理やりペニスを根本まで口内に埋め込んで射精を開始した。

 肉棒が震える度にどくりどくりと精液が噴き出し、俺に頭を掴まれている椎名はその精液を飲み込む他ない。

 

 こくりこくりと喉が鳴る度、俺の精液が椎名の体内に直接注ぎ込まれていく。

 

 強引に精液を飲み込ませるこの感覚は、酷く俺の獣欲を刺激した。

 

「く、ふぅ……」

「……っ! けほっ、けほっ……!」

 

 結局俺は最後の一滴を出し切ってから、ようやく椎名の口からペニスを引き抜いた。 ようやく口から異物がなくなった椎名は、苦し気に息を吐き出す。

 

 流石に悪いと思った俺は椎名の背中をさすり、椎名の呼吸が整うのを待った。 そうこうしているうちに椎名の呼吸が正常なものに戻って行き、最後に大きく息を吸い込み、椎名は溜め息を吐いた。

 

「……息が出来なくて、一瞬気が遠くなりました……これが、男性の性欲ですか。正直、軽く考えていましたね……まさか、フェラチオで死にそうになるとは思いませんでした」

「……悪い。抑えが効かなかった」

「まあいいです。それだけ、私で興奮してくれたって事なんでしょうし……それで、次はどうすればいいでしょうか? 今度こそ、全部脱いだ方がいいですか?」

 

 椎名の問いかけに俺は椎名の全身を舐め回すように凝視しながらしばし考え、正直に欲望を口にする事にした。

 

「……いや、そのままの恰好でベットにうつ伏せになってくれるか?」

「後背位、というやつですね。分かりました」

 

 椎名は俺の指示に素直に従い、ベットにうつ伏せになって俺にお尻を向けて寝転んだ。

 

 俺は寝転んだ拍子にずり上がっていた椎名のスカートを捲り上げ、ショーツをずらすと彼女の秘所にペニスを押し当てる。

 

「……入れるぞ」

「これで私も処女卒業ですね。ではお願いしま……っ!」

 

 そして、俺は椎名の答えを聞いている最中に腰を突き出し、一気にペニスを根本まで椎名の秘所に突き入れた。

 

 破瓜の血が飛び散ってシーツを汚し、処女のきつい締め付けが俺のペニスを歓待し背筋に震えるような快感が迸る。

 

「……っ!! ぅ……い、痛いですね……初めては痛いものだと聞いていましたが、此処までとは思いませんでした……」

「……一気にやった方が負担が少ないと思ったが、大丈夫か?」

「大丈夫、と言えればいいんですが……すみませんが、あともう少しこのままでお願いします。そうしたら、痛みにも慣れる筈ですので」

 

 椎名は痛みを堪えながらも、俺を気遣ってくれているようだった。 処女を失う痛みは、尋常ではないものと聞いている。今彼女が味遭っている痛みも、相当なものの筈だ。

 根性が据わり過ぎていた櫛田や俺限定のM属性が開花していた恵と違い、椎名は至極真っ当に痛みを堪えている。 ならば、俺も此処は自制心を発揮するべきだろう。あと何分保つか、真に怪しい自制心ではあるが。

 

「……お待たせしました。もう動いて大丈夫ですよ」

 

 暫くすると、椎名がそう言って来る。

 

 ペニスを挿入した膣内に意識を向ければ、若干だが愛液で湿っている様子がある。

 

 それでもまだ痛みはある筈だが、折角の椎名の気遣いだ。 俺は素直に椎名の厚意に甘える事にし、ゆっくりと腰を動かし始めた。

 

「あぅ……っ! うぅ、あぁ……っ!」

「ぐ……っ! これは、我慢出来そうに、ないな……っ!」

 

 椎名の膣内は処女特有のきつさがありながらも俺のペニスを満遍なくしごき上げ、素晴らしい快感を与えて来る。

 うねうねと動く肉癖は俺のペニスを四方八方から刺激し、奥に進む度にきつくなる締め付けは俺の肉棒をもっと固く、もっと大きくするように切なげに奉仕している。

 

 その期待に応えるように、俺のペニスはどんどん膨張し、椎名は巨大化したペニスに胎内を抉られる感覚に翻弄されて苦し気な声を漏らしている。

 

「あぅ……っ!」

 

 俺はピストン運動を続けながら椎名の胸に手を伸ばし、ふわふわのお餅のようなその乳房を揉みしだいた。

 乳房を揉みしだく程椎名の秘所の愛液の量が増え、締め付けも心なしかきつくなっている。

 

 やがて椎名の声に嬌声が混じり始め、その声を聞いた俺の腰の動きが一層激しくなっていく。

 

「ぐ……っ! そろそろ、射精すぞ……っ!」

「はいっ、中にお願いします……っ!」

 

 中出しの懇願の俺の理性は焼き切れ、最後に力任せに腰を叩きつけると椎名の身体に全身でのしかかり、逃がさないように密着した上で俺は肉棒の栓を解放した。

 

「ぐ、おぉぉぉぉぉぉぉ……っ!」

「ふぁっ、あぅぅぅぅぅ……っ! 熱い、です……っ!」

 

 根本まで突き刺さった俺のペニスの先端からどくどくと精液が注ぎ込まれ、胎内に精液を浴びた椎名はその熱さを感じて嬌声をあげた。

 俺の腰がぶるぶると震える度にどくりどくりと白濁液が吐き出され、瞬く間に椎名の膣内を白く染め上げていく。

 

 俺はぐいぐいと腰を椎名の尻に押し付けながら、思う存分彼女の胎内に欲望の滾りを注ぎ込んだ。

 

「……ふぅ……」

「……あぅ……お腹、熱いです……」

 

 ようやく射精が終わると俺は脱力し、椎名の上に倒れ込んだ。

 

 椎名もまた絶え絶えの息を漏らしており、見るからに疲労困憊だった。矢張り、処女の椎名に俺のセックスは負担が大きかったらしい。

 

「……えっと、これでセックスフレンドになれましたよね。初体験も済ませましたし、此処から徐々に仲良くなっていきましょう」

「……普通、順番が逆なんだが……まあいいや、俺としては異存はないし……」

 

 何処かズレた事を言う椎名に対し、俺は再び溜め息を吐いた。

 

 ともあれ、これで櫛田と恵に続き、椎名とも関係を持ってしまった。

 

 童貞を失ったばかりの男子高校生の性欲の暴走とも取れるが、()()()()で娯楽らしい娯楽を知らずに育った俺からすれば、今まで知らなかった快感を得られるセックスにのめり込むなと言う方が無理な話だ。

 

「……あ……また、硬く……」

 

 その証拠に、未だ椎名の膣内に埋め込まれている肉棒が再びその硬さを取り戻していた。

 

 胎内を抉る肉棒の硬質化を感じ取り、椎名が切なげな溜め息を漏らす。

 

「……悪い。もう1回、いいか?」

「あ、はい。大丈夫です……私から言い出した事ですし、満足するまで付き合います」

 

 微妙に俺の性欲を侮っている様子の椎名に自然と笑みが零れ、俺は一旦肉棒を引き抜くと椎名を抱き起し、正面から抱き合う形になると対面座位の姿勢で再びペニスを挿入した。

 

「くぁ……っ!」

「く……っ! 癖になりそう、だな……っ!」

 

 俺は椎名の尻を力任せに掴みながら、腰を突き上げていく。すべすべの椎名の尻の感触を味遭いながらのピストン運動は最高で、視覚的にも充分俺を興奮させた。

 手に吸い付くお尻の感触も、俺のペニスを満遍なく刺激する膣内の感触も、最高以外の言葉はなかった。

 

 豊満な身体で俺を楽しませてくれた櫛田や、程よい抱き心地と従順さで俺の征服欲を満足させてくれた恵とも違う、独特の魅力が彼女の身体にはあった。

 

「あ……っ! くぅ、ふぁ……っ!」

「いいぞ、椎名……っ! お前の身体、最高だよ……っ!」

「はぅ……っ! あ、りがとう、ご、ざいます……っ! で、いいん、でしょうか……っ!?」

 

 俺の突き上げに翻弄されつつ、椎名は頬を上気させながらそんな事を宣った。

 

 普段無表情な彼女のこんな表情を見ているのが自分だけであるという想いが獣欲を滾らせ、俺は射精するべくラストスパートに入っていく。

 

「く……っ! 射精()すぞ、椎名……っ!」

「ひゃう……っ! は、はい……っ! 中に射精()して、下さい……っ!」

 

 俺はそのまま猛然と腰を突き上げ、最後に椎名の尻に指を食い込ませると子宮口に亀頭を密着させ、肉棒の栓を解き放った。

 

「ぐ、くぅぅぅぅぅ……っ!」

「ふぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ! あ、つい……っ! また、私の中、熱いのでいっぱいです……っ!」

 

 俺は椎名の身体を逃がさないように掴みながら、腰を震わせてどくどくと精液を注ぎ込んで行く。

 

 脈動するペニスから絶え間なく白濁液が注ぎ込まれ、膣奥を精液で叩かれた椎名はびくびくと痙攣している。

 

 椎名の膣内は瞬く間に俺の精液で埋め尽くされ、収まり切らなかった精液が結合部から漏れ出ていた。

 

「ふぅ……」

「……あぅ……お腹の中、ポカポカして来ました……」

 

 精液を最後の一滴まで注ぎ終えた俺は、椎名を抱き締めつつ脱力した。

 

 椎名はくたりと身体を俺に預けながら、陶然とした表情で胎内に注ぎ込まれた精液の感触を堪能している。

 

 その様子に俺は再び獣欲を刺激され、三度目のピストン運動の再開まではそう長くはかからなかった。

 

 ……櫛田と関係を持ってから、俺の自制心とか倫理観の敷居は若干以上に低くなっている。

 

 自分から女漁りをする事はないだろうが、据え膳が用意されれば手を伸ばしてしまう程には今の俺の理性ってやつは切れ易くなっていた。

 

 そして、俺の脳裏には()()()()()()()()()()()()という直感めいた考えが浮かび上がっていた。

 

 恐らく、()は予想よりずっと早いだろう……それは予想ではなく、()()めいた何かだった。




 というワケで椎名編でした。椎名を書こうと思ったのは、七巻表紙の椎名の腰つきが凄くエロいと思ったからです。胸はそれほどでもないけど、お尻がいいよね。
 次は坂柳編です。お楽しみに


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8時間目~坂柳有栖の時間Ⅰ

 こちらは『綾小路清隆×坂柳有栖・前編』の加筆修正版です。
 秋郷さん、評価ありがとうございます。頑張ります。


 ──俺は結局、3人の女子との肉体関係を継続していた。

 

 櫛田や恵と違い、新たに関係を結んだ椎名は現Dクラス……これまで散々やり合ったクラスの今の纏め役であり、全幅の信頼を置くワケにはいかない相手だった。

 

 まあ、龍園からの口添えもあったから味方として見ても問題はないだろうが、それでも他クラスである以上完全な味方にはなり得ない……故に彼女との関係を続けるのはデメリットが目立つようにも思われるが、かと言って、関係を切るワケにもいかなかった。

 

 現Dクラスの纏め役である椎名とは、今後どうしても接触する機会は出て来る……天然に見えて実は頭がキレる彼女相手では、策略に不得手な平田や成長はしているものの根が純粋な堀北では不安が残る。

 

 今更Aクラスに上がる事に興味が出て来たワケではないが、堀北は櫛田との一件以降俺への接触を意図的に増やしており、現状を鑑みて残念ながらクラスの代表同士での話し合いへの同席は避けられそうにない。

 

 だからこそ、椎名とある程度親交を深めておく事は現Dクラスへの影響を考えれば必須事項だ……間違っても、関係を断って余計な溝を生むべきではないのだ。

 

 ちなみに、椎名との関係は櫛田や恵には既に明かしてある。この二人は勘が鋭く、観察力もズバ抜けている……そして、櫛田はいざという時、理屈より感情を優先する節がある。

 

 関係を隠したまま 櫛田にその事がバレた場合、彼女がどんな行動を取るのか予測が出来ないのだ。幾らか丸くなったと言っても、根本的に何をするか分からない相手である事は間違いないのだから。

 

 ならば、最初から関係を明かしてある程度の不興を買った方がまだリスクは少ないと判断したまでだ。案の定櫛田も恵も椎名と関係を結んだ事に苦言を呈しはしたが、現Dクラスとの関係を考えれば関係継続も止む無しと悟り、結果的に渋々納得した形となる。

 

 櫛田も恵も、堀北と違いAクラスに上がる事に執拗に拘っているワケではない……だが、可能であるならばAクラスで卒業したいのは事実の筈だ。その為、自分に害が及ばない範疇であればクラスの力になる事は吝かではないワケだ。

 

 櫛田はクラスよりも私情を優先した前科があるが、堀北との約束や俺との今の関係を考えれば今更裏切る可能性は低い。

 

 櫛田も今では堀北に対する感情は以前のような悪意に塗れた敵意ではなく、何処かライバルとして対峙しているかのような感情を向けている……明確な証拠があるワケではないが、以前のようなやり方で堀北を追い詰めるような真似はもうしない筈だ。

 

 勿論、椎名と関係を結んだ事に関しては櫛田は明確な不満を訴えた。櫛田は自分を()()な立ち位置に置きたいという強烈な承認欲求があり、今は俺の女になる事で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考える事でその欲求を満たしている状態にある。

 

 櫛田より椎名を優先するような真似をすればどうなるか分からないが、きちんと普段から櫛田を厚遇していけば馬鹿な真似はしない筈だろう。

 

 恵の場合は、()()()()()()()()()()()()()というアイデンティティが崩されない限りは容易に揺らぐ人間ではない為、櫛田の時と違い相手が他クラスの椎名である事もあって自分の立場を脅かすものではないと判断し、櫛田程の不満は洩らさなかった。

 

 けれど俺が意図的に削り取った純情さというか乙女心的に不満があるのは確かだったので、一晩()()する事でどうにか納得して貰ったのだが。

 

 ともかく、櫛田や恵程頻繁ではないが、椎名とも時々部屋を訪れて関係を持っていた。

 椎名は他二人と違って独占欲のようなものは薄いらしく、頻繁に関係を持たずとも文句を言って来る事はなかった。

 

 椎名に関しては関係を持つ他にも一緒に小説を読んだり感想を言い合ったりするだけでも大分満足しているようで、ある意味一番健全な関係と言えた……他二人の状態が、健全とは程遠いものであるのは確かだが。

 

 しかし、最近では椎名だけではなく櫛田や恵とも中々関係を持つ事が出来ずにいた。何故ならば……坂柳の配下と思われるAクラスの生徒が、俺の周りをうろつき始めたからだ。

 

 坂柳有栖は、この学校で理事長と茶柱先生以外に唯一、俺の過去を知るAクラスの女子生徒だ。

 彼女はAクラスで葛城と勢力を二分するリーダーであり、葛城の影響力が墜ちた現在ではほぼAクラスの長と言って差し支えない存在だ。

 

 彼女はこの学園の理事長の娘でもあり、足が不自由というハンディキャップを背負ってはいるが、その頭脳は凄まじく、人心掌握の術にも長けている。

 

 俺の過去を知っている以上放置するワケにはいかない存在だが、それ以上に……俺を、一方的に敵対視している事が問題だった。

 

 俺の過去は櫛田のそれとは違い、ただ明かされただけで致命的となるものではない。そもそも、俺の過去は一口に言って常識では考えられないものであり、単に口にしただけでは戯れ言と判断されるのがオチだろう。

 

 万一俺の過去の話が周知のモノとなったとしても、既にあの男に知られている以上多少俺を見る目が変わる程度で致命的に追い込まれるワケではない筈だ。

 

 もっとも、平穏な学校生活を望む俺からしてみればそんな形で注目を浴びる事は勘弁願いたいので、可能な限り俺の過去を伏せておきたいのは確かだ。

 

 坂柳はどうやら俺を打ち負かす事に異様な拘りを持っている様子だったが、こんな形で大々的に人を動かすとは思っていなかった。

 

 彼女は自分一人だけで俺と対峙するのを望んでいる様子であった筈だが、俺が散々挑発を無視した所為で遂に堪忍袋の緒が切れたのだろうか、と勘ぐってしまう。

 

 坂柳は頭脳明晰だが、非常にプライドが高い事も分かっている。そんな相手の挑発を、俺は今まで無視し続けて来たのだ……あの好戦的な少女がいつまでも俺が盤上に上がらない事に業を煮やし、直接的な手段に訴えたのだとしても不思議はない。

 

 明言はしなかったが、坂柳が俺を敵視するのはあいつの父親である理事長が俺の事を高く評価している為だろう。

 要するに、自身の優秀さを自負するあいつにとって父親が自分以外の存在を持ち上げた事がどうしても気に食わないワケだ……兄の背に追いつきたいと願う堀北のように、坂柳もまた俺より自分の方が上である事を父親に証明したいのだろう。

 

 坂柳理事長はあの男の事もよく知っている様子だったし、坂柳の話しぶりからしてホワイトルーム時代の俺を何らかの形で目にしている様子だったから坂柳が俺へまとわりつく事を止める事は難しい。

 

 自分が()()である事に異様なまでに拘っている様子だったし、俺があいつの相手を務めるまで、あいつが止まる事はないだろう。

 

 他のクラスへ目を向けられれば俺への興味が薄れるかもしれない、とも思ったが……依然として、坂柳の俺に対する執着は消える様子がない。

 

 龍園は俺に敗北して以降積極的にクラス間の争いに関わるつもりはないようだし、人を陥れる事が苦手な一之瀬では坂柳の相手はきついだろう……遠からず坂柳が俺を盤上に上げる為の策を弄して来るとは思っていたが、それがこうまで直接的なものとは思わなかった。

 

 坂柳の配下と思われるAクラスの生徒は、特段身を隠す様子もなく俺の周りをうろついているだけで何かを仕掛けて来る様子はない。

 しかし、俺だけではなく櫛田や恵にも同じようにAクラスの生徒が張り付いている為、此処最近は櫛田や恵と関係を持つ事が出来ず、悶々とした日々を送っていた。

 

 一度女体の味を占めてしまった俺にとって、この禁欲生活は少々辛いものだった。関係を持つ女生徒の中で唯一マークされていない椎名と関係を持つという手もあったが、そんな事をすれば櫛田が何をするか分かったものではないので、事実上不可能である。

 坂柳がどういうつもりか知らないが、今の俺にとっては坂柳の行動は結果的に覿面と言えた。

 

 恐らく、坂柳は普段俺を取り合う櫛田達の様子を見て、俺の女性関係に干渉する事で俺を挑発する事を思いついたのだろう。

 弱みを見せれば、あの少女は容赦しない……女性関係を俺の弱みと見做し、配下を使う事で攻撃を仕掛けて来たのだろう……事実として俺も現状を放置するワケにはいかない為、坂柳の策は成功したと言える。

 

 今の状況が続くのは、非常によろしくない。俺の欲求不満もそうだが、櫛田や恵からも時折縋るような視線を向けられており、椎名からも無言のプレッシャーを受けている。

 

 性行為にのめり込んでいるのは、何も俺だけの話ではないのだ。このまま坂柳の行動を放置すれば、櫛田達がどういう反応をするか分からない……業腹だが、坂柳の誘いに乗るしか手はなさそうだ。

 

 Aクラスの生徒が俺達の周りに張り付き始めた頃から、1日一回のペースで坂柳から俺との接触を求める旨のメールが送られて来ている……今まではそれら全てを無視していたが、こうなっては仕方ないと割り切り俺は坂柳にメールを送り返した。

 

 ……俺は暫く返信を待つつもりだったが、メールを送って数秒も立たないうちに坂柳から長文のメールが送られて来た。

 いつ俺からメールが返信されてもいいようにチェックしていたのだろうか、と邪推するも取り敢えず坂柳のメールに目を通し、了解の旨をメールで送り返した。

 

 これで坂柳との接触準備は完了した。相手の思惑に乗った形にはなるが、何もかも思い通りにさせるつもりはない……一度、坂柳の事は何らかの形でどうにかしたいと思っていた……その機会が巡って来たと考えれば、悪い話ではない筈だ。

 

 

「お待ちしておりました、綾小路くん。ようやく私からのラブコールに応えてくれたようで、非常に嬉しいです」

 

 その日の夜、俺は寮の近くにある海辺の道で坂柳と対峙していた。待ち合わせの時間には充分余裕を持って向かった俺だったが、坂柳はいつから待っていたのか既に待ち合わせ場所に佇んでいた。

 

 俺を見る頬は微妙に上気しており、少なからず坂柳が高揚状態にある事が見て取れる。知らない人間が見れば、坂柳が俺へ告白しようとしているようにも見えるだろう。

 ……事実はそんな甘酸っぱいものではないのだが、傍目から見れば今の坂柳の態度は恋する少女のそれである事は否定し難かった。

 

「あれだけ人を張りつかせて置いてそう言えるあたり、随分面の皮が厚いんだな。ラブコールどころか、ありゃ脅迫の類だろ」

「いいえ、どんな形であれ想いを伝えるのであればそれはラブコールですよ。私は貴方と対峙するこの時を、一日千秋の想いで待ち続けていました……ならば多少のお茶目くらい、笑って許すのが男の度量というものではありませんか?」

「……あれが多少のお茶目で済むなら、ストーカー規制法は要らないだろ。お前がどういう意図を持っていたところで、迷惑行為をしでかしていたのは確かなんだからな」

 

 全く反省の色が見られない坂柳に対し苦言を呈するが、坂柳は全く笑みを崩す様子がない。それどころか俺の言葉であれば罵倒でもなんでも構わないといった様子で、頬を上気させたままこちらを見つめている。

 

「愛は倫理を超越するんですよ、綾小路くん。それは複数の女性と関係を持った貴方なら、理解している事なんじゃありませんか?」

「お得意のコールドリーディングのつもりか? 残念だが、そんな事実はない……と言っても、お前は引き下がらないんだろうな」

「ええ、櫛田さんと軽井沢さんが貴方を見る目がある時を境に明確に変わりましたからね。何より、貴方がこうして此処に現れた事が何よりの証拠です。流石の貴方も、男性の生理現象には勝てなかったご様子で……女性の身としては複雑な心境ですが、こうして自ら貴方が私の下へ来てくれた以上は歓迎せねばなりませんね」

 

 この様子では、坂柳は俺と櫛田達の関係をほぼ察しているようだ。残念ながら、俺がこうして此処に来た時点で半分以上その事を認めているようなものである為、何を言っても坂柳が意見を変える事はないだろう。

 

「歓迎、ね……一体、何をしてくれるって言うんだ? こっちは散々迷惑を被ってんだ。正直、詫びの一つでもして欲しい気分だよ」

「お詫びですか? そうですね……それなら、私の身体……というのは如何でしょう?」

「……へぇ……」

 

 内心、()()()と叫びながら俺は坂柳の姿を凝視した。わざとお尻や胸元に視線を向け、傍目から見て邪心があるように演出する……案の定、俺のそんな視線を察知した坂柳は深い笑みを浮かべた。

 

「ふふ、流石に複数人と関係を持つだけあって性欲旺盛ですね。私の身体に欲情するのは結構ですが、そういった不躾な視線はどうかと思いますよ」

 

 咎めるような口調だが、坂柳の声は喜色に満ちている。以前の高円寺とのやり取りを見る限り、坂柳が自分の年齢不相応の未成熟な肉体に何らかのコンプレックスがある事は明らかだ。

 

 俺はそんな彼女に敢えて性的な視線を向ける事で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思わせる事で坂柳の自尊心を満たしたワケだ。

 

 ……坂柳は、非常にプライドが高い少女だ。表面上取り繕ってはいるが、彼女もまた櫛田と同じく自身の感情を第一に行動している……そんな彼女だからこそ、()()()は有効な手段なのだ。

 

 自分の上位を確信した人間は、非常に口が軽くなり警戒心も薄れてしまう。坂柳は自分で感情を制御しているつもりだろうが、彼女は自分の自尊心の高さを甘く見ている。

 

 彼女のようなタイプは自分自身が驕っている自覚はなく、()()()()を知らぬ間に取り違えてしまう……俺はそんな坂柳の弱点を、これから徹底的に突くつもりでいる。

 

「お前から言い出した事だろう? ともあれ、こっちとしては安易に信じる事は出来ないな……お前を襲おうとした所を撮影して弱みを握る、なんて事も考えられる。配下の人間を使えば、簡単な事だろう?」

「……ふふ、この期に及んでそんな無粋な真似は致しませんよ。ですが、綾小路くんが私を疑う気持ちも分かります……それなら、これでどうでしょう?」

「……っ!」

 

 坂柳はにこりと笑うといきなり持っていた杖を投げ捨て、そのまま俺に向かって倒れ込んで来た。俺は咄嗟に坂柳の身体を抱き留め、柔らかな少女の身体が俺の身体に密着する……杖はそのまま海に落下し、水音と共に沈んで行った。

 

「これで、私は自力で動く事が出来ません。貞操を含め、生殺与奪を貴方に握られた状態にあります……さあ、後は好きな所に連れ込んで結構ですよ。今日はAクラスの方々には櫛田さんと軽井沢さんの監視に回って貰っていますので、途中で彼女達に乱入される心配もありません……それとも、今更怖気づいたとか言いませんよね?」

 

 坂柳は俺に寄りかかったまま、鬼の首を取ったかのような表情でそう告げた。坂柳の足が不自由なのは、事実だ。彼女は車椅子ではなく、杖を使って歩いている……だからこそ足の不自由な人間特有の動きが顕著に出ており、それが演技でない事は見れば分かる。

 

 彼女は現実問題として、この場で俺が支えを放棄すればそのまま地面に崩れ落ちるだろう……それを分かった上で、坂柳は自分を人質にして俺を相手に要求を通そうとしているのだ。

 そんな坂柳の思惑を承知の上で、俺はその思惑に乗る事を選んだ。俺も俺で、何も考えていないワケではないのだから。

 

「……そこまで言うなら、望み通りにしてやるよ。お前を背負って歩くと目立つし、予備の杖があるなら自力で歩いて欲しいんだが……」

「予備の杖はありますが、今は持ち歩いていません。それに、誰かに見られても杖を落としてしまった私を見かねて部屋へ連れて行く最中と言えばどうとでもなります……そもそも、今の時間帯は、生徒が出歩く事は殆どありませんしね」

 

 どうやら、坂柳は最初から俺に背負われて行くつもりだったようだ。今日は杖を突く音がいつもと違っていたし、先程投げ捨てた杖は予め此処で使い捨てる予定だった安物だったのだろう。

 

 車椅子ではなく杖を使っていた事から支えさえあれば歩く事は出来る筈だが、足の不自由な人間を介助しながら歩くのは周囲を警戒しつつ肩を貸して歩く事になる為、想像以上に体力を使う。それならば、相手の体重にもよるが背負って歩った方が疲労度としてはまだマシだ。

 

 俺は不承不承といった様子で坂柳に背を向けて彼女に腕を回して貰い、坂柳を背負い込んだ。俺は柔らかな少女の感触を背中に感じつつ、寮へ向かって歩き始めた。

 

 街灯の灯りだけが頼りの夜闇の中、俺と坂柳は図らずも同時に笑みを浮かべた……此処からが本番だ、と俺達は共に理解していた……それがどういう意味なのかは、すぐに分かる事になるだろう。




 というわけで坂柳編その1です。今までと違ったロリ系のキャラなので、また違った良さがあるんですよね。
 足の不自由な人を連れて歩くのって、想像以上に気を遣うんですよね。他人や障害物にぶつからないように警戒しながら歩かなきゃいけないし、施設内ならともかく街中とかだと足の障害の程度にもよりますが杖も歩行器もなしに歩かせるのは無茶です。それを分かった上で、坂柳は杖を手放したワケですが。
 坂柳編は3話構成になっていて、濡れ場は3話目のみです。結構筆が滑ってしまって…


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9時間目~坂柳有栖の時間Ⅱ

 こちらは『綾小路清隆×坂柳有栖・中編』のリメイク版です。
 秋郷さん、評価付けありがとうございました。


 

 ──結果として、俺は坂柳を背負って彼女の部屋まで行く事になった。

 

 坂柳の言葉通り肉体関係を持つのであれば俺の部屋でも良かったのだが、そうなると後で杖を持たない坂柳を部屋に送り届ける手間が生まれてしまう……それは出来れば、避けたい事態だった。

 

 最初から坂柳を部屋に送り届けたのであれば、誰かに帰り際を見られても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という言い訳が通用するが……朝方に俺の部屋から坂柳を背負って彼女の部屋に送り届けるとなると非常に目立ってしまい、余計な勘ぐりをされる原因に成り得る……坂柳は何処でもいいと言っていたが、事実上選択肢は最初から一つだったワケだ。

 

 坂柳の部屋は足の不自由な坂柳が生活し易いように、至る所に手すりが設置されており、段差も一切見当たらない……各所にバリアフリーの工夫が見られ、坂柳の身体機能の程度も設備内容からある程度推し測る事が出来た。

 

 図書室もかくやと言わんばかりの蔵書量を誇る椎名の部屋と比べると、本棚はあるが本の数はそこまで多くはなく、専らプライベートでの暇潰しでは部屋の奥に備え付けられているパソコンを主に使っていると思われる。

 

 本棚の書物は埃を被ったものもあるが、パソコン近辺が綺麗にされているのがその証拠だ。まあ、坂柳が余暇をどう過ごそうと俺には特に関係はないワケだが。

 

 俺がそうして部屋の中を見回している間、坂柳は黙って俺に背負われていた。別に舐め回すように見たワケではないが、矢張り自分の部屋をまじまじと見られるのは恥ずかしいのか、時々身体が強張っているのが分かった。

 

「……此処でいいな」

 

 俺はそう言って背負っていた坂柳を彼女のベットに下ろすと、彼女はにこりとこちらに笑みを向けて来た。それだけ見れば大変可愛らしいが、彼女の攻撃性を知っている俺からすれば警戒が先立つのは無理からぬ事だろう。

 

「ありがとうございます。男の方に背負われたのは初めてなので、新鮮な体験が出来ました」

「……返答に困るな。そもそも、杖を放り投げたのはお前だろうに」

「ふふ、私は()()()()杖を海に落としてしまったんですよ? そしてその場にいた綾小路くんが、()()()私を部屋まで運んでくれた……今回の顛末は、そういう事でしたでしょう?」

 

 坂柳はいけしゃあしゃあとそう告げ、悪戯っぽい笑みを浮かべる。事実はともかく、()()としてはそういう事にしておけ、という事のようだ……まあ、事を荒立てるメリットもないのでその設定に従う事は吝かではないのだが。

 

「……そういえば、男の方を部屋に入れたのは初めてですね。喜んで下さい、貴方が私の部屋を初訪問した男子一号ですよ」

「そりゃあ光栄、とでも言えばいいのかね」

「ふふ、光栄に思って下さい。綾小路くんと再会するまで、この部屋に男子を入れる事など夢にも考えていなかったのですから……仮にも私が実力を認めている貴方だからこそ、訪問を許したのです。それに、此処に何をしに来たか忘れたワケではないのでしょう? 今から貴方は私の純潔を破るという最高の栄誉を授かるのですから、もっと大袈裟に喜んでもいいのですよ」

 

 坂柳は頬を上気させ、熱っぽい声でそう告げた。その笑みは何処か蠱惑的で、幼い外見の坂柳に背徳的な色気を帯びさせていた。

 

 そう、俺は坂柳の誘いを受け、彼女を抱く為に此処にいる……その事を再確認し、最近欲求不満で燻っていた欲情が鎌をもたげて来る。それを感じ取ったのか、坂柳は喜色をその表情に浮かばせる。

 

「……ああ、綾小路くんもそういう顔をするのですね。こういうのを、雄の顔、とでも言うのでしょうか……今から綾小路くんに頂かれる運命の私は、さしずめケダモノに食われる小鹿でしょうか。そう考えると、どうしてかゾクゾクしてきますね」

「……お前は小鹿程可愛げはなさそうだが、な」

「おや、そんな事を言ってよろしいのですか? そんな風に言われると、私も気が変わってしまうかもしれませんよ?」

 

 俺の軽口に坂柳は即座にとびつき、悪戯っぽい笑みを浮かべた。俺を焦らせるつもりなのかもしれないが、坂柳がこのまま行為を拒まないであろう事を察している俺からすればそれは三文芝居もいい所だ。

 

 坂柳は俺の事を雄の顔をしていると評したが、そう発言した坂柳も言うなれば牝の顔をしている……今の彼女の顔は、俺を情事に誘う時の櫛田達にそっくりだったのだから嫌でも分かる。

 

 ただし、坂柳の場合は()()()()()()()という悪意もセットで付いている事が問題ではあるが。

 坂柳が椎名のように好奇心を優先させて俺に身体を預ける、なんて真似をする筈がない……彼女がこうして仕掛けて来たという事は、既に俺を嵌め殺す準備が出来ているという証明に他ならない。

 

 だからこそ、俺は坂柳の()をこれから一つずつ剥いでいく事になる。坂柳は俺の事を罠に捕らわれた獲物と思っているのかもしれないが──獲物はお前の方だ、坂柳。キッチリ封殺した上で、お望み通りその身体にこれまでの禁欲生活の鬱憤を全部叩きつけてやるとしよう。

 

「では、綾小路くんに脱がせて貰いましょうかね。好きでしょう? 女の子の服を脱がせるの」

 

 坂柳は上目遣いでそう告げ、俺の行動を待っている……俺はそんな坂柳に対して内心ほくそ笑み、行動を起こした。

 

「ああ、割と好きだな。お言葉に甘えさせて貰うよ……けど、()()は没収だ」

「あ……っ!?」

 

 ──俺は素早くベットの枕の下に手を突っ込むと、そこからコードに繋がれたボタンを取り出した。坂柳は咄嗟に手を伸ばすが間に合う筈もなく、俺はそのままボタンを坂柳の手の届かない場所まで転がした。

 

「この部屋は、身体障害者用の設備が整えられていた……それなら、緊急時にすぐに必要な場所に連絡出来る手段が用意されていてもおかしくはない。お前は、足に障害を負った一人暮らしの女子生徒だ……暴漢なんかに押し入られた時、身を守る手段としてボタン一つで警備が飛んで来れるようにしていた可能性は高いと踏んでいたが……矢張り、枕の下に隠していたか。お前はこれを使って警備を呼び、俺を暴漢に仕立てあげるつもりだったんじゃないのか?」

「……流石は綾小路くん。お見通しでしたか」

「隠しているつもりだったんだろうが、時々枕の方に視線が向いていた。普段のお前ならそんなミスはしなかったんだろうが、今日のお前はどうにも冷静さを欠いている……らしくなかったな、坂柳」

 

 ……実際は、坂柳は言う程枕を注視したりはしていなかった。単に、ああいうボタンを置く位置としては枕の近辺が有効なのでカマをかけただけだ。

 

 壁に立てかけてあるといざという時手を伸ばせないが、枕の下であれば最悪這いずった状態からでも手が伸ばせる上、他者に気付かれる危険も少ない。呼び出しのボタンを置くには、最適な場所だ。

 

 だからこの部屋に入った時に部屋の中をわざとジロジロと見回し、枕に何度か視線を向けた結果、坂柳の反応からボタンのある場所に当たりを付けたのだ。後は、坂柳の油断を突いてボタンを取り上げるだけで済む……身体能力に隔絶とした差がある上足の不自由な坂柳相手なら、隠し場所さえわかればどうという事もない。

 

「それから、お前が俺の服に取り付けた盗聴器も壊しておいた。これで音声を録音して脅迫に使う事も出来なくなったな」

 

 俺はそう告げるとポケットから機械の残骸を取り出し、床に落とした。これは、坂柳が俺に背負われている最中に取り付けたものだ。俺に背負われるように仕向けたのは俺を自分の部屋に来させる為だけではなく、盗聴器を付ける為でもあったのだ。

 

 恐らく、呼び出しボタンはダメで元々で、最初の策を破られた後に油断させ、こちらで脅迫材料を得るのが目的だろう。

 

 坂柳からしてみれば、俺を暴漢に仕立て上げて退学にさせるよりも俺を言いなりにした方が自尊心を満足させられる筈だ。だが、その第二の策もこうして文字通り砕け散った……坂柳はその盗聴器の残骸を見て、思わず溜め息を吐いた。

 

「……ふふ、それも気付かれていましたか。全く、私の罠をこうも簡単に見破るとは……ホワイトルームの成功作は伊達ではない、という事でしょうか」

「お前の基本戦略は、人の弱みを突く事だ。俺が複数の女性と肉体関係を持った事を知って、性的な面から責めれば俺が油断するとでも思ったんだろうが……よりにもよってお前相手に油断する程、俺は馬鹿じゃない。こういう策を仕掛けるなら、俺に正体を明かす前にするべきだったな」

 

 まあ、それも過程の話だ。確かに坂柳は人の弱みを突く事に躊躇いもなく、戦略に容赦もないが……彼女は自分のプライドを、何より重視する人間だ。今回俺はそのプライドを逆手に取り、坂柳が使うであろう手を封殺したまでの事だ。

 

 しかし、坂柳は自分の策が見破られた今となっても余裕の表情を崩していない。いや、驚いた様子は見せているが……何処か、それは演技臭く感じた……つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ふふ、それは私の事を評価しているという事ですか。困りましたね……私の天才性が仇となって敗北の要因になるとは、初めての体験です。御見それしました、綾小路くん……私なりに貴方を評価しているつもりでしたが、まだまだ甘かったようですね」

「そうだな──最後の策が通じると思ってるあたり、まだ甘いよ」

「……っ!? むぅぅ……っ!」

 

 俺はポケットから取り出した錠剤を口に含むと、未だに笑みを浮かべたままの坂柳の後頭部を掴み、そのまま強引に唇を重ねた。

 坂柳は抵抗するが男の力に敵うワケもなく、俺は拘束した坂柳の口内に舌で錠剤を押し込み、そのまま唾液と一緒に喉奥へと押し入れた。

 

 坂柳もなんとか錠剤をのみ込むまいと抵抗したが、俺がスカートに手を突っ込んでお尻を鷲掴みにすると力が抜け、その拍子に錠剤をごくりと飲み込んでしまう。俺は坂柳が錠剤を飲み込んだ事を確認してから、坂柳を解放した。

 

「ぷは……っ! い、一体何を飲ませたのですか……っ!?」

「経口避妊薬だよ。櫛田に手配して貰った……お前、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだろう? 大方、それを隠して俺に中出しさせて、言う事を聞かないとアフターピルを飲まないと言って脅すか、妊娠した後で事態を暴露して俺の退学を狙うとか、そんなつもりだったんだろう? 俺は既にお前の仕掛けた罠を二つ見破っている……だからこそ最後に仕掛けた罠にかかると思ったんだろうが、詰めが甘かったな」

 

 そう、坂柳にとってあの二つの罠はブラフ……本命は、避妊薬を飲んだと偽って俺と関係を持ち、その事を後日告げる事で俺より優位に立つ事だ。

 

 俺に中出しさせる事が前提の上に下手をすれば自分が堕胎する羽目になる自爆のような戦略だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()と告げられれば、流石に俺も従わざる負えない。リスクも甚大だが、効果も大きい策略と言えた。

 

 そして以後もその脅迫を用いて関係を重ね、その都度同じ脅迫をかけ直せば俺を傀儡に出来ると踏んだのだろう。まさか此処まで身体を張った策を仕掛けて来るかは半信半疑だったが、この様子だと正解で間違いないようだ。

 

 ちなみに、坂柳に飲ませたのはこの学園内で流通している特性の経口避妊薬だ。副作用なしで即効性があり、女子の間で密かに取引されている代物だ。

 

 随分と都合の良い代物だが、どうやらその開発には学校側も関わっているらしい。何代か前のOBが開発した薬で、今も学校側と取引をして流通させているとのことだ。

 

 教師としては生徒が妊娠して退学になれば自身の評価にも響く為、むしろ積極的に流通させているらしいというのが櫛田から聞いた話だった。その辺りの裏事情に興味がないワケではないが、とにかく重要な点は、今日の性行為で坂柳が妊娠する事はなくなった、という事だ。

 

「……ふふ、完敗です。本番前の前哨戦のつもりでしたが、此処までやられるといっそ清々しいですね……偽りの天才と詰った事、お詫びします。貴方は、紛れもない本物の天才です……能ある鷹は爪を隠す、とはよく言ったものですね」

 

 坂柳は先程と違い悪意を隠している様子はなく、何処か晴れ晴れとした様子でくすくすと笑っている。俺はしばしその笑みに見惚れてしまい、それに気付いた坂柳がくすりと笑う。

 

「ふふ……けれど、一つ読み間違えてますよ綾小路くん。私は、()()()()()()()()()()()()()()()()()んですよ。そして、その事をお父様に告げて綾小路くんとの結婚にこぎつける気でいました。そうすれば、貴方を一生私のものに出来ると思いましたからね」

「は……?」

 

 俺は坂柳の予想外の言葉に、思わず目を見開いた。あくまで脅しの材料を得るのが目的だと考えていたが、本気で妊娠する気だったとは思わなかったからだ。

 

「……私はですね綾小路くん、不安だったんですよ。優秀な生徒が集まるとされるこの学校でも、綾小路くん以上に評価できる男性を見つける事は出来ませんでした……この学校でそうなのですから、他の学校の生徒のレベルもたかが知れています……そうなった時、私が結婚するに足る相手が果たして現れるのか……それが、私が唯一憂慮すべき事柄でした」

 

 坂柳はそんな事を言いながらじっと俺の眼を見据え、真剣な表情で口を開いた。

 

「私は、私を安売りするつもりはありません。生涯のパートナーになるべき男性には、最低限私に追随出来る能力を求めます……ですが、綾小路くん以外にそんな相手が今後現れるビジョンが、どうしても浮かばなかったんですよ……だから、貴方を打ち負かすついでに結婚相手を確保するつもりでいたんです。綾小路くんであれば、お父様も歓迎するでしょうからね」

 

 ですが、と坂柳は前置きし、満面の笑みを浮かべた。

 

「──私の策は、全て綾小路くんに見破られてしまいました。矢張り、貴方を結婚相手に選んだ私の眼に狂いはなかった……今日の所は性行為だけで構いませんが、今後……結婚を前提に、お付き合いするつもりはございませんか? 決して、悪いようにはしません……貴方のお父様からも、全力で守る事を約束致します。貴方にとっても、悪い話ではないと思いますが?」

「……えーと、すまん……流石に結婚までってなると……」

 

 突然の坂柳の告白に、俺は思わずたじろいた。まさか単純に敵視されているだけだと思っていた相手から、本当のラブコールを受ける羽目になるとは思いもしなかったのだ。

 

 熱の籠った告白にどう答えていいか分からず言葉に詰まる俺を見て、坂柳はくすりと笑った。

 

「……ふふ、今すぐ結論を出さなくても構いません……私の良さは、これから教えていけばいいんですからね……さあ、前置きは此処までです……待たせてしまった分、存分にご奉仕させて頂きますよ。それとも、こう言った方が盛り上がるでしょうか──よろしくお願いしますね、旦那様♪」

 

 チャシャ猫のような笑みを浮かべ、坂柳は愛嬌たっぷりにそう告げた。俺はそんな坂柳の姿に見事に獣欲を煽られ、目の前の少女を貪るべく……坂柳を、ベットに押し倒した。

 

 ──押し倒される坂柳は抵抗なく俺に身を委ね、情念の籠った視線で俺の眼をずっと見つめていた……




 というワケで坂柳編その2です。次回は遂に濡れ場です。筆が滑って長文になったので、三部構成です。
 坂柳は綾小路の事を強く意識している上、プライドがかなり高いので自分の結婚相手に相応しい能力を持つ相手が今後見つかるか疑念を持ち、父親も認める高い能力を持った綾小路を逃せば自分に見合った相手が見つからないのではないか、と考えて今回の行動に至らせた事になっています。要するに身体を張った婚活ですね。色々と性格のネジを緩ませたので半ば暴走状態ではありますけれど。


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10時間目~坂柳有栖の時間Ⅲ

 こちらは『綾小路清隆×坂柳有栖・後編』の加筆修正版になります。
 ケチャップの伝道師さん、評価ありがとうございます。頑張ります。


「んむぅ……っ!」

 

 俺は坂柳をベットに押し倒し、そのまま唇を重ねた。舌で坂柳の口内を蹂躙しながら、坂柳の服を一つ一つ脱がしていく……俺が坂柳から唇を離す頃には彼女の制服は全てのボタンが外され、真っ白な肌が俺の前に晒されていた。

 

 胸は同年代の女子と比べればなだらかだが確かに膨らんでおり、染み一つない乳房に欲情が刺激された俺は坂柳の乳房に吸い付いた。

 

「あぅ……っ!」

 

 坂柳は慣れていない性的な刺激に普段あげる事がない可愛らしい声をあげ、頬を紅潮させた。俺はわざと音を立てて坂柳の小さな乳房に吸い付き、しっかりと乳房に痕を付けてから口を離した。

 

「ふ、ふふ……そんなにおっぱいに吸い付いて、綾小路くんは私に甘えたいのですか? こういうのを確か、バブみ……と言うんでしたか」

「……何処で覚えて来たそんな言葉。ま、女子の胸に執着するのは男の習性みたいなもんだ……無防備に晒されてたら、そりゃあ吸い付きたくもなるさ」

 

 男は皆巨乳好きだと思われがちだが、俺は別にそこまで巨乳に拘りがあるワケではない。

 櫛田、恵、椎名とタイプの違う少女達と身体を重ねて来た結果、俺の性癖は割と広範囲に及んでいる事が自覚出来た。

 ふわふわの巨乳を揉みしだくのも大好きだし、坂柳みたいなちっぱいもそれはそれで赴きがある。

 

 池達の猥談を一歩引いて眺めていた俺だが、実際に女体の味を知った今となってはもう彼等の事を馬鹿に出来ない……まあ、あの様子からして童貞だろうから想像力たくましいだけで経験は俺の方が上だろうが。

 

 しかし、どうやら俺が櫛田達と自分の胸を脳内で比較した事を察したらしく、坂柳は口先を尖らせて不満を露わにした。

 

「……今貴方と性行為を行っているのは、私ですよ? その私の前で、他の女性の事を思い出すのはマナー違反ではありませんか?」

「悪い悪い、別に馬鹿にしたつもりはないさ……ただ、坂柳みたいな子とセックスするのは初めてだから色んな意味で興奮してるんだ。これからどうやって抱こうか、なんて考えてな」

「……っ! そ、そうですか……期待されているのであれば応えないワケにはいきませんね……ご奉仕、してあげましょう」

 

 坂柳は俺の言葉に気分を良くしたのか口元に笑みを浮かべ、腕の力だけでなんとか体勢を変えて俺の方に四つん這いで近付いて来る。

 坂柳の意図を察した俺は服を脱ぎ捨てて全裸になると、膨張させた股間の逸物を露出させた。

 

「……っ!? な……っ!? ちょ、ちょっとなんですかこれ……っ!? こ、こんなのが私の中に入るんですか……っ!?」

 

 流石に俺のモノの大きさまでは予想していなかった坂柳が巨根と言っていい俺の逸物を見て、焦ったような声をあげる。仮にも黒人であるアルベルトすら上回るレベルの俺の巨根は、小柄な坂柳にはさぞ脅威に思えた事だろう。

 

 しばし茫然と俺の逸物を見つめていた坂柳だったが、やがて覚悟を決めたのか恐る恐るといった様子で俺の逸物に手を触れて来た。すべすべの坂柳の手が、俺の逸物を優しく包み込んだ。

 

「……熱い、それに硬い……これが、男の方の性器なのですね……あむっ!」

「うぁ……っ!」

 

 坂柳はしばし俺の逸物を手でぺたぺた触っていたが、やがて意を決して先端を口の中に飲み込んだ。俺のペニスが、明らかに許容用オーバーである坂柳の小さな口の中に侵入していく。

 

 流石に坂柳の小さな口内では俺のペニスを全て飲み込む事は出来ず、半分も咥えられていないが……それでも構わないと、坂柳はちろちろと舌を使って俺のペニスを愛撫し始めた。

 たどたどしい舌遣いに却って興奮が増し、俺の逸物は坂柳の口内でどんどん膨張し硬度を上げていく。

 

「……っ! と、そこまででいいぞ坂柳。それ以上続けられると出ちまいそうだ……それじゃあ、勿体ないからな」

「ぷは……っ! ……あの、ではその……」

 

 坂柳は次に俺が告げる言葉を予想出来たのか、怖さ半分期待半分の眼をこちらに向けて来る……そして、俺は坂柳に向けてその期待通りの言葉を告げた。

 

「──ああ、そろそろいいだろう……お前の処女、奪わせて貰うぞ。坂柳」

「……はい。綾小路くんの精液は、全部私の中に出して下さいね」

 

 坂柳の了解を得た俺は既に羽織っているだけの状態だった坂柳の服を全て取り払い、坂柳は一糸纏わぬ姿になった。

 華奢な身体は西洋人形を思わせ、壊れ物のようなその肢体は背徳的な色気に満ちている……青い果実、というのはこういうものを言うのだろう。幼い雰囲気が残る裸体は、豊満な肉体とは別種の艶やかさがあった。

 

 俺は坂柳に覆い被さるような恰好になり、彼女の秘所に俺のペニスの先端を押し当てた。坂柳の秘所は俺の愛撫と坂柳自身のフェラチオの結果既に愛液で濡れそぼっており、潤滑液は充分に出ているように思われた。

 

「……行くぞ」

「……はい。お願いしま……っ!!」

 

 俺はゆっくりと腰を進め、メリメリと音を立てて俺の巨根が坂柳の秘所に少しずつ埋没していく。

 規格外の巨根で膣を割り開かれている坂柳は俺のモノが押し入って来た衝撃の為か陸に上がった魚のようにぱくぱくと口を開き、眼を見開いて身体を硬直させている。

 

 外見相応に窮屈な坂柳の秘所は俺のモノを納めるには明らかに容量不足のように思え、このまま続けていいのかと不安になって来る。

 

「……いい、です、から……ひと思いに、やって……下さい」

 

 そんな俺の内心を察したのか、坂柳がそんな言葉をかけて来る。強がりにしか見えないが、此処で俺が行為を止める事を坂柳は許さないだろう……俺は覚悟を決め、坂柳の腰をがっしりと掴むと……体重をかけ、坂柳の秘所目掛けて一気に腰を叩き込んだ。

 

「かっ、は……っ!!??」

 

 ──そして、俺のペニスが遂に坂柳の処女膜を突き破り根本まで坂柳の秘所に埋没した。あまりの衝撃に坂柳はか細い悲鳴をあげ、四肢をだらんと弛緩させる。

 俺のペニスが埋まった坂柳の腹部は俺のペニスの形にぽこりと膨らんでおり、飛び散った破瓜の血も相俟って、その光景は酷く犯罪的だった。

 

 坂柳の膣内はその肉体相応に狭く、暴力的な締め付けで俺のペニスに刺激を与えていた。こうしてただ挿入しているだけでも相当に気持ち良く、このまますぐに動き始めれば流石に坂柳がヤバイと思ったので俺は坂柳の息が落ち着くまでその状態のまま待ち続けた。

 

「……そろそろ、いい、ですよ。大分、慣れて来た、所です」

 

 暫く経って、坂柳は息を整えながらそう告げて来た。正直まだ苦しそうに見えるが、そろそろ俺の我慢も限界だった事も確かなので、素直に彼女の厚意に甘える事にした。

 

「……分かった。動くぞ」

「はい、あぅぅぅ……っ!」

 

 俺は坂柳の身体にのしかかり全身で彼女の肢体に密着すると、ゆっくりと腰を動かし始めた。

 始めは焦らすようなゆっくりな動きでペニスを抜き差ししていたが、坂柳の膣壁の凄まじい締め付けにすぐに我慢出来なくなりパンパンパンパンパンッ! と、音を立てて腰を打ち付けるようになるまでそう時間はかからなかった。

 

「あぅ……っ! うぅ、あぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺は坂柳の首筋に吸い付きながら、どんどんピストン運動のスピードを上げて行った。

 俺の身体が完全に覆い被さった状態である為、坂柳は身動き一つ取れずただ俺のペニスの律動を受け入れるしかない。

 

 俺のペニスが秘所に打ち込まれる度、結合部からは肉を打つ音と共に愛液が弾け飛び、坂柳の口からか細い悲鳴が漏れて行く。激しくなる俺の腰の動きに翻弄され、男に征服される悦びを感じているのか坂柳の悲鳴はいつの間にか嬌声へと変わっていた。

 

「く……っ! 久々でやっぱり我慢が効かないな……っ! 射精すぞ、坂柳……っ!」

「……っ! 有栖と、呼んで下さい……っ! 今だけでいいから、お願いします……っ!」

「ああ、分かった……っ! 受け取れ、有栖……っ!」

 

 俺は坂柳の足を抱え込んで種付けプレスの体勢になるとより一層ピストン運動を激化させ、最後にパァンと思い切り腰を打ち付けると坂柳の身体を全身で抱え込み逃がさないように覆い被さり、肉棒の栓を解放した。

 

「お、おぉぉぉぉぉ……っ!」

「あぅぅ……っ! 熱いのが、どくどく出てます……っ! お腹、焼けちゃいそうです……っ!」

 

 坂柳の膣奥に突き付けた亀頭が膨れ上がり、先端からびゅるびゅると白濁液のシャワーが放たれ、坂柳の胎内を灼いていく。

 俺が腰を震わせる度に俺のペニスの形に膨らんだ坂柳の下腹がペニスの脈動に合わせて震え、膣内に精液が注がれていく光景を生々しく伝えている。既に結合部からは収まりきらなかった精液が流れ出ており、坂柳のお尻を伝ってシーツをドロドロに汚している。

 

 暫くぶりの全力射精は中々収まらず、数分に渡る射精を経てようやく俺のペニスの脈動は止まった。

 坂柳のお腹は注ぎ込まれた精液で少々膨れており、坂柳は荒い息を吐いて脱力している。

 正しく疲労困憊といった様子だが、俺はまだまだ満足していない……その証拠に、坂柳の胎内に挿入されたままのペニスは一切硬度を失ってはいなかった。

 

「……ぅ……な、なんで射精したのに小さくならないんですか……? 男の方は一度射精したら、小さくなるものでは……?」

「それはお前の所為だよ、有栖。お前が配下を俺の周りに張り付かせるものだから、此処最近性欲解消が出来ずに悶々としてたんだ──少なくとも、10回や20回で終わると思うなよ。俺は割と、絶倫な方らしいからな……お前が撒いた……いや、溜め込ませた種だ。俺が満足するまで終わらないから、そのつもりでいろよ」

「ひ……っ!」

 

 俺の本気の獣欲を舐めていたらしい坂柳は欲情を全開にした俺を見て、この後の展開を察して思わず身震いした。その姿からはいつもの独特の威圧感が消え失せ、ただ男の獣欲に晒された哀れな少女がそこにいるだけだった。

 

 だが、最初から坂柳を逃がすつもりはサラサラない……この少女には、不本意な禁欲生活で溜め込まれた欲望の発散に最後まで付き合って貰わなければならないのだから。

 故に、容赦する理由は微塵もない。俺は坂柳の腰を掴むと起き上がり、対面座位の体勢になって腰を突き上げ始めた。

 

「あぅ……っ! ま、待って……っ! イッたばかりで、あぅ……っ! 敏感、で……っ!」

「悪いが、止まるつもりはない。こんな気持ちいいい身体、早々手放してたまるもんかよ……っ!」

 

 俺は坂柳を逃がさないとばかりにきつく抱き締め、腰の突き上げを加速させていく。

 足が不自由で身体も華奢な坂柳に俺の暴虐に抵抗する手段はなく、俺の欲望のままに俺と密着して揺さぶられる坂柳の姿は背徳的な興奮を掻き立て、自然と俺の腰の動きが激しくなっていく。

 

「射精すぞ、有栖……っ!」

「あっ、待って……っ! あぅぅぅぅぅぅ……っ!!」

 

 俺は最後の突き上げと共に坂柳の身体をがっちり抱きかかえると、射精欲を解放し坂柳の膣内にどくどくと精液を流し込んだ。

 白濁液が流し込まれる度に坂柳はびくびくと痙攣し、俺が最後の一滴まで注ぎ込むとびくり、と身体を震わせて脱力した。

 

「おっと、この程度じゃ終わらないぞ、っと」

「あぅ……っ!?」

 

 俺は坂柳の身体を抱えながら立ち上がると、そのまま坂柳を壁に押し付けた。体格差から坂柳の足は地に付いておらず、秘所に突き刺さるペニスだけで体重を支えているような恰好だ。

 

「今度は立位だ。行くぞ」

「ま、待っ……っ! うぁぁぁ……っ!」

 

 俺は坂柳の言葉には耳を貸さず、坂柳を壁に押し付けたまま乱暴に腰を打ち付け始めた。

 理性はとうに蒸発しており、今頭にあるのは眼の前の女を使って欲望を満たす事だけ……俺は坂柳の足を抱え込むと、そのままピストン運動を加速させラストスパートに入る。

 

「三発目、出すぞ……っ!」

「きゃぅぅぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 パァン! と音を立てて俺の腰と坂柳の腰が密着し、俺のペニスからどくどくどくどくと白濁液が坂柳の膣内に流し込まれる。ぐいぐいと腰を押し付けながら最後の一滴まで出し切ると、俺はそのまま坂柳をベットに運び、俯せに寝転ばせた。

 

「あぐ……っ!」

 

 一度肉棒が抜けた事で坂柳の秘所からどばどばと精液が流れ落ちるが、俺は構わず背後から坂柳にのしかかると精液を垂れ流し続ける膣口に再び巨根を叩き込んだ。

 坂柳の胎内は散々注ぎ込まれた精液でどろどろになっているが、締め付けは未だきつく俺は構う事なくピストン運動を再開した。

 

「あぅ……っ! うぅ……っ! あぁぁ……っ!」

「くっ、おぉぉぉ……っ!」

 

 俺は坂柳に身体を密着させながらどんどんピストン運動のスピードを上げていき、寝バックの体勢で繰り返し坂柳の秘所を抉っていく。やがて射精欲が限界を迎え、俺は予告なしで坂柳の膣内に精液を吐き出した。

 

「くぉ、おぉぉぉぉぉ……っ!」

「あぅっ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 どくん、とペニスが脈動し、白く濁った精液が坂柳の胎内に次から次へとポンプのように送り込まれていく。

 全身でのしかかられた坂柳に逃げる術はなく、身体をびくびくと痙攣させながら俺の射精を受け入れていく。俺は一向に衰えない射精の勢いに身を任せ、思う存分精液を坂柳の身体に注ぎ込んだ。

 

「かひゅ、ひゅー……」

 

 最後の一滴まで俺に精液を注ぎ込まれた坂柳はパンクしたタイヤの空気音のような声を漏らし、脱力している。

 見るからに限界に見えるが、残念ながら俺はまだまだやりたいない……そして俺が満足していない以上、坂柳を解放する気は一切なかった。

 

「え……? あの、ちょっと待って……っ! 死ぬ、これ以上は死んじゃうから……っ! お願い、止まっ……! あぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺がセックスを再開しようとしている事に気付き、坂柳は必死に行為の中止を訴えるが俺は聞く耳を持たず、そのままピストン運動を再開した。

 

 

「……っ! 射精()るぞ……っ!」

「ぅ……ぁ……っ!」

 

 俺は背面騎乗位で突き上げている有栖にそう告げるが、虚ろな目で俺の突き上げを無抵抗に喰らっている有栖はか細い悲鳴を漏らすだけだ。

 これまでに十数回に渡って膣内射精を繰り返した為、坂柳の膣内は中出しされた俺の精液で満たされている。しかし俺の欲望は全く衰える事はなく、幾ら出しても果てがないようにも思えた。

 

「ぐ、おぉぉぉぉぉ……っ!」

「……っ!? ぁ、ぅ……っ!」

 

 俺は思い切り腰を突き上げて坂柳と腰を密着させると、どくどくと大量の精液を坂柳の胎内に放出した。

 俺のペニスで蓋をされた坂柳の膣内に次から次へと精液が流れ込んで行き、坂柳のお腹が射精された精液で心なしか膨らんでいるように思える。俺に膣内射精されている坂柳はびくびくと痙攣し、為す術なく俺の精液を注ぎ込まれている……その光景は酷く背徳的で、俺の欲情を掻き立てた。

 

「……ふぅ、やばいな……まだまだ全然足りない……」

「か、ひゅ、ぁ……」

 

 最後の一滴まで注ぎ込むと俺は脱力し、溜め息を吐いた。坂柳は俺の身体の上で荒い息を吐いてぐったりとしており、傍目から見て凌辱された少女にしか見えない……まあ、合意の上で始まってはいるが坂柳が気絶しかけた後も延々と続けたのは俺なのだが。

 

「よ、っと……」

「……あぅ……っ!」

 

 俺は坂柳の身体を掴み上げると、身体を起こして背面座位の体勢になった。坂柳の小さな体が俺の腕の中に収まり、胎内に突き刺さったままのペニスが坂柳の体重でより深くまで挿入され坂柳はびくん、と痙攣した。

 

「今度はゆっくりやってやる。少し余裕も出て来たからな」

「……ぇ、ぅ……」

 

 坂柳が何かを訴えようとしていたが、俺は構わず腰を突き上げ胎内を俺のペニスで抉られた坂柳はびくびくと痙攣し俺の動きに翻弄されて声をあげるどころではなくなっていく。

 今までと違いゆっくりとした動きで突き上げると、射精された精液と分泌された愛液で充分に潤っている坂柳の膣内は、しっとりとした感触で俺のペニスに絡みついて来る。

 快楽優先の激しいピストン運動とはまた違った刺激に俺は溜め息を漏らし、ゆさゆさと坂柳の身体を揺さぶっていく。

 

「く、何度も出した所為かチンコが敏感になってるな……っ! こりゃ、長くは保ちそうにないな……っ!」

「……ぅ……っ! ぅぁ、ぅ……っ!」

 

 俺は沸き上がって来る射精欲に後押しされる形で、腰の動きを早めていく。俺の突き上げに翻弄される坂柳のお腹に腕を回し、逃がさないように抱き締めると一際強い突き上げの後、膣奥にペニスを押し当てながら俺は射精欲を解放した。

 

「く、うぅぅぅ……っ!」

「……っ!!?? ぅ……っ! ぁぁぁ……っ!」

 

 もう何度目か分からない膣内射精を受け、俺の腕の中で坂柳がびくびくと痙攣し絶頂する。ペニスがポンプのように脈動し、坂柳の胎内に新たな精液を次から次へと送り込む。挿入されたペニスの形に盛り上がっている坂柳の下腹がペニスの脈動の度に震え、中出しの様子を生々しく露わにしていた。

 

「……ふぅ……」

「……ぁ、ぅ……」

 

 精液を全て注ぎ終えると坂柳は腕の中で意識を失った様子で、くたりと脱力する。しかし、俺が腰を一突きすると覚醒し、ぼんやりと現状を認識したのか胡乱な目で自分を背後から抱き締める俺を見つめた。

 

「ぁ……もう、げんかい、ですから……おねが……」

「──駄目だな。言っただろ? ()()()()()()()()()()()()()って……お前の所為で、随分長い間禁欲生活を強いられたんだ。この程度じゃ足りないな……まだまだ、十数回程度だ。少なくとも、この二倍程度の回数は覚悟して貰うぞ」

「……っ!? ま、待ってくださ……っ! あぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺は坂柳の懇願には耳を貸さず、再びピストン運動を再開していく。坂柳は一瞬我に返って抗議しようとするが俺の動きに翻弄されてすぐに理性が消え失せ、すぐに嬌声をあげ始めた。

 

 ──結局、俺が坂柳を解放したのは翌日の朝になってからだった。朝になって正気に戻った俺は精液の海に浸かってまるで死体のような有り様でベットに横たわる坂柳を見て、慌てて身体を拭いて色々世話を焼く羽目になった。

 

 それ以降、坂柳が俺を見る目に敵対心や好意の他に、恐れや怯えが混じるようになったのだが……ある意味、仕方のない事ではあった。トラウマになって当然の初体験だった筈だが、坂柳の視線の中に時折熱っぽいものが混じっている事を俺はしっかりと感じ取っていた。

 

 後日、坂柳を堕とす手伝いをして貰った櫛田達の機嫌取りの為に色々と奮闘する事になるのだが……それはまた、別の話だ。




 というワケで坂柳編終了です。巨根は絶倫なイメージがあるので、色々溜め込ませてから溜め込ませた原因の彼女で解消させて貰ったワケですね。坂柳も今後は二度と綾小路に無理な禁欲を課さないと誓った事でしょう。
 次は堀北です。他のキャラよりは少し薄味になるかも。堀北は確かにクールビューティーの美少女だけど、他のキャラと違って過去に何か背負ってたり重要な設定があるワケじゃないからどうしても他のキャラと比べると書く事が少なかったりするんですよね。この作品のキャラの中では一番健全なキャラとも言えるけど、自分はどちらかというと病んだりぶっとんだりしてるキャラの方が魅力的に映るタチなので。


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11時間目~堀北鈴音の時間

 こちらは『綾小路清隆×堀北鈴音』の加筆修正版です。
 Arcanaさん、味噌太さん、童貞王さん、紅月 雪さん、hagetaka0916さん、ケチャップの伝道師さん、評価付けありがとうございます。
 それからArcanaさん、童貞王さん、評価コメントありがとうございます。
 
 ランキングを見たら日間R-18で二位になってて、嬉しい限りです。応援、ありがとうございました。


 ──結果として、俺は坂柳とも肉体関係を継続していく事になった。

 

 流石に好き放題やらかしたあの夜から一週間は坂柳は俺の事を避けていた様子で、俺が視界に入ると身の危険を感じたかのようにそそくさとその場を後にする、という事を繰り返していた。

 

 あいつにやらかした事を思えば当然の結果ではあるが、生憎坂柳は、男に怯えたまま日常を過ごす程可愛らしい性格をしていなかった。

 

 きっちり一週間後、いきなり俺を部屋に呼び出した坂柳は今後も肉体関係を持つように宣告した。

 どうやらあの一夜の情事は坂柳にとって相当に屈辱的だった様子で、俺へどう接するか、あの夜のトラウマになりかねない初体験の経験から相当迷っていたようだが……結局プライドが畏怖の感情に勝り、俺との関係を継続する事を申し出たのだ。

 

 あれだけやられても俺に対する好意は消えていなかったようで、散々言い訳を連ねた後「きっと貴方を私の虜にして、伴侶にしたいと自ら言わせてあげます」と頬を赤らめて告げた為、その姿に獣欲が刺激された俺は思わず坂柳を押し倒し、散々口や尻を犯してしまった。

 

 坂柳は未だに俺の子供を妊娠する事を諦めていないようなので、しっかり避妊薬を口にする所を確認しない限りは中に出せない為に、突発的に催した時は口かお尻を使わせて貰っている。まあ、一度挿入したら中出ししなければ気が済まないので当然といえば当然だが。

 

 ちなみに、坂柳のお尻の処女はあの夜に既に奪っていたりする。坂柳が立ち直るまでに一週間を要したのは、その事も無関係ではないだろう。

 

 ともかく、こうして坂柳ともちょくちょく身体を重ねているが……坂柳の消耗具合も考えて、他の子達より情事の頻度は少なめである。

 

 坂柳は体格相応の体力しか持っていない為、俺の相手をすると文字通り精根尽き果ててしまうので、情事を行う場合は休日前の日に行う等の配慮が必要なのだ。

 

 ちなみに、坂柳に飲ませている避妊薬の値段は、所持しているプライベートポイントの額が大きかったり成績が優秀だったりする程、安くなるらしい。

 

 これは恐らく、余裕のない者が安易に男女関係に逃げて学業を疎かにされては困るという判断なのだろう。

 櫛田は裏の顔を晒さなければ成績優秀な優等生である為、相応に安い値段で入手する事が出来るらしい。

 

 恵は俺が繰り返し勉強を見た為か成績は向上しており、以前ほどポイントの無駄遣いもしなくなったが流石に櫛田や椎名のような成績優秀者には劣る為、俺がある程度立て替えたりもしている。そもそも、過度な我慢は本人にとっても良くない為無理をさせないように助言している事もあるが。

 

 櫛田に一括で購入して貰い後からポイントを支払うようにする事も考えたが、女のプライドの問題でそれだけは嫌らしく、今の形になっている。

 

 坂柳の場合は洒落にならない前科がある為、坂柳が購入した避妊薬は一度櫛田に本物かどうか確認して貰ってから俺の眼の前で飲んで貰うようにしている。

 

 この特別製避妊薬は即効性で確かな効果を持ち、副作用も特にないという優れものだ……噂によれば何代か前のOBが開発に成功した代物らしいが、詳しいルーツは不明である。

 

 ともかく、こんな調子で幾人もの女生徒と色んな意味で仲を深めて行った俺だったが、そんな俺にとうとう堪忍袋の緒が切れた奴がいた。

 

 ──そう、俺がDクラスで暗躍する上で散々隠れ蓑として利用した少女、堀北鈴音だ。

 堀北は俺が他クラスとの女子とも関係を持ちながら一向に自分に手を出す気配がない事に業を煮やし、問答無用で俺を自分の部屋に呼び出したのだ。堀北は憮然とした表情で、部屋にやって来た俺を睨みつけている。

 

「さて、綾小路くん。Aクラスの坂柳さんまで手を出した事について弁解はあるかしら?」

「……お前、何処でそれを……」

 

 協力して貰った櫛田と違い、堀北に俺の詳細な男女関係を話した覚えはないのだが、堀北の雰囲気からして確かな情報を持っているように思える……俺は嫌な予感を感じながらそう尋ね、堀北は予想通りの答えを告げた。

 

「──櫛田さんが教えてくれたわ。先日の、貴方とのセックスを自慢しながらね。どうやら色々手を回してまで、坂柳さんに手を出したそうじゃない……これで四股、本当に節操なしね」

「……そうか。櫛田か……」

 

 どうやらいがみ合うばかりだった櫛田と堀北の仲は、仲良く猥談が出来るまで進展したらしい……後ろ手にナイフを持っていたとしても、プライベートな事を赤裸々に話しているのは間違いないのだから。

 ……持っているナイフが毒入りである事を除けば、適度な距離感と言える。本人達に自覚があるかどうかは分からないが、以前の二人の関係に比べれば、余程健全なものと言えるだろう……まあ、今回はそれが仇になったワケだが。

 

「それで? それだけ色んな子に手を出して置いて、何故私にモーションをかける素振りすらないのかしら? 私の気持ちに、気付いていないとは言わせないわよ。貴方、佐倉さんの気持ちだって気付いてて無視しているようだしね」

 

 確かに、堀北が俺へ向ける感情が佐倉等が俺に向ける感情と同じ種類のものであろう事は察している……それでも堀北に手を出さなかったのは、単純に機会がなかっただけだ。

 

 櫛田と坂柳は半ば向こうからの脅迫のような形で関係を持ち、椎名は自分から積極的に俺と関係を持てるように行動に移し、恵はあいつを手放す事を嫌がった俺から関係を持った。

 彼女達と比べ、堀北は俺と親密になろうとする努力はしていても、肉体関係を持つ為の努力は特段行ってはいない……酷な言い方をすれば、未だ俺と関係を持てていないのはある意味では堀北の自業自得である。

 

 堀北は櫛田や恵と違い、過去に特別何かを背負っているワケではない……単に、他人を見下しがちな性格が災いして友達がいなかったくらいだ。

 堀北の場合()()()()()()()()()()()()()()と本気で考えていた所為で、自ら対人関係を良くしようとする努力を怠り続けていた……その結果が、今の意地っ張りな彼女の性格に繋がっているのだ。

 

 櫛田や坂柳は、必要とあれば倫理や常識を投げ捨てられるタイプの人間だ……だが、堀北はどう頑張ってもそれらが足枷となって躊躇が生まれてしまう。

 だからこそ、既に四股をしている俺と肉体関係を持つ事を内心で納得出来ずにいたのだ。

 

 つまり堀北は、他の女子が納得してしまっているセックスフレンドの関係に納得しきれていないのだ。

 口では色々強がっているし俺への接触も増えているが、常識を捨てきれない為に最後の一線が踏み出せない……それを自分でも理解出来ているからこそ、堀北はどうにもならない現状に苛立っているのだ。

 

 普通に考えれば、おかしいのは簡単に今の関係を許容出来てしまう櫛田達であり、常識的には堀北の方が正しい。

 恵も俺が色々と仕込みをしていなければ堀北の側に立っていたであろうことを考えると、別にこれは堀北の落ち度とは言えないのだ。

 

「……そうだな。お前が俺に特別な感情を抱いている事は気付いてるよ……けど、どういう類の感情かまでは確信が持てていない。お前の口からは、何も話されていないからな」

 

 俺の言葉に堀北は一瞬言葉に詰まるが、此処で言えなければどうにもならないと察したのだろう……意を決して、口を開いた。

 

「……っ!? 本当、性格悪いわね貴方……っ! いいわ、なら言ってあげる……っ! 私はね、貴方を一人の男性として見ているの……つまり、恋愛感情を抱いているわ! ……これで、いいかしら?」

「もうちょっと言い方に気を遣えと言いたいが、お前にしちゃ上出来か。確かに、お前の気持ちは理解した……それで? お前は俺にどうして欲しいんだ? お前も知っての通り、俺は複数の女子と肉体関係を持ってる……今更恋人として付き合いましょうと言われても、俺も応える事は出来ないぞ」

 

 今の俺の状態は、全員と俺がセックスフレンドである事で維持していると言っても過言ではない……此処で誰か一人を選ぶような真似をすれば、坂柳や櫛田は何をするか全く予想がつかないのだ。

 つまり、現時点で堀北が望むであろう恋人同士の関係になる事は出来ないワケだ……となれば、堀北が取り得る手段は一つしかない。

 

「……そうね。納得が行かない事は確かだけど、他に方法はないものね……いいわ、私を貴方のセックスフレンドにして頂戴。恋人になるかどうかは、卒業までに決めてくれればいいわ」

 

 堀北としては、これが最大限の譲歩だろう。卒業の時には答えを出すという事にしておいて、肉体関係を結ぶ……拗ねたような表情を見る限り完全に納得したワケではなさそうだが、これ以外の道はないと理解したからこそ無理やり自分を納得させてこの選択を選んだのだろう。

 そして、その覚悟に報いない程俺は人でなしではないつもりだった。

 

「……ああ、お前を受け入れるよ堀北。じゃあ、早速服を脱いで貰えるか? 服を破かれたくはないだろう?」

「……分かったわよ。ケダモノね、ホント」

 

 堀北は溜め息を吐きながらゆっくりと自分の服に手をかけ、スルスルと自分の服を脱いでいく。プライドの高い堀北に自分から服を脱がせている事に、言い様のない興奮を感じて下半身に血が集まって来る。

 やがて下着だけを残して殆どの服を脱いだ堀北の裸身が、俺の眼に飛び込んで来る。胸は櫛田程のボリュームはないが程よく育っており、お尻も安産型で柔らかそうだ。

 白磁の肌は芸術品めいていて、その美貌は女神像もかくやと言わんばかりだった。

 俺は服を脱いだはいいもののどうすればいいのか分からずに固まっている堀北に近付き、その乳房を鷲掴みにしながら堀北と唇を重ねた。

 

「んむぅ……っ! むぅぅぅぅ……っ!」

 

 右手で堀北の乳房を思う存分揉みしだきながら、俺は堀北の唇を割り開き舌で口内を蹂躙していく。

 堀北は顔を真っ赤にしながら俺の愛撫を成す術なく受け入れており、股からは早くも女の匂いが漂い始めていた。

 

「ぷは……っ! い、いきなりやってくれるじゃない……」

 

 ようやく俺が唇を離すと、堀北は真っ赤になった顔のまま俺の方を睨みつけて来る。見れば俺が揉みしだいた乳房にはくっきりと手形が付いており、口周りにも唾液が付着している。

 初心な堀北からすればディープキスだけでも衝撃を受けるには充分なものだったらしく、その表情からは羞恥を隠しきれていない。

 

「悪いな、我慢が効かなかったんだ」

「そ、そう……それなら仕方ないわ、ね」

 

 だが、俺の一言で堀北は急に気を良くし、笑みを浮かべている。その反応に新鮮さを感じながらも俺はさっさと行為に移るべく、堀北の手を引いてベッドの上に仰向けに寝転ばせた。

 俺もまた服を脱ぎ捨てると、逸物を露出した状態で堀北の上にのしかかる。

 

「……っ!? ちょ、ちょっと何よそれ……っ!? 男の人のって、そんなに大きいのっ!?」

「俺は大きい方だが、大丈夫だ。女の身体は男を受け入れるように出来ているからな」

 

 俺の巨根に驚いた堀北の言葉をそう言って封殺し、俺は逸物を堀北の秘所に押し当てる。堀北は秘所に押し付けられた肉棒の感触にびくりと震えるが、俺が目を向けると小さく頷いた。

 

「……いいわ。やって」

「……ああ、お前の処女を貰うぞ。堀北」

「……っ!!??」

 

 そして俺は体重をかけ、一気に堀北の秘所に俺のペニスを突き刺した。一瞬で堀北の秘所に埋没した俺のペニスは破瓜の血を浴びながら膨張し、狭い堀北の膣内をむりむりと押し広げて行く。

 

「か、ふ……っ!」

 

 ズン、という音と共に俺のペニスがようやく根本まで堀北の膣内に埋め込まれ、規格外の肉棒を受け入れた堀北の口から小さな悲鳴が漏れる。堀北の膣内は俺のペニスをぎゅうぎゅうと締め付け、ただ挿入しているだけで快感を齎して来る。

 俺は堀北の処女を奪った達成感を感じながら、ゆっくりと腰を動かしていった。

 

「くぁ、うぅ、あぁ……っ!」

「やっぱり、キツいな……っ!」

 

 パンパンパンパンパンッ! と肉を打つ音を響かせながら、俺は激しい勢いで腰を打ち付けていく。

 俺のペニスが叩きつけられる度に結合部からは愛液と破瓜の血が飛び散り、俺のピストン運動によって堀北の肢体がガクガクと揺さぶられていく。

 

「そろそろ、射精すぞ……っ!」

「き、来て……っ! 大丈夫な日だから、お願い……っ!」

 

 俺は堀北の中出しの懇願を聞き届け、堀北の足を抱えて種付けプレスの体勢になると猛烈な勢いでペニスの抜き差しを行い、最後に思い切り腰を叩きつけると堀北と全身を密着させ溜まっていた射精欲を解放した。

 

「お、おぉぉぉぉ……っ!」

「くぅ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!! あつい、わ……っ!」

 

 胎内奥深くに埋め込まれたペニスの先端からどくどくと精液が注ぎ込まれ、堀北の膣内を白く染め上げていく。

 俺が腰を震わせながら精液を撃ち出す度、堀北はびくびくと身体を痙攣させて俺の射精を受け入れていく。俺は堀北に腰をぐいぐいと押し付けながら射精を続け、最後の一滴まで注ぎ込むと脱力して堀北の上に倒れ込んだ。

 

「う、ぐ……お腹の中が、熱いわね……体内に直接、お湯でも注がれている気分よ」

「慣れてくれ、としか言い様がないな。ともかく、これでお前は晴れて俺のセフレになったワケだ……つまり、お前の身体は俺の好きにしていいって事だよな」

「え……?」

 

 堀北は俺の言葉に一瞬ポカンと呆然になるが、胎内に突き刺さったままの俺のペニスが全く衰えていない事にようやく気付き、さっと顔を蒼褪めさせた。

「取り敢えず、もうちょっと付き合って貰うぞ。心配しなくても、それなりには自重するつもりだからな……嫌だって言っても聞くつもりはないけど」

「ちょ、ちょっと待……あぁぁぁぁ……っ!」

 

 

 俺は堀北の反論を封殺し、堀北の身体を抱え上げると駅弁の体位になり、猛然と突き上げを開始した。

 

「く……っ! ぴったりと吸い付いて来て、気持ちいい、な……っ!」

「うぁ……っ!? こ、このケダモノ……っ! 処女、相手にっ、どれだけ、盛ってるのよ……っ!? あぅ……っ!」

 

 堀北は俺の突き上げに翻弄されるばかりで碌に抵抗出来ておらず、俺は密着した堀北の身体の柔らかさを堪能しながら堀北の尻をぎゅっと掴み、ピストン運動のスピードを上げていく。

 

「よしっ! 二発目だ、堀北……っ! 受け取れ……っ!」

「あぅ……っ! ま、待って……っ! 今、出されたら……ッ!」

 

 当然堀北の懇願には耳を貸さず、俺は衝動のままに腰を突き上げると堀北の尻に指を食い込ませ、腰を思い切り押し付けながら射精欲を解放した。

 

「くぉっ、くぅぅぅぅぅぅ……っ!」

「……っ!? あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ! あぁっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺のペニスから膨大な白濁液が飛び出し、堀北の膣内を容赦なく灼いていく……膣内射精を受けた堀北は膣奥を叩く精液の感触で絶頂に達し、全身をびくんびくんと痙攣させている……俺は堀北のすべすべの尻をを掴みながら腰を押し付け、次から次へと精液を堀北の胎内に吐き出していった。

 

「ふぅ、良かったぞ。堀北」

「……なに、が良かった、よ……この、ケダモノ……」

 

 俺は射精を終えると俺に抱きかかえられたまま脱力している堀北に声をかけるが、堀北はジト目で俺を睨みつけて来る。その様子が大変可愛らしく、俺はそのまま堀北の唇を奪った。

 

「むぅ……っ!? むぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 俺に抱え上げられたままの堀北に逃げる術はなく、俺は容赦なく堀北の口内を蹂躙する。思う存分堀北とのキスを堪能した後でようやく唇を離し、堀北と俺の口の間に唾液の橋が出来ていた。

 

「……ぅ……ずるい、わよ。こんなの……」

 

 キスから解放された堀北は顔を真っ赤にして、そんな事を呟いた。そのいじらしい姿に堀北に挿入したままの俺のペニスが反応し、むくむくとその容量を増していった。

 

「……え……? ちょ、ちょとまさか、貴方……」

「ああ、勿論全然足りないぞ。悪いが、まだまだ付き合って貰うからな」

「ちょ、待……っ!? あぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺の際限のない性欲に慄いた堀北は懇願の声をあげるが、俺はそんな堀北の訴えを聞かなかった事にして再びピストン運動を開始した。

 堀北は俺の動きに翻弄され、思わず声をあげ……その声が嬌声に変わるまで、そう時間はかからなかった……




 というワケで堀北編でした。堀北は過去に何か背負ってたり坂柳や椎名みたいに癖の強い性格をしてるワケじゃないので、濡れ場以外の描写は最低限でいいかな、と。既に櫛田との関係は描写してありますしね。
 次は、折角だから佐倉書こうかな。あの爆乳は書き甲斐があるし。本当は一之瀬を書きたいけど、バックグラウンドがまだ明かされてないから今書くのは勿体ないんだよなぁ。


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12時間目~佐倉愛里の時間Ⅰ

 今回は佐倉編です。
 raraさん、評価及び評価コメントありがとうございました。


「それで? 佐倉さんの事はどうするの? 貴方」

「え……?」

 

 始まりはある日、情事を終えた後シーツだけを纏った堀北が不意にそんな事を聞いて来た事だった。俺は情事の後の気怠い余韻を引きずりながらも、堀北の声に真剣な響きを感じて振り向いた。

 

「貴方、佐倉さんの気持ちには気付いているんでしょう? 誰か一人と付き合ってるならともかく、複数人とセックスフレンドの関係になっている今、佐倉さんの気持ちを無視し続ける理由はあるのかしら?」

「いや、そうする以外ないだろ。愛里はあくまで、俺相手に()()()()()がしたい筈だ……だが、俺相手に()()()()()なんて今更出来ると思うか?」

 

 そう、今まで関係を持ってきた少女達は持ち前のバイタリティで倫理や常識のブレーキを自ら壊すか、そもそも最初から気にしていない曲者揃いだ。

 対して愛里はコミュニケーション能力に難はあるものの、常識や倫理を飛び越せるような性格ではない筈だ。そんな彼女を今の状態で受け入れるには、無理があり過ぎる。

 

「まあ無理ね。そもそも、佐倉さんと付き合うとなったら多分櫛田さんが黙ってないわ。幸か不幸か今貴方と関係を持っている人達は櫛田さんとやり合っても惨敗はしないでしょうけど、佐倉さんにそれを求めるのは酷よ。彼女、やるとなれば容赦しないでしょうし」

「……だろうな」

 

 それに、愛里では櫛田の相手は荷が重すぎる。恐らく、セックスフレンドを増やしただけであれば櫛田は文句を言って終わるだろうが、誰か一人を俺を選ぼうとすれば、櫛田は躊躇いなくその相手を追い落としにかかるだろう。

 

 幾ら堀北との関係が軟化し、丸くなったように思えても櫛田の性根は変わっていない……しかも現在は俺に対してかなり執着を持っている為、自分の立場を脅かすような相手に容赦などする筈もない。

 これが坂柳なら謀略で、恵ならその機転と度胸で対抗し、椎名はそもそも暖簾に腕押しでやるだけ無駄であろうし、堀北なら櫛田のやり口は慣れているので充分対抗出来るだろうが……そのいずれも持ち合わせていない愛里では、 櫛田に眼を付けられればそれだけで終わりだ。そういう意味でも、愛里を受け入れる事は出来なかった。

 

「けど、逆に言えばセックスフレンドなら櫛田さんは許容するわ。その方向で検討したらどうかしら?」

「いや、それは愛里の方が無理だろ。そもそも、愛里が俺に好意を持ったのは恐らくあの暴漢から助けた事と、俺が愛里を性的な目で見なかったからだ。そんな愛里が身体目当てとしか思われない提案を、簡単に受け入れると思うか?」

 

 ……そして、セックスフレンドにするにしても今度は愛里の方が問題になる。あの時の会話から察するに、愛里は最初に俺が自分に対していやらしい目で見なかった事から、俺への好意が生じた筈だ……そんな俺から「セックスフレンドになれ」などと言われれば、その時点で俺に対する好意は消滅する筈だ。

 

「……あのね。それはあくまで、好意を持った切っ掛けでしょう? 幾ら佐倉さんでも、好きな相手に対してずっと()()()()()()()()()()()()なんて思ってるワケないでしょう。人心掌握に長けてる割に、女心には本当に疎いのね」

「む……」

 

 ……しかし、それは俺の思い込みだ、と堀北は告げた。イマイチ納得出来ない部分はあるが、こと女心に関して言えば俺は素人だ……割と常識人寄りの堀北がこう言うのであれば、その意見は尊重するべきだろう。

 

「取り敢えず、明日部屋に呼んで現状を暴露して佐倉さんにどうするか尋ねなさい。出来ないとは言わせないわよ」

「……あ、ああ……」

 

 堀北はそう告げると立ち上がり、シャワーを浴びる為に浴室へ向かった。俺は堀北が出て行ったドアを見つめながら、明日の事を考えて溜め息を吐いた。

 

「……全く、私も馬鹿ね。櫛田さんの時といい、なんで恋敵に塩を送るのかしら……我ながら、一体何を考えてるんだか……」

 

 ……だから、ドアの向こうで堀北が呟いた愚痴も、聞かなかった事にした。何はともあれ、堀北にこうまで発破をかけられたからには……佐倉との事にも、きちんと向き合わなければならないだろう。

 

 

「こ、こんばんはっ! 清隆くん! ま、待った……?」

「いや、大して待ってない。悪いな、急に呼び出して」

 

 翌日の夜、俺は部屋にやって来た愛里をそう言って迎え入れた。昼間のうちに今夜部屋に来るように誘ったのだが、愛里は二つ返事でOKして今に至る……まあ、誘いをかけた時には相当驚いた様子ではあったが。

 

 愛里はきちんと着替えて来たようで、割と身体の線が出るような薄い生地の白いTシャツに、チェック柄のミニスカートという出で立ちだ。愛里は他の女子と比べてもかなり胸が大きい為、凝視しないよう気を付けていても自然と胸に視線が吸い寄せられてしまう。

 

 以前であればそこまで女子の身体に眼を向ける事はなかったのだが、度重なるセックスを経験した影響か、油断すると性的な目を向けてしまう事があるのだ。勿論気を付けてはいるが、愛里の爆乳は相当に魅力的な為ついつい目を向けてしまいがちなのだ。

 

 愛里は当然、そんな俺の視線には気付いている筈だ……彼女は今までその爆乳故に、男からのいやらしい視線を嫌という程浴びて来た……どれだけ巧妙に隠したとしても、俺の視線の意味に気が付かない筈がない。

 

 ……しかし、予想に反して愛里から俺に対する嫌悪や失望の感情は感じ取れなかった。不可解に思いつつも愛里を部屋の中に通し、机越しに向かい合った。

 

「え、えっと……その……話って、何……かな……?」

 

 愛里は緊張した様子で俺を見つめながら、そう尋ねて来る。俺は一瞬言葉に詰まったが、此処でぐだぐだしても仕方ないと割り切り、正直に話す事を決めた。

 

「その、な……まず、俺の思い上がりでなければだが……愛里は、俺の事好き……なんだよな?」

「え……っ!? あ、うぇ、その……っ! は、はい……っ! 私は、清隆くんの事が好きです……っ!」

 

 俺の質問に、愛里は飛び上がる程驚き……そのまま、勢いに任せて告白して来た。てっきり混乱して何も喋れなくなるかと思っていたが、どうやら俺は愛里の思い切りの良さを甘く見ていたらしい。

 

「そ、そうか……それで、だな……愛里が気になってるのは、櫛田達の事……だよな?」

「う、うん……なんだか前より距離が近いし、もしかして……付き合ってるのかな、って……」

 

 愛里は恐る恐る、という風にか細い声でそう話した。学校での櫛田と堀北の俺に対するアプローチは、誰が見てもあからさまだ……同じクラスでそれを見せつけられていた愛里が日々を悶々と過ごしていたであろう事は、想像に難くない。

 

「……付き合っては、いない……けど、何もないワケじゃない。ぶっちゃければ、あいつ等と俺はセックスフレンドってやつだ」

「え……?」

 

 だからこそ、愛里は俺の言葉に首を傾げ……次第に意味を理解して、顔を真っ赤に染め上げた。

 

「え、え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ……っ!? せ、せ、セフレって……っ!? う、嘘、本当……っ!?」

「悪いが、本当だ……幻滅したか?」

 

 俺は混乱する愛里に対し、努めて平坦にそう尋ねた。予想通りであれば、俺はこの時点で愛里は櫛田達と不健全な関係を結んでいた俺に失望し、逃げ出すか黙り込むかのどちらかだと思っていた。

 

「……ううん。幻滅なんて、しないよ」

「は……?」

 

 ──だからこそ、その愛里の言葉は予想外だった。まさか、逃げ出すでもなく黙り込むでもなく、そんな言葉を返して来るとは理解の外だったからだ。

 

「……愛里、まさか俺の言う事を信じてない、とか……?」

「違うよ。確かにびっくりしたけど、こんな嘘つく理由はない筈、だよね……だから、本当の事なんだろうけど……それを私に話してくれたって事は、私の気持ちにちゃんと向き合ってくれるって事だから。幻滅なんて、する筈……ないよ」

 

 愛里の言葉に、俺はらしくもなく呆然となった。まさか、複数人と関係を持っている俺の現状を聞いて尚、こんな風に好意的に接して来るなど思いもしていなかったのだ。

 

「それで、その……清隆くんは、私にどうして欲しいかな。今日は、えっと……その話をする為に、呼んだ……んだよね?」

 

 愛里は縋るような目で、俺の事を見つめて来る。俺は一瞬言葉に詰まったが……愛里が此処まで覚悟を見せた以上、俺も相応の態度で臨むべきと決心し、愛里と目を合わせて告げた。

 

「まず、愛里と恋人同士になる事は……出来ない。けれど、櫛田達と同じ……セフレにだったら、してもいい……我ながら最低の事を言っている自覚はあるが、返事を聞きたい」

 

 俺は愛里に最低の告白を行い、彼女の返事を待った。今度は目を逸らす事なく愛里の事を見つめ、愛里は……笑顔を浮かべて、返事を返した。

 

「はい。私を、清隆くんのセフレにして下さいっ! 時々、遊びに連れて行っては……くれないかな?」

「……そのくらいなら、お安い御用だ。いいんだな? 本当に」

 

 俺は愛里の返答に面食らい、そう尋ねるが愛里は間髪入れず笑顔のまま答えた。

 

「勿論……っ! これからよろしくね、清隆くんっ! ()()()()()()()()()()()()()()

「……待て。何故、そこで堀北の名前が出て来る……?」

「あ……」

 

 愛里の台詞の不自然さを指摘すると、愛里はしまった、という顔をして言葉を詰まらせた。これは、何か俺の知らない事情がありそうだ。

 そもそも、愛里は此処に呼ばれた時点で俺の()()を察していた節があった。櫛田達との関係を聞かせた時の驚きようは演技には見えなかった為、全てを知っていたワケではないようだが……()()()()()()()()()()()()()()は、充分にある。

 そして、昨日の事を考えれば……その()()()()()()()()()は、容易に予測出来た。

 

「……堀北に、何か言い含められてたのか? 例えば……俺の現状を、それとなく伝えられた、とか」

「……あ、うん。実はね……今日堀北さんに呼び出されて、言われたんだ……『私は綾小路くんと肉体関係を持ってるわ。けど、貴方が彼と関係を持ちたいなら黙認する』って」

「……あいつ……」

 

 俺は堀北の想定外の行動に、溜め息を吐いた。どうやら堀北は、自分が嗾けた手前愛里の方にもフォローを入れる事にしたようだ……入学当初の他者との接触を悉く断とうとしていた姿からは、考えられない変化だ。あいつも変わって来ているのだろうが、それがこんな形で影響するとは思ってもみなかった。

 

「その、私なんかが堀北さんのような美人に勝てる筈ないし……それなら、こういう関係でも構わないかな、って。セフレって言っても、清隆くんはちゃんとお願いすればデートもしれくれるって話だし……それなら、いいかなって」

「……俺から提案しといてなんだが、本当にいいのか……? 確かにそれくらい都合するが、男から身体目的で見られるのは嫌なんじゃなかったのか……?」

 

 俺の質問に愛里は一瞬きょとん、とした顔をして……くすり、と笑った。

 

「あ、うん。私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()嫌だよ? けど、()()()()()()()()()()()()()()()()のは、嫌じゃないんだ。清隆くんが私とそういう事をしたい、って思ってくれてるなら……それは、嬉しいかな、って」

「そうか……」

 

 どうやら、女心というものに関して俺は本当に分かっていなかったらしい。奇しくも……いや、当然の結果として堀北の言葉通りになったワケだ。

 

「……まあ、思う所がないワケじゃないけど……堀北さんや櫛田さんと張り合うよりは、可能性があるのは事実だし……」

「……まあ、愛里が納得してるなら構わないが……」

 

 俺は改めて愛里を受け入れる事を決め、愛里の姿を見つめると……愛里は顔を真っ赤にして、俺の方をちらちら見つめて来る。その瞳には、覚えのある熱っぽさが宿っていた。

 考えてみれば、愛里は俺の()()()()()()()()()()()()()()という要請を受け入れて、この部屋に留まっているのだ。ならば当然、()()の事を考えるのはおかしな事ではない。

 

 それを察して、俺は自然と愛里の胸に視線を向けてしまう。愛里の胸は爆乳と言っていい大きさで、今まで関係を持った女子の誰よりも大きいサイズを誇っている……あの胸を好き放題に出来ると思うと、股間に血が集まって来る。

 

「……え、っと……今から、いいか……?」

「……うん。よろしく、お願いします……」

 

 そして俺は愛里に声をかけ、ベッドへと誘った。俺は滾る獣欲をなんとか抑えながらも、これからの行為への期待に胸を膨らませるのだった。




 1話で終わろうと思ったら終わらなかった。濡れ場は次回です。
 佐倉は他の面子と比べると押しが弱いので、なんらかの後押しは必須だと思い今回も堀北さんにご足労願いました。彼女、根本的な所でお人よしなので見捨てる事は出来ないと思うんですよね。尚、作中の台詞以外でも散々煽って佐倉さんをその気にさせたようです。
 というか、関係を持ってるヒロインの中でこういう事やれるキャラが彼女しかいないワケですが。櫛田さんあたり、割と容赦ない事やりそうですし。


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13時間目~佐倉愛里の時間Ⅱ

 うぃるさん、タルタルマヨネーズさん、だってばよさん、評価ありがとうございます。
 うぃるさん、アゆスさん、タルタルマヨネーズさんは評価コメントありがとうございます。応援して下さると執筆の励みになるので、嬉しいです。


「え、っと……どうすれば、いいかな……?」

「……そうだな。取り敢えず、ベットに座って貰えるか……脱がせたい」

「う、うん……」

 

 愛里は俺の指示に従い、ベットに腰を下ろした。俺は愛里のTシャツを裾を掴み、愛里に視線を向け彼女が頷いた事を確認すると、一気にシャツを捲り上げた。

 

「あ、あぅ……」

「……改めて、凄いな」

 

 シャツが捲り上げられた事で白いレースの下着に包まれた愛里の爆乳が露わになり、俺の前に晒される。愛里の胸は巨乳と言っていい櫛田のそれよりも更に一回り大きく、スイカのような、という形容詞が付いても不思議ではないサイズだった。

 愛里は自分の裸の胸が曝け出された事で羞恥に顔を赤くしており、そのいじらしさが俺の獣欲を刺激する。俺は辛抱たまらず、手を伸ばして愛里の爆乳を鷲掴みにした。

 

「きゃぅ……っ!?」

「わ、悪い……嫌だったか……?」

「う、ううん……だ、大丈夫だよ。つ、続けて」

 

 愛里の許可を貰った俺は、好き放題に胸を揉みしだき始めた。特に鍛えているワケではない愛里の胸は張りこそ堀北や櫛田に劣るが、その何処までも沈み込むような柔らかさは極上だった。

 指を食い込ませればしっとりとした感触とこの上ない柔らかさが堪能出来、揉みしだく度に縦横無尽に形を変えるその爆乳は様々な意味で俺を楽しませた。

 

「あ……っ!? す、吸っちゃ……っ!」

 

 やがて我慢出来なくなった俺は、愛里の乳房にむしゃぶりついた。片手で胸を揉みながら愛里の乳房に顔を埋め、夢中になって吸い付いて行く。舌で乳首を転がすと愛里は身体をびくん、と震わせ初めての愛撫に快感を感じている様子だった。

 

「……ふぅ、すまない。いきなりで嫌だったか……?」

「え、あ、ううん……ちょ、ちょっとびっくりはしたけど……嫌じゃ、ないよ……その、好きな人からこうされるのは……えっと、嫌じゃ……ない、かな」

 

 愛里は顔を真っ赤にしながらも、俺の方をチラチラ見ながらそう告げた。どうやら大丈夫そうだ、と判断した俺はズボンを脱ぎ、いい加減ズボンの下で窮屈になっていた逸物を解放した。

 

「わ……っ!? は、はへ……っ!? お、おちんちんって……こ、こんなに大きい、の……?」

「……俺のは、大きい方だと思うが……やっぱり嫌か……?」

「う、ううん……っ! す、少しびっくりしただけだから……っ! え、えっと……胸で、して欲しいんだよね……?」

 

 どうやら愛里はパイズリ、という行為の事は知っているようだった。いや、俺が愛里の胸を凝視し続けていたから分かり易かった、というのもあるんだろうが。

 

「ああ、頼む」

「う、うん……こ、こう、かな……?」

 

 愛里は恐る恐る、といった風に膝立ちで俺に近付くと、その爆乳で俺のペニスを包み込んだ。ふわふわの弾力が四方八方から俺の逸物に襲い掛かり、その極上の感触に俺のペニスの硬度や大きさが益々増して行った。

 

「う、わ……」

 

 愛里は胸から突き出て自分の顔の前に曝け出された俺のペニスを至近距離で見つめ、思わずそれを凝視した。

 愛里の爆乳であればペニスの大きさによっては全長が埋まってもおかしくはないが、生憎俺の逸物は生易しいサイズではない。結果として愛里の爆乳でも収まり切らず胸の谷間から愛里の顔目掛けて突き出す格好になっていた。

 

「んしょ、んしょ……」

「う……」

 

 俺の無言の催促を受け、愛里はたどたどしい手つきで自分の胸をこねくり回し、俺の逸物を刺激し始めた。ふにゅふにゅとこね回された愛里の爆乳が俺のペニスをしごきあげ、俺はその感触に見悶えする。

 

「あむ……っ! んちゅ、ぺろ……」

「う、うぉ……っ!」

 

 それだけでは飽き足らず、愛里は胸から突き出た俺のペニスの先端をぱくりと咥えこみ、パイズリと同時にフェラまで初めてしまった。俺のペニスは爆乳による弾力と口内の締め付けでどんどん射精欲を刺激され、瞬く間に上り詰めてしまう。

 

「く……っ! 射精()る……っ!」

「んむ……っ!? むぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!?」

 

 限界を迎えた俺は愛里の頭を掴むと腰を突き出し、肉棒の栓を解放した。びゅるびゅると凄まじい勢いで精液が愛里の口の中に吐き出され、ペニスを喉奥まで据え込まされた愛里はそれを飲み込む他なく、こくこくと喉を鳴らして愛里は俺の精液を飲み込んで行った。

 

「……ふぅ……悪いな、苦しかったろ」

「ぷは……っ! あ、う、えっと、だ、大丈夫……だよ? その、びっくりはしたけど……清隆くんのなら、嫌じゃないから……」

 

 結局俺は最後の一滴まで精液を愛里の口内に注ぎ込み、愛里はその全てを飲み干して見せた。愛里の口元には俺の出した精液が涎のように付着しており、妙にエロティックな見た目になっていた。間違っても美味しくなどない筈の精液を全て飲んでくれた上に文句一つ言わない愛里には、頭が下がる思いだ。

 

「……そうか。なら、そろそろ……いいか?」

「う、うん。き、来て……下さい」

 

 俺が言わんとする事を察した愛里は顔を真っ赤にしながら頷き、ベットに寝転んで見せた。俺は愛里からスカートを脱がせると、ショーツをずり下ろして俺のペニスを愛液で濡れた愛里の秘所に押し当てた。

 

「……行くぞ」

「は、はい……っ!!??」

 

 俺は愛里の了解を得ると腰を進め、ペニスを愛里の秘所に突き立てた。俺のペニスはその全てが愛里の膣内に埋まり、結合部からは破瓜の血が流れ落ちている……純潔を失った愛里は、当然の如く苦痛に耐える表情に……なっては、いなかった。

 

「あぅ……っ!? え、どうして……? い、痛い筈なのに……き、気持ち良いのが凄くて……っ! ぜ、全然、痛くない……?」

 

 愛里もまた、思った以上に痛みを感じない事に驚いている様子だった。血が流れ出ている事から何かの拍子に処女膜が破れていた、というオチは有り得ないし、痛みを感じていないワケではない……ただ、愛しい男を迎え入れた興奮による快感が、痛みを凌駕してしまっているだけなのだ。

 

「……そうか。なら、もう動いても大丈夫か?」

「あ、う、うん……というより、動いて欲しいです! な、なんだかムズムズして、切なくて、早く、突いて欲しいです……っ! きゃぅ……っ!」

 

 愛里の淫らな懇願を受け、獣欲を刺激された俺は最初からトップスピードでピストン運動を開始した。

 俺のペニスが愛里の膣内を抉り、処女の締め付けが俺を盛大に歓迎している。膣内は愛液で溢れかえり、愛液が潤滑油となって抽挿はとてもスムーズに行えている。愛里は俺が腰を打ち付ける度に、甲高い嬌声をあげていた。

 

「あぅ……っ! いい、気持ちいい、です……っ! もっと、もっと突いて下さい……っ! 清隆くん……っ!」

「ああ、言われなくても……っ!」

 

 俺は愛里の両足を抱え上げ、種付けプレスの体勢で腰を叩きつけて行く。愛里の膣内が俺のペニスをぎゅうぎゅうと締め上げ、瞬く間に俺の射精欲が高まって行く。

 

射精()すぞ、愛里……っ!」

「だ、射精()して下さい……っ! 全部、中で……っ!」

 

 種付け懇願に理性を吹き飛ばされた俺は全身で愛里を押し潰すようにベッドに押し付けながら思い切り腰を打ち付けると、腰をぶるりと震わせて射精を開始した。

 

「く、おぉぉぉぉぉ……っ!」

「きゃぅぅぅぅぅぅ……っ! で、出てる……っ! あ、あつい……っ!」

 

 愛里にぐいぐいと腰を押し付けながら、びゅくりびゅくりと濃厚な俺の精液が愛里の膣内に注ぎ込まれていく。膣奥を白濁液が叩く度、愛里はびくびくと身体を痙攣させ絶頂を迎え、その都度きゅうきゅうと俺のペニスを締め付け更なる射精を促して来る。俺はペニスを脈動させながら、有りっ丈の精液を愛里に注入していた。

 

「……ふぅ……」

「あ、ぅ……お腹の中、あつい、です……」

 

 最後の一滴まで注ぎ込むと俺は脱力し、愛里の身体に倒れ込む。愛里は俺の体重を受け止めながら、胎内に残る精液の熱さを感じて陶然とした表情を浮かべていた。

 

「……あ……ま、まだ……硬い、ですよね……?」

 

 しかし、胎内に埋まったままの俺のペニスが一切衰えていない事に気付き、俺の意見を求めるように俺の顔を見つめて来た。此処で言うべき言葉など、一つしか有り得ない。

 

「ああ、俺は絶倫な方らしくてな。基本的に、一回や二回じゃ全然足りない……続き、いいか?」

「……う、うん……その……私も、もっと……欲しいな、って……きゃぅ……っ!」

 

 愛里の返答を聞くなり、俺は愛里の身体を抱え上げると体勢を入れ替え、騎乗位の体位になると猛然と突き上げを開始した。

 

「あぅ……っ! きゃぅ……っ! あぁ……っ!」

「この体位も、いいな……っ! 胸が、すげぇ揺れてるしな……っ!」

 

 俺が腰を突き上げる度、愛里の爆乳がぶるんぶるんと揺れ、俺の視覚を楽しませた。俺は腕を伸ばして愛里の胸を掴み上げると、胸を揉みしだきながら突き上げの速度を上げて行った。

 

「あぅぅ……っ! わ、私変です……っ! な、なんか、とんじゃい、そうで……っ!」

「いい、ぞ……っ! とんじまえ……っ! 俺も、すぐに……っ!」

 

 俺は獣欲の赴くまま、愛里の尻を掴んで凄まじい勢いで腰を突き上げ続ける。そして射精欲が限界を迎えると尻に指を食い込ませ、パァン! と思い切り突き上げると膣奥で射精を開始した。

 

「ぐ、うぅぅぅぅぅぅ……っ!」

「あぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ! あっ、あぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 愛里の膣内に容赦なく精液を送り込み、膣奥を精液で叩かれた愛里は甲高い嬌声と共に絶頂を迎え、びくんびくんと痙攣する。俺がびゅくりびゅくりと新たな精液を送り込む度、愛里は痙攣しながら更なる絶頂を味遭っている……俺が腰を震わせて精液を注ぎ込む度、絶頂した愛里の膣内は極上の締め付けで俺のペニスをしごきあげ、結果として大量の精液を胎内に注入する事になった。

 

「く、ふぅ……悪い、もっかいいくぞ……っ!」

「きゃ、きゃぅぅぅ……っ!?」

 

 最後の一滴まで注ぎ終えると、俺は一度ペニスを引き抜くと愛里をベットにうつ伏せに押し倒し、背後からのしかかるようにして後背位で挿入した。ずん、と膣奥をペニスで突かれ、愛里は嬌声をあげる。

 

「く、やばい、な……っ! こりゃ、極上、だ……っ!」

「あぅ……っ! だ、出したばかり、なのに……っ! 硬いのが、暴れてる、よぉ……っ!」

 

 俺は背後から手を伸ばして愛里の爆乳を揉みしだきながら、容赦ないピストン運動を叩き込んで行く。

 愛里の身体は、女体として極上だった。規格外の爆乳と、もっちりしたお尻、ペニスに絡みついてしごきあげて来る膣内は、どれを取っても最高だった。勿論今まで抱いて来た少女達はそれぞれ独自の良さがあるが、単純な抱き心地では一番と言えた。

 

「そろそろ、射精()すぞ……っ! 全部、中に射精()すからな……っ!」

「き、来て……っ! 私に、種付けして下さい……っ!」

 

 理性を手放した俺は猛然と腰を動かし、全身で愛里に密着すると最後に抉りこむように腰を打ち付けると愛里の身体を逃がさないように抱き締めながら三度目の膣内射精を開始した。

 

「く、おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……っ!」

「あぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ! きゃぅぅ……っ! お、お腹の中が、清隆くんの精液で、火傷しちゃいますぅぅ……っ!」

 

 背後から愛里を抱き締めながら、夥しい量の精液を愛里の中に注ぎ込んで行く。腰をぶるぶると震わせる度にポンプのように脈動するペニスから愛里の胎内に白濁液が吐き出され、狭い膣内を埋め尽くしていく。愛里は精液を注ぎ込まれる度に絶頂し、俺は極上の締め付けの中ひたすらに精液を送り込み続けた。

 

「く、ふぅ……ヤバイな、溺れそうだ……」

「あ、ぅ……あつい、です……」

 

 射精が終わると俺と愛里は共に脱力し、ベッドに倒れ込んだ。お互いの荒い吐息が至近距離で聞こえ、愛里の甘い体臭を思い切り吸い込んだ俺は再び情欲の火が灯った事を自覚した。

 

「……悪いが、このまま続けさせて貰うぞ。今日は、何回だってやれそうだ」

「は、はい……どうぞ、好きなだけやって下さい。私は、構いませんから」

 

 俺は愛里の返答を聞くと、すぐさまピストン運動を再開した。愛里の身体は抱けば抱く程麻薬のような常習性にやられてしまい、結局愛里を解放したのは明け方になってからだった。愛里が予め堀北から避妊薬を受け取って服用しなければ、間違いなく妊娠していただろう。

 

 こうして、愛里もまた俺のセフレの一員に加わる事になった。一癖も二癖もある少女達とかち合うのは大変だろうが、そこは俺がフォローしていくしかないだろう。自分から招き入れた以上、そのくらいはやらなければならない。それが、俺なりの責任の取り方でもあるのだから。

 

 尚、愛里をセフレにした事について暫くの間櫛田からねちねち嫌味を言われる羽目になったのは、また別の話だ。




 というワケで佐倉編でした。原作では割と出番的な意味で不遇だから、エロ話でくらいいいよね、という事で。まあ、恋人じゃなくてセフレなので良かったのかどうかはともかく。
 爆乳キャラは感じやすいイメージがあるので、最初から感じさせてみました。あと、爆乳キャラのエッチには騎乗位とバックは外せないと思います。折角の武器は活用しないとです。
 一之瀬はまだ背景が明かされてなくて書けないので、リクエストにあった伊吹を書こうかな。書こうと思えば充分書けそうだし。


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14時間目~伊吹澪の時間Ⅰ

 kzoさん、はやまつさん、Guilty Crow さん、評価付けありがとうございます。Guilty Crowさんは評価コメントもありがとうございます。


「あ……」

「は……?」

 

 俺は聞き覚えのある声に振り向くと、そこには目を見開いたショートカットの女子生徒……現Dクラスの伊吹澪が立っていた。今俺がいるのは椎名の部屋の玄関口であり、丁度椎名との情事を終えて出て来た所だった。

 普段であれば関係を持っている女子生徒の部屋から出る際には周囲の気配に細心の注意を払っているが、ここ数日は諸事情で誰とも行為を行っていなかった事もあり、椎名相手にハッスルしてしまった結果、注意力散漫になっていたのだろう。結果として、寮の通路を歩いていた伊吹と鉢合わせしてしまった事になる。

 

「……ちょっとアンタ、なんでこんな時間に椎名の部屋から出て来るわけ? 男が女の部屋にいていい時間じゃないでしょ」

 

 伊吹は険しい表情で、俺を睨みつけている。現時刻は23:00、確かに男子生徒が女子生徒の部屋にいていい時間ではない。此処で誤魔化しても無駄だ、と考え俺は堂々と言い返す事にした。

 

「単に話があっただけだ。お前が気にする事か?」

「気にするわよ。椎名は今はあたし等のクラスの纏め役をやってるんだから、何かあったら困るじゃない。あんた、女を手籠めにして言う事聞かす、とか普通にやりそうだし」

「……お前は俺をなんだと思ってるんだ……」

 

 伊吹の風評被害も甚だしい暴言に頭を抱え、俺はやれやれと口を開いた。

 

「幾らなんでもそういう事はしないさ。脅迫は、リスクとメリットが釣り合わないからな……バレたら一発で退学になるリスクを、俺が犯すと思うか?」

「……思わない、けど……」

 

 伊吹は俺の返答に思わず答えに詰まり、舌打ちする。伊吹は龍園との一件の当事者の一人であり、俺の手腕を直に見ている……あの時確かに俺は龍園を暴力でやり込めたが、学校に訴えてやり返せないように準備を怠らなかった。

 あの時は先に仕掛けたのが龍園という事もあり、問題が起きる事はなかった。しかし、女子を力づくで手籠めにした時点で問答無用の退学沙汰だ……俺がそんな無用なリスクを冒すような人間でない事は、龍園と共に俺に負けた伊吹はよく分かっているのだ。

 

 だが、理屈では納得出来ても感情が納得出来ないのだろう。そもそも、こんな時間に椎名の部屋から出て来た時点で椎名と何らかの関係があるのは確定的だ……それだけは、問い詰めなければ気が済まないといった風だ。

 

「……じゃあ、椎名とは何もないっての? 交際してるとか、そういうやつ?」

「いや、交際はしていない。強いて言えば、セフレってやつだな」

「はぁ……っ!?」

 

 俺の返答に、伊吹は眼に見えて混乱していた。無理もないだろう……いきなりクラスメイトと俺がセフレの関係にあると教えられて、平静でいられる筈がない。

 

「事情を説明してもいいが、此処じゃ場所が悪い。部屋に来るか?」

「……上等。ちゃんと聞かせて貰うから」

 

 そして伊吹は部屋に来る事を了承し、俺は伊吹を伴って自室へと戻った。

 

 

「……なにこの部屋。何もないじゃない……アンタ、物がないにも程があるわよ」

 

 伊吹は俺の部屋に入るなり、呆れたようにそう呟いた。確かに、俺の部屋には極端に物が少ない……部屋にあるのは最初からあった勉強机とベッド、必要に応じて設置した丸テーブルだけだ。他の生徒の部屋と比べても、かなり殺風景な部屋である事は間違いあるまい。

 

「特に必要と思えるものがなかったんでな。ポイントも豊富にあるワケじゃないし、節約してるんだよ」

「ふぅん、てっきり趣味とか何もないから物がないと思ったけど、違うの? あんた、趣味とか何もないんじゃない?」

「む……」

 

 言われてみれば、確かに趣味と言えるものを俺は何も持っていない。映画や占いに行ったのも、言うなれば気紛れのようなものだ。明確に夢中になれるものは、今となっては性行為がそれに該当するのだろう。

 

 思えば、俺がこれだけセックスに夢中になるのは、他に目立った趣味がない事も影響しているのかもしれない。今まで心の底から夢中になれるもの、というものがなかったからこそ、凄まじい快感を得られるセックスに執着している面もあるのだろう。

 

「ほら、やっぱり趣味がないんじゃない。あんたってホント、人間味が薄いわよね。他の人間の事も、精々道具程度にしか思ってないんじゃない?」

「……へぇ……」

 

 俺は伊吹の割と的を射ている罵倒を聞き、素直に感心した。伊吹はただの軽口として言ったのかもしれないが、俺の本質を無意識に突いている。

 俺は()()()()での教育で、()()()()()()()()()()()()という価値観を叩き込まれている……そして現状、その価値観を否定するつもりはない。

 

 他の人間は等しく自分の為の道具であり、必要に応じて()()するのみ……それが、俺の根底にある価値観()()()。事実俺はそう考えて動いて来たし、恵を手駒にした事も便()()()()()として傍に置く為だった。

 

 ──しかし、最近の少女達との関わりを経てその価値観が若干ではあるが揺らいでいるように思える。俺の今までの価値観を否定する要素が見つかったのではなく、単純に少女達との関わりを()()()と思い始めた自分がいるからだ。

 

 今までセフレにした少女達とは、セックス以外でも日常的に関わりを持っている。

 櫛田や堀北、恵や愛里とは時々一緒に外出しているし、椎名は暇を見つけて一緒に本を読み漁り、坂柳とも櫛田達程頻繁ではないにしろ、時々食事を共にするなど関わりを持っている。

 

 そういった関係が、()()()と感じている自分が確かにいるのだ。()()()()()()()に対して憧れがあった身ではあるが、実際に体験した彼氏彼女のような関係は、想像以上に俺を惹き付けていた。

 

 最初は、セフレという不健全な関係を結んだ彼女達に対する埋め合わせ程度の気持ちでそういった付き合いをしていたが、いつの間にか俺自身その付き合いを楽しみ始めていたのだ。

 

「なによ? その笑いは……ふん、やっぱあんたにとって他の人間は全部道具で、自分さえよければそれでいいんでしょ? 椎名の事も、言葉巧みに騙くらかして関係を結んだんじゃないの?」

「それは違うぞ、伊吹。説明すると言った筈だ」

 

 俺は伊吹の勘違いを正す為、椎名と関係を持つに至った経緯を説明した。最初は黙って聞いていた伊吹だったが、都合上他の少女達との関係も説明したあたりで額に青筋が浮かび、とうとう我慢出来ず口を開いた。

 

「……っ! あ、あんた6股とかふざけてんの……っ!? 椎名はその事を知ってるワケ……っ!?」

「知っている。というか、関係を持った子達は全員知っているぞ……隠して後でバレた方が、後々マズイからな」

 

 確かに自分の他に何人も関係を結んでいると知ればいい気はしないだろうが、一度関係を隠して後で発覚した場合関係に致命的な罅が入る事は確実だ……それよりは予め現状を話し、ある程度不興を買ってでも誠心誠意説得した方が良いという判断だ。尚、()()の内容については黙秘する事とする。

 

「あ、開いた口が塞がらないとはこの事ね……っ! あんたもそうだけど、他の奴等も何考えてるわけ? 普通、6股男とか即刻絶縁案件でしょ」

「言っとくけど、全員納得づくの関係だからな。部外者のお前が口を出すような事じゃない……それともなにか、お前に不都合があるのか?」

「あ、あるに決まってるじゃない……っ! 他の連中はともかく、椎名はあたし等のクラスの纏め役よ? アンタのいいように使われて、クラスの不利益になったらどうしてくれるわけっ!?」

 

 伊吹は感情的になってそう叫ぶが、無理もない。俺の現状を傍目から見れば、まともな人間がこういう反応をするのは当然だ……まあ、伊吹の場合は倫理とか常識よりも俺に対する敵対心が先に来ているような気がしないでもないが。

 

「椎名も馬鹿じゃない。幾ら関係を結んだ男相手でも、クラスの不利になるような頼みごとを聞く筈がないだろう。というか、そもそも椎名が俺に近付いて来たのも龍園が椎名に俺のサポートをするよう言った事が原因だ。Dクラスとある程度の協力関係を築くのは、当然だと思うが」

「……っ! 大人しくなったと思ったら、龍園も余計な事を……っ! 立つ鳥跡を濁さずって言葉を知らないの……っ!?」

 

 伊吹は龍園の名が出た瞬間眼に見えて激昂し、盛大に舌打ちした。あれだけ意識していた相手である龍園が俺を手助けするよう椎名に告げた事を知り、憤懣やるかたない想いを抱いているのだろう。

 伊吹は龍園の素行ややり方に不満を抱いていたが、その一方でリーダーとしての資質は認めていた。だからこそ正道を外れた龍園の策に従って来たのだろうし、龍園をリーダーから引きずり降ろそうと行動する事もなかった。

 

 しかしその龍園が、俺相手に敗北を喫して一線から退いた。その時点で伊吹は俺の事を強烈に意識せざる負えなくなり、表向きクラス同士の争いから退いた龍園の代わりとして俺に沸き上がる感情をぶつけているのだろう。

 いわば八つ当たりに近い形だが、あの一件では伊吹もまた俺に格闘戦を挑んで惨敗している。その事もまた、俺に執着する理由の一つになっている筈だ。

 

「……それで、あんたに今の関係を清算する気はないわけね?」

「ああ、下手な事をすれば色々とマズイ事になるしな。特に、櫛田が何をするか分かったものじゃない」

「櫛田か……」

 

 伊吹は龍園の側近のような立ち位置にいたから、恐らく櫛田の本性の事も知っている筈だ。俺が今の関係を壊そうとすれば、櫛田がどの程度暴走するのは全く予測がつかない……伊吹は櫛田の事を詳しくは知らないが、色々な意味でヤバイ相手というのは認識しているのだろう。それでも納得は出来ないのか、舌打ちしつつ俺を睨みつけた。

 

「ふん、あんたも女一人がそんなに怖いわけ? 龍園相手にあれだけ啖呵を切っておいて、非力な女一人どうこう出来ないんだ?」

「龍園と櫛田じゃ強さの質が違うだろう。龍園は良くも悪くも一度叩き伏せれば納得するが、櫛田はそうじゃない……正直、あれだけ()()女はそういないぞ」

 

 龍園は確かに頭も回る上に暴力的な手段を躊躇なく行える胆力があるが、それでもリスクコントロールは怠らず後先考えない真似はしなかった。龍園が策謀を巡らせるのはあくまで()()為であって、あの一件のように力で押し通そうとすれば事態が悪化すると判断すれば身を退く潔さもあった。

 

 しかし、櫛田はそうではない。櫛田は利益やリスクよりも()()()()()()()行動する……つまり、場合によっては後先考えない凶行も櫛田ならやりかねないのだ。

 

 事実、櫛田はクラスに不利益を与えてでも自分が()()を得る為だけに堀北を追い込もうとした。櫛田の異様な猜疑心が暴走した結果ではあるが、櫛田は時として理屈が通じない怖さがあるのだ。

 

「それが何よ。あんたが色々言い訳して6股を続けてるのは事実じゃない」

 

 そして、櫛田のようにブレーキが壊れてはいないものの伊吹もどちらかと言えば感情を優先して行動するタイプだ。だからこそ理屈抜きで俺が気に入らないから放置出来ないし、このまま黙っていられる程器用でもなかった。

 

「あたしともっかい勝負しなさい。あたしが勝ったらあんたの玉を潰すか、そうでなきゃ6股をすぐに止めなさい」

「そんな勝負、受けると思ってるのか?」

 

 伊吹は俺を睨みつけながらそう告げるが、こんな勝負を受けた所でメリットが見当たらない。しかし、伊吹はげんなりした俺を見て若干頬を染めながら宣言した。

 

「じゃあ、あんたが勝ったらあたしの身体を好きにしなさい。これなら文句ないでしょ?」

「……お前、本気か? 俺に勝てない事は、以前の勝負で理解出来たと思うが……」

 

 伊吹はあの一件の後、俺に対して勝負を仕掛けて来た。しかし結果は俺の圧勝……幾ら伊吹が武道経験があるからと言って、あの場所で鍛え上げた俺に勝てる筈もない。その事は理解している筈なのだが、伊吹に前言を撤回する気配はなかった。

 

「そんなの、やってみなきゃわかんないでしょ……っ! つべこべ言わず、勝負しなさい……っ!」

「お、っと……!」

 

 問答無用といった呈で伊吹は床を蹴り、俺に蹴りを繰り出して来る。今俺達がいるのは寝室の中、この狭い空間の中で伊吹の足技を避け続けるのは労力を要するだろう。

 

 ──だから俺は手っ取り早く伊吹を制圧する為、蹴りを繰り出した伊吹の右足を右手でガードすると、そのまま足を掴んで伊吹のバランスを崩し、左手で伊吹の首を掴んでベッドに叩きつけた。

 

「か、は……っ!」

「……これが結果だ。こうなる事は、分かってたんじゃないか? 降参なら頷いてくれ」

 

 俺はそのまま伊吹の上に跨り、両腕を頭の上で拘束しそう告げた。伊吹は俺をどかそうと抵抗しているが両手両足を封じられた状態で抜け出せる程、男女の力の差は低くない。伊吹は俺を睨みつけたまま脱力し、こくりと頷いた。

 警戒しつつ伊吹の首から手を離すと、伊吹は恨めし気な目で俺を睨みつけて来る。

 

「……ほんと、最悪。今度こそ一矢報いる事が出来るかと思えば、負け方もあの時の焼き回しじゃない……ほら、好きにしなさいよ。その為に勝負を受けたんでしょう?」

「……いや、お前が一方的に吹っ掛けて来ただけで俺は応じるとは一言も……」

「はぁ……っ!? なに? 自分は女に不自由してないからあたしなんて抱くまでもないってのっ!? ちょっとモテるからって、調子乗ってんじゃない……っ!?」

 

 何が気に入らないのか、伊吹は盛大に俺を睨みつけながらそんな事を喚き立てて来る。若干、顔が赤くなっているのは気の所為だろうか? 一体何故こんなに怒っているのか、どうにも理解出来ない……負けた八つ当たり、だけではないようだが……

 

「いや、そんな事はないが。抱かせてくれるって言うなら抱くが、代わりに他の連中と関係を切れって言われても頷けないぞ」

「別にそんな事言わない。あたしは敗者だもの、戦利品を受け取るのは勝者の義務でしょ? あんたはさっさとあたしを抱いていれば、それでいいの」

 

 どうにも、伊吹はどうしても自分を俺に抱かせたいらしい。交換条件もなしとなると、別段断る理由も見つからない。

 懸念材料の櫛田も、今更セフレを一人増やした程度であれば一晩()()すればどうにかなるだろう。盛大に臍を曲げる事が予想されるが、また一人違う少女の処女を貰えるのであればその程度の労苦はどうという事はない。

 

 堀北もそうだが、鍛え上げた女子はとても具合が良いのだ。そういう意味では、伊吹の身体に興味がない事もない……強気なこの少女を性行為で好き放題するのは、さぞ気持ちが良い事だろう。

 

「分かった。後悔するなよ」

「ふん、知らない」

 

 俺は伊吹を押し倒したまま顔を近付け、唇を重ねた。伊吹はそれに抵抗せず、黙って俺のキスを受け入れていた。




 というワケで伊吹編パートⅠです。彼女を性行為に持っていくにはこのくらい強引にいかないと駄目かなあと思い、1話分使ってそこに至るまでを描写しました。素直に気持ちを口に出来る程素直な子じゃないですしね。
 次回は丸々濡れ場です。お楽しみに


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15時間目~伊吹澪の時間Ⅱ

 カレンはルルーシュの嫁さん、マリオの鼻あぶらさん、評価付け及び評価コメントありがとうございます。


「ん……キスって、こんな感じなんだ……」

 

 俺が唇を離すと、伊吹はそっと自分の唇に触れて感慨深げに呟いた。この様子からして、今のがファーストキスだったのだろう……俺は図らずも伊吹からもファーストキスを奪った事になるが、そもそもこれは伊吹から仕掛けて来た事なので文句を言われる筋合いはない。伊吹もまた、ファーストキスを奪った事に対する不満はないようだった。

 

「で? 脱がすんならさっさとすれば?」

「いきなり脱がしちゃ風情が無いだろ。いいから任せておけよ」

「ふん、好きにすれば?」

 

 相変わらず伊吹の言葉は刺々しいが、特に抵抗する様子はない。俺は伊吹の服のボタンを外し、胸元を露出させた。控えめながら確かに膨らんでいる乳房が、俺の視界に晒される。

 

「あたしの貧乳見たって楽しくないでしょ。男は大きい方がいいって聞くし」

「そんな事はないぞ。これはこれでいいものさ」

 

 俺はそう言いながら手を伸ばし、伊吹の胸をふにふにと揉みしだいた。伊吹の胸は確かに櫛田あたりと比べると控えめと言わざる負えないが、身体を鍛えている為か弾力は随一であり、触っていて飽きない手触りがなんとも言えなかった。

 

「ん……っ!」

 

 その勢いのまま、俺は伊吹の乳房にむしゃぶりついた。夢中になって胸を吸い立てると伊吹が顔を赤くしながら悩まし気な吐息を漏らし、切なそうに身動ぎする。その様子をもっと見ていたくなり、腕で乳房を思い切り握り潰し伊吹がびくん、と痙攣した。

 

「ちょ、ちょっと……っ! 流石に痛いわよ、それ……っ! ちょっとは加減を考えなさいよ……っ!」

「……好きにしろ、と言ったのはお前だが……」

「限度があるでしょ? ともかく、一応あたしは女なんだからもっと丁寧に扱いなさいよ」

 

 伊吹は口を尖らせてそう告げるが、頬は上気し口元はややにやけている。どうやら女性的な魅力に欠けていると思っていた自分の身体に俺が夢中になったものだから、女としての自尊心が満足したようだった。

 伊吹は身体能力については相応の自負があるようだが、容姿的な意味で自分の事を低く見ているようだった。男勝りな性格をしている自覚があるからこそ、女としての自分についての自己評価が低くなりがちなのだろう。

 

 勿論、伊吹は充分に優れた容姿をしている。流石に櫛田や愛里のような豊満な身体をしているワケではないが、引き締まったその肢体は健康的な魅力に溢れている……これはこれで、中々良いものなのだ。

 

 ともかく、これで伊吹をどう扱えばいいかは分かった。要は、下手な事は考えず単純にセックスに没頭すればいい……欲望のままに振る舞えば、伊吹の女としての自信を充分に満足させる事だろう。

 

「さて、そろそろ脱がせるぞ」

「……いちいち言わなくていいから、さっさとしなさいよ」

 

 伊吹は照れ隠しなのかそっぽを向きながらそう呟き、俺はそんな伊吹を見て微笑ましい気持ちになりつつも1枚1枚伊吹の服を脱がせていく。

 俺が最後に残ったショーツを脱がせると、伊吹は正真正銘一糸纏わぬ姿となった。スラリとしたその肢体は野生動物のようで、健康的な色香を醸し出している。

 

 特にそのカモシカのような足が魅力的で、すべすべでありながら引き締まり、見事な美脚と言っていい。足技を多用する関係上今までの伊吹の足を見る機会はあったが、こうしてまじまじと見つめると頬ずりしたくなるような綺麗な足である事が分かる……まあ、実行に移せば蹴り飛ばされそうではあるが。

 

「あたしだけ脱がせてあんたは脱がないわけ?」

「いや、俺もすぐに脱ぐさ」

 

 俺は伊吹の軽口に反応する形で手早く服を脱ぎ捨て、伊吹と同じように全裸になった。そして伊吹の眼前に初めて俺の巨根が曝け出され、伊吹はそれを見て仰天した。

 

「ちょ……っ!? なにこれ……ッ!? お、男のってこんなにバカデカイわけ……っ!? あ、あんた椎名や堀北にこれの相手をさせたの……っ!?」

「ああ、俺のは大きい方らしくてな……女の身体は、男のこれが入るように出来ているらしい……今まで、物理的な意味で壊れた奴はいないから大丈夫だ」

「って、んな事言われても安心出来るわけないでしょ……っ!? こ、こんなのをあたしの中に入れようっての……っ!?」

 

 俺は落ち着かせようと声をかけるが、伊吹は俺の巨根のサイズに恐れ慄いて半ばパニックに陥っている。どうしたものか、と考えを巡らせ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思い至り、素早く伊吹の顔の上に跨ると問答無用でペニスを伊吹の口の中に突き込んだ。

 

「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!?」

 

 口の中を規格外の巨根で埋め尽くされ、伊吹は苦し気な様子で手足をバタバタと暴れさせている。しかし俺は伊吹の顔を掴んでペニスを口に挿入している為、位置的に伊吹の足が届く筈はなく、伊吹の腕力では俺を押し返す事は出来ない。俺は狭い伊吹の口内を堪能しながら、ゆっくりと腰を上下させ始めた。

 

「むぅぅぅ……っ!? むぅぅぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 たまったものではないのは伊吹だ。俺の巨根が伊吹の口を好き放題に出入りし、口の内外にカウパー液を塗り込めていく。伊吹の口内は熱く尚且つ窮屈で、まるでオナホールのように伊吹の口を好きに使っているこの光景は俺の獣欲を昂らせた。

 

「くっ、射精()るぞ……っ!」

「むぎゅ……っ!? むぐ、むぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 俺は射精欲を躊躇いなく解放し、伊吹の顔を掴んだままその口内に大量の白濁液をぶち撒けた。顔を掴まれている伊吹はそれを飲み込む他なく、こくりこくりと喉を動かしながら俺の精液を嚥下していく。俺は最後の一滴まで注ぎ終えると、やっと伊吹を解放した。

 

「ぷは……っ! ちょ、ちょっと殺す気……っ!? 気が遠くなりかけたんだけど……っ!?」

「悪い、思った以上に気持ち良くて抑えが効かなかった。本当は少し驚かせるだけのつもりだったんだが……」

「……ふぅん……そう。まあ、男ってそんなもんでしょ。普段何考えてるかわかんないあんたもちゃんと男だったわけだ」

 

 最初はいきなりのイマラチオに対して抗議していた伊吹だったが、俺がその行為に夢中になっていた事を口にするとあからさまに機嫌が向上した。それを狙っていたのは確かだが、思った以上の効果に内心苦笑する。

 

「……って、あんだけ出したのに全然萎えてないじゃない……っ!? あんた、もしかして絶倫……?」

「ああ、割と絶倫な方かな。そうでなきゃ、何人も相手にするなんて無理だしな」

「た、確かにそうだけど……やば、早まったかあたし……」

 

 大量に口内射精したにも関わらず依然として衰える様子のない俺の巨根を見て、伊吹は息を呑んでいた。しかし、その視線には何処か熱が宿っている事も確かだ……今のイマラチオで、女の本能が刺激されたのだろう。無論、この好機を逃すつもりは俺にはなかった。

 

「じゃあ、そろそろ入れるぞ。うつ伏せになってくれるか」

「わ、わかったわよ」

 

 伊吹は素直に俺の指示に従い、ベットに手を突いて尻を俺に突きだすような恰好になった。俺は躊躇いなく伊吹の尻に手を伸ばし、ぐにぐにと揉みしだく。俺の愛撫に伊吹は見悶えするが、抵抗する様子はない……頃合いと見て、俺は自分のペニスを伊吹の秘所に宛がった。

 

「……っ!」

「……入れるぞ」

「は、早くしなさ……っ!!??」

 

 一気にやった方が結果的にマシだろうと考えた俺は伊吹の腰を掴み、思い切り腰を前に突き出して一気にペニスを根本まで伊吹の膣内に突き刺した。伊吹が痛みにびくりと震え、結合部からは破瓜の血が溢れ出る……そして、伊吹の膣内は暴力的なまでの締め付けで俺のペニスを盛大に歓迎していた。

 

 伊吹の膣内は狭さでは坂柳に及ばないが、とにかく締め付ける力が強い。まるで万力のような力で締め付けて来るその膣内は、並のペニスではきつさが先行して快感より痛みを強く感じていた可能性はあるが、生憎俺の巨根はそこまでやわではない。むしろ伊吹の締め付けを押し返すように伊吹の膣内を広げ、己の存在を存分に誇示していた。

 

「……っ、こ、こんなに痛いもんなのね……あ、甘く見てたわ……」

「痛みを長引かせるよりは一気にやった方がいいと思ったんだが、大丈夫か? 瞬間的な痛みは相当なものだった筈だが」

「痛いに決まってるじゃない……けど、我慢出来ない程じゃない。動きたいなら動けば? 生憎、この程度で泣きべそ書くような鍛え方はしてないし」

 

 伊吹は顔を強張らせながらも精一杯の虚勢を張り、俺に動くよう言って来た。どう見ても大丈夫そうには見えないが、此処で動かなければ後々面倒な事になりそうだ……俺は開き直り、ゆっくりと腰を動かし始めた。

 

「くぁ……っ! くぅ、あぁ……っ!」

「く……ッ! これは、中々……っ!」

 

 俺が後背位で腰を打ち付ける度、伊吹は苦痛の声を漏らす。伊吹の膣内は痛みに悶える持ち主とは裏腹に俺のペニスを締め付けてしごきあげており、その快感に自然と腰を打ち付けるスピードが上がっていく。

 

 同時に伊吹の抑えている悲鳴のボリュームも大きくなっているが、俺は構わずにピストン運動を続けた。俺のペニスが胎内を抉る度に相当な負荷がかかっている筈だが、伊吹はあくまで唇を結んで悲鳴を噛み殺している。

 

「そろそろ、射精()すぞ……っ!」

「くぁ……っ! さっさと、出しなさい、よ……っ!」

 

 俺は射精欲の命ずるまま、猛然と腰を打ち付ける。最後に思い切り腰を打ち付け伊吹の尻と俺の腰が密着すると、腰を震わせて射精を開始した。

 

「ぐ、うぅぅぅぅぅ……っ!」

「くぅぅぅぅぅぅ……っ! あ、つい……っ!」

 

 俺は伊吹の尻にぐいぐいと腰を押し付けながら、どくりどくりと精液を伊吹の膣内に送り込んで行く。伊吹の胎内はあっという間に俺の精液で満たされ、収まり切らなかった精液が結合部から溢れ出す。しかし俺は射精を止めず、思う存分大量の白濁液を伊吹の胎内に出し続けた。

 

「……ふぅ……」

「く、はぁ……こ、こんなに射精()すなんて……猿か、あんたは……」

 

 最後まで膣内射精を受け入れた伊吹は脱力しながら胎内を埋め尽くす精液の感触に見悶えしながら、尚も憎まれ口を吐いた。その胆力は大したものだが、その時は荒く声も何処か艶やかだ。胎内に種を注がれ、女の本能が開花している事は明らかだった。

 

「じゃあ、()だな」

「え……? ちょ、ちょっとあんたまさか……っ!」

 

 これで終わりだと思っていた伊吹はそこでようやく胎内に埋まったままの俺の剛直が微塵も衰えていない事に気付き、俺の言葉の意味を察して慌て始める。しかし此処で彼女を逃がすつもりは微塵もなく、ペニスを挿入したまま素早く態勢を変更し、背面騎乗位の体位になるとそのまま腰を突き上げ始めた。

 

「あぅ……っ! ちょ、ちょっと、あれだけ出したのに、まだ……っ!」

「あぁ……っ! こんなんじゃ、全然、足りない、な……ッ! 取り敢えず、最低10回は付き合って貰うぞ……っ!」

「ちょ……っ!? じょ、冗談、でしょ……っ!?」

 

 俺の突き上げに翻弄される伊吹は俺の発言に血の気が引いたようだが、生憎冗談を言ったつもりはない。折角新しい女を抱けたのだから、数回程度で終わらせる気は全くない。手始めに、伊吹のナカに俺のものの形を覚え込ませるまでは伊吹を逃がすつもりはなかった。

 

「かっ、身体の中、ごつごつって突かれて……っ! な、なんか変、変になりそう……っ! くぅ、あぁ……っ!」

「感じてきた、みたいだな……っ! 痛みに耐性があった分、慣れるのも早い、な……っ!」

 

 俺は背後から伊吹の腰を掴みながら本能のままに腰を突き上げ、伊吹の胎内を抉っていく。伊吹の膣壁は相変わらず極上の締め付けで俺のペニスを歓迎しており、射精欲も瞬く間に昂っていく。

 

「もう一度射精()すぞ、伊吹……っ!」

「ちょ、ちょっと待……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 伊吹の反論を封じるように俺は思い切り腰を突き上げ、遠慮なく伊吹の胎内に二度目の膣内射精を開始した。どくりどくりと新たな精液が伊吹の胎内に送り込まれ、膣奥を灼く白濁液の感触に伊吹は絶頂に至りびくんびくんと震えている。

 絶頂によって締め付けが増した膣内は俺の巨根を絞り上げ、更なる精液を伊吹の中に注ぎ込む結果となった。俺は伊吹の腰をがっしり掴んだまま、思う存分精液を注入した。

 

「く、ふぅ……」

「はぁ、はぁ、はぁ……ちょ、ちょっと……これは、無理……」

 

 俺が最後の一滴まで精液を注ぎ終えると、伊吹はくたりと脱力しベッドに倒れ込んだ。幾ら鍛えているとはいっても、通常の体力とセックスの時の精力は別物なのだろう。疲労困憊、という有り様だった。

 しかし、俺としては此処で終わるつもりは一切ない。何故なら、()()()()()()()なのだから。

 

「……ちょっと、待て……あんたの、まだ硬いんだけど……」

「言った筈だが? ()()()()()()()()()()()()()()()と……まだ二回目だ。これで終わる筈がないだろう?」

「ひ……っ!」

 

 俺が本気である事を悟った伊吹は思わず声なき悲鳴をあげ、俺から身体を離そうとするが……もう遅い。俺は伊吹の身体を抱き寄せると、そのまま腰を突き上げ始めた。

 

「ま、待て……っ! ちょっと、これ以上、無理……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!」

 

 伊吹の抗議は意にも介さず、俺はそのままピストン運動に没頭していった。こうして、また一人俺のセフレに名前を連ねる事になった……尚、坂柳の時と同じく暫く伊吹が俺を見る視線に畏怖が混じっていた事も……当然の、結果と言えた。




 というわけで伊吹編でした。原作でも綾小路と色々絡んでいるので、中々楽しんで書けました。
 取り敢えずよう実編はひとまず終了かな。一之瀬はバックグラウンドが明かされた後で書きます。今のままだと内面描写が一切ないから書き難いしね。椎名も内面描写はないけど、あれはああいうキャラだからという事で特に説明が加わる気配はなさそうなので書きましたが、一之瀬の場合は次巻あたりで過去説明が来そううだしね。
 次はデアラ編のリメイクをやろうかな。まあ、そこら辺は気分次第ですが。


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16時間目~一之瀬帆波の時間Ⅰ

 原作9巻で予想通り一之瀬のバックグラウンドが説明されたので、予定を変更してこちらを更新します。
 kyorochanさん、forest&さん、KーRLさん、オトゥールさん、cojoitaさん、川尻 降さん、評価付けありがとうございました。
 高山流水さんは評価コメントと、何度も誤字報告ありがとうございました。助かっています。


「お、お邪魔します」

「ああ、入ってくれ」

 

 俺は玄関口に立った少女、一之瀬帆波をそう言って部屋に招き入れる。一之瀬は若干緊張した様子で靴を脱ぎ、部屋に足を踏み入れた。

 そのまま奥の寝室へ通すと、ちょこんと床に座り込んだ。俺は一之瀬の正面の位置に座り、部屋の中をキョロキョロ見回す一之瀬に声をかけた。

 

「俺の部屋が珍しいか? 何もないつまんない部屋だろ」

「あ、ご、ごめん。男の子の部屋に入るの初めてだったから、つい……」

 

 部屋を見回していた事を指摘された一之瀬は頬を赤らめ、そう答えた。一之瀬は確かに人気者で交友関係も広いが、女子が男子の部屋に入る経験など恋人でもいなければ早々あるものでもないだろう。

 

 櫛田や堀北は関係を持っていない頃から俺の部屋に出入りしていたが、あれは彼女達の肝が据わっていた事も理由の一つではあるのだろう。もしくは、その時の俺が男として認識されていなかったかのどちらかだ。

 

 まあ、今となっては二人共競うように俺の部屋を訪れ、関係を持っているのが現状なのだが……二人がかち合った時にはお互い対抗心を剥き出しにして奉仕してくれるので、大変満足した事を覚えている。

 

「……? なんだろう? 今なんか、ちょっとイラっとしたような……」

「……気の所為じゃないか?」

「そうかな? そう、だよね……」

 

 どうやら俺が邪な想いというか不謹慎な思考を巡らせていたのを直感で感じ取ったのか、一之瀬の顔が少々険しいものになった。俺の相槌に納得しようとしているあたり、無自覚ではあるようだが。

 

「それで、今日はどうしたんだ? 話があるって事だったが……」

 

 取り敢えず、俺は一之瀬に本題を告げるよう促した。今日一之瀬がこうして俺の部屋を訪れたのは、日中に一之瀬からメールで『話したい事があるから部屋に行ってもいいか』と聞かれ、それに応じたからだった。

 

 俺のみたところ、どうやら一之瀬はその『本題』を話す事を迷っている様子だった。

 この部屋に来た当初から視線は右往左往しているし、俺の顔をチラチラ見ては俺と眼が合うと俯く、といった事を繰り返している。普段の一之瀬からは、考えられない程の挙動不審ぶりだった。

 

 暫く一之瀬は黙り込んだまま俯いていたが、やがて決意が固まったのか、顔を上げて口を開いた。

 

「その……綾小路くんが坂柳さん達とそ、その……え、えっちしてるって、本当……?」

「……誰にその事を……?」

 

 俺は一之瀬の質問にすぐには答えず、そう質問を返した。確かに俺は複数の女生徒と関係を持っているが、その事を知る者は限られている。少なくとも、Bクラスの生徒にはいない筈だった。

 

 この様子では、一之瀬は誰かから直接話を聞かされてこうして俺に尋ねる事にしたのだろう。そうでなくば、わざわざ俺の部屋に来てまで尋ねる事はしない筈だ。

 

 彼女に情報を漏らした存在には何人か心当たりがいる。一之瀬と悪くない関係を築いている堀北、交友関係が広く一之瀬とも友達になっている櫛田、そして……

 

「……坂柳さん……」

「……あの女……」

 

 俺は一之瀬からその名前を聞き、思わず溜め息を吐いた。俺と関係を持ってからある程度態度が軟化しているようだが、その性根は相変わらずのようだ。

 

「昨日坂柳さんが私の部屋にやって来てね。こういう話をしたんだ……」

 

 そう切り出すと、一之瀬は坂柳とのやり取りを語りだした。

 

 

「ごきげんよう、一之瀬さん。元気そうで何よりです」

「あはは、あんな事があった後でもそう言ってくれるんだ。まあ、私としても良い機会にはなったから別にいいけど」

 

 坂柳さんはかつて私を追い詰めた時と同じ調子で、私の顔を見るなりそう言って笑いかけて来た。その姿に私はどう反応していいか分からず、一先ずの返答としてそう答えた。

 

 坂柳さんはかつて私の『罪』を暴き立て、噂話の流布という手段を用いて私を追い詰めて来た。

 

 罪の自覚がある私はその事を誰かに相談する事は出来ず、中学三年の時のように自分から自滅の道へと転がり落ちて行った。

 

 結局、私は綾小路くんのお陰で自分の『罪』と向き合う事が出来、坂柳さんの攻撃を凌ぎきる事に成功した。

 Bクラスの皆も罪を告白した私の事を受け入れてくれて、今もこうして平穏な学園生活が送る事が出来ている。この一件で私は綾小路くんに『特別な想い』を抱く事になったのだけど、それは置いておく事にする。

 

 ともかく、そういった経緯からBクラスの生徒からの坂柳さんへの感情は最悪と言っていい。私のクラスは団結力が強い分、()()には敏感だ。

 私をあそこまで追い詰めた坂柳さんの事を、Bクラスの生徒達は目の敵にしているのだ。

 

 だからこうして坂柳さんが私に会いに来た所をBクラスの生徒に見られれば、義憤から坂柳さんを攻撃する生徒がいない保証はない。私としては、そんな事になるのは避けたかった。

 

「それで、要件は何かな? 知っての通りBクラスの皆は坂柳さんの事になると感情的になっちゃうから、あまり長い時間此処にいるのはよろしくないんじゃないかな?」

 

 だからなるべく言葉を選んで坂柳さんには早めに引き下がって欲しかったのだが、そんな私の思惑を察してか坂柳さんはくすり、と笑った。

 

「ふふ、そう警戒せずとももう貴方を攻撃したりはしませんので安心して下さい。()がきちんと私の相手をしてくれている以上、わざわざ貴方を攻撃する理由はありませんしね」

「……ふぅん……? それじゃあ何かな? あの時は、私を攻撃するメリットがあったから攻撃したって事?」

 

 坂柳さんの言葉に含む所を感じた私はそう尋ね、坂柳さんは私の疑問を肯定した。

 

「ええ、貴方を攻撃したのは()……いえ、()()()()()に、貴方を助けさせる為です。有り体に言えば、綾小路くんに構って貰う為に貴方を出汁に使った、という事です。まあ、ちゃんと構って貰えるようになったのは最近ですが、あの労力は無駄ではなかったと思っています」

「……っ!」

 

 ……そして、綾小路くんの名前が出た瞬間、私はびくり、と肩を震わせて言葉を失った。そんな私を見て、坂柳さんがくすり、と笑った。

 

「……ふふ、綾小路くんの名前に反応しましたね? やはり、私の見立ては間違っていなかったようです。一之瀬さん、貴方は綾小路くんに女性としての好意を抱いていますね?」

「……っ! それ、は……」

「答えて頂かなくとも結構ですよ。その態度が何よりも、貴方の想いを雄弁に物語っています。しかし、あの一件で好意を抱くようになったのであれば、私は意図せず恋のキューピット役をやってしまったという事でしょうか。私にそんなつもりはなかったのですが、これもまた人間関係の妙ですかね」

 

 坂柳さんに綾小路くんへの好意を指摘され、私の心臓は跳ね上がった。坂柳さんの挑発のような言葉も耳に入らず、私は思考の海に没していく。

 

 最初は、頭が切れる面白い生徒だと思った。底知れない感じはあったけど、少なくとも悪人ではなさそうだったし、彼のお陰で助かった人達もいるから、交流を深めていて悪い気はしなかった。

 

 彼に対する認識が決定的に変わったのは、矢張りあの一件だろう。坂柳さんに自らの『罪』を暴き立てられて部屋に籠っていた私の下に、綾小路くんは毎日やって来てくれていた。

 

 綾小路くんは、強引に話を聞きだす事はせず、私が罪を告白する決心が出来るまで、私の部屋に通い続けてくれていた。

 不思議と鬱陶しいとは思わず、こんな私でも心配してくれる人はいるんだと思えて、彼の来訪を楽しみにしている自分がいた。

 

 結局私は彼に自分の罪を洗いざらい話して懺悔し、立ち直る事が出来た。彼に罪を告白出来ていなければ、私はあそこで坂柳さんに潰されていただろう。

 

 だから、あの一件が終わって改めて綾小路くんと向き合った時、信じられない程胸が高鳴った事を覚えている。

 

 あんな感覚、初めてだった。綾小路くんの顔を見るだけで幸せな気分になって、気が付けば彼の事ばかり考えるようになった。

 

 だって、あんなの反則だ。綾小路くんは私の罪の告白を聞いた上で私を慰める事はせず、ただ私の話を聞いてくれた。それが、何よりも嬉しかったのだ。

 

 私は、私の罪を忘れようとは思わない。過去に犯してしまった罪は何をしても消える事はなく、一生私に付いて回るだろう。

 

 けれど、今はその罪と向き合って生きる事が出来ている。それもこれも、綾小路くんが私の罪の告白を正面から受け止めてくれたお陰だ。

 

 ──もしも自分を見失いそうになったら、またオレに声をかければいい──

 

 ──その時は──そうだな。話を聞くくらいならオレにも出来る筈だ──

 

 ……その挙句に、この台詞だ。あんなタイミングでこんな台詞を聞かされて、私に抵抗なんか出来る筈なかった。

 

 この時、私の心は完全に綾小路くんの虜になった。普段大してやってなかった自慰行為も、彼への想いを抱いてからは毎晩のように行うようになった。何度、彼の名を呼んで絶頂したかは分からない。

 

 いつの間にか大きくなって煩わしいと思っていたこの胸も、彼になら好きにされたいと思った。自分の身体を好きにされたい、なんて思う事になるなんて、今まで考えた事もなかったのに。

 

「……さん、一之瀬さん、どうしましたか?」

「……へ……? あっ、私……」

 

 ……気付けば、坂柳さんが私の顔を覗き込んでいた。どうやら、考え事に夢中になって目の前の坂柳さんの事を放置してしまっていたらしい。

 私が慌てて坂柳さんに向き直ると、そんな私を見て坂柳さんは不敵な笑みを浮かべた。

 

「……ふふ、綾小路くんの事を考えてあんなに幸せそうな表情になるなんて、妬けてしまいそうです。恋は女を変える、とはよく言ったものですね」

「う……」

 

 坂柳さんの指摘に私の顔は自分でも分かるくらい真っ赤になって、何も言えなくなってしまう。綾小路くんの事を考えながら私がどんな表情をしていたか、坂柳さんには全てが見えていたであろうから。

 

 坂柳さんはひとしきり私をからかった後、すっと眼を細めて口を開いた。

 

「これならば、話した方が良さそうですね。一之瀬さん、貴方が懸想する綾小路くんですが……私を含めた複数人の女生徒と、肉体関係を持っています。それも、全員が納得づくで」

「……え……?」

 

 ……私は最初坂柳さんが何を言っているか理解出来ず、呆然と彼女の顔を見詰めた。すると坂柳さんはニィ、と口元を歪めてこう言った。

 

「だから、分かり易く言えばセフレを何人も作っているんですよ彼。その中に、私も入っているというだけの話です。ふふ、驚きましたか?」

「え、ちょ、何、言って……」

「混乱しておられるようですね。疑うのであれば、彼に問い質してみてはどうですか? きっと、答えて下さると思いますよ」

 

 坂柳さんはそれだけ言うと、用は済んだと言わんばかりに踵を返し、その場から立ち去った。私はそんな彼女の後姿を、ただ呆然と見送るしかなかった。

 

 

「……それで、居てもたってもいられずに綾小路くんに会いに来たの。ごめんね、突然こんな事話して」

「……いや、大丈夫だ。一之瀬の考えももっともだからな」

 

 俺は一之瀬から話を聞き終えて、大体の事情を悟っていた。坂柳は興味本位か何かは知らないが、一之瀬を俺に嗾ける事で俺を困らせたかったのだろう。

 

 坂柳は基本的に、好意を持つ相手を振り回す傾向がある。自分の手下のように扱っている神室の事も、なんだかんだで気に入っているからこそこき使っているのだろう。

 

 一之瀬へのかつての苛烈な攻撃も、偏に俺に構って欲しかったからこそ行ったものだ。今回のこれも、坂柳はその捻くれた好意を俺に向かって発露しただけなのだろう。

 

 もっとも、巻き込まれた一之瀬としてはたまったものではないのだろうが、そこは坂柳に関わった運の無さを諦めて貰う他ない。色々な意味で、坂柳は面倒な女なのだから。

 

「それで、その……本当、なの……?」

「ああ、坂柳の言っている事に間違いはない。確かに、俺は複数の女生徒と肉体関係を持っている」

「……そう……」

 

 俺の答えを聞き、一之瀬は息を漏らした。そんな一之瀬に対し、俺は話を再開した。

 

「それで? それが分かって一之瀬はどうするんだ? 軽蔑したか?」

「……ううん、軽蔑なんてしないよ。黙って浮気してるならともかく、皆が納得してるんでしょう? 確かに普通じゃないかもだけど、それだけ綾小路くんの器が大きいって事なんだろうし」

 

 年頃の潔癖な女子からすれば、俺の現状は決して容認出来ない類のものである筈だ。

 しかし、一之瀬は困惑しながらも俺を責める事はしなかった。むしろ、期待を込めた瞳で俺を見詰めている。

 

「……その……じゃあ、明確な恋人はいないんだよね……?」

「ああ、特定の恋人はいない。もっとも、流石に肉体関係だけじゃなく、時々一緒に出掛けたりはしてるけどな。流石に抱くだけ抱いて放置ってのはマズイしな」

「そっか──じゃあ、私が恋人に立候補するって言ったら、どうする?」

 

 一之瀬はそう告げながら、じっと俺の返答を待っている。此処の返答次第で、一之瀬の立ち位置が決まるだろう。

 一之瀬は期待と不安が織り交じった眼で、こちらを見詰めている。そんな彼女に対し、俺の返答は一つだった。

 

「セフレなら受け入れる、としか言い様がないな。勿論、一緒に出掛けたりする事も構わない……けど、明確に一人を選んでしまうと、何をするか分からない奴がいるんでな」

 

 言うまでもなく、櫛田の事だ。自身の感情を何よりも優先して行動する櫛田は、全員がセフレであるという現状だからこそ許容しているが、俺が誰か一人を選ぶ真似をしようものなら何をしでかすか予想がつかない。

 

 櫛田は一之瀬とも友人関係となっているが、一之瀬を俺が選べば友人だろうがなんであろうが一之瀬を敵視して行動を起こす筈だ。

 勿論、そこに容赦などという言葉はない。自分が満足するまで、徹底的に一之瀬を攻撃する筈だ。

 

 そういった事態を避ける為にも、此処で一之瀬を恋人にするワケにはいかなかった。後は、一之瀬がこの返答をどう解釈するかだ。

 

 普通、恋人にしてくれと言った相手からセフレならいい、と言われて愉快である筈がない。要は身体だけ寄越せと言っているのも同じなのだから、それが普通の反応である筈だ。

 

「そっか……うん、それでもいいよ。私、綾小路くんのセフレになる。たまにはデートみたいな事もしてくれると、嬉しいな」

 

 ……だが、一之瀬はむしろ満面の笑みで俺の言葉を受け入れた。どうやら、一之瀬は女子としての潔癖さや常識より、俺への好意を選んだようだ。一緒に出掛けてもいい、という言葉が効いたのかもしれない。

 

 ともあれ、そういう事であれば俺も拒む理由はない。何より、一之瀬程の美少女から此処まで好意を寄せられて、嬉しくない筈もない。櫛田への説得は、後でやっておけばいいだろう。

 

「ああ、お安い御用だ。ところで一之瀬、これから時間は……あるか?」

「……っ! う、うん。大丈夫。その……よろしく、お願いします……」

 

 一之瀬は俺が言わんとしている事を察して顔を真っ赤にするが、覚悟を決めたのか弱弱しくそう告げた。俺はそんな一之瀬の身体を引き寄せ、その唇を奪った。




 というわけで一之瀬編前半です。筆が滑って色々書いてたら前後編になっちゃいました。濡れ場は次回です。
 9巻で一之瀬も綾小路に好意を持ったみたいですから、これを利用しない手はないなと思って書きました。あそこまで明確に好意を持ったのは佐倉、恵に続いて三人目ですね。まだ自覚してるかは怪しいですが、ああいうのも可愛いですね。
 ところで、9巻表紙の神室さんのイラストは良かったですね。7巻の椎名もそうですけど、よう実の絵の女の子って太腿が特に魅力的ですよね。神室にはそこまで興味なかったんですけど、絵の効果って大きいですね。性格もよう実キャラらしい捻くれ具合ですし。


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17時間目~一之瀬帆波の時間Ⅱ

 ウルティア エルザさん、評価付けありがとうございます。
 ウェカピポさん、評価付けと評価コメントありがとうございました。
 
 一之瀬回の濡れ場です。どうぞ。


「ん……んぅ……」

 

 俺は一之瀬の唇を奪い、口内に舌を差し入れる。最初は驚いた一之瀬だったが抵抗する事はなく、されるがままに俺に舌を絡め取られ、送り込んだ唾液を飲み込んだ。

 

「ぷ、はぁ……っ! あ、あぅ……ほ、ホントのキスって、こ、こんななんだ……」

 

 キス自体初めてだった一之瀬が、いきなりディープキスを受けて平静でいられる筈もない。一之瀬は顔を真っ赤にしながら、チラチラの俺の方を見詰めている。口元に残る唾液の後が、妙に淫らだった。

 

「……脱がしたいんだが、いいか?」

「あ、う、うん。どうすればいいか分からないから、全部任せるね」

「ああ」

 

 一之瀬から情事の主導権を任された俺は一之瀬の服に手をかけ、1枚1枚脱がせていく。

 服に手をかけた時に一之瀬は反射的に身を竦めたが、抵抗はする事なくされるがまま俺に服を脱がされていった。

 

「……これは、凄いな……」

「あ、あぅぅ……」

 

 やがて一糸纏わぬ姿になった一之瀬は、息を呑む程美しかった。佐倉に勝るとも劣らない巨乳もそうだが、全体的な身体のバランスも良く、出るトコは出て引っ込むべき所は引っ込んでいる、そういった完璧なスタイルと言えた。

 

 しかも長身のスラリとしたモデル体型である為、顔の可愛さとスタイルの美しさが同居し、一之瀬をこの上ない美少女として魅せていた。完璧な肢体、とはこういったものを言うのだろう。

 

「……触るぞ」

「う、うん……あぅ……っ!」

 

 俺は一之瀬の承諾を得るが早いか、彼女の巨乳を鷲掴みにする。ずっしりとした弾力と張りを持つ乳房に両手が沈み込み、その極上の感触に股間の逸物が硬くなる。

 

「きゃ……っ! そ、そんなトコ、吸っちゃ、あぅぅ……っ! }

 

 辛抱たまらず、俺は一之瀬をベッドに押し倒しその乳房にむしゃぶりついた。

 夢中になって乳房に吸い付きながら片手でもう片方の乳房を揉みしだき、一之瀬の巨乳を堪能する。

 

 一之瀬の乳房は顔を押し付けるとその弾力で優しく迎え入れ、何処までも沈んで行く心地よい枕のようだった。

 

 俺は欲望の赴くままその乳房に噛り付き、乳首を舌の上で転がした。俺が乳房を貪っている間、一之瀬は身体をびくびくと震わせながら熱い吐息を漏らし、俺は一之瀬の体臭を堪能しながら思う存分彼女の乳房を味遭った。

 

「……ちょっと、胸借りるぞ」

「え、ちょ……っ!? そ、それ、そ、そんなにおっきいの……? お、おちんちん、って……っ!? きゃ……っ!」

 

 ひとしきり一之瀬の乳房を堪能した俺は続きをする為に服を脱ぎ、逸物を露出させた。

 一之瀬は目の前に現れた俺の剛直の大きさに眼を見開いていたが、俺は構わず一之瀬の上に馬乗りになり、その巨乳でペニスを挟み込んだ。

 

「う、うわ……っ! お、おっぱいの間に、綾小路くんのが……う、動いて……っ!」

「す、凄いなこれ……最高、だ……っ!」

 

 俺は困惑する一之瀬の乳房を両脇から鷲掴みにし、間に挟まっているペニスに押し付けるように揉みくちゃにした。それと同時に腰を動かし、一之瀬の巨乳の間を俺のペニスが出入りする。

 

「ふっ、ふっ、ふっ……!」

「うわ、熱いのが、私のおっぱいの中で、動いてる……っ! な、なに、これ……っ!?」

 

 一之瀬の乳房を使ったパイズリは、有り体に言って最高だった。弾力と柔らかさが同居した一之瀬の乳房は俺のペニスを吸い付くような感触で歓迎し、俺の興奮を高めていく。

 

「くっ、射精()る……っ!」

「きゃ……っ!」

 

 瞬く間に絶頂に達した俺はびゅくびゅくと精液を放出し、一之瀬の乳房を汚していく。

 極上のパイズリでしごき上げられたペニスから噴き出る精液は瞬く間に一之瀬の乳房を白く染め上げ、その顔にも白濁液が降りかかった。

 

「く、ふぅ……」

「……あつ、い……こ、これが精液、なのね……」

 

 一之瀬は突然の射精で混乱していたが、俺の精液を浴びても嫌がる事はなく、とろんとした瞳で射精を終えた俺を見詰めて来る。

 その瞳の奥に明確な情欲を読み取った俺は、一之瀬の上に覆い被さりペニスを彼女の秘所に押し当てた。

 

「一之瀬……お前の処女、貰うぞ」

「……うん。あげる、私の処女。来て、綾小路くん」

 

 膣口に押し当てられたペニスの感触に最初は戸惑った一之瀬だったが、俺が挿入の許可を取ると覚悟を決めたようで、そう言って微笑んだ。

 

「行くぞ」

「うん……っ!!」

 

 そして俺は腰を落とし、一之瀬の膣内に侵入した。むりむりと俺の巨根が一之瀬の膣内を割り開き、奥へ奥へと進んで行く。

 そうしているうちに一之瀬の処女膜に到達し、ここが頃合いだと思った俺は体重を乗せ、一気にペニスを膣奥に叩き込んだ。

 

「……っ! ぅ、ぁ……っ!」

「きつ、いな……っ!」

 

 処女膜が破れ、結合部から破瓜の鮮血が流れ落ちる。俺のペニスが柔らかな膣壁に包み込まれ、なんとも言えない感触が背筋を駆け抜ける。

 

 処女を喪失した一之瀬は、歯を食い縛って痛みに堪えている様子だった。しかし同時に、その顔には抑え切れない幸福感が沸き上がっていた。

 

「あ、あはは……こ、これが初体験、なんだね……痛い、けど……なんだか、身体の奥がポカポカして来る……相手が、綾小路くんだからかな? 痛いけど、同じくらい幸せだよ」

「……そうか……」

 

 俺は笑顔でそう語る一之瀬を見て、その姿が処女を破った時の恵と重なる事に思い至った。

 

 恵は俺と初体験を行った時、俺に処女を捧げた幸福感が痛みを快感に変え、最初から大いに乱れていた。

 あれは恵の依存癖が俺の所為で捻じ曲がった結果なのだろうが、一之瀬についても似たような状態である事は察しがついた。

 

 一之瀬は今まで過去に犯してしまった自分の罪に対し、心の何処かで明確な断罪を求めていたに違いない。

 

 そして自分の罪と向き合えた今、罪の告白を行った俺が、処女膜を破る事で痛みを与え、その耐え難い筈の痛みを俺が与えた事で彼女なりに()を受けたと解釈し、心の整理がついたのかもしれない。

 

 それかもっと単純に、恋慕を向けた俺に処女を捧げられた幸福感が、痛みを上回ったという事も有り得る。

 女心を理解しきれていない俺にはどちらなのか判断はつかないが、わざわざ分析するのも無粋だろう。

 

「その、ね……もう、動いてもいいよ。私なら、大丈夫だから」

「分かった。動くぞ」

「うん……あぅ……っ!」

 

 一之瀬の様子からもう大丈夫だと判断した俺は、一之瀬の許可を取りつつ腰を動かし始めた。始めはゆっくりと、徐々に早く力強く腰を動かし、一之瀬に腰を打ち付けて行く。

 

「く、おぉ……っ!」

「きゃぅ……っ! あぁ、うぁ……っ! 痛い、けど、気持ち、いい……っ! な、なんだろ、これ……っ! 変に、なりそ……っ!」

 

 俺が腰を押し込む度に一之瀬は嬌声をあげ、膣壁がきゅっきゅと締め付けて来る。俺は身体を倒して一之瀬に密着しながら、ピストン運動を早めていく。

 

「あ……っ! そんなにくっついたら、胸の精液、付いちゃう……っ!」

「構わ、ないさ……っ! どうせ、最後にはそんな事気にならなくなるしな……っ!」

「あぅぅ……っ!」

 

 自分と身体を密着させた俺に対し、先程胸や顔に吐き出した精液が付着する事を心配した一之瀬が声をあげるが、もう理性が飛びかけている俺にとってその程度、行為を中断する理由にはならない。

 それを証明する為に俺は精液塗れの一之瀬に口付け、ピストン運動を早めていく。

 

「うぁ……っ! こ、こんな事したら、綾小路くんも、汚れ、ちゃうよぉ……っ!」

「問題、ないさ……っ! こんな、身体を抱けるなら、汚れるくらい、どうって事ない……っ!」

 

 俺はそう告げるなり一之瀬の足を抱え込み、種付けプレスの体勢となって一気にピストンを加速させた。

 俺のペニスで膣内を掘削されていく一之瀬は狂ったように嬌声をあげ、俺はラストスパートをかけた。

 

「く……っ! 射精()る……っ!」

「あ……っ! な、中に、出して……っ! いっぱい、欲しいの……っ!」

 

 一之瀬の種付けの懇願で俺の理性は焼き切れ、最後に一発鋭く腰を打ち込むと、子宮口に亀頭をめり込ませて射精を開始した。

 

「く、おぉぉぉぉぉ……っ!」

「きゃぅぅぅぅぅ……っ! あ、綾小路くんのが、いっぱい、出て……っ!」

 

 俺は思い切り腰を一之瀬の身体に押し付けながら、腰を震わせてその身体の奥に精液を吐き出していく。

 びゅくりびゅくりと夥しい量の精液が一之瀬の体内に流れ込み、最奥を白濁液で叩かれた一之瀬はびくびくと痙攣し、絶頂する。

 

「くぅ、おぉ……っ!」

「あ……まだ、出て……っ!」

 

 射精は中々止まらず、ペニスがポンプのように脈動して新たな精液を送り込む。どくどくと熱い液体を注がれ続けた一之瀬の膣内は既に満杯で、結合部からは収まり切らなかった精液が流れ落ちて水溜まりを作っていた。

 

「ふぅ、ふぅ……」

「あ、ぅ……お腹の中、あったかい……きゃ……っ!」

 

 ようやく射精が終わり、一之瀬は体内に注がれた精液の熱さに蕩けた表情を浮かべた。

 その顔を見た俺は獣欲が刺激され、一度ペニスを引き抜くと一之瀬の身体をうつ伏せに変えて背後から再度ペニスを叩き込んだ。

 

「うぁ……っ! あ、あんなに出したのに、も、もう……っ!?」

「……俺は割と絶倫みたいでな。悪いが、一回や二回じゃ収まらないんだ。文字通り一晩中付き合って貰うから、悪い男に捕まったと諦めてくれ」

「あ、あぅぅぅぅ……っ!」

 

 俺は一之瀬の返事も聞かず、最初から激しく腰を打ち付け始めた。パァン、と腰を打ち付ける度一之瀬の尻肉が揺れ、俺の腰を柔らかな感触が受け止める。

 

「くっ、おぉ……っ! 最高、だよ。一之瀬……っ!」

「あぅ……っ!」

 

 俺は腰を打ち付ける度に揺れ動く一之瀬の乳房を鷲掴みにし、背後からのしかかるように密着しながらピストン運動を早めて行く。

 

 両手で極上の乳房の感触を堪能しながら、狭くしっとりとした一之瀬の膣内を抉っていく。一之瀬の膣壁は侵入してきた俺のペニスを全力で歓待し、強烈にしごきあげて来る。

 

「く……ッ! 射精()すぞ一之瀬……っ!」

「き、来て……っ! 中に、全部……っ!」

 

 俺は一之瀬の乳房を揉みしだきながらラストスパートをかけ、勢いよく腰を打ち付けると一之瀬の身体をきつく抱き締め、背後から完全に密着した状態で精液を吐き出した。

 

「うぉ、おぉぉぉ……っ!」

「あぁぁぁ……っ! 熱いのが、また……っ!」

 

 一之瀬を逃がさないように抱き締めながら、ペニスが脈動して一之瀬の中に精液を流し込む。 

 腰をぐいぐいと押し付けながら精液を注ぎ込む快感は何にも代え難く、俺は忘我の心地で一之瀬に精液を注ぎ続けた。

 

「……ふぅ……」

「あぁ……あつ、い……きゃぅ……っ!?」

 

 俺は射精を終えるとすぐさま一之瀬を後ろに引っ張るように抱き起こし、背面座位の体位に移るとそのままピストン運動を再開した。

 

「うぁ……っ! ま、また……っ!」

「言ったろ……っ! 一晩、付き合って貰うってな……っ! 悪いが、もう止まりそうにない……っ! 満足するまで、気絶したって止めないからな……っ!」

「そ、そんな……っ! 私、おかしく、なっちゃ……っ! あぅぅ……っ!」

 

 平然と情事を続ける俺に困惑する一之瀬を他所に、俺は背後から一之瀬を抱きすくめながら全力で腰を突き上げていく。

 

 当然一之瀬の乳房は背後から揉みしだき、その感触を堪能する。一之瀬の乳房は幾ら揉んでも飽きる事はなく、俺は欲望の赴くまま一之瀬の乳房を弄び続けた。

 

「こんな、最高の身体を抱いて、この程度で収まるワケ、ないだろ……っ! お前が嫌と言っても、絶対止めないからな……っ!」

「うぁ……っ! い、いいよ……っ! 好きなだけ、抱いて、も……っ! 綾小路くんなら、いい、から……っ!」

「ああ、今夜は寝られないと思えよ……っ!」

 

 一之瀬が俺を完全に受け入れた事を悟り、沸々と征服欲が沸き上がり腰を突き上げるスピードを速めていく。そして今度は予告もなしに、一之瀬の中に精液を放出した。

 

「くぅ、おぉぉぉぉ……っ!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ! 綾小路くんの、精液が、お腹の中に、また……っ!」

 

 背後から思い切り一之瀬を抱き締めながら、どくどくと彼女の胎内に新たな精液を注ぎ込んでいく。最奥を白濁液で灼かれる度に一之瀬はびくびくと震え、絶頂に至った一之瀬の膣壁が俺のペニスをきつく締め上げて来る。

 

「く、ぉ……」

「あ……まだ、出て……」

 

 俺は飽きる事なく一之瀬に精液を注ぎ込み、その快感を享受する。女の奥に生で精液を注ぐ感触は最高で、幾ら注いでも欲望は尽きる事なく溢れ出し、最後まで射精を終えても俺のペニスは硬く勃起したままだった。

 

「続けるぞ、一之瀬。悪いが、休ませてはやれそうにない」

「いい、よ。思う存分、私を抱いて……それが、私の望みだから」

 

 情事の続行を望む俺を受け入れた一之瀬はにこりと笑い、俺はそんな一之瀬に口付けると今度は騎乗位の体勢に移り、ピストン運動を再開した。

 

 その夜、文字通り一晩中一之瀬と交わった俺は、朝に部屋を訪ねて来た堀北に見事に一之瀬を抱いている姿を見られてしまい、諦めたように溜め息を吐いた堀北の協力を得て後始末と櫛田の説得方法を考える事になったのだった。




 というわけで一之瀬編でした。前から書きたくはあったんですがバックグラウンドが分からないと書きようがないなと今まで書けずにいたんですが、9巻発売でようやく書く事が出来ました。
 一之瀬の抱えている過去が何なのか色々想像してはいましたが、ああくるとは分からなかったですね。てっきり援交の疑いをかけられて誹謗中傷が広まったとか、そこらへんだと思っていたのですが、彼女にも魔が差す事があったという事ですね。
 原作の中で綾小路に明確に好意を抱いてたのも、好印象でした。あそこまで明確な好意を抱いてる子ってなんだかんだ少ないですしね。

 次は、どうするかな。9巻の表紙を見て、神室を書いてもいいんじゃないかと思ったんですよね。イラストが魅力的だったし、9巻の中でもクローズアップされてたしで。理由はまあ、坂柳ちゃんが用意してくれるでしょう。


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18時間目~神室真澄の時間Ⅰ

 ラバックさん、夜刃神さん、評価付けありがとうございました。
 R-18日間ランキングで最初1位になってたのは驚きました。今は二位になってますけど、こんな高評価をされるなんてありがたいです。需要と供給がうまく合致してたのもあるのかな。

 さて、今回は神室編です。全話と同じく9巻を見てたら思いつきました。どうぞ。


「えーと……これは、どういう事だ……?」

「フフ、見ての通りですよ。ちょっと、()()()を用意したんです。綾小路くんなら、きっと喜ぶと思いまして」

 

 俺は部屋の中で不敵な笑みを浮かべながらベッドに腰掛けている坂柳に対し、訝し気な顔をしつつ声をかけた。

 

 此処は坂柳の部屋なので、彼女がいるのは当然といえば当然だ……問題は、その彼女のベッドに顰め面の少女……坂柳が手足のようにこき使っているAクラスの女子生徒である、神室真澄がいる事だ。

 

 俺は今日、坂柳からいつもの()()を受けて彼女の部屋にやって来た。

 明日は休みであり、無茶もそれなりに効く為、俺は坂柳をどうやって味遭おうか思案しつつやって来てみれば……予想外の来客に、面食らっていたのである。

 

 しかも、坂柳は神室の事を指して()()()と表現した。その顔に嗜虐的な笑みが浮かんでいる事から考えて、まず碌な事は企んでいない筈だ。少なくとも、こうして連れて来られた神室にとっては。

 

「……ちゃんと答えろ。坂柳、どういうつもりだ? 何故、神室が此処にいる?」

「おや、説明不足でしたか? ですから、彼女は綾小路くんへの()()()ですよ。そろそろ、新しい女の子が欲しくなる頃合いかと思いまして……私の方で、見繕っておきました。受け取って頂けますか?」

 

 坂柳はいけしゃあしゃあとそう宣い、流し目で神室を見詰めた。神室は好き放題言われているにも拘らず、顔を顰めるだけで反論一つしようとしない。

 

「いつ俺がそんな事を頼んだ? 悪ふざけにしても、度が過ぎていると思うが?」

「フフ、私は至って真面目ですよ。誤魔化しても仕方がないので白状しますが、貴方の周りに少しでも私の息のかかった生徒を置いておきたいのですよ。将来の伴侶となって頂く為にも、影響力は少しでも大きい方が好ましいですし」

 

 相変わらず不敵な笑みを浮かべているが、坂柳の意図はなんとなく理解出来た。

 

 今俺と関係を持つ女生徒はC組が最も多く、次点でD組の二人、B組とA組はそれぞれ一之瀬と坂柳の一人だけだ。

 そこにA組の神室を加えれば、A組からは二人になり、次点のD組と数の上では拮抗する事になる。

 

 坂柳は俺のセフレメンバーの中での立ち位置向上の為に、神室を送り込んでおきたいのだろう。ただし、それを俺が素直に受けるかどうかは別の話だ。

 

「そんな話を聞かされて、はいそうですかって俺が言うと思うか? 一之瀬を唆した件といい、最近のお前は勝手が過ぎるぞ」

「おや、一之瀬さんの件については単に私の気遣いですよ。彼女には随分、辛い目に遭って貰いましたから……そろそろ、報われてもいいのではないかと思いまして」

「その辛い目に遭わせた張本人が、よくも言えたものだな」

 

 俺は臆面もなく宣う坂柳に対し、呆れた声をあげた。もしも今の言葉をB組の誰かが聞いていたのなら、その場で坂柳に喧嘩を売ってもおかしくない……彼女はそれだけの暴言を言い放ち、尚且つ罪悪感を欠片も抱いていなかった。

 

 ……以前から思っていたが、坂柳には支配型のサイコパスの気がある。

 

 何もかも自分の思い通りでなければ気が済まず、人の痛みを理解出来ない……他人をコントロールする事に異常な執念を燃やし、他人を先導する形で他者を攻撃しようとする。

 

 ……これらはどれも支配型のサイコパスの特徴であり、坂柳も大部分が当て嵌まる。

 人を惹き付けるカリスマや高過ぎるプライドも、支配型のサイコパスの特徴だ。

 ちなみに、櫛田の場合は支配型と寄生型の複合である為、タチの悪さで言えばより厄介なのだが、それはまた別の話である。

 

 坂柳は自分と対等と認めた俺以外の人間を、悉く見下している。有り体に言えば、人間扱いしていない。

 

 他者に対する行き過ぎた攻撃性も、相手を見下し人間扱いしていないからこそ出来る事だ。

 

 自分が能力を認めている俺にだけは現在ある程度配慮する姿勢を見せるが、坂柳が改心する事などある筈もなく、彼女の根本となる性質は歴史上の悪名高い独裁者達とそう変わらないままなのだ。

 

 まあ、俺に直接害が及びさえしなければ坂柳の悪辣な人間性などどうでも良く、今は俺の女である事も相俟ってある程度の事は目を瞑って来たが……今回ばかりは、はいそうですかと流すワケにはいかなかった。

 

 まず第一に、俺は神室の事をよく知らない。精々俺が持っている神室の情報は、坂柳の手下のような存在であり、神室自らが告白した通り万引きの常習犯だった過去を持つ女子生徒、程度のものだ。

 

 坂柳の一計もあって今は万引きに手を染めてはいないようだが、そもそも、彼女は万引きをした事に対して坂柳に指摘されてもあっさりと開き直るような精神性の少女だ。

 

 過去の罪であんなに苦しんでいた一之瀬と比べてしまうと、どうしても良い印象は抱き難い。だからこそ、()()()()()()という感想が先に来てしまうのだ。

 

 更に言うなら、坂柳の手駒を身内として抱え込みたくない、という思いもあった。

 

 もっとも、これについては左程心配はしていない。坂柳の巡らせる計略の性質は理解しているし、腕力的な意味でも身体的なハンデを背負った坂柳に非力な女生徒が加わった程度では、脅威には値しない。

 

 そして、何より神室が今の状況を納得しているかどうか、という問題もある。

 普通、幾ら弱みを握られているからとはいえ、いきなり()()()()()()()()と言われて素直に頷く女はいない。良く知りもしない相手であるなら、猶更だ。

 

 今まで関係を結んだ少女達は大なり小なり俺に好意を抱いていたが、神室は違う。尾行の件で話したり、一之瀬の一件では部屋に上がらせて会話した事はあるが、逆に言えばそれだけだ。

 

 それだけの接触で、彼女が俺に好意を持つというのは如何にも信じ難い。そう考えれば、神室は坂柳に半ば無理やり此処に連れて来られていると考えた方がいいだろう。

 

「神室、お前は納得しているのか? 嫌なら嫌と、はっきり口に出したらどうだ?」

 

 だから、俺は神室にそう問いかけた。坂柳に聞いても、どうせはぐらかされるか堂々と「それが何か?」と言われるだけだと考えられる為、時間の無駄だ。

 

「……別に。私が何を言っても、こいつが私を逃がすとは思えないし。処女でもないから、どうって事ないし」

 

 神室は投げやりな風に、そう答える。そんな彼女の言葉を、頼んでもいないのに坂柳が補足する。

 

「フフ、初めてで痛がっては可哀そうですからね。彼女の処女膜は、私が道具を使って破っておきました。私なりの気遣いですよ」

「……へぇ……」

 

 坂柳の発言には、流石に眉を顰めざる負えなかった。恐らく、神室の処女膜を坂柳が破った事は事実だろうが……その動機は恐らく、坂柳の独占欲だ。

 

 坂柳は、俺の事を()()()()()と宣い、その言葉を現実にするべく日々俺の隙を伺っている。手段に色々問題はあるが、俺に対する好意自体は本物らしかった。

 

 自分の関知しない所で俺が手を出した少女達に対してはある程度見て見ぬ振りをして来たのだろうが、自分の手駒である神室をいざ俺に献上する段になって、坂柳はこう思ったのだろう……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。

 

 だから、坂柳は神室の処女膜を破った。サイコパスらしい身勝手な思考と、女らしい嫉妬によって。

 

「…………」

 

 ……俺は別に、人道や倫理がどうとかそういう事を言うつもりはない。俺だって他人から見れば相当酷い事をしている自覚はあるし、正義の為などという絵空事を語るつもりもない。

 

 だがそれでも、坂柳の行為はあまりにも目に余った。少女達と関わる()()()を知った今の俺にとって、それを平然と踏み躙る坂柳をこのまま放置する事は有り得ない。

 

 少なくともこの時点で、俺が坂柳を無罪放免するという選択肢は消えたと言ってもいいだろう。

 

「ですから、どうせなら濡れてない所に無理やり入れる、なんてのも良いと思いませんか? そうすれば、処女喪失の痛みに比類する痛みを得られるかもしれませんし」

 

 俺の心づもりに未だ気付かない坂柳は、調子に乗って平然と外道な事を口走っている。

 

 神室は俺の雰囲気の変化に気付いたようだが、坂柳に忠告する素振りはない。俺はそれを神室の抵抗の意志と見做し、がっしりと坂柳の腕を掴んだ。

 

「え……? あ、綾小路くん……?」

「……そうか。それは、良い提案だな。じゃあまず、お前で試してみる事にするよ」

「ひ……っ!」

 

 そこでようやく坂柳は俺の纏う空気が変わっている事に気付いたが、もう遅い。

 俺はそのまま坂柳の腕を持ち上げて宙吊りにして壁に押し付けると、ズボンのチャックを緩めて逸物を露出させ、そのまま一遍の容赦もなく坂柳の秘所にペニスを根本まで叩き込んだ。

 

「ひっ、ぎぃ……っ!!」

「……きついな。全然濡れてないだけあって、痛いくらいだ」

 

 濡れてもおらず、しかも幼さの抜けきっていない坂柳の身体に巨根と言っていい俺のペニスを叩き込んだのだから、当然坂柳の身体には強烈な負荷がかかり、いきなり膣内に異物を埋め込まれた坂柳は陸に上がった魚のようにぱくぱくと口を開き、白目を剥きかけている。

 

 俺のペニスが埋め込まれた坂柳の下腹はペニスの形にぽこりと膨れ上がっており、見るからに無理な挿入と言えた。

 

 だが当然、俺は容赦するつもりはない。他人の痛みが分からないと言うのであれば、徹底的にその痛みを味遭わせるだけの事だ。

 

「ふっ、ふっ、ふっ……!」

「ぎぃ、あぁ……っ! か、は……っ!」

 

 俺は力任せに腰を突き上げ、ゴリゴリと坂柳の膣内を抉っていく。ドスン、ドスン、と膣奥を突く度に坂柳は悲痛な声をあげ、痛みを訴える。

 

 今までも繰り返し俺の巨根を受け入れていた為か裂けてこそいないようだが、あまりの激痛に坂柳は意識が朦朧としている様子だった。

 

 普段の情事の濡れている状態でも、坂柳は相当な無理をして俺のペニスを受け入れていた。

 下手をすれば坂柳が壊れかねないと分かっているからこそ今までは注意を払って来たのだが、事此処に至り坂柳に配慮などするワケがない。俺はそのまま、射精に至るべくラストスパートをかけていく。

 

「……射精()すぞ」

「かは……っ! ま、待っ……っ!」

 

 膣内射精を予告すると俺の動きに翻弄され意識が朦朧としていた坂柳の眼に光が戻りかけ、何かを言おうとするが……俺は聞く耳持たず、どちゅん、と勢いよく腰を突き上げ坂柳の尻に指を食い込ませると、容赦なく射精を開始した。

 

「ぐ、おぉぉぉ……っ!」

「うぁ……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 坂柳を壁に押し付けて密着しながら、びゅくり、びゅくり、と坂柳の最奥に精液を吐き出していく。

 熱い白濁液が子宮に注入される度に坂柳の眼から徐々に光が消えていき、最後の一滴まで注ぎ終えると眼から光を失った坂柳がくたりと脱力し、俺に寄りかかるが……

 

「よ、っと……っ!」

「かは……っ!」

 

 無論、此処で坂柳を休ませる気など一切ない。俺は坂柳の両足を抱えると、駅弁の体勢で鋭く腰を突き上げた。びくびくと坂柳の身体が震え、彼女が絶頂に至った事を理解する。

 

「こんなのでもイくのか? 淫乱だな、坂柳。これじゃあ、罰にはならないか?」

「かひゅ……っ! だ、だって、綾小路くんに、今まで散々開発されて、ですから……っ!」

 

 少し休ませて下さい、と言おうとした坂柳に対し、俺はニヤリと笑みを浮かべ告げた。

 

「──なら、問題はないな。このまま()()()()を、続けさせて貰うぞ。取り敢えず、3回気絶するまでは続けるからな。覚悟しとけ」

「そ、そん……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺は再開したピストン運動で坂柳の反論を封じ、俺は坂柳の小さな身体を存分に貪り始めた。

 それを近くで見ていた神室の瞳には暗い歓喜や戸惑いの他に、明確な情欲が……ひっそりと、芽吹き始めていた。




 というわけで神室編その1です。
 神室編1と言いつつ、ほぼ坂柳のお話ですね。
 最初は坂柳が単純に神室を仲間に誘って疑似3P、みたいに考えていましたが、9巻での坂柳の所業を思い返して、『これだけやったのにケジメ一つなしってのもどうなんだろう』と考え、綾小路くんにケジメを付けさせる事にしました。
 話の中で説明した通り、坂柳は支配型のサイコパスに分類されるタイプだと思います。これはあくまで独自解釈ですが、そう間違った話ではないかと。少なくとも、傾向としては一致していますし。

 なので、そんな坂柳に言葉で反省を促しても効果はないので、物理的に反省させる手段を取ったワケです。
 坂柳の体格で綾小路のサイズを濡らしもせずに入れたら、普通に拷問だろうし。
 凌辱一歩手前というか凌辱そのものの光景だけど、当事者達にとっては和姦になるんだよねある意味では。この二人にとっては。二人共、精神性が常人とは違うからねぇ。

 なにはともあれ次回ようやく神室さんの濡れ場です。やっぱり2話構成になりましたね。最初のプロットだと1話完結だったけど、それじゃあ味気ないと思ってボリュームを上げた結果がこれだったり。


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19時間目~神室真澄の時間Ⅱ

 kenjiさん、赤まんじゅうさん、 灰流うららさん、不衣さん、ほーぶつせんさん、評価付けありがとうございました。
 kenjiさんと赤まんじゅうさんは評価コメントもありがとうございます。

 神室編の後編です。ではどうぞ。


「ぐっ、おぉ……っ!」

「ぁ……っ! ぅぁ……っ!」

 

 俺は種付けプレスの体勢で覆い被さった坂柳の身体を押し潰すように腰を押し付け、坂柳の最奥の容赦なく大量の精液を注ぎ込む。

 

 既にかなりの回数の膣内射精を受けていた坂柳の秘所には相当量の精液が溜まっており、抜かずに繰り返し中出しした事で坂柳の腹は精液が溜め込まれた為か若干膨らんでいるようにも見える。

 

 明らかに坂柳の膣には大き過ぎる俺の巨根が栓の役割を果たしているようで、新たな精液を注ぎ込む事で坂柳の膣内がゴボゴボと泡立ち、限界以上の精液が詰め込まれていく。

 

「……ふぅ……」

「……ぁ……」

 

 最後の一滴まで注ぎ込み、坂柳がくたりと脱力して気を失った事を確認すると、俺は坂柳の胎内に根本まで挿入していたペニスをずるりと引き抜いた。

 栓が抜かれた事で坂柳の秘所からはどぼどぼと俺の注いだ精液が溢れかえっており、意識のない坂柳が股から大量の精液を垂れ流しているその惨状は、誰がどう見ても凌辱された哀れな少女にしか見えなかった。

 

 だが、意識のない坂柳の顔には紛れもない喜色が浮かんでおり、坂柳がこの性行為をどう感じていたかは明らかだ。まあ、そうなるように()()したのは俺なのだが。

 

 坂柳は俺が関係を持った少女達の中でも最も小柄で、体力も乏しい。足にハンデを負っている事もあり、肉体的には眼に見えて脆弱だ。

 

 そんな坂柳を好き放題に犯せるセックスは、俺の暴力的な興奮をこの上なく後押しした。

 

 坂柳と情事を行う時は自然とその内容はハードなものとなり、坂柳の身体も俺との乱暴なセックスを経験する度に身体と心がそのハードな行為に適応していったのだ。

 

 基本的に他人を見下す坂柳が俺に対しては唯一対等と認めている事もあって、()()()()()()()()()()()()である俺に乱暴に犯される事は、自分の身体に夢中にさせている、という認識も相俟って坂柳としても悪くないものだったらしい。

 

 結果から言えば、坂柳は俺限定のマゾヒズムを開花した。濡れていない膣に強引に挿入した時の悶絶ぶりは演技などではないが、そう時間を置かずに坂柳の身体は俺とのセックスに適応し、幾度となく絶頂を迎えるようになっていた。

 

 そして、一度火が点いた俺の欲望が生半可な所で止まる筈もない。結局俺は部屋にいる神室の事も忘れ、宣言通り坂柳が3回気絶するまで十数回に渡る性行為を行い、その全てで坂柳の膣内に思う存分精液を注ぎ込んだ。

 

 その結果、見るも無残な坂柳の惨状が出来上がったワケだが、実際はイき過ぎて疲労困憊になっているだけなので、彼女の開発具合は我ながら相当なものになっていると自負している。

 

 サイコパスだろうがなんだろうが、俺の女である事に変わりはない。今回は最近勝手な行動が目に余る坂柳に釘を刺す目的でいつも以上に乱暴に抱いたが、俺と坂柳から見ればちょっと強めのハードセックスを行ったくらいの感覚だ。

 

 むしろ、このくらいやらないと坂柳は自分の欲望や興味の赴くまま、勝手な行動で周囲に迷惑をかけ続ける。

 下手をすれば他の俺の女に危害が加わる可能性もある為、櫛田と並んで最大限の警戒対象と言えた。

 

 ともあれ、これで一先ず坂柳も自重するようになるだろう。その自重が何処まで続くかは分からないが、また調子に乗り始めるようならもう一度()()()()をするだけの事だ。この程度で完全に大人しくなる程、坂柳は甘いタマではないのだから。

 

「あ……」

 

 そこでようやく、俺はこの部屋にもう一人……坂柳が連れて来た、神室真澄がいる事を思い出した。

 慌てて様子を見ると神室はベッドに仰向けに横たわる坂柳の惨状に目を向けて、顔を赤らめながらとろんとした眼で俺の方を見詰めていた。

 

 神室はいつも不機嫌そうに吊り上げている眉を下ろし、陶然とした瞳でベッドに沈む坂柳とその隣に座る俺を……正確に言えば、露出した俺の股間を凝視していた。

 

「……そ、そんなのが坂柳の中に入ってたの……? よ、よく壊れなかったわね、坂柳……」

 

 努めて冷静に言葉を紡ごうとする神室だが、その言葉尻は震えており、その眼に宿る情欲の炎を隠しきれていない。俺は物欲しそうな眼で俺の逸物を見詰める神室を見ながら、軽く説明する。

 

「今日が初めてじゃないからな。俺としても、こいつを完全に壊すつもりは今の所ない。最近好き勝手な振る舞いが目立っていたし、流石に灸を据える頃合いだと思ったから少しお仕置きしただけだ。心配か?」

「別に。今回はこいつの自業自得だし、いい気味ね。あの坂柳があんなに乱れるなんて、アンタ相当こいつを調教してたみたいね」

 

 神室は素っ気なくそう告げるが、太腿を落ち着きなく擦り合わせており、スカートの奥からは微かにくちゅり、という水音が聞こえる。どう見ても、発情しているのは明瞭だった。

 

「興味があるのか? お望みなら、お前も同じようにしてやるが」

「冗談。誰がアンタなんかと……って、言いたいところだけど……此処で私だけ帰ったら、後で坂柳に何されるか分かったもんじゃないのよね。どうせ処女膜はもうないんだし、どうしてもって言うなら付き合ってあげてもいいわよ」

 

 あくまで強気に話す神室だが、その眼の輝きから彼女の本心が何処にあるかは明白だ。

 俺は自ら飛び込んできてくれたこの据え膳を逃す気はなく、静かに神室の肩を掴んだ。

 

「いいんだな? 後悔するなよ」

「フン、どうせ逃がす気なんてない癖に……好きにすればいいじゃな……んん……っ!」

 

 俺はそのまま神室の顔を引き寄せて唇を奪い、服の上から乳房を揉みしだいた。

 いきなり口付けられた神室は驚きの余り硬直し、俺にされるがまま口内と乳房を蹂躙されていく。

 

 俺は神室の口と胸を好き放題堪能した後、唇を離した。神室の上着は俺の手ではだけられており、胸の谷間が服の間から覗いていた。

 

「ぷは……っ! ちょっと、何いきなりキスしてんのっ!?」

「好きにしろ、って言ったのはお前だぞ。もしかして、ファーストキスだったか?」

「……っ!」

 

 俺の指摘に、神室は顔を真っ赤にして絶句する。どうやら坂柳の手にかかるまで処女だった事といい、神室は性的な体験に関してはほぼ未体験のようだ。知らず、唇が吊り上がった。

 

「そ、それよりさっさと本番をしなさいよ……っ! すぐに入れていいから、早くしなさい……っ!」

 

 顔を真っ赤にした神室はそう告げて、俺に挿入をねだって来る。この様子だと秘所は前戯の必要がないくらい潤っているようだし、俺としても否はなかった。

 

「了解した。じゃあ、ベッドに手を突いて後ろを向いて貰えるか」

「分かったわよ」

 

 神室は俺の言う通り、ベッドに手を突いてこちらにお尻を向けた。いつもであれば服を脱がせた後に挿入するのだが、たまには着たままというのもいいだろうと思い、敢えてスカートを捲り上げるのみに留め、ショーツをズラして愛液で濡れた秘所にペニスを宛がった。

 

「入れるぞ」

「さっさとし……っ!!」

 

 俺は宣言通り、神室の秘所に思い切りペニスを叩き込んだ。いきなりの挿入に神室の身体がびくん、と震え、初めての感触に見悶えた。

 

 神室は胸もお尻も突出して大きいワケではないが、全体的にバランスの取れた肢体と、何よりすべすべの太腿の感触がたまらなかった。これはこれで、味遭い甲斐のある身体と言えた。

 

「くぉ、きつ……っ!」

「うぁ……お腹、苦し……」

 

 坂柳の言葉通り処女膜は既に破られていた為か破瓜の血は流れなかったが、その強烈な締め付けは処女のものと大差ない。

 

 神室は俺の巨根で内側から腹を圧迫されている為か、苦し気な息を吐いている。しかしこのまま放置する選択肢は有り得ないので、俺は迷わずピストン運動を開始した。

 

「くっ、ふっ、おぉ……っ!」

「あぁ……っ! んぁ、あぁぁ……っ! お腹の中が、ゴツゴツ抉られて……っ! な、なに、これ……っ!?」

 

 処女喪失の痛みを予め経験していたからか、神室に必要以上に痛がる様子はない。俺の腰遣いに翻弄されながら、熱い息を漏らしている。

 

「くぅ……っ! こりゃ、いいな……っ!」

「うぁ……っ! ちょ、ちょっと、そんな所……っ!」

 

 俺は早速神室の弱い所を探り当て、容赦なくペニスを叩きつける。同時に背後から手を伸ばし、神室の乳房を揉みしだきながら腰の動きを加速させていく。

 

「くっ、射精()る……っ!」

「ちょ、待……っ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!!」

 

 俺は射精を予告した直後には鋭く腰を打ち付け、最奥に亀頭を突き付けると容赦なく膣内射精を開始した。

 

 挿入した俺のペニスが脈動する度、びゅくびゅくと精液を神室の中に注ぎ込んでいる。雄の本能で腰をぐいぐいと神室の尻に押し付けながら、俺は思う存分精液を神室に注入した。

 

「うぉ、おぉぉ……」

「……うぁ……どれだけ、出すのよ……」

 

 俺の射精は中々止まらず、神室の中に突き刺したペニスから次から次へと新たな精液が神室の中に送り込まれている。結合部からは収まり切らなかった精液が溢れ出ており、神室の太腿を流れ落ちた精液が汚していた。

 

「……ふぅ……」

「……あぁ、やっと終わったのね。坂柳相手にあれだけしといて、まだ出す中身が残ってたなんて……呆れるくらい絶倫ね、アンタ」

 

 ようやく射精が終わり、神室は呆れたように溜め息を吐くが……この程度で俺が行為を終えたと思うなど、甘過ぎると言わざる負えない。

 

 俺は神室の腰を掴むと身体ごと抱き起こし、俺の方を向かせて背面騎乗位の体勢になると、そのままペニスを挿入し直した。

 

「うぁ……っ!? ちょ、まさか……っ!」

「……悪いが、見ての通り俺は絶倫なんだ。坂柳共々、朝まで付き合って貰うぞ」

 

 俺は困惑する神室を他所に、神室の腰を掴んで上下に揺さぶり始めた。精液が付着したままの俺のペニスが神室の膣内を出入りし、じゅぶじゅぶと淫らな水音が鳴り響く。

 

「うぅ、あぁ……っ! ちょ、激し……っ!」

「く、おぉ……っ!」

 

 神室の腰をがっしり掴んだ状態で、俺は腰の突き上げも加えつつ神室を揺さぶった。神室と俺の腰が密着する度にぱちゅん、と音が鳴り、最奥を突かれた神室がびくり、と痙攣する。

 

「おぉ、くぅ……っ!」

「あぁぁ……っ! こ、このままじゃ、おかしく、なっちゃ……っ!」

 

 俺の突き上げに弱い所を擦られてびくびくと痙攣する神室を尻目に、俺はどんどん突き上げのスピードをあげていく。神室は俺の動きに完全に振り回されており、着実に絶頂に近付いて行く。

 

「くっ、射精()すぞ……っ!」

「あぁっ、待……っ! うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 膣内射精の宣告と同時に俺は勢いよく腰を突き上げ、神室の尻に指を食い込ませると根本まで挿入したペニスから一気に精液が噴き出した。

 

 びゅるびゅると迸る精液は全て神室の膣内に注がれ、熱い白濁液の感触を感じた神室は遂に絶頂し、身体をびくびくと震わせた。

 

 俺は神室の身体を抱き締めながら精液を注ぎ続け、熱い液体が膣内を灼く度に神室の身体が痙攣する。長い射精は最後の一滴を注ぎ終えて、ようやく終わりを迎える事となった。

 

「……ふぅ……」

「う、ぁ……」

 

 神室は俺に抱き締められたままくたりと脱力し、体重を預けて来る。しかしまだまだ足りないと考えていた俺はすぐさまベッドに神室を下ろすと、今度は正常位でペニスを挿入した。

 

「ちょ、まさ、か……っ!」

「ああ、言った筈だぞ。()()()()()()()()()()って。俺にとっては、まだまだ足りないんだ。満足するまで、付き合って貰うからな」

「う、嘘でしょ……っ! って、あぁぁぁぁぁぁぁ……っ!」

 

 俺は神室の困惑を黙殺し、そのままピストン運動を再開した。最初は戸惑っていた神室だったが、再び嬌声をあげるまでそう時間はかからなかった。

 

 途中で復活した坂柳も加わり、その日その部屋からは嬌声が途切れる事なく響いていた。




 というわけで神室編でした。取り敢えず綾小路と坂柳の情事を見て発情した所を強引に巻き込んだ感じです。眼の前で濃厚な絡みを見せられれば、そりゃあ発情の一つくらいはするだろうなと。

 さて、これで書く面子は大体書いたかな。教師組は書く気ないし、次はストブラ編に戻るかな。例の新作プロットも着々と完成に近づいている事だし


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