色劇のソーマ (perv)
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新戸緋沙子

 爽やかな春の風に、たなびく金色の髪。

すっと伸びた背筋は後ろからでも凛々しさや気品を感じさせ、黒いニーソックスに包まれた美脚は艶やかさを感じさせる。

紺色の、遠月学園のブレザーを身にまとった美少女、薙切えりなは学園内の中庭を散歩といった風体で一人、闊歩していた。

 

 「はぁ…はぁ…えりなたん…」

そんな彼女の後ろを付きまとう者が一人。

彼もまた遠月学園の生徒、そしてえりなの同級生であった。

名は肝井草男。

寸胴のように膨れ上がった肥満体で、大樹の幹に登り、えりなの後ろ姿を見て耽っていた。

 

 「はぁ…えりなぁ、愛してるよ…はぁ、はぁ」

しきりにえりなの名を口にしながら、抱き着くようにしがみついた木の幹に腰を擦り付けている。

ズボン越しに膨れ上がったペニスを幹に擦り付けて、自慰に耽っているのだ。

「あぁっ!えりなえりなえりなえりなえりなえりなえりなえりなえりな…!」

黒ずんだ毛穴からは多量の脂汗が滲み出て、吐息の荒くなった口元には黄ばんだ歯が覗く。

えりなの後ろ姿が視界から消える前に、絶頂を迎えんと、必死になって腰を振りたくる。

 

 「うあぁっ!出るっ!出るよえりなぁぁあああっ!」

自らの想いを届けるように大声を出して果てた草男に、一瞬えりなが怪訝そうな顔をして振り返る。

しかし、木に登っている草男の姿はその目に映らなかったようだ。

すぐに前を向き、草男の視界から消えていく。

 

 

 「はぁ…はぁ…怪しむえりなも、可愛かったよ…はぁ、はぁ」

ズボンから染み出た精液がポタポタと大樹の根元へ垂れていた。

しばらくオナニーの余韻に浸るように大きく息を吸って、幹の上で収まらぬ胸の動悸を落ち着ける。

呼吸が整った所で草男は命綱をつなげて、慎重に木から降りていった。

 

 「そこの貴方?何をしているの?」

足を地面に着けた瞬間、何者かに声をかけられる。

声の高い、鈴の音のような玲瓏とした声だった。

振り返ると、その声の主が近付いてくる。

 

 桜色のショートボブを揺らして、少女は険のある顔つきでこちらへ迫って来る。

遠月学園高等部の者なら誰もが知っているであろうその顔。

薙切えりなの秘書として知られる、新戸緋沙子であった。

 

 「えりな様の後をつけないで、とあれほど言いましたよね?」

刺すような鋭い視線で草男の目を覗き込んでくる緋沙子。

えりなの後をつけて、緋沙子に警告を受ける事は今までも度々あった。

一方の草男は精液で濡れたズボンを隠すために、恥ずかしそうに木陰に回る。

 

 「え?な、なんの事かなー?えりな様をつけてるつもりはなかったんだけどなー」

「とぼけないで。貴方が木の上からえりな様の後ろ姿を見ていたのを、私はずっと見ていました。さっき大声を出したのも貴方でしょう」

「うっ…」

怜悧な視線にあてられながら、自分のストーカー行為が見られていた事に恥じらいを覚える草男。

もしかしたら射精した所まで見られていたかもしれない。

先程までノリノリでオナニーをしていた草男も恥ずかしさに体を縮めてしまう。

 

 「それと…もうこんな真似は止めてもらえるかしら?」

緋沙子が小脇に抱えていた小包が開かれると、ばさばさっと中から大量の手紙がこぼれ落ちる。

和紙にしたためた和風筒から少女趣味のリボンで閉じたものまで。

その一つ一つに『薙切えりな様へ』という宛名書きがされていた。

 

 「あぁっ、それはっ!」

数百、あるいは数千にも上る数の手紙であったが、草男にはその一つ一つに見覚えがあった。

なぜならそれは草男自身が全て、自らの手で書いたものなのだから。

 

 「肝井草男…貴方の事ですね?迷惑ですので、今後このような事をなさらぬよう」

地面に散らばった手紙の中から一つ、緋沙子が指でつまみ上げると、その中には『肝井草男より』という署名が見えた。

 

 

 手に取った手紙を捨て、散らばった手紙をそのままに草男のもとを去ろうとする緋沙子。

「ま、待ってくれ!」

散らばった手紙をかき集めながら緋沙子の背中へ声をかける草男。

 

 「…なんでしょうか」

「いくら料理が全ての遠月学園といえども、恋愛をする事くらいは自由だろう?なら僕のえりな様を想う気持ちを君が否定する権利はないんじゃないのか!?」

「あのお方の名前を気易く呼ぶな!」

主君の名前をこんな豚に呼ばれる事さえ腹立たしい。

ましてやこんな醜い男があのお方に恋焦がれているだなんて。

早く草男の存在をえりなから突き放そうという気持ちで、緋沙子の心は一杯だった。

 

 「僕は心の底からえりな様を愛しているっ!それはもう四六時中えりな様の事で頭の中が一杯になるくらい、えりな様の事が好きで好きで…」

「…少し黙れ」

はぁっ、とため息をつきながら額に手を当てて、顔を伏せる緋沙子。

こんなストーカーに付きまとわれるなんて、えりな様もお気の毒に、と。

 

 

 「そうですね。そこまで貴方が言うなら…私と食戟をしませんか?」

「食戟…?」

予想外の返答に口をぽかんと開けている草男。

 

 「ええ、食戟です。貴方が私を負かせばえりな様とのデートのお約束を取り付けます。ただし、貴方が負ければ、今後一切、えりな様の半径50m以内に近寄る事を禁じます」

どくん。

えりなとのデート、その一言に草男の胸が強く拍動する。

えりなとデートするとなればどこが良いだろう?遊園地?水族館?海辺?

沈みゆく夕陽をバックにロマンチックなキスを交わした後は勿論ラブホテルで熱い夜を…

 

 「うへへぇ…」

「なっ!何を考えている!」

妄想に耽ってついヨダレを垂らしてしまった。

ドン引きしている緋沙子の声で我に返ると、答えは一つしかなかった。

 

 「食戟?受けるよ。君を負かせばえりな様と結ばれるんだろう?そんなの、受けるしかないじゃないかぁ!!」

「結ばれるとは一言も言ってない。ただ一日デートする権利を与えると言っているだけだ」

えりなとデートできると聞き、舞い上がっている草男に釘を刺す。

余程自分の料理に自信があるのか。

同学年の中でトップクラスの実力を持つ自分を前に、ここまで勝てる気でいられる草男の反応が、緋沙子には理解し難かった。

 

 「日付は明後日、時間は…」

「ちょっと待って」

食戟の場所時間を確認する緋沙子に、草男はそれを遮るように手を振りかざす。

「やっぱり、デートでなくても良いや。えりな様の電話番号とメールアドレスを教えてくれるって条件はどうかな?」

「…え?」

あれほどデートという言葉に舞い上がっていた草男が、突如そのデートを破棄してきた事に驚きを隠せない緋沙子。

代わりに提示されたのは、デートよりも軽い電話番号とメールアドレスを教えてくれというもの。

 

 「それでそちらが良いなら」

どういう腹づもりなのか、全く読めなかったが、えりなへの負担が軽くなるのであれば、承諾する他ない。

もっとも、緋沙子は100%勝つつもりでいたので正直どうでも良かったのだが。

「よし!それじゃ僕が勝ったらえりな様のアドレスは教えてもらうよ!で、僕が負けたら半径…5m以内だっけ?ダメなんだよね?」

「半径50m以内だ。よく覚えておけ」

冷たくそう言い放つと、足早に立ち去る緋沙子。

(これでやっと、えりな様をつけ回す虫を一匹潰せる…)

その横顔は自信と安心で満ち溢れていた。

 

 

 「勝者、肝井草男―!」

満場一致で導かれた草男の勝利に、食戟を見に集まっていたギャラリー達がどよめく。

 

 「う、うそだろ…?あの新戸緋沙子が…」

「負けた、なんて…」

同学年の中では指折りの実力者として知られている緋沙子があっさりと敗北した事に驚きを隠せない同級生達。

しかし、最も驚いているのは、当の緋沙子であった。

 

 (う、嘘だ…ぬかりなく準備もした…判定者の反応も良かった、調理の感触も良かった!…なのに、なんで…)

愕然として、膝を落とす緋沙子に太鼓腹を揺らして草男が近寄る。

その表情は勝利の余韻と嬉々とした興奮に満ちていた。

「ぐふふっ!どうやらこの僕に負けた事が余程信じられないみたいだねぇ」

草男は何か卑怯な手を使った訳ではない。

正々堂々真っ向から己の料理で勝負し、その末に勝利をもぎ取ったのだ。

 

 えりなとお近づきになるためには何が必要か。

それを考えた時に、大前提となると思われたのが料理の腕前だった。

もとより、遠月学園は料理が全ての学園。

その学園に首席で合格したえりなに興味を持ってもらうためには、まず料理の腕前を顕示しなければならない。

 

 そして、それが上手くいけば、えりなと同じく遠月十傑評議会に名を連ねるなど、自ずと道は拓けてくるだろう。

しかし、えりなは十傑の中の末席、第十席。

草男が今の十傑に入るとなれば、えりなを弾き出す形で十傑入りしてしまうだろう。

愛しのえりなを蹴落とす真似はしたくない。

だから、草男は今まで、自分の磨きに磨いた料理の腕前を大っぴらに見せつける事を良しとしなかったのだ。

常に成績は中の中、しかし本気を出せば、正直十傑の連中ですら凌ぐ実力はあると自負している。

(能ある鷹は爪を隠す、ってね)

そこまで料理の腕を研鑽したのは愛しのえりなと恋仲になるため、それだけである。

 

 「じゃっ、約束通り、えりな様の電話番号とメールアドレス、教えてくれるかなっ?」

「…公の場で教えると、他の者にも流出する恐れがある。控室に来い」

青ざめた顔で消えるようにその場を去ろうとする緋沙子。

背けた頬に長い睫毛の影が重たげに映っていた。

 

 

 控室といっても普段は更衣室として使われている一室。

薄暗い部屋に緋沙子と草男の二人っきりとなる。

調理服から着替えた二人はブレザーを纏い、制服姿になっていた。

 

 無機質に、ガリガリとボールペンの先が紙面を走る。

紙に刻まれるのはえりなの電話番号とメールアドレス。

草男のような醜い豚に教えるなど10000%有り得ない情報だが、食戟で負けた以上、教えざるを得ない。

これを書いて草男に渡したらすぐに、メールアドレスと電話番号を変えて頂くよう書き置きを置いていこう。

そして、えりな様の元を去ろう。

私なぞあの完全無欠なお方の傍にいるべき器ではなかった。

 

 「…これで間違いない。受け取れ」

「うほほぉ!!これがあのえりな様の連絡先…!」

差し出された紙を丁重に両手で受け取ると、舐めるように顔を近付けて凝視する草男。

震えた指からは汗がじんわりと滲み出ていた。

 

 「…」

喜ぶ草男を尻目に、黙って去ろうとする緋沙子。

しかし、ドアノブにかけた手に、もう一つの手が被せられる。

 

 「そう急がなくても良いじゃないかぁ。少し僕とお話しようよ、緋沙子ちゃん」

ずい、とドアと緋沙子の間に体を入れ、緋沙子を押し戻す。

意外な圧力に押し負け、部屋に押し戻されてしまう。

 

「随分落ち込んじゃってるけど、緋沙子ちゃんの料理、美味しかったよぉ」

わざとらしく、じゅるりと舌舐めずりをする草男。

「でもねぇ、まさか、スッポン料理で来るとはねぇ…」

薬膳料理を得意とする緋沙子が作ったのはスッポン料理だった。

古今東西、精力剤として知られるスッポンは滋養強壮に利用される事も多い。

 

 

「こんな可愛い女の子にスッポン料理作られたら、夜のお誘いなのかと思っちゃうよぉ」

「!?」

いきなり手を握られ、壁に押し付けられる緋沙子。

草男の言葉と卑しい目つきから、淫らな事をしようとしている事はすぐに分かった。

 

 「いつもえりな様の隣にいるせいであんまり目立たないけど、緋沙子ちゃんもすっごく可愛いよねぇ…」

犬のように緋沙子の顔をぺろぺろと舐め始める草男。

ぞくりと、凍り付くような悪寒が背筋を走る。

 

 「き、貴様ッ!大概に、しろっ…」

全身に力を込めて、草男を押しどかそうとするも、体に力が入らない。

それどころか、意識もどこかふらふらとして、視界がぼやつく。

 

 「あぁ、さっき緋沙子ちゃん、僕の料理を試食してたけど」

小皿に盛られたものを草男に勧められたので、口にした事を思い出す。

確かに、緋沙子を負かすだけのものはあったが、妙な苦味が喉にまだ残っている。

 

 「あの中にね、実は、睡眠薬を入れておいたんだ」

「す、睡眠薬!?」

草男のブレザーの胸ポケットから白い薬剤の箱が覗く。

という事は、最初から緋沙子に淫らな事をするために食戟を受けたという事か。

ターゲットにはえりなだけではなく、緋沙子も入っていたのだ。

 

 (くっ、こんな奴に…)

えりなの側近として身を捧げてきた緋沙子も一人の少女。

「いい加減に、しろッ!」

好きでもない醜男の変態行為を許す訳にはいかない。

「ぐふっ!」

上手く力はこめられなかったが、緋沙子は膝で草男の股間を蹴り上げる。

急所であれば、わずかな力でもダメージを与えられる。

 

 緋沙子の膝蹴りを喰らって、床に倒れ込む草男。

「おぉ…っ、酷いじゃないかぁ…スッポン料理で僕のおち○ちんをビキビキにさせておきながら、思いっきり蹴るなんて」

草男が倒れている隙にドアへ駆け寄る緋沙子。

しかし、睡眠薬が効いてきたのか、意識がふらついて、思わず転倒してしまう。

 

 「ダメじゃないかぁ、緋沙子ちゃん。逃げようとなんかしちゃあ」

しどろもどろで立ち上がれない緋沙子を跨ぐようにして立ちはだかる草男。

「ほぉら…緋沙子ちゃんのスッポン料理で、こんなにおっきくなっちゃったんだよ?僕のおちん○ん」

カチャッ、ジーッ…とベルトとジッパーを外すと、勢い良くズボンを下ろす。

下着ごと下ろされた下半身は一糸まとわぬ姿となり、反り立った努張が情熱に滾っていた。

 

 「…きゃあああああああっ!?」

いきり立ったペニスがぶらぶらと、緋沙子の目の前で縦に揺れる。

咄嗟に目を閉じて顔を両手で覆ったが、一瞬だけ見たソレの残影が、暗闇の中でも鮮明に現れる。

 

 「あれあれぇ~?緋沙子ちゃんもしかして男の人のお○んちん見た事なかったのかなぁ?」

おちょくるようなふざけた声を出して、緋沙子を挑発する草男。

見た事があったとしても、目の前でいきなり露出されたら誰もが驚いてしまうだろう。

 

 

 「ぐへへっ…緋沙子ちゃんが悪いんだよ?スッポン料理なんて食べさせて、僕をその気にさせるから…」

「ちょ…貴様、何を!」

ブレザーとシャツを強引に脱ぎ散らかすと、仄暗い部屋で脂汗に光る肥満体が露わになる。

まるでゴキブリだ。

全裸になった草男は、腰に力が入らず、立ち上がれない緋沙子に、覆い被さるように腰を沈めていく。

 

 「…!?やめろっ!抱き着くな!」

「はぁ、はぁ…緋沙子ちゃん良いにお~い」

ふんふんと鼻を鳴らして、緋沙子の香りを堪能する草男。

抵抗しようにも力が入らないのでなされるがままにされてしまう。

 

 「うへへ…これもえりな様の傍にいるせいで目立たないけど、緋沙子ちゃんも結構オッパイおっきいよねぇ」

緋沙子の腹の上に馬乗りになった草男は、乳房を揉み出す。

ブレザーの上からでも形の分かる豊乳は、15歳にしてはかなり発育している。

 

 「くっ、やめろと言っているのが聞こえないのか!この変態!」

一杯に広げられた平手は、力無く草男の頬に叩きつけられる。

意識が鈍っているせいでビンタも満足にできない。

草男はそんな抵抗をものともせず、緋沙子の乳を揉みしだく。

 

 それに、気になっていたのは胸だけではない。

緋沙子のふとももにあてがわれたペニスが、さっきから大きくなっているのだ。

両脚で緋沙子の片脚を挟むように固定し、乳房を堪能しながら素股を愉しむ草男。

普段、体に良い物を多く摂っているせいか、緋沙子の肌はすべすべだった。

 

 

 「いつもはえりな様の秘書として謙遜してる感じだけど、今日はそんな遠慮いらないからね。今夜は緋沙子ちゃんを僕のお姫様にしてあげるよぉ!」

『僕のお姫様』という言葉にぞわりと不快感と嫌悪感が滲み出る。

普段はえりなの秘書として黒子に徹する彼女だが、彼女にも一定の理想はある。

こんな奴の姫にされるだなんて冗談じゃなかった。

 

 「王子様とお姫様の夜伽がこんな床の上じゃ興醒めしちゃうね。そこのベッドでしよっか」

あらかじめ草男が用意していたのか、質素な部屋に不似合いな真新しいベッドが隅にあった。

ふらつく足では抵抗もままならない内に、ベッドへ押し倒される緋沙子。

 

 「とりあえず僕は脱いだ事だしさ、緋沙子ちゃんも脱いじゃおっか?ねっ」

「や、やめろ…服を掴むな!あっ!」

強引にブレザーの襟を引っ掴んで脱がすと、シャツも引きちぎるようにして脱がせ、スカートもずり下ろす。

あっという間にひん剥かれた緋沙子はピンク色の下着も引き裂かれ、黒のソックスのみとなってしまう。

 

 

 「やっぱりスタイル良いねぇ…緋沙子ちゃん」

豊かな乳房に引き締まった腰。

均整のとれた肢体はとても15そこらの少女とは思えない。

「女の子の裸見るの、これで初めてだけど、緋沙子ちゃんでこれだったらえりな様は…ぐふふっ!とんでもないんだろうねぇ!」

「あのお方の下劣な妄想をするな!!」

草男の妄言に吐き捨てるように声を荒げる緋沙子。

もうえりなの傍には戻らない、と心に誓ったものの、えりなを想う心を完全に捨て去る事はできなかった。

 

 「そう怖い顔しないでよぉ~、せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」

緋沙子の威勢を逆撫でるような、ふざけた態度を取る草男。

普段はたおやかで、家庭的な雰囲気すら漂わせる彼女も、この時ばかりは眉間に皺を寄せ、烈しい憤りを露わにしていた。

「それに、今日は緋沙子ちゃんがお姫様の日なんだからね?えりな様の事は気にかける必要はないんだよ」

草男の顔がぐっと近づき、お互いの息と息がぶつかり合う。

「機嫌直しに王子様とお姫様の熱い接吻、しちゃおっか…」

 

 草男の口先に力が込もり、獲物をついばむ魚の口のようにすぼめられる。

狙うは初々しい、薄紅色の緋沙子の唇。

 

 「なっ!やめっ…むっ!?ん゛んっ!!」

襟足に伸びた桜色の髪をかき分け、うなじを両手で抱えた草男は、自らの唇の方へ引き付けるようにして、深く強く濃くキスを味わう。

お互いの鼻と鼻がぐにゃりとぶつかり合い、顔全体を押し付けられた。

 

 ぶぢゅっ!!ぢゅるっ、ちゅっ!ぢゅぞ、ちゅくっちゅくっ!

緋沙子の頭を抱えた両腕に、か細い指が爪を立てる。

しかし、キスの快感に陶酔している草男は、爪を立てられる痛みなぞ全く感じない。

唇全体を覆われるように重ねられ、草男の口の中で緋沙子の唇が舐り尽くされた。

 

 (初めてなのに…こんな奴に…!)

えりなの秘書一筋だった緋沙子にとっては恋愛など二の次三の次、ましてやキスなど絵空事。

しかし、緋沙子も一人の乙女として、お互いを想い合い、愛し合う異性とファーストキスを交わしたい、そのくらいの理想は持っていた。

それが儚くも、目の前にいる醜悪な男によって打ち砕かれる。

悲しみと恐怖に歪んだ緋色の瞳は、陽炎のように涙の中で震えていた。

 

 ちゅばっ、ねぱぁっ…

唇が離れてもなお、名残を残すように、ねっとりとした唾液が糸を引く。

顔を上げた草男が見下ろすと、緋沙子の頬に一筋の涙が垂れているのが目についた。

 

 「はぁっ、ふぅっ…もしかして、緋沙子ちゃん初キスだったの?うはは!こんなに可愛いのにまだキスもした事なかったなんて」

「ぅ、うるさい…触るなぁ!」

緋沙子の頬に指を当て、零れた涙をすくう草男。

純情の疵口をえぐる悪魔の手を、緋沙子は思い切りはたく。

 

 「僕も女の子とキスしたの初めてだったけどねぇ、緋沙子ちゃんの唇、軟らかくてふわふわで…もう、気持ちよかったよぉ!」

悦楽にだらしなく開いた口から唾液が漏れる。

ぼたぼたと垂れた唾液は緋沙子の顔を妖しく濡らした。

 

 「ふざけた事を…ほざくなっ…」

力が入らない中でも、左右に体を捻ってなんとか逃げようとする緋沙子。

馬乗りになった草男の腹を両手で押すもびくともしない。

 

 

 「そう僕の事嫌いにならないでよ。今夜、僕は君の王子様なんだから。…それに、さっきのキスで僕のここ、こんなになっちゃったんだからぁ!」

「…いやぁっ!」

膝を立てると、いきなり緋沙子の顔の前で痛いほど勃起したペニスを見せつける。

スッポン料理で下半身が温かくなった上、蕩けるようなキスで限界まで膨れ上がってしまったのだ。

今にも爆発しそうに赤く膨張したペニスを眼前にして、恐怖の余りに顎をわなわなと震わせる緋沙子。

 

 「うへへぇ…どうしよっかぁ」

垂れた腹を押し上げるくらいまで反り立ったペニスに、中途半端に被った皮を剥きながら思案する。

とりあえず一発出したくて出したくてしょうがない気分だったのだ。

さっき味わった唇でペニスをしゃぶってもらったらどうなるだろう?

きっと腰がはじけるくらい気持ち良くなって、すぐにイっちゃうんだろうな。

あるいはパイズリで緋沙子の顔に出してやるというのもアリかもしれない。

年端に似合わず豊かに実ったその乳房は、僕のペニスを包むのに十分だろう。

もしくは顔に直接すり付けてやるというのも良さそうだ。

 

 緋沙子の可愛い顔を見ている内に答えが導き出される。

「亀頭は亀頭でも僕の頭は切っちゃダメだからね、優しくしてくれよ…」

食戟の時に、緋沙子が躊躇なくスッポンの頭を切り落とした事を思い出す。

あんな風に僕の亀頭も痛々しい目に遭わなければ良いのだが。

 

 ズボッ!!

「…ぐむぅっ!!?もが、んごっ!?」

口にペニスを突っ込まれた緋沙子が、目を見開いて何やら呻いている。

おそらく何が今自分の身に起こっているのか理解できていないのであろう。

フェラチオという言葉すら知らなかったかもしれない。

 

 「はぁ、はぁ…いいよぉ、緋沙子ちゃんそのまましゃぶっててねっ」

じゅぽっ、じゅぽっ

唾液で濡れそぼった口腔を熱く火照ったペニスが淫らな音を立てて、抜き差しされる。

緋沙子の顔を股に挟むようにして、掴んだその顔を激しくグラインドさせる。

ざらざらした舌の表面に亀頭を擦り付けるのが草男のお気に入りだった。

 

 「んむっ!んぐぅ…っ、はむっ!んっ、ふっ…」

日頃、えりなの振舞う絶品料理や自前の薬膳料理を味わうこの口に、限界まで勃起した男性器が入っている事を、緋沙子は認められなかった。

舌から伝わる独特の苦味は本能的に緋沙子の雌を呼び覚まし、いやでも体が熱くなってしまう。

 

 「…!?」

虚ろな目から一転、瞳孔に力が戻ると、すぐさま顎にぐっと力を込める。

理性の目覚めた緋沙子は、草男の猛る本能に歯を立てた。

しかし、あまりにも草男のペニスが大きく、硬過ぎるせいで、しっかりと噛み付けないのだ。

反対に緋沙子の顎が疲れる一方であった。

 

 「緋沙子ちゃんそんな甘噛みされたら、余計気持ち良くなっちゃうよぉ」

非力な緋沙子の噛み付きなど草男にとっては甘噛みに過ぎない。

「緋沙子ちゃんも僕に気持ち良くなって欲しいんだね?嬉しいよ。君に奉仕してもらえるなんて…」

(奉仕だと…ふざけるなっ…)

奉仕とは心の底から尊敬できる人物へのおもてなしの事。

こんな変態に奉仕をするなど、ありえない。

一瞬、えりなの顔を思い浮かべると、さらに顎に力を込める。

 

 「だからそんな風に甘噛みされたら…っ、うっ!イっちゃう!」

ドビューッ!ドビューッ!ドビュドビュッ…

フェラをさせてからものの2分ほどでイってしまう草男。

幹の上でえりなをオカズにオナニーした時以来、溜めていた濃厚な精液が緋沙子の口腔を一杯にする。

 

 「ん゛、むぅっ!?」

喉奥深くに注ぎ込まれるように口内射精をされた緋沙子は自然にその精液を飲み込んでしまう。

くっくっ、と貝殻のような咽頭が鳴るのを見て、草男は初めて緋沙子が自分の精子を飲んでくれている事が分かる。

喉を下ると、独特の苦味が口一杯に広がり、やがてそれは不快感や嘔吐感を催す。

忌み嫌う草男の遺伝子を飲まされているなど信じたくなかった。

ペニスが引き抜かれると同時に、口に残った精液を吐き出すも、舌にべっとりとしつこく粘ついたものは何時までも不快感を与え続ける。

 

 

 緋沙子の唾液でてらてらに濡れたペニスは、未だ努張を保っている。

それどころか、射精前よりも長く太く、逞しくなったようにさえ見える。

 

 「くふっ!ごほっ…うぅ」

体を丸くして、咳き込んでいる緋沙子。

しかし、涙をためたその瞳は、草男への荊棘を忘れてはいない。

 

 「緋沙子ちゃんのお口の中、気持ち良かったよ…でもね、おかげでもう、ガマンできなくなっちゃった」

仰向けになった緋沙子の両手首をベッドに押し付け、磔のような体勢で固定すると、下半身同士を擦り合わせる。

いわゆる正常位といった体勢だ。

これから何をされるのか悟った緋沙子は、脚をばたつかせ、草男を蹴りつける。

 

 「やっ、やめろ!貴様、何をするつもりだ…!」

「ナニをするって?そりゃあ決まってるでしょ。男と女の愛の営みってやつだよ」

腐った魚のような異臭のする吐息を吐きかけながら、草男は腰を浮かせる。

自分の秘所に草男の先端が当たるのを感じて、必死にもがく緋沙子。

 

「今日は緋沙子ちゃんを僕のお姫様に…僕のオンナにしてあげるからね。最初は痛いかもしれないけど、我慢してくれよぉ」

唾液とカウパー液で濡れた亀頭がぬぷぬぷと緋沙子に侵入してくる。

「ひっ、いやあ!」

折り曲げられた脚で草男の腹を蹴って、なんとか押しどかそうとする。

が、睡眠薬で鈍った体は本来の力の半分も使えない。

無力な少女は欲望と情熱の淵へ落ちてゆく。

 

 

 「あぐっ、うっ、あぁああああああああああああっ!!!」

草男の腰が緋沙子の尻に押し当てられると、猛った欲棒は全て膣に収まる。

その瞬間、緋沙子の処女膜は破れ、無垢で清廉な乙女の園は男の熱く滾った情欲で強引にこじ開けられていく。

 

 「い、痛っ!痛い!抜いて、抜いてっ!」

哀願するような悲鳴に思わず腰を引く草男。

普段は冷静な態度でえりなの脇を固めている緋沙子だが、一人の女にさせられた今、女性としてのか弱さが露わになる。

女を支配する悦びに笑みを浮かべながら、軽く突いてやる。

 

 「はぁ、はぁ、ごめんねぇ…緋沙子ちゃんが可愛いからつい、奥まで突いちゃった」

極度の興奮で震える手で乳房を鷲掴みにしながら、なるべくゆっくりと腰を揺する。

重たげに腹をたぷたぷと揺らし、不慣れそうにカクカクとピストンを繰り返す。

 

 「ひ、ぐっ…許さんぞ、貴様が今日した事は全て…んむっ!?」

言葉を遮るように、唇を重ねられる。

再び蘇るあの感触。

薬を盛られ、キスをされ、もがく事も叫ぶ事もできずに、緋沙子はただただ屈辱を舐めさせられるだけ。

 

 草男のキスはさらにエスカレートし、舌まで挿し込んでくる。

硬くいきり立ったペニスならともかく、舌なら思い切り噛めるだろう。

そう高を括った緋沙子の考えも虚しく、おとがいを掴まれ、顎を閉められなくされてしまう。

 

 口を半開きにさせられている状態でディープキスをされているので、唾液が唇の端から漏れてしまう。

草男は時折、重ねた唇をスライドさせ、顎に垂れた緋沙子の唾液を吸い取る。

普段の緋沙子からは想像もできないようなはしたない表情。

それがなんだか、緋沙子には日頃他人には見せない自分の内部を監視されているようで、恥ずかしかった。

 

 ディープキスをしながら挿入しているせいか、膣の中でペニスがさらにむくむくと大きくなる。

唇に集中しているおかげで腰の動きはおろそかになっていたが、こんな巨大なモノで突かれたらどうなるのかと、恐怖を煽られる。

もしかすると女性器が壊されてしまうかもしれない、そこまで危惧させられるほど草男のぺニスは凶悪且つ凶大だった。

 

 くちゃ、ねちゃっ!ちゅるるっ…ちゅばっ、れろ、ちゅくっちゅっ

「ぷはぁっ!」

唇と舌で散々淫らな音を奏で、唇は離れていく。

おとがいを掴まれたままだったので、唇の離された緋沙子はだらしなく開いていた。

 

 「うほっ!緋沙子ちゃんエロい顔してるねぇ!」

まるで主人に餌をねだる犬のようだ。

口を慎ましやかに小さく開ける訳でもなく、あんぐりと大きく開ける訳でもなく、中途半端に開かされた緋沙子の口は「はぁっ、はぁっ」と掠れた息を発している。

屈辱と怒りに潤んだ瞳は、男に媚びる売女を連想させる。

その様が、草男が緋沙子を屈服させたという最も象徴的な姿に見えて、草男の興奮を誘う。

 

 「もう一回キスしよっか」

嗜虐心くすぐる緋沙子の表情に、思わずもう一度唇にかぶり付く草男。

乾いた唇に、草男の唾液が染みていく。

 

 「むぅっ!うぅぅっ!!」

今度は口付けもしながら腰も振る。

体を重ね合わせ、唇を押し付け、緋沙子の凹に自らの凸をはめ込む。

こうする事で、体も心も一つになれた気がするのだ。

唇から伝わる甘い官能が、草男のペニスをより膨らませる。

 

 それだけには留まらず、舌と舌も絡み合わせる。

草男の舌先が緋沙子の舌に触れた途端、バチンと体を震わせるような衝撃が神経に走る。

まるで静電気のようだった。

それが電流となり脳髄を灼き尽くした後は、脊髄を伝って、睾丸をも打ち震わす。

 

 「うおおおおおおおわああっ!!出るぅうううううううううっ!!!」

ドビューッ!!ドビュッ!ドビュッ!ドビュルルル!

「えっ嘘!?いやっだめ!中はだめえええええええええええっ!!」

体を仰け反らせ、潸然と零した涙を舞い散らす。

最奥までペニスに貫かれたかと思うと、子宮に直接精子を注ぎ込まれる緋沙子。

屈辱と汚熱に苛まれ、非情な仕打ちに顔を両腕で覆う。

 

 「はぁっ、はぁっ、まだ出てるよぉ…緋沙子ちゃん」

数分間射精し続けたのにも係わらず、未だにペニスはぴくぴくと脈動し、できるだけ数多くの種を緋沙子に注ごうと必死になっていた。

 

 「へへ…まだまだ、スッポン料理でビキビキにさせられた分は出し切れてないからねぇ。今夜は長いよぉ~!」

射精の余韻に浸る暇もなく、さらに次の絶頂へ登りつめんと腰を振り出す草男。

ズッチュズッチュと精子で濡れた膣道が淫らな音を立てる。

 

(えりな様…逃げ、て…)

灼熱の溶岩に浸されてもなお溶けない鉄のように、硬く鍛えられた少女の忠義は主君を思い続ける。

そのひたむきな誠忠ぶりが主君を苦しめる事になるとは知らずに。

 



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薙切えりな

 「勝者、薙切えりな!!」

満場一致での圧倒的勝利が観衆の大歓声を呼び起こす。

誰もが予想した勝利でありながら、その勝利はあまりにも多くの観衆の心を打ち震わせ、感動させる。

味わうまでもなく、見るだけで満足させられる。

それだけのものがえりなの料理には備わっていた。

 

 鳴り止まぬ大歓声の中、膝を折った敗者を尻目に悠然と背中を向けて歩き出すえりな。

束ねた金髪を解いて、その腰まで伸びた長い髪をなびかせながら立ち去る様は優雅で美しい。

料理が料理なら、作った者も作った者。

食べた者の舌を満足させるだけでなく、見ている者の目まで満たしてしまうその料理人は、正に薙切の名に相応しかった。

 

 「ふぅっ…」

廊下に出て、誰もいない事を確認してから少し息を吐き出す。

世界的に高名な料理人として知られるえりなは学生という身分でありながらも、スケジュールは来月まで一杯になっている。

三ツ星料理店の試食会、遠月十傑評議会、編入試験の試験官、食戟…

そして自身の腕の研鑽。

束の間のゆとりさえない日々に、えりなは内心疲れ切っていた。

 

 「えーりなっ」

ふいに後ろからかけられた声。

もったりとした重ったるい声に振り向くと、そこには遠月学園の制服を着ている太った男子生徒がいた。

 

 「え、来てたの?」

「来てたの?って、本当は分かってた癖にぃ」

ぴりぴりと張り詰めたような緊張感を漂わせていたえりなが相好を崩して、声の主と親しげに会話を交わし出す。

周りに誰もいない事を確認すると、男の元へ歩み寄る。

 

 「食戟の最中目が合ってたんだけどなー、何度も」

「っ!?あ、あれはっ!ちょっと、カメラのフラッシュが気になって…」

確かにあの薙切えりなの食戟ともなれば写真を撮りに来る連中もいるだろうし、どんな目的なのかはさておき、動画を撮っている者もいるだろう。

しかし、男がいたのは観客席の入り口近く、およそカメラを向けるには都合の悪い位置だったのだ。

 

「言い訳は良くないね、えりな…そんな君も可愛いけど」

「……うん…」

男の元へ歩み寄ったえりなが頭を撫でられて、猫のように縮こまってしまう。

こんな姿、他の生徒にでも見られようものならただ事では済まないだろう。

翌日の遠スポは一面えりなのフライデーで埋まってしまう。

 

 でっぷりと肥えた腹がえりなのくびれた腰に当たる。

それほどまでに距離を縮めていた両者は今にも情熱的なキスを交わしてしまいそうなほど、熱っぽい視線でお互いを見つめている。

蕩けるような媚びるような目付きで煽情的に見つめてくるえりなを、がっしりと受け止めるように微動だにしない男の視線。

えりなが男の腰に回した手が引き寄せるように、男を求めているように見えた。

 

 「…ダメだ。こんな所でそんなイケナイ事をしちゃ、大変な事になっちゃうよ」

「ぁ…」

しかし、男の太い腕がえりなの腰をぐいと半ば強引に押し離す。

確かに男の言う通り、廊下でキスでもしている所を見られようものならとんでもない騒ぎが起こるだろう。

男の理性の氷水が焼き石のように熱くなったえりなの情熱を冷ましてしまう。

 

 「じゃあね、えりな。しばらくは二人っきりになれないだろうけど、また…」

「待って!」

何かを断ち切るように足早に立ち去りかけた男をえりなの迫るような声が止める。

切なさに濡れた瞳が想いのしめやかさを滲ませる。

 

 「抱いて」

姿勢を少し屈めて、男の胸に顔を押し当てるようにしながら、小さく囁く。

消えるようなか細い声だったが、男にはえりなが何を言ったのか理解できた。

 

 「どうしたの?急に…」

「もうガマンできないのっ!私、寝ても覚めても貴方の事ばかり考えてしまって…今日も食戟の最中に貴方の顔を見たら、それから貴方の事で頭が一杯になって…もう貴方無しじゃいられないのっ!!だからっ、もっと激しく、その…貴方の存在を確かめたい…貴方の存在をこの身で知りたい!」

堰を切った激流のように、熱い想いを吐露し出すえりな。

溶岩のように熱く濃厚な愛情が身に浴びせられる。

 

「お願いだから…今日だけっ、今日だけ…甘えさせて…」

身の疼きが抑えられないのか、僕のシャツの胸の辺りを掴みながらぶるぶると震えているえりな。

僕の胸を涙で濡らして、上目遣いで求めてくる。

そんな顔で懇願されちゃあ、反則だよ…

 

 「…んぁっ!?」

えりなの腋を持ち上げるように抱き抱えるとびっくりしたような声を上げる。

「ごめんね、びっくりした?…でも、顔上げないと、できないよね?」

顔を上げたえりなは丁度僕と同じくらいの背の高さだ。

そのまま顔を前に突き出すと、えりなの唇が近付いてくる。

 

 「はぁぁっ…あぁ…」

陶酔したような息遣いで愉悦の情を表現するえりな。

何をするのか悟ったように、僕の腰へ軽く手を当ててくる。

彼女は口をすぼめて、待つまでもなく僕の唇へ迫ってきた。

 

 ハァハァ…やっと憧れのえりなの唇が僕の目の前にっ…!

ぷるぷるで、ぷにぷにで、きっと軟らかいんだろうなぁ…見るからに軟らかそうだもんなぁ…

えりなはキスとかした事ないんだろうなぁ…という事は僕とのキスがファーストキス!?

やばい、そんな事考えてたらアソコが爆発しそうになってきたよ…なんたって、あのえりなとキスでき…る?

え?そんな訳ない…なんで…?

あぁ…そうか、そうだよな…そう、だって、これは…

 

 

 夢。

どうせそうだ、と思った頃には現実に引き戻される。

僕はもうこの感覚には慣れっこだった。

 

 「むぅ…っ」

身を起こそうとすると、ねちゃっと粘ついた、嫌な感触を下半身に覚える。

この感触も慣れっこだった。

立ち上がってゆっくりとズボンと下着を引き下ろすと、精子で濡れたペニスが脱いだ物と透明な糸を引く。

えりなとキスをする夢で夢精してしまったのだ。

 

 慣れたとは言えども、何時になっても起きてすぐに風呂場に直行させられる不快感は拭えたものではない。

射精する気持ち良ささえも夢の中に置いていかれるので余計に迷惑だ。

すぐに風呂場に入ると、下半身と衣類にこびりついた夢の残滓を温かい水で洗い流す。

 

 粘り気の強い僕の精子はそう簡単には落ちてくれない。

しかし今日の夢はなかなか素晴らしいものだった。

僕とえりなが恋人同士という設定で食戟を終えた彼女がたまらず僕を求めてくるというもの。

今まで色んなえりなの夢を見てきたが、今日の夢は格別だった。

あんな美人で可愛らしく、高貴な女の子に求められるなど夢のまた夢ではないだろうか。

無機質に手を動かして、温水の中で衣類を揉みながら、夢の余韻に浸る。

 

 しかし、良い所までは行っても、その最後の一歩をどうしても踏み込めないというのが夢というもの。

多分、えりなとのキスを目前にして、興奮で体が起きてしまうのだろう。

今までもえりなにペニスを挿入する直前、えりなのオッパイを吸う直前、えりなのお尻を撫でる直前、などといった場面で僕はいつも灰色の現実へと引き戻されてしまっていた。

 

 ただそうやって夢に踊らされるのも今日で終わりだ。

寝起きで頭がぼやついていたせいで今まで忘れてしまっていた。

僕はえりなの『最も大切なもの』を握っている事を。

 

 流石に僕の頑固な精子もそろそろ落ちてきた。

それだけ質の良い、受精させる能力の高い精子だという事だろう。

精子を洗いに来たついでに、全身も洗ってしまおう。

ちゃんと体の隅々まで洗わなきゃね。

愛しのえりなの体を汚さないように。

 

 

 放課後のロマンスこと、体育館の裏。

人目に付かず、静かなここでは青春を全うする少年少女達が密かに落ち合い、想いを告げる。

今日も人知れず、密約の下に足を運ぶ男女が一組。

しかし、艶やかな長い金髪を靡かせる美少女に、でっぷりと肥えた腹を湛えた短躯の風采の上がらない男。

男の方から一方的に恋心を告げるにしても、あまりにも不釣り合いであるように見えた。

 

「ぶひひひひい!!約束通り来てくれたんだね、えりなたああん」

「…ッ」

いきなり自分の名前を「たん」付けで呼ばれた気色悪さに身の毛がよだつ。

本来であればこんな醜男と人目を忍んで会う約束など遠月学園総帥の孫娘である彼女が立てるはずがないのだが、そこには奇怪な事情が絡んでいた。

 

 「…緋沙子は無事なんでしょうね?」

えりなと呼ばれた金髪の少女は、アメジスト色に煌めく瞳で射抜くような視線を醜男に向ける。

「ああ勿論だよぉ、緋沙子ちゃんには傷一つ付けてないからねぇ」

(傷物にはしちゃったけどね、ぶひひ!)

そう言って、醜い男はポケットから自身のスマホを取り出し、液晶を見せつけるようにしてえりなに突き出す。

見せつけられたスマホの液晶には両手を縛られて、目隠しと猿轡を着けられたえりなの秘書、新戸緋沙子の姿が映っていた。

 

 「緋沙子っ!」

それは昨日、えりなが個人的に利用しているメールアドレスに送られてきた、見知らぬメールに添付されていたものとほぼ同じものであった。

薄暗い部屋に緋沙子と思しき少女が縛られて、うなだれている画像。

確かに傷が付いていないのは確認できるが、拘束された痛ましい姿にえりなの心が痛む。

さらに緋沙子の生徒手帳の画像も送られてきたので、縛られているのは緋沙子本人なのだと確認できる。

 

 「貴方があのメールを送ってきた肝井草男ね?…なぜ緋沙子を」

「なぜって、そりゃあ今こうしてえりな様と会うためだよ」

現状を示すように両腕を広げる草男。

えりなが草男の名前を知っていたのはメールの最後に彼の名前があったから。

どうやら緋沙子を捕えて拘束したのはえりなを釣り出すためだったようだ。

 

「緋沙子をダシにして、私を呼び出そうって肚だったのね…そんな事のために緋沙子を…許せないわ」

いつもの余裕ある悠然とした立ち振る舞いとは打って変わって、鋭い剣幕で静かに憤るえりな。

怒りのあまりに細い肩、そしてたわわな乳房がかすかに震える。

「おおっとぉ!そんなに怒ったえりな様のお顔は初めて見たなぁ。んん~怒った顔も可愛いねぇ…写真撮っちゃおっかな?」

「ふざけないで!!」

バチンと向けられたスマホをはたき落して、憤る。

 

「そんな大きな声出さないでよぉ」

不敵な笑みを浮かべながら、えりなを諌めるように手を振る。

幸い声は誰にも聞かれる事はなかったようだ。

「くっくっく、安心してよ。今後も緋沙子ちゃんに危害を加える事はないからね…えりな様が僕の言う事を聞いてくれれば」

「なんですって?」

こんな見るからに下賤な男の言う事を聞くなど冗談ではない。

日頃、権柄ずくな態度を取り、人に言う事を聞かせる側のえりなにとってはこの上ない屈辱である。

しかし、緋沙子の身に危険が及ぶとなれば、えりなは生まれた時から積み上げられたプライドさえも折る事をも辞さない。

 

「えりな様が僕を言う事を聞かなければ、緋沙子ちゃんの身がどうなるか分からないよぉ?少しでも反抗的な態度を取ればこのスイッチ押しちゃうかもねぇ」

そう言って、ポケットから何かを取り出す草男。

「これ、な~んだ?」

「…」

見た所何かのスイッチだろうか。

簡易な作りで掌サイズに押すスイッチが一つだけ、という漫画に出てくるようなスイッチ。

 

「ぶひひっ!これ、緋沙子ちゃんがいる部屋の爆弾スイッチ」

「!?」

爆弾、と聞いて目を見開いて身構えるえりな。

しかし、冷静に考えれば、この手の話はただの脅しである場合が多い。

えりなもよく親族から「爆弾を仕掛けた」という脅迫状が来るという話はよく聞いていたが、実際に親族の家が爆破されたなどという話は聞いた事がない。

 

「ば、爆弾?ふんっ、そんな物、貴方に手配できる物なのかしら?」

ふんぞり返って余裕がある事を見せつけようとするえりな。

「まぁ信じるか信じないかは別として、急がないとまずいかもねぇ~。緋沙子ちゃん昨日から何も食べてないから」

「えっ?」

昨日から食べていない、という事は最低でも一日以上何も口にしていないという事になる。

人間、何日も物を食べていないと餓死してしまう。

そういえばスマホに撮られた緋沙子の頬は、心なしか少し頬がこけているように見えた。

 

「僕を警察に突き出しても緋沙子ちゃんの居場所が分かるとは限らないよ?僕が黙秘を貫いている間に、緋沙子ちゃんが死んじゃうかもしれない…」

えりなの憐憫を煽るようにわざと声をひそめるように語りかける草男。

緋沙子が死ぬなど冗談でも考えたくなかった。

幼い頃からいつだってえりなの傍にいてくれて、いつも支えてくれた親友。

彼女がいない時にはそれだけで不安に駆られる事さえある。

 

「大人しく僕の言う事聞いた方が賢明だね?…さ、ホテルに行こっか?」

行きたくない。

けれども、緋沙子のためには行かなければいけない。

自分の身か緋沙子の身か。

二つの葛藤の狭間で思い悩んでいる内に、草男の手配するラブホテルの前まで来てしまっていた。

 

 

 「ここだったら誰にも見られる事はないからねぇ…思う存分愉しめるよぉ」

「…」

遠月学園から少し離れた所にあるラブホテル。

運良く、道中で学園の生徒に見られる事はなかったが、えりながラブホテルに入る姿など見られようものなら遠月学園の外でも話題になってしまうだろう。

(それもこんな醜い男と…)

身分の高い生まれであるえりなにとって、草男の容姿は生理的に受け入れ難いものであった。

でっぷりとだらしなく肥えた体に、ニキビでデコボコになった月面のような肌。

ただ、脂ぎった肌が光を浴びてでろりと反射する様はとても月などと言えたものではない。

そのくせ、鼻は潰れたように低く広く、骨格の凹凸の少ない顔はまるで壁のようだ。

見ているだけで腐臭が漂ってくるような容貌に、えりなは背中を向けて拒絶の意を示していた。

 

 「今日は僕の言う事を全部聞いてもらうからねぇ」

後ろからその華奢な両肩に手を置いて、耳元に息を吐きかけるように囁く。

「きゃっ!?」

その馴れ馴れしい声と手つきが余程気に入らなかったのか、びっくりして草男の手を払いのけるえりな。

普段は威圧的なまでに威厳を漂わせて立ち振る舞うえりなが、目を大きくして驚く様が新鮮だった。

息を呑むようなか細い悲鳴も、彼女の精神的に女性らしい一面を覗けたような気がして草男の興を誘う。

 

 「ぶひひっ!ダメじゃないかぁ、言ったそばから僕の手を払いのけるなんて…」

叩かれた手にフーフーとわざとらしく息を吹きかけながら、余裕ありげに微笑んでみせる。

豊満な両胸を持ち上げるように腕を組んだえりなは、一見いつも通りの、優雅で婉麗な雰囲気を取り留めているようで、その表情は不安と恐怖で淀んでいた。

 

 「次からはちゃんと僕の言う事聞かなきゃダメだからね?じゃないと緋沙子ちゃんが…」

「分かってるわよ」

その先は聞きたくないと断ち切るように言い放つえりな。

目を伏せて、少し横を向くように顎を引いた顔が仄暗く影を帯びる。

生え揃った睫毛が折り重なって、黒く縁取られた目元は瀟洒な印象を与えた。

 

 「分かってくれたかな?じゃあ僕の言う事聞いてもらうからね…」

カチャカチャ…ジー…とベルトやジッパーの音と共に、草男は次々とズボンと下着を脱いでいく。

目を細めて、斜に構えているえりなは草男が何をしているのか、気付いていないようだった。

多分、見えていたとしても、高貴な生まれであるえりなには信じられないだろう。

(しっかし、今朝夢精して下半身を洗っちゃったのはちょっと勿体なかったな…折角溜まったチンカスをえりなに舐めさせてあげようと思ってたのに)

 

 「えーりなっ、こっち向いてよ」

いつの間にか呼称が『えりな』と呼び捨てになっている事に身の毛がよだつ。

草男の事など視界にさえ入れたくない。

えりなの全身からは痛いほどに嫌悪感が漂う。

しかし、指示に従わなければ緋沙子の身に危険が及ぶ。

プライドを折って渋々と目を開いた先には、天を衝かんとばかりに反り返ったペニスがそびえ勃っていた。

 

「…えぇっ!??いやっ、え?な、な、何をっ!!??」

酷く混乱した様子で、ばっと両手で顔を覆いながら部屋の隅へと逃げるえりな。

なりふり構わない様子でおどおどと後ずさると、どさっと小さな肩が壁に当たって、そのまま床にへたりこんでしまった。

(まあ無理もないか、男のペニスなんて間近で見た事ないだろうしなぁ)

それもフルボッキしたものを。

顔を覆った両手の隙間からは、熟れたリンゴのように真っ赤に染まった頬が覗いた。

 

 「僕の言う事、なんでも聞いてくれるんだよね?」

部屋の隅に追い詰められたえりなに、しつこく確認するように問い掛ける。

普段は高慢にさえ映る態度を取っているえりなが、ペニス一つ見せられただけでここまでパニックに陥る様に男は興奮する。

えりなが普段身に纏っている上品で気高いオーラを、ペニス一つ見せてやっただけで引っ剥がして丸裸にしてやったような気分にさせられる。

 

 

 「ねぇ…これ、舐めてよ、えりな」

草男が硬くなったペニスをぶらぶら揺らしながら問い詰める。

えりなは目の前で起こっている事が信じられないのか、現実から目を背けるように体育座りで顔を膝の間に埋めていた。

(へへっ、白いパンティが丸見えだぞぉ)

 

「舐めないと、どうなるか分かるよねぇ?」

「うぅっ…」

(あんな臭くて汚いものを…舐められる訳ないでしょう…)

体育座りで表情を隠していても、なんとなくえりなが頭の中で葛藤しているのは見て取れる。

男のモノなんて舐めたくない。

けれども、舐めなければ緋沙子の身に危険が及ぶ。

最終的には緋沙子を取って、仕方なしに舐める事を選択するのだろうと多寡をくくっていたが、草男の理性はその葛藤に答えが出る瞬間を待てるほど強くはなかった。

 

 「いいからしゃぶってくれよおぉぉ!!」

「んぶっ!!??」

強引にえりなの髪を掴んで、顎を上げさせると軽く開いた口に草男が硬くなったペニスをぶち込む。

えりなは相当びっくりしたようで、目をひんむくように大きく見開いたまま固まってしまった。

いきなり口に突き入れたせいか、口の中にあった空気が圧されて「ぶっ!」と爆発するような音を立てるのも、無様に聞こえて情をかきたてる。

 

 「んっ…ごっ!うっ…んぉっ…ふーっ、ふーっ…んぐ、んおぉおっ!」

やっと現実を呑み込めたのか、鼻で大きく呼吸をして、草男のペニスで一杯になった口の中で何やら呻くえりな。

草男のふとももを掴んで、離してくれと言わんばかりに脚を揺らす。

残念ながら体重100kgを超える草男の巨体は揺らぎもせず、えりなの抵抗は玉袋をぷらぷらと揺らすだけ。

 

 「僕のフランクフルトはどう…?えりなぁ」

後頭部を掴んで、ゆるゆると動かしながら問いかける。

あの『神の舌』がペニスに触れている。

10種類の違うブランドの塩を味見しただけで利き分けると言われる人類最高の舌で味わったおちんちんはどんな味がするんだろうか。

その寸評がえりなの口から語られる瞬間を想像するだけで、草男は達してしまいそうになった。

 

 それに、あの薙切えりながおちんちんをしゃぶっているのだ。

遠月学園総帥の孫娘である事や遠月十傑の一人である事以前に、彼女は年齢不相応なグラマラスな肢体を持った、容姿端麗な美少女。

その身分の高さから、草男の同級生達など男子生徒諸君は口には出さないものの、きっと心の内では彼女に性的欲求を燃やしているはずだ。

いわば、遠月学園のアイドル、マドンナ…

そんな皆の憧れの存在が醜く卑しい男の性器をしゃぶっている。

果たしてこれはあって良い事なのだろうか?

もしかして、またしてもこれは夢なのではないだろうか。

いや、そんなはずはない。

あったかくてぬるぬるの口の中で、ざらざらとした味蕾が敏感なペニスを刺激するこの感覚はとても夢とは思えないほど確かなものであった。

 

 「ぐふふっ…」

「んむぅっ!」

膝をついてしゃぶらせるような姿勢から、前に体重をかけて床に寝かせる。

えりなの顔を跨ぐような姿勢でペニスをしゃぶらせると、涙を湛えた双眸が苦しげに草男の顔を見上げた。

 

 「はぁっ、はぁっ…!かわいいよぉ…えりなぁ」

えりなの顔が見えるようになって、余計草男のペニスは膨張してしまう。

非の打ちどころが無いほどに整った美貌が口一杯にペニスを頬張っているのだ。

顔を真っ赤に染めて、苦しさと屈辱に歪んだその顔からは、いつものお高くとまった様子は微塵も見られない。

氷のように澄ましていたあの女が、勃起したペニスをしゃぶって眉をハの字にしかめている。

高貴な女の媚びるような下品な顔に、男の興奮は最高潮まで達した。

 

 「ううーッ!!出る!出るよおおおえりなぁ!!!」

「んんっ!?むぐっ!んぐぅぅぅーーーーっ!!」

両手で後頭部を抱えて、小さな顔を股間の方へ押し付けるように引き付ける。

えりなの喉奥までペニスを挿し込んだ状態でびくびくと下半身を震わせた。

 

 ドビューッ!!ドビュッ!!ドビュッ!!ドピュッ!

「んごぉっ!!??こっ!ごっ、うっ、ごぶ!おがっ、があぁぁぁっ!!」

喉の奥で射精したから飲み込まずにはいられないはずだ。

それに、吐き出そうとしてもペニスで口が塞がっている。

しかし、それでも飲み込みたくはない。

錯綜する思いが、可愛らしい顔には似合わない下品な音をたてる。

 

 「うっ…あぁ…どうだった?僕のおちんちんの…僕の精子の味は?」

ふるふると腰を揺すって残り汁まで残さず飲ませる。

最後の一滴まで絞り出して、えりなの小さな喉頭がくっくっと鳴ったのを確認してから、ペニスを抜いてあげる。

溜めたチンカスを舐めさせてあげられなかった事が今でも悔やまれる。

 

「…不味いわ、よぉ…っ」

涙ながらに、悪態をついてみせるえりな。

そうでもしなければ己の矜持を保てないといったところか。

(あの神の舌に僕の精子を味わってもらえただなんて、光栄だなぁ…)

アメジスト色の瞳が涙に潤んで、本物の宝石のように見えていた。

 

 

 「けほっ…こほっ!…うぅ…」

草男の精子が余程不味かったのか、四つん這いになってむせるえりな。

しゃくりあげて、間歇的に体をびくりびくりと震わせる様は今にも嘔吐してしまいそうに見えたが、そこはこらえるのがお嬢様としての片鱗と言ったところか。

「苦しそうだねぇ?背中でもさすってあげよっか」

卑しい思いを乗せた両手がえりなの小さな背中へ迫る。

 

 「うぅっ!??うえっ!」

草男がえりなの背中に触れた途端、えりなの体が大きく跳ね上がるようにびくんと強張る。

喉にこみ上げてきた吐き気のボルテージが一気に頂点まで達すると、一目散にバスルームに向かって駆け出したのだ。

 

「おえ゛え゛え゛っ!」

気品漂う美少女にはあまりにも不相応なえずく声。

その声をかき消すようにザバァーッ!ゴボゴボ…と吐瀉物を吸い込む流水音。

酔った人の背中をさすってあげたのが逆効果になってしまった、という話を聞いた事がある。

見も知らぬ男、それも嫌悪すべき醜い男に背中をさすられて、恐怖で体が緊張してしまったのだろう。

 

「はぁーっ、はぁーっ…許さない…絶対に許さない…!」

ポケットからレースのハンカチを取り出して、口元を拭う仕草が時と場所を選ばず上品だった。

下品なフェラ顔晒して無様に嘔吐しようとも、その芯に焼き付いた気品や高貴さは少しも損なわれていない。

苦しそうに顔をしかめながらも、潤んだ瞳で草男を気丈に睨みつける。

 

 だが、どれだけ睨んでも草男がえりなを支配しているという力関係は変わらない。

「まだ気持ち悪いでしょ?背中さすってあげるよぉ」

「いやぁっあぁ!」

無理やり背中にくっついて、力づくでベッドに寝かせる。

後頭部にキスをするように頬を擦り寄せて、背後からたわわなおっぱいを揉みしだく。

 

 「いやっ!ちょっ、どこ触ってるのよ!!」

「はぁ…はぁ…!」

乳房を揉む腕にえりなが爪を立てて引き剥がそうとする。

しかし、非力な女の抵抗など痛くも痒くもなかった。

あまりにもえりなの乳房が軟らか過ぎて痛さなど感じなかったのだ。

 

 「はぁ、はぁ…これが…これが夢にまで見たえりなのおっぱい!」

はち切れんばかりに大きく膨らんだ巨乳を掌中で弄ぶ。

草男の掌で縦横無尽に形を変える乳房は、今にもたぷたぷと何かが溢れているような音を立てそうだ。

まるで揉んだ指が軟らかな乳房に飲み込まれて、そのまま指の跡が残るような可塑性を感じさせる。

 

 それに、制服を着たままというのが素晴らしい。

後ろからおっぱいだけ揉んでいると、その余りの重厚感にえりなが女子高生である事を忘れてしまいそうなほどだが、紺色の双丘を織り成す学園指定のセーターがえりなが女子高生である事を改めて草男に再確認させてくれる。

 

金髪で巨乳で女子高生でお嬢様で…

そんな男の理想を全て具現化したような女の子が見るも醜い男に抱き着かれている。

学級でも目立たず、恋愛事とは無縁の草男にとっては考えただけで涎が滴り落ちそうなシチュエーションだ。

男にとっては快感しかないが、女にとっては不快感しか生まれない。

口から垂れた草男の涎がえりなの金髪にこびり付く。

 

 「ぶひひぃ!えりなのおっぱいは軟らかいなぁ~」

「やめなさい!この、変態っ!」

耳元で息を吐きかけるように囁きかけながら、服の上からでも形が分かるほどに大きな乳房を揉みしだく。

双つの大きな乳房を寄せ上げるように揉むと、その弾力と大きさの余りに草男の両手を反発してくるのがたまらなかった。

まるでえりなの気丈な性格が乳房にも表れているようだ。

 

 

 「ぶひっ!服の上からでこの軟らかさだったら、生で揉んだらどんな感触なんだろうねぇ?」

「はぁ?何言って…ッ!やっ!」

服を脱がせようとした草男の手を必死にえりなが抑える。

しかし、男女で大きな差が出ない料理と違って、腕力では圧倒的に男の方が強い。

女の子の服を脱がすのには慣れていなかったが、力ずくで抑え込んで半ば荒っぽくえりなの服を脱がせていく。

 

 制服と下着を脱がすと、つやつやの肌理細やかな素肌が現れた。

黒いニーソックスのみとなった裸体は爆発的な女性らしさを誇りながらも、均整が取れていてゴージャスだ。

生まれたままの姿にされてもなお、その体から高貴さが薫るように放たれる。

裸を見られる羞恥で頬を赤く染めたえりなは細い腕で豊かな乳房と大事な所を隠して、草男の方をじっと睨んだ。

 

 「ぶひひぃ!想像通り、エッチなハダカしてるねぇ…」

「やっ…見ないで!」

仰向けになったえりなの体に馬乗りのように跨って、胸を隠す腕を引き剥がそうと掴む。

乳首は辛うじて隠せてはいるが、強引に引き剥がそうとする度に乳房がプリンのようにぷるぷると揺れて、興奮させられる。

 

「何を食べたらこんなエッチな体に育つのかなぁ?んん~?えりなぁ」

「ひっ…!」

頬と頬を合わせるように顔を近寄せると、草男の荒くなった鼻息がえりなの前髪を撫ぜる。

醜い顔面を押し付けられる恐怖と不快感に顔をしかめたえりなは、小さな悲鳴を上げるとぎゅっと眉根を絞って目をつむる。

草男の脂ぎった頬とえりなのすべすべの頬が擦れる度にねちゃねちゃと下品な音を立てそうだ。

皆から崇められる神聖なものを穢しているように気分になって、たまらず草男は自身の脂汗をえりなの頬に塗りたくる。

 

 

 「えりなぁ、こっち向いてよ」

「…」

硬く目をつむったまま、草男の問い掛けに応じない。

無言を貫く事で反抗しようという考えなのか。

 

「こっち向かないなら、ちゅうしちゃうぞぉ?」

「…えっ」

薄目を開くと、えりなの視界いっぱいに草男の突き出された唇が映し出される。

あと2cmの所まで迫っていた唇は、えりなが目を開かなければとうに重ね合わされていただろう。

 

 「いやぁああああああああっ!!!」

「ぶっ!」

いきなり頬にビンタをかましたかと思えば、草男の二重顎に腕を押し当てて顔を遠ざけようと試みる。

しかし、非力な女性の腕力では草男の巨体には歯が立たない。

頬に手形を付けた男はすぐに腕をベッドに押し付けて、重たい体で圧し掛かる。

 

「痛いじゃないか、えりなぁ…」

叩かれた頬がヒリヒリと痛む。

しかし、男に臆する事もなくビンタをかますような気高い女に今からキスできると考えると、その頬の痛みも快いものにさえなっていく。

「う゛っ…重ッ…」

華奢な体を押し潰されたえりなが苦しげに呻く。

草男はえりなの両腕を抑えつけたまま、再び唇を突き出す。

 

 「ぶひひ…さっきの続き、しちゃおっか」

「…ッ!イヤッ!やめて!」

腕を磔のようにベッドに押し付けて、唇を近付ける草男。

その華奢な体に全力を込めて逃れようと試みるも、草男の体はびくともしない。

巨体に圧し掛かられて軟らかいベッドに埋め込まれるように圧迫されたまま、初めての接吻が襲い掛かった。

 

 「んむぅっ!?」

ブチュッ!!…ヂュゥウウウウッ!チュパッ!ベチョッ、プチュウッ!

追剥が盗んだ食べ物を喰い荒すような、そんな下品な音と共にえりなの唇の純潔が奪われていった。

ぶよぶよでぬるぬるの生温かい肉塊が未だかつて誰にも触れられた事のないえりなの唇に重ねられて、貪るように漁るように乙女心を蹂躙する。

 

 (う、そ…こんなの…信じられない…)

遠月学園総帥の孫娘として箱入り娘のように育てられてきたえりなにとって、他者から『大切なもの』を奪われるなど到底信じられる事ではなかった。

抵抗さえできないままに一方的に唇を押し付けられて、えりなのファーストキスは無残にも踏みにじられる。

(嘘…でしょ…っ?)

唇を重ね合わせたまま、目をつむってその味を堪能する草男を前に、信じ難い現実を呑み込んだえりなは大粒の涙を流す。

 

 

 「ぷはッ!はぁっ、はぁっ…ははは!えりなの初キス奪っちゃったぞっ!はぁはぁ、えりなのファーストキスは僕のモノだっ!!」

「はぁっ…!はぁっ…!」

唇を離すと、息も絶え絶えに草男が誇らしげに天に向かって叫ぶ。

その叫びは心の底でえりなを想いながらも結ばれる事のなかった同級生達に告ぐ勝利の雄叫びのようにも聞こえた。

 

 「ぶひっ、ぶひひぃ!はぁ、どうだった?僕との熱ううういキスの味は?」

「んっ…」

腕が掴まれたままなので首を捻って、ベッドのシーツで口を拭うえりな。

身も心も抵抗できないはずなのに、心の底から屈服していない様が草男の癇に障って激情を沸々と湧きあがらせる。

 

 「どうだったって聞いてるんだよぉ!!」

「んん゛っ!」

口付けしたのが勢い余って歯と歯をぶつけてしまう。

しかし、口が痛いのもお構いなしに、草男はえりなの口腔にずるりと分厚い舌を挿し込む。

でっぷりとした肉厚の舌がえりなの『神の舌』に絡み付いていく。

 

 ズルッ、ネパァッ…チュッ!チュクッ、チュクッ…!

(うっ…息が、苦しっ…)

口を舌一杯にされて、息苦しいえりな。

小さな舌に大蛇のような舌がのたくるように巻き付いて、ざらざらとしたその体を押し付ける。

美食の天上界で養われたえりなの舌にとって、草男の舌は次元の違った最低ランクの不快な味を覚えさせた。

 

 えりなの口の中は酸っぱい味がした。

おそらく、先程嘔吐してしまったものがまだ口の中に残っていたのだろう。

そのカスを丁寧に取ってあげるように、草男の舌が口中を這い回った。

 

 そして、舌先に溜まった唾液を玉にしてえりなに飲ませる。

吐き出そうとしても草男の舌で口が一杯になってしまっているので、飲み下すしかないのだ。

煮え湯を飲まされるような思いで、えりなは眉間に皺を寄せて喉を鳴らす。

 

 

 「…ぶひゅっ、ぶひっ…どうだった?僕とのディープキスは?」

「はぁーっ、はぁーっ…」

唇を離すと、ねぱぁっと二つの唇を唾液のアーチが紡ぐ。

男もえりなも不慣れなディープキスに酷く疲弊したようで、ぜえぜえと息を荒げる。

えりなが肩で息をする度、鞠のような乳房が重たげに上下に揺れていた。

 

「舌と舌が絡み合って…溶けちゃいそうだったよ、僕の舌」

自身の口の中で舌を遊ばせ、ディープキスの余韻を堪能する。

「まるで恋人同士みたいだね、僕達」

「なっ!?」

草男の発した『恋人同士』という言葉に寒気がする。

素性も知らない豚のような醜男と恋人など、考えるだけでも気持ち悪い。

 

 「だってそうだろ?えりなの初キスの相手は僕なんだし、それに…エッチなキスもしちゃったしね」

「ふざけないでっ!誰が貴方なんか好きに…きゃっ!」

反駁したえりなを力づくでねじ伏せる。

脚を持ち上げて股を開かせると、股間からえりなのはっとした顔が覗いた。

 

「一つになろうよ、えりな」

まだ誰にも侵された事のないえりなの女陰に、ガチガチに勃起したペニスを突き付ける。

本当ならもっと色んな事をして遊びたかったのだが、えりなの悶える様があまりにも可愛らしくて、草男はもう我慢できなくなっていたのだ。

 

 「な、何を考えてるの…!?」

男性経験のほぼないえりなでも、ソレが何を意味するのかくらいは分かる。

しかし、ソレはお互い心と心で通じ合った、愛し合う者とするべきはずのもの。

ましてや、見ず知らずの醜い男とするような行為ではない。

 

「ひっ、嫌!離せっ、離してぇぇええ!」

何をされるのか悟ったえりなが悲鳴を上げて、じたばたともがく。

首を振ると、恐怖に浮かんだ涙がぽたぽたと飛び散った。

 

 「ぶひひっ!離さないよぉ。えりなの初めては僕のものだからね、キスも…あっちも」

「はぁっ!やだ、やだやだやだぁ!!」

体を重ね合わせたまま、草男の腰がゆっくりと押し出されていく。

徐々に先端から挿入っていき、やがてえりなの処女膜へ突き当たる。

 

 逃げようとしても身動き一つ取れない。

いつも助けてくれる緋沙子もいない。

世界的にその名を知られる彼女も調理台に立たなければただの少女。

「入れちゃうもんね…僕のおちんちん」

最後の砦は羽衣の如く、脆く、薄かった。

 

 ズブッ!!グチュウウウウウウッ!!

「嫌ぁあああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

草男が一思いに腰を押し出すと、限界までいきり立ったペニスがえりなの膣をいっぱいに満たす。

ドコッとペニスの先端がえりなの子宮を叩き、そのまま我武者羅に何度も突きたくる。

 

 ズコッ!ズコッ!グチュッ!

ぎこちない腰つきで欲望のままにピストン運動を繰り返す草男。

えりなの未開発の膣がみちみちと音を立てて、草男のペニスをきゅうきゅう締め上げる。

 

 「んぁあっ!あっ、あぁ…うっ、あぁ!」

欲棒に打ちひしがれて、電流を当てられた魚のように無様に口をパクパクと痙攣させるえりな。

現実から逃避するように、固くつむった瞳からは涙が滔々と流れる。

声にならない声を漏らして、突かれる度に華奢な体ががくがくと震えていた。

 

 「ふぉおおーーっ!おぉ、おぁっ!はぁっ、はぁ…一つになれて嬉しいよ、えりなっ」

沸騰したヤカンのように顔を真っ赤にして、噴き出る水蒸気のように素っ頓狂な声を上げて腰を振る。

「はな、して…今すぐ、抜いて…ぇ」

「離してって言われてもなぁ…えりなのアソコが締め付けてくるせいで、離れられないじゃないかぁ…」

力無く懇願するえりなに、草男は無情にも腰をぶつけ続ける。

今日会ったばかりの見知らぬ男に処女を奪われてもなお、抵抗し続ける心の芯の強さに草男の興奮はいっそうかき立てられた。

 

 「カラダだけじゃなくて心でも一つになろうよ、えりな…んうー」

「嫌…んむぅっ!」

ペニスを奥まで突き入れたまま、顔を近付けて口付けを交わす。

唇と股間だけでなく、全身をえりなに預けるように押し付けて、一体になっている事を確かめる。

合わせた胸からお互いの鼓動が聞こえてくるような気がして、草男はえりなと心まで結ばれたものだと勝手に思い込む。

 

 「はぁ、はぁ…そろそろ一発目を出してあげるからねぇぇぇぇ…!」

唸るように草男がそう言ったかと思うと、急にピストンのペースを早める。

素早く出し入れされるペニスのカリに膣肉が引きずり出されそうだ。

 

 「いっ、ぱつ…?え、嘘!何を考えてるの!?やめて!!」

何をされるのか悟ったえりなは草男の胸の下で必死にもがく。

しかし、四肢を封じられたえりながもがいても、ぎいぎいとベッドが虚しくきしむだけ。

 

 「うっ…もう、ガマンできないっ!出るうううううっ!!」

「やめて!お願い中は!…やだぁあああああああああああああっ!!」

ドピュウウウウウウッ!!!ドピュッ!!ドピュッ!!ドピュッ!!

えりなの叫びも虚しく、ペニスを奥まで突っ込まれた状態から中出しされる。

今朝夢精した分とフェラで出した分で既に2発出しているはずだったが、草男のペニスは衰えを知らず、大量の精子をえりなの子宮へ注ぎ込む。

 

 (嫌…中に、いっぱい、出てる…)

本来であれば薙切の跡継ぎとして、世界最高峰の腕を誇る料理人が生まれてくるはずの胎内。

そんな高貴な胎内に醜悪な草男の下賤な子種が植え付けられる不条理さ。

草男はその不条理のシーソーに重石として跨がれる事に悦びを噛み締めた。

 

 

 「…ふんっ!」

「きゃっ!?」

一つになったまま、いきなりえりなの体を持ち上げる草男。

余韻を愉しむ暇さえ惜しんで、再び腰の律動を始める。

 

 「まだまだ終われないよぉ…今日は僕のキンタマが空っぽになるまで種付けしてあげる」

「んあぁっ!あっ、あっ…もっ、離してぇぇっ!!」

彼女の象徴たる、金色の長い髪が突かれる度に散らばるように揺れる。

対面座位のまま相手を持ち上げるようにして立ち上がった草男は、宙に浮いたえりなの体を揺さぶるように突き上げた。

 

 「えりなにたっぷり中出しして、赤ちゃん産ませて…それで僕は薙切草男になるんだっ!あの薙切の名を継ぐ料理人になってやる!」

「ふざけた事を…んんぁあっ!」

草男が末恐ろしい理想を叫んでぶちまける。

薙切の名はこんな卑しい、醜悪な男に相応しいものではない。

「作る人間がダサいと料理に色気がなくなる」とどこかの料理人が言っていたらしいが、料理人には料理の腕前だけでなく、その容姿まで問われる。

薙切の料理人はその腕前だけでなく、見た目の華やかさや貴さにおいても世界的な地位を確立してきたのだ。

 

 それを、その高貴な種を草男の如く身も心も醜い男に穢されるなど絶対にあってはならない事。

薙切の名にかけて、草男の望みを絶対に成就させてはならない。

そんな健気な思いもブラックホールのように大きく、どす黒い欲情に覆い潰されてしまう。

 

 「くぅぅぅっ…持ち上げると、一段と締め付けがキツくなって…くおぉっ!タマんないよぉ~」

「あぁん、うぐっ…くあぁっ!」

持ち上げられて緊張したえりなの体が、草男のペニスをいっそう強く締め付ける。

締め付けが気持ち良すぎるせいで、草男も激しく突いているばかりではすぐにイってしまう。

時折腰を休めては深呼吸をして、また激しく突きまくって…その連続だった。

 

 ズッチュ!ズッチュ!

草男の精子で濡れそぼった膣が淫らな水音を奏でる。

二人の結合部分からぼたぼたと漏れた精液が垂れて、床を濡らす。

 

 えりなの腰が落ちるのと同時に草男が腰を突き上げて、パコン!と爆ぜるような小気味の良い音が響く。

「もうすぐ2発目も出してあげるよぉぉぉ…沢山出さないと赤ちゃんできないからね」

(赤ちゃん…?冗談じゃないわ…)

草男の動きが緩慢になりつつも、その顔は脂汗を振り絞るかのように皺くちゃにしかめられている。

えりなの体を持ち上げている足腰はガクガク震え、もう絶頂が近い事を示していた。

 

 「うおおーーーーーっ!!!」

ドピュウウウウウッ!!!ドビュッ!!ドビュッ!!ドビュッ!!

裏返った声で咆哮したかと思うと、えりなの腰をがっちりと抱き締めて2発目を発射する。

流石の絶倫でも今日4発目の精子は若干薄くなりつつあった。

しかしそれでも、射精の勢いやペニスの大きさはほとんど変わらない。

 

 「うぁああああああああ…!」

(やだ!また中に、びゅって出されて…)

熱い白濁が子宮に注がれる感触に身悶えるえりな。

下賤な種を植え付けられているのに、何も抵抗できない屈辱、無力感。

生まれながらに完全無欠の存在として知られていたえりなが、初めて敗北の苦汁を舐めさせられていた。

 

 「3発目もすぐに出してあげるからねぇ…おらっ!」

えりなをベッドにうつ伏せで寝かせると、そのまま抜かずにバックから突き始める草男。

(こんな男に…為すがままにされて…)

パンパンとえりなの尻を草男の腰が叩く淫らな音が響く。

もはや、彼女を助ける者は誰もいない。

生来ずっと磨いてきた料理の腕さえも、ここでは何の役には立たない。

男に組伏せられて、無理やり犯されて…

美食界のエリートとして持て囃されてきた彼女も、ベッドの上では無力なただの女に過ぎないのだと、自尊心を圧し折られてしまった。

 



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薙切アリス

とりあえず書いてある分は以上です。

そろそろシリーズ物の続きとか色々書かないと…


 薙切えりなが行方不明になってから、数週間が経った。

学園長の孫娘が行方不明になったという事で、学園を挙げての捜索が始まり、学級にもどことなく不穏な空気が漂い始める。

彼女の居場所は僕も知らない。

もしかしたら、学園側はえりな様の身柄をもう抑えているのかもしれない。

ただ、彼女が表舞台に出てこれないのは、心に深い傷を負ったから。

それだけは確かだ。

 

 えりな様がいなくなって空席となった十傑の第十席には、僕が就く事となった。

勿論、学園きっての実力者達がこぞって手を上げて、その一席を賭けて激しい食戟の応酬が交わされたのだが。

残念ながら僕に十傑への思いとか憧れとか何もなかったけど、それでも僕は必死に数多の食戟を戦い抜いて、えりな様の去った第十席の座を見事に勝ち取った。

えりな様の座っていた第十席という餌にどんな獲物が喰いつくのか知っていたから。

 

 

 「ふぅ…」

学園内を歩いているだけで食戟を売られる身分も楽じゃない。

それも、自分の退学や料理人人生賭けてまで第十席を獲りに来る連中が多いものだから、呆れて根負けしてしまいそうにもなる。

まあ、『あの目的』を達成するまでは誰の食戟も受けないけど。

他の十傑の皆さんはどうしてるんだろうか。

 

 家に帰ると、無造作に突っ込まれた何百通もの挑戦状がポストからはみ出ている。

もうこの光景も見慣れてしまった。

本当ならまとめて全部捨てるところだが、ちょっとそうはいかない。

必ず、『あの人』からの挑戦状が来るはずだから。

 

 挑戦状の束を抱えて、部屋に持ち帰ると、ため息と共に畳にぶちまける。

ばさーっと広がった無数の手紙。

これから一つずつ差出人を検めなければならない。

 

 一瞥しただけで、明らかに紙の質が違う代物が一通交ざっている事に気付く。

薄ピンク色のラシャ紙の封筒。

一目で本能的に『手に取らなきゃいけないもの』なのだと確信する。

差出人は、『あの人』だった。

 

 

 放課後の体育館裏。

人気のなく、寂れたここは待ち合わせにはうってつけだ。

えりな様と会ったのもここだったなぁ。

 

初春の冷やかなからっ風が冬枯れの楓の葉を掃いていく。

身を切るような冷たい風が僕の体を通り過ぎた後で、鈴を鳴らしたような少女の声が聞こえてきた。

「探したわよ、肝井草男クン」

振り返ると、銀髪をショートカットにした赤い目の少女が立っていた。

肌の色が雪みたいに白く、均整な顔立ちをした美少女。

不敵に微笑む少女に、僕も歓喜の笑顔で応えてあげる。

 

 「待ってたよぉ…薙切アリスちゃん」

勝手な親しみをこめて『ちゃん』付けでその名を呼んであげる。

えりな様も緋沙子ちゃんも気易く名前を呼ばれる事を気持ち悪がってたけど、アリスちゃんはどうかな。

「挑戦状、読んでくれたみたいね」

思いの外、僕の『ちゃん』付け口撃に微動だにせずに、気にも留めずに答える。

頬に湛えた微笑は自信の表れか、僕の事を見ていないような、僕の向こう側にあるものを見ているように映った。

 

 どうしても目線が胸元へ行ってしまう。

ネクタイを緩めて、第二ボタンを外したシャツからは豊満な乳房が織り成す谷間が覗いていた。

深すぎて見えない谷底に視線が吸い込まれて、どうしてもそこを見てしまうのだ。

乳房の色も白いせいで暗い谷間が余計強調されている。

思春期の男子高校生にはあまりにも刺激的すぎる。

僕の視線が胸元に釘付けになっているのを知ってか知らずか、アリスちゃんは嘲笑うように鼻で笑って、言葉を紡ぎ出した。

 

 「物怖じせずに食戟を受けてくれるみたいね?その心意気には感謝してあげる」

単刀直入にアリスちゃんが本題を切り出す。

今日僕達が体育館裏で待ち合わせしたのは他でもない、食戟の約束をするため。

「勿論あなたに賭けてもらうものは…分かってるでしょう?」

それまで余裕を湛えていたアリスちゃんの目付きが変わった。

可愛らしい容貌に似合わぬ野心、野望が垣間見える。

白い肌に際立つ赤い瞳が燃えているようにさえ見えた。

 

 「ぶひひい!勿論わかってるよお。第十席の座を差し出せって言うんでしょ?」

僕が鎮座している遠月十傑評議会の第十席。

ただ、僕が今座っている十席の座はただの十席ではない。

アリスちゃんの従姉妹にあたる薙切えりなが座っていたもの。

一年生全員の前で遠月学園の頂点に立つと高らかに宣言したアリスちゃん。

えりな様が行方不明になった今、アリスちゃんがえりな様を超える方法はただ一つ。

 

 「でも末席とはいえ十傑…代価の重さは分かってるよね?」

じゅるりと舌舐めずりをして、アリスちゃんの返事を促す。

遠月学園の最高意思決定機関と言われる十傑の座。

そう易々と渡せるものではない事くらい、僕にだって分かる。

「ええもちろん。そのためだったら、何を差し出しても構わないわ」

その答えを待っていた。

無垢な表情でおおらかに語るアリスちゃんに魔の手が伸びる。

 

 「何を差し出しても構わないの?それじゃあアリスちゃんには何もかもを差し出してもらおうかな」

「何もかも…?」

自分で発言した事の意味がよく分かっていないようだ。

自分のエロさが分かっていない女の子にはちゃんと自覚させてあげないとね。

「うへへっ…負けたら何でもしてもらうって事で」

下卑た笑みを差し向けて、アリスちゃんに分かり易い言葉で説明する。

 

 「クスッ…王様ゲームか何かのつもりかしら?構わないわよ」

幸いにも、どうやら僕の説明は上手く伝わらなかったようだ。

無邪気に笑って、悪魔の誓約を承諾してしまうアリスちゃん。

負けるつもりなど微塵もないという自信の表れか。

その余裕を帯びた笑顔が屈辱と苦悶に満ちるのかと、想像しただけで股間が膨らんできてしまう。

 

 「それじゃ一週間後、約束通りに食戟を取り行うわよ」

軽く手を振って、颯爽と立ち去るアリスちゃん。

勃起しているのを隠すため、ポケットに手を突っ込んでいたせいで手を振り返せなかったのが心残りだ。

そして勝敗よりも、今からオナ禁して一週間も僕の股間が持つかどうかが不安だ。

 

 (肝井草男クン…思ったより大した事なさそーね)

えりなに次いで1年生で十傑になったと聞いて会ってみれば、風采の上がらない醜男。

あの見た目から食べる者を魅了する料理を作る姿は想像に難い。

『一流の料理人である前に、一流の人間であれ』

こんな家畜みたいな容姿をした男が他人の舌を満足できようなど誰が思うだろうか。

 

それでも十傑は十傑。

それもあのえりなの跡を引き継いで十席の座に就いた男。

彼より上だという事を証明できなければ、えりなを超えるどころか並ぶ事さえ叶わない。

 

 拳を力強く握り締め、一人でに意気込むアリス。

『私は薙切アリス。君たちの頂点に立つ者の名前よ』

高らかに宣言したあの言葉がついに実現する。

(一週間後、あなたを倒してえりなを超える!!!)

 

 

一週間後。

「勝者、肝井草男――――!!!」

満場一致で僕の勝利。

割れんばかりの歓声に包まれて、僕は双手を突き出す。

勝利を誇る栄冠のガッツポーズ。

内心では勝利なんかよりももっと大切なものがあったけど。

 

 「そ、そんな…」

絶句しながら、がくりと膝を落とすアリスちゃん。

唇をわなわなと震わせて、その目には涙がうっすらと浮かんでいる。

コックコートから艶めかしく浮かび上がった女体が、僕らの作った料理なんかよりもずっと美味しそうだ。

 

 きっと負ける事なんてつゆほどにも思ってなかったんだろうな。

あれだけ自尊心に満ちていた表情が絶望に染まって、元々色白だった肌がさらに蒼白になっていく。

そんな失意に塗れたアリスちゃんの元へ、僕は満面の笑みを浮かべながら歩み寄る。

 

 「がっかりしてる所悪いけど、アリスちゃん…食戟の前に何を自分が何を言ったか、覚えてるよね?」

「!?」

肩に手を置いて囁きかけると、アリスちゃんがはっと何かに気付いたように目を見開く。

実際に負けてみて、やっと自分の言った事の意味が分かったのかな。

負けたら対価を差し出す、食戟のルールは守らなきゃね。

 

 「くぅ…っ!」

「「「「な、なんだ!??」」」」

突如、僕の手を払いのけて、駆け出すアリスちゃん。

いきなりの行動にどよめく観衆。

薙切アリスが負けるという事を予想できなかった者達に、彼女が屈辱に歯噛みしながら逃げる姿など想像できようか。

 

 観衆のどよめきの中で、一人呆然と立ち尽くす僕。

まあ慌てる事ではない。

どうせそう遠くには行けないだろう。

ちゃあんと守ってもらうよ、負けたら僕の奴隷になるって約束をね。

 

 

 「ぶひっ!こんな所にいたんだねぇ…アリスちゃん」

「ひっ…!?」

人気のない部屋に隠れていたアリスちゃんを発見する。

まだコックコートを脱いでいなかったのが仇となったか、暗い部屋に白い服は目立つ。

食戟前までの自信に満ちた表情は跡形も無く消えて、まるで怯えた兎のように縮こまっていた。

 

 「さ、約束は約束。ちゃあんと守ってもらうからねぇ…」

強引にアリスちゃんの腕を引っ張ると、悲痛な叫びを漏らして抵抗する。

「やだっ、やめて!」

絶望に淀んだ表情。

どうやら負けて、初めて自分がナニをされるのかを悟ったみたいだね。

あれだけ驕り高ぶってた態度はどこに行っちゃったのかなあ。

 

 

 「きゃっ!」

あらかじめ用意しておいた部屋に連れ込んで、ベッドにアリスちゃんを押し倒す。

仰向けに寝かせたアリスちゃんの腹に圧し掛かって、コックコートの襟に手をかける。

「まずはコックコート脱いじゃおっか?」

食戟を終えて、着替える間もなく逃げ出したアリスちゃんはまだコックコートを身に着けたままだった。

ボディラインが強調されるこの格好のままでも十分面白そうだったが、アリスちゃんのチャームポイントといえば肌の白さ。

襟を掴むと、力任せにコックコートを引き剥がす。

 

 「み、見ないでっ!」

ボタンごと弾き飛ばされたコックコートの襟を掴んで、自らをかばうように体を縮こめるアリスちゃん。

こういう生意気な女を屈服させて無理やり裸にひん剥く瞬間がたまらない。

まるで氷を噛み砕いて口の中で水に溶かす時のように気持ちが良い。

非力なアリスちゃんを抑え込んで、下に着ていた物も躊躇なく脱がす。

 

 薄暗い部屋で光るように白い裸体が、宇宙空間に浮かぶ新月のように澄んで僕の目を奪った。

白木のように清らかで、神々しささえ感じさせるアリスちゃんの美しい裸体に、鼻息を荒くしながら瞠目してしまう。

いてもたってもいられなくなって、暗中で仄白く艶めくアリスちゃんの体を撫で回す。

 

 「や、やめなさい!こんな事をして、自分がどうなるか分かっているの!?」

「ぐふっ!負けたら何でもするって言ったのはそっちだよ?それに…」

背後からしがみついて、アリスちゃんの豊満な乳房を揉み始める。

「こんなキレイな体を触れるんだったら僕はたとえ八つ裂きにされても構わないよ…」

「ッ…!」

「逮捕されても死刑にされても構わないよお…アリスちゃんと愉しいコトができるなら」

耳元に吐息を吐きかけながら熱っぽく囁きかける。

貪欲な執着心の表れとも言うべきぬめぬめした脂汗がアリスちゃんの裸体を染めていく。

気持ち悪さと口臭で顔をしかめたアリスちゃんが小さく呻いた。

 

 揉むと手に余るほどの巨乳。

えりな様に勝るとも劣らない、女子高生離れした乳房が指と指の間から零れ落ちそうになる。

それにすべすべの肌が手に吸い付いてくるのがたまらない。

たまらず僕も服を脱いで、下着一丁になって素肌と素肌で直に触れ合う。

 

 「んん~アリスちゃんお肌すべすべ~」

「気持ち悪いからっ、離しなさい!」

目に涙を浮かべながら、華奢な体で必死に抵抗するアリスちゃん。

しかし、抵抗虚しく抱き寄せられて、北国の雪を思わせるような繊細で無垢な肌が、僕のでっぷりと肥えた脂ぎった肥満体に呑み込まれていく。

 

「負けたら何でもするって言ったのはアリスちゃんの方だからね。本当だったら僕におっぱい差し出してご奉仕しなきゃいけないんだよ?」

本来であれば従順になったアリスを僕の好きな時に股を開いてくれる”ペット”にしてやりたいところだが、抵抗されるのを無理やり抑え付けて愛撫するのも悪くない。

その方が『あの』薙切アリスを陵辱しているという実感が湧いてきてモチベーションが昂ってくる。

あの我がままで、高慢で、美人な薙切アリスをこの誰が見てもブサイクな僕が陵辱している。

あの全校男子生徒の憧れの的にされている薙切アリスを僕が陵辱している。

苦しみ悶えて、誰にも見せる事のなかった素顔を僕だけに見せてくれ。

 

 削りたての曹灰硼石ように軟らかで平滑な肌。

ショートカットにした白銀の髪よりも色素の薄いうなじをペロペロと舐めながらおっぱいをじっくりと揉みしだいてやる。

皮膚の薄いうなじを舐められるとくすぐったくて気持ち悪いだろう?

繊細な銀細工にヘドロを塗り付けるかのように、アリスちゃんの美肌に唾液をねっとりと粘つかせていく。

 

 

 「流石薙切一族。えりな様のおっぱいも重厚感があって最高だったけど、アリスちゃんのすべすべおっぱいも最高だねぇ~」

「えっ?」

えりな様の名前に反応して、目を丸くするアリスちゃん。

行方不明になったと聞いて、やはり気にしていたのだろう。

驕り高ぶってるように見えて意外と優しいんだなぁ。

そんな所も好きだよ。

 

「まさか、あなたがえりなを?」

同じ『薙切』の名を背負う者同士、幼き頃からのライバルといえども、それは決して嫌悪や侮蔑といった負の感情を孕んだものではない。

「ぐへへっ、そうだよぉ。えりな様捕まえて…イイ事しちゃった」

「ゆ…許さない…この、性犯罪者!!」

恐怖と怒りに震えた唇が辛辣な罵言を吐き出す。

普段は飄々としたアリスちゃんだけに、怒った姿は殊更意外に見えた。

それにしても性犯罪者とは心外だなぁ。

僕は想い人に熱い想いを届けてあげただけなのに。

 

 「安心してよ、アリスちゃんもえりな様と同じようにしてあげるから、ねっ」

「よくもえりなを…!」

怒りにわななくアリスちゃんを嗜めるように優しくおっぱいを揉んであげる。

どれだけ怒ってもおっぱいは軟らかいままだ。

 

 肩を引っ掴んで、アリスちゃんを仰向けに寝かせる。

くびれた腹の上に跨れば、鋭く険を帯びたアリスちゃんの顔といやらしくニヤけた僕の顔が向かい合う。

怒った顔も可愛いなぁ、アリスちゃんは。

 

 美しくも棘を持った白薔薇のように、頑なに抵抗するアリスちゃんの手を軽くひねるように抑え付ける。

茎のように細い腕は力なく折り畳まれて、手と手を合わせるようにしてベッドに磔にしてしまう。

白い素肌に血色の良い朱の唇が際立って映った。

 

 「…な、何をするつもりなの!?ちょっと、やめなさい!」

唇をじっくりと近付けると、それまで憤りに満ちていた表情に不安の色が差し込む。

このゆっくりと唇を近付けていく瞬間がたまらなく好きだ。

何をされるのか分かっていながらも分かりたくないという葛藤。

アリスちゃんからしたら悪夢のような現実だろうな。

薙切一族として英才教育を受けていたアリスちゃんが初めてキスをした相手が僕なんて。

もっと高貴で容姿端麗な、アリスちゃんに相応しい男が頂くはずだった唇をこの僕が奪うなんて。

 

 「うう~」

突き出した唇から気色悪い声を発して、アリスちゃんの恐怖心を煽りたてる。

「ひっ」と息を呑んだアリスちゃんの体にいっそう力がこもる。

先程まで勇んでいた心をじわじわと恐怖に染めていくように、なるべくゆっくりと唇を近付ける。

 

 「はぁっ…!くっ!」

呼吸を乱しながら、いやいやと首を振ってもがくアリスちゃん。

その目には既に涙がうっすらと浮かんでいる。

意外と怖がり屋さんなんだね、アリスちゃんは。

普段と違う姿見せられたらもっと虐めたくなっちゃうよ。

 

 興奮しすぎて漏れ出た吐息がアリスちゃんの頬を愛撫するように撫ぜ回す。

間近で見ると鳥肌が立っているのが見えた。

えりな様の唇も緋沙子ちゃんの唇もぷるぷるで軟らかかったけど、アリスちゃんの唇はどんな味がするのかなあ。

雪原にぽつんと一輪咲いた真っ赤な椿を、僕は摘まずにはいられなかった。

 

 ブチュウッ!!ブチュ、ムチュッ…ベチョッ!ブチュウウウウウウウウウウッ!!!

「―ッ!?」

唇と唇が重なり合った瞬間、驚きと不快感に見開かれたアリスちゃんの目と僕の目が合った。

赤い虹彩に縁取られた真っ黒な瞳孔が縮んでいくのがよく見える。

溶けてしまいそうなほど軟らかな唇を僕の口の中へ吸い込むように、激しく吸い上げる。

 

 チュバッ!チュクッ!チュウウウウウウゥゥゥ…チュッチュッ!

そのまま口の中で吟味するように甘噛みして、アリスちゃんの唇へ唾液を塗りたくる。

僕の顔が大きいせいで、アリスちゃんの小さい顔が潰れてしまいそうだ。

悪夢のような現実から意識を遮断するように硬くつむられた瞳からは潸然と涙が滴り落ちる。

美味しい料理を作るためには、恋の味も知らなきゃダメだよねえ、アリスちゃん。

 

 ねちっこく、ねっとりと、ほんのわずかな隙間さえも作らないように唇を覆い尽くす。

アリスちゃんのくっきりとした鮮明な輪郭を撫でながら、唇をスライドさせて、まるで小さなネジ穴にサイズの合わないドライバーをねじ込むようにねぶり尽くす。

お互い裸で密着し合って、女性器の模倣とも言われる唇と唇でつながっている僕ら。

傍から見れば僕とアリスちゃんで一つになっているようにしか見えないだろう。

勿論、肉体だけじゃなくて、心と心でもつながりたいなぁ。

 

 

 濃厚な接吻を終えて唇を離すと、胸の下にはアリスちゃんの泣き濡れた顔があった。

僕がキスに夢中になっている内に、アリスちゃんは洪水みたいな涙を流していたようだ。

顔全体が涙で濡れて、真珠のように光っている。

 

 でも、明るくて元気なアリスちゃんには涙なんて似合わないから、もっと良いもので染めてあげないとね。

僕の熱い想いで悲しみに暮れる涙なんて溶かしちゃえ。

 

 嗚咽を漏らしてむせび泣くアリスちゃんの眼前で、いきなりペニスを露出する。

乳揉みやキスで既に限界まで大きくなった僕のペニス。

溜まりに溜まった性のフラストレーションが今にも爆発してしまいそうだ。

 

 「…あっ…あ…」

嬉々としてアリスちゃんの目の前で上下動させていると、涙でぼやけた視界からでもナニが目の前にあるのか分かったらしい。

元々白い肌がさらに青ざめて色を失っていき、言葉を失ったように口をパクパクと開閉している。

その様相は死にかけに魚のように無様だった。

血の気のなくなった白い腹を水面に浮かべて、それでも生きんと吻を動かす鮒のように。

 

 「ぶひっ!アリスちゃんは男の人のオチ○チン見るの初めてかなぁ?」

赤黒く膨れ上がったペニスを、真珠の如く乳白色に艶めく顔に近付ける。

それは雪の上に煮え滾る溶岩をぶちまけるかのように、不似合いであった。

雪の上に溶岩などと、この不細工な僕のペニスがあの可愛らしい薙切アリスの顔の傍にあるなどと、非現実的な有り得ないシチュエーションを象徴していて。

 

 このまま顔に擦り付けたり、しゃぶらせたりしても良かったが、せっかく立派なお乳を持っているのだ。

それを胸の傍へ持っていくと、豊かな乳房を分かつように掴む。

「な、何をするつもりなの…?」

掠れた涙声で恐々として問い掛けるアリスちゃん。

無垢なアリスちゃんの事だからパイズリなんて言葉も知らないんだろうな。

 

 

 僕のフランクフルトをアリスちゃんのパイ生地で包み込む。

ミルクを大量に練り込んだような、脂気少なめの真っ白なパイ生地。

重厚感有り余る生地をこねれば、アツアツホカホカのミートパイの出来上がりだ。

「こ、こんな…っ、は、離して!」

温かいパイ生地が僕のフランクフルトにぴっちりくっ付いて、それでいてべたつかない。

この分だとすぐにマスタードが出ちゃいそうだね。

 

 腰を小さく揺すりながら、アリスちゃんのおっぱいをペニスに向けて圧し寄せる。

きっとおっぱいの中で僕のペニスがどくどく脈打ってるのが伝わっているだろう。

僕のペニスにもおっぱいを伝って、アリスちゃんの心臓の鼓動がばくばく響いてくる。

アリスちゃんからしたら自分の体が玩具みたいに扱われて屈辱だろうな。

僕にはちゃんとアリスちゃんが生きてる証が伝わってくるけど。

 

 アリスちゃんの可愛い顔を見ているとどんどん股間に熱いモノがこみ上げてくる。

その色白で整った顔に僕の黄ばんだ精液をぶちまけたらどうなるんだろうか。

その白銀の髪に精液がへばりついたらどうなるんだろうか。

妄想の余りに滲み出たカウパー液が谷間を濡らして、ペニスが通る度にネチョネチョと下品な音をたてる。

 

 「くぅ、うぅっ…そろそろ出そうだよっ…アリスちゃん」

呻き声を上げて、腰の動きを止める。

アリスちゃんの腹の上に乗って、おっぱいでペニスを包み込んでいる今にもイってしまいそうだ。

深呼吸をして、荒げる心臓を落ち着かせる。

 

 眼下を望めばアリスちゃんの苦悶に満ちた表情がのぞく。

苦しんでる表情も可愛いな。

もし、その顔に僕の一週間溜め込んだ精子をぶちまけたらどうなるんだろう?

あぁっ!そんな事を考えている内に、おち○ちんが熱くなってきて…

 

 ドビュッ!!!!ドビュッ!!!!ドビュッ!!!!ドビュッ!!!!

「んんっ!!?」

たまらず射精してしまう。

股の下で黄ばんだ精液に汚れていくアリスちゃんの顔面。

アリスちゃんの白い肌にオナ禁で濃くなった精液がよく映える。

 

 「うっ、うぅ…臭っ…」

垂れ流れた精液が口に入らないように、小さく口を開けながら毒づくアリスちゃん。

こんな酷い目に遭っても生意気な態度が崩れないのが良いね。

ますます虐めたくなっちゃう。

「ぶひっ、アリスちゃんが悪いんだよ?いつもネクタイ緩めておっぱい見せつけてるから…」

いつもおっぱい見せつけてる罰だ。

本当は周りの男子生徒達の視線が谷間に吸い込まれていくのを自分でも分かっているんだろうが。

そのお高くとまった御尊顔に精子ぶちまけてやったぞ。

他に男子生徒達にも今のこの顔を見せてやりたいな。

しかし、日頃刺激され続けてきた性のフラストレーションは、パイズリ程度では発散しきれなかった。

 

 

「エッチなアリスちゃんにはお仕置きしてあげなきゃね」

毎日エロい乳や体つきを見せつけられるこっちの身にもなって欲しいものだ。

アリスちゃんには自分が女である事をよく強く自覚させてあげるからね。

 

 「やっ!?」

アリスちゃんの脚を持ち上げて、強引に股を開かせる。

白むく下肢に、桜色の女性器が覗く。

きっとまだ処女なんだろうな。

今日はその穢れを知らない桜を、僕のおちん○んで散らしてあげよう。

 

 両脚を潰れたカエルのように広げさせて、ギンギンにいきり立ったペニスを近付ける。

何をされるのか悟ったのか、アリスちゃんが一段と激しい抵抗に出た。

「いやぁっ!くっ、離して!」

脚を掴む僕の手をなりふり構わず爪で引っ掻くアリスちゃん。

しかし、相手はか弱い少女。

いともたやすく腕を抑え込むと、ペニスの先端を女性器に突き付ける。

 

 「やだっ!やだやだやだやだぁ!!」

子供のように泣きじゃくるアリスちゃん。

顔と顔が見合った状態のまま、腰をどんどんせり出していく。

初めての相手が僕みたいなブサイクってどんな気持ちなのかな?

破瓜の痛みと一緒に、視界を埋め尽くした僕の顔が一生アリスちゃんの頭の中で鮮明に記憶されるんだろうなぁ。

僕がアリスちゃんの初めての相手なんだと。

だったら、アリスちゃんの初めて相手に相応しい表情をしなきゃね。

 

「挿れちゃうぞぉ~グフフッ!」

ひり上がった口角からヨダレを垂らしながら、目と目を合わせる。

えりな様も緋沙子ちゃんも僕に処女を奪われて心が折れちゃったけど、アリスちゃんも心が折れて廃人みたいになっちゃうのかな。

あんなに無邪気で陽気なアリスちゃんがもう見れないって思うと、なんだか悲しいなぁ。

 

 

 ズブッ!!グチュウウウウウウッ!!

「嫌ぁああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

一気に処女膜を突き破ると、アリスちゃんの悲痛な叫びが僕の耳をつんざく。

せっかくだから録音、いや動画に撮っておきたかったなぁ。

『私は薙切アリス。君たちの頂点に立つ者の名前よ』なんて言ってた女の子がこんな可愛い泣き顔を晒すなんてね。

 

 「あぁっ!あっ、はぅっ…ん!かはっ、うぅ…っ、ふぅっ!うぐっ…」

息も絶え絶えになりながら、苦しげに喘ぐアリス。

その手は何かに縋るように、助けでも求めているかのように宙を仰いで、僕の体を掴む。

そんな嗜虐心そそるような表情されたら余計メチャクチャにしたくなっちゃうじゃないかぁ。

 

 おっぱいにむしゃぶりつきながら、ゆっくりと腰を律動させる。

雪を思わせるような白い肌に反して、膣の中は温かく、ぴっちりとペニスに吸い付いてくる。

軟らかでありながらも厚みのある膣肉が、まるで上下動するペニスについてくるようだ。

あらかじめパイズリで一発射精していなければすぐにイっていただろう。

 

 「ふぐっ!んっ!あっ!ふむっ!?むちゅっ、んちゅ…」

喘いでいる顔が可愛すぎて、その口に蓋を被せてあげる。

挿入しながらのキスは何時しても最高だ。

体を寄せ合って、上と下の唇でつながって、アリスちゃんと一つになってるって実感が体の節々から湧き上がってくる。

口を塞がれてアリスちゃんが苦しそうに呼吸しているのもたまらない。

 

 「ちゅっ、んぶっ…ふぅぅっ!!ふぅっ!っはぁ!はぁ!はぁ!んむっ!!んっ、ふっむぅ…んんーっ!」

唇を離して口で息を吸い始めた所で、またキスをしてやる。

苦しさの余りにアリスちゃんが僕の口の中で何か言ったようだが、それすら気持ちが良い。

人間が生きる上で最も大切な呼吸器官を支配する事によって、アリスちゃんを征服できている。

精神的に屈服されていなくても、身体的に僕の意のままに操られるのは屈辱だろう。

 

呼吸をさせないように激しいキスをすると、膣の締まりもキツくなる。

まるでリコーダーでも吹くかのように、息を吹き込んだり吸い込んだりして、性の旋律を奏でる。

 

 「うぐっ!ふっ、ふぁん!あっ、嫌ぁあ!!こないでぇ…っ」

パンパンッ!と僕の腰とアリスちゃんのお尻がぶつかる音が小気味よく響く。

適度に二人の結合部分も濡れてきて、僕の腰も円滑にピストン運動を繰り返す。

引き抜こうとする度にイボイボの膣襞がペニスを搾るように締め付けてきて気持ち良い。

同じ一族とはいえ、えりな様のアソコとは少し違うんだね。

 

 「くぅぅっ…!そろそろ出すよ、アリスちゃんっ!」

もう我慢の限界だ。

そんな可愛い顔に可愛い声出されたら、もう我慢なんてできないよ。

「だ、出すって…何を!?」

本当は分かってる癖にい。

科学に強いアリスちゃんが分からない訳がないもんね。

 

 

 「ぐへへ…そういえばアリスちゃん、合宿4日目の審査で、エッチな料理作ってたよねぇ…」

「はぁ…っ?」

合宿4日目のビュッフェ課題。

アリスちゃんは『3つのフォルムの卵プレート』という革新的な料理を作って、えりな様に次ぐ380食を達成していた。

「ストローで飲むミルクセーキ、だっけ?中身を抜いた卵の殻に卵、牛乳、カラメルで作ったドリンクを注入するっていう、画期的な料理だよねえ」

軟らかくなった卵の殻にストローを挿し込んで飲むのが印象的だった。

抵抗できない女性に一方的に男性器を挿し込む姿を象徴しているようで。

 

 「あれ見て思いついちゃったんだよね…もし卵の殻がアリスちゃんの卵子で、中に入るミルクセーキが僕の精子だったらどうなるんだろう、って」

「えっ…!?」

僕のミルクセーキにアリスちゃんの卵。

二つが合わされば間違いなく絶品の”料理”ができるはず。

「二人で作ろうよ。僕とアリスちゃんの赤ちゃん…っていう最高の料理を」

「な、何言って…るの?」

僕の言ってる事の意味がよく分かっていないようだ。

まあ実際に体感してみれば分かるよ。

 

 「僕のミルクセーキを注入してあげるよおおおおおおおおおおお!!」

叫ぶと同時にペニスを子宮口に突き付けて、快感を解放する。

ドビューッ!!!ドビュッ!!ドビュッ!!ドプッ!!

こみ上げてきたミルクセーキ、もとい僕の精子がペニスを伝って、アリスちゃんの胎内へ侵入していく。

 

 「…っ!?いやっ、待っ!ふぁああああああああああああああんっ!!」

ドピュッ!!ドビュッ!!ドビュビュッ!!ドピュッ!

膣内でペニスが躍動して、熱い精液が子宮の中へ染みていく。

射精している間は細い体をがっちり抱いて離さない。

アリスちゃんはきっとどろどろとしたマグマのような物が下腹を満たす感触に、目の前が白くなりかけている事だろう。

 

 「アリスちゃんそっくりの女の子が出来たら良いなぁ…ママそっくりの銀髪で色白で…」

「あぁ…あ…」

都合の良い妄想を垂れ流しながら、射精した後もゆっくりと腰を揺さぶる。

アリスちゃんはつい数時間前まで尊大な態度でいたのに、今じゃ生に絶望した廃人のようだ。

焦点の定まらない瞳で虚空を仰いだまま、半開きになった口から言葉にならない言葉を吐き出している。

 

 アリスちゃんのサラサラの銀髪を優しく撫でながら、最後の一滴まで膣襞に擦り付ける。

勿論、この一発だけで終われる訳がない。

今夜は夜通し、キンタマが空になるまで出さなきゃ収まらなさそうだ。

「アリスちゃん、今夜は僕のミルクセーキで蕩けさせてあげるからね♪」

かきわけた髪から覗いた耳に、生温かい息を吐きかけながら囁きかける。

「こんなの…こんなのって…ぇっ…嫌…嫌ぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

涙に涸れた喉が悲痛な受難曲をかき鳴らす。

しかし、これがまだ悲劇の序章に過ぎない事を、アリスは想像する事さえもできなかった。

 




アリスはいつかまた単体で書いてみたいですね。


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峰ヶ崎八重子(おまけ)

これまで3話続いた物語とは一切関係ないんですけど、ソーマ関連としておまけを一つ。
峰ヶ崎八重子というソーマの一話だけに登場した脇役なんですけど、エロ可愛かったのでエロSS書いちゃいました。
これも過去に書いた作品です。

スーツの似合うお姉さん良いよね…


 「お、お願いします!この店だけは潰す訳にはいかないんです!ですから、どうか…」

ひっそりと静まり返った厨房の中で、一人の男性が額を床にこすり付けて、何やら懇願している。

卑屈にも地にひれ伏した男を、黒いスーツに身を包んだ妙齢の女性が見下ろしていた。

「うるっさいわねぇ…もうご近所さん達は皆、立ち退きに同意して下さっているのよ?そういう人達の思いを無駄にしないためにも、ここは立ち退くのが筋って分からない!?」

女は豊かな乳房を持ち上げるように胸の前で腕を組み、男の頭のそばでコツコツとパンプスを踏み鳴らして、苛立ちを露わにする。

 

「大体大した業績も上げられない癖に何よ、その執着は」

「こ、この店は先祖代々受け継がれてきた、大切なお店なんです!ですから、私の代で潰す訳には…ひぃっ!」

カツーン!と甲高い音が鳴り響く。

「先祖代々?私の代?大層立派な事言っといてこの程度の業績しか上げられないようじゃ、ご先祖様も泣いてるわよ?」

平伏している男の頭にばさばさと雪崩れるように資料が落される。

「今日の内はこれくらいで勘弁してあげるわ。また近い内に来ますから、その時は」

スーツの胸ポケットに引っ掛けていたサングラスをかけると、取り巻きの男達に撤収すると告げる。

 

スーツに身を包んだ厳めしい取り巻きが足並み揃えて去っていく中、女は平服したままの男のそばにしゃがみ込んだ。

「名刺が変わりましたので、こちらお渡ししますわ」

男の頭の横にすっと名刺を差し出す女。

その名刺には『アーバンライフプランナー 峰ヶ崎八重子』と記載されていた。

 

 

 「ふぅっ、疲れた…」

ため息を吐きながら、どすっ、と体を投げ出すように黒塗りのセダンに乗り込むと、運転手に指示を出す。

ガラス戸を破られ、無惨にも破壊された定食屋を尻目に、八重子を乗せたセダンは走り出した。

 

走りゆく車の中、肘を立てて、頬杖を付きながら車窓の外を眺めると、夕日が落ちてゆくのが見える。

車内の時計をちらりと見遣ると17時を示し、それが終業の時間である事を八重子に教えた。

 

 (今日は夕食、何処で食べようかしら)

いつもなら通い詰めている六本木の肉料理屋に行くのだが、今日はあいにく休業日との事。

その肉料理屋以外にもお気に入りの店はいくらかあるのだが、どこに行こうかを頭の中で逡巡させていた。

 

(ただ、その前に…)

最近暑くなってきた影響か、八重子も汗をかくようになってきた。

仕事柄、外にいる時間帯が長いので、どうしてもじっとりと貼り付くような汗の感覚が気になってしまう。

(一旦家に帰ろうかしら)

スーツの襟をぱたぱた言わせながら、八重子は空腹を満たす事よりも汗を流す事を先決させる事にした。

 

 「それじゃ、お疲れ」

八重子は自宅である高層マンションの前で車を止めさせると、仕事仲間に軽く会釈をして、直帰する。

ブオオオオンと唸るエンジン音が背中を通り過ぎると、ポケットからカードキーを取り出す。

重厚な大理石で設えられたエントランスは、琥珀色の光で照らされ、より絢爛に映えた。

 

 オートロックにカードキーを通そうとしたその時、ふと何か不審な気配を感じた。

(私の後ろに誰かがいる?)

おそるおそる後ろを振り返ると、真後ろに一人の男が立ちはだかっていた。

「だ、誰っ!?むぐぅっ!」

すかさず口元に睡眠薬を滲み込ませたハンカチを押し当てられ、昏倒してしまう。

 

 

 「ん、んんっ…」

ぼやついた意識の中、重たい瞼を開く。

全身が痺れているような感覚の中、視界の中に灰色の空間が広がった。

「んっ、ここは…?」

倦怠感と脱力感に包まれながら、頭上でカチャカチャと金属音が鳴っている。

見上げると、そこには手錠で拘束されている自身の両腕があった。

 

 「ど、どういう事なのこれは…?」

状況を把握できず、驚きで目を見張る八重子。

しかし、意識がはっきりしてくると共に記憶も蘇ってきていた。

あれから何時間経ったのか分からないが、八重子はマンションのエントランスで男に襲われた事を思い出していた。

 

「ようやく気がついたようですねぇ」

「ッ!誰っ!?」

突然、背後から男の声が聞こえる。

ずしずしと重たげな足音と共に、誰かが背後から近寄ってくるのが分かる。

もったりとした声は八重子の鼓膜にへばりついてくるようだった。

 

 「アーバンライフプランナーの峰ヶ崎八重子さんですね?」

「…」

無言を貫く八重子。

どうやら背後にいる男こそ自分を襲った男なのであろう。

名前も勤め先も知っている事から計画犯とみて間違いなさそうだ。

 

 「あなたは誰?何のために私をこんな事に?」

手錠をガチャガチャ鳴らしながら問う八重子。

「くくくっ、何のためにかって?そりゃあ、あなた、自分のやってきた事を思い返してみなさいよ」

低く笑いながら八重子の神経を逆撫でするように答える。

(はぁ…?何を言っているのコイツ?)

質問に質問で返され、少し苛立つ。

顔は見えなかったが、どうせ碌でもない人間なのだと勝手に踏む。

 

 「その様子だと何も分かっていないようですね…まぁ、それを教えるためにここに連れてきたんですけどね、くっくっく」

ぎしぎし、と古びた床が軋むと、男が近付いてくるのが感じられる。

「どういうつもりか知らないけど、あなた、こんな事したら警察沙汰になるわよ?止めるのなら今の内だと思うけど」

足音が止まり、男がすぐそばにいるのを悟る。

若干荒くなった男の息遣いや中年男特有の加齢臭が伝わってくる。

 

 「警察沙汰?くくっ、それはこちらの台詞ですよ、八重子」

背中に男の体が当たったかと思うと、スーツ越しに乳房を触られる。

あまりにも唐突な行為に、思わず八重子は息を呑む。

 

 「なっ、何をしているの!?離しなさい!!」

「あんな荒っぽい地上げやってて、警察なんて呼べるのかな?」

最初は優しく触ってきたかと思うと、八重子の乳房の感触に興奮したのか、欲望のままに力任せに揉んできた。

スーツの上からでも形がくっきりと分かるほどの巨乳は、男の掌でもみくちゃにされる。

 

 「初めて見た時から、こうしてやりたかったんだ。エロい谷間覗かせるから…」

興奮して脈拍が速くなっているのか、切迫したような早口になる男。

節くれ立った指が時折、シャツ越しに覗く乳房に触れる。

 

 「ちょ…気持ち悪いから、離れてくれる!?」

「君もこうして欲しかったんだろ?エロいおっぱい見せつけて、本当は誘ってたんだろ?」

自身の変態行為を八重子の恰好にかまけて、正当化する男。

我慢していた鬱積を晴らすように、たわわな豊乳を力任せに揉みしだく。

 

 男の生温かい吐息が首筋に当たり、ぞわりと怖気を喚起する。

その臭さは、先程まで気になっていた八重子自身の汗の匂いとは比にならない程であった。

 

 「はぁ…はぁ…」

男の行為はエスカレートしていき、八重子のスーツのボタンを外すと、シャツの上から乳を揉んでくる。

揉まれる度、八重子の大きな乳はぐにゃりと歪められ、シャツのボタンを弾き飛ばしてしまいそうになる。

 

 さらに、背後から男は八重子の耳や首筋をチロチロと犬のように舐め、舌を柔肌に這わせる。

「やめてって言ってるでしょ!!」

「ぐぅっ!!?」

行き過ぎた行為に八重子の怒りが爆発する。

密着しすぎた男の足はパンプスの尖ったトップリフトにごりっと踏み潰される。

痛みに耐えかねた男が呻き声を上げながら八重子の体から離れた。

 

 「痛いじゃないか…八重子」

「…あなたは誰?何のためにこんな事を?」

呼吸を整えながら問う八重子。

息を弾ませる度、大きな乳房がシャツ越しにぷるぷる揺れる。

 

 「君は私の事を覚えているかなぁ?」

八重子と同じように、男も息を整えながら問いかける。

ぜえぜえと息を漏らしながら歩いてくると、男は八重子の視界に現れた。

 

 「覚えているかなぁ?私の事を」

「―ッ!」

目の前に現れた男の想像を超えた醜さにたじろぐ八重子。

汗ばんだランニングシャツは弛んだ太腹ではち切れそうになっており、短いステテコを履いたその姿はいかにも中年オヤジといった風体だった。

その上、禿げ上がった頭頂部は脂汗でてらてらと光っており、中途半端に残された白髪交じりの後ろ髪がその醜さに拍車をかけていた。

 

 あまりの醜さに、八重子はこの男の事を思い出してしまった。

ちょうど1カ月ほど前、この工場の古びた壁を凹ませて強引に立ち退かせたのだ。

その凹ませた跡が、拘束された八重子のすぐそばに見えていた。

 

 「ぐへへっ、思い出してくれたかな?」

八重子の反応に、潰れたように腫れぼったい目は喜色ばんだ笑みをたたえ、肥えた体を揺らす。

「…今さら何をしようっていうの?」

顎を引いて、鋭い剣幕で目の前の醜男を睨みつける。

 

 「何をしようって?くくくっ、私の気持ちを鎮めてくれれば十分ですよ」

不敵な笑みを浮かべながら、男が正面から歩み寄る。

「相変わらず綺麗な顔してるねぇ…」

近付いてきた男は八重子のおとがいを掴み、強引に上げさせる。

 

(…気持ち悪い!)

歯ブラシを買う金すら無いのか、だらしなく開いた口からは黄ばんだ前歯が覗いた。

近くで見ると余計その醜さが明瞭になり、八重子はその顔をなるべく見ないように目線を逸らしながら、落ち着いた口調で言い放つ。

「この状況で私が大声を上げようものなら貴方、通報されるわよ?」

「ぐふふ、何を言う。この近辺は君が立ち退きをさせたせいでもう誰もいないんだよ。自分のやった事も忘れたのか?八重子」

八重子は煽るような口調にも動じず、毅然とした態度で言い返す。

「さぁね、無能な経営者はゴミほどいるから、一々覚えてないわ」

男の挑発を流すように鼻で笑って見せる。

「くくく…君は本当に立ち退かされる側の気持ちが分かってないんだなぁ」

 

それまで穏和だった男が急に体をわなわなと震わせ、歯をガチガチと鳴らす。

「お前のせいで私は職を追われる事になったんだぞ?おかげで嫁にも娘にも逃げられたんだ…この苦しみがお前に分かるか?」

両手で握り拳を作り、怒りで声を震わせる男。

 

そんな男をふっと嘲笑い、白けたような表情で見下す。

「貴方の家庭の事情なんて知らないけど、それもこれも貴方の経営の脆弱さが招いた事でしょう?脆弱な店は市場から淘汰される運命にあるの。私のせいにしないでくれる?」

「黙れ!お前らが工場の壁を凹ませたりしなければ、立ち退く必要なんてなかったんだ!なのに…、なのに…」

怒りで肩を震わせたまま、下を俯く男。

 

「壁を凹ませるだなんて…そんな泥棒みたいな真似、私共がすると思います?もし、私共がしたと言うのであれば、証拠をご提示頂けますか?証拠もないのに疑われるなんて心外ですわ」

微笑をたたえて、目を細める八重子。

「黙れ黙れ!お前がやったに決まってるんだ!普通に考えてあのタイミングであんな事が起こる訳がないだろう!」

「そんな言い訳、法廷で通用すると思います?」

相変わらず嘲るような笑みを浮かべながら、あげつらうように喋る八重子。

 

その挑発的な態度に男は限界を迎えていた。

「何が法廷だ!権力を笠に着やがって。この、悪女め!…お前みたいな悪女には、お仕置きしてやる!」

口角泡を飛ばす勢いで言ったかと思うと、再び八重子の乳を揉みしだきだした。

「…ちょっ!何するの!?」

肌蹴たスーツの下から、シャツ越しに巨乳が縦横無尽に歪められる。

背後から揉まれていた場合とは違い、今度は男の醜い顔が見えているので、それが余計不快感に拍車をかけた。

 

「お前みたいなっ、悪女は、お仕置きされなきゃいけないんだよっ!」

怒りをぶつけるように、荒々しく乳房に揉みついてきたかと思うと、それまで怒りに歪んでいた表情が途端に緩み、好色そうな笑みに変わる。

「これ以上やったら、警察にっ」

「警察?ぐふふっ、誰が通報してくれるんだ?」

八重子のすべすべの頬に自身の垢まみれの頬を擦り付ける。

「今日は一晩中、俺がお仕置きしてやるからなっ、八重子」

愛おしそうにそう言うと、嫌がる八重子の頬に軽く口付けをした。

 

 

 「タイトミニから覗く脚もたまらんな…肌もすべすべで…くくく」

男は八重子の乳に顔を埋めるような体勢から、そのすらりと伸びた美脚を撫でまわす。

脂汗を塗り伸ばされるような粘つく感触に憤りを隠せない八重子。

「ねぇ、気持ち悪いから、離れてくれない?」

ガチャガチャと手錠を鳴らして抗う。

「おっぱいも最高だが、脚もたまらんな…」

そう呟くと、男は自分の股に八重子の脚を挟み、服越しに勃ちかけた局部を擦り付ける。

服越しからむくむくと膨らんでゆくソレの生温かい感触が脚をつたって伝わってくる。

「…最低」

腰に抱き付いている男を見下して冷たく言い放つ。

その言葉を聞いてさらに興奮したのか、盛った猿のように激しく腰を振り出す男。

腰が振られる度、擦り付けられるソレが熱くなっていくのを、服越しにも感じられる。

 

「ちょっと!やめてって言ってるでしょ!?」

「恥ずかしがらなくて良いんだぞ、誰も見てないから」

八重子の胸の中ではぁはぁと息を荒げる男。

ふとももに擦り付けられた局部はステテコを突き破らんとばかりに膨れ上がっている。

「もうガマンできないな…」

興奮で息を切らす中、独り言を呟くと、八重子の体から離れる。

「…何をする気?」

急に離れた事を不審に感じて、訝しむ。

「くく、流石、察しが良いねぇ」

 

 満面の笑みを八重子に向けたかと思うと、バッといきなりその眼前でステテコを下ろす。

下着ごと下ろされ、露わになった下半身からは跳ねるようにいきり立ったペニスが現れた。

「…その汚い物、早くしまってもらえるかしら?」

目を背けながらも毅然とした、冷静な対応を見せる八重子。

ペニスを見せた時は下品な笑みを浮かべていた男であったが、この反応は予想外だったのか、拍子抜けしたような表情を見せる。

「八重子がチ●ポを見せられて悲鳴を上げる姿が見たかったんだけどなぁ、残念だ…」

いきり立ったソレとは反対にしょぼくれる男。

八重子がペニスを見せつけられて、少女のような悲鳴を上げる事を期待していたのだ。

 

 「…じゃあ、これはどうかな?」

おもむろに八重子に近付くと、腰を抱いてくる男。

露出したペニスがふとももに直接触れそうになり、自ずと八重子は股を締める。

「…ッ!?」

さらに男が近付いてきたかと思うと、生温かく、少し湿ったソレの感触が直にふとももに伝わってくる。

今回は服越しではなく、直接だ。

 

 「おォッ…これが、八重子のふとももっ…」

熱く滾ったペニスはふとももの中で、みるみる内に大きくなる。

絹のようなきめ細やかな肌に、自らの最も敏感な部分を擦り付け、自慰行為が始まった。

肉棒と玉袋の間に八重子のふとももを挟むようにして、睾丸に圧迫感を与えていく。

「なっ、何してるの!?やめなさいっ!!」

ふとももを通じて、二つの睾丸の感触が伝わる。

大人の女性である八重子は男に睾丸が二つ付いている事くらい知っていたが、体に直に押し当てられた事は初めてであった。

 

「お前が悪いんだぞぉ…八重子。お前がタイトミニなんか履いてエロい脚を見せつけるから…」

腰を振る事に必死になっている男が吐息混じりに囁く。

八重子は嫌悪感から脚を引き抜こうともがくも逆効果であった。

すべすべの肌が股の中で暴れ回り、男に予期せぬ快感を与えてしまう。

「くおおっ!八重子、そんなに動かれたら…」

時折、男が腰の動きを止めて、深呼吸をする。

そうでもしなければ絶頂を迎えてしまいそうだからであった。

それに気付かず、八重子は体を揺らして抗う。

 

 「や、八重子っ!イくっ!!」

「え?ちょ、何出してんのよ!」

男の腰がびくりと震えたかと思うと、ふとももに何やら温かい液体がかけられる。

まさか、自分のふとももで男がイクとは思わなかった。

「おぉぉ…」

ぴくぴくと残り汁を吐き出しながら、悦に入った声を漏らす。

男の腰と八重子のふとももとの間には白濁液が垂れ流れていた。

「ちょっと!何汚いもの出してんのよ!!」

顔を赤らめながら激昂する。

男性経験が少なくないとはいえ、ふとももでイった男は初めてであった。

「こんな綺麗な脚出してるからいけないんだぞっ…八重子。初めてお前を見た時からこうしてやりたかったんだ」

腰を揺らしてネチャネチャと言わせながら余韻を愉しむ。

八重子にはそれが不快で不快でならなかった。

 

 「今なら許してあげるわっ!だから、手錠を外しなさい!」

眉間に皺を寄せて、怒気を込めて言い募る。

「…」

その剣幕が通用したのか、男がにやつきながら、おずおずと離れていく。

「くくっ、分かった。分かったよ。手錠を外せば良いんだろう?」

ポケットから見せつけるように手錠の鍵を取り出すと、再び八重子に近付く。

強く言い募ったとはいえ、急に男がこちらの要求に従うのはおかしい。

八重子は男の言動に不信感を隠せず、その一挙一動を見詰めるつもりで近付いてくる男を睨みつけるも、心の中ではどこか安堵してしまっていた。

(これで、やっと…)

図らずも一息つきながら、頭上でカチャカチャと手錠が外されるのを待つ。

ふとももに付着した精液がぱたぱたと床に落ちた。

 

 両腕が解放される。

もちろん八重子に男を許す気などなく、解放されてからも後々どうやって報復してやろうか企んでいた。

「今日の事はなかった事にしといてあげるわ、だから…きゃっ!?」

そそくさと立ち去ろうとする八重子の肩が抱かれたかと思うと、両脚が宙に浮く。

いわゆる『お姫様だっこ』の状態で抱き抱えられたのだ。

地獄はまだ終わっていなかった。

 

 「ぐふふ、私は手錠を外せと言われたから、手錠を外しただけだからね?」

嘲るような男の表情がすぐそばにある。

八重子は自分がまんまと罠にかけられたと知り、唇を噛む。

(こんな男にハメられるなんて…!)

男は八重子を抱き抱えながら別の部屋へ向かった。

 

 

 「幸いまだ水道は繋がってるんだ」

男がやってきた先は風呂場だった。

排水溝の穴がごみやら毛やらで黒々と汚れているのが目立つ。

 

「何をする気っ!?」

じたばたともがく八重子の服を強引に脱がせていく男。

「何って?決まってるじゃないか、八重子とおフロに入りたかったんだよ」

黒いレースの付いた下着を強引に脱がすと、八重子は生まれたままの姿に剥かれる。

 

「いやぁっ!」

「綺麗な体してるねぇ…」

透き通るような美肌は瑞々しさやしなやかさを感じさせるものでありながら、たわわな乳房や引き締まった腰は妖艶さを感じさせる。

素早く男も裸になると、そんな美しい裸体にむしゃぶりつくように抱き付いた。

 

 シャアアアアアアアアと二人の頭上からシャワーが温かい水を吐き散らす。

降り注ぐ温水の下で、愛し合う恋人同士のように歳の離れた男女は絡み合う。

もっとも、それは相思相愛といった愛の形ではなく、一方的な愛であったが。

「最近暑くなってきたからねえ、八重子も汗をかいただろう。私が体を洗ってあげるからね」

「ふざけないでっ!誰があなたなんかにっ!」

ぶよぶよと脂ぎった肥満体が八重子のしなやかな肢体に貼りつくように密着してくる。

湿気を含んだ真夏の暑さのような、じっとりとしたぬくもりが男の贅肉から伝わってきてそれが息苦しさを感じさせた。

 

 (逃げるなら今しかない、けど…)

男の抱き付いてくる力が強く、突き剥がせない。

さらに、もし仮に男を剥がせたとしても、服は破り去られているため、全裸で外を歩かなければならない事になる。

絶望感にも似たその感覚が八重子の抵抗を無意識の内に緩めた。

 

 「さっき精子ぶちまけちゃったからね。ちゃんと洗ってあげよう」

先程まで精液で濡れていたふとももを男が撫でるように洗う。

粘り気が強いせいか、なかなか落ちなかった。

 

 「…普段エロい谷間見せつけてる癖に、綺麗な乳首をしているじゃないか」

ヨダレを垂らしながら、八重子の乳首を褒め称える。

「何気持ち悪い事言ってるの…んぅっ!」

腰の裏で両手をクラッチさせた男が赤ん坊のように乳首を吸う。

ちゅううううとわざと吸引音を響かせ、強く八重子の乳首を吸いたてる。

「…むはぁぁぁっ、乳首が硬くなってきましたぞぉ」

如何に相手が醜い男とはいえ、乳首を刺激され、本能的に乳首を硬くしてしまう。

口の中に含まれた乳首は舌で擦られるように刺激される。

 

 

 キュッキュッと水栓が絞られる。

タオルすらないのか、体を濡らしたままシャワーを終えると、男は八重子の体を強引にトイレに引っ張り込む。

 

「と、トイレなんかで、何をするつもり!?」

トイレに連れ込まれた意図が分からず、得体のしれない恐怖で顔を強張らせる。

「別に大した意味はないよ。ただ色々荒らされたせいで座る所がないから」

カチャッとトイレのドアを閉めると、男は八重子の体を抱いたまま便座に座る。

 

狭い空間に大人が二人入ると、たちまち一杯になってしまった。

八重子の脚が長いせいで膝が壁に当たる。

男の吐息が一層荒くなり、分厚い贅肉越しに胸の高鳴りが伝わる。

ここでようやく八重子は男の意図を汲み取った。

 

 「まさかっ…い、いやっ!やめてっ、離してぇっ!」

背面座位の体勢で抱き抱えられた八重子の股間に熱い何かが触れる。

その何かが男のペニスであると、八重子は認めたくなかった。

 

 こんな醜男に、こんな所で…

幸い背面座位なので男の醜い顔は見えなかったが、見えてなくとも、あまりにも強烈な醜さが脳裏に現れる。

そんな男にトイレで抱かれるなど、とても普段の八重子には想像できなかったであろう。

顔を歪ませて、じたばたともがく八重子を、男は黙って引き寄せる。

動悸が激しくなりすぎて、言葉が出せなかったのだ。

「ぃ、挿れるぞぉ…八重子ぉ…」

絞り出すように声を発すると、ペニスの位置を手で調整して、八重子の入り口へ照準を定める。

 

 「いやぁあああああああああああああ!!!」

狭い個室に悲鳴が反響すると、一気に腰を八重子の尻にぶつける。

男の憎しみと愛しみで滾った肉欲が膣内奥深くまで満たす。

その瞬間、頭の中が真っ白になってしまった。

 

 「あああああああああぁぁぁ!!」

子宮口を突かれ、びくびくと体が痙攣する。

男の顔は見えなかったが、生臭い息と腰に感じる火照った太鼓腹が八重子にあの醜い男と一つになっている事を知らしめる。

嫌悪感と不快感が八重子の心根に沁み渡る。

 

 「あったかいッ!!お前の中はあったかいぞ!八重子ッ!!」

興奮でタガが外れたように騒ぎ出す男。

肥えた体をぶるぶると揺らし、膣の奥底まで突きまくる。

 

 「こんな気持ち良いマ●コ…すぐに出ちゃうよぉ!八重子」

挿入してからまだ1分程しか経ってないのにも関わらず、男が早くも弱音を吐きだす。

イキそうなのにもかかわらず、相変わらず男は激しく腰を突き上げる。

 

 (こんな奴にっ…好きにされるなんてっ…!)

汚辱に顔を歪ませながら、瞳を潤ませる八重子。

それは八重子の知っている愛のあるセックスとは程遠いものであった。

 

 それまで止まる事を知らなかった男の勢いが急に緩み出す。

背中で時折呼吸を整えるのが聞こえると、男の絶頂が近い事を悟った。

「はぁ…はぁ…そろそろ限界だなぁ…」

 

腰を抱く腕の力が強くなり、よりがっちりと密着する。

「お前のこの気持ちいいマ●コに免じて、特別に私の精子をくれてやるっ…」

「なっ…!」

恐怖で息を呑む。

自分よりも一回り年上の中年男に中出しをされるなど、たまったものではない。

その言葉を聞いた途端、八重子の抵抗が一層激しくなる。

 

 「いやっ、やめて!やめてえええええええええええ!!」

恐怖に淀んだ悲鳴を上げ、体を激しくくねらせる。

「おォっ!そんなに動かれたら…またさっきみたいに出ちゃうよぉ…」

八重子は先程ペニスをふとももに擦り付けられた事を思い出す。

あの時は自分が動いてしまったから男がイってしまったのだ。

だからといって、今、膣内射精をされようとしている瞬間に、抵抗を緩める事はできなかった。

 

「だ、だめだっ!我慢できないっ!イクぅうううううううっ!!」

思わぬタイミングで絶頂を迎えてしまう男。

びくりと一つ、下半身が躍動したかと思うと、欲棒が熱い劣情を吐き出す。

 

 「ひゃあああああああああああっ!!!」

子宮に白濁液を注がれ、目を剥きながら悶える。

熱く、どろどろとしたマグマのようなものが胎内に染みてゆく。

それが、あの出来損ないの醜い中年男の遺伝子だとは思いたくなかった。

 

 

 「ふぅ…はぁ…」

長い射精を終えて、八重子の背中に顔を押しつけながら豚のように息を整える。

二人の接合部分からは乳白色の汚濁が漏れる。

 

 「うぅっ…うぁぁっ…」

力を失ったようにうなだれた八重子の相眸からは涙がこぼれる。

「男に犯されて涙を流すなんて、意外と可愛らしい所もあるじゃないか、八重子」

座った姿勢でぐったりとした八重子の体を少し持ち上げる。

「その可愛い泣き顔を見せてごらん」

ペニスの先端が入ったまま、男の方を無理やり向かされる八重子。

その視界に満悦とした男の顔が映ると、すぐさま振り向きざまにその顔をはたく。

 

パシーン!

脂汗で滑った頬をはたくと、沼から魚が跳び出してきたような音が響く。

一瞬、仰け反りながらも、頬に紅葉型の跡を付けて、男はにやりと薄気味悪い笑みを向ける。

「酷いじゃないかぁ、八重子」

「うるさい…早く離れてっ…」

泣き顔を隠すように俯きながら、拒絶感を露わにする八重子。

男ははたかれた頬を癒すように、目の前の巨乳に顔を擦り付ける。

 

 「良い事考えたんだぁ、八重子」

「うぁあぁっ!!」

男が腰を突き上げ、今度は対面座位で一つになる二人。

零れ落ちる精液のフタをするように、八重子の膣を埋める。

「もし八重子が私との赤ちゃん孕んだら結婚しようよぉ」

「…はぁっ!?何言って、んんっ!」

柔かな乳房の中で、男は続ける。

「そもそも私が嫁に逃げられたのは八重子のせいだからね。孕んだら私も責任取るけど、君もそういう形で責任を取ってくれよ」

 

「何を馬鹿な事を…っ」

信じられない男の言葉に顔を青くする。

しかし、この男なら本当にそうしかねない。

心の底からぞわりと冷たい恐怖が湧いてくる。

 

 「そのためには、たっぷり中出ししてあげなきゃねっ」

二発出した後とはとても思えないような勢いで腰の律動を再開する。

濡れた体が絡み合い、腰と腰がぶつかる瞬間に汗水の飛沫がはじけ飛ぶ。

男は失った幸福や厚生を取り戻すように、八重子の膣を埋め、染めていった。

 




八重子もまた書いてみたいんだよなぁ。


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