しがないサイヤ人の転生物語 (ZN86)
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俺の名はキリュウ!?主人公より早く生まれたサイヤ人

ブロリーの映画楽しみすぎて思わず執筆。今年の冬は盛り上がりそうですね。


「ほう、産まれた時点で戦闘力が1000もあるとは…」

「こりゃ将来安泰だな」

 

そんな声が聞こえて目を覚ます。いつも通りに起き上がろうとしたが体が思うように動かず困惑する。そんな僅かな感情の変化で何故か目頭が熱くなり泣いてしまった。俺はこんなに泣き虫じゃないぞ?

 

「はは、とは言ってもまだ赤ん坊だ。とてもそんな風には見えんな」

「仕方ないだろう。数年後に期待するとしよう」

 

泣き出した俺を笑って二人組の男は去ってゆく。おい待て誰が赤ん坊だコラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ん坊でした(絶望)

 

とりあえず落ち着こう。状況整理といこうじゃないか。

 

今の俺の姿は何故か赤ん坊だ。そしてさっきの二人組の男の話してた内容から察するに、どうやらドラゴンボールの世界に転生してしまったということなのだろうか。頭の中の記憶を探ってもほとんど覚えておらず、あるのはドラゴンボールの原作知識のみ。

 

ならばもう気にする事はあるまい!思う存分ドラゴンワールドを楽しんでやろうじゃないか!ハーッハッハッハ!

 

 

 

 

 

 

 

数年後

 

サイヤ人は何歳になったら無理矢理戦闘を教えられるのだろう、とか考えていたがウチの親はそういうのに無頓着なのか基本放置の教育だった。こちらとしても都合がいいので良いように利用させてもらうが。

 

とにかく基礎戦闘力が無ければ何も始まらんと思った俺は体を鍛えることに専念した。そうしてトレーニングを続けていた俺は僅か10歳にして戦闘力が10000を越すことになった。

 

伸びがおかしいと思うかもしれないが、他のサイヤ人のはほんの少し違うトレーニングをしただけだ。基本的にサイヤ人は怪我を負っても戦闘に支障がない程度に回復すれば多少のダメージや傷を残したまま再出撃するのだ。つまり戦闘において最大限のパフォーマンスを発揮できない上、体力の限界が近づいたらあっという間に倒れてしまう。

 

この頃はメディカルポッド?もまだ完璧では無いらしく、どれくらいで完全回復するのか分かってなかったみたいだし。そんな事ではサイヤ人の特性を活かしきれずに終わってしまうのも仕方が無いことだ。

 

そこで俺は亀仙流の教えにあるよく動きよく休む。このふたつを実践した訳だが、これが面白い様に戦闘力が伸びるんだ。コツは死にかけるまで自分を追い込み、完全に回復するまでしっかり休む事。

 

他のサイヤ人に教えようとも思ったが、ちょっといい思いをしたいから黙っておく。ヘタに動いて惑星ベジータの崩壊を早まらせる事もあるまい。勿論気のコントロールで戦闘力を抑えておくことも忘れていない。

 

ひとまず戦闘力の面では問題無かろうと思った俺は次に実戦経験を求めた。大人のサイヤ人の誰かと組み手をしてもらおうと考え、たまり場である酒場に行った。

 

そこには戦闘力1000そこらのいわゆる下級戦士が集まっていた。その中でも戦闘力5000と下級戦士から外れた戦闘力を持ち、頬に特徴的な十字傷を付けたサイヤ人を見つけた。

 

バーダックだ。

 

まさかこの目で見ることができようとは…俺は感動し、その衝動に身を任せてバーダックに話しかけた。

 

「ああ?組み手だぁ?へへ、いいぜ。ちょうど退屈してたところなんだ。戦闘力1000をもって産まれたお前の実力を試してやらぁ!!」

 

赤ん坊にして戦闘力が1000もあるのはサイヤ人でも珍しかったようで、密かに注目されていたようだ。俺たちは外に出てその場で直ぐに組み手を始めた。

 

俺の方が戦闘力が高いのにも関わらずそれを感じさせないバーダックの怒涛の攻めはまさに圧巻だった。結局俺は有効打を与えられずにやられてしまったが、この一戦で俺はバーダックについて行けば必ず強くなれると確信した。

 

思い立ったがなんとやら。俺はバーダックに頼み込んでなんとかチームに入れてもらうようにお願いした。バーダックは快く引き受けてくれたようで俺がはしゃいでいると「喜びすぎだぜ、ガキめ」と、照れくさそうに笑っていた。

 

 

 

この日よりバーダックのチームに新しい名前が刻まれることになった。

 

その名も『キリュウ』

 

彼はバーダックの仲間にも快く受け入れられ、バーダックのチームはさらに活躍していくこととなった。

 

 

 

 

 

ある者に注目をされているとも知らずに。

 




ちなみにウリ科の名前にはなっていますがパンブーキンとは一切関係ありません。



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宇宙の帝王とご対面!?恐怖の象徴フリーザ

バーダック達と共に活動して5年ほど経ったある日、いつものように次に侵略する惑星の情報を伝えに来たバーダックが開口一番にこう言った。

 

「おい、キリュウ。フリーザ様がお呼びだぞ」

 

バーダックがそう言った。ちょ、おま。サラッと言うなし。油断してたから寿命縮んだわ。

 

 

 

 

 

 

 

「お初にお目にかかりますフリーザ様。私はキリュウと申します。」

 

フリーザ様の部屋に入り直ぐに頭を下げて膝を着く。フリーザ様ハンパねぇよ。部屋に入った途端にとんでもない圧力がかかったように体が強ばったよ。こんな奴に立ち向かって行ったバーダックとベジータ王は一体どんな精神してるんだ。後者はただの馬鹿だったけど前者はマジで尊敬する。

 

「おや、ほかのサイヤ人と違って多少教養があるように見えますね。最近すごい勢いで力を付けているとお聞きしましたが、私への反抗のためでは無いと捉えてよろしいですね?」

「勿論でございます。サイヤ人の活動の促進の為、ひいてはフリーザ様の為でございます。もとよりその気はありませんでしたが、こうして対面してフリーザ様の恐ろしさを改めて再認識した次第でございます。」

「ほっほっほ、それならよろしいのです。貴方のさらなる活躍を期待していますよ?」

「はっ!もったいなきお言葉でございます。」

 

こうして会話が打ち切られて俺はフリーザ様の部屋から退室した。

 

 

 

「ふむ。あの怯えよう…私の真の実力を感じ取っていたようにも見えましたが…。考えすぎでしょうか」

「どうかなさいましたか?フリーザ様」

「いえ、なんでもありませんよ」

 

キリュウはこの瞬間からフリーザが心の隅に気をとめる存在となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー、五体満足で帰ってきやがったぜ。なんの話しをしてたんだ?」

「そう簡単に四肢欠損してたまるか。ただの反抗の意思の確認だったよ」

 

バーダックにそう伝え出撃の準備を始める。

 

「なあ、お前はこのままでいいと思っているのか?」

「構わないだろ。どうせそのうち動きがあるさ、なんたってあのベジータ王のことだからな」

「…ふん、違いねぇ」

 

そう言って俺達は出撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰って来てから驚くことがひとつ。

 

カカロットが産まれた。

 

いつの間によろしくやってたんだよとバーダックをからかうとゲンコツが飛んできた。暴力イクナイ。

 

バーダックと二人でカカロットを見に行くと案の定戦闘力2だった。隣のバーダックが忌々しげな表情してたんでなんとか宥める。この子サイヤ人最強クラスになるんだからそんな顔してあげるなよ。

 

カカロットが泣くことによって影響が出る者がいる。

 

それがブロリーだ。

 

俺は赤ちゃんルームに入り、まずカカロットをあやして次にブロリーもあやす。二人とも静かに寝に入ったようだ。よすよす。

 

ルームからでてきた俺をバーダックが怪訝そうな目で見てきた。アンタの息子だからな?本来あんたの役目だからな?そう言うと「ガラじゃねぇよ」と返ってきた。頑固オヤジめ。

 

とりあえずカカロット産まれたし、そろそろ原作に沿って動き始めるかなー。どうしようかなー。とか考えてたら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベジータ王子の世話係に任命された。ナッパとともに。

 

クソう。なんでこうも予想外の展開ばっかり起こるんだ。



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サイヤ人の王子はワガママ!ヤンチャなカリスマベジータ

バーダック達に別れの挨拶(ガチバトル)を済ませて一週間後。ベジータ王子が住んでいる宮殿までやって来ていた。

 

「お前がキリュウか、噂は聞いてるぜ。俺はナッパ、これからよろしくな!」

 

おおう、ナッパに髪が生えとる…。それにしても二次創作でよく見てたけど、やっぱり仲間には気前のいいおじさんって感じなんだな。

 

「初めましてナッパさん。こちらこそよろしくお願いしますね。」

「硬っ苦しい話し方はよせよ、お前の方が戦闘力は上なんだろう?」

「それでも経験ではやはりナッパさんの方が上です。先輩として教わることも多いでしょうし、話し方に関しては気にしないで貰えると助かります。」

「おお、おお!なんだお前良い奴じゃねえか!」

 

ナッパがガハハと笑いながら背中を叩いてくる。戦闘力を抑えてるから地味に痛い。

 

「キリュウが来たらベジータ王子の所まで顔を見せるように言われてるんだ。ベジータ王子は気難しい奴だから気をつけろよ」

 

一緒のチームになるのに気を付けるとはこれ如何に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼しまーす」

「来たな。お前がキリュウか。」

 

ちっちゃいベジータが椅子にふんぞり返って座っていた。偉そうに…いや実際偉いんだけど。

 

「初めましてベジータ王子。私はキリュウと申します。」

「そんなに堅苦しい喋り方をせんでいい。このベジータ様のチームに選ばれたんだからな」

「しかしですね、それでは他の者達に示しが…」

「うるさい!この俺の言うことが聞けないというのか!」

 

何だこの野菜王子可愛すぎか?

 

「はぁ…分かった、これでいいか?ベジータ」

 

俺はベジータを真っ直ぐに見やる。

 

「ハッハッハ!中々いいツラをするじゃないか!気に入ったぞ!」

 

そうですか。お気に召しましたか。そりゃよかった。

 

「早速だが、お前の戦闘力を見せてもらおう。このスカウターは最新式だ、三万までは計れる。」

 

ベジータはスカウターをつけて俺の戦闘力を計る。

 

「ん?5000だと?そんなに低かったか?」

「それは戦闘力を抑えてるからだ。今解放するから」

「戦闘力を抑えるだと?そんな事をして何に…」

 

体に力を込めて気を解放する。

 

ピーーーボンッ

 

アカン、スカウター壊しちった。

 

「なんだと!?貴様の戦闘力は三万以上だというのか!」

 

これもひとえにバーダックのお陰だ。感謝感謝。

 

それはそうとベジータが何やら笑っている。一人でいきなり笑い出すのは怖いんだが。

 

「白状しよう、俺の戦闘力は最近ようやく一万を越した辺りだ。キリュウは俺の世話係だったな?ならば俺を鍛えろ!超エリートであるこの俺が貴様と特訓すれば三万などという数字は軽く超えて見せる!」

 

おいプライドどこいったし王子。同じサイヤ人の仲間だから問題ないのか?

 

「おあつらえ向きに任務がある。期限は三日だ。一日で制圧して残りの二日間を特訓にあてるぞ!着いてこい!」

 

ベジータが部屋を飛び出していく。騒がしいやつだ。

 

部屋を出ると待機していたのかナッパがそこに居た。

 

「どうだったんだ?偉く上機嫌だったが」

「なんかよくわからないけど、気に入られた様です。」

「そうか!まあお前のことだ、心配はしてなかったけどな!」

 

ナッパ本当にいいおっちゃんなんだが。

 

「さて、ベジータ王子を待たせるとあとが怖いからな。行こうぜ!キリュウとの初仕事だ、張り切って行こうじゃねえか!」

「了解です」

 

俺たち三人は出撃した。

 

任務先の惑星に着いて本当に一日で制圧したのは驚いたが、残りの二日間で成長した二人にはもっと驚いた。サイヤ人は実戦で強くなるしかないようで、教わりながら戦うってのは初めてだったらしい。

 

ベジータが一万から二万へ。ナッパが五千から八千へ上がった。

 

意図せず悟空たちの難易度が跳ね上がってる件について。悟空頑張れ。超頑張れ。

 



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新たな仲間の登場!弱虫ラディッツ

お気に入り50突破に加えて評価バーに色が着きました。

ありがとうございます。


結論から言おう。

 

惑星ベジータ消えてた。

 

てことはバーダックともう会えないのか…分かってたこととはいえやっぱり心が痛い。

 

だけど形見のようなものは貰ってある。空のロケットペンダントを貰った。なんで空なのか聞くとお前の将来の家族の写真をそこに収めろ、なんて言うもんだから洒落たことも出来るんだな、と言ったら案の定ゲンコツ。しかし今となってはいい思い出だ。

 

閑話休題

 

とりあえず近くにあったフリーザの宇宙船に入る。フリーザの宇宙船はポッドの受け入れ口あるのか、多機能だな。

 

「こりゃ一体どういうことだ!?」

 

「落ち着いてくださいナッパさん、とりあえずフリーザ様の所まで行ってみましょう。何か知っているかもしれない。」

 

真犯人そのフリーザ様なんだけどね。黙っとくけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま戻りました、フリーザ様。」

 

フリーザが惑星ベジータの消えた原因を隕石の衝突だと説明してくれたけど、分かってる俺は白い目でフリーザを見ていた。

 

二人共普通にショック受けてた。そりゃそうだよなあ。ベジータは隠そうとしてたっぽいけどバレバレだった。

 

「数が少なくなってしまいましたので、貴方達三人ともう一人偶然生き残ったサイヤ人を加えて四人で活動してもらいます。」

 

入りなさい。とフリーザの声に反応して部屋に入ってくる人影がひとつ。M字はげ、長髪、クソデカ肩パッドプロテクター、悪人顔の特徴を兼ね備えたサイヤ人。

 

ラディッツだ、しかしまだ幼い。

 

「なんだ、弱虫ラディッツじゃねぇか」

 

「ナ、ナッパさん…」

 

「知っているのかナッパ?」

 

おや、ナッパさんとは知り合いのようだがベジータとは初対面だったのか。こういう漫画だけじゃ見れないことが見れるのはやっぱり楽しいねえ。

 

「相手が自分より強いとなるとすぐに逃げ出す臆病者ですぜ。」

 

「ふん、サイヤ人にしては珍しい。腑抜けか。」

 

「ベ、ベジータ王子…」

 

ラディッツボロクソ言われててワロタ。いやワロてる場合ちゃうねん。

 

「まあそう言うなよ。言い換えれば自分の実力をしっかり見極めてるってことだろ?勝てない相手に立ち向かうのは勇気ではなく無謀と言うからな」

 

それがカッコイイんだけどね。バーダックとか悟空とか。そんな奴の血縁なんだからラディッツはもう少し優遇されてもいいと思う。

 

「あんたは…」

 

「初めまして、ラディッツ。俺はキリュウだ。」

 

「なんだって!?あんたがあのキリュウなのか!」

 

そんなに驚かなくても。どんな噂流れてんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリーザ様に後は自分達で話をつけなさい。って部屋を追い出された。

 

聞くところによると俺の事はバーダックが色々話してたらしく、それで名前だけ知ってたんだと。

 

俺たちはラディッツを加えた四人で任務を行うことになった。その後の特訓に勿論ラディッツも参加させた。

 

鍛えに鍛えて10年後、ベジータは30000。ナッパさんは12000。そしてラディッツが5000まで到達した。

 

到達してしまった。どうしよう。

 



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俺を強くしてくれ!?ラディッツの葛藤

お気に入り100いきました。驚きました。

とか言ってたら150突破しました。

ありがとうございます。


「なあ、キリュウ。」

 

任務が始まりベジータとナッパがペアで特攻して行き、出遅れた俺たちもさて行くか、というところでラディッツが話しかけてきた。最近はベジータ共々随分と成長したようで2人ともかなりガタイが良くなってきた。余談だがとうとうナッパがハゲた。

 

ところでラディッツだが、なんでもあのバーダックの息子なのにこんなにも低い戦闘力に嫌気がさしてるんだとか。確かに俺たちと比べると低い方だけど、現時点で原作超えてるからね?分かってる?

 

「バーダックだって最初から強くは…いや、戦闘力が高かった訳では無いからな」

「そうなのか?」

 

バーダックは事実最初から強かった。だから下級戦士にも関わらずグングン戦闘力を上げていったのだ。

 

「ラディッツはなんの為に戦っている?」

「それは…」

 

どうやら明確な答えが出ていないようだ。

 

「俺の場合はただ戦闘を楽しむ為、ただそれだけだ。」

「それがお前の強さの秘訣なのか?」

「秘訣かどうかは知らないが、戦闘力は上がった。」

 

ラディッツが俺も楽しむために戦えば、とか言ってるけどそれはまた違う話だろう。

 

「ラディッツ。一回自分と向き合ってよく考えてみるんだな。本当に戦いたい理由はなんなのかをな」

「戦う本当の理由…」

 

原作だとあっさり死んじゃってそれ以降出番なかったからな、今回は活躍させてやりたいじゃないか。

 

「さて、そろそろ行くか?今回の戦いでそれを見つけてみろよ。」

「あ、ああ。」

 

俺たちは任務を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

任務終了後。

 

「どうだラディッツ、戦う理由は見つかったか?」

「いや、まだ探してる」

 

まあ流石にすぐは見つからないわな。

 

「だがこれから探していくつもりだ。」

「そうか。」

 

ラディッツなりに頑張ろうとしてるみたいだ。

 

「まあお前はあのバーダックの息子なんだ、きっと強くなれるさ。」

「キリュウ…ありがとう。」

 

ラディッツよ、どうか頑張ってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、相談なんだが…」

 

任務後の特訓を終え、フリーザの宇宙船の一室で待機しているとラディッツがふと話を切り出した。

 

「俺の弟にカカロットってのがいるんだが、そいつが地球に送られたらしい。戦力として加えたい、どうだろうか?」

「ふむ、物は試しだ。次の任務まで時間はある、地球とやらに行ってみようじゃないか。」

 

ベジータが乗り気だ。

 

「しかしよぉ、ラディッツの弟だろ?戦力になるのかよ。」

「それを確かめに行くんですよ。大丈夫です、カカロットが期待以下の場合の事も考えてあります。」

 

とは言ったものの、実は何も考えていない。加わるなら加わるで俺が直々に鍛え上げるだけなのだが、地球で記憶をなくしスクスクと良い子に成長した悟空は俺達の仲間に入るとも思えない。まあ、なんとかなるか。

 

という訳で俺たち四人はそれぞれのポッドに乗って地球に向かった。この場所からだと半年かかるようだったが、コールドスリープ機能というものがあり体感的には一瞬だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作とは違い誰もいない岩場に着陸し、四人のサイヤ人が各ポッドから出てくる。

 

「ここが地球か…環境が整った良い星だ。」

「何だか体も動かしやすいぜ!」

「恐らく今までの星と比べて重力が軽いのでしょう。」

「ここにカカロットが…」

 

各々感想を述べている。ラディッツが悟空に会いたそうにしてるから、早く探そうかね。

 

さて、スカウターを着けてっと。あれ…なんだか数値が…

 

1000と2000?なんじゃこれは?こんなヤツいたか?仮に悟空とピッコロだったといえど、戦闘力の伸び具合がおかしい。一体どうなってるんだ?

 

そう思いながらスカウターの反応に従ってその地点まで飛んで行くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、悟空は分かるよ?なんで強くなってるのか知らないけど。

 

なんでブロリーまでいるの?

 

 




タグに原作崩壊追加しときます。


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予想外のZ戦士!?優しいサイヤ人ブロリー

ここから先はブロリーファンの方閲覧注意かもしれないので覚悟してご覧ください。


「あれは…まさかブロリー!?」

 

「知っているのかキリュウ?」

 

戦闘力10000をもって産まれたサイヤ人であることを説明する。

 

「なんだと?戦闘力10000!?」

 

「しかし、いまスカウターででてる戦闘力は2000だぞ?」

 

「俺たちと同じように戦闘力をコントロールしているのだろう。もしかしたら俺より戦闘力が上かもしれんな…」

 

「心強いやら恐ろしいやら…」

 

俺たちは意を決してカメハウス外に集まっている悟空たちの元に降り立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰だおめえら?」

 

「カカロットにブロリー、久しぶりだな。とは言っても覚えてないだろうが。」

 

「オラの本名を…!?」

 

「俺の事まで知っているのか…!」

 

おや、なんか違和感。

 

まずブロリーが何故地球に居るのか説明してもらおう。え?一緒のポッドに入ってた?んなバカな。

 

悟空は原作通り頭を打って記憶をなくして大人しくなったようだが、だからといってブロリーまで頭打ってるわけじゃないんだから大人しくなってるわけないでしょうよ。え?ブロリーは最初から大人しかった?なわけ笑

 

「なんという事だ…」

 

「お、おい…大丈夫か?」

 

頭に手を当てて天を仰ぐ俺を心配してくれるナッパさん、あなたは本当に良いおっちゃんです。ただラディッツを馬鹿にしすぎるのをやめてください、愚痴がこっちに来るんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから二人は悟飯おじいちゃんに拾われ育てられたのだと。ブロリーの余りある戦闘力は赤ん坊の頃から発揮されるわけでは無かったようで、成長していくと同時に徐々に露わになっていったらしい。そんなブロリーと常日頃から一緒に暮らしている悟空はそれに負けじと必死に努力してブロリーを追っかけていたようだ。

 

結果ブロリーは戦闘力10000に匹敵する実力を身につけ、悟空はそれに続いて戦闘力8000まで上がったらしい。仲間も同様、次点のピッコロで6000、1番低いチャオズでさえ1000はある。俺がいなかったらラディッツ本当に立場ないな。

 

「そういえば、何故カカロットは悟空と名乗っているんだ?」

 

カカロットは悟空と呼ばれているのにブロリーはそのままだ。

 

「ああ、それはな…」

 

悟飯おじいちゃんが二人を拾った時にブロリーの方には首にネームタグが着いていた。それで悟空には名前を着けてブロリーはブロリーのままだったらしい。ブロリーはそのネームタグを親父の形見にしているのだとか。

 

後に喋れるようになったブロリーが悟空の本名がカカロットであることを発覚させたが、悟空が悟空のままがいいと言ってそのまま通したそうだ。

 

「それにブロリーはとっても優しいんだぜ!いつも俺たちのことを気にかけてくれるしな!」

 

「そ、そんなことは無い…」

 

クリリンの言葉にブロリーが照れくさそうに否定する。ブロリーの面影無いんだけど。

 

いや、もう驚くのはよそう。この世界線のブロリーは強くて優しい地球育ちのサイヤ人なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、俺たちの当面の目標はフリーザだ。ブロリーにカカロット…いや、悟空。いきなりで悪いが協力して欲しい。」

 

とりあえず原作のサイヤ人が無くなってしまったのでフリーザ編に強制移行させてもらう。

 

その為に悟空とブロリーを説得した。俺達のことはしっかりと説明した上でフリーザという化け物がいることを話した。放っておけばいずれ地球にもやって来ると言うと、2人は苦い顔をして承諾した。

 

まず戦闘力10000のブロリーはベジータとナッパと一緒に宇宙に飛び立って特訓してもらい、悟空、ラディッツ、俺の三人は地球で鍛えることにした。俺が悟空とラディッツを鍛えればまともな戦力になるだろう。兄弟でどんな会話するのか見てみたいしな。

 

「1年くらいあればだいぶ成長するだろう。それぐらいを目処にまた会おう。」

 

そうして俺たちの特訓が始まった。




いやあ。

難産でした。


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界王様のもとへ!?キリュウの考え

お気に入り200件突破ありがとうございます。

追記
悟空の尻尾に関するご指摘ありがとうございました!修正しました。




とりあえず神様のところに行こう。そして自分が転生者ということを明かして協力してもらおう。そうすれば界王様のところに行けるだろうし、精神と時の部屋も使えるようになるかもしれない。

 

ただ精神と時の部屋はどうにか改造してもらいたいものだ。重力10倍はいらないから、人数制限とか時間制限をとっぱらってもらいたい。重力10倍とか今後いらない子になってしまうだろうしな。それこそ界王様のところに行けばいいって話になる。

 

「ということで悟空、神様のところまで案内してくれ。」

「なにがということでだ。話が見えんぞ。」

「おめえ神様のことまで知ってるんか!物知りだなぁー。」

「何故キリュウが地球の事を知っているのだ?」

「そこも含めて目的地に着いたら説明するよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神様のところに着いた。

 

ここで俺が転生者ということをラディッツ、悟空、神様、の3人に明かす。神様はなにか考え込んでいるようだ。ラディッツは大層驚いていた。悟空はそもそも転生ってなに状態なので論外。しょうがないけど。

 

俺のいた所ではこの世界の出来事は夢物語として広まっている。故にこの世界で起こる出来事をある程度予測できる。俺がいることで歴史は大きく変化している。そう説明したらラディッツが

 

「惑星ベジータが消滅するのも分かっていたのか?」

 

と聞いてきたのでイエスと答える。すると何故分かっていて何もしなかったのかと怒られた。分かっていてもフリーザには勝てないと言うとラディッツは苦い顔して黙った。

 

ここでラディッツにバーダックの最後の事を教える事にした。するとラディッツは衝撃を受けたような顔になり

 

「そうか…親父は最後まで立派に戦ってたんだな…」

 

と言ってなにか決意した顔つきになる。

 

「俺は…親父の誇りの為に戦う。」

 

ラディッツがそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、本題だ。神様に界王星へ連れていってもらうように頼み込む。

 

「……ひとつ聞きたい。お前がサイヤ人を率いてフリーザを討とうとしている事は分かったが、挑もうとするのは何故だ?奴の手から逃れられる場所まで行き、身を隠せば良いのではないのか?」

 

「フリーザの勢いは留まる所を知らない。放っておけばいずれ奴は全宇宙を支配し、逃げ場所など意味が無くなる。当然、この地球もな」

 

「なんと……」

 

「偶然にもここにはカカロットがいたし、修行する環境も非常に整っている。利用するようで悪いが、今ある手段を全て使ってでもフリーザを倒さなければならないんだ。その為にどうか協力して欲しい」

 

「……分かった。閻魔大王様に話を通してくる。しばし時間を貰おう」

 

神様は宮殿の奥に姿を消した。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

神様が戻ってくるまでの間に悟空とラディッツの戦闘力、俺自身の戦闘力の限界を探る事にした。

 

悟空は最大で8000。ラディッツが驚く事に10000まで上昇していた。何があったし。

 

「戦う事に明確な意味が出来たんだ。みっともない戦い方なんてしていられないからな」

 

ラディッツの中で何か変化があったようだ。バーダックの話をしたのは正解だったな。まさか心持ちでここまで変わるとは。

 

さて、お次は俺の番だな。

 

「ラディッツ、わかってるとは思うが……」

 

「ああ、スカウターを切っておく」

 

「よし」

 

俺は自分の気の影響で神殿に被害を出さない為に少し浮かび上がる。

 

「はぁぁぁぁぁあああ…………!!!」

 

自分の気を最大まで引き出す。俺の放つ気の影響で突風が発生し、神殿に植えてある木を大きくしならせる。ラディッツ達も吹き飛ばされないように踏ん張っている様だ。

 

「す、すげぇ……これがキリュウの本気なんか……!」

 

「あいつめ、あんな力を隠してやがったとは……!」

 

なんて二人が言うけどやっぱり自分じゃ分からないもんだ。試しに驚いてる二人の後ろに最高速度で移動する。

 

「き、消えたっ!?」

 

「どこへ行きやがった!?」

 

「ほーう、お前ら二人でも目で追いきれない速度って訳か」

 

「「いつの間にっ……!!」」

 

あ、同じリアクションしてる。兄弟みたいだ。……そういや兄弟か。

 

「ふぅ……」

 

俺は力を抜いて気を抑える。二人は結構驚いてたけど、それでもフリーザの足下にも及ばないんだろうなあ。サイヤ人は辛いぜ。

 

「凄かったなぁキリュウ!おめえと戦えると思うとオラわくわくして来たぞ!」

 

お、あの有名な台詞が生で聞けた。しかもその対象は俺だ。ちょっと感動。

 

「カカロット、お前もやはりサイヤ人だな。俺も久々に疼いてきたぜ……!」

 

ラディッツも珍しくやる気を出している。モチベーションが高まるのは良い事だ。

 

と、そんな事をしていると丁度神様が帰ってきた。

 

「どうだ、許可は降りたか?」

 

「ああ、バッチリだ!今から案内する、三人とも私に捕まってくれ」

 

二人が神様の肩に手をかける。俺も背中に……っと、ちょっとここで悪戯心が芽生えてしまった。

 

ラディッツの尻尾を握る。

 

「うっ……!」

 

するとラディッツの体から力が抜け、神様の肩から手を離して膝を着いてしまった。

 

神様はそれに気付かず、瞬間移動かなにかで閻魔の所に行ってしまった。

 

「な、何をするんだキリュウ……!」

 

「ラディッツ……。お前まだ尻尾鍛えてなかったのか……いらないんなら斬るぞ?」

 

「鍛える!ちゃんと鍛えるから!は、離してくれ……!」

 

「……何をやっとるんだお前達は」

 

いつの間にか戻って来てた神様に呆れられた。心外な、ラディッツの弱点を確かめてただけじゃないか。

 

「全く……酷い目にあった」

 

「界王星に着いたら尻尾の弱点も克服しないとな。ちょうどやる気もある様だし、本気でしごいてやるぞラディッツ」

 

「お、お手柔らかに頼む……」

 

「兄ちゃんも尻尾掴まれると力が抜けるんだな!オラは神様に取ってもらったんだけどよ、兄ちゃんも取ってもらったらどうだ?」

 

あ、悟空。尻尾はなるべく残しといて欲しいんだけど……。そう伝えようと口を開きかけると、ラディッツがこんなことを言った。

 

「いや、これは俺にとってのサイヤ人の象徴。そして誇りでもある……ちっぽけなプライドだが、俺はこれを大事にしたいと思ってる」

 

「……そっか!じゃ、残しといた方がいいな!」

 

……どうやら要らぬ心配だった様だな。ラディッツはサイヤ人としての誇りを意識し始め、更に上を目指していくことだろう。この様子だったら界王様の修行で化けるか……?まあ、それは後で分かる事だ。

 

 

 

そんなこんなで無事界王様の元で修行を受けられる事になったキリュウ達一行。しかし、それだけではフリーザには到底及ばない。一体キリュウはどうするつもりなのか。

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「そう言えばキリュウ、お前の尻尾は大丈夫なのか?」

 

「誰に向かって言ってんだ阿呆。お前と違ってガキの頃に克服済みだ」

 

「くっ……だ、だったらどうやって克服したというんだ!」

 

「あ、それオラも気になる」

 

「……まあいいか。方法は至って単純だ、全力で尻尾を握り続けるだけ。以上」

 

「なっ……そんな訳あるか!第一、尻尾を握れば力が抜けるんだから全力でなんて……あっ!」

 

「気付いたか?思い通りの力で尻尾を握れる様になれば克服完了だ」

 

「そんな簡単な事だったなんて……」

 

「ははっ、そんな事にも気付かなかったんか兄ちゃん!」

 

「なっ!?聞けばカカロット!貴様も尻尾の克服をサボっていたそうじゃないか!」

 

「もう昔の事だからオラには関係ないもんね〜!」

 

「なんだとー!?」

 

「落ち着けお前ら」

 

 




どうも筆が乗らない……と、気分転換にとある方の作品を見返してみたらまあ筆が進む事(笑)

一気にスピードが上がり、気が付いたら3000文字超えてました。

流石は偉大なる先輩、今後とも(勝手に)参考にさせてもらいます。



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強敵現る!?サイヤ人の生き残り

UA10000、そしてお気に入り300突破ありがとうございます。ここまで順調に伸びているのはひとえに評価してくださっている皆様のお陰です。

相変わらず自分の妄想をひたすら綴る作品ですが、どうか温かく見守って頂けたら幸いです。


「貴様ブロリーとか言ったな、キリュウの知り合いなのか?」

 

「いや、俺はあいつの事を知らない……」

 

正確には覚えてない、が正しいだろう。それもそのはず、あの二人が最後に会ったのはブロリーがまだ赤ん坊の頃だ。

 

「だったらなんでキリュウは久しぶり、なんて言ったんだろうなあ」

 

「そこも含めて帰ったら聞いてみるか」

 

だがブロリーはキリュウに会ってパズルのピースがカチリとハマるような、そんな運命めいた違和感を感じていた。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「行き先は惑星○○だ、そこは比較的戦闘力の高い種族がいるらしい。だが殺しはするなよ、キリュウからの伝言だ」

 

殺してしまえばそこで終わり、その者が強くなる為の何かを持っていたのならそのチャンスは失われる、とはキリュウの言葉だ。

 

「まさか相手を殺さねえ方が強くなれるとは驚きだったなあ」

 

「実際キリュウは俺達より遥かに戦闘力が上だ。サイヤ人の王子であるこの俺が奴に追いつけんのは、恐らく奴の修行方法がよっぽど上質なものだからだろう」

 

「……そんなに強いのか?そのキリュウという奴は」

 

自身の戦闘力に少し自信があるブロリーはおずおずといった感じに尋ねる。

 

「ああ、とんでもない強さだぜ!なんたってあのベジータが本気を出しても軽くあしらっちまうんだからな!」

 

「……ナッパ、それ以上口を開かん方が身のためだぞ」

 

「す、すまねえベジータ……!」

 

「そんなにか……」

 

ブロリーはベジータの強さをひしひしと感じていた。自分が全力で戦っても恐らく勝てないだろうと。だがキリュウはそんなベジータより遥かに強いというのだ、ブロリーはただ驚くしかなかった。

 

「そんなに強いのに偉そうな感じじゃなかったな」

 

「なんでも、パワーアップする為の精神修行の一巻らしいぜ」

 

「普段から精神をコントロールしておく事が重要だと言っていたが……」

 

ベジータのナッパは何故そんな事をするのか分からないでいた。それもその筈、なんせこの修行は"超サイヤ人"になる為の修行なのだから。

 

「さて、話はこの位でいいだろう。惑星○○まで三日だ、ブロリーはキリュウが使っていたポッドに乗れ」

 

「分かった」

 

こうしてベジータ達一行は地球を飛び立った。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「なんでえ、この星の有り様は……」

 

「ひどい荒れ様だな」

 

ベジータ達が訪れた惑星は文明が発達しているほうだったが、そんな雰囲気を微塵も感じさせない程に荒んでいた。それに人の気配も感じない。

 

「あそこにある大きな木からなにか禍々しいものを感じる……」

 

「よし、調査に行くぞ。ナッパ、ブロリー、着いてこい」

 

ブロリーの言葉に同意し、ベジータ達は禍々しい気配を出している巨木の調査に飛び立った。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「む、スカウターに反応があるぞ」

 

「誰かいるのか?」

 

巨木の麓に降り立つ三人。そこには悟空と同じ髪型で目付きが鋭く浅黒い肌を持った男がいた。

 

「……カカロットか?いや違うな、何故たった一人でこんな所に」

 

「アンタは……ベジータ王子か?ケッ、とうとう見つかっちまったか。アンタに恨みはねえが……」

 

男は独特な果実を齧る。すると男の筋肉が一回り大きく膨れ上がり戦闘力が増す。

 

「なっ、コイツ戦闘力が……!」

 

「ぶっ殺させて貰うぜ!」

 

男はベジータに勢い良く殴り掛かる。ベジータは両腕を交差し辛くもこれを防ぎ、後ろに大きく後退する。ブロリーとナッパもその場から離れる。

 

「俺はフリーザ軍には絶対戻らねえ!」

 

「フリーザ軍だと!?待て、俺達はフリーザ軍とは関係……」

 

「聞く耳持たん!はあああああ!!!」

 

男は紫色の気功波をベジータに向かって放つ。下手すれば大怪我しかねない威力のそれをベジータは上に飛んで回避する。

 

「クソッタレ!奴を大人しくする方が先だ!ククク……ナッパ!ブロリー!手を出すなよ、俺がやる!」

 

ベジータは気を解放し男に突撃する。スカウターが示した戦闘力は40000と、ベジータより10000も上の数値を出していたがそんな事を気にするベジータでは無い。キリュウの言っていた強い修行相手と出会えた事に歓喜していた。

 

「ウラァ!」

 

「くっ!」

 

ダァン!と豪快な打撃音が響く。ベジータの突きを男が防ぎ、男の蹴りをベジータが躱す。戦闘力の差はたった10000、されど10000もある相手に、ベジータはなんと善戦していた。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「くっ、はあっ……はあっ……!」

 

「ふん、所詮道具に頼った戦闘力などそんなものだ。どうだ?話を聞く気になったか?」

 

「だ、誰が……はぁぁっ!」

 

男が半ば自棄気味に拳を放つ。ベジータはそれを避け、男の後頭部に手刀を落とし、気絶させる。

 

「がっ……!」

 

「……ふぅ、ようやく大人しくなったか。ナッパ、ブロリー、もういいぞ」

 

「全く、ヒヤヒヤしたぜえ……戦闘力が10000も上だってのに一人で突っ込んでいきやがって」

 

「どうして、勝てたんだ?」

 

ブロリーが疑問をぶつける。それにベジータはこう答える。

 

「この男、戦闘に向ける意識がほとんど無かった。まるで何かに怯えてるように戦っていたからな。ふん、いくら戦闘力が上でもこのベジータ様相手にそんな曖昧な状態で勝てる訳なかろう」

 

「流石はベジータだぜ!」

 

「ふん、当然だ」

 

「……何かに怯えていた?それにこの男の言っていたフリーザ軍というのは……」

 

ブロリーは男が最初に言った一言について気になっていた。

 

「そこも含めてこいつが起きたら話を聞く事にしよう。ブロリー、何かで拘束しておけ、また暴れ出したら面倒だ」

 

「ああ、分かった」

 

 

 

巨木の麓にたった一人で佇んでいた悟空似の男。果たしてこの男の正体とは。




散々名前を伏せてますが、皆さんの予想どうりです。

ドラゴンボールブロリー見て来ましたよ!素晴らしい作品に仕上がっています。

これから見るという方は十分に期待を、見に行くか迷っている方は是非映画館に足を運んでみて下さい!あれは過去最高傑作といっても過言ではありません!(個人的感想)

そして一部、何がとは言いませんが意図せずかぶってしまいました。何がとは言いませんが。


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思わぬ誤算!?フリーザのパワーアップ

お気に入り400突破しました!

そしてなんとランキング入りする事が出来ました!

まさかここまでいくとは思ってもみませんでした。

本当にありがとうございます!


あれから数分後、男は目を覚ました。また暴れ出すと思い身構えていたベジータ達だったが、その男は驚くほどあっさりと事情を説明してくれた。

 

男の名前はターレス。生き残りのサイヤ人で惑星ベジータが滅んだと知るといち早く軍を抜け出し、別の惑星で知り合った仲間と"クラッシャー軍団"を名乗り、共に宇宙を自由気ままにさすらう生活をしていた。

 

偶然手に入れた"神精樹の実"を使って、星々の生命力を吸い上げ徐々に力を付けて行った。しかしある星で神精樹の実の種を植え収穫待ちだった所に、なんとフリーザが軍を率いてやって来た。

 

ターレスの目の前で無惨に殺されるクラッシャー軍団の仲間達。神精樹の実の秘密を暴かれ、フリーザがそれを口にする。圧倒的に膨れ上がった戦闘力に、ターレスは為す術なく殺される……筈だった。偶然か気まぐれか、ターレスはギリギリのところで生き残った。

 

目の前に転がる神精樹の実を食べ、僅かに回復した体力でその星を去った。また新たな星に着陸し、残り僅かとなった神精樹の実の種を植えた。そして神精樹が成長し、収穫した神精樹の実を食べているところにベジータ達がやって来たのだ。

 

「俺はこのまま神精樹の実を食べ続け、奴を倒す力を得るつもりだった」

 

「……災難だったな」

 

「同情なんて要らねえよ、俺が欲しいのは奴の死だけだ」

 

ターレスは拳を強く握り締める。

 

「しかもフリーザの野郎さらに強くなってやがるのか」

 

「大きく開いていた差がこれで絶望的になったな。だがそれがなんだと言うんだ、俺はそれをさらに超えてやるだけだ」

 

「王子……」

 

新たに決意を露わにしたベジータ、そんなベジータに可能性を見出すターレス。そんなターレスにベジータがある提案を出した。

 

「ターレス、俺達に着いて来い。共に来ればこんな実を貪るよりも、もっと戦闘力を上げることが出来る」

 

「形振り構っている場合じゃ無い……か。こちらこそよろしく頼むぜ、王子」

 

「ならば、こんな木はもう必要ないな。やるぞ、ターレス」

 

「ああ」

 

2人が掌を木に向け気功波を放つ。着弾した気功波は爆発し、神精樹を燃やし尽くす。この行為はターレスにとっての決別でもあった。

 

こうして無事ターレスが仲間に加わった。後に心配して色々話しかけるブロリーにウンザリしているターレスだったが、こういうのも悪くないと心境の変化が訪れていた。

 

 

____________________________________________________________

 

 

ところ変わって界王星。既に到着していたキリュウ達は最初の試験(シャレ)を無事突破し、界王様に修行を付けてもらっていた。

 

「10倍界王拳……!」

 

「ほほぉー!やるのうキリュウ、もう10倍まで引き上げたか!」

 

戦闘力に関しては申し分ない3人はバブルス君を秒で捕まえ、早速界王拳の修行に入っていた。

 

「ふぅ、コツを掴めば何倍でも上げられるようになるな、その分反動が凄いが」

 

キリュウは界王拳10倍までは安定して使えるようだ。

 

「やっぱすげぇなキリュウは、オラ達なんてまだ3倍がいいとこだぞ」

 

悟空とラディッツは戦闘力10000を超え、界王拳は3倍まで使える。

 

「界王拳を使った戦い方ってものもあるな……ラディッツ!界王拳同士で組手だ、付き合え」

 

「お、おい!どれだけ差があると思ってるんだ!?」

 

「だから修行になるんだ、行くぞっ!」

 

「ちょっ!か、界王拳っ!」

 

キリュウとラディッツは界王拳同士で組手を始めた。

 

「あ、ズリぃぞ兄ちゃん!今度はオラが……」

 

「待て悟空、お前にはもうひとつの技を教えよう」

 

悟空は元気玉の習得に移った。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「いいかラディッツ、界王拳にはこういった使い方があってな」

 

キリュウの気が界王拳特有の赤いオーラに包まれる。

 

「攻撃時や移動時のみ使用すれば余計な消費を抑えられる」

 

「なるほど……。よし、界王拳!……ってあれ?」

 

ラディッツは界王拳を使うも、攻撃する寸前に界王拳を解いてしまっていた。

 

「まあ言うは易し行うは難し、だな。実戦で使える様に訓練しておくように」

 

 

 

こうして3人の界王星での修行は順調に進み、約束の1年がたった。



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いざナメック星へ!潜在能力の解放

UA20000突破です!ありがとうございます!


1年間に及ぶ界王星での修行の成果により、キリュウは20倍界王拳、悟空とラディッツは10倍界王拳まで使えるようになった。

 

また地球に戻ってきたベジータ達の報告によって新たなパワーアップが判明。

 

全員が大猿のコントロールが出来るようになった。とはいっても正真正銘の大猿を使えるのはベジータとターレスの2名だが。

 

元から尻尾のないブロリーは満月、もしくはパワーボールを見ると大猿に変化すること無く大猿の力を引き出せるようになったらしい。

 

ブロリーが最初に変身した時は制御が効かず凄まじい暴れっぷりだったそうだが、それはまた別の話。

 

それを見たベジータ達が同じ変身が出来るか実験しようとしたが、尻尾を無くすと大幅な戦力ダウンになる。そう考えたナッパがなんと自らの体で試すと言い出したのだ。結果は失敗だったが。

 

ベジータ達に準ずる戦闘力のナッパだったが、戦闘力10万を境に戦闘力の伸びが著しく減少したのだ。それを機にサポートとして専念しようと思ったらしい。

 

ナッパがどうしてこんなに丸くなったか疑問に思っただろう。俺も思った。という訳で聞いてみた。

 

過去に俺はベジータと議論を何回も繰り返していた。サイヤ人としてのあり方や生きた人の貴重さなど、色々な話をしたものだ。

 

それを聞いていたナッパが自分でも色々考えるようになったらしく、現状に至るそうだ。キリュウさん驚きだよ。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「大分鍛えたと思うが、これでもまだフリーザには及ばないのか?」

 

「ああ、奴の戦闘力は推定1億だ」

 

俺の言葉に一同がどよめく。

 

ただいま絶賛宇宙船の中、ナメック星へ向かっているところ。事前にポポとブルマに頼んでおいたのだが、上手く完成してくれたらしい。勿論重力室完備だ、本当に助かった。あの二人には頭が上がらんな。

 

ナメック星に向かう目的としては最長老による潜在能力の解放だ。その為には色々試験があるらしいが、それをこなすだけであの恩恵が得られるのだ。有難いことこの上ない。

 

ナメック星に到着する頃にはみんな150倍の重力を克服した。ナッパを除いて。

 

 

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という訳で大雑把に戦闘力表示をしましょうか。

 

俺が約300万。高すぎですね、自分でも何故だか分かりません。

 

ブロリーと悟空とベジータが約100万。この辺は流石と言ったところか。

 

ラディッツとターレスが約80万。おお、大分食らいついてる。

 

ナッパさん、約20万。うん、おっちゃんお疲れさまでした。ゴッドの要因として必要になるかな。

 

以上、戦闘力でしたー。

 

 

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ナメック星に到着した俺達はナメック星人に事情を説明して、試験を受けさせてもらえることに決まった。

 

早速始めようとすると頭の中に誰かの声が聞こえてきた。どうやら最長老様らしい。

 

俺達がフリーザを討つべく修行をしてる事を感じ取ったらしく、試験は免除となり最長老様の家に向かう事になった。

 

最長老様の家に着いた俺達は早速潜在能力を引き出してもらった。

 

皆それぞれ大幅なパワーアップを果たしたのだが、ターレスだけ何故か引き出しきれなかったと言っていた。その時は他のみんなと同じようにパワーアップした事もあってそれほど気にしていなかった。

 

そして驚いたのがナッパだ。サポートに徹するナッパの意図を汲んでナメック星人特有の回復能力を付けてくれた。ナッパもこれには大きく喜んでいた。

 

 

 

引き出してもらった力を試す為にどこか別の惑星で組手でもしよう、と宇宙船に向かっていた。

 

そんな時だ。体の芯から震えてくるような恐ろしい気を感じたのは。

 

フリーザだ。

 

全員で顔を見合わせ、そして決意する。世話になったナメック星人にの為にも、俺達は出撃する。

 

まさかここで戦うことになるとは……だけどこれだけ大幅に戦力が上がったんだ、簡単にやられることはないだろう。

 

キリュウはそう考えていた。そう、ベジータ達は重要な事を報告し忘れていたのだ。フリーザが神精樹の実を食べたという事実を……。

 

 




投稿遅れて申し訳ありませんでした。

何を書こうか悩んでいた所もありましたが、やっぱり年末は忙しいです。


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無敵のフリーザ!怒れキリュウの超覚醒

お気に入り500突破したようで……ありがとうございます!




「おや、これはこれは。キリュウ達さんではありませんか、随分とお久しぶりですねえ。今まで連絡も無しに一体何をしていたのです?それに、お仲間が少し増えたようですね?」

 

「……フリーザ様のお役に立つべく、暫く修行する為に少々旅をしておりました。コイツらは偶然見つけた生き残りのサイヤ人でございます」

 

「……おい、キリュウ」

 

「いいから」

 

小声で話しかけてくるベジータを制し、フリーザとの対話に集中する。

 

「ほう、私の為に……ですか。それは喜ばしいことですねえ」

 

「フリーザ様こそ何故こんな星に?しかも一人でおいでなさるなんて」

 

キリュウはまだ反抗の意思が無い振りをして様子を見ていた。そしてたった一人で行動するフリーザに疑問をぶつけた。

 

「必要なくなったからです。最近新しい力を手に入れましてね、色々試しているんですよ」

 

「なるほど、それでお姿が変わっているわけですね」

 

今のフリーザは何故か最終形態になっている。俺が存在することによって色々変わってきているようだ。

 

「あまり驚かないのですね、私が変身するタイプの種族だということに」

 

「まあ薄々感ずいてましたからね」

 

「……やはり貴方は気づいてましたか。どうです?本当に私に反抗する意志がないのなら、貴方だけは私の部下として生かしておくのも吝かではありませんが」

 

「つまり俺以外は殺すおつもりなのでしょうか?」

 

「いいえ、そんなことはしませんよ。かつて私は伝説の超サイヤ人を恐れて惑星ベジータごとサイヤ人を皆殺しにしたことはありますが、もう恐れる心配はありませんから」

 

何故こんなにも自信がついているのか、パワーアップの手段はなんなのか。数ヶ月修行されようものならたとえゴッドになれたとしても敵わない。キリュウの頭の中は高速回転していた。

 

ここでターレスが口を開く。

 

「アイツは神精樹の実を食べやがったんだ」

 

「なんだと!?そんな重要なことを何故早く言わなかった!」

 

「俺だってこんなに早くフリーザと出会っちまうなんて思ってなかったんだよ!」

 

神精樹の実か……一体どれだけのパワーアップになってるんだ。最悪ゴールデンフリーザも覚悟しとかないと。

 

「フフフ……僕のパワーアップの秘密はそいつのおかげでもあるんだ。感謝するよ」

 

「フン、お前にそんなこと言われたかねえよ!」

 

ターレスの悪態を飄々と受け流して俺にさっきの問いを尋ねてくる。

 

「それで、どうなんですか?」

 

もちろん答えはNoだ。

 

「そうですか……仕方ありませんね。伝説の超サイヤ人はもう驚異ではありませんが、貴方はまた別です。ここで殺させてもらいますよ」

 

そう言ってフリーザは構えを取る。

 

「チッ、ヤツの狙いは俺だけだ!お前らは一旦引け!」

 

「何言ってやがる!俺達も強くなったんだ、ここでフリーザを倒すぞ!」

 

「分かった、行くぞ!兄ちゃん!」

 

「どれだけ差があると思ってるんだ!俺たち全員でかかっても足元にも呼ばないんだ、さっさと退け!」

 

ラディッツに続いて悟空まで戦う気だ。フリーザの最終形態の戦闘力は約一億だった。神精樹の実で底上げされた戦闘力の伸び代は未知数だ。しかしラディッツ達はなかなか逃げてくれない。頼むから無駄死にしないでくれよ……!

 

 

____________________________________________________________

 

 

「界王拳!はああああ!!!」

 

20倍の界王拳を発動しフリーザに向かっていくも、全て見極められ紙一重で躱される。フリーザにとってはお遊びみたいなものだろう。

 

「見たところ君がこの中で一番強いようだけど、僕にとってはまだまだだよ。ほら、パンチはこうやるんだ」

 

フリーザの腕が消えた。

 

「ぐぁッ……!」

 

体が折れ、痛みが後からやってくる。腹を殴られたようだ。想像を絶する痛みに戦闘中であるにも関わらず、悶絶し蹲る。

 

「はぁ、一撃でこれか。期待し過ぎだったかな…………まあいいや、すぐ楽にしてあげるよ」

 

「キリュウ!はああ!!」

 

ベジータの気功波がフリーザに放たれるも呆気なく弾かれる。

 

「お前の相手はこの俺だ!」

 

「全く、キリュウさんでも戦いにならないのにベジータが敵う訳ないじゃないか」

 

フリーザはベジータを一睨みするだけで来ていた戦闘服の正面を破壊し、後ろの岩壁に吹き飛ばす。

 

「ぐああああ!!」

 

「ベジータっ!」

 

ベジータは岩盤に窪みを作りずり落ちる。意識は保っているようだが、体は既に満身創痍だ。動く気配はない。

 

ラディッツや悟空が界王拳を使ってフリーザに向かっていくもフリーザはビクともしない。二人の頭を利用し互いに頭突きをさせ、放り投げられる。既に二人の意識はない。現状一番の頼みの綱の元気玉は撃つ前に終わってしまった。ターレスは圧倒的な力を前に体がすくんでいるようだ。

 

「あなたを引き入れるには苦労しそうですよ。なんせその目……あの時のサイヤ人と似たような目をしている」

 

「あの時だと……?まさか!」

 

「ほう、そこまで知っているとは……益々興味深くなりました。あなたのご想像通り出会っていると思いますよ?頬に十字傷を付けているハチマキを巻いたサイヤ人です」

 

「バーダックが……!」

 

「バーダックさんと仰るのですか、彼が言っていましたよ?俺の意思はキリュウに受け継いだ……と」

 

バーダックが悟空じゃなく俺に……?

 

キリュウはプレッシャーを感じた。今まで何処か客観視していた自分が物語の中の人物として組み込まれているのだと大きく自覚した。

 

「そういった方を屈伏させるには精神的なダメージが必要なのでしょうか……でしたら」

 

フリーザはおもむろに指をベジータに向ける。

 

「ま、まさか……やめろっ!フリーザーーー!」

 

「バン」

 

フリーザの声と同時にベジータの心臓部が撃ち抜かれる。ベジータは血を吐き、力なく項垂れる。

 

「ガハッ!……く、クソッタレ……!これもここまでか……。キ、キリュウ!!フリーザを倒せるのはお前しか……いない……。後は任せ……た……」

 

 

____________________________________________________________

 

 

ベジータがこの戦いで死ぬことは有り得るだろうと思っていた。何とかしたいとも思っていた。だがこのザマだ。

 

不意打ちとはいえ、予想以上にパワーアップしたフリーザに手も足も出なかった。そしてベジータを殺された。

 

思えばベジータとは色んな話をした、転生して来た事も。だがベジータは、サイヤ人同士だから戦えるならそれでいいと受け入れてくれた。ベジータには前世で数少ない親友だったやつと同じくらい、いやそれ以上に信頼し合っていた。

 

そんなベジータを目の前で殺されたキリュウの心は酷くザワついていた。

 

バーダックから託された意思、ベジータを殺された恨み。色々な物が頭の中でごちゃ混ぜになり、ふつふつと何かが湧き上がってくる。

 

ここで怒ったところで超サイヤ人になれるとは限らない、それどころか単調になった攻撃で反撃される。

 

溢れんばかりの怒りを必死に沈めているキリュウ、しかしお構い無しに怒りのボルテージが上がってゆく。

 

「おや、これはなんだい?」

 

フリーザは這いつくばって動けないでいるキリュウの胸元にあるものを見つけた。フリーザはそれを千切り取る。

 

「へえ……ベジータ達とだいぶ仲良くなったようだね」

 

バーダックに貰ったロケットペンダントには地球でベジータ達と撮った写真がハマっていた。

 

「じゃあこれも壊してあげるよ。ホラ」

 

そう言ってフリーザはそのペンダントを握り潰して破壊した。

 

おい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オイ……

 

キリュウの胸の中で何かがストンと落ちた。

 




まあ覚醒したところでフリーザには届かない訳ですが……

さて、どうやってキリュウはフリーザに打ち勝つのだろうか。

乞うご期待くださいな。


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フリーザ最後のパワーアップ!見せろキリュウの元祖の力

大変お待たせいたしました。


「な、なんだ……?キリュウのあの変化は……」

 

身体が竦んで一人動けなかったターレスは、キリュウの爆発的に上がった気と金色に変化した姿に思わず驚きの声を上げる。

 

「まさか……あれが……!」

 

サイヤ人は大猿にしか変化しない筈、しかしターレスは伝説に語られるサイヤ人の存在を知っていた。

 

そう、超サイヤ人だ。

 

千年に一度生まれるとされる伝説の存在。その伝説が目の前の男かもしれない。

 

これならば……。キリュウの溢れ出る気に思わず期待が高まる。

 

しかし当のキリュウは気付いていた。このままでは勝てないという事を……。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「ほう、もしかしてそれが超サイヤ人かな?」

 

立ち上がったキリュウに対してフリーザは大して驚いた様子もなくそう訪ねる。キリュウが超サイヤ人になった所でフリーザには及ばない。フリーザは目の前の伝説に驚異を感じなかったからだ。

 

「まさかこの俺がなれるとは思わなかったけどな」

 

キリュウの心は至って冷静沈着だった。超サイヤ人になると軽い興奮状態になるんじゃなかったのか?そう頭の中によぎるも今考える事では無いと思考を切り換える。

 

「いいえ、なれるとしたらベジータなどではなく貴方しかいないとそう確信していました」

 

「そいつは光栄だ」

 

フリーザが何故こんなにも俺の事を評価しているのか分からないが、バーダックとベジータの仇を取らせてもらう。

 

「おや、構えなんかとって……変身したからといって僕に勝てるとでも思っているのかな?」

 

「勝てるさ……界王拳」

 

「なっ!?」

 

10倍界王拳を発動してフリーザに殴り掛かる。超サイヤ人になっても冷静なままでいるキリュウは界王拳の併用を問題なく行うことが出来た。

 

そしてなにより、フリーザに攻撃が通じる事を確認した。

 

このまま仕留めてしまおうと怒涛の猛攻を仕掛けるキリュウ、しかしこのままやられるフリーザではない。

 

「なめるなぁっ!!」

 

フリーザがフルパワーの状態になる。全体的に筋肉が膨張し、気の総量が増える。

 

「ぐあっ!!」

 

力関係が入れ替わってしまった。ならばこちらも出力を上げるだけだ。

 

キリュウは界王拳を20倍まで引き上げる。力関係はまた逆転した。

 

「なにっ!?」

 

先ほどよりも更に苛烈な勢いでフリーザを押していく。このまま行けばフリーザに勝てる。そう誰もが思った時だった。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「はああああああっ!!!」

 

フリーザは気のバリアを展開させた。キリュウは思わず距離をとり、界王拳を解除し体制を整える。

 

「ま、まさか……このフリーザがここまで追い詰められるとは……。やはり念には念を入れておいて正解でしたよ……」

 

「なに……?」

 

フリーザはどこからかあるものを取り出す。そのあるものとは……

 

「神精樹の実だとっ!?」

 

「ふふふ……頑張っていたようだけど、これで終わりだよ」

 

フリーザは神精樹の実を口にする。先ほどまで均衡を保っていた力の差が崩れさり、フリーザは圧倒的なパワーアップを果たす。

 

「ぐふっ……!」

 

初めと同じように腹を殴られ、意識が遠のきかける。フリーザの手足がうっすらと黄金のオーラを纏っているのが目に入る。

 

「随分と手こずらせてくれたけど、本当にこれで終わりだよ」

 

フリーザはキリュウの襟元を掴み、トドメの一撃を放とうとする。

 

が、いきなりフリーザが消えた。

 

少し離れた水辺に飛沫が上がる。

 

「大丈夫か、キリュウ」

 

ナメック星人の避難を終えて戻ってきたブロリーがそう声をかけてきた。どうやら不意打ちでフリーザを吹っ飛ばしたらしい。

 

不意打ちとはいえフリーザを吹き飛ばせるだけのパワーを持っているブロリーに驚きだ。確か大猿の力だったか。

 

……待てよ、大猿?

 

キリュウはある事を思いついた、これは大きな賭けになる。

 

ブロリーに時間稼ぎを頼んでターレスの元に向かう。ブロリーは快く引き受けてくれた。頼む、戻ってくるまで死なないでくれ……!

 

 

____________________________________________________________

 

 

「ターレスッ!」

 

早速ターレスにパワーボールを作るように頼む。ターレスは驚いていたが、状況が状況なだけにすぐにパワーボールを作ってくれた。

 

キリュウの頭に浮かんだのは"超サイヤ人4"の事だったのだ。超サイヤ人に覚醒した今なら可能性はゼロじゃない……!

 

「俺が変身したらパワーボールを消しておいてくれ」

 

そう指示し、上を見る。

 

ナメック星の空には月が無い。その代わりとなるようにターレスの作ったパワーボールが爛々と煌めいている。その光が目に入る。

 

──ドクンドクンと血液が滾り、眠っている力が解放されていく感覚を味わう。

 

大猿になったら理性を取り戻すことに尽力しなければ……。そう覚悟を決めるキリュウ。

 

闘争本能が刺激され、戦闘意欲が向上するのを自覚する。……ただ、それ以上がない。

 

もしかして失敗か!?そう思い自身の体を見ると予想とは違った変化があった。

 

この変化が一体何なのか、今は全くわからない。だが格段にパワーアップした事は分かった。これで勝てなかったら本当の本当に終わりだろう。

 

しかしキリュウの心に恐怖はなかった。遠くでブロリーと戦っているフリーザの気が自分と同等に感じたからだ。

 

……早く行こう、ブロリーが待ってるんだ。

 

 

____________________________________________________________

 

 

フリーザは焦っていた。キリュウをあのまま行かせてしまうのはマズいと感じていた。

 

しかしキリュウを追いかけようとするフリーザの前にブロリーが立ち塞がり、フリーザの足止めを行っていた。

 

フリーザからしてみれば足元にも及ばない見知らぬサイヤ人の一人だが、殺すつもりで放った攻撃を喰らってもまだ生きている。

 

ブロリーは攻撃を受ける一点に気を集中させる巧みな気のコントロールと、持ち前の自慢の巨躯でフリーザの攻撃を即死レベルから致命傷レベルまで引き下げていた。

 

フリーザはそのブロリーに対して焦る一方だった。なんとかしなければ……。そう考えていたフリーザに天啓が降りてくる。

 

「この星を消すッ……!!!」

 

フリーザと選んだ選択はナメック星の破壊だった。

 

フリーザの放ったデスボールがナメック星の地表へ落ちてゆく。

 

ブロリーは自分に放たれるものだと構えていた事と、蓄積した体へのダメージによって反応することが出来なかった。

 

デスボールがナメック星にぶつかる……その瞬間、デスボールの進行方向が真逆に変わる。

 

「チィッ!間に合わなかったか……!」

 

フリーザは自分に向かってきたデスボールを避け、自身の気弾を弾いた張本人へ視界を向ける。

 

「よくここまで耐えてくれた……後は俺がやる」

 

そこには上半身を金色の体毛で纏ったキリュウの姿があった。

 




読み返しててこれはねーなって思ったところがあったので、一部修正しました。


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決着!キリュウVSフリーザ

大変お待たせしました!申し訳ございません!
書きあぐねているうちにお気に入りが600突破しました。本当にありがとうございます!


「なんですか?その姿は……」

 

「大猿になろうと思ったらこうなった」

 

「全く……サイヤ人は色々な姿にコロコロ変わりますね」

 

「アンタが言うか」

 

数分前のキリュウの姿からしてみれば現在のキリュウの変化は異質なものだった。大猿になれば獣の姿に、超サイヤ人になれば金髪碧眼に。だが今のキリュウはその二つの特徴を兼ね備えた姿に落ち着いている。上半身に金色の体毛が生え、碧色の瞳は獰猛な紅色に染まっていた。

 

本質はサイヤ人特有の荒々しさ、暴力的な気の奔流。キリュウにはそれが不思議と馴染み深く感じた。

 

「こんな所で戦ったらこの星に被害がでる。もう少し上の方で戦うぞ」

 

「その要求、私が飲むとでも?」

 

宇宙空間でも生き残る事が出来るフリーザはナメック星の破壊を最後の手段にしていた。最もキリュウはそれを読んでの発言だったのだが。

 

「ならば強硬手段にでるまでだ」

 

キリュウは高速でフリーザに接近し、腹に向かってアッパー気味に掌底を放つ。しかしフリーザは当然のようにそれを防ぐ。

 

「フフ、その手は喰らいませんよ」

 

「だろうな。だが、これならどうだ?」

 

「…ッ!?」

 

掌底を放つ為に開いていた掌から気功波を放つ。密着状態のフリーザはこれを避けることは出来ず、遥か上空へと飛ばされていった。

 

「よし」

 

懸念が一つ消えたキリュウは即座にフリーザを追い掛ける。ナメック星での高高度の戦闘が幕を開けた。

 

 

____________________________________________________________

 

 

「チッ……」

 

フリーザは自分を上へ押し上げている気功波を弾き、忌々しげにキリュウを見る。気功波自体にダメージはなかったが、相手の作戦にまんまと掛かってしまった事に僅かな苛立ちを感じていた。

 

「正真正銘これがラストだ。まさかまだ神精樹の実を隠してるとか言わないだろうな?」

 

「さて、どうでしょうね…」

 

フリーザは苦し紛れに笑うも、それが虚勢だとキリュウは見抜く。

 

「バーダックの意思とベジータの仇の為、ここで貴様を殺す!」

 

「出来るものならやってみるがいい!」

 

互いが互いに全力に近い程に気を上げ、雄叫びを上げながら突撃していく。

 

フリーザの初撃をキリュウは防ぎ、カウンターで左フックを放つ。フリーザはそれに合わせるように回転して避け、その勢いで尻尾を鞭のように薙ぐ。キリュウはそれを辛うじて掴み、後方へ投げながら気功波で追撃する。

 

気功波による爆煙でフリーザの姿を見失う。キリュウは舌打ちしながらフリーザの次の攻撃に備え気を探ろうとするが、それが隙となり爆煙から飛び出してきたフリーザの突進をまともに食らってしまった。

 

吹き飛ばされながらフリーザの気を探ると、追撃しにこちらへ向かっていることがわかった。空中でバク宙し、体制を整えながら気弾を放つ。それを弾き一瞬の隙が出来たフリーザの顔面に向かって肘鉄をお見舞する。

 

だが、フリーザも負けてはいない。一瞬怯んだフリーザだったが、そこから攻撃を返してきた。キリュウも負けじと防ぎ、攻撃を返していく。拳と拳のぶつけ合いでナメック星の空に響き渡る激しい炸裂音を掻き鳴らす。キリュウとフリーザの乱打戦が始まった。

 

やがて拮抗が敗れキリュウがフリーザの腹を意趣返しと言わんばかりに打ち抜く。呻くフリーザに追撃を加えようと握った両手を頭上に揃え、スラッジハンマーを喰らわせる。しかしその攻撃は空を切った。フリーザの姿がぶれて消えてしまったからだ。

 

どこへ行った…?その疑問はすぐ解消する。後ろでフリーザが攻撃を加える為に力を込めている気を感じたからだ。気付かない振りをしてフリーザが攻撃する瞬間に高速移動で回避する。

 

気を読めないフリーザはキリュウを見失う。だが反撃はお返しに後ろから来るだろうと予想し、すぐさま振り向いて気功波を撃つ準備をした。

 

「こっちだ!…なにっ!?」

 

「残念だったな!上だ!」

 

その予想は外れ、キリュウのオーバーヘッドキックが炸裂する。落ちて行くフリーザに先回りし、追撃した後気功波を放つ。自身の気功波のせいでフリーザの姿を見失うが、当たっている感触とフリーザの気を感じた為、気功波に気を送り続ける。

 

次の瞬間、キリュウは驚く事になる。全身に気を纏ったフリーザが気功波の中を突き破り攻撃してきたからだ。

 

吹き飛ばされながらも体制を整えたキリュウは後ろにフリーザの気を感じ、振り向いて次の攻撃を防ごうと防御を固める。しかしフリーザのとった次の行動は超能力だった。防ぐつもりだったキリュウはそれを避けられず、体の自由を奪われてしまう。

 

「ぐあっ…!しまった…!!」

 

「ふふ…この程度じゃ死なないだろう…?」

 

超能力で動けないキリュウから距離を取って、右手に気を溜めるフリーザ。そして無情にも最大まで溜まった気功波はキリュウに向けて発射される。

 

「うあああああああーーーーーっ!!!」

 

どうにかしようと叫ぶも、気功波はキリュウに直撃し辺り一面に爆風を巻き起こした。

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

「な、なんという戦いだ…!動きを見るだけで精一杯だ」

 

「すげぇなぁキリュウのやつ!オラもあれぐらい強くなりてぇぞ!」

 

ナッパの能力によって回復したラディッツと悟空がそれぞれ感想を漏らす。

 

「なんたってあの伝説の超サイヤ人になったんだ。あれくらいやって貰わないと困るぜ」

 

「それに大猿の力も使っているみたいだからな」

 

ターレスとブロリーも同様に回復し、キリュウの強さを自分の事のように誇る。

 

「あれぐらいの戦闘の規模だと、下手したらこのナメック星もぶっ壊れちまうんじゃねえかと心配になるな。ブロリー、ナメック星人はどこに避難させたんだ?」

 

ベジータを担いだナッパはブロリーに尋ねる。

 

「そこも考慮して近くにあった無人の惑星にまで避難させておいた」

 

「だったら俺達もそこに…」

 

「馬鹿なこと言ってるんじゃないぞナッパ!貴様はキリュウが負けると思っているのか!」

 

「…!へへっ、野暮な相談だったな」

 

ラディッツに怒鳴られ言葉を飲み込むナッパ。ここに居るサイヤ人達はキリュウの勝利を一ミリたりとも疑っていなかった。もし負けたとしてもキリュウが死ぬ時は自分達も死ぬ時なのだと、決意に満ちた表情をしていた。

 

そんなサイヤ人達はキリュウの戦いを己の身に刻むべく、宇宙最強同士の戦いをその目に焼き付けていた。

 

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

やがて爆風が収まるとそこには気のバリアを展開したキリュウの姿があった。

 

「まさか、ここまでやるとはな…」

 

「それはこっちのセリフですよ。全く…こんな事になるならあの時殺しておけばよかった」

 

キリュウはバリアを展開したものの全てを防ぎ切ることは出来なかったようで、気の総量が大幅に減ってしまっていた。しかしそれは大技を放ったフリーザにも言えることで、二人は互いに肩で息をしていた。

 

「このままじゃ泥沼だ。お互い最高の技で決着を付けよう」

 

「…いいでしょう」

 

キリュウは右手を構えエネルギー弾を生成する。そしてそれを挟み込むように左手を添え、半身の体制になる。更にその状態から紫色に発光する気を両手に纏わせた。

 

フリーザも先程と同じように右手に気を溜め拳を握る。極限まで溜め込まれた気は拳だけに留まらず、フリーザの右腕全体を覆うように発光する。

 

「ここで殺してやるぞ!はああああーーーーーっ!!」

 

当たれば即死は免れぬだろう威力のそれは寸分違わずキリュウの元へ飛んでくる。それを前にしてキリュウは…。

 

「…バーダック、ベジータ。技を貰うぞ」

 

臆すること無く腕を前に突き出し、叫ぶ。

 

「ライオットキャノン!!!」

 

バーダックのライオットジャベリン。ベジータのギャリック砲。

 

2つの技を組み合わせた独自の技を、迫っているフリーザの気功波にぶつけるように放出する。紫色の螺旋が寄り添う青色の気功波がフリーザの気功波にぶつかり、衝撃が弾ける。

 

「ぐっ…くくくっ…」

 

「ぬおおおおおっ!」

 

フリーザの方が優勢だ。それもその筈、先程フリーザは気を消費しただけだったがキリュウは気を消費した上にダメージまで負っているのだ。勢いがフリーザ側に傾くのも無理はない。

 

「く…クソっ…!」

 

キリュウが必死に気を込めるもフリーザの気功波はグングンとこちらに迫って来ている。そしてとうとう僅か数メートルの所まで接近を許してしまった。

 

今ここで力を抜けば簡単に楽になれるだろう。しかしそれは許されない事だ。今キリュウが持ちこたえているのはナメック星の事と、何より地上に残っているサイヤ人の仲間の為だ。

 

クソっ、技を貰うと言っておきながら情けない…!

 

どうしようもない絶望的な状況の中、懐かしい声が聞こえた気がした。

 

──────フリーザの野郎をぶっ倒して見せろ!キリュウ!

 

「あ、ああ…なんて事だ…」

 

「ふふ、涙なんて流して…とうとう諦めたか!死ねえええええ!!」

 

フリーザは、ここが決め時だと更に気を跳ねあげた。どうやらまだ力を残していたらしい。だが関係ない。

 

「…貴様は俺が殺すと言ったはずだ」

 

何故か失われたはずの力が戻りは始める。…まだいける。

 

「く、ぐぉあああああーーーー!!!」

 

「なにっ!?」

 

いきなり出力の上がった俺の気功波にフリーザが驚いている。

 

──────やれっ!キリュウーーー!!!

 

そんな声が地上から聞こえた気がした。赤いオーラが視界の端にチラつき、力が俺の気の上限を遥かに上回った。…これで、

 

「これで最後だあああああーーーーーっ!!!!」

 

片腕を押し込むように全ての力を振り絞って放つ。フリーザは抗うことも出来ずに俺の気功波に飲み込まれて行った。そして気功波が消えた先には何も残っていなかった。

 

 

 




くぅ疲。難産でした。
後フリーザ様お疲れ様でした。復活のFまでお休みください(そこまでやるかわからん)


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キリュウの正体!?正しいサイヤ人の血統

大変お待たせしました…が、一区切りついたのでここで一旦打ち切りとさせていただきます。


フリーザとの戦いでナメック星への被害はもはやほとんどなかったと言ってもいいぐらいのものだった。それもはるか上空で戦っていたキリュウの作戦のお陰でもあったが。

 

「ベジータを生き返らせてくれたこと、本当に感謝する」

 

ナメック星のドラゴンボールでベジータは生き返った。今は避難していたナメック星人たちをナメック星へ戻し、お礼としてドラゴンボールを使わせてもらっているところだ。

 

「本当に残り2つの願いはよいのですな」

 

ナメック星のドラゴンボールから召喚される神龍はポルンガと呼ばれ、3回まで願いを叶えてくれる太っ腹な龍だ。だが俺達の願いはベジータを生き返らせること以外にこれといった望みはない。昔のベジータならば不老不死を望むだろうが、今はそんな素振りも見せない。

 

「ああ、その代わり何かあったら貴方達を頼らせて頂きたい」

 

「そのくらいで良いのでしたら喜んで」

 

ナメック星とのパイプも繋げられた。ブウ編の時に頼りにするかもしれないからな。

 

やることを済ませた俺達は、ナメック星人に見送られながら宇宙船でナメック星を後にした。

 

 

____________________________________________________________

 

 

 

「しかしキリュウのあの変化はなんだったんだ?超サイヤ人ってことは分かったんだが、その後のあれは…」

 

「何っ、超サイヤ人だと?キリュウどういう事か説明してもらおうか」

 

「そういえばベジータが死んだあとの事だったな」

 

ターレスの疑問を聞いている途中でベジータが割り込んできた。超サイヤ人について説明する。純粋な心を持ったものが激しい怒りを感じると覚醒するものだと。ベジータの死による怒りで覚醒した事を聞いたベジータは「その程度で怒りを感じるなど、貴様も甘い」などと言っていたが、満更でもなさそうだ。

 

それ以外にも単純な戦闘力の最低値とか後出しで出てきたS細胞だとかあったのかもしれないが、自分自身よくわかっていなかったのでこの辺は省略した。

 

「つまり俺たちにも可能性はあるということか…」

 

「そういうこと。早く超サイヤ人になってくれよ〜?でないと組手する相手もいないからな」

 

「チッ、簡単に言ってくれるぜ」

 

「ところでよキリュウ、実際に見してくんねえかな」

 

悟空が目を輝かせて言ってくる様子に思わず苦笑してしまった。

 

「フフ、いいだろう。…ハッ!!」

 

俺は超サイヤ人になった。もうコツは掴んでいたので一気に変身する。…やっぱりこれだけだと軽い興奮状態に陥るってことが無い。何故だろうか。

 

「お、おおぅ…改めて見てみるとなんとも凄まじい力だ…」

 

「…凄い」

 

ラディッツとブロリーが感想を漏らす。

 

「さらに上があるんだよな?キリュウ」

 

ターレスがニヤリと笑う。乗せるのが上手いやつだ。

 

「ああ、そして…これが!」

 

更なる変身をする為に力を込める。これは超サイヤ人とは違ってなるのに少し意識が必要だ。

 

自分の中の奥底にある闘争本能を引き上げ、戦闘意欲を爆発させる。

 

大猿の姿を幻視し、体全体が心地よい暖かさに包まれる。

 

上半身の前面部以外金色の体毛に覆われ、目の色が真紅に染まる。

 

そして気の総量が圧倒的なものに変わる。擬似超サイヤ人4の完成だ。…いやこれ名前どうなるんだろ。

 

「これが姿を大きくしないまま大猿の力を引き出した姿だ。ブロリーと格好が違うのは恐らく尻尾の有無だろう」

 

「すげぇ…すげぇぞキリュウ!」

 

無限大に湧き上がるのではないかと錯覚させるような気が発せられる中、驚きの表情と頬に冷や汗を垂らす面々。そんな中、何かに気づいたベジータが口を開いた。

 

「貴様、その変化は…!」

 

「ん、なんだベジータ。何か知ってるのか?」

 

「いや、昔の記憶だから確証はないが…」

 

ベジータの口から放たれたのは意外な話だった。なんでも、昔の文献に載っていたサイヤ人の特徴にそっくりだということ。

 

サイヤ人は昔、今の俺みたいに上半身に体毛が生えたような姿だったらしい。それもいつしか異種族との交配を経て今の姿に至った。

 

そしてその時代のサイヤ人の戦闘力は今のサイヤ人よりも遥かに高く、これを認めなかったベジータ王はその文献を捨てた。そして偶然その文献をベジータが見つけ、記憶の底に眠っていたのだとか。

 

「つまり貴様は、所謂先祖返りといったところか」

 

そんな設定あったんか…。超サイヤ人になっても平常心のままいられるのはここに鍵がありそうだな。

 

「不思議だと思っていたが、そんな裏話があったとはな」

 

その後、変身を解いたキリュウとその仲間達は談笑したり、時には乱闘に発展したりと、楽しいひと時を過ごしながら地球へと帰還したのであった。




ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!

お気に入りが600を超えたり評価バーに色が着いたり、一喜一憂しながら執筆を行っておりました。

気が向いたら再開するかもしれません。改めて、皆様本当にありがとうございました!


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