上里空は勇者になり、魔道士でもある! (水甲)
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無印編 01 突然訪れた場所

と言うか分けでゆゆゆの新しい小説……なのはシリーズのクロスとなります。以前活動報告で描いた時点ではvividの話でしたが、色々と考えた結果、この三シリーズの話となります


「……きろ……」

 

「……てください」

 

「起きて……」

 

「ん?」

 

誰かの声が聞こえて、僕は体を起こすと僕の顔を覗き込む、乃木若葉、妹の上里ひなた、そして高嶋友奈がいた。

 

「どうしたんだよ……ってあれ?」

 

僕はすぐに異変に気がついた。僕たちは確か……壁の外の調査のため四国から出て……でもあたりを見渡すと

 

「ビルとかが壊されてない?」

 

「気が付いてすぐに状況を確認できたのは良いことだ」

 

「お兄ちゃんの良いところですね」

 

「僕の良いところはそこだけなのか?」

 

「空くん、大丈夫だよ。空くんは他にもたくさんいい所あるから」

 

「友奈……」

 

友奈は僕の手を握りながらそう言ってきた。だけどちょっとした違和感を覚えた。

 

「あれ?千景、珠子、杏の三人は?」

 

「どうやらはぐれたみたいだな」

 

「今は合流することを考えましょう。合流後にこれからどうするか考えましょう」

 

「だな」

 

まずは合流。その後はここがどこなのかを知ることだな。

ふっと何故かポケットのの中に何かがあった。僕はそれを取り出すと三本の鍵があった。

 

「これは……なんだろう?」

 

家の鍵って言うわけじゃないし……まぁ考えるのは後にしておくか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周辺をくまなく探しているが、千景たちは見つからなかった。僕が起きたときには夕方だったけど、既に夜になっている

 

「とりあえず野宿を考えるべきなんだろうけど……」

 

「人の目があるから難しいだろ」

 

若葉の言うとおり、人の目がある。千景たちを探している間に色々と調べてわかったけど、ここは本当に平和な世界なんだな。

下手に野宿とかしていたら補導されてしまいそうだな

 

「何だか補導されたほうがいいかもしれないな」

 

「お兄ちゃん、たしかにそのとおりですけど……」

 

「あはは……あれ?」

 

友奈はなにかに気が付いた。僕も友奈が見ている方を見ると小学生くらいの女の子がどこかへ走っていくのが見えた。

いくらなんでもこんな夜に出歩くのはまずいよな……

 

「友奈、気になるんだろ」

 

「うん、どうしたんだろ?」

 

「それじゃまずは追っていくか」

 

僕らは女の子を追いかけていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女の子の跡を追いかけていくと大きな音が響いてきた。音の方へ行くとそこには黒い巨大な何かとさっきの女の子がさっきまでとは違う白い衣装に杖を持った姿になり、その近くには小動物がいた。

 

「あれ?なんだろう?」

 

「バーテックスというわけでもなさそうだな。それに……」

 

「あの子、勇者って言うわけじゃないみたいですね」

 

「だからってほうっておくべきじゃないな。若葉、任せていいか?」

 

「あぁ、空とひなたは下がって……」

 

若葉が何かを言いかけた瞬間、突然僕の鍵の一つが光だし、僕の体をまばゆい光に包み込んだ。そして気がつくと灰色のコートを羽織り、手には一本の槍が握られた姿に変わった。

 

「この姿って……まぁいい。後で考える!行くぞ!」

 

「あぁ!」

 

「いっくよ~変身!」

 

若葉と友奈の二人は勇者に変身し、女の子の前に出た。

 

「えっ?誰?」

 

「その姿……まさか……魔導師?」

 

「魔導師?違う。私達は」

 

「勇者だよ」

 

「僕は勇者なのかよく分からないけど……とりあえず手を貸すよ」

 

黒い何かがこっちに向かって触手を伸ばしてきた。だが若葉はすぐに前に出て生太刀で切り裂いていき、黒い何かが怯んだ隙に友奈が思いっきりぶん殴り、僕は追撃に槍を突き刺すと黒いなにかの中に不気味に光る何かが見えた。

 

「あれは……」

 

「なのは、今だ!封印を!」

 

「うん!ジュエルシード!封印!」

 

女の子が杖から何かが発射すると黒い何かが消え、小さな宝石が現れ、女の子はそれを回収した。

 

「えっと、ありがとうございます」

 

「一体今のは何だったんだ?」

 

「バーテックスとかじゃないみたいだし……」

 

「というかさっきから気になってるんだけど……」

 

「そちらのイタチ、喋っていますね」

 

「えっと僕はユーノ。何というかイタチではないんだけど……」

 

「私は高町なのはって言います」

 

「乃木若葉だ」

 

「高嶋友奈です」

 

「上里ひなたです」

 

「ひなたの双子の兄で、空だ。とりあえずなのは……色々と聞きたいことがあるから……僕らを君の家に泊めてくれないか?」

 

せっかくの縁だ。今日のところは宿泊できる場所が見つかってよかった。とはいえ

 

「空……お前……」

 

「お兄ちゃん……お願いだから……」

 

「えっと、あはは……」

 

若葉たちは思いっきり呆れていたのだった。

 

 

 

 

 



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02 居候と説明

高町家の庭にある道場にて僕らは布団を敷いていた。

 

「まさかしばらく泊めてくれることになるとは……」

 

「なのはちゃんのおかげだよね」

 

「というよりお兄ちゃんがおかしな理由で泊めてもらうようにしなかったのは驚きですが……」

 

「おいおい、どういうことだよ。ひなた」

 

三人から離れた場所で布団を敷く僕。一応それなりに気を使わないといけないから大変だな。

それに僕は別に変な理由を言うつもりはなかった。ただ正直に何人かで旅をしていたら、旅のメンバー数人とはぐれてしまい、探している途中でなのはのことを見つけたということを伝えただけだから

 

「それにしてもお兄ちゃん……鍵を見せてもらっていいですか?」

 

ひなたがそう言い、僕はポケットに仕舞ってある鍵を渡した。そういえばこれは一体何なんだろうか?

 

「……微かに神樹様の力を感じる……これは神樹様が作り出したもの?」

 

「それは本当か?」

 

「えぇ、何となく感じ取りましたが……」

 

「そもそも私達はどうしてここに来たんだ?」

 

「あの光……何だったんだろ?」

 

全員で悩むが特に思いつかなかった。するとパジャマ姿のなのはとなのはに抱かれたユーノが道場に入ってきた。

 

「あの大丈夫ですか?」

 

「あぁいいよ」

 

僕らはなのはを招きいれるとユーノはなのはから降り、僕らに話を始めた。

 

「色々と話したいことと聞きたいことがあるんだ」

 

「私達の方もですね。まずはユーノさんは……何者なんですか?」

 

「僕は異世界ミッドチルダ出身で、僕はジュエルシードと呼ばれるとても危険なものを回収して、封印するために来たんだ。だけどいろいろとあって……」

 

話を聞くとどうやらユーノが発掘したジュエルシードをどこかへ届ける最中に事故にあい、散らばってしまった。それらの回収をするのだがどうにもジュエルシードから生まれた怪物に襲われていたところをなのはや僕らに助けられたって言うことだった。

 

「なのはは魔導師の才能があったみたいで、魔法少女になれたけど……君たちは一体」

 

「私達は勇者だ」

 

「私は巫女です」

 

「僕は……勇者なのかな?」

 

「えっと勇者?」

 

「あのゲームとかで出てくるような?」

 

なのはの言葉を聞く限りだと本当にこの世界はバーテックスとは無縁みたいだな。

 

「そうですね。人類の敵と戦うために神様の力を借りて戦う存在という感じですね」

 

「それに私達の世界は……むがっ!?」

 

若葉が何かを言いかけるが、僕は咄嗟に手で口を抑えた。

 

「馬鹿!小学生に聞かせるような内容じゃないだろ」

 

「確かになのはさんの歳ではきついものですね」

 

「でもどう説明するの?」

 

「お兄ちゃん、おまかせします」

 

「僕かよ!」

 

小声で話し合い、僕が考えることになった。とりあえずは……

 

「まぁ僕らの世界はこことはちょっと違う感じで……色々と大変なんだ」

 

「「説明が雑すぎる!!」」

 

ひなたと若葉の二人に突っ込まれる僕。いや、だって……咄嗟に思いつかなくって

 

「えっと聞かないほうが良いってことですか?」

 

「うん、ちょっと色々と辛い話になるから……」

 

「詳しくは聞かないほうが良いね。それで君たちにお願いがあるんだけど」

 

「ユーノ、ここで会ったのは何かの縁だし、僕らも手伝うよ」

 

「えっ?まだ……」

 

話の流れ的に何となくわかったからな。それにもしかしたら千景たちとばったり会えるかもしれないし、この世界に来た理由もわかるかもしれないし

 

若葉たちもまた手伝うことに対しては反対してないみたいだしな

 

「ありがとうございます」

 

「空さん、ひなたさん、若葉さん、友奈さん、よろしくおねがいします」

 

こうして僕らは魔法少女の手伝いをすることになったのだった。

 

 




話がぜんぜん進んでなくってすみません。

次回、彼女が登場です


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03 なのはの友達ともうひとりの魔法少女との出会い

「というわけで今回はこの街の調査でも始めようと思う」

 

朝食を摂り終え、ひなたたちを集めてある議題を出していた。

 

「街の調査……」

 

「そういえば私達は全然この海鳴市を見て回ってなかったよね」

 

「ここに来たときは夜でしたから……それにこの一週間はなのはさんの家で家事や喫茶店のお手伝いだけでしたものね」

 

ひなたの言うとおりここ一週間は家事やら喫茶店での手伝い……あとは鍛錬やジュエルシード集めの手伝いだけで、街を見て回ることが出来なかった。今日は折角の機会なので調査を提案してみた。

 

「とりあえず全員で適当に見て回って……」

 

僕が言い掛けた瞬間、なのはがこっちにやってきた。

 

「空さん、あの少しいいですか?」

 

「どうかしたのか?なのは」

 

「えっと実は今日私……友達の家で遊ぶことになったんですけど、みなさんのことを紹介してほしいって……」

 

なのはの友達に会うってことか……別に構わないけど……みんな街の調査に乗り気だしな……

 

「お兄ちゃん、せっかくですから……」

 

「でも全員で行ったら迷惑だったりするだろ」

 

「それだったら二手に分かれないか?もしも何かあった場合は連絡を取り合えばいいだろ」

 

「うん、それがいいかも」

 

二手に分かれるか。それもいいかもしれないな

 

「えっとその……気にしなくても」

 

「とりあえずジャンケンで分かれるか」

 

「それでしたら、私と若葉ちゃんの二人で街へ行きますから、お兄ちゃんは友奈さんと一緒にどうですか?」

 

「ひなた?じゃんけんで……」

 

「いや、僕は構わないけど」

 

「それじゃ空くん、一緒になのはちゃんと行こう」

 

友奈と一緒か……ひなたの方を見るとひなたはウィンクしていた。気を使ってくれたのかな?

 

「それじゃなのは、僕と友奈で行くことになったから」

 

「えっと……その……」

 

なのはは苦笑いを浮かべていたけど、この組み合わせはまずかったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕らはすぐになのはの苦笑いの意味を理解した。僕と友奈の眼の前にはでかい屋敷だった。

 

「なのはの友達ってお金持ちだったの?」

 

「うん」

 

「大きなお屋敷だね~」

 

友奈は目をキラキラさせて言うけど、僕はと言うときっと庶民的な家だと思っていたからか。物凄い失礼なことを思っていて申し訳なかった。

 

「なのはちゃん」

 

「やっと来た。その子がなのはのペットと居候?」

 

こっちにやってくる長髪の子と金髪の子。彼女たちがなのはの友達か

 

「うん、ユーノくんに、高嶋友奈さんと上里海さん」

 

「初めまして、アリサ・バニングスです」

 

「私は月村すずかです」

 

「それでここはすずかちゃんの家なの」

 

「そっか、よろしくな。それとすずかだっけ?何だかごめん」

 

「ねぇ、何でこの人初対面なのにすずかに謝ってるの?」

 

「えっと……あはは……」

 

「空くん、気にしたら駄目だよ」

 

友奈に励まされながら僕らは屋敷の中へと入っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジュエルシードの反応あった」

 

「それじゃこの周辺にあるみたいね」

 

「だとしても広い場所だから見つけるの苦労しそう」

 

「だったらタマたちに任せタマえ!!探し物ぐらいだったらすぐに見つけられるはず」

 

「っていっても未だに若葉さんたちを見つけられてないよね」

 

「本当にこっちに来ているか怪しいわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

屋敷の外でみんなとケーキを食べていると突然ユーノが茂みの中に入っていき、なのはがそれを追っていった。もしかしてジュエルシードでも見つけたのか?

 

「友奈、なのはだけじゃ心配だし」

 

「うん」

 

友奈は頬にクリームを付けながらそう言う。とりあえず僕はクリームを拭いてあげ、追いかけていくのであった。

 

なのはたちの後を追いかけていくとそこには巨大な猫と変身した状態のなのはがいた。あれって……

 

「なのは、どういうことだ?」

 

「えっと……」

 

「た、多分大きくなりたいという夢が叶ってあんな感じに」

 

「可哀相だけど、早くジュエルシード回収しちゃおう」

 

なのはが杖……レイジングハートを構えた瞬間、金髪の少女が突然現れた。

 

「え、魔道師」

 

「一体……」

 

「ジュエルシード、それに私と同じ魔道師。そしてあの人達は……」

 

「まさか、僕同じ世界から来た魔道士!?」

 

金髪少女を見てユーノは驚いた。他にも魔導師っているんだな

 

「じゃあ、狙いはジュエルシード」

 

金髪少女は木の上に降り、僕らを見つめ、手にしている斧型の杖から金色の刃が伸び始めた。

 

「申し訳ないけど、頂いていきます」

 

金髪少女がなのはに襲いかかってきた。なのはは咄嗟に攻撃を防ごうとするが間に合わず、攻撃を喰らってしまい、地面に落ちて倒れてしまった。

 

「…ごめんね」

 

金髪少女が巨大猫に魔法を当て、ジュエルシードを回収しようとしたが、僕と友奈の二人で金髪少女に襲いかかった。

 

「させるか!」

 

「勇者………きゃあ!?」

 

攻撃を仕掛けようとした友奈はどこからともなく現れた人物に吹き飛ばされてしまった。更に僕のところに円盤状の何かと矢が向かってきた。僕は槍で弾くと攻撃してきた相手が誰なのか理解した

 

「どこに行ったかと思ったら……ちゃんと説明してもらおうか。杏、珠子、それに千景……」

 

僕の前に現れた三人……こっちにきてはぐれた伊予島杏、土居珠子、郡千景を僕は睨みつけた。

 

「空さん……すみません。これは……」

 

「というか空、お前のその格好……いつの間に勇者になったんだ」

 

「高嶋さん……ごめんなさい……」

 

互いに対峙……若干一名攻撃した相手が親友だったことに対して落ち込んでいるけど

すると金髪少女が杏たちに近寄り

 

「帰ろう」

 

「あの空さん、事情はちゃんと説明しますので……」

 

「切り札発動!輪入道!」

 

珠子の衣装が神秘的なものに変わり、武器である旋刃盤が大きくなり、三人はそれに乗って金髪少女とともに撤退していった。

 

「あいつら……友奈、大丈夫か?」

 

「ん、うん、なんとか……なのはちゃんは?」

 

「なのはも無事みたいだ」

 

にしても今日だけで結構いろいろとあったな……帰ったらひなた達にも言っておかないと……

 

ただ心配なのは……

 

「千景の奴、思いつめてなければいいけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杏SIDE

 

「えっと……」

 

金髪の女の子……フェイトちゃんは膝を抱えて部屋の隅にいる千景さんのことを心配していた

 

「高嶋さん、ごめんなさい……ごめんなさい」

 

「いや、千景……気にするなって、友奈は怒ってないと思うぞ」

 

「そ、そうですよ……」

 

「許してくれるかな……」

 

「あの……無理には付き合わなくっていいんですよ。ジュエルシードを集めるのは私の目的だから……」

 

「ううん、フェイトちゃん。大丈夫ですよ」

 

「タマたちは恩返しをしたいからな」

 

「そうよ……そのためだったら……はぁ……」

 

千景さんは未だに落ち込んでいるけど、この落ち込みよう……まさか切り札の影響だったりということは……

一度空さんと話さないと……

 

 

 



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04 空式トレーニングと温泉と再会

もう一人の魔法少女と千景たちのことを帰ってからひなたと若葉の二人に報告した僕。二人はと言うと

 

「みなさんが無事ということですね」

 

「だが敵対することに……」

 

無事だったという安心感と敵対してしまっているという不安が二人は感じていた。

友奈はというと……

 

「でも事情があるから……」

 

「まぁそこら辺は後々聞くとして、僕としてはこの状況は丁度いいかもしれないな」

 

「ちょうどいいって……」

 

「あぁ、お兄ちゃん的には丁度いいかもしれませんね」

 

「そっか、空君はそうだもんね」

 

ひなたと友奈の二人は理解してくれたみたいだな。あっちでは僕の役割は勇者のサポートということで、訓練等のメニュー作りや教官としての役割を担っている。

とはいえ一般人なので模擬戦では若葉たちは勇者の姿ではなく、普通の格好での戦いになるから正確なことはわからないからな……

 

「これから先の事を考えて、朝の鍛錬のメニューも考え直さないとな……」

 

何だかワクワクしてきたな。

 

「お兄ちゃんの鍛錬メニュー……」

 

「正直千景たちが羨ましいが……」

 

「あはは、でもそんなにひどいものじゃないから大丈夫だと思うけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日が経ったある日、なのはにある話を聞かされていた。

 

「温泉旅行?」

 

「うん、今度みんなで温泉旅行に……それでお母さんたちが空さんも良かったらって」

 

「僕たちもか……居候なのにいいのか?」

 

「まぁまぁお兄ちゃん。いいじゃないですか。たまにはこういう休息も必要ですよ」

 

「そうだな……」

 

「あの所で……」

 

ユーノがある場所を見つめていた。ユーノが見つめていた先には倒れた若葉と友奈の二人がいた。

 

「何をしていたんですか?」

 

「鍛錬」

 

「お兄ちゃん式トレーニングです。お兄ちゃんはそういったことが得意だったりしますからね」

 

「だ、大丈夫なの?」

 

「まぁ体がぶっ壊れない程度には抑えてるから大丈夫だよ」

 

僕がそう言うとなのはは苦笑いを、ユーノはもの凄く怖がっている様子だった。

 

「休息日ということでいいか。分かってると思うけどその間は鍛錬はやらないように!やった場合は……今日以上のメニューをやってもらうから」

 

「ひ、久しぶりとはいえ……きついな」

 

「あはは、でも空くんも大変だよね」

 

「あぁ、分かってる。鍛錬メニューを作るにあたって大変な思いをしているしな……」

 

「ほら、喋ってる暇があったらしっかり休憩を取れ」

 

「「はい」」

 

あのことがきっかけでみんなに知られてるせいか、結構恥ずかしいな……

僕がメニュー作りをするにあたって、自分自身で試していることとかを……

 

「そういえばお兄ちゃん、もう2つの鍵は何か分かったんですか?」

 

僕は3つの鍵を取り出した。一つは勇者の姿になれる鍵、あと2つはまだわからない……

 

「そのうち分かるだろ」

 

「そうですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた数日が経ち、温泉旅館に来た僕ら。早速温泉に入ることになった僕ら。

僕はというとなのはのお兄さんである恭弥さんとお父さんの士郎さんと一緒に入っていた。

 

「何だかすみません。僕らまで誘ってもらって」

 

「いや、君たちももう家族みたいなものだからね」

 

「それに鍛錬にも付き合ってもらってるからね」

 

恭弥さんと姉の美由紀さんとはたまに模擬戦やらなんやらしてるけど、この人達って一般人だよな。明らかに戦闘力が……

 

 

 

 

 

ひなたSIDE

 

「あの、なのは、やっぱり、僕士郎さんと一緒の方に…」

 

「えぇ~、一緒に入ろうよ」

 

「いや、ほら、だって」

 

なのはさんとユーノくんが何か小声で話しているけど、聞き取れなかった。というよりかは私としてはこっちのほうが心配だった。

 

「「………」」

 

「みんなも来てたんだね」

 

「まさかこのような場所で会うことになるとはな」

 

「驚きですね」

 

温泉に入るとそこには杏さんたちも入っていた。千景さんは一緒に入ることを少し遠慮していたらしいからこの場にはいなかった。

 

「えっと……」

 

「まぁこうして再会できてよかったんだろうけどさ……事情とか聞かないのか?」

 

「珠子……事情は出来れば全員が集まってからだ。と空が言っていたからな」

 

「空くんはちゃんと全員で話し合おうって」

 

「それまでは私達は何も聞きません。それにお兄ちゃんはこの状況をいい機会だと思っていますから……鍛錬面として」

 

「あいつ、どんだけだよ」

 

「空さんらしいですね」

 

「そういえばぐんちゃんは?」

 

「千景はゲーセンにいるけど……そうだ!友奈、会いに行ってやれよ」

 

「そうですね。いいかもしれません」

 

「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「何してるんだ?」

 

温泉から上がり、適当にぶらついていると死んだ目をしてゲームをしている千景を発見した。

 

「上里さん……貴方がいるということは高嶋さん達もいるみたいね」

 

「あぁ偶然だけど……それでまだ気にしてるのか?」

 

「………」

 

未だに友奈を攻撃したことを気にしてるのか……にしては気にしすぎだ。これはもしかして前々から杏に言われていた切り札の影響でもあるのか?

 

「千景……」

 

「高嶋さんは怒ってるよね」

 

「……僕が言ってもお前は信じられないだろうな」

 

「………」

 

沈黙が重い……どうしたものか……

 

「見つけた!ぐんちゃん!」

 

すると浴衣姿の友奈がこっちにやってきた。千景は逃げ出そうとしたが、僕が腕を掴んだ。

 

「逃げるな」

 

「だって……」

 

「ぐんちゃん、どうして逃げるの?」

 

「高嶋さん……だって私、高嶋さんにひどいことを……」

 

「ひどいこと?ぐんちゃん、私にひどいことしてないよ?」

 

「でも……攻撃して……」

 

落ち込む千景。すると友奈は千景にチョップを喰らわした。

 

「痛い……」

 

「ぐんちゃん、私のことを信じてる?」

 

「高嶋さん……信じてるけど……」

 

「それだったら大丈夫だよ。あのときは私だって気づいてなかったから攻撃しちゃったんだよね。だから怒ってないよ……信じて」

 

「高嶋さん………」

 

「それにね。空くんはこうして私達が戦うのは悪いことじゃないって考えてるから……」

 

「……それは貴方的に鍛錬みたいなものだと思ってるから?」

 

「まぁな。それにお前たちにも何かしら事情があるんだろ。だったら別に気にすることじゃないからな」

 

「……貴方らしいわね」

 

「それと切り札だけど、なんか変な感じはないか?」

 

「変な感じ?」

 

「肉体疲労とかがあるのは分かってるけど、精神的に何か感じたりとかは?」

 

「精神的に……私の性格的な問題だと思っていたけど、何故か嫌な方向に考えてしまうようになっていたわ……それが切り札の後遺症だっていうの?」

 

「……わからないけど、後の二人にも伝えておいてくれ。精神的に辛くなったら気持ちを強くもてって」

 

「わかったわ」

 

千景の方はどうにかなったけど、千景たちがここにいるということはジュエルシードがあるということだよな。だったらなのは達にも言わないとな

 

 

 



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05 手にした魔法の力

友奈と共に若葉たちの所へと戻るとどうにもなのはが見知らぬ女性に絡まれたみたいだった。

 

「それで若葉が追い払ったのか?」

 

「いや、杏と珠子がその女性と話してすぐにどこかへ行ったみたいだ」

 

「もしかしたらこの間のあの子の知り合いなのかな?」

 

なのはが言うあの子って、あの金髪の子か……

千景にはその子がどういった理由でジュエルシードを集めているのか聞いてもらうことになったけど……

 

「とりあえず千景たちがここにいるって言うことはジュエルシードがあるっていうことだな。今晩あたりにでも探して見るか」

 

「うん」

 

「それはそうと……ユーノはのぼせたのか?」

 

「そうみたいですね」

 

僕とひなたはぐったりしているユーノを見つめた。のぼせるなんてまだまだ子供だな……

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり、僕らは外に出てジュエルシードを探しているとそこには金髪の少女と赤毛の女性、そして千景たちの姿があった。

 

「ありゃりゃ、見つかったみたいだね。フェイト」

 

「うん、それにその人達は……」

 

「私達の仲間よ。だけど……」

 

「タマ達はフェイトに協力するから安心しろって」

 

「そういうことですから……空さんたちには悪いですけど……」

 

千景たちは武器を構えた。まぁそうするように僕が伝えたから仕方ないけどさ……さて相手するのは……

 

「若葉は千景を、友奈は珠子を、僕は杏と戦う。ひなたは下がってろ」

 

「わかりました」

 

戦う相手を決めるとなのははあることを言い出した。

 

「あ、あの……話し合いで何とかできないかな?」

 

なのははフェイトという少女を見つめながらそう言うが、フェイトは……

 

「…私達はジュエルシードを集めなきゃいけない。それは貴女も同じ事。だったら私達はジュエルシードを求めて争う敵同士って事になるね」

 

「だから!そんな勝手に決めない為に話し合いって必要なんだと思う!!」

 

フェイトの言葉に、なのはは声を大きくして言った。

だがフェイトは目を閉じ、

 

「言葉だけじゃ…何も変わらない……伝わらない!」

 

なのはたちも戦いを始めた。そして僕らもだった。

 

若葉と千景の二人は互いに武器をぶつけ合い、互いに一歩も引かなかった。

 

「やるな!千景!」

 

「こういう状況下であなたと本気で戦うなんて思っても見なかったけど……」

 

千景は大鎌を下から大きく振り、若葉は後ろへと下がる

 

「こうして戦ってみるのも悪くないわね」

 

「あぁ!」

 

若葉と千景の実力はだいたい同じくらいか……いや、千景のほうが少しだけ冷静な分、若葉を押してる感じだな。

さて友奈と珠子の方は……

 

「ハァ!」

 

「ヤア!」

 

珠子の攻撃を友奈は拳で防いでいく。珠子自身の攻撃は強力そうに見えてスピードがそこまで早くない。友奈は少しずつだけど距離を詰めていっている。

あっちは問題はなさそうだな。

 

さて僕の方はと言うと……

 

「物陰に隠れながら遠距離からの攻撃か……それに一度撃つごとに移動している……」

 

「空さんから教わったことですよ」

 

僕はどこからともなく襲ってくる矢を槍で防いでいった。居場所がつかめないとなると結構厄介だな……

 

「空さんが勇者になったのは驚きましたが、距離さえ取っていれば……」

 

「と思ってると痛い目にあうぞ」

 

「分かっています!」

 

矢をもう一度弾く。杏は教えたことをしっかり生かしているな。さてこのままだと負けてしまうな。僕にも遠距離の攻撃方法があればいいんだけど……

 

そんなときだった。三本あるうちの鍵の一つが白く輝き出した。

 

「これは……使ってみろか……それだったら!」

 

僕は勇者の姿から元の姿に戻り、鍵を手にした。その瞬間、白い衣装に変わり、鍵も白い杖に変わった。

 

「この姿……なのはと一緒か……」

 

『初めまして、マスター』

 

杖が僕に語りかけてきた。これってなのはの持つレイジングハートと同じインテリジェント・デバイスなのか?

 

「お前は?」

 

『名はありません。私は貴方の手にした力の一つです。お好きなようにお付けください』

 

「それだったら……アネモネってどうだ?」

 

『アネモネですか……』

 

「僕の好きな花だし、僕が勇者のときの紋章がそうだからな」

 

『わかりました。よろしくマスター』

 

僕は杖を構えると足元にアネモネの紋章が描かれた魔法陣みたいなものが現れ、杖の先からいくつもの魔力弾が現れた

 

「なのはみたいに扱えるってことか。それじゃ……」

 

魔力弾を飛ばした。とりあえずは杏の居場所を見つけないとな……

すると魔力弾の一つが空へと上がった。

 

「見つけたみたいだな。魔力弾全部……杏に向けて……」

 

放った魔力弾が杏のところへ向かい、しばらくしてから杏の悲鳴が聞こえるのであった。

 

「こっちは終わったみたいだな。さて……なのはは大丈夫か?」

 

なのはの方を見るとレイジングハートがジュエルシードをフェイトに出していた。

ということはなのはが負けちゃったということか……

 

「レイジングハート…何を!?」

 

「きっと主人思いの良い子なんだよ」

 

フェイトがジュエルシードを受け取っていると僕は彼女に近づいた

 

「悪いけど目的は達成した。戦うって言うなら」

 

「いや、やめておくよ。魔導師になったばっかりだし、正直勝てる気がしないな」

 

「そう……できればもう、私達の前に現れないで。今度会ったら、きっと加減なんて出来ない」

 

振り向かずに、なのはにそう言った。

 

「名前…あなたの名前は!?」

 

「フェイト。フェイト・テスタロッサ」

 

「わ…私は」

 

ファイトは話を聞かず、赤毛の女性は杏たちを回収してどこかへ消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね。ユーノくん」

 

「いや、なのはが無事ならいいんだ。それにしても空さん」

 

「ん?」

 

「君が魔導師になったのは驚きだけど、彼女は君よりも強いってことなのかな?」

 

もしかして僕が勝てる気がしないって言ったことか?

 

「まぁ魔導師として戦うとしたら勝てる気はしないけど、勇者としてならまだ勝ち目がある。あのままだとまた戦うことになるからそう言うしかなかっただけだ」

 

「そうか……」

 

「若葉達は?」

 

「すまない。追い詰めはしたものの……」

 

「あはは、引き分けだったよ……杏ちゃん、空くんと戦いながら援護してたから」

 

「ふむ」

 

杏も中々やるもんだな。

 

「まぁ気持ちを切り替えて次頑張るか……」

 

 



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06 友奈の頑張り

この間の温泉旅行から数日がたった。僕は千景たちに連絡を取り近くの公園であっていた。

 

「それじゃ今のところは特に……」

 

「そうなんだよな~」

 

「すみません。あの子はお母さんのためって言って……」

 

「母親のために……」

 

千景は暗い顔をしていた。僕の役割上、みんなの家庭の事情やら何やら知っていたりするから、千景が暗い顔をしている理由がわかる

 

「あんまり思いつめたりするなよ。千景」

 

「分かってるわよ……」

 

「あの空さん、フェイトちゃんは今晩動くと言ってました。だから……」

 

「なのはたちにも伝えておくよ」

 

「はい、それと切り札のことなんですが……」

 

杏自身、切り札のことが気になってるみたいだな。僕も確定していないから予想した上での話をした。

 

「あくまで予想だけど、切り札はどうにも肉体の疲労……そして精神異常をもたらせる感じだと思う」

 

「やっぱり……控えたほうがいいですよね」

 

「千景、今の所は大丈夫そうか?」

 

「え、えぇ、前みたいに嫌なことを考えなくなったわ……」

 

「とりあえず全員、心を強く持ったほうがいい。これから先の考えればな」

 

千景たちが頷き、ここら辺で解散しようとした時、珠子があることを言い出した

 

「そういえば空は何で勇者になったり、魔導師になったりできるんだ?」

 

「ん?言ってなかったな。この鍵のおかげかも知れない」

 

僕は三人に鍵を見せた。この鍵を手にしてから僕は戦う力を手にしていた。とはいえ、魔導師としてはまだまだだけどね

 

「不思議な事があるものね……」

 

「よし、今晩の戦いは私と戦え!空!杏の敵討ちだ!」

 

「タマっち先輩、敵討ちって……」

 

「まぁいいぞ。油断するなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人と別れて、家に帰ろうとすると友奈が待っていた。

 

「どうしたんだ?友奈?」

 

「あっ、空君。ぐんちゃんたちと会ってたんだよね」

 

「あぁ、友奈も会えばいいのに……」

 

「う~ん、会いたかったけど、空君の邪魔をしたら駄目かなって思って……」

 

「そっか」

 

僕は友奈のことをそっと撫でた

 

「空君…恥ずかしいよ」

 

「あ、ごめん」

 

ついついひなたにやる感じで頭を撫でてしまった……

 

「空君はいっぱい頑張ってるね」

 

「頑張ってるって……」

 

「私達の訓練メニューとか……私達が無理をしてないとか落ち込んでないとか……いつも気にかけてくれてありがとうね」

 

「友奈……」

 

友奈の笑顔はやっぱり眩しいな……僕の役割はかなりきついものだ。だけど友奈の笑顔を見るたびに……僕は前を向いていける。

 

「あのさ、友奈」

 

「何?」

 

「お前に伝えたいことが……」

 

「空さん~友奈さん~」

 

僕があることを言いかけた瞬間、なのはの声が聞こえてきた。なのはとユーノは僕を見つけてこっちに駆け寄ってきた。

 

「何かあったんですか?」

 

「ううん、ちょっと散歩してて……」

 

「あぁ、うん、何にもなかったよ……うん」

 

「空さん、何だか落ち込んでるけど大丈夫ですか?」

 

ユーノが心配そうに声をかけてきた。ユーノ、お前もいつかは分かるはずだからな……今は伝えないようにしておくよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはとユーノの二人に今夜またジュエルシードが現れることを話しておき、若葉たちと合流して警戒していると空が暗くなり、海では激しく雷鳴が轟いた。

 

「こ…これは!?」

 

別々に探してたユーノが街の異変に驚く。

 

「こんな街中で強制発動!?く…!広域結界!間に合え!」

 

ユーノの足元に緑色の魔法陣が展開され、街周辺に結界が張られた。これで街への被害はないということか

 

「街中でジュエルシードを発見させるためにって……」

 

フェイトって子は目的のために手段を選ばないのか?いや、考えられることとしたら……

 

「急いでる感じがする……」

 

僕は勇者に変身し、そのまま駆け出していくと珠子が僕の前に立ちはだかった。

 

「約束しただろ。今回は私と戦うって」

 

「あぁそうだったな……」

 

僕と珠子は戦いを始めるのであった

 

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

私はフェイトちゃんと戦っていた。お互い目的がある同士だから、ぶつかり合うのは仕方ないのかもしれない…

私は真っ直ぐフェイトちゃんを見つめた。

 

「この間は自己紹介できなかったけど…私、なのは!高町なのは!私立聖祥大付属小学校三年生!」

 

名前を告げるがフェイトちゃんはバルディッシュを鎌の形に変形させた。

 

なのは「!!」

 

レイジングハートを構え、ぶつかり合っていった。どうして……どうしてそんなに寂しい眼をしてるのか…

 

私ははフェイトちゃんの攻撃を避けながら後ろに回った。ディバインシューターを放つが、フェイトちゃんは障壁を張って攻撃を防いでいた

 

「フェイトちゃん!」

 

「!!」

 

「話し合いだけじゃ…言葉だけじゃ何も変わらないって言ってたけど…話さないと、言葉にしないと伝わらない事だってきっとあるよ!」

 

「…………」

 

「何も知らないのにぶつかり合うのは私、嫌だ!私がジュエルシードを集めるのは、それがユーノ君の探し物だから。最初はユーノ君のお手伝いで集めてたけど、ジュエルシードの力で街の人や大切な人に危険が降り懸かったら嫌だから!」

 

「…………」

 

私は自分の想いを必死にフェイトちゃんに伝えた。

 

「これが…私の理由!」

 

「…私は……」

 

フェイトちゃんは戸惑いながら口を開こうとした瞬間、

 

「フェイト!答えなくていい!!」

 

ユーノくんと戦っていた女の人が止めに入った。

 

「優しくしてくれる人達の所で、ヌクヌクと甘ったれて過ごしてきたガキんちょに何も教えなくていい!!あたし達の最優先事項はジュエルシードの捕獲だよ!」

 

さっきまで戸惑っていたフェイトちゃんは急いで封印したジュエルシードのところへ向かった。私もすぐに追いかけ、同時にジュエルシードの前で自分たちのデバイスがぶつかりあった瞬間、互いのデバイスにヒビが入り、ジュエルシードから強烈な光が放たれてきた。

 

「フェイト!」

 

「なのは!」

 

ユーノくんたちが声を掛ける中、フェイトちゃんはデバイスを待機状態に戻し、ジュエルシードを掴み取って抑え込もうとしていた。

 

「フェイトちゃん!?」

 

「あれは……珠子!戦いは中止だ!あのフェイトって子が無茶をしてるぞ」

 

「あいつ……杏!千景!」

 

「若葉!友……」

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

ジュエルシードを抑え込もうとするフェイトだったが僕が友奈の名前を呼ぼうとした瞬間、フェイトを突き飛ばし、代わりに友奈が抑え込もうとしていた。

 

「無茶だ!?魔導師じゃないのにジュエルシードを抑え込もうとするなんて……」

 

「高嶋さん!?」

 

「……切り札発動!!一目連!!」

 

友奈の衣装が変わり、片目を隠した姿へと変わった。あれが友奈の……精霊を肉体に宿すことで発現する……切り札一目連。

 

友奈が必死に抑え込んでいくとジュエルシードの光が消えていった。

 

「……貴方は……」

 

「私は高嶋友奈……これ、もう大丈夫だよね」

 

友奈は笑顔でフェイトにジュエルシードを渡し、フェイトは困惑しながらもジュエルシードを受け取り、どこかへ帰っていった。

 

「高嶋さん……」

 

「おい、千景、帰るぞ」

 

「あの空さん、後で」

 

「分かってる」

 

僕は千景たち三人と赤毛の女性を見送り、友奈に近寄った

 

「友奈……お前……」

 

「あはは、何とかなったね……」

 

友奈は弱々しい笑顔でそう告げた瞬間、血を流しながらその場に倒れ込んだ

 

「友奈!?」

 

「切り札の反動!?」

 

「いや、違う……友奈さんはもしかして無理やりジュエルシードの暴走を抑え込んだからその反動が……」

 

「そんな……ユーノくん……」

 

「僕は回復魔法は……」

 

僕、若葉、なのは、ユーノが困惑する中、ひなたはそっと倒れた友奈に触れた。その瞬間、友奈の傷がふさがっていった。

 

「ひなた……お前……」

 

「お兄ちゃん……お兄ちゃんが勇者の力と魔法の力を手にしたように……私も……」

 

ひなたは僕らに桃色の鍵を見せた。僕が持っている青、赤、白の鍵と同じ……

 

「この力は巫女としての力を上げているのかもしれません。だから……」

 

友奈の傷は全てふさがっていくと同時にひなたはそのまま倒れ込んでしまった。

 

「この鍵……本当になんなんだよ」

 

僕はただただそうつぶやくしか出来なかった。

 




空のもつ鍵……青は勇者に変身し、赤は魔導師。白はそのうちです



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07 新たな魔導師

「ん……」

 

「ようやく起きたか。ひなた」

 

眠り続けていたひなたが目を覚ました。あの時友奈を治してから意識がなくなっていて心配していたけど大丈夫そうだな

 

「お兄ちゃん……」

 

「鍵のこと……どうして黙ってた?」

 

「ごめんなさい……」

 

ひなたはうつむきながら謝っていた。まぁ僕らに心配をかけないようにしていたんだろうけど……

 

「これからはちゃんと話せ……僕らは兄妹なんだからさ」

 

「……はい」

 

ひなたは僕にそう言って微笑んだ。全く心配をかけさせる妹だな

 

「ひなた、大丈夫か?」

 

「ひなちゃん、大丈夫なの?」

 

すると若葉と友奈の二人が道場に入ってきた。ひなたは二人に心配をかけたことを謝るのであった。

 

「そうだ。あいつらにも連絡しておくか」

 

僕は端末を取り出し、千景たちに連絡をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

上里くんから高嶋さんのケガのことや上里さんの力について連絡が入ってきた。無事で良かった

 

「どうしたんだい?千景」

 

「アルフ……友達が無事だったって連絡が入ったの」

 

「そっか……あの友奈って子、無事だったんだ」

 

「うん、そういえばフェイトは?あの子も心配してたけど」

 

「フェイトなら眠ってる……疲れちゃったんだろうね」

 

「そう……」

 

伊予島さんと土居さんの二人は出かけているから、今は私達だけしかこのマンションにいない。

するとアルフはうつむきながら私にあることをお願いしてきた。

 

「あの…さ……ちょっと頼み事があるんだ」

 

「頼み事?」

 

「あぁ、明日なんだけどフェイトの母親のところに行くんだけど……一緒に来てくれないか?」

 

「それだったら二人にも言って……」

 

「いや、出来れば千景だけ……千景だけにお願いしたいんだ」

 

「……わかったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

数日がたったある日のこと、なのはのデバイス、レイジングハートも修復が終わり、僕らは海が見える公園に来ていた。ユーノ曰くここにジュエルシードの反応があったらしい

 

「ここに、ジュエルシードがあるんだよね」

 

「うん、きっとあの子も来ているはずだよ」

 

「千景たちも来てるだろうけど……友奈、まだ本調子じゃないからひなたを守っていてくれないか?」

 

「えっ?でも……」

 

「この間みたいに無理したりして……千景の奴、泣きそうな顔をしてたんだから心配かけてやるなよ」

 

「お兄ちゃんも心配してましたよ」

 

「空の場合はひなたのこともあったからな」

 

ひなたと若葉が僕がからかう中、なのはがあるものを発見した。そこには木の化物が暴れまくっていた。

そして少し離れたところにフェイトと千景たちも来ていた。

 

「……なのは、ユーノ……今回は僕らが頑張る」

 

「頑張るって……」

 

「空さんと若葉さんの二人でですか?」

 

なのはが心配そうに僕らのことを見ていた。別に二人で戦おうとはしてない。前にユーノに教わった念話通信を千景たちに向かってやってみた

 

『聞こえるか?千景、珠子、杏』

 

『上里くんの声が頭に……』

 

『何だ?魔導師の力みたいなものか?』

 

『そんな所。変身してなくってもある程度のことはできるようになった』

 

『空さん……何だか色々とすごいですね』

 

『それで悪いんだけど、この木の化物は僕らで倒そうと思うんだけど手伝ってもらえないか?』

 

『まじかよ!?』

 

『私達だけで……』

 

『わかったわ。高嶋さんにもフェイトにも負担をかけられない』

 

珍しいな。千景が友奈の事以外気にかけたりするなんて……まぁいいや

 

『僕が指示を出す!もしも間違っていたらすぐに言ってくれ』

 

僕は通信を切り、若葉に指示を出した。

 

「若葉、みんなとうまい具合にあの化物にダメージを与えてくれ」

 

「わかった。お前は?」

 

「僕は……」

 

魔導師に変身し、僕は杖を構えた。

 

「やってみたいことがあるから……動かないでおく」

 

「わかった!」

 

若葉は生太刀を抜き、駆け出していった。木の化物は若葉に向かって幹をムチのようにしながら攻撃を仕掛けていったが、どこからともなく飛んできたものに切り裂かれていった。

 

「一緒に戦うのって何だか久しぶりだな。若葉」

 

「珠子……あぁ!」

 

若葉と珠子の二人は協力しながら木の化物の幹を切り裂いていく。

 

『千景!杏!あいつの注意を引け』

 

「わかったわ」

 

「わかりました」

 

千景は大鎌で木の化物を切りつけていき、杏は矢で牽制していく。

 

「すごい……みんなすごいよ」

 

「お兄ちゃんの指示でこんなふうに……」

 

「空さん、貴方は一体……」

 

「元々戦略を練るのとかは得意だからな……こうして実践でやるのは初めてだけど……さてそろそろ」

 

僕は杖の先に大きな赤色の魔力弾をため始め、その更に先には3つほどの小さな魔力弾を作り出し、魔力でつなぎ始めていき槍の形に変えた。

 

「全員!左右に避けろ!バスタースピア!!発射!」

 

砲撃が放たれると同時に若葉たちは左右に避け、僕が放った魔砲は木の化物を貫いた。

 

「なのは!今だ!」

 

「は、はい!ジュエルシード、シリアル7!」

 

「封印!」

 

なのはとフェイトの二人が同時にジュエルシードを封印し、二人は空に上って対峙していた。

 

「………ジュエルシードには衝撃を与えたらいけないみたいだ」

 

「うん。この間みたいになったら、レイジングハートも、フェイトちゃんのバルディッシュも可哀相だしね」

 

「…だけど、譲れないから」

 

「私は…フェイトちゃんと話がしたいだけなんだけど…」

 

なのはとフェイトの二人がデバイスを構え始めた。いや衝撃を与えたらいけないって言ってたのに、近くで戦うなよ……

 

「止めるしかないな……」

 

僕が魔力弾で二人を止めようとしたが、二人は既に互いのデバイスをぶつけ合おうとしていた。間に合わないと思った瞬間

 

「ストップだ!」

 

どこからともなく現れた黒いジャケットを着た少年が二人の間に入って止めてきた。

 

「時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか。二人とも、まずは武器を引くんだ」

 

クロノという少年に従うようになのはは引いた。管理局って……

 

「警察みたいなものなのか?」

 

「あぁそんな所……」

 

「このまま戦闘行為を続けるなら…」

 

クロノが何かを言いかけた瞬間、空からオレンジ色の魔力弾が降ってきた。あれはアルフって奴の魔法なのか?

 

「フェイト、みんな逃げるよ!」

 

「邪魔をすると言うなら」

 

クロノがフェイトとアルフの二人を何かで縛り上げた。あれってバインドだっけ?

 

「上里くん」

 

「千景?どうしたんだ?」

 

「……こんなこと頼むのはおかしいと思うけど、あの子達を逃してあげて………」

 

「………何か理由があるんだな」

 

「えぇ……」

 

「わかった」

 

僕はクロノに向かって魔力弾を放った。クロノは咄嗟に障壁を張って防いでいた。

 

「何のつもりだ!!」

 

「手が滑った」

 

「何だと!!」

 

クロノの注意を引いているとフェイトとアルフの二人はバインドから抜け出してどこかへ去っていった。

 

「逃したか……君たちは一体何のつもりだ」

 

「いや、手が滑ったんだよ」

 

「そんな言い訳が……」

 

怒っているクロノだが、急に何かに気が付いた。

 

「……聞きたいことがある。君たちは勇者なのか?」

 

何でこいつが勇者のことを知ってるんだ?僕は若葉たちの方を見て、みんなが頷いた。

 

「そうだけど……」

 

「だとしたら……悪いけど来てほしいところがあるんだ」

 

僕らはクロノの言うとおりにすることになり、彼に着いていくことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘行動は迅速に停止。ロストロギアの確保も終了。よしとしましょう。事情もいろいろ聞けそうだしね」

 

緑色の長髪の女性がモニターを眺めながらそう言うと、その女性の後ろに二人の少女がいた

 

「もしかしたらって思ったら」

 

「うん、この人達は四国の……それにあの男の子が持ってる鍵って」

 

「みーちゃんが持ってるやつと一緒だね」

 

二人の少女の内、一人が手にしていたのは緑色の鍵だった。

 



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08 諏訪の勇者との再会

僕たちはクロノに着いていき、次元空間航行艦船『アースラ』に来ていた。

 

「ああ。もうバリアジャケットとデバイスを解除しても平気だよ」

 

「あっ、そうですね」

 

なのはが変身を解き、僕たちも変身を解くとクロノはユーノのことを見た。

 

「君も、元の姿に戻ってもいいんじゃないかな?」

 

「ああ、そういえばそうですね。すっかり忘れてました」

 

「え?」

 

僕たちが首を傾げると、ユーノの体は光り輝き、なのはとそう変わらない歳の少年に戻った。

 

「ふぅ。なのはにこの姿を見せるのは久しぶりになるのかな?」

 

「ふえええええええ!?」

 

なのはは思いっきり驚いていた。というかなのは知らなかったのか……

 

「な…なのは?」

 

「ユーノ君って…ユーノ君って…!人間だったの」

 

「どうやら君たちの間で、見解の相違があったみたいだね」

 

「えっと…なのは、僕達が初めて会った時、僕はこの姿じゃ?」

 

「ち…違う違う!最初からフェレットだったよ?!」

 

「ああっ!そういえば、この姿まだ見せてなかった」

 

「だ…だよね?ビックリした!?」

 

まぁ驚くのも無理も無いよな。僕らも驚いてるし……だけど珠子があることをいい出した。

 

「そういえばユーノって私らと温泉に入らなかったか?」

 

「タマっち先輩……たしかにそうだけど……」

 

珠子の言葉を聞き、なのはは顔を真赤にし、友奈、若葉、ひなたは苦笑いをし、千景から殺気が……溢れていなかった。

 

「何だ?怒ったりしないのか?」

 

「別に……彼の場合は動物の姿でやったことだし、お互い彼が人間だって知らなかったから事故みたいなものじゃないの?」

 

「ならいいけど……」

 

てっきり友奈の裸を見たことで怒り出すかと思ったんだけどな……とりあえず僕はユーノの肩を叩き

 

「ユーノ、今のうちだけだから女の子の裸を見て許されるのは」

 

「空さん、お願いだから変なことを……」

 

「まぁたまに私とお兄ちゃんは一緒にお風呂に入ってますから、兄妹ならまだ許されるんじゃないんですか?」

 

「そうだったな」

 

『いやいやいやいや、そっちもおかしいから』

 

若葉、杏、珠子の三人が思いっきりツッコミを入れるのであった。別に兄妹なんだし、それに嫌だったらひなたは拒否するから……

 

「んんっ、話はもういいかい?君たちには今から艦長にあってもらう」

 

「そういえばクロノ。何で僕らが勇者だってわかったんだ?」

 

「それについてもだ」

 

僕らはクロノに案内された部屋に入るとそこは、、盆栽やお茶の道具、畳や獅子脅しが置かれていた。そして畳の上には緑色の髪の女性と二人の少女が座っていた。

 

「艦長。来てもらいました」

 

「ようこそ。まぁ皆さんとりあえず座って楽にしてくださいね」

 

「はぁ……」

 

全員が畳に座る中、若葉だけは立ち尽くしていた。

 

「貴方は……白鳥さんか?」

 

「やっぱり乃木さんだったんだね」

 

白鳥?もしかして諏訪の勇者か?その隣りにいるのはもしかして巫女の藤森水都なのか?

 

「やはり知り合いだったみたいね。彼女たちは突然アースラに現れたの」

 

「僕らは彼女たちを保護し、事情を聞いたんだ」

 

「だから勇者について知っていたんだな」

 

そこら辺は納得いった。とりあえず若葉に再会を喜びあうのは後にするように伝え、話を聞くことにした。

 

「私は時空管理局提督『アースラ』の艦長、リンディ・ハラオウンです」

 

僕らは互いに自己紹介を終わらせ、ユーノがジュエルシードを集めていたことを話した

 

「まぁそうだったの。あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのは貴方だったんですね」

 

話を聞き終えたリンディが言った。

 

「…それで僕が回収しようと…」

 

「立派だわ」

 

「だけど同時に無謀でもある!」

 

「あの『ロストロギア』って何なんですか?」

 

僕らはロストロギアについて改めて説明を受けた。

次元空間の中には幾つもの世界が存在する。その中には他の世界よりも進化しすぎた世界がある。その世界を滅ぼした危険な技術の遺産。それらを総称して『ロストロギア』と呼ぶ。使い方によっては世界どころか次元空間を滅ぼす程の力になるらしい

 

「なるほどな。それで僕らが元の世界に戻る方法については?」

 

「それについては……」

 

「まだ調査中なのよね。貴方達の世界も大変みたいだし、なるべく急ぐわ」

 

「大変?」

 

「いい機会だし、なのはやユーノにはちゃんと話しておくか」

 

僕らの世界は突然現れた天の使い……バーテックスと呼ばれる化物に人類は滅ぼされかけた。そんな中人類を守ろうとするいくつもの土着神が集合した存在、神樹様に認められ、バーテックスと戦う力を授かったのは若葉たち勇者とひなたたち巫女だった。

僕らは大きな襲撃を何とか退け、他の地方の生存者を探すことになった。

 

「その時に僕らはこの世界に来たって言うことだ」

 

「次元転移系の何かに巻き込まれたということね」

 

「それに君たちの世界は言うなれば平行世界みたいだね……」

 

「まぁ帰るまでの間はジュエルシードの集めの方は手伝うよ。なのはもそうだろ」

 

「あ、はい」

 

「だが君たちは戦う力があっても……」

 

「まぁいいじゃない。彼らは断られても関わってくるみたいだしね。これからよろしくね」

 

リンディさんは握手を求めてきた。僕はそれに応じ、これからも協力することになったのだった。



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09 自分たちが成すべきこと

僕らがアースラに来てから数日が経った。今はアースラの食堂で、僕らは歌野たちからこっちに来た経緯について話を聞いていた。

 

「私達はバーテックスによって追い詰められてたんだけど……寸前の所でこっちに来たんだよね」

 

「本当にギリギリだった……それにうたのんは重症で保護された後は暫くの間治療されていたの」

 

「そうだったのか……だけどこうして会えたのは嬉しいと思ってるよ。白鳥さん」

 

「ノンノン、こうして出会えて、一緒に戦うことになったんだからさ。名字とかさん付けは良いと思うんだよね」

 

「そっか……では歌野。これからは一緒に」

 

「OK」

 

若葉と歌野の二人は互いに握手を交わすのであった。そしてひなたと水都の二人もまた

 

「お互い巫女同士ですから、二人みたいにね」

 

「は、はい」

 

何とか仲良くなれそうだな。するとクロノが食堂に入ってきて鍵を渡してきた

 

「君に言われて調べてみたけど、本当に妙なものだな」

 

「というと?」

 

「材質は木で出来ているが、その一つ一つに魔力とは全く違うものを感じ取っている。君たちの言う神樹様の力と言うべきなのか?」

 

「それじゃ空くんたちの鍵は神樹様が与えてくれたものなの?」

 

「だけど何で僕は勇者と魔導師、両方なんだ?それに3本目は……」

 

「悪いがそこら辺詳しいことはわからない。戻ってから神樹様とやらに聞いてみたほうが良いんじゃないのか?」

 

まぁそっちのほうが確かに早そうだな。

するとクロノは今度は千景たちにあることを聞いてきた。

 

「君たちに聞きたいことがある。彼女……フェイトという少女の目的を」

 

「目的ですか……」

 

「タマたちはただ保護してくれた恩を返すために協力してただけだ。目的とか知らんぞ」

 

「僕の方でも頼んでおいたけど、どうにも口が固いみたいでな。フェイトの目的については本当にわからないみたいなんだ」

 

「そうか……」

 

クロノはすぐに諦め、食堂から出ていった。するとその後に千景が出ていった。僕は友奈となのはの二人を連れて千景を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千景、何か知ってるのか?」

 

「……別に私は」

 

「あの千景さん、教えてください。私……フェイトちゃんがどうしてジュエルシードを集めているのか知りたいんです。もし出来たら協力できるかもしれないから……」

 

「ぐんちゃん……」

 

なのはと友奈が頼み込むが千景は黙り込んだままだった。僕はため息を付き

 

「口止めされているのか?」

 

「そういうわけじゃないわ……ただ……」

 

話しにくいってことか……それだったら

 

「僕はお前が話したくなるまで待ってるよ。だからもうこれ以上は聞かないことにする」

 

「……ありがとう。上里くん」

 

千景は優しい笑顔を見せ、自室に戻っていった。

 

「ぐんちゃん……」

 

「友奈、今は行ってやれ。千景は一人で思いつめ過ぎだからさ」

 

「うん、行ってくるね」

 

僕となのはは友奈を見送り、残った僕らは……

 

「友奈さんと千景さんって仲良しなんですね」

 

「まぁ出会ってからすぐに仲良くなったからな」

 

「私もフェイトちゃんと友達になれるかな……」

 

「なれると思うぞ。お前と友奈は似てる所あるし、千景とフェイトも似てるからな」

 

「似てますか?」

 

「あぁ」

 

何というか無邪気と言うか誰かのために頑張れるところとか……ちゃんとその人の気持ちも全て理解して上げているところとかな

 

「空さん」

 

「ん?」

 

「私が小さい頃にお父さんが仕事で大怪我しちゃって…しばらくベッドから動けなかった事があるの喫茶店も始めたばかりで、まだ人気はなかったから、お兄ちゃんやお母さんもずっと忙しくて」

 

なのは少し寂しそうな顔をしていた。僕は黙ったままなのはの話を聞いた。

 

「お姉ちゃんは、ずっとお父さんの看病で……だから私、割と最近まで家にいる事が多かったの。空さん、一人ぼっちの子にしてあげるのは、大丈夫って優しく言う事でも、心配する事でもないと思うんだ。同じ気持ちを分け合える事。悲しい気持ちも寂しい気持ちも半分こにできる事だと思うんです」

 

「そっか……」

 

僕はなのはの頭を撫でてやった。なのはは少し驚いていたが、なぜだか嬉しそうにしていた。

 

「だったら速い所どうにか終わらせないとな」

 

「はい」

 

なのはが笑顔で答えた瞬間、アースラ内に緊急事態のアラームが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

ブリッジに向かうとそこではフェイトがジュエルシードの力によって起きた嵐に立ち向かっていた。

 

「フェイトちゃん」

 

「なんとも呆れた無茶する子達だわ!」

 

「無謀ですね。間違いなく自滅します」

 

クロノは言葉を聞いて、遅れてやってきた千景から殺気を感じた。だけど友奈が何か声をかけ、千景を落ち着かせた。

 

「あれは個人が出せる魔力の限界を越えている」

 

「あの…私急いで現場に行きます!」

 

「僕も行く。多少力になれるはずだ」

 

なのはと一緒にブリッジの転送装置に行こうとした時、

 

「その必要はないよ。放っておけば、あの子は自滅する」

 

「!?」

 

クロノが止めに入り、なのはは驚いた顔をしていた。そしてその場にいた全員もだ。

 

「仮に自滅しなかったとしても、力を使い果たしたところを叩けばいい。」

 

「でも…」

 

「今のうちに捕獲の準備を」

 

「了解」

 

クロノの指示を受けたエイミィが準備をする。

 

「私達は、常に最善の選択をしなきゃいけないの。残酷に見えるかもしれないけどこれが現実よ」

 

「何が現実よ!!」

 

突然千景が声を荒げ、勇者に変身した。クロノは咄嗟に身構えた

 

「貴方達はこの場でただ傍観しかしないくせに……今あそこで戦ってる子が何のために……つらい思いをしながら頑張ってる……私達がするべき事はここで見ていることじゃないはずよ!」

 

千景がここまで感情的になるなんてな……全く……

 

「千景、落ち着け」

 

「これが落ち着いてなんか……」

 

「落ち着けって……今は感情的になるべきじゃない」

 

「それじゃ上里くん……貴方は同じように見ているだけなの?」

 

「確かにリンディさんやクロノの言うとおりだ。それが正しいことかもしれない。だけどそれは管理局として意見だ。僕ら勇者としてやるべきことは……今必死に頑張ってるあの子を助けることがやるべきことだ」

 

僕がそういった瞬間、リンディさんたちは驚いていた。僕らは人々のために戦う。それがどんな人でも……

 

「というわけでなのは、行って来い」

 

「君たちは……」

 

「………クロノ。この場は彼らの言うとおりにしましょう」

 

「艦長!?」

 

「彼らはあくまで民間協力者……彼らに対して命令することは出来ないわ……」

 

「くっ!?」

 

「OKということだな。なのは、ユーノ、頼んだぞ」

 

「「はい!」」

 

「それと僕も行くけど……珠子、付いてきてくれないか?」

 

「タマもか?いいぞ」

 

僕ら四人は変身し、すぐに転送装置に乗り込むのであった。僕らが成すべきことをするために

 

 



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10 始まるために

荒れ狂う海上でフェイトはバルディッシュを構えて竜巻に突っ込もうとするが、弾かれてしまった。これで何度目なのか既に魔力がつきかけていた。

 

それでも諦めきれずにいた中、

 

「!?」

 

なのはと僕と僕に抱えられた珠子がフェイトのもとに来た。するとどこからともなくアルフがやってきて

 

「フェイトの邪魔するなァアア!!」

 

僕たちに襲いかかろうとしたが、寸前のところで魔法陣を展開させたユーノに止められた。

 

「待ってくれ!僕達は戦いにきたんじゃない!」

 

「えっ!?」

 

「今はジュエルシードの封印を!」

 

ユーノが鎖で竜巻を縛り上げていく。僕らはというと

 

「珠子!手伝うぞ!」

 

「切り札発動!!輪入道!」

 

珠子は切り札を発動させ、大きくなった旋刃盤を竜巻の周りを囲んでいった。

 

「一箇所にまとめて……珠子!戻せ」

 

「わかった」

 

珠子は旋刃盤の上に乗り、なのはたちに指示を出した。

 

「二人共!今だ!」

 

「フェイトちゃん!二人でジュエルシードを止めよう!」

 

レイジングハートはバルディッシュに魔力を送った。

 

一箇所に集まった竜巻をユーノとアルフの二人で竜巻を抑える。

 

「ユーノ君とアルフさんが止めてる今のうちに!二人でせーの!で一気に封印するよ!ディバインバスター、フルパワー!」

 

『All right,my master』

 

なのはの足下に巨大な桜色の魔法陣が展開された。フェイトもバルディッシュを構えて巨大な金色の魔法陣を展開する。

 

「せーの!」

 

「サンダー…」

 

「ディバイン…」

 

二人はデバイスを構え、

 

「レイジー!!!」

 

巨大な雷が竜巻に向かって放たれた。

 

「バスター!!!」

 

二人の砲撃を喰らい、竜巻はそのまま消えていきジュエルシードが現れた。

 

「えっと…半分こ…で良いよね?」

 

「…………」

 

二人はジュエルシードを封印し、その場にあった6つのジュエルシードを二人で分け合った。

フェイトは何も言わずにアルフと一緒にどこかへ消えるのであった。

 

「フェイトちゃん……」

 

「とりあえず戻るか」

 

「……はい」

 

僕らはそのままアースラへと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻ってすぐに僕らはアースラの会議室の呼び出された。どうにも何かがわかったみたいだ

 

「まったく。勝手にジュエルシードを半分ずつ分けて…」

 

壁に寄り掛かりながらクロノがため息をついた。

 

「す…すみません」

 

「クロノ、良いじゃないか」

 

「空さん、貴方も……」

 

「クロノ、やめなさい」

 

「はい……」

 

リンディさんに怒られるクロノ。とりあえず何があったのか知りたいんだけど……

 

「何かわかったのか?」

 

「えぇ、今回の事件の首謀者についてよ」

 

「エイミィ、映像を」

 

「はいはい」

 

エイミィが操作し、僕らの前のモニターに映し出されたのは一人の女性だった。

 

「あら」

 

その女性を見て、何故か千景だけは悲しそうな顔をしていた。あいつは知っていたみたいだな。とりあえず事情はあとでも聞けるから話を進めるか。

 

「この人は?」

 

「僕らと同じミッドチルダ出身の魔導師。プレシア・テスタロッサだ。専門は次元航行エネルギーの開発。偉大な大魔導師だったが、違法研究と事故によって放逐された人物です」

 

「テスタロッサって……」

 

「あのフェイトという少女はおそらく」

 

「プレシアの娘…ね」

 

リンディさんが険しい表情で呟いた。なのははプレシアの映像を見つめた

 

「この人がフェイトちゃんのお母さん…」

 

「プレシア・テスタロッサは、違法な素材を使った実験を行い失敗。中規模次元震を起こした事で中央を追放され、それからしばらくの内に行方不明となる。今わかってる事はこれくらいです」

 

「ご苦労様。貴方達は一休みした方がいいわね」

 

リンディさんは僕らの方を見てそう言ってきた。たしかにここ最近大変だったな。

 

「特になのはさんは、長く学校休みっぱなしにするのはよくないでしょう。一時帰宅を許可します。ご家族と学校に少し顔を見せた方がいいでしょう」

 

「は、はい」

 

「とりあえずみんな、ゆっくり体を休めろ。訓練をするのもいいけど無理はしない程度にな」

 

僕はみんなに、特に若葉の方を見てそういった。

 

「空、どうして私の方を見て……」

 

「お前が一番危ないからだ」

 

「うぐっ……」

 

若葉は落ち込み、みんなが笑う中、僕と友奈は悲しそうにしている千景を心配していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の庭園

 

フェイトとアルフはプレシアにこれまでの事を報告しにきた。プレシアは玉座に座り、フェイトは部屋の中心に立っていた。

 

「…ジュエルシードを、全ては回収できませんでした」

 

フェイトはひどく怯えていた。

 

「…回収したジュエルシードの数は…全部で九つ……」

 

「ご…ごめんなさい、母さん……」

 

「フェイト……貴方は休みなさい。残ったジュエルシードは後で全て回収しなさい」

 

「えっ……はい」

 

フェイトは何がなんだか分からずただその部屋から出ていった。残ったプレシアは口元を抑えながら咳き込み、血を吐いていた。

 

「私には…もう時間がないわ………短い間でも優しくしようと思ったけど……無理みたいね……」

 

プレシアはある人物を思い浮かべた。自分が間違っていたことを気づかせてくれた少女のことを……

 

「ごめんなさい……千景……私はフェイトのいい母親になれないわ……こんな私を許して……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの公園で僕はアネモネに話しかけていた。

 

「アネモネ……お前はなにか知ってるのか?」

 

『それはどういうことでしょうか?』

 

「お前はなのはが持っているレイジングハートみたいなインテリジェントデバイスだと思えない……はっきりとした心みたいなものがあるんだ」

 

『さすがはマスターですね。そこに気がつくとは……』

 

何となく思っていたけど、やっぱりか……

 

「お前の目的は?」

 

『それについてはまだお話できません。ただこれだけは言えます。マスター、貴方は他の勇者たちとは違う……運命を変える力を持っています』

 

「運命を変える……」

 

『いずれ分かることです』

 

アネモネはそのまま黙り込むのであった。本当にこいつは……

 

「あれ?空君、こんなところでどうしたの?」

 

すると友奈となのはの二人が僕のところに駆け寄ってきた。

 

「どうしたんだ?二人共」

 

「ちょっと散歩をしに」

 

「若葉さんたちはうどん屋に行っていて……」

 

「そっか……」

 

僕は立ち上がり、なのはを見つめた

 

「なのは、もしまたフェイトと会うことがあったら……今度は本気の戦いになるかもしれない……」

 

「はい……」

 

なのはの目を見る限り覚悟しているって感じだな。それだったら心配しなくてもいいな

 

「きっと私達は始まってなかったんです。だからこそ……」

 

「そっか、頑張れよ」

 

「はい!」

 

なのはは笑顔で力強く答えた。

 

「何だか空くんとなのはちゃんって兄妹みたいだね」

 

「そうか?」

 

「あはは」

 

「何だかいいなって……」

 

「いや、友奈、お前はなのはのお姉ちゃんだろ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ」

 

友奈は何故か嬉しそうにしているけど、なのはは苦笑いを浮かべていた。

 

「私お兄ちゃんとお姉ちゃんいるんだけどな……」

 

そういえばそうだったな……

 

「そういえば友奈、千景は……」

 

「うん、何だか元気がないの……悩んでるみたいで」

 

「そっか……」

 

あいつはやっぱり何かを隠してるけど、一人で抱え込んでほしくないな。

 

「友奈、お前は千景のそばに居てやれ」

 

「うん……空君」

 

「ん?」

 

「私がぐんちゃんみたいに悩んでたらどうするの?」

 

「もちろん、力になるよ。友奈だからってわけじゃない、みんなが悩んでいたら僕は力になる」

 

「そっか……空君はそうだもんね」

 

友奈は嬉しそうに笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後 海鳴臨海公園

 

なのはと僕ら勇者組はある人物たちを待っていた。

 

「ここなら…いいよ」

 

なのはがそうつぶやいた瞬間、どこからともなくフェイトとアルフの二人が姿を現した

 

「………」

 

フェイトは千景、珠子、杏の三人を見つめた。千景は前に出て

 

「大丈夫。邪魔はしないから……」

 

千景の言葉を聞いてフェイトは頷くと、なのははレイジングハートを構えた。

 

「ただ捨てればいいってわけじゃないよね?逃げればいいってわけでもない」

 

なのはは真っ直ぐフェイトのことを見つめた。

 

「きっかけはジュエルシード…だから賭けよう。お互いが持ってる全部のジュエルシードを!」

 

レイジングハートとバルディッシュからこれまで集めてきたジュエルシードが周囲に集まった。

 

「それからだよ。全部それから、私達の全てはまだ始まってすらいない…だから、本当の自分を始めるために…始めよう。最初で最後の本気の勝負!」

 

二人の魔導師が戦いを始めるのであった。

 

 



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11 星の光

アースラ

 

ひなたSIDE

 

「戦闘開始みたいだね」

 

なのはちゃんとフェイトちゃんの戦いの様子を画面で見ながらエイミィさんが言った。隣にはクロノくんが立ち、私と水都さんの二人はその後ろで見ていた。

 

「ああ」

 

クロノくんとエイミィさんはただ観戦しているわけではなく、フェイトちゃんの母親であるプレシアさんの居場所を探っていた。

事前にお兄ちゃんにはそのことを話しておいたみたいだけど……

お兄ちゃん的には二人の戦いの邪魔にならなければいいと言っていた。

 

「頼りにしてるんだから、逃がさないでよ」

 

「おう!任せとけ!」

 

私達はこの戦いをただ見守るぐらいしか出来ない……

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

『Photon Lancer』

 

『Divine Shooter』

 

「ファイア!!」

 

「シュート!!」

 

二人の魔力弾が空を舞っていた。なのはは上下に動いてフェイトの魔力弾を避け、フェイトは障壁を張って防いでいたが、いつの間にかなのはがいないことに気がついた。

 

「シュート!!」

 

なのはがフェイトに向かって魔力弾を放つが、フェイトはバルディッシュを鎌の形に変形させ、なのはが放った魔力弾を切り裂いた。

 

「やっぱりフェイト……強いな」

 

「でもなのはちゃんは負けてないよ」

 

僕らはただ見守るだけしか出来ない。だからこそ応援するしかなかった。

 

するとフェイトの足下に、巨大な金色の魔法陣が展開された。

 

「あの感じ……一気に決着をつける気か?」

 

「もしかして大技を使うってことですか?」

 

杏もフェイトがやろうとすることに気がついていた。するとアルフが慌てて止めようとしていた。

 

「マズイ!フェイトは本気であの子を潰す気だ!」

 

アルフの慌てようを見る限り、本気でやばい攻撃だということか……

 

フェイトの周囲に無数の魔力弾が現れ、なのはは何とか相殺しようとするが、

 

「あっ!?」

 

突然両手両足に金色のバインドで動きを封じられてしまった。

 

「なのは!今サポートを!」

 

ユーノが助けに入ろうとするが、千景がユーノの前に出て大鎌の切っ先を首筋に当てた。

 

「邪魔はしないで……」

 

「で、でも……」

 

「千景、やめさせないと……」

 

「ユーノ、アルフ、千景の言うとおりだ。今は邪魔してやるな」

 

僕は二人を睨みながらそう告げた。

 

「「は、はい…」」

 

二人はすぐに黙り込むのであった。ふっと気がつくとなのはが僕と千景の方を見ていた。お礼でも言ってるんだろうけど……今は目の前のことに集中しろよ

 

「アルカス、クルタス、エイギアス…疾風なりし天神よ、今導きの元に撃ちかかれ。バリエル・ザリエル・ブラウゼル。フォトンランサー・ファランクスシフト!打ち砕け!ファイア!!」

 

無数の魔力弾がなのはに襲いかかり、なのはは動けないまま直撃を食らってしまい、なのはの周りに煙が立ち込めていた。

 

僕らが心配している中、煙が晴れていくと同時に今度はフェイトがバインドで縛り上げられていた。

 

「なっ!?」

 

「撃ち終わると、バインドってのも解けちゃうんだね」

 

煙の中から出てきたなのは……もしかして寸前のところで攻撃を防いだみたいだけど……それでも無傷って……

 

「今度は…こっちの番だよ!!」

 

なのはは上空に上がり、レイジングハートをフェイトに向けた

 

「受けてみて…ディバインバスターのバリエーション!」

 

『Starlight Breaker』

 

レイジングハートの先に巨大な魔力の塊が現れた。魔導師になったばっかりの僕でも分かる……あれはかなりの……

 

いや僕だけじゃなくっても

 

「あれは……」

 

「溜め込んでるの?」

 

「必殺技みたいね」

 

「あれをフェイトちゃんに撃ち込むの?」

 

「や、やりすぎじゃ……」

 

「だ、大丈夫なの?」

 

若葉、友奈、千景、杏、珠子、歌野の六人も引き気味でそんな事を言っていた。

 

「これが私の全力全開!スターライト・ブレイカー!!!」

 

発射される寸前でフェイトはバインドから抜け出し、障壁を張るが、なのはの放った桜色の閃光に飲み込まれていき、光が消えるとボロボロのフェイトは海へと落ちていった。

 

なのはは慌ててフェイトを助け出し、抱きかかえた。

 

「フェイトちゃん!!」

 

僕らも急いで二人の元へ駆け寄った。フェイトは自分が負けたことに落ち込み、暗い顔をしていると、千景が優しくフェイトを撫でた。

 

「千景……」

 

「落ち込むことないわ。貴方は頑張ったんだもん。だから次は負けないように頑張るだけ」

 

「千景……はい」

 

何というか千景は本当にフェイトの姉みたいな感じだな。するとバルディッシュからジュエルシードが吐き出され、その瞬間、フェイト目掛けて紫色の雷が落ちた

 

「ああああああ!!」

 

「「フェイト!?」」

 

アルフと千景の二人が叫ぶ中、九つのジュエルシードは雲に出来た歪みの中に消えていった。

 

 



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12 明かされた真実 千景の思い

時の庭園

 

「ハァ…ハァ…次元魔法は…もう体が耐えられないわね……」

 

プレシアは苦痛で顔を歪ませていた。既に管理局の武装局員がこっちに向かってきている

 

「フェイト…よくここまで戦ったわね……こんな母さんの為に……今まで、よく頑張ったわね…」

 

フェイトのことを思う中、プレシアは泣きながら自分に訴えかけてきた少女のことを思い出していた。

 

「ごめんなさい。千景……貴方との約束は守れそうにないわ……だから全てを終わらせる」

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラに戻った僕らはモニターで状況を見守っていた。そしてフェイトも同じように……

 

『総員、玉座の間に進入。目標発見』

 

武装局員がプレシアのいる部屋に突入していた。

 

『プレシア・テスタロッサ。時空管理法違反の容疑で逮捕します』

 

『速やかに武装を解除してください』

 

プレシアは何も言わずただ動じずに玉座に座っていた。すると局員が玉座の後ろに回り込んだ瞬間、プレシアは睨みつけていた。

 

「だ……め……」

 

千景が小さな声で何かをつぶやいていた。一体何があるんだ?

局員が玉座の後ろにある隠し通路を見つけた瞬間、千景が叫んだ

 

「映さないで!!」

 

千景が叫んだ瞬間、モニターに映し出されたのはフラスコに入ったフェイトそっくりな少女だった。

千景以外の僕らはただただ驚きを隠せないでいた。

 

『ぐわぁああ!!』

 

局員がプレシアによって弾き飛ばされていった。

 

『私のアリシアに近づかないで!!』

 

プレシアが局員たちを吹き飛ばしていき、リンディさんは撤退命令を下していった。

 

「アリ……シア……」

 

フェイトはモニターに映し出された少女を見つめていた。フェイトは知らなかったのか……

 

『もうダメね…時間がないわ…たった九つのジュエルシードで、アルハザードに辿り着けるかわからないけど………フェイト。そこにいるんでしょ?』

 

プレシアに名前を呼ばれてフェイトは体を小さく震わせた。

 

『貴女はね…アリシアの代わりにしようと…私が造ったアリシアのクローンなのよ……』

 

クローンって……それに代わりって……なんなんだよそれ……

 

「…プレシアは最初の事故の時に、実の娘のアリシア・テスタロッサを亡くしているの。『フェイト』と言う名は、当時の彼女の研究につけられてた開発コードです」

 

エイミィが険しい表情でみんなに話した。

 

『よく調べたわね……フェイト。正直に言うわ……私ね…貴女を造りだした時から、貴女を好きになれなかったの……貴方は私のことを母さんと呼ぶということ、魔法の才能も……全部受け入れられなかった』

 

さっきまで険しい顔をしていたプレシアは優しく微笑んだ。

 

『でもねある人が……そこにいるでしょ千景』

 

プレシアの口から千景の名前が呼ばれ、僕らは全員千景のことを見た

 

『貴方は言ってくれたわね。子供のことを愛さない人を許さないって……そしてアリシアのことを知った貴方はこう答えたは……』

 

プレシアと千景の二人は同時にある言葉を言った。

 

「『代わりなんかじゃなくって、フェイトとして愛してあげて……』」

 

千景は涙を流していた。僕は千景の家の事情についてはある程度知っている……だからこそ千景はフェイトに自分みたいに家族の愛ということを知らないでいてほしくなかったんだ

 

『これからはフェイトを愛してあげてって約束したけど……ごめんなさい。もう間に合わないわ……アルフ。貴女もいるんでしょ?』

 

プレシアは涙を流しながらアルフに声をかけた。

 

『こんな私が頼めた義理じゃないけど……これからもフェイトをお願い…』

 

「プレシア…」

 

するとアラームが鳴り響いてきた。

 

「大変!屋敷内に魔力反応多数!」

 

「何だ!?何が起こってる!?」

 

屋敷の床から様々な形をした無数の傀儡兵が現れる。

 

「庭園敷地内に魔力反応!しかも50、80と数を増やしていきます!!」

 

「プレシア・テスタロッサ!一体何をするつもり!?」

 

『フェイト……貴方を愛しているわ……管理局局員、フェイトは私に操られていただけ……彼女には罪はないわ』

 

プレシアがそう告げた瞬間、アースラが……というより空間が揺れ始めた。

そしてジュエルシードからまばゆい光が溢れ始めていた。

 

 

「次元震です!中規模以上!!」

 

「振動防御!ディストーション・シールドを!」

 

「ジュエルシード九個発動!次元震、更に強くなります!」

 

「転送可の距離を維持したまま、影響の薄い空域に移動!!」

 

「了解!」

 

「規模は更に拡大!このままでは『次元断層』が!!」

 

「次元断層?クロノ、何だそれは?」

 

「次元断層……いくつもの並行世界を壊滅させる程の災害だ。このままだと三十分足らずで起きてしまう」

 

「おまけにあの庭園の駆動炉も、ジュエルシードと同型のロストロギアでそれを発動させて、足りない出力を補ってる」

 

要するにかなりまずい状況だっていうのか。フェイトは泣き崩れ、千景も泣きじゃくっていた。このまま見ているだけってわけには……いかないよな

 

「クロノ、行くんだろ」

 

「あぁ、まさか君たちも……」

 

「当たり前だ。僕らは勇者だからな」

 

「あの、私も行きます。フェイトちゃんのお母さん助けたいです」

 

「僕も、駆動炉のエンジンを封印出来るはずだ」

 

今だ泣きじゃくる千景、すると友奈が千景の手を握りしめた。

 

「ぐんちゃん、泣いてちゃダメだよ。泣いてるだけじゃ助けられないから……」

 

「高嶋さん……」

 

「助けよう!みんなで!」

 

友奈が笑顔でそう告げた瞬間、千景は涙を拭き立ち上がった。そしてフェイトに手を差し伸べた

 

「このまま終わりにしたら駄目だと思ってるの?」

 

フェイトは顔を上げ、首を横に振った。

 

「それだったら何をするの?」

 

「私は……母さんを助けたい……」

 

「それだったら行きましょう……貴方のお母さんを助けるために」

 

「はい!」

 

フェイトは千景の手を掴み、立ち上がりバリアジャケットに着替えた。

 

「それじゃ勇者と魔導師……力を合わせていくぞ!!」

 

『オォ!!』



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13 空の切り札

時の庭園に訪れた僕ら。その前には大量の傀儡兵が待ち受けていた。

 

「敵がこんなに!?」

 

「くっ、急がないと行けないのに……」

 

なのはとクロノの二人が焦る中、僕らは二人の前に出た

 

「こいつらは僕らがなんとかする。お前らは温存しておけ」

 

「で、でも……」

 

「危ないよ」

 

フェイトの奴は千景たちと行動してたんだから分かってると思ったんだけどな……まぁいいか

 

「空、お前が指示を出せ」

 

「若葉、いいのか?」

 

「お前はそういうのが得意だっていうのは分かってるからな」

 

「そっか……それだったら全員……全力で目の前の道を切り開け!!」

 

「「「「「切り札発動!!」」」」」

 

僕と歌野以外が切り札を発動し、それぞれ衣装が変わった。若葉の切り札『義経』友奈の切り札『一目連』千景の切り札『七人ミサキ』杏の切り札『雪女郎』珠子の切り札『輪入道』

若葉たちは並び立ち、傀儡兵に向かっていった

 

「ハアアアアアアアア!!」

 

若葉は素早く動きながら傀儡兵を切り裂いていき、千景は分身して、七人で傀儡兵を倒していく。

 

杏は雪を降らせて傀儡兵の動きを止めていき、止まったところを珠子が全て撃退していく。

 

友奈は傀儡兵を殴っていき、さっきまで大量にいた傀儡兵を全て撃退していった。

 

「これが……勇者たちの力なのか……」

 

「空さん、これは……」

 

「僕ら勇者には精霊というものの力が宿っている。その力を発動し、とてつもない力を発動させるのが……切り札だ」

 

「これが切り札……」

 

なのはたちも驚きを隠せないでいるが、切り札には体に負荷がかかる。それに精神的にもだ……まぁ精神面は気持ちを強く持てば何とかなりそうだけど……

 

「とりあえず僕らも行くぞ。歌野」

 

「OK、若葉さんたちに負けてられない」

 

僕は槍で傀儡兵を貫いていき、歌野はムチで傀儡兵を破壊していった。しばらくして全て撃退し、僕ら奥へと進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

中に入り、走っていくと床がところどころ穴が空いていて、覗き込むと空間が歪んでいた。

 

「クロノ、これは?」

 

「その穴『虚数空間』だから気をつけて!」

 

「虚数空間?」

 

「あらゆる魔法が一切発動しなくなる空間だ。落ちたら重力の底まで落下する。二度と上がってはこれない」

 

「気をつけて進まないとな」

 

「上里くん、貴方は特に気をつけて」

 

「千景、何で僕だけなんだよ。落ちそうなのは珠子だぞ」

 

「タマは一番気をつけてるだろ!」

 

「何で君たちは……」

 

僕、千景、珠子の三人の言い争いを見てクロノは呆れ、若葉、友奈、杏、歌野は……

 

「こういう時に……」

 

「でも変に気を張ってるよりかはいいかもしれないよ」

 

「えぇ少しは気を抜いてね」

 

「空さんが戦いに参加してからそういう風にできるようになった気がしますね……なのはちゃんとフェイトちゃんも、気を張りすぎないようにね」

 

「「はい」」

 

そうこうしているうちにある部屋にたどり着き、中にはいると大量の傀儡兵と上へと続く階段を見つけた。

 

「ここから二手に別れよう」

 

クロノの提案にみんなが賛成すると、杏が僕にあることを言ってきた。

 

「あの空さん」

 

「もしかして僕に別れるメンバーを決めろってか?」

 

「はい」

 

「わかったけど……フェイト、プレシアの部屋は」

 

「母さんがいる場所は多分あっちの方に」

 

フェイトが指を刺した方は階段とは別の道だった。だとしたら……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕、フェイト、アルフ、千景、クロノ、友奈でプレシアの部屋まで向かうことになった。

 

「空君、どうしてこのメンバーなの?」

 

「ん?」

 

友奈は何故かこの振り分けに疑問を持っていた。まぁ戦力的にうまく分けたって言うこともあるし、それに……

 

「色々と言いたいことがある奴がいるからかな」

 

僕は千景の方を見ていうと、千景は黙り込んだままだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

杏SIDE

 

最上階にやってきた私達は大量の傀儡兵と対峙していた。

 

「防御は僕が、なのは、封印の方を」

 

「うん、いつも通りだね」

 

「え?」

 

「ユーノ君、いつも私と一緒にいてくれて、守っててくれたよね?」

 

ユーノに笑顔を向けながらなのはちゃんが言う。

 

「だから戦えるんだよ。背中がいつも暖かいから!」

 

なのはちゃんは嬉しそうにいい、ユーノくんは恥ずかしそうにしていた。

 

「何だかいいな~ああいうの……」

 

「杏、何言ってるんだ?杏の背中はタマに任せタマえ!」

 

「タマっち先輩……うん!」

 

「いいね。ああいうのも」

 

「あぁそれだったら私の背中を頼むぞ。歌野」

 

「OK!任せて!私達には背中を守ってくれる人もいるし、それに帰りを待ってくれる人がいるからね」

 

「あぁ!!」

 

私達は傀儡兵に向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

大きな部屋に出てくると壁を壊して今まで以上の大きさの傀儡兵が現れた。

 

「でかい!?」

 

「それにあの傀儡兵……障壁を張ってる……」

 

クロノとフェイトの二人が警戒していると、突然アネモネが喋りかけてきた。

 

『マスター』

 

「何だよ?魔導師に変わったほうがいいか?」

 

勇者の状態であれを倒すのは無理だっていうなら魔導師に変わるけど……

 

『いえ、今こそ使うべきです!三本目の鍵を』

 

「三本目……」

 

僕は三本目の鍵を手にすると白く輝き出した。

 

『三本目は絆ぐ力が宿してあります。それは世界を絆ぎ、勇者と魔法の力を絆ぐ……』

 

「なるほどな……それだったら」

 

僕は三本目の鍵をかかげて、叫んだ。彼女たちと同じ力を使えるように……

 

「切り札発動!!」

 

叫んだ瞬間、白い光が僕を包み込み、光が消えると右手には杖を、左手には槍を持ち、腰辺りには三本の尻尾みたいなものが生えていた。

 

「これが上里くんの……」

 

「切り札……」

 

「僕の精霊は妖狐みたいだな。さて……」

 

僕は駆け出し、巨大傀儡兵の右腕を槍で貫き、破壊した。

 

「障壁を!?」

 

「あんな簡単に!?」

 

「あいつ、化け物じみてないか?」

 

クロノ、フェイト、アルフが驚く中、僕は巨大傀儡兵の攻撃を避けながら、杖を構えた。その瞬間、三本の尻尾の先から銃口が飛び出し、

 

「フォーステイル・バスター!!」

 

四本の砲撃で巨大傀儡兵を破壊するのであった。切り札の力はすごいけど、結構体に負担が大きいな。

 

「空君、大丈夫?」

 

「切り札自体初めて使ったのだからあとは休んでいたら?」

 

「いや、僕は大丈夫だ……」

 

友奈たちはこの負担を抱えながら戦ってきたんだから、僕だけ休む訳にはいかないよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の庭園 最下層

 

プレシアはアリシアの入ってるケースの隣に立っている。

 

「誰か乗り込んできたみたいね…」

 

上を見ながらプレシアは呟いた。

 

(恐らく乗り込んできたのは管理局の執務官…でも無駄よ。私を捕まえても…私はもう長くはない……)

 

悲しい表情を浮かべながら、プレシアはアリシアを見つめた。

 

「アリシア…ごめんなさい。こんな事になってしまって……フェイト…貴女だけでも幸せになって……」

 

プレシアがそう言った直後、背後から爆音が聞こえた。

 

「きたわね」

 

執務官が来たと思い、プレシアは杖を構えた。そこにいたのはバルディッシュを持ったフェイトとボロボロの僕たちだった。

 

「母さん」

 

「フェイト」

 




次回、無印編終了……できたら良いな……

無印編のあとは1話分幕間的な話をやるつもりです


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14 紡いだ手

最下層に降り立った僕らはプレシアの前に来ていた。

 

「フェイト……どうして来たの?」

 

プレシアは驚いた顔で目の前にいるフェイトを見つめた。

 

「母さん…」

 

フェイトは、ゆっくりとプレシアに歩み寄る。

 

「貴女…何しにきたの…?」

 

プレシアはフェイトを睨む。フェイトは思わず足を止めてしまう。

 

「私は…母さんを助けにきました」

 

プレシアは驚きを隠せないでいた。そしてその体は震えていた。

 

「母さん。私は、母さんに笑ってほしかった…母さんは…さっき私に笑ってくれた……けど、私が見たかった母さんの笑顔は…あんな悲しそうな笑顔じゃない!」

 

声が大きくなり、最下層にフェイトの声が響く。

 

「母さんには……楽しそうに…嬉しそうに笑ってほしいの……心からの、本当の笑顔になってほしいの!」

 

母に伝える娘の想い。フェイトの言葉がプレシアの心を揺り動かす。プレシアはこれまでフェイトにやってきたことを後悔している。だけどフェイトはそれでもプレシアを救いたいって思ってる

 

「一緒に帰ろう」

 

フェイトの言葉に、笑顔に、プレシアは目を見開き涙が出そうになる。フェイトは手を伸ばしたまま、プレシアの答えを待つ。プレシアは顔を俯いていた。

 

「フェイト…ごめんなさい」

 

プレシアは杖を掲げ、紫の雷をフェイトに放った。その瞬間、僕、友奈、千景の三人で雷を防ぎ、千景はプレシアの前に出た。

 

「あなたはまだ逃げる気なの?」

 

「違うわ……千景、貴方は知っているはずよ。私の病のことを」

 

「病?」

 

「何だよそれ……」

 

フェイトもアルフもプレシアの病気について知らないみたいだった。プレシアはゆっくりと語り始めた。

 

「私は不治の病に侵されている。今、こうしてフェイトの手をとっても……幸せにしてあげる時間は……」

 

ないっていいたいのか……

 

「ふざけんな」

 

僕はそう叫んだ瞬間、その場にいた全員が驚いた顔をしていた。

 

「幸せにしてあげる時間がないって言わせない……少しの時間でも良いから沢山幸せの時間を与えてやれよ……それに不治の病なんていうのは本当に治せないものなのか?そういうのは色々と試してからにしろ」

 

「そうだよ。きっとひなちゃんや水都ちゃんたちの力なら……」

 

「まだ可能性があるってことね」

 

「あ、貴方達は……どうしてそこまで……」

 

「僕らは勇者だからだ。勇者っていうのは人々のために……誰かのために戦い、救うんだ。僕はそう思っている」

 

「勇者……」

 

「フェイト、貴方はどうしたい?」

 

千景の問いかけにフェイトはゆっくりと息を吐き、

 

「私は母さんと幸せに暮らしたい。どんなに短い時間でも……」

 

「フェイト……」

 

プレシアがフェイトを抱きしめようとした瞬間、二人がいた足場が急に崩れだした。プレシアは咄嗟にフェイトを突き飛ばした

 

「母さん!?」

 

「フェイト……幸せに……」

 

「させない!」

 

虚数空間に落ちていくプレシアを千景が腕を掴んだ。

 

「離しなさい!貴方も……」

 

「約束……守ってもらっていない……フェイトのことを幸せにするっていうことを……だからこんな所で死なせたくない!」

 

「千景……」

 

千景が必死に助けようとするが、千景のいる足場も崩れだし、二人共落ちそうになったが、友奈が千景の手を掴み、僕が友奈の手を掴んだ。

 

「絶対に離さないよ。ぐんちゃん」

 

「高嶋さん……」

 

「ゆっくり引き上げるからな……ほらクロノ、アルフ、フェイト、お前らも手伝え」

 

「上里くん……ありがとう……」

 

全員で引き上げ、プレシアを救出することが出来た。アリシアが入っていたケースは虚数空間に飲み込まれたけど……

 

「母さん、母さん……母さん……」

 

「フェイト……」

 

二人の親子の絆は守れたって言うことだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから僕らは時の庭園から脱出し、アースラに戻ると僕だけクロノに呼び出された

 

「あのな……少しは休ませてほしんだけど……」

 

「すまない。君に相談したことがあるんだ」

 

「相談?」

 

「あぁ、実は言うと……」

 

クロノの話だとプレシアの犯した罪は重罪で、一生牢屋から出てこれないほどのものだった。

 

「管理局の立場としてはそうせざる負えない……だけど」

 

「お前とリンディさんは何とかしてあげたいっていうことか」

 

「あぁ特に母さんは……」

 

それで何かしらの意見をほしいっていうことか。まぁ確かに折角幸せな道を歩めるのにな……

だとしたら……

 

「いい方法がある」

 

「いい方法?」

 

僕はクロノに耳打ちをし、クロノは呆れた顔をした。

 

「そんなものが通じると……まぁ言ってみる」

 

「僕も行くよ」

 

僕らはリンディさんのところへ報告しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

報告を終え、僕らは医務室に来ていた。そこではプレシアの病をひなたと水都の二人が鍵の力で治そうとしていた

 

「ふぅ……」

 

「これ、疲れますね」

 

「あ、あの母さんは……」

 

「大丈夫ですよ。フェイトさん。プレシアさんの病は……」

 

「体が軽い……本当に治してしまったの?」

 

「巫女の力で何とかできましたね。ひなたさん」

 

「えぇ、これからはちゃんと母親として頑張ってください」

 

ひなたが笑顔でそう言うと、プレシアはうつむいていた。

 

「でも私は罪を犯したわ。一生フェイトのところにいることは……」

 

「母さん……私……」

 

暗い感じになったこの親子。するとクロノはある報告をした。

 

「プレシア・テスタロッサ。今回の件だが……貴方たち親子は管理局で保護することになった」

 

「「えっ?」」

 

二人が驚く中、僕はクロノの代わり報告をした。

 

「今回の件、ジュエルシードの回収はあくまで善意で集めようとしていたし、局員への攻撃ついても無断で侵入したためによる自己防衛で……災害の方も偶然起きたから……まぁ無罪というわけじゃないけど、罪は軽くなったみたいだな」

 

「そ、そんな事が……認められるものなの?」

 

「まぁそういう風に報告はしておいた」

 

話し終えるとプレシアとフェイトは涙をながすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん、頑張りましたね」

 

次の日、部屋に訪ねてきたひなたと友奈の二人がやってきた。

 

「頑張ったって……」

 

「フェイトちゃんたちのことだよ」

 

「あぁ、僕はちゃんと救いたかっただけだから……にしてもいつになったら僕らは帰れるんだろうな」

 

『マスター、そのことですが』

 

僕の呟きに答えるかのようにアネモネが喋りだした。

 

『三本目の鍵を扱えたことによって、マスターたちは帰れます』

 

「帰れるって……そういえば三本目は世界を絆ぐ力があるって言ってたな……もしかして」

 

『マスターの思っているとおりです。鍵を使えば元の世界に帰れます』

 

何というか帰還する方法も分かってよかったのかな?

 

「みんなに知らせるか」

 

「はい」

 

「お別れだね……」

 

友奈は寂しそうにしていた。確かに別れるのは嫌だけど……

 

『大丈夫ですよ。自由に行き来できるので機会があれば』

 

「何というか万能すぎだな」

 

『そうでしょうか?』

 

いつでも会えるって聞いて、友奈は嬉しそうするのであった。

 

 

 

 

 

僕ら三人は若葉たちに帰れることを伝えに行こうとすると廊下でなのはとフェイトの二人が何かを話していた。

 

「ねぇ、フェイトちゃん。友達になろ」

 

「でも、私、友達出来た事ないから…どうすれば、友達になれるか…」

 

「簡単だよ。名前を呼べばいいの」

 

「名前?」

 

「うん。君とか貴女とかじゃなくて、その人の名前を呼んであげて。全部そこから始まっていくから」

 

「……なの…は」

 

「うん」

 

「なのは…」

 

「うん、もう私とフェイトちゃんは友達だよ」

 

「ありがとう、なのは」

 

「うん!」

 

二人は互いのリボンを交換するのであった。友達同士の約束みたいなものだな

 

「良かったね」

 

「そうだな」

 

「所でお兄ちゃん」

 

「何だ?ひなた?」

 

「友奈さんには言わないんですか?」

 

「私に?空君、何かあるの?」

 

「そ、それは……」

 

このタイミングで告白しろってか?それは恥ずかしすぎるんだけど……

 

「空くん?」

 

「あ、あのさ友奈……お前に伝えたいことがあるんだけど……」

 

「うん」

 

「僕はお前のことが……」

 

告白しようとした時、あることを思った。何で妹の前で告白をしないといけないんだ?

 

「ってできるか!!」

 

「しないんですか?」

 

「お前のいる前でできるか!!ほら、早くみんなに伝えに行くぞ」

 

「は~い」

 

「えっと、空君、言いたいことは……」

 

「友奈、あとでちゃんと伝えるから……それまで待っていてくれ」

 

「う、うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでみんなに帰れることを話した次の日、僕らはなのはたちに見送られていた。

 

「今回の協力、管理局代表として感謝するわ」

 

「私達は勇者として当然のことをしたまでだ」

 

「また会えるんですよね」

 

「うん、今度遊びに行くね」

 

「千景……」

 

「お母さんと仲良くね……フェイト」

 

「はい……」

 

お互い挨拶を交わす中、クロノが握手を求めてきた。

 

「今回は本当に助かった」

 

「クロノ、お前は少し肩の力を抜け」

 

「悪かったな。固い男で……」

 

「まぁそこがお前の良いところなんだけどな……何かあったら連絡は……できるのか?」

 

『えぇ私や巫女二人が持っている鍵に連絡をしてくれれば……』

 

本当に便利だな。まぁ何事もなければ良いんだけどな

 

「とりあえず何かあったら……すぐに連絡しろ。駆けつけるから」

 

「あぁ」

 

クロノと握手を交わし、僕はユーノにあることを伝えた。

 

「ユーノもありがとうな」

 

「僕は何も……」

 

「色々と助けてもらったりしてから……」

 

「空さん……はい」

 

僕は鍵を掲げると目の前に白い穴が開いた。そして見送ってくれるみんなに向かって……

 

「またな」

 

そう言って僕らは元の世界に帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくとそこは丸亀城の前だった。帰ってきたんだな

 

「そういえばお兄ちゃん、調査のほうどうしましょう?」

 

そういえば僕らは外の調査をしていたんだっけ?まぁでも

 

「歌野たちの件を伝えておけばいいし、それに平行世界のことも言っておけば大丈夫だろ」

 

「本当に大丈夫なのか?」

 

若葉は心配する中、珠子があることに気がついた。

 

「ん?寄宿舎の前に誰かいるぞ?」

 

「大社の人かな?」

 

「だけど……あの子……」

 

寄宿舎の前には一人の少女がいた。少女は僕らに気がつき、駆け寄ってきた。

 

「おかえり。待ちくたびれちゃったよ」

 

少女が笑顔でそういうが、僕らはその少女を見て驚きを隠せないでいた。さっきお別れをしたフェイトと瓜二つの少女……この子はまさか……

 

「お前、まさか……」

 

「はじめまして、アリシア・テスタロッサです」

 

 

 




というわけで無印編終了です。

次回幕間、次次回AS編になります


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15 アリシアと理由

教室に集まった僕ら、何でこうして集まっているかというと……

 

「お前はアリシアで良いんだよな。フェイトの姉の……」

 

「そうだよ」

 

元の世界に帰ってきた僕らを出迎えてくれたのはフェイトの姉であり、死んだはずのアリシアだった。何で彼女がここにいるんだ?それに……

 

「私はカプセルに入った貴方を見たけど……少し成長してないかしら?」

 

確かカプセルに入っていたときはまだ5歳位だけど、今のアリシアは少し成長している

 

「そうだね。色々と話すべきだよね。そうだよね。アネモネ」

 

『はい』

 

僕のポケットからアネモネが出てきて、アリシアの横に来た。アリシアが生き返った理由を知っているのか?

 

「私はあの時……時の庭園の崩壊で虚数空間に落ちたんだ」

 

「うん、それは私も、ぐんちゃんも空君も見ていたから知ってるよ」

 

「虚数空間に落ちて、気がついたら私は真っ白で暖かな場所にいたの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリシアはそこがどこなのか分からないでいた。すると人の言語とは思えない声が聞こえた。だが意味は理解できた

 

『命を失いし少女よ。我はこの世界で土着神が集まり一つになった存在……神樹と呼ばれるもの』

 

「神樹?」

 

『お前は虚数空間と呼ばれる場所へ落ち、我の中に流れ着いた。そしてお前に役割を与える』

 

「役割……」

 

『運命を変える事ができる存在に三本の鍵を……一つは勇者の力を、一つは魔導師の力を、一つは絆ぐ力を与えた。そして我の声を聴くことができる巫女には支える力を与えた』

 

アリシアいわく、その時急に頭の中に僕らのことが入ってきたらしい。

 

「この人達は……そっかフェイトとママを助けてくれた人だよね。それで私の役割は?」

 

『お前の役割は……彼らの力になってもらいたい。いや彼らだけではない。お前の家族、その友達の力にもなってほしい……運命を変えるために、そのために我は時を超え、彼女たちをも導いてきた』

 

「力になる……でも私は魔法資質とかないし……力になれることは……」

 

『安心しろ。お前にも彼と同じ力を与える。勇者の力で天の使いを倒し、魔法で守る力を……』

 

 

 

 

 

 

 

 

「そして気がついたら私の手にはこの鍵があって、この世界に来ていたんだ」

 

「なるほどな。じゃあ、僕のこの鍵とひなた達の鍵は神樹様がくれたものなんだな……でも運命を変えるって……」

 

『マスター、貴方は運命を変えていますよ。特に死ぬはずの人間の運命を……』

 

それってつまりプレシアのことだよな。僕が……というより僕らが運命を変えたのか……

 

『そしてこれから先……いえ、これは言わないほうが良いですね』

 

「うんうん、言ったらショックを受ける人がいるからね」

 

アリシアとアネモネはこれから先のことをちょっと知ってる感じなのか?だとしたら頑張らないとな。

 

「空、これから私達は……」

 

「とりあえずこっちでやるべきことはやらないとな」

 

バーテックスとの戦いは終わっていないからな。そのためには僕も、それに若葉達も鍛えなければいけないしな

 

「大体のことは説明できたかな」

 

『そうみたいですね。それと巫女お二人、よろしいでしょうか?』

 

「はい?」

 

「えっと、なんですか?」

 

アネモネがひなたと水都の二人に声をかけた。すると二人の持っている鍵が浮かび上がり、錫杖に形を変えた。

 

「これは……」

 

「なのはさんやフェイトさんみたいなデバイス……」

 

『喋ることは出来ませんが、巫女の力を扱う際にサポートをすることが出来、癒やしの力の他に補助的な事ができます。それに体への負担も少なくなっていますのでご安心を』

 

「これはいいですね」

 

「うたのんたちのことを守ってあげられる……」

 

二人は本当に嬉しそうだな。とりあえず大体の説明も終わったことだし……

僕はアネモネを持ち、外に出た。

 

「みんなは今日のところは休息な。歌野と水都の部屋は空いてる場所があるからそこを使うように、アリシアは……」

 

「う~ん、折角だからフェイトがお世話になったことだし、千景の部屋にお世話になるよ」

 

「勝手に決めないでもらえないかしら……」

 

「駄目なの?」

 

アリシアは目をうるませながらいうと、千景はため息を付いた。

 

「強引に押し切られそうね……わかったわ」

 

「わーい」

 

部屋割りは決まったことだし、大社に報告して、あとは……

 

「アネモネ、ちょっと魔法の練習に付き合ってもらうぞ」

 

『えぇいいですよ。魔力弾関係ですか?砲撃関係ですか?』

 

「その両方。技のバリエーションを増やしたいし、それに出来れば……収束砲を撃てるようになりたいな」

 

『ブレイカーですか、良いかもしれませんね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大社にはそれとなく事情を説明、人々には生存者発見などの発表を行われるのであった。

 

そして月日が経ち……僕らは新たな戦いに巻き込まれるのであった。

 




次回、AS編スタートです


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AS編 16 新たな騒動の始まり

樹海にて、サソリの尻尾みたいなものが付いた大型バーテックスに向けて、僕は切り札を発動し、砲口を向けていた。

 

「手強いやつだったけど、これで終わりだ!!フォース・テイル・バスター!!」

 

4つの魔砲がバーテックスを撃ち抜き、トドメを友奈が刺すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりなさい。お兄ちゃん。杏さん、こちらに来てください」

 

「はい」

 

元の場所に戻るとひなたが杏の毒の治療を行った。あちら側に来てから数ヶ月が経ち、僕らはバーテックスとの戦いを続けていた。

 

「今回は危なかったな」

 

「下手すれば土居さんたちは死んでいたかもしれないわね」

 

「でも空君のおかげでなんとかなったよ」

 

「僕は特には……」

 

「ハードな戦いだったけど、何とかなったね」

 

「でもうたのん、油断しないでね。私達の治癒も死んだりしたら生き返ることとか出来ないから……」

 

水都は心配そうにいう。まぁそこら辺は本当に大変だったりするからな……

するとアリシアは疲れた顔をしていた。

 

「疲れた~千景お姉ちゃん、疲れたよ~」

 

「はいはい……」

 

あれからアリシアはこっちの生活に慣れ、同室の千景のことをお姉ちゃんと呼ぶようになった。

それに千景の方も色々とあったけど……

 

「むぅ~お姉ちゃん、冷たい。バラすよ」

 

「何をかしら?」

 

「許嫁の人と毎晩いちゃいちゃメールをしていることを!!」

 

「あなた……また勝手に!?」

 

「ぐんちゃん、良かったね。優しい人とお付き合いできて」

 

「高嶋さん!?あの人とは……」

 

千景に許嫁が出来た。まぁ家族関係でちょっと大変で落ち込むことはあったけど、その時に大社の関係者で僕の友達が千景を支えたいって言ってくれたからな

 

ふっと気がつくとアネモネの方に誰かから通信が入った。僕は出ると相手はなのはだった。

 

『お久しぶりです……あのボロボロですけど何かあったんですか?』

 

「ちょっと戦っていたんだけど……どうしたんだ?」

 

『えっと近況報告的なものを……こっちは大きな事件はないですけど、今度フェイトちゃんが遊びに来るって……』

 

なのはたちとはたまに連絡を取り合っている。フェイトも元気そうだな。

 

「そっか……」

 

『それで空さんたちはその……』

 

もしかして会えないかって言うことか?僕は治療に忙しいひなたに声をかけず、水都に声をかけた。

 

「敵の進行は?」

 

「えっと、ないみたいです。多分だけど大型バーテックスを倒されたことで一時撤退みたい」

 

だとしたら行けるな

 

「近い内に遊びに行くよ。それにフェイトには会わせたいやつがいるしな」

 

『はい、楽しみにしてますね』

 

通信を切ると、千景の後ろに隠れているアリシアが出てきた。

 

「ふぅ、全く通信中は隠れてないといけないから大変だよ」

 

「隠れる必要はあるのかしら?」

 

「千景お姉ちゃんは分かってないな~内緒にしておいたほうが後々みんなびっくりするんだよ」

 

「そういうものなのかしら?」

 

「でもアリシアちゃん、楽しみだね。会えるの」

 

「うん」

 

アリシアも楽しみにしているし、僕らもまたなのは達と会えるのが楽しみだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

通信から数日後の夜、突然赤いドレスのような恰好で、手にはハンマーのような物を持っている子に襲われていた。

 

「どらぁあああ!!」

 

ハンマーを振り下ろしながら襲ってくる子、私は攻撃を避け

 

「いきなり襲い掛かられる覚えはないんだけど、どこの子!?一体なんでこんな事するの!?」

 

声をかけ続けるが、女の子は黙ったまま指の間に鉄球を出した。

 

「教えてくれなきゃ、わからないってばァ!」

 

ディバインシューターを放つが、女の子が全て防いだ。この子……強い

 

「このやろぉおおお!!」

 

女の子は怒りながらハンマーを振り上げて、襲い掛かる。振り下ろされるハンマーを、私は後ろに飛んでかわし、レイジングハートをシューティングモードにして、距離をとった

 

「話を聞いてってば!!」

 

女の子に向かってディバインバスターを放つ。ディバインバスターは女の子の左側を掠り、女の子のかぶっていた帽子が落ちてしまった。

落ちていく帽子を見て、女の子は怒りの形相で睨み、足下に赤い魔法陣を展開した

 

「グラーフアイゼン!カートリッジロード!!」

 

女の子が叫んだ後、ハンマーが撃鉄を打った音を立て、ハンマーの形が変わった。

 

「え…え!?」

 

ハンマーは片方の先の部分が尖って、もう片方の面は噴射口みたいだった。

 

「ラケーテン!」

 

片方の面がジェット噴射して女の子は回転する。回転の勢いを使って、攻撃を仕掛けてきた。私はすぐに障壁を展開するが簡単に破られ、レイジングハートに直撃してしまう。

 

「ハンマー!!!」

 

ハンマーを振り抜き、私はビルに向かって吹き飛ばされた。

 

「ああああ!!」

 

ビルの中まで吹き飛ばされた私。埃や煙が立ち込める中、立ち上がると

 

「でぇえええい!!」

 

ハンマーを構えた女の子が突っ込んできた。再び障壁を張って防ぐが……

 

「ぶち抜けェエエ!!」

 

『了解』

 

障壁は破られ、バリアジャケットも破壊され、私は壁に叩きつけられた。女の子が近づいてくる中、傷ついたレイジングハートを女の子に向けるが、女の子ははハンマーを振り上げた

 

(こんなので…終わり?嫌だ……ユーノ君…クロノ君…空さん…フェイトちゃん!!)

 

咄嗟に目をつぶった瞬間、何かがぶつかりあう音が聞こえた。目を開けるとそこには黒いマントを羽織ったフェイトちゃんがいた。そして私のそばには

 

「ごめん。なのは。遅くなった」

 

「ユーノ君…」

 

「く…!仲間か!?」

 

女の子はフェイトちゃんを警戒しながら後ろに下がった。フェイトちゃんは優しい声で

 

「友達だ」

 



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17 新たな戦いへと

フェイトSIDE

 

バルディッシュを構えながら、私は目の前の襲撃者に問いかけた。

 

「民間人への魔法攻撃。軽犯罪では済まない罪だ」

 

「なんだテメェ?管理局の魔導師か?」

 

ハンマーを構えながら襲撃者は睨んできた。

 

「時空管理局嘱託魔導師、フェイト・テスタロッサ。抵抗しなければ、弁護の機会がキミにはある。同意するなら武装を解除して」

 

バルディッシュを構えながら、そう言うと

 

「誰がするかよ!」

 

襲撃者は外へと逃げ出していく。私はなのはに付いているユーノに声をかけた。

 

「ユーノ、なのはをお願い!」

 

「うん!」

 

私は襲撃者を追いかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中で襲撃者と対峙する私。

 

「バルディッシュ」

 

魔力刃を襲撃者に向かって放った。襲撃者は鉄球を放ち、魔力刃を障壁で防いだ。

私は鉄球を避け続けるが追尾型の魔法なのか振り切れない。するとアルフが襲撃者に攻撃を加え、襲撃者の意識がそらした瞬間、一気に距離を詰めて攻撃を繰り出した。

 

「ちっ!」

 

「アルフ!」

 

「あいよ!」

 

私が後ろへ下がるとアルフは襲撃者をバインドで拘束した。

 

「終わりだね。名前と出身世界、目的を教えてもらうよ」

 

バルディッシュを向けたそういった瞬間、どこからともなく現れた剣を持った女性の横薙ぎの一閃を喰らい、私は吹き飛ばされた。

 

「シグナム!」

 

「おおおおお!!」

 

別方向から別の襲撃者がやってきて、アルフに蹴りを放った。

 

「ああっ!」

 

アルフは防御するが吹き飛ばされてしまった

 

「レヴァンティン。カートリッジロード」

 

女性の持つ剣が撃鉄を起こし、剣が炎に包まれた。

 

「紫電一閃!!!」

 

鋭い斬撃が襲ってきた。私はバルディッシュで剣撃を防ごうとするがバルディッシュは真っ二つに斬れてしまった。

襲撃者が再び剣を振り下ろし、私は防御するが攻撃の勢いが強くビルの屋上に叩きつけられた。

 

「フェイト!!」

 

獣の耳をつけた男がアルフの行く手を遮っていた。この襲撃者たち……強すぎる

 

 

 

 

 

 

クロノSIDE

 

アースラ

 

突然の襲撃者と戦うフェイトたち。音声は拾えるが映像が結界で妨害されてしまい見れない。

 

「術式が違う。ミッドチルダ式の結界じゃない」

 

「そうなんだよ……」

 

「フェイト……」

 

砂嵐の映像を見つめることしか出来ずにいるプレシアはフェイトのことを心配していた。

このままだと……

 

「……どうすれば……」

 

どうすれば良いのか分からないでいる。そんな時ある人の言葉を思い出した。

 

『とりあえず何かあったら……すぐに連絡しろ。駆けつけるから』

 

頼もしく感じる声で彼はそう言ってくれた。きっとこの状況を彼なら……いや、彼らなら打破できるかもしれない

 

「エイミィ……通信をつないでほしい」

 

「通信って……誰に?」

 

「彼らに……勇者たちにだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたヴィータ?油断でもしたか?」

 

「うっせーよ。こっから逆転するとこだったんだ!」

 

「そうか。それは邪魔したな。だが、あまり無茶はするな。無茶をして怪我でもしたら、我らが主が心配する」

 

「わーってるよ!」

 

「それに今回は彼女たちも来ている……何かできることがあるんじゃなかと」

 

「あいつらか……家にいてもらえれば良いんだけどな……」

 

「彼女たちなりに気遣っているのさ。事情を知った上で協力をしているからな」

 

「あっそ……」

 

襲撃者達が何かを話し、赤毛の子はユーノと対峙、獣の耳の男はアルフのところに、そして剣を持った人は私のところに降り立った。

 

「じっとしていろ。抵抗しなければ、命までは取らない」

 

そう言って剣を上に掲げる。

 

「だ…誰が……!」

 

足に力を入れて立ち上がろうとするが、立ち上がれずにいた。

 

「いい気迫だ。だが…残念だがここまでだ」

 

咄嗟に私が目をつむった瞬間、何かがぶつかりあう音が聞こえた。

 

「何者だ!」

 

私は目を開けるとそこには青い衣装を纏い、刀を持った人物が襲撃者の件を止めていた。彼女は目の前の襲撃者を睨みながら……

 

「勇者だ!」

 

「若葉!?」

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

アルフと戦っている人の前に来た私。それにしても未だに空を飛ぶっていうのは慣れないな……

 

「友奈!?あんた、どうしてここに!?それに空を飛んで……」

 

「えっと色々とあって……説明したいけど今はこの人を倒そう」

 

「何者だか知らないが……容赦はしない」

 

「ちなみに悪いけど、三対一だよ。ワンコくん」

 

私と歌野ちゃんとアルフは目の前の人を取り囲むのであった。

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

「こいつら……結界を抜けてやってきたのか?」

 

ユーノと戦っている赤毛の子は私と土居さんを警戒しながらハンマーを構えた。

 

「君たちは……」

 

「全く夜中に起こされて、迷惑なやつだな!まぁでも千景と組むのは珍しいな」

 

「彼なりに考えた結果よ。それに私としては納得行く感じね」

 

「ぶつくさと……邪魔をするならぶっ潰す!!」

 

「できるもんならやってみろ!」

 

「えぇ鏖殺してあげる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

「あれって……」

 

襲撃者達の前に現れたのは友奈さんたち、勇者だった。すると私のところにひなたさんと水都さんがやってきた。

 

「大丈夫ですか?友奈さん」

 

「怪我は?」

 

「は、はい、大丈夫です……でもどうしてみなさんが……それに空も飛んで……」

 

「そうですね。説明すると連絡を受けたんですよ。あなた方を助けてほしいって」

 

「空を飛んでるのは、隠れてサポートしてくれている子のおかげなんだよ」

 

「サポート?そういえば杏さんと空さんは?」

 

「杏さんは地上で援護をし、お兄ちゃんは」

 

私はひなたさんが指を指した方を見るとそこには空に浮かび腕を組んだ空さんを見つけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「全くこんな形で再会はしたくなかったな。まぁいいや、全員……戦闘開始してるし……アリシア、敵の数は三人で良いのか?」

 

『ううん、隠れて行動しているのは……離れた所で一人……あとは三人で固まってる人達がいるよ』

 

「離れたところの奴は補助的な奴だな。その三人で固まってるのは気になるけど……」

 

アリシアのサポート魔法にはいろんな物がある。空を飛べない若葉たちを飛べるようにしたり、索敵……おまけに攻撃魔法も十分すごい……

 

「杏、地上での援護射撃のタイミングはお前に任せる」

 

『はい!空さんは?』

 

「僕は……準備にかかる」

 

僕はアネモネをかかげ、魔力弾を作り出した。

 

「サーチアンドシュート・レイン!!」

 

さて新たな戦いを始めるとしようか

 

 



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18 不思議な三人組

少し時間がさかのぼり、

 

自室でトレーニングメニューを考えていた僕。するとひなたが僕にお茶を出してくれた

 

「お兄ちゃん、あんまり根を詰めると次の日大変ですよ」

 

「悪い……ただこの間の戦いのことを考えてな……」

 

サソリのバーテックスとの戦いは何とか勝つことが出来たけど、それでも何とかだ。

これから先のことを考えると若葉たちにも力をつけてもらう必要があるな。特に若葉と友奈の二人には……

 

「大天狗と酒天童子……完璧に扱えるようになってもらいたいけど……」

 

ただ訓練を積むだけじゃ扱えるようにならない。それに僕自身も強くならないとな。

 

「考えがまとまらないし……今日は寝るか」

 

「そうですね」

 

そう思い、立ち上がった瞬間、アネモネを通じて連絡が入った。相手は誰だろう?

 

『久しぶりだ。空』

 

「よぉ、お前からだなんて珍しいな。クロノ。何かあったのか?」

 

『あぁ実は……君たちにこんなことを頼むのは気がひけるんだが……』

 

「はぁ」

 

クロノが何かを言いかけた瞬間、僕はため息を付いた。全くこいつは……

 

「何かあったんだな。それで僕らの手を借りたいってことか……」

 

『すまない。君たちは君たちで……』

 

「いいから……友達の頼むを断ることはしないし……お前はたった一言言えば良いんだよ」

 

『………頼む。なのはたちを助けてくれ』

 

「わかった」

 

通信を切り、僕は念話で勇者たちに連絡をした。

 

「みんな!出動だ!なのはたちがピンチみたいだ」

 

僕はそういった瞬間、全員文句なんて言わずにわかったと返事をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

犬耳の攻撃を避けていた。強烈な一撃を食らわせようとした瞬間、歌野ちゃんが鞭で腕を縛り上げ、私はその隙にパンチを繰り出した。

 

「ぐうう」

 

「ワオ!流石だね」

 

「ううん、歌野ちゃんのおかげだよ」

 

「強い……友奈たち……前よりも強くなってる」

 

「あれからみんな鍛錬を続けてるから」

 

「最初はきついと思ったけど、結果が出てきた時は本当にびっくりしたよ」

 

私達は楽しそうに話していると、犬耳の人は私達を睨んでいた。

 

「お前たちは何者だ?魔導師には見えないが」

 

「私達は勇者だよ」

 

「そうそう、こう見えて世界を守るために戦ってるんだ」

 

「勇者……なるほど彼女たちと同じか」

 

あれ?何だかこの犬耳の人、気になることを言ったような……

 

「だがここでやられる訳にはいかないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

「うおおおおおおおおおお」

 

「だりゃああああああああ」

 

赤い子の突撃を土居さんが防ぐ。それも何度も繰り返していた。

 

「てめぇ、何ていう硬さだよ!」

 

「お前こそチビのくせにやるじゃないか。タマの手下にしてやってもいいぞ」

 

「断る!私達にはやるべきことがあるんだ!」

 

赤い子は距離を取り、もう一度突撃をしてきた。土居さんは防ごうとするけど……そろそろかしら

 

赤い子の攻撃が土居さんに当たる寸前、私は横から大鎌で赤い子を吹き飛ばした。

赤い子はそのまま倒れると私は首筋に切っ先を当てた。

 

「ゲームオーバーね」

 

「てめぇ、横からしゃしゃり出てきやがって……」

 

「はっきり言うけどこれは一対一の戦いじゃない」

 

「千景さん、さすがです……」

 

「たくっ、防ぐのも結構きついな……」

 

「まぁこれも全て彼が呼んでいたことだけどね」

 

「彼?」

 

赤い子は誰のことか分からないでいた。私はそっと指を指した。

 

「あそこにいる人よ。ここに来て彼はすぐに状況を読み、相手の対応をどうするか考えた。まぁ情報が少なくって単純な考えだったけどね」

 

「まぁそのままの通りだったけどな。『あの赤い奴は単純そうだから珠子をぶつけて、熱くなった所で千景が倒す』だっけ?」

 

「えぇ」

 

何というか彼は思いっきり馬鹿にしてる気がするけど……まぁ襲ってきた相手に同情するつもりはないわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若葉SIDE

 

「ハアアアア!!」

 

「ハアアアア!!」

 

これで何度目になるかわからない。何度も何度も剣撃がぶつかり合っていた。フェイトは折られたバルディッシュを握りしめながら戦いを見つめていた。

 

「ここまで互いの剣をぶつけ合ってわかった。お前は強い……名前は?」

 

「乃木若葉だ」

 

「乃木?彼女の関係者か?まぁいい。悪いがここで捕まる訳にはいかない……レヴァンティン!」

 

レヴァンティンと呼ばれる剣が返事をし、刀身が炎に包まれた。

 

「私は剣の騎士!シグナム!この一撃でお前を見極める!紫電一閃!」

 

シグナムの斬撃が襲いかかってきた。私は咄嗟に避けようとしたが今のままじゃ間に合いそうになかった。だったら……

 

「……避けたか」

 

シグナムがそう呟いた。私は切り札を発動し、咄嗟に後ろへと回り込んだ。

 

「後方に回り込んで攻撃を与えないというところは武人らしいな」

 

「あぁ武人と認めてもらえて光栄だ。だが……悪い」

 

「?」

 

「私は一人で戦っているわけじゃないんだ」

 

私が笑みを浮かべた瞬間、いくつもの魔力弾がシグナムを襲ってきた。シグナムは突然のことで避けられずただ魔力弾を防ぐだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「全員命中だな。ていっても居場所のわからない奴ら以外だけど」

 

僕は一人でそう呟いているとどこからともなく矢が飛んできた。僕は障壁を張って防いだ。

 

「自分たちから居場所をばらしてくれるなんてな……アネモネ、勇者に変わりつつ、行くぞ」

 

『はい、マスター。形態変化しつつ接近します』

 

空を飛びながら矢が飛んできた方向へ行くとそこには黒髪の女の子、金髪の女の子がいた。おかしい。例の三人組だとしたらあと一人は?

 

「うりゃああああああああ!!」

 

横から赤い服に2つの斧を持った女の子が迫ってきた。僕は咄嗟に障壁で防ごうとするが勇者に変身し終えていたため無理そうだった。

 

「だったら!!切り札発動!!」

 

切り札を発動し、3つのしっぽで赤い服の女の子を地面に叩きつけた。

 

「銀!?」

 

「よくもミノさんを!!」

 

今度は金髪の女の子が槍を構えて迫ってくる。僕は3つのしっぽで槍を掴み、左手に持った杖を向けた。

 

「テイルバスター!!」

 

砲撃を放ち、金髪の女の子を吹き飛ばす。残ったのは黒髪の女の子だけ。

 

「二人をよくも……ってあなたは!?」

 

何故か黒髪の女の子は僕のことを見て驚いた顔をしていた。なんでだ?

 

「似てる……でも……」

 

「よく分からないけど、アイツラの仲間ならしっかり捕まえて話を聞きたいな。というか……」

 

この三人組の格好……魔導師というよりかは勇者に近い。まさかと思うけど……

 

「きゃあああああああ!?」

 

突然なのはの悲鳴が聞こえ、僕はアリシアに連絡を入れた。

 

「どうした?」

 

『ごめん。なのはを狙われたみたい!?』

 

「くそ、おい、お前!」

 

「は、はい!?」

 

「何をするつもりだ?なのはたちの命を奪うつもりなら……殺すつもりで戦うぞ」

 

「え、えっと……多分ですけど命を奪うようなことはしないと思います」

 

黒髪の少女は怯えながら答えた。嘘を付いてる気はしないな。仕方ない……

 

「わかった。信じる……お前は?」

 

「わ、私は鷲尾須美です」

 

「僕は上里空だ」

 

「上里……それじゃやっぱり!?」

 

須美が何かに気がついた瞬間、結界が消え始め、須美達三人はどこかへ転移したのかいなくなっていた。

 

「とりあえず退けた感じかな?」

 

 



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19 再会と三人のこと

時空管理局本部

 

僕らは戦いを終え、フェイト、若葉、クロノと共に医務室でなのはの様子を見ていた。

 

ひなたの話では突然なのはの胸から誰かの手が伸び、何かの結晶みたいなものから何かを吸い取っていたみたいだった。

 

「リンカーコアから魔力を吸い取ったって感じだな。命に別状はないがしばらくは魔法を使うことができない」

 

クロノの言葉を聞いて、僕らは安堵していた。にしても……

 

「あいつらは何者なんだ?」

 

「わからない。だが襲撃者の使っていた結界はミッド式のものじゃなかった」

 

「あの襲撃者……シグナムという人はかなり強かった。切り札を使って戦っても私は勝てていたかどうか……」

 

若葉がそう言うなら本当にそうかもしれないな。ただ僕としては気になったのは……

 

「アネモネ。悪いけど映像を出してもらいたい」

 

アネモネから映し出されたのは僕が戦った三人組だった。

 

「彼女たちは?」

 

「襲撃者たちの仲間みたいだけど……格好を見る限り勇者っぽいな。おまけに……」

 

何故か僕を見て驚いていたし……

 

「彼女たちは君たちの仲間じゃないのか?」

 

「それだったらちゃんと話すよ」

 

「だとしたら……」

 

「気になることはもう一つ、私の名前を聞いてシグナムは反応していた」

 

僕を見て、若葉の名前を聞いて反応……一体彼女たちは何者なんだ?

 

そうこうしているうちになのはが医務室から出てきた。

 

「空さん、みなさん……」

 

なのはは特に体に異常はないみたいだけど、暗い顔をしていた。やっぱりレイジングハートとバルディッシュの事が気になるんだな

 

「大丈夫だ。僕らが来たんだから……」

 

「は、はい……」

 

「そういえば空」

 

「何だ?フェイト」

 

「聞いたんだけどもうひとり仲間がいるって……」

 

仲間……そういえばあいつはどこに行ったんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

用意された部屋で物陰に隠れるアリシア。何で隠れる必要があるのかしら

 

「アリシア」

 

「な、何?お姉ちゃん……」

 

「フェイトとプレシアに会いに行くわよ」

 

「えっと……それは……」

 

いつもと違い弱々しい。まさかと思うけど……

 

「どんな顔をして会えば良いのかわからないって感じかしら?」

 

「う、うん……」

 

本当にサプライズだの何だの言っていたくせに……私はため息をつき、アリシアの頭を撫でた。

 

「私だって両親のことを聞いて……みんなにどんな顔をすれば良いのか分からなかったの。でも貴方はそんな時に言ってくれたじゃない……きっとみんな、優しく向かえてくれるって……それにあの人も……」

 

「お姉ちゃん、惚気はいいから……」

 

だって両親の件で私はどうしたらいいのか分からなかった時に……彼は……

 

「優しく向かえてくれるか……そうかもね。それじゃ会いに」

 

『千景、今大丈夫?』

 

アリシアが立ち上がろうとした時、扉越しからフェイトの声が聞こえた。

 

「えぇどうしたの?」

 

『何だか空から行くようにって、それも母さんと一緒に』

 

『何かあるのかしら?』

 

「えぇとりあえず入ってきて」

 

私がそういった瞬間、アリシアは逃げ出そうとしたが、私は逃げられないように腕を掴んだ。

 

「お邪魔しま……」

 

「……嘘……」

 

フェイトとプレシアはアリシアのことを見て驚きを隠せないでいた。それはそうよね

 

「えっと……あはははは……こういう時なんて言ったら良いのかな?」

 

「ただいまで良いんじゃないの?」

 

「そうだよね……フェイト、ママ。ただいま」

 

「「アリシア!!」」

 

フェイトとプレシアはアリシアのことを抱きしめた。ここにいたら邪魔になるし、外に出ると

 

「貴方は行かないの?」

 

「千景……まぁ今は親子の再会だからさ」

 

アルフは三人の様子を見ながら涙を流していた。本当に良かったわね。フェイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須美SIDE

 

私達はシグナムさんたちと一緒にある場所へと帰っていた。

 

「おかえり。何や園子ちゃんと銀ちゃんの二人ボロボロやけどどうしたんや?」

 

出迎えてくれたのはこの家の主である八神はやてであった。

 

「えっと……」

 

「ちょっと二人して転んで」

 

「あかんよ。気ぃ付けなきゃ……すぐに救急箱を」

 

「あ、それでしたら私が」

 

シャマルさんがそう言って救急箱を取りに向かった。するとシグナムは……

 

「怪我は大丈夫そうだな」

 

「まぁ、何とかだけど……」

 

「あの人強かったね~」

 

銀とそのっちの二人は私達が戦った彼のことを話した。正直彼はものすごく強かった。それに怖かった

 

とりあえず私達ははやてが作ってくれた夕食を食べ、自分たちの部屋に戻った。

 

「なぁ須美、あの人、なんなんだ?」

 

「わからないわ。でも服装を見る限り勇者みたいだったし、それに……」

 

「それに?」

 

「あの人の名前……上里って言うんだけど……」

 

「上里……」

 

「よっくんと同じだね~」

 

そのっちの言う、よっくん。私達と同じクラスの子であり、私達のサポートをしてくれる男の子。彼はこの場に来ていれば何かしらの話を聞けるのだが……

 

「もう一度あの人に会えないものかしら」

 

「そしたら色々と話を聞けるね~」

 

「それにしても……私達はいつになったら帰れるんだろうな……まぁ私は帰れるかどうか……」

 

銀が明るく言うが、私とそのっちは涙を必死にこらえていた。銀はバーテックスとの戦いで私達を守るために必死に戦った結果……

 

「おいおい、須美も園子もそんな顔するなよ……」

 

「だって~」

 

「悪いかったな。ほら、私と園子は後でシャマルさんに治療しに行こうな」

 

「うん……」

 

正直どうしてこの世界に来てしまったのかわからない。やはりあの人とまた会えば……まぁそうそう会えるかどうか……

 

 

 

 

 

 

 

シグナムSIDE

 

「それじゃシグナムちゃんが戦ったのは」

 

シャマルがカートリッジに魔力を込めながら驚いていた。私が戦った少女……彼女は乃木と同じ名字だった。だとしたら……

 

「何かしらの関係者だと思えるが……」

 

「あの子達の関係者……あの子達が来た世界では魔法についても知っていたのも気になるけど……」

 

彼女たちいわくサポート役の人間は魔法を使えるらしいが、どういった理由なのかは彼女たちは知らなかったみたいだった。

 

「シャマルも危なかったな」

 

「まぁ、かすり傷ですけど……」

 

シャマルは白い魔導師から蒐集した時、どこからともなく矢が飛んできたり、更には魔力弾が襲ってきたらしい。

 

「彼女たちも勇者であるならば……また戦うことになるだろうな」

 

「シグナムちゃん、嬉しそうね」

 

「あぁあの金髪の魔導師の一撃も、若葉の一撃も素晴らしいものだった」

 

金髪の魔導師から一撃を受け、若葉の一撃でレヴァンティンに小さなヒビを入れられたのであった




最初は彼らを出そうかなと思いましたが、やめました。


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20 出会いと再会

時空管理局

 

僕、なのは、フェイトの三人はクロノのあとをついて行っていた。どうにもクロノは僕らに紹介したい人がいるらしいが……

 

「ここだ。失礼します」

 

クロノに案内された部屋に入るとそこには初老の男が待っていた。

 

「ん、久しぶりだなクロノ。君たちがなのは君とフェイト君と上里君だね」

 

「あ、初めまして、えっと」

 

「あぁ、私はギル・グレアムだ。上里君、君が噂の勇者と呼ばれる……」

 

「まぁ僕の場合は成り立てだったりしますけど……」

 

「君たちのおかげでプレシアさんやフェイトくんの問題が解決したんだ。私からもお礼をいいたい」

 

グレアムさんは深々とお辞儀をしてきた。別に僕らのおかげじゃないけど……

 

「あ、あの、グレアムさんはお母さんのこと知ってるんですか?」

 

「あぁ知り合いでね。それに聞いた話では君の姉……アリシア君も生き返ったと聞いたが」

 

「はい」

 

「信じられませんが……それにどうしてそのことを今まで黙っていたんだ?空」

 

「アリシアが中々踏ん切りつかなくってな……」

 

それからグレアムさんと他愛のない話をし、僕らは部屋から出ていくのであった。

 

「何だか優しい人だったね」

 

「うん」

 

「……」

 

「空さん、どうしたの?」

 

「いや、まぁあんまり気にしないほうが良いよな」

 

「「?」」

 

正直僕はあのグレアムさんを心から信用できないでいた。まぁこれまで会ってきた大社の大人の所為だったりもすんだけど……

 

「まぁなのはの両親みたいに本当に優しい人がいるからいいか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

今回の事件はアースラメンバーが受け持つことになったのだが、アースラは整備中なので司令部はなのはの近所のマンションになった。

 

「うわ?!凄い近所だ」

 

「本当?」

 

「うん。ほら、あそこが私の家」

 

「よし、フェイト、今度遊びに行っちゃおうね」

 

「うん、アリシア」

 

「あー、またアリシアって呼んだ~お姉ちゃんって呼んでほしいのに」

 

なのはとフェイトとアリシアの三人がベランダではしゃいでいた。僕らはというと荷解きをしていた。

 

「にしてもリンディさんもまさか僕らの部屋まで用意してくれるなんてな」

 

「君たち大人数を泊める場所がないからな。母さんなりに考えた結果だろ」

 

「まぁ何かあったらすぐに対応できるからいいけどな……にしても、クロノ」

 

「何だ?」

 

「フェイトとプレシアも一緒に住むんだっけ?」

 

「あぁ一応こっちでは彼女たちは僕の親戚となる」

 

「男一人で大変だったら、すぐに言え。泊まらせてやる」

 

「大変って……」

 

クロノの場合は気がついてないけど、女性陣と一緒に暮らすことはかなり気を使う。ひなたはまだいい。妹だから女の子として見たりしてないけど……

 

「いいか、もしフェイトあたりがバスタオル姿で歩いていたらすぐに注意するんだからな」

 

「あ、あぁ……」

 

僕はクロノの肩を掴み、女の子と一緒に暮らすことの注意事項を教え込むのであった。

 

そんなことをしている中エイミィはアルフとユーノを見つけた。

 

「ユーノ君とアルフはこっちではその姿なんだ」

 

「新形態子犬フォーム!」

 

「なのはやフェイトの友達の前ではこっちの姿でないと…」

 

アルフは子犬姿で、ユーノは久々のフェレット姿になっていた。

 

「わぁアルフちっちゃい!どうしたの?」

 

「あら、本当!」

 

「前の姿も良かったけど、今の姿もいいよね」

 

「ユーノ君もフェレットモード久しぶり!」

 

「可愛いだろ」

 

「うん!」

 

みんながはしゃいでる中、僕はユーノを見つめていた。何というかユーノ……

 

「な、なんですか?空さん」

 

「いや、その頑張れ。なのはにペット扱いされても僕は人間として見てるからな」

 

「あ、うん、ありがとうございます」

 

とりあえずこっちの荷解きも何とか片付いてきたし、他のみんなの様子でも見てくるか

 

 

 

 

 

 

司令部の隣の部屋に行くととりあえず片付けは終わっているみたいだった

 

「空、あっちの方は終わったのか?」

 

「一応は……にしてもまとめて一緒に暮らすことになるとは……」

 

若葉たち女性陣はまとめて一部屋。まぁ広いマンションだからいいけど……

 

「でも空くんは一人で寂しくないの?」

 

「友奈、一人のほうが色々と気を使わなくって良いんだよ……」

 

「まぁ上里君も男の子ということね」

 

「今更気を使わなくってもいいだろ。なぁ杏」

 

「タマっち先輩……色々と気を使おうよ」

 

「まぁお兄ちゃんなりの気遣いですからね」

 

「そういえば歌野と水都は?」

 

この場にいないのが少し気になるんだけど、あいつらどこに行った?

 

「二人ならリンディさんに頼み込んで屋上で畑を作っていたな」

 

あいつら……本当に自由だな。まぁあとで連絡しておくか。

 

「とりあえず今後のことを話しておくけど、敵……シグナム達は今後またなのはのことを狙ってくる可能性がある。そのために各自交代で警備につくことになった」

 

「警備……」

 

「なのはちゃんが学校にいる時は?」

 

「アリシアとフェイトの方で学校内は大丈夫みたいだ。僕らは外から」

 

「警備か。まぁタマたちがいれば安心だな」

 

「ちなみにどういう振り分けで?」

 

「戦力やら何やら考えたいけど……若葉&ひなた。友奈&千景。歌野&水都。僕&杏&珠子だな」

 

「空さんと私達で?」

 

「まぁ色々と相談できるからそういう感じにしただけだ」

 

戦略や戦術とかの相談は杏と色々と話し合うことができるからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、僕らはなのはたちの通う学校の近くのビルの屋上で警備をしていた。特に問題は起きず、僕らは交代することにした。

 

「これからどうする?一旦戻るか?」

 

「それもいいけど……」

 

「あのそれでしたら図書館に行きたいなって……こっちの世界の本とか読んでみたいから」

 

「それもいいけど……珠子は我慢できるのか?」

 

「杏のためだったら我慢する」

 

それならいいけど……とりあえず僕らは図書館に行くことにした。

 

 

 

図書館に行くとなのはの友達のすずかと車椅子の少女が何かを話しているのを見かけた。

 

「あっ、空さんでしたっけ?」

 

「すずかだっけ。久しぶり」

 

「なのはちゃんたちの友達?」

 

「はい、えっと……」

 

「伊予島杏です」

 

「土居珠子だ。よろしく」

 

「すずかです。こっちは」

 

「八神はやてって言います」

 

車椅子の女の子……はやてか。足でも悪いのか車椅子に座ってるけど……聞くのは失礼だよな

 

「そや、すずかちゃん。今日な一緒に来てるんよ」

 

「もしかしてお姉さんたち?」

 

「そや、丁度来たみたいやな。シグナムー」

 

ん?何だか聞き覚えのある名前が……僕らははやてが向いたほうを見るとそこには……

 

「なっ!?」

 

「あっ!?」

 

「あの人って……」

 

「何でこんなところに……」

 

僕らの前にやってきたのは、前の襲撃者の一人、シグナム、それとあの時僕に襲いかかってきた三人の女の子だった。

 

『珠子、杏、下手に動くなよ』

 

僕はすぐに二人に指示を出した。こんな場所で、しかも一般人の前で戦うことはできない

 

「シグナム?なんや知り合いなのか?」

 

「い、いえ……」

 

「須美ちゃんたちは?」

 

「えっと知り合いに似てて……」

 

「うんうん、そうなんよ~」

 

「あははは……」

 

お互い戦う意志がないってことでいいのか?

 

 

 

 

 

 

 

近くの公園で離れた場所ですずかとはやての二人が話しているうちに僕らは近くのベンチに座っていた。

 

「お前たちは若葉の仲間だな」

 

「あぁ……とりあえず戦う意志はないみたいだな」

 

「まぁ襲ってきたらタマたちがぶっ飛ばすけどな」

 

「タマっち先輩……」

 

「それでそっちは?えっと須美だっけ」

 

僕は須美たちの方を見た。須美の他に園子と銀だっけ?

 

「はい。あのお聞きしたいことがあるんですが……空さんたちは勇者で良いんですよね」

 

「僕は勇者と魔導師だけどな」

 

「にしてもやっぱ似てるよな」

 

「うんうん、よっくんそっくり~」

 

その僕は一体誰と似てるんだよ。とりあえず気になっていることを聞くべきだな

 

「お前たちは勇者で良いのか?」

 

「はい……ただ……空さんたちは……神世紀の人なんですか?」

 

「神世紀?」

 

「私達は西暦だけど……」

 

「なんだ?その神世紀って?」

 

「やっぱり……あの信じられないですけど、私達は空さんたちがいる時間から未来の世界から来たんです」

 

須美たちが未来から……だとしたらさっきから聞くよっくんって……

 

「そのお前たちの言うよっくんは……」

 

「上里夜空。私達の仲間で魔導師なんだ」

 

「それにシグナムんが戦った若葉って人は私のご先祖様なんよ~」

 

何だか色々と衝撃的な事実が出てきたけど……このほんわかしている園子が若葉の子孫……何だかすごい話すぎて大変になってきたな



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21 闇の書というもの

「それで……お前たちは何なんだ?」

 

須美たちが未来から来たということはわかったけど、シグナム達は一体何者なのか知りたい

 

「私は……いや私達はロストロギア・闇の書を守る守護騎士だ」

 

「闇の書……」

 

「闇の書は魔力蓄積型のロストロギア。魔導師の魔力の根源であるリンカーコアを食って、全666ページを埋めるとその魔力を媒介に真の力を発揮するものだ」

 

「それでその所有者は……はやてということか……にしては」

 

僕ははやての方を見た。はやてはすずかと楽しそうに話している。そんな力を欲しがるようには見えない

 

「……闇の書を完成させなければ、主は死んでしまうからだ」

 

「「「はぁ?」」」

 

僕ら三人はシグナムの言葉を聞いて驚いていた。死ぬって……どういうことだよ

 

「あの空さん。はやての足は病気じゃなくって、闇の書の呪いなの。その呪いは日が経つに連れて体中を蝕んでいくの。それを止めるためには闇の書を完成させる必要があるの」

 

「それじゃそのためにお前たちは……」

 

「そうだ。主を救うために……」

 

はやてをただ救いたいためだけに……須美達もそのことを知っていて協力しているってことだな

 

「こんなことを言えた義理ではないが……出来れば管理局にはこの事を黙っていてほしい……」

 

「僕たちは管理局に協力している。もしかしたらまたお前たちと戦うことになるかもしれない。それでも良いのだったら……」

 

「あぁ……」

 

正直悪事のためじゃないだけいいかもしれないな。杏と珠子は黙り込んだまま頷いている

 

「わかった。はやてのことは言わないよ」

 

「すまない」

 

「シグナム。話し終わったんか?」

 

「主、えぇ」

 

「そっか、そろそろ帰ろうか」

 

「はい」

 

僕らははやてたちを見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シグナム達と話した公園で僕ら三人は今後どうするか考えていた。

 

「どうするんですか?」

 

「事情が事情だからな……」

 

「だけど今あいつらを捕まえたらはやては助からない。私達はあえて手を抜いてあいつらを見逃す……それじゃ駄目だと思うぞ」

 

珠子の言うとおりだ。事情を知る僕らは手を抜いたりしたらきっとシグナム達は怒るだろうし……

おまけに若葉たちはどう思うかだ

 

「ひなたさんたちの巫女の力を使って呪いを……」

 

「ああいう呪いは元凶である元をどうにかしないと駄目だと思う……打ち消しても闇の書が再度呪う……」

 

「それじゃ……」

 

「とりあえず僕らはシグナムたちが戦いを挑んできたら全力で食い止めるだけだ。ただそれだけ……」

 

「……」

 

珠子は黙り込んでいたけど、今は本当にそうするしかない。

そんなときだった。エイミィから通信が入った

 

「空君達、緊急事態」

 

「襲撃者か……わかった。すぐに行く」

 

「空さん……」

 

「今は戦うことだけに集中しろ。若葉たちには僕の方から話しておく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空の上では二人の襲撃者……守護騎士を局員が取り囲んでいた。

 

「管理局か」

 

「でもチャラいよ、コイツら。返り討ちだ!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンを構える。すると局員達は、一斉にヴィータ達から離れた。

 

「え?」

 

「上だ!」

 

ザフィーラが叫んだ瞬間、上空に無数の青い魔力の刃があった。その中心にクロノがいた。

 

「スティンガーブレイド!エクスキューションシフト!!」

 

クロノは杖を振り下ろし、魔力の刃の雨がヴィータとザフィーラに降り懸かる。

 

「ちっ!」

 

ザフィーラがヴィータの前で障壁を張る。障壁に無数の刃の雨がぶつかり、青色の爆発が起きた。

 

「…少しは通ったか?」

 

煙が晴れてきて、ザフィーラ達の姿が見えてきた。ザフィーラの左腕に、数本の刃が刺さっていた。

 

「ザフィーラ!」

 

「気にするな。この程度でどうにかなる程…ヤワじゃない!!」

 

「上等!」

 

ヴィータは上空にいるクロノを睨んだ。クロノも杖を構える。その時、エイミィから通信が入った。

 

『クロノ君、現場に助っ人を転送したよ』

 

「え?」

 

屋上には僕ら勇者組となのは、フェイト、アリシアの姿があった。

 

「あいつら、」

 

「この前の奴らもいるな」

 

「レイジングハート!」

 

「バルディッシュ!」

 

「セーットアップ!!」

 

「レイジングハート・エクセリオン!!」

 

「バルディッシュ・アサルト!!」

 

二人は自分のデバイスの新しい名前を叫んだ。二人の体が光に包まれ、新しいバリアジャケットを身につけ、生まれ変わったデバイスを手に持つ。

 

「二人共格好いいよ。それじゃ私も!魔導外装!!勇者武装!!」

 

アリシアは黄色と水色の衣装に変わり、両手には二丁の銃が握られた姿に変わった。

 

「あいつらのデバイス…!アレってまさか!?」

 

二人のデバイスを見て、ヴィータは驚いた。二人のデバイスに新たに付けられたのは、カートリッジシステムだった。

 

「私達はあなた達と戦いに来たわけじゃない。まずは話を聞かせて」

 

「どうして闇の書を完成させようとしてるの?」

 

フェイトとなのはがヴィータ達に尋ねた。

 

「あのさぁ、ベルカの諺にこういうのがあんだよ。和平の使者なら槍は持たない」

 

それを聞いたなのはとフェイトは、顔を見合わせて首を傾げた。どういう意味だ?

 

「話合いをしようってのに、武器を持ってやって来る奴がいるか馬鹿って意味だよ。バカ!」

 

「なっ!?い、いきなり有無を言わさず襲い掛かって来た子がそれを言う?」

 

うん、まぁ確かにいきなり襲ってきたやつには言われたくないよな。

 

「それにソレは諺ではなく、小話のオチだ」

 

ザフィーラがヴィータにツッコんだ。

 

「うっせー!いいんだよ細かい事は!」

 

「細かくはないだろ。まぁいいや……とっとと……」

 

僕は槍を構えた瞬間、僕らの前には須美たちが、そしてなのはたちの前にはシグナムが現れた。

 

「すみません……止めさせてもらいます」

 

「お前たちか……アリシア、なのはたちをサポートしていてくれ」

 

「うん、わかったよ」

 

アリシアを送られ、僕らは武器を構えた。

 

「数ではこっちのほうが多いけど……止める方法はあるのか?」

 

「はい……」

 

「わっしー、もしかして例の……」

 

「それって……ちょっと待った!?あれは危険だって前に夜空が……」

 

「わかってるけど……今日は早めに終わらせないと行けないから……」

 

須美はポケットから弾丸みたいなものを取り出した。あれってシグナムたちが使っているカートリッジ……まさか!?

 

「300年前に伝わったカートリッジシステム。夜空くんみたいな魔導師のみ扱うことはできるけど……大赦は勇者にも扱えるように組み込んでくれた。勇者システムに隠された機能に対しての後遺症をなくすために……」

 

「駄目だよ……それはまだ実験段階だってよっくんが……」

 

「須美……お前……」

 

「ごめんね。二人共……この人達を止めるためには必要だから……それに私は言ったら聞かないって……知ってるでしょ」

 

須美は優しく園子たちに微笑んだ。まずい……このままだと須美は……

 

「やめろ!?」

 

「カートリッジロード!!満開!!」

 

 




カートリッジによる満開は、あの満開みたいな後遺症は出ませんが……かなり負担がかかる感じになっています。

次回、満開vs切り札の戦いになります


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22 夜の空

「でぇえええい!!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンで、なのはに攻撃する。なのはは障壁を張って防御する。障壁は以前より硬く、グラーフアイゼンの攻撃を防いだ。なのははアクセルシューターを使って、ヴィータを追い詰める。

 

フェイトとシグナムも激しい空中戦をしていた。バルディッシュとレヴァンティンが火花を散らせてぶつかり合う。フェイトが、複数の金色の魔力の槍プラズマランサーを放つ。それをシグナムはレヴァンティンの炎で掻き消す。

 

 

空中でアルフとザフィーラは、互いに拳をぶつけ合って戦っていた。

 

(状況はあまりよくないな。言われた通り空中で戦う事によって、あの勇者たちとの戦闘は避けられた。だが魔導師達のデバイスが強化されていて、シグナム達も苦戦している)

 

ザフィーラは表情を険しくした。そんな中、まばゆい光が結界内を照らしていた。

 

「あれは……」

 

「あの子達……空たちと同じ切り札が使えるの?」

 

『フェイト、違うみたい……』

 

「おい、須美が持ってるのって!?」

 

「あぁカートリッジだが……」

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「満開!!」

 

須美が神秘的な衣装に身を包み、巨大な砲台に乗った姿に変わった。

 

「満開……」

 

「切り札とは違うみたいね」

 

「時代が違うから……勇者システムも進化しているみたいだな。みんな、ここは僕がやる!切り札発動!」

 

僕は切り札を発動し、須美に向かっていく。須美は僕に近づかせようとしないように、砲撃を放ち続けていった。僕は障壁を張って防いでいく

 

「ハァ、ハァ……邪魔をしないでください」

 

「見る限り強力な力みたいだけど……負担が大きいみたいだな」

 

「……本来の発動の仕方ではないですから……でも、それでも今日は……」

 

「無茶ばっかりして……お前の友達は泣きそうだぞ」

 

須美の砲撃をくぐり抜けていき、大砲の一つを槍で破壊した。

 

「くっ!?」

 

須美は反撃を行っていくが、外れていた。何なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

シャマルは屋上から様子を見ている。

 

(私の力じゃこの結界は破れない…)

 

シャマルは闇の書の力を使って、結界を破るか迷っていた。今日は、はやてちゃんとの大事な約束がある。ソレを護るためにも、一刻も早く結界を破って離脱しなければいけない。その時、背後に気配を感じた。

 

「捜索しているロストロギアの所持、使用の疑いで貴女を逮捕します」

 

シャマルの背後で、杖を突き付けて言ったのはクロノだった。その時、乱入者が現れた。突然現れた仮面を付けた男が、クロノを蹴り飛ばした。クロノは隣のビルの屋上まで飛ばされた。

 

「な…仲間!?」

 

「あ…貴方は?」

 

「使え」

 

「え?」

 

「闇の書の力を使って結界を破壊しろ」

 

「でもアレは…!」

 

「使用して減った頁はまた増やせばいい。仲間がやられてからでは遅かろう」

 

少し戸惑ったが仮面の男の言葉でシャマルは、闇の書を使う事にした。

 

(みんな、闇の書で結界を破壊するわ!うまくかわして撤退を!)

 

シャマルが念話でシグナム達に伝えた瞬間、どこからともなく仮面の男目掛けて砲撃が襲いかかってきた。

 

「ちっ、何者だ?」

 

仮面の男が砲撃がきた方向を見るとそこにはまだ小学生くらいの男の子が真っ黒な衣装を身にまとい、その手には杖を持っていた。

 

「仮面つけて……明らかに怪しいやつだな」

 

「邪魔が入ったな」

 

仮面の男はそう言って姿を消した。少年はシャマルに近寄り

 

「大丈夫ですか?」

 

「え、えぇ、あ、貴方は管理局の?」

 

「管理局?あぁ先祖が昔世話になっていたっていう……僕は管理局の人間じゃないです。大赦の人間で魔導師で……勇者たちの友達です」

 

「大赦……もしかして須美ちゃんたちの?」

 

「知ってるんですね。それだったら……」

 

少年は杖を構え、魔力をため始めた。

 

「突き抜けろ!!シャドウバスター!!」

 

紫色の魔砲が結界を破壊した。

 

「さてと……ってあのバカ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

突然結界が破壊され、僕はクロノに聞いてみた。

 

「どうしたんだ?」

 

『すまない。突然仮面の男に……それに別の魔導師が……』

 

「別の魔導師?」

 

他にも敵がいるのか……でも今は目の前の須美だ。大砲はほとんど破壊され、須美の顔色が悪い。このままだとやばいことになりそうだな

 

「わっしー!?もう結界は壊れたんだよ」

 

「そうだよ。早く戻れ」

 

「ハァ、ハァ……」

 

園子と銀の声が聞こえていない。疲労でかなりやばいということか?だとしたら……

 

「一回気絶させて………」

 

「この馬鹿須美がぁぁぁぁぁ!!」

 

どこからともなくやってきた少年が疲労困憊の須美を思いっきり蹴り飛ばした。園子と銀の二人はそいつを見て驚いていた。

 

「嘘……」

 

「あいつ、来てたのかよ!」

 

「そのっち!須美を連れてけ。僕はこいつを抑える」

 

「うん」

 

少年は蹴り飛ばした須美を二人に頼み、僕の前に立ちはだかった。やる気満々だけど……

 

「逃げられたみたいだし、こっちも時間切れだ」

 

「なんだ……まぁ三人が逃げられたならいいか。なぁランディニ」

 

『そうですね。それに貴方からしてみれば彼らといたほうが都合がいいみたいですね』

 

「お前……何者だ?」

 

「僕?僕は上里夜空」

 

「そっか……ということは話に聞いてた奴だな。僕は上里空だ」

 

まさか子孫とこんな所で出会うなんて思っても見なかったな。そのあとなのはたちも逃げられたみたいだけど、とりあえず全員無事みたいだな

 

 



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23 先祖と子孫と……

園子SIDE

 

八神家に無事に戻ってきた私達。なるべくはやてちゃんの事を一人にしたくないから、早めに戻ってこれてよかったけど……

 

「園子ちゃん、須美ちゃんの具合どう?」

 

「うん~落ち着いたみたいだよ~」

 

ベッドに横たわるわっしー、はやてちゃんには出かけていた時に具合が悪くなったと伝えておいたけど……やっぱりカートリッジシステムでの満開は体に負担が大きいみたいだった

 

「もうびっくりしたよ。すずかちゃんと一緒に帰り待ってたらぐったりした須美ちゃんを連れてみんな戻ってきたんやから」

 

「あはは~わっしー、こっちに来たばっかりだから疲れが溜まってたんよ」

 

「でもなんや怪我してるみたいやけど……」

 

わっしーの怪我……あれはよっくんが蹴ったところだけど……全くよっくんは相変わらず止め方が容赦ないな……

 

「わっしーの事、私とミノさんで見ておくから大丈夫」

 

「そっか、何かあったらすぐ呼んで」

 

はやてちゃんが部屋から出ていくのを見送った私。それにしても……

 

「よっくんもこっちに来てんたんだ……それに……」

 

こっちに来た時の事を私は思い出していた。

 

 

 

 

 

 

それはこっちでは6月位の頃、私とわっしーはミノさんの葬式の最中に襲来したヴァルゴバーテックスとの戦いを終わらせたあと、気がついたらこの八神家の前にいた

 

「ここは……」

 

「わからないけど……大橋の近くじゃ……つぅ」

 

私達はお互い傷だらけで、動けそうになかった。すると私達の前に何かが空から落ちてきた。それは傷だらけのミノさんだった

 

「ハァ、ハァ……バーテックスは?って園子!?須美!?どうしたんだ?その格好!?」

 

「ミノ……さん?」

 

「ぎ……ん?」

 

私達はミノさんのことを涙を流していた。またこうして出会えるなんて思っていなかった

 

「な、何だよ!?って抱きつくなよ!?き、傷がぁぁぁ」

 

ミノさんに抱きつく私達。そんな光景を見ていたのは……

 

「外が騒がしいと思っていたが……」

 

「誰だこいつら?」

 

「何や怪我してるみたいやし……家の前で会ったのも何かの縁やからな……」

 

「分かりました。ヴィータ。シャマルを呼んでこい」

 

「はいはい」

 

私達は八神家に保護されるのであった。怪我の治療をしてもらい、信じてもらえるか分からなかったけど、事情を話すとはやてちゃんはすぐに信用してくれて、帰還方法がわかるまではいてもいいと言ってくれた。

 

そんな優しい子の命が危ないと知った私達は、悪いことだと知っていても守護騎士のみんなに協力することにしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

突然現れた夜空から僕らは事情を聞くことにしたのだが……

 

「えっと、つまり空さんとひなたさんは僕の先祖って言うことになるの?」

 

「まぁそうなるな」

 

「にしても本当に似ていますね……夜空くんはお兄ちゃんの血が濃いのでしょうか」

 

「いや、ひなたにも似てる気がするけど……」

 

何だかこうして自分たちの子孫と会うのは初めてだな。というか子孫と言うか弟みたいだし……

 

「300年後の未来からか……話を聞く限りではあの槍を持った子は私の子孫になるんだな」

 

「雰囲気はちょっと似てたね。若葉ちゃんと……あれそれじゃ私達の子孫はいたりするのかな?ねぇぐんちゃん」

 

「多分いるんじゃないかしら」

 

「友奈と千景の子孫か……どんな奴らなんだろうな」

 

「それに私達の子孫……会ってみたい気がするけど」

 

「ねぇねぇ、夜空くんだっけ?300年後は蕎麦が浸透してたりとかは?」

 

「えっと……」

 

「うたのん、あまり未来のことを聞くのはやめようよ」

 

何だか夜空もこうして囲まれていて戸惑っていた。とりあえず聞きたいことを聞いておくか

 

「カートリッジシステムでの満開だっけ?あれは……」

 

「あぁあれは……上里の魔導師が作り上げた勇者システムの一つです。本来の満開………これは僕らの世界では大赦の大人と僕くらいしか知りませんが、満開の後遺症として体の一部を神樹様に差し出す……花が咲き誇り、散る……散華と呼ばれるものなんですが……どうにも上里家の古文書ではその事を知っていたみたいで……」

 

「カートリッジシステムでの満開を作ったって言うことか」

 

「でも勇者が扱うには体の負担が大きく、勇者と魔導師の2つの素質がある人間なら負担は少ないみたいなんです。僕も勇者としての素質は低いですが、魔導師の素質は高く扱うことができます」

 

だとすれば須美はカートリッジ・満開の事を夜空から聞かされていたって言うことか……にしてもその古文書書いたのは……

 

「………いやいやまさか」

 

僕だったりとかしないよな。あははは………

 

「あと聞きたいことは?」

 

「そうだな……」

 

「あの……」

 

杏が手を上げてあることを聞こうとしていた。

 

「あの子達……未来の勇者たちはどうしてこの世界に?」

 

それは確かに聞こうと思っていたことだ。僕らは鍵の力を使ってこっちに来ている。でも須美達や夜空はどうやってこっちに来たんだ

 

「……こっちに来れた理由としてはこれを使いました」

 

夜空はポケットから黒と赤の鍵を見せた。あの鍵……僕の持っているアネモネと同じ……

 

「魔導師の資格があるものにだけ神樹様から授けられる鍵……それが僕の持つランディニです」

 

『はじめまして、ランディニです』

 

『私の子孫ということですね』

 

まぁそういう関係になるのか?

 

「須美たちがこっちに来た理由としては……ランディニの調整中に起きた事故ということになります。ただ銀に関しては……」

 

「……お前が送ったっていうのか?」

 

「はい……嫌な予感をしていたので、何かが起きたときのために、銀の命が危ない時に発動できるように……銀の葬式には遺体はない状態で行われましたが……」

 

こいつも友達を救うためにどうにかしようとしていたんだな。

 

「お兄ちゃんと本当に似ていますね。助けるためにどうにかしようとしているとこが」

 

ひなたは嬉しそうにしているけど、夜空の表情は暗かった。どうしたんだ?

 

「銀は死に際にこっちに来たのは良かったかもしれませんが……ただ気になることが……」

 

「気になること?」

 

「須美たちから銀と戦っていたバーテックス3体は既にいなくなっていたって……撤退したのかと大赦や須美たちは思っているんですが……」

 

まさかと思うが……バーテックスがこっちに来ているかもしれないっていうことか?

 

「僕は須美たちを向かえに来たのとバーテックス三体がこっちに来ていないか調べているんです。出来れば……」

 

こっちに来てバーテックスと戦うことになるとはな……仕方ない

 

「そのバーテックスの特徴やら何やら教えろ。僕らも時代は違うけど勇者だ。手を貸してやるよ」

 

「ありがとうございます」

 

夜空はお礼を言い、これからは僕らに協力+須美たちの保護をすることになった。とはいえ……

 

「カートリッジシステム……それに満開……相談してみるか」

 

僕はエイミィさんにあることを相談しに行くのであった。もしもの事を考えて……



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24 無限書庫と強化

時空管理局本部

 

ユーノとクロノ、エイミィと僕、杏である場所に向かっていた。

 

「じゃあその無限書庫で闇の書について調べればいいんだね」

 

「ああ、これから会う二人は、その辺に顔がきくから」

 

「あ、あの私も一緒に調べていいんですか?」

 

「空曰く貴方は本を読んだりするのが得意みたいだからな。空の勧めだ」

 

「まぁ多少は力になるだろうな」

 

「よろしくおねがいします。杏さん」

 

「が、頑張るよ」

 

そんな事を話しているとある部屋の前にたどり着いた僕ら。部屋に入るとそこには猫耳と尻尾の二人の女性がいた。

 

「リーゼ。久しぶりだ。クロノだ」

 

「わぁお!クロすけ、お久しぶりぶり?!」

 

いきなりその一人、ロッテがクロノの顔を胸の方に抱き寄せた。

 

「ロッテ!離せコラ!」

 

「何だとコラ!久しぶりに会った師匠に冷たいじゃんかよ?」

 

「アリア!これを何とかしてくれ!!」

 

「久しぶりなんだし、好きにさせてやればいいじゃない。それに、満更でもなさそうだし」

 

「そんな訳ないだ…」

 

「ニャー!!」

 

僕らはその光景をただじっと見つめていた。

 

「アルフみたいな感じなのか?」

 

「そっ、二人はグレアム提督の使い魔で、クロノの師匠だよ」

 

「話はグレアム提督から聞いてるはずだ。ユーノと杏さんの協力を頼む」

 

「闇の書についてだっけ?いいよ。無限書庫での調べごとの協力任された」

 

「さて、それじゃ僕はメンテナンス室に行ってくるよ」

 

「あぁ、終わったら連絡をしてくれ。迎えに行く」

 

僕はみんなと別れ、開発室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メンテナンス室にはメガネをかけた白衣の女性が待っていた。

 

「君がこの子のマスターだね。はじめましてマリエル・アテンザです。気軽にマリーでいいよ」

 

「上里空です。それでアネモネの件は……」

 

「このデバイス……アネモネは私達が知っているデバイスと違うから普通のやり方じゃ結構大変だったんだけどね」

 

『ランディニから受け取ったデータと私に宿った神樹の力を使い、何とかカートリッジシステムを組み込むことができました』

 

「本当に君のデバイスはすごいよね~もう少し詳しく調べてみたいんだけど」

 

あれ?この人……もしかしてマッド的な?いやいやまさか……

 

「試運転したいから……クロノあたりにでも頼んでみるか」

 

そう思った瞬間、突然通信が入った

 

「どうした?クロノ」

 

『例の奴らが現れた!今フェイトと若葉さんたちが向かってる』

 

「わかった。僕も行く」

 

通信を切り、アネモネを握りしめた。

 

「試運転が本番になるとはな……それもいいかもな」

 

『えぇそうですね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若葉SIDE

 

砂漠の世界で巨大な蛇みたいなものと戦うシグナム。フェイトは咄嗟に魔法を放ちシグナムを助けた。

 

『フェイトちゃん!助けてどうするの!捕まえるんだよ!』

 

エイミィに通信で怒られていた。

 

「あっ、ごめんなさい。つい…」

 

「礼は言わんぞ、テスタロッサ」

 

「お邪魔でしたか?」

 

「蒐集対象を潰されてしまった」

 

言いながらシグナムは、カートリッジをロードする。

 

「まぁ、悪い人の邪魔が私の仕事ですし」

 

「そうか…悪人だったな、私は……そして二人相手か……」

 

「若葉……出来れば……」

 

「わかった。危ないと思ったら交代だ」

 

「はい!」

 

フェイトがバルディッシュを構え、シグナムとの戦いを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈SIDE

 

司令部で私達はフェイトちゃんたちの戦いを見守っていると赤い服の子、ヴィータちゃんの情報が入った

 

「本命はこっち!なのはちゃん」

 

「はい!」

 

なのはちゃんはすぐに現場へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

なのはSIDE

 

私はヴィータちゃんと対峙していた。

何とかヴィータちゃんの話を聞こうとするが、ヴィータちゃんは赤い魔力球を出した。グラーフアイゼンで赤い魔力球を砕き、赤い閃光を放つ。閃光で目くらましをして、離れた。

私はレイジングハートをヴィータに向けて魔力を溜め始めた。

 

「まさか…!撃ってくるのか!?」

 

レイジングハートから、桜色の閃光が放たれた。閃光は真っ直ぐにヴィータちゃんに迫り、爆発した。煙が晴れていくと煙の中から、障壁を張った仮面の男が姿を現した。

 

「あ…あんた…」

 

「行け。闇の書を完成させるのだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若葉SIDE

 

フェイトとシグナムの激闘は続いていた。フェイトはスピードを活かした攻撃を繰り出し、シグナムは剣と鞘を巧みに操って攻撃を防ぎ、反撃する。両者は、一旦距離を離して動きを止めた。二人とも息が乱れている。

 

「流石に速いな……目で追えない攻撃が出てきた」

 

「今はスピードで翻弄してるけど、長くは続かない」

 

「強いな、テスタロッサ。それにバルディッシュも」

 

「シグナムとレヴァンティンも」

 

二人は、互いの強さを認め合う。シグナムはレヴァンティンと鞘を構える。フェイトもバルディッシュを構える。

 

(フェイトはきっと、シグナムに勝ちたいと思っている。だからこそ全力で向かうところだな)

 

フェイトが動き出そうとした瞬間、仮面の男が現れ、背後からフェイトのリンカーコアを取り出した。

 

「え……?」

 

フェイトは呆然となって、自らの体を貫いてる腕を見た。

 

「貴様!!」

 

シグナムが仮面の男に向かって叫ぶ。だが仮面の男はそんな事、気にも止めない。

 

「さぁ、奪え」

 

仮面の男が、フェイトのリンカーコアを差し出す。シグナムは仮面の男を睨んだ。

 

「どうした?早く奪え」

 

「邪魔をするな!!」

 

私は生太刀を抜き、仮面の男へ切りかかった。仮面の男はフェイトを突き飛ばし後ろへと下がった。

 

「勇者か……邪魔をするなら容赦は……」

 

「容赦しないのはこっちのセリフだ!!」

 

上空から何十発もの魔力弾が仮面の男に向かって放たれてきた。仮面の男は障壁で防いでいく

 

「貴様は!?」

 

「上里空だ。試運転だから……加減はできない!!アネモネ!」

 

『カートリッジロード!!切り札!』

 

空は切り札を発動し、今まで三本の尻尾が6本に変わっていた。あれが強化された空なのか……

 

「くらいやがれ!!」

 

7つの魔砲が仮面の男に降り注いだ。仮面の男がいた場所に煙が立ち込め、晴れていくとそこに仮面の男はいなかった。

 

「ちっ、逃げられたか」

 

「空、大丈夫か?」

 

「あぁ……フェイトは……」

 

フェイトの方を見るとシグナムが抱えていてくれた。

 

「シグナム。あの仮面の野郎は?」

 

「わからない。ただ我々に協力してくれているみたいだが……」

 

シグナムの顔を見る限りじゃ信用していないみたいだな

 

「とりあえず逃げていいぞ。フェイトのこともあるし」

 

「すまない」

 

私と空はシグナムを見送った。

 

「空、お前はなにか隠してるのか?」

 

「何って?」

 

「ここ最近、お前と杏、珠子は何かを隠しているように見える。あのシグナムたちのことか?」

 

「……あとでちゃんと話すよ」

 

「あぁ」

 

 



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25 闇の書に潜むもの

フェイトを助けた僕ら、フェイトは特に命に別状はないみたいだった。なのはたちが医務室でフェイトのお見舞いをしている中、僕は若葉たちと夜空にシグナムたちのことを話した

 

「……呪いか……」

 

「あの守護騎士達は悪いことだってわかった上で、主を助けるために……ね」

 

「で、でもクロノ君たちに事情を話せば……」

 

「友奈、クロノたちが分かったとしても、他の管理局員が納得するかどうか……」

 

「組織というものはそういうものなんですよ。高嶋さん」

 

「でもみーちゃんたちの力でなんとかできてたりしないの?」

 

「うたのん、多分だけど呪いをどうにかしても元であるものをどうにかしないと駄目だと思う」

 

みんなは考え込む中、夜空は僕に話しかけてきた

 

「須美たちはその事を知って、だから手を貸してるってことでいいのか」

 

「あぁ、事情も知ってるみたいだからな」

 

「そっか……」

 

ため息をつく夜空。こいつもこいつなりに心配してるんだろうな。にしても……

 

「珠子、さっきから黙ってどうしたんだ?」

 

「ん?あぁ……ちょっとな……こうイライラしてるっていうか何というか……」

 

珠子がイラつくって……何に対して苛ついてるんだ?

 

「とりあえず事情を知ったからって、変に気遣う必要はない。あいつらもそこら辺わかってるから」

 

「あとはこっちに来てるかもしれないバーテックス……かなりの強敵だから変なタイミングで来なければいいんだけど……」

 

夜空の言うとおりだ。こっちに来ているバーテックス……本当に変なタイミングで現れないよな……

それに聞いた限りだと前に僕らが戦ったあの尻尾みたいな大型バーテックスが夜空の世界じゃ当たり前みたいだしな……

 

「もしもの時を考えておかないとな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

杏SIDE

 

無限書庫でユーノくんと一緒に闇の書を調べているとクロノくんが訪ねてきた

 

「ユーノ、調査は順調か?」

 

「あぁ、色々と分かったことがあったよ。まず、『闇の書』っていうのは本来の名前じゃない。古い資料によれば正式名称は『夜天の魔導書』。本来の目的は、各地の偉大な魔導師の技術を蒐集して研究するために作られた、主と共に旅する魔導書。破壊の力を振るうようになったのは、歴代の持ち主の誰かがプログラムを改変したからだと思う」

 

「ロストロギアを使って、無闇矢鱈に莫大な力を得ようとする人が今も昔もいるってことね」

 

アリアさんが呆れながらそういった。

 

「転生と無限再生はその改変が原因か」

 

「一番酷いのは、持ち主に対する性質の変化。一定期間蒐集がないと持ち主自身の魔力や資質を侵食し始めるし、完成したら持ち主の魔力を際限なく使わせる。無差別破壊のために。だから、これまでの主はみんな完成してすぐに……」

 

「ああ。停止や封印方法についての資料は?」

 

「それは今調べてる……ただ……」

 

「ただ?どうした?」

 

ユーノくんは私の方を見た。この事は言うべきことだと思う

 

「気になる文面があったんだ……途切れ途切れなんだけど………『……書に……いんされた……使い……呪に……者……呼ばれるものが……存在したときのみ』って…‥‥‥」

 

「気になる文面だが……十一年前は特に何も起きなかった」

 

「十一年前?」

 

「十一年前、僕の父親が闇の書の封印に失敗したんだ。グレアム提督も関わっていた」

 

「お父様は、その時のこと凄く気にしてたよ」

 

(十一年前……グレアムさんが関わってた……そういえばこの間の戦いでどんなに離れた場所でも仮面の男は一瞬で移動してたって……その時って確か……)

 

私はあることに気が付き、ある人物を見た。もしかして……ううん、まさか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須美SIDE

 

ようやく体調が良くなり、看病をしてくれたはやてにお礼を言いに行こうと部屋の前に来た私。

 

「はやて、入っても……」

 

声をかけた直後、部屋から何かが倒れる音が聞こえ、私は部屋に入るとはやてが胸を抑えながら倒れていた。

 

「はやて!?」

 

「どうした須美?主!?」

 

「急いで病院に」

 

駆けつけてきたシグナム達は急いで病院に連絡をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

病院で検査を受けたはやて……主治医である石田先生は

 

「もう大丈夫みたいね。良かったわ」

 

はやては病室のベッドにいて、今は落ち着いた様子をしている。私、そのっち、銀とシグナム達は一緒に病院に来ていた。

 

「はい。ありがとうございます」

 

「良かった……」

 

「せやから、ちょい目眩がして胸と手がツッただけって言うたやん。もう、皆して大事にするんやから」

 

「あの時のわっしー、すごくオロオロしてたもんね~」

 

「まぁ須美の心配性は今に始まったもんじゃ……いたたたた」

 

「その原因は一体誰だったかしら?」

 

私は銀の頬引っ張った。今は特に問題はないみたいだけど……でもこれって……

 

「まぁ来てもらったついでに、ちょっと検査とかしたいから、もう少しゆっくりしていってね」

 

「はい」

 

「さて、シグナムさん、シャマルさん。ちょっと……」

 

シグナムとシャマルが先生に呼ばれて、出ていった。きっともうはやては……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院の近くで私、そのっち、銀はベンチに座ってたそがれていた。

 

「はやてちゃんの症状……悪化してるんだね」

 

「だな……」

 

「……どうして私達は勇者なんだろう?」

 

「どうしたんだ?須美」

 

「だって……勇者じゃなくって魔導師だったら」

 

私達のリンカーコアをあげて、少しでも闇の書の完成に近づけられるのに……

 

「わっしー、それでも私達なりにできることはあるんよ」

 

「そうだ。もしかしたら勇者の……神樹様もパワーで奇跡が起きてとか……」

 

「だけど……」

 

どうしても嫌な考えが頭の中をぐるぐる回っている。どうして私はこうして悩んでいることしかできないんだろうか……

 

「全く相変わらず考え込んでるな。須美」

 

突然聞き覚えのある声が聞こえ、顔をあげるとそこには夜空くんがいた。それにその後ろには空さんが……

 

「久しぶりだな。というか体調は大丈夫なのか?」

 

「え、あ、はい……どうして夜空くんが空さんと一緒に……」

 

「お前らを探すのに協力してもらってるんだよ。してもらってたんだけど……」

 

「えへへ~連絡したんよ~」

 

そのっちが笑顔で端末を見せた。そういうのは最初からやってほしかったのだけど……

 

「それではやての症状は」

 

「実は……」

 

私は夜空くんと空さんにはやての症状について話した。二人は考え込み……

 

「現状はやっぱり……」

 

「何というか本当に……」

 

「私は……ただこうして見ているだけしかできないのが本当に悔しいです」

 

「須美……」

 

「見ているだけでいいのか?」

 

「えっ?」

 

空さんは真剣な目で私を見ていた。

 

「ただ見ているだけで、こうして考えるだけでいいのか?そうじゃないだろ。まずは行動してみろ」

 

「行動……」

 

「行動して他の方法を探すんだよ……それぐらいはできるんじゃないのか?」

 

「そのために僕はお前たち三人にこれを渡しに来たんだよ」

 

夜空くんは私達にカートリッジを渡してきた。これって……

 

「前にお前が馬鹿みたいに無茶したからな。威力は低くなってるけど、体への負担は少なくなってる。ただ数は三人合わせて3つだけだ」

 

「3つ……」

 

「それと夜空から聞いた話だけど、こっちにもバーテックスが来ているらしい。もしものときは手伝ってくれ」

 

「「「はい」」」

 

バーテックスが来ている。まさかと思うけどあの時の三体が……戦うことになったら今度は……銀もそのっちも死なせない

 

 



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26 それぞれの思い

12月23日。

 

すずか『明日の終業式の帰りの件。みんな大丈夫ですか?』

 

フェイト『はやてにプレゼントを渡しに行くんだよね』

 

なのは『でも、内緒で行って大丈夫かな?』

 

アリサ『まっ、もし都合が悪かったら、石田先生に渡してもらえばいいし』

 

すずか『あの人達も誘ってみよう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

須美SIDE

 

12月24日。はやての病室。

 

私達三人とシグナム、シャマル、ヴィータがお見舞いに来ていた。

 

「はやて…ごめんね。あんまり会いに来れなくて」

 

「ううん。元気やったか?」

 

「めちゃめちゃ元気!」

 

何だか微笑ましい光景だった。この光景をどうにかして守らないと……

 

「こんちには」

 

ドアの向こうから、すずかの声が聞こえた。シグナム達は焦っていた。きっと連絡がなかったから来ないものかと思っていたのかもしれない。

 

「あれ?すずかちゃんや。はーい、どうぞ」

 

「こんにちは」

 

ドアが開かれて、すずかと他にも友達が病室に入ってきた。

 

「あ、今日は皆さんお揃いですか?」

 

「こんにちは、はじめまして」

 

「「あっ!?」」

 

中に入ってきた友達の中に見覚えのある人たちがいた。彼女たちは空さんの……

 

「えっ!?」

 

シャマルたちも驚きを隠せないでいた。そして空さんと夜空くん、杏さん、珠子さんは思いっきり顔をそむけていた

 

「あ、すみません。お邪魔でした?」

 

「い、いや、そういうわけじゃ……」

 

「本当に驚きました。いらっしゃい」

 

シグナムとシャマルはなんとか誤魔化す

 

「なんだ。よかった」

 

「驚かせてすみません」

 

「ところで今日はみんなどないしたん?」

 

はやてがすずか達に尋ねた。すずかとアリサは、笑顔で互いに顔を見合わせ、

 

「せーの!」

 

二人は同時に、コートで隠していたプレゼントを出した。

 

「サプライズプレゼント!」

 

プレゼントをはやてに差し出した。はやては嬉しそうな笑顔になる。

 

「今日はイヴだから、はやてちゃんにクリスマスプレゼント」

 

「わあ、ほんまか。ありがとうな」

 

お礼を言いながら、はやては二人からプレゼントを受け取った。

 

「みんなで選んできたんだよ。後で開けてみてね」

 

アリサ達は楽しそうに話をしている。ヴィータはまだなのはを睨んでいて、なのはは困った顔をしている。隣にいるフェイトも同じ表情をしている。

 

「ああ、みんなコートを預かるわ」

 

シャマルがみんなのコートを預かるのであったけど、この状況どうしよう……

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

なのはたちに誘われて、はやてのお見舞いに来たのはいいけど……まさかの遭遇だった。

夜空も杏も珠子もどうしたらいいのか分からないでいる中、僕はシグナムに声をかけた

 

「なぁ何で今日いるんだよ」

 

「す、すまない……主に心配をかけたくなくって……」

 

「だからって、ほら、ヴィータだっけ?あいつ睨んでるからな」

 

「えと…あの…そんなに睨まないで…」

 

「睨んでねーです。こういう目つきなんです」

 

そんなヴィータをはやてが怒った。本当にこれはもう誤魔化しようがないな。

すずかたちが出ていったあと、シグナム達は近くのビルで話があるといい、僕は待機している若葉たちに連絡を入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くのビルでシグナム達はなのはたちに事情を話した

 

「はやてちゃんが、闇の書の主…」

 

シグナム達から話を聞いたなのはが呟いた。フェイトも困惑の表情を浮かべている。

 

「悲願は後わずかで叶う」

 

「邪魔をするなら、はやてちゃんのお友達でも」

 

「待ってください」

 

須美が話に割り込んできた。きっとこの状況をどうにかするために……

 

「これ以上は戦う必要は……」

 

須美が言い掛けた瞬間、ヴィータがグラーフアイゼンを須美に向けた。

 

「悪いが、アタシたちはもう止まることが出来ないんだ」

 

「シャマル、離れて通信妨害をしていろ。須美、私達はもう後戻りはできない」

 

シグナムがレヴァンティンを抜き、なのはたちが身構えた

 

「我ら守護騎士は…主の笑顔のためならば、騎士の誇りさえ捨てると決めた」

 

シグナムがバリアジャケットに着替えた瞬間、珠子が攻撃を仕掛けた。

 

「タマっち先輩!」

 

「事情を聞いてからどうにも苛ついてたんだよな……それにさっき後戻りができないだのなんだのって……」

 

珠子は切り札を発動し、シグナムたちに向かっていく。シグナム達は攻撃を避けていく。

 

「ふざけんな!!」

 

「うるせぇ!!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンで珠子を殴りかかる。珠子は防ごうとせずただ直撃を食らった。だがそれでも珠子は立ち続けていた。

 

「じゃあどうすればいんだよ!!あたしらはそいつらや他の魔導師を襲ったんだ!!今更協力してくれるわけ……」

 

「してやる!!タマに任せタマえ!!」

 

珠子が力強く答えた瞬間、ヴィータは思いっきりひるんだ。

 

「いくらでも協力してやるし、それに闇の書とやらを完成だって……タマが管理局の魔導師に言って協力させる!たった一人の女の子のために手伝ってくれって」

 

全く珠子は……

 

「仕方ない。話を聞かないやつがいたら僕がぶっ飛ばしてやる」

 

「まぁあくまで協力者ということですからね。僕らの場合は特に怒られることはないですもん」

 

「それだったら私達も」

 

「うんうん、手伝うよ~」

 

「それに困ってる奴らがいるんだから協力しないやつはいないからな」

 

僕らも珠子の意見を聞き、協力すると伝えた。シグナム達は武器をおろしていた。もうこれ以上は戦う必要はないな。

そう思った瞬間、僕らはバインドで縛られた

 

「これは!?」

 

「拘束完了」

 

「よくやった」

 

僕らの前に仮面の男が二人現れた。

 

「では、始めるとするか」

 

仮面の男が右手を上げた。すると闇の書が現れた。

 

「いつの間に!?」

 

シャマルが驚く中、杏が仮面の男二人を睨みながらあることを告げた

 

「二人いたんですね。いえ、当然ですよね。ロッテさん、アリアさん」

 

杏の言葉を聞いて、僕らは驚いていた。この二人がリーゼさんたちだっていうのか?

 

「離れた場所を一瞬のうちに移動することはどう頑張っても無理ですよね。だから思ったんです。きっと二人いるって、それにグレアムさんが昔闇の書事件に関わっていたことを聞いたんです。もしかしたらこれは……」

 

「こいつ、気づいていたのか」

 

「く…構うな。何を知っていても、今の状態では我々の邪魔はできん」

 

闇の書が開くと紫色に光る。

 

「う…うああっ!!」

 

シグナム達から、それぞれ光の玉が現れる。

 

「最後のページは、不要となった守護者自らが差し出す」

 

「あああああ!!」

 

シャマルが闇の書に蒐集され、姿が消えた。次にシグナムの蒐集が始まる。

 

「ああああ!!」

 

シグナムたちが消えていく。

 

「何なんだ?何なんだよテメーら!?」

 

「プログラム風情が、知る必要はない」

 

「くそが!切り札発動!!」

 

 



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27 目覚めたもの

切り札を発動し、バインドを破った僕は、仮面の男二人に向かっていくが、

 

「お前と戦うのは骨が折れる」

 

「それだったら……もう二度と破られないように何重にも縛り上げておこう。バインド」

 

いくつものバインドで縛り上げ、更にはチェーンバインドで僕を振り回していき、そのまま屋上へと放り投げた

 

「やばっ!?」

 

「さよならだ」

 

「空!?」

 

「空さん!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上から落とされた僕は何とかバインドを破ろうとするが、中々それができない。このまま落下の衝撃で僕は……

 

「切り札発動!!一目連!」

 

聞き覚えのある声が聞こえた瞬間、誰かが僕をキャッチしてくれた。

 

「友奈!?」

 

「じっとしていなさい」

 

更に千景が大鎌でバインドを切り裂いた。普通魔法での拘束を切れないだろ

 

「拘束系の無効化。どう頑張っても?千景姉」

 

アリシアが笑顔でそう言ってきた。なるほどな。アリシアの補助魔法なら……

 

「空、何があった?」

 

「かくかくしかじかで結構やばい状況だ」

 

ひなたから教わったけど、かくかくしかじかは本当に便利だな。一発で説明できるなんて

 

「闇の書が完成……」

 

「それに伊予島さんの推理だと仮面の男の正体は……」

 

「ほとんどはそのグレアムって言う人がブラックカーテンってことね」

 

「うたのん、ブラックカーテンって」

 

「黒幕って言うことですね」

 

「とりあえず急いで戻らないと……」

 

その時屋上から爆発音が聞こえ、全員で空を見上げた瞬間……

 

「あれは!?」

 

空には巨大な生物が三体いた。まさか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

仮面の男二人ははやてを連れ出し、目の前でヴィータとザフィーラを消し去り、闇の書を完成させた。

そしてその依代とされたはやては銀髪に黒い羽をはやした女性に変えた。

 

「はやて……ちゃん?」

 

「なのは、今は……」

 

「勇者確認!封印解呪の条件に基づき、封印を解呪!」

 

女性は闇の書を広げた瞬間、3つの光を僕らの前に出した。3つの光は形を変え続けていき……

 

「あれって!?」

 

「そんな!?」

 

「おいおい、まさかと思うけど……」

 

「封印がどうとか言ってたけど……まさか闇の書に封印されていたって言うことか?」

 

僕らの目の前に現れたのは銀を殺したスコーピオン、サジタリウス、キャンサーのバーテックスだった。こんな状況で出てくるなよ!!

 

「須美、銀、園子……こいつらは僕がなんとかする。お前らは……」

 

「ううん、一緒に戦おう」

 

「ミノさんの仇だもんね」

 

「まぁ生きてるんだけどさ……とりあえずリベンジだ!!」

 

「夜空君……」

 

「なのはたちはあれをどうにかしろ!」

 

「気をつけて」

 

なのはとフェイトの二人は闇の書の意思に向かっていくのであった。

 

「全員!気を引き締めろよ!」

 

 

 

 

 

 

 

杏SIDE

 

夜空君たちがバーテックスに挑む中、タマっち先輩は闇の書の意思に向かっていった。

 

「お前!!」

 

タマっち先輩の攻撃を闇の書の意思は障壁で防ぎ

 

「また、全てが終わってしまった。決して終わらせる事が出来ない悲しみ…」

 

闇の書の意思は涙を流しながら言った。闇の書は片手を上に掲げると、黒い球体を作り出した。

 

「デアボリック・エミッション」

 

闇の書の意思の言葉の後に、黒い球体が大きくなっていく。

 

「空間攻撃!」

 

「闇に…染まれ……」

 

黒い球体はどんどん大きくなる。なのははフェイトの前に出て、障壁を展開した。何とか、防ぎきったなのはたちはビルの陰に隠れていた。私はタマっち先輩が炎の盾で守ってくれたけど、タマっち先輩はもう限界に近い

 

「なのは、ゴメン。ありがとう。大丈夫?」

 

「うん。大丈夫」

 

「あの子、広域攻撃型だね。避けるのは難しいかな。バルディッシュ」

 

フェイトはバリアジャケットを変えた。レイジングハートをなのはに渡す。

 

「……はやてちゃん」

 

「なのは!」

 

「フェイト!」

 

ユーノとアルフが二人の所にやってきた。直後、突風が起こり、街を何かがスッポリと覆った。

 

「前と同じ、閉じ込める結界だ」

 

「やっぱり、私達を狙ってるんだ」

 

「今、クロノが解決法を探してる。それにプレシアさんも」

 

「母さんも?」

 

「それまで、僕達で何とかするしかない」

 

「うん」

 

「タマっち先輩……下がってて、ここは私が」

 

「杏……タマはまだ」

 

「もう限界だよ。ユーノ君」

 

「は、はい」

 

タマっち先輩をユーノくんに任せた私は、前へと出て

 

「切り札発動!雪女郎!」

 

切り札を発動し、闇の書の意思の動きを封じていく。それにバーテックス三体の動きを……

 

「範囲を絞りつけていけば……」

 

「無駄だ!」

 

闇の書の意思がそう呟いた瞬間、空から無数の矢が降り注いできた。私は避けるが足に何本か矢が突き刺さった

 

「痛っ!?」

 

「杏!?あの野郎!バーテックスを操れるのかよ!」

 

「長い間封印していたから……洗脳したのかな?でもそれでもまだ……」

 

更に矢が降り注ぎ、タマっち先輩、なのはちゃん、フェイトちゃん、ユーノ君、アルフさんが防いでくれたけど、尻尾付きのバーテックスが私達を薙ぎ払った。

 

倒れた私達。矢を放ったバーテックスは私達に向けて巨大な矢を向けた。

 

「うくっ……」

 

もう終わり……なの?私は目をつぶった瞬間

 

「目をつぶるなよ!最後まで」

 

目を開けた瞬間、7つの魔砲がバーテックスに直撃させた。

 

「空……さん」

 

「さぁて……バーテックスに闇の書か……相手に不足はない!」



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28 空の全力全開

アリシアSIDE

 

フェイトたちが戦っている場所から離れた所で、仮面の男が二人、何かを話していた。

 

「ディランダルの準備は?」

 

「大丈夫だ。これで……」

 

「おっと、そこまでだよ。歌野さんに拘束補助!」

 

「はい、捕まえたっと」

 

歌野さんの鞭に縛られる仮面の男二人。更にクロノのバインドで二重に拘束をされた。

 

「ロッテ、アリア。やっぱり君たちだったんだね」

 

仮面の男二人の姿がみるみる内に元の姿へ戻っていった。

 

「クロノ、あんた気がついてたのね」

 

「あぁ杏さんから言われた時は半信半疑だったが……調べていて……確信に至った。さぁ話してもらうよ。グレアム提督と共に」

 

「クロノ、私も一緒に行くよ。ちゃんと話を聞きたいからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

闇の書の意思と対峙する僕。倒れた杏に近寄り

 

「杏、動けるか?」

 

「あ、足が……」

 

「珠子は?」

 

「タマは杏を連れて行くくらいなら余裕だ」

 

「それだったら杏を連れてひなたと水都の所に連れて行ってくれ。まずは治療が先だ」

 

「よし、任せタマえ」

 

「で、でも、空さん、あの人は……」

 

「僕がなんとかする」

 

僕は闇の書の意思をにらみつけると、闇の書の意思は本を開き

 

「サジタリウス小破。元の姿に戻れ」

 

そう命じた瞬間、三体のバーテックスが無数の星屑に別れた。

 

「数が多くしたか……若葉!友奈!千景!須美!園子!銀!星屑は任せた!なのは、フェイト、夜空!僕と一緒にやるぞ」

 

『了解!』

 

全員がそれぞれ動き出し、僕ら四人は闇の書の意思の前に出た

 

「これ以上、主の願いを邪魔するな」

 

「邪魔か……本当に邪魔をしているのはどっちだろうな!!」

 

6本の尻尾が6つの槍に変わり、僕の手に持っている槍を合わせて7つの斬撃を喰らわしていくが、奴は障壁を張って防ぎ、右手を僕の方に向けた

 

「ブラッティーダガー」

 

赤いナイフが僕の体に突き刺さっていくが、背後からなのはのアクセルシューターとフェイトのプラズマスマッシャーを放つが、それすらも防いでいく。

 

だが

 

「距離を詰めれば……」

 

背後に気を取られた闇の書の意思の隙をつき、夜空が至近距離でランディニを向けた。

 

「ゼロ距離!シャドウバスター!!」

 

紫色の魔砲が命中するが、闇の書の意思は……無傷だった。

 

「ゼロ距離でも駄目か!?」

 

「だけどまだ諦めてないよな。お前ら」

 

「「「うん!!」」」

 

まだみんなは諦めていない。だったら……

 

「……どんなに頑張っても主の悲しみは無くならない。咎人達に…滅びの光を」

 

「まさか、あれは…」

 

「私のスターライトブレイカー」

 

「なのはは一度、闇の書に蒐集されてる。その時に魔法をコピーしたんだ!」

 

コピーできるってかなりやばくないか?このままだと本気でやばい……

その時、エイミィから通信が来た。

 

「大変、結界の中に取り残された一般人が…」

 

「早く助けに行かないと」

 

「仕方ない。ユーノ、アルフ、聞こえるか!」

 

『は、はい』

 

『なんだい?』

 

「お前らはひなたたちを連れて遠くに離れるんだ。なのは、フェイト、夜空はその一般人の保護を頼む!」

 

「空さんは?」

 

「まさか切り札の力で防ぐつもり?無理だよ。一度喰らってわかったけどあれは防いでも……」

 

「誰が防ぐって言った?アネモネ!モード!フルバスター!」

 

7つの槍がアネモネにくっつき、金色の杖へと変わった。僕は杖の先に魔力をかき集め

 

「まさか!?」

 

「空も……」

 

「相殺してみせる!だからお前らは早くいけ!!」

 

僕のことを信じ、なのはたちは直ぐ様離れていくのであった。

 

「星よ集え…全てを撃ち抜く光となれ」

 

「神樹様から授かりし槍。精霊の槍よ!杖と一つになり、全てを打ち破る力を見せろ!!」

 

「貫け…閃光、スターライトブレイカー!!」

 

「撃ち抜け!全力全開フルテイル・ブレイカー!」

 

2つの収束砲がぶつかり合い、周りが光りに包まれるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリシアSIDE

 

ある部屋で、私、クロノ、ママ、グレアム提督とアリア、ロッテがいた。

 

「二人に指示を出したのはあなたなんですね。グレアム提督」

 

「違うよ。クロノ」

 

「これは私たちの独断だ」

 

クロノの言葉に二人は反論するが、

 

「あなた達は黙っていなさい」

 

ママはプレッシャーを放ちながら二人を黙らせる。怒ってるママを見るのは初めてだった。でも、怒るのも無理もない

 

「二人ともいいんだよ。二人はもうあらかた掴んでいる」

 

「あなたは闇の書の転生先を調べていたんですね。そしてたどり着いたのは闇の書の現在の在処と今の主である八神はやてを」

 

「…両親に死なれ、体を悪くしたあの子を見て、心は痛んだが……運命だとも思った。孤独な子であれば、それだけ悲しむ人は少なくなる」

 

「それはおかしいよ」

 

グレアム提督の言葉を聞き、私は反論した。悲しむ人が少なくなるのは駄目だ。だって少なくっても悲しむ人はいるんだから

 

「私は知ってるもん。その人達の悲しみの重さを」

 

「アリシア……」

 

「彼女の生活の援助をしていたのも貴方ね?」

 

「永遠の眠りにつく前くらい、せめて幸せにしてやりたかった…」

 

「偽善です」

 

「封印の方法は闇の書を主ごと凍結させて、次元の狭間にでも閉じ込める。そんなところかしら?」

 

「ああ。それなら闇の書の転生機能は働かない」

 

本当にそれが正しいことだって思えない。他にも方法があるはずだから

 

「これまでの闇の書の主だって、アルカンシェルで蒸発させたりしてんだ。それと何にも変わんない!」

 

「プレシアさん。私達を解放して。凍結がかけられるのは暴走が始まる数分だけなんだ」

 

「あなた達がやろうとした事は、単なる復讐です。八神はやてはあなた達の復讐の道具ではない」

 

「そうだな。自分たちがやろうとした事がただの復讐でしか無いと本当に気がついたのは、プレシア女史の事件を聞いてからだ」

 

「えっ?」

 

「君は娘であるフェイトくんを道具としか扱っていなかった。だが、その考えもある少女と出会ったことで変わった」

 

「千景ね……もしも彼女が言ってくれなかったら私はあの子を道具として扱わなかった。それにアリシアとこうして会うこともできなかった。だけど……」

 

「もし彼女と出会うのがもっと早かったら、考えを変え、彼女を最高の形で救うことを考えたのかもしれない。クロノ、これを…」

 

グレアム提督はクロノにディランダルを渡した。

 

「これをどう使うかは、君次第だ。」

 

「はい、アリシア、一緒に行こう」

 

「うん、あぁそれとねグレアム提督。まだ考えは変えられるよ」

 

「それは……」

 

「ママを救ったのもフェイトを救ったのも千景お姉ちゃんかもしれないけど、一番運命をかけられる人がもう一人いるの」

 

「それは一体……」

 

「勇者たちの中で一番頑張って、一番後悔してきて、そして運命を変えた人……上里空って人だよ」

 

きっと今回もどうにかしてくれるよね。空お兄ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

結界内に取り残された人たちは、なのはとフェイトの友達二人だった。二人を無事に避難させた後、まばゆい閃光があたりを包み込み、光が消えた。

 

「戻ろう。空さんが……」

 

「うん」

 

「大丈夫だといいけど……」

 

僕らは急いで元の場所に戻るとそこにはボロボロの空さんとほぼ無傷の闇の書の意思がいた。だが何故か闇の書の意思は泣いていた

 

「なぜ……立っていられる」

 

「まだ立っていられるんだよ……悲しむ人がいるから……僕たちは勇者だから悲しむ人を助けてあげないといけないからな」

 

「空くん!?」

 

どこからともなくやってきた友奈さんは倒れそうになる空さんを支えた

 

「ゆう……な……バーテックスは?」

 

「あの閃光のあと、姿がなくなったの」

 

「奴らは闇の書の中に戻った。更に進化をするために……」

 

「だったら……早い所なんとかしないとな」

 

「もう無理だ。もうお前は戦うことは……」

 

「だったら早く泣きやめよ」

 

「これは……主の……」

 

「それだったら……はやてのところに連れてけ。泣き止ませる」

 

「私も……‥一緒に行くよ」

 

「……出来るものなら……」

 

闇の書の意思は黒い魔法陣を展開させ、空さんと友奈さんを消した。もしかして取り込まれたっていうのか?



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29 幸せな世界

「お兄ちゃん、お兄ちゃん」

 

「ん?ひなた……」

 

目を覚ますとひなたの顔が一番に目に入った。

 

「珍しいですね。お兄ちゃんが寝坊するなんて」

 

「あぁ……昨日……」

 

僕は昨日何かをしていて寝坊したんだっけ?それに……何か大切なことを忘れているような……

 

「今日は私の買い物に付き合ってくれるんですよね」

 

「あ、あぁ……」

 

僕は何かを忘れている気がする……とても大切なことを……

 

 

 

 

 

 

ひなたの買い物が終わり、適当に街を歩いている中、ずっと違和感を感じていた。

 

「何だか平和だな……」

 

「ん?平和って?」

 

「いや、だって……」

 

何でこんなに平和なんだ?いや、良い事なんだろうけど……何かがおかしい気がする

 

「……ねぇお兄ちゃん。どうしたの?」

 

急に声の感じを変えてきたひなた。僕はひなたをじっと見つめながら話を聞き続けた。

 

「……違和感しかないんだ。平和なのはいいことなんだろうけど……何かが違う気がする」

 

「何って?だってみんなが平和に過ごしているのが何が違うの?」

 

あぁそっか……ようやく気がついた。全くこれって何かの試練か何かか?

 

「お兄ちゃん?」

 

「確かにこうして何事もなく平和な日々が続くのはいいことだけど……それじゃ駄目なんだ。僕たちはその平和を取り戻すために戦ってるんだからさ」

 

「……やっぱりお兄ちゃんはすごいね」

 

ひなたは笑顔でそう言うと、僕らの目の前に光の扉が現れた

 

「これは闇の書が見せている幸せな夢……人は幸せな夢を見続けることで現実へ戻ろうとしない。だけどお兄ちゃんはそれを乗り越えた。あの子と一緒だね」

 

「あの子……あぁ」

 

「お兄ちゃん、救ってあげて……悲しんでるあの子を」

 

「わかった」

 

僕は扉を開け、この幻想空間から抜け出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想空間から抜け出すと友奈が待っていてくれた。

 

「待っててくれたのか」

 

「うん、空くんなら大丈夫だと思って……それに……」

 

友奈は何故か顔を赤らめていた。何だ?どうしたんだ?

 

「私が見たの……その……えっと……」

 

一体何を見たっていうんだよ……

 

「空くんとお付き合いしてる幻想で……すごく幸せだったんだけど……」

 

何ていう幻想を見せてるんだよ……闇の書のやつは……

 

「私って、ぐんちゃんみたいにきれいじゃないし、杏ちゃんみたいに可愛くないし、若葉ちゃんやタマちゃんみたいに格好良くないから……空君と付き合うのはおかしいかなって思って……」

 

「何言ってるんだよ。おかしくないからな」

 

「えっ?」

 

「だから付き合うのはおかしいことじゃないからな。だって僕はお前のことが好きだから……」

 

「えぇ!?」

 

あれ?なんかとんでもない事言ってないか僕……

 

「えっと、空君……」

 

友奈はさっきよりも顔が真っ赤だし……これは……

 

「その答えは後でいいから……今はほら、早く行こう」

 

「う、うん」

 

とりあえず今ははやての所に行かないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

二人で先へと進んでいくとそこには闇の書とはやての二人がいた。

 

「空さんとえっと……」

 

「あ、はじめまして、高嶋友奈です」

 

「八神はやてです。その空さんたちはもしかしてこの子が迷惑をかけたから……」

 

「まぁそんな所だけど……」

 

「あのこの子は悪くないんです。ただ色々と不幸が重なって……」

 

はやてが闇の書から聞かされたことを僕らに話した。今までのこと、自分が闇の書と呼ばれた理由……

 

「そっか……」

 

「それではやてちゃんはどうするの?」

 

「私はこの子の主やからな。ちゃんと迷惑かけた人たちに謝らんといけないし、それに……この子は闇の書って名前のままじゃ可哀想やから……名前をつけたる」

 

「主……」

 

何というか本当に優しい子だな。はやての奴……

 

「とりあえず外の人にここを抜け出す方法と止める方法を教えないと……」

 

はやてがそう言った瞬間、闇の書が白い魔法陣を展開させた。

 

「外の方!管理局の方!そこにいる子の保護者、八神はやてです!」

 

『はやてちゃん!?』

 

『はやて!?』

 

なのはとフェイトの声が聞こえてきた。どうやら上手くいきそうだな

 

「えっ!?なのはちゃんとフェイトちゃん!?」

 

『うん!なのはだよ』

 

『いろいろあって、闇の書と戦ってるの』

 

二人ははやてに返事をした。すると今度は……

 

『もしかしてそっちに空さんたちもいるのか?』

 

「あっ、その声、須美ちゃんたちの友達の人やろ。おるで」

 

『良かった。こっちは勇者全員で戦ってるんだけど……どうすればいいんだ?』

 

「ごめん、何とかその子止めてあげてくれる?」

 

『え?』

 

「魔導書本体からはコントロールを切り離したんやけど、その子が走ってると管理者権限か使えへん。今そっちに出てるのは、自動行動の防御プログラムだけやから。管理者権限が使えれば、空さんたちも出てこれる」

 

『わかった。魔力ダメージを与えればいいんだね』

 

『やろう、フェイトちゃん!』

 

何だかノリノリだな。この二人……まぁあっちは任せるとして……

 

「はやて、この中にいるバーテックスのことなんだけど……」

 

「バーテックス?」

 

「主、感じませんか?異物みたいなものを」

 

「あぁ感じる……でも防御システムの方だから切り離すことは可能や」

 

「だったら安心だな」

 

「バーテックスが残された嫌だもんね」

 

あとは外へと出てその防御システムとバーテックスをどうにかするしかないな。はやては早速準備にかかった。

 

「夜天の主の名において、汝に新たな名を贈る」

 

はやては両手を闇の書の顔に添える。

 

「強く支えるもの、幸運の追い風、祝福のエール。リインフォース」

 

「新名称『リインフォース』認識。管理者権限の使用が可能になります」

 

「うん」

 

「ですが、防御プログラムは止まりません」

 

「まぁ何とかしよ。行こか。リインフォース」

 

はやてはリインフォースを抱いた。

 

「はい。我が主」

 

「それじゃ終わらせようか……全部」

 

「うん」

 

僕らはまばゆい光に包まれるのであった。



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30 vs交わりしもの

今回、詰め込みすぎました


夜空SIDE

 

なのはとフェイトの二人の魔砲が闇の書に直撃した瞬間、闇の書にあった場所に白い球体が、そして海の方には黒い球体が現れた

 

「お~い、夜空~」

 

すると銀たちが何だか巨大な円盤に乗ってやってきた。

 

「状況は?」

 

「えっと……闇の書と防御システムを切り離したって言うことでいいのか?」

 

「うん、はやてちゃんの言うとおりなら」

 

「だとしたらあそこにあるのは……」

 

若葉さんは黒い球体の方を見つめた。あれが防御システムだとしたら……

すると白い光の周りに、4つの魔法陣が展開された。

 

「おいで…私の騎士達…」

 

「我等、夜天の主の下に集いし騎士」

 

「主在る限り、我等の魂尽きる事無し」

 

「この身に命在る限り、我等は御身のもとに在る」

 

「我等が主、夜天の王、八神はやての名の下に」

 

「シグナム!」

 

「ヴィータちゃん!」

 

復活したシグナムさん達を見て、なのはたちは嬉しそうにしている。更に白い光から声が続く

 

「リインフォース。私の杖と甲冑を」

 

「はい」

 

はやては黒いバリアジャケットを見につけ、杖を手にした。直後、光は消えて、中からはやてが姿を現した。

 

「夜天の光よ、我が手に集え!祝福の風リインフォース。セーットアップ!!」

 

髪の色が変わり、騎士甲冑をイメージしたようなバリアジャケットを身に纏い、背中には翼のようなものが生えた。

 

そしてその両隣には空さんと友奈さんの二人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

「戻ってこれたな」

 

「うん」

 

はやてのおかげで戻ってこれた僕ら。するとはやてたちは……

 

「はやて…」

 

ヴィータは目に涙を浮かべている。はやては優しく微笑んだ。

 

「すみません」

 

「はやてちゃん……あの…ごめんなさい」

 

シグナムとシャマルが、はやてに謝った。はやては首を横に振った。

 

「ええよ。みんなわかってる。リインフォースが教えてくれた。そやけど細かい事は後や、おかえり。みんな」

 

「う……うあああああ!!」

 

はやての温かい言葉を聞いた後、ヴィータが泣きながら抱き付いた。

 

「はやて!はやて!はやてぇぇぇぇ!!」

 

涙を流しながら、ヴィータははやての名前を叫んだ。はやては優しくヴィータを抱いて、頭を撫でた。

 

「なのはちゃんとフェイトちゃんもゴメンな。ウチの子達がいろいろ迷惑掛けてもうて」

 

「ううん」

 

「平気」

 

「空、傷が治ってないか?」

 

「そういえば……」

 

「あぁこっちに戻る時に治せるかなって思って治したんや」

 

はやてのおかげということか……するとクロノとアリシアがこっちにやってきた。

 

「すまないが、ゆっくり話している時間はない」

 

「あと数分であの闇の書の防衛プログラムが後数分で暴走を開始しちゃうの。どうにかして止めないと……」

 

「停止のプランは現在二つある」

 

クロノは待機状態のデュランダルを取り出した。

 

「まず一つは、極めて強力な氷結魔法で停止させる。二つ、軌道上に待機してあるアースラの魔導砲『アルカンシェル』で消滅させる」

 

「これ以外に他にいい手はないか?」

 

クロノが他に意見を求めた。シャマルが手を挙げた。

 

「えーと…最初のは多分難しいと思います。主のない防衛プログラムは、魔力の塊みたいなものですから」

 

「凍結させてもコアがある限り、再生機能は止まらん」

 

「アルカンシェルも絶対ダメ!こんな所でアルカンシェル撃ったら、はやての家までぶっ飛んじゃうじゃんか!!」

 

「そ…そんなに凄いの?」

 

「発動地点を中心に、百数十キロ範囲の空間を歪曲させながら、反応消滅を起こさせる魔導砲。っていうと大体わかる?」

 

「あの、私もそれ反対!」

 

「同じく!絶対反対!!」

 

「僕も艦長も使いたくないよ。でもあれの暴走が本格的に始まったら被害はそれより、遥に大きくなる」

 

『はい、みんな!あと十五分しかないよ』

 

どうにも話がまとまらなくなってきたな。それにあの防衛システムには……

 

「バーテックスもいるから、かなり厳しい戦いになるけど……」

 

「勇者の力でって言うのも無理そうですからね……」

 

僕と夜空も思いつかないでた。すると珠子があることをいい出した

 

「あぁもう、適当な場所まで誘導してぶっ飛ばすとかできないのかよ!」

 

「タマっち先輩……そんな単純なことじゃ……あれ?」

 

すると杏が考え込んだ。何か思いついたのか?

 

「クロノくん……聞きたいことがあるんだけど、アルカンシェルはどんな場所でも撃てるものなの?」

 

「えっ?それは……」

 

「杏、方法が見つかったのか?」

 

「はい、この場所で撃つのはだめだけど……アースラがある宇宙空間で撃てば……」

 

なるほど、それなら確かに被害は少ない。でも……

 

「可能なのか?」

 

『管理局のテクノロジー、ナメてもらっちゃ困りますなぁ。撃てますよ。宇宙だろうが、どこだろうが!』

 

エイミィが通信で自信満々に答えた。

 

「オイ!ちょっと待て君ら!ま…まさか……!」

 

「クロノ、やって見る価値はあるだろ」

 

「でも、あのバーテックスとかいうのは?」

 

「それは私達の出番だ。空、出し惜しみをしている場合じゃない」

 

「うん、私達も全力全開で」

 

若葉と友奈の二人は力強い目でこっちを見た。出し惜しみはなしだな。

 

「あぁ全力でやっていいぞ。須美たちもな」

 

「はい」

 

「みんなで一気にいっくよー!」

 

「それじゃ早い所始めようぜ」

 

「個人の能力頼りで、ギャンブル性の高いプランだが……やってみる価値はある」

 

「防衛プログラムのバリアは、魔力と物理の複合四層式。まずはソレを破る」

 

「バリアを抜いたら本体がむけて、私達の一斉攻撃でコアを露出」

 

「そしたらユーノ君達の強制転移魔法で、アースラの前に転送!」

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラ

 

「まぁ、発想がすごいわね」

 

リンディは驚き半分呆れ半分の、複雑な笑みを浮かべた。

 

「計算上では実現可能というのが、また恐いですね」

 

「だけど賭けてみましょう。彼女たち魔導師と勇者たちの力を!アルカンシェル!チャージ開始!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全員が持ち場に着くと、僕、須美、園子、銀、友奈、若葉、夜空は並び立ち……

 

「それじゃ行くぞ!」

 

「「「「「カートリッジフルロード!!」」」」」

 

「「切り札発動!!」」

 

「「「「「満開!!」」」」」

 

「大天狗!!」

 

「酒呑童子!!」

 

若葉と友奈の切り札……これまで使ってきたものよりも大幅に強化され、発動すれば何者にも負けない切り札。

 

須美たちは神秘的な衣装に変わり、園子は巨大な船、銀は4つの巨大な腕に4つの斧が握られた姿に変わった。

 

夜空は友奈の酒呑童子と似たような姿に変わったが、右手にはランディニと左手には巨大な金棒を持った姿に変わった。

 

僕は9本の尾に、槍とアネモネが一つになった槍杖が握られた。

 

「僕らの満開は須美たちと違うみたいだな」

 

「僕らの場合は魔法との融合ですから……精霊ベースの方が扱い易いみたいですよ。空さんは九尾、僕は大嶽丸みたいですね」

 

とりあえずこれで僕らの準備は完了だ。

 

防衛プログラムの周辺に数本の禍々しい黒い柱が立つ。防衛プログラムが暴走を開始する。

 

「夜天の魔導書を、呪われた闇の書と呼ばせたプログラム。闇の書の『闇』」

 

はやてが呟いた。黒い球体が消え、中から防衛プログラムが姿を現した。カニのような足があり、カラスのような黒い翼が生えていて、獣のような鋭い爪を持った前足、幾つかの動物を合わせたような機械の怪物だった。頭部には、紫色の女性のようなモノがあった。

 

更にはキャンサー、スコーピオン、サジタリスが一つになったバーテックスが防衛システムに並び立った。

 

「あっちはコアが再生とかなさそうだな」

 

「あのバーテックスは防衛システムと繋がっとるから、防衛システムのコアを破壊すれば」

 

「ならやることは簡単だ!」

 

「チェーン・バインド!!」

 

「ストラグル・バインド!!」

 

アルフのオレンジ色のバインドと、ユーノの緑色のバインドが、防衛プログラムの周りにある尻尾のようなモノを捕らえる。

 

「鋼のくびき!!」

 

ザフィーラから白い魔力の線が出る。白い線は複数の尻尾を斬った。

 

「レイジングハート!エクセリオンモード!!」

 

レイジングハートの形が変形する。ヴィータがグラーフアイゼンを構えて近寄る。

 

「ちゃんと合わせろよ!高町なのは!!」

 

「ヴィータちゃんもね!!」

 

「『鉄槌の騎士』ヴィータと、『鉄の伯爵』グラーフアイゼン!!」

 

グラーフアイゼンは巨大なハンマーになる。

 

「轟天爆砕!!ギガント・シュラァアアアク!!!」

 

巨大ハンマーを、防衛プログラム目掛けて振り下ろす。防衛プログラムはバリアを張って、巨大ハンマーとぶつかる。衝撃で波が荒れる。バリアは、ヴィータの巨大ハンマーによって砕かれた。

 

「高町なのはとレイジングハート・エクセリオン、行きます!」

 

足下に桜色の魔法陣を展開する。カートリッジロードをする。レイジングハートから桜色の翼が出る。防衛プログラムに向けて構える。

 

「エクセリオンバスター!!ブレイク・シュート!!!」

 

桜色の閃光を放ち、防衛プログラムのバリアに直撃した。桜色の閃光はバリアを破った。

 

「『剣の騎士』シグナムが魂、『炎の魔剣』レヴァンティン!刃と連結刃に続く、もう一つの姿」

 

鞘とレヴァンティンを合わせる。撃鉄を起こして、レヴァンティンと鞘は合わさって『弓』になった。

魔力で矢を作り、防衛プログラムに向けて構える。

 

「翔けよ、隼!!!」

 

矢は紫色に輝き、防衛プログラムに向かって放たれた。バリアに当たった矢は爆発し、バリアを砕いた。

 

「バルディッシュ!ザンバーフォーム!!」

 

「チェーン・バインド!!」

 

ユーノ「ストラグル・バインド!!」

 

アルフのオレンジ色のバインドと、ユーノの緑色のバインドが、防衛プログラムの周りにある尻尾のようなモノを捕らえる。

 

ザフィーラ「鋼のくびき!!」

 

ザフィーラから白い魔力の線が出る。白い線は複数の尻尾を斬った。

 

なのは「レイジングハート!エクセリオンモード!!」

 

レイジングハートの形が変形する。ヴィータがグラーフアイゼンを構えて近寄る。

 

ヴィータ「ちゃんと合わせろよ!高町なのは!!」

 

なのは「ヴィータちゃんもね!!」

 

ヴィータ「『鉄槌の騎士』ヴィータと、『鉄の伯爵』グラーフアイゼン!!」

 

撃鉄を起こし、グラーフアイゼンは巨大なハンマーになる。

 

ヴィータ「轟天爆砕!!」

 

叫びながら、巨大ハンマーを振り上げる。

 

ヴィータ「ギガント・シュラァアアアク!!!」

 

巨大ハンマーを、防衛プログラム目掛けて振り下ろす。防衛プログラムはバリアを張って、巨大ハンマーとぶつかる。衝撃で波が荒れる。バリアは、ヴィータの巨大ハンマーによって砕かれた。

 

なのは「高町なのはとレイジングハート・エクセリオン、行きます!」

 

足下に桜色の魔法陣を展開する。カートリッジロードをする。レイジングハートから桜色の翼が出る。防衛プログラムに向けて構える。

 

なのは「エクセリオンバスター!!」

 

先端に桜色の魔力が溜まる。

 

なのは「ブレイク・シュート!!!」

 

桜色の閃光を放ち、防衛プログラムのバリアに直撃した。桜色の閃光はバリアを破った。次はシグナムとフェイトの番だ。

 

シグナム「『剣の騎士』シグナムが魂、『炎の魔剣』レヴァンティン!」

 

レヴァンティンを上に掲げる。

 

シグナム「刃と連結刃に続く、もう一つの姿」

 

鞘とレヴァンティンを合わせる。撃鉄を起こして、レヴァンティンと鞘は合わさって『弓』になった。

魔力で矢を作り、防衛プログラムに向けて構える。

 

シグナム「翔けよ、隼!!!」

 

矢は紫色に輝き、防衛プログラムに向かって放たれた。バリアに当たった矢は爆発し、バリアを砕いた。

 

フェイト「バルディッシュ!ザンバーフォーム!!」

 

バルディッシュの形が変形する。金色の刃が出て、剣の形になる。

 

フェイト「フェイト・テスタロッサ、バルディッシュザンバー!行きます!!」

 

足下に金色の魔法陣が展開される。バルディッシュを上に掲げ、撃鉄を起こす。

 

「撃ち抜け、雷神!!!」

 

バルディッシュを振り下ろし、金色の魔力刃が伸びる。伸びた金色の魔力刃は、バリアを破って防衛プログラムを斬った。防衛プログラムからミミズのようなモノが現れ、光線を放とうとしていた

 

「『盾の守護獣』ザフィーラ!攻撃など撃たせん!!」

 

ザフィーラが白い魔法陣を展開する。白い魔力の柱が、攻撃を阻止した。

すると今度は合体バーテックスが無数の矢を放とうとしてきたが、珠子と銀が前に出て

 

「撃たせて!」

 

「たまるか!!」

 

珠子は炎をまとった旋刃盤を銀の前に出し、銀はそれを盾にしながら突き進み、四本の斧で矢の発射口を破壊した。だが……

 

「こいつ、再生しているぞ!」

 

「なら……切り刻むだけね」

 

「そのためには動きを封じないとね」

 

「それだったらアリシアちゃん」

 

「OK」

 

アリシアが歌野に強化魔法をかけると、歌野の鞭は巨大なものに変わり、バーテックスを縛り上げた。更に杏の雪女郎でバーテックスの傷口を氷で覆い、千景が切り刻んでいく

 

「あいつら、えげつないことをするな……」

 

「切り刻んで、再生しようとしたところを凍らせるって……」

 

杏たちが離れると、バーテックスは巨大な盾と巨大な尻尾を構え始めた。

 

「友奈!あれを打ち破れるか?」

 

「うん、任せて!全力全開の!」

 

友奈は拳を構え、巨大な盾に向かっていく

 

「勇者パンチ!!」

 

友奈の一撃で盾はすぐに破壊され、更に若葉は巨大な尻尾を切り刻んでいく

 

「止めを頼んだぞ!」

 

攻撃や再生を封じられたバーテックス。すると園子が船からオールみたいなものを発射し、突き刺していく。

 

「わっしー、お願いね」

 

「えぇ、銀の仇よ!!砲撃!」

 

バーテックス目掛けて放たれた巨大な砲撃。バーテックスはところどころ穴だらけになり行動不能になった。

 

「彼方に来たれ、宿り木の枝。銀月の槍となりて撃ち貫け!!」

 

はやては白い魔法陣を展開する。防衛プログラムの上空に、七ツの白い光を出す。

 

「石化の槍、ミストルティン!!!」

 

白い槍は防衛プログラムを貫き、防衛プログラムを石化させる。すると、石化した防衛プログラム内から、獣の顔をした機械やら尻尾やらが無茶苦茶に出てきた。

 

「うわ!?なんか凄い事になってるよ!」

 

『やっぱり並の攻撃じゃ通じない!』

 

「だが、攻撃は通っている。プラン変更はなしだ!」

 

クロノが氷結の杖・デュランダルを構えて、エイミィに応えた。

 

「悠久なる凍土、凍てつく柩の地にて、永遠の眠りを与えよ」

 

クロノがデュランダルを振った。直後、海が凍っていく。

 

「凍てつけ!!!」

 

そのまま防衛プログラムまで凍らせた。

 

「それじゃやるぞ!!」

 

「はい!」

 

僕と夜空は並び立ち、デバイスを構えた。

 

「行くよ、フェイトちゃん、はやてちゃん!」

 

「うん!」

 

なのはの言葉に、二人は頷いた。なのはの前に魔法陣が展開され、桜色の魔力が集束される。

 

「全力全開!スターライト――」

 

「雷光一閃!プラズマザンバー――」

 

足下に金色の魔法陣を展開し、バルディッシュを構える。空から紫色の雷が落ちて、金色の魔力刃に当たる。はやては杖を空に掲げて魔力を溜める。

 

「ごめんな…おやすみな……」

 

防衛プログラムを見つめ、はやては辛い顔をして呟いた。

 

「響け終焉の笛、ラグナロク――」

 

「フルテイル!」

 

「黒き咆哮!!すべてを砕け!!シャドウ・オーガ!!」

 

「「「「「ブレイカーーーーーーーーー!!!!」」」」」

 

5つの閃光が防衛システムに直撃し、大爆発が起きた。これ……下手すれば地形が変わりそうだな……

 

「捕まえた!」

 

シャマルが防衛プログラムのコアを捕らえた。

 

「長距離転送!」

 

「目標軌道上!」

 

「転送!!!」

 

シャマル、ユーノ、アルフの三人によってコアは転送された。

 

 

 

 

 

 

「アルカンシェル、バレル展開!」

 

キーボードを操作しながらエイミィが言った。リンディの前に発射装置が現れた。

 

「命中確認後、反応前に安全距離まで退避します。準備を!」

 

「了解!」

 

「アルカンシェル発射!」

 

キーを回す。アースラからアルカンシェルが発射された。光の中に飲み込まれ、コアは完全に消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『現場のみんな、お疲れ様!無事に終了しました!』

 

エイミィからの知らせを聞いて、みんなが喜び合う。結構きつい戦いだったな。バーテックスも処理できたし……

 

「本当にすごいものだね。人の子は」

 

全員が喜び合う中、聞き覚えのない声がその場に響いた。そして僕らは声が聞こえた場所を見るとそこには真っ赤な髪をポニーテールにした一人の少女がいた。

 

「平行世界からの使いをどうにかしようと思っていたけど、やるものね。流石は神に抗う人の子と魔導の子たちね」

 

「お前は……誰だ!?」

 

僕らは全員武器を構えると、少女は笑みを浮かべた

 

「お前たちにわかりやすく言ってやろう。この世界の天の神だ」




AS編もあと数話です。終了後は幕間を書いてStrikerS編に行きます


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31 天の神

戦いを終えた後、突如現れた一人の少女……それは天の神だった。僕らは武器を構えたが……

 

「止めておいたほうがいいわ。別に戦うつもりはないから……」

 

天の神が指を鳴らした瞬間、はやてが白い炎に包まれた。戦うつもりがないって言ってる割には……

 

「あれ?なんや?体が……」

 

「主……これは……」

 

はやてとリインフォースの二人はなぜか驚きを隠せないでいた。天の神は笑みを浮かべていた。

 

「そやつの蝕んでいたもの……それとそこの融合機も存在を維持できるようにしておいたぞ」

 

「おいおい、須美たちから聞いてた割には、この天の神ってやつ良い奴じゃないか?」

 

「だが何のために……神というのは無償で人を救うものなのか?」

 

シグナムの言うとおりだ。こいつ、何を考えている。

 

「謝罪の意味を込めてやったことよ。本来はこっちの世界にバーテックスが現れることはなかったけど、どっかの誰かが面倒なことをしてね……」

 

天の神は夜空のことを見つめた。そういえば銀を助ける時に一緒にバーテックスが巻き込まれたって言ってたな

 

「でも、夜空くんは銀を……」

 

「そうだよ。悪いことをしたわけじゃないし……」

 

「えぇ分かってるわよ。それに世界を繋げたとしてもバーテックスは行き来できないようにしてあるんだけど……そっちの土着神が渡した鍵の影響なのか……もしくは例の存在かしら」

 

一人でぶつくさ言ってる天の神。さっきからどうにも気になってることがあるんだが……

 

「聞きたいことがあるわ」

 

「あら?何かしら?」

 

「天の神は人々に罰を与えた割には、どうにもフレンドリーな気がするけど」

 

千景が僕が気になってることを言ってくれた。そうだよな。天の神と僕らは敵同士だよな。なのにこうして話すのって……

天の神は笑みを浮かべ……

 

「そりゃそうよ。私の場合は貴方達より遠い未来から来ている。その未来では既に決着が付いているのよ」

 

『はい!?』

 

その場にいた勇者全員が同時に声を上げた。決着が付いているって……未来の情報を話していいものなのかよ……

 

「えっと、それじゃ神様は……」

 

「人を恨んでないってこと?」

 

「そやったらええことやね」

 

なのはたちはそう言うけど、正直僕らはどんな反応をすればいいんだよ……

 

「えっと、まぁそこら辺はもう置いといて……例の存在って……」

 

「そうね……まずは色々と話しておきたいから少しゆっくり話できる場所に連れて行ってもらえないかしら?」

 

僕らはリンディさんに連絡し、アースラで天の神と話をすることになった。ただ人数が多いため、代表として僕、夜空、リンディさん、クロノ、なのは、若葉の6人で話を聞くのであった。

 

「あ、あの、私、いていいのかな?」

 

代表に選ばれたことを不思議がっているなのは。そんななのはに僕は

 

「まぁなのはの場合は一番最初から関わっていたって言うことだから……」

 

「そういう理由で……」

 

「とりあえず話を勧めてもいいかな?」

 

天の神はお茶(角砂糖入り)を飲みながら、語りだした。

 

「まず例の存在に話す前に、世界というものについて話そうか」

 

「世界……いきなり壮大だな」

 

夜空の言うとおり、いきなり世界についてって……

 

「知っている人間はいると思うけど、世界というものは数え切れないくらいある」

 

「平行世界というものね」

 

「えぇ、平行世界の数……というより天の神が人に罰を与えた世界の数はかなり多いわ。まずこの世界……勇者たちのいる世界と魔導師のいる世界を管理しているのはこの私ね」

 

「待ってくれないか?管理しているということは……どうしてこちらでは天の神は……」

 

「こちらは管理局というものがあるじゃない。人が神の領域に触れようとしたら、裁くという組織がね。だけどそちらの世界にはいない……だからこそ私は罰を与えた」

 

2つの世界……そんな違いが……

 

「管理しているのがお前ということは……他にも天の神はいるのか」

 

「えぇ生意気そうな貴方の言うとおりよ」

 

「生意気そう……」

 

天の神に生意気そうって言われてちょっとイラつくクロノ。まぁクロノもここで怒らないように我慢してくれているから大丈夫だな

 

「平行世界の数だけ天の神はいる。まぁこうして人の前に現れて話をしたりするのは少ないけどね」

 

「その他の神様って似たような感じなんですか?」

 

「そうね……例えばある世界の天の神は色々とあって位が上がって自由に平行世界を渡り歩いたりしたり、またある世界ではとある魔導師に怯えたりしてる奴もいるわ。まぁ今回の件に関しては自由な天の神に教えられたのだけどね」

 

天の神にも色んなやつがいるんだな。ただそのとある魔導師に怯えた天の神って……それってどんな天の神だよ

 

「お前が言う例の存在……一体何なんだ?」

 

「そいつは神の領域に深く踏み込み、天の神すら滅ぼす存在……現在はなにかの目的のために世界を渡り歩いているらしいけど、そいつの影響なのか、今回こちら側にバーテックスが転移した可能性があるわね」

 

「神の領域に深く踏み込んだ……夜空は何か聞いたことないのか?」

 

「いえ、そんな話は……」

 

夜空自身知らないか……一体どんな奴なんだ

 

「はっきり言わせてもらうとそいつと戦わないほうがいいわ。貴方達では勝てないわ」

 

はっきりと断言しやがった。そこまでやばい奴なのか……

 

「まぁそいつに対抗できる人間がいるとしたら、神から武器を授かり、運命を変えた人間くらいかしらね」

 

「そんな人がいるのか……」

 

「というか神からって……」

 

僕と夜空の二人がそう言うと、天の神は笑みを浮かべた。

 

「知る限り三人ね。未来のことになるから詳しくは言えないけど……」

 

「あの、神様を怯えさせた魔導師の人は?」

 

「彼女の場合は……どうかしらね。とりあえずそっちの貴方にこれを渡しておくわ」

 

天の神はなのはに一本の鍵を渡した。これって僕らが持っているものと同じ……

 

「もし魔導の力で太刀打ちできなかったら、そのデバイスというものに使ってみなさい。あとこれさえあればそっちの三本の鍵を持つ人間の世界に行けるわ。それじゃ」

 

天の神はそう言い残して姿を消すのであった。何というか言いたいことを言って帰っていったな……

 

「夜空たちがいた時間より少し未来で……決着が着くのか」

 

「何だか長い戦いですよね。空さんや若葉さんたちから始まって……」

 

「まぁどんな結果になるのかは夜空、須美、園子、銀だけが知るのか……応援してるぞ」

 

「はい」

 

夜空を応援しながら、天の神との話し合いは終わりを告げるのであった。




新たな敵の存在を出しつつ、次回でAS編は終了。幕間を挟んでStrikerS編となります。

例の存在と対抗できる人間は……まぁ彼らのことですね。


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32 それぞれの世界へ

「それじゃ先に帰るんだな」

 

「はい」

 

防衛システムとの戦いから数日が経った。僕らも元の世界に帰ることになった。

 

「本当にいろいろとありがとうね。はやて」

 

「ええんよ。須美ちゃん。またいつでも遊びにね」

 

「よっくん、そこら辺は?」

 

「まぁ大丈夫だと思うけど……」

 

「なぁ夜空、私は本当に戻っていいのか?一応死んだことになってるし……」

 

「一応前もって大赦には死んだことにしないようにって言っておいたから大丈夫だと思うけど……」

 

「僕らもそうだけど、お前らの方も頑張れよ」

 

「空さん……空さんたちも頑張ってください」

 

僕と夜空は互いに拳を合わせた。本当に未来のことは任せたぞ。夜空

 

「それじゃ帰ろうか。ランディニ」

 

『はい』

 

夜空がランディニを使い、白い扉を開いた。四人は扉の中へと入り……

 

「それじゃまた」

 

手を振りながら元の場所へと戻っていくのであった。

 

「帰っちゃったな……」

 

「まぁまた遊びに来るって言ってたしな……」

 

「せやな」

 

「それでテスタロッサたちの方は大丈夫なのか?」

 

シグナムがフェイトたちの事を聞いてきた。フェイトたちの場合は……まぁ千景が何とかしてくれるだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景SIDE

 

アリシアの今後の事が気になり、私はアリシアの所に訪れていた。

 

「それで結局貴方はどうするの?」

 

「どうするって……」

 

「プレシアとフェイトと再会できたのだから、こっちに残っていいのよ」

 

「あ~実は言うと私ね。千景お姉ちゃんたちと一緒に残ろうと思ってるの」

 

「貴方……本当にいいの?折角……」

 

折角再会できたのだから家族一緒に住んでもいいのに……

 

「うん、このことはね。ちゃんとママたちと話し合ったの。私にはまだやるべきことがあるから……まだ帰れないって」

 

やるべきこと……バーテックスとの戦いのことね。確かに彼女の場合はそういう役目を担うようになっていたわね

 

「中途半端で終わりにしていいものじゃないから……それに空が言ってた例の存在っていうのも気になるから……」

 

「そう……」

 

この子はきっと考えて考えて、ちゃんと答えを出したんだ。だから私はこれ以上色々と言う必要はない。

 

「それにね。千景お姉ちゃんの恋人との関係が気になるから」

 

「それは気にならなくていいから」

 

「えぇ~お姉ちゃん、こっちに来てから偶に端末の写真を見てるじゃない。ものすごく会いたいんでしょ」

 

「貴方ね……」

 

呆れながら私はアリシアの頭を撫でるのであった。

 

「えへへ~そういえば聞いた?」

 

「何を?」

 

「実は……」

 

アリシアから語られたこと、それは……上里くんと高嶋さんのことについてだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空SIDE

 

帰る準備をしている中、部屋に友奈が訪ねてきた。

 

「どうしたんだ?準備終わったのか?」

 

「うん、何とか……それで……その……」

 

「ん?」

 

「この間のお返事なんだけどね」

 

「返事……」

 

返事って言われて最初は何のことか分からないでいた。頑張って思い出していくと……

 

「返事って……あっ……」

 

「空くん、忘れてたの?」

 

「いや、色々とあったから……そ、それで……」

 

「う、うん……その……私、高嶋友奈は……」

 

友奈は顔を赤らめながら、僕のことをじっと見つめた。そして友奈はずっと悩み続けて出した答えを告げた。

 

「空くんの事が好きです。だから……お付き合いしてください」

 

「友奈……」

 

僕はそっと友奈の事を抱きしめた。友奈は体を震わせていた。

 

「お付き合いしてくださいって……」

 

「えへへ、だってなんてお返事すればいいのかわからないから……」

 

「そっか……」

 

「ちゃんとみんなに言ったほうがいいよね」

 

「そうだな。特に……」

 

千景としっかり話し合わないと行けない気がするからな……

 

「空さん、少しお聞きしたことが……」

 

すると突然部屋になのはが訪ねてきた。なのはは僕らの現在の状況を見て顔を真赤にさせていた。

 

「え、えっと……お邪魔しました」

 

なのははものすごい勢いで扉を締めるのであった。何というか……申し訳ない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから僕らの帰還の日、その前の日には友奈と付き合うことになったことをみんなに伝え、千景には泣かせたりしたら許さないと釘を差されたりした。

 

「今回も助かった」

 

「いいってことよ。今度はそっちから遊びに来いよ」

 

「それもいいですね。せっかくですからその時はみんなで温泉にでも入りましょうか」

 

ひなたが笑顔でいう中、なのはは僕にあるものを見せた。

 

「確かこの鍵で行けるんですよね」

 

「あぁ、あとはレイジングハートに差し込めば、何かしら出来るって聞いたけど……」

 

「それと昨日、あの神様がいい忘れたことがあるって言って……」

 

「いい忘れたこと?」

 

「はい、『他の人間に渡してもいいが、その時はちゃんと適正があるか確認するように』って」

 

適正って……何のだよ

 

「まぁ使わないことがあればいいな」

 

「はい」

 

なのはの持っている鍵……どんな力が宿っているのか気になるけど……そのうち分かるだろうな。

僕は鍵を使い、扉を出現させた。

 

「それじゃまたな」

 

みんなにそう告げ、僕らは元の世界に戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日前

 

海上に2つの影があった。

 

「バーテックスが合体するなんてね……本当に驚きだよ」

 

「魔法の力が混ざりあったから……」

 

「でも良かったね。これで全部だよ」

 

「あぁ……後は……」

 

「また時を渡らないとね。りっくんを元に戻すために」

 

「本当にいいんだぞ。これは僕の……」

 

「だめだよ。好きな人が苦しんでるんだから……それにその鍵が言ってたんだからさ。助けるために必要なことだって」

 

「あぁ」

 

「それじゃ行こうか。この世界の十年後あたりね」

 

 

 

 

 




次回は幕間をはさもうかと思いましたが、StrikerS編になります


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StrikerS編 33 転移した場所は……

空SIDE

 

元の世界から戻ってから一ヶ月がたった。バーテックスの進行はなく、僕らは平穏の中を過ごしていたのだが……

 

「何で急にあの世界に?」

 

「やっぱり前にひなちゃんたちが見た神託のことなの?」

 

友奈が言う神託。これまで以上の数と大型のバーテックスが数体、現れるということだった。そのため僕はあの世界に行き、少しアネモネの調整をしてもらおうとしていた。

 

「備えておく必要があるからな。まぁちょっと遊びに行く感じだから」

 

「良かったわね。アリシア」

 

「うん、フェイトたちに会えるから楽しみ~」

 

「タマはヴィータに会うのが楽しみだな」

 

「タマっち先輩とヴィータちゃん、仲いいもんね」

 

「みーちゃん、あっちに着いたらなのはたちに任せた畑の様子を見に行こう」

 

「うん、うたのん」

 

みんな、あっちに行けるのが楽しみだった。とりあえず僕は扉を出現させ、あちらの世界に行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

ある日の事。僕は部室にみんなを呼び出していた。

 

「どうしたのよ?急に呼び出して……」

 

「夜空君、何かあったの?」

 

「もしかして大赦から壁を破壊したことの……」

 

風先輩、友奈、東郷がそんな事をいう中、僕の隣にいる園子がケースを開けた。そこには勇者に変身するための端末が入っていた。

 

「もしかしてバーテックス絡み?」

 

「で、でもしばらくは戦うことがないって……」

 

夏凜、樹が心配そうにいう中、園子は首を横に振った。

 

「今回みんなに頼みたいことはね。改造した端末の試運転をしてもらいたいの」

 

「「「「「改造?」」」」」

 

「前に言ったけど、この間の戦いに使っていたのはまだ未調整の勇者システムだった。それでみんなに辛い思いをさせたから……そのために頑張って改造して……カートリッジシステム付きで完全に体に負担が少ない勇者システムを作ったんだ」

 

「わっしーは知ってるよね。前に使ってたから」

 

「え、えぇ……でも私達の場合は……」

 

「体の負担が少なくしておいたし、散華は無くした。精霊防御もちょっと前よりかは落ちてるけど……」

 

僕はそう言うと、樹が端末を取った。

 

「夜空さん、私は夜空さんのことを信じます」

 

「樹……」

 

「あんたら、いちゃつかないでくれない?」

 

「本当に……樹も好きな人の前で積極的になってよかったわ」

 

風先輩はそう言いながら、端末を取った。そして他のみんなも……

 

「それじゃ早速やってみるか」

 

「「「「「「変身」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

変身したはずなのに気がついたら電車の中にいた僕ら……

 

「見た目は変わってないみたいね。でも武器に何だか変な装置が……ってここどこよ!?」

 

「先輩、ツッコミ遅いですよ」

 

「夜空!ここどこよ!?」

 

「電車の中みたいですね」

 

「システムの調整ミスかな?」

 

園子の言う通りかもしれないけど、何でいきなり電車の中に転移するんだよ……

 

「電車だよね?でも……」

 

「まぁ貨物列車みたいなものじゃない?とりあえず運転手に事情を話して……」

 

「みなさん!?見てください」

 

樹が窓の方を指さした。僕らも見てみると何だか空の色が違う……樹海とは違うし……

 

「ここ本当にどこよ!?」

 

「ランディニ、現在地の確認を!」

 

『了解!』

 

ランディニが作業を始める中、園子があることに気がついた

 

「もしかしてここって、ミッドチルダじゃない?」

 

「ん?あぁなるほど」

 

「私達が飛ばされるとしたらそれしかないわね。夜空くん、連絡をしたほうが」

 

「そうだな」

 

「ってあんたらだけで話を進めんじゃないわよ!!」

 

「もしかして前に言ってた平行世界ってところなの?」

 

「それじゃ前に二人が言ってた友達に会えるんだね」

 

友達って言うか……僕らよりもちょっと年下の子達だからな……

 

「でも折角会いに行くんだったらミノさんも連れてくればよかったね~」

 

「銀は今……」

 

「防人組の方で忙しいみたいだからな……」

 

そんな事を話していると、突然前の方から変な機械が数十体現れてきた。

 

「警備ロボってところかしら?」

 

「えっと、あの私達は……」

 

友奈が事情を話そうとしたとき、ロボットからビームが発射された。僕は咄嗟に障壁で防ぎ、東郷が撃ち抜いていった。

 

「友奈ちゃんが説明しようとしているのに……問答無用で襲いかかるのは良くないと思うわ」

 

東郷の警告を無視して、ロボットが襲いかかってきた。僕らは武器を構え、ロボットを破壊していく。

 

「後でリンディさんに言って、弁償してもらおう」

 

「その方がいいよね~」

 

「あんたら、そういいつつ楽しそうに破壊してるじゃない」

 

いや、だってこういうのって高そうだから……すると後ろの方から誰かがやってきた。

 

「あれ?ねぇ、ティア、人が乗ってるよ」

 

「おかしいわね。リイン曹長は人が乗ってないって……」

 

青い髪に、手には拳具を装備した少女とオレンジ髪に2つの銃を持った少女が僕らの方を見ていた。

 

「夜空、あんたの知り合い?」

 

「いや、知り合いじゃないけど……」

 

「何だか聞き覚えのある名前が聞こえたけど……」

 

リインって、リインフォースのことだよな?この子達は知っているのか

?すると奥の方から球体のロボットが現れた。

 

「ガジェットが!?」

 

「そこの人たち、逃げ……」

 

「ランディニ。シャドウ・バスター!!」

 

球体に向かって砲撃をし、破壊することができた。すると何故か二人の少女は驚いていた。

 

「嘘……魔導師なの?」

 

「でも今回の作戦は六課が担当だって……」

 

何だかよく分からないけど、この二人は管理局の人って言うことでいいのか?まぁ色々と話をしたいから……

 

「みんな、僕の後ろに……空さん直伝!!サーチアンドシューティング!!」

 

無数の魔力弾を発射し、前の方にいるロボットを破壊していく。だけど……

 

「どうにも魔法が効きにくい気がするんだけど……まぁいいか。ランディニ、敵反応は?」

 

『すべて破壊してあります。敵機は魔法を多少無力化する力があるみたいですが……魔法を打ち消しても勇者の力が宿っている時点で意味はなかったみたいですけどね』

 

魔法を打ち消すか……それでもほんの少しの勇者の力が上手く反応できているみたいだな。

 

「とりあえず色々と終わったみたいだし、ランディニ。連絡をは取れたのか?」

 

『ふむ、どうにも難しい感じですね。ここに来た時に故障したのでしょうか?』

 

故障って……まぁいいや。

 

「そこの二人、悪いんだけどある子に連絡をしてほしんだ」

 

「ある人?」

 

「高町なのはって奴に、上里夜空が……」

 

「「なのはさん!?」」

 

何故かなのはの名前を出したらすごく驚かれたんだけど……というか明らかになのはより年上だよな。この二人……

 

すると列車が停まり、僕らは二人の少女……青髪の方はスバル、オレンジ髪はティアナの二人に案内され、外に出た。するとそこには……

 

「ガジェットの反応が急に消えたと思ったら……お久しぶりです」

 

白いバリアジャケットに、見覚えのある杖を持った女性が待っていた。まさかと思うけど……

 

「えっと」

 

「もしかして……」

 

「そんなことって……」

 

僕、園子、東郷の二人は驚きを隠せないでいた。まさか目の前にいる女性が……

 

「はい、お久しぶりです。夜空さん」

 

「「「なのは!?」」」

 

 



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34 十年越し、二年越しの再会

僕、東郷、園子は突然の再会で驚きを隠せないでいる中、友奈、風先輩、樹、夏凜、スバル、ティアナたちはと言うと……

 

「あれ?知り合いじゃないの?」

 

「でも前に聞いた話じゃまだ9歳位の女の子だって……」

 

「どうみても私達より年上じゃない!?」

 

「それに……」

 

樹は自分の胸となのはの胸を見比べていた。いや、いちいち比べなくていいから……

 

「知り合いじゃないの?」

 

「何だか複雑な事情でもあるのかしらね?」

 

「えっと……なのはでいいんだよな」

 

「はい」

 

「なのちゃん、二年ですごく成長したね~」

 

「そのっち、二年じゃないと思うけど……」

 

「二年?あの夜空さんたちと会うの十年ぶりなんですけど」

 

「「「十年!?」」」

 

何なんだこの時間の違いは……すると金髪の女性と赤髪の少年、ピンク髪の女の子がこっちにやってくるのが見えた

 

「なのは、どうかしたの?ってもしかして夜空たち?」

 

「その声……フェイトでいいのか?」

 

「フェイタンも十年後みたいだね~」

 

「夜空君、もしかしてシステムの不具合で十年後の未来に転移したとか?」

 

「かもしれないな……」

 

とりあえず僕らはなのはたちに色々と落ち着いて話したいと言うと、自分たちが現在所属している舞台の部署まで連れて行ってくれることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはとフェイトの二人に僕らは部隊長室に案内された。機動六課の部隊長……まぁなのは、フェイトと来たんだから……

 

「久しぶりやね。夜空さん、須美ちゃん、園子ちゃん」

 

やっぱりはやてだったか……というか部隊長って……

 

「須美って、東郷の昔の名前だっけ?」

 

「はい、あのはやて、今は鷲尾須美じゃなくって東郷美森なの」

 

「ん~なんか色々とあったみたいやね。それに一緒に来た子たちの中に見覚えのある子がおるんやけど……」

 

はやては友奈のことをじっと見つめていた。まぁ僕も初めてあった時は驚いたけど……

 

「えっと……」

 

「高嶋友奈さんじゃないんよね?」

 

「えっと、私、結城友奈です」

 

「何だか夜空が入部したときみたいな感じね」

 

「確か夜空たちが平行世界であった300年前の勇者の一人に友奈そっくりな奴がいたって話だっけ?」

 

「写真とかないんですか?」

 

写真は……僕らは持ってないな。

 

「なのはちゃんたちから聞いた話だと、夜空さんたちは、前に会ったときから二年後……」

 

「私達からしたら十年……」

 

「時間の流れなのかな……夜空さんたちはこの二年間何があったの?」

 

「この二年間……」

 

僕は東郷、風先輩の方を見た。二人はただ黙ったまま頷いた。話すべきだよな

 

「まず……色々と話す前に僕らの世界のこと話すべきだよな」

 

「確かバーテックスに進行されていて……夜空さんたちはバーテックスと戦ってるんだよね」

 

「うん、だけど僕らの世界は……四国だけしか残ってないんだ」

 

「四国だけって……」

 

「でも、空の話じゃ街は壊滅してるけどって……」

 

「あの天の神やね。何かしらの力を発揮したって言うことって考えてええの?」

 

「あぁ」

 

300年前、勇者たちが大規模侵攻でバーテックスと戦っている最中に隙をつかれ、四国以外の全てが炎の世界へと作り変えられた。

それから長い歴史の中でバーテックスとの戦いを繰り広げていった。

 

そして僕らが帰還し、少ししたあとのこと……

 

「それじゃ銀は……」

 

「あぁ大赦側は、銀を勇者から下ろすって話になった」

 

「それって……納得は……」

 

「わっしー、落ち着いて、これは別に悪いことじゃないんだよ。ミノさんは勇者じゃなくなったわけじゃなくって、ミノさんが使っていた勇者システムを改良。ミノさんには新たな勇者システムを作り上げるまでの間、休んでもらうことになってるの」

 

「新たな勇者システム……」

 

「あっちで使っていたカートリッジ式はまだ不安定だからな。負担を減らすば威力は落ち、威力をあげれば負担が大きい……安定させるために銀にはシステムの実験に付き合ってもらうことになってる。まぁそれだけじゃないけどな……」

 

壁の外の調査ということで、現在作られている防人システムの調整を手伝ってもらっている。それに銀には防人に選ばれた子たちの鍛錬教官をしてもらうために、今も頑張ってくれているからな。上里家に残されたトレーニングメニューを使って

 

「システムの安定のため、しばらくはカートリッジ無しでの戦いになるけど……二人共絶対に無理だけはするなよ」

 

「それは……」

 

「夜空くんもだよ」

 

言われてしまった……いや、僕は無理は……結構してるかもしれないな

 

「とりあえず次の戦いはかなり大きいものになるから……気を引き締めていこう」

 

「「おぉー」」

 

それからバーテックスの大規模な進行が始まった。敵の力は強大で、須美と園子は満開を使わざるおえなかった。

満開には後遺症として散華と呼ばれる体の一部が欠損してしまうものがある。

須美は二回使用し、両足の機能と記憶を失い、園子は20回満開を行い、動けない体になってしまった

 

僕は二人に大きな負担をかけてしまったことを悔いた……もう誰にもこんなつらい思いをさせたくない

だから……

 

 

 

 

 

 

「そんな事が……」

 

「でも須美は……じゃなかった。東郷は私達のことを覚えてるってことは……」

 

「はい、記憶は戻ってます」

 

「そこら辺の話もしないとね。ここにいる勇者部のみんなのことを……」

 

 

 

 

 

 

 

 

二年後

 

僕は勇者になる確率が最も高い讃州中学の勇者部に所属することになった。

風先輩は大赦の関係者のため、僕の事情を知っていたけど……

 

「えっと結城友奈です」

 

「あぁ、ごめん。知り合いに似てたから……」

 

記憶を失った須美の友達である友奈と初めて会った時は本当に驚いた。友奈さんにそっくりだったから……

 

そしてバーテックスの進行で友奈たちは勇者になり、僕は魔導師としてバーテックスと戦うことになった。

 

だけどまた大規模侵攻で、夏凜以外のメンバーは満開をしようし、散華を受けた。

そして園子は友奈と東郷の二人に満開と散華の事を話し、東郷には壁の外のことを話した。

 

このとき使っていた勇者システムは精霊は主を絶対に死なせないようにしているが、それは死ぬことなく戦い続けることだと気がついた東郷は、世界を破壊しようとした。

僕らは東郷を説得し、友奈の活躍によって何とかバーテックスの進行を止めることができた。

 

 

 

 

「美森ちゃんは無理するな~」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「でも何となく分かるよ。友達のためになんとかしようとしてたのって、うちの子たちと同じやから……」

 

はやては守護騎士たちのやったことと東郷がやったことを重ねていた。確かに誰かのために、悪いことだってわかった上で行動するところは似てる気がする……

 

「それでその完全に安定した勇者システムの実験で、こっちに転移したってことでいいのかな?」

 

「そうなんだよ。鍵の力を使えば戻れると思ったんだけど、どうにも無理そうだし……」

 

「それじゃはやてちゃん」

 

「せやな。勇者部の部長さん」

 

「ん?」

 

「こっちにいる間でいいんだけど、協力してもらっていいかな?私達も今はある事件を追ってるんや。そのためには魔導師だけじゃなくって、もしかしたら勇者の力が必要になるかもしれへん」

 

「断ったら追い出すとかは?」

 

「しないよ。そんな事、絶対に」

 

フェイトは力強く答えた。すると風先輩は笑みを浮かべた

 

「まぁここで協力しないって言ったら部員全員に怒られるしね。それに私自身、断る気はないから!協力するわ」

 

こうして僕らは機動六課に協力することになった。とはいえ……

 

「所で夜空さんにちょっと聞きたいことがあるんやけど」

 

「何だよ?」

 

「夜空さんも年頃やから勇者部の誰かとお付き合いとかしてるん?」

 

はやて……お前な……

 

「まぁいるけど……」

 

「そこら辺、詳しく聞きたいな~」

 

何だか絶対に誂われるなこれ……僕は黙ることにしたのだった。

 

 




空たちの出番は……いつになるのか……


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35 空が未来に残したもの

機動六課に協力することになったのはいいけど、なぜか僕らは訓練場に来ていた。

 

「なぁ、なのは。何でこんなところに連れてきたんだ?」

 

「ほら、夜空さんたちがこれから協力することになったからみんなのことを紹介しようと思って」

 

なのはに案内された所にはスバル、ティアナの他に二人と見覚えのある二人がいた。

 

「よぉ、夜空、須美、園子じゃんか」

 

「久しいな」

 

「シグナムさん。お久しぶりです」

 

「ヴィーたんも久しぶり~」

 

「おい、園子、その呼び方やめろ」

 

「えぇ~」

 

シグナムさんとヴィータの二人は変わってないな……まぁプログラムみたいなものだから成長とかしないんだろうな

 

「機動六課の部隊についてちょっと説明するとね。スターズ、ライトニング、ロングアーチの3つに別れてるの。スターズは私が隊長で、副隊長はヴィータちゃん。ライトニングの隊長はフェイトちゃん、副隊長はシグナムさん。ロングアーチは部隊長のはやてちゃん、補佐としてリインフォースさんとリインちゃん。リインフォースさんはちょっと今度の任務の準備をしてて今はいないけど……」

 

「はじめまして、リインフォースⅡです。夜空さんたちのことは聞いてます」

 

ちっちゃいリインフォースが僕らの前に出てきた。もしかしてリインフォースの妹的な存在か?

 

「精霊って……訳じゃなさそうね」

 

「でもちっちゃくって可愛い……」

 

「風先輩、リインフォースさんはユニゾンデバイスと言って……」

 

「わっしー、それ長くなるから~簡単に言うと物凄い子なんだよ~」

 

園子、説明を面倒くさがるなよ……

 

「それで……スバルとティアナはもう会ったよね。この子達はスターズの子で、ライトニングの子たちは」

 

「はじめまして、エリオ・モンディアルです」

 

「キャロ・ル・ルシエです。この子はフリードです」

 

赤い髪の子はエリオで、桃色の髪の子はキャロで、ちっちゃい龍はフリードか……そうだよな。普通にドラゴンとかいる世界だもんな……絶対に銀あたり喜びそうだな

 

「それでちょっとお願いがあるんだけど……」

 

「お願い?」

 

「折角だから模擬戦やってもらえないかな?」

 

模擬戦って……まさかこのために僕らをここに連れてきたって言うことか。まぁ僕らの実力を見たいって言うのもあるんだろうな。僕は先輩の方を見た。

 

「面白そうじゃない。でもそっち人数が少ないけど大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「それじゃ始めるか」

 

「じゃあ私がスタートの合図をしますね。スタート!」

 

リインが合図を出した瞬間、友奈、園子はスバルへ向かっていき、夏凜、先輩はエリオのところへ、樹、僕、東郷の三人は後ろへ下がり援護することになった。

 

「ウィングロード!」

 

スバルが地面を思いっきり殴ると同時に空色の道路が出来上がり、スバルは友奈から逃げていく。自分の得意なフィールドで戦うつもりか……それだったら……

 

「シュート!」

 

僕は魔力弾を放ち、スバルの動きを止めていくが、放った魔力弾はティアナに撃ち落とされていく

 

「射撃ね。それだったら私の出番!」

 

東郷が二丁の銃を取り出し、ティアナの魔力弾を撃ち落としていく。先輩たちの方は、エリオのスピードに対して先輩が大剣でルートを防いでいって、夏凜が攻撃を仕掛けていく。園子は友奈の動きに合わせて上手くサポートに回ってるし、樹は補助に回ってるキャロの妨害……

 

「みんな上手く立ち回ってるけど……」

 

みんなの動きを見ながら、僕はあることに気がついた。どうにもみんな……特に友奈、先輩、樹の三人は攻撃することを躊躇ってるな……原因は何となく分かってる

 

逆に東郷、園子は十年前に空さんたちと戦ったし、夏凜は訓練していたからか慣れてるな。

僕はなのはの方を見ると、なのははすぐに模擬戦中止するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

模擬戦が終わり、僕はなのはに呼び出された。

 

「あの子達は……対人戦の経験はないみたいだね」

 

「まぁ今まで化物と戦ってきたからな……」

 

「須美……東郷さんと園子さん、夜空さん、夏凜さんは慣れてるみたいだけど……」

 

「僕らの場合は前から経験してるし、夏凜は勇者になる前の鍛錬で対人戦を経験してるから……空さんが残してくれた鍛錬本の言うとおりにして……」

 

上里家に伝わる鍛錬本……今では勇者たちの育成に必要なものになってる

 

「そっか……実はね私も空さんからもらったものがある」

 

なのはは一冊のノートを僕に見せてきた。これって……大赦にある鍛錬本……

 

「あの戦いの後に私達は空さんたちの所に行ったの。その時、この本をもらったの。もしかしたら必要になるかもしれないって……この本に書かれたものを基盤として、今はフォワードのみんなに教導してるんだよ」

 

なのはは嬉しそうに語っていた。時間の違いで会えないけど、空さんが残してくれたものは未来で大きく役に立ってるんだな……

 

「そういえばはやてちゃんから聞いたけど、あの樹ちゃんとお付き合いしてるんだっけ?」

 

「あいつ……というかなのはもそういうのが気になるタイプか?」

 

「気になると言うか……てっきり東郷さんたち三人の誰かとお付き合いするのかなって思ってたんだよね。どういった経緯で付き合うことになったの?」

 

これは話さないといけないのか……仕方ないか……というかいつの間に僕が樹と付き合ってること知ってるんだよ

 

「なのは、誰から聞いた?」

 

「ん?はやてちゃんがそうじゃないかなって言ってたよ」

 

あの野郎……まぁなのはに話しても大丈夫そうだな

 



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36 夜空と樹

あれは夏凜が讃州中学に来る前あたりのこと……

 

依頼の関係なのかその日は僕と樹しかいなかった。だからなのか……

 

「………」

 

「………」

 

会話がない。樹も自分から話すような子じゃないし……僕から話せばいいんだけど……何を話せばいいのか分からないでいた。

 

「あの……」

 

「ん?何だ」

 

珍しい……樹から話しかけてくるなんて……

 

「夜空さんって、勇者じゃなくって魔導師なんですよね」

 

「あぁ、そうだよ。一応勇者の素質はあるけど、それでも魔導師の素質のほうが高くって……」

 

「あのやっぱり戦うのって怖いんですか?」

 

「……そうだな」

 

樹の質問……未だにバーテックスとの戦いは怖いよな。だけどそれが正しいことだ

 

「怖いって言うよりかは一緒に戦う仲間を守ってあげないとっていう気持ちが強かったな」

 

「守る……ですか?」

 

「前にも話したけど、僕は勇者部のみんなよりも前にバーテックスとの戦いを経験したことがあるんだ。最初は怖いって思ったけど……人々のために戦う子たちのことを見ていて思ったんだ。彼女たちが人々を守るなら僕は彼女たちを守らないとって……」

 

だからこそ銀を別世界に送ったりしたし、満開の後遺症をなくそうとカートリッジシステムを組み込んだりしたけど……結果的には……

 

「あのだからでしょうか?たまに辛そうにしているのって……」

 

「辛そうか……そうかもしれないな」

 

僕は今度こそみんなを守りたいって思ってる。そのたびにベッドで動けないでいる園子のことを思い出してしまう。もうこんな風につらい思いはさせたくなって……

 

「あのもし私で良ければなんですけど……力になります」

 

「樹……ありがとうな」

 

僕は樹の頭を撫でた。樹は少し恥ずかしそうにしていた

 

「あっ、ごめん。つい妹にやる感じで……」

 

「妹さんですか?」

 

「あぁ今は12歳で、大赦の方で同じ歳の子と一緒に巫女の役目をやってる」

 

今はゴールドタワーでお役目をしてるって言ってたな。

 

「なんて名前なんですか?」

 

「ん?夕空って書いて、『ゆら』だよ」

 

それから樹とは他愛のない話で盛り上がった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、大規模侵攻の後、夏凜以外のみんなが満開を行い散華をしてしまったある日

 

「樹?どうしたんだ?急に呼び出して」

 

急に樹から呼び出され、校舎裏にやってきた僕。すると樹はスケッチブックを取り出し、何かを書き始めた。

 

「樹……」

 

樹が僕にある文字を見せた。それは……

 

『好きです』

 

「好きって……急にだな」

 

『ずっと言いたかったんです。でも勇気が出なくって……』

 

勇気が出ないか……いつから僕のことを好きだったのか気になるけど……

 

『でもちょっと残念です』

 

「残念?」

 

『文字じゃなくって、ちゃんと私の声で好きって言いたかったです』

 

樹は申し訳なさそうにしていた。僕はそんな樹をギュッと抱きしめた。

 

「大丈夫。ちゃんと伝わってるから……付き合おう」

 

僕がそう告げた瞬間、端末にメッセージが入った。それは風先輩が大赦に向かっているというものだった。何が起きたのかわからないけど……

 

「止めに行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁそれから大きな戦いの後、樹の声が戻ってちゃんと付き合うことになったんだよ」

 

「へぇ~でも話を聞いてると、本当に大変な戦いだったんだね……」

 

「あぁ300年前から続いてる戦いだったからな……」

 

「そういえば樹ちゃんのお姉さんには何かしら言われたりしなかったの?」

 

「ん?まぁ言われたけど……」

 

樹をいじめたり、浮気したりしたらぶっ飛ばすからと脅されたな……

 

「そういえば樹ちゃんが声が出るようになってから改めて告白されたりしたの?」

 

「……それは秘密だよ。特に扉の後ろで隠れて盗み聞きしてる二人には訊かれたくないからな」

 

僕は扉の方を見るとそこにははやてと園子の二人がいた。こいつら……

 

「あはは、バレてもうたな。園子ちゃん」

 

「私達としてはちゃんと聞きたいところだったんだけどね~」

 

「お前らな……」

 

お説教を始めようとするが、すぐに二人は逃げ出すのであった。

 

「とりあえず機会があったらな」

 

「その時は楽しみにしておくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なのはと別れた後、廊下で樹が待っていた。

 

「夜空さん、どこに行ってたんですか?」

 

「ん?まぁ色々と話しをしに……」

 

「そうですか……」

 

何だか樹の様子がおかしい。まぁ理由は分かってる。僕はそっと樹の頬に触れ

 

「大丈夫だよ。僕は樹のことが大好きだから……」

 

「夜空さん……はい、私は夜空さんが私のことが好きになる前から好きです」

 

樹が笑顔でそう告げた。声が戻った後に言ったあの言葉を……

 

 




次回は次の任務の話になります


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37 はじめての任務

僕らが機動六課に来てから数日が経った。そんなある日、なのはからある任務に参加してほしいと言われて、ヘリに乗って移動していた。

 

「任務って……私達も来てよかったのかな?」

 

「まぁ聞いた感じだと警備の仕事だって言うらしいけど……」

 

友奈と夏凜の二人がそんな話をしている中、ヘリの窓からホテルが見えてきた。

 

「あれがホテルアグスタだよ」

 

ヘリはホテルに着き、僕らは早速警備に着くのであったのだが……

 

 

 

 

 

 

 

 

オークションが行われる会場の入口では、チケットを受付の男に見せて次々と人が入っていく。はやてがチケットではなく、機動六課の身分証を見せた。

 

「あっ!」

 

身分証を見た受付の男は驚いた。

 

「こんにちは。機動六課です」

 

はやて、フェイト、なのは三人がドレス姿で受付の前に立っている中、なぜか僕はスーツ、園子はドレス姿で一緒にいた。

 

「何で僕らも?」

 

「中の方にも何かしらあるかもしれないからって思って」

 

「もしものことを考えてって、事前に風に話しておいたから大丈夫だよ」

 

フェイト、そうは言うけど……こういう格好はあんまり着慣れてないんだけどな……

 

「まぁ何事もなければいいよね」

 

なのはの言う通りかもしれないけど……ふっと気がつくと来客者の中に友奈みたいな後ろ姿を見つけた。追いかけようとしたけどすぐに人並みに隠れてしまった

 

「気の所為か?」

 

「どうしたん?」

 

「いや、なんでもない」

 

「そういえば~リインフォースも来るんだよね~」

 

「そや、ちょっと遅れてるみたいやけど、夜空さんたちに会うの楽しみにしてるよ」

 

リインフォースと会うのか……まぁ楽しみにしておいてもいいな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかこんな所に来るなんてね~まぁいいや。騒動が起きたら関係ないもんね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナSIDE

 

(今日は、八神部隊長と守護騎士団全員集合かぁ)

 

(そうね。あんたは結構詳しいわよね?八神部隊長とか副隊長の事…)

 

スバルと念話で話をしながら周辺を確認しながら、スバルに聞いた。

 

(うん。お父さんやギン姉から聞いたことぐらいだけど……。八神部隊長が使ってるデバイスが魔導書型で、それの名前が夜天の書。副隊長達とシャマル先生、ザフィーラは八神部隊長個人が保有してる特別戦力。で、それにリインフォース部隊長補佐とリインさんを合わせて七人揃えば、無敵の戦力って事。まぁこんな所かな。ティア、何か気になるの?)

 

(別に)

 

(そ。じゃ、また後でね)

 

スバルとの念話は終わり、一人考え込んだ。六課の戦力は、無敵を通り越して明らかに異常だ。隊長格全員がオーバーS、副隊長でもニアSランク。他の隊員達だって、前線から管制官まで未来のエリート達ばっかり。あの年で、もうBランクを取ってるエリオと、レアで竜召喚士のキャロ。危なっかしくはあっても、潜在能力と可能性の塊で、優しい家族のバックアップのあるスバル。そして十年前になのはさんたちと共に戦った勇者たち……

 

(やっぱり…うちの部隊で凡人は私だけか………)

 

一人で落ち込む。だけどそれでも私は立ち止まるワケにはいかないんだ。

 

そう決心していると夏凜がこっちにやってきた。

 

「真面目にやってるみたいね」

 

「任務だから……夏凜は?」

 

「ヴィータに言われて他の方の様子を見にね。まぁ気楽にやってるみたいね」

 

「気楽って……」

 

「仕方ないでしょ。私達は別に軍人とかそういう訳じゃないんだからさ」

 

「そうだけど……」

 

「でもやる時はやるから安心しなさい」

 

二人でそんな事を話していると突然クロスミラージュから警告音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャーリー!」

 

「はい!」

 

管制室にいるロングアーチのメンバーのシャリオ・フィニーノ、通称シャーリーが返事をした。管制室でも、ホテルに接近しているガジェットを感知した。ティアナがシャマルの近くまで駆け上がった。

 

「シャマル先生!私も状況を見たいんです。前線のモニターもらえませんか?」

 

「了解。クロスミラージュに直結するわ」

 

モニターを見ると大量のガジェットが姿があった。隊長たちも応戦している。

 

「私達も行くわよ!」

 

「えぇ」

 

私と夏凜はすぐにみんなと合流しに行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空SIDE

 

外が騒がしくなってきた。僕と園子は互いに顔を見合わせ……

 

「なのは、僕らは外に行く」

 

「みんなことが心配だからね~」

 

「わかった。何かあったらすぐに知らせて」

 

僕らは急いで外へと出て、みんなと合流した。どうにも別方向から転移してきたみたいだし、数も多く大変みたいだった。

 

(防衛ライン!もう少し持ちこたえてね!ヴィータ副隊長が、すぐに戻ってくるから!)

 

シャマルさんが念話で、スバル達に伝えた。ティアナの表情が険しくなる。

 

「守ってばっかじゃ息詰まります!ちゃんと全部倒します!」

 

(ちょっと…ティアナ大丈夫?無茶はしないで!)

 

「大丈夫です!毎日朝晩、練習してきてんですから!」

 

そう言いながら、クロスミラージュを構える。ティアナは、エリオとキャロに顔を向けた。

 

「エリオ、センターに下がって!私とスバルのツートップでいく!」

 

「は、はい!」

 

「スバル!クロスシフトA、いくわよ!」

 

「おお!」

 

スバルはウイングロードを使って、怪物達の注意を引き付ける。その隙にティアナは、カートリッジを四発もロードした。

 

(証明するんだ。特別な才能や凄い魔力がなくたって…どんなに危険な戦いだって)

 

ティアナの周りに、複数のオレンジ色の魔力弾が現れる。

 

「私は…ランスターの弾丸は、ちゃんと敵を撃ち抜けるんだって!」

 

クロスミラージュを構える。

 

「クロスファイヤーシュート!!」

 

無数の魔力弾が放たれ、ガジェットを破壊していく。だが一発だけそれてしまい、スバルに迫っていた。

 

「まずい!」

 

僕と駆けつけてきたヴィータが魔力弾を弾こうとするが、間に合わない。だけど一発の弾丸が魔力弾を相殺した。

 

「今のって……」

 

「間に合ってよかった。」

 

東郷が銃を持ってこっちにやってきた。東郷のおかげで何とかなったけど……

ティアナは自分がやったことに関して落ち込んでいた。

 

「ティアナ…お前……」

 

「ヴィータ、今は……」

 

叱ろうとするヴィータを止めようとした瞬間、ランディニから警告音が鳴り響いた。

 

『反応確認!』

 

「反応?何のだ?」

 

僕がそう聞いた瞬間、友奈たちの端末からアラームが鳴り響いた。

 

「これって樹海化警報?」

 

「でも音がいつもと違う……」

 

「何だか嫌な予感がするわね……」

 

「こっちにはいないって……」

 

「分からないけど、やるしかないわね」

 

「ヴィータん、悪いんやけどスバルんたちを下がらせたほうがいいよ。慣れてないと危ないから」

 

「おい、まさか……」

 

森の奥からなにか白いものが無数に姿を見せてきた。あれは星屑……

 

「バーテックスがなんで!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森のなかで、紫色の髪の少女とフードをかぶった男と赤髪の少女がいた。

 

「あれは?」

 

「バーテックスだよ。まぁあの白いの星屑って呼んでるけどね」

 

「お前が呼んだのか?」

 

「そう、まぁ呼んだのはりっくんだけどね。因みにちょこっとドクターに改造してもらったけどね」

 

「目的は何だ?」

 

「う~ん、挨拶代わりかな?」



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