遊戯王オリジナルストーリー (鈴木颯手)
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デュエルモンスターズ・ハイスクール編
第一話:プロローグ


デュエルモンスターズ。それはモンスター、魔法、罠といったカードでデッキを作り決められた勝利条件の元勝敗を決めるゲームである。

 

とある人物により開発されたソリッドビジョンシステムによりカードの実体化が可能となってからは更なる躍進を遂げ今ではデュエルに強いことが社会での最重要と言っても過言ではないステータスとなっていた。

 

そんなデュエルモンスターズは様々な地域で毎週のように大会が開かれていた。そこには大なり小なり規模は違えど様々なデュエリストが参加していた。

 

そしてここ、遊戯町では月に一度の大会が開かれていた。専用のデュエルスタジアムにはたくさんの観客とそれらに見守られている二人のデュエリストの姿があった。

 

一人は筋骨隆々の大男でライフを4200と半分以上も残していた。対するデュエリストはローブを羽織り顔の下半分と腕だけを露出させたスタイルをしていた。辛うじて声から男だと言うのが分かる程度である。

 

「ふん、その怪しげな姿の割には持った方だな」

 

大男は歓声響くスタジアムの中央から余裕の表情で目の前のローブの男に声をかける。大男の場には通常モンスターの『トライホーン・ドラゴン』に『ゴギガ・ガガギゴ』。『デーモンの斧』を装備した『ラビードラゴン』が存在していた。対するローブの男の場にはモンスターは存在せず魔法、罠カードも存在しなかった。更にライフは1300とどのモンスターで攻撃されても負けてしまうライフしか残されていなかった。

 

「まあ、あんな雑魚カードを使っている時点で勝負は見えていたという訳だ。さっさとサレンダーするんだな」

 

大男の言葉にローブの男は不敵に笑みを浮かべた。

 

「サレンダー?するわけないじゃん。なぜなら今から貴様が馬鹿にしたモンスターによって倒されるんだからな。俺は手札から魔法カードトライアングルソウルを発動!このカードの効果により墓地からレベル3以下のモンスターを三体まで特殊召喚する!現れろ!俺のモンスター達!」

 

ローブの男の声に合わせて三体のモンスターが場に現れた。

 

ワイト×3

ATK300 DEF200

 

「ふん、そんな雑魚カードに一体何が出来ると言うんだ?雑魚は雑魚らしく無様に這いつくばっていろ!」

 

大男は現れた三体のワイトを見てその様に言ってくるがローブの男は構わずに続ける。

 

「更に俺はチューナーモンスター屋敷わらしを召喚!」

 

「チューナーだと!?」

 

ローブの男の場に現れたモンスターを見て大男は驚く。今までローブの男が出したカードにはその様なモンスターはおらずただの雑魚カードの寄せ集めデッキと思っていたのだ。

 

「俺はレベル1のワイト三体と屋敷わらしをチューニング!出でよ!アンティーク・ジャンク・ドラゴン!」

 

四体のモンスターが光の球となって合わさり一つの大きな球になった。そして現れたのは巨大な機械の龍であった。

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100 DEF1800

 

「攻撃力2100?そんなモンスターで一体何が出来ると言うんだ!」

 

「アンティーク・ジャンク・ドラゴンの効果発動!自分の墓地に眠る攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき攻撃力と守備力を200アップする!俺の墓地には十枚のカードがある。よって」

 

「攻撃力、4100…!?」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100→4100

DEF1800→3800

 

「バトル!アンティーク・ジャンク・ドラゴンでトライホーン・ドラゴンを攻撃!更に速攻魔法リミッター解除を発動!これによりアンティーク・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は二倍になる!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK4100→8200

DEF3800

 

「く、おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

大男

LP4200→-1350

 

【試合終了!28年度エイプリルカップ優勝者は近藤遊大(こんどうゆうだい)に決定だぁ!!!!】

 

MCの言葉にスタジアムは歓声に包まれた。その中心にいるローブの男、近藤遊大はフードを外し観客に向かって笑顔で手を振った。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「お疲れ!遊大!」

 

大会参加者の控室から出てきた遊大を一人の少女が出迎えた。遊大より頭一つ分低い身長の少女は顔に満面の笑みを浮かべてタオルとドリンクを渡してくる。遊大はそれを受け取り声をかける。

 

「おう、いつもありがとな。瑠奈!」

 

遊大は目の前の少女、松井瑠奈(まついるな)の頭を撫でながら言う。彼女の家と遊大の家は隣同士で昔から家族ぐるみでの付き合いがあった。その為昔から瑠奈と遊大は一緒にいる事が多く。それは今でも変わっていなかった。

 

「これでジャニュアリーカップからの出場権は確保したぜ。年末の総決戦が楽しみだ」

 

遊大は今にも待ちきれないとばかりに語る。遊大がいるここ遊戯町は首都直下地震により壊滅した首都圏に新たに作られた街である。そしてデュエルモンスターズの為の町と言える程デュエルモンスターズに関連する施設が建てられていた。まさにデュエルモンスターズ界の聖地と言っても過言ではなかった。

 

そんな遊戯町では三年に一度総決戦と呼ばれる巨大な大会が開かれる。開催する年の一月から十二月までのカップ優勝者と世界各地からやって来る猛者二十四名の計三十六人で行われる。これに勝った者はチャンピオンとなり最高の栄誉が約束される。デュエリストにとっては目指すべき場所であった。

 

「遊大ならきっとチャンピオンになれるよ!僕も応援しているね!」

 

「任せろ!よし、早速総決戦に向けてデッキの調整に行くぞ!」

 

「おー!」

 

遊大の言葉に瑠奈は勢いよく返事をした。しかし、そんな二人に水を差すように声が聞こえてきた。

 

「…その前に入学試験を済ませるのが先だろうが」

 

後方から聞こえてきた声に二人はビクッとし恐る恐る後ろを振り返る。そこには遊大と同じくらいの男がいた。鋭い目つきに服の上からでも分かる鍛え抜かれた肉体。肩には竹刀袋を担いでいた。

 

「よ、よう(はじめ)。お前も来ていたのか」

 

「ああ、丁度剣道部の最後の鍛錬を終えてきたところだ」

 

遊大の恐る恐ると言った風の言葉に男、土方一(ひじかたはじめ)は淡々と答える。遊大は「そ、そうか」と答えたが瑠奈は遊大の後ろから少しずつ離れていた。

 

「松井」

 

「ひゃいっ!」

 

一に声を掛けられた瑠奈は思いっ切り噛みながら返事をする。

 

「たしかお前に遊大の勉学を見てくれと頼んでいたがそれはどうなっている?」

 

「え、え~と~」

 

一の問いかけに瑠奈はしどろもどろになりながら目を泳がせる。その様子を見て状況を察した一は深くため息を吐いた。

 

「…仕方ない。遊大、今すぐ戻って試験内容の復習をやるぞ」

 

「え″っ!?い、いや今はジャニュアリーカップを制した喜びを味わいたいのだけど…」

 

「そんな暇はないだろ。早く行くぞ。瑠奈もついてこい」

 

「はい…」

 

「え、いや、ちょ…。俺この後デッキの編成がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

遊大は一に引きずられる形で家への帰路につくのであった。

 




遊戯町十二カップ
遊戯町で毎月行われる大会の総称。それぞれ月の名前が使われており優勝者は「~カップ優勝者」と言われる。三年に一度行われる総決戦に出場できる条件の一つで日本ではこれに優勝するしか出場できない。優勝者は年が変わりジャニュアリーカップ開催まで出場は出来ない。

総決戦
デュエルモンスターズのチャンピオンを決める大会。三年に一度行われている。日本では遊戯町十二カップでの優勝が出場条件となっている。その他に世界各地から二十四人を合わせた三十六人で行われる。


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第二話:入学試験前編 咆哮するデストロイ・ジャンク・ドラゴン!

デュエルの描写が難しい…。


「これよりデュエルモンスターズ・ハイスクール試験デュエルを開始する!番号を呼ばれた者からデュエルコートに上がってこい!まずは受験番号200~191番だ!」

 

遊戯町十二カップジャニュアリーカップが終わってから一月後。フェブラリーカップを翌日に控える中遊戯町にあるデュエルモンスターズ・ハイスクール日本校では入学試験が行われていた。

 

入学試験は筆記試験と実技試験に別れており筆記試験の点数と実技試験におけるデュエルの腕前を点数化したもので合否が決定する。そして片方だけ良くても不合格になる可能性が高く受験するなら筆記も実技も出来なければいけなかった。

 

「ふぅ、少し緊張してきたな」

 

「そうか?いつも通りやればいいだけの事だろう?特にジャニュアリーカップ優勝者のお前なら楽々合格できるだろ」

 

受験生の控室にて他の受験生のデュエルをテレビ越しに見ていた遊大は若干震えながら呟きそれを隣に座っていた一が拾い上げで答える。

 

「それでも緊張するもんだろ?ここに入れるかで今後の人生が変わって来るんだからな」

 

「確かにな」

 

【続いて受験番号50~41番!デュエルコートに上がってこい!】

 

そんな事を話していると遊大の番となる。因みに遊大の受験番号は48番で一は22番である。これは筆記試験の成績のいい順番に組まれており中には順位が低く実技試験を行わずに諦める生徒もいた。

 

「よし、俺の番になったから行ってくるぜ」

 

「ああ、ジャニュアリーカップ優勝者の実力を見せて来い」

 

「おう!」

 

遊大は元気よくそう言って控室を飛び出しデュエルコートに向かって行く。走ってきたせいか遊大が一番乗りであり自身が行う八番のデュエルコートに向かって行く。途中実技試験用のデュエルディスクを受け取り左腕に装着してデッキをセットする。

 

「君が受験番号48番近藤遊大君だね?」

 

「は、はい!その通りです!」

 

「私が君の実技試験の相手だ。自分の実力を十分にだして戦ってくれ」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「「デュエル!」」

 

その言葉と同時にデュエルディスクが反応し起動した。

 

「先行は受験生からだ」

 

「わかりました。ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は手札から手札抹殺を発動!お互いのプレイヤーは手札を全て墓地に送り墓地に送った枚数分新たにドローする!」

 

近藤遊大

手札5枚→0枚→5枚

 

教師

手札5枚→0枚→5枚

 

「更に俺は手札の壊れた玉手箱の効果を発動!手札の攻撃力1000以下のモンスターを任意の枚数墓地に送り相手に500のダメージを与える!俺は手札のワイトと深淵の暗殺者を墓地に送る」

 

「くっ!」

 

所々ひび割れ穴が開いた箱が現れ中にあった黒い霧を教師にぶつける。

 

近藤遊大

手札4枚→2枚

 

教師

LP8000→7500

 

「更に深淵の暗殺者の効果発動!墓地に存在するリバースモンスター一体を手札に戻す。俺はサイバーポッドを手札に戻す。そしてモンスターを裏側表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンド」

 

「(ふむ、伏せているカードは恐らく手札に戻したサイバーポッド。ここまでのプレイングを見る限りモンスターは皆攻撃力1000以下。そんなに手札が悪かったのかな?)私のターン、ドロー」

 

教師

手札5枚→6枚

 

「私は手札から凡骨の意地を発動!そして手札から死者蘇生を発動!墓地のモンスター一体を特殊召喚する。私は曙光の騎士を召喚!」

 

曙光の騎士

ATK1400 DEF1200

 

「バトル!曙光の騎士でセットモンスターを攻撃!」

 

曙光の騎士が一気に駆け剣を上段に構えて一気に振り下ろした。そして破壊されたカードは、サイバーポッドではなかった。

 

「何!?」

 

メタモルポット

ATK700 DEF600

 

「メタモルポットの効果発動!お互い手札を全て捨ててデッキから新たに五枚ドローする!」

 

「まさかサイバーポッドを手札に戻したのはこれを悟らせないためか」

 

近藤遊大

手札1枚→0枚→5枚

 

教師

手札4枚→0枚→5枚

 

「更に墓地のジャンク・ドールの効果発動!自分の手札のリバースモンスターがカードの効果によって手札から墓地に送られた時ジャンク・ドールを墓地から特殊召喚する!来い、ジャンク・ドール!」

 

遊大の呼びかけに答えるようにボロボロの人形が姿を現す。来ている服はボロボロ、目は片方が取れ奥が見えるようになり体中から綿が出ている姿はごみに出した人形のようであった。

 

ジャンク・ドール

ATK0 DEF0

 

「だが、まだ私のターンは続いている私はメタモルポットの効果で手札に加わったワタポンを特殊召喚する!そして曙光の騎士とワタポンを生贄にラビードラゴンを召喚!」

 

ラビ―ドラゴン

ATK2950 DEF2900

 

「私はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

近藤遊大

LP8000 手札5枚

モンスター

ジャンク・ドール

魔法、罠

セット

 

教師

LP7500 手札1枚

モンスター

ラビ―ドラゴン

魔法、罠

凡骨の意地

セット

セット

 

ライフや手札では遊大が勝っているが教師の場には攻撃力2950のラビ―ドラゴンが存在しており遊大に大きなプレッシャーを与えていた。

 

「俺のターン!ドロー!…っ!よし、これで揃った」

 

引いたカードを見た遊大は勝利を確信したかの様に笑みを浮かべた。それは教師も見ており何か仕掛けてくると気を引き締める。

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「手札からトライアングルソウルを発動!」

 

「トライアングルソウル!?デメリットの大きいそのカードを入れているとは…」

 

教師は遊大の使用した魔法カードに驚く。トライアングルソウル、トライアングルゾーンの上位版でありレベル3以下のモンスターを三体まで特殊召喚出来る効果を持っている。ただしその効果に対してデメリットは大きく効果は無効化され更にはエクシーズ召喚に使用できずエンドフェイズにモンスターは破壊されこの効果で召喚したモンスター一体につき1000のダメージを受けると言うデメリットを持っている。その為このカードを使用する場合はワンターンで決着をつけるかダメージを軽減できる場合などに限られた。

 

「俺は墓地の寂れた玉手箱と壊れたブリキ人形、屋敷わらしを召喚」

 

寂れた玉手箱

ATK0 DEF0

 

壊れたブリキ人形

ATK0 DEF1000

 

屋敷わらし

ATK0 DEF1800

 

「攻撃力0のモンスターが場に四体…?一体何をするつもりだ?」

 

教師は遊大の意図が分からず首をかしげる。そんな教師に対し遊大は笑みを浮かべたままである。

 

「忘れていないか?屋敷わらしはチューナーモンスター、トライアングルソウルで呼び出したモンスターはシンクロ召喚は可能だぜ!俺は暴走賢者、ジャンク・ドールに屋敷わらしをチューニング!」

 

「レベル1のジャンク・ドールとレベル4の暴走賢者、そしてレベル3の屋敷わらしと言う事は…!」

 

「現れろ!デストロイ・ジャンク・ドラゴン!」

 

遊大の声と共に巨大な咆哮があたりを包み込み地面より巨大な龍が姿を現した。

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

「このカードの効果発動!シンクロ召喚に成功した時相手の場の魔法、罠カード一枚を破壊する!俺から見て右のカードを破壊する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンが再び咆哮をあげると教師に向かって衝撃波が放たれる。その勢いで教師の左側にセットされたカードが宙に舞い上げられ破壊された。破壊される前に見えたカードには『聖なるバリア‐ミラーフォース‐』と書かれていた。

 

「更にデストロイ・ジャンク・ドラゴンは自分の墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には攻撃力1000以下のモンスターは八体!よって攻撃力は」

 

「よ、四千二百…!?」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→4200

DEF2000

 

「バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでラビ―ドラゴンに攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンから黒いブレスが吐き出されラビ―ドラゴンをあっという間に包み込み破壊する。

 

教師

LP7500→6250

 

「くっ!ここまでやるとは…っ!」

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド。そして俺はトライアングルソウルの効果で2000のダメージを受ける」

 

近藤遊大

LP8000→5500

 

トライアングルソウルのデメリットをくらい一気に2000のLPを失った遊大だがデストロイ・ジャンク・ドラゴンの召喚により流れは一気に傾いていた。

 




デストロイ・ジャンク・ドラゴン
ATK2600 DEF2000 闇 ドラゴン族 レベル8
攻撃力1000以下のチューナー+チューナー以外の攻撃力1000以下のモンスター一体以上
①このカードは上記のモンスターとのみシンクロ召喚出来る。②このカードの召喚に成功した時相手の場の魔法、罠カード一枚を破壊する。③このカードの攻撃力は墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき200アップする。④このカードが戦闘で相手の効果モンスターを破壊した時相手のフィールドのカード一枚を破壊する。

アンティーク・ジャンク・ドラゴン
ATK2100 DEF1800 地 機械族 レベル6
チューナー+チューナー以外の攻撃力1000以下の通常モンスター一体以上
このカードの攻撃力、守備力は自分の墓地の攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき200アップする。戦闘で相手モンスターを破壊した時手札から攻撃力1000以下の通常モンスター一体を特殊召喚出来る。


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第三話:入学試験中編 デストロイVSアンティーク

遠回りをしている感じが半端ない。


「私のターン、ドロー!」

 

教師

手札1枚→2枚

 

「永続魔法、凡骨の意地の効果を発動!私は今引いたカードアレキサンドライトドラゴンを相手プレイヤーに見せもう一枚ドロー!」

 

教師

手札2枚→3枚

 

「…通常モンスターではなかったのでメインフェイズに移行。アレキサンドライトドラゴンを召喚!」

 

アレキサンドライトドラゴン

ATK2000 DEF100

 

「攻撃力2000とは言え何の効果も持っていない通常モンスターの召喚…一体何をするつもりなんだ?」

 

「私は魔法カード、強制転移を発動!」

 

「げぇ!?」

 

完全に予想外のカードに遊大は思わず声をあげてしまう。

 

「この効果により私の場のアレキサンドライトドラゴンと君の場のデストロイ・ジャンク・ドラゴンのコントロールを入れ替える!私の墓地には攻撃力1000以下のモンスターはワタポンしかいない。よってデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は下がるが…」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK4000→2800

DEF2000

 

「アレキサンドライトドラゴンの攻撃力は2000.破壊するには十分な数値だ。バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでアレキサンドライトドラゴンを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

LP5500→4700

 

先程まで教師に猛威を振るっていたデストロイ・ジャンク・ドラゴンは呆気なく遊大の場を離れ教師につきその力を遊大に向けて放ち始めた。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

近藤遊大

LP4700 手札4枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

 

教師

LP6250 手札1枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

凡骨の意地

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンのコントロール奪取により一気に遊大は追い込まれていた。手札は未だ4枚あるがそれでもこの状況を打破するのは難しかった。

 

「…ふ、面白い展開になって来たな!こういう展開があるからデュエルモンスターズは止められないんだ!行くぜ、俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札4枚→5枚

 

「俺は手札からギアギアングラーを守備表示で召喚!カードを一枚伏せてターンエンド」

 

「成程、ギアギアングラーの効果でモンスターをサーチするつもりですか。そうはいきませんよ。私のターン、ドロー」

 

教師

手札1枚→2枚

 

「私は手札から守備封じを発動!ギアギアングラーを攻撃表示に変更」

 

「っ!?しまった!」

 

「バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでギアギアングラーを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

閉じこもっていたギアギアングラーは一転してヤル気を出すが瞬間デストロイ・ジャンク・ドラゴンのブレスで塵も残らず消し飛ばされた。

 

近藤遊大

LP4700→2400

 

「ぐっ!だがギアギアングラーの効果で古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)を手札に加える。更に古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)の効果で攻撃力、若しくは守備力が500のモンスターを手札に加える。俺は古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)を手札に加える」

 

「私はこれでターンエンドだ。頑張りたまえ。このままでは君は不合格になってしまうよ」

 

「分かってますよ。俺だってこの位の逆境を乗り越えないと真のデュエリストになれないと分かっています」

 

近藤遊大

LP2400 手札6枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

セット

 

教師

LP6250 手札1枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

凡骨の意地

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札6枚→7枚

 

「俺は打ち出の小槌を発動!手札を任意の枚数デッキに戻しシャッフルする。その後デッキに加えた枚数分デッキからドローする!俺は3枚デッキに戻しシャッフルする。そして3枚ドロー!」

 

近藤遊大

手札6枚→3枚→6枚

 

「…俺は死者転生を発動!手札を一枚墓地に送り墓地のモンスターを手札に加える。俺はトラップマスターを墓地に送り屋敷わらしを手札に戻す」

 

近藤遊大

手札5枚→4枚→5枚

 

「そしてリバースモンスターが手札から墓地に送られたため墓地のジャンク・ドールの効果を発動!このカードを特殊召喚する!」

 

ジャンク・ドール

ATK0 DEF0

 

「更に攻撃力、守備力0のモンスターが召喚されたため手札の古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)を特殊召喚する!」

 

古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)

ATK500 DEF500

 

「そして俺は屋敷わらしを召喚!古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)とジャンク・ドールに屋敷わらしをチューニング!出でよ!アンティーク・ジャンク・ドラゴン!」

 

遊大の場に機械の龍が現れる。本来であれば肩を並べているはずのデストロイ・ジャンク・ドラゴンとアンティーク・ジャンク・ドラゴン。両者は敵と味方に別れて今体面を果たした。

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100 DEF1800

 

「アンティーク・ジャンク・ドラゴンの効果発動!自分の墓地の攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地にはワイトが一体のみのため200アップ」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100→2300

DEF1800→2000

 

「攻撃力2300。まだデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力には及んでいないが一体何をするつもりなんだ?」

 

「俺は手札から魔法カード追い風を発動!自分の場のモンスターの攻撃力をエンドフェイズまで500アップする!」

 

発動を宣言すると何処からともなく風が吹いた。するとアンティーク・ジャンク・ドラゴンに緑が光が現れる。

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2300→2800

DEF2000

 

「攻撃力2800!デストロイ・ジャンク・ドラゴンと並んだ!」

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴン…、今楽にしてやるからな。バトル!アンティーク・ジャンク・ドラゴンでデストロイ・ジャンク・ドラゴンを攻撃!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴンが咆哮を上げてデストロイ・ジャンク・ドラゴンに突っ込んで行く。デストロイ・ジャンク・ドラゴンはブレスを放ち迎撃するが一歩間に合わずアンティーク・ジャンク・ドラゴンに首元を嚙みちぎられ二体の龍は崩れるように破壊された。

 

「俺はターンエンドだ」

 

 




悲報デストロイ・ジャンク・ドラゴン寝取られる。


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第四話:入学試験後編 決着

今日二回目の投稿です。まだ四話だけだけど既にグダグダ展開になってます。


「まさか自爆覚悟で破壊するとは…。だが、これで君の場にモンスターは存在しなくなった。伏せられた二枚のカードが気になるが君の流れは完全に潰えたとみてまちがないだろう」

 

教師の言葉に遊大は一瞬きょとんとした顔を浮かべ直後急に笑い出した。

 

「?何かおかしなことを言ったかな?」

 

「ハハハハ、い、いや先生がおかしなことを言うもんだからつい…。…ふう、勝負はまだ分かりませんよ。デュエリストならライフが残り続ける限り戦わないと」

 

「…成程。ならば君の可能性を見せてもらおうか。私のターン、ドロー!」

 

教師

手札1枚→2枚

 

「私は凡骨の意地の効果を発動!今デッキから引いたギャラクシーサーペントを見せる事でもう一枚ドロー!…通常モンスターではなかったためメインフェイズに入る。私はギャラクシーサーペントを召喚!更に手札から戦線復活の代償を発動!場のギャラクシーサーペントを墓地に送り墓地からラビ―ドラゴンを特殊召喚する!」

 

最初の方からずっと墓地に眠っていた龍が今復活を果たした。咆哮を上げるラビ―ドラゴンは何処か嬉しそうである。

 

「バトル!ラビ―ドラゴンで攻撃!」

 

「リバースカードオープン!ホーリーライフバリアー!手札を一枚捨ててこのターン俺が受けるダメージを0にする。俺は手札から古代の機械箱(アンティーク・ギアボックス)を墓地に送る」

 

近藤遊大

手札2枚→1枚

 

「何とか防いだようだがここから一体どうするのかな?私はターンエンドだ」

 

近藤遊大

LP2400 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

 

教師

LP6250 手札0枚

モンスター

ラビ―ドラゴン

魔法、罠

凡骨の意地

戦線復活の代償(ラビ―ドラゴンに装備中)

 

「手札は1枚、ライフも残り少ないうえに相手のモンスターの攻撃をくらえばそれだけでアウト…」

 

遊大は呟きながらゆっくりとデッキに手をかける。そして一気に引いた。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札1枚→2枚

 

「…俺は魔法カードスペシャルハリケーンを発動!手札を一枚捨てて特殊召喚されたモンスターを全て破壊する!」

 

発動と共に突風がフィールドを襲いラビ―ドラゴンを破壊する。直ぐに呼び出されて直ぐに消されるラビ―ドラゴンは悲しげな咆哮を上げて再びに墓地に帰っていった。

 

「俺はターンエンドだ」

 

「中々粘りますね。ですがそれもここまでの様ですね。私のターン、ドロー!」

 

教師

手札0枚→1枚

 

「凡骨の意地の効果を発動!今引いたアレキサンドライトドラゴンを相手に見せもう一枚ドロー!…メインフェイズに入りアレキサンドライトドラゴンを召喚!そしてそのまま攻撃だ!」

 

「ぐっ!」

 

近藤遊大

LP2400→400

 

アレキサンドライトドラゴンの攻撃で一気に遊大のライフは3桁にまで減ってしまう。

 

「これで君のライフは風前の灯火だな」

 

「…いいえ、俺はこれを待っていたんですよ。墓地の命の重みの効果を発動!自分がダイレクトアタックを受けた時に発動する。自分のライフを100にしてデッキから一枚ドローする」

 

近藤遊大

LP400→100

 

手札0枚→1枚

 

「…あまりすごいカードとは言えないが君はそう言ったカードを好んで使用するみたいだね」

 

「ええ、たとえどんなに仕えないカードでもカードとして生まれてきたからには価値が存在する。そしてそのカードに価値を見出すのはデュエリストの役目、俺はそう思っていますよ」

 

「…君がわざわざ弱いカードやデメリットの大きいカードを使う理由が何となくだけど分かった気がするよ。ならそれをこのデュエルで証明してみると言い」

 

「最初から、そのつもりですよ!」

 

「私はこのままターンエンドだ」

 

近藤遊大

LP100 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

 

教師

LP6250 手札1枚

モンスター

アレキサンドライトドラゴン

魔法、罠

凡骨の意地

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札1枚→2枚

 

「手札から魔法カード死者蘇生を発動!墓地のデストロイ・ジャンク・ドラゴンを復活させる!」

 

遊大の言葉に破壊の龍が再び姿を現した。

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には十二枚あるよって攻撃力は2400アップ!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→5000

DEF2000

 

「更に魔法カード龍の激昂発動!自分の場のドラゴンと名の付くシンクロモンスターの攻撃力を二倍にする!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK5000→10000

DEF2000

 

「こ、攻撃力10000!?」

 

「バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでアレキサンドライトドラゴンを攻撃!ビック・ダーク・デストロイヤー!」

 

「ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

教師

LP6250→-1750

 

八千のダメージを受けて教師のライフは一気0になりその余波で教師は吹き飛ばされる。デュエルの勝敗が着いたことでデストロイ・ジャンク・ドラゴンは姿を消した。

 

「大丈夫か?」

 

「え、ええ。まさかあそこから逆転どころか一気に決められるとは思いませんでしたよ」

 

教師はどうやら本当にそう思っていなかったようで心底驚いた顔をしていた。

 

「さて、試験の結果は今度発表される事になりますが恐らく君は合格できるでしょう」

 

「本当ですか!?」

 

「ええ、私も本気を出していましたし問題ないと思いますよ」

 

「本気で!?そ、そう言えばここだけ何故かデュエルに負ける人が多かったけどそういう訳だったのか…」

 

「何はともあれまだ決まった訳ではありませんが君が入学すればきっと面白い事になるでしょうな」

 

教師はそう言って笑った。

 

こうして遊大の入学試験は無事に終了した。その後入学試験を受けた一も無事どころか教師を相手に終始優勢を保ち勝利を刻むのであった。

 



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第五話:つかの間の日常

イチャコラってこんな感じでいいんですかね…?


「瑠奈!試験結果が届いたぞ!合格だ!」

 

入学試験から一月後、遊大の家に試験結果が届いた。恐る恐る封筒の中身を空ければ合格の二文字があり遊大は近所迷惑になるレベルで喜びを露にして隣の瑠奈の家に突撃していた。

 

「すごい!流石は遊大だね!」

 

「当たり前だろ!何せジャニュアリーカップ優勝者だぜ?この位当然さ!」

 

瑠奈の誉め言葉に遊大は気をよくしたようで大きく胸を張りながら答える。そんな様子の遊大を楽しそうに瑠奈は見ていた。

 

「でも嬉しいからってあまり騒いじゃ駄目だよ?こっちにまで声が聞こえてきたから何かあったんじゃないかって心配したんだよ?」

 

「悪い悪い。つい嬉しくてな」

 

遊大はそう言って瑠奈の頭を撫でる。瑠奈は最初はくすぐったそうに身をよじったが直ぐに遊大に身を預け始めた。

 

「でもこれでまた遊大とは離れ離れになっちゃうね」

 

「いや、デュエルモンスターズ・ハイスクールは寮はあるけど基本此処から通学するつもりだぜ?それなりに近いからな」

 

「それもそうだけど学校でも一緒にいられなくなるっていう事だよ」

 

「あ~、そういや瑠奈って一年だったな」

 

遊大と瑠奈は二つ年が離れている。現在中学三年生の遊大に対して瑠奈は中学一年生である。その為瑠奈が遊大の後を追いかけてデュエルモンスターズ・ハイスクールに入学するのであれば後二年待たねばならなかった。

 

「しかし、今思うと瑠奈って結構すごいよな。今は何処をやっているんだ?」

 

「今は高校一年後期当たりかな」

 

瑠奈は遊大のためにと中学だけではなく高校までの勉強を行っていた。その為一から遊大の勉学を見てくれるように頼まれていた。本人は頼まれなくても行うつもりであったが。

 

「さて、そろそろ帰るか」

 

「あ…」

 

十分ほど瑠奈の頭を撫でていたが遊大も合格した事でいろいろと準備する物が出てきたためそろそろ戻ろうとして瑠奈の頭から手を放した。瑠奈はそれに一瞬声を上げ不満そうな顔をして来る。

 

「む~っ」

 

「ははは、そんなに膨れるなよ。またやってやるからさ」

 

「やっ!あと三十分!」

 

「いや、それはちょっと…」

 

瑠奈は抗議の声を上げ、遊大は苦笑した。瑠奈は遊大と二人だけの時は大抵このように甘えてきた。昔は一目があろうと甘えてきていたため大人しくはなっていたがその分二人きりの時には昔以上となっていた。

 

こうなると中々離れてくれないのを毎日の様に経験している遊大はため息をつくと瑠奈に提案した。

 

「分かった。ならデュエルで決めよう。俺が勝てば俺は家に帰る。瑠奈が勝てば三十分だろうと一時間だろうとなでなでしてやるよ」

 

「本当!?なら三時間なでなでの為に頑張る!」

 

瑠奈の言葉に遊大は「三時間…。腕もつかな…?」と若干負けた時の未来を創造したが勝てばいいと考えを改めた。

 

「なら早速ここで…」

 

「いいえ、これを使う」

 

そう言うと瑠奈はクローゼットの中から二つのデュエルディスクを取り出した。周りを青で塗られた物とピンクに近い赤で塗られた二つのディスクだ。

 

「これって最新版のデュエルディスクじゃないか!?かなり高くて発売した日に売り切れたっていう…!ていうかそれを二つも!?どうやって!?」

 

「いつも頑張っているからってお父さんが並んで買ってきてくれたの。あの時はとっても嬉しかったわ。ただ、一週間お父さんを見なかったから心配していたわ」

 

「おじさん一週間も並んでいたのかよ…」

 

瑠奈の父親は昔から瑠奈を溺愛しておりよく瑠奈の母親に〆られていた。最新バージョンのデュエルディスクを手に入れるために一週間並ぶのは娘への愛があるからこそだろう。因みに遊大と瑠奈の父親の関係は悪くはない。遊大を実の子の様に愛しており瑠奈に好かれている件も「他人に瑠奈を取られるならよく知っている遊大君に娘を貰ってくれた方がいい」と遊大に話したことがある。その時、知らない男に寄り添う瑠奈の想像でもしたのか持っていた缶を握り潰し目から血涙を出していた。

 

「これを使って裏庭でやりましょう。そしてそのままセxt「それ以上は言ってはいけない!まだ瑠奈には早い次元だ!」そう?」

 

瑠奈の爆弾発言に遊大は慌てて止めに入る。当の本人は何がいけなかったのかと首をかしげているが直ぐにデュエルディスクを遊大に渡して裏庭へと歩き始めた。

 

遊大もホッとため息をつき瑠奈の後を追って裏庭へと向かって行った。

 



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第六話:遊大VS瑠奈前編 天空より現れし飛龍!エンシェント・ホーリー・ワイバーン!

「「デュエル!」」

 

瑠奈の我儘で始まった瑠奈と遊大のデュエル。二人は最新バージョンのデュエルディスクを起動して対峙しあう。

 

「先行は私!ドロー!」

 

松井瑠奈

手札5枚→6枚

 

「私は魔法カード三位一体を発動!種族を宣言してエクストラデッキにある宣言した種族が多い方のライフを3000回復する!私は天使族を宣言!」

 

「天使族は俺のエクストラデッキにはないな。つーか、そもそも俺のデッキに天使族は入っていないからな」

 

「なら私のライフを3000回復する」

 

松井瑠奈

LP8000→11000

 

「そして永続魔法大胆無敵を発動!これによって私のライフが10000を超えている場合私のモンスターは戦闘では破壊されない」

 

「だが戦闘で破壊されないだけ。いくらでも方法がある」

 

「更に私はN(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバードを召喚!」

 

N(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバード

ATK800 DEF600

 

「このカードの効果によって相手の手札一枚につき体力を500回復する。ハニー・サック!」

 

エア・ハミングバードが飛翔すると遊大の手札から五輪の花が咲きその花の蜜をエア・ハミングバードが吸い込み始めた。

 

松井瑠奈

LP11000→13500

 

「1ターン目でこれとかやっぱり瑠奈のデッキはえげつないな」

 

「そして私はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

「よし、俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「手札から闇の鼓動を発動!デッキから二枚ドローして手札の闇属性モンスター一体を除外する。俺は手札の暴走賢者を除外する」

 

近藤遊大

手札5枚→7枚→6枚

 

「そして手札から磁力の召喚円(マグネット・サークル)LV2を発動!これにより手札の寂れた玉手箱を特殊召喚!」

 

寂れた玉手箱

ATK0 DEF0

 

「更に手札の古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)の効果発動!自分フィールドに攻撃力、守備力0のモンスターが召喚、特殊召喚された時に手札、墓地から特殊召喚出来る!来い!古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)!」

 

古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)

ATK0 DEF0

 

「そして俺は装備魔法D(ディファレント)D(ディメンション)R(リバイバル)を発動!ゲームから除外されている暴走賢者を自分の場に特殊召喚してこのカードを装備する!」

 

暴走賢者

ATK0 DEF0

 

「モンスターが三体。それも合計レベルが8!」

 

「そう!俺は寂れた玉手箱と暴走賢者に古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)をチューニング!来たれ!デストロイ・ジャンク・ドラゴン!」

 

遊大の呼びかけに応じて巨大な龍が姿を現した。

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンが咆哮するとデュエルディスクの墓地からシンクロ召喚の生贄になったモンスター達が現れデストロイ・ジャンク・ドラゴンに吸い込まれた。

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→3200

DEF2000

 

「私は大胆無敵の効果でデストロイ・ジャンク・ドラゴンまでに召喚されたモンスターの数だけライフを回復する。数は四!よってライフを1200回復する」

 

松井瑠奈

LP13500→14700

 

「それにこれでデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は3200。エア・ハミングバードの攻撃力は800だから2400のダメージ。だけど大胆無敵でエア・ハミングバードは破壊されず私のターンになれば2500回復する。無駄なシンクロ召喚だよ?」

 

「んなわけねーだろ。俺はデストロイ・ジャンク・ドラゴンでエア・ハミングバードを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

遊大の指示に従いデストロイ・ジャンク・ドラゴンが黒いブレスを放つもエア・ハミングバードは全く効かないとばかりに仁王立ちをするが黒いブレスはそのまま瑠奈に襲いかかる。

 

松井瑠奈

LP14700→12300

 

「くっ!だけど次のターンにはエア・ハミングバードの効果でライフを一気に回復する!」

 

「いいや、俺は手札から速攻魔法理不尽を発動!自分のモンスターが相手モンスターを戦闘で破壊できなかった時に発動する。手札を一枚捨てて攻撃力1000以下の相手モンスター一体を破壊する。これは効果での破壊なのでエア・ハミングバードは破壊される。俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

「くっ!私はエンドフェイズにリバースカードオープン!神の恵みを発動!これで私はカードをドローする度に500ライフを回復する」

 

松井瑠奈

LP12300 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

大胆無敵

神の恵み

セット

 

近藤遊大

LP8000 手札0枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

セット

 

「私のターン、ドロー!そして神の恵みの効果で500ライフを回復する!」

 

松井瑠奈

手札1枚→2枚

 

LP12300→12800

 

「私は永続魔法魔力倹約術を発動!これによりライフを支払うコストを払わないで発動できる。そして魔法カードエンシェント・リーフを発動!自分のライフが9000以上の時ライフを2000払って発動できる。だけど魔力倹約術の効果でノーコストで発動する。デッキから二枚ドロー!そして神の恵みの効果でライフを500回復する」

 

松井瑠奈

手札0枚→2枚

 

LP12800→13300

 

「更に私は極聖獣グルファクシの効果発動!相手フィールドにシンクロモンスターが存在する場合このカードを特殊召喚する!現れろ極聖獣グルファクシ!」

 

極聖獣グルファクシ

ATK1600 DEF1000

 

「私は二体目のN(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバードを召喚!」

 

N(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバード

ATK800 DEF600

 

「そして私はレベル3エア・ハミングバードにレベル4極聖獣グルファクシをチューニング!命の光を重ね、無垢なる輝きよ来たれ! シンクロ召喚!エンシェント・ホーリー・ワイバーン!」

 

瑠奈の言葉に天空より神々しい龍が舞い降りる。デストロイ・ジャンク・ドラゴンとは対になるがごとき龍の存在にデストロイ・ジャンク・ドラゴンは大きな咆哮を上げる。それに対しエンシェント・ホーリー・ワイバーンも負けじと大きな咆哮を上げて返す。

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100 DEF2000

 

「エンシェント・ホーリー・ワイバーンの効果発動!自分のライフが相手より上の場合その差の数値だけ攻撃力をアップする!私のライフは13300.遊大は8000。よって…」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→7400

DEF2000

 

「攻撃力7400!?デストロイ・ジャンク・ドラゴンの二倍以上の攻撃力とか…!」

 

「ふふん。そしてエンシェント・ホーリー・ワイバーンはデストロイ・ジャンク・ドラゴンを破壊してダメージを与えれば遊大のライフは4500削られて3500になるそうすればエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は更にアップする!行け!エタニティ・ライフ・ストリーム!」

 

「リバースカードオープン!シンクロン・リフレクト!自分の表側表示で存在するシンクロモンスターが攻撃対象となった時に発動する。その攻撃を無効にして攻撃してきた相手モンスターを破壊する!」

 

「そんなところだろうと思っていたよ!リバースカードオープン!トラップ・ジャマ―!これであなたの罠カードを無効化して破壊する!」

 

発動されたシンクロン・リフレクトはひび割れて粉々になる。その破片を巻き込みながらエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃がデストロイ・ジャンク・ドラゴンに命中する。

 

近藤遊大

LP8000→3500

 

「そして遊大のライフが減った事でエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力もアップ!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK6200→11900

DEF2000

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーンの強力なパワーによって遊大は一気に追い込まれていた。そんな遊大に勝利の如き咆哮をエンシェント・ホーリー・ワイバーンは上げるのであった。

 




次回の投稿は十五日以降に行います。


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第七話:遊大VS瑠奈 新たなる力!氷結界の龍トリシューラ召喚!

お久しぶりです。今日からまた投稿再開します。


エンシェント・ホーリー・ワイバーンの登場により遊大は一気に追い込まれていた。場にカードが存在していない上に手札も0、ライフも大きく削られ次のドローによってはエンシェント・ホーリー・ワイバーンの直接攻撃を受けて敗北し瑠奈のご褒美に付き合わされることになるだろう。

 

「とは言えこの程度の事なんてよくある事。俺はデッキを信じるまでだ。俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「…ターンエンドだ」

 

遊大は引いたカードをみて悔しそうに顔を歪めながら自分のターンの終了宣言をする。

 

松井瑠奈

LP13300 手札0枚

モンスター

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

魔法、罠

神の恵み

大胆無敵

魔力倹約術

 

近藤遊大

LP3500 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

なし

 

「へぇ、いいカード引けなかったのかな?私のターン、ドロー!そして神の恵みの効果で500ライフを回復し同時にエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力もアップ!」

 

松井瑠奈

手札0枚→1枚

 

LP13300→13800

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK11900→12400

DEF2000

 

「バトル!私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンで遊大に直接攻撃(ダイレクトアタック)!エタニティ・ライフ・ストリーム!」

 

瑠奈の言葉に従いエンシェント・ホーリー・ワイバーンが口に光を集約しブレスの準備を開始する。攻撃力12000を超えているためかそのエネルギー量は凄まじく遊大は目を開けていられなくなるほどだ。

 

「俺は手札からバトルフェーダーの効果を使用!相手の直接攻撃(ダイレクトアタック)宣言時にこのカードを手札から特殊召喚してバトルフェイズを終了させる!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーンの前に小さな悪魔が現れ発射しようとしていたブレスをかき消した。

 

バトルフェーダー

ATK0 DEF0

 

「へぇ、今の一撃を防ぐなんてね。勝ったと思ったのに。だけど私は大胆無敵の効果でライフを300回復する。私はこれでターンエンドよ」

 

松井瑠奈

LP13800→14100

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK12400→12700

DEF2000

 

「流石にこれで終わるなんて出来ないからな。俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「…ふ、俺は手札から魔法カードカップ・オブ・エースを発動!コイントスを一回行い表なら俺が、裏なら瑠奈がデッキから二枚ドローする!」

 

「そんな一か八かのカードで一体何が出来ると言うの!?」

 

「へへ、これでも俺の運は良い方なんだ。行くぜ!」

 

フィールドの中央に巨大なコインが現れ弾かれるように上空へと打ち上げられた。遊大と瑠奈、お互いに一秒も見逃さないとばかりに固唾を飲んで見守る。

 

やがてコインは地上へと落ち幾度かのバウンドを行い完全に止まった。上を向いていたのは…表!

 

「よし!俺はデッキから二枚ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→2枚

 

カップオブエースを成功させた遊大は引いた二枚のカードを見て笑みを浮かべた。

 

「俺は手札からトライアングルソウルを発動!墓地のレベル3以下のモンスターを任意の数だけ特殊召喚する!俺は寂れた玉手箱、灰流うらら、ミミミックを特殊召喚する!」

 

寂れた玉手箱

ATK0 DEF0

 

灰流うらら

ATK0 DEF1800

 

ミミミック

ATK300 DEF300

 

「だけど大胆無敵の効果で私のライフは900回復する。そして遊大と私のライフの差が広がれば広がるほどエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力はアップしていく!」

 

松井瑠奈

LP14100→15000

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK12700→13600

DEF2000

 

「そして俺はレベル1バトルフェーダー、レベル2寂れた玉手箱、レベル3ミミミックにレベル3灰流うららをチューニング!破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け!シンクロ召喚!氷結界の龍トリシューラ召喚!」

 

遊大の言葉に合わせフィールドの気温が一気に下がり地面が氷漬けになる。そこから地面から巨大な龍が姿を現した。

 

氷結界の龍トリシューラ

ATK2700 DEF2000

 

「トリシューラ!?遊大ってこんなカード持っていたっけ!?」

 

「さっき開けた合格通知の封筒の中にあったカードさデュエルが始まる直前に加えたからな」

 

これはデュエルモンスターズ・ハイスクールでは合格した者の中でも上位に位置する者のみに配られているカードだ。それらはなかなかお目にかかれないレアカードが入っており遊大はこのカードが入っていたのである。

 

「そんじゃ早速トリシューラの効果発動!相手の手札、フィールド、墓地からそれぞれ一枚ずつゲームから除外する!俺は瑠奈の手札、場のエンシェント・ホーリー・ワイバーン、そして墓地の極聖獣グルファクシをゲームから除外する」

 

トリシューラが大きな咆哮を上げてエンシェント・ホーリー・ワイバーンに冷気を放つ。エンシェント・ホーリー・ワイバーンは何とか逃れようとするも逃げきれず氷漬けにされ消滅した。また、冷気は墓地の極聖獣グルファクシ、瑠奈の手札にも及んでおり瑠奈は悔しそうにゲームから除外した。

 

「…私はトリシューラが召喚されたことで大胆無敵の効果で300回復する…」

 

松井瑠奈

LP15000→15300

 

瑠奈のエースモンスターであるエンシェント・ホーリー・ワイバーンが消えるのは瑠奈に大きな衝撃を与えたようで消え入りそうな声で効果を発動した。

 

「バトル!氷結界の龍トリシューラで瑠奈に直接攻撃(ダイレクトアタック)!アイス・ストリーム!」

 

「っ!きゃあぁぁぁぁ!」

 

瑠奈にトリシューラから放たれた冷気が襲い掛かる。ショックから立ち直り切れていなかった瑠奈は衝撃をまともに受け思わずしりもちをついた。

 

松井瑠奈

LP15300→12600

 

「大丈夫か瑠奈!?」

 

「え、ええ。大丈夫。ちょっと、驚いただけだから…」

 

「そ、そうか。それならいいんだけど…。じゃ、じゃあ改めて俺はカードを一枚伏せてターンエンド。そしてトライアングルソウルの効果で俺は1500のダメージを受ける」

 

近藤遊大

LP3500→500

 

松井瑠奈

LP12600 手札0枚

モンスター

なし

魔法、罠

神の恵み

大胆無敵

魔力倹約術

 

近藤遊大

LP500 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

セット

 

ライフでは大きく遊大を突き放している瑠奈であるが主力のエンシェント・ホーリー・ワイバーンが消えた瑠奈は少しづつ追い込まれようとしていた。

 




ぐだった


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第八話:遊大VS瑠奈後編 遊大の反撃

難しい。


「私のターン、ドロー!そして神の恵みの効果で500回復する」

 

松井瑠奈

手札0枚→1枚

 

LP12600→13100

 

瑠奈は引いたカードをそのまま遊大に突き付ける。

 

「遊大!よくも私のエンシェント・ホーリー・ワイバーンを除外してくれたわね!でも私は負けないわ!私は魔法カード次元融合を発動!ライフを2000払いお互い除外されているモンスターを可能な限り特殊召喚する!私は魔力倹約術の効果でノーコストで発動!エンシェント・ホーリー・ワイバーンと極聖獣グルファクシを特殊召喚する!そしてエンシェント・ホーリー・ワイバーンの効果で攻撃力アップ!」

 

次元融合の発動で再び現れたエンシェント・ホーリー・ワイバーン。先程の借りを返すと言わんばかりにトリシューラに咆哮する。

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→13200

DEF2000

 

極聖獣グルファクシ

ATK1600 DEF1000

 

「これで終わりよ!エンシェント・ホーリー・ワイバーンで氷結界の龍トリシューラに攻撃!エタニティ・ライフ・ストリーム!」

 

「リバースカードオープン!ブレイクスルー・スキル!発動!エンドフェイズまでエンシェント・ホーリー・ワイバーンの効果を無効化する。これでエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は2100に戻る!トリシューラ!返り討ちにしろ!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK13200→2100

DEF2000

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーンから放たれたブレスがトリシューラの冷気に押し戻されエンシェント・ホーリー・ワイバーンは破壊された…かに見えた。

 

松井瑠奈

LP13100→12500

 

「くっ!だけどエンシェント・ホーリー・ワイバーンは大胆無敵の効果で戦闘では破壊されないわ!…私はこれでターンエンドだよ」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→12600

DEF2000

 

瑠奈は決められなかった事に悔しそうにしながら終了宣言を行う。しかし、遊大が劣勢であることに変わりはない。瑠奈の場には攻撃力一万を超えるエンシェント・ホーリー・ワイバーンに極聖獣グルファクシ、更にはそれらのモンスターの戦闘破壊を無効化する大胆無敵があった。これらが瑠奈の場に存在する限り遊大の勝機は限りなくゼロに近かった。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「…俺は極聖獣グルファクシに攻撃!アイス・ストリーム!」

 

トリシューラの冷気がグルファクシに襲いかかるがグルファクシはその攻撃を耐える。その代り瑠奈に冷気が襲い掛かった。

 

松井瑠奈

LP12500→11400

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK12600→11500

DEF2000

 

瑠奈のライフが減った事でエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力も下がったが未だに一万以上の攻撃力を有していた。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンド」

 

松井瑠奈

LP11400 手札0枚

モンスター

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

極聖獣グルファクシ

魔法、罠

大胆無敵

神の恵み

 

近藤遊大

LP2000 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

セット

 

「私のターン、ドロー!更に神の恵みの効果で500回復する」

 

松井瑠奈

手札0枚→1枚

 

LP11400→11900

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK11500→12000

DEF2000

 

「一体何を伏せたのかは知らないけどこのまま押し切る!エンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃!」

 

「いいや、これで俺の勝ちは決まった!リバースカードオープン!ドレインシールド!エンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃を無効にしてその攻撃力分ライフを回復する!」

 

「うそぉ!?」

 

近藤遊大

LP2000→14000

 

「俺のライフが一気に瑠奈を超えた事でエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は100ダウンして2000となった!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK12000→2000

DEF2000

 

「くっ!私は極聖獣グルファクシを守備表示にしてターンエンド…」

 

「いくぜ!反撃の時間だ!俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「俺は魔法カードスタンピング・クラッシュを発動!これで神の恵みを破壊!更に500のダメージを与える」

 

トリシューラが羽ばたくと瑠奈の場に出ていた神の恵みのカードを踏みぬいた。その時の衝撃で瑠奈は尻もちをつく。

 

松井瑠奈

LP11900→11400

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2000→1500

DEF2000

 

「バトル!トリシューラでエンシェント・ホーリー・ワイバーンを攻撃!アイス・ストリーム!」

 

トリシューラから冷気が放たれエンシェント・ホーリー・ワイバーン、そして瑠奈に襲いかかる。

 

松井瑠奈

LP11400→10200

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK1500→300

DEF2000

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーンは減り続ける攻撃力の影響で少しづつ衰弱するように倒れていく。それをトリシューラが満足そうに咆哮を上げる。

 

「俺はターンエンドだ」

 

松井瑠奈

LP10200 手札1枚

モンスター

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

極聖獣グルファクシ

魔法、罠

大胆無敵

 

近藤遊大

LP14000 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

なし

 

「私のターン、ドロー…」

 

瑠奈は震える手でカードを引く。瑠奈がドローする度にライフを回復させていた神の恵みのカードはなく瑠奈のライフは変動しなかった。

 

松井瑠奈

手札1枚→2枚

 

「わ、私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンを守備表示に変更してターンエンド」

 

「俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「このまま反撃…と行きたいところだが大胆無敵のせいでダメージを与える事が出来ないか…。ふっ、俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

遊大は引いたカードを見て笑みを浮かべてからカードを伏せた。

 

松井瑠奈

LP10200 手札2枚

モンスター

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

極聖獣グルファクシ

魔法、罠

大胆無敵

 

近藤遊大

LP14000 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

セット

 

「私のターン、ドロー」

 

「この瞬間リバースカードオープン!砂塵の大竜巻!これで瑠奈の大胆無敵のカードを破壊する!」

 

フィールドに巨大な竜巻が現れ瑠奈のカードを吹き飛ばしていった。これで瑠奈のモンスターを守っていたカードはなくなり一気に劣勢に立たされていた。

 

松井瑠奈

手札2枚→3枚

 

「…私はカードを一枚伏せてターンエンド…」

 

「よし、行ける!俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「俺はモロコシ―ナを召喚!そして墓地の古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)の効果発動!攻守0のモンスターが召喚、特殊召喚された時特殊召喚出来る!」

 

モロコシ―ナ

ATK0 DEF0

 

古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)

ATK0 DEF0

 

「そしてレベル2のモロコシ―ナにレベル2の古代の機械人形(アンティーク・ギアパペット)をチューニング!来い!アームズ・エイド!」

 

二体のモンスターが消え、代わりに巨大な右腕だけのモンスターが現れた。

 

アームズ・エイド

ATK1800 DEF1200

 

「そしてアームズ・エイドの効果発動!自分のモンスターの装備カードとして装備でき攻撃力を1000アップする!俺はトリシューラに装備する!」

 

トリシューラの右腕にアームズ・エイドが装着されるもトリシューラはバランスが崩れて邪魔そうである。

 

氷結界の龍トリシューラ

ATK2700→3700

DEF2000

 

「バトル!トリシューラでエンシェント・ホーリー・ワイバーンに攻撃!アイス・ストリーム!」

 

守りを固めるだけだったエンシェント・ホーリー・ワイバーンはトリシューラの冷気を受けて呆気なく破壊された。

 

「そしてアームズ・エイドの効果発動!このカードを装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える!行け!」

 

トリシューラがアームズ・エイドを装着した腕を瑠奈に向けるとアームズ・エイドが発射され瑠奈に襲い掛かった。

 

松井瑠奈

LP10200→8100

 

デュエル以来ライフが一万を下回らなかった瑠奈のライフが遂にデュエル開始時とほぼ同数の数時まで戻ってきた。対する遊大のライフは大きく回復していた。

 

「俺はターンエンドだ」

 

松井瑠奈

LP8100 手札1枚

モンスター

極聖獣グルファクシ

魔法、罠

セット

セット

 

近藤遊大

LP14000 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

アームズ・エイド(トリシューラに装備中)

 

「…」

 

「どうだ!瑠奈のライフを一気に削ってやったぜ!」

 

「…まだ、だよ。まだ負けてないよ!」

 

遊大の言葉に瑠奈は両目に涙を貯めながらデッキに手を置く。

 

「私のターン!ドロー!」

 

手札1枚→2枚

 

「私はヒール・ウェーバーを守備表示で召喚!このカードの効果でこのカード以外のモンスターのレベル一つにつきライフを100回復する!私は極聖獣グルファクシを選択する。よってライフを400回復する!私はターンエンド」

 

「…?俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

遊大は瑠奈の行動に少し疑問を持ちながらもデュエルを続けた。

 

「俺はメテオ・ストライクをトリシューラに装備!そしてトリシューラで極聖獣グルファクシを攻撃!アイス・ストリーム!メテオストライクの効果で貫通ダメージを瑠奈に与える!」

 

「きゃあぁぁぁぁ!」

 

松井瑠奈

LP8100→5400

 

「更にアームズ・エイドの効果で1600のダメージを与える!」

 

「あうっ!?」

 

松井瑠奈

LP5400→3800

 

トリシューラからの攻撃を受けて瑠奈は後方に吹き飛び塀にぶつかり変な声をあげた。そしてそのまま瑠奈は倒れ、起き上がらなかった。

 

「…瑠奈?」

 

起き上がらない瑠奈を心配し遊大は瑠奈の近くまで駆け寄る。そこには、

 

「…ふにゅう」

 

ぶつかった衝撃で気を失った瑠奈の姿があった。遊大はそんな瑠奈を見てため息をつくとデュエルディスクを停止した。それによりトリシューラ達モンスターは消えデュエルディスクも待機状態になった。遊大は瑠奈を背負うとそのまま瑠奈の部屋へと戻っていくのであった。

 



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第九話:入学式、そして新たなる友

デュエルってこんな感じだったっけ?

それと活動報告に召喚口上の募集を載せました。もし案がある人はじゃんじゃん感想欄や活動報告の方に送ってください。


瑠奈とのデュエルは引き分けという形で終了した。瑠奈は途中で気絶したため結局遊大はつきそう事になった。

 

その後二人はもう一度デュエルを行ったが瑠奈の手札が悪くライフの回復すらままならないうちに敗北する事となった。

 

そしてそのまま月日は流れデュエルモンスターズ・ハイスクールの入学式を迎えていた。遊大は自分のクラスの色である黒い制服に身を包み校門の前に立っていた。周りには同じく入学する者たちやその付き添いで溢れかえっていた。

 

「…ここが、デュエルモンスターズ・ハイスクール、か」

 

「でっけ~な~」

 

遊大の隣に立つ一が思わずと言った感じで呟いた。それもそのはずでデュエルモンスターズ・ハイスクールの規模はとてもでかく目の前にある本校舎だけで圧倒する程である。

 

「兎に角、入学式が体育館で行われるらしいから早く向かおうぜ」

 

「そうだな」

 

遊大と一は合格通知とともに渡されたガイドブックの地図を見ながら体育館へと向かって行った。体育館に向かうと既にかなりの人数の生徒が集まっておりそれぞれクラスごとに分かれていた。

 

「確か俺たちは6組だから…一番端だな」

 

デュエルモンスターズ・ハイスクールではそれぞれの属性を冠した組となっており一組から順に炎、水、風、地、光、闇の順番となっている。制服もそれに合わせて色分けされており一目見ただけでどのクラスか分かるようになっていた。

 

そして二人は自分のクラスである六組へと来ていたがそこには数人いるのみであった。

 

「…あれ?六組ってこんなに少ないの?」

 

「ああ、確か五組と六組は人数が少なかったはずだ」

 

遊大の疑問に一は答えた。まだ入学式まで時間はあるがそれでも他クラスは早いところだと既に集まり終えているところもあるため六組の人の少なさは異常とも言えた。

 

「一組から四組までが三十人、五組が十四人、六組が十六人体制らしい」

 

「へえ、それってつまり俺たち優遇されているって事か?」

 

「ああ、五組六組は入学者の中でも優秀な者のみが入れるクラスらしい」

 

遊大は一の言葉によっしゃ!とガッツポーズをとり喜びを露にした。そうこうしている内に入学式が始まる時間になったようで周りが静かになっていく。

 

そして壇上に一人の男性が上がり挨拶を始める。

 

「ここにいる百五十名の新入生諸君。入学おめでとう。私はデュエルモンスターズ・ハイスクール本校の校長を務めている彦根安政(ひこね やすまさ)と言う。これから三年間しっかりと励んでほしい」

 

それから入学式は滞りなく進みクラスごとに分かれ教室へと向かって行く。遊大達も十三名のクラスメイトと共に六組の教室に向かって行った。

 

「なあ、俺は谷十郎(たに じゅうろう)っていうんだ。お前らは?」

 

「俺は近藤遊大。で、こっちが土方一。よろしくな」

 

「おう!勿論だぜ!」

 

教室に向かう途中クラスメイトは近くの者同士で話をしており遊大と一にも声をかけて来る者がいた。遊大と一も嫌がることなく挨拶を行った。

 

「さて、ここが六組の教室となる。席順は教室の後ろと前に貼ってあるからそれを見て席に座ってくれ」

 

六組の教室まで案内した担任の安藤信之(あんどう のぶゆき)がそう言ってくる。遊大達も後ろの席順を見た。

 

「お、一は俺の隣か。ラッキーだな」

 

遊大の席は窓側の前の席であった。因みに席は縦横共に四席の十六席あった。一は真ん中の一番前という席であった。

 

「で、十郎は俺の後ろか」

 

「そうみたいだな。これからよろしく頼むぞ」

 

「おう!」

 

「ああ」

 

そう言いながら席に座っていく。他のクラスメイトも席について行く。担任の安藤は全員が席に座ったのを確認すると教卓の前に立った。

 

「さて、改めて入学おめでとう。先程も紹介されたが改めて私が君達六組の担任となった安藤信之だ。よろしく。今日は入学式だけで授業はないからな。隙にしていいぞ。それと校舎内でのソリッドビジョンを用いてのデュエルは禁止されているから使いたいときは外に出るか体育館等のデュエルコートで行う様に。では解散!」

 

安藤はそこまで言うとさっさと教室を出て行く。六組の生徒も席を立ち教室から出る者、そのまま席に座っている者など様々であった。

 

「なあ、親睦を深めるためにもデュエルしないか?」

 

遊大は予想以上に早く終わったため何をしようか考えていたところ十郎が声をかけてきた。因みに一は剣道部を見てくると言ってさっさと教室を出て行っている。

 

「お、いいぜ。俺も丁度何をしようか迷っていたところだったからな。どうする?ここでやるか?」

 

「ああ、生憎デュエルディスクは持っていなくてな。体育館も既にうまっているだろうし普通にやろうぜ」

 

十郎はそう言うとデッキを取り出した。遊大もデッキを取り出しシャッフルを行う。

 

「では早速」

 

「「デュエル!」」

 

「先行は俺が貰うぜ。ドロー!」

 

谷十郎

手札5枚→6枚

 

「俺はジャイアントウイルスを守備表示で召喚」

 

ジャイアントウイルス

ATK1000 DEF100

 

「そしてカードを二枚伏せてターンエンド」

 

「よし、俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は永続魔法凡骨の意地を発動!そして速攻魔法リロードを発動する。これにより俺は手札を全てデッキに戻しシャッフルする。そして戻した枚数分ドローする」

 

手札4枚→0枚→4枚

 

「俺は暗黒界の番兵レンジを守備表示で召喚。カードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

暗黒界の番兵レンジ

ATK100 DEF2100

 

谷十郎

LP8000 手札3枚

モンスター

ジャイアントウイルス

魔法、罠

セット

セット

 

近藤遊大

LP8000 手札2枚

モンスター

暗黒界の番兵レンジ

魔法、罠

セット

凡骨の意地

 

序盤は二人とも攻撃するような事はせず守りに徹していた。

 

「俺のターン、ドロー」

 

谷十郎

手札3枚→4枚

 

「俺は魔法カード強制転移を発動!俺のジャイアントウイルスと暗黒界の番兵レンジを入れ替える」

 

「げっ!そのカードは!?」

 

十郎が用いた強制転移のカードに遊大は嫌な顔をする。かつて入学試験でエースモンスターデストロイ・ジャンク・ドラゴンをこれで奪われいいように扱われていたからである。

 

「そして俺は暗黒界の番兵レンジを生贄に地獄将軍(ヘルジェネラル)・メフィストを召喚」

 

地獄将軍(ヘルジェネラル)・メフィスト

ATK1800 DEF1700

 

「そしてヘルジェネラルにデーモンの斧を装備!これで攻撃力を1000アップだ!」

 

地獄将軍(ヘルジェネラル)・メフィスト

ATK1800→2800

DEF1700

 

「バトル!メフィストでジャイアントウイルスを攻撃!攻撃時このカードの攻撃力が相手の守備力を超えていれば貫通ダメージを与える!ジャイアントウイルスの守備力は100。よって2700のダメージを与えるぜ!」

 

近藤遊大

LP8000→5300

 

「まだだ!ジャイアントウイルスの効果により相手に500のダメージを与え同名モンスターをデッキから任意の枚数攻撃表示で特殊召喚する!」

 

「くっ!厄介だな」

 

近藤遊大

LP5300→4800

 

ジャイアントウイルス×2

ATK1000 DEF100

 

「バトル!ジャイアントウイルス二体で直接攻撃(ダイレクトアタック)!」

 

近藤遊大

LP4800→2800

 

たった1ターンの攻撃で遊大のライフは2800まで削られていた。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

「やばいな。そろそろ何とかしないと。俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札2枚→3枚

 

「そして俺は凡骨の意地を発動!今引いたカード、守護竜ユスティアを相手に見せもう一枚ドロー!…よし、俺は更になぞの手を見せもう一枚ドロー!更にコマンダーを見せもう一枚ドロー!…今度は通常モンスターではなかっため凡骨の意地の効果はこれで終了する」

 

近藤遊大

手札3枚→4枚→5枚→6枚

 

「俺は手札抹殺を発動!これでお互い手札を全て捨ててデッキから捨てた枚数分ドローする」

 

「また手札交換…、どんだけ入っているんだよ」

 

谷十郎

手札1枚→0枚

 

近藤遊大

手札5枚→0枚→5枚

 

「俺は手札の寂れた玉手箱の効果発動!このカードと手札の攻撃力1000以下のモンスターを任意の枚数墓地に送り相手に500のダメージを与える。俺は手札から三枚捨てる」

 

谷十郎

LP8000→7500

 

近藤遊大

手札5枚→2枚

 

「そして俺は手札からトライワイトゾーンを発動!自分の墓地からレベル2以下の通常モンスターを三体まで特殊召喚する!俺は守護竜ユスティア、コマンダー、なぞの手を特殊召喚する!」

 

守護竜ユスティア

ATK0 DEF2100

 

コマンダー

ATK750 DEF700

 

なぞの手

ATK500 DEF500

 

「そんな雑魚カードを三体場に出したところで何が出来るんだ?」

 

「ふっ、たとえ雑魚カードであろうとデュエリスト次第で価値のある存在へと変化するんだ。俺はレベル2のなぞの手、コマンダーにレベル2の守護竜ユスティアをチューニング!」

 

「あ!そう言えば守護竜ユスティアはチューナーだった…!」

 

「出でよ!アンティーク・ジャンク・ドラゴン!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100 DEF1800

 

「アンティーク・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき攻撃力、守備力を200アップする!俺の墓地には八枚あるよって攻撃力、守備力は1600アップする!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100→3700

DEF1800→3400

 

「攻撃力4100!?まじかよ…」

 

「バトル!アンティーク・ジャンク・ドラゴンでジャイアントウイルスを攻撃!更にリバースカードオープン!鼓舞を発動!アンティーク・ジャンク・ドラゴンの攻撃力を700アップする」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK3700→4400

DEF3800

 

「更に手札から速攻魔法リミッター解除を発動!これによりアンティーク・ジャンク・ドラゴンの攻撃力を二倍にする」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK4800→8800

DEF3800

 

「う、嘘だろ!?攻撃力が8800!?」

 

「さあ、どうする?」

 

予想外と言った具合の十郎はしばらく悩んだ末に…、肩を落とした。

 

谷十郎

LP7500→-300

 

「ふう、危なかった。一歩間違えていたら負けてたな」

 

「…あ″―!悔しいぃ!」

 

十郎はそう喚くが直ぐに息を整えて静かになる。

 

「…よし、遊大!ありがとな!俺も楽しかったぜ!」

 

そう言うと十郎は手を差し出した。遊大はその手を握り返し握手をする。

 

「…よぅし!遊大!もう一回デュエルをやろうぜ!」

 

「望むところだ!」

 

そう言うと二人は再びデュエルを開始するのであった。

 




遊大「そう言えば十郎が伏せていたカードってなんだ?」

十郎「ああ、あれはリビングデッドの呼び声とブラフの異次元の指名者だよ。リビングデッドの呼び声使おうにもジャイアントウイルスしかいなかったし、そもそも通常魔法の異次元の指名者は使えないからな」

遊大「あ~、なるほどねぇ~」

以下、ちょっとしたネタバレ。







































ソリティア


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第十話:六武衆

タイトルで察した人いるかな?


「それでは授業を始める」

 

入学式の翌日。デュエルモンスターズ・ハイスクールは最初の授業を迎えていた。

 

「まず初めにクラスメイト同士でデュエルを行ってもらう。お互いの力を確認するためだ。対戦相手は隣の席の奴でいいだろう」

 

教師の言葉にクラスメイトはざわめき隣の者と話を始める。遊大も隣にいる一に話しかける。

 

「となると俺は一とのデュエルか~」

 

「ああ、だがお互いデッキの中身なんて知り尽くしているだろうからな。あまり意味はないか」

 

「いや、こう見えてデッキの改造を行っているからそうとは限らないぜ」

 

「主力は変わっていないだろ?」

 

「うっ!」

 

一のいう通り遊大のデッキは改造されていたが主力はアンティーク・ジャンク・ドラゴンとデストロイ・ジャンク・ドラゴン、氷結界の龍トリシューラと変わっていなかった。

 

「いくらデッキが変わろうと行きつく先が一緒なら大して変わらん。ほら、落ち込んでいないでさっさと準備をしろ」

 

一が遊大の言葉をばっさりと切り捨ているうちにデュエルの準備が行われ始めお互い机を合わせてデッキをシャッフルしていく。一と遊大も準備を終えデッキを置き手札を五枚引いていく。

 

「…よし、準備は出来たな?」

 

「ああ、勿論だぜ!」

 

「「デュエル(!)」」

 

「先行は俺だ!ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「永続魔法凡骨の意地を発動!そして手札抹殺を発動!手札を全て捨ててデッキから捨てた枚数分ドローする!」

 

近藤遊大

手札4枚→0枚→4枚

 

土方一

手札5枚→0枚→5枚

 

「そして俺は手札から装備魔法やりすぎた埋葬を発動!自分の手札からモンスター一体を墓地に送りそのモンスターのレベルより低いモンスター一体を特殊召喚してこのカードを装備する。俺は手札からゴルゴイルを墓地に送り墓地から浮幽さくらを特殊召喚!」

 

浮幽さくら

ATK0 DEF1800

 

「そして手札から岩石魔人オーガ・ロックを召喚!」

 

岩石魔人オーガ・ロック

ATK800 DEF1200

 

「俺はレベル3の岩石魔人オーガ・ロックに同じくレベル3の浮幽さくらをチューニング!現れろ!アンティーク・ジャンク・ドラゴン!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100 DEF1800

 

「アンティーク・ジャンク・ドラゴンの効果により墓地の攻撃力1000以下の通常モンスター一体につき攻撃力、守備力を200アップする!俺の墓地には三体いるよって攻撃力守備力共に600アップ!」

 

アンティーク・ジャンク・ドラゴン

ATK2100→2700

DEF1800→2400

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

「ならば、俺のターンだな。ドロー」

 

土方一

手札5枚→6枚

 

「俺は手札から永続魔法六武の門発動。更に永続魔法紫炎の道場発動。そして真六武衆シナイを召喚。六武の門及び紫炎の道場の効果で武士道カウンターがのる」

 

「え!?ちょっと…、」

 

真六武衆

ATK1500 DEF1500

 

六武の門

武士道カウンター

0→2

 

紫炎の道場

武士道カウンター

0→1

 

「更に俺は手札の真六武衆ミズホの効果発動。自分フィールドに真六武衆シナイが存在する場合特殊召喚出来る。そして新たに六武衆モンスターが召喚されたため自分の場の六武の門及び紫炎の道場に武士道カウンターが載る」

 

真六武衆ミズホ

ATK1600 DEF1000

 

六武の門

武士道カウンター

2→4

 

紫炎の道場

武士道カウンター

1→2

 

「そして俺は真六武衆ミズホの効果発動。真六武衆シナイを墓地に送り遊大、お前のアンティーク・ジャンク・ドラゴンを破壊する!」

 

「だぁぁぁぁぁぁっ!!またこのパターンか!!!!」

 

遊大は一のプレイに頭を抱える。場にカードさえそろえば1ターンで8000のライフを削る事さえできる六武衆を遊大は苦手にしていた。一はこれを使って無限ループを必ず(・・)行ってきたため遊大はこの後の展開を予想してげんなりする。

 

「そして墓地に送られた真六武衆シナイの効果で墓地の真六武衆キザンを手札に加える。そして場の六武の門の効果発動。場の武士道カウンターを任意の数取り除くことで効果を使用する。俺は六武の門に置かれている四つのカウンターを取り除き墓地の真六武衆シナイを手札に加える」

 

六武の門

武士道カウンター

4→0

 

「更に手札の真六武衆シナイの効果を発動する。自分フィールドに真六武衆ミズホが存在する場合特殊召喚出来る。そして六武衆モンスターが召喚されたため六武の門と紫炎の道場にはカウンターが置かれる」

 

六武の門

武士道カウンター

0→2

 

紫炎の道場

武士道カウンター

2→3

 

「そして俺は六武の門の効果を発動する。六武の門と紫炎の道場からそれぞれ二つずつ取り除きデッキから真六武衆ミズホを手札に加える。そして特殊召喚する。これで六武の門と紫炎の道場にはカウンターが置かれる」

 

六武の門

武士道カウンター

2→0→2

 

紫炎の道場

武士道カウンター

3→1→2

 

「そして新たに召喚した真六武衆ミズホの効果で最初に召喚した真六武衆ミズホをリリースして遊大の場の伏せカードを破壊する」

 

「ぐぬぬぬ!」

 

遊大は大いに不満であると言わんばかりにうねりながらカードを墓地に置く。置いたカードは攻撃の無力化であった。

 

「そして場の武士道カウンターを取り除き墓地の真六武衆ミズホを手札に加え特殊召喚する。これによって更に武士道カウンターがのる」

 

六武の門

武士道カウンター

2→0→2

 

紫炎の道場

武士道カウンター

2→0→1

 

「そして六武の門の効果を発動しデッキから真六武衆ミズホを手札に加えたいが場のカウンターが一つ足りないな」

 

「ならこれで終了だな。よかった」

 

遊大は心底安堵したように言うが一は手札から一枚取り出し遊大に見せた。取り出したカードは先ほど真六武衆シナイの効果で墓地から手札に戻した真六武衆キザンのカードであった。

 

「このカードは自分の場に真六武衆キザン以外の六武衆モンスターが存在する時特殊召喚出来る。俺は真六武衆キザンを特殊召喚する」

 

真六武衆キザン

ATK1800 DEF500

 

「…」

 

「また真六武衆キザンはこのカード以外の六武衆モンスターが二体以上存在する場合攻撃力、守備力は300アップする」

 

真六武衆キザン

ATK1800→2100

DEF500→800

 

「そして真六武衆キザンが特殊召喚されたため六武の門と紫炎の道場にカウンターがのる。そしてカウンターをそれぞれ二つ取り除きデッキから真六武衆ミズホを手札に加える。そして特殊召喚する。これでまた六武の門と紫炎の道場にカウンターがのるな」

 

六武の門

武士道カウンター

2→4→2→4

 

紫炎の道場

武士道カウンター

1→2→0→1

 

「…」

 

遊大は燃え尽きたとばかりに肩を落とした。今遊大の場には凡骨の意地以外カードが存在しなくなっていた。

 

「そして俺は六武の門の効果でこのカードからカウンターを四つ取り除きデッキの真六武衆シナイを手札に加え特殊召喚する。これでカウンターがさらに乗ったな」

 

六武の門

武士道カウンター

4→0→2

 

紫炎の道場

武士道カウンター

1→2

 

「俺は紫炎の道場の効果発動。このカードを墓地に送りこのカードに乗っているカウンターの数よりレベルが低いモンスター一体をデッキから特殊召喚する。俺は六武衆の影武者を特殊召喚。新たな六武衆モンスターの特殊召喚により六武の門にカウンターが置かれる」

 

六武衆の影武者

ATK400 DEF1800

 

六武の門

武士道カウンター

2→4

 

「そして俺はレベル3の真六武衆ミズホにレベル2の六武衆の影武者をチューニング!現れろ!真六武衆シエンを特殊召喚!」

 

真六武衆シエン

ATK2500 DEF1400

 

「そして六武衆モンスターの召喚、特殊召喚に成功したため六武の門にカウンターが置かれる」

 

六武の門

武士道カウンター

4→6

 

「そして六武の門の効果で武士道カウンターを四つ取り除き墓地の真六武衆ミズホを手札に戻し特殊召喚!再び六武の門にカウンター置かれる」

 

六武の門

武士道カウンター

6→2→4

 

未だ2ターン目にも関わらず一の場にはモンスターがフルで存在し遊大の場には今は全く役に立たない凡骨の意地があるのみであった。

 

「バトル!六武衆達よ!遊大に直接攻撃(ダイレクトアタック!)

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

近藤遊大

LP8000→5500→3900→2300→200→-1300

 

次の自分のターンを拝むことなく敗北した遊大は悲鳴を上げて退く。しかし、そのせいで座っていたイスは倒れ遊大は後頭部を床にぶつけるのであった。

 

そんな遊大に一は反対方向から「大丈夫か?」と声をかけた。

 

「あ、ああ。少し頭を打っただけだから問題ないよ。…でも、あ″あ“あ″あ″!!!!また!負け!たぁぁぁぁっ!!!」

 

「やかましい!静かにしろ!」

 

遊大はワンターンキルをされたことで大声を上げるが今は授業中。他のデュエル状況を見ていた教師によって説教をくらうのであった。

 

こうして遊大は入学二日目でえげつない黒星を付けられるのであった。それも親友の手によって。

 




六武衆って恐ろしいですよね。

それから活動報告の方で募集はまだまだ行っています。


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第十一話:忍び寄る悪意! 遊大VSアフリマ前編

「はぁ、酷い目にあった」

 

「あはは、お疲れ。遊大」

 

デュエルモンスターズ・ハイスクールの二日が終了し家に帰宅した遊大は自分の部屋の如く部屋にいた瑠奈に慰めてもらっていた。因みに瑠奈がこうやって遊大の部屋にいる事は遊大の両親が許可を出しており瑠奈の私物がいくつか置いてあった。

 

「それで結局その後はどうしたの?2ターンで終わったから早かったでしょ?」

 

「うぐっ!?そ、その後はもう一回デュエルを行ったよ。…2ターンで決着が付いたけど」

 

瑠奈の何気ない一言に遊大は答え深く傷ついた。

 

「え、また2ターンで!?」

 

「ああ、六武の門を二枚と六武院、それに紫炎の道場を追加されて気付いたら場にモンスターが五体揃っていた」

 

「…最初より酷いじゃない」

 

瑠奈はその様子を想像したのか顔を青くして小刻みに震え始めた。二人はいつも一の六武衆デッキにいいようにやられていた。それは六武衆自体が強い事もあるが何より一の強運も加わりトラウマを相手に植え付けさせるレベルになっていた。実際中学時代ではこのせいで何人かがデュエルモンスターズを辞めていた。

 

「あれとまともに戦える奴なんていないよな~」

 

「私も土方先輩になんて勝てないよ」

 

例えどんなに場を整えても1ターンで全てを無に帰してくる一はまるで悪魔のようであった。

 

「…結局三戦目で漸く他のデュエルの決着が付き始めてな。俺は解放されたんだ。周りはすごい同情してくれたよ」

 

「それは…なんというか、ご愁傷様」

 

「本当だよ。はは…」

 

遊大は何とも言えないような瑠奈の言葉に乾いた笑い声をあげるのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

<???side>

 

「…」

 

この空間に閉じ込められて以来幾年の月日が過ぎた事か。しかし、それももうすぐ終わる。遂にあのカードが担い手(・・・)の元へ渡った。奴を降しカードを奪えば我が主の元へ帰還できる。

 

我が主を称える声がここからでも聞こえてくる。ああ、私もその場に出て我が主の名を呼び称えたい。我が主■■■■■■様。心の中でしか貴方様を称えることが出来ないこの身をお許しください。

 

必ずやここを抜け出し我が主の元へ馳せ参じなければ。

 

…ほう、丁度いい。この者を使い彼奴を倒してくれよう。

 

ふ、フハハハハハッ!!!

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「おっす、遊大。昨日は大変だったな」

 

「全くだよ」

 

翌日、遊大は教室に入るなり十郎からの弄りを受けた。ニヤニヤ顔のまま遊大に話しかけるが当の本人は触れてほしくない内容のため挨拶もそこそこに軽く返事をするのみだった。

 

「いや~、土方だっけ?あいつがあそこまで強いなんてな~三回やったんだろ?それで全敗」

 

「付け加えると全て後攻ワンターンキルだがな。それがどうかしたか?」

 

十郎の言葉に若干眉間にしわを寄せ「これ以上話題に出すな」とばかりの目力を加えて遊大は返事をする。流石の十郎もたじろき「ま、まあ。あれなら誰だって勝てないよ」とフォローする。

 

「でも六武衆なんてあまりお目にかかれない代物だろ?よく持っているよな」

 

「何でもあいつの親が友人からもらったカードらしいよ。俺も詳しくは知らないからよくわからないけど」

 

六武衆シリーズはその力故にあまり出回っておらずましてや六武衆をあそこまで持っている人は数少なかった。その為六武衆をそろえ圧倒的な力で勝利をもぎ取る一に遊大はちょっとした憧れを持っていた。

 

「…と、言っても俺のデッキだって負けてはいないさ。このデッキだって俺が魂を込めて作り上げたデッキだ。どんな逆境でも乗り越えてやるさ」

 

【…ならば乗り越えて見るがいい】

 

遊大がデッキを手に持ちそう言った瞬間何処からともなく声が聞こえて来たかと思うと教室に黒い霧が発生しだした。

 

「う、うわぁぁぁぁっ!」

 

「な、なにこれ!?火事!?」

 

「に、逃げろぉぉぉ!!!!」

 

教室は一瞬で阿鼻叫喚の騒ぎとなりクラスメイトは我先にと飛び出していく。遊大と十郎も逃げようとしたのだが二人を包み込むように霧が濃くなり下手に動くことが出来なくなっていた。

 

「お、おい。これって一体何がどうなっているんだ?何かのイベントか?」

 

「俺もそうであってほしいよ。だけど…」

 

十郎の言葉に遊大は答えるがその表情は硬くなにがあってもいいように身構えている。

 

そして少し経ってから足音が聞こえてくる。その足音は遊大達の前方からゆっくりと近づいてきている様であった。そして霧の向こう側から現れたのは黒いローブを羽織った者であった。ローブで顔が隠れているため素顔までは分からないが体格などから男というのが分かる。

 

「…誰だ?お前は」

 

【…我が名はアフリマ。偉大なる魔王に仕えしものなり】

 

「アフリマ?魔王?一体何の事だ」

 

【ふっ、今の貴様等には説明したところで分かるまい。だが、こちらも様があるのでな】

 

そいうと男、アフリマは右手で遊大を指さす。

 

【近藤遊大!大いなる龍を使いし担い手よ。私とデュエルをしろ!】

 

「デュエル?へっ、そん位こんなことしなくたっていつだって受けてやるよ。ふん、今日は運が良かったな。丁度デュエルディスクを持ってきていたんだ」

 

遊大は自分の中古のデュエルディスクを装着する。瑠奈が持っている新型に比べれば性能は劣っているがデュエルを行うには十分であった。

 

「行けー遊大!必ず勝てよー!」

 

「勿論だ十郎!必ず勝ってやるさ」

 

【ほう、貴様が負ければ貴様とそこの者の魂は我が復活の贄となってもらうと知ってもか?】

 

「贄ぇ?何下らないことを言っているんだ?やるならさっさとしろよ!」

 

【…いいだろう。貴様等に絶望を教えてやる】

 

そう言うとアフリマの左腕に霧がまとわりつき黒いデュエルディスクが現れた。アフリマはそれを装着しデュエルディスクを起動させる。

 

「【デュエル!!】」

 

【先行は私が貰おう。ドロー!】

 

アフリマ

手札5枚→6枚

 

【私はヘルウェイ・パトロールを召喚。カードを二枚伏せてターンエンド】

 

ヘルウェイ・パトロール

ATK1600 DEF1200

 

「俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は魔法カード予想GUYを発動!自分の場にモンスターが存在しない場合デッキからレベル4以下の通常モンスターを一体特殊召喚出来る!俺は守護竜ユスティアを特殊召喚!」

 

守護竜ユスティア

ATK0 DEF2100

 

「俺は手札からレスキューラビットを召喚!」

 

レスキューラビット

ATK300 DEF100

 

「レスキューラビットの効果発動!フィールドのこのカードをゲームから除外してデッキからレベル4以下の同名の通常モンスター二体を特殊召喚する!現れろ!レアメタル・ソルジャー!」

 

レアメタル・ソルジャー

ATK900 DEF450

 

「(相手がどんな奴か知らないけどやばい奴だと言うのは分かる。ここは直ぐに決着をつけるべきか)俺はレベル3のレアメタル・ソルジャー二体にレベル2守護竜ユスティアをチューニング!出でよ!デストロイ・ジャンク・ドラゴン!」

 

三体のモンスターが組み合わさり一体の龍が現れた。デストロイ・ジャンク・ドラゴンはフィールドに降り立つと巨大な咆哮を上げた。

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には三体いる。よって攻撃力600アップ!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→3200

DEF2000

 

「更にシンクロ召喚時相手の場の魔法、罠カード一枚を破壊する!俺は右のカードを破壊する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンは咆哮を上げるとその勢いで突風が起こりアフリマの伏せカードを天高く舞い上げ、破壊した。

 

「バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでヘルウェイ・パトロールを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンより巨大なブレスが吐き出されヘルウェイ・パトロールを呆気なく飲み込んでいった。

 

アフリマ

LP8000→6400

 

「どうだ!」

 

【…ふっ、中々やるではないか。ならばリバースカードオープン!ダメージ・コンデンサー発動!これは私が戦闘ダメージを受けた時に発動できる。手札を一枚捨てデッキから受けたダメージ以下の数値を持つモンスター一体を特殊召喚する!私はもう一体のヘルウェイ・パトロールを召喚】

 

ヘルウェイ・パトロール

ATK1600 DEF1200

 

【そして手札から永続魔法闇の鼓動が捨てられたことで効果発動!デッキから闇属性ドラゴン族モンスター一体を手札に加える。私は魔王ディアボロスを手札に加える】

 

「俺はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

アフリマ

LP6400 手札3枚

モンスター

ヘルウェイ・パトロール

魔法、罠

なし

 

近藤遊大

LP8000 手札2枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

セット

セット

 



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第十二話:遊大VSアフリマ中編 ダークアイズ・カオスドラゴンの猛攻

皆さんお久しぶりです。課題に追われて投稿が遅れました。


【私のターン、ドロー!】

 

アフリマ

手札3枚→4枚

 

【私は墓地のヘルウェイ・パトロールの効果発動!このカードを除外する事で手札の攻撃力2000以下のモンスター一体を特殊召喚する!私はサクリボーを特殊召喚する!】

 

サクリボー

ATK300 DEF200

 

「そしてこの二体を生贄に手札より魔王ディアボロスを召喚!」

 

アフリマの言葉と同時に急に地震が起こった。そしてアフリマのモンスターの後ろに巨大な穴が発生した。二体のモンスターは躊躇なくその穴に飛び込んでいく。飛び込んでから少しして穴より巨大な腕が現れその手を支えに悪魔の如きドラゴンが姿を現した。

 

魔王ディアボロス

ATK2800 DEF1000

 

【サクリボーの効果発動。このカードがリリースされたためデッキから一枚ドローする】

 

アフリマ

手札2枚→3枚

 

【…ほう?これは、フフフ…。私はカードを二枚伏せてターンエンド】

 

「これが貴様のエースモンスターか。禍々しいがデストロイ・ジャンク・ドラゴンには勝てねぇぜ!俺のターン!」

 

【この瞬間魔王ディアボロスの効果発動!お前のデッキの一番上のカードを一枚確認してデッキの上か下に戻す。さあ、見せてもらおうか】

 

そう言うと黒い霧が遊大のデッキの一番上のカードを抜き取りそのままアフリマの元へ持っていった。

 

【…ほう、私はこのカードをデッキの一番上に戻す。さあ、引くがいい】

 

「…ちっ、ドロー!」

 

近藤遊大

手札2枚→3枚

 

「…俺はこのままバトルだ!行け!デストロイ・ジャンク・ドラゴンで魔王ディアボロスを攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンは自分よりも小さいディアボロスを踏みつけるとゼロ距離でブレスを発射した。ディアボロスは何も出来ずに破壊される。

 

「どうだ!お前のエースモンスターは破壊させてもらったぜ!」

 

【…ふっ、愚かだな。私はこの瞬間リバースカードをオープンする!魔王の次世代戦略!このカードはディアボロスと名の付く自分のモンスターが戦闘で破壊された時に発動できる。お互いの場のモンスター全てをリリースする。その後この効果でリリースしたモンスターの攻撃力の合計値の半分以下の攻撃力を持つモンスターをお互いデッキから特殊召喚する。フィールドにはデストロイ・ジャンク・ドラゴンのみよってお互いデッキから攻撃力1600以下のモンスターを特殊召喚する】

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンは悲鳴を上げ消失していった。遊大はそれを見ている事しか出来ず手を握り締めた。

 

【私はデッキから三体目のヘルウェイ・パトロールを特殊召喚する】

 

ヘルウェイ・パトロール

ATK1600 DEF1200

 

「…なら、俺は暗黒界の番兵レンジを守備表示で特殊召喚する」

 

暗黒界の番兵レンジ

ATK100 DEF2100

 

【ほう、守備を固めたか。だがどうせ無駄な事だ】

 

「そんなこと最後まで分からないさ。デュエルはライフが0になるまで勝負は終わらない!俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

アフリマ

LP6400 手札1枚

モンスター

ヘルウェイ・パトロール

魔法、罠

セット

 

近藤遊大

LP8000 手札2枚

モンスター

暗黒界の番兵レンジ

魔法、罠

セット

セット

 

【私のターン、ドロー!…ふ】

 

アフリマ

手札1枚→2枚

 

【私は魔法カード死者蘇生を発動!墓地のサクリボーを特殊召喚する】

 

サクリボー

ATK300 DEF200

 

【そして私はこの二体を生贄に捧げダークアイズ・カオスドラゴンを召喚する!見よ!これが我が最強のカード!ダークアイズの姿だ!】

 

アフリマがそう叫ぶと禍々しいオーラと共に巨大な黒龍が姿をあらわした。デストロイ・ジャンク・ドラゴンを軽く超えるその龍は遊大を見下ろし、巨大な咆哮を上げた。その咆哮はこころに直接響くかの様な咆哮で遠くから見ていた十郎ですら恐怖の周りしりもちをついていた。

 

「こ、これが。お前のエースモンスターなのか…」

 

【その通り!我がデッキの最強のモンスターである!これに勝てる者等そうそう存在しないわ!】

 

ダークアイズ・カオスドラゴン

ATK3000 DEF2000

 

【そしてダークアイズ・カオスドラゴンの効果発動。召喚に成功した時デッキから一枚ドローする。更にサクリボーの効果でもう一枚ドロー…ふっ】

 

アフリマ

手札0枚→1枚→2枚

 

【更に永続魔法闇龍の栄光を発動!そして私はこのままダークアイズ・カオスドラゴンで暗黒界の番兵レンジを攻撃!紅蓮混沌破!】

 

ダークアイズ・カオスドラゴンの攻撃により暗黒界の番兵レンジは破壊されその衝撃が遊大にも襲い掛かった。

 

「くっ!なんだこの衝撃は!?」

 

【ふっ、今更気付いたか。ここではモンスターの攻撃による衝撃はそのままプレイヤーにも襲いかかる。そしてライフは自身の命と連結している】

 

「はぁ?一体何を言っているんだ!?」

 

【つまり、ダメージを受ければそれだけ命を削られライフが0になれば貴様は、死ぬ】

 

「…っ!」

 

「なっ!?」

 

遊大は一瞬アフリマの言っていることが分からなかった。今の遊大はライフを1も削られておらず実感が湧かなかったが目の前のアフリマの言っていることが嘘ではないと直感的にだが理解することが出来た。

 

故に遊大は恐怖を抱いた。デュエルに負ければ自分の命は尽きる。今までに感じた事がない感情が遊大に襲いかかる。

 

【…ふむ、贄としての自覚がようやくできたか。ではこのままデュエルを続行!私はこのエンドフェイズにダークアイズ・カオスドラゴンの効果を発動!このカードをリリースする事で相手に1000のダメージを与える!カオス・フレア!】

 

「っ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

 

ダークアイズ・カオスドラゴンが自分の体を炎に変え遊大に襲い掛かった。全身を焼かれるような痛みが遊大の体を駆け巡る。体中が熱く思わず水を求めるが激痛が永続的に襲いかかりその気持ちすら消し飛ばしていく。

 

近藤遊大

LP8000→7000

 

「…ぐっ、はぁ、はぁ、はぁ、…」

 

【どうだ?命を削られた感想は?…と、すまないなそれだけの傷で喋れるわけがないか】

 

遊大は膝から崩れ落ち肩で息をしていた。全身が火傷の如き傷を受け来ている服は所々に焦げが付いていた。

 

「ゆ、遊大!しっかりしろ!」

 

【む?外野は大人しくしていてもらおうか】

 

遠くから見ていた十郎は思わず遊大の元へ駆け寄ろうとするがアフリマが手を振ると十郎を囲むように紫の炎が現れた。

 

「あつ!?な、なんだよこれ…?」

 

【ダークアイズ・カオスドラゴンの炎だ。その威力は目の前の友を見れば分かるだろう?】

 

「っ!遊大…!」

 

十郎は炎に囲まれながら遊大に呼びかける。遊大は荒く呼吸をしながらキッとアフリマを睨みつける。アフリマはそんな視線など特に興味もないのかデュエルを続行する。

 

【私はこのままターンエンドだ。さあ、貴様の番だ】

 

「ぐっ!お、俺のターン!」

 

【私はここで永続魔法闇龍の栄光の効果を発動!自分の場の闇属性モンスターがドラゴン族モンスターの効果でリリースされた時800ライフを払いそのモンスターを特殊召喚する!甦れ!ダークアイズ・カオスドラゴン!】

 

場に出された闇龍の栄光のカードが紫の光を放つとフィールドに巨大な火柱が出現した。その火柱が収まるとそこにはダークアイズ・カオスドラゴンが遊大をにらみつけるように出現していた。

 

アフリマ

LP6400→5600

 

ダークアイズ・カオスドラゴン

ATK3000 DEF2000

 

【そしてダークアイズ・カオスドラゴンの効果で一枚ドローする】

 

アフリマ

手札1枚→2枚

 

「くっ!またダークアイズ・カオスドラゴンが場に…っ!今は耐えるしかないか…、ドロー!…っ!」

 

息も絶え絶えに遊大はドローするが引いたカードを見て生気が宿る。

 

近藤遊大

手札2枚→3枚

 

「俺は魔法カードD(ディファレント)D(ディメンション)R(リバイバル)発動!手札を一枚捨ててゲームから除外されているモンスターを特殊召喚する!俺はレスキューラビットを特殊召喚してこのカードを装備する!」

 

近藤遊大

手札2枚→1枚

 

レスキューラビット

ATK300 DEF100

 

「俺はレスキューラビットの効果発動!このカードを除外する事でデッキからレベル4以下の同名の通常モンスター二体を特殊召喚する!俺はレアメタル・レディを二体を特殊召喚する!」

 

レアメタル・レディ

ATK450 DEF900

 

「そして俺は灰流うららを召喚!」

 

灰流うらら

ATK0 DEF1800

 

「そして俺はレベル3のレアメタル・レディ二体にレベル3の灰流うららをチューニング!破壊神より放たれし聖なる槍よ、今こそ魔の都を貫け!シンクロ召喚!氷結界の龍トリシューラ召喚!」

 

遊大の呼び声に応じ三つの首を持つ龍が現れた。トリシューラは威嚇の如くアフリマに向かって巨大な咆哮を上げた。モンスターが現実にいるせいだろうか?トリシューラの咆哮は遊大が今まで見てきた中で一番激しく後ろにいるはずの遊大にさえ衝撃が来るほどであった。

 

これを目の前から浴びる事になったアフリマは両腕を交差させて衝撃を防ごうとするが完全には防ぎきれず地面に片膝をついた。

 

氷結界の龍トリシューラ

ATK2700 DEF2000

 

「行くぜアフリマ!これからが俺の反撃だ!」

 

遊大は高らかにそう叫ぶがアフリマの口元に笑みが映っていたのを遊大や十郎空は見えなかった。

 



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第十三話:遊大VSアフリマ後編 乱入!?氷結界の帝龍アスカロン登場

お久しぶりです。かなりの難産でした。グダグダになっているかもしれません。


「氷結界の龍トリシューラの効果発動!相手の手札、フィールド、墓地のカードをそれぞれ一枚ずつゲームから除外する!俺はフィールドのダークアイズ・カオスドラゴンと墓地からは魔王ディアボロスを、そして俺から見て右のカードをゲームから除外する!」

 

トリシューラがダークアイズ・カオスドラゴンに向けて冷気を放つ。それにダークアイズ・カオスドラゴンは紅蓮の炎を放ち迎え撃つもトリシューラの放つ冷気は凄まじくダークアイズ・カオスドラゴンを包み込んでいく。やがてダークアイズ・カオスドラゴンは氷漬けにされ消失した。

 

アフリマ

手札2枚→1枚

 

切り札のカードが消えたアフリマに遊大は畳みかけるように続ける。

 

「バトル!氷結界の龍トリシューラで直接攻撃(ダイレクトアタック)!アイス・ストリーム!」

 

【ぐっ!】

 

アフリマ

LP5600→2900

 

トリシューラの放った冷気がアフリマに襲いかかり軽々と吹き飛ばす。アフリマは受け身すら取らずそのまま倒れこんだが直ぐに立ち上がった。

 

【ぐっ!流石は我が偉大なる主と戦った龍だけある。カードになってもその力は健在か…】

 

「…一体何を言っているんだ?」

 

【ふっ、貴様が知る必要のない事だ】

 

「…まあいい。このデュエルに勝って聞き出すだけだからな。俺はターンエンドだ」

 

アフリマ

LP2900 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

闇龍の栄光

 

近藤遊大

LP7000 手札0枚

モンスター

氷結界の龍トリシューラ

魔法、罠

セット

セット

 

【私のターン、ドロー!】

 

アフリマ

手札1枚→2枚

 

【私はリバースカードオープン!闇次元の開放発動!この効果によりゲームから除外されている闇属性モンスター一体を特殊召喚する!さあ、甦れ!ダークアイズ・カオスドラゴン!】

 

伏せられていたカードが黒い靄を生み出しやがてそれがフィールドに集まりだした。そしてそれが固まっていきダークアイズ・カオスドラゴンの姿となった。

 

ダークアイズ・カオスドラゴン

ATK3000 DEF2000

 

【私はダークアイズ・カオスドラゴンの効果で一枚ドローする…】

 

アフリマ

手札2枚→3枚

 

【バトル!ダークアイズ・カオスドラゴンで氷結界の龍トリシューラに攻撃!紅蓮混沌破!】

 

ダークアイズ・カオスドラゴンが放ったブレスが氷結界の龍トリシューラに襲い掛かる。先程トリシューラのブレスを防ごうとしていた時は違い威力は見ただけで何倍も上であることがうかがいしれた。

 

「俺はリバースカードオープン!王者の調和(キングス・シンクロ)!相手が自分のシンクロモンスターに攻撃してきたときに発動できる。その攻撃を無効にする!」

 

【ちっ!防がれたか。…だが、ダークアイズ・カオスドラゴンの効果で貴様はまたダメージを受ける事になるぞ】

 

「そんな事は百も承知だ!俺は更に王者の調和(キングス・シンクロ)の効果発動!場のシンクロモンスターと墓地のチューナーを除外する事でエクストラデッキから除外したモンスターの合計レベルのモンスターをシンクロ召喚出来る!俺は氷結界の龍トリシューラと墓地の守護竜ユスティアを除外!」

 

氷結界の龍トリシューラが効果によってフィールドから消失していく。しかし消える寸前、トリシューラは何かを託すように咆哮を上げた。

 

「使うのは初めてだけど俺は星態龍をシンクロ召k…」

 

しかし、遊大が召喚しようとした時であった。何かが遊大の頭の中に入り込むような感覚を覚えた後何処からともなく声が聞こえてくる。

 

『トリシューラを使いし者よ、貴様の肉体を寄越せ。さすればこの世界の王にしてやろう』

 

「ぐっ!な、なんだ!?…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」

 

遊大は訳の分からないままあたりを見回した瞬間、今まで感じた事の無い激痛に襲われ意識を手放した。

 

流石のアフリマも遊大の異変に気付き眉を顰めるが遊大は悲鳴を上げた後ただ、俯くのみでその表情を見る事は出来なかった。

 

【どうした?貴様の効果処理中だぞ。早くしろ】

 

「…そうだな。直ぐに終わらせよう」

 

アフリマがイラついた声で催促した。遊大はそれに簡素に答えたが先ほどまでとは雰囲気が違っていた。

 

【…?】

 

「俺は守護竜ユスティアと氷結界の龍トリシューラを除外する事で偉大なる龍を召喚する。聖者より放たれた絶対なる槍よ!聖なる力で悪を滅せよ!シンクロ召喚!氷結界の帝龍 アスカロン!」

 

遊大の言葉にフィールドから眩しい光があふれだす。その光は遊大達を覆っていた黒い霧を溶かすように消していった。そしてその光から現れるように一匹の龍が舞い降りた。瑠奈の使用したエンシェント・ホーリー・ワイバーンよりも神々しくデストロイ・ジャンク・ドラゴンや氷結界の龍トリシューラよりも偉大と思わせるその龍は見た者を虜に自然と跪かせるような不思議な魅力があった。現に十郎は自分でも気づかぬうちに跪いていた。

 

氷結界の帝龍アスカロン

ATK3000 DEF2400

 

【このカードは、まさか…!】

 

「魔王の手先よ。今こそ絶対なる力でこの世から消してやろう。さあ、貴様のターンだ」

 

【っ!私はカードを一枚伏せてターンエンドだ】

 

「…悔いはないな?」

 

【何?】

 

「今、貴様は自らの運命を決定した。絶対なる正義の前に負けると言う運命に」

 

【…やはり、貴様は…!】

 

「私のターン、ドロー」

 

アフリマの言葉を続けさせず遊大は自分のターンに入った。

 

近藤遊大

手札0枚→1枚

 

「私はジャンク・サイクロンを発動。ライフ3000をコストに相手の場の魔法、罠カードを二枚破壊する。私はセットカード二枚を破壊する」

 

近藤遊大

LP7000→4000

 

巨大な竜巻がフィールドに起こりアフリマの場に伏せられた二枚のカードが吹き飛んでいく。

 

「バトル。氷結界の帝龍アスカロンでダークアイズ・カオスドラゴンに攻撃。聖なるブリザード・ストリーム!」

 

【ぐっ!迎え撃て!紅蓮混沌破!】

 

二体の龍が黒と青のブレスを出し互いを殺さんと全力をぶつけていく。しかし、同じ攻撃力でありやがて二体の龍はブレスを出し切り力尽きるように消滅した。

 

「そしてリバースカードオープン。聖なる導き・セイントゲート。自分のシンクロモンスターが戦闘、効果で破壊された時に発動できる。破壊されたモンスターと同レベル、同種族のシンクロモンスターをエクストラデッキからシンクロ召喚扱いで特殊召喚する。私は星態龍を特殊召喚」

 

遊大の言葉に反応して遊大が先程出そうとしていた龍が現れる。

 

星態龍

ATK3200 DEF2800

 

「この効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズに破壊され攻撃力の半分のダメージを受けますが、それは今はどうでもいい事です。なぜならこの攻撃であなたの敗北は決定するのですから」

 

【…っ!】

 

「バトル。星態龍で直接攻撃(ダイレクトアタック)。さあ!悪しき魂よ!聖なる輝きによって滅びなさい!」

 

【おのれぇ…!負け犬共がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!】

 

アフリマ

LP2900→-300

 

アフリマは星態龍の攻撃を受けながら力一杯叫んだ。こんな事、認められないとばかりに。

 



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第十四話:その後

デュエルはないです。


【ぐっ!お、おのれぇぇっ!!】

 

アフリマは星態龍の攻撃を受けライフが0になった代償として体が崩れ始めていた。被っていたフードは外れ成人にいっているかいないか程の男性の姿をさらしていた。

 

「無様だな。それが我らに敵対した代償ですよ」

 

【ふ、我が主に負け体を保てずカードとなりこの世界に這う這うの体で逃げてきた貴様が言うか…。いずれ我が主は世界を統べる王となられる。故に!私はまだ終わるわけにはいかないのだよ!】

 

アフリマがそう叫ぶとフードの中から虎の様な四足歩行の動物が現れた。全体的に黒い毛を纏ったその生物は遊大を警戒しているのか低く唸っていた。

 

「悪王アフリマ。王の名を持ちながらあいつに忠誠を誓った愚か者。貴様は使えるべき主を間違えたな」

 

【黙れ!我が主の愚弄は許さん!】

 

アフリマは先ほどとは違い腹から出しているような低い声を上げ遊大に飛び掛かった。しかし、遊大はそれをひらりと避けると右手で指鉄砲を作るとその先をアフリマへと向けた。

 

すると指先に光が集まりある程度集まるとそれをアフリマへと撃った。アフリマはそれを軽々と避けるが高速で撃ちだされた光の球は寸分の狂いなくアフリマの頭を貫通した。

 

【ぐっ、おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!】

 

「聖なる力の前に滅びるがいい」

 

遊大がそう言うとアフリマの体が光輝き少しづつ消えていく。アフリマは先ほどの一撃で力尽きたのか倒れこんだまま消失していった。

 

そしてそれを見届けた遊大も力を使い果たしかのようにその場に倒れこむのであった。後に遊大達を囲んでいた霧は消え元の教室に戻ってきていた。十郎は倒れた遊大に必死に声をかける中様子を見に来たのか、先生が駆け付け遊大は病院へと搬送される事となった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

遊大が病院へと運ばれていく中、人間世界とは違う別の世界。そこに建つ巨大な城の中で一匹の龍が眠っていた。しかし、何かを感じ取ったのか目を覚まし天井を見上げた。そして何かに怒りをぶつけるように衝撃波ともとれる咆哮を上げた。

 

周りに飾ってあった備品は破壊され部屋を薄暗く照らしていた照明は破裂しその破片が雨の様に地面に落ちていく。

 

「いかがなされました!?魔王様!」

 

そこへ咆哮を聞きつけ龍の部下と思われる悪魔が姿を現した。魔王と呼ばれた龍はその声を聞き顔をそちらに向けた。その表情は怒りで満ちており向けられた悪魔は恐怖を抱いていた。

 

【我が臣であるアフリマがぁ、奴らに、あの負け犬共にぃぃぃぃぃぃっ!!!】

 

「っ!落ち着いてください!このままでは城が持ちません!」

 

悪魔は咆哮で吹き飛びそうになる体を守りながら必死に呼びかける。二度の咆哮に部屋は悲鳴を上げるようにきしんでおり見えていないところでは日々が入っている可能性もあった。

 

【あいつがいる場所は特定したぁ!ガーゼットォ!直ぐに兵を連れ負け犬の息の根を確実に止めて来いぃ!】

 

「わ、分かりました!それで、場所は何処ですか?」

 

ガーゼットと呼ばれた悪魔はこれ以上この場所に居たくないとばかりに居場所を聞く。それと同時に魔王が負け犬と呼ぶ存在を知っており、まだ生きていたのかという軽い驚きも感じていた。

 

【場所はこの世界ではない!前々から調べていた人間の世界だ!】

 

「あそこですか…。分かりました。直ぐに準備をします」

 

ガーゼットはそれだけ言うと部屋を出て行く。一人になった魔王は怒りを落ち着かせ再び眠るために体を横たえた。しかし、幾度も目を瞑ろうと眠気は全く感じずむしろ苛立ちが募っていくばかりであった。

 

魔王は仕方なく体を起こすとそのまま部屋から繋がっているバルコニーに出る。夕暮れと言う事もありバルコニーから見える景色は奇麗の一言に尽きた。城下町では様々な種族のモンスター達で賑わいを見せており魔王の所への小さな騒ぎが聞こえていた。つい数十年前まで時が止まったかのような様相を見せていた世界とは思えないほどであった。

 

そして一人のモンスターが魔王に気付き手を振った。それにより他のモンスター達も一様に魔王へと手を振った。魔王も右腕を上げてそれに返し再び夕焼けを見ながら今は亡き忠臣を思うのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

とある次元の暗闇で三つの光が集まっていた。

 

『…ついに我らが長が目覚められた』

 

三つの光の内青色の輝きを放つ光が響くような声で言った。

 

『今は一人の少年の体に宿り力を蓄えている。復活の時は近い』

 

『我らがこの姿になり既に幾年の月日が流れたか。遂にあの反逆者を滅ぼすことが出来る』

 

青色の光に続くように赤色の光が感無量とばかりの声で言った。最後の緑色の光は喋らないが二人の言葉に賛成している様であった。

 

『そのためには我らも力を蓄えねば』

 

『しかし、それには我らを使いこなす事が出来る担い手が必要だぞ』

 

『少年の元に全てが集まればよかろう』

 

緑色の光がようやく口にするが二つの光がその提案を否定する。

 

『それではだめだ我らが長に加えてトリシューラもおるのだ。人間如きに我らの力全てを扱えるとは思えん』

 

『ならばその少年に近しい人間に持たせるようにすれば問題ない』

 

『それが良かろう。丁度いい事に奴の周りはそれなりの実力者が集まっている。その中から最も近しく我らを扱うことが出来る人間に渡るようにすればいい』

 

『それが良かろう』

 

『ああ、待ち遠しい。精霊世界は今はどうなっているのか…』

 

『決まっておろう?あの反逆者共によって荒廃しているわ』

 

『世界は我らが長と我らによって管理されてこそ平和が保てるというもの』

 

『人間たちも我らの力の糧になれるのだ。本望だろう』

 

光はその後も話を続けていたがやがて話を終えたのか一つ、また一つと消えていくのであった。

 



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第十五話:狙われた瑠奈 VSガーゼット前編

女性口調って難しい。


「大丈夫か、遊大?」

 

「あ、ああ。なんとかな」

 

遊大がアフリマと戦ってから一日が過ぎた。あの後病院に搬送された遊大は体に異常はないもののあり得ない程衰弱していたためそのまま入院していた。そして遊大は先ほど目を覚まし涙を流しながら抱き着いてくる瑠奈と安心したように息を吐く一の姿を目にした。

 

「遊大、これ食べる?」

 

「いや、今は食欲なくてな」

 

「そう…」

 

医者からの説明を終えた遊大に瑠奈がお土産のリンゴを差し出してくる。ウサギ型に切り分けられたそれを見ながら食べないことを説明する。瑠奈は悲しそうに俯くが直ぐにリンゴを自分の口に運んだ。遊大の許可なくリンゴを向いていたことから遊大が食べなければ自身が食べるつもりであったのだろう。

 

「それで?結局何があったんだ?」

 

「ああ、それがな…」

 

教室にいなかった一は遊大に説明を求めてくる。遊大は一にあの霧の中であった事を教える。

 

「っていう訳さ。ただ、最後の方はあんまり覚えてなくてな。気が付いたら病院にいたって言うわけだ」

 

「成程な。十郎から一応話を聞いていたとは言え信じられない話だな」

 

「そのアフリマっていう男強かったの?」

 

「ああ、ものすごく強かったよ。ただ、どうやって勝ったかは覚えていないんだよな~」

 

遊大はそう言うとベッドの隣に置いてあるデッキホルダーから一枚のカードを取り出した。

 

「これもいつの間にか入っていたしな」

 

そう言って瑠奈に見せたのは『氷結界の帝龍アスカロン』であった。イラストからも分かる神々しい姿に一目見ただけで瑠奈は虜になってしまいそうなほどであった。

 

「奇麗…。あ、でもこのカードのシンクロに必要な素材って氷結界の龍なんだね。私は持ってないから使えないな」

 

瑠奈はシンクロの素材について書かれたテキストを見てがっかりとばかりに肩を落とすとカードを遊大に返した。遊大はカードを受け取るとデッキホルダーの中にしまい隣に置いた。

 

「さて、遊大は無事のようだし俺はそろそろ帰らせてもらう」

 

「ああ、ごめんな。一にだって予定があるのにな」

 

「ふ、気にするな。お前のせいで予定が狂うのは何時もの事だろ」

 

「うぐっ!」

 

一の言葉に遊大は胸を抑えて蹲る。一の言葉が正しいため瑠奈も擁護しようにもできずただ苦笑いを浮かべるだけであった。

 

「また明日来る。まあ、精々しっかりと休養を取る事だな。何時も無茶するお前には小名木の入院はぴったりだ」

 

「そ、そこまで言わなくても…」

 

遊大は一の言葉にすっかりを落ち込みその言葉を漏らすのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「はあ、良かった。遊大が無事で」

 

夕暮れで真っ赤に染まる病院を背景に瑠奈は安堵の息を吐きながら家への帰路についていた。学校を終えてから真っすぐに病院に来ていたため瑠奈はかばんを背負いながら遊大の事を考える。

 

「…やっぱり、学年が違うと不便だな~」

 

瑠奈は自分が遊大と同年代でないことを嘆くが既に何度も同じことを思っているため心の中で何時もの事か、と思っていた。

 

「それにしてもアフリマって一体何だったんだろう?」

 

【…それは貴方には関係ない事ですよ】

 

ふと漏れた瑠奈の独り言。その独り言に返す言葉があたりに響いた。

 

「…え?」

 

【とは言えあなたには聞きたいことがあるのですよ】

 

驚く瑠奈に再び声が聞こえてくると瑠奈の周りを黒い霧が覆い始めた。やがて直ぐに周りは閉ざされてしまう。

 

「これって、遊大が言っていた事と同じ…?」

 

【ふむ、遊大、と言うのですか。アフリマ様を消した輩は】

 

「誰!?」

 

【おっと、これは失礼しました】

 

瑠奈は黒い霧に向かって叫ぶ。すると瑠奈の目の前に悪魔が出現した。人型の姿をしているが人間とは思えない不気味をしたその悪魔はその姿とは裏腹に丁寧な口調で瑠奈に語り掛けた。

 

【私は魔王様の命を受けアフリマ様を消した者を探しております、ガーゼットと言います。以後よろしくお願いします】

 

「あ、どうもこちらこそ…って、違う!」

 

瑠奈はあまりの丁寧語に思わずと言った感じで挨拶を返すが直ぐに我に返った。

 

「この黒い霧は何?何で私を狙ったの?」

 

【答える霧はありませんが、それではいつまでも話が進みませんからね、特別に教えて差し上げましょう。この黒い霧は単純にあなたを拘束するためですよ。そしてあなたの知り合いの遊大?でしたか、その方の持つカードが目当てでしてね。その為にあなたを利用させてもらおうかと】

 

「そんなことするわけないじゃない!」

 

ぺらぺらと喋るガーゼットに瑠奈は噛みつくように否定するがそれは予想出来ていたのかガーゼットは特に反応を示さず話を続ける。

 

【まあ、あなたがそう言うのは分かっていました。ゆえにここはデュエルで決着を付けましょう。あなたが勝てばこの黒い霧は晴れ元の場所に戻ることが出来ます。しかし、あなたが負けたら…、分かりますね?】

 

「デュエルで?いいわ。必ず勝ってここを出て見せる!」

 

瑠奈はかばんから最新型のデュエルディスクを取り出し装着する。ガーゼットも悪魔を模したデュエルディスクを装着して準備を完了させる。

 

「【デュエル!】」

 

「先行は私が貰う!ドロー!」

 

松井瑠奈

手札5枚→6枚

 

「私はN(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバードを守備表示で召喚!」

 

N(ネオスペーシアン)・エア・ハミングバード

ATK800 DEF600

 

「エア・ハミングバードの効果発動!1ターンに1度相手の手札の数×500ライフを回復する」

 

【私の手札は五枚。と言う事は】

 

「ライフを2500回復する」

 

松井瑠奈

LP8000→10500

 

「更に私は手札から魔法カード二重召喚を発動!私はこのターンの間もう一度通常召喚を行うことが出来る。手札から極聖獣グルファクシを召喚!」

 

極聖獣グルファクシ

ATK1600 DEF1000

 

「私はレベル3エア・ハミングバードにレベル4極聖獣グルファクシをチューニング!命の光を重ね、無垢なる輝きを来たれ!シンクロ召喚!エンシェント・ホーリー・ワイバーン!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100 DEF2000

 

1ターン目にして瑠奈のエースモンスター、エンシェント・ホーリー・ワイバーンが姿を現した。しかし、黒い霧に包まれているためかいつもに比べてエンシェント・ホーリー・ワイバーンの輝きは弱っているように見えた。

 

「エンシェント・ホーリー・ワイバーンは自分のライフが相手より上回っている時その差だけ攻撃力をアップする。私のライフは10500。よって攻撃力を2500アップ!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→4600

DEF2000

 

「私はカードを二枚伏せてターンエンド」

 

【私のターン、ドロー】

 

ガーゼット

手札5枚→6枚

 

【私は魔法カードおろかな埋葬を発動!これによりデッキからモンスター一体を墓地に送る。私はヘルウェイ・パトロールを墓地に送る。そして墓地のヘルウェイ・パトロールの効果発動!このカードをゲームから除外する事により攻撃力2000以下の悪魔族モンスター一体を手札から特殊召喚出来る。私はダーク・リゾネーターを特殊召喚する】

 

ダーク・リゾネーター

ATK1300 DEF300

 

【更に私はデーモンの騎兵を召喚】

 

デーモンの騎兵

ATK1900 DEF0

 

【私はデーモンの騎兵にダーク・リゾネーターをチューニング!新たなる王者の鼓動、混沌の内より出でよ!シンクロ召喚!誇り高きデーモン・カオス・キング!】

 

デーモン・カオス・キング

ATK2600 DEF2600

 

ガーゼットの場に現れたのは一体の悪魔であった。背中より炎を噴き出し自身より体躯の大きいエンシェント・ホーリー・ワイバーンに臆さずにしている。

 

【バトル!デーモン・カオス・キングでエンシェント・ホーリー・ワイバーンを攻撃!】

 

「うそでしょ!?デーモン・カオス・キングの攻撃力は2600。エンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は4600。かなわないはずなのに…」

 

瑠奈はガーゼットの行動に驚くがガーゼットは意に介さずそのまま続行した。そしてエンシェント・ホーリー・ワイバーンとデーモン・カオス・キングがぶつかり合い、エンシェント・ホーリー・ワイバーンが消失した。

 

「そんな!?エンシェント・ホーリー・ワイバーンがっ!?」

 

【デーモン・カオス・キングの効果は攻撃時相手モンスターの攻撃力と守備力を入れ替える。よってエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は2000になったので破壊されたと言う事ですよ】

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK4600→2000

DEF2000→4600

 

松井瑠奈

LP10500→9900

 

「私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンの効果を発動!戦闘で破壊された時に1000ライフを払いフィールドに特殊召喚する。ドロップ・リボーン!」

 

松井瑠奈

LP9900→8900

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→3000

DEF2000

 

【ほう、なら私はカードを三枚伏せてターンエンド】

 

松井瑠奈

LP8900 手札1枚

モンスター

なし

魔法、罠

セット

セット

 

ガーゼット

LP8000 手札0枚

モンスター

デーモン・カオス・キング

魔法、罠

セット

セット

セット

 

ライフでは未だに瑠奈が優勢であったが場は完全にガーゼットが圧倒していた。

 

「まだだ!まだ終わっていない!エンドフェイズにリバースカードオープン!神の恵み!これは私がカードをドローした時にライフを500回復する永続罠!そして私のターン、ドロー!これにより神の恵みの効果発動!」

 

松井瑠奈

手札1枚→2枚

 

LP8900→9400

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK3000→3500

DEF2000

 

「私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンでデーモン・カオス・キングを攻撃!エタニティ・ライフ・ストリーム!」

 

【ふっ、そんな単調な攻撃が通用すると思っているのですか?リバースカードオープン!王者の調和(キングス・シンクロ)発動!相手の攻撃を無効にする!更にリバースカードオープン!竜の血族!これで私のフィールドのモンスターは全てドラゴン族モンスターとなる】

 

「竜の血族?何でそんなカードを…」

 

【無論意味はある。王者の調和(キングス・シンクロ)の更なる効果を発揮する。自分の場のドラゴン族モンスターとなったレベル7デーモン・カオス・キングと墓地のレベル3ダーク・リゾネーターをゲームから除外する事でエクストラデッキからレベル10冥界濁龍ドラゴキュートスを特殊召喚!】

 

ガーゼットがそう言うと遠くの方から何かが近づいてくる音が聞こえてくる。そして段々と近くなり瑠奈はその姿を見ることが出来た。瑠奈の目の前から大量の土砂が流れてきていたのである。そしてそれは普通の土砂とは違い黒く汚れておりこの世の者とは思えなかった。土砂はフィールドに近づくに連れ浅くなっていったがそれでも流れる力は強く瑠奈は土砂に流されそうになる。

 

【冥界を流るる嘆きの河より亡者の激流を逆巻き浮上せよ!シンクロ召喚!冥界濁龍ドラゴキュートス!】

 

そして土砂が地上に舞い上がり巨大な禍々しい龍が姿を現した。龍は空を飛ぶエンシェント・ホーリー・ワイバーンを見ると大きな咆哮を上げる。エンシェント・ホーリー・ワイバーンも負けじと咆哮を上げた。

 

冥界濁龍ドラゴキュートス

ATK4000 DEF2000

 

【冥界濁龍ドラゴキュートスは戦闘では破壊されない龍だ。さあ、あなたはこれをどう乗り越えますか?それともこのままサレンダーですかな?】

 

「っ!私はターンエンド」

 

【では、私のターン!ドロー!】

 

ガーゼット

手札0枚→1枚

 

【冥界濁龍ドラゴキュートスの効果発動!相手フィールドのモンスター一体を選択して発動する。相手モンスターの攻撃力を半分にしてその数値分相手にダメージを与える!私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンを選択!現時点でのエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は3500。よって1750のダメージを受けてもらう!】

 

「っ!きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK3500→1750

DEF2000

 

松井瑠奈

LP9400→7650

 

既にエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力は下級モンスター並みに下がっている。その影響なのかエンシェント・ホーリー・ワイバーンは力尽きたように濁流で溢れるフィールドに落下した。

 

「エンシェント・ホーリー・ワイバーン!」

 

【もはや飛ぶ力も残っていないか。せめてもの慈悲で止めを刺してあげましょう。バトル!冥界濁龍ドラゴキュートスでエンシェント・ホーリー・ワイバーンを攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

ドラゴキュートスの巨大な濁流の如き黒いブレスが発射される。エンシェント・ホーリー・ワイバーンは抗う力も残されていないのか何もせずそれを受け入れていた。

 

「リバースカードオープン!女神の加護を発動!この効果で私のライフを3000回復する!」

 

【…何?】

 

「これで私のライフは10650になった。よってエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力もアップ!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK1750→4400

DEF2000

 

【ちぃ!ドラゴキュートスの攻撃力を上回ったか!】

 

「行け!エンシェント・ホーリー・ワイバーン!ドラゴキュートスを返り討ちにして!」

 

瑠奈の言葉に答えるように力なく倒れていたエンシェント・ホーリー・ワイバーンは女神の加護から放たれる光を受け力を取り戻した。そのままブレスを放ちドラゴキュートスに押し返した。

 

ガーゼット

LP8000→7600

 

「まだまだよ!私はまだ負けていない!」

 

瑠奈の力強い宣言に答えるようにエンシェント・ホーリー・ワイバーンが巨大な咆哮を上げるのであった。

 




どう書いてもガーゼットの小物感が抜けない…。本来はこんな事になる筈じゃなかったのに…。


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第十六話:VSガーゼット後編 冥界濁龍ドラゴキュートスの猛攻

短いです。

第二話に乗っけているデストロイ・ジャンク・ドラゴンの召喚条件を変えました。気付いたらほとんど守っていなかったので…。


【まさかあの状態から防がれるとは…、私はカードを一枚伏せてターンエンドです】

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK4400→5150

DEF2000

 

松井瑠奈

LP10650 手札2枚

モンスター

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

魔法、罠

神の恵み

女神の加護

 

ガーゼット

LP7600 手札0枚

モンスター

冥界濁龍ドラゴキュートス

魔法、罠

セット

セット

 

「私のターン、ドロー!そして私のフィールドの神の恵みの効果発動!デッキからドローしたことで500ライフを回復する。そしてライフの差が開いたことでエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力もアップする!」

 

松井瑠奈

手札2枚→3枚

 

LP10650→11150

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK5150→5650

DEF2000

 

「私はフィールド魔法天空の聖域を発動!これで私の天使族モンスターとの戦闘で発生する私への戦闘ダメージは0になる。そして私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンで冥界濁龍ドラゴキュートスを攻撃!エタニティ・ライフ・ストリーム!」

 

【ぐっ!】

 

ガーゼット

LP7950→6300

 

「相手のライフが減った事でエンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力がアップする!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK5250→6900

DEF2000

 

【私はここでリバースカードオープン!暗黒龍の咆哮を発動!自分が戦闘ダメージを受けた時その数値分だけ自分の場の闇属性ドラゴン族モンスターの攻撃力をアップさせます。私が受けたダメージは1250。よって冥界濁龍ドラゴキュートスの攻撃力を1250アップする!】

 

冥界濁龍ドラゴキュートス

ATK4000→5650

DEF2000

 

「攻撃力が上がった…!?…私はターンエンド」

 

【では、そろそろ決着を付けましょうか。ドロー!】

 

ガーゼット

手札0枚→1枚

 

【私は冥界濁龍ドラゴキュートスの効果発動!エンシェント・ホーリー・ワイバーンの攻撃力を半分にして相手にその数値分のダメージを与える!】

 

「くっ、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK6900→3450

DEF2000

 

松井瑠奈

LP11150→7700

 

【更に私は魔法カード大嵐を発動!場の魔法、罠カードを全て破壊する!】

 

「そんな!?」

 

フィールドに風が吹き荒れガーゼットと瑠奈の魔法、罠カードが上空へと吹き飛ばされ塵になって消えていった。

 

【これでエンシェント・ホーリー・ワイバーンとの戦闘でダメージが発生するようになりました。そして女神の加護が消えた事で貴方に3000のダメージが入ります】

 

「うぅっ!」

 

松井瑠奈

LP7700→4700

 

【バトル!冥界濁龍ドラゴキュートスでエンシェント・ホーリー・ワイバーンを攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「あうぅっ!」

 

冥界濁龍ドラゴキュートスの放ったブレスでエンシェント・ホーリー・ワイバーンは破壊されその衝撃波が勢いを落とすことなく瑠奈に襲い掛かった。爆風に瑠奈の口からうめき声が漏れる。

 

松井瑠奈

LP4700→2500

 

【そして冥界濁龍ドラゴキュートスの効果発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時もう一度攻撃を行うことが出来ます!】

 

「ぐっ!私はエンシェント・ホーリー・ワイバーンの効果を発動!ライフを1000払って自分の場に、特殊召喚する…っ!」

 

瑠奈は満身創痍の体でエンシェント・ホーリー・ワイバーンを呼び戻した。しかし、激戦のせいか呼び出されたエンシェント・ホーリー・ワイバーンもまたボロボロであった。

 

松井瑠奈

LP2500→1500

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーン

ATK2100→0

DEF2000

 

「これでこのターンの間私が負ける事は無い。次で逆転、して見せる…!」

 

【…残念ですが貴方はこのターンで終わりです。私は先ほど破壊されたセットカード冥界の波動の効果を発動!このカードがフィールドから墓地に送られたターンのエンドフェイズまで自分の場の闇属性モンスターは貫通ダメージを与える事が可能になります。よってあなたのそのボロボロのモンスターでは壁にもならないのですよ】

 

「そ、そんな…」

 

瑠奈は絶望のあまり膝から崩れ落ちる。エンシェント・ホーリー・ワイバーンはそんな瑠奈を心配そうに見ているがガーゼットの無慈悲な攻撃宣言がされた。

 

【さて、これで終わりです!冥界濁龍ドラゴキュートスの攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「…あっ」

 

エンシェント・ホーリー・ワイバーンが少しでも瑠奈を守ろうとするがそんな気持ちすら冥界濁龍ドラゴキュートスのブレスが打ちこわし破壊した。そして巨大なブレスが瑠奈に、直撃した。

 

松井瑠奈

LP1500→-2150

 




冥界濁龍ドラゴキュートスの効果名って何なんですかね?

ちょっとした次回予告
【胸糞注意】


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第十七話:遊大の怒り VSガーゼット前編

注意!性的描写(?)が入ります。見ていて気持ちのいい物でもないので嫌な方は見ない事をお勧めします。


「瑠奈が行方不明!?」

 

遊大が目を覚ました翌日、ベッドの上で信じられない情報を耳にした。それは瑠奈の行方が分からないと言う事だ。

 

瑠奈の両親は何時もしっかりしている瑠奈を信頼して遊大の病院に行かせたが待てども待てども帰って来ず瑠奈の行方が分からないことが判明したのである。そして瑠奈と親しかった遊大にも連絡が来たという事である。

 

「瑠奈…、一体何処に行ってしまったんだ…?」

 

遊大は自分のデュエルディスクを磨きながらそう呟く。入院している彼に出来る事はほとんどないと言っていい状態でただ周りからの情報を待つしかなかった。

 

「瑠奈…」

 

【…そんなに大切な存在ですか?瑠奈と言う女性は?】

 

遊大が瑠奈の名を口にした瞬間であった。何処からともなく声が響いた。遊大は声に反応して周りを見渡す。声は違うが一度同じような状況に遭遇していた。

 

そして、アフリマの時と同じように黒い霧が現れ病室にいた遊大を包み込んだ。遊大は自分のデュエルディスクを装着しようとするが何故かなかった。

 

【探している物はこれですかな?】

 

再び声が聞こえてくる。遊大は声が聞こえてきた前方を見るとゆっくりと一人の悪魔が姿を現した。その悪魔の右手には遊大のデュエルディスクが握られていた。

 

「っ!それは俺のデュエルディスク!返せ!」

 

【勿論、構いませんよ。調べ物を終えたら、ですが】

 

悪魔はそう言うとデュエルディスクに内蔵されているエクストラデッキゾーンから二枚のカードを抜きだすと食い入るように見る。

 

【成程…、やはりこのカードはあいつらの…】

 

「お、おい!俺のカードにン何をするつもりだ…っ!」

 

遊大はカードを眺め続ける悪魔からカードを取り戻そうとするが急に動いたため胸に痛みを感じベッドの上で蹲ってしまう。

 

【…おや?まだアフリマ様とのデュエルの傷が癒えていないようですね。これはチャンスですね】

 

遊大の様子を観察した悪魔はにやりと笑みを浮かべるとカードを戻しデュエルディスクを遊大に向かって放り投げた。

 

【調べ物は終わりました。では近藤遊大、でしたか。私とデュエルをしてもらいましょうか】

 

「…何故?調べ物は終わったんだろ。なら…」

 

【調べ物は終わりました。結果私は貴方を倒さなければいけなくなりました。無論断った場合は仕方ないので後日伺う事にしますが…】

 

そう言うと悪魔は左手で握っていた鎖を引っ張る。鎖は悪魔の後ろにつながっている様で鎖がピンと張られる音と共に少女のうめき声が聞こえた。そして遊大はその声に聞き覚えがありあり得ないと心の中で思いながら鎖の先、黒い霧で覆われた先を見る。

 

【その場合次に来るまでの間、この少女に相手をしてもらう事にしましょう】

 

鎖に引っ張られ姿を現したのは…、瑠奈であった。昨日着ていた中学校の制服は脱がされたのかボロボロの布切れを被るように羽織り秘部が辛うじて見えないようになっているだけで他には一切何も身に着けていなかった。首には無骨な鉄の鎖が填められ鎖で繋がっていた。よほどひどい目にあったのか瑠奈の瞳には生気がなくただ鎖に引っ張られるように歩いていた。

 

遊大はそんな瑠奈の姿を見て殺意の籠った目で目の前の悪魔を睨む。悪魔はそんな視線に動じないどころか面白そうに笑みを浮かべながら瑠奈の顎を掴み上を向かせた。

 

【彼女は昨日デュエルで負けましてね。生きていたので今は奴隷となっています。我々モンスターの間では奴隷となった者にどのような事をしても許されています。故にこの少女も…】

 

そう言うと悪魔は瑠奈の顔に舌を這わせていく。瑠奈は生気のない目で天井を見ながらされるがままとなっていた。その姿には全てを諦め何をされても受け入れているように見えた。

 

「お前…まさか…っ!」

 

【この年頃の人間にしては中々具合が良かったですよ?あなたにも見せたかったぐらいですし…】

 

「…貴様ァァァァァァァっ!!!」

 

遊大は自分が出せる最大の声量で叫んだ。昔から一緒だった、自分を慕ってくれている瑠奈を陵辱した悪魔を決して許さない。その決意が籠った声を聞き悪魔は更に笑みを深めた。

 

【さて、先程の話の回答を聞きましょうか?私とのデュエルを受けますか?それとも…】

 

「勿論、受ける。貴様を、ここで潰す!」

 

遊大は胸に感じた痛みすら忘れベッドから出るとデュエルディスクを装着した。悪魔も左腕に悪魔を模したデュエルディスクを装着し遊大の正面に立つ。

 

【では、魔王軍所属異世界方面軍所属、真魔獣ガーゼットが相手をさせていただきます。よろしいですね?】

 

「ああ、お前とのデュエルなら問題ない」

 

悪魔、真魔獣ガーゼットの自己紹介にさっさと始めろとばかりに話を切り上げる遊大につまらないとばかりにガーゼットは肩をすくめたが直ぐに元に戻る。

 

【では、始めましょうか。闇のデュエルを!】

 

「【デュエル!】」

 

そしてガーゼットと遊大のデュエルが始まるのであった。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は手札抹殺を発動!お互い手札を全て墓地に送りデッキから墓地に送った枚数分ドローする!」

 

近藤遊大

手札5枚→0枚→5枚

 

ガーゼット

手札5枚→0枚→5枚

 

【この瞬間地獄商人・カットの効果を発動!手札にあるこのカードが相手の魔法カードの効果で墓地に送られた時このカードを特殊召喚する。現れろ地獄商人カット!】

 

地獄商人・カット

ATK800 DEF0

 

【地獄商人・カットの効果発動!このカードの効果で特殊召喚に成功した時このカードをリリースする事で自分の墓地から攻撃力、守備力共に1000以下のモンスター一体を特殊召喚する!私は墓地から地獄商人・プロ―を守備表示で特殊召喚します】

 

地獄商人・プロ―

ATK0 DEF0

 

「…俺は暗黒界の番兵レンジを守備表示で召喚。カードを二枚伏せてターンエンド」

 

暗黒界の番兵レンジ

ATK100 DEF2100

 

自信のターンであるにも関わらず効果を発動していくガーゼットに遊大はただ怒りの籠った目で睨みつける。しかし、ガーゼットはそんな遊大を面白そうにするだけで受け流していく。

 

【では、私のターン、ドロー!】

 

ガーゼット

手札5枚→6枚

 

【そして墓地の地獄商人・ギールの効果を発動します。自分のドローフェイズに引いたカードがドラゴン族モンスターの場合相手に見せる事で地獄商人・ギールを墓地から特殊召喚します。私は今引いたカード、ヘル・ドラゴンを見せチューナーモンスター地獄商人・ギールを特殊召喚!】

 

地獄商人・ギール

ATK1000 DEF0

 

【そして私はヘル・ドラゴンを召喚!】

 

ヘル・ドラゴン

ATK2000 DEF0

 

【地獄商人・ギールはドラゴンモンスターのシンクロ召喚の素材になる場合元々のレベルが6となる。私はレベル4のヘル・ドラゴンにレベル6の地獄商人・ギールをチューニング!冥界を流るる嘆きの河より亡者の激流を逆巻き浮上せよ!シンクロ召喚!冥界濁龍ドラゴキュートス!】

 

フィールド上に濁流が押し寄せその濁流がやがて固まり一つの龍の姿を作り出した。龍は巨大な咆哮を遊大に放った。咆哮は衝撃波となって遊大に襲い掛かるが遊大は顔を腕で守るだけでそれを凌ぎきった。

 

冥界濁龍ドラゴキュートス

ATK4000 DEF2000

 

【これはあの少女、瑠奈と言いましたか。彼女ですら倒せなかった最強のモンスターです!貴方はどうやって倒しますかな?バトル!冥界濁龍ドラゴキュートスで暗黒界の番兵レンジを攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「リバースカードオープン!D2シールド!自分の場の表側表示で存在するモンスターの元々の守備力を二倍にする!」

 

暗黒界の番兵レンジ

ATK100

DEF2100→4200

 

一気に巨大になった暗黒界の番兵レンジが冥界濁龍ドラゴキュートスの放ったブレスをはじき返していく。冥界濁龍ドラゴキュートスはそのブレスに飲み込まれ後方にいたガーゼットにまで押し寄せてきた。

 

ガーゼット

LP8000→7800

 

【ちぃ!私はカードを一枚伏せてターンエンドです】

 

近藤遊大

LP8000 手札2枚

モンスター

暗黒界の番兵レンジ

魔法、罠

セット

 

ガーゼット

LP7800 手札4枚

モンスター

冥界濁龍ドラゴキュートス

地獄商人・プロ―

魔法、罠

セット

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札2枚→3枚

 

「リバースカードオープン!強化蘇生発動!自分の墓地の浮幽さくらをフィールドに特殊召喚してこのカードを装備する!装備されたモンスターは攻撃力、守備力が100アップしレベルも一つ上がる」

 

浮幽さくら

ATK0→100

DEF1800→1900

Lv3→4

 

「俺はレベル4暗黒界の番兵レンジにレベル4浮幽さくらをチューニング!シンクロ召喚!デストロイ・ジャンク・ドラゴン!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

召喚された遊大のエースモンスター、デストロイ・ジャンク・ドラゴンは遊大の今の気持ちを代弁するようにガーゼットと冥界濁龍ドラゴキュートスに咆哮を上げた。冥界濁龍ドラゴキュートスも負けじと咆哮を返す。

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果を発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には4枚存在する。よって攻撃力は800アップする!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→3400

DEF2000

 

「そしてデストロイ・ジャンク・ドラゴンの召喚時効果発動!相手の場の魔法、罠カードを一枚破壊する!俺はその伏せカードを破壊する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンがブレスを放ちガーゼットの伏せカードを破壊した。しかし、ガーゼットは笑みを浮かべてお返しとばかりに効果を発動した。

 

【今破壊されたカード、経済操作の効果発動!墓地の地獄商人と名の付くモンスター一体につき相手モンスター一体の攻撃力を400ダウンする。私の墓地には地獄商人・カット、地獄商人・ギールの二体が存在します。よってデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力を800ダウンさせます】

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK3400→2600

DEF2000

 

上がっていたデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は元々の数値となりデストロイ・ジャンク・ドラゴンは悔しそうに呻いている。

 

「だが!デストロイ・ジャンク・ドラゴンで地獄商人・プロ―を攻撃すればその効果で冥界濁龍ドラゴキュートスを破壊できる」

 

【…ほう、そのカードにはまだそんな効果がありましたか】

 

「俺はデストロイ・ジャンク・ドラゴンで地獄商人・プロ―を攻撃!ダーク・デストロイヤー!」

 

遊大の怒りを載せたブレスが地獄商人・プロ―に迫る。しかし、ガーゼットは愚か地獄商人・プロ―ですら目の前に迫るブレスに余裕を崩していなかった。

 

【私は地獄商人・プロ―の効果発動!相手の攻撃宣言時に発動しその攻撃を無効にします】

 

地獄商人・プロ―が首の後ろに背負う風呂敷から年代物と思われる杖を取り出すとブレスがその杖の中へと吸い込まれていった。

 

【その後お互い800のダメージを受けます】

 

ブレスを吸い込んだ杖は暴発するようにブレスをあらぬ方向へと吐き出した。二つに分かれブレスはお互いのプレイヤーへと吸い込まれる様に向かって行った。

 

近藤遊大

LP8000→7200

 

ガーゼット

LP7800→7000

 

「…俺はターンエンドだ」

 

今の手札では何もできなかったのか遊大は悔しそうに顔を歪める。

 

【では、私のターン、ドロー!…ふ。あなたにはこのカードで地獄を見てもらいましょう】

 

ガーゼット

手札4枚→5枚

 

【私は手札から永続魔法地獄の封印石を発動!このカードが表側表示で存在する限りお互いエクストラデッキからモンスターを特殊召喚出来ない】

 

「何っ!?」

 

【あなたの事は聞いていますよ。低レベル、低攻撃力モンスターを使ってシンクロ召喚するスタイルだそうですね。故に!シンクロ召喚を封じるこのカードがある限り貴方に勝ち目はありません!私は冥界濁龍ドラゴキュートスでデストロイ・ジャンク・ドラゴンを攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「ぐっ!ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンに向かって冥界濁龍ドラゴキュートスの必殺の一撃が叩き込まれた。冥界濁龍ドラゴキュートスのブレスはデストロイ・ジャンク・ドラゴンを破壊しただけにはとどまらず後方の遊大まで勢いを殺さずに届いた。

 

近藤遊大

LP7200→5800

 

【冥界濁龍ドラゴキュートスの効果を発動。相手モンスターを戦闘で破壊した時もう一度攻撃を行うことが出来る。冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

近藤遊大

LP5800→1800

 

冥界濁龍ドラゴキュートスのブレスを二度まともに受けた遊大は吹き飛び病室の壁に背中を叩きつけられた。遊大はあまりの激痛に意識を失いかけ呼吸すらできず床に倒れた。

 

【おやおや?もう終わりですか?私はまだまだできますよ。私は更に地獄商人・ルーテを守備表示で召喚】

 

地獄商人・ルーテ

ATK0 DEF0

 

【このカードが表側表示で存在する限り1ターンに1度あなたからの効果による破壊を無効にしてくれます。さて、私はターンエンドですがこの状態で貴方はどうしますか?】

 

切り札を封じられフィールドにカードが存在せずライフは2000を切ったうえで遊大は二度の攻撃で満身創痍となっていた。

 

遊大は確実に敗北への道を歩ているのであった。

 




やっば、やりすぎた。ここからどうやって勝たせよう…。


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第十八話:遊大死す!? VSガーゼット後編

気付かなかったんですがこの後編を抜かして第十九話を投稿してました。


近藤遊大

LP1800 手札3枚

モンスター

なし

魔法、罠

なし

 

ガーゼット

LP7000 手札3枚

モンスター

地獄商人・プロ―

冥界濁龍ドラゴキュートス

地獄商人・ルーテ

魔法、罠

地獄の封印石

 

「俺の、ターン、ドロー!」

 

冥界濁龍ドラゴキュートスの攻撃を受けボロボロとなった体に鞭をうち遊大は立ち上がりカードを引いた。倒れても可笑しくないダメージをその身で受けたが瑠奈が陵辱されたと言う怒りで無理やり動かしていた。

 

手札3枚→4枚

 

「俺は手札から、モンスターをセットする。そしてカードを一枚伏せてターンエンド…」

 

【では私のターン、ドロー!】

 

ガーゼット

手札3枚→4枚

 

【私は手札の闇の精霊ケノンの効果を発動!墓地の闇属性モンスター一体をゲームから除外する事で手札から特殊召喚する】

 

闇の精霊ケノン

ATK1600 DEF1200

 

【そして私は地獄の大商人・メアをアドバンス召喚!】

 

地獄の大商人・メア

ATK2000 DEF1200

 

【このカードが表側表示で存在する限り私の地獄商人と名の付くモンスターの攻撃力は300アップします】

 

地獄商人・プロ―

ATK0→300

DEF0

 

地獄商人・ルーテ

ATK0→300

DEF0

 

【これで貴方の負けです。私は冥界濁龍ドラゴキュートスでセットモンスターに攻撃!冥界の幽鬼奔流(ゴースト・ストリーム)!】

 

「今だ!リバースカードオープン!光の呪縛を発動!冥界濁龍ドラゴキュートスの攻撃力を半分にして攻撃、及び表示形式の変更を封じる!」

 

【何ですと!?】

 

「お前の場にいるルーテとプローはそれぞれ攻撃を一度だけ無効にする効果と効果による破壊を防ぐ効果だ。こういう効果には効かないだろう?」

 

【…まあ、いいでしょう。私は地獄の大商人・メアで攻撃します!】

 

「だが、俺がセットしていたモンスターはメタモルポッドだ!よって効果を発動する!お互い手札を全て捨てて五枚ドローする!」

 

近藤遊大

手札2枚→0枚→5枚

 

ガーゼット

手札2枚→0枚→5枚

 

【手札を補充されましたか…ですがまだプロ―とルーテの攻撃が残っています。二体で直接攻撃(ダイレクトアタック)!】

 

「ぐっ!ううぅぅぅぅぅぅっ!!」

 

近藤遊大

LP1800→1500→1200

 

【私はカードを二枚伏せてターンエンドです】

 

近藤遊大

LP1200 手札5枚

モンスター

なし

魔法、罠

光の呪縛(冥界濁龍ドラゴキュートスに発動中)

 

ガーゼット

LP7000 手札4枚

モンスター

冥界濁龍ドラゴキュートス

地獄商人・プロ―

地獄商人・ルーテ

地獄の大商人・メア

魔法、罠

地獄の封印石

セット

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

「俺は魔法カードファイナル・シンクロを発動!自分のライフを半分にする事で手札のチューナーモンスター一体とそれ以外のモンスター一体以上を墓地に送る。そしてこの効果で墓地に送ったモンスターのレベルの合計と同じレベルを持つシンクロモンスターをシンクロ召喚扱いで特殊召喚する!…ぐ、うぅぅぅぅぅぅっ!!!」

 

近藤遊大

LP1200→600

 

ただでさえ病み上がりなうえにこのデュエルで受けたダメージで遊大は膝をつく。しかし、決して止める事は無く烈火の如き怒りで痛みを耐えながら必死にガーゼットを睨みつける。

 

【墓地から…ですかっ!】

 

「地獄の封印石はあくまでエクストラデッキからの特殊召喚を封じる効果だ。だったら他の場所からシンクロ召喚すればいい。俺は手札の幽鬼うさぎ、なぞの手、アクロバットモンキーを墓地に送りデストロイ・ジャンク・ドラゴンを特殊召喚する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

主の怒りに答えるようにいつも以上に他者を怯ます咆哮をあげながらデストロイ・ジャンク・ドラゴンはフィールドに蘇った。ガーゼットのモンスターたちはデストロイ・ジャンク・ドラゴンの咆哮に怖気づいたのか一歩下がってしまう。

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果発動!墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力を200アップする!俺の墓地には10枚存在する。これでデストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力は…」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→4600

DEF2000

 

【攻撃力、4600…っ!?】

 

素の冥界濁龍ドラゴキュートスすら上回る攻撃力にガーゼットは唾を飲み込むが直ぐに嫌な笑みを浮かべた。

 

【…ですが貴方が攻撃すればプロ―の効果で800のダメージを受けあなたの敗北が決まりますよ!】

 

「…そんな事百も承知だ。俺はデストロイ・ジャンク・ドラゴンの効果でセットカードを破壊する!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンが咆哮を上げた。その衝撃波によりセットカードは破壊されその破片がガーゼットの体に襲い掛かる。まるで主の怒りを表すように。

 

「これでセットカードを気にする必要はなくなった。俺は手札から年代物の古時計を召喚」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンの隣に新たなモンスターが現れる。それはモンスターと言うよりはただの時計と言った方がしっくりする姿をしていた。屋敷にありそうな大きい古時計の姿をしているが所々破損しており時計に至っては奥の歯車が見えている程であった。

 

年代物の古時計

ATK0 DEF1000

 

【その様な屑カード、一体何の約にたつと言うのですが。今サレンダーするというのであれば苦痛なく、一撃で沈めてあげましょう】

 

「その必要はない。お前はこのターンで終わりだ」

 

遊大は痛むのか左手で脇を抑えながら話を続けた。

 

「年代物の古時計は自分のライフが相手より3000以上少ない場合召喚したターンのエンドフェイズまで相手モンスターの効果を無効化する」

 

【な…っ!それでは我が地獄商人たちは…!】

 

「ただの攻守0のモンスターになる。そして魔法カード龍の激昂を発動!デストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃力をエンドフェイズまで二倍にする…!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK4600→9200

DEF2000

 

その魔法カードの長示すようにデストロイ・ジャンク・ドラゴンは赤きオーラを纏いながらガーゼットに怒りの籠った目で睨みつける。その眼力と迫りくる敗北にガーゼットは恐怖を抱き少しづつ後退していく。

 

【ば、馬鹿な…!?私が、負けると言うのか!?】

 

「死ね!悪魔!俺の大切な瑠奈を傷つけた事を後悔しながらこの世から消え去れ!デストロイ・ジャンク・ドラゴンの攻撃!ハイパー・ダーク・デストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンから今までの中で一番巨大なブレスが冥界濁龍ドラゴキュートスに向けて放たれた。冥界濁龍ドラゴキュートスはそのブレスを避けようとするが聖なる光を帯びる鎖につながれ身動き一つ取れなかった。

 

そしてブレスを浴びた冥界濁龍ドラゴキュートスは溶けるように破壊されその後方、恐怖で顔を歪ませるガーゼットを赤い稲妻を帯びた黒いブレスが飲み込んだ。

 

【あ、あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″】

 

ガーゼット

LP7000→-200

 

ガーゼットは自身のエースモンスター、冥界濁龍ドラゴキュートスと同じように溶けるように消失していった。使用者がいなくなるどころかカードすら消え去った事により場に残っていた地獄商人などのモンスターは透けていき消えた。また、遊大のデストロイ・ジャンク・ドラゴンもブレスをガーゼットを消し飛ばしたからなのか、満足そうに消えていった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ…っ!」

 

遊大は肩で息をしながらデュエルに勝利した安堵から力が抜けその場に崩れ落ちてしまう。デュエルディスクからは煙が上がり崩れ落ちた衝撃でバラバラになった。遊大は最後の力を振り絞り這いながら瑠奈の元へ進んでいく。

 

「瑠奈…っ!」

 

余程ひどい目にあったのか。僅か一日しか経っていないにも関わらず生気の籠らない目で瑠奈は遊大の呼びかけに答えずただ空中を眺めているだけだった。

 

やっとのことで瑠奈の元にたどり着いた遊大は右手を伸ばし瑠奈の左手を包み込むように掴む。瑠奈は一瞬ビクッと反応を示したがそれ以上の反応を示す事は無かった。それでも、瑠奈が反応してくれたことに遊大は笑みを浮かべた。そしてゆっくりと眠るように遊大は意識を手放すのであった。

 

黒い霧が消え異変に気付いた医師が駆け付けてくるまで遊大は瑠奈を取り戻したと言う安堵に包まれるのであった。

 



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第十九話:戦いの後に

お久しぶりです。


「遊大…」

 

遊戯町にある病院の一室。ボロボロになった痛ましい姿の友人の名を、斎藤一は呟いた。遊大のお見舞いに行った翌日、病室でボロボロの遊大と同じくボロボロで行方不明だった瑠奈が見つかったと言う報告を一は夜中に知らされた。急いで遊大のもとに駆け付けそれからずっと目を覚まさない友のそばに寄り添っていた。

 

この病院には遊大と一緒に発見された瑠奈がいるが無理矢理強姦された影響か体中が傷つき今も集中治療室から出る気配が無かった。瑠奈の両親はたった一日で変わり果てた娘の姿を見てずっとそばを離れず泣き続けている。遊大の両親は今は医者の話を聞くために別室にいるが先ほどまで一と共に付きっ切りであった。

 

「一体、何でこんな事に…」

 

一は傷つく友の姿に何で自分はその場に居なかったのかと後悔していた。そう思ってもどうしようもないと一自身も分かっているがそう思わずにはいられなかった。

 

「遊大が話していた…アフリマと言う奴の仕業なのか?」

 

一は遊大と瑠奈をこんな姿にした犯人について考察する。遊大から聞いたアフリマと言う人物。痛みが実体化する恐ろしいデュエル。どれも聞いたことが無い物だった。

 

「せめて、その時の様子が分かれば…!」

 

そこまで考えて首を横に降る。遊大のデュエルディスクは損傷が激しくデータを取り出す事が不可能になっていた。少しでも当時の状況を知りたいと願った初めにとって絶望とも言える結果であった。

 

「しかし、何故瑠奈が狙われたんだ…、あいつは何も関係ないはずなのに…!…いや、それを言ったら遊大もそうだな」

 

一はデッキホルダーから一枚のカードを取り出す。遊大と同じくデュエルモンスターズ・ハイスクールの合格の際に貰ったカードであった。未だデュエルでは一度も使用したことがないそのカードを手に持ちながら一は遊大の無事を心から願うのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

【ガーゼットを破るとは…】

 

精霊世界を見下ろすように作られた魔王城にある幹部たちが使用する会議室にて精霊世界を統べる魔王は苛立ちを抑え込みながら部下がまとめた報告書を呼んでいた。

 

【まさかあの局面から逆転するとは…、負け犬め。面倒な奴に憑りつきおったな】

 

「魔王様、いかがなされますか?幾人か送り込みますか?」

 

玉座に座る魔王から見て右手に座るゾンビの如き容姿をしたモンスターが話しかける。

 

『いや、ガーゼットは四天王ではなかったがそれに匹敵する実力を持っていた。奴が負けたと言う事から数より質で押すべきだろう』

 

ゾンビの真正面に座った悪魔が否定的な意見を出す。ゾンビはその意見を聞き顎に手を当てながら考えるしぐさをする。

 

〈でもさぁ~?ガーゼットを倒せるような奴と言う事は少なくとも俺らが出るしかないんじゃない?〉

 

悪魔の言葉にこの会議に参加している最後の一人、禍々しい鎧を着こんだ軽薄そうな男が批判的な事を言う。軽い口調の男に悪魔は不服そうに睨みつける。

 

『会議中だぞデュークシェード。その言葉遣いを何とかせぬか』

 

〈え~?別に構わないでしょ~?誰に迷惑をかけている訳じゃないんだし〉

 

『そういう問題ではない。既に我らはこの世界を統べる立場にいるのだ。それにふさわしい態度をとる必要がある』

 

〈え~?面倒くさいな~〉

 

『貴様…っ!』

 

「まあ、プロメティスの言う事も分かるが今は我らの敵となった人間、近藤遊大をどうするかを話すべきだろう?」

 

【…リッチーロードの言う通りだ。奴は我が臣であったアフリマを殺し更にガーゼットを降した。近藤遊大とか言う人間はどうでもいいが奴に憑りついている負け犬が問題だ】

 

魔王の言葉を受け四天王達が一斉に魔王の言葉に耳を傾ける。

 

【負け犬を慕う者は未だに存在する。奴らは負け犬がここ(精霊世界)に戻って来るのを望んでいるがそれを行えばこの世界の時は再び止まるであろう。そうなればモンスター達は変わらない今日を永遠に続けていく事になる。それだけは避けねばならない】

 

魔王はそう言うと勢いよく立ち上がった。

 

【次は我自らが出向こう】

 

魔王のその言葉に四天王達は驚くと同時に焦った。精霊世界は長い戦いの末、魔王の元に統一されていたが各地にはそれに反感を持っているものがいた。そんな状況で魔王がここを離れるのはリスクが大きかった。

 

そして、万が一魔王も失う事になればそれこそ魔王が負け犬と呼ぶ者たちが精霊世界に戻ってきて再び時が止まった世界となる可能性があった。四天王達はそれだけは避けようと必死に呼びかける。

 

「魔王様!今魔王様がこの世界を離れるのは危険すぎます!せめて一年、いや半年は我慢してください!」

 

〈リッチーロードの言う通りですよ~?流石に魔王様が自ら出向くとなるとそれ相応の手順が必要になってきますから~〉

 

『既に魔王様はこの世界を統べる王となられたのです。今までの様に軽々しく動くことは許されませんぞ』

 

四天王達からの呼びかけに魔王は不服そうに呻くが再び椅子に座りなおした。

 

【…分かった。なら今は奴の周囲に手下を潜り込ませ情報を集めよ。そして期が熟した時一気に取りにいく。よいな?】

 

「『〈はっ!〉』」

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「なあなあ!聞いたか、あの噂」

 

魔王城の城下町、表通りに並ぶ飲食店の一つ、様々な酒を浴びるように飲んでいる居酒屋の端の席で小悪魔の様な外見をした悪魔が目の前の牛の姿をしたモンスターに話しかける。

 

「噂ぁ?一体何の噂だぁ?」

 

「魔王軍のガーゼット様が死んだって言う噂だよ!」

 

牛のモンスター、牛魔人は酒でへべれけになりながら問い返した。それを小悪魔、インプが答える。城下町を出た先に広がる農園で働く二人はよく一緒に酒を飲んでは様々な噂を酒の肴にして日々を楽しんでいた。

 

「何でもデュエルを挑んで返り討ちにあったんだとよ」

 

「はぁ?馬鹿を言うな。あのお方は魔王軍の中でも上位に入る実力者だぞ。いくら何でも負ける事なんて…」

 

「その噂なら俺も聞いたぞ」

 

牛魔人はあり得ないと否定的な言葉を発しかけた時二人の会話に割り込む声が聞こえてきた。二人は声のした方を見れば鎧を着た戦士風の男がビールの入ったグラスを片手に立っていた。

 

「あ、ラーズさん。お久しぶりです」

 

「何の用だ?ラーズ」

 

インプは戦士風の男、ラーズに丁寧にあいさつをするが牛魔人の方は若干不機嫌であった。そんな反応にラーズは肩をすくめながら答える。

 

「何、たまたま知り合いが話しているところに出くわしたのでな。酒の肴代わりに話に参加させてもらおうと思ってな」

 

「お断りだ。てめぇなんかと酒が飲めるかよ」

 

ラーズの言葉に牛魔人は即答するがインプがまあまあと宥めている内にラーズは勝手に椅子を持ってきて二人の席に座ってしまった。

 

「あ、てめぇ!何勝手に…」

 

「さて、先程の噂だったが」

 

「何か知っているんですか、ラーズさん?」

 

「勿論だ。俺の所属先でもかなり噂になっているよ」

 

「けっ、そんなに魔王軍に入れたことを自慢したいのかよ」

 

牛魔人は面白くないとばかりに嫌味を言う。かつて牛魔人は魔王軍に入りたくて志願した事があったがその審査の際に不適格とみなされ入ることが出来ていなかった。しかし、その時一緒に審査を受けていたラーズが合格した事で牛魔人は嫉妬していたのである。

 

「ちょっと、牛魔人。いくら何でもそこまで言う事は…」

 

「いいんだ。こいつがどれだけ魔王軍に入りたかったは俺も分かっている。だからこそ今も志願しているんだろ?」

 

「世界が魔王様の元で統一された今、魔王軍に入るのは難しいと思うけどな」

 

「いや、そうでもない。ここ最近各地の反魔王勢力が活発化している。それに伴い軍備の増強を行っている。無論兵士も今以上に募集される」

 

「と、言う事は牛魔人でも入れる可能性があるって事か!」

 

よかったじゃないか、とインプは自分の事の様に喜び牛魔人の肩を叩く。牛魔人も憧れの魔王軍に入れる可能性が出てきて若干嬉しそうにしていた。そんな二人にラーズはビールの入ったグラスを掲げる。

 

「少し前までこんな生活が送れるとは夢にも思っていなかった。俺はこの生活を守るために俺に出来る事をやるつもりだ」

 

ラーズの言葉に二人も杯を掲げる。そして、

 

「「「魔王万歳!」」」

 

三人はそう言うってグラスをぶつけるのであった。

 



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第二十話「精神世界!?VSアフリマ・前編」

お久しぶりです。漸く完成したので出します。


「おっす、一」

 

「ああ…」

 

遊大達が通う教室で起きた黒い霧の一件から一週間が過ぎた。あれ以来未だに遊大が目覚める事は無く瑠奈の様子も変わっていなかった。友人二人の痛々しい様子に一も元気がなくなっていた。そんな一を心配してクラスメイトが良く声をかけていた。

 

「よう、おはよう一」

 

「ああ、おはよう」

 

一は遊大の後ろの席に座っている十郎の挨拶に軽く返した。一週間ずっと同じ反応をされ十郎は一を心配する。

 

「遊大はまだ…?」

 

「ああ、あれ以来一度も目を覚ましていないんだ」

 

十郎の問いに一は力なく答える。十郎も遊大を心配して幾度かお見舞いに病院を訪れた事もあるがいつも憔悴した遊大の眠る姿しか見ていなかった。

 

「…早く、眼覚めると良いな」

 

「…ああ」

 

HRの時間となり教師が入ってくる中十郎はその様に呟くのであった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

「…くそ、何処まで続いているんだよ、ここは…」

 

真っ暗な空間の中、一人の少年の声が響く。その少年、近藤遊大は既に幾日もの間この暗い空間をさまよい続けていた。体感時間は狂いこの空間で目覚めてからどのくらいの日数が経過したのかすら分からなかった。もしかしたら一年経過しているかもしれないし一日も経っていないのかもしれない。今の遊大に出来るのはこの暗闇の中を歩き続ける事だけだった。

 

幸いな事に空腹や疲労は感じず遊大はただ歩き続けてきたが刺激がほとんどないこの空間でただ歩き続けるのは精神的に辛く眼に見ない形で疲労が溜まってきていた。

 

「はあ、もしかして一生ここから出られないのかな…?」

 

そう思ってはいけないと分かりつつもどんどん思考は悪い方向に考え始めやがて精神を少しずつ壊していた。しかし、何処までも続いていたと思っていた暗闇は突如として姿を変えた。

 

「ここは…?」

 

遊大が目にしたのは巨大なピラミッド型の遺跡であった。ピラミッド型の建造物を中心に石造りの遺跡が広がっている。もう誰もいないのか遺跡はボロボロで所々崩れていた。

 

「なんでこんなところに遺跡が…」

 

遊大はそう呟きながら後ろを振り返る。後方には今までと変わらない暗闇があったが遺跡の所だけ日があるように明るかった。この光が暗闇に届いていないことから暗闇には光すら飲み込んでいるのだろう。

 

遊大はゆっくりと周りを見渡しながら遺跡を歩いていく。なんの目的で作られたのか、一体何処の遺跡なのか遊大には分からなかったが今まで刺激に飢えていた遊大はただ歩いて行くだけでも良かった。

 

そして遊大はピラミッドの入り口と思われる場所から中へと入っていく。しばらく歩き大きな空洞部分に出た遊大は驚いた。

 

「…!これは…」

 

空洞は何かの闘技場の様になっており四方には太い台が置かれその上に大きな狼の様な生物の石像が祭られるようにして存在していた。その石像を見ていた遊大は見た事も無い筈なのにデジャブを感じていた。

 

「何で…?俺はこんな生物知らないはずなのに…」

 

【…それはお前が実際目にしているからだ】

 

デジャブについて遊大が考えていると何処からともなく声が聞こえてくる。遊大は驚きあたりを見回すと遊大が入って来た入り口とは別に奥の方にも道があった。そしてその方向から何かが近づいてきているのが分かった。

 

やがて姿を現したそれは目の前の石像と同じ姿をしていた。全体的に青い体毛に包まれたその生物は遊大を親の仇とばかりに睨みつけている。

 

「…もしかして、今の声はお前が…?」

 

【その通りだ、近藤遊大。そして久しぶりだなぁ】

 

「…悪いが俺はこんな喋る狼とあった事は無いぞ」

 

遊大は自分が知らない相手が自分を知っていることに恐怖を覚えつつ聞き返す。

 

【それもそうだろうな。貴様と会った時は人の体を介してだったからな。では改めて名乗ろう。我が名はアフリマ。魔王様に仕える臣である】

 

アフリマ。その名を聞いた遊大は目を見開いて驚く。てっきりあの人間がその様な名だとばかり思うと同時にあれ以来よく分からない事に襲われ続けていたため遊大はアフリマを睨みつける。

 

「アフリマだと…。お前とデュエルしてからよく分からないことが置き続けているんだ」

 

【ほう、と言う事は魔王軍の誰かとデュエルでもしたのか?魔王様なら必ずや気付いてくれると思っていたが予想は的中したな】

 

「…さっきから魔王とか言っているが一体何の話をしてるんだ?」

 

【ふん、貴様には関係ない事だ。今から死ぬお前には、な】

 

アフリマの不敵な笑みに遊大はいいしれない恐怖を感じた。それと同時に左手を何かが覆いそちらをみてみればデュエルディスクが装着されていた。デッキも補充されておりカードを見てみれば自分の使っているデッキであった。

 

【あちらの世界から引っ張ってきた。貴様には今から体を賭けたデュエルを行ってもらう。貴様が勝てば無事にここから出してやる】

 

「へえ、前も突発的だったけど今回もそうみたいだな。…因みに負けた場合は?」

 

【無論ここから出る事は適わず貴様の体を我がいただく。貴様のせいで私が使用していた肉体は消えてしまったのでな。替えが必要なのだ。体が無ければ我はここから出る事すらかなわん】

 

「なら二度と出られないようにしてやるよ。行くぜ!」

 

遊大はそう言うとデュエルディスクを起動させる。軽快なスライド音と共にデュエルディスクが展開された。アフリマは四足歩行の獣の姿の為か普通より大きなカードが宙に浮かび遊大から見えないようにしていた。

 

「【デュエル!】」

 

【先行は私がいただく。ドロー!】

 

アフリマ

手札5枚→6枚

 

【手札から魔法カードおろかな埋葬を発動!これによりデッキからダークアイズ・カオスドラゴンを墓地に送る。更に手札から魔法カード死者蘇生を発動!現れろ!ダークアイズ・カオスドラゴン!】

 

前回のデュエルで遊大を苦しめた龍が最初の段階で登場した。前回よりも禍々しく感じる龍は遊大に、向かって恨みの籠った咆哮を上げる。

 

ダークアイズ・カオスドラゴン

ATK3000 DEF2000

 

【ダークアイズ・カオスドラゴンの効果発動!召喚、特殊召喚に成功した時デッキから一枚ドローする。更に私は永続魔法闇龍の栄光を発動!その効果は…言わなくても分かっているな?】

 

アフリマ

手札4枚→5枚

 

「ああ、あの時受けた痛みは思い出すたびに感じているよ」

 

闇龍の栄光の効果でいくらでも蘇ったダークアイズ・カオスドラゴンの姿を思い出し胸を抑える。

 

【なら再びその痛みを味わうがいい!私はこれでターンエンドだ。この瞬間ダークアイズ・カオスドラゴンの効果発動!このカードをリリースする事により相手に1000のダメージを与える!カオス・フレア!】

 

「ぐ、ああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

近藤遊大

LP8000→7000

 

遊大は自身を襲った強烈な痛みに膝をつく。痛みはこれまでのデュエルとは比べ物にならない程であり遊大は額に汗を流し膝をついた。

 

「はぁ、はぁ…くそ、何打この痛みは…!?」

 

【ここは精神世界。肉体が存在しない分ダメージは直接魂を削る。つまり貴様の命とライフは繋がっているという事だ】

 

「へぇ、そう言う事は予め言って欲しいな」

 

【生憎、敵に塩を送るほど甘くはないのでな。さぁ、貴様のターンだ】

 

「分かっているって。俺のターン、ドロー!」

 

近藤遊大

手札5枚→6枚

 

【闇龍の栄光の効果発動!ライフを800払いダークアイズ・カオスドラゴンを蘇生する!そしてダークアイズ・カオスドラゴンの効果により一枚ドローする。…ぐっ!】

 

アフリマ

LP8000→7200

 

手札

4枚→5枚

 

アフリマの場に再び暗黒の龍が蘇る。一方アフリマは苦しそうにしている事からあちらも魂を削っていることが遊大には分かった。

 

「(出し惜しみは危険だな)俺は手札を一枚捨てる事で嘲笑の道化師を特殊召喚する!」

 

近藤遊大

手札6枚→5枚

 

嘲笑の道化師

ATK0 DEF0

 

「更に手札の一足三手の傀儡の効果発動!自分フィールドにレベル3モンスターが特殊召喚されたため手札から特殊召喚する!」

 

一足三手の傀儡

ATK0 DEF0

 

「そして古代の機械人形(アンティークギア・パペット)の効果発動!攻守0のモンスターが特殊召喚されたため手札から特殊召喚する!」

 

古代の機械人形(アンティークギア・パペット)

ATK500 DEF500

 

「俺はレベル3嘲笑の道化師と一足三手の傀儡にレベル2古代の機械人形(アンティークギア・パペット)をチューニング!来い!デストロイ・ジャンク・ドラゴン」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600 DEF2000

 

「デストロイ・ジャンク・ドラゴンは墓地の攻撃力1000以下のモンスター一体につき攻撃力は200アップする!俺の墓地には出すのに使った三体のモンスターと嘲笑の道化師の効果で送った屋敷わらしがある!よって攻撃力は800アップ!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

ATK2600→3400

DEF2000

 

「そしてデストロイ・ジャンク・ドラゴンの召喚時効果発動!相手フィールドの魔法、罠カード一枚を破壊する!俺は闇龍の栄光を破壊!」

 

【ぐっ!】

 

「これで厄介なカードは消え失せた!バトル!デストロイ・ジャンク・ドラゴンでダークアイズ・カオスドラゴンを攻撃!ダークデストロイヤー!」

 

デストロイ・ジャンク・ドラゴンより放たれた闇の炎がダークアイズ・カオスドラゴンを包み込む。ダークアイズ・カオスドラゴンは悲鳴を上げながら破壊されていった。

 

アフリマ

LP7200→6800

 

【…っ、まさかこうも簡単に破壊されるとはな】

 

「へっ!俺をあの時のままだと思ったら大間違いだぜ!」

 

そう言うと遊大は右手を突き出しアフリマを指さす。

 

「俺は必ずお前を倒してここから出てやる!俺はこのままターンエンドだ」

 

アフリマ

LP6800 手札5枚

モンスター

なし

魔法、罠

なし

 

近藤遊大

LP7000 手札2枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

なし

 



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第二十一話「瑠奈の元に VSアフリマ後編」

アフリマ

LP6800 手札5枚

モンスター

なし

魔法、罠

なし

 

近藤遊大

LP7000 手札2枚

モンスター

デストロイ・ジャンク・ドラゴン

魔法、罠

なし

 

盤面は遊大の有利に進んでいた。しかし、相手はダークアイズ・カオスドラゴンの効果でカードを引いていたため手札のアドバンテージは相手の方が格段に上であった。

 

【…ターンエンドの前に俺の方の効果の処理をやらせてもらおう】

 

「何!?」

 

【ダークアイズ・カオスドラゴンが戦闘、効果によって破壊されたターンのエンドフェイズに発動!俺はライフを3000払う事で暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)を特殊召喚する!…ぐぅあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!】

 

アフリマ

LP6800→3800

 

アフリマが多大なライフを消費して呼び出したカードは禍々しい龍であった。ダークアイズ・カオスドラゴンですら可愛く見えるオーラを放つその龍に遊大は知らず知らずのうちに汗を流しつばを飲み込んでいた。

 

暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)

ATK3500 DEF2500

 

【はぁ、はぁ…暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)はダークアイズ・カオスドラゴンが戦闘、効果で破壊された時のみ特殊召喚出来るモンスターだ。我がデッキの中でも最強にして最恐たるこのカード…。ふはははっ!貴様に攻略できるかな?】

 

アフリマは汗を流しつつも狂気的な笑みを遊大に向ける。遊大も暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)の禍々しい気に当てられ顔を若干青くしていた。

 

【…そして、我がターン!ドロー!】

 

アフリマ

手札5枚→6枚

 

【私は闇の誘惑を発動する。デッキからカードを二枚ドローし手札の闇族モンスター一体を除外する。私は手札から悪魔嬢リリスを除外する】

 

アフリマ

手札5枚→7枚→6枚

 

【私は小さな王ディアボロスを召喚する】

 

小さな王ディアボロス

ATK1600 DEF0

 

【バトル!暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)でデストロイ・ジャンク・ドラゴンを攻撃!カオス・ストリーム・バースト!】

 

暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)から放たれたブレスがデストロイ・ジャンク・ドラゴンを包み込む。デストロイ・ジャンク・ドラゴンは悲鳴すら上げる暇なく強烈な熱線に溶かされ、破壊された。

 

「くっ!」

 

近藤遊大

LP7000→6900

 

【更に小さな王ディアボロスの直接攻撃!】

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

近藤遊大

LP6900→5300

 

【私はカードを二枚伏せてエンドフェイズ!暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)の効果発動!貴様に1000のダメージを与える!混沌消滅破!】

 

「ううぅぅぅぅぅぅぅっ!!!???」

 

近藤遊大

LP5300→4300

 

一気に2600ものダメージを受けた遊大はあぶらあせを掻き胸を抑えながらその場に蹲る。1000のダメージだけでも厳しい中その2.5倍ものダメージは確実に遊大のたましいを削っていた。

 

【さあ、貴様のターンだ。…尤も、デュエルを行えるだけの気力があれば別だがな】

 

「…ふ、ふふふ」

 

遊大は擦れ出るように笑う。ゆっくりとその場から立ち上がる遊大の目は、諦めていなかった。

 

【…まだ立てるのか】

 

「当たり前だろ?俺はお前を倒して瑠奈の元に戻らなければいけないんだ」

 

遊大は思い出す。瑠奈の痛々しい姿を。たった一晩であそこまでになったのだ。相当辛い思いをしたのだろう。今思い出してもガーゼットを許す事は出来ないし瑠奈を思うだけで心がいたくなる。故に、こんなところでぐずぐずしている訳には行かなった。

 

「俺のターン!ドロー!」

 

近藤遊大

手札2枚→3枚

 

「俺は手札からトライアングルソウルを発動する!墓地に存在するレベル3以下のモンスターを三体まで特殊召喚する!来い!俺のモンスターたち!」

 

嘲笑の道化師

ATK0 DEF0

 

一足三手の傀儡

ATK0 DEF0

 

屋敷わらし

ATK0 DEF0

 

「更に俺はレスキューラビットを召喚!」

 

レスキューラビット

ATK300 DEF100

 

「レスキューラビットの効果発動!レベル4以下の通常モンスターを特殊召喚する!来い!レアメタル・レディ!」

 

レアメタル・レディ×2

ATK450 DEF900

 

【ふん、また貴様お得意のシンクロ召喚か。だがいくら召喚したところで我が暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)には適わないぞ】

 

「ああ、だからこうするんだよ!俺はレベル3モンスター五体でオーバーレイ(・・・・・・)!」

 

【何!?】

 

「破滅を呼び起こす終末の龍よ!今こそその力を解き放て!エクシーズ召喚!ランク3カタストロフ・エクシーズ・ドラゴン!」

 

遊大の声に合わせすがたを現したのはまさに終末の龍に相応しい姿をしたドラゴンであった。見る者全ての心を恐怖一色にし抵抗すら無意味とばかりに堂々と立つその姿にアフリマは全ての思考を一度無へと返された。

 

「カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンは自身のエクシーズ素材の数で効果が変わる。そして俺が素材にしたのは五枚!よって全ての効果が使える」

 

カタストロフ・エクシーズ・ドラゴン

ATK3000 DEF2000

 

「更に速攻魔法終末のカタストロフ・バーストを発動!自分フィールドにエクシーズモンスターしかいない場合に発動できる。相手フィールドの魔法、罠カードを二枚まで破壊する!」

 

カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンより光線が放たれアフリマの場に伏せてあったカードが破壊される。その姿はまさにカタストロフ(破滅)に相応しかった。

 

【馬鹿な…、こんなことがあってたまるか】

 

「…カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンの効果。エクシーズ素材が四枚以上ある場合相手フィールドのモンスター一体につき攻撃力を500アップする。お前の場には二体いるな。よって1000アップする」

 

カタストロフ・エクシーズ・ドラゴン

ATK3000→4000

DEF2000

 

「バトル!カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンで暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)を攻撃!終末のカタストロフ・バースト!」

 

カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンから放たれる光線。暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)の禍々しい体を貫きなんの抵抗も感じさせず風穴を開ける。それだけにはとどまらず自身の翼を人なぎすればそこから発生した大火炎に飲み込まれ消滅した。

 

アフリマ

LP3800→3300

 

【わ、我が暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)がこうも簡単に…、それも負け犬共ではなく、こんなカードに…】

 

「まだだ!カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンの効果!エクシーズ素材が五枚以上存在する状態で相手モンスターを戦闘で破壊された時に発動!相手に破壊したモンスターの攻撃力分だけダメージを与える」

 

アフリマのライフは3300。暗黒眼の混沌鮮血龍(ダークアイズ・ブラッドカオスドラゴン)の攻撃力は3500。勝敗はたった今決した。

 

【あり得ない。前以上に強くなって…】

 

「これで終わりだ!カタルシス・デストロイヤー!」

 

【ぐ、ああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!】

 

アフリマ

LP3300→-200

 

カタストロフ・エクシーズ・ドラゴンを中心として吹き荒れる火を噴くんだ暴風。その熱風を諸に受けたアフリマは体中を焼かれる痛みを感じながら、完全に消滅した。

 

後に残ったのはカタストロフ・エクシーズ・ドラゴンで荒廃した遺跡と力を出し切り崩れ落ちる遊大だけであった。

 

「はは、勝ったけど、少し、疲れたな」

 

遊大は揺れる大地を感じながら消えていく意識に抵抗することなく身をゆだねた。そして、遊大の意識が完全に消え去ってすぐに、精神世界は真っ白の光で包まれた。

 



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第二十二話「目覚め」

お久しぶりです。今回は短いです。


「……ここは?うぅ」

 

近藤遊大は体中に走る激痛を感じて瞳を開く。途端に視界いっぱいに光が広がり直ぐに目を閉じる。しかしそれも少しづつ光に慣れ始め周囲の様子が見えるようになった。どうやら病院の様で遊大はベッドに寝かされていた。途端に鼻には病院特有の匂いが広がり自分の状況を嫌でも認識させた。

 

「あれから……どのくらい、いや瑠奈は!?っ!!」

 

瑠奈の事を思いだし飛び起きるが体中に走った激痛がそれを阻害する。遊大は痛みで蹲りながらも周囲を見回す。どうやら四人部屋のようだが遊大以外に患者の姿はなく貸し切り状態であった。

次に腕へと視線を落とせばそこには意識を失う前と大して変わらない腕があった。少なくとも年単位で意識を失っていた訳ではないようだ。

遊大は隣にあるナースコールを押し看護師を呼ぶ。直ぐに駆け付けた看護師によって医者が呼ばれ簡単な検査を受ける。医者からは体に異常がない事、遅くとも一週間後には退院できるだろう事と、瑠奈の事を聞かされた。

性的暴力を受けた事による自我の崩壊。体の傷は回復傾向にあるが精神面での回復は絶望的という事。遊大は医者が去った後に一人泣いた。ずっと一緒にいた幼馴染とも思い出が浮かんでいき最後にガーゼットによってボロボロにされた瑠奈を思いだす。

瑠奈を守ってあげられなかった、助けられなかった。そんな事が頭に浮かび遊大の心を締め付けた。

 

「……瑠奈、ごめん」

 

遊大は誰に言う訳でもなくそう呟いた。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

〈やっほー、リッチー。元気にしてるー?〉

「デュークシェードか。何の用だ?」

〈いやいや、同じ四天王のお仲間がいたから声をかけただけだよー?〉

 

魔王城のとある通路にて四天王の一人リッチーロードは同じ四天王のデュークシェードに声をかけられていた。しかし、リッチーロードは不満げに顔を歪めデュークシェードは何が面白いのか笑みを浮かべていた。

 

〈知ってるー?東部管区で負け犬ちゃんの心棒者が反乱を起こしたんだってー〉

「その事か。既に鎮圧部隊を向かわせてある。明日には鎮圧官僚の報告が届くだろう」

〈相変わらずの地獄耳ですなー〉

「この位四天王として当然の事だ」

 

デュークシェードの言葉にリッチーロードはめんどくさそうに答える。魔王軍の指揮権を持つリッチーロードは毎日の様に発生する反乱の鎮圧のために忙しかった。なので四天王の中で最も仕事をしないデュークシェードとの会話は疲れと苛立ちを発生させていた。

 

「貴様もたまには四天王として相応しい働きをするんだな」

〈えー?ちゃんとしてるよ?さっきだって負け犬ちゃんの心棒者を天へと送ってきたんだし〉

「……何?」

〈それにしても魔王軍の質も落ちたよねー?こんな世界の中心地にまで沸くんだから。やんなっちゃうよねー?〉

「……そうだな」

 

リッチーロードは苦々しげに答える。魔王城にまで負け犬の心棒者が潜り込んでいた。この事実は軍を預かるリッチーロードからしてみれば許せることではなかった。特にデュークシェードに言われると馬鹿にされているような気がして苛立ちを募らせていた。

 

「……今一度城内の洗い出しをする。ご苦労だったな」

〈いやいや、四天王として当然の事だよー?〉

「……」

 

リッチーロードは返事もせずに奥へと歩いていく。その後ろ姿を見送るデュークシェードは笑みを深めて呟いた。

 

〈ほんと、良質な負の感情を生み出してくれるなー。ま、精々頑張ってねー〉

 



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