私の名はスライム。現代に召喚されました。 (のろとり)
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召喚された。

なんとなく思い付いたので作成。


こんにちは、私の名前はスライム。

皆さんで言う、異世界と呼ばれる世界の者だ。

私の世界には魔王は居るが、勇者は居ない。

最も、その魔王も人間で言う王様のように魔界を束ねているだけだ。

人間界を支配するつもりはなく、友好的な関係を築いている。

さて、私の世界の話はここまでにしておこう。

 

「(暇だなぁ……)」

 

私は草原でゆっくりと進んでいた。

だが、やることが無かった。

この前は魔王の所まで旅をしたし、人間の町は遠いから行きたくない。

私が今居る平原にはあまり生物が居ない。

居たとしても、私は喋ることが出来ない。

 

「(ん? あれは……)」

 

私は草原で魔方陣を見つけた。

何故こんな所に?ここにはあまり人間は来ない筈だ。

それにこれは……上に乗ると召喚される物か。

この辺りの事はこの世界では一般常識だ。

怪しい……けど、暇だから召喚してもらうか。

そうして私は魔方陣の上に乗った。

 

「(さて、どんなことが起こるんだ?)」

 

そして魔方陣が光り始めた。

光が収まると、私の姿はもう無かった。

一体何処に召喚されるんだ?

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふふ~ん」

 

ワタシは暗い部屋で杖を持って何が召喚されるか楽しみにしていた。

暗い部屋には部屋一杯に大きな魔方陣が書かれていた。

一体何が召喚されるかな……異世界から召喚するから、怖い者だったら……うぅ。

ま、まぁそうだったとしたら警察通報すれば良いね!大丈夫……だよね?

 

「おっ来た来た!」

 

ワタシがそう待っていると、魔方陣が光り始めた。

ドラゴンかな、ワイバーンかな?

ワタシは眩しい光で目を閉じた。

光が収まると、少なくとも人形ではない者が見えた。

目が、目がまだ光で……と言うより、

ワタシの髪はロングで視界の邪魔するし黒だから暗いから同化してるよ。

時間が立ち髪を後ろに回し、視力が回復するとその姿を捉える事が出来た。

 

「……え?」

 

ワタシの膝より低い体。形は丸に近い。

色は私の知る者とは少し違うが、白。

少し触ってみると、其処らに売っているクッションより柔らかい。

そしてそれらを確認して、ワタシは理解した。

あ、これはスライムだな、と。

 

「君は……スライム君?」

 

ワタシがそう聞くと、スライム君の色が青く変わった。

えーっと……色が変わっていて青ってことは、合ってるのかな。

でも、これだけだと分からないから他にも質問してみようかな。

 

「ここが何処か分かる?」

 

そう聞くと、色を赤に変えた。

分からないって事かな?

多分、青が○で赤が×なのかな。

 

「じゃあ、ここが異世界だと言ったら信じる?」

 

スライム君は体を何色にも変色させた。

これは……驚いてるのかな?

それにしても、この子可愛いなぁ。

 

「行くところはあるの?」

 

スライム君は赤色に体の色を変えた。

行くところが無いのね……召喚したのワタシだけど。

召喚したんだから、ワタシが面倒見ないと駄目なのかな?

……よし、決めた!

 

「スライム君、私と一緒に住む?」

 

スライム君は体を青色に変えた。

オーケーって事かな?

ワタシはスライム君を抱き締め、まずは昼寝することにした。

魔方陣を使って、力を使い果たしたからねぇ。

まずはペットとして、害が無いか抱いて確かめてみよ……zzz。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(なんなんだ、この人間は)」

 

私はこの人間に召喚されてから、一週間がたった。

その期間でこの世界について少し知れた。

まず、この世界は科学が発達しておりこの人間が特別魔法を使えることを知った。

そしてこの人間の家族は別の地域……国、と言ったか。其処に居るそう。

この世界について知れたが、この人間については全く分からない。

 

「(何故私に抱きついてくる)」

 

私に抱きついてくる理由が分からない。

人間は『柔らかい』と言ってるが、やめてほしい。

私にも暑い寒いと言った感覚はあるのだ。

つまりは、暑苦しいのだ。

しかも私は弱いので抜け出そうとして、この建物内で怪我をしたら人間が泣くので止めている。

実際、一度だけあった。『せんたくき』とやらに間違えて入り、目が回った。

その事で人間が大泣きして大変だった。

 

「(人間との意志疎通は出来てるようだから、我が儘は言えないな)」

 

私が色を変えると、人間は私がどう思っているか分かるようだ。

だが、分かるのは感情やYES、NO位だ。これは私に問題があるのだがな……

それと『がっこう』とやらに通っているそう。

調べたらあの人間は『がくせい』とやらだと聞いた。

そして人間が『がっこう』から帰ってくると、私を抱きついてくる。

寝るときもまた、私に抱きついてくる。

そんな日常を過ごしている。




続く……?
否、恐らくは続かない。


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ドッキリを仕掛けよう。

続いた。
思ったよりほのぼのしてますねぇ……


こんにちは。私の名前はスライム、異世界から召喚された者だ。

この世界にきて箱の中に人間が映る物……『てれび』と言ったか。

その『てれび』が面白そうなものを見つけた。

 

「(ドッキリと言ったか……)」

 

そう、ドッキリだ。

人間が人間を驚かせてその反応を楽しむ物だ。

最初聞いたときは悪趣味だと思ったが、見てみると一人一人反応が違い面白かった。

それで今日はあの人間にドッキリを仕掛けようと思う。

毎回私を抱いてくるから、その仕返しと言ったところだろうか。

私は体の色を変える応用として、とある事が出来る。

人間もこれをやるようだが……

 

「スライム君、ただいま~」

 

私は人間の声が聞こえたので、作戦を実行することにした。

私は体を石のようにした。

色もさわり心地も石同等にした。柔らかさは変わらないが。

これが……『死んだふり』と言うやつだ。

 

「え……スライム君?」

 

人間には私が生きていないように見えているのだろう。

私は見えては居るが、人間……いや、周りからは私の目は見えないのだ。

まぁ、私自身も何処に目が付いているかは理解してないが。

 

「スライム君、しっかりして!」

 

人間は私の体を持ち上げる。

私が体の色を変えているだけだと思っている……いや、思いたいのだろう。

人間は焦ると、一つの事しか考えられないそう。

柔らかさはそのままだが、さわり心地は石のようである。

人間は驚いて、私を落とした。

私はポヨンという音と共に床へ落ちた。

実は体を分裂させて驚かそうとも思ったが、私にはまだ難しかった。

落ちた時に分裂出来ればもっと驚いたと思うのに。

 

「スライム君が死んじゃたぁ……」

 

人間の目から涙がポタポタと私の体に落ちてきた。

そうして私を胸に持ってきて抱き締めた。

そして大きな声を出して、号泣し始めた。

やり過ぎてしまったか……!

私は急いで、体の色を元に戻して人間の胸から脱出した。

 

「あれ、スライム君……?」

 

まだ状況が理解出来ていない人間。

私は『りもこん』とやらで『てれび』を付けた。

この時間は確かドッキリだったから……

最近ドッキリを『てれび』で見ることが多くなってきて、それを察した人間が時間を教えてくれたのだ。

 

「ドッキリ? もしかして……」

 

人間はまだ完全に涙が拭けてないのか、滴が涙に溜まりながらも私の方を向いてきた。

私は体の色を青に変えて、ドッキリであることを示した。

人間はやっと理解したのか、涙をきちんと拭き私を睨んできた。

こ、怖い……今まで生きてきた中で一番怖い。

 

「良かった……」

 

これからは人間を怒らせるような事は止めよう。

それに……

 

『知ってるか? 女の子を泣かせると怖い仕返しをされるんだぜ!』

 

知り合いの魔物がそう言っていたからな。

そうえば彼奴は今何処にいるのだろうか……

 

「スライム君、今度こんなことしたら……怒るよ!」

 

もう怒ってるよね?

私はそう言おうとしたが、そもそも喋れないしそれを教える方法が無いので何もしないことにした。

そうして今日も私は抱かれる。




【裏話】
スライムの色が白い理由。

ん~やっぱりスライム=青が多いな。
少し色を変えるか。でも後回し。

あ、色を変えて何を思ってるか分かるようにしたいな。
……もとの色が白ならちょうど良いな。

決定。


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鳥を見つけた。

異世界から来た魔物とかが学校に来るのは、大体三話位な気がする。


こいつはなんだろうか。

私は庭に居る翼があり、羽が生えている正体不明の生き物を見つけた。

確か……『鳥』という種類だったな。

まぁ私の世界にも似たような者は数多く居たのでそれは特に問題ない。

 

「ポ~?」

 

こいつが敵であるかどうかだ。

鳥にも様々な種類がいることは私も知っている。

しかし、この鳥がどんな奴なのかを私は知らない。

もしかしたら、襲ってくるかもしれないし無害かもしれない。

『はと』に似ているが、色が白ではないので違うだろう。

あの鳥は体が灰色だからな。

詳しいことを調べてなかった私は後悔した。

人間を呼ぼうか考えたが、人間は今家に居ない上に私は家の中に居るので何も出来ない。

幸いなことに、あの鳥がまだ此方に気づいていないことだろう。

 

「ポッ!」

 

「(ッ! 気づかれたか!?)」

 

私は急いで身を隠そうとするが、遅かった。

鳥が此方に低空飛行してきたのだ。

私はせめて一子報いろうと、攻撃する準備をしたが……

 

「ポッ!?」

 

鳥が家に入る前に何かにぶつかった。

ん?あ!そうえばガラスで作られた壁()があったな。

私は安堵した。この鳥の強さは不明だが、中には自分の巣に持って帰り太らせてから食べる鳥も居ると聞いた。

人間からそんな話を聞いた私は、怖くてその日は人間の傍で震えていた。

鳥はもうぶつかっては来ないようだが、此方の様子を伺っている。

 

「(しかし……)」

 

今回は助かったが、私は少し位戦闘が出来るようになった方が良いのだろうか。

精々私に出来るのは体の色を変化させることと、体当たり位である。

分裂はまだ練習中だが、それ以外にも『もしも』に備えておきたい。

さて……と。それよりもまずは此方だな。どうするべきか……

そう考えていたら『ぴんぽーん』という音が聞こえ、あの人間の声が聞こえた。

帰ってきたようだな。それにしても『いんたーほん』とやらはかなり便利だな。

まぁ私の世界にあっても、家に機械なんて殆ど無いので意味は無いか。

 

「ただいま~スライム君」

 

お帰り……と言うのだったか。

私は安心した。人間が帰ってきてくれたのなら、あの鳥はもう帰るだろうと。

私は人間の部屋に戻ろうとしたが……

 

「スライム君、ワタシは少し庭に用事があるから窓を開けとくけど外に出たら駄目だよ」

 

えちょ、人間待った。

私は声が出せないので、意思は伝わらなかった。

しかもあの鳥はいつの間にか姿を消していた。

ど、どこにいった……

人間が庭の奥の方に行って、此方を見ていない間に鳥が家の中に入ってきた。

そうして、鳥は家の中に入った途端此方を見てくちばしで攻撃してきた。

 

「(……ッ!)」

 

私はスライムである体を活かして、体を低くして攻撃をかわした。

弱いと言われる私達(スライム)だが、この程度の攻撃一回のみで倒されはしない。

倒されはしないが、ダメージは受ける。

つまりは、何回も受ければ倒されるだろう。

人間を呼ぶか?いや、呼ぶ前に妨害されるな。

 

「ポォ~!」

 

「(戦闘は苦手だが……戦うしかないな)」

 

そうして今日は戦闘をする。




次回予告

やめて!鳥の普通のくちばし攻撃で、体をつつかれたら、人間と魔物の絆が繋がってる人間の精神まで燃え尽きちゃう!

お願い、死なないでスライム!あんたが今ここで倒れたら、人間や友人との約束はどうなっちゃうの? ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、鳥に勝てるんだから!

次回、「スライム死す」。デュ○ルスタンバイ!



無理矢理な次回予告である。

ついでに、作中に出てきた鳥は鳩です。


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戦闘になった。

作者「さて、少し放置してたけどスライムを書くか」

人間「処刑」

作者「は?」

人間「処刑」

作者「何故処刑!?」

人間「投稿が遅いからね……そもそも作者君が本気を出せば、一万文字を二日で書けるでしょ」

作者「ふっ……私はもう疲れた。今日は投稿したくない」

人間「……六つ」

作者「え?」

人間「作者君が『書きますよ』と言った作品の数だよ」

活動報告より
作者が投稿ペースなんちゃらで、話した作品の数。

作者「投稿してなくて、すいませんでした」

では、本編どうぞ。


「(くっ……どうしようか)」

 

私は鳥のくちばし攻撃を紙一重で避けていた。

どうしたらこの状況を打破出来るだろうか……

攻撃を避けながら周りを見ていると、風呂場が見えた。

そうだ!彼処にある風呂桶を被れば……!

そう考えた私は急いで風呂場に逃げようとしたが、

 

「ポォ!」

 

しかし まわりこまれてしまった!

そしてそのままくちばしに当たってしまった。

くちばしは私の体の中心を刺すように当たった。

ぐっ……痛いな。

体の表面だけに当たった場合は跳ね返せるが、そう運良くいかないか。

 

「(逃げることは不可能なら……)」

 

私は『そふぁ』に置いてある『くっしょん』を体を伸ばして掴んだ。

この体を伸ばす行為は手を伸ばしているようなものだ。

私は体を伸ばすことが出来るが、一つ欠点がある。

伸ばしている部分を攻撃されると、体の中心を攻撃されたのと同等のダメージが行くのだ。

なので私は基本的に体を伸ばすようなことはしない。

 

「ポォ……ポッ!」

 

鳥は一瞬攻撃しようか悩んだようだが、私本体を攻撃することにしたようだ。

ふむ、そちらの方が都合が良いな。

私は体を元に戻し、『くっしょん』で鳥の攻撃を防いだ。

中には白いふわふわとした物が入っており、くちばしが刺さり多少出てしまった。

鳥は勢いよく『くっしょん』にくちばしを突っ込んだためくちばしが取れない状態になっていた。

良し、今の内に人間を呼ぼう!

私は急いで、家を出て人間の所へ向かった。

 

「スライム君、どうしたの?」

 

「(あれをどうにかしてくれ)」

 

私は体を伸ばし、人間の服の袖を摘まんだ。

その事に気づいた人間が此方を見てきたので、鳥の方に体を伸ばした。

人間は鳥が家の中には入っていることに気づいたようで、急いで家の中に入っていった。

 

「(……心配だな)」

 

あの鳥は私三匹分の戦闘力があると思う。

いくら人間が特殊な奴だと知っていても心配だ。

けど邪魔にならないように、庭から確認するか。

 

「あの鳥ね。ワタシのスライム君を倒そうとしたのは」

 

私は人間の物になった覚えは無いぞ。

人間は手を横に伸ばした。そうすると、人間の横に黄色い魔方陣が出てきた。

人間は魔方陣から何かを取り出すように、手を突っ込んだ。

すると、魔方陣の中から『雷』を思わせるような剣が出てきた。

 

「喰らいなさい! 『雷撃』」

 

人間は鳥に向かって、剣を振った。

そうすると、剣の先から雷が鳥めがけて一直線に飛んでいった。

 

「ポォ!? ポォォォォォ!」

 

鳥は雷を喰らい、香ばしい香りを出す丸焼きチキンになった。

え……人間強すぎないか?

私が苦労してた鳥をあんなにあっさりと……

 

「ふぅ……少し疲れちゃったな」

 

私は改めて人間が特別な力を持っていることを再確認した。

ついでに鳥は美味しかった。

そして今日は危機を免れた。




下手ですけど、スライム君の絵を書いてみました。


【挿絵表示】


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一匹の時間。

感想にあった内容を入れてみました。

さて……絵の練習をするか。


「スライム君。ワタシはこれから学校に行ってくるけど、着いて来たら駄目だよ!」

 

人間は『がっこう』とほぼ毎日、行かないといけないようだ。

確か『がっこう』は学舎だったか。私の世界にもあったが、こちらの方が人が多いようだ。

人間は楽しみなのか、私に注意しているが声が若干高くなっており、顔もにやけている。

この忠告も何度目だろうか。

 

「(まぁ元々着いていくつもりは無いな)」

 

この人間以外に見つかると何をされるか分からない。

人間は私を見ると何をするか分からない。

この人間のように私を受け入れるかも知れないし、解剖するかもしれない。

 

「じゃあ、お留守番宜しくね!」

 

宜しくと言われても、ずっと此処に居るつもりだが。

そうして人間は『がっこう』に向かった。

さて……と。私は前から気になっていた物を取りに向かった。

 

 

 

 

 

 

「(私と似ているな)」

 

私は机に置いてあった『だんご』とやらを凝視していた。目は何処にあるか知らないが。

人間が「スライム君も食べる?」と先日差し出してきた物だ。人間が食べていたので、私も食べれるだろうが人間が「スライム君みたいに柔らかい~」と言っていたので、急いで距離を取ったのを覚えている。

あの時は食べられると思ったので、仕方ない。

 

「(食感が似ているという意味だったな)」

 

私は(パック)に入ってる『だんご』を出して触ってみる。確かに、私と似ているな。少し味あってみるか。そして私は食べた。

面白い食感だな。それに上にあった暗黒物質(あんこ)も中々……

そして私は『だんご』を食べた。まだ残っているが、人間も食べるだろう。

 

「(次は彼処に行くか)」

 

 

 

 

 

 

 

「(やはり此処は落ち着く)」

 

私は『せんたくき』に入っていた。

前に一度間違えて入ってしまったが、今回は動いてないので大丈夫だろう。あの時以来『せんたくき』の中が気に入ったのだ。最も、人間が居ると大泣きするので家に居ない時限定ではあるが。

 

「(今度この家を見てみるか)」

 

私はこの家のことを全然知らないことを『せんたくき』に入りながら思った。

元の世界に戻りたい訳では無いが、この世界のことをもっと知るためにはまずこの家のことをキチンと知る必要がある。

人間に「ここは入ったら駄目!」と言われた所に入るつもりは無いが。

そして私は人間の部屋の窓から外を見ることにした。外から体が見えてしまうが、少しなら大丈夫だろう。

それはそうと、人間の部屋は二階にあるから体を一段ずつ伸ばして進まないと行けないのでかなり面倒なのだ。

 

「(やっと着いた……)」

 

私はこの家の周りを確かめようと、窓の外を見た。そして……

 

「…………」

 

知らない人間と目が合った。

歳はあの人間と同じくらいだろうか。

宝石のような耳が隠れる程度の水色の髪と瞳。

あの人間と違うところを言えば、肌が赤くて立っているのも辛そうなことだろうか。

 

「(…………)」

 

って、そうじゃない!?

私は急いで窓から離れた。

姿を見られたか!?否、落ち着け。落ち着くんだ。

あの状態から考えると『ねつ』とやらで体調が優れないのだろう。そのため私を完全に視認したとは限らない筈だ。

 

「(……もう一度確認するか)」

 

今度はゆっくりと『かーてん』を開けた。

そして先ほどの人間と、知らない人間。そして、この家の主の人間が居た。

 

そうして私は困惑する。




【補足】
最後のシーンは、隣の家に三人の家が居るということです。
・具合の悪い人間
・スライムと一緒に住んでいる人間
・知らない人間


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見つかったぁ。

どうして、こうなった。

平成最後の『スライム君』の投稿です。


「(主人が彼処に居るのはどうしてだろうか?)」

 

考えられる理由は幾つかあるな。

一つは知り合いだということ。

二つは強盗しに行ったということ。

一番ありそうなのは一つ目だな。

具合の悪そうな人間は、警戒も何もせずに笑顔で迎え入れていた。

強盗なら警戒くらいはするだろう。

さて……私はどうしようか。ここで主人が帰るのを待った方が良いのだろう。

あの三人の動向が気になるが、見つかったら何をされるか分からない。

取りあえずは一階に降りて主人が帰ってくるのを待つことにしよう。

 

「(ん? これは……)」

 

私は主人の押し入れに隠れようと思い、体を伸ばして襖を開けたら四角い黒い箱のような物が押し入れの中にあるのに気づいた。

よく見てみると、黒い箱の中心には大きな丸が描かれていた。

これは……押せるのか?でもこの物体は見たことがない。

この世界の物なのか、人間が作った魔法的な物なのか……まぁ触らない方が良いのだろうな。

 

「(他に何か無いのか……?)」

 

私は本来の目的を忘れて、押し入れの中を漁る。

すると、何かがカサカサと動く音が聞こえた。

私はその方向を見ると、黒光りする生き物がいた。正直、怖い。

驚いた私は押し入れの中で暴れ始める。

私が弱くて、柔らかかったため襖に穴が空くようなことは無かった……が。

 

「(あ)」

 

四角い物体を押してしまった。

すると、その物体は赤い光を放ち始め―――

 

 

 

 

 

「リューちゃん、大丈夫なの?」

 

「お見舞いに来たわよ」

 

ワタシは自分のお家の隣……『リューちゃん』のお家に来ていた。

リューちゃん、ただの風邪だって言ってたけど、心配だよ。

けど、なんかちょくちょくワタシの部屋の方を見てるけど、何かあったのかなぁ?

 

「あぁ、大丈夫だぜ……ゴホッ、ゴホッ!」

 

「「リューちゃん!?」」

 

ワタシ達は急いでリューちゃんに近づく。

本当に大丈夫なの……?

 

「……そうえば、さっきまで懐かしい夢を見てたんだぞ」

 

咳をして、呼吸が落ち着いたのか夢の話を始めるリューちゃん。

こんなに弱々しいリューちゃんを見たのは初めてだよ。

でも、リューちゃんが夢の話をするなんて珍しいなぁ。

いつもなら『雨が降ってくるから、外に遊びに行こうぜ!』とか言ってるのに。

 

「昔の親友……恩人? に会えた夢だ。彼奴は今何をしてるんだろうな~」

 

リューちゃんにそんな人物がいたなんて驚きだ。

ワタシの隣で驚いている『チーちゃん』も幼馴染みのワタシも知らなかったからだ。

そんな風に驚いているとワタシの部屋で何かが光った。

 

「え? 何かしら」

 

ワタシ達三人はリューちゃんの部屋の窓からワタシの部屋を見る。

ワタシの部屋は眩しくて目を閉じたくなるほどの赤い光を放っていた。

まさかあれって……!

 

「『時間停止』」

 

ワタシは自分と自分の家以外の時間を停めた。

急いでワタシはリューちゃんの家を出て、辺りを見渡す。

幸いにも通行人は居なかったようだ。

その事を確認したワタシは急いで攻撃魔法を準備しながら部屋に向かう。

もしかしてスライム君……『あれ』を起動させちゃったの!?

 

 

 

 

 

「(ッ!)」

 

光り始めた瞬間、嫌な予感がした私は全速力で黒い物体から離れた。

四角い物体は側面が倒れ始め、中から小さな真っ黒な鳥が出てきた。

あれは……『ひよこ』とやらに似ている。だが色合いは『からす』に似ている……子供か?

その真っ黒な鳥はくちばしを開き、そこから炎の槍を飛び出させた。

その槍は黒光りする生き物に当たり、一瞬で蒸発した。

そして今度は私の方を向いてきた。

 

そうして今日も戦闘だ。




・リューちゃん
風邪の子

・チーちゃん
一緒にいた子

・主人
名前?考えてないです。


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逃げる、ひたすら逃げる。

なんか戦闘になった。
ほのぼのを書く予定でこのシリーズを始めたのに……まぁ良いか。

そうえば、週に一回小指に纏わる不幸が起きてます。
(小指をぶつけたり、小指が何かに引っ掛かったり など)
誰が呪いをかけたか知りませんか?

Twitterでも聞いてみましたが、見つかりません。


【ハイジョスル】

 

黒光りする生き物を蒸発させた槍の炎が消えた頃に、真っ黒な鳥は私の頭に直接話しかけてきた。

テレパシーか……そうなると、主人が関係してる物か。

真っ黒な鳥はくちばしから炎の槍を出してきた。

 

「(ッ!)」

 

それを見た瞬間、私は本能で右にかわした。

あの槍は危険だ、かわさなくては。そう考える前に。

 

「(うわぁ!)」

 

しかし弱い私はスピード足りず、槍に少し当たってしまった。

この威力は不味いな……まともに喰らえば先程の黒光りする生き物のようになってしまうだろう。

目の前の真っ黒な鳥に全神経を集中させていた私は、いつの間にか時が止まっていることに気づかなかった。

最も、気づいてたとしても気にしないだろうが。

 

【ハイジョスル】

 

私はその声を聞く前に、主人の部屋を出ていた。

逃げなければ攻撃に当たり、消滅するからだ。

主人と合流してあれを止めてもらおうと考えた私は、外に出た。

玄関を体を伸ばして開け、外に出た

その瞬間何処が破壊された音が聞こえた。

おそらくは主人の部屋の壁が破壊されたのだろう。

 

「(見境なしか!?)」

 

【ハイジョスル】

 

その声がしたので、攻撃をかわそうと真っ黒な鳥の方を振り向いたと……

 

「(あ……)」

 

私の目の前にとても明るくて、熱い絶望の炎が見えた。

私はどうすることも出来ず、それを見ることしか出来なかった。

 

「(最後に、彼奴に会いたかったなぁ……)」

 

私は、何処に居るか分からない知り合いの魔物のことが脳裏に浮かんだ。

 

『スライム、速く行くぞ!』

 

あいつは何処に居るか知らないが、先にあの世に行けば何時か会えるだろう。

しかし、何時になっても槍が当たる気配は無かった。

現実を見ると、私の目の前に止まっている槍があった。

そしてその近くには主人が居た。

こちら……正確には槍に向かって手を伸ばしており、動きを止めているのだろう。

 

「スライム君……速く逃げて!」

 

私は言われるがまま、その場から離れることにした。

そして主人の隣に避難した。

 

「スライム君の速く逃げるよ!」

 

私は主人がに抱えられて、その場から逃げようとした。

だが主人が私を掴もうとした腕は空を切った。

真っ黒な鳥が主人が私を抱える前に、くちばしで私を捕らえたのだ。

 

「このっ……『爆炎』」

 

主人は真っ黒な鳥に向かって、炎を出してくる。

しかし真っ黒な鳥は私を中に投げ、主人の『爆炎』を呑み込んだ。

そして中に投げた私に向かって、口を開けてきた。

 

「(今度こそ終わったな……)」

 

主人の声が聞こえる。

魔法を使おうとしてるのか、悲鳴をあげているのか知らないが、もう関係の無いことだ。

私の真下には真っ黒な鳥が呑み込んだ『爆炎』が迫ってきている。

この状況から私を救うことが出来る人間は居ないだろう。

私はそのまま消滅することを受け入れた。

主人とは違う、人形の黒い影が居たように見えたことを気にすることなく。

 

そして私は───




最近、『なろうにこの作品を投稿したいなぁ……』と考えてます。
まぁ、あっちの方は登録しかしてなくて、何も投稿してませんが。


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久しぶり。

ほのぼのとは。

こんにちは、今度はトイレに関する呪いにかかりました。
・自分で開けたトイレのドアに肩パンされる。
・手を洗い終わった後、車椅子用の補助のあれにぶつかる。

誰が呪いかけたか知りませんか?

それと私は『戦闘を挟まないと死んじゃう病』にかかったかもしれない。


「スライム君……」

 

ワタシは防犯用カラス型ゴキブリ退治機(真っ黒な鳥)によって消滅させられた、スライム君を悲しんでいた。

ワタシは膝から泣き崩れた。

ワタシが、ワタシがあのとき『氷結』を使っていればスライム君は……

 

【ハイジョシッパイ、ハイジョシッパイ】

 

……え?

ワタシは涙で歪んでいる視界を戻すために、目を擦った。

失敗?でも、スライム君は今目の前で消滅しちゃった筈……?

 

「おいおい、君はいつも人……いや、魔物に迷惑をかけるなぁ」

 

リューちゃん?

ワタシが見たのは、背中から龍を思わせる翼を生やしているリューちゃんだった。

リューちゃんはスライム君を抱えて空を飛んでいて、敵意のある目で防犯機を見つめていた。

 

 

【マモノツイカ、ハイジョスル】

 

リューちゃんが魔物?

しかもスライム君と知り合いなの!?

防犯機がリューちゃんに対して、口を開けて炎の槍が飛び出した。

あ、危ない!

ワタシは咄嗟に魔法を使おうとしたけど……

 

「そんな物で私には効かない!」

 

炎の槍はリューちゃんが翼を強く羽ばたかせただけで、炎が消えて槍は向きを変えて防犯機向かって飛んでいった。

そしてそのまま防犯機を貫いた。

防犯機からは電気がバチバチと鳴っていて、壊れるのも時間の問題だと思う。

なにあれ……ワタシでもあんなこと出来ないよ。

 

「ゴホッ、ゴホッ!」

 

リューちゃんは突然咳をし始める。

あぁ!リューちゃんは風邪引いてるんだった!

 

「リューちゃん、事情は後で聞くから一旦休んで!」

 

なんで時間が止まってるのに動けてるとか、その翼は何だとか色々とあるけど……それは置いておかないと。

ワタシはそう言うが、リューちゃんは首を横に振る。

あの防犯機は人間以外の生物を消滅させるまで、攻撃してくるから体調が悪いリューちゃんに無理は出来ないのに……!

 

【ジバク、ジバク】

 

さっきとは全然違う言葉を言った驚きで、リューちゃんとワタシは同時に防犯機の方に目を向ける。

防犯機はリューちゃんに向かって、突進して行った。

 

「リューちゃん危ない!」

 

ワタシは『氷結』を使って防犯機を凍らせた。

これで一安心と思ったつかの間、防犯機が開いていたくちばしから炎を吐いた。

そしてワタシの魔法をあっという間に溶かされた。

こ、こうなったら『雷撃』で感電させるしか……

 

「リューちゃん離れてて!」

 

ワタシは次に魔法を使うための時間を作るのと、次に魔法を使ったらリューちゃんまで巻き込んでしまうため、離れるように言った。

 

「たかが機械が、私に叶うわけ無いだろ?」

 

リューちゃんは胸の前に片手を伸ばして、手のひらからは野球ボール位の太陽を思わせる火の玉を出した。

 

「これは……ワタシの恩人に対する怒りだ!『暴火』」

 

その火の玉は形を変えて、ビームへと変化した。

そのビームは自爆しようと、突進してきた防犯機を灰も残さず消し、地面が抉れている。

 

「リューちゃん、一体何者なの?」

 

「私? 私は龍だ!」

 

自分の正体を息をするようにさらっと言うリューちゃん。

その数秒後、ワタシは大声で驚いた。




知り合いの魔物=リューちゃん=龍

リューちゃんの名前の由来=『龍』

元々、クラスメイトの中に魔物が居る予定でした。
ゴブリンとか、そういう系の予定でしたけど。
だけど、貧弱スライムが龍と知り合いだと面白いなと思った。


チーちゃんの名前の由来=『小さい姫』

チーちゃんの方は最初『ヒーちゃん』の予定だった。
けど、それだと捻りが無いためこうなった。
言動は少しお嬢様らしさを意識。



【魔法の強さ】
暴火〉〉〉爆炎>雷撃=氷結


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懐かしい。

遅れてしまった。

……確認してないけど、誤字とか大丈夫だな!(フラグ)


「(懐かしいな)」

 

私が命の危機から脱してから数分後。

気絶していた私はリューによって無理矢理覚まされた。

それにしても地面に何回も叩きつけなくていいと思うが……

 

「スラちゃんは元気か?」

 

「(さっき死にかけた)」

 

「悪い悪い!」

 

いつもの龍だから逆に安心したけどな。

それにしても、どうしてリューはこの世界に居るのだろうか。

 

「それで……リューちゃんはスライム君の知り合いなの?」

 

あ、リューとの再開が嬉しくて主人を忘れていた。

 

「長くなるから、大雑把に言うと知り合いだ」

 

確かに大雑把に言うとそうなる。

ついでに、私とリューが会話出来るのは同じ魔物だからである。知能が低すぎる魔物は会話出来ず、逆に知能が高い魔物は魔物同士で会話でき、リューのように姿を変えた状態でも話せる場合もある。

 

「(次は私から質問だ。何故この世界に居るんだ?)」

 

「この世界に居る理由? 間違えて空間移動した?」

 

え?リューが空間移動出来るのは知っていたが、間違えて。それも異世界に飛ぶなんて何があったんだ?

 

「リューちゃん、どうしてなの?」

 

「寝てたらいつの間にか」

 

…………。

そうだ、思い出した。

私はリューの寝相が悪く、私を抱いて寝るのはマシで、酷いときは口から炎を出して森を焼き付くしてたことを思い出した。

 

「まぁ大丈夫だ! 人間になってるときは、魔法が使えないからな!」

 

そうえば家から見たときは魔力を感じなかったな。

人間時でも龍の一部を生やせば力が使えるのだろう。

 

「あ、じゃあもうひとついいかな? どうしてリューちゃんは化けてたの?」

 

おそらくは知らない世界に出てきたので、怪しまれないように化けたのだろう。

だが主人は『がっこう』とやらに行っており、リューもそこで知り合ったのだろう。ならどうやってリューは『がっこう』に言ってるのだろうか。

『ぎむきょーいく』とかなんとか、よく分からないが親が居ないといけなかった筈だが……

 

「私は知らない間に、魔物が居ない世界……つまりはここだな。

 

この世界に居たんだ。それで怪しまれないように、人間の姿で夜中にうろうろしてたんだ。

 

そしたら人間……今の親だな。親に保護させてもらって、そこで過ごしてる」

 

命の恩人ってやつか。

リューは一応何ヵ月かは何も食べずに過ごすことは出来るが、結局は人間のそれと同じで何も口にしないで過ごすことは出来ない。

私のように元から必要無いような者には関係ないが。

 

「それなことが……あったんだね」

 

主人は悲しいような、何か疑問が解けたような、けどスッキリした顔をしていた。

何か心当たりがあるのだろうか。

 

「リューちゃんは、元の世界に戻りたい?」

 

「特には思ってないな。と言うより、戻れない」

 

「え? あ!」

 

主人はあることを思い出したようだ。

空間を移動する魔法は座標を決めなければ飛べないことに。

座標を決めなくても、飛ぶことは出来るが何処に飛ぶか分からないのだ。

少なくとも、時空の狭間に落ちることは無いが壁に挟まったりすることがある。

だからリューがこの世界に飛べたのは運が良かったのだ。

それはそうと、異世界に飛ぶなんてことはリューのように大きな力を持っている者にしか出来ない。しかも偶然として。

なので現状でリューが元の世界の座標を見つけて飛ぶのは無理に等しいのである。

 

「それに私はスラちゃんが居るからな!」

 

リューはそう言って私を抱き締めた。

待って、待ってくれ。さっきまで普通に持ってたじゃんかよ。なんで抱き締めるんだ。加減を間違えるなよ、間違えたら潰れるぞ?

 

「スライム君は私のだから!」

 

人間はリューから私を取ろうとする。

私は物じゃないんだ、止めてくれ。

それから数時間後、リューと人間は満足して地面を治して、家に戻っていった。

私も家に戻る頃、時間停止が解除された。

 

こうして今日は大変な一日だった。




ネタが切れた。
さて、次の休みまでに考えるか。


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実験。

なろうって、思ったより延びないですね。

そして投稿してなくてごめんなさい。


リューと再開してから一週間程の時間がたった。

あの日から毎日リューは空間移動してきて、私で遊んだりしている。

それって確か『ふほうしんにゅう』とやらだったような……

 

「スラちゃん、今日も遊びに来たぞ!」

 

「(帰って)」

 

久しぶりにリューに会えたことは嬉しかった。

あぁ、嬉しかったさ。けど毎日抱きつかれるのは色々と困る。

元の世界だとリューは本来の姿だったからなぁ……

今日はいつもと違って、何か嫌な予感がするな。

私はリューから逃げようとしたが、ご主人が帰ってきた。

 

「今日は実験するよ!」

 

「(逃げよ)」

 

逃げようとしたが、リューに抱えられた。

私は貧弱だから、リューから逃げられない。

そもそもご主人に抱えられても逃げられない程の弱さだ。リューは絶対に無理。

 

「スライム君に炭酸を飲ませたら、どうなるか調べてみよう!」

 

「いえ~い」

 

私はもう帰りたくなってきた。

あ、ここが私の帰る場所だった。この世界の場合だが。

ご主人は黒いシュワシュワとしている液体が入ってる物を『れいぞうこ』から出し、開けた。

開けると『シュワッ』という音と共に中の液体が溢れだした。

 

「あぁ、さっき振っちゃてたんだ!」

 

「お、落ち着け!」

 

リューとご主人は急いで溢れた液体を拭き始める。

あんな得体の知れない物を飲まされて、私は大丈夫だろうか?

リューが私を話している間に、逃げようとしたが……

 

「『雷撃棒』」

 

ご主人が私を囲むように、電気を纏ったひし形の棒を床に突き刺した。

危な、そして家を傷つけていいのか……?

 

「リュー押さえといて!」

 

押さえるも何も逃げられないのだか。

私はなす統べなくリューに押さえられた。え、床に突き刺さってる棒はどうしたって?

リューが普通に折った。相変わらず、強いな……

 

「じゃあ飲ませるよ~」

 

液体の入った容器を私に刺すように入れる。

手加減しているのか、余りダメージは無い。

遊び程度のことでダメージを受けるのか……流石に鍛えた方が良いのだろうか。

液体が全て私の体に入り終わった頃、体が黒に色を変える。そして体の内側から、パチパチと電気のような音がする。

 

「うわぁ!」

 

リューが私の変化に驚いて手を離す。

そのまま地面に落下するかと思ったが、何故か地面にほんの少しだけ浮いている。

一体どういうことだろうか?

 

「スライム君……え?」

 

ご主人も驚いているようで、手に持っている液体の入ってた容器を落とす。

 

「おそらくは、スラちゃんの体内に電気のようなものが流れたんだろ」

 

電気のようなもの?さっき液体が電気で出来ていたのか?それとも電気に近い物なのか?

 

「ちょっと待って! これには電気なんて入ってないよ!」

 

だとしたらご主人のさっきのが原因か?

でもリューが驚いたのは、飲み終わったからだし……

私の体になにか変化があったのは確かだから、

 

「これは中々面白いな! もっと実験しようぜ!」

 

そうして今日は実験された。




お酒は登場人物が未成年のため、出てきません。

黒い液体……コーラ

スライム君には謎が多い。
どうしてコーラで、電気が発生するのだろう。
(細かいことは気にしないでください)


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色を変える。

最近投稿ペースがずれてきました。
これは7月に改めないと。


こんにちは、スライムだ。

私は最近日本語に馴れてきたと思う。

それにご主人と仲が良くなってきたと思う。

けれども善意で消滅しそうになったこともあった。

例えば……

 

「スライム君~……」

 

「(助けて)」

 

ご主人に枕扱いされて、潰れるかと思ったことだ。

なんかちきゅーなんたら(地球温暖化)とか、どうとかで最近暑いから水枕として使いたいようで。

私は弱いんだぞ、ご主人の体重でも重いんだからな!

リューを通じてそのことを伝えようと思った翌日、ご主人から魔法が飛んできた。

そうえばリューが昔に『女子に体重の話すると消されるぞ!』と言ってたな。

 

「(……そうだ、この前見たテレビの真似をするか)」

 

前日『かめれおん』と言う動物が、体の色を変えられるのを知った。実際は違うようだが、今は関係ないから置いておこう。

 

「(目の前の色をじっと見て……)」

 

私は茶色のソファを見て色の感じを覚える。

意志疎通するときに体の色を変えるような感覚で、目の前の色変わるようにして……変われたか?

感覚はするが、いつもは無意識に色を変えているため、出来ているか分からないな。

 

「スライム君、リューちゃん来たよ~」

 

お、丁度良いところにご主人が来た。

私はご主人に気づかれるか試すため、ソファの上で動かなくなった。

 

「……あれ? スライム君どこ?」

 

ご主人が私を探しているようだ。

何度かソファを見たりしているようだが、私が居ることに気づいてないようだ。

 

「どうした?」

 

そうしていると、不思議に思ったリューが『りびんぐ』へと入ってきた。

リューはご主人に事情を聞くと、私を探し始めた。

 

「居ないねぇ……」

 

そして数分がたっだろうか。

この部屋を探しても私は見つからないと判断したのか、別の部屋を探し始めようとしたご主人。

しかし、リューに止められる。

 

「リューちゃんどうしたの?」

 

「ちょっと待ってろ……『気配察知』」

 

あ、リューの奴気配察知使った。

『気配察知』とは、自分から半径10メートル以内に生物が居るかどうか分かるスキルである。

 

「どこかにスラちゃんが居るな」

 

やっぱりバレるか。

今は人間の姿とはいえ、リューは最強と言われるほどの種族、龍だ。

どこか違う場所があれば直ぐに気づくだろう。

こんな平和な世界では、そんなことは気にしてないだろうが。

 

「でもスライム君見当たらないよ」

 

クッションに化けているから、分からないだろうな。

それに『気配察知』で分かる気配は大雑把の筈だ。

精々この部屋に三つの生物が居ることが分かるだけだろう。

 

「そう言うときはこうすればいいんだ!」

 

なんだか嫌な予感がするな。

でもリューの行動を見てから行動するか。

 

「今すぐ出てこないと、部屋を燃やす」

 

私は即座に色を戻し、リュー達の前に出てきた。

そして体の変化について色々と調べさせられた。

 

そうして今日も平和だなぁ(棒)




【スライム君】
スライム君はカメレオンのように、色を自由に変えられるようになった!
まぁ、実際のカメレオンは周りと同化しようとしてるだけですけど。


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帰りたい。

本当に申し訳ない。
投稿が遅れました。


帰りたい。

もうここには来たくない。

例えご主人がなんと言おうが、この考えを変えようとは思わない。

これならリューに遊ばれる方が何倍もマシだ。

早くこんなところから脱出したい。

 

「くぅ~……」

 

千谷川(ちやが)さん、千谷川 咲希(さき)起きなさい!」

 

この学校から脱出したい。

それと今知ったが、ご主人の名前は『千谷川 咲希(ちやが さき)』だそう。

そして前はご主人のことを学生だと思っていたが、実際は『じどう』と言うようだ。

何故だがある一定条件を達成すると、に呼び方が『じどう』『せいと』『がくせい』と変わるそう。

この世界は中々面倒だな。

 

 

 

 

 

何故こうなったかは、今から一時間程前の話。

 

「スライム君、一緒に学校行かない?」

 

「(嫌だ!)」

 

私は朝、ご主人……もとい、咲希に学校に行かないか誘われた。

しかし私はすぐに断った。なにされるか分からないからな。

私が全力で体を振ると咲希は分かったようで諦めてくれた。

何故かその時に『はんぷくよことび?』と言っていたが『はんぷくよことび』とはなんだろうか。はんぺんの仲間だろうか。

まぁそれは置いておくとして、そのまま咲希は学校へ向かったのだ。しかし……

 

「『強制転移』」

 

「(へ?)」

 

私は逃げようとしたが時既に遅し。

床に青白い魔方陣が私を囲むように円を描き始め、あっという間に完成して光り始めた。

そしてその光りが収まる頃には、そこには誰も居なくなっていた。

そうして私は咲希のカバン……いや、確か『らんどせる』と言ったか。

その中に入っていたのだ。

そんな事があり、現在。

咲希に枕として活用されている。

助けて、帰りたい。

 

 

 

 

 

「咲希、あんたのそれ……何?」

 

鐘の音だろうか。

それが鳴ると人間達は、席を立ちあがり各々の場所へ行った。

この部屋を出る者。話し始める者。本を読み始める者。

様々である。

そんな中、咲希に話しかける人が居た。この人間は誰だろうか。

 

「あっ、チーちゃん! これは私の枕だよ」

 

誰が枕だ、誰が。

でも誤魔化せればなんでもいいか。

バレたら一体、何をされるのか……

 

「私にも貸してくれるかしら?」

 

この人間なら大丈夫だろう。

なんだって、咲希の友達だからな。

 

「ハァ……ハァ……」

 

なんだかこの人間は息が上がってるが大丈夫だろう。

大丈夫……だよな。

なんか顔が赤いが大丈夫なのかよ!?

 

「おい、チーちゃん大丈夫かよ」

 

私達の会話を見ていたリューが、チーちゃんとやらを心配して近づいてくる。

そしてそのままおでこ同士をくっつける。

そうして何秒か立った後に、リューに慌て始まる。

 

「おいおい、熱あるじゃないか!」

 

よくよく見るとチーちゃんとやらは、足元がおぼつかないように見える。

顔が赤くて、ふらついている……これは熱だな。

リューの風邪が学校でうつったのか?

なお、後から聞いた話だがチーちゃんとやらも咲希と一緒にリューのお見舞いに来ていたそう。おそらくはその時だろうと、咲希が話していた。

 

「咲希、悪いがスラ……水枕借りるぞ」

 

「分かった!」

 

「(好きにしてくれ)」

 

本来なら断りたいが、咲希の友達だ。

それにここで咲希が了承してるのに、貸さないのも不自然だ。

ならここは普通に借りられる方が自然である。

それに咲希の恩返しも含もう。

リューは私を頭に乗せ、チーちゃんとやらの足と首を支える。俗に言う『お姫様だっこ』とやらだ。

 

「キャッア!?」

 

「(うおぉを!?)」

 

そうして早く帰りたい。




《注目してほしいところ》
スライムから咲希の呼び方

人間→主人→ご主人→咲希


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もうやめて!スライム君!とっくにチーちゃんのライフはゼロよ!

最新なんとなく手を広げたくなったり、ジャンプしたくなったりします。

それと今度新しい作品を書こうかな~と考えてます。
そんなとき「……あれ、そしたらこの作品()合体(スピンオフ風に)出来るな!」と気づきました。
投稿するとしたら、あるイベントをしてからですがね。


「ここは……?」

 

私は目を覚ますと知らないてんじゃ……天井を見ていた。

噛んだのは偶々よ、偶々。

ゆっくりと起き上がり、周りを見渡すと見覚えのある光景であることに気づいた。

 

「保健室?」

 

そう、保健室。

私は自分が寝転がっていた物を確認するとベッドだと分かった。

私、もしかして……倒れたのかしら。

後頭部には何か冷たいものが当たっていたような感覚がする。

保冷剤?でもそれだとしたら温くなる筈よね。周りには誰も居ないから誰か変えたって訳じゃないと思うのだけど。

それがなんなのか気になり、見てみると……

 

「水枕?」

 

そう、水枕だった。

なんか水枕ってこう……湯たんぽ?ってやつと似ていたような気がするのだけど。

それにこの水枕は何か変だ。色は白で触るととても柔らかい。形は若干丸を描いているような物だった。

 

「楽しいわね」

 

私は夢中で水枕を触り始めた。

やっぱり柔らかい。いつの間にか私は水枕を抱いたり、指でつついたりなどして遊んでいた。

 

「…………!」

 

「!?」

 

なんか今水枕が動いたように見えたけど、気のせいかしら。

い、いや気のせいよね。そんな非科学的なことがある筈無いもの。

そう、魔法とかドラゴンとかファンタジーな物は存在しないように、水枕が動くなんてことないわ。

べ、別に怖い訳じゃないのよ。

 

「……気のせいか」

 

やっぱり気のせいだったのね。

そんなときだった。扉がノックされたのは。

 

「!?」

 

誰……なの?

今日は保健室の先生はお休みの筈だから違う筈よね。

私は怖くなっ……い、いや怖くないわよ。こ、これは敵襲に備えるためよ!私は敵襲に備えるためにベッドに丸まった。

そうえば、私は誰に言い訳してるのかしら。

 

「チーちゃん、入るぞ」

 

「入るよ」

 

あぁ、良かった。

扉を開けて保健室に入ってきたのは、リューちゃんと咲希ちゃんだった。

 

「お、起きてた」

 

「チーちゃん! 心配したんだよ」

 

「私はもう大丈夫よ」

 

二人だったことを知って、安心したのは秘密よ。

それにしても授業はどうしたのかしら。

そう思い時計を見ると最後の授業が終わる時間になっていた。

私、そんなに寝ていたの?

 

「はいこれ、今日の分のノートだよ」

 

咲希ちゃん、ノート取ってくれたんだ。

リューちゃんはランドセルを持ってきてくれたのね。

あ、そうだ。この水枕は確か咲希から借りたやつだったかしら。返さないと。

私はノートとランドセルを近くにあった机に置き、水枕を水を掬うように持ち咲希ちゃんに返した。

うっ、目眩が……

まだ体調が回復してなかったのか、目眩がして水枕を下敷きに倒れそうになった。

 

「「チーちゃん!」」

 

リューちゃんとチーちゃんに支えてもらった。

うぅ、まだ体調が優れないのかしら。

あ……そうえば水枕落としちゃったかも。私は落ちたかもしれない水枕を確認しようとしたら、不思議な物を見た。それは……

 

「……え?」

 

水枕が体?を伸ばして地面からベッドの上まで登っていることだ。

まだ体調が優れないのかしら。これは幻覚よ、目の錯覚よ。

そう思い何度か目を擦るがそんなことは無かった。

 

「あ、やべ」

 

「え? あ……」

 

二人も動く水枕を見て、そのまま見続けてる。

そうして三人で水枕を見続けて数秒後。

 

「き……」

 

「やべっ!」

 

「きゃぁぁあぁぁぁ!」

 

私はおもいっきり叫んだ。

咄嗟にリューちゃんに口を押さえられて、その声が廊下に響くことはなかった。

 

そうして私は不思議に遭遇した。




タイトルに深い意味はないです。
ただ単に「これ以上チーちゃんを驚かせないで!」と言う意味です。


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あれは夢だった、いいね?

私はあることを思い出した。

あ、転校生が来る展開は絶対だから、そこのアンケート取る必要無かったな。

……と。


「ここは……?」

 

なんだかデジャヴを感じる。

チーちゃんはあの後私を見て悲鳴をあげた。

その瞬間に咲希に『時間停止』で私達以外の時を停めて、リューに首トンで気絶された。

つまりは私達以外には誰も悲鳴を聞いてないと言うことになる。

記憶も消すのかと思ったが、使えないようだ。使う気もないようだが。

 

「チーちゃん、どうしたの?」

 

「え? いや、あの……なんだったかしら」

 

私が動いたことを覚えてないようだ。

おそらくは気絶した衝撃で記憶が飛んでしまったのだろう。

そちらの方が都合が良いので構わないが。

それにチーちゃんが目を覚ます数分前に『時間停止』を解除したのだ。時間が殆どたってないので、さっきのは幻だと考えた方が自然だろう。

 

「早く帰ろうぜ」

 

「そうね。心配かけた……わ」

 

そうしてチーちゃんは自分の上に乗っている私を見る。

どうして体を起こした時に気づかなかったのだろうか。

 

「落ち着くのよ、あれは気のせいよ、気のせい。水枕が動くなんてことはありえないわ。あれは夢なのよ、何もなかったのよ」

 

「ち、チーちゃん?」

 

「いや、なんでもないわ」

 

怖いよ。

なんでもなくないと思う。

でも私のことを覚えてないなら別に良いか。またバレた時が大変だが。

やれやれ、同じようなことが起きなければ良いが。

 

「早く帰りましょ」

 

まぁ、その時はその時で頑張るしかないか。

 

 

 

 

 

「おはよう」

 

「チーちゃんおはよ~」

 

スライム君のことがチーちゃんにバレそうになった日から数日がたった。

チーちゃんはあの出来事を夢だと思ったようで、スライム君のことを見ても一瞬固まるだけで、それ以外は特に変わった様子は無い。

 

「ねぇ、咲希」

 

「どうしたの?」

 

「なんかリューの様子おかしくないかしら?」

 

そうえばなんか違和感を感じる。

何て言うかこう、ピリピリしてるような感覚がしてくるね。

この前の事件は金曜日にあったから、休みの時に何かあったのかな。

でも私も土曜日からなんだか違和感があるからなぁ。

なんだろ。人間じゃない誰か来たような……もしかしてスライムと似たような人が来たのかな?

 

「リューちゃん、どうしたの?」

 

「え? あ、あぁ。なんでもない」

 

絶対になんかあると思うんだけどねぇ。

そう考えながらも、リューちゃんは答えてくれずに先生が来てしまった。

『時間停止』を使ってリューちゃんに聞いた方が良かったかな。

 

「───ってことで、今日は転校生を紹介するぞ」

 

あ、話聞いてなかった。

まぁ先生の話は聞いてなくても大丈夫だよね……多分!

それはそうと転校生ね……リューちゃんがピリピリしてるのに関係あるのかな?

 

「みなさんこんにちは!」

 

教室に入ってきたのは女性だった。

オッドアイと呼ばれる目をしており、右目は水色。左目は赤色をしている。

腰辺りまで長い金色の髪をしており、アホ毛が一本立っている。

 

「『カーラ・アリサ』デス!」

 

『カーラ・アリサ』ちゃんが来たことにより、これからどんな物語が展開されるのか……私達はまだ知らない。




名前を凄く悩みました。


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強キャラ感ある奴。

主人公(スライム君)が弱いと作りやすい、不思議。
まぁこれが日常系(戦闘あり)だからだと思いますけど。


アリサちゃんが転校してきて一週間がたった。

最初はみんな距離を取ってたけど、最近は馴染んでいるみたい。

リューちゃんもピリピリしてなく、アリサちゃんと普通に話している。

もしかして気のせいだったのかな?

そんなワタシ達はアリサちゃんからの誘いでアリサちゃん家に遊びに行くのでした。

 

「チー、咲希、リュー。ここが私の家デス」

 

へー、ここがあの女のハウスね!

とまぁ、冗談は置いとくとして私みたいに一軒家なんだね。

 

「sister……姉さんと私の二人で住んでマス」

 

「「「お邪魔しまーす」」」

 

……?なんだかリューちゃんが周りを警戒してるみたいだけど、何やってるんだろ。

特にこれと言って、魔法関連の物は見つからないけど。

 

「……咲希」

 

「どうしたの?」

 

周りを警戒してるリューちゃんを見てると、何か分かったのか一瞬動きが止まった。

そうしてワタシに内緒話で話しかけてきた。

 

「私が合図したら時間を停めてくれ」

 

「え……分かった」

 

停めようと思えばすぐにでも停められるけど……そうえばスライム君は今何してるんだろ。

連れてくれば良かったかなぁ。

 

 

 

 

 

「(暇だ)」

 

今日は咲希達が『アリサ』と言う人物の家に行っているため私以外誰も居ない。

そうえば、今度そのアリサを誘って誰かの行こうか話してたっけ。予定は未定と言う言葉があるが。

 

「(リューは大丈夫だろうか)」

 

咲希が言っていたがリューの様子がおかしいと言っていた。まるで何か警戒しているようだと。

おそらく、理由はあれだろう。

【私達以外の魔物がこの世界に来てる】のが理由だろう。

それは例の『アリサ』なのか別の人物なのかは分からない。その『アリサ』に会えば分かるのだろうか、だけどリューが警戒するだけの相手だ。注意はしといた方がいいだろう。

それともこの世界に来てること事態を気にしているのかは分からないな。

咲希に理由を言ってないみたいだから後者だろうか。

 

「(……!)」

 

リューが警戒している理由を考えていると、私の前の空間が歪んだ。

まるで絵の具を混ぜたかのように空間が歪み始め、そこから人が出てきた。

否、こいつは人ではない。【魔物】だ。

 

「ふむ、ここから魔力を感じたのですがねぇ」

 

真っ黒な布を体全体を隠しており顔は見えない。

左手を顎に当て、何かを考えたいるようだ。

その左手の薬指には紫の宝石が付いた指輪を付けていた。

 

「(まさか、こいつか!)」

 

この世界の何処から来たか知らないが、ここを探知出来てなおかつ正確に飛んでくる辺りかなり魔法に詳しいのだろう。

 

「おや、貴方は……なるほどぉ」

 

謎の魔物は何か思ったのか、私を持ち上げた。

抵抗出来ない、私が弱すぎて抵抗出来ない!

一度捕まって、こいつのことを知ることにするか。

リューはこいつのことに感づいているようだから、近いうちに対面することになるだろうし、咲希も居る。

それに持ち上げられたのでこいつの顔が見れるな。

 

「!?」

 

こいつは、まさか!

顔は『ひょっとこ』と言う仮面で見えなかったが、仮面被って顔を見せない奴が私の世界に居たな。名前は確か―――

 

「さてさて、次はあっちの方を見に行きますかねぇ」

 

そう考える頃には、魔物は歪んだ空間を創りだし私ごと何処かに消えた。

 

そうして私は何処かに連れ去られる。




次回予告

スライムを拐った謎の魔物。
何かを警戒するリュー。

「おやおや、こんなところに居るなんて奇遇ですねぇ」

「誰だ、お前は?」

「き、効いてない!?」

「スライム君を返して!」

「何か、誤解をしてませんですかねぇ」

次回 敵か味方か、日常系とは。

次回の内容は予告無しに変更する場合があります。
要約すると予定は未定です。


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強い奴より怖い奴。

結構次回予告通りに作れた気がします。


「───ってことがあったんだよ」

 

「そりゃ笑えるな!」

 

ワタシ達はアリサちゃんの部屋に案内されて、お菓子を食べながらお喋りをしています。

最初は絵を描いてたけどリューちゃんが飽きちゃったので、何か話題が無いか話してると「では私の話をしマス!」と言ってアリサちゃんが転校してくる前の話を聞いていた。

だけど途中でお菓子が無くなっちゃって、アリサちゃんが取りに行ってるのでここに居るのは私達三人だけだね。

 

「じゃあ次は私の話を……!」

 

『咲希、聞こえるか』

 

リューちゃんが次の話をしようとしたとき、頭の中に声が聞こえた。

リューちゃん、どうしたの?

 

『時間停止を使ってくれ』

 

え?う、うん。

ワタシはリューの声を聞き、時間停止を使った。

時間停止でアリサちゃんの部屋に飾ってある時計や、チーちゃんが停止したのを確認して、話しかけてきた。

 

「リューちゃん、もしかして……」

 

「あぁ。私が警戒していた原因が来たようだ」

 

やっぱり。

でもリューちゃんが警戒してたのはアリサちゃんじゃないのかな?

 

「咲希、説明は後でする。そこのクローゼットを開けてくれ」

 

リューちゃんはそう言って私の後ろにあるクローゼットを指差す。

時間停止していても、物は触れるけど何かこのクローゼットにあるのかな?

 

「勢い良く開け、そして開けた瞬間に横に移動しろ」

 

何か……何かがこのクローゼットの中に居るのかな?

だけどそんな気配はしなかったし、物音一つすら無かったのに。

そう思いながらもワタシはリューちゃんを信じて、クローゼットの扉を開けた。

そして中には……

 

「無い、何も……無いだと!」

 

何も無かった。

正確には服とかの一般的に入れるものは入っているけど、不思議に思うような物は一つも無かった。

ワタシは何も無かった事を知り、気のせいかと安心しながらクローゼットの中を見た。

本当に不思議な物が無いね。

そう思った時だった。後ろから気配を感じたのは。

 

「いやはや、時間停止を使えるとは中々面白いですねぇ」

 

「「!?」」

 

それはリューちゃんも同じだったようで、ワタシと同じように後ろを振り向いてその気配から距離を取った。

その気配の正体は変な仮面を被っている大男だった。

そしてその大男の腕にはスライム君が捕まっていた。

 

「スライム君!」

 

「咲希、落ち着け」

 

ワタシは慌ててスライム君の元に行こうとしたけど、リューちゃんに止められた。

スライム君が、スライム君が!

 

「アイツは今、時間が停止している空間に居るんだ。おかしいと思わないか?」

 

た、確かに。

ワタシの『時間停止』は自分以外と指定した人物。または場所はそのまま時間の流れは停まらずにそのまま動く。

前のリューちゃんの事で知ったけど、ワタシより力が強い人には効果が無いことに。

そうなると、この人はワタシより強いってことになるのかな。

 

「誰だ、お前は?」

 

「僕ですかぁ? 僕は只の魔物ですよぉ」

 

「答える気は無いのか。なら元の世界に帰れ『暴火』」

 

リューちゃんは手のひらに野球ボール位の火の弾を出し、その弾の形を変えてビームのようにして大男に発射した。

そのビームは大男に当たると思ったけど、大男は自分自身の前に紅い魔方陣を出現させて、リューちゃんの攻撃はそこに吸い込まれるように消えていった。

その瞬間、魔方陣が回転を始めてリューちゃんが撃った魔法がそのまま魔方陣から出てきた。

咄嗟の事でリューちゃんは攻撃を受けたけど、すぐに立ちあがり「大丈夫」と答えた。

 

「リューちゃんの魔法が効いてないの!」

 

「今の……貴方は龍ですかぁ? おやおや、こんなところに居るなんて奇遇ですねぇ」

 

この人、かなり強い!

ワタシ達二人は目の前の大男を警戒しながら、次の手を考えていた。

そんなときだった、部屋の扉が開いたのは。

ドアがきしむ音が静かな部屋に響きドアを開けた人物が姿を現した。

 

「アー! どうしてリューを虐めてるんデスカ!」

 

「何か、勘違いしてませんかぁ?」

 

この部屋の主、アリサちゃんだった。

アリサちゃんはこのピリピリとした空気に気づいてないのか、気にしてないのか分からないけど、部屋に入ってきて大男の前に立った。

あ、危ない……!

そう思いワタシ達はアリサを後ろに下げようとしたけど……

 

「反省してないなら、今日のご飯は無しデスヨ!」

 

「え、あ、これはそのぉ……か、勘違いなんですよぉ勘違いぃ。なので許してくださいませ、お願い致しますアリサ様」

 

大男は態度が急変してスライムを脇に置いて、段々と足を曲げていった。

そして最終的には語尾も普通になって土下座をした。

え、え、え……え?

ワタシはリューちゃんと顔を合わせるけど、リューも訳が分からないと言った顔をしてる。

 

そうしてワタシは訳が分からぬまま土下座を見る。




【強い奴】
大男(ひょっとこ付けてるアイツ)

【怖い奴】
怒ったアリサ


私がシリアスを続けられる可能性は低いです。
何処かでネタを入れたり、ふざけたりしないといけない病気にかかってるので、こんな展開になりました。
そろそろ『ネタを挟まないと死んじゃう病』にかかりそうです。


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グランテさんとアリサちゃん。

お久しぶりです、約4ヶ月ぶりですね。
展開が思い付かなかったので、放置してました。
ごめんなさい


「……え?」

 

理解不能、理解不能。

時間停止している部屋の中、聞こえるのはアリサちゃんと説教と、大男の謝罪である。

なおチーちゃんは時間停止のため、動いていない。

えっと……それで、ワタシ達に敵意を向けていた大男がアリサちゃんに土下座してて、アリサちゃんは大男を叱っていて……え?

 

「これは一体、どういうことだ?」

 

リューちゃんも混乱しているようで、肩の力が抜けて口を開けていた。女の子がそんな顔してたら駄目でしょ!?

いや、リューちゃんは龍だから良いのかな……?

そう困惑してるワタシ達にようやく気付いたのか、アリサちゃんが説教を止めてこちらを見てくる。

 

「……あ、自己紹介がまだでしたネ。この人は『グランテ=マナフィード』居候デス!」

 

い、居候?

スライム君と同じようにこの世界に召喚されたのかな?でも、それならスライム君を持ってる理由が分からないし、リューと同等以上の生物を召喚するのは難しいはずなのに……

 

「じゃあ改めてぇ、自己紹介ですかねぇ。

 

僕は『グランテ』魔物であり、研究者でもありますぅ」

 

「「け、研究者?」」

 

研究者ってあれだよね、ガラスの瓶を横に振ってたり、謎のウイルスを開発してたり、巨大なロボットを開発してたりする人だよね。

……なんか、そういう感じがしないなぁ。変な仮面(ひょっとこ)被ってるし。

 

「そうですよぉ」

 

「……グランテ、一つ聞きたい。アリサと出会ったきっかけはなんだ」

 

グランテさんが研究者だと言う意外なことに驚いてると、リューちゃんがグランテさんに質問していた。

そうえば、リューちゃんはグランテさんに会う前は警戒してたからね。敵意がないかどうか知りたいのかな?

 

「分かったぁ、僕がこのアリサ様と一緒に居るのは―――」

 

 

 

 

 

あれは今から二週間ほど前でしたかねぇ。

僕は元の世界で何を研究しようか考えていたんですよぉ。

 

「ん~……次は何を研究しましょうかぁ、魔物の謎はまだまだ多いから後回しにしたいですがぁ……」

 

僕が今持ってるスライム君とかは、まだ謎が多いんですぉ。物を吸収出来たり、体の色を変化させたり出来るんですよねぇ。

……おっと、君達はもう知ってたんですねぇ。

それで何を研究しようか悩んでたら、あることを思い出したんですよぉ。

 

「そうえば、この前魔方陣の反応がありましたねぇ」

 

すぐに使われたのか、反応が消えちゃったけど異世界に続く魔方陣が草原にあるって分かったんですよぉ。

え、理由?ただ単に魔力の流れが不自然だったからねぇ。

大雑把に説明すると、この世界と元の世界の魔力の質が違うんですよねぇ。

魔力の質を分かりやすく説明すると、濃いか薄いかですねぇ。

例えば味噌汁ですね、味噌を入れる量によって味が変わるでしょうぅ?あんな感じですぅ。

え、ちょっと違うぅ? 魔力の説明が難しいんですよぉ……

 

「これは面白そうだなぁ」

 

僕もその世界に行こうと思ってたんだけど、反応が途切れてしまったからねぇ……そんなときに、アリサ様が召喚の練習をしてたんですよぉ。

アリサ様に魔力は無いみたいだけど、何処から持ってきたのか魔導書を持っていましてぇ……魔導書の魔力を頼りにこの世界に来たんですよぉ。

最初は驚かれたけど、なんやかんや仲良くなりましてねぇ。

それで今があるんですよぉ。

 

 

 

 

 

「……へぇ、そんなことがあったのか」

 

「ハイ! 最初は色々とありましたケド、今となってはグランデはこの家族なんですヨ!」

 

アリサちゃんが胸を出すかのように、手を腰に置いて自慢げに言った。

なら敵対はしないってことかな。

ふっ、良かったぁ……あ、そうだ。それならスライム君を返してもらわないと。

 

「グランテさん、そろそろスライム君を返してくれない?」

 

「嫌ですぅ?」

 

「え?」

 

私はグランテさんの言葉に驚き、ポカンとした様子でスライム君を見つめる。

 

「この触感は中々癖になりましてねぇ、僕の枕にする予定なんですよぉ」

 

グランテさんはスライム君を撫でながら、部屋を出ていこうとした。

スライム君は、私の……私のなんだから!

 

「駄目ェー!」

 

私はグランテさんに体当たりし、スライム君を奪い返そうとしたけど、私に気付いたのかかわされてしまった。

 

「「……」」

 

私とグランテさんは二人で睨み合う。

どうやらグランテさんは私にスライム君を渡す気は無いようで、アリサちゃんにスライムを投げて、全身に魔力を込め始める。

 

「ワァオ!」

 

急に投げ出されたことでキャッチ出来なかったのか、スライム君が地面に跳ねた音が聞こえた。

そしてその音以降何の音もしなくなった。時間停止していることもあるだろうが、動ける二人も何もせずに此方を見ていた。

そのまま戦闘を始まる───

 

「あ~お前ら、それよりスラちゃんが今ので死にかけたんだが」

 

「「あっ」」

 

ことなく、リューちゃんの一言でスライム君を見る。

スライム君は動かなくなっており、アリサちゃんが指でつついて遊んでいた。

 

そうして私とグランテさんのスライム君を賭けた戦いは始まることはなかった。




スライム君はこの作品で最弱です。
もしかしたら、スライム君より弱いキャラが出るかもしれませんが(未定)


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龍と研究者。

今回スライム君は出ません。
リューとグランテが中心の回です。

【話数の順番間違えました、ごめんなさい】


「どれにしようか……」

 

グランテと初めて会ってから数日後、あの後チーちゃんがグランテの格好に驚いたり、そのせいでグランテがアリサに怒られたりしていたが……まぁどうでもいいだろう、グランテだし。

 

「おやぁ、リューじゃないですかぁ」

 

それは置いとくとして、私は休みの日を利用してデパートに服を買いに来ていた。

私としては服なんかどうでもいいが、前にチーちゃんに相談したら「これ、これがいいと思うよ!」と言いながら、ウエディングドレスを進めてきたので、それからは自分で選ぶようにした。

 

「無視は止めてくださいよぉ」

 

ただなぁ……私は流行とかに疎いからどれを選べばいいのか分からないな。

誰かと一緒に来れば良かったか?だけど、咲希はスライムと遊ぶし、アリサは姉と遊ぶと言ってて、かといって親に頼るのもなんか恥ずかしいからなぁ。

残ったのはチーちゃんだけど……無しだな、うん。

 

「え? ちょっと何ですかぁ」

 

それにチーちゃんが服を選ぶと、鼻血を垂らしてたし、なんか怖い。

そうえば前に「女の子同士のイチャイチャが見たい」って寝言言ってたっけな、本人は隠してるみたいだが。

 

「えちょぉ!? 違ッ!」

 

さてと、そろそろロリコン扱いされて連れていかれそうなグランテを助けるか。

 

 

 

 

 

「酷い目に会いましたよぉ~」

 

グランテはため息を付きながら、私の横を歩く。

連れていかれそうになったのはお前のその仮面(ひょっとこ)と、女性物の所をウロウロしてるのが原因だろ。

 

「それで、リューは何をしているんですかぁ?」

 

「服を選びに来た」

 

「そうなんですかぁ」

 

通報していいか?

そんな思いをグッとこらえ、服を見る。

……やっぱり分からないな、適当に何も書いてない無地のシャツとジーパンでいいや。

 

「こんなのはどうですかぁ」

 

私が決めた服を取ってレジに持っていこうとしたとき、グランテが別の服を持ってきた。

左胸のところにロゴがある黒いパーカーに、ヒラヒラで膝より上の赤のミニスカート、そして白にTシャツだった。

 

「知らん、私は服とか分かんないからな」

 

もうアイツは無視だ、無視。

そう思いレジに向かおうと一歩足を進めた瞬間、私の持っている服が変わっていた。

無地のシャツとジーパンから、グランテが選んだ服になっていた。

あの野郎……一瞬の内にすり替えやがったな。

 

「おいグランテ」

 

「どうしましたぁ?」

 

本人は知らんぷりして、明後日の方向を見ているがそんな簡単に騙せるわけがないだろ。

しょうがない、これは返してさっきの服を……いや、待てよ。私が服を選んだことがチーちゃんにバレたら、強制的に買い物に連れていかれる。

だが服を選んだのがグランテだったら?そしたらアイツに責任を擦り付けられるし、チーちゃんにウエディングドレスを選ばれることもない。

 

「これにするか」

 

私はチーちゃんに何か言われてもグランテに擦り付けられるように、アイツが選んだ服を買うことにした。

でも財布にいくら入ってたっけなぁ……ギリギリ足りないな。

 

「僕が払いますよぉ」

 

「いいのか?」

 

怪しい、主に言動と仮面のせいで怪しく見える。

だってどっかの子供の親達がグランテを見てヒソヒソ話してんだよ、どう考えても私が居なかったら通報されてるだろ。

 

「構いませんよ、前に迷惑かけましたしぃ」

 

反省してないだろコイツ。

まぁ払ってくれるならいいか。

 

 

 

 

 

「そうえばどうして、グランテはここにいるんだ?」

 

グランテに服を買ってもらい、ブラブラとデパートを歩いていた。

身長差があるので、仮面が無ければ親子に見えているのだろうか……手を繋いだりはしないが。

それはそうとさっきは疑問に思わなかったことだが、グランテが居る理由が気になったので聞いてみることにした。

 

「暇だからですねぇ」

 

「暇?」

 

グランテはアリサとその姉と遊ばないのか?

私がそう思うことを分かっていたかのように、そのことを聞く前にグランテが話す。

 

「いつも三人で遊んでるんですけど、たまには姉妹だけで遊んでほしいですからねぇ」

 

ちゃんと考えていたのか。

だけど二人だけで遊ばせた結果、グランテは一人になって暇をもて余すことになったと。

気配りは出来ているだろうけど、ちゃんと後のことも考えろよ。

 

「あ、そうだぁリューは来週の土曜日空いてますかぁ?」

 

ジッとグランテを見ていると、何かを思い出したかのように頭がピクッと上の方へ少しだけ上がった。

来週の土曜?学校も無いし、何処かに出かける用事もないな。

 

「空いてるぞ」

 

「実はですねぇ、来週の土曜日にアリサ様が「アニメイト」とやらにリュー達を誘う予定をしていましてねぇ」

 

アニメイト?聞いたことが無いな。

アニメイト、アニメイト……アニメ関連の物が置いてあるのか?

 

「分かった、覚えとく」

 

まだアリサからは聞いてないけどな。

来週の月曜日にでも誘われるだろうが、先に知っておいて損は無いな。

グランテの件とか色々あって、アリサとはちゃんと遊んで無かったから楽しみだな。

 

そうして私はワクワクする。




次回はアニメイト行くか、学校の話になります。
それとキャラを増やしすぎたので、下に軽く纏めました

【主要キャラを簡単に紹介】
《スライム》
主人公、弱い、透明

《咲希》
人間、小学生、スライムの主、魔法が使える

《リュー》
龍、強い、小学生、スライム君は恩人(親友)

《チーちゃん》
人間、一般人、百合

《アリサ》
人間、小学生、怒ると怖い

《グランテ》
研究者、変な奴、アリサが怖い


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番外編
スライム君とクリスマス。


間に合った……!


「ふんふーん、ふんふふーん!」

 

最近、咲希の期限が良い。

何故かそわそわしており、部屋に飾りを付けている。

何か良いことでもあるのだろうか……?

一週間ほど前から早く寝るようになったことも関係しているのだろうか。

不思議に思ってる私に気付いた咲希は私は持ち上げてクルクルと回り始めた。

 

(酔う、酔うから止めてくれ……!)

 

あいにくだが、私は喋ることが出来ないので体の色を帰るしかないのだが、咲希は目を瞑っているので意味が無い。

目を瞑ると危ないのだが……うっ、本格的に酔ってきた。

そのときだった。咲希は脚を滑らせて私は空中に投げ飛ばされ、飾りがある小さな木に当たった。

まぁ私は弱くて軽いから当たったところで、倒れも崩れもしないけど。

 

「いったた……あぁ、スライム君大丈夫!?」

 

私は「大丈夫」と思うと、体の色が赤色になり咲希は安心したようだ。

このまま意識的に点滅しようか……否、流石にイタズラが過ぎるか。

 

(それにしても今日は何があるのだろうか……?)

 

咲希が楽しそうにしてて、飾り付けをするようなこと……親が帰ってくるのか?でも、そんな様子は無いしチラッと縄のような物を持ってるのが見えた。

 

「スライム君、今日はなんの日だと思う?」

 

知らない。

私が居た世界でもこの季節は寒さを凌いだり、寒さのあまり農家が昨日しない場合は魔王が疑似太陽を作成したりとしてたくらいだ。

この世界独自の文化でもあるのだろうか……何か引っ掛かるな。今日は確か12月25日だったか。あれ、だとすると……

 

「正解はクリスマスでした~!」

 

私が思い出す前に咲希は答えを言った。

クリ、スマス……?あ、そうえば前にリューが「この世界にはクリスマスとか言う行事があって、サンタのじいさんからプレゼントが貰えるんだぜ!」と言ってたっけか。

 

(クリスマス、クリスマスね)

 

リューから少しは聞いたと言えどもどういう行事かはあまり知らないのだ。サンタと言うお爺さんからプレゼントが貰えるようだが、そもそもその「サンタ」とはどういう人物なのだうか。

……襲われないよな?

 

「そしてそのクリスマスの日には、サンタさんが来るんだよ!」

 

うん、知ってる。

 

「そして私はそのサンタさんを捕まえるよ!」

 

うん、知って……え?

サンタのじいさんを捕まえる?サンタのじいさんってあれだ、正体は【禁則事項】のはずだがまさか【禁則事項】を捕まえるのか?い、いや……流石に咲希もそんなことはしないだろうし、ただの冗談だろう。冗談……だよな?

 

「縄も用意したし、魔法のトラップも用意したから……あとは寝るだけだね!」

 

あ、本当に捕まえる気だ。

私は咲希に抱かれた状態で咲希の部屋へと行き、ベッドへ入った。

 

 

 

 

 

 

「スー……スー……」

 

時は深夜。

サンタのじいさんを捕まえようとしていた咲希も、睡魔には勝てなかったようでぐっすりと眠っている。

私も寝ていたが、目が覚めたのだ。目がどこにあるかは知らないが。

なお、咲希に抱かれているので動けないし、苦しい。

目が覚めてしまったが、もう一度寝よう。そう思ったときに、誰か居るのに気がついた。

いつから居たのだろうか、それすら気づかないほどそこに自然と居た。

赤い帽子に赤い服、白くて大きな袋を持っており咲希が用意したと言っていた魔法が発動しないのを見ると、解除したのだろうか。

 

「…………」

 

この人物が、サンタか……?

まさか本当に居るとは思わなかった。

そんなことを考えていると、サンタは咲希の枕元に荷物を置いて頭を撫でた。

 

「でかくなったな、咲希……」

 

……なるほど、な。

私はその一言で理解した。遠くに居るのにわざわざ……か。

私は気づかれないように、寝たふり……正確にはぬいぐるみの真似をしていた。

 

「……スライムよ、咲希をよろしくな」

 

あ、やっぱりバレた。

咲希の魔法を気づかれずに解除出来る程の実力者たら、私がぬいぐるみじゃないことも簡単にはバレるか。

サンタは一言そう言うと、一瞬にして消えて部屋には時計の音しか残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

「ん、んん……」

 

翌日……正確には深夜に起きたため、今日なのだが翌日は翌日だ。

私と咲希が起きると枕元に二個(・・)の箱が置いてあった。

 

「スライム君、サンタさんからのプレゼントがあるよ!」

 

うん、知ってる。

だけど二個か。咲希は二つの箱を開けると片方は銀色のヘアピン。もう片方には、私がモチーフの絵が描いてある、魔法についての書かれている本があった。

まさか一晩で仕上げたのか?

 

「う~……いやったー!」

 

咲希は嬉しさのあまり私を天井まで高く上げている。

止めて、天井に当たるから止めて。

咲希はよほど嬉しかったようで、私をベッドに軽く投げてから跳び跳ね始めた。

ぶべっ……ま、まぁそんなに嬉しいなら良かったと思うな。

ここに居ると、危ないな。そう思った私は先にリビングへ向かうことにした。

 

(……ん?)

 

すると、リビングの机に何か紙が置いてあるのに気がついた。

サンタから咲希へのメッセージだろうか。私は気になり、内容を見てみた。

 

『メリークリスマス スライム君!』

 

 

【挿絵表示】

 

 

お世辞にも上手いとは言えない絵と共に、その言葉が書かれていた。

 

(……メリークリスマス 咲希)




絵はかなり適当に描きました。
だってほら……あれだよ、あれ。10歳くらいの絵はこんな感じかな~と思ったので。


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