マスター刑事(デカ) (くらっか〜)
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#1 出動

どうも!Mr.クラッカーでございます。最近FGOを始めまして、と同時にあぶない刑事にもハマりまして、頭の中は刑事ドラマの世界でいっぱい!...の状態になり、思いついたのが今作であります!ただ、FGOでもまだまだ分からない事は色々とあるので、少々曖昧なところもございますが、それでも大丈夫な方は、どうぞ!


日本 東京

 

 

都会のビルの間を一台の覆面パトカーが巡回していた。日産 GT-R R32型のパトカー。車内には、男の刑事が2人。

 

 

「な〜んかパトロールも飽きてきたなぁ。」

 

運転している刑事が言う。刑事はスーツに、サングラス姿。

 

「大山さん。まさか茶店でもよろうなんて言うんじゃないでしょうね?」

 

助手席の刑事が顔をしかめながら言う。

 

「んな事しないよぉ。こう見えても俺結構真面目。たださぁ、なんか事件でも起きないかな〜ってさ?」

 

大山と呼ばれた運転席の刑事が返す。

 

「大山さん‼︎」

 

「おっこんなってぇw」

 

そんな会話がされていた最中。

 

『警視103!応答願います!』

 

無線が入った。

 

 

「おぉっと噂をすれば!は〜い!こちら警視103!どうぞ?」

 

 

『銀座西五丁目で男が拳銃を乱射している模様です。直ちに急行してください!』

 

「103了解!」

 

 

 

 

 

 

銀座西五丁目

 

 

「テメェら死にてぇか⁉︎」

 

ドガァァッ ドガァッ

 

 

街中で大型拳銃を発砲する男。

 

 

「キャアァァ!」

 

 

「警察呼べ!」

 

 

 

やがて刑事たちが現場に到着する。

 

 

 

「ふぉ〜 すげぇな、44マグか‼︎ 一体どっから持ってきたんだ?」

 

 

「大山さん、関心してる場合じゃありませんよ!」

 

 

「分かってる分かってる!」

 

そう言って大山は愛銃「コルト ローマン 2インチ」を取り出す。

 

 

「なんだァ⁉︎ テメェら刑事かァ!」

 

チャキッ

 

男は大山たちに銃を向ける。

 

 

 

...が、

 

 

「ほい」

 

 

ドォンッ!

 

「ッ‼︎ぐぁああ⁉︎...かはっ...」

 

 

大山は男が撃つより前に男の肩を撃ち抜いた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

男は銃を落として倒れこむ。

 

 

 

 

「ったくぅ... スミスとウェッソンが泣くぜ?こんな使い方じゃなぁ...」

 

 

そう言って大山は男から銃を取り上げ、手錠をかける。

 

 

 

 

 

 

警視庁

 

 

 

「大山! ちょっと来てくれ。」

 

 

「んん?」

 

「警視長がお呼びだ。」

 

本部へ戻った後、彼は課長に呼ばれた。

 

「なんだろ?」

 

「さっきのホシの事じゃないですか?ド派手に肩撃ち抜いちゃって。」

 

「だってよぉ、あいつ結局シャブ中だった訳だろ? なんかしでかす前に潰しとかないと...」

 

「貴方まるで...21世紀のあぶない刑事ですよ。」

 

 

「おやおや 嬉しいねぇファンなんだ!」

 

 

 

 

・ ・ ・

 

 

 

「お呼びですか?」

 

 

「ああ、話があるんでな。」

 

 

「さっきはいきなり発砲してすみませんでし」

 

「さっきの事じゃない。 ...これを見てくれ。」

 

 

警視長はある紙を見せる。

 

 

 

「?...人理継続保障機関...カルデア ?なんすかこれ?」

 

 

「ああ、それはある秘密の国連機関でな、実は君にオファーが来ている。」

 

 

「国連機関が?俺にっすか?」

 

 

「そうだ。...私も正直信じられなかったが...この世にはサーヴァントというものが存在するらしい。」

 

 

「サ、サーヴァント?」

 

「どうやら、英霊の事らしい。」

 

「警視長wいつからそんな冗談言う性格になったんです?」

 

「だから私も最初は信じられなかったと言っただろう。だが、事実なんだ。そして、そのサーヴァントの主人である"マスター"というものがあり、カルデアではそのマスター候補を集めいるという訳だ。」

 

「ほんでもって、俺が選ばれた。俺ってなんか素質でもあるんですかね〜?」

 

 

「いや、君はただの数合わせらしい。」

 

 

ドテッ

 

「か、数合わせ?」

 

 

「そうだ。数合わせのための一般枠があるらしい。」

 

 

「は、はあ。」

 

 

「まあ、と言う訳で正式に指令を出そう。君には、明日からカルデアでの活動を行なってもらう。何か質問はあるか?」

 

 

「えっと...警視長?」

 

 

「何だね?」

 

 

「これって...そのカルデアに行ってる間も給料は出るんすかね?」

 

 

「勿論だ。勤務に代わりはない。それに向こうも、活躍ぶりでは報酬を出すと言っている。」

 

 

「報酬‼︎ 報酬の形は...?」

 

 

「勿論現金だ。」

 

「やっふぉーい!ボーナス確定‼︎やりますやります‼︎行ってきまーす!」

 

 

「そ、そうか。明日の10時頃、迎えが来る。とりあえずここへ出勤してくれ。」

 

 

「分かりました!」

 

 

「ああ、それと。これを。」

 

警視長はあるバックを渡す。

 

 

「何すか?えらく重いバックっすねぇ」

 

 

バックを開けると、中には大量の弾丸が入っていた。

 

「今回の任務は日本から遠く離れた地で行われる。万一のためのものだ。今回の為に用意した特製の弾丸だ。」

 

 

「イエッサー‼︎ 失礼しまーす!」

 

 

 

 

バタン

 

 

 

「ハァ...」

 

 

(良い通告が来たものだ。これでしばらくは警視庁の問題児が居なくなる... それにしても相変わらず単純な奴だ...)

 

 

 

(にししw そりゃボーナスの一つでもないと突然のこんな仕事割に合わないもんな〜!)

 

 

 

 

翌日

 

 

 

「警視庁捜査課の大山さんですね?」

 

 

「ん?あんたらがカルデアの?お迎えご苦労さん。」

 

 

「ええ、どうぞこちらに...」

 

 

その後大山は空港まで連れて行かれ、目隠しをされた状態で彼らの専用ジェット機に乗せられた。

 

 

ジェット機の着いた場所は吹雪の舞う雪山。その一角にある施設、カルデアへとジェット機は着陸する。

 

 

・ ・ ・

 

 

...ここはカルデア施設内部。

 

「...くかぁ〜......」

 

その通路の一角で、大山は眠っていた。

 

 

「...フォウ? ...キュウ?」

 

 

「フォウ! フォーゥ!」

 

 

 

 

「...ん?」

 

 

大山が目を覚ますと、見知らぬ少女が立っている。明るい桃色の髪に黒縁眼鏡の少女。

 

 

 

「...あの、朝でも夜でもありませんから、起きてください、先輩。」

 

 

 

「...え?君誰?」

 

 

 

「...いきなり難しい質問なので返答に困ります。 名乗るほどの者ではない、とか?...いえ、名前はあるんです、ちゃんと。でもあまり口にする事がないので、印象的な自己紹介ができないと言うか...」

 

 

「そ、そう...ってかここが、カルデア?」

 

 

「はい。」

 

 

「なんで俺寝てんの?」

 

 

「それはこちらの質問です。お休みのようでしたが、通路で寝る理由がちょっと...」

 

 

「それがさ、俺もよく覚えてないんだよね。確かぁ、カルデアのお迎えさんになんか目隠しされて連れてこられて...あれぇ?そっから覚えてねぇや... 」

 

「そうですか...」

 

「昨日は大好きなバーボンも呑んでないしなぁ...二日酔いじゃないよな...」

 

 

「フォーウ!」

 

 

「失念していました。貴方の紹介がまだでしたね、フォウさん。...こちらのリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩する特権生物です。」

 

「キュウ! フォーウ!」

 

「...またどこかへ行ってしまいました。あのように、特に法則性もなく散歩しています。」

 

 

「見たことねぇ生き物だったな...」

 

 

「はい、私以外にはあまり近づかないのですが、先輩は気に入られたようです。」

 

「へぇ、随分可愛いじゃないの。」

 

 

 

「マシュ。」

 

 

 

「ん?」

 

突如男の声が響き、二人が振り向くとシルクハットの男がやってきた。

 

 

「そこに居たのか。駄目だぞ、断りもなしに移動するのはよくないと...」

 

 

「あんたは?」

 

 

「おっと先客が居たんだな。君は...そうか、今日から配属された新人さんだね。私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらってる技師だよ。」

 

「自己紹介どうも。ああ、俺の自己紹介がまだだったね。俺は大山。警視庁捜査課 巡査長。よろしくな?」

 

 

「警視庁?」

 

 

「先輩、刑事なんですか?」

 

 

「まぁね、『数合わせ』って事で呼ばれちったw」

 

 

「そうか、数合わせに採用した一般枠があったんだっけ?君はその一人だったのか。」

 

 

「そ。ま、どーせ俺は凡人さ。長所と言えば銃の腕と、女の子を口説くセーンス!」

 

ガバッ

 

「ッ⁉︎」

 

そう言って大山はマシュの肩を抱く。

 

 

「さっきから思ってたけど、可愛いねお嬢ちゃん。」

 

 

「はは、積極的だね。 けど、一般枠だからって悲観しないでほしい。今回のミッションには君達全員が必要なんだ。」

 

 

「そいつはどうも。」

 

 

「なんとか48人のマスター候補を集められた...これは喜ばしい事だ。この年において、霊子ダイブが可能な適正者全てが集められたのだから。」

 

「まあ、わからない事があったら私やマシュに遠慮なく声をかけて...おや? そういえば彼と何を話していたんだい、マシュ? 以前から面識があったとか?」

 

「いえ、先輩とは初対面です。この区画で熟睡されてたので、つい。」

 

「熟睡していた...? あぁ、さては入館時にシミュレートを受けたね? 霊子ダイブは慣れてないと脳にくるからね。シミュレート後、表層意識が覚醒しないままここまで歩いてきたんだろう。」

 

「なるほど、つまり俺は一種の夢遊状態だったって訳だ。」

 

 

「そういう事だね。それで君が倒れたところで、マシュが声をかけたのさ。念のため、医務室へ送ってあげたいところなんだが... すまないね、じき所長の説明会が始まる。」

 

「説明会? ま、しょうがねえか。...ってかさ、...マシュちゃん?」

 

「マシュで結構です。」

 

「ああ、マシュ?...なんで俺先輩な訳?」

 

「...理由、ですか?...大山さんは、今まで出会った人の中で一番人間らしいです。」

 

 

「に、にんげんらしい?」

 



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#2 発端

大山達はその後、所長の説明がある部屋へと向かった。

 

 

「ここが、中央管制室です。先輩は...あの席ですね。」

 

「サンキュ。いや〜それにしても広いな〜。うちの課もこんぐらい広い部屋だったらねぇ」

 

「警察のお部屋って狭いんですか?」

 

「んん〜?いや、狭いってほどじゃないけどな、毎日毎日汗だくのおじさん達でごった返してるワケ。その数200人以上。」

 

「200人も⁉︎」

 

「そ。」

 

「一つの部屋にそんな人数がいるなんて、初めて知りました... あ、どうぞ先輩。」

 

 

 

やがて、マスター候補全員が揃い、所長が到着した。

 

「カルデアへようこそ。所長のオルガマリー・アニムスフィアです。」

 

 

「ふあ〜ぁ...」

 

(やべぇな...さっきの りょうしダイブ?とかいう奴のせいかな?また眠気が...目覚ましに一服、一服。)

 

 

大山はタバコに火をつける。

 

 

「あなた達は各国から抜擢された稀有な...ってちょっと⁉︎そこ‼︎」

 

「げっ」

 

オルガマリーが大山を指差す。

 

「ここは禁煙です‼︎ それに非常識にも程があるでしょう⁉︎ 説明会の最中に喫煙だなんて!」

 

 

「い、いやぁ、眠くなってきたんで、ついw」

 

 

「⁉︎ 私の話が眠くなるですって...⁉︎ もういいわ!あなたには外れてもらうわ!」

 

「へ?」

 

 

大山は喫煙が原因でファースト ミッションから外されてしまった。

 

 

 

 

「...外されちった。」

 

「いきなり残念でしたね...とりあえず、先輩の部屋へ案内しますね?」

 

「ん。悪りぃな、何から何まで。...あっ マシュ?」

 

「何ですか?」

 

「マシュは...タバコ、嫌いかな?」

 

「いえ、別に。自分で吸おうとは思わないんですが、特に嫌悪感があるわけでもないです。」

 

「そっか。」

 

(へへ、マシュにタバコ嫌われなかっただけでもマシかな?)

 

 

「あ、ここですね。ここが先輩の個室になります。」

 

「おう、ありがとな。」

 

「はい。ファーストミッション、Aチームなのですぐに戻らないと。」

 

「おう、そうか...じゃあな!頑張ってこいよ!」

 

「はい、ありがとうございます。運が良ければまたお会い出来ると思います。」

 

 

そう言ってマシュは走って行った。

 

 

「さぁて、とりあえず部屋で一休みしますか。」

 

ドアの前に立つと自動ドアが開いた。

 

 

 

「はーい、入ってま...ってうわあぁ⁉︎」

 

 

「おぉ⁉︎」

 

 

部屋にはすでに一人の男が居た。長髪を後ろで結んだ明るい髪色の男。

 

「だ、誰だ君は⁉︎ ここは空き部屋だぞ⁉︎僕のサボり場だぞ⁉︎」

 

「あんたこそ...ここ俺の部屋じゃないの?」

 

「君の部屋?...あちゃぁ、最後の子が来ちゃったか〜...」

 

「それで、あんた誰?場合によっちゃ住居不法侵入でパクっど。」

 

「僕は医療部門のトップ、ロマ二・アーキマン。皆からはdr.ロマンって呼ばれてるんだけど...って、じゅ、住居不法侵入でパクる?君こそ一体⁉︎」

 

「これ。警視庁捜査課の大山。よろしくな?」

 

大山は警察手帳を見せる。

 

「け、刑事⁉︎ 」

 

「そ。でも数合わせのマスター候補に呼ばれちったワケ。」

 

「そうか...まあ、今後ともよろしく大山くん。」

 

 

・ ・ ・

 

 

「な、なるほど...説明会の最中にタバコをね...それで所長のカミナリが落ちてファーストミッションから外されたと。」

 

 

「だってしょうがねえだろ?居眠りこくよりはこう...ダンディにタバコ咥えてた方が良いと思ってよぉ?」

 

「だ、ダンディね...まぁ、それなら僕と同類だ。実は僕も所長に叱られて待機中だったんだ。もうすぐレイシフト実験が始まるのは知ってるね?」

 

「まあ、一応。皆言ってたからな。」

 

「所長にあなたが居ると空気が緩むって言われて追い出されて、ここで拗ねてたんだ。」

 

「可愛いとこあんじゃねえの。」

 

「まあ、そんな時に君がきてくれた。所在ない同士、ここでのんびり世間話でもしようじゃないか!」

 

「お、そうだな。...あ、ここ禁煙?」

 

「いや、ここは大丈夫だよ。」

 

「うっしゃ」

 

 

 

・ ・ ・

 

 

「...とまあ、以上がここの構造だよ。」

 

 

「すげぇな、標高6000mの雪山って...俺そんなとこに連れてこられたワケ...」

 

 

『ロマ二、あと少しでレイシフト開始だ。万一の為に来てくれないか?』

 

突然ロマ二の通信機に連絡が入った。相手はレフ。

 

『Bチーム、慣れてない者に若干の変調が見られる。不安から来るものだろうな。』

 

「ちょっと麻酔をかけにいこうか?」

 

『ああ、頼む。今医務室だろ?2分で着くはずだ。』

 

 

「...ロマニよォ。俺にはここがどう見ても医務室には見えないんだけど...気のせいかな?」

 

「いや...気のせいじゃない。...ハァ...ここからじゃどうあっても5分はかかるぞ...まぁ、少しの遅刻くらい許されるよね。Aチームは正常みたいだし。」

 

「良いのかそれで...」

 

 

その時だった。

 

 

 

ガタン...

 

部屋が一瞬にして真っ暗になる。

 

「ッ⁉︎ 明かりが急に消えた⁉︎」

 

「なんだ、停電か?」

 

 

『緊急事態発生。緊急事態発生。中央管制室および中央発電所で火災が発生しました。』

 

「火事⁉︎」

 

アナウンスが話す内容にロマ二と大山は愕然とする。

 

『中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかに退避してください』

 

 

ドゴォッ...

 

 

アナウンスがそう言い終えた直後に巨大な音がした。

 

「今のは爆発音か⁉︎」

 

「なんだァ?誰かマスター候補の一人がC4でも持ってきてたのか?」

 

 

「モニター、管制室を映してくれ‼︎」

 

ロマ二が叫ぶと、モニターに管制室の様子が映し出された。

 

そこにあった光景はまさに地獄。部屋一面が炎に包まれていた。

 

 

「...!おい、管制室って...マシュ‼︎」

 

 

「大山くん。すぐに避難してくれ。もうじき隔壁が閉まるからね。君だけでも出るんだ。」

 

 

「まだあの娘が中に居るんだ!俺は行く。」

 

大山はホルスターからコルト ローマンを取り出して言う。

 

「君...まぁ、人手があった方が助かるけど... 隔壁が閉鎖する前に戻るんだぞ?」

 

「了解!」

 

 

 

 

中央管制室

 

 

「...生存者はいない。無事なのはこのカルデアスだけだ。...これは事故じゃない。人為的な破壊行為だ。」

 

「じゃあホシはまだ近くに居るかもしれねえって事だな。」

 

チキッ

 

大山はそう言ってローマンの撃鉄を起こす。

 

 

『隔壁閉鎖まで 後 40秒...中央区画の職員は速やかに...』

 

 

「...僕は地下の発電所に行く。」

 

「OK。」

 

「君は元来た道を戻るんだ‼︎」

 

 

そう言ってロマ二は発電所へと向かった。

 

 

『 システム レイシフト最終段階に移行します。 座標西暦2004年 1月 30日 日本 冬木...』

 

 

「チクショウ...マシュ‼︎どこだぁ‼︎」

 

大山は大声で呼びながらマシュを探す。

 

 

ガラガラ...

 

 

「っ!マシュ!」

 

 

「あ、...せ、先輩...」

 

 

瓦礫からよろよろのマシュが出てきた。かなりの重症を負っているようだった。

 

「マシュ!」

 

 

「私は、いい...です...助かりませんから...それより、逃げないと...」

 

 

『観測スタッフに警告。カルデアスの状態が変化しました。近未来100年までの地球において、人類の痕跡は 発見できません』

 

 

「ッ?どゆこと?」

 

 

「カルデアスが真っ赤に...そんな...ことより!」

 

 

マシュがある方向を指差す。見ると、隔壁はもう閉まっていた。

 

 

「隔壁...しまっちゃい、ました... もう、外には...」

 

 

「...良いさ。」

 

 

「ッ⁉︎」

 

 

「女のコ一人にさせとくワケにいかねぇだろ?」

 

 

「先輩!」

 

 

「心配すんな。最後の最後まで居てやるからよ。」

 

「先輩...」

 

 

大山はマシュを強く抱きしめる。

 

 

 

 

『レイシフト、定員に達していません。該当マスターを検索中...発見しました。』

 

 

「ん?」

 

 

『適応番号 48 大山 健次を マスターとして再設定します。』

 

 

 

 

「...へ?」

 

 

『レイシフト開始まで、あと3』

 

 

『2』

 

 

『1』

 

 

 

「⁉︎ うああ⁉︎ おぉ!」

 

 

 



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#3 街中

「いててて...⁉︎ な、な、何なんだここ⁉︎」

 

気がつくと大山は当たり一面が炎上している見知らぬ街に居た。

 

「キュウ! フォーウ!」

 

「ん?フォウ!お前いつの間に?」

 

 

「大丈夫ですか?先輩。」

 

 

「ん⁉︎」

 

 

大山が振り返ると、マシュが居た。

 

「良かった...無事でなによりです。」

 

「マシュ‼︎ ここは⁉︎ 怪我大丈夫か?」

 

「...それについては後ほど説明します。」

 

「てか、いつからそんなカッコを? 随分色気だしてんじゃん」

 

「それも後ほど。今は周りをご覧下さい。」

 

「お、おう?」

 

 

「ギ、ガガガガッ‼︎」

 

「のわっ⁉︎ なんだコイツ!」

 

大山とマシュの目の前にボロボロの布を被った黒い謎の生物が現れる。

 

 

「言語での意思疎通は不可能...敵性生物と見なします!」

 

「よく分からんが、敵か!」

 

「はい。マスター、指示を!二人で切り抜けましょう!」

 

「 OK!」

 

カチャ!

 

大山は生物に銃を構える。

 

「! 先輩、それは...」

 

「ん?ああ、俺の正確無比なコルト ローマンmk-IIIさ‼︎」 ドォン!

 

ズシュッ...

 

「⁉︎」

 

銃口から飛び出した.357マグナム弾は生物の眉間をぶち抜き、一瞬にして息の根を止めた。

 

「先輩⁉︎...一体どうして...銃で倒れるなんて...」

 

「ああ、一応、この弾はカルデアに来る前に貰った特別製弾丸だかららな。そのおかげかな?」

 

「は、はぁ。でも、何とか切り抜けられましたね。」

 

「ああ。そうみたいね。...つーか今のは何だったワケ?」

 

「私にも分かりません。この時代はおろか、私たちの時代にも存在しないものでした...あれが特異点の原因かもしれません。」

 

その時。突然通信音が鳴った。

 

『ああ、やっと繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室だ!』

 

「ロマ二か!」

 

『! 大山くん!』

 

「こちら、マシュ・キリエライトです。特異点Fにシフト完了しました。」

 

「同伴者は大山先輩一名。心身共に心配ありません。...レイシフト適性も良好。大山先輩を正式な調査員として登録して下さい。」

 

『やっぱり...大山くんもレイシフトに巻き込まれてたのか...まあ、2人が無事なのは嬉しいんだけど、マシュ。君のその格好はどういう事なのかい⁉︎』

 

「先程先輩にも言われました。」

 

『は、破廉恥すぎる!そんな子に育てたおぼry』

 

「良いじゃないの、色気で男を手玉にとる峰不◯子みたいになるかもだぜ〜?」

 

『お、大山くん‼︎なんてことを〜!』

 

 

「...これは、変身したんです。」

 

 

「『へ、変身?』」

 

「ええ...カルデアでは先輩を守れなかったので...」

 

『変身って、何を言って...頭でも打ったのかい?』

 

「Dr.ロマン。ちょっと黙って下さい。...私の身体をチェックして下さい。それで状況は理解していただけるかと。」

 

 

『君の身体状況を...? お、お?おおお⁉︎』

 

「どうしたロマ二?発作か?」

 

『ち、違うよ...マシュの身体能力、魔力回路、すべてが向上している...! これじゃ人間というより...』

 

 

「ええ、サーヴァントそのものですね。」

 

 

「...ん?マシュがサーヴァント ?」

 

 

「経緯はわかりませんが、私はサーヴァントと融合した事で一命を取り留めたようです。」

 

 

「じゃあ、怪我はもう大丈夫か?」

 

「はい。...今回特異点Fの調査・解決のため、カルデアではサーヴァントが用意されていました。そのサーヴァントも先ほどの爆破でマスターを失い、消滅の運命にあった...ですがその直前彼は契約を持ちかけてきました。英霊としての能力を譲り渡す代わりに、この特異点の原因を排除してほしいと。」

 

「つまりマシュは、人間とサーヴァントのハイブリッドになっちったワケ?」

 

『そう。デミ・サーヴァント ...カルデア 6つ目の実験だ。では、君の中に彼の意識があるのか?』

 

「いえ、私に戦闘能力を託して消滅しました。」

 

『そうか...まあ、不幸中の幸いだな。召喚したサーヴァントが友好的とは限らないからね。』

 

「でも、そのサーヴァントがマシュなら問題ないんじゃねえか?」

 

『そうだね。何しろ信頼できる。』

 

「ああ。」

 

『それと、大山くん。』

 

「ん?」

 

『すまない...何も説明できないまま、こんな事態になってしまった...』

 

「...ロマ二。あんたが謝る事じゃねえよ。」

 

『ありがとう...分からない事だらけだと思うが、安心してほしい。君には既に強力な武器がある。マシュがね。』

 

「そだな。後、こいつも。」

 

『君の拳銃か。でも、通用するのか?』

 

「ええ、先程の敵はこれで倒せました。」

 

『ええ⁉︎』

 

「一応、特別製弾丸使ってるからな。」

 

『そ、そうか...まあ、つまり君がマシュのマスターなんだ。』

 

「んー、そうらしいな。」

 

 

 

「!...ドクター。通信が乱れています。通信途絶まで、後10秒。」

 

 

『むっ、仕方ない。説明は後ほど。二人とも、そこから2キロ程移動した先に霊脈の強いポイントがある。なんとかたどり着いてくれ。そこからなら通信も安定する。』

 

「了解!」

 

「 分かりました!」

 

『いいかい、くれぐれも無茶な行動はー...」

 

プツン

 

通信が完全に途絶え、一気に静かになる。

 

 

「...仕方ねえ。移動するか。」

 

「はい。頼もしいです先輩! ...実はものすごく怖かったので...助かります。」

 

「マシュ...」

 

 

大山はマシュの肩に手を置く。

 

 

「怖い時は、素直に怖いって言わないとダメだぜ?」

 

「先輩...... ありがとうございます...」

 

 

「フォーゥ!」

 

フォウがマシュの肩に乗る。

 

「おっ、そうだな、お前も居たんだったな。」

 

「フォウさん、応援ありがとうございます。」

 

 

チャキッ

 

 

大山はローマンのシリンダーをスイングアウトさせ、撃った分を補充した。

 

 

「さあて、行きますか。」

 

 

 

・ ・ ・

 

 

 

「先輩、もうすぐドクターの言っていた座標に到着します。」

 

「お、そうか。しっかし見渡す限り火の海だな...」

 

「はい...資料にあったフユキとは全く別物です...」

 

2人がそんな事を言っていた時。

 

 

 

 

「きゃああーーっ‼︎」

 

 

 

「「⁉︎」」

 

突如として悲鳴が聞こえた。

 

 

「誰か、他にもいんのか?」

 

「とにかく、急ぎましょう先輩!」

 

「おうよ!」

 

 

 



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#4 前進

悲鳴が聞こえた後、大山とマシュはその方向へと向かった。

 

 

「...!先輩!あれ!」

 

 

「おっ⁉︎」

 

 

先程の黒い生物に誰かが襲われている。

 

 

 

「お?おい、マシュ...あれ所長じゃないの?」

 

「え⁉︎」

 

 

 

 

 

「...何なのよコイツら!なんで私ばっかりこんな目に...!もう嫌!助けてよレフ!」

 

襲われていたのはオルガマリー。

 

「オルガマリー所長‼︎」

 

 

「え? 」

 

 

2人が到着し、大山は生物に銃を向ける。

 

「ハイそれま〜で〜ヨ♪ 」

 

「何ですかそれ?」

 

「これね、昔の日本の歌。」

 

 

「あ、貴方達⁉︎ああ、一体何がどうなってるのよ⁉︎」

 

「ガガガ...!」

 

「ひぃっ⁉︎」

 

生物はオルガマリーに襲い掛かろうとしていた。

 

「マシュ!」

 

「はい!はぁあ‼︎」 ガンッ!

 

 

マシュが盾を振りかざし...

 

 

「ほい」 ドォン!

 

その後に大山が発砲する。

 

 

 

「ふぅ、...大丈夫っすか、所長さん?」

 

 

「...............どういうこと?」

 

 

「所長?...ああ、私の事ですよね?信じられないと思いますが、実は...」

 

 

「デミ・サーヴァントでしょ?そんなの見れば分かるわよ。私が聞きたいのは、どうして今になって成功したかって事と、貴方!私の演説でタバコを吸ってた一般人!なんでマスターになってて、しかも銃を持っているの⁉︎」

 

「ああ、あんたには自己紹介してなかったすね。これ。」

 

大山はオルガマリーに警察手帳を見せる。

 

「警視庁捜査課、大山健次。よろしく。」

 

「け、刑事⁉︎」

 

「それと、何故先輩がマスターになっているかなんですが...」

 

 

 

 

 

 

「...以上です。私達はレイシフトに巻き込まれ、冬木に移転してしまいました。」

 

「...状況は理解しました。大山健次。緊急事態という事で、貴方とキリエライトの契約を認めます。...ここからは私の指示に従ってもらいます。」

 

「イエッサー!」

 

「まずは、ベースキャンプの作成ね...いい?こういう時は霊脈のターミナル、魔力が収束する場所を探すのよ。それで、この街の場合は...」

 

「このポイントです所長。」

 

「うぇっ⁉︎ ...そ、そうね! 分かってるわよそんなこと!」

 

「結構おっちょこちょいなんだな。」

 

 

「何か言ったかしら?」

 

「いえいえなーんも。」

 

 

「マシュ、その盾を地面に置きなさい。宝具を触媒にして召喚サークルをつくるわ。」

 

「はい。」

 

 

・ ・ ・

 

 

「おおっ⁉︎ これは...」

 

「カルデアにあった実験場と同じ...」

 

 

『もしもーし!よし、通信が戻ったぞ!』

 

「やったぜ!」

 

『2人ともご苦労様。空間固定に成功した。これで問題なく通信できるよ!』

 

「ハァ⁉︎ なんで貴方が仕切ってるのロマニ⁉︎ レフは⁉︎ レフはどこな

の⁉︎」

 

 

『うわあ⁉︎ しょ、所長⁉︎ 生きていらしたんですか⁉︎』

 

「いいからレフを出しなさいよ! 医療部門の貴方が何故その席に⁉︎」

 

「...多分、出したくてもだせねんじゃねえかな?」

 

大山が口を挟む。

 

「はぁ? どういうことよ?」

 

「あんだけの爆発だ。仏さんになっちまった奴も数えきれんだろ...現時点での最高地位の人間が、ロマニだってこったろ?」

 

『察しが良いね...さすが刑事。 そう、現在カルデアのスタッフは僕を入れて20人に満たない... 僕が仕切っているのは、大山くんの言う通り、僕より上の階級の生存者がいないからです。』

 

『レフ教授は管制室でレイシフトの指揮を執っていました。あの爆発の中心にいた以上...おそらく...』

 

「そんな...」

 

「レフが......ちょっと待って? 待ちなさい、生き残ったのが20人未満⁉︎他のマスター候補は⁉︎ 」

 

『...47人、全員が危篤状態です。医療機器も足りません...』

 

 

「...すぐに冷凍保存に回しなさい!死なせない事が最優先よ!」

 

 

(コールドスリープの技術まであんのね... とんだオーバーテクノロジーの塊だなカルデアってのは...)

 

 

『は、はい!至急手配します!』

 

 

「...凍結保存を本人の承諾なく行うのは犯罪行為です。」

 

「へっ? そなの? じゃパクっちゃおっかな〜?」

 

「貴方ねぇ‼︎」

 

「冗談っすよw」

 

「冗談なんて言ってる場合じゃないでしょう⁉︎」

 

「...でも、即座に英断するとは、所長としての責任より人命を優先したのですね。」

 

マシュが少し嬉しそうに言う。

 

「ば、バカ言わないで!死ななければ後でいくらでも弁明できるからに決まってるでしょう⁉︎」

 

 

『まあ、報告は以上です。現在カルデアは八割の機能を失っており、残されたスタッフでは出来る事には限りがあります...』

 

 

「...はぁ...ロマ二・アーキマン。納得はいかないけど、私が戻るまで、カルデアを任せます。」

 

『はい。これからは短時間ですが、通信もできますよ。緊急事態になったら、遠慮なく連絡を。』

 

「おうよ! 」

 

通信が終了する。

 

 

「...とにかく、この街を探索しましょう。」

 

「そだな、早く片付けて帰ってボーナスで遊び倒したいからな。」

 

そう言いながら、大山は街の炎に近づいて行く。

 

「...先輩? 何してるんですか?」

 

「あぁいやね、ここはライターが要らねぇなと思ってよ。」

 

街の炎を使ってタバコに火をつけていた。

 

「先輩...」

 

「...本当に緊張感がないのね貴方は...」

 

 

「グゴゴゴ!」

 

「おっとまた来たな!」カチャ

 

「やあぁ‼︎」

 

ガツンッ

 

 

ドォン!

 

 

「ふぅーっ、何とか片付いたな。」

 

「はい。」

 

「ねぇ、大山くん。」

 

「ん?どったのマリーちゃん?」

 

「誰がマリーよ!オルガマリー所長と呼びなさい!...それよりどういうこと⁉︎ なんで拳銃で倒せるのよ⁉︎何なのよその銃!」

 

「ああ、コルト・ローマン mk III、357マグナム。装弾数6発。ライフリング6条、左回り。弾は特別製の158グレインのホローポイント弾。」

 

「はぁ⁉︎ そんな話なんてされても分からないわよ‼︎......まぁ、いいわ。」

 

 

 

その後も何度も謎の生物による襲撃があった。その度にマシュは盾を振りかざし、大山はローマンをぶっ放した。

 

 

 

「もうマシュな完全にサーヴァントとしてやっていけるわね。もう怖いものはないんじゃない?」

 

「...どうなんでしょう。どんなに武器をうまく使えても、戦闘そのものは...」

 

その時、また通信音が鳴る。

 

『ごめん、話は後にして!すぐにそこから逃げるんだ3人とも!』

 

ロマ二が深刻な口調で言う。

 

「え?」

 

「どうしたんだロマ二?」

 

『まだ反応が残っている......!これは!』

 

「ね、ねぇ、まさかあれって...」

 

3人の前にまた謎の生物が現れるが、これまでのものとは違うようだった。

 

『そこにいるのはサーヴァントだ‼︎戦うな、マシュ、大山くん!君達はまだサーヴァントとはやらない方がいい!』

 

「そんな事言ってもなぁ、逃げられそうにないぜ?」

 

「はい...戦うしか...最善を尽くします...!」

 

2人とも、それぞれの武器を構える。

 

 

 

「行くぜ‼︎(柴田恭兵風)」

 

 



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#5 参戦

ガァン!

 

 

ドォン ドォン! ドォン!

 

突如現れたサーヴァントと戦わざるを得なくなった大山とマシュ。

 

ドォン!

 

流石サーヴァントだと言うべきか、銃弾を受けても中々倒れる様子がない。

 

「マ、マグナム弾だぜ、これ?お前絶対キメてんだろ!」

 

ドォン! ドォン! ...カチンッ...

 

ローマンの弾が切れた。いくらマグナムとは言え、装弾数6発では弾切れになるのも早い。

 

ジャキッ

 

シリンダーを出し、スピードローダーで次の弾を入れるが...

 

「おぉ⁉︎」

 

大山のリロードタイムをサーヴァントは見逃さなかった。

 

「やべぇ!」

 

 

「先輩‼︎」

 

 

だが。

 

 

「なーんてな?」

 

シュッ...

 

パンッ!

 

「⁉︎」

 

大山は腰のヒップホルスターから「スミス&ウェッソン M36」を取り出して撃った。中々苦戦したサーヴァントはやっと倒れる。

 

 

「先輩、大丈夫でしたか⁉︎」

 

「ん、ああ。まぁね。」

 

「良かった...ところで先輩、二つも銃持ってたんですか?」

 

「ああ。バックアップウェポンだよ。俺の第2の愛銃。」

 

「...それより、なんでこんなところにサーヴァントが居るの⁉︎」

 

 

『...! そうか、聖杯戦争だ!』

 

ロマ二が閃いたように言う。

 

「聖杯戦争?何だそりゃ?」

 

『七騎のサーヴァントによる聖杯を巡る戦争さ。だけど、そこはもう何かが狂った状況なんだ!』

 

『マスターの居ないサーヴァントが居ても不思議じゃない。...そもそもサーヴァントの敵は...』

 

「サーヴァントってか?」

 

『そう...』

 

「じゃ、じゃあ...私が居る限り、先輩や所長も、サーヴァントに狙われる...」

 

「待って!マシュは聖杯とは無関係でしょ!あれはただの理性を失った亡霊‼︎」

 

「おっとその亡霊さんが、また来たみたいね〜。」

 

「ッ⁉︎」

 

 

「...見ツケタ...新シイ獲物‼︎...聖杯ヲ、我ガ手ニ‼︎」

 

新しいサーヴァントが現れる。

 

 

「応戦します!...先輩!」

 

「おう!」

 

その瞬間、サーヴァントは襲ってきた。

 

 

 

・ ・ ・

 

 

 

「ッハァ...ハァ...これでっ...どうだ!」

 

 

「...ドウモ何モ話ニナラン...」

 

依然サーヴァントは余裕な様子。

 

「っ!...」

 

「コレデハ私1人デ十分ダッタカ。」

 

「...ハァ...ハァ...一体どういう?」

 

「マシュ!下がれ!もう一体居る!」

 

大山はマシュを後ろにやって銃を構える。

 

「...そんなっ!一体でも危ういって言うのに...ニ体同時に襲って来るの⁉︎」

 

オルガマリーが震えた声で呟く。

 

「今は戦うしかねえってか... ったく、ゲームセンターじゃねんだぞ?」

 

カチャッ

 

大山はローマンの撃鉄を起こす。

 

「面白イ 面白イ 面白イ...!」

 

その時。

 

 

 

ドガンッ...

 

 

「⁉︎」

 

何者かがサーヴァントに攻撃を仕掛けた。

 

 

「ヌッ...⁉︎ 何モノダッ...⁉︎」

 

 

「何者って見れば分かるだろご同輩。」

 

攻撃を仕掛けたのは、長身で青い髪の男。

 

「貴様、キャスター⁉︎ ナゼ漂流者の肩ヲ持ツ⁉︎」

 

「何故って...てめえらよりマシだからに決まってんだろ? さぁ構えなそこのお嬢ちゃん。腕前は負けてねぇ。」

 

「お、おぉそうらしいぞ、マシュ?」

 

「は、はい!頑張ります!」

 

「兄さんがマスターか?」

 

「ん、そだけど?」

 

「俺はキャスターのサーヴァント。故あってあいつらとは敵対中でね。健気に戦ってたあのお嬢ちゃんに免じて仮契約だがアンタのサーヴァントになってやるよ。」

 

「そりゃあ有り難いね。足手まといにはなるなよ?」

 

「やああぁ‼︎」

 

 

 

 

・ ・ ・

 

 

 

「ふぅ...やっとくたばったか...」

 

大山はホルスターに銃をしまいながら言う。

 

「あ、あの...ありがとうございます。」

 

「俺からも、礼を言っとくよ。」

 

「おう、お疲れさん。この程度貸しにもならねえよ。...それより自分の身体が心配だな。ケツの辺り、しつこく狙われただろう?」

 

モミッ

 

「!ひゃん‼︎ ////」

 

 

「んあ⁉︎テメェ‼︎」

 

大山が叫ぶ。

 

「おっと、悪い悪い。怒っちまったry」

 

「羨ましいことしやがってぇ‼︎ 良いよなぁサーヴァントは!...人間な上にお巡りさんな俺が同じ事やったら即お縄だよ。」

 

「そ、そこかよ...」

 

「先輩...」

 

「最低ね。」

 

「ところで、何のクラスだか全く分からねえが、その頑丈さはセイバーか?」

 

「え、えっと...」

 

 

マシュとキャスターが話していると、オルガマリーが大山に近づいてきた。

 

「ちょっと大山くん。アレどう思う?」

 

オルガマリーは声を小さくして言う。

 

「...まぁ、多分白とは思うんすけどね...でも俺たちを利用してるだけで用済みになればあばよって可能性も無くはないしな... ま、そん時はこうするだけっすよ。」チャキ...

 

大山は懐に手を突っ込み、ホルスターの中でローマンの撃鉄を引く。

 

『多分、大丈夫だよ。とりあえず事情を聞こう。』

 

 

 

「おっ、なんだオタク?そいつは魔術による連絡手段か?」

 

『初めましてキャスターのサーヴァント。どこの英霊かは存じませんが、我々は尊敬と畏怖を持って...』

 

「ああ、そういうのは結構だ。聞き飽きた。手っ取り早く要件話せよ軟弱男。」

 

『 そ、そうですか...では.........軟弱......』

 

「ありゃ相当こたえてんな...」

 

 

 

・ ・ ・

 

 

『...以上が、我々カルデアの事情です。現在は、そこの大山くんがマスターとして調査...いや、刑事だから捜査?をしています。確認しますが、貴方はこの街で起きた聖杯戦争のサーヴァントであり、唯一の生存者なのですね?』

 

「ああ。俺たちの聖杯戦争はいつの間にか違う物にすり替わっていた...経緯は俺にも分からねえ。街は一夜で炎に覆われ、人間は居なくなり、残ったのはサーヴァントだけだった。」

 

「真っ先に戦争を再開したのはセイバーの奴だ。そのセイバーの手でランサー、ライダー、バーサーカー、アサシンが倒された。」

 

「じゃあ、お前さんはその中で生き残ったサーヴァントなワケだ。」

 

「ああ。そしてセイバーに倒されたサーヴァントはさっきの二人みてえに真っ黒い泥に汚染された...」

 

『残ったサーヴァントは貴方とセイバーとアーチャー...では貴方が二人を倒せば...!』

 

「あぁ、戦争はおわるだろうよ。...そら、お客さんの登場だ。」

 

また敵が現れた。

 

「いらっしゃいませ〜 人外2名様!ご注文は、マグナム弾かな?」チャキッ

 

 



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#6 暗窟

「焼き尽くせ、木々の巨人...灼きつくす炎の檻(ウィッカーマン)‼︎」

 

ボオオォッ...

 

 

キャスターの攻撃でサーヴァント達は消え去った。

 

 

「やるなぁ、お前も。ああいう檻に入れとけば、どんなホシも大人しくなるんだろうなぁ」

 

「やっと落ち着きましたね...これじゃ満足に話もできません。」

 

「悪いな、俺がランサーとして召喚されてりゃ、セイバーなんざ一刺しで仕留めてたんだがな...」

 

 

『それじゃあ、探索を再開しましょうか。頼むよ、大山くん。』

 

「オッケー!」

 

「......」

 

「ん?どったのマシュ?」

 

マシュが暗い顔をして俯いていた。

 

「いえ、...私から言うのは情けないんですが...私は試運転には十分な経験は積みました。...なのに...」

 

「なのに?」

 

「それでも私は宝具が使えないんです...使い方も分かりません...」

 

「マシュ...」

 

『ああ、そこを気にしてたのか...』

 

「お前責任感強いからな...もっと気楽で良いんだぜ?」

 

『それに、それは一朝一夕でいく話じゃないと思うよ? だって宝具だし。』

 

「あん? そんなのすぐ使えるに決まってんじゃねえか。英霊と宝具は同じもんなんだから。」

 

「そなの?」

 

「ああ。お嬢ちゃんがサーヴァントとして戦えるなら、もうその時点で宝具は使えるんだよ。要はやる気とかの問題だ。」

 

「そうなんですか⁉︎」

 

「ま、そりゃそだな。ナンパだって根気が大事だもんな。」

 

「貴方ってどこまでふざけてるの...」

 

「ま、まあ...という訳で少し特訓だ。俺が相手でな。」

 

 

 

「は、はい!よろしくお願いします!」

 

「味方だらかって遠慮しなくて良いからな? 」

 

「よぅし、じゃ、やるか!」

 

大山は得意げにローマンのシリンダーを回す。

 

 

「...先輩、下がって下さい。今回は手出し無用です。」

 

「マシュ、大丈夫か?」

 

「はい、心配しないでください。」

 

マシュは大山に微笑んだ後、キャスターに向かった。

 

 

「...俺も行った方が良いんじゃないすか?」

 

「良いの。貴方は行かなくて!...そもそも貴方はマスターなの。サーヴァントに指示を与えるのが仕事。それが下手に前線に出て...マスターである貴方が死んだらどうするの?」

 

「あれれ、俺のこと心配してくれてるワケ?」

 

「っ!バ、バカね!!私はただ今戦力を失ったら困るからっ...」

 

オルガマリーはそっぽを向きながら言う。

 

「そうこなくっちゃな!じゃ、まともなサーヴァント戦といくか‼︎」

 

 

そうしてマシュ(と大山) vs キャスターの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

ガァン!

 

 

「ハァ... ...ハァ...」

 

 

マシュはやはり押され気味で、体力もかなり消耗してきていた。

 

 

「そろそろ仕上げだ! 」

 

キャスターがとどめを刺そうとする。

 

「我が魔術は炎の檻... 茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社... 倒壊するはウィッカー マン‼︎」

 

 

「マシュ!」

 

見ているだけの状態に耐えかねた大山はホルスターからローマンを抜こうとするが...

 

 

(私が、私が...ちゃんと使わないと...‼︎)

 

 

「ぁあああああぁーーーっ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?な、なんだ?」

 

 

「え、...私、宝具を...解放出来たんですか?」

 

「ヒュウ、なんとか一命だけは取り止めるとは思ってたが、無傷とはな。」

 

『信じられないな、こんなに早く宝具を使えるようになるなんて...』

 

「喜べ、いや違うか。褒めてやれよ、大山。」

 

 

「おう!マシュ、おめでとさん!」

 

「はい。ありがとうございます...!」

 

マシュは少し照れくさそうに笑う。

 

「あ、でも、まだ宝具の真名も、英霊の真名も分かりません...」

 

「そう、未熟でも良い...仮のサーヴァントでも良い...その欲のない願いに宝具も答えた、とんだ美談ね...」

 

「所長...」

 

「ただの嫌味よ。気にしないで。宝具が使えるようになったのは、私も嬉しいわ。」

 

「はい!」

 

 

「じゃあ、行くか。」

 

「はい!」

 

 

しばらく行くと、暗がりな洞窟が現れた。

 

 

 

「ち、ちょっと!こんな所通って大丈夫なの⁉︎」

 

 

「ん、所長怖いんすか?」

 

 

「な!何言ってるのよ⁉︎ 私はアニムスフィアの当主よっ‼︎怖いなんてっ...」

 

 

「じゃ、行っても良いっすね?」

 

「い、良いわよ...!行ってやるわよ!」

 

 

遂にその洞窟へと入る。

 

 

「...かなり、暗いですね...これじゃもし襲われてもまともに戦えるかどうか...!」

 

「ん、そだね...」 ガサゴソ...

 

大山はそう言いながら何かを出している。

 

「先輩? 何を...」

 

「ん、ちょっとね。」

 

 

その時。

 

 

ザザッ...

 

「きゃあ⁉︎」

 

「‼︎敵⁉︎」

 

マシュは咄嗟に盾を構えるが、暗さのせいでイマイチ敵の場所が分からない。

 

(一体、どこに...⁉︎)

 

そんな事を考えていると、もう遅かった。

 

ザッ...

 

「⁉︎」

 

敵はすでにマシュの背後に来ていた。

 

「‼︎ しまっ...」

 

 

が。

 

 

ドォン!

 

ズシャッ...

 

突然銃声と、敵が倒れる音がした。

 

 

「! 先輩っ!ありがとうございます...!」

 

「やるじゃねえか。」

 

「ああ。もうちょい気ぃつけねえと...危ないぞ?」

 

「で、でも、この暗さで...どうして場所が分かったの?」

 

 

 

「それはね、あ、すまん後で。あそこにもう一匹。」ドォン!

 

 

グシャッ...

 

 

 

「ちょいと移動するか。」

 

 

もう少し歩くと、光が差しこんで少し明るい場所に出た。

 

 

「!先輩⁉︎何ですかそれ⁉︎」

 

「なんだそりゃ?」

 

周囲の様子が分かるようになり、マシュ達は大山が目に謎の四角い物体を取り付けているのに気づく。

 

「赤外線暗視装置。通称ノクトビジョンさ。」

 

「赤外線...?それで明るく見えるんですか?」

 

「ろんもち! 」

 

「一体そんな物どこから出したのよ...」

 

 

「じゃ、先に進もうぜ大山。」

 

「おう。いつまでもここに居たんじゃお客さんがどんどん溜まってくるからな。」

 

 

 

 

 

 

「マシュ!背後だ!」ドォン!

 

「はい‼︎」 ゴンッ‼︎

 

 

ドォン! ドォン!

 

 

ノクトビジョンのおかげで暗い中でも今まで通りに戦えていた。

 

 

だが。

 

 

シュッ...

 

「おっ⁉︎」

 

大山の死角から敵は飛び出した。

 

ザシュッ...

 

敵の攻撃はノクトビジョンに直撃する。

 

 

「先輩⁉︎」

 

 

ドォン!...

 

 

 

「大丈夫大丈夫。俺は無傷よ。ただ...」

 

「ただ?」

 

「 今のでノクトビジョンこわされちった...てへへ」

 

 

「えっ⁉︎」

 

「何ですって⁉︎...どうするのよ‼︎」

 

 

「...しょうがねぇ。」

 

ガチャ...

 

大山は諦めたように壊れたノクトビジョンを外すと、ローマンのシリンダーから弾を出し、別の弾に入れ替えた。

 

 

「ちょっと、何してるのよ!」

 

「もう一々うるさいっすね...少しは俺の事信用して下さいよ...」

 

 

...ザザッ...

 

 

「来たか!」

 

ドォン!

 

敵の近づく音がすると、大山は突然どこを狙うわけでもなく発砲した。

 

キィインッ...

 

弾が地面に当たって跳ね返る。

 

「きゃああ⁉︎ 一体どこ撃ってるの⁉︎」

 

「せ、先輩⁉︎」

 

 

「お、あそこ!」

 

 

ドォン‼︎

 

 

 

 

「ふぅー...意外と上手くいくようなもんだな...」

 

 

「先輩、今度はなんで...?」

 

「さっきコイツの弾を入れ替えたんだよ。この弾はフルメタルジャケットっつってな、跳弾が派手に火花を散らすのさ。んでもって、その火花で明るくなった瞬間にホシの位置を見つけた...っちゅうワケヨ。」

 

 

「火花が出た...一瞬でですか⁉︎」

 

 

「お前さん、マスターのくせに自力で中々やるな。」

 

 

「貴方、ホントに一般人...?」

 

 

「警視庁の叩き上げを舐めとったらあかんど!」

 

 

 

 

「お、洞窟の出口だ。」

 

 

「思ったより楽勝だったな。」

 

「貴方はね。...」

 

 




今回は、某ハードボイルド漫画のワンシーンをパロって見ました!(笑)


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#7 襲撃

洞窟を抜けると、今度は燃えていない廃墟が立ち並ぶ場所に出た。

 

「ちと、あそこで休まねえか?」

 

そう言ってキャスターがある建物を指差す。

 

「学校か...けど、俺はあっちの方が良いと思うな〜」

 

「ん?」

 

大山が見ている方には、もう一つ大きな廃墟が立っている。

 

全員でその廃墟に入っていった。

 

 

 

 

 

「先輩、ここは...?」

 

 

「ここね、多分ヤクザ屋さんの本拠地。」

 

「やくざ...?ってなんでしょうか?」

 

「ヤクザってのはね、要するに銃や刀持った怖ーいおじさん達。なんか問題起こしたり失敗したら指チョンパしないといけなかったりそうじゃなかったり...」

 

「えぇ⁉︎」

 

「彼女をからかわないで!...それで、なんで学校じゃなくてそんな物騒なところを休憩所に選んだ訳?」

 

 

「それはね...」

 

 

大山は部屋の中を何かを探すように歩き始め、しばらくすると大きいロッカーの前で止まった。

 

 

「ちょっと、早くここに来た理由を...」

 

 

「こういうワケ。」 ガバッ

 

「「「⁉︎」」」

 

「フォーゥ⁉︎」

 

ロッカーを開けると、中には大量の銃器が入っていた。

 

 

「お前が持ってる奴に似たのがめちゃくちゃあるな...」

 

「先輩、この為にここへ来たんですか?」

 

「まーね。武器はいっぱいあるに越した事ァないからね。...それにしても思った以上に蓄えてたな......トカレフ、マカロフ...M49ボディーガード...セキュリティシックスと...おっ⁉︎」

 

大山はロッカーの中の一丁を取り出す。

 

「CZ75‼︎ コンバットロード※ は...してないか。ま、でもスペアマグ2本あるから良しと。あ、そうだ。ほい所長。」

 

そう言って大山はロッカーからもう一丁銃を出してオルガマリーに投げる。

 

 

「きゃっ 何よこれ!」

 

「何って、セキュリティシックス。」

 

「そんな事じゃなくて! なんで私に渡すの⁉︎」

 

「だって所長だけ丸腰でしょ?所長よ銃を取れ〜...なんちって。」

 

「何よそれ‼︎」

 

 

そんな会話をしながら安全な建物内で休息のひと時を過ごしていた彼らだが...

 

 

ザッ...

 

 

「! おいキャスター。」

 

「ああ。」

 

大山とキャスターの顔色が変わる。

 

 

「先輩?キャスターさん?」

 

「どうしたのよ」

 

 

「伏せろ‼︎」

 

 

 

ドォォォォォンッ

 

 

 

キャスターが叫んだ直後、建物の天井の一部が轟音を立てて崩れ去った。

 

 

「お前ら無事か?」

 

 

「ゲホ ゲホ...はい。」

 

「もうっ...一体なんなのよ!」

 

「そろそろデカブツのご登場かな?」

 

「あぁ...あれはアーチャーの野郎だな。」

 

 

煙が去ると、崩れた天井の上に弓を持った白髪の男が立っていた。

 

 

「い、いやああ‼︎」 ドォン!

 

オルガマリーはパニックになり、思わず大山から渡されたセキュリティシックスのトリガーを引いてしまう。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ピキンッ

 

 

「わっ」

 

ガンッ

 

「きゃっ」

 

オルガマリーが撃った弾はあちこちに跳ね返る。

 

「や、やっぱ所長は丸腰で良いっすよ...」

 

 

大山は恐る恐るオルガマリーから銃を取り上げた。

 

 

 

「仕方ねえ、移動するぞ!」

 

「いやあぁちょっと⁉︎」

 

キャスターはオルガマリーを抱えて窓から飛び降りる。

 

 

「先輩、しっかり掴まって下さい!」

 

マシュは大山を抱える。

 

「おっ おおぉっ⁉︎」

 

そのまま窓からキャスター達に続いた。

 

 

 

「ふぅ。お、重くなかった?最近ダイエットしてねえからさ...」

 

「大丈夫です。特に重くは...」

 

 

すると...

 

敵のアーチャーも飛び降りて、そのまま攻撃態勢に入る。

 

「‼︎」

 

 

ガアァンッ

 

 

マシュが盾で防ぐ。

 

 

「全く次から次へと...ホントゲーセンじゃねんだぞ!」

 

ドン!ドンッ!

 

CZ75をぶっ放す大山。銃声の後に薬莢が落ちる音が鳴り響く。

 

 

 

「珍しく表に出てきたな。セイバーの側に居なくていいのかい?」

 

 

「...つまらん来客を追い返す程度の仕事はするさ。」

 

 

「い、いまの内に...行こうぜ?」

 

大山はマシュの手を引いていこうとする。

 

「逃がさん!」 ビュンッ

 

アーチャーは大山達に向かって弓を放つ。

 

「のわっ...危ねえじゃねえか‼︎」 ドンッ

 

ピキンッ

 

「っ!」

 

大山の撃った弾がアーチャーの構えていた矢に当たる。

 

「やったァ!9パラ※だからって舐めんなよ!」

 

 

「...貴様...!」ギロ...

 

 

アーチャーは大山を睨みつけ、また次の矢を用意する。

 

 

「げっ」

 

 

 

アーチャーが弓を引こうとするが...

 

 

「!」

 

彼の前にキャスターが立ち塞がる。

 

「殿のつもりか...?何故漂流者の肩を持つ。」

 

「永遠に終わらないゲームなんざ退屈だ。駒を先に進めないとな?」

 

 

「貴様とは相容れん‼︎」

 

 

 

 

キャスターが応戦している頃、大山達は廃墟をどんどん突き進んでいた。

 

「貴方何逃げてるのよ!キャスターは⁉︎」

 

「あいつなら大丈夫っすよ。むしろあそこで指くわえて見てた方があいつは怒るだろうし。」カチャ...

 

 

 

大山はCZ75の空のマガジンを捨て、15発びっしり入った次のマガジンにチェンジする。

 

 

「‼︎ ...先輩、あれ!」

 

突然マシュがハッとしたように前を見る。

 

「ん?」

 

 

見ると、巨大なクレーターのような場所が広がっていた。

 

 

「これが...大聖杯...? 超抜級の魔術炉心じゃない!なんでこんな島国に...」

 

「おっとちょい待ち! 」

 

「「え?」」

 

「あそこ。」

 

大山が指差したのは、クレーターの淵。

 

 

そこに誰かが立っている。金髪で黒い鎧を纏った少女。片手に巨大な剣を持っている。

 

 

「あれがセイバーって奴じゃねえの?」

 

セイバーは大山達に気づき、睨むように見る。

 

「なんて魔力放出なの...」

 

 




※ コンバットロード: オートマチック銃の弾の装填方法の一つ。マガジンを挿してスライドを引き、チャンバーに弾を装填した後、もう一度マガジンを取り出し弾を1発込め、本来の装弾数よりも多く装填する方法。作中で大山が使用したCZ75の装弾数は15発の為、コンバットロードを行えば16発の装填が可能。

※9パラ: 9ミリパラベラム弾の略。オートマチック銃専用の弾丸で、世界中に広く普及している。


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#8 衝突

「ほうー... 面白いサーヴァントだな...」

 

 

大聖杯に立つセイバーは大山達を見下ろしながら言う。

 

 

「...盾を構えるがいい!」

 

「っ!」

 

「その守りが真実かどうか、確かめてやろう!」

 

 

「...来ます!先輩!」

 

「ああ、そうみたいね。」

 

大山はCZ75を構える。

 

が。

 

マシュがCZに手を添えた。

 

「先輩は、下がっていて下さい...」

 

「ん?」

 

「私は先輩のサーヴァントです。直接戦うのは私だけのはずなのに、先輩は今までずっと一緒に戦ってくれました......ですが、もう先輩まで危険な目には遭わせたくはありません。」

 

「マシュ...」

 

「見守っていて下さい...!」

 

「...分かった! よし、行け‼︎」

 

「はい!マシュ・キリエライト出撃します!」

 

ザッ...

 

その瞬間、大聖杯の淵から飛び降りて剣を降りかざすセイバー。

マシュは盾を構え、その攻撃に備える。

 

 

 

 

 

 

 

ガァンッ

 

 

「っ‼︎...」

 

マシュはセイバーの攻撃を必死で受け止める。

しかし、彼女の攻撃の一撃一撃が重く、受け止める度にマシュの体力は消耗していく。

 

 

「お、おい...大丈夫かよこれ...」

 

「フォーウ...」

 

 

 

 

「どうした...前に出ては来ないのか‼︎」

 

ガキィン!

 

「っあぁっ!」

 

遂にマシュは衝撃で吹き飛ばされ、倒れ込んでしまう。

 

 

「マシュ!あぁ、もう見てらんねえよ‼︎」

 

大山がマシュに駆け寄ろうとするが、オルガマリーがそれを制止する。

 

 

「所長?」

 

「貴方、彼女を助けるつもりなんでしょ?...だったら足手まといよ。」

 

「けどよ、このままじゃマシュが...」

 

「覚悟を決めなさい。あの娘の戦いをしっかり見て‼︎」

 

パチンッ!

 

「っ⁉︎」

 

乾いた音が響く。大山がオルガマリーの頬を打ったのだ。

 

「...な、何するの!」

 

「いい加減にしろ! 仲間が倒れてんのを見過ごせるほどあんたは非情な人間じゃねえだろ。」

 

「大山くん...」

 

「俺ぁ確かに凡人だけどな、俺を本気にさせて逃げ切れた奴は一人も居ない。」

 

「...でも、貴方はあの娘のマスター、あの娘は貴方のサーヴァントなのよ?」

 

 

オルガマリーが言うと、大山はサングラスを外し、彼女に振り向いて言った。

 

 

 

「...関係ないね。」

 

「!」

 

大山はサングラスをかけ直し、走っていく。

 

 

 

 

「...その宝具は飾りか?」

 

「...ハァ...ハァ...ハァ...」

 

 

 

 

 

こっそり駆け寄った大山はCZ75の照準をセイバーに合わせる。セイバー達は大山に気づいていない。

 

「よーし、食らいやがれ!」

 

そしてトリガーを引いた...が。

 

...ガキッ

 

「あれ」

 

CZ75のチャンバーに弾が引っかかっていた。ジャム(給弾不良)を起こしたのである。

 

「ちくしょ〜! ったくあのチンピラ共、まともにメンテしてなかったな⁉︎」

 

 

 

「...卑王鉄槌...」

 

「‼︎」

 

「約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)‼︎」

 

セイバーが宝具を展開する。

 

 

(...私の力では敵わない......どうにもならない...!)

 

 

マシュが精神的にも肉体的にも疲れ切り、心が折れそうになっていたその時。

 

 

 

ドォン‼︎

 

 

「っ⁉︎」

 

CZ75よりもドスの効いた銃声が鳴り響く。

 

 

キンッ...!

 

 

「なっ⁉︎」

 

弾はセイバーの剣に命中する。

 

 

マシュが唖然としながら、背後を振り返ると...

 

 

「!先輩‼︎」

 

 

大山がコルト・ローマンを構えて立っていた。

 

 

「いやぁ、やっぱ俺はオートよりリボルバーが合ってるね!」

 

彼はそう言って笑いながらマシュに近づき、そっと肩に手を添える。

 

「...よくここまで頑張ったな?」

 

「は、はい! ありがとうございます...」

 

「けどやっぱり...」

 

「?」

 

「俺が居ないと駄目じゃないの?」

 

「...はい!」

 

マシュがクスッと笑いながら返す。

 

 

 

「...戦の場で青臭い精神を語るか...」

 

 

二人の会話にセイバーが口を挟む。

 

「ん?」

 

「その体たらくでは従者もむくわれ...」

 

ドォン‼︎

 

 

「っ⁉︎」

 

セイバーが話し終わる前に大山は彼女にローマンを撃つ。弾は彼女の肩を貫通する。

 

「ぐっ...」

 

「おっと。気をつけて喋ってくれな。でねえと俺の宝具がブッ放されちまうぜ?」

 

「...宝具?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「ああ。先端から火が出るし...頭も吹っ飛ばせる357マグナムって宝具だ。試してみるか?」

 

 

そう語る大山の表情は口元こそ笑っていても、目は殺気を持った鋭く冷たい物だった。

 

 

「...‼︎」

 

 

ただの人間である大山に、セイバーはその目のせいで思わず後退りしてしまう。が、すぐに剣を構え、戦闘状態に戻る。

 

 

しかし。

 

 

「我が魔術は炎の檻!!」

 

「⁉︎」

 

「お⁉︎」

 

 

大山達の背後からキャスターが飛び出す。

 

 

「よくぞここまで持ちこたえたな。」

 

 

「キャスターさん!」

 

「やっぱ生きてやがったか!」

 

 

 

「茨の道如き緑の巨人...因果応報、人事を厄を清める社... ウィッカーマン‼︎」

 

 

するとセイバーの足元から木の枝で出来た巨人が現れ、セイバーを捕らえた後、自身の身体の檻へ入れた。

 

「...くっ‼︎」

 

 

ドォオオーンッ‼︎

 

そのまま巨人は燃え上がって爆発し、辺りに爆風と煙が立ち込める。

 

 

 

「やったかな?」

 

 

煙が去ると、セイバーが立っていた。

 

「...守る力の勝利か...なるほど...あの者らしい。結局どう運命が変わろうと...私一人では同じ末路を迎えるという事か。」

 

セイバーの身体が下から光の粒子になり始める。

 

「あん? どういう意味だそりゃ?テメェ何を知ってやがる...」

 

キャスターが彼女を睨みながら問う。

 

「いずれ貴方も知る......グランド オーダー...聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだということをな...」

 

そう言い残した後、セイバーは光となって消えた。

 

 

「おい待て、そりゃあどういう...お、おぉ⁉︎」

 

今度はキャスターの身体も光り始める。

 

「もう強制帰還かよ...しょうがねえか。お嬢ちゃん、大山!後は任せたぜ!」

 

「おう、任しとき!」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

 

「おうよ!」

 

 

そうしてキャスターも消える。

 

 

「...セイバー、キャスター、共に消滅を確認しました。」

 

マシュが通信でロマニに伝える。

 

『ああ、よくやってくれたよ、マシュ、大山くん!』

 

「どういたしまして。ま、本気でやりゃあこんなもんってこったな。」

 

「そ、そうね。よくやってくれたわ二人とも。...まだ不明な点は多いですが、ここでミッションを終了とします!」

 

「了解!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

「いやあ、まさか君達がここまでやるとはね...」

 

「⁉︎」

 

突然男の声が響いた。

 

「48人目のマスター適性者...全く見込みのない男だからと善意で見逃した私の失態だよ。」

 

 

そう言って声の主は姿を現した。

 

 

「⁉︎ レフ教授⁉︎」

 

男の姿は紛れもなく、レフ・ライノールであった。




ちゃっかり柴田恭兵さんの名ゼリフを入れちゃいました(笑)


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#9 夢魔(最終回)

※今更ですが、本作ではオルガマリーはレイシフト適正アリという設定です。


『レフ教授だって⁉︎ 彼がそこに居るのか⁉︎』

 

「その声はロマニくんかい?君も生き残ってしまったのか...」

 

「レフ! レフ‼︎」

 

突如姿を現したレフに抱きつくオルガマリー 。

 

「良かった...! 貴方がいなかったら私...」

 

「やあオルガ。元気そうでなによりだ。大変だったろう?」

 

「そうなのよレフ!予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそう...でも貴方がいればもう大丈夫よね⁉︎」

 

 

「ああ...」

 

「...!」

 

大山はその瞬間レフの口元がにやけたのを見逃さなかった。

 

 

「本当に...予想外の事ばかりで頭に来る。特に......君が生き残っていた事がね‼︎」

 

レフは普段の細く暖かいような目を見開き、歯をむき出しにして笑う。

 

「...⁉︎」

 

 

「はは〜ん...その口ぶりじゃ、あんたが黒幕か。」

 

 

「先輩、下がってください...!」

 

マシュが大山の前に出て、盾を構える。

 

 

「全くどいつもこいつも生き残って...統率のとれてないクズばかりだな。どうして人間というのは定められた運命から逃れようとするんだい?」

 

「レ、レフ...何言って...」

 

「...まぁ、イライラして仕方がないが、折角だ...」

 

「な...何よ?」

 

 

「生涯をカルデアに捧げた君の為、今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう...」

 

 

するとレフが手にしていた小さな八面体の水晶体が輝き出し、空中にカルデア施設内にあるカルデアスの様子が映し出される。

 

 

「...‼︎...何...これ...」

 

映し出されているのは、真っ赤に燃え盛るカルデアスの姿。

 

「よく見たまえ、アニムスフィアの末裔...あれが貴様らの愚行の末路なのだ!」

 

 

「そんな... う、嘘でしょ? ...っ⁉︎ 」

 

その時、突然オルガマリー の身体が宙に浮く。

 

「全く哀れな小娘だ...最後に望みを叶えてやろう。君の宝物とやらに触れるがいい!」

 

オルガマリーの身体はどんどん上昇していく。

 

「や、やめて...嘘でしょ⁉︎ 高密度の情報体よ⁉︎ 次元が違う領域なのよ⁉︎」

 

「...遠慮なく無限の死を味わいたまえ。」

 

オルガマリーの身体は段々とカルデアスに近づいていく。

 

「い、いやっ! 助けて!...誰か助けて‼︎ ...だってまだ誰にも褒められてない!...誰も私を認めてくれてないのに...! こんなところで死にたくない‼︎ 助けてぇ‼︎」

 

オルガマリーはヒステリックになり泣き叫ぶ。

 

 

その様子にレフはさぞかし満足そうに笑う。

 

そのまま彼女はカルデアスに触れ、無限の死を体験した。

 

 

 

 

 

 

 

......はずだった。

 

 

 

ドォン!

 

 

パリィン‼︎

 

「っ⁉︎ ぐぅっ⁉︎」

 

突如レフの持っていた水晶体が粉々に砕け、彼の親指が吹き飛び、血が吹き出す。

 

 

 

「死なせてたまるかってんだ...!」

 

 

大山がレフの手元を撃ち抜いたのだ。

 

 

「っ!あっ‼︎...きゃああぁ‼︎」

 

水晶が破壊されたと同時に宙に浮いていたオルガマリーが落下してきた。

 

 

「オルガマリー所長‼︎」

 

「フォゥ!」

 

「今助けるぞぉぉ!」

 

 

大山は猛ダッシュでオルガマリーに向かう。

 

 

 

ドサッ...

 

 

「ぐへっ」

 

オルガマリーは見事に大山の上に降ってきた。

 

「あ、わ...私...生きてる...!」

 

「あ、あぁ...良かった...ってか...重ぃ...!」

 

 

「く、くそっ‼︎」

 

するとレフが足元からナイフを取り出し、オルガマリーに向かって投げようとしていた。

 

 

「‼︎ なんだァ、まだ懲りねえのかよ‼︎」 ドォン‼︎

 

 

「...‼︎ あぁあ、ああぁああ‼︎」

 

大山は再度発砲し、弾が命中した彼の腕は大量の血液を吹き出す。いくら魔術師とはいえど、強力で尚且つ内部破壊が激しいホローポイントのマグナム弾をモロに受けては立っていられず、絶叫を上げながら倒れこむ。

 

 

倒れ込んだレフの元に大山は歩いていく。

 

「...立て。」

 

大山が言ってもレフは立たない。

 

「立てっつってんだろ!」

 

大山は強引にレフの胸ぐらを掴み、持ち上げる。

 

「歯ァ食いしばらなくて良いからな?」

 

ボコォッ!

 

「ぶっ...」

 

彼はレフの顔面に思い切り拳をぶち込む。

 

「全く良い性格してるじゃねえか‼︎」 ドゴッ...

 

「...ぐふっ! ...」

 

バコンッ... ドムッ...

 

レフの外道っぷりに怒り心頭の大山はボコスカ彼を殴り、蹴りまくる。

 

「せ、先輩!少し落ち着いてください!」

 

大山のあまりのヒートアップの様子にマシュが止めに入った。

 

「ハァ... ハァ...ハァ...」

 

レフの顔は目元が腫れ上がり、口は切れて血を垂らしており、半分失神したような状態だった。

 

 

「...レフ・ライノール!殺人及び建造物破壊等の容疑でタイホ。」

 

カチャン!

 

大山はレフの両手に手錠をかけ、立ち上がらせる。

 

 

「変な気は起こすなよ?ハンマーの起きたローマンが後頭部に当たってんだぜ?」

 

『っ! 皆!聞いてくれ!』

 

「ん?どうしたロマニ?」

 

『特異点の崩壊が始まっている!』

 

ロマニが慌てた様子で言う。

 

「へ?」

 

『このままじゃ時空の歪みに飲み込まれるぞ!急いでレイシフトだ!』

 

「先輩、掴まっていてください!」

 

マシュが大山の腕を掴む。

 

「お、おう!おら、テメエも来るんだよ!」

 

大山は拘束したレフを引っ張る。

 

「所長も、早く!」

 

「そ、そうね!」

 

『行くぞ!』

 

 

 

そうして大山達はレイシフトを行い、荒廃した冬木の街を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

カルデア内部

 

 

「...おえぇ...」

 

「大丈夫ですか? 先輩...」

 

「まぁね...俺レイシフトに酔う体質みたい...」

 

レイシフトの後、大山は吐き気を催して、苦しそうにしていた。

 

 

「大丈夫かい? ...きっと慣れない体験に身体がついていけなかったんだね...」

 

ロマニはマシュの手当をしながら言う。

 

「あ、そうだ!マリーちゃんの容態は?」

 

「所長なら大丈夫だよ。眠ってるだけだ。 色々大変だったしね、疲れが出たんだろう。」

 

「良かったです。」

 

「とりあえず一安心だな。...レフのチンピラ野郎は?」

 

 

「ああ、...彼なら今ある部屋に閉じ込めてあるよ。...外部との接触ができない以上、今はカルデアに置いておくしかないからね...」

 

 

「だよなぁ...」

 

大山はため息をついてタバコに火をつける。

 

「一応、君がつけた手錠はそのままにしてるし、多分大丈夫だよ。」

 

「そだな。.....」

 

「じゃあ、僕はこれで。」

 

ロマニは部屋から出る。

 

 

「...ふぅ。」

 

「あの、先輩...」

 

「ん?どったの?」

 

「あ、いえ、やっぱりなんでも...!」

 

「なんだよォ、気になるじゃないの」

 

「は、はい...ただ、先輩が無事で、本当に良かったと。」

 

「マシュ...サンキュー。」

 

 

 

その時。

 

「お邪魔するよ〜」

 

「!」

 

「ん?」

 

部屋に見知らぬ女性が入ってきた。

 

「おはよう、こんにちは...初めましてかな?大山 健次くん。」

 

「おぉ、こりゃまたべっぴんさんだこと!」

 

「流石、分かってるね! 私は ダ・ヴィンチちゃん。カルデアの協力者だよ。 というか、英霊第3号みたいな?」

 

「英霊、というと君もサーヴァント?」

 

「そう。これから宜しくね?」

 

 

 

 

 

カルデア管制室

 

 

「まずは、生還おめでとうマシュ、大山くん。君は突然のこの事態に挑み、乗り越えてくれた。感謝してる。」

 

「気にすんなって。俺ァただいつもみたいに銃をぶっ放しただけだよ。」

 

「だが、君はそれで特異点Fを消滅させてくれた。...けど、まだ終わってない。大山くん。」

 

「ほいほい。」

 

ロマニの顔が深刻になる。

 

「君に人類の未来を背負い戦う覚悟はあるかい?」

 

 

「...しょうがねえ、やりまひょ!」

 

 

「あ、相変わらず軽いな君は...ハハ...」

 

「ま、俺に言わせりゃこんぐらいの根性がなけりゃ刑事は務まらんさ。」

 

「フフフ...」

 

「まぁ、ありがとう。その言葉で僕達の運命は決定した。」

 

 

 

 

 

 

そうして人類の未来を取り戻すための戦いが始まった。何度もレイシフトし、特異点を消滅させていった大山。その過程で沢山のサーヴァントに出会い、そうこうして遂に最終特異点を乗り越え、人類の脅威は消え去ったのであった...

 

 

 

 

 

「ま、犠牲もあったけどよ。」

 

 

「...はい。」

 

「とりあえず、平和は戻ったと。やったな!」

 

「はい!」

 

「...じゃ、俺も本職に戻るとしますか。」

 

「もう...帰られるんですね...」

 

マシュが少し寂しそうな顔で言う。

 

「ああ...まぁ、ギャラも貰ったしね。」

 

「そうですか......これで、お別れですね...」

 

 

「...だな。これまで色々、サンキュな?」

 

「いえいえ!私はただ、サーヴァントとして当然の事をしたまでで...私こそ、今までありがとうございました!」

 

「おう!じゃ、元気でな。... ん?」

 

その時、大山のスマートフォンが鳴り始める。

 

「もしもーし? お⁉︎ 課長! いや〜、ご無沙汰っすねぇ!はい、もう明日にはそっちに帰りますよ。...え? はい、はい、え?上の決定? はい了解!じゃ、また明日。」

 

大山は電話を切る。

 

 

「えっと...課長さんですか?」

 

「ん、まあね。...警視庁が、サーヴァントを日本に寄越すように要求して、許可が降りたらしいね。日本でも治安維持にサーヴァントの力を借りたいんだと。」

 

「え...⁉︎ じゃあ、私も?」

 

「当たり前だろ?なんでお前だけハブらねえといけねんだ?」

 

そう言って大山はサングラスを外してウィンクする。

 

「!マイ・マスター! どこまでもお供します!」

 

「デカの道は辛いぞ?」

 

 

「はい! どーんと来いです! 頑張ります!」

 

 

 

THE END




いや〜、終わりました。というか終わらせました。いや、分かってるんですよ。なんで途中の内容飛ばしたって皆さん思ってる事でしょう。すみません。申し訳ありません。でも、無理なんです...書けないんです!特にラストのマシュのシーンなんか書いたらノイローゼなっちまいますよ...! まあ、これまで見て下さった方々には感謝申し上げます!ありがとうございました! また、続編を出す予定です。宜しければ、そちらもお願い致します!


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