銀河英雄伝説 若きルドルフが目指したもの。 (朝日奈 快英)
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終わりの始まり。もしくは再生の序章。

初投稿。プロット的なもの。文才ない人間が書いたのでお察し。
某掲示板で思いつたので酒の力を借りて投稿。
暇つぶしになればいいかなぁ程度の作品なので期待してはいけない。
原作知識はあったはずだが彼方に忘れたので無いようなもの。

原作ヘイトというか、原作をゴリゴリすり潰してこね回した結果なので速攻でブラウザバック推奨します。


銀河連邦時代、社会には麻薬や汚職などの社会的弱体化が蔓延していた。

それを加速し、銀河連邦の崩壊を目指したテロ組織があった。その名は地球教。

シリウス戦役の復讐・地球の復権・地球生まれを選民とする特権の回復を誓ったテロリスト集団地球教は、表の顔で善良な宗教者として弱者救済を謳い、裏では信者を集めて麻薬を使い洗脳。テロリスト要員として育成していた。

 

その非合法な活動に気づいた人間がいる。名をルドルフ。後に大帝と呼ばれる人間だ。

 

若きルドルフは軍人だった。正義感あふれる彼は精力的に麻薬の密輸摘発や宇宙海賊等の討伐をして出世し、厳正な犯罪者に対する取り調べを行ったことで民衆の信頼を得た。多くの取り調べを行っていた最中、偶然、もしくは不幸にも地球教の秘密を知ることになる。地球教の実態を知るため過激と言えるほどの取り締まりや尋問で得た情報をもとに調査した結果、地球教に汚染された銀河連邦は危機的状況に追い込まれていたことを知り愕然とする。

ルドルフは軍人では社会の健全化を目指せない、銀河連邦を取り返せないと考え政治家へと転身する。だが、そこで見たものは銀河連邦はもはや死に体であり、立て直すことは不可能と判断せざるを得ない状況だった。

 

ルドルフは考える。

銀河連邦はもはや救えない。だが社会秩序は取り戻さなければならない。しかし、社会秩序を取り戻すとしても地球教の脅威を取り除かなければ意味はない。

市民に「地球教は害悪だ」と訴えても宗教家の顔が有能すぎて誰も信じてくれない。言った途端にルドルフ自身の信用がガタ落ちになる。地球教に目をつけられて暗殺される可能性もある。

実際に地球教は表の顔で弱者救済を行っている。数少ない善良な政治家が寄付などの活動支援を行っており宗教団体としての地位は盤石だ。そのため軍人時代に地球教の摘発ができなかった経緯があった。政治家に保護されてる以上、表からでは手が出せない。

暗殺等、裏から手を出したとしても勝てるとは思えない。暗闘は彼等の専売特許。返り討ちになるだけだろう。ただでさえ信者の数が多すぎるのに、騙されてるだけの善良な市民まで巻き込みかねない。

仮に、軍事力で地球ごと地球教を殲滅したとしても他の惑星にいる信者が地下に潜るだけでテロリストのすべてを取り除くことはできない。

そして私は政治家だ。政治家が軍事力を頼みに事を起こせば軍政の始まりだ。銀河連邦は民主主義だ。そんな暴力は許されない。それに民主主義において宗教は自由だ。それを犯すこともできない。

 

・・・民主主義。

たとえ死に体の銀河連邦とて善良な政治家や市民はいる。彼等を守るには民主主義が必要だろう。だが、民主主義が社会の弱体化を促進している現状も事実ではある。

民主主義・・・。

私は民主主義で生まれた政治家だ。民主主義を捨てることはできない。・・・だが、市民が民主主義を捨てることはできないだろうか?

民主主義の主権者たる民衆・市民たちが民主主義を捨てるのならば、民主主義の政治家たる私も民主主義を捨てることができる。

民主主義の主権者たる民衆・市民たちが独裁者を選ぶのならば、私は民主主義の独裁者という政治家になれるのではないか?・・・変な言葉だな。市民に選ばれた独裁者と言うべきか。銀河連邦が救えない今、それを打ち壊して新しい社会秩序を立てるべきだろう。

・・・目指すべきか?・・・いや、迷うな!銀河連邦が、民主主義が社会秩序を取り戻せないならば、民主主義の政治家としてそれを是正しなければならない!

民主主義の政治家として、私は民主主義を否定する!そして民衆から選ばれ求められる最善な独裁者になることを誓う!新たな社会秩序を齎し銀河に安寧を取り戻すのだ!!・・・この考え方は過激で危険だな。一歩間違えれば力を重視した軍事政権になる。だが目指さねばなるまい。しかし焦って事を急げば失敗する危険な道だ。・・・迷うな。揺らぐな。頂点が揺らげば社会の安定などできない!・・・さて、やるとして一体どこから手を付けていいのやら・・・

 

 

この日、ルドルフは独裁者を目指して歩き始める。それは新しい社会秩序の構築とテロリスト集団地球教の撲滅という揺るぎない信念からだった。

 

 

ルドルフは民衆にわかりやすい一般的な独裁政権として帝政樹立を選んだ。自らを神聖不可侵とすることで民衆の畏敬や精神的に弱い者の寄る辺、いわゆる現人神となり不変の絶対者として君臨することで地球教を牽制、弱体化の後に殲滅することを目指した。

だが、帝政樹立は成功し絶対的指導者として君臨することはできたが絶対者になることは失敗した。地球教の弱体化はできたが消滅はできなくなったからだ。人は意識・無意識問わず神という強力な絶対者を求める。そして人は神にはなれない。民衆はルドルフを英雄と見たが神とは見なかった。神になれないのならば神の代行者として絶対的指導者になるしかなかった。英雄視されていたことで絶対的指導者になることは可能だった。

地球教は地球という星そのものを唯一神と見立てたような信仰体制を取っている。いわゆる一神教だ。対抗するならば同じく一神教としてルドルフを神格化しようとしたが失敗。次点で多神教を選択した。多神教にしたことで民衆にはわかりやすい対立の構図になった。多神教を選ぶとして、どの神を選ぶかは簡単に決まった。ルドルフの姓である『ゴールデンバウム(黄金の樹)』から着想を得て『ユグドラシル(生命の樹)』を持つ多神教、北欧神話が選ばれ国教化された。

 

国教が選ばれ、さあ、これから地球教対策だと行動を起こそうとしたができなくなった。

 

民主化運動の勃発である。

 

帝政樹立後の民衆はルドルフを頂点とした政治体制になんら不満はなく、新しい社会秩序のもとで健全化されていく世の中を喜んでいた。民主化運動などなかったのである。だが、ルドルフが精力的に社会の健全化を推し進めることで不満を溜め込んでいる人間がいた。

汚職政治家や不良軍人など銀河連邦の影で私腹を肥やしていた人間達だった。

彼等は日に日に健全化される社会の中で自儘に動くことができなくなり、賄賂が減り汚職ができなくなると手に入る金銭が目減りして贅沢な生活ができなくなった。

贅沢な暮らしができなくなればなるほど彼等は不満を溜め込み続け、そこを地球教に煽られた。

 

地球教の裏の顔。本性と言うべきものはシリウス戦役の復讐・地球の復権・地球生まれを選民とする特権の回復を誓ったテロリスト集団である。彼等は復讐対象の銀河連邦の打倒を目指していたが民主主義の打倒は考えていなかった。地球教が表の顔である宗教家として活動する事を考えると、宗教の自由が保証されている民主主義が最適だったからだ。だが、ルドルフが帝政を樹立し宗教の自由が保証されない可能性を読んだ地球教は密かに汚職政治家や不良軍人などに接触、手駒にするべく関係を持つようになった。そしてルドルフが地球教撲滅の時期を見計らい民主化運動を起こさせた。

 

ルドルフにとっては寝耳に水である。彼は民衆から選ばれて社会の健全化を請われ世界の安全化を願われた独裁者だ。

善政と言っていい政治運営もしている。なのに、いきなり自分の全てを否定されて動揺した。ときに重ねて凶報が入る。

 

彼の息子が狙われた。

 

生まれたばかりの赤子であるルドルフの息子を民主化運動家が暗殺しようとしたが失敗。脳や四肢に重大な障害が残り結果、死んでいたほうが幸福であっただろうと思われるほどの惨状になってしまった。地球教に煽られて暴徒と化した運動家たちが改革の狼煙として甚振るように虐待したのだ。

息子を見たルドルフは静かに泣きながら「これ以上は生きていても辛いだけだろう。人として生きることは絶対にできない。恨むなら俺を恨んでくれ。」と優しく声をかけながら我が子を自分の手で殺した。

 

ルドルフは息子を半死に追い込んだ民主化運動家を逮捕するよう檄を飛ばす。だが民主化運動家たちは自らの罪をごまかすために事実無根の放言を大衆に流した。曰く「ルドルフの息子は白痴である。半死になったのは自業自得である。彼の死はルドルフがやったことで我らは何ら関係ない。白痴を生んだルドルフの自業自得だ。ルドルフの悪行で息子が犠牲になった。故にルドルフは絶対的指導者にふさわしくない。我らは無関係だし事実無根だ。」・・・

これにルドルフは激怒した。「白痴は罪か。白痴を生むは罪か。私の悪行で息子が死ぬのか。全ては自業自得か。では貴様らはどうなのだ。白痴を生むのが罪ならば、貴様らが白痴を生む可能性があるかどうか調べてやる!遺伝子に異常があれば皆殺しだ!!貴様らに悪行はないのか!少しでもあれば徹底的に断罪してやる!!」

 

帝国では魔女狩りと言っていいほどの民主主義者狩りが始まった。劣悪遺伝子排除法を制定し遺伝異常の疑いがあるだけで処刑される様になった。

 

劣悪遺伝子排除法制定で大打撃を受けたのは地球教だった。

 

地球教の本拠地は地球であり、地球はブラック・フラッグ・フォースの地球包囲殲滅戦で汚染されており除去しきれていない汚染物質が原因で寿命が短かったり放射線等が原因の遺伝子損傷による目には見えない小さな障害が少なくなかった。また、地球教徒や地球教シンパ等、地球に一度でも行った事がある者は「地球環境に接触したことにより遺伝子が劣悪した可能性がある」として集中的に逮捕・処刑されていった。

 

民主主義者狩りと劣悪遺伝子排除で活躍したのは社会秩序維持局だった。

 

ルドルフが社会秩序維持局を設立したのは銀河連邦時代に汚職をしない善良な政治家・犯罪を起こさない優良な民衆を保護し、世に蔓延る悪事を駆逐することだった。局員には善良な人間が選ばれ、彼等は道徳に則って民衆の規範になるような生活を送り、法に則って罪を犯した者を厳正に処罰した。民衆は彼等を「怒らせたら怖いけど、とても頼りになる人」と支持した。局員も民衆から支持されることで自分の仕事に自信を持って取り組むことができ、自分を厳しく律することで社会秩序維持局が善良な組織だと民衆からより一層支持されることを喜んだ。

社会秩序維持局はルドルフの手足となって社会に秩序を齎し維持する。それが民衆の支持を集めることでよりよい社会を拡大・構築していく。

局員たちは自分の仕事を誇り高いことだと、ルドルフの手足に選ばれて局員になったことを栄誉であると思った。

民衆は誇り高い局員に選ばれることに憧れた。社会秩序維持局に就職することはとても名誉あることだと考えた。

社会秩序維持局は絶大な支持と信頼により強大な組織に成長していた。

それらがルドルフの怒りを知ることで過激な方向へ加速することは止めようがなかった。

社会秩序維持局は、民主主義は自身の欲を増長させる傲慢な思想として問答無用で弾圧した。

民衆は民主主義運動家のテロに怒り、テロに巻き込まれることを恐れて疑いのある者から離れた。

劣悪遺伝子を持つものは地球に関わりがあるとして問答無用で拘束された。

民衆は自分たちは劣悪な遺伝子を持たない優良な人間であると安堵した。

 

ルドルフを頂点とする善良な社会を目指す組織と民主主義を標榜する地球教に操られた組織の対立は過激を極めた。テロの多発と厳しい取り締まりで多くの人間が死んでいった。

長く続くと思われた激しい闘争だったが同時多発テロが起きた後、急速に減少していった。民主主義運動家を影で支援してテロを誘発していた地球教が弱体化し支援することができなくなったのだ。

 

弱体化した原因は活動資金の枯渇だった。

 

地球教の活動資金は銀河連邦時代の政治家や軍人の支援、民衆の寄付など他者からの善意に依存する事が多く、善良な宗教家である表の顔を持つために利益を求めた経済活動を行うには憚りがあった。下手に金銭を要求するような事をしたら民衆からの信用が消え去り、生臭坊主と蔑まされて見放されることになるからだ。地球が本拠地であったことも災いした。包囲殲滅戦で汚染された地球を人が正常に生活できるようにするまでには膨大な時間と資金が必要で、汚染され人口が少ない惑星に大量の資金を投入して再生するほどの価値は地球になかった。

 

そもそも地球とは地下資源が枯渇し汚染されてまともに人が住めない星。銀河連邦の市民から見れば産業廃棄物とさして変わらない星だった。

地球に残されたのは人類発祥の星という名しかなく、人類の記憶から消え去ってもおかしくない状況だった。地球教が地球に大量の寄付を投資しても無駄だった。汚染が酷く除去するには時間がかかる。人口が少なく惑星再生するにも手が足りない。汚染のせいで人の寿命が短くなり増やすべき人口がなかなか増えない。汚染された土地では作物が育ちにくく、常に食糧難に見舞われていて飢えていることが当たり前の環境だった。人口が少ないので大規模な産業を興すこともできず投資した寄付を回収することは不可能だった。

泥沼から抜け出すことができない地球で生きることは未来に希望がないことと同じだった。

だが地球教は産業廃棄物でしかない地球にこだわった。地球以外に自分たちの安住の地はないと思っていた。自分たちの復讐を成すにはゴミ同然の地球に縋るしかなかった・・・。

活動資金の枯渇で二進も三進もいかなくなった地球教は裏の舞台から消えた。復讐を果たす前に生き残る・生き延びる事を選択せざるを得ない状況だった。

 

地球教が活動を止めたことで社会秩序維持局の取り締まりは順調に進んだ。逮捕者は膨大な数になり、惑星複数を流刑地として利用するまでになった。流刑地に送られたのは悪徳政治家や不良軍人が多かったが、ルドルフが善良と認め社会秩序維持局が保護していた銀河連邦時代に善政を敷いた政治家や規律正しい軍人も多数含まれていた。地球教に煽られなければ善良な帝国臣民としてより良い未来を作るべく活動していた有能な人材たちだった。

彼等は民主主義こそが最良の政治体制であると考えていた。それが地球教によって思考誘導されたことにも気づかず流刑地に集められた事で民主主義思考は強固になり流刑地で辛い生活を送ることに鬱憤はたまり、それはルドルフに対する復讐心に変わっていった。

地球教は意図せずに自分たちの代行者となるものを生み出していた。

 

 

ルドルフは一連の顛末を聞き及び有能な人材の確保に邁進する。貴族制の導入である。

地球教によって失った人材を確保することが急務であった。有能・優秀な人材を地位で確保し、その人材を政府に提供し続けることで強固な政治体制を築くことを目指し、国力が安定した後に地球討伐を計画した。

 

流刑地ではこのままでは自分たちに未来はないと判断。どうやってここから逃げ出し民主主義の復活を成すかを計画し始めた。

 

地球は現状からの脱却には何が必要かを模索し始め、復讐するには何が足りなかったのかを考えている。

 

 

 

 

 

 

 

遠い未来、もしくは忘れ去った過去において「銀河英雄伝説」と呼ばれる流血の舞台は整った。

他の平行世界、別次元の宇宙では違った可能性も存在し得ただろうが、この宇宙では悲惨な流血劇から逃げることはできない。

 

 

 

帝国では民主主義を「人を貶める差別主義者」と非難しルドルフが制定した劣悪遺伝子排除法を歪んで受け止め国是とした。

貴族たちが自分たちは選ばれた民であると豪語し、貴族ではない人間たちを選ばれなかった下民と扱い不当な弾圧を行っている。

ルドルフが計画した地球討伐を忘れ、自分たちこそが差別主義者であると気づかないままに人を陥れている・・・

 

 

同盟では帝国主義を「血も涙もない冷血漢共」と誹謗し自己責任の名のもとにありとあらゆる犯罪が蔓延している。

表では人類平等を謳い善政をしていると言いながら、裏では汚職・賄賂が横行し私腹を肥やすことに夢中だった。

自分たちが差別主義者であることを自覚してなお欲を満たすことを止められない・・・

 

 

地球は善良なる宗教家の顔を再び手に入れることができずテロリストの影をより濃いものにしていた。

とある惑星を傀儡に置くことで地球教の新しい表の顔とし、活動資金と地球再生に必要な物資を買い漁っている。

我々こそが人類の頂点であり、それを認めない全てを憎む復讐者となり深い暗闘に落ちていった・・・

 

 

・・・この宇宙では悲惨な流血劇から逃げることはできない。

虐げられている者たちの悲鳴は止まらない。誰も聞こうとはしない。誰も助けない。

 

そして宇宙は人口が減り続け社会全体が弱体化しすべてが滅ぶのは秒読み段階となっていた。

 

 

 

 

 

 




改めて読むと我ながら文才ねぇなと呆れ返る今日この頃、皆さんお元気ですか。

あとがきまで読んでくれた方、ありがとうございます。
こんな駄文に付き合ったことで、あなたは忍耐というスキルをゲットできました。
おめでとうございます。

評価が怖い。感想Don't来い。
こちとらメンタル豆腐なんじゃ。変なこと書いたら全力で泣いてやる。

だからお手柔らか戦車でお願いします。


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何かを成すには準備が必要。準備するには相談が必要。

【””ご注意””】
話の内容に法律や権利について触れていますが
【作者は法関係なんてさっぱりわかっていません。】
なのでツッコミどころ満載な上に意味不明な箇所がたくさんありますが
【この宇宙はそういうことになってるんだなぁ。】
ってことで流してください。
人権主義者やら、右翼・左翼等の言葉が出てきますが
【あくまでフィクションです。現実とは一切関係ありません。】
ってことでよろしくお願いします。

本当にお願いしますよ?

ここまで読んで嫌だと思った人は速攻でブラウザバック!違う宇宙に飛び立ちましょう!!



 

 

俺は唯一無二の親友であり天下無双の大悪党の執務室に向かっている。奴がブチ上げた壮大なホラ話を冷やかして誂うためだ。

 

「やあルドルフ、仕事の方は順調かい?」

「・・・ああ、クレーフェか。やることが多すぎてなかなか進まない。やるべきこと、進むべき方向は決まったが信頼できる人材が少ないからな。正直手が足りん。寝る暇もないくらいだ。」

「あははは。銀河連邦を潰して民主制から独裁制にしようってんだ。しかも自分を皇帝陛下様に仕立て上げるってんだからな。頭のネジがぶっ飛んだかドラッグに溺れたか、もしくは神の啓示を受けて目覚めたとしか思えん発想だ。」

「俺は正気だよクレーフェ。本気だし真面目だ。」

 

ちょっと誂い過ぎたか?言葉は冷静だが目が怒っている。こいつを怒らせるとあとが怖いからな。

 

「まあ落ち着けルドルフ。お前があれだけ壮大な話をしたんだ、真剣に考えてるのはよくわかってるよ。だが内容が内容だ。こっちとしては半信半疑にならざるを得ない。お前を信じてないから半信半疑になるじゃない。話の内容に理解が追いつかないからだ。そこがわかってるから最初に俺に話してどんな反応をするか確認したんだろ?」

「・・・よくわかってるな。」

「当たり前だろ親友。ガキの頃からの付き合いだ。そのくらいはわかるさ。」

「ありがとうよ親友。どんな立場になっても変わらないお前の口の悪さはとても信用できるよ。」

「言ったな親友。俺の口の悪さはお前の性格の悪さが伝染ったからだ。この大悪党め。」

「おう。俺は大悪党さ。なんせ民主主義を潰そうとしている選挙で選ばれた政治家だからな。」

「はぁ・・・そこで開き直るなよ。まあ、お前らしいっちゃお前らしいんだがな。」

 

落ち着いてくれたか。俺たちが親友同士だってことも改めて確認できたし、これからの信頼関係も揺るぎないだろう。話をもとに戻すか。

 

「それでルドルフ。一体何に手こずってるんだ?」

「いろいろあるんだが一番でかい物がある。こいつをどうにかしなきゃ社会を立て直しても人間を立て直すことはできない。人間を立て直さなきゃ社会の立て直しなんかやっても無駄だ。」

「ずいぶんと大きく出たな。で、その一番でかいものってのは何だ?」

 

「・・・基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したい。」

 

「・・・はぁ?」

「基本的人権とその尊重を消し去る。消し去って二度と復活するようなことがないようにする。」

「おいおい、お前は自分が何を言ってるのかわかってるのか?自分で自分を人間じゃないって言ってるようなもんだぞ。」

「だから問題なんだ。」

「・・・・・はぁ?どこがよ??」

「・・・なぁクレーフェ。人間って何だと思う?」

「人間?とはなにか?哲学的なことか?」

「いや、根本的なことだ。哲学的と言えなくもないがな。」

「根本的で哲学的?人間の本質ってことか?・・・人間は社会性動物。群れて生きる動物。こんなことくらいしか思い浮かばんな。」

「そうだ。人間は動物なんだ。他の動物と違うのは知性が特化したことだけであとは同じなんだ。」

「同じ?」

「欲や感情を止められないってことだ。理性で欲や感情を止めることができるのは一部の人間だけ。ほとんどの人間が刑法で罰されることを恐れているから止めるんだ。道徳的判断で止めてるんじゃない。損得勘定で止めてるんだ。損得が見合えば簡単に人を殺す。感情が暴走して欲が勝てば簡単に人を陥れる。理性が働かなれば簡単に堕落し享楽にふける。それが人間なんだ。」

「お前ふざけてんのか。人間をバカにしすぎだ!」

「じゃあ今を見てみろ!どれだけの人間が堕落しきったと思ってる!!」

「てめぇ!!」

「・・・いいかクレーフェ、現実を見るんだ。今の銀河連邦を連邦政府をよく見るんだ。政府は、いや、政治家たちは私腹を肥やすことに夢中だ。汚職や横領は当たり前でやりたい放題。警察組織は賄賂を受け取ることが当たり前になり金をチラつかせれば平気で犯罪を見逃している。企業は利益を追求することばかり考えて脱税し放題。社会貢献なんて無駄だと切り捨てる。産業は生み出す製品が杜撰になって不良品が当たり前になった。汚染された産業廃棄物も垂れ流しだ。マスコミもそうだ。ゴミみたいにくだらいことを面白おかしく書き立て垂れ流して販売部数を伸ばすことばかりに躍起になって事実と真実を誠実に情報提供するなんてことはない。働いている市民たちも社会に貢献なんて微塵も考えちゃいない。自分のやりたいことしかしないし不満があれば簡単に暴発する。真面目に働いても会社が雇用費を払うのを渋って給料が増えないからな。そんな世の中で真面目に働く市民がいると思うか?いるわけがない。真面目に働かないから個人所得は下落する一方で所得格差が広がり続けて目も当てられん状態だ。クレーフェ。犯罪発生率を見たことがあるか?特に軽犯罪の再犯率だ。所得格差が強烈な差別社会を増長させたんだ。真面目に働いても金を稼げない。働いても意味はない。でも、金がなきゃ生きていけない。なら、持ってるやつから奪ってしまえだ。奪った金を生活費に当てるならまだいい。殆どが酒や麻薬の購入費に変わっている。奪うにしたって金を持ってる悪徳政治家や悪徳企業・金融機関が狙われるんじゃない。女子供が身売りしたり性売買して辛い思いをしながらやっと稼いだ金を暴力で奪っているんだ。強きものが弱者を搾取し、その弱者がより弱いものを狙って搾取している。これは弱肉強食だ。野生動物と一緒だ。人間は野生動物と何も変わらないところにまで落ちぶれたんだ。・・・俺とお前はこんな社会から生まれた政治家だ。生まれたと言ってもその過程は碌なもんじゃなかった。ただでさえ低い投票率のなかで少しでも得票しようと駆けずり回った。恥も外聞も忘れて票を奪い合った。皆に俺たちを認めさせようと必死に叫んだが誰も聞いちゃくれなかった。『うるせぇ!』と言われて生卵をぶつけられたこともある。俺たちが当選できたのは俺たちが市民に認められたからじゃない。他の有力候補者が賄賂で票を稼いだことが世間にばれていなくなったからだ。代わりに候補になる存在がいなかったから仕方なく投票された結果だ。信頼なんて欠片もない投票で生まれたのが俺たちだ。そんな政治家、誰が信用するんだ?そんなやつの言葉も誰が聞こうっていうんだ!?そんな状態で俺達にどうしろっていうんだよ!!」

 

 

いつからか奴は俺の胸ぐらを掴みながら叫んでいた。叫びながら泣いていた。泣きながら俺を睨んでいた。俺を睨みながら何かを探していた。

・・・出口を探して彷徨い歩く、か弱い迷子のような目だった・・・

 

 

「ルドルフ、お前・・・人間に絶望しちまったのか?・・・」

「・・・そうだな・・・そうだと思う。でも、一番絶望したのは俺自身にだよ。知りながら、知っていながら世の中を変えることができない。このままでは破滅することがわかっているのに救うことができない。考えるばかりで行動することができない。自分の無力さに絶望したよ・・・」

「・・・そうか。でも諦めることもできなかったんだろ?」

「当たり前だ。諦めたらこの世は終わる。俺が俺であることも終わっちまう。」

「あははは。正義感の強い熱血漢。おまけに諦めが悪い。確かに、諦めることはお前が終わっちまうことと同じだな。」

「ああ。」

「だがな、熱くなったら暴走しだす癖は早く治せよ。」

「何のことだ?」

「あのなぁ・・・お前は『基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したい。』って言ったんだぞ。その理由を聞きたかったのに、いきなり熱く語り始めやがって・・・」

「・・・」

 

奴は俺の顔から目をそらして頬をかいている。・・・照れてるのか?

 

「ま、いいや。とりあえず、お前が人間に絶望してるのはわかった。だけど熱く語り始めるほど人間が好きってこともわかった。」

「おい。」

「そう照れるなって。人間に絶望して大嫌いってのよりはいいことさ。まずはシャワーを浴びて、その泣きっ面をなんとかしてこい。落ち着いたら続きを聞いてやるから。」

「てめぇ!俺をからかって遊んでやがるな!?」

「あはは。未来の皇帝陛下様にそんな不敬を働くようなことはしませんよ。」

「こんのやろうがあ!その口、塞いで使えなくしてやるぅ!!」

「ぎゃっはっはっ!やれるもんならやってみやがれぃ!!」

 

俺はわざとらしく笑う。奴も俺につられて笑い始めた。それを見て俺は本当に笑えた。安心した。俺たちは笑い合える。

笑い合えるなら大丈夫。まだ頑張れる。こいつが笑えなくなりそうになったら、また俺が笑わしてやる。こいつが潰れそうになったら俺が全力で支えてやる。

こいつが皇帝陛下になるなら今よりマシな世の中になるのは間違いない。心の中でこっそりと未来の皇帝陛下に忠誠を誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はてさて、時は進んでルドルフがシャワーから帰ってきた。

 

「おかえり、牛乳があるぞ。」

「ありがとう。だが俺はみっくちゅじゅ○ちゅがいい。」

「贅沢抜かすな。我慢して飲め。」

「ツッコミはなしか・・・わかったよ。」

「サ○ガリアは神。異論は認めない。で?」

「あのな・・・まぁいいや。基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊したいと思っている。なぜなら現在において基本的人権の利用方法が悪意に満ちたものに落ちてしまったからだ。」

「悪意に満ちた?」

「まず基本的人権について説明しよう。『wikiるかググれ。』以上だ。」

「いきなり投げやりになったな。」

「そうじゃない。基本的人権は誰もが知ってる権利だ。だが誰も真剣に基本的人権を知ろうとしない。知ろうと思えば簡単に知れるのにな。」

「基本的人権の名前は知ってるがその詳しい内容は誰も知ろうとしない・理解してないってことか?」

「ああ。基本的人権ってのは時代や国ごとに意味合いが変化したり増えたり減ったりしている不確定な権利なんだ。個人の思惑で左右されやすいんだよ。顕著なのは戦時になれば鳴りを潜め誰も見向きもしない役立たずになるが、平時になるといきなり現れてギャンギャンと叫びだしたりする。」

「過激左翼主義者達だな。人命の尊重と人類平等を謳ってるが、批判されると暴言を吐きまくるし暴力を振るうことにも戸惑いがない。言ってることとやってることのチグハグさに呆れることもあった。」

「うん。思想の自由、言論の自由、表現の自由を認めているのも基本的人権だ。連中に言わせると法を遵守して権利を行使しているだけらしい。刑法から見れば彼等のやってることは暴力以外の何物でもないのだがな。そこに左翼政治家が絡みだしたりすると心の底からウンザリすることになる。だが、左翼主義者だけが基本的人権の恩恵を賜っているわけじゃない。当たり前だがすべての人に平等に権利を与えているのが基本的人権だ。その権利を保護・守護しているのが憲法だ。」

「だな。それで?」

「基本的人権は法で定められた権利だ。権利である以上行使することに問題はない。ちゃんと義務を果たしていればな。問題なのは法を遵守してない、義務を果たしていない人間が基本的人権を声高に使っていることだ。」

「どういうことだ?」

「人間社会は雑多な思惑の上でいろいろなものが急激であったり緩やかであったりしながら流れていく。それは言葉だったり金銭だったり情報だったり本当にいろいろだ。それらを循環させて様々な人に分け隔てなく届くよう、必要な人に必要なだけ届くようにする。社会の円滑化だな。法を整備することで社会の円滑化を促進して発展させていく。発展させていく上で求められるのが権利だ。何かを作る、何かを運ぶ、何かを使う。他にもいろいろとあるが全てに権利が絡んでくる。だが、欲に溺れた人間は法を無視して権利だけを主張してくる場合がある。基本的人権の範囲で一番関わるのは何かを使うことだ。法を遵守しないで使う何かと言えば麻薬が一番わかり易い。彼等は違法な手段で麻薬に手を出して中毒になったり障害を持つようになった。サイオキシン麻薬の催奇性は特に恐ろしい障害だ。女性は二度と健常な赤子を生むことが出来なくなるからな。運良くサイオキシン麻薬から脱却した若い女性がいるが体はボロボロで妊娠なんて出来ようもない状態だった。だが彼女は妊娠した。性売買で生活費を稼いでいたんだ。避妊に失敗した彼女は当然堕胎しようと思ったが生活に困窮していたので費用がなかった。彼女はとある慈善団体に助けを求めた。その慈善団体ってのがなかなかのやり手で善人ヅラがよく似合う悪党だった。連中は彼女をそそのかして出産させる決意をさせた。生まれてくるのが奇形児だと承知の上でね。そして生まれてきた赤子を盾に基本的人権を主張させた。人として生きるために必要な生活費や医療費を求めたのさ。さて、クレーフェ、君はどう思う?どう判断したらいいと思う?」

「情報が足りないな。彼女はどうしてサイオキシン麻薬に手を出したんだ?」

「簡単に言えば若気の至りってやつさ。ヤンチャして遊び回って挙げ句にサイオキシン麻薬に手を出した。基本的人権の観点から言えば思想の自由・行動の自由の行使ってことだな。」

「麻薬に手を出したんだ。当然薬物違反で逮捕されたんだろ?」

「もちろん逮捕されて実刑も受けた。だがサイオキシン麻薬の中毒者を刑務所に入れるのは危険だ。隔離病棟で薬物治療に専念することになったよ。周りから手厚い看護を受けてね。」

「手厚い看護?」

「ああ。裁判で弁護士が声高に基本的人権を振り回してね。人として治療を受けるのは当然の権利。市民なのだから税で治療費を賄うのが妥当。隔離病棟に監禁されるのは刑務所に入って自由を拘束されるのと同義。他にもいろいろいろと持論をブチ上げたらしい。」

「で、裁判の結果は?」

「実刑が何年になったか忘れたが、隔離病棟に入ってた期間と刑務所に入る期間を相殺。結果として入院期間が実刑年数を超過したので刑務所に行くことはなかった。」

「なんだそれ?そんなことが可能なのか?」

「実際そうなったんだから可能なんだろうね。弁護士がやり手だったのか検事が腑抜けだったのか裁判員が人権主義者だったのか。どうであれ判決は出て、それを覆すようなことはなかった。」

「善人ヅラした慈善団体ってのはなんだ?」

「弱者救済を掲げた慈善団体でね、身体障害者や精神疾患のあるものを一箇所に集めて集団生活をさせてたのさ。生活保護費を狙ってね。」

「生活保護か・・・」

「ああ。医者と結託して保護費を限度額の限界まで引っ張り出せるように診断書を偽造。代理受取人を慈善団体の代表者にした。集団生活を送っていた施設は相当に劣悪な環境だったらしい。粗末な食事しか与えられておらず、生きてはいるがいつ死んでもおかしくないような状態だったらしい。裏では男性は暴行の的として、女性は性売買の道具として売られていたらしい。」

「らしいの連発だな。確証はなかったのか?」

「警察組織は弱体化している。まともな捜査能力は皆無と言っていいよ。慈善団体との癒着もあるかもしれないね。」

「はあぁ・・・どうしょうもねぇな・・・で、女性の方は裁判で生活費やらを勝ち取れたのかい?」

「裁判では勝った。だが生活費を受け取ることはなかった。」

「どういうこった?」

「死んだよ。勝訴して生活の安定を手に入れた数日後に死んだ。死因は心不全だったらしい。」

「死んだ?子供はどうなったんだ?」

「慈善団体行きさ。生活保護で生活することになった。ここで面白い事実があるんだが、彼女の裁判を担当した弁護士なんだが慈善団体が準備した人間だった。そして彼女の勝ち取った生活費等の代理受け取り人は慈善団体の代表者だ。」

「おい!それって!!」

「君の想像通りなら慈善団体の計画犯罪ってことなんだろうね。ただし証拠は何一つない。慈善団体がキレイに消し去ったのか、警察が無能を晒したのかわからんがね。」

「・・・・最後の質問だ。その慈善団体の名は?」

「・・・・地球教。弱者救済を謳い文句に信者を増やし続けている地球を唯一神と見立てた信仰をしている宗教家集団さ。」

「・・・そうか・・・」

「さて、クレーフェ。君の質問には全部答えたと思う。彼女の事をどう思うんだ?」

「彼女は麻薬に手を出した。それはどんなことを言い訳にしようと許されることじゃない。性売買で生活してたことも認められるようなことじゃない。生まれてくる子供を盾に保護費を手に入れようとしたってのは微妙だな。純粋に生まれてくる子供の生活を守ろうとしたのか自分の生活を守るために子供を利用したのか本人に聞かなきゃ判断できないからね。だが生まれてきた子供に罪はないと断言できるよ。」

「模範的な回答だね。基本的人権については?」

「法は人間社会を運営する上で必要な道具だ。権利は法によって認められた行為を肯定する証明書みたいないなもの、道具の一部と言えるだろうな。基本的人権とは様々な自己主張をする為に必要な法で認められた強力な後ろ盾だな。」

「そうだね。権利は法で認められた行為を肯定するもの。基本的人権があるということは法に則り人が人として生きる事を認めた証明書を持ったと言えることだね。」

「運転免許証がいい例だな。車を運転する権利を法が認めた証明書だ。」

「わかりやすい例えをありがとう。」

「どういたしまして、皇帝陛下。」

「・・・」

「・・・」

「・・・さて、基本的人権というのは法から生まれた人間の至宝だ。人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だからな。正しく使用・運用されれば人類の未来は明るいものになっただろう。だが現状は明るい未来なんて欠片も見えない。なぜか?人間が人間であることをやめてしまったからさ。人間は欲に溺れて野生動物と変わらないほどに落ちぶれた。弱肉強食と言っていい世の中に変わって平等・公正なんて遠くの昔に消え去った。今あるのは欲に溺れて法を遵守しようなんて欠片も思っちゃいない連中だ。法を遵守しようなんてしないのに法で守られた権利は主張する。欲に欲を重ねて私腹を肥やすために自分勝手で権利を振り回すのさ。最悪だよ。人間は法を遵守できない野生動物に成り下がったが権利を使う知性は残っていたんだ。こんなことが続けば善良な人間なんていなくなって当たり前だ。」

「人間は遵法精神を忘れて傲慢になった・・・か。」

「そうだ。そして人間が傲慢になった原因は基本的人権にあると俺は見ている。」

「そりゃまたなんでだ?」

「子供さ。」

「子供?」

「基本的人権は人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だ。では人間として生きるとはどういうことだ?人間の社会の中で生きるってことだ。では人間の社会とは何だ?法と道徳を守ること前提で運営される組織ってことだ。繰り返すが基本的人権は人間が生まれながらに人間として生きることを認めた権利だ。が、生まれたばかりの人間が法と道徳を守って生きるなんてできるか?できるわけがない。生まれたばかりの赤ん坊が法と道徳を知ってるわけがないんだからな。」

「子供を標的にするのか?それこそ左翼主義者が躍起になって檄を飛ばしてくるぞ。右翼主義者も中道の連中もいい顔はしないだろう。」

「子供を標的にして責めてるわけじゃない。甘やかすなと言いたいのさ。」

「甘やかすね・・・青少年保護法かい?」

「正確には青少年保護育成条例だな。未成年者は社会的未熟児であるから法で保護して正しく教育しましょうって趣旨なんだが意味が歪みまくってる。現状としては青少年犯罪者は社会的未熟児であるから保護して守りましょうって使い方が多いんだ。青少年犯罪者の刑事責任能力の判断は刑法で定められてる。育成条例なんて欠片も関係ないんだが、ここで基本的人権が絡んでくるのさ。」

「子供の人権が云々とか騒いでる連中か。」

「人権主義者だけとも言えんのさ。子を持つ親にとって子供は一種の爆弾さ。お菓子を強請ってギャン泣きするなんてのは可愛い方で、いつ重犯するかわからない怖さがある。子の罪は親の責任で賠償しなきゃならんからな。賠償責任って聞けば子を持たない人間だって忌避するんだ。人権主義者共と一緒になって騒ぎ立てて当たり前なのさ。いつ自分の子が同じようなことを仕出かすかわからんのだからな。青少年保護育成条例と基本的人権をミックスして騒ぎ立てて賠償を少しでも減らそうって頑張ってるのが連中の本質なのさ。そして連中の行動は大体が成功している。法廷で子供に罪の責任を問うってのは精神的にキツイものがあるらしい。甘い判決が出るのは人間としては仕方ない結果なのかもしれん。で、子供は勘違いするのさ。大人だったら刑務所行きだが子供のうちは怒られて終わりだってな。反省してるふりをすれば誤魔化せる。誤魔化せればこっちのもの。周りの大人が勝手に騒いで減刑してくれる。うまく行けば無罪放免ってな。その根拠は基本的人権にあると確信するだろう。」

「はぁ・・・そこまで子供が知恵を回すものかね?」

「知恵を与えたのは大人さ。裁判で勝って成功したい弁護士だよ。弁護士って生き物は法を武器に飯を食ってる連中だ。俺たちなんかと比べたら雲泥の差があるほど法の知識も使う技術も卓越している。未成年の犯罪事件ってのは連中から見れば美味しい案件なのさ。人権主義者が騒ぎ立てて罪を軽くするように圧力をかけてくれるからな。勝ちパターンが決定してるようなもんだ。よほどのことがなきゃ成功報酬と名声が手に入る。人権主義者達と太いパイプを作ることだってできる。それができたらあとは楽勝ってなもんだ。」

「親の賠償責任逃れ、人権主義者の持論拡大、弁護士の欲。検事は子供の罪と向き合う前にそいつと戦わなきゃならんのか。」

「おまけに警察組織は弱体化。まともな捜査能力なんてない。ないから強力な証拠を集めるなんてこともできない。場合によっちゃ検事は証拠という武器無しで法廷で戦うことになる。負け確の状況で真面目に法廷に立とうなんて考える検事がいると思うか?いるわけがない。法廷はただの劇場と変わらなくなった。法廷が機能しなくなったんだ。罪には罰を。これができなくなった。社会を構成している人間を是正できないんだ。権利を使って是正させることを不可能にさせてるんだ。本末転倒だよ。世の中は・・・人間は腐っていく一方だ。」

「はぁ・・・考えるのが億劫になる。」

「クレーフェ、まだまだ終わりじゃないぞ。」

「え?」

「いいか、この世は情報化社会なんだ。FTL通信の発達で情報は光の速さを超えて拡散するんだ。情報を手に入れることは簡単になって大人も子供も最新情報を気軽に手に入れることができるんだ。そんななかで子供たちが犯罪逃れをするための知恵を手に入れてみろ。何を仕出かすかわかったもんじゃないぞ。いや、実際に仕出かしたんだ。」

「何をしたんだ?」

「教師の体罰をでっち上げたんだ。退職に追い込んで学校から追い出そうと計画した。親は子供の言葉を鵜呑みにして賠償金を要求した。人権主義者も大騒ぎして子供を保護した。弁護士は無気力で教師の弁護を真面目にやろうとはしなかった。この件は一人の生徒の密告により全部バレて有耶無耶になったが残った結果はむごたらしい事になった。教師はこの件で精神を病んでしまい、最終的には自殺した。体罰をでっち上げた生徒たちは人権主義者と親たちが騒ぎに騒いで『ごめんなさい』の一言だけでお咎め無しになった。自殺に追い込んだにもかかわらず彼等は『自殺には関係ない』の一点張りで反省なんて欠片もなかった。密告した生徒はいじめにあった。訴えたが人権主義者にとっては恥をかかされた敵だからな。『いじめられる方が悪い』って言いふらされて転校する事になった。碌なもんじゃないだろ?」

「ほんとうに碌でもないな。」

「彼等は学んだのさ。基本的人権とそれを主張する人権主義者の使い方をな。そして実践した。実践して体感したはずだ。基本的人権と人権主義者を使えば罪を作り出すことも罪から逃げることも簡単だってな。そして、この情報はFTL通信でまたたく間に拡散された。子供の未熟な精神と悪知恵が融合したんだ。そんな子供が大人になったらどんな事を仕出かすか想像できるだろう?」

「・・・基本的人権を使って己の欲を満たすガチガチの人権主義者の誕生だな。」

「そのとおりだ。基本的人権は個人の思惑で左右されやすいってのはこういうことさ。これを傲慢と言わずになんという?」

「・・・傲慢だな。そして悪辣だ。俺も人間ってやつに反吐が出てきたよ。」

「ようこそ、こちらの世界へ。お前を歓迎するよ。」

「まったくもって嬉しくないな。」

「・・・少し休憩しようか。甘いものでリフレッシュしないと心が折れるよ。」

「そうしよう。」

「こ○わりのミルクセーキがある。こいつにしよう。」

「へぇ、こだわりねぇ。興味があるな。お前が何にこだわったか気になる。」

「?・・・お前は何を言ってるんだ?まあ飲めばわかるか。」

「はぁ?・・・ってこのやろう!『こだわり○ミルクセーキ』ってまんま商品名かよ!!」

「サンガリ○は神。異論は認めん。」

「やかましいわ!!」

 

 

 

 




あとがきまで読んでくださった方ありがとうございます。
あなたのスキルは進化して忍耐レベル2になりました。
おめでとうございます。

短編で切り捨てるつもりでしたが気が乗って二話目です。
長期連載する気はありません。文章書くってすっごいしんどいからw
話の途中でブチ切れてますが三話目がいつになるかわかりません。

書いてて思う。長期連載してる人ってマジすごい。
気軽に「早く書け!」って言えないです。まあ、思ってはいるんですけどねw

ではまた次回に会いましょう。


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相談するにも目的意識の統一が必要。

【””ご注意””】
話の内容に経済的な何に触れていますが
【作者は経済なんて知りません。】
なのでツッコミどころ満載な上に意味不明な箇所がたくさんありますが
【この宇宙はそういうことになってるんだなぁ。】
ってことで流してください。
人口問題等の言葉が出てきますが
【あくまでフィクションです。現実とは一切関係ありません。】
ってことでよろしくお願いします。

本当にお願いしますよ?

ここまで読んで嫌だと思った人は速攻でブラウザバック!違う宇宙に飛び立ちましょう!!


 

 

ルドルフとクレーフェは気持ちを一新させて、再び語りだす。

 

 

 

「あー・・・さてー・・・」

「小林完○なんて知ってるやつ誰もいないぞ。」

「小○完吾と即答できる。そんなクレーフェが大好きさ。」

「やかましい。なんでお前はちょいちょいボケかますんだよ。うっとおしいぞ。」

「あー・・・あれだ。軍人時代の癖だな。軍艦ていう狭い環境で乗組員と円滑なコミュニケーションをするのに必要だったんだ。気さくな上官ってのを演じたのさ。変に厳つい上官だと部下は叱責を恐れて小さなミスを隠したりするんだ。階級の低い連中は特にな。だが宇宙ってのは小さなミスで簡単に死んじまう、些細なことで全滅とかがあり得る厳しい世界だ。小さな事を取り除くには円滑なコミュニケーションが一番手っ取り早いんだよ。」

「はぁ・・・お前の艦隊がお笑い気質だった原因はそのせいか?」

「別にそういうわけじゃない。軍人ってのは西暦の時代からサブカルチャーってのに染まりやすいんだ。普段の任務が殺伐としてるからな。休憩や休暇で精神的な癒やしや安らぎを求めるんだよ。別段珍しいことでも不思議な事でもない。ごく当たり前のことさ。宇宙時代に入ってそれが加速したのは間違いないがな。」

「加速した?お気楽軍人が増えたってのか?」

「違う違う。単純に暇が多くなったのさ。宇宙を移動するってのは結構時間がかかるんだよ。ワープ技術が確立されて短時間で遠くの星に行けるようになったけど、ワープは連続してできるわけじゃないから移動時間がなくなったわけじゃない。技術が発達してワープ航法が安全になったから運行に必要な人員も減った。作戦行動に入るまで仕事がない人間が増えて暇な時間も増えたんだ。暇つぶしで趣味に走ることは仕方ないのさ。」

「だからってなんでサブカルチャーなんだよ。他にも有用な趣味があるだろ。」

「これも単純。軍艦に持ち込める個人的な所持品に制限があるのさ。いくら暇だからってあれやこれやと持ち込めるもんじゃない。せいぜいが手荷物くらいさ。で、目をつけたのが携帯端末。軍務の関係上いつでも誰とでも連絡が取れるってわけじゃないが暇な時に家族と連絡するくらいは許されてる。だが宇宙で連絡するにはFTL通信みたいにデカイ設備が必要だからな。携帯端末は使えない。守秘義務もあるから携帯でコッソリと・・・なんてやったらスパイと疑われて文句も言えない。軍艦に乗る以上携帯端末は必要ないんだ。だが携帯端末は個人情報の宝庫だ。官舎に置いて長期間手放すってのはいつ盗まれて悪用されるかわかったもんじゃない。だから必然的に手荷物に入れるんだが軍艦に乗ってる間は無用の長物なのさ。で、軍艦に乗ってる間は無用の長物である携帯端末を利用しようってなった。最近の携帯端末ってのは有能でな。内部メモリーや外部メモリーの容量がすごいんだ。映像や書籍なんかをアホかってくらい詰め込んでも余裕だ。FTL通信機につないで映画や週刊誌をダウンロードするのも簡単だ。お手軽で便利なんだよ。でも携帯端末は万能じゃないからな。暇つぶしをするとなると映像か書籍しかない。音楽も楽しめるが軍務の関係でヘッドホンの類の個人使用は禁止だからな。どうしてもその2つになる。あとは分かるだろ。癒やしや安らぎを求めるとしたらサブカルチャーくらいしかないのさ。まあ・・・あれだ。俺の艦隊がお笑い気質だったのは類が友を呼んだとしか言えんな。別の艦隊じゃアクシ○教に帰依してアク○様信仰してたり、ターニ○・デグレチャフを名誉軍人として崇めたりしてた。陸戦隊なんてすごいぞ。実践訓練に俺の嫁戦争を導入してな、『嫁を独占したけりゃ勝ち残れ』って煽ったんだ。そのせいで訓練中は本気の殴り合いが勃発しまくったからな。死人が出なかったのが不思議なくらいだった。教導隊連中は隊員の質も気合も上がったって喜んでたぜ。」

「・・・お気楽軍人を量産してるじゃねえか。」

「軍人ってのは守秘義務があるからな、どうしても閉鎖的な社会になっちまう。閉鎖的な社会ってのは鬱憤が溜まりやすいんだ。だから任務中や命に関わること、民間人に対する暴行や略奪にはとても厳しいがそれ以外は結構ゆるい。趣味に寛容なのは鬱憤を解消するためのガス抜きなのさ。それに趣味が合うってのは気が合いやすい。お互いの気が知れてれば艦隊の連携も格段に上がる。軍としても隊の質が向上するならそれを積極的に利用するさ。俺も任務がなきゃ部隊がお気楽でいても気にしない。今のところ問題ないし、いいことづくめだからな。それにな、現役や引退者、男女、所属や階級に関わらず軍に関係した連中はみんなサブカルマニアだ。右翼系政治家連中もな。」

「・・・もうやだ、この連中。早くなんとかしなきゃ・・・」

「無理だよ。軍に関わろうなんて考える連中は大小の差はあれみんな厨二病持ちなんだ。一般人の思考じゃやってられないからな。ましてや軍人は海賊だ犯罪者だと言えど生きてる人間に銃口を向けるのが、殺すのが仕事だ。頭のネジのどこかが緩んでるかブッ飛んでなきゃ任務なんて出来やしないよ。ま、諦メロンってとこだな。」

「・・・もう疲れた。帰っていいか?」

「まだ本題に入ってすらいないんだが。」

「てめぇがボケるからだろうが!」

「ツッコミ担当クレーフェとしては反応せずにはいられないんだな。かわいそうに・・・」

「お前の頭の中のほうがかわいそうだよ!!」

「まあ落ち着け。ここにビ○クルがある。」

「いらん。」

「では森永マミ○を。」

「いらんと言ったぞ。」

「・・・怒っちゃダメよぉ・・・乳酸菌とってるぅ?・・・」

「・・・はぁぁ・・・俺の血圧は問題ないよ・・・」

「えー。お前のことを心配してるんだぞ。」

「えーじゃない。さっさと始めろ。」

「はいはい・・・」

 

 

 

「クレーフェ、お前は全ての人間から基本的人権を取り上げて、その尊重を破壊する。これに同意したと見ていいんだな?」

「ああ。同意した。問題ないぞ。」

「これから俺とお前は同志になる。異存はないな?」

「もちろんだ。これまでもこれからも俺とお前は一緒さ。」

「ありがとう。・・・でだ、基本的人権を取る上げたとして、代わりに与えるものをどうするかが思いつかない。」

「代わりのものか・・・権利を取り上げるんだ。与えるものも権利になるのか?」

「それじゃあ基本的人権の名前が変わっただけになる可能性がある。意味がないな。」

「そうなるか・・・人間は野生動物に落ちぶれた。人間を人間に戻すには何が必要だと思う?」

「遵法精神と道徳観念だな。それを取り戻す。」

「それをどうやって取り戻す?」

「そこなんだよ。言葉で伝わると思うか?」

「思わんな。言葉で伝わるなら、そもそもこんな世の中にはなっちゃいない。だから行動で伝える。」

「行動?」

「ああ。遵法精神と道徳観念を行動で示して伝えるんだ。」

「何となく分かるがそれがすべての人に伝わると思うか?」

「すべての人に伝える必要はない。わかるやつだけわかればいいんだ。」

「どういうことだ?」

「人の振り見て我が振り直せ。今の人間は自分の意志で動物に落ちた。人間に戻りたいなら自分の意志で反省して行動しろってことさ。」

「なるほどな。で、伝わらなかった人にはどうすればいい?」

「どうもしない。ほおっておけ。」

「はぁ?」

「まぁ聞いてくれルドルフ。今の銀河は限界なんだ。」

「おお?お前も壮大な話か??」

「ちゃかすな。真面目に聞け。いいか。今の銀河連邦の有する人間の生存圏はそろそろ限界なんだ。人間の生活する場所もそうだが人間が生活する上で必要な物資や資材が足りなくなってきてる。需要と供給が釣り合わなくなってきてるんだ。これを解消するには宇宙探査の手を広げ有用な星系を見つけて資源確保するか、今ある星系の生産力を上げるか、リサイクルで消耗率を下げるか、人間を減らして需要を減らすしか無いんだ。」

「人間を減らす?」

「人口問題だよ。今の銀河連邦の人口は三千億を超えてる。もうそろそろ四千億を超えるだろう。人間が生活する上で必要な場所に土地を奪われて食糧生産に必要な土地が足りなくなってきてる。四千億を超える人口を支えるなら単純計算で今の2倍。最低でも1.5倍の有用な星系を準備しないと破綻する。これを解消するのに一番やってほしいのは宇宙探査だ。有用な惑星が見つかれば移住もできるし資源の確保もできる。一挙両得だ。だが宇宙探査は博打と同じで必ず成功するわけじゃない。膨大な物資を消費した挙げ句に失敗なんてしたら目も当てられん。現状を見ても実行は出来ない。計画した段階で天下り先企業に媚びを売る官僚共が無茶苦茶な予算を組んでくる。予算が組めたとしても宇宙探査に必要な物資を買い集めようとした途端に企業は値を吊り上げてくるだろう。しかも渡される物資は不良品で使い物にならない。挙句の果てに横領だ。物資の必要量に全然足りないなんてことになる。宇宙探査は危険すぎて実行できない。腐った人間のせいでな。では生産力を上げるか?まともな経営能力のない企業が増産計画を立てるなんてできるものか。良くて従業員の過重労働だ。今でも低いと言えない労働災害の発生率が跳ね上がるぞ。そんな事になってみろ、行き着く先はストライキだ。今ある生産力がなくなって復帰する頃には値が上がって倍の費用になってもおかしくないぞ。これも腐った人間のせいだ。じゃあリサイクルか?ポイ捨て社会が蔓延してる世の中でリサイクルなんて誰がやるんだ?企業の社会貢献?なにそれ美味しいの?って言われるだけだ。消費者の責任?野生動物に責任なんて言葉は難しくて理解できんさ。言うだけ無駄だ。人間は腐りきってるからな。残る手段は人間を減らすことだ。結構だ。大いに結構。腐った人間がいなくなるなら大歓迎だ。世の中サッパリして住みやすくなるぞ!俺の仕事も精神的負担も減って万々歳だ!!あはははは・・・!!!」

「おい!落ち着けクレーフェ!!とりあえず乳酸菌飲め!!」

「わっはっはっは!あっはっはっはぁぁぁぁだ!!」

「クレーフェェェ!!」

 

 

 

・・・暴走クレーフェ授乳中・・・

 

 

 

「・・・お、おい。もう大丈夫か?・・・」

「大丈夫だ。問題ない。」

「・・・大問題だ・・・」

「やかましい。大問題なのはお前の頭の中だ。」

「大問題なのは今の世の中だろ!?」

「よくわかってるじゃないか、お笑い軍人。」

「・・・俺の部隊はわらわし隊でも演芸慰問団でもねぇよ・・・」

「おまえ時々『俺の部隊』って言うよな。退役して所属艦隊は持ってないはずだろ?」

「ああ。政治家になるって決めたときに使えそうな人間を調べて引っこ抜いたんだ。今は私設秘書って扱いで手伝ってもらってる。」

「なるほどな。例の慈善団体・・・地球教だったか?を調べたのはそいつらか。」

「そうだ。優秀な連中なんだが軍人時代の癖が抜けなくてな。俺も引きずられて部隊呼びしちまう。ま。時間があったら紹介するよ。お前とも連携を深くしないとならんからな。」

「期待しないで待ってるよ。」

「おう。」

「でだ、最後は興奮しちまったが俺が言いたいことはわかったか?」

「だから乳酸菌飲めって言ったのに・・・ま。だいたいわかった。人口問題と需要と供給か。経済的なことはサッパリだったからな・・・」

「良くも悪くもお前は現場上がりだからな。金勘定が得意じゃないのはわかってるよ。そういうのが得意な軍人は横領やら何やらで捕まってるか政治家と組んで今でも現役で儲けてるだろ。」

「ああ。『補給物資が足りねぇ。書類よりも少ねぇ。』って陳情書上げても『金が足りねぇ。贅沢抜かすな。』って突き返されるだけだった。特に人権主義者や左翼政治家連中が『野蛮な軍人共。人殺しで飯を食うゴミ屑』って蔑んで軍事予算を減らしてたのはみんな知ってたからな。蔑まれてた軍人は全員味方だって思ってたんだ。横領までやらかしてたのを知ったのは政治の世界に来てからだ。軍人だから悪徳な左翼政治家共と組むことはないと信じてたが・・・前線で命を張ってるやつと後方でヌクヌクしてるやつは、やっぱり違うな。がっかりしたよ。」

「朱に交われば赤くなる。真面目なやつも後方で仕事してるうちに影響されたんだろ。」

「腐ったみかんの方程式だな。この場合はミラーニューロンか?まあいい。お前が「人間は腐った」って連呼してた一因だな。連呼されるほど人間が腐っちまったんなら隔離するか切り捨てるしか無い。人を減らせと過激になるのは理解できるよ。」

「わかってくれるか。お前は人間に絶望した。俺は人間に呆れ果てた。同意したのは俺もお前と似たような気持ちを持ってたからさ。違いがあるのは、お前は絶望しても人を救おうとした、俺は呆れ果てて切り捨てようと思ったってとこだな。」

「だが俺は人を救おうとしてどうしたらいいかわからなかった。お前は切り捨てることで前を進む決断ができてた。反省するよ。俺は甘チャンの青臭い小僧だ。なさけないよ・・・」

「気にするな。お前が基本的人権を取り上げるって道を示してくれたから、俺が人を切り捨てるって答えを見つけることが出来たのさ。お前は今のままでいいんだ。上に立つ人間は道を指し示すこと、下の人間はそれを実現するために行動すること。それだけさ。」

「・・・ありがとう、親友。」

「・・・どういたしまして、親友。」

 

 

しんみりとした空気が漂う中、ルドルフの執務室の扉を叩く音が響いた

 

 

「ん?誰だ?」

「ファルストロングです。よろしいでしょうか?」

「ああ。大丈夫だ。入ってくれ。」

「失礼します。」

「クレーフェ、紹介しよう。エルンストだ。俺の私設秘書達を指揮してもらっている。」

「私設秘書官筆頭、エルンスト・ファルストロングです。」

「クレーフェだ。よろしくな。」

「こいつは俺の幼馴染で無二の親友だ。口は悪いが信用できるし頼りにもなる。これからは俺と一緒に活動することになるから、よく覚えておいてくれ。」

「了解です。では例のこともご存知で?」

「いや、知らない。その件を説明する前に同志になってくれるか疑問だったからな。今、確認が取れて同志になってくれたばかりさ。」

「俺のことは気軽にクレーフェと呼んでくれ。俺もエルンストって呼ばせてもらう。同志になったんだ。変な気遣いは無用で頼むな。」

「わかりました。よろしくお願いします。」

「固いなぁ・・・マジメ君か?」

「は?・・・はぁ。閣下にはよく言われます。」

「あははは。それがエルンストのいいところさ。真面目だが考え方は柔軟でな。部下からの信頼も厚い。何よりも自分の中にけして揺らがない芯ってものを持ってる。得難い存在だよ。」

「お褒めいただきありがとうございます。」

「ルドルフがべた褒めとは珍しいな。改めてよろしく頼むな。」

「はっ。了解です。クレーフェ様。」

「俺は軍人じゃないから敬礼はいらん。様もいらない。呼び捨てでかまわんよ。・・・で。ルドルフ?」

「ああ。エルンスト。例のことも含めてクレーフェに説明したい。」

「はい。ではクレーフェさっ・・・クレーフェ。地球教のことはご存知で?」

「ぷっクックック・・・」

「笑うなクレーフェ。エルンストに失礼だぞ。」

「すまんルドルフ。エルンストもすまなかった。真面目にやる。・・・地球教のことは名前だけ知ってるくらいだな。さっき少しだけ聞いたが慈善顔した悪党だったか?正直言うと宗教家がやってるには悪知恵が回りすぎると思った。」

「なるほど。何も知らないと判断して良い状況ですか。閣下、時間がかかりますが今説明しても?」

「そうだなぁ・・・いい時間になったし明日にするか?」

「俺としても明日にしてくれると助かるな。今日はいろいろあって疲れたよ・・・」

「いろいろですか?」

「その説明は追々な。今必要なのは補給と休息さ。明日に備えて英気を養うのも必要だ。しっかり食ってたっぷり寝るか。」

「了解です。今日の報告も明日一緒にさせてもらいます。」

「緊急性のあるものは?」

「ありません。問題ないです。」

「クレーフェはなにかあるか?」

「こっちもない。」

「よし。では解散。各自部署にもどれ。」

「はっ。」

「今から帰ろうって話だろうが。『部署に戻って仕事しろ』ってか!?」

「あー・・・すまん。晩メシ奢るから許してくれ。」

「さすがルドルフ気前がいいな!エルンスト、ルドルフが晩メシ奢ってくれるってよ。お前も付き合え!」

「え、小官もですか!?」

「おう!軍人ってのは同じ釜の飯を食って仲良くなるんだろ?俺も仲間だ。一緒に飯食って酒呑んで親睦を深めようぜ!」

「それもそうだな。エルンストも付き合え。そしてクレーフェのことをよく知るといい。新しい俺達の仲間だ。」

「了解です、閣下。」

「話が纏まったら即行動。さっさと行くぞ。」

「奢り飯って聞いた途端に元気になりやがって・・・現金なやつだなぁ。」

「ゲンキなだけにってか?」

「・・・はぁ・・・クレーフェもお笑い気質だったのか・・・」

「類は友を呼ぶですか。閣下の艦隊を思い出します。」

「なるほどな。ま、いいか。俺が俺らしい証拠と思えば問題ない。」

「だな。」

「ですね。」

 

 

 

 

気がつけば夜はふけて、足並み軽く歩き始める三人だった。

 

 

 

 

 

 

 




あとがきまで読んでくださった方ありがとうございます。
あなたのスキルは進化して忍耐レベル3になりました。
おめでとうございます。

暑くなってきましたが皆さんは体調を崩してませんか?
私は元気です。
元気って思ってなきゃやってられん状況なので元気だと言い張ってます。

はてさて、三話目です。
なんとか纏まってるといいなぁと思いますが
「これ以上は無理!しんどい!」となりまして投下しました。
皆さんの暇つぶしの一環になれば幸いです。

では、いつになるかわからない次回でお会いしましょう。


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閑話 酒は飲んでも飲まれるな。飲まれちゃったら飲み返せ!

飲みながら書いた。後悔はない。


 

はてさて、助さん格さんを連れたご隠居様は・・・

 

 

「いきなりひでぇな。」

「閑話だからな。神(作者)にやる気なんてねぇぞ。」

「マジか。」

「本文ですらアレですからねぇ・・・」

「やる気ねぇのに書いてるのか?」

「なんかティンときて、そのフラグ立てに書きたくなったらしい。」

「フラグねぇ・・・」

「なんかな、最終話まで書けたら最後の最後で、死んでヴァルハラに来た原作キャラ連中に俺たちが説教するんだと。」

「メタいなぁ・・・」

「ひどいですね。しかも現時点でまだ最初の方のお話じゃないですか。最終話の予定どころか次回の予定すらないんですよね?」

「ない。全力でノリと勢いだけで書いてるからな。よく三話も書けたと逆に感心するわ。」

「ほんとうにひでぇな!?」

「もうアレじゃね?短編の短編みたいに独立させる気じゃねぇか?」

「よくわかりません。クレーフェはわかりますか?」

「俺もわからん。そもそも、なんでこんな宇宙を書き始めたかすらわからん。」

「まあ、アレだ。脳天気な神(作者)のくせに乗っけからシリアスぶっこんじゃって、調子こいて2話目書いたからな。3話目でギャグ路線に切り替えようって必死こいてたのは見えただろ。」

「閣下、2話目から既にその兆候はあります。」

「ああ。見えるな・・・碌でもない未来が。」

「・・・はぁ・・・で?今回のお役目ってか話の流れは?」

「ない。」

「ほんとうにないの?」

「ない。」

「うーわ、どうなんだ?これ・・・・」

「そもそもだ。今までは本文が出来てからタイトル考えてたヤツなんだよ。なのに、いきなりタイトル決めたからな。ロクでもねぇことにしかならねぇのは決まってるだろ。」

「神のみぞ知る・・・ですか。」

「その神(作者)が迷走してるんだがな。」

「どうしようもねぇな・・・」

「まぁ、現時点で決まった、いや、思いついたのは日本風の居酒屋でどんちゃん騒ぎらしい。」

「・・・一応聞くが、現時点でルドルフって英雄なんだよな?」

「英雄だな。その理由がまた碌でもないんだがな・・・」

「で、その英雄が居酒屋か?」

「まぁな。そもそもだ。原作ルドルフがチート過ぎるんだよ。なんだよ。海賊討伐で英雄になって民衆の信奉を集めたって。なろう系主人公じゃねぇっつの。まぁ、舞台設定としちゃ必要なんだろうし?ルドルフの神格化が貴族社会の土台に必要なんだってのはわかるんだよ?原作の中の世界じゃルドルフの歴史が捏造されたんだろうなぁくらいは想像できるさ。でもさぁ・・・やりすぎじゃね?って思うわけよ。」

「まあ、アレだわな。主人公ラインハルトを目立たせるにゃ仕方あるまいよ。」

「閣下、唐突ですが設定が変わりました。既に店内で飲んでる状況だそうです。」

「おいちょっとまて、書き終わってから編集するんじゃないのか!?」

「めんどくさいって啓示がありました。」

「ふざけんな!こっちゃ空きっ腹なんだぞ!!飲む前に食わせろよ!!」

「落ち着いてくださいクレーフェ。既に神(作者)は飲んでます。手遅れです。」

「っはぁぁぁぁ・・・で?この話のオチも見えたんだが、一応聞こう。どうなる?」

「みんなで飲みすぎて記憶喪失になります。」

「やっぱそうなるか。ってかその手しかないか。本気で編集する気ないのな。」

「ありません。ぶっつけ本番でネットに上げるそうです。」

「あいつ『評価が怖い。感想Don't来い。』とか言ってなかったか?めっちゃ評価気にしてるし感想待ってるじゃねぇか。アホか?」

「クレーフェ、一応神ですから機嫌を損ねると・・・」

「これ以上の不幸なんてねよ!飯食わせろってんだ!!」

「ここに揚げたてポテトがあります。」

「やかましいぞルドルフ!いくらドイツ系ったってな、ジャガイモだけ食ってりゃ幸せってわけじゃねぇぞ!?」

「まあな。だがオーディンよりはマシな神だぞ。」

「また、いきなり話題が変わったな。で、オーディンがどうしたって?」

「北欧神話も大概なんだが中でもオーディンってのがロクでもねぇジジィでな。詳しくはwikiるかググれ。」

「なんだ?また投げやりになったが意味があるのか?」

「いや、普通に検索してくれってさ。書くのが鬱になるくらいらしい。」

「めんどくさいじゃなくて?」

「めんどくさいじゃなくて。」

「閣下。実は神(作者)は原作が嫌いなのですか?」

「んなことねぇよ。前作アニメOVA通販で買ってたしキャンペーンかなんかで帝国のマークが入ったクレジットカード作ってたし帝国のロゴやらタイトルやらが彫られたジッポも買ってたからな。ガチかどうかで言ったらガチ勢だと思うぜ。ただな。思春期の暴走だった可能性も否定できなくてな。今じゃ原作の内容からっきしだぞ。ただ、新作のキャラデザにはキレてたな。『リヒテンラーデ侯がかっこ悪い!なんだあの中途半端なリーマンみたいな格好は!』ってな。ガチガチの旧作ファンだな、あれは。」

「そうなんですか。ちょっと安心しました。」

「気を抜くなエルンスト。やつに隙を見せたら何されるかわかったもんじゃねぇぞ!?」

「大丈夫ですよクレーフェ。本文では編集する予定だそうですから。」

「編集するだろうが踊らされるのは俺達だぞ。」

「心配ありません。今回のことは酒で全部忘れることになるのです。ならば飲むしかありません。飲むなら楽しく飲みましょう。」

「ああ・・・そうだな。そうするか。エルンストはいいやつだな。いいやつは早死するぞ。気をつけろよ。」

「いきなり物騒なこと言わないでください!!」

「あはは。そのへんは大丈夫だろ。エルンストは軍人にしちゃ優しい方だがキレると怖いからな。神(作者)としても使い所が難しいみたいなこと言ってたぞ。」

「え、私ガチギレ設定あるんですか?」

「ある。まあ今は予定なだけで決定じゃない。」

「安心しました。私はあまり派手なことは苦手なので。」

「そのへんはマジで心配しなくていいぞ。戦闘描写はないからな。精々、何々があった~くらいじゃね?」

「本当ですか?」

「そもそも俺が主人公だぞ。中世じゃあるまいし皇帝陛下直々に戦場に出るとかありえねぇって。どこのなろう系主人公だっつの。ロマン砲なんぞ持ってないぞ俺は。」

「はぁ・・・?」

「エルンストにはわからなくてもいいことだよ。必要な知識なら啓示があるだろうさ。」

「はぁ。啓示ですか。便利な使い方しますねぇ。」

「ある意味、俺達は神(バカ)の代弁者だからな。啓示を受けて言わされることもあるだろうさ。」

「クレーフェ!?神(バカ)ってなんですか!?」

「キャラが立ってきた証拠だ。キャラの個性が神(バカ)の意思に反した行動をしだしたのさ。キャラが立つとな、神(ボケ)が『こう動かしたい』って願っても『このキャラはこんな動きしないよな?』って牽制してくれたりするんだ。意外と便利だぞ。まあ、キャラが立ちすぎると『使いにくい』とか言われて消滅させられたりするんだがな。」

「それはまた両刃の剣ですねぇ。」

「ま。オススメはしない。俺もなんでこんな立ち位置になったか不明だ。」

「ま、アレだ。『すべては神の気まぐれ次第』さ。気にすんな。」

「わかりました。」

「で、今奴は何してるんだ?」

「wiki読んで誰を登場させるか悩んでる。」

「今頃か!?」

「今回は完全に書き捨てだからな。正直どうでもいいらしい。」

「それに付き合わされる俺らってどうよ?」

「ま、神のオモチャだろ。今更気にすんな。」

「メタいですねぇ。本当に。」

 

 

アルブレヒト・フォン・クロプシュトック

 アンスバッハ

 

ケーフェンヒラー

 バグダッシュ

 

オフレッサー

 ビッテンフェルト

 シェーンコップ

 リューネブルク

 

クロイツェル

 オーベルシュタイン

 ルッツ

 

 

「お?おわったか?」

「みたいですね。」

「もうあれだな。コピペの仕方で誰がどんな仕事してるか丸わかりってのがな?」

「そうでもねぇだろ?」

「フルネームが一人だけですねぇ。」

「あいつも含めてフルネーム三人しかいないぞ。」

「まあ、あれだ。泣くなクレーフェ。」

「神(作者)は名前すら考えないんですか?」

「考えたくないってか、考えちゃいけないらしい。」

「それはまたどうしてでしょう。」

「ネーミングセンスがひどいらしくてな。とある件で姪っ子にギャン泣きされてトラウマらしい。」

「「・・・」」

「だからあれだ、そこには触れてやるな。やつは本気で泣く。」

「そうだな。そうすべきだ。」

「優しいですね、クレーフェ。」

「違う。変な名前をつけられたくないだけだ。リアルで姪っ子がギャン泣きだと?ネットじゃ大爆笑必至じゃねぇか。ふざけんなって話だ。」

 

 

私設秘書官筆頭;エルンスト・ファルストロング

私設秘書官筆頭補佐:アルブレヒト・フォン・クロプシュトック

私設秘書官筆頭補佐;アンスバッハ

 

情報担当秘書官:ケーフェンヒラー

情報担当秘書官補佐:バグダッシュ

 

陸戦担当秘書官;オフレッサー

陸戦担当秘書官補佐兼陸戦第一小隊長;ビッテンフェルト

陸戦第二小隊長;シェーンコップ

陸戦第三小隊長;リューネブルク

 

空戦担当秘書官:クロイツェル

空戦担当秘書官兼空戦第一小隊長;オーベルシュタイン

空戦第二小隊長;ワーレン

空戦第三小隊長;ルッツ

 

 

「私の名前が出てきましたね?」

「役職整理に必要だったんだろ。どっかにコピペって保存したな。」

「アルプレヒトは元々出てくる予定の人間だったからな。役職としても問題ないだろうけど、陸戦とか空戦とかなんだありゃ?」

「あいつが好きだったキャラらしいぜ。アクが強いヤツばっかりだ。情報はわかるが空戦と陸戦がわからんな。なにか仕込んでやがるのか?」

「啓示がありました。何か仕込む予定だそうです。私はいわゆる旅団長らしいですね。ルドルフ閣下の私設軍隊ですから正確な呼び方ではないでしょうけど。」

「民主主義の政治家の私設軍ねぇ・・・憂国騎士団みたいなもんか?」

「もっと軍事色が強いそうですよ。なんせ閣下の艦隊から引き抜いた人材ですからね。」

「そうなのか?俺はまだ知らないんだが。」

「今、全力でお酒の力を借りてるそうです。もうしばらくお待ち下さい。」

「うーわ、もう碌でもないって決定してるのか。」

「託宣がありました。原作世界は結構ひどい状態だったんだが、原作キャラが原作登場まで生き残ったのは祖先にそれなりの功績を残した人物がいて、たとえ貴族と言えども簡単には潰せなかったんじゃないか?って妄想した結果だそうです。」

「託宣まで始めやがった!!」

「妄想するのはいいけどよ、手を広げすぎるのは無謀ってなもんだぞ。」

「チラシの裏決定だそうです。」

「ま、そうなるわな。」

「じゃあ書くなって話なんだがな。」

「ティンときた以上は書かないと行けないそうです。」

「どんな使命感なんだよ。」

「で・・・だ。一応キャラ決定してんだ。出てくる可能性が高いんだろ?」

「それがですね。キャラ設定した時点で満足気味なんですよね・・・」

「うわ・・・やりやがった。こいつやりやがった。やっちゃいけないことやりやがった。」

「タイトル通りになっちゃったっぽいですよ?」

「酒に溺れたか・・・」

「タイトルは気合入ってるよな。タイトルだけは。」

「あと重大な報告です。チラ裏ってのは知ってるけどどうやるの?だそうです。」

「知らねぇよ馬鹿野郎!」

「どうするんでしょうね、これ。」

「ま、貼るだろうな。」

「自ら恥を晒すんですか?」

「書いて貼るって行為に快感みたいなの感じてるんだよ。止めようがない。」

「酒飲んでるしな。理性なんて残ってねぇだろ。」

「そうなんですか。」

「このペースじゃオチも思いつかないまま終わりそうだな。」

「嫌な予感バリバリだな。」

「本当だったら、設定したキャラとクレーフェが友好を結ぶエピソードを書く予定だったそうですよ?」

「じゃあ書けよ!って言いたいが書いたら書いたで碌でもなさそうだな。」

「オフレッサーとビッテンフェルトって時点でもうアレだよな。」

「・・・あー・・・うん。やめてくれ。書くなら違うやつ書いて。」

「彼等はとてもいい人ですよ?」

「あー・・・うん。エルンストには啓示が落ちてるんだな。」

「はい。まぁ今はあやふやだそうですが。」

「うん・・・わかった。もういい、もう終われ。」

「閣下?」

「さっさと貼ってもう寝ろ。そして後悔するがいい!!」

「公開で後悔ってか?」

「「・・・クレーフェ・・・」」

「・・・すまん・・・」

 

 

 

 

 

・・・三人の夜は酒と伴にグダグダと流れ続ける・・・

 

 

 

 

 

 

 



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