ワイはグリーン・ワイアットー紅茶の紳士の逆襲ー (Dixie to arms)
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ジオン共和国自衛軍の装備品等

60年代自衛隊めいてる。
まあパナマ市民軍とかはネタになんねーしドイツ嫌いだし┈┈


ジオン共和国自衛軍

 

連邦が最も遠いコロニーを管理する予算が足りないとして創設させた暴力装置。

ぶっちゃけ傀儡軍でありワイマール憲法やそれよりマシ程度の日本国憲法より憲法が緩いので治安出動や警察の支援もしばしば。

国軍だが公式には準軍事組織のややこしい連中。

しかし元軍人が多く、組織としての機能は充分であるが武装解除と残党の持ち出しでそんなに装備品はよろしくない。

さらに連邦の過激派連中によって艦船が制限されているが、護衛艦と言い張って誤魔化すと言うあほくさい必死の攻防もされていた。

 

【MS】

 

ザクMS-06E8型

 

地上軍の撤兵で腐ってた倉庫の肥やしのJ型やC型にFZのガワとバーニア等を取り替えた機体。

見た目はギラ・ズールの頭に幾つか外装が違うのだが、そもそも見た目をどうやろうとザクはザクである事に変わり無い。

特筆すべきは連邦軍から貰ったジム・コマンドーの大型エンジンであり、これによりバックパックを背負った兵士のようなシルエットをしている。

なお提供の理由は言わずもがなそんな古くて嵩張る奴より良いものが出来たからである。

戦闘装備としてアルミ等を用いたラミネート装甲の防弾チョッキでザク系列の問題だったコックピットの装甲問題を軽減、人員保護を強化した。

これは人命尊重と言う尊い理想と、貴重なMSパイロットという高価な資産を無駄にしないと言う現実を両立させた事である。

迷彩はNATOの3色迷彩に近い、要するにルクレールとかと同じ。

 

MS-06H型

 

FZのデラーズ軍改装型を基に作られた機体。

EZと戦闘装備に違いがあるわけでもないが、親衛隊装備だったので黒色に塗装されている。

 

ドラッツェ

 

自衛隊で言うF86やあやなみ型みたいな存在。

連邦セツルメント州軍も含めて制式採用が決定され、安価でそこそこ強力で汎用性と生産性に優れる防衛兵器として祖国防衛の第一線を展開している。

欠点は全く攻勢に向かないと言うことと、所詮ニコイチのセコハン兵器であること。

そう言う状況に対しての柔軟さはコアブースター等の本格的宇宙機に劣ってることは、否定出来ない事実である。

 

【火器】

 

MG-82

 

背部ランドセルとエネルギーベルトを接続してブッぱなすビームマシンガン。

基礎設計は戦時中に運用されていたもので、月面でシーマが使った固定設置式のビームマシンガンの直系。

┈┈ようするにMG3。

 

STG-82(82式小銃)

 

敗戦以前から話はあった各種弾薬共通火器類によって設計された物の発展による突撃銃。

単価が安く火力と精度を両立させ、生産性も抜群の工業製品として優秀な火器。

しかしそもそも設計陣はアナハイムの仕事をしていたが、無茶な要求に頭に来てバックレて帰国し起業した経緯で作られた不名誉な経緯もある。*1

 

MMP-9(90mm機関けん銃)

 

MMP-80が市街戦や要塞攻防で活躍したこと、そもそも宇宙機に120mmは過剰である事実を含めてMMP-80を基に製作。

結果として90mm弾をやたらに高精度高レートでバラ撒く弾薬代で破産不可避なサイドアームが完成。

財布と敵に重大なダメージを叩き込む。

当然ながら機関部の消耗もマッハであり、運用コストが高く贅沢品として生産性は芳しくない。

 

M20ハイパーバズーカ

 

連邦軍のハイパーバズーカを提供して貰った兵器、シュツルムファウストが対要塞兵器や対艦兵器に近い為、対MS戦ではこちらの方が優れているだろう。

もっとも素晴らしいことは連邦軍が腐るほど備蓄していた弾薬を共通出来る事である。

 

【艦艇】

 

<グワデン>及び<グレートデギン>

 

グワジン級の最後の生き残り、グレートデギンは武装解除され博物館展示物だったのを連邦式の再武装(要するに征途の大和)して前線復帰。

グワデンもデータリンク等を連邦と共通する装備に改修された。

この地球からもっとも遠いクソド辺境のジオンを護る最後の切り札である。(つまり現存艦隊ドクトリン)

 

ムサイ級

 

最終生産型に全艦改修された(元々の定数が少ない)主力艦艇。

え?ジオンの装備をそのまま使うのかだって?君、ここに菊月って言う護衛艦がだね。

なお数が少ない理由は最終決戦でダモクレスにより焼き払われたからである。

 

鷹野型護衛空母<ありあけ><ゆうぎり>

 

連邦軍のコロンブス改修型空母が貸与されたもの。

実はこれには元ネタがあり、1955年の際アメリカ軍が空母二隻を貸与するか検討していたことが元ネタである。

 

シュレージェン級蕎導航空巡洋艦

 

サラミス級を通商路防衛に改造した艦艇。

上部甲板をオッゴ格納庫にし、ムサイ級やジッコ等を指揮できるようにしたもの。

自衛隊で言うならしらね型とかにあたる。

 

*1G3設計チームの実話、スペインで無茶な仕様出されてバックレてHKでG3製作




誰か連邦との安保締結と治安出動、そこからのジオン自衛軍の武装決起(三島由紀夫の言ってた感じで)を書いてくれねぇかなあ。
公王のいない八月とかそんな感じのタイトルで┈┈。


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内戦編の各勢力

内戦編の各勢力です。


地球連邦(事実上のセツルメント国家)

 

地球連邦の正当政府、民主主義と人権を守護する者である。

民主主義故の問題も多いが現在の彼らの味方は民主主義故に存在しているし、民主主義故に彼らを潜在的に支持する消極的支持者も多い。

しかしその規模の大きさゆえに全ての反乱勢力からは狙われ、地球の州政府に疑問視もされている。

大きい勢力だが大きい故に問題も大きい。

共和党ルートだと明確に反乱勢力皆殺しルートだったのでジオン残党との和解とかは起きないが、セツルメント委員会が巻き返して選挙に当選した結果和解してみせた。

これが人の革新か。

 

標語

The Democracy forever! Hurrah, boys, hurrah!

Down with the traitor, up with the star;

While we rally round the flag, boys, rally once again,

Shouting the battle cry of freedom!

 

ジオン共和国

 

アルティシアを立憲君主に頂く民主主義独立国となった多分二次創作ジオン随一のまともな国家。

これよりまともなジオンとかどんなのなんでしょうねえ、と言うか原作がこうなってたら確実にジオン残党激減してそう。

漸く独立したのに内戦発生により連邦と組むしか無くなった状態である。

モデルはワイマール共和国と戦後日本を幾つか合わせている(空母保有とか)。

連邦と共に民主主義の勝利を目指して行くしかないある意味哀れな国家、敗戦国の末路。

 

標語

国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

-ジオン共和国憲法前文-

 

 

エンクレイヴ(ティターンズ枠)

 

【挿絵表示】

 

ジャミトフ率いる軍国主義派閥、瀕死の重病であり悪性腫瘍の罹患者たる地球を救うと言うのは良いのだが劇薬を用いた短期療法を選択した。

思想的には原作ティターンズよりFalloutのエンクレイヴ、メトロ2033の第四帝国とかのが近い。

ニュータイプを率先して兵器利用、改造人間上等であり人権の守護者を自称しているが敵対勢力は皆人間じゃないのでセーフ。

以前から軍人の少なくない数は連邦と民主主義に愛想をつかしており、史実と違いオデッサ核攻撃等で燻った反ジオン精神もあって戦意旺盛。

挙げ句彼らの穏健派でさえジオンと結託したと連邦を批判し和解困難。

なおエンクレイヴとは孤立した少数派を意味する。

 

標語

我々はこの瀕死の重病人の地球を救うために立ち上がった!

EARTH is Beautiful

 

 

地球優先協会

 

【挿絵表示】

 

マジキチ過激派右翼、キ印まみれの本作の右翼枠である。

因みに仮にFWWの共産主義者や民主党の軟弱モンロー主義者が当選したらジャミトフと結託して武装決起する。

思想的にはエンクレイヴと対してさほど差がない、そもそも元ネタのアメリカ優先協会は熱狂的なまでの徴兵反対と外征反対を主軸にしている。

まあもう一つの元ネタが攻殻の米帝なので、かつての夢と右翼思想と軍需産業の思い出が忘れられないのである。

パックスアメリカは成功するだろうか?

因みに選挙に当選した場合のルートだが軍部大量粛清である、失敗国家不可避。

勝利してもトラン○大統領みたいな金を持ってるだけのSNS中毒のが天国に見えるくらいのエンディングだろう。

 

標語

Make EARTH Great Again!

 

 

米ソ連合(FWW)

 

【挿絵表示】

 

本作の左翼枠、ビッグブラザーイズウォッチングユー!

赤色テロルと共産主義とルイセンコ農法、プロレタリアの革命的活躍による大衆英雄精神を総爆発させる。

元ネタは攻殻の米ソ連合だが、実情としては1984のオセアニアが近い。

そのため彼らの国歌は"ユニオンは汝が為に"であり、ニュースピークが公用語となり、やいやいと憎悪の声を飛ばし、逸脱した者を撃てと叫ぶのである。

幸福とは義務ですよ、プロレタリア。

幸福ではない?反革命主義か?Sinkpol(思考警察)とミニラブ行こうね!ちゃんと治療してあげるから!!

 

標語

brakechains(敵の鉄鎖を打ち砕け)

WorkersRevolution!

 

エゥーゴ

 

完全にアナハイムの私兵に下ったが事実上ビスト一族のマーサの指揮下にあるPMCである。

連邦軍等と渡り合える兵器を有してはいるが、勢力全部が薬物ガンギマリレベルの戦意をしている(民主主義防衛と祖国防衛戦争なので)のに企業的体質。

しかしまともなお給料(食料など現物支給)を支払ってくれる食いっぱぐれない組織なので、最低限の義務や命令拒否等は起こりづらい。

食いっぱぐれて失業者をしていた軍人崩れも多いので、質的には他勢力と同等に戦える。

イメージとしてはタイタンフォールのIMCの兵隊や、AC4の企業とかが近い。

またPMCなので公然組織非公然組織も多く、EO社のように水処理等の系列もある。

 




最近steamがおかしくなってモチベーションが低下、しかも不眠で言語に異常が出てるのか誤字が多いです。
修正報告をしてくれてる皆さん本当にありがとうございます。


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登場する改変及びオリジナル兵器類と人物(連邦編)

ぶっちゃけこれいる?
まあ一応


グリーン・ワイアット(最終階級大将"宇宙艦隊司令長官")

 

悪霊とも呼ぶべき主人公に憑依されてしまった紅茶提督。

そもそもとして出演作品が違うならかなりやれそうな感じだったのにコウと艦長の軽率な発砲に無茶苦茶にされた。

観閲旗艦が臨戦体制でもMSも出さずにいる時点で察しろオルラァン!!

結果として一足お先に星の屑になった。

本作ではギレンの勘違いと鬼畜ゴップ、割りと余裕のないレビルと多種多様な理由から逃げられない辞められない。

 

因みに公式設定が無いのででっち上げたが名家の出身、暗黒時代の五王国時代に存在したエセックスの出身。

したがってアーサー王との関わりももしかしたら存在するかも、程度です。

詳しくはようこそ!ブリテン島へって動画で当時の暗黒時代の事を扱ってるので見るように。

 

アイカ・ハーミーズ

 

北アイルランドのベルファスト出身、本作のヒロイン...じゃなく相方、故にアイカ。

名家の出身であるが父親と犬猿に近く、軍に入ったのもそれのせい。

母親がロシア出身であり母親から紅茶の良い淹れ方を教えて貰った。

元々はルナツーの需品科、医療品の横流しをしていた高級士官に着任した秘密調査官と勘違いされ集成艦隊に入れられた。

唯々諾々と主人公を脳死して陶酔するヒロインもツンデレ暴力ヒロインも嫌いなので皮肉大好きにした、

これは作者が「ただ単にマンセーなんか要らねぇよバァーカ!」と言う思想の押し付けである。

 

因みにハーミーズの名前は今まで考えてなくプラモデルが近かったから今決めた。

 

ワッケイン

 

公式で詩人設定のある感情豊かな人。

本作ではキャリアを目指す典型的連邦士官だが根性と覚悟はある感じである。

将校としての器質は充分。

没にしたがアイカ秘書官とのラブコメも考えてた、女性の扱いに慣れなくて戸惑うワッケインが書きたいだけである。

原作では戦死したが本作ではどうなるのか?

 

ゴップ統合参謀本部議長

 

最早語るまい俗物の鑑のごとき畜生にして軍政の魔物。

スライムのごとき不安定さとコンクリートのごとき思想硬直が起こる連邦政争の渦中をヨットでクルージングするような男。

戦後はイングリッドちゃんたちと菜園をしながら隠居した勝ち組END確定、どのルートでも死ななそうな男。

 

レビル大将

 

ステラリスで言う狂信的平等主義に近い男。

戦前より対ジオンの制裁を要求していた本作ではコリニー等からのある程度の支持を得ているが、ティアンムやコーウェンからは若干引かれていた。

しかし文民統制の軍隊と民主主義の防衛については本気である。

 

ティアンム提督

 

アウター設定のイスラム教徒設定を流用したトルコ国籍の設定。

所謂世俗的なムスリムであり、温厚な男。

時おり艦橋でコーランを開いているがコーランにはきっちり「有事ならその場での祈りも許される」とあるので問題ない。

乗艦は<ジブリール>。

 

ジャミトフ

 

本質的にギレンと同類の男、本作でのギレンはテイヤール主義の信徒であるので環境テロリストの極みみたいな性格。

ガイア論的思考でもあり地球と言う個体に沸いたバクテリアたる人類を適度に減らす必要があると考えてる。

ティターンズ騒乱がどうなるのか、まだまだ分からぬ。

 

ー連邦兵器類ー

 

マゼラン級戦艦

 

本作の事実上の主役メカ。

前期型はオリジン通りに副砲多め。

 

マゼラン級後期型戦艦

 

メカの進化により対空機銃が実質プラズマ化するまで熱され威力をあげている。

Iフィールド技術により実体弾を必要とするようになり、主砲は三連装になった。

噂ではハイメガキャノンを越える超兵器を搭載した戦艦<ヤマト>なるものがいるとか言われているが悪質なプロパガンダらしい。

 

アンティータム級空母

 

本作ではこっそりちょくちょく現れる。

 

トラファルガー級

 

艦隊型空母の完成形、立ち位置的には日本海軍の鶴姉妹。

本作では大規模戦闘では良く現れる。

 

鷹野型特設空母

 

完全にジープ空母、見えない縁の下でコッソリあれこれ。

安いし使い勝手も良いんだが所詮ジープ空母。

特設空母は所詮茶を濁す程度の存在よ!

因みに特設空母呼称は作者の海軍フェチ。

 

サラミス級

 

宇宙世紀での艦船のバケモン。

実用的なコンスティチューションと考えるとアホみたいにしぶとい。

 

防空巡洋艦

 

ごてごてと摩耶のように武装を積載した防空巡洋艦、作者がリアル巡洋艦摩耶が好きなんだよ!

その火力たるやシーマ隊を尻込みさせる程度に有用。

作品が進んでいくと火器管制も進歩してマリアナみたいになるので楽しみにしてて。

 

重巡洋艦

 

実体弾の連装主砲を搭載した砲撃型。

ウィチタやデ・モインに近い立ち位置。

 

アラン・ブイアール級駆逐艦

 

シルエットはレパントとさほど変わらない。

単装主砲を前面に3基(左右1、前面に背負い式に2)搭載しフレッチャーっぽい感じである。

 

ドラケン

 

武装と改造されたドラケン、過去の顔立ちどこへやら。

60mmとミサイル等を駆使して市街を駆ける姿に浮かぶ言葉はこれなんてガサラキ。

戦後の混迷期に放水や5mmプラスチック弾を装備した治安部隊のパト・ドラケンが確認された。

その内幾つかは現れたケンプファーと、ロンドベル第二小隊のアルフォンスと呼ばれる白黒ジェガンと、頭の壊れた白黒ジェガンによる回転式拳銃の射撃で破壊された様である、死者0。

 

ジム・コマンドー

 

当初開発が進めれていたジム・コマンド計画は何時しか拡大していった。

結果生まれたのがこのジム・コマンドーである。

LCACによる上陸のみならず30m以内の潜水に耐える機体は地球での作戦行動、特に東南アジア地域や欧州でも運用された。

しかしなによりも魅力的なのが積載と装甲である。

事実北米西海岸に近いバルベルデ島の敵を攻撃したジョン・メイトリクス氏は一機で200近いジオンの人員がいた島を壊滅、拉致された工作員を確保した。

彼の援軍到着時に発した「まだ誰か残っているか」にたいしての「死体だけです」はあまりに有名だ。

また島にいたジオンのエースであるグフ・プレデターのべネット機との一騎討ちは後世人気映画となり、連邦のみならずジオンの残党にも人気だった。

 

ガンキャノン・カグヅチ

 

重装甲重火力のろまな地上戦闘を気にしないイカれた連邦開発陣の極東過激派が試験した砲戦MS。

180mmロングバレルで貫通と威力を高め、後々アレックスに発展する増加装甲、単独で照準するために烏帽子のような長い頭。

火の神の名をつけられた本機体は、テストとしての任にあたったホワイトディンゴが運用した...らしいが不明。

オデッサの戦い、ジオンの絶対国防圏突破に際しても運用された。

英名はグスタフだが後年のグスタフ・カールは無関係。

 

ジム・ツーウェイ

 

アジア管区の機体。

二つの対空バルカンに両腕のミサイル、脚部フレアー発射器搭載のジムキャノンカスタム。

艦隊防空を念頭に入れて設計された機体はえげつない弾幕を展開するために存在し、地上戦闘に際してはドムを穴あきスイスチーズにする。

しかし冷却や弾薬を考えれば全火力を投射する事も早々ないのはすぐに分かる。

真価は複数機で展開する制圧射撃であり、個人芸より集団を重視する連邦らしい機体。

 

ツーウェイは針ネズミの意味

 




グフ・プレデターは灰色を基調とした迷彩に肩にキャノンを搭載した遠近対応グフです。
しかし蛍光色の燃料パイプが多く、緑に発光するので追撃されやすくもあります。
特殊作戦向けグフであり本作ではランバ・ラル隊の機体として出ます。
ジム・コマンドー「なんと・・・醜い顔なんだ・・・」

誰かマジででっち上げてくれ、ミキシングと塗装で結構イケると思うんだ。


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ジオンについてのアレコレ改変した奴とかの解説

こっそりと掟やぶりの投稿、どうせ設定である。


ギレン・ザビ

 

ステラリスで例えると軍国狂信的精神主義者+教えを説く狂信者。

テイヤール主義的ジオニズムの名の下に民草をオメガポイントに押し上げんとしている。

原作では選民主義的環境論者と言うべき、独善的なシオニストみたいな思想だった。

しかし選ばれたスペースノイドと言ってもあんな時代に自分等から同じスペースノイドをぶち殺すキチガイ国家じゃザンジバル戦争レベルにボロクソ不可避故にどうにかすることになった。

結果としてコロニー落とさない条約は守るわ戦後を第一に考えてる究極生命体的ギレンになった、正直に言って作者さえ操れる気がしません、ロッチナさん怖い。

 

【テイヤール主義】

 

一言で言うと「人間は神様と同じ地平に到達出来る」という理論、バベルが何で崩れたと思ってるんだ。

しかし人の進化というニュータイプ理論におかしなほど合致する、もしかして富野監督知っていられる?

作者がシオニスト嫌いのパレスチナ人民派閥故に本作のジオンはテイヤール主義的なジオニズムを崇めている。

 

 

キシリア・ザビ

 

原作と同じく戦争についての素人、完全に君側の奸と言っても良いかも。

ソビエトで言うベリヤのポジション、ヤゴーダやエジョフとも言える。

ただ元ネタ的に言うならゲーリング(及び黒いオーケストラ)。

自身の面子を丸潰れにしたワイアットに恨みを抱いているザビ家唯一の人(ギレンやドズルは好敵手又は越えるべき壁と考えている)。

故に主人公が生きるためにはどうにかせねばならない。

 

ガルマ・ザビ

 

原作からして若さゆえの未熟さを有しているが非凡と言える男、そもそもザビ家で唯一前線たる地上に身を置いている。

本作では徹底的プラグマティストにして合理主義者であり正直チートである。

元ネタ的に言うとマンシュタイン+シャハト+ルントシュテット的な存在、原作と同じくイセリナと交際中。

作戦の根幹を成す数字をぶっ壊すワイアットにはキレるものの、敵にとっての最善の手段故に恨んではいない。

しかし自軍の非効率については人一倍五月蝿かった。

今日もシャアが"修正(アンパンチ)"される、可哀想に。

 

ドズル・ザビ

 

原作からして軍人らしい数少ない戦略担当を可能な人間。

彼の言葉に素直にやり、原作ギレンがアホやらなきゃ無理なく勝てただろう。

本作ではムンゾ防衛隊の後援者にして、元連邦軍大学の経験があるという設定、軍人を育てるって大変なんだから仕方ないんだよこの設定!

国軍の代表であり、信頼も厚い。

本作ではどうなるかはおたのしみ。

ワイアットに対しては越えるべき目標と認識している、彼の性格上対等に命の危険に身体を晒して戦うなら連邦軍人も関係なく敬愛するのだ。

 

武装親衛隊

 

ギレンの実働戦力であるが、あまり装備品以外に秀でていない。

因みにだが作者は荒巻作品に倣って出演したい方を募集しようかと考えたが、グルッペンなんちゃらとか言うHOI芸人の武装義勇師団"おまいら"思い出したので止めた、パクリやんけ。

それでも出演したい方はどうぞメッセージで適当な氏名と年齢性別を記述の上送信してください。

阿蘇要塞とかロスアラモス攻撃とか琵琶湖要塞とか行くことになるかも知れませんけど。

 

ジオン軍

 

宇宙軍及び地上軍の二軍で構成されている。

地上総軍司令部と、宇宙総軍司令部が存在し両者の上に総帥府(大本営)がある。

宇宙総軍司令部に軍令部があり、艦隊司令部や商船隊、護衛総隊がある。

地上総軍司令部は参謀本部を有しており、キシリア機関は総帥府ではなくここのG-2(情報関連部門)という設定。

地上総軍司令部の見た目は朝鮮総督府を想像し、宇宙総軍司令部は関東軍司令部の見た目である。

要するに作者の発作的右翼主義または懐古趣味。

 

ジオン宇宙艦隊

 

操縦一流度胸も一流、しかし砲術や艦隊に劣る。

連邦宇宙軍との大規模決戦には向かない、事実原作では青葉区で退却援護もろくにないまま壊乱して逃げ去った。

IGLOO終盤の組織的崩壊はどうみても艦隊戦に不慣れとしか思えない、事実連邦との艦隊戦でジオン軍はルウム以外はろくに勝ててない。

対する連邦宇宙軍は60年くらいの自衛隊レベルに張り子の虎だったF91でも後半には組織的反撃戦を開始し連携を見せている。

以下の考察によりジオンは積極的反撃に出なかったと推測し、本作の未熟なジオン艦隊とその差を埋めるMSを設定した。

ちなみに艦艇名がドイツ系とアイルランド系なのはサイド3の建設スポンサーにして移住者がドイツとアイルランドが多かった事という理由。

決して作者が戦艦少女Rプレイヤーでティルピッツが好きだからではない、いいね?

北宅カワイイヤッター!

 

ジオン海兵隊

 

第1~3MEF(海兵侵攻軍)を有する斬り込み部隊。

また海軍歩兵師団を有するが此方は完全に役立たず、ゼーロウ高地みたいなもんである。

 

ジオン地上軍

 

遠すぎる兵站に悩まされる哀れな兵隊たち。

モデルがバルバロッサ作戦なので悲惨惨憺阿鼻叫喚。

幸い日本軍と違い海軍が真面目に仕事してくれるし努力もしてくれるというありがたさが唯一の救い。

 

【挿絵表示】

 

歩兵は上記の画像のように長銃身の小銃、MS乗員等はG36Cのような短いライフル。

テッパチは基本的にケプラー繊維等で強化した東ドイツ軍ヘルメットだが、コロニーの適温に慣れた兵士は地球上では略帽を好んでいた。

なお構想の中ではG3A3ではなくG11にしようか迷ったが、撮影に際して作者のArma3MODにG11が無かった。

特殊部隊は持ってるって事にしておいて下さい(MOD入れすぎでクラッシュとフリーズ多発なんや許してや城之内♂)

 

ジオン地上軍航空支援群及び海上支援群

 

完全に陸軍の船舶隊と航空隊である。

まあ指揮の効率的に仕方ないが。

 

北米軍

 

ガルマ指揮下の部隊、欧州制圧の立役者でもある。

現在司令部は潜水艦からのミサイル攻撃でピッツバーグに移転。

装備のあちこちが連邦と同じである。

 

欧州軍

 

壺の少将が指揮する方面軍、オデッサを中心に欧州を席巻。

しかしドニエプル川などの大河の向こうに展開するロシア軍や、エディンバラを絶対防衛線とするイギリス軍と言った脅威もある。

現在司令部はベルギーの元NATO司令部施設だが、壺の密命により各地の遺物や遺産はバチカンに運ばれている。

大英博物館の物品も移送、なお聖杯等については特殊部隊ラストバタリオンが捜索中らしい。

 

アジア方面軍

 

バイコヌールを中心に展開する部隊。

シベリア独立に伴い拡大編成、西からロシア機甲軍東から中国軍、南からインド軍が迫る。

 

オセアニア遊撃部隊

 

戦略撹乱部隊の一つだがかなり孤立し、戦況の変化で忘れられつつある。

 




ステラリスとHOI2、買おう!(熱狂的販売推進派)
とりあえずHOI2DH買え、ジュース代をケチれば買えるから()。


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【番外】作ったが出番のない地球連邦とMSの成り立ち

富野メモとおり初代ガンダムを2170年代にやる為の設定
しかし作ったが出番を用意してやれなかった


1【基本上から目線のシレーヌさんと学ぶ歴史】(宇宙軍検閲すみ)

 

おはようございます、私はシレーヌ・ベル・プルです。

名前の由来はフランス軍の艦艇一覧から名付けられ、ベルの名前はヘリコプター会社の方からだという事実を唐突に暴露するシレーヌです。

小賢しく五月蝿い声の大きい(学識ある)読者の皆様にこの地球連邦の歴史を教えたいと思います。

まず宇宙世紀成立に至るまでの歴史ですが、特に変わってはいません、1980年代のある出来事を除けば皆さんと変わりありません。

何故か日本の帝政が崩壊してないとか*1、大戦中に神出鬼没の黒き月からの怪物が来たり*2、特務自衛隊が出来たり*3、小笠原諸島近くに宇宙船が落着したり*4とかはありません。

まあ作者の性癖で完全一致という訳ではありません、モンタナ級戦艦が竣工して投入されたりシャイアンが実用化されたりしてますが。

では何があったのかと言うと、現実でも起こりかけた事件が別の結末を迎えました。

80年代のNATOは大演習を計画し、その為の準備を先制攻撃の恐怖に刈られたソ連は先手を打とうか考えました。

現実ではKGBやGPUな連中が演習と結論付けて解決しましたが、この世界ではそうはいきませんでした。

え?何で先制攻撃なんて考えたのかって。

国家戦略は基本最悪を想定するって事くらいお分かりでしょう頭の中身はメロンパンでしょうか?

そんなわけでWW3開戦、ちなみに本作の極東軍がえらく旧軍的なのは国軍昇格に成功し改憲されてるからです、そんな武装で軍隊ではないと言い張るのは無理でしょ

すったもんだ有りながら核兵器投入一歩手前まで行ったけど停戦、東西冷戦は人類の破局を起こしかねないと双方は雪解けを選択する。

 

その後はグローバル化、宇宙開発等が進んでいき地球を資本主義が覆い尽くそうとしていく。

国連とは別に地球統一準備政府構想が進み、ついに西暦2100年を目前として人類は地球連邦成立を見るのである。

え?ソ連の崩壊?2100年代の技術でコロニーは不可能?

当時SFよりあり得なかったんだよソ連の崩壊は!!

さてその後の地球連邦は概ね原作通り、しかし地球連邦と言っても公用語はともかく統一言語はムリムリ。

これには国際資本の資源搾取と利権対立で代理戦争をやらされたアフリカ大陸のダカールを首都としたからでもあります。

更に言えば、人類は主権国家の枠は捨てられても自分達の歴史や言葉は捨てられる訳なかったと言うのもありました。

破滅を目前とした結果主権国家は辞めれたが、対立の垣根は潜在的に残っていた訳である。

 

まあ結果として内戦という形で経済的不均衡、民族対立、宗教問題、イカれたカルトが大量発生致しましたから世話ないですね。

それでは皆さんごきげんよう、この世界ではクリスタルパレスは残ってるようですからごゆるりと!

 

2【テムレイによるMS解説】

 

さて、今回私が諸君に語る話はMSと言う破滅的イノベーションについての話だ。

お好きでしょう、メカの話?私は好きだけど。

では皆さん、本作のMS開発の系譜を御話ししましょう。

 

まず遠い御先祖、動力つき建設補助装具。

え?ロボットじゃない?MSは?やかましい、黙って聞くように。

此が開発されたのが1990年代、冷戦の終結と世界が安定し高層建築現場は勿論各国で建設に運用され、革新的建設関連装備として誕生した。

つまりMSはもとを辿るとクレーン車のような、身近な建設業の道具だった。

無論軍隊もこれに着目、戦闘工兵装具として装甲を取り付けたものもある、後々のプチモビの系譜でもある。

 

そして兵器として開発されたのが装甲歩行戦闘車両。

とはいっても人の形ではなく、四脚や六脚の車両で脚の生えたAFV、自走砲と呼ぶべき代物だ。

 

さて宇宙世紀に入ると建設業は大きな飛躍を無理にでもするしかない技術要求を行った。

そう、モビルワーカーの誕生とコロニー建設ラッシュだ!

宇宙空間と言うそれまで全くノウハウのない世界で新天地を開拓するべく技術者はあの手この手で開発した。

後々のジオニック社の社員もこの時期の開発に関与している、無論私も開発後期に参加した。

結果として大型MMU程度に過ぎない物があった程度だったのに、瞬く間に蛇の目の花園的な絢爛豪華なプロトタイプ祭りとなる。

要するに世界的ビッグウェーブだったわけだ、かつてのグラマン鉄工所も30人程度の町工場だったのと同じだな。

 

宇宙世紀60年代、ミノフスキー理論確立による小型常温融合炉が誕生した。

正しく世紀の偉業と呼んでも過言ではないだろう!まあエネルギーなんて有れば有るだけ使い道が生えるから問題解決にならなかったが。

しかし、これによりモビルスーツは大きく進展を見せていく。

ジオニック社やツィマッド社の自称大型多用途MMUや多用途作業機械、つまりザク1やブグの誕生がそうだったのだ。

 

さて地球連邦も遅まきながらモビルスーツ開発を行った。

しかし私のガンダム計画はコストが高すぎると難色を示され、ジム計画はコストと性能を両立させる事が難しかった。

先行されて作られ安定していたガンキャノン初期型は構想がAFVの延長線上の存在でしかなく、F/A-06と読んで良い多用途を誇るザクに無力だった。

 

そこに一筋の光がはいった。

そう、ワイアット提督の取っつかまえて来たザクだ。

高コストを押さえつつガンダム計画を本命とし、ある程度中抜きして統合されジム計画は進展する。

ザニーと言う技術試験実証機によって難点をカバーし、ある程度はガンキャノンとも共通規格なのを利用してジム・コマンドーやジム初期型が製作された。

この共通規格、これはガンダムやジムを大きく支えた。

要するに予備の部品の塊から一機をでっち上げて見せることなど、全く無理がない事であった。

生産性の塊、合理と必然と必要である。

 

因みに蛇足だが本作の内戦編で登場したザニーだが、あれ正確にはDTAP(デトロイト戦車及び兵器工場)製ザニー+とかと呼ぶべき代物なんだ。

胴体と腕はザク初期型、エンジンは連邦軍の試作品、脚は確かF型ザク、腰は陸戦型ジムなんだ。

それに運用するOSは改善されてるし、FCSとかも違う。

なんと言うか、そこまでして使うのかと言いたくなるが生産できるんなら仕方ないな!

 

3:おまけ【シーマさんとアイカさんとシレーヌさんとマチルダさんの飲み会(不適切用語が多く含まれております)】

 

「クリスマスは何としても休みたい」

 

シレーヌの──女性がしていいアルコールの匂いではない──口から出た言葉がすべての原因と言えた。

 

「で、なんだってクリスマスは休みたいの」

 

悪酔いして泣き上戸と化したシーマ大佐に絡み酒を敢行するマチルダ大佐を横目にアイカは尋ねた。

もっとも理由はある程度分かっている。

 

「どうせあんたのチェックポイントチャーリーを通したいだけでしょ」

 

女性しか居なくなったアルコール混じりの会話特有の品性のない単語が飛ぶ。

 

「と言うわけで書類関連手伝っ」

「割礼すみか知らないけど汚いあんたの[不適切につき検閲]をPT(しごかれ)たいの?

そこらのアイルランドのクソ芋どもみたいな知性した連中よろしく盛ってんじゃないわよ*5

 

ワインを飲みながらそう吐き捨てるアイカに、机を叩いてシレーヌが怒鳴った。

もはや両者に理性はない。

 

「あぁんファショダ事件以来うちらに手ぇ出しやがって!

こちとらクリスマスくらい戦争と軍隊忘れて女に戻りたいんだよゲロマズ島国がぁ!」

「てめぇバカか!だからお前のところの将軍神経梅毒なんだろうが!

どうせなら革命記念日にヤッてろサレンダーモンキー!!」

「革命記念日にロマンチックもクソもあるか!!」

「赤旗みたいに頬染めてれば大概の男靡くだろうが!!」

「特殊銭湯のねーちゃんみたいな悟りしてんじゃねぇよおぼこがァッ!」

「やかましゃあばかども」

 

顔が赤く染まったシーマがスキットル片手に二人の頬をぶっ叩く。

 

「なーにがクリスマスだ、クリストローゼ作戦なんか成功しないさね」

「今年も独身の貴女が言うと違いますね」

「なんだぁ、てめぇ」

 

シーマ、キレた。

 

「この腐れ紅茶のウンターメッシュ(劣等人種)がてめぇも彼氏なしだろうが何一丁前に口からクソ垂れてやがる腐れ[載せると消される単語]!」

「あぁん!?下手に出りゃ調子乗りやがっててめぇの祖国もっかい分割するぞごら!!」

「黙れカス!30越えてるあんたよりずっとましじゃ私は27よ!!」*6

「うるせええ!こっちは原作者の野郎が中途半端にセンチネル設定を流用した作品だったからじゃ!

第一てめぇが新品だろうが誰も気にしねぇよ!この作品の女っ気は艦○れより戦艦の比重重いんだぞ!」

「作者のストライクゾーンが20前半から30中盤の性癖のせいだから仕方ないだろうがそれは!

てめぇのキール運河はずっと閉じたまんまだけどちげぇんだよ!!」

「じゃかましいわチラッと出た戦後のてめぇも独身の老婆のくせしやがって!

あのクソ提督とくっつくとかしねぇから毎回の感想欄がむさいオッサン達のサロンになってんだろうが!」

「作者がアレ書いた当初の原案は打ちきりに使う予定の奴を面倒くさがって流用したからだ!

そもそも提督年齢的に犯罪的過ぎるんだよ!!憑依してる奴だって30前半の官公庁が職場の人だよ!」

「てめぇなにさらっと暴露してやがる」

「大体な~このハーメルンにどれだけこうも頭キマッたネタとパクりまみれの作品好き好んで見てるバカが──[以後検閲]──

 

*1マブラヴ

*2ガンパレードマーチ

*3ガサラキ

*4マクロス

*5典型的ブリティッシュの思考

*6初登場時で24、シレーヌが現在26です




このあと全ての記憶を無くした4名が頭痛と共に起床、本編に至る。
シレーヌさん26、アイカさんは27です。


どのルートでも楽しそうなテムレイ。
技術屋武装決起ルートはないです。

因みに連投です、今日と明日も本編が投稿されます。
お陰で寝れません()


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|ArsenalOfDemocracy《民主主義の兵器廠》 序章 オッスおらワイアット!

ふと紅茶提督が書きたくて・・・書いてしまった。
ワイアット提督シニカルで好き。


UC0078年、12月8日。

連邦軍欧州艦隊旗艦<プリンスオブウェールズ>の艦内。

 

一瞬、奇声をあげかけた彼はゆっくりと寝台から身を起こし、そこが自室でないと気付いた。

何故ならば自身の物ではない記憶が、ここを何処かを教えてくれたからだ。

マゼラン級戦艦の士官用個室、行けるはずがない場所、次元の向こう、二次元の世界。

どうしてこうなったのだ、天は我らを見放したァ!

 

これは総人口の半数を失う地獄の戦争を紅茶狂いが生き残る為に戦う物語。

 

 

─《開戦直前までのあらすじ》─

 

あるコロニーの独立運動が激化し、ジオンを自称する独立国家が生まれた時、地球連邦は冷ややかに見ていた。

経済制裁と警備艦隊による軌道封鎖による通商の妨害等で干上がるのは眼に見えている。

しかし現実は想定通り行かないものだ、企業からのリベートを受けとることしか能がない議員たちの妨害が早急で効果のある対策を阻んでいた。

 

76年には漸く地球防衛を主眼とする連邦艦隊増強計画が始動したが、それは純軍事目的と言うより失業者雇用の観点が強かった。

彼のかつていた国の軍隊、自称自衛隊なる組織やアメリカ軍もそうであったように軍隊はいつも食いっぱぐれの味方だ。

そして軍拡は常に反対によりその目的を阻まれる、地球統一政体ならなおのことだ。

かつて存在した全ての軍隊が社会学的に暴力装置である、そして軍隊が膨れ上がると大概国も破綻する、無論財政的観点だ。

ナチスドイツも、大日本帝国も、ソビエト連邦も、皆軍事予算に耐え兼ね亡国となった。

まして外敵が小さく見えたこと、危機感を沸かせるプロパガンダに失敗したことで計画は満了されなかった。

後々この計画はビンソン計画と改称されるが後の話とする。

 

対するジオンは真逆であった、メフォ手形めいた国家的詐欺行為からジャンクポンド債まで投入、数的劣勢は国力差を感じない程度の--それでも連邦が六倍だった--戦力を揃えた。

返済?連邦からどうぞのつもりだったが。

 

人員の質は総合的に見てジオンが優位だった、連邦はただのパートタイム兵士だからだ。

無気力で意欲にかけた散文的な兵士が多数派で、60年代の自衛隊や機動隊めいたグレた連中も多かった。

しかし訓練の質は連邦が優位だった、満足ではないがジオンより遥かに多く航海と演習と、豊富な機材が貰えたからだ。

特に実弾演習はジオンより80倍以上で、新人でさえ射撃をしている。

理由は簡単、古い弾薬を今のうちに撃っておいて新しいのをねだるためだ。

 

結果として、両軍は数的質的に然程差はなかった。

……ミノフスキー関連技術を除いて、だが。

 

─《状況確認》─

 

落ち着け落ち着け、私はグリーン・ワイアット、0083で死んだ奴でCVオタコンのやつ。

何でか知らないが、いまここはガンダムの世界らしい。

帰れるかは知らないが絶対に帰らねばならぬ、いっそ降伏……いやいけるの?今はいいけどそのあと殺されかねん!

相手は"あの"ジオンだよ?大義のためにとか言いながら故郷と言うべきコロニーを爆弾にするしNBC兵器すら平然と使う連中よ?

あぁもう思考が回らん!!俺は紅茶キメるぞジョジョーッ!!

 

(紅茶の葉をキメる)

 

ふぅスッキリ。

キャッスルトンストレートフラッシュ(数万円相当)とかさすが高級将校、良いもの飲んでる、俺はlintonしか飲んでなかったが。

うん、大事なのは生き残ることだ。

総司令部に上手く取り入ろう、目指せ辻政信。

 

「さて、私の立場は」

 

時代が違えどパソコンは変わらない、見た目がWindowsの98レベルだがこれは創造主の技術年代のせいだな、原作1970年代だっけか。

調べて見ると私が居るのは……は?待て待て、特別集成艦隊?なにこれ。

人員名簿に輝く堂々たる司令官の文字、グリーン・ワイアット、小沢か南雲か、西村提督でも良いから変わってくれ!

副司令官は戦艦ルザルのワッケイン、初代からのいぶし銀的キャラだし有能だった筈だ。

作戦配置の図を見ると我々はジオン警戒のために警備出動している艦隊らしい、警備出動で戦艦を投入出きるって豪華っすね、さすがですわ。

 

「どないしよう」

 

確かあいつらが来るのって来年の正月だろ?予定ではクリスマスに帰れ……途端に嫌な予感する辞めよう。

しかしこれはチャンスではないか?ルウムに生き残りルナツーに籠れれば以後安泰だ、ロリコンシスコンマザコン変態仮面はワッケインに押し付ければね。

人員名簿には艦隊幕僚の名前もあったが、原作キャラは居ない。

私の秘書官アイカは美人な女性だが、穏和な笑みを崩さず皮肉を言える典型的Britishだ。

 

 

【挿絵表示】

 

「司令官!起きていますか!」

 

噂をすれば影だ、アイカ秘書官が切迫詰まった声でやってきた。

……待て、彼女を慌てさせる理由って?

 

「起きている、何だ?議会が永久解散でもしたか」

「そうなるかも知れません、宣戦布告です」

 

は?

 

「エイリアンでも出たか?三脚戦車でも出たのか?」

「ある意味正解です、二足歩行兵器です」

 

え、うそ、まじで?

 

「ジオンが宣戦布告したんですよ」

 

史実と違う世界だこれええええええ!!!!!

 




アイカ秘書官の性格は基本的に美人なヤン提督です、つまり皮肉とお給料と紅茶と民主主義で動いてます。


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一週間戦争の開戦

ワイアット提督って制服組にあたるのに、ザビ家暗殺計画立ててるの辻政信みてえだな。


ああああああああああ!!!!!!

ワイアット(偽)は叫びたくもあったが、堪えて表向きはこれから起こる人命の損失に心痛ませる指揮官を演じる。

頭のなかではコソボはセルビアが立川爆音上映しているレベルだが、顔と口調と口先と舌は慌てず騒がす落ち着いて、これBritishの本懐なり。

 

「状況報告、上からの指示は?」

「まだなにも」

 

アイカと共に艦橋に上がりながら、事態を把握する。

見とけよこれでも歴史オタクだかかってこい一つ目の悪魔めばっちこーい!

俺たちは健康優良不良軍人だぜよたよたのスペースノイドに舐められてたまるか!

艦橋に上がると、艦長が敬礼しそれに答礼して何かあったか尋ねる。

 

「敵のECMとジャミングで長距離通信は雑音が多く……」

 

ファァァック!ミノフスキー博士いつか殺して……もう死んでるか、植民地の田舎者ヤンキーじゃないんだから落ち着いて落ち着いて。

仕方ないので立体的輪形陣にし、各艦相互に援助出来る陣形をとらせる。

対空陣形、対宇宙戦闘機相手の陣形がMSに役立つか分からないが、無いよりマシだ。

ここでワイアット艦隊の編成を記そう。

戦艦4

<プリンス・オブ・ウェールズ><ダンケルク><ルザル><デュークオブヨーク>

トラファルガー級艦隊型正規空母2

<アークロイヤル><オーディシャス>

巡洋艦10

<ロンドン><ド・グラース><シャトールノー><デ・ロイテル><エメラルド><ダイドー><フィジー><エジンバラ><セイロン><シリアス>

5個駆逐隊(この内二個駆逐隊は空母護衛)

軌道封鎖に何時でも移れる艦隊規模である、史実においてキューバを封鎖したアメリカ軍のTF136が空母8を主力とする艦隊であったのを考えるにとても強力だ。

でも逆に言えば、これは要するにジオンにとっては第一次攻撃目標なのだ。

よくわからない?我々はパールハーバーのキンメル提督の後継者にさせられちまうって事だよ!

ワイアットは心のなかで「なんてこった!」と思いつつ索敵の為に偵察機型セイバーフィッシュを飛ばして目を拡げる。

どうやら本艦隊には利根は居ないらしい、カタパルトは正常だ。

 

 

ワッケインは忸怩たる思いで居た。

キャリアへの道に乗れたと思えばよく分からん提督のもと地球を離れて辺境に威張るだけの仕事。

38歳で大佐になれたし艦隊副司令官になれたが将軍への道は遠くなっただろう。

なにせいまや戦争ゲームのプレイヤーに無理矢理たたされている、なんと世は理不尽なことか。

 

「寒い時代だ」

 

制服組でも背広でもないワッケインは、当時恩師の派閥であるレビルの派閥に居た。

彼は以前に軍大学の講義をしていたレビルをよく知っていたのだ。

従い、ワイアットと言う特段パッとしない将校の指揮で戦争をやるのは面白くないと考えている。

まあゴップ将軍の指揮よりはマシだ、と心のなかで苦しい鼓舞をしているものの無理がある。

何せゴップ将軍は経済学に関する論文から軍にスカウトされたバリバリの背広であり、軍政の専門家だからだ。

 

「ん?」

 

前衛駆逐艦のヴァンパイアからの発光信号が入った。

 

《右舷4時の自由浮遊小惑星より艦影らしきもの見ゆ。》

 

いらした、と言うよりおもてなしにきた。

ワッケインはワイアットからの命令に首を傾げた。

 

《各艦陣形を維持しながら砲撃戦用意、空母は陣形中央に。

右舷4時に変針》

 

なに?陣形を維持しながら砲撃戦?

ワッケインは何を考えているのか分からなかった。

まさかずぶの素人か?

ワッケインは仕方なく通信をすることに決めた。

 

「閣下、防空陣形ではなく砲戦の陣形を取るべきではありませんか」

 

ワイアットは落ち着いた口調で言う。

 

《射程、火力、装甲において連邦艦が上回っているのだ、何故慌てる必要がある?

敵の狙いは不利な艦隊戦ではなく艇を用いた近接戦闘になるのは必定だ》

 

ワッケインは意外と知恵のまわる指揮官に驚愕しつつ、提案を取り下げた。

確かに筋が通っていて、納得させられる。

最もこれはワイアットの適当な誤魔化しだった、MSの脅威を上手く西村艦隊を襲った米軍の夜襲をもとに摩り替えただけである。

 

 

ワイアットは識別されるデータを読み上げるオペレーターの言葉に驚愕した。

 

「戦艦1巡洋艦6駆逐艦9に突撃艇24だと?」

 

ワイアットは知らなかったがこの時相手にするのはジオン親衛隊のデラーズフリートだ。

ジオンは邪魔なワイアット艦隊を追い散らす為に出し惜しむ事はしなかった。

しかも複数の策さえ練っていたのだ。

 

「敵の突撃艇と駆逐艦が速度を上げました!」

「セイバーフィッシュ制空隊発進、各艦統制対空戦闘用意。

ECMスタンバイ」

「アイ!対空戦闘用ー意!」

 

海軍式の抑揚で戦闘に備えが一気に臨戦体制に入る。

動きの洗練さはジオンの一夜漬けの軍人を越えている、たかだか10年やそこらでセーラー(海軍軍人)は完成しない!

スポンジのように知識を吸い込んでいった大日本帝国は40年で世界三位の海軍を有したが明治維新以来の無理難題と無茶をしてなお40年だ。

戦後の海上自衛隊も50年かけ列強海軍として再建された、経験と資金ある日本でさえ。

アメリカも太平洋戦争の緒戦で人的損害を被ったが、もしレイテ突入が成功していれば1年ほどはガタついていただろう。

人的資源は金塊より価値ある戦略資源だ、大事に使おう。

まして、艦隊特攻なぞ論外だ。

その程度しか浮かばん島国の慶応地下GFの失態これくしょんのアホには分かるまい。

 

「接近する敵舟艇、なお近づく」

「まもなくミサイルの有効射程」

「艦上機の発進終わり」

 

報告を聞きながら、指示を行う。

 

「艦上機は引き続きCAP任務を続行せよ。

巡洋艦はミサイルで牽制、駆逐艦は対空戦闘に備えよ」

 

さてどうなるか。

一番近い<シャトールノー><ダイドー>の二隻が両舷のミサイルを射撃し、続けてマゼラン四隻もVLSを打ち上げて阻止攻撃を行う。

すると予想より早く敵が撃った、ギリギリの距離だ、これでは迎撃しなくても回避できる距離だ。

無論それはその筈だった、積んでいたのはそんなことを気にしなくて良い弾頭だった。

 

 

それはミノフスキー粒子の吹き溜まりになる位置に潜んでいた。

複数のジッコに、特別仕立ての核バズーカを装備したC型ザク。

そのなかに、あの男も居た。

 

「再びジオンの名を叫ぶ時が来たのだ、多くの声が無駄でなかった証のために」

 

しっかりと画面に艦隊を納めながら、アナベル・ガトーは呟いた。




艦隊艦名は英仏蘭の三か国からです。
次回敵機直上ォ!急降下ァッ!


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狙い定められてる、俺がターゲット~(白眼)

相変わらずふざけたタイトルだ


ガトルが搭載していたミサイルは、ただのミサイルではなかった。

ビーム撹乱膜、連邦軍艦隊に対抗するジオンの試作兵器だった。

それは迎撃されることで拡散し、なお示威的行為を続けるデラーズとの砲撃戦を開始した連邦軍にとっては驚愕であった。

先程まで「ジオンの乙女とタンツを踊ろう、無論紳士たる我らがリードして」と言えたがこれはちとまずい。

確かに現状の主導権は未だに連邦次第だが、ワイアット(改)自身は正直気乗りしてないので上からの指示を期待していた。

 

「これでは弾薬の無駄遣いだ、命よりは安いが」

「接近しますか?」

「うむ、ゆっくりと追い詰めよう」

 

連邦艦隊はゆっくりと近づき、デラーズは焦燥感を抱きつつ撹乱膜を越えようとする敵を見ていた。

予定なら、そろそろだ。

その時であった。

 

「敵機直上!急降下ァッ!」

「来たな伏兵が、艦隊上方に赤リン弾を撃てッ!」

「アイサー!ディスチャージ」

 

マゼランは様々な対ミサイルシステムを有する。

そして赤リン弾も、その一つだがワイアットは別の想定を考えていた。

知っての通りミノフスキー粒子の散布でレーダーもFCSも効果が薄くなっている、対艦戦なら画像認識や砲手の腕でどうにでもなるが敵機はちとキツい。

と、なるとMSは必然的にIRST識別をしている事となる、これなら確かにレーダー不要であるし、性能もある。

そして今バラ撒いたのは、そのIRSTや赤外線すら妨害する赤リン弾、戦車等のスモークと変わらない。

 

「続けて艦隊上方にフレアを打ち出せ!AA射撃始め!」

「CIWS全力射撃!」

 

護衛の駆逐艦やサラミスがフレアを上方に打ち出す。

突如視界も識別も分からなくなり、雲間を突き破って突如眩い光が飛んでくる。

 

「目眩ましッ!?」

 

ガトーは敵の手の真意を思考し、即座に突入を再開した。

他の機体は八割近くが突入を中止してしまったのだ。

しかも飛んできたフレアをミサイルと誤認したりして回避しようとし、味方とぶつかった者さえ居た。

 

「臆するな!ここで止まっていても」

 

ガトーは言い終わる前に、味方が吹き飛んだ。

プラズマになりそうなほどの加速で飛び狂う機関砲弾が数機を細切れにしたのだ。

動かない対空目標物なんぞ、実弾演習だ。

大まかな位置が分かってさえいればいい、観測員らはCICやFCとリンクしている、それすなわちすべての火器と繋がっているということだ。

 

「やはり読んでいたなッ」

 

ガトーは敵が防空陣形を解かず進んでいる時点で読まれていると、と言うよりデラーズも分かっていた。

しかし他に取れるような作戦がなかった、主力が使えれば良いのだがそうもいかない。

選択肢が他になかったのだ。

 

「敵機が一機突っ込んできます!」

「カミカゼか!?狂人め」

 

スモークをぶち抜いて現れるガトーのザクは、手厚い歓迎の砲弾の雨を潜り抜ける。

もとより撃たれる事が目的だ、そうすれば味方が後続する。

 

「小癪なッ!」

 

ガトーの乗ったザクは核バズーカを装備していた。

左舷側面に直撃を受けた駆逐艦<ル・ファンタスク>は、乗員の殆どが発生した高熱でどろどろのスライムになるか、あるいは発火で火だるまにされた。

そして駆逐艦はコントロールを失い、戦列を落伍し命の光を輝かせ潰えた。

 

「味方駆逐艦、撃沈」

「艦列の穴を埋めろ!まだまだ来るぞ!」

 

当然ワイアットはなんとも思わない、ここはどこぞの萌えゲームではない、駆逐艦なんぞ消耗品である。

ガトーは続けて狙いを定めようとしたが、奇跡的と言うべき出来事が起こった。

バズーカが壊れたのだ、正確に言うと弾薬が焼き付いた、質が悪かったのだ。

精密機器などは禁輸され、補充が難しく部品交換問題は深刻だった。

 

「連邦め、何処までもこけにしおる!」

 

味方が漸く突進を再開したが、手厚い歓迎は止まない。

艦隊下方も赤リンを撒いたことで、三次元的攻撃戦法は不可能だ。

雲を突き破って現れたがカミカゼしましたでは困る、何人か上部から攻撃を仕掛けたが尽く狙える余裕が無かった。

それでも連邦軍の損害は、じわじわと増えて言った。

<シャトールノー>は機関損傷、ダメージコントロールなるも戦列より落伍し袋叩きにされた。

<フィジー>は艦橋を喪失、なお応戦なるも奮戦虚しく撃沈。

<エメラルド>は後部からガトルのカミカゼ攻撃を受け全動力損傷、退艦。

<シリアス>は前部に甚大な損害を被りながら懸命な努力で抵抗を続けていた。

そして、旗艦プリンスオブウェールズは諸艦と同じく傷つきながらも、彼女はひた向きに戦い続けていた。

 

「CIC損傷!!」

「対空戦闘の指揮は大丈夫か!」

 

ワイアットは尋ねると、CICの士官は答えた。

 

「こちら砲術士、ブライト・ノアです!砲術長は戦死なされました!」

 

ワイアットの脳内に電流走る。

 

「ブライトくん、君が臨時に指揮を執れ!」

「私がですか?!」

「そうだ!対空戦闘の穴を作るわけにはいかんのだ、頼んだぞ」

 

艦内電話の命令にブライトは困惑しながらも、仕事に邁進する。

残存している火器を確認し、彼はまだ死にたくないという純粋な生存本能から迎撃戦闘の指揮をいかんなく発揮する。

 

「弾幕薄いよ!なにやってる!」

 

再び飛び狂う対空射撃に、ザクが一機被弾した。

ガトーはそれが一番の新人である事に気付き、咄嗟に庇う。

ガトーのザクは忽ちに大破し、最後に敵艦に取りつき自爆させようと自爆装置を作動させ脱出する。

 

「すまん!」

 

愛機に詫びをいれ、彼はガトルに回収された。

しかし、彼の愛機は自爆しなかった。

流れ弾が背部ユニットを撃ち抜いて重水を核融合炉に流し込み、電源が自然とシャットダウンされ自爆装置を停止させたのだ。

そして愛機は予定通り、ルザルの破損した第二砲搭に突き刺さった。

 

「またカミカゼか!?……いや、違うようだな」

 

ワイアットはとりあえずひと安心して、防空戦闘の指揮を手伝う。

攻撃機部隊が損傷、大破、弾薬欠乏から退却し、ワイアットは撤退を決断する。

撤退の言い訳は十分、なにせマゼラン四隻は皆揃っているが、戦闘能力に損害を受けていた。

伊達に戦艦ではないし、ジオンが核兵器をあまり使えなかったのも相まって四隻は動いている。

それにルザルに刺さったザクを回収出来た、無いよりずっとましだ。

 

「まあ、怒られるとは思えんが」

 

アイカ秘書官は顔色を変えず「現状において最も素晴らしい決定です」と呟く。

景気の良いことは一応言えるらしい。

<ダンケルク>が損傷した駆逐艦<パンジャビ><ズールー>を曳航しているのを眺めつつ、ワイアットは支援に来た第四艦隊の援護を受けつつ、ルナツーに帰還した。

 

「酷く殺られましたな」

「こっぴどく、ね」

 

臨時の閣議で連邦軍の宇宙軍総司令となったレビルとティアンム提督は、帰還したワイアット艦隊の損傷ぶりに呟く。

辛い戦いになる、この戦、これは始まりに過ぎんかも知れない。

レビルは若干の頭痛を覚えつつ、連絡を取ることにした。

 




次回[皆大好きゼネラルG登場!]
因みにこの作品アムロたちサイド7組はただの子供となる予定、カツレツキッカは絶対ハッピーエンドだわこれ。


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MSの脅威・・・?

【まただよ(笑)】ワイアット提督、前線復帰を再び命じられる。【星の屑】


ワイアットは再び絶叫を上げたくなるような事が起こったので、水をはった部屋の洗面器に顔を沈めてそのなかで叫んだ。

一通り叫んで漫画覇道進撃のナポレオンか?と思いつつ、事実を噛み締める。

そう、MS相手に互角に戦ったせいで上層部が危機感を抱いてくれないのである。

 

「頭の固い珈琲マニアどもめ!」

 

アイカ秘書官は司令官の部屋から聞こえる声に何とも言えない顔をしていた。

自身も並々ならぬ呆れた気持ちでいるからだ。

無論ワイアットは手段を考え、実行する。

戦闘詳報と一緒に上申書も提出したのだ。

が、レビル大将の顔はあまり良くなく、いつかやらねばならないが今やる事ではないといった雰囲気だった。

 

「MSは我々も持っているじゃないか」

 

レビルはなに食わぬ顔で、司令官の部屋から見えるガンキャノン初期型を指さす。

サイド3侵攻用の宇宙海兵隊の機体だ。

 

「閣下、あれはMSではなく人の形をしたAFVでしかありません!

MSと言うのは」

 

レビルは片手をあげて制止させ、話を続ける。

 

「それにだね、我々はMSという持たざる者の手段をとるような危機にはない。

戦艦だけで96隻、巡洋艦170以上、我々は最初から勝っている。

MS無くとも我々は負けんのだよ」

 

正論ではある、しかし認識が違っていた。

レビルにとってのMSはMBTと言ったものの延長線上で、ワイアットにとってのMSは、特にザクは太平洋戦争におけるSBDドーントレスのようなものだ。

根本から違うのである。

レビルはダメだったので、ワイアットはゴップ将軍に上申してみた。

幸い緒戦の指揮官なのですぐに返信が届いた、話くらいは聞いてくれるらしい。

 

"新型MSの開発の必要性、及び新型艦艇と艦艇改装の提案は見るべきところがある。

しかし、これを実行するには莫大な予算が、しかもかなりの期間かかる。

小官の裁量する権限に無いので、政府に提出しておきましたが期待はしない方がよろしいでしょう。

ですが艦艇改装、特に航空巡洋艦構想と新型空母に関する提案はこちらで検討します。"

 

ぐうの音も出ないシビリアンコントロールの軍人である。

正論なのでワイアットはとりあえず手土産のザクを引き渡す事にした。

少なくとも敵の兵器は誰もが興味がある、此についてはジャブロー送りだ。

 

「閣下!」

 

アイカ秘書官が新たな命令を渡してきた。

レビルの連合艦隊の分艦隊を指揮するよう書かれている。

何でかと見てみればつまらない事故からポストが空いた、そして実戦経験とMS相手に戦をやった指揮官なのでレビル大将の差し金で突っ込まれたようだ。

出撃はまだだが、すでにティアンム艦隊はサイド4に展開している。

戦況は現在サイド1と2が奇襲攻撃を受け、月面は半分が制圧されたと言える。

監視から逃れた艦隊、そう開戦する前に地球とは真逆の位置にある演習エリアに向かっていった艦隊だ。

少数のムサイにパプアに積まれたMSの少数精鋭、正しく開戦奇襲攻撃だ。

月面はさすがにそう言う訳にはいかず、キシリアの艦隊が月面防衛艦隊と会敵、戦況不明。

戦艦<スワロフ>等も有する戦力だが、無理だろう。

 

 

ゴップは静かにワイアットの提案を読んでいた。

彼は戦争と軍事は専門家と言うわけではないが、初歩と基礎は理解している。

そして以前よりテム博士の提案していた新型MS開発計画の存在を思い出したが、ため息をついてその後の話も思い出した。

予算が高すぎる。

そう、どれもこれも高すぎる。

新型MS、ましてルナチタニウムの地肌した巨人なんていくらすると思ってるんだか。

 

「無理だよなあ、これの審議可決……」

 

政府に提案なんぞ出来るわけない。

しかもテム博士がスペックダウンに協力してくれないのだ。

 

「X-RGMでも悪くなさそうなんだがなあ」

 

彼は試作型ジムというMSを思いだした。

ガンダムとか言う変な高級品よりかは、工業製品に近いのだが進捗が完全に駄目だ。

悪くないんだが良くもない、と言うか図面と試作三機しかない、試作三機も二機が壊れている。

いっそ無理矢理テムくんをジム計画に突っ込もうか考えるが、それじゃガンダムと変わらない物が出来そう。

あの人頑固者だからなあ、そこはレビルそっくりだ。

 

「ま、それも我々に来年があればだな」

 

ゴップの言葉は正しかった。

最もこのときは発言したゴップでさえ自嘲するようなジョークだったが。

 

 

開戦三日目、ワイアットはどうにかしてそれを辞めれないか考えた。

何せ我々はルウムに赴くのである、しかもコロニー落としはまだされていない。

 

 

 

だけど代わりに地球工業地帯に小惑星と月面マスドライバー改造のリニアマスドライバー砲でロングレンジ攻撃食らっております。

いや凄いね、一番小さい被害が30メガトンくらいで大きい被害が50メガトンくらいなのよ、頭おかしいわ。

ジオンの自称総帥ことロッチナさんは「これは我等からのメギドの火だ!天から硫黄の炎でソドムとゴモラを再び焼き払う」と演説してる。

あんた何時から大ガミラスやゼントラーディになったの?

 

「宇宙兵器か……」

 

そうだよな、小指くらいのデブリでも速度を増せば戦艦クラスやれるんだよな。

まして落着すれば偉いことだわな。

因みに現状はマスドライバー以外は破壊出来ますので天体望遠鏡の観測と黒潮船団みたいなちんまいパトロール艇や駆逐艦を撒いて警戒し、排除してます。

 

さてルウム赴く理由ですが決戦目当てです、我々が仮にキルレート3:1でも、国力差は30:1なわけだ。

つまり30を1が倒さねばならない。

しかも勝つには31を越えねばならない。

 

と言うわけで我々は敵の機動戦力を削がねばならぬ、そうすればレイテと呉空襲で戦力を失った日吉のアホ海軍みたいにしてやれる。

理論的にごもっとも、けど皆同じ土俵じゃないのを知ってる、それじゃ勝てないもん。

そして連邦はMSを理解してくれんとです。

まあ曲解してデファイアントやアルバコア、N3G3戦艦やネルソン級みたいな岡部ださく先生は喜ぶようなの作られても困る。

ヅダじゃねーんだから。

 

<デマゴーグに敗れたのだ!

 

やかましいわ。

 

 

私の艦隊は先の戦闘の生き残りと、残っていた欧州艦隊残存、それに提督不在のままだった艦隊。

分艦隊にしては数が豪華になり、1個増強分艦隊と呼んで良いような戦力になった。

 

「味方の姿が一杯ですねぇ、あれ動かすのに一体私の年金何人分に匹敵するのやら……」

 

うちの秘書もワクワクしてます。

因みにワッケインくんも居ます。

 

 

 

 

 

お腹いたいのでかえっていいですか?だめ?。

私生還したらガイフォークスよろしく一切合切爆発させてやる。

 

 




ギレンのコロニー落としってあれ絶対間引き目当てだろ。
今作ではコロニーの人民をわざと傷つけず連邦の無力さを見せつける為に生かしています。
人心掌握に長けたギレンらしいやり口です。


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うーみーゆーかばー・・・

ルウムの大敗北。


何が水浸く屍だコノヤロー、靖国もアーリントンも嫌だぞ。

さて現在ルウム目指して突進中、前衛艦隊が敵の艦隊と反航戦に突入した模様。

我々はレビル本隊と共に前進している、が。

敵艦隊にあまり積極性を感じない、何隻かは既に退却を開始したらしい。

 

「おかしいな……」

 

積極性を欠いているのはどうにもおかしい。

旗艦<ライオン>艦橋の中で紅茶を飲みつつ、ワイアットは拭えぬ違和感を感じていた。

ワイアットの艦隊乗員もそうだった、全くの抵抗らしい抵抗がない。

 

「なにか、お味に問題が?」

「いや、アップルティーではなく状況がな」

 

アイカ秘書官の言葉にそう返し、少しして紅茶を淹れてたのこの子かと気づいた。

すると、艦隊上方が光った。

マゼラン級ムツの後部が爆発、動力を完全に喪失し火災が拡大している。

続いてトラファルガー級のフォレスタルが爆発した、機雷か?

 

「ん?」

 

ワイアットが注意を向けると、オペレーターが叫んだ。

 

「高熱源体接近!」

「ミサイルか?!」

「いえこれは」

 

言い終わる前に、やつは眼前に現れた。

赤く塗られたザクが。

 

「敵機か!?観測員は何していた!」

「戦闘配置ではないので定時哨戒要員しか見とりません!」

 

なんてこった。

そしてシャアは、艦橋基部に対艦ライフルを撃ち込んだ。

ただ、なんとなくNT的直感で沈めようと思った。

それが誰の船か知ったとき、シャアは自嘲混じりに言うだろう。

 

若さゆえの過ちだったと。

 

 

悪夢だ、悪夢がここに広がっている。

赤い彗星は瞬く間に戦隊旗艦等を襲い、私の<ライオン>すら攻撃した。

連中の攻撃はXを描くように二方向から一斉攻撃を仕掛けてくる、第二次支那事変で国府軍艦艇を攻撃したのと同じ戦法だ。

空母加賀の連中はこの戦法で二隻の巡洋艦を大破させている。

<ライオン>艦橋基部は崩壊し、艦長ら艦橋クルーは我々以外は戦死したようだ。

まだ生きてる通信機は絶望を伝えてくれる。

 

《愛宕が殺られた!!高雄も沈むぞ!》

《レキシントン被弾!!ダメコン急げ!!》

《アリゾナが沈みます!》

《漂流した阿武隈が北上に衝突した!》

《マハンはどうした?!ブル・ランを再現するつもりか?!》

 

飛び散った破片で首が無くなった艦長の遺体を退けて、ノーマルスーツを着用する。

辺りをみると、気絶したアイカ秘書官が居た。

衝撃で天井に叩きつけられたらしい。

頬を叩いて起こすと、通信機からワッケインの船からの声が聞こえた。

 

《こちらレナウン!こちらレナウン!ライオン聞こえるか?!》

「こちらライオン、ワイアット提督だ。

現在我が旗艦に指揮機能無し、ワッケインくん、旗艦を移すまでの指揮を頼む」

《了解しました、一時指揮を引き継ぎます》

 

とりあえず旗艦を無事そうなマゼラン級に移そう。

 

「こちらワイアット提督だ、ライオンの残存する全乗員は各自聞いてくれ。

本艦は放棄される、ダメコンチームは適時作業を終了し退避すること。

艦と共に沈むことは許さない、以上!」

 

放送を終えたワイアットは下部に移動し、残った内火艇に向かう。

 

「あと一人は確実に行ける!急げ!」

「一人は確実なんだな?!コイツを乗せてやってくれ!」

「閣下!?」

 

アイカ秘書官は驚いた顔をするが、無論紳士たるワイアットは毅然と言う。

 

「レディーファーストだ」

「ですが、閣下」

「ノーサンクス*1

 

かつての東洋艦隊提督、フィリップス提督の言葉を引用して、ワイアットはそう言った。

飛び出す内火艇を見送ると、ワイアットは自身が生き残る方策を考えようとしたがその前に流れ弾の直撃による爆発で勢いよくカタパルト発進した。

 

 

ごみの仲間が増えていく。

リュウはそう思いながら、目の前を飛んでいくティーカップを見ながら呟いた。

 

 

戦闘は一方的な迄に終わった。

前衛ティアンム艦隊は追撃で延びきった艦隊後方の輸送艦にMSによる後方撹乱(無人のムサイのガワだけつけたオンボロ船舶)に隠れていた敵からの攻撃で退却を余儀なくされた。

ドズルもレビル艦隊にたいし丁字による全力砲撃を叩き込み、ルウム戦役は一方的大敗北に幕を閉じた。

後の書籍はこう語る、ワイアットの旗艦が撃沈されていなくば、ルウムはジオンの辛勝になったかも知れない。と。

 

しかしワイアットは捕虜になった。

彼の軍籍手帳から身元が判明し、サイド3の特別収容所に移送された。

 

なお隣室はレビルである。

と言うか流れてる音楽が我等は貴方しか知らないだとか、革命首脳部決死擁護せん*2みたいな音楽なんでハッキリ言ってクソである。

オークの心とかのセンスある音楽流せジャガイモ鉄錆野郎、どうせ敗戦したら独裁者のせいにするか背後からの一刺しとか喚く程度の連中の末裔だろ*3

イェルサレム返すと匂わせつつ明記してないから当事者で解決してとシラ切ってEUに難民任せて抜け出した我等がグレートブリカス様見習え*4

王様追い出したのに自分で王を戴くのだぞ*5

 

 

 

ゴップはただただ報告を聞いていたが、大敗北の惨状を調べるには二日がかかった。

 

「我が方の損害、162隻。

死亡28万800人。

残存艦船の数では今でも我が軍が有利です、ですがもはや機動戦力としての指揮系統が瓦解しております」

 

統合参謀本部は地獄のごとき有り様だ、作戦計画の破綻に前提条件の崩壊、再編成の悪夢。

既に参謀20名が過労と失神で病院行きである。

 

「手痛い損害だ……」

 

ゴップは経済的合理主義者である、犠牲が出ても利が勝るなら躊躇しないが、貴重な人的財産と呼ぶべき職業軍人と熟練兵士をこうも多量に失われると彼も心苦しいのだ。

戦役以前から徴兵は政府に提案したが、あんな不経済なシステムの拡大をしなければならなくなるなんて!

ゴップは徴兵制度が嫌いだった、アレのために若者がその持てる本領を畑違いの軍役に浪費させるなど不経済極まる。

 

「最悪の場合、これも使うしか無いんだよなあ」

 

臨時徴兵計画、事実上の学徒動員。

現在徴兵計画は20~30辺りを対象としている、しかしこれは10代も動員する。

正直やりたくない。

こんな不経済な事を2年もやってみろ、社会がガタガタだ。

ゴップは経済と事務関連の天才的頭脳を有しており、かつて存在した大韓民国が徴兵制度により経済的悪影響を脱せず貧困に根底があるナショナリズム勃興と隣国問題でなお悪影響を重ねたのを知っている。

無論、戦時ゆえ人は需要過多だが志願制度でも人はあつまる。

しかし彼はまた、有ることも知っていた。

 

最初の世界大戦でのことだが、最初からイギリスが徴兵していれば結果的に戦争終結が早まっただろうと言う学説。

 

暫く無言が支配し、彼は名案を思い付いた。

 

そうだ!文民政府に決断を委ねよう!

 

この決断力の甘さと、責任回避は天性の物だった。

 

彼は決して自身の敵と対等に戦わないのだ。

 

*1フィリップス提督の遺言、日本軍にも伝わり後々の玉砕主義の原因のひとつ

*2私の好きなやつ

*3背後からの一刺し等の自分等の反ユダヤ運動を全てナチスのせいにしました。

*4本当に条文にはイェルサレムと書いてない、きったねぇ!

*5ササナッハ(イギリス人)ゲール(アイルランド)には分かりませんね。




こんな書き方してるけど私ゼネラルGは好きです。
ですが彼は決して対等の戦はしない人で、このような難しい問題を自身の責任の枠から別のやつに託すと思うのです。

因みにこの場合だとただ軍人が部内の意見を提出したに過ぎないもので、ゴップ自身に問題ありません。
文民政府の決めることですから。


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ワイアットの置き土産

コロニー落ちてないけど大都市圏にマスドライバーのピンポイントロングレンジ攻撃受けてて地球全土が戦場です。
あとXCOM2始めたので更新遅れます、こんな思い付き作品が御気に入り100間近とか頭おかしい()


ルナツーにアイカ秘書官が帰還して数日、MIAしたワイアットの居室を掃除していたアイカ秘書官はある物を見つけた。

ごみ箱にぶちこまれていたファイルと図、こういったアナログ文書は宇宙世紀でも現役だ、何せ物理的手段以外は見れない。

そしてアイカはそれを見て驚愕した、熱心な迄に書かれた対MS防御戦闘計画。

アイカはためしに彼のパソコンを起動し、いかにもなファイルを見つけた、まさかのロック無しである。

すると出るわ出るわ大量の古今の対空戦闘と戦闘記録、古いものは1910年代のツェッペリン対策まである。

それまで考えないために仕事をしていたアイカに、天啓がおりた。

 

これを完成させよう!

 

彼女は自身さえ驚く熱心さで売り込んだ。

もうこの時点でワイアットの名前は危険に気づき、警告をしようとしていたかつてのマハン提督のような存在だった。

そのため彼の未完作品と呼ぶべきこれを、軍は慶び勇んで飛び付いた。

ワイアット自身は実のところ、これを忘れていた。

考えるの面倒くさいしそういうのは参謀たちの仕事だと思っていたから、資料素材として提出する予定だったのだが掃除してたらついつい本を読むような勢いで歴史関連を見てたのである。

 

 

ワイアットは何でか自身がレビルの隣に居るのか理解していなかった。

将校としての格は違うのに。

そんなことを思いつつ、昼食後のチェスをレビルと興じながら彼はレビルと話してみた。

レビルは若干自嘲した様子で言った。

 

「そりゃあ、君がMSの脅威を熱心に訴え、緒戦で抵抗したからだろう」

「え、ですが階級が違います、ふつう別では?」

「人手不足のようだ、夜の間は片手の指くらいしか見えないし、全体としての人数はおよそ小隊から中隊の間かもしれん」

「ジオンに兵無く、我らに将なしですな」

 

レビルは高笑いし、その通りだと皮肉を言った。

まったくこうでもないとやってられん、第17捕虜収容所ってノンフィクションだわ。

すると看守が新聞を二枚届けてくれた、看守は去り際に「あんたらも帰れるで」と嬉しげに言っていた。

 

南極で一時的停戦合意、交渉の開催決定。

 

やられたな、連邦政府はこれを飲むしかないだろう。

 

 

翌日、意外な男が現れた。

ギレン・ザビ、事実上の戦争指導者にしてアナーキー・国家・ユートピア的指導者に類する男。

 

「なぜ、私と?」

「君の戦争に対する思想が気になった、とでもしておこう」

「なるほど、して、本題は?」

 

ギレンは多少不服そうに「軍人とは待つことを知らん」と言いつつ、その鋭い眼を向ける。

 

「端的に言おう、ジオンに味方しないか?」

 

ワイアットは脳内が?で埋まる感覚を味あわされた。

 

「それはまた……すごいことを言いますね、コロニーを爆弾にするような無茶苦茶なことです」

「やはり知っていたか……」

 

ギレンはその眼を少し緩めた。

 

「筋書きはこうだ、君は以前より連邦政府の愚さに憤りを感じ、提案を却下しこの敗北を招いた連邦に失望した。

些か即興だが、君の名誉は保たれる」

「なんで私なのです?政治的効果があるのはレビル将軍でしょう」

 

するとギレンは即答した。

 

「あの男は裏切らんよ、根っからの文民政治の信者だ、それも狂信的なまでの」

「私は違うと?」

「君はファシストでもリベラルでもない、生きるためには思想を切り捨てるように思える」

 

些か図星であった、元のワイアットはともかく現ワイアットは生きるために信仰と思想を変えれる日本人だ。

1945年8月15日以降にころっと以前からの民主主義者を演じれる民族だ。

3月12日以降に環境論者が反原子力を唱えれる生き物だ。

本音と建前という二重思考を使いこなすことに長けている。

 

「残念ですが、お断り致します」

 

ワイアットはゆっくり足を組んで、自嘲したような笑みで言う。

 

「わたくしにはジオンの紅茶は舌が合いませぬ」

 

 

深夜、こつこつと靴音が鳴っている、ワイアットは嫌そうに毛布を深く被り、光が射し込まれたので言った。

 

「私の睡眠を妨げるとは何かね?ジュネーヴ条約に捕虜のだな……」

「あれっ!?」

 

ライトで部屋を照らした頬に絆創膏のジオンの看守の格好をした男が、驚愕の声を発した。

 

「えっと、ワイアット提督ですよね?」

「如何にもだ」

「どうしよう」

 

相手の様子が変わった。

もしかして、と思いワイアットは言った。

 

「レビル大将は隣だが」

「え?あ、本当だ・・・来ます?一緒に」

「大脱走だな」

 

その男は扉を開け、事態を把握したレビルとワイアットは脱走を開始する。

やはりというか見張りが少ない、シャドーモセス送りにされかねん。

そしてその数少ない見張りが潜入したSASやMi6、FSBの系譜の連邦秘密工作機関のデータに基づき無力化されていた。

収容所の裏路地を通り、小さなバンに乗り込む。

車体側面にはBANTAIと書かれ偽装されており、車内で私服に着替えた。

絆創膏の男もスーツに着替えていた。

 

「貴方たちのカバー(偽装身分)はジオンのMS資料の視察帰りのプラモデル会社員です。

胸元の偽名を覚えといて下さいね」

 

近くの箱を開けてみると、本当に資料があった、しかもCADの作成の際のコメントらしき物もある。

レビルの胸元の名札にはムバラクとあり、ワイアットの胸元にオタコンとある、何と世はままならぬのか。

 

「おおっと検問」

 

ヴィーゼル装甲車とパトカーの検問が設置されている、バレたかな?。

 

「何かありました?」

「いえ、全国一斉検問ですよ、免許あります?」

「はい、IDもっと」

「あどーもどーも」

 

検問はすぐに確認を終えた。

皇帝の居ない八月みたいな大事にならなくてよかったよかった。

 

 

サイド6連邦大使館を経由し、巡洋艦<丹陽><海容>および駆逐艦<宵月>等を従える艦隊が出港する。

同じくサイド6のジオンの艦隊は動かない、今のところコロニーにおけるジオンの支持率は高い。

というのも資本主義的な理由(コロニーが維持管理に予算をバカ食いする)からコロニー反乱を抑止する目的のもとコロニーは輸出依存モノカルチャー経済を事実上強制されている。

サイド3は元より重工業製品輸出コロニーとしての側面があり、コロニーの連帯による反乱は規模が大きくなるから阻止できるというわけだ。

事実禁輸でサイド3はメンテナンス部品に事欠いており、宣戦から一週間しないうちに各占領下のコロニーからその手の物を集めている。

しかし占領下のコロニーはさほど反発が起きていない、確かに右側運転と左側運転の違いに慣れない兵士がよく事故るが、配給の改善や待遇の問題、連邦への反意はそれを多少の問題と思わせた。

……少なからぬ人がジオンの秘密警察に消されたのも、仕方ないことと思わせたが。

 

「お帰りなさい、閣下!」

 

そして、戦争も新たな局面に突入する。

戦いの拡大際限つかず、ついに奴等が地球に降下する。

 

あの死神を討て!

 




次回ジオンに兵なし

因みに出てくる今回の艦名は中国国民党海軍の子です、雪風って台湾で長10サンチ(宵月の)を装備してたんすね。
海容級は日本軍の南京侵攻阻止に自沈した艦艇です。


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ワイアットの野望ーV戦争計画ー

パラドックス社製のギレンの野望やりてぇなあ...


ルナツーに帰還して数日、自分のせいで戦死したと思ってたアイカ秘書官の号泣等に対応し、艦隊再編にも対応する。

ティアンム提督の部屋から聞こえるイスラムの祝詞の声や、数時間に三度は聴く過労により倒れる艦隊幕僚の報告。

ここは阿鼻叫喚の地獄絵図か何かか!

アイカ秘書官も過労のせいで「てぃんくるてぃんくる」とかUSS石村乗員みたいなうわ言をたまに言ってる、もうマジ無理紅茶キメよ。

そして紳士を地獄にぶちこむ報告。

 

「どうやらジオンは地球降下を準備している模様です」

「……予想地点は?」

「おおよそ四ヶ所、ポーランド・ウクライナと北米、中央アジアにアフリカ」

「全部穀倉地帯か、飢えで締め上げるつもりだな」

 

ワイアットは地球を見て、敵の戦略を理解した。

眼下に見える地球の醜きこと、ロングレンジ質量攻撃で核戦争と同じ粉塵による寒冷化を受けて薄汚れている。

悪魔め!地球はかつて青く輝く星だったのだぞ!

ジオンは占領下のコロニーから逃げ出す難民船は無差別無検閲で出していた、手荷物を許されず逃げ出した難民は当然地球に来る、連邦は拒める訳もない。

難民の流入は治安の悪化と食料不足を巻き起こし政府の難民担当官たちはいまや中央政府から完全に独立しつつある。

FEMAは休みなし。

 

「だが、使えるな」

「は?」

 

アイカ秘書官は首を傾げた。

 

「君、君がジオンの将校なら、降下部隊の護衛戦力はどれくらい配備する?」

「持てる全力です、まず事前に削減を行いますが、今回はそれが要りません」

「その通りだ、二度目の世界大戦と同じだ」

 

かつて、真珠湾でかくかくたる戦果をあげ珊瑚海で機動部隊を事実上行動不能にした日本軍の快進撃は、機動戦力を打ちのめしたから得られた。

しかし敵が復活し始め、技術で負け、兵站が崩壊し、一気に敗退した、帝国はその広すぎる占領地を維持できる力がなかったのだ。

ならば我々は、地球というガタルカナル……いやヴェルダンで奴等を待ち受けよう!

しかしそれでは紳士らしくない、紳士はされたことを忘れない!

そう!五輪でボイコットするみたいに*1

 

「だが我らはその前にドゥーリットルをしよう、今動かせる損傷艦艇と、動かせる艦隊戦力を書類にしてくれ」

 

ワイアットは、ソラを漂う傷ついた乙女たちを不名誉のまま終わらせるつもりは当然なかった。

 

 

ワイアットは作戦計画と共に降下し、ジャブローに降り立った。

その作戦計画は以下の通りだ。

 

1:ジオンの降下部隊を第三次までは見逃す。

2:敵の降下部隊の空挺堡の軌道からの補給の断続的ハラスメント攻撃。

3:ドニエプル河、ヴィスワ河等の河川防御陣地での敵軍抑え込み。

4:戦闘予想地点での民間人の事前避難はしない。

5:第3次降下と同時に襲撃作戦<菊水作戦>を発動。

6:その後は地上軍により全力のハラスメント攻撃を行う、多少の敗北は無視する

7:軌道艦隊による補給妨害は何がなんとしても絶対に継続的に攻撃する

 

「なんだと!貴官は本気か!」

 

コリニー将軍の怒声がジャブロー連邦軍会議室に響いた。

ワイアット提出のV戦争計画、これが彼の怒りを呼んだ。

ジャミトフ将軍は不快そうだが沈黙を保ち、他の将官は積極的反対を唱える対案がなく黙っている。

唯一ゴップは不安げにしていた。

 

「本気です」

「なら気でも狂ったか!」

「正気です、良いですか?我々が勝つにはこれしかないのです!」

 

ワイアットはジャブローの会議机を叩き、力強く主張した。

 

「彼らは自ら進んで重力のるつぼに降り立つしか無くなった、何故か分かるでしょう」

 

コリニーとしても、それは理解していた。

 

「冒険主義に過ぎるんだよ君の提案は、正攻法でも勝てる」

 

ジャミトフが口を開いた。

 

「その通り、陸戦で物を言うは砲火力そして制空権です」

 

ライヤー将軍が同調した。

ワイアットは強い口調で再度、主張する。

 

「なるほど、確かにそうです。

ですが戦って死ぬ兵士が納得しますか?

我々は広すぎる領土に比して兵が足りてません、根こそぎの徴兵でもなさるつもりですか?戦後どころか銃後が破綻します」

 

ゴップが反応した、軍政の最高責任者たる彼が動けば最早結果が決まる。

深い沈黙を破ったのはレビルだった、真剣な眼差しで彼は尋ねる。

 

「しかし君の提案は、少なからぬ民衆が戦争の鉄火に焼かれるだろう。

我々の面子としても、これはまずいのではないのかね?」

 

ワイアットはただ、無味乾燥に言った。

 

「連邦軍の面子?そんなものアナンケと共に沈んだでしょう」

「……だがなあ、これでは遺族や市民になんと詫びるのだ」

 

ワイアットは即答した。

 

「誰にも詫びません、その必要はありません、我々は万全を尽くすだけです」

 

この作戦は可決された、そして、これにより後々のジャミトフとの対立が始まるのである。

 

*1英国は以前マレー海戦の因縁でボイコットしてます




ワイアット最後の台詞は激動の昭和史沖縄血戦が元ネタです。
岡本喜作の見た人の心を勢いよく抉る作品すき。

ちなみに作品の末期のジオンはギレン暗殺計画と日本のいちばん長い日参考です。
「何が終戦だ!何が終戦だ!」って叫んだり「あと二千万、あと二千万!」って叫んだりします。


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発動、菊水作戦

今回佐藤大輔作品ネタがありやす。
間違えて次回をさきに投稿した作者ケジメ案件


事態はワイアットの想像より度しがたくなっていた。

あれから二週間、ワイアットは引責という大義名分で辞職願を出そうとしたがゴップからの"熱烈極まる"阻止、

そしてアイカ秘書官の提出した艦隊対空戦闘ドクトリン等により世論が許さない事を知った。

彼の頭に、かつてやったCIVのSMAC技術格言が頭に浮かぶ。

 

"大衆はヒーローを必要としています!彼が自分の眼をえぐり泣き叫んで死んだと事実を書いても客足が減るだけです"

-利益の為の神話-

 

おぉ!ブッダは今日も寝ておられる、ヤンナルネ。

斯くして彼は戦う以外に道を絶たれた。

 

 

2月14日、ジオンの地球降下が開始された。

後々のバレンタイン降下の開始である。

第一次降下部隊は地球の中央アジア、降下の露払いとしてジオンはマスドライバーを六発撃ち込んだ。

しかし耐久限界をこえ磨耗したマスドライバーは、沖縄と台湾を消滅させ誤爆してしまった。

よりにもよって、九州の火山地帯と富士山を直撃した二発と、中国重慶市のあの巨大ダムに……。

元々中国共産党の強引な政策により建設され、建設以前から各国からの地震問題にたいしての疑問視がされていたダムは戦前までモスボールされていたが電力問題から再稼働していた。

これが一挙に巻き起こされ、連邦アジア管区は甚大な被害を被った。

日本列島は東海道が寸断され事実上政府機能が消滅、地上軍主力の関東方面部隊は1000万の民衆と共に溶岩に飲まれ横須賀軍港及び佐世保軍港は避難に成功した数少ない民衆と共に艦艇で退避した。

発生した大規模地震と洪水と噴煙は、アジア管区の流通通信航空関連を完全に死亡させた。

 

「……君、家族は名古屋だったな」

 

ワイアットは赤黒く焼けただれる列島に、苦い顔をしながら言った。

今度の作戦で乗り組む旗艦<敷島>の神宮寺艦長は髭の濃い野性的日本軍人の顔つきだったが、今は消え行く祖国をただ見ている。

 

「……電話とメールには誰も出ません」

 

この事件の正確な死亡者は分かっていない。

少なくとも言えるのはこれにより、ジオンがアジアを征服するのが不可能になった。

この時点で20億のアジア人民が大なり小なりの被害を受けている。

聖なる戦いだ。

四川と重慶とチベットの山脈で、日本の島々で、ベトナムの密林で、フィリピンの群島で、インドの平野で。

彼らは文字通り鉄の悪魔と刺し違えるほどの憎悪を抱かれたのだ。

文明の泥沼たるアジアに。

 

 

連邦艦隊は機動戦力を完全に喪失し、その作戦稼働艦艇は戦艦14および巡洋艦22にうち減らされていた。

予算審議と行政的問題で遅れてルナツーに置いてけぼりされていたた一部の極東艦隊(自殺攻撃も厭わぬ)も合わせても大小48隻。

無論大破した艦艇は一杯いるがほとんど棄てた、トリアージとしてはやむを得なかった。

ティアンム提督は嫌そうに言った。

 

「こんなもので戦争が出来るとお思いらしい、無理難題だ」

 

南極の臨時条約は効力の曖昧さが残っていた、連邦はジオンの事を国としていない、日本が北朝鮮を国家扱いしないのと同じだ。

しかし一応の条約なので、そこそこ効果はあった。

少なくともマスドライバーの砲撃は軍事拠点であるジャブローを散発的に撃ってるくらいになったし、小惑星爆撃は完全に止んだ。

これはゴップが意図的にルナツーの遠距離物資射出用の小型マスドライバーを、連邦が艦艇に搭載し移動砲台としていると嘘を撒いたからだ。

暗愚のふりをする趣味のあるゴップがふと口を滑らせたように参謀本部で言えば、噂は風となり宇宙に届く。

 

「しかしこの篠川・菊水作戦はやるしかないのです」

 

ワイアットは端的に、かつ強く主張した。

篠川作戦、要するにそれは。

 

「だが月面ジオンのマスドライバー基地総攻撃とは、これでは特攻じゃないかね?」

「ご心配なく、良い案があるのです」

 

ワイアットはそう言うとスコッチを取り出す。

 

「飲みます?」

「……私はラク*1のが好きだ」

 

宇宙に出ても酒の人種的好みは変わらんらしい。

 

 

ジオンに第三次降下の物資集積の兆しがないとして前倒しで発動された菊水作戦は作戦に連邦の軍人は一人も戦死しなかった稀有な大作戦となった。

ルナツーではコロンブス改造工作艦からブースターを取り付けられた連邦の乙女たちが揃っている。

その中にはワイアットのプリンスオブウェールズ等の艦艇もおり、難民輸送を終えて退役した旧式の貨物船も居た。

 

「さらばだ、乙女諸君。

いずれまた会う日を願う」

 

ワイアットはそう短くも感情ある言葉を述べた。

艦艇はロシア海軍旗等の己が栄光の旗を掲げ、堂々と歩みを進める。

極東艦隊の兵は海行かばを合唱し、ロシア兵は軍歌ヴァリャーグを唄う。

 

「さよなら、お元気で」

 

アイカ秘書官は敬礼し、ワッケインは脱帽し見送る。

地球軌道を半周したあの乙女たちは、加速をつけてジオンの降下部隊隊列に突入、その身を散らすのだ。

ミノフスキー粒子は予め敵が大量散布しており、連中は目視するまでただの艦隊としか思わない。

そしてその間隙を突いて、ワイアットは篠川作戦を発動した。

 

 

刀を振り上げる鬼のマークが書かれたアンティータム級の<加賀>は、士気は天を突かんばかりだった。

この艦のマークは中国のデザイナーが共謀したもので、デザインは乗員に受けていた。

そのため空母航空団のコールサインはグイズ、鬼子だ。

 

「いいかお前らよーく聞け!我々の攻撃目標はグラナダ軍港及びマスドライバーである!

市街には誤爆は許さん!電子機器に頼るな!極東宇宙海軍母艦航空隊の大和魂に敵はない!」

 

ワイアットの本命は、ジオンの居ぬ間にグラナダを襲う事であった。

残存艦隊を投入する極めて博打打ちの行いと思うかも知れないが、レイテ突入を命じる日吉のGF司令部より狂ってはいない。

何せジオンの動ける艦隊戦力は全力で降下部隊を護衛しているか、警戒して航路をパトロール中だ。

つまりグラナダはモビルスーツと半絃上陸や中身のスッカラカンの艦艇しか居ない。

ミノフスキー粒子?工業地帯で撒けるかそんなもん!

 

「航空隊発艦始め!」

「砲撃用意よし!」

「各艦電波及び灯火管制解除!」

 

ワイアットはにやりと口を歪ませて、全艦に短いスピーチを述べる。

 

「我らは来た、我らは見た、そして共に勝利する!

さあ諸君法螺貝を鳴らし刀を抜き、名乗りを上げよう!

我々はなんだ!」

「「「天下無敵の地球連邦軍!」」」

「我々の戦う理由は!」

「「「自由と民主主義!」」」

「我々が打ち砕くのは!」

「「「迷妄と専制!」」」

「全艦作戦開始、靖国への転属は許可しない」

 

倭寇の再来か?神宮寺一佐はそう思いつつ、悪い気分でもないので受け入れる事にした。

ともあれ同胞の代償は受けてもらうぞ!

 

-襲撃艦隊一覧-

 

戦艦<敷島><霧島><三笠><比叡>

巡洋艦<最上><鈴谷><伊吹><筑波><妙高><浅間><八雲><鞍馬><常盤><須摩>

空母<加賀><葛城>

第1,2,6,7,8,13,14駆逐隊

コロンブス級補給艦<尖閣><対馬><壱岐>

 

 

 

 

*1オスマントルコのお酒、トルコの英雄ケマルの大好きな酒




神宮寺の元ネタは海底軍艦。

ジオンの誤爆事件の元ネタは末期のドイツ帝国です、レマルク曰くたまに自軍陣地に砲身が磨り減って落ちてくるらしいです。

加賀が鬼のマークなのは日中戦争で民国フルボッコにして空爆しまくった結果悪魔の船のあだ名がついたからです。

補給艦は自衛隊式の命名ではなく島からつけてます、掃海艇は番号呼びで良いだろオルラァン?


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連邦の逆襲

海兵隊シーマ・ガラハウ大尉はその日は小数兵力でのグラナダ防衛という実に海兵隊らしい無理難題についていた連隊隊員の一人だった。

 

「ろくでもない仕事だけど、コロニー制圧よりはマシか」

 

シーマは開戦時の奇襲攻撃でサイド2ハッテを制圧していた、だが市街地戦闘は故意にあらずとも多数の市民を巻き込み敵性市民が武器をとって抵抗、

しらみ潰しという結果になってしまいシーマ自身には心地よくない思い出だった。

グラナダには二個飛行中隊、一個防空ミサイル中隊、一個海兵連隊、それと工兵がいくつかだった。

全く宛にならない学徒の連中の防空監視所と防空陣地もあるが、シーマ以外も考慮にいれていない程度の連中だった。

遠足気分のクソガキどもが何の役に立つって言うんだい!これがシーマの感想だった。

まあ本音は大人のやるべき戦争に子供を関わらせたくなかったのだが。

 

「中隊長、連隊本部からです」

「なんだい?」

「電探に異常発生、対空警戒厳となせ。です」

「またかい!?仕方ない、私も出るか」

 

日常茶飯事だった、占領地の工場が動けば多少のマシにはなるんだろうがこうなると目視観測しかない。

そしてこの異常は、潜入した連邦工作員の攻撃だった。

グラナダの歓楽街等にこっそりと残置諜報員として残った者たちが居るのだ。

 

「え、出るんですか?」

「なに、食前の適度な運動さね」

 

史実と違い、若干のユーモアと切れた目付きのギャップと有能な士官であるシーマは兵卒の信頼を勝ち得ていた。

 

 

砲隊鏡を覗きながら、学徒の防空監視所隊員のパウルは呑気に言った。

 

「ここの配属で良かった、星を見ていられる」

「そうかぁ?グラナダが近いから暇を潰せるけどさあ」

 

隣で同じく砲隊鏡を覗くミュッレルは、暇そうに呟いた。

防空監視所には規定通り八人いる、皆同じギムナジウムのクラスの出身だ。

学校の先生に言いくるめられたのだ。

 

「ん?光ったぞ」

 

彼らは至近に着弾したミサイルで意識を失った。

幸い、全員規定通りにノーマルスーツを着ていたので彼らは死ななかったが。

 

 

海兵連隊指揮官ベルチンクは、すぐに事態が敵襲であると気づき警報を発令した。

常在戦場の海兵連隊隊員にとって指揮官の命令は絶対服従だ、そのため彼らは出来うる限りの速さで戦闘用意をしたが事態が不味かった。

開始されたのは連邦艦隊によるMS射的大会だった。

 

「くそったれ!・・・空母が居るのに艦載機がいない?」

 

ベルチンクは違和感に気付いた、なんでやつらは艦載機を出さない?

いやもしかして、出したあと?なら狙うのは。

 

「真の狙いはマスドライバーか!?」

「じゃあこいつら全部私ら引き付ける為の囮って言うのかい!贅沢なこと」

 

シーマは飛び狂う防空射撃を回避しつつ、<鈴谷>の艦尾を攻撃した。

しかし万事順調なFCSとレーダーの艦尾は余りにも苛烈と呼べた。

シーマのザクは片腕を艦尾主砲により溶解されたのだ。

 

「ちぃっ!」

 

軍港に艦砲射撃が行われ、殆ど無防備なマスドライバーはセイバーフィッシュの空襲により完膚なき迄に叩かれた。

攻撃開始から30分、推進剤の問題から連邦艦隊はミノフスキー粒子を撒いて宇宙の闇に消えていった。

連邦の損害は巡洋艦<鈴谷>小破、駆逐艦<峰風><神風><雷><満潮>に損害発生、セイバーフィッシュ4喪失。

しかし些末な損害と呼称できる、何せマスドライバーの破壊は政治的効果が極めて大きいのだ。

兵は一度勝てば、自信を取り戻し落ち着いて戦えるようになる。

 

「見よ!これが無実の民衆を焼いた者共に対してのダモクレスの剣だ!

斯くして我らはその本懐を発揮し、緒戦で散ったすべての軍民の魂魄ともに戦えり!

軍の神髄に久遠の大義生かしたる全ての忠魂のあとうけ継ぎて、撃ちてし止まん!

マスドライバーにより散った全ての人命に、総員、敬礼ッ!」

 

これは連邦軍の、最初の大きな勝利だった。

ジオンのロングレンジ攻撃手段喪失、そして無意味になった月面占領地の工業地帯。

余りにも、手痛い損害だった。

 

【挿絵表示】

 

[模写資料:0083リベリオン]

 

 

囮として降下部隊隊列に突撃した無人艦隊は、艦内に仕込んだ核を起爆させ無数の散弾となって襲撃した。

タイミングが想定とずれたことで直撃といかなかったが、効果は充分だった。

恐慌状態となった密集陣形の各艦が混乱の末に衝突、激突を繰り返し積載弾薬誘爆を敵の奇襲と誤認した艦が無思慮に発砲したのである。

ジオンのにわか仕立て海軍の脆さが現れてしまったのだ。

 

「射撃やめ!やめろ!」

 

ドズルの怒声と状況確認の報告で正気を取り戻した頃には、HLV20以上と医療設備搭載コムサイ、弾薬輸送のパプア等が喪われていた。

第二次降下部隊のおおよそ三個連隊は、戦う前から定員を割った状態になってしまった。

これにより第二次降下は北米ではなく、第一次の援護になった。

つまり彼らは、意図せぬうちに連邦の策を回避したのだ。

 

彼らが降り立ったのは、アフリカとスペイン、そしてイタリア半島。

連邦地上軍は作戦を変更、ピレネー山脈とアルプス山脈、カルパティア山脈で阻止線を構築することに決定。

 

第一次降下部隊も一斉に攻勢に移り、地上戦の幕が開いた。

 

 

防空監視所の学徒兵を残った片腕に乗せて、シーマは何とも言えぬ気分だった。

生きていたと喜ぶべきか何してたと怒るべきか。

 

「ま、命あっての物種か」

 

少なくとも愛機の掌のジャリん子が死んでないのは、良いことだな。

 




次回はヤンデルやバーバリーやらダリルくんやら出ます。

おまけ、現在の地球

アジア「ああああ!!!」
北米「五大湖が繋がっちゃったぜ!あとチェサピーク湾無くなった」
南米「ジャブローのアマゾン焼きやがって許さんぞ、すぐなおるけど」
アフリカ「特にないけど人が密集してるよ!(政情の安定した発展途上国は資本主義的には投資の楽園なので)」
中東「アッラーフアクバール!インシャラー!(連邦の支配が緩まりラッダイト、ドゥルーズ等々カーニバル)」
西欧「いざこいジオン、出てくりゃ地獄へ返してやる」
東欧「目覚めよロムニア人!(大天使ミカエル軍団復活)」
ウクライナ「あぁ^~ウクライナ蜂起軍の音ぉ^~!」

地獄か?カイザーライヒAARじゃないんだからちったあ安定しろ(迫真)
マスドライバー潰した理由は物資輸送の妨害が作者的理由でもあります、補給線繋がっちゃったら困るんや。


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重力戦線の開幕

地上戦の前準備的話になったなんで()
ちなみにコレマッタさんがイグルーでは一番すきです。
技術試験隊では特務のお転婆さんがすき、眼鏡つけて彼是イチャイチャしててほしい

連邦兵の見た目は初代とオリジン、サンダーボルトに近藤ガンダムを混ぜて考えた結果80年代韓国軍スタイルになりました。
M2ヘルムにPASGTベストな感じです、もしくは66テッパチに戦闘防護の二型つけてる感じです。

【挿絵表示】

(イメージ画像)


1980年代の韓国軍兵に似たような装備をした連邦兵が、古い日本製の双眼鏡を覗く。

彼らは召集された予備役の警戒隊員だ。

 

「あ、また来てる」

 

無言のにらみ合いが続くドン・クバン地方のちっぽけな哨戒陣地には、名物がいた。

小さな猫がいつも鉄条網の向こうを見ているのだ。

 

「なに、あのこまた来たのか?」

 

トタン屋根に土嚢と擬装ネットをかけた塹壕の中で、下士官がロシアンティーをいれて言った。

 

「頼むから越えないでくれよ~、地雷があるんだから」

 

すると、突如猫が脱兎のごとく走った。

「あら?」と言うのが、連邦兵の最後の言葉になったからだ。

猫だけは砲弾が落ちてくるのに、気づいていたのだ。

 

 

ジオンの地上攻勢にたいし、連邦は遅滞戦闘と航空攻撃の撹乱で足止めを仕掛けていた。

航空攻撃は頑丈な旧式のマングースと言った機体や、ファンファンを観測機にしての着弾観測射撃と言う手段だったがそれよりもジオンの悩みの種があった。

 

「殺れ!」

 

ラコタにリジーナ等を搭載したスペツナズによる車両部隊襲撃である。

彼らはロシア管区軍のVDV、そしてスペツナズだった。

狡猾で悪辣、そして芸術性すら感じる奇襲からノイローゼが生まれ、地球と言う天然の環境はコロニーと言う楽園のぬるま湯に慣れた者達を地獄へ突き落とす。

季節はいまだに3月、マスドライバー爆撃の影響でウクライナ人もロシア人も春の作付けを諦め難民となる寒さだ。

このような環境を苦ともしないフィンランド管区とロシア管区軍は、この白い地獄に赤色を染め上げた。

MS?機械がカチンコチンだ!

最後にものを言うのはロートル技術と経験、どれもジオンの手にはない。

それでもジオンの前進は続いていた、ヴィスワ河に至るまでは・・・。

 

 

スペインからピレネーを越えようとするジオンの攻勢は、さほど上手くいかなかった。

東部戦線は航空攻撃が十全ではなかったのだが、こちらではたっぷりと空母機動艦隊からの航空攻撃が彼らを襲った。

バスク人独立勢力とカタロニア独立勢力、CNT-FAI(共産勢力)、さらには二分したスペイン王家の対立にカトリック勢力とか言う訳の分からないイベリア半島の占領統治は当然苦慮する、故に連邦は棄てた。

放っておけば、ゲリラ発祥の地が追い詰める。

この考えはある意味正しかった、占領軍軍政全権委任をギレンから託されたガルマによって独立勢力は一端の相違を脇において独立支援を名目にジオンと協力することを選んだのだ。

 

マゲェーッツ(蛆虫)!!!」

 

ワイアットが報告を聞いた第一声はアイカ秘書官の記録に残っていた。

輸出依存モノカルチャー経済にして反乱を出来ないようにしたのに、占領地の協力を得られてはたまったものじゃない!

治安の悪化は連邦を苦しめていた、既に幾つかの大都市では生活必需品は略奪と強盗で手に入れるようになっており連邦警察の治安維持能力は限界だ。

市議会もどうにもならんので戒厳発令が出来ないし、治安維持支援と言う名目でゴップが一応理屈を何とかした。

 

「しかし、民主主義って動きが鈍いんですよね。

私は時おり、分からなくなるんです、いっそ我が国も軍に三権を委任すればと」

 

アイカ秘書官の愚痴は誰もが何処かで思っていた事だった。

 

「するとして、誰が指揮を執る?レビル将軍?ゴップ将軍?ティアンム提督?」

 

ワイアットはひたすらに艦艇乗員の人事異動に印鑑を押しながら笑みを浮かべる。

小悪魔的微笑でアイカ秘書官は「貴方、と言うのもありますね」と言った。

内心でワイアットは「誤解されそうで恐いからやめろ」と思いつつ、普段通りの口調で言う。

 

「なるほど、それで私の軍事独裁政権と少数独裁制集産主義の理論と実践者たちが人類の支配を巡って戦うのか、この世の地獄だな」

「大衆は英雄による独裁を好むものです、歴史的に見て」

「だが古今独裁者は劣化するのだよ」

 

ワイアットが戦っている表向きの思想は、これであった。

 

「良いかい、ギレンやガルマは確かに有能だ。

でもね、彼の後継者はどうなる?

私としてはかのような博打的政治体制で暮らすことを強いられるのを、甚だ不愉快に思える。

連邦政府議事堂の前で政権批判を出来る権利の為に、私は兵の命を死地にたたせているんだ」

 

ワイアットは砂糖を少なめのオレンジ・ペコーを一口味わい、嬉しげに言った。

 

「さてと、ではこの書類の山は全て司令部行きだ。

我が連邦政府の中では何をするにも稟議書と印鑑がいるのでね!」

「はい閣下!」

 

アイカ秘書官は、とても喜んだ笑顔で敬礼した。

彼女は民主主義の敬虔なる信者であり、普段は不平と不満を垂れるのに一朝事あらば仕事に取りかかる者達がいとおしい人間だからだ。

そしてこの会話を聞いていたのは、二人だけではなかった。

ギレンとの接触疑惑が出て以来監視していた諜報部員も聞いていたのだ。

報告を見たゴップは無言でワイアット暗殺計画ファイルの入ったデータソフトを、ごみ処理機にいれて粉砕した。

 

「まだまだ働いてもらうからねぇ、くくく」

 

ゴップは三段笑いをしようとしたが、途中でむせてやるせない気分になったので、憂鬱な気分で仕事に戻ることにした。

 




空挺にアフガンいってそうなスカーフェイスのレイドビキ指揮官混ぜようか思いましたが止めた(自制心)、えらい()
次回多分フランス電撃戦(ガリア時代からの悪夢的侵攻ルート)

本作のガルマは内政全振りのチート的存在、モデルはハイドリヒ長官とシュペーア。




本作一番の萌えキャラってゴップなのでは・・・?
アイカ秘書官「これはいけない」


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地の獄で

実のところジオン水泳部は既に存在自体はしてるんですが大して何かはしてないです。
潜水母艦も潜水艦もないので。


ピレネー山脈の攻防戦は二日間激戦を繰り広げ突破された。

ザクの登坂及び山岳戦闘技能は彼らの想像を越えていたのだ。

予想外の傾斜部から現れ地中海からの空母艦隊の阻止攻撃も虚しく、ピレネー山脈防御陣地は崩壊した。

フランスの大平野は堤防を越えた洪水のように雪崩となるジオンの攻勢に呑まれていき、二週間しない内にセーヌやマルヌで防御陣地を構築するはめになった。

パリ市街、コレマッタ少佐はエッフェル塔近くのグレイハウンド指揮車の中で呟いた。

 

「崩れると脆いな」

 

欧州での地球連邦は実のところジオンの三倍程度である。

そのため局所的兵力集中と数量の優勢を確保すれば突破出来た、欧州はあまりに広いのだ。

そして広すぎる土地に比べ、戦車は少なかった、軍拡といっても優先されたのは艦隊である。

 

「戦車も地雷も足りてません、軍隊の防御陣地になりやせんぜ」

 

連邦陸軍の地雷不足も、問題であった。

何せ訓練用のものと一応作った程度の地雷しかない、使わないものに予算が回るわけないのは平成前半期防衛予算の割り当てを見ればよくわかる。

地上基地の航空兵力は事実上死滅してる以上、頼れるのはヘリやVTOLだが燃料を食いまくるし気温と天候に左右される、異常気象は深刻だった。

 

「やれやれまた申請か、バーバリーさんや」

 

コレマッタ少佐はそう言うと、バーバリー中尉は真剣な顔つきに変わる。

彼は数少ない職業軍人で、優秀な士官だった。

地上戦技量では地球連邦軍が数段勝っている。

 

「はっきり言って防衛は不可能です、鉄条網と対戦車バリケードでザクは止まりませんよ!」

「だろうな、ほれ」

 

コレマッタは飛んできたミデアを指差す、今日日珍しいまともに運用できる飛行機だ。

 

「あのマチルダ隊が代用品を積んできてくれた、有効に活用したまえ」

 

バーバリー中尉は「代用品って何ですか」と聞き、コレマッタは言った。

 

「鉱山掘削等で使う爆薬と軍用爆薬だ、IEDになる」

 

それを聞いてバーバリーは天を仰いだ、おぉブッダ!俺はアフガンのジハーディストじゃないんだぞ。

 

 

ビッター将軍は非常に無為な攻勢をしていた、ただひたらすらマゼラトップ等での威力偵察と示威的行動。

いつしか二時間憎悪と呼ばれる風習になり、数日続いた。

そして防御陣地はさほど危機感を抱いていなかった。

彼らは自身の足元に何が居るかを知らなかったのだ。

 

 

薄暗い地下のトンネル、ザク2機が並んで歩けるトンネルは地下の30mにあった。

これはこの世界では元々民生に作られ、対ジャブロー兵器に転用されたアッグの存在が大きい。

何故第一次降下部隊に居るかと言うと、この機体でゼーレーヴェ作戦やろうとしたからである。

きっと墓の下のヒットレルもこんなのが欲しかったに違いあるまい。

 

「作業は進んでいるか?」

 

ビッター将軍はこのために無為な攻勢をしていたのだ。

無論連邦が万全なら地下の音ですぐに気付いただろう。

しかしながら、彼らはその余裕が実のところなかった。

上層部が戦略予備の移動を命令しており各種の防備は不完全だった。

 

「はい、しかしあの土木機械が役に立つとは」

「正直、本国のお偉いさんの趣味かと思っただろ?なに、私もそう思ってた」

 

アッグガイなるMS等はコンクリートの壁と天井を作り上げていた。

腕を改造した機体で、これは試験運用機体だった筈だ。

 

 

「・・・しかしこれじゃどっちがもぐらか分からん」

「全くですな」

 

すると、ワッパの音が聞こえてきた。

偵察用なので通常のワッパと比べ、極めて小さい。*1

 

「開通確認!予定とおりルブリン市街に908機動偵察隊を送りました」

「よろしい!あとはもっと架橋ポンツーンがあればだが」

 

贅沢を言うなら、ビッターは架橋ポンツーンが欲しかった。

時間が足りなくて架橋ポンツーンは師団に6つのセットしかない、軍橋の資材も足りぬ。

ソウル退却時の韓国第一師団よりはマシだが。*2

 

 

三月の第二週に入った頃、ジオンの大攻勢が始まった。

電話線等の有線通信が切断され復旧しつつあった飛行場は迫撃砲の攻撃で使用不能だった。

無線通信は言わずもがなであり、後方の軍団砲兵の段列の襲撃により防御の要である重砲が喪失するに至る。

しかし川を越えるには多大な出血が伴われた。

戦闘の炎で赤外線は不可能である状態で、連邦戦車はレーザー測距儀ではなく直接照準射撃に切り替えたのである。

何故ならレーザーは逆探知が可能であるからだ。

有視界戦闘の状態で敵前渡河を敢行した地上軍は大きな歓迎を受けることとなった。

 

《ウルフェン4-2殺られた!》

《アルトマン!突撃しろ怯むな!》

《架橋ポンツーンを死守しろ!》

《バズーカを撃ち込め!》

 

弧を描いて飛んでいく曳光弾が夜空を切り裂く様子に、ダリル・ローレンツは旭日が迫るかのように思った。

何せドーナツ上の光が飛んできたのだ。

しばらくしたのち、それが61式の155mmHEの不発弾だと言うことと、そして自身の脚がもうないことを知った。

 

 

連邦地上軍は海岸部への撤退を開始した。

東ではコロリョロフ・コスモグラード(ロシア人は未だにそう呼称したがっている)ことバイコヌールが陥落したが、それはわざとだった。

無事なのは見かけだけで大事な打ち上げ管制は機材がすっぽり消え失せていたのだ。

そしてシルクロードやモンゴルの平野で、怒り狂ったアジア管区軍の襲撃に遭い続けた。

彼らは実体のない影のように活動していた、両軍合わせてもひとつの戦場に一個連隊以下の兵数しかない平野で。

遊牧民のようにエレカを走らせ、敵対者を皆殺しにするのである。

モンゴル軍機械化騎兵連隊のある将校はこう述べている。

 

"降伏したジオンは弱虫なので纏めて首を括ってやった、降伏しなかった威勢あるジオンは殺したあとちゃんと首をはねて転生を手助けした。

果敢な敵将校は慣例に則って馬を使いたかったがどうにもならんので、一番高級な毛布でくるんで戦車で轢いた。

漢人も満人も日本人も朝鮮人もチベットやウイグルの同胞も皆殺すことを考えてる、とても良いことだ。"

 

*1原作の初代ワッパはかなり煩い機体です

*2瓦を敷いて渡るも苦難過ぎて師団長が無意識に自殺しかけた、原因は情報混乱で橋が落ちたからである




モンゴルの話はだいたい実話を元ネタにしてるけどウンゲルン男爵と言いやべーよアイツら過去に生きてる。
古代から100キロ単位の相互連絡を実現した連中はやべーわ。


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期待の新兵器現・・・る?

機動戦士登場!!!!刮目して待て!!
さらに連邦軍を強くする期待の新兵器たちが続々参加!!

ー連邦軍広報ー


「意外と早い新兵器の登場ですね」

 

ワイアットは高官向けジャブロー地下試験場の部屋で、レビル将軍に一番の疑問を尋ねた。

兵器開発は時間がかかる、粗製乱造の物以外であると信じるしかない。

そして彼はこれがMSでないと言うことは気づいていた、当たり前である。

例えば戦後の自衛隊は事実上パクリの自走砲開発すら満足にいかなかったし、10式は記憶が正しいなら数年近い紆余曲折もあった。

従ってアンチザク、つまりザクという攻撃機に対するメタにしてアンチユニットであるガンダムではない、とするとなんだろう?

 

「元々戦前から開発計画の進んでいた物だ」

 

レビル将軍は何とも無さそうに言った。

 

「レビルくんの矢の催促に根負けしたのさ」

 

ゴップ元帥はのんびりとした抑揚でそう言った。

レビル将軍は「戦前からずっと言い続けた」と笑って言う。

高官連中の内ゲバは少なそうだ、まあ性質が違うからそらそうか。

ゴップ元帥としては、職務に実直な職業軍人は自身を脅かさない上に遣りたくない事をしてくれる存在である。

職業軍人のレビル将軍からすれば、ゴップ元帥は理論に正当性ともっともらしい理屈さえ用意できれば認可の判子を押してくれる存在である。

 

 

試験場で現れたのは、脚が少し太く腕はしっかりとしたドラケンEだった。

 

「前のが可愛くて良かったのに」

 

後ろのアイカ秘書官の呟きが聞こえる。

しかしそのドラケンは、左腕にはリジーナを、右腕には60mmのライフルを備えており、頭部にはスモークディスチャージャーがついている。

高官たちは疑心をもった目付きでそれを見ており、何故か技官として部屋に立っているテム・レイは自信ありげに言った。

 

「歩兵の生存率を高めかつ火力を上げる、我が軍の新たな形を作る装備であります!

無論格段の性能であります、ですが百聞は一見にしかずです」

 

デモンストレーションが始まった。

そのドラケンは背部ユニットで加速し、都市型の試験場を縦横無尽に駆け抜ける。

三階から飛び降りたり、別の背部ユニットを装備したドラケンはガサラキの12式TAよろしくワイヤーを引っかけ壁を歩いている。

 

「都市型歩兵としては完璧ですね、ですが山岳やジャングルはどうするのです?」

 

ワイアットは地球と言う環境に於いて都市がノイジーマイノリティーなのを知っていた。

テム・レイは待ってましたとばかりに言う。

 

「それにはあちらで対応出来ます」

 

それは忍者の装備めいて脚にホバークラフトを搭載したドラケンだった。

 

「少なくともアマゾンでの実地試験に成功したので、問題はないでしょう」

 

ワイアットは何とも言えない感情でパンフレットを踊る大きな文字を見た。

 

機動戦士ドラケン

 

 

やかましいわ。

次に出てきたのは新型MBT、ガンタンク2だった。

殆ど原作と変わらない様子に見えるが、良く見ると両腕が30mmに変更されている。

対人対空目標向けらしい。

 

『状況終了!』

 

高官向けデモンストレーションを見た感想は明らかに世界がおかしくなりつつある事だった。

いったい何処に私の持ち帰ったザクは消えたのだ!ザニーはどうしたんだ!

確かに兵器類は進化しているがこれでは来るべきジオン攻撃の際どうするんだ。

ガンダムはいったい何処に消えたああああ!!!

彼は悲しみにくれながら対MS戦闘を主眼にした新型MS計画を提案することにした。

 

 

この世には戦時急造品と言うジャンルが存在する。

あるときは不足ゆえに生まれたアトランティックコンベヤー、足らぬ制空権を埋めるMACシップ、根底から発想がイカれてる対空火炎放射機、糞から生まれた名作ヘッジホッグ。

だからといって作業ポッドを武装させるって何なの?ボールはトヨタハイラックスかなにかか?

 

「寒い時代と思わんかね」

「全くです」

 

ワッケインは何とも言えない表情をしていた。

アイカ秘書官は真顔で「本土決戦にこんな急造兵器、進歩がないですね」と痛烈に批判している。

彼女が最初集成艦隊に居た理由が良くわかる。

 

「貧すれば鈍する、よい言葉だな」

 

ワイアットはそう思いつつ、艦隊編成の再確認をしていた。

サラミスと高速駆逐艦で編成した通商路襲撃戦隊を編成し、ひたすらに輸送艦隊を襲撃し続けるのだ。

航空巡洋艦と呼ぶべきボール搭載機能をつけたサラミスは防空改装を終えたサラミスとフリゲートの援護の下機雷を展開、航路をある程度絞らせる。

基本的にやることは変わらない、結局宇宙でも平面的機動になる。

専門的なことはともかく、推進剤の観点から戦闘機みたいな機動はあまり好まれない、事実宇宙戦闘機と比べると継戦能力はMSが上だ。

 

「まあ、時間稼ぎと出血強要の観点からすれば至極真っ当で即効性でしかも廉価だから仕方ないか」

 

あんなゼロ観とか二式水戦みたいなの、好きな連中はそれまでの期待と苦しさを知らないからだよなあ。

ワイアットはそんな事を思いつつ、ボール部隊を一瞥する。

連装機関砲搭載型とキャノン搭載型、それと対艦対空の汎用8連ミサイルを搭載したのがいる。

戦法としては機関砲で弾幕張って、ミサイルでMS追い立て、キャノンで船をやるって事なのだろう、キャノンの弾薬はあまりに少ない。

 

「あれが完成した特設空母か」

「えぇ、<プリンストン>と<チェイサー>ですね」

 

そこそこ使えそうな新しい面子はコロンブス改装の特設空母(以後非公式名称だが鷹野型)が改装完了した。

通商路襲撃艦隊に混ぜておこう、日本名なのは過去に各国海軍が作ろうとしていた似たような目的の艦艇から選んだ。

ちなみに他の名前案だがカサブランカ、ボーグ、ペガサス、CAM(これは下ネタとのダブルミーニングにつき除外)である。

適当に書いたのを伏せて面倒だからアイカ秘書官にくじ引きさせた、お陰で失笑を貰うこととなった。

無論私はマゾではない、ワッケインにくじ引きさせようとしたら無言で立て籠りやがったのだ。

私をSCP-173めいてガン見しながら扉を閉める彼に殺意すら抱きそうである。

ともあれ、連邦宇宙軍は着実に経験をもとに強くなりつつあった。

 

 

ガルマは激怒した、必ず無駄と無意味蔓延る占領地行政を改善せねばならぬと誓った。

ガルマには軍事は分からぬ、しかし全員で幸せになれる道を探すことには人一倍目敏かった。

彼は宇宙越えコロニー越え、はるばる手際よく来すぎて予定より早く占領軍司令部に入った。

 

「こんな占領政策敷いた奴は誰だァ!」

 

彼の第一声は、あまりに大きく強烈だった。

彼は占領軍司令部の階段を駆け、扉を蹴飛ばし、人混みを一切の減速無しに走り、殴り込んだ。

そこからの彼は、黙々と二週間かけて改善案を作成し、占領軍兵士と占領下市民向けパンフレットを完成させた。

彼は市民から自警団を要請し、治安回復と植民地軍に近い存在の編成を急いだ。

しかし最大に重要視したのは食事の改善であった、食えれば満足な軍用ではなく、ちゃんとした食事を用立てる為に彼は食料プラントと地球企業の倉庫を徴発した。

企業の人間は現地社員以外に残っていないし、連邦政府は開戦と同時に民間資産凍結を宣言した。

 

「軍内部の犯罪者に情けなど要らん」

 

続けて行ったのはプロパガンダだった、何人かの将校すら銃殺に処される粛清が行われたが効果は大きかった。

翌月になったとき、ガルマ占領軍司令官の名は以前の首長より人気になったのだ。

彼はマキャベリの良き信徒である、何時なんどきであっても自身が必要と思わせる事を民に思わせれば死ぬまで安泰だからだ。

そして軍事独裁とは果断ない改革と政治にうってつけの手段である、いつだって患者は長期療法より短期療法を好む、それがどんな劇薬であれ!

 

「さっぱりした」

 

一通り終えると、ガルマ占領軍司令官の激務は殆ど落ち着いた。

維持管理を任せれる程度に占領軍司令部の役割を認識させたのだ。

彼は救世軍や国境なき医師団等のボランティア団体を許可制とは言え許したし、教会も許した。

サイドの建設企業たちは復興特需に湧き、軍票の起こすやむを得ないインフレ以外に目立った問題はなかった。

 

 

総帥府の執務室、窓から見えるズムシティの夜景はきらびやかに輝いている。

ギレンは仕事の休憩に、合間合間に甘めのコーヒーを飲む習慣があった。

 

「父上は分かっていない、キシリアやドズルは言うまでもない。

どう勝とうか考えていると考えが臨界に達する、大事なのは」

「大事なのは勝った後どのような世界を作れるようにするか、ですか?」

 

ギレンはふと、ガルマとの出征前最後の会話を思い出した。

ギレン自身弟の出来があまりに危険であると理解していたが、同時に死亡は危険な意味を持っていると理解していた。

人的資源の不足は何処まで言っても付きまとう!持たざる者の戦争は辛い。

しかしギレンは、同時に喜劇的に思えた。

連邦が衰退した理由は持ちすぎた故に、あるのだから。

 




ガルマ「改革するぞ改革するぞ改革するぞ」

本作の一番チート的存在ガルマ登場、ギレンも思わずニッコリ。
多分ドズルが殴ればネジが飛びきって「グフとかいらないんじゃないか?」とか言うでしょう。

そして出てきました連邦期待の新兵器。
兵士は感動のあまり泣き出す者が生まれ兵舎は遺書に封する音で満たされた!()
一応ジムの開発はされてはいますが、連邦が優勢火力ドクトリンなので量産型キャノンのが速そうですね。


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大蛇の呼び声

アンケートやってるから答えてどうぞ。


レイバン軍曹は新しい車長に絶句していた。

配属先のヤンデル中尉は間違いなくベテランであり優秀なのだが、手が速い逃げ足も速い戦車らしい我が道を全速突撃の性格をしていた。

この前は「河の深さよくわかんねぇな」と言う言葉に危機感を覚え逃げて戦車の下に隠れてたら車体下部ハッチから掴まれ連行された。

その前は「ソイツ確かノンケじゃねぇから囮になれ」とか言われて主計官の気を引く囮にされた、後で分け前くれたけど。

と言うか着任した時に気軽に「射撃成績凄いですね!」と言ったらいつの間にか頭に載せられたリンゴを12.7mmで狙撃された、無傷だったのが不思議でならぬ。

 

「中尉、なんで僕らの夜営はいつも少人数じゃねぇか」

「これだ、学も教養もねぇのは!お前MS乗りからすりゃ歩兵と戦車のどっちが狙いやすいと思う?」

「・・・歩兵?」

「バカヤロー戦車だ、歩兵はどうにでもなるが戦車は脅威目標で悩まず撃てんだ」

 

本当、野性的なまでに頭キレてるんだが。

そんな二人を含む連隊戦闘団は敗走する味方の援護に駆り出されていた。

小高いフランスのボカージュの117高地に展開し、ヤンデルは双眼鏡をかけて辺りを見回す。

レイバン軍曹も双眼鏡を取り出したが、ヤンデルが彼の頭を脚で小突いて言った。

 

「レイバンくぅーん、反射防止のフィルターはどうしたのかな~?」

「あ」

「あじゃないよバカヤローコノヤロー」

 

辛いです・・・職場環境が好きじゃないから。

 

「何か言ったかねスラーくん」

「いいえなんにも」

 

無鉄砲、と言うにはあぶないモンを吊り下げた車長にスラーは我が身の不運を呪った。

 

 

「そろそろだな」

 

ギレンは日付を見て、呟いた。

秘書官のセシリアは何か予定を忘れていたかと思い、きょとんと首を傾げる。

 

「いや、講和のタイミングだ」

 

ギレンはそろそろ戦争を適当に手打ちさせようと考えていた。

正直戦費が洒落にならない、派兵って言うのは倫理的云々ではなく経済的理由で止められるのは歴史的に証明可能だ。

投入した地上軍約38万人、凡そ1個の機械化された方面軍、動けば鳥の羽根より軽く札束が飛ぶ。

 

「我が軍は今のところ問題は無さそうですが?」

 

セシリアは頭が回るが、戦争には素人である。

ギレンは何とも無さげな顔で、密封指示書を書きながら言った。

 

「だからだ、勝ちすぎるのは良くない、失う物がない人間はどのような凶行に出るか分からない」

 

そしてギレンは、遠くで響くパトカーのサイレンの方を見て言った。

 

「人心乱れること麻のごとく、犯罪発生率が青天井だ。

国力が持たんよ、もってあと二年か一年だな」

「既に畜産方面はどうしようもない状態ですね」

 

セシリアはさほど食に拘らぬ人間で、ギレンに至ってはただのアピール程度にさえ思っている。

しかし民衆が違うことは、ちゃんと理解していた。

既に畜産は末期的だ、地球資本の飼料が入らないし食料自給率を補うやむを得ない手段として一部を除いて精肉加工した。

人工の合成食料もあるにはあるが、その手の技術を維持管理する地球企業のエンジニアも逃げ出したのでかなりの無理がされていた。

そして段々と戦争の熱が冷めつつある。

ダンケルクから総退却を開始する連邦はベネルクスやライン川を阻止線にして抵抗を続け、沿岸が近く空母の航空攻撃も来ていた。

 

「しかし、連邦めこれほど早く通商破壊を選ぶとは」

「この二週間で凡そ7万トンが撃沈されています」

 

護衛に手が回らない、なんてやってられない仕事だ。

護送船団を組んで走らせるのは良いが敵の新型武装ポッドはたちが悪い。

連中は絶対に孤立しない、常に三機で叩いてくる。

 

「ワイアット、全くもって食えん男だ」

 

ギレンはある意味、信頼すべき敵の存在に少しの感謝をしていた。

連邦内部に存在する核攻撃派閥ではないし、少なくともトチ狂って見事なキノコの雲作る性癖の気狂いじゃないのが機動戦力指揮官だからだ。

ティアンム提督の艦隊はルウム退却中数々の落伍を生んで戦力を喪失して、現在再編途上らしい。

 

「しかし、ただ座している訳ではない」

 

ギレンは、既に新たな策を用意していた。

 

 

「ロンドン橋とかけて、連邦欧州軍の士気ととく」

 

連邦軍BBC放送が聞こえる。

 

「どっちも落ちた!」

 

ブラックジョークは良い、何時だって軍人の友達である。

江頭いわく自衛隊にウケたネタは三島由紀夫らしいし、これは万国共通だ。

 

「うーむ、不味いな」

 

ワイアットはそう言うと、アイカ秘書官は背筋を震わせた。

 

「いや、新編した通商路襲撃部隊の事だ」

 

アイカ秘書官はほっとため息をつき、尋ねた。

 

「戦果は十分過ぎるくらいにあげていますが」

「ボール部隊が損耗し過ぎている、異常すぎる、二週間で損耗18%って何なんだいったい?」

「・・・18%?全滅じゃないですか」

 

アイカ秘書官はあまりの数字に呆れて言った。

ワイアットもそこまで欠陥があるのかと思い、ボール部隊の指揮官を呼んだ。

ちょうど昨日入港した航空巡洋艦の<トンプリ>のヤザン隊長を呼び出し、損耗率の多さについて尋ねた。

 

「喚問と言う認識でよろしいですか」

「いや、指揮能力を疑ってるのではなく改善案と、心当たりを聞きたい」

 

獰猛な動物に近い顔つきのヤザンに内心呼び出し間違えたと言おうかと考えながら、尋ねてみる。

 

「ハッ、ではまず言わせて頂きますとボールはバーディゴに陥りやすく指揮が混乱します」

「バーディゴ?空間認識の失調か?」

「はい、あれは球体でありパイロットの三次元認識能力を要求するのです」

 

ワイアットはある程度の納得が言った。

要するに右も左も分からぬ新人が磨耗しているのだ、そりゃあんな勢いで磨り減る。

 

「それを恐れて平面的機動しか取らず撃墜された例もあり、はっきり申し上げてボールは扱いが難しい兵器なのです。

宇宙戦闘機やMSの場合は違うのですが」

「・・・なるほど、参考になる意見だ。

あぁ、ちなみにだが君はどのような兵器が役に立つと思う」

 

ヤザンはしばし沈黙し、言った。

 

「やはりMSです、敵のザクは脅威であります」

「・・・そうだろうなあ」

 

ガンキャノン、いっそ改造するかなあ。

ヤザンに戻って良いと指示し、損耗率の報告書とともにせっつく事を考えていたワイアットは突如起こった揺れにより天井に叩き付けられた。

 

「おわっ!」

 

同じく浮かび上がったアイカ秘書官がスカートを押さえつつ天井にぶつかり、手近な物に掴まる。

まるでカンタス航空72便の機内のように揺れ動く室内がある程度静まり、地面に打ち付けられるのを寸手のところで避けた。

赤色灯が点灯し、放送が鳴り響く。

 

《総員戦闘配置!総員戦闘配置!本要塞は攻撃を受けている!これは訓練にあらず!》

「攻撃だと!?監視船団は何してたんだ!」

 

急いで宇宙軍の磁力靴を履き、通路を通ってルナ2CICに向かう。

ワイアットの携帯端末にワッケインからの連絡が入った。

 

「攻撃は何処からだ?」

『我が軍の哨戒線からの範囲外であります!恐らく大口径砲かと』

「哨戒艦隊を呼び戻して排除は出来んか?」

『もうやっております!ですが、あ、来るぞっ!』

 

言い終わる前に次の揺れと衝撃が巻き起こった。

通路天井が爆発で飛び散りアイカ秘書官を庇ったワイアットは頭に硬い何かが当たった気がし、見てみると飛んでいく電灯の一部だった。

そして次の瞬間の空気が漏れ出す衝撃で必死にアイカ秘書官を掴む。

 

「離すなよ!」

「意地でも離しません!」

 

幸い数秒でトリモチが穴を塞いだが、まさか要塞中心まで被害を及ぼすとは。

ワイアットは初めて生命の危機を感じた、こうも一方的にやられては多少非紳士的手段に出たくなる。

CICに近づくと、憲兵隊らしき人員が高級将校執務室の方向に向かっていく。

すると、アイカ秘書官が尋ねた。

 

「そこの憲兵」

 

アイカ秘書官は実は司令官つき故階級がそこそこ高い、呼び止められた憲兵は"些か違った抑揚で"言った。

 

「はい?」

「貴方の顔に見覚えがありません、貴方のようなアイルランド系将校は居ましたっけ?」

 

些か老齢の憲兵は愛想の良い笑みで言う。

 

「あぁ、私オーストラリア生まれなんですよ」

「へー、今は海が綺麗でしょうね」

「えぇ、行っても宜しいですか?」

 

ワイアットはこっそりと携帯端末の非常通報を押し、言った。

 

「Mr.エミュー、オーストラリアは今は冬真っ盛りだ」

 




次回ルナ2攻防戦。
大蛇の呼び声轟くルナ2、ギレンの野望が幕開ける。

ヤンデルとレイバンの二人はあれですね、ゲンブン作品の佐藤と中村に近い。


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鷲は舞い降りた

アンケートは次回投稿で投票終了です。
関係ないですがアイカ秘書官は最初ツイン巻き巻きテールでした、個人的にどこぞのフレンズ2のキャバ猫てき言動はしない(恋愛もハーレムもない)ことは明言します。
あくまで二人は部下と上司のプラトニックです。

声は可穂成美さんみたいな感じのを想像して下さい。


ガルシアの自動小銃が現れた連邦憲兵を銃撃する。

機関けん銃の引き金を引いたまま撃たれた反動で後ろに流れていくのを気にせず、アイカはフルオートにした拳銃をブラインドファイアした。

 

「君結構無茶苦茶やるんだね」

 

ワイアットも制圧射撃しつつ、増援を待つ。

各所で敵が侵入しているようだ、様子を見るに数は多くない。

多いなら敵の砲撃が多すぎる、恐らくこれは破壊工作目当てに違いないが、やつらの目的は高級将校と機密目当てに違いない。

 

「えぇ、だから軍に入ったんです。

家で父の言うことに唯々諾々したくなかったので」

「そりゃ大変だ」

 

正規の憲兵が重防弾盾をファランクスのように列をなし、MP7に似た機関けん銃を構えて前進する。

アイカ秘書官がそれを見て「グラディエーターだ」とジョークを飛ばすと、ミーシャが何かを構えた。

 

「やっばい!」

 

60mm擲弾が飛んできたのに気付いたアイカ秘書官は壁を蹴って上層に続く通路にワイアットを掴んで飛び上がる。

破片と爆発が起こり、ワイアットはこりゃ駄目だと交戦を諦めワッケインに連絡を取る。

 

「ワッケインくん、CICに辿り着けるか怪しい!最悪の場合ティアンム提督の指揮下に入ってくれ!」

『閣下、と言うことは貴方はCICに居ないのですね?!』

「そうだ!第5通路で敵の特殊ユニットと交戦状態になっていた」

 

ワッケインが電話越しに『第四区画に愛着は無いな?!』と言っている。

 

『では直ちに退避して下さい!ベイグライトを注入します!』

「あぁ!」

 

ベイグライトは要するにパテである、気密を守る為と延焼防止、それに侵入阻止を目的に流し込めるようになっている。

無論これだけならワッケインの出番はない、ワッケインは仕方ないので第四区画の酸素を全てカットする気でいた。

しかし運悪くワイアットが向かっており事態がややこしくなったのだ。

斯くしてルナ2CICは機能を喪失した。

 

 

ヨルムンガンド、それはジオンの対艦兵器にして余りに馬鹿馬鹿しい火砲であった。

メフメト二世もこのような砲がほしかったに違いない。

 

『残弾無し。課業終了!』

 

この警戒線の遥か彼方にこっそりと侵入した旧式民間船のヨーツンヘイムは、船籍が中立のサイド6だった事もあり特務艦にして通報艦だった。

船籍の理由は元の持ち主、つまり会社が租税を嫌って経済特区のサイド6にしていた、宇宙船とはお金がかかるのだ。

そしてこのヨーツンヘイムが居るエリアは戦争の色は極めて薄い停戦区域と俗称されるエリアだった。

木星船団の効率的な帰還軌道は、このエリアを使うからである、脛に傷がある人は皆優しい。

 

「聞いたねお前ら!利子つけて借りを返すのが人の道だよ」

 

シーマは嬉しげに、自身の部下に言った。

この作戦にはヨルムンガンド1、パプア2、海兵隊1個中隊、それと特殊作戦連隊から1個中隊が投入されていた。

サイクロプス隊達が侵入したのはかなりの手間をかけた、何せ地球軌道に近づく自由浮遊デブリの演技を三週間近くしていた。

地球軌道においては両軍の散発的小競り合いが発生し、戦後の資料いわく開戦から一年で380件も記録されており、恐らくこの数倍はまだあると言われている。

従い一々騒ぐ人間など居なかったし、それは司令部の将校にとっては全く知らない事だった。

 

『敵襲!ザクが来たぞ!』

 

一足早く防空改装された巡洋艦<シリアス>と、連装砲等の武装が強化された重巡洋艦と呼ぶべき<ウィチタ>と<利根>が発砲を開始する。

遅れてレパント級フリゲートが数隻、対空戦闘を開始した。

 

「畜生宇宙遊泳の再教育なんかしたくないぞ!」

 

特設空母<ガンビア・ベイ>の艦長は艦載機発進を命令し、セイバーフィッシュが出撃する。

その隙を見逃さず、散弾を詰めた暴力的長さの対艦ライフルを構えてシーマがニヤリと笑った。

結果、二発の直撃で<ガンビア・ベイ>は搭載燃料が誘爆し花火となった。

そしてそれは近くで乗員が半舷上陸していた野外係留中の<摩耶>を大火災にしてしまった。

 

『慌てるな!敵の数は多くない、各艦長は攻撃を集中し一機ずつ叩け』

 

ワイアットが漸くワッケインと合流し、命令を発した。

混乱した艦艇は指揮官の指示が飛んできたことで、幾ばくかは冷静になった。

軍港から続々発進するボール部隊が機能しない要塞防空兵器となり、更にはルナツー鎮守府陸戦隊の初期型ガンキャノンを要塞表面に投入すると、

対空射撃はかなりの密度に姿を変えた。

 

『弾幕薄いよ!何やってんの!』

 

臨時に戦艦<敷島>の射撃管制に入ったブライトや、ヤザン・バニング・ユウ等と言った連邦軍の中で少しずつその才能を目覚めさせたパイロットは、

よく的確に弾幕を展開させ、尻込みさせることに成功していた。

最も効果的だったのは連邦宇宙軍の試作兵器、対空散弾と防空爆雷である。

ヘッジホッグのようにMSの手榴弾程度の大きさをしたランチャーから打ち出される爆雷は、スラスターを吹かしてエリアに向かい、24発がエリアで同時炸裂するのだ。

対空散弾に至ってはただの実体弾であり、要するに三式弾だった。

過去の歴史から全く人類は懲りてない一例であると言える。

 

「直上からやるぞ!」

 

シーマ中隊は命知らずな前方直上からの攻撃を良く使っていた。

他の者達は誰も真似できず、艦艇の塗装が擦ってついていることが勲章だった。

しかし防空改装され、山盛りの対空銃座を乱射する巡洋艦<アトランタ>はあまりに手強かった。

中隊長つき副官の機体が撃ち抜かれ炎上、シーマは思わず「脱出しろ!」と命じたが最早遅かった。

 

『怪物め死なば諸共ォ!!』

 

残った唯一の片腕で、特攻を仕掛けるザクを見て「カミカゼが来るぞ!衝撃に備え!」とアトランタ艦内が恐怖に包まれる。

しかし、その特攻は嘗て行われた行為と同じく阻止された。

<ガンビア・ベイ>直衛に失敗した巡洋艦<ジョンストン>が誤射覚悟の主砲を撃ち込んだのだ。

 

「くそっ!」

 

シーマははっきり言ってこの中隊のバカ共をさほど好んでいなかったが、バカ共を英雄に、ましてヴァルハラ送りにする気は無かった。

故に彼女は激昂した。

しかし一撃離脱を徹底し出したセイバーフィッシュやボールは、数的優勢を活かしていた。

 

「残弾は・・・限界か、仕方ない!引き上げるよ!」

 

酸素が限界だった、外部ブースター(後のFSS)に乗せられ強行軍してきたので帰れなくなる。

特殊部隊の連中は混乱に乗じ、ランチを強奪したようだ。

 

「損害報告」

『大破3、中破2、撃破2です。』

「結構叩かれたね・・・これじゃすぐに干上がる」

 

たった一回の攻撃で小隊一つが溶けた。

連邦はゆっくりと強くなりつつある。

 

「さっさとこの戦争終わらせないと破綻しちゃうよ、すっからかんになるまでヤル気かアイツらは」

 

ヨーツンヘイムに帰還したとき、戦死者は三人になった。

帰還途中に死んだのだ。

 

「あれだけ居て、帰ってくればこれか。

戦争と言うのがつくづく不経済な事だと思い知らされる」

 

モニカ・キャディラックはただ冷めた表情で言った。

オリヴァー・マイはこの新しい同僚に若干の恐ろしさを感じながら言った。

 

「我々603自体、不経済の極みですよ。

呑気なコンペや稟議に審査、官僚主義的評価文書に」

 

オリヴァー・マイは不可の欄も、却下の印もない事が気にくわなくてやさぐれつつあった。

だいたい部品規格すら違うなどと言う不能率不効率、ヤード・ポンド滅ぶべし。

エンジンの補修部品の規格も食い違うのは明らかに常軌を逸していた。

 

「まあそうだが、あまりハッキリと言うな、私も色々ある」

「・・・えぇ、分かってます。

あ、ホルバインさんそれはウチの工具ですよ!返して!返せ!僕の私物ですよ!」

「うるせー知らねー!」

 

彼らは、この作戦の真の意味を数日後知ることになり、何故そんな無理難題を押し付けて来たのか本気で議論することになった。

 




シーマ中隊にこっそりホルバインくんが居ます、首輪がしっかりしてるので大丈夫でしょう。
エンジンの規格違いとかの話は旧軍のアホみたいな縦割り陸海軍からです、バカなの?(困惑)
やっぱ日吉のGFなんかあてにしちゃダメ(陸軍派閥)

次回はジオン水泳部&オーストラリア組が現れます、実はもう79年五月なんだからええやろ。

出てくる艦名が完全に趣味ですね...ちなみに利根の砲搭配置が好きです。
砲撃特化の重巡洋艦ですが、見た目は船体がクラップっぽい感じのに連装砲を積んでるのを想像して下さい。
雷巡?さすがにそれはないよ。


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オセアニアじゃあ常識なんだよ!

人材の掃き溜め、窓際、日本海軍第八戦隊めいたオーストラリアの話。
なお本作のホワイトディンゴですが、モデルは自衛隊の第七師団第七偵察隊(戦車すら有する贅沢な連中)です。
その為オーストラリアの便利屋です、悲劇なんやな。
あと二人ほどメンバーが増えました、オアシスのドライバーのクルパルカとガンナーのナカジマです。
ぶっちゃけちょい役。

あとジャクリーヌがジオンのプロパガンダになりました、だって現実的に考えたら敵の放送のが人気でそうだし味方のプロパガンダなんか聞きたくないもん。


ルナツーの一時的機能喪失と艦隊の混乱により、ジオンは軌道の優位を一時的に確保した。

彼らは此のときのために揃えた第三次降下部隊を投入する。

目標は

 

オセアニアだ!

 

 

トリントン基地四番格納庫、ホワイトディンゴ隊はいつも通りの日常を生きていた。

 

《はぁーい連邦軍の皆、元気にしてたかな~?

特にこの前大・打・撃☆被っちゃったルナツーのリスナーさんらは大丈夫?》

 

ラジオから聞こえるジオンの宣伝放送、ジャクリーヌ・ローズの声を聞くために整備士も一緒に集まっている。

 

《えーさて、新しいニュースがあります。

良いニュースと悪いニュースの豪華二本立て!》

「良いニュースってあんの?」

 

マイクが笑って言った。

レイヤー隊長はゆっくり眠っており、呼びに来た小隊オペレーターのアニタは呆れて言った。

 

「あんたら真面目に戦争する気があるの?シリアスが足りないわあなたたち」

「シラフで戦争がやれると思うのがおかしーの!」

 

ホワイトディンゴのムードメーカーであるマイクことマクシミリアンは微笑んでそう言い、アニタはため息をついて言う。

 

「まあ、うん」

「んじゃそういうこと」

「・・・スタンリー大佐苦労してるなあ」

 

出所の分からぬ噂を手に入れる地獄耳ことレオンはそう言いながらも、放送を聞いていた。

ホワイトディンゴには他にもマオリ族の末裔のクルパルカと、新人のナカジマも居た。

製作された試作ドラケンを受領し、一応プチとはいえMS部隊となった彼らは機動偵察隊に分類されている。

 

「んで、アニタさんやどうしたんだ」

 

マイクは尋ねると、アニタは満面の笑顔で言った。

 

「お仕事だって」

「・・・暴徒鎮圧?やだなあーそういうのは」

「防衛出動待機命令よ、敵のHLVがマレー半島、ミンダナオ、ラバウル、ニューギニアに降下したらしいわ」

 

レイヤーはいつの間にか起きて装具を着込む。

マイクも「そりゃ一大事だ!」とすぐにスイッチが入った、彼も軍人である、元音楽隊だが。

 

「レオン!何してんだ急ごうぜ」

「輸送車両の影も形も見えないのにか?」

「・・・あそっか」

 

 

大型輸送トラックの車列が沿岸のポート・ダーウィンへと向かう。

その荷台はオセアニア管区軍のラテン的雰囲気が漂っていた。

 

「なーにがたのしゅうて野郎とドライブするんだ」

 

マイクの言葉はある意味全員の共通認識だった。

クルパルカは「でもいよいよ僕らも戦争っすね」と言い、ナカジマは「小隊長、旗色そんな悪かぁですか」と尋ねた。

無論レイヤーはそんなこと知らんので「しょせん下士官に分かるかぁ!」と自嘲して言った。

 

「降下してきたHLV一つにつき四機のザクらしいから、それを80と考えて偉い数になる。

俺たちは定員数割れた三個師団に巡洋艦2駆逐艦4、幸い飛行場はあるし使えるが飛行機が少ない。

総力戦やったら負けるよなあ」

 

レオンはそう言うとマイクは「だけどインドやアメリカから」と言い、レオンは「増援が来る?三ヶ月か4ヶ月先だな」と返した。

ナカジマは日系特有のダメなときはダメ理論的結論で「立派に護国の鬼となるよ」と言い、マイクは呆れて「本気かオメェ」と口が開いた。

アニタは心底呆れた顔で「貴方たちと戦争するジオンの軍人が可愛そうでならない」と呟く。

やがてポート・ダーウィンの港湾につくと憲兵が乗船を止めていた。

 

「乗船は延期だ、各自公園で露営しろ」

 

マイクが笑って「ジャブローが陥落したんだ」とジョークを飛ばし、レイヤーが理由を聞いた。

 

「潜水艇か何かが居るらしい、極東の連中が来るまで待てってさ」

「日本からァ!?おいおいバカか司令部は」

「対潜哨戒機を運用出来るのはアメリカとイギリス、それに日本くらいになりましたからねぇ。

アメリカは大西洋でてんてこ舞いですし」

 

レオンの発言は事実だった。

シーレーンに頼る必要性がある国でもないと機材もノウハウも無くなるのは必定で、結果としてこのような馬鹿馬鹿しい事になる。

連邦の脆弱性は、このように管区の短所が多いことだ。

 

「ん?おい見ろよ!」

 

誰かが声をあげた。

何とオーストラリア管区の一隻しかないビッグトレー級<ビッグブラザー>がポート・ダーウィンに現れたのだ。

 

「嫌ねぇ戦争でも始めるのかしら」

 

遠巻きに見ていた主婦が言い、司令部つきのアジア人将校が笑って「アッチから喧嘩を買いに来て下さった」と返す。

確かハクイルとか言う韓国系の筈だが中国とも、そもそもベトナムかも知れない司令部随一の政治的問題児のキワモノにしてエースである。

無論このエースとは要注意人物と言う事だ。*1

 

「うわー、ハクイル中尉すら動員してる」

 

クルパルカはそういうと、ホワイトディンゴの全員が天を仰いだ。

アニタでさえ「いよいよ風雲急を告げてるわ」と言わしむる。

 

 

スタンリー大佐はオーストラリア方面の指揮官である。

まがりなりに三個師団を隷下に数える方面軍の指揮官が大佐なのは、ジャブローの防衛作戦戦略会議から帰ってくる途中に航空事故で司令部幕僚が殆ど死んだからだ。

そして押し付けあいの結果、数少ないベテラン司令部幕僚(補給担当最高責任者)のスタンリー大佐が敗北した。

<ビッグブラザー>の作戦室で、スタンリー大佐は尋ねた。

 

「で、君はどうみる」

 

事実上作戦将校の最高位になったハクイルは、その人を不愉快でおぞましく思わせるに充分な笑みを浮かべて言った。

 

「全くもって、面白い状況下と言えます。

連中は本気でオーストラリアを落とすつもりなどないのでしょう。

これは示威籠城ですな」

「では本命は何処とみる?」

 

スタンリー大佐は、意味ありげに視線を向ける。

青竜刀のような眼つきで、ハクイル中尉は言った。

 

「決まってます、北米東岸ですよ」

 

5月15日、ジオンの第三次降下部隊主力は北米東岸一帯に降下した。

そして、翌日にはオーストラリアへの攻撃も開始された。

連邦軍オセアニア管区オーストラリア方面軍機動偵察隊ホワイトディンゴ小隊の戦いは、此のときから開始された。

 

*1自衛隊用語ではスペシャルとも呼称される




司令部全滅の理由は海軍乙事件とかが元ネタで、ハクイル中尉は韓国軍のペクイル将軍の名前を元ネタにしてます。
でも雰囲気も言動も別物ですね、戦争キチガイと押し付けられたスタンリー大佐と不真面目小隊の珍道中です。

ジオンの狙いは大西洋に気が向いてる連邦の北米管区を無力化し地上戦力を各個に撃破する事にあります。
第一次と第二次で上手く行かなかったし機動戦力が残っていて打つ手が無くなる前に主導権を掌握しなければなりません。

まあ素人の戦略ゲームもとにした脳内司令部の考えですけどね。


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五月蜂起

因みにZとアクシズやるからよろしくゥ!
ビッグトレー級は人名、ヘヴィホークは艦名で割り振ってます。
これ一応車両扱いらしいから極東管区だと<ゼネラル・ヤマシタ>とかになるの?それとも<エンペラー・[菊タブーにつき検閲]>とかになるの?

恐いから考えるのやめよう。


ラバウルを占領したジオンの部隊は、スラバヤやメナド等の主要なインドネシアの港湾を占領した。

ニューギニアからANZACが総退却し、連邦軍の勢力圏からスンダ・マラッカ海峡は消失したのである。

マスドライバー砲撃以来敵を求め続けたアジア管区艦隊は、ルソン及びレイテで足止めをされており苦戦を強いられた。

ザクマリナー、後々のジオンの水中戦闘想定型の初期案がついに現れた。

 

 

第三次降下部隊の4個大隊は英本土に上陸、連邦欧州軍は壊乱状態寸前になった。

これを阻止したのはへヴィーフォーク<リヴェンジ><ロイヤル・ソヴリン><ロイヤルオーク>ビッグトレー<キングジョージ六世><クイーンヴィクトリア>の豪砲であった。

猛烈な射撃が無防備なジオンの空挺部隊に降り注ぎ、結果としてロンドンは穴だらけになるに至った。

数日には連邦英本土軍の部隊により抑え込まれたジオンの空挺部隊はあまり有益な効果を見せることなく失敗したのだ。

 

しかし完全な無駄ではなかった。

 

欧州から総退却した軍の補給が混乱したことでアイルランド政府は単独講話と連邦軍の侵入拒否を宣言した。

これにたいしジャミトフ将軍は直ちに9006号作戦計画を発動させ、第三機械化騎兵軍団の督戦隊にして後々のティターンズの実働部隊となる野獣師団を鎮圧に投入した。

このような混乱から軍内部の動揺は民衆に波及し、前線が揺さぶられた。

脱走兵が月あたり200ほどだったのが20000に跳ね上がり、事態はややこしくなった。

 

 

アイカ秘書官に一通の手紙が届いた。

ハリファックスに疎開していた両親が戦闘で死亡したのだ。

ゆっくりと手紙を畳んで、封筒に戻す。

ワイアットはその手紙が何であるか察し、一言発した。

 

「・・・早退を許可する」

 

ワイアットは、ただ一言そう言った。

黙して何も言わないアイカ秘書官に、同情や憐れみは与えない。

あの秘書官には、それだけはしてはならない。

それは彼女の思想を踏みにじる事だからだ。

彼女が退室し、ルナツー復旧の資料を探す。

 

「停戦に乗るだろうなあ、これ」

 

どうにも、この世界のジオンの目的は独立だけでは無いような気がする。

彼らの思想はテイヤールの思想に良く似ている、彼らの目的とはオメガポイントに到達しノウアスフィア(ニュータイプと呼称しても良いか?)する事なのではないのだろうか。

つまりギレンの野望とは、人が神のような力と心を有することにあるのか。

とすると、彼は停戦に乗るか?

人の進化、いや神化を目指す彼らにとって我々連邦とその民主主義は相容れない物なのではないのだろうか?

やだなあイデオロギー戦争なんて、有益な事を考えるべきだ、そうミルクは後か先かの論争とか*1

 

 

連邦は敗北を続けていた、失地は増え続け戦乱は拡大するばかり。

戦略的な勝利を求める政治家は無駄な事を続けていた。

しかしこの時期に、ジオンの進撃が止まってしまった。

投入した兵力57万の兵員を動かす莫大な物資が、限界点に達したのだ。

そしてギレンは終戦交渉を本格的に開始した。

散発的な戦いが両軍で起こったが、北米東岸の四割を喪失した連邦はまず北米をどうにかしなければならない。

欧州軍は補給線が混乱しておりザクマリナーと数量限定で投入されたアッガイが大西洋で暴れ狂っていた。

だが終戦の試みは破綻した。

 

「来たぞ、殺れ」

 

エルラン将軍から漏れた情報で代表団の乗ったコムサイが輸送路妨害戦隊のカナダ管区巡洋艦<インターフェアレンス>に撃沈されたのだ。

なお撃沈したのは同戦隊に所属する<エボン・アトール>か<畝傍>とする学説があるが三隻の乗員及び記録は残っていない。

何故なら<インターフェアレンス>はこの2日後チベ級1捕獲したサラミス1ムサイ3で構成されたジオンの艦艇に撃沈された。

僚艦二隻も戦争終盤のサイド3攻防でガルマ親衛隊により撃沈されたのである。

撃沈を命じたのは無論ワイアットだが、ワイアットは以前にも「護衛のないものは臨検して押収しろ」と命令を発している。

戦後しばらくし、これは当時艦長だったバスク・オム中佐の命令であることが判明した。

こう言った現地軍人の暴走と後述する事態により連邦政府のシビリアンコントロールは破局に向かい、過激な軍人は投機的冒険と夢想的な言動を述べる武装した妄言製造者に名を変え、

後々の連邦政府の日和見的平和ボケ事なかれ主義を貫かせるのである。

 

-ムーンレイス政府制定歴史教科書、参考文献「ギレンの野望」著者カイ・シデン-

 

 

連邦軍の敗因はまず政府が意思決定に欠ける事だった。

既に二つ政権が崩壊し、意思決定に統一性が無いくせに柔軟性も無いのだ。

掴めないぬるぬるしたゲルのごとき政治家のツケは、何時だって兵卒と市民の命により払われるのは万国共通である。

結果として起こったのは、青年士官によるクーデターだった。

大統領及び関係閣僚のほぼ全員が殺され、残ったのは都市再開発長官だった。

これは誰の策謀でもなかった。

 

「盛りおって、猿どもが!」

 

ワイアットが知らせを受けた際の一言は、連邦の健全な将校の反応よりやや温和だった。

ジャミトフ将軍は「・・・愚かな」と呟き、レビル将軍は「ビッグトレー投入しても良い!鎮圧しろ!」だった。

なおゴップ将軍については記録が残っていない、理由は何処からかの速報で彼を狙う決起部隊から霧のように逃げたのだ。

真相は不明だがエルラン将軍の副官であるジュダック中佐の証言では「ジオンのエージェントからの仄めかしがあった」と言われているが、

本人の事実上の遺書にして養子が出版したゴップ回顧録では明言されていない。

真相は不明である。

 

 

クーデターは一日で終結した。

レビル将軍による原隊復帰命令の演説と決起部隊指揮官による短い演説、そして自決で決着した。

連邦軍同士の交戦は避けられたが、完全に文民統制の概念が崩壊したのだ。

 

後々の騒乱の元凶は、この時生まれた。

 

しかし良い側面は幾つかあった、予算関連問題は解決された。

戦時特別臨時予算は賛成八割で可決され、これによりガンダムと言う概念技術実証機が本格的に動き出す。

XMS-1と形式が割り振られ、後々の形式番号改編により呼ばれたその機体。

 

プロトタイプガンダム

 

機動戦士と後世呼ばれるそれは、この時初めて生を受けた。

それに注がれた予算はマゼランとグレイファントム後期型ペガサス級をそれぞれ70隻分建造出来るだけの予算だったからだ。

戦前からの開発計画は、いよいよ本格的試作MSになるのである。

 

*1実際に論争となった、因みにイギリス系の多いボストンではバーガー論争もある




絶対原作の連邦政府がクソザコナメクジ日本政府以下の甲斐性なしの寄生虫になったのはZの時代のせいやろ。
総人口半分死んでなお殺したりない軍人連中見たらああなるよ絶対。

次回はケルゲレン子とアイナとノリスが出てきます。
と言うかジオンのあれこれになると思います。

因みにマスドライバーのせいでプレートがゴミカスなまでになったのでウィークリーログインボーナス感覚で地震が起こってます。
お陰で航空兵力がマブラヴよりマシ程度です(こうしないと可変MS作られねぇし...(小声))


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ジャブロー要塞線に洗濯物を干しに行こう

ケルゲレン子とユウキちゃんが出ます。


"まだジャブローが残っていればね!"

-ジオン軍歌より-

 

イヴは後ろに響く歌を聞きながら、手紙を書いていた。

ここは公試航海が行われている巡洋艦ケルゲレンの酒保だ。

 

"故郷のお母様、お身体は大丈夫ですか?

航海から一週間、今は[検閲]の近くです、地球がうっすらと見えます。

とても青く、戦地とは思えません。

現在は連邦軍の襲撃に出会していませんが、そろそろ初陣になるかも知れません。

でも私はオペレーターですから、そんなに危なくはないです。

それに噂だけど停戦が本当になりそうです、この兵役もすぐ終わるでしょう。

来月には休暇で会えます、お身体大事にしてください。"

 

イヴは軍事郵便の封筒を閉めて、甘い合成プリンを食べた。

スペースノイドは今や生まれてからずっとこのように合成食品を食べている。

天然物はよほどの好き者くらいしか好まない、往々にしてそう言うのを好むのはキザな嫌な野郎だが。

わざとケルゲレンの文字を一文字ずつ離して書き、軍事郵便ポストに入れる。

一文字ずつ離して入れるのは検査が大変なのだ、宇宙軍創設に際して連邦軍はこのように艦名間違いによる誤配達事件が多発していたのである。

例を挙げるならコンステレーションとコンスティチューション、嵐と山風といった具合に。

 

「やはり実際に動かして見ないと」

「そうですね」

 

イヴの横をアイナとオリヴァーの二人が通っていく、敬礼し彼女は手紙には書けない積み荷を思い出した。

この艦は大気圏内を航行する目的で作られた、無論連邦も同じような事が出来るだろうがしてない。

理由は簡単、その必要性が無いのだ。

連邦には何もかも特化した兵器類達が存在する、モンブラン級駆逐艦やヒマラヤ級空母、61式にフライマンタやマングース、そして噂だが新型MS。

彼らは何でも持っている、わざわざデカブツを環境汚染させながら浮かべる必要性がない、民衆に良くないのだ。

 

「・・・しかしいつ見てもMSってでっかいなあ」

 

イヴは艦内通路の窓を見て呟いた。

その窓には、青いグフが存在した。

そしてその腕には盾に仕込まれたガトリングが、鈍い煌めきを見せている。

 

「可愛いなあドムは、抱き枕出ないかなあ」

 

そのグフに隠れられていないMSを、イヴは少女らしい顔で笑顔を浮かべて言った。

 

「可愛い?ドムが?」

「技術屋でしょう、考えちゃ負けです」

 

クランプは困惑し、アコーズは笑って言った。

蒼い巨星が、地上に降り立つ為に近づいていたのだ。

 

 

ボストン州議事堂に北米軍司令部を置いたジオンは、その占領軍司令官をガルマとした。

そしてガルマは、着任の条件にある男を地球に呼んでいた。

シャアである。

 

「良く来てくれた、シャア」

「なに、旧友のよしみだ。

それにファルメル乗員達に休みを取らせる必要もある。

ガルマ占領軍司令官殿?」  

 

ガルマは少し恥ずかしげにしつつ、何時ものように髪を弄った。

 

「からかうのはよせ、兵が見ている」

 

議事堂ホールの様子に些か退廃的趣味を持つユウキ・ナカサトは「あーまじ無理しんどい尊い」と視線を向けている。

シャアはあれ多分違うと思いつつ言わない事にした。

 

「はは、で、かなりの大事をやるのかね」

 

ガルマの眼が変わった。

 

「あぁ・・・、ピクニックは好きかね?」

「身体を動かすのは昔から慣れてる」

 

シャアは彼の目的を理解した。

ガルマの懐から出てきた書類には、マッドアングラー作戦部隊と書かれている。

 

「率直に言う、君に巡洋艦一隻とMS隊を預ける。

任務は・・・言わなくても分かるだろう?」

「慢性的兵力不足に苦しむ戦線の火消し、だな」

「そうだ、良き友人を持てて感謝する」

 

後々のシャアは、こう呟く。

 

謀ったな!ガルマ!

 

部隊はあれこれの末戦闘団の規模になるのだがそれはまた別である。

 

 

ウェストバージニアの草原に、ザクが六機侵入する。

山に隠れながら連邦の戦闘ヘリコプターが時代遅れの有線ミサイルを射撃するが、スモーク等を撒いてザクは巧みに回避する。

開戦から半年が経ちつつある、ジオンの重力環境での戦闘はだんだんと進化した。

しかも最悪な事に敵の戦闘機のドップなる奴や、重火力の移動要塞と呼ぶべきアッザムなる怪物がまことしやかに囁かれていた。

一般的連邦兵装備のこの士官は、全く足りぬ局地戦で戦う哀れな士官の一人だった。

 

【挿絵表示】

 

 

「本部聞こえるか!本部!こちらムーンシャイン6!

現在敵のMS小隊と交戦している!我に火力なし!」

 

北米連邦軍の主力は既に欧州に増援として派兵されていた、南米から援軍が来ているがまだ足りない。

そのため北米連邦軍の戦いはかなり押され気味だった。

その様な事情によりこの第21機械化歩兵師団の支隊は苦戦を強いられており、後退は避けられないと誰もが思っていた。

 

『ムーンシャイン6!現在増援が向かっている!』

「増援?」

 

有線の野戦電話を持っていた連邦兵は首を傾げた。

近隣に州軍か何かが居るのか?役に立つか怪しいミニッツメン(民兵)

懐疑的になっていると、突如ザクが視線を上に向けた。

 

「んあっ!?」

 

上を見ると、ガンペリーから蓋が開き、一機のMSが現れた。

後々のパワードジムに繋がる分厚い脚部、一目で分かる重厚な佇まい。

ジムカスタムと同じブルパップライフルを手に持ち、複数連結型シールドを装備している。

後々のジム・コマンドーと呼ばれる特殊部隊MSだ。

 

【挿絵表示】

 

 

「うわぁ!!」

 

ロシア空挺軍の空挺戦車のごとき噴射をして現れた機体は、降下用の装備をパージして眼に光を灯した。

 

「あ、あれが我が軍の新型MS!?」

「まずいぞ!殺られる!」

 

ザクは三機による集中射撃を仕掛けるが、シールドを構えてそれを防いだ。

ルナチタニウムとはいえ幾つかの中空装甲とラミネートで活躍出来る。

圧倒的なまでに怯まない姿に角をつけた隊長機がヒートホークを抜いて突進する。

 

「速いっ!」

 

ジム・コマンドーはライフルを20発撃ち込み、隊長機が左への回避を行う。

左はシールドで撃てない死角だ、しかしジム・コマンドーは盾をパージした。

破損部位を容易に変えれるように設計されたシールドの応用だった。

シールドを捨てて腰部のガバメントに似た100mm大型拳銃を叩き込む。

 

「ゲームオーバーだ、ド外道!」

 

ジム・コマンドーパイロットがそう言葉を発すると同時に引き金を引いた。

ザク隊長機の頭部とコックピットを的確に撃ち抜き、隊長機が倒れ伏す。

 

「凄い、なんつうタフガイ」

 

残ったザクは優秀な下士官居るらしく、指揮を纏め上げクラッカーを投げてその内に後退した。

 

「すげぇ、これが我が軍の新兵器か!」

 

ジム・コマンドーは膝をついて、親指を立てた。

胸元には堂々とスカーレット隊の三つの紅い菱が輝いている。

連邦軍の試作MSは、テム・レイという金の卵を産む鶏にプラチナを注ぎ込んで生まれたポテンシャルの計り知れぬ反物質に近い存在だったのである。

 

 

"お前らをアマゾンで洗ってやるよ!"

-戦争末期、連邦軍兵卒達の替え歌-

 

 




ジム・コマンドーですが要するにコマンドの初期型のようなやつです。
因みに歌の元ネタはジークフリート線に洗濯物を干しに行こうだったり。
えんどう豆のベーコン添えのが歌いそうだが。


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ドラケンとは違うんだよ!ドラケンとは!

作者が個人的に一番本作で面白い所はモブキャラたちの愚痴と皮肉と嫌みだと思ってる、
てかノリと台詞が完全に戦争映画気分なんだよなあ...。


トラファルガー級空母<加賀>艦内格納庫には、明らかに異質なMSが居た。

現在この空母にはジャブローから来た技術陣も乗艦し、実地試験を行っている*1

プロトガンダム、その試作機は惜しげなく注がれた予算で生まれた概念技術実証機であり、贅沢にあれもこれも注いだ高級品だった。

連邦らしくない工業製品ではなく、工芸品に近いこの機体は、誰の眼にも不安と期待を抱かずにはいられない。

古来より如何なる高尚な理想も預金通帳の残高が打ち砕いたが、これは違っていた。

 

「Ta-ra-ra-ra Boom-de-ayだな」

 

艦隊指揮官としての公人と、オタクとしての私人の一致によりルナツーより出てきたワイアットはそう感想を残した。

アイカ秘書官が首を傾げて尋ねる。

 

「なんですか、それ?」

「二度目の世界大戦前にイギリスで人気を博したカンカン映画だ、脚を上げて踊れよ!って意味だね」

「映画マニアなんですか?」

「シネマは実に奥が深い、本と同じく心を研く。

ワッケインくんのように詩でも良い、趣味は若いうちに持たねば人生に良くない」  

 

ワイアットは諭す教員のように言った。

<加賀>乗員の整備士はその会話を聞いて、隣の整備班長に尋ねた。

 

「明日生きてんのかわかんねぇのになんでそこまで考えられるんでしょうか」

「それくらい面が厚いから出世出来んだよ」

「なるほど!」

 

 

連邦艦隊が珍しく出港した事実はジオンの琴線に触れた。

出撃したのは空母1特設空母2戦艦3防空巡洋艦12等を有する作戦規模の大きな艦隊だった。

本土侵攻とはいかないだろうが、大規模な船団襲撃をする或いはそう見せかける目的かも知れない。

これだけの規模なら最大規模の護送船団すら容易に蹴散らして悠々帰れる。

そんなことをされては干上がってしまうではないか。

 

「とてもじゃないがオッゴ程度では歯が立たん」

 

ジオンの護送船団には不足するMSの代替にオッゴが使われていた、火力自体はザクと変わらず良いのだが明らかに付け焼き刃だ。

しかも耐久性がワンショットライターなので、セイバーフィッシュの散弾に返り討ちにされるケースもあった。

これにたいし、コンスコン提督が敵に対する牽制と示威を目的に出撃することとなった。

チベ級<プリンツ・オイゲン><カールスルーエ>とムサイ改造の航空巡洋艦と呼ぶべき<アルフレート・ローゼンベルグ>、

そして月面で鹵獲したマゼラン級の<フリードリヒ・デア・グロッセ>とトラファルガー級<グラーフ・ツェッペリン>を有するジオンの機動戦力として最精鋭の装備をしていた。

また構成される人員は志願兵員が89%を占めており、士気も訓練も連邦艦隊より幾つかの見劣りはすれど開戦以来も訓練をし今や対等と呼べる。

なお鹵獲した二隻の旧名は<ペレスヴェード>及び<インペラートル・アレクサンドル二世>、どちらもロシア管区軍の艦艇だ。

ロシア管区は旧世紀より宇宙開発に熱心であった、事実フォンブラウン市街の連邦鎮守府の表札はキリル文字で書かれている。

 

「しかも相手はワイアットか、これは手強いぞ」

 

コンスコン提督は深く帽子を被り、旗艦の<フリードリヒ・デア・グロッセ>のCICから偵察機の映像を確認していた。

ビッグガンに良く似ている天体望遠鏡改造の偵察機材を操るガトルは目視策敵に回帰した戦場の重要な眼だった。

その偵察機の光学望遠鏡には確かに、現在ワイアット艦隊に編入されている戦艦<敷島>と、以前のルナツー襲撃でシーマ隊により確認された改装艦艇が居る。

ティアンム艦隊というのもあり得たが、コンスコンはこの考えは楽観的に過ぎると除外した。

 

「あれがティアンムなら良いのだが、絶対に違うな」

 

 

 

「えぇ、これだけの艦隊運動を堂々とやる自信がまだないでしょう、しかし飽き飽きするくらいの艦艇数です」

「飽き飽きするくらい持ってるのが羨ましくてたまらんよ」

 

彼らは華麗な第一警戒航行序列を形成し、観艦式のように毅然と進んでいる。

あれを大小合わせて40以上の艦艇数でやる航行システムや訓練を修了した者は多くない。

ルウム会戦でジオンの艦艇は殆ど囮の無人艦艇にパターン反応を仕込んだ程度だったのは、演技を出来る海軍軍人の余裕がないからだった。

 

「此方は数で負けているが、手はある。

参謀!」

 

コンスコン提督は一戦交える決意を固めた、現存艦隊主義は良いことだが地上の同胞数十万の為に戦うのだ、それで理由は十分!

彼の指揮できる艦載機は二個混成大隊だった。

大隊は混成ゆえMS中隊1にガトル中隊3で戦闘隊を編成している、良く分からない方は重戦車大隊(タイガー)1と戦車大隊(4号戦車)3のドイツ軍戦車連隊を想像して欲しい。

そして彼のちょっとした自慢である504MS大隊は、丁度遠洋訓練を兼ねて二個中隊が乗っていた。

 

「第一種戦闘配置!対艦隊戦用意」

 

ジオン宇宙軍は連邦宇宙海軍と違い海軍発音ではなかった。

電波管制解除に伴い照準レーダーが照射され、連邦艦隊の正確な位置を特定する。

逆探知を怖れて両軍は戦闘突入くらいしかレーダーを使わなくなっていた、そんな中に粉を撒き散らしたので連邦は開戦時に一方的だったのである。

しかし今やこの差は消えつつある。

 

 

<敷島>CICにワイアットが入る。

ジングウジ艦長が敬礼し、僚艦の報告が入ってきた。

 

「索敵艦<浜風>より報告!艦影はマゼラン級1を認む!」

「敵艦隊に未確認の空母らしき艦影確認!現在艦載機を発艦中」

 

ワイアットは内心舌打ちし、敵のマゼラン級と言う不愉快さを呑み込んだ。

こっちは36サンチの長砲身、敵は38サンチクラスと12.4サンチクラス、威力も射程もこっちが上だ。

連中のが砲が大きい?バカ者、あれは我々のように長砲身にしたりして口径を変えずに威力を上げれないからだ!

 

「キャビテーションノイズ*2確認!マゼラン級<インペラートル・アレクサンドル二世>及びチベ級<プリンツ・オイゲン>確認!

敵はコンスコン機動艦隊です」

「なっ、敵の最精鋭艦隊か、奴等ガンダムに気付いたな!」

「恐らくは」

 

現実はワイアットの考えとは違っていた、しかしワイアットは原作を考えるにルナツー襲撃の辺りで資料が奪われたと考えている。

しかし結果として良く働いたと言える、これによりガンダムと言う白い悪魔が世に現れるのだ。

 

「MS出撃用意!」

「よろしいのですか?」

「今や露見したと言うほかない、艦隊防空圏の後方に下がらせ対艦攻撃隊を攻撃せよ」

「了解。ホチ(砲術長)!海軍に給料払いすぎて無いことを見せてやれよ」

 

ジングウジ艦長はそう言うと、ブライト・ノア砲術長は元気良く「砲雷同時戦ヨーイ!」と言った。

ワイアットは敵の後方に流れるように艦隊を進ませる、当然相手は嫌だから変針するわけだがこれが問題だ。

艦隊戦を本格的にやるなら望むべくは丁字或いは同航戦、しかしジオンの艦艇は速度に優れるが連邦とガチンコなんてすれば間違いなく乗員たちが0079年宇宙の旅してしまう。

ここでコンスコンはジオンの艦隊戦闘ドクトリンの基本に立ち返る、漸減邀撃作戦である。

 

「対空対艦戦闘用意よし」

「全火器装弾用意よし」

「艦載機発艦完了まで190秒、敵艦隊の艦載機到達まで310秒」

 

ワイアットはマイクを手に取り、短なスピーチを述べた。

 

『全ての勇士諸君、今日この日の戦いが歴史の教科書から消える事はない。

我々はかつてのネルソン提督、トーゴー提督、フィッシャー提督、カニンガム提督、ニミッツ提督たちのように名を連ねる。

君たちは戦後、胸を張って誇るのだ、自分はあの日、あの戦場に居たと。

全ての勇士諸君、御武運を!君達を誇りに思う』

 

連邦艦隊が、ついに名乗りを上げた。

堂々とマストに靡くはZ旗と軍艦旗、そして堂々たる連邦の旗。

諸民族の全地球統一民主政体の旗だ。

 

「さて、浮かべる城の頼もしさを見せつけよう」

 

世界戦史に燦然と輝く戦いの幕が開いた!

 

*1初期の零戦と同じ

*2艦船のスクリューが発するノイズ、宇宙でも推進機は微妙な個体差があるのだ。




軍艦乗りを書いてると心が踊るなあ!()
原作ではジオンが艦隊決戦を仕掛けずただ各個撃破されたのは艦隊運動をする能力に欠いていたからと私は思ってます。
だってソロモン以前にドズルに青葉区の機動艦隊与えて、グラナダ艦隊を後方の補給路寸断に投入してればそこそこ延命も出来たやん。

キャビテーションノイズですがこれは作者の知り合いの鉄のクジラだったりする人からの話です、僕には分かりませんが彼は分かるのでしょう。
ところでなんでP-1のキチガイ連中は機体の表面を海水まみれにするのが洗礼なんだ、頭おかしい(実話)

次回かなりガチンコ艦隊戦、


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白い悪魔

アムロ「親父、流体パルスアクチュエーターなんか発展性ないと思うよ」
テム「・・・え?」
アムロ「マグネットコーティングによる摩擦を軽減して動きのスムーズさをあげようよ」

本作のアムロはサナリィに就職するようです(まあ就職する位には作品終わってるような時代だが)

本作のコンスコン隊ですがジオン少女物語ネタがあります。


《遥かなティぺラリー!愛しのあの子のいる場所よ》

 

海賊放送の遥かなるティぺラリーがユウのコックピットに流れる、彼は何処か破滅的煌めきをする艦隊戦闘を眺める。

彼の乗る試作型ガンダムは、白黒のダズルと影の迷彩で輪郭をぼやけさせている。

敵の艦載機が砲撃を掻い潜りながら接近しつつある、まもなく新型艦載機トマホークによる要撃だ。

 

《あばよレクター広場、さよならピカデリー。

ティぺラリーは遥か彼方だけど、私の心は常にそこにある》

 

 

午後12時の37分、連邦艦隊は戦闘に突入した。

対空ラッパの輪唱と共に<敷島>と<三笠>、<霧島>の三連装36サンチが唸りをあげて砲撃し、副砲が実弾を射撃する。

 

《撃った!来るぞ!》

 

突入をはかる第一波攻撃隊およそ46機に直接援護の24機、一度の攻撃としては結構な大編隊である。

MSパイロットはコンスコンに個人的恩義のある孤児出身等も多い、戦意の高さの一つはコンスコン自身の人徳もあった。

 

《慌てるな!艦砲程度に臆するなよ!》

「は、はい!!」

 

小隊長のザクF1型の声を聞いた若い女性パイロットのフィーアも孤児出身だった。

彼女のお守りであるガルマのブロマイドを少し見て、彼女は怯えた心を鎮めて気を落ち着ける。

 

「あ、案外どうにかなるかも」

 

最初にやって来たド派手な<敷島>の対空砲撃を、若干左に逸らせばすぐに避けれた。

しかしフィーアは若干の加減を誤ったことで右下方に潜ってしまった、隊列に戻ろうと味方のいる左を観たその時。

小隊長の機体が<霧島>の3式対空砲弾で粉微塵にされて吹き飛んだ。

 

「小隊長ーッ!!」

 

同じように数機が損傷または大破し、フィーアは恐怖心で過呼吸になりながらも突っ込む。

最早此しかないからだ、彼女は自身のバズーカを信じて突っ込む以外、知らない。

対空装備を山積みした防空巡洋艦からの統制された対空射撃によってコックピットに赤い染みとなるまで、彼女はそれしか知らなかった。

 

 

「SAMスタンバイ!」

「コメンスファイァー、てぇーッ!」

 

CICの指示で一気に巡洋艦のVLSからミサイルが発射される。

カナダ管区駆逐艦<ハイダ>からも爆雷を発射し、艦隊の手厚い歓迎が始まる。

 

「来た!右40度広角20!突っ込んでくる!」

 

ノーマルスーツの上にテッパチと破片対策のベストを着込んだ艦橋測距員が叫び、機銃群が唸りをあげる。

三機のザクがバズーカを構えながら、戦艦<敷島>右舷に突入体制をとった。

 

「三番砲搭、てぇっ!」

 

斉発された三番砲搭の36サンチ三連装が光を帯びて発砲し、粒子に飲まれて一機が食われた。

しかし崩れず突入した敵機はついに発射する。

白い煙の尾を引きながら二本の線が伸び、ジングウジ艦長の「上げ舵12度!取り舵20!」の号令がかかる。

二発は回避され、続けて右60度広角40からアインスのザクF1が突っ込みをしかける。

 

「敵機突っ込んでくる!!」

 

撃ってきたアインスの攻撃は一発が迎撃されるも、更に突っ込んでもう一発撃ってきた。

迎撃が間に合わず一発は第一砲搭に直撃、しかし砲搭に爆発の威力が及んでいない。

当たり前だ、砲搭上部と正面は頑丈なのだから。

更に続けてザクが2機、今度は左舷より攻撃を仕掛ける。

 

「新たな目標捕捉!左舷より敵機!」

「とぉーりかぁーじいっぱァーい!いそーげぇーっ!!」

《ヨーソローっ!!とぉーりかぁーじいっぱぁーいっ!》

「矢鱈にこの船ばかり狙うな連中」

 

ワイアットはジングウジの指示を横に聞きながら呟いた。

次の瞬間大きな揺れが響く。

 

「損害報告!!」

《左舷高角機銃弾薬庫付近で火災発生!消火作業に入る!》

《左舷二発被弾!第三区画消火剤を注入!》

 

この鉄の乙女はそのたわわに実った身を揺らしながら、戦闘を続けている。

外部モニターでは爆発に呑まれる僚艦が移っている。

 

《<浜風>被弾!轟沈していきます!》

《<霞>行き足止まった》

《<磯風><初霜>戦列より落伍!》

 

防空戦闘を続ける僚艦が幾つか沈んでいっている。

南極条約でNBC兵器を禁じた故、戦艦や巡洋艦は容易に沈まない。

だが駆逐艦やフリゲートはそうもいかんのは事実である。

ワイアットは攻撃隊の成功を祈りつつ各戦隊指揮官の各個対空戦闘を命じる。

戦闘が始まれば基本提督の仕事は押すか引くかの二つだけだ。

 

 

ヤザンは新しいMS、と言うより玩具を貰って上機嫌だった。

ワイアット自身としては「一声程度かけてやらんと殺されかねん」と内心かなりビビっていたからだが、ヤザンは「なんか物分かりの良い気取ったヤツ」位には評価されていた。

試作されたガンダムは全てで4機、MS試験部隊として新編されたモルモット隊、正式には連邦技研実技試験隊と言われる部隊の戦力だった。

無論ヒトガタの姿勢制御とかはいまだに解決してない事項だ、あれこれ問題もある。

そこを何とかするため現れたのが後々SFSと呼ばれるシステムの極々初期型、改造ホッグである。

 

「個人用LCACみてぇだな」

 

一目見ての感想はそれだった。

無人になったホッグの武装を幾つかの弄って乗り捨て出来るようにしたこの機体の真価は、姿勢制御を簡易にするためだ。

これなら土台の宇宙機の姿勢制御だけでいいし、そういう技術は山ほどある。

そんなわけで急増品のコイツで代替するのである。

 

「明日はこうして肩ならべ~無駄な話も出来るやら~*1

《そのコマンドは入力されていません》

「かてぇヤツだ」

 

機体のOSにヤザンはそう笑って言い、こっちが探知されないよう速力を落としているが確かに近づいている敵艦隊を視認した。

 

《まもなく変針点》

 

有線の振動伝達式通信*2が聞こえ、一気に気分が変わる。

最先任なので前線指揮官になったフィリップが全員に通達した。

 

《お前らァ!命落とすな敵落とせ!》

「ウィルコー!」

 

間隔を保って散開、敵艦隊上方より一気に切り込む。

陸戦型ガンダムのビームライフルにバッテリーを幾つか積んだような不格好な試作ビームライフルを構え、照準をしっかり定める。

なんでこんな事になったかわかんねぇが、逃れられぬ運命を楽しもう!どうせ死ぬならエンジョイ&エキサイティング!

4機一斉の射撃が煌めいた。

 

 

旗艦であるチベ級<カールスルーエ>に警報が轟く。

コンスコンは最初それを聞いたときに「してやられたッ!」と放った。

ワイアットの真の狙いは船団撃滅ではなく、こちらの機動艦隊を削ぐことにあった、そう考えるとこの時期に動いてきた理由が全て繋がるのだ。

無論コンスコンの読みは深読みし過ぎである、しかしこれまで北米、欧州、宇宙と連戦し尽く連邦相手に優勢だった彼らに初戦から土をつけてくる敵将と言うのは、

それだけで将校を深読みさせるに十分であるのだ。

無論スパイも何人か居るし、ワイアットに関するデータ集めがされていたが有効なデータは集める前に連邦エージェントに消された。

 

「提督!敵はMS!首と脚があります!」

「例の旧式か!?」

「いえっ!全くの新型かと!速いぞ何て速度だ」

 

オペレーターの悲鳴にちかい報告と同時に、艦が大きく揺れた。

黄金色に輝く艦艇搭載用試作Iフィールドがビームライフルを防いだのだ。

しかしチベや、マゼランとは違い脆いムサイや、電力等に余裕のない空母<グラーフ・ツェッペリン>はそうもいかなかった。

フィールドを見て目標を切り替えたユウはムサイの機関部を狙い単発射撃で精密に撃ち抜く。

他の隊員も同じようにしていたが、ヤザンは艦橋と砲搭を狙撃していた。

 

「<グレンデル>被弾!動力低下します、<ネルトリンゲン>炎上!沈みます!」

「<クロッセン><アルトマルク><ヴァレンシュタイン>機関部被弾!戦列より落伍します!」

「<グラーフ・ツェッペリン>格納庫炎上!」

 

たったの一撃、ただの一撃。

だと言うのにムサイ4は速力半減、ムサイ1轟沈、トラファルガー1炎上。

艦隊直援機が迎撃を仕掛ける前にこれだけの損害である。

 

「対空戦闘始め!CAP(空中援護)はなにやってる!帰る家が無くなるぞ!

それと近隣の各艦隊に急報!我敵ワイアット艦隊の新型MS交戦中なり、速やかな援護を乞う!」

「了解!」

 

コンスコンがそう言って再び正面を見据えると、そこには忘れもしないあの白いMSが居た。

そのガンダムは武器を構えようとしたが、横合いからタックルを仕掛けたC型ザクにより弾かれた。

STG44に似た見た目の80mmライフルを使いそのザクはガンダムを銃撃したが、ガンダムはなお動いている。

 

「良い気概だジオンの!!」

 

ヤザンはビームサーベルを抜いて突進し、真っ二つに叩き切る。

引き金を引いたまま叩き切られたザクの流れ弾が飛散し、<カールスルーエ>の艦橋に飛び込んだ。

 

「閣下機密服を!」

「将校が真っ先に着れるかバカ!」

「じゃあマスクだけでもしてください!」

 

カワハラに渡されたマスクを着用し、艦橋要員が慌てて機密服を着替える。

そのような光景を見ながら、コンスコンは己の、ジオンの慢心を呪った。

愚かな、誰も彼もが敵は打ってでないと思い込んでいたんだ。

すると、敵のMSが引いていく。

引いていく敵は4機のみ、全く素晴らしい手際で、一撃殴り付けて数的劣勢を気づかせないうちに逃げ切る。

 

「・・・窮鼠が猫を噛むか、噛まれたな、こっぴどく」

 

しかし、ここで事態が一変する。

ジオンの戦力が増えたのである。

ギレン直属の親衛隊艦隊、つまりグワジン級を有する機動艦隊である。

 

*1日本の軍歌、塹壕の中で

*2俗称触れあい通信




デラーズフリート「オッスオッス」
ワイアット「デラーズの頭部戦線異状なし」

宇宙海軍書いてると筆が進むよママン。

次回、おハゲとコンスコンと艦隊砲撃戦。

ワイアット「グワジンだがガンガ・ルブだか知らねぇがヤローブッコロッシャアー!」


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能事終われり

今回でこの艦隊戦は終わり。


ワイアットは満足げに逃げ帰る敵の攻撃隊を見ていた。

殆どの敵機は損傷しているし、攻撃隊の三割は落としたと思える。

駆逐艦が八隻と巡洋艦<熊野>が撃沈され、<初霜><霜月>は重傷者とともに戦場から退避させた。

撃沈された艦艇乗員も轟沈ではないので人的資源の消耗はかなり抑えられている、ダメコン技術などのハード・ソフトの経験はこっちが上なのだ。

 

「素晴らしい戦果だ、南雲提督も靖国で羨ましがるな」

「えぇ、あれだけの時間にこれだけの戦果、ジオンに勝てます!」

 

アイカ秘書官も嬉しげにしている。

すると、航空参謀から報告が入った。

 

「提督!やはりガンダムはメンテナンスに問題があり再出撃は四時間から五時間かかるとのことです」

「・・・新型だからなあ、それにコンバットマニューバなんてさせたらそうなるかあ」

 

ワイアットは些か残念だったが、かなり満足していた。

敵の戦力はどうあがいても此方を越えていない、フィリップがショルダーキャノンを搭載していたので敵のマゼランを機関部喪失のざまにしてやったのだ。

 

「しかし対ビーム防御フィールドとは、ジオンも考えましたな」

「だが結局は時間稼ぎだ、それほどのものを低電力で動かせる筈もない、これなら・・・」

 

ワイアットが言い終わる前に、事態が悪化してしまった。

グワジン級を有する敵艦隊が現れた、グワジン級を有するのはザビ家の直握戦力位だ、つまり。

 

「ギレンめ、手を抜かなかったな」

「でしょうね、そりゃあ欲しいものが二つも手に入るんですから」

 

アイカ秘書官が配食された一合のお握りを食べながら言う。

 

「二つ?」

「ガンダムと閣下の首」

「・・・なんてこったい」

 

名誉返上してぇなあ。

そう思いながらも近隣の図を眺める、逃げるにしてもそのまま帰れそうにない。

ルナツーにまでFF外から失礼して来そうである、何とかぶぶ漬け叩きつけてお帰りになられて頂こう!

と言っても艦隊決戦するにはこのままではちとキツい、艦載機の数で負けているのは困る。

ひとりで出来るもん!始めてのお留守番なワッケイン副司令や、艦隊再編中のティアンム艦隊が来るには時間がかかるだろう。

さてどうしよう。

 

「艦載機が使えないような状況下・・・都合が良すぎるか」

「いえ、有りそうですよ」

 

会敵する前に辿り着けそうなエリアに、暗礁宙域が確かに存在する。

この暗礁宙域は以前に連邦宇宙軍が射爆場にしており、データによると艦隊が隠れるどころか微細な残骸も潮流と呼ぶべき現象で加わりかなり広大だ。

 

「まるで東南アジアの海だな」

 

ワイアットは第一警戒航行序列の陣形を維持しながら、特設空母の二隻<千代田><千歳>に連絡しボールを何機か発進させる。

低速でゆっくりと進めば、ガンダリウムの素材で出来た初期型のボールKはちゃんとデブリに殺られない。

発進させた機体は言わばゼロ観のような目視偵察だ。

 

 

アインスは帰還した艦隊の惨劇に、呆気に取られた。

フィーネは戦死し、ツェーンは重傷。

旗艦<カールスルーエ>は損害軽微なれど、空母<グラーフ・ツェッペリン>は炎上し可燃物を投棄している。

 

《そこのザク、大丈夫か》

「は、はい」

 

ガトーが動かない機体に声をかけ、負傷者を親衛隊所属のパプアに移す。

 

「しかし何故親衛隊が?機動軍なら分かりますが」

 

アインスは分からないので尋ねて見ると、ガトーは誇らしげに言う。

 

《ギレン閣下の深謀遠慮、としておいてくれ》

 

事実であった。

なんであれワイアットが自ら出てくるほどの大事、ギレンは最悪の事態に備えて親衛隊を投入させたのである。

つまりサイド3核攻撃と言う最悪の事態に。

結果として敵の新型MSの脅威だったのだが、どっちにしろ良かった。

デラーズもコンスコンも、このままおいそれと引き下がるつもりがなかった。

兵卒たちもやられっぱなしは癪だった。

デラーズは指揮権をコンスコンに委任し、コンスコンはワイアット艦隊を追撃せんと暗礁宙域に突入する。

 

 

ワイアットは仮眠を終え、兵士たちも三時間ほどの休息を受けた。

艦隊の雰囲気は人心地ついたので、ある程度落ち着いた雰囲気で戦闘に適していた。

力みすぎずだらけすぎず、適度な休息を受け心を落ち着ける。

そんな戦艦<敷島>第二砲搭では、若い砲術員が砲搭長と話していた。

この砲術員は最近やって来た新人である。

 

「なんだ、やっぱりまだ恐いか?」

「えぇ、正直すごく。

なんでも敵は増援を受けて増強されたって話ですし」

「らしいが関係ない」

 

砲搭長は30代後半で、砲搭内部の椅子で胡座をかいてのんびりと電子煙草を吹かす。

基本艦艇においては火気厳禁である。

 

「なに、考え込まんで良いんだ、オメェの仕事はCICの照準通りにして、引き金を引くだけだ。

そう言う難しいこと考えんのは艦隊司令部と幕僚達だよ、今大事なのはどう生き残るかさ」

 

砲搭長の言葉に砲術員は「慣れてるんですね、戦争に」と呟く。

砲搭長は笑って「慣れるかじゃねぇ、生き残れるかが肝要なのよ、結局」と説いた。

 

「俺の同期で他の艦隊の連中は殆ど死んだ、生き残ってんのは月面で痛い目見たロシアとお上の提督のいた欧州艦隊くらいだ」

「んじゃあ僕はラッキーなんでしょうか?」

「戦う前に言うべき言葉じゃねぇな、そりゃあ家に帰ったとき言う台詞だぜ」

「はぁ」

 

すると艦内警報が響く、戦闘配置につけとの警報だ。

砲術員は慌てて席につき、砲搭長は笑って言った。

 

「ま、生き残れたら、酒保で何か奢ってやるよ」

「やった!」

 

 

ジオン艦隊は突然の敵艦隊発見の報告に困惑していた。

微細なデブリのせいで目視の捜索も至難で、見つけた時は艦隊側方3時の方向に居たのである。

 

「敵艦目の前です!目の前です!」

「落ち着け!距離は!?」

「そこです!」

 

カワハラが指を指すと、デブリの中を突き破って艦橋のすぐ目の前をサラミス級<鈴谷>が通過する。

 

「これじゃガレオンの時代だ」

 

ワイアットも思わずそう苦言を呈する状況であり、両軍は散発的砲撃を行いながらすれ違う。

デラーズ艦隊各艦から《砲撃だ砲撃!》と焦った艦長たちの声が聞こえ、デラーズの声が響く。

 

《体当たりしてでも沈めろ!数で我が軍が勝つ!》

 

唖然としたカワハラが何か言いたげにコンスコンを見るので、コンスコンは「ラムなんて積んでないぞ」と呟く。

連邦も経験浅い艦長のサラミス級<利根>が無分別なまでに主砲を乱射し、それが極々至近のチベ級<ク・ホリン>弾薬庫をぶち抜いた事で二隻が火球となって爆発四散する。

しかも巡洋艦二隻の爆沈による衝撃波が周囲のデブリを飛び散らせると言った事まで発生した。

たまらず回避を図るデラーズ艦隊のムサイ級<HässlicheEntchen(醜いアヒルの子)>は、コンスコン艦隊のムサイ級<ハーメルン>と衝突した。

 

編成の違う艦隊との連携も訓練も浅いのだ。 

 

結果として逐次回頭を終えた連邦艦隊はワイアットからの《各戦隊指揮官任意に発砲!》の積極性に欠いた指示を受け、

何隻かが瞬く間に大破していった程度の損害を被った。

 

 

艦隊戦闘は中世の会戦めいた状態になり、両軍の果敢なものが敵の上下を取ろうと機動し、大きく開いた口のような戦列になった。

連邦はフィールドにより火力の押しに欠いており、ジオンは威力に劣って決定的打撃を与えられない。

 

「神風が足りませんね」

 

アイカ秘書官の若干の皮肉に、ワイアットはふと何かが浮かんだ気がした。

 

「・・・すまんがもう一回言ってくれ」

「え?神風が足りないと言いましたが」

 

天候、地理的条件、嵐・・・。

ワイアットの眼が見開かれた。

 

「全艦の魚雷はどれくらいある?それとミサイル、特にサーモバリックなどの高い爆発力のものだ」

「はい!現在のところ魚雷戦は起こっておらずほぼ全艦が有しています。

ミサイルも同様ですが、対空ミサイルを優先したのでサルボー(斉射)は二回しか出来ません」

「よし、全艦魚雷戦用意」

 

その指示を聴いて、ジングウジ艦長は驚愕した。

 

「閣下!このような距離からデブリ群を抜いて直撃させるなど不可能です」

「魚雷の信管は抜け、有線にするんだ」

「それじゃあたりませんよ」

「そうだ、魚雷を自爆させデブリによる台風を叩きつける!」

 

ワイアットの言葉にジングウジ艦長は高笑いして言った。

 

「無茶苦茶ですが、実に楽しそうです」

「魚雷が自爆すると同時にミサイルを発射、その後魚雷をもう一度撃ち込む」

「水雷は弾着までの時間を確認しろ!」

「その後一挙に突撃、暗礁宙域より脱出し帰還する」

 

ワイアットは嬉しげに帽子を被り、作戦開始を告げた。

 

 

「弾着、今!」

 

炸裂が巻き起こり、80射線の魚雷が自爆する。

有線式魚雷なら粒子が撒かれていようが容易に操作が可能である。

大量の一斉爆発で生じたデブリの奔流は、ジオン艦隊を揉みくちゃに叩いていった。

 

「なんだと!?」

 

戦闘艦故にデブリの奔流で沈む船はさすがにいないが、大きな岩石の欠片が凄まじい速度でぶつかってただで済むわけでもない。

艦橋が崩壊したチベ級の<アウグスブルグ>と言った重大な損害すら発生し、回避により陣形が四分五裂した。

しかも戦闘中突如このような事態となったので発砲していたチベ級<リュッツォー>の射線に飛び込んだムサイ級<リューベック>を誤射により撃沈してしまったのだ。

 

「何をしてるんだ」

「何やってるんだ」

 

ワイアットとコンスコンは同じ言葉、同じ意味で呟いた。

あまりに不甲斐ない敵に、役に立たぬ親衛隊に。

陣形が混乱したところに飛び込んだサーモバリックにより融解させ開けた穴から、島津よろしく一点突破攻撃を開始する連邦艦隊の突撃が開始され、コンスコンは各艦回避に専念せよと通達した。

彼としてはこれ以上死なせたくなかったのである。

デラーズは態々ここまで来たのにと言う極々感情的理由からむしろ狂ったように発砲する艦艇を抑えることに専念せねばならなかった。

そして矢鱈に乱射する艦艇は、至近から三式の砲撃を受けて戦艦ワシントンのような惨劇を繰り返す事になった。

 

結果として連邦は、最終的に数的劣勢を覆す大きな勝利を得たのである。

 

そしてこの勝利を基に、後々バーミンガム級と言った新造戦艦が作られる艦隊派閥が生まれるのである。

 




本作の親衛隊ですが元ネタのドイツよろしく戦意と装備しか取り柄のない連中です。
元ネタのドイツのwafenSSみたいに回教徒師団や東方大隊、シャルルマーニュ師団やりてぇな()

だいたい日本の近衛師団もマレーの戦いじゃ第9連隊はそんなに役に立ってないし...。


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バトル・オブ・ブリテン、始まる

ジオン書いてると段々共産的文章になってくる、兵士たちは答えたとか流さなきゃ(NK-POP趣味)
書いてて楽しいからね仕方ないね。
あと評価の最低文字数上げました。

◆◆◆西側では読者が作者を選ぶがソビエトでは作者が読者を選ぶ!◆◆◆
◆暗黒作者独裁体制◆
◆わかったか◆
◆貴方を護るアナハイムのモビルスーツ◆


6月21日それをいち早く気付いたのは美保通信所と同じような外見の施設にいるイギリス本土電子戦部隊だった。

攻勢の予感を察知した彼らはすぐに警告を発する。

平時より活発な敵の通信が短時間の内に行われ、その後パッタリ止んだ。

攻勢命令、確認、そして無線の封鎖。

近現代以来の変わらぬ伝統。

 

 

その日の夜、昼頃に仮眠を許された兵士たちは命令に従い各中隊ごとにギレンの演説を聞くことになった。

ブリュッセルのかつてのNATO司令部は現在はジオン西欧方面司令部になっている。

その司令部の最も大きな格納庫ではジオン国旗と大きなデギン、そしてジオンの写真が飾られている。

 

《今日、地球の簒奪者たちはコロニー人民の堡塁たる我が国を抹殺せんと核戦争演習すら行い各方面からの有形無形の脅威と圧力に脅かされてきた!

我々は亡きジオン・ズム・ダイクンの夢、全スペースノイドの希望たる独立の悲願を達成せねばならぬ!

我々は決心と期待によって山を崩し海を埋め無から有を産み出し逆境を順境に変える必勝不敗の信念で、断固として戦い抜かねばならない!

人類の偉大な領導者、嚮導者、万古に長く輝く不滅の遺勲の創造者よ!我らに従い最後まで勝利していこう!

我が偉大なる時代の尖兵たる祖国万歳!断固不休の斗争を貫徹せんと協力する全てのサイドの同胞万歳!》

「「「ジーク・ジオン!!」」」

 

兵士たちの声が轟き、解散の号令と共に兵士たちが部隊に戻る。

 

 

アイスランド、レイキャビクの近海に白を混ぜた海洋迷彩の色合いで塗られたアッガイが浮上する。

接近する小型ボートを確認し、ラッコのように腹部を上にして寝そべるような体勢を取る。

事情を知らなければただの愛くるしい可愛いげのある光景だが、それはこれが何をしに来たか知ればすぐに分かる。

最後の一人が乗る直前にスイッチを押し、一瞬小さな爆発の煌めきが走った。

そしてそれは、吹き飛んだ事前重物資集積所の弾薬や燃料に誘爆し、火山のごとき焔となった。

 

 

24機械化連隊のバーバリーは手回し式のサイレンを鳴らし、ルイスがテントを蹴破って兵卒を叩き起こす。

 

「起床起床起床!!五分待機発令!」

 

兵士たちが悪態混じりに飛び起き、ガンロッカーが解錠された。

木製の銃床のブルパップライフルが投げ渡される。

 

「点呼ォッ!」

「1」

「2」

「3」

「4」

 

 

占領した連邦航空基地で手に入れた連邦軍ヘリコプターに搭乗したジオン特殊部隊が降下する。

姿は一般的連邦軍兵士で、完全な国際法違反だ。

イギリス本土の航空基地に侵入し一気にロケットと迫撃砲を叩き込む。

 

「こちらホーンチャーチ航空基地!敵襲だ!始まったぞ!!」

 

同時に一挙にレーダーサイトへの巡航ミサイルと特殊部隊による防空司令部攻撃が開始される。

 

 

連邦欧州軍はドーバーに追い詰められつつも、艦隊からの援護により一応の統制を取り戻していた。

フランスの緑豊かなボカージュは今や両軍の砲爆撃により、第一次大戦後の戦場或いは月面のように醜い骸を晒している。

幹線道路には戦闘に巻き込まれた難民の死体の行列が腐り、あまりに酷い悪臭を放つので両軍は自然と道路での戦闘をしなくなった。

いまやそこを通るのは死に物狂いに英国をめざして歩く道路しか知らない難民と、それを襲う無法者、そして両軍の屑どもである。

 

「白骨街道か」

 

ヤンデル大尉は小高い高地、回りより高々117m高いだけの土地に未だに居た*1

数日前に終わった戦いでこの高地は3m削れている。

 

「風向き次第でエディンバラまで匂うそうです」

 

レイバン軍曹は幾つも転がる両軍のAFVと死体を見ながら無感情に言った。

一々光景でビビってられない、もう人だった肉を轢くのにはなれた、諦めて進むことも出来るようになった。

 

「酷い戦だ、俺の宿命の敵は何処に居るのか」

 

ヤンデル中隊長は車両を殆ど磨り減らしていた。

レイバン軍曹は持ち前のポジティブな思考で言う。

 

「ですが我々もこの平野ならザク相手に戦えます」

「だが北米では新型が投入されたらしい」

「新型が?」

 

すると。

 

「敵機だ・・・」

 

上空をファットアンクルが飛んでいく。

英本土くらいしかFI*2が飛んでこないから、いまや欧州は連中が好き勝手飛ばしている。

すると、何かが落ちた。

 

「なんか落ちたな」

 

それは紫と黒で塗られ、傘のように開いた脚と腰をしていた。

3時15分、欧州戦線に攻勢が始まった。

 

 

戦線後方にドダイによる地上掃射が行われ、十字路等がとくに集中的に爆撃される。

炎上する車や民家などの影に車を走らせて隠す者や、溝などに隠れる者など多種多様に今最善の行動が行われ、尽く爆撃で吹き飛んだ。

航空攻撃は無防備な行列に対しては凄まじい危害を及ぼす。

もっとも3mの深さのある穴と、内張り加工とコンクリートと、耳を塞いで口を開けて目をうんと瞑ればだいたい助かる、そう言う場合に怖いのは衝撃波だからだ。

 

「敵火線が延伸、海岸に及んでおります」

「24連隊と空軍野戦師団の戦区が敵の重点攻撃を」 

「砲兵にクラスター弾の全力投入を命じて」

「操車場が重点的に空襲されています」

 

軍団司令部はあちこちからの報告で大騒ぎになっていた、通信機材は地上軍なので各連隊のLN、つまり有線通信中隊がひたすら電話線を敷く事で解決された。

 

「閣下、24連隊戦区が突破されたようです」

「これだ、戦線後退の用意に移れ」

 

そしていつもこうなる。

 

 

赤外線投光器を背負った砲兵隊観測部隊のドラケンがボカージュの影から報告を入れる。

脚部はこの辺の部隊では珍しいホバー型だ。

もう一機のドラケンは大きい通信機を背負っており、こちらもホバーだった。

 

《ルクレール。ルクレール。こちらオルレアン。》

《こちらルクレール。オルレアン送れ》

《こちらオルレアン。目標位置は座標225-391、方位角4460、攻撃前進中の機械化部隊3個中隊。

正面400縦深240。試射を要求、修正可能。送れ》

《了解、試射を実施する》

 

10秒後、風を切って一発着弾した。

左にずれている。

爆発の光で不気味にザクのモノアイが揺らめいている。

 

《だんちゃァーく、今!送れ!》

《こちらオルレアン。弾着確認、右へ110増せ50。効力射を要求。修正可能。送れ。》

《了解!効力射を開始する》

 

観測部隊の連絡を受けた砲兵陣地はデータを基に野戦砲を操作し、砲兵隊司令部の指示を受ける。

 

「弾種HE、信管CVT、装薬緑4。効力射!」

 

夜闇に突如砲兵の召喚する神の煌めきが輝き、いくつもの風を切る音が響く。

三回の一斉射撃を行い、着弾が辺りを真昼のように輝かせる。

ザクの手足や頭部が飛び散り、敵のAFVやマゼラ・アインが横転している。

 

《だんちゃあーく、いま!効果確認。送れ》

《こちらオルレアン。最終弾確認。敵の損害大なるも攻撃前進中。敵師団警戒線を突破せり。

効力射を要求、最終弾弾着点より右40増せ30!我観測点を変更す、以上!》

「ヤバイよ逃げるぞ」

 

もう一撃が叩き込まれるのを後ろに、2機は背筋を下げたような姿勢で逃げ出した。

 

 

ガウとドダイの密集編隊が欧州の空を進む。

三ヶ所の航空基地を襲われるもなお出撃した連邦航空戦力は、防空識別圏を突破した爆撃部隊を攻撃する。

 

《こちら革命偉業1号!爆撃コースに入った!》

《扉開け、爆撃航程に入った!死んでも落とせ!》

《ジーク・ジオン!!!》

 

6月22日、英本土攻防と欧州軍総退却が始まった!

 

*1この高地は実在する、大戦時に1mは削れたらしい

*2制空戦闘機




割烹でも書いたけど21g軽いアニメを自称するヘイト創作見て気分がゲッソリした、顎シャアだってこうも酷くねぇよ。
頭ん中でワッケインくんがイエイヌをむっちゃワシャワシャする光景浮かべて心を鎮める事にした、
ニンジャスレイヤー傑作選を見ながらガルバルゾー!ガルバルゾー!ガルバルゾー!

あと良く他のガンダムの作品見てるけどならない氏やおゆ氏とか皆真面目だなあと眩しく思える。
お前俺の作品を見ろよ、悪ふざけとパロディとパクリだぞ。


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我々は海岸で、田園で、街路で、丘で、海で、空で戦う。決して屈しない!

作者のトラブルで時間が違います、あやまりマスク。


ネバーサレンダー!

-チャーチル-

 

国民が居なくてはブリテンなるものは空虚であり、王国など意味を成さないことをチャーチルはお忘れだ。

-英国陥落!-

 

 

英本土の連邦軍は正規軍と民兵含めて約36万人、しかし退却時の火器弾薬喪失や指揮系統の崩壊によりこれは実数と呼べない。

どんな自称キリト(さいきょうのけんしさま)も数で殴れば殺せるのである、兵力とは機動力と兵站線を含めて計算される数式的数学的存在であるのだ、

ざっくり噛み砕いて言えばチェスや将棋で二手三手一気に動かせれば歩だけでも勝てると言う話である。

だがこの36万人の内25万は民兵であり、ろくな火器を有していない。

ブラックバーンとかアルバコアとかKGV級戦艦の四連砲搭とかネルソン級戦艦の安全性くらいにクソ以下程度のホームガードウェポンズは、

はっきり言って役に立たない。

唯一役に立つのは港湾労働者等で編成したドラケン部隊だ。

 

 

最初にそれと遭遇したのは連邦ロシア管区のSSBN<レニンスキー・コムソモレェッツ>だった。

ソビエト時代と同じく海軍出世コースたるSSBN艦長の椅子は、暫し前には飾り同然だった。

何故なら技術保全程度の意味でしか無いような軍用潜水艦を操り、飛んでいくイギリス機体に手を振って写真を撮られる程度の事でしかない。

それがジオン襲来で偉い事に大騒ぎとなった、こうなってしまっては致し方ないので北海パトロールをすることになっていた。

無論SSBN、つまり弾道弾を搭載出来る船だがそんなものない、核兵器は作るのも保管するのも偉いコストがかかる、日本が核兵器を持たない一番の理由でもある。

 

「艦長、ソナーに奇妙な塊が」

「クジラか?珍しいな」

 

大西洋にクジラは居る筈がなかった。

二度目の世界大戦は度重なる爆雷攻撃等でクジラを根絶させていたからだ。

 

「いえ、クジラにしては・・・訂正!敵性物体です!注水音確認!」

「クソッタレ!ノイズメーカーとマスカー放出用意!魚雷装填!」

「敵性物体急速接近!」

「あぁ畜生、聖母マリアよ

 

彼は言い終える前に死んだ。

撃沈した彼らはゆっくりと水面上に顔を出すと、飛行場をゆっくりと見た。

 

 

英本土防衛司令部はウィンザー城に近い山の中に作られていた元王族用シェルターにあった。

通称円卓と呼ばれる作戦指揮室モニターが一斉に赤く光ると、深夜の紅茶を楽しんでいたオペレーター達はすぐさまコップを置いて事態を確認する。

 

「ケント、ウェセックスに警報が出されました!」

「レーダーサイト17箇所が一斉にロスト!」

「ケンリービッギンヒル飛行場迫撃砲による攻撃を受ける!」

「フォルネスのレーダーサイトが大規模な大型機の編隊をキャッチ、後続を探知したあと応答が無くなりました」

「司令官を叩き起こしてこい!緊急警報発令!!」

 

作戦指揮室の扉が開き、英本土防衛部隊の司令官であるイーサン・ライヤーが現れる。

上着は完全に閉じておらず、ボタンが二つかけられてる程度だ。

 

「慌てるな、空襲とコマンド部隊程度でブリテンは陥落しない!

沿岸部の特別警戒隊と警備艦艇は問題ないか?」

「レイキャビク、ベルファストで破壊工作があり炎上、スカパフローは機雷封鎖を受けております」

「やられたな、火力は封じられたか。

もうすぐ始まるぞ、LongestDay(一番長い日)が」

 

彼の言葉は、正しい予想となった。

出来れば本人でさえ、当たって欲しくない予想だったが。

 

 

イギリスの沿岸部、とくに海峡に沿ってはホワイトクリフと呼ばれている。

真っ白なそこそこの崖が続いており、上陸に適した土地とはかなり限られている。

煌々と輝く夜間監視のサーチライトに照らされる海岸を見ながらホームガードのブレア軍曹は何時か戦争が終わったら書き上げる小説を練っていた。

煙草を吸いながら海を眺めているウィンストンは粗悪な戦時煙草を下に向けてしまい、葉を落としてしまった。

 

「タイトルは決まったのか」

 

ウィンストンは尋ね、ブレア軍曹はその人を皮肉ったような笑みをして言う。

 

「ユニコーンと鉄の巨人とでもするか*1

「ふーん、あ司令官だ」

 

ウィンストンが近づいてくる人影に気付いた。

連邦軍から来たブレックス中佐で、ウェセックス地域沿岸部の防衛部隊の指揮官である。

しかし明らかに予備役の軍人といった風体で、兵からの疑いは確かにあった。

 

「おい君たち、無線機はちゃんと動いてるな」

「はい」

「なら水際地雷を確認し、何時でも起爆出来るようにしろ、その穴が墓穴だ、死んでも通すな」

 

二人は顔を見合せ、マジかよと呟いた。

すると、甲高い音が聞こえ始め、流星群のような光が走る。

 

「ミサイルだ!」

 

着上陸作戦の基本、沿岸部防衛火力拠点への攻撃と敵の兵力機動の阻止だ。

ついに敵は、この短いところで30キロ程度の海峡を越える。

かつてのデーン人以来、守り続けた島が再び戦場になるときが来た!

 

 

弾薬を下ろした土台に積載したスキウレによる火力援護とアッガイによるロケット攻撃、ゴッグによる水中障害物及び掃海を終えたジオンはザクマリナーとドムを先頭に上陸を開始する。

 

「スキウレ!もっと拡散させろ!」

 

上陸部隊の一人であるギニアスは命令を飛ばしながらドムを操る。

砂を巻き上げながら沿岸防衛部隊のハンヴィーを蹴飛ばして市街に突入、一気に敵陣後方への躍進を敢行する。

殆ど無抵抗に近い為、第2陣のLCACを待たずに上陸部隊の前進が可能となった。

 

「不甲斐ない奴等だ、演習にもならん。

お前ら急げ!まだロンドンの時計塔は見えないぞ!」

《夜にはピカデリー観光するぞ!》

 

しかし突如、民家の影からロケット弾が飛んでくる。

ホームガードの数少ない対MS兵器の一つで、通称ホームガードパイクだ。

さらには固定式の簡易化したリジーナと言った急造兵器も現れる。

 

「小癪!!」

 

Sマインを発射するが、それをトロフィー迎撃システムと同じ目的の物を搭載した装甲車が撃墜した。

だが結局の所、さほどの時間を稼げる訳もなく撃破された。

彼らは海岸で戦い、田園で戦い、丘で戦い、都市で戦い、その全てで敗北した。

しかし、彼らは果敢に反撃し、襲撃していた。

 

 

ジオンの将兵は何故ここまで各所で抵抗が激烈か分からなかった。

それはただ一つ、歴史による差だった。

たかが70年程度、2世代程度の時間ではスペースノイドに愛国心等は有効ではない、結局ナショナリズム等と言うのは今も昔も景気が悪いから生まれるがこれは愛国心と違う。

しかし地球はそうはいかなかった、彼らの土地、彼らの国、彼らの星だ、故に彼らは抵抗する。

後々ジオンもこれを嫌でも分からされる事になったが、その時には手遅れだった。

 

 

霧の深いイギリスの早朝、雨に打たれてジムスナイパーの砲身が滴る。

エレドアはヘッドフォンに耳を澄まし、シローに報告する。

 

「前方からエンジン音、距離ざっと2300」

《見えた》

 

カレンがレンズをしぼり、目標を捉える。

 

《撃ちますか?》

 

サンダースが尋ねるがカレンがそれを制止した。

 

《宇宙じゃないんだ、雨天でこの距離はやめとけ》

《その通り。

こちら08sq。HQ聞こえるか?IFF反応のない未確認部隊接近中。送れ》

 

シローの行動にエレドアが「なにちんたらやっとんだ」と呆れ、カレンがため息をついた。

 

《こちらHQ。各sq各個に交戦を許可する。

なおCP(指揮所)と連絡不能!各sq高度な柔軟性を維持し臨機応変に遅滞行動を尽くせ。交信終わり。》

《これだ、こんちくしょう!》

 

カレンはそう吐き捨て、距離を算出する。

ざっと1300、奴さん通信を聞いたな!あの新米め!

 

「酷い一日になる、まだ始まったばかりだけど」

 

無意識の内に呟き、彼女は自嘲した。

大丈夫、私はちゃんとやれる。

そう気合いを入れて、引き金を引いた。

 

*1元ネタはユニコーンと一角獣、面白いので買え、象を撃つでも構わん




おどりゃ3000文字で何で上陸半日までしか書けんのじゃ殺すぞ我とか言われそう、本当に申し訳ない()

あと本作やたらドムが活躍しますが贔屓じゃないです、性能が作者の手に余るくらいに強いと考察してるのです。


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God Save Britain

興亡なにか夢のあと。


あ、ちなみに今回からへいぐ氏の世論型AARをパクって(直球)アンケートを用いて連邦議会やります。
ティターンズ創設に関する法案とかもやるので民主党共和党連合、地球優先協会(アースファスト)(右翼)、連邦労働組合(左翼)、白票(野次を感想とかに混ぜてもいい、アンケートにならんし)。
議員(読者)諸氏の民主主義の精神に期待します。
終戦後のジオン統治の法案とかもやるのでお楽しみに。

モーゲンソー「ん?」

かえって


本土上陸は成功したが、彼らはウェセックスの殆どとケントの一部を制した所で鈍化しだした。

理由は幾つかある。

連邦が出来る限りの港の起重機を爆破し、湾内で自沈させたこと。

孤立無援の民兵が後方段列を地の利を活かして攻撃している事。

連邦航空軍が少ない戦力を通信逆探知による指揮所襲撃の一点に絞った事。

数的劣勢でも脚と頭が欠けた集団程度蹴散らせる、それは軍隊でなく、ただの子羊の群れに過ぎない。

だが足りない、何もかも足りていない。

ロリアンからブルターニュ半島にかけての地域に孤立した連邦欧州軍も何もかも。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ワイアットは眼下の薄汚れた石ころが地球だと言う事実を、ただただ噛み締めていた。

ルナツーはある意味欧州より補給を届けやすいから、145機のMSが届いている。

しかしその137機は不良品、事故った機材である。

初期生産の97%が壊れてるとかなんだこれ?ホーカー社のタイフーンくんかジムよ、てめぇそれでも量産型かァ!

雷電だって事故率の多さはパイロットのせいだぞオラァ!!

脚の関節がよくすっぽ抜けるし改善したら新たな問題が出るとかベセスダ・ソフトワークスのゲームか?あれか?フィラキシスのパッチか何かか?

 

「新米も俺もビクビクしちまいまさぁこれじゃ」

 

格納庫に行くと、ヤザンと整備部門の責任者たちに嘆願された。

ギンガナムと同じ抑揚で「わかるよぉ~」と言っておいて適当に対応したが、どないすりゃええねん。

お船は艦政本部のコーウェン将軍との話で何とかなるし、話も良く通るが新型MS計画責任者のテム技官は私のような栄光ある将校ですら所在が良く分からないし、話を通すことも出来ない。

ゴップ、レビルクラスの人間を経由すればイケるかもと文書を送付したがうんともすんとも来やしない。

ムカついたので地上軍の将校からも何人か上申書を書かせようか考えさえした。

 

「返信が来ました」

「で、内容は」

 

どうせ良い知らせであるまい。

 

「現場各自の努力で現状を維持せよ」

「・・・この仕事辞めようかなぁ」

「分かりますが堪えて下さい」

 

アイカ秘書官から同情と哀れみの視線が突き刺さる、畜生染みる。

ゴップ将軍からのお返事に至っては「ますますの愛国的努力をお祈り申し上げます」、うるせぇよ畜生!!。

もーやだあー、ティターンズ作る~!無能な連邦もスペースノイドも粛清してやりたいー!

助けてあずにゃん盟主王。

 

 

連邦欧州軍がついにダンケルクした。59万人の兵士と6900の火砲、3100の戦車、600の自走砲が彼らの全てになった。

ブリテンはケントとウェセックスを喪失し、北部スコットランドのエディンバラを絶対防衛線とするイギリス本土軍は果敢な逆襲を各所で仕掛け続けていた。

特筆すべきはイギリス艦隊巡洋艦サンダーチャイルドの特攻であろう。彼女はロンドン市民避難作戦においてテムズに出現したゴッグ三機による襲撃に対したった一人の反撃作戦を実行した。

二機を撃破したサンダーチャイルドの美しい身体は傷と、血と、そして誇りに覆われていたが三機目のゴッグによる粒子砲が直撃、

甲板構造物を焼失したが彼女は全速力で突進し激突、三機目のゴッグに特攻しロイヤルネイビーの栄光に一輪の花を咲かせた。

全乗員はヴィクトリア十字章を授与されるに至った。

 

 

ウィンザー城の一室、宝石も絵画も避難した部屋でゆっくりと紳士は外を見ていた。

砲声、飛行機の音、爆撃、飛び交う砲弾。

やがて一人の士官が入ってきた。

制服はひどくボロボロで、包帯から血が滲んでおり、泥と灰と煤に覆われていたが敢然とした敬礼をした。

 

「陛下。遺憾ながらロンドン守備隊はその戦闘員の七割を喪失し残りも戦闘に耐えられる状態ではございません。

降伏か、退却かをお選びください。」

「失地王の跡継ぎだな。」

 

煙草に一本火をつけ、煙を吐き出してその男は懐かしむ様に言った。

 

「私はこれが見たかったのだ。

人の思想、国の思想、全員の正義を賭けた、何処か神秘性と狂気を混在させた決闘が。

戦争。戦争なのだ、血と血の通った国家の命運を賭けた戦いなのだ。

これは私が独占する、君らは私の家族を連れて、北へ行きたまえ」

「陛下・・・!!」

「早く行け、お前をスターゲイジーパイにするぞ」

 

近衛師団の守備隊指揮官が敬礼し、涙ぐみながら退室する。

 

「きっとこの先もひとは戦争を続けるのだろう、最後の時まで、神に裁かれるその時まで。

しかしそれは個人のエゴイズムと歪んだニヒリズム、肥大化したキャピタリズムによるだろう事は明白だ。

この先の連邦政府の集権体制は維持できず、人類はこの保育器から旅立つしか無くなるだろう。

ブリテンの最後の戦争なのだ、大英帝国としての最後の戦争なのだ」

 

彼には不思議ながら分かっていた。

ニュータイプだからではない、彼には全て分かっていたのだ。

 

「神よ、女王を護りたまえ」

 

愛娘を思い、彼の静かなレクイエムと呼ぶべき歌声が響いた。

ロンドン陥落の夜の事である。

いまや、ダウニング街の10番地は英国侵攻軍占領司令部だ。

 

しかしブリテンは屈しない!北部スコットランドの堅陣はなお苛烈なり。

降伏?Never(絶対にない)

 

 

エディンバラへの道をボロボロになったイギリス軍兵士達が歩く。

陸戦型ジムとガンタンク2が対空任務についており、61式戦車の車体に包まれた遺体が載せられている。

赤十字をつけた野戦救急車と医療トラックが長蛇を成して進んでいく。

貴族出身の将校が、息を吸って「しっかり前を見ろ兵隊たち!」と声をあげた。

 

「悩みなんか古いバッグに詰め込んで、スマイル、スマイル、スマイル!」

 

Pack Up Your Troubles in Your Old Kit-Bag、古い歌だ。

 

「それが我らのスタイル!」

「悩んでいたってどうする!それに意味などない、だから!」

 

段々と歌声が大きくなっていく。

 

「悩みを古いバッグに詰め込んで、スマイル!スマイル!スマイル!」

 

どのような時でも、根拠無い自信こそイギリス人のイギリス人たる由縁だ。

なに、連邦本隊からイギリスが孤立したのではない、イギリスから地球連邦が孤立化したのだ。




最後のシーンですが素晴らしき戦争って言う映画のシーンのパクリです、面白いから見よう!
人生の明るい所を見ようは別のシーンで使います。




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ジンゴイズム

議員諸氏の皆様、投票ありがとうございます。
労働組合の躍進に作者の脳内はinternational合唱しております。
次回の法案も、よろしくお願い致します。


スペースノイドの歴史は屈辱の歴史。

そう主張したところで大して批判をするものは多くない、誰彼なしに嫌気と倦怠感が満ちていた。

停滞と憂鬱と疲労と倦怠、社会と治安を乱す要素の見本市。

底辺のスペースノイドはクソのごとき賃金と労働環境で悩み、中流のスペースノイドは税金と生活費に首が回らぬ、上流層は資金問題だけではなく思想的監視を受けるに至り関税で苦しむ。

そしてそれだけ沈殿し、濃縮された恨みはジンゴイズムとなるのは必定。

まして久方ぶりの戦争である、彼らも勝手が分かってない。

国民が戦時下には戦時の目先にしか目が行かないのは良くあることで、時代が進むと目隠しを政府がするのだがこれがまたたちが悪い事に自分から目隠しをしているのである。

まあ殴り放題のサンドバッグを手に入れれば人間どんな惨いことでも楽しげにやるのはネットだけではないのだが、

これを拗らせ狂信的なジオン残党や過激派ジオン軍人を生んでるのでなおろくでもない。

しかも"ある殉教の英雄"を生んでしまい事態はさらにろくでもなくなるがこれは後の話である。

 

【民衆と凧は良く似ている、風がどこから来るか、なぜ生まれるか知らないのに乗ることは知っている】

 

ギレンは二重思考、あるいは区別、もしくは差別主義の男であった。

民衆、人民、人間。

この三種類とは彼にとって全く別で、価値は全く違う。

民衆は対価を食い潰すケダモノ、人民とは国家の定礎、人間は・・・存在の怪しい無の同意語。

テイヤール主義の信徒たる彼にとって、人間とは神と同意語でもある。

 

しかし。

 

暗い夜空を照明弾と弾丸の軌跡が彩るリオグランデの河川をゴッグが進む。

 

「やってやる!!やってやるぞ宇宙(そら)の化け物めぇぇぇ!!!」

 

30mmアヴェンジャー改を搭載したM163に似たフォルムの装甲車から血まみれガンナーが叫ぶ。

そしてその直後に降り下ろされたゴッグの腕により叩き潰され吹き飛んだ。

 

【戦時下に人の命など軽いものだ、鳥の羽より容易く飛んでいく。】

 

対空戦闘真っ只中水雷戦隊旗艦の<ザラ>CICでブライトが叫んでいる。

 

「弾幕薄いぞ!なにやってる!」

 

【大義、大業。大儀な事だ。】

 

炎上するオッゴが、地球軍トラファルガー級空母<瑞鶴>に突き進む。

 

「おがぁさん!!」

 

燃え盛るコックピットの少年兵の絶叫。

そして吹き飛ぶ<瑞鶴>と、焼けて消え行く軍艦旗。

 

【きっと戦争は続くのだろう。国民たちが人命よりかけがえない何かがあると信じる限り。分かりあえない限り。】

 

ギレンは不思議と見えた光景に、そう思いながらいい加減終わらせようと考え始めた。

 

 

ワイアットは新型戦艦を受け取る事と、ルナツーから移転するある特殊部隊の事で久しぶりに地球に降りた。

しかし、最も大きな理由はスピーチだった。

ゴップとレビルという双方の派閥の長からの依頼が飛んできた。停戦にしろ継戦にしろ、それをすることになる。

 

「演説。演説か。」

 

私の一言で全てが変わってしまうと言うのか、私は歴史にそこまでの権利があるのか。

確かにギレンは独裁者だ、しかし連邦の官僚体制より優れているのは事実だ。

だが私はそんなこと絶対に認めたくない、私は昔もそうであったように選挙権を行使する全ての民衆が全ての意見を述べられる事を法と正義の名に於いて護られるべきだと心から信じている。

だから私はこれまで戦い、そしてこれからも戦う。

 

誰かがこれは違うと言える為に。

 

正しいのかと問えるように。

 

歴史の論評は未来に任せる。

 

 

新造艦ペガサス級。

グレイファントムと同じフォルムの流線形の船体で構成された<ペガサス><ホワイトベース><トロヤンホース>。

そしてモルモット隊を拡大し、所属が技研からレビル直握(司令部直轄)になり規模の拡大したMS部隊。

 

第13独立戦隊

 

我が軍最初の惑星内航行と戦闘を想定したものだ。

MSはさらに改良されたショルダーキャノン搭載のプロトタイプガンダム四機、第二次生産の初期型ジム八機、量産型ガンキャノン八機。

新しくジムには不死身の第四小隊とスレッガー小隊、ガンキャノンには地上試験運用をしていたフェデリコたちのセモベンテ隊。

え?ザクによる破壊活動してたはず?そんな戦争犯罪行為しりまへん。

 

「美しい船だ、何とかしてウチのにならんかね?」

「無理ですねぇ、ジャブロー鎮守府預りですので」

「だなあ」  

 

アイカ秘書官がワクワクした顔つきで言う。

ビームライフルは08小隊と同じような物に進歩している、ジムにはガリルARMに似た箱型マガジンの60mmだ。

ジムコマンドやカスタムの装備と変わらない規格で生産され、弾薬は共通の口径。

しかしガンダリウムのジャケットで覆われたMSのFMJ(フルメタルジャケット)弾と呼ぶべき物が作られている。

量産型ガンキャノンはエネルギーに余裕がある実弾機体故にP-225に似たビーム拳銃と呼ぶべき物と、ダブルバレルの切り詰めたショットガンだ。

 

連邦も、ついに追い付きつつある。

 

まあ実は上層部は試験段階で投入するの渋ってたんで、F6F戦闘機の例*1を持ち出して説得したんだが。

 

 

その日のジャブローは、異様な厳戒体制であったがなお足りぬと言えた。

ジオンでさえ衛星から地上に出てきたMSを見て驚きを見せたほど隠していなかった。

ワイアットの演説、全てを決める演説。

全く望んでなかったにも関わらず、カーテンの裏からの呼び声に答えるしかなくなった役者となった男。

 

舞台に上がるしか無くなった主演男優は、もう下がれない。

 

*1ヘルキャットは急場凌ぎで投入され、本命はF8Fだったが零戦を食い散らかした




北米に主戦線が移りました、リオグランデ川からウィニペグ辺りまで連邦軍は押されています。
でももう本来なら原作が始まってしまいそうな時間帯なんすけどね。

第13独立戦隊はレビル将軍によって色んな所に向かいます。
ですがジオンもザンジバル級を揃えている。
さあどうしたものやら。

次回、ワイアットが演説するようです。


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【閲覧を推奨】アンケート議会法案について【連邦議会法案議決】

やる前に書くべきでした、本当に申し訳ない。


本作品は作者の指導者原理によって連載される実に日本人の心に合致する民主主義的作品(二重思考しろ)ですが、

読者諸氏の皆様も作品を楽しめるよう(投票が混乱に繋がり安全が転がり落ちる)議案投票を行っております。

基本的に五つの選択肢から選ぶ形となりますが、作品の展開にだいたい関わります。

皆様よくよくお考えになって投票しましょう!面白さ以外考えてなくても良いけど!

 

【諸注意】

 

感想欄で過激な発言は勘弁してください、さもなければイエローナイフ国立公園で土地調査の任務につけます。

 

議決で負けたからって不正を疑わないで下さい、現実で間に合ってます、熱烈なRPは許しますが(ガンギマリ)とか(彼は狂っていた)みたいなネタを含んでくれると見分けやすくてありがたいです。

 

自由惑星同盟のウィンザー議員みたいなガンギマリな感じを歓迎致します。

 

「戦争しかないんじゃないですか?」「このハゲー!」「僕は専門家だから」等のリアルネタは怒られない範囲でやろう。

 

僕がお堀のブラックバスの餌になるので菊花な人達とか、ガリラヤぐらし!したくないのでシオンな連中のネタは堪忍して。

 

別になんもやらなくても良いです。

 

エンジョイ&エキサイティング!

 

【予定している大規模な議会案件】

 

マニュフェスト・デスティニー(ジオン占領)議案

ティターンズ創設議案

コロニー分権議案

ジオン残党議案

月面人類保護遺産計画議案

木星恒久植民議案

 

【政治団体一覧】

 

民主共和連立党

 

だいたいアメリカのアレみたいなもんです。

と言うか元ネタ自体が南北戦争のときの奴です。

思想とかは基本リベラル、ワイマール共和国のゾチ(ドイツ社民党)みたいな感じ。

基本的にはそこそこ常識的な派閥に当たります。

ですが衆愚主義でその場凌ぎ、民主主義特有の喉元過ぎればなんとやらな連中ですしぶっちゃけ史実ルートになります。

 

 

連邦労働者の世界

 

【挿絵表示】

 

 

FWW、左翼組織であり社会主義的な組織です、マティニョン協定とかストライキとかやりそう(HOIプレイヤーの殺意)。

元ネタはIWW、元ネタ通り反戦運動させてやりたいが無理そう。

思想はだいたいポリコレ的でネオリベな社会主義勢力、あれどっかで見たような。

ルート的に言えばエゥーゴに近いかもしれません。

悪い点は個人の自由が優先され過ぎてて物事の認識が現実とずれてる事です。

コロニー労働者も連邦市民なので待遇改善活動もしているが、一部ではただたんに体制批判がやりたいニヒリスト集団の側面も出ている。

 

地球優先協会

 

【挿絵表示】

 

 

EFA、カードゲームの名前みたいな金を持ってる程度のお笑い芸人大統領がなんか唱えてそうな感じの協会、無論と言うかティターンズルートである。

しかしスローガンはヒューイ・ロングの物である、彼も反共だし銀シャツとかライトクラブとか、コフリン神父みたいなアレなのが揃ってるからええやろ。

後援はアナハイム等の重工系列のコングロマリッドさんたちであるし環境テロリストとの関係も噂される。

 

白票

 

栄光ある孤立。

どれにも賛成できない時とアンケートなんか知るかバーカ!な時に使われる。

 

反対

 

そもそも議案に反対と言う意見、これ大事なこと。

連邦政府は貴方のNoを歓迎します。

 

 




200以上の議員諸氏の投票により第一回の議案は集計され、作者は次回執筆をしております。
まさかのFWW躍進にワクワクすっぞ、過半を獲得するとかたまげたなあ。

次回の議会も、議員諸氏の皆様投票をよろしくお願い致します。


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連邦の再建

だんだんと主導権が傾きつつ...

そして宇宙の彼方から、訳のわからんナニカも迫りつつある。


その時が来た。

演台には軍の広報部と幾人かの憲兵、数人の民間放送関係者が居る。

ワイアットはついに決断した。

 

彼の演説は、徹底抗戦演説だった。

彼は繰り返し「言論後の自由の為」と「明日の為」を主張した、我々人間は、ただ生きるためでなくより尊き存在にだってなれるのだ!

我々は独裁者の電気信号で生きるシナプスや筋肉ではない、機械ではない、人間だ!

 

「この共有すべき大宇宙の恩恵を、一部の矮小なる暴力を唯一の手段と信奉する無法者に占有させてはならない!」

 

そしてこれにより、後々の動乱も含めて彼に安寧が訪れるのは遠い話となる。

 

"The government should not be guided by Temporary Excitement, but by Sober Second Thought."

Martin Van Buren

【政府は一時的高陽ではなく節度ある熟慮により運営されるべきである。マーティス・ヴァン・ビューレン*1

 

その日の連邦では、また別のことが動いていた。

連邦政府による議会の議決だ。

いつも荒れる連邦議会の激しさは、その日はより燃え盛り荒れ狂っていた。

それもそのはず、連邦憲法と憲章に抵触と言うかアウトに近い大規模な動員の為の徴兵法案の年齢を引き下げようというのだ。

連邦は二大政党が主な政党であったが速やかな戦争終結を理由に連立し、元からの右翼で構成された地球優先協会(EFA)やらも存在している。

議席はそこそこの規模だが連邦労働者の世界(FWW)は労働者の支持も厚く侮れない。

そして彼らは当然、意見を一致させていない。

 

「だーかーら!年齢を引き下げるしか無いんだって!」

「ふざけんじゃねぇ熟練工員や管理職が消えたらどうすんだてめぇ!」

「うるせぇよバカ!」

「我々は断固このような人権侵害に反対するぅ!」

「甘い!!根こそぎに動員しろ!あと二千万、あと二千万動員すれば必ず、必ず勝てる!」

「引っ込んでろ!」

「黙れコノヤロー!」

「殴れ殴れ」

 

結果的にFWWの熟練労働者が守られるようにするよう修正された法案が可決され、連邦軍の兵員は一応満たされる事となる。

しかし熟練労働者の区別というのがまた問題になってしまった、組合と労働者の間は親密かと言えばそうでもない。

このような矛盾と無駄を幾つも孕んだ暗黒の子宮めいた連邦は、なんやかやの乱闘を交えつつ、一応の進展を見ることとなる。

 

 

 

なお決議に際して約数人の議員が病院送りになった。

理由はみんな転んだかららしい。

 

 

ジオンの北米侵攻軍はついに中米連邦*2テグシガルパに上陸、パナマ運河を破壊するために攻撃を開始した。

 

【挿絵表示】

 

マナグア、サンサルバドル、グアテマラからの連邦水上艦隊は殆どうまくいかなかった。

マッドアングラーを率いるシャア達の特殊部隊によりパナマ運河近隣を出ると途端に襲われるのだ。

しかも何機かはミサイルを搭載したアッガイであり、哨戒中のヘリや航空機も容易に近づけない。

それでも連邦軍は陸上からの対潜ロケット弾の徹底的面攻撃と言う環境くそ食らえな戦法で解決を図った。

MSはともかく母艦は近付けない、ジオンのMSパイロットは地球ではあまり索源地から離れるのを好まないのだ。

真空の宇宙は身近で怖くないが深海や鬱蒼としたジャングル、どこまでも続いている砂漠は彼らの言う"ワンダーフォーゲル*3"でも見たことのない事だ。

 

しかし彼らは、着実にパナマ運河に迫りつつあった。

 

 

連邦軍統合参謀本部直属航空戦闘任務群、第13独立戦隊。

連邦、そしてジオンの諜報部はそれをアラエルと呼んでいた、神話に書かれた空に関連する天使の名前だ。

なお既に対水中MS攻撃を任務とする第12独立戦隊サキエル、要塞攻撃を主眼とする第14独立戦隊ラミエルもあったがこれらは充足してない。

お舟の建造の都合である。

アラエルたちは、ジオンの手が及びつつあるパナマ運河を攻撃し、リオグランデ川を越え、破壊できずジオンが接収したヒューストン宇宙基地を奪還し、テキサスを奪還する。

 

「こりゃ明らかに無茶苦茶だぜ、お偉いさん何考えてんだか」

 

ホワイトベースの酒保にてスレッガー小隊長は何とも言えない気分で呟いた。

窓の外では夜闇に隠れての出港が行われている、艦隊が出ていくのは大抵真夜中だ。

 

「別に何考えてようとどうしようもねぇさ、大事なのはどう生き残り、どう終えるかだろ」

 

バニング小隊長はスレッガー小隊長にそう言うと、バニングのが先任なのでスレッガーは敬礼した。

 

「どう終えるかねぇ、気が早いんじゃないですか」

「別に早くはねぇさ、EOW教団になるよりずっといい」

 

EOW教団と言うのは、まんまエンドオブウォーと言う名前だ。

長く苦しい戦争のなかでは宗教が歓喜の息吹ではなく悲しみの嗚咽により成長する。

"いつか戦争は終わる"を合言葉に生まれた新興宗教、それがエンドオブウォー教団である。

 

「明日生きれるかわからんご時世ですからね、五分早ければ助かったなんて状態じゃ死んでも死にきれません」

「だろうな、どうせ終戦してもろくでもないのが出てくる」

「あーやだやだ」

 

スレッガーはウィスキーを飲み干し、寝ることにした。

バニングは彼の背中を見ながら何処か、自分が老いたことを実感せざるをえず複雑な気分を紛らすべくジンを飲む。

相変わらずゴムの棍棒で殴られるような不味さ、さすが軍用規格だ度数しか考えてねぇ!

飲むたびに泣けてくるバニングの後ろでは、ユウがブランデーを少しいれた紅茶を味わっている。

 

 

ジャブロー鎮守府(宇宙軍区画の事)の海軍戦略研究所、つまりサナリィは驚くべきシステムを開発していた。

後々のHADESと呼ばれるOSの製作である。

クルスト博士が突如グラナダで連邦工作員に回収、亡命した。

理由はと言うとジオンが提示する進捗率の目標の度重なる遅延により計画打ちきり、603の試験でも実用性が薄いと判断された、ちなみに被験者になったのはマイである、

そしてクルストの言うニュータイプ脅威論に、連邦はと言うと。

 

正直あきれていた。

 

超人兵士?強化人間?

そんな代替不可能な個人に軍隊を依存させるだぁ?国民軍の基本を理解してねぇな。

ゴップは軍事については自他共に認める素人の親類縁者だ、しかし組織に関する哲学と理論については間違いなく彼は天才である。

そして近代組織とは往々にして西洋式軍を基に作成されており、すべてに於ける鉄則は代替可能な凡人で運用されることにある。

連邦と言う巨大な一生命体に、大量の細胞であり血液である人間がいる、そして適切な訓練と機材で彼らは多種類の作業をこなせるように組織を造り、維持する。

強化人間にモビルスーツを与える?連邦は何時から昔の日本のアニメーションの組織になったんだ、我々は自閉症気味な少年少女が動かす巨大人型決戦兵器の組織になった。

なおテム・レイやヤシマ氏はニュータイプ理論の話を見て「人の革新だの抜かす前にヤーポン法と仕様書を分かり合えるようになるべきだ」と発言している。

 

「親、あ主任。試験レポート出来ました」

 

連邦技術将校としてサナリィに就職したアムロは、このOS担当チームの新人だった。

複雑な仕様書を読みとる力に優れるアムロは、すぐにまともに働けるようになった。

 

「うむ、しかしあの作戦が本当に上手くいくとは」

 

テムはしみじみ馬鹿馬鹿しい戦争と思いつつ思い出す。

彼のOSがワケわからん気が狂った殺戮マシーンになるし暴走もするエアバス社より操縦者殺しに来てるOSだったことにドン引きした連邦は、

面倒だからクルスト博士を手っ取り早く軟禁したのである。

しかしMSの運用ノウハウが欲しかった連邦は、一計を案じる。

そう、ニュータイプ対策案は上手くいってる偽装をしてひたすら機体の動きの切れ味を高めさせる技術だけクルストに手伝わせたのである。

え?試験映像や記録をどうしたって、君、キャパって写真家の倒れる兵士って写真の真相を知ってるかい?あれ大ウソなんだぜ、つまりそれはそう言う事なんだ。

大丈夫大丈夫!ピューリッツァー賞のお金の出所は飛ばし記事だしイラクに大量破壊兵器だってあるんだよ!真理省と大本営を信じろ、アンダーマイコントロール!!

 

「国家的トゥルーマンショーだ」

「全くだ、そんな経緯で出来たもんに命を預けるなんて前線の兵士が知ったら停戦しかねんな」

 

二週間後、彼らの設計したOSは後々のバイオセンサーと言った物に発展していくがそれは今語ることではない。

 

 

木星、戦争どころか普段の生活にすら必要な資源を産出するこの地域はいわば過去のテキサス油田やパレンパン油田のような動脈だった。

従い、両軍は厳密なまでに停戦を徹底させていた。

そしてそんな空間ゆえに、残っているものもある。

連邦の深宇宙観測望遠鏡である。

数年前に完成された宇宙技術者の血と汗と涙の結晶的木星圏の天体のひとつは、遠くから近づく何かを確認した。

それがなにか、解析されても分からなかった。

 

「明らかにデブリに思えん」

「このペースなら・・・ちょうど98年ごろに月軌道を掠めて地球重力圏に捕まります、異常です」

「速度の解析出ました!」

 

知らない者も多いが木星とは地球の盾である、木星の引力は大きいので衝突コースの衛星はそうそうないのである。

が。

 

「光速の95%だァ!?」

「質量およそ5.47月質量(4.05x10^20メガトン)!?中性子星かコイツ!?」

 

絶対に、あり得ない。

だが。

 

ヤツはたしかにそこにある。

 

 

*1なおこの大統領の支持率と評価。

*2実在した国

*3帝政ドイツで行われていた探検、ギムナジウムの学生たちもやっていた




月質量換算は実は実在します。
そりゃデノミせんとやってけんわな...。
これがなんであるか、それはこの作品の最終回で分かります。

まあ言っても本編に全くなレベルで関わらないからネタバレではないですが、移民の春、戦争の夏、黄金の秋って感じです、そう言うことです。

あと明らかに質量が異常ですね、たまげる。


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パナマ攻防戦【オペレーション・スピアストライク】

おすすめBGM哀戦士。
本作におけるジャブロー攻防に近いがネタ的にはSEEDである。
でも状況的に言うと1918年のカイザーシュラハトなんすよねぇ、元ネタのアメリカ軍がインド・中国軍なんだけど。


海洋迷彩塗装のコアブースターがベネズエラの空を進む。

 

「アイシーアゲイン」

《アイシーアゲイン。フリーエンゲージインACM》

「ウィルコー」

 

パナマDCからの指示を受けた第一派迎撃戦闘飛行隊が、一挙に下降する。

 

「上方より敵機!太陽の中です!」

「被られた!くそっ!」

 

ガウ編隊に上方よりの一撃を与え、迎撃戦闘飛行隊はあまりの規模に驚愕した。

 

「おいおい、ジャブロー相手に出来そうだぜ!」

 

雲海を突き破って、ガウは傘型編隊を構築するドップを従え我が物顔で飛んでいた。

 

宇宙世紀87年、サイド7の11バンチ夏休み感想文

 

お父さんの仕事でパナマ要塞の跡をみました。

大きな穴が幾つもあいているのにジャングルが曲がりながら育っているところでした。

お父さんは「自然を直すより別の事にお金を回している」と言っていました。

 

"地球に行ったのですね、お父さんの言うことは間違っていません。

世界には木を植え直し土地を耕す前に作るべき、するべき事が山のようにあるのです。"

 

 

オペレーション・スピアストライク、パナマ攻略はSEADミサイルによる先制攻撃で開始された。

対レーダーミサイルによる先制攻撃が第一次生産されたハイゴッグから行われ、連邦軍のレーダーサイトは各所で破壊された。

コロンビアの連邦航空基地も水中からの遠距離攻撃を受けたが、一部を除き破壊工作に失敗した。

空を飛ぶOD色のフライマンタやセイバーフィッシュとドップによる制空戦闘が行われ、バズーカを背負ったザクとザクキャノンによる猛攻がパナマ防衛線を襲う。

そして高空の雲間を突き破り、ガウ編隊が姿を見せた。

 

「コースよし。コースよし。コースよし。

降下!降下!降下!」

 

ガルマ北米軍の精鋭第一挺身師団*1、つまり空挺である。

パラシュートを開いて降下を開始し、連邦の濃密な対空射撃が飛び行く。

 

《お、降りられるのかよ!》

《降りられるかじゃねぇ降りろ!》

《ダイヴ!ダイヴ!》

 

ドダイに乗り込んだグフカスタム仕様の挺身師団用グフもヘリボーンの要領で降下し、連邦軍もジャングルのOD色で迷彩された陸戦型ジムやFCSをスナイパー並みにしたマークスマンジムを投入する。

 

《地球軍のMS!いっぱい居るぜ!》

《もうこれだけ作ったって言うのかよッ!》

 

アメリカン180に似た空挺用ショートカービンを銃撃するも、陸戦型ジムは大型シールドで戦列を構成する。

ファランクス、徹底的集団戦術、代替可能な凡人達による代替可能な製品による戦い方。

これこそ地球連邦。

 

 

弧を描いて飛び行く弾丸と空かける航空機のテールランプのような煌めき。

そんな戦場に蒼いドムと二機のドムが続く。

アコーズのバズーカを皮切りにコズンがマシンガンを発射、ランバ・ラルはクラッカーに混ぜてグレネードを投げる。

 

「三段攻撃!行くぞ!」

 

バズーカとマシンガンに気付いて盾を構え、動きを封じてしまったジム隊にクラッカーが直上で炸裂した。

当然動きの鈍った敵は、牽制によって相手を封じ込める。

MP7に似たデザインのシールド備え付けサブマシンガンを使い弾幕を展開する。

しかし。

 

「狼狽え弾など!この私に通じるかァッ!!」

「うわぁッ!?」

 

突進。

ランバ・ラル隊は分かっているが故に突進した。

タックルと共に、くるりと踊るように銃撃を撃ち込んで戦列を瓦解させる。

慌てたジムが応戦しようとするが混乱で誤射が発生した。   

 

「機体の装甲は堅くとも、心の装甲が甘いわ!」

 

すると、倒れた味方の影を利用して一機の陸戦型ジムがサーベルを抜いて背後より飛びかかる。

リュウ・ホセイの乗る陸戦型ジムだ!

 

《覚悟ォォォッ!!》

「気合いも踏み込みも十分!」

 

ランバ・ラルは嬉しげに言いながら、容易くそれを敵機下部から上への切り払いを行う。

陸戦型ジムの両手が斬られ、敵機は倒れた。

武器を突きつけてランバ・ラルは「しかし。ザクとは違うんだよ、ザクとは!」と己の勝ちを突きつけた。

それでも応戦する戦車隊と、高地に陣を構えて抵抗するガンタンクには最も不利な相手であるドムがその魔の手を伸ばす。

 

「飛び道具しかない円陣など、斬り込めばあっという間よ!」

 

冷飯食いとなっていたのをヘッドハンティング(強制連行とも言う)してきたランバ・ラルは、その武人としての本懐を遺憾なく発揮して見せている。

 

「蒼いドム!?ランバ・ラルじゃないかぁ!!」

 

あっという間にガンタンク2を真一文字に叩き斬った彼のドムに、恐慌した連邦の兵士が叫んだ。

 

「畜生!死ぬはずだ、人間ならば!」

 

対MSランチャーを構えた対戦車隊隊員が狙いを定めるが、ドムの動きについていけない。

想定外の山岳地をいとも容易くすり抜け、高火力で何もかも叩きのめすドム。

コロンではシャアたちのズゴッグが連邦海軍を襲撃していた。

ミサイル攻撃でCIWS等の意識を逸らし、直後ジャンプでエマージェンシーブローを行い、横合いから艦橋を叩きのめして止めにVLSを撃つ。

水上艦隊は20分もしないうちに空母<サン・マルティン><ベインディシコ・デ・マヨ>、巡洋艦<ベネラルベルグラーノ>、駆逐艦七隻を喪失するに至った。

彼らは進撃を続けている。

 

 

飛んで行く地対地ロケット弾を見て後方予備のレイバン軍曹が呟く。

彼を含めて部隊の七割は南米に居たががらりと変わった、下着から機材まで何から何まで新しい補給を受けたのだ。

ヤンデルたちもガンタンク2を受領していた。

 

「主戦場は派手にやってんなあ」

《無駄口叩くな、俺らが側背面守んねぇといけねぇ》

「はぁ」

 

すると、突如海が輝いた。

 

「あ」

 

対潜フリゲート<ヴィクター>が光に持ち上げられ、それが見えた。

真っ赤なズゴッグは両手で<ヴィクター>を持ち上げると、勢いよく対潜ロケット砲陣地にぶん投げて攻撃した。

六両の自走式対潜ロケット弾搭載ロケットランチャーが破壊され、続く攻撃で<ヴィクター>が吹き飛び弾薬の連鎖的爆発が大隊を木っ端微塵にした。

 

 

ランバ・ラルは敵が秩序的に後退している事実に焦りを感じた。

兵站線を考えればあっちが有利である、陥落させたヒューストンのお陰で北米は大分改善されたが西海岸への進撃は完全に遅滞した。

喜望峰に展開する連邦対潜哨戒線が厳重で太平洋のジオン勢力はオセアニアに留めているしかなくなった、故に大手を振って日本海軍の空母<伊吹>の機動艦隊により輸送される中国人師団が押し寄せている。

 

「焦るのも無理はない」

 

ラル自身もそう思っていた、しかしガルマの焦りはそれ以外にもあった。

つまり恋人、エセリナ・エッシェンバッハとの婚約の為だ。

彼はそれを無理矢理にでも割りと話の分かる兄と、気難しい姉と、父親に認めさせようとしていた。

ラルは少なくともガルマに恩義があるので、これはあえて言っていない、言ってもかわらないだろう。

北米軍将兵にとってのガルマは、それだけの信頼を勝ち得ている。

 

《大尉!連邦の奴等いやに潔いです》

「やはりそう思うか?」

《あなた、ギャロップとの合流もお考えになって》

「うむ、しかし・・・嫌な雰囲気だ」

 

直後、彼に電流走る。

咄嗟に回避機動をとったことで、彼はビームライフル3本の火線を回避した。

 

「新型か?!」

《例のガンダムって奴ですか!》

 

アコーズがMMP-80による制圧射撃を仕掛けつつ対ビーム防御を行う。

要するに散水である。

しかしアコーズのドムは、胴体中心部を大きく撃ち抜かれた。

 

《ば、バカなぁ!!》

「アコーズ!?くそっ、なんて火力をしているんだ」

 

連邦ロシア管区が磨きに磨いた新型戦艦(後のドゴス・ギア)のために暖めていた砲身を用いた大火力ビームライフル。

あまりにエネルギーが消費するので一発射撃したらボルトアクションの要領でエネルギーCAPを排夾するし、五発のエネルギーCAPグリップを装填する。

 

「確認戦果、1」

《ナイスシュート》

 

ユウは報告をいれ、スレッガー小隊長が軽口を飛ばす。

即座に間髪いれずスレッガー小隊のジム四機による同時攻撃を開始した。

これこそ連邦軍がザンスカール動乱等でも使った四つ指戦法である。

数と速度があれば強い相手も戦える!

 

「このぉっ!」

 

コズンは自身のMMP-80を乱射するも、スレッガー小隊は即座に散開し、後方のバニングによるキャノン部隊が制圧射撃を仕掛ける。

そしてそれにより動きを鈍らせたところで、抜刀したスレッガー小隊は一斉に突きを叩き込む。

 

「コズン!!」

 

文字通り串刺しにされたコズンのドムは活動停止に追い込まれる。

ギャロップからのロケット弾攻撃で一時的に制圧し、ランバ・ラルは敗けを認めた。

 

「やられたな、敗北だ」

 

悔しさと、もう少し戦いたかったという口惜しさを飲み込み彼は呟いた。

 

*1オリジンの101空挺連隊を改変




ラルの突入シーンの元ネタヤマト2199漫画版一巻のユキカゼだったりする。
ちなみに極東艦隊ですがさすがに磨耗しつつあるんでこれからはマゼラン級<オールド・アイアンサイズ>とか<キアサージ>や<アンドレア・ドーリア>とか出ます。
メリーランド、霧島、定遠とかが同じ戦列で戦うとか草生えそう。


Q:作者は戦艦好きですか?
A:嫌いな男の子が居るのですか?居るなら福祉公社か人民の舘に送ります。

Q:ワイアットなにしてるの?
A:管轄違いです、地上軍でもないし越権はいかんでしょ


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攻勢計画イコノクラスム

ガルマ「パナマ落ちろ!(強攻)」
米軍「バカヤローお前俺は勝つぞお前!」
日中軍「オペレーションアンカレッジがなんだ、実害はないぞ」
ガルマ「あああああ!!!!」

だいたいこんな内容。
ちなみに北米軍が連邦装備を運用してるのはレッドサンブラッククロスでのドイツ軍装備シャーマン戦車からだったり。


パナマ攻防戦が開始され二日、連邦軍は攻勢計画イコノクラスムを発動した。

イコノクラスムとは聖像を破壊する運動を意味し、ジオンにとっての聖像であるMSを破壊する事をかけている。

南京軍区の海軍陸戦隊、第24と第23集団軍、空軍の15空挺軍を投入した作戦でロズウェル等に展開した人の津波が突進を開始した。

攻勢開始数時間でアンカレッジと言った都市から空挺がウィニペグ等に降下、ガルマの占領政策により作られたケベック高等弁務官府は厳しい問題を抱えているのだ。

なぜかと言うと、北米ジオン軍の兵站を支えているのはトロント等にあるレイランドやヴィッカース、ブラックバーンと言った企業が作るトラックである。

笑えない話だが軍の前線も似たようなもので、ノーフォーク軍港や五大湖工業地帯と言った所から連邦軍の兵器が塗装と一部をかえてジオンに納入されているのだ。

 

 

カスペン大隊長はアリゾナ州ツーソンに近い駐屯地に居た。

側面援護部隊という重荷を背負うベテランの第26降下猟兵旅団*1カスペン大隊は、かつてその名を関した部隊と同じく良質な歩兵と言う扱いだった。

軌道上の連邦宇宙軍が今なお抵抗を続け、しかも日毎に増えているのだから降下など出来る筈もないのだ。

夜半に起こされたので若い当番兵の淹れた本物のコーヒーを口に含んで眠気を飛ばす。

当番兵はカスペンが今も渋い顔を続けていることに恐怖しつつそこから退室する。

しかし不機嫌なのは、このコーヒーと言い後方段列のトラックと言い、そして彼の大隊の装備品と言いどれもこれも連邦製品であることだった。

5/3は連邦製、これが北米軍の装備品の割合なのだ。

 

「結局我々も重力に縛られている」

 

大隊は20両の61式と、6機のザクを装甲戦力として有していた。

旅団本隊の装甲戦力が40のザクであるのを考えれば驚くべき豪華さを誇るのは彼が期待されてる証拠である。

だがコーヒーはホワイトサンズ実験場*2で連邦軍の物資集積地を落としたときのものだし、ザクは補充部品が不確かだ。

結局頼りになるのが既存の兵器である、なんと嘆かわしい。

笑えないのは敵軍、つまり連邦軍は州軍、つまり以前戦ったツーソン市とアリゾナ州軍は機械化歩兵部隊だったのだ。

マインゴット!俺たちの装備はパートタイマーな兵隊擬きより劣ってるのか。

 

「ルッグンからの報告ではMSを含む連邦軍らしいです」

「MS?」

「えぇ、最近出てきた新型の量産かと」

 

全く羨ましい、規格違いとかでややこしくないんだろうなあ。

カスペンは実直な軍人だったがそう思わざるをえない。

何せ強行偵察がシエラ陸軍倉庫*3で再編成を完了した敵軍を確認したのだ。

 

「報告!敵大隊規模の機甲大隊が旅団警戒線に前進しています!」

「くそっ、第三と第四中隊を展開して迎撃準備」

「了解」

 

カスペンは愚痴と迷いを吹き飛ばし、信念を呼び起こす。

無いものねだっても出やしない!神は死んだ!

今やるべきことを、考えるとしよう。

カスペンにはそう思える心の余裕があった、なぜかと言うと味方のロズウェル陸軍飛行場は使用できる状態で、アメリカ西海岸は地震で飛行場が殆ど使えないからだ。

つまり局所的航空優勢を、ジオンは確保していた。

 

 

グルームスレイク空軍基地に近いジオン独立戦車第9旅団*4のソンネン少佐は砲隊鏡を覗きながら野戦電話で叫んだ。

 

「ホワイトルーク、ホワイトルーク*5。こちらチェックメイトキングツー!

敵機甲大隊視認!連隊単位で警戒線を越境、後方に機動歩兵*6部隊を認む。

距離およそ11キロ、我が隊これより交戦に入る、現在時刻0315、交信終わり!」

 

野戦電話による報告を終えると彼は即座に無線車と機密書類を処分させ、野戦電話を後送させる。

もはや有線通信でもないと逆探知してきて砲爆撃がやってくる、前線での長電話は国際電話より高い支払いが確定している。

 

《命令あり次第射撃、以上》

 

ソンネンは小高い砂丘にダッグインしている部下を見て、部下たちに安心した。

61式戦車が増強小隊規模、マゼラアタックが2個中隊。

これが栄光あるジオンの機甲大隊だ、なんとお寒い正面装備。

しかもマゼラと来たら、車体が高過ぎるし分離機構のせいで装甲が怪しいのだ。

くそぅ!肝心な時にMSはなにしてやがる!

ソンネンはMSが嫌いだった、明らかに職分ややることが違う連中が居ると軍内部はややこしくなる。

 

《大隊、徹甲、班集中、撃てッ!》

 

機甲隊員特有の早すぎる発音で彼は叫んだ。

飛んでいく砲弾がうっすら輝く。

数秒すると途端に辺りが明るくなった、敵の炎上と照明弾、続けて辺りが白くなる。

あぁ畜生!標定のWP弾だ。

 

「返礼が来る」

 

すると、流星群のように煌めきが見えた。

あらいやだ、奴さん地対地ロケットの面制圧だ。

・・・ジーザス!

 

 

アンカレッジから飛び立ったデブロック爆撃機はイギリス管区の517飛行中隊であった。

彼らに先行して極東軍の第八飛行隊のフライマンタがSEADを行い、低空飛行でもしない限りミサイルはない。

赤外線誘導弾と言っても、地上設置のSAMには不適当だ。

しかも極東軍が「うるせぇどうせジオンだ!」と時限信管を仕込んだ爆弾をマッカラン等にバラ撒いたので、CAPの脅威はない。

お陰で航空経由でしか兵站が維持できないいびつなアメリカ流通網の破綻を呼んでジオン軍による略奪といった悲劇が生まれたが致し方ない犠牲である。

 

「陸標のラスベガス!航法確認したな」

「はい!」

「よし、予定位置到達。♪~」

 

機長がダムバスターズ・マーチを鼻唄で歌いながら、コースを合わせる。

 

「EWO静かでーす」

「OK、爆撃開始」

 

放たれた巡航ミサイルは、フーバーダムを容易に決壊させた。

 

「FOOO!いいぞ!」

「演習より楽ですね」

 

ダム決壊によりコロラド河は溢れだし、異常事態となって下流を飲み込む。

だがどうした?彼らは特に気にしていないし、手伝った極東軍も気にしていない。

"だって他人の土地だし"、戦争は清く正しく他人の土地でやるものだ。

 

 

レビル将軍は自身の私室にノックされ、誰が来たか察した。

ゴップは相変わらず誰にも何を考えてるか分からないような顔をして、しかし片手に洋菓子の入った箱を持っていた。

 

「アポも無しに来るのは貴方くらいですよ」

「ジオンにたいしてはお互い様でしょう」

「それに検査も無しに箱を持ち込むのもね」

「中身は爆弾だー、ってね」

 

ゴップはレビルからしても掴み所の無さと異様な雰囲気をしていた。

しかしレビルは確信していた、この男は勝っても負けても生き残るに違いないと。

 

「さて、クラウゼヴィッツの言う煌めく逆襲の剣*7はよく斬れそうかね?」

「私としてはバックアンドブロウ*8のつもりですがね、やはり旧大陸の主力は動いてません」

「そうかね、では本格的にオーバーロード作戦の出番かね?」

「・・・というより、ダウンフォールですな、まあその前にオリンピック作戦ですが」

「アイスバーグもあるしな」

 

ゴップはそう言うと、上を見上げて言った。

 

「しかし、宇宙にあれだけの物を浮かべているのにいまだにこんなことを続けるとは」

「大航海時代に新大陸で行われたのは流血と殺戮ですよ、結局似たようなものです」

「ひどい話だ」

「えぇ、全くです」

 

二人のため息交じりの会話は、諦めとは似ているが違っていた。

病気は気を付けても起こるが薬を備えているかが肝要だと言うのは、どっちも同じだった。

こういった思想的一致も戦勝国の戦勝国たる故であろう。

 

*1ドイツ連邦軍実在部隊

*2史上最初の核実験の場所

*3実在する倉庫

*4満州侵攻時の関東軍唯一の戦車隊

*5コンバット!のネタ

*6帝国陸軍では自動車化歩兵を指すのだが本作ではMSである

*7敵攻撃部隊に対しての側背面からの攻撃

*8後手からの一撃、マンシュタインの特技




インド人師団を腐るほど編成してオージーに叩き込み、中国人をかき集めて北米にぶちこむ。
完全にやってる事HOI2日本プレイの終盤っすね...。

Falloutネタをいれてますがティターンズにエンクレイヴ要素混ぜるからです。


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シベリアの反乱

1918年以来のシベリア共和国!独立した我らのシベリア万歳!(史実の泡沫国家が大好きなんです)
でもネタ的にはガングリフォンである。


北米が激戦を繰り広げる頃、中央アジアでは大きな事件が起こった。

シベリアの首都と呼ばれる大都市ノヴォシビルスクで発生した食料メーデーが独立運動に発展したのだ!

豊富な資源を有し、オムスクやチタ等のシベリア軍司令部がある都市でさえこれが波及した。

結果として1918年以来のシベリア共和国が復活することとなったのである。

しかもジオン総帥府はこれを公然と支援すると明言した。

 

 

まあ食料メーデーの原因の飢餓はマスドライバーがシベリア鉄道の重要拠点を有するカザフスタン等の鉄道網を完全に壊したからだが。

しかし問題はそれだけでは済まなかった。

 

憲法問題である。

 

 

 

これはシベリア政府についた所謂シベリア軍の戦闘序列である。

なおこの原文は当時の連邦で新設された戦略諜報局の資料であるので、実数(実働数)と一致しない点や予測と異なる点が存在する事を予め記す。

 

 

 

シベリア国防軍

 

シベリア独立空軍

第78戦闘航空隊トリアーエズ18機

第6戦闘航空隊フライマンタ18機

第35戦闘航空隊マングース16機

第28爆撃航空隊デブロック18機

第12航空輸送隊ミデア8機

 

シベリア独立陸軍

1個機甲師団(人員凡そ一万、MBT300、AFV200、自走砲120を有するが実質増強機械化連隊を統合した物である)

2個機械化狙撃兵師団(人員12000、MBT120、AFV200、牽引式野砲160)

2個山岳狙撃兵師団(人員6000を有するが実質旅団、あるいは連隊規模)

1個空中突撃連隊(戦闘・武装ヘリおよそ80ないし90)

4個自動車化狙撃兵旅団(人員は定員割れもまちまちで判然としないが、おおよそ7000越え)

2個軍司令部(元カザフスタンと元アラシュ=オルダの軍)

 

目下の最新情報によりますと、二つの軍司令部は《城塞》《独立》と名前で区分され二個軍が編成されたようです。

常識的に考えるなら、どちらかは狙撃兵主体の防衛的な軍と機甲主体の攻勢的軍でしょう。

現在電子作戦部隊により解析と分析をしています。

 

補記

オムスク司令部周辺のPOMCUSの機材を接収したならば、おおよそ6個旧式機甲連隊(M61A3)と3個機甲連隊(M61A5)を増設出来る。

従い旧式2個連隊に新式1個連隊で新たに機甲師団を編成するのも、難しくは無いでしょう。

人員の質的な問題はあり得ますが、これを予備機材として能率的に運用されますと実戦部隊の実働率は大きくなるでしょう。

 

補記2

シベリアの防空力については身体に合わぬ大きさです。

彼らは長距離防空と近距離防空についての部隊を有していると思われます。

 

補記3

民兵の存在は既に確認されています。

ですが明らかにジオンのMS等が持ち込まれており、彼らは"義勇軍"を拡大するつもりでしょう。

軌道戦力による封鎖が必要です。

 

(UC:0089年出版《ギレンの野望》より引用)

 

連邦憲法第一章第十項及び第四章連邦条項に基づく法的効力の喪失*1これがシベリア政府の自己正当化の大義名分でもある、当然として連邦政府の言い分は決まっている。

地球全州に非常事態宣言を発令している今この事態に分離独立を図ると言うのは連邦政府にたいして反逆することである。

従って現地州軍を連邦政府の管轄下に編入し、戒厳を発令し、鎮圧する。

しかし問題がある、連邦は一応ジオンを独立国(に準ずる反乱勢力)としている、理由は幾つかあるのだが最も大きな理由は「連邦軍の国内出撃は認められない」という憲法に引っ掛からないためだ。

なんでこんな条文があるかと言うと地球統一政体であるなら外敵と言うのは宇宙人あるいは大規模な海賊であろうと言う政治学的理由である。

あらゆる国家が専守防衛だのと耳心地の良い言葉と真逆の実情をしてきている以上、警察力で対処できない敵に対しては州軍が対応すれば良いという事である。

従い連邦政府は暴力装置を制限することが必要だ、と言うのは連邦初代首相たちの統一見解であった。

 

が、知っての通りその首相が爆殺され事態に陰りが見える。

 

連邦宇宙運輸局予備隊の創設と国民の生命財産防衛のための組織創設論の誕生による新たな国軍の誕生である。

宇宙世紀45年の8月にはそれは"連邦自衛軍"と改組され、ついに51年の連邦軍の誕生に至った。

最もたいして外敵もない国軍であり、連邦軍は全人類統一政体の国軍でありながら16個の師団と4個の宇宙艦隊(当時はサラミス級くらいも足りぬ貧相さだった)のみだった。

 

が。

 

シベリアは明らかに反逆であり、しかし国内である。

しかも既に大量にジオンの手により軍が展開している。

そして最悪なことにロシアの主力の補給が破綻しかけているのだ、こうなっては致し方ない!

地球優先協会により改憲の必要さを述べたジャミトフの演説は、予想より多くの反響を呼んだ。

彼が何度も叫んだ言葉である「地球は瀕死の重病であり、治されねばならない!」が。

 

 

「気骨ある将官ですね」

「・・・彼にとって地球の範疇に我々が含まれているのかねぇ」

「え?」

「忘れてくれ」

 

アイカ秘書官はきょとんとした顔をした。

ジャブロー士官食堂は今日も混雑している。

陸での最後の食事が食堂である事実は何とも哀しい気持ちにさせるが、うじの乗った日本兵の遺物の乾パンかじるしかないアメリカ海兵隊よりマシ*2と思って食べる。

唯一の嬉しさと言えば、久しい多様性あるポリティカルコレクト的大衆の味を食べれる事だ。

因みに理由としては「過去への郷愁」とか「アイスクリーム目当て」と誤魔化している、戦後戦中問わずこれのせいで「ワイアットは部下たちと食事を共にする良い将校」と勘違いされますます自分を苦しめたのだが。

 

*1本作の連邦憲法は合衆国憲法を基にしている、公式の条文が見当たらない事と西側中心の結成であったからだそうだからである。

*2太平洋戦線の食料事情はかなり両軍でドン底




改憲についての"部分的解釈"は議会法案をやろうかと思ったのですが反対も賛成も結局変わらないオチしか浮かばず面白くないので止めました。
連邦の憲法って本当ややこしいっすね、なにせラプラス事件が全部壊してるし。



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"大艦隊"

今回のタイトルはロイヤルネイビーのグランドフリートからです、水平線の向こうまで戦艦並べて第一戦艦隊(他にも8個+植民地艦隊もいる)とかズラーッと並べるからです。
アカン墓の下からドゥーチェが出てきてまう(ヴィットリオ・ヴェネトやアンドレア・ドーリア、アクィラとか出してぇなあ)


フィッシャー提督「巡洋戦艦はいいぞ」
スプルーアンス提督「巡洋艦はいいぞ」
でーにっつ提督「潜水艦はいいぞ」


ワイアットがルナツーに帰る前に最後にやったのはある警告だった。

彼は明言しなかった、目的もある一点しかなかった、なんなら実際には何もされなくて良かった。

送った警告文は以下の通り。

 

"最近のシベリア動乱と言い、ガンダムへの待ち伏せと言い、我が軍我が政府にウィリアム・フォーブス=センピル*1の後継者が居るように思えてならないのです。

勝手で無礼な文章をお許しください。

しかしご留意なされた方が良いかと思われます。"

 

明言はしていない。

あえて火の玉ストレートにQuisling*2と呼んでも良かったが面白くないので止めた。

尾碕やゾルゲのが良かったかな。

そして、受け取ったゴップはあまり面白くなかった。

彼自身、これが第三者の眼に入ると踏んでいるワイアットに些かカチンと来た。

なんならジオン中枢(ダルシア)と最悪の時の為のチャンネルを作ってる自分への当て付けかと思った。

 

「・・・つまりこれは、誰かの眼に入るようにしておいてくれという彼なりの考えか」

 

自分の考えの深さに他人を合わせるのは世界史的によくある話だ、彼にとって幸せかは知らないが。

そして彼はこれを自らを囮にするようにしろとの考えだと"気づいた"。

実態と認識が違う現実が生まれるのは良くある、本当に。

 

 

ワイアットは帰還してそうそう、艦隊行動訓練の指揮官としての活動が命ぜられた。

補修され戦列に復帰した北米管区の<ウェストバージニア><メリーランド><コンステレーション><アラバマ><キアサージ>、

新造されたイギリス艦隊の<レパルス><ライオン><インドミタブル><アークロイヤル>、ロシア管区<解放><人民><栄光><報復><逆襲>と言った国際色豊かな艦隊である。

無論それだけでなく、新型の旗艦も完成した。

旗艦<ワサッチ>、ペガサス級の拡張性豊かを利用した指揮通信専門艦、いわば現代で言うブルーリッジ級である、まあこの場合はレイテ突入時の米軍旗艦<ワサッチ>よりマシだと言うべきだが。

因みにティアンム提督の艦隊は<レキシントン><サラトガ><定遠><アムリッツァ><アキレウス><ペルガモン>等の増強を受けている。

斯くしてワイアット艦隊は主力艦艇補助艦艇に多数の増強を受けたが、練兵の必要も出てきた。

大規模な戦闘訓練は大事だ、韓国軍がソウルを限界まで維持したのは第一師団の師団幕僚らが唯一大規模演習をしたからである*3

こう言うコンバインドアームズ(諸兵科連合)は近代戦争の本質、戦闘とは個人芸でなく集団芸、と言うか芸術に近いのだ。

 

「動きが鈍いぞ、それじゃムサイに動標的実弾演習をさせるようなものだぞ!」

 

ワイアットは何度かの批判を飛ばしたが、私的な罰直(鉄拳制裁)は厳に戒めさせた。

つまり「君らにそんなことさせてるような不経済が許されない時代である」と明言し、怒鳴りと批判と再訓練を許した。

お陰でワイアットはルナツーを歩く度に「もう一回再訓練!!」の声を聞くので精神衛生に被害が出たが、それで済んだ。

地球連邦軍はIJNの焼き鳥空母(加賀)や海上違憲軍の潜水艦(そうりゅう)第三砲搭ボンバーウーマン(陸奥)ではないし悲劇再びを許容しない。

・・・煙草を弾薬庫で吸うことも禁じている(戦艦三笠の事件)

 

 

チベ級巡洋艦<エール>は普段はハンターキラー任務についている戦隊の旗艦であった。

指揮下にはパプア級<バイブ・カハ(ケルト神話に由来)>と、オッゴ中隊二個にMS中隊1つを有していた。

艦隊指揮官のティーシャク提督はムンゾ防衛隊時代からのベテランであり、効率的な海賊に対する護送船団と言った事を好むセーラー(海軍軍人)である。

彼の指揮下にある艦艇も、熱意と士気は存在していた。

国民の生命名誉財産と生活を擁護し戦火から民草を守る、連邦でもジオンでも防衛戦争的考えが強かったのはこの戦争の特徴である。

しかし彼らは、今日この日は別の任務に就くことを命ぜられた。

すなわちルナツーへの偵察行動である。

 

「戦隊司令、これはあまりに無茶苦茶ですよ」

 

副官は嫌そうな顔をしていた、任務内容を知らされティーシャクはパプア等の鈍重で目立つ物を置いていき部隊は先行して改装されたムサイ改を選んだ。

最悪の場合は見つかったら高速で逃げ出すのである。

MSも何とか商船護衛総隊司令部が軍令部を説き伏せて母艦航空隊の偵察機乗りを機体もろともに入手した。

 

「私もそう言ったさ」

 

くそっ、公国の上層部・・・いいやザビ家め何を考えてる。

彼はザビ家嫌いを内に秘めていた、彼は良く慕っていた上官や同期をギレンの大粛清で喪っていたのだ。

そして、一番気に食わないのはルナツーに居るのは穀潰しではなく、隙有らば襲ってくる油断ならぬ連中であると言う事実。

開戦の好調な機運をへし折られたギレンと反撃を受けたキシリアは対立を深めていると言う噂もあった。

信じたくないが、ジオンの親衛隊から国軍に"思想的正しさと敗北主義からの脱却を指導する将校"の配属すら計画されているとさえ言われている。

 

「そもそも地上になんか降りたのが間違いなんだ、いまに我が国は戦費で自壊するぞ」

 

彼の危惧は、どうしようもない現実を多少楽観視したものだった。

総力戦を続ける国家と言う生き物に、血液と食料を何れだけ注げば良いのだ。

いまにお金が額でなく重さで取引されるに違いないぞ!

それを分かっていない!なにが宇宙突撃軍だ!なにが宇宙機動軍だ!兵站線にもっとMSを回せ!

そこまで考え、彼は自嘲した。

いや、それを言ったら独立戦争なんてのが可笑しいんだ。

そもそもこの不安を無くすには、仮想敵国が全て我が国の指先で叩ける程度になってなければならない、馬鹿馬鹿しすぎた。

そして、現実はもっと馬鹿馬鹿しかった。

立案の一番の理由は、ゴップの意図的な漏洩だったのだ。

 

 

母艦航空隊の偵察機乗り、それは勇敢さを要求する。

特殊改造されにされ、二人乗りになったヅダはデブリと岩石に隠れつつ推力を絞る。

しかし低速ではない、ある程度吹かしてついた加速を減速せずに操縦するのだ。

こう言った操縦は技量と気合と根性と冷静さを必要とする。

 

「分隊士!しっかり見えてます!コースそのまま!」

「了解!」

 

デュバル少佐はMk9Aエンジン、つまり次期新型重MSのエンジンを積んだカスタムヅダを操れる極めて稀な男だった。

OD色の塗装を施されたヅダはデブリの雲を突き抜け、分隊士のアイチは撮影を行う。

 

「なんて数だ!」

「艦隊型空母12、新型空母が3、戦艦22!大艦隊だ!」

 

当然、敵は一挙に加速したヅダを発見する。

経験浅い艦艇乗員の対空射撃は射撃指示が下手で、デュバルは全く気にしていない。

しかし観閲艦等からは統制された対空射撃が飛んでくる。

 

「うわっ!いまかすりました!」

「大丈夫直撃してない!」

 

逆Gをかけると容易にエンジンが停止すると言ったハッキリ言って工業製品として失格であるヅダは、そのエンジンが改良された結果誰にも負けない個性を獲得した。

それが加速性能、あまりに早くすぐに連邦のMSは追撃を断念した。

最高速度に自信ある連邦宇宙戦闘機隊も、最後まで粘った機体がついにオーバーヒートで脱落してしまう。

 

「我に追い付く敵機なし!」

 

しかし、連邦もただ黙って帰すような非紳士的集団ではない。

ちょうどティーシャク戦隊をリード指揮下の駆逐隊が発見したのである。

リードの部隊はレパント級4、駆逐艦4、大型蕎導駆逐艦1、サラミス級2である。

対するティーシャク戦隊はチベ1、高速ムサイ3である。

粒子は散布されている物の、彼らは数的に有利だった。

速度にしても、逃げるとすればムサイは一方的である。

 

「やむを得ん!」

 

ムサイ改級高速巡洋艦<マツ>は自艦を囮にしての退却援護を実行。

ムサイ級の過剰とも言える砲火力を用いて、彼女は軍艦としての職責を全うした。

リード司令は死兵と化して突入してくると考えていなかった、しかも降伏勧告を発した直後である。

 

《絶対にありえん!ジオン万歳!》

 

その絶叫に近い叫びと、悪鬼の如く暴れ散らした彼女はレパント級3、駆逐艦1を撃沈せしめた。

またリード座乗の<羽黒>も手酷く損害をおった上に、戦隊司令の無能さにより<羽黒>が終始遠距離から砲撃するだけであった。

結果、ジオンは貴重な情報を手に入れた。

 

つまり、連邦宇宙軍の少なくない数は練兵が終わっていない。

 

*1日本のスパイ、英国の貴族だった

*2死刑の無い国で唯一死刑にされた男

*3当時の韓国軍は漸く中隊単位の演習をしていたレベル、そりゃ戦線が決壊する




リード戦隊の元ネタはスラバヤ海戦の日本海軍です。
日本海軍には幾つか汚点があるがスラバヤ海戦は序盤の汚点と言える、第五戦隊それでもIJNか!オランダ植民地海軍見習え!
なに?漂流者救助?これ要するに味方が不甲斐なかったから敵に同情したからだろ。

因みに敵陣突撃かましたマツですが、元ネタは雑木林駆逐艦の一番艦です、史実だと12隻相手に単艦突撃、退却援護にその身を散らしました。
個人的に松型駆逐艦たちや、クレムソン級と言った海軍本来の意義であり使命の生活と生命財産防衛に奮闘した軍艦たちは大好きです。
タシュケントとかも好き。

でも一番好きなのはビスマルクぶっ殺すために手当たり次第の軍艦を注ぎ込むマジギレロイヤルネイビーです、
工員詰め込んで砲撃戦を仕掛けるPoWさんガンギマリ過ぎて好き。
意地でも殺すと言う殺意マックスさにいつみても笑える。

ところで最近の海自が艦隊決戦思想から海上ゲリラ戦に移行したらしいがシーレーンどうするんすか...。


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レインボー3・プラン

ロシア人のちょうどいい人が居ないから仕方ないので越境させる事にした、原理主義者さんらゆるして(でも良く良く考えれば本作の読者に原理主義者が居るのか?)。


ちなみにジオン宇宙軍をクリークスマリーネかホーホゼーフロッテ呼称するか未だに統一してません。


シベリア共和国の領土は、正確に言えばエカテリンブルグからチタにかけてのシベリア鉄道の区間が主な領土であった。

当然この間には広すぎる領土が有るのだが、毛皮を求めて東進したロシア人たちはシベリアを開拓するには幾分少なすぎた。

何せ手におえない広大さ故に、この時代と言うのに未だ流通がシベリア鉄道の沿線に沿っているのだ。

無論であるが遠隔地はレシプロの旧式機体が飛んでいる、頑丈なローテクが全てである。

兵站の都合から迂闊に線路を壊せない両軍は、趣ある悌団戦法に回帰した。

悌団と言ってもOMG(作戦機動グループ)を100キロ単位の戦線突破口を幾つも開けて突撃させる方ではない、これは曾ての帝政ドイツがソビエトに使用した戦法だった。

内容は至極単純で、本隊の兵員を載せた三列、装甲列車などを載せた二列、偵察の一列で悌団を作って攻勢を仕掛けるのだ。

 

結局二世紀越えてもやることは変わらないのである。

 

 

シベリア司令部は白衛隊、つまり民兵を動員しチタ方面に展開、守勢の構えを見せた。

16時に汽笛を鳴らし、夜明けには労働者等を兵士として送り出したのである。

一晩のうちに10万ほどの人間が集まったが、これには理由がある。

シベリア鉄道が完全にロシア軍管区の輸送に手一杯で民生物資、特に食料に事欠いており食い繋ぐ手段として魅力的であったことである。

シベリアの戦争計画はモンゴルやウラジオストク、ナホトカからやって来る"現代的干渉軍"のシベリア出兵は時間を稼ぎやすい陸路で来ることになる。

既に雪も溶けたが、マスドライバー攻撃で寒冷化した為ひんやりとするシベリア方面は機械化部隊とは言え動かしづらい。

従い極東軍等は守勢の構えを見せて別方面で打撃を与える事にしたのである。

連邦政府の指揮下の部隊を軒並み武装解除したシベリアは接収した物資と装備を用い、この地政学的有利を有するシベリアと言う大地を活かすか思案した。

結果としてはクラスノヤルスクに司令部を置く機械化部隊によるモスクワ攻撃である。

モスクワとはただの町ではない、流通の要衝だ。

全ての道路はモスクワに通じる、言わば国家の十字路である、そして軍事的に十字路は高い価値がある。

いまやヒンドゥークシュやペルシアと言ったルートでしか補給が繋がらない以上、モスクワのロシア軍管区も攻勢に出ざる終えなかった。

 

ロシア第五親衛戦車軍第26戦車師団師団長セルゲイ・スミルノフ少将、戦後の回想録にて。

 

 

斜め上から納められた戦艦<敷島>*1の写真や、演習のいくつかの記録を見てジオンは焦燥に刈られた。

ジオンはこれらの練兵が終わる前にルナツーを陥落させねばならなくなったのである。

 

「で、例の恒点観測船111号艦*2の状況は?」

 

ズムシティの公王府大会議室、ヴィクトリア様式のモダンさを感じさせる部屋には宇宙軍の将官やギレンと言った人間が揃っている。

ドズルの問いに艦政本部長はあまり好ましからざる表情をしながら言った、彼は開戦反対派閥だったのだが有能さ故に消されていない。

彼は現在マル3計画110号艦111号艦の建造を担当している、後々ドロス級と呼ばれるもので表向きはジュピトリスと同じような大型宇宙船舶である、さすがに大きすぎて隠しきれないのだ。

 

「現在110号艦の艤装は70%ほど、111号艦は39%です。

両艦とも計画との遅れは造船所への資材不足が原因であります。

現在増援を編成していますが進行は一日0.01%から0.1%の間が限界です」

 

その報告が終わると同時に宇宙軍作戦課長が報告を付け加える。

 

「現状として言えるのは我々の総力を挙げてルナツー早期攻略を図るしかないと言う事です」

 

作戦課長の嫌そうな視線がアサクラに突き刺さる。

アサクラは不愉快そうな作戦課長に対し「しかし、マル3計画*3の要たるアレが無ければ」と苦しそうに言った。

だが作戦課長が机を叩き、怒声を上げる。

 

「それでは遅いッ!他にどういうクリークスマリーネ(戦闘海軍)の使い道があると言うのです、有りはしませんよッ!」

「艤装の済んでない戦艦なんぞ石のタヌキだ・・・」

 

足を組んで煙草を灰皿に押し潰し、艦政本部長が付け加えた。

ザビ家の人間は全員が口を開いていない、ドズルは作戦課長と意見を同じくしていたのでアサクラを睨んでいる。

キシリアは軍部の信頼が薄く情報専門、ガルマは北米でマニュフェストデスティニーされて大騒ぎである。

そして、ギレンはただ黙っていた、不気味なまでに、石像のように。

ただ時計ばかりが音をたてる沈黙が数分続き、ギレンは決断した。

 

「致し方あるまい、出来うる限りの速さでルナツーに攻勢をかける。

しかし間違えるな、目標は敵の宇宙戦力の根拠地ルナツーだ」

 

開戦前のレインボープラン、その中の一つであるレインボー3プラン、つまりルナツー攻略が決定された!

 

*1旗艦を変更した事をジオンはまだ知らない

*2計画番号の元ネタはウルトラセブンと111号艦

*3元ネタは大和型建造を含めたマル3計画




最近ビンソン計画の元ネタがアメリカ軍の増強計画ヴィンソン案だと知りました、元ネタこれかよ...。

Q:ヨルムンガンドは?
A:砲身寿命と整備コストの都合で解体されました、預金通帳は無敵なり。

Q:ドロス級を幾らなんでもあの図体で建前通るのか?
A:仮称ミネルヴァって言うかつて存在した第五惑星探索計画らしいっすよ元々、なんでもアポロが赤い宇宙服の遺体を見つけて以来の歴史だそうで。(元ネタは星を継ぐものを読むように!)

Q:計画名がかっこよくない
A:オレンジ計画とかレノ5号とかより良いだろ

Q:トップを狙えじゃねぇか!
A:うるせぇ連合艦隊の方じゃ!


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ルナツー攻防戦始まる

ジオンにとってのマリアナに近い立ち位置の作戦。
何時も通り遊びが多いです。


ワイアットは自身の副官の変化に気づいていた。

なんと言うか、大人びたような暗くなったというか、落ち着いたような。

 

【挿絵表示】

 

そんな疑問を抱きつつルナツー鎮守府(3か月前に警備府より昇格)特別陸戦隊の特殊部隊の書類を確認する。

エクストラ・コンバット・オペレーション・モービタル、通称XCOMと言うらしい。

また宇宙海兵隊の母艦としてアンティータム級<フィラキシス>と特設空母<シド・マイヤーズ>を改装した報告書を見る。

事実上ルナツーの司令官がワッケインになっており、未だに交替されていない。

お陰で副司令官ワッケインくんはいつもルナツーお留守番である、ややこしい話だ。

 

「海軍陸戦隊に母艦が居るのか・・・?」

 

思わずそんなことを思ったが、中国軍海軍陸戦隊や帝国海軍横須賀鎮守府第一特別陸戦隊とかを思い出したので居ると思うことにする。

明らかにあいつらがイカれてるくらい過剰だとか言ってはならぬ。

 

 

シベリアに向けて討伐軍として編成された中国軍管区に衝撃が走った。

突如雲南、新疆、チベットで独立宣言が出され現地部隊が一部反乱を起こしたのだ。

シベリアの独立に端を発したアジアの問題がついに飛び火してしまったのである。

連邦政府の宗教的無頓着な政策*1に不満を抱いた彼らはついに独立を宣言した。

しかしジオンは特段の反応を見せなかった、確かに口先だけは支援と独立を称えることはしたがそれまでである。

なんら戦略的価値を有していない以上、そんな小国に構う筈がないのだ。

国家戦略とは道徳と倫理を棄てて銭勘定とリスクを弾いてやるものである、日本のODAバラ撒きも慈悲と反省ではなくシーレーン防衛と反日的行動をさせない立派な戦略なのと同じである。

 

「叩き潰せ」

 

ただの一言だったが、それで十分すぎた。

雲南は早期鎮圧を狙う中国軍管区の快速反応部隊の第54集団軍*2第11装甲師団と第127機械化師団により蹴散らされ崩壊。

蘭州軍区第62機械化歩兵旅団は第36爆撃機師団の濃密な空中援護の下、世界の傘と呼ばれるチベットの山々を貫いて前進し、

1週間ほどでラサが陥落、チベット独立の夢は儚く散った。

続いて新疆もインド軍管区からの攻撃で崩壊、アジアの局所的騒乱が鎮圧された。

だが、これはどうしようもない現実を突きつけていた。

 

この連邦は、綻びを見せている・・・。

 

 

ワッケインは何時も通り、ルナツーのCICに居た。

黙々とコーヒーを片手に座っている彼は、CIC要員たちに軍人らしい落ち着きを感じさせていた。

実際はただやることもないからなのだが。

そう思わせたのはセーラー(海軍軍人)らしい白色の軍服を着用していたからも有るのだろう、彼は暑がりだったので此方を好んでいたし、多少それっぽいとも考えていた。

彼は自分の自信、と言うより軍人らしさに欠いていると考えていた。

短期現役士官の哨戒報告が入ってきたとき、彼は帽子を深く被って状況を確認した。

 

《防衛前哨衛星3号銃座より本部へ!衛星に向かい飛翔体近づく!敵の攻勢と認む!》

《哨戒中の巡洋艦<マグデイル>が敵の艦隊を発見!》

《同じく巡洋艦<青葉>も発見を知らせています!》

 

ワッケインは直ちに戦闘用意を発令し、司令官に連絡することにした。

 

 

出撃したジオン艦隊の総戦力は豪華絢爛たるもので、目を見張るべきものであった。

捕獲した艦艇も総動員した彼らの戦力は主力艦のみに絞って見ても巨大である。

トラファルガー級8、グワジン級2(一隻はグレート・デギン)、マゼラン級12という物である。

当然これだけの戦力を動かすから資源消費はとんでもない規模になる、お陰でジオン商船隊の護衛艦が動けない位になった。

そんな状況下であるが、商船船員たちも護衛艦乗りたちも事情を承知し、理解はしていた。

ルナツーさえ落ちれば護衛艦なしで独航しても、満艦飾に華美にきらびやかに飾ろうと襲われる確率はゼロになる。

根拠地が無ければ何にも出来ないのだ。

デラーズ艦隊のトラファルガー級空母<ヒンデンブルグ>格納庫では、出撃の準備が進んでいた。

 

「良いか諸君、本艦隊の対艦攻撃隊は我々の中隊のみだ」

 

ガトーは自身の部下たちに攻撃方法の再確認を行い、出撃前の確認を行う。

すると、彼のウィングマンが皮肉な笑みを浮かべて言った。

 

「ガトー、君が狙うのはやはり<敷島>かね?」

「無論だ、敵の旗艦を狙わずして何を狙う」

 

ジオンは戦闘中の傍受記録から旗艦を割り出していた。

ウィングマンはロシア系特有の熊のごとき体躯を震わせて言った。

 

「なるほど、なら俺はそいつに止めを刺そう」

「楽しそうだな」

「あぁ、勿論!」

 

彼は楽しげに微笑んで言った。

 

「俺には<敷島>と<三笠>等と言う軍艦が存在している事が許せんのだよ」

 

 

前進するジオン艦隊は、ある程度散開し包囲陣を築くような体制に移った。

対する連邦艦隊は2個艦隊(ティアンムとワイアット)の前衛、そして新人たちによる中衛、要塞砲による後衛という陣形だった。

しかし連邦は哨戒艦隊を再編して後方から撹乱するような動きを見せて牽制を仕掛けている、艦隊後方の船団は補給艦等の脆くて重要なものだ。

そして1941年からずっとそうであるように、艦隊戦は制空戦闘から始まった。

艦隊前衛のピケット戦隊の光学望遠レンズは接近するジオンMS部隊を確認した、およそ380機、敵の航空総力戦。

 

《手空き要員、帽フレーッ!》

 

世界的に見てもやたらに多い日系連邦宇宙軍兵*3の声と共にジムが発艦する。

ホッグを改造したSFS<イントルーダー>も同じく対艦攻撃装備のジムを乗せようとしている、もっとも彼らの出番は少し先だ。

 

《ゴジラ・コマンド*4より全中隊、艦隊防空圏に近づく敵機を要撃せよ。

N1208から攻撃し1225に離脱コースを取れ》

 

連邦軍のMSドクトリンは一撃離脱を信奉している、格闘戦では効率が悪いし反撃される前に逃げるべしと言うのが一般的だった。

ティアンム艦隊所属のイオ・フレミングはゴジラ・コマンドのコードに呆れつつMSを操っていた。

あの管制のコードを決めたのは艦隊航空参謀の趣味に違いあるまい。

 

《SAM射撃準備、ライフル用意》

 

すると、イオは自身の視力がおかしくなったのかと疑った。

あれは・・・

 

 

バルーン?

 

 

ジオン部隊の奇襲はほぼ完璧に決まった。

側面からの迂回攻撃と偽装により、容易くあと100キロに迫った。

基本として100キロでは艦隊CAPによる要撃と、40~20キロで艦砲、20キロ以内でCIWSの要撃。

しかし基本的に時代が進めば距離の差は対した事ではない、100キロなんぞ大差ないのだ。

 

「敵機!?どこだ!」

 

ワイアットは報告に思わず声を荒げた。

 

「上です・・・」

 

オペレーターの報告の直後、観測員が叫んだ。

 

「敵機直上!降下する!急降下ァッ!」

 

あぁ畜生、私は南雲提督じゃないんだぞ。

ワイアットはそう思いつつ対衝撃姿勢を取るよう命じた。

 

 

その日連邦極東艦隊は事実上消滅したと言えた。

<敷島>と<三笠>は大破し、すでに戦艦として死んだ状態である。

すでにダメコン程度の物ではどうしようもない状態で、ジングウジ艦長は退艦を命じた。

<霧島>は2tのバズーカを二発受けて機関を喪失し、彼女は足をもがれたと呼称するには十分な損害であった。

トラファルガー級艦隊型空母<加賀>に至っては、艦橋を早期に喪失したことで全く何も出来ないまま轟沈するに至った。

 

「沈むぞ!総員退艦!総員退艦!」

「俺はこいつと共に沈む!万歳!万歳!」

「手を貸してくれェーッ!!誰かァー!!」

「杉野!杉野何処だ!」

 

<敷島>艦内は正しく阿鼻叫喚だった。

彼方此方を漂う元人間あるいは肉体だった何か、そして炎と血と鉄。

ジングウジ艦長は何とか甲板に出ることに成功し、外の有り様に驚愕した。

栄光ある極東艦隊はその歴史を閉じた、そう言っても良い打撃であった。

このワイアット艦隊で唯一の実戦経験者たちの詰まった麗しき乙女と人員が消えたのだ。

 

「皆掴まれ!急げ急げ!」

 

巡洋艦<仁淀>のランチが接近し、ジングウジ艦長もそれに移る。

完全に潰れた艦橋に辛うじて繋がっていたマストが崩壊し、靡いていた旗が炎上する。

しかし、ジングウジ艦長は不思議な充足感もあった。

 

そうだよな、日本の軍艦は最後まで軍艦旗を掲げて沈むべきだ。

 

ランジング・サンは、ついに燃え尽きた。

 

 

ワイアットのワサッチは被弾しなかった、確かに目立っていたが巡洋艦<シリアス>と<サンダーチャイルド>がレーダー面積を過剰に演出してその身を盾にしたからだ。

彼らは<ジョン・ポール・ジョーンズ>と同じ海軍精神を見せつけた。

敵の攻撃によって機動戦力は弱ってしまった、あまり強気にはいけない。

ともかくとして、ティアンム提督にこの事を言っておく事にしよう。

伝令を出すことを決意した彼は即座に命令した。

彼はヤキ1カ電文を繰り返すつもりはない、まして戦艦<メリーランド>のように豪胆な訳ではない。

 

ルナツーでの初戦は、連邦に土をつけた。

 

 

*1民主主義と自由の押し売り、そして宗教的戒律や風習の否定といった西洋的行い

*2PLAの精鋭部隊が元ネタ

*3国連軍と地球防衛軍の違いすら分かっていない日本の市民たちにとっては国軍より受けが良い

*4AWACSのコード




ちなみにチベット、雲南、新疆の三国の独立理由は書いてある通り宗教です。
実は雲南と新疆はイスラム勢力が存在し、チベットは言うまでもない宗教国家ですので。

そういえば震える山ってラサなんすね。

戦後シチュエーションどうしよ、
【ルガンスク・クリミアでのロシア系住民に対しての不当な迫害に対しての報復】としたロシア軍管区ウクライナ侵攻(食料目当て)とか、
【ギリシャの鉄道テロに対しての自衛的反撃】を名目にしたトルコの攻撃って言うのも良いなあ。


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カブラの夏

話の元ネタはカブラの冬です、Kパンやエアザッツコーヒーとか出すためのネタです。

安彦先生もオリジンで言ってたけど、MS書いてるよりおっきい戦艦のが書いてて映えるよなあと。
書いてて艦隊collection(擬人化なし)してる気分になる。
月面作戦<アイスバーグ>や北米奪還作戦<アポロ>、欧州奪還作戦<オーバーロード>、オデッサ奪還作戦<バグラチオン>、
ロシアの試製ドゴス・ギア級<L・N・トルストイ>とか書きたい


帰還したガトーは、自身の戦果より酷いと言える攻撃隊の未熟さと散った者達への悔恨で壁を叩いた。

発艦すら満足にいかない機体すら居た、三度の反復攻撃は二度目から激烈な反撃を受けたのである。*1

国軍の舟艇隊も合わせれば1000程の人命を喪失したのだ。

どうしてこのような惨状を生んだかと言うと、地上が泥沼化してしまい多くのエースが降りていたからである。

無論だがドズルもこれを承知している、故に秘策を用意していた。

 

 

ルナツーが激戦を繰り広げ、数多の鉄の麗しき乙女たちが輝く頃。

遅効性の毒が、ジオンを蝕んでついに激痛を走らせた。

 

ガルマ占領軍司令官のカリスマ的政策はあくまでも一時的な応急処置である。

しかも各サイドが最初から反乱防止を目的に輸出依存のモノカルチャー経済で運営されており、特に食料についての余裕は薄かった。

難民を早期に連邦に押し付けたのはこのような理由も遠因である。

しかしそれでも、戦闘による被害と特にルウムとムーアのサイドは民衆同士の武力衝突によって食料プラントの破壊を生んでいた。

かつてのアメリカ・フランスの出資を受けた*2コロニー群では退却に際してコロニー防衛部隊が焦土戦術として爆破したのもあった。

結果、常にジオンは食料に飢えていた。

そもそもジオン自体が30%近い食料を輸入していた国家なのである。

開戦数週間しないうちに食料問題は表面化、畜産の豚を殺す等したが焼け石に水でありじゃがいもを混ぜたKパン(戦時パン)といった決戦食が出るに至った。

斯くしてジオンはこれをどうにかするべく必要に迫られたが、機械も人員も戦争に取られておりジオンはすでにどうしようも無かった。

だがまだ深刻になる危険性だった、そう、今までは。

 

確かに食料が心配である、だがまだなんとかなる。

家庭菜園と言った個々人の行いは幾らかの楽しさもあった、仕方ないので連邦の捕虜たちでひたすら脱穀をさせた*3、闇市もある。

そう、今までは。今までは。今までは。

 

 

食べ物と革命の関係は、鶏卵前後論争をするまでも無く明らかだ。

人間は満腹である事と娯楽が有る限り明確に社会秩序を破壊するような事はしない。

事実ローマの衰退は女性の社会進出により性風俗と言う古代の数少ない娯楽が崩壊した事にも一因が有るという。

また、直近の例で言うならロマノフ王朝の革命やフランス革命も食料に端を発している。

人間は食料の保証が無くなるとどのような手段も厭わなくなる、これは日本に於いても事実であり311の初期においては救援のあてがない避難所で難民の対立を呼んだ例すらある。

高度な社会システムと強引で無機質なまでの、ある種の洗脳染みた日本人すら飢えれば殺戮も厭わなくなるのは当然であろう。

アメリカの独立も貴重な嗜好品であり、医薬品である紅茶の不当な税により反発を呼んだのだ。

 

そして。

 

『決起せよ決起せよ!労働者!』*4

 

ついにハッテで大規模な婦人たちの食料デモは、大きな騒乱になった。

 

 

ズムシティのジオン宇宙総軍司令部から入ってきた報告を、セシリアはギレンに報告した。

ギレンは嫌そうに歯噛みし、状況を尋ねる。

 

「なに、民衆暴動?」

「はい、現在までのところハッテのバンチ9基が騒乱状態です」

「治安部隊は?」

「殆どが発砲を拒否、一部は既に寝返りました」

 

ギレンは広範囲の通信規制を指示し、相変わらずの民衆に辟易した。

なんでもう数日程度耐えられないのだ、奴等に思考など無いから考えるだけ無駄だが。

しかし前線部隊に波及すればどうなるかは容易に想像できる、全くこれだから。

すると、戻ったセシリアが慌ててまた戻ってきた。

 

「どうした」

「閣下、原因は不明ですがどうやらハッテでBC兵器が投入された模様です・・・」

「なんだとッ!?現地指揮官の暴発か?!」

「不明です、容器破損と言う可能性もありますが・・・」

 

ギレンは自らの椅子に座り込み、暫し沈黙した。

そしてカバーストーリーとして"ガスプラントに引火しエアーが流失した"と言う理由であるとする事に決めた。

 

 

ルナツーの攻防は両軍の本格的艦隊戦に発展し、ティアンム艦隊は熱烈な射撃を見せていた。

両軍の制空戦闘も苛烈になり、ワイアットはCICで気だるげな気持ちにならざるおえなかった。

1秒毎にKIAとMIAの数字が増えていくのである、その数字がかつて笑って泣いた生き物だと思えなくなる。

きっとこう言うのに呑まれていくとカミカゼ攻撃とかをやろうって気になるし、神大佐みたいに自分の命すら何とも思わなくなり自ら艦隊特攻をやろうと思えるのだろう。

酷い話だ、戦場にロマンも女の顔もしてない。

二時間前、ティアンム艦隊左翼を支えている我が艦隊の第38機動部隊第三群に護衛つきの敵機及び舟艇50~60の三度の総攻撃を受けた。

しかし特設空母<プリンストン>、巡洋艦<バーミンガム>撃沈程度でむしろジオンの方が惨憺たる有り様になっていった。

戦争ってやっぱり効率的殺人なんだな、ひどく実感する。

 

「閣下、体調が優れないのですか?」

「いや、これだけの数の艦船を宇宙で動かせるのにやっている事は石と棍棒の殴り合いと変わらんくて辟易しているだけだ」

「2001年宇宙の旅、ですか」

 

アイカ秘書官も明るさが減った。

戦闘開始から13時間、そろそろ敵さんもこっちも限界が近い。

 

 

ティアンムの機動戦力はワイアットの残存戦力の護衛を受けて熱烈な対艦攻撃を実行していた。

しかしドズルは戦艦<グワラン>のCICで動じていない。

 

「提督!成功しました!算出によると敵は全戦力をあげて我々を攻撃しています!」

 

その報告を聞いたドズルはしたり!と手すりを叩いて言った。

 

「よし!好機到来ッ、電文を打て」

「はいッ!」

 

被弾により煙が立ち込める艦内通路を縫って、通信室に士官が駆け込む。

 

「電文!

宛全艦隊発。敵艦上機の接触を受けつつあり、敵機動部隊の全力攻撃を認む。

全艦落伍を省みず前進し、天祐を確信し突撃せよ!」

「了解ッ!」

 

 

<ワサッチ>の観測員の一人が叫んだ。

戦闘によるデブリと、衛星の破壊により警戒が薄くなった方向からだ。

 

「敵艦加速!突っ込んでくる!」

「なに、特攻か?キチガイめ、なんて非効率的な」

「敵艦、回避しない!なお加速中なり!」

「くそっ!火船か」

 

ワイアットはこの、後々"ネルソンタッチの悪用的戦法"と呼ぶ事になる局面に遭遇した。

増速して特攻を仕掛けるはアルカナ級の貨客船、そして先頭を走るはマゼラン級の元<アドミラル・ヴェールキィ>。

さらに援護として残存攻撃隊全力のリックドム9、ザク対空戦型40、バズーカ等の対艦攻撃型28、偵察機型3による全力攻撃を仕掛ける。

攻撃は戦艦<フシニカ><ブラウエン>を有する第38機動部隊第一群、特攻を阻止可能な数少ない戦艦部隊だった。

だがこれは失敗した、ワイアットが以下の電文を出した。

 

《接近する敵艦に集中されたし、本隊予備戦力迎撃用意よし》

 

つまり紳士特有の三枚舌である、最もこれは植民地のヤンキーの話を利用した*5

そして敵は信じてしまった、敵が自分達より数が多いことを念頭に置きすぎたのだ。

それに拍車をかけたのはワイアット自身だった、かつてのコンスコン艦隊へのガンダム投入を知っている艦隊指揮官のドズルは、

自身ならそうすると戦略予備戦力として温存していたに違いないと考えた。

この策略により、ジオンの攻略作戦は直接の着上陸作戦以外に絶たれたのである。

 

 

ルナツー攻防は転がり落ちるように悪化していく。

遠征であるジオンの病院船機能と兵站関連のロジティクスが崩壊一直線である。

選択肢は二つ、犠牲覚悟の強攻か退却か。

そしていよいよ決断するべき時が来た。

通商破壊部隊とパトロール部隊を纏め上げたブライト臨時司令*6のアンティータム級<アドミラル・オルデンドルフ>を有する部隊が後方撹乱としてついに回り込んだ!

ちっぽけな部隊たちの寄り合い所帯は第77.2任務群として再編、戦艦3アンティータム2トラファルガー1特設空母3と言う豪華な主力艦艇達だ。

前衛を行くは極東艦隊駆逐隊<豊後ピート>、艦隊主力は艦隊型空母<リャオトン>、特設空母<ボーグ><チェイサー><カサブランカ>、戦艦は<ローマ><ミシシッピー><ツーロン>。

正しく諸民族の連合艦隊だ。

 

《突撃隊形ツクレ》

《第一戦隊発砲ハジメ》

 

電波管制等により徹底的なまでのステルス行動をとった彼らは、ついに発砲を開始した。

戦艦は最新鋭のテクニカラー識別が可能で、各艦は効率的目視射撃を可能としている。

テクニカラーと言うのは着色料入りの弾薬を使うことで、効率的な観測を実現するものだ。

金剛型と違うのは、テクニカラーと言っても艦のFCSが着色して識別しやすいよう画面を判別させてくれるからである。

 

ドズルは攻勢を断念した。

 

なお戦後判明したがデラーズはこの際に、ルナツーへの全力核攻撃案を作成したが提出しなかった。

理由としては"核攻撃でルナツーを破壊しても復讐から連邦が死兵と化す"というものだった。

そもそも核攻撃は短期間に一斉にやるべきことだ、戦術兵器には向かない代物だ。

斯くして激戦は終結した、ジオン宇宙総軍は恐るべきグロッキー状態に陥ってしまい、これ以降連邦軍も積極的攻勢を仕掛けづらくなった。

何せ両軍の合計した損害はおおよそ以下の通り。

 

撃沈・大破158隻

損傷491隻

撃墜・行方不明機約1100機

 

ピュロスの勝利、そう言えるものだった。

 

*1レイテ海戦に於ける日本軍母艦航空隊は満足な発艦すら出来ない者すら多かった。

*2コロニーは先進国の資金で作られている、日系のはサイド7

*3ジュネーブ条約的に合法

*4歌詞:労働者のラ・マルセイエーズ

*5アメリカ第七艦隊作戦参謀のクルーゼン大佐がレイテにて実行したもの、栗田ターンの原因の一つ

*6戦時特進して大佐である




最近になってUCPやACU迷彩のかっこ良さに気付いた私です、M51ガスマスク着けてウォーキング・デッドの軍隊コスプレサバゲやりたい。

次回【北米奪還作戦<アポロ>】、発動!

東方不敗?「ハロー愛しきアメリカよ」
(プロパ)ガンダム「民主主義に敗北なし!共産主義はまやかしだ!」


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プロット・アゲンスト・アメリカ【アポロ作戦】

連邦軍陸上総反撃です。
ちなみにタイトルは鷲達の盟約か高い城の男にしようか少し悩みました。
どっちも枢軸のアメリカネタです。


恐怖が、絶えまない恐怖が、ここに綴る記憶を覆っている。

むろん恐れのない子供時代などありえないが、もしもリンドバーグが大統領にならなかったら、

あるいは自分がユダヤ人の子孫でなかったら、私はあそこまで怯えた子供だっただろうか。

――フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ』

 

 

 

 

ルナツーの周囲を掃海艇と病院船のランチが走り回る。

既にトリアージのタグすら足りない、幸い麻酔やモルヒネ等の医薬品は必要以上の量があった。

ワッケインが以前のルナツー奇襲攻撃でヨルムンガンドが倉庫をぶち抜いた事と、次回の敵襲に備えて医薬品を増やす事をワイアットに進言した。

ワイアットもそれに同意し、コロンブス級改装の病院船を就役させた。

従い、医療体制自体は整っていた。

ただ人手が足りないので看護学生すら動員し、狂騒劇は一週間を要した。

 

「不味い戦をしたな、うーむ」

「キルレートと兵力集中競争から言えば我々の勝ちです、戦術戦略的にも」

「人的資源が・・・あぁ戦艦一隻が幾らに・・・」

「・・・私たちの年金を余裕で満たせる位にかかってますからね」

 

アイカ秘書官と話していると、報告が飛び込んだ。

 

「失礼します!ワッケイン副司令が過労により倒れました」

「うそぉ」

 

倒れた艦隊幕僚9人、基地士官27人。

ティアンム提督が次にワイアットを見たとき、真っ白に燃え尽きた彼が発見された。

 

 

ついに北米奪還作戦アポロが発動された。

準備攻勢オペレーションアンカレッジ、中米奪還作戦インティライミによって揃った部隊は、

北米大陸奪還という大業を狙い侵攻を開始する。

投入される師団およそ19個、軌道空挺部隊(ODST)10個師団、機動艦隊3個。

参加する前線後方兵員総数480万人!

 

 

箱形のテレビが白黒の画面を映す。

家庭用お手伝いロボットが一家と共に朝食を始め、朝食にエッグとベーコンとパン、それにコーヒー。

実にアメリカ的朝の風景を映している。

 

『ですが皆さん、その平和は確かですか?』

 

スーツに身を包んだ男が現れた。

 

『大丈夫です、政府の指示により我々はシェルターを用意しています。

今すぐお電話を!』

 

Sign up NOW! And preper for the future!

コマーシャルが終わり、Dear Hearts And Gentle Peopleが流れ出す。

骸骨が座ったソファーのある、焼け落ちた家からの音楽が辺りに響いていく。

破滅的とさえ言える光景を、ティルトローター式の輸送機が飛び行く。

 

《降下ァ!》

 

黒い武骨なプチモビ、T-45bに身を包んだ機械化歩兵(パワーアーマー)達が降下する。

続いてミデアから黒色に塗装された陸戦型ガンダムが降下し、一挙に前進する。

アーカンソーに進出したジャミトフの空中機動師団だ。

リトルロック市街に立てこもるジオン軍をまるで紙を裂くような勢いで叩きのめしていく。

北米の主要交通路である航空路はファットアンクルのような機体でないと使えない現在の地球では、鐵道や道路の価値が高い。

したがって交通の要衝への大規模攻撃を行い、有りとあらゆる手段(軌道からの空挺も)を用いて兵力の円滑な輸送を妨害していた。

 

《ジオニズムはまやかしだ!ジオニズムは死と入れ換えられるべきだ》

 

バルカンを乱射しながら陸戦型ガンダムによるプロパガンダ放送が響く。

無人操縦の陸戦型ガンダムは威圧と徹底的な火力が売りだった。

市街への侵攻を行っていると、陸戦型ガンダムが高校を見つけた。

 

《民主主義プロトコル発動、人権と民族の自由の擁護は全連邦市民の義務!》

 

すると、高校から携行式のロケットランチャーが飛んできた。

数発の同時弾着にもかかわらず、身動ぎすらしない。

 

《民主主義を受け入れぬ者は抹殺する!》

 

勢いよく片手を振り上げて叩き込み、横に薙ぐように掃射を行う。

 

「ホリガン大尉!リトルロック市街はほぼ制圧!」

「よし!次の市街に向かうぞ!シグマ分隊を先行させろ!」

「了解!」

 

フランク・ホリガン大尉は指示を飛ばすと、何人かの兵士に国旗を持って来させる。

硫黄島よろしく旗を掲げようという訳だ。

 

「移動司令部クロウラーに連絡。

我が師団は微弱な抵抗を受けつつも前進中!」

 

事実上地球上空が沈黙している以上、連邦軍を阻止できる訳が無かった。

そして事態に混迷が爆発した、ガルマ司令官が暗殺と言うテロ攻撃により負傷した。

デギン公の命令と、ギレンの思惑によりガルマは本国に呼び戻されてしまった。

つまり、確たる意志とカリスマある独裁者が消えたのだ。

 

 

「ここがあのアメリカとは信じられへんな」

 

戦車第一師団戦車第五連隊のショウイチ・フクダ少尉は、陸戦型ジムのコクピットから辺りを見回して言った。

彼の先には、ヒューストンの市街が見えている。

彼の知ってるヒューストンとは、天を突かんばかりのビルが建ち並び、吊り下げ式のモノレールが走る現実的SFの世界である。

しかし今見えているヒューストンは、煙立ち込め各所で爆発が起こる戦場である。

 

「全くですよ」

 

2号機のヤノ軍曹が言い、3号機のカイ伍長は陸戦型ガンダムの頭部を射撃特化にした機体で暇そうに丘の上に立っていた。

 

「カイ!起きんかアホタレ!」

《ヴえっ!?寝てないっすよ!》

「そんなアホみたいな場所に突っ立つなや!狙撃されるぞ!」

《やっべ!》

 

フクダは自分の小隊の新人に常に気をかけていた、予備役だったのを引っ張り出された自分や、現役のヤノ軍曹はともかくカイは志願兵だった。

サイド7と言う事実上の派出所染みた土地に暮らす珍しい奴で、そして彼は戦後新聞記者になると言っていた。

フクダは予備役のとき新聞記者だったので、あの仕事はそんなに楽しい訳でもないと言っておいたが聞かないだろう。

 

「・・・小説家にでもなろうかなぁ」

《奇遇ですね、僕もそう思ってます》

 

テツ・ヤノ軍曹が一切機体の視線をずらさず言う、やはり現役軍人が一番だ。

小説のタイトルは、そうだな。

 

坂之上の雲。

 

 

ルナツーを経由した軌道空挺による要衝への攻撃作戦クリーンアップ作戦は、後世ダブルアップ作戦と呼ばれた。

クリーンアップ、つまり大掃除作戦。

そしてクリーンとは英語圏に於いてもみ消しを意味する。

この作戦によってダラスやデトロイト、シカゴ、オタワ、ハリファックスへの10個師団同時の降下を開始した。

人口密集地での市街戦をする為、統合参謀本部作戦部長コリニーの命令は苛烈と言えた。

 

"抵抗するもの、その可能性があるもの、逃亡するもの、その幇助をしたもの又は可能性あるものは一律判断で射殺を許可する"

 

要するに兵の主観的判断での発砲許可と言うROEにあるまじきものであった。

結果として誕生したのは大量の死体の山であり、低品質な兵士の無差別射撃と略奪すら発生した。

ダラス空挺作戦に於いては戦死した兵士より下士官或いは士官判断での即決裁判で射殺した兵士の方が多いとさえ言われる惨事となった。*1

連邦軍は当初は事実を否定し、数日後の記者会見で事態を認めた。

現地労働組合会員のレジスタンスがFWW経由で事実を連邦議会に突きつけたのだ。

結果記者会見が行われる事となった。

 

「確かに民間人の死者は有りましたが多くは戦闘による意図せぬ巻き添え被害で、故意に射殺されたものは殆どがジオン敗残兵による行為です。

従い、同地での治安維持には攻撃部隊兵員を用いて掃討作戦を進める所存です」

「では幾つか写真が上がっている連邦兵による処刑は?」

「あれは殆どデマと捏造です。

また、反連邦テロリストの射殺を意図的に曲解させていいるのです」

 

欺瞞の極みとさえ言える言葉だったが、それだけあれば充分である。

真実など幾らでも作れる、珊瑚にKYと掘ろうが鈴木商店が焼き討ちされようとマスメディアなる物はスポンサーの意向による。

そもそも真実など言うのが胡散臭い、あるのは事実のみだ、真実など妄想と適当な写真をでっち上げれば完成する。

まして認知されねば存在しない。

 

*1元ネタの日中戦争における日本軍は下士官及び士官は予備役の老害で、身の丈に合わない増員により兵の質は悪質であった。




なんかガイガーカウンターがガリガリいってそうな人たちが居るような気がしますね・・・。

元ネタの福田さんもリアルで戦車兵、戦車第一師団の人で戦後は新聞記者経由して小説家って言う経緯だったような。
ヤノ軍曹は地球ゼロ年を執筆した矢野さんが元ネタの人だったり。

マスメディアの話の焼き討ち元ネタはASH新聞です(直球)
戦前の話ですがいまだに何らの謝罪もしてないです、信濃MINT新聞の関東防空大演習批判は問題提起として面白かったのになんだお前は。


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Broken Steel

ついにジオンの戦略的敗北!北米を取り戻した連邦軍であったがマは恐るべき物を手に入れていた。



【ZION CRASH!American Liberated!】、新聞の一面はどれもこれもアメリカ解放作戦の話で持ちきりだった。

地球優先協会のイカれたレッドネックもFWWのポリコレミソジニスト連中も狂ったように第二次レコンストラクションを叫んでいる。

本当なんでお前らはそうも銅像を倒すのがお好きなのか分からない。

ワイアットは気だるげな顔をしながらページを捲る、良いニュースも幾つかある、スタンレーカップは来年再開されるらしい、ブリティッシュたるものギャンブル上等!。

 

「干渉主義者たちは民主主義を救うために参戦すべきだと主張するが、その戦いのためには我々自身が専制的な国家にならざるを得ないことを考えてもみない。か」

「なんです?それ」

「フーバー著作、裏切られた自由の一節」

 

ワイアットは新聞を閉じて、ワッケインの見舞いに行くことにした。

金の卵を産む鳥を使い潰すどこぞのありがとうな精神の会社のようなことはしない、人的資源は最も節約されて然るべき資源、大事に使う。

ありがとうの精神だの大和魂だのより、ちゃんとした休暇を与えれば効率的と大日本帝国視察団も言っていると言うのに!*1

 

「ではいくぞ、人的資源はエコに使うべきだ」

「はい閣下」

 

 

轟音と白煙を立ててMLRSが砲撃を開始する、203mm自走砲も同時に射撃を開始し、三個砲兵師団とヘヴィフォーク級による前進支援射撃が敵陣地を地図上のみの存在に変えて行く。

濃密な支援の下、第24機械化歩兵師団は敵陣地への攻撃を開始する。

その規模を2個中隊規模に磨り減らした敗残兵と迷子で再編したカスペンカンプグルッペは、どうしようもない戦いをすることとなった。

兵器試験の際に放棄されたヒルドルブを回収したが、そのヒルドルブは何らの活躍もせずクラスター弾の豪雨で大爆発をしてむしろ味方の兵員を傷つけた。

 

「わああ!!」

 

猛烈な砲撃で士気が崩壊した兵の大敗走が始まり、堂々と遊弋する戦闘ヘリコプターが地上掃射を行い千切れた肉片が辺りに飛び散っていく。

カスペンの載っていた指揮車も炎上し、何とか脱出した。

続いて砲煙を貫いてパンツァーカイルを組んだガンタンク2が前進していく。

 

「MT!警報ーッ!!」

「戦車警報!」

 

残存する対戦車火器は余りに少なく、携行式の対戦車火器さえ弾薬も扱える人員も少ない。

なにせラコタにランチャーを着けただけの連邦軍即席対戦車火器を本気で運用しているのだ。

重装備関連の資材はヒューストンやピッツバーグ、デトロイトにあったがその殆どをODSTにより制圧された、結果算を乱して敗走するしかない。

完全に連邦による意趣返しである。

 

「装填!」

「照準よろし!」

 

リジーナでさえ無い無誘導弾、照準予測は砲身横のスポットライフルの軌跡で決める。

そんな余りに古くさい兵器を、ガンタンク2に叩き込む。

しかし、命中しても止まらず上半身を旋回させた。

 

「退避!!退避ーッ!!」

 

唸りを上げて30mmが猛烈なまでの火を吹き上げ、掃射は後に何も残さない。

前進を続けるガンタンク2は辺りに転がる死体を踏み潰しながら前進し、塹壕を何度か旋回するように動いて隠れていた兵員を生き埋めにした。

 

「本部本部。こちらナーゲル3、軍団砲兵の援護はどうした!まだ来ないのか!」

 

カスペンは通信で怒鳴るが向こうは諦めきった声が帰ってきた。

 

《軍団砲兵は現在後退中、砲迫の援護の予定なし!航空攻撃により通信が不可能》

「クソッタレ!」

 

カスペンが受話器を投げつけると、SHAAA!という嫌な音が聞こえてきた。

乱数暗号通信を逆探知した連邦軍の航空ピンポイント攻撃、耳も目も頭も足も奪われた彼らは完全に軍として崩壊したのである。

 

【挿絵表示】

 

【連邦北米軍に投降するジオン兵の様子、プレートキャリア等の重装備な連邦軍兵が行き渡り出したのが伺える。-戦場写真集より抜粋-】

 

 

圧倒的支援の下前進を続ける連邦軍はシカゴ等の各所で立て籠っていた部隊と合流、対するジオン北米軍はアパラチア山脈を最後の防衛ラインと定め、総退却を開始した。

MS部隊、重傷者たち、元気な師団の順で宇宙へ又は欧州に退却していく。

長い長蛇の列が幾つも形成され、東海岸への道は残骸と死体にまみれた。

各都市では反ジオン軍パルチザンのテロ攻撃や、民衆による一斉蜂起が泥沼になった。

以前として銃規制の緩い北米では以前より連邦軍派のレジスタンスたちが活動していたが、同時多発的に攻撃が行われたのだ。

そして司令官の不在によりジオン北米軍の規律も乱れた、数少ない物資を巡って内ゲバが起こり憲兵隊もどうしようもない餓鬼畜生達の坩堝は対応しなくなった。

かつての戦争がそうであったように、こうなると民衆から略奪が行われるのである。

やがてそれは軍ですら無くなり高度な武装がされた盗賊程度に成り下がった。

 

そしてそれにより、人心は憎悪の炎に己を焦がす。

 

後々のティターンズは、このような土壌から生まれた。

 

 

四日後、ジオン北米軍は総退却を開始し宇宙に逃げだしていった。

ルナツーでは未だに艦隊規模の出動が出来ず、ジオン商船護衛隊と勇敢なる商船員の奮闘によりその八割の人員を回収したが、

ティアンム陣頭指揮の熱烈な戦隊規模による襲撃は絶大で重装備は殆ど回収出来ず二割近い人員を失った。

二割、おおよそ3万8000人の命である。

ガルマはこれの責任をとって辞職を申請したが、ギレンにより拒否された。

この戦局的に考えれば彼を切り捨てられない、まして復讐戦に利用できる国民の人気とカリスマもあるからだ。

彼の辞職はジオンの敗北を意味する。

 

 

イギリスはロンドン郊外、旧ヘルシング邸。

歴史的怪談の屋敷に、マ少将は見物に来ていた。

コロニー随一の地球通を自他共に認める彼の占領行政は、ガルマほど圧倒的でなかったが政治家気質の強い彼も欠点の少ない行政をしていた。

救世軍やカトリック、プロテスタント教会と言った援助団体は届け出次第で奉仕と救済活動を許しているし国際的NGO団体も許可した。

彼は大規模蜂起は阻止できないと理解していたし、こうしておけば合法的に人間の盾になると考えていた。

圧倒的大火力で全てを薙ぎ倒し鉄の箒で一掃することしか知らぬ連邦にとって、極めて効率的だった。

 

「少将、失礼いたします」

「なんだね」

 

マはウラガンの報告に、些か嫌そうに答えた。

 

「"レモンケーキ"を回収したケルゲレンが北米軍より帰還致しました!」

「・・・そうか、丁重に保管しろ」

 

レモンケーキ、それは月面で大量に見つかったある物を意味していた。

北米を奪還し、大西洋を経由して欧州大反撃をしかけるだろう敵軍に対しての切り札。

それがこれであった。

 

「閣下、一つ聞いてもよろしいでしょうか」

「なんだ、ウラガン」

「なぜ、これの暗号がレモンケーキなのです?」

 

マは廊下を歩きながら言った。

 

「かつて、それがイエローケーキと呼称された事の隠喩だ。

大々的ではまずいが、見るものからすれば確信を抱くようにな」

「・・・お使いになられるのですか?」

 

ため息をついて、マはゆっくりと振り返った。

 

「愚かだなウラガン、私に言わせたいのかね?

私にとってジオニズムもオメガポイント*2も、白磁の名品一個にも値せんのだよ」

 

*1昭和13年度欧米工作機械工場視察談

*2テイヤール主義に於ける神への到達点




Q:何でヘルシング邸?
A:マは聖杯及び聖遺物を探しているのです、つまり彼の趣味です。

Q:マは原作とおり核を撃つの?
A:さあどーやろなあー(すっとぼけ)

なんと言うか、書いているとマはオーベルシュタインになってくるんですけど何でですかね?声優繋がりか?
いや同じだけどあのボッタクリ自称助太刀も外泊証明書ミスったエースも似ないよなぁ。


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LONGEST DAYー秋の日の、ヴィオロンの、ため息ひたぶるにうら悲しー

LONGEST DAY MARCH 流したりすれば良いんじゃないかな。
後半の突撃シーンはタチャンカどうぞ。

オデッサ戦役はたぶん幾つかの分割すると思います。


乾坤一擲のシベリア軍の攻勢は失敗に終わった。

機甲戦力の少ないシベリアへの日中両管区軍による進撃はついにオムスク、チタの制圧という惨敗となった。

理由は幾つかあるが、もっとも重大な理由は地球の寒冷化によるシベリア及びロシアの食料不足による士気の激烈な低下と、

厭戦的気分から独立を宣言したのに停戦も出来ていないと言う革命に対しての幻滅だった。

豊富な人的資源による人海戦術と、故郷を焼かれたアジア管区軍団結の理由からの熱狂的犠牲攻撃の苛烈さは凄まじく、9月4日にはついに極東軍管区第八歩兵連隊が第11戦車連隊の援護の下ノヴォシビルスクに突入した。

首都の喪失によりシベリア独立は失敗、義勇軍として送り込まれたジオン兵はバイコヌールポケット、所謂"武装捕虜収容所"に封じ込まれた。

八万人ほどがバイコヌールに取り残されていたが、宇宙に帰る手段はなかった。

HLVが無いのではない、どうあがいても撃墜されると分かっていた。

現地臨時司令官は一部の赤十字の医療用HLVに負傷者を乗せ、暫定的停戦が成立した間に打ち上げた。

彼らがここを出るのは、ジオンと連邦が終戦した三日後の事である。

以降彼らは攻勢に出られなくなった。

 

シベリア崩壊によってシベリア鐵道は復活し、ヴォルガ対岸に後退したロシア方面軍はいよいよ控える大反撃に備えた。

西欧ではマによる戦線縮小によってイギリスから撤退する銀狐作戦*1、スカパフロー湾への攻撃によりイギリス在留部隊をある程度足止めした。

しかし豊富な物量と圧倒的備蓄資源を持った連邦は、瞬く間に兵站拠点をレイキャビクや旧ポルトガル島嶼部に設営した。

ジオン水中部隊も、駆潜艇や鵜来型のような特化型の対潜艦艇に哨戒機との親密な協同で警戒網を敷かれると手も足も出なくなった。

続いて連邦は海軍による遠距離攻撃をビスケーやロリアンといった海軍拠点に実施、ついに北海やナルヴィクに引きこもるしか無くなった。

つまり、ジオンは地上での主導権を喪失した。

ジオンも連邦も、この戦いの後の事を考え終戦に備えた接触を再開させた。

 

 

9月6日、ついにその日が訪れた!

戦爆輸送機7800、前線兵力20万、参加艦艇3800という陸海空全てを圧倒する大兵力の集中的投入によってついに連邦の欧州反撃が開始された。

上陸箇所はノルマンディー、ブレスト、リスボン!

ノルマンディー上陸部隊は同日中にバイユーを占領、カーンに突入し三日後陥落させた。

リスボン上陸部隊は一週間のうちにマドリードに電撃的打通、アルハンブラ宮殿に突入した。

ブレスト上陸部隊はノルマンディー部隊と合流し、数日中にボルドーを陥落。

二週間のうちに連邦はパリ市街を制圧、トリコロールは帰ってきた。

 

《しかしパリは自由になった!》

 

宣伝放送のラジオがパリ解放のニュースを伝えている。

下士官以上を集めたロシア管区軍第一白ロシア親衛戦車軍の装甲偵察大隊は、説明を終えてハリコフへ突入を図る。

小隊ごとの凸陣形で槍の先端のような突撃隊列を整え、突撃を開始する。

各小隊長が笛を鳴らして指示し、土煙を立ち上げて鉄の津波が始まる。

波しぶきのように戦闘ヘリコプターも追随し、第一梯団による突撃は横幅100キロの突破口を作り出す。

当然敵は砲撃などで阻止しようとする、しかし砲迫レーダーによる逆探知で即座にカウンターバッテリー(対砲兵射撃)を行う敵には突撃破砕射撃も効果的に使えない。

MSも、その大きさゆえ航空兵力による一方的リンチや偵察機による観測射撃で殆どが塵にされた。

それでも有効な防御線を展開した部隊もあった、しかし陸戦型ジムを主力とする極東軍第二師団機械化連隊や、中国軍管区の機械化部隊が戦車や機械化歩兵直接援護に配備されており、

徹底的なまでの集団戦法は相手を苦しめる。

 

《隊長!!奴等の進撃速度は異常です!!》

《戦線を縮小するぞ!援護しろ!》

 

ククルス・ドアンは自身の分隊を維持するべく必死に指揮をとっていた。

しかし敵の戦車は遠距離から一方的弾幕射撃によって、薄い上面装甲を撃たせず正面対決にだけ持ち込ませていた。

ミサイル陣地やトーチカも、敵のスマート爆弾によって的確に破壊されている。

しかしまだ秘策もあった、地雷原を予備陣地に敷設している。

想定通り、幾つかの敵が動けなくなり敵は整然と陣形を整え後退した、信号弾も上がっている。

 

 

老齢ながらも衰えを感じさせないユーリ戦車大隊長はホバートラックの指揮設備の中で、彼の相棒でもある若きチトフ参謀の報告を聞いた。

 

「あぁ、やっぱり有ったか」

 

地図を写した画面を見ながらユーリ大隊長は、古典的だが別動隊による迂回で気を反らしてその隙に地雷原を爆破する作戦を考えた。

大軍に区々たる用兵は不要だ、大軍を必要とする戦場に投入出来てる時点で戦略的大勝利であると言うことは戦略を浅くでも学んでいる者なら理解できる。

駒を遊ばせず必要な所に投入する、これはシンプルだがそれ故難しい。

少数で多数を打ち負かせるのが珍しいのは健常者の中に気狂いが居るのが目立つのと一緒である、数だけと罵る者は軍事関連の一切から手を引いて己の浅学を恥じるべきだ。*2

 

「・・・チトフ、お前飯食ったか」

 

手に取ったサンドイッチを手にとって、ユーリは尋ねた。

チトフはカツサンドを片手に取って「えぇ」と答え、ユーリは含みのある笑みで言った。

 

「味が良くなったな」

「・・・はい!」

「ではヤポンスキーやニメンスキーに手柄を立てさせてやろう、航空統制官を!」

 

連邦のC4ISRシステム(指揮・情報・偵察)によって連携された通信は、すぐに大隊援護に備えていたファーストムーバ(航空支援)を呼び寄せた。

腹にたんまりと爆弾を吊るしたフライマンタが、作戦空域に現れる。

 

《ちゃんと危害範囲から離れてますね?ローンレンジャーただいま到着!》

《目標地点を送信、どかんとやってくれ》

《お任せを!》

 

フライマンタは数発の大型爆弾を投下した。

高空を一撃離脱で駆けていくので、敵のSAMは届かない。

大型の対空火器は家族のように幾つかのものがセットで居るし、高い空の迎撃には熱源式よりレーダー式である。

そしてSEADで的確に対空拠点を喪失しており、彼らは傘のない豪雨に晒されることとなった。

 

「宇宙から青い地球を見るより美しい物が見れる」

 

外に出て煙草を吸いながら、ユーリ大隊長は言った。

突如閃光がはしり、続いて雲が立ち上がる。

 

「戦術核兵器でありますか!?」

「そのご親戚、て言うよりはそっくりさんだな、エアゾールによるFAEBだよ」

「なるほど、貧者の大量破壊兵器ですね」

 

チトフはえげつのない一撃にあきれつつ、勝ち組に居ることに感謝した。

防御線を正面突破すると言う豪快な新チャートを形成した戦車大隊に、ジオンは地対地ロケット砲の直接照準射撃等で迎撃に出る。

しかしマゼラアインやマゼラアタックは61式の正面装甲を貫徹するには難しく、命中すれども砲搭正面は戦車においては頑丈な部分だ。

しかもその無理な造形によってマゼラアタックは砲搭部を直撃され誘爆することもしばしばであった。

輸送に制限あるジオンと、大型揚陸艦艇を豊富に持っている連邦では使える重さが違うのだ。

 

《空中攻撃大隊突撃!ロケットによる制圧を要請!》

《タチャンカ11了解!アターカ!》

 

MIL-28に似た戦闘ヘリコプターによる一斉攻撃で敵の歩兵を制圧し、戦車が全速を上げる。

 

タンキバタリオンスペリョール(戦車大隊前進)!!》

《ウラァーッ!!》

 

最後のだめ押しとしての戦車大隊による陣地蹂躙が行われ、戦線を突破した。

ハリコフは目前、さぁ次はキエフ!セヴァストーポリ!ジトミル!そしてオデッサだ!

 

《本部聞こえるか!こちら赤い星!ハリコフ防衛線を突破した!OMG発進されたし!》

《了解!》

 

捕虜が狙撃兵の監視の下歩いていくのとは反対側へロシア軍管区戦車部隊が進んでいく。

戦果拡大の第二梯団とOMGだ。

ユーリ大隊長は指揮車の上に立ってタンクデサントした狙撃兵やハッチから顔を出している戦車兵にAKを振って言った。

 

「止まらず突撃!お前らの先祖はベルリンまで行ったぞ!」

「大佐も急がんと娘ッ子が足りんくなりますぜ!」

「やかましいわ馬鹿!おまえは豚で十分だ豚で!」

 

既にハリコフ市街は解放され、市民は無事にルーシの保護下に復帰した!

忌々しいファシーストの暗黒の軍隊を冷たい宇宙に蹴りだしてやる!

かつて祖先がそうしたように!我々はノヴゴロドもポルスカもタタールもナポレオンも打ち負かせる!

 

*1元ネタはナチスによる北欧撤退作戦

*2お前らの事だぞ枢軸かぶれのニワカ共




ロシア人の機械化突撃シーンは自然と書ける自分に草不可避。

本編でも書きましたが必要な兵力の輸送とは軍隊に於ける極めて大事な事です。
何故かと言いますと、たとえばチェスで一度に一つの駒しか動かせない相手に三つ駒を同時に動かせれば強いって言うのと一緒です。
シャドバとかで言えば遊戯王の強欲な壺みたいなのと同じ訳です、山に居ても手札に無ければ無意味なのと一緒。

ですがその投入した軍隊を喰わせる事を考えると、兵站が全てを決めるのです。
つまり最終的にはソフトパワー、ドイツがソ連に破れた理由にはスターリングラードで補給部隊の自動車装備を喪失し馬車に頼った事もある。
日本の敗戦の理由も日吉地下の艦隊これくしょんとクーデターしかしない連中による護衛の放棄に原因があるのですから。

ちなみにロシア政府はこれを良く理解しており、北海道地震や東北でも偵察機飛ばして自衛隊の動きを観察したり防空圏の隙を調べている。
お前(色々と)重いんだよ!動物裁判だ・・・!


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KaiserReich

最近ジョン・ジャック・リードの作品を読んでいるんですが、革命の熱狂を文章にするとこうなるのだろうか?と思えます。
しかし面白かったのは革命の後の食堂で皆がオフラーナ(秘密警察)の食堂に行ってた話ですね、紅茶とマーガリンがあるから!という理由で。

それでええんかお前ら・・・


バリケードは二時間と30分しかもたない、二時間イワンが笑い30分で跡形も無くなる。

ーベルリン市街ジョークー

 

カリウスは自身の所属する親衛隊GZ旅団の隷下504MS大隊のハリコフへの反撃作戦に居た。

簡易に製造された小さいザメルであるフンメルの援護射撃を受けつつ、敵陣地への攻撃を開始する。

彼のザクは所謂F2をさらに改装したH型で、対ビーム用の水を含んだシュルツェンが追加されていた。*1

部下のF2も黒く塗られた親衛隊仕様で、モノアイは複眼で紅い眼鏡のようだった。*2

 

「よぉカリウス、いよいよ進退極まってきたな」

「楽しそうだなケルシャー」

 

相棒のケルシャーの乗ったザクが、上を指さした。

珍しく飛んでいる味方のドップが敵と空戦している。

 

「まあハリコフをどうにかせんと俺達が終わるからな」

「西で守って東で叩くってか?」

「そのとおり、俺達は捕虜になれんからな」

 

ケルシャーの言葉は事実だった、連邦軍はジオン正規軍の捕虜は条約通り対応する確率が高かったが親衛隊は非正規のテロリスト扱いで処刑される。

事実彼らも道中で道標に吊るされた味方の首等を見ている。

 

《無駄口叩くな、前進!》

 

小隊長のヴィットマンが言った、時間だ。

MMP-80を携行したヴィットマンと、Kar98に似た試製ビームライフルを携行したケルシャーとヴィットマン、バズーカ装備のバルタザール。*3

彼らは18機で構成されるMS中隊のベテランたちだ。

丘に陣取った敵は効率的な島嶼防御陣地、PAKフロントを形成していた。

ただの塹壕にさえ、対MS特技兵が潜んでいたし、リジーナを有線遠隔操縦*4してハラスメント攻撃を仕掛ける。

 

《畜生歓迎が豊かだ!》

 

バズーカによる面制圧も、塹壕に籠った兵員には効果が薄い。

これまた珍しくドダイが援護を仕掛けるも、隠れていたAAA(対空兵器)が反撃して逆に追い返された。

それでも努力を続け、八時間ほどでついに丘の塹壕を突破した。

しかし頂上から現れる巨人など、射的の的である。

今度は戦車による弾幕射撃と別の陣地からの重迫撃砲が襲ってきた。

 

《これだ、カタツムリのがまだ早いぞ》

《泣けてくるな》

 

カリウスとケルシャーはやるせなさそうな抑揚で、丘の影に隠れつついった。

長砲身の155mmの2個小隊12両*5の攻撃は途切れる様子を見せない。

すると、今度は203mmが降ってきた。

敵さん砲兵もたんまりらしい!完全に機械化してやがるからどんくさい砲兵も遅れていないらしい!!

 

 

連邦軍は降雪の始まった10月の7日までに、欧州の半分を奪還したと過言ではない戦果をあげていた。

ライン川、アルザスロレーヌ地方からアルプスに沿った山々、バルカン半島、ポーランド、ウクライナとベラルーシの一部。

皮肉にもドイツの残存する領土とはかつての中欧同盟に近い領土だった。

ノイエンビッターによる反撃と機動防御がロシアで行われ、西欧は護りを固めた。

 

「万物流転と言いますが、歴史は繰り返しますな」

 

連邦軍統合参謀本部のコリニー作戦部長とゴップ統合参謀本部議長はジャブローのオペラハウスと俗称される戦争計画の盤面を見ながら言った。

 

「人は火を発明して以来、一度も火災を起こさないよう出来てないからね。

もっともマ・クベからすれば、彼はペチコート同盟に対抗する気分だろうね」

 

ゴップはその見るもの全員に頼りなさと素性の知れない恐怖を共存させて抱かせる顔を笑わせて言った。

歴史には詳しくないコリニーは首を傾げ、尋ねた。

 

「ん?フリードリヒ大王の奇跡を知らんのかね」

「えぇ、宇宙の彼ほど歴史に興味は無いので」

「そりゃあ良くないねェ、歴史は良い資料だ。

・・・どのページ開いても戦争と戦争しかないが」

 

ゴップはそう呟き、本題に戻って言った。

 

「フリードリヒ大王は窮地に追い込まれたが、ロシアの女帝が亡くなったことで七年戦争に疲れきった列強は和平を申し入れた。

亡国一歩手前と言うべき状況下だったが巻き返しを見せたという訳だ」

「彼もその奇跡を信じていると?」

 

ゴップはまた嘲笑と微笑を混ぜた笑みをして言った。

 

「さぁね、しかし知ってる限り似たような事を信じた者は破滅したよ*6

 

 

ボスポラス海峡、黒海と地中海を結ぶ要衝にしてかつて東の正教会の中心地、大国の首都だった場所。

冷戦中は西側に寄りつつも、空母の通過を禁ずることでロシアに譲歩するなどのケマル以来ずっと努力をしてきた土地である。

この戦争中はアンカラを中心に防御陣地を構築していた彼らは、第13独立戦隊の援護のもとキプロス、クレタ、ボスポラス奪還を開始した。

地中海に進出した水上戦力も用いて開始された作戦は、かつてと同じく肉屋となった。

何せ1週間の戦闘で、ホワイトベースが撃沈されたのだ。

 

《こりゃ酷いことになっちまったなあ》

 

スレッガー自身も負傷し、彼の小隊は全滅した。

マ・クベは戦線後方を固めるためにダブデ一隻と、大規模なトーチカを展開していた。

艦と陸上砲台は陸上砲台が有利だ、なぜかと言えば陸地は揺れない動かないからである。

事実帝国海軍のハワイ攻撃も、艦艇ではオアフ島要塞に勝てるか怪しいと言うどうしようもない理由があった。

多連装ロケット砲に紛れて射撃するミサイル等もあいまって、ついにペガサス級にも損害が出たのである。

何時だってペガサスナイトを倒すのは弓だ。

 

 

「まーた肉屋開店か」

 

ワイアットは漏れ伝わる話をアイカ秘書官から聞いて呟いた。

彼はペガサス級のデザインを見て、給炭艦を改装した強襲揚陸艦(の祖先)を思い浮かんでいたし、それがガリポリでどのようになったかを知っていた。

そして何を考えたか、キプロスやクレタは殆ど無防備だったのでトルコ管区軍に押し付けたらしい。

作戦指揮官は歴史を知らんらしい!馬鹿者が。

さらにどうしようもない指揮官は、その融通させた部隊がクルド人だと知らないらしい、なんて愚かな!

 

「何て愚かな・・・もう一度ツインタワーが破壊されるぞ」

「人は過ちを繰り返す、ですか」

 

 

*1出淵先生、ヤマトも終わりましたしガンダムどうでしょう?

*2要するに首都警

*3全員ドイツ軍戦車エース

*487式MATが出来るんだし問題ないだろう

*5MSもMBTも小隊は6を基本構成としています、班と分隊に分割するのと下士官の配置の都合です

*6ヒトラーは末期に於いてフリードリヒ大王の奇跡を信じていた




あぁ^~民族紛争の音ぉ^~!

個人的にドイツ戦車は3号N短砲身かM型が好きです。
戦後だとレオ2A4が好きです。
でもAFV全般だとマルダー2が好きです。


ぶっちゃけ民族紛争の発端なんて、中東なら適当に「ムハンマドの顔描いたやで」で済むんだよなあ。
あそこに乳と蜜溢れる黄金の大地が有るとは思えんゾイ。


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黒馬を見たり

彼が見るのは黒馬でしょうか、それとも青白き馬なのだろうか。
タイトルはロシア内戦における白軍の著名人サヴィンコフの著作からです。
自称チンギスハーンの生まれ変わりを自称するドイツ人ロシア貴族(全部実話&ノンフィクションである)とか居るので、
FG○でロシア知った気になってる皆、PRG(臨時全ロシア政府)とか学ぼう、当時の当事者の白軍回想録はロシア文学特有の無情さとそこに漂う儚き美しさを感じるぞ。


「つるこけももの汁」

――サヴィンコフ『黒馬を見たり』

 

 

シロー達の08小隊は補給と再編により増強中隊規模に拡大編成された。

戦時の特進によりシローは中尉に昇進していた。

 

「そんで中隊長、命令は」

「エレドアさんちゃんと殿ってつけなきゃ」

「んなまどろこっしい事前線でやれるか」

 

シローはRGM-79E8*1から降りて、小隊長達を集めて言った。

 

「せっかちは女性に嫌われるよ」

「はっ、あのペーペーも言うようになったや」

 

カレンは若干嬉しげに言った、現在の彼はちゃんとした前線指揮官だ、突っ込む癖は治らんらしいが。

シローはごほんと咳き込み、現在の状況と作戦を説明する。

 

「よし皆よーく聞いてくれ。

現在我が軍はルール地方で攻勢に出ている、我がドルトムントではなくラムスタインへ攻勢をかける。

敵の一大飛行場であるからだ」

「援護はあるのですか」

 

現役軍人特有の戦地でのふてぶてしさがある戦車第二小隊長のゴトウが言った。

 

「攻勢の前にALCMと航空支援にフライマンタが来てくれる。

足りないなら神に祈れ」

 

 

10月11日。

 

「ウラガン、東部の攻勢は」

「は、現在敵の第五親衛戦車軍と交戦していますがハリコフ目前で敵の砲撃に晒されており・・・」

「・・・失敗か、無駄だな、兵を下げろ」

 

マ・クベは意外なほどに戦線の縮小を即断した。

元より負ける戦をしない性質の男だが、彼はそもそもとして戦線を拡大し過ぎたと考えている。

このどうしようもない泥沼で窒息する前にさっさと抜け出ようと考えてもいる。

ウラガンは最後に、内心で最も気になっている事を尋ねた。

 

「閣下、例のレモンケーキは使われるのですか?」

「ウラガン・・・あれは持って楽しいコレクション程度の価値と、見せびらかす価値しかない。

実際に使うべきタイミングは逸したのだよ」

 

正論であった、核兵器はすぐにおいそれと使えるものではない。

ケネディの段階的戦略より、アイゼンハワーの大量報復こそが正解だった。

いや、そもそも核兵器等という威力以外使い勝手の悪く操作に手間のかかるあの現代的大砲の王様の存在が馬鹿げている、あれには火薬の煌めきも戦場の美しさも存在しない。

極めて無作法で粗野で野蛮な存在と言っても良いかも知れない。

そしてもう、撃つべきタイミングを逸したのだ。

 

「遅すぎましたか・・・」

「だが使い道はある、旧世紀のアメリカ作品の言い回しだが・・・"手に入れたら見せびらかせ"だ」

 

 

急速に戦線を縮小していくジオンは、ついに11月にはオデッサを中心とする400キロほどの領域に狭まっていた。

未だに掃海の終わらぬルナツーはちまちまと駆逐艦を送り出して宇宙に逃げ出した敵を狩り続けているが効率は芳しくない。

しかし戦線の縮小によって戦力を集中させ、単純でシンプルだがそれ故攻めるのに躊躇いを持たせる所謂静的防御を構築したジオンに、指揮官のレビルは焦りを感じていた。

すでに政府と国民からは「クリスマスまでに終わらせよう」を合い言葉にしている、それに兵站が厳冬により磨耗していた。

大洋を跨いでPOMCUS作って輸送部隊を手配するのは極めて手間なのだ。

 

「レビル閣下・・・」

 

エルランはビッグトレー<バターン>の指揮所である手紙を渡した。

 

「・・・マ・クベは漫談が好きなのかね」

「は?」

「我々の主力攻撃部隊は現在プリピャチ湿地帯だ、歴史の皮肉だな」

 

レビルはただそう言って、命令を発した。

手紙の内容には明らかにICBMと思わしい物を載せた移動式ホットローンチ方式の自走ランチャーと、何時でも撃てると書かれていた。

核抑止による時間稼ぎ、レビルはそう判断した。

 

「オデッサ攻略作戦<不屈の自由>を発令する!」

 

エルランはなにかを言いたげに、しかし言わず押し止めた。

 

 

へヴィフォークとビッグトレーの巨砲と、ダブデの巨砲が互いに撃ち合っている。

上空では制空戦闘が激烈になり、空軍の低空侵入攻撃は猛烈な対空射撃で被害甚大になっていた。

機械化混成旅団戦車駆逐大隊のRTX-440でさえ、試験投入された11両の内アリーヌ中尉の一両を除いて全車両大破。

生還したアリーヌ中尉も意識不明であった。

ジオンは黒い三連星と言ったエースから北米部隊を再編した寄せ集め部隊、挙げ句警察師団*2も運用し迎撃を図った。

 

「良いかよーく聞け」

 

照明弾に照らされたシローは小隊長を集めて攻勢前の最後の説明を行う。

既に深夜の二時半だと言うのに一部じゃMSがLMGぶっぱなして牽制したり、MSサイズの攻撃用前進濠を掘削している。

 

「0255をもって攻撃を開始する、敵陣地に突入し、乱射し、制圧する。

以上だ、生還に期待するのはやめるべきだろうが、これを終わらせて生き残ろう」

「嫌な予感がしやすぜ」

 

同じく攻撃する機械化歩兵中隊、といっても武装ドラケンの中隊長であるバーバリーは頭を掻いて言った。

数少ない古参の彼の軍服は殆ど土の色になっている、最もこれは戦場の知恵だった、片方の腕の部分以外を土に埋めて火で燻すとシラミなどが効率よく最終的解決できる。*3

 

「結局のところ、知ってることをやるしかないんだ」

 

シローはかつて自分の本棚に置いてあった書籍、『夏の涯ての島』の一説を呟いた。

彼は自身の家族との連絡がつかないのが不安でたまらなかった。

 

 

ワイアットは漸く限定的掃海を完了したルナツー近海から出撃した。

とはいえ戦艦は出せない、彼は連装砲を装備している重巡洋艦<シェフィールド>に乗艦していた。

巡洋艦を主力とする水雷戦隊は、ルナツー近海で入港出来ずホームレスバトルシップしている戦艦を横目に進んでいく。

戦車も軍艦も、極めて手間暇かかるお嬢さんであるから致し方ないのだ。

まあ榛名みたいに半死人状態で核攻撃を見せつけられるようなことはあるまい。

 

「で、なんでまたご出撃を?」

「こう言うのは政治が絡んだりしてややこしいし、ワッケインくんに責任を押し付けても不味い、私が指揮官のほうが色々の都合がいい」

「相変わらず文書主義で形式的ですね、これが軍隊ですか」

「面倒だが仕方あるまい、民主制の健全な公務員と言うのは大変なのだ」

 

アイカ秘書官はやれやれと言いつつ、さほど嫌っている訳ではなさそうだった。

彼女自身も名家の出身だけにこう言う現実に逃げるつもりは無いらしい。

 

「左舷より第17・第41駆逐隊、極東第二戦隊です」

「これで演者は揃ったか、カーテンコールは何時かねぇ」

 

すると、慌てた様子で通信員が報告した。

 

「提督!地上のジオン軍が変な電文を発しております」

「ん?アジテーションや個人攻撃か?」

 

通信員が記録した紙を渡すと、ワイアットは血の気を失った。

 

《各前線部隊に通告。

直ちに前線将兵は爆風、熱、衝撃波に備え塹壕を深く掘り防護服を着用せよ。

現時刻を用いてMOPPレベルを引き上げる。

すべての師団司令部は5ないし10キロ後退を許可する。》

 

 

光は紫から緑へ、そして白色へと変わった。

核反応のエネルギーを受け取った大気は巨大な火球を形成し、周囲の砂漠に衝撃波と爆風を撒き散らした。

中心点では熱によって上昇気流が発生し、火球に取り込まれた塵や汚れた大気は上空で冷やされ、やがて毒々しい色合いのキノコ雲を生成した。

 

破片が大量に突き刺さり、一部が完全に黒くなったが己を守りきった愛機に感謝し、シローはノーマルスーツを着用して外に出た。

ガイガーカウンターはあの精神を酷く逆撫でする不快な音を鳴り立てている。

 

やがて、完全に大破したグフカスタムに庇われたザクを見つけた。

呼び掛けて見ると、自身の頭に拳銃を向けている女性パイロットがその中にいた。

シローはもはや馬鹿馬鹿しくなり、外を指差す。

 

吹き飛んだ味方やもろに食らった兵士達がただ立ちすくんで、倒れていく。

彼は嫌気がさし、自分の拳銃を投げ捨てた。

彼は目の前のジオンのWACに、シローと紙で書いた。

 

すると、偉く気品ある英語で彼女は言った。

 

「私は、アイナ」

「そうか、いい名前だ」

 

彼女は外に出て、あのグフカスタムを見つめ、そして泣き出した。

シローは彼女の肩を叩いて、早くジオンの陣地から宇宙に撤退しろと諭した。

核攻撃を受けたが最早連邦は止まらない、逃げられる内に逃げろと。

彼女は礼を言い、消えていった。

やがて防護服を身につけた兵士達が現れた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「隊長!生きてましたか!」

 

サンダース軍曹の声に、シローは片腕を上げて言った。

どうやら戦術核による攻撃らしい、数分もしない内にまた光った。

焼き付いた自分の影を見ながら、シローはただ言った。

 

「これで俺たち皆クソヤロウだ」

 

【挿絵表示】

 

 

戦術核攻撃6発を受けて連邦軍は15万人をその日の内に喪失、出所の不明な核反撃命令によってさらに戦術核3発がモルドバ等に降り注いだ。

これにより戦後の混迷が益々ややこしくなるが、現在に於いては連邦第一悌団の機甲戦力が六割を喪失するに至った。

しかも不運な事だが、最初の攻撃の一発はダーティボムであり、それは当時の天候と風向きで汚染が拡大して東部ポーランドからベラルーシ、バルトに汚染を広めていった。

これにより戦後の混乱も呼び起こされ、深刻化する地球寒冷問題も加速していくのであった。

瞬く間にジオンも含めて軍人29万人、民間人含めて47万人の被害を生んだオデッサの戦いは終結せずなお泥沼となる。

最早、どうしようもない。

*1イージーエイトの事、元ネタのM4E8形式

*2現実においてはレニングラード攻防戦でSS第一警察師団が防衛戦闘をしている他に保安師団と言った者も戦ったケースさえある

*3参考資料、ロシアのドキュメンタリー番組"大戦争"




ちなみにレビルの<バターン>は無傷ですが偽装旗艦<モルトケ>と第四地上打撃部隊旗艦<カッペリ>は核攻撃を受けて撃破されました。
あとジオンの被害が大きいのは攻勢で追いたてられて塹壕を出ていたからです。
もうちょい早ければ恐らく三万か二万助かったでしょう(ガッチリした塹壕ってすんごーい)

ちなみに塹壕がない諸君は銀行の地下室や金庫、最悪側溝や伏せるのも良い選択肢だ!
こんなことも教えてくれない我が国の自称資料館は何なんだろうね!(半ギレ)
いい加減国際赤十字と国連にちゃんと提出して国際法の保護を貰ったシェルターくらい作れ、PAC-3反対するよりやることあるだろ。

アイカ秘書官「ちなみにイギリスは最悪の場合生き残った地方自治体を分離独立させて民主制をブリテンに生存させる計画も揃えています」

冷戦期間のイギリスの政策は性悪説と悲観主義に満ち溢れた想定で進められており、避けられない絶望に押し潰されそうな官僚達の生々しさが伺えるので見てみると良いでしょう。


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砲雷同時戦、ヨーイ!

連邦軍水雷戦隊vsジオン寄せ集め兵団(あれとかそれとかな連中いっぱい)
最近EDF5PC版始めましたがカエル相手にゴリアス担ぐの対MS特技兵やアーサー思い出して怖いゾ。

あと章を分かりやすくするため、名前をつけました。
民主主義の兵器厰という意味です、ちなみにティターンズ編はDarkestHourです、HOI2タイトルのパクリである。


レビルは宇宙軍全軍のデフコンを2に引き上げた。

ただし各個判断での行使を禁ずると明言しており、ワイアットはそれを使うつもりになれなかった、彼は核兵器なる新大陸の蛮族の野蛮な武器が嫌いだった。

こんなものよりパンジャンドラムやブロックまるごとを吹っ飛ばす四トン爆弾のが互いの危険に晒されつつも公平だと思っている。

オデッサの戦いは核攻撃を受けて磨耗したジオンに、連邦が戦略予備を投入して締め上げにかかっていた。

 

 

テレビの画面ではM2ヘルメットとPASGTベストを着用したBBCの従軍記者が映っていた。

サイド6の少年、アルはザクC型のプラスチックモデルを組みながら、ニッパーとヤスリを使っている。

 

《現在モルドバの市街に突入した連邦軍は市庁舎からの銃撃を受けており!》

「アル、明日も早いんだから寝なさい、クリスマスプレゼント欲しいんでしょ」

 

母親の言葉に適当な返事をして、ゲート処理をしながらテレビを見る。

調度昼の戦闘の映像と、戦闘後の光景が流れている。

長い捕虜の列が続いている映像や、ビッグトレーの砲撃で吹き飛ぶトーチカの映像が流れている。

すると、玄関が開いた。

 

「お父さんお帰り」

「きっつい・・・アル退いてくれ」

「どうしたの、最近ゲッソリしてるよ、まるで幽霊」

「お父さん倒れかねん」

 

アルの父親はベイ公務員の中間管理職で、連邦向けの荷物を良く扱っていた。

しかしここ2日は帰宅が遅くすぐに服も着替えず寝ている。

アルも母親も極めて心配していた。

アルの父親はそのままテレビのチャンネルを変えた。

 

「あーあ、家と職場の境界線が無くなったぁ」

 

サイド6の民放はどこもかしこも食料輸出の伸びによる好景気を流している。

このサイド6は日系企業(ヤシマや三つの菱の企業とか)の事業所の7と同じく移民だけを目的としていない経済的コロニーであった。

その役割は嗜好品と食料生産で、アルトワインやコピ・ルアク、畜産を営む者や企業の社員一家の割合は多かった。

このサイド6が中立なのも、両軍にとっての妥協点である。

なおサイド7が襲われていないのは何の価値も有りはしないやたらに遠いコロニーだからだ。

 

「お父さん大丈夫?」

「大丈夫じゃないよぉ、全くなんで俺までジオン側の処理に回らされるんだ、連邦側だけでてんてこ舞いだよ」

 

アルコール度数以外の利点のないビールを飲んで、父親はそう愚痴を溢していた。

すると、テレビの映像が変わった。

 

《えー、連邦政府の公式発表によりますとどうやらオデッサでジオンとの限定的核戦争が起こったようです。》

 

アルは良くわからずプラスチックモデルを片付け、父親は持っていたビールを落とした。

 

「だからか」

 

父親が何で深刻そうにそう言っていたのか、彼は数年後理解した。

 

 

オデッサは陥落した。

マ・クベ大佐は後退援護に際して、ギャンに搭乗し壮烈な戦死を遂げた。

しかし、彼らはまだ助かった訳ではなかった。

報復の熱意燃えたぎるルナツー宇宙艦隊の戦隊が向かっていたのだ・・・。

<ヨーツンヘイム>は姉妹艦の<ムスペルヘイム><ニヴルヘイム>、ガデム補給隊のパプア級の大型艦を連れていた。

他にも付近に救援艦隊旗艦<ラング>が居り、ザンジバル級も二隻居た。

漸く完成した<リリーマルレーン>と、指揮官のジョニーが反ザビ的言動でルナツー攻略からはずされた<キマイラ>だ。

何故このような寄せ集め部隊しか来ないのか、疑問に思うのも無理はない。

簡単に言うとコイツら以外の人的資源が尽きた、どうしようもないのである。

つまり他の連中は飛ぶこともままならないカスとクズどもで、シーマに言わせてみれば「ママの割れ目に残ったバイ菌との混合物」のクソ以下だった。

要するに開戦以来ワイアットが無人戦艦爆弾突っ込ませたりデブリシャワーさせたり、ティアンム提督がルナツーでバカスカ撃ったりしていて地上でも消耗戦なんかしたからである。

 

「姉さん!本気ですかい!?」

 

新たに着任したシーマカンプグルッペの副官コッセルは格納庫で整備班長にドヤされてる新人達を指さして言った。

 

「はっきり言ってあいつらの半分は帰ってきませんぜ」

「私もそう言ったさ、連中教育隊の二年生やそこらからの抽出組だ」

「姉さん・・・」

「ともかく、これが馬鹿馬鹿しいが我々の尽くすべき国家なんだよ」

 

コッセルは何も言わなかった、彼に残されたのは最後の時間をどうやって効率的に使い生き残らせるかの思案だと確信したからだ。

 

 

ジョニーは新たにやってきた士官に嫌気が指していた。

親衛隊の"指導将校"は、いつも口喧しい事大主義的官僚だからだ。

 

「どうにかしてアイツ何とか出来ねぇかな」

 

自身の私室で、音の大きめにしたAVを流しつつ身内を集めてジョニーは呟いた。

別に彼があれな性癖だからではなく、"最近通電しないコンセント"とかのちょっとした異変にジョニーが気付いたのである。

部隊の一番の経歴的問題児イングリットは、脚を組んで言った。

 

「"気にくわない上官どのへの穏便なる解決法"をします?」

「いや、マークされてる以上なあ・・・今度は更に厄介になる」

「101号室にでも突っ込めればなあ」

 

さらりと危ない事を言うイングリットに、ジョニーは子供特有の無邪気さかな?と思いつつ、"最終的解決"を思い付いた。

そうだ、どうせ人手不足だしアイツも出撃させよう。

 

 

ワイアットは全員に気密服を着用するよう命じた、そろそろ会敵する時間だ。

着用して数分しない内に、先頭を進む北米管区の駆逐艦<ルーベン・ジェームズ>と<グリア>が発光信号を送ってきた。

 

「索敵艦より我敵艦隊発見すとの方が入りました」

「砲雷同時戦用意!まずは護衛を叩く」

「アイサー!砲雷同時戦スタンバイ!」

 

三列の縦隊を形成した連邦艦隊は、ジオン救援艦隊の進路を塞ぐように展開する。

当然丁字有利を阻止したい以上、ジオンも進路を変えて同航戦になる。

高精度光学双眼鏡といったアナログなものも国力の差が出ている。

 

「コメンスファイアー!」

「サルボー!!」

 

全艦同時のVLS斉射を行い、発生した火球に紛れて第二戦隊が突撃する。

敵陣斬り込みこそ駆逐艦の本領である、華散れ勇め時は今!

発射された魚雷は、<ムスペルヘイム>の格納庫に直撃、艦載機の弾薬に引火し華と散った。

続いて一発が<キマイラ>に直撃、空間装甲代わりの通路や食堂を破壊した。

敵縦隊を側面から打通した第二戦隊は、そのまま敵艦隊の後方に展開する。

しかし改ムサイ級<エムデン>と<リリーマルレーン>のシーマ直握精鋭小隊による遅滞戦闘を受けて、駆逐艦<不知火>を喪失、思うように戦果を拡張出来なかった。

 

「友軍第二戦隊は戦果拡張に失敗!」

「<うしお>行き足止まった!戦列より落伍!」

「<ルーベン・ジェームズ>轟沈!」

「各艦回避を取りつつ応射!スタミナはこっちのが上だ!」

 

ワイアットの言葉は事実だった。

無理な強行軍でやってきたジオンは長い時間をかけられない、あっちは既に青息吐息だ。

故に時間を稼ぎ、そのあと逃げ出した敵の敗残兵をまるごと武装解除させてやろうと考えていた。

ダイナモ作戦なんか成功させてやるものか、ここが連邦軍のスターリングラードだ!

奇しくも今は10月、テニスンにより語られたイギリス旅団の壮烈な玉砕の月だ、我々は勝者として彼らを讃え、完膚なきまでに叩き潰してやる!

 

「諸君!あともう一息だ!弾薬を惜しむなァッ!」

 

すると、通信員が血相を変えて報告した。

 

「閣下!」

「どうした!?降伏したか!?」

「大変です!近隣を哨戒していたフリゲート<グリシャ>が敵の超巨大戦艦を発見し応答を絶ちました」

「まさか、ジオンにそんな艦艇があるものか?!」

 

しかし、ワイアットの乏しい原作知識からある名前が出てきた。

ドロス級・・・あいつら40万将兵のために新造巨大戦艦すら投入しやがったッ!!!

 




次回、超巨大戦艦出現。
アパームッ!アンドロメダ級戦略指揮艦持ってこぉーい!!

それと次回は連邦議会法案【下院非連邦活動委員会】をやるので議員諸氏は投票の用意を。
元ネタは下院非米活動委員会

なお今回出てきたDD-145グリアとルーベン・ジェームズですが、宣戦布告なしの戦争(中立パトロール)での事件に参加した船です。
ちなみに1941年の9月にグリアと交戦したUボートはアズレンで実装されてる模様、えぇ・・・(困惑)
でもグリア事件が書いてなかったのでwikiに書き足したゾ、戦艦少女でもアズレンでも良いからズビアンちゃんとハボクックたんあく実装しろ()

ー【NT特有の精神空間】ー

ワイアット「<綾波>や<夕立>でボコボコにしたろと思ってたら相手がモンタナ級やユナイテッドステーツ級出してきたような気分」
ギレン「ここでそいつらが死ぬと極めて不味いんじゃ」
ワイアット「だから殺しにきてんだよ」


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カルネアデスの決断

迫り来るスーパードレッドノート、ドロス。
果たして連邦はオデッサから逃げ出した敵を叩けるか?

ジオン独立戦争編の完結もそろそろ見えてきたが、作品の完結は絶対まだ先である、作者はそれまでもつんだろうか?
と言うか数話で1評価が六人くらいついてたら止めてた程度に見切り発車したのに・・・(故に冒頭はガバガバである。)


ドロス級、それは外惑星系探索や恒点観測といった目的で建造計画が戦前から進んでいた。

0073に着工がスタートし多種多様な問題点*1が存在し、そして正確に言うとまだ完成していない。

内部ではこのすぐに機嫌を損ねてしまうお嬢さんに、工員が懸命な努力をしている。

しかし戦闘能力で言えばあまりに圧倒的だった。

何せ統制して斉発してないのに、あっという間に駆逐艦<ライトニング><浦風>が撃沈した、第一射でこれである。

あまりに巨大であるが故に、掠めただけで駆逐艦が文字通り溶けるのだ。

 

《何だあの火力はァッ!?》

《駆逐艦があっという間に消滅したぞ!》

《我操舵不能!我操舵不能!》

 

飛び交う味方の悲鳴と、艦尾が炎上した巡洋艦<ソルトレイクシティー>の報告が入る。

 

「被弾した艦艇は下がって良い!各艦任意で回避!」

 

全長12.2キロのあの怪物、宇宙魚雷の直撃にも余裕で耐えることは必定。

と言うより、必殺の駆逐艦斬り込みが迎撃されて玉砕しかねない。

しかし多少の打撃を与えねば

 

「各艦スモーク散布!」

《ディスチャージ、アイ!》

 

赤リン弾による熱源探査妨害と目視の妨害を行うも、隊列を乱した連邦艦隊にジオン艦隊はその隙をついて猛攻を加える。

ドロスの射線を遮る可能性を考慮して艦載機が出せなくなった分、積極的に発砲している。

そのうちの一撃がワイアットの乗艦に飛び込んだ!

大きな揺れのあとすぐに各部署の報告が入る。

 

《艦尾損傷!》

《シアンガス発生!》

《レーダー動力ストップ!》

《第七デッキプラズマ雲発生!電力止まった!》

 

艦体が大きく揺らめき、突如前方が大きく光った。

救助作業中の駆逐艦<ハムマン>が巡洋艦ごと吹き飛んだのだ。

 

《<ハムマン>轟沈す!》

《<ソルトレイクシティー>の前部が進路を塞いでます!》

「回避運動!上げ舵!!」

「アイサー!!」

 

<シェフィールド>は<ソルトレイクシティー>の艦首部分に衝突しつつも切り抜けた。

しかし、ぼんやりとした影に向かって発砲したジオンのムサイ級の一発が艦橋基部に更に刺さった。

下部からの押し上げられるような衝撃が押し寄せ、磁力靴を使っていなかった者は天井と床に何往復も叩きつけられ圧死することになった。

続く気圧の差から艦橋ウィングの観測員と通信員、砲術長が吸い出される。

 

「提督ッ!!」

 

間一髪にワイアットを掴んだのはアイカと<シェフィールド>のパオロ艦長だった。

すぐにダメージコントロールが稼働し、トリモチが穴を塞ぐ。

 

「閣下!この船は戦闘指揮に耐えられません!退避をッ!」

「分かっている!旗艦を移す!退艦!」

 

パオロ艦長は直ちに退艦を命じ、ワイアットは旗艦を巡洋艦<ジョンストン>に移した、ヨルムンガンドのルナツー攻撃以来のベテラン艦艇だ。

乗員達は整然と甲板に動き、負傷者から救命艇に乗せている。

 

「ようこそ<ジョンストン>へ」

 

艦橋に上がったワイアットは慌てず指示を下す。

 

「味方はあと何隻残っているか!」

「巡洋艦5駆逐艦12であります!現在まで判明している損害は大破3中破2沈没8です」

「くっ!完全に抑えられたな」

 

現在の戦況はドロスにより頭を抑えられ、同航戦を続行している状態だ。

しかし、退く選択肢を取るには余りに大きすぎる。

 

「提督、意見具申。核魚雷攻撃を致しましょうッ!」

「アイカくん!?しかし」

「我が艦一隻の残存核戦力でも、意図的なケスラーシンドロームを用いれば敵宇宙脱出戦力の六割を叩けます!」

 

アイカの意見具申は、余りに魅力的だった。

しかしデフコンはいまだに2、粒子で連絡がとれないが大佐以上には核兵器運用権限が付与される*2

だがワイアットはこのカルネアデスの板を取れなかった。

それだけは、それだけは絶対にしたくなかった。

核兵器の威力に任せた植民地人どもの暴虐を知っている彼は、そのような事をしたくなかった。

整然と並ぶドレッドノートや戦略爆撃は許せても、あの下品極まる存在だけは彼に許せなかった。

 

「駄目だッ!あのような愚行の象徴を使うくらいなら戦死した方がマシだッ!」

 

そして、それは後々自分を救う事となる。

アイカ秘書官はならばと代替として、防空爆雷による散弾攻撃を提案した。

確かに規模は劣るが、打撃を与えられる。

 

「よろしい!艦長、本艦と第二戦隊の第17駆逐隊で敵陣に突入する!

諸君、我々はバラクラバ会戦と同じ栄光に語られる事だろう」

 

彼は、最も愛する詩を全艦向けのマイクで語った。

即ち、あのテニスンの詩。

彼らの栄光、消える日は無し。

おそるべきかな、その突撃!

世界は此を知らんと欲す。

彼らの突撃に勝る栄光やあらん!

連邦が<リーンフォース>の時代まで語り継ぎ、受け継いだ自殺的突撃が始まった。

矢じりの隊列で鮫のごとく突入を敢行したのである。

ジョニーはその突撃が此方に来るのを、半ば諦めたような顔で見ていた。

 

あぁ全くだ、我々の戦略の破綻により偉大なるEFCF(地球連邦宇宙艦隊)は不滅の栄光を手に入れるのさ。

おぉ神様、彼らに栄光あれ、我らに慈悲アレ・・・

 

インディアンの末裔が操る<ジョンストン>の偉大なる突撃が間近に迫った瞬間、彼の意識が途切れた。

 

 

次に眼を開けた彼は、何で右目と左目が赤みが違うのかうすぼんやりとしながらしばし考えた。

やがて、片目は赤色灯で片目は内出血だと理解すると彼は自分で納得した。

 

「ん?おい」

 

ジョニーはイングリットを除けば最年少となる女性パイロットが目の前に漂っていることに気付いた。

確かマハンとか言うコロニーの、貧乏な家の出の学徒だった。

善行章と、ちょっと良くなった階級章をつけて、もう年の父と病気がちの母を喜ばせてあげる。

それに、大きくなった弟にちょっと誇りを与えてあげたい。

来たときの紹介でそんな事を話していた。

 

「あ」

 

彼女のヘルメットはちょうど額の部分に大きな穴が開いており、頭の中身が赤黒い空洞になっている。

そこにあるはずの存在は、いまや壁にくっついている。

彼女の小さな夢と希望と野心と、生活と魂は数g単位にバラバラにされていた。

 

「・・・くそっ」

 

落ち着けよ、おれ。

もう散々似たような連中殺して殺されてしてきただろ、今更一人くらいなんだってんだよ。

あぁくそっ!覚醒剤使うか?いやいや、それは何だかいやだな。

だが、まあいい、元からおかしいんだ、いや俺がおかしいんじゃない、世界がおかしいんだよ。

 

そう、自分を徹底的に騙して彼は何とか艦内電話を取った。

ともかく報告して、仕事して、なんかを手伝う。

考えたくなんか、ないから。

 

 

「じかーんっ!」

 

爆雷が炸裂することを知らせる水雷長の声が響いた、対空兵器だが爆雷なので管轄が水雷だ。

炸裂する対空爆雷は予定通りケスラーシンドロームを局所的に発生させ、HLVはあちこちで暴走と誘爆を起こしている、まるでゲームだ。

突撃した巡洋艦<ジョンストン>は、最後にドロスへの魚雷攻撃を敢行する。

右に左に巧みな回避を見せ、近接防護のスキウレ砲台により<谷風>が沈んだが敵の艦首、格納庫を捉えた!

 

「距離8500、速度差+2、TDC(魚雷情報コントロール)入力完了」

「魚雷発射ァッ!」

 

打ち出された魚雷は、目標の装甲シャッターを直撃するも完全破壊に失敗した!

強力なIフィールドにより、艦砲の効果も薄い。

やはり最後に雌雄を決するは戦艦の実体弾だ。

掠り傷程度すら与えられなかったが、ともかく目的を達成した。

漂うジオン損傷艦を射線に重ねて盾にしつつ離脱を成功させ、ワイアットはボロボロになりながら成功した。

 

ー【連邦議会法案】ー

 

その日は二つの法案が提出された。

まず連邦議会令9066号、自己防衛のための強制移動の権限(以後9006号)。

事実上の隔離政策(アパルトヘイト)で、先のオデッサ陥落でいくつかのスパイ記録が発見され何人かの議員が拘束されたのだ。

だが、彼らの問題は、これだけでなかった。

下院非連邦活動委員会。(以後EFA法案)

ジオンに対する地上での決定的勝利と言う麻薬に似た快楽と、核攻撃の恐怖と憎悪により地球優先協会の力強い後押しを得て二つの法案が提出されたのである。

当然、この二つの法案が憲法にとって良くない影響を与えるかも知れない。

 

しかし、やらねばろくでもない事がおこる可能性もしかりだ。

 

そして、長い集計時間が始まった。

*1鋼板といった素材自体の問題点から設計上の問題発覚まで

*2元ネタはソ連、KGB大佐以上は運用権限が有るとかなんとか




だいたい来週くらいに集計を終了するので、議員諸氏の投票をご期待します。
あと終戦したら大統領選挙やるので、皆さんEFA、FWW、民主、共和の四択から選んでください。

コフリン神父(アメリカ第一党)「とりあえず俺に投票してユダヤ追い出そう」
リンドバーグ(アメリカ第一党)「少数のユダヤは国家に気骨と活力を与えるから適度にしろ適度」(リンドバーグ実際の発言)
ブロウダー(アメリカ共産党)「共産党になって革命を輸出、しよう!」
ロバート・ウッド退役准将「おとなしく孤立しようぜ」

ちなみに小ネタですが、EFA元ネタのアメリカ優先委員会は大手の反戦運動孤立主義組織だったりします。
いやあ、右翼が派兵反対を唱えてるの見ると落ち着くなあ・・・(保守派特有の派兵嫌い思想作者)


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ダモクレス

連邦軍は秘密決戦兵器により万全の策を構える。
次回更新で議会法案は集計しますので未投票の議員はお急ぎを。


オデッサ追撃戦が終わり、ルナツーの近隣の掃海は完了した。

ジオンは戦線を宇宙でも弱め出しており、月面ではグラナダに戦力を集中させていた。

しかし連邦は、あまり積極的でなかった。

もっとも焦る理由がないと言うともあるが、それにしては変だった。

サイド7近隣によく連邦パトロールが展開するようになった。

 

「皮肉だな」

 

テムは図面から視線を離し、窓の外を見た。

連邦が買い取った建設途上のサイド7の3バンチと4バンチを繋ぎ合わせている。

ダモクレス、それがこれの呼び名だった。

 

「あんなものが役に立つんですか?」

 

アムロは故郷を眺めながら、疑問を尋ねた。

来るべき対要塞兵器、ダモクレス。

それはコロニー一つ分の容積に、ツインコロンブス級(空母ビーハイヴと同型)を五隻改装している。

改装されたツインコロンブス級は、コロニーのミラーのようなものをパラボラアンテナのようにしていた。

それがどういう意味をもつのか、それは今語るわけにはいかない。

しかし、これは大きな意味を有している。

 

「知らん、どうせコーウェン将軍辺りかアナハイムと繋がっている議員の差し金だろうよ。

そういう使い方を考える仕事じゃあ無いんだ、アムロ」

「酷い仕事だ」

「そう、酷い仕事だ。

なに、戦後はお前も好きにやれば良いさ、お前は頭が良い」

 

アムロはきょとんとして言った。

 

「父さん酸素欠乏症にでもなったの」

「お前は私をなんだと思ってるんだ」

「技術バカ一代」

 

 

ウッディは最近不機嫌だった、マチルダと新婚生活を送ろうとしていたらコーウェン将軍から呼び出されて対要塞兵器運用艦の艤装を現地でどうにかすることになった。

ツインコロンブス級<ジェジュ>は朝鮮管区の古い奴で規格が今のと違っている、またアメリカ管区<エンペレス>はヤードポンドで根幹が違う!

極東管区の<硫黄島>に至っては前々からガタがきてんのを改造してて訳が分からん!

 

「何時かこの仕事辞めるんだ・・・」

 

彼のような多種多様な犠牲を強いて、ダモクレス計画は進んでいた。

コントロール艦<イワン・ロゴフ>の完成は、0079年が終わるその日だった。

 

 

ワイアットはジャブロー司令部に呼び出され、地球に帰還した。

前と違うのはワッケインも来ている。

今日をもってワッケインはルナツー臨時司令でなくなる、正規の司令が来るからだ。

彼はキツいワンオペからようやく解放されたのである。

それを報せた時のワッケインは、あの気難しさを感じさせる顔でなく満面の笑みであった。

 

「諸君、いよいよ我が軍はWarPlan<Star1>に基づく反撃を行う」

 

ジャブロー作戦会議室の室内がどよめいた。

ここに居るのは作戦部長コリニーや情報部長エルラン、統合参謀本部議長ゴップに宇宙軍の将官達と幕僚たちだ。

 

「まずティアンム提督はここを攻撃してもらう」

 

レビルは月面、フォン・ブラウンを指揮杖で指した。

 

「月面でありますか?」

 

ティアンム提督が尋ねた、現在あそこに価値はない。

・・・この瞬間までは。

 

「そうだ、それもグラナダではない」

「僭越ながらご質問をお重ねしますが、真意を問いたい」

「うむ、多くは語れんが・・・ダモクレスの要であるマイクロウェーブシステムの奪取だ」

 

ダモクレス。

ワイアットは原作通りのソーラシステムと違うことに困惑した。

あれは要するに大きなバ火力虫眼鏡で、熱量をもって一切合切を焼尽するものだ。

マイクロウェーブ、なんだかガンダム関連に似たようなの聞いたような。

しかしオタクであってもガノタでない彼にはうまく思い出せない。

 

「やはり実在するのですか、それは」

「連邦の剣はブラフではない、実 在 す る の だ 」

 

ゴップがその剣呑な声で言った、その様子に全て納得がいったティアンムは了承した。

続いてレビル提督は、ワイアットに尋ねた。

 

「君がジオン幕僚なら、何処を重点的に守備する?」

「まずグラナダは除外します、あそこは民間人が多く守り辛いからです、疎開も間に合いません。

占領下のサイドも除外します、防御拠点となりえません。

残るはソロモン、そしてア・バオア・クーとなります。

ランチェスターの方程式等で示されている通り、要塞攻撃は大まかに三倍の兵力を要求致します。

ですがジオンは打って出るのは不可能である事を考えれば、答えは一つです」

 

援軍のあてが薄い籠城など論外だ。

恐らくギレンもドズルもソロモンはすでに棄てている、要塞は十分な野戦軍が無ければただの的だ。

ルナツーが落ちなかった一番の理由とはワイアット艦隊ティアンム艦隊の機動戦力が存在し、逆撃を与えれるからに他ならぬ。

要塞とは難しい。

この理論で考えるならジオンは兵力集中が容易でかつ戦力を集中させても遊兵にならない拠点。

そう、ア・バオア・クーだ。

 

「その通りだ、恐らく現地ではジオンは有りったけの国力を注ぎ込んで決戦に備えている。

無論我も全力を投じて彼の拠点を攻撃する、そのための第一歩こそ月面なのだ」

 

レビルの言葉に、ワイアットが言った。

 

「小さな一歩だが人類にとっては大きな一歩、ですか」

「その通り」

 

WarPlan<Star1>はその日、幾つかの作戦となった。

月面攻略作戦<アイスバーグ>ジオン本土への攻勢作戦<ダウンフォール>。

いよいよ全ての演者たちのクライマックスシーンが近づく。

 

 




次回は議会法案のあれこれ。
そして新年祝いです、一年で終わらせられる訳がないんだよなあ。


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新年

まさかの連邦とジオンの日常回である。
しかし書いていてどんどんワッケインくんが柴犬みたいな感じになっていく。
アイカ秘書官は猫の雰囲気なんだがうーん。


間接的にせよ直接的にせよ、他国に自国の考え方を強制する行為は、戦争につながってしまいます

ーフーバー『裏切られた自由』ー

 

 

その日のルナツーは、とても賑やかで笑顔に満ちていた。

ワッケインの乗艦マゼラン級<ルザル>もベイで満艦飾に飾られている。

食堂では酒保から運ばれた酒類が並んでおり、アイカ秘書官はスコッチ、ワッケインはブランデーを淹れている。

 

「諸君!新年おめでとう、今年でこの戦争も終わることは間違いない。

しかし悲しいかな今日も戦時下だ、油断大敵であるが、それでも楽しもう!乾杯」

 

ワッケインはワイアットのスピーチを聞いて微笑んで言った。

 

「短いスピーチだ、兵の心がよくわかっている」

「皆聞いちゃいない、乾杯以外は。ですか?」

「その通り」

 

アイカ秘書官も笑みを浮かべ、ワッケインの容器に乾杯した。

 

「民主主義に、乾杯!」

 

皆薄々分かっているのだ、もしかしたらこれが今生最後の祝いになるかも知れないから。

 

 

<ヨーツンヘイム>艦内、マイの部屋の扉をモニクがノックする。

マイは首を傾げて言った。

 

「あれ、なにか有りましたっけ」

「何かって、新年だぞ。

少しは息抜きしろ」

 

モニクは相変わらずの技術バカに呆れつつ、そんな彼に安心していた。

ソンネンは北米で戦死し、エルヴィンはフォン・ブラウンの学徒部隊で帰れるか分からない。

この603試験隊改め603護衛隊も護送船団の護衛総隊から、戦力不足から海軍歩兵師団に編入されると言う話もあった。

 

「あれ、珍しいですね。

そう言うのは怒るかと」

「なに、気を抜いて遊べる時には遊ぶのが大事なのよ」

「そういうものですか?」

「艦長命令だ、お前も来い」

 

 

ジャブローの司令部は今日ばかりは陰気と湿気から解放されている。

クリスマスツリー代わりに彩られたジム・ストライカーや、鼻先が赤く塗られた雪だるま風の陸戦型ガンダムが格納庫等で輝いている。

そんな司令部の一室の扉がノックされた。

 

「やぁ、新年おめでとう」

「新年おめでとう」

 

ゴップはその顔に満面の笑みを浮かべて言った。

彼の片手の包みを見て、レビルは言う。

 

「規定通りに検査はしたのかい?」

「していない、中身は爆弾さ」

「ははは、だが今は飲めんなあ」

 

レビルは机の上に置かれた書類の束を指さした。

ゴップは普段の笑みと違う、力の抜けた笑みをして言う。

 

「あぁ知っている、だからただのジュースだよ」

「抜け目のない人だ」

 

レビルはそう言うと、書類の束を纏めて机に仕舞った。

レビルのオフィスからでも外の兵士たちの騒ぎが聞こえる。

 

「賑やかだねぇ若いのは」

「老いと言うのはなにもしなくなること、誰の言葉だったかな」

 

二人はもう居ない者達を思い出して、言った。

 

「また来年も騒げると良いですな」

「全くね」

 

 

その日の連邦議会は何時にない荒れようを見せていた、オデッサ作戦以降に発見された資料等から大規模なジオン諜報網が存在するとエルラン情報部長が発表した。

連邦政府は潜在的敵が予想より多いことを思い知らされ、各地での反連邦勢力にジオンの魔手が及んでいる可能性を考える事になった。

臨時大統領は発言力の増大に歯止めの効かない軍部と、連邦議会内部における地球至上主義的勢力であるEFA派閥の提案した議会法案に苦慮していた。

 

9006号に下院反連邦活動委員会、それは憲法としてグレー、黒に近いグレーである。

 

しかし現状、ベノナ文書染みた物が発見された以上反対論にたいしての賛成派閥の論調は言葉を強めていた。

このような経緯はあったが、連立の共和と民主の二つの政党は統一見解を見せていた。

つまり抗議のための棄権と言う結果である。

先の徴兵議案では棄権票は少なかったが、今回の法案では多くの棄権が見受けられた。

だが悲しいかな、民主主義において沈黙は自殺である。

接戦の議会法案論争は、ついに決着した。

 

9006号の可決と下院非連邦活動委員会の否決である。

 

EFAは政治的取引の末下院非連邦活動委員会を取り下げさせる代わりに9006号を可決させたのだ。

 

 

新年を迎えたギレンは久々に個性的な寝相をするセシリア・アイリーンの対応に苦慮していた。

個性的であって野性的でない寝相、つまり自身を包むような寝相をする彼女から脱出するのは中々どうして大変である。

ならなんでギレンはもう少し大きなベッドを、いっそダブルにしないのかと思えるだろう。

特に政治的な理由ではない、初期投資(選定と購入)ランニングコスト(洗濯)を考えれば現状維持で良いと思えた。

それに認めたく無かったが、冬が近づくと彼女の体温に言い表せぬ安らぎを感じる。

数分の後ついに脱出し、服を羽織る。

 

「な~ご!」

 

奇っ怪極まる鳴き声を発する虎模様の猫は、最近彼の園庭にやって来た不法移民だった。

園庭に居るのは実に気に食わないので、幾分か"愉快"になるという観点から私室に暮らしている。

セシリアはこの猫をグレート・ドロスと名付けていた、彼女のネーミングセンスはギレンをして謎である。

 

「・・・仕方あるまい」

 

この同居人たるや、要求を通すことにかけては軍部よりコツを知っていた。

何時からか思案に耽るための散歩は、この同居人の引率に姿を変えている。

彼のこのような行動は後々歴史家の多くの論争を呼ぶことになる。

まあ実態としては、彼自身でも判然としてなかったのだが。

 

 

1月3日のルナツーの午前、食堂は多くの兵員で一杯だ。

行き交う兵員の肩の星は多種多様であるが、特に違いはない。

食堂のメニューには<マゼラン級たっぷり野菜料理><サラミス級サラミセット>や<極東管区海軍カレー><ロシア管区ボルシチ>と書かれている。

今週のルナツーウィーク料理は<マゼラン級"ユリシーズ"のオムライス>だ。

このような物質的な豊かさを前線基地で維持していることこそ、今日の連邦の優位の何よりの証だろう。

原料?・・・知らない方が幸せなこともあると思うって極東軍の真田って人が言ってた。*1

 

「今さらそんなことやってどうするんだ?決戦前だから止めてほしいものだ」

 

ワッケインは朝食後の食堂で新聞を読みつつ言った。

9006号によって難民隔離政策や親ジオン的言動をする人間を拘束している。

アイカ秘書官は「何せ民主主義です、そう言うものです」と諦めた抑揚で語った。

 

「会議をせんと安心しないのが政治家と言う生き物の習性だからね、なんのためにしているか分かっている者が少数意見だ」

 

ワイアットはイチゴジャムの塗られたトーストを手にとって言った。

朝食のロシア風セットで、他にはルナツー農園のオレンジとロシアンティー、オニオンスープにトースト二枚。

他にもアジア向けメニューでは味噌汁、アメリカ向けメニューではスクランブルエッグ等があった。

ルナツー食堂では将官も下士官も兵卒も同じである、もともと小さい警備府として作られ、軍拡により士官食堂も出来たがヨルムンガンドがブッ壊したのだ。

調度品が全焼或いは水浸しになり、ワイアットもワッケインも「そんなものが急用か?」と戦場リアリズム的解答をしてついに修復されなかった。

なお辛党のティアンム提督も良く見受けられる。

 

「貴方もいつかそうおなりで?」

「さぁね、政治は戦争やるより大変だ、敵と味方の区分がややこしい」

 

ワイアットは含みのある笑みをして、新聞を閉じた。

さあ、仕事に戻ろう。

 

*12199のOMCSと同じくリサイクルである、決してソイレントじゃないよ!




おまけとして1732時にジオン勝利ルートを投稿しておきます、ただどうあがいてもこの世界のギレンは【重力からの迷妄からの脱却】としての強制大移住を辞さない以外にセツルメントを纏め上げそうなんだよなあ・・・。

代償として確実に民主主義が死ぬけど。


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【ジオン勝利エンディング】我らの星、彼らの空

もし、ルナツー攻防とパナマ作戦が成功していたら?
もし、ワイアットとティアンムが失われていたら?


「と言うより、二つの超大国が正気の度合いについて話し合うべきだったんですな」

ー佐藤大輔『遥かなる星』ー

 

 

 

後にジオン独立戦争と呼ばれた戦いが終結した。

0079年9月、ルナツー陥落によって宇宙戦力を喪失した連邦政府は戦意を喪失し降伏した。

ティアンム提督の戦死、ワイアット提督の行方不明、宇宙兵器に無防備な地球。

しかしそれを認めないコリニーやジャミトフと言った徹底抗戦派は反発、地球はゴップ主導の連邦正規軍と徹底抗戦派による内戦に発展した。

0081年、条約交渉が進まない事実に業を煮やしジオンは介入を宣言、テロとの聖戦を大義名分とし徹底抗戦派は組織的抵抗を崩壊。

最後に残ったアジア管区軍が核による一斉自爆攻撃を行い、以降徹底抗戦論者は消滅した。

 

降伏の文章はあまりに悲惨としか言いようがなかった。

彼らに残されたのは賠償金と、汚れた大地と、戦費と、瓦礫であった。

復員した連邦兵はだんだんと訓練された賊に落ちぶれ、各所で治安が低下した。

配給の遅配欠配、エネルギー問題は深刻化、地球は寒冷化しプランクトン等が消えていったことで食料は破滅的惨状を呈した。

困窮した連邦はアナハイムといった巨大無国籍企業群の徴税権や司法権すら売り払い、貧富の格差は歯止めのない青天井。

そしてついに0083年、地球連邦はジオン連合公国(コロニー国家群)に吸収された。

 

 

《諸君らの活躍により宇宙の一大行事観艦式を挙行出来ることは、ニュータイプへの改革を表す協調と統一の》

 

旧地球連邦宇宙軍マゼラン級戦艦の艦内すら、いまやギレンの声が満ちていた。

あの忌々しい観艦式は、かつてルナツーがあった所で行われている。

いまやルナツーは破片となって、遠くの彼方に棄てられた。

一部はサイド3独立戦争博物館になっている、そう、かつて私が居たあの執務室のある区画。

私はそれをテレビでしか見ていない、あの戦闘で宇宙を漂い、サイド7に拾われた。

 

「テロで何が変わるかは分かりません、でも」

 

虚空を漂うこのデブリの戦艦、私はこの船を知っている。

プリンスオブウェールズ、あの集成艦隊旗艦。

正確には二世と呼ぶべきだ、艤装途中で艦名が内定していただけだったから。

 

「揚弾確認」

 

連邦軍の核砲弾、弾頭は対艦隊専用のMIRV。

 

「私は貴方を許しません」

 

観艦式の最中、ギレンは永遠にその権力から解任された。

第一線機動戦力ほぼ全艦とドズルと共に。

アイカ元秘書官は、煌めく閃光を見ながらある種の満足感と達成感に浸り、死んだ。

証拠を残さぬよう仕込んだ自爆である。

 

 

政治的混乱の末ジオン派閥抗争は激化、キシリアの排除を焚き付けたシャアはそれを実行。

カリスマ性ある若き英雄ガルマは地球との友好、人類の協調を訴えイセリナと結婚。

だがそれを快く思わない者達が居た。

ゴップを始めとする民主主義勢力である。

戦争犯罪人として拘禁されたレビルが混乱の中で謀殺された事と、ワッケインとアイカによる宇宙軍敗残兵たちのテロ攻撃は、ゴップの行動次第で阻止できた。

しかし自らを独善的寄生虫と呼んで憚らぬ彼をして、ガルマはあまりに面白くない存在だった。

彼と言う天才的指導者はどうあがいても民主主義勢力を潰しかねないほど民衆の行動意欲を失わせる。

ゴップは治安回復と宇宙通商路の防衛策および勢力を要求。

これ自体は嘘偽りなかったが、ギレン派残党が問題だった。

 

 

旧サイド6リーア自治政府の徴税に関しての問題が浮き出し、ガルマはある程度の譲歩としてジオン軍の撤兵を行った。

しかしギレン派のデラーズフリートの若手将校だったガトーたちが現地ジオン系の保護を名目に現地部隊がリーア軍に実力行使を行う。

結果リーアは暴動が多発し宇宙での内戦が始まった。

旧リーアに利権を有する地球連邦残党は武器を輸出、リーア自由戦線と称するリーア市民軍が武器を受け取った。

 

このように支配の綻びが見え始め、ムーアでは大人気だった戦時中の首長の息子であるイオ・フレミングによる独自路線の拡張を行う。

強権的政策に誰も彼もが嫌気を抱き出し、リーア内戦がジオンの予算を食い散らかしていた。

コロニー問題の拡大に対してムーア首都バンチへ武力介入、政権転覆を行う。

ムーア動乱の始まりである。

 

内戦が発生して4年、ついに前進拠点であり兵站拠点だった空母<ディエン・ビエン・フー>が撃沈されリーア内戦がジオンの撤退と言う結果に終わる。

地球でも連邦残党の民主主義勢力が拡大し、ジオン地上派遣軍が再編された。

90年になると今度はサイド7でジオン偵察機が撃墜され、内政干渉的スパイ行為に抗議されジオンパイロットが拘束された。

 

91年には地上でも深刻化する戦況悪化に、ジオンは苦慮していた。

点と線、多くて連隊単位でしかない連邦軍は遊撃戦を地球全土で実行していた。

結果兵站が破滅し、流通が破滅し、幾度かの大規模戦闘で負け始めた。

結果ついにデリーや北京、ワシントンが"解放"された。

 

 

【挿絵表示】

 

【11月の中国での戦役で撮影された義勇軍】

 

 

目に見える勝利と改善を要求する軍部と国民の要求は拡大し、ついに月面大規模独立と言う結果に転がり落ちた。

支配力を維持しようとしたが故に彼らは支配力を失っていく。

国民にとっては独立政権軍たちとの対話は論外で、連邦との対話は非現実的だった。

月面が電力維持のための原子力施設の増築を公表し、航行の安全を名分に艦隊を整えている。

リーアは月面と接触し、連邦も資源を提供した。

月面人たちは自己防衛の手段として核を配備し、それを公表した。

 

対して連日の強硬論に根負けしたガルマはエクスレイ作戦を発動することを決定。

核攻撃の恐怖と独立の拡大を恐れ、ジオンも核兵器を構えていた。

そうした結果、互いに引き合わず誤解と誤認の行き違いは戦争となった。

 

宇宙世紀102年10月の22日、その日世界は破滅を選んだ。

 

 

資料提供:月面都市フォン・ブラウン地下資料室厳重保管金庫。

編集:MHK(月面放送協会)

放映記録:映像の世紀第4章『ギレンの野望』

第5章『世界は地獄を見た』

第6章『独立の旗の下に』

第7章『ジオンが揺らぎ始めた』

第8章『人類の悲劇果てしなく』

 




歴史元ネタは幾つかありまして、第二次国共内戦とインドシナ独立戦争、ハンガリー動乱、キューバ危機です。
キューバ危機で補佐官が快復してなかったら、たぶん米ソは本当に核を撃ち合ったんでしょうねぇ。



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月面解放作戦【オペレーション:アイスバーグ】

最近戦略ゲームやってて思ったんですが、今年に即位なされる陛下が顔の形が明治帝で雰囲気が大正帝っぽい感じで血筋だなぁと。

それはともかく月面攻略作戦です。


連邦軍最後の宇宙根拠地ルナツー、連邦軍はその最後の要塞に有りとあらゆる宇宙戦力を展開していた。

機動艦隊から試験艦、機動歩兵に至る何もかも。

小さなコロニーを思わせるドックには戦艦や巡洋艦が停泊していた、改装の済んでない損傷艦たちだ。

周囲にはほぼ月面引力圏ギリギリまで連邦は警戒線を敷いており、散発的小競り合いが群発していた。

両軍2~6程度の砲撃戦であったが、その日は普段と違っていた。

数的に違いはないが、普段は良くて巡洋艦二隻程度なのに戦艦1巡洋艦4、駆逐隊4つを従えている。

 

「嘘だろ!なんで戦艦まで居るんだ!」

「敵艦発砲!」

「回避!回避だ!」

 

月面ジオン軍はグラナダの主力を合わせても、月面を全て守りきれるか怪しい。

そして抜かりない連邦は、手を惜しまない。

 

 

 

ルナツー宇宙港の外で艦隊の隊列を整えた連邦宇宙軍ティアンム艦隊は、堂々とその威容を誇っていた。

 

《時計合わせ、よし》

《全艦出航!》

 

一斉に火を灯して美しき乙女たちは行軍を開始する。

 

 

フォン・ブラウン市の基地から発進したジッコは武装を外し電装系を積み込んでいた。

遠洋実習に出た巡洋艦<ケルヴィム>と数隻が通信を途絶したので、状況確認に出されたのである。

彼らは当然、何かがあったと考えていた。

問題なのは、スケールが違っていたのである。

 

「どうしたんだ、そんなに騒ぐな」

 

学徒兵の悲鳴に近い報告に艇長は言葉を無くし、呆れ果てていた。

そして自身が外を見たとき、今度は本当に言葉を失った。

 

 

フォン・ブラウン市街のジオン軍司令部は旧連邦軍鎮守府に住み込んでいた。

左遷に近い形で飛ばされたシーマも、ここの守備部隊の士官となっている。

彼女は腐らず、粛々と仕事をしていたが明らかにカタギではない人相の人間しか部下が居なかった。

もっとも彼女はそれについて「みんなビョーキだビョーキ、優しくしてやりな」と笑い飛ばしている。

 

「なんだい!アタシは現在休暇中だよ」

 

コッセルからの電話に起こされ、手短に用件を言えとシーマは怒鳴った。

すると、コッセルは聞いたことのない震えた声で言った。

 

「受話器を置いて外を見てご覧なさい!」

「なに?」

 

部屋のカーテンを開けると、そこには慌てて緊急出航をかけるジオン艦隊が広がっていた。

 

「やられたッ!」

 

 

フォン・ブラウン市のジオン司令部に駆け付け、シーマは事態の深刻さに気付いた。

愚か者め、誰も彼もが、私も含めて敵は打って出てこないと考えたのだ!

戦線の拡大は最終的に総合した戦力に勝る方を利する、つまり連邦は積極攻勢こそ勝利の道なのだ!

シーマは退避を急ぐ司令部の逓信室を通り抜ける、嫌な報せしかない。

 

《敵の無線傍受より戦術符号を換算した結果、敵の着上陸作戦は間近と判断し警戒体制に》

《敵機動艦隊発見す!上陸船団はコロンブス級100近くを確認せり!》

《ルナツーが"溢れた"んだよッ!》

《敵が七分に宇宙が三分!》

 

他の司令部要員は各自の書類を纏めて走っている。

 

《緊急警報発令!総員施設より退去せよ!》

 

シーマは行き交う兵員を掻き分けて、命令書への判印を求める。

上着のボタンを二つ三つ止めた程度のベルチング連隊長が適当にサインをし、自由裁量を認めた。

しかし、シーマには不愉快極まる男が居た。

親衛隊の指導将校、腐った野郎の存在である。

見かけとお名前がご立派なだけの連中が腐るほど居る親衛隊は、事大主義と機会主義と腐った虚栄心を愛国で塗り固めた屑に溢れていた。

 

「おや、遅いご到着でしたな」

「援軍にも来ない、連絡も寄越さない貴方のご同僚たちより愛国的ですよ」

 

シーマは心のなかで、思いきり彼を罵倒した。

バカにするんじゃない!私は海兵の士官だぞ!行進とナイフとフォークの使い方しか学んでないてめぇらとは違うんだ。

いつも通り理性が感情に支配されてる瞳をした男をあしらい、コッセルに適当な守備位置を考えさせる。

このカタギではない連中の中であの指導将校が死んでいないのは、シーマを事実上人質にしているからである。

そしてそれを誇らしげにさえ思ってるのが、あの男なのだ。

 

 

ティアンム提督は練兵を完了した戦力を以て月面への攻勢を開始した。

戦艦<解放>を有する砲打撃部隊に、空母<レキシントン>を有する機動艦隊、それに予備の戦艦部隊が二つ有している。

ジオン艦隊はグラナダ方面に壊走を開始した。

チベ級<ゼーロウ>やマゼラン級<グナイゼナウ><アドミラル・ホルティー>を有してはいたが、明らかに劣勢であった。

グラナダにはマゼラン級<ティルピッツ>と言った有力なキシリア艦隊が居たので、合流と言う選択肢は妥当であったのだが。

しかし、逃げる輸送艦や補給艦、商船はろくな援護も無いまま撃沈か降伏かの二者択一を選ばされ、そして大抵後者を選んだ。

フォン・ブラウン市街の騒乱も凄まじく、ジオン系の人間は避難をしようとした結果月面ハイウェイや宇宙港は混雑し、そこを狙ったテロ攻撃が破滅を呼んだ。

現地警察は殆ど政治的信用性を理由に再編されていたが、稚拙に過ぎており憲兵は人が足りてない。

結果政府施設は相次いで襲われ、月面ハイウェイは渋滞を引き起こしその殆どは連邦派の市民による一方的リンチに晒された。

 

 

地上戦が開始されたのは戦闘開始から12時間、適当な軍事施設への艦砲射撃と航空攻撃が行われた時だった。

しかし、郊外の地下に拠点を構えていたジオン軍がそれを見計らい攻撃を開始した。

船団護衛とパトロール部隊のジッコ、ガトル、オッゴである。

それに艦隊司令部の対艦攻撃航空連隊のドダイも出撃していた。

しかし、ティアンム提督は既に展開した制空戦闘を目的とする航空団を差し向ける、舟艇や大型機要撃に関してはセイバーフィッシュはまだまだ優秀である。

 

《<南京>より紅龍。

客人がお越しになられた、おもてなしにあたれ。

お客は約40》

《了解!豚の丸焼きを腹一杯食べさせてあげますよ》

 

ジョブ・ジョンはそう言うと、防空管制指揮の戦艦<南京>のオペレーターはため息をついて言った。

 

《ジョン、あれは皮だけ食べるんだ、残った肉は下に与える宮廷料理なんだよ》

《本当か、ありがとうな》

《思想的差異とか歴史が絡んでるからな、続きは今度だ、生きて帰れよ》

《ありがとう》

 

展開したセイバーフィッシュは、編隊の維持に苦労している様子の雷撃隊を斜め後ろ上方より攻撃するべく位置についた。

電子情報管制艦<アドミラル・ゴルシコフ>により濃密なECMがかけられ、粒子も加わり相手は気付いてない。

 

《ガンズフリー、レッツダンス》

 

セイバーフィッシュは一斉に襲撃を開始する。

ミサイルを同時に発射し、IRSTで誘導されたミサイルは一定の距離まで近づくと炸裂した。

炸裂したミサイルは散弾となり敵機に襲いかかった。

瞬く間に先頭集団のオッゴとガトルが爆発あるいは月に引かれて墜ちていく。

 

《隊長がやられた!》

《構うな!護衛部隊に任せろ!》

《ゲルト隊長が墜ちたぞ!》

《指揮官は誰だ?!》

 

すると、あるオッゴは仔細な報告をし、味方を纏め出した。

<ヨーツンヘイム>特務将校の弟、エルヴィンだ。

彼は月面に展開していた第12舟艇隊隊員であった。

セイバーフィッシュが一撃離脱の要領で離れ、別のセイバーフィッシュが攻撃を開始する。

しかし第二次攻撃はオッゴに要撃され空中戦になった。

だがオッゴの意識が集中している隙を突いて第一次攻撃隊が突入した。

 

《こちら黄色14!援護に向かう!》

 

エルヴィンのオッゴには、黄色の14が書かれていた。

 

 

 




司令部の通信の台詞は激動の昭和史沖縄決戦からです。
史実ドイツに於ける指導将校ですが後半に出現した彼らは皮肉にもソ連の政治委員より酷い存在でした、
ソ連の政治委員は憲兵と内務班を兼ねたような役職で、43年には作戦への口出しはせず専ら憲兵業務が本業となりましたが、
指導将校は現実を国家社会主義に擦り合わせることもせず何らの成果もあげず将校の自主性を奪い自滅を早めた。



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剣は鞘から抜かれた

ダモクレスの剣は鞘から抜かれ、宇宙戦争ももうそろそろ最終決戦です。
戦争も終盤なのでジムスナイパー2だのザク改だザクレロやら出してぇなあ・・・ドラッツェとかああいうのも。

推奨BGM:破線の涙


艦隊に攻撃を仕掛けるジオン航空・舟艇隊はセイバーフィッシュの要撃を受けていた。

改修されたドダイはコンバットボックスを組んで防御戦闘を行うも分が悪い、結局こけおどしなのだ。

その爆撃隊の下方からオッゴを追撃し突き上げてくるセイバーフィッシュが乱入する。

しかしオッゴの回転式武装によって逆に損傷を被ったセイバーフィッシュはエンジンを爆発させながら操縦不能になりドダイに激突。

重力に引かれて誘爆しながらドダイがゆっくり沈んでいく。

 

《くそっ!一機さらに食われた!》

《カミカゼだ!》

 

それでも進むしかない攻撃部隊は前進を止めない。

ジョンのセイバーフィッシュにオッゴが一機食いついた。

 

《セコハン機体がッ!》

 

逆噴射によるコブラ機動で失速と加速を行い、オッゴはオーバーシュートした。

パイロットの眼には消えたようにしか見えない。

ジョンはオッゴの中心部に機関砲を撃ち込み、オッゴの機内は真っ赤に染まった。

主を失ったオッゴは小さな煙を数本吐き出しながら消えていく。

続いてジョンはドダイに向けて残っていた散弾ミサイルを叩き込んだ。

すると、弾薬に一気に引火したらしく周辺のガトルやジッコを巻き込んで吹き飛んでいく。

 

《イヤッホーイ!!》

《ジョン!シックスオフクロック!》

《やべぇ!》

 

ウィングマンの警告に、慌てて右に機体を捻る。

エルヴィンのオッゴが食いついていたのだ。

 

《ちぃっ!》

 

オッゴの武装は上下にしか旋回できない、従い構造上の死角が存在する。

宇宙兵器としての構造はボールのが優れていると言うのは酷い皮肉だった。

そして一番の問題は。

 

《燃料が!!》

 

燃料問題だった。

この世界のオッゴは護送船団の自衛手段、局地戦闘機でしかなかった。

本格的な対艦隊攻撃任務はガトルといったもので、航続距離はセイバーフィッシュといった空母艦載機に負けている。

オッゴが逃げ去る様子に連邦航空隊は首を傾げていた、このとき連邦軍は燃料問題を知らなかった、何せ何時もオッゴは船団と居るからだ。

しかし連邦航空隊も限界だった、弾薬が些か心許ない。

 

《畜生、弾薬僅か。RTB》

《艦隊防空戦闘用意!》

 

連邦航空隊によって、対艦攻撃隊の戦力は四割を失っていた。

残存する六割も損害を被っているものも多く、被害は甚大だった。

結局彼らは何らの成果も上げれぬまま全弾を迎撃され、送り狼に噛み殺される事になった。

最初から無茶だったのだ。

 

 

市街に艦砲をぶちこむ事が出来ない連邦はMSの大量投入を図った。

月面の大地を踏み締め、連邦陸戦隊が降下する。

この日のために初期型の不良に耐えて訓練した精兵約三万八千、戦車航空隊MS部隊に歩兵隊の連邦兵器見本市である。

対するジオンはルナタンクやアッザムと言った大型機動兵器を要塞砲として防衛を図るが、全くの戦力にならなかった。

 

《前進!》

 

戦いは鈍重なドンガメ程度でどうにかなるようなものでなくなっていた。

航空兵器による猛烈な空爆と、SFSに載った<グレイファントム>のスカーレット隊のジムスナイパー2のビームライフルはあまりに強力であった。

 

《こなぁくそっ!!》

 

シーマ達が陣取っていた陣地にも連邦MS部隊の突撃が行われ白刃を交えての戦闘が展開されていた。

あるザクはジムのビームダガーを奪って突き刺し、またあるジムはザクに組み付いて首を千切った。

シーマは海兵隊向けの自動散弾銃を叩き込み、ジムを数機スクラップにするが屍を乗り越え踏み越え連邦軍はなお突っ込んでくる。

 

《コッセル早くしろ!!》

《あと一分!》

 

コッセルのザクはマキシム機関銃のような造形のビームマシンガンを据え付けた。

後ろでは漸く冷却水と接続が完了し、コッセルが準備完了を報告する。

試製MS運用想定ビームマシンガン、以前に603が試験したのをジャイアニズム・・・ではなくて美しき戦友愛(俺達友達だよなそれ貸せよ)で頂いた。

麗しき戦場の絆である、絆である、たぶん。

 

《完了ッ》

《てぇっ!》

 

銃身から吐き出される猛撃が、ジムに襲いかかる。

積み上がる死体のように折り重なる両軍MSの上を飛んでいく銃撃の軌跡はおぞましくも美しい。

しかしそれも、すぐに胡蝶の夢と潰えた。

連邦軍は即座にバズーカを撃ち込んで制圧にかかったのだ。

 

《畜生壊れた!》

《なにぃ!?》

 

シーマは呆れた声で言いつつ、残存する兵員を観た。

大破した機体から脱出したのを含んでも半分に満たぬ。

やむを得ない、脱出する。

そう考え、各自に後退を命令する。

 

《おい逃げる気か!?貴様など士官ではない!解任だ!銃殺にしてやる!逃げるな!》

 

シーマは侮蔑に満ちた声で言った。

 

《何を寝言言ってるんだい?あたしら士官は学徒兵の後退援護につくんだよ、さあ職業軍人としての義務を果たして愛国的に散ろうじゃないか》

《へ・・・》

 

指導将校は言葉を失った。

コッセル達海兵隊員はシーマの言葉に《男冥利に尽きますな》と笑いながら武装を補給している。

指導将校の乗った豪華なツノ付きは、ゆっくりと立ち去ろうとするがシーマは見逃さずコックピットを狙って散弾を撃ち込んだ。

 

《敵前逃亡は良くないねぇ、これからドンパチ楽しくやって時間稼ぎをするんだよ》

《え、ちゃんと逃げる気あったんすか》

《コッセル、私はそこまでバカじゃない・・・》

 

 

大破したオッゴから漸く脱出出来たエルヴィンは、何とか港まで来た。

そこかしこでMSが、連邦のMSが闊歩している。

すると、海兵隊のザクが港の入り口に居た。

 

《坊主!!早くしろ!間に合わんぞ!》

《まだあるんですか!?》

《急げ!<リリーマルレーン>は待たないぞ!》

 

エルヴィンは本当かと疑いつつ、言われた番号のドックに向かう。

すると、確かにザンジバルが一隻残っていた。

入り口では女性将校が罵詈を飛ばしながら敗残兵を詰め込んでいる。

 

《姉貴!!急いで!》

 

さっきのザクがブラインドファイアを行いながら叫んだ。

エルヴィンの首根っこを掴んでシーマは艦内にぶん投げ、ハッチを閉めた。

艦内が大きく揺れる、さっきのザクが飛び付いたらしい。

 

「あ、ありがとうございます!」

「まだ早い、ん?」

 

エルヴィンの胸元には幾つかの記章が輝いていた。

彼は護送船団で幾つか実戦を経験していた。

 

「使えそうだねぇ、ぼうや、臨時編入だ、来い!」

 

海兵隊なにいってるかわかんねぇ、無茶苦茶すぎる。

そんなことを思いつつもついていく。

通路は負傷者で一杯だ。

艦橋に上がるとコッセルが慌てて報告した。

 

「連邦の駆逐艦三隻が追っかけて来てます!」

「なら対等などころだね、機雷用意!」

「機雷ですか?了解!」

 

シーマはエルヴィンの胸元にあった、射撃技巧関連の記章を見込んだ。

 

「ぼうや、銃座は撃てるな」

「は、はい」

「よし、なら機雷を狙撃しな」

「え、本気ですか!」

「本気で言ってんだやれボケ!何なら心中するかテメェ!」

 

何てことだ、渡る女性士官鬼ばかりだ。

エルヴィンは人生に達観しながらも、CICに向かう。

艦の設備はちゃんと機能している、エルヴィンは深呼吸して言った。

 

「用意よし!」

《投下開始!》

 

敵艦は撃沈より拿捕を狙っている様子で、MSが乗っている船が一隻ある。

落下物を回避しようとする先頭の敵駆逐艦は、左に舵を切った。

続いて第二弾の機雷を投下する、今度は挟むようにやるが敵駆逐艦が下方に潜った。

 

「ここっ」

 

機雷に狙撃すると、炸裂した機雷は敵駆逐艦の艦尾に被害を及ぼしたようでエンジンが爆発していく。

続いて機雷を全力で投入する、蛇行機動をとったことで広く散っている。

そしてシーマは後部に向けてミサイルを射撃した。

ちょうど、機雷に誘爆するよう考慮してである。

残存する敵駆逐艦二隻も、業火に飲まれて吹き飛んだ。

 

「無茶苦茶だぁ」

 

 

月面に降下した連邦軍は市街の騒乱ぶりに困惑していた。

彼らは慈悲も人道も棄ててきたつもりであったが、余りのジオン系市民の有り様に道義心を掘り起こす事となった。

そしてこれは戦略的にも大きな意味があった、連邦は敵性市民をいたずらに迫害しないと言う事を見せたのである。

この頃になると、ジオン軍の冷や飯食らいのパトロール艦隊から離反する者が出るようになった。

殆どが占領コロニーからの徴兵組で、だんだんと占領下のコロニーに疑心が生まれだした。

ジオンはその早熟さと手の回る範囲の小ささにより自壊していく。

12月、サイド1市民軍は高等弁務官府を無血占領、ジオンからの独立を宣言し連邦との停戦を宣言した。

それにたいしジオンはスパイによるテロ行為と非難して懲罰を宣言し、食料融通などの一切を停止しベイを破壊する。

サイド1はジオン派閥独立派閥連邦派閥の三者にわかれてコロニー内戦を開始し出した。

 

 

12月、地球連邦は戦争計画Star1に基づく宇宙軍攻勢作戦を開始。

ルナツーを大挙して出撃した。

最終攻略目標はア・バオア・クー、両国にとっての最後の戦いが間近に迫っていた。

 

 




ブラウ・ブロやサイコミュ試験ザク、エルメスと言ったNT兵器最後の華場が次回待ってます。

ー【初期型ジムのはなし】ー

本作で初期ロットの9割、130以上が不良品だった初期型ジムですが実はこれ実話を基にしています。
その名はタイフーン、イギリス軍部公認のアレな奴です。
なにせ公文書にもっとも憂鬱な存在とか書かれてます。

詳しくは岡部ださく先生の本をお買い上げください、ついでに海軍戦略の諸原則もお買い求めください、翻訳無いけどね、有りました。


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神風

何が終戦だ!何が終戦だ!


極東管区宇宙庁*1管轄サイド7の1バンチ、サイド唯一の診療所には今や規制線が貼られている。

休暇を貰って帰って来たカイと、ダモクレス計画が近いので週一で帰れるアムロは久方ぶりに故郷に居た。

 

「何があったんだ」

「あぁカイさん、診療所が襲われたらしいんですよ」

「診療所?セイラさんの?なんでぇまた、なんてやろうだ」

「全くですよ」

 

カイとアムロは首を傾げた。

強盗と言われていたが、近くに住んでいるキッカは連続した銃声を聞いているし、レツは物騒な代物剥き身で持ってた危ない大人を目撃していた。

すると、連邦軍のラコタとホバートラック、それにFBI(連邦捜査疔)の黒いバンが現れた。

 

「・・・おいおい、偉く大事過ぎるぜ」

「えぇ、何でしょう、聞いてみます」

「・・・そういや技術士官どのだったな」

 

カイは階級の違いをそこまで卑屈に考えてなかった。

お星さまが違えど当たれば死ぬと言う北米戦線を戦った彼の哲学がそうさせていた、彼にとってアムロが昔のようにボンヤリしつつ頭を回しているのが安心できたのだ。

 

「何があったんです」

「え、あーレイ技官殿のご子息ですか・・・参考人の移送ですよ」

 

完全武装した連邦兵が六人、円陣を組んで誰かを囲んで歩いている。

一瞬姿が見えた、確かにセイラだ。

 

「ちょっと、セイラさんはただの被害者でしょう?おかしいじゃないですか」

「これは国家の機密に関わる問題です、軍部の人と言えどお話し出来ません」

「そう言われても皆納得しませんよ、いたずらに後方を不安にさらしてどうするんです」

「ともかく言えません!」

 

そう言うと彼らはベイに消えていった。

 

 

連邦連合艦隊旗艦、ヘガサス改装指揮艦<トロイホース>はワイアットの旗艦<ワサッチ>のデータを基にさらに発展した指揮専門艦艇だった。

一極東軍兵の画伯は彼女を従者を従えて歩くお嬢様と描いているが、正しくそうだった。

その艦内では、決戦前の作戦会議が行われていた。

主攻撃目標はNフィールドであるが、その前に大幅に増強されたワイアット艦隊がSフィールドに攻撃をかける。

 

「私の艦隊である理由は?」

「・・・海老で鯛が釣れるとは思わん」

「あぁ、なるほど・・・」

 

ジオン軍殺したい敵将投票センターと裏センターの会話は酷くあっさりだった、確かに論理的だ。

ワッケインは「戦場に出てもこれだよ」と諦めている。

つくづく難儀である。

さて本題の作戦であるが、ダモクレスを照射すると同時にレビル本隊とティアンム艦隊が岩石群を潜って強襲。

秘策を用いて要塞攻撃を行う。

その後については考えていない、連邦軍も政府も「アレが落ちても戦うのは馬鹿しかない」と考えている。

しかしワイアットはそう思えなかった、考えてみてそう言う中華思想染みた空想がそうなった事があったか?

1941年12月8日、アメリカはあんなにもすべての徴候が奇襲を告げていたのに「ありえない」と無視した。

1941年6月22日、ソ連はあんなにもすべての徴候が奇襲を告げていたのに同じく無視した。

彼は一応、ワッケインにジオン本土攻略想定作戦を作っておくよう命じた。

必要なかったら後で戦史に必要無くて良かった事と一緒に書いておこう。

 

 

レビルは進路上の台風と呼ぶべき存在の報告を受けた。

恒星の表面爆発と複雑な引力等によって太陽系を周回する微細なデブリや小惑星といった物である。

 

「カミカゼが彼らに起こるでしょうか」

 

ワイアットは最近質が良くなった将校用煙草の<チェリーブロッサム>*2に火を灯して言った。

レビルは複雑そうな顔をして言う。

 

「彼らはそこまで非人間的な事が出来ると思いたくないものだ」

「いえ、私が言っているのはキリスト暦13世紀に行われたモンゴルの対日侵攻の方です」

「ハリケーンによって沈んだチンギス・ハーンの子孫達か」

 

ワイアットの言葉にレビルは含み笑いをして言った。

 

「だがハリケーンで艦隊が沈む時代とも思えん」

 

だがアイカ秘書官から受け取った観測報告を読んだワイアットには、拭えぬ不安感があった。

レーダーも熱源も障害物の多さで役に立たないであろうと言う報告。

その状態では観測員の目視哨戒は不可能であると言うこと。

そして、ガンダムに疎い彼でさえ知っているニュータイプと言う単語。

彼には確かな、しかし喉から先を出てこない不安感があった。

 

「・・・私には彼らがこれを本当の神風にする気がしてならないんですよ」

 

 

飛び散った微細なデブリがまるで霧のように辺りを覆っていた。

レーダーも真っ白である。

 

「酷いな、昔のロンドンのほうがよく見える」

「五マイル先まで霧*3でしたっけ、日本の諺通りですね」

 

なんだかそれ違うんじゃないの?

そう思いつつも彼は足を組んだ、全く打つ手が思い浮かばない。

しかし嫌そうな顔をすることはない、手強い敵に敬意をもって全力で叩くのが英雄の構成要素である。

一応突入前に各艦に警戒を発しているが、嫌な予感がする。

すると、突如前方が幾らか光り、大きな輝きが起こった。

 

「なんだ!?」

《<ウィスコンシン>被弾!!》

《<スヴェルドルフ>が沈んだ!》

《こちら<スロヴィ>、敵襲です!》

「MSか!?戦艦か?!」

 

ワイアットが尋ねるが逆探知も光学観測もIRSTも目視もどれもこれも役に立たない。

さてどうすべきか。

三つの選択肢が彼にはあった、撤退するか、前進して嵐を抜けるか、ここで戦うか。

三番目の選択肢は論外だ、最初の選択肢は嵐が過ぎるのを待つことになるが遅すぎて計画が破綻する。

つまり。

 

《全艦最大戦速!この嵐を抜けて艦隊を再編する!》

 

最大戦速は最悪の場合機関の損傷があり得る文字通り全速である。

この時彼はバーグ提督以来の男になった、つまり艦隊で30ノットを越えた男である。

嵐を抜け出たとき、ワイアットは自身の艦隊を襲った怪物を観た。

 

 

キシリア秘蔵のMA部隊、フラナガンは彼女の最後の威信であった。

ギレンはニュータイプの軍事利用に余り関心を示さなかった、ニュータイプと言うのは戦争をしないで済む利口さと論理をもった存在だと考えている。

そしてワイアット艦隊を襲っているのは、彼女の最後の賭けだった。

戦後の権力闘争に際して、彼を討ち取らねば全てが上手くいかなくなる。

彼女が執着に近い感情で、なかば偏執とも言える感情で襲わせた。

 

《居たぞ!敵旗艦だ!》

 

ブラウ・ブロの先端部にエルメスを取り付けた巡航型巨大MAと呼称するべきサイズのエルメス改、大きさは事実上サラミス一隻を優に越えている。

事実最初に目視確認した戦艦<エクセリヲン>の観測員の第一声は「宇宙怪獣」の一言であった。

 

《ウェーブ照射》

 

サイコミュ研究が分散せずキシリアが余りに力を入れて注いだ結果、サイコウェーブと呼称するべき"波"の放出が始まった。

直撃を受けた旗艦<ワサッチ>は、沈黙に包まれる。

しかし艦隊はただ放置している訳ではなかった、ワッケインは旗艦が通信システムにトラブルを起こしたと考えて指揮を引き継ぎ、MS部隊を発進させる。

しかし上方から撃ちながら突っ込んでくるサイコミュ試験型ザクにより駆逐艦とフリゲートが瞬く間に沈んでいく。

ルナツー鎮守府に結成された特別陸戦隊、XCOMのガンダム部隊も出撃していく。

だがペガサス級<ガリバルディ>の艦橋前面に現れたエルメス改のブル大尉は燃え上がる怒りに任せて叫んだ。

 

「蔓延る連邦の狗め!宇宙に存在するのはスペースノイドだけで良いッ!!」

 

<ガリバルディ>はほとんどの主要区画を融解させられ、瞬く間に轟沈した。

しかし<ガリバルディ>艦載機のジムストライカーに搭乗したイオ・フレミングがその槍を構えて全速で突っ込んでいく。

 

「まだ足掻くか?」

 

ブル大尉は近接防御のスキウレ砲を拡散させて発射するが、イオはビーム撹乱幕を突入前に撃ち込んでいた。

飛び道具しかない巨大兵器は、懐に飛び込んだ機動兵器に勝てやしないのだ。

 

「撹乱幕は通れねぇんだろッ!!」

「なッ」

 

槍を突き刺し、彼はそれを引き抜くと持っていたライフルを突っ込んで撃ち込んだ。

エンジンを撃ち抜かれたこの宇宙怪獣は、活動を停止、死んだのだ。

 

*1かつての南洋庁と同じである

*2元ネタは帝国海軍のさくら

*3忍殺語、コトダマに包まれてあれ




ジムストライカーは個人的に好きな機体です。


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魔法の秘薬にリンゴを浸けよう、永遠なる眠りが染み込むように

今回のタイトルはアラン・チューリングの遺言だったりする。


彼の視界は、ありえない状況を観測させていた。

ぽつんとただ一人、どこかの採石場に立ち尽くしている。

やがて黒電話のあの呼び出し音が聞こえ振り返ると、これまたぽつんと赤い固定電話が台に乗って置かれていた。

 

「どちらさまで?」

 

───  

 

彼の視界に懐かしき光景、麗しの我が家が見える。

実に懐かしい、しかし悲しいかなあれは恐らくシュバルツシルト半径の向こう、時空検閲官くらいにしか分からない。

彼は懐かしき自分の部屋の椅子に腰掛ける。

本棚には『レッドサンブラッククロス』『英国占領』『地球ゼロ年』『滅びの笛』といったハーマン・カーンが見ればそこそこ興味を持ちそうなジャンルから、

『壮烈ラモウ守備隊』『沖縄戦史』『失われた勝利』といった戦史もある。

まあ比率で言うとこれ以外の娯楽雑誌とかのが多いのだが。

 

「本を読まれるのが、お好きなんですね」

「どちらさまで?」

 

懐かしげに積まれたプラモデルの山を見つつ、尋ねた。

 

「それは私が言いたいことです、貴方は誰です?」

「人の部屋に勝手に入って誰だとは酷い無礼だ、私は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ、私は。

 

 

だれだ。

 

────

 

べつに、軍隊に入ったのは地球だの民主主義だのを護りたかったからじゃない。

親からの独立を果たしてみたくなった。

それに、彼処に留まって地元で暮らしているのも、楽しくなさそうだった。

軍隊では色々学べた、特に面白かったのは孤立無援であるって言う事実。

同性も居るって?あんなの性別以外に共通点ないもの。

教育期間を満了して無事任官、したら今度は宇宙軍だって言われたわ、オーゴッド。

そして配属先の主計の中佐は、私にあらぬ疑いをかけた訳。

つまりは私は捜査官じゃないかって、そりゃ赴任早々物資の数字が合ってないんだもん指摘ぐらいしたくなるのは当たり前じゃない。

さてどうしたもんだとしていると、事務処理には自信があった私にピッタリな仕事がやってきた。

秘書官って名前のお仕事だった。

 

「なるほどね」

 

いつの間にか、アイカ秘書官の視界が映り変わっていた。

小さなダイナーの窓際、かつての思い出の残照。

 

「貴方は今の仕事が好きなの?」

「仕事に好き嫌いは必要ですか?大事なのは続けられる仕事かどうかだと思います」

「擦れてるわね」

「えぇお陰さまで益々擦れております」

 

アイカは面倒そうに皮肉を言った。

 

「じゃあ聞き直そう、貴方はこの仕事続けるの?」

「現状スリリングで何度か辞めようかと思いましたが楽しくはありますね」

「彼が居るから?」

 

それを聞くと、アイカは苦笑した。

 

「まあある意味歴史の表舞台に立ってしまった人ですがね、なかなかどうして面白いですよ」

「それ以外はないの?」

「以外?」

「うん」

 

すると、アイカは不機嫌そうに言う。

 

「私は今の職場環境を気に入ってるんです、それを無思慮に触れるのは全くもって不愉快ですよ」

 

───

 

「貴方には守るべきものも帰るべきところも無いじゃない、ここは貴方の世界じゃない」

「しかし現実に私は存在して、残念ながら現在は戦時下である、従い帰るには戦って生き残る方が確実に思える」

「その為に何人も死なせるの?」

「いかんか?」

 

"彼"は首を傾げた。

 

「少なくとも私は死なせるに足る理由がある人達のみ死なせているよ」

「それは狂気よ」

「他人の心に乗り込んで会話しているより正気ですよ」

 

自らの心の中に居ると気付いた"彼"は何食わぬ顔をしてティーカップを取り出す。

 

「大体ねぇ、私は無意味に死なせた事などありません、人的資源は大事な資産よ」

「彼ら一人一人を資源としか見てないの?」

「駆逐艦一隻沈んだ程度で抗議が来るのはバカな擬人化駄作アニメくらいだ、結局人間は死人の数を数字でしか見れないんだよ」

「貴方は人間に絶望しているのね」

 

彼女の言葉にため息をついて、"彼"は嫌そうに言う。

 

「現在進行形でそうしています、まさか2次元の存在に楽しく説教させられるとは」

「2次元?」

「あぁ、富野のハゲ監督が生んだ産物よ」

 

世界に亀裂が走った。

 

────

 

《どーすんだ臨時司令!》

 

イオの乗るジムストライカーは旗艦の付近で待機している。

何せエルメス改が完全に<ワサッチ>に食い込んでいるのだ、これではどうしようもない。

すると、エルメス改に光が走った。

 

《目標再起動!》

「くそっ!」

 

ワッケインは舌打ちして目標の動きを見定める。

エルメス改は不規則に触手のようなアームのついた砲を動かしている。

 

「いかん撃つ気だッ!ビーム撹乱幕てぇッ!」

 

マゼラン級の魚雷発射管から撹乱幕弾頭魚雷が発射される。

炸裂した魚雷はエルメス改のビームを減衰させたが近すぎ、<ワサッチ>の一部装甲に直撃した。

 

───

 

「全て嘘、この世界は創作に過ぎんのだよ」

 

ワイアットの視界がクリアになった。

<ワサッチ>の艦橋、悲しいかな元の世界ではなく地獄の前線だ!

 

「後進一杯!全速!」

「え、えと、了解!」

 

全員の意識が同時に帰って来ている。

全速で後進をかける<ワサッチ>に、エルメス改は狙いを定める。

しかし。

 

《クスリはやっぱ注射に限るよ怪獣さんよォ!》

 

最後に彼を救ったのは、戦艦の徹甲弾だった。

マゼラン級側面全八門、ジングウジ艦長が新しく乗り継いだ<エリン>の艦砲。

八発の直撃によって機能を喪失していき、再装填が終わると第二斉射が轟く。

巨大な宇宙怪獣は、巨大な戦艦という自らを越える暴力の前に屈した。

 

「各員損害報告、レビル本隊に報告を入れておこう」

 

───

 

ズムシティの公国宇宙軍司令部、ここでは書類がいつもモンブラン(白い山)となる。

深夜を回った頃、ガルマの部屋にノックがされた。

 

「ん?誰だ」

「残業は正常な思考を鈍らせるぞ」

「おぉ君か」

 

適当な夜食の入った袋を片手に、シャアは入室する。

今日日ガルマの部屋に堂々と入るような者は彼くらいになっている。

ガルマも一旦手を止めて、夜食とコーヒーを含む。

 

「そう言えば、君の姉上の秘蔵の部隊が出撃したらしいじゃないか」

「フラナガンか?確かに出撃したが威力偵察じゃないのか」

「いや・・・それが」

 

ガルマは察した。

最近彼が入れ込んでいる少女がフラナガンの出なのだ。

 

「漏れ伝わる話を聞くと、敵の前衛主力と会敵して玉砕したそうだ」

「・・・そうか」

「私もそろそろ御召しがかかる、ここの仕事ももうすぐ用無しだ」

「だがお前は」

 

シャアはその先を言うべきか戸惑った、明日のジオンに必要だと。

彼のなかで父の復讐は確証が薄いと思っている、過労による心筋梗塞は医学上立証されている。

しかし何よりも復讐を決定的にさせたのは妹のセイラを暗殺しようとしたことにある、かつての古城での件を彼は忘れていない。*1

だが彼自身、ガルマを裏切る気が起きなかった。

この坊やが何処まで行けるか知りたくなったのだ。

 

「分かっている、しかし僕もザビ家の男、軍人だ」

「あまり気負うな、士官学校の時も無理して滑落したろ」

「やめろー思い出させるなーぁ」

「ははは・・・そうか、生き残れよ」

「お前もな」

 

ガルマに敬礼し、シャアは部屋から退室した。

やはり、私にあの坊やを裏切る事は出来ない、ララァ。

私は存外、甘いらしいな。

ふと窓を見る、うっすらと湖上の塔が、母と別れたあの場所が見える。

 

「母さん、私も焼きが回ったよ」

 

*1オリジンを参照




この世界を虚構と知らされれば才能あるNTほど狂うと思う。


次回、ダモクレス起動。




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ギャラルホルンを響かせて

夏休みの連続投稿電撃戦ドクトリン。
連邦の秘密兵器のバーゲンセール。



なんか静かっすねぇ~(先駆けて詠唱する作者の屑)


彼は最後に一方的に投げ掛けて来た問いに、ふと考え、嘲笑した。

 

"貴方はどこへいく?ハーメルン?"

 

私はアッティラでも、シャルルマーニュでも、レーニンでも、ヒットレルでもないよ。

あの宇宙的似非科学を信じていないだけですよ。

或いは・・・そう、好きじゃないがアナーキストの父親、ネストル・マフノ的に言おうか。

 

我らの自由を邪魔するものは皆死ね!*1

 

───

 

先の襲撃で戦艦1巡洋艦2駆逐艦4を失ったが、それでも残存は戦艦だけで29、巡洋艦で39である。

防空改装された駆逐艦や後方段列の特設空母も問題はない、戦力はかなり残っている。

艦載機の損失もさほど多くはない、敵機はかなり素早く引き上げたものと、エルメス改暴走によって同じく機能不全になったので手当たり次第の艦載機が串刺しにしてしまった。

一機程度は貰いたかったがやむを得ない。

 

「ティアンム艦隊よりムーア宙域で会敵の報告が入りました、予定より些か遅れております」

「再編に少し手間取り過ぎたな、我々も会敵するぞ!」

「前進、アイ!」

 

2月6日、地球連邦軍は要塞攻略を開始した。

予定より一日遅れたワイアット艦隊は戦列を整えていたが奇しくもそれが後々に大きな影響を与える。

 

 

要塞攻略が開始され一時間、連邦軍は撹乱幕弾頭魚雷を撃ちまず実体弾の要塞砲以外を機能不全にさせた。

続いて大型弾頭を抱えたパブリク、散弾ミサイル搭載のセイバーフィッシュ、ホッグ改造SFS搭載MS、複合型攻撃機Gファイターといった物まで発艦する。

マゼラン級はある程度の距離を取りながらも徹甲弾を発射し、牽制に出てきたザク大隊とドム2個中隊は展開するジムコマンド大隊やジムストライカーを装備した突撃歩兵中隊と混戦になった。

要塞砲も実体弾装備の砲搭は対艦戦闘を開始し、ブースターを装着して突撃するパブリクに対し防空高角砲と機銃が唸りをあげて弾幕を展開していた。

艦隊はまだ全力出撃をしていない、艤装不十分ながらFOB(前線)への前線補給拠点として活躍しているドロス級<ミドロ>や、<グワデン>と言った艦艇は出撃していた。

 

「さてどちらが本命かな」

 

要塞防衛司令官のドズルは腕を組ながら考えた。

連邦の攻勢はムーアを奪還して進撃、後方遮断を図る艦隊と堂々と警戒線を突破して正面戦闘を仕掛ける二つの艦隊があった。

 

「どちらも本命ではありませんか?」

 

幕僚が意見をあげた。

ティアンム提督は艦隊の規模を上回る熱烈さで攻撃を行い、ワイアット艦隊はこれ見よがし。

確かにあり得る話だ、大軍に区々たる用兵は要らぬ。

戦場に飢えていない大軍が居るのは全てに於ける優位さを保持している事に他ならぬ。

 

「羨ましい数的物量だ」

「本当、全くですよ・・・」

 

そう言うとマツナガ大尉が入室した、出撃の催促である。

ドズルは自身のエースと言う手札をいつ使うべきか考えていた。

 

「再編は終わったのかね」

「えぇ、お陰で素晴らしいボーイソプラノの楽隊が編成されました」

「・・・だろうな」

 

忠誠ゆえの皮肉を憶さず言える珍しい軍人であるマツナガは、今出さない事の危険性を論じた。

初期型ゲルググは性能も高いが、あまりに酷い欠陥があった。

エンジンがなにもしなくても勝手に発火するし、勝手に壊れるのだ。

C型に至っては弾庫に問題があるとさえ言われ、結果乗っているのは新米まみれである。

最近になって漸く直ったが、そのときには最早慣熟訓練なんかしている余裕がなくなった。

なんと素晴らしき事に最近の学徒兵は80時間も飛んでおりません、なんと素敵な根こそぎ動員、戦後のグラフが楽しみである。

 

「死が何を生むと言うのでしょうな」

「それ以上は止めておけ、キンダーハイム511に何があるか知りたくないだろう」

「了解」

 

ドズルはそう言うと、決断した。

取りつかれる前にMS部隊を展開する用意をしよう。

 

 

<トロイホース>のCICでレビルはコーウェンの最終報告を確認した。

 

「よろしい、作戦を発動する。ダモクレスを起動させよ」

「ダモクレス起動」

 

全作戦艦艇に通知が走り、<トロイホース>CICのモニターが埋まる。

遠く離れた月面ではマイクロウェーブがゆっくりと力を蓄え、光を帯びていく。

五隻の特別改装されたコロンブス級はそのX丈のリフレクターを広げ、角度を調節する。

 

「光が帯びていく」

 

アムロは対閃光防御用のゴーグルをつけて、破滅的煌めきを見つめた。

充填の終わった六基のマイクロウェーブ送電施設からエネルギーが放出、反射と増幅を行う五隻のコロンブス級によってシオン(ダビデの星)を描くように光を伸ばし、

そのエネルギーをもって巨大攻撃衛星と呼ぶべき改造をされた人の住んでいない計画途上のサイド7の3バンチを用い集束。

一挙に放出させ、光の奔流となって要塞に叩きつける。

リフレクターと増幅を用いて、線となったこの馬鹿げた威力を要塞上部に直撃させる。

 

「あれがダモクレスか!!」

「これじゃ私ら失業だ」

 

ワイアットとアイカは唖然としながら、要塞下部に凪ぎ払いを仕掛けるそれをただ見ている。

運悪く掠めてしまったドロス級<ミドロ>が瞬く間に轟沈し、射線にいたMSなど物質単位で消失と読んでもよい有り様になった。

そして光が消えたとき、狂乱が始まった。

ジオン軍が完全に壊乱に陥り、ルウムを解放したレビル艦隊が作戦宙域に突入したのである。

通信は自分達のミノフスキーで崩壊しており、籠城の要である機動戦力はベイごと"消えた"。

要塞各所で火災が発生し司令部は状況混乱である。

アイカ秘書官の回想録に、ワイアットが戦果報告を見た際の一言が書かれている。

 

「ギャラルホルンが響いた、ラグナロクを後ろに従えて」

 

連邦の剣は、その一撃で一切合切を粉砕したのである。

 

 

要塞防衛線は瞬く間に第三線まで崩壊した。

レビル本隊によるミサイルの豪雨は岩盤による装甲をあっという間に削っていき、発進したMS隊の連携は個人芸ではなく集団芸を極めていた。

自分達に戦局を覆せるエースが居ないことを理解する連邦軍は、かつてナポレオンと言う英雄に参謀本部で対抗したドイツと同じ解決策をとったのだ。

どんな時でも三機が一組で一機を叩く、連邦軍は撹乱からの集中攻撃に長けている。

 

《畜生数ばかり多い!!》

 

時代に取り残されたドクトリンしか知らないザクはマシンガンを乱射するが、入れ替わり立ち替わりで迫るジムに照準が追い付かない。

ついに接近を許したザクはヒートホークを取り出すも一機に回避され、別の一機に腕をサーベルで溶断され、とどめに背面からの60mmを受けて推進剤に誘爆し炎になった。

 

《くそぅくそぅ!来るなら来い!!》

 

親衛隊仕様のドムはサーベルを抜いて格闘を仕掛ける。

攻撃を受けたヤザンの操るガンダムアレックスは慌てず腕で受けとめ、蹴りを入れる。

たかが高熱によるヒートサーベル程度、この複合装甲により防ぎ切れると確信があるからやれるのだ。

蹴りを入れられたドムは再度斬りかかり、アレックスはサーベルを抜いてヒートサーベルをへし折った。

 

《ユウ!》

 

それと同時にユウのアレックスが腕部機関砲が後ろから攻撃、ドムの機関部を破壊し動けなくした。

 

《卑劣なッ》

 

ヤザンはビームライフルを構えて嘲るように言った。

 

《誰が決闘だなんて言った?あぁん?

戦争ってのは生き残らなきゃ意味ねぇぞ、それじゃ壺のオッサンによろしく》

 

ヤザンは敵機が爆発四散するのを後ろに言った。

 

《俺たちMSでのケンカ弱ぇからよ、半人前が揃って連携すれば一人前って訳よ》

 

このような連邦軍のMSによるロッテ戦法は、連邦と言う組織力の権化であった。

代替可能な凡人による替えが効く戦法、エースも囲んで叩けばそのうち死ぬ。

替えが効く機体で訓練して事故っても予備がある、替えが効く人命で死んでも補充出来る。

・・・もっとも代替不可能な個人なんかに預けるのが間違いだが。

 

*1マフノ軍の黒旗に書かれた文字、実在する。




ちなみに執筆時の音楽はラインの護り、DDR国歌、ルーマニア(共産)国歌。

この世界のアレックスは複数生産され、モルモット隊に全面モニターとかの技術試験実証機扱いです。
え?NT?なんですそりゃあ。


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神々の黄昏ードロス級撃沈ー

予定よりドロス級があっさり沈んでしまった。
ちなみにジオンMSはザクFZかハイゴックがすきです(笑顔)、黒塗りのFZをジオン共和国治安維持機構特別機甲大隊(特機隊)とか出したい。


ちなみにハイゴックは赤黒くして怪獣デストロイアとかガニメ的にしたのを出す予定。


「国民を守らなくて何のための海軍か!」

ー佐藤大輔『征途』ー

 

モンシアの乗るジムコマンドに軍放送の『CivilDefenseMarch』が流れる。

バニングはうんざりしながら言った。

 

「消しちまえ!どうせろくでもない事しか言わんぞ!」

「景気が良いこと言うのがこれだけになったんすよォ、終戦が近いって言うのに」

「味方のプロパガンダなんか聞くだけ損だ、敵のが笑える」

 

モンシアは仕方ないので音量を落とした。

すると音楽が終わり、ワイアット提督謹製のプロパガンダ放送が流れている。

若干粒子のせいか乱れているが、すぐに治せる程度だ。

 

《宇宙―――ファシ―化する高圧的――府は諸君らの権利―――しただけで――き足らず、自ら―――維持す――に諸―――利用している!

──の――テイヤール――という偽――さも真実の如く掲げ、理想に燃える諸君らを走狗に仕立て上げている!

愚かなの指導部の為に諸君らが無駄に死ぬ事はない! 連邦の勝利は君達の家族との再会とよりよき未来を約束するものだ!

投降し良き市民として復帰したまえ! 温かい歓迎と豊かな食事そして平和が待っている!

我々を恐れる必要など何処にもない!我々は君たちを温かく歓迎しよう!》

 

なんで将校ってやつは思ってないことをスラスラ言えるんだ?

モンシアはそう思いながら、チャンネルを敵のにも変えてみるが言ってる事に大差がなかった。

なんというか両者どん詰まりって感じだねぇ。

まあ詰まってるから戦争してるわけか、やっぱ連邦政府も無能だしジオンはクソなんだよなあ。

 

 

「ではあの移動要塞を沈めるとしよう!」

 

ワイアット提督は自身の艦隊の攻撃を阻止せんと機動する<ドロス>を沈める策を用意していた。

最も策と言う程でもないのだが。

 

「目標への照準はおおよそ完了」

「では、射撃開始」

「撃ちィー方ぁー始め!」

 

旗艦の信号を中継し、それは戦域より100キロ近く遠方の改造コロンブス級に伝わる。

開戦初期にマスドライバー攻撃を受けた際に、とある連邦士官が提案した作戦案として改造の計画だけはされていた移動式艦載レールガンである。

その後改造の予定がワイアットによる殴り込み艦隊の作戦成功によって、ゴップのブラフのダシにされたのだが、対ドロス攻撃と言う問題で一番火力がある非核兵器がこれだった。

 

《テェッ!!》

 

撃ち出された五発のルナチタニウムの砲弾は、まずドロスの艦尾を貫通した。

直後に起こった爆発と機関部の火災によって速度が鈍ったことで、今度は前部下部の格納庫を貫通、艦載していた改チベ級<アドミラル・シュペー>が轟沈した。

その誘爆によって今度は進路が上にずれてしまい、最後の一発以外は外れた。

しかし最後の一発が飛び込んだのは、よりにもよってドロス艦橋の基部だった。

文字通りドロスは最後に首をもがれたのである。

 

《砲撃終了!マスドライバーの点検開始!》

「良い射撃だ、敵はあわてふためいている」

「開戦以来撃たれっぱなしでしたが、マスドライバー兵器は我々でも使えますからね」

「全くだ・・・しかしこの御時世にあんな砲艦が活躍するとは誰も思うまい」

「えぇ、本当に」

 

ワイアットはこの作戦の真の意味も達成した。

これの提案者はスペースノイド出身士官である、つまり各サイドの市民たちにとって同じ立場の英雄を用立てている。

要するにサイドの勇敢なる連邦市民を演出し、皆で悪辣なザビ家を追い払い、圧政に苦しむジオンの市民を助けようね!と言う事である。

 

「敵艦炎上!各所で爆発が発生している模様」

「敵の陣列が乱れました!」

 

ワイアットは口角を上げた。

 

「パブリク突撃艇突入!魚雷を叩き込め!宙雷戦隊突撃!」

 

魚形宙雷による一斉攻撃、ミサイルに比べ威力に勝る魚雷は低速である、従い陣列を整えた敵艦隊には肉薄して撃たねばならない。

しかし、統制の取れなくなった彼らジオンは無防備に近い、つまり入れ食いである。

獲物を見つけた巡洋艦以下の各艦は鮫のごとく突進する。

 

 

ドロス撃沈によって開いた戦域に連邦軍のMS大隊が4個突入していく。

熟練搭乗員が前面に出ていたがダモクレスによる混乱で彼らが壊滅し、残っているのは学徒兵の未熟な機体だ。

 

《なんだよ・・・あれ》

 

中破して漂っていた学徒兵の一人は恐ろしい光景を目撃した。

要塞表面に完全に取りついた連邦軍のジム達が踊っている。

バラバラにしたザクの部品をサーベルに突き刺し、パイロットの死体を角に串刺しにして舞っている。

振動で彼らの声が聞こえた。

 

《殺せ殺せ!罪のない者など居ない!生まれた者にも生まれる者にも死んだ者にも!!》

 

やがて彼に気付いたジムが2機やってきた。

肩の国章には統一インドシナ政府と日本のマークがある、アジア人大隊だ。

 

《撃つな!降伏する!!》

 

すると、鼻で笑って彼らは言った。

 

《君はどうみる》

《悪質な擬装ですな、即決裁判は銃殺です》

《その通りだ、ファシストに死を!》

 

ジムの60mmはあっという間に彼を血煙にした。

 

《エンジン停止もせずに降伏する等とは、どうせ自爆するつもりだったんだな》

《全くだ》

《さて、中のゴミムシ共を焼き払うぞ。連中遅いな》

 

何事も無かったように、二人は持ち場に戻っていった。

 

 

ドロワは姉妹艦とは別の沈み方をした。

パブリクに搭載したD-03削岩誘導弾(ドリルミサイル)を用い、装甲を削りきると言うレビルの豪快な解決策によって大穴を穿たれたのだ。

彼女は猛々しく戦ったが、乗員の慣熟未熟によりダメージコントロールは遅々として進まなかった。

全長12キロの巨大艦故に、把握する時間が足りなかったのだ。

戦闘開始から数時間、ジオンは機動戦力も火力も劣勢になりつつあった。

 

ドズルは残存学徒隊員を本国に撤退させ、正規軍人による最後の華を飾る事を決断した。

 

すでに勝利は失われた、だが若者が生き残ればジオンは潰えぬ。

軍人としてこれ本懐なり!

 

 

コンスコン提督は残存する自身の学徒兵員を集めた。

何人かは見知っている孤児院育ちで、他の者も食い詰めた連中から愛国心旺盛なバカなど千差万別だった。

 

「よぉーし良く聞けよガキ共、いま戦局ははっきり言って崖っぷちだ」

 

子供たちは不安げにコンスコンを見ている。

コンスコンは何時ものようにそのふくよか過ぎる腹をして言った。

 

「と言うわけでだ、お前らは帰れ・・・戦争は大人がするもんだ、大人の遊びでね」

 

何人かの子供達が、意図を察して鼻をすすったり涙ぐんでいる。

コンスコンはまるで少し出掛けるような気楽さの笑顔で言った。

 

「泣くなジャリ共、今年の春はご馳走はないが、その分たんまりと生き抜いてこい」

 

彼は満面の笑みで言った。

 

「少なくともお前らを愛して時間を稼いでやるような物好きが何人も居るんだ」

 

ー【次回予告】ー

 

何もかもが炎に沈んだ。

ギレンの野望、ガルマの愛、キシリアの術策、ドズルの栄光。

圧倒的、ひたすら圧倒的艦隊が呑み込む。

老いも若きも男も女も呑み込んだ戦争はついに終わる。

 

次回「最終決戦」

 

君は、生き残る事が出来たか?

 




次回、「やらせはせん!やらせはせん!やらせはせんぞお!」。
改めて見るとファーストって切羽詰まった人の書き方が上手いなあと。


あと最近漫画のオペレーショントロイ買いました、連邦がM2IFVとM1MBTやA-10使っててあり得そうなのが笑いました。
一応本作ではファースト初期案にあった西暦2172年表記を使っています。



マングースパイロット主役で番外編書いてるゾ(小声)


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最終決戦ー接触編ー

推奨曲エヴァ旧劇場版Air/まごころを君により「他人の干渉」「真夏の終演」。

完全に出てくる連邦軍MSが戦略自衛隊みたいになってる。 
でもサブタイトルはイデオン。


要塞上部への絶え間ないパブリクの攻撃によって要塞内部の揺れが段々大きくなっていた。

不安げに新兵のゲルググが辺りを見回す。

 

《そうビビるな》

 

角つきのザクが言った、彼は地上の生き残りだった。

彼らの居るゲートは装甲シャッターが閉まっている、従いそこさえ見ていれば良いと彼は考えていた。

それは確かに真実だった、しかし事実の全てではなかった。

 

《第五ゲート異状ないか?》

《異状ありません、今のところは・・・》

 

その瞬間、天井をD-03でぶち抜いた連邦軍のジムライトアーマーが突入してきたのだ。

濃い青色、ティターンズ風の塗装がされたコリニー肝入りの統合参謀本部直轄のMS戦技教育隊の鉄騎兵連隊だ。

かつての月での一方的大敗*1でMS運用ドクトリンの研究を改めねばならないと言う事で、ジャブローで発足された。

そのあとワイアット艦隊がガンダムによる奇襲攻撃を行い、北米とイギリスで戦線投入された事からの情報を得て彼らはどんどん拡大した。

 

《なんだ!?ぐぁッ》

 

ラペリングで降下するライトアーマーはコルトコマンドーにドラムマガジンを着けた見た目の短機関銃で制圧射撃を展開しながら着地。

ドラムマガジンによる装弾量で弾幕を展開し、瞬く間にゲルググを蜂の巣に変えて行動不能にした。

ザクは慌てて遮蔽に隠れるが、続けて降下したライトアーマーのテルミットが炸裂し動揺した隙を突いて突進したライトアーマーのビーム拳銃にコックピットを撃ち抜かれた。

 

《フロアクリア!ゲート開放に移る》

 

警戒体制を崩さずライトアーマーは散開、宇宙仕様の機動戦士ドラケンに身を包んだ工作隊が突入しゲート管制室に突入する。

非常用回線による強制開放のためアラームが鳴り響き、赤色灯が響く中ゲートが開く。

開いたゲートからは、ビームライフルを装備した装甲強化型ジムが突入する。

 

《支隊ゲート確保!》

《了解!イケダ支隊は予定通り内部の研究所を制圧しに向かえ。

ルーク支隊はHVT(高価値目標)の殺害または捕獲を図れ、危険がある場合非戦闘員への無条件発砲も許可する!》

《了解、イケダ支隊は研究所に向かう》

《了解した、HVTに向かう!》

 

 

ほぼ同時刻のメインゲートでは突如鳴り響く警報に守備隊が戸惑いを見せていた。

無理矢理固定したザクタンク現地改造型と言うべきものまで持ち出して陣地を固めている。

 

「なんだ、警報?火災警報じゃないぞ」

「第五ゲートでなんかあったみたいだな」

 

その瞬間、ダクトから現れたドラケンによるリジーナによってザクタンクの弾薬庫に二発のミサイルが突き刺さった。

 

「え」

 

現実を理解する前に、メインゲートは火の海に姿を変えた。

 

 

要塞司令部では連邦軍の突入作戦による被害が瞬く間に積み上がっていた。

 

《メインゲートで爆発発生、消火活動急げ》

《主電源の回線が切れています!ファンがW地区全体で動きません!このままではエアーが途絶します!》

《第五ゲートで火災発生!仔細不明》

《不正な操作により第五ゲートのハッチが開いてます!!》

《復旧部隊は通信機能の維持を最優先して行動せよ》

《侵入者は第一層区画に侵入》

《第五及びメインゲートを閉鎖!該当警備区要員は直ちに非戦闘員を避難させて下さい》

 

ドズルは慌てず事態を確認し、断言した。

 

「慌てるな!第五ゲートの敵は本命ではない!メインゲートにベイクライト(パテ)を流して酸素を抜けば火災は収まる!」

 

彼の状況予測は理論的、現実的に正しかった。

メインゲートは他のゲートと違いドロス級を格納できるサイズだ、故に大軍を突入させるならここが連邦軍の優位性である集団戦に適しているここを狙う。

何故なら自分がレビルなら、絶対そうする。

しかしこれは完全に正解ではなかった、何故なら第五ゲートもどっちも本命で、数的優勢を活かせる戦線拡大が目的だったのだ。

出来うる限りの良い対応をしているが、状況は悪化へ転がり落ちる。

連邦は既にコマンド部隊を紛れ込ませていたのだ。

 

《要塞下部放熱システムから侵入者発見!およそ60!》

《緊急消火システムの電源が停止!再開見込みなし!》

 

そして各所の監視カメラには通路を突入していく装甲強化型ジムたちの姿が映ると共に映像が切れていく。

 

《要塞第二層までの隔壁閉鎖を確認、警備要員は状況08に基づき移動せよ!》

《要塞第二層隔壁崩壊!第二層に侵入者!》

《侵入部隊はメインシャフトに突入しています!》

《第五ゲートからの侵入したMSは約60、現在確認作業を続行中》

「くそッ!!」

 

ドズルは机を叩いて怒鳴った、臨時廷身隊の女性オペレーターが何人かヘッドホンから耳を離して渋い顔をしている。

すると、ラコックが受け取った報告を驚いて聞き直し、ドズルに深刻な顔で報告した。

 

「閣下!敵の一部がルート87を直進しています!このままではミネバ様とゼナ様が!!」

「・・・ラコック、少し頼む」

「ヤボールヘルコマンダー、時間稼ぎ位はしてみせます」

 

ラコックは敬礼し、指揮をすぐに引き継いだ。

指揮官失格なのは分かっている、しかし子供一人守れぬ親が要塞を守れるか?

 

《第三警備区画の交戦終了!港湾管制室占拠されました!》

《ゲートへのベイクライト注入を完了!》

《要塞上部変電システムに直撃弾!第二区の送電不可能》

《要塞内部鉄道送電に損傷、修復不可能》

 

ドズルは最悪に転がり落ちるなかで、悪あがきを最後までしてやる決意を既にしていた。

 

 

ハイパーバズーカの爆風で復旧作業の器具やカラーコーンが飛んでいく。

爆風を突き抜けて装甲強化型ジムが突撃し、侵入者に慌てるゲルググを銃撃し、その隙を突いてバズーカをさらに撃ち込む。

通話終了の音を虚しく立てて、要塞内部電話受話器が揺れる。

メインシャフトに突入したホッグがどうでもよい通路を塞ぐべくロケットポッドを撃ち込んで崩壊させていく。

その近くではケーブル構の装甲を剥がして露出させ、銃撃して電力や通信を寸断させる。

変わったアームと背部タンクを積んだボールが、退避カプセルの詰まった部屋の入り口に近づく。

 

「ぎゃあァァァッ!」

「ああァァァッ!!!」

 

火のついたナパームジェリーを流し込み、絶叫が響く。

左から右へ薙ぐように火を流し込み、続けて右から左へ火炎放射器をカプセルの群れにぶっかけていく。

 

 

<ワサッチ>の艦橋、ワイアットは各戦隊指揮官に指示を入れながらアールグレイを口に含む、何時だって心を静める気品がある。

 

「そう、要塞下部はもういいから各砲搭への戦艦の艦砲を入れてくれ。

無理して死ぬことはない、損傷艦艇は下がるんだ、死んでもつまらんぞ」

 

アイカ秘書官が通信を受け取り、ワイアットに報告する。

 

「要塞内部への突入が開始されたようです。」

 

通信機からは突入部隊への指示が飛んでいる。

 

《ルーク支隊は直ちに突入せよ。

広間に突入、確認されたザビ家の確保ないし殺害を最優先だ!》

《了解!》

《主電源の爆破作業を急げ》

《港湾管制を速やかに爆破いたします》

 

ワイアットは無重力用の飲料ボトルの蓋を締めて、他人事のように呟いた。

 

「案外手間取ってるな」

「我々に楽な仕事はありませんよ」

 

 

広間と俗称されるそこは実用的なギレンの好みが反映された総帥と言った者だけの空間だった。

ある程度の装飾がされているが、高所に建築され入るには通路しか手段がないと言う警備システムを活かせる造りである。

また非常に大きく、ある程度の大きさで立体的に自分を移して演説すると言った手段で演出し、MSすらを相対的に小さく思わせる技法も考慮されている。

天才的才能を有するギレンの意向が強く出ている空間は、今は二人の女性を守る砦となっている。

 

「そこには連邦のシールドを着けておけ」

「こんなので何とかなるんでしょうか」

 

マツナガは質問してきたザクC型に言った。

 

「時間稼ぎだ、数秒でもながく粘って味方が来るまで姫を守る、男の本懐だ」

「な、なるほど」

 

マツナガの貫禄と、彼が言うならという安心感は大きかった。

しかしはっきり言ってここの守備隊は寄せ集めだった、殆どがゲートから退避した作業用MSの乗員であったのだ。

武器は幸い備蓄してあったので、MMP-80機関短銃や、MG42に似た見た目のMS携行ビームマシンガンもある。

だが親衛隊は要塞表面を護りに出ていて戻るまでの時間稼ぎをする必要があったのだ。

その瞬間、ドンッ!と衝撃波を響かせて連邦軍が下層部通路に突入する。

M14EBRに似たマークスマン仕様のビームライフルを装備したジムスナイパーカスタムと、シールドの多いメタ的に言えばサンダーボルト仕様のジムが要塞への突入口を覗き込む。

アームによって四枚のシールドを構えながら銃撃できるこの改造機はルナツー鎮守府第一特別海軍陸戦隊の突入装備品として製作されたものだ。

上部からも攻撃が行われ、跳弾した連邦の90mm弾が数発飛び込む。

 

「ひッ!!」

 

ゼナに気に入られ、音楽会を開く予定でここに居たオーレリアは頭を押さえる。

すると、ゼナが自動小銃をオーレリアに渡した。

 

「軍事教練は受けたことあるわよね」

「え、えぇ・・・ゼナ様は?」

 

すると、不安がらせないようゼナは笑顔で言った。

 

「あら、私の夫への馴れ初めは彼に拳銃突きつけた事よ?」

 

教育を受けた正規軍人特有の戦場での死神に対するふてぶてしいまでの態度を伴って、ゼナはニッコリ笑って見せた。

しかし彼女の瞳には、子を守る母としての熱が確かに存在している。

獅子の堂々たる立ち居振舞い、そういうものがそこにあった。

 

*1オリジンをご参照




火炎放射のシーンは元ネタの元ネタである沖縄決戦のシーンそのままだったりする。
あのシーンの米兵、マジで丁寧に二度焼きしてるんだよなぁ...。

名前だけ出ましたが要塞内部鉄道の設定は公式であっても良いんじゃ無いかと思います。

広間ですが初代劇場版の演説シーン(カスであると!のところ)とオリジンの総帥の間、サンダーボルトの要塞描写を合わせて作ったものです。

Q:なんでレビルは捕獲または殺害を許したの?
A:戦後の法廷で死刑にしたら殉教者にさせちゃうし、生きてたら利用されるので今のうちに殺しておくのが効率的だからです。
彼は民主主義を守る軍人ですが、デメリットよりメリットを採る非情さも有しています。

Q:ジム装甲強化型?
A:公式で存在する機体です


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【選挙の時間】終戦による与党の交代【投票を要求】

さあ終戦による選挙の時間だ!とりあえずこれを投票しておいてくれないと作者がジオン占領後の法案提出に困るのだ!


民主党与党ルート(悲しみの原作再現ルート)

 

原作通り連邦が積極的に何かするわけでもなく静観し、モンロー主義を守ってニューディール政策したり日系人を収容して無理矢理3個戦闘隊編成したりします。

つまり連邦軍は何かするわけでもなく、ただ嫌そうに見守るのでワイアット艦隊とルナツーがやべー事になる。

アナハイムが各勢力に余計な事をする。

 

メリット:原作再現

デメリット:原作再現(Gセイバー不可避)

 

怒りの共和党ー俺が本当の戦う民主主義を教えてやる!ー

 

リンカーンよろしく積極的に分離主義的運動をするディキシーをぶん殴り、保守的な党なので連邦を守るため右翼革新派閥のクソ共のティターンズと、

反連邦過激派を自称するエゥーゴとか言う左翼セクトもどっちも殺します(明言)、政府は一つで良いんだよオルラァン!!

非民主主義も民主主義を狙うテロ勢力もジオン残党も皆殺しにします、妥協なしのキルゼムオール!

アナハイムさんが健全になります。

 

メリット:こんにちは死ね!レビルは喜ぶ。

デメリット:ネオコンやフェミにまみれて死ぬエンドしか見えないゾ・・・

 

オーダー66・・・地球優先協会

 

剥き出しの暴力ですべてを薙ぎ倒そうとする悪魔的な連邦ルート。

当然皆がドン引きするので泥沼の内乱不可避、勝っても負けても連邦は終わりそうである。

アナハイムは確実に死にます。

ジオン共和国や各サイドの義勇軍、一部ジオンパイロットと結託して人権を守るため戦うとかも出来る。

 

メリット:もっと戦果を!もっと戦火を!戦禍を!

デメリット:腐れファシストの全体主義者共め死ぬがいい(個人的暴言)、悪党に撃ち込んだトマホークの数で支持率をあげれます。

 

 

万国の労働者よ団結せよ!ーFWWー

 

社会民主主義的革命ルート、連邦がエゥーゴを取り込んでティターンズを殴り殺し有りとあらゆる残照をレコンストラクションする。

無論ジオン残党もスレイする、抵抗は無意味だ。

あらゆるポリコレとかに関わるような表現も一掃するし言語統一してニュースピークとかにして差別的表現も一掃する。

しかしワイアット艦隊含めて三つ巴不可避。

 

メリット:アカアカさんの楽しいルイセンコ的農法

デメリット:法匪は死んでね!今すぐで良いよ!(剥き出しの悪意ストレート)、結局崩壊しそうなんすけどそれは

 

 

拓け宇宙の大沃野!ーセツルメント委員会ー

 

宇宙移民者の党、みんなで仲良く宇宙移民になるんだよ!(迫真)

連邦は発展解消され民主主義を受け継いで脱皮・・・出来るかなー?ソウナルカナー?

各コロニーたちと協力し、一部ジオン残党も参画する。

またエゥーゴも垂らしこめる。

 

メリット:宇宙戦国時代を間接的に阻止できるかも知れん

デメリット:民主主義は何もないところに勝手に生えるわけねーだろ

 

 

なんて酷い、ペストとコレラから選ぶようなもんじゃないか。

ーフランス人、大統領選にたいしてー

 




皆狂ってる(ボソッ)


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最終決戦ー発動編ー

推奨BGM:ギャオス逃げ去る

戦艦が実弾をぶっぱなすので僕は満足ですが何でか第一章がまだ終わりません、うせやろ。


平和主義者たちは、まだわずかながらも民主主義の残っている国々においては、もっと自由な行動がゆるされているから、平和主義は、民主主義を擁護するよりもむしろ反対する立場に、より効果的にはたらくことになる。

客観的にいって、平和主義者は親ナチスといってよい。

ージョージ・オーウェル『まさに、だれひとりいない』ー

 

血で汚れた隔壁の番号や、天井が崩れコードが垂れている通路を何人かの連邦兵が歩く。

足元には学徒兵や女性の兵士の死体も漂っているが、強化した装甲ノーマルスーツの彼らは動揺しない。

 

「撃つな、投降する」

 

両手をあげた負傷兵が出てくるが、機関短銃が薙ぎ倒す。

 

「要塞Nフィールド全域を完全に制圧した。送れ」

《HVT確認!下層フロアで交戦中!》

《各要塞内部部隊は熱滅却処置を急げ》

 

 

広間のバリケードにハイパーバズーカ三発の同時着弾と、ビームスプレーガンの全力射撃が浴びせられる。

指揮官機のジムライトアーマーが拳銃を構えつつ片手を上げて射撃を止めさせた。

 

《投降しろ、お前達に勝ち目はない》

 

すると何人かが、コックピットから出てきた。

指揮官機は上げていた片手を降り下ろし、床に赤黒い染みが飛び散る。

マツナガの機体は推進剤後僅か、腕の配線か何かが切れたらしく動かない、腰にはグラナータ(手榴弾)が3個。

最後の手段をゼナに伝えると、彼は自身の機体を無理矢理に再稼働させる。

 

《行かせはせんぞ!!》

 

強引に動かした事と、集中射撃によって片腕がもげるも彼の機体は盾を戦列のように組んでいるジムを越えて、奥の指揮官機に取りついた。

重水を放出して核融合を無理矢理短期間で連続で行わせ、不完全核爆発を誘発させたのだ。

そして手榴弾に誘爆させる。

大きな爆音と衝撃が響き、煙が晴れる。

しかし連邦軍部隊には大きな損傷を見受けられない。

答えは簡単だ、二機の装甲強化型ジムが指揮官機ごと覆って被害の拡大を防いだのだ。

 

《HVT発見、対応の是非を問う》

 

指揮を引き継いだ装甲強化型ジムが、ついにゼナ達の前に立つ。

オーレリアは両手を広げて、二人を庇おうとしている。

 

《確認した。拘束無用、射殺を許可する》

《了解》

 

90mm弾を使用するライフルを向け、装甲強化型ジムのパイロットは言った。

 

《呪うなら君の生まれの不幸を呪ってくれ》

 

直後銃声が鳴り響き、装甲強化型ジムの胴体が撃ち抜かれる、ビームライフルだ。

ドズル専用ザクと、シャアのゲルググだ。

 

《間一髪だな》

《間に合ったッ!》

 

ドズルは突進し、残ったジムが振り向いて応戦するも更に一機がシャアに撃破される。

残る二機の内一機がドズルのMMP-80の攻撃に倒れ、最後の一機がライフルを棄ててサーベルを抜こうとするがMMP-80のビームバヨネットによりコックピットを貫通。

 

《悪く思うなよ、敗者の運命だ》

《ジオ・・・ン・・・めっ!・・・》

 

指揮官機が力なく倒れるが、倒れていた一機が太ももに着けている拳銃を抜いた。

しかしドズルはそれを見切って奪ったビームサーベルを投げ、倒れていた機体も大破した。

 

「大丈夫か!」

「遅いッ!」

「えぇっ!?」

 

ゼナの第一声に落ち込みつつも、ドズルは彼女らを装甲車に載せる。

そして、義務に散った者達の骸に黙祷を捧げ、敬礼した。

 

「お前たちは忠を尽くした、ありがとう」

 

 

《諸君、覚えていてくれ。

我らの前に勇士なく、我らの後に勇士なしだ!回天の時ぞ!我が軍全力をもって活路を開くッ!》

 

ドズルは自らの旗艦から檄を飛ばした。

学徒兵を脱出させる、そのために最高戦力だろうと惜しまず使うのだ。

そして、そのための最短コースはワイアット艦隊だった。

要塞攻撃により横隊になりつつあったワイアット艦隊は、総力をあげて突撃する敵の敗残兵と最後の総力戦をすることになったのだ。

 

《誇りと意地を見せろ!!滅私奉公の時が来たのだ!》

《瀕死の重病人の最後の呻きだ!撃ち返せッ!》

 

両軍指揮官が叫び、砲火が唸る。

共に最後の戦いと分かっている事からネジが外れ、戦艦同士の極至近砲戦が巻き起こる。

ワイアット乗艦の<ワサッチ>は、狂乱に近い状態を必死に努力していた。

だがコンスコン提督座乗マゼラン級旗艦<フリードリヒ・デア・グロッセ>が真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

「アンカー用意ッ!」

「は?!」

 

ワイアットが叫び、艦長が驚愕した。

 

「敵艦は最大加速して本艦に特攻する気だ!錨を打ち込んで回すんだ!」

「了解!!」

 

理由を知り、艦長が細かな指示を下す。

艦長はルウムのトラファルガー級の艦長だった経歴がある。

 

「錨いれッ!」

「てぇっ!!」

 

ペガサス級側面、木馬の前足からアンカーが放たれる。

これは連邦宇宙艦隊の創設から理由があってつけられている装備品だった。

宇宙における海上警察として創設された暴力装置である連邦宇宙艦隊は、巡視船としての強引な体当たりと斬り込みも考慮していた。

事実宇宙軍内部においてのMS運用は、海兵隊がその責を担っている。

故に敵性艦艇に錨を強引にブチ込んで、白兵をかますのは最早伝統と言えるのだ。

 

「錨巻き取れッ!全火器各個に撃てッ!!」

 

舞踏会でダンスを踊るように、二隻の可憐な鉄の乙女はソラを舞う。

左舷前部主砲塔をぶち抜いた<ワサッチ>アンカーにより回されて遠心力が発生し、砲術員は当たるか分からないが発砲した。

その流れ弾で<シリウス>が爆沈し、吹き飛んだ後部が<ワサッチ>の後部のウィングをへし折った。

そしてそれは<フリードリヒ・デア・グロッセ>の艦橋基部に突き刺さる。

 

「これは船酔いするなあああ!!」

「舌噛みますよおお!!」

 

常軌を逸した重力が発生し、両艦が機銃を乱射した事により艦内各所でコードやケーブルが寸断されていく。

そして二分後、ワイアットは叫んだ。

 

「錨断ち切れ!」

 

遠心力から解放され、両艦がZ軸やY軸に回転する、まるで2001年宇宙の旅だ。

強引にバーニアを吹かして安定化させ、<ワサッチ>はビーム撹乱幕を打ち上げる。

飛んできた敵弾を撹乱幕が弾き返し、直撃を避けるも撹乱幕の効果が切れるのはそう遠くない。

 

「右舷20度より艦艇近づく!」

「なにっ!?」

 

ワイアットは報告に首を傾げた、MSじゃないのか?

そして、キャビテーションノイズで艦名が分かったとき、彼は嬉しげに微笑んだ。

 

「キャビテーションノイズ確認!<ルザル>です!」

 

ワッケインだ。

ワッケインは制帽を深く被って力強く叫んだ。

 

「全火力を敵艦に集中し<ワサッチ>を援護せよ!」

「装填完了」

「撃ちィ方ァ始めッ!!」

 

戦艦の主砲が、黒い煙を吐き出した。

たわわな身体を揺らす衝撃と共に<ルザル>は前部主砲の全力の実弾射撃を開始したのだ。

発砲した後に装填するまで水平に砲身を戻し、再度砲身を向けて発砲する。

ズドンッと言う内臓を揺さぶる心地よい轟音と衝撃、全くもってムッソリーニの戦艦経済に同意したくなる。

フロイトでなくてもマチズモ的に表現する逞しく太い砲身からの発砲は魂を震わせる。

そして飛び出した71式型徹甲弾は、<フリードリヒ・デア・グロッセ>を穿った。

 

「怯むなァッ!撃ち返せェッ!!」

「全火力を以て敵艦を撃沈せよ!」

 

男の意地がぶつかり、限界に達したのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<フリードリヒ・デア・グロッセ>だった。

至近距離の殴りあいによって、彼女はその身体に幾つもの不具を抱えていたのだ。

 

「敵艦、沈みます・・・」

「何と言う敢闘精神か・・・救助して病院船にいれてやれ、彼らにはその権利がある」

 

艦橋が崩壊し、コンスコン提督は怒濤の中で死んだ。

しかし悔いはなかった、彼は学徒兵達の八割がデラーズの援護の下で脱出した事を"知っている"のだ、聞いてはいないが、彼には分かった。

彼は、最後に勝利したのだ。

 

 

学徒兵の脱出後、正規軍たちも敗走を開始した。

各所で抵抗を見せつつも、水を得て喜ぶ魚のごとき駆逐艦やパブリクの肉薄攻撃によって撃沈していく。

だが突如、根強い抵抗を受けた。

ビグ・ラングにザクレロといったMA部隊が現れたのだ。

ガトーやライデン、そしてこの戦いで二人を失った黒い三連星最後の一人になったオルテガも一緒に現れた。

サイクロプス隊指揮官は交信記録にこう残している。

 

《この先はなんてろくでもない時代だ、男は勲を立てる事も出来ず、女は痩せ衰えるまで足りない男の穴埋めだ。

勇者は酒場で呑んだくれるか、どぶを啜って生きるしか無くなる。

故に我らはここにいる、良き時代に乾杯を!》

 

一つの時代が終わったのだ。

 




次回か、どうやっても二回くらいで第一章が終わり戦後の動乱と内戦に入ります。

選挙がセツルメント人気で作者ビックリである、まあマシだが。
そしてこの共和党人気、これじゃ怒りの地球連邦AARじゃないか()。


そう言えばたまに参考にならないかとパク...他の同業者さん達の作品見てるんすけどいやあ、何でかジオン残党が70近い砲艦ないし艦艇を有してて草不可避。
お前ら本当に残党?()


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終戦!!

これで、戦争は終わりだ。
-ゼネラル・ゴップ、放送にて-


最後の防御拠点を喪失し、ジオンはデギンによる無条件降伏の交渉を開始した。

レビルは旗艦で近付き、報せを聞いたゴップは連邦全軍に停戦を全世界に公表。

 

「これで、戦争は終わりだ!」

 

ゴップは世界中にそう言った。

連邦政府は臨時政権の連邦首相が緊急的対応の必要が無くなったと判断し、選挙を決断。

これには諸説があるが、当時の首相は連邦軍は民主主義の為に戦った、あとは民主主義に選ばれた政府がケリをつけると明言しており、恐らくこれが一番最大の理由だった。

だが事態は急変する、突如<グレート・デギン>の機関が爆発、二次爆発で弾薬庫に誘爆しレビルの乗艦ごと炎に呑まれてしまった。

突然の総司令官のMIA、そして公王の死亡によって連邦とジオンは停戦による融和ムードによって前線将兵は戸惑い、敵味方関係なく会話が行き交った。

 

《見たか!?》

《<グレート・デギン>が爆発したぞ!》

《誰が撃ったんだ、誰が!》

《ど、どうするんだ!》

 

錯綜する会話が意味不明になって状況不明を造り上げ、上級司令部はジャブローに指示を求めたが彼等は更に事態を分かっていなかった。

しかも、混乱と言う炎が油にアルミ粉末まで混ぜてしまった。

連邦の工作活動によって、アルテイシアのジオン再来とギレンへの爆破テロが起こったのだ。

結果、炎はテルミットで過熱されて事態を混乱させた。

斯くしてズムシティは政権奪取を図るキシリア軍クーデターと、各所で抵抗を見せるギレン派、正当なるネオ・ジオンを主張するダイクン派が騒乱を巻き起こした。

 

 

サイド7、12バンチ。

かつて地球圏を吹き荒れた戦争の色は、殆ど消えている時代。

12バンチの市街中心部から少し離れた場所に、その店は存在した。

その店はかつての連邦軍のM2ヘルメットに似ているテッパチをつけたもぐらの置物、そしてウィンドウに並ぶ商品が子供の目を引く店だった。

カランカランと音を立てて扉が開き、青い髪の少年と、茶髪の少年が入ってきた。

青い髪をしたのはセイと言い、茶髪の少年をリクと言う。

 

「いらっしゃい」

 

店主の美しさとは若さではないと思わせる顔立ちをした老婆が、嬉しげにそう言った。

レジのカウンター後ろには、ルナツーより出撃した連邦艦隊の写真が飾られている。

 

「どーも!」

「お久しぶりです」

 

老婆はにこやかに笑みを浮かべ、紅茶をコップに淹れる。

 

「飲むかい?」

「いただきます」

「どうも!」

 

老婆はこの小さき常連客が大好きだった。

と言うより、この仕事が好きなのだ。

この前来た青い髪の青年の、たしかセイエイなる客も面白くて好きだった。

商品棚には幾つもプラモデルが並んでいる、61式戦車TUSK2キットverや、ドゴスギア級六番艦のゼネラル・ワイアット、ルナツー駐屯塗装の初期生産型ジム。

ジオンのでは四号駆逐MAビグ・ラング、バプア級輸送艦、ザク2F1型。

多種多様なプラモデルがそこにあったし、多種多様な客も居る。

 

「おばちゃん元気?」

「おひさー!」

「まだまだ息災だよ」

 

例えば、レツやキッカ。

彼女は、いつも嬉しげにそこにいる。

ある日、とある客が来た。

 

「おや、変わったお客さんだね」

「やはり分かりますか?」

 

口述録音機を起動させ、その男は深く被ったフェドゥーラ帽子を取って言った。

所々に老いがあるが、眼の鋭さは消えていない。

あっさり正体を見抜かれたので冗談混じりにそう言うと、彼は名刺を渡した。

 

"月面人類遺産保存委員会。カイ・シデン"

 

「まさか貴女がここに居るとは思いませんでした、店主さん」

「ふふっ、今は子供にたいしての宣教師のようなものさ」

 

元ワイアット艦隊の一人であり、当時を良く知るアイカ秘書官は当時の事を詳しく、皮肉的に話してくれた。

 

 

「あの当時の政治的混乱は凄い物でね、艦隊司令部は最高指揮官を失って混乱してたよ」

 

アイカはカイに懐かしむような口調で語る。

 

「私も色々飛んでくる報告をまとめたが、三つ報告が来て三つとも矛盾してる」

 

では、何故ワイアット提督はサイド3突入を決定したんですか?核攻撃も視野にいれていたと言いますが。

 

「あぁ嵐333号案、250キロトン級水爆W-71弾頭を200発撃ち込む作戦案はありましたが・・・アレは文字通り事態が解決不能である場合でないと誰もやりませんよ。

特にあの人は熱烈な反核兵器論者ですから」  

でしょうね。

 

カイは本題を切り出した。

 

では何故、彼はダイクン派を援護し、キシリア軍を集中的に叩く事に決めたのでしょう

「そうすればアルティシアは連邦に大きな貸しを作る事になり、ギレン派の怒りも収まる。

当たり前でしょう、こうするのが民主主義的解決策に近かった」

ですがこうなる危険性もあった、"ダイクン派は連邦と共謀してアルティシアを無理矢理担ぎ上げ、ジオンを傀儡にした"と。

 

アイカは少し呆れたような顔をして、言った。

 

「あの時代、選択肢はペストとコレラを選ぶ程度のものでしかなかったんですよ。」

 

ーインタビュー補記ー

 

<グレート・デギン>が爆発した理由は現在も不明である。

当時のギレン派閥は父殺しのキシリアと呼んでおり、明らかに暗殺だが誰が仕組んだのかは不明である。

何故ならばクーデターによりガルマを除いて、インタビューが出来ないからである。

キシリアは内戦の長期化を憂慮したガルマがシャアに手駒の兵を与え、暗殺を決断した。

結果、キシリア派閥は完全に崩壊しギレン派閥の抗戦論者や一部将兵がジオンを脱出、連邦軍の停船命令を無視した事から七割は撃沈された。

 

 

0080年3月7日。

ジオン全軍戦闘停止命令を発令。

同日、地球残存部隊は殆どが降伏する。

 

0080年3月21日

ミネバ及びデラーズ以下徹底抗戦派がアクシズ到着、ハマーンはこれを受理。

デラーズ提督は学徒兵の戦闘配置を全面的に解除、英気を養いジオンの復活を信じる。

同日、603試験隊は航法装置の損傷により迷走、三週間後アクシズのパトロールに発見される。

 

0080年4月9日。

ジオン降伏。

将兵の武装解除始まる。

 

 

ワイアット提督は、初めてズムシティの大地を踏んだ。

上空にはティアンム提督の<タイタン>、負傷するも一命をとりとめたレビル提督の艦隊の<ミズーリ>が遊弋している。

 

「アイカくん、通訳お願いできるか」

「了解」

 

ズムシティは各所から煙が上がっている、騒乱の痕跡があちこち残っている。

工兵隊を呼んで、補給艦から物資を運ばせよう。

病院船は足りるだろうか・・・。

 

「通訳は要りませんよ。ようこそ、提督」

 

見事なまでのイギリス式英語*1で、ガルマは言った。

現在のジオンにおける全権代理人であり、ザビ家の生き残りだった。

ギレンは暗殺されており、キシリアも死んだ。

ドズルは堂々討ち死にした。

デギンに至っては突如死んだ。

 

「もう少し平和に来たかったです」

「私も地球に降りたとき、そう思いましたよ」

 

そう言うと、ガルマは彼の礼服のホルスターから拳銃を取り出した。

ワイアットは動じず、渡されたそれを拒否した。

 

「貴方はこの状態で市民を巻き込んで戦争をする愚かな人ではない、私は貴方からそれを取り上げる気には、なれない」

 

ワイアットはそう言うと、漸く届いた降伏文書を載せた艦艇に向かう。

 

戦争は終わった!終わったんだ!

もう戦わなくて良いんですね!やったー!!

 

 

 

降伏によりジオンは立憲君主の共和国となった。

しかし、問題があった。

残党は恐ろしきまでに姿を隠し、目立ったテロをせず、粛々と、何処かで、牙を。

そして連邦も、鬱積した因縁が、爆発しようとしていた。

 

第二章

 

DarkestHour(暗黒の時代)

 

*1本作での連邦は言語の統一をしていない、英連邦、中国、フランス、日本の熱烈な抵抗による物である。




選挙がセツルメント優勢だと・・・。
こんなの嘘でしょ、何故なんですか!()

民主党ルート支持が結構居てびっくりしてます。


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|DarkestHour《暗黒の時代》 新聞【キャピタルポスト】

選挙を集計し、投票終了したので纏めました。
まさかのセツルメント勝利、ワロス
キャピタルポストはFallout3のロードスクリーンに出てきた新聞が元ネタです。

あと新聞っぽくフォント変えてみました。


 

ZEONCRASH!

DemocracyLiberated!

 

 

【挿絵表示】

 

 

選挙!セツルメント委員会のスペースノイドのハーフが首相となる

首相、「宇宙世紀を新たな段階に進める」と会見する

 

選挙の集計が完了し、各コロニーでも騒ぎが起こっている。

サイド6が後援するセツルメント委員会が勝利を収めた!

当選後最初の記者会見においてジョン・L・ケネディ首相は「改革と進歩の時代、宇宙世紀を新たな段階に進める為邁進する」と発言した。

選挙本部は狂乱の大騒ぎであり、あちこちのサイドの酒場などで喝采が飛んだ。

選挙結果に於いては民主党の本部で然程悲観的でなく、敗北宣言をだした。

共和党も深刻とまでいかないが、残念がっている。

下馬評と世論調査では予想できなかった結果であるが、ルーズベルト大統領の前例のように見えなかった票田が存在していたのだ。

これは深刻な問題になりつつある分離主義運動について解決策となるだろうか?

 

地球での地震群発、ようやく落ち着く

専門家「予断を許さぬ」と懐疑的、北米北東部の配給に陰り

 

マスドライバー攻撃によるプレートの歪みで生まれた地震は漸く安定しつつある。

連邦地震学の専門家たちは「いまだ予断を許さないが、安定に向かっているのは事実だ」と答えた。

だが北米では火山の噴火の危険性がいまだに残っており、ボストンからデトロイト、オタワは配給に遅配の可能性が出ている。

事実先月末もミルクと薬品の不足からボストン湾で暴動が発生、軍による鎮圧と言う結果を呼んだ。

FEMAは事態について「連邦軍の陸上戦艦を転用して物資移送にあたるので、軽挙妄動をやめ待つこと」を求めている。

だがニューヨークでは配給に関してのデモが発生、ストライキも起こっている。

現地警察はFWWの関与があると批判しているが、詳細は不明である。

 

連邦軍の大規模復員開始

失業者増大の可能性を危惧、治安悪化の恐怖

 

戦争終結により軍の復員が始まったが、各所で人員が過剰になっている。

これは戦争経済において女性が代替として産業に参画していたからで、無職となった彼らを支える年金は到底不可能だ。

ゴップ将軍は「我々は出来うる限り努力するが、文民政府の抜本的解決が必要である、社会秩序の為に協力して取り組む」とインタビューで答えた。

しかしすでにサイド6やフォン・ブラウンでは失業者の流入からのスラム化問題と、増大する犯罪が反連邦活動の温床となっていると批判も出ている。

またマフィア問題が深刻化しているのも事実であり、急激な組織拡大によって犯罪組織間の齟齬が生まれ抗争と更なる治安悪化が起こる悪循環がすでに生まれている。

FBI(連邦捜査庁)はトマス・E・デューイ検察官といった優秀な捜査官たちで治安を回復し、OSSとDIAとも連携して秩序の回復に奮闘すると語っている。

 

フォン・ブラウンで労働争議!

"アナハイニズム"を組合が批判

 

アナハイムの労働組合で大規模な労働争議が発生、ストライキが起こった。

労働組合によるとアナハイニズムの労働者を省みない科学的管理法と、計画と執行の分離によるホワイトカラーの差別是正に原因があるとしている。

FWWはこれについて「労働者の自主性を奪う非人道的社風を改善するべきだ!」と熱烈に痛罵している。

しかしアナハイムの広報は「自分をジョン・L・ルイスと思い込んでいるに過ぎない」と反論、両者の対立はアナハイムの終戦の反動不況と戦後復興景気乗り遅れによる業績悪化も有りうる。

しかし識者の中にはセレテック、シアワセ、オムラ・インダストリや大日本技研、ポセイドングループ、東亜重工、ゼーダー・クルップといった各重科学企業どころか、

三浜コンピュータ社やロブコ・テックといった他の業種に拡大する危険性も孕んでいると指摘している。

 

地球優先協会チャールズ神父がラジオ放送

ローマ教皇スペースノイドにたいしてのヘイトスピーチに苦言

 

─以下、省略─




混迷の戦後として書いてるけど、神山さんの連邦政府備忘録クッソ丁寧で泣く。
ああいうのぼくもかきたい(世迷い言)
神山さんのHOIAAR待ってるで!!


出てくる企業はシャドウランの企業と攻殻、忍殺が元ネタです、アナハイムよりろくでもねぇ奴等しか居ねぇ!!


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アフター・ホロコースト

老兵は死なず、ただ居座るのみ。
ーゴップ、レビル退官に際しての自虐ジョークー

推奨BGM:Lets Remember PealHarbor (邦題いつの世紀でも)


大統領の一番の使命は戦いになることを避けることである。決して戦いを煽るようなことをしてはならない。また憎しみを煽るようなことをしてはならない。

ーフーヴァー『裏切られた自由』ー

 

戦艦<コンピェーニュ>でジオンと連邦の終戦が調印された。

ともあれ、戦争は終わった!

 

【挿絵表示】

 

 

 

ともあれ戦争が終わった、復員と復興の時代だ。

ズムシティには軽装の治安部隊と、重装備の緊急対応部隊が展開してあるが基本はジオンの警察力でどうにかなるよう手助けしてやる感じだ。

だが現地指揮官たちは施設が足りないと叫んでいる、医療も収容も何もかもらしい。

工兵を呼んでいるが、どうしたものか。

ティアンム提督に助けを求めようかと考えているが、あの人は別の政治案件、つまり残党の武装解除作業の監察をしている。

いっそソロモン辺りを引っ張るか・・・?

幸いなことに物資はある程度目処がついている、ワッケインくんが配給を急いでいるが、それでも少なくない人が死ぬだろう。

地球では連邦政府は選挙を行い、世論調査*1では共和党が優勢らしい。

本当にそうなるのだろうか?共和党のスランプ*2はアイツは地球優先協会並みに過激だぞ、とち狂って反民主主義絶対殺すと全世界に宣戦布告しかねん。

 

 

たまげたなあ、選挙は予想外の展開を見せてくれた。

予想に反し、セツルメント委員会の勝利だった!

新しい首相はリーアノイドの母をもつハーフだ、スペースノイドの反地球運動も少しは収まるだろう。

世論調査はコロニーや月面では行われない何て言う話もあったが、本当なんだろうか。

ともあれ人種的分断は極端な者を除いて解決可能なまでに縮まったと言える!

 

新しい連邦首相万歳!民主主義は守られた!

 

ワイアットの日記より

 

 

三日ほど経ったが各サイドはかなりの好景気だ、武装解除で通商破壊の脅威は海賊と過激派以外薄くなったので護送船団ではなく独航船で動かせる。

ほんと、50ちかい輸送艦をコンボイするのに手間がどれくらいかかるのか。

今更ながら日本の商船員たちって苦労してんだなと染々思う。

しかしそんな緩やかな気分に浸れるわけでもない、民主党と共和党は大人しく敗北宣言と次回への期待を語っている、彼らとしては良くないが最悪ではない結末だからだ。

問題は過激な連中だ。

 

《今回の選挙結果には──何らかの陰謀が関与して───不正選挙であることは明確──即刻退陣断固粉砕──》

 

ほら、言わんこっちゃねぇよ。

再集計を要求しているが、どうせ減るだけだ。

足を組んで紅茶を飲みながら、ゆっくり旧ジオン軍の士官学校校長室で寛ぐ。

国軍の七割が武装解除と停戦を受け入れているが、親衛隊や学徒兵達がほぼ全て応じていない。

それにキシリアのフラナガンの関連技術の軍人が警備部隊含めて失踪した、明らかに平和と人道に対する罪だが、C級戦犯のメンバーが消えている。

A級戦犯は殆どが20人か10人ほどの人間しか残ってない、マスドライバー攻撃に関してのアジア管区の突き上げもあったが実行者のアサクラも消えている、噂じゃ死んだらしい。

エースも幾人かが投降したが大抵失踪した、中にはジョニーのように自分を売り込んで体よく新編される共和国軍に再就職決めた者も居るが。

そのため重い刑罰は多くなかったが、コロニーの義勇軍はそういかなかった。

テロ組織幇助と破壊活動防止法の違反だ、七割は死刑判決が出た。

 

「しかしいきなり共和国軍を編成させるのか」

「宇宙は広いですからね、ある程度の自衛をして時間を稼いで欲しいのでしょう」

 

アイカ秘書官は前と変わらず忙しい、申請と補充が多いのだ!

外からは非番の兵士たちの歌が聞こえる、宇宙軍の歌だ。*3

しかしそれに負けない位、事故のサイレンが響いている。

左側通行と右側通行を間違えて軍と民間車両が衝突事故を起こすのだ・・・。

戦車回収車をもう少し増やそう。

 

4/29

 

レビル将軍が健康上の理由と戦争終結により退官した。

最後の言葉は「これで戦争屋の仕事は終わった、アディオス!」だそうである、彗星のように一抜けをかましやがった!

代わりの連邦軍の軍務のトップは現艦隊総軍司令官ティアンム提督辺りが適役だろう、開いたポストは・・・あれ、これ私辞められないな。

ワイアットは良い機会だし、さっさと軍隊を一抜けをする気だったが完全に破綻した!

そんなことを思っていると、アイカ秘書官が言った。

 

「私も予備役に入ります、実家にそろそろ帰りませんと」

「いや、良いけど良いのかい?君はこの先寝て過ごしても少佐で起きていれば准将だよ」

 

アイカ秘書官は従軍等により現在大尉の階級章をつけている。

しかしアイカ秘書官は、皮肉げな笑顔で言う。

 

「えぇ、それに家が潰れると母が怒りそうです。

・・・あと六週間に一度のヘータイごっこも楽しそうですから」

 

ワイアットは笑って言った。

 

「ははは、そうか、今度は私が敬礼する側だな」

 

連邦においては市民と軍人では市民のが上である、例え元帥であってもである。

文民統制の軍隊と軍隊の規則を擦り合わせた民主主義的現実だ。

ワイアットは今日の書類の完了を確認し、言った。

 

「では元気で、連邦市民!」

 

・・・人事部に申請しとかなきゃなあ、さよなら美味しい紅茶!

 

*1作者の個人的予想

*2お前昔の公約は反差別だっただろDくん!

*3ロシアの軍歌、名曲だぞ




金を持ってるだけのお笑い芸人SNSおじさんvsガンギマリBBAよりマシなのか怪しい選挙でしたね(選挙管理委員会おめぇだよ)

ジオン自治州軍は13万人に軍備を縮小、核兵器禁止、戦艦の保有禁止、巡洋艦の保有数制限がつきました。
だいたいサンフランシスコ条約とワイマール共和国が元ネタですが法外な賠償ではないです、軽くはないが。

復興特需の時間だああ!!


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モグラの日常

ゴップの日常、混迷の戦後を彼の視点から。


ゴップはジャブローのA棟統合参謀本部の執務室でゆっくりと書類を片付けていた。

 

《しかし現に日系企業にのみ富が偏って》

《偏って等いない!サイド7建設需要による一時的な物にすぎない!!》

《話は最後まで聞けェ!》

《かような黄禍論的魔女狩りは憲法に禁じられている!発言を撤回しろ撤回!》

《北米西岸に於けるアルミニウム加工工場所謂シアワセ社の環境汚染はどうすんだテメェ!》

《黙れセレテックの手先!》

《静粛に!!》

 

今日も連邦議会は賑やかだ、サイド7建設再開で日本の・・・大日本技研と東亜重工だったかに発注が出ている事から連邦内部の格差が出ている。

戦後復興で各地に需要があるがまずは戦時によるインフレ等を解決しなくてはならない。

それにインフラもだ。

最初に挑戦すべき課題は、経済のインフラストラクチャーをゼロから建て直し、社会全体にわたって整備することである。

過去の経済システムから徐々に発展させていくのは不可能だ。

なぜなら過去に経済システムなどないからだ。

互いに依存しあう世界システム論の細かな断片を同時に、しかも効率よく、具体化していかなければならない。

さもないと経済と連邦は軌道に戻るまえに崩壊してしまうだろう。

アナハイム重工部門部長のナワダイク・モーガン著作『経済の独占』の一部を思い出したゴップは、難しい問題に取りかかる。

 

「急造艦の解体か」

 

戦時急造艦の解体、もしくは民間への払い下げ。

これは考えるまでもない、民間へ払い下げよう。

続く問題は過剰な戦艦と巡洋艦の管理問題、これはちと難しい。

建造中の物は解体するとして、どうしたものか。

・・・待てよ。

 

「あったあった」

 

ゴップはむかしワイアットが提案した新型艦建造を思い出した。

そうだ、旧式艦艇を解体して枠を作って新型艦を作らせよう、議員には上手く退官した軍人達への雇用確保とか言っておけばよかろう。

我ながら中々妙案だ!これなら数が減るが更新によって戦力低下は悲劇的な物でないし、予算も食わない。

軍人も政治家もみんな幸せである。

ゴップは嬉しげに自信満々の笑みを浮かべた。

彼は少し子供っぽい所がある。

 

 

ゴップは昼食をとりおえ、しかめ面をしながら新聞を見る。

北米北部のケベックで暴動と、ロシアの共産党が解党してFWWと合流したらしい。

追い討ちをかけるようにロシアの保守派である神父が天寿を全うなされた、これはちと困るなあ。

続く地球面の記事では【イギリスの王太子、戴冠さる】とあった、しかしあの王太子はあまり民主主義に好意を抱いていないし、かなりのタカ派だったような。

続くコロニー面では新たな連邦首相殿がコロニーからセツルメントに名称を改める法案を提出した。

宇宙の民心の慰嘸には良いだろう、しかし地球優先協会や共和党タカ派が良い顔をしていない。

それに復興特需によって底辺労働者が流入、マフィア問題が深刻化してるらしい。

 

「あら?」

 

ゴップは芸能面で見知った顔を見た。

何でも新作アニメはもし先の大戦がもっと破滅的になっていたら?と言うものらしい。

タイトルは機動戦士ガンダムだそうだ、問題があるとすれば製作協力にレイ家族がいる、主人公設定と一部技術関連の協力らしい。

 

「架空戦記ねぇ」

 

しかし内容を巡って批判も多いようだ、彼らはどうでるのだろうか。

 

 

連邦議会はアニメの放送に介入しないと発表した。

しかしスポンサーは及び腰だ、どうするのだろう。

国内面ではムルマンスクで雪害が発生した事と、救助に緩みが見られると批判が飛んでいた。

地球優先協会の者が先に現地入りして政府批判と共に糧食を配っていた、黙って飯を配るなら褒めるが被災者をなんだと思ってんだ!

 

ベトナムで戦闘が発生した、インドシナ州はアジア管区の盟主が中国なのが気に食わないらしい。

連邦加入を巡ってカンボジア・ベトナム軍と中国軍の戦闘さえ有ったし歴史的に考えればそらそうだ。

シンガポールとフランス州は停戦の仲介をする気があったが、何でかヒステリックに日本と中国の州が独自解決を叫んで拒否した。

既に大規模戦闘は片付き、極東管区軍は嘗てのネオトーキョー(東京湾を埋め立てた政治・経済の中枢都市)ではなく臨時首都松代の第二東京でパレードが行われた。

・・・まさかジンゴイズムに酔ったか?勝利は麻薬だな。

 

月面労働争議が悪い方向に進んでいる、アナハイムの私設警備隊と一部労働者が乱闘して死人が三人ほど出ている。

最悪なのは現地警察には地球優先協会のシンパが多い。

チャールズ神父はラジオで政府批判を叫んでいる・・・。

 

 

開拓者市民権法案が提出された。

コロニー市民の権利をある程度に引き上げる。

しかし最低賃金法も含まれるので、安価な労働力を求める企業が文句を言う。

政府はあまり仲良くない共和党とある程度連携するつもりらしい、民主党は企業支配が強すぎる。

 

朝鮮半島のジェジュで難民が暴動を起こした、極東管区軍は警備出動位しかしないらしい。

もしやして、極東管区軍はただ何となく他人を殴ってるんだろうか。

極東管区政府は複雑怪奇・・・。

 

 

市民権法案が可決した、ジオン残党の繋がりが噂されるダニエル・コールマン*1等は熱烈に批判している。

しかしそんなスペースノイドは少数派でしかない、全サイド有力の市民団体であるスペースノイド地位向上委員会は万歳三唱だ。

国際人権連盟も好意的である。

 

北米管区政府はロサンゼルス-デトロイトを19時間で結ぶ新型特急列車マスターチーフ号を完成させた。

来週にはシカゴやマイアミへの工事を完了させると言っている、鉄道の改善は生活を改善させる。

北米の治安が多少は良くなるだろう。

 

南アフリカのプレトリアでオリンピック!左翼と右翼も大人しく飲み物片手にスポーツに熱狂している。

高官たちで賭けたが陸上選手はまさかのワイアットくん大負けだ、彼も運がない奴だ。

ユダヤ人の姉妹が大活躍していたが、ドーピング疑惑が出てきた・・・スポーツくらい楽しみたいなあ。*2

 

 

ワイアットくんが記者会見で治安の回復についてはまだ解決可能な範疇で、一時的動揺はちゃんと収まると論じている。

私が言うとあんまり受けないが彼が言うとそれっぽく思えるだろうからね。

予備役増強計画を5次に分けてやることを決定、最悪の備えはしておくべきだ。

政府はあまり良い顔をしない。

 

ロシア管区政府がFWW系の左翼革新派閥に取られてしまった。

FWWと地球優先協会は「首相閣下は空しか見上げず足元を見ない」と批判しているが分かってるんだろうか。

 

 

秋になったので私の家が管理している北米のシェナンドー国立公園ラピダン・キャンプ*3に休暇を過ごすことにする。

養子たちも生の自然で遊んでおくべきだろうし、私も釣りと森林浴を過ごすことにするか。

 

 

*1シャドウランに出てくる過激派インディアン、最終的にアメリカ・カナダ合衆国を大敗北させ独立したがザンスカールやコスモ貴族より人種国家

*2元ネタはプレス姉妹

*3史実ではフーヴァー大統領の静養地で、その後国立公園になったがこの世界ではゴップ自然公園の一つ




ゴップの養子は肌が白く、黄色く、黒く、褐色です。
歳も歩くことを最近知った子から、中学生くらいまでの子まで居ます、ラヴロレンチー・ベリヤじゃないから問題ないよ!


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新しい秘書官と、混迷する連邦

誰もがキ印連邦混迷期、宇宙軍は幸い影響がない。(宇宙艦隊は高いのだ!故に残党も積極的になれないんだ!)

アイカ秘書官の後任が登場、シレーヌ秘書官さんです。
やっぱり皮肉しか言いません、ハーレムやっても幸せに出来ないからそもそも恋愛なんかしないと言う解決策。


新しい秘書官がやってきた、アルザス・ロレーヌ地方出身のエリートでジャミトフの野獣師団主計幕僚としての勤務経験ある女性だ。

なして女性が来るのか分からないが*1、眼鏡と、長い髪をポニーテールにしている。

 

【挿絵表示】

 

シレーヌ秘書官は才覚豊かだが、なんと言うかインモラルさというか、不健全な噂がある。

単刀直入に聞くと、彼女は言った。

 

「私の仕事は道化ですよ、嘲笑いながら事実を貴方に見せる仕事です」

 

直ちに影響がないのだが、このさき大丈夫だろうか・・・。

ワイアットは不安を感じつつ、仕事に取りかかる。

 

「では閣下、艦政本部の提案をどうしますか?」

「甲乙つけがたいな」

 

ワイアットは資料を見ながら言った。

試製大型艦隊指揮機能艦計画、幾つかの企業が競作しているが一長一短だ。

原作の<バーミンガム>に近いが、砲戦に偏っている極東管区案。

<ドゴス・ギア>級改装の<ゼネラル・レビル>等に近い艦載機多めの北米案。

指揮機能に重きをおいて、火力はその能力で管制して圧倒的ロングレンジ攻撃をかますことで解決する大陸欧州案。

ほぼ<バーミンガム>だが、MSをある程度に艦載できるイギリス案。

 

「帯に短く袖に長いなあ」

「ちなみに幕僚・提督たちの意見は大陸欧州案です」

 

結局、ワイアットは大陸欧州案に大きく譲歩して指揮機能を重点した艦載機も収容可能な艦艇を艦隊総軍として要望した。

例えて言うならいずも型やガリバルディ、クヅォネフだろうか。

ブルーリッジではおっかないが紀伊型はやりすぎ、モンタナはしっくり来ないと言った気分だ。

まあ旗艦が最強である必要等ない。

艦政本部でデザインの再検討の末、<アドミラル級>と仮称された。

一番艦はワイアットが乗り込む仮称艦名<アドミラル・フィッシャー>、ワッケイン艦隊のが<アドミラル・ニミッツ>、月面ヘボン艦隊は<アドミラル・ゴルシコフ>、サイド7方面及びルナツー防衛艦隊旗艦が<アドミラル・トーゴー>らしい。

また資金に余裕があって海賊問題や残党問題に悩むサイド6と4と2が出しあってセツルメント警備艦隊が新設される。

連邦軍の軍事指導と州軍共同作戦に備えてこちらにも一隻回される、<アドミラル・ダルラン>と言うらしい。

 

ー【地球連邦宇宙軍の組織】ー

 

艦隊総軍

 

連邦宇宙軍の艦隊総軍司令部、実働戦力を預かる。

 

EFCF(地球連邦宇宙艦隊)

 

地球連邦空間戦闘群、艦隊の事。

基本艦隊総軍の下部組織であるが任地防衛と通商路防衛が仕事で連合艦隊になって艦隊総軍が介入するとかないと基本引きこもり。

 

EFCM(宇宙海兵隊)

 

艦隊総軍隷下の根拠地や鎮守府、警備府に居る海軍陸戦隊。

ルナツー鎮守府第一特別陸戦隊等を除いてサイドの防衛専門だが、一部は外征に際する殴り込み担当である。

創意工夫を尊ぶ。

 

宇宙軍

 

上記組織の最上位、日露の人間がやたらに多い。

宇宙軍と言うかジャブロー乾ドックや地上の事務局とかも管轄であるので全部宇宙でもない。

花形職業は今でも戦艦と言われる。

 

 

0080年の10月に入った、粉塵で寒冷化の地球に、記録的寒波が地球で発生し反スペースノイド感情が増えている。

ロシアではウクライナを通ってルーマニアを経由しイタリアからスペインや南米に逃げている人も多い、農民流出が止まらないらしい。

もっとも一部じゃ-50とか言うフィンランド人がコートを着るか考えるレベルの寒さだ、当たり前だ、殺意も向けたくなるだろう。

既に死者が出ている・・・。

政府と民心が剥離しつつある。

 

 

コロニーが改称されセツルメントに統一、しかしサイドの呼称は変わらない。

これからはセツルメント管区のノア州やムンゾ州と呼ばれる訳だ。

高等弁務官府といったい何が違うんだろうか?

 

「またルウムで反連邦運動です」

「またか」

 

連邦は宇宙に於ける治安維持を名目に宇宙軍の近代化を進めているが、減税は難しい。

企業が法人税等をスルリと抜け出していると言う。

鬱積した怒りは連邦政府に向けられる、酷い話だ。

 

「中東で騒乱らしいです」

「もうどうにでもして・・・」

「弱気はいけません」

 

シレーヌ秘書官も呆れた顔をしている。

チャーチルがなんであんな遺言を残したか分かるわ。

 

 

北米で私設武装組織ミニッツメン設立宣言が出た。

北米は公式の自警団として彼らを承認し、歓迎さえしている。

連邦軍は静観しているがジャミトフ将軍やエルランは演習場の貸出・余剰機材の提供をするらしい、愚かな!!国家が暴力の独占を諦めるとは死ぬ気か!!

私設武装組織は以前クルディスタンでも勃興したが、紛争根絶の名の下に従わない者を無差別に殺していた。

臨時大陸軍の2/3を彼らが占めるわけあるまい。

 

「国家が暴力手放してどうすんだいったい」

「考えてると信じましょう」

 

シレーヌ秘書官は投げ槍に近い顔をしている。

だが武器の出所が気になる。

 

 

首相は炉辺談話*2と称してラジオで呼び掛けと国民の団結を求めている。

効果が本当にあるのか分からない・・・。

議会はNIRA(全国産業復興法)AAA(農業調整法)を最大野党の共和党が提案している。

しかし自由経済によろしくない事と、セツルメントと民主党に企業のロビー活動が効いていて進捗は良くない。

 

「相変わらずの政府だあ」

「何でヒトラーやレーニンが生まれたか分かったよ・・・」

 

良いニュースはオーストラリアでヴァージン・オーストラリアカップ再開を決断とフットボールでニューギニアの黒人選手が大きく活躍、準優勝した。

多少は溜飲を下げて治安を安定させてくれるだろう。

共産国家がスポーツを重要とするのが良く分かる今日この頃。

 

 

公共工事局と全国労働関係法が議会で可決された、共和党は勝利したようだ。

雇用促進の一貫としてケネディ首相は火星植民計画を立案している。

そのために木星船団の<ジュピトリス>を使うとか何とか。

植物と動物、虫を使いテラフォーミングを時間をかけてやるらしい。

・・・噂じゃ最初に投入されるのがゴキブリらしい、核兵器で粗方焼きたい。

だがその前に従軍将兵の退官者に払う慰労金が問題だ、腹黒いアズテクノロジーや大日本技研はフラナガンの技術を基にサイバネティスク技術を進化させ高性能義肢を製作しているらしい。

ポセイドンインダストリアル社が、記憶を記録として保存できるかの理論研究は成功するか?

 

 

信用流動と失業率25%からの低下が発表、多少はマシになったな。

首相は善隣政治として連邦政府の権力行使を避けている、交渉は大事だが備えも大事だろうに。

メキシコ湾でポセイドン・オイルリグが油田を発見、多少は北米問題が解決するだろう。

 

「閣下、アジアで大規模な砂嵐です」

「今度はそっちか」

 

過剰な鋤き込みで草がとれて、寒さによる乾燥で土が固まり、寒波による風で舞い上がったらしい。

南京まで黒い雲となり嵐は日本海に落ちていったそうだ。

政府は支援を開始し、経済がまた暗雲が立ち込める。

 

 

 

ところでビニールのようなヒダをつけた赤い眼と黄色い目をした空を舞う物体が中国で目撃されている。*3

残党のMSだろうか・・・?不思議だな。

 

 

*1作者の性癖

*2元ネタはルーズベルト政権が行ったラジオ放送

*3ヘドラかなにかかな?




出てくる法案の名前はニューディール政策からです

残念だったな!セツルメントルートは南北戦争ブキャナン大統領ルートみたいなもんだよ!
もしくはフーヴァー大統領。
そもそも長期的予測が合わなかったんだよ、最悪の考えを読み違えていた。

ちなみにFalloutで言うとセツルメントはNCRとミニッツメンに近いです、Fallout4どうしてあんなにもやるせないルートしかないんだ。
主人公が敗残エンクレイヴ集めて自由と正義のアメリカ再建して反乱軍の分離主義者BOSブチ殺すルートよこせ()

ちなみにFWW当選したらINGSOC、地球優先協会が勝つとVフォーヴェンデッタのイギリスになるのでよりろくでもないです。
民主党だと治安悪化と武力衝突、共和党だと一部地域に戒厳だったりする予定でした。

残党が様子見してんのは後で書くのでお楽しみに


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暴力の独占崩壊

作者はウォーラー・ステインの経済論とマックス・ウェーバーの社会学を信奉してる敬虔な民主主義思想のプロテスタント福音派です。
つまり作中の社会学とかはそこら辺を基盤にしてます。

八・八作戦として夏季の大攻勢作戦を行ってましたが流石に打ち止めです、連投は疲れる、攻勢限界です。


TheCapitalPost

0080年7月5日

 

労働争議で衝突!アナハイム本社前の闘い

 

昨日午後二時、アナハイニズム糾弾とユニオニズム*1の対立がストライキとなっていたが、更なる衝突が発生した。

本社のカメラマンが記事のため、社章前でストライキ側の労働者代表と撮影を行っていると突如わが社のカメラマンを含む数人を40人近い警備員で乱打したのである。

さらに警備員たちはリーフレットを配って抗議をしていた女性数名すら乱打し、重軽傷を負わせたのである。

これに激発した労働者たちは警備員と衝突、ついには数百名が負傷、逮捕される事件になったのである。*2

 

 

地球では寒い夏だと言うのに危機の炎は夏の太陽、燃えてちゃってるよ財政、J○北海道もびっくり。

新聞を見ながら、安楽椅子に腰かけてレビル退役元大将は呟いた。

 

「戦後のがごたごたしてるなあ」

 

彼の自宅は一部を除いて戦闘で吹き飛んだ、何でもフライマンタがロケット弾ブチ込んだらしく、この前そのパイロットが詫びを言いに来た。

まあリビングとかが吹き飛んだたけで済んだし、怒る理由はなかった。

この家の住人は、彼しか居なくなっていた。

愛していた妻は四年前天寿を全うした、悲しかったが、良き夫として努力したし、良き妻であった。

しかし二人の息子と、長男の結婚相手、つまり義理の娘すら居ない。

次男は上海でマスドライバー攻撃の災禍から逃れるため地下施設に退避したが、誤爆による津波で浸水し死んだ。

長男の息子は、開戦時ワイアット艦隊の旗艦<プリンス・オブ・ウェールズ>の機関の釜炊きだった。

宇宙軍の戦死者としては珍しくない、遺体のない帰還。

ショックから立ち直れず、息子夫婦は崩壊した。

連邦に戻った際に聞いたのは、彼女の自殺だった。

 

「まさか、老いぼれ一匹が残るとは」

 

分かっている、自分の手が汚れていることも、大勢の家族の肉親を犠牲にしたのも。

だから平和を守るため戦うのだ。

だが、平和は未だに遠いらしい。

 

 

「さーてどうしたモンかねェ」

 

シーマは<リリーマルレーン>の艦橋に足を組んで呟いた。

路銀が尽きる!!これはちぃーっと不味いぞ。

現状補給の宛がない、アクシズ行こうにもシーマは彼らの負け惜しみを快く思っていない。

彼女は戦争に負けたことを認めていたが、戻る気も起きない。

シーマ艦隊はそう言った人間のみ残っていた。

 

「海賊になります?」

「アホ抜かせコッセル、巡洋艦喰わせるってどれくらいかかるか分かってるかバカ!」

「そうっすよねー、割りに合いませんし」

 

目下推進剤と食料は"慈愛溢れるお友達"から提供して頂いている。

具体的にデブリ帯とかの違法なジャンク屋に「俺たち友達だよな奢ってくれよ」と言うのである、

ゲルググ見せびらかすと皆良い笑顔で奢ってくれる、優しい人達がいっぱい、世の中嬉しいね!素敵ですね。

 

「姉さん大変です!!艦隊です!連邦です!」

「ンだとォ!?」

 

エルヴィンの報告に、コッセルが慌てて退避命令を発する。

しかしシーマに電流走る!

 

「コッセル、敵艦隊に繋げ」

「降伏するんすか!?」

「良いから速く繋げバカ!良い手がある」

 

 

ワッケインは我が目と耳を疑った。

最近地球軌道で違法操業の舟艇からカツ上げをかます大人げない奴等がいると言うので、仕方なく確認に向かったらザンジバル級が居たのである。

偵察機の報告を聞いてやむをえず戦艦1を含む機動艦隊で出向くと、相手から開口一番ワケわからん言葉が飛んできた。

 

「おう、あたいらの腕買わねぇか!」

 

ワッケインは本当にそろそろ仕事が嫌になってきた、常識はどこに消えた。

 

 

報告を聞いたワイアットは意味不明に過ぎ、ハボクックを見たような顔をした。

しかし、意味を理解して彼は納得した。

要するにシーマは、連邦がこの先ジオン残党と一戦構える事を確信してるのだ。

そして軍縮により質の上昇を図って数量の低下による戦力低下を抑えると確信した、軍費戦費は金がかかる、日本でも相続税酒税は戦費のため生まれた位だ。

狡猾なことに、彼女らは雑兵ではない、海兵だ、しかもガチガチに訓練され装備に若干劣るも熟練揃い。

欲しい、正直欲しい、無茶苦茶欲しい!

ジオンの機体をよく扱えて戦術を良く知る逸材。

 

「よし、受け入れろ」

「ですがそれは法的に不味いんじゃ」

「大丈夫、書類を合わせれば何も問題はない!」

 

書類を揃えれて印鑑が押されていれば民主主義国家は大抵のことが行える!

幸いこの手の事柄を説得出来ればどうにか出来る人も知り合いにいる、有能な怠け者はお友達として最適だ。

 

斯くして、海兵1個中隊及び巡洋艦一隻がアグレッサーとして編入された。

表向きは艦隊総軍司令部つき技術研究部隊と言うわけである。

以来、彼らにより模擬戦闘演習は質的向上によりとても実戦的となった。

ただ兵士たちは、何で仮想敵がああもジオン風の演技をしているか分からなかった。

まさか神保町彷徨いて古本屋から本を買う感覚で連れてきたなんて、分かるわけなかった。

 

 

連邦政府は続発する企業と労働者の衝突に、企業グループがPMCによる敷地内のみの武装権の認可を認めた。

連邦政府は公的に法執行能力が末端に及んでいないと認めてしまう形になってしまった。

これについては地球優先協会のスポンサーにして地球至上主義の陰のフィクサーでもあるエッシェンバッハの働きかけも大きかった。

連邦の警察力が対応の限界点を越えており、既に州立法部の要請の下で連邦軍治安出動が行われている地域もある以上、政府は泣く泣く受け入れた。

 

「バカ者め!!」

 

ワイアットは一報を聞いて新聞紙をゴミ箱に叩き入れた。

愚かな!!暴力装置を法律と言う首輪で繋げ、暴力を独占せずして何が国家だ!!

マックス・ウェーバーの学説を支持するワイアットの怒りは、当時の連邦の特別国家公務員達にとって共通の怒りだった。

警察も軍も、お前たちでは駄目だと言われたようなものである。

此に失望した軍人達により、後々のティターンズの創設支持論は軍内部の圧倒的支持を得るのである。

 

*1ユニオニズムとは労働者の日常的利益追求を求める運動。

*2http://www.downriverthings.com/battle-of-the-overpass.html、元ネタの事件。




シーマ「笑顔に銃を添えれば多く得られる」
ワイアット「あたまおかしい・・・」

エッシェンバッハは多分原作でも生きてればティターンズ後援してそう。



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内部分裂

連投は終わりといったな、あれは嘘だ。


南緯47度9分西経126度43分、太平洋到達不能極。

ジオンのアジア侵攻軍、つまりオセアニア方面部隊の拠点であるドロス級四番艦の予定だった船体の一部を流用した水中拠点を使い彼らは秘密裏に生活していた。

トラックやセレベスといった島々の住民を気にする必要は無かった、マスドライバーによる津波で家を失った彼らは自然とオーストラリアやタイ王国と言った生活インフラが死んでいない場所に逃げていたか、死んでいた。

戦時中の彼らは極東海軍航空隊の偏執的で執拗で親の仇より殺意を込めて殺しにかかってくる攻撃に晒されていた。

しかしアッガイやズゴック、ゴッグは航空攻撃を躊躇わせた。

結果、殲滅に失敗してしまいこういった根拠地が出来上がってしまった。

ASW任務機体はその性質上目標に接近せざるおえない、しかしズゴック等からはミサイルが飛んでくる為に接近が躊躇われる。

彼らはサブをブッ殺す為にペラが海水に掠っても気にしない気の触れた熱意を有していたが、これは問題であった。

 

艦艇は論外、飛行機は脆い、欧州反攻が始まるとアクアジムやフィッシュアイが漸く来たがこれも問題があった。

太平洋は余りに広く、運用拠点の整備に金がかかりすぎた。

ブルネイやリンガ泊地、トラック諸島は補給の難がある。

オーストラリアに近いがラバウルではオセアニア管区が良い顔をするわけないし、オーストラリア自体の兵站能力が問題であった。

彼らはクジラに欲情するレベルの自己陶酔エコテロリストとエミューの占領軍以外有していないからだ。

 

結果、太平洋のジオンは悪質な外来種となっていた。

 

 

ワイアットの休日は、ある種の趣味嗜好の人間が送るような典型的休日と言えた。

ゆっくりと紅茶を味わい、緩やかに本を読む。

彼は地球に降りるのを煩わしく、しかも嫌気すら感じていた。

SSTに近い役回りの特殊部隊がジャミトフに預けられ、エルランの後援を受けているのも嫌気が差す理由だった。

ジャブローの政争に於いて、ワイアットは文民統制派のレビル派の一人と目されていたが、それも嫌だった。

サルトルやカミュ、オーウェル的な反帝国主義自由主義の彼にはこう言った争いが好めるはずないのだ。

特殊部隊創設に際して、作戦部長コリニーは何らのアクションを取らなかった。

宇宙軍の管轄である宇宙すら対象に広域を活動する特殊部隊、面白いはずないのに黙して語らず、つまり取引済みか。

彼らとの亀裂が拡大している、ジャブロー幕僚は誰もがそう認識していた。

 

そして此に最も焦りを抱いていたのは、ジャミトフだった。

 

彼から見てのワイアットは先見さと独自の戦略ドクトリンを有する存在だ。

それは当たり前だった。

ジャミトフの時代と、ワイアットの時代は余りに離れていた。

2020年代の軍事ドクトリンや政治哲学等を知っている、思考的に大きなブレイクスルーがある。

故にただ一人EW戦等の概念等を有する彼は、余りに異質の脅威目標である。

 

 

艦隊総軍から10・4・10・10艦隊計画を提出した。

つまりアイリッシュ級10、アルビオン級が4、改マゼラン級が10、巡洋戦隊10である。

極東管区がサイド7防衛に四四艦隊計画案も出しているが、それとは別である。

新造戦艦アイリッシュ級は航空戦艦に近いが、原作よりやや大きくトラファルガー級の面影が強い全通甲板方式となっていた。

両側から突き出たカタバルトは覆われており、下部に機関を据え付けている。

ラーカイラム級のようなスタイルでもある。

また、同時にサラミス改や新型巡洋艦建造計画も行われる。

北米と極東管区が「水上艦艇ではMS相手はキツい」と泣きつくのと、戦時中の独立戦隊が水中戦MS対策のプラットフォームとして優秀であった事から可決された。

ノヴァヤゼムリャ島やトラック諸島、ガイアナにもジオン水中MSが居ると言う噂があったのだ。

 

表向きは軍縮、実際は戦力増強と言う訳だ。

 

ちなみに地球上で運用する艦艇は海軍管轄だそうだ。

酷いセクショナリズムだなあ。

 

 

あああああああ!!!!死ぬうううう!!!!

積み上がった書類と問題で発狂しそうになりながら、ゴップは仕事に取り組んでいた。

休暇を切り上げて帰ってきたゴップは軍需産業と軍人の板挟みを危ういタイトロープで切り抜けていた。

経済再編の為に財政出動して民需のケツを叩いて力をつけたい政府vs今まで軍需で美味しい汁を啜っていて反動不況が洒落にならない軍需とか言う対立が飛び火した。

連邦軍右翼派のコリニーは「もう信用ならんからお手製で良いじゃないか」と見も蓋もない事を呟いている。

しかし連邦軍の速やかなMS開発は自由主義競争の経済から来る破滅的イノベーションであるから、それが無くては困る。

 

「閣下ァ!!!」

 

ゴップの秘書官が慌ただしく入ってきた。

 

「どうしたの君、らしくないぞ」

 

ゴップは何事かと思いつつ、尋ねた。

しかし秘書官は、NOAF(連邦海洋大気庁)の報告書と、地震計の記録を手渡した。

 

「・・・まさか」

「北米西岸で大規模な津波が発生しました、オーガスタ研究所やカリフォルニアベースも浸水しています!」

「なんてこった」

 

ゴップは天を仰いだ。

北米で数少ない安定した地域であった西岸がこうなったのだ、あの地域の政治的混乱が加速度的に悪化する。

そして、連邦議会のあるダカール、日本海なども津波が確認された。

中国では黄河の堤防が破壊され700万人近い被災者が出ている。

ジオン水中MSによる核兵器を用いた人工の気象兵器らしい。*1

北米西岸とアフリカでも死傷320万人、被災者は算定がつかない!

 

なんてこった。

 

*1現実ではどうやっても実現不可能である、多分ルナチタニウムドリルで解決したんじゃない?




次回、地球上同時多発テロ攻撃。
要するにスターゲイザー1話


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【緊急議会案】一斉同時多発テロ攻撃

(推奨BGM:怒りの日)


《こちら巡洋艦球磨!日本海は地獄だ!そこらじゅうに水死体が、死体が浮かんでいる!!》

《ロングビーチよりホノルル、ホノルル聞こえるか?!》

《ハワイは全域で津波の被害にあった模様、状況不明》

《南京軍区司令部の返事がありません!》

《連邦議会会館は浸水で済みました、ですが全域が停電してます》

《衛星通信の返りは70%を切ってる、明らかにテロ攻撃があったとしか》

《医薬品が足りないぞ!麻酔もだ!》

 

急報を受けたワイアットが状況の確認に向かうと、通信が飛び交い阿鼻叫喚となっていた。

ワイアットはともかくもペガサス級に物資を積めるだけ積んで先に降下させ、SSTOによる物資援助を準備させる。

連邦政府はまだ災害出動命令を出せていないが、州政府は災害出動の要請を出しているから問題はない。

最悪「艦隊補給処出動」と強権的解決をするつもりでいた。*1

幸い一時間しないうちに地球全域への治安出動と非常事態宣言が発令され、セツルメント管区からも救援が組織された。

 

 

イギリス、ブリテン島。

北海での気象兵器によって被害を被っていたシェフィールド市街にアイカ予備役少佐が居た。

救援部隊の指揮所に制服を着て乗り込み、小高い丘の上にあったので浸水しなかった自宅を簡易の衛生施設なり避難所に使って良い事と仕事を要求したのだ。

"皆平時は皮肉と批判しか言わないのに、有事になると我先にと駆けつける"。

ユニコーンと一角獣でオーウェルが書いたような感性をしていた。

 

「宇宙軍艦隊司令部?と言うことは書類は書けるな?!」

「その前はルナツー主計官でした!」

「よしきた採用!!」

 

救援部隊の指揮官コレマッタは即座に採用を決断した、使える有能で意欲ありそうな士官だ。

特に彼の採用を後押ししたのは、宇宙軍の長いスカートではなく長いズボンとメットを被って来たからだった。

現地の状況を的確に予想して、すぐにある程度の準備をして駆けつけたのだ。

 

「せーのッ!!」

 

崩れた瓦礫を対MS特技兵のドラケンが持ち上げている。

ある程度の武装に耐えられるようアームを強めに改修した事が、思わぬ効果を生んでいた。

武装を完全に下ろしたドラケンは災害出動に於いて過大な功績を作り上げたのである。

アイカ達がシャベル振るってスコップ突っ込んで被災者を引っ張る事約30分、突然爆発音が聞こえた。

 

「ガス漏れか?」

「あんな爆発するほどのだったら匂いそうですけど」

「じゃあ電気自動車(エレカ)がバッテリー引火したんだろう、火災が発生している」

《本部、観測機<ホーンシュレッヒ7>がMSを確認しましたが確認願います》

《MS?ジムは呼んでいないぞ、回収機仕様のガンキャノンは居るが》

 

バーバリーが直感からルイスに命じて市民を退避させるよう命令させる。

上空をファンファンが旋回するが、突如吹っ飛んだ。

 

「くそっ!!こんな時に敵機か!!」

「なんてことしやがる!!戦闘配置!!」

 

 

フランス州騒乱状態。

ペテルブルグ戒厳状態。

アジア管区中国州騒乱状態。

極東管区全域で外出禁止発令。

ドイツ州各都市で暴動。

北米東岸で騒乱発生。

北米南部で騒乱発生。

 

 

災害とそれにつけこんだテロ攻撃、連邦政府は厳しい岐路に立たされている。

 

0082年、4月17日。

緊急召集された議会で持ち上がった議題は、それに値する内容であった。

ジャミトフのダカール演説、所謂"ダカールの日"は余りに衝撃的であったのだから。

 

「連邦の社会的、政治的コンセンサスは死んだのだ!

議員諸君!周りを、足下を見てみるが良い!諸君らの無策と事無かれ主義、そして夢想によってこの被害が生まれたのである。

校舎が野戦病院と化し、体育館が避難所になった姿を見るが良い!

遺体にかける石灰すら足りず、幼児も老人も男も女も積み上げられる焼却場を見るが良い!

全てこれは生ぬるい政策から始まった!諸君らが生んだのだ!」

 

議員の様子は圧倒されているものが多かった。

しかし最も衝撃的な一言はこのあとぶちまけられた。

 

「社会の完全崩壊を防ぐべく!憲法の一時停止と戒厳令の発令を要求する!無論私が指揮を執る特別治安維持部隊によるテロリスト狩りを含めてである!」

 

憲法の一時停止。

余りに大きな決断だった。

議員諸氏に残された選択肢は5つ。  

 

1:【国家を救う為に軍隊を介入させ、宇宙までの完全な戒厳令を発してティターンズ結成】のジャミトフ案、確実にテロリストが死ぬ。

余計なものもコラテラルで片付けられそうであるが・・・、共和党はこれを支持している者も多い。

 

2:【緊急事態に基づき州軍を連邦に編入、連邦軍による地球全域戒厳を発令する】の連邦政府案。

憲法の停止は避けられます、連邦首相はこれを妥協案として捉えています。

しかし対症療法になるか怪しく、抜本的解決になるか怪しい。

 

3:【憲法停止、国内全域で取り締まり軍に司法権を貸与して戒厳を発令する!】の地球優先協会案。

オイオイオイ死ぬわ民主主義。

自分の猟犬の首輪を外して好きに任せるような事だ。

 

4:【人民の軍を組織させ、民兵によって秩序を取り戻し、憲法を停止する】のFWW案。

「お前たちは歴史のゴミ箱行きだ」、十月革命において憲法制定議会がどうなったかを考えよう。

ポル・ポト派や毛沢東主義の人は喜びそう。

 

5:【どれもこれも違憲に決まってるだろ!州及び連邦立法部の要請に基づいて対応しろ】の白票。

それで上手くいってれば世話ねぇーんだよタコスケ。

だが民主主義を守る手段としては適切・・・いや自由の乱用か?うーん。

 

過熱した情勢はついに危険な状態に、まさに破裂必至の大動脈瘤。

民主主義国家の選択が試される!

 

 

 

"強国であるアメリカは軍事的敗北を恐れる必要はない。

防衛の準備さえしておけば敗れることなどない。

しかし、精神の敗北はあり得る。

それは我が国自身が自由の精神を放棄した時である。

より良き世界の模範になることをやめたときである。"

─フーヴァー『失われた自由』─

 

 

 

*1何とは言わんが某政権時のクソザコナメクジ総理の命令待たずに統幕長が出動命じた。




これでも原作の一週間戦争より死んでないぞ。
ナウシカの墓所の主が言ってた「数多の人間が生きるためにどんなことでもやる恨みと憎悪の世界」になりソース...()

共和党ルートだと軍事戒厳発令と反民主主義運動徹底根絶が始まる。
民主党ルートだと政府が完全に見くびられてジャミトフが勝手にティターンズを組織する。
FWWルートでは革命の防衛として内務省人民委員特別警察隊ティターンズ結成。
地球優先協会ルートだとミニッツメンたちによる臨時大陸軍再結成。

ーみらいー

ディアナ「なんだこの政情不安の悪循環・・・(困惑)」
ギンガナム「戦いを忘れる云々どころか原始部族制度に帰りそうだあ(呆れ顔)」


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Twilight's Last Gleaming

タイトルは合衆国最後の日からです、話の内容がある意味同じなので。
ちなみに憲法の停止が可決されたら即刻内戦突入でした、やったね議員!尊い平和は守られた~!(紙ペラ~)


分かれゆく家は立ちゆく事が出来ない

ーリンカーンー

 

緊急法案は連邦政府首脳部の提案が採択された。

民主党はFWWのメンシェヴィキにある程度の政治的工作を行い、共和党融和派も民主党に賭けた。

ジャミトフは集計が終わったとき、こう述べている。

 

「大火に如雨露で水をかけてもらちが明かん事を理解していない」

 

 

「化学火災に水をかけようのと変わらんだろうに」

 

ワイアットはジャミトフ演説を見ながら呟いた。

現在地球全域で戒厳令が発令され、流通と交通は軍の統制におかれている。

しかし地球でのテロ攻撃に疑問が残る、これだけの大仕掛けと言うのに戦略的大打撃を与える決定的一撃がない。

明らかに規模が正規軍並みの連携で、だと言うのに無思慮無節操。

 

「この攻撃は一体何のためにやったんだ?」

 

戦争でなし得たい何か、攻撃で掴みたい結果。

全く見えてこない、テロ攻撃は恐怖と言う結果を求めるケースはしばしば見受けられるがこれほど組織的にやるのにそれとは思えない。

同時多発のテロ攻撃と言うと日本で言えばオウムのBC兵器テロ攻撃、アメリカでいう911等があるがこれには目的が存在していた。

つまり首都での大規模攻撃による政治と経済への打撃、後者は米国本土攻撃と国防総省。

これが散発的自爆テロ等なら死ぬことに目的を見いだしてるガンギマリキチガイのパッパラパーで済むが・・・。

MS乗り回してやることがこれか?明らかにしょぼい。

 

「うーむ、ジャブローの作戦部長たちもそれくらい考えて・・・わからんな」

 

良く良く考えれば原作の時代オウムも911も起きてねぇわ。

テルアビブで民族の恥が銃を乱射した位だわ、すまんなユダヤ。

 

「陽動もしくは助攻の疑いあり、っと」

 

ワイアットは文章を纏め上げ、提案書を提出しておく事にした。

 

 

中型ミデアの後部が開き、ジム・コマンドーが降下する。

ソ連空挺戦車式の減速で降下した機体は、直ちにアイスランドのケフィラグ基地に展開していく。

 

《ゴッグタイプ二機による敵襲!ゴッグタイプ二機による敵襲!》

《ブルネットチームは防衛体制をとれ!》

 

このアイスランドのケフィラグ基地には、SSTOの打ち上げが可能であった。

しかし大西洋の要衝であるが何分グリーンランドの近くと言う環境ゆえ戦闘は水中で起こったくらいであった。

だがその基地が突如襲撃された、基地の兵員は殆ど知らなかったがここには貴重な連邦の核兵器があった。

ユーコン級が搭載可能なSLBMローンイーグルの戦略核弾頭である。

 

《クソッ!粒子のせいか?!》

《オーロラだ!オーロラのせいで計器が役に立たん!》

 

降下した増援のジム・コマンドーは遠距離戦闘を殆ど封じられ、身動きが異様に素早いハイゴッグは手強い敵であった。

メイトリクス大佐のジム・コマンドーに突きをいれようとするハイゴッグの腕を掴んで、足を上げて腕を歪ませる。

続いて大佐はもう片腕を掴み、ぶん投げて変電所に突っ込ませる。

電流にもがくハイゴッグに転がっていた配管を投げつけると、配管から白いガスが抜けていく。

 

《これで腐ったガスも抜けるだろう》

 

もう一機のハイゴッグは、コマンドー部隊の隊員によってストライカーの槍で貫かれ、行動不能にしていた。

 

 

テロ攻撃が片付いて数日、コリニー作戦部長は奇妙すぎる報告が事実と思えなかった。

テロ攻撃の犯行者、つまりMSパイロットたちは全員女児なのだ。

しかも遺伝子は同一人物そのもの、恐らくクローニングされたらしい。

しかし連邦にそんな技術をもつ連中は存在しない、企業達にもない。

コリニー作戦部長はそれ以外の報告も恐怖に値すると考えていた。

彼女等は四肢がなく、脳がMSと直結している。

またロボトミー手術も施されているようで、ケフィラグ襲撃で隊員たちにより行動不能にされたハイゴッグは"殺処分"されている。

遠隔で破壊されたのは明確だ。

そもそも、テロ攻撃のさい使われたアッグ等は間違いなく死ぬ、狂信的理由ならお望み通り神のみもとに送りつけるだけで良いが厄介だ。

 

「これは、陽動でも助攻でもなく・・・見せ金?」

 

考えうる限り最悪の予想だった。 

これは要するに、かつてのスペイン内戦等と同じく他人の土地を試験場にしているだけか?

コリニーは個人的にワイアットを嫌っているが、彼の戦略観点については信頼していた。

彼は右翼過激派に近いだけで市民の安全を考える点には曇りなく忠実である。

 

「クソッ!!してやられた!!」

 

クローニングの実戦テスト、無限に有能な専門職の人的資源が涌き出る魔法の壺!!

これで連邦軍は数的優勢を完全に喪失したッ!畜生!! 

コリニーは考えたくないが、考えるしかない現実を見た。  

軍人と言うのは最悪を考える生き物だ、そして大概。

 

もっと悪い形で現実がやってくる。

 

だと言うのに連邦政府は根源を絶つべく行動しない。

今機先を制せんでどうするのだ、暗礁空間の残党連中は今にも動くぞ!

 

コリニーの予想図は事態を憂慮する幕僚たちの代表例だった。

そして、そう言う思考に至ることに真の目的があった。

 

 

連邦政府は被災者支援案にコロニー移住を提案した。

ワイアットは連邦政府は本気か疑わしく思えた。

避難とか言うのは、記憶と思い出を根刮ぎ奪って追い出すのと同じことだと言うのに。

あまりに馬鹿げているので公式に苦言として公表した。

ああいう役人根性は本当に気にくわない。*1

上手く危ない連中に利用される前に私でお茶を濁そう、結局避難した連中は政権すら覚えてないアンポンタンが声だけ大きい。*2

 

「珍しいですね、こうまで言うなんて」

「流石に放置していると民衆暴動になりそうだから、上手く代弁するしかない」

「将官って大変なんですね」

「公務員は楽じゃないよ」

 

ただ地球が養える限界に来ているのも事実と書いたが。

それでもコロニーに住もうと言う決断は多いらしく、セツルメント各州で住宅バブルが発生した。

少しは景気が良くなる、いや焼け石に水だが。

 

*1お前らのこったよ■■■!

*2当時の政権って今の与党でしたっけ?(すっとぼけ)




都合よく忘れる左右両翼は二重思考の鑑、イースタシア国民の模範()
ちなみに都合よく忘れた避難者はリアルで居ました、その人聖職者なのに共産党系左翼してて困惑する。(これでも一応クリスチャンプロテスタント福音派)


ところで日共がマルクスレーニン主義やめたって言ってたがそれ共産党なんすかね?
いやソ連中国ブッ殺路線の時点でエンベルホッジャみたいだが・・・。(アルバニア共産党とか言う共産党たちの問題児)



まあわしアジア主義右翼やねんけど(団結するアジアとか強いが絶対ありえねぇわ)


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大怪獣総攻撃

ハマーン様とあのMAが出てきます。


銚子の沖合いに大きな水柱が立ち上がりフリゲートと対潜哨戒機による攻撃が行われる。

対潜哨戒機のロケット弾と、短魚雷による近接攻撃への反撃で一機が墜落。

フリゲート<うらなみ>が爆雷投下を行うため変針する。

 

「砲戦用意!面舵一杯!」

「砲戦用意!」

「おもーかぁーじ!」

 

3インチ砲が旋回し、40mm機関砲に弾薬を装填する。

ゴッグが海面から浮上し、3インチ砲と40mmが攻撃を開始する。

理論上耐えれると言っても心地良いわけもなく、まぐれ当たりでモノアイ破損などしては困ることから再び潜航する。

 

《護衛艦<うらなみ>から対策本部へ。

敵水中MS浦賀水道に向かいつつあり、浦賀水道に向かいつつあり》

「敵の狙いは東京か」

 

松代の対策本部では軍広報が幕僚たちを後ろに指示を出す。

 

「おい、UAVに写真撮らせとけ。

水中MSとの戦闘シーン、テレビ屋と文屋が食いつく」

 

 

再び顔を出したゴッグに水上艦隊による砲撃が叩き込まれる。

大まかな位置を読んでいた艦艇の砲撃により、ゴッグは頭を抑えられてしまった。

 

「爆雷攻撃用意、爆雷攻撃用意」

 

対潜ロケット弾と爆雷が投下され、水柱が幾つも立ち上がる。

爆雷と言うのは火力云々と言うより、当たりさえすればいい。

基本的に潜水艦は脆い艦艇であるからだ。

潜水MSは重装甲であっても、無敵ではないし水圧と言う地球の力は等しく冷淡なまでに平等だ。

 

「さすがにやったか?」

「さあ・・・、あ!」

 

しかしゴッグは未だに動いている。

フリージーヤードの膜を展開して衝撃を和らげていたのだ。

 

 

《これより着上陸阻止決2号計画*1、三ツ矢作戦を開始する》

「射撃開始。繰り返す。射撃開始。送れ」

《機甲、弾種徹甲分隊集中射ァーッ、撃てェッ!》

 

羽田空港に阻止火点を展開した極東管区機械化混成大隊、つまりコジマ大隊による上陸阻止の射撃が開始される。

上陸用舟艇にロケット砲を積んで攻撃し、機関銃から203mm砲までを撃ち込む。

頭部と脚部のピンポイントにKE(キロエネルギー)ミサイルを搭載したファンファンが扇の形に展開してミサイルを撃ち込む。

練馬と駒門のガンタンク量産型による阻止砲火も開始し、瞬く間にゴッグが幾体も壊れていく。

すると、一際大きい存在が現れた。

それを観たコジマ大隊長は自分の目が信じられなかった。

あれだけ大きいのに、レーダー反応はゴッグと全く変わらないレベルだ。

 

「おいおい・・・」

 

紅い甲殻類、ガニメやエビラとか呼ばれていそうな大型MA。

無論驚くのも当然だった、何せそれはシャンブロに極めて近い大型MAだからだ。

サイコミュは無いが大型メガ粒子砲や、威圧感は充分だった。

さらにはグラブロにズゴッグの胴体がついた脚つきと呼ぶべき機体も複数現れた。

 

「JTAC!CASを、待機中のFS(支援戦闘機)引っ張ってこい!師団司令部に火力支援を要請!」

「了解」

 

幸いにしてミノフスキー粒子は極めて薄い、MPMS(64式多目的誘導弾)の攻撃と航空攻撃を用いればあのようなデカブツは・・・。

接近する海洋迷彩のフライマンタが地中貫通爆弾(バンカーバスター)を吊り下げて投下し、大きな爆轟が巻き上がる。

しかしあの怪物は確かに動いているのだ。

上級司令部がどよめき、JTACが再度の攻撃命令を出した。

 

「突入角度を直角に替えて攻撃!!」

《角度の問題じゃない!!》

 

ヒステリーに近い指示を行うも、プロトタイプ・シャンブロの甲羅から発される全方位拡散メガ粒子砲がバラ撒かれる。

そしてついに、奴の口が開いた。

ほぼ一撃で守備隊が消滅し、プロトタイプ・シャンブロは芝浦ふ頭に上陸。

首都でなくなったとは言え、東京を灰塵に帰した。

奴は三回しか撃たなかった、火災旋風が各所で立ち上がり木造家屋や燃えやすい物が多く警戒出動していた消防隊は全く打つ手がなかった。

 

「本部指令第129号。以後各根拠地隊及び守備隊は攻撃態勢を中止し極力消火と共に救助活動に努める事」

「本部本部。第439戦車隊は全滅!」

「群馬、山梨県の警戒警報を警報に変更せよ」

「有楽町の炎上対応不可能、目下対応手段無し」

《全員退避せよ!全員退避せよ!本部施設より退避せよ!》

 

やがて練馬、朝霞の対策本部や火力拠点すらを突破し、群馬に突入。

新潟県の新発田市から日本海に潜った。

 

 

ワイアットはひたすら続く物資輸送に関する書類に記名する作業の休憩中に事態を知った。

日本海に入水し朝鮮半島の新義州から大陸に上陸、中国関東州を荒らして北京に侵攻しようとしたが中国管区が軌道上の艦艇から徹甲弾を叩き込んで爆砕した。

噂じゃこれでも駄目なら25メガトン級水爆によって焼却するつもりだったらしい。

幸いこれを最後にテロ活動が沈静化したが、ペストとコレラが被災地で大流行している。

・・・たちの悪い右翼や左翼はこれを化学兵器だと言い張っている、朝鮮戦争の時の中国義勇軍かよ。*2

 

「軍も予備役動員です、この前復員させたばっかりなのに」

 

このルナツーでも予備役から戻ってきた人員は大勢いる。

昨日食堂でアイカ元秘書官とシレーヌ秘書官が話していた。

 

【挿絵表示】

*3

 

「私の休日は儚く散りました」

「おや、何かあったのかな」

 

シレーヌ秘書官がそう言うので、ワイアットは尋ねてみた。

 

「月面でのバケーションを予約してたのです、はい」

「・・・御愁傷様」

「この怒りと悲しみと憎しみを誰が分かってくれようか!」

 

なんかバッフ・クランみたいな事を言い出したよこの子。

 

 

終戦直後の大規模テロ攻撃は連邦市民たちに大きな恐怖と、憎しみを抱かせました。

現代ではよくわからないかも知れませんが、イデオロギー戦争と言うものはそう言うものなのです。

しかし一番の原因は流通が混乱し、都市部に難民が集中した事による犯罪の激増、軍と警察が対応しきれない事による暴虐の嵐が起こったからです。

この"スムゥータ(動乱時代)"は、後々の連邦内戦に大きな影響を及ぼしました。

 

【ムーンレイス中等教育歴史学科教科書】

 

アクシズ緊急幹部会議ではジオン残党の幹部達が額を集め、何でこうなったかを考えていた。

こんなはずじゃなかった、どうしてこうなった。

このような作戦は想定されていなかった。

想定していた作戦は速攻をもってジャブロー降下を行い、連邦に強烈な一撃を加えて自主独立権などを認めさせる短期決戦作戦だからだ。

 

「そもそも、あのMAは公国の開発計画にはありましたが作られては居ません。

完成予想図が書かれた位です。

それに、地球上の潜伏した部隊にアッグ等を有する部隊は有りません、オデッサ戦の暫し前に全滅しました」

 

マイ中尉の説明は、誰かの暴走と言うことが絶対に有り得ないと示していた。

指導者のマハラジャが病に臥せっている為、代理人としているハマーンは深刻な顔で言った。

 

「兵たちの動揺も大きい・・・これでは支持者たちの援助も止まるやも知れん」

「ともあれ、残された選択肢は三つです。

静観してほとぼりを冷ます、速攻を仕掛けて火事場泥棒の汚名を背負う、公式見解と弔文と救援物資を出して名誉回復を図るかです」

 

デラーズの意見は短いが的確だった。

タカ派の筆頭たる彼でさえ現状の武装蜂起は不正解と考えている。

当然だ、連邦はそれを認めないし各セツルメント州も認めんだろう、

ハマーンは二者択一を迫られ、結局名誉回復を選んだ。

組織を運営するとは極めて苦労する、ハマーンは胃に痛みを感じながら会議を終えた。

 

*1元ネタは防衛庁時代の三矢研究と決号作戦

*2中国義勇軍では疾病が相次ぎ化学兵器だと抗議したが、米韓両軍は衣類の衛生問題に原因があると指摘している。

*3なんかシレーヌ秘書官が似ないんだよなあ...。




本作のハマーン様、なんだか茅葺総理みたいになってきた・・・。
胃薬常備の17ヤンキーモモ、書いてて楽しい。


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【投票】中間選挙と新型艦艇

作者が一年ぶりにR6S再開してドはまりしてて執筆時間がありませぬ...(ヒバナちゃん可愛いヤッター!)
・・・あとGIGNのP90くん精度すごいっすね


中間選挙来る!FEDRAと警察は事態に難色

支持者同士の衝突相次ぐ

 

現セツルメント政権誕生から二年、中間選挙が近づいている。

しかし治安と軍部は揃って嫌な顔、この前はライヤー将軍が「選挙やるのは良いことだがFWWとEFAの活動禁止を通してからにしよう」とか言ってる。

 

「・・・しかしあの手この手だな」

 

連邦緊急事態対応庁(FEDRA)がテロ事件以降発足、SST擬きを吸収して今や強大な打撃力と機動力を有している。

特筆すべきは機動特別火器攻撃隊のMSWATだ、NT-1アレックスの技術を継承したジム・カスタム改造のクゥエルとか言うのを運用し、

モスボール送りの筈のトラファルガー等で構成される機動艦隊すら有している。

おのれジャミトフ、どうにかして歴史のゴミ箱送りにしてやる!*1

まあ半配給や遅配、欠配が頻発していたから仕方ないんだが・・・。

 

 

「我々も、ボストン港が茶色く染まった時は、この世界がどんな場所であるか気付いていなかったのですよ」

ー佐藤大輔『レッドサンブラッククロス』ー

 

 

アイリッシュ級戦艦とアルビオン級空母が各三隻就役した。

おおよそ一年近い期間がかかった。

 

「戦時急造型とは言えサラミスやマゼランは数ヵ月でしたのに、偉く時間がかかりましたね」

 

シレーヌ秘書官が尋ねた。

空気を含ませつつミルクを入れて、緩やかに撹拌してワイアットは答えた。

 

「君、紅茶をパックに詰めるだけと、土から育てるのなら、前者が早いのは分かるだろう?

あれは新造戦艦だ、ドックからして作るしかないからね」

「なるほど、ではペガサス後期型と殆ど変わらないアルビオンが遅いのは?」

「・・・予算配分と決算だろうねぇ」

「悲しくなりました」

 

まあ八八艦隊とかの夢の帝国主義的艦隊これくしょんより自制も熟慮もしているから良いか。

お舟を作るのは大変なのだ。

新造戦艦とアルビオン級は二隻ずつソロモン鎮守府送りにする、現状のソロモン鎮守府の艦隊は余り物の寄せ集め第八艦隊程度だ。

何かあったら増援が行くときまで維持できるよう戦力を増強しておく。

なおそのソロモン送りに選ばれたのはワッケインである、ナムアミダブツ!オタッシャ重点な。

 

 

ワッケインの書類を見ての第一声は「死ねとはっきり言えないのか」であった。

容赦なく翻訳すればワイアットは「主力が来るまで頑張ってね!」である、つまり「立ち向かえる力無いんで帰らせていただきます」は出来ない。

面倒事が嫌いな官僚主義的気質色濃いワッケインは何てことだと現実の辛さを痛感した。

渡された<アルビオン><フランソワ>と<アイリッシュ><ラーディッシュ>は、周辺コロニー住民にはそこそこ受けが良かったが。

なおアルビオン級は各国の古語を基本としている、三番艦は<フソウ>だそうだ。

 

「結局こうなるんですね、運命ですね・・・」

 

なんやかんやの人事的アレコレと、ワイアットの「あっさり落ちても困るから有能そうなの送りつけてやろ」の保身的発想からアイカ中佐もやっぱりソロモンに送られた。

今や彼女はEFCM(地球連邦宇宙海兵隊)の航空宇宙輸送連隊、通称マチルダ連隊の副官だ。

マチルダ・アジャン大佐は海兵特有の押しの強さと女性らしさを両立する将校であるが、旦那は多種多様な搦め手で手に入れたらしいと噂されていた。

実際はかなりストレートで正攻法だったが。

 

「アイカ副官、次回の演習についての資料はあるな?」

「はい大佐、用意してあります」

「ではブリーフィングを行うので提出を」

「了解!」

 

しかしまあ、良い職場であった。

・・・大佐が酔うとたちの悪い絡み酒をすることと彼女が酒に弱いことを除けば。

ともあれ、ソロモン鎮守府は辺境ゆえ政争とは殆ど無縁でいられた所であった。

 

ー【中間選挙問題】ー

 

中間選挙は厳しい様相を呈している。

混乱は未だにあとを引いており、中間選挙は連邦の内戦をほぼ確実に呼ぶだろう。

しかし、それ以外の手段は民主主義の崩壊を生んでしまうかも知れない。

 

1:民主主義を信じて選挙を行おう!

 

民主党、セツルメント委員会は此方を支持している議員が多い。

しかしこの先にあるのは大きな混乱であり、行き着く所に行き着くかもしれない。

(HOI2的に言うと民主主義と開放的社会にスライダーが動くよ。)

 

2:軍部の提案に乗ってみよう

 

共和党の支持が熱烈な選択肢、過激な左右両翼を活動禁止にして選挙を行います。

暴動やデモは鉄の軍靴で蹴り飛ばして解決してやりましょう!

(タカ派右翼閉鎖社会にスライダーが動くタイプの選択肢)

 

3:困難を救うべく軍が動いた!

 

尊皇討奸!愛国無罪!危機を救うべく軍事政権樹立だオルラァン!!

救国軍事会議とか肩から白い紐を吊って喜ぶ蛮人(皇道派)とかかも知れませんし、国民は不満を抱くでしょう。

ですが混乱を武力で解決出来るかも知れません。

(政体が権威主義者とかになっちゃうヤバイヤバイ)

 

 

「八百屋のご主人。この前の選挙で私に投票してくれたそうだね。どうもありがとう」

「お礼なんていいですよ。そうだ、当選のお祝いとして果物を差し上げましょう。そこの棚に並んでいる中から、どれでも好きなものを選んでください」

「ご主人。そうは言うが、あの棚には腐ったスイカが1つあるだけじゃないか」

「それでも私は投票したんですよ?」

ー『ジョーク集』ー

 

 

*1モスル奪還時のシリア軍かトロツキーかよ




色々格言とか入れてるのはCODの死亡時のアレ由来だったり。


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明白なる運命(マニュフェストデステェニー)

推奨BGM:パリは燃えているか、ジョニーが凱旋するとき


中間選挙の熱により北米大陸リッチモンド等の地域では自称ミニッツメンを名乗る地球優先協会民兵が各所に現れている。

シアトルから旧シベリア共和国までの地域には米ソ連合を自称するFWWの赤衛軍民兵が現れている。

すでに北米西岸はサンフランシスコを中心に新カリフォルニア立憲君主帝国なる奇怪な連中が議会を纏めている。

南米ではかつてのアルゼンチンがサン・マルティン主義を掲げて独立運動を強めつつある。

アジアでは中国管区との領土的歴史的問題からインド・インドシナ管区が武力対決をしようとしている。

その中国管区では毛沢東主義の亡霊と清の亡霊、義和団が再来して五胡十六国状態だ。

ヨーロッパではドイツはファシスト政権が甦り、フランスは共産主義に落ちぶれ、イタリアとスペインはカトリック過激派政権。

 

我々はこのような瀕死の重病人の地球を救うべく介入する!

 

【挿絵表示】

 

 

ーFEDRA、緊急安全保障法案演説ー

 

 

中間選挙の混乱はついに最高潮に達した。

ケネディ首相は国内の安定化の為、憲法に基づく禁止令を命じた。

これによりFEDRAは過激派摘発を開始したが、ブランチ・ダビディアンのウェーコ包囲戦*1と比較にならない規模で暴力を辞さない摘発が実行された。

また、南洋宗と言った終末論的宗教集団も摘発が行われた。

ジャミトフの宗教摘発と解決手段は、彼よりカルトのたちの悪さを理解するワイアットでさえ認めざるをえない解決法で解決された。

明らかに摘発され拘束されたにも関わらず行方不明とされ、航法装置の事故により一隻の旧式民間船舶が太陽に突っ込んだ。

彼らは聖遺物も殉教の英雄も出さず解決したのだ。

 

しかしあさま山荘のようにMSがハンマーで民兵拠点を叩き壊す手段は何かと市民からの反発が大きく、

民兵との市街戦に発展することもしばしばであった。

特にセツルメントでも一斉摘発が行われ銃撃戦が各所で発生すると、宇宙に住む市民は不安を大きく募らせデモやストライキが発生。

FWWも摘発により港湾ストライキを行った事からFEDRAへの悪感情が増大した。

 

【挿絵表示】

 

 

【挿絵表示】

 

それでもデモは収まらず、FEDRAは強権的体制を強めていく。

法案の必要は無かった、彼らは初手で全域への戒厳を行ったのだ。

 

【挿絵表示】

 

連邦軍は各所で統帥権の干犯を理由に知らぬ存ぜぬを通そうとしたが"反愛国的"を名目に何人かの将校が拘束された。

 

 

そして。

 

 

当然。

 

 

その何人かには彼が居た。

 

 

つまり。

 

 

グリーン・ワイアットである。

 

 

「ほう、艦隊総軍は協力を拒むと?」

 

ルナツー鎮守府の客間、シレーヌ秘書官が茶を置いて即座に退室する。

ジャミトフは含みのある険しい顔つきで睨んだ。

 

「当然でしょう、連邦軍は市民に銃口を向ける事など致しません、当たり前です」

「これは依頼ではなく命令です、ご理解なされておられるのですか?」

「では事務的手続きを踏んでください、書面に判印と議会と政府の署名のある物をですよ?そろそろよろしいですか」

 

日本人特有のたらい回しスキルを遺憾なく発揮してさっさとジャミトフを追い払おうとするが、ジャミトフはため息をついて言った。

 

「治安妨害の現行犯として、貴方を拘束させていただくしか無さそうですね」

「ははは、面白い冗談をおっしゃいますな!」

「いいえ、本気ですよ?」

 

客間の扉が開き、兵士が現れた。

肩にFEDRAのマークが入ったアーマーを着込んだ兵士が。

 

【挿絵表示】

【イメージ】

 

「ファシストの軍国主義者が┈┈!!」

 

彼の意識は、腹部に叩き込まれた銃床により失われた。

 

 

後期生産型ペガサス級の<イラストリアス>に向かうシレーヌ秘書官を、FEDRAの兵士が呼び止める。

 

「シレーヌ中尉、貴方にもご同行願うよう命令が来ています。

軍籍手帳をお預かりいたします」

「そうですか、少しお待ちを」

 

シレーヌは歩きながら近づき、ポケットに手を入れる。

そして注意をそちらに向けていたことで自由を得た片手で太股のホルスターに隠していた拳銃を抜いた。

 

「私の答えはこれだよ!」

 

ダブルタップで一名の頭部を撃ち抜き、応戦しようとする一名に撃ち殺したもう一名を蹴り飛ばして盾にする。

続けて死体を退けた無防備な瞬間を撃ち抜いて彼女は悠然と歩いていった。

 

「派手にやるじゃないか」

「旧世紀のヤンキーの映画のようでしょう?」

 

シーマはそう言うと、インカムでコッセルに連絡した。

シレーヌからワイアットが拘束されたことを知ったシーマは、ソロモンに一旦退却するつもりだった。

ジャミトフは間違いなく自分達を殺すだろうし、ワイアットが死ぬのは構わないが死なれると自分にも嫌なフラグが建つので、

ワッケインたちも巻き込んで彼のフラグをWTCより派手に壊すことを決断した。

自分達が生き残る為の決断に関して、彼女は誰より鋭い感性を持っていた。

 

 

レビルの自宅の前に、FEDRAの装甲車が展開する。

突入作戦は完全な空振りに終わった、彼はすでにそこにいなかった。

既にゴップからの情報で彼はイングリッドと共に宇宙に脱出していたのだ。

 

 

宇宙世紀0083年の1月24日、FEDRAの摘発がジオンに及んだとき、彼らはFEDRAが徴発していたトリントン基地を襲撃。

核武装を前提とした新型機動兵器<デンドロビウム>を奪取すると同時に全世界に放送を開始した。

 

《諸君!!これがFEDRAと悪の圧政者たちの真の姿だ!

かつての戦争には互いの正義と名誉が存在したが、彼らはただ暴力を振るうばかりである。

地球連邦の勇士よ、市民よ、それでよいのか!!

ジオンの勇士よ!故国を汚す不逞の輩を許してよいのか!

断じて、違う!

我々は正当なジオン民草の自主と自由を防衛するため挙兵を宣言する!!》

 

世に言う、デラーズによるジオン残党一斉蜂起と連邦内戦の始まりである。

かくして、世界規模の内ゲバが始まった。

 

*1武装したカルトとBADF、州軍が交戦した事件。戦車等を投入した事から憲法的に問題視された。




内戦の時間だああああああ!!!!!!!
LAWルート選択しちゃったジオン独立派、セツルメント及び連邦民主主義軍VSジャミトフVSハマーンVS地球のマジキチ過激派。
キチガイまみれのパラダイス!!こんなカオスなガンダム世界があって良いのか!!と言うか連邦とジオンの共闘艦隊とかわけわかんねぇ!!




失礼、アツモリと出てしまいました。
こう言う世界があってもええやん?


ちなみに選挙したらセツルメント勝利以外結局こうなります、セツルメント勝利したらケネディ暗殺イベントからのジャミトフ軍事政権からのジャミトフ暗殺からの内戦です。
回避ルート?ないよ(どっちみちジオン残党居るし)


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TheSecondCivilWar!

連邦第二次内戦はーじまーるよー!(1回目はジオン独立戦争)

ワイアット「やってやろうじゃねぇかこの野郎!!」
アイカ元秘書官「救国軍事会議・・・うっ頭が」
シレーヌ秘書官「まーたロベスピエールから独裁者か壊れるなあ」


連邦が内戦に突入した。

米ソ連合と地球優先協会が武装決起、FEDRAが交戦に突入。

ケネディ首相はラジオ放送に於いて人権の弾圧は許されないし、行き過ぎた蹂躙は認めないとして連邦政府はFEDRA含めて反逆者と非難した。

ジャミトフは皮肉を込めて自称エンクレイヴ、少数派のマイノリティーを名乗っている。

残党軍の艦隊とジオン共和国軍、セツルメント州軍は指揮権を移譲し、連邦政府はソロモン要塞に移転した。

公式に地球連邦を脱退した高級軍人も何人か出た、エルランやジャミトフは離脱してエンクレイヴ入りしたし、

月面ではバスク大佐のクーデターによって宇宙艦隊からも離脱者が多数出た。

 

大丈夫、まだ予備役の若者が居るし企業の工業力は軒並み宇宙だから。

なんとか、なるから。

 

 

1週間しない内にエゥーゴとか言うアナハイム傘下のPMCが企業自衛権とかを主張し出した。

企業の犬があああああ!!!!三菱くらいとは言わんが小松くらいの愛国心出せやおらああああん!!!

だーから多国籍企業なんかやめろって全く。

一応連邦を支持しているらしいが、見返りが高くつくのは間違いない。

何とかして殺そう。

 

 

拘束されて2週間、ワイアットはそこそこ健康的な最低限文化的な生活をしていた。

部屋は生活に必要な物を積めており、紅茶が無いことに甚だしい嫌悪感と憎悪と殺意を抱かざるをえない以外に欠点は少ない。

着替えも風呂もあるし、食事に関しても極度に非礼でもないが豪華でもない一般的なもの。

灰色がかったピンク色のシチューとかストーブもない英空軍よりずっとマシだ。

彼には自分が殺されないと言う確信があった、ここで自分が殺されると確実に殉教の英雄として奉られる。

古来よりそう言うのを得た組織の抵抗は凄まじい、故に私は殺されないと言うわけだ。

それ故、夕食後に現れた来客にも特に気にしなかった。

 

「鍵は外からしかかからないんだ、この部屋はね」

 

ノックに対して返答し、ワイアットは足を組んで尋ねた。

入ってきたジャマイカンは拳銃を抜いて、彼に向けた。

 

「なに、召される時が来たんだ」

「ふーむ、君が私の死かね、面白くないな。

告死天使にしても面白くない」

「そのわりにジタバタしないんだな」

「打つ手が思い付かないからね、事態は新聞より悪いらしい」

「その通り」

 

ジャマイカンはそう言うと、引き金を引こうとした。

しかしその時。

 

《どっせいおらあァーッ!!》

 

エドガーの絶叫と共にドーザー装備の陸戦強襲型ガンタンクが突っ込んだ。

 

《騎兵隊の到着だァッ!!》

 

マットがそう叫ぶとタンクデサントから降車、正面玄関の防御陣地はこんな事態を想定していなかったため意味を成さなかった。

彼らは船舶の航路からワイアットがグリプスに居る事を突き止めた、そして博物館を運営しているロイ一家から徴発したオデッサで工兵車両にされてグリプスに展示されるという運命に甘んじていたRTX-440を使うことを閃いたのだ。

退役しているとはいえ最新MBT試作車両である、機関銃など受け付けなかった。

 

「な、なんだ!?」

 

衝撃に倒れて拳銃を落としたジャマイカンと、戦艦で何度も揺られて経験あるワイアットでは復帰までの時間は明らかにワイアットが有利だった。

彼はこの隙を見逃さなかった、出来ないことをジタバタするのも嫌だが機会とチャンスと望みがあれば即座に行動する。

起き上がろうとするジャマイカンに踏みつけを一撃浴びせて昏倒させ、拳銃を奪って部屋を出る。

趣味の悪いジャマイカンはアフリカの独裁者のような金色の50口径拳銃で、ワイアットは呆れた。

しかし入り口の見張りに撃ち込むと流石にボディーアーマーにも効くらしく、一撃ノックアウトで倒れた。

 

「危険手当だ、あげるよ、これ借りていくからね」

 

ライフルを借用して彼は音の方向に駆けた。

すると略帽のFEDRA隊員が二名、奥に銃撃を浴びせていた。

 

「えーと、これが三点射のセレクターか」

 

ライフル射撃などやったことなどないが、近くて無防備な敵を一人倒すくらいは出来た。

しかし気付いた二人目が狙いを定める前に撃つのは、間に合うわけがなかった。

彼はこう言う肉体労働をする軍人じゃなかった。

振り返ったFEDRA隊員は彼を撃とうとしたが、アイカがその前に彼の背中をスイスチーズのようにした。

 

「提督、散歩ですか」

「いや、ジョギングだ」

「漫才やってないで早く来て下さい!」

 

マチルダはそう言うと、自身のドラケンの40mmを撃ち込んで通路を崩した。

施設の外に出ると、圧力隔壁をブッ壊してベイから乗り込んだジオン海兵隊の<リリーマルレーン>が展開している。

連邦製の火器で武装したゲルググマリーネやザクもおり、即座に要所を制圧していた。

 

《随分楽しそうじゃないか》

 

シーマが笑っていった。

 

「どういう風のふきまわしかな」

《私らはあんたが生き残るって方に全額賭けてんだ、ペテンやイカサマしたってその通りにならねぇと困るってわけよ》

「成る程」

 

アイカが借用したRTX-440に料金の小切手を張り付け、ゲルググが隊員を回収する。

嫌がらせに伝単を撒き散らしてベイを抜け、あわてふためくFEDRAを後ろに悠々と逃げる。

確かにバスクの機動艦隊などが彼らにはあるが、結局にわか水兵だ。

海軍軍人(セーラー)は臨機応変と経験がものを言うし、<リリーマルレーン>はバルーンで岩石に化けて接近したため即応待機していた艦艇は間に合わなかった。

軍艦と言うのは色々手間のかかるお嬢さんなのだ、大事にこれくしょんしよう、間違っても船はないのかとか言われて面子の為に片道切符発行してはいけない。*1

 

「敵艦艇、追撃の様子を認めず」

「事故った巡洋艦が塞いでます」

 

無理した巡洋艦がベイを塞いでしまったようだ。

 

 

アイカ元秘書官から信じられない話を聞いた。

デラーズとケネディが宇宙移民の人権保護と生存権の為の協力を会談して成功させたらしい。

ハマーン達のようなザビ家の崇拝者とかのキマッた連中ではなく、独立運動を目指した連中はジオン残党軍改めジオン自衛軍となった。

掌はマグネットコーティングか?ムーバブルフレームとかか?いや一番割りが良くて良い選択肢だが。

ワッケインは初動対応で上手くやったらしい、ソロモンのFEDRA同調者やシンパは組織だった抵抗をする前に拘束された。

しかしルナツーは陥落、月面はフォン・ブラウンが企業祖界を宣言してPMCエゥーゴが支配下だ。

企業は表だって反連邦的なことは言っていないが、終戦したら何を言い出すか分からない。

全くフジテレビと産経新聞やセブンイレブンジャパンとかじゃないんだから親を食おうとするんじゃないよオメーはよお!*2

取り敢えず整理して状況を把握する。

 

敵対勢力はエンクレイヴを自称するFEDRA、いまだに革命する気の貧乏赤豚の米ソ連合、レッドネック貧乏白豚の地球優先協会、ハマーンを筆頭とする悪の枢軸(アクシズ)、他は泡沫なので割愛。

 

対する味方は旧ジオン残党も含むジオン共和国自衛軍(長いのでZRSDF)、セツルメント州州軍、民主主義忠誠派連邦軍。

 

まずやるべきことは指揮権を抜本、統一し整備していく事。

それと戦争経済体制を確立して前線と銃後を整える事である。

前者を疎かにするとスペイン内戦の共和国軍や中越戦争の人民軍に成り下がり近代軍制が破綻するからだ。*3

後者を疎かにすると飢えたかかし兵団となる、物量を維持する兵站と輸送手段がなければ虚数でしかない。*4

そう言うのを得意そうなモグラが居るので手早く拉致っていきたい、しかしそのモグラは行方不明だ。

 

 

いま自由を謳歌できる国は我が国だけとなった。

我が国は人類が頼れる砂漠の中のオアシスのようなものである。

民主主義的モラルも経済力も保持する最後の砦である。

我々がこのオアシスを守り切ることが人類への貢献である。

ーフーヴァー『裏切られた自由』ー

 

 

*1おめーの事だよ帝国海軍、艦隊保全主義学びなおせや

*2どっちも親会社が子会社に合併と言うたまげた結果になった。

*3SEEDのザフトとかアレ絶対組織が破綻する。

*4本作で何度も言うが戦場に数を投入して戦力として機能させるのは大変なのだ!




デラーズは原作でもギレン信者のだけではなく、思想と独立の実利を分けて考えれると言う書かれ方もされていました。(キシリア派の粛清が無いため)
本作のギレンは戦争などに手段以外の感情がなく選民思想に目覚めなかった事からデラーズも原作から変わったと見ると矛盾もないです。

あと誤字報告義勇軍諸氏の活躍には誠感謝しております、労働英雄勲章あげるぞ!スタハノフ労働者精神でこれからもよろしくお願いいたします。

(スタハノフ労働者:賃金以上をすること、日本人の必須科目はソ連生まれらしい、やはり社会主義国家だった・・・?!)


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再編と集結と戦力化

連邦内戦が些か急だったかも知れませんが、シリア人の話で「まだ戻れると思ってたら一気に崩れた」と言うのが印象深かったのが大きいです。
しかしシリア内戦がアサドくん生存ENDに向かうとはおもわなんだ、あそこでアレだけ巻き返したのは偉業だと思うよ。
CBRN兵器使ってる世紀末世界だけど、アイツらだけFalloutしてる。

ウクライナくんはどう?ルガンスク・ドネツク、沿ドニエストルどうにかなりそう?
やっぱ選挙で勝てない奴等はダメ(アサドくんの政策は悪くはなかったんだがなあ)


戦力の再編と集結、集約。

人的資源問題は心配しなくて良さそうであった、エンクレイヴに軍事占領されたかつてのサイド7以外の地域から民間義勇兵達が志願している。

当然だ、彼らにとっては生きるか死ぬかの問題である。

装備品と弾薬、艦艇問題はエゥーゴが事実上統治権を奪取しているフォンブラウンの造船所が無い。

つまりせっかく血税を投じた新型戦艦とかの造船所が取られました、今ならエリンを借りパクされたオスマントルコの気持ちがわかる、殺意も向けたくなる。

 

「ZRSDFの指揮権問題はレビル将軍により解決された、拗れなくてよかったよかった」

「えぇ、軍組織として機能しています」

 

デラーズたちは正式にZRSDFに編入、統帥権も滞りなく済んだ、私兵の癖に偉く物わかりが良いのは不思議でならぬ。

装備品問題はラビアンローズや茨の園、グラナダの造船所に依頼するしかないが連邦軍はラビアンローズ以外に発注してないから未経験者しか居ない。

グラナダなんてチベやムサイしか軍艦を作ってない、幸いサラミス級の整備補修を担ってた所から人員を回したりすることになるが個性豊かな艦船ができそうである。

この問題を解決するべく航空巡洋艦構想が提案され、新型航空巡洋艦が計画されている、どう考えてもFHSWの仁淀*1みたいな感じになりそうなんですけど。

 

「弾薬の規格も統合しなくては┈┈38式と99式のような馬鹿げた話は繰り返したくない」

 

ジオンの弾薬と連邦の弾薬は全く違う、え?mmがあってるから問題ないだろって?それがあるんだよ!

同じ5.56mmでもK2ライフル、M4カービン、89式では想定されている装薬等が違う。*2

それに連邦はケースレス弾であるがジオンは空薬莢回収用の袋が着いたライフルをよく使う、金属資源が再利用出来るならあちこちで消費を抑えるしかないからだ。

ビームライフルもあるがアレは電力問題がある、ある程度に抑えて威力と両立させた物もあるがそれの配備完了までのコストが高過ぎて笑えない。

ただこれはすぐに決着がついた、財閥解体で分裂した元ジオニック系列のメーカーがローコストのライフルを用意し、バレルと機関部を交換しやすい物を作ってくれた。*3

 

【挿絵表示】

 

┈┈ストックとか木製っぽいがこれ廃材流用なのか?加工すればそりゃ戦闘機になるし宇宙なら良いが。

今メインで生産担当してる企業はジオンのミシンとかの精密機械製造企業だから兵士が良い印象を持たなそうだが。*4

この武器をSTG82、もしくはM82として生産する。

 

「しかしこのドラッツェは使えそうだ」

「えぇ、ドラム缶やバスケットボールより見栄えします」

「┈┈しかしこのリックギガンってなんだ一体、これ担当のジオン技術陣は正気か」

「慎みある人間はそれについてあまり深く考えるべきでありません」

 

期待すべきジオンの新兵器ドラッツェ、宇宙機として破格の性能を有している。

その癖ドチャクソ安い、色々弄ってもコアブースター三機くらいの予算でMS一機より安い。

工業製品として規格が一致しておりセイバーフィッシュのミサイル等を外付けして扱える、正直セイバーフィッシュは限界が来ている。

セツルメント州軍の自衛手段としてドラッツェは名誉ある任務について貰おう、人民はパンと魚のようにこの子を求めている!

我々にとってのIL-2、いやソードフィッシュやウェリントンとなるだろう。

皆 様 を 守 る ジ オ ン の 愛 国 機 

┈┈ギガン?いやちょっとあんな暗黒星団軍の兵器は専門外ですね。

 

「さて、ワッケインくんに頭を下げるか」

 

ワイアットは艦隊総軍司令としての頼み事をすることにした。

 

 

頼み事を終え、続いて報道検閲に関しての会議に参加する。

最もこれはすぐに良い解決策が出た、所詮記者は清廉潔白の聖人君子とは程遠い地平線に居るので銭と恐怖で解決する。

無論ジャーナリズムを信奉する優秀な記者は居るだろうが、そんなもの新聞に載せないよう脅す必要などない。

マスコミは所詮スポンサーのご機嫌で決まる、誰によってそうなるにせよ連邦の敗北はスポンサーの破滅を意味するから自主的に控えるのだ。

無論草の根的連中も居るが、誰がそんな連中の話を信じて行動するのだ?所詮戦時中だろうと家庭の悩みより現実的な物はない、家庭の悩みと直結すると終わるけど。*5

百人のマスコミが真実を叫べば一人の正義の味方の事実を掻き消せる、当たり前だな!民主主義的だろ。

 

「意外ですね、反対するかと」

 

シレーヌ秘書官は首を傾げた。

 

「┈┈この内戦中にフランス第三共和政みたいな事をされたくない」

「火種が多いですからね」

 

本当に火種が多い、皮肉なことに民衆の方が好戦的である。

それもそのはず、彼らにとって先の戦争の思い出は散発的銃撃戦程度である。

セツルメント市民にとっては進駐軍は武装した警ら隊のような印象しかない、連邦の守備隊は艦隊が壊滅した際抵抗の術が絶たれた事と市民を巻き添えにすることを恐れて投降した。

対するジオン残党の面々は敗北を実感し、連邦軍は勝利を実感していた。

ともあれ、我々はやれる限りやって戦ったんだ。

その感情が軍内部対立を防いでいた。

 

「あーくそ、ろくに義務もやらず暴力振るうくせに愛国だのは一丁前に喋る二足歩行自走汚物撲滅したい」

「残念ながら風邪に勝てない現状バカにつける薬はありませんよ」

「やはり銀の弾丸を見つけねば」

「鉛で5.56mmくらいの穴を頭に作って最終的解決が出来るとは思えないですね」

「ニュータイプは所詮理想論なんだなぁ」

 

ワイアットは嘗ての現実世界を思い出して呟いた。

他人の不幸に漬け込む左翼もクソだが掲示板以外に活動しない口当たりの良い情報のみを信じる自称愛国者は同じくクソだった。*6

まあそう言う彼も民主主義信奉のガンギマリ狂信的立憲君主改憲反対アジア主義の右翼だったが。

 

「結局景気ですよ、金と物さえ回れば国民は政府を批判なんてしません」

「もしくは危機が存在してそれに対応できていると思わせている限り」

「┈┈貴方本当に民主主義者なんですか?」

「誰だって空腹でないならヴィーガンに目覚める」

 

極めてグレーな発言だったが、たいして問題なかった。

不平と不満を抱いて愚痴を垂れていても公に声を大きくして言わない限り大した問題ではない。

シレーヌ秘書官はワイアットの二面性に違和感と恐怖を感じつつ、カフェオレのおかわりを淹れる事にした。

ワイアットはミルクのないコーヒーを、断固として飲むつもりがないからである。

彼はモスボールされていた艦艇がエンクレイヴとエゥーゴに取られたと言う知らせを聞いて、やってられるかこんなことと言いかけ無理矢理にカフェオレで押し込んだ。

 

 

"どうして軍人はこんな無粋な泥水が好きなんだ"

─ヤン・ウェンリー─

 

 

*1BF1942FHSWMODに出てくる架空改造仕様、何でも計画自体は実在したらしいが作者には不明

*2結局PKOで借りた弾薬は使わなかったが、理由はこれらしい。

*3ちなみに似たような方式で各種弾薬を使えるライフルは実在する、スプリングフィールドとコルトを信じろ。

*4元ネタはH&Kの初期の話、兵器作れないから仕方ないね

*5子持ちの母親は食料に問題が起こった際極めて素早く動くのは歴史が実証している

*6本作はあらゆる左右両翼、民族主義、人種主義、宗教を貶め侮蔑的に扱うニュートラルな作品です、事実しか言ってないからセーフ




次回はジオン共和国自衛軍の紹介と、エンクレイヴとかの紹介になります。
誰かジオン共和国警察予備隊の話とか書かない?どう?(ケルベロスサーガみたいな)
M4E8のポジションでルナツー生産型ジム、M24枠で初期型ジム、61式枠でザクFZの部品に改装した余りのJ型とか。

デラーズ「親衛隊解散して第一機動群(元ネタは第一戦車群)に再編するわ」
ガトー「私の役職名コロコロ変わるな?」
ライデン「第二管区隊特車群って言え」

自衛隊や韓国軍の60~70年代のあの色濃いまでのアメポチ傀儡軍スタイルすき。
90年代以降も結構すき。


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量産機への奇妙な愛情、何故私はザクとジムを愛するようになったか

怪文書です、ラリった薬中の言葉として受け取って下さい。


諸君、私は量産機が好きだ。

諸君、私は量産型が大好きだ。

ザクが好きだ、ジムが好きだ、アデルが好きだ、ストライクダガーが好きだ、ティエレンが好きだ。

西暦で、宇宙世紀で、アフターウォーで、コズミックイラで。

この作品の群で生まれる量産型が好きだ。

戦列を並べたオリジンのジムの横隊がザクを撃破するのが好きだ。

恐慌状態の敵機に、ラー・グスタの砲撃を切り抜けてサーベルで何度も何度も突きをいれようとする様など感動すら覚える!

ストライクダガーがサーベルを抜いて三機一組でジンを撃破するのは心が躍る!

熟練兵のザクが、ルナツー生産型ジムにより集団戦法で撃破されるのは胸がすくような気持ちだった。

重力戦線のドムが、颯爽と滑走してバズーカを撃ち込んでいくのが好きだ。

リックドムにジムが白兵をしかけ、見事討ち取る様はもうたまらない!

哀れなセイロン人民が、雑多な中古MSで立ち上がったのをティエレン長距離射撃型が上半身を木っ端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える。

 

 

 

 

主人公たちに滅茶苦茶にされるのが好きだ。

監督の遅筆のせいでコズミックイラの量産型がろくに動かず、一方的レイプの惨状となるのはとてもとても悲しいものだ。

アムロに目をつけられ、銃身を向けた途端に躱されビームで消し炭にされるのは屈辱の極みだ!

諸君、私は格好いい量産機を、主役同然の量産機を求めている。

諸君、本作をご覧になっている読者戦友諸君。

君たちは何を望む、更なる容赦ない出てはやられてを格好よく行う量産機を求めているか?

ビルギットやコロ落ちよりも活躍する量産機を望むか?

 

よろしいならば量産機祭りだ。

 

 

私がガンダムと出会ったのはちょうど4歳のとき、初めて見たのはファーストガンダムの劇場版三部作でした。

メッケルやらかして入院、一月のあいだ過ごしている間に暇を持て余しているので両親が暇潰しに幾つかの作品を借りてきてくれました。

ウルトラセブン、初代ライダー、初代ヤマトとかのシリーズです、もう完全にオタク育成キットです。

しかし私がガンダムを見たときの気持ちはこうでした。

 

「ザクかっけぇ!!」

 

えぇ、記憶に有る限り最初に見たアニメは父親が寝る前によく見てた銀河英雄伝説であったのが原因でした。

つまり当時の私は「そりゃ戦争やるんだから同じのが一杯いて一杯殺られる」を漠然と知っていました。

そんななかで量産される兵器としてのロボット、緑を基調とした兵器らしい威圧感を見せるザクは私には大きな衝撃でした。

今もですが私は同盟軍の標準型戦艦やアキレウス級が好きですが、同じ理由でザクが好きです。

そしてあの手この手でガンダムに挑むザク、新型兵器を見ていましたがまた大きい衝撃を受けました。

そう、南米のアイツたち。

 

「れ、連邦の量産型!?」

 

ジムです。

えぇ、衝撃でしたよ、何せ主人公機は、特にロボットではワンオフが当然だと思い込んでました。

しかし主人公機はテスト故にワンオフで、本命はコイツと言うのがたまらなくそそられました。

しかもズラリと並んでいるではないか!

おっ?ビームライフル片手に攻撃を┈┈うーん。

ダメみたいですね。

ジムは初めて動き、潰された。

その後も殺られ続けるがなお現れるジム、あるときは露天で係留されてたりしながらも彼らはやり遂げました。

ザクではなくドムを食ったジムが居たのです。

 

「やるやん!」

 

この時完全に私は虜になりました。

斯くしてガノタが誕生し、私は父親と見た逆襲のシャアでジェガンと言う新たな衝撃とF91のジェガンという悲しみを背負いましたが。

因みにこの時からワッケインは結構好きなキャラで、ゴップの何処か銀河英雄伝説感を感じる雰囲気は好きでした。

ところで00OVAで太陽光紛争か、漫画か小説で良いので人革連ティエレン部隊の話とかやりませんかね?どう?MSVの日本国防軍仕様のMS出さない?

 

 

あとSEED劇場版出す前にストライクダガーを発売してくれ本当、こんなのってないよ、あんまりですよ、リニアガンタンクと共に出してクレメンス。




因みに僕が英国面に落ちた理由は漫画版紺碧の艦隊に出てきたセンチュリオン(ブラックプリンスかも)が格好良くて、
そのあとの湾岸戦争物の漫画でチャレンジャーやチーフテン、ウォーリァーとかを知ったんです、
完全に止めを刺されたのは昔のニコニコで英国兵器シリーズって言う流石兄弟が紅茶キマった奴等を紹介するのがあって極めて面白くて。


さてここまで読んだ貴方、1D/100で正気度をお減らし下さい。


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マーケット・ガーデン作戦

◆アナウンスーン◆先の怪文書投稿に関して作者はケジメとしてマンゴーをもぐ研修を行わせました。◆ご安心です◆
作者改善はかしこくつよい!


地球と言う大きな戦場は泥沼の様相を呈していた。

連邦の州政府たちは州軍の指揮権を委譲したケースもあったが、離脱宣言を出さなかった州政府の少なくない数が州軍を自分達の為に使うことにしていた。

時としてそれは、連邦軍駐屯地の包囲と言う行動すら呼んだ。

彼らは関わりたくなかったのだ。

そしてほとんどの場合、エンクレイヴや米ソ連合、地球優先協会に叩き潰された。

最悪の例もしばしばあった、ナホトカから蹴り出された連邦極東ロシア管区軍が北海道に逃げ込み、同地の極東州政府軍第二師団と衝突した。

また、似たような話がドイツでもあった。

民族主義的ファシストと言うゲルマン民族の成り立ち自体を否定している無学なバカと、圧倒的多数派のイスラム人でドイツが勝手に崩壊。

チェコスロバキアやデンマーク州軍が発砲したことでドイツ州軍の敗残部隊が流れ込み勝手に死人が続出した。

連邦は難民と民族・人種問題を抱え続けていた、発足以来連邦共通語の試みは幾度も潰れている、言葉自体が違えば同類とはとても思えない。*1

同じ人間?人権?我々のための物資だ、何故奴等を入れる必要がある?

彼らと来たらレイプと無駄飯食い以外、何らの特技もないではないか!そんな連中を受け入れて何になる。

 

 

 

皮肉にもこういった意見は殆ど事実であるが故に、たちが悪かった。*2

しかし相手が悪党であろうと自分が悪党である必要もないと言うことは、スイスの国民防衛にも書かれている。

 

 

「この時代にナショナリズムですか」

「飢えが悪いんだ飢えが全部」

 

シレーヌの言葉に、ワイアットはやるせない顔で答えた。

当たり前だ、国や地域が一緒の奴を信じるのは簡単だし、そいつらから飯を削るより違う奴等から削るのが明らかに罪悪感を感じないのだ。

 

「内戦、本当に終わるのでしょうか」

「どんなときだって、良い時代悪い時代でも分け隔てなく終わりがくるんだよ、問題はどうやって終わるかだ」

 

ワイアットはそう言うと、サインを書き込んで作戦の準備を終わらせた。

マーケット・ガーデン作戦、この内戦でのイニシアチブを掴む作戦となる。

此をまず新聞等に垂れ込む、諜報活動と言うのはこう言う細々としたヒューミントを用い分析するのが基本である、どこぞのホモのM*3とかは類い希な存在である。

 

「しかし貴方も悪いことを考えますね、味方の将兵も国民も騙しているじゃないですか」

「敵を騙すには味方から、と言うからね」

「なんですそれ?」

「日本の諺だ」

「ジャポニズムにでも傾倒なされているので?」

 

シレーヌはふっと笑って言った、そう言えばフランスは欧州でも日系美術品に最初に食いついた国だった。

 

「良いものは何処のでも良いのだよ、事実我々もMSを作っている」

「なるほどね」

 

小さく囁くように彼女は言った、時おり正体についてバレそうな気持ちになる。

┈┈狂人でもない限りそれは無いだろう、仮に分かったらミニラブの101号室で自分探しの旅をしていただく。

 

 

ペガサス後期型の<イリーヤ・ムローメツ>の客間、大型の軍艦特有の気品ある部屋は不思議な雰囲気が満ちていた。

ワッケインはかなり押された盤面のチェスを睨むように見ながら言った。

 

「つい三年前、我々は刃を交えていたのにこうなるとはつくづく歴史と言う脚本家に驚きますよ」

 

デラーズは駒を動かし、ワッケインのナイトを倒した。

ワッケインが「あ」と素で呟き、デラーズは腕を組んで言う。

 

「ご不満ですか」

「いえ、ですがワイアット提督┈┈艦隊総軍司令が良く歴史を学ばれるのが分かりましたよ」

「実際、私も不思議です」

 

デラーズはワッケインが最後の博打とばかりにデラーズのルークを倒したので、予めそのつもりで待機させた駒で倒した、釣り餌だ。

結果、チェックメイトとなった。

 

「うーむ、これで三連敗ですか」

「チェスは良いゲームです、誰も死にません」

 

デラーズは普段の抑揚と言うより、孫と戯れる老人のような声で言った。

ワッケインも年相応の、その無愛想とさえ貶せる顔つきに感情を滲ませて言う。

 

「えぇ、あの日目の前で融解する駆逐艦のような事も、核爆発で目を火傷した観測員も見なくて済みます」

「そう、突然のデブリの奔流と魚雷で陣列を崩され敵に突入されません」

 

すると、ガトーが無帽敬礼し部屋に入室した。

 

「失礼いたします!閣下。全艦載機のエンジン換装が完了、予定通りです!」

「そうか┈では失礼」

 

ワッケインは脱帽し、握手して別れた。

通路に出るとガトーは尋ねた。

 

「どうです、印象は」

「伊達に開戦以来生き残っていない、かつて我が軍に多くいた椅子を尻で暖める愚か者とは大違いだ」

 

デラーズはニヤリと口許を歪めて、嬉しげに言った。

 

「これでまともな戦争が出来るぞ、戦争、戦争だ」

「えぇ、戦争ですよ、ようやくまともな」

 

 

アルは内戦だと言うのに学校が休みにならない事実に何とこの世は無情なりかと思いながら、支度を始める。

 

《マーケット・ガーデン作戦が発令され連邦宇宙軍が昨日出撃致しました。

軍は機密上の都合から作戦任務の内容や兵力については詳しく発表いたしませんでしたが、軍広報はこの内戦に大きな意味をもたらすと発表しています。

ですが発表された限りこの出撃にはジオン共和国も派兵をしています、結果や目的はともかく内戦早期終結に大きな意味をもたらすことは確実でありましょう。

しかしジオン共和国では"エアカバーの薄い艦隊であり、連邦を本当に信じて良いのか"と疑問視も───》

 

彼は扉を閉め、テレビの声は途切れた。

 

*1過去の漢字廃止による韓国での問題等性急に文字を削れば歴史的アイデンティティーを喪失すると根強い反対論があり本作では共通語はない。

*2端に母数が増えたからでは済まない数値の差が出てるんですがこれは

*3アラビアのロレンスはバリネコ




僕は排外主義者です(真顔)
宇宙世紀のポリコレAKとかややこしそう、ややこしそうじゃない?
ゲルマンって言うけどお前ら元々雑種じゃんって言うの本当に歴史の皮肉で笑う。


デラーズは武人と言うより闘争って言うか、永続革命論に近い雰囲気あるんすよね。
まあ私が二面性のあるキャラクター好きなだけなんですが。


イリーヤ・ムローメツはロシアの伝承に現れる存在です、<ワサッチ>と同じく指揮専門ですが<ワサッチ>は前期型で艦載機と言うより連絡機と電子戦機等でしたが艦体の改良故に攻撃型空母と指揮能力が両立しました。


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A Peace Too Far

遠すぎた平和。


出撃した連邦・ジオン連合艦隊は、途中でその数を減らした。

艦隊から離脱した第二小隊(構成は戦艦2を有する打撃群)は、予定通りの行動を開始した。

 

 

予定通り進出している連合艦隊前衛は、月面へのホーマン軌道で発見された。

 

「IFFに反応しないボギーを確認、艦隊防空識別圏に入った」

「ボギー加速、こちらに近づく」

「FI急行、ボギーへのインターセプトを開始」

「ビジュアルID、ボギー確認」

 

ワッケインは予定通りと自身を落ち着ける。

粒子を全く撒いていないので、彼らを見つけるのは簡単だった。

接近する偵察機はコアブースターの偵察機型であった、皮肉な事に要撃を開始した機体もコアブースターだった。

ペガサス級<インドミタブル>の航空団の機体は発砲許可が降りていない事と、躊躇いから警告を発する。

 

「貴機は連邦宇宙軍の公務執行を妨害している!直ちに当機の管制に従い着陸せよ!」

 

返事は無かった。

尾翼を見ると月面201飛行隊の偵察隊だと理解し、舌打ちして警告射撃を行う。

 

「ボギーは誘導に従わない!」

《ガンズフリー、キルボギー》

「アイセイアゲイン?」

 

彼はついに内戦で最初の公的撃墜記録を作ることに震えた、彼の同期の何人かはエンクレイヴ等についた。

 

《アイセイアゲイン、キルボギー》

「コピー。キルボギー」

 

あぁ畜生、アッラーは私を救って下さらぬ。

彼は観念し、徹底的に叩くしかないと言うコーランの教えを守った。

連邦宇宙軍艦隊総軍最初の公的戦闘であった。

 

 

月面プトレマイオスクレーターのプトレマイオスDC(防空管制指揮所)、エゥーゴが事実上乗っ取ったフォンブラウン防衛の要衝では突如画面が警戒表示となった。

 

「ぶふぅっ、なんだ!?」

 

アナハイム等の巨大企業資本の賄賂により下った所員たちは、突然の事態に困惑した。

しかし彼らも本業だけあってすぐに気付いた、レーダー設備が続々と壊されブラックアウトを起こせば理由は一つ。

連中本気でやる気だ!!

 

「警報発令!!」

「な、何が起きている?」

 

エゥーゴのPMC隊員が尋ねた、所長は呆れた顔で怒鳴った。

 

「戦争だよッ!!」

 

 

バスクは机を叩いて「してやられた!」と叫んだ。

エンクレイヴやエゥーゴと比べてジオン共和国やソロモンの連邦艦隊は殆ど欠員がいない。

組織だって行動が出来る強力な兵力であった。

内戦において正規軍の機動戦力はそれだけで大きな力を発揮できる、最悪なことにエンクレイヴは宇宙軍指揮官に欠いてもいる。

最高階級が大佐であるバスクが事実上宇宙軍指揮官となっていたが、戦力の有効な活用に難点があった。

 

「それもこれも貴様がワイアットを殺し損ね!レビルを捕らえ損ねたからだ!」

 

バスクは会議室でジャマイカンに殴りかかった、慌てて憲兵四人で抑える。

 

「レビルに関しては情報部の責任だ!!」

《鶏卵前後論争に熱中するは結構だが貴官らは自己の職責について考えるべきではないかな?》

《その通りだ》

 

モニターからハマーン、そしてジャミトフが不愉快そうに言った。

そう、宇宙戦力の不足をジャミトフはアクシズとの"口先だけの和平"で解決するつもりなのだ。

ここでエンクレイヴが完全崩壊し、エゥーゴが瓦解するのは確実にアクシズの死を意味する。

そんなことになっては全員絞首台送りである、そしてワイアットとレビルが連邦に参加したとき彼らの不安感はどうしようもない恐れになった。

事実ではないにしろ彼の行動に大きな影を見えるようになり、時間がそれを大きくした。

ワイアットがルナツーから離れない?まさかこれは気付いている?宇宙戦力を完全に手中に納めるつもりか?

結果、彼らはワイアットを拘束する事にした、そして彼が(非文明的ノルド解決法に基づき)救出された時それが確信になった。

 

《ともかく!奴等より先にエゥーゴを手にしなければならんのだ!!》

「ですが実働戦力はいまだ少なく」

《奴等に軍需生産拠点を取られたら我々は全員破滅する》

「了解」

 

バスクはやむを得ず動くことにした、宇宙要塞ルナツーの数少ない戦力を用いる以外彼らに選択肢等なかった。

サイド7は防衛能力等皆無で、軍需工場となったグリプスが無防備になるからそこの戦力は動かせない。

 

「クソッ!!あの忌々しい紅茶狂いめ!!」

「では私はこれで」

「貴様も来い!!」

「┈┈ジーザス」

 

ジャマイカンは小さく呟いた。

 

 

「なんてこった!!畜生!!」

 

アナハイムCEOであるメラニーは予想より遥かに混沌とした内戦以来、自分達が食い物にされる恐怖心に取りつかれていた。

一体何処で道を間違えた!?畜生!!復興需要に乗り損ねたんだ!!全部そこから狂っちまった!!

いや!!全部軍人のせいだ!!あいつらに原因があるんだ!!くそ!!くそ!!くそおおおおっ!!

 

「畜生!!」

 

メラニーの気持ちはある意味仕方ない部分もあった。

アナハイムは急速な宇宙開発事業に飛び付き、先手を打った企業であった。

このフォンブラウンは企業城下町であり、戦時中もジオンは何らの積極的アクションを取れなかった。

戦時中連邦は各種MSの製造と艦艇の建造を極めて莫大な額を提示して依頼、アナハイムはこれに飛び付き地上の建造ドックを拡張し宇宙港を改装した。

彼の予想では、戦争は暫く続く筈だった。

だがパナマ以来イニシアチブを喪失したジオンは巻き返せぬまま敗北していき、建造も一段落して追加発注は来ない処か一部打ち切りを公式に通知された。

つまり調子のって拡張したら不良債権と言う共産ルーマニア的有り様だった、訴訟しようにも連邦政府は「当時の人間と資料爆発四散したんでしーらない」とシラを切った。

続くセツルメント委員会が政権を取ったら今度は軍縮、復興需要に乗ろうにも皮肉な事に自分達が売った武器と機材で治安が悪化して投資しても回収できない。

結果業績赤字はうなぎ登り、リストラやろうとしたらFWWにバレて不祥事続発で政府に白眼視食らって株価は下落した。

南無阿弥陀仏!弱者を食い物にしてきた企業の哀れな末路である!因果応報!諸行無常の響きあり。

まあ一番連邦につけない理由は。

 

「ジオン残党なんかと手を組むんじゃなかった!!」

 

そう、アクシズに武器や機材を売り捌いていたのだ、しかも強烈な規模で。

倉庫の肥やし達を少しでも捌けてしまおう、金になるなら多少足元を見られても良いじゃないか!

そんなある日、ある注文が来た。

グラナダ工場の機材で幾つかのジオン系列MSと、とある巨大MAを作ってくれないか?色々改造もしてくれ、無論報酬は定価の数倍を出そう。

彼は飛びついてしまった、地球で内戦、それもMSを運用する規模の戦いなら業績赤字を補填して民需に応えられるのではないか?少なくとも元手にはなる。

結果、核兵器テロによる地球大混乱とシャンブロによるアジア攻撃といった一連の事件が発生し彼は追い詰められた。

貧すれば鈍する。

 

「本当、バカな人ね」

 

マーサが彼の部屋に入った。

エゥーゴのPMC隊員を連れて。

 

「き、貴様!!」

「これだから野蛮な種馬は嫌いなのよ」

 

メラニーが銃撃され、ガラスに銃弾が突き刺さる。

権謀術策を用いて生き残ろうとした彼は皮肉な最後を遂げた、剣によって立つものは剣によって滅んだのである。

主イエスの偉大なるインストラクションの通りに、アーメン。

 

 




元ネタはAH-64D納入問題とチャウエシェンスク政権崩壊。
本作のマーサは小説と同じマジキチ過激派フェミポリコレおばさんです、芯の通った狂人。
書いててリアルな人達から怒られないか極めてビビってるが現実も(この先運営が恐いので規制)


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The Man Comes Around

逆襲のシャア4DXみたけどすごいっすねアレ。
ところで富野のガンダムは本当に殴るし蹴りますね、あの人の空間戦闘理論とかどういう考えしてんの一体┈┈?


ワイアットは内心かなり焦燥していた。

連邦の核兵器は地上ではジャブロー、宇宙ではルナツーに貯蓄されている。

大した仮想敵は残ってなく、予算をバカ食いする大飯喰らいの核兵器なんぞは連邦政府により無力化されている。

しかし数少ない宇宙軍の核兵器およそ300発(最悪の場合の切り札)がそこにあった。

古来より戦略規模の核兵器は先制第一撃にこそその本懐がある、第一撃でなにもかも一切合切を粉砕する事こそその真髄だ。

故に、行動の先手をこちらがとって抑えるしかない。

此方が核を手にいれてしまえば、相手は迂闊なことも出来ず共倒れがあり得てしまう。

敵が動く前に!!一刻も早く!!

これこそマーケット・ガーデン作戦の真の目的であり、連邦内戦を早期終結させる第一歩だった。

レビルもケネディもこれに了承している、ともかく相手に主導権を渡さずブッ叩け!

 

「┈閣下、これは私的な質問ですが閣下は何故こうも自分から出撃なされるので?」

「政治的判断を現場で行えて、仮に中止しても私程度の面目失墜で済む上に、戦略目的も認識しているから」

 

ワイアットは何時からか兵卒の命と自分の命も必要なら消費される数字と認識し出した、戦争の悪影響だ。

しかしこれに関しての理由は、最後の理由があった。

 

「それに犠牲を賛美するだけの安楽椅子の将軍になるのが恐いから」

「┈┈なるほど、閣下は相反する思考をしていらっしゃる」

 

もしやして、本当に彼女は気づいていないか?

ワイアットは若干の不安を感じたが顔に出さないよう自然な表情を見せる。

話題を逸らすべく、彼はこの作戦の檜舞台の主役の準備を訊ねた。

 

「きみ、<ローグ・ワン>は問題ないね」

「はっ、臨時徴発したSSTOの事故のデブリとして軌道に進出し予定通りです」

 

ワイアットは腕時計を見た、あと数分。

 

「しかし私がルナツーを攻め落とす日が来るとはね」

 

CICの何人かのクルーが笑った。

運命って悪戯が好きなグレムリンなのだろう。

 

 

ルナツー司令官室、かつてのワイアットの部屋のハンガーにはトレンチコートがかけられ、彼の椅子に一人の女性が座っていた。

ノエル・アンダーソン少佐は29歳にして少佐の地位についていた。

これは絶望的人材不足に駈られたエンクレイヴ、連邦宇宙軍の後遺症で良くある人事だけではない。

彼女は軍学校幹部教育に於いて今後の機動兵器の発展と航空巡洋艦構想、エアカバー無しで動けぬ艦隊についての論文を書き上げた。

当初は一考の余地あるも現行を覆す破滅的イノベーションがないと(本人含め)認めていたので、将来的研究案程度には認識されていた。

だが事態は一変する、開戦とルウムの歴史的惨敗、ワイアット防空戦術概念、艦艇の防空改装。

艦政本部長秘書のレーチェルの推薦状もあって、彼女は若きホープとなった。

ティアンム艦隊艦隊幕僚として月面攻略、サイドの奪還作戦等にも従事した彼女はジャミトフ指揮下の宇宙部隊に転属、ついに少佐の地位を得るまでに至った。

 

「ルナツーはその防衛能力を活かして死守┈┈陸サンは海軍を分かってない」

 

機動戦力が動けん軍港なんぞ、何らの意味がない。

タラント空襲も真珠湾攻撃も呉空襲も、機動戦力がない港の末路ではないか!

防空戦力は確かにある、しかし指揮系統と部隊の再編は難航している。

ジャミトフは本質的にランドパワーの人間なのだ、あの男はシーパワーを理解していない!

ノエルは対する相手を、実情とはかけ離れた羨望していた。

ジオンの連中は本質的にシーパワー国家だし、ワイアットはセーラー(海軍軍人)の要点を良く理解している。

 

「ですがルナツーは前任者の趣味も含めて強化されています」

 

エンクレイヴに参加した元予備役の大尉は、彼の衰えを感じさせない声で言った。

彼はバニング、エンクレイヴ精鋭MS部隊シグマ分隊の指揮官であり、元連邦宇宙軍第四小隊を基に構成された彼らの切り札の一つだった。

 

「えぇ、特にこのC4ISRと軍事インターネット管制による防空体制。

イージスシステムは次世代の主役となるわ」

 

ある程度人の手を介在させて素早く有線でリンクする。

ワイアットの防空戦術概念の一つだった、当然これは大きな衝撃を与えた。

何故か?創造神の概念を完全に越えていた、このような改変が起こっても主人公が死ぬ可能性があるのは戦闘妖精くらいだ。*1

 

「しかし、彼本当にクーデターを計画してたのかしら」

「少なくとも、あの当時に於いて批判も擁護も出来る状況だったかを考えれば自ずと分かるでしょう」

 

ノエルは連邦政府にうんざりしている、反連邦政府の根底とはそれだった。

エゥーゴでさえ企業にたいしての租税にうんざりしていたのも大きい理由だった。

ワイアット逮捕は公式には"連邦内部のクーデター計画"にたいしての自衛行為であり、連邦政府は自称に過ぎないと言うのがエンクレイヴの大義名分だった。

 

《司令官!レーダーに反応!敵艦隊です!!》

「┈┈釣り出されたわね、バニング大尉CAPの現場指揮を頼みます。

第一種戦闘配置ィッ!!」

 

ノエルは下士官にも負けない声で発令した。

 

 

ペイルライダー、ジムスナイパー2を改造しテム・レイたちでエグザムをバラして新型戦闘OSを作った結果生まれたHADESは連邦軍MSの性能を底上げしていた。

ペイルライダーはそのリミッターを外したカスタム仕様で、この時代のMSにあるまじき速度を叩き出すBv151のような摩訶不思議機体だった。

第四小隊は試作されたペイルライダーを受領し、運用していた。

 

「お前ら!!ラッパが鳴ったぞ!」

「なんてこった」

「くそっ!此方にもか」

「ともかくやるだけやりましょう」

 

バニングは自身の愛機に乗り込み、黙示録の一節が頭を過った。

見よ、それは青白き馬であった。

馬に乗りし者は死、あとに地獄を従えて。

 

「あぁ畜生、偉いこった」

 

処女たちはランタンに灯を灯し、我々は陶器土*2に戻されるかの恐怖を感じている。

唯一の救いは、吹っ飛んだら遺体が残らんので罪人敵味方関係なく地獄行きと言うわけだ。*3

神は何時だって公平だろ?

 

*1データリンク等の現代的戦闘に関してのあれの原作者の理解は異常っす

*2人間は陶器土から作られた、詳しくは創世記を読むべし

*3キリスト教に於いては遺体を火葬すると楽園行きへの沙汰を経ずに地獄直行となる、マーレボルジェ定員オーバー不可避。




ノエルは公式で戦術の天才らしいんすけどあの歳じゃ出せないし、オペレーターじゃ意味ないからアラサー手前の有能士官にしました。
見た目は公式より目付きの鋭い、ロングヘアーの感じなんだろうか。


まあ原作のままでもいいと思うけど


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第三次ルナツー戦役

ノエルちゃんvsワイアット提督


ノエルは予定通り、MSを要撃に出した。

敵のECMにたいしECCMを展開、敵の出方や規模を伺う腹つもりでいた。

すると、敵のMS一個小隊が突出して前進してくる。

速度は我が方のジムを越えている、カスタム機?ならこの小隊は恐らくガンダムタイプか?

ノエルは機体ではなく、目的を推察した。

そしてすぐに結論が出た。

 

もしやして、コイツらは核攻撃部隊?

要塞攻略で、宇宙空間であり、報復核を心配する必要はない以上使用を検討するに値する。

つまり、これの指揮官は核を使わせれる権限を持ったレビルの一大攻勢か!!

ジーザス!どちらかが本命ではなくどっちも本命だったとすれば納得が行く、あの老人は反連邦勢力として我々も一切合切吹っ飛ばすつもりなのだとしたら?

ノエルはすぐに、第四小隊に迎撃命令を出した。

続々とレーダー衛星がブラックアウトしていき、敵機の様子はおぼろ気にしか見えない。

頼むから間に合って、ノエルは祈りながら報告を待った。

しかし、バニングは戸惑った声で言った。

 

「敵機が居ないぞ!!」

 

そして、出撃したMS部隊の殆どが突如として防衛火器に攻撃され出した。

出撃したMS部隊が何故かボギーやバンディットと表示されている。

 

「┈┈電源を叩き切れ!!コードごとでいい!」

 

ノエルがそういうと、オペレーターが戸惑った。

 

「そんなことをしたらルナツーの防衛能力が消滅しますよ!!」

「このままじゃ陥落する!構わないからやりなさい!」

 

 

本物の敵、つまりワイアットたちは真反対に居た。

第二次ルナツー戦役でのデブリは完全に撤去された訳ではない、そのなかにワイアット艦隊は紛れていた。

 

「賑やかですね」

「紳士的不法居住者に対する行政執行だ」

 

ワイアットは嫌そうな顔で言った。

バックドアから東京の大学よろしく裏口侵入して書き換えてやったのである、設計チームに予め依頼していたがこれを知っているのはゴップやレビル、それに政府の一部人間くらいだ。

資料の一部はルナツーに対しての最初の攻撃で電子データだったのでパルス食らってご臨終していた。

 

「こう言うことしてるから反乱容疑者呼ばわりされるのでは?」

「当時の政権主要閣僚皆爆発四散して結果的にこうなってたんだ」

「しかしパスワードがヴェルレーヌの詩ですか」

「故事にならったのだよ」

 

彼はかつてのノルマンディーに於いてイギリスがレジスタンスに伝えた暗号をパスワードにしていた。

複雑な乱数暗号より覚えやすく、この時代にそんなことを知っているのはそう言う趣味の人間くらいだ。

 

「艦砲射撃はルナツーCICを中心に撃て、砲搭はそのあとだ。

60秒後全揚陸舟艇発進」

「アイ!ヨルムンガンドは用意完了です!」

 

ヨルムンガンドの弾薬は六発、殆ど一回限りである。

ヨルムンガンドは第一次ルナツー戦役以降、本土決戦兵器という名目で本国に送り返され以後放置されていた。

その後の内戦とワイアット艦隊による"紛争調停行為"により戦争が終結し、ジオン共和国成立に至るまでヨルムンガンドは何にもしていなかった。

手間がかかるからである。

そして連邦も特に脅威とは感じていなかった、資料からみてこれは実用性の欠いた<フューリアス>と同じ欠陥兵器だ。

故に戦後の兵器の解体からも免れ、一応使えないよう一部の部品を抜いて実弾と一緒にジオン産業博物館送りになった。

要するに誰からも実用性を認めて貰えずベンチを暖める二軍送り、戦力外通告!クビを宣告された兵器たちになった。

だが対要塞兵器としてはそこそこ実用性があるという事と、仮に壊れても困らないと言う理由でヨルムンガンドは倉庫の肥やしを卒業した。

 

「命中!メインゲートに初弾命中!」

「凄いねぇ、オスマントルコ帝国が大砲に熱中するわけだ」

「山でも越えますか」

「山がないから無理だね」

 

そしてヨルムンガンドは、その任務を完全に全うした。

二発をCICに叩き込み、その指揮管制能力を喪失させたのだ。

 

 

マチルダ隊の乗艦であるペガサス級<イラストリアル>の艦内が揚陸舟艇の用意を整える。

 

《総員着上陸戦用意!!》

 

【挿絵表示】

 

連邦軍四機乗りのSFS<レイダー>に、ジムが背面対座に固定される。

このイントルーダーは一度にMS分隊を輸送できるもので、無人機として設計された。

元々宇宙での人型の姿勢制御に慣れてない連邦軍が宇宙戦闘を戦えるよう作った結果だ、皮肉にも戦力展開能力からドダイを作っているジオンもSFSを製作したが。

 

《我々の目的はルナツーの要所を制圧することです。

外観等を見るに改築などはされてませんからこの図面で問題ありません。

内部に突入するEFCM(地球連邦宇宙海兵隊)からの援護要請に注意して、速やかに援護》

 

マチルダ大佐は各級指揮官を集めて言った。

そして最後に、嬉しげな顔をして言う。

 

「主計との取引により今日の夕飯は私とアイカが用意しているのでちゃんと飯時には帰ってくるように」

「取引ってなにやったんです?」

 

隊員が訊ねた。

 

「私の家に残っていた1945年物ワイン」

 

アイカは照れ臭そうに答えた、さらっと数億単位の物が出るのは貴族の悪いところである。

 

 

ワイアット艦隊に編入されていたシーマ隊も発進を開始する。

こう言った荒事の鉄砲玉はシーマの本領だった、無線封鎖の中でデブリの中を最後まで陣形を崩さず飛んだのは彼女の部隊くらいだった。

プロペラントタンクをつけて大出力連邦製エンジンを着けた彼女らのゲルググは、恐らくガワ以外にゲルググらしいところが無かった。

盾にはビームスプレーガンと同程度の威力のビームを撃ち出すよう改造していたし、モノアイは補充の観点からゴーグル型に変更されている。

武器も連邦軍ビームライフルであり、近接装備はサーベルだった。

更にアグレッサー向けとしてハデスの搭載も受けていた、全てワイアットの危機感の高さが原因だった、CAPの制空優勢が崩れたら艦隊は敵機の猛攻を受ける。

そんなつまらない理由でワイアットは死にたくなかったし、地球圏は平和になるようには全く思えなかった。

結果仮想敵部隊は極めて念入りに強化して、底上げをしようと企んでいた。

まあそれの為の補充でジャミトフのクーデター計画容疑者としての材料を自分で調達したのだが。

 

《敵の阻止射撃!来る!!》

《慌てるな!突撃突撃!》

《数は多いが狙いは甘い!》

 

ルナツーの対空射撃が始まるも、各個にバラバラの目標とタイミングで射撃している。

シーマはニヤリと笑って言った。

 

《前来たときより数は増えたが甘い!》

 

事実だった、全くの統制がとれていない対空射撃は見掛け以外に効果がない。

CICとのリンクを断たれ、ピケットも優先すべき目標も分からないまま撃っている。

しかし数は全てを補填することは出来ないが、効果をある程度保証した。

距離を積めると命中弾が出たしたのだ。

 

 

ビアンカ・カーライルは"頼むから降りるまでは吹っ飛ばないでよ"と祈りながらその時を耐えていた。

 

《イントルーダー7被弾!イントルーダー7被弾!!》

 

機体下部の推進剤タンクに直撃したレイダーが推進剤の過酸化物質に炎を巻き上げて回転、暴走して吹き飛んだ。

レイダーから振り落とされたジムたちが悲鳴をあげて誘爆する。

更に続いてドラケン隊を乗せたレイダーが被弾炎上、爆発をおこして飛び散った!

 

《おっかねぇ!!》

《イントルーダー22ロスト!!》

「くそっ!!」

《イントルーダー11被弾!メーデーメーデーメーデー!》

《神様ァァァッ!!》

 

余りに長く感じる4分、ついに降下を完了した。

しかし同様に取りついたレイダーからMSが降下した直後、現れた量産型ガンキャノンにより吹き飛ぶ。

積載推進剤に引火、近くに居たMSを巻き添えに燃やして炎上する。

 

「畜生!RR(無反動砲)をこっちに!!」

《装填!》

 

ビアンカはランチャーを構え、弾薬手が装填を終える。

 

《後方安全よしッ!》

 

彼女のジム改が砲撃、直撃弾を受けて量産型ガンキャノンが大破する。

ミネバを殺し損ね、片腕が義手になったモニカのジムストライカーがMS用のククリを掲げて声を張り上げる。

 

《私に続け!突撃!突撃!》

 

ゲートから突入するも待ち構えていたエンクレイヴ仕様の濃い青のジムカスタムがM249に似たビームマシンガンを死角から射撃、

同時にジム初期型がルナチタニウムのショットガンを叩き込んで撃滅せんと射撃する。

しかしシールドをサブアームで四枚前面展開のシールダーが陣列を組んで射撃をひきつけ、ジムストライカーたちが白兵戦を仕掛ける。

ジム初期型が蹴られ、ジムカスタムがマシンガンで棍棒のように相手を殴り、ジムストライカーがククリで相手を叩き切る。

 

 

「敵が態勢を崩し、後退を開始しています」

「なに?速いな」

 

ワイアットは首を傾げ、そして叫んだ。

 

「突入部隊を後退させろ!!」

 

シレーヌは困惑しながらも、命令を遂行した。

後退していると言うのに敵は追撃も、発砲もしなかった。

ワイアットは推測が確信に変わり、苦い顔を浮かべる。

 

「閣下、一体何故?」

「すぐに分かる」

 

そして、それが起こった。

ルナツーはその保存されていた核兵器を一斉に起爆して分離、爆発による衝撃で幾つかの破片に砕かれながら静止軌道を外れて何処かに旅立っていった。

ワイアットは自分なら絶対やったであろう手を受けて、不愉快ながらも部隊撤収を命じる。

あのままルナツーが陥落すれば連邦軍は宇宙からの核攻撃と言う脅威を敵対勢力全てに与え、ルナツーと言う根拠地を得て地球支援作戦を速やかに行えた。

戦後冷戦時代に於けるトルコやキューバのような戦略要地としての価値もあった。

核による均等で頭を冷やさせる筈だったのに!

 

「┈┈内戦早期終結はこれで遠くなったな」

 

 

"ルナツーの確保失敗はアイカ副官の作ったカレーに良く似ていた。

思いやりのない甘味、失恋のような酸味、叩きつけてくる塩味に┈┈"

ーモニカの日記ー




モニカですが最終決戦の際にドズルのMMP-80で撃たれたパイロットです。

システム撹乱ですが元ネタは星を継ぐもので旧式AIが最新AIを騙して、虚構の偽装を事実として演出した作戦が元ネタです。
面白いので皆も読もう!



Q:アイカさんは料理が下手なのですか?
A:彼女は純度100%のイギリス人、察しろ


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【共和党エンディング】Federal 'Tis for Thee

選挙で最後までセツルメントと張り合った共和党、当選した場合のエンディングです。
ちなみにタイトルは連邦は汝の為に、元ネタはオセアニアは汝の為にって言う(愛情省のシンクポル突入)


地球連邦は勝利した!エンクレイヴやエゥーゴ、アクシズ等のテロリストはついに消滅したのだ!

民主主義の勝利、完全なる勝利、勝利!勝利!勝利!勝利!人類史にのこる偉大なる勝利!!

民主主義は悪しき専制、軍国等の残りカス共を徹底的に抹消した。

戦時中の省庁統合によって事実省、平和省、融和省、愛情省の四つに効率良く作られ、かつてのように縦割り行政は解決されたのだ。

 

プロジェクトSafeHouse*1や、Rex84、ガーデンプロット計画*2はその役目を終えた筈だった。

しかしその後のデラーズ残党のテロ攻撃により、宇宙市民の民間防衛が再び必要になった。

人類の存続の危機、連邦政府はその恐怖に憲法の条文として新たに一文を加えた。

 

"地球連邦は、民主主義及び人類を絶滅させないよう何時如何なる時でも勤めなくてはならない。"

 

 

やがてかつてのセツルメント委員会と宇宙市民地位向上委員会によってセツルメント州に格上げされ、市民の統合が始まった。

地球からの更なる移民計画が進み、アルファケンタウリに移民が実行された。

平和省及び愛情省の開拓市民たちの安全問題が話し合われ、テラフォーミング計画が完了された後も居住地は地下にすることに決めた。

開発された新型AI、ZAXコンピュータに民主主義の防衛と維持を主眼におかせ現地の安全を守るための責任者に命じる。

アルファケンタウリの開拓者たちの居住地はアルファ・コンプレックスと命名することとなったが開拓者たちは改名を提案している。

レングートやヤマトといった地下都市の名前はどれになるかは投票が決めてくれるだろう。

 

内戦の原因は民族の垣根にあると言う融和省の解決案は段階的に実行される。

ニュースピークと呼ばれる新言語は言語、思考に於いてあらゆる反民主主義的単語などを一掃する素晴らしい提案である。

あらゆるポリコレ的差別表現も、反民主主義テロ活動もこれで萎んでいくだろう。

また軍国主義的な表現も削減するので、戦艦や空母は大型護衛艦と改名され戦車は特車と改名される。

連邦軍も──改名前から平和維持軍を意味するアロウズになっていたが──警察予備隊と改名された。

 

あらゆるテロ勢力に対して徹底的粉砕を掲げる思考警察、つまりシンクポルは英雄的活躍を見せた。

有りとあらゆる反連邦勢力は粉砕され、敵性思想市民を愛情省で更生させ彼らを社会に送り返す。

100年代の後半になると貴族主義テロリストやギロチンのカルト宗教、木星反乱と言った太陽系外縁部動乱が起こるも警察予備隊とシンクポルは連携して対応した。

コスモバビロニアもマリア主義といった狂人の戯れ言を一体誰が信じると言うのだ?

また、ニュータイプと言った単語は差別主義的として辞書から消された。

 

かつては人民の希望だったジオンの名前は完全に消された。

ズムシティのダイクンの銅像は引き摺り倒され、あらゆる遺物から遅滞なく削除された。

またニュータイプは選民思想と同義であり、超能力は何れ人類の全てが覚醒するのでそのような人種的隔たりなど許されなかった。

 

民主主義教育装置(機動兵器を改名)ガンダムは、いまや市民たちに人気の機体だ。

お台場バンチのバンダイと言う会社が融資している平和資料館に作られたガンダム一号機は、子供たちの夢と憧れを受けている。

新作のガンダムは映像会社となって復活した新生アナハイム──前アナハイムは数々の反民主主義行為と会長のシオニズム思想から解体された──が後援している。

新作の内容は悪の専制帝国に対して抵抗するレジスタンスがガンダムと共に闘う話で、最新作EP8はあらゆるポリコレ的観点で満点であり大絶賛された。

バンダイが発売したプラモデル、ガンダム・マニュフェストデスティニーは発売累計100億を達成している。

此のように民主主義的作品を好む融和的な人たちをガノタと呼び、誉め言葉の一つとしてニュースピークに採用された。

 

SafeHouse計画に基づき、仮に政府が完全崩壊した後も民主主義の種子を残すべく月面等に真っ白な施設が作られた。

何時しかそれを白歴史と呼ぶようになり、月面史料館は厳重な保管施設となっていった。

 

ワイアット提督やレビル提督、ゴップたちの名前は英雄として載せられた。

新型大型護衛艦ゼネラル級<アドミラル・ワイアット>はシリウス開拓民の安全を守る護衛総隊の第三護衛隊旗艦となった。

やがて連邦が史上初の宇宙生物との接触、金属生命との接触を最初に行ったのはこの船だった。

 

歴史は堆積し、進んでいき、やがて白い歴史書を埋めていくだろう。

これからも人は歩み続ける。

民主主義と、平和の為に。

 

 

【挿絵表示】

 

 

*1Falloutのボルト建設計画

*2アメリカ合衆国の内戦想定計画




国旗を掲げよう!テレスクリーンを見よう!そのような栄光はかつて決して無かったのだから!
でも結局ターンエーになるんだよなあ。

これ見たら御大将キレそうだけど


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The Deal With Devil

元ネタはHOIのMR協定で2%くらいの確率を二回引くことで起こるドイツとソビエトの同盟です。
場合によっては枢軸と共産が連合ブッころしにくるわけです、ジーザス!

でも600時間遊んだけど見たこと無いんだよなあ。


ワッケインは拍子抜けするほどの小規模戦闘でフォンブラウンを解放した。

エンクレイヴの艦隊は睨みあいをする程度だった、何故かはすぐに分かった。

アナハイムは工場の設備を粗方持ち去り、完全に夜逃げ同然で消えていた。

ワッケインは頭を抱え、当分フォンブラウン市民が配給制度以外の選択肢が無いだろうと報告することにした。

主要産業を失った彼らは大丈夫だろうか┈┈。

彼はそう思いながら、産業復興計画と雇用推進局を進めてもらう事にした。

 

「こんな仕事辞めたい」

 

ワッケイン、挫けるな、希望はある。

一瞬なにか聞こえた、大丈夫自分はおかしくなってない!疲れてるだけだ。

彼はそう考え、目を閉じた。

 

 

追跡と偵察により、エゥーゴがアクシズに逃げ込んだと分かった。

しかもワッケインの報告ではエンクレイヴとも結託しているらしい、クソ共め民主主義消すときだけは結託しやがって。

レビル将軍がラジオで熱心にフォンブラウン解放と敵の核兵器貯蔵庫であったルナツー破壊を宣伝している。

実によい1手だ、連邦軍は無能ではない自由と民主主義の組織と速やかに宣伝出来ている。

まあケネディ首相とレビル将軍をマーケット・ガーデン作戦に賛同させたのはこれがあるからだ。

あくまで正規軍と政府は一体で、事態を収拾できると示さねば。

 

 

マーケット・ガーデン作戦は中途半端だった。

フォンブラウンの工業力もルナツーも手に入れられていない、内戦早期終結が遠くなった。

良いニュースはヴィック・ウェリントン社やハーヴィック、MDM(三菱・ダグラス・ロッキード)等のフォンブラウン現地法人と工場は連邦に協力すると言っている。

モスボール保存していた艦隊がエンクレイヴに取られたので、造船所の新型艦艇たちは有り難い。

ただ一部の工場労働者等が戦争参加として攻撃されるのでは?と恐れている、気持ちは分かるが仕事してくれないと事実そうなるんだよ分かってくれ。

 

 

ケネディ首相はエンクレイヴ等を交戦団体も国家承認も行わないと明言、投降した兵士は犯罪者として扱い捕虜交換等はしないと言っている。

刑務所が足りないらしいが、どうするのだろう?

噂では建築が打ち切られていたコロニー、スウィートウォーターを巨大収容施設にするとか言っているが本当だろうか。

と言うか管理しきれるのか?まあ殺したりなんか出来ないんだから仕方ないか。

 

 

アメリカ西海岸のノートン立憲君主帝国が和平と共同戦線を提案してきた。

前回と違いカリフォルニア共和国は一月以上粘っているし、彼らは過激な分離主義的勢力でもない。

停戦くらいは同意してやっても良い、少なくとも彼らは民主主義だ、時間をかけてまたひとつになれるだろう。

┈┈しかし浮浪者のオッサンがいまや一国の皇帝とはシンデレラストーリーってレベルを越えているような気がするんですがそれは大丈夫なんですかね?

 

 

エンクレイヴは通商破壊を開始した、護送船団を編成しているが連中特設空母とか混ぜてやがる。

トラファルガー級を使っているが護衛と輸送船の速度が合わないから面倒だ畜生。

機動航空巡洋艦、これが我々の食料を護ってくれると信じている。

それまでは有るもので何とかしよう。

ペガサス級は艦隊型空母として傑作だがコストはトラファルガー級のが安い、護送船団に向かない。

以前に氷をパイクリート加工するか、ドライアイスを使い船体にして空母を作ろうと提案した者が居ると以前にコーウェン将軍が宴席で言っていたが┈┈。

 

 

米ソ連合が地球優先協会の拠点リッチモンドとワシントンを"解放"したらしい。

地球優先協会は首都をアトランタに移して抵抗すると言っているが正直どっちも死んでくれ。

ケネディは西海岸と停戦、融和路線を公言した。

"不安と恐怖に包まれ、怯えからそうしたのだ、何時でも帰ってきなさい"

分離しても民主主義を棄てていないのなら、我々は絶滅などさせる気などない。

と言うか憲法は州全てに共和政体を保障する義務があるのだが、彼らが共和政体であるから排除する名分が特にない。

しかも自発的に反乱を止め、自白した事と言えるので死刑の適用などは不可能。

┈┈もしやして、ノートン皇帝の裏のフィクサーはあの人か?

 

 

フォンブラウンの元アナハイム社員と駐留連邦軍兵士で衝突が発生した。

彼らはカーペット・バガー再来を恐れているらしい、暴動になっては困るので怒りの矛先を互いに逸らさせる様にする。

変に拡大なんかされたら困るし、FWW残党の左翼勢力は幾らでもいる。

┈┈忌々しい。

 

 

連邦とジオンによる会議の結果、順繰りに各個撃破することにした。

まずエンクレイヴ宇宙戦力を総力をあげて攻撃し、かつてのサイド7を奪還してそこを足掛かりに地球の諸勢力を叩きのめし、その後にアクシズを全力をあげて叩く。

アクシズが帰還するまではまだ時間があること、敵同士で殺しあってる愚図共なので順番に殺す。

しかし極めてスムーズだった、まあこんな状況で生き残るために戦争やってるから権力とかいってる場合ではないからだが、現実をよく見ている。

セツルメント各州とジオン自衛軍への連邦軍装備の配給も決定した、噂だが米ソ連合や地球優先協会はかつてのアメリカの遺産、つまりM1戦車やハリアー等の兵器を使っているらしい。

恐らくデマなどでは無いだろう、西海岸の資料には敵はガリルやM16A2を使っているなんて物もあった。

イエメン内戦でT-34が多数運用されたとか、チェコの暴動でT-34が投入なんて噂もかつてあったが内戦とはむなしい。

 

 

シレーヌ秘書官からあり得ない報せを聞いた。

エンクレイヴのジャミトフが地球優先協会と統合、アクシズとの軍事同盟を宣言した。

どういう事だ一体┈┈。

あの野郎我々を殺すためだけに悪魔に魂を売りやがった!

よりにもよってレイシストとテロリストとの協力をするとは!!

いったいどんな手を使いやがった!そう言うのはイギリスの特許だぞ!!

 

 

軍内部右翼や反ジオン的国民が先の同盟の報せを受けて"転向"、人類団結を唱えている。

またFWWの非暴力革命派がこれを機に解体を宣言した、革命オタクはいい加減現実を見たらしい。

 

 

極東管区とオセアニア管区が北米市民の保護として派米するらしい。

地球上のジオン残党は殆ど武装解除とジオン共和国への忠誠を宣言して鞍替えした、どうやら核攻撃テロの際に彼らも被害を被り、アクシズと決裂したらしい。

 

 

┈┈ジーザス、エンクレイヴは南米どころか中米を制圧しおえた。

アフリカ地域の連邦軍や州軍は大丈夫だろうか。

あのアフリカ地域は歴史的経緯から連邦を嫌ってる者が多い、と言うか低強度紛争にさえ人型兵器出てくるとかこの世界頭おかしい。

 

 

地球の寒冷化による長い冬が終わった。

越せなかった人たちの数は、数えたくないものだ┈┈。

内戦の長期化は避けられない、それでも努力を続け、すぐに、出来うる限り早く終わらせよう。

我々は反帝国主義としてアクシズにもつかず、民主主義のためにエンクレイヴに屈しない。

まして、人権と自由のために米ソ連合に協力などしない。

 

Down with the traitor!

Up with the star!

 




ホワイトディンゴ、派米。


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【エゥーゴ勝利エンディング】経済活動としての戦争

資本主義が地球各地に行き届いた結果、資本の有益な投下先を失ってしまった。
ガンダムの宇宙への移民と言うのは、こう言う企業たちの存在もあったんじゃないのだろうか。


内戦が終わった、長い戦争だった。

アナハイムはしたり顔で各地に資本主義を、復興を進めていく。

しかし王者は常にベルトを狙われると言うのはこの世の真理であろう。

彼らの次の敵はエンクレイヴ残党でも、方向性の違いから内ゲバを繰り返す連邦残党でも、何らの計画のない共産主義者でもなかった。

それは国家ではなかった。

ギレン派とミネバ派で内部対立を繰り返すジオン残党でもなかった。

 

アナハイム以外の企業たちだった。

 

民需、軍需共に自社の圧迫を行い企業=国家を言い張る傲慢さに他の企業は嫌気が差していた。

やがてアナハイムが"パックス・エコノミカ"を名乗り、ブロック経済の様相を呈していくと彼らは連携を深めて企業たちは合併を繰り返していった。

復活したジオニック社がジオン共和国を完全に呑み込んでいくと、世界は企業たちの争いと反アナハイムの考えが深まっていった。

 

数年ほどでレイレナードと言う新興企業の日本人が発電等のエネルギー関連技術に活かせる粒子を発見し、既存のミノフスキーと合わせて更に高出力でエネルギーを使用できるようになった。

資本主義の名の下に資源を集めるだけの奴隷的とさえ言える労働者の扱いは当然のように行われる。

やがてアナハイムが内部粛清を行い、カナダのハイダ工場を攻撃しヴィック・ウェリントンとハーヴィックが結託して報復を宣言したことで企業間の対立が始まった。

 

やがて企業法廷と言う企業たちの話し合いの場を作ると、戦闘は自然と停戦状態となりました。

何処の企業たちも、相手を完全に滅ぼす事などリソースの限界から不可能だと分かっていたからである。

しかしその時代に於いて、残った資本の投下先はろくに残っていなかった。

このままでは崩壊する、まして、国家の復活なんぞ望めるわけない。

そして、結論が出た。

そこでは日々資本を投下して、需要があって、利益があり、会社全体は安全である。

 

戦場である。

 

やがて人型機動兵器が大地を闊歩し、モビルアーマーや陸上戦艦を上回る巨大兵器が量産され、人体を改造し、公害を無視して経済=戦争の様式が出来ていく。

新型のMSは既存の機体より遥かに上回り、各企業は凄腕のPMCによって戦う。

地球環境は改善どころか益々悪化し、宇宙は戦闘によるデブリが溢れ、火星も木星も戦場となる。

母なる惑星は完全に見捨てられ、残された哀れな人々は互いを傷つけあい残された遺産の兵器を掘り起こして運用し、汚染された大地に赤子が咳き込む。

しかし宇宙に進出した彼らは歩みを止めない。

 

成長と野心、そして新しい戦争の始まりだ。

これからも人は戦い続ける。

War(戦争は)

 

WarNeverChange(戦争は何も変わらない)┈┈

 

【挿絵表示】

 

 

「何も変わらねぇのかよ、結局」

 

 




全世界どころか宇宙規模の資本主義文明、行き着いた先はエネルギー本位制、きっと彼らはダイソンスフィアやリングワールドを作り上げ、資本主義の名の下に宇宙すら汚し尽くすのだろう。
クソ害悪やんけ、宇宙怪獣でもプレスリンでもサイブレックスでも構わんから何とかして┈┈。


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平和への最後の願い

最近思いましたが本作一番の狂人は主人公だと思う、この主人公よくよく考えたら正義と秩序と法の狂信者で熱烈な民主主義狂信者でもある。
多分本作の御気に入り少ない理由はハーレムも恋愛もなく民主主義徹底賛美のガンギマリが紅茶キメてるせいですね。(彼は真実を書き終えた)
まあ民主主義徹底称揚は私の政治思想の押し付けですが(民主主義国家に支援されて生きているような人間だから感謝するのは当たり前だよなあ?)

いやこう言うガンギマリ政治思想が出てるからか。


悪魔との取引によって地球連邦市民は益々の一致団結を必要とする事を実感し、ジオンも連携強化を一層精力的に動いた。

ジオン共和国内部では以前より連邦の内戦だと言う批判的孤立主義とアクシズに共感する元少年兵──後方で実戦を知らない者たちも含め──が存在したがこれにより支持基盤が崩壊した。

よりにもよってアクシズとエンクレイヴは結託しやがったのである、民主主義を殺す為だけに。

確かに今でもエンクレイヴやアクシズとの協同を訴える者たちがいるが、誰も相手にしてない。

 

長期戦が確実になったことにより戦時における企業間競争の抑制を目的とする全国産業復興法や、食糧生産の管理を目指した農業調整法などが議会を通過し、

新たに増設された雇用促進局は数百万人の男女を雇い入れ、戦争遂行に必要な物資の生産に注力していく。

 

また敵性市民──非合法化されたエンクレイヴや、FWW等の構成員──を収容するべく先の戦争中可決された9006号令に基づき強制収容された。

ケネディ政権の最高裁長官アーリ・ウォーレン*1が合憲と判断しお墨付きを与えた。

国民は対して反発をしなかった、戦時中故にやむを得ないと消極的積極的程度の違いあれど、賛意を彼らは示していた。

そして連邦はルナツー破壊と言う大きな打撃を元手に、平和への最後の願いを行った。

 

ー【内務長官コーダル・ハル署名入りのハル・ノート】ー

 

連邦政府の民主制に対する憎悪・軽蔑を扇動するすべての出版を禁止すること。

 

組織を解散させ宣伝その他の手段を没収し、連邦政府に対するプロパガンダを行う他の組織も同様にすること。

 

連邦政府に対するプロパガンダを助長しているもしくは助長する恐れのある全てを(教師も教材を含めて)遅滞なく削除すること。

 

連邦政府に対する破壊活動を行った罪で、連邦政府が一覧にした全ての関係者と政府職員を解雇すること。

 

民主主義保全に反する破壊分子の運動の抑圧のために、連邦政府の一機関との協力を受け入れること。

 

組織内部で見つけられる可能性のある、共犯者を法廷尋問するとともに、連邦政府の機関に手続きに無条件で委譲させること。

 

連邦政府が行った捜査によって浮かび上がった2人の指名手配犯を直ちに引き渡すこと。

 

武器と爆発物の違法所持を全て引き渡すこと。

 

階級及び所属を問わず、連邦政府に敵意を示した所属構成員のリストを届けること。

 

全てについて実行する手段を、遅滞なく連邦政府に知らせること。

 

 

地球優先協会を取り込んだエンクレイヴ閣僚の顔触れは正しく過激派と言うべき面々である。

国務長官は宇宙市民に対してのヘイトスピーチを頻繁に繰り返していたチャールズ神父*2、続く財務長官も財閥の首魁で反スペースノイドのエッシェンバッハ*3

更には差別主義者団体CCC(キュア・クリーン・クラン)のサミュエル・ブルー*4が内務省を率いて、神父のジェラルド・L・スミス*5が司法長官である。

他にも副大統領は言い逃れ出来ないまでのファシスト"地球の銀軍団(Silver Legion of Earth)"の首領たるウィリアム・ダドレー・ペリーであった。*6

FEDRA構成員で作られる治安組織で、愛国強化法*7を遵守させる同化局*8長官と情報長官を兼任するエルランが最も良識的とさえ言える内閣だった。

また宇宙軍指揮官はバスク大佐から地球優先協会の会長エイノー退役宇宙軍中将*9が引き継いだ。

そして連邦との短い停戦電話会談が、反乱諸勢力の即座の退席で打ち切られるとエンクレイヴとアクシズは恐怖せざるおえなかった。

連邦軍も連邦政府もここまで徹底抗戦の構えを見せるなんて、思っていなかった。

内戦以来彼らの想定は尽く潰え、そしてその結果アクシズとエンクレイヴはより協力するしかなくなった。

道は二つ、降伏して連邦のカーペット・バガーどもに屈するか戦って生き残るか。

連邦政府の想定とは全く違う回答だった、彼らにとってハル・ノートは停戦交渉の気は存在するという姿勢程度でしかなかった。

まさか、本当にやる気とは思ってなかったのだ。

 

Eagle to Arms!

Down with Star!

Up with Eagle!

 

かくして内戦の平和的解決への最後の努力が失敗した。

双方の誤解と誤認の行き着く結果であった、誰も彼もが今ある情報の全てが彼らの全てで、自分達の予想こそ事実と思い込んでいた。

 

*1元ネタはアール・ウォーレン長官、日系人を収容したがケネディ政権ではウォーレン・コート言われるレベルにリベラルな運営をしていた。

*2元ネタはチャールズ・コフリン

*3イセリナは絶縁状を叩きつけていた

*4KKKの最高指導者が元ネタ

*5元ネタはキリスト教系民族主義者十字軍等の反ユダヤ強硬派のジェラルド・L・K・スミス

*6アメリカのファシスト政党銀シャツ党と党首が元ネタ

*7鷲たちの盟約に出てくる法律

*8プロット・アゲンスト・アメリカのファシスト政権部局

*9アメリカ第一協会会長ロバート・E・ウッドが元ネタ




人材のネタはHOI2のアメリカをチートでファシストにして出てきた閣僚連中を基にやってます。

ちなみに本作のエイノー退役中将はボヘミアンクラブの末裔組織のメンバーで、ゴップとも面識があります。


ハル・ノートは色々言われてるけど渡される前から戦争の決断をしてるし渡す側は日露戦争以降の対日外交方針が尽く失敗したり瓦解したのに続行するとか言う、
なんと言うかこんなアホらしい理由であんなに人が死なねばならなかったのかと思えてくる。


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熊の旗に集って

風邪にでもなったのか極めて体調が悪い。
混迷のアメリカ大陸のホワイトディンゴとかの話。


地球唯一の正当なる政府の──13の星を掲げるエンクレイヴのほう──臨時大陸軍の、メーコン義勇軍第48歩兵旅団*1の連隊機械化戦闘団はテキサス州に展開していた。

日に焼けた褐色のモデルと勘違いされる顔つきのネイラム中尉は、ただ諦めたような視線で目の前に続く道を見ていた。

 

【挿絵表示】

 

連邦政府は議会において何ら有効な解決策を示さず、効果的解決策を尽く落選させた。

報道機関を押さえ、ワイアット逮捕についてはクーデターに対してのカウンターと考えている彼女は短期的なエンクレイヴと連邦の内戦にはそもそも乗り気ではなかった。

彼女はジョージアのメーコンに実家があり、代々軍人の一家に生まれた。

彼女は軍人としては新米で、入隊して教育を受けている時に自分の故郷を占領されていた。

戦後の混乱に際して地元を護るべく奔走したが、核兵器テロと液状化現象、被災地から大量発生した難民と疾病でどんどん地元が悲劇的な物語で満たされるようになった。

彼女には民主主義を護る誇りが今もあったが、連邦政府について全く信用なんかしなかった。

内戦が始まったとき、彼女は軍を仲間と共に脱走して地元のミニッツメンに入隊したのもそれが原因だった。

やがて激化する戦いと、連邦軍の本格参戦、艦隊総軍の武力介入開始によりついに連邦政府に愛想を尽かし、海への進軍を阻止するべくエンクレイヴ軍に編入されるのを了承した。

 

だが。

 

「連隊長、敵は手強いでしょうか┈┈私はまだ心構えが」

 

彼女の悲観的現状認識を止めたのは若い彼女の従卒だった。

 

【挿絵表示】

 

軍の階級に詳しい者なら、エンクレイヴの臨時大陸軍の連隊長が元中尉であることに疑問を感じるだろう。

しかし現大尉の彼女の連隊は、ある意味そう言った事を納得させた。

地球連邦北米州ジョージア陸軍州兵と連邦軍、民兵、エンクレイヴの近親相姦的装備と人員の忌み子であるからだ。

最近の北米ではヤンキーやディキシー、メイプルにラテンのメキシカンまで名前だけ立派な部隊が良く見受けられた。

この人員300名程度、小銃は倉庫の隅の方に残っていたM16A2と木製部品の多いType64、ホバートラックに90mm砲を積んだ不格好なMGS、それにM35トラックと130mmのM1A3戦車とM61A4、

IFVの上に載っけたADATSが四両、モビルスーツは陸戦型ジムが四機だった。

立派な部隊と思うかも知れないが、充足率は底辺である、このような余り物のるつぼ的、日本海軍第八艦隊も哀れと思う部隊であった。

戦車はM1戦車が4、M61が3で小隊単位ですらなかった。*2

 

「どうにかしてみるさ」

 

彼女は普段の演技、つまり前向きで陽気で、冷静な指揮官の演技に戻った。

戦争だ、戦争なのだ、どいつもこいつもバカ野郎め、分かってなんかいないんだ。

ワシントンの桜のような髪をわずかに揺らし、彼女は双眼鏡を握りしめた。

後ろではトラックに乗ったエンクレイヴからの兵士が──非愛国主義的行為を取り締まる為に──乗っている。

 

【挿絵表示】

 

皮肉なことに、彼らの見た目はザクに良く似ていた。

銃口がこっちに向いているところは、特に良くにている。

 

 

ホワイトディンゴは派兵された連邦軍の部隊の一つだった。

オセアニア戦線がオーストラリア本土決戦に発展し、スタンレー大佐が増援を貰い反撃作戦を開始するとホワイトディンゴは機械化即応支援部隊として中隊規模の編成拡大を受けた。

臨時編成MSを含んだ戦車小隊1に機械化歩兵小隊2、偵察分隊1を有する強力な戦術単位となっている。

 

「隊長、なんで僕らいつもこんな厄介な仕事が来るんです」

「隊長がクジ弱いからでしょう」

「なんで知ってるんだ」

 

レイヤーはこの"西部戦線"の火消しだった。

軍のどっちも隙間なく部隊を展開するだけの能力がなく、ヒューストン奪還を目指す連邦軍北米派遣軍は常に攻撃の脅威に晒されている。

頼みの綱だった極東管区軍が引き抜かれたのも痛手であった。

6月4日に朝鮮人FWWパルチザンの東北抗連聯軍第1路軍第2軍第6師(を名乗る武装集団)は、朝鮮北部の村・普天堡を急襲。

武装集団は駐在所から武器を奪った後に郵便局や消防署を襲撃し、その際に行った放火が近隣の学校にも延焼した。

駐在所襲撃時に銃弾に当たった幼児が1名、その後の銃撃戦で警官7名が死亡した。

普天堡は人口1400人に満たない寒村に過ぎなかったが、その近郊には重要な鉄道路線とその終着駅となる都市・恵山鎮があった事と、そこが山がちな朝鮮の兵力と物資輸送の観点から見ると極めて大事件と言える。

極東管区がこの襲撃を重要視し、朝鮮管区は東北抗連聯軍第1路軍の首脳部や襲撃実行犯などに多額の賞金を懸けた。

中国管区の捜査機関の協力もあり、程なく東北抗連聯軍は壊滅に追い込まれたものの、肝心の普天堡襲撃事件の実行犯である日成と言う指揮官だけは行方が分からなかった。

日成の行方を巡っては様々な噂が飛び交い、中には「日成は妖術を使って逃れた」「縮地(瞬間移動)ができる」などといった荒唐無稽な伝説(というよりも迷信)も生まれた。

唯一素晴らしいことは、そんな彼らも罪悪感からか陸上艦隊と戦車連隊を残していてくれた。

 

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島国ゆえ海上戦力についての余裕があったからと、山がちな朝鮮では戦車よりMSのが向いているからだ。

しかし彼らも引っ張りだこだった。

いくらカリフォルニア軍がカリフォルニアベースの装備で充足しているとはいえ、ロッキー山脈を越えようと攻撃を仕掛ける米ソ連合は手強かった。

彼らは北米工業地帯から潤沢な装備を──主義とは全く反した奴隷的労働で──得ていた。

 

「これで本当に戦争が出来んのかよ」

 

タカアシガニに似たような脚を4本生やした歩行兵器、MSの遠い御先祖様のランドクラブすら投入されていた。

カリフォルニア軍のこういった歩行自走砲は、沖縄の倉庫に転がったまんまの極東から部品を取っ替えて流された。

結果側面には三大陸合衆国(ユナイテッドステーツオブユーラブリカ)軍やら、陸上自衛隊とか書かれたままだった。

 

「動く戦争博物館だな」

 

マイクの言葉は、端的でしかも正確だった。

そんな彼らはまた、火消しに走ることとなった。

 

*1現実のジョージア陸軍州兵部隊

*24で戦車分隊、2で戦車班を編成し、小隊は9両、一両は小隊指揮官車




戦闘シーン無しやんけ┈┈。
今回からフルカラーです、喜べ。
エンクレイヴ兵士の見た目ですがアレはアクシズの物をライセンス国内生産してるような感じです。
アクシズの場合はプルクローンが詰めこまれた肉人形とか傀儡ですね。
(モデルはザク1とフレームアームズのグライフェン)

なお今回のアンケートは何らのストーリーの関与はないです。

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またサラミス改級はロングビーチ級の艦橋形状に致しました。

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フルカラー秘書官さんたち。

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奇襲

中編にあたる回、前話を見るように。
これを書いてる時点では御気に入り700を突破致しました、あらすてき!たまげたなあ。


ネイラム中尉は双眼鏡を構え、丘陵から伏せて良く目を凝らして観測する。

反射防止の対策をして、デジタルではなく逆探知されないアナログの双眼鏡だった。

匍匐の慣れた身のこなしや、こう言う細かな考えは彼女が正規の軍人であることの証左である。

本質的に警察的なエンクレイヴの兵士や、反ジオン地球至上主義的アメリカの義勇兵には任せる気にはなれないからだ。

 

「居た┈┈」

 

覗いた先にはかつてのANZAC軍団のレリーフがあった、オセアニア管区はかつてのガリポリの栄光が忘れられないからだ。

バイザーに、より遠距離を狙えるようかつての歩兵のNVゴーグルのような照準眼鏡がついている。

ジムスナイパー2の改造機、オセアニアは良いものを持っている、私たちがこんなのだってのに、きっと日本人か中国人が金を出したんだろう。

ネイラムの考えは外れていた、あの改造バイザーは戦中スコープが余ったので作られた現場の手製であった、肝心のライフルが来なかったのである。

 

「ジムスナイパー2が1機、マークスマンってところかな。」

 

その近くでは量産型ガンキャノンが空を睨んでいた。

 

「機関砲搭載の量産型キャノンが1機、対空┈┈いや地上掃射目的か」

 

ネイラムは自嘲して笑った、頻度からすれば地上掃射目当てなのが確実だろう。

この予想も現実と違っていた、ホワイトディンゴはかつてのガウ撃墜作戦やアッザム・オルガで対空射撃を重要視していた。

オーストラリア大陸は何時だって物が足りないから、レイヤー隊長は今後もそうだろうと無意識に考えていた、ある種の病気と言っても良いだろう。

 

「┈┈なんだあの機体、改造機か?」

 

ネイラムは見覚えのない機体を目撃した。

昔にジムストライカーを見たが、増加装甲のついたジムスナイパー2に見える。

しかし灰色の増加装甲は、Nt-1と書かれているのだがそんな機体聞いたことがなかった。

彼女が宇宙軍の人間なら薄々分かったが、地上軍故に分からなかった。

カリフォルニアで余ってたアレックスの増加装甲を上から被せた機体なのである。

 

CP(コマンドポスト)に、M61戦車が6両┈┈ちっ」

 

彼女は舌打ちし、嫌そうに敵戦車の砲搭に書かれた日章旗を確認した。

彼女は敬虔なるプロテスタントベルトのクリスチャンであり、アジア人が嫌いだった。

日々を安寧に生きれればそれで良く、必要なら信じる神すら変える等と言う冒涜的な存在を嫌っていた。

まして、目の釣り上がったファッキンイエローのNIPは特に嫌いだった。

"苛烈な"レイシズムの闘士と言うより、戦後の混乱期の人心の荒廃の影響である。

無意識の内に、敵を作って叩いてる方が気が楽になる、どうしようもなく、ありふれた理由だった。

彼女は優しすぎたのだ。

 

「リジーナ持ってこい、重迫の展開を急げ。

戦車は左200m、MSは戦車の稜線射撃と迫撃砲の砲撃が弾着したら右100mの地点より突撃しろ」

 

戦車は遠距離からダッグインすればMS相手でも十分だった。

 

 

最初それに気付いたのはアニタだった。

微弱な震動、不慣れな戦車兵が音を絞ったつもりでもガスタービンのM1A3の音は聞こえたのである。

 

「ガスタービンエンジン┈┈?隊長!ガスタービンの音が聞こえます。

右側面!」

《了解。ファング2、稜線から覗いてみてくれ》

《こちらファング2。りょお~かい》

 

┈┈ファング2の声には口に何かが入ってる時の異音があった。

またなんかつまんでるな、あのバカは。

アニタは匙を投げたような顔で、まあ良いかと無視した。

麻薬でもなく、自費で購入した食料を食っていても警戒を緩めないし、彼は節度と状況を理解している。

ファング2の量産型ガンキャノンはゆっくりと近づき、彼は叫んだ。

 

《こちらファング2!敵だ!》

 

それと同時に、戦車による一斉攻撃が彼の機体を襲った。

突発的射撃であった為、彼は死なずに済んだが機体は行動不能であり、気絶した。

 

《ファング2行動不能!生死不明!》

《くそっ!》

 

続けてリジーナが61式に飛んでいった。

極東第11戦車連隊の61式戦車は発煙と全速後退を開始し、リジーナは一両に命中するも他は全て外れた。

直撃した一両は乗員が脱出、オアシスに乗り込もうとするが歩兵部隊の50口径M2に照準眼鏡を乗せた遠距離攻撃で一名が胴体が千切れて戦死した。

 

《小隊集中射撃!敵歩兵!弾種HE!撃て!》

 

仕返しとばかりに155mmHEが撃ち込まれ、歩兵が制圧射撃により怯んだ。

飛んできた戦車砲弾が砲搭正面に直撃するも装甲により無効化し、応射してM1A3が一両炎上、ハッチから火龍が立ち上がる。

 

《警報!MS!》

《面倒なのが出た!》

《やむをえん!後退する!》

 

レイヤーは決断した、現状は我に大いに不利であり彼の戦力の全体も分からない。

威力偵察を主眼とする我の部隊の目的を考えれば、後退するのが最も良い選択肢だ。

ファング2を見捨てるつもりは、更々無いことは部隊全員がよく知っていた。

しかし位置も機体も悪かった、機体ごと引き連れる大きさなんかではないのだ。

人員だけ連れていこうにも敵と近すぎる。

ビームライフルを歩兵陣地にぶっぱなし、ファング3と戦車の砲撃でMSを牽制。

歩兵が融解し、陸戦型ジムが大型のシールドを構えて動きを止めた。

個人芸的戦闘技術より、集団芸を重要視する連邦軍ドクトリン同士の戦闘は相手も自分も手が想像つく。

故に咄嗟の判断と、経験が重要であった。

レイヤーにはそれがあり、ネイラムは内戦中の経験しかなかった。

 

 

マクシミリアンは口に変な味が広がってる違和感で目が覚めた。

規定通りにヘルメットを着けていたが、口を少し切ったらしい。

吐血と言うわけではないことに安心し、とりあえず機体をロックした。

この様子だと奇襲により味方は後退したらしい、幸いレーションは積んである、水もある。

武器は┈┈どのような酷使をしても駄々をこねない木製部品の多いSIR(標準歩兵ライフル)があるが大丈夫だろうか。

メインカメラはご臨終しており、サブカメラが一部動いた。

 

「ん、なんだありゃ?」

 

敵の主力は去ったのか、戦車と回収車仕様のガンタンクがやってきた。

すると敵の兵士が近づき、彼の機体を回収車に接続した。

マクシミリアンは背筋が凍るような感覚を感じ、不運を呪った。

おぉゴッド!

 




個人的にマイクは食い意地はってるイメージが何でかある。

ネイラム中尉の名前の由来は地球連邦の興亡に出てくる宇宙人の連合氏族(ナウシカのドルクが近い)からです。
氏族なので「地球人しねころす」って氏族や、「んほおお取り引きしゅごいいい!」って氏族、神の手としか思えんワープゲートを研究するゲッター悟ってそうな氏族とか居ます。

SIRの元ネタは原作版ワールドウォーZに出てくる米軍のライフルが元ネタです。
DeStRes(ディストレス)、つまり資源戦略省も本作に出てきます。
本作の連邦はアメリカを大いに参考にしてるので┈┈。


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ククルス・ドアンの谷

原点から考えるに、真の正しいニュータイプってククルス・ドアンなんじゃねぇかなあ。
傲慢で無責任なシロッコやシャア、悟りの境地開いたアムロ、因果地平越えたカミーユ。
まともそうなのジュドーとかのそこら辺じゃないか()

ウッソはアレ┈┈どう考えても幸せではないし┈┈
ローラとかの髭時代はあの時代の人間全員ニュータイプって何かでおハゲが申してましたからある意味除外です。

なお高評価とお褒めの言葉が来たので作者の士気が+されてます、あはは!!ブルブルプルプル~!!


マクシミリアンは内心かなり焦りながら救難信号が届くことを祈っていた。

彼は幾つか前線の恐ろしい噂を聞いた、アビリーン再教育センター*1なる洗脳施設の噂である。

幸いにして、彼の噂は外れた。

彼が連れてこられたのはスウィートウォーターと言うテキサスの町だった。

自前の風力発電と、連邦成立以前の資源枯渇でテキサス油田が無くなった事の人口流出によってテキサス州の人口はかなり変動した。

結果としてかつての隆盛は失われ頑固なDixieが意地で住んでいる状態であった。

 

「ん?ありゃPMCのエゥーゴじゃないか!」

 

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ゼーダークルップ社の銃器に、戦闘用ノーマルスーツ。

ヘルメットは新型で連邦正規軍も高価で採用を見送った物だ。

胸元や肩に公然とアナハイムの文字があり、マクシミリアンはケネディの言う"悪魔との取り引き"がこれ程露骨なまでに行われている事実に驚愕した。

政府が大袈裟に言ってるだけで、実態は現地法人との取り引きとかだと軽視していた。

これは内戦の初期の兵士によく見受けられる考えだった。

しかし、実態とは此なのである。

 

「おいおい┈┈」

 

しかし、彼が驚愕したのはそこからだった。

MSの高級な集音機能が、ある大型のコンテナ取り扱いに怒鳴ってる人間の声を聞いたのだ。

 

《それはアスタロス取り扱いのコンテナだ!丁寧にやれ!》

「んなっ!?」

 

マクシミリアンは直ちに脱走を決断した。

幸い機体の確認はなおざりで、エゥーゴのPMCと技師の確認は壊れていないかの確認でしかなかった。

 

 

ホワイトディンゴは救出のため兵力を再編し攻撃を開始したが、奇妙なまでに強烈な反撃を被っていた。

ネイラム中尉の部隊だけでなく、エンクレイヴ本隊からも支援が来ている。

結果としてホワイトディンゴは後退を余儀なくされ、散発的小競り合いをしながら後退するしか無くなった。

 

 

夜の到来を待って機体を脱出、予め用意した自爆装置で機体を爆破して粛々と気を逸らして彼は基地からは逃げ出せた。

しかし彼の格好は目立ち過ぎるし、徒歩ではたどり着けるか怪しい。

良心がかなり咎めたが、エレカを拝借することになった。

彼は連邦のまともな部類に入る軍人だったし、元音楽隊だったこともそれを加速させた。

だが死んだら終わり、生きるためにはやむを得ない。

しかし、彼は道をそのまま走れなかった。

なぜかと言えば戦時中においては交差点には検問があるだろうし、幸い彼は星を観測して位置を特定する技術を覚えていたのと、コンパスも持っていた。

メキシコの太平洋沿岸部に行ければ、そこから海軍に救出して貰えるだろう。

彼の決断の早さは天性のポジティブな思考と戦場を知ってる軍人特有のふてぶてしさが合わさった物だった。

 

 

内戦中の地球、基本的には三勢力が楽しい内ゲバを繰り広げているがそれ以外の所も幾つかあった。

テロによる災害以来やれ人民寺院だ太陽信仰だソンシの奇妙なカルトだとか輸血拒否ガンギマリの自称証人だの狂人的集団が各地の小さな町を支配していた。

それ以外にも無法者が支配するV8信仰者やら弱小軍閥やらも居た。

それ故マイクは待ち伏せに適したりするような所を避けてきたが、電力問題からやむをえず谷を通ることにした。

 

「┈┈どうみても友好的な現地住民に思えないぞ」

 

ちらりと動く影を見て、マイクは直感した。

彼の予感は半分正解だった。

そのインディアンたちは、彼を取り囲み警戒していたが仕掛けては来ない。

隙を待っていると言うより、睨みに近い。

 

「仕方ない」

 

彼はエレカを止めて、両手を上げた。

すると、インディアンの一人がやってきた。

 

「おまえ、なにしにきた」

「この谷を通りたい、通っていいか?」

 

酷く訛りの強い英語だった。

その若いインディアンは身内になにかを話し、暫し話し合って「ついてこい」と言った。

 

 

そこにあったのは擬装ネットが掛けられたザクJ型であった。

マイクは驚いて「ザクじゃないか!」と声をあげると、若いインディアンは笑って言った。

 

「外の世界ではありふれたものだろう?」

「最近はとんと見かけないけどね」

 

若いインディアンは「そうなのかい?」と笑って、大柄な体格をしたインディアンに紹介した。

 

「君は連邦の軍人か?偵察に来たのか?」

 

ジオン訛りのある連邦公用語だった。

 

「連邦の軍人だけど、偵察ではない」

 

すると彼は首を傾げた。

 

「では休暇か何かか?」

「いや、敵から脱走したんだ」 

「敵?ジオン軍がまだ戦闘してるのか」

 

彼は悲しむような顔をした。

マイクは奇妙な違和感を感じた、喜ぶ訳でも驚くでもなくどうしてこのような顔をするのだろう?

 

「いいや、ジオン軍はすでに残党も降伏した、だけど過激なジオンのロイヤリストや連邦の過激派が結託して内戦になったんだ」

「なんてこった┈┈」

「とりあえずメキシコの沿岸部に行こうと思っている、電力を考えるとここを通るしか無い」

 

しかし、彼は残念そうな顔で言った。

 

「いや、しかしそれは」

「ダメかい?」

「我々の事を話すかも知れない」

「信じてくれ」

 

彼は、マイクを洞窟に案内した。

良い匂いがする、岩塩で味がついた天然の野菜、今日の地球ではとんと見かけない。

 

「こりゃ驚きだ!」

「とりあえず食べたまえ、食えば考えも纏まりやすくなるだろう」

「ありがたい!」

 

食事に礼を言うと、彼は自身がククルス・ドアンだと名乗った。

 

「それでドアン軍曹、なんで貴方はここに?」

「それが私の背負った咎であり、十字架だからだ」

 

 

北米降下作戦が開始され、一つ眼の悪魔が北米に降り注いだ。

戦争の激化によってインディアンたちは保留地からリオ・グランデ河を越えてメキシコに逃げ込んだ。

しかし人類学術調査と文化保全からジオン軍はインディアンを保護すると宣言し、ドアン軍曹のMS分隊はそれの仕事についていた。

ウェストバージニア州での戦闘で敵MSとの交戦を行い、上手く部隊を纏め上げたことで彼の名誉も高かったからだ。

彼らと語り合い、宥めすかして説得する。

彼の評判は高かった。

だが彼はある日、真実に気付いた。

腐った人間は連邦だけでなく、ジオン軍でも居るのだ。

彼の仕事によって保護されたはずのインディアンは人身売買や臓器摘出、見世物と言うかつての惨状の繰り返しになっていた。

彼は真実を親衛隊士官に告げた。

どうしようもなかったのは、その親衛隊士官が買収された事である。

彼は軍を脱走、そしてその直後に空から轟音が響いた。

連邦軍が遅滞戦闘の一貫として残存航空戦力による敵拠点爆撃を敢行していた。

そして彼らはそこにあるのが軍事基地だと、本気で思って爆撃を開始した。

生き残ったインディアンを連れて、彼はそこから逃げ出した。

 

 

「┈┈君は、いまの仕事が好きか」

「正義とか、何かって言うより彼処には仲間が、戦友がいるんだ」

「┈┈そうか」

 

翌朝、まだ一応動くのでザクから充電してもらい、マイクは谷を出た。

 

 

戦後、彼は地球に再び降りた際にかつての谷を探したがついぞ見つからなかった。

ただ赤錆びたザクと、岩壁にかかれた白いザクの絵があったが、彼らは再び旅に出たのか保留地に帰ったのか。

しかし、彼は背中に感じる大いなる視線から彼らが生きていると確信した。

それは単眼の巨人からか、或いは┈┈或いはネイティブアメリカンの信奉する神々か。

どちらにせよ、彼には過ぎた過去だった。

彼らは戦いを止め、そこで子を産み、死んでゆく。

 

 

帰還したマイクの報告によってアスタロスが北米に存在する可能性について、本格的に調査が行われた。

残存する衛星が少なく、ジェットコアブースター改造の戦略偵察機F-13を飛ばす事で、事態が見えてきた。

彼らはヒューストンからそれを打ち上げようと画策している。

この報告を受けて連邦軍は直ちにアスタロス焼却及び打ち上げの阻止を目的とする作戦<ルビコン作戦>を計画。

人手不足と、運用MS的理由から地球残存ジオン軍も動員、そのなかには内戦長期化により創設された特殊部隊エコーズも含まれていた。

さらに、情報保全の観点からホワイトディンゴ及びドナヒューも含め、連邦北米軍及びジオン軍はその総力を上げて、ヒューストンに攻撃を開始する。

 

*1シャドウランに出てくる米国のインディアン強制収容所




ルビコン作戦発動!
アスタロスが何で北米にあるかは次回説明されます。


【挿絵表示】

エゥーゴ社員の元ネタですがタイタンフォールのIMC社員が見た目の元ネタ。
使ってるライフルはHk33とG3と89式とFALが元ネタ。


【挿絵表示】

次回出てくる連邦軍特殊部隊、見た目の元ネタはヘキサギアアーリーガバナー。
武器は言うまでもなくM4系が元ネタ。


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ルビコン作戦

バンダイはジム改陸戦型フロートつきのHGUCはよ。
今回出てくるスーパーガウは要するにC-5ですね。


灰色の塗装がされた連邦軍仕様のスーパーガウが空を白黥のように進んでいた。

胴体は延長され、前部ハッチはムリーヤ式の開閉となり、後部の着艦フックから格納庫まで直通となりより飛行機らしい姿となっていた。

戦後の連邦軍はガウの出力に任せている非効率さはともかく、輸送能力について大きな関心を抱いていた。

結果生まれたスーパーガウは爆撃能力等をオミットされ、輸送能力を重点に再設計と改修されていた。

大反攻によってガウ生産工場を手に入れたのも大きな理由でもある。

その為空挺MS運用母機として、スーパーガウは連邦軍最大級の航空機としての新たな人生を得たのだ。

 

「点灯!起動!」

 

スーパーガウ格納庫では、上部の電灯が緑に発光した。

降下用意と言う事だ。

後部に大きなエンジンを背負ったパワードジムが起動し、小隊四機が確認を行う。

短く纏まったブルパップライフルを確認し、システムチェックを済ませる。

 

《4OK!》

《3OK!》

《2OK!》

 

そして中隊長が確認し、声を張り上げる。

 

《1OK!》

 

嘗ての空挺と同じ発声確認を行い、ハッチが開く。

暗い夜空をエンジェルフレアで照らす幾つものスーパーガウが、まるで死を告げる天使のように夜空を照らす。

 

《おぉハレルヤ┈┈神様頼むぞ本当に》

 

第101空中突撃師団のパターソン*1中尉は十字を切って祈る。

すると1機が火球となり、MSを撒き散らして落ちていく。

 

《コースよし、コースよし。》

《降下!降下!降下!》

 

電灯が赤く発光した、勢いよくパターソンが飛び出す。

それと同時にスーパーガウがメガ粒子砲に飲み込まれ爆発した。

幾つもの対空射撃が飛び交い、彼の機体にも対空射撃が幾つか掠める。

パラシュートではなく背部ブースターで減速するロシア式の空挺降下で降り立った連邦軍は各中隊単位で合流し攻撃を開始する。

 

 

ユーコン級SS-315から発進した水中MS部隊が、防潜網を切断する。

 

《カット完了》

《作戦をフェーズ2へ》

 

連邦海軍のSealが運用するアクアジムが警戒し、アッガイが工作を行う。

後方では上陸援護のジュアッグとズゴック、防水コンテナに格納されている上陸部隊が待機している。

あくまでアビリーンやダラスへの攻勢は陽動であり、本命はこちらだ。

本当なら湾内に入りたかったが、やむをえずコーパスクリスティの沿岸部に上陸する。

 

《沿岸部確認、データを送ります》

 

アッガイがコッソリと小さなブイを浮上させ、辺りを確認する。

沿岸部にはミサイル搭載のエレカや、M2IFVの車体を使ったADATS位だ。

上陸までの作戦行程を預かるシュタイナーは即決した、こう言う環境においては慎重さより時間的猶予の心配が最優先となる。

 

《よし、VLS全力射撃。

同時にコンテナを開放》

 

突如海からコールドローンチされたミサイルが飛翔し、レーダーサイト及び電波関連設備等に飛んでいく。

コンテナが開放され、ドナヒューの複合試験型グフやホワイトディンゴ隊、スカーレット隊がビーチに走る。

 

《ラッシュ!ラッシュ!ラッシュ!》

 

頭部機関砲がミサイルエレカやAFVに直撃し、瞬く間に廃車となった。

即座に武装を構え、道路を走る。

当然この時点で侵入がバレた、湾内の艦艇が行動を開始する。

さらに自然公園に展開していたMS部隊が動きだし、ヒューストン市街の部隊も動いて市街戦が展開された。

 

《ジム改陸戦型?贅沢な物を持ってる、相当大事らしい!》

 

ドナヒューは自身に飛んでくる攻撃を斜めに構えた盾で弾きながら、ガトリングシールドで手前の海を撃ち込んでバランスを崩させる。

 

《今だッ!》

《よしっ!》

 

バランスを崩して動きが鈍った瞬間、レイヤーのビームライフルが胴体を貫通。

積載弾薬と推進剤に引火して大きな爆発を巻き起こした。

 

《花火よかきれいだあ》

《呑気な事言ってる余裕が無くなったぞマイク》

 

ファング3がブラインドファイアで陸戦型ジムに牽制し、ファング2のジムキャノン*2で本命を撃ち込む。

手慣れた物で、嘗ての経験をそのまま活かしていた。

連邦軍のMSは殆どの機体の運用法について変化がない、その為ジムキャノンも量産型ガンキャノンもさほど感覚に癖がないのだ。

これこそ連邦軍勝利の要因である、癖がないから訓練の時間を短縮できるのだ。

 

《さらに来た、全くながら羨ましいよ!》

 

ドナヒューが迫る新たなジム改陸戦型に呟く。

 

《アレがオーストラリアに回ってればなァッ!》

 

レイヤーはそう返すと、ドナヒューは笑って《全くもってその通りだ》と返した。

 

《フォワード!マァーチッ!!》

 

盾を構えたスカーレット隊のジムストライカー戦列が前進し、湾内から出てきた艦艇をジュアッグが攻撃して撃沈する。

直撃したウダロイ二型対潜駆逐艦に似た艦艇の艦橋が融解、真っ二つに割れた。

間違いなく当たりだった、出てくるMSの質が全く異様だ、その割に質は良くないが即応の速さを見るに指揮官は優秀らしい。

 

 

「何としてもシャトルを死守しろ!あと7分だ!」

 

連邦軍としてもアスタロス流出を避けたい事から、戦いの場は物理的打ち上げの阻止と管制室になった。

灰色の特殊繊維の戦闘服と対NBC戦及びデータリンク機能を有するヘッドギアを装着した連邦軍特殊部隊エコーズ隊員が施設内に突入する。

 

【挿絵表示】

 

 

「クソッ!連邦の特殊部隊か!」

 

PMCエゥーゴ社員が制圧射撃を行い、管制室への通路を阻む。

 

【挿絵表示】

 

更には動きの奇妙なエンクレイヴと同じ装具の兵士が攻撃を行う。

 

【挿絵表示】

 

乾いた炸裂音が連続して響き、エコーズ隊員のグレネードランチャーが発射される。

ドンッと爆発音が響き、フルオートにセレクターを変更した前衛隊員が射撃しながら突撃する。

 

「クリア!」

 

戦闘装具故に40mmグレネードでも即死しないが、行動は完全に不能である。

いくら衝撃緩和のジェルが仕込んであるからといって衝撃波が消失する訳ではないのだ。

しかし動きの奇妙だったエンクレイヴ隊員が起き上がり、銃撃を加えようとする。

エコーズの士官はそれに気づいて自身のライフルで掌を撃ち抜くが痛みが無いようにもう片方でナイフを抜こうとした。

即座に頭を撃ち抜いて漸く動かなくなった。

 

「┈┈気味悪いな」

 

ともあれ、管制室の入り口に到達し、突入用意を始める。

指向性爆薬でドアを破壊、前衛隊員三人で前方と左右に火線を展開できる様にして、後衛が突入、制圧する。

しかし突入した隊員は思わず声を上げた。

周りは爆薬で一杯なのだ。

 

「退避!!」

 

彼の指示は正しかったが、無駄だった。

 

 

突如シャトルから轟音と煙が立ち上がり、ゆっくりと空に上がっていく。

 

《なんてこった┈┈》

 

ルビコン作戦は、寸手のところで失敗した。

 

 

シャトルを打ち上げた事により戦闘は小康状態となり、連邦軍は撤収を開始した。

しかし完全な無駄骨と言うわけではなかった。

撃破したジム改のパイロットはエゥーゴ社員装備のクローンであり、シャトル用のコンテナでは100体近い冷凍状態のクローンが確認されたのだ。

更にはジオン系列の部品も発見され、採取されたDNAは核兵器テロ事件の物と同一であった。

腹部に刻まれた"商品番号"と商標からプルシリーズと言う事が分かったこの悪魔的クローン技術は連邦軍にとって大きな衝撃をもって伝えられた。

彼女らは自我のない肉人形であり、壊れたら替えが効く程度の存在であると言う事が。

これにより、連邦軍はなお勢いを増して内戦終結を目指して戦うこととなる。

 

*1元ネタは名作FPSのMOH主人公

*2予備がこれしかなかった




壊れたら替えが効く程度の存在価値しかない女の子を戦わせる、いつもの光景だな!(艦これとかそうじゃろ)
僕のリョナ性癖のせいじゃないよ、本当だよ。

しかし感想400越えてUA十万、御気に入り700越えるとは。
正直原理主義者やバカにしまくってる右翼左翼から怒られそうな作品なのに(全方位敵対)
と言うか主人公が一度もMS乗らねぇガンダムがあって良いのか?
チートなしハーレムなしMS乗らねぇ思想はガンギマリ紅茶オーバードーズでも良い、自由とはそういうことだ。


ビッグウォー!アクション!!


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アクシズの脅威(付録:内戦初期に於ける軍艦艇比較)

アクシズの脅威(アクシズが脅威とは言ってない)
高評価が増えてて作者が猛り狂ってます、アーナキソ...。
十月なので革命的に二回投稿だ!


古来より海軍には二種類の分類がある。

遠洋に出る海軍と、沿岸防衛を主題とする海軍である。

嘗てのアムール・スンガリ艦隊に対抗するべく創設された満州海軍や10年前までのタイ海軍*1、スウェーデン海軍等が後者の海軍である。

前者の海軍とは言わずと知れた列強の海軍である、つまり望む望まぬ云々も言えないまでにその必要性があってしかもそうするしかないような状況の海軍である。

そして前者の海軍は連邦であり、後者の海軍はジオンなのである。

連邦艦とは火力には多少目をつむっても居住性等を大事にし、航行能力を高めるのだ。

対するジオンの艦とは要するに足柄を見たイギリス軍人と同じ表現が適切だろう、つまり飢えた狼、戦うことしか頭にない狂犬である。

「いま私は本物の軍艦を見た」、この発言は決して誉め言葉ではない、外洋海軍の軍人によるストレートな批判なのだ。

 

「つまり、ジオンの艦隊はコロニー圏の防衛に全力を挙げさせると?」

 

デラーズは些か面白く無さそうな顔をし、ガルマは納得した顔をした。

 

「その通りです、効率を考えるに盾と矛は分けるべきで、ジオン艦艇は矛として非効率に過ぎるのです、それに」

「宇宙市民の感情問題┈┈ですか」

「┈┈物わかりの速い上司をお持ちで羨ましいです」

 

ガルマの言葉はどうしようもない事実であった。

独立運動の根幹は連邦政府の無計画な行政問題に根を張って育った、セツルメント州となって市民権の大幅な向上があったとはいえ連邦政府を嫌う人間はまだまだ居る。

幸いアクシズが勝手に自滅同然のポカをやらかしたが、内戦終結後に大きな火種になられても凄くこまる。

だがジオン共和国艦艇なら、圧政者としてのバイアスがかからず連邦としても「垣根を越えての協調と対話路線の成果」となる。

ケネディ政権がそうした事を望む支持層によって支援されている以上、政府も損をしない。

それに攻勢に使えない艦隊なら腐らせるより、こう言う所に居た方が両軍兵士にとっても良いだろう。

 

「なるほど、納得致しました」

「えぇ、お願いします」

 

斯くして特段の対立がなく、セツルメント州防衛の機動戦力が展開することになった。

セツルメント州軍が宇宙市民で構成されている以上、同じ環境に居る方が良い。

大阪府民と広島県民が粉もので妥協出来る訳が無いのと一緒である。*2

 

 

ハマーンは頭を抱えていた。

どうしようもない敗北感と屈辱的なまでの事実。

元よりハマーンは地球連邦という俗物を消し去るつもりだった、母権的専制の思想色濃い彼女の思想は、その俗物によって破壊された。

彼女にとってジオン等どうでもよく、粛清自体に意味を見いだしてしまったこの極めてたちの悪い思想、その大義名分が足枷になった。

まさか、ダイクンの遺児を立憲君主として即位させた上に特別法廷を開かないとは。

連邦は極めて民主主義政府的に後始末をつけていた。

ガルマという有能な人材を効率よく運用させるべく彼にジオン及びコロニー復興に関しての試算を出させて贖罪させるなんて、

戦後の裁判で死刑になった者は殆ど居ない、なぜか?罪状で言えば全員国家反逆扱いだからである。

その為全員殺せる訳なんかなかった、死刑になった者は殆どが親衛隊の鎮圧部門と言ったパルチザン狩りの、所謂戦う刑務所な連中だった。

更正させ、赦し、社会復帰させ、国家の力にする。

民主主義政府の良心と倫理的解決┈┈!!

要するに彼女は予測を誤った、彼女は無意識に相手を軽視していた。

官僚主義と文書主義を見た程度で、全てを見知ったつもりになっていた。

一番そう言う政府で、最も警戒すべき敵とは政府の抱える無数の役人たちと言う恐ろしい利益主義の信者である。

国益になるならどのような手段も惜しまない無数の役人たちによるノウアスフィア。

全人類統一政体、なんと素晴らしい行政能力。

してやられたのだ、歴史に。

 

「くっ┈┈!!セツルメント州の成立がこうも変わるとは┈┈!!」

 

どうせ独立が抑えきれないし、ツバつけて影響力完全消失を避けておけ。

嘗てのイギリスが植民地にそうしたように、役人は最適解を選択していた。

コロニーの独立戦争?そんなことしなくても遠からずそれは達成できるのになんでそんなことをするんだ?

彼らの支持層はセツルメント成立によって数を減らした。

毛沢東曰く、少数のゲリラは魚であり民衆は海だという、故に民衆を味方にしている限りゲリラは決して戦略的に負けない。

 

「いや┈┈そもそも彼処でワイアットがジオンに突入したから全てが狂ったのだ!」

 

ラストバタリオンを自称する過激派ジオン軍人たちは有力な兵器や資材を持ち出せなかった。

キシリア派閥とギレン派閥で武力衝突が始まり、連邦が治安回復の為にとジオン本土に武力進駐を行いガルマ派とダイクン派が協力して連邦と停戦してしまった。

結果機体や艦艇はまるで持ち出せず、設計資料と言った物くらいしか手に入れられなかった。

そう言う類いをもって逃げようとした連中は七割近く撃沈され、武力衝突勃発に際して一足早めに出てきたデラーズ達に頼ってしまった。

その事実が彼女の自尊心を傷つけた。

あのカルト的民主主義狂信者の紅茶狂いと、俗物と軽蔑してきた連邦に最悪の状況に追い込まれた事実が。

 

「グレミーやKPZのテールマンが煩い┈┈なにか、何らかの成果が」

 

アクシズには、詳細不明の生まれをしているグレミーやダイクン派とは別の独立運動派のKPZ(ジオンコミューン党)も抱えている。

人材不足と物資不足ゆえの惨劇的状況である。

しかし実質的にはFWWの手先に近いテールマンや、夢想的で無計画なグレミーなんぞが台頭したらいよいよ破滅である。

ハマーンのシンパであるミネバの親衛隊や右翼主義的ジオン軍人はともかく、大衆迎合的扇動に長けるグレミーや少年兵等にアジをかますテールマンの台頭は座視できない。

故に強引な技術で完成させたクローン技術によるプルシリーズの増産を戦争が起こることを望んでいるアナハイムと結託して行ってきたが、全部ワイアットのせいで御破算である。

マーサによって持ち出された機材を用い、アクシズは戦力拡充を急いでいる。

┈┈だが、見かけだけ立派な虚飾とバカに出来るようなものであったが。

 

 

これは内戦初期の勢力の宇宙戦力の統計記録の平均である。

 

連邦軍(事実上のソロモン守備艦隊と各地の敗残兵)

アイリッシュ級3。

マゼラン級14

サラミス級42

アルビオン級3

ペガサス級6

トラファルガー級10

アンティータム級7

小型艦艇120

 

エンクレイヴ(艦艇数に優るも乗員不足と未熟)

マゼラン級22

サラミス級73

ペガサス級4

アンティータム級19

小型艦艇191

 

アクシズ

レウルーラ級試製戦艦1

グワンバン級航空戦艦4

サダラーン級戦艦11

チベ改(グルトップ級)12

ティべ級4

ムサイ最終生産型8

エンドラ級巡洋艦31(資料が錯綜しているがアナハイムが製造していた模様)

ズワール級巡洋艦2

ガガウル級駆逐艦改装特設母艦21

ジッコ及びガトル等の280以上

 

補記:しかしながら稼働率についての指摘が多く、内戦序盤に積極的攻勢に出なかったのは政治的理由より整備に関しての問題が多いからであろう。

特にエゥーゴの持ち込んだ機材による整備の時間は予定より長引いたと証言があるので、恐らくは彼らは動く事が不可能だったようだ。

 

ジオン共和国航宙自衛軍(いかんともしがたい艦艇不足)

グワジン級2

ムサイ級19(初期生産型も混じっていた模様)

貸与されたサラミス級4

同じく貸与されたトラファルガー級2

貸与されたアンティータム級4

ティべ1

チベ改2(デラーズ艦隊所属)

ズワール級1

ガガウル級10

レパント級フリゲート28

 

補記:人員の質で言えば連邦軍に次いで訓練されている。

 

エゥーゴに関しての資料は完全に役に立たない物と、信憑性に欠くもの、そもそも公式資料が現存していない為不明。

しかしワッケイン提督やデラーズ提督がアルビオン級と交戦した記録を残しており、エゥーゴが新型艦艇を運用していた事を示す写真も残っている。

ジオン共和国軍の偵察に於いて、既存とは異なる艦艇も確認している物もあった。

 

-『アクシズの脅威』著者カイ・シデン-

*1空母保有国である

*2あのような粉もの擬きを食せるかの県民は理解しづらい(府民的感想)




セツルメント州軍ですが彼らは艦艇を運用していると言ってもレパント級くらいの小規模なものです(カリフォルニア州軍とか海軍まで有してるがあれは稀)
基本的に機動兵器が州軍の戦力ですので。

ハマーンの思想はよくわかんねぇんだよなあ、男にフラれた私怨って言うのもあり得そうだし。

KPZのテールマンですが元ネタはドイツの共産主義者のテールマンです、僕はきらいです(発作的左翼嫌い)



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木星から来たやべー奴

木星から来たやべーやつ。
自分がコルニーロフ(1907年に革命はエリートによる主導が望ましいとレーニンと討論している)の後継者と思い込んでる精神異常者。

シロッコ「(内戦のカオスの地球圏見て)テーマパークに来たみたいだぜ、テンション上がるなあ~」

シロッコ「俺はエリートによる革命の火種なんだ┈┈!誰がなんというとエリートなんだ┈┈!」


地球地上軍との連絡線及び兵站線を維持するべく敵機動戦力を我々は活動せねばならない。

従い今度の攻勢は旧サイド7にたいしての┈┈ん?

 

「失礼する」

 

執務室の扉が開き、特警*1二名に両腕を取り押さえられている男が入ってきた。

なんというか、スパロボでよく聞いた声をしたような男が。

シレーヌ秘書官が呆れた顔で言った。

 

「なんですか貴方」

「失礼すると言った」

「そういうこと言ってるんじゃない」

 

すると、その男は胸ポケットから名刺を取り出した。

 

「木星船団ジュピトリス艦隊のパプテマスさん?」

「シロッコで構わん」

 

傲岸不遜と書いて額に飾りたい位の態度である。

君良い面の皮をしてるね!日本の政治家にならないか!

 

「で、不法侵入は何のために」

「違うぞ、ちゃんと許可を取っている」

「MPに取り押さえられて言う言葉ではないと思うんだが」

「些末な事だ」

 

こやつ無茶苦茶言いおる。

 

「さて本題だが何故我らの航行を許可してくれんのだ」

「航行を?」

「そうだ、だから来た」

 

シレーヌに目配せし、資料を渡してもらう。

すると確かに木星船団への航行差し止めが出ている、しかし差し止めの範囲は内戦による戦闘地域だ。

 

「あー、確かに私がサインした航行差し止めの指示書ですね」

「うむ!ルナツーに問い合わせても返事が来ない」

「そりゃ来ませんよ、ブッ壊れて彼処には放射線まみれの瓦礫しかありませんから」

 

シロッコの表情が変わった。

 

「どういう事だ?」

「どういうもなにも、内戦ですよ、知らないんですか?」

「ジオンとの戦いがまだ続いているのか?」

「いえ、連中の跳ねっ返りや連邦内部に居た過激派が結託してて内戦してるんですよ、CapitalPost読んでます?」

「新聞は6ヶ月遅れのしかない」

 

あぁ、そうか、通信インフラは完全に復旧してないから木星は情報的に孤立してるのか。

シロッコは暫し唸り、尋ねた。

 

「貴官!ワイアット提督は知っているか」

「そりゃあ知ってますよ」

「何処にいるか知らんか」

「目の前に居ますよ」

 

シロッコが納得したような顔をした。

 

「面倒がなくて良い、さあ航行差し止め解除のサインを」

「あぁそれについてはまず法務省と公安委員会、それと運輸省とエネルギー庁の同意を得てからお願いします」

「なに?」

「私はただの暴力装置の部品です、シビリアンの方に申請して下さい」

「┈┈積み荷が何かご理解か?」

 

シロッコが驚愕したような顔をし、尋ねた。

 

「えぇ、ヘリウム3、核融合エネルギーを支え推進剤としても使える物ですね」

「そうだ!故に何処でも入り用なのだ!」

「故に許可できませんな」

「なぜだ?!」

 

ワイアットはため息をついて、言った。

 

「かつての石油と同じですよ、敵対者には渡したくないのはお分かりでしょう?

それに治安もよろしくありませんから」

「しかし民生品の差し押さえは」

「おや、出動時に於いては物資等の収容が認められていますよ*2

「┈┈貴官、本当にそのような民主主義の愚行と文書主義を信じているのか」

 

怪物を見るような視線で、シロッコは尋ねた、

ワイアットは満面の笑みでコクの強いケニア産ミルクティーを飲み、言った。

 

「勿論!」

 

責任の所在が明確で余計な事しなくて良い、文書主義万歳。

文書さえ用意できれば何でも出来ると言うのは良いことだ。

 

 

シロッコはジュピトリスに戻り、仕方ないので積み荷を引き渡した。

彼自身、真の目的はワイアットなる昨今有名な男を見たいからである。

しかしながら実際に会って、彼に感じ取れたのは恐ろしいまでの二面性、二重思考に近い思考である。

民主主義を批判しつつ無条件でそれを信奉している、狂人的でさえある。

 

「フフッ、歴史が面白い方に動いてきたじゃないか!」

 

正に世も末、世紀末的アーマゲドンだ!

面白い時代だ!

 

「パプテマス様、どうでしたか」

 

彼の副官のような立場で、学生の中から優秀さを見込まれて木星船団にやってきた経歴のサラが尋ねた。

シロッコ自身、このあと世界を揺れ動かし引っ張るのは女性だと考えている事もあり彼女の面倒を見ていた。

 

「なかなかどうして常人とは違う思考をしている、面白い時代に生まれた物だ、神様という奴を信じたくなったよ」

「では、連邦につくのですか?」

「それはそれで面白いかも知れん、しかしサラ、我々は何だ」

「木星公社の木星船団です」

「そうだ、サラ、いずれ貨幣も紙幣も滅ぶ、そのような時代に新たに価値を生むのは黄金ではなくエネルギーだ」

 

シロッコはその美男的笑みと、悪魔的抑揚で言った。

 

「かつてエナジーを独占した企業はパワーカンパニー(電力会社)と呼ばれた、私はこれに新たな意味を持たせて見せよう。

パワーカンパニー(権力ある企業)の時代だ」

「では、エゥーゴにつくのですか?」

 

シロッコは首を振って、言った。

 

「あんなもの所詮はエゴイストの私兵だ、真に売り込むべきは」

 

 

 

 

 

 

アクシズだよ。

 

 

 

*1帝国海軍では憲兵と呼ばない

*2元ネタは自衛隊法の防衛出動




サラの経歴ですが原作通りだと若すぎるので学生の設定にしました。
木星公社は専門性高そうですし学校も抱えてもおかしくないでしょうし。(リアルだとTOYOTAも学校抱えてるらしいし、アナハイムも抱えてるし)

しかしシロッコは書きにくいですね、本当にたちの悪い転生者みたいなヤローで掴み所無いんだよなあ┈┈。