魔道士リザの冒険譚(星のドラゴンクエストStory冒険日誌) (ジョギー)
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2ndシーズン序章 プロローグ「故郷を飛び出し新しい冒険へ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



ドォォォォォン!!!!!

 

マール島の浜辺に何かが落ちてきた。

その衝撃が大きすぎてアタシ達はその場に

倒れ込んでしまった。

 

「だ、大丈夫か!?リザ達!」

 

モガ丸とスラッピが心配そうに

アタシに声をかける。

 

「よかった、大丈夫みたいだな。

・・・うん!?」

 

ふと浜辺に視線を移すと

一冊の本が落ちていた。

 

「さっきの衝撃の原因は

この本が落ちてきたせいか。」

 

その本は!

冒険王の書にそっくりだった。

と、その冒険王の書にそっくりな本が

ひとりでに動きだし宙に浮いて

アタシ達の前で止まった。

 

そしてひとりでに本が開き中から人が!!

 

どこかで見た光景。

そしてモガマルが叫んだ。

 

「これは!やっぱり冒険王の書だ!!」

 

アタシもそう思った。

けど中から現れたのは祖父ガイアス

ではなく見目麗しいステキな女性。

モガマルが思わず「美人だ!」

と叫んじゃうぐらいの。

 

「この本は冒険王の書ではありません。

この本は・・・・宇宙王の書です。」

 

本の中の女性が言う。

 

「私の名はオリオリ。

かつて全宇宙を平和に治めていた

宇宙王の血を引く者です。」

 

宇宙王!?

全宇宙を治めるって、そんなすっごいスケールの

持ち主が存在するんだ!!

ブルリア星の冒険王だなんて言ってるアタシ達が

すっごくちっちゃく見える。

けど・・・ん?

全宇宙を治めるって・・・

それって宇宙政府の事じゃないの?

 

「たしかに。

現在、全宇宙を治めているのは宇宙政府。

しかし宇宙の星々の人々は

宇宙政府の圧政に苦しんでいます。

宇宙王の血を引く私は『打倒!宇宙政府』を掲げて

レジスタンス活動をしています。

・・・リザさん。

その名を全宇宙に轟かせた冒険王リザさんに

是非お願いしたい事がございます。

私たちの仲間に加わって頂きたい。

是非お力をお貸しください!」

 

なんと!

アタシ達に宇宙政府に立ち向かう

活動の手伝いをしろ、と。

 

これは!!

 

なんてワクワクドキドキな展開なの!!!

全宇宙を治めていた宇宙王!

それに打倒宇宙政府ですってーーー!?

むぅぅぅ血が騒ぐーーー!

 

これぞ冒険!

これぞロマンだわ!!

 

「冒険王の次は宇宙王だってよーーー!

どうするリザ?」

 

モガ丸が問いかける。

アタシ達の答えは決まってる。

もちろん行くわ、行くに決まってるじゃない!!

 

「モガーーーー!

だよな、行くっきゃないよな!!」

 

「手伝ってくれるのですね、

ありがとうございますっ!!

魔星王ドスラーデスを倒したリザさん達の加勢、

百万の軍に匹敵しますわ!」

 

オリオリはアタシ達をすっごく高く

評価してくれてるみたい。

お世辞かもしれないけど悪い気分ではないわね。

 

「そうと決まれば話は早いほうがいい。

さっそく私たちの活動拠点まで

ついてきてください。

私には仲間がいます。

仲間の事は義勇軍と呼んでいます。

私たちは惑星クラウドという星に

活動拠点を置いています。

そして惑星クラウドには宇宙政府の中枢も

存在しています・・・!」

 

惑星クラウド・・・!

とうとうブルリア星を飛び出して

異星へ向かうことになるのね、

ますます気持ちが高ぶってきたわ。

星から星を巡る冒険の始まりね!

 

でもどうやってその、

惑星クラウドまで行くのかしら。

いくら神鳥レティスでも、どこだか場所が

わからない星までは飛んでいけないだろうし。

 

「この宇宙王の書に触れてください、

そうすれば惑星クラウドまで

ワープする事ができます。」

 

へぇぇ!

そんな簡単な方法で行けちゃうんだ!?

まぁ、でも話が早いわね。

 

よし!!

 

じゃあ宇宙政府と戦うため、

惑星クラウドまで行きますか~!

 

「リザよ。」

 

「おじぃちゃん!!??」

 

「じじい!!」

 

いつの間にか、どこからか冒険王の書が現れ

中から祖父ガイアスが現れた。

 

「これは!

初代冒険王ガイアスどの、

お目にかかり光栄でございます!!」

 

本の中のオリオリが本の中の祖父に

頭を下げている。

なんだかおかしい光景だった(・∀・)

 

「うむ、話は聞いておったぞオリオリとやら。

我が孫リザよ、いや、新しい冒険王よ、

その名に恥じぬようしっかりと

オリオリ達を助けてやれ!

お前達ならきっとできると信じておるぞ。」

 

え、うん、もちろんそのつもりだけど・・・。

おじぃちゃんはついて来ないの??

 

「ワシはブルリア星に留まる。

もちろん初代冒険王として異星での冒険は

この上なく冒険心をかき立てられるが、

残念ながらワシはここを離れられん。

ワシが冒険王の書を通じてお前達と話ができるのは

星見る神殿の不思議な力が

作用していることは知っているな?

惑星クラウドとはおそらくこのブルリア星から

遠く離れた場所にあるのであろう。

神殿の力はおそらくクラウドまでは届かんじゃろう。

いわゆる圏外なのじゃ。」

 

「モガー、そういえばそういうシステムだったな。」

 

「ゆえにワシはお留守番じゃ。

リザ達よ、そういうわけで今回はお前達に任せる。

頑張ってくるのじゃぞ。

そしてワシにみやげ話を聞かせてくれる事を

願うておるぞ、ワッハッハッハ!」

 

そっか~、仕方ないわね、うん、大丈夫!

任せておじぃちゃん!!

おじぃちゃんが築き上げてきた

冒険王の名に恥じないよう頑張ってくるからね!

 

「オイラとスラッピも

もちろんリザ達についてくぞー!!」

 

ありがとうモガマル、スラッピ。

また一緒に冒険できるね。

 

「みなさん準備はいいですね?

では宇宙王の書に触れてください。

惑星クラウドまでワープします!」

 

胸が高鳴ってきたわ、新しい惑星で新しい冒険!

いったいどんな事が待ち受けているのかしら。

 

アタシは抑えがたい胸のドキドキを覚えながら

オリオリを出現させている宇宙王の書に

手を伸ばした・・・!

 




ソーシャルゲームアプリ「星のドラゴンクエスト」
のメインストーリー部分を
自分のキャラを主人公に仕立てた
小説らしき日記です。
プレイ日記であり小説のようでもあり、
という文章になっていくと思います。
多少、創作も入っています。

主に主人公視点で描いていきます。
自分の都合ですが日記として
書き始めたのが
シーズン1終盤からでしたので
便宜上、この作品はシーズン2開始時
から始めます。

★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。

・初代冒険王ガイアス
アタシ達の祖父。
『冒険王の書』という不思議な本から
現れる。
実はそれは思念波であり実体は
とある場所に囚われている。
その昔はブルリア星の隅々まで
冒険をしつくしたらしい。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。


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2ndシーズン第1章[新たなる雲海の星]***惑星クラウド・バァジ島編*** エピソード1.「スラッピって関西弁だったのね」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




「・・・・もう、目を開けても大丈夫ですよ。」

 

誰か、女の人の声が聞こえる。

気を失っていたんだろうか、

アタシは閉じていたまぶたを開いた。

 

目の前には冒険王の書の中から現れている

・・・・女性!?

え!?冒険王の書からおじぃちゃんじゃない人が

現れてる!!??

 

「大丈夫ですか?リザさん達。

ワープの衝撃で気を失われてたみたいです。

けど、無事に惑星クラウドに到着しました。」

 

あ!!そうか、オリオリね!!!

冒険王の書じゃなくて宇宙王の書!

そうだった、あまりにも急な展開だったので

思考がまだ追いつかない。

 

宇宙王の血を引くオリオリのレジスタンス軍に

アタシ達は参加して、そしてその拠点があるという

惑星クラウドへ向かってたんだ。

 

で、え、何?ワープ!?

へぇぇ!宇宙王の書に触れただけで一瞬(!?)で

こんな遠くの星まで来れちゃうんだ!!

すっごい、なんかとっても

不思議な体験をしたのねアタシ達。

神鳥レティスでさえも、すぐ近くの隣の星へしか

飛べないのに。しかもかなりの力を振り絞って。

それなのに一瞬で、隣の地球よりも遠い星へ!!

 

と、ワープしてきたという事実への興奮が

さめやらぬまま辺りを見回してみると、

なんとも不思議な光景を目にした!

 

雲が!低い!?

 

低いどころか、地面より下に雲があるの。

何?ここは天上界だとでもいうの??

アタシ達、ワープしてきたんじゃなくて

死んじゃって天国に来ちゃったの?

 

「驚きましたか?惑星クラウドでは

雲が地面より低い位置にあるのです。

海があって、その上に雲があり、そして地面があります。

だからクラウドでは海が見えません。

そのため、大陸間の移動は船ではなく

飛行船などで行うんです。」

 

え~~そうなんだ、へぇそういう自然現象というか

星の仕組みなのね。

アタシ天国に来ちゃったのかと焦っちゃったわ、

恥ずかしい(^_^;)

 

「では、さっそく我々の仲間にリザさん達の事を

紹介したいと思います。

我々の仲間・・・義勇軍と名乗っていますが、

義勇軍はこのバァジ島の各地に

点在する秘密基地で活動しています。

まずはその秘密基地に向かうのですが

その前に立ち寄らなければならない場所があります。」

 

へ~義勇軍、なんか思ってたより規模が大きそうだし、

レジスタンス活動とやらも本格的なのかしら。

で、基地の前に立ち寄る場所って?

 

「トラスレ神殿です。

その神殿には聖水があり、みなさんには

その聖水を飲んでいただかなくてはなりません。」

 

ん?聖水?

飲まなきゃいけないって身を清めるとか、

義勇軍に入隊したら必ずする誓いの聖水とかかしら。

 

「みなさんと私は異星人同士です。

ですが今こうやって会話ができています。

本来、異なる言語を話すはずの私たちが

言葉を交わせるのはどうしてだと思いますか?」

 

あ!もしかして!!

 

「そうです。

その聖水を飲むとあらゆる言語を聞いて話す事が

できるようになるのです。

私たち義勇軍のメンバーは多数の惑星の出身者で

構成されています。

当然、話す言葉は違いますが聖水のおかげで

それぞれの星の言葉でも問題なく会話できる、

というワケなんです。」

 

へぇぇ!

確かにアタシとオリオリは出会ったときから

普通に会話できてたわ。

そっか、それは聖水のおかげだったのね!

 

「と、いうワケでまずはトラスレ神殿に

向かいましょう。」

 

異国人、異星人と会話ができるようになるという

不思議な聖水を求めてアタシ達は聖水が安置されているという

トラスレ神殿へ向かうことになった。

いよいよ異星での冒険の開始ね(^o^)

 

アタシ達はオリオリの導きのもと

神殿への道を歩き始めた。

しばらく歩いていると前方に邪気を感じた。

 

「む、魔物の気配・・・?」

 

「え!?魔物!?」

 

魔物の気配を感じたアタシはさっそく戦闘か、

と思いながらもいつものように杖を構え

戦闘準備に入ろうとした。

しかし宇宙王の書の中の女性は

なぜか魔物が現れた事に

ひどく驚いているようだった。

 

アタシ達は苦も無く目の前に現れた魔物達を一蹴し、

神殿へ向かうためにまた歩き始めた。

 

「まさか、この島で魔物が現れるなんて・・・!」

 

オリオリは難しい顔をしている。

それは今し方現れた魔物におびえるというワケではなさそう。

仮にも宇宙政府を相手にしようっていう

グループのリーダーですものね。

それよりもこの場所に魔物が現れるという事実に

納得がいかない様子。

 

しばらくするとまた魔物が現れた。

 

「また・・・!」

 

オリオリの独り言をよそにアタシ達は魔物達を振り払う。

ふたたび歩を進めると前方に

目指す神殿らしき建物が見えてきた。

 

「みなさん、お疲れ様です。

ここがトラスレ神殿です。」

 

「モガ、ここに、飲めばどんな星の言葉も理解できて、

話す事もできるようになる聖水があるんだな?」

 

「ええ、しかし神殿の中にはおそらく魔物がいるはず・・・。

事実、ここへ来る道中でも魔物が現れました。

今までは魔物が現れた事はありませんでした。

宇宙政府の影響が少ない場所だからこそ、

この島に秘密基地を構えたのです。

もしかすると秘密基地の事を宇宙政府が

かぎつけたのかも・・・。

リザさんたち、急ぎましょう!

聖水を手に入れ一刻も早く秘密基地に向かいましょう!」

 

なるほど、さっきからオリオリが険しい顔をしていたのは

そういうワケだったのね。

アタシ達がやってくるまではこの島には魔物・・・

宇宙政府の手は伸びていなかった。

けれど魔物が現れたということは政府に基地の事が

知れた可能性は否定できないわね。

うん、確かにのんびりしてる時間はなさそう。

 

よし、じゃあ、聖水を手に入れるために急いで

神殿の内部まで進まなくては!!

魔物がいるかもしれない?

望むところよ、ブルリア星の冒険王は

伊達じゃないってところを見せてやるわ(^_-)-☆

 

アタシ達は戦闘態勢のまま門をくぐり

建物の内部へ入っていった。

魔物は・・・やはり居た!!

けどアタシ達の敵ではない!

 

神殿は3階層まであったけど魔物は

全て退治し最深部まで進んだ。

 

「素晴らしいですね!みなさんは本当にお強いです!

やはり我が義勇軍にとって

必要不可欠な存在だと確信しました!」

 

へへへ~、どうやらオリオリの期待に添えたみたいね。

 

「で、その聖水っていうのはドコだ?」

 

モガ丸が辺りを見渡している。

 

「奥の祭壇から湧き水が流れているでしょう?

それこそがトラスレ神殿の聖水です。

飲めばあらゆる星の言葉を聞き取ることができ、

そして話す事ができるようになります。」

 

「よーし、この水だな!

リザ達、飲め!オイラも飲むぞ!」

 

モガマルとスラッピが祭壇へ近づいていく。

アタシ達もそれに続く。

 

・・・なんて綺麗な水なの!

神々しく輝いているようにさえ見えるわ。

アタシは手で、その光るような水を掬い

口に含んだ。

弟妹達もモガマルもスラッピも聖水を口にする。

 

「これで大丈夫です、問題ありません。

私たちの仲間の言葉も

全てブルリア星の言葉に聞こえるはず。」

 

特に体に変化はないようだけど・・・。

けど清らかな水だというのは確かだわ。

 

と、聞いた事のない、

誰だか主のわからない声が聞こえた。

 

 

「すごいやん!

ものごっつすごいやん!」

 

「・・・・・モガ?」

 

「なんや?」

 

「ス・・・ス・・・・スラッピ・・・・・

スラッピがしゃべってる!」

 

「何言うとんねん。

今までもしゃべってたやん。

モガマルはん、おかしな事言うてはるー。」

 

えぇぇぇぇ!!!!

スラッピがしゃべってるーーーー!!!!!

 

「いやいやいや!

スラッピはピーピー言うだけで

オイラだけが言葉が通じてたんだ!

なのに・・・・。

リザ達もスラッピの言葉、理解できただろ?」

 

そうよ、そう!

スラッピが何を言ってるかモガ丸だけがわかってて、

アタシ達にはスラッピのピーピーって

声しか聞こえなかった。

 

ってか、ええ!?

トラスレの聖水って異星の言語だけじゃなくって

異種族の言語まで理解できるようになるって事!?

 

すっごい効き目だわ!!!

 

「ええやん、こっからはこのスタイルで

行かしてもらうで。」

 

「ダメダメダメーーーー!!」

 

「なんでやねん!」

 

「なんででも!なんかヘン!なんかヘン!!

スラッピ、頼むから今まで通り

ピーピー言ってくれ!」

 

「・・・・・アカンか。

そうか、モガマルはんの頼みなら・・・

わかったで~!」

 

・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・

 

「ピッピッピー!」

 

「スラッピ!」

 

「ピー!」

 

「それでこそスラッピだ!」

 

「ピッピピー!」

 

「えーと、お二人とも、先へ進んでよろしいですか?」

 

・・・・オリオリがツッコミ入れてる・・・・(^_^;)

う~ん、アタシは別によかったけどな~

正直モガマルのかんっぜんな好みの問題であって。

スラッピが何しゃべってるのかわかるほうが

便利だと思うんだけど・・・。

ってかスラッピってめっちゃ関西弁だったのね!

しかもコテコテw

ま、でも確かにスラッピから関西弁が飛び出したら

調子狂うかもね・ω・

 

「ではみなさん、島の反対側にある

秘密基地へ向かいましょう。

ですがその前にもう一つ立ち寄って欲しい場所が

あります。」

 

「どこに寄るんだ?」

 

「ドォクリ洞窟という場所です。

そこに私の幼なじみがいるはずです。

彼の名はボロン。

ボロンは義勇軍の中でもとびっきりの強さの持ち主・・・・

けどその強さと同じくらいナマケモノでもあるのです・・・。

私がブルリア星に向かっている間は・・・

活動をお休みして洞窟で眠って過ごす、

そう言っていたので。」

 

「モガー!それは確かにナマケモノだー!」

 

「ですから眠っているボロンを

たたき起こさねばなりません。

っもう!ボロンったら!」

 

義勇軍の中でもとびっきり強いという

オリオリの幼なじみボロン。

次に向かうのは、そのボロンが眠りについているという

ドォクリ洞窟ね。

 

わかった、行こう!

いなかったはずの魔物がいるという事実も

憂慮しなければ。

義勇軍を取り巻く状況は未だよく把握できないけど

時間があまりないって事だけは確かね。

今は一刻も早くオリオリの仲間と

合流するのが先決みたいね。

 

ってワケで聖水の力を手に入れたアタシ達は

オリオリの幼なじみボロンが眠るという

ドォクリ洞窟へと向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。


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エピソード2.「関西弁の次は赤ちゃん言葉ですって」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




宇宙政府に立ち向かうレジスタンスグループ

「義勇軍」のリーダーで宇宙王の末裔オリオリ。

そのオリオリの幼馴染で義勇軍の

実力者であるボロンの居場所

ドォクリ洞窟に到着したアタシ達。

 

宇宙政府の魔の手が伸び始めた

ここバァジ島、おそらくこの洞窟にも

魔物が巣食っているはず。

例え実力者だったとしても"寝首をかかれ"

てはひとたまりもないはず。

一刻も早くボロンのもとへ行かなければ!

 

アタシ達は、やっぱり居た魔物を蹴散らし

洞窟の最深部までたどり着いた。

 

「モガ、もしかしてあそこで気持ちよさそうに

眠ってるのが・・・?」

 

「はい、私の幼馴染ボロンです。」

 

「あらぁ、ホントに寝てるんだな。」

 

「ボロン!起きなさい!!

全く、よくこんな魔物がうろついてる

場所で眠れるわね!」

 

「うん?むにゃ・・・・

声が聞こえる、ブスの声が・・・・

見た目は美人だけど心がブスな

アイツの声・・・。」

 

「私は美人でも心がブスでもなーい!

起きなさいってば!!」

 

う、ホントに。

こんな物騒なところで眠ってて、

よく無事だったわね、けどどうやら

この小さな男の子がボロンのようね。

 

ってかオリオリったら、すっごく美人なのに

美人って褒められると即座に否定するのね、

けどブスって言われるのもイヤみたい。

おかしな人(^_^;)

普通だって思われたいのかしら。

 

しばらくオリオリがボロンを起こしてたけど

全く起きる気配がない。

すると。

 

「~~~仕方ない。

あのぉ、スラッピさん、ボロンに

話しかけてもらえませんか?」

 

「モガ?」

 

「ピッ?」

 

「ボロンは可愛いスライムに目がないんです。

スラッピさんの事を見ればきっと

飛び起きるはず。」

 

「よっしゃぁ!まかしときぃ!!」

 

「スラッピ!!あの約束を忘れないで

くれよぉぉぉ」

 

「ハッ!!・・・・・ピピィ!」

 

「モガ、よかった!ボロンに話しかけるのは

オッケーだと言ってるぞ!」

 

「では私が合図したらお願いします。

・・・・あーーー!こんなところに可愛い

スライムがっ!!」

 

すると今まで頑なに目を覚まさなかった

ボロンが飛び起きたのっ!

 

「何!?スライム?どこどこどこ!?」

 

「スラッピさん、今です!」

 

「ピーーーーーピッピッピ!」

 

「うわぁなんてカワイイ子なんでちゅかぁ。」

 

え!?赤ちゃん言葉??

 

「キミはどこから来たんでちゅか??

もっとこっちにおいでよぉ」

 

・・・・・何?ボロンってこんな変なヤツなの?

ホントに義勇軍の実力者なのかしら?

 

「やっと起きたわね、ボロン!」

 

「ん?なんだ、オリオリいたのか。」

 

「さっきからずーっと起こしてたんだから!」

 

「おぉそうかそうか、悪い悪い。

で、お前が戻って来たってことは

コイツらが例の冒険王・・・?」

 

「そうよ、リザさんってお名前よ。

私達義勇軍に参加してくれることに

なったわ。」

 

あ、良かった、普通に会話できる子みたい(^_^;)

アタシは名前を名乗り、弟達とモガ丸、

スラッピの事も紹介した。

 

「そうでちゅか、このカワイイスライムちゃんも

仲間でちゅか~。」

 

うーむ、オリオリやアタシ達とは普通に

会話できるみたいだけど・・・

やっぱりちょっとまだ慣れない(^_^;)

 

「リザ、オレ達義勇軍への参軍、心より

感謝するぜ、そしてこれから宜しく頼む!」

 

お、なんだ、ちゃんと歓迎してくれてるし

挨拶もできるんじゃない!

 

「スラッピちゃんもこれからよろちくねぇ。」

 

と思ったけど、うーんビミョー(^_^;)

 

「よし!

じゃあレジィトの街へ行こう。

そこへいけば1番隊が待機している。

皆にもリザ達を紹介しないとな。

ブルリア星の冒険王が加わってくれたと

聞けば皆の士気も上がるというもの。」

 

1番隊!

やっぱり思ってたより大きい組織なのね。

で、いよいよ本体に合流ってワケね。

ボロンのヘンテコな一面を真っ先に

見ちゃったから張り詰めていた気持ちの

糸が一回キレちゃったけど、想像以上に

組織化されている義勇軍の1番隊とやらに

合流するみたいで、アタシの心は再度

燃え上がろうとしていた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
オリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。


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エピソード3.「改めて思う、やっぱりクズ集団ね!」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




レジィトの街に着くと頑強そうな

一人の男性がアタシ達を迎えてくれた。

 

「よぉ、旅の人!

ここはバァジ島の中心地レジィト。

雲の向こうに見えるのがヨンツゥオ大陸だ、

けど安心しな、たいていの物は

この街で手に入るぜ。」

 

どうやらアタシ達を単なる観光客か

なにかと勘違いしてるみたい。

 

と、一緒にいるボロンの顔を見るなり

その頑強そうな男が驚きの表情を

見せた。

 

「ボロン!?ボロンじゃないか!!

お前が目覚めたって事は・・・」

 

男は瞬時に思考を巡らせる。

 

「この娘達が例の・・・!?」

 

「あぁ、そうだ、ブルリア星の冒険王リザ

と、その仲間達さ。」

 

「なんと!こんな、うら若き少年少女が

あの冒険王だと言うのか!!

魔星王ドスラーデスを倒したという・・・。」

 

へへへぇ~、相変わらずアタシ達ってば

かなり有名人なんだ(・∀・)

 

「ハ!で、宇宙王の書は?

オリオリ様はいらっしゃるのか?」

 

「ただいま戻りました。

久しぶりですね、ドゥエイン。」

 

宇宙王の書がアタシの手からひとりでに

離れ、目の前の屈強そうな男の前で

止まり中からオリオリが現れた。

男の名はドゥエインというらしいわね。

 

「おぉ!オリオリさま、よくぞご無事で!」

 

「ドゥエイン、リザさん達の強さは

私が保証します。

魔星王ドスラーデスを倒したという

実力は本物です。

そして彼女たちは私たちの仲間に

なってくれました。」

 

「おぉ!それは素晴らしい!!

リザ殿達、心より歓迎する!

では皆の者にリザ殿一行を紹介せねば。

ボロンよ、オリオリ様を頼んだぞ、

オレは一足先に例の場所へ向かう。

オリオリ様、リザ殿達、失礼いたす!」

 

いつもの場所ってどこだろう。

この街が秘密基地じゃないのかしら。

するとボロンがアタシ達の疑問に

答えてくれた。

 

「例の場所とはここから西にある

ミィツのほこらさ。

俺たち義勇軍は住人としてこの街に

紛れ込んでいる。

もちろん武器などは隠してな。

だから基地と言えば基地なんだが・・・。

島の中心地である、こんな目立った場所で

作戦会議などをしてしまうと宇宙政府に

見つかってしまうんだ。」

 

なるほど、だからそのミィツのほこらとやらで

秘密裏に集まるってワケね。

 

「申し遅れましたが先ほどの男はドゥエイン。

義勇軍一番隊の隊長です。」

 

え!隊長さんだったんだ。

そんな偉い人だったなんて。

 

「ヤツは偉いだけじゃなくって

かなり強いぜ。

まぁオレほどじゃないがな。」

 

やっぱり宇宙政府にたてつこうって

いうだけの人たちの集まりね、

みんな強いんだ。

そしてボロンは負けず嫌いなのかしら、

ドゥエインの強さを認めながらも

自分も一歩も譲ろうとしない。

 

って、そんなに強さに自信があるのなら

ボロンも隊長さんなのかしら。

 

「オレは親衛隊の隊長だ。

オリオリは義勇軍の総司令官。」

 

親衛隊!総司令官!!

やっぱり義勇軍てかなり整備された

組織なのね(-ω☆)キラリ

 

「宇宙政府っていうのはホントに

卑劣な奴らなんだ。

奴らは他にもたくさん居た

宇宙王の末裔を片っ端から

殺してしまったんだ。

自分達の力を誇示するために・・・。

オレ達は絶対に宇宙政府を許さない、

奴らを倒して平和で平等な

宇宙を取り戻すんだ。

だから宇宙王の末裔の一人である

オリオリはオレ達の精神的支柱なんだ。

義勇軍のリーダーはオリオリをおいて

他にないのさ。

そしてオレはそんなオリオリを守る

親衛隊長なのさ。」

 

むむむ~改めて聞くと、ホントに

宇宙政府っていうのはむかっ腹が立つ

どうしようもない集団ね。

なんてヒドイ事をするのかしら(●`ε´●)

 

たしかにアタシも何度か宇宙政府の

手先と戦った事がある。

上級執行官ラデュラゲ、ディミトリ・・・。

どっちも高飛車だったり人を騙す事しか

しないゲスだったわね!

 

新しい星での新しい冒険にワクワクしか

感じなかったけど、改めて宇宙政府の

やり口を聞かされると、やっぱり怒りが

こみ上げてきたわ!!

やってやろうじゃないの!

必ず宇宙政府を倒してみせるわ!!

 

アタシは改めて宇宙政府への

怒りを覚えた。

とにかく今は、義勇軍に合流する事が

先決ね。

 

「よし、じゃあ行くぞ、ミィツのほこらへ。

リザ達、準備はいいな?」

 

レジィトの街を後にし、先導役のボロンと

一緒にアタシはミィツのほこらへ向かった。

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。

・ドゥエイン
頑強な体躯を持つ義勇軍1番隊隊長の男性。
彼もかなりの実力者らしい。


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エピソード4.「この島に秘密基地を置くのはもう潮時かもしれねぇな」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




レジィトの街から西に向かう。

島の中心に位置する大きな岩の山地が

遠くに見える。

時折襲いかかってくる魔物達を片付けながら

岩の山地をひたすら目指す。

 

やがて、岩山がアタシの視界に収まり切らない

ようになってきた。

かなり麓に近づいたんだろう。

けど気になる。

この方角の先にミィツの祠、つまり秘密基地が

あるのでしょう?

魔物に遭遇する回数が減らない、

むしろ増えてる。

 

秘密基地のはずなのに、そこにほど近い

この場所で魔物がうろついてるなんて。

これは、その祠にも魔物が巣食ってると

考える方が自然だわ。

 

ボロンはちょっと前から口数が減ってる。

っていうかもうほとんど無口。

おそらく、アタシと同じ事を考えてるんだろう。

イヤな予感がする。

 

アタシ達はしぜん、早足になっていた。

胸騒ぎがそうさせる。

 

すると、古い石造りの小さなお堂らしき

建物が見えてきた。

 

「着いたぜ、ここがミィツの祠だ。」

 

ボロンが目的地の名を告げた。

この古ぼけた祠が秘密基地・・・!

確かに、路傍に宿る地母神しか祀られて

いないような小さな祠。

こんな場所に、まさか義勇軍の基地が

あるだなんて誰も思わないだろう。

 

けど、その感覚は一般人からすれば、

とも言えなくない。

隠れる者を探そうとする者からすれば

「こんな場所こそ、いかにも隠れてる」という

印象を与えはしないだろうか。

 

「ボロン、もう気づいてるかも

しれないけど、ここには・・・。」

 

「あぁ、どうやら魔物がいるみたいだな、

クソ!宇宙政府のヤツら嗅ぎつけやがった

のか!?」

 

アタシは道中から感じていた事をボロンに

伝えた。

やっぱりイヤな予感は的中してしまった。

 

「モガー!

とにかく魔物をやっつけないとな。

リザ達、頼むぞー!!」

 

そうね、まずは魔物を掃除しなきゃ!

アタシ達は装備の確認をして祠の中へ

踏み込んだ。

中にはやっぱり魔物がいた。

けどアタシ達の敵ではない。

祠の中は地下空間になっていてアタシ達は

最下層まで進み、最後の魔物を倒した。

 

「んもう!ボロンったら!!

秘密基地に魔物の侵入を許すまで眠ってる

なんて!親衛隊長失格よ!」

 

「まーそう怒るなよ、美人が台無しだぜ?」

 

「私は美人じゃなーい!!茶化すなーーー!」

 

うーむ、このやり取りはお約束なのかしら、

そしてイマイチ深刻さが足りないんじゃ

ないのかしら(^_^;)

 

と、そこへたくさんの足音が近づいてきた。

まさか!?まだ魔物がいたの!?

 

「義勇軍一番隊長ドゥエイン!

助太刀いたすーーーー!!」

 

「遅ぇよ、ドゥエイン。」

 

「魔物達はリザさん達が倒してくれましたよ。」

 

「お?おぉぉぉぉぉ!

これは失礼いたしました、しかし

冒険王殿の強さはホンモノなのですね!」

 

「あぁリザ達の強さにはこのオレ様も

ホンットに惚れ惚れするぜ!」

 

足音の主は、隊長さんと、その隊員達

だったのね。

隊長さんはアタシ達より先にここへ向かった

はずなのに。

アタシ達追い抜いちゃったみたいね。

 

「隊員達にも冒険王殿のことは

伝えております。しかし、この目で

その活躍を拝見したかったですなぁ!」

 

ふふ、また褒められちゃった(・∀・)

ってワケで、これで正式に義勇軍の一員として

認められたのかなぁ。

 

「久しぶりですね、一番隊のみんな。」

 

「は!ご無事でなりよりです、オリオリ様!」

 

やっぱりオリオリってすんごくエライ人なのね、

こんなに美人なの・・・ってあぁ、

美人って言っちゃいけないんだっけ(^_^;)

 

「一番隊は揃っているようですが

二番隊の姿が見えませんね?」

 

「それがオリオリ様、レジィトの街で

隊員達を招集していたところ、

聞き捨てならない情報が入りまして

・・・」

 

「聞き捨てならない!?

どういう情報です?」

 

隊長さんが語った情報の内容は、

確かにとても重大な内容だった。

事のいきさつを知らないアタシ達でも

十分そう感じた。

 

「宇宙政府の上級執行官が政府を裏切り、

我らに寝返るというのです。

寝返る事の証明として政府の内部機密の

情報を提供する、と。」

 

なんと!!

ドゥエインはさらに続ける。

 

「その者の名はマレドー。

当然ながら宇宙政府は彼に追っ手を

差し向けました。隊員の報告によれば

彼はここより南のチタヌ洞窟に

身を潜めているという事です。

ゆえにマレドーを保護するべく二番隊は

チタヌ洞窟に向かいました。」

 

ええええ~、いきなりスゴイ展開!!!!

上級執行官って言えば、あのラデュラゲや

ディミトリと同格の役人って事でしょ!?

それほど、宇宙政府でも重要なポストに

就く者が組織を裏切るなんて、

一体全体、どういう心境なのかしら!!

 

しかも組織の内部機密を外部に漏らす

だなんて。

上級執行官達と戦ってきたアタシ達からすれば

想像もできない事態に、にわかには

思考が追いつかない。

 

「内部機密!それはありがたい!

是非とも保護しなくては、ねぇボロン、

アナタもそう思うでしょう?」

 

「あぁそうだな、急いで接触しなくては!」

 

え、え、え!?

そうなの?オリオリ。信用しちゃうんだ!?

いいのかな、そんな簡単で。

仮にも上級執行官を務めるようなヤツよ?

一応、裏とか取らなくていいのかな・・・?

 

「しかし洞窟へ向かった二番隊からは

一向に連絡がございません。」

 

「それはいけません!

追っ手の魔物達に捕まってるのかも!

急いでチタヌ洞窟へ援軍を送らねば!!」

 

「ふふ~ん、じゃあリザ達の出番だな?

オリオリ。」

 

「ですね、お願いできますか?

リザさん達。」

 

そうね、事の真偽はこの際後にして

とにかく現場へ向かわねば!

寝返るという上級執行官とも

実際に顔を合わせて見なければ何も

始まらないわ。

 

アタシは二つ返事で洞窟へ向かう意思を

オリオリに伝えるっ!

 

「あぁ、ありがたい!

では引き続きよろしくお願いします!!」

 

事態は急展開だわ!

アタシ達が戦ってきた上級執行官は

どいつも卑劣でそしてとても強い魔物だった。

でも、全宇宙を支配するという宇宙政府。

アタシ達が想像するより巨大な組織に

違いない。

ひょっとすると巨大がゆえに、様々な考えの

持ち主がいるのかもしれない。

執行部の考えに意を反する者がいても

不思議ではないのかもしれない。

 

アタシは、組織を裏切るという、

その上級執行官にとても興味を抱いた。

会ってこの目で確かめたい。

どういう理由で反旗を翻したのか、

義勇軍に寝返る事になった今、

何を思うのか、そして何より信頼するに

値する者なのか、直接この目で確かめたい。

 

オリオリとボロンの先導のもと、

アタシ達はチタヌ洞窟へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。

・ドゥエイン
頑強な体躯を持つ義勇軍1番隊隊長の男性。
彼もかなりの実力者らしい。


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エピソード5.「秘術を巡って」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




宇宙政府を裏切り、義勇軍に寝返るという

上級執行官マレドーを保護するべくチタヌ洞窟

へ向かったという義勇軍二番隊。

 

けどマレドーには厳しい追っ手が放たれてる。

マレドーと二番隊の身を案じたオリオリと

アタシ達は急いでチタヌ洞窟へ向かった。

 

そこには!

この星に来てからという限定の話では

あるけれど、確かに一番大きな規模の

魔物の軍勢が押し寄せていた。

上級執行官が裏切るという、やっぱり

宇宙政府としてもただ事ではない事態

だってのがわかるわね。

 

特に洞窟の最下層で二番隊らしき人たちを

取り囲んでいたマドハンドの大群。

そして群れを統率するひと際大きい

マドハンド。

こんな魔物は出遭った事がないっ!

さすがにアタシ達も手を焼いたわ。

 

ううん、強いってわけじゃないんだけど

雑魚のハンドを倒した瞬間に新しい仲間を

呼ぶの。その呼ぶスピードがまさに

ギガ級だわ。

 

序盤はアタシ達も牽制の意味で全体攻撃で

雑魚ハンドを一掃しようと試みた。

大方の雑魚ハンドはあっという間に

仕留めたけれど、やっぱり本体というべき

デカいマドハンドは生き残ってる。

コイツが生きてる限りは際限なく

雑魚ハンドを呼ぶようね。

 

うん、ラチがあかない。

アタシ達は狙いをデカハンドに切り替えた。

まずコイツを仕留めてから雑魚を一掃しよう。

 

と、不意にデカハンドが床へと潜り込み

姿を消した。まさか、やっつけた!?

いや、手応えはないわ。

と、次の瞬間、レイファンの目の前の床が

盛り上がり消えたはずのデカハンドが現れた!!

 

「キャアぁぁぁぁ!!」

 

現れたデカハンドはレイファンの足を掴み、

彼女を空中へと連れ去った!!

クっ!!

なんという攻撃!!

まさか地面に潜って移動してくるとはっ!!

 

デカハンドはレイファンの足を掴んだまま

彼女を2度3度と空中で、こともあろうに

振り回し始めた。

あれでは目が回って戦闘どころじゃないっ!

なんとかヤツからレイファンを引き離さないと!

 

しかし妹を人質に取られては迂闊に

全体魔法は使えないわね、彼女を

巻き込んでしまうわ。

 

アタシはデカハンドの足元

(と言っていいのかな?)へ狙いを定めて

威力を絞ったメラゾーマを放った。

 

これで多少のダメージは与えられるはず。

するとデカハンドは意外にも機敏な動きで

横に移動しメラゾーマを避けたのっ!

 

「な!?避けただとぉっ!」

 

モガ丸が叫ぶ!

確かに。その巨体からは想像し難い

動きでメラゾーマの火球をかわした。

 

アタシは次の手に思考を巡らせる。

 

「リザ姉っ!それでいいよ、呪文で

敵の動きを牽制するんだ!」

 

隣で雑魚ハンドを振り払っていた

ジョギーがアタシに指示を出してきた。

そして彼はウン、と頷き手に握っている

剣をポンっと叩いた。

 

そうか、わかったわジョギー。

アナタの作戦が。

アタシも黙って頷き返し、すぐに呪文の

詠唱を始めた。

 

今度は軽めの呪文メラミを連続で放った。

ただし敵のど真ん中ではなく、

少し右側を狙った。

当然、敵は左に避ける。

そこをジョギーは逃さなかった!

 

レイファンを掴んでいる指であろう

部分の根本を剣で一閃!!

敵の親指と人差し指であろう部分と

レイファンが空中に舞う。

弟はすかさず妹をキャッチして

すぐさまアタシの元へ駆け寄るっ!

 

指を切り飛ばされたデカイマドハンドは、

魔物ゆえ痛みを感じないのだろうか、

悶絶するような素振りは見せなかったけど

確かに一瞬怯んだ。

アタシはそのスキを見逃さない。

すかさず本命の呪文を連続で唱えた。

 

ギガデインとイオナズン!

 

群れを統率する巨大なマドハンドもろとも

雑魚のマドハンドも全て一瞬で消え去る。

統率者が仲間を呼ぶスキなど

もちろんありはしなかったわ。

 

ふぅ、少々手こずったけど弟の機転で

なんとかやっつけた。

もはや、阿吽の呼吸ね。

一瞬でお互いの考えてる事がわかる。

戦闘が終わりを告げた。

 

一番隊隊長のドゥエインがアタシ達に

駆け寄ってくる。

 

「すごい!さすがですなぁ!!

魔物達も強かったがリザ殿達は

もっと強いっ!!!

このドゥエイン、感服いたしました!!!」

 

うん、これで名実ともに義勇軍の

仲間として認められたかな。

いくらブルリア星の冒険王だなんて

伝え聞いたところで

実際に目で確かめないと

納得できないもんね、人って。

 

みんなの前で実力を示すことが

できてよかったわ(^o^)

 

「ごらんなさい!

あそこに二番隊のみんなが!!」

 

「おぉ!クサロ!」

 

「ドゥエイン!?それにボロン!

ああっ!オリオリ様まで!」

 

「こいつはクサロ。

義勇軍二番隊の隊長だ。」

 

やっぱり、マドハンドの群れに

囲まれていたのは二番隊の人達だったのね。

で、このキリリとした青年将校らしき人が

二番隊隊長・・・!

クサロさんね。

 

「無事か?クサロ。」

 

「あぁ、おかげでな。

マレドーを保護したのはいいものの、

魔物に囲まれ立ち往生して困っていた。

で、今、魔物を倒したこの方達が例の・・・?」

 

「あぁ、冒険王リザ達だ!

そしてオイラはモガ丸。コイツはスラッピ。」

 

「ピーッ!」

 

「かたじけない、冒険王殿。

二番隊を代表して心から感謝します、

そしてようこそ!義勇軍へ!!」

 

うん、とにかく間に合って良かった。

みんな無事みたい。

そして二番隊にも認められたみたいね、

それも合わせて良かったわ(・∀・)

 

「それでクサロ。

そのマレドーとやらは何処に?」

 

「ハッ!

魔物たちに処刑される前に

我々で保護しておりました。

今、連れてまいります。

さぁ、マレドー殿こちらへ。」

 

いよいよ義勇軍へと寝返るという

上級執行官とご対面。

ドキドキ・・・・。

 

二番隊隊長クサロの後方から

マレドーと思しき魔物が現れた。

 

え!?

なんか邪悪!!??

 

えと、ごめんなさい、思わず

第一印象を言ってしまった。

ううん、ギリギリ口にはしなかったけど

心の中で、そう思っちゃった。

表情に出てなければいいんだけど・・・。

 

「はじめまして、私は義勇軍の

総司令官オリオリです。

アナタが宇宙政府を裏切ったという

上級執行官のマレドー殿ですね?」

 

「いかにも、ワシがマレドーだ。

アナタが宇宙王の書に閉じ込められたという

宇宙王の末裔オリオリ様か。」

 

「モガ?閉じ込められた?

そういや事態がいちいち急展開なので

聞くのを忘れちまってたけど、

惑星クラウドに来れば本物のオリオリに

会えると思ってたけど本の中にいるままだな?

今、マレドーが言ったとおり

閉じ込められているのか?」

 

「はい・・・・実は・・・・

あ、いえ、その話はまたおいおい

話すとしましょう、今はマレドー殿に

話を聞くのが先決です。」

 

そう、今モガ丸が言ったとおり。

おじぃちゃんと冒険王の書の関係に

倣うとすれば、ブルリア星に現れたオリオリは

星見る神殿の力と同じような力で

宇宙王の書から出現している、という事になるわ。

でも今、マレドーとオリオリは"閉じ込められている"

と言ったわ。

 

どうやらおじぃちゃんとはまた違う事情が

オリオリにはあるみたいね。

 

と、これもまたオリオリの言うとおり、

まずはマレドーの話を聞こう。

 

「みなさんはドスラーデスをご存知か?」

 

「モガー!!ドスラーデスだってーーー!!??

知ってるも何も・・・」

 

「もちろん知っています、魔星王ドスラーデス

の事ですね。

ここにいるリザさん達は、そのドスラーデスを

倒したのです。」

 

「な、なんと!!

ではブルリア星の冒険王というのは

この娘達のことか!」

 

「はい、ゆえに我が義勇軍へと加勢願いました。」

 

「むぅ、では話が早い。

ワシが貴殿らに伝えたい内部機密とは・・・

宇宙政府はドスラーデスに代わる

新たな魔星王を誕生させる準備に

入ったという事だ。」

 

なんですってーーーー!?

新しい魔星王!!!

ようやく、本当のほんっとうに

ドスラーデスを完全に倒したと思ったら

また違う魔星王ですって!?

全く、宇宙政府のやる事ときたら(●`ε´●)

 

「新たに生み出される魔星王の強さは

ドスラーデスの比ではない。

星を丸ごと滅ぼしてしまうような

とてつもない邪悪な強さだ。

政府は新しい魔星王を使って宇宙の

人々を脅すつもりだ、自分たちに従え、と。

さもなくば魔星王を差し向け星を滅ぼして

しまうぞ!とな。

ワシは・・・宇宙を平和に治めるべく

組織に参加した。

しかし、組織が行うのは恐怖政治ばかり。

自分たちの富と権力を維持する事

しか考えておらん。

ワシは、自分で自分が嫌になってしまった。

もうこれ以上、組織の者でいたくないのだ!!」

 

 

・・・なるほど。

宇宙政府の中には、本当に宇宙の平和を

願っている者もいるってことなのね。

うん、とりあえずはこちらに寝返る事の

大義名分としては成り立つ・・・か。

 

けどやっぱりアタシは心中では

無条件にこの元上級執行官だという

男を信用はできない。

 

しかし、それを表情には出さず、

マレドーとオリオリの会話を引き続き

聞いていた。

結論を急ぐには、まだまだ情報が足りないわね。

 

それにしても宇宙政府はっ!

全くもって考えることがいちいち低俗ね(●`ε´●)

なんでそうやって、なんでもかんでも

壊そうって考えちゃうのかしら。

自分たちが得ようとしている富や権力だって

みんな壊しちゃったらなくなっちゃうじゃないの!

 

いや、富を差し出すから星を壊さないでほしい、

っていう考えが正しいとは言わないけれど、

それにしても事あるごとに星をぶっ潰すぞ!

ってすぐに言っちゃうその浅はかさが

気に入らないわっ!!

 

アタシはマレドーが信用に値するかを

見定めるために、

冷静でいようとはするんだけど

宇宙政府の事を考えると

どうしても怒りがこみ上げてきちゃう!

怒りの方は顔に出ちゃってるかも

しれないわね・・・。

 

オリオリは、ひょっとしたら

アタシの燃えたぎる怒りに

気づいてるかもしれない。

けど、アタシには声をかけず

引き続きマレドーとの会話を続ける。

 

「宇宙政府が新たな魔星王を・・・!

確かに脅威だわ。

しかし1つ疑問があります。

魔星王を生み出すには"秘術"が

必要だと言われています。

いかな宇宙政府とて"秘術"もなく

無から魔星王のような強大な存在を

創り上げるなど神でもあるまいに・・・。」

 

「"秘術"の話はワシも聞いたことがある。

そしてそれを扱えるのは・・・。」

 

「そう、星屑魔法団という集団です。

ですが彼らは現在、宇宙政府とは

距離を置いている。

何を隠そう、我が義勇軍へ協力を

してくれているのです、いわば

星屑魔法団は義勇軍の一員の

ようなもの。

彼らが宇宙政府に協力し、

魔星王誕生の片棒を担ぐなど

考えられませんっ!」

 

「うむ、その点については

ワシも疑問に思う。

で、星屑魔法団は今何処に?」

 

「ヨンツゥオ大陸です。

我が義勇軍三番隊が保護し、

身を隠して生活しています。」

 

「星屑魔法団は義勇軍の味方か・・・。

すると心変わりでもしたのか?

理由はわからんが直接会って

確かめるしかないだろうな。」

 

魔星王を生み出すのに必要だとされる

"秘術"に、それを扱える星屑魔法団・・・。

話がかなり具体的になってきたわね。

 

オリオリの言うとおり、魔法団が

義勇軍側にいるならば、

魔星王誕生は杞憂に終わる。

けれど元執行官マレドーは

「宇宙政府が魔星王誕生の準備に

入った。」と伝えている。

その証言が事実なら、魔法団に

なんらかの動きがあった可能性は

かなり高いわね。

 

「よしっ!

ヨンツゥオ大陸へ行こう!!

なっ?オリオリ。

ここで議論してても仕方ない、

実際に確かめなくてはな!」

 

ボロンが次の行き先と方針を掲げる。

 

「そうね、参りましょう、ヨンツゥオ大陸へ。

リザさん達、付いてきてくれますか?」

 

もちろん!

事実はともかく、冗談でも新しい魔星王を

誕生させるだなんて話、絶対に阻止しなくてはっ!

その鍵を握っている星屑魔法団に一刻も早く

会って真意を確かめなくてはっ!!

 

「よかった、ありがとう冒険王!!

では我々はレジィトの街へ戻り、

そこから飛行船で雲海を渡り

ヨンツゥオ大陸へ向かいます。

ドゥエインの一番隊はバァジ島に

留まり宇宙政府の動向を探ってください。

クサロの二番隊は引き続きマレドー殿の

警護を頼みます。」

 

「はっ!

承知いたしました!!」

 

「二番隊、承知しました!

オリオリ様、本の中にいらっしゃるとはいえ、

どうか道中お気をつけて。」

 

「オレはオリオリについてくぜ、

親衛隊長として総司令官を

守らなくてはなっ!!」

 

軍の役割も決まったみたいね、

よし、行こう、ヨンツゥオ大陸へ。

 

ただ、アタシはまた思考を巡らせる。

新しい魔星王、秘術、星屑魔法団、

そして寝返った元執行官マレドー・・・。

オリオリには悪いけど無条件で

マレドーの事を信用できない。

ううん、アタシの考え過ぎなら

それでいいの。

 

ただ、今回の情報のやり取りで

出てきたキーワード。

これが密接に絡み合ってる気が

してならない。

 

魔星王誕生のために秘術を

欲しがっているであろう宇宙政府。

秘術を扱う星屑魔法団の所在を

知りたくて仕方ないはず。

そんな折に義勇軍へ寝返るといって

現れた上級執行官マレドー。

魔星王誕生という情報を餌に

魔法団の情報を義勇軍から釣り上げる、

っていうのは考え過ぎかしら?

 

現にオリオリは魔法団の現状と所在を

あっさりマレドーに話してしまっている。

なんだか引っかかるわ・・・。

 

アタシは、新しい大陸での冒険に

ドキドキワクワクしながらも

若干の不安を覚えながら

モガ丸の手を握りルーラで

レジィトの街へと戻った。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。

・ドゥエイン
頑強な体躯を持つ義勇軍1番隊隊長の男性。
彼もかなりの実力者らしい。

・クサロ
義勇軍2番隊隊長。
精悍な顔つきをした青年将校。

・元上級執行官マレドー
宇宙政府の上級執行官だった魔物。
政府の恐怖政治に嫌気が差し義勇軍へと
寝返った。
その際に「新たな魔星王誕生計画」という
政府の内部機密をオリオリ達に伝えた。

★★★戦闘シーンについて★★★
アプリ内における戦闘システムはオフェンス面においては
チャージタイム制、武器選択制、スキル選択制を
採用しており1つのクエストにおける使用可能なスキルの
種類が限定されておりますが
本作品内の戦闘シーンにおいては一部これを採用しつつも
ナンバリング作品の戦闘システムやリアルな戦闘を
仮定した描写を模索していこうという方針です。
難しく書きましたがアプリ内に存在するスキル、呪文、
装備の追加効果など自由に戦闘シーン描写に
活用していこう、という方針です。
ディフェンス面も同様です。

第1章<新たなる雲海の星>了


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2ndシーズン第2章[星屑魔法団]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「行方と雲海アイス」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




「港に着いたぞー、錨を降ろせー!!」

義勇軍の制服ではなく、

住民の服を着て一般人を装った

ボロンが飛行船の船員たちに着港の

指示を出している。

 

こういう気象条件だとは聞かされていたけど、

改めて飛行船で雲の海を渡るだなんて

不思議な感覚ね。

 

さて。新たな魔星王誕生に際して

必要だとされる"秘術"を携えている

星屑魔法団と接触するため、

ここヨンツゥオ大陸へとやってきた

オリオリとアタシ達。

 

飛行船に乗ってバァジ島の中心地

レジィトの街を出発し、今、ヨンツゥオ大陸の

最寄りの港へと着いた。

 

「モガ~、バァジ島の時も思ったけど

ブルリア星とは建物や街の風景が

違ってて面白いなぁ。」

 

フフ、モガマルったら。

そうね、事態がけっこう切迫して

きちゃったけど、ゆっくり惑星クラウド観光

でもやってみたいな(^o^)

 

「さぁ!早速ですけど星屑魔法団に

接触しなくては。

彼らには我が義勇軍の三番隊が

護衛に付いています。

魔法団と三番隊は"星屑サーカス団"

という偽名を使って宇宙政府から

身を隠して生活しています。

まずはサーカス団が今何処にいるのか、

市井の人々に聞き込みをしてみましょう。」

 

サーカス団、なるほど、カムフラージュは

施してるのね。

で、オリオリすら詳しい所在を知らないってことは

それだけ魔法団の存在を厳重に

隠しておきたいって事なんだろう。

 

魔法団、いえサーカス団の聞き込みを

するためアタシ達は港の最寄りの集落へ

立ち寄る事にした。

 

「ようこそ、エィミィ村へ。

ここはヨンツゥオ大陸の玄関口の村よ。

雲海を凍らせたスィーツ、雲海アイスが

この村の名物さ。」

 

村の門をくぐり最初に出会った

恰幅と気前が良さそうな女性が

アタシ達を出迎えてくれた。

 

で、何?雲海アイスですって?

キャー!なにそれ美味しそう!!

やっぱり観光で訪れたかったわ~(・∀・)

 

「あのぉ、俺たち人探しをしていて、

ちょっと聞きたいんだけど

星屑サーカス団ってご存知かな?」

 

旅人を装ったボロンが早速

本題に入る。

う~、雲海アイスゥ~、

ちょっと食べたかったぁ(;_;)

 

「星屑サーカス団・・・・

あぁ!あのサーカスをしない

サーカス団のことかい?」

 

「モガ!知ってるのか!

そのサーカス団の事で何か

知ってる事ないかぁ?」

 

「この村にしばらく居たけどね~、

一度もサーカスをしないまま

立ち去ってしまったよ。」

 

「モガ、そうか、で、何処へ行ったのか

知らないか?」

 

「え、行き先かい、う~ん、そうだねぇ・・・。」

 

その恰幅のいい女性はサーカス団の

移動先を知ってそうだ。

だけど、言いかけて口をつぐんでしまった。

そして何やらコチラを見てニヤニヤしている、

気がしないでもない。

 

「教えてあげてもいいんだけどね、

アタシらのお願いを聞いては

くれないだろうか。

あんた達、見たところタダの旅人

じゃなさそうだ、戦いの心得を持ってると見た。

そんなあんた達を見込んでの

お願いなんだけど。」

 

む、何よ、すんなり教えてくれても

いいじゃない。

この人、恰幅は良くても気前は

良くないわね(●`ε´●)

 

で、女性は話を続ける。

 

「この村の名物、雲海アイスなんだけどねぇ、

作るのに砂糖が必要なんだ、

で、砂糖の材料であるサトウキビが採れる

洞窟があるんだけど最近、宇宙政府が

その洞窟への出入りを禁止してしまった。

だから雲海アイスを作れなくなっちまったんだ。

村の名物が作れないとなるとアタシらは

商売上がったりだ。

アタシャ貧乏はイヤだーーーーー!!

ってワケであんた達、洞窟へ行って

サトウキビを採ってきてほしんだ。

願いを聞いてくれたらサーカス団の

向かった先を教えるよ。」

 

あぁ、こういう流れね(-ω☆)キラリ

ブルリア星でもゴマンとあったわ。

そう、冒険王は旅先で困ってる人達を

助けるっていう使命があるからね、

それはここ惑星クラウドでも変わらないわ。

 

うん、サーカス団の向かった先も

教えてもらわなきゃだし。

 

そして何より!

雲海アイス!!

食べ物の恨みは怖いんだから!!!

村の人達も困ってるけど

これだけ引っ張っといて雲海アイスを

食べられないなんてアタシ許せないわ!

こうなったら意地でもサトウキビを

採ってきて雲海アイスを作ってもらうんだから!!

 

「どうして宇宙政府はサトウキビの洞窟への

出入りを禁止したんだ?」

 

「サトウキビを独占して雲海アイスの販売も

独占して儲けを政府だけのものにしよう

としてるのさ。

宇宙政府はアタシ達下々の者がどうなろうと

知ったこっちゃないのさ!」

 

ムカー!!

富や権力だけじゃなく美味しいモノまで

独り占めなんて、

宇宙政府へ怒りが倍増したわ(-_-メ)

 

「モガ丸!ジョギー!レイファン!オリオリ達っ!!

いくわよ、その洞窟へ!

絶対にサトウキビを採ってくるんだからっ!!!」

 

そう言い放つとアタシはすぐさま

村の出口へと向かった。

食べ物の恨みは怖いんだからって

言ったでしょう!!

 

「リザさん・・・どうしたんでしょう?

行き先も聞かず、すごい剣幕で

飛び出してしまいました・・・。

!!そうか、リザさんももう義勇軍としての

自覚が芽生えたのですね!

一刻も早く星屑サーカス団を

見つけなくては、という使命感から

あのような怒りの形相に!」

 

「モガ~、いや、どうだろうな、

あれはただ単に雲海アイスが

食べたくて仕方がないだけかもな・・・。」

 

「リザ姉も女の子だからな、

甘いものには目がないんじゃないの?」

 

「・・・そうですか・・・冒険王といえど

うら若き乙女なんですね、クスっ」

 

と、アタシが飛び出したあとで

こういうやり取りがあったとは

アタシはもちろん知りませんっ!

 

「あぁ、サトウキビを採りに行ってくれるんだね。

サトウキビが採れるのはここから東にある

キビ洞窟だ。気を付けて行ってきておくれ。」

 

アタシは後から追いかけてきた仲間たちに

行き先を聞き、甘いモノに我を忘れてしまった

事を恥じながらキビ洞窟へと向かった。

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。



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エピソード2.「果たして名物スイーツは復活するのか!?」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




美味しいモノまで独占しようとする

宇宙政府への怒りを抑えられない

アタシは

星屑サーカス団(星屑魔法団と

義勇軍三番隊の仮の姿)の向かった

行き先を知るエィミィ村のオバサンの

願いを叶えるためアタシ達は

サトウキビが採れるキビ洞窟へと

向かっていた。

 

「着きましたね、ここがキビ洞窟の

ようです。

さぁ、急いでサトウキビを採って

帰りましょう。ね?リザさん。」

 

う、食べ物に釣られて我を忘れて

しまった事を含ませた目配せを

オリオリが送ってきた・・・。

恥ずかしい~~~(>_<)

 

「中にはきっと魔物がいるぜ、

なんせ宇宙政府が出入りを

禁止したぐらいだからな。

リザ達、魔物は任せたぜ、

オレは少々眠いから寝る。

もしピンチになったら起こしてくれ、

助けてやるから。」

 

「っもう!

ボロンったら相変わらず

超怠け者なんだからっ!」

 

ん、今はとにかく、

この恥ずかしい空気を

吹き飛ばしてしまいたいっ!

魔物がいようがいまいが

とっとと終わらせようっ!

うん、恥ずかしいからボロンは

そのまま寝てて~(>人<;)

 

ってワケでアタシ達は

洞窟へと踏み込んだ。

中には宇宙政府の手先で

あろう魔物たちが居た。

サトウキビを採りにくる

人間がいないか

見回っているんだろう。

 

けど、ここに配備された

魔物は雑魚ばっかりだった。

あっさりと魔物を蹴散らし、

洞窟の最深部まで進んだ。

 

「さすがリザ達だな。

おかげでよく眠れたよ。」

 

「っもう!ボロンったら!!

ちょっとは真面目に働きなさいよ!」

 

「モガ!?おぉぉ!

見ろ!あれがオバサンの言ってた

サトウキビじゃないか!?」

 

「よし!急いで持って帰ってやろう!!」

 

これでようやく雲海アイスを食べられる・・・

じゃなくって!

サーカス団の行方がわかるわ!!

アタシ達は村へ戻り、例のオバサンのもとへ

向かった。

 

「あぁぁ!これよ、これ!

これが雲海アイスを作るのに必要な

サトウキビだよ!!

あんた達、採ってきてくれたんだねぇ、

ありがとよぉ!!

このサトウキビを元にうちの村で

栽培することにするよ。

そうすりゃ宇宙政府の目を盗んで

洞窟へ行く必要もない。

これで安心して雲海アイスを

量産できるよ、ホントにありがとぉ!」

 

「よかったな、オバサン、

で?サーカス団の行方は?

どこへ向かったんだ??」

 

「あ、そうだったね、約束通り

教えるよ。

彼らはここを立ち去るとき、

"青雲の巨塔"へ向かうって

言ってたよ。

そこでサーカスの練習を

するんだってさ。

アタシらの前では一切、

サーカスを見せてくれなかった

っていうのに。

一体どんな練習をするって

いうんだろうねぇ。」

 

「青雲の巨塔・・・。

魔法団と三番隊は一体何のために

そんな場所へ向かったんだ?」

 

「行ってみましょう。

行けばわかるはずです。」

 

「よーし、リザ、次は青雲の巨塔だってよー!

急ごうぜ!!」

 

わかったわ、急いで行かないと

また入れ違いになっちゃうもんね・・・

 

って、え!?

 

雲海アイスはぁぁ~~~~!!??

 

「あぁゴメンね~、

このサトウキビは採れたてだろぉ?

この状態から砂糖を精製するのに

ちょっと時間がかかるんだ、

雲海アイスは今すぐには作れないんだよ。」

 

なぁぁぁ!!

急いで採ってきたのに!!!

 

こんだけ期待させといて

結局食べられないの!!??

 

「・・・リザさん・・・

申し訳ないけど、急いで魔法団と

接触しないと・・・。」

 

「リザ!

また時間がある時にこの村へ

立ち寄ってごちそうしてもらおうぜ!

オイラがルーラでひとっ飛びで

連れてきてやるからよぉ!」

 

「あぁ、あんた達には感謝しきれないからね、

そん時はとびっきりの雲海アイスを

ごちそうさせてもらうよっ!」

 

ガ~~~~ン、こりゃもう、

アタシが引くしかない流れね、

仕方ないわね、うん、オリオリの言うとおり、

一刻も早く魔法団に接触しなくちゃ、だし。

まぁ、アタシ1人のわがままで

事態が悪化しちゃいけないし

 

というワケでアタシ達はサーカス団が

向かったという青雲の巨塔へ

向かうことになった。

そうね、彼らに何が起こったのか、

魔星王誕生っていうのは、

とんでもない事態だもの。

彼らの思惑はまだわからないけど、

話し合いでそれを阻止できるなら、

それがベストだもの。

 

アタシは、思考の中から雲海アイスの

ことがどんどん小さくなっていくのを

実感した。

目の前で起ころうとしていることは

想像以上に緊迫しているって事を

再認識した。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でありオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。
スライムに話しかける時だけ
赤ちゃん言葉になる。


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エピソード3.「ワケを聞かせて・・・」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。




「ここが青雲の巨塔か~、

なんかすっごい高い塔だなぁ。

・・・それにしても、人の気配がしないぞ。

ホントにここに星屑魔法団がいるのか?」

 

「思い出した!

確かこの塔のてっぺんには

宇宙王の一族にゆかりのある

金庫があるとかって話だぜ。

その金庫の扉には鍵が

かかってるんだが、

宇宙王の血を引く者なら

鍵なしで開けられるらしい。

もしかすると金庫の中には

星屑魔法団にまつわる何かが

保管されてるかも?」

 

「ボロンっ!

なによもう、珍しく名推理じゃない!

なんで時々、そう冴えてる事をするのっ!!」

 

「フフ、キビ洞窟では怠けちまったからな、

その分、冴えてるのもしれんな。

宇宙王の血を引く者・・・つまりオリオリなら

無条件で金庫を開けられるはず。」

 

「わかった、急ぎましょう!」

 

さっそくアタシ達は塔の中へと

潜入し、探索を始めた。

中には魔物が巣食っていて、

それを蹴散らしながら

どんどんと塔を登っていく。

 

しかし、やっぱり人がいる気配はなく、

星屑魔法団はここにはいない、

という予感がパーティー全体を

包み始めていた。

 

そしてとうとう最後の魔物を倒し、

最上階へとたどり着いた。

 

やっぱり人影はなく魔法団の姿も

当然なかった。

しかしボロンの言っていた

宇宙王ゆかりの金庫、

これは最上階フロアの一番奥に

存在したわ!

 

「見ろよ!

やっぱり金庫はあるみたいだぜ、

宇宙王の紋章が刻まれた扉、

これがきっとそうだ!

鍵はないが、オリオリ、お前なら

鍵なしでも扉を開けられるはずだっ!」

 

「わかりました。

宇宙王の血のもとに命じます。

扉よ、開きなさい。」

 

するとギギギギ~っという金属音と

ともに紋章が刻まれた扉が

ひとりでに開き始めたのっ!

 

不思議な光景・・・。

疑ってたワケじゃないけど、

オリオリはホントに宇宙王の血を引く

末裔だってことが証明されたわね。

目の前の神秘的な光景がそれを

物語ってる。

 

「ま、まぶしいーーー!!」

 

扉が開くと、中から眩い金色の光が

溢れ出た。

確かに目も開けてられない。

 

やがて光も収まり、金庫の中に

入っている物がなんなのか

視認できるようになってきたわ。

 

「中には一体何が入ってるんだ?

・・・ん?こ、これは!

珠・・・青雲のオーブか!?」

 

「モガ、青雲のオーブ??」

 

「星屑魔法団の魔術師たちが

創り上げた珠さ、

魔法団の者だけが、このオーブに

言葉を刻むことができる。」

 

「ってことは星屑魔法団からの

メッセージが残ってるかも

しれないって事だなー!!」

 

星屑魔法団のメッセージ・・・

彼らの真意を知ることができるのかも?

こんなに厳重な隠し方をしてまで

伝えたい事だもんね。

なにしろ、この金庫を開けられるのは

オリオリだけなんだもの。

 

「もしかしたらセアドからの

メッセージかもしれないぞ、オリオリ。」

 

「セアドからの・・・・♡!」

 

一瞬、オリオリの声に艶が宿った気がする。

セアドって?

 

「セアドは星屑魔法団の団長、

そしてオリオリの夫だ。」

 

え?

 

エエェェェーーーーー

 

オリオリって既婚者!!!???

 

「はい、星屑魔法団の団長セアドは

私の愛する夫です・・・♡」

 

なんですってーーーー!

こんなに美人で若くて素敵な女子が

もうすでに結婚してるなんてっ!!

最近では一番衝撃の事実かも(゚д゚)!

 

いえ、うん、こんな美人ですもの、

世の男性が放っておくはずはないわ。

けど、なんていうんだろ、

全然、所帯じみてなくて、

仮にも巨大なレジスタンスグループの長を

務めるような非常に行動力のある女性と

結婚っていうフレーズがいまいち結びつかない

というのか・・・。

 

そうか、それでさっきセアドという名前を

聞いたときに、声に艶が出たのね。

愛する人の名前を聞くだけで

嬉しくなっちゃうんだ。

アタシにはまだまだわからない感覚だけど、

結婚って、なんか、イイものなのね(*^^*)

 

 

「モガ~、かなりのビックリ事実だな、

オイラはてっきりオリオリは

ボロンと・・・その・・・」

 

「勘弁してくれよ!

オレはただの幼馴染だぜ!

宇宙王の末裔であるオリオリと

恋仲だなんて血筋が違いすぎるっ!

オレはおくまでオリオリの身を守る

という使命を帯びてるだけさ。」

 

あ、そうか、そういう見方のほうが

自然よね。

でもモガ丸ったら、そういう目で

オリオリとボロンを見てたのね(*´ω`*)

 

「ほら、オリオリ、オーブに込められた

メッセージを確認しようぜ!」

 

「そうですね。

・・・・・・青雲のオーブよ、

宇宙王の血のもとに命じます、

刻まれし言葉を今ここに

解き放て!!」

 

すると、扉が開いたときと同じか

それ以上に強烈な光が

オーブから放たれ、このフロア全体に

溢れ出した。

 

やがて光はオーブの周りをわずかに

照らす程度にまで弱まり、

オーブから人影が現れた。

まるで冒険王の書や宇宙王の書から

人が現れるように・・・!

 

現れた人影は・・・優しそうな青年だった。

優しそうで、それでいて少し憂いを

帯びた表情をしているように

アタシは思ったわ。

 

青い珠から現れた青年が

メッセージを語り始めた。

 

『このオーブから言葉が解き放たれたとき、

私はそこにはいない・・・。

しかしこの言葉を聞いているであろう

人物は容易に想像できる!

宇宙王ゆかりの金庫を開き

青雲のオーブに刻まれし言葉を聞く者、

それは全宇宙でただ1人、私の愛する妻

オリオリ、君だけだ!』

 

「えぇ、セアド。

アナタの言葉を聞いているのは

私です!」

 

『オリオリ・・・驚かずに聞いてほしい。

我が星屑魔法団は義勇軍を離れ

宇宙政府に協力することにした。

どうして?って君は言うかもしれない。

しかしもはや、道はそれしか

残っていないんだ。

夫のワガママを許してほしい。

しばらく会えなくなるかもしれないが

君の無事を祈ってる・・・。』

 

映像として現れた青年は、

時折、寂しそうな表情を見せたり、

決意に満ちた表情を見せたりと、

実に複雑な感情を持ちながら

言葉を紡いでいた。

 

そして語り終わると再び封印を

解かれたときと同じ光を放ち

やがてオーブに収束され

ただの青い珠に戻ってしまったの。

 

オリオリはとてもやりきれないというか、

寂しそうな顔をして俯いてしまった。

そりゃそうだわ!

さっきまで愛しい人の声が聞けるって

あんなに目を輝かせていたんだもの、

そこには義勇軍総司令官という立場を

抜きにした1人の女性としての

喜びの感情があったはず。

それなのに、愛しい人が語った

言葉はあまりに残酷な内容。

それは妻としても義勇軍のリーダー

としても、とても納得できるものでは

ないはずだわ。

 

 

「・・・・どうやら星屑魔法団が

宇宙政府に協力するって話は

事実らしいな。

秘術を使って魔星王を誕生させる

つもりなんだ。」

 

「けど、今まで義勇軍に協力していたのに

なぜ急に??」

 

「会って確かめるしかないぜ、

それにしても、ここの塔にも

魔法団はいなかった、一体ヤツらは

どこへ行ったんだ?」

 

「ボロン、この先にはジリョン城が

あったはず。

そこへ行って魔法団の行方を

探ってみましょう。」

 

「ジリョン城か・・・宇宙政府の要所だな、

今まで以上に厳重に身分を隠して

乗り込まないとダメだぞ。」

 

オリオリったら・・・きっとツライはずなのに

総司令官として今後の展望を考えてる。

なんて人なの。

 

けど、そうね、事は魔星王誕生に

直結するような方向に走り出した。

オリオリとセアドの夫婦間のことは

ひとまず置いておいて、

魔法団に直接、真意を聞いて

秘術の行使を止めさせなければっ!!

 

ただ、さっきのメッセージを聞いて

少し気になる事があったわ。

 

セアドは「宇宙政府に協力するしか

道が残されていない」と言った。

 

自らの意志で進んで政府に協力するんじゃなく、

止む無く協力する、というようなニュアンスを

含んでいるとアタシには読み取れた。

その辺りも含めて、確かに会って

直接確かめるしか方法はないように

思うわっ!!

 

で、何?次は宇宙政府の要所ですって?

望むところね!

心して向かわなくっちゃっ!!

 

様々な事実が明らかになり、

そしてまた次の謎が生まれる・・・。

なかなかアタシの思考も追いつかないけれど、

とにかくこれだけは言えるっ。

 

絶対に魔星王誕生は

阻止しなければならないっ!!

 

残念なことに事態は悪い方向へと

動き始めてしまったけど、

絶対に覆さなければならない!!

 

アタシはオリオリの事を心配しながらも

とにかく今は目の前の事を

精一杯やるという決意を新たにした。

きっとオリオリも同じ気持ちだろう。

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・セアド
星屑魔法団の団長にしてオリオリの夫。
とある事情で義勇軍との同盟を解消し
宇宙政府の「魔星王誕生計画」に加担する。
魔星王誕生には魔法団のみが扱える
"秘術"が不可欠。


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エピソード4.「すれ違い夫婦」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



足取りが重い。

ボロンはずーっと黙ったまま。

いつもスラッピとじゃれ合いながら

歩いてるモガマルでさえ口数が少ない。

オリオリにいたっては書から

全く出てこない。

 

青雲のオーブに刻まれた

魔法団団長、そしてオリオリの夫である

セアドのメッセージの内容が、

アタシ達一行の足取りと心に

重く暗い影を落としていた。

 

ただ、アタシとしては、

事態が悪化してるのとオリオリの私人

としての気持ちを思うと確かに

暗い気持ちにはなるんだけど、

青雲の巨塔で判った事実には

いくつか疑問も残るのよねぇ。

 

ボロンは、オリオリとセアドは婚約者、

生まれたときから決まっていた相手

だと言っていた。

 

オリオリ達の生い立ちは知らないけれど、

彼女らが生まれた当時の勢力関係っていうの?

義勇軍(その当時存在してたのかわからないけど)

と星屑魔法団の関係ってどうだったのかしら。

 

今現在は協力関係にあるらしいけど

(もっとも青雲のオーブのメッセージを

聞くまでの話)、それはオリオリとセアドが

夫婦ということが影響してるのか、

影響しているとして、結婚が先なのか

協力関係になってから結婚の話に

なったのか・・・。

あ、いや、生まれたときから婚約者

だというなら結婚のほうが先の話か。

婚約が成立したから協力関係へと

至ったのか、いわゆる政略結婚。

 

ふーむ、頭がこんがらがるぅ(TдT)

オリオリがあんまり自分の事を

語ろうとしないし情報が少ないから

よくわからないっ!

 

「モガー!見ろ!!

湖が見えてきたぞー!」

 

「よぉし、じゃあ左に向かおう、

しばらく歩くと右手に城が

見えてくるはずだ。」

 

「モガ?左に曲がるってことは

湖は右手になるんだろ?

なのに右手に城が見えるってのは

どういうことだ?」

 

「行けばわかるサ。」

 

アタシが思考停止に陥ろうと

している間に目の前に

湖が見える分岐道にまで

たどり着いたみたいね。

 

モガマルとボロンが

目的地への道のりを

話し合っている声が聞こえてきた。

どうやらジリョン城までもう少しみたいね。

けど右手が湖となる方向に進んで、

右手にお城が見えてくるだなんて。

まさか湖の中にお城が建ってる

とでもいうのかしら。

 

ボロンの言うとおり分岐を左に曲がり

しばらく歩くと、ようやくボロンの

言っていたことの意味を知ることに

なったわ。

 

アタシが予想したとおり、

湖の中にあるお城と城下町が

遠くに見えてきた!

湖のほぼ中心辺りに小島があり、

その島に向かって長い橋が

架かっていたの。

なるほど、そういう事ね。

 

橋のこちら側の渡り口まで

たどり着き、長くて頑丈そうな

鉄橋を小島に向けて歩く。

 

島に近づくに連れその大きさに

驚かされたわ。

街がひとつまるごと湖に

浮かんでるんだもんね、

そりゃあ、その規模は大きいわね。

 

橋を渡りきるとアタシ達は

ジリョン城下町の大きさに

ただただ唖然としていた。

 

「モガー!!

なんて大きな街なんだ、

こんな大きな街が湖のど真ん中に

あるなんて、惑星クラウドに来てから

一番の驚きだ~!」

 

「この街と城は宇宙政府の要所だからな、

規模の大きさも、城の豪華さも

自分たちの富と権力を内外に示すため

のものなんだ。

栄えてて当然さ、ま、オレは好かんけどな。」

 

「貴様ら何者だ!?」

 

モガマルとアタシ達が、ジリョン城下町の

豪華絢爛さにあっけに取られていると、

厳しく詰問するような声が街の門のほうから

飛んできた。

 

「あやしい奴らだな、何用だ?」

 

「オイラ達は・・・ぎ、義勇軍じゃないぞ!

あやしい者じゃないぞー!」

 

ゲ(゚д゚)!

 

モガマル・・・それじゃあ

アタシ達こそが義勇軍って

言ってるもんじゃない、

アヤシイってーーー^^;

 

「この先は宇宙政府の者しか

入れん、すぐに立ち去れ。」

 

「あ、いえ、オレ達は人探しを

していてあちこち放浪してるんだが。

星屑サーカス団がこの街に

来ていないかな。」

 

「何?星屑サーカス団?

あぁ、あのサーカスをしないサーカス団か。

ヤツらなら確かにここへやってきた。

この地を治める上級執行官ドアヌ様に

面会するためにな。」

 

「実は!

オレ達もサーカス団の団員なんだ。

オレ達がいないとサーカスをすることは

できない。

このままではドアヌ様にサーカスを

お見せできないんだ!」

 

「何?それはマズイな。」

 

「オレ達の仲間とドアヌ様は

どこで面会をしているんだ?

教えてくれ、急いでそこに向かうから。」

 

「ここから南に向かったところにある

ジリョニスタの塔だ、ドアヌ様と

お前たちの仲間はその塔で

面会しているはずだ。

急いで向かい、ドアヌ様をサーカスで

楽しませてこい!」

 

「ありがとう!助かったよ、感謝するぜ!!」

 

ま!

ボロンったら、イケナイ子ね~(゚∀゚)

 

「へっ、ちょろいな。」

 

「すごいな ボロン!」

 

「ピーッ!」

 

「宇宙政府っていっても三下は

あんなモンさ。

魔法団が上級執行官に会うのは

サーカスを披露するため、としか

知らされていないみたいだし。

・・・しかしマズイな、魔法団が

上級執行官に接触するとなると

秘術に関する密談か、

それとも、もう魔星王誕生が

時間の問題なのかもしれないっ!!

さあ!リザ達、ジリョニスタの塔へ

急ごうぜ!!」

 

モガマルがやらかしてしまいそうだったけど

ボロンの機転でうまく乗り切ったうえに

重要な情報まで手に入れたわ(*´∀`*)

さすがレジスタンスグループの親衛隊長ね。

普段から諜報活動をしている彼らにすれば

これぐらいの作り話はお手の物なのね!

 

ボロンの手際のいい話術のおかげで

みんなの空気が若干和んだ気がするわっ!

よぉし、急いでジリョニスタの塔へ向かおう!!

 

渡ってきた橋を戻り、さらに南の方角へ

向かって歩き始める。

確かに、今まで以上に時間がないわ。

魔法団と上級執行官を接触させては

いけない。

魔星王誕生に直結してしまうわ(_ _#

 

 

アタシ達はしぜん、足取りが早くなる。

青雲の塔から休み無しで旅を続けている

ことになるけど、そんな事を言っては

いられないわ!

 

しばらく歩くと平原の彼方に塔らしき

建造物が見えてきた。

 

「あれがジリョニスタの塔に違いない、

急ごう!」

 

ボロンが号令をかける。

さらに歩くと塔と、そして海が見えてきた。

どうやらジリョニスタの塔は

海岸沿いに建っているようね。

 

塔の入り口にたどり着くと

ようやくオリオリが書の中から

現れた。

 

「星屑魔法団が宇宙政府に協力すれば

新たな魔星王が誕生します・・・。

それすなわち宇宙政府の打倒が

不可能になることを意味します。

・・・絶対に阻止しなければなりませんっ!!

リザさん達、お願いします!!!」

 

オリオリ・・・旦那様が魔法団のリーダーなのに

自分の志とは違う方向を彼が向くという

事実を、ううん、受け入れられないはずなのに、

義勇軍のリーダーとして受け入れようとしている。

そして自分がどういう意思表示をすべきか、

ということも(><;)

 

わかってるわオリオリ、

魔星王の恐ろしさは誰よりもアタシ達が

知っている。

あんな化物を再びこの世に出現させる

だなんて、この冒険王が許さないっ!!

 

「リザ達、いくぞーーー!」

 

アタシ達は覚悟を決めて塔へ

踏み込んだ。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。


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エピソード.5「翻意の影に陰謀!?」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



塔に突入すると当然ながら魔物が居た。

ドラゴン系の魔物が多いわね。

ここは剣を握っているジョギーに

活躍してもらおう。

 

ジョギーの剣をメインにアタシも

呪文で援護。

レイファンに回復を施してもらう

必要もなく次々とドラゴン達を

倒し塔の最上階を目指す。

 

けど人の気配はまるでしない。

青雲の巨塔の時と同じだわ。

魔法団や、その上級執行官ドアヌとやらの

気配はなさそう。

 

クッ!

一足遅かったか!?

最上階には、ドラゴンらしからぬ

魔物が3体居た。

何がって風船のようにプクーっと

膨らんだ胴体をしてるの。

けど頭部や手足はまさしくドラゴン。

体表の鱗もそれを物語っている。

 

やはりここも剣を握っているジョギーを

メインに攻撃を仕掛ける。

3体いるのでなるべく全体攻撃で。

アタシも全体魔法を多めに。

レイファンもブーメランを装備してるので

全体攻撃スキルを扱える。

 

いかなドラゴンといえどアタシ達の

敵ではなかった。

ただ3体いるのでなかなかトドメを刺すのが

難しかったわね。

その風船のような巨体を活かして

何度ものしかかり攻撃をしてくるの。

 

けどそれもアタシ達に致命傷を与える

ことはできない。

最後は全体攻撃スキルを3人で

重ねてトドメを刺した。

 

「やっぱり・・・。

途中の階でもうすうす思ってたが

魔法団もドアヌって上級執行官も

ここにはいないな。」

 

雑魚モンスターはたくさんいたけど

やっぱり魔法団はいなかったみたい。

 

「も もしや・・・。

そこいるのは・・・ボロン?」

 

と、物陰のほうからボロンの名を呼ぶ

女性の声が聞こえた。

 

「ん?誰だ、オレの名を呼ぶのは・・・。」

 

「私よボロン・・・。」

 

「・・・何っ!おまえは・・・コッツ!」

 

「義勇軍の制服を着てるってことは

仲間か・・・・ん?・・・・

モガーーーー!!!

大丈夫か!?傷だらけじゃないか!」

 

「こいつはコッツ。

義勇軍の三番隊の隊長だ。」

 

「三番隊といえば、星屑魔法団を

保護していた隊じゃないのか!?」

 

「そうだ。

・・・・おいコッツ、大丈夫か?

しっかりしろ!!」

 

「命に別状はない・・・・

それよりも大変な事が起きてしまった・・・。」

 

ようやく・・・探していた人たち、

"星屑サーカス団"を構成する

義勇軍三番隊に出会うことができた。

 

しかし、やっぱり!

一足遅かったわ、三番隊の隊長という

コッツ、彼女はひどい怪我をしていた。

 

宇宙王の書からオリオリが現れる。

 

「コッツ、久しぶりですね。

一体何があったのです?」

 

「ハっ!

これはオリオリ様!!!・・・・・」

 

女性隊長はひどい怪我にもかかわらず

姿勢を正しオリオリに向かって

最敬礼をした。

そしてその姿勢のまま頭を垂れてしまった。

 

「申し訳ございませんっ!!

三番隊は・・・・不覚を取りました・・・!

私以外の隊員は・・・・全滅。」

 

「ぜ、全滅だとぉ!!??」

 

「詳しく報告を!続けなさいコッツ。」

 

「ハっ!

我々三番隊と星屑魔法団は

星屑サーカス団と名乗り、

宇宙政府からの追跡をかわし

身を隠しておりました。

しかし、ある日、ヤツが現れたのです。」

 

「ヤツ!?」

 

「ヤツは宇宙政府に協力するよう

魔法団に説得を始めました。

魔法団は説得に応じ心変わりを

してしまったようです。

そして宇宙政府に協力する旨を

上級執行官ドアヌに伝えるため

我が三番隊の目を盗み姿を消して

しまいました。」

 

「・・・それで?

アナタのその傷や三番隊の

全滅への経緯は?」

 

「我が三番隊は諜報活動を駆使し、

ここジリョニスタの塔で

魔法団とドアヌが接触するという

情報を得ました。

そして面会を阻止するために

ここへ踏み込んだのですが

ドアヌ率いる宇宙政府の軍勢に

返り討ちに・・・・。

私以外の隊員は全員捕虜と

なってしまいました・・・・。

オリオリ様、誠に申し訳ございませんっっ!!!」

 

コッツは、報告の最後のほうは

もう声を震わせていた。

必死に涙をこらえているんだろう。

 

「コッツ・・・いいのです、

アナタが無事でよかった!」

 

「ウッウゥゥゥ、うわ~~~~!!!」

 

オリオリがコッツへ温情の言葉を

かけると同時にコッツの心が決壊した。

コッツはその場に崩れ落ち号泣した。

 

失態を犯したにもかかわらず

許しの言葉をかけられる・・・、

それがどんなにツライ事なのか、

組織に属したことのないアタシには

測りかねる出来事だった。

 

自分だけが逃げ延びてしまった罪悪感、

そして孤独感と・・・

いつまた敵に襲われるかもしれないという

恐怖感、いろんな感情と戦っていたんだろう。

 

そして現れた仲間に出会った安堵感、

全ての感情が爆発してしまったんだろう。

 

しかし、こうやって起きてしまった出来事を

上官に報告するというのも敗軍の将の立派な仕事。

うん、オリオリの言うとおり、彼女が無事で

報告をこなしたというだけでも

見事だったんじゃないかしら。

 

部下を預かる立場の人間にしてみれば、

隊員たちと運命を共にすることのほうが

気持ちとしても悔いは残らない、

心を鬼にして自分だけが逃げ延び、

あとから仲間が来ると信じ、

報告の義務を果たす。

そのほうが罪悪感に襲われよっぽど

ツラかったでしょう。

 

しばらくして、ようやくコッツは

落ち着きを取り戻したのか、

いまだ涙を流しているみたいだけど

必死に言葉を発しようとしていた。

 

「うぅぅぅ、オリオリ様、ありがたきお言葉。

・・・しかし、務めを果たす事ができず、

謝罪の言葉も見つかりません・・・。

セアド様を含めた魔法団を保護するという

務めを・・・・うぅぅぅ。」

 

「良いのです・・・・それよりも!

宇宙政府に協力するよう魔法団を

籠絡したのは誰です?」

 

「ヤツは・・・名乗りませんでした。

ですが姿出で立ちは・・・そう・・・・

まさに・・・・白いスライムナイト。」

 

「白いスライムナイト・・・・?」

 

「・・・・それでドアヌと魔法団は

何処へ行ったんだ?」

 

「東に向かった。」

 

「どうして東に・・・

東に何があるというのでしょう?」

 

「オリオリ、思い出せよ。

東にはヨンツゥオ大宮殿があるぜ。

宮殿には魔法団の秘術が使える施設がある。

新しい魔星王を誕生させる秘術、をな。」

 

「・・・ヨンツゥオ大宮殿に向かったとなれば、

魔法団・・・セアドは本当に新たな魔星王を・・・。」

 

「最悪だな・・・・。」

 

白いスライムナイトか・・・・

一体どう言いくるめたのかしら、

魔法団の事を。

 

・・・まさか、ディミトリのように催眠術!?

だとしたらマズイわね、

もしあの催眠術と同じような能力を

そのスライムナイトが使えるとしたら!

本人にその意志がなくても術者の

思い通りに操っている人間を

動かす事ができるわっ!!

 

とにかく!

魔法団と上級執行官ドアヌとの

接触を阻止することはできなかった。

急いで大宮殿に向かわないとっ!!

 

生まれた時から将来を約束されたいた

オリオリとセアド。

その2人が、それぞれ統率する集団、

義勇軍と星屑魔法団。

 

おそらく固い絆で結ばれていた

2つのグループが、そう簡単に

袂を分かつとは思えない。

 

そこにはおそらく汚い宇宙政府の

陰謀が渦巻いているはず。

それを確かめるためにも、

魔星王誕生を阻止するためにも、

一刻も早く魔法団、いえ、セアド本人に

会わなくてはっ!!

 

宇宙政府の卑劣なやり方を

熟知しているアタシ達は

星屑魔法団の翻意にも

きっと裏があると確信した!

その白いスライムナイトとやらが

鍵を握っている、とも。

 

「コッツは大怪我だ、オレは

しばらくコイツの面倒を見なくちゃ

いけない。

相変わらず冒険王には頑張って

もらわなくちゃいけないが、

よろしく頼むっ!」

 

任せてボロン!

アタシ達がかならず魔星王誕生を

阻止してみせるっ!!

 

怪我をしたコッツの容態を

気遣いながらも、アタシ達は

ヨンツゥオ大宮殿を目指して

東に向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

第2章<星屑魔法団>了


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2ndシーズン第3章[魔星王の影]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「恐怖政治、心さえ奪う」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



星屑魔法団と上級執行官ドアヌは

とうとう接触してしまったらしい。

彼らは大陸の東部へ向かったという。

 

そこには魔星王誕生に必要な“秘術”を

使える場所「ヨンツォオ大宮殿」がある。

状況証拠だけど、星屑魔法団が宇宙政府に

協力するっていうのは、

いよいよ現実味を帯びてきたわ。

 

オリオリとアタシ達は、魔星王誕生を

阻止するために魔法団とドアヌが向かった

であろう大宮殿へと急いだ。

 

大宮殿へと向かう途中、レェノォ村という

処に立ち寄った。

そこでアタシ達は、村人達が収穫した食料を

宇宙政府の役人が奪っているという実態を

目にする。

 

村に立ち寄ると引きつった笑顔を浮かべた

女性が出迎えてくれたわ。

 

「レェノォ村へようこそ。

けど、十分な歓迎はできないのです。

宇宙政府の役人が、私達の収穫した

作物を根こそぎ奪っていってしまうの。

けど私達はそれで幸せなの。

だって宇宙政府の繁栄のために

貢献できるんですもの、あは、

あははは・・・・」

 

「もが〜なんだかこの女の人、

無理して笑ってるぞ。」

 

「無理もない、宇宙政府に逆らえば

皆殺しにされる、笑ってごまかすしか

ないんだろうな。」

 

「なんだかかわいそうだ〜。」

 

村の人々が汗水垂らして作った農作物、

それはきっと生きるために命がけで

生産されたものに違いない。

それを奪うなんて許せないわ!

 

魔星王誕生を一刻も早く阻止しなければ

いけないのはわかってるんだけど

目の前で困ってるこの村の人たちを

見過ごすわけにはいかない。

 

アタシは食物を奪う政府の役人を

退治することをオリオリに申し出た。

 

「もが、けどよぉ〜リザ、おいら達は

一刻も早く魔法団に追いついて魔星王誕生を

阻止しなきゃいけないんだぜ!?

寄り道してる場合じゃないんだぞ。」

 

「いえ、リザさんの言う事はごもっともです。

我々義勇軍は宇宙政府に苦しめられている

人々を助けるのも役割です。

その洞窟へ向かい、食料を奪うという政府の

役人を退治しましょう。」

 

オリオリ!よかった、アタシの主張を

受け入れてくれて!

うん、ブルリア星でも、アタシ達は冒険の

さなか、困っている人々を助けてきたんだもん。

それが冒険王の務めだっておじぃちゃんから

習ったわ。

アタシは今、おじぃちゃんの代わりとして

ここ惑星クラウドにやってきてるんだもの、

ブルリア星の冒険王の名を汚すわけには

いかないからね。

 

ところがアタシは、この行きずりの村で

今までとは違う奇妙な光景を目にすること

になるの。

 

政府の役人がいるという洞窟へ向かい、

その役人はあっさり退治したわ。

役人というか、ただのコソ泥と言うべき

魔物だったわね。

政府の名を騙って私利私欲のために

村から食料を奪ってただけのただの魔物だった。

 

全くもってけしからんヤツね!

けど政府の役人ではないから、

コイツを退治した今、村が搾取を受ける

心配は完全になくなったと言えるわね。

アタシ達は急いで村に戻り、事実を報告した。

きっと村人達の喜びと安堵に満ちた笑顔が

出迎えてくれるって。

 

「なんですってーー!

なんて事をしてくれたの、政府に逆らうなんて!

どうしてくれるんですか!!」

 

え!?

喜ぶどころか

怒ってる???

 

「洞窟に居たのは政府の役人でも

なんでもない一介の魔物だ。

政府から反感を買うことはない、安心しろ。」

 

「え!?・・・いいえ!

そんな事は認めません!

だから貴方達にお礼も言いません、

そしてこれからも宇宙政府の為に作物を

作り続けます、アハ、アハハハハ・・・」

 

ボロンが説明をしたにもかかわらず

この女性は引き続き政府に作物を納める

という、現状維持を選んだの!

 

「モガーーー!

助けてやったのになんて言い草だ!!」

 

「仕方ありません、これが宇宙政府に

支配されている人々の生活の実態なのです、

逆らえばきっと村ごと、いえ星ごと滅ぼされる

という恐怖政治の実態・・・!」

 

「クソっ!宇宙政府の恐怖政治はもう

まっぴらだ!

オリオリ、急ごう!

政府に協力するという魔法団を止めなきゃ!」

 

アタシは。

別にお礼を言ってほしくて魔物を退治した

わけじゃない。

けど村人達が苦しみに耐えて、引き攣った

笑顔を作りながら生きているのがかわいそう

だと思ったの。

その苦しみを取り除ける力をアタシ達は

持ってる。

だったら見過ごすわけにはいかないって

思っただけ。

 

けどそれはアタシ達の思い上がりだった

というの?

アタシ達の思惑よりも宇宙政府の影響力が

はるかに強いという事実を突きつけられた

ようで、アタシはなんだか、すごくショックを

受けてしまった。

 

あの村人達が心の底から安心して笑う日なんて

ホントにやってくるのだろうか。

 

「ヨンツゥオ大宮殿へは飛行船でしか

行けないんだ。飛行船の発着場はこの先の

東雲の洞窟を抜けた先にある。

しかし洞窟には扉があって鍵が掛かっている。

あの洞窟はさらに東にあるタァコ城の王の

管理下にある。

まずは王に謁見し鍵を借りてこないとな。」

 

うん、クヨクヨ考えてても仕方ない。

今やるべき事は魔星王誕生を阻止すること。

その為にまずはボロンが告げた行き先へ

向かうのが先決ね。

 

アタシ達は村を後にし東へと向かった。

 

けどこの村で見た奇妙な光景。

それはアタシの心に小さなトゲとなり

チクリと刺さった。

アタシはそれが、惑星クラウドでのこの先の

冒険でどんどん大きくなるなんて

この時は知る由もなかった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード2.「王の揺れる信念」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



恰幅のいい中年男性がアタシ達を出迎えてくれた。

 

「おぉ、義勇軍の諸君、

息災のようで安心したぞ。

ん?見慣れぬ顔が混じっておるのぉ?」

 

「オイラはモガ丸、コイツはスラッピ、

でコイツらは・・・」

 

「何!?ブルリア星の冒険王!?

では、君らが宇宙政府と互角に渡り合った

という・・・いやぁお目にかかれて光栄だ。」

 

このタァコ城の城主タァコ王は

密かに義勇軍に加担している人物らしい。

オリオリとボロンに加えてアタシ達のことも

好意的に出迎えてくれた。

 

「して今日は何用で来られた?」

 

「率直に言う、ヨンツゥオ大宮殿へ向かう為

東雲の洞窟の鍵を借りに来た。」

 

「洞窟の鍵じゃと?大宮殿へ向かう?

・・・まさか、諸君らは星屑魔法団を

追うつもりか?」

 

「やはり魔法団は大宮殿へ向かったか。」

 

「うむ、新たな魔星王誕生のためだと

聞いておる。」

 

ボロンの顔色が変わった。

 

「それを聞いておきながらどうして

止めなかった?

王と我々は同じ考えを共有していたはず、

であれば義勇軍、タァコ、そして魔法団は

宇宙政府打倒を掲げる同士であったはず。

同士の心変わりを見過ごしたのか!?」

 

友好ムードは吹き飛び一気に険悪な空気が

謁見の間じゅうに充満したわ。

 

確かに。

魔星王誕生の場がヨンツゥオ大宮殿である以上

そこへの道のりを管轄に置くタァコ王の

責任は重大だわ。

ボロンが厳しい口調になるのも

やむを得ないと思う。

けど、義勇軍への協力を非公式に表明している

以上、表立って上級執行官の要求を

撥ね付けるのが難しいのもまた、我々は

理解しないといけない。

 

重苦しい空気の中、口を開いたのは

恰幅のいい国王。

 

「ワシは・・・ある者から説得を受けた。

宇宙政府を倒す事が本当に全宇宙の人々に

とって幸せな事なのだろうか、と。

宇宙政府への考え方を変えてみないか、と。

その者が言う議論の内容は、妙に説得力が

あったのだ。

ゆえにワシは今、悩んでしまっておる。」

 

「ある者?それは一体誰だ?」

 

「その者は・・・名乗らなかった。」

 

「あ!もしかして!白いスライムナイトか!?」

 

「あぁそうだ、白いスライムナイトの言い分は

とても説得力があったのだ。」

 

出た!

魔法団を宇宙政府への協力に応じさせた

張本人、白いスライムナイト。

ヤツはこのタァコ王をも言いくるめようと

現れたのね。

 

しかしタァコ王は、アタシが見る限り

ディミトリに操られた人たちのような、

異様な目付きはしていない。

催眠術とかであやつられている

わけではなさそう。

 

という事は逆に。

白いスライムナイトの主張には

宇宙政府への協力を促すだけの

強い正当性が伴っているという事!?

む~ますます謎めいてきたわ、

白いスライムナイトの正体と、

彼の理論の中身が。

 

「ふん、まぁいい、とにかくオレたちは大宮殿へ

行かなくちゃいけない。鍵は渡してくれるな?」

 

「いいだろう、今は諸君らに言う通りにしよう。

しかしワシは本当に悩んでおる。

宇宙王の時代に戻すことが本当に

正しいのかどうか。」

 

「難しい話はいい。

よし!洞窟に向かうぜ!!」

 

アタシは。

もちろん、あの恐ろしいドスラーデスのような

魔物を再びこの世に生み出してはいけない

っていうのは理解してる。

身を持って理解し尽くしている!

 

けど宇宙政府を真っ向から批判していない

人々がこうも存在するという事実に驚いてる。

 

オリオリの旦那様が長を務める星屑魔法団、

政府の圧政に苦しみながらも服従を選んだ

レェノォ村の人々、そして今まさに目の前に

いるタァコ王・・・。

 

レェノォ村で生まれたアタシの心の小さなトゲが

また少し大きくなった気がした。

アタシはそれを、少し自覚し始めた。

 

魔星王誕生は絶対に阻止しなければいけない。

卑劣な宇宙政府のやり方を今までいくつも

見てきた、奴らを許すことはできないという

考えは今も変わらない!

 

けど。

白いスライムナイトの主張、

それをアタシも聞いてみたいという願望が

少し生まれてしまった。

 

とにかく!

タァコ王から鍵は借りられた。

大宮殿へ急ごう。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・タァコ王
タァコ城の城主。
密かに義勇軍を支援してくれている人物。
最近、白いスライムナイトの論説、主張に
触れ、宇宙政府に反抗することの意義を
見失いつつある。
ヨンツゥオ大宮殿へとつながる東雲の洞窟
の管理者。


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エピソード3.「迷う冒険王」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「超ギガスラッシュ!」

 

ギッシャァァァッ!!!

 

ジョギーの最高の剣技の煌めきが

洞窟内を眩しく照らす。

群がる魔物達を振り払いながら洞窟を進む。

 

アタシはというと。

タァコ王の苦悩を耳にしてから彼と同じように

悩み始めていた。

戦闘を担う者としては、あるまじき事

なのだけれども。

弟妹達が懸命に戦っているにもかかわらず

アタシは上の空で別の事を考えてた。

 

「宇宙王の時代に戻すことが

本当に全ての民の幸せに繋がるのだろうか?」

 

この一言がどうしても頭から離れない。

オリオリが心から宇宙の平和を望んでいる事は

共に行動していても、十分わかるし

伝わってくるわ。

 

けどアタシは宇宙王の時代というものを

知らない。

その時代の民の声というものを直に

聞いたことがない。生の声を知らない。

 

翻って今現在のここ惑星クラウドの人々

とは僅かながらだけど接触してる。

彼らは・・・決して幸せに暮らしている

ようには見えない。

けれど、宇宙政府の圧政に苦しみながらも

反旗をひるがえすほど、政府を憎いと

思ってるふうでもない。

それはレェノォ村での一件を見れば明らか。

 

タァコ王しかり。

星屑魔法団に至ってはなんと宇宙政府側へと

寝返ってしまった。

 

本当に、宇宙政府を倒すというのは

正しい道なのだろうか?

 

アタシの脳裏に一瞬、義勇軍の一員として

ううん、ブルリア星の冒険王として

あるまじき疑問がよぎった。

 

ヤツらの卑劣なやり方を幾度なく

この目で見て来たし敵の強大な力を

この身で思い知って来た。

 

全宇宙の星々を政府の思い通りに

させてはいけない!

けれど。

この星に来てからの、

人々の反応は何???

明らかにアタシが想像していたもの

とは違うわ。

そのギャップがそのままアタシの中で

ギャップとなりつつあった。

 

「リザ、どうした??

洞窟に入ってから、いや、タァコ城を

出発したあたりから様子が変だぞ?

どこかケガでもしてるのか!?」

 

!!

いけない、モガまるがアタシの様子が

おかしいのに気が付いた!

 

「ピピィ?」

 

スラッピも心配そうにアタシの顔を覗き込む。

まずい、考え事に集中しすぎて

ボーっとしてた。

アタシは慌てて作り笑顔でその場を

ごまかした。

 

「もが~、何ともないならそれでいいけど。」

 

「もうすぐ出口だ。

そこから大宮殿は目と鼻の先だ。

宮殿には上級執行官がいるかもしれない。

ヤツとの戦闘になったならブルリア星の

冒険王に頼るしかないんだ、頼むぜリザ、

気を引き締めてくれよ!」

 

うぅ、皆んなに心配をかけてしまった。

ボロンはアタシへ叱咤の言葉をかけた。

うん、ごめん、ボロン、みんな!

そうね、ことは一刻を争う。

考え事をしている場合じゃない。

 

アタシはひとまず余計な事を考えるのをやめ、

出口への途を急いだ。

群がってくる魔物たちを呪文で振り払いながら。

 

「ようやく洞窟を抜けました!」

 

「その先に桟橋があるだろう。

そこに飛行船が停まってる。

それで大宮殿が建っている島まで向かうぞ、

急げ!」

 

ボロンが指し示す方向を見ると確かに

飛行船が見えた。

さらに先の方角に、かすかに建物らしき

影が見える。

あれがヨンツォオ大宮殿ね!

 

アタシ達は駆け足で桟橋まで向かい

飛行船に乗り込んだ。

ちょうど風は追い風となり飛行船は

グングン前へと突き進む。

かすかに、影でしかなかった大宮殿が

みるみる大きくなっていく。

物凄いスピードで飛行船が進んでいるのが

わかる。

まるで何かに吸い寄せられるように・・・。

 

小島の岸に着くと目の前に荘厳な

白亜の建物がそびえ立っていた。

ここがヨンツゥオ大宮殿!!

 

「もが~なんて厳かな雰囲気の建物なんだ!

オイラなんだか畏っちゃうぞ~」

 

確かに。

平時であれば、思わず背筋が伸びてしまう

であろう神聖なオーラを放つ建造物だわ。

 

けれど!!

中からは明らかに邪悪なオーラが

発せられている。

この星に来てからは1番大きなオーラ。

けど、うん、魔星王はまだ誕生してないわね、

あのドスラーデスのような強烈さはないわ、

このオーラには。

 

アタシは内心安堵し、けど、激しい戦闘に

なる事は予想できたので警戒を強めて

宮殿の中へと踏み込んだ。

おそらく、その上級執行官がいるのだろう。

急げばまだ魔星王誕生を阻止できるっ!

 

宮殿の中に入ってすぐの大広間まで進むと

その邪悪なオーラの持ち主は現れた。

 

「誰だ?貴様らここで何をしている!?」

 

黒い甲冑を纏った魔物が現れた。

ソイツが現れた瞬間、コッツの顔が強張り、

全身が震えだしたの。

 

「きっ、気をつけてください!!

コイツこそが3番隊を捕虜にし連行した

上級執行官ドアヌです!!!」

 

やっぱり、この大きなオーラの持ち主は

上級執行官か!

コッツは直にコイツに酷い目に遭わされてる、

震えるのも無理はないわね。

 

「もがー!!

星屑魔法団と会っていたという上級執行官か!」

 

「ほほぉ、貴様ら義勇軍か。

星屑魔法団を追ってきたようだな。

ガハハハ!

しかし少し遅かったようだ。

新たな魔星王はすでに誕生した!!」

 

な!

なんですって!!??

 

「魔法団もすでにこの地を去った。

新たな魔星王は、貴様らの思いもよらぬ

姿で誕生したぞ!

やがて魔星王はその強大な力で全宇宙を

闇で支配するであろう。貴様らの徒労だ!!」

 

クッ!

一足遅かったというの!?

アタシが!余計な考え事をしていたせいで!!

この宮殿に着くのを遅らせてしまった!?

 

アタシは自らの失態を激しく後悔した。

アタシのせいで魔星王誕生阻止を

止める事ができなかった!!

 

けど・・・???

おかしい。その割には魔星王らしき

強烈なオーラを感じない。

確かに目の前にいるドアヌからは

邪悪なオーラを感じるけれど。

ドスラーデスに比べれば

話にならないぐらい小さいわ。

 

アタシ達の思いもよらない姿で誕生した?

確かにドアヌはそう言った。

ドスラーデスとはまた違うタイプの

魔星王なのかしら???

 

「しかし貴様らごとき新たな魔星王を

さし向けるまでもない。

貴様らは、この地で我が軍勢によって

全滅するからだ!!」

 

上級執行官ドアヌが合図をかけると

宮殿の大広間を埋め尽くさんばかりの

魔物達が現れた!

 

「あ、あ、あぁぁぁ」

 

コッツの体が再び震えだした!

ジニョリスタの塔での悲劇を

思い出してしまったんだろう。

 

けど大丈夫。アタシ達がいるわ!

魔道士リザがアナタの心の傷を

取り除いてあげる。

アナタを酷い目に合わせた、

この邪悪な執行官を退治してみせるわ!

 

「リザ達、くるぞー!!」

 

アタシは杖を構え、詠唱を始めた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ドアヌ
宇宙政府の上級執行官。
"秘術"を扱う星屑魔法団と共に
行動する。
"秘術"を行使できる場所、ヨンツゥオ大神殿で
魔星王誕生に立ち会ったうえでアタシ達を待ち構えていた。


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エピソード4.「真のリーダーの器」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



ガラガラガラーーーーー!!

 

黒い甲冑を纏った怪人が

その頭に装備していたカブト。

それが床に落ち、派手な音を立てて

転がっていく。

 

「す、すごい・・・」

 

後方に控えていた義勇軍の3番隊長の

女性戦士が思わず心の声を零す。

 

「我が3番隊が全く歯が立たなかった軍勢を

・・・まるで風を凪ぎるみたいに・・・

瞬く間に、倒してしまった・・・

こ、これがブルリア星の冒険王・・・!」

 

「さすがリザ達!

上級執行官ドアヌを難なく倒したぜ!」

 

このドアヌという上級執行官は・・・

おそらく偵察兵の類か、それとも魔星王誕生

までの時間稼ぎの捨て駒だったのだろう、

大した強さではなかったわね。

 

「グググッ・・・まさかこのオレが

返り討ちとは・・・!

貴様ら一体何者だ!?」

 

「リザ達はブルリア星の冒険王だ!

宇宙政府の悪事は許さないぞ!!」

 

「ピピィ!!」

 

「なんだと!?ブルリア星の・・・!

ではドスラーデスを・・・た、倒し・・・

たというの・・・貴様ら・・・か!?」

 

ドアヌはもう虫の息だろう。

息も絶え絶えといった感じだ。

 

「ふ、ふふ、フハハ、では魔星王の・・・

お、恐ろしさというものを・・・よく・・・

知っているで・・・あろう!

だがし、しかし!・・・新しい魔星王は・・・

ドスラーデスとは・・・全く違う・・・

す、姿を・・・している・・・ぜ、ぜ、前回と

・・・同じよ・・・に・・・は・・・

いかぬで・・・あろう!・・・ぐ、グフ」

 

そう言い残してドアヌは息絶えた。

書の中からオリオリが現れた。

 

「リザさん達、よくやってくれました!

恐ろしい上級執行官をいとも簡単に

倒すとは。コッツ、これでアナタの

心の傷も少しは癒えた事と思います。」

 

「ハっ!

御心遣いありがとうございます、オリオリ様!

そしてリザ殿達、本当に貴方達は強い!

このコッツ、心底感激しました、ありがとう!」

 

ひとまずコッツの無念は晴らせたかな。

けど、目の前の障害をひとまずは

取り除いただけ。

連行された3番隊の隊員はここには

いなかった。

コッツの、安堵した表情の中にも

微かに残る不安の色が消えていないのを

アタシは見逃さなかった。

 

そして何より、魔星王誕生!!!

とうとう現実となってしまった!

これはアタシの責任でもある・・・。

余計な考え事などせず、もっと早く洞窟を

抜けていればあるいは秘術行使を

防げたかもしれない・・・!

 

アタシは申し訳ない気持ちで心が

潰れそうになった。

仲間たちに頭を下げて心から謝った。

 

「いいえ!リザさんのせいではありません、

元はと言えば、我が夫セアドが心変わりをし、

魔法団が政府に協力してまったのが原因。

責は妻である私にもあります・・・」

 

オリオリ・・・!

アタシを責めるどころか、自分が責任を

負おうだなんて。

アナタ自身も夫への信頼が壊されたかも

しれないという傷を負っているのに!

 

アタシは。

タァコ城から考えていた事を。

オリオリに打ち明けて謝ろうとした。

 

「オリオリ、あのね、ごめんなさい、

アタシね、実は・・・迷って・・・」

 

「リザさん!」

 

オリオリはアタシが言葉を繋ぐのを制止した。

 

「口にしてはなりません!

私達が為すべき事は変わりません、そして

起こってしまった事はどうしようも

ないのです。」

 

オリオリ!

まさかアタシの迷いに気づいていた

というの!?

その上で気づかないフリをしてくれていた?

 

うぅぅ、やっぱりこの人にはかなわない。

これが一軍の将たる人間の器。

そうね!

アタシの迷いは・・・言葉にしてしまっては

いけない。

義勇軍の一員としても冒険王としても!!

口にすれば仲間達にも動揺を与えてしまうし

何よりアタシ自身、迷いがどんどん大きくなり

確信へと変わってしまう可能性がある。

それを止めてくれた。

ありがとうオリオリ。

その度量の大きさにアタシは感激し

体が勝手に膝をつき平伏しようとしていた。

 

「リザさん、何をしてるのです!

我が義勇軍3番隊を全滅の危機に追いやった

上級執行官ドアヌの軍勢をアナタ方は

倒してくれたのです。コッツの心の傷も

癒えた事でしょう、顔を上げ胸を張ってください!」

 

アタシはハっとした!

無意識に跪こうとしていた体が強張った。

オリオリはアタシの冒険王としての

面目を保とうとしてくれている。

モガ丸や弟妹達が動揺するかもしれない

アタシの行動を、すんでのところで

止めてくれた。

 

アタシはこの瞬間、本当の意味で

義勇軍の一員となったと、心の底から思った。

オリオリの真のリーダーシップを垣間見た

気がした。

おじぃちゃんとはまた違ったカリスマ性。

 

ジニョリスタの塔で、コッツがオリオリの

言葉に涙したあの時。

あの時のコッツの気持ちが今、

アタシには痛いほど分かるっ!

 

失敗を犯した者を許し、失敗が生んだ

暗い気持ちをすぐさま取り除き

再び立ち上がらせる、その巧みな

人心掌握術!

 

宇宙王とは・・・!

まさにオリオリのような人物ではないかと

感じた。

 

「誕生してしまったという魔星王。

しかしこの島や、周辺地域に大きな変化は

見られません。ひょっとすると魔星王は

誕生したばかりで、まだその活動を

開始していないのかもしれません。

急げばまだ、被害を生まずに

済むかもしれない!」

 

「しかし魔法団の行方もまたわからなくなって

しまいました。」

 

「この先どうする、オリオリ?」

 

「ドアヌは新しい魔星王は私達の全く

想像できない姿で誕生したと言いました。

その言葉の意味も気になります。」

 

義勇軍の首脳達が今後の行動を

話し合っている。

その時、アタシはほんのわずかな、

邪悪な気配が漂うのを感じた。

 

慌ててアタシは周囲を見渡して

耳をすませてみた。

ドアヌの軍勢の残党がいるかもしれないと

思ったから。

 

けど宮殿内にはそれらしき魔物は

いなさそうだった。

この邪悪な気配は、もっと遠くのほうから

漂っている、そんな感じがした。

 

何?

この感覚は。

こんな感覚には、今まで陥った事がないわ。

 

アタシは、惹かれるように宮殿の入り口の

扉に向かい外に出た。

邪悪な気配はタァコ城の方角から、

ううん、さらに先のほうから

感じられる気がした。

 

「もが、どうしたリザ!そんなに慌てて。」

 

アタシは自分の感覚に忠実に感じた事を

モガ丸に伝えた。

 

「何?東の方から邪悪な気配を感じるって?

もがー!リザ、なんだかガイアスじじぃ

みたいな事を言うようになったな!」

 

おじぃちゃんのように?

アタシが?

よくわかんないけど、邪悪な気配を

感じるのは事実。

アタシの中の冒険王の血が、おじぃちゃんの

ような能力を目覚めさせたとでもいうの?

 

「東の方角か、そっちの方角には

マタセ島がある。」

 

「邪悪な気配の持ち主は新しい魔星王

かもしれません。

ここはブルリア星の冒険王の直感を

信じてみましょう。」

 

「よし、じゃあマタセ島の最寄りの港

ニョレ 港へ行こう!」

 

次の行き先は決まった。

マタセ島。

新しい魔星王がいるかもしれない。

 

オリオリはアタシを擁護してくれたけど、

だからといってアタシが失態を犯したことに

変わりはない。

そこに魔星王がいるならば全力でこれを

倒さなければ!

アタシを信頼してくれているオリオリに

顔向けできない!

 

アタシは東雲の洞窟で考えていた悩みを

捨て去り、まず第1に宇宙の平和の為、

そして宇宙王の血を引く真のリーダー

オリオリの為に戦う事を心に誓った!

 

けどアタシは気付いてなかった。

宮殿内でアタシがオリオリに悩みを

打ち明けそうになった時、そして今まさに

ニョレ港へ出発しようとしているこの時、

ある人物がアタシの顔を覗き込むように

観察していたのを。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ドアヌ
宇宙政府の上級執行官。
"秘術"を扱う星屑魔法団と共に
行動する。
"秘術"を行使できる場所、ヨンツゥオ大神殿で
魔星王誕生に立ち会ったうえでアタシ達を待ち構えていた。

Story日誌 第3章<魔星王の影>了


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2ndシーズン第4章[白い騎士]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「エルフを尊ぶ人々」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



マタセ島。

 

この島にも国が存在し王が国を治めている。

島国マタセもまた、陰ながら義勇軍への

支援をしているらしい。

 

陰ながら支援というのは、有り難い話である

と同時に、表立って協力はできないという事実の

裏返しでもあるわね。

宇宙政府の規模の大きさと苛烈な恐怖政治の

実態を考えると、やむを得ないこと

だというのは理解できる。

何より義勇軍自体がレジスタンスグループ、

つまり統治者への反逆者である以上、

表立って活動することができないという制約がある。

 

そう、オリオリ達義勇軍は、そんな危うい

パワーバランスのもとで活動してるという事。

少しでも旗色が悪くなればそのパワーバランスが

いつ崩れるかもしれないという事。

 

そんな義勇軍と、その他の支援団体との関係に

ひとたび綻びが生まれでもしたら

きっと宇宙政府は抜け目なく

漬け込んでくるに違いないわ。

 

アタシ達はブルリア星でイヤというほど

宇宙政府の卑劣さを見てきた。

オリオリから「マタセ王は陰ながら協力してくれている、

魔法団の行方を知っているかもしれない」

と聞かされはしたけど心底信用してもいいものかしら、

とつい勘ぐってしまう。

 

タァコ地方を冒険してた頃、義勇軍の活動に

疑問を抱きかけてたアタシが

言えた義理ではないんだけど(_ _;

 

ううん、だからこそ!

宇宙政府の卑劣なやり方をよく知っている

アタシでさえ迷うんですもの。

実際に刃を交えたことのないタァコ王やマタセ王が、

自国の損害を顧みず義勇軍への協力を

いつまでも続けてくれるだろうか?

100%YES、とは言い切れないんじゃないか?

 

レジスタンス活動とは、アタシが思っている以上に

騙し騙され合いの世界なのかもしれない。

 

マタセ島へと向かう飛行船の中でオリオリが

マタセ国は支援国だと教えてくれたものの、

アタシはまた、様々な懸念を抱いていた。

ううん、アタシ自身が義勇軍の活動に

また疑問を抱いてるってわけじゃなくて。

義勇軍を取り巻く環境に不安を感じたの。

 

なにより今から向かうマタセ島からは

新しい魔星王かもしれない

邪悪な気配が感じられるもの。

何か良くない事が起きるかもしれない。

それだけは確かね。

 

そしてアタシの、その嫌な予感は

的中してしまうことになるの・・・

 

「ニョレ港へ着いたぞー!」

 

「飛行船での航海にも、ずいぶん慣れたぞ。」

 

「ピピー!」

 

マタセ島に着いた。

邪悪な気配の正体を早く突き止めなければ。

星屑魔法団の行方も。

 

「ようこそ、マタセ島の玄関口ニョレの港町へ。

航海お疲れまでし・・・・?

お、ぉう?エ、エルフだー!」

 

出迎えてくれた港町の住人らしき男性が

アタシ達に労いの言葉を

かけてくれようとした瞬間、

スラッピの事を見て驚きの表情を浮かべた。

 

「もが?エルフ??どこどこ!?」

 

「ピピィ?」

 

「あぁエルフ様だぁ!」

 

「もが?どうやらスラッピの事を指して

エルフと言っているようだぞ?」

 

「オイ!みんな見てみろー

エルフだぁ、エルフだぁーーーー!!」

 

「スラッピはエルフじゃない、

スラッピはスラッピだぁ!」

 

「いぃや、エルフだ!

エルフだ~~~~!!」

 

「あ~、もう!

困ったなぁ・・・」

 

スラッピがエルフ?

う~ん、どういうことなのかしら。

しかもこのオジサン、スラッピを見てすっごく

嬉しそうな、興奮してるというか、

狂喜してる様子。

 

「このマタセ島ではスライムの事を

エルフとか、精霊というふうに呼ぶんだ。」

 

アタシやモガ丸が途方にくれていると

ボロンが謎を教えてくれた。

 

「ほー、そういうことだったのか。」

 

「まぁオレにとっちゃあスライムは

天使だけどな。

あ~スラッピちゅわん、相変わらず

カワイイでちゅね~」

 

「う、スラッピにデレるボロン・・・

久しぶりに見たぞ・・・」

 

そうだった、ボロンはスライム愛が

凄かったんだった。

最近、事態が緊迫してたから忘れちゃってた。

 

「それにしてもエルフを連れているなんてっ!

君たちは立派な人達なんだな~。」

 

「なんかオイラたちまで崇められてるぞ。

スラッピ、すごい人気だな!」

 

なんか・・・調子狂うわね

スラッピがエルフ・・・と呼ばれ

港町の人達に大人気・・・

ボロンは久々に デレるし。

けど、本題に入らなくっちゃ!

 

「ん、なになに?

最近この島に新しい邪悪が現れていないかって?

う~ん、わからないな~。」

 

むむ、おかしいな、アタシの感覚が鈍ってたのかな。

 

「・・・あっ!

もしかすると・・・最近エルフが姿を

現さなくなったことと関係あるのかな?」

 

スライム・・・いや、エルフが姿を見せない!?

 

「エルフたちは近くのほこらに住み、たまに町まで

顔を出してくれるんだ。

でも最近エルフたちは元気がなくて

この町に来なくなった。

オレたちはずっと心配してるのさ。

精霊のジェルがあればエルフたちは

元気を取り戻すはずなんだが・・・。

強い魔物を倒さないと精霊のジェルを

手に入れることはできないんだ。

魔物と戦えば宇宙政府に逆らった罪で

一生牢屋の中で 奴隷生活だ。

だから困ってるんだよ・・・・。」

 

む~、この港町付近に棲むスライム達は・・・

人間に危害を加える悪いモンスターではなく、

野生動物のように人間と

共存しているというワケね。

共存どころか、エルフ、精霊と呼ばれ人間から

尊ばれている、ってワケね。

 

アタシはなんだか、このマタセ島の人々

とスライム達の関係性こそが本来あるべき

宇宙の星々の姿なんじゃないかと思った。

ちょっと飛躍しすぎた話かもしれないけど。

方向は間違ってはいないかな、と。

 

それはひとまず置いといて。

港町の人々が心配しているエルフたち。

どうして元気がなくなってしまったんだろう。

その原因が、アタシが感じたマタセ島の

邪悪な気配の持ち主と関係あるのかもしれない。

アタシはその、精霊のジェルとやらを

取りに行く事を申し出た。

 

「何だって?

君たちが精霊のジェルを取ってきてくれるって!?

だ、大丈夫か?宇宙政府に捕まったりしないか?」

 

このオジサンはアタシ達が奴隷の日々を

送ることになってしまうのではないか

と心配してくれた。

 

大丈夫、魔物退治は任せて!

そしてやっぱり!宇宙政府の強引なやり方は

許せないっ!!

魔物と戦っただけで反逆罪で牢屋行きだなんて。

やり方が強引すぎるわ!

 

「・・・そうか、自信があるんだな、だったら

ぜひお願いしたい!

精霊のジェルはここから南にいった

ジェルジェルの洞窟にあると聞く。

元気のないエルフたちのために君たち!

頼んだぞ!!」

 

もちろん、困っているニョレの人々を

助けたいというのが大前提。冒険王の務めだわ。

それに加えて宇宙政府の相変わらずな

圧政への抵抗。

そして何より、ここニョレ地方での

人々とスライムのあり方。

 

人間と魔物の理想的な姿を宇宙政府が

意図的に壊そうとしている、とアタシは感じた。

それに対して激しく抵抗したいと思ったの。

 

アタシ達は南に向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード2.「エルフの故郷へ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「おぉそれは!まさしく精霊のジェル!!

あぁ君達!本当に精霊のジェルを

取って来てくれたんだね、ありがとう!」

 

やっぱり魔物が巣食っていた

ジェルジェルの洞窟。

これを蹴散らし洞窟の最深部まで進むと

そこにうっすら光る粘液の塊があった。

これが精霊のジェルだとは、おおよその見当が

ついたけど、ニョレ港のおじさんに

確認するまでは半信半疑だった。

 

けどこの粘液の塊こそが精霊のジェル!

これでエルフ達の元気を取り戻せるのね!

 

「急いでスライムエルフの祠に行って

それをエルフ達の体に塗ってやってくれ!

そうすればエルフ達は元気を取り戻すはず!!」

 

そのスライムエルフの祠という場所に

エルフ、スライム達がいるのね、わかったわ!

急いで向かおう!

 

アタシ達は精霊のジェルを携えたまま

スライムエルフの祠があるという

東の方角へと出発した。

 

「いやぁ、しかし。

エルフ達を救ってほしい一心で

半ば強引にお願いしたとはいえ、

あの娘達、本当にジェルジェルの洞窟から

精霊のジェルを持って帰って来た!

洞窟には魔物もいたはず。

あの娘達の仲間には1体のエルフがいた。

本当に彼女らは、すごくエライ人達

なのかもしれん。」

 

アタシ達が港町を出発した後、

おじさんはこのように呟いたらしい。

 

「エルフ達には確かに元気になってほしい。

しかし彼女らの旅もまた、無事で

ありますように。」

 

港町のおじさんはそう呟くとアタシ達が

向かった方角に、深々と頭を下げた。

当然アタシ達は。

彼のそんな行動には気づかないでいた。

 

ニョレの港町から東に向かうと

確かに祠があった。

ここにエルフ達が棲んでるのね。

 

祠の入り口に立つと突然スラッピが

泣き始めた。

 

「モガ~!どうしたんだ?スラッピ・・・。

突然悲しそうな顔をして?

泣いてるじゃないか。」

 

「ピピ、ピエ~ン!!」

 

書からオリオリが現れた。

 

「きっとこの祠には魔物が棲み着いて

いるのでしょう。

きっとそのせいでスライム、いえエルフ達が

元気をなくしてしまったのかと。

スラッピさんは、同朋達の悲しい声を聞き、

泣きだしてしまったのでしょう。」

 

「はぁ~ん、スラッピたん、泣かないで~!

クッソ~、スラッピたんを泣かし

スライム、いやエルフ達を苦しめるとは!

リザ達、頼むぞ!

魔物達をやっつけてくれ!!」

 

まぁボロンったら!

ホンットにスライムが好きなのね。

うん、言われなくてもそのつもりよ!

スラッピが悲しむ姿は見たくないし、

苦しんでるエルフ達も元気にしてあげなきゃ!

 

エルフ達が元気になれば、ニョレの人達も

元気になる、スラッピも元気になる、

そしてボロンも元気になるもんね!

アタシ達がエルフを苦しめる魔物を退治さえ

すれば皆んなハッピーよ!

 

暗い話題が続いていたけど

少しでも幸せになる人がいるなら

アタシ達は喜んでそのお手伝いをするわ!

 

というわけで。

アタシ達はいつも以上に気合を入れて

祠の内部へと足を踏み入れた。

 

祠は・・・なかなか立派な造りになっていて、

だけどやっぱり魔物が棲み着いているのか

占拠されているのか、ところどころ壁のタイルが

剥がれ落ち、柱にヒビが走っていた。

本来は神聖なスライム、いえエルフ達の

棲み家なんだろう。

 

エルフを脅かす悪い魔物達、

さっさと退治してエルフ達を助けなきゃ。

 

祠は地下に向かって幾階層にも

分かれていた。

アタシ達は魔物たちを倒しながら

下の階層へと進んだ。

 

手足が8本あるライオン型の魔物、

コイツがここに巣食う魔物の長なのかしら。

これを倒し、おそらく最下層であるこの階層の

最深部に、エルフ達は居た!

 

「もが!!

見ろ、神々しいスライム達がたくさんいるっ!

そうか、たしかにエルフだって港町の人々が

呼ぶのも納得できるぞ。」

 

「けど、ひどく弱っているみたいだ、

あぁ・・・なんてかわいそうなんだ・・・。」

 

そのスライム達は黄金色の、神々しい体を

していた。

モガ丸の言う通り、エルフと呼ばれるに

相応しい姿。

そして、ひどく弱っていた。

 

「リザさん!

精霊のジェルをエルフ達に塗ってあげて!」

 

「モガー!

オイラも手伝うぞ!」

 

オリオリがすかさず指示をくれる。

みんなで手分けして精霊のジェルを

エルフ達の身体に塗り込んであげた。

 

ボワァァァン

 

すると黄金色のエルフ達の身体が

わずかに光を帯び始めたわ。

やった!エルフ達が元気を取り戻すのね!

 

けど・・・・。

輝き始めたかにみえたその光は

しばらくするとみるみるかすみ始め、

やがて消えてしまった・・・。

 

「モガ、おかしいぞ!ジェルを塗ったのに

エルフたちは倒れたままだ。」

 

「なぜだ!?

これじゃエルフたちを救えないじゃないか!」

 

黄金色のエルフ達は苦しそうに喘いだままだった。

おかしいわ。

確かにジェルの効き目はありそうだったのに。

ジェルの効能の力以上に衰弱が激しいの!?

 

すると1体のエルフが震える声で何か呟こうと

しているのをスラッピが気づいたらしく、

そのエルフに近づいて会話を始めた。

 

「ピッピピピ!ピピピピー!

ピッピピーピッピ!」

 

「本当か!スラッピ!」

 

「ピッ!」

 

エルフと同種であるスラッピ、

そしてスラッピの言葉がわかるモガマル。

すごい、なんか同時通訳みたいな流れで

エルフたちの伝えたいことがアタシ達にまで

伝わったわ。

 

「ここにいるエルフ達は故郷に帰りたいって

言ってるってよ!

故郷に帰ればみんな治って元気になるらしい!」

 

「スライムのふるさと・・・・?」

 

「心当たりあるのか?ボロン。」

 

「・・・・そういえばこの星の何処かに

スライムだけが棲む島があるらしい。

もしかしてその島のことか?」

 

「ピーッピピ!」

 

「きっとそこだってさ!

よし、エルフ達をそこに連れて行って

元気にしてあげようぜ!」

 

スライムだけが棲む島。

へぇぇ、そんな島があるんだ。

スライム愛が強いボロンにとっては

まさに楽園のような島ね

 

そっかぁ、ここのスライム達は

故郷であるその島から

このマタセ島へ移り住んだのね。

そして、その神々しい姿ゆえに

町の人々にエルフと呼ばれるように。

で、故郷に帰れば元気になる、と。

慣れ親しんだ故郷で静養すれば

元気になるってことかしら。

それとも何かもっと直接的な、

治療できるような施設か場所でも

あるのかしら。

とにかくエルフたちを完全に元気にするには

その故郷とやらへ連れて行かなくちゃ

いけないみたいね。

 

よぉし!

じゃ善は急げよ、エルフ達の故郷へ向か・・・

 

「待ってくれ!

俺たちは消えた魔法団の行方を追っている、

それに誕生してしまったという魔星王が

活動を始めるのを阻止しなくっちゃいけない。

さらにはこのマタセ島でリザ達が感じたという

邪悪な気配の正体、これも確かめなきゃ

いけない。

いくら俺のスライム愛が強いからって、

それらを放り出してまでスライムだけの島に

向かうことはできないぜ!?」

 

「モガ~、けどエルフ達をこのままに

しておけないぞ!?」

 

「しかし・・・!」

 

「ボロン・・・・心配は無用です。

エルフ達を救いましょう。」

 

「!!しかしオリオリ!」

 

「星屑魔法団や魔星王を追うのは

私達に任せて。

ボロンはエルフ達を連れて

スライムの故郷へ向かうのです。」

 

「い、いいのか!?

いや、ダメだ、俺は親衛隊長だ。

オリオリを守るのが務め・・・・。」

 

「大丈夫です。

コッツが居るし、何よりリザさん達も居る。」

 

「はい!

私にお任せください!」

 

ボロン・・・本当は大好きなスライム達を

救いたくて仕方ないのに。

真っ先にスライムの故郷に

向かいたいはずなのに。

自らの立場と任務のために自分の気持ちを

押し殺そうとして・・・・。

 

けど、そう!

オリオリのことはアタシ達に任せて!

コッツと一緒に命がけで守るわ!!

それにアタシ達も、苦しむエルフ達を

このまま見過ごしたくない、

ここは二手に分かれて各々任務を

遂行しましょう!

 

「さぁ、行きなさいボロン!

エルフ達を救いたいでしょ?」

 

「あぁ・・・救いたい!

すまない!オリオリ!

スライムの故郷へ連れていき

エルフたちの元気を取り戻したら

すぐに戻ってくる!

それまでオリオリを頼んだぜ、

ブルリア星の冒険王達、それにコッツ!」

 

「ピッピピ!」

 

「あぁ、必ずエルフたちを救ってみせる!

スラッピたんも元気でな!」

 

それぞれ目的があるとはいえ、

ちょっと寂しいわね、ボロンはこの星に来てから

ずーと一緒だったもんね。

 

「ボロン、気を付けて、無理をしないでね。」

 

「おぅ!コッツもな、オリオリをしっかり

守るんだぞ!」

 

「はいっ!」

 

本当に、ボロン、気を付けて。

しばしのお別れね。

 

このスライムエルフの祠が、

しばしの親衛隊長ボロンとの別れの

場所となったわ。

しばしの別れ・・・・のハズだった。

 

「さぁ、リザさん達、コッツ、

私達はマタセ城に向かいましょう。

城主に、この島に忍び寄る邪悪について

心当たりがないか尋ねてみましょう。」

 

ボロンがパーティーから抜けた寂しさを

心に残しつつ、アタシ達は島の南方にある

マタセ城を目指して歩き始めた。

 

この島から発せされる邪悪な気配、

心なしかお城があるという南の方角へ

向かうにつれて、それが濃くなった気がした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・ボロン
義勇軍親衛隊隊長でオリオリの幼馴染。
義勇軍の中でもかなりの実力者らしいけど
超の付く怠け者。
そして超の付くスライム愛の持ち主。

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード3.「邪悪な気配の正体!?」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



宇宙王の末裔オリオリが率いる義勇軍には

大義がある。

圧政を強いる宇宙政府を倒し平和で平等な

世の中を取り戻すという、ね。

 

アタシは義勇軍の大義こそ真理だと信じて

義勇軍に参加した。

ここ惑星クラウドに来てから、義勇軍と

行動を共にして来た今、その想いは

更に強くなり、間違いではなかったと

信じてるわ。

 

けど、冷静に大局を見て、客観的に

自分達の勢力の立ち位置を考えれば、

やはり義勇軍は体制に逆らう革命集団、

反逆者でしかない。

 

人は、少数派に味方するのは

なかなか難しいと考える生き物。

多勢、強き権力に靡くもの。

たとえそれが、悪しき権力だとしても。

 

それをまざまざと思い知らされる、

そんな出来事だったわ、この地で起きた事は。

 

「お久しぶりです、マタセ国大臣殿。」

 

「こ、これは!

オリオリ様、お久しゅうございます!」

 

人の良さそうな年配の大臣さんが

マタセ王への謁見を取りなしてくれた。

 

この大陸へと向かう飛行船の中で

「マタセ国は義勇軍へ密かに支援

してくれている」とオリオリに聞かされていた

ものの、タァコ王の一件もある事だから

アタシは少し警戒心を持ちながら

謁見の間へと続く廊下を歩いていた。

 

その証拠に、アタシが感じた邪悪な気配。

この城に到着してから、それが一層濃く

感じられるわ。

残念ながら城内に魔物が潜んでいる

可能性があるわね。

いつでも迎撃できるよう警戒は

しておかないといけないわね。

 

謁見の間に通され、平伏しながら

王の入室を待っていると、

コツっコツっコツっと足音が聞こえてくる。

マタセ王が部屋に向かっているのだろう。

 

・・・・!まさかっ!

邪悪な気配が濃くなってくる!?

アタシは思わず顔を伏せてしまった。

 

ギギィ~。

扉が開く音がし、足音の主が玉座に

着座した。アタシは顔を伏せてるけど

気配でそれがわかった。

 

「よくぞ参られた、オリオリ殿、

そして義勇軍の諸君。

表向き、宇宙政府への服従を示しておるゆえ

大きな声では言えぬが、諸君らの参内、

心より歓迎するっ!」

 

「お久しぶりです、マタセ王。

お目通りをお許しいただき感謝します。」

 

「ふむ、我らは同志、堅苦しいのは

抜きにしよう。

ほれ、供の者らも顔を上げるが良い。」

 

オリオリが一通りの挨拶を済ませると

マタセ王がアタシ達にも顔を上げるよう

促してきた。

 

アタシは恐る恐る顔を上げ、王に視線を向けた。

 

・・・・!!

やっぱりっ!!

 

王とアタシの視線が交錯する。

かなり・・・・混じってる・・・・。

 

アタシは彼の瞳の奥に宿る邪悪な炎を

見つけてしまった。

なんてこと!

邪悪な気配が近いどころか、此処が

その根源だったなんて。

 

「見かけん顔だな、新入りかな?

オリオリ殿。」

 

「はい、苛烈さを増す宇宙政府の力に

対抗するため、私自ら参軍を願い出た

強力な助っ人です。

彼女らがいれば必ずや宇宙政府を倒せると、

私は信じております。」

 

「ほぉぉぉ!

そなたにそこまで言わせるとはな、

これは頼もしい援軍ではないか!

また一歩、打倒宇宙政府に近づいた

というワケだな。」

 

このマタセ王という男の邪悪な炎の根源が

何なのか、今はわからないけど、

彼は腹のうちでは義勇軍を支持していない

んじゃないかしら。

宇宙政府に服従しているのは表向き、

と言いながら政府と義勇軍とを天秤にかけ、

時流に逆らわず旗色が悪いほうを斬り捨てる、

そんなところかしら。

 

彼の口から出てくる言葉全てが白々しく聞こえ、

アタシはどんな顔をしていいかわからず

再び顔を伏せた。

オリオリが本題に入る。

 

「ところで王、ここ最近この島で、

新しい、今までとは違った邪悪な存在・気配を

感じたことはありませんか?

もしくはそのような報告が届いていない

でしょうか?

私達はその気配の正体がなんなのか探るため

この島にやってきました。」

 

「新しい邪悪な気配??

はて、そのような話は聞いておらぬし、

ワシにもそのような覚えはないのぉ。

・・・・!

そういえば!」

 

「何かお心あたりでも!?」

 

「邪悪な気配と関係しているのか

わかりかねるが、つい最近、

星屑魔法団がこの城にやってきたぞ。

彼らは『新しい魔星王を誕生させた』と

申しておった。」

 

「・・・そうですか・・・・

やはり夫、いえ、魔法団は魔星王を!

信じたくはなかったのですが・・・。」

 

「新しい魔星王は魔法団の面々ですら

想像できないような姿をしているらしい。」

 

「魔星王誕生に立ち会った政府の上級執行官も

そのようなことを申しておりました。

・・・・。

この島に忍び寄る邪悪な気配の正体は

その新しい魔星王かもしれません。

魔星王の姿や所在、その他てがかりは

星屑魔法団に確かめるほかないと

考えております。

王、ここにやって来た魔法団は、その後

何処へ向かいましたか?」

 

「この城の北方にマタセ山という山がある。

その麓に塔が建っておってな、

そこへ向かうと言っていた。

魔法団、そなたの夫セアドに会いたければ

その塔へ向かうといいだろう。」

 

「承知しました、情報提供ありがとう、

感謝いたします、マタセ王。」

 

「うむ、諸君らの旅の無事を祈る。」

 

会見は終わった。

気がつくとアタシはじんわり汗ばんでいた。

マタセ王から発せられる邪悪な気配は、

それほど巨大なものではなかった。

それ自体に恐れおののいたわけじゃないわ。

けど、邪悪な気配を放つ者が一国の主として

何食わぬ顔で玉座に鎮座している、

その事実が恐ろしかったのだろう。

 

城を出、北のマタセ山へ向かうことにした

アタシ達。

城門を出てしばらく歩いたのち、アタシは

周囲を見渡し警戒しながら小声で

オリオリを呼んだ。

 

「オリオリ・・・・驚かないで聞いて。

塔へ向かうのは罠かもしれない。

マタセ王は・・・。」

 

「リザさん、さずがです、気づかれましたか。

大丈夫、わかっています。

けど今はそれ以上口にしてはいけません。

いつ、どこから、誰が私達一行を

見ているかわかりませんからね。

とにかく今は、魔法団が向かったという

マタセ山の塔へ向かうしかありません。

他に手がかりは何もないのです。」

 

オリオリ!

さすがアタシ達のリーダー、宇宙王の末裔だわ。

オリオリもマタセ王が普通ではないと

気づいてるみたいね。

そうね、今はとにかく魔法団に会って

確かめるしか方法がないもの。

 

新しい魔星王はどんな姿で、どれほどの力を持ち、

そして何処にいるのか。

そもそも何故、宇宙政府に加担し

魔星王誕生に力を貸したのか。

何よりセアド、あなたは妻であるオリオリの

気持ちをどう考えているのか?

聞きたいことは山程あるわ。

 

アタシ達は抱えきれないほどの疑問や不安を

抱えながらマタセ山へと歩いていた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・マタセ王
マタセ島を治めるマタセ国の国王。
表向き宇宙政府に忠誠を誓っているが
陰ながら義勇軍を支援している人物。
しかし何やら不穏な気配を振りまいている。


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エピソード4.「追い求めた力その末に」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「もが~、星屑魔法団、ホントにこの塔に

居るのか?

いっつもいっつも居るって言いながら

肩透かしだからな~。」

 

「それもあるけど、私達と一足違いで

出会えなかった場合もありました。

ともかく居ると信じて、

そして入れ違いにならぬよう

先を急ぎましょう。」

 

マタセ山の塔内部に進入したものの

魔法団が居るような気配は

感じられなかったわ。

モガ丸が思わずグチをこぼしたのも

仕方ないことかな、と。

代わりに魔物の気配は、

いつものことだけどヒシヒシと

感じられる。

 

謁見の間で対面したマタセ王。

彼はとてつもなく邪悪なオーラを

発していた。

表情や言動には、それらしい空気は

全く表さなかったけれど。

とても義勇軍を支援してくれているような、

そんな人物には、少なくともアタシには

思えなかった。

 

魔法団がこの塔に居るのかも、

何がマタセ王を邪悪な存在へと

変えてしまったのかその理由も、

この塔を登らない限りはわからない、

それだけは事実だわ。

 

アタシ達は群がる魔物達を蹴散らしながら

最上階を目指した。

魔法団らしき集団がいないか注意をしながら。

 

それらしい気配は感じられぬまま、

とうとう最上階にたどり着いた。

最上階は・・・無人だった。

 

「やっぱり居なかったな、魔法団。

マタセ王の情報は誤りだったのかな??」

 

「いえ、それとも、また我々が一足

遅かったのかもしれませんね。」

 

「もが~、けどよぉ、入れ違いにならないか、

かなり注意深く周囲を警戒しながら

登ってきたぜ~!?

オイラとスラッピは戦闘に参加できない分、

そっちの役割はこなそうと頑張ったぜ~!?」

 

「あ、すみません!

別にそういう意味では・・・!

どこか別の抜け道があったのかも

しれませんし!」

 

「もが!コッツ!この野郎!

あくまでオイラ達が魔法団が居たのに

見過ごしたっていう方向で話すんのか!?」

 

「えぇ、ご、ごめんなさい!

本当にそういうつもりじゃないんですぅ!!」

 

モガ丸とコッツのやり取りを横目に、

アタシは、何か怪しいものはいないか、

何か手がかりになるような物はないか、

フロア中を見渡した。

 

するとフロアの奥中心に玉座があるのを

見つけた。

なんだろう、この塔の最上階は

何をする施設なんだろう?

玉座があるってことは、ここで何か、

政治的な儀式かなにか行われるんだろうか?

そう考えながら、誰も座っていない玉座を

アタシは見つめた。

 

「あのマタセ王がこの玉座に座り、

あの優しそうな大臣さん含め、

貴族たちがここに集まり、

難しい政治の話とかするんだろうなぁ。」

 

アタシは玉座の主であろう、

あの筋肉隆々の、たくましい身体をした

マタセ王のことを思い浮かべていた。

 

「他に何か手がかりはないかな。」

 

アタシは振り返り、他に魔法団の手がかり

らしきものがないか、別の場所へ

移ろうとした。その瞬間・・・・。

 

!!!邪悪な気配!?

しかもこれは!

マタセ王のモノ!!

 

キッ!!

踵を返し玉座の方に視線を向けた。

さっきまで誰も座ってなかったハズの玉座に

誰か座っている!

ううん、アタシはそれが誰なのか知っている。

このフロア中に充満している邪悪な気配、

それが玉座の人物が誰なのか

示しているっ!

 

「マ、マタセ王っ!?

どうしたのです、なにゆえ王が

このような場所に!?」

 

書からオリオリが現れ、

その人物に問いかけた!

 

「フ、フフフ、ハ~ッハッハッハ!

星屑魔法団などこの塔には居らぬわ!

全てワシが仕組んだ罠だ。

愚か者どもめが!

このワシにまんまと騙されおって。」

 

「もが~!罠だったのかー!!

ん?待てよ、最初っから魔法団は

居なかったってことか?

コッツー!ほら見ろ~!

オイラ達が見過ごした訳じゃあ

なかったじゃないか!!」

 

「ひえ~、モガマル殿~!

だから、そういう意味じゃないん

ですってば!」

 

モガマル・・・あなたって

結構根に持つタイプなのね・・・^^;

 

「星屑魔法団の秘術により

ワシは邪悪な力を得た!

お前たちの力など、

到底ワシには及ばない!」

 

「もしかしてリザ達が感じた

邪悪ってマタセ王のことかー!?」

 

「フハハハ!そういうことだ!

ワシの力が強大すぎて

お前たちに感づかれてしまったが、

それも致し方のないこと、

どのみちお前らのほうから

ワシのもとにやって来て

返り討ちにすればいいだけだからのぉ!」

 

フン、わりとあっさり正体を現したわね。

地位と権力を持て余した人間が、

次に考え付きそうな浅い考えだわ。

 

魔星王誕生の報を聞き、

もとより政府と義勇軍を天秤にかけていた

ずる賢い男が、悪しきものと知っていながら

強き存在へと靡いたっていうだけの話。

しかも、義勇軍を裏切るだけに飽き足らず、

その身を魔道に堕とし、安易に力だけを

追い求めるなど!

アンタには一国の主たる器も、義勇軍の友軍を

名乗る資格もないわっ!

 

ブルリア星の冒険王が成敗してくれるっ!

 

「安心して、モガマル!

お城で彼と対面したときから

こうなることは予想できたわ!!

アタシ達を動揺させ不意を突こうって

狙いだったかもしれないけど、

とんだマヌケよ、この男はっ!」

 

「もが~!さすがリザ達!

マタセ王の正体に気づいてたのか!!」

 

「オリオリっ!

残念だけどマタセ王はもう元の彼に戻ることは

ないっ、今ここで彼を倒すしか道はないわ!

いいわね!?」

 

「・・・致し方ありません!

リザさん達、頼みます!!」

 

「フハハハ~!

強がりにしては言うてくれるっ!

お前らが居れば宇宙政府を倒せるだとぉ!?

これからワシに倒されるモノが、

どうして政府を倒せると・・・

言うのだァァァ!!!!」

 

みるみる巨大化し醜くなっていく

そのマタセ王だった魔物は、

絶叫しながら飛びかかってきた!

 

その丸太ほどの太い腕の一撃を

躱しながらアタシはモガ丸達に

物陰に身を潜めるよう指示する。

 

「モガ丸っ!スラッピ!

コッツと一緒に隠れてて!!

宇宙王の書を守っててね!」

 

「よっしゃあ!任せときぃ~!」

 

モガ丸達の身の安全を確認すると

アタシ達は攻撃の準備に入った。

 

精霊神ルビスの御力がアタシの周囲に

魔法陣を張っていく。

魔法陣の力はアタシが放つ攻撃呪文の

威力を1発だけ上げる、ルビスの秘術と

呼ばれるもの。

 

アタシは呪文の詠唱に入った。

特大のを食らわせてやるわっ!

 

「猛きイカヅチの精霊よ、正義の稲妻で

我敵を打ち倒せ!ギガデイン!!!」

 

バチィィィィ!

バチバチバチィィィ!!

 

秘術の力で威力が増した

眩しい電撃の光がフロア中を

明るく照らし魔物に向かって

飛んでいくっ!

 

「ぐわぁァァァ!!!」

 

電撃の光が収束され

辺りは再び平静さを取り戻していく。

一つさっきまでと違うのは、

体中が黒く焦げてしまった魔物の姿。

おそらく人間だった頃には、

受けたことのないダメージ。

魔物と化して、体中に力が漲る感覚も

初めてなら、敵から受ける想像を絶する

ダメージもまた初めてのものだろう。

 

つい最近まで人間だったのも、

彼にとっては敗北の要因じゃないかしら。

甚大な身体的ダメージを負い、

精神的にも大きなダメージを負った彼は

もう戦意喪失状態だろう。

 

「ぬぅぅぅ、おのれ~!

魔法団の秘術で魔物化したワシは・・・

つまり、魔星王と同格の力を得たはず

・・・・。

なぜ義勇軍ごときに敗北する・・・???

おのれ~~~!

これでも喰らえ、イオナズン!!!」

 

まさか、まだ反撃する余力が!

アタシ達はとっさに盾を掲げ、

爆発呪文のダメージを軽減する。

 

魔物が放った攻撃呪文は・・・。

大した威力ではなかった。

やっぱり生来の魔物ではないぶん、

力の使い方にまだ未熟さが

残ってるのかしら。

 

「ハッスルダンス!」

 

パァァァ~~~!

 

妹レイファンが、受けたダメージを

回復するダンスを踊ってくれた。

弟ジョギーが魔物にとどめを刺す。

 

「超ギガスラッシュ!!」

 

ギシャアアアア~!

 

再びフロア内を眩しい電撃が走る!

これで勝負はついた・・・!

 

「お・・・・おの、れ・・・・

こ、このワシが・・・・

義勇・・・ぐ・・・んごときにぃ・・・

グ、グフ!」

 

黒焦げになったマタセ王だった

魔物は、そう言い残すと息絶えた。

 

元は人間だった者にトドメを

刺すのは・・・正直ツライわ・・・。

けど彼を放置すれば

魔物としてこの先成長し、

やがて何の罪もないマタセ国民に

被害が及んでしまう・・・。

 

あの、黄金色のスライム達をエルフと

崇めるニョレ港のおじさん達も、

マタセ王の犠牲になってしまう。

 

それは。

ニョレの人々とエルフ達の共存関係に

光を見たアタシにとっては

とても許されることではなかった。

 

マタセ王、もう少しアタシ達が早く

貴方に出会っていれば、ううん、

もっと早く魔法団に追いつき、魔星王誕生を

阻止していれば!

貴方は心変わりをせず、魔道へと堕ちることも

なかったかもしれない。

 

ごめんなさい、アタシには。

オリオリを、義勇軍の大義を信じ、

卑劣な宇宙政府を倒す義務があるの。

魔道へ堕ちた貴方を許すわけには

いかなかった。

ごめんなさいね。

 

戦う前は、あれほど軽蔑していたのに、

やっぱり人間だった者を倒してしまった

悔恨かしら、ひどく後味が悪い。

オリオリが信頼していた人物だった、

というのも後味の悪さをさらに濃くする。

 

「・・・私もお城でマタセ王と対面した時から

感じていました。以前の彼とは違う違和感を。

リザさんほど明確に彼の正体に気づいた

ワケではありませんが。

一体何が彼を変えてしまったのでしょう・・・?」

 

書から現れたオリオリもまた、

ショックを隠しきれない様子だわ。

当然ね、オリオリの、マタセ王との付き合いは

アタシ達よりも長いのだから。

 

フロアには、今度こそアタシ達

義勇軍一行だけになった。

結局、魔法団の手がかりは何一つ得られずに。

 

と、そんな矢先だった。

 

「マタセ王の心変わりの理由、

それは私が原因だ!」

 

だ、誰!?

誰もいないはずのフロアに

朗々とした声が響き渡った!!

 

振り返ると、そこには!

白い甲冑に身を包み

スライムに乗った騎士が居た!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・マタセ王
マタセ島を治めるマタセ国の国王。
陰ながら義勇軍を支援している人物だったが
表向き、宇宙政府にも恭順を示していた。
実は情勢次第ではどちらの味方にもなれるよう
中立を保っていた。
魔星王誕生に際して政府有利と見るや
義勇軍を裏切り自らは魔物化して
アタシ達を襲ってきた。

・白い甲冑のスライムナイト
???
噂の白いスライムナイトか!?



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エピソード5.「戦うそれぞれの正義」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



コイツに間違いなかった!

星屑魔法団に心変わりをさせ、魔星王誕生を

現実のものへと導いた張本人、

白いスライムナイト!!

 

「誰です!?あなたは!」

 

「初めまして、諸君!

私は・・・そうだな、ピエールと

名乗っておこう!」

 

「ピエールっ!?」

 

「もがー!

噂の白いスライムナイトってお前の事か!?」

 

「噂?ほう、私の事が噂に!?

これは光栄だ、愉快、実に愉快だ!」

 

「オリオリ様、間違いありませんっ!

ヤツが星屑魔法団を心変わりさせた

白いスライムナイトですっ!」

 

「ほほぉ、そなたあの時の義勇軍の

女隊長ではないか、そうか、無事だったか、

それは良かった。」

 

「なんだとぉ!

誰のせいで私があんな酷い目に遭ったと

思ってるんだっ!」

 

「コッツ!

気持ちはわかります、しかし今は堪えて!

この者には問いたださねばならない事が

山ほどあります!」

 

どうやら突如現れたこの白い甲冑の戦士が

星屑魔法団を翻意させた張本人みたいね。

アタシは声には出さず呪文の詠唱を

心の中で始めた。

いつ何時でも戦闘を開始できるように。

 

「マタセ王に宇宙政府へ協力するよう

説いたのはアナタですか?」

 

「質問に答える前に!

そこの女魔道士よ、物騒な真似は

やめていただきたい。

オリオリ、上官であるそなたからも

注意してくれないか?」

 

「え!?リザさん?」

 

クッ!コイツ!!

アタシは完全に殺気を消しながら

呪文の準備をしていたのに!

アタシの行動を見破るとはっ!

只者じゃないっ!!

 

「リザさん、どうやらこの者は

我らと争う気はないようです。

戦闘準備を怠らないのはさすがですが、

ここは彼の話を聞くため警戒を解いて

いただけませんか?」

 

オリオリにそう言われては仕方ないわね。

アタシは読み終わった呪文を一旦解除した。

ここはオリオリを信じて任せよう。

 

「よぉし、お利口さんだ、さすがだな、

義勇軍のリーダーにして宇宙王の末裔

オリオリよ。

・・・いかにも!

マタセ王を説得し宇宙政府側に付くよう

仕向けたのは私だっ!

そもそも彼は諸君ら義勇軍にも、

そして宇宙政府にも良い顔をしていた、

実に計算高い男だった。

そんな彼を宇宙政府側に引き込むのは

容易い事だった。

魔星王誕生の事実を伝え、情勢は宇宙政府に

傾きつつある、と伝えるだけで

あっさり宇宙政府への恭順を示したのよ!」

 

「そして魔法団の秘術を用いて魔物へと

改造したのね!」

 

「その事については私も誤算だった。」

 

「え?」

 

「彼は自ら魔物化したいと願い出たのだ。

それが宇宙政府への恭順の交換条件だと

言ってな!」

 

「そ、そんな!」

 

「まぁ、所詮、彼はそういう男だったと

いう事よ。

こちらの足元を見て、それに乗じて

自分の願望を押し付けてくる。

一国の主として富も権力も地位も

手にしている人間が、次に欲するもの、

それは力しかないだろう?

まぁしかし、結局は己が欲望のために

手に入れた邪悪な力、信念なくして得た力だ。

そんなものは真の力ではなかったという事だ。

末路などたかが知れている。

それはそこに居るブルリア星の冒険王に

よって証明された。」

 

・・・この男、かなりキレる!

全くアタシと同じ事を考えているっ!

 

「星屑魔法団を説得し魔星王誕生の計画を

進めたのも私。」

 

「何のためにそのような愚かな事を!?

貴方は宇宙政府の悪事を知らないのですか!」

 

「知っているさ。

知りすぎて、理解し尽くしている。」

 

「知っていながらのその所業!

貴方も所詮はマタセ王と何も変わりませんっ!」

 

「これは手厳しいな。

オリオリよ、貴女が義勇軍などという

雑兵集団を率い政府に対抗する気持ち、

私もよぉくわかる。

宇宙政府の圧政は確かに宇宙の星々の民を

苦しめている、私もその事には

心を痛めている。

しかし政府は邪悪な上にとてつもなく強大だ。

義勇軍ではとても叶わぬのだ。」

 

「だから宇宙政府の手先となるのですか?」

 

「今はな。

しかし私には考えがある。

宇宙政府に力で対抗しても無駄なこと、

外側から政府を変えるのは不可能なんだ。

であれば内側から、内部変革によって

政府の方針を変え、平和で平等な世の中を

目指す、私はそこに活路を見出したいのだ。

わかるかオリオリ、無用な争いは避けるべきだ、

戦いの度に払う犠牲もなくなる。

貴女はただちに武装を解き義勇軍を解散し

私と共に宇宙政府に参入し

幹部となり革命を起こすべきなんだ。」

 

・・・こんな!

こんな甘ったれた考えが!

 

白いスライムナイトの理論だというの!?

こんな安い考えのためにオリオリの旦那様は

心変わりをし、タァコ王が悩み、

新しい魔星王が誕生し、そしてマタセ王が

魔物と化してしまったというの!?

 

こんな安っぽく甘ったれた己を過大評価した

理論を!

一時でも聞いてみたいと思ってしまった

アタシ自身に怒りを覚えるっ!!

ムカッ腹が立ってきたわ!

 

宇宙政府の強さ、巨大さ、邪悪さ、卑劣さ、

腐る程見てきたアタシ達からすれば

とんだ甘ちゃん野郎だわ、この男!

 

一旦はしまった拳だけども、怒りのあまり

無意識のうちに再び、アタシは呪文の

詠唱を始めてしまっていた。

 

「ピエール・・・残念ながら貴方のその

考えは徒労に終わる。

宇宙政府を内側から変えるのは無理です。」

 

「ほぉ、言い切るとはな。

何ゆえそこまで言い切れる?」

 

「宇宙政府は貴方の言う通り、とても巨大な組織です。

いかなる善意も、その巨大な邪悪さと卑劣さで

飲み込んでしまいます。

かつて私の両親も宇宙政府に抵抗していました。

しかし無駄な争いを避けようと、

そう、貴方と同じ考えを抱き政府の一員となり

内側から政府を変えようとしました。

しかしやがて宇宙王の末裔だということが

発覚してしまい容赦なく処刑されて

しまいました。

そして私も命を狙われる事に。

夫のセアドは私の身を守るため

宇宙王の書の中に私を封印しました。

それが私の今の姿です。」

 

そうだったの!

オリオリが本の中に居るのはそういう経緯が あったのね。

そして!

ご両親を宇宙政府に殺された・・・!

親の仇でもあるわけね、宇宙政府は!

謎だったオリオリの過去が、ようやく

語られたわ。

 

アタシは怒りのあまり、戦闘準備を

始めていたけど、オリオリの過去を

知るにつれ、そちらに意識が向くようになってしまった。

それほどに壮絶な過去!

詠唱を完了していた呪文は、

再度霧散していたわ。

 

「いいですか、ピエール!

宇宙政府には戦って勝つしかないのですっ、

内側からの変革を許すほど彼らは甘くない!」

 

「はっはっはっは!

頑固なお嬢さんだ。気に入ったぞオリオリ。

しかしこれ以上のお喋りを続けても

無駄なようだな、お互い平行線を辿る

だけだろう。

ひとまず此処は退くことにする、

いずれまた会おう!

その時こそ貴方を説得してみせるぞ!」

 

「ピエールっ!」

 

「あぁぁぁ!ピエールに逃げられたぞ!

もがぁ!いいのかリザ!?」

 

「追いかけますか?オリオリ様。」

 

「いいえ、今追わずとも彼が言っていた通り、

いずれまた対峙することになるでしょう。

それより、マタセ城に戻り様子を

伺いましょう、王が居なくなり、

きっと大騒ぎになっているでしょうから。」

 

「はっ!承知致しました。」

 

「もが〜、あの大臣さん、

優しそうだったもんなぁ、言えないよな〜、

マタセ王が宇宙政府の魔物になってしまって

リザ達が退治してしまった事・・・」

 

うぅぅ、仕方のなかった事とはいえ、

残された人々の事を思うと、たしかに気が重い〜。

けど、待っていてもマタセ王は帰ってこない、

王の死はいずれ国中に知れ渡るだろう。

少なくとも大臣さんには伝えるべきね。

アタシ達はモガ丸のルーラでマタセ城に

戻る事にした。

 

「あぁぁ、これはオリオリ殿!

大変です、王が居なくなってしまったのです、

忽然と姿を消してしまいましたぁぁぁ!」

 

「・・・。」

 

「星屑魔法団と面会してからというもの、

どうも様子がおかしかった。

付き人の話によれば、自室に1人で篭り、

時折不気味に笑い声を上げる事もあったとか

なかったとか。」

 

「大臣、王の行方はわかりません。

しかし、きっと戻られるでしょう、

それまで貴方が毅然とした態度で

王不在のこの事態を乗り越えてください!」

 

「は?あ、あぁ!

わかりました、そうですね、こんな時こそ

ワシがしっかりせねば!

オリオリ殿、かたじけない、お気遣い

感謝したしまするっ!」

 

「いえ、お力になれず申し訳ない。

ところで大臣は王と面会したという

星屑魔法団の行方はご存知ないでしょうか?」

 

「彼らなら王との面会の後、すぐに

ヨンツゥオ大陸の南部へと向かいました。

この島からの最寄の集落は・・・

そうじゃ、ランペェ村じゃ。

そこには港もある。

飛行船で向かう事ができますぞ。」

 

「承知しました。

大臣、感謝いたします。

そして国の混乱が拡がらないよう

頑張ってください。」

 

「承知致した、オリオリ殿一行もどうか

ご無事で!」

 

オリオリ・・・本当の真実を・・・

いえ、確かにこの状況で本当の事を

伝えるのは忍びないかしら(_ _;

 

自分の仕えていた主が

宇宙政府に魂を売って化物に

なったなんて、俄には信じがたいでしょう。

 

今は王亡きマタセ国を残った人たちで

盛りたてなくちゃあならないもの。

真実を知れば皆、大混乱に陥り、

国は乱れ、それこそ宇宙政府に

付け込まれてしまうかもしれない。

 

今はただ信じよう、

この優しく忠実な大臣さんが

マタセ国を一つにまとめてくれる事を。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ピエール
白いスライムを駆るスライムナイト。
数々の調略を駆使し各国首脳、さらには
星屑魔法団までも宇宙政府へ恭順させる。
新しい魔星王誕生成功という事柄の
直接の張本人は"秘術"を行使した星屑魔法団だけど、
魔法団を宇宙政府側に協力させたピエールの罪は
この上なく重いとアタシは思う。

Story日誌 第4章<白い騎士>了


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2ndシーズン第5章[腕利きの道具職人]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「ニオイがこの世の地獄??」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



マタセ島のニョレ港町の人々とスライム、

エルフ達は互いを侵略する事なく

共存関係を成立させていたわ。

むしろスライム達はエルフと崇められていた。

人間と魔物が共存できていたの。

 

翻ってマタセ王の件は。

同じ人間同士だというのに・・・

共存できなかった。

マタセ王が個人の欲に走り義勇軍との

協力関係を破棄してしまった。

 

人間とスライムとの共存関係こそ

世界の理想的な姿、かと思えば

人間同士は仲良くできない。

なんとも悲しく、皮肉な話だったわね。

 

仲良くできないと言えば、そう!

白いスライムナイト、ピエール!!

あの男の主義主張は、アタシには絶対に

受け入れられないっ!

 

彼、外面は穏やかだし口調も紳士的だけど

言ってる内容がかなり粗野だってこと

自分で気づいてないわ。

平和、平等のために宇宙政府側に付くって

言うけど、すでに彼の行動が周囲を

不幸にしているのに気づいていない。

 

魔法団の心変わりは少なくとも、

オリオリの心を不幸にしているし、

コッツ達3番隊は、その魔法団の

心変わりを阻止しようと試みた末

上級執行官ドアヌに酷い目に

遭わされている。

マタセ王を籠絡した事も、マタセ国を

混乱に陥れる結果になってしまったし。

 

何よ?彼が言うようにアタシ達が歯向かうから

不幸になるとでも言うのかしら。

無用な争いをやめれば誰も傷つかなかった

とでも言うの!?

冗談じゃない、それじゃ結局、政府の言いなり

って事じゃない。

どこか平和で平等なのよっ!

 

もし、自分のやっている事こそ大義だと

信じ多少の犠牲は仕方ないって考えてるなら

それこそ宇宙政府のやり方と何も変わらない!

 

オリオリは!

目の前に困ってる者がいれば

必ず手を差し伸べるもの。

どれだけ自分に余裕がない状態だったとしても

自分に利益のない事だとしても

決して困ってる者を放置しないわ!

ここまで一緒に旅をして来てからこそ

よくわかるっ!

オリオリとピエールでは、その主義主張に

決定的な差があるわ。

 

アタシはランペェ村へ向かう飛行船の中で

マタセ島で起こった色々な事を振り返り

こんな事を考えていたの。

 

って、アタシがすでにピエールとは

相容れないっていう考えに

凝り固まっちゃってるわね・・・。

こんな事では人同士が分かり合えるなんて

到底無理な話ね。

こういうところに、宇宙政府はつけ込んで

来るんだろう。

 

ダメだダメだっ!

アタシはふるふると首を横に振った。

あの白いスライムナイトと分かり合える日は

来るんだろうか??

その問いに誰も答えてくれない事を

アタシは知っていた。

答えは自分で見つけるしかない。

 

「モガー!

陸が見えてきたぞー!ヨンツゥオ大陸だー。」

 

「ピピ〜!」

 

着いたか。

相変わらず星屑魔法団は行方知れずのまま。

この地方で出会えるといいんだけど。

 

「こんにちわ、ランペェ村へようこそ!

この辺りは宇宙政府のマレドー様が

治めてたんだけど突然いなくなっちゃって。

代わりに新しいジョーキューシッコウカン、

がやって来たの。

ジョーキューシッコウカンっていうのは・・・

うーん・・・とってもエライ人!」

 

「こんにちわ!オイラはモガ丸、

こいつはスラッピ。

お嬢ちゃん、え、エライな、色んな事

知ってるんだな!」

 

「うん!

けど新しいジョーキューシッコウカンは

マレドー様と違ってとっても悪い人なの。

だからお父さんや村の男の人達みぃんな

武器を持って戦ったんだけど、

やられちゃった。

みんな怪我をしてしまって今は寝てるの!」

 

「これ!アンタは余計な事をベラベラと!」

 

「あ、お母さん!ごめんなさい〜!!」

 

マレドー、宇宙政府を裏切り義勇軍に

寝返ったあのマレドー・・・。

アタシは当初、彼は政府のスパイじゃないか

って疑っていたんだけど。

そっか〜、彼はこの地域で善政を敷いて

いたのね、む〜人は、いえ彼は魔物だけど、

見た目で判断しちゃいけないわね、

ごめんなさいマレドー、反省(_ _;

 

「すみません、この子はお喋りが好きなもので。

失礼はありませんでしたか?」

 

「モガ〜、大人の難しい話をよく理解してる

賢い娘さんだぞ!」

 

「たしかにマレドーは我が軍へ帰投する

以前はこの地域を担当していました。」

 

「で?ご婦人。

マレドーの代わりにやって来たという

上級執行官とは?」

 

「新しい上級執行官はチョルルカ様といいます。

あの、すみません、この子が口走って

しまいましたが、チョルルカ様に

逆らった事はどうか内密に!」

 

「そのチョルルカというのは強いのか?」

 

「はい、とても強くて村の男達は

返り討ちにあってしまいました・・・。

チョルルカ様は強いのはもちろんなのですが

もう一つ特徴があって・・・」

 

「もう一つの特徴?」

 

「はい、それは・・・」

 

「それは???」

 

「とってもクサいのですっ!」

 

「く、クサい!!??」

 

「はい、あまりのクサさに戦う前から

戦意を奪われ武器を使う間も無く

やられてしまうのです!」

 

「モガー!!

めちゃくちゃクサいじゃないか!

そんなヤツいるのか!」

 

「そのクサさはこの世の地獄、と

皆申しておりました。

私の主人はゴッシュさえ居ればチョルルカ様

にも勝てたのに!と申しておりました。」

 

「ゴッシュ?何者ですか?」

 

「はい、ゴッシュはこの地方随一の道具屋です。」

 

道具屋??

その道具屋さんがいれば新しい上級執行官に

勝てたって?

どういうことなんだろう?

 

「ご婦人。

そのゴッシュという人物がいれば

チョルルカに勝てたというのは

どういう事でしょうか?」

 

コッツもアタシと同じ疑問を抱いたようね。

 

「はい、ゴッシュは腕利きの道具職人です。

彼にチョルルカ様の臭いを封じる道具を

作ってもらえば勝てる、という見通しかと

思います。」

 

「・・・なるほど!」

 

あぁ、そういう事ね。

けど臭いを封じる便利な道具って何だろう?

 

「ゴッシュは最近、この村の近くの

洞窟に住むようになったと聞きます。

そしてなかなか洞窟から出て来ず村に姿を

見せなくなってしまいました。

それゆえ私たちはその洞窟を『ゴッシュの洞窟』

と呼ぶようになりました。」

 

洞窟から出てこないなんて、ちょっと心配ね。

何かトラブルでもあったのかしら。

 

「リザ殿!」

 

「あ、は、はい!

なぁに?コッツ。」

 

「その洞窟に向かいゴッシュを探しましょう!

彼に協力を仰ぎチョルルカを倒すのです。」

 

そうね、アタシ達義勇軍は困っている人を

見過ごすわけにはいかないもの。

チョルルカとやらがどの程度強いのか

知らないけど、クサいのはヤだもんね。

 

「え!?チョルルカ様を倒す!?

それはとても有り難い話ですが、どうか

旅の人、ご無理はなさらないでくださいね。」

 

またしても魔法団の行方とはかけ離れた

展開だけど。

宇宙政府の圧政に苦しんでる人達は

助けなきゃね!

 

アタシ達はアタシ達の信念のもと、

宇宙政府に対抗してみせるわっ!

ピエール、アナタの主張には死んでも従う事は

出来ないっ!

 

アタシは。

頑として受け入れられないと思いながらも

ピエールの主張が頭から離れなかった。

新しい上級執行官を退治する事は

自分達の主張が正しいと証明するための

行為だと、無意識のうちに思っていたのかも

しれない。

 

アタシ達はゴッシュの洞窟へと歩き始めた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード2.「ニオイ対策の意外な方法」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



星屑魔法団を追うため、

ここヨンツゥオ大陸南部へやってきたアタシ達。

最初に訪れたランペェ村の住人から

新しく赴任した宇宙政府の上級執行官

チョルルカの悪政の話を聞き、

これを倒す事を決めた。

 

けど問題がひとつ。

チョルルカは"異常にクサい"のだそう。

その激臭のためにまともに戦うことが

できない、と。

 

村人は「"道具職人ゴッシュ"の協力が

あればチョルルカに対応できるでしょう」

と教えてくれた。

 

アタシ達はその、ゴッシュという人物が

居るという洞窟へ向かった。

 

「もが、この洞窟にゴッシュが居るんだな、

事情を話してチョルルカを倒す道具を

作ってもらおうぜ!」

 

「ピピッ、ピー!」

 

「そうですね、スラッピさん、

どうやらここに居るのはゴッシュさん

だけではなさそうです。」

 

魔物の気配か。

ひょっとしたらゴッシュが

この洞窟から出てこないのは

魔物のせいで出てこられないのかも。

 

「もが!よぉし、じゃあさっさと

魔物をやっつけてゴッシュを助けようぜ!」

 

洞窟内部には、やっぱり魔物が居た。

アタシ達はそれらを薙ぎ払い、

洞窟の奥へと進んだ。

ゴッシュの無事を祈りながら。

 

洞窟の最深部までたどり着くと

頑強そうな1人の男が居た。

男はアタシ達の存在に気づき

少し驚いたような様子で話しかけてきたわ。

 

「誰だ!?お前たち、ここまで

たどり着いたってことは・・・。

魔物を倒したのか?」

 

「我々は宇宙政府に抵抗する集団、

義勇軍です!

アナタは・・・腕利き道具職人と

呼ばれるゴッシュ殿ですか?」

 

「・・・・そうだが・・・・

お前ら義勇軍なのか?」

 

よかった、この男性が道具職人ゴッシュ。

無事でよかったわ。

書の中からオリオリが現れて名乗った。

 

「はじめまして、私は義勇軍の総司令官

オリオリと申します。」

 

「わっ!ほ、本の中から人が!?

これは、どういう仕掛けなんだ?

どんな道具を使っているんだ!???」

 

「これは仕掛けではありません、

道具でもありません、

星屑魔法団の秘術により

本の中に封じ込められているのです。」

 

「そ、そうか・・・・

宇宙王の末裔が本の中から

レジスタンス集団を指揮してるって

話は本当だったんだな。」

 

このゴッシュという男は。

根っからの職人なのね。

宇宙王の書を見て真っ先に

何か仕掛けがあるだなんて

発想の持ち主は今まで

出会ったことないかも(゜o゜)

 

「で?その義勇軍がオレに何の用だ?」

 

「我々はこの地方を悪政で苦しめている

宇宙政府の上級執行官チョルルカ打倒を

目指しています。

ぜひゴッシュ殿のご協力を仰ぎたい。」

 

「はぁ?オレは道具職人だぜ?

魔物と戦う力は持ち合わせてはいない。

倒したきゃ勝手に倒しゃいいだろ!?」

 

む、何よコイツ、この地方の人々が

苦しんでるのに全く関心がないの?!

自分は洞窟に籠もってるから

政府とは無関係だとでもいいたげね!

 

「そうしたいのはヤマヤマなのですが。

チョルルカという魔物はとてつもなく

臭いという話です。

その激臭ともいえるニオイのせいで

まともに戦えないとか。

ランペェ村の住人の話では

『ゴッシュに頼めばニオイを

どうにかしてくれる道具を

作ってくれるんじゃないか』という事です。

それゆえこの洞窟へやって来た次第です。」

 

ゴッシュの無粋な物言いをさらりと流し、

コッツがこちらの用件を伝える。

するとゴッシュの態度が変わった。

 

「ほぉぉ!そういうことか!

・・・・面白い!

わかったランペェ村へ向かうぜ、

話はそこで聞こう。」

 

ゴッシュは、コッツの話を聞き、

道具職人としてのゴッシュに依頼がある、

と理解してくれたんだろう、

途端に協力的になってくれた。

 

そうか、戦うために自分に依頼が来た

と勘違いさせちゃったのね。

大丈夫、戦うのはアタシ達だから。

 

ゴッシュはさっそく身支度を始め、

アタシ達と一緒にランペェ村へ向かった。

 

村に着くなりゴッシュはチョルルカと

戦った村の男性たちに話を聞くべく、

各家々を回った。

アタシ達は広場でゴッシュが

戻ってくるのを待った。

 

「もが、ニオイが気にならなくなる道具って、

そんなの作れるのかな~?」

 

「わかりません、けどゴッシュ殿は

何か閃いたような、自身に満ちた

表情をされていたように私は思いました。」

 

「たしかにな、チョルルカの話を聞いた途端、

村へ向かうって言い出したもんな。

その、ニオイが気にならない道具のビジョンが

見えてるのかもしれないな。」

 

しばらくするとゴッシュが広場に戻ってきた。

 

「おー、お前ら。

チョルルカと戦った連中から話は聞けたぜ。

確かに!

チョルルカを倒すにはヤツのニオイを

断つ必要があるみてぇだな。」

 

「ゴッシュ殿、それを可能にする

道具なんてあるんでしょうか?」

 

「まぁな、オレの中ではもう、その道具の

完成図が出来上がってるぜ!」

 

「おぉぉぉ!さすが腕利き職人!

ぜひそれを作っていただきたい!

お願いします!」

 

「だはははは!

そう言ってくれるのを待っていたぜ、

オレはこういう、バカバカしい頼みが

大好きなんだ。

この星一番のせんたくバサミを

作ってみせるぜ!」

 

え?せ、せんたくバサミ??

 

「あぁ、それで己の鼻をつまむんだ、

そうすればニオイを気にせず

戦えるだろう?」

 

えー!

そんな単純な手段!?

腕利きの職人っていうから

どんな凄い道具を作るのか

興味津々だったのに!

 

「お?そこのお嬢ちゃん、

今すっごく呆れた顔したな?」

 

ギク(゜o゜)

ヤバイ、アタシ顔に出ちゃった(-_-;)

 

「バカバカしいって思ったな?

さては。

確かにそこいらに転がってる

せんたくバサミだってんなら

わざわざオレに依頼をしなくても

いいだろうよ。

けどこの星一番のせんたくバサミだぜ?

そしてこのオレが作ってみせるんだ、

きっとチョルルカとやらのクサイ臭いも

遮断してみせるさ!」

 

う、どうやら冗談じゃないらしい・・・。

大真面目にせんたくバサミで

チョルルカに対抗しようと。

 

「確かに発想は単純だが、

単純だからこそ効き目があるんだ。

バカバカしいけどオレは本気で仕事するぜ!」

 

ちょっと変わってるけど、

彼が本気だっていうのは伝わったわ。

 

「で、そのせんたくバサミだが、

まず材料が必要だ、なんたって

この星一番のせんたくバサミだからな。

ただ、この村には、その材料がない。

お前ら、せんたくバサミの材料を

集めてきてくれねえか?」

 

ふむ、話が具体的になってきた!

 

「必要な材料を言うぞ?

まずは軽くて硬い特別なハリガネ、

次にそのハリガネを曲げて加工するための

特別なトンカチ、最後に鼻をつまんだ時に

痛くならないようクッション代わりとなる

特別なワタ。

ハリガネ トンカチ ワタ、この3つが

必要だ。」

 

特別なハリガネに特別なトンカチ、ワタ・・・。

どこにでもありそうな材料だけど

全部特別なヤツ・・・?

そんなのどこにあるんだろう。

 

「トンカチはここの隣町のクラビィンにある。

クラビィンでトンカチを持ってるのは

オレの兄貴だ。

兄貴からトンカチを借りてきてくれ!」

 

やっぱり、なんだかスッキリしないけど、

ここはゴッシュを信じて"この星一番の

強力なせんたくバサミ"を完成させるしか

ないみたいね。

 

よし!

まずはクラビィンの町ね。

さっそく向かおう!

 

アタシ達は支度を整え

クラビィンの町へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・道具職人ゴッシュ
ヨンツゥオ大陸南部地方で名を轟かせる
腕利きの道具職人。
バカバカしい依頼ほど大真面目に引き受けてくれる
ちょっと変わった職人。



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エピソード3.「材料を求めて」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



クラヴィンの町に着き道具職人ゴッシュの

お兄さんの所在を確認した。

彼の名はヨンシュ。

兄弟揃って腕利きの道具職人だと

町の入口近くで住人が教えてくれた。

 

その住人が教えてくれたヨンシュの住所を

目指し町を歩く。

お兄さんのヨンシュは店を構えているみたいね。

言われた通り歩いた先に、それらしき

道具屋の看板が見えてきた。

店のドアを叩く。

 

「ごめんください、ここは道具職人ゴッシュ殿の

お兄さんのお店ですか?」

 

「いらっしゃい。

いかにもゴッシュはオレの弟だが。

アンタら弟の知り合いかい?」

 

「はい、実はゴッシュ殿から依頼を受けて・・・」

 

コッツは手短に用件をヨンシュに伝えた。

アタシ達がチョルルカを倒そうとしていること、

そのためにゴッシュにせんたくバサミを

作ってもらうこと、

せんたくバサミの材料のこと。

 

「弟がこの星一番のせんたくバサミを作る?

ソイツを使ってアンタらが宇宙政府の

役人をやっつける?

ガーハハハハッ!面白い!こいつぁ傑作だ。

そのくだらない発想が実に、な。

よし!オレのトンカチを貸せばいいんだな?

待ってな。」

 

やっぱり兄弟なのね!

2人して本気でバカバカしい事を

面白がるなんて。

悪く言えば酔狂、良く言えば何事も

真剣に取り組む、ってとこかしら。

 

ヨンシュは店の奥から大事そうに

包を持ってきた。

布を取ると丁寧に手入れをしているであろう

キレイなトンカチだった。

 

「コイツはオレが特別な仕事をする時だけに

使うまさに特別なトンカチだ。

普通なら弟にだって触らせないんだぜ?

ヤツも同じ職人だからな、お互い道具への

愛情は大きいからな。

それを貸せっていうんだから

ゴッシュも相当この仕事に真剣に

取り組んでるんだろうぜ。」

 

そうか、職人さんにとって

仕事に使う道具はとっても大事なもの

だもんね。

アタシ達が装備に愛情を注ぐように。

これはなかなかに大変なものを

預かることになっちゃったわね。

 

「ヨンシュ殿、確かに!

アナタの魂ともいえるトンカチを

お預かりします。

必ずゴッシュ殿に届けます。」

 

「あぁ、よろしく頼むぜ。

で、他に必要なものは

『軽くて硬いハリガネ』と

『クッション代わりのワタ』だったな?

2つともありかは知ってるぜ。

まずハリガネはこの町の西にある

ハリィの塔の最上階にあるぜ。

大昔に、どこの誰がどういう理由でだか

知らないが特別なハリガネを

大量に置いていったって話だ。

そのハリガネがきっとそうだろうよ。」

 

「ハリィの塔ですね、わかりました。

リザ殿、オリオリ様、さっそく向かいましょう。」

 

「急いだほうがいい。特別なハリガネだからな、

誰かれ構わず勝手に持っていっちまうんだ、

残り僅かしか残ってないと思うぜ。」

 

「もがー!

よし、急がなきゃいけないみたいだな、

でワタのほうは何処にあるんだ?」

 

「ワタはこの町の北西にあるモウィ遺跡に

生えてるぜ。

ただ、この遺跡は宇宙政府の警備が

厳しいって話だ。

政府にとって知られたくない秘密でも

隠されてるのかもよ。

ま、今はただ単にワタが欲しいだけだからな、

余計なことはせずにワタだけ

取ってくればいいだろうよ。」

 

宇宙政府にとって知られたくない、

都合の悪いこと?一体なんだろう。

ちょっと引っかかるわね。

けど、そうね、ヨンシュの言う通り

今はせんたくバサミのほうが優先だもの。

ワタの採取だけに集中したほうが

良さそうね。

 

「よし、目的地は決まったな、

特にハリガネのほうは急いだほうが

良さそうだぞ。

そしてワタのほうは警戒を怠らずに

遺跡を探索したほうがいいみたいだな。

いくぞーリザ達!」

 

アタシ達はまずハリガネを求めて

ハリィの塔へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ヨンシュ
ヨンツゥオ大陸南部地方で名を轟かせる
腕利きの道具職人ゴッシュの兄。
弟のゴッシュと同じくバカバカしくて真剣な
出来事が好きな性格。
ゴッシュが作るせんたくばさみに必要な
3つの材料の1つ「特別なトンカチ」の持ち主。
残り2つのありかも教えてくれる。


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エピソード4.「モウィ遺跡の罠」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



道具職人ゴッシュに作ってもらう

この星一番の超強力せんたくバサミ。

それの3つの材料を集める為、

まずゴッシュのお兄さんヨンシュに会った。

 

彼はせんたくバサミを作る為の

トンカチを快く貸してくれた。

そして残り2つの材料のありかも

教えてくれた。

 

材料の1つ「軽くて硬いハリガネ」を

求めハリィの塔にアタシ達は

やって来た。

 

塔に巣食う魔物たちを蹴散らしながら

最上階までたどり着くと

確かにそれらしきハリガネが

無造作に置かれていたわ。

 

「もがー!あったぞー!

これがきっとゴッシュが言ってた

ハリガネに違いない。

そしてヨンシュが言ってたように

あとちょっとしか残ってないぞ!」

 

よかった、まだ残ってたみたいね。

 

「よし、じゃあオイラ達もちょっくら

拝借しよう。」

 

うぅぅ、なんかその他大勢の

ネコババする人達と同じに

なっちゃうみたいで心苦しいんだけど

理由が理由だけに、ね。

ごめんなさい、大昔の人、

ちょっとだけ貰っていきます。

 

「次はモウィ遺跡だな、どうする?

いったんクラビィンの町へ戻るか?」

 

「いえ、ワタの入手場所もわかってる

ことですし、このままモウィ遺跡へ

向かおうと思いますが、

リザさん達はどうでしょう?

戦いの疲れはありませんか?

次の目的地は政府の警備が厳しい

ということですし。」

 

大丈夫よ、オリオリ。

アタシもできるだけ早く材料を

集めたほうがいいと思うもの。

幸いここの魔物たちも大したこと

なかったからね。

 

「わかりました、ありがとうございます!

ではこのままモウィ遺跡へ向かいましょう。」

 

「もがー!了解だぞぉ!」

 

「ハッ!承知しました!」

 

アタシ達はモガ丸のルーラで

いったんクラビィンの町に戻り、そこから

モウィ遺跡を目指した。

そのほうが早いからね。

 

町から北西に向かうと岩山に囲まれた

深い場所に古びた神殿が

そびえ立っていた。

 

「もが~、なんか、打ち捨てられた神殿

ってカンジだな。」

 

「はい、そしてヨンシュが言う通り

宇宙政府の警備も厳しいようですね。

リザさん達、十分警戒していきましょう。」

 

「私もいつでも加勢します、リザ殿!」

 

確かにハリィの塔のようには

いかないかもね。

そして魔物だけでなく、どんな罠が

仕掛けられてるかわからない。

 

アタシ達は魔物退治を担当するから

コッツはオリオリやモガ丸の警護に

専念してほしいかな。

 

「承知しました、私はオリオリ様と

モガ丸殿達を守ります。

ボロンがいない今、私が代わりに

オリオリ様をお守りせねば!」

 

そうね、そういえばボロン、どうしてるかしら。

黄金色のスライム・・・エルフ達を

無事故郷に連れていき

元気を取り戻させているかしら。

 

アタシは、別行動を取ったオリオリの

幼馴染の名前を聞き、ふと彼に思いを馳せた。

大丈夫、ボロンは強いもの、きっと役目を

果たしているはず。

アタシは目の前の事に集中しよう!

 

装備のチェックを入念にし、

アタシ達は遺跡の中へと足を踏み入れた。

内部には。

特にこれまでと大差ない魔物たちしか

居なかった。

拍子抜けしそうになったけどそこはこらえて

アタシ達は警戒を解かずに

慎重に奥へと進んだ。

 

しかしその後も特に強い魔物は現れずに

遺跡の最深部へと到達できた。

そのフロアの、そこかしこに白い植物が

生えていたわ。

 

「もがー!この白いのがゴッシュの

言ってた特別なワタだな。

たくさん生えてるぞー!」

 

「これでせんたくバサミの材料が

全て揃いましたね!」

 

「よぉし、じゃあさっそく摘んで

ランペェ村まで戻ろうぜ!

ん??」

 

モガ丸がフロアの隅の方に

何かあるのを見つけた。

アタシ達もモガ丸の視線の先に

それを見つけた。

 

「もが、なんだ?木の箱か?

しかも割とデカイぞ。」

 

それは普通の倍ぐらいはある大きな

木の箱だった。

アタシは少し嫌な予感がした。

宇宙政府の警備が厳しいと言いながら

ここまで特にそう感じる出来事や

魔物は居なかった。

 

ひょっとしてこれは罠かもしれない。

少し邪気を感じる。

木の箱・・・これって明らかに・・・。

 

「もが~、ひょっとして宝箱かもな、

しかもこんなデッカイ宝箱だなんて、

お宝がザクザクかもな~。」

 

な!モガ丸!!

ちょっと!開けちゃダメよ、

明らかに怪しいよ!

 

「ピ!ピピ~!

ピピピ~~~!!」

 

「なんだよスラッピ、そんなに狼狽えて。

きっと宇宙政府の秘密って

このお宝なんだよ、みんなで分けようぜ。」

 

ガチャリ。

 

アタシが制止するよりも先に、

スラッピが止めるのも聞かずに

モガ丸がその木の箱を開けちゃった・・・!

 

「もが~、お宝おたか・・・・・

ひぇ~~~!!!

なんだこの箱、目、目があるぞー!」

 

モガ丸~~~~

明らかおかしいでしょう!

全くもう!!

 

案の定、木の箱は人食い箱の類だった。

しかも邪悪な羽まで生やしてて

その姿は通常の人食い箱より

さらに凶悪そうだった。

 

「ひぇぇぇ!!

宇宙政府の厳重な警備って

コイツのことかーーー!」

 

「モガ丸!スラッピ!!

下がって、コッツは宇宙王の書を

守って!」

 

「わかりましたっ!リザ殿!!」

 

「ひぇぇぇ、ごめんよぉリザ~~!

あとは任せた~~~!」

 

モガ丸達の安全を確認し

アタシ達姉弟は戦闘態勢に入るっ!

まず弟のジョギーが剣で斬りかかる。

 

ガキィーーーン!

 

金属と木がぶつかり合う

鈍い音がフロアに響き渡る!

 

「クッソォ!かってーな!

手がしびれそうだ!」

 

弟は不平を言いながらも

次々に剣撃を繰り出し魔物を

攻撃していく。

明らかにダメージは与えているはず。

木の破片がそこかしこに飛び散り、

箱の形はどんどん崩れていくもの。

 

ただ相手は悪の魂を吹き込まれた

木の箱。

意志はあるのか、痛みはあるのか

見当もつかない、苦悶の表情も見えず

叫び声も聞こえない。

 

ただただ、無機質な斬撃の音だけが

フロアに響き渡る。

アタシは呪文攻撃で弟を援護した。

 

「メラガイアー!!」

 

特大の火の玉が人食い箱に直撃し

燃え盛る炎で包み込むっ!

もとは木の箱だからね、

きっと燃えやすいはず。

 

人食い箱はまもなく、その生命力を失い

ただの木の燃えカスに戻るだろう。

 

そう思った瞬間、炎の中から

箱は猛スピードで飛び出した!

 

クっ!まだ生きてるか!

と、ほとんど炭と化した人食い箱が

何やら呪文を唱えるのを

アタシは見逃さなかった!!

 

「マズイ!何か呪文を唱えてる!

気をつけて2人とも!」

 

アタシは弟たちに警戒するよう

指示を飛ばした。

緑色に光ってる、何か補助呪文か!?

 

「ラリホーマ!!」

 

な!?ラリホーマですって?

人食い箱は強力な催眠呪文を

唱えてきた。

 

マズイ!アタシ達は眠りの耐性を

準備してきていないわ。

アタシ達の周囲を催眠ガスが

取り巻いた。

意識が朦朧とする。

 

なんとか意識を確保し、催眠ガスが

消えるまで耐えきったアタシは

ラリホーマの効力に打ち勝った。

まだ意識が朦朧とするけれど。

 

混濁する意識の中、他の2人に

視線をやると。

レイファンもアタシと同じように

耐えきった様子。

しかしジョギーがっ!!

その場にうつ伏せで倒れてるっ!!

 

硬い相手にひたすら剣撃を

繰り出していた分、消耗してたから

催眠効果が効きやすかったのかも

しれない。

 

「えーと、えーと、えーっとぉ!!

目覚めの花、目覚めの花、花ぁ!」

 

アタシは道具袋をかき漁った!

眠り状態を解除する道具を

取り出すために。

 

「リザ姉ちゃん!!

アイツ、まだ攻撃してくるよ!!

キターーー!!!」

 

アタシが道具袋を漁っているスキに

人食い箱は最後の攻撃を

繰り出そうとしていた。

 

「ガブッ!ガブッ!!ガブブッッ!!!」

 

「キャー!・・・・え?全然痛くない!?」

 

人食い箱はアタシ達に噛み付いてきたけど、

全く痛みはない?

やっぱり死にかけだから??

 

「ぐぅぅわァァァァ!!!」

 

え?ジョギー!!??

眠らされていたジョギーが!

激しく痛がっている!?

 

!!!

そうか!眠り食らい!!!

 

状態異常の相手に対して

大ダメージを与える、って技が

あったわ!

 

起きてるアタシ達はなんともないのに、

眠っていたジョギーだけが

あんなに痛がってるっ!

 

幸いジョギーは一命は取り留めている様子、

すかさずレイファンが回復呪文を唱える。

 

「ベホイム!!」

 

緑色の光がジョギーの体を包み、

彼の表情もみるみる生気を取り戻してゆく。

よかった、間に合ったみたいね。

 

くぅ!かなり恐ろしい魔物だわ!

あやうく弟を殺されるところだったわ。

うかうかしてると、またラリホーマを

唱えてくるかもしれない。

 

アタシは完全なるトドメを刺すため、

呪文を2つ同時に詠唱した。

連続呪文。

間違いなくトドメを刺す!!

 

「メラガイアー!メラガイアー!!」

 

大火球が2つ、人食い箱めがけて

飛んでいく。

魔物は今度こそ粉々になり、

その残骸をメラガイアー2つ分の

炎が燃やし尽くす。

 

ふぅぅ、危なかった~、なんとか

勝てた~~~・・・・!

 

「うぅぅぅ、もが~~~

ごめんよぉ、リザ達・・・。

オイラが不用意な事やってしまったから。

ジョギーもホントにごめん!

瀕死の重傷を負わせてしまった・・・。」

 

もぉ、ホンっトに!

モガ丸!ダメじゃないっ、

あれだけ警戒を強めなきゃ

って言ってたのに!

って叱りたいとこだけど、

アタシ達も戦闘中、気を抜いたつもりは

ないけど、全力を出したかって

言われたらそうじゃないかも。

たかが人食い箱、と軽く見てしまったかも

しれない。

 

「いえ、モガ丸さん、ハリィの塔攻略後に

引き続きこの遺跡の探索を命じたのは

私です。

この遺跡の攻略が難しいと知りながら・・・。

ジョギーさんが危機に陥ったのは

休息が不足だったからかもしれません。

いったん町へ戻り休息を取るべきでした。

私の指示ミスです、謝るべきは

指揮を取る私でした、冒険王のみなさん

ホンっトに申し訳ない、ごめんなさい!」

 

オリオリは深々と頭を下げて全員に

向けて謝罪した。

 

いやいやいや!

連続のクエストを承諾したのは

アタシ自身!

それを言うなら判断ミスを犯したのは

アタシだ、オリオリが謝ることじゃないわ!

お願いオリオリ!頭を上げて!!

リーダーに謝罪をさせるなんて、

あぁアタシもう!どうしていいかわかんないよぉ!

 

「いえ、リザさん、それを踏まえても、

決定したのは私です。

リーダーが!率いる集団を危険に

晒すなど決してあってはなりません、

リザさん達に甘えて判断は誤っていては

リーダー失格なのです!」

 

いや~でもぉ、リーダーだって人間だもの、

いつもいつも完璧な判断を下せるとは

限らないし。

それにオリオリは目標達成を迅速に

したかったからこその、あの判断だったわけで。

それはアタシも同じ考えだった。

 

だから連続クエストはアタシ自身の

考えでもあった。

そう、これは戦闘を甘くみたアタシ達

自身が招いた出来事だよ。

そうよ、お互い良かれと思ってやった事が

たまたま悪い方に向かっただけ。

 

「リザさん、冒険王!ありがとう。

頼りないリーダーだけど、

引き続き義勇軍のために協力を

お願いします。」

 

うん、そんなに畏まらなくたって、

アタシはもう既にれっきとした義勇軍の

メンバーだって思ってるよ。

 

アタシ達は、クエスト中はいついかなる時も

油断してはいけないね、って確認し合って

その場を収めた。

 

「もが~、みんなホントにごめんよぉ、

今度からは勝手な行動は慎むようにする!」

 

そうよ!もとはと言えばモガ丸が

軽率なことするから!

・・・けどモガ丸もホントに反省してるみたい、

特に、ジョギーが危ない目に遭ったのが

相当こたえてるみたいね。

まぁ、今後は大丈夫でしょう。

 

「リザ殿、みなさん、ご無事で何よりです。

このような危険なトラップを仕掛けるなんて、

やっぱりこの遺跡には宇宙政府の秘密が

隠されてるのかもしれませんね。

しかし我々は今は打倒チョルルカを目指しています。

せんたくバサミの材料も揃ったことだし、

ひとまずクラビィンの町に戻りましょう。」

 

そうね、コッツの言う通り。

宇宙政府の秘密が気になるところだけど、

まずは目の前の目標、打倒チョルルカね。

 

アタシ達はモウィ遺跡をあとにし、

クラビィンの町へ戻ることにした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード5.「会心の職人ゴッシュ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「おー!義勇軍のメンバー達!

無事だったか、よかった。」

 

腕利き道具職人兄弟の兄ヨンシュに

お礼を言うためクラビィンの町に

戻ったアタシ達。

アナタの提供してくれた情報のおかげで

せんたくバサミの材料は揃ったわ、

ありがとう。

 

「いやしかし、場所を教えたはいいものの

魔物がうろついてるなか、よく無事だったな、

義勇軍っていうだけあって

なかなかつえーんだな、アンタたち。

ハリガネもまだ残ってたみたいで

よかったよかった。」

 

うん、まぁ、ちょっと色々合って

けっこう危なかったけどね

 

「よし、じゃあ弟のもとへ向かいな、

オレもな、弟の久しぶりの本気の、

バカバカしい仕事を楽しみに

してるんだ。

オレのトンカチ、大切に渡してくれよ。

道具の完成がうまくいって、

そしてチョルルカに勝てるといいな、

オレもアンタらの成功を祈ってるよ。」

 

ありがとう、ヨンシュ。

うん、なんか、応援してくれてる

っていうのがジンワリくる~~~。

なんかこのカンジ、久しぶりな気がする。

 

「よし、ではリザさん達、コッツ、

ランペェ村へ戻りましょう。

ありがとうございました、ヨンシュさん。」

 

アタシ達はヨンシュに別れを告げ、

ランペェ村へ向かった。

 

「お、おぉ!お~~~!

お前ら、無事せんたくバサミの材料を

揃えてきたみてぇだな!

・・・そうか、兄貴にありかを聞いたんだな、

そして兄貴のトンカチも!

コイツは兄貴の大事な仕事道具だからな、

オレも心して使わせてもらう、

よし!さっそくオレは作業に入るぜ、

職人ゴッシュ、魂を込めて

この星一番のせんたくバサミを

作らせてもらう!」

 

ランペェ村に戻るとゴッシュが

出迎えてくれた。

確かにお兄さんのトンカチと、

そして2つの材料を手渡したわよ、

頼んだわね、腕利き職人ゴッシュ!

 

「にしてもお前ら、結構疲れてるだろ、

こんなに早く材料を集めるには

相当早足だったんじゃねえか?

無理が祟らねぇうちに休息を取りな、

オレの作業は一日仕事になりそうだ、

明日には完成するだろうから、

今日は宿でも取ってゆっくり休みな。」

 

うぅ、ありがとうゴッシュ。

アナタ達兄弟はなんて優しいの。

ここんとこ、人の裏切りとか

心離ればかりを目にしてきたせいか

人の気遣いがいつも以上に

心に沁みる。

 

「そうですね、リザさん達は戦いの

連続でしたし、特にジョギーさんは

今は回復しているとはいえ

ゆっくりお休みになったほうが

いいでしょう。

ゴッシュさん、では作業は

おまかせします。

明朝また参ります。よろしくお願いします。」

 

オリオリがゴッシュに挨拶をし、

アタシ達は村にある小さな宿屋に

泊まることにした。

 

ゴッシュがせんたくバサミを完成させたら

いよいよチョルルカのもとへ向かう。

今はゆっくり休もう。

やっぱり、人食い箱との戦闘で

疲れが蓄積していたのか、

宿屋のベッドに入るとあっという間に

睡魔がやってきてアタシは

深い眠りに落ちた。

 

「よぉ義勇軍の連中、昨夜はよく眠れたか?」

 

次の日の朝アタシ達はゴッシュの作業場へ

朝一番でやって来ていた。

よく眠れたんだろう、疲れはすっかり取れていた。

 

「えぇ、宿の方たちのもてなしも篤く

ゆっくりと休養を取ることができました。

といっても私はこのように本の中ですが・・・。

他の者は十分休息を取ることが

できたようです。」

 

「そうかい、そりゃよかった。

で!できてるぜ、この星一番のせんたくバサミ!

職人ゴッシュ会心の出来栄えだ!

コイツで鼻をつまめばきっとチョルルカの

ニオイを断つことができるだろうぜ!」

 

ゴッシュの手にはアタシ達の人数分の

せんたくバサミが乗っていた。

挟む部分にクッション代わりのワタが

取り付けられてはいたけど

一見して普通のせんたくバサミだった。

 

「もが~!

これがこの星一番の超強力せんたくバサミ・・・

って見た目は割と普通のせんたくバサミだな。」

 

「ガッハッハ、見た目は普通だがな、

なんせハリィの塔のハリガネが材料だろ?

超強力な力で挟んだものを離さないんだ。

そして特別なワタをクッションにしてるからな、

その、超強力な挟む圧力を吸収するんだ、

鼻に痛みを感じることは皆無だぜ。」

 

「ほ、ほんとか~?

じゃあ、ちょっくらオイラが試着してみるよ。」

 

モガ丸はゴッシュからせんたくバサミを

受け取り自分の鼻に装着しようとした。

 

「む、か、かって~ぞ!

さすがにこの星一番っていうだけあるな!」

 

「ははは、だろう?

あえてコイツの難点を挙げるとすりゃあ

挟む時に硬すぎて開くのに苦労する、

ってことだな。素手じゃあ難しいかもな、

ほれ、こうやってペンチで開けばいい。」

 

ゴッシュが道具箱からペンチを取り出し

それを使ってようやくせんたくバサミは

開いた。

 

「モガガガ!

ペンチを使ってまでしてようやく

開くようなせんたくバサミ・・・

めちゃくちゃ痛そうだぞ!

オイラこえーよ・・・」

 

そのままゴッシュがモガ丸の

鼻にせんたくバサミを装着した。

 

「い"・・・・だぐな"い"!?

も"がー!

お"ー、全然い"だぐな"い"ゾー!!」

 

モガ丸・・・・めっちゃ鼻声

ちょっとおかしい(^_^;

 

「リ"ザ~~~!

こ"れ"な"ら"ぎっどヂョル"ル"ガの"

ニ"オ"イ"も防げる"ぞ!」

 

「さすが腕利き職人!

ありがたくこれを使わせてもらって

きっとチョルルカを倒してみせます!」

 

「あぁ!

お前たちならきっと上手くいくと

信じてるぜ!」

 

うん、きっと倒してみせる!

道具職人ゴッシュ、アナタはホンモノの

職人さんだわ。

アタシ達もアナタの仕事ぶりに

応えなくちゃね!

 

「この地方の町、村のみんなは

宇宙政府の悪政に苦しんでる、

ここいらの連中、みんな義勇軍を

応援してるぜ!頑張れよ!」

 

「・・・・嬉しいことですね。

白いスライムナイト、ピエールによって

心変わりした者たちもいれば

こうして義勇軍を支持してくれ者たちもいる。

彼らのためにも打倒宇宙政府は

絶対に達成しなければ・・・!

さぁ、リザさん達、先を急ぎましょう!」

 

そうね、オリオリ。

ピエールの主義主張は宇宙政府に対して

そこまで反感を持っていない、

いわば中立勢にとっては聞こえのいいもの

かもしれない。

だから宇宙政府を支持してしまうのかも。

 

けど、いくら建前を言ったところで

宇宙政府が星々の民を苦しめているのは

まぎれもない事実。

苦しめられながらも政府への恐怖心から

平然を装う人達もいた。

 

彼らに本当の平和と幸せを届けるためにも

アタシ達は信念を曲げるわけにはいかない。

こうやって応援してくれる人達がいるのも

確かだしね!

 

「チョルルカの居城へ向かうには

ここからまっすぐ西にあるブゥヘェ村に

行くといい。

詳しい場所はオレ達も知らないが

そこでなら情報を得られるはずさ。

じゃあ、達者でな、義勇軍のみんな!」

 

ありがとうゴッシュ!

アタシ達は支度を整えランペェ村を出発し

西へ向かった。




Story日誌 第5話<腕利きの道具職人>了

★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・道具職人ゴッシュ
ヨンツゥオ大陸南部地方で名を轟かせる
腕利きの道具職人。
バカバカしい依頼ほど大真面目に引き受けてくれる
ちょっと変わった職人。



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2ndシーズン第6章[魔法団の行方]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「宇宙船基地は何処に」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



ヨンツゥオ大陸南部地方。

かつてこの地方では宇宙政府の

上級執行官マレドーが統治をしていた。

 

そう、あのマレドー。

宇宙政府の役人でありながら

アタシ達義勇軍へと寝返った男。

政府の推進する恐怖政治に

異を唱えた男。

 

政府に属する者全てが全て、

恐怖で宇宙を支配しようとは

思っていない、という事を

アタシ達はマレドーの行動で

知ることになった。

 

それが証拠にマレドーは

この地で善政を敷き民衆からも

慕われていたフシがある。

 

けど義勇軍に寝返り、当然ながら

任地の統治も放棄することになり

マレドーの代わりとして新たな

執行官がこの地を治めることになった。

 

これがチョルルカ。

アタシ達が今、打倒を目指している魔物。

チョルルカというのはまさしく従来の

政府の上級執行官らしく悪政を敷く男だった。

ランペェ村の男性達はチョルルカに

反旗を翻し果敢にも戦ったが

あえなく返り討ちにあったという。

 

チョルルカと戦ったという村の男性達は

一様に「チョルルカは異常にクサイ!

それがネックでまともに戦えない、

道具職人ゴッシュの協力さえあれば・・・!」

と悔しげに語ったという。

 

かくしてアタシ達はその、職人ゴッシュに

チョルルカのニオイ対策用の道具

「この星一番のせんたくバサミ」を

作ってもらえた。

これを携えチョルルカの居城を目指す!

 

「ようこそブゥフェの町へ。」

人の良さそうなおばあさんが出迎えてくれた。

 

「こんにちわ。

おばあさん、いきなりですまない、

チョルルカという上級執行官の

居場所を知らないかい?

この町に来ればわかるだろうって

聞いてやってきたんだよオイラ達。」

 

モガ丸が単刀直入に切り出す。

 

「チョルルカ様の居場所・・・。

それならこの町を越えてはるか彼方に

チョルルカ様のお城があるよ。

だけどチョルルカ様と会ってどうすんだい?」

 

「オイラ達はこの地方で悪さをする

チョルルカを倒そうとする者たちなんだ。」

 

「な、なんと!

バカな事を言わないの!

そんな事をしたら反逆者として

牢屋に入れられて死ぬまで

宇宙政府の奴隷だよ?」

 

「フッフ~ン、普通ならそうなるけどな、

オイラ達は打倒チョルルカの秘策が

あるんだ、それにここにいる

女の子たちはめっちゃ強いんだ!

だから捕まって奴隷になんか

ならないぞ!」

 

「・・・・命知らずな・・・。

そういえば・・・そう、星屑ナントカ団の

人達みたいだねぇ。」

 

え!?星屑魔法団!?

 

「おばあさん、星屑サーカス団を

ご存知なんですか?」

 

コッツが魔法団の偽名を出して

このおばあさんに質問した。

 

「ああ、チョルルカ様と会う方法を

あたしに聞いてきたよ。

だからチョルルカ様のお城を教えといて

あげたよ、そう今まさにアンタ達に

伝えたようにね。」

 

「星屑サーカス団はチョルルカの城に

向かったのですね?」

 

「いや、それが・・・・。

チョルルカ様のほうがわざわざ

この町まで来たのさ。

その、星屑サーカス団に会うためにね。

どんな話をしたのかは全くわからないけどね。」

 

この地方に来てからの話では初めて

魔法団の足取りを聞くことができた。

彼らもまたチョルルカと面会したという。

 

「あ、そうそう白いスライムナイトが

両者を引き合わせていたねぇ。」

 

「モガー!

それってあのピエールの事だよな!?」

 

!!!

魔法団のみならずあのピエールも

この町にやってきていたとは!

これは!

単に困っている民衆を助けたい一心で

チョルルカを目指しているアタシ達だけど

魔法団とピエールも絡んできて

一気に話が前進してきた気配だわ。

 

「おばあさん、サーカス団もチョルルカも

今はこの町にいないようですが

彼らはその後何処へ向かったのでしょう?」

 

「ウワサじゃ宇宙船の基地とやらに

向かったって話だよ。」

 

「宇宙船!?

この星から飛び立つつもりなのか!?」

 

なんですって!?

まずいわね、この星からいなくなっちゃったら

魔法団に会うのは極めて困難になってしまうわ。

アタシ達も急いでその、基地とやらに

向かわなければ。

 

「宇宙船基地の場所だって?

宇宙政府の施設だからね~・・・・。

あたしゃ何も知らないよ・・・。

でも怪しいなという場所をいくつか

知っている。

きっとそのうちのどれかが宇宙船の基地だよ。」

 

「もがー!

おばあさん、その場所全部教えてくれ!」

 

「そうですね、魔法団がこの星から

いなくなる前に接触しなくてはなりません、

基地だと思われる施設を

片っ端から当たりましょう!」

 

うん、今度は本当に時間がない、

休息がどうのとか言ってられないわ!

 

「怪しいと思う場所は・・・・

この町の近くの高台にあるゾォリ天文台、

ゾォリ天文台のさらに西にある銀河大神殿、

銀河大神殿の南方の雲海沿いにあるダン灯台、

この3つが怪しいと、あたしゃ思うよ。」

 

おばあさんは地図を出し、宇宙船の基地と

思われる候補の場所を教えてくれた。

 

「ありがとうな、おばあさん!

よし、じゃあリザ達、さっそく出発しようぜ!」

 

「3つの場所の位置は、

おばあさんの地図を写させてもらいました、

まずは何処から向かいますか?

オリオリさま。」

 

「まずはここから一番近いところから

当たってみましょう。

ここからだと・・・うん、ゾオリ天文台の

ようですね。」

 

「承知しました。

リザ殿達、ではゾォリ天文台へ

向かいましょう。」

 

「いよいよ、チョルルカと対峙だな、

せんたくバサミの準備もOK。

出発だー!」

 

ゴッシュのせんたくバサミを始め、

アタシ達は装備、道具、食料など

入念にチェックしゾォリ天文台へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード2.「効き目バッチリ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「もがーーーーー!!!

ク、クサイ、クサイぞーーー!!!」

 

「このニオイは!?」

 

「この激しい異臭がチョルルカのニオイか!」

 

「間違いないぞ~!

このクサさ、きっとチョルルカだ!!」

 

「そのようですね、町のおばあさんの予想、

ようやく的中したようです。」

 

「オリオリ様、そして宇宙船基地とやらが

ここダン灯台という事になりますね!」

 

ブゥフェの町で政府の宇宙船基地であろう

場所を3つほど教えくれたおばあさん。

アタシ達は町から近い順に1つずつ

その場所を調べることにした。

 

最初にゾォリ天文台、次に銀河大神殿を

訪れたけど、どちらも基地ではなかったし、

チョルルカも魔法団もピエールもいなかった。

 

最後の望みとして訪れたここ、ダン灯台。

この灯台に進入したとたんにアタシ達の

鼻孔を襲ってきた強烈な異臭。

 

なんだろう、これはもう腐敗臭と呼べるわね、

ニオイレベルのチェックメーターというものが

あるならば完全にメーター振り切ってると

思うわ。

 

「確かに・・・!

これがチョルルカのものだとすれば、

こんな激臭に耐えながら戦うなんて

不可能ですね・・・う、ゴホっゴホっ!」

 

「うぅぅ、モガ丸殿、早くゴッシュ殿の

せんたくバサミを!

ニオイを嗅ぐだけで体内から

腐っていきそうです・・・・!」

 

「よ、よし、わかった!」

 

モガ丸は道具袋から人数分の

ゴッシュのせんたくバサミと

ペンチを取り出した。

 

「ムギギギ、開くのにめちゃくちゃ力が

必要なのがコイツの難点だな!」

 

ミスったわね、ここにチョルルカが

居るかもしれないってわかってたんだから、

内部に入る前にせんたくバサミを

装着しておくべきだったわ。

 

悪戦苦闘しながらも各自、ペンチを

使ってせんたくバサミを鼻に

装着していく。

 

「よし、全員装着したな、

・・・・・・・・・お、す、すげー!!

ニオイが全くしない!

すげーぞ、ゴッシュ!

やっぱりアンタは最高の道具職人だぞ!」

 

うん、さっきまでの不快な激臭は

まったく感じなくなった!

実際にチョルルカに効くかどうか

やってみるまでは不安だったからね。

これでニオイに気を取られることなく

戦えそうだわ。

 

ただ、全員が鼻声なのが気になるのと、

口でしか呼吸ができないから、

息苦しいのは確か。

これはもう早々にチョルルカを

倒すしかないわね。

 

「あれ?でもオリオリは宇宙王の書に

隠れてればニオイは遮断できるんじゃ

ないのか?」

 

「・・・私は生身の体のまま書に

封印されています。

ガイアス殿のように思念だけを

書から出現させているわけでは

ありません。

よって・・・クサイです!」

 

「あぁぁ、そっか、ジジィとはまた

仕組みが違うんだったな、

詳しくはわかんないけど、

とにかく臭うんだな!」

 

モガ丸!

この非常事態に!

鼻を押さえてるだけに

喋るのもツライんだから

余計な会話してる場合じゃない

でしょうに!

 

素っ頓狂な質問をこのタイミングで

発するモガ丸に呆れながらも

アタシ達は群がる魔物たちを

振り払いながら灯台の最上階を

目指した。

 

口だけで呼吸しながらの戦闘は

思いの外疲れるわ。

なるべく手数をかけずにアタシ達は

魔物を倒していく。

 

そしてついに最上階にたどり着く。

そこには、なんと形容していいかわからない、

異形の魔物が立って・・・いえ、空中に

浮遊していた。

 

胴体?があり、手足はなく、代わりに

触手らしきものが胴体からいくつも

生えていた。

胴体の真ん中に大きな口があり

目らしきものが胴体に1つと

2本の触手に1つずつあるという、

この世のものとも思えない、

ホントに異様な姿をしていた。

 

「む、何者だ貴様ら?」

 

しゃ、喋った!?

見た目とは裏腹に、この化物は

明瞭な言語を発した。

 

「オイラ達はブルリア星の冒険王姉弟と

その仲間、そして義勇軍だ!

お、お前が上級執行官チョルルカか!?」

 

「ほ~う、義勇軍、それに冒険王だと。

コソコソと隠れ回りながら我が政府に

盾突くネズミどもが!

一体何の用だ!?」

 

「ランペェ村を始め、この地方一帯を

圧政で苦しめ、そしてランペェ村の

住人たちをひどい目に合わせただろう!

お前のような悪いヤツは成敗してやる!!」

 

「フハハハハ!

これは心外、ゲスな大衆が政府の

統治に従うのは道理だ、

組織に歯向かう者を罰しただけの事!

前任者マレドーはどうも政府の方針に

反抗的で、この地方の民衆を厳しく

統制しなかった、故に民衆はつけ上がり、

オレに反抗しようなどという

発想に至ったのだ。

それでは政府の統治が徹底されぬ、

民衆は力で押さえつけるのが

最も効果的だと言うのにのぉ!」

 

ク!

やっぱり上級執行官というのは、

宇宙政府というのは頭が腐ってるわ、

ゲスはお前たちのほうよ!

その醜い見た目そのままじゃない!!

 

「しかし貴様ら、よくもオレを前にして

平気でいられるな?

普通はオレの発する激臭のせいで

まともに立っていることも

ままならないハズだが?」

 

「へっへ~ん!

オイラ達はランペェ村の人達から

お前と戦うときの注意点を

聞いているんだ!

見ろコレを!」

 

モガ丸は自分の鼻に装着している

せんたくバサミを得意げに指さした。

鼻栓をして、それを上級執行官に

向かって自慢する・・・・

なんともおかしい絵面だけども・・・・(^_^;

 

「ハッハッハッハ!

お前ら、本気か!?

これから1戦交えようかという

この状況で鼻栓だとぉ?」

 

う、やっぱりそうよね、

普通そうよね??

ゴッシュの意気込みはホンモノだとは

思うけど、やっぱ大真面目に

バカバカしいわよね?この作戦(^_^;

 

「まぁしかし、五体満足で立っている

ところを見ると、本当にオレの激臭は

遮られてるみたいだな。

だがしかし!それがなんだというのだ!

例え激臭の影響がなくとも、

これからお前らがオレに殺されることに

なんの変更もない!!

義勇軍とその一味!今ここで皆殺しよ!

ゲハァァァァァ~~~~!!!」

 

チョルルカはいきなり、その大きな口から

紫色の息を吐いてきた!

まずい、モガ丸達を退避させなきゃ!

 

アタシはとっさにモガ丸とコッツの前に

立ちふさがり紫の霧をまともに浴びてしまった。

 

「モガ丸、コッツ早く隠れて!」

 

「もが~~~!リ、リザ~~~・・・・

大丈夫か~~~??」

 

「いいから早く!!」

 

「リ、リザ姉!この紫のブレスは!」

 

おそらく毒攻撃!

ク!ニオイだけじゃなく毒も吐いてくるのか!

アタシは戦闘態勢に入るべく構えを

取ろうとした。その瞬間・・・。

 

ドクンッ!

 

全身を激しい痛みが襲う。

やっぱり、アタシは毒に冒されてしまった。

厄介ね、これでは動く度にダメージを

負ってしまう。

 

「ホイミッ!」

 

アタシは毒で受けたダメージを

自分で回復させた。

しかし、回復呪文を唱えた、

その動作で再度毒のダメージを負う。

 

死にはしないけど、ダメージがループで

襲ってくる。

毒攻撃の嫌なところね。

 

「リザ!これを飲め!」

 

ビュッ!

 

モガ丸が毒消し草を煎じた飲み薬の

入った瓶を道具袋から出し、

アタシに向かって投げてくれた。

アタシはそれをキャッチし、すばやく中身を

口に含んだ。

 

スゥゥ~~~

 

解毒作用の成分が体内に浸透していくのが

自分でもわかる。

 

「メラゾーマ!」

 

アタシは攻撃呪文をチョルルカに

向かって放った!

 

ゴォォォン!

 

大火球が上級執行官に炸裂する!

 

「おのれ!こしゃくな!」

 

メラゾーマを唱えた動作を取ったけども。

毒によるダメージは発生しない。

よし!完全に解毒できたわ。

モウィ遺跡では眠りで手間取ったからね、

道具袋はモガ丸に持ってもらったの、

状態異常をスムーズに解除するために!

ここからが本番よ!

 

「また毒の息を吐かれると厄介よ!

勝負を急ごう!ジョギー!レイファン!」

 

「わかった!」

 

「うん、了解!」

 

アタシ達はお互い適度に距離を取り、

戦いの陣形を整えた。

 

ビシュ!ビシュ!!

 

チョルルカはいくつもある触手で

攻撃してきた。

アタシ達は盾で受け止めダメージを

緩和させる。

衝撃は・・・それほど重くない?

なんだコイツ、上級執行官のクセに

大したことないの?

 

「ほぉ!冒険王と名乗るだけあって

それなりに戦えるのは確かなようだな!」

 

ビシュ!ビシュ!!

 

チョルルカはさらに、余った触手で

追撃を繰り出してきた。

最初に攻撃してきた触手に

盾を使っていたので

第2波の攻撃はまともに食らってしまった。

 

「キャー!」

 

「ぐわ!!」

 

攻撃を受けた箇所から血が流れる。

 

ク!

何本もある触手は厄介ね!

 

「フハハハハ!

どうした、もう終わりか!?」

 

触手をどうしたものか。

アタシは傷を負いながらも、

チョルルカの攻略を考えていた。

今の所、ヤツの攻撃はハッキリいって

大したレベルではない。

その事実がアタシを冷静でいさせた。

 

「ジョギー!レイファン!

1箇所に集まろう!」

 

アタシは弟たちに号令をかけた。

 

「おぅ!」

 

「わかった!」

 

ジョギーとレイファンがアタシのもとに

走り寄ってくる。

 

「どうするんだリザ姉?」

 

「どう?ヤツの攻撃。

ここまでの戦った感じ。」

 

「ん?あ、ああ。

いや、おそらく、そんなに強くはないな。

今の所だけど。

けど、あの触手攻撃は厄介だな。」

 

「私もそう思うよ、姉ちゃん。」

 

弟たちもアタシと同じ印象を受けたみたい。

 

「1箇所に集まればいくつもある触手も

全部同じ方向に飛んでくるでしょ?

そこを叩くわ。」

 

「あぁ、そうか!わかった。」

 

アタシは作戦を伝えようとした。

みなまで言わずとも2人ともアタシの

意図を理解してくれたみたいね。

 

「フハハハハ!どうした、もう観念したか!

最後は仲間揃って死にたいのか。

望み通り全員揃ってあの世に送ってやろうか!」

 

「フン!うるさいわね、よく喋る執行官ねアンタ。

臆病な犬ほどよく吠えるっていうけど

アンタ見てると、まさに絵に書いたような

負け犬ヅラね!」

 

アタシはわざとチョルルカを挑発するように

言葉汚く罵ってやった。

 

「な、なんだとぉ~~~!!

このチョルルカ様に向かって負け犬だとぉ!!?

おのれ、虫けらのくせにオレを愚弄

しおって!!」

 

チョルルカは頭(どこが頭か知らないけど)に

血が上ったのか、全部の触手を

アタシ達に向かって振り下ろしてきた。

しめた、狙い通り!

 

ビシュシュシュシュ!!!

 

「ベギラゴン!」

 

アタシは飛んできた触手目掛けて

灼熱呪文を唱えた。

チョルルカの全ての触手に高熱の

ビームが炸裂する。

 

「グゥワワワワ~~~!!!」

 

ビームが着弾した瞬間、激しい炎が

発生しチョルルカの触手全てを包んだ。

 

「超はやぶさ斬り!!」

 

ジョギーの超速の剣技が放たれ、

触手の根本に炸裂した。

 

シャッシャッシャ!!

 

チョルルカの本体と燃え盛る触手が

切断された。

 

「これでもう厄介な動きはできない!」

 

アタシの作戦はハマった。

残るは本体だけ。

 

「グヌヌヌヌ!

お、おのれ~~~!

これで勝ったと思うなよぉ!!」

 

チョルルカの本体にある眼は

まだ、その生を諦めてはいない!

まだ反撃が来る!

 

アタシは形勢が有利になっても

警戒を怠らない。

モウィ遺跡での失敗は繰り返さない!

 

「こ、これでも喰らえ!」

 

ブシャァァァァ!

 

本体の眼が妖しく光り、チョルルカは

口から今度は黒ずんだ霧を

吐いてきた!

黒いブレス・・・闇ブレスか!?

 

「フバーハ!」

 

アタシはとっさにブレス耐性上昇の

補助呪文を唱えた。

アタシ達の周囲を光の霧が覆い、

闇ブレスの被ダメを抑える。

 

「ベホマラー!」

 

瘴気により腐食するような感覚に

襲われる息攻撃に耐え、

レイファンが回復呪文を唱えた。

 

フバーハにより抑えられた被ダメ、

さらにすかさず回復呪文が

行使されたので

アタシ達は体力消耗、怪我は

ほぼゼロに等しくなった。

 

「奥義!天下無双!!」

 

「メラガイアー!!」

 

アタシとジョギーはそれぞれ、

自身最高の技と呪文をチョルルカに

向かって放った。

 

「ウギャ~~~~~・・・・・ァァァァ・・・・!」

 

チョルルカは断末魔を発した。

ふぃ~、勝った!

ドアヌと同じく、コイツも大した事はなかった。

上級執行官でも下位の者だろう。

それに!

 

ゴッシュのせんたくバサミのおかげね。

見事にニオイを遮断してくれた。

あの凄まじいニオイに加えて毒にも

冒されるかと思うとゾっとするわ。

本来の実力を発揮する前に

やられてしまいそうだもの。

 

「オ、オリオリ様・・・・!

やりました、リザ殿達が上級執行官を

打ち負かしました!」

 

「ドアヌに続きまたしても上級執行官に

打ち勝つなんて・・・!

リザさん達の強さは本物中の本物!

戦いにおける戦闘センス、臨機応変さ、

そしてそのセンスを実行する

力強さ・・・!改めて・・・ですけど。

義勇軍の未来はきっと明るい!」

 

コッツ達がアタシ達のもとへ駆け寄り、

称賛の言葉を述べる。

 

「お、お、おのれ・・・義勇軍、い、いや、

冒険王・・・!

・・・だ、だが、オレを倒したところで

・・・現状は・・・変わらん・・・政府の巨大さに

比べれば・・・お前らごとき・・・ネズミの群れ

であることに・・・変わりはない!」

 

「ヘンっ!負け惜しみを言ってるぞー、

チョルルカのヤツ!」

 

「ふ、フハハハハ!

負け惜しみではない・・・・

魔星王の誕生も既に・・・行われた・・・のだ。

新たな魔星王・・・・それは・・・

この星そのもの・・・・。

せいぜい・・・・恐れ・・・・慄き・・・・

たじろぐがいいわ・・・・グフっ!」

 

そう言い残し、チョルルカは息絶えた。

新たな魔星王はこの星そのもの・・・?

一体、どういう事なの?

 

「ってことは・・・今オイラ達が立っている

この地面も魔星王って事?」

 

「この星そのものが魔星王って?

リザさん・・・・実際に魔星王と対峙した

事があるのはアナタ達です。

どういう事かわかりますか?」

 

え!?アタシ!?

いやいやちょっと無茶ぶりじゃない?

オリオリ(^_^;

アタシ達が戦ったドスラーデスは

明確に姿形のある魔物だったからな~。

星そのものって言われても

想像もつかないよ~。

 

「そうですよね、すみません。

やはり魔法団に問いただすしか

ないようですね。」

 

そうね、実際に新しい魔星王を

誕生させた星屑魔法団なら

その秘密を知ってるに違いないわ。

 

「オリオリ様!

あちらを見てください!」

 

と、コッツが何か見つけたようで

オリオリに呼びかけた。

 

「こ、これは・・・!宇宙船!!」

 

「やっぱりこの塔が政府の基地!!」

 

「星屑魔法団が辺りにいるかもしれません!

探してみましょう!」

 

ここにチョルルカが居たってことで

おおよそ見当がついていたけど

宇宙船の基地は間違いなく

ここだってことね。

という事は確かに魔法団も居たはず。

けど姿が見えない。

アタシ達が戦ってるうちに塔から

出ていったしまったのか!?

 

パチパチパチパチ!

 

アタシ達が魔法団を探すために

駆け出そうとしたその時、

何処からか拍手らしき音が聞こえてきた。

 

「ハッハッハッハ!

見事だったよ諸君。」

 

これは・・・聞き覚えのある、

いえ、つい最近聞いた、あの声・・・・!!

 

キッ!

 

振り返ると彼は居た・・・・

白いスライムナイト、ピエール!!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・チョルルカ
ヨンツゥオ大陸南部地方を支配する
宇宙政府の上級執行官。
本体から発するその激臭とも呼べる
クサい臭いで、対峙する敵の戦意を消失させて
倒すという特徴を持つ。



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エピソード3.「平行線」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「相変わらず見事な手練だな

ブルリア星の冒険王諸君。」

 

白いスライムナイト、ピエール!

反政府運動に異を唱え、

あくまで政府改革を促す男。

 

目下のところ、今しがた倒した

上級執行官チョルルカ、魔法団との

3者で何やら画策していたらしいわね。

 

「ピエールとやら!

チョルルカは我々が倒しました、

魔法団はどこです!?」

 

オリオリがピエールに問いかける。

 

「魔法団は既にこの地を去った。」

 

「では貴方やチョルルカがこの宇宙船基地に

来た目的はなんです?

この星からの脱出を図っていたのですか?」

 

「もが!チョルルカが言っていた・・・・

『新しい魔星王はこの星そのもの』

という内容とカンケーあんのか!?」

 

「当然だろう、言わずもがな、だ。

私と星屑魔法団は魔星王となった

この星から早急に脱出する予定だった。

だがその計画も諸君らがチョルルカを

倒したことで頓挫してしまった。

私はチョルルカの城に向かい

新しい上級執行官を連れてこよう。

宇宙船は上級執行官でなければ

動かす事ができないからな。」

 

・・・この星から脱出・・・この星そのものが

魔星王・・・どういう意味かまだわかんないけど

脱出しなければいけないほどに

危ない事が起きようとしてるって事?

魔星王誕生によって具体的には

この星に何が起きようとしてるんだろう?

 

「諸君らに力がある事は重々

理解していたが、まさか上級執行官を

これほど容易く退けるとはな・・・!

しかしこれ以上我々の邪魔をすると

いうのなら・・・血の雨が降るぞ・・・!」

 

「もが~・・・・怖い・・・・・。」

 

「ハッハッハ、まぁ最も!

オリオリ、貴女が義勇軍の看板を

降ろし我らに賛同するというのなら

話は別だ。」

 

「言ったはずです!

私達が宇宙政府に協力するなど

あり得ません!!」

 

「相変わらず頑固なお嬢さんだ。

だが賢い貴女ならいずれ最良の選択を

してくれるはずだろう。

巨大な政府に盾突くことの愚かさに

気づくはず。

私は急ぐのでな、また会おう、諸君っ!」

 

「待ちなさいっ!」

 

アタシは立ち去ろうとするピエールを

呼び止めた。

 

「むぅ、何だね冒険王のお嬢さん。」

 

「先日アナタに会って。

いきなりのことだったから聞きそびれて

しまったけども。

あれからアタシはアナタの考えや

話した内容が頭から離れない。

アナタ、自分のやっている事、

わかってる?ホントに正しいと

思ってる?」

 

アタシはマタセ山の塔で初めて

ピエールと対峙したあの時から

ずーっと考えていた事や疑問を

本人にぶつけたいと思っていた。

 

「フフ、何を言い出すかと思えば。

当然だ、正しいと思ってるからこそ、

そこかしこの国々やグループに

私の考えを触れて回っているのだ。

私は純粋に全宇宙の平和を願っている。

そのための宇宙政府の内部改革を

目指している。

私が私利私欲のために動いてるとでも

言うのか?

侮辱するというのならこの場で

償ってもらうぞ、命を持ってしてな!」

 

「宇宙の平和を願っているのか、

私利私欲で動いているのか、

現時点では判断しかねるわ。

少なくともアタシの信念に

照らし合わせるならば、

アナタは明らかに間違った

行動をしているもの。」

 

「確かにな。

私と貴女はどうやら正反対の

考えをしているようだ。」

 

「アナタ、政府の内部改革のために

色々と暗躍してそうだけど、

ずいぶんと政府の役人と

関わってるんじゃない?

アナタの考えそうな事など

すでに政府上層部に筒抜けだと

思うわ。

そんな危険分子を!

邪悪で卑劣で狡猾な政府の上層部が

重用するとでも思ってるの?」

 

「で?いずれ私が政府に消されると?

フフフ、これは光栄、冒険王様に

私の身を案じてもらえるとはな。」

 

「はぐらかさないでっ!

ピエール、アナタ自分のやってきた事で

周りの人間がどれだけ不幸に陥ってるか

わかってる!?

アナタが魔法団に心変わりを促したせいで

ここにいるオリオリがどれだけ

苦しい思いをしているか!

マタセ王を心変わりさせたせいで

マタセ国をどれだけ混乱に陥れたか、

わかってるの!?」

 

「リザさん・・・・私なら大丈夫です。

私情で道を誤ることなどありません。」

 

オリオリ・・・・その思いが側で

見ている者には痛々しく映るんだよ

 

「マタセ国なら大丈夫だろう。

大臣がよく頑張ってくれている。」

 

「そんなの結果論でしょ!

それに大臣サンは今も帰ってくるはずの

ない国王を待ちながら必死に混乱を

収拾しているのよ!!

どれだけ不安な日々を過ごしてるか、

アンタにはわからないの!?」

 

アタシはピエールと会話を続けるに

つれ怒りが沸々と湧いてきた。

 

「マタセ王はそもそも義勇軍と

宇宙政府を天秤にかけていた。

私が接触せずともいずれ

宇宙政府側に付いていただろう。

私の責任ではない。

それにオリオリの苦しみは・・・。

簡単なことだ、オリオリも

宇宙政府側に付く、

そうすれば夫婦揃って過ごす

ことができよう。」

 

クッ!

ああ言えばこう言う!

なんて口が達者なのコイツ

 

「魔星王誕生はどうなの!

あんなモノを生み出すなんて。

アナタ魔星王の恐ろしさを知ってるの?

この星を滅ぼしかねないのよ!?」

 

「それについては・・・・。

確かに私もずいぶん迷った。

私は魔星王の恐ろしさについては

伝え聞いた話でしか知らない。

ハッキリ言って魔星王誕生が及ぼす

影響は私にも計り兼ねる。

だが政府は新しい魔星王誕生を

強く願っていた。

いかな宇宙政府とて無から強大な

魔星王を誕生させるのは不可能。

諸君らも知っている通り星屑魔法団の

秘術があってこそ初めて可能になるのさ。

私は魔星王誕生に尽力するという

条件と引き換えに政府からの信用を

勝ち取った。

それゆえ魔法団の説得は

最重要事項だったというワケだ。

貴女が私の身を案じてくれるのは

光栄だが、おかげで私は政府から

疑われることはない。」

 

な、な、なんですって!!

アンタのその、間違った信念で!

宇宙政府に潜り込むために!

魔星王誕生に協力したというの!

そのためにオリオリの旦那様や

星屑魔法団も巻き込んで!!

 

「ピエール!

アンタ、そんなことのために

色んな人を巻き込んで

魔星王誕生を実現させたの!?

アンタ何をやらかしたか

全っ然わかってない!!!」

 

「致し方なかったのだ。

しかし、これも政府を改革し

宇宙平和という最終目標を

達成するための手段なのだ。

現時点では・・・確かに宇宙平和からは

ほど遠い状況かもしれんがな。

冒険王よ、物事は大きく捉えなければ

いけない、いちいち目の前の事に

一喜一憂していては冒険王の

名が泣くぞ?」

 

「大局を見誤ってるのはアンタよ!

目の前のことにとらわれて

とんでもないことをしでかしたのよ!?

現にアンタ達は魔星王となった

この星から脱出しようとしている!

それは魔星王が恐ろしい存在だって

知っている何よりの証拠!

魔星王の恐ろしさを知っていれば!

致し方なく誕生させるなんて事、

絶対にできないわ。

万が一にも、考えることすらおぞましい!!」

 

「フフフ、さすが魔星王ドスラーデスを

倒した冒険王だ。

その恐ろしさをよく知ってるというワケだな。

しかしブルリア星の時と今回では

取り巻く状況も違うだろう。

なにより私が必ず政府変革を成し遂げてみせる。

ドスラーデスのような事にはさせんよ。」

 

「どれだけ己を過信すれば気が済むの!!」

 

「・・・・ずいぶんお喋りが過ぎた。

やはり話はどこまで行っても平行線を

辿るようだ。

なんなら今ここで力づくで決着を付けるか?」

 

ビュッ!!!

・・・・ガスッ!!!

 

ピエールは手に持っている槍を

こちらに向けて投げつけてきた!

槍はアタシ達の間をすり抜け、

後ろの壁面に突き刺さった。

その衝撃でまだ槍はビ~ンと

揺れている。

 

「・・・・・・。」

 

「もがーーーーー!

あ、危ねえ!!

リザ達、大丈夫かーーーー!!??」

 

「ふ、さすがだな、槍が飛んできても

微動だにしない。

当たらないとわかっていたのか、

それとも動けなかったのか。」

 

「アンタから殺気を感じなかった・・・。」

 

「ハッハッハッハ!

愉快!実に愉快!!

さすがだ、冒険王リザ!

意義があったのかどうかわからんが、

貴女との会話、実に楽しめたぞ。

では諸君!

いずれまた会おう!・・・それっ!」

 

ピエールは右手を振りかざし

壁に刺さっている槍を

念動力のようなもので手元に

手繰り寄せた。

 

「さらばだっ!」

 

「あぁぁぁ!もがーーー!

ピエールに逃げられた!!

おい!リザ!どうすんだ?

追いかけるのか!?」

 

ピエールが一瞬で消え去った。

おそらくルーラだろう。

アタシ達はゾォリ天文台から

ぶっ通しでクエストを続け

今しがたチョルルカを倒したところ。

さすがに疲労の色は隠せない。

今、ピエールと戦うのは

得策ではないのは確かだ。

 

「ピエールはチョルルカの城に

向かうと言っていました。

一旦ブゥフェの町に戻り、

おばあさんにチョルルカの城について

聞いてみましょう。

リザさん達の休息も取らなければ

なりませんし。」

 

ありがとう、オリオリ。

急がなければいけないのは

重々わかってるんだけど、

また戦闘で危険な目に会うわけにも

いかないから。

休息の申し出はありがたい。

 

「リザさん、ありがとう、

私を気遣ってくれて。

でも、本当に私は大丈夫です。

それにしても・・・・ピエールとは

なかなかの切れ者ですね。

こちらの論理を全て論破しようと

してくるのですから。」

 

論破?

いえ、オリオリ、アタシは論破されたとは

露1つも思っていない。

彼の主張は矛盾だらけですもの。

宇宙平和を願う者が魔星王誕生に

加担するなど、それこそが

最も顕著な矛盾。

 

それを屁理屈を捏ねて

己を騙してるだけだよ。

 

アタシは。

モヤモヤを解消したくてピエールに

質問をぶつけた。

なのにモヤモヤはさらに

深くなってしまった。

やっぱり彼とはわかり会えない。

戦うしかないのだろうか。

 

憂鬱な気持ちのまま

アタシ達はブゥフェの町へと

一旦戻ることにした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ピエール
白いスライムを駆るスライムナイト。
数々の調略を駆使し各国首脳、さらには
星屑魔法団までも宇宙政府へ恭順させる。
新しい魔星王誕生成功という事柄の
直接の張本人は"秘術"を行使した星屑魔法団だけど、
魔法団を宇宙政府側に協力させたピエールの罪は
この上なく重いとアタシは思う。



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エピソード4.「義勇軍を続ける事」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「おぉ、アンタ達!

無事だったのかぃ!!

ほ、本当にチョルルカ様を倒したってぇ??

すごいじゃないか!!!」

 

ブゥフェの町に戻ると例のおばあさんが

出迎えてくれた。

 

「えぇ、無事生還しましたよ。

おばあさんが教えてくれた場所、

そのうちの1つが見事に

宇宙船基地でした。

情報提供ありがとうございました。」

 

「いやぁ、あたしゃ怪しいな、と

思った場所を教えたまでだ。

それに、もしチョルルカ様と

出会ってしまったらアンタ達は

ただじゃ済まないと思ってたんだ、

正直・・・。

あたしゃ、とってもむごい事を

してしまったんじゃあないかと、

あれから後悔してたんだ・・・。

いやぁ、ホントに無事でよかったよ~。」

 

「これでこの地方が圧政に

苦しむことはないでしょう。」

 

「あぁ・・・だといいけどねぇ。」

 

おばあさんはアタシ達の無事を

喜んでくれた。

けど、その表情に陰りがあるように

アタシには見えた。

 

「チョルルカ様がいなくなったのは

嬉しいけど、また別の役人が

来るかもしれないからね~。

結局は政府が健在している限り、

あたしら民衆に平和は訪れないの

かもしれない・・・。」

 

・・・・そうよねぇ、結局そうなのよね~。

元凶をなくさない限り、万事解決って

ワケにはいかないのよね~。

 

確かに、その事実を突きつけられると

おばあさんじゃないけど、アタシも

憂鬱になるわ。

 

ピエールとの舌戦のこともあり、

アタシも憂鬱な気分になってしまった。

 

「おばあさんのおっしゃる事は

ごもっともかもしれません。

諦観を抱くのも致し方ありません。

ですが、だからといって

政府の理不尽な統治を受け入れるのは

それはもう生きながら死んでるも

同然です。

私達は・・・政府の言いなりには

絶対になりません。

戦う力がある以上、抵抗してみせます。

抵抗し続けることに意義があるのです!」

 

オリオリが言う。

おばあさんに、というより、それは

ピエールに向けて。

政府の言いなりになって死人のように

生きながらえたほうがいいという

風潮に対して。

そして自分や義勇軍のメンバーに

対しての決意の再確認なのかも。

 

そうよ、オリオリ。

アタシは断固としてピエールのような

考えには賛同できない!

無駄だと言われつつも、

政府への抵抗の意思は

示しつづけなければならない!

 

「あぁぁぁぁ、アンタ若いのに偉いね~。

眩しいよ。キラキラ輝いて見える。

あたしのほうが年長者なのに、

若いアンタから教えられてるみたいだ。

なんで本の中にいるのか、

どういう仕掛けでそうなってるのか

よくわからないが。」

 

「いえ、おばあさん、つい興奮して

出過ぎた事を言ってしまいました。

けど、私達はそういう決意のもと

団結して政府への抵抗を続けます。」

 

「あたしゃ老い先短い。

アンタらのように自ら動いて

状況を打破するなんて事は

とうてい無理だけど、

アンタらの事は応援するよ。

今のあたしにできる事は

それぐらいだからね~。」

 

「おばあさん、そのお言葉とお気持ちだけで

十分です、ありがとうございます!

おばあさんのように我々を密かに、心のどこか

片隅でだけでもいい、応援してくれる人が

少しでも増えることが何よりも我々の力と

なるのです。」

 

「あたしももっと若けりゃね~、

その、義勇軍とやらにも

参加したいよ。」

 

オリオリの言葉ひとつで

憂鬱な顔をしていたおばあさんの

表情が明るくなった。

オリオリ、貴女は本当に太陽のような

女性だ。

 

アタシは改めてオリオリのリーダーの

器を認識した。

真のリーダーの、ね。

 

「で、おばあさん、オイラ達、

次はチョルルカの居城に

行きたいんだけど何か知らないかい?」

 

「チョルルカ様の居城は

銀河大神殿を北上した遥か先に

あるって話だよ。

けどどうやってお城に入れるか、

そこまでは知らないんだ。

居城までの道のりの途中に

ギィシィという町がある。

そこでなら何かわかるかも

しれないね~。」

 

「わかった、ありがとう、

おばあさん。」

 

「おばあさん、もうひとつお願いが。

この手紙をランペェ村のゴッシュという

人物宛に届くように手配を

していただけませんか。

今回のチョルルカ打倒に協力してくれた

人物なのです。

直接会ってお礼を申し上げたいのですが

我々は先を急がねばなりません。」

 

「わかった、ランペェ村のゴッシュだね。

あとで配達業者に言付けとくよ。」

 

「それからおばあさん、我々に情報を

提供した事は伏せておいてください。

おばあさんが危険な目に遭っては

いけませんので。」

 

「あぁ、わかった、ありがとうよ、

あたしの心配までしれくれて。

アンタ達、気を付けて行くんだよ。

あたしゃ、なんだかアンタ達が

孫のように思えてきたよ。

勇気を持つことも大事だけど、

無理をせずに、ねぇ。」

 

あぁ、おばあさん、本当にありがとう。

孫・・・・か。

ブルリア星のおじぃちゃん、どうしてるかしら。

アタシ達がいないからきっと退屈

してるんじゃないかしら。

 

おばあさんの励ましの言葉で

アタシはふと、故郷で待っている

おじぃちゃんの事を思い出していた。

 

「ありがとう、おばあさん!」

 

「じゃあな、またな!」

 

「ピピー!」

 

白いスライムナイト、ピエールのせいで

気分が憂鬱だったけど、

オリオリの確固たる信念と

おばあさんの優しい気遣いのおかげで

少し心が晴れたわ。

 

「リザさん、ピエールの言う通り、

我々の力は政府に比べれば

脆弱かもしれません。

しかしこうやって、我々の考えに

賛同してくれる方々が

少しずつでも増えれば

それが我々の力になり、

やがて政府に打ち勝てる、

私はそう信じています。

現状維持でかまわないという意識、

それこそが最も厄介な敵なのです。

それを覆すには政府への抵抗の意志を

示し続けるより他にない、

と私は考えています。」

 

オリオリ、そうだよ、現状が変わらないって

諦めたら本当に何も変わらない。

ピエールの考えは・・・革新的であるかの

ように見せかけて実は現状維持を

決め込んでいるようにしかアタシには

思えない。

 

アタシはやっぱり、オリオリ、貴女の考えに

賛同するわ!

 

「それに・・・。」

 

「?」

 

宇宙王の書がアタシの顔の近くに

寄ってきてオリオリが耳打ちを

してきた。

 

「リザさんがピエールと激しく

言い争った時のリザさんの訴え。

私はすごく感動し嬉しかったのです。

リザさんは・・・その・・・タァコ王に

会ってから・・・我々の活動に

疑問を抱いていませんでしたか?」

 

ギクッ(゜o゜)

 

「タァコ王が語っていたピエールの

主張の内容に。

あの時、私はリザさんを叱咤し

貴女の思考を強引に停止させました。

しかし強引ゆえにリザさんがいつまた

迷いを抱くかもしれないと、私は不安でした。

けど先のピエールとの言い争い、

あれを聞き、安堵したのです。

『あぁリザさんの迷いはもう吹っ切れた

んだな』と。」

 

うぅぅオリオリ、ホントにごめんなさい、

あの時のアタシの迷い・・・・

ひょっとしたらあの迷いのせいで

新魔星王誕生の阻止が

間に合わなかったのかもしれない。

 

「いえ、責めているわけではありません。

現にここまでの旅はリザさん達の

力がなければ進めることは

かなわなかったでしょう。

その事実こそが、貴女が我々を

信頼してくれていることの証。

そしてダン灯台でのリザさんの訴えは

私の考えと全く同じでした。

あれでリザさんへの信頼は確信に

変わったのです。」

 

アタシは確かに・・・・迷っていた時期が

あったわ。

けどオリオリ・・・・貴女の器の大きさが

アタシの迷いを晴らしてくれたの。

 

それにピエールの考えは・・・・

確かに直接聞くまでは興味が

あったのも事実。

けど、その内容を聞いて呆れてしまったわ。

 

だから、あの場面でピエールと

言い争いになってしまったの。

どうしても納得いかなかった。

愚かさに気づいてほしかった。

 

「すみません、今更、以前のことを

蒸し返して。

けど私のリザさんへの信頼、

それはもう揺るがない、ということを

伝えたかった。

まだ我々は志の道半ばではありますが

これからも引き続き我々の力になって

ほしくて私の想いを打ち明けました。

リザさん、これからもよろしくお願いします。」

 

オリオリ!

アタシこそよろしくお願いします。

アタシはあのヨンツゥオ大宮殿での

貴女の寛大な対応に触れて以降、

とっくに貴女の事を信頼してるよ。

 

この宇宙を治めるのは決して宇宙政府の

ような邪悪な組織ではないっ!

オリオリのような優しく強い意志を持った

宇宙王こそ相応しいって。

 

「お~い、なんだなんだ女同士で

ヒソヒソと。

長話だな~、早く出発しないと

ピエールに逃げられるぞ~!」

 

モガ丸がアタシ達の内緒話に

割って入ってきた。

ピエールを追いかけるため、

アタシ達はギィシィの町を目指した。




Story日誌 第6話<魔法団の行方>了

★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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2ndシーズン第7章[白いスライムナイトの覚悟]***惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編*** エピソード1.「原風景」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



奇妙な夢を・・・アタシは見ていた。

 

************************************

 

「ボロ~~~ン、待ってよ~~~~!」

 

「遅いぞ~~~~オリオリ~~~~!!」

 

幼い少年と少女が森の中を駆けている。

お互いの呼ぶ名は・・・

アタシの知っている名だった。

ボロンとオリオリ?

 

いえ、だけど、走っているのは

明らかに幼い子ども2人。

それに女の子は・・・

生身の姿・・・オリオリは宇宙王の書に

封印されているはず・・・

生身の姿というのはおかしいわ。

 

「ほら、こっちだオリオリ。」

 

「はぁっはぁっはぁっ、んっもう!

ボロンっ、女の子を置いてっ

はぁっはぁっ、先々走っていくなんてっ

もうちょっと女の子をいたわりなさいよっ!」

 

「はんっ、まるで女の子みたいな事を

言うじゃないかっ!」

 

「私は女よっ!!」

 

これは!?

やっぱりボロンとオリオリなの?

このやり取り・・・まさにボロンとオリオリ

そのものだわ。

これは幼い頃の2人なの?

 

「で?私に見せたいものって?」

 

「へっへ~、この洞穴を見てみなよ。」

 

「?」

 

幼い・・・オリオリであろう女の子が

茂みの中にある穴を恐る恐る覗く。

 

「あ!」

 

「ピピピっ」

 

「スライムっ!?」

 

「そっ!なぁ可愛いだろぉ?」

 

「でも・・・や、野生のスライムって

人間を襲ったりするって聞いたこと

あるよ?」

 

「大丈夫さ、スライムが人間を襲うのは

人間のほうからスライムに危害を

加える場合がほとんどなんだ。」

 

「へぇぇ、そうなんだ~。」

 

「それにほら、コイツ、怪我しててさ。」

 

「え、あぁ本当!

でも・・・手当されてる・・・・

これってもしかして・・・・?」

 

「そう!オレが手当してやったんだ。

こないだ、この森に果物を採りに来た時、

偶然見つけたんだ。

怪我してたからさ、最初はオレの事も

警戒してたんだけど。

こっちに敵意がないっていうのをさ、

野生だから余計に敏感に

感じ取ってくれたのか、

手当をさせてくれたんだ。

それからオレに懐いてくれて。

時々様子を見に来てるってワケ。」

 

「そうだったんだ。

けど、アナタのスライム好きも

ここまで来たら病気ね。」

 

「病気とはなんだ、病気とは!

スライム愛と呼んでくれよ!」

 

「アハハっ」

 

これは・・・・なんなの?

幼い頃のボロンとオリオリの記憶・・・・?

なんでこんなものをアタシが見てるの?

夢なのか?

夢だとしても、アタシが知るはずもない

ボロンとオリオリの幼い頃の記憶を

なぜアタシがビジョンとして見てるのか?

 

「・・・リ様~!・・・オリ様~~!!

・・・・オリオリ様~~~~!!」

 

と、幼いオリオリ達が走ってきた

元の方角からオリオリを呼ぶ

大人の声が聞こえてきた。

 

「オリオリお嬢様・・・・・!

こんな森の奥深くまで!

心配しましたよ~、お怪我でもされたら

私達が旦那様に叱られてしまいます!」

 

「マルコにミラ・・・ご、ごめんなさい!

けどボロンがどうしても私に

見せたいものがあるって。

私もなんだろう、ってすごく興味があったの。

それでついつい・・・・」

 

「マルコ、ミラ、オリオリを連れ出したのは

オレだ。

オリオリを叱らないでやってくれ、頼む!

それにもし危険なことがあったとしても

このオレがオリオリを守ってみせるさっ!」

 

「ボロン!またアンタだね!

いくら剣術大会で優勝したからってね、

まだまだ子どものアンタに一体なにが

できるっていうんだい!」

 

「うっクックソ!

子ども扱いしやがってー!」

 

この恰幅のいい女性2人は・・・

オリオリの家の使用人か何かだろうか。

そしてボロンとも親しげ。

そっかボロンはオリオリと幼馴染

だもんね。

家族ぐるみでの付き合いだったのかも。

 

「で、慌ててどうしたんです?

2人とも、家で何かあったの?」

 

「それが、突然セアド様が

お見えになったんです!

近くまで来たからオリオリ様の

顔を見たくなったとおっしゃって。」

 

「セアドが!?」

 

「ええ。

ですから急ぎこうしてオリオリ様を

探しにきたんですよ!

さあ、早くお屋敷に戻りましょう。

セアド様を待たせてはかわいそうですよ。」

 

「わかった、すぐ戻ります。

帰ろう、ボロン。」

 

その少年、ボロンは少し寂しそうな

表情をしていた。

 

「い、いや。

オレはもう少しスライムの様子を見てから

帰るよ、果物や木の実も採ってかなきゃ

いけないからな。」

 

「あぁそっか。

わかった、じゃあ先に帰るね、

気を付けなさいよボロン。」

 

「あぁわかった・・・・。」

 

セアド・・・・後に星屑魔法団の団長となる、

オリオリの夫となる男。

そうか、オリオリとセアドは幼い頃からの

婚約者だったのね。

で、こんな小さい頃からオリオリは

セアドにべた惚れ?ってヤツだったのね

 

でも・・・ボロン・・・はなんだかちょっと

寂しそうね。

セアドがいるお屋敷に戻るオリオリを

見送るボロンの背中が・・・・とっても。

 

「・・・・ザッ!・・・・・リザッ!・・・・・

リザ~~~~~!!!」

 

え?

今度はアタシを呼ぶ声?

え、何?アタシもこの夢の登場人物なの?

これはアタシが見てる夢だったんじゃないの?

 

************************************

 

「リザーーーー!」

 

「はっ!?」

 

「起きろよ、リザ、

もうそろそろギィシィの町に

着くそうだぞ。」

 

あ、あぁぁ、モガ丸・・・!

そっか、やっぱりアタシは夢を見てたんだ。

 

ギィシィの町までの道のりは長く、

アタシ達は馬車を雇って目的地まで

向かっていた。

どうやらアタシは居眠りを

してしまっていたらしい。

 

それにしても。

見たこともないはずのボロンとオリオリの

幼い頃の光景が・・・。

なぜあんなにくっきりとアタシの夢の中で

繰り広げられたんだろう。

 

そもそもあれは夢なのか?

夢というよりは誰かの強い思念が

アタシの脳内に流れ込んできた、

というほうがしっくりくるかも。

 

そうか!

 

ひょっとしたら、ボロンがエルフたち

(黄金色のスライム)を無事故郷まで

送り届けるという任務を果たし、

そろそろ合流する時期が近づいている、

っていう予知夢かもしれないわね。

ボロンが復帰してくれたら

この先の冒険も一段と心強くなるわっ!

 

この先に待っている義勇軍を取り巻く

過酷な運命・・・・。

この時のアタシ達はそんな事は微塵も

知らずにいたわ。

とても受け入れがたい過酷すぎる運命。

 

「よぉし!ギィシィの町に着いたみたいだぜ。

早くピエールを追わないとな!」

 

馬車はギィシィの町に着いた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・オリオリ
今回の日誌では幼少期での登場。
当然ながら宇宙王の書に封印されていない
生身の姿。
会話から察するに、大きな屋敷のお嬢様で
後の夫となるセアドとは幼少期から
婚約しているもよう。
そして幼馴染のボロンとは、この頃から
憎まれ口を言い合う仲のようね。

・ボロン
同じく幼少期での登場。
大のスライム好きはこの頃から。
そして武術の腕前もこの頃から
秀でているらしく剣術大会で
優勝するほどの腕前らしい。



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エピソード2.「被支配層の怒り嘆き」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「よぉ、ここはギィシィの町。

宇宙政府で働く者達のベッドタウンさ。」

 

!!

魔物!?

アタシはとっさに身構えた。

ギィシィの町に着くといきなり半人半牛の

魔物が現れた。

 

「おっとぉ、ハハハ、そんな身構えなくても

大丈夫、お前達を襲ったりはしないさ。

政府に仕える魔物といってもオレは

末端の構成員さ。

むやみやたらと人間と争っても

オレ達にゃあ何の利益もないからな。」

 

確かにこの魔物からは殺気が感じられない。

嘘を言ってるようには見えないわ。

 

アタシもレジスタンス活動に加わって

結構時間が経つから、猜疑心というものが

かなり備わっちゃってるけど

この魔物からは本当に敵意を感じない。

 

「まぁ政府の命令が下れば仕方なく

人間を襲うこともあるにはあるが。

自分から進んでってわけじゃぁないんだ。

それはそれで疲れるからな。

で、お前ら何用でこの町に

やってきたんだい?」

 

「おいら達は上級執行官チョルルカの居城

に行きたいんだ。

ここに来れば何かわかるって聞いたんだけど?」

 

「チョルルカ様の居城か、それなら

ヨンツゥオ湾にある大聖堂だ。

ここからさらに北上したらミヤァロの宿屋

がある。

そこで色々教えてくれるはずさ。」

 

「ミヤァロの宿?

ん?お前は詳しくは知らないのかい?」

 

「あぁ、オレは末端構成員だからな、

上級執行官の居場所はあまり詳しくは

知らないのさ。

けどミヤァロの宿ならここより大聖堂には

近いしな。

宿屋ってのは、不特定多数の宿泊者が

いるからそれだけ情報もたくさん集まる

ってわけだ。

ここよりも詳しいことが聞けるだろうよ。」

 

「わかった、どうもありがとう!」

 

「あぁ、お前ら気を付けていけよ、

じゃあな。」

 

この魔物は本当にアタシ達に敵意はなさそうだ。

それどころか旅路の心配までしてくれて。

些細なやりとりだったけど、

アタシは人間と魔物との関係がますます

わからなくなりつつも、ちょっとだけ

明るい気持ちになった。

 

「宇宙政府に仕える者と一口に言っても

全てが悪しき者とは言えない。

そんな好例でしたね、彼は。

政府を倒し、何が正しいのか示すことが

できれば・・・。

彼のような魔物は賛同してくれそうな

気がします。」

 

そう!オリオリ。

アタシが思ったのはまさにそれよ。

まさに、正しい道を照らす事が何よりも大事。

そしてその役目は貴女しかできない!

 

「よし!じゃあミヤァロの宿を目指そう!」

 

馬車の契約はこの町までだったので

アタシ達は徒歩でミヤァロの宿を目指した。

 

橋を渡りしばらく歩くとそれらしき建物が

見えてきた。

割と小さな建物でそばに小屋と畑がある。

ひとつ目を引いたのが少し先に設置されてる

気球。あれはこの宿屋の気球なんだろうか?

それとも定期船か何か?

 

「あぁ、気球船があるのね。」という程度に

特に気に留める事もせず宿屋の玄関に

向かった。

 

「いらっしゃいませ旅のお方。

遠路はるばるようこそおいでくださいました。

ここはミヤァロの宿でございます。」

 

「こんにちは。

ご主人さん、悪いけどオイラ達客じゃないんだ。

ちょっと道を聞きたい。

チョルルカの居城っていうのはどこにあるのか

知らないか?」

 

「はっ、チョルルカ様の居城・・・

ヨンツゥオ湾にある大聖堂でございますね。

ただ・・・現在チョルルカ様が突然行方不明に

なってしまったとかで聖堂内は大混乱

とのこと。

もしや義勇軍に倒されたのでは!?という

噂も出回っております。

チョルルカ様の前の執行官、マレドー様と

いう方も突然姿を消してしまい、上級執行官が

立て続けに行方不明となり、聖堂内は

混迷を極めてると聞きます。

上級執行官がこうも代わられると我々庶民も

困るのです、なにせ代替わりのたびに

重い税を課せられてしまい・・・

はっ!私としたことが!

旅の方に愚痴をダラダラと・・・・

申し訳ございません!」

 

上級執行官が代わる度に重税ですって!?

ったく宇宙政府というのは!

一般人達から毟り取ることしか考えてないのね!

代替わりで重課税なんて意味がわからない!

 

けど、この人達からすればチョルルカが

いなくなったせいでまた生活が苦しくなる

わけだから。

大義の為にやった事だとしても

直ちにアタシ達の事を理解してくれるかは

わかんないわね。

ここはチョルルカとの事は伏せて

おいた方がいいんじゃないかしら。

ねぇ?オリオ・・・

 

「大丈夫!オイラ達は宇宙政府を倒す為に

活動している義勇軍なんだ。

政府を倒したらもう税金に苦しまなくて

済むぞ!」

 

え!?

 

ちょっとモガ丸!????

 

「はっ?アナタ達が義勇軍?

そ、それは本当なのですか?」

 

「本当だぞ!」

 

「本当・・・・あ、そう・・・・・

はぁああああああああああああああ!!??

テメエらが義勇軍だとぉ!

テメエらがチョルルカ様に何か

しやがったなぁ!?

出てけ!出てってくれ!!

義勇軍なんぞに関わってたらオレまで

政府に睨まれちまう!

とっとと出てけーーーー!!」

 

「もがー!

な、なんだ?いきなり怒りだしたぞー!

どうしたんだ!?」

 

あちゃー、けどそりゃそうでしょ(+_+)

 

「ま、まぁご主人、まずは落ち着いて。

もう少し我々の話を聞いてください。」

 

コッツが宿屋の主人の怒りをなだめようと

したけど。

 

「これが怒らずにいられるかってんだ!」

 

「わかった、わかった!出て行くよ!

けどお願い、大聖堂の場所だけでいいから

教えてくれ!」

 

「はぁ!?図々しいにもほどがあるぞ!

・・・ん、待てよ。」

 

モガ丸・・・ちょっとは話してる相手の気持ち

を考えなきゃ!

このご主人にとっては死活問題なのよ、

上級執行官が次々と代わるっていうのは。

そしてその原因にはアタシ達も関わってる

んだから。

いくら自分達は正しいことをしてると

思っていてもそれを他人が同じように

共感してくれるかはわかんない、

っていうのをここまでの旅で散々

思い知ってるでしょうに!

 

と、アタシはモガ丸の無神経さに内心

苛立ちながらも、なんとか最低限の質問だけは

宿屋の主人に投げかけたモガ丸のちゃっかりさ

に苦笑いするしかなかった。

 

すると宿屋の主人は何やら思案している様子。

アタシ達は主人の次の言葉を待った。

 

「・・・いいだろう、テメェらに協力

してやろう。

ただし!オレの命令をこなしてからだ!」

 

「お、おぉ!良かった、なんだ、

最初っからそう言ってくれればいいのにぃ!」

 

「やかましいぃ!

どうせ義勇軍に絡むんだったら利用するだけ

利用したほうが損はしないからな!」

 

まっ!こっちもちゃっかりしてる。

心配したアタシが損したかも(^ ^;

 

「いいか?オレはこの宿屋を増築して

今よりも大きくしたい。

だが増築するには当然、材木が必要だ。

材木にはヒノキを使いたい。

良質なヒノキだ。それはここから西に雲海を

渡った先にあるチィゴ島で採れる。

ところがここ数年で政府の圧政がキツくなり

島にも魔物が巣食うようになっちまった。

テメエら、島の魔物を一匹残らず

駆除してこい。オレは魔物と戦う力はないし、

もしあったとしても魔物を倒したりしたら

政府への反逆になっちまう。

けどテメエらならできるだろう?

大聖堂に行きたいのなら拒否なんて

できねぇよな?」

 

あぁ、結局この展開ね。

確かに大聖堂の情報は欲しいけど

かなりゴリ押しされてる感じ。

 

「ここんとこの立て続けの上級執行官の

代替わりで俺たち平民は本当に重税に

苦しんでる、だから儲けをもっと大きくして

税金を払うしかない、だからこの宿を

大きくしたいのに魔物、元はといえば政府の

せいで増築はできない、まったく理不尽な

話だろ??ちょっとでもオレらを可哀想だと

思うんなら頼みを聞いてもバチは

当たらないと思うぜ!」

 

むむ、確かに理不尽な話だわ、悪循環に

陥ってるわね。

ふぃ〜、ギィシィの町では、人間と魔物とが

分かり合えるかもしれないって希望を

持てたのに、やっぱり魔物退治しなきゃ

いけない事もあるのか〜。

これもまた理不尽というか不条理というか。

 

「オリオリ様、私怖いです、この人。

めちゃくちゃ怒ってる・・・」

 

「けど命令を聞かなければ情報を

教えてくれはしないでしょう。

リザさん、やむを得ませんが、このご主人の

言う通りにしてもらえないでしょうか?」

 

そうね、あまり乗り気じゃないけど

この人たちの境遇が理不尽である事は

間違いない。

アタシ達の目的も絡んでる事だし。

この主人が困ってるのは確か。

ちょっと態度に難ありで、そこが引っかかるけど。

 

「チィゴ島には気球船で渡れる。

ここから先の岬に気球船が設置してある。

それで島に向かえ。

で、魔物の巣があるのは島の中心部にある

チィゴの祠だ。

わかったな?わかったら早く行ってこい!」

 

あぁ、あの気球船ね。

ここへ来る時に見かけた。

 

「よし、じゃあ気球船でチィゴ島へ

向かうぞー!」

 

やっぱり上から目線なのよね〜この人。

態度とか雰囲気で人を判断しちゃいけない、

とは思うんだけど。

けど人に物を頼む時の言い方も大事だとは

思うんだけどね。

 

アタシ達は岬に向かい、気球船に乗り込んだ。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード3.「ツンとデレな人」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



気球船でしばらく進むと

確かに小さな島が見えてきた。

着陸できそうな場所を見つけ、

気球船を下ろす。

 

「ここがチィゴ島だな。」

 

「確かにヒノキがたくさん

生い茂っていますね。」

 

「気球船から見た感じでは

島の中心部はあっちの方角ですね。

そこに祠があるとご主人は

おっしゃっていました。

さっそく向かいましょう。」

 

アタシ達はさっそく祠を目指して

歩き始めた。

小さな島だったので幸い、それらしき

祠へはすぐにたどり着いた。

 

「ここが魔物の巣窟となっている、

との事。

リザさん達、さっそくお願いします。」

 

祠の内部には確かにたくさんの

魔物が巣食っていた。

木の精霊らしき魔物、

コウモリのような魔物、

政府から派遣されたというより

土着の魔物が凶暴化した、

といったところかしら。

 

アタシ達はそれらを倒しながら

祠の奥へと進んでいった。

最深部に到達すると、そこには

巨大なバラのような魔物がいた!

 

バラはアタシ達の気配に気づくと

いきなりその、棘のついた触手で

襲ってきた!

クっ!戦うしかないか!

 

アタシは。

話のわかる魔物が相手ならば

交渉してヒノキを伐採させてもらって

速やかに立ち去ろう、とオリオリに

相談するつもりだったんだけど。

 

植物の魔物が相手では話は通じない、

退治するしかないわね。

 

ギィシィの町の魔物と出会って以来、

アタシは魔物との無用な戦闘は

したくない、と考えるように

なっていた。

しかし今この瞬間は、そうも

言っていられないみたいね。

 

「ジョギー!レイファン!

陽動をお願い!

植物の魔物は火に弱いはず。

呪文の詠唱時間を稼いで!」

 

「わかった!」

 

「了解、お姉ちゃんっ!」

 

弟達が魔物との間合いを詰め、

触手を誘導する。

その合間にアタシは呪文の詠唱に入る。

 

「よし!いいよ、離れて!」

 

弟たちが魔物から離れたのを

確認してアタシは呪文を放つ!

 

「メラガイアー!!」

 

ドォォォン!

ゴオオオオオ!!

 

特大の火球がバラの魔物に命中し

凄まじい火柱が上がった!

花びらや触手は勢いよく燃え上がり、

やがて炎が収束する。

燃えカスすら残さず魔物を倒した。

 

「よーし!ボスらしき魔物を倒したぞ、

さずがリザ達!」

 

「リザ殿達は・・・ホントに強い・・・!」

 

「リザさん達、ご苦労様でした。

これで祠内の魔物は全て倒したはずです。

さっそく宿屋のご主人に知らせてあげましょう。」

 

うん、目標は達成。

けどなんだろうなぁ、このモヤモヤ。

本来なら、ここの魔物はアタシ達に

倒されるはずはなかった。

それを宿屋の主人さんがヒノキを

採りたい、という理由でアタシ達が

退治することになってしまった。

 

もちろん、主人さんがヒノキを採る理由も

承知してる。

政府からの重税を払うため、経営してる

宿屋の売上を上げる。

その為の増築にここのヒノキが欲しいという。

 

けど、なんかひっかかるのよね~。

目的の為、多少の犠牲は仕方ない、

っていう形になるでしょう?今回の魔物退治。

これって結局ピエールと同じ事を

してるんじゃないかって、アタシの中で

疑問が生まれちゃったのよね~。

 

結局、義勇軍と宇宙政府が対立してるから

どちらも犠牲は生まれちゃうって事

なのかしら。

 

ピエールのやろうとしている事は

間違っている。

けどそれはアタシやオリオリの視点で

見れば、という話。

彼も・・・一応言葉の上では宇宙に

平和をもたらすために行動してる、

と発言している。

 

お互いの信念がぶつかり合ううちは

多少の犠牲は生まれてしまうだろう。

 

けどアタシ達は。

できることなら犠牲は最小限にしたい。

今のアタシ達にできる事は

きっとそれぐらいしかない。

 

やっぱり宇宙政府の方針こそが

諸悪の根源だ。

それだけはアタシ達の主観でも

客観的に見ても間違いない。

 

アタシはモヤモヤを抱えながらも

自分達にできる精一杯のことだけは

やろうと思った。

帰りの気球船の上でオリオリに

アタシの考えを話してみた。

 

「・・・・そうですね、リザさんのおっしゃる事に

一理あると思います。

我々の目的は宇宙政府打倒です。

政府が我々を襲う目的で魔物を

差し向けるならばこれを撃退しなければ

なりませんが、野生や土着の魔物で

特に危害がなさそうなものを

無用に退治することは控えるよう

心がけましょう!

しかし一番大事なのはそれぞれ

自分の命です。

これもまた無用に捨てるような行為は

禁じます。

降り懸かる魔物は、やはり振り払うより

ほかありません。」

 

オリオリ!ありがとう!

アタシの考えを取り入れてくれて。

思い切って打ち明けてよかったわ。

 

「リザさん、思うことがあれば

いつでも相談してくださいね。

1人で抱え込んでは疑問はやがて

迷いとなり、とんでもない失敗を

招いてしまいますから。」

 

うん、タァコでの件があるから

耳が痛いけど(+_+)

悩みってみんなで共有すれば

その負担が軽くなるもんね。

ありがとうオリオリ!

 

「いらっしゃいませ、遠路はるばる

ようこそ旅のお方。

ここは宇宙政府御用達の宿屋で

ござい・・・・って、テメエらか!」

 

ミヤァロの宿屋に戻ると

主人さんが例のごとく手荒く

迎えてくれた。

 

「ご主人、島の魔物は退治しました。

これでヒノキを採取できますよ。」

 

「何、本当か!

ありがてぇ、テメエら義勇軍を

すこ~し見直したぜ!

よぉし、これで宿を増築できる、

宿泊客が増えればなんとか

重税も払えそうだ。

じゃあ約束通り、大聖堂までの

道のりを教えてやろう。」

 

よかった、なんとか話が前へ

進みそうね。

 

「宇宙政府がこのヨンツゥオ大陸を

統括する為の拠点、それが大聖堂だ。

大聖堂からヨンツゥオ湾を北上すれば

ジリョン城があり、ジリョニスタの塔がある。

この3つの建造物はこの大陸における

宇宙政府の重要施設ってワケだ。

で、テメエ達部外者が大聖堂へ行くには

通行証が必要だ。

通行証はここから北へ進んだ先にある

キュウウェルの関所で発行されている。

大聖堂へ行きたけりゃ、さっさと

関所へ行きやがれっ!!」

 

「わかった、わかった、どうもありがとうよ!」

 

「宿屋が大きくなったら

またみんなで遊びに来ましょう。」

 

「いいや!!テメエら義勇軍は

お断りだ、二度と来るんじゃねえぞ!

・・・けど、チィゴ島の魔物の事は

助かったぜ、ありがとよ。

ここから関所までは少し距離がある。

これでも持っていきやがれ!」

 

そう言うと、主人はカウンターの下から

干し肉、パン、チーズ、ドライフルーツなど

保存食と水を取り出した。

 

「長旅をする宿泊客に出してるものだ、

特別に無料サービスだ、

その代わり、二度と顔見せんじゃねえぞ!」

 

「ご主人!お気遣いありがとうございますっ!

遠慮なくいただきます!」

 

「口は悪くても案外親切なご主人ですね。

こんなに食料をくれるなんて。」

 

うん、ご厚意ありがたく!

態度とは裏腹に少しはアタシ達を

応援してくれてるんだろう。

けど、この宿では政府の被支配層の

人々の、苦しいリアルな生活の声を

聞くことができた。

 

アタシ達が良かれと思い、

政府への反抗を示す裏で

庶民のみんなを苦しめてしまう事も

あるという事を教わることができた。

それもアタシ達は肝に命じなきゃ

いけないわね。

 

さて。目指すはヨンツゥオ大聖堂。

いよいよ宇宙政府の中核に

迫ろうとアタシ達はしている。

 

ここから先は心して旅をしなければ。

アタシ自身の悩みや庶民のみんなの

苦しい実生活。

様々な思惑を抱えながらも

アタシ達はキュウウェルの関所を

目指した。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。



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エピソード4.「密談合」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



その頃、宇宙政府関係者達の間で

会合が開かれていた。

もちろんアタシ達は知るよしもないけど。

 

「チョルルカ様が倒されただとー!?」

 

「まさか・・・チョルルカ様は、その猛烈な

激臭で対峙するもの全てを無力化し

歯向かう相手を葬り去ってきたといいます。

向かうところ敵なしだったはず。

一体何者です、チョルルカ様を倒したと

いうのは?」

 

「義勇軍と、これに加担する

ブルリア星の冒険王だ。

特に冒険王のほうはブルリア星に

配置されていた魔星王ドスラーデスを

倒したという者たちだ。

その強さは紛れもなく本物。

チョルルカやドアヌを遥かに超える

戦闘力を持っている。」

 

声の主は次期上級執行官候補の

2体の魔物。

その2体にアタシ達の事を報告しているのは

白いスライムナイト、ピエール。

 

「ヒャーッハッハッハ!

コイツはおもしれぇ、魔星王に上級執行官

が2人も!

よぉし、だったらこの俺様が

その冒険王とやらをぶっ倒せば

チョルルカ様の後任の上級執行官の座は

俺様のものだな!」

 

「アッガラーよ、敵を侮らない方が良いですよ。

我が政府の幹部級がこれほど

倒されているのです、戦うのならば

かなりの警戒が必要でしょう。」

 

「ご忠告ありがとうよ、ズデーロン。」

 

2体の執行官候補の名はアッガラーと

ズデーロン。

口調が荒いほうがアッガラー。

逆に丁寧なほうがズデーロンね。

 

「冒険王の戦力が大きいのも

脅威だが、厄介な事に

南ヨンツゥオ地方の一般市民たちが

チョルルカ討伐に協力していた

という報告が入っている。

冒険王達がチョルルカと

真っ当に戦えた要因として

チョルルカの激臭対策が

上手くハマったのが大きい。

その対策を練り実践したのは

ランペェ地方の住人だという。」

 

「なんと!由々しき事態です、

一般市民が反乱軍に加担し、

小規模ながらクーデターを成功させた

という図式になってしまうではないですか!

これは!

一般市民に『宇宙政府の統治が

揺らいでいる』という印象を

与えかねない案件です!」

 

「そうだなぁ、このままじゃ

政府が舐められるってワケだ。

で?ピエール。

義勇軍とその冒険王一味とやらの

軍勢の規模はどれくらいなんだ?」

 

「主に戦闘を担うのは冒険王姉弟の3名だ。

その他に義勇軍の3番隊隊長の女が1人。

あとは非戦闘員と見ていいだろう。」

 

「はぁ!?たった3人だとぉ!?

なんということだ、たった3人に

上級執行官や魔星王がやられたってのか?

か~~~~ったく宇宙政府の上級執行官も

地に堕ちたもんだぜ!

ドアヌ様もチョルルカ様も政府の顔に

泥を塗っちまったな!」

 

「アッガラー、口が過ぎますよ!

上層部の耳に入れば厳重処分ものです!」

 

「だってよぉ、ズデーロン。

あれだけデカイ顔してた割にたった3人に

やられたんだぜ?

倒された執行官様たちのほうが

よっぽど処分に値すると思うぜ。」

 

アッガラーという名の

下品な言葉遣いの魔物は

どうやら上昇志向が強いみたいね。

アタシ達が倒した上級執行官達に

対して蔑視しているような口調だった。

 

「ズデーロンよ、次の上級執行官には

貴公も候補者に名を連ねている。

そこでどうだろう、貴公ら2名で競い合い、

先に義勇軍を討伐した者が次の

上級執行官に就任する、という案は。

私は結果を見届け上層部に報告し

執行官任命の勅を受け取ってこよう。」

 

「あぁ?おいおいおい、ちょっと待てよピエール!

義勇軍と戦うって言い出したのは俺様が

先だぜ、なんでズデーロンと競合になるんだ?」

 

「その方が公正明大だろう。

実力で勝ち取るほうが貴公の性分に

合うのではないか、アッガラー。

議論や多数決での選出は

納得いかぬではないか?」

 

「ワタクシは別にどちらでもかまいませんが。

そのような酔狂な選出方法に頼らずとも

上層部の決定に従います。」

 

「ハンっ!このまま放っておいても

テメエが任命される、とでも

言いたげじゃねーか、気に入らねえぜ!

勝負しやがれよ、ズデーロン!!」

 

「全く・・・・アナタの口の悪さときたら。

いいでしょう。

ただし上層部がこの選出方法を

容認するかどうかはわかりませんよ?」

 

「双方、この案を飲むというのなら

私が責任を持って上層部に掛け合う。」

 

「よぉし!話は決まったな。

じゃあ俺様は自分の砦で義勇軍を

迎え撃つとしよう。

関所通交官アクルよ、義勇軍が

関所に来やがったらまず

キュウウェル西の砦に向かうよう誘導しろ!」

 

後方に控えていた部下らしき

魔物が口を開いた。

 

「ハッ!・・・しかし・・・・」

 

アクルと呼ばれた魔物は

ズデーロンのほうを一瞥した。

 

「いいでしょう、義勇軍には西の砦に

向かうよう進言なさい、アクル。」

 

「ハ、承知しましたズデーロン様。」

 

「フンっ、随分と物分りがいいなズデーロン。

しかし俺様が義勇軍を血祭りに上げた時点で

俺様の勝ちだからな!恨むんじゃねえぞ。

ピエールもわかったな!」

 

まるでアタシ達を賞レースの賞品かなにかの

ような扱いとする議論が進んでいく。

 

「アッガラー、それにズデーロンよ。

1つ注意事項を申し伝える。

義勇軍の総司令官オリオリ、彼女だけは

殺さずに捕えるのだ。

彼女には、その他大勢の義勇軍の潜伏先等、

尋問せねばならぬ事項が山程あるゆえな。

まぁ最も彼女は宇宙王の書という本の中に

封印されている。

手を出すのは不可能だがな。」

 

「ヘっ!宇宙王の書か、古臭い響きだぜ。

化石のような一族の生き残りが

生意気にも我ら政府に反抗など

思い上がりにも程があるぜ!

まぁ、いいだろう、尋問でも拷問でも

やってやれやピエール。

そんときゃぁ、俺様も立ち会うぜ、

ケーヘヘヘヘ!」

 

「オリオリの件、了解しましたピエール。」

 

「よし、では行けアッガラー!」

 

「おうよ!」

 

口が悪く残忍そうな執行官候補

アッガラーは談合の部屋から消え、

自分の砦に向かった。

 

「・・・良いのですか?ズデーロン様。

先にアッガラー様の砦へ義勇軍を

向かわせても・・・・。」

 

「アッガラーでは義勇軍、冒険王の

面々には勝てないでしょう。

彼には捨て駒になってもらいます。」

 

「・・・・なんとっ!」

 

「ドスラーデス、ドアヌ様、チョルルカ様

のみならず、ブルリア星に着任していた

ラデュラゲ様、ディミトリ様をも

冒険王とやらは倒したに違いない。

そのような強靭な相手に、

あの威張り散らすだけが能のアッガラーが

叶うはずはないでしょう、それに・・・。」

 

「それに?」

 

「アッガラーはその横柄な素行、態度が

部下たちからの不評を買っていると

耳にしています。

それが原因で自滅に陥るかも

しれませんね~クックックック。」

 

「なるほど、さすがズデーロン様。

やはり、その強さはもとより、

人格、慧眼、先見性、洞察力、

どれを取ってみてもアッガラー様の

遥か上を行かれている。

次期執行官はズデーロン様をおいて

他には居ないでしょう。」

 

「アッガラーとの戦闘後であれば、

いかな冒険王とて大なり小なり疲労の

蓄積があり、傷も1つや2つでは

済まないでしょう。

そこをワタクシは確実に突きます。

まさにアッガラーはワタクシの噛ませ犬

であり捨て駒というワケです。」

 

「ズデーロン様も人が悪い、クックックック。」

 

静かな口調の執行官候補ズデーロン。

見るからに残忍そうなアッガラーより

さらに冷酷そうな魔物ね。

そして部下の魔物はアッガラーより

ズデーロンを支持しているみたいね。

 

ピエールが口を開く。

 

「・・・通交官アクルよ、義勇軍が

関所を訪れたなら星屑魔法団を

餌にするのだ。

彼らは魔法団の行方を血眼で探している。

いとも容易くそなたの言葉を信じるだろう。」

 

「承知した!」

 

「ピエール、此度の競合、結果が

全てということでよろしいですね?

過程は問わぬということで。」

 

「・・・私は貴公らの派閥争いなど

興味はない。

アッガラーは先に義勇軍と戦うという

アドバンテージを得ているのだ。

彼が執行官に値する男なら

そのチャンスをものにすれば

いいだけのこと。

それを逸した結果、ズデーロン、貴公が

執行官に就任する、それはそれで

何も後ろ暗い事はないのではないか?」

 

「・・・なかなか物分りが良くて

助かりますよ、ピエール。」

 

「どちらが執行官になろうとも

かまわぬ。

私は早急に新たな執行官に

ダン灯台の宇宙船を動かして

ほしいのだ。」

 

「承知しました。

上層部への報告、くれぐれも

お願いしますよ。

ではワタクシも持ち場に戻ると

しましょう。

アクルよ、抜かりなく頼みましたよ。」

 

「ハっ!!ズデーロン様、

ご武運を祈り申し上げます!」

 

残る執行官候補ズデーロンと

通交官アクルもその場から

立ち去った。

残ったピエールは独り言つ。

 

「・・・・フっ、宇宙政府の内情など

こんなものか。

いくら巨大な組織といっても、

こうも一枚岩ではないとはな。

まぁ、そのおかげで新参者の私でも

付け入る隙があるワケなのだが・・・。」

 

そう言うと、ピエールは顔を上げ、

遠くのほうを見つめた。

 

「オリオリさえ、冒険王姉弟から

引き離すことができれば。

そうすれば、ようやく改革に

取り掛かれる。

ただ・・・アッガラー、ズデーロンですら

冒険王達を抑えるのは至難の業だろう。

その時は私自ら・・・!」

 

仮面の奥にあるであろう

ピエールの瞳がキラリと

光ったような気がした。




★★★登場人物★★★
・ピエール
白いスライムを駆るスライムナイト。
数々の調略を駆使し各国首脳、さらには
星屑魔法団までも宇宙政府へ恭順させる。
新しい魔星王誕生成功という事柄の
直接の張本人は"秘術"を行使した星屑魔法団だけど、
魔法団を宇宙政府側に協力させたピエールの罪は
この上なく重いとアタシは思う。
上級執行官チョルルカが倒れた後の後任候補者達の
調停役をこなす。

・アッガラー
ヨンツゥオ大陸南部地方の上級執行官候補者。
気性が荒く口調も荒い、上昇志向の強い魔物。

・ズデーロン
アッガラーと同じく執行官候補者の1人。
アッガラーとは正反対に丁寧な口調と
冷静で大局を見て先を見る力を
持ち合わせている。

・アクル
ヨンツゥオ大聖堂への関所の門番役人。
執行官候補者達よりも下位。
2名の候補者のうちズデーロンを支持している。



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エピソード5.「双方化かし合い」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「オイラ達、ヨンツゥオ大聖堂へ行きたい

んだけど。

え?オイラ達は何者かって?

オイラ達はぎゆ・・・んが!ングググっ!」

 

ジョギーが慌ててモガ丸の口を手で塞ぐ。

んもう!

だぁから!モガ丸っ!

簡単に自分達の素性を明かしちゃダメだって

あれほど言ったのに!!

しかも相手は政府の魔物じゃないっ!

皆が皆、ギィシィの魔物のように友好的

だとは限らないでしょ!?

 

ヨンツゥオ大聖堂への通行証を発行して

もらう為、アタシ達はここ、キュウエルの

関所へとやってきていた。

 

関所に居た役人らしき魔物に用件と身分を

聞かれたモガ丸がいとも簡単に

自分達の素性を口にしようとしたので

慌ててジョギーがモガ丸の口を塞いだ

ってワケ。

 

「君達見たところ宇宙政府関係者では

ないようだが?

関係者以外が大聖堂へ行くには此処で通行証を

発行しなければならんのだ。

しかし現在、上級執行官が不在ゆえ通行証を

発行する事ができん。

すまんがお引き取り願おう。

ちなみに、もう一度聞くが何用で大聖堂へ

行かれるのか?」

 

「あー、えーと、そう!

なんでも先の上級執行官チョルルカ様が

行方不明になったとかで新しい執行官様が

まもなく就任されるとか。

その際に課せられる税金を一足早く納めよう

かと思いまして。

こういうのは早いに越したことはないかなぁと。

新しい執行官様の覚えを愛でたくして

おこうかなぁ、なんて・・・ハハハハハ。」

 

コッツがとっさに、それらしい理由を

繕ってくれた。

うん、それっぽい。

 

「ほう、そのような政府の内情、どこで

聞きつけたのか知らんが・・・。

まぁ、その心掛けはなかなかよろしい。」

 

(・・・チョルルカ様が行方不明!?

新しい上級執行官が間もなく着任だとぉ!?

このような内部機密、一般の民がこんなに

早く知る由もない。

間違いないな、此奴らが義勇軍と冒険王一味!)

 

「よし、君達。

たしかに大聖堂にはまもなく新しい上級執行官

が着任される。

次の執行官候補は2名おられてな、ここから

西に向かった先にキュウエル西砦がある。

そこに候補者のお方がおられる。

どうしても用件があるというのなら

西の砦へ向かうがいいだろう。」

 

「ありがとうございます、お役人さま。

それともう1つ、質問が。

星屑サーカス団の行方を知りませんか?

私達、あのサーカス団の大ファンでして。

この地方に向かったという風の噂を

耳にしたもんですから。」

 

(!!星屑魔法団の行方を探しているっ!

間違いなく此奴らが義勇軍!

はっはっは!ズデーロン様、全て手筈

通りですぞ!)

 

「星屑サーカス団か、ちょうど良いぞ君達。

彼らならキュウエル西砦に向かった。

その、執行官候補様に面会にな。」

 

「おぉ、これはラッキーだ。

わかりました、ありがとうございます。

それでは我等はこれにて。

失礼いたします。」

 

(ふん、納税にサーカス団の大ファンだぁ?

よくも抜け抜けと嘘八百を並べたものよ。

しかし全て予定通りだ。

これで此奴らはアッガラー様の元へ向かう。

そこで此奴らはアッガラー様を倒し

次にズデーロン様が此奴らを倒す。

晴れて我らズデーロン派がこの地を

治めるという寸法よ。

しかし・・・あのような年端もゆかぬ

若者達が義勇軍の中核、そして冒険王とは。

いささか信じ難くはあるがな。)

 

関所でアタシ達を案内してくれた魔物こそ、

例の密談合に加わっていたアクルという

通行官。

もちろんアタシ達は彼がどういう思惑で

行動しているか、裏にどのような陰謀が

働いているかなど知る由もない。

 

「今度も親切な魔物で助かったな!」

 

「もう、モガ丸!

全く懲りてないんだからっ!

たまたま親切な魔物だったから良かったものの

時と場合と魔物によっては即逮捕!

なんて事もあるんだからね!!」

 

「モガ〜申し訳ない・・・。

今度から最初の挨拶はコッツに任せるよ・・・。」

 

またも失態を犯しそうになったモガ丸を

アタシは叱責した。

 

ちょっと言いすぎかしら、

かなりしょげさせてしまった・・・(^ ^;

 

「まぁまぁリザ殿、モガ丸殿も反省してますし。

けどたしかに、魔物との無用の争いを避けるには

我等の身分は簡単には明かさないほうが

良さそうです。

特にこの辺りは大聖堂が近いこともあり、

今まで以上に警戒を強めて行動しなければ

いけないでしょう。

モガ丸殿は少しウッカリさんなところが

あるので次からは挨拶や応対は私がやります

・・・。」

 

「モガ!コッツこの野郎!

誰がウッカリさんだっ!!」

 

「え!?ひえーーーーー!

ごめんなさい!モガ丸殿、そんなつもりでは!」

 

「ピッ!ピピー!」

 

「だってヨォ、スラッピ〜!」

 

「・・・こんなやり取り、前にも見たような。

コッツも割と失言が多いのかもしれません

・・・」

 

書からオリオリが現れ、アタシにコソっと

囁いた。

確かに・・・コッツとモガ丸のこんなやり取り

前に見たかも(^ ^;

 

けど、そうね、確かにこの辺りはもう

政府の中枢、大聖堂の近くだもの。

警戒は強めなければ。

それに今から向かう砦には執行官候補が

居るという。

今度は面会だけでは済みそうにないわね。

 

多少、緩みがちなパーティーの空気を

引き締めながら、今度は厳しい戦闘に

なるだろう、という覚悟を持ちアタシ達は

キュウエル西砦へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アクル
キュウエルの関所を守る役人。
2名の上級執行官候補者のうち、
ズデーロンという候補者の魔物を
支持している。


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エピソード6.「上昇志向の塊」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



!!!

これはっ!!!

 

「リザ姉っ!これは・・・・

とんでもないぞっ!」

 

「突き刺さるような殺気だよっ!

お姉ちゃん、お兄ちゃんっ!!」

 

アタシ達姉弟は冒険王ガイアスの

血を色濃く受け継いでいる。

邪悪なオーラや殺気を感じ取る能力が

ここに来て開花しているの。

 

関所から西に向かって少し歩くと

その突き刺さるほどの殺気は

アタシ達姉弟の感覚を襲った。

 

「これほどの明確な殺意を、

まだ砦が見えないこんな遠くの位置まで

届かせるなんて・・・。

心して対応しなきゃいけないわ、2人とも!」

 

ジョギーとレイファンはアタシの言葉に

強く頷く。

ピエールと魔法団の行方を追ってきた

アタシ達パーティーだけれども

次期執行官候補という魔物との

対決は不可避だという事を、

その強烈な殺気から感じ取った!

 

しばらく歩き続けると砦らしき建物が

見えてきた。

もちろん砦に近づくにつれ殺気は

強くなっていく。

 

「オリオリ、コッツ、よく聞いて。

目の前の砦から異様なまでの

殺気を感じる。

おそらくその、次期執行官候補の

モノだと思う。

最初っからアタシ達を襲う気

満々だと思うわ。

念の為オリオリは宇宙王の書から出ずに

姿を隠しておいて。そのほうが安全よ。

モガ丸、スラッピ、アナタ達もすぐに

身を隠せるようにしておいてね!」

 

「モガ~、リザ!

例の、じじぃと同じ能力で

敵の気配を感じ取ってたのか!?」

 

「うん、ここに到着する随分前から

この殺気は感じられていたの。」

 

「ひえ~~~!

そ、そんなに強い殺気なのか!

わ、わかった!

いつでも隠れる用意をしとくぞっ!

な、スラッピ!!」

 

「ピっ!ピピーっ!」

 

「わかりましたっ、リザ殿!

コッツ、命に代えてもオリオリ様を

お守りいたしますっ!!」

 

「了解しました、リザさん。

しかしコッツ、気持ちは嬉しいですが

以前にも伝えた通り、自分の命も

粗末にしてはいけませんよ、

これは厳命ですっ!」

 

「はっ、これはオリオリ様、

申し訳ございませんっ!

リザ殿、私はオリオリ様の護衛を

最優先しますが、サポートできる事が

あればいつでも加勢いたしますっ!」

 

「わかった。

まずはピエールと魔法団の所在を

確認しよう。

もし居ないようだったら退却も1つの

選択肢かもしれない。

その時はアタシが指示を飛ばすわ。

じゃあ皆っ踏み込むよっ!!」

 

アタシはパーティー全員に最大限の

警戒を促し、砦に突入した。

1階部分の大広間の中央まで

一気に進む。

 

・・・中はもぬけの殻だった。

けど殺気は依然漂ったまま。

周囲を見渡したけどピエール、魔法団は

おろか政府の魔物は1体もいない。

 

「モガ~、誰もいないぞ~?

リザ、ホントにここに執行官候補の

魔物の気配を感じたのか~?」

 

モガ丸が呑気な言葉を零す。

いえ、間違いなく居るわ、

それも10や20じゃないわ!

 

「リザ姉っ、上だっ!!!」

 

広間は吹き抜けになっていて

上層階まで見渡せる構造になっていた。

その最上階のバルコニーから

アタシ達を見下ろす魔物が居た!

 

「貴様ら、何者だっ!?

ここはこのオレ様、次期執行官候補

アッガラー様の砦だ。

何をしにやってきた?」

 

そこには巨大な三日月状の刃を持つ

斧を手に握った1つ目の魔物が居た。

コイツがこの殺気の持ち主っ!

次期執行官候補アッガラーかっ!

 

「私達は次期執行官候補様に

代替わりの納税をしたく

やってまいりました。」

 

コッツがひとまず表向きの用件を

アッガラーに伝える。

アタシは周囲に魔物がいないか

注意深く神経を張り巡らせる。

 

「税金を納めにだとぉ!?

ふん、テメエらのようなガキが

政府の課税を払えるとは

思えんがな~??」

 

「いえ、それは・・・・

この通り準備できております。」

 

コッツがパーティーのありったけの

所持金をアッガラーに提示してみせる。

 

「ほぉぉ、ガキにしてはえらく

たんまり持ってるじゃねえか。

しかもオレ様を次期執行官と見越して

やってくるなんざ、なかなか見どころ

あるじゃねえか、クックックック!」

 

「ところでアッガラー様、

この場所に星屑サーカス団が

面会に来ていないでしょうか?

私達、サーカス団の大ファンなんですぅ。」

 

「あぁ?星屑サーカス団だぁ?

そんなヤツらぁ知らねえ。

ん?ま、待てよ・・・。」

 

魔法団はここには来ていない、

クッ!肩透かしかっ!

退却できるなら退却すべきかっ!?

 

「星屑サーカス団、つまり星屑魔法団の

行方を追っているって事は・・・

もしやコイツら!!

しかも、あの女のガキが手に

持っている本は。まさかっ!?」

 

(確かブルリア星の冒険王とやらは3人、

そして義勇軍の女兵士が1人付いている

と聞いている。

・・・頭数はピッタリじゃねえか!

それに宇宙王の末裔は本の中にいるって

いうじゃねえか、まさかあの本は!!??)

 

「おい!ショートヘアの女!

手に持っている本を見せてみろっ!」

 

「へっ!

こ、この本を!?

この本がどうかしましたか!?」

 

え!?コッツ!?

なんで宇宙王の書をしまってないの?

これではアタシ達の素性がバレてしまうっ!

 

「その本を前に出して開いてみせろっ!

テメエら!テメエらがまさか義勇軍と

冒険王一味じゃねえだろうなぁ!?」

 

「ぎ、義勇軍!?

さてなんのことやら・・・。

こ、この本は!

・・・わ、私、読書が趣味で!

片時も本を手放せないのが癖でして・・・!」

 

「うるせぇ!早くしやがれ!」

 

もはやこれまでかっ!?

すると宇宙王の書がコッツの前まで移動し

オリオリが現れた!

 

「いかにも。私が義勇軍総司令官オリオリです。

上級執行官候補者アッガラーよ。

我々は星屑魔法団の行方を追っています。

ここには魔法団は立ち寄っていないのですね!?」

 

コッツの取り繕いも実らずオリオリは

自ら名乗り出た。

 

「オリオリ様、申し訳ございません!

道具袋にしまっておくべきでしたが、

私にはどうしても宇宙王の書を物のように

扱うことはできませんでしたっ!」

 

あぁ、そっか、そういう事ね。

コッツに取って宇宙王の書はオリオリそのもの。

道具袋の片隅にしまい込むなんて

無理だったのね(*^^*)

 

「良いのです、コッツ。

あなたの忠誠心には叶いませんねぇ、クス。」

 

「ひゃーっはっはっは!

やっぱりな、まさかとは思ったが

テメエらが義勇軍だったか!

待ち焦がれてたぜ〜テメエらをよぉ!」

 

「質問に答えなさい!

あなたは星屑魔法団の行方を

知らないのですね!?」

 

「やかましいっ!!

オレ様に偉そうな口聞くんじゃねぇ!

星屑魔法団なんざ知るか!

テメエらを皆殺しにしてオレ様が

上級執行官になるんだっ!

カビくせぇ化石のような一族の生き残りが!

生意気にも政府に反抗したらどうなるか

思い知らせてやるわっ!

だがテメエらには感謝してるぜ、なんせ

テメエらがチョルルカ様をぶっ倒してくれた

お陰でオレ様にもチャンスが巡って来た

ってワケだっ!

テメエらには恨みはねえがここで死んで

もらうぜっ!!!」

 

「リザさん、やはりここは戦うより

他ないようです。」

 

オリオリ、きっとハラワタが

煮えくりかえりそうな思いでしょうね、

あんな侮辱を受けて・・・。

 

任しといて!

とんだ下衆野郎だわ、ある種、上級執行官に

相応しい男だわコイツ。

アタシもこんな下衆は生かしておけない、

どのみちこの男が上級執行官になってしまえば

ランペェ村やブゥヘェの町のみんな、

ミヤァロの宿のご主人達が苦しむ事になる、

今ここでその芽を摘んでおくのがベスト

だもの!

 

「出合えぃ、者共!!」

 

アッガラーが号令をかける。

すると大広間中を覆い尽くさんばかりに

魔物の大群が現れた!

 

ようやく姿を見せたわね、アッガラーの殺気に

加えて、これだけの大群がいたからこそ

異様な規模の殺気を辺りに撒き散らしてた

ってワケね。

 

「モガ〜〜〜!!

と、とんでもない大群じゃないか!

大丈夫なのか、リザ達!?」

 

そうねぇ、ちょいと数が多いわね、

こういう場合はっ!

 

「かかれーーーーー!!!!」

 

アッガラーの号令とともに魔物の大群が

一斉にアタシ達に襲いかかってきたっ!

 

「ジョギー!レイファン!!行くよ!」

 

アタシも負けじと弟達に号令をかけた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アッガラー
次期上級執行官候補者の魔物。
気性が荒く、口調もかなり汚い。
上級執行官の地位を得るべく、
前任者チョルルカを倒したアタシ達を
倒そうと躍起になっている。


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エピソード7.「魔物社会にパワハラ横行!?」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「リザ姉ちゃん!ジョギー兄ちゃん!

サポートするよ、オンステージ!!」

 

レイファンがアタシとジョギーを

鼓舞する舞を踊り始めた。

ジョギーの攻撃力が上がり

アタシの呪文詠唱の時間を

短縮する事ができる踊り。

 

「あばれ斬り!!」

 

「イオマータ!バギマータ!!」

 

ジョギーの剣技とアタシの攻撃呪文が

魔物の大群に向かって無差別に飛んでいく。

 

「グゥワァァア!!」

 

「うげぇぇぇ!!!」

 

魔物達の悲鳴が広間じゅうに響き渡るっ!

アタシ達は間髪入れずに攻撃を続ける。

なおも剣のスキルと攻撃呪文が

魔物達を襲う!

 

シャッ、ガシュ!!

キュィィィィン、ドゴォォォン!!!

 

剣が風を切り裂き魔物達を切り裂く音と

空気が圧縮され爆発を起こす呪文の音とが

広間じゅうに響き渡る。

ほんの30秒ほどで魔物の大群の半分が

床に転がり動かなくなった。

 

「モガ・・・す、すごい、リザ達、

どんどん強くなってるぞ・・・。」

 

「あっと言う間にあれだけの大群が半分に!

リザ殿達の強さには・・・戦闘を重ねる度に

驚かされます・・・!」

 

自分達の仲間が次々と倒されていくのを

間近で目撃した残りの魔物達には

明らかに焦燥と怯えの表情が見て取れた。

戦闘開始前まであんなに充満していた殺気も、

今は僅かにしか感じない。

 

「グヌヌヌ、おい!

テメエら、なんてザマだ!!

敵はガキが3匹だけだぞ、それでも宇宙政府の

兵士か!!このクズどもがーーー!!

死ぬ気でやらんかっ!

オレ様の昇進がかかってるんだぞっ!!!」

 

「グッ・・・く、クソォ!

お、俺たちだけじゃ全然歯が立たない・・・」

 

「コイツら、ドアヌ様やチョルルカ様を

倒したんだろ?

そんなヤツらに俺たちがかなうわけ

ないじゃないか!」

 

「アッガラー様は加勢してくれないのか??」

 

ん?

残った魔物達のうろたえや疑問の声が

聞こえてきた。

なんだコイツら、頭数ばっかりで統制が

取れてないの??

ならば!

 

「おい!!なにグチグチくっちゃべってやがる!

とっととかかりやがれぇい!!!」

 

「う、うわぁぁぁーーー!!」

 

再度アッガラーが魔物達に命令を飛ばすと

破れかぶれのように魔物達はアタシ達に

飛びかかろうとしてきた。

 

「ベギラマ!ベギラマー!!」

 

ビュゥゥゥアアアア!

ボォオオオオ!!

 

アタシは灼熱呪文を飛びかかる魔物達の

足元へ放ち牽制した。

 

「ひぃぃぃ!」

 

魔物達は燃え盛る炎の手前で立ち止まる。

 

「聞きなさい!宇宙政府の魔物達!

アンタ達とアタシ達ではlvが違いすぎるっ!

戦いを続ければアンタ達の死体の山が

大きくなるだけだっ!

アタシは無抵抗の者まで葬ろうとは思わない!

戦う意志のない者は今すぐ立ち去るがいい。

けど、それでも向かってくるというなら

容赦はしないっ!!」

 

アタシは魔物達にそう言い放つと

特大の呪文で更に威嚇射撃した。

 

「メラガイアー!!!」

 

ゴォォォォォォ、

ドォォォォォン!!!

 

砦内の壁に大火球が炸裂し、建物が激しく

揺れる!

パラパラパラと、壁のレンガの破片が

粉塵となって降り注いでくる。

 

「チッ!ガキのくせになんてパワーだ!

えっ!?」

 

アッガラーは不意にマヌケな声を漏らした。

よっぽど目の前の光景が信じられなかったんだろう。

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!

こ、殺されるーーーーー!!!!」

 

残った魔物達が悲鳴を上げながら

逃げ出し始めた。

我も我も!と出口に向かって走り去っていく。

出口には逃げる魔物達が殺到し大混雑と

なっていた。

 

逃げ逸る気持ちに足が付いていかないのか

転げ回る魔物もいた。

その魔物に躓いてさらに転ぶ魔物もいる。

翼の生えた魔物は2階、3階の窓を破り

脱出するものもいた。

 

ものの1分も経たないうちに生き残っていた

魔物たちは雲散霧消してしまった。

砦内には生きている者ではアタシ達義勇軍と

アッガラー、そしてその側近らしき魔物が2体。

あとはアタシ達が倒した多くの魔物の死体の山

だけが残った。

 

よし、脅しが上手く効いたようね。

魔物といえど無用な争いはしたくない、

犠牲は最小限に抑えたいというパーティー内の

方針に沿った作戦だし、

何よりアタシ達の疲労の度合いも違うからね。

逆に怒り心頭で喚き散らしを始めたアッガラー。

 

「グヌヌヌヌ・・・・なんてザマだ・・・

たかがネズミ3匹に恐れをなして逃げ出すだとぉ!?

宇宙政府の面汚しどもめ!!」

 

「お~~~い、降りてきなさいよ~~~!

それともアンタも逃げる準備してるのかしら?

アタシ達は別にそれでも構わないけど。」

 

「な、な、な、なんだとぉ!!

ガキが俺様をコケにしやがるのか!!!

今すぐぶっ殺してやらぁぁぁぁ!!!!」

 

アタシはアッガラーをわざと怒らせるように

挑発してやった。

どうやらコイツはかなり怒りっぽい

みたいだからね、冷静さを奪ってやれば

こちらに有利だもの。

 

アッガラーは側近2体の魔物を引き連れ、

最上階のバルコニーから飛び降り、

この大広間の床に着地しこちらを凝視してきた。

分厚い仮面のようなものに覆われているので

表情は伺いしれないけれど

纏う殺気は最高潮に達している、という

カンジかしらね。

仮面の下の顔は鬼のような形相だろう。

 

「随分とナメた真似してくれやがったなぁ!

俺様をコケにしやがって・・・。

こうなったら俺様自ら殺してやらぁ!!

執行官補佐官ヨエル!ヨアキム!!

テメエらは逃げるんじゃねえぞ、

俺様のサポートをしやがれ!!!」

 

「ハッ!アッガラー様!!」

 

「全力を尽くします、アッガラー様!!」

 

補佐官ヨエルとヨアキムと呼ばれた

アッガラーの従者2人が拡がり、

戦いの陣形を取る。

 

「かかれっ!!!」

 

「でやーっ!」

 

補佐官2体がアタシ達に殴りかかってきた!

レイファンは後方に控え、アタシとジョギーが

迎え撃つ。

アタシは敵の拳をひらりと躱し、

ジョギーは盾で拳撃を受け止めた。

なおも補佐官達は拳を繰り出してくるっ!

 

アタシはそれらを全て身のこなしで

ひらりひらりと躱し続ける。

 

「おのれ!ちょこまかとっ!

目障りなヤツめっ!」

 

一向にアタシに攻撃をヒットさせる事が

できない補佐官ヨエルが苛立ちを隠せず

罵声を浴びせてきた。

 

アタシは魔道士。

放つ攻撃呪文の威力には自信があるけど

身体そのものの防御力はそれほど強くない。

代わりに敵の物理攻撃を避けるための

体捌きの修行を日々怠らない。

魔道士、賢者としては当然の嗜みよっ!

 

「クッソォ、これでもか!」

 

渾身の力を込めた一撃らしく、

ヨエルは大きくバックスウィングを取って

拳で殴りかかってきた。

当たればダメージは大きいんだろうけど

振りかぶりが大きい分、アタシとしては

避けやすい。

 

アタシは前方に向かって敵の懐に入り、

振りかぶってガラ空きになった脇付近から

飛び込み相手の後方に抜けて拳を躱した。

大きく振りかぶっている分、敵は空振りの

反動が大きくなり体勢を大きく崩す。

そこにアタシは呪文を見舞う。

 

「メラゾーマ!」

 

「ぐぉ!!」

 

メラゾーマの大火球が補佐官ヨエルの

背中に炸裂し、つんのめるように

彼は前方に吹っ飛んだ。

 

一方、ジョギーも補佐官ヨアキムに対し

優勢に戦いを進めていた。

 

ジョギーは敵の攻撃を躱すのではなく、

自ら剣撃を嵐のように繰り出し、

敵に反撃の隙を与えないという

立ち回りを展開していた。

ヨアキムは防戦一方ってワケね。

 

「うぉりゃっ!」

 

ガシュッ!!

ズザザザー!

 

ジョギーの剣撃を受け、ヨアキムもまた

後方に吹っ飛んだ。

偶然にも2体は重なるように同じ地点に

ふっ飛ばされ倒れ込む形となった。

 

「おぃおぃおぃぃぃぃ!

テメエらまで、なんだそのザマは!」

 

アッガラーが部下2体に罵声を浴びせる。

しっかしこの男、自分の部下達を

全く大事にしないわね。

敵とはいえ部下の魔物達に同情しちゃうわっ!

 

「グググ、しかしアッガラー様、

敵は3名、我らも3名です、加勢して

いただかなければ数的不利となってしまいます!」

 

「やかましいっ!

今、加勢してやるっ!

俺様に指図するなんざ100年早いわっ!!」

 

加勢してやるって・・・・。

よくわかんないけど、アッガラーにとっては

この戦いは上級執行官昇格への

チャンスなわけでしょう?

一体誰の為の戦いよ!?

この側近達は誰の為にアタシ達と戦ってると

思ってるのっ!

 

アタシは・・・なんかおかしな思考だけど、

あんまりにも理不尽なアッガラーの物言いに

敵側視点、主に補佐官視点で怒りを感じて

しまったわ。

 

と、そんな事を考えるほど、

この瞬間のアタシ達は暇じゃなかった。

アッガラーが巨大な戦斧を振りかざして

アタシ達に襲いかかってきた。

 

「ウラァァァ!!!」

 

斧は横真一文字に振り払われた。

アタシはジャンプしてその斬撃を躱し、

ジョギーは盾でガードする。

そのまま斬撃を狂ったように繰り出す

アッガラー。

しかしアタシ達には致命傷を与えられない。

 

「クッ!

なかなかやるじゃねえか!

さすがにチョルルカ達を倒してきただけの

ことはあるぜっ!」

 

戦斧を盾で受け止めたジョギーは、

そのままギリギリと盾で戦斧を

押し返そうとする。

負けじとアッガラーも戦斧で

盾ごとジョギーを押し込める。

睨み合いの状態となった時に

アッガラーが言葉を発したのだ。

 

均衡を破ったのはジョギー。

競り合いの体勢からアッガラーの土手っ腹に

蹴りを入れ敵を突き放す。

敵がよろめいた瞬間を見逃さずジョギーが

スキルを放つっ!

 

「超はやぶさ斬りっ!!」

 

シャッシャッシャーー!!!

 

目にも留まらぬ超速の剣撃が

無防備のアッガラーに炸裂したっ!

 

「グヘェェェ!!」

 

その衝撃でアッガラーは後方に

吹っ飛ぶっ!

アタシがさらに追撃をするっ!

 

「ライデインッ!!」

 

バシュッ!!

 

一筋の雷撃が上方からアッガラーに

命中した。

 

「グォォォォ!!」

 

顔を含め全身を鎧で固めている、

イコール雷撃や電撃の類が弱点だろう、

そう思ってアタシはデインの呪文を

放ったの。

思った通りアッガラーはかなりの

ダメージを負っているようだ。

 

「グヌヌヌヌ、こ、これが

ブルリア星の冒険王の強さ・・・!

こ、これほどとはっ!

クッソォ、相手はたかがガキ3匹

だというのにっ!

やいっ!ヨエルっ!ヨアキムっ!

テメエらいつまで寝てやがるっ!!

早く俺様のサポートをしやがれっ!!!」

 

「ハッ!アッガラー様!!

ただいまっ!」

 

サポート?

何か作戦を変えたわね。

 

ここまで闇雲にただ殴りかかって

斬りかかってくるだけの

一本調子だったアッガラー達の

攻撃に何か変化が起こるだろうと、

アタシの直感が作用した。

 

「ジョギー、レイファン!

気を付けて!

何か変化を加えてくるよっ!!」

 

「おぅ!」

 

「わかった、リザ姉ちゃんっ!」

 

すっくと立ち上がった2体の側近の

魔物の体が緑色の光に包まれる。

何か補助呪文かっ!?

 

「汝らの魔に抗う因子・・・

消え去れぃ!ディバインスペルッ!!」

 

2体の眼が妖しく光り、両掌から

緑色のビームが放たれアタシ達を

覆ったっ!

 

ドゥゥンッ!

 

補佐官達が唱えた呪文は、

攻撃呪文に対する耐性を下げる

デバフ呪文。

それ自体にはダメージを伴わないけど

判定が通った状態で攻撃呪文を受けると

通常状態で受けるよりもダメージが

大きくなる、っていう呪文。

 

マズイ!

コイツら魔法を得意とする魔物だったか!?

 

「へへへ、でかしたぞヨエル、ヨアキムッ!

喰らえネズミどもっ!メラストームッ!!!」

 

間髪入れずにアッガラーが攻撃呪文を

唱えた。

乱発性のメラ系呪文がアタシ達を襲うっ!

 

ボウッ!ボウッ!ボウッ!ボウッ!!

 

中ぐらいの火球が4発生まれ

無差別にアタシ達全員に命中したっ!

 

「アウッ!!」

 

「グワァァァ!!!」

 

「キャーーー!!!」

 

呪文耐性が下がっている分、ダメージが

大きいっ!!

 

クッ!

部下が呪文耐性を下げ、ボスが攻撃呪文を

放つ、なかなか理に適った連携で

攻撃してきたわねっ!

 

「さすが次期上級執行官候補者ね!

見事なコンビプレーだわ。」

 

今度はアタシ達が言わされてしまった。

うぅぅ、それにしても痛い・・・。

回復しなくてはっ!

 

「女神エイルよ、

皆の傷を癒やし給う、ベホマラーッ!」

 

レイファンが高難易度の回復呪文を

唱えてくれた。

炎で負った火傷がみるみる治っていく。

 

「助かったっ!ありがとうレイファンッ!!」

 

「うんっ!けど姉ちゃんっ!

私もメラストームを食らっちゃったから

オンステージが止まっちゃったっ!!」

 

味方を鼓舞する舞オンステージは

敵から何らかの攻撃を受けると

効力が切れてしまうという弱点がある。

攻撃を受けるということは

ダメージを負うわけだから

踊れないという、まぁ至極当然な

ことなんだけど。

 

「わかった、仕方ない。

けど回復呪文はいつでも使えるように

準備しててっ!

まだどんな攻撃を隠し持ってるか

わからないわっ!」

 

「うんっ!!」

 

依然、アタシ達の呪文耐性は

下がったまま。

ここは・・・!

 

「レイファン、アタシに続いてっ!

姉ちゃんと同じ呪文を唱えてっ!!」

 

「わかったっ!」

 

「主よ、ミトラ神よ、ご加護を持って

魔に抗う力を与え給う、マジックバリア!!」

 

「マジックバリア!!」

 

ギュイイン!ギュイイインッ!!

 

アタシとレイファンは下がってしまった

呪文耐性を戻すべくバフ呪文を唱えた。

同じ呪文を2人で唱えた分、

耐性を戻した上でさらに上げる事に

成功した。

これで攻撃呪文の脅威は薄れたっ!

 

「なんだとぉ!?

チッ!生意気なっ!メラストームッ!!」

 

ボウッボウッボウッボウッ!

 

再びメラの呪文を乱発してきた。

けど明らかにさっきよりは

ダメージが小さいっ!

差は歴然。

 

「エビルデインッ!」

 

アタシは反撃に出た。

さっきよりも上級のデイン呪文を

アッガラー目掛けて放つ!

 

「グォォォォォォッ!!」

 

アッガラーの片膝が床に着いた。

 

「ウググググ、く、くっそぉ・・・。

こ、ことごとく俺様の攻撃を縮小化し

逆に俺様の弱点を突いてきゃがる、

コイツら、戦い慣れてやがる・・・!

補佐官ども!き、貴様ら何をしている・・・!?

お、俺様を守りやがれ、玉砕してでもなぁ!!」

 

「は・・・わ、わかりました。」

 

補佐官達は、アタシ達にかなわない事を

もう自覚していながらも上官の命令に

背くことはできないんだろう、

悲壮な面持ちのままアタシ達に

突進してきた。

 

「ク、クソォッ!」

 

「ヤァァァァッ!!」

 

アタシ達は補佐官達の拳撃をいなす。

彼らの攻撃ではもはやアタシ達に

大きなダメージを与えることはできない。

 

「ゼェゼェゼェ・・・・・

お、おのれ~~冒険王め~~~、

オ、俺様をここまで追い詰めるとは

・・・、俺様をここまで

怒らせるとはなぁぁぁぁ!

ウォォォォォォォォォ!!!!!」

 

ムッ!?

邪悪なオーラ!?

しかもこの巨大さは!?

 

「ウォォォォォォォ・・・・・!!!」

 

ズババババババ

 

アッガラーのほうを見やると

彼の体が凄まじいオーラに

包まれているっ!

全てのパワーを集中させている!?

 

まずい、窮地に追い込まれて

とんでもないスキルを使おうと

しているのか!?

 

「これでも喰らいやがれっ!!

『星域の崩壊』!!!!!」

 

キュィィィィイイイイン・・・・

ドガァァァァァァァァン!!!!

 

 

「キャアアアアアアアッ!!!」

 

「グワァァァアアアアッ!!!」

 

「キャアアアアアアアッ!!!」

 

「ウギャアアアアアアッ!!!」

 

「グハッァァァァァァァ!!!」

 

 

突然、岩石のようなものが

無数に飛んできてアタシ達を

直撃した!

 

味方だけでなく、アタシ達と

組み合っていた2体の補佐官

をも巻き込んで・・・。

 

「リ、リザーーーーー!!!」

 

「ピピーーーーーー!!!」

 

「リザさんっ!!!」

 

「リザ殿ーーーーー!!」

 

モ、モガ丸・・・スラッピ・・・・

オリオリ、コッツの声が遠くから聞こえる・・・。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アッガラー
次期上級執行官候補者の魔物。
気性が荒く、口調もかなり汚い。
上級執行官の地位を得るべく、
前任者チョルルカを倒したアタシ達を
倒そうと躍起になっている。
その見た目とは裏腹に呪文を得意とする
戦闘スタイル。
特に部下のサポートとの連携は完成された
素晴らしいもの。
さらにキラースキルとして『星域の崩壊』
という特大スキルを駆使する。

・執行官補佐官ヨエル・ヨアキム
アッガラーの戦闘に於ける直属の部下。
補助呪文『ディバインスペル』を得意とし、
上官の呪文攻撃をサポートする。


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エピソード8.「ゲス執行官の見本のような男」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「モガ~~~、リ、リザ達がやられた?」

 

「ピーーー!!!」

 

「リ、リザさん・・・コッツ!

私のことは構いせませんっ、

加勢をっ!!!」

 

「ハッ!

そうだ、まだ諦めてはいけない!

私にできる事、それはっ!」

 

星域の崩壊・・・スキル大全図鑑で

よ、読んだ事が・・・ある・・・・。

相手の・・・体力の・・・約9割に・・・

相当するダメージを・・・与える技!

こ・・・こんな大技を・・・隠し持って

・・・いたとは!

ふ、不覚っ!!

 

「フ、フフフフフ・・・・

ハーッハッハッハッハーーー!!!

ざまぁみろ、一気に形勢逆転だっ!!

ネズミごときが俺様に勝とうなんざ

100年早いぜっ!!」

 

・・・きゅ、9割相当という事は・・・

そ、即死には至らないけれど・・・

次の攻撃を・・・受ければ間違いなく

死んでしまう・・・!

アッガラーが勝ち誇った高笑いを

するのも無理はない・・・。

絶対絶命・・・!

 

「・・・とはいえ俺様も相当な

ダメージを負わされた・・・。

容赦はしねえ!

即刻殺してやるっ!!

まずはちょこまかと回復行動を取る

貴様からだ!」

 

!!

レ、レイファンが狙われている・・・!

まず回復役を殺して確実に

アタシ達を全滅させるつもりだ・・・。

く、アタシがか、回復呪文を

レイファンに・・・!

 

「ベ、ベホイ・・・・。」

 

ダメだ、こ、声が掠れて呪文を

詠唱できない・・・!

し、しかもレイファンは気絶しているっ!

 

「へへへへ・・・・手こずらせたな、

死にやがれっ!メラゾーマッッ!!!」

 

アッガラーの掌から大火球が発生し

レイファン目掛けて飛んでいく・・・!

あああ・・・・。

 

妹がやられる・・・そう覚悟した刹那、

物陰から何かが飛び出し

迫りくるメラゾーマの火球とレイファンとの

間に割って入った!

 

「レイファン殿ッ!

私がお護りいたしますっ!!」

 

ドゴォォォォォン!!!

 

「な、なんだとぉぉぉぉ!?」

 

アッガラーが驚愕の声を上げる。

 

「グッ、なんのこれしきっ!!」

 

レイファンの前に立ち塞がったのは

なんとコッツだった!

 

「コ、コッツ・・・!」

 

「リザ殿、何かあれば私も加勢すると

申し上げましたでしょ?

私ではリザ殿達の足手まといにしか

なりませんが盾になるぐらいは

できますっ!

ささっ、これを飲んでくださいっ!」

 

そうか、戦友の盾っ!

コッツは味方を庇うというスキルで

レイファンを救ってくれたのねっ!

そしてコッツがアタシに向かって

小瓶を投げてきた。

 

これは!?アモールの水!

ありがたい、多少でも回復できるっ!

アタシは激痛に耐えながらなんとか

瓶の蓋を開け中身を飲み干した。

 

ポワ~~~ン

 

怪我の具合と体力の消耗が

僅かながら回復したっ!

しめたっ!これで回復呪文を

詠唱できるっ!

 

「女神エイルよ、我の愛しき友人の

傷を癒やし給う・・・ベホイム!!」

 

アタシは真っ先にレイファンに向かって

超回復の呪文を詠唱した。

 

パァァァァッ!

 

強い緑色の光がレイファンを

包み込むっ!

 

「う、う~~~ん・・・。

ハッ!わ、私!アッガラーに

やられて!?」

 

よかった、無事だった!

これでレイファンは全快っ!

 

「レイファンッ!

ベホイムを施したわっ!

急いでベホマラーをっ!

ジョギーとアタシが危険領域なのっ!」

 

「え!?あ、うんっ!!

わかったっ!!!

・・・・皆の傷を癒やし給う、

ベホマラー!!!」

 

緑色の光がアタシ、ジョギー、

そしてコッツにも降り注ぎ

傷を癒やしていく。

よしっ!

これで全滅の危機は去ったっ!!

 

「コッツ、貴女が私を護って

くれたんだね、ありがとうっ!」

 

「いえ、レイファン殿の危機を

救うことができ、このコッツ

光栄でございますっ!」

 

コッツが勇気を出して

戦闘フィールドに飛び出してくれた

おかげでアタシ達は絶体絶命の

戦況から脱することができた。

 

「チィィッ!!

しまった、そういえば義勇軍の

女兵士もいるんだった・・・!」

 

アッガラーが盛大な舌打ちをする。

 

「かくなる上はっ!

もう一度『星域の崩壊』を

見舞ってやるっ!!」

 

まずい、もう一度アレを喰らえば

今度こそ全滅・・・。

勝負を急がなければっ!

 

その時・・・巻き添えを喰って

倒れていた補佐官2体が

死力を振り絞って立ち上がろう

としていたっ!

しかし彼らもまた甚大なダメージを

負っていたので完全に立ち上がる事は

できずに片膝をついて座るのが

精一杯といった様子だった。

 

「はぁはぁ、ぜぃぜぃぜぃ・・・・。

ア、アッガラー様!

なぜゆえ我らまで・・・巻き添えに?」

 

「あ?ああ、悪ぃ悪ぃ。

予想以上に冒険王達が強いもんだからよぉ。

貴様らを捨て駒に使わないと

勝てねぇと思ったんだ。

貴様らと組み合ってるあの瞬間こそが

ベストタイミングだったってワケだ。」

 

!!

このゲス、なんて事を!

 

「まぁ、どのみち貴様らじゃ

冒険王達に倒されてただろうからよぉ、

だったら俺様の捨て石として

使われたほうがマシじゃねえか、

有効活用ってヤツよ。

俺様が勝てば貴様らの死も無駄じゃなくなる、

英霊様ってヤツだ。

悪いが俺様の昇進の為だと思って

許してくれよ、な!」

 

ムギギギギギ、なんて自己中なの!

さんざんこき使った挙げ句

自分の身かわいさのあまり

敵ごと攻撃するなんてっ!!

こんなムカつくヤツは

今まで見たことがないっ!!!

 

アタシは胸クソ悪すぎるアッガラーの

言葉に怒りが頂点に達してしまった!

 

「グ、ググググ・・・・

アッガラー様ぁ・・・あまりにも

むごすきます・・・・。

アナタが上級執行官にさえ・・・

なる事ができたら・・・

今までの理不尽な扱いに耐えてきた

我らも報われると思い・・・

お仕えしてきましたのに・・・・。」

 

「ふんっ部下が上官の命令に従うのに

報われるだの思いだの関係ねえだろ、

当たり前のことだ、

それに貴様らの代わりなどいくらでも

おるわっ!

要は俺様さえ生きていれば

あとはどうとでもなるのよ、

ヒャーッハッハッハ!!」

 

「グッグゥゥ~~~・・・。」

 

な、涙!?

悔し涙か?

補佐官ヨエルとヨアキムは、

これ以上ない侮蔑の言葉を浴びせられ

怒りの感情を表すのかと思いきや

意外にも涙を見せた。

 

魔物が涙を見せるのを

アタシは初めて見たかもしれない。

 

「さぁ!冒険王達!!

手こずらせてくれたが、

そろそろ終わりにしようや。

少しばかり回復したようだが

全快ってワケじゃねえだろう、

あれだけのダメージを受けたと

あっちゃあなぁ!」

 

・・・・これ以上コイツの声を

聞きたくない。

 

「リザ姉、オレ、これ以上

コイツの話を聞きたくないよ・・・。

ウラァァァァッ!!!」

 

ボッ、バシューーーー!!!

 

!!ジョギーが怒った!

彼もアッガラーの耳が腐るような

話に嫌気が差したようね・・・

無理もない・・・。

 

「姉ちゃん、兄ちゃん、

もう一度さっきのヤツを喰らったら

かなりキツいよ、一気にトドメを

刺そうよっ!それっ!!」

 

レイファンがアタシ達に指示を出す。

そして手に持った扇を掲げたっ!

 

「こだまする光撃を我が兄ジョギーにっ!」

 

扇から黄金色の光の塊が発生し、

それがジョギーの体へと移動し、

彼の全身が黄金色に輝く!

 

それは、黄金色の光を纏った者が

次に放つスキル(剣技に限らず物理攻撃)や

攻撃呪文がこだまし、2回連続で発動する

という不思議な、それでいて最強の

サポートスキル。

レイファンが最も得意とするサポートスキル。

 

「ジョギー、コンボよ、アタシが呪文で

攻撃するからアナタはそれに続いてっ!!」

 

「・・・わかった。」

 

怒りの中にもジョギーは静かに答えた。

これから放つスキルに集中しているんだろう。

 

「姉ちゃん、私もスキル撃つっ!!

1発ぶん殴ってやらないと

気が済まないもんっ!!!」

 

レイファンもっ!

そうね、全員でやっつけよう!

 

「何をコソコソやってやがるっ!

無駄なことをっ!!

今すぐ殺されるっていうのによぉっ!!」

 

ズババババババ

 

アッガラーが先程のように

邪悪なオーラを纏い始めたっ!!

『星域の崩壊』が飛んでくるっ!!!

 

「コッツ、アレを戦友の盾で

受けるのは危険だわっ!

ありがとう、後はアタシ達で

始末する、アナタは下がっててっ!!」

 

「りょ、了解しましたっ!」

 

コッツが後方に移動したのを見届け、

アタシ達は総攻撃の準備をするっ!

けど・・・一瞬のタイミングの差で

アッガラーのほうが先に動き出したっ!

 

キュィィィィイイイイン・・・

ドガァァァァァァァァン!!!

 

!!!

しまった!!

やられたっ!!!

 

「ウォォォォォ!!!」

 

『星域の崩壊』がアタシ達の攻撃より

先に発動してしまった。

アタシとレイファンはとっさに盾を

掲げた。

直撃よりは被ダメを抑えられるだろうと。

 

するとジョギーだけは盾を構えず

アタシ達の前に立ち塞がり、

なんと無数の岩石を全て弾き飛ばしたっ!!

打ち払いかっ!!!

 

ガキィン!!

ガキィン!!!

ガキィーーンッ!!!!

 

す、凄い・・・。

これは怒りの為せる技か!?

ジョギーの怒りは相当のものだって事ね。

 

「な、なんだとぉ!?

俺様の攻撃、全て弾き飛ばしただとぉ!!??」

 

自信満々のスキルが無力化された事で

アッガラーは動揺した。

その隙をアタシは見逃さないっ!!!

 

「今よ、撃てぇぇぇっ!!!」

 

「希望の舞っ!」

 

バシィッ!

 

「ギガデインッ!!&ジゴフラッシュ!!!」

 

バチィ!!バチバチバチィッ!!!

 

「ウォォォ!!!新奥義っ!!!

ギガクラーーーーッシュ!!!!!」

 

ジョギーが剣を掲げると空間に紋章が

浮かび上がったっ!!

それはかつて闇の大魔王を倒したという

伝説の勇者ロトの紋章っ!!

 

バチバチバチッ・・・

ズザァァァァァァ!!!!

 

ジョギーが剣を振りかざしたっ!

 

「ぐぉぉぉ、コイツら強すぎる!!」

 

アタシの攻撃呪文を受けた時点で

瀕死のハズだったアッガラーは

せめてもの抵抗をと、戦斧でジョギーの

剣を受け止めようと試みたっ!

 

ガキィィィィン!!!!

 

戦斧の刃は真っ二つに折れ

ジョギーの剣が炸裂したっ!!!!

 

「ウゴォォォォォォァァアアアア!!!!」

 

ギガクラッシュと呼ばれた剣撃は

さらにこだまするっ!

 

バチバチバチ・・・

ズザァァァァァァ!!!

ダガガガガッ!!!!

 

2発目はジョギーの怒りの感情が

スキルに乗り移ったのか

会心の一撃となりアッガラーに

炸裂したっ!

 

ゴォォォォォン!!

 

アタシ達全員の凄まじいコンボ攻撃を

その体に全て受け、アッガラーは

後方の壁まで吹っ飛び激しく

叩きつけられたっ!!!

 

・・・勝った!

アッガラーは断末魔を上げることすら

できないほどダメージを受け、

その場に倒れ込んだ。

 

「す、凄いわねジョギー。

あんな技初めて見たわ。」

 

「あぁ、スキル大全図鑑の新しい枠が

最近浮かび上がってて、そこに書いてた

スキルなんだ。

それから密かに修行を続けて会得したんだ。」

 

そうだったの。

なんとも!頼もしい弟だわ。

アタシも負けてられないわね。

 

「グヌヌヌ・・・・お、おのれ~~~!

こ、この俺様が・・・こんなヤツらに

・・・!」

 

アッガラーはまだ息があった!

けど、もう虫の息、放っておいても

息絶えるだろう。

 

と。

倒れていた2体の補佐官達が

ムクリと立ち上がった。

しかし彼らもまた絶命寸前だろう。

 

「まだ抵抗する気?ならばっ!」

 

アタシは補佐官達に向かって

杖を掲げた。

 

「ふ、ふはははは!

で、でかしたぞお前たち・・・!

せめて死ぬ前に一矢報いてやれぃ!!」

 

アッガラーは・・・部下達に

アタシ達を攻撃するよう命じた。

・・・厚かましいにも程があるでしょ!

 

仕方ない。

向かってくるというなら

トドメを刺すしかない。

せめて早く楽に・・・。

 

補佐官達は先程ジョギーが真っ二つに

割ったアッガラーの戦斧の破片を

それぞれ拾った。

それでアタシ達を?

 

すると2体の補佐官は踵を返し

なんとアッガラーの体に

その刃を突き立てたっ!!!

 

グサッ!!!

 

「ウギャアアアア!!!」

 

アッガラーの刺し傷から

体液が噴水のように吹き出した!

 

「き、き、きっさまら~~~~!

ち、血迷ったか!?」

 

「・・・血迷った!?

クックックック、ア、アッガラー様、

わ、我らは・・・い、いたって・・・

冷静でございます・・・。

こ、このまま・・・・アナタ様によって

殺されたのでは・・・わ、我らまず間違いなく

怨霊と化し・・・永遠にこの世を

さ、彷徨う事に・・・なっていたでしょう。

・・・せ、せめてう、恨みを晴らし・・・

その後、地獄へ堕ちたほうが・・・

よっぽど納得できる・・・というものです、

のぉ・・・ヨアキム。」

 

「・・・アナタ様は・・・今まで部下を

・・・・捨て石として使いすぎた・・・。

我ら・・・側近としてその悪行を・・・

いくつも側で見てきた・・・。

まさか我らまで・・・・!

そのような扱いを受けるとは・・・

微塵も考えませなんだがね・・・。」

 

「クッ・・・み、惨めだぜ・・・

上級・・・執行官になる・・・はずだった

こ、この俺様が・・・・無念・・・・

グフッ!」

 

・・・自業自得・・・。

その言葉しか思い浮かばない。

 

「あ、アンタ達・・・

待ってなさい、今回復呪文をっ!」

 

アタシは、この補佐官達に

同情してしまった。

今なら回復呪文が間に合うかもしれない。

しかし、この同情は彼らにとって

非常に礼を失するものだった。

 

「情けは無用っ!

上官を殺した上に敵からの情けを受け

生き延びるなど・・・生き恥を晒すだけ。

死ぬより苦痛よっ!」

 

そう言って補佐官ヨエルはアタシを

制止した。

その次の瞬間。

 

グサッ!

グサッ!!

 

なんと!

お互い手に握った斧の破片で

お互いの首を刺してしまったのっ!!!

2体は首から体液の噴水を上げながら

その場に崩れ落ち、動かなくなった。

 

「・・・フッ・・・こ、これで思い残す・・・

ことなく・・・死ねる・・・・グフ!」

 

「・・・あ、あぁ・・・じ、地獄で逢おうぜ

・・・ヨエル・・・グフ!」

 

あまりの衝撃に・・・・

その場にいる全員が言葉を失った・・・!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アッガラー
次期上級執行官候補者の魔物。
気性が荒く、口調もかなり汚い。
上級執行官の地位を得るべく、
前任者チョルルカを倒したアタシ達を
倒そうと躍起になっている。
その見た目とは裏腹に呪文を得意とする
戦闘スタイル。
特に部下のサポートとの連携は完成された
素晴らしいもの。
さらにキラースキルとして『星域の崩壊』
という特大スキルを駆使する。

・執行官補佐官ヨエル・ヨアキム
アッガラーの戦闘に於ける直属の部下。
補助呪文『ディバインスペル』を得意とし、
上官の呪文攻撃をサポートする。


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エピソード9.「恐怖による抑圧の結末」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「あわわわ、どうなってるんだ!?

お互いがお互いを・・・殺しちゃったぞ!?

モガガガ!なんでーーー!?

なんでそうなっちゃうんだーーー!」

 

しばし沈黙が続き・・・

ようやくモガ丸が口を開いた。

 

あまりに。

壮絶な最期・・・!

この補佐官達は・・・きっとケジメを

つけたかったんだろう。

 

上官に見捨てられた自分たちの悔しさに。

上官に手をかけてしまった自分たちの

罪深さに・・・。

 

自らの命より死に方、いや生き方か。

そっちを重んじた。

補佐官達の方がアッガラーよりも

よっぽど武人だったわね。

 

ただ、仕えた上官がゲスだった。

それがこの者達の不幸だった。

 

もちろん、だからといってアタシ達が

手を抜いてアッガラーに敗れるなどという

選択肢はあり得なかった。

けれど。

ただただ普通に、上官と部下として

アタシ達と戦い共に死んだ方がよっぽど

幸せだったでしょう。

そうすれば上官の裏切りを目撃することも

なかっただろうに。

 

今はただ、この補佐官達の魂が

迷わず天に召される事を祈りたい。

アタシ達には、それぐらいの事しかできない。

 

「・・・リザさん達、見事でした。

上級執行官候補者を倒した事で・・・

この地方の一般の人々が苦しむかもしれない

という可能性を潰す事ができました。」

 

書からオリオリが現れ、アタシ達を

労ってくれた。

そうね、そう思うようにしよう。

でないと、あまりにも後味が悪い。

 

アッガラー・・・少しでも部下を

信頼することを知っていれば。

協力して戦えば。

アタシ達はもっと苦戦していたかも

しれない。

アナタの敗因はアナタ自身だった。

部下を使い捨てのモノ扱いに

してしまったのが敗因。

 

これって・・・。

宇宙政府と支配される星々の

民衆達との縮図かもしれないわ。

 

恐怖と力で押さえつけ、

一時は従うけれど・・・・

それは心から従ってるワケ

じゃあないの。

何かのきっかけで下位の者が団結し、

上位の者に抵抗することもある。

 

アッガラーと補佐官達に起こった

今回の出来事。

第三者のアタシ達からすれば

実にやりきれない、それでいて壮絶な

結末だった。

 

けど、この出来事にアタシ達を

当てはめてみるならば・・・

縮図と考えるなら。

これから義勇軍・・・下位の者が

宇宙政府・・・上位の者へ反旗を翻す

事には・・・壮絶な出来事が伴う、

とも考えられるわね。

 

「・・・ここには魔法団とピエールは

いませんでした。

たしか関所の役人は『執行官候補者は

2名いる』と言っていましたね。

魔法団とピエールはもう1人の候補者に

面会しているのかもしれません。」

 

「よぉし!関所に戻ってもう1人いる

という候補者の居場所を教えてもらおうっ!」

 

「あ、モガ丸殿・・・あの~・・・その・・・

役人への対応はわ、私がやりますので・・・。」

 

「モガ!コッツ!この野郎、またオイラの事

ウッカリさんて言ったな・・・ん?

あれ?言ってないか・・・ハハハハ・・・

ご、ごめんよ~。」

 

・・・まぁ、言外に言ってるような

もんだけどね(^_^;

 

「それにしてもコッツ!

ナイスタイミングだったな、

レイファンを助けた時!」

 

そうっ!

あの時コッツが助けてくれなければ

アタシ達やられていたわ!

 

「いえ、滅相もない!

私は3番隊隊長という立場でありながら

戦闘の殆どをリザ殿たちに任せて

しまっているという事に

責任を感じてますっ!

あ、いえ、リザ殿達の強さを

考えれば当然なのですがっ!

けど何かお役に立てることは

ないかと、おこがましくも

常々考えております。

此度、リザ殿達の戦いに貢献

できたのなら、これほど光栄な

事はございませんっ!」

 

ありがとう、コッツ!

アナタも戦闘に加わってくれるのなら

これほど心強い事はないわ。

 

「うぅぅぅリザ殿~~~。

そのようなお言葉・・・・

コッツ、非常に感激ですぅ・・・

うぅぅぅ・・・。」

 

え?ま、まぁまぁまぁ。

別に泣くほどの事じゃないじゃない。

 

「コッツは・・・本当に心底

リザ殿達を尊敬しているのですっ!

そのような方からのお言葉・・・

涙せずにはおられませんっ!!」

 

「まぁ、コッツ。

私よりもリザさんのほうが

大事ってワケね?クスっ」

 

オリオリが珍しく

いたずらっぽくコッツに

意地悪を言う。

 

「はっ!あ、いえ!

・・・・オリオリ様の次にリザ殿達を・・・・。」

 

「モガ~~!

コッツ、お前も割と失言が多いなっ!」

 

「え~~~~も、モガ丸殿に

言われたくないかな~・・・。」

 

「む、なんだとこの野郎!!」

 

「ピ!ピピッ!

ピピピピ、ピピピピピピ、ピピピピ!」

 

「え?なんだってスラッピ、

確かにオイラにウッカリさんって

言われるなんて誰だってイヤだろうって?

なーーー!なんだよスラッピまで!」

 

さて、場が和んできたところだけども。

激戦地だったここ西砦。

アタシ達は砦に向かって手を合わせ

黙祷を捧げた。

 

そして・・・もう1人の候補者か・・・。

どんなヤツか知らないけど今度もまた

戦う事になるのかしら?

だとしたら厳しい戦いになりそうね。

 

色々と思うところがあった今回の戦い。

けれど。

それらを深く検証する暇はなく、

次の候補者に会うべく、その所在を聞くため

アタシ達はキュウエルの関所へ向かった。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・アッガラー
次期上級執行官候補者の魔物。
気性が荒く、口調もかなり汚い。
上級執行官の地位を得るべく、
前任者チョルルカを倒したアタシ達を
倒そうと躍起になっている。
『星域の崩壊』という特大スキルを
持っていながらもそれを有効に扱えず
アタシ達に敗れる。
最期は部下の恨みを買いトドメを
刺された。

・執行官補佐官ヨエル・ヨアキム
アッガラーの戦闘に於ける直属の部下2体。
補助呪文『ディバインスペル』を得意とし、
上官の呪文攻撃をサポートする。
日頃からアッガラーにパワハラを受けていたが
彼が上級執行官になれば報われる、という
思いで仕えていた。
しかしアタシ達との戦闘中、捨て石にされた事で
とうとう上官に反旗を翻した。
最期は上官への反逆罪のケジメをつけるべく
お互いの首を刺し2体揃って絶命した。


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エピソード10.「首謀者」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



アタシ達は思った以上に疲弊していた。

傷と体力の消耗は回復呪文でなんとか

解消できていたけど。

疲労感だけはどうにもならないの。

疲労感はメンタルからも作用している。

あんな衝撃的な結末だったからね、

メンタル最悪(+_+)

野営が続いてるのも疲労感が抜けない

一因になっていた。

 

「ほら、リザっ!」

 

モガ丸がアタシに乾パンを投げてきた。

 

「腹ペコじゃあ、この先の戦いは

持たないぞ!食べろよ。」

 

ミャアロの主人がくれた保存食を

アタシ達は少しずつ分け合って空腹を

誤魔化していた。

今、アタシ達は東砦に向かっている。

その道中、野営を張って僅かな休息を

取っていたの。

その・・・昨日の事。

 

*************************************

「おぉ!君達、またやって来たのか。

で、どうだい、執行官候補者様には

面会できたかい?」

 

キュウエルの関所を再び訪れたアタシ達。

この関所を守る役人が問いかけてきた。

 

「はぁ、それが・・・。

執行官候補者アッガラー様はご不在だったらしく

面会はかないませんでした。

そしてサーカス団もいないようでした。」

 

コッツがこの役人との対応をこなす。

またまた、それっぽい理由を取り繕って、ね。

 

(此奴ら、戻ってきたっ!

それに今!

此奴ら、西砦の候補者の名を口にしおった!

ワシは此奴らの前で執行官候補者の名は

ただの1度も口にしておらぬ!

アッガラーという名を口にした事実こそが、

アッガラー様と接触したという何よりの証拠!

そしてあれだけ執行官の地位に

執着されていたお方。

此奴らとの戦いがなかったとは考えられん!

つまり!

不可避だったアッガラー様との戦い。

それを制したからこそ、今この関所を

此奴らは生きて訪れている、というわけだ!)

 

「そうであったか。

何しろご多忙の身ゆえお出かけだったのかも

知れぬ、無駄足を踏ませて申し訳なかったのぉ。」

 

「あ、いえ!とんでもございません。

それでお役人様、上級執行官候補者というのは

2名おられると仰ってられましたよね?

アッガラー様がご不在でしたので、

もしかしてサーカス団ももう1人のお方の

ほうに向かったのかなぁ、と。

あと納税のほうもそちらで済ませようかと

思い、面会願おうかと思いまして。

そのお方の在わす場所を教えていただけませんか?」

 

「うむ、それがよかろう。

そのお方は、今度は逆に此処から

東に向かった先のキュウエル東砦に

いらっしゃる。

実を申すとな、ワシはそのお方こそ

次期執行官に相応しいお方だと思っている。

人格、実力共に兼ね備えた素晴らしいお方だ。

君達、覚えを愛でたくするなら、

東砦の候補者様のほうが断然いいと思うぞ!」

 

へぇぇ、人格も実力もアッガラーより

上なのね?

魔物達に取っての人格者が、イコール

一般人に取って素晴らしいかどうか

わかんないけど、少なくともアッガラーの

ような理不尽な魔物ではなさそうね。

 

「わかりました、ありがとうございます!

では我らはこれにて。失礼いたします。」

 

(フ、グフフフフ!

これでワシの役目は完了!

あとはズデーロン様があやつらを打ち倒すのみ!

ズデーロン様、いよいよ我等の時代ですぞぉ!)

 

アタシ達が立ち去った後、この役人は

笑みをこらえ切れないといった様子だった。

 

(しかし、手筈通りとはいえあやつら、

本当にアッガラー様を退けたのか?

何度見ても、一般の若者にしか

見受けられんがのぉ。)

 

*************************************

以上が昨日の関所でのやり取り。

僅かな休息と腹ごしらえを済ませ、

いよいよ東砦へと向かう。

 

しかし妙ね。

東砦の方角からは殺気や邪悪なオーラを

感じない。

アッガラーより強いと言われるもう1人の

候補者の気配が感じられない事に

アタシは疑問を感じていた。

東砦の候補者はアタシ達を襲う気は

ないのだろうか?

 

そんなに上手くいく筈ないか・・・(._.)

 

思わず楽観的な考えが頭に浮かんでしまった

自分を戒める。

まぁ、行けばわかるわよね。

 

野営の設備を撤収し砦に向かって出発する。

太陽が真上に登るより少し前の時刻に、

山あいにある砦らしき建造物が見える地点

まで到着できた。

 

「あれか?」

 

「ピ!」

 

「みんな装備の点検を!」

 

「大丈夫だ。」

 

「私も大丈夫だよ。」

 

「オリオリ様、申し訳ございません!

しばらく窮屈な思いをさせてしまいますが

道具袋の中に書をしまいます。」

 

「気にすることはありません、コッツ。」

 

それぞれ突入の準備は整った。

とりあえずだけど、オリオリには身を隠して

もらってアッガラーの時と同じように

無血で済むならそちらを選択する旨を

全員で確認し合った。

無駄かもしんないけど。

 

「よしっ!

みんな、行くよ!」

 

意を決して砦の扉を開いた!

 

ギギギッガタンッ!

 

 

そこは西砦と同じく大広間になっていた。

吹き抜けになっており上層階をのぞむ事が

できる・・・西砦と全く同じ構造。

 

1つ異なる点は広間の中央に玉座があり

そこに1体の魔物が腰掛けていたという事。

コイツがもう1人の執行官候補者かっ!?

 

「あ、あのぉ、貴方が次の上級執行官候補者様

ですか?

私達、次の代替わりの納税をするべく

訪れた者なんです・・・。」

 

コッツが例によって表向きの用件を伝える。

 

「フッフッフ、ハッハッハッハ〜〜!

待っていましたよ、義勇軍の諸君!」

 

むっ!?

既に素性が割れているっ!?

 

「え?ぎ、義勇軍?

はて、我らは義勇軍などではございません、

一般の民で・・・。」

 

「そのような他愛のない誤魔化しは

無用ですよ、ワタクシには全てお見通しです、

義勇軍とこれに加担する冒険王諸君、

よくぞ参られた。

いかにもワタクシが次期上級執行官候補です。

ズデーロンと申します。

さぁ、お出でなさい、義勇軍総司令官オリオリよ。」

 

アッガラーとは対照的な丁寧な口調。

落ち着いた物腰。

それが逆にこの男が只者ではないということが

感じられるっ!

そして!

なぜ会った瞬間からアタシ達の素性が

バレてしまったの?

 

と。

モゾモゾ、と道具袋がひとりでに動く。

 

「誰か、道具袋の紐を解いてください!」

 

くぐもったオリオリの声が袋の中から聞こえる。

そうね、これ以上の誤魔化しは

時間の無駄のようね。

 

「オリオリ様っ!は、はい!ただ今っ!」

 

コッツが道具袋の紐を解き口を開けると

中から宇宙王の書が飛び出た。

 

「プハぁ、あ〜息苦しかった!

・・・執行官候補者ズデーロンと申しましたね、

私が義勇軍総司令官オリオリです。」

 

「これはこれはっ!

偉大な宇宙王一族の貴女にお目にかかることが

でき、非常に光栄でございます。

かようなうら若き美しい女人が反乱軍の

リーダーだったとはねぇ。」

 

「わ、私は美しくはありませんっ!

何故、我らの素性を一瞬で見抜いたのですか?」

 

「ホホッ猿芝居に付き合うつもりは

毛頭なくってねぇ。

ホラ、貴女のお強い助っ人、冒険王の彼女達。

その者達から溢れんばかりの闘気を感じます。

かなり押さえ込んではいるようですが

それでも真の強者のそれが漏れ伝わってきます。

ここに入ってきた瞬間にわかりましたよ。」

 

!!!

そんな!

確かにアタシ達は気配を押し殺していたはず。

それでも気配でアタシ達の正体を

見抜くだなんてっ!

こんな事は最初にピエールと対峙した

あの時以来だわ!

 

「虎が龍を知る、といったところでしょうかねぇ?」

 

「なるほど。

真に強き者は相手の実力もまた的確に

はかれる、というわけですね。

ところでズデーロン、星屑魔法団は

ここを訪れたのでしょうか?」

 

「フフフ、そんなに愛する夫に逢いたいですか?

しかし残念ながら魔法団の所在を知っているのは

ピエールだけです、この砦には魔法団など

来ていません。

そもそも魔法団が執行官候補者に面会する

という情報は我々の捏造です。」

 

「な、なんですって!?」

 

「ワタクシとアッガラーはねぇ、

賭けをしていたんです、『先に義勇軍を

倒した者が上級執行官の地位を手に入れる』

というねぇ。

そして魔法団の居場所を餌にそれぞれの

砦に諸君らをおびき寄せたというわけです。」

 

「モガ〜、最初からオイラ達の事を

知っていて振り回してたのか!?」

 

「居場所を餌におびき寄せる・・・

それでは関所に居たあの魔物もグルだったと

いうのですか?」

 

「えぇぇぇ!

あ、あの親切な役人がっ!?」

 

「左様です、彼はワタクシの忠実な部下

通行官アクルと言います。

諸君らが関所を訪れたなら魔法団の居場所を

餌に砦に誘導するようワタクシ達が

指示しておりました。」

 

な、なんて事!

全てコイツらの掌で転がされてた

っていうの!?

しかも何!?アタシ達を使って賭けですって!?

グヌヌヌ、人をバカにするにも程があるわっ(_ _#

 

アタシはあまりにも屈辱的なズデーロン達の

企みを聞かされ怒りが込み上げてきたっ!

 

「魔法団の情報をちらつかせ我らを誘導

・・・しかしあの通行官は先にアナタではなく

アッガラーの砦へ向かうように申しました。

これはアナタにとっては不利に働くのでは

なかったですか?

もし我々がアッガラーに敗れていれば

上級執行官の地位は彼に渡っていたのですよ?」

 

「フフフさすが義勇軍総司令官殿、

見識が高い。

しかしワタクシにはわかっておりました、

アッガラーでは諸君らには勝てぬと。

彼は素行が悪くてねぇ、大して強くもないのに

部下に威張りちらす、平気で部下を見殺しに

するなどは日常茶飯事でした。

諸君らのような強き戦士達には到底

敵わぬだろうと。」

 

むむむっ!

この男、なんという洞察力!

 

「彼の部下達の不平不満もよく耳に

していましてね、ひょっとすると最後は

部下に裏切られるんじゃあないか、とも

推察しておりました。

どうです?それらしい出来事が

起こりませんでした?

戦った諸君らならご存知かとは思いますが?」

 

まるでっ!

見てきたように言う。

アッガラーですらこの男の駒でしか

なかったの!?

 

「全てアナタの思惑通り、というワケですね。

なるほど、アッガラーも部下の扱いが

酷い男でしたがアナタはそれ以上に冷徹な

男のようです。」

 

「フフフ、なんと言われようとかまいません、

さてお喋りが過ぎました、

そろそろ始めましょう!」

 

ズデーロンが玉座から立ち上がる!

両手に大小の剣を1本ずつ握っている。

二刀流か。

大小といっても小さい方の剣でも

ジョギーの握っている剣と

同じくらいの大きさ!

大きい方にいたってはズデーロンの

身長と同じぐらいの大きさ!!

 

「リザさん達、かなり頭の切れる魔物の

ようですがよろしくお願いします!」

 

どのみち執行官候補者は全員倒さないと

一般の人々が苦しむ事になるからね。

戦いは不可避だわっ!

 

「オリオリ様、こちらへ!」

 

オリオリが書の中に戻りコッツのもとへ

移動した。

 

「皆の者、お出でなさい!!」

 

ズデーロンが号令をかけると砦の上の階層

全てのバルコニーに魔物の大群が現れたっ!

 

「モガー!!ま、また大群が現れたぞー!」

 

性懲りもなく。

さてまずはまた雑魚掃除ね。

 

「ホホホ、ご心配なく!

諸君らの相手はワタクシ1人です。

彼らには手を出させませんよ、ただワタクシが

諸君らを倒し上級執行官の座を手に入れる、

その瞬間を見届ける証人として立ち会って

もらうだけです。」

 

大した自信。

それとも、部下の手を一切借りないという

アッガラーへの当てつけかしら。

冷静沈着なふうを装ってはいるけど

かなりにプライドの塊ね。

 

「フフフ、では始めましょう!」

 

ズデーロンが、その両手にもった2本の剣を

構えた。

アタシ達もそれぞれ武器を構える。

 

「やっ!!」

 

猛烈なスピードでズデーロンが飛び掛かってきた!

 

「行くよ!ジョギー!レイファン!」

 

アタシ達はそれを迎え撃つ!

戦いが始まったっ!!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ズデーロン
次期上級執行官候補者の1人。
高圧的で口調も汚いアッガラーとは対象的に
物腰が柔らかく丁寧な口調の魔物。
かつロジカルで先見性も備えた、
かなり頭の切れる魔物でもある。
たくさんの部下の魔物を率いているが
単身でアタシ達と戦うと宣言するなど、
絶対的な自信を持っている。


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エピソード11.「紅蓮十字剣」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



その巨大な剣を軽々と振りかざしながら

ズデーロンが突進してきたっ。

 

ガキィィィィン!!

 

ジョギーが自身の剣で受け止めるっ!

するとズデーロンは余ったほうの剣で

追い打ちをかけてきた。

 

「グッ!」

 

たまらずジョギーは後方に飛ばされた。

が、なんとか倒れずに踏ん張る。

そこにズデーロンがさらに追撃を

加えようと飛ぶっ!

 

「ライデインッ!」

 

追撃しようとするズデーロンに向かって

アタシは牽制の呪文を放ったっ!

 

「チッ!こしゃくなっ!」

 

ズデーロンが呪文に気を取られているスキに

ジョギーが抜け目なく反撃の一撃を放つっ!

 

ブンッ!

 

「ガッ!」

ジョギーの剣撃を受け、今度はズデーロンが

後方に飛んだッ!

ズデーロンもまた踏みとどまり、

そのまま2本の剣をクロスさせ、その場で

振り下ろす。

切られた空気が剣圧となって飛んできたっ!

速いっ!

 

「キャッ!」

 

「グッ!」

 

予想外の攻撃にアタシとジョギーは

盾を掲げる間もなくノーガードで

その剣圧を受けてしまった。

デカイ口を聞くだけのことはある。

強いわコイツっ!

 

言い訳をするわけじゃないけど、

アッガラー戦での疲れが抜けきっていない

今のアタシ達にはちょっとキツイわね、

コイツの剣術はっ!

 

「ホッホッホッ!

さすがにこれまで政府の幹部級を

軒並み倒してきただけありますね~。

素晴らしい強さですよ、冒険王達!

しかし、少しばかり動きが鈍いようです。

アッガラーとの戦いに続きワタクシとの

この1戦、さぞやお疲れが溜まっているようで

お辛そうです。

まぁ、これもワタクシの計算通りですがね。」

 

なるほど、先にアッガラーとアタシ達とを

戦わせたのはアタシ達のコンディションを

低下させるのが狙いだったのね。

そこまで計算ずくとは!

なんと用意周到で冷徹な男・・・。

 

けどそれは。

アタシ達を警戒していることの証拠、

臆病者といえるかも知れないということよ!

 

「ピオラッ!」

 

アタシはジョギーに素早さを上げる

補助呪文を施したっ!

すると。

 

ギュイイイン!

 

アタシとレイファンにも緑の光りが降り注ぎ

味方全員の素早さが上がった。

しめたっ!賢人の閃きっ!

古の大賢者の念がこもったアクセサリーに

秘められし不思議な力。

対象が1人の補助呪文の効果を

時折全員に行き渡らせるという古の大賢者の

力が発動した。

これで鈍っている動きも多少は

改善できるだろう。

 

「ジョギー!アタシが牽制するっ!

接近戦は任せたわよっ!」

 

「わかった!」

 

「メラミッ!ベギラマッ!」

 

アタシは中級呪文をズデーロンに

放つ。

ズデーロンは2本の剣でガードし、

呪文の威力を押し殺すが

火球と灼熱の呪文によって発生した炎が

ズデーロンの周囲を包むっ。

炎に意識を取られているズデーロンに

ジョギーが斬りかかるっ!

 

ブンッ!ブンッ!!

 

「グッ!」

 

ジョギーの剣撃がズデーロンにヒットするっ!

そのままジョギーは間合いを詰め

嵐のように剣撃を繰り出す。

 

ズデーロンの剣は。

2本とも大振りなので接近戦には

向いていないだろう、というジョギーの機転。

次々とジョギーはズデーロンの体に

傷を与えていく。

 

「えぇぇい!

調子に乗ってはいけませんっ!!」

 

たまらずズデーロンは2本の剣をクロスに

構えジョギーの剣を受け止めた。

ギリギリギリ、と鍔迫り合いをする2人。

 

「ダァッ!!」

 

ズデーロンが剣ごとジョギーを押し出す。

後ろによろめくジョギーにズデーロンは

追撃をかけようと2本の剣を振りかぶった。

剣圧の衝撃波を飛ばすのかっ!

突進しなかったのは接近戦は不利と

読んだのか!?

 

「ヒャダルコッ!バギマッ!」

 

振りかぶったスキにまたアタシが

呪文を命中させてジョギーを援護する。

 

「うるさい小娘さんだっ!

それっ!!」

 

ズデーロンはターゲットをアタシに変え、

剣圧による攻撃を飛ばしてきたっ!

アタシは得意の身躱しで今度はひらりと

その衝撃波を避けたっ!

ピオラが効いているっ!!

 

「なっ!衝撃波を避けただとっ!?」

 

「ドルクマッ!ジバリカッ!」

 

横っ飛びで躱しながらさらに

中級呪文を撃ち込む。

ズデーロンはガードをするっ!

あまり効き目はなさそう。

 

「ホッホッホッ!

ちょこまかとっ!

しかし、そのような小手調べの攻撃呪文では

ワタクシには目くらまし程度にしか

なりませんよっ!」

 

・・・あとはこれかしら?

 

「イオラッ!」

 

「ヌッ!?グハっ!!」

 

ガードしてるズデーロンにイオ系中級呪文を

撃ち込むと、ガードしながらもズズズと

後ずさりをした。

わずかに苦悶の声を上げたのをアタシは

聞き逃さない。

 

「ジョギーッ!援護してっ!!

本命を撃ち込むわっ!」

 

「おぅ!了解!」

 

ジョギーはアタシの意図を理解して

ズデーロンに飛びかかったっ!

剣と剣の応酬が始まった。

 

アタシはその間に特大の攻撃呪文を

詠唱する。

 

「ジョギーッ!いいよ、離れてっ!!」

 

「わかったっ!!」

 

「キエェェェェイ!!」

 

ズデーロンが繰り出してきた剣撃を

剣で受け止め、その威力を利用して

後ろにジャンプしてその場を離脱した

ジョギー。

それを確認し、アタシは呪文を放つっ!

 

「大気と炎の精霊よ、汝ら交わりて

収縮、暴発を生み出し我が敵を

討ち滅ぼせ!イオナズンッ!!」

 

キュィィィィイイイイン、

ドガァァァァァァァァン!!!

 

イオ系上級呪文がズデーロンに

炸裂したっ!

 

「グワアアアアアアッッッ!!!」

 

爆発の余波でズデーロンが宙高く舞い、

爆風が収まると床に叩きつけられた。

 

どうやらコイツの弱点属性は

イオのようね。

アタシは牽制しながらも様々な属性の

呪文を軽めに放ち、敵の反応を

伺っていたワケ。

もっとも、アタリを引くまで

時間かかっちゃったけどね

 

「ズ、ズデーロン様ぁ!」

 

「ズデーロン様!!!」

 

「ま、まさかズデーロン様が

あれほど押し込まれるとはっ!」

 

上層階のバルコニーに控える

魔物たちが一斉にズデーロンに

声を掛ける。

彼はよほど部下から信頼され、

その強さを信じて疑われてないのか、

魔物達の声には驚愕と動揺の色が

露わだった。

 

「グ、か、加勢だっ!

ズデーロン様をお護りするぞっ!!」

 

「おぅ!」

 

魔物達がバルコニーを乗り越えようと

したその瞬間。

 

「な、なりません・・・!

ア、アナタ達、ワタクシの顔に

泥を塗る気ですか・・・

か、加勢はなりませんよぉぉぉ・・・!」

 

ズデーロンは手をつき起き上がろうと

懸命に力を振り絞っていた。

そして部下の魔物達の加勢の申し出を

制止した。

 

「し、しかしズデーロン様、

このままでは負けてしまいます・・・

敵は3名、1対3では圧倒的に

不利でございます・・・・」

 

「おだまりなさいっ!!!

ならぬと申しているっ!!!

勝手に降りてきた者はワタクシが

殺して差し上げますっ!!!」

 

「うっ、そ、そんなぁ・・・。」

 

ズデーロンは頑なに部下達の加勢を

嫌った。

よっぽどプライドが高いのか、

部下を信頼していないのか。

 

「グヌヌヌヌ、ぼ、冒険王・・・!

これほどとは!!

よ、よくもワタクシを地面に

這いつくばらせましたね~~~!

ゆ、許しませんっ!!!」

 

ズババババババッ!!!

 

大ダメージを負ったはずのズデーロンが

邪悪なオーラを発し始めたっ!

どうやらここからが本領発揮のようね。

何か大きなスキルが飛んでくるっ!

 

「ジョギー、レイファン、気を付けてっ!

何か大きなスキルを使ってくるよっ!!」

 

「あぁ、みたいだな。」

 

「姉ちゃん達、傷を癒すよ、

皆の傷を癒やし給う、ベホマラー!」

 

レイファンが高等回復呪文を唱えた。

ここまでの戦いで負った傷の数々が

癒やされていく。

 

「ワタクシ最大の秘技であの世へ

送り届けてしんぜようっ!

『紅蓮の構え』!!!」

 

大小の剣を縦横にクロスさせて

邪悪なオーラを燃やすズデーロン。

 

ぐ、紅蓮の構えっ!?

たしか大全図鑑で読んだことがある、

えーとえーと、ハッ!まさかっ!!

 

「ジョギーッ!レイファンッ!!

盾を掲げてっ!ガードよっ!」

 

「わ、わかったっ!!」

 

「うんっ!!」

 

むむむっ間に合うかっ!?

 

「主よ、ミトラ神よ、ご加護を持って

天空城の如き堅牢な城壁を我らに与え給う、

スクルト!!」

 

アタシは防御力を上げる補助呪文を

即座に詠唱したっ!

 

ギュイイインッ!

 

間に合ったっ!!

・・・て事はやっぱり!?

 

「くたばりなさいっ!!

紅蓮十字剣ーーーーーーっっっ!!!!!」

 

ズデーロンの2本の剣が炎を纏い

十文字の構えのまま振り払われたっ!

 

ゴォォォォォ!!

 

ズガアアアアアアッ!!!

 

 

十文字型の炎を纏った衝撃波が

飛んできたっ!!!

 

「キャァアアアッ!!」

 

「グッ!」

 

「キャッ!」

 

スクルトを詠唱していたアタシは

ガードできずに直撃を受けて

後方にふっ飛ばされたっ!

 

ジョギーとレイファンはガードと

スクルトの効果があったので

ダメージは最小限に抑えられ

その場に留まれた。

 

「リ、リザ姉っ!!」

 

「姉ちゃんっ!!」

 

「モガー!リ、リザー!!」

 

「ピピーーーッ!!」

 

「リザ殿っ!!」

 

「リザさんっ!!!」

 

仲間達がアタシの名を呼ぶ。

 

うぅぅぅ、イタタタタ、

いった~~~い!!!

も、もの凄い威力、恐るべし

『紅蓮十字剣』・・・。

スクルトを施していなければ

アタシ死んでたかも・・・・。

 

「め、女神エイルよ、わ、我の傷を

癒やし給う・・・べ、ベホイムッ!」

 

パァァァァァッ!

 

アタシは自ら回復呪文を唱えた。

緑色の強い光りがアタシを包み、

先ほどのスキルで受けた傷が消え

ほぼ全回復に。

 

「リザッ!」

 

「ピピッ!」

 

「良かった、間に合ったみたいだ。」

 

仲間達が安堵の声を漏らす。

 

「アンタ達、大丈夫だった?」

 

「あぁ、リザ姉のスクルトのおかげで

致命傷は免れたよっ!」

 

「うん、ありがとうっ姉ちゃんっ!」

 

よし!

じゃあ反撃よ。

 

「な、なんとっ!

ワ、ワタクシの最大奥義を受けて

なお生きているだと・・・?

こ、コイツら何者だ・・・・。

ぼ、冒険王とはこれほどに

強いのか!?」

 

プライドが高く、あれほど

余裕の表情を見せていたズデーロン

にも焦燥の色が漂い始めたみたいね。

チャンスだわ。

 

「聞いて、アンタ達。

『紅蓮十字剣』は威力は凄まじいけど

弱点があるの。スキル大全図鑑で

読んだことがある。

実際受けてみて、それは本当だって

確信したわ。」

 

「ほ、本当か?リザ姉。」

 

「それを確かめるために

ガードじゃなくてバフ呪文を選択したの?」

 

「まぁね、なかなか痛い検証代

だったけど・・・・。」

 

「無茶にも程があるぜ~~~・・・・。」

 

「ホントだよ、死ぬとこだったんだよっ!」

 

弟達の呆れた声がアタシに突き刺さる。

 

「フフ、ごめんなさい。

けどいい?ここからが本題。

次にズデーロンが『紅蓮の構え』、

これを見せた時、一気に攻め込むのよ!

そこが最大のチャンス。」

 

「え?あ、ああ、そうか!

技の発動までが遅いんだな?」

 

「なるほど、確かに大技だもんね。」

 

「そう、アタシ達は構えを見てから

行動した。いわば反応が遅れてしまった。

にもかかわらず構えてからスキルが

飛んでくるまでにアンタ達のガードも

アタシのスクルトも間に合った。

それがなによりの証拠!」

 

「わかったっ!

それで行こう!」

 

アタシは『紅蓮十字剣』の攻略を

弟たちに伝えた。

怯まず勇気を持って立ち向かう事

こそが勝利への道!

 

「ちなみにヤツにはデインは

あんまり効かないと思う。

最初のライデインがほとんど

効いてなかったからね。

わかった?ジョギー。」

 

「さすがっ!

抜かりないね、リザ姉は。」

 

「だからこないだの新しいスキルは

ダメよ、無属性かイオ系でお願いね。」

 

「了解っ!」

 

「レイファンはオフェンス面での

サポートお願いね。

もうディフェンスはいらない、

さあ、終わらせようっ!」

 

勝利への方針は決まった、

あとは実行するのみ!

 

「オンステージッ!!」

 

ピュイイイイイ~♪

 

レイファンが舞う。

ジョギーには力が漲り、

アタシは呪文の詠唱を短縮化

できる踊り。

 

「ヤァァァァッ!!」

 

ジョギーがズデーロンに斬りかかる。

 

ブンブンブンッ!!

 

「グハァァッ!」

 

オンステ効果で太刀筋のスピード、

力強さが増したジョギーの剣撃。

かなりのダメージを負っている

ズデーロンは2本の剣でガードを

するが追いついて行けず

ジョギーはどんどん攻撃をヒット

させていく。

 

「超彗星剣っ!!」

 

ズザァッ!!

 

ジョギーのスキルが炸裂した。

ニヤリ、約束通り無属性スキルね!

 

「あ、あぁぁ、ズ、ズデーロン様が

どんどん劣勢に・・・!

お助けしなくていいのか・・・!?」

 

「し、しかし、御本人からの

キツイ言いつけが・・・。

助けに入ったのに御本人に

殺されるのはゴメンだぜ・・・」

 

ズデーロンが劣勢になればなるほど

魔物たちの動揺が広がっていく。

 

「おのれぇぇぇっ!!!

こぉんのクソガキがぁ!

ワタクシをこんな目に合わせて

ただで済むと思うなよぉっ!!」

 

あらら、お下品な言葉使いだこと。

追い込まれて本性が出ちゃったかしら。

 

「我慢せずに部下達に手伝ってもらえば?

部下達も加勢したくてしたくて

たまらないみたいだけど?」

 

「うるせぇぇぇぇっ!!!

この小娘ッ!調子に乗るんじゃねぇ、

いちいちイラつくんだよぉっ!」

 

「アンタの気持ち悪い

オネェ言葉のほうがイラつくけど?」

 

「ムギギギギギッ!!!

こ、殺してやるっっっっ!!!!」

 

ズババババババッ!!!!

 

来た!

邪悪なオーラを発散させ、

その身に纏い始めたズデーロン。

『紅蓮の構え』をやるつもりだ。

 

「行くよ!ジョギー、レイファン!!」

 

「おぅっ!」

 

「了解っ!」

 

アタシは弟たちに号令をかけた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ズデーロン
次期上級執行官候補者の1人。
高圧的で口調も汚いアッガラーとは対象的に
物腰が柔らかく丁寧な口調の魔物。
かつロジカルで先見性も備えた、
かなり頭の切れる魔物でもある。
たくさんの部下の魔物を率いているが
単身でアタシ達と戦うと宣言するなど、
絶対的な自信を持っている。
キラースキルは『紅蓮十字剣』。


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エピソード12.「候補者達の最期」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「全身全霊の力を込めてっ!

貴様らをズタズタに切り裂いてやるっ!!

『紅蓮の構え』っ!!!」

 

ズデーロンが2本の剣を

十文字に構える。

今だっ!

 

「こだまする光撃を我が兄

ジョギーにっ!」

 

シュイィィィィン!

 

「己を極めるっ!!」

 

バシュッ!!!

 

ジョギーが怒るっ!

 

すると、構えを取ったまま

ズデーロンの双眼が妖しく

光ったっ!

 

「汝らの防壁を崩し去れっ!

ルカナンッ!!」

 

ドゥウウウンッ!

 

ルカナンッ!?

守備力ダウン補助呪文っ!

なるほど、アタシ達の被ダメを

上げようってワケね!

けどっ!

 

「グヘヘヘヘッ!

これで貴様らのダメージは

増大するぞっ!!」

 

「リザ姉っ!

デバフが通ってしまったぞっ!!

どうするっ!?」

 

「怯むなっ!

ビビったら負けるわっ!

レイファン、行けぇぇぇっ!!」

 

「わかったっ!

希望の舞っ!!」

 

バシィッ!!

 

「イオナズン&イオナズーーーンッ!!!」

 

キュィィィィイイイイン、

 

ドガァァァァァァァァン!!!

 

「奥義っ!天下無双っ!!!」

 

ガガガガガガツ!!!

 

スキルがこだまするっ!

 

ガガガガガガツ!!!

 

「こ、コイツらっ!

こっちのスキルが発動する前に

全力でこ、攻撃してきやがっ・・・

う、ウゴアアアアアアアアア!!!!」

 

『紅蓮十字剣』が発動する前に

アタシ達のフルコンボが炸裂したっ!

ズデーロンの体はズタズタになり

宙高く舞い上がり、その後地面に

打ち付けられた。

 

よしっ、勝ったっ!

ふぃ~~~、なかなか強敵だったわ。

アタシが知ってる、そしてわかりやすい

弱点を持っているスキルだったのが

勝因ね。

 

「グゴゴゴゴ・・・・ま、まさかこのワタクシが

・・・ぎ、義勇軍ごときに・・・・。

そ、それにしても・・・こっちがスキルを

繰り出そうとしている・・・し、瞬間に・・・

全力で突っ込んで来るとは・・・・

く、狂っている・・・・!」

 

「攻撃は最大の防御よ。

どんなに強いスキルでも喰らわなければ

やられない。

いくら威力が強くてもあんなに

のんびりしたスキルじゃあ、

攻撃してください、って

言ってるようなものね。

まぁ、最もアナタの敗因は仲間を

信頼せず、そのちっぽけな

プライドに固執したことかしらね、

仲間と共に戦っていれば

構えからスキル発動までの

時間稼ぎをしてくれたかも

しれないのに。」

 

「グググ・・・ち、ちくしょうっ!

上級執行官になるはずだった

ワタクシが・・・・こ、こんなところで

・・・・・。」

 

「そう、そうやって策を巡らせ過ぎて

それが上手くハマったのかも

しんないけど、もうそれでアタシ達に

勝った気でいたのも敗因ね。

策士、策に溺れる、ってヤツ?」

 

「ぐ~・・・・む、無念っ!・・・グフッ!」

 

ズデーロンは息絶えた。

よし、執行官候補は2体とも撃退。

これでこの地方に上級執行官が

当分やって来なければ一般の人々も

苦しまずに済むんだけど・・・。

 

「リ、リザーーーーっ!!

やったぞ、執行官候補を

2体ともっ!」

 

「ピピーーーッ!」

 

「それにしても本当に強敵でした、

でもリザ殿達のほうがもっとすごい

・・・あ、あんな戦い方、私では

想像もできない・・・すごすぎるっ!!」

 

「上級執行官2体に続き、

執行官候補2体も撃退っ!

確実に政府の重要ポストの魔物達を

駆逐しているっ!

政府にも大きな打撃を与えているはずっ!

リザさん達っ、素晴らしい功績ですっ!

ありがとうっ!」

 

仲間達がアタシ達の勝利を祝福してくれた。

アタシ達を使ってくだらない賭け

なんかするからよっ!

成敗してやったわっ!!

 

「ヒ、ヒィィィィ!

ズ、ズデーロン様がやられたっ!!」

 

「そんなっ!

あれだけの実力を持ったお方がっ!」

 

「お、オレは次期執行官には

ズデーロン様こそ相応しいと思い

肩入れしたというのにっ!」

 

「コイツら強すぎるっ!!」

 

ズデーロンの敗北を前に魔物たちの

動揺がどんどん大きくなっていく。

 

「ど、どうする!?

俺たちで弔い合戦をするか!?」

 

「これだけの軍勢だっ、全員で

かかれば勝てるんじゃねえか!?」

 

「し、しかし!この目で見ていたが

あの冒険王とやら・・・・つ、強すぎるぜっ!

オレぁ、魔物だろうと人間だろうと

これほど強いヤツを見たことがねえっ!

オレ達全員でもかなわねえかもっ!」

 

アタシ達に戦いを挑むか退くかで

魔物たちがざわついている。

アタシの取った行動は・・・・。

 

「メラガイアーッ!!」

 

ゴォォォォォォン!!

 

ドゴォォォォォン!!!

 

西砦の時と同じ。

威嚇射撃で脅しをかける。

 

「聞きなさいアンタ達っ!

アンタ達の大将は敗れたっ!!

ただ、アタシ達は無益な殺生は

望まないっ!

戦う意志がないのなら立ち去るがいいっ!

それでも向かってくるというのなら

容赦はしないっ!」

 

「ヒッ・・・ヒィィィィ!!!」

 

「に、逃げろっ!!!」

 

「殺されるッ!!!」

 

砦の出口に魔物の大群が殺到し

我も我もと逃げていく。

殺される、とは失礼ね。

殺すつもりはないから早く逃げなさい、

って言ってるだけなんだけど・・・。

 

ともあれ。

今度はボス以外に死者はなし。

犠牲を最小限に、という方針も

遵守できた。

 

ふぃ~~~。

それにしても疲れた・・・。

アタシは気が抜けたのか、

ペタンとその場に座り込んでしまった。

 

「しかし・・・魔法団はやはり居なかった。

そもそも候補者に面会というのが

偽りだったとは・・・。

この先どうしたものか・・・。」

 

オリオリが困り果てた様子で

この先の方針を決めかねていた。

その時。

 

パチパチパチッ!

 

どこからか拍手をする音が

聞こえてきた。

このカンジ・・・。

いつもアタシ達が激闘を終えた時に

現れるアイツに違いない。

 

「見事だったぞ諸君っ!

実に強い、強すぎるぞ

冒険王の諸君っ!!」

 

キッ!

振り返ると白いスライムナイトが

立っていた。

 

「ピエールッ!」

 

出たわねっ!ピエールッ!!

座り込んでいたアタシは

すぐさま立ち上がり、杖を構えた。

 

「チョルルカに続き次期執行官候補者の

2名ともことごとく退けるとはっ!

その強さ、計り知れんっ!

敵を叩き斬る腕力、溢れ出る攻撃魔力など

基礎能力のみならず敵を知り己を知り

瞬時に状況を把握し最良の手を打つ、

その百戦錬磨ぶりっ!

どれを取っても政府の上級執行官達を

はるかに凌駕している。

素晴らしすぎるぞぉぉぉぉ!」

 

ピエールがアタシ達を褒めちぎる。

けど、そんなアタシ達より自分のほうが

さらに強い、とでもいいたげな

余裕をどこか感じてしまう。

 

まったく嫌味なヤツね。

 

「それにしても此奴等の醜態・・・

無様この上ない。

せっかくのチャンスをことごとく

逃すとは・・・。

くだらん派閥争いに終始し、

己の戦闘力に胡座をかき

鍛錬を怠った末路よ。

いずれの候補者も部下を有効活用

できず自滅の道を進んだ。

まぁ、当然の結果よな、

そうは思わんか?冒険王諸君っ!」

 

「・・・コイツら、アタシ達を賞品扱いして

自分達の昇進を賭けてたらしいけど

アンタも1枚噛んでたワケ?」

 

アタシはピエールに疑問をぶつけた。

 

「さあな、私はただ、一刻も早く

新しい上級執行官が誕生し

かのダン灯台の宇宙船を作動させて

くれるのを待っていただけだ。

候補者当人同士がお互い自らを

推薦主張しあっていては

いつまでも事は決まらぬゆえ、

少しアドバイスをしてやっただけだ。

その先の事は此奴等が勝手に決めた事。」

 

「ふ~~ん、そうなんだ。

相も変わらず、ハッキリしない物言いと

それっぽい理屈で誤魔化すのね。

暗躍とか陰謀とか、影でコソコソ動くのが

好きそうだからさアンタ、

てっきり本当の首謀者はアンタかな、

って思ったワケ。」

 

「ふふふ、影でコソコソとは心外。

まぁ、結果として候補者は2名とも

死んでしまった。

宇宙船作動はまたまた持ち越しだな。」

 

「この星そのものが魔星王・・・

その事実は、そんなにこの惑星クラウドに

影響を与えるというの?

宇宙船作動にアンタがそれほど躍起に

なっているところを見ると。」

 

「それはまだ言えん。」

 

アタシがピエールと会話を続けていると

書からオリオリが現れた。

 

「ピエールッ!

アナタを追いかけていましたっ!

星屑魔法団の居場所を教えなさいっ!」

 

「おぉ麗しきオリオリよ、よくぞ無事だった。

星屑魔法団か、フフフフ、愛しい夫にそんなに

逢いたいか?オリオリよ。」

 

「私が気がかりなのは魔星王のことよっ!

この星そのもが魔星王、とは何を

意味するのですっ!?」

 

「貴女が抱くその疑問、それは全て

愛しい夫セアドに問うことを進言する。

魔法団はすでに大聖堂へと移動させた、

諸君らも大聖堂へ向かうといい。

私も大聖堂へ向かう、そこで会おう。

通行証はなくても関所を通過できるよう

私が手を回しておこう。

では失礼する、ルーラッ!」

 

ピエールは瞬間移動呪文で立ち去った。

 

上級執行官達の居城、ヨンツゥオ大陸に於ける

宇宙政府統括拠点であるヨンツゥオ大聖堂。

この長旅の終着点へようやく辿り着くことが

できそうね。

 

そこでとうとう星屑魔法団に会えるのかしら?

なんだかアタシ、気持ち悪い予感がするのよね。

執行官候補者達との戦いの裏では

色々な陰謀が渦巻いていた。

 

なんだかもう、現況の何がホントで何が嘘なのか

わけわかんないというか。

星屑魔法団なんて、そもそも実在するんだろうか?

とさえ思えてしまう。

 

いえ、オリオリはセアドの妻なんですもの、

実在するかどうか、は言い過ぎとして。

なんかこうも行く先々で肩透かしばっかり

喰らってると、ピエールはそもそも魔法団と

行動をともにしてないんじゃないかって

思うのよね。

一緒にいるいる詐欺じゃないかって。

 

「オリオリ様、いよいよセアド様に、

星屑魔法団に会えそうですね!」

 

「・・・・そうですね・・・・。」

 

オリオリも何か思うところがあるのか

コッツの声掛けにも気のない返事を

している。

 

「リザッ!今すぐ大聖堂に向かうのか?

オイラ、なんだかイヤ~な予感がするんだ。」

 

モガ丸も何か感じ取っているみたいね。

アタシは同意を示した。

 

「やっぱりっ!

リザもそう思うか、けど、とにかく

大聖堂に行ってみなけりゃ

何もわからないもんなっ!

とにかく、引き続き警戒を緩めずに

大聖堂へ向かおうぜっ!」

 

「ピピッ!」

 

そうね、モガ丸。

気持ち悪いからってここで立ち尽くしてても

仕方ない。

いるかどうかわかんないけど、

魔法団には問いたださなきゃいけない事が

たくさんあるっ!

行って確かめるしかない。

 

アタシ達は様々な複雑な思いを抱えながらも

キュウエル東砦を後にした。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。

・ズデーロン
次期上級執行官候補者の1人。
高圧的で口調も汚いアッガラーとは対象的に
物腰が柔らかく丁寧な口調の魔物。
かつロジカルで先見性も備えた、
かなり頭の切れる魔物でもある。
たくさんの部下の魔物を率いているが
単身でアタシ達と戦うと宣言するなど、
絶対的な自信を持っている。
けど、部下の加勢を拒絶し己のチカラを過信し
最期は冷静さもプライドも打ち砕かれながら
アタシ達に敗れた。


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エピソード13.「乙女達」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「アクル、関所通交官アクルよ。」

 

「む、ピエールか?どうした?

なぜ今時分にそなたがここに現れる?」

 

「・・・間もなく此処を義勇軍が訪れる。

彼らにはヨンツゥオ大聖堂へやって来るよう

申し伝えてある。

そなたは通行証なしで彼らを通すように。」

 

「ぎっ、義勇軍だとぉ!?

なぜ義勇軍がまだ生きている?

なぜ此処にやって来る?

あやつら東砦には向かわなかったのか?

・・・い、いやそれとも・・・ま、まさかっ!?」

 

「あぁ、そのまさかだ。

ズデーロンは彼らに敗れた。

部下の魔物たちは1匹残らず逃げおおせたわ!

つまり、ズデーロン派の魔物はもはや

そなた1人になってしまったということだ。」

 

「な、な、なんとっ!

ズ、ズデーロン様が・・・・・!!」

 

ピエールが執行官候補ズデーロンの敗北を

通交官アクルに報告すると、

アクルはワナワナと震えだし、その場に

崩れ落ちた。

 

「そなたらの野望も潰えた。

それにしても義勇軍、冒険王の強さと

いったら鬼神の如き強さよな。

かくなる上は私自ら奴等を止めるしか

ないと思っている。

私は大聖堂で奴等を迎え撃つ。

奴等が来ても、くれぐれも弔い合戦など

という考えは持たぬように。

そなた1人ではとても

太刀打ちできる相手ではない。

では、失礼するっ!」

 

そう言い残すとピエールは関所を

立ち去った。

残されたアクルはまだ立ち上がる事が

できず呆然と佇んでいる。

 

「グググググ・・・ズデーロン様が!

し、信じられん、あのような何の変哲もない

人間の若者どもに・・・・!

わ、ワシはこれからどうすれば・・・・。」

 

ピエールの報告を受ける前までは、

自分達の時代がやって来ることを

信じて疑わなかったこの魔物が

一瞬にして未来を失ってしまった。

ただ。アタシ達には全く関係ない話。

 

アレコレと画策し、陰謀を企んだ末の

手痛いしっぺ返しでしょ。

身の振り方ぐらい自分で考えたらいい。

長いものに巻かれ続けた結果がコレ、

アタシは知らないわ。

 

その頃アタシ達は。

 

「激闘が続いています。

一刻も早く大聖堂へ向かいたいところですが

リザさん達の疲労は私では計り知れない

ものでしょう、休息を取る必要があります。

一晩野営を張りましょう。」

 

一刻も早く大聖堂に向かいたいけど、

休息を取るのもアタシ達の仕事だと

オリオリに諭されてしまった。

確かに疲労はかなり溜まっている。

野営は致し方ないわね。

 

ズデーロン配下の魔物たちが消え失せたとは

いえ、いつ政府の別の魔物がやってくるかも

しれないのでアタシ達は東砦から少し離れた

場所で野営を張れそうな場所がないか探した。

 

関所へ向かう大きな街道と東砦から伸びている

小さな野道が交差する少し手前に小さな森が

あったのをアタシ達は覚えていたので

そこを野営地にすることで決まった。

 

野営といっても、保存食で少しだけ空腹を

ごまかし暖を取って眠るだけ。

疲労感を全て取り払うのは難しい。

それでもしないよりはマシ、という程度。

 

東砦を出発したのがもう夕方だったので

今は辺りを夜の闇の支配が完了する

寸前といった時刻かしら。

 

わずかな夜食を摂ったあと見張りの者を

残し交代で睡眠を取る。

 

モガ丸&スラッピ、ジョギー、レイファン、

コッツ、アタシの順で見張りを担当。

いつもはアタシが一番手を担当するんだけど

疲労を考慮されアタシ達姉弟はまず睡眠を

取るよう配慮された。

申し訳ないけどありがたいわ。

 

「リザ達、ゆっくり・・・とはいかないけど

とにかく寝ろよ、ちょっとでも

疲労を回復しなくちゃなっ!

おやすみ~。」

 

「ピピピ~。」

 

「ありがとうモガ丸、スラッピ。

けど魔物が現れたらすぐ起こしてね。」

 

「もが~、そればっかりはリザ達に

任せるしかないからな・・・。

リザ達が寝てる時は魔物が現れないよう

祈るしかないな。」

 

「大丈夫よ、気にしないで。

じゃあ遠慮なく眠らせてもらうわ、

おやすみ。」

 

「おやすみ~。」

 

アタシは、いえジョギーもレイファンも

横になるとあっという間に睡魔に襲われ

眠りについた。

 

幸い、魔物は現れなかったらしく

アタシ達は与えられた睡眠時間を

全部もらうことができた。

そしてアタシが見張りをする番が

回ってきた・・・。

 

「・・・殿・・・・ザ殿・・・・

リザ殿・・・・。」

 

・・・・ん?・・・・アタシを呼ぶ声

・・・・ハッ!ま、魔物か!?

 

バッ!!

 

アタシは飛び起きた。

条件反射で杖を手探る。

 

「わぁ、ビックリしたっ!

リザ殿、時間です、交代の。」

 

え、あ、あぁ、そうか、見張りね。

見張りの番ね。

あ~ビックリした、魔物が現れたのか

と思っちゃったわ。

 

「ふぁ~、う~ん、ありがとうコッツ。

よく眠れたわ。

じゃあ代わるから、アナタは寝てちょうだい、

おやすみ~。」

 

アタシはまだ若干寝ぼけ眼の目をこすりながら

コッツと見張りの番を交代しようとした。

 

「あ、は、はい・・・了解しました、リザ殿。

おやすみなさい。」

 

「は~い、おやすみ~。」

 

アタシはコッツが横になるのを横目に

道具袋から布を取り出し、愛用の杖を

磨き始めた。

そして・・・5分ほど経ったころ。

 

「リザ殿。」

 

あら、コッツ、起きてたんだ。

眠れないのかしら。

 

「あの、隣に座ってもよろしいでしょうか?」

 

「え、ええ、いいけど・・・。

早く寝ないと明日からツライよ?」

 

「お気遣いありがとうございますっ。

けど大丈夫ですっ!」

 

「コッツ~~~~~!」

 

アタシは小声だけどたしなめるような声で

コッツの名を呼んだ。

 

「え!?は、はい~~~~?

なんですかリザ殿~~~~!」

 

釣られてコッツも小声で返してくる。

 

「皆寝てるから~~~~

声のボリュームには気をつけよ~~~~。」

 

「!!!」

 

コッツがあまりにも元気ハツラツな返事を

したもんだからアタシはとっさに小声で

冗談ぽくコッツにツッコミを入れた。

するとコッツが超本気で全力で頭を下げて

ごめんなさいのポーズをした。

 

アタシはそれがおかしくって声を殺して

大笑いしたの。

 

「で、どうしたの?

アタシの横に座るって?

何か話でもあるの?」

 

「い、いえ、特になんてないのですが、

リザ殿とお話がしたかったのです、

リザ殿は・・・その・・・私の・・・

私、リザ殿に憧れておりますっ!

この上なく尊敬しておりますっ!!」

 

わっ!

だからっ!

声が大きいって!!

 

「あわわ、ご、ごめんなさいっ!」

 

「し~~~~っ・・・・。

うん、で?なんだっけ?

アタシに憧れてる??」

 

「はいっ!私が今まで見てきた

戦士のなかでリザ殿達が

一番強いと思いますっ!

しかもそのような方たちのリーダーが

私と同じ女性で、こんなに可愛くて

ステキだなんてっ!

リザ殿の為すこと全部、戦ってる時も

普段の姿も、そして何よりそのお心に

秘めた正義感、全部が私の憧れなのですっ!」

 

うぅぅぅ、なんか褒められすぎて

逆に引き気味なんだけどアタシ・・・。

いや~、褒められるのは悪い気は

しないけどね。

 

「そ、そう?ありがとう。

そう言ってくれるのは嬉しいわ。

だけどアナタが一番尊敬しなくっちゃ

いけないのはオリオリじゃなくて?」

 

「あ、はい、もちろんオリオリ様を

尊敬しております。

我らのリーダーとして、そして宇宙に

平和をもたらす指導者として。

オリオリ様を尊敬しているのと同時に

リザ殿にも憧れているのです。」

 

「そうなんだ・・・うん、ありがとう、

嬉しいわ。」

 

「リザ殿はどうして魔物と戦う戦士・・・

魔道士を志したのですか?」

 

なんだかわかんないけど・・・

コッツとの身の上話が始まっちゃった

 

「う~んとね~・・・・・アタシ・・・・

いや、アタシ達姉弟はね・・・・

実は幼い頃の記憶がないの、今現在もね。

だからどうして魔道士を志したのか

自分でもその理由は知らないの。

気付いたら魔道士だったワケ。」

 

「なんとっ!

こ、これは失礼しました、

そのようなツライ過去がおありだとは

露知らず、不躾な質問を・・・。」

 

「ううん、いいの、だって記憶が

ないんだもん、ツラかったのかどうかも

覚えてないの。」

 

アタシは・・・本当に、記憶の事については

特に気にしていないし隠す必要もないと

思っていたのでコッツに自分の事を、

なんとなく話そうと思った。

 

「アタシ達はどうやら、ブルリア星に

差し向けられた魔星王ドスラーデスを討伐

すべく父とともに戦ったらしいの。

ドスラーデスの強さは凄まじく

父は破邪の封印という術を使って

自分の体ごとドスラーデスを封じ込めたの。

道連れにしなければ到底、封印は無理だったと

聞いているわ。その術の余波でアタシ達は

吹き飛ばされ、記憶を失ったと聞いている。」

 

コッツは固唾を飲んでアタシの話を聞いている。

アタシ、どうしてこんな踏み込んだ話を

しているんだろう。

コッツがアタシに憧れているという話を

聞いて、アタシも饒舌になってしまっている

のかもしれない。

 

「だからなぜ魔道士を目指したのかと

聞かれれば、父を奪ったドスラーデス、

奴よりももっと強くなってみせる!

強くなることで父の仇を討つ、って

思ったのかもしれないわね、当時のアタシは。

そして父を失ったという受け入れがたい

事実を自分から消したいが為に、自ら

記憶喪失になったのかもしれない。きっと

弟達もそうでしょうね。」

 

「そ、そのような凄まじい過去を

お持ちだったのですね・・・。」

 

「あ、ごめんね、なんか、重い話に

なっちゃって。

大丈夫、その後ドスラーデスが封印から

解かれると同時に父も復活したの。

で、復活したドスラーデスはアタシ達が

完全にぶっ倒してやったから父も今は

無事なの。」

 

なんだか暗い話になってきたのでアタシは

父が無事だというその後の話を慌てて告げた。

 

「ふ、封印が解かれたって、軽々しく

言いますけど大丈夫だったのですか!?

リザ殿!」

 

「大丈夫・・・ではなかったけど、

ちゃんとやっつけたから今ここでこうして

アナタと話をしてるんでしょ?」

 

またまたアタシはおどけて見せた。

 

「では今はお父上もご健在なのですね、

よかった〜。けど、リザ殿達の強さの秘密の

一端を知れたような気分です。

一時はお父上を失ったという絶望から

這い上がる力こそがリザ殿達の強さの

秘密だったのですね。」

 

「まぁ、そういうことになるのかしらね。

何回も言うけど記憶がないのでなんとも。

けど、アタシが修行を続けるのは、

今はもう違う理由だわ。アタシの守りたい人を

守る力、それを得る為に日々の修行を

怠らないようにしたいし、してるつもり。

父の仇を討つためだとか、そういう復讐の念

より、誰かを守る為っていう想いを

持っていた方が人は強くなれる、

戦う力だけじゃなくてその人自身の芯の強さ、

心の強さっていうのかな。

うん、少なくともこれまでの冒険を通じて、

そう確信してる。

だからアタシもその考えのもとに日々を

過ごしてるの。」

 

アタシは、思っている事を率直に話した。

普段、自分についてとか、過去についてとか

考える暇ないからね。

自分とはなんぞや?っていうのを口に出して

自分で確認したかったのかもしれない。

 

「リザ殿っ!私感激しましたっ!」

 

コッツ、声が大きくなりそうよっ!

 

「あ、ごめんなさい・・・。

けど、私と同じような世代のアナタが、

こんなに懐深い考えをお持ちで

日々行動されていることに

このコッツ、深く感じ入りましたっ!

やっぱりアナタは私の憧れの人、

戦いが強いだけではなく、心がお強い

からこそ、私はアナタに惹かれるんですね。」

 

「う~ん、心が強いっていってもね~、

アタシだって迷う事はあるし、間違う事だって

あるわ。

そんな失敗から学べるかどうか、よね、

人なんてね。」

 

「そうですね・・・おっしゃる通りです。

私も日々、学びと成長を心がけねばっ!

これでも私は隊長ですからっ!」

 

「そうね、お互い頑張ろっ!

ところでコッツは?

なんで義勇軍に参加してるの?

オリオリ達と同じように平和を願ってのこと?

それとも宇宙政府に強い恨みがあるとか?」

 

アタシは・・・自分の話ばかりしてたんじゃ

申し訳ないと思ってコッツの話を

聞こうと思って質問した・・・そんな軽い気持ち

だったんだけど。

 

「わ、私は・・・実は私も父と幼い頃に

生き別れになってしまい、残された母が

懸命に私を育ててくれましたが、

その母も亡くなり天涯孤独の身でした。」

 

「そうなんだ・・・ツラかったのね。」

 

「はい・・・母は亡くなる直前、生き別れた父

の事を話してくれました。

父は・・・義勇軍に籍を置いている、と。」

 

「えっ!!??」

 

今度はアタシが大きな声を出してしまった。

慌てて小声に修正する。

 

「じゃ、じゃあ義勇軍に参加したのって

お父さんを探すために?」

 

「はい。」

 

「で、お父さんには会えたの?

差し支えなければ・・・・

そ、それは誰かしら?」

 

「・・・いえ、幼い頃に生き別れたので顔は

覚えてないし、本当に父が義勇軍に

所属しているのか確証はないのです。

ただ、この人かしら?という人はいます。

・・・・けど、判明したワケではないし、

もし人違いでその人に迷惑がかかっては

いけないので今は伏せておきます・・・

ごめんなさい、リザ殿。」

 

「ううん!ぜんっぜんっ!

デリケートな問題でしょうからね、

アタシのほうこそごめんんさい、

デリカシーのない質問だったわ。」

 

「大丈夫です。

ただ私は・・・その人に1人前の戦士として

認めてもらえるよう、日々訓練をしてきました。

私が義勇軍に参加し、訓練を続けるのは

自分の承認欲求からだと思います。」

 

「その人をお父さんだと思い、

そして認めてもらうために頑張ってるのね。」

 

「はい、もちろんオリオリ様の掲げる大義を

支持しているのも私のモチベーションに

なっています。」

 

「そっかぁ、皆色々抱えてるのね~。」

 

お互いの過去を打ち明けあったからかしら、

アタシはコッツに親しみを感じるように

なってきた。

年齢が近いっていうのもあるからかしらね。

今までは同じグループに所属する同志、

ぐらいにしか思ってなかったけど。

 

「ところでリザ殿・・・・あ、あの・・・・

その・・・・。」

 

コッツの頬が明らかに赤く染まってる。

焚き火の灯りのせいじゃないって

わかるぐらいに。

 

「リ、リザ殿はその~・・・・

す、す、好きな人とかこ、こ、こ、

恋人っていらっしゃるのですか?

キャッ!!」

 

ええっ!?

 

な、なんだこのコ、

何を聞いてくるの??

 

「恋人ぉぉぉぉ!?」

 

「は、はい、こんなにステキな方

なんですもの、世の男性が

放って置くはずありませんわっ!」

 

ゲ~~~~ッ!

アタシ、こういうのホンットに

疎くて~~~!

オリオリとボロンが怪しいとかって

モガ丸の話も寝耳に水だったぐらいでっ!

けど・・・ここでアタフタしちゃダメね!

 

「恋人ね~、ふむ、い、居るわよ!」

 

「えぇ!?ホントですかっ!?

そ、それはどのような方なのですか!

片想い!?両想い!?お付き合い

されてるのですかっ!?」

 

なんだなんだなんだ~~???

えらくノリノリになってんじゃんっ!

 

「今も居るじゃないっホラ、

コッツの目の前に。」

 

「え!?」

 

そう言ってアタシは手にしている

杖をもう片方の手で撫でた。

ちょっと妖しい目つきをしながら。

 

「え~~~~、

なぁ~んだ、そういう事か~。

リザ殿も人が悪いんだからぁ。」

 

「ずーっと冒険ばっかりしてる

アタシに恋人なんか居るはずないでしょ。

もう、バカね~コッツ。」

 

「アハハハハ、それもそうですね!」

 

なんだか。

アタシ達ホントに、普通に女友達

みたいじゃない。

コイバナ?みたいな事話して。

 

「アナタは?コッツ。

そういう人居ないの?」

 

「私は・・・・居るには居るんですが、

あっ!いえ、お付き合いしている方

とか、そんな大それたものじゃなく・・・

片想いの人が。」

 

「へぇぇぇ、そうなんだっ!

え、それはどんな人なの!?

義勇軍の人?それとも全くの一般の人?」

 

するとコッツはさっきよりさらに

頬を赤らめて下を向いてしまった。

よっぽど好きなんだ。

 

「え~と、その、で、でも・・・・

その人には他に好きな人がいるみたいで、

わ、私にはどうする事もできないんです、

い、いえ、私はそれでかまいませんっ!

遠くから見ているだけで幸せなのでっ!!」

 

「・・・・ごめんなさい、アタシ、ホンットに

そういう話疎くて、気の利いた事を

言ってあげられないんだけど。

アナタはその人に想いを伝えてはいないの?」

 

「そ、そ、そんな!

告白だなんてっ!!

恥ずかしすぎて死んでしまいますっ!!

それに私からの告白だなんて、

きっと困らせてしまうだけだろうから。

嫌われたくはないんですっ!」

 

「そっかぁ、でも、アナタがそういう気持ち

だっていうのを知ればまた、お相手の人も

アナタを見る目が変わるかもしれない

んじゃないかしら。

あれ?これってアタシ無責任発言??」

 

「いえ!とんでもない、ありがとうございます、

リザ殿っ!

私のこんな他愛のない話に真剣に答えて

くださってっ!

けど・・・やっぱり今の関係が壊れる怖さの

ほうが勝ってしまいます。

とりあえず今は・・・このままでいいんです。」

 

ふ~ん、乙女ね~コッツ。

色々複雑なのね。

けどやっぱりアタシはコイバナは苦手だ(^^;

 

「はぁ、リザ殿に話を聞いてもらって

ちょっとスッキリしました。

ありがとうございますっ!

それではそろそろお休みさせていただきます、

リザ殿と色々お話ができて嬉しかったです、

おやすみなさい~。」

 

そう、アタシ、なぁんも気の利いた話

してないけどね。

スッキリしたんならよかったわ。

 

「は~い、おやすみ~。」

 

・・・・・・・・・

 

って何っ!?

 

これって結局コッツがコイバナ

したかっただけじゃないのっ!?

しかも本人はスッキリしたかしんないけど

アタシはお父さんとか片想いの人とか

誰だかわかんないからモヤモヤするっ

 

全く女子ってヤツはっ!

ただただ自分の話を聞いてもらえば

満足しちゃう人種なんだからっ!

 

アタシは。

同年代の友達ができたのは嬉しいけど

コッツにはあんまり深入りしないで

おこうと心に誓った。

 

コッツの寝息が聞こえてきた。

なんだかわかんないけど、

ちょっと、ほんのちょっとだけ

イラっとしながら杖磨きを再開した。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
3番隊と星屑魔法団の一行は
「星屑サーカス団」として身分を偽り
宇宙政府から身を隠していた。
ある時現れた白いスライムナイトの
調略により星屑魔法団は3番隊の元から
姿を消してしまう。
消えた魔法団と宇宙政府の上級執行官
との接触を阻止するため3番隊は
奮闘するが返り討ちに遭いコッツ以外の
隊員は捕虜となってしまった。


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エピソード14.「白き騎士起つ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「やぁお役人さん、オイラ達またまたやってきたぞ!」

 

「ぐっ!!」

 

通行官アクルというこの魔物はアタシ達の顔を

見るなり強張った表情を見せた。

アタシ達が生きてこの場所に帰ってくるなんて

思いもよらなかったでしょうからね。

 

「オイラ達、大聖堂に用があるんだ、

ピエールから聞いてると思うけど

此処を通過させてもらうぞっ!」

 

「くっ!

こ、此処を通るには通行証が必要と

言っただろう!?

君たち、執行官候補者様から通行証を

発行してもらったとでも言うのか!?」

 

「ふふ〜ん、お役人さん!

もう無駄なお芝居はお互いやめようぜ!

オイラ達、全部知ってるよ、他でもない

ズデーロンが全部教えてくれたからなぁ!」

 

「な、何のことだ!?

わ、ワシは規定通りの事を申しているまでっ!

通行証がないと此処を通すわけにはいかんっ!」

 

ええいっまどろっこしいなあ!

アタシ達は急いでるの、ここでコイツの

お芝居に付き合ってる暇はない!

 

「・・・どうしても通行証を見せろって

言うんならこれでどう!?」

 

グサッ!!

 

アタシは抱えていた自分の背丈の倍は

ある細長い包みからソレを抜き出し

アクルの目に前に突き刺した。

 

「こ、これは!?ズデーロン様のっ!?」

 

それはズデーロンが握っていた剣。

ところどころ刃がこぼれてるけど、知ってる者が

見ればすぐさま所有者が誰だかわかる

特徴的な剣。

 

「この剣が何を意味するか、わかるでしょ

アンタなら。

アタシ達を使って賭け事みたいなことを

やってたんでしょう?

でも残念だったわね、アンタのご主人様は

もうこの世にいない。

賭けはアタシ達の独り勝ち?

大穴が当選したって事になるのかな?」

 

アタシは、コイツらがアタシ達の事を

賞品扱いした事を根に持ったような

言い方をしてやった。

あんまりにも愚かで腹が立ったからね!

 

「ぐぐぐぐ、ま、まさか本当にお前達が

ズデーロン様を倒したとは・・・。」

 

ようやく本性を現したわね。

 

「く、クッソォ!

よくも我らの計画を潰してくれたなぁ!

おのれ・・・」

 

ビッ!

 

アタシ達に襲いかかろうという仕草を見せた

アクルの喉元にジョギーが剣を抜き切っ先を

あてる。

 

「やめておきなさい、アタシ達は無駄な

殺生はしたくない、アンタ如きでは

アタシ達には勝てないわ。

命を無駄にせずズデーロンに向けて念仏でも

唱えてればいい。

ってワケで此処は通させてもらうわっ!」

 

アクルはヘナヘナと、その場に崩れ落ちた。

ようやくアタシ達はキュウエルの関所を

越えた。

目指すはヨンツゥオ大聖堂!

 

今度こそ魔法団に会ってセアドに心変わりの

真相や新しい魔星王の事を聞かなくっちゃ!

それにオリオリの気持ちをどう考えているのか、

問いただしてやんなくちゃ!

 

アタシ達は自然、早足になる。

しばらく歩くと入江に浮かんだ巨大な

円形の建造物が見えてきた。

あれに違いないっ!

 

大聖堂が建っている小島に向けて架かっている

桟橋を渡り、とうとう入り口にたどり着いた。

 

「皆さん、やっと上級執行官の居城と

言われるヨンツゥオ大聖堂にやってきました。

ここはこの大陸における政府の最重要施設です、

どんな強力な魔物が潜んでいるかもしれません。

心して突入しましょうっ!」

 

オリオリが皆の士気を高める。

うん、ホントに、どんな強敵が待ち受けて

いるかわからない。

野営を一晩取ってくれたおかげで疲労感は

少し和らいでいるもの、不覚を取るわけには

いかない!

 

「さぁ!突入ですっ!」

 

ガタンッ!!

 

扉を勢いよく開けアタシ達は聖堂内へ

踏み込んだ!

魔物の気配をたくさん感じるっ!

全て相手をしていてはたちまち疲労感が

襲ってくる、アタシ達は全力疾走しながら

最上階を目指した。

 

嵐のように魔物が群れをなして襲ってきたけど

アタシ達は足を止めず走りながらスキルを

撃ち、進行を邪魔する魔物だけを

倒していった。

 

1階、2階、3、4・・・そしてとうとう

最上階までたどり着いた。

 

そこには。

魔法団らしき姿は・・・やはりなく、

代わりにいつもの、白いスライムにまたがった

ソイツが居たの。

 

「やぁ義勇軍の諸君っ!

無事ここまで辿り着いたようだな。」

 

書がひとりでに動きアタシ達の前まで移動し

オリオリが現れる。

 

「ピエール!

約束通りここまでやってきましたよ、

星屑魔法団はどこです!?」

 

「オォ、麗しきオリオリよ、無事でよかった。

・・・それでは今から貴女の愛する夫セアドに

会わせよう・・・と言いたいところだが!

その前に聞かせてくれ、答えは決まったかい?

直ちに義勇軍を解散し私と共に宇宙政府に

参加し、政府を内部変革させるのか?

という問いの答えを!

さぁ、オリオリ!」

 

「答えなど、何度も言っている、お断りよっ!

私が宇宙政府に参加するなど天地が

ひっくり返ろうともあり得ないっ!!」

 

「な、なんとっ!

貴女のご両親が宇宙政府に忠誠を誓いながらも

宇宙王の末裔だという血筋のせいで処刑されて

しまった事、まだ根に持っているのか!?」

 

オリオリとピエールの激しい論戦が

繰り広げられている。

けど、根に持つって!

根に持たない方がおかしいでしょ!!

やっぱりコイツ、自分の尺度でしか

話せないのかしら!?

ホンットに自分の事しか見えてない!

 

「上級執行官候補だというヤツらを見ただろう!

奴らは!

組織の敵である貴女達を、協力して倒す、

などと言う発想すら持ち合わせず、

挙句、それぞれ単体で戦い貴女達に敗れた。

とても統率の取れた集団とは言えんっ!

付け入る隙はいくらでもあるんだ、

組織に入り暗躍するのは容易い事なんだ。

それに。貴女の愛しい夫セアドも政府に忠誠を

誓っているぞ!」

 

「そんな筈はない、私とセアドは手を取り合い

義勇軍を作った。私はセアドを信じている、

私の考えはセアドの考え、彼が政府に忠誠を

誓うなどあり得ないっ!」

 

「残念だな!

ヤツはすでに政府の犬だっ!!」

 

「・・・それはアナタの事でしょ、

ピエール・・・。」

 

「・・・っ!」

 

「政府を内部から変革させるなどいう

幻想に取り憑かれ、その実、やっている事は

政府の魔物達の行いと何ら変わりはない!

その事に気づきもせず自分だけは他者とは

違うというその排他主義!

子供染みすぎて陳腐すぎるっ!

一度でも政府に関わると知らず知らず己も

政府の色に染まってしまうという事実を!

皮肉にもアナタが証明してしまっているっ!

これを政府の犬と言わずして何と言う!?」

 

オリオリがキメのセリフをピエールに放つ。

アタシも全くの同感!

ピエールこそが宇宙政府の手先かのような

数々の振る舞い、内部変革というのは

既に建前になっているとアタシも思う。

 

「うぬぬぬ、ここまで私を愚弄するとは!

こんなに丁寧に説いているというのに、

そんな私より義勇軍を裏切ったセアドを

信じるというのか!」

 

「さっきからそう言っています。」

 

「くっ!ならば!力づくよっ!!」

 

!!

ピエールから殺気が漂い始めた!

 

「宇宙政府にっ!いや、この私に異を唱え

続ける諸君らを成敗いたすっ!!

お望み通り血の雨を降らそうではないかっ!

さぁ、冒険王諸君、武器を取れ!」

 

「モガーーー!やっぱりイヤな予感が当たった!

ピエールと戦うハメになっちゃったぞー!」

 

とうとう本性を現したわね、やっぱり

戦う事でしか解決しようとしない。

もう既にアンタは政府の魔物でしかないっ!

 

「ハハハハハ、一度手を合わせてみたかった、

政府の魔物達をことごとく葬ってきた

諸君らの実力、この私が試してやろう!

かかって来いっ!!」

 

ピエールが戦闘態勢に入る。

アタシはモガ丸達にすぐさま指示を飛ばすっ!

 

「モガ丸っ!スラッピっ!

物陰に隠れてっ!オリオリを守るのよっ!

コッツっ!コイツは今までの魔物とは

比べものにならないぐらい強い!

アナタも戦闘に参加して!」

 

「リ、リ、リザ殿っ!!

りょ、了解しました!コッツ感激です、

リザ殿から戦力として見なされている事!」

 

「あ〜〜〜わかった、わかったっ!

けど今はそんな呑気な事喋ってる場合じゃ

ないよっ!!」

 

「は、はいっ!」

 

「モガ!オリオリの事は任せとけっ!

リザっ!思いっきりやってやれぇ!」

 

各自、所定の位置につく。

さぁアタシ達も戦闘態勢は整ったっ!

 

「ほぉぉ、私に対して最大限の警戒を

しているようだな、これは光栄!

しかし賢明な判断だ、さすが冒険王!

では参るぞっ!」

 

・・・いちいち自分の事に置き換えて

喋るのやめてくんないかな、どんだけ

ボク好き〜、なのよっ!

 

アタシは杖を握り、意識を集中させた。

 

ブゥウウウウン

 

アタシの周囲にルビス秘術の魔法陣が

広がっていく。

 

「行くよ!みんなっ!」

 

いよいよ?とうとう?

ピエールとの戦いが始まるっ!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・関所通行官アクル
上級執行官の居城、ヨンツゥオ大聖堂への
関所を守る宇宙政府の役人。
次期上級執行官としてズデーロンを推し、
彼の執行官就任の為の陰謀に加担していた。
アタシ達がズデーロンを倒したことにより
陰謀は暴かれアクルの前途も厳しいものに
なってしまった。
ハッキリ言って自業自得ʅ(◞‿◟)ʃ

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がる。


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エピソード15.「相いれぬ戦い」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「フフフフフ、数々の上級執行官達、

そして魔星王すら葬った諸君らとの戦い、

まこと楽しみだっ!」

 

「っていうかアンタさぁ、なんでそこまで

オリオリを宇宙政府に参加させたいワケ?

なんでそこまでこだわるの?」

 

「な、なに?」

 

「内部変革とやらをアンタが信じるのは

勝手だけど、別にやりたきゃアンタ1人で

やればいいじゃない。

1人が怖いんだったらアンタが説得してまわった

お仲間達と一緒にやればいいじゃない?

そのために仲間を増やしてるんでしょ?」

 

「別にこだわっているわけじゃない。

義勇軍などと無駄な事を続ければ

やがて政府の怒りを買いオリオリが危険な目に

遭うからだ。」

 

「だぁからぁ!

もしそうなったとしてもオリオリにとっては

信念を貫いた上での結末だと思うし、

アンタはアンタで信念の通り内部変革を

成し遂げればいいじゃない。そこにオリオリが

必ず参加してなきゃいけない理由がわからない。

もしアンタの大義が叶えば、それはそれで

アタシはアンタを見直すよ!

オリオリも同じだと思うけど。

どう?オリオリ。」

 

モガ丸達が身を潜める物陰から

オリオリが答える。

 

「リザさんのおっしゃる通りです、

私はできもしない政府の内部変革などに

時間を費やしている暇はないのです、

義勇軍として打倒政府を目指すことに

この生命を使います、

その結果力及ばず命を落とすことに

なっても後悔はありませんっ!

そしてピエール、アナタが目指す

宇宙政府内部変革構想、私は賛同しませんが

アナタがそれを実行させ、結果宇宙に

平和をもたらせる事ができたなら、

私もアナタを讃えます。

今はっ!同じゴールを見据えてはいても

同じ道を歩む事はできませんっ!」

 

「オリオリ・・・愚かな・・・・

私が安全な近道を用意してやると

いうのに・・・・。」

 

「好きなの?」

 

「な、何?」

 

「オリオリの事好きなの?アンタ。

好きだっていうんなら、そのほうが

よっぽどアタシ納得するよ、

アンタがここまでオリオリにこだわる理由。」

 

「バ、バカを言うなっ!!

わ、私は・・・!オ、オリオリとはこうやって

数回しか顔を合わせたことがないのだ、

どうしてオリオリに恋慕の情を抱く理由がある!?

バカも休み休み言えっ!」

 

ふむ、こんなうろたえてるピエールは

初めてね、なかなかどうして・・・フフフ。

アタシ核心ついちゃったんじゃないっ!?(*´꒳`*)

 

「ふうん、まぁそりゃそうね、ほんの数回

顔を合わせた程度じゃあ好きにはならないか。

アタシてっきりそうなんじゃないかって。

で、自分に全然靡かないオリオリが、

裏切った格好の旦那様を信じ抜くって

答えたからヤキモチ妬いてるのかな~って。

でもダメよ、人妻に恋しちゃあ!」

 

「リ、リザさん・・・・私で遊ばないでください。」

 

あ、オリオリ、ごめんね!

ただ、いつもいつも生意気な口しか聞かない

ピエールがうろたえてるもんだから

ついつい無責任な発言をしちゃった。

けど。

いつも冷静なピエールには効果が

あったみたいよ、オリオリ。

 

「お、おのれ冒険王っ!!

私を愚弄するつもりか!!!

ここまでコケにされたのは生まれて初めてっ!

許さんぞっ!

ダァァァァッ!」

 

いつもスマシタ態度のピエールが

怒りに任せて突進してきたっ!

 

ビュルルルッ

ズザァァァ!!

 

ピエールが手に持った槍をグルグルと回し、

アタシ達に槍撃を繰り出すっ!

槍撃はジョギーに向かった。

ジョギーは盾で槍撃を受け止めるっ!

負けじと剣撃を撃ち返す。

 

ブゥンッ!!

 

しかしピエールもまた盾で剣撃をガードした。

ジョギーは剣撃をガードされた瞬間、

横っ飛びで右方向に飛ぶっ!

 

「なにっ!?」

 

予想外のジョギーの動きにピエールは

思わず目を奪われスキが生まれた。

 

「メラゾーマッ!」

 

ゴォォォッ!

 

大火球が無防備のピエールに炸裂っ!

 

「グワァァァッ!」

 

ルビス秘術で威力が上がったメラゾーマ。

ピエールはその威力に耐えきれず

火球が炸裂した衝撃で吹っ飛びそうになったが、

駆っているスライムにしがみつき、スライムから

転げ落ちそうになるのをこらえた。

 

「グム~、さすが冒険王達っ!

戦い慣れている、見事な連携だ。

ならばっ!我らもこうだっ!」

 

ピエールを乗せたスライムがピョンピョンと

跳ねながら突進してくるっ!

アタシ達はスライムのその動きに目を奪われた。

自然、その上下運動を視線で追う。

 

ピョンピョンピョン、シュンッ!!

 

スライムは何回か跳ねたのち、突如一直線に

アタシ達に突進してきたっ!

上下運動に目が慣らされていたアタシ達は

突然の直進行動に虚を突かれ、スライムの

体当たりをもろに受けてしまった。

 

「キャーッ!!」

 

「グワァァァ!!」

 

「キャーッ!!」

 

「キャーッ!!!」

 

アタシ達4人はスライムのボディアタックの

衝撃で吹っ飛んだ。

見事なフェイク攻撃っ!

しかしピエール達の攻撃はそれで終わらない。

スライムに乗っているはずのピエールがいない。

 

「ハーッハッハッハ!

見事にホワイピの動きに惑わされたなっ!

喰らえっ!『天より降る雷撃』っ!!」

 

ピエールは上方にジャンプしていたっ!

ヤツのスキルが天井方向から飛んでくるっ!!

 

ガガァァァァッ

 

「キャーッ!!」

 

「グワァァァッ!!」

 

「キャーッ!!」

 

「キャーッ!!」

 

電撃を帯びたピエールの槍から

スキルが繰り出されスライムのボディアタックで

倒れ込んでいたアタシ達はまともに

その攻撃を受けてしまったっ!

 

ピエールとホワイピ?と呼ばれた白いスライムとの

見事な連携攻撃。

ヤツらもまたアタシ達と同じように仲間との

コンビプレーを得意とするってワケねっ!

 

「ハッスルダンスッ!」

 

パァァァァ

 

レイファンが回復の踊りを舞ってくれた。

一連の攻撃で受けた傷が回復していく。

幸い、そこまで威力は大きくなかったからか、

傷はほぼ全快した。

 

けどっ!

 

「姉ちゃん、コッツがっ!!

コッツが気を失ってるよっ!!!」

 

コッツの一番近くに居たレイファンが叫ぶ。

視線を送るとコッツが倒れ込んだまま

動かないっ!

 

マズイな、休み状態かっ!?

命に別状はなくても動けないのは危険だわっ!

 

「フフフ、冒険王達は堪えられても、

その女戦士には耐えられなかったみたいだな、

とんだ足手まといではないのか?」

 

キッ!

アタシはピエールを睨んだっ!!

アタシ達の仲間を侮辱するヤツは許さないっ!!

 

「メラミッ!ライデインッ!!」

 

アタシは中級呪文を連発した。

 

「超はやぶさ斬りっ!!!」

 

ジョギーも剣のスキルを放つっ!!

ピエールは盾でアタシ達の攻撃をガードした。

しかし威力の大きさに態勢を崩す。

 

「ウグググッ!しかし此奴等の攻撃力の

なんと高いことっ!!

この私が威力を押し殺す事で精一杯とはっ!」

 

ピエールが態勢を崩しているスキにアタシは

コッツの元に走り寄り彼女の頬を2発3発と

平手打ちした。

 

バシッバシィッ!

 

「コッツッ!起きなさいっ!!

気絶してる場合じゃないわ、やられるよっ!!」

 

「う、う~ん・・・」

 

意識がかすかに戻ってきた。

けど完全に目を覚まさない!

アタシはコッツの上体を起こし背中側に回って

喝を入れた。

 

「ふんっ!」

 

「キャッ!・・・・あ、あぁ!リザ殿!?」

 

「よかった、気がついたわね!

気絶してたのよ、ピエールのスキルで。」

 

「え、えぇぇぇぇ!

ハッ、も、申し訳ございません、

なんと無様な姿を見せてしまったのか!」

 

「傷は!?痛みは!?

レイファンがハッスルダンスをしてくれたので

支障はないはずだけど?」

 

「あ、は、はい!そういえば傷の痛みは

感じませんっ!

それより皆さんっ!足を引っ張ってしまい

申し訳ございませんっ!!」

 

コッツは気絶してしまった事を全力で謝った。

ううん、大事に至らなくてよかった。

 

「けど、あの電撃のスキルは威力は高くないけど

厄介ね、また撃ってくる時は注意しましょうっ!」

 

「わかったっ!」

 

「わ、わかりましたっ!」

 

「ジョギーッ!アナタ次、『魔剣乱舞』

撃ってみて!ヤツの弱点が知りたい。」

 

「あ、あぁわかった。

ドルマが弱点なのか?」

 

「さっきの電撃はおそらくデインね、

デインを得意とするヤツは反対の属性が

弱点っていう場合が多いわ。」

 

「そうだな、さすがリザ姉っ!」

 

「よし!じゃあサポートするよ、兄ちゃん!」

 

アタシ達はオフェンス面での作戦を練った。

ピエールの弱点がわかれば戦いを有利に

進められる。

 

「オンステージッ!」

 

ピュアアアアア♪

 

レイファンがアタシ達を鼓舞する舞を舞うっ!

 

「レイファン殿っ!私がお護りしますっ!

不覚を取ってしまった汚名を晴らしたい、

私が戦友の盾でお護りすればサポートスキルが

途切れる事を防げますっ!」

 

コッツはそう叫ぶとレイファンの前に移動し

盾を掲げてガードした。

よし!これでアタシ達に有利な状態が

長く続くっ!

コッツ、危険な役目をよく引き受けてくれた。

ありがとうっ!

 

「ググググ、ブルリア星の冒険王・・・

お、恐るべし!これほどとはっ!

しかし私も引き下がるワケにはいかんっ!

ゆくぞ、ホワイピッ!!」

 

「ピエッ!!」

 

ピエール達が態勢を立て直し反撃してきた。

 

ビュルルルッシャーーーッ!!

 

ホワイピは今度は最初から一直線に

アタシ達に突進してくる。

突進してくるホワイピを踏み台に

ピエールが跳躍して槍撃を放つっ!

相乗効果を得たその一撃はこれまで

よりも威力が高く速度も速いっ!

 

アタシとジョギーは横っ飛びで槍撃を

躱した。

槍撃はレイファンを護っているコッツに

向かったっ!

 

ガキィィィィンッ!

 

槍と盾がぶつかる音が響き渡るっ!

 

「ググググッ!

わ、私はレイファン殿をお護りするんだっ、

これぐらいの攻撃は耐えてみせるっ!

・・・・・えっ!?」

 

「フフッやるな、コッツとやらっ!

私の攻撃に耐えるとはな、驚いたぞ!」

 

ギリギリと槍と盾が交わったままピエールと

コッツが睨み合うっ!

すると懸命に盾でレイファンを護っている

コッツが素っ頓狂な声をこぼした。

 

「だぁっ!」

 

「チッ!」

 

コッツの援護をする為ジョギーが剣を

振り抜くっ!

ピエールは剣を避けようと後ろに跳んだ!

 

「・・・・・え?い、今のピエールと交錯した時・・・

なんだか懐かしい気がした・・・・!

なんなのだ、このカンジ・・・・。」

 

「え、なんだって?コッツ。」

 

コッツはほとんど聞き取れないぐらいの

小声で独り言を呟いた。

すぐそばに居るレイファンでさえも

聞き取れなかったみたい。

 

「あ、いえ、なんでもありません、

レイファン殿。」

 

「あ、そう?大丈夫?

今のピエールの攻撃で深いダメージを

負っちゃったのかと思ったわ。

けど、アナタは私を庇ってる分

ダメージがより深い、回復をしましょう、

ホイミッ!」

 

パァッ!

 

レイファンがコッツに軽めの回復呪文を

施した。

 

「あ、ありがとうございます、レイファン殿!」

 

「うん、頑張ろうっ!」

 

「チィィッ!コイツらっ!

連携や陣形の取り方がスムーズ過ぎるっ!

私の予想以上だっ!

だが我らも負けてはおらんっゆくぞ!

ホワイピッ!!」

 

「ピエッ!!」

 

再びピエールをその背に乗せたホワイピが、

今度はいきなり上方にジャンプしたっ!

 

「もう一度喰らえっ!

『天より降る雷撃』っ!!!」

 

ピエールが先程のスキルを繰り出そうとした。

 

「させるかぁ!!」

 

ギラッ!!

 

ピエールを激しく睨みつけたジョギーが

ピエールのスキルに対しカウンター気味に

撃ち返すっ!!

 

「『魔剣乱舞』っ!!!」

 

ビュオオオオオッ

ガシガシガシガシッ!!!

 

アタシが注文した剣技スキルを

ジョギーが上方に向かって放ったっ!

ピエールのスキルが発動する前に

ジョギーのドルマ剣技スキルが

炸裂したっ!

 

「グワァァァァァ!!」

 

「ピエェェェェ!!」

 

ピエールとホワイピは激しく

後方に吹っ飛び床に打ち付けられた。

ピエールの指がピクピクと

痙攣している。

 

ニヤリ。

睨んだ通りドルマが弱点らしい。

ピエール達は痙攣したまま立ち上がらない。

かなり効いたみたい、倒したか!?

 

一瞬、勝利かと思われたが・・・。

 

ムクリ。

ピエールは這々の体で起き上がろうとした。

 

「お、おのれ・・・・ほんの少し・・・い、

痛めつけてやれば・・・・!

おとなしく、私の言うことを・・・・

き、聞くだろうと思っていたがっ!

貴様らっ!!!

そんなに私を本気にさせたいかーーーーっ!!!!」

 

バシューーーッ!!

 

ピエールは起き上がると殺気を強め

全身をオーラで包んだっ!

呼応するようにホワイピも起き上がる。

するとみるみるホワイピが巨大化し

刺々しい鎧が出現しその身を包んだっ!

 

ピエールの纏っている鎧もより歪な

突起がいくつも出現し恐ろしい意匠に

変化したっ!

 

なるほど、ここからが本気、

レッドゾーンってわけね。

 

「もう容赦せんっ!

殺しはしまいと力をセーブしていたがっ!

ここまで私を追い詰めたからには

死んでもらうっ!!」

 

クッ!さっきまでとは全然lvが違う

オーラッ!

 

アタシ達も仕切り直さなくてはっ!

じゃないと殺されてしまうっ!!

 

「覚悟しろっ冒険王達っ!!」

 

イカツイ姿になったピエール達が

突進してきたっ!!!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がる。


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エピソード16.「幕切れはあらぬ方向へ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



ズバババババッ!!!

 

ピエールが真っ赤なオーラを発したっ!

燃えたぎる怒りのオーラ!?

 

「ゆくぞっホワイピッ!!」

 

「ピエッ!」

 

ピエールは跳躍し白い相棒の背なに

着座する。

これはっ!

かなり強烈なスキル、キラースキルを撃つ

つもりね!

 

「レイファンッ!バフ行動っ!」

 

「わかった姉ちゃんっ!」

 

アタシはレイファンに守備力上昇を

施すよう短く指示を飛ばしたっ!

 

「我らに天空城の城壁の如き

防壁を与え給うっ!スクルトッ!!」

 

「聖王の舞っ!!」

 

ギュイイイイン!

 

守備力を上昇させる呪文とスキルが

同時に発動したっ!

物理ダメージを大幅に抑えられるっ!

 

「・・・私がこの技を使うとはなっ!

死んでもしらんぞっ!!」

 

ピエールがそう言うとホワイピが

一度ググっとかがみ込み、

そして上空高くジャンプしたっ!

 

「喰らえっ『ピエール彗星』ーーーーっ!!」

 

白い騎士を乗せた白いスライムが

赤いオーラを発散させながら

急降下してくるっ!

さながら彗星のようにっ!!

 

ヒュイイイイイン・・・

ガァァァァァァァァ!!!

 

「グググッ!!」

 

「キャアアアアアアアッ!!!」

 

頭上から急降下して体当たりしてくる

強力なボディアタックッ!!!

さっきの電撃のスキルとは比べ物に

ならない威力っ!!

真っ赤な彗星と化したピエール達が

激しい勢いで激突し床から真っ赤な

岩の塊のようなものが無数に隆起したっ!

凄まじい衝撃でアタシ達は吹っ飛んだ。

 

ただ。

バフを重ねて施していたので

なんとかアタシ達は持ちこたえることが

できた!

傷はそこまで深くない。

けどまたしてもコッツがっ!

 

「姉ちゃんっ!またコッツがっ!!

気絶してしまったっ!!!」

 

アタシ達姉弟は全員意識は保ってるけど

コッツは耐性が低いのか、

またしても休み状態に陥ってしまった!

 

「クッ!まずは傷の手当をっ!

我が友人の傷を癒やし給う、

ベホイムッ!!」

 

パァァァァ!

 

強い緑色の光りがコッツを包む。

アタシは回復呪文をコッツに施した。

 

「ス~、ス~。」

 

「姉ちゃん、大丈夫っ!息はあるっ!

死んではいないよ、コッツはっ!」

 

レイファンがコッツの状態を確かめる。

よかった、気絶してるだけみたいね、

けどレイファンを庇っている分、

コッツは他の者よりダメージが大きい!

強めの回復をしておくほうがベター。

 

「な、な、な、何だとぉ!?

わ、私の渾身のスキルを喰らっていながら

コイツら生きている!!??」

 

ピエールの自身最高の技を繰り出したんだろう。

しかしアタシ達はそれに耐えた。

その事実が信じられない様子。

 

ゆら~~~~。

 

アタシはゆっくりとピエールの方に

向き直りピエールに近づいていく。

 

「クッ!コイツら不死身かっ!

ホワイピッ!」

 

「ピエッ!」

 

ピエールが跳躍しホワイピから離れる。

するとホワイピはなんとっ!

無数の小さなスライムに分身し、

そいつらがボディアタックをしてきたっ!

 

「喰らえ『拡散する白き騎士』っ!」

 

ドドドドドッ!

 

無数の白きスライム達が襲いかかるっ!

けど守備力が上昇しているアタシ達には

ほとんどダメージを与えられない。

 

攻撃を終えると分身していた小さきスライム達が

集まり元のホワイピの姿に戻る。

 

ブゥンッ!

 

ジョギーが剣で反撃するっ!

ピエールも槍で応戦するっ!

 

しばらく剣と槍の応酬が続いた。

その間、気を失っているコッツは・・・。

夢を見ていたらしいの。

 

*****************************************************

 

「やぁっ!」

 

ガシィッ!!

 

「やっ!やっ!やぁ!!」

 

ガシガシッ!!

 

「ホラァ!もっと鋭く突くんだ!

そんなノロマな拳じゃ敵に当たらないぞっ!」

 

「は、はいっ!

でやあああああっ!!」

 

ヒョイッ

 

「わぁ~っとっとっとっ!」

 

「バ~カッ!

ノロマだって言ってるのに

そんなに大きく振りかぶったら

避けてくださいって言ってるようなもんだぞ?

空振りしたスキに後ろから斬られたら

死んでるぞ、コッツッ!」

 

「はぁはぁはぁっ!くぅ!」

 

「見ろ、無駄な動きが多いから

そうやってすぐに息が切れるんだ。

よし、次はディフェンスだ。

オレから攻撃する、避けるなりガードするなり

好きにやってみなっ!」

 

「はぁはぁっわかりましたボロンッ!」

 

「ゆくぞっ!」

 

その夢は・・・。

当然アタシには見えないんだけど。

コッツとボロンの修行風景だった。

 

ブンッ!

 

「グッ!」

 

ブンッ!ブウンッ!!

 

「グッ!!」

 

ブンブンブンッ!!!

 

「ダァッ!!」

 

「フフン、相変わらず盾の使い方は

上手いな!

これはどうだっ?セイッ!!」

 

ズシャッ!!

ガキィィン!!

 

「ググググッ!!

アァァァァ!!!」

 

ガラガラガラーーー!

 

盾を器用に使いこなしボロンの

攻撃を捌いていたコッツ。

けど最後にボロンが強めの一撃を

繰り出すと、その威力にこらえきれず

盾が弾かれてしまった。

 

「ハァハァハァッ!」

 

「・・・・フフ、最後の一撃は

力で押し切られたな、

まだまだ修行が必要だぞ?

コッツ!」

 

「ハァハァハァッ、

おっお稽古あ、ありがとうございましたっ!

ボロンッ!」

 

「あぁ、しかしお前は修行次第では

良い守護騎士になれそうだ、

オレの剣撃をあそこまで盾で

弾けるんだからなっ!

あの受け流す動作はなかなか見込み

あると思うぜっ!」

 

「ホントッ!?

ボロンに褒められたら本気で

私嬉しいっ!」

 

「ああ。ただしっ!

オレは全力は出してないからなっ!

その分を差し引いて、ますます精進

することだな。

もっと基礎体力を上げるトレーニングを

やりな。そうすれば今日の最後の一撃

だって耐えられるようになるさ。」

 

「はいっ!

アドバイスありがとうっ!」

 

ダメ出しをされながらも

良かった部分も口にしてくれたので

コッツは嬉しそうだった。

 

「オレ達全員が強くなれば・・・。

オリオリの役に立てるんだ、

その事を肝に命じてお互い

精進しようぜっ!」

 

「あ・・・・うん・・・・。

ねぇボロンは・・・・オリオリ様を

護るために修行をしているの?」

 

と思ったのも束の間。

コッツの表情が少し陰る。

 

「は?

当たり前だろ、それが俺たち義勇軍の

使命であり存在意義だ。

宇宙政府に支配された、こんな不公平な

世の中をオレは変えたいんだ。

そしてそれができるのはオリオリだけだと

オレは信じている。

そんなオリオリを護るのが俺たちの

役目だろ?違うか?」

 

「あ、うん、もちろん!

心得てるわっ!!

私もオリオリ様を尊敬しているし、

お護りするためにもっと強くなりたいっ!

けど・・・。」

 

「けど?」

 

「ボ、ボロンがオリオリ様を護るのは・・・

本当に宇宙の平和を取り戻すため

なのかなって。

え、えーとえーと、その、お、幼馴染だから

特別なのかなって、オリオリ様の事。」

 

陰った表情が今後は真っ赤になり、

支離滅裂な質問をボロンにし始めたコッツ。

 

「?

変なことを聞くヤツだ。

まぁ、腐れ縁だからな、オリオリとは。

そういう意味では特別といえば特別だ。」

 

「ふ~ん、そうなんだ・・・。

特別なんだ・・・・。」

 

「だから腐れ縁だって言ってるだろう!」

 

「ん、わかった。

お稽古ありがとうございましたっ!

じゃあ失礼しますっ!!」

 

そうかと思うと急に不機嫌そうな表情になり

キッっと姿勢を正し一礼をして

ボロンの前から走り去ってしまったコッツ。

 

「あぁん?

なんだアイツ・・・最後不貞腐れてなかったか?

ありがとうございましたって態度じゃないよな?」

 

残されたボロンは、よく状況がわからないまま

独り言を呟いていた。

 

そんな・・・・コッツの夢・・・・。

******************************************************************

 

「・・・・ッツ!・・・・・コッツ!・・・・・・

コッツ!!起きてっ!!コッツーーーー!!」

 

「・・・・・あ・・・・・はっ!?」

 

「よかった!やっと目を覚ましたっ!

アナタ、またピエールの技で気絶してたのよっ!」

 

「はっ!?レ、レイファン殿!?

・・・・あ・・・・あぁぁぁぁ!

もっ申し訳ございません、一度ならず

二度までもっ!

皆さんの足を引っ張ってしまいましたっ!

申し訳ございませんっ!!」

 

「ううん!仕方ないわっ!

アナタ、ずーっと私を庇ってくれてるからっ!」

 

「すみませんっ!そ、それで!?

戦いの行方はっ!?リ、リザ殿やジョギー殿は!?」

 

「うん、無事だよっ!

ってか、こっちが優勢に進めてるっ!!」

 

(そ、それにしても・・・。

なぜボロンの夢を見ていたんだろう私・・・。

ボロンとの修行の夢・・・・。

・・・・・・!・・・・・・・・・・・!!っ

あっあの時のっ!

ピエールの攻撃を盾で防いだ時の

あの妙な懐かしさっ!!

そして今しがた見ていたボロンの夢っ!!

まっまさかっ!!

ピエールとはっ!!??)

 

コッツが意識を戻す少し前。

アタシとジョギーはピエールとホワイピ相手に

優勢に戦いを進めていた。

 

「ググググッ!

わっ私が真の姿を見せたというのにっ!!

コイツらに明らかに遅れを取っているだとぉ!?」

 

「そりゃっ!!」

 

ジョギーと応酬を続けていたピエールだったけど

徐々に形勢はジョギーに傾きつつあった。

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

バシューーーッ!!!

 

ジョギーが闘気のオーラを発散し

とうとう怒ったっ!!

 

「いくぞっ!ピエールッ!!

『魔剣乱舞っ』!!!」

 

ガシュシュシュシュッ!!!

 

超速の剣技が放たれピエールに

炸裂するっ!!!

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「ピエェェェェェェ!!!!!」

 

ピエールとホワイピは衝撃で

派手に吹っ飛んだっ!

 

「ガハァァッ!!

凄まじい・・・・威力・・・・・・ゴフッゴフッ!

まっ負けるっ!?こ、この私がっ!

負けるのかっ!??

はっ!!」

 

アタシはトドメを刺すべく杖を掲げていた。

その姿が視界に飛び込んで来たんだろう。

ピエールの敗北を覚悟した表情を

アタシは目にした。

 

「魔の故郷、魔界よりいづる悪霊どもよっ!

黒き霊魔の力で我が敵を滅ぼせっ!

ドルモ・・・・」

 

アタシはドルマ系上級呪文の詠唱を

終えようとしていた。

呪文の名を読み終えると、その黒い

エネルギーの塊がピエールに向かって

飛んでいき戦いは終わる・・・はずだった。

 

「ドルモー・・・・・・キャッ!?」

 

呪文の詠唱が終わるか終わらないかの刹那、

杖を掲げている右腕を掴まれる感覚が

アタシを襲った。

 

「ドルモーアッ!!」

 

右腕が何者かに引き下げられつつも

アタシは呪文の詠唱を終えたっ!

黒いエネルギー弾が発生し飛翔を

始めた。

が、腕を動かされたので狙いが

定まらなかったの。

 

ギュイイイイ、ブシャアアアアアッ!!!

 

ドルモーアのエネルギー弾が炸裂した。

ただし、蹲っているピエールの

すぐ近くに・・・・・。

ドルモーアは外れたの。

 

ハッと振り返りアタシの右腕を掴んだ

人物を確認すると・・・・。

 

「コ、コッツ!?」

 

「ハァハァハァ、リッリザ殿っ!

申し訳ございません、戦いの邪魔を

してしまって。け、けどっ!

ピエールを倒してはダメですっ!

・・・・・ピエールを倒さないでーーー!!」

 

「・・・・?

どういう事っ!?」

 

「ピッピエールは!ピエールの正体は

・・・・おそらくっ!」

 

「えっ?正体?正体って何??

正体って事は・・・誰かがピエールに

化けてるって事?」

 

アタシはコッツがアタシの邪魔をした事

を咎めるよりもピエールの"正体"と

言ったコッツの言葉の真意を探った。

けど、その真意は測りかねる。

 

そして。

苦しそうに呻いているピエールのほうを

見やった。

ピエールの正体・・・?

 

「ハァハァハァ、どうやら私の負けの・・・

ようだな。

おっ恐るべしブルリア星の冒険王・・・!

きっ貴様らの事はよぉく・・・

ずーっとそばで見てきたゆえ・・・

よぉく知っているつもりだったが・・・・。」

 

え!?

今なんて言ったのピエール、

ずっとそばで・・・・?

 

「お前たちの事をわかっていた

"つもり"に過ぎんかったというワケか。

そして・・・・私はコッツに命を救われた

・・・というワケだな。」

 

「そっそうよピエールッ!

リザ殿達はっ!

私や・・・アナタでも計り知れないほどの

強さを持っているのっ!

私はその強さの根源を知っているもの。

だからもう・・・抵抗はやめて。」

 

何をワケのわからない事を言っている?

コッツにはコイツの言っている事が

わかってるというの?

 

「フフフフ・・・・あっイツツ・・・!

そうか、わかった!

このピエール、潔く負けを認めよう!

あるいは・・・この仮面が邪魔だった

かもしれんな。」

 

コッツとピエールだけの世界で進んでいた

会話が終わると、これまた2人だけが

納得し終わったみたい。

 

アタシは全く何の事かわからない事だらけだった。

けど・・・次の瞬間、その訳のわからない事の

訳が明かされる。

 

コッツとの会話で何かを悟ったピエールは

自らの仮面に手をやり脱ぎ始めた。

その仮面の下から現れた人物の顔、

それを見て、ピエール本人とコッツを除く

その場に居る全員が言葉を失った。

 

「・・・・ボロン?・・・・

モガーーーー!!ボロンじゃないかっ!!

な、な、なんでボロンがここに居るんだよぉ!?

って、って、ってかピエールがボロン!!!???」

 

物陰に隠れていたモガ丸が・・・・

しばしの静寂の後に叫ぶ。

 

・・・・・えっ?????

ボロンッ!!!???

 

月並みな言い方だけど・・・・

アタシは頭の中が真っ白になった。

 

ピエールの仮面の下からボロンが

現れた。

オリオリの幼馴染、義勇軍の親衛隊長、

アタシ達の仲間っ!!!

ピエールの正体はボロンだった!!!???

 

激闘を終えた聖堂内に静寂が

横たわっていた。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がる。


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エピソード17.「決別」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



アタシは・・・・。

この状況を、この再会を・・・・。

自覚はないけど、なんとなく・・・・

知っていたのかもしれない。

以前に見た不思議な夢。

幼いオリオリとボロンの夢。

 

あれは・・・・。

この状況を指し示す何かの知らせ

だったのかもしれない。

 

ピエールの正体がボロンだって事に

いまだに思考が追いつかない。

けどどこか・・・・

「あぁ、そうだったのか。」と

妙に腑に落ちる部分もあるにはある、

という思いも持っていたの。

 

「ボ、ボロンッ!?

どうしてアナタが此処に居るのっ!?

い、いや、ボロンッ!!

アナタとピエールが同一人物なのっ!?

今までっ!

私達の前に現れていたピエール、

あれも全部アナタだったというのっ!!??」

 

眼の前の異常な光景に、たまらずオリオリが

書から飛び出し仮面の下から現れた

ボロンに質問を投げつける。

 

「わかったっ!

リザさん達と腕試しがしたくって、

それでピエールになりすまして

ここに現れたんでしょう?

あぁ・・・ボロンッ!!

そうだと言ってちょうだいっ!

本物のピエールはオレが倒し、

ピエールになりすまし

リザさん達と戦ってみたかった、と。

いたずらが過ぎただけだって・・・・!」

 

オリオリは混乱のあまりか、

支離滅裂な事を口走り始めた。

けどそれはアタシも同じ。

なぜボロンがアタシ達の前に

居るのか全く理解できなかった。

 

「・・・・・・・・・・。

オリオリ・・・・・・。」

 

しばし無言が続いたけど

ようやくボロンが口を開いた。

 

「ざ、残念だが・・・・。

このボロンこそが・・・・。

白いスライムナイトことピエール

本人だ・・・・!」

 

「ボ、ボロン・・・・・・。」

 

ボロンの告白に・・・・

オリオリは今にも泣き出しそうに

なってしまった。

 

「ス、スライムをこよなく・・・・

愛し・・・そして・・・・・

お、幼馴染であるオリオリに!

・・・・身分をわきまえず・・・・!

ゆ・・・・許されない

・・・・・・!!」

 

そこまで言うとボロンもまた

声を震わせた。

 

「許されない愛を!

オリオリを愛してしまった罪深き男、

それが白いスライムナイト、ピエール

こと、このボロンッ!!!」

 

衝撃の告白、衝撃の事実・・・・!

ボロンが・・・・!!

その想いの激白を始めた!!

 

「ボ、ボロン・・・・・!

やっぱりオリオリ様の事を・・・!」

 

ボロンの語る激白を聞き、

そばに居たコッツがか細い声で

呟いた。

 

ただ、オリオリもアタシ達も

ボロンに気を取られていて

コッツの呟きに全く気づかなかった。

 

「ボロンッ!

どうしてっ!どうしてそんな事を

私に言うのっ!?

アナタは私に向かってそんな事を

言ってはいけないっ!!

だって私にはセアドが・・・・。

もうセアドがいるのよっ!!」

 

オリオリの声は・・・・

すでに悲哀の色を帯び始めていた。

オリオリほどの人格者であっても、

すでに既婚者である自身が、

幼馴染から愛の告白を受ける・・・

そんな異常な事態を受け入れ難い

のだろう。

きっと胸のうちは様々な想いが

渦巻いて、受け止めきれず

感情が溢れ出してしまったんだろう。

 

「・・・すまない・・・・。

この想いだけは口にしてはいけないと

自分に固く禁じていた・・・・。

・・・・・だが・・・・・・。

なぜオレが・・・・仮面を被り

ピエールとしてお前達の前に

現れたのか・・・・・

その理由を話さねばならぬ・・・・。

それには・・・・・

オレの、この禁じられた

想いを伝えねばならんと思ったのだ。」

 

アタシ達を・・・そして何よりオリオリを

欺いていた理由・・・・。

 

アタシだって!

短い付き合いだけど!

ボロンの事は戦友だと思ってた。

その理由如何では!

アタシはアナタを許せないかもしれない。

それぐらいの事をしでかしたのよ、

アナタはっ!!

 

「・・・・我が・・・・ゆ、友人の・・・・・

傷を癒やし給う!!

ベホマラーッ!!!」

 

パァァァァ

 

「なっ何の真似だっ!?

リ、リザッ!!!」

 

「リ、リザさんっ!!??」

 

アタシはボロンとノビているホワイピに

回復呪文を施した。

 

「傷と体力の消耗は癒えたでしょ、

さぁ、アタシ達の納得いくように

説明しなさいよ、ボロンッ!!」

 

アタシ達の与えたダメージ、

きっと話をするのもやっとの状態

だっただろう、ボロンは。

 

アタシだって・・・・。

ボロンの事、我が友人だと思いたいのよ!?

けどピエールがボロン本人だって言うなら

アタシ達をずーっと騙してた事になる、

アタシも・・・様々な想いが胸の内に渦巻いて

キツイ口調になってしまっていた。

 

「フッ、どうやら冒険王殿は

オレがピエールだったという事実に

えらくご立腹のようだな。

オレの回復をしてまで尋問を

するというワケか。」

 

「茶化してないで早く話しなさいっ!

くだらない理由だったら

アタシがアンタをぶん殴って

やるんだからっ!!」

 

「リ、リザッ!

ま、まぁ落ち着けってっ!!

気持ちはわかるっ!

オイラだって何がなんだか、

悲しんでいいのか、怒っていいのか、

よくわかんない気持ちだっ!

けどまずはボロンの話を聞かなきゃだぞ!」

 

クッ!

珍しくモガ丸に諭されてしまった・・・。

自分のどうしようもない苛立ちを

暴力で晴らす・・・・か。

確かにこれじゃ宇宙政府と変わんないわね。

 

「・・・・悪い、リザ・・・・。

お前がそれほど声を荒げるって事は

それだけオレの事を信用してくれてた

って事だな。

よし、オレも真摯に話すぜ、

なぜピエールなどと身分を偽ったのか、

オリオリの掲げる打倒政府とは

一線を画する内政改革路線へと傾倒

していったのか。」

 

ボロンは神妙な面持ちになり、

どうしてこういう状況になったのかを

語り始めた。

 

「グスッ・・・ボロン・・・・・。

セ、セアドに・・・・星屑魔法団に

政府の魔星王誕生計画への協力を

説いたのは本当にアナタなのですか・・・?」

 

ボロンの激白に泣き崩れていた

オリオリがようやく落ち着きを

取り戻し、最大の謎だった

星屑魔法団の心変わりについて

問いかける。

 

「あぁ・・・・お前の愛する夫セアド、

セアド率いる星屑魔法団に政府への

協力を依頼し説得したのは

紛れもなくオレだ。」

 

「あぁ・・・・なんて事っ!」

 

「確かに魔星王誕生などと恐ろしい計画、

このオレも望んでいたワケではないっ!

しかし義勇軍の親衛隊長として

顔が割れていたオレが・・・。

政府内政変革を成し遂げるためには

どうしても素性を隠して政府に

潜り込む必要があった。

そして政府からの信頼を得るためには

政府の望む誕生計画に全面的に

協力するしかなかった。」

 

「愚かな・・・・。

内政変革などと夢物語のために、

恐ろしい魔星王誕生まで実現させて

しまったのよ?

何もかも政府の思うがままの結果しか

残っていないっ!!」

 

「リザさん、ここはボロンの話を

聞きましょう。

ここで内政変革の是非を問えば

これまでの論戦の繰り返しとなり

時間の無駄でしょう。」

 

オリオリッ!

ご、ごめんなさいっ!

アタシ・・・まだ動揺が続いてるのか

ついついキツい口調になってしまう・・・。

 

オリオリは・・・・。

少し冷静さを取り戻したようね、

よかった。

 

「リザ、オレが政府に加担したことが

よっぽど許せないようだな。

しかし誤解しないでくれ。

オレはオリオリを騙したり、裏切った

つもりは毛頭ない。

ただ、オリオリを護る方法を変えたのだ。

内政変革を進める分にはオリオリの

生命の危険度という尺度では

打倒政府を進めるそれよりも

遥かに低くなる。

オレは・・・・愛してしまった女の生命を

優先させたのだ。

別にっ!セアドからオリオリを奪うだとか、

そんな大それた事は考えていない。

ただただ、オリオリを危険な目に遭わせたく

なかったのだ。

例え政府の手先に成り下がろうとも、

オリオリが生き延びる確率が高いほうを

選んだのだ。

レジスタンスを続ければ・・・・。

いつどこで誰の裏切りに遭い、攻撃に

さらされ命を落としてしまうかも

しれないからな。」

 

「ボロン・・・・。

アナタそんな事を・・・・・。」

 

「オリオリの身を案じるアンタの気持ち・・・・

それはよくわかったわ。

けどそれは。

オリオリの意志を殺す選択じゃなくって?」

 

「意志か・・・・。

しかし死んでしまえば意志も消えてしまう。

生きてさえいれば・・・・いずれ自分の望む世界を

作ることもできよう。

しかし死ねばそこまで。

あらゆる可能性が一瞬にして0に

なってしまうんだっ!」

 

「違うっ!意志は・・・・・!

貫くからこそ、人を動かす力になるっ!!

強き意志を持つ者・・・・例えその人が

この世からいなくなってもっ!

意志の力は残った人々に

受け継がれるんだよ!!

オリオリは・・・・!その強き意志を持つ者に

なろうと頑張ってるんだよ!?

ボロン、アンタはっ!

オリオリに生きながら死ねって

言ってるんだよっ!?」

 

「ではお前はっ!!

オリオリに人身御供をしろ、と言うんだな!

打倒政府の意志をっ!

宇宙平和を成す意志を示しさえすれば

死のうが構わないと言っているんだぞっ!!

オレはっ!

それだけは絶対に受け入れられんっ!!!」

 

アタシとボロンは・・・・。

やっぱり何処までも平行線だ。

どうしても意見が対立してしまう。

 

「ボロン・・・・アンタは・・・・

やっぱりオリオリを好きになっちゃ

いけなかったんだよ、

そのせいで何もかも狂い始めてる。

今のアンタはオリオリを1人の女性としか

見ていない。

オリオリ1人さえ助かれば他は

どうなってもいいと言ってるのと同じ。

打倒政府を掲げるオリオリの親衛隊長

としてあるまじき行為だよ。

オリオリに黙って・・・1人勝手に

軍の方向性と違う方向に動き、

あろうことか凶悪な魔星王誕生を

実現させた。

いい?魔星王というのはアンタが

思っている100倍恐ろしい存在

なんだよ?

これを誕生させたことこそが

オリオリを含めた全宇宙の人々の

生命を脅かす事になるの。

親衛隊長なら・・・・内政変革を考えるにしても、

なぜ一言オリオリに相談しなかったの?」

 

「クッ!

オリオリは・・・・打倒政府に固執してるからな、

オレが進言しても方向性を変えるとは

思えなかった。

だからオリオリには秘密裏にして

既成事実を積み上げていけば

やがて考えを変えてくれるだろうと考えたのだ。」

 

「ボロン・・・・。私は・・・・。

やはり宇宙政府を内部から変えるという

論理には賛成できません。

アナタが私の身をそこまで案じてくれてること、

お・・・・・幼馴染としてっ!

とても嬉しく思います。

けど総司令官としてはっ!

アナタnの取った行動を許すワケにはいきませんっ!

アナタが星屑魔法団を政府に協力させるという

ある種捻れた行動を取ったために、

様々な軋轢が生まれました。

その1つとして。

魔法団と行動を共にしていた、ここに居る

コッツ以下3番隊は上級執行官ドアヌに

ヒドイ目に合わされる事になって

しまったのですよ?

いくら自分の信じる道の為とはいえ、

余りにも関わった人々に迷惑を

かけすぎています。

この責任をどう取るつもりです!?」

 

アタシとオリオリがボロンの自分勝手な論理と

行動を叱責する。

そう、そして何より。

同朋であるはずのコッツや3番隊を。

自分が政府の信頼を得る為に捨て駒にした

と誹られても仕方のない行動だと

いう事を自覚していないようで、

オリオリはリーダーとしてそこを一番に

責めているようだった。

 

「そうだったな・・・・コッツ・・・・

怖い思いをさせたな、

その件についてはすまなかった。」

 

傍らでアタシ達の舌戦を厳しい表情で

聞いていたコッツが口を開く。

 

「ボロン・・・・・私・・・アナタの事を

本当に・・・・・・そ、尊敬していた。

いつもいつも私の稽古を手伝ってくれて。

いつまでも上達しない私に根気よく

指導してくれて・・・・。

そしてそれは・・・私達みんなでオリオリ様を

盛り立てていく為の修行だって、

他ならないアナタが言っていたのに・・・!

そこまでオリオリ様の事をっ!

道を踏み外してしまうほどに

オリオリ様の事を愛しているというのね。」

 

「コッツ・・・・・。」

 

「私・・・・情けないけど・・・・

ドアヌの軍勢に襲われた時、本当に怖かった。

隊長として許されざる発言だけどね。

ジニョリスタ塔で1人取り残されている間、

恐怖と心細さと、部下達を守れなかった

自分の不甲斐なさで押しつぶされそうに

なった。

そんな時、現れたのがアナタとオリオリ様と

そしてリザ殿達だった。

何より私を真っ先に見つけてくれたのは

ボロン、アナタだったわ。

あの時の私の気持ち・・・地獄の底に差した

天からの光を見つけたようだった。

けどあれも。

アナタが仕組んだ事だったとしたら。

私・・・アナタを軽蔑しますっ!!」

 

「・・・・その件については・・・・

大丈夫なはずだった。

お前や3番隊には危害が及ばないよう

魔法団にはスキを見て3番隊から離脱するよう

伝えてあった。

事実そうだっただろう?

それに・・・・

仮に3番隊と遭遇することがあっても

ドアヌには3番隊を全滅させないよう

厳命していた。

お前たちが死ぬことはないよう

オレは取り計らっていたよ。」

 

バチィィィンッ!!!

 

「っ!!!」

 

「モガッ!?

コ、コッツ??」

 

なんとっ・・・・!

コッツがボロンの頬を平手打ちした!?

 

「バカにしてるのっ!?

はなっから私達を見下してるじゃないの

それっ!!

仲間ともなんとも思ってないじゃないっ!!

ねぇボロンッ!

アナタどこまでおかしくなっちゃうのっ!?

今しがたの戦いだって、アナタは本気で

私達を殺そうとしてたのよっ!?

オリオリ様の意志を殺し、生命だけを

中途半端に繋ぐ為には私も死んでもいい

って思ってたの!?」

 

「・・・・正直、コッツが戦いに

参加していたのには参っていたよ。

同朋だったお前を手に掛けるのは

オレも避けたかった。

その迷いがあったからこそ、

オレはリザ達に勝てなかったのかも

しれん・・・・。」

 

なんですって!?なんて言い訳っ!!

ピエールがボロンだったなんて

たった今知ったのよっ!!

まるでアタシ達がコッツを人質にして

アンタに勝ったみたいじゃないのっ!!

今度はアタシがボロンをひっぱたいて

やりたくなった!

 

「ボロンッ!!

いい加減になさいっ!!!

アナタの言い分はさっきから

自分勝手過ぎますっ!!

義勇軍総司令官の名においてっ!

アナタにたった今からの除籍処分を

言い渡しますっ!!!」

 

「っ!!!!」

 

「オリオリ様っ!?」

 

アタシがひっぱたくよりも早く、

オリオリが最も重い処分を

ボロンに宣告した。

 

「オリオリ・・・・・あぁ当然だ、

オレには義勇軍を名乗る資格は

もうない。

これより以降、オレはピエールとして

生きていくっ!

宇宙政府の内政変革を継続して目指す。

今はお前達の理解を得られんだろう。

しかし後々、きっとオレの考えが

正しかったと証明してみせるさ。」

 

「勝手になさいっ!

ボロン、たった今から私の中で

幼馴染のアナタは死にました。

これより以降、我々の行く手を阻むと

言うのなら・・・・・・うっうっう・・・・・

て、敵とみなしますっ!!」

 

オリオリ・・・・ツライのでしょう。

幼馴染として、同志としていつも傍らに

居た人と・・・・袂を分かつ事の

悲しさ悔しさ・・・・アタシには計り知れない。

けどそれを押し殺し、指導者として

振る舞わなければならないことの

ツラさと・・・・今戦ってるんだ。

 

「・・・ボロン・・・私にした事はもう忘れる、

アナタは私の誇り高き師匠だった・・・

けど目の前にいる今のアナタは・・・・

もう私の知っているボロンでは・・・・ないっ!

オリオリ様の事は私がっ!!

アナタの代わりに護ってみせるっ!!」

 

コッツ・・・・アナタ、戦いの最中にピエールが

ボロンだって気付いたのね。

誰よりも早く・・・・。

ピエールとの命がけの戦いが。

かつてのボロンとの修行の日々を

思い出させたのかしら。

だからピエールの正体だなんて言って、

アタシの攻撃を止めたのね。

そしてアナタも・・・・。

もう昔のボロンじゃないって事を

今必死に自分に言い聞かせているんだろう。

 

「決別の前に・・・・ボ、いえ、ピエール、

まだアナタには問いたださねばならない

事があります。

星屑魔法団は何処にいるのです、

アナタは此処に来れば会えると

言いましたね?

それともあれも嘘だったのですか?」

 

そうだっ!

ピエールがボロンだった、という

事実に神経の全てを支配されていたけど、

星屑魔法団の姿が見えない。

 

結局また肩透かしだというのっ!?

 

「・・・・残念だが・・・・オレにもわからん。」

 

「はぁっ!?」

 

アタシは思わず声を出してしまった。

 

「ここ大聖堂で待っているようセアドに

伝えたのだがな。

オレがここに到着したときには

すでにもぬけの殻だった。

代わりに・・・・。」

 

ボロン、いえピエールが懐から

何やら珠のようなものを取り出した。

 

「これが残されていた。」

 

「こ、これはっ!?」

 

「モガーッッ!!

これはっ!前にも似たような珠を

見たことがあるぞっ!」

 

それは・・・・!

術者のビジョンを映し出しメッセージを伝える

ことのできる珠・・・・青雲のオーブだった。

 

オーブに内包された語り手が伝える

メッセージ・・・・。

それはアタシ達の行く末に大きな大きな

影響を与える内容だったの。

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール
打倒宇宙政府ではなく、内政変革により
平和的解決で宇宙平和を志す男。
あくまで打倒政府を願うオリオリとは
対極に位置する思想と言っていいわね。
宇宙政府の幹部級の魔物達が
軒並みアタシ達に倒され、とうとう自ら
アタシ達を倒そうと立ち上がるが
力及ばず自ら敗北を認める。
その証としてか、自ら仮面を脱ぎ去り
正体を見せたその人物は・・・
なんと義勇軍親衛隊隊長、オリオリの
幼馴染、そうあのボロンだったの・・・。


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エピソード18.「惑星クラウドの魔星王」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



これはっ!青雲のオーブッ!!!

このオーブにメッセージを

込められるのはっ!?

 

「あぁ、この珠にはおそらくセアドの

メッセージが込められている。

そしてそれを聞くことができるのも

・・・。」

 

「私しかいませんね。」

 

そうっ!

宇宙王の末裔であるオリオリしか

この珠に封じ込まれたメッセージを

開放することができないんだっけ!

 

「このオーブのメッセージを

開封する前にっ!

もう1つ伝えておくことがある。

オリオリ、コッツ、リザ達・・・・

勘違いしないでくれ、

政府を内側から変える内政変革計画・・・

それは何もオレ1人の独断ではないんだ。

この計画はセアドの考えでもあるんだっ!」

 

えっ!?

オリオリの旦那様がっ!?

他でもないオリオリの一番信頼している

人がオリオリの考えと真逆だというのっ!?

 

「そ、そんなバカなっ!

デタラメを言いなさいっ!

まさかセアドまでもが私の考えに反する

というのですかっ!?」

 

「だから言っているだろうっ!

オレもセアドもっ!

オリオリを否定してるんじゃないっ!!

その身を案じてるからこそ、

平和的解決を模索しているんだ。

なぜそれがわからない、オリオリッ!」

 

そ、そんな・・・・

宇宙政府を打倒するというのは

それほどに間違った考えなの!?

オリオリの旦那様の名前を

出されてはさすがにアタシも動揺の色が

隠せない!

 

「リザ、お前だってそうだ、

お前はいっとき、義勇軍の活動に疑問を

感じていなかったか!?

オレは気付いていたぜ、タァコ王との

謁見からこっち、お前はどこか上の空で

冒険をしていた。

オレがピエールとしてタァコ王に説いた

考えにっ!

お前は少なからず同調して

いたんじゃないのかっ!?」

 

うっ!!まさかっ!!

そ、そうか!!

ピエールがボロンだったならっ!

あの時行動を共にしていたならっ!!

あの頃のアタシの迷いを

見抜かれていたとしても

不思議じゃあないっ!

 

けど・・・そうだとしても・・・!

今のアタシは・・・・!

 

「確かに・・・

アタシはピエール、つまりアンタの

考えをタァコ王から聞き義勇軍の活動が

正しいのかどうか、いっとき迷っていたわ。」

 

「リッリザさんっ!

それは口にしてはならないという

約束っ!!」

 

「モガッ!!ほ、本当かリザッ!

お前までボロン、いやピエールの考えに

同調してたっていうのかっ!?

お前はオイラ達の冒険王なんだぞ!!」

 

「ピピィ!!」

 

「隠しててごめんなさい、モガ丸、スラッピ。

そして約束を破ってごめんなさい、オリオリ。

けど心配しないで、あの頃の迷いはもう

とうの昔に吹っ切れたの。

ほかでもない、アタシ達のリーダー、オリオリの

おかげでね。」

 

「ほ、本当か、リザ・・・。」

 

「うん、オリオリのリーダーとしての

器の大きさ、宇宙の指導者たるべきカリスマ性、

それらがアタシのちっぽけな迷いを

吹き飛ばしてくれたの。

それどころかオリオリは・・・・

冒険王姉弟のリーダーとしてのアタシの立場を

考えて、この一件を伏せておくよう

取り計らってくれた。

だからモガ丸や姉弟には内緒だったの・・・

ごめんなさいね。」

 

「モガ〜そうだったのか~・・・・

安心したぞ、リザッ!」

 

「うん、ゴメン、ジョギーとレイファンも

ごめんね。

姉ちゃんのアタシが迷ってたなんて

聞いたらアンタ達にも悪影響を

与えちゃうでしょ?」

 

「へへ、オレはなんとなく気付いてたけどね、

リザ姉の様子がおかしいの。」

 

「うん、私もっ!」

 

「えっ!アンタ達、気付いてたのっ!?」

 

「俺たち姉弟だぜ、リザ姉がいつもと

違うのぐらい、すぐわかるよ。」

 

「へへ、私も~。」

 

そうだったの・・・さすが姉弟・・・

隠し事はできないわね。

 

「それは当然、今は吹っ切れてるってのも

わかるって事さ。」

 

「ジョギー・・・・。」

 

「モガッ!ジョギーやレイファンが

そう言うなら心配いらないなっ!

さすがお前らは3人で1人の冒険王だなっ!」

 

そう、だからボロンッ!

今のアタシはあの時とは違うっ!

もう義勇軍の活動には一片の疑いも

抱いていないわっ!!

 

「フフン、しかしいっときでも、

冒険王たるお前を惑わせるぐらいの

価値はあるわけだ、内政変革の話は。

さて、御託はそれぐらいにして・・・・

さぁオリオリッ!

オーブのメッセージを開放してみろっ!

セアド自身からっ!

オリオリも内政変革に協力するように、

という説得だろうっ!

心して聞くがいいっ!!」

 

ゴクリ。

そ、そんな・・・・。

もしもそうだったとしたら。

オリオリは・・・耐えられるのだろうか。

気が触れてしまわないだろうか。

幼馴染にも愛する旦那様にも

己の生き方を否定されて

しまうのだから・・・。

 

「・・・・

う、宇宙王の血のもとにおいて命じます

・・・・青雲のオーブよ・・・・・。」

 

オリオリ・・・・

あんなに知りたがっていた旦那様の

メッセージが・・・・

今は知ってしまうのが

こんなに怖いだなんて・・・・!

 

「どうした、愛する夫のメッセージだぞ、

そんなに怖いのかっ!!??」

 

「わ、私はセアドを信じますっ!!

・・・・せ、青雲のオーブよっ!!

刻まれし言葉を今此処にっ!

解き放てっ!!!」

 

意を決してオリオリがオーブ開放の

呪文を詠み上げるっ!

 

シュ~~~~

シュパーーーーーーーンッ!!

 

青雲の塔の時と同じように。

碧い宝玉からまばゆい光が発せられ、

辺り一面を照らす。

目を開けてられないほどの眩しさっ!

 

やがて光が弱まり、碧い髪の物憂げな

表情をした青年のビジョンが

映し出された。

 

オリオリの夫、そして星屑魔法団団長、

セアドの幻影。

 

ようやく・・・・!

渦中の人物の心の内を知ることができる。

残念ながら”置き手紙”ではあったけど・・・。

 

『この言葉を聞ける者それは・・・・。

愛する妻オリオリだけ。

オリオリよ、聞いてほしい、

この私の心変わりの理由を・・・・。

そして星屑魔法団が秘術を使い誕生させた

・・・・新しき魔星王・・・・。

惑星そのものとなった魔星王・・・・。

その意味と正体について語ろう。』

 

他の誰でもない、本人から語られる真実。

やっぱり重みが違うっ!

他人であるアタシでさえも自然と

背筋が伸びる厳粛な空気が漂い始めた。

 

『そもそも宇宙の星々はコアと呼ばれる

心臓部を持っている。

コアが存在するからこそ星は生き

あらゆる生命体の生命活動が

維持されている。

つまり・・・・それほどに星の心臓部、

コアは!

絶大なチカラを秘めているんだ。

・・・・新たな魔星王を生み出すには

星屑魔法団だけが使える秘術と・・・・

そのコアが必要なのだ。』

 

コアッ!

星の心臓部っ!

なるほど、魔星王のような強大な存在は

星そのもののチカラを要するってワケね。

ゆえに”魔星王”と呼ばれるのかしら。

 

『ただし、従来は・・・

星のコアというものは地底の奥底・・・・

その星の中心部に眠っており

・・・・なんびとたりとも触れることが

できないんだ・・・・しかしっ!

ここ惑星クラウドのコアはっ!

事情が違った。

宇宙政府の調査により我々が触れることの

できる場所、手が届く範囲の場所にコアが

眠っていることが判明した。

そこで私は、その場所を知るために

宇宙政府に協力するフリをした。』

 

「っ!!フリッ?

協力するフリだとっ!?」

 

「・・・・!あぁっセアドッ!

やっぱりっ!!

アナタを信じていたわっ!!」

 

『オリオリよ、安心してほしい。

私が宇宙政府に寝返ったのは・・・・。

奴等を騙すためだ。』

 

セアドさんっ!!

・・・・よかった・・・・・!

オ、オリオリが悲しむような結果に

ならなくてっ!!

逆に憤懣やるかたない様子へと

急変したのはボロン。

届くはずのない怒りを魔法団団長へと

向け始めた。

 

「・・・・・っ!なんだとぉぉぉ!

セアドォォォ・・・・!」

 

『私達星屑魔法団は宇宙政府に寝返った

フリをして・・・・

コアが眠る場所を聞き出し秘術によって

惑星クラウドのコアを魔星王の命に代えた。

惑星そのものが新たな魔星王として

誕生したのだ。

ここまでは・・・・政府の計画通りだ、

しかしこれ以降は・・・私達星屑魔法団の・・・

いわばクーデターとなるんだっ!

オリオリよ・・・・君は思うだろう、

クーデターとはなんなのか、

魔星王を誕生させる事がどうしてクーデターに

繋がるのか、と。

それは・・・・・魔星王を味方にするんだ。』

 

「えっ!?

魔星王が味方にっ!?」

 

な、な、なんですってっ????

魔星王を味方にっ!!!???

 

アタシは・・・・思いもよらないセアドの

考えに言葉を失ったっ!

 

『クラウドのコアが眠っている場所には

今は魔星王が眠っている。

聞いてくれオリオリッ!

誕生したばかりの魔星王ならばっ!

邪心を持ってしまう前の段階ならばっ!

魔星王を味方にすることができるはずだ。

魔星王を手なづけてほしい。

さすれば宇宙政府を倒す心強い味方となる。

義勇軍のレジスタンス活動が実り、

クーデターは夢ではなく現実のものとなるっ!』

 

「ふ、ふざけるなっ!」

 

ボロンの怒りはさらに膨らんでいく。

 

『愛するオリオリよ。

魔星王を味方にするため・・・・

今すぐに魔星王が眠る場所へ

急いで向かってもらいたい

その場所は・・・・。』

 

「ふざけるなっ!セアドッ!

オレを騙したなっ!」

 

ガキィィィィンッ!!!

 

「モガーーーー!!

ボ、ボロンがっ!

青雲のオーブを破壊してしまったぞー!!」

 

なんとボロンがっ!

セアドが魔星王の眠る場所を語る寸前でっ!!

青雲のオーブを、その拳で叩き割ってしまったっ!

こ、これではっ!

魔星王が何処に眠っているかわからないっ!!!

 

「おのれ~~~~セアドッ!

このオレを騙しやがったなっ!!」

 

「ボロン・・・・・!」

 

「オリオリを共に護るため、

宇宙の平和を取り返すために宇宙政府の

内政変革を志す・・・・

その同志だと信じていたのにっ!!

結局は打倒政府の意志を秘めていたとはっ!

お前も所詮その程度の男だったかっ!!!

バカめっ!!」

 

「ボロン~~~~・・・・

ア、アナタ・・・・なぜそこまで・・・・・・。

なぜそこまで打倒政府を否定するのっ!?

なぜそんなに私達の考えを

否定するのよぉっ!!!」

 

・・・・憑かれている。

アタシはそう感じた。

ボロンはもう、自身の考えの是非を問う、

自身を客観視する了見を失っている。

何かに取り憑かれたように。

それはやはり!

宇宙政府に入閣してしまったからだ。

例え片足でも踏み入れてしまえば・・・・

そのドス黒いチカラに飲み込まれて

しまうんだ・・・・。

アタシはそう感じた。

 

「セアドめ・・・・

さては魔星王を政府側に奪われない為に

コアの在る場所へ向かったのだな、

打倒政府を画策していたからこそ

オレの指示を無視してここに

留まらなかったんだな!

まんまとオレは出し抜かれたワケだ。

・・・・クックック・・・・

そうか、そういうワケだったか。」

 

怒りの表情を見せていたボロンがやがて

・・・・何やら企みを持ったヒドイ笑みを

浮かべた表情に変わっていく。

 

「セアドと星屑魔法団の裏切り・・・。

政府に報告せなばな。

オレがどれほどの思いで・・・政府にっ!

仲間を裏切るという誹りを受けるのを

覚悟して政府に潜入したと思ってるんだっ!

好き好んで義勇軍を離れたワケじゃない、

それがオリオリの身を護る最善の策だと

信じたからだ。

セアドも同じ考えだと言っていたのにっ!!

オリオリの身を案じる気持ちはこのオレと

同じぐらい大きいと思っていたからこそっ!

セアドならオリオリを幸せにできると

信じているからこそ・・・・

オレも未練など・・・。」

 

ボロンはそこまで言うと言葉を

詰まらせてしまった。

オリオリへの想いが溢れそうなのを

必死に堪えている・・・

そんなカンジだった。

 

「セアドだからこそっ!

オレはオリオリの事を諦められたのにっ!

そんなオレの想いすら踏みにじるのかーーー!!

セアドッ!!」

 

堪えきれずボロンは絶叫した。

 

「・・・・さらばだお前達。

情勢が変わった、オレも予定を変更せざるを

得んようになってしまったようだ。

ここは一旦退かせてもらうぜ!」

 

「ボロンッ!!」

 

ルーラで飛び立とうとしていたボロンを

アタシは呼び止めた。

 

「やっぱり・・・・ピエールとして動くの?

魔法団や・・・その・・・・新しい魔星王も

義勇軍側ってことが判明したのよ、

それでもアンタはまだ・・・・アタシ達の元に、

オリオリの元に帰るという選択肢はないの?」

 

セアドのメッセージが語られ情勢は

かなり変わりつつあることがわかった。

除名処分が下った直後ではあるけれど・・・

アタシはピエールではなく・・・

義勇軍のボロンとしての意志は戻らないのか、

という問いをボロンにぶつけた。

 

「・・・・リザ・・・・言っただろう、

お前達が意志を変えないようにオレもまた

ピエールとしての意志は変わらないっ!

それに・・・。」

 

ボロンはチラリとオリオリを一瞥した。

 

「惨めすぎるよ・・・もうオリオリの元へは

戻れない・・・・・。

・・・・・お前達・・・・

ブルリア星の冒険王よっ!

正直に言おう、オレはお前らを

見縊り過ぎていた。

オリオリがお前らに助っ人を申し入れると

言い出した時も・・・内心、良い思いを

してはいなかったよ、どうせ大した実力では

ないだろう、と。

無駄足だぜオリオリ、と。」

 

ボロンが・・・アタシ達姉弟への本音を晒し始めた。

 

「しかし・・・!

お前らは噂に違わぬ・・・いや、それ以上に!

めちゃくちゃ強かった!

まさか、ここまで強いとはな、

1人1人もそうだが、姉弟3人揃った時の強さは

まさに無敵だと思ったよ。

だが・・・その強さが・・・ピエールとしての

オレには実に邪魔だった。」

 

じゃ、邪魔っ!!??

邪魔ってどういうことよっ!

 

「負けたオレが言うのもなんだが・・・

これほど強いお前達でも・・・

宇宙政府という組織を覆すには

至らんだろう。

当然だ、政府の規模は全宇宙規模

なんだからな。

しかし、なまじ上級執行官クラスの魔物を

次々と倒すお前らがそばにいるせいで・・・

オリオリの打倒政府のモチベーションは

大きくなるばかりだったろう。

オリオリの説得を目指すオレには

邪魔以外の何者でもなかった。」

 

・・・アタシは・・・

アタシ達姉弟がいれば

宇宙政府そのものを倒せるだなんて、

そんな過信を持っているつもりは

毛頭ないけど・・・アタシ達を筆頭に

粘り強く政府に反抗すれば・・・

同志が増えていき、いずれ道は

拓けると信じていた。

 

それをボロ・・・いえ、ピエールに

否定され・・・思わず黙ってしまった。

アタシ達は中途半端だと・・・。

 

「ゆえにオレ自身の手でお前らを止め、

オリオリから引き離せば・・・

オリオリと共に政府改革を始められる

はずだったんだがな・・・・。

フッ、完敗だったぜ。

・・・今回は負けを認めるがが・・・

オレもこのままでは終わらないっ!

次に会う時までにオレもさらに精進するっ!

次は必ずオレが勝つっ!!

じゃあなっ!強き冒険王達よっ!

オレ以外のヤツに負けるなよっ!

ルーラッ!!」

 

ビュ~~~ン、ビュ~~~~ン!!

 

ボロン・・・・いえ、ピエールがルーラで

立ち去ってしまった。

聖堂には・・・アタシ達と・・・・

粉々に砕かれた碧い宝玉だけが残った。

 

「・・・・・クゥゥゥ・・・・・

ボロン・・・・・

あぁ、なんで・・・なんでよぉおぉボロン!

なぜアナタがピエールなのよぉぉぉぉ!!」

 

気丈に振る舞っていたオリオリだけど。

やっぱり突然起こってしまった出来事に、

心が耐えきれないのだろう。

再び崩れ落ちてしまった。

 

それはアタシも同じ。

付き合いが短い分、オリオリほどの落胆は

ないにしても、義勇軍のメンバーが

憎むべき宇宙政府に寝返るという事実を

受け入れ難い。

 

そして。

オリオリの最も信頼していたボロンでさえも

あのように、取り憑かれたように

宇宙政府の為に活動しようとする・・・・

たとえそこにオリオリの生命を護るという

志があったとしても、だ。

 

それほど人々の心を狂わせてしまう

宇宙政府に改めてアタシは戦慄してしまった。

 

けど悪いことばかりじゃない。

オリオリの信頼するもう1人の人物、

オリオリの夫セアドがっ!

オリオリと同じ志を持っていたという事が

わかっただけでも、アタシ達義勇軍の、

オリオリの心の救いだ。

その手段がかなり奇抜というか、

アタシでも想像できないような方法だったけど。

 

魔星王を手懐ける・・・・かぁ・・・・。

本当にそんな大それた事ができるんだろうか。

 

・・・・そうね、やってみないと

わからないわね、

そうっ!まずはその眠っているという

新しい魔星王・・・・それをこの目で

確かめなければ何もわからないわっ!

 

そう、結局!

その場所へ行ってみないと何もわからない。

振り出しに戻ってしまった。

けどゴールはっ!

少しかもしれないけど希望のあるもの

だってわかったんじゃないかしら。

そうよ、オリオリ!

落ち込んでる暇はないっ!

ボロンのせいでわからなくなって

しまったけど、魔星王の眠る場所へ一刻も

早く向かわなければっ!

そこにアナタの愛するセアドもいるかも

しれないしっ!

 

「リザさん・・・・そ、そうですねっ!

魔星王が我々の味方になれば確かにっ!

打倒宇宙政府に大きく前進できるでしょう。

よし、急ぎ魔星王の眠る場所へ

向かいましょうっ!」

 

オリオリ、よかった、気持ちを切り替えられた

・・・ワケではないでしょうけど

とりあえず前を向いてくれた!

 

「しかしオリオリ様・・・・その場所とは

何処なんでしょう、

情報が全くないこの状況では・・・・。」

 

コッツ、アナタもボロンのことできっと

ツライでしょう・・・・。

けどここは義勇軍の大義の為に

踏ん張ろう、ね。

 

「・・・・・そうだっ!オリオリ様っ!

マレドー殿ですっ!

元上級執行官の彼なら何かご承知かもしれません、

そもそも魔星王誕生計画のリーク元は

彼だったのでしょう!?」

 

「モガッ!コッツッ!ナイス閃きだぞ!」

 

「ピピー!」

 

そうか、そうだった、っていうか今はもう

マレドーが情報を持っているかもしれないって

事に賭けるしかないわね!

よし、急ぎバァジ島の秘密基地に戻ろう!

 

青雲のオーブに込められたセアドからの

メッセージ。

それはこの星を根底から揺さぶる、

とてもとても大きな事実が込められていた。

 

『魔星王を味方に』

 

ブルリア星で戦った魔星王ドスラーデス。

あの魔物の印象が強烈に残っている

アタシ達では到底思いつかなかった発想。

 

それをオリオリの夫、セアドは持っていた。

やっぱりっ!

宇宙王の末裔と結婚するだけの、

大きなスケールの持ち主だった。

 

ボロンの事、魔星王の事、

ここ大聖堂に来る前と後では、

アタシ達を取り巻く状況がまるで変わって

しまったけれど・・・今は一刻も早く

惑星クラウドのコア、つまり新しい魔星王が

眠る場所へ向かわなければいけない。

 

色々な感傷に浸る間もなく、大聖堂を

後にし、モガ丸のルーラでアタシ達は

義勇軍の秘密基地で保護されている

元上級執行官マレドーの元へ向かったっ!




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・ピエール(ボロン)
宇宙政府の恐怖政治を正す為、
政府に潜入し内政変革を志す男。
その正体は・・・なんと義勇軍親衛隊隊長、
オリオリの幼馴染ボロンだった。
ボロンは密かにオリオリに想いを寄せ、
彼女の生命の安全を最優先し
打倒政府を目指すオリオリを内政変革へと
変更するよう説得し続けていた、
という本音が本人の口から語られた。
この事実を受けオリオリはボロンに
除籍処分を言い渡し決別宣言をしてしまう。

・セアド
星屑魔法団団長、そしてオリオリの夫。
彼が率いる星屑魔法団が政府に寝返ったのは
実はフェイクだった。
彼は誕生させた新たな魔星王を味方にし、
打倒宇宙政府の切り札に使おうと
画策していたの。
政府に協力したのは魔星王誕生に必要な
星の心臓部“コア”の場所を聞き出す
為だったわけ。


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エピソード19.「バァジ島帰還」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



「・・・・なるほど、状況は概ね把握した。

しかしまずは。

ワシから労わせてくれ、司令官、

そして冒険王殿達。

よくぞ無事で戻られた、聞けば上級執行官2名、

執行官候補者2名を打ち倒したそうな、

元執行官のワシが申すのもどうかとは思うが、

素晴らしいご活躍でしたな。」

 

青雲のオーブに込められた星屑魔法団団長

セアドのメッセージにより新しい魔星王の

状況を知ったアタシ達。

 

それは・・・一刻も早く新しい魔星王に接触し、

これを味方にしなければいけない

というものだった。

 

しかし肝心の・・・魔星王が眠る場所が

わからず、手がかりもないというこの状況を、

元政府所属のマレドーなら打破してくれると

信じ、アタシ達は彼が今居る此処、バァジ島の

義勇軍の秘密基地に帰還してきた。

 

これまでの出来事の報告と、新しい魔星王が

眠っている場所についての質問をすると、

マレドーはアタシ達を労ってくれた。

 

マレドー。

アタシはアナタに謝らなければいけない。

アナタの事を・・・政府の回し者だと

疑っていたけれど。

各地で耳にした上級執行官としての

アナタの振る舞いは・・・アナタ自身が

口にしていた通り、平和を望むその意志に

基づいたモノだったわ。

 

本当にごめんなさい、疑ったりして。

 

「いやいや、冒険王殿。

むしろそなたの疑念こそ、ごもっともな

感情です。

魔物のワシが義勇軍に寝返るなど、

確かに疑わしい事この上ない。

ワシがそなたの立場だったとしても

同じように警戒を強めていたでしょう。

さすが冒険王、と言うより他ありますまい。」

 

うう、そう言われても・・・。

やっぱり罪悪感は拭い去れないな~

するとオリオリが話題を変えてくれた。

 

「労いの言葉をありがとう、マレドー殿。

しかし我々は・・・とても大きなものを

失ってしまいました・・・・。」

 

「むぅ、それについては残念だ。

ワシが見切りをつけた政府に、

逆に入閣するとはのぉ・・・・

皮肉なものだ、ボロン・・・。」

 

ホントに・・・・皮肉以外の何物でもないわ。

マレドーのような・・・政府を見限る者、

そして冒険の傍らに出会った、義勇軍を

応援すると励ましてくれた街や村の人々。

こういう人達もいるっていうのに、

地道にも義勇軍の活動に賛同するという

動きが皆無ではないのに。

 

彼は自分のチカラを過信して

政府を変える事に躍起になっている。

おそらくは・・・自分のチカラで現状を

打破するという事実が欲しいんじゃ

ないかしら。

 

“オレが政府を変えてみせた”という

事実が・・・。

承認欲求・・・か。

ボロン本人の話を聞く限りでは・・・

彼は自分の出自の低さを忌み嫌っている。

そのコンプレックスが彼の承認欲求に

作用してるかもしれないわね。

 

出自が低いだなんて・・・・それは結局、

自分で自分を蔑んでいるにすぎないと

思うんだけど。

 

けど、ボロンの人生において・・・周囲から

どのような扱いを受けてきたか、

それによってどれぐらいの屈辱を

感じて生きてきたかは・・・

確かに他人のアタシには・・・

理解はできても共感はしてあげられないわ。

それはただの・・・同情でしかないし、

ボロンを哀れんであげたという、アタシの

自己満足になっちゃうかもしれないからね。

 

「ふむ、人それぞれ・・・考える事、

思う事はあるであろうからな、

一概にボロンを真っ向否定することは

他人にはできない事なのかもしれぬ・・・。

さて、魔星王の眠る場所、つまり

惑星クラウドのコアが眠っていた場所だが

・・・・残念だがいくらワシが元・上級執行官

だといえども・・・そのような規模の

大きすぎる話・・・・

存じ上げませぬ、司令官。」

 

「あぁ、そうですか・・・・。

ふ~む、それではどうすれば・・・

クラウド中を虱潰しに探すしか

ないのでしょうか。

しかし、そのような悠長な事が

できる時間もあるように思えません。」

 

むむむ~、いよいよ完全に手詰まりか。

マレドーでさえ知り得ないのなら、

それこそ星の隅々まで探すしか

ないのかしら。

まだ眠っているのなら、アタシの・・・

冒険王の血が為せる邪気を感じる

能力でも魔星王のオーラを

感じ取る事はできないだろうし、

ましてや魔星王はまだ邪悪な存在では

ないという話だし。

 

一同皆、言葉を失ってしまった。

しばし無言の時間が続いたのち、

マレドーが口を開く。

 

「あまり可能性の高い話では

ないのだが・・・・。

ゼンチャンという女なら・・・・。」

 

え?ゼンチャン?

 

「その者であればコアの眠る場所が

わかるかもしれんのぉ。

これは噂程度の話なのだが・・・・

ゼンチャンとは全知全能のオンナ

である、という話を聞いたことがある。

全知というからには、我々では

わからない事も知っているかもしれん。」

 

全知全能のオンナ、ゼンチャン・・・・!

か、神だとでもいうの?

その女性は。

言葉の響きからして、とても高貴な存在

というイメージを受けるわ。

 

「コアの場所はわからぬが・・・

ゼンチャンの噂は耳にした事がある。

このヨンツゥオ大陸の東に位置する

ボォフゥ大陸、その何処かに

ゼンチャンが居る、とな。」

 

次の大陸か!

なんでもいい、今は少しでも手がかりが

ほしいものっ!

その・・・ゼンチャンがコアの場所を

知っている事を願うのみっ!

 

「わかりました。

礼を申します、マレドー殿。

では・・・リザさん達、コッツ、

ボォフゥ大陸に向かいましょうっ!」

 

「ボォフゥ大陸へは・・・・そうですね、

・・・・・マタセ島の港からボォフゥの

ハルラ港へ、というルートが

一番近道かもしれません。」

 

「・・・・マタセ・・・ですか・・・・。」

 

マタセ島・・・・!

王が暴走し、その後、大臣さんが王不在の

混乱を収め、なんとか国を運営している、

あのマタセ!

 

その後が気にはなるけど・・・

アタシ達は王の暴走を大臣さんには伏せている。

なんとなく顔を合わせにくいのも事実ね。

 

オリオリの声に少し影が落ちたのは・・・

多分そういう思いが心に渦巻いたからだろう。

 

「・・・マタセ王の事は残念でしたが・・・

その後の国の様子も、大臣の様子も

気になります・・・挨拶とこちらの報告も

兼ねてお城を訪ねてみましょう。」

 

そうね、気まずさはあるものの、

素通りするわけにもいかない。

 

アタシ達は次の目的地をボォフゥ大陸への

最寄りの港であるマタセ港に決定した。

王亡き後のマタセ国の様子伺いも兼ねて。

 

「オリオリ様っ!」

 

これまでの報告と今後の進路決定が済むと

後方に控えていた義勇軍一番隊隊長

ドゥエインが前に進み出た。

 

「ドゥエイン、我々の留守の間、

マレドー殿と軍兵達、基地の守衛、

まこと大義でした。

礼を申します、ありがとうっ!」

 

「いえっ!とんでもございません、

この度はまことっ、ご苦労様で

ございましたっ!

オリオリ様とリザ殿達のご活躍で

当分はこの大陸での宇宙政府の活動は

勢いを失うでしょう。

さぞやお疲れの事と存じますが、

さらなる冒険の途につかれるとか。

どうかお体だけは壊さぬように

過ごされますよう、このドゥエイン、

そして隊員一同祈っておりますっ!!」

 

「わかりました。

ドゥエイン達は引き続きマレドー殿の

護衛と基地の専守を命じます。」

 

「ハッ!!

しかしボロンの事は・・・・まこと残念です、

我らも・・・仲間の翻意、非常に悔しい

思いです。

ですがオリオリ様のご心痛、我らの比では

ございますまい。

どうかお気を確かにされますよう。」

 

「お気遣い・・・・感謝します、ドゥエイン。

けど・・・大丈夫です。

落ち込んでいるヒマなど・・・

ないのですから。」

 

口では大丈夫だと言ってるけど、やっぱり

どこか自分を奮い立たせている、

そんな空気を感じるわ、オリオリ・・・。

 

それをドゥエインも感じ取ったのか、

彼は深々と頭を下げる。

 

しばらくして頭を上げるとドゥエインは

チラとコッツのほうを見やった。

 

「コッツ・・・・。」

 

「ハ、ハイッ!」

 

「・・・・貴様も・・・・

随分ヒドイ目に遭ったと聞いている・・・・

無事に帰還した事は喜ばしいことだ。

だがっ!」

 

「っ!!」

 

ドゥエインの語調が変わる!?

 

「隊長でありながらっ!

部下全員を捕虜に取られるなどっ!

なんたる失態っ!!

今も3番隊の隊員たちはっ!

暗い牢屋に閉じ込められて政府から

ひどい仕打ちを受けているのやも

しれんのだぞっ!!」

 

「うっ!!

クックゥゥゥ・・・・

もっ申し訳ございませんっ!

す、全て私の至らなさゆえっ!

べっ弁明のっ!・・・・・

うっ・・・うっ・・・・

弁明の余地もございませんっ!!!」

 

ドゥエインの怒張で一瞬にして基地内に

緊張の糸が張り詰めた。

コッツは泣きながらその場に蹲る。

 

「ま、まぁまぁドゥエイン、

その件は・・・コッツも難しい判断を

迫られたと思います。

それにコッツ達だけでは対応の

難しい・・・大きな陰謀や策謀が

渦巻いていたのです、魔法団の離反には。

そんななか、魔法団と政府との接触を

防ぐべく懸命に行動したのです、

コッツは。」

 

「いいえっ!

オリオリ様、私は政府やボロンの

陰謀を止めろ、と言っているわけでは

ありませんっ!

そのような対応、このドゥエインでも

難しかったでしょう。

私が申しているのは部下を守れなかった

此奴の不甲斐なさです、

やはり貴様には隊長など務まらかったんだ。

オリオリ様から兵を預かるという、

その責任の重さを理解していないっ!!」

 

「っ!!

申し訳・・・・ございませんっ!!」

 

「誰に謝っているっ!?

貴様が詫びるのはワシではないっ!!」

 

「ハッ!

・・・・・・オ、オリオリ様・・・・・

申し訳ありませんでした・・・・・

うぅ・・・・グス・・・・・うぅぅぅ・・・・・

大事な隊員を・・・・私は・・・・・

うぅぅぅぅ・・・・ま、守れませんでしたぁ!!

うわぁぁぁぁぁっ!!!」

 

コッツ・・・・あの時の記憶が蘇り、

心が壊れてしまったのか・・・・

オリオリに謝罪すると、その場で

泣き崩れてしまった。

 

っていうか、ドゥエインってこんなに

厳しい人だったのね。

けどまぁ・・・・これが組織という

ものなんだろう。

ミスを犯した者は上官から叱責されなければ

いけない。

でなければミスは繰り返してしまうもの・・・。

 

「コッツ・・・・さぁ、泣き止んで・・・・

確かに3番隊の皆は私も心配です・・・

この先の冒険でも・・・3番隊が捕らえられてる

施設がないか、探索しましょう。

ドゥエイン・・・しかしコッツが居たからこそ、

これまでの戦いで勝利を収めることが

できたのも事実です。

コッツも着実に成長していますよ。」

 

「は、しかしオリオリ様・・・・。

武芸の精進もさることながら、

此奴はまだまだ精神的に未熟です・・・

それが私は不安で心配なのです。

次の大陸の冒険にもコッツを

連れて行かれるおつもりのようですが

・・・このまま隊長に据えていて

よろしいのでしょうか?」

 

「・・・・大丈夫、コッツには引き続き

私の護衛をしてもらいます、

それにアナタが言うように・・・

コッツは未熟だと言うのなら・・・

修行が必要です。

ブルリア星の冒険王と一緒に

冒険をし実戦をこなす、

これ以上の修行はないでしょう?」

 

オリオリ・・・!

ニヤリ、上手く事を収めたわね!

 

「ドゥエインさん、コッツはね、

ボロンの代わりにオリオリを護るって

ボロンに向けて言い放ったんです、

それってすっごく責任感を伴う、

勇気ある発言でしょう?

あのような厳しい実戦をいくつも

経て、コッツだって成長してると

アタシは思います。

それにコッツは・・・部下のみんなの事を

誰よりも心配してるし、責任を

感じてますよ。」

 

アタシは・・・庇うワケではなく・・・

率直にコッツについて思うことを

ドゥエインに語った。

 

実際、執行官候補やボロンとの戦いを

共に戦ったのはアタシ達なんですもの。

コッツの事は十分わかってるつもり。

 

「あいわかりました。

そもそも私に人事権はありませぬ、

オリオリ様、コッツの処遇はお任せします、

オリオリ様の決定に一切異論は

申し上げませぬ。

そしてリザ殿・・・・かたじけない、

このように未熟者ではありますが

以降もよろしく指導してやってください、

お頼み申し上げるっ!」

 

そう言うと、ドゥエインはアタシに向かって

頭を下げた。

 

ちょっ、ちょっとぉ、待ったぁ~!

アタシなんかにまで頭下げなくていいよぉ。

けどなんだか・・・・。

娘を心配する父親みたいね、ドゥエイン。

 

厳しくもあるけど、なんだかんだコッツの

事が心配なのね、この人。

 

「わかりました、ドゥエイン。

コッツの事は私達に任せて。

・・・・3番隊隊長コッツ!

アナタに引き続き私の護衛と、

ボォフゥ大陸への冒険の供を

命じます、いいですね?」

 

「うぅぅ・・・・オリオリ様・・・・!

あ、ありがたきお言葉・・・・!

このコッツ、身命を賭して任務にあたりますっ!

ご高配ありがとうございますっ!!」

 

うん、なんとか場は収まったようね。

そしてコッツ、引き続きよろしくね。

この先も危険な事は続くだろうけど、

一緒に頑張ろう!

 

「リ、リザ殿、それにご姉弟のお二人、

未熟な私ですが・・・リザ殿達のそばで

たくさんの事を学べる事を

コッツは非常に幸せに思っております、

どうかっ!

よろしくお願いしますっ!!」

 

「やぁめてよぉ!コッツ!

もうアタシ達、そんな畏まった仲じゃ

ないでしょう?

だってホラ・・・・あの野営の夜・・・

たくさんお話したじゃない。」

 

「えっ・・・・あっ!

リ、リザ殿っ!そ、それはっ!

その話は2人だけのっ・・・・!!」

 

アタシはコッツと2人で語り合った

あの夜の事をチラリと口にしてみた。

案の定、コッツの顔は炎のように

みるみる赤く染まっていった。

 

「・・・・なんです?2人だけの・・・?

なんですかコッツ、アナタ、リザさん

だけに内緒話をしたんですか?

リザさんも人が悪いですよぉぉぉ?」

 

「フフフ・・・だってぇ、コッツが

内緒にしてって言うから~。」

 

「も、もう!リザ殿っ!

いじめないでくださいっ!!」

 

「ハハハハハ・・・・」

 

アタシはいたずらっぽくコッツを

イジってやった。

さっきまで緊迫していた空気は

もうどこかへ流れていった。

 

(・・・・リザ殿・・・・けどもうその話は

・・・・いいんです・・・・もう・・・・。)

 

コッツの表情が・・・・。

少し陰ったように見えた。

 

この時アタシは・・・。

コッツの様子が少し気にはなったんだけど。

それがどうしてなのか全く理解できなかった。

ドゥエインに叱られたことを

心の中で反省しているのか、

そんなふうに感じたので、あえてそれには

触れなかったんだ。

 

「オリオリ様ッ!」

 

「クサロッ!」

 

場が落ち着いたところで、今度は

2番隊隊長のクサロが前へと

歩み出た。

 

「我々2番隊も・・・・

別行動でコアの眠る場所について

調査してみようと思います。

よろしいでしょうか?」

 

「承知しました。

ゼンチャンに会えるとも、

また会えたとしても・・・

コアの場所が判明する保証はありません、

2番隊にもその役目を命じます。」

 

「はっ!

承知しました。」

 

「クサロ、気を付けて。」

 

「お心遣い、ありがとうございますっ!」

 

ふむ、今後の方針が各隊とも

決定したみたいね。

 

「ではオリオリ様、我々は早速にっ!

一足早く出立いたしますゆえ、

オリオリ様、冒険王殿達、そしてコッツもっ!

体には気をつけてっ!

旅の無事を祈り申し上げますっ!

ではこれにてっ!!」

 

早いっ!

クサロと2番隊はさっそく出発してしまった。

けど、うん、そうねっ!

またお互い無事で再会できるよう、

頑張ろうっ!

 

「・・・・それにしても・・・。」

 

しばらくコッツやオリオリ、ドゥエインの

やり取りを静観していたマレドーが

口を開いた。

 

「司令官・・・アナタのご主人はなんとも・・・

素晴らしく頭の切れるお方ですなぁ、

まさか魔星王を味方にしようなどと・・・・

このワシでも思いつかなんだ・・・・

まこと、素晴らしいっ!!」

 

「・・・・はい・・・・

私もです、マレドー殿。

詳しくはわかりませんが・・・・

コアが人の手の届く範囲にあると知ってから

そのような発想を得たのでしょう。」

 

「うむ、魔星王のようなスケールの違う存在を

配下に置くなどと・・・まるで政府のリーダーの

ごとき胆力よな。一度ワシもご主人に

お目にかかりたいぐらいじゃ。」

 

マレドーは・・・えらくセアドの事を

絶賛していた。

その時のアタシは・・・・。

セアドのスケールの大きさに

単にマレドーが惹かれたという・・・・

ただただ、それだけの事だと

思っていたの。

 

ホントに。

ただ目の前に起こった事を

そのまま受け取っていただけだった。

 

その事が・・・義勇軍を・・・

どれだけの悲惨な運命へと・・・・

導くかも知らずに・・・・。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府と星屑魔法団の接触を阻止すべく
奮闘するが上級執行官ドアヌの軍勢の
返り討ちに遭い彼女以外の隊員は
全員捕虜となってしまった。
その後、アタシ達と行動を共にし
離脱したボロンの代わりにオリオリの
護衛を務める。
どうやらアタシに憧れを抱いてる模様\(//∇//)\

・マレドー
宇宙政府の元上級執行官。
宇宙を平和に治めるべく政府に参加したが
政府の恐怖統治に嫌気がさし政府を離脱し
義勇軍へと寝返った、魔物でありながら
宇宙平和を願う男。
上級執行官時代はヨンツゥオ大陸南部地方で
良政を敷いていた事が当地の一般市民から
語られており、平和を願う心に偽りはない
事の証左であるとアタシは思う。

・ドゥエイン
義勇軍1番隊隊長。
マレドーを宇宙政府から匿いその警護を
担当していた。
同じ隊長クラスでもコッツよりも年長であり
先輩でもあり、コッツの未熟さを
心配している。
それはコッツを気にかけている事の
裏返しでもあるとアタシは思う。

・クサロ
義勇軍2番隊隊長。
諜報活動を得意とする部隊らしく
政府の動向を探る任務を帯びている。
今度のゼンチャンに関する調査も自ら
進んで行うとオリオリに申し出たわ。
義勇軍のようなレジスタンスグループに
とって諜報部隊というのは時に
実戦部隊よりも重要かもしれないわね。


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エピソード20.「次なる大陸へ」

アタシは魔道士リザ。
そして新たな・・・冒険王姉弟の一人です。
祖父である初代冒険王ガイアスの
意志を継ぎ、日々、冒険の旅をしています。
さて本日の冒険日誌。



マタセ島・・・・

思えばこの島で起こった出来事が・・・

ヨンツゥオ大陸での冒険の

ターニングポイントだったわ。

 

この島の住人達が・・・スライムをエルフ

と呼んで奉っていた。

それは・・・人々がスライムに支配されている

というような歪な構造ではなく、

お互いの生活圏を脅かすでもなく・・・

本当に共存共栄という日常がそこにあったの。

人々が親しみを込めてスライム達に

接していたの。

 

この光景からは・・・人間と魔物との共存に

ついて考えさせられたわ。

そうかと思えば自ら魔物になろうとする

人間も居た。

 

人間を辞めようという心境がアタシには

わからないし、おぞまし過ぎて

わかりたくもないんだけど・・・。

彼は”人間を辞めてしまう”という

感覚よりも”強きチカラを得られれば

人間であることに執着しない”という

思いのほうが強かったんだろうか、

魔物へと変わり果てた末に

アタシ達に退治されてしまった。

 

うん、けど・・・・アタシの・・・

「人間を辞めて魔物になるなんて

おぞましい」というこの思いも・・・

人間>魔物という意識がアタシの中に

存在するってことで・・・。

種族差別になってしまうかも

しれないわね・・・・。

 

まぁ、いずれにしても。

人間とは?魔物とは?

人間と魔物の関係とは?という

自問自答をするようになったのは

ここマタセで起きたこれらの

出来事が深く作用していると思う。

 

そして何より!

ボロンとの別れの地。

決別を宣言したのは先だっての

ヨンツゥオ大聖堂での決戦の直後

だったけど・・・・。

 

仲間として・・・・義勇軍として共に

活動したあの頃のボロン・・・・

戦友のボロンとは・・・彼が、エルフと

呼ばれるスライム達を故郷に

送り届ける為に別行動を取った・・・

あの時すでに別れてしまっていたんだ。

 

アタシは今になってようやく・・・

再びこのマタセ島に足を踏み入れて

ようやく・・・・その事実に気付いたんだ。

 

ボロン、いえ、ピエールとの決戦後は

何かと忙しかったので、感傷に浸る

間もなかったけど・・・あまりにも色んな

出来事が起きたこの島に着いた途端、

アタシの脳裏に・・・その出来事の数々の

記憶が蘇ってきたの。

 

今は・・・一刻も早く新しい魔星王の

居場所を突き止めなきゃいけないって

・・・落ち込んでる場合じゃないって・・・

アタシ自身がオリオリに忠告した

っていうのに、ね。

 

新しい魔星王の眠る場所を知っている

・・・かもしれないゼンチャンという人物に

会うため、アタシ達はマタセ島を

訪れていた。

 

ゼンチャンはボォフゥ大陸の何処かに

いるという・・・マレドーの話を頼りに。

で、ボォフゥ大陸へは・・・

ここマタセ島から飛行船で向かうのが

最短ルートってワケ。

 

そして・・・・。

ここマタセ島を治めるマタセ国の

国王は・・・・魔物化したあげくアタシ達を

襲ってきたんだけど・・・

アタシ達はやむを得ず魔物になった

彼を亡き者にした。

 

王が原因不明の失踪を遂げたマタセ国の

混乱の収拾を・・・大臣さんに託して

この地を去ったアタシ達。

 

その後の国の様子も・・・当然気になっては

いたので、アタシ達は大臣さんを

訪ねる事にしたの。

 

「大臣・・・・お久しぶりです。

お忙しい最中の面会に応じていただき

まことに感謝します。」

 

「おぉ・・・・これはオリオリ殿!

それに冒険王殿達もっ!

お元気そうで何より・・・でもなさそう

ですか?

随分とお疲れのように見受けられますが。」

 

ハハハ・・・さすがにね・・・・

厳しい戦いの連続なうえに・・・・

厳しい現実を突きつけられたからね。

おまけにもう何日間も野営が続いてる、

もう何日もベッドで寝てないな~(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

 

相変わらず優しそうな、柔和な笑みを

携えているマタセの大臣さんが

疲労困憊のアタシ達の様子に、

さすがに気付いて心配をしてくれた。

 

「・・・・詳しい事は存じませぬが・・・

義勇軍としての活動・・・

より厳しいものの連続のようですな。」

 

「いえ、ご心配なく。

大臣のほうこそ!

色々と心労がおありでしょう、

国の様子はどうなっていますか?

王の失踪後、さぞや国中が混乱に

陥っていることでしょう、私達も

気にかけておりました。」

 

「はぁ、それが・・・王は未だ戻られません。

失踪当初は・・・城内の者たちも島民らも・・・

不安がっておりました。

しかし幸いなことに・・・皆、王がいない

こんな時だからこそ!と国中が団結

したのです、おかげでそこまで

大きな混乱も、また暴動も起きず、

以前と変わらない暮らしが続いている

と報告を受けています。」

 

「それはっ!

本当によかった~!

きっと・・・大臣殿の人徳のおかげでしょう。」

 

「いえ、ワシなぞ、何もできぬ、

ただの年寄ですじゃ。

島民達の日頃からの心がけに助けて

もらっているようなもの。

それに・・・・こころなしか、ここ最近は

宇宙政府の圧力が以前に比べ

弱まったような気がします。

以前は毎日のように、このマタセ城にも

見回りと称して政府の者が出入りして

おりましたが・・・一番最後に政府関係者が

やってきたのは・・・いつだったか失念

してしまいました・・・・いやぁ歳を取ると

物忘れがひどくなって困りますわい、

ハハハハ・・・・。」

 

そうなんだっ!

ホントによかった~、事が事だっただけに、

アタシ達、みんな心配してたから・・・。

 

それに政府の圧力が弱まった・・・?

むぅ、それって・・・執行官達が

居なくなったのも関係してるのかも。

だとしたらアタシ達の所業も

無駄ではなかったワケね。

 

うん、打倒政府の意志は・・・

民を幸せにする可能性は十分

あるんじゃないの?ボロンッ!!

 

「ひょっとしたらオリオリ殿達の

活動のおかげかもしれませんな、

政府の圧力の縮小化は。

して、今日はどのようなご用件かな?

よもや挨拶回りだけというワケでは

ありますまい。」

 

「はい、実は・・・・。」

 

オリオリは新しい魔星王の事、

星屑魔法団の事、

宇宙政府の事、

そして・・・ピエールとして生きていくと

決めたボロンの事などを

掻い摘んで大臣さんに語ったわ。

ただ・・・。

 

やっぱり、マタセ王の事については

触れなかったけど。

 

「むむむむ、オリオリ殿、

それはそれは厳しく、お辛い旅路

でござったのですな・・・・。

心中お察し申し上げる・・・・。

で・・・そのゼンチャンなる人物を

探す為にボォフゥ大陸へ渡る、

というワケですな。

ふむ、我島の港から最寄りの港は・・・

確かハルラ港ですじゃ。

ハルラ港便なら飛行船の定期便が

出ておる。

その便で彼の地へ向かわれるのが

よろしいでしょう。」

 

「承知しました大臣、ありがとう。

で、その定期便というのは・・・

次回の出港はいつなのでしょう?」

 

「確認させますが本日はもう終業していると

思います。

明朝なら午前中に2本は便が出ていると

思います。

オリオリ殿、もしご都合に差し障りが

なければ今夜はお城に泊まられては

いかがですか?

厳しい旅と活動が続く貴殿達に、

援助できる事柄が少なく心苦しく

思っております。

せめて一晩のもてなしぐらいは

させていただけぬでしょうか?」

 

っ!!

お城に泊まるっ!!

や~~~ん、泊まりたい、泊まりたいっ!

とにかくベッドでぐっすり眠りたいっ!!

オリオリッ!お願いっ!!

うん、って言ってっ!!!

 

「大臣、お気遣い感謝します、

ありがとう。

ご厚意は・・・我らには過ぎたるもの

かとは思いますが・・・・。

それにレジスタンスグループである

我らをお城に泊めてくださるのは・・・

貴国にとって害をなしてしまうのでは

ありませんか?」

 

ゲッ!

ダメなの、ねぇダメなの!?

でもそうか、アタシ達を泊めたせいで

マタセ国が宇宙政府に睨まれちゃったら

申し訳ないか・・・・。

 

「その点はご案じめさるな、

先程も申し上げた通り、ここ最近は

政府関係者もとんと訪れなくなりました、

一晩ぐらいなら心配は無用ですじゃ。」

 

「そうですか・・・では。

親愛なる友人のお気持ちを無下に

退けるのもまた失礼にあたりますね。

ゆえに・・・お気持ち、有り難く頂戴します。」

 

「やった~~~~~!!!」

 

「えっ!?リザさん!?」

 

「モガー!ビックリしたぞリザ、

急に大きな声で叫ぶなんてっ!」

 

ハッ!

しまった、あまりにお城に泊まりたい想いと、

オリオリがいったん遠慮するような口ぶりで

もったいぶるから・・・・

思わず歓喜の叫びが出てしまったΣ(゚д゚lll)

 

「ホッホッホ、どうやら冒険王殿は

心良く我らの申し出を受け取ってくれる

ようですな。」

 

ヒャー!

は、恥ずかしいっ!!

皆の注目を集めてしまい、しかも下心も

露呈してしまい、アタシは顔から火を吹く

ような思いだった。

 

「確かに厳しい戦いはもちろんのこと、

時間との戦いの連続でもあり、

ゆっくり休息を取ることがままならなかった

のも事実。

戦いを担ってくれているリザさん達の

疲労回復も重要なミッションです。

ゆっくり休ませていただきましょう。」

 

や、やった!

恥ずかしいけどっ!

お城に泊まれるなんて、めったに

体験できない出来事だもんねっ!

 

「それでは、係の者に支度をさせます。

ワシは執務に戻りますゆえ、

ひとまず失礼させていただきますじゃ、

皆様方、どうぞごゆっくり、

旅の疲れを癒やされますよう。」

 

「大臣、本当にご厚意感謝いたします、

ありがとうっ!」

 

大臣さんは一礼すると部屋を

出ていった。

ホントにっ。

あの野心家の国王とはえらい違いの、

心優しい人だ。

 

「フフン、リザ~~~。

そんなにお城に泊まるのが嬉しいのか?

相変わらず子供っぽいな~リザは。」

 

「フフフ、でも。

そこがまたステキなんですよ~

リザ殿は。

あんなに強くて凛々しいのに、

ひとたび戦闘を離れれば

子供らしいところや女子っぽい

ところがおありで。

だからコッツはリザさんが好きなんですぅ。」

 

うぅぅぅ、モガ丸とコッツがアタシを

イジってくる~。

コッツは・・・そんな意識はないんでしょうけど、

その無邪気さが余計にアタシに突き刺さる。

 

「フフフ、雲海アイスの時も

リザさんはおかしかったですもんね、

クス。」

 

ゲッ!

ここぞとばかりにオリオリまでっ!

そんな随分の前のことまで持ち出してっ!

 

アタシ達は・・・・。

新たな大陸の冒険の前の束の間の休息を、

ここマタセで取ることができた。

 

マタセ国にとっては悲惨な出来事が

あったワケだけど、今は今の状況で

大臣さんを筆頭に国民全員が

国を盛り上げようと懸命に生きている。

 

心に引っかかっていた懸念の1つが

取り払われた安心感と、

厳しい戦いが続いた疲労感とで

アタシ達はその夜、お城でぐっすりと

眠ってしまった。

 

そして明日から。

また新しい大陸での冒険が始まる。

 

惑星クラウドのコア、すなわち新しい

魔星王の眠る場所を知るため、

その場所を教えてくれるであろう

ゼンチャンという人物を探すために

ボォフゥ大陸へと向かうところから

新しい冒険は始まるの。

 

魔星王を味方にし、打倒宇宙政府を

成し遂げるために。

宇宙の平和を取り戻す、その指導者に

ならんとするオリオリを支えるために。

 

アタシ達の冒険は続くの。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・マタセ国大臣
心優しい、国想いの親切な大臣。
国王がいなくなった後の国の混乱を必死に
収めるべく奮闘している。

第7章「白いスライムナイトの覚悟」了
惑星クラウド・ヨンツゥオ大陸編 了

ようやくヨンツゥオ大陸編、終了です。
次回から新大陸編です。


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2ndシーズン第8章[惑星の秘密を知る者]***惑星クラウド・ボォフゥ大陸編*** エピソード1.「漁港の町ハルラ」

アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



全宇宙を支配する宇宙政府。

彼らは、その恐怖政治により宇宙の星々の

民を苦しめていた。

 

政府は・・・ブルリア星に派遣し、アタシ達

冒険王姉弟に倒された魔星王ドスラーデスに

代わる新しい魔星王をここ、惑星クラウドで

誕生させようと画策する。

 

新たな魔星王を誕生させるには、

星の心臓部『コア』と呼ばれる物質と

星屑魔法団が操る“秘術”が必要だった。

 

様々な紆余曲折の末、新しい魔星王は

誕生してしまう。

しかし、魔星王誕生の裏には

星屑魔法団団長セアドのある狙いが

隠されていた。

 

彼は誕生したばかりの魔星王を手なづけ

打倒宇宙政府の為の切り札とすることを

考えていたの。

 

セアドの妻、義勇軍の総司令官オリオリと

反政府運動を展開するアタシ達は・・・

その新しい魔星王が眠る場所へ向うよう

セアドからの“指令”を受けた。

 

その場所は何処かというと・・・セアドが

青雲のオーブに込めたメッセージに

残されているはずだったんだけど・・・

白いスライムナイト『ピエール』・・・

こと義勇軍親衛隊隊長ボロンが・・・

セアドのメッセージがその場所を

語る寸前でオーブを破壊してしまった事に

よりわからなくなってしまったの。

なぜピエールがボロンで、ボロンが

オーブを破壊したかは・・・

長くなるし、思い出すのもツライので

ここでは割愛するわ・・・。

 

アタシ達は全知全能のオンナ『ゼンチャン』

という人物がその場所を知っているかも

知れないという情報を得て・・・

彼女が居るというボォフゥ大陸へと

向かっていた。

 

「モガー!ハルラの港に着いたぞ!」

 

マタセ島の港から飛行船の定期便で

ボォフゥ大陸の最寄りの港ハルラへと

到着した。

アタシ達にとって惑星クラウドでの

2番目の大陸での冒険が始まる・・・

と言いたいとこだけど・・・

そんな呑気な事をアタシ達は言っていられない。

“ゼンチャンはボォフゥ大陸に居る”という

漠然とした情報しか持っていないから・・・

どんどん聞き込みをしなければいけないんだ。

 

「よぉ〜、そこのお嬢ちゃん達ぃ、

採れたての新鮮な魚はどうだい?

今夜の晩御飯はコイツで決まりだぜ!」

 

港町だけあって魚市場が盛況なようね、

漁師のおじさんがアタシ達に

呼び込みをしてきた。

 

「まぁ、イキがいいんですね〜、

お造りでいただいたら美味しそうっ!

・・・けどごめんなさい、おじさん。

私達、急ぎの用があって・・・。

人を探してるんですが・・・『ゼンチャン』

という人物の噂を耳にした事は

ありませんか?」

 

漁師さんの売り込みをさらりと受け流し

コッツがいきなり本題に入る。

 

「ゼ、ゼンチャンだとぉ!?

なんだ?お嬢ちゃん達、ゼンチャンの

関係者かい?」

 

わぁおっ!

いきなりビンゴじゃないっ!!

この漁師さん、ゼンチャンを知ってるんだ!

ん?けど・・・漁師さんの表情が

少し険しくなってる気がした。

 

「わ、私達はゼンチャンとは会ったことは

なくって・・・関係者ではなくて・・・

訳あってゼンチャンに聞きたい事が

あるんです。

その為にゼンチャンの情報を集めようと

しているんです。」

 

「そ、そうか・・・。

いや、俺もゼンチャンっていうのは

噂で耳にした程度なんだがな。

この港よりもう少し奥地の辺りに

ゼンチャンっていう全知全能の神の化身

っていう謳い文句の女が現れるように

なったって聞く。

ただ・・・そのゼンチャンってーのと

因果関係があるのかはわからねぇんだが、

ゼンチャンの噂が流れるようになって

しばらくして、ここら一帯の海で

良くない出来事が多発するように

なっちまってな。

それで俺ら漁師仲間の間じゃあ、ゼンチャン

っていう名前に良い印象をもってないんだ。

だからお嬢ちゃん達がゼンチャンの名を

出したもんだから、ちょいと警戒しちまった、

ごめんよぉ。」

 

ふむむ、全知全能の神の化身・・・

なんか聞くたびに肩書きが仰々しく

なっていってる気がするんだけど・・・。

けど。

ゼンチャンはこの近くに居るんだ。

 

星雲のオーブをピエールに叩き割られた時は

どうしようかと思ったけど。

意外と早くにゼンチャンに会うことが

できそうね。

 

ところで、この一帯の海で起こる

良くないことって何だろう?

 

「実はな・・・漁に出た船がもう何隻も

帰ってこねぇんだ。

捜索もやるにはやったんだが見つからず

じまいさ。

口にしたくはないが・・・もう

助からねぇんじゃないかってな。」

 

「モガー!

それはかわいそうだ〜。

おじさんも心配でたまらないだろうなぁ

・・・。」

 

「あぁ、俺の仲間の船も一隻行方不明の

ままなんだ。

それともう1つ気になることがあってな、

その・・・ゼンチャンが現れたっていう

奥地の村のモンらぁがどういうわけか

この市場でカツオを買い漁るように

なっちまってな。

ちょっと、いや、かなり俺らも

困ってるんだよ。

これもゼンチャンの噂が流れるように

なってから後の事さ。」

 

「え、なんで?

たくさん買ってくれるならおじさん達

儲かっていいんじゃないのか?」

 

「まぁそりゃそうなんだが・・・。

この辺り一帯には海の守り神と呼ばれる

神獣が棲んでいるといわれる島があってな、

その島には毎月カツオを供える習わしが

あるんだ、ところが片っ端からカツオを

買われるもんだから、お供えに回す分の

カツオが確保できねぇんだ。

ひょっとしたら仲間の船の遭難事件は

その守り神の祟りなんじゃあないかって

俺は睨んでる。」

 

なるほど〜、確かにゼンチャンの噂が

流れるようになってから色々と

出来事が起こり過ぎてるわね。

そりゃあ、このおじさん達じゃなくても

ゼンチャンに良い印象は持てないわね。

 

「おじさん、さぞや不安でたまらない

でしょう、心中お察しします。

そんなところ申し上げにくいのですが、

他にゼンチャンに関する情報は

ないでしょうか?

私達はどうしてもゼンチャンに会わなくては

いけないのです。」

 

「ふーむ、そうだなぁ、あいにく俺は

直接ゼンチャンと会った事もないし

関わりもないしなぁ。

おーい、オメェらっ!

例のゼンチャンっていう女の事で

何か知ってるヤツぁいねぇかー?」

 

おじさんは漁師仲間に大声でゼンチャンの

事を聞いて回ってくれた。

すると1人の仲間らしき漁師さんが

それらしい情報を持っていた。

 

「ゼンチャン、ゼンチャンねぇ。

そういや昨日、市場に来てた背の高い男が

ゼンチャンに会う、みたいなことを

言ってたような・・・。」

 

「そ、その男性の名はっ!?

そして、何処に向かうと

言っていましたか!?」

 

「確かドゼウって言う名前だったな、

ここから西にある剛力の像という

場所へ向かうと言ってたぜ。」

 

「その、ドゼウを追いかければゼンチャンに

会えるかもしれませんね、私達も

急いで剛力の像へ向かいましょうっ!」

 

港に着くなりゼンチャンの情報が

かなり多く集まったわ。

漁師さん達の気の毒な話も合わせてだけど(>_<)

 

「おじさん、ありがとうっ!

助かります・・・あ、せっかくなんで

そのお魚いただきますね。

不安な航海の中、獲ってこられたお魚、

ありがたくいただきたいと思います!」

 

「おっ、ありがとうよ、毎度ありぃ!

お嬢ちゃん達、気をつけてな。

とにかくゼンチャンの噂からこっち、

物騒な話ばかりだからな。

それに・・・子どもだけの旅は

危険だろうだからな。」

 

情報のお礼にお魚を購入。

けどそうね、確かに不気味な話の連続だ。

ゼンチャンには・・・なんだか

良からぬイメージを持ってしまったし。

 

と、それはさておき!

今日の夕食は決まりね。

本当にっ!

おじさん達が命がけで獲ってきたお魚、

ホント美味しそうっ!

野営になるだろうけど、今日は

食事が楽しみ(*^^*)

 

「リザッ!

ヨダレが垂れそうだぞっ!

晩御飯の事ばっかり考えてるのか!?

まずはドゼウに会うのが先決だぞっ!」

 

ギクッ!Σ(゚д゚lll)

アタシ、そんなに締まりのない顔してた

のかしら、モガ丸にツッコまれちゃった!

 

「ふふ、リザ殿ったら、やっぱり可愛い〜❤︎

お魚のことで頭が一杯なんですね。」

 

キャ〜、コッツまでっ!

ダメダメ、最近はモガ丸とコッツが

セットでアタシをイジってくるのが

定番になりつつあるぅ(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

アタシはひとまずお魚の事を頭の片隅に

追いやり、早足で港町から出発した。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\


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エピソード2.「全知全能のペテン師?」

アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



剛力の像・・・厳めしい年配の男性を象った

巨大な像がそびえ立っていた。

その像の地下に空間が存在していた。

 

当然のように魔物が棲み付いていたので

これらを退けながら地下空間を探索するも

ドゼウ、ゼンチャンはおろか人は誰も

いなかった。

 

「むぅ、ドゼウもゼンチャンも居ないなぁ。」

 

「一旦ハルラに戻りましょう。

ここには手がかりは何もなさそうです。」

 

せっかく得たゼンチャンに繋がる

情報ですもの、急いでその、ドゼウという

人物を見つけなくてはっ!

 

アタシ達は急ぎ、モガ丸のルーラで

ハルラに戻った。

 

「よぉ〜お嬢ちゃん達!

無事に旅を続けてるようだな、

で、どうだい?魚は美味かっただろう?」

 

あ、うん、とってもっ!

昨日の野営で焼き魚にしていただいたわ、

すっごく美味しかった❤︎

お造りでいただけなかったのが

残念だけども・・・

って違うっ!

あ、いや、お魚は確かに美味しかったけどっ!

剛力の像にはドゼウが居なかったのっ!

 

「あぁ?なんだ、すれ違いかぁ、

ついさっきまたドゼウがやってきたんだけど、

オレぁ、てっきりお嬢ちゃん達と

出会ったのかと思ってたよ。」

 

「え!

ドゼウがここを訪れたのですか!?

おじさん、ドゼウは次は何処へ向かうと

言っていましたか!?」

 

「次は癒しの像へ向かうと言ってたぜ。

それにしても・・・お嬢ちゃん達も・・・

ゼンチャンに話を聞かなければって

言ってたが・・・実は相当恨みが

あるのかい?

そんだけ血相変えてドゼウを探してる

ところを見ると。」

 

恨み!?

なになに、どういう事!?

 

「恨みとはどういうワケでしょう?

それに私達も・・・という事は・・・?」

 

「あぁ、ドゼウはなんでもゼンチャンに

恨みがあって、それでゼンチャンを

探してるそうなんだ。」

 

恨み・・・何?ゼンチャンは

人から恨みを買うような悪い人物だって

言うのかしら?

この漁港の漁師さん達の間では

不吉な出来事の根源みたいな

言い回しだし・・・。

ふ〜む、何か悪い予感がするわね。

まさか宇宙政府が絡んでるのかしら、

だとしたらドゼウって人の身が危ないわね。

 

「リザ殿達、もしゼンチャンが良からぬ

人物であるならドゼウさんが心配です、

急いで癒しの像へ向かいましょうっ!」

 

そうね、ゼンチャンを探すのが目的だけど

なんだか危険な雰囲気も漂ってきたわ。

 

「癒しの像はここから東の方角だ。

お嬢ちゃん達、またまた気を付けて

旅を続けろよ。」

 

うん、ありがとう、漁師のおじさん。

アタシ達は急ぎ癒しの像へと向かった。

雲海沿いに陸地を歩く。

すると半島の東端にその像は建っていた。

 

今度は美しい女性を象った巨大な像。

像の周りには堀が張り巡らされいて

まさに癒しを表現した像ってカンジね。

 

剛力の像と同じく地下に空間があり

やはり同じく魔物が棲み付いていた。

魔物を退け最深部まで進む。

 

「モガ〜、癒しの像って名前の割に

不気味だし、魔物もたくさん居たなぁ。」

 

「ずお?・・・おまんらは?」

 

すると1人の背の高い・・・訛りのキツイ

男性が居てアタシ達に話しかけてきた。

 

「わっビックリしたっ!

も、もしかしてお前がドゼウか?」

 

「んだば、オラがドゼウだ。」

 

よかった、今度は追いついたっ!

そしてドゼウは無事なようね。

 

「モガ〜、やっと会えたなドゼウ、

オイラ達お前を探してたんだ。

実はオイラ達もゼンチャンに用があって。

ゼンチャンと会うっていうお前の話を

港町で聞いてさぁ、そんでここに

やって来たってワケ。

ゼンチャンに会うんだろ?

オイラ達も連れていってくれよぉ。」

 

モガ丸がゼンチャンの名を口にすると

みるみるドゼウの表情が険しくなっていった。

 

「おまんらも・・・ゼンチャンの被害者か!?」

 

「被害者!?」

 

被害者・・・やっぱり・・・

ドゼウはゼンチャンに恨みがあるっていうのは

本当のようね。

 

「被害者っていうのはどういう事だ?

ゼンチャンっていうのはそんなに

悪いヤツなのか?」

 

「ゼンチャンは・・・自分の事を神だと、

全知全能の神だと偽り、オラの村のみんなさ

信じ込ませた。

そしてたっくさんのお金を奪い取っただよ!

オラの嫁っこもたーくさんお金渡しちまって

オラ達夫婦、すんごく貧乏になっちまった、

それが元でオラ達もう離婚寸前だ、

オラ、ぜってーにゼンチャンを許さねぇ!」

 

ムムム、全知全能ってそういうワケだったの!?

人を騙す為の謳い文句だったなんてっ!

アタシは腹立たしい気持ちになると共に

ゼンチャンがとんだ紛い物であるという

事実に大きな失望を抱いてしまった。

 

そんな悪どいペテン師が魔星王の場所なんか

知ってるわけがないっていう失望。

しかし・・・一旦耳にしてしまった

ドゼウ夫婦や村のみんなのトラブルを

見過ごすわけにはいかないっ!

そのペテン師ゼンチャンを懲らしめて

やらなければっ!

そしたら漁師のおじさん達の不吉な事件の

事も何かわかるかもしれないし。

そうでしょう?オリオリ。

 

書からオリオリが現れドゼウの村へ

向かう旨を告げた。

 

「そうですね、このドゼウさんの村の不幸を

見過ごすわけにはいきません。

それにゼンチャンという人物にも・・・

一応、直に会って魔星王の事を

聞いてみないといけない。

何か事情があるのやもしれませんし。」

 

「わっ!

ほ、本から人がっ!」

 

「あ、驚かせてすみません、これには

ワケがあり・・・今はひとまず本の事は

置いておいて・・・。

ドゼウさん、それでゼンチャンは何処に

いるのですか?

我々は彼女に会わなければいけない

理由があるのですが・・・」

 

「い、いやぁ、実はオラもゼンチャンを

探してるんだ。」

 

「モガーっ!ドゼウも知らないのかぁ!?

なんだ、オイラ達も振り回されてたのか!?」

 

「もしかしたらゼンチャンは今頃、

オラの村にやって来てるかもしれねぇ、

また村人からお金を巻き上げる為に!」

 

「ドゼウさん、我々をあなたの村に

案内していただけないでしょうか?」

 

「んだばっ!

おまんらも相当ゼンチャンに恨みが

あるようだなっ!

オラ、仲間が増えたみてぇでなんだか

心強いぞっ!」

 

ふーむ、恨みも何も・・・アタシ達は

まだ会った事もないんだけどね・・・

ゼンチャンに。

でもまぁ、心強いっていうのなら

それはそれでドゼウの為になるし、

ここはアタシ達も被害者っていうテイで

動いたほうがいいかしら?

 

「オラの村はキジキ村っていうだ、

おまんら、さぁ行くぞ、ゼンチャンを

とっ捕まえて皆んなに正体を

暴いてやるだよっ!」

 

惑星クラウドのコアの存在する場所、

すなわち新しい魔星王が眠る場所を

知っているかもしれないという

全知全能のゼンチャン・・・。

 

なんだか話はおかしな・・・それでいて

良くない方向に進んでしまっていき、

ゼンチャンはペテン師だという

疑いが強まった。

被害者だと言うこの、ドゼウの村に

やって来るというゼンチャンに会う為、

アタシ達はドゼウの住むキジキ村へと

向かった。

 

 

 




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・ドゼウ
全知全能のオンナ「ゼンチャン」に恨みを
抱く男性。
どうもゼンチャンはペテン師で、彼の奥さん
がゼンチャンに騙されたあげくお金を
たくさん騙し取られた事が原因で
夫婦は離婚の危機に陥ってしまったらしい。
ゼンチャンの悪事を暴くべく彼女を
必死で探しているらしいの。


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エピソード3.「神への冒涜者」

アタシは魔道士リザ。
ブルリア星の2代目冒険王姉弟の1人。
かつて全宇宙を平和に治めていた宇宙王。
その末裔であるオリオリは・・・
現在、全宇宙に君臨する邪悪な組織
『宇宙政府』、これに反抗する為
レジスタンスグループ『義勇軍』を率いて
打倒宇宙政府を目指していた。
アタシ達姉弟は義勇軍に参加しオリオリと
共に宇宙政府を打倒する為ここ惑星クラウド
での冒険を続けているの。
さて本日の冒険日誌^_^



「ここがキジキ村、オラの住んでる村だべ。」

 

ハルラの港からほど近い北の山麓に

ドゼウの村があった。

ここにゼンチャンが来ているなら、

早々に会って詐欺まがいの行いの

真相と、クラウドのコアが眠っている場所を

知っているのか、を確認しなければ。

 

と、村の中央であろう方角から

何やら騒めきが聞こえてきた。

 

「リザ殿、あれはなんでしょう?

何やらたくさんの人達が踊っている

ようです。」

 

ホントだ、踊ってる・・・。

村祭り・・・なのかしら?

そういう時節なのかしら?

 

ただ、踊っている人々の表情は・・・

お祭りを楽しんでいるようには・・・

とても思えなかった。

 

「あれは・・・!

『カツオ節踊り』だべ、あれサ踊れば

幸せになれるってゼンチャンに

踊らされてるんだ、確かにあの踊りは

この辺りの人間にとっては神聖なお祈りの

踊りだけんども、決してゼンチャンを

崇めるために踊るものではねぇっ!

みんなゼンチャンに騙されてるだっ!」

 

!!カツオ節踊り!?

 

 

確か漁師のおじさんは奥地の人達が

カツオを大量に買い漁ると言っていた。

それとこのカツオ節踊りと何か関係が

ありそうね。

それに・・・。

神聖な踊りだけどゼンチャンのための

踊りではない??

では一体誰に祈るための踊りなんだろう?

 

「ゼン様を悪く言うな。」

 

と、アタシ達の背後から怒気を含んだ

女性の声が飛んできた。

 

「ずおっ!カラちゃんっ!」

 

「バカドゼウっ!

なぁんも知らんクセにゼン様を悪く

言うんじゃねぇっ!」

 

「モガっ!

ひょっとしてドゼウの奥さんか?」

 

振り返ると、不機嫌そうな顔をした

若い女性が立っていて、ドゼウに向かって

いきなり罵声を浴びせてきた。

 

「カラちゃんっ!いい加減目を覚ますだっ!」

 

「うるさいっ!黙るだっ!

おまんなんかもう知らんっ!!」

 

アタシ達には目もくれず、ものスゴイ剣幕で

その女性はドゼウを罵倒し始めた。

アタシ達は名乗るタイミングすらなかった

(o_o)

 

「ちょっ!カラちゃんっ!

ど、どこ行くだっ!?」

 

「カツオ節まぶしに行く。

ゼン様が潮の祠さ来てるだ。

だで、私はカツオを獲りに行く。

ついてくんなよバカドゼウっ!」

 

「ぬおっ!!

さっきからバカバカって言うな、ボケっ!」

 

「モガ〜、まるで子どものケンカだな〜

まいったぞ・・・。

ドゼウの奥さん、ゼンチャンと定期的に

会ってるなら話を聞きたいところだけど

・・・。」

 

「とてもそんな雰囲気じゃなさそうですね。」

 

確かに(>人<;)

会うなりこれだもんね。

夫婦ってここまで歪み合えるもの

なのかしら。

アタシ達、オリオリ達のようなお互いを

信頼し合う夫婦を間近で見てるもんだから

ドゼウ夫婦のやり取りに面食らって

圧倒されてしまった(>_<)

 

それにしても。

カツオ節を崇める?神聖視?するのが

ゼンチャンの教えなのかしら。

それって漁師のおじさんが言ってた、

海の守り神にカツオを供えるっていう

習わしと関係あるのかしら?

 

「ずぉぉぉ!カラちゃーんっ!

おまん、カツオを獲りに行くって、

どこさ行ぐつもりだーっ!?

ま、まさかオリハルゴンの島じゃ

ねぇべなぁ??」

 

「う、うるさいっ!!

ぜってぇついてくんなよ、ドゼウ!!」

 

そう叫ぶとドゼウの奥さん、カラは村を

飛び出していってしまった。

 

「カラちゃん、きっとオリハルゴンの島さ

いぐつもりだ。

お、おまんら、オラはカラちゃんを

追いかけて島さ渡るのやめさせる、

悪りぃがゼンチャンの居場所に

行くのはその後にしてくんねぇか?」

 

「モガー!

なんだかわかんないけど、オイラ達も

ついてくぞ。

なんかヤバそうな雰囲気だしな!

な?リザ。」

 

そうね、色々と疑問だらけだけど

ドゼウの奥さんがただ事じゃないって

いうのは見て取れた。

アタシ達もドゼウに同行しよう。

話は追いかけながらでもできる。

いいかしら?オリオリ?

 

「ええ、カラさんを追いましょう。

それがゼンチャンに繋がることにも

なりましょうし。」

 

「ずお、おまんら、ついてきてくれるのか?

すまん、恩に着るだ、ただ島には

オリハルゴンっていう魔物が棲んでる、

気を付けていくど!」

 

ま、魔物!?

それは危険だわっ!

一般人の、しかも女性が魔物の棲む島に

単身渡ろうだなんてっ!

これは一刻を争うっ!!

 

ドゼウとアタシ達は急いでカラの走り去った

方向へ向かって走り出した。

 

「はぁはぁはぁっ!

待ってけろ〜〜、カラちゃーーーーんっ!!」

 

ドゼウはもう息を切らしながら奥さんの

名前を呼んでいる。

よっぽど心配なのね、いがみ合っていても

やっぱり。

 

「ところでドゼウさん、オリハルゴンとは

一体どういう魔物なのですか?

この辺りの住民に危害を加えるような

悪い魔物なのでしょうか?」

 

「はぁはぁっ、い、いや、オリハルゴン

っていうのはハルラ港の沖合にある

小さい島に棲む・・・はぁはぁ、魔物

なんだが・・・魔物というよりは神獣、

神の使いと呼んだほうが正しいかも

しれねぇ。」

 

か、神の使いっ!神獣っ!?

 

そ、それってまさに漁師のおじさんが

言っていた海の守り神のっ!!??

 

「はぁはぁはぁっ、お、おまんら、し、

知ってか、はぁはぁっ!」

 

「モガ〜、ドゼウ、これ飲めよ!」

 

パシッ!

 

見るからに運動が苦手そうな体型のドゼウが

・・・ただでさえ走るだけでもキツそう

なのにさらには話をしながら走るって

いうのはかなり体力の消耗が激しい

んだろう。

もうほとんど会話にならないぐらいに

息が切れているのを見かねてモガ丸が

水筒をドゼウに放り投げたの^_^;

 

「ゴクゴクゴクッ!

ぷはぁあああ、あ、ありがとう!

い、生き返ったべ!」

 

「ったく〜、リザ達、少しペース落として

進もう。

ドゼウは全然ついていけてないぞ!」

 

そ、そうね、アタシ達は冒険者だから

慣れてるけど、ドゼウも同じように

ってわけにはいかないものね。

けどこんな調子で奥さんに追いつけるの

かしら(⌒-⌒; )

っていうか、奥さんのほうは足が速い

のかしら、全く追いつける気配が

ないわね。

 

「で?

オリハルゴンっていうのはどういう

魔物なんだ?」

 

「はぁはぁ、オリハルゴンっていうのは

実はハルラ港近辺の守り神のような

魔物だべ。そしてカツオが大好物なんだが、

昔はその好物を捕獲するために、度々

ハルラ海に出没してたらしんだ。

海っていってもこの星の海は雲海の下だから

陸からは見えねぇんだがな。

それはさておき、ハルラ一帯は遠い昔から

漁が盛んだ、カツオを捕獲中の

オリハルゴンと漁船がよく鉢合わせに

なったりで不幸な事故も度々あったと

聞くだ。」

 

ふむ、人間と自然、野生動物や野生の魔物

とが生きている以上、避けられない事ね。

特に人間が悪いともオリハルゴンが悪いとも

思えない自然の摂理だとは思うけど。

それがどういう経緯で神獣と呼ばれるに

至ったのかしら。

 

「んで困った昔の漁師達は獲った大量の

カツオをオリハルゴンの住処である

その小さな島に供える事にしたらしいべ。

するとオリハルゴンが海に出没することは

なくなり不慮の事故もなくなり、おまけに

オリハルゴンが直接カツオを獲りに来る

事もなくなったから漁師達の漁獲量も

増えたって話だ。

現代のオラ達からすれば当然の話だな、

オリハルゴンが海に来なくなった分、

人間と鉢合う場面がなくなったんだから。

けどこの出来事が故事となり『オリハルゴン

にカツオを捧げれば航海の安全と豊漁が

約束される』と漁師達、果てはこの村の

周辺の民達の言い伝えになったんだべ。」

 

なるほど〜そういういきさつね。

漁師のおじさんが言っていた内容と

合致する、至極真っ当な話だわ。

 

「ところがだ。

ところがここでゼンチャンが絡んでくるだ。」

 

「モガ?

どういう事だ?」

 

「ゼンチャンは自分を全知全能の神に

なぞらえるためにこの地方の言い伝えを

悪用しちまうんだ。

オリハルゴン=海と漁業の神の使い、という

図式をそんまま自分に置き換えちまった。

この図式にはカツオが神への供物という

意味も含まれているだ、カツオから生まれる

カツオ節を自分に捧げよ、海の安全と

豊漁を願う祈りをカツオ節を持って行え、

そうすれば皆んな幸せになる、という

具合にな。」

 

な、なんと罰当たりなっ!

神の名を騙って詐欺を行うなんてっ!

とんでもない悪党じゃないのっ、

ゼンチャンって!!

 

「そしてゼンチャンを信用した村の人たちは

漁港で大量にカツオを買い漁って

カツオ節に加工しゼンチャンに捧げるように

なっちまっただ。

おかげで本来オリハルゴンに供えるはずの

カツオが市場から消えてしまい、

ゼンチャンが現れてからというもの、

オリハルゴンへのお供えが徐々に減り、

今ではほぼ途絶えちまっただ。

怒ったオリハルゴンは、大昔のように

自ら海でカツオを獲るようになっただ。

しかも、カツオを供えてもらう事に

慣れちまってたオリハルゴンは、いっこうに

供物が来ない事で怒りは倍増、より凶暴に

なってしまったって話だ。

そう、全てゼンチャンのせいだ、

オリハルゴンのポジションを悪知恵で

奪ってしまったんだからなっ!」

 

「ドゼウの奥さん、カラはなぜそんな危険な

島へ行こうとしてるんだ?

まさか、オリハルゴンが獲ってくるカツオを

手に入れようって考えなのか!?」

 

「きっとそうだ、ゼンチャンは

祈りの儀式にカツオ節を捧げさせ、

市場やオリハルゴンからカツオを奪い、

祈りの儀式を行う代償として皆んなから

お金を巻き上げるだ、オラ達夫婦はもう

払うお金がないから代わりに儀式に使う

カツオ節を用意しろ、とでもゼンチャンに

言われてるんだべ、おそらく。

カツオは・・・今やもう市場には

ほぼ出回ってない、だからもうオリハルゴン

が自ら獲ってくるカツオぐらいしか、

この辺りではカツオを用意できねぇんだべ。」

 

そっ、そんな凶暴な魔物と化してしまった

オリハルゴンの元へ行くなんてっ!

カラ、危険すぎるっ!!

 

「そうなんだっ!危険すぎるだっ!

けどっ!自分の命よりもゼンチャンに

カツオ節を捧げるほうが大事だって思うほど

カラちゃんや村のみんなは狂っちまってる

って話だ、オラはそこが恐ろしいっ!

オリハルゴンに殺されちまうより、

オリハルゴンが獲ってくるカツオを

奪おうだなんて考えさせてしまう

ゼンチャンもっ、それに何の疑いも

持てないカラちゃんもっ!」

 

空腹で苛立っている野生動物や魔物ほど

恐ろしいものはないわっ!

急いでカラを止めなければっ!!

 

ドゼウのコンディションが心配だけど、

それよりもカラの命のほうが危ないわっ!

 

ドゼウのためにペースを落としていた

アタシ達だけど再度ペースアップして

カラを追いかけようと、アタシ達は

走り出した。




★★★登場人物★★★
・魔道士リザ
本編の主人公、つまりアタシ。
職業は賢者。
偉大な魔道士を目指すべく
日々、冒険を通じ修行をしてるの。

・ジョギー
アタシの弟。
職業はバトルマスター。
得意な武器は剣。

・レイファン
末の妹。
職業はスーパースター。
回復行動に優れ、オンステージという
スキルで味方をサポートする役割が多い。

・モガ丸
モモンガ族。
おっちょこちょいで時に空気を読まない
発言が多い。けど憎めない、アタシ達の
一番の友達であり理解者。

・スラッピ
モガ丸といつも一緒にいるスライム。
言葉を話すわけじゃないけど
モガ丸だけはスラッピの話している
ことがわかるらしい。
実はスラッピが人間の言葉を話すと
関西弁だということが判明。

・オリオリ
冒険王の書に似た『宇宙王の書』という
本から現れる謎の女性。
その正体はかつて全宇宙を平和に治めていた
宇宙王の末裔。
かつ宇宙政府打倒を目指すレジスタンスグループ
『義勇軍』の総司令官。
実は既婚者だという事が判明。
これにはアタシもビックリ!

・コッツ
義勇軍3番隊の女性隊長。
宇宙政府との抗争のさなか、自分を除く3番隊の
隊員全員を政府に捕虜として奪われてしまう。
その事に深く後悔と自責の念を抱きながらも
アタシ達と共に懸命に冒険を続け、
上級執行官候補者やピエールとの戦いでは
実際に戦闘に参加するなど戦力面でも
成長を遂げる。
アタシに憧れを抱いている模様\(//∇//)\

・ドゼウ
全知全能のオンナ「ゼンチャン」に恨みを
抱く男性。
どうもゼンチャンはペテン師で、彼の奥さん
がゼンチャンに騙されたあげくお金を
たくさん騙し取られた事が原因で
夫婦は離婚の危機に陥ってしまったらしい。
ゼンチャンの悪事を暴くべく彼女を
必死で探しているらしいの。

・カラ
ドゼウの奥さん。
全知全能の神の化身と嘯くゼンチャンを
モロに信じ込んでしまっている。
そして多額のお金をゼンチャンに
渡してしまい、ドゼウと離婚の危機に
陥ってしまうが、それを悪びれもせず、
逆にゼンチャンを信じない夫を
激しく罵倒する始末。
ゼンチャンの催す儀式に必要な
カツオ節を手に入れる為、
魔物の棲む島へ渡ろうとしてしまうの。


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