僕はあなたを愛して 僕は愛に溺れ錆びていく (迷子の鴉)
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落書きストーリー
ダンガンロンパ EPISODE:龍騎


なんか疲れてるときに思いついた


この世の普通という概念を体現したような高校生

「苗木誠」は超高校級の幸運として

超一流教育機関「希望ヶ峰学園」にスカウトされる。

 

「ここから、始まるんだ…ボクの新しい高校生活が…!」

彼の新たな高校生活が始まろうとしていた

 

 

 

 

はずだった

 

 

あ、れ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦わなければ、生き残れない!


突如、目覚めた場所は見知らぬ教室。

「ここは…?」

 

集められた15人の超高校の生徒たち。

「君たちは?」

「これでようやく揃った」

 

現れる謎のライダー『オーディン』

『お前たちには今から、コロシアイをしてもらう』

「コロシ、アイ…?」

 

鏡に映される異形の者たち

「なんだよ、これ…!」

「ミラーモンスター。鏡の世界にいる化物たちよ」

 

鏡の世界

「ミラーワールド。悪魔の世界だ…!」

「ミラー、ワールド…」

 

ライダーの力を宿したデッキ

『これを使って、最後の一人になるまで戦え』

「…!ふざけるなッ!」

 

超高校級たちの疑心疑惑の探り合い

「お、俺は死ぬなんてゴメンだべ!」

「な、なんでこんなことに…」

「お、お終りよ!終わるしかないわ!!」

「ちょっと落ち着いてよみんな!」

 

火蓋が切られるコロシアイ

「終わりだ…!」

『FINALVENT』

 

次々と消えゆく命

「何だよこれ!話が、チゲえええ!!!」

「あ、あ、ああああああ!!!!!」

 

近づく死神の未来視(ビジョン)

「あなたに協力してもらいたいことがあるの」

「手伝う、何を?霧切さん」

 

露わになる真相

「何で、こんな写真が…?」

「『マスクドライダー計画』?何だこれは」

「この診断書は、適合率74%…苗木君と私が…?」

「みんな、俺を騙して嫌がるんだな!!」

『来るな!来るな来るな来るなァァァァァあああ!!!!』

「希望ヶ峰学園の、生徒?」

『それは以前のコロシアイだ。…ライダーがいない方のな』

 

人として生きるとは何か

「こんなの間違ってるよ!何で皆殺し合うんだよ!」

「それが人間なのよ!」

 

加速する運命

『うぷぷぷぷ』

「もうやだよぉぉ……」

「チクショー!!!!」

「あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

希望と絶望

『お前たちには絶望しかない』

『早く、楽になれ』

 

 

 

 

 

「それは違うよ!希望はみんなの中に宿っているんだ!」

 

 

 

 

 

 

それでも彼らは生きたいと願った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンガンロンパ EPISODE:龍騎!

 

 

 

 

 

 

いつか      書くかも!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦え、希望として、ライダーとして」

「十神の名にかけて、ここで退くわけにはいかん!!」

「そういうことかよ…!出来レースだった訳かよ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死なないで…●○○●」

 



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ダンガンロンパ パラダイス・ホープ

コリもせずまた書いてしまった


希望と絶望は表裏一体

絶望は希望

希望は絶望になりうることがある。

 

昔気に入らない爺さんに教わった言葉で唯一耳を傾けたのがこの言葉だった。

希望なんて持つから絶望する。絶望があるから、希望に無駄に期待をかける。

くそったれ。

目の前の建物に目を向ける。

 

くそったれ。

何もかも気に入らない。あの爺さんも。この建物も。この学園にいる奴らも。ここの学園長とかいうアイツも。

超高校級だか何だか知らねぇよ。苛つくんだよ。

自分は周りと違うと空気を振りまいているアイツ等が全部気に食わない。

あの坊ちゃま共もそうだ。自分たちの境遇が、今いる空間が気に入らないからって文句垂れやがって。

お前ら全員辞めてさっさと南極でも北極にでも行けばいいんだよ糞。文句垂れてるくらいなら、金を踏みだ押して出ていけばいいんだこんなとこ。

クソクソクソ。

くそっ。

息をするだけでもここの陰気さが肺に伝わってむせてくるようで、イライラする。

バカとクズしかいねぇのかよ。

 

とにかく全部が気に食わない。

なんで潰れねぇんだこんな場所。

不機嫌な茶髪の男。乾巧は希望ヶ峰学園に背を向けて歩きだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでは最後の議題に移ろう。例の件、進捗はどうなっている」

 やれやれと心の中で苦労を吐く。評議委員の機嫌を取りながら話を進めていくのはいつもながら疲れると学園長、霧切仁は改めて背を伸ばす。

 ただでさえ普段の業務に予備学科、色々と思惑が混じっていそうな特別入学の件もあるというのに。

 だが、このプロジェクトは学園創立当時からの目的として掲げてきた悲願。泣き言は言ってられないと叱責する。

「創立から78年近くか。随分と遠回りをして来たようだな」

「しかしようやく全てが結ばれる。今年は予備学科から多くの資金が得られたからな」

「もっと早くこのような制度を設けていれば足踏みせずに済んだのにな」

 全くだと仁はそう思う。プロジェクトを進めるに当たって資金不足は深刻な問題だったと思い出す。

しかしそれも解決した。

予備学科の才能のない愚か者達の寄付のおかげで前年よりプロジェクトの進みが一段と早く進むことが可能になった。

彼らには希望の踏み台になってもらわねば困る。人類の希望の為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ですが申し上げにくい事に現在問題が起こっています」

だが流石に大きく目立ち過ぎてしまった。まさか外部がプロジェクトに気づくという失態を犯していたとは。

「かのSMARTBRAIN(スマートブレイン)社が『カムクラプロジェクト』に投資と協力をしたいと申し出をして来ました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、通せつってんだろ!」

「いや、だから許可が正式に出ていない以上君を本科の方に通すわけには…」

「あああ!あんたじゃ話になんねぇ!もっと上の奴呼んで来いよ!()()のジジイの便りで来たのになんだよ、予備学科とか本科とか知らねぇよ!さっさとあいつに会わせろ!」

巧は右手に持った手紙をひらつかせながら本科に繋がる通路を警備する守衛に悪態をついていた。

傍からみれば、チンピラが突っかかているようにしか見えない。巧は、予備学科の制服を着ずに黒いジャンパーとGパンという校則を無視した風貌でこの場に立っていた。

 

「アイツいきなり手紙を送ってきやがって希望ヶ峰に来いだけと送って来てトンズラこきやがってよ。そして、いきなり入学しろだろなんの言い残ししやがって!可笑しいだろ!」

「いや私に言われても…」

無責任な発言を守衛に吐く巧。

 

乾巧は性格が悪い。

彼の口調はそのことを示している。

 

「早くアイツを出してくれよ!天願和夫!居場所くらい知ってんだろ!この学園の学園長やってたんだろあいつ!」

「チッ。呼ばれてきてみりゃ。何だこれは」

「あぁ!?なんだお前誰だよ」

目の前に立つ色黒の男に近づきがんを飛ばす。

「っ!ブネッ!」

突然男が殴りかかり、巧は拳が掠る程度に上背になり避ける。

「アブねぇだろ!何すんだテメェ!」

「騒ぐんじゃねぇ。誰の許可があって部外者がここにいるんだ」

色黒の男、逆蔵十三は巧を見下だす。

道端に落ちているゴミでも見るような目が巧の怒りに火を注ぎ込む。

「テメェそれが人に対する態度かよ!こっちはちゃんと用があって来てんだぞ!」

「何の才能もねぇクズが希望ヶ峰に足を踏み入れてんじゃねえよ。ぶっ殺されずに済んでることに感謝するんだな」

「なんだと!オメェみたいなチンピラ警備員に言われたくねぇよ!上のやつ呼べ!上のやつ!」

「俺が、上のやつだ」

 埒が明かないやりとりに苛ついた逆蔵がまた殴りかかろうとする。

 

「ちょっと待ってください」

そこに止めの声が上がる。

「彼は俺の知り合いです。」

 人当たりの良さそうな笑顔を顔に表し、逆蔵に近づく男子生徒。

 柔らかい笑みを浮かべる彼の顔は、瑞々しい。髪も多く、普通におでこが隠れるくらいの髪型だが少し茶色を染めているのが洒落めかしている点、若者らしい。

「お前、確か今年入学してきた」

「ちょっと失礼」

 逆蔵の横を通り抜け、巧に近づいてくる。

「なんだよ」

「話を合わせてくれないかな」

「ハァ!?」

「静かに」

 悪巧みを考えた子どものように無邪気に笑って巧に耳打ちしてくる。

(彼は自己中心的な思考だから相手にすれば面倒ごとになる)

(だから、俺に話を合わせてください)

 巧も青年の説明に納得がいったか、「分かった」と不貞腐れながら頷く。

「彼はこの学園に僕が招いた客人なんです」

「あぁ?客人だぁ?」

「はい、俺が事前に学園長から許可を頂いているので問題はありません。なんなら俺が彼の見張りをするってことでここは任せてください」

 見張りって失礼な奴だな。

巧は自分のことを棚に上げて目の前の男子をそう評価づける。



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ダンガンロンパ 駆ける絶望 疾走する希望

只の思い付きの話


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は間違っていない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前を救うためなら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どんな敵も怖くない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界全部を相手にしても

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絶対に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまえを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

助けてみせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Open Your Eyes For The Next New DANGANRONPA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕の名前は苗木誠。

 それだけだ。僕は頭にあったアンテナと人よりたぶん少し前向きという以外、特にいうところがない普通の高校生だ。

 特に説明することのない僕の紹介はこれくらいにしておこう。後々付け加えることがあるかもしれないのでここでいろいろ語っても無駄な時間を作るだけだろう。

 

 

 

 

 今の状況から説明していこう。

 僕は今日から『超高校級の幸運』として

『私立 希望ヶ峰学園』に入学することになっていた。

 

 僕個人としてはどんな名誉なことでも嫌以外の他ならなかった。

 家族(特に最近ブラコン気味と思われる妹)が強く勧めたり、「行くだけいけ」とまで言われたのでいやいやこの学園に入学することになった。

 

 どんな未来が待ち受けていようと選ばれたものになろうと僕は最後までこの学園に入ることは苦痛のほかにならなかった。くじだけで決められた幸運として入るのも抵抗があったが。

 

 

 僕が嫌ったのは希望峰というブランドが持つ()()()()()()だった。

 

 

 

 

 

 

 話を戻す。

 今僕はこの希望ヶ峰の体育館にいる。

 これから最低3年は共に過ごすことになる15人の入学生達とともに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お、おめーも新入生か」「君、8時集合と知らされてあったはずだろう!」「はぁ、何言ってんの」「ねぇ、君も教室にいたの?」「あの、もしかすると苗木君ですか?」「これで全員そろったわけか」「ふぅむ、15人ですか」「これで全員そろったべ!」「遅刻とは何事だっ!」「こんな訳の分からない状況で遅刻も何もないでしょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 うるせぇ。まずそう思った。遅刻したのはこっちが悪いが一人ずつ話してくれ。回答が間に合わない。ただでさえ人との会話程、苦手なものはないんだ。

 

 

「僕は苗木誠。幸運です。宜しくお願いします」

 そう告げて、前方に丁寧に設置されたパイプ椅子に座る。

 

 

 

「え、それだけ!?もっと何か言うことないの?この状況とかさ!」

 

褐色の肌と豊満に揺れる胸が目立つ女子がボクに驚く。

「別にボクが話すことはこれ以上無いので」

「何を言っているのだね!自己紹介は人付き合いを行う上では重要なことなのだぞ!」

 しつこい風紀委員らしい男にいらつき、声を荒げる。

「うるさいな!後でいいだろ後で!なんでいちいち知らない奴に僕のことを聞かせなきゃならないのさ!」

「んだとっ!テメェ初対面で言うことがそれかよ!」

「ボクは君たちとは関わらない。分かったら終わりだよモロコシヘッド!」

「テメェェェェ!!ぶっ飛ばす!」

「ちょっとここで暴れないでよ!」「け、喧嘩はやめてよ…!?」

 余程僕の言葉に苛立ったであろう暴走族は僕に殴りかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

555

『Standingby』

「変身!」

『COMPLETE』

 疾走する世界、翻弄される希望。




 



そして世界はまた破壊を繰り返し融合し、分離していく。






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ダンガンロンパwith草加雅人

ただのネタなので。
批評勘弁です。




「お前たちにはこれから、コロシアイをしてもらいまーす!」

 

「…………は」

 目の前のふざけたぬいぐるみがふざけたことを言う。

 一体ここはどこだ。俺は確かあの海岸でカイザ、木場に首を折られ絶命したはずだ。なのになぜこんな訳のわからない場所にいて、訳のわからないクマのぬいぐるみにコロシアイをしろと言われている。

 何がどうなっている俺はなぜこんな事に……

 

 

 

 

 ダンガンロンパの世界に草加雅人が降り立った。

 

 

 

 

「俺の名前は草加雅人。よろしく頼む」

(超高校級か…一芸に特化した子供どもか)

 雅人と舞園。

「いけないなぁ。彼に罪をなすりつけて一人で逃げようなんて」

「く、草加くん!?どうして!?」

「君のしたいことは分かっている。ここで桑田を殺して苗木に殺人の罪をなすりつける気だろう」

 

「だけど良いのかな?出たあとの君は必ず罪に悩まされる。君は弱い。今はただ去勢の勇気で殺意を感じているだけだ」

「うるさい!私は帰らなきゃいけないんです!みんながいるあの場所に!」

「君のような血にまみれた偶像なんて‥…誰も待っていないと思うけどなぁ」

 

 

 

 二章裁判で

「大和田くんが犯人と断定できる証拠。あれを残したのは貴方だったのね」

「あぁ見たんだ。コイツが不二崎を殺してのうのうと逃げたところを」

「まさかお前だったとは。くくく、結局はお前も同じだったな」

「君と同じにしないでくれるかなぁ。反吐が出るんだよ白夜」

「大和田、お前前になんて言ってたかなぁ。命は尊い、だっけか。もう一度言ってみろよ。今。ここで」

「ぐぅぅ、う、うう」

「聞こえないなぁ!もっと大きな声で言いたまえよ!」

 

「君のお兄さんも。こんな不出来であさましい弟をもって、恥だとおもっただろうなぁ」

 

「消えろ。腐ったオルフェノクもどきが。カイザのベルトさえあればお前らを灰にしてやった」

 

 

 

 

 

 草加と十神。

「貴様、腐川に傷を負わされたはずじゃ……」

「あいつの攻撃程度でへばると思ってたか?おぼっちゃま。油断し過ぎなんだよお前」

「ふざけるな!オレを誰だと思っている俺は!!」

「お前がだれか?誰もお前なんて必要としていない」

「邪魔なんだよ。俺のことを好きにならない奴はさっさと死ねばいいんだよ!」

 

 

 

 草加とその他。

「霧切ちゃんが敵ってどういうこと!?」

「この狂った学園生活。全ては霧切響子ってやつの仕業なんだ」

「あいつは裏でモノクマと繋がっていた。だから裁判で有利な位置に立てた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 草加と苗木。

「草加君、これ以上みんなを弄ぶのはやめてくれ!」

「やめろだと?あいつらが勝手に俺のことを誤解して突っかかってくる。俺はそれを振り払っているだけだ」

 

「それは違うよ!」

 

「!?」

「君はみんなの弱みに付け込む。舞薗さんの時や大和田君の時がそうだった。傷を抉り出して、人の心を弄ぶ悪魔。それが君だ!」



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小説になりそこねた残骸

お正月スペシャル
あけましておめでとうございます
今まで書いてきたけどまとまりきらなかったからネタだけの存在になった小説たちを一挙公開


エネルギー流動確認

全システム起動確認

これより最終チェックに移行

被験者の接続開始:1から14ユニットのバイタリティチェックを優先

バイタリティ確認:全被験者オールグリーン

身体スキャン、記憶スキャン開始

データ抽出、管理者プログラム生成開始

管理者プログラムの内一体は全被験者の記憶から実体データを推測、最も多かったデータから生成。

 

cord.MIRAI

 

起動開始

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スーパーダンガンロンパ2 —Paradise・Lost—

 

 

 

 

 

 

 

 

「お〜い起きろ〜」

「目、覚まさないすねっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白く降り積もった雪が山肌を覆い二人の背景を白のキャンパスと化す。

 厚手のコートを羽織って、一歩、一歩踏みしめ前に進む苗木。

 白のYシャツ、白のデニムを纏い我の道を行く日向。

 一歩、また一歩と距離を狭め徐々に早足になっていく。走り出すころには二人の姿は変わっていた。

 

『COMPLETE』

『AWAKENING』

ファイズブラスターにフォンを挿しこみ、ファイズブラスターフォームに苗木は変身する。

 オーガドライバーにフォンを叩き込みオーガへと変身する日向。

 そして、

「ラァァ!!」「ダァァ!!」

 大きく腕を振りかぶりマスク越しに顔を殴りつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ〜う凡人共!出迎え御苦労!なに、そんなに硬苦しくするな。一人一人礼を言わせてもらおう」

 

 ボクの名前は苗木誠だ。

 今、目の前に変な人が立っている。

「あ、あの君は…?」

「あ〜自己紹介遅れた。済まない。だが俺の名に意味はない。人間の意味とはそれすなわちその身に宿された力と知と才能によって定められた物だからな。だからそう悲観するなガキ」

「ガキって、ボクもう高校生だけど…」

「こんなチビの何処が高校生だ」

「チビ…」

 

 会って早々、失礼極まりない発言をカマス彼は、右手を胸元にそえ左手に持ったバイオリンケースを肩に担ぐ。

 

「俺の名は紅音也。超高校級、否。超人類級の神に選ばれし至高の神人。バイオリニストだ。俺の演奏は全ての女性を魅了する。宜しく頼むぞ」

 彼はボクたち、

 希望ヶ峰学園78期生の皆にそう言いのけた。

 

 

 

 

超高校級のバイオリニスト 紅音也

 

 

「君!集合は8時のはずだぞ!遅刻はとは何たることだ!」

早速石丸クンが先程の超高校級のバイオリニスト『紅音也』クンに説教を開始する。

「落ち着け短髪。俺は風。どこへ行くにも誰の許可もいらない」

「うむ。反省の色は見えないと見た!そこに座り給え!」

 

 

 

 

 

 

 昔、王は少し前向きが取り柄の普通の少年だった。

 昔、彼は幸運という理由で全ての頂点に立つ学園にいた。

 子供たちは自らの才能が世界を良くすると信じていた。

 大人たちは才能を紛い物の希望に注ごうと必死になっていた。

 

 もう今は昔の話。

 全てが終幕を迎えた世界で彼はそこに立っていた。

 

 

 

 男は目を覚ます。

 玉座から体を持ち上げ目前を見据える。

 

「オーマジオウだッ!!」

「迎え! 迎え!」

「いけ! イケイケ!」

 

 ぞろぞろと湧き出すレジスタンスたち。

 自動小銃に二足歩行ロボットと様々な武装に身を包んだ彼らの目的は唯一つ。

 

『オーマジオウを倒す』

 その為に彼らは命を捨て立ち向かう。

 

 

 

 そのレジスタンスを手を振り払うだけで薙ぎ払う。

 次々に消える声に。

 

「ツマラナイ」

 とオーマジオウ、苗木誠は呟いた。

 

 

 

 ダンガンロンパ異伝

 幸運の王は夢を見るのか

 

 

 

 

 

 

 

 苗木誠。

 希望ヶ峰学園78期生

 元・超高校級の幸運と呼ばれていた少年だった。

 彼は抽選の幸運枠として入学していたがある日を境に彼は『ジオウ』として闘う運命を背負った。

 

 だがそれは彼にとって地獄の道の始まりだった。

 

 

『人類史上最大最悪の絶望的事件』

 世界各地で起こった大規模な戦争、テロ事件の総称として呼ばれた現象。この事件で世界人口は大幅に減少することになる。

 

 だがこれは始まりに過ぎない。

 

 

『クォーツァー』

 醜く歪んだ世界を零からやり直すため、希望も絶望も全てをなかったことにしようと破壊尽くした組織。

 

 苗木誠はクォーツァーの破壊を止めようとジオウとして決死の覚悟で戦い続けた。

 最終的に最強の魔王「オーマジオウ」となることでクォーツァーの最高指導者たちを倒し切った。

 

 

 だが倒しただけだった。

 破壊された自然、建造物、文化はもとに戻らず。

 ただ平に成った星がそこにあった。

 

 最初に忘れたのは笑顔だった。次に瞳、鼻、口元、体格などを忘れていき、残っているのは彼女がよく自分に向けて『苗木君、ここまで言えば分かるわね』という声と掠れながらも霧切響子と言う名だけが頭に残っていた。

 





まとまりのないくだらないネタをここまで飽きずに読んでいただき、ありがとうございました。
次回話は近いうち出します。


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CHAPTER1 イ『』タイ
一話 過去と睡魔と僕だけの再会


モノクマです注意です!
この作品は完全な二次創作でオリジナル『ダンガンロンパ』とは関係ありません!クマに誓って!うぷぷ。
苗木くんがこんなの苗木くんじゃなぁぁい!!!というところがあるかもしれませんがそこは妥協してね!
だって二次創作だもん!こんな苗木くんだっていたかもしれないっていう妄想でできてるもん!オマエラ、こんなことでいちいち文句言うだったら、YouTubeでプレイ動画でも見て妄想にハァハァしてろよ!


さぁて、長ったらしいまえがきはここで終わり。じゃ、本編START!!!!!


うぷぷぷぷぷぷ。苗木くん。僕を絶望的に楽しませてね?


 聡明な美しい銀姫、赤 染料に

 

 人魚姫は卵を産む洞穴に

 

 金持ち王様、牙捥げた

 

 殺人鬼の文学者、いつの間にか死んでいた

 

 金借り占い師、知らね。忘れた

 

 

 

 天災悪魔、光を汚す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光の王子、狂って痛くて哀しくて

 くちゃくちゃかき回して

 

 

 全部、腕からこぼして

 

 

 お姫様に会いたいと泣いて泣いて傷付いて

 

 血を啜って

 真っ赤か業火に焼いてもらって

 

 

 

 

 思い出したアルバム

 腕に抱いて離さないで

 

 

 

 明日に行こうと歩き出した。

 行けるところまで

 

 

 足が千切れても

 手が腐り落ちても

 

 

 あなたがいたあの日を忘れなければ

 いつでも正しく生きれると信じて

 

 

 

 謝りたかった

 

 見捨てたこと

 

 赤から青に染まる君の頬

 ぐしゃぐしゃになった君の香り

 銀も凛もつぶれて赤になった

 

 だから

 

 

 

 

 

 貴方にもう一度

 もう一度 もう一度もう一度もう一度もう一度    もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度

 もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度もう一度

 

 

 会いたいと願っている。

 

 

 罵倒していい

 刻んでいい

 ミンチにペッタンコにボクをミキサーにかけてとろける真っ赤なジュースにしてもいい

 

 

 だから、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠い。重い瞼を開かずに胎児のように丸まる。

 無防備にさらけ出されている耳を両手で優しく包み、音を遮断する。

 薄暗い照明に前に設置された黒板。椅子に座って硬い机を枕代わりに突っ伏して寝る。置いてあった落書きのメモはぐしゃぐしゃに丸めて何処かに放り投げた。

 何も変わらない。変えられない。変えていない。

 何もかも平凡なボクは希望にもなれないし、主人公にもなれなかった。ボクのような平凡なやつを主人公にしたら人気欲しさに紙に描かれた奴らが悲惨な目にあう「悲劇」のモノガタリになるでしょう。

 

 

 

 

 ……寝れない。

 寝ようと試みても、さっきまで机に突っ伏していたからだろう。目がぱっちりと覚めて体の節々が痛んで寝つけられない。

『ピンポーンパンポーン』

「……チッ」

 最悪だ。またあいつの声を聞くことになるなんて

『こぉぉらぁぁぁ! 残ってる遅刻者ぁぁ! 出てこいやぁぁ!!』

「声だけは五月蝿いんだよ。声、だけは」

 ダニがスピーカーに入り込んでるから、お前の気味悪いダミ声が出ているんじゃないか。

 苛立つ頭が沸騰して溶けないように、あのクソみたいな声を出来る限り抑える。

 

 どうしようか。このままここで寝てもどうせあのシマウマ熊がここに来るだろうし、もしかしたら、優しい誰かがボクを起こしに来てくれるかもしれない。

 

 来るのは、舞園サンあたりかな。石丸クンかもしれない。

 十神クンは100%無い。セレスもとい安広さん、腐川さん葉隠くんも似たりよったりだろう。

 

(まぁ別に誰が来ても特に興味ないけど)

 生きることは虚しい。無意味だと感じる。なんの為に生きるかわからずにただ足を動かして前に進む。

 希望がどこにあるか分からない。真っ黒な海水が僕を包んで溺れて腐り果てていく。

 

 

 

 彼女が死んでからずっと死んでいるのと同じだった。何も目標が無い。虚しい。哀しい。

 毎晩、毎晩あの日の夢を見た。

 落ちていく鉄塊。震える恐怖。真っ赤に染まったベルトコンベアー。

 夢はいつもそこで終わり。

 気が狂って気絶したんだと思う。

 

 

 

 下らない回想終わり。ドアが開く音がする。

 ガラガラと教室に響くローラーの音。

 近づいてくる靴の音色。

 コツコツと近づく不思議な感覚。

 

 顔を上げようとする。が、上がらない。

 怖いのか。

 怖いよ。だって、そこにいるのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あなたかしら? 最後の入学生は」

 

 嗚呼、許して。今だけは。

 

 まだあなたと。あなたといたい。君とこの空間に閉じこもっていたい。

 何度苦しんだでしょう。何度傷んだでしょう。何度願っただろう。

 君が消えたあの日からボクは死んだ。みんな消えて、あの絶望のゴミ屑がボクを狂わせた。

 罠にハマって真っ逆さま。真実は消えて、みんな腐り果てていく。

 

 あなたがいれば僕はいつも前を向ける。

 少しだけ前向きでいる僕でいられる。

 

 顔を上げる。

 懐かしい君がそこにいた。

 

「あ、おはようございます。苗木誠です」

 ボク、苗木は目の前の彼女にそう答える。

 

 

 

 超高校級の??? ✗

 超高校級の探偵◎

 

 霧切響子に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえ全てがなくなっても、君だけは絶対に失わない

 

 

 

 どれだけの犠牲を重ねても

 

 

 君を救ってみせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

僕はあなたを愛して、僕は愛に溺れ錆びていく。

 

 

 



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二話 お話とモノクマと爆発

モノクマです!
みんなはケータイ画面に保護シール貼る派?貼らない派?
あ、それとも叩き割ってから保護シール貼る派?
うぷぷ、まぁこんな話僕のキュートなまん丸手じゃ意味ないけどさ
ちなみに僕は!保護シールビリビリにして、ジグソーパズルっぽく貼っていく派だよ!
ブヒャヒャヒャ!!!絶望的に面倒くさいよね!!


 

 霧切さんに起こされ(起きてたけど)、ボクは彼女と一緒に体育館に向かう。

 集合時間の8時になってもボクがいなかったので、その20分後にあの駄作デザイン熊が校内放送でみんなで探せと呼びかけたと聞いた。

 自分で来いよ熊ロボット。ボクをあそこに置いたのお前だろ無駄乳変態。

 

 

 ……こうして霧切さんと並んで歩けることには喜びを感じるが。

「……」

「…………」

 ヤバい気まずい。さっきからなにも語らずに歩いているせいかボクと霧切さんの間に壁みたいなのができている。

 序盤は霧切さんと関係を築きあげたいが、初めの頃の彼女はとにかく他人を近づけさせない空気を醸し出していた。

 その理由は彼女が探偵として培った人を無闇に信用しないスタンスか記憶を失っている事での警戒心だろうが、現在霧切さんは探偵としての記憶を失っているため余計にたちが悪い。

(いや、とにかく何か話をしよう)

 あの腐れ絶望発酵女に勝つためにはどうしても霧切さんが自分の超高校級の才能を思い出すのが鍵になる。

 彼女がボクの先頭に立つくらいではないと、かなり苛立つが蝦夷の島進攻には勝てない。

 そこで他愛もない世間話を持ちかける。

「ねぇ、霧切ひゃん」

 

 

 

 やべぇ噛んだ。思い切り噛んだ。

 彼女のような美しく凛とした。それでいて時折魅せる女の子らしさがまた彼女の美を高める。

 それほど美しい霧切さんと久しぶりに話せるから、テンションが昂ぶって噛んだ。

 恥ずかしい。顔、真っ赤になってるかも。

 

「何かしら、苗木君」

 あ、良かった気にしてない。それはそれでちょっと(もやっ)てするけど。

「えっと、ここにいるのはみんな希望ケ峰学園に入学する人達、なんだよね」

「そうね」

 よし、第一関門『返事をしてくれる』突破。

 次は第二『情報交換する』だ。

「あの、ボクの超高校級の才能『幸運』みたいでさ、何でもこの学園で毎年恒例の抽選で選ばれたみたいで」

「そうでしょうね」

「え、ああ、知ってたんだね」

「この学園が毎年『幸運』枠で一人の人間を選んでいるのは知っているから」

 あれ? 幸運枠って世間に公表していたっけ? 

 

 ……記憶が混濁しているのか? 何だか結構あやふやになっている気がする。認知症になる年じゃないんだけどな? 

「えっと、それで他のみんなの才能はどんなものかなぁって。霧切さんは知ってる?」

「……確か、御曹司、スイマー、アイドル、格闘家、ギャンブラーに暴走族にプログラマー。後は文学少女だったかしら」

「へぇ、結構色んな才能の人たちがいるんだね」

 葉隠くん、石丸くん、山田くんに桑田くん、江……野電さんをハブったことは追求するべきか。

 いや、顔を見合わせてないボクがそのことを言うのは怪しまれるのはやめておこう。

「そうだ、霧切さんの才能は何なの?」

「……当ててみたら」

「せっかくだから霧切さんの才能も知りた……え?」

 今なんと? 当ててみたら? あの霧切さんが? 

 ちょっまっ、待って。え? 彼女このときから冗談言う人だったけ? 当ててみてって……そういう遊びめいたこと言わない人だと思うけど。

「えっと、超高校の……警官?」

「違うわ」

「じゃあ、エージェント!」

「違う」

 いきなり彼女が探偵と言うのは危険と感じたか、苗木はとりあえず探偵を連想させるような言葉を出していく。

「FBI、CIA、CCG!」

「どれも違う。最後の方は現実にある捜査機関じゃないでしょ」

 うぐっ。ならやはりここで言うべきか。早すぎる展開だが、何事も早いに越したことはない。

「じゃあ、探偵!!」

「そうね、それでいいわ」

「なんて、え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ち着いて状況を整理しよう。

現在の3つの疑問点! 

1つ! ボクが霧切さんとまた会えた! 

2つ! 霧切さんがボクに自分の才能を当ててみてと提案! 

3つ! 探偵と言ったらそれでいいと返された! 

 

 

 

 意味が分からない

 予想外のことが多すぎて僕の頭はフリーズしかけている。ボクの頭が常人より処理能力が低いならまだいいと冗談でもないことが浮かび上がる。

 これも全部モノクマって奴の仕業なんだ。そうに違いない。

「えっと、何で」

「何が」

「いや、ボクが探偵って言ったらそれでいいって」

「私には記憶が無いの」

「……!?」

 おかしい。彼女はこの時点でボクに自分が記憶喪失だと伝えたことは無い。

 何か違和感を感じる。何がとはわからないが。これを刑事の感というのだろうか。

「この学園で目覚めてから、私には自分の才能についての記憶が無いの。名前は覚えていても、肝心の、これまで生きてきた16年の記憶が無い」

「記憶喪失、なの」

「ええ、恐らく」

 記憶喪失は自覚している。なら、やはり無いのは学園生活と才能にお父さん、希望ヶ峰学園学園長のことだろう。

 ここは前と同じか。ならやはり違うのは彼女の人に対するコミュニケーションの変化だろうか。

「あなたが『探偵』って答えたとき、何故かその言葉を肯定するような気持ちになれたの。不思議ねたった漢字2文字の言葉を肯定するなんて」

 

 

 もしかして彼女、記憶が上手く消されてないんじゃないか? (すごい悲しいけど)会ったばかりのボクに対してかなり親密にしてくれる。記憶を失う前は、いや本当の入学式で出会った時は前と同じように人を寄せ付けない空気を纏っていたから、はじめの頃は同じクラスのクラスメイトという認識だった。

 その心配もボクが元から備えているお人好しの甲斐あって、彼女もみんなの輪に溶け込めるようになった。

 結構長くかかったな。色々手伝いをする様になってから、自然と仲良くなったけど。

「ここがホール。この先に彼らがいるわ」  

 話し込んでいる内に体育館前ホールに着いた。

「ありがとう。でも、ちょっと先に行っていてくれないかな?」

「なぜ」

「ちょっと、やっておきたいことがあるから」

「……そう、それじゃあ早く来て。みんな、待ちくたびれているから」

 霧切はそう言うと苗木より先にホールに向かう。

 残された彼は、

「…………えっと、トロフィーか模擬刀ってどこだったけ?」

 

 

 


 

「早かったわね」

「うん、考えたらこれホールか体育館しかないなって」

 数分遅れて体育館に入った苗木。

「あのもしかして苗木君? 苗木誠君ですか?」

「まことが真実のまことじゃなくて、誠実のまことなら僕ですが舞園さん」

「良かった〜! やっぱり苗木君だったんですね!」

 こちらも同じようにあのときと同じ会話をしていく。

「……えっと、その手に持っているのは?」

「気にしないで。後でちょっと必要になるだけだから」

 右手に持っている模擬刀を不思議そうに眺める舞薗を適当にあしらって、正面の体育館ステージに向く苗木。

「君! 入学初日から遅刻と」

(石丸KY夏君だ)

 閑話休題

 

 

「オーイ、全員集まった~!? それじゃあ、そろそろ始めよっか!!」

 苗木にとって懐かしいクマの声が体育館に響く。

 一報の苗木はステージにじりじり近づいて距離を確かめる。

「よっと!」「ウェイ!」

 モノクマが演台に現れたと同時に槍投げの要領で模擬刀を投げつける。

 

 

そのとき、不思議なことが起こった! 

 苗木が投げた模擬刀がきれいな垂直線を描いてモノクマの腹に突き刺さる! 

 そして彼の持ち前の幸運のおかげか、モノクマが勢いに押され爆発の勢いが誰にも及ばない距離まで吹き飛び爆発を起こした! 

 

「ウワァァァァァァァァァァ!!」

 ドッカァァァ──ン!! 

 

 

 

 誰もが目の前の(噛ませ十神、美しき霧切さんももちろん)爆破と苗木に唖然とする中、

 

 

「汚い花火」

 

 

 

(舞薗さんは見殺しにしよう)

 

 

 

 

 

 彼は、今後の予定を静かに組み立てていた。 

 




忘れてた?


どれだけの犠牲を重ねても


って言ったよね?


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三話 入ガク式と探索と寝むイ

モノクマです。
みんなは学校の授業の最中、居眠りしちゃったことある?怒られて嫌な気分になるよね。
 先生が怒るのは、自分の授業を聞かない事でイライラして、親が金を払っているのにその行為を無駄にすることに怒ってるんだって。
 でもさ、障害とか病気の関係で四六時中眠たい人にとったら、地獄の時間にきわまりないよね。わざとじゃないのに怒られるなんてさ。同情しちゃうよ。
まぁ、事情を説明しない生徒も生徒だけどさ!



「コラコラ!危ないじゃないか!もぉー最近のゆとり世代はこれだからもぉ〜」

 しまクマが爆発して、すぐにスペアであろうクマが演台から飛び出る。

 

「学校の先生っていい悪い関係無しにイライラするからさ。なんかゴメン」

「『なんかゴメン』って!苗木君!先生は悲しいです!こんな子供がこの年になるまで生意気な生徒に成長して入学して来るなんて…悲しいです!」

「一応僕の名前、知ってるんだね。なんかゴメン」

「二回目!」

 

 下らない。本人たちもおそらくそう思っているであろう短めのコントを広げる。

「ぬ、ぬいぐるみと喋っておりますぞぉぉ!!」

「ど、どういう神経してんのよ。あいつ…」

 山田と腐川の発言が示す通り。周りはかなりドン引きした目で苗木を見ている。ただ彼はその視線を感じるほどの()()()を失っている()だ。

 

「ヌイグルミじゃないよ!ボクは『モノクマ』だよ。キミたちの…この学園の…〝学園長〟なのだッ!!」

「こんな肉食動物に教えを乞わなければいけない程、希望ヶ峰は財政難なのか」

「さっきからなんだよ君は!失礼じゃないか、学園長だぞ!ボクは!そして、クマは雑食動物です」

 

 

 

「ええ、では改めまして。起立!オマエラ!おはようございます!」

「おはようございますっ!!」

「おはようパンダ先生」「おい!僕はパンダじゃないぞぉ!!モノクマです(ドヤッ)」

 このふざけたクマの挨拶に応じたのは、元から愚直な程に真面目の石丸。最近、若干気が狂いつつある苗木の二人だけであった。

 

「いやぁ、本日はこの希望ヶ峰学園に入学「学園長自主退学させて下さい。マジでお願いします」

「なんでだよ!入学早々学園長に対する暴力に続いて自主退学させてくれなんて何言ってるんだよ君は!マジでって何だよ…」

「学園長の壊滅的なフォルムを見るのは苦痛なので」

「うがァァァ!もう苗木君は黙ってろオォォォ!!グレートな体罰食らわせっぞっコラァァ!!!」

 先程から、緊張感が吹き飛ぶ程に繰り広げられる苗木の悪口トークはモノクマの怒りの脅しによって、ため息をついたことで止まった。

 

 

「では、これより記念すべき入学式を執り行いたいと思います!まず最初に、これから始まるオマエラの学園生活について一言……えー、オマエラのような才能溢れる高校生は、『世界の希望』に他なりません!そんな素晴らしい希望を保護する為、オマエラには…〝この学園内だけ〟で共同生活を送ってもらいます!みんな、仲良く秩序を守って暮らすようにね!」

 

(最初と変わらない…基本的な軸の部分は多少のことじゃ、変わらないということなのかな)

 直接、誰かの殺人を止めるとか殺す。兇器を破壊するなどをしないと時間の流れは変わらないということを仮定として認識する。

 

「えー、そしてですね…その共同生活の期限についてなんですが…期限はありませんっ!!〝一生ここで〟暮らしていくのです!それがオマエラに課せられた学園生活なのです!」

 

「何て…言ったの?一生ここで…?」

 

「あぁ…心配しなくても大丈夫だよ。予算は豊富だから、オマエラに不自由はさせないし!」

 

「そ、そういう心配じゃなくて……!」

 

 ここもまぁ前回と同じように話が進んでいくので流石に飽きてきた苗木は、みんなを置いて探索に出かけようと入り口に行くのでした。

 

「コラコラ苗木君?まだ、話は終わってないよ」

 ですが、それをさせてくれないのがモノクマです。ステージから飛んだと思いきや、空中で3回転キリモミジャンプを繰り出し体操選手顔負けの着地て苗木の目の前に立ちふさがりました。

 

「邪魔だからどいてくれない?もう、興味無いからさ」

「冷たいなぁ苗木くん。そんなんじゃモテないよ。あ、苗木君は幸運以外は全部普通だったか!ゴメーン君に酷いこと言っちゃた!アハハハハハ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…邪魔だよお前。臓物引きずり出されてミンチにされる?」

『!?』

 

 これまでにない抑揚の無い声。確かな殺意、否もしくは台所に出てきたゴキブリを目障りに思う嫌悪感を孕んだ目でモノクマを睨みつける苗木に一同は底しれぬ何かを感じ取る。

 

「……うぷ、うぷぷぷ。怖い、怖いねえ苗木君。思わず僕、そこしれぬ敵にブルちまったよ」

「行くね。じゃあ」

 

 体育館のドアに手をかけ出ていく苗木はそうそうと言い残す。

「生徒を敵と言ってる時点でボクはお前を先生とは見ていないから」

 

 


 

 

「窓は鉄板で内側からボルトで固定。二階につながる階段はシャッターが下りていて当然上に上がれない。これは寄宿舎も同じで動ける範囲は一階に限られる・・・ここまで同じだとさすがに飽き飽きしてくるな」

 まあ繰り返しているのは僕だけだし当然の事かと呟いてため息をつく。

 苗木が今いるのは寄宿舎の食堂。一通り軽く学園一階を調べた彼は休息をとここに寄っていた。取り合えず厨房の冷蔵庫を見たが特に欲しい物が無かったので、椅子に背中を預け天井を見上げて時間を潰していた。

「電子生徒手帳があればまだ調べられる場所もあるけど、やっぱりあの時もらうべきだったな」

 トラッシュルームはあれで開けることができるし、何より今後の問題に必要になってくる。

「あいつに頭下げなきゃいけないなぁ・・・ああやだやだ」

 

 

 

 

 

 ぐちゅぐちゅピャクピャクキィィィィィン

ぐキグキミーンちゅくちゅくビチャチャチャ

 

 

 

 

「っ!い、まかよ…!ウッ!ガッ!」

 突如広がる頭痛。たくさんの擬音語が要せられるほどに彼の頭が解ける鮭の身のようにパラパラと飽和して砕けていくような痛み。

「・・・ここまで酷いッ、なん!て、ガッ・・・」

 痛みに耐えられず、椅子から転げ落ちて床で暴れだす。椅子を蹴り飛ばし、頭を床にぶつけて痛みから逃れようと必死に抗う。

 

 

 

 

「痛い、痛いよあああがああああごめんなさいごめん見捨てて見捨てないでぼぼっぼ僕君がああ暑い暑い虫が!虫が僕を食ってる!!はややややくくっ逃げ逃げにげええぇぇぇぇええええ!!!!」

 支離滅裂な言葉を口から飛び出す飛び出せるほど吐いたら、静かに消えた。

 

 

 

「………………………………」

 寝ている。疲れたか。死んでいるか。はたまた灰になったか。

 彼が流す涙は、誰の悲しみだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やあやあ、始めまして。

新しい苗木君。

懐かしい匂い。ヒタヒタと鼻につんざく鉄臭いsmel.

かわいい可愛いボクの記憶。

あなたは僕の失敗。
あなたは全てを間違えて死んだ。


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四話 介護と起床と疑念

ヤホッーモノクマだよ。
この前書きもマンネリとしてきたね。
とりあえず一人しりとりでもしようかなぁ!
ゼツボウ☛ウサミ☛ミサイ☛イザヨイ☛イクサバ☛バカ

ハハ!バカだって!!まぁイクサバは馬鹿っていうより残念だけどさ!

アヒャヒャヒャ!


「うむ、これは由々しき事態となってしまった」

「今頃かよ。つうか、マジでアイツどこに行ったんだ? こんだけ探しても見つからないなんて」

 寄宿舎入り口。

 大和田紋土と石丸清多夏は寄宿舎の探索を始めようとしたところ偶然そこで合流する形になっていた。

 

「ったく、自己紹介の時は変な奴だったと思いきや、あのふざけたクマとあそこまで渡り合うなんてな……あの野郎色々とイカれてやがるところがあるぜ」

「苗木君に失礼だぞ大和田君! 会って間もない人を勝手にそのような評価を下すのは彼に無礼極まりないぞ!」

 苗木の異常性に危機感を感じる大和田に石丸が叱責する。

 

「入学式の時は驚かされたが、彼だって僕らと同じ超高校級の生徒としてこの希望ヶ峰学園に入学してきた同級生。このような状況でなければ共に学園生活を送る同志なのだぞ!」

「ああ、分かったよ。だからそう怒鳴るなって耳に響くんだよ……いや、俺が言いたいのはあいつがイカれてることじゃねぇ」

 石丸の声の大きさに耳をふさぐ大和田がふと脳の片隅にあったことに気づく。

「? 何のことだ大和田君?」

「あいつ……俺たちが自分の紹介するとき何処も見ていないような気がしてよ」

「何処も見ていないだと! 人の話を聞いている最中に何て失礼極まりないことを‼」

「いや、お前が最後まで聞けよ。でよ、あいつが俺たちを視線に入れないようにしてもよ、一人だけじっと見ていたやつがいるんだよ」

「誰のことだい?」

 大和田の言葉に意図が見いだせない石丸は彼に答えを催促する。

 

 

「……霧切だよ。苗木の奴、何故か霧切だけを見るように目を向けていてよ。俺らが話していてもずっとあいつだけを探すように……俺が気づいたのは偶然だったぜ。別の奴と話している時にどこに目を向けてんだって思ったら、霧切の奴のところでよ。本人が気づいた時にとっさに目をそらして」

 

「大和田君……勘違いではないのかね」

「だよなぁ……最初の迫力のせいで何かあいつに警戒しちまってるつうか……だいたい初めて会った奴にそんなことすんのはおかしいしな」

 

 おかしいと言っても、彼は前の記憶があるからおかしくないと言えばおかしくないが。

 

「では、改めてまずは食堂から探索を始めようではないか」

「そうだな。ちょうど腹が少し減ってきたところだ。何か小腹満たせるモンがあればいいが」

 二人一緒に食堂へと足を踏み入れる。そこにいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、大和田君に石丸君!」

 超高校級のプログラマー『不二咲 千尋』だった

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「…………う、ううん。あ、れ? ……」

 目を開ければ、知っていて知らないような見覚えのある天井。

 背中に感じる柔らかなシーツのぬくもり。ふわっと薫る天の日の匂い。

「起きたのね」

「あれ、霧切、サン?」

 

 体を起こすとベッドの横でどこに置いてあったか、本を片手に椅子に座る霧切がいた。

「あなた、食堂の床で寝ていたのよ」

「え、あ、ああそう、なの?」

 あの濃密に痛みの濃い頭痛のせいで暴れまわった後、疲れて寝てしまったんだろうか。頭を抱えたくなる心を抑え、霧切と向かい合う。彼女に余計な心情の詮索はさせたくないと思った。

 

「ごめん、ここ最近寝つきが悪くてつい」

「嘘ね」「嘘です。すいません」

 

 すぐ、ばれた。超高校級の探偵の観察力、洞察力は伊達じゃない。

「……あの、理由を聞いても?」

 

「まず、あなたを見つけた現場。恐らく、眠る前に暴れたのかしら。多くの椅子が辺りに乱雑に散らかって、机は一つだけ位置がずれていた。床に寝ているのは大きな手掛かり。椅子に座ったまま寝ているなら、体の構造上前かがみになるように机に突っ伏して寝るようになる。

 椅子に寄りかかっていたのなら話は別になるけど、それなら落下の衝撃で目を覚ますはず。なにより、寝付きが悪くて寝不足ならあの体育館でのモノクマに対する攻撃は偶然が良すぎるわ」

 

 流石だ。全ての事象からその答えを見つけ出すとは。

 僕では到底敵わない推理力は尊敬の念を送りたい。

「それにあなた……」

「え、何?」

 言いよどむ霧切に苗木は問いかける。

「……泣いていたわ……『ごめんなさい、ごめんなさい』って何度も……」

「……そっかっ……」

 かなりうなされていたのだろう。苗木は霧切から詳細を聞いて、顔を俯く。

 恥ずかしい、という感情が理由ではない。とにかく、今の顔を見せたくない。彼女にだけは見せたくない。

 ただ少し、かすかの疑念も彼女に抱かせたくない。

 彼女が謎を突き止めるのはこのコロシアイの謎だけでいい。

 

 

 

()()()()()の僕に触れないで欲しい。

 

 

 

 

「それじゃあ、私は行くから。まだ無理はしない方がいいわ」

「ありがとう、霧切さん。無駄な時間を使わせちゃって」

「別に。気にしてないから、あなたが謝る必要はない」

 霧切は弁明の措置は必要ないと言ったが、そこであることを思い出したかのようにポケットから端末を取り出す。

 

「あの、これ? ……」

「電子学生手帳。……あなたを見つけた時、モノクマが起きたら渡してくれと……私に寄こしたものよ」

 

 苗木にとってモノクマから手渡しで渡されたような記憶がある懐かしの電子手帳。それがいま彼の手元に置かれた。

 

 

 これだけで今後を左右するような切り札にはならないが、万が一思わせぶりな文章で勘違いしない人が出ないように説明したい。

 

 この万能ぽっい電子手帳は耐圧、耐水に優れているが熱には弱い。つまるところ、熱帯地域では内部が昇天して使えなくなる代物である。

 昔ではなく前の世界としよう。そこでは石丸委員長とモロコシプランクトンがサウナ我慢対決した際に熱に弱いことがわかった。

 

 つまり、便利なようだがスマートフォンのように優れたものでないという事だ。

 

 これなら、「555」で変身出来るガラパゴスケータイの方がまだいいと思ってしまう。

 あくまで個人の感想としてだ。

 

「ありがとう、霧切さん」

「別に。私も少し煮詰まっていたところだから、あなたの介護は丁度いい休憩になったわ」

 

 煮詰まる? まだ、探索を始めて間もないのに霧切さんからそんな言葉が出てくるなんて意外だな。苗木はその言葉に奇異な感じを抱くが聞くのは彼女に胡散臭いだの奇妙だの思われるのは嫌なので言及はしなかった。

 

「ねぇ苗木君? 聞きたいことがあるの」

「? 何、かな霧切サン」

「あなた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうして私の名前を知っていたの? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷や汗が体の穴からすみからすみまで流れ出てシャツ、ズボン、靴下を容赦なく濡らしていって、ああ早く洗わないととこの状況で呑気な考えが頭から染み出して。

 必死にこの展開をどう抱開する突破する退ける? 

 泡がぷわぷわして、弾けて思考が浮いて、纏まらなくて。

 

「体育館に向かっていたあのとき。いえ、あなたと初めてあったあの教室で感じた。あなたから感じる不思議な空気。苗木君。あなたは私とあったことがあるの? それともあなたは私の何かを知っているの? 何でもいいから教えて苗木君。あなたは」

 

 

()()()




狂しく愛おしく

最後には血泡にふかれて消えてしまった

僕にはあなたしかいなかった


血濡れた学生証の顔だけがあなたが残した最後の生き顔

みんなが死んで

かけた指が愛おしい









ずっと誰かに









あなたに必要とされたかった


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五話 動機と交換と死体

モノクマです
突然だけど『普通』ってなんだろうね?
一般人の多くが感じたり、動いたりすることが普通なのかな?
普通が一番いいって誰かが言ってたけどさ
異常と称される人たちは
生きてる価値ないってことかな

異常な人をみんな怖がるじゃん
自分と違う人をみんなはいつも恐れていますね

じゃあー苗木君はいつも怯えているのかもね


『ピンポーン、パンポーン』

 

 チャイムが校舎に鳴り響く。内部の全員に響き渡るように、それは個室にいた二人も例外ではない。

 

『えーえー校内放送です。オマエラ、全員視聴覚室にお越しください。遅刻は、ゆるしまへんでぇー!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……意味が、分からない。

 

 なぜこのタイミングで ボクの幸運のおかげか。

 

 突然の出来事で頭がキュルキュルねじり曲がって、そうじゃないそうじゃないと今この時点で考えるべきことを脳内議題に持っていく。

 

 おかしいだろう。視聴覚室の集合はボクたちに殺人の動機を与えるためのものだ。アイツはあのとき直接ボクたちを呼び付け、CDを渡した。

 

 違う! それじゃない。頭をフルスロットルでマッハで言葉を組合す。

 

 

 

(早すぎる……! 動機の提供は二日目以降のはずだぞ!)

 ボクが入学式に遅れたから? 違う。モノクマに攻撃を加えたから? その後は前回と同じだった。

 

(おかしいと思っていた。目覚めた時から何かが引っかかると思っていたここは)

 

 

 

 

 

 

 ボクの記憶とは違う()()だ。

 

 

 

 

 

 

 

 ベッドを降りて、ふらつく足にムチを打つように拳を握り殴りつけ、ドアに向かう。

 

 

「苗木君」

 後ろから、霧切さんが制止であろう声を出す。

「ごめん……後で、ちゃんと説明する。今は、行かないと」

 時間稼ぎにもならないだろうと諦めきった冷たさが胸を覆う。それでも今はこの場を抜けねば、組み立てた言い訳でも思いつかないと彼女を誤魔化せない。

 

 ふらつきながら倒れ込むようにドアに手をかけて、寄宿舎の廊下に出る。

 変わらない視界に映る照明の色。否が応でもこのコロシアイに勝たねばまた失う。

 

 それだけは嫌だ。誓ったんだ。必ず救うと誓った。どれだけ狂おうが嫌われようがこれだけは譲れない。

 もうボクが()()()()()()やらなきゃならないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 間違えるのは もういやだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 霧切さんの為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かっこよく 死にたい(  わる 生き  )

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この先に進む覚悟を新たに整え、壁によりかかりながらでも進む。

 

 はたからみたら、歪んだ覚悟、希望。

 それでも苗木は進まねばならなかった。自分の願いを叶えるためには進むしかない。自分の体にそう言い聞かせ、歩いていく。

 

 

 突然肩が誰かに組まれる。

 

「そんな無茶な体で歩けるわけないでしょ。肩を貸してあげるから、一緒に行きましょう」

 霧切さんがボクを引きずるように肩を組んで歩いていく。

「いや、いいよ。霧切さんの迷惑に」

「この借りは、私の問に答えることよ」

「……はは、参ったな……うん」

 

 いつからの癖だったか? 困ったときに頬を掻く癖が出ている。困ったような、それでも嬉しいような曖昧な笑顔を浮かべて彼女の世話になった。

 

 


 

 

「あ、苗木君! 大丈夫ですか。あの後私ずっと探していたんですよ」

「ごめん舞園さん。個室で寝ていたんだ」

 霧切さんに手伝ってもらって、ようやく視聴覚室に着いた。そこでは、僕を心配していた舞園さんに他のみんなが揃っていた。

「チッ愚民が。何度俺の時間を無駄に搾取すれば気が済む」

「ごめん十神クン。遅くなって」

「苗木君、本当に大丈夫?」

「ありがとう不仁咲く……さん。自力で立てるくらいにはなんとか……?」

 そこでボクは不仁咲さん(今はまだ心の中でもさん付けしておいたほうがいいだろう)の言葉に疑問を抱く。

「ああ苗木君、食堂で寝ていたところを見つけて心配していたそうですよ」

「う、うんそうなんだ!」

 

 ……舞園さんのエスパーと称される力はここでも発揮されているようだ。不仁咲さんが驚いている。

「おい、コラ! モノクマ! いるんだろ!」

 大輪田クンが怒鳴り声でモノクマを呼ぶ。

 

 ガタッガチャニュル

「ほいほ〜い呼んだ?」

「呼んだって何よ……! あんた、どこから出てきてるのよ!」

 

 視聴覚室の扉の横の壁の下部分が開き、モノクマがニュルと出てくる。 

 

 こいつの素材、何で出来ているんだろう。

 

「いやいや、ごめんねぇ。全員集まるまで、視聴覚室の鍵は閉じたままにしていたけど苗木君があまりにのろまでぐうぐう寝ていたからさ!」

「のろまは余計」

「もう、つれないなぁ」

 モノクマの挑発を流して、扉を開けるよう催促する。

 

 はい、どうぞどうぞと扉を開けて、モノクマが部屋に奥にあったダンボール箱をちっさい腕で抱えて持ってくる。

 

「えーと。この箱にオマエラの名前が書かれたDVDがありますね。自分の名前が書かれたDVDを持ってそれを鑑賞してください!」

「鑑賞ってこれに何が?」

 

 自分の肉親、大切な人。この中にあの時と同じ家族の姿が収められているだろう。

 モノクマが最初の動機として出した外へ出たいと思わせる悲惨な映像。映像を見せられたあとで殺人を犯して出ていっても外でちゃんと生きてるか分からないのに。外に関する記憶が失われているとはいえ、同じ人間同士で殺し合うなんてあいつ等はイカれてる。そこまで追い込んでコロシアイを起こすのがあいつのやりたいことだろうが。

 

 

 

 

 

(父さん、母さん。…………こまる)

 みんなは無事だろうか。あれからずっと行方が分からないままだった。まだ、僕にとって平穏と言えたあの暮らしは完全に消えたのか。

 

 

 最優先は霧切さんだ。が、それでも家族だ。気にならないわけはない。

 特にこまるが一番不安だ。父さんと母さんが側にいれば無事だろうが、あいつが一人でこの世界を生きていけるかはほぼ0だ。こんな狂った世界でTHE普通の妹が生きていくのは難しい。いや、不可能だろう。

 早くクズを殺して霧切さんと一緒に助けに行きたい。

 

 

 

 

「ちょっと苗木君!! 何、ぼうっと突っ立ってんのさ! 早く、DVD見なよ!」

「え。ああ」

 

 DVDを持ったまま、立っていたらしいボクはモノクマに催促され、机につく。

 

 前回と同じ舞園さんの隣だった。どうせなら、霧切さんの隣の方が良かったと不満になる。

 

「苗木君、私の隣そんなに嫌でしたか?」

「え、あ、いやそんなこと無いよ」

 隣の舞園さんに不安気に聞かれ、言葉を濁す。

「無理、しなくていいですよ。苗木君、何か変わりました?」

「ッ!」

 

 エスパーと称すだけあって流石思考を読み取るのが得意みたいだこの人。前もこんなふうに予測されたんだよなうん。

 

「何でも無いよ」

 嘘。

「本当ですか」

「大丈夫、ほら早く見て終わらせようよこのDVD」

 嘘だ。

「でも、こんな状況でDVDって、何かあると思いませんか」

「軽く見るだけでいいよ。どうせあいつのイタズラだろうこんなの」

 嘘つき。全部分かってるくせに。

 

 

 

 

 DVDを差し込み、ヘッドフォンを着け視聴準備を整え、映像が始まる。

 

 

(セリフは割愛する。知りたかったら、知ってると思うけどダンガンロンパ希望の学園と絶望の高校生のプレイを薦める)

 

 こまるが父さんが母さんが、

 ボクに暖かな声と応援をくれる。

 懐かしいと思いながら、次はメチャクチャになった家が出てるんだろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 突然、画面が真っ暗になる。

「? 何で急に」

 これもまた動機提示が早まったと同じようなものか。

 そう思って、立ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 ブニッ

 

 

 手に何か柔らかいものが当たった。

 

 見れば、手のひらサイズの紙袋が置かれている。

 モノクマがみんなに配っている袋。

 

 紙袋は封がきちんとされているようで、丁寧にマスキングテープで閉じられ開ければ中のものが出てくるだろう。

 だがあいつの事だからどうせろくでもない何かだろう。一応開ける前に袋の上から手触りで調べる。

 

 

 

 ブニッブニュ

 

 

 柔らかく、冷たい。何故か冷や汗が落ち、手が少し震えだす。落ち着け。落ち着け。まず、ゆっくりとマスキングテープを剥がす。

 ピリピリと紙袋から剥がれ、表面をえぐり取ったマスキングテープを床に捨てる。

 

 そして、中身に目を通す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

「きゃぁぁァァァァ!!」

「な、何じゃぁぁぁこりゃァァァ!!」

 

 叫び声があちこちで響く。紙袋をそっと机に置く。

 

 

 

 耳。

 

 

 紙袋の中にあった柔らかなものは人間の剥き出しの感覚器官の一つだった。

 

 

 隣を見れば舞園さんが首筋まで真っ青になりながら震えだしている。 

 

「や、いや……いやァァァァァァああ!!!!」

 

 突如立ち上がり、ボクを突き飛ばして「グエッ!」視聴覚室を出ていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


「おい苗木、霧切に突きつけてやれ。こいつが犯人という証拠をな」イライラする声。

 いつまでたっても上から目線の可哀想なハリボテ王様。

 あ、これ夢だなと突拍子に思いつく。

 悪夢。悪夢。悪夢。

 スロットが回って、決断が浮き出る

「今の霧切さんの言葉には・・・ウソがあるよ」

 やめろ、自信満々に言うな。

 おまえはそれで間違えたんだ。

 永遠に許されない罪を背負うことになったんだ。

(霧切さんは明らかにウソをついている)

 そうしなきゃ黒幕に近づけ無かったんだ。

「それはちがうよ!」

 おまえがちがうんだよ。

 おまえ、おまえ、おまえのせいだ。

 なにもかもおまえのせいだ

 

 

 

 しぜ、じね、しね、死ね。

 苗木死ね

 あの時死ねばよかった。

 そうすれば、全部終わった。

 霧切さんさえいれば、何度でも世界は終わらない。

 死ね、

 消えちまえ。お前が死ねばよかった。もう少しで楽に慣れた。

 何が引きずるだ

 引きずりまわして、肉がグチュグチュの剥き出しじゃないか。

 

 

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね

 

 

 

 

 

 速く、消えろ

 

 

 

 

 

 

 

 

「おまえなんて・・・いらない」

 夢から覚めて、ベッドの上で横に転がり僕は愚痴を吐く。

 嫌な夢だった。これからもまたあんな悪夢を見る機会が増えていくのだろうか。

 そう考えると頭痛の種が次々に出来てきているこの状況に嫌悪感を感じる。

 

「予定通りなら明日、舞薗さんが殺される。最悪は・・・」

 今日、殺人がすでに起きていて舞薗さんが殺されているか桑田君が殺されているか。

 このどちらかに絞られるだろう。

 

 昨日、舞薗さんが僕の部屋との交換を申し出てきた。

 僕の紙袋に入っていた耳があのビデオに写っていた家族の誰かのものなら、舞薗さんの紙袋にも似たようなものが入っていたのだろう。

 彼女が殺人を速めてでも実行しようとする『何か』が

 

 断ろうと思ったが、あまり前の『苗木』と違う行為をすると怪しまれるので、仕方なく交換を受け入れた。

 証拠を集めて、矛盾を打ち抜く裁判はただの作業だ。

 後悔も罪悪感もボクにはない。

 

「そろそろ……行ってみるか」

 どこに行くか? もちろん僕の部屋だ。

 実際は部屋の交換をしたことでボクの部屋は舞薗さんの死体の匂いでむせる様になっているだろうが。

 

 舞薗さんがいなくてもボクの部屋で何かあったと思うが。

 

 

 ドアを開けて、廊下に出て隣のボクの部屋に行く。

(ネームプレートは……舞園さんのものだ)

 やはり殺人は起きたのだろう。ドアノブを掴み、部屋の中に入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 山田くんが死んでいた

 

 

 




残り人数
14人

カウントダウンまで

後?日?時間




全てを滅ぼし、

一人を救え














CHPTER1 イ『』タイ


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六話 発見と動揺と捜査

あらすじ

山田くん、アウトォ! (現実的)

 

 


「…どうなっ、て」

 まず、最初にこの部屋の現状から整理しよう。

 部屋はあのときと同じようにかなり凄惨、それとも酷いって言ったほうが後々あそこを語る際に便利かな。

 刀傷に散らかった置物などで荒れて荒れまくっているのにベッドはきれい。シーツはきれいにピンとはられている。

 

 山田クンがその上で血を流しながら上向きで寝てなければ、綺麗なシーツと躊躇いなく思えただろうに。

 

 死因は刺し傷による失血死だろうか。近くで見ないとよく分からないので次は死体を調べよう。

 

 

 

 何かにおう。

 鼻をつんざくキツめのにおい

 匂いか臭いか薄れてよく分からないのでこれは記憶しておこう。なにが手がかりになるか分からないのがこの生活だから。

 

 

 

 言弾ゲット! 「部屋のにおい」

 

 

 ベッドに置かれている山田クンに近づき、観察してみる。

 一目見てわかるのは、山田クンのお腹が出ていない。彼の持ち味の動けるデブを象徴するメタボバラが引っ込んでいる。

 穴でも空いてんのかと思う、引っ込んだ腹とそこにシャツに染み込んだ生々しい血がデブの腹のインパクトを替わりに演出している。

 

(メッタ刺しだな。シャツの上から何度も刃物で突かれたのか?)

 

 何か所か包丁のようなもので刺された跡が残った赤染めのシャツ。

 

 

 言弾ゲット! 「シャツの刺しあと」

 

 

「これ以上見ていても仕方ない、よね」

 興味が薄れ何も無かったのように部屋を去る苗木。

 

 そしてあることに気づく。

「……このドアの内側の傷、山田クンがつけたものかな?」

 去る際に気づいたドアの傷。爪で引っ掻いてつけたものだろうか、血も少し滲んでいる。

 

 

 言弾ゲット! 「ドアの内側の傷」

 

 

 あとは霧切さんと適当な人を呼んで、捜査開始だ。

 

 

 


 

 

 

「オシオキはオシオキ。簡単に言えば、処刑だよ!」

「ふーんどんな?」

「電気椅子でビリビリ!毒ガスでモクモク!灰にされてサラサラ!血を抜かれてシワシワ!そんな、デンジャラスでアグレッシブでエキサイティングなオシオキだよ!」

食堂でみんなと合流した後、霧切さんと適当に選んだ誰かを連れて部屋に向かった。三人の発見者が出たことで死体発見アナウンスが鳴り響く。

そのあとモノクマからの呼び出しでみんな体育館に集合して、学級裁判の説明を受けている途中である。

 

「一応聞くけど…お前が殺した。それは無いんだね」

「失礼だなぁボクは学園長だよ。生徒にそんな酷いことするわけないでしょが!」

「コロシアイを強制しているくせに」

モノクマの返しに無味乾燥の答えを述べる苗木。

「なんか苗木君、ほんとに苗木君?なんだか後ろにしっろい髪の毛の左目が赤いなんか人食べてそうなお兄さんが見えてきたよ」

「ネズミ、耳の中に捻りこもうか」

「ヒィィィィ、ネズミいやぁぁぁぁぁ!!で、でもね。僕は何もしてないよ!何もしてないからホントマジで!クマに誓って!」

 

これだけは本当の事だろうと苗木は肩をすくめる。

モノクマがウソをつくのは滅多にない。意味をはき違えてしまいそうな言葉遊びで混乱させるのがコイツのやり口なのだ。

 

「ま、そういうことで。はい!これ、モノクマファイルね」

おなじみのモノクマファイルを電子手帳に送信して、モノクマは去って行った。

 

 

江ノ島、残念姉は殺さず。

此処までくると黒幕にも記憶があるのかと疑ってしまう。まだそのような言動を見せてはいないが。

(ここまで来ると記憶はもう当てにならないな)

単純作業が最初の頃のハイスピード推理ショーに戻ってしまったと苗木はため息をつきたくなる無常に包まれていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捜査開始!!

 

 

 

「被害者 山田一二三 超高校級の同人作家多分16歳。死因はふざけたことに不明。発見者は苗木誠、霧切響子、……+一人。死亡推定時刻は、深夜0時30分から1時30分」

「…」

「夜時間を破って出歩くなんて、イケない子だねヤマダ君。しかも、場所が僕の部屋って。不法侵入罪まっしぐらだよ」

「苗木君」

「はい」

「何故私の後についてくるのかしら」

「それは霧切さんと一緒に捜査したほうがボクの無実を晴らせるからだよ」

 モノクマの説明が終わり、僕たちは捜査を開始することとなった。当然、僕は自分の無実を晴らして霧切さんと愛を築き上げていきたいので積極的に捜査に乗り込む。

 全滅なんて御免だと苗木は自己中心のソートを建てる。

 

「私としては一人の方が気が楽なのだけど」

 霧切は苗木を見つめ、聞く限り邪魔だと言いたいような視線を送ってくる。

「いやいや、霧切さん。生きている中でまともそうな推理を披露してボクのヒーローになってくれる人は君の他に誰もいないよ」

「あなたのヒーローになるつもりはないわ。私は只」

「真実を突き止めるため、かな?合ってた?」

 苦笑しながら、苗木は霧切を見据える。

 ただ、目だけは少し違った雰囲気を滲ませて目の前の霧切を収めていた。

 

「大丈夫。君の迷惑にならないと思うから。むしろ、意外と役に立てると思うよ」

「役に立てる、ね。なら好きにすれば。邪魔は許さないわ」

 苗木のねちっこさ、頑固さに観念したか霧切は同行を許す。

 背を向けて調査の続きを開始する。

 

 

 

 

(大丈夫、大丈夫だから)

 自分にそう言い聞かせる。

 左腕を握りしめて震えを止める。

 こんなところを見られたら怪しまれるに決まってる。彼女に近づけなくなる。

(そんなことは嫌だ)

 近づく機会を失ったら、守れなくなる。

 あの日は刻々と近づいてくる。

 僕が君を失った日が来てしまう。

 

 予防線を張っておく必要がある。

 彼女が一人で死に行くようなことがないように。

 疑われないように。

 

 

 もう二度と失わない。だから、聞こえないように

 かすれた小声で君に誓う。

 

 

「一緒に生きよう…響子さん」

 




言弾一覧

「部屋のにおい」
苗木の部屋でかぎ取った匂い。バスルームの匂いに似たような感じ。


「シャツの刺しあと」
山田君はシャツの上から刺されたようだ。
心臓付近に二箇所。
腹部に三箇所。
その他多数。


「ドアの内側の傷」
爪で引っ掻いたような傷。舞薗との部屋交換時にはなかった。
血が滲んでいる。


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七話 捜査中

学級裁判まで捜査期間を設けます。
皆さん、捜査を行なって
学級裁判で推理を披露してください。


時間がたっぷりあるからって、不純異性交遊はやめろよ!



「昨日の夜山田君見た人、手を上げてぇー」

 食堂に集まっていた人たちに僕は声をかける。

「えぇと、私は見かけなかったよ」

「不二咲さんは無しね。はい、次」

「あ、私食堂で山田見かけたよ!」

 朝日奈さんが証言を出す。

「何時、具体的にどこらへんの位置で?」

「えっと、確かさくらちゃんと紅茶の用意をしている時に食堂に来たんだよね」

 

 

『付き添ってくれたお礼にロイヤルミルクティーを作るからね』

 昨日の19時くらいに朝日奈さんたちはミルクティーを作っていた。

 ガチャ

『あれ、山田。どうしたの』

 ミルクティーを淹れている途中に山田君が厨房のドアを開け、中に入ってきた。

『おや朝日奈殿こんばんわ。いや何、夜食にフルーツをと思いまして』

『あ、フルーツならそこにあるから』

 朝日奈は目線で示す。

 それが19時の目撃証言。

 

 

 

(ボクが舞園さんと部屋の交換をしたのが18時。山田君はその一時間後に来たようだけど今のところ関係性は見当たらないな)

 証言と昨日の出来事を組み合わせていき、時系列を整えていく。

「ハイ次、セレ、スさん?」

「何故そこで言い淀むのです。……まぁいいでしょう」

 セレスさんが回想を始め、証言を発していく。

 

 あれは私が

『山田くん、ロイヤルミルクティー作ってくださいませ』

『えぇぇ。ボクチンこれから予定がありまして』

 夜時間になる前でしょうか。私、喉が乾きまして部屋に戻る前に山田クンにミルクティーを作ってもらおうと思いまして、食堂にいた山田クンに声をかけましたの。

 

 ですが、

『いや、あのボク先約がありまして』

『作れって言ってんだろブタ。加工場でミンチにされたいか』

『ブヒイィィィ!! ヤダァァ! ボクお茶しに行くんだもん!』

『待てこらびちグソがァァ』

 

 

「ということがありまして」

「豚に同情を贈るよ」

「豚はひどすぎるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 食堂を離れて、体育館へと赴く。

 今ここで手に入れている言弾を確認してみようと整理していく。

 

言弾一覧

「部屋のにおい」

 苗木の部屋でかぎ取った匂い。バスルームの匂いに似たような感じ。

 

「シャツの刺しあと」

 山田君はシャツの上から刺されたようだ。

 心臓付近に二箇所。

 腹部に三箇所。

 その他多数。

 

「ドアの内側の傷」

 爪で引っ掻いたような傷。舞薗との部屋交換時にはなかった。

 血が滲んでいる。

 

「朝日奈の証言」

 19時ごろ、山田は食堂にフルーツを取りに訪れていた。

 大神と確認済み

 

「セレスの証言」

 夜時間(22時前)に山田と遭遇。

 山田は誰かとお茶の約束をしていたようだ。

 

「包丁の本数」

 5本あった包丁が4本になっていた。

 

「舞園の行方」

 朝の会食に来ていなかったようだ。

 体育館での集合も一同の後ろにいた後、足早にどこかに消えてしまった。

 

「桑田の状態」

 朝の会食に来ていたが、顔色がひどく悪く挙動不審だったようだ。

 

「モノクマファイル」

 被害者 山田一二三 超高校級の同人作家。

 死因 不明。

 発見者 苗木誠、霧切響子、石丸清多夏。

 死亡推定時刻は、深夜0時30分から1時30分

 

 

「桑田君はまぁ、舞園は予想外だったな」

 僕の捜査を妨害すると思っていたがと、疑念を感じる。

 だが恐らく舞園さんが犯人とみて今のところいいだろう。僕の部屋に入れたのは彼女くらいだ。

 

「いや、決めつけは推理の幅を狭めるって霧切さんが言っていたしなぁ。もう少し後付けのある証拠がないと」

 そうして辿り着いたのはトラッシュルーム。

 昨日の夜は18時に部屋の取り換えをしたあと、夜時間になる直前にモノモノマシーンで遊んでいた。

 モノクマメダルは以前より落ちている場所が多くなっていたため、比較的集めやすかった。

 そのおかげで色々と欲しいものも手に入った。

 

 いや、情景描写が少ないとは言わないで。一々二次小説で背景を描いていたら、時間がなくなるんだ。

 

 誰に発言したかわからないメタなセリフを浮かべ、トラッシュルーム辺りを調べる。

 

 だが中に入れず、シャッター越しに中を覗くだけの不十分な捜査になったが。

 

 事件前、山田君がゴミ当番を申し出てからがカギを所持していたが、彼の遺体からカギは見つからなかった。

 つまり犯人がトラッシュルームのカギを奪い、ここで証拠隠滅をしたと思っていたが中に入れないのではそれは難しいだろう。

 

「無駄足だったかなぁ。鍵がない以上調べられないし」

 他の場所に移って捜査しようと思い、トラッシュルームに背を向ける。

 

 

 

『えー、はい。聞こえますか? もうそろそろやっちゃっていいですよね、学級裁判! 

 皆さん校舎一階の赤い扉にお集まりください』

 

 

 

「……ッチ」

 まさかここで時間切れになるなんて。

 全く揃い集まってない言弾に拭いきれていない僕への不信感が漂うこの状況。

 分が悪すぎる。

 議論の途中で犯人が強引に投票に移ろうとする可能性が高い。

 

 状況をよくするために必要なことをせねば。

「遅刻するけど、生きる為には必要だよね」

 それを打開するために僕はあるものを作りに個室に向かった。

 

 証拠がなければ作ればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コラァァァ苗木クン!! 遅刻とはどういう事じゃこれぇぇ!」

「ごめんモノクマ。少し必要な物があってさ」

 20分後、ほかの生徒たちがすでに集まった赤い扉の奥の部屋に苗木は遅れて入室した。

「苗木君! 皆はもう集まっていたぞ! いったい何処で何をしていたのだね説明を求める!」

「ゴメン石丸君。捜査に慣れてなかったから、夢中になって時間を食いすぎたみたいで」

 相も変わらず規律に厳しい石丸の遅刻に対する指摘に苦笑を浮かべて答える。

「フン。ど,どうせ……自分が犯人だから、お、怯えていたんでしょ」

「犯人じゃないんだけどなぁ」

 腐川の戯言をのんびりと逸らす。

 

「遅かったわね」

「うん。色々しなきゃいけないことがあってさ、時間がかかっちゃた」

 入室後、霧切は苗木に近づき話し始めた。

「その色々って、あなたが背負っているモノクマのリュックのこと?」

 霧切が差した苗木の背には大きく膨らんだリュックサックが背負われていた。

「やっぱり目立つ? これ」

「目立つわ」

「やっぱりか」

 予想より多くなっちゃってさぁとぼやきながら、左頬を掻く。

 

「苗木クン」と舞園が呼んでくる。

「何」と苗木は内心、煩わしく答える。

 

「……貴方のこと、……信じていたのに」

「苗木クン」

「学級裁判で貴方を」

 

 

 

 

 

 そこから先のことが耳に入らない。舞園さんに絶望したからじゃない。ツマラナイ訳でもない。

 

 

 

 

 

 初めて僕は生意気にも愚かしくも醜かろうと。

 

 

 彼女を初めてグシャグシャに叩き潰してやりたいと思った。

 

 僕の邪魔をするなら誰であろうと容赦はしない。うまくいかないでしょう。僕は普通だから。才能なんてこれっぽっちも持ち合わせていない。

 不平等で理不尽で無差別な戦い。

 駆ける本能。停滞する理性。刎ねまわる感性。

 

 脳を焼け切らせながら、ショート寸前までプログラムスタート。

 

 

 

 邪魔をするなら。

 

 食い潰してやる。

 

 

 

 


 

 ドロドロで拙い推理劇。

 宜しく頼みます。




僕の物語は僕だけのモノ

誰のものでもない僕だけの

僕が本物なんだ













      そこに意味なんて無いのに







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八話 裁・判・開・始

ねぇねぇモノクマ 
なぁに?
僕の席そこの空いてる席と交換してよ
ええーなんでよ自分の絵が書かれているところに行きなよ
そう言わずにさぁ、ね?おねがぁい
ううぇ、キモイよ苗木クン。首を45度に傾けるのは天然女子のみに許された特権だよ。
そんなこと言わないでさぁ
もうわかったよ!一回だけだからね一回だけ!


「それではこれより学級裁判の説明を始めます!」

 エレベーターを降りた先に佇まれた円形の裁判場。

 奥の玉座にモノクマが居座り、次第に全員が席に移動して説明が始まる。

「ええ。皆さんにはこれから被害者を殺したクロは誰か、議論してもらいます」

 モノクマの声が反響して耳に幾度となく流し込まれていく。

「議論の結果。多数決でクロを指名してもらって、そのクロが見事正解ならクロだけがオシオキ。そのクロが間違いだったらクロ以外の全員がオシオキされます!」

 もう何回聞いたセリフだろう。ゲシュタルト崩壊しそうなほど聞いたかもしれない。

 

「投票はお手元のスイッチでお願いしまぁす! それでは、とっと議論始めちゃってくださいなぁー!!」

 

 議論開始! 

 

「議論なんて始める必要ありませんよ」

 でしょうねずっと僕のこと睨んでいるようにしているもん。

 舞薗さんの対面になるように調節してもらった席で彼女を見据える。

「犯人は苗木君です」

「おいおいおいおいおいい舞薗さん。酷いじゃないかぼくをわざわざご指名して犯人だなんておふざけもほどほどにしてよ君はそうやって人を睨んだりするのは向いてないよ」

 出だしとともにフルスロットルで言葉を紡ぎ、マシンガンで飛ばしていく。

「苗木クン。犯行はあなたにしか出来ません」

「ボクの部屋で起きたことだから僕が犯人って。舞薗さんは安直に物事を決めつけすぎじゃないかな」

「他に誰がいるんですか! あなたの部屋で起こったことは間違いないですよ!」

 ボクの部屋で起こったから犯人はボクね……。

 背中に入っている証拠品をバッグ越しにさわる。

「じゃあ取り敢えず議論だけでも始めようよ。皆が納得するように説明しないと投票タイムに入っても僕に票は集まらないよ」

 証拠品を出すのは簡単だ。けどこれを出せば後々の説明に時間が食われる挙げ句僕への信頼度が完璧に地に落ちる。

 ……別に落ちても構わないが。

「……わかりました。そこまで言うなら始めましょう」 

 あなたの裁判を。

 

 舞園さんはそう言って向き合う。

 

 ああ本当に笑いが止まらなくなりそう。笑ってもないのにだけど心中大爆笑したいくらい振り切ってる。

 

 

 

 

 

 

 ノンストップ議論突入! 

 じゃあまず凶器の確認をしよう! 

 山田クンの殺害に使われたのは、えぇと

 断言しよう! 凶器は包丁だ! 

 まぁあの傷だとな

 でもどこにも包丁なんて無かったよ

 きっと処分したんですわね犯人が

 即死だね。即死。

 

 

 

 

 

 

 

 あああああ。

 面倒だ。もともとある言弾が足りないもんだから迷っちゃうな〜。引っ掻き回したくても信用なくすと面倒だし。

 苗木は議論を呑気に眺めながらどうしたものかと思案していた。

 

 

 お困りのようだね。

 

 え、誰? 

 

 苗木の頭に何かが声をかける。

 

 俺を知らないだと。

 うん知らない。

 チッ、まぁいい俺のことはこの際お前の助言者だと思え。

 助言者? 

 そうだお前は今この議論をどう動かすか悩んでいるはずだろう。

 悩むってほどじゃないけど、下手な発言は出来ないね。

 なら教えてやる。薄汚い絶望共は皆殺しだ……! 

 

 

 何だか面倒な人が僕の頭の中に出てきたなと思いつつその話に苗木は耳を傾ける。

 

 お前の言弾を装填しろ

 準備ね

 そして構えろ

 集中ね

 そして発言に弾を撃ち込んでみろ

 馬鹿じゃねぇの

 いいからやれ。これはただの論破とは違う

 わかったよ。やれやれ……

 

 声の言うとおりに言葉を発言に向ける。

 

 

 断言しよう! 凶器は包丁だ! 

 ↑

「包丁の本数」

 5本あった包丁が4本になっていた。

 ╋

 即死だね。即死。

 ↑

「ドアの内側の傷」

 爪で引っ掻いたような傷。舞薗との部屋交換時にはなかった。

 血が滲んでいる。

 

 

 一気に行かせてもらう! 

 W BREAK!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう面倒だ。あとは頼むよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 苗木誠神

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいっ! というわけで山田一二三クンを殺したのは、超高校級のアイドル『舞園さやか』さんでした〜!」




この小説にオープニングつけるならジャスティΦだと勝手に思います
推理ってやっぱ難しい
後日空白の間に起こったこと書きたいと思います


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九話 オ・シ・オ・キ

オッス!ボクモノクマ!
遅くなってごめんね!
さらなる絶望をこれからも届けるよ!


「超高校級のアイドル舞園さやかさんは最初は桑田怜恩君を殺害しようとしていましたが突如やって来た山田一二三クンに」

ガンッガンッ!ガッ!

「現場を見られ、なんやかんやあって山田クンを殺害。桑田クンはその殺害途中に部屋に逃げて布団の中でブルブル!」

ゴッスッ!ドン!

「その後舞園さんは毒殺のことを隠す為に包丁で串刺しにして、刺殺と誤認されるよう工夫。苗木クンに犯行の目が向くように部屋の掃除をしたけど…」

がァン!ガァン!がァァン!

ボキッ

「あ、折れた」

「ちょっと苗木クン!何してんのささっきから!どこから持ってきたのそのトンカチ!?そんなことしても扉は開かないよ!」

「帰りたい」

「即答!」

モノクマの問に簡潔に答え今度は足で扉を蹴りだす苗木。

「いや、だからやめろって!」

 モノクマの制止の声は苗木には届いていない。

 本来、連載漫画五話ほどかかる予定だったかもしれない学級裁判をたった一話で終わらせたので疲れが出ているから早く部屋に帰りたいと思っている。

 

 

 あの人格に体を任せるといつも以上に体力が消費されるから早くベットで横になりたい。今こうして立っているだけで疲れと以前の頭痛の原因のせいで軸がフラフラしてくる。

 

「…えっ、あの…苗木君はともかく、本当なの…?本当に舞園さんが山田くんを殺したの!?」

「ま、まじであの苗木神とかいうやつの言うとおりだったんだべか?」

「だからそう言ってんじゃん!これは舞園さやかさんの犯行なの!同じこと繰り返さないでよもうぅ」

 葉隠の戸惑いの疑問にモノクマが呆れを含めた答えを吐く。

「苗木クンが豹変したときはどうしたもんかと思ったけど、ま!一件落着ってとこだね」

「なんで………」

「んー?」

 

 

 

「なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんんんでなんでなんでなのよ!」

「ウッヒャァァァ!?」

 突然の舞園さやかの錯乱にモノクマは驚き、体をビクビク震わせる。

「私は、私の帰りを待ってくれる人たちがいるのに!こんな所でこんな終わり方なんて!」

「うるせぇなガタガタ騒ぐな三流」

 

「……え」

 

 腹の底から冷えた声が喉から口へ運ばれる。

「聞こえなかった?うるせぇつってんだよクソ女」

「苗木…君?…」

「喋んなこの※☆▽×○☆●□×※★(規制音)」

「え、何。何て言ったの!?」

 優男、ショタの苗木から想像できない規制用語が飛び出てきたことに戸惑いを隠せない一同。

「さっきから聞いてればさ、何お前。何なの。何でさっさと死なねぇんだよ。というか逆に死んで。」

「苗、木君…?」

「お前気持ち悪いんだよ。中身と外面(そとづら)のチグハグさが目立って気持ち悪いし、ヘラヘラと媚び諂って近づいてくるその声も顔も醜くてイライラさせる。醜くい、汚い、イライラさせられる。お前で良かったよおしおきで死んでくれるのが」

「な、なんで…なんでそんなこと!?…」

「苗木君!言い過ぎではないかっ!僕たちはこの残虐な殺し合いを生き残るための仲「うっさいんだよ!このクソ★☆□○●★が!!!」

「なっ、なっ………」

 

 

 

「仲間だなんだ言っておきながら起きたことがこれじゃねぇか!

分かるかお前らが信じている信頼はこんなものなんだよ!信用も友情も欲望が絡めば何の意味もないんだよ!無価値なんだよ!

全部無駄なんだよ!」

 

「ハイ!おしゃべりはそこまでねもう、時間が押してるからさ!」

 

モノクマが苗木の罵倒を声を張り上げて止め、時間切れを告げる。

 

「あっそう。まぁ言いたいことは言い切ったし。あとは勝手に」

 

興味が失せた苗木はそのまま去っていく

 

「な、苗木君・・・」

 

舞薗はそれでもなお苗木に未練があろう目を向ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほんっとうざったいなぁ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ!()()()のみんなもそう思うよね!!」

 

 

 

 

…………は?

 

 

 

 

「あれ?考えてなかったの。考えたことないの?黒幕がどうして僕達に殺し合いさせたいか…その理由って何か」

「何かって・・・私たちに殺し合いをさせて…」

「だからさ、その程度でこのくそ黒幕が満足するのかなぁ」

 

 言っちゃおうかな。言っちゃっていいかな。言っていいよね。

 

「あのさあのさ、黒幕がわざわざ超高校級を拉致してさ。殺し合いをさせるなんて普通じゃないよね。普通じゃないよね」

 

 また苗木の口調がおかしく変わり始める。子供のように皆に問いかけていく。

 

「だからね黒幕もモットもっとこの状況を楽しみたいからスンゴイことをしようと思ってるのね。例えば、この状況を外に流していたりとか!」

「そ、外に流す?」

 

 今まで黙り込んでいた桑田は苗木の言葉に戸惑う。

 

「僕たちは腐りかけでも超高校級と呼ばれてるものだからね。だから、テレビにでもお茶の間に流して殺し合ってるのを流せばみんな食いついて視聴率アップじゃないかな」

 

「お待ちください。いったいそのためにどれほどの天文学的な額が必要になると思いますの」

「天文学の予算とか知らないけど希望ヶ峰相手にここまで立ち回っている黒幕だよ」

「このくらいはするんじゃないかなぁ」

 

 苗木の呑気な声が裁判場に響く。

 その中で舞薗さやかは肩を震わせ、膝から崩れ落ち涙を流し始める。

「そんな、そんあん、そんなあjjはあsだsdsdv」

 

 

 

「ありゃぁぁ壊れちゃった」

「ちょっと苗木君何すんだよ!オシオキってのはこの世の未練や後悔を身にともして、それらが全部一気に絶望に変わるのがいいんだよ‼それなのに君はもうぅぅ」

 

 モノクマの文句に苗木は無関心を決め今度こそ帰ろうとする。

 

 

 

 

「は~締まりませんが、仕方ありません。それではもうさっさとやっちゃいましょうか‥‥早く終わらせたいし

 

 裁判長席の前にボタンがせり上がる。

 

「さぁささくっと行きましょう!!

オ・シ・オ・キタ〜イム!!!」

 

 

 

 モノクマが木槌を振り下ろしボタンが押される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     あ、そうか

 

 

 

            全部 

 

 

   夢、だ

 

 

 

 

 

 

 

 

     『舞園さやかがクロに決まりました』

 

 

『オシオキを開始します』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAPTER1イ『』タイ    COMPLETE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エレベーター内

 

 

 

ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン

 

 エレベーターの駆動音が響き、上へ上へと箱を運ぶ。

 あの忌々しい裁判場から離れるごとに身体が軽くなっていくのを感じる。

 目を開けては閉じて開けては閉じてを繰り返して目を潤す。苗木はこれからのことを考える。

 

 舞園さやかが死んで桑田玲音は生き、山田一二三は死んだ。僕が()()()()()()()()では無いがこの状況ならA()()()()を迎えることは無いだろう。

 

 それにしても身体はだるいし、頭の頭痛は治まらない。

 即刻部屋で睡眠を取らなければかなりキツイ。

 早く横になりたいと思い、苗木は目を閉じエレベーター内の音に耳を澄ませた。

 

 

 

 

 

      

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NEXT CHAPTER

 

OPEN YOUR EYES

 

 

 

 

CHAPTER2

絶望はいつも突然




終わらないジレンマ

終わらない夢

終わらない絶望

 

全てを
     壊せ


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霧切目線
霧切'sVISION 苗木という生徒


霧切が見た苗木という男とは?


 私が彼と初めて会ったのはいつまで経っても来ない生徒を探して教室に入った時だった。

 

 目覚めたとき、私はすでに記憶を失っていた。この学園の前をくぐったことを覚えている。しかしその後とその前を思い出せない。

 家族も自分の才能も思い出、…………忘れてはいけない大切な何か()を失った。

 

 

 

「体育館に集合」とあの落書きにそう書いてあったのでとにかく手掛かりを探そうと向かった。

 幾らか時を待つと一人、二人、三人と増えていき、総員14人が集まってきた。

 だがしかしそれで全員ではないという。しばらく待っていると壇上から変な白黒のぬいぐるみが出てきて「まだ一人来てないから入学式が始められません!」ときた。

 ぬいぐるみ、モノクマは私達にその一人「苗木誠」を探せと命令してきた。

 超高校級の御曹司。十神白夜はふざけたぬいぐるみに命令されたことに怒りを見せたがこのままでは私の知りたいことが知れないので真っ先に体育館から出てその苗木誠という人を探すことにした。

 

 案の定彼はすぐに見つかった。ある一つの教室の机の上で彼は体を丸めて寝ているようだった。

 近くに寄り、彼が「苗木誠」かを確かめた。

「……あなたかしら? 最後の入学生は」

 と声をかけた。

 

 少々の間があって、

「あ、おはようございます。苗木誠です」

 と彼から返答が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何故か、愛しさと懐かしさを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 体育館に戻る前に彼と少しばかり状況の確認ということで話をしてみた。

 

 変な人だと思った。

 

 まず、私が話しかけないと彼はただ何も口を開かず、ただうなずき、「へぇ」や「なるほど」などと相槌を返すだけ。

 初めて向こうから話してきたときは、「ねぇ、霧切ひゃん」と思い切り私の名をかんだ。

 顔が真っ赤になっていたから恥ずかしくなったのだろう。

「何かしら、苗木君」

 見かねたので助け舟を出すことにした。

 

 そこで自分が記憶を失っていること、記憶喪失だということを彼に話した。

 何故、彼に話したのか。

 分からない。彼に言わねばならないと勝手に口が動いていた。

 案の定、彼は少し戸惑っているようだった。

 

 初対面でいきなり自分の事情を話す者がどこにいるだろう。

 私は久しぶりに自分の会話能力の欠如に劣等を抱いた。

 久しぶりがどの位か分からないが。

 

 彼が私の才能を探偵と言った時、酷く心に、心臓にしんみりと来た。

 記憶が無くても体が覚えているのだろうか。心臓の鼓動が落ち着く程にその言葉は馴染み深かったのだろうか。

 

 私は彼に対し、少しありがたみの感情を抱いた。

 

 

 私を教えてくれてありがとう。

 

 口には出さないが心の中で静かに礼を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数刻後、彼がモノクマに木刀を投げつけ、罵倒の言葉をあびせたことでまた変な人だと思った。

 二面性があるのかと推理したがどうもその方面とは思えない。



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CHAPTER2 絶望はいつも突然
十話 ここからのstart


長らくお待たせしました
苗木の狂った喜劇?悲劇?

新章入ります


「ギャイアアアアァァァァァァぁァァぁあ嗚呼あ亜ああああああ嗚呼ア‼‼」

 

劈く悲鳴。母音が長引き、無機質な部屋の真ん中に置かれた手術台の上で叫ぶ。

1時間前に1012に投与された薬が長い時間をかけて体に巡り、全身に染みわたって激痛が奔りはじめる。

 

142は手足、全身を使って暴れ苦しむ。だが、手足に巻き付かれた拘束具のせいで手術台の上から抜け出せない。

 

 

 

 

一体いつまでここにいればよいのだろうか。みんなは無事だろうか。あの子は、2222は無事だろうか。薬のせいであれからどうなったかが分からない。時間の感覚が全くと言っていいほど感じられなくなってきている。

突如、シェルターが破られ謎の集団が僕たちに襲いかかって来た時、近くにいた彼女を連れてとにかく逃げた何故だかわからないけどあいつらに捕まったらまずいことになる。そう感じた。

アイツらは4353とは違った。服装が変に統一されたいるようなデザインで何より5531マスクを着けていなかった。だから逃げた。

 

理由はもう一つあった。それは、たぶん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「少しは落ち着いたみたいだね」

 

・・・ッ!?

 

「そんなに驚かないでよ……傷つくなぁ」

 

 部屋に入って来た1012。僕の周りをうろつきながら言葉を投げていく。コツコツとわざとらしく音をたてる足音が耳に歪に残っていく。

 

「君とは長い付き合いだからあまり手荒にしたくなかったんだけど」

 

「でも仕方ないかな君が希望は前に進むとかくだらないことを言って彼らを怒らせちゃったから、僕もこんな手段を使うことになっちゃて」

 

「あぁ顔色悪そうだね。それもそうか、かなり薬の量を投与したし

 

 相手の顔が黒いインクで塗りつぶされている。

 声にダミーが混じり、くぐもった声が反響する。

 

 今更ながらあぁ夢かと気づく。自分のマヌケさに苛つき、何時だったか忘れた頃の記憶。

 

 あいつは一体誰だったか

 

 でも昔会ったような無かったような……

 

 

 

 いつも平行世界がどうだのと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………夢、だったよな」

 ベッドの柔軟な心地よさに体を沈ませ思考する。

 あの夢のことは悪夢の始まりだった。あいつ、あいつ等が来たせいで延々と絶望に悩まされる日が続いている

「いや夢じゃない…始まりのあの日だ……」

 

 

 

 

 どこから間違えていたのだろう。

 

 僕もアイツ等も超高校級も希望ヶ峰も。

 

 

 江ノ島を入学させた時か

 

 カムクラを作ったことか

 

 

 それともあの時偶然迷い込んだ先で出会ったあの…

 

 コンコン

 

「苗木君起きているかしら」

 部屋の外から霧切さんの声が聞こえる。どうやらうなされている間に寝過ごしてしまったようだ。恐らくみんな体育館に集まっているだろう。

「うん。起きてるよ」

「体育館に集合よモノクマが待っている」

 

「…………わかった」

 

 普段着に着替え外に出る。

 

 

 

 変わらない時間。終わらない夢。

 

 

 それでも

 

 

 

 

 

 

 

【君と生きていたい】




これからも生暖かい目で苗木くんの活躍に乞うご期待。






いや打ち切りじゃないよ!
続くよ!続く!


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十一話 ハイTension

物語の決まりなどない


「さぁて作り直し、作り直し」

 今朝のモノクマの秘密暴露予告から一時間後。

 朝ご飯を食べそこねたので僕は食堂で新しく朝食を作っていた。

 ったく嫌になるよ。僕の分を作っておいとかないなんて。

 冷めたら嫌だからどちらにせよ捨てるか温めるかだけど。

 

 そうこう考えているうちでも手は動かしていく。

 解きほぐした卵をフライパンに注ぎ、砂糖を少々加えてかき混ぜる。

 残っていたご飯にケチャップを加えボウル内でかき混ぜる。

 

 今僕はオムライスを作っている。玉ねぎもチキンも入れていないが代わりに刻みネギとチーズを加えてみることにした。

 これからは自炊をしていこうと思いつつあったのでこれはいい機会だ。あの一件で僕に対する評価は下がっているようで視線が冷たく感じる。

 別にあいつらと仲良くする必要はない。そばにいるだけで声を聴くだけで殺意が沸いて仕方ないからだ。十神のクズや金の亡者と仲良くしても意味がない。

 隙あらば罪を擦り付けてくるような奴らは戦力が増えようと願い下げだ。

 

 裁判で利害関係が一致した時だけ協力の形をとればいいだけの話だ。

 

 ああさっさとスキップでもできればいいが。

 

 無駄な思考がHEATする前に既にHEATした卵にボウル内のご飯をばら撒く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オムライスを作るはずがケチャップ炒めご飯になったことに気づいたのは偶然食堂に来た霧切さんに指摘された時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 閑話休題させてもらうと

 

 

 不二咲さん(君)が死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 待ってよ医師、いや石を投げつけないでよ。みんなだってう知っていることを長々と話されたくもないだろう? もう何度も二次創作や動画投稿サイトで知っていることをさ? 

だいたい作者もこのところ、投稿がうまく進まなくて早く畳もうとしているくらいだからさ、これ言っちゃ不味いやつだ消去しよう。

 

 

 まぁともかく犯人は大和田くんってことで決着はついたよ。やめろよ文句言うな。

 

 この物語の結末を知りたいんだったら早く進めなきゃ終わらないんだよ。

 見たことあるシーン早送りで飛ばしたり、漫画の結末を見るために後からコミックを揃える奴だってここにいるだろ。

 

 とりあえずここからはさ、僕の独り言というか愚痴を聞いてもらおうか。

 

 

 よしいい子達だ。

 さて、何から話そうか? 

 僕の性格がねじり曲がっている件かな? 

 多重人格になったことかな? 

 ところどころ物語を抜かして話をすすめることについてかな? 

 

 

 何でもいいから一つ答えてあげるよ

 

 

 

 

 とりあえず意見を聞かせてよ。

 一つだけ答えられるだけ答えてあげるからさ。




今後の参考のため
評価お願いします


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十二話 とろけるMind

アンケートの結果、多重人格について書くことになりました

全ては書けませんが発端くらいは書いておきます。


 グチャ、グチャグチャ。

 脳の奥から腐った肉が落ちて弾ける音が聞こえる。

 ムカデがシャリシャリとズズズと蠢き、脳内を破壊する。

 

 

 目を開けても変わりない天井の無機質な色とつなぎ目。

 

 目から暖かい液体が流れ、頬を通って床に落ちる。

 

 子音がカスレカスレに響いていく。

 

 203"2は僕を放す気なんてサラサラない。ある程度の期間を放しながらの拷問は少しずつ。僕の心を疲弊させていった。

 

 

 希望とは何か、絶望とは何か、あいつはそればかりを聞いてきた。

 爪を剥がし、薬品を投与し続け、壊れてきたら超再生薬で体を修復させて、また拷問。

 

 拷問とは多くの意味で暴力を使ってある情報を引き出す事に使われるが、あいつの場合はもうただ単純にその行為を楽しんでいるにしか見えない。

 

 皆は無事だろうか。

 

 

 あいつは外のことを何も話さないから状況が分からない。

 もし、みんながもういなくっていたら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぼくは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガチャ

「やぁ何時間ぶりかな、苗木くん」

 部屋に黒髪の青少年が入ってきた。

 背は176センチで優し気な好青年。

 姿からの推測ではない。以前聞いたことがあった。

「……」

「つれないなぁ。まぁ、君のそういう意固地な部分も魅力的だけどさ、少しは僕に協力的に接してくれないと」

「……拘束を外せよ。痒いところもかけない」

「アハハ、確かに」

 そう言って彼は苗木の拘束を足だけに固定し、上半身を起こさせた。

 

「じゃあいつもの時間のやつね〜」

「また、薬か」

 まだ少年期の声の苗木の声帯からできる限りのどす黒い声が出てくる。

「いや、薬は今後控えようかと思っててねぇ。なんせ昨日だけで5回くらい痙攣や動悸起こしたでしょう? 流石の僕も君にそれ以上負荷をかけたら今後が大変だということで今日は別のものにしてみましたァ! (๑´ω`ノノ゙ぱちぱちぱち✧」

「そのウザイ口調今すぐ止めろ。反吐が出る」

「アハッ。君って普段は温厚だけど気に入らないことがあると直ぐに口調が変わるよね! ホント、長い付き合いだからもう少し優しくしてよー」

「それほど長くはない」

 相変わらずの紙ボンドで貼りつけたような笑顔で彼は左手で弄んでいた小箱を開け始めた。

 

 

「今日は君とゲームをしたいと思ってね」

「ゲーム?」

「そうそう」

 

 軽く中から目玉を取り出した。

「……」

「これぐらいじゃもう微動だにしないかぁ」

「もう、見慣れた」

 

 自分の目玉を抉り取られたりしたのが何十回と行われたせいか妙に見慣れてしまった。

 

「ゲームっていうのは?」

「この目玉を食べる」

「どこがゲームなんだよ」

 

 文句を口に出し203"2に歯向かう。

「ここからだよ。内容は簡単。この目玉を食べて誰の者か当てる。それだけだよ」

「えげつないゲームだ。どうせそれ偽物だろ」

 

 苗木の推論を聞いた彼は、そのまま捨ててしまった。

 

「うんうん。僕はうれしいよ苗木クン。僕のことをしっかり覚えていってるね」

「こんなくだらないことばかり、時間をかけるお前はイカれてるよ」

「ああ、僕は自分がイカレテいるって自覚してるよ。下手したら江ノ島「あいつのことを口に出すな」……」

 

 ため息をつき、部屋の隅に置いていた折り畳み式椅子を開き、苗木と向かい合うよう背もたれに体を後ろに置き話を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここに閉じ込めて、どれくらい経った……?」

「恐らく10、いや17くらいかな。日数は一か月もいってない」

「絶望は、君の管理下か」

「あんな思考放棄の爆弾共は僕のそばに置いてない。使ったやつらは全部廃棄した」

「家族、同級生、先輩」

「例の77期生以外はほぼ全滅。霧切仁は()()()()()()()()()、江の島も()()()。君の家族は……他の同級生の親族。共に塔和に保護されてる。未来機関の屑共が気づくのは何年か先になるね」

「どうやって、江の島を欺いたのぉ……?」

「彼女、思ったより僕を重要視してなくてね。御手洗のニートと戦場の目を欺けば僕はいつでも反撃できた」

「……カムクラ」

「先に手を打っておいたよ。分かるだろ? 彼の()()は主に僕だったからさ」

「やっぱり、完成させてたのか」

「ああ、僕のてぇんさい的な発明で世界は大きく変わる」

 

「人も、希望も、絶望も。全ぶ壊すつもりか」

「ああ、その前に君を壊させてもらう

 

 ゆっくりと立ち上がり彼は告げる。

 

「君は大切な()()の雛なんだ。簡単に死なれたら僕の愛と平和が実現できない」

 

「だから悪いけど、君という『苗木誠』を破壊させてもらう」

 

「希望も絶望もなくなった世界で唯一人に本当の光を与える存在に」

 

「愛と平和をもたらす英雄(ヒーロー)を僕に見せてくれ」

 

「偽りに塗られた世界を破壊して来てくれ」

 

「他でもない。僕の初めての大親友として」

 

「希望に現れたイレギュラーとして」

 

「愛する人を守るためにみんなを見捨て今でも騙し続けている罪人として」












なにこれと思うかもしれませんがこれが今作の苗木がおかしくなっている原因の一つです。


改めて申し上げるとこれは霧切デッドエンドからの続きとして書いていますが、あくまで枠の中の話です。

ゆっくりとこの作品がどういう世界観、歴史を辿っているのか明かしていきます。


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十三話 渦巻く人間Relationship

 モノクマだよ!

 いやいやゴメンね。最近色々あってさ。
 
 何もかも面倒になって投げ出したくなる日。みんなあるでしょ。
 ボクもそういう時期だったんだよ。
 だからさぁホントは書くのが面倒とか。
 ネタが尽きたとかそんなじゃないからね!
 僕はみんなの希望の学園長、『モノクマ』だからね!
 生配信で忙しかろうと別の作品に出ようと‼
 
 ボクは学園長なのだぁぁぁ‼‼‼










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 大和田がオシオキされた日の夜

 PM11:00

 

「アルターエゴ、君は不二咲君が作った学習型自律式AI。でいいんだよね」

『うんそうだよ! 君は……苗木誠くんだよね! ご主人たまがそう言ってたよ!』

 

 大和田の処刑の後、不二咲君が作ったはずのアルターエゴに接触するために夜遅くに大浴場へと赴いていた。

 

『…………』

「……? どうしたのアルターエゴ」

『あ、うん。あのねちょっと苗木くん、ご主人たまが言っていた人は少し違うような気がして』

「…………」

 

 

 違う? 何故? 僕はみんなに会った時からこの調子だ。昔の僕を知らない限りアルターエゴに違うという感想を抱かせることは無いのに。

 

『ご主人たまはね、苗木くんは前向きで打たれ強い人でちょっと同顔の人って聞いてたけど』

「……」

『今の苗木くんは……なんだか疲れきったような顔してるよ。ちゃんと寝れている?』

 

 ……人工知能に心配されるなんて。ふっ。

 不二咲君の性格を基に構成されているプログラムだからこういう気づかいが出来るように設定しているのかな。

 

 数字の羅列から構成されるプログラムに心配はされてもみんなにはあまり言われないとは。

 ちょっとした皮肉だな。

「寝れては、いるよ。ただこんな状況だから寝ても疲れが取れないせいかな」

『そっか……じゃあ、早く寝ないと』

「いや、それよりやってもらわなきゃいけないことがあるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうそろそろ体に限界が近い。

 今回でもう、打ち止めにしないと。

 

 


 

 

 

 翌朝7:00

「おはよう霧切さぁぁぁあああー~」

「意外と眠れなかったようね。そしてなぜ当然のように私の部屋の前にいるのかしら」

 

 朝になって僕は霧切さんのもとへと来ていた。

 何故って? それは霧切さんに近づく不貞の輩を死、いや排除するためさ。

 

 ルールの都合上殺しはしないよ。ただ念を押すのさ。

 

 

 

 

 

 僕の霧切さんに近づくなら四肢を飛ばす‥……てね。

 

 ああ、そもそもさ。霧切さんの隣に立つにふさわしいのは僕だよ。ボクだけなんだよ。

 あの腐れ褐色でも詐欺師占い屋でも裸の王様でも筋肉女でもゴスロリでもアポでもイカれくそったれビッチでもない。

 僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。僕だ。ぼくだ。

 

 僕だけが彼女と結ばれるべきだ。

 

 

 僕は強くなった。君を失ってから何度も何度も死のうとした。けど死ねなかった。

 失敗して気づいて、()()()()()()()、何度も繰り返して。

 

 

「苗木君」

「ッ! な、何かな」

「顔」

「へっ?」

「ちょっとおかしく歪んでいるわ」

 

 口元に手を寄せる。三日月と呼ぶくらいに口が吊り上がっていた。

 まずいな。知らず知らずのうちに表情が表に出てきている。

 早いうちに気づかせてもらってよかった。

 ああ、霧切さん。やはり君は僕の

「行くわよ苗木君。食事に間に合わなくなるわ」

 

 霧切さんに呼ばれ、苦笑いを作って彼女とともに向かう。

 

 

 

 

 

 石丸(カタブツ)は壊れたが山田(デブ)が死んだことで安広がどう動くか見ものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()をいじりながら食堂へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

CHAPTER2

 

絶望はいつも突然

 

 

 

 

 

 

 次回

CHAPTER3

 

小さな希望の話

 






Error Error


 ライダー、戦隊、希望、絶望、ヒーロー。

 皆憧れ、皆な潰れる。その力に





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CHAPTER3 小さな希望の話
十四話 欠


モノクマです!


 今回はデンジャラスで登録者減っちゃうかも!


 でもいいのです。

 時に予想外や奇天烈なことを行うことこそが



「ダンガンロンパ」なのですから‼


「ハァァァァァァ。皆さん。分かりますか。分かりませんか? 僕はひどく、ひどーく疲れました」

「まだ集められて間もないけど何?」

 

 食堂で食事を終えた後、僕たちはモノクマに体育館に集められ先ほどのモノクマの言葉を皮切りに今回の動機提示を受けようとしていた。

 

「ふ──…………は~」

「早くしろよ」

 

 グダグダと引き延ばすモノクマに僕は提示を催促する。

 

「ハイハイ動機ね。動機、動機、‥‥動機」

 

 

 

 

 

「は~~~~」

『言えよ‼』

 皆からの総突込みが入る。(十神や霧切さんは含まない)

 

「あのね、あのですね。ボクはもう疲れました」

 モノクマは突如独白を開始する。

 は? いきなり何を言い出すんだこのクマ。

 僕はふざけているのかとモノクマを睨みつける。無駄な時間を使わせるなあの糞クマ。

「お前らのために食料を取ってくるのも、動機を引っ張り出してくるのも、編集作業を慣れない手で行うのも。疲れてしまいました。いいですか皆さん。モノクマはもう絶滅危惧種なのです。続編はおろかコラボもろくに舞い降りてこないこの現状のせいで、ボクはもうエクストリームからプランジです」

(Plunge、急降下)

 

 おかしい。

 苗木は先ほどからのモノクマの発言に疑問を生じる。

 

 

 江の島があのクマを通して会話を成り立たせているのは既に知っている。

 しかし先ほどからモノクマが言っていることは。

 

 

 殺し合いに飽きたと言っているように聞こえる。

 江の島は飽きやすい性格でも頭の中は絶望を広めることでフィーバーになっているはずだ。

 それを投げ出すことはしないはずだが。

 

「もう面倒なので、包み隠さずお話いたします」

 

 

 話。

 話す。

 

 

 

 

 

 包み隠さず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずい。

 まずい! まずい! まずい! 

 

 あいつまさかここで全てを言うつもりか!? 

 いや、あいつがすべちぇを把握しているわけが。

「超高校級のみなさぁん!」

「なんで、オマエラが入学直後の記憶をなくしているのか!」

「なんで、殺し合いをさせられてるのか!」

「なんで、誰も助けに来ないのか!」

「その答えはただ一つ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前らはある奴らを残してみんな死んでます! ここにいるお前らはみんな偽物です!」

「!!!!! ~~~~ッ!」

 

 

 皆いない。

 その記憶がなくても分かってる。

 

 あいつだ。あいつしかいない。

 

 

 ここで、終わらせる気か。

 苛立ちのあまり苗木は唇を噛みきり、血が口の中でじわじわ広がり鉄の匂いをにおわせる。

 

 

 

 

 

「そして苗木誠クン!」

 

 あ、あいつっ! 

 

 僕のことまで! 

 

 

「何故君がみんなのことを貶しているのかぁ!」

「何故記憶が混濁しているのか!」

「何故裁判が終わるたびに頭痛がするのかぁ!」

 

 

「それ以上は無意味よ!」

「ウ、プゥゥゥゥ…… 」

「や、やめ、やめ────‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「苗木クン!」

 

 

 それは

 

 

 

 

 僕が思っていたこととは違ったことで

 

 

 

 

 モノクマは言う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君が世界で初めて才能を超越した存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『特異点』としてこの世界に現れたからだぁ! 

 

 

 

 

 

 苗木黒斗(くろと)クゥゥゥゥゥン‼‼

 

 

 ウプププププププププププププププププププププププププププププププププププププヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ‼‼‼‼

 

 

 あはははははははははははははっははははあっははあはははははっはははははははは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が、ぼくがぼくがボクが

 

 

 

 

 黒、斗? 

 

 

 

 誰だよ。それ‥‥ぐぃう

 

 

 がぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああばばあっばばあばばbっばばばばばばばばばばばばばっばばばhぢcば。

 

 

 だあああああdsだkdまdふぁああだfjんjなdvんjvんじゅんbvさヴじゃfんvkjsんfvjfvjんfvjdfjfvんdfぢvsjヴぁささあさあさssdd‼!???!!! 

 

 

 

 

 

 

 











 












 サァサァ。
 ザッザッ。





 白く、灰色に濁った砂漠。



 ザバババッ




 打ち寄せる色のない海。



 グチャグチャニ溶け合わさった空。



 今日もボクは歩く。





 何処かに

 出口があると信じて。





 こんなところから出る方法がどこにあるかわからないけど
























 諦めたりしない




 前向きなのが僕の唯一の取り柄だから


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十五話 混

お待たせしました。ゆっくり、ゆっくりと終幕へ向かっていきます。


 これまでのあらすじ。

 

 やっと物語の根に触れた。

 

 


 

「ぜぇぜぇ…此処まで来ればもう大丈夫かな」

 背は高校生のくせに160cm、髪は薄い茶色、頭頂部に左曲がりのアンテナ(本人曰くアホ毛らしい)。

 普通、と言えば普通の部類に当たるが(ガチガチ)アンテナのせいで普通という分類に分けていいか悩む。

 

 そんな普通だが普通とも言えにくい少年「苗木誠」はある者達から逃げ回っていた。

 

 

オラァァァァ!!どこ行った苗木誠ぉぉ‼‼」

「うわぁ…来た…」

 とりあえず学園創立者神座出流像の後ろへと隠れる。

「先ぱぁい…もう諦めましょうよ。こんだけ探しても見つからないんだから」

「うるせぇ!アイツ捕まえなかったらお前も連帯責任で罰するぞ‼」

「ウげぇぇ…」

「‥‥逆蔵さん。部下にも容赦ないな…」

 

 現在、苗木誠は希望ヶ峰学園の警備責任者「逆蔵十三」とその後輩(名前は聞いたことがない)の二人に追いかけられていた。

 

 だが苗木誠は超高校級の幸運という才能以外特に特筆する部分がない生徒だ。

 そんな彼が何故、警備員に追いかけられているか?

 警備員が駆り出されるほどの事件を起こしたか?

 庇うようだが彼は入学してから特に問題となるような事件は起こしていない。

 …巻き込まれたケースはいくらかあるが。

 逆蔵の気まぐれか?いやそれだけなら後輩を駆り出す必要はない。いかに暴君と恐れられる彼でも私情を仕事に挟んだりはしない。

 ‥‥仕事そのものなら別だが。

 

 

 

 ではなぜ追われているか。

 結論から言えば彼は巻き込まれたのである。

「あの野郎。学院長の部屋に野球ボールなんて投げ込みやがって…‼」

「78期生の桑田、葉隠、大和田と野球してんでしたっけ。桑田はともかく、大和田に葉隠って意外なメンツですね」

「ンなことはどうでもいい!苗木誠が野球の最中に学院長の部屋にボールをぶち込んだことが重要なんだよ!」

「桑田が投げたボールを苗木君が運良くバットに当ててそれが運悪く学院長の部屋に入り込んだ…これ俺らが動く必要あります?」

「あるんだよ!今もこそこそ逃げ回ってる苗木誠を捕まえて学院長に突き出す。それが今回の仕事だ」

「苗木誠、苗木誠ってさっきからフルネームで呼んで疲れないんすか」

「てめぇもう黙ってろ殴り飛ばされてぇか」

「先輩。もしかしてこれを機に苗木誠に対する鬱憤をちょっとでも晴らそうとか考えてないっすよね」

「‥‥‥…」

「うわ図星かよ。ほんとやること成すこと、失敗も全部押し付ける人だな。もう諦めて彼が自首すんの待ちましょうよ。意味ないじゃないですか、俺いることに」

「黙ってろ‼いくぞ!」

 

 

 結局彼の私情のせいで苗木は追いかけられていた。

 

 

「このままじゃ見つかる…早く学院長のもとに行かないと」

 学園の最高権力者の彼のところまで行けば逆蔵も諦めると推測する。

 逆蔵のところに自首なんてすれば何をされるか分からない。

 

 一応希望ヶ峰の生徒に当たる予備学科の生徒を躊躇いなく殴り飛ばした事例があるためにただの運で学園に入った自分のことをかなり疎ましく思っていると同級生の霧切から忠告されている。

 なので出来る限り、なるべく逆蔵に遭わないよう学院長室まで行きたいが彼の部下たちが巡回しているため困難だ。

 

「一体どうやって学院長室まで行けば…」

 

 ガタッ

 

その時不思議なことが起こった。

 

 苗木誠は今、左手を像の土台につけ右足を前に突き出した姿勢を取っていた。

 突如、左手を添えていた部分が凹み右足に触れていた地面が沈む。

 

 そして左足の地面が開きバランスを崩して後ろから倒れこむ。

 

 

 

 

 

「え?‥‥うわぁぁぁあぁあぁああああああああ!!!??」

 

 

 苗木が落ちた後、すぐさま空いた地面の穴は閉じ元に戻った。

 

 

 


 

「痛たぁ…」

腰を擦りながら足腰に力を入れて立ち上がる。

尻から着地したせいで腰も打ってしまったが、頭よりはマシだと納得させた。

 

「何処なんだ此処…?」

見渡せば無機質な材質で形成された廊下。何処に繋がっているのか分からないほど長い長い廊下に彼はいた。

「まいったなぁ…」

 どうしてこうなったのか。逆蔵から逃げる途中で像に隠されていた秘密通路的な物に引っ掛かりここに来てしまったが、あいにくそれらしき出口は見当たらない。

 仕方がないからとにかくこの場から動くことに決めた。あんな手順を踏まないとは入れないこの場に誰かが来るとは思えないのでとにかく歩くことにした。

 苗木誠は少しだけ人より前向きなのだ。

 

 

 そうしているうちに彼はようやく出入り口のような扉を発見した。

「エーと、どうしよう?」

 出入り口のようなものに取っ手、ドアノブらしきものは無かった。

 

しかし、

 ピコン!

〈苗木誠様、認証しました。扉が開くまでお待ちください〉

「へ?」

 ガチャン!がちゃん‼

 扉の奥で何かが起動し動き回る音がする。しばらくすると音が止み、扉が開く。

 

「え?」「え?」

 

扉を開けた先、薄暗い部屋の中で目の前に高身長の美男子がいた。

「…誰」

「えと…苗木誠と申します」

 丁寧に返した。

「苗木、誠…?許可なく僕の秘密部屋に入れるのなんて()()()か仁さんくらいなんだけど…」

しばしば思考にふけ言っていた彼だが。

「ああ~君‥‥今年の幸運枠の?へぇ噂は入ってきてたけど、君がねぇ」

舐めまわすように見てくる視線ぬ苗木はうすら寒い気味悪さを感じた。

「うん。悪く言えば平凡そのものだね。まぁ、癖がありすぎても困るけど。()()()と比べたらまだいい方か」

「あ、アイツ?」

「いや気にしないで。君には関係ない。というか一生関係ない話だから」

 にこやかにこれ以上踏み込むなと警告された気がしたのは気のせいか。

「僕は『神崎巧(かんざき たくみ)』。タクミでもたっくんとも呼んでいいよ」

 そういうと巧君はゆっくりと椅子から立ち上がり僕に近づいてくる。

「早速なんだけど…」

「え。う、うん」

 

 

「君、ヒーローってどう思う?」

「‥‥へ?ヒ、ヒーロー…?」

 

「この世界にはヒーロー…具体的にみんなに光をもたらす英雄が必要と僕は考えているんだよ」

 

「ああ、光って希望のことじゃないよ。少なくともこの学園の奴らが考えているようなものじゃない」

 

「この国の…世界の全てに存在する人類を救い」

 

 

 

 

 

進化させる英雄が必要なんだと

 




遅くても二、三年以内には終わると思います。


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十六話 惑

本当に長らくお待たせしました。
ある程度まとまった休みが取れたので少し書き貯めながら、最終回に一気に行きたいと思っています。


「うぷぷぷぷぷスプスプス」

 醜いモノクマの笑い声が響く。

「苗木君、苗木クン。今どんな気持ち?ねぇ今どんな気持ち?」

 

 モノクマが苗木を嘲笑い、愉快痛快なおちょくりで反応を楽しみ始める。

 お前のしてきたことは無駄だ。お前は苗木誠じゃない。苗木誠にはなれない。

 霧切響子(みんな)を愛した苗木誠には成れない。

「…まえ、お前の言っていることは全部嘘だ。証拠がない!」

 苦し紛れに声を震わせて

 モノクマが言っていることが理解できない。

 何の話だよ。

 理解できない。したくもない。いやだいyだやだ。

 現実逃避をしていてもモノクマは口を止めずにコトダマを吐く。

「証拠ー証拠―?(笑)君さ~もう分かってるでしょ」

モノクマがあざ笑い、馬鹿にし呆れる。

 

 

こいつ(苗木)は弱くなってしまった。いや、元々弱かったのだ。力を手に入れさせて新しく作っても彼らは苗木誠を超えることが出来なかった。

モノクマは失望した。『霧切響子』という存在を軸にすることが目的のこの計画は失敗。

 もはやここまでだ。

 

苗木誠であって苗木誠じゃない『苗木誠』。

出来損ないの凡人。

あの頃の苗木誠はもういない。

 

今の苗木は苗木に見せかけた何か。人間の形に留められた何か。

『苗木誠』という器に詰められたゲテモノが僕。

 

「君は誰からも愛されないし」「誰にも覚えられない」

「この狂った継ぎ接ぎの出来損ないの世界じゃ」

「君は何も出来ない」

 

「黙れ」

 

「嫌だねぇー——!ボクは‼」

 

 

 

 

 

「苗木君が嫌がることをしたいんだ!」「君が苦しみながら希望を手にして安堵する顔が、見たいんだ!」

「俺ツエ――‼‼よりもさ!グチャグチャニどろどろの人生を歩いて必死でもがいてさ!」「悲劇から悲劇から喜劇から感動劇へと昇り詰めるのが醍醐味でしょ!?」

 

「そしてそれをめちゃくちゃになって狂った君が君がボクは見たいんだ‼」

「だからっささっと終わらせろこんな物語‼」ぐちゃぐちゃチュクチュク中ク。思い返さないで。前だけを見て走って。走って。走って。

おもい帰したらそう・・・。

「というか君はもう用済みだからさ。ちゃちゃっと死んで起きなさーい‼」

 

 

 バキバキ場きききききき目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が「痛い」目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が目が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が「掠れる」耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が耳が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が「気持ちわわ悪い」鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が鼻が

 

皆消えちゃった。

 グワング湾と頭が根じれてきてふらふらする。立っていられないほどに力が抜けててててててたおおおおおおおおれ

 

 

 

 

「苗木君ッ‼」

「苗木いぃ!?」

 

 

何故か、彼女と「彼女」の声が聞こえる。

 

「はははっ・・・ワラ⤴」

 あんな顔をしてくれるなんて。

 

 というか君もいたんだ。

何の予感も伏線もなくて突然だからびっくりするよ

 このクソみたいな世界でようやく生きた甲斐があったとナエギは目ヲ閉じ田。

 

 

 

 

 

 

 

 

 行き当たりばったりなクソみたいな物語だったたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたtatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatatataaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa0101111110101010100010100010100100110010101

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Warning,warning. This is not a test!

 

《データを復元開始しますか》

 

『はい』

 

《一部データに破損が見られます。このまま実行するば全壊する危険性があります》

 

『このまま実行する』

 

《再確認です。本当に実行するのですね?》

 

『はい』

 

《データ復元開始》

 

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

*復元中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《復元完了》

 

《一部データを除き、データの修復に成功しました》

 

《この記録は希望ヶ峰学園主導【()()()()()()()()()()()()()】科学部門研究者、希望ヶ峰所属『()()()()()()()()()()()()』専門研究家「神崎巧」の脳内記憶を小説形式でお伝えするために編集されたものです》

 

 

1,「幸運」の出会い*閲覧済み

2.ただ少しだけの「日常」

3,Nobody's Perfect

4,夢の片身*破損のため閲覧負荷

5,[Re]volution、神崎巧

6,終わりなき絶望*破損のため閲覧負荷

 

 

 

 

《2から閲覧を開始しますか?》

『はい』

 

《そのまま進んでください》

 

 

 


 

 

 

 

 

 

78期生の希望ヶ峰学園入学から半年。その日は苗木と神崎の出会いから2週間が経過した日だった。

 

 神崎と幸運的且つ奇妙な会合を遂げたあの日。

 苗木は神崎の強烈な『英雄』、『光』に対する論説に圧倒され何も反応することが出来なかった。これまで見たことのない種類の人間。希望ヶ峰のどの超高校級にも当てはまらない奇天烈な彼の言動、振る舞いに圧倒され考えがまとまらなかった。

 そんな苗木の様子を見て彼は何を考えたのか。自身の現・自宅兼研究室の存在の他言無用を強引に約束させたのと同時に「暇なときに話し相手になってくれない?」と懇願してきた。

 

「約束してくれないなら君を響子ちゃんのところにお婿に行けない体にしてやる」と脅迫もとい交渉をかけられた。この時、彼の顔はまん丸笑顔だったが目が完全に本気だったと苗木は全身を震わした。

 

 

 

 その日、神崎が何故霧切響子のことを「響子ちゃん」と馴れ馴れしく呼んだのか。

 何故、初対面の苗木に対し『超高校級の探偵』霧切響子の名を出したのか。そのことに少しでも疑いの目を向けていたら未来は変わったかもしれない。だがこの時の彼は神崎の不思議な雰囲気に加え、同級生の十神白夜、先輩のソニア・ネヴァーマインドが持つカリスマに似た「何か」に惹かれていた。

 それを追求することも疑問を感じることも当時は出来なかった。

 

 

 

 

 ともかく苗木は一週間に一度のペースで神崎のもとへ訪れた。話し相手になることで彼の持論の『光をもたらす英雄』とは何かの講義を雑談を交えながら聞く日を過ごした。(聞かせるために何処で番号を入手したのか携帯電話と電子学生手帳に「早く来い」、「残り時間5分」、「我暇。至急、菓子とお茶持ってくるべし」、「来なきゃお前のおねしょネタを全国にばらす(;^ω^)」と催促のメッセージが届いた時もあった)

 

 

そんな日常を送っていた日。神崎が生涯で()()()に嫌っていた先輩『狛枝凪斗』が復学した近日の出来事。

 

 

「苗木君。悪いけど君が読んでいる漫画が置かれてた棚の赤いファイルを取ってくれない?」

「あ、うん」

 読んでいた漫画を閉じ、棚の漫画の隣に押し込まれていたその赤いファイルを取り出し神崎が後ろに伸ばしていた手にのせる。

「サンクス」

 うきうきと何が楽しいのか、ファイルを開けてパラパラとめくった後に勢いよく何かに図面を引き様々な数式を書き込んでいく。

 グシャにグシャに乱雑に走らせたかと思えば丁寧に図面を引き、図に載せた建造物を正確に表現していく。

 かと思えばテーブルに置いていたノートパソコンを開いて、メールをひたすら開けて読み込んだ上で早々と返信。終わればPC上のファイルを開けていき、「まだまだいけるうぅぅ‼?」と奇声を上げて頭をガシガシと掻いてひたすらにキーを打ち込む。

 図面のほうは一度見せてもらったことがあるのだが、何を書いているのか全く見当がつかなかった。

 様々なスペシャリストの超高校級と関わることで苗木も様々な分野の知識を少々齧ってきていた。この設計図が何かの衛星、国際宇宙ステーションのように宇宙で活躍する何かということは理解できた。が、それがどのように役立つのかまではさすがに分からなかった。素人の苗木には何が何だか分からなかったので聞いたところ、

「これ?()()()の設計図。今やってんのは、各パーツの歪み直しとAIの調整。AIは最悪自己学習で間に合わせればいいけどこれマジでやばいんだよあいつら何もかも押し付けてくるうえにこいつの建造を急げってマジでうざったらしくて・・・・第一左右田んが早く原案出してくれれば…」と最後は完全に愚痴で詳しいことは一切不明。

 同級生の不二咲がいればまた詳しく教えてくれたかもしれないが残念ながら彼はここにはいない。

 入学して半年弱。たった数十分の時間だったが苗木は面倒くさがらずに律儀に神崎の話し相手になっていた。

 

 

 

 手元に閉じていた赤い竜と狂人王子が獅子奮迅と暴れまくるイカレタ漫画の続きを読もうとしたが、ほんの少し疑問が浮かび神崎を見る。

 

 

 それは何故、科学者なのにこんなサイコでグロテスクなファンタジー漫画を何十冊も揃えて棚を埋め尽くしているのか。ではない。

 出会ったときに挙げていた仁さんと雪ねえとは、まさか学園長と雪染先生のことなのか。でもない。

 霧切さんとは「そういう」関係ではないと言いたい。ということでもない。

 

 実際にはそちらも疑問があるが一番気になっていたことがあった。

 

 彼はなぜこんな希望ヶ峰学園の地下に閉じこもり生活を送っているのだろうか。

 

 一度だけ聞いたことがあったがその時は、

「事情があって表立って外を歩けないんだ。でもちゃんと運動はスケジュール立てて行ってるし、食事は三食栄養良く食べてる。」ということで同級生と言うことだけが分かっただけだった。

 

そもそも偶然あの像のギミックが作動しなければ、学園にこんな地下施設があるとは露も知らなかっただろう。

 しかし何故自分はこの不振極まりない彼にここまで関わろうとするのか。知らず知らずのうちにナアナアと続けているが時折彼を不気味に感じる。

 まるで自身のクラスメイトのように。

 

 

 

 

 

 

「苗木君、いきなりだけど僕は感謝してるよ君のこと」

「んえ?」

「こんな薄暗く気味悪い得体のしれない地下に引きこもっている僕のところに通い続けてくれてさ」

「神崎君…」

「もしかしたら近いうちに君にちょっと面倒ごとを頼むかもしれないけど‥‥」

 

 

「その時はさ。永遠に恨んでもいいから」

 

彼は少し泣きそうな笑顔で僕を見ていたことを思い出した






今更ですけどこの作品は僕の気まぐれで内容が大きく変化することもあります。
僕がこうしたいと決めた次の日には、この仮面ライダーの最終回をオマージュしよう!みたいな。
とりあえず一つのエンディング完結しているのでご了承下さい。


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