東方言葉録 (ワロリッシュたん)
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落下するプロローグ
第一話、高速自由落下


ども、ワロリッシュたんです!
初投稿です!処女です!
初めて尽くしなので、間違いが多いかと思いますm(__)m
指摘してくれると嬉しいです。
では、よろしくお願いします。


体を包み込む浮遊感、

 

下に見えるのはコンクリートの地面、

 

そう僕は今!決死の紐なしバンジーに挑んでいるところだ!!

ーー自分の意思じゃないけど。

 

 

物語の始まりは、空から女の子が降ってくるとかがよくあるけど、

僕は男だし、

降ってくるじゃなくて降ってるだし。

物語の始まりどころか、終わりへ真っ逆さまである。

 

なぜか、恐怖という感情はない、

屋上から落ちて即死確定なのに。

・・・・親友と同じところに行けるからかな?

 

走馬灯は見れてないので、その代わりと言っちゃなんだけど、僕が今こうして飛んでいる経緯でも思い出してみるかな。

 

ーーーーーーーーーーーー

 

僕は林檎好きのごく一般的な高校三年生。

強いて違うところをあげるとすれば、ちょっとした能力が使えるってとこカナーー名前は日下部 真言(クサカベ マコト)

 

そして事件は新学期の始まり、始業式の日に起きた。

なぜか始業式は校長不在で、「校長の話」ではなく「教頭の話」となっていた。

教頭は、校長に比べて生徒や教師に人気がなく、セクハラまがいの発言をすることで生徒に嫌われていた。

そのような教頭の話を聞く生徒はおらず、僕も聞き流していたが、教頭は聞き捨てならない言葉を言った。

 

「皆も進藤のような愚かなことをしないようにーー」

は?

「進藤は、神聖な学び舎で自殺をした愚か者だ!」

黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ

お前に何がわかる、お前に何がわかるんだよ!!

 

『黙れ』

と僕は言う

 

すると、教頭の口は強制的に閉じられた。

まるで、誰かに力強く押さえつけられたように

これが、僕の能力ーー『【言葉を現実にする】程度の能力』だ。

 

教頭は声を出したいのに、強制的に口を閉ざされているので、「あが、あが、あがが」と滑稽な声をあげている

 

そして、聞こえてくるのは全校生徒の笑い声。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

時は流れて放課後、屋上にて。

 

僕は進藤が死んでからというもの、よくこの屋上に足を運ぶ。

そして、フェンスから外を見渡すのだ。

一体、進藤は自殺する時一体何を考えていたのだろうか・・・・と考えながら

まあ、考えても答えはでないんだけどね

 

はぁ、それにしても今日は疲れたなあ、久しぶりに能力をあんなに強く使ったから、体力的に疲労感が半端じゃない

 

僕は、フェンスに背を向けて体重をかける、するとーーーーー

 

ガシャン

 

老朽化か、それとも誰かが悪戯したのか、

フェンスは音をたてて壊れた。

 

僕は落ちまいと足に力を入れて持ち堪える

 

が、誰かが僕を押した

僕を押した人の姿は一瞬だが、目に入った、その人は金髪の短髪で尻尾・・・・?を生やした女性?だった

 

僕はそのまま空に投げ出されたーーーーーーーー

 

回想終了。

 

では、このまま高速自由落下にまいります(笑)

 

そこから先は速かった。

あっと言う間に地面が目の前にきて

 

ーーーーーー暗転

 

なぜか、痛みがなかった。

不思議に思い、目を開けてみるとーーーーーそこは、茸がたくさん生えている森の中だった。

 

「ここは天国?」

「・・・ちがうよ」

「そう、ってえっ!?」

誰だ!?

後ろを振り向くとそこには黒い服の金髪の幼女がいた

そして彼女は言った

「ところで、貴方は

 

食 べ て も い い 人 間?」

 

 

続くわよ!読んでね!素敵なスキマのお姉さんからのお願いよ?



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第二話、そんなことより命とられちまうよ

第二話です。
イラストを描けるようになりたいといつもいつも思っています。
では、よろしくお願いします。


「ーーー貴方は食べてもいい人間?」

「えっ!?」

 

理解が追いつかなかった。

どういうことだ?

あの金髪幼女はなんていった?

人間?食べる?

現代で人肉を食べるやつなんていないーーーじゃあ、性的な意味でか?

 

「いやいやいやいやいや」

「?」

 

金髪幼女がキョトンとしちゃってるよ!

急に頭を抱えていやいや言ってる僕に若干引いてるよ!

少し、心にくるものあるよ・・・

 

「はっ」

思考が止まってた!いけないいけない。

では、何かの比喩表現だろうか?

もしくは、僕が知らないだけで現代でも人肉を食す文化が存在するのか!?

 

「もうどっちでもいいや

 

いっただきま〜す」

 

そう言った刹那、金髪幼女は僕に向かってで飛びかかってきた!

 

「うわぁ!」

 

これを紙一重で避けたーーーーーあとで思い出すとこれを避けることができたのは、奇跡だったのだなと思う。

 

驚くべきことに、金髪幼女は僕が

避けた先にある木を噛みちぎっていた

 

「なんで、食べさせてくれないの?木なんておいしくないよ」

 

その瞬間僕は理解した。

この金髪幼女は本気なのだと、本気で僕を食らいにきているのだと。

 

「今度こそ〜いっただっきま〜す!」

 

金髪幼女はまたも飛びかかってくる!やばい!

僕はとっさに能力を使う。

力を込めて言葉を放つ!

 

『止まれ』

 

そうすると、金髪幼女は飛びかかってくる姿勢のまま動きを止めていた。

 

「あれ?動けない、なんで?」

 

一息つこうとした直後

 

「えい」

「ふぇ?」

 

金髪幼女が動き出した

 

そして僕は逃げ出した

 

「おかしい!おかしい!普通の人間なら1分は動きを止めるはずなのに!!10秒ももたないなんて!!」

「まつのかー」

「『止まれ』ぇぇぇぇぇ!!」

 

さっきと同じ方法でちょくちょく金髪幼女の動きを止めつつ、走る。走る。走る!!

 

ある程度距離が離れたら、金髪幼女は飛びかかるだけの今までとは違う行動を始めた。

 

両手を前に出して手からーーーーー

 

球を放った。

 

「なぁにそれぇ!?」

 

 

球というより弾?どっちでもいい!そんなことより命(タマ)とられちまうよ!!

 

「うひゃん!」

大きく横に跳んで球を躱す。

 

バキィ!

 

森の木を吹き飛ばして消える球。

 

「死ぬかと思った・・・。」

そう思ったのもつかの間、金髪幼女はさらに球を連射してくる。

 

「うわっ!」

頭を狙って飛んでくる球をスウェーで躱し、走り出す。

 

「走るしかない!どこにゴールがあるのかわからないけど!!」

 

幸運なことに飛んでくる球の数は少なく、素人の僕にも躱すことのできるレベルだった。

 

「そうーー当たらなければどうということはない!!」

 

「じゃあ、こうするのかー」

「ふぇぇぇ?」

 

金髪幼女はカードのような何かを取り出し言う

 

「夜符『ナイトバード』」

「なんだそれはぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

彼女がナイトバードと言った直後、今までの球とは質も量も段違いの球の塊が僕を襲ってきた。

 

今までの球は小さく、数が少なかったため、僕でも体を大きく動かせば躱すことができた。

しかし、今回はーーーーー

「どうあがいても躱しきれない!?」

 

迫り来る球の塊、それが自分にぶつかりそうになった刹那、僕は思考を切り替えたーーーーーー躱すのではなく、防げばいいのだと!!

 

僕は、力を込めて森の木々に言葉を放つ!

『曲がれ』

 

すると、木々は曲がって球の塊の前に即席のバリケードができた。

 

「これで・・・・」

 

守れると思った?残念!!大爆発でした!!!

 

そう、球の塊はバリケードごと、僕を吹き飛ばした!!

 

「ぐっがはっ!」

 

吹き飛ばされる僕。

そして、頭から地面に着地するーーーー意識を失う刹那、僕は灯りのついた家を見つける。

 

『開け』

 

僕がそう言うと、家の扉は開いたーーーーーそれが、僕が見れた最後の光景だった。

 

続くのかー



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第三話、まーがとろさん

iPhoneの充電器が壊れました。


「上海ー?蓬莱ー?紅茶をお願いするわ」

「シャンハーイ」

「ホラーイ」

 

私ーー七色の人形遣いアリス・マーガトロイドはいつものように紅茶を人形達にお願いする。

 

しかし、今日は普段と違っていた。

 

なかなか人形達が紅茶を持ってこないのだ。

 

「ちょっとー、上海ー?蓬莱ー?」

 

不思議に思い、私は部屋を移動する。

 

「シャ、シャンハーイ」

「ホラーイホラーイ」

 

なぜか、上海人形と蓬莱人形は家の扉の前で外を見ていた。

 

「えっ?外に何かあるの?」

 

私も人形達と一緒に外を見てみるーーーそこには、いつもとは違った光景が広がっていた。

 

人間が宵闇の妖怪ーールーミアって名前だったかしら?に襲われていた

 

「なるほど、だから紅茶が遅かったのねーーーでも、扉は貴方達が開けたのかしら?」

 

人形達は私の問いに首を振って答える

私の家から、あの人間やルーミアまで距離があるし

いったい誰が開けたのかしら?

ラッキーな人間もいたものね

 

「はぁ、見捨てるのも目覚めが悪いし

上海!蓬莱!やるわよ!」

「シャンハーーーーーイ!!!」

「ホラーーーーーーイ!!!」

 

・・・・・なぜか、いつになく人形達がやる気満々だったのだけれど

 

『戦符【リトルレギオン】!!!』

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

体が痛い・・・『痛い』?

僕は生きているのか?

あー、食べられたけど消化まで時間ってかかるよねーーー

 

「ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーイ!!」

飛び起きる僕。

そんな僕を襲う痛み。

「・・・・いててててて!!!」

「やかましい人間ね」

「あえ?」

 

女性の声が聞こえる。

金髪で落ち着いた物腰の女性が紅茶を片手に話しかけてきた。

あれ?僕は食べられたんじゃないの?

あ、その女性も食べられた仲間かな?

僕と同じ胃袋ルームメイトかしら?

 

「言っておくけど、ここはあの妖怪の胃袋の中ではないわよ」

「じゃあ、ここは?」

 

目の前にいる金髪の女性に尋ねる。

 

「ここは、私の家よ。

私が襲われてた貴方を助けたの。

私の名前は「シャンハーイ」・マーガトロ「ホラーイ」、ちょっと!!上海!?蓬莱!?」

「はぁ、まーがとろさんですか

どうも、僕は日下部 真言といいます

ピンチのところをお助けいただき、ありがとうございます」

「ちょっ、まーがとろってなによ!?

私は、アリス・マーガトロイド!!!

七色の人形遣いよ!

呼ぶならアリスって呼びなさいよ!

真言!」

 

初対面だけど、アリスをからかうの面白いと思ってしまった大変失礼なマコトくんです(はぁと)

本人には言わないけどね

 

「で?どうして貴方は妖怪に食べられそうになっていたの?」

 

僕は今までの経緯を説明した、屋上から落ちたらここにいたこと、目を覚ましたらいきなり金髪幼女に襲われたこと。

 

「そう、でも不自然ね」

「どうしてですか?」

「普通、外からくる人間はこの森ーー魔法の森にはこれないようになってるのよ

あと、敬語やめてくれる?

普段聞き慣れてないから、なんか嫌だわ」

「わかりまし・・・うん、わかった

で、なんでこの森は人間はこれないの?」

 

と、僕が聞くとアリスは魔法の森は瘴気で満ちていて、人間はおろか妖怪ですら居心地の悪い場所だということを説明してくれた。

 

「で、貴方はこれからどうするの?

まあ、外の世界に戻るわよね

案内するわよ、ついてきなさい」

 

といってアリスは外に出るため、扉に手をかけたーーーーー僕はアリスの手をとり、彼女を止めた

 

「なに?どうしたの?」

「いや」

 

僕は息を大きく吸い、ハッキリとアリスに告げた

 

「いや、僕は外の世界には戻らないよ」

 

この言葉が僕の物語の始まりだった。

 

続くわよ!

シャンハーイホラーイ



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第四話、白黒?オセロかなにか?

はい、第四話です。
もうすぐ、弾幕ごっこが書けると思うとワクワクしてきました!!
では、よろしくお願いします。


僕が外に戻ろうとしない理由、これを語るためには僕の親友であるーーーー進藤 話花(シンドウ ワカ)について語らなければならない。

 

彼女と出会ったのは中学二年の時だった、特別な出会いなどではなくただ同じクラスになった、ただそれだけだった。

彼女は寡黙で、一人でいることが多かった。

そんなクラスでも地味なタイプな彼女だったけれど、僕はなぜか親近感というか、彼女に興味を持っていた。

その頃の僕は自分の能力を自覚していた、だから僕が彼女に興味を持ったのは必然だったのかもしれない

ーーーーそう彼女も僕と同じく能力持ちだったのだ

 

『【精霊と会話し、使役する】程度の能力』

それが、進藤 話花の持つ能力であった。

 

精霊というのは、万物の根源となる気である。

だから、実体はない。

しかし、彼女が水の精霊を使役すれば水が湧き出て、炎の精霊を使役すればマッチも無いのに火がついた。

 

便利な能力だと思うだろうか?

僕もそう初めて彼女から能力について聞かされた時、そう思った。

しかし、その能力は現代社会においては便利でもなんでもなかった。

蛇口をひねれば水は出るし、マッチをこすれば火はつく。

さらに、精霊には実体はない。

だから、彼女は両親にも同い年の子供たちにも気味が悪いと思われていた。

なぜなら、他人から見れば一人で話しているようなものだから。

 

それが理由だったのか、彼女はあまり他人と関わり合いをもたないようにしていたそうだ。

そんなことをしているうちに、彼女はいじめの標的にされていた。

 

彼女が汚された制服を能力で水を出して洗っていた時、偶然僕はその現場を見て、彼女に話しかけた

 

「君も不思議な能力を持っているんだね?」

「っ、あ、あなたも?」

「うん」

 

これが僕等の初めて交わした会話だった。

 

それから、同じような境遇だからだろうか

ーーー僕等はお互いを親友と呼べるようになる仲になった。

さらに、僕は彼女を守ると誓った

 

そして、僕等が高校生になって数ヶ月が経ったある日、事件が起こった。

 

彼女が能力で他人を傷つけてしまったのだ

 

傷つけてしまった理由をいくら聞いても彼女は僕に教えてくれなかった。

 

それから、僕等にすれ違いが起こってしまった。

だからだろうか

 

彼女は狂ってしまった。

 

そして、その日は訪れる。

 

結果を言うと、屋上から飛び降りて彼女は自殺したーーーーーーーーーーと『言われている』

 

なぜ、『言われている』という曖昧な表現をするのかというと

 

彼女の死体は見つかっていないのだ

 

屋上にあった彼女の上履き、遺書から飛び降り自殺だと判断されたらしい。

 

しかし、僕はそうは思わない。

 

彼女も、僕と同じように幻想郷にいるのではないか?

いや、絶対にいる。

 

僕はそう確信している。

 

精霊という言葉のもう一つの隠された意味

それが僕の確信の根幹をなす。

 

精霊という言葉には、【妖怪、妖精、幽霊、神、鬼】を指す意味がある

 

そう、まさに幻想郷を形作るモノではないか

 

だから、僕は彼女を探す。

彼女を見つけて話をするんだ。

・・・なにを話せばいいかまだ決まってないけど。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

と、アリスに僕がここに残る理由を言うと彼女は納得したように言った。(最後の精霊の隠された意味については伝えてないけど)

 

「そう、ここに残る理由は納得したわ

けれど、貴方はここで生き残ることができると言うの?

聞いた限り、能力はあるみたいだし、普通の人間に比べると強い霊力を持ってるだけど」

 

アリス曰く、魔法の森の瘴気に耐えられるのは強い霊力のおかげらしい

 

「さっきの妖怪くらい倒せるようにならないと

幻想郷では生きていけないわよ」

「でも・・・」

 

僕は引くわけにはいかなかった。

彼女を守る誓いを果たすために!

 

「霊力を使う才能はありそうなんだけどねぇ、魔法の才能はなさそうだから、正直私には貴方を手助けすることはできなさそうよ

・・・・・せめて同じ人間である白黒や紅白なら話は違うんだろうけどね」

 

なんで色が関係あるんだろう?

 

「白黒?オセロかなにか?紅白?めでたい!?」

思ったことを口にする。

 

「おいおい、誰がオセロなんだぜ?」

「えっ?」

 

アリスの家の扉が開いて一人の少女が立っていた。

一般人が想像する典型的な魔女っ娘の姿をした少女だった。

 

「話は聞かせてもらったぜ

私は霧雨 魔理沙

普通の魔法使いさ」

 

 

・・・・・・また金髪かよ

 

 

続くんだZE☆

 

 

 



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第五話、弾幕はパワーだぜ!!!前編

登場人物が主人公以外全員金髪な件
正直、独自解釈がかなりあるかもです。


先に言っておこう、心が折れそうだ

 

今日、魔理沙とアリスから教えてもらったこの幻想郷での常識があまりにも僕の住んでいた世界での常識とかけ離れていたからだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アリスに僕がここに残る理由を話したこの日、まだルーミアにつけられた傷が完治していない僕はアリスと魔理沙にこの世界ーーー幻想郷についてとここでの戦いのルール、そう『弾幕ごっこ』について教えてもらうことになった

(ちなみに、魔理沙は僕がここに残る理由を一字一句漏らさず聞いていたらしく、感動した!!と言ってくれて、物凄く協力的だった)

 

僕が聞いたことをまとめると次のようになる

 

『弾幕ごっこ』

・人間、妖怪両方が知る決闘方法

・揉め事の最も有効的な解決方法

・弾幕ーーー能力で生成した弾をばらまいて闘う、威力もそうだが、見た目にも重点を置くらしい

・弾幕はパワーだぜ!!!

 

『スペルカード』

・自分の必殺技を記したカード

・発動するときはその名前を宣言する

・弾幕ごっこの前にスペルカードの使用枚数を宣言する、宣言した枚数のスペルカードを全て使いきっても負けとなる

 

『幻想郷』

・二つの結界により外の世界と隔離されている理想郷

・外の世界では忘れられた妖怪や妖精などなどが存在している

・時々異変が起こる

・油断すると死ぬ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

弾幕ごっこについての説明が終わった次の日、魔理沙に弾幕を見せてもらうことになった。

「で、これが弾幕なんだぜ」

と魔理沙は言って、手のひらに光球を生み出して空に向かって放つ

 

「わぁ」

正直、感動した

 

「感動したか、そうかそうか!

でも、これができなきゃここでは生きていけないんだぜ?」

「そうだった」

 

がっくりと肩を落とす、感動してるだけではいけないのだ。

これから、僕も弾幕ごっこをするようにならなければならないのだから。

 

「で、弾幕ってどうやって作ればいいの?」

まず、方法を聞いてからだ!諦めるのは!

と思い、魔理沙に尋ねてみたーーーーすると、返ってきたのは驚きの答えだった

 

「こう、うぉーってなってぎゅっとして、どかーん!!!だぜ!!」

 

わぁい、イミワカンナイ

うん、薄々気づいてた魔理沙ってさ

体育会系だよね

魔法使いなのに

 

ガシャーン

あ、アリス、魔理沙の返答にずっこけてやがる

 

「ちょ、ちょっと魔理沙ぁ、それじゃ誰にも伝わらないでしょ」

アリスが助け舟を出してくれる

「なんだとアリス、私の説明に文句があるのか?」

「大有りよ、なにそれぎゅっとしてどかーんって

フランドールじゃない」

フランドールって誰?

 

「仕方ないだろ!だって方法を意識しながら弾幕ごっこなんてできないんだぜ!」

はい、今までの流れを無にする魔理沙先生の発言いただきましたーーーーー泣きそう(´;ω;`)

 

僕に残された手は

「うぅ、助けてアリスぅ〜〜〜」

アリスに泣きつくことしかなかった

 

「そ、そうねえー参考になるかどうかわからないけれど私のやり方を説明するわ」

 

・・・・・なんだかんだいってアリスって面倒見いいよね

 

「私の場合は魔力なんだけど、それを手のひらに集中させてそれを球形に留めて飛ばす。

貴方はそれを魔力じゃなくて霊力にすればできるんじゃないのかしら?」

 

霊力って言うのはアリス曰く、人間の生命力のエネルギーだと言う

また、魔法使いの生命力を魔力、妖怪の生命力を妖力というらしい

 

つまり、弾幕は自分の生命力を球形に変えて作り出すのだ

 

方法はわかったーーーーーけど

 

「できない」

「んー、仕方ねーな

ほら、ちょっと手ぇだせ」

 

魔理沙に言われた通りに手をだす

そして、魔理沙は僕の手に向かって自分の手を

 

バッシーン!!

 

叩きつけた

「いってぇぇぇぇぇー!

なにするんだよ!魔理沙ぁ!」

「ほら、自分の手を見てみろよ」

 

半泣きになりながら、自分の手を見る。

すると、なにか黄色いもやのようなものが見えるようになっていた。

 

「?なにこのもやみたいなの?」

「それは、私の霊力だぜ

私の霊力を少し、お前に分けてやったのさ」

 

なにか掴めたような気がする。

 

集中する、自分の生命力を感じる

 

そして、自分に向けて言葉を放つ

 

『集まれ』

 

手のひらにエネルギーが集まっていくのがわかる、あとはこれを球形に留める!!!

 

「で、できた!!」

「あら、すごいじゃない

・・・・・正直、私はもっと時間かかると思ったわ」

「ふん、私はこれくらい楽勝でできると思ってたぜ」

「ははは、二人ともありがと」

素直にお礼を言っておく

 

「私はなにもしてないわよ

貴方の努力の結果よ」

「私の教え方は完璧だったからだぜ!」

 

魔理沙・・・ドヤ顔やめろ

 

「ところで、真言の霊力は緑色なんだな

私のは、黄色だし

霊夢のは、水色だった」

「色によって違いがあるのかしら?」

「さあ?わからないのぜ」

 

 

「さて、真言も弾幕を作れるようになったし、

私と弾幕ごっこだぜ!!」

「わかった!」

 

よし、僕の初めての弾幕ごっこスタートだ!!

 

「・・・・真言、なにか大事なこと忘れてないかしら?」

 

うん、アリスさん

気づいてたならもっと早く教えておいてくださいよ

 

あやや、続きますよ?

 

 

 

 




注意、魔理沙は霊力と魔力を混ぜて弾幕を作っています。


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第六話、弾幕はパワーだぜ!!!中編

前、後編で終わらせるつもりだったのですが
前、中、後編になってしまいました_| ̄|○


「マスタァァァァスパァァァァァク」

どうも!おはようございます!こんにちは!こんばんは!

絶賛極太レーザー接近中の真言くんです!

 

・・・うん、わかってた

僕は飛べないし、スペルカード持ってないし

勝負以前の問題が発生していることぐらい。

 

落ち着け!冷静になれ!そう、KOOLになるんだ、日下部真言!!

食らったら死ぬ!食らったら死ぬ!

 

だけど、躱すにしても空も飛べないような貧弱一般人の僕ではムリゲーだ!

 

ん?飛ぶ?そうだ!飛べばいいんだ!

魔理沙は地面にいる僕を狙って攻撃してきた

だから、空に飛び上がれば回避できる!

 

こ、これしかない!!

霊力を思いきり込めて自分に向けて言葉を放つ

「『飛べ』ぇぇぇぇぇぇー!!」

 

結果を言うと、僕は飛べた

物凄いスピードで真上に飛び上がり、マスパを躱すことができた

 

だが、宙にとどまり続けることができずに落ちた

そして、地面に落下し気を失った

 

・・・・後からわかったんだけど、スピードと飛行時間は霊力の使い方で調節できるのだという

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

私、アリス・マーガトロイドは飛んで落ちた真言について、紅茶を飲みながら魔理沙と話をしていた

 

「はぁ、やる前に気づきなさいよ

スペルカード持ってないし、飛べもしないことくらい」

「ドジな奴なんだぜ」

「貴女もよ魔理沙、なにが先手必勝よ

いきなりマスタースパーク使われて対応できるわけないじゃない、今回躱すことができたのは奇跡に近いわよ」

「まあ、反省してるぜ

けど、真言のやつ私と同じくらいのスピードで飛び上がったな」

「そうね」

 

そう、彼の飛行速度だけは評価できる

 

下手すれば私より速い

 

なにより、彼が飛ぶ瞬間、彼の体は緑色の光を放った

彼は肉眼で色が確認できるほど濃密な霊力を使うことができるのだ

そんなことができるのは、霊夢や魔理沙レベルだ

 

そして、彼が言った彼自身の能力『【言葉を現実にする】程度の能力』ーーーー将来、彼は強力な使い手になるのではないのだろうか

 

私の中ではもう彼を外の世界に戻そうとする考えは浮かんでこなくなった

もう少し訓練すれば、彼は十分幻想郷でも生きていけるーーー私はそう確信した

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕がこの幻想郷で生きていくうえで、頼ることができるのは、『【言葉を現実にする】程度の能力』だけだ

 

だから、僕はこの能力と向き合わなければならない

 

沈む意識の中、僕は能力について考えていた

 

言葉を現実にするーーーーー聞こえはいいかもしれないが、皆が思っているほど万能な能力ではない

 

僕の能力が通用するのは、人だけでなく、僕が正しく認識しているものであれは、あらゆるものに通用する

 

しかし、通用するのは僕の視界に入っているものに限る

たとえば、『曲がれ』と言えば、目の前の木を曲げることはできても、どこかわからない木が曲がることはない

 

そして、僕が使えるのはまだ動作の命令のみである

 

最後に、決定的なのは

僕自身のスペックが低いため

回数制限があり、自分より格上の相手にはたいした拘束力を持たないということだ

 

けれど、僕はこの能力を使って生きていく

 

人間は知恵を使って生きる生き物だからだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はい、これ」

目を覚ますと、アリスに3枚のカードを手渡された

 

「これがスペルカード?」

「そうよ、これに貴方の技を記録するのよ」

「でも、やり方がわからない」

「これに関してはやり方なんてないわ、貴方と貴方の能力の問題よ」

 

アリス曰く、スペルカードに記録できるのは自分の能力で再現可能な技だけなので、他人のスペルカードは使用できず、他人に作ってもらったスペルカードではうまくいくことはほぼなく、うまくいったとしても弱いものになることが多いらしい

 

「ま、自分ができる派手なことを記録すればいいんだぜ

簡単だろ?」

 

・・・・魔理沙はなんでも簡単そうに言うなぁ

簡単だと思うのは魔理沙だけでしょうに

 

でも、なんでだろう魔理沙にそう言われると

できるような気がする

 

「よし、じゃあできたら外に出ろよ

今度はちゃんとした弾幕ごっこをやろうぜ!」

 

・・・・うん、こいつはただ暴れたいだけだ

まあ、待たせるのも悪いし、即席で二枚のスペルカードを作り上げ、外にでた

 

「死にそうになったら助けてあげるわよ」

アリスさん優しすぎ泣いた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よっしゃ、行くぜー!」

魔理沙は箒に乗って飛び上がる

僕も飛び上がり、空中で静止する

 

・・・・一回大失敗してるから、大分コツがわかってきた失敗は成功のもとだよね☆

 

「じゃあ、弾幕ごっこスタートだぜ!」

というと、魔理沙はさっそく弾幕をばらまいてくる

 

球形と星形の混ざった弾幕。

正直、見惚れそうになってしまったが、

避けられない弾幕は自分の弾幕で消しつつ、回避していく

 

「ほう、初めての弾幕ごっこにしてはいい動きじゃないか!

私の想像以上だぜ」

物凄く楽しそうに魔理沙は言う

「お褒めいただきどうも」

会話しながらも僕は全力で頭を回転させる

正直、勝てる可能性があるのは魔理沙が『マスタースパーク』を出したときしかない

この、マスタースパーク対処用に作ったこのスペルカードで

 

「やっぱ、通常弾幕じゃ、落とせないな

なら、一発いっくぜー!」

そう言うと、魔理沙はスペルカードを懐から取り出す

 

来るか!?『マスタースパーク』!?

 

『魔符【スターダストレヴァリエ】!!!』

 

違う!?『マスタースパーク』じゃない!?

素人の僕でもわかる、圧倒的な魔力と霊力ーーーこれは避けられないーーーーーそう思った僕は一枚のスペルカードを発動させた

 

『虚偽【ワードオブマウス】』

 

その直後、『スターダストレヴァリエ』は凄まじい光を発しながら発射されたーーーーー僕とは真逆の方向に向かって

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あー、魔理沙ってば学習能力がないんだから

『スターダストレヴァリエ』なんて真言が躱せるはずないじゃない」

まあ、真言が死なないように助けてあげましょう

そう私が思って、人形達に真言を守るように指示しようとしたーーーその直後、凛とした声が響いてきた

 

『虚偽【ワードオブマウス】』

 

真言の声だった、それを聞いた私の世界への認識が

 

『ずれた』

 

ずれた、というのは正しい表現なのかはわからないが

実際の世界とは違う、全く別の世界を見せられたような

そんな感覚

 

そして、その感覚が終わった後残ったのは

真言とは真逆の方向に向かって放たれた『スターダストレヴァリエ』と無傷の真言だった。

 

あーうー続くよー



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第七話、弾幕はパワーだぜ!!!後編

後編です
弾幕ごっこをや ら な い か
よろしくお願いします!


私ーーー霧雨魔理沙は、ついこの間幻想郷に来たばっかりの人間と弾幕ごっこをしていた。

皆、私がただ弾幕ごっこをしたいだけのバトルジャンキーなんだと勘違いしてるかもしれないが、

私だって、相手の力量くらい見極めてから弾幕ごっこをする

・・・・・はずだぜ、まあ誘われたら断らないけどな!

じゃあ、なんで真言と弾幕ごっこをしようかと思ったのかと言うと、飛行速度や霊力の強さっていうのもあるけど、アイツの順応性の高さに私は興味をもったんだ。

アイツは、私やアリスが魔法使いって言ったのに、それに疑問をもっていなかったーーーつまり、

 

アイツは外の世界より幻想郷寄りの人間だったってことさ

 

んで、弾幕ごっこに話をもどすぜ

正直、『スターダストレヴァリエ』は真言を試すつもりで使った

当たったとしても気絶程度で済むレベルの威力にしていた

けれど、まさか

 

かすりもしなかったとは!!

 

ワクワクしてきたぜ!

久しぶりだ、こんなに楽しい弾幕ごっこは

確かに、霊夢やアリスとの弾幕ごっこも楽しいけど

真言との弾幕ごっこは別の楽しさがある

アイツは、何をするのかわからない

宝箱を開けるようなそんな楽しさが

真言は、そんな可能性をもったやつなんだ!!

 

さあ、お前の可能性を私に見せてみろ!!!

 

『彗星【ブレイジングスター】!!!!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『マスタースパーク』じゃないのかよ!!!!

世の中思い通りにはいかないものだなぁ

次こそ『マスタースパーク』が来ると思っていたのに

僕の手元にあるスペルカードはあと二枚、

その内容は、『マスタースパーク』対処用スペルカードと何も記録していない白紙のスペルカード。

これでは、避けることも守ることもできない

終わった、Game over(´;ω;`)

 

対処法も決まってないのに、魔理沙は待ってくれないし、

箒に乗って星形の弾幕をばらまきながら突進してくる

 

僕はそれをただ見て、避けることすらできなかった

せいぜいできたのは、霊力を集めてダメージを軽減することくらい

 

そして、感じる鋭い痛み

そのまま僕は、地面に衝突した

 

あぁ、負けちゃったか

まだ、スペルカードを使い切ってすらいないのに

 

悔しいなあ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あちゃー、ちょっと真言が戦えるからって調子にのっちまったぜ」

 

『ブレイジングスター』が真言に直撃した後、後悔する私。

だって、もっとできると思ったんだぜ?

 

弾幕ごっこはこれで終わりだ

と思って私が真言を回収しようと着地したーーーーその直後、

 

『言霊【生きるという意味】』

 

真言は二枚目のスペルカードを宣言した

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

薄れていく意識の中に僕は見た

 

親友である進藤話花の姿を

・・・・・ああ、これは過去の記憶か。

話花は中学の制服を着ていた。

そして、中学生の頃の姿の彼女は僕に向かって言うんだ。

 

「言葉にだって精霊はいるんだよ【言霊】って言うの。

君の能力は言い換えれば、言霊を扱う能力とも言えるんだよ?

だから、感じてみて?

 

言霊を。」

 

【言霊】ーーーーーーその単語を思い出したとき、僕の中で何か歯車のようなものがカチリとはまる音がした!!

 

そして、僕にも見えた【言霊】の姿が。

【言霊】は、僕に近づくと一枚のスペルカードに変わった。

 

そして僕は宣言した、そのスペルカードを

 

『言霊【生きるという意味】』

その直後、スペルカードから言霊が出てきて、言霊は僕に言霊自身の霊力を分け与えてくれた。

すると、体はボロボロだけどエネルギーが満ち溢れてくる!!

 

うん、まだ体は動く。

僕は立ち上がる。

僕には勝利の可能性がまだ残っている!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

驚いたぜ、まさか『ブレイジングスター』をまともにくらって立ち上がるとはな

 

そして、もっと驚いたのは

真言のやつ、ボロボロなのに私に向かって

 

手招きして、挑発しやがった

 

ふぅん、いいぜ!

私のフェイバリットスペルカード、『マスタースパーク』で終わりにしてやる!!

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおお『恋符【マスタースパァァァァク】』!!!」

 

私のミニ八卦炉から極太レーザーが放たれる

 

これが私の全力だぜ!!!真言!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「マスタースパァァァァク!!!」

 

思わず笑みが漏れそうになる、

やっときたか『マスタースパーク』!

待ってたんだ!

 

そして、僕も最後のスペルカードを発動させる

 

『反射【曲解される言葉の意味】!!!』

 

スペルカードが発動した直後、魔理沙の『マスタースパーク』はその向きを変えて魔理沙に向かって進んでいった

 

そこから先の記憶はない、スペルカード発動後僕は意識を手放してしまったからだ

 

続くわよ!あたいったらさいきょーね!

 

 

 



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異変調査編
第八話、素敵なお賽銭箱はあっちよ


タイトルからして
誰が登場するのかわかりますね?
では、よろしくお願いします!
今回はいつもより長めです
なので、ミスがあるかもしれません
見つけたら御指摘お願いしますm(_ _)m


「いやー驚いた驚いた」

「はぁ、あんたも呑気なものねぇ」

興奮さめやらぬ感じの私の呟きにアリスは呆れ気味に反応する

 

いやーだってさ、本当にびっくりしたんだぜ?

だって、真言以外のみんなは私のマスパを避けるか力勝負をするかのどっちかだったからな、跳ね返すなんて斬新すぎるアイデアだぜ。

 

まあ、結果的に私の全力マスパを完全に跳ね返すことはできず私には当たらなかったから、アイツもまだまだだってことだな。

 

あのあとアイツは気絶しちまったから

弾幕ごっこは私の勝ちだったが、

自分の能力を応用して私に幻覚を見せて『スターダストレヴァリエ』を回避したり、『ブレイジングスター』が直撃しても立ち上がったアイツーーーーー日下部 真言を、私、霧雨魔理沙は十分幻想郷でも生きていけると判したので、アリスにそれを告げる

「な?言ったろ?

真言は面白いやつだって」

「そうね。」

「おいおい、淡白だな

あれくらいの実力があれば、ここでも十分生きていけるだろ?」

 

「いいえ」

 

アリスは私の思ってた答えとは正反対の答えを言った。

「なんでだよ?

私と弾幕ごっこをしっかりやりとげるなんて、十分すぎる実力だろ?」

「貴女、気づかなかったの?

彼と私達との物凄く大きな違いに」

「物凄く大きな違いぃ?

なんだそれ」

 

「彼はさっきの弾幕ごっこで、

'一度'も攻撃をしなかったのよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ただいま、アリスのベッドの上で寝込み中の日下部 真言です!みなさん、こんにちは!

 

「シャンハーイ」

「ホラーイ」

 

・・・・人形達がうるさいので目を覚ますことにします。

 

「おはよう、上海、蓬莱」

人形達を撫でながら挨拶をすると

「シャンハーイ」「ホラーイ」

心なしか人形達の機嫌がいい気がする

そんな人形達を見て和んでいた僕に突然変化が訪れた。

 

ぐぅ〜

 

僕のお腹から聞こえる腹の虫

「あははははは、お腹減ったなぁ」

僕がそう言うと、

「シャンハーイ!」

「ホラーイホラーイ」

人形達は突然部屋を出ていった。

そして、聞こえるアリスと魔理沙の声。

「あ、ちょっと上海!?蓬莱!?

なにするのよ!?」

「ん?なんだ?

アリスに料理させようとしてんのか?

いいな、私にも何かつくってくれよ」

「なに?真言がお腹減ったって?

ちょっと、あんた達真言に優しすぎじゃないの!?」

「はははは、人形に好かれる人間ってのもいるんだなぁ!

こんな困ってるアリスは久しぶりに見たぜ」

「まったく、他人事だからって」

「ん?だって他人事だぜ?」

「シャンハーイ」

「ホラーイ」

「はいはい、わかったから!作るから!」

 

人形って便利だなぁとか思いました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さてと、じゃあこれからどうするかについてだが、博麗神社に行こうと思う」

食事を終え、不意に魔理沙が話をはじめた

「ちょっと!魔理沙!

まだ、真言には問題があるでしょ!?」

「問題?なんのこと?」

「それはーーー」

アリスが僕に説明しようとしてるところを魔理沙は遮って言う。

「それなら問題ないぜ」

「なんでよ?」

「博麗神社へは私も一緒に行くし、これは時間をかけて真言自身が気づいて解決すべき問題なんだぜ」

「そうかもしれないけど・・・」

「まあ、博麗神社に行くまでには問題ないだろ?な?」

「まあ、魔理沙がそこまで言うなら」

渋々と言った感じで、アリスから承諾を得た

 

「でも、とりあえず

これ持って行きなさい」

「なにこれ?」

アリスが僕に何かを手渡すーーーこれは、腕輪?

「まあ、お守りみたいなものよ

常につけておきなさい、特に弾幕ごっこの時は絶対に外さないこと!」

言われた通り、僕は腕輪を身につける

「アリスは心配性なんだぜ

いや、これは心配だけじゃないのか?」

「な、なによ」

「いやいや、なんでもないぜ?

いや〜あのアリスがねぇ」

「なにニヤニヤしてるのよ!?」

「にゅふふふふ、なんでもないんだぜー?」

腕輪に見入ってたら、アリスが真っ赤になってて、魔理沙がニヤニヤしていたでござるの巻

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「んじゃ、行ってくるんだぜ」

「うん、行ってくるよ、アリス」

「はいはい、いってらっしゃい」

 

そう言うと、魔理沙と真言は博麗神社に向かって飛んでいった。

 

静寂が私を包む

「ちょっと、寂しいかもね」

独り言を呟く

 

「確かに魔理沙が一緒に行けば問題ないかもしれないけど、

なぜか安心できないのよね・・・・」

私ーーーアリス・マーガトロイドが、真言に対して問題だと思ってることは

彼の性格についてだ。

 

彼は優し過ぎる

 

優しいというのは良いことだと一般的には認められているが、ここ幻想郷ではそうであるとも限らない。

ここでは『力が全て、力がある者しか認めない』という思想を持っている妖怪も少なくない。

 

そういう妖怪達の前で優しさなんてものは役に立たない

だから、私は真言が心配なのだ

そう、心配なだけ!心配なだけなんだから!

・・・魔理沙は勘違いしてたみたいだけど

 

「シャンハーイ」「ホラーイ」

「ん?なに?」

 

さっきまで、寂しそうにしていた上海と蓬莱が私を呼ぶ。

 

「シャ、シャンハーイ」

上海が指差す先にあったのは、

真言が忘れていった彼のリュックサック

 

はぁ、仕方ないわねー

 

「いくわよ?上海、蓬莱」

「シャンハーイ!!!」「ホラーイ!!!」

 

そして、私も博麗神社に向かって人形達と一緒に行くことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「おーい、霊夢ーー!来たぜーーー!」

そして、僕と魔理沙は博麗神社の鳥居をくぐる

博麗神社までの道中で、氷の妖精と弾幕ごっこしたりしたけど、それはまた別の話。

まあ、氷の妖精以外は概ね道中に問題はなかった。

 

「あら、魔理沙。

いらっしゃい、素敵なお賽銭箱はあっちよ」

博麗神社には箒を持った紅白の色の巫女服を着た少女がいて、僕等をめんどくさそうに出迎えてくれた

「キノコでいいなら入れるぜ?」

おいおい、魔理沙、キノコなんて欲しがるわけないだろ

 

「ありがたくいただくわ!!」

 

ずこっ!

僕はギャグ漫画みたいにこけた。

 

「おい、真言?どうしたんだぜ?」

「だって、キノコ・・・・」

「ああ、おい霊夢

お前今日なにも食べてないのか?」

 

「失礼ね!ちゃんと水と砂糖食べたわよ」

目がマジだった。

 

かわいそうに思った僕はお賽銭箱にそっと千円札を入れておいた

 

すると、巫女さんは

「ありがとうございます!ありがとうございます!

私こと博麗の巫女、博麗霊夢が僭越ながらご主人様のお力になります!!」

 

目をキラキラさせながら僕の手をとってブンブン振った

 

「れ、霊夢さん!?ストップ!ストップ!

ぼ、僕は日下部 真言!!真言って呼んでよ!」

「はい!では、真言様!!本日はどのような御用件でしょうか!?妖怪退治ですか?お任せください!!

私、博麗霊夢にかかればあらゆる妖怪も退治してみせます!

サーチアンドデストロイ!サーチアンドデストロイ!」

痛い!痛い!痛い!霊夢さんの腕力が強すぎて腕がとれそうです!!

「ちょ、ちょっと魔理沙!?助けて」

「お、おい霊夢、ほどほどにするんだぜ!?」

「え?あの白黒の泥棒妖怪の退治ですか!?

お任せください!!」

ちょ、霊夢さん!?

なんで魔理沙に思いっきり喧嘩を売ってるんですか!?

「ほぅ?誰が妖怪だって?

屋上へ行こうぜ・・・・・久しぶりに・・・・・キレちまったよ」

「魔理沙さん!?どうして喧嘩買っちゃってるんですか!?」

あと、屋上なんてありませんよ!?ここ屋外ですからね!?

 

『恋符【マスタースパーク】』

『霊符【夢想封印】』

 

僕の静止なんて二人とも聞かずに

弾幕ごっこをはじめてしまった

 

「はぁ、なにやってんのよ、霊夢も魔理沙も」

「あ、アリス!?」

 

そこには、常識人という名の天使がいた

 

僕は感極まって無意識にアリスに抱きついた

「わっ、ちょっと真言!?

どうしたのよ!?」

「アリスぅ〜僕にはあの二人の相手は無理だぁ〜」

「もう、仕方ないわねー」

僕はアリスに抱きつくのをやめる・・・・なんでアリスさんは残念そうな顔してるんだろう?

そしてアリスは息を大きく吸い込み、大声で弾幕ごっこをしている二人に向かって言う

 

「霊夢!そっちに小銭が落ちてるわよ!」

「魔理沙!あっちに珍しいキノコが生えてるわよ!」

「な、なんですって(だって)!?」

 

弾幕ごっこをやめてアリスが示した方に飛んでいく二人。

そして、なにもないのに気づくとアリスのところに集まって

 

「なにもないじゃないか(の)!?」

そんな二人にアリスはげんこつを落として言う

「ええい、二人とも落ち着きなさいよ」

 

はぁ、先が思いやられる・・・・・

 

続きと素敵なお賽銭箱はあっちよ



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第九話、異変が起こるってね

さあ、少しずつ物語が動いていきます。
では第九話、よろしくお願いします!


魔理沙と霊夢さんの弾幕ごっこが終わったあと、僕等は博麗神社でお茶を飲みながら話をしていた。

 

「で、ここ1、2年の間に博麗神社を訪れた外来人はいないのよね?」

アリスが霊夢さんに尋ねる

外来人って言うのは、外の世界から来た人間のことらしい。

「ええ、いないわ」

「じゃあ、ここ1、2年の間に幻想郷に訪れた外来人はいるのぜ?」

「それに関しては分からないと答えるしかないわね。

まあ、紫に聞けばわかると思うけど」

「紫?」

「ああ、真言は知らないのよね、八雲 紫。

妖怪の賢者って呼ばれてる胡散臭いスキマ妖怪よ。

彼女が主に外来人を連れてくるの」

アリスが説明をしてくれる

「へぇ」

「で、霊夢。

紫はどこにいるんだぜ?」

「それが」

霊夢さんは真剣な表情で言う

 

「最近、というかここ1、2年の間紫が行方不明なのよね。」

「え?」

「おいおい、どういうことなんだぜ?」

「だって、紫の式神に聞いても帰ってこないって言うし」

「白玉楼の幽々子には聞いたのか?」

魔理沙が尋ねる。

「いいえ、聞いてないわね。

正直、あまり追及する気にならなかったし。」

「そうか。

邪魔したな。行くぜ?アリス、真言。」

魔理沙は立ち上がった

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ちょ、ちょっと魔理沙?

行くってどこに!?」

私は急に立ち上がった魔理沙に尋ねる。

魔理沙は私の疑問に不敵な笑みをうかべて答える

 

「 ふっふっふっ、次の行き先は決まったぜ!!

冥界の白玉楼だぜ!!」

 

はぁ、こうなった魔理沙は誰にも止められない。

「仕方ないわね、乗りかかった船よ。」

「なんだよ、素直じゃないな〜

真言と一緒に行けて嬉しいくせに」

「そ、そそそそんなことあるわけないじゃない!!」

 

その時、話題の真言はというと、

私が届けた彼のリュックサックの中に入っていた

彼の自家製林檎ジャムを霊夢と舐めていた。

「これ、おいしいですね〜」

「でしょ〜」

 

真言も大概マイペースな人よね。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ、出発だぜー!」

次の目的地は冥界の白玉楼というところらしい

「冥界っていうのは、死者が転生または成仏の順番待ちの間、幽霊として住む世界のことよ。」

「へぇ〜」

相変わらずアリスの説明はわかりやすいな〜

「まあ、ちょっと距離があるけどな

真言の飛ぶスピードなら問題ないぜ」

「はぁ、魔理沙アンタねぇー

どんなにがんばったって着くのは夜になるわよ!」

「じゃあ、白玉楼に泊めてもらえばいいだけだろ?」

「・・・魔理沙、後で後悔するわよ」

まさか、このアリスの発言がのちのフラグになるとは魔理沙は知らなかった

「おい!」

「いて!魔理沙、なにするんだよ!」

心を読まれた!?

「なんとなくだぜ」

「なんとなくかよ」

「ほら、二人とも!遊んでないで出発するわよ!」

「おう!」

「わかったぜ!」

僕等は白玉楼を目指して飛び立った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さあ、着いたぜ!」

魔理沙が白玉楼の入口に着地する

「へぇ〜ここが冥界・・・・」

「ほら、幽霊がいっぱいいるでしょ?

彼等を管理しているのが、西行寺幽々子。

八雲紫の親友で今回の目的よ。」

私は真言に説明をするーーーと急に真言が前を指差し慌てていた

「えっ!ちょっと!?アリス!!あれ!!」

「なによ?」

私は真言が指差す方に視線を移すと

 

魔理沙が白玉楼の庭師ーーー魂魄妖夢に斬りかかられていた

 

「お、おい妖夢!?いきなりなにするんだぜ!?」

「問答無用!!

泥棒は斬らせてもらう!!!」

「こ、今回はなにも盗む気はないし、

盗んでるんじゃなくて借りてるだけなんだぜ〜!!」

魔理沙は箒で妖夢の剣を受け止める。

前から不思議に思ってたんだけど、物凄く丈夫よね。

魔理沙の箒。

 

「だー!こうなったら弾幕ごっこだ!」

魔理沙は帽子からミニ八卦炉を取り出す

「魂魄妖夢、参る!!」

はぁ、これだから戦闘狂共は、と私が呆れた時

白玉楼からほのぼのとした女性の声が聞こえた

「ちょっと妖夢〜やめなさい〜」

「ゆ、幽々子様!?」

そして現れる件の人物、西行寺幽々子と真言!?

いつの間に!?

「このジャムおいしいわね〜」

「お褒めいただきありがとうございます。」

ちゃっかり、仲良くなってるし!?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「魔理沙さん、すいませんでした」

「まあ、わかってくれたならいいんだぜ」

事情を理解した白髪の女の子ーーー魂魄妖夢さんは魔理沙に斬りかかったことを謝罪している

まあ、普段から疑われるようなことをする魔理沙の方が悪いと思うのは僕だけでしょうか?

 

「で、幽々子。貴女は失踪した八雲紫について何か知っているのかしら?」

アリスが本題について

ピンク色の髪の女性、白玉楼の主ーーー西行寺幽々子さんに尋ねる。

「そうねえ、ここ1、2年くらい会ってないけど

紫と最後に交わした会話が印象的だったのは覚えているわ」

幽々子さんは少し間をあけてはっきりとした口調で言う。

「彼女は言ったわ

異変が起こるってね」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

魔理沙達が白玉楼に旅立った後、私ーーー博麗霊夢は一つ大事なことに気がついた

 

紫だけでなく、萃香も行方不明だったのだ

 

思い出した直後、

博麗神社の境内に降り立つ一つの影

それはーーー

「なんだ、萃香じゃない。今までなにしてたのよ?」

頭から二本の角を生やした鬼の幼女、伊吹萃香だった

「グググ…レ…イム…ニゲロ…」

「は?あんたなにいってーーー」

私が言葉を言いきる前に萃香は私に向かって殴りかかってきた

 

続くわね〜

ちょっと〜?よ〜む〜?ご飯まだ〜?



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第十話、速すぎて消えているように見えた

はい、弾幕ごっこ二回目です。
実は、弾幕ごっこの描写は苦手だったりする
では、よろしくお願いします!


「で?これで貴女のもっている情報は全てなのかしら?」

幽々子さんにアリスは尋ねた。

しかし、返ってきたのはアリスの質問への答えではなく、幽々子さんから返ってきたのは驚くべき提案であった

「そうねえ、あるにはあるんだけれど

ただ教えるだけじゃあ面白くないわね〜

じゃあ、こうしましょう!

日下部真言さん、貴方がうちの妖夢に弾幕ごっこで勝利することができたら情報を教えましょう」

「えっ!」

「・・・どうしてですか幽々子様。」

妖夢さんは納得できないという様子で幽々子さんに尋ねる

「まだ勘でしかないけれど、今回の異変に少なからず、真言さんは関係しているわ」

幽々子さんは落ち着いた様子で言う

「なんで、真言が異変に関係しているっていいきれるのよ?」

「いいよ、アリス。

僕が妖夢さんに勝てばわかることさ」

僕ははっきりと戦う意志を示す。

「幽々子様がそうおっしゃるのであれば」

妖夢さんは立ち上がる。

「おいおい、二人とも!やる気があるのはいいが、正直ここで戦う意味はないと思うぜ?」

魔理沙は僕と妖夢さんを止めようとする

「あと、真言さんが勝ったら今夜はここ白玉楼で泊めてあげるわよ」

「おっしゃ!頑張れよ真言!絶対勝つんだぜ!!」

変わり身速いな!?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「では、いきますよ日下部殿!」

「お手柔らかにお願いしますよ、妖夢さん」

私と日下部殿はお互いに頭を下げた後、距離をとる

 

・・・正直、私ーーー魂魄妖夢は彼に対してあまり良い感情をもってはいない。

悪い人間ではないことはわかる・・・ジャムも美味しかったし。

なんというか、とらえどころがないのだ。

彼は他人と話している時でも、心はどこか別の明後日の方向を向いている・・・ような気がする。

 

悩んでいても仕方が無い!

剣で語れば、わかることだ

 

「ではーーー魂魄妖夢参ります!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「魂魄妖夢参ります!!」

 

そう妖夢さんが言った直後、妖夢さんが持っている剣を振るう

すると

 

斬撃が飛んできた

 

ああ、これが妖夢さんの弾幕なのか

咄嗟に飛び上がって斬撃を躱す

 

・・・さっきは勝てば良いなんて自信ありげに言いきったけど、正直、勝ち目がないんだよな・・・

だって、妖夢さんは明らかに剣を使った近接戦闘スタイルだから反射は使えない。

つまり、僕には攻撃手段がないのだ。

冷静なように見えるかもしれないが、内心物凄く焦っている。

だけど勝負は待ってくれない。

妖夢さんは弾幕を放ちながらどんどん距離を詰めてくる。

 

そして、いよいよ僕は妖夢さんの剣が届く距離まで接近を許してしまった

妖夢さんは僕を真っ二つにしようと剣を振るう

その瞬間、僕は能力を発動させる

妖夢さんに向けて言葉を放つ

『止まれ』

すると、妖夢さんの体は一瞬動きを止める

ほんの一瞬、だけどその一瞬だけでも止まってくれれば僕には十分すぎる!!

体を逸らして妖夢さんの剣を紙一重で躱す

「なっ」

妖夢さんは驚愕の表情を浮かべる

その隙に僕は距離をとろうとしたーーーが、とれなかった

 

『人符【現世斬】』

 

妖夢さんがスペルカードを発動させる

すると、妖夢さんは物凄いスピードでこちらに向かって突進してきた

 

速い!?これじゃ逃げきれない!

そう悟った僕は、一枚目のスペルカードを発動させる

 

『虚偽【ワードオブマウス】』

なんでか、やっぱり一枚目はこのスペルカードになっちゃうんだよな

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私の剣を躱し、距離をとろうとした日下部殿を逃すまいと私は『現世斬』を発動させたが、彼がスペルカードを発動させた直後、私は彼を見失ってしまった。

 

そして、なぜか彼はさっきまで私が斬ろうとした方向とは真逆の方向にいた

なので、私は急ブレーキをかけ、日下部殿を今度こそ斬った

 

けれど、手応えはなく

日下部殿は私の背後にいた

 

不覚!幻覚だったのか!

さらに、敵に背中を見せてしまうとは!

 

私は、日下部殿の攻撃に備えて構えるが、日下部殿はなにもしてこなかった

 

くっ、なめられているのか!?

その余裕もこの次のスペルカードでなくしてやる!!

そう思って、私はもう一つの剣、白楼剣を抜き、スペルカードを宣言した

 

『人鬼【未来永劫斬】』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

妖夢さんが二枚目のスペルカードを発動させたその直後、妖夢さんの姿が消えた。

いや、消えたという表現は少し違うか

『移動速度が速すぎて消えているように見えた』

これが正しい表現であった

 

妖夢さんは一瞬で、僕の目の前に移動し、二つの剣を十時に斬りおろした

 

素人である僕が、妖夢さんの放つ斬撃を躱しきることはできるはずもなく、

ガードごと吹き飛ばされた。

 

気絶しなかったのは、ガード中に霊力を使って全身を強化していたからだろう

しかし、ダメージは隠せない

服もボロボロだし、下手したらアバラの一本や二本折れてるかもしれない

そんな僕に妖夢さんは見下した様子で言い放った

 

「他人を傷つける勇気をもたない者が他の者を守るなんてこと、できませんよ」

 

続きます!読まないと、斬ります!



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第十一話、あるよ。とっておきの一枚がね。

妖夢戦の続きです
では、よろしくお願いします!


「他人を傷つける勇気をもたない者が他の者を守るなんてこと、できませんよ」

妖夢さんはこう言った。

この言葉のおかげで僕は自分に足りないものがわかったんだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私には、日下部真言という人間がわからなかった

なぜ、彼はあれほど攻撃のチャンスがあったにも関わらず私に攻撃をしなかったのか。

 

彼を直接斬ってみて、私は理解した。

彼は攻撃する意志がそもそもないのだ。

だから、私は言う

「貴方がもう攻撃しないということはわかっています。

だから、もう勝負の意味なんてありません、

どうせ、攻撃用のスペルカードなんて一枚もないのでしょう?

この勝負は終わりです、もう諦めなさい。」

 

私が言葉を言いきった数秒後、彼は驚くべきことを口にした

 

 

 

「いいや、あるよ。

とっておきの一枚がね。」

 

『言霊【荒唐無稽】』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

スペルカードを宣言すると、カードから言霊がでてくる

僕は言霊を掴み、そこに自分の残っている霊力をできるかぎり集める

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

「お、おい真言のやつどんだけ霊力を集めてるんだよ!?」

「そうね、集めすぎて手のひらが輝いているわね」

「やっぱり、私の見込み通りの人間だわ〜」

 

霊力を集め終わる頃には言霊は丸々と太った姿になっていた、これで準備完了だ

「いきますよ!妖夢さん!」

「ええ、私も私の最高のスペルで貴方を迎えうちます!」

妖夢さんもスペルを宣言する

 

『断迷剣【迷津慈航斬】!!!』

妖夢さんのもつ楼観剣に圧倒的な力が集まり、巨大な光の剣となった

 

「言霊!発射ぁ!」

僕が叫ぶと言霊は口を広げ、僕が集めた霊力を一気に解放した。

解放された霊力はまるで魔理沙のマスパのような極太レーザーとなって妖夢さんを襲った

「破ァァァァ!!」

妖夢さんはレーザーに向かって光の剣を振り下ろす

 

拮抗する二つの力

 

しかし、勝負には必ず終わりが訪れる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「お疲れ様、楽しい勝負だったよ」

「はい、こちらこそ楽しかったです!

ありがとうございました!真言殿!」

僕と妖夢さんは互いの健闘を称えて握手を交わす。

 

結果を言うと、弾幕ごっこに勝ったのは僕だった。

最後の拮抗は、お互いのスペルカードが制限時間を迎え、妖夢さんはスペルカードを使い切ったので僕の勝ちということになった。

 

なぜか、勝ったはずの僕の方がボロボロで傷だらけなんだけど。

 

そして、妖夢さんの僕の呼び方が日下部殿から真言殿に変わっていた。

・・・仲良くなれたってことかな?

 

 

「ライバル出現だな?アリス」

「ちょ、ちょっと!?どういう意味よ魔理沙!?」

 

続くぞ!私の授業よりも面白い物語がな・・・・うわぁああああん、もこぉおおおおおおおおおお



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第十二話、これは確かに異変だ

ワロリッシュタンバリン(  ̄・ω・ ̄ ノノ゛シャンシャンwwww
・・・・よろしくお願いします


「じゃあ、聞かせてもらうぜ」

先程の弾幕ごっこでボロボロになった真言と妖夢を(ボロボロなのは真言だけだが)寝室に寝かせた後、

私はさっそく幽々子に尋ねる。

「そうね、でもちょっと誰か博麗神社まで行ってくれないかしら?」

しかし、幽々子から返ってきたのは質問の答えではなかった。

「は、博麗神社?なんでまたそんなところに?」

「そうだぜ、あそこには異変の手がかりはなにもなかった。

行く理由がないのぜ。」

私とアリスは納得できないといった様子で、幽々子に反論する。

 

「なんだか、嫌な予感がするのよ」

・・・それは理由の説明になってないぜ

 

けれど、幽々子は真剣な顔をしていた

こういうときは絶対なにか確信があって言っているのだ

 

はあ、仕方ないな

 

「わかったぜ、私が博麗神社まで行ってくる。

それでいいだろ?」

「ええ、お願いするわね〜」

幽々子の口調はほのぼのとしたものに戻っていた

「魔理沙、私が行くわよ!」

アリス、そう言ってくれるのはありがたいのだが・・・

 

「この中じゃ、私が一番速い。

あと、私は他人の恋路を邪魔するような無粋な真似はしないようにしてるんだぜ」

と言って、アリスに向けてウィンクする

・・・うむ、我ながらきまっていたのぜ

 

・・・・・・・アリスは顔を真っ赤にして下を向いていたので私のキメキメウィンクは見ていなかったようだけど

(´・ω・`)ショボーン

 

「貸し一つだぜ?」

私は箒に跨り幽々子に向かって言う。

「お菓子なら歓迎なのだけれど?」

幽々子・・・さっきまでのカリスマは一体どこにいったのぜ?

つっこむ気も失せたので、私は博麗神社目指して飛んでいった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

魔理沙が飛んでいったのを見送った後、私ーーー西行寺幽々子は一人呟く。

 

「よかった、これで安心ね。

 

博麗の巫女にはまだ死んでもらっては困るもの」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ、この話の続きは真言と妖夢が起きてからにしましょう」

私は魔理沙の見送りを終えて戻ってきた幽々子に向かって提案する。

 

「そうね、それもいいけど

この異変、なにが起こるかわからないから、一番大事なことだけ、貴女に伝えておくわね」

「?」

私が首を傾げていると、幽々子は真剣な口調で

 

驚くべき事実を告げた

 

「貴女達は気づいていなかったみたいだけど、ここ数日の間に各地の主要な妖怪達が失踪しているわ

 

紅魔館のパチュリー・ノーレッジ、永遠亭の蓬莱山輝夜、守矢神社の八坂神奈子、地霊殿の霊烏路空、命蓮寺の寅丸星、あとは伊吹萃香くらいかしらね、私の知っている限りでは」

「ちょっと、待ってよ!

そんなに失踪しているんなら誰か気づくものじゃないの!?」

「そうね、けれど誰も気づいていない。

まるで、存在と非存在の境界を弄られたのかのようにね。」

幽々子のその言葉を聞き、私はある妖怪を連想する

 

「・・・・八雲・・・紫・・・」

「彼女が犯人だと言いきることはできないけれど、少なからず関わっているわね」

犯人とは言いきれない?

ここまで、証拠が揃っているのに?

「なんでよ?八雲紫が犯人に決まってるじゃない」

「いいえ、幻想郷を愛する紫がこんなことをするとは、思えないわ」

そういわれればそうかもしれないけど

納得はできないが、幽々子の言葉も一理あると思った

 

「じゃあ、一体誰が犯人なのよ!?」

「それはわからないわ。

けれど、紫を探すって方向性は間違っていない。

だから、貴方達はこのまま紫の捜索を続けなさい。

貴女もそろそろ気づいているんじゃないの?」

 

幽々子に言われるまでもなく、私は気づいていた。

・・・はっきりとしていなかった感覚が綺麗にまとまって一つの言葉になっていく感じがする。

ふふ、私は博麗の巫女じゃないのだけどね

 

ーーーーこれは確かに異変だ

 

「で、私達はこれからどうすればいいわけ?

正直、八雲紫に関する手がかりはなにもないわよ」

私は幽々子に尋ねる。

 

そう、異変だとわかっていても解決するための手がかりがなければ解決なんてできやしない。

私はただの人形遣い、霊夢みたいな万能な勘があるわけじゃないのだから。

 

「そうね〜正直、失踪した妖怪がいるところに行っても

相手の後手に回るだけよね〜

だから、失踪した妖怪がいない場所

太陽の畑なんてどうかしら?」

げげっ、フラワーマスターのいるあの畑!?

 

正直、気が向かないけれど・・・

「わかったわよ、他に手がかりも無いしね」

 

そして幽々子はもう話すことがないのだと言わんばかりに大きな欠伸をして、

「もう、私は寝るわ〜おやすみなさい」

「・・・おやすみなさい」

そう言って、私も白玉楼の寝室へ行くのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、夜が明けて次の日

 

西行寺幽々子は失踪していた。

 

続く!おい、ちょっとけーね!?なんで泣いているんだ!?



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第十三話、剣として

正直、太陽の畑の例の彼女を出す展開上グロを避けられない気がする・・・・


時間は遡り、魔理沙が博麗神社に着いた頃

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おい、なんだこれは・・・・」

私が博麗神社に着いたときにはもう既にすべてが終わっていて、

博麗神社の参道はいくつものクレーター状の穴が空いてボロボロになっていた。

一体ここで何が起こったっていうんだ!?

 

「おい!霊夢!どこだ!?」

恐らく、霊夢はここで戦っていたんだ

私は何度も霊夢の名前を呼んで探す

 

すると、

「う、るさい…わね…人が…寝てるっ、てのに…」

 

博麗神社の本殿で横になっているボロボロの霊夢が返事をした。

霊夢の服は所々破けて、そこから傷が見えていた

出血が酷い、医学に関しては私は素人なのだが、

素人の私が見てもヤバい状況なのは確かだ。

 

「おい!霊夢!死ぬなよ!?」

私は迷わず霊夢を抱きかかえると、

急いで永遠亭を目指して飛びたった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時間は戻り、白玉楼

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「幽々子様ーーーー!幽々子様ーーーー!どこですかーーーーー!?」

という、妖夢さんの大声で僕は目を覚ました。

自分の寝室から出て、妖夢さんに声をかける

「妖夢さん、おはようございます。

どうしたんですか?」

「あ、真言殿!おはようございます!!

突然ですが、幽々子様を見かけませんでしたか!?」

今日の妖夢さんはグイグイくるなぁ・・・

 

「いいえ、見てませにゅ」

おかげで噛んじゃったよ

「にゅ?」

「見てません!僕は見てませんよ!!」

羞恥心をかき消すように大声で言った。

 

「・・・うるさいわねえ、一体なにがあったのよ?」

僕の大声のせいで、アリスを起こしてしまったみたいだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、朝起きたら幽々子はいなくなってて、枕元に手紙が置いてあったと。」

アリスが妖夢さんの主張をまとめてくれる。

「はい、そうです。

あと、手紙の中には幽々子様のスペルカードが入っていて」

と言って、妖夢さんは手紙と一枚のスペルカードを取り出した。

「その手紙にはなんて?」

僕が妖夢さんに尋ねる。

「『異変を解決する手伝いをするように』と書いてありました」

「その内容だと、幽々子はまるで'自分が失踪する'ことがわかってたみたいね」

・・・・アリスの発言に違和感を感じた

アリスはなにか知っているのか?

「なあ、アリス。」

「なあに?」

「どうして失踪だなんてわかるんだ?」

「そうです!

幽々子様が失踪したとは限りません!

どこか遊びに行っただけかも・・・・」

「いいえ、これは失踪よ。

なぜなら、これは異変だからよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私は全速力で飛び、迷いの竹林を越えて

目的地である永遠亭に辿り着いた。

周りが竹林だからだろうか、その建物だけ浮世離れしているように見える。

 

私は、永遠亭の扉を力一杯叩き、叫ぶ

「頼む!開けてくれ!霊夢が怪我してるんだ!」

 

扉は開き、一人の少女が出てきた

明るい紫の長髪にうさみみブレザーのあざとすぎる少女、鈴仙・優曇華院・イナバが目を擦りながら私に話しかける

「なによ?魔理沙、こんな夜遅くに・・・・

ええっ!?霊夢!?

どうしてそんな大怪我して」

「理由は後だ!頼む、永琳を呼んでくれ!!」

「わ、わかったわ!待ってて!」

そう言うと、鈴仙は永遠亭の中に戻って

「師匠ー!師匠ー!急患です!!」

「あらあら、どうしたの?」

「霊夢が大怪我をしていて」

「そう、とりあえず治療室へ」

 

鈴仙は私達の元に戻って

「魔理沙、肩を貸しなさい。

霊夢を治療室に連れて行くわよ。」

「わ、わかったぜ」

 

鈴仙と二人で霊夢を治療室へ運ぶ

 

死ぬんじゃねえぜ、霊夢。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・妖怪達の失踪」

「犯人は紫様の可能性が高いと」

「そう、だけど幽々子は紫が犯人とは思えないって言ってたけとね」

私は真言と妖夢に幽々子と最後に交わした会話の内容を説明した。

 

「で、次の目的地は太陽の畑よ」

「ゑ?」

妖夢は物凄い嫌そうな顔をする、そりゃそうよね

太陽の畑といえば、あのアルティメットサディスティッククリーチャー風見幽香のテリトリーだからね

・・・・私だって行きたくはないわよ

 

「嫌ならついてこなくていいわよ

私と真言だけで行くから」

「お、おう?」

なんで真言、貴方が嫌そうな顔をするのよ

まあ確かに妖夢の嫌そうな顔からヤバさはある程度伝わったでしょうけどね

 

私が真言の手を取り、出発しようとすると

「行きます!

この魂魄妖夢!真言殿の剣として!」

「ああ、よろしく、妖夢さん」

 

こうして、私ーーーアリス・マーガトロイドと日下部真言に魂魄妖夢を加えた三人で太陽の畑を目指し旅立つのであった

 

「ねえ、なんで真言だけの剣なの?

私の剣でもあるんじゃないの?」

「こ、言葉の綾です!」

 

ZZZ・・・・ハッ!?

続きますよ!!ちょっと、咲夜さーんナイフはやめ・・・・!!



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第十四話、強さの定義

各話の終わりにある
次の話に続くコールを東方キャラにしてもらうことになりました
一話から修正して書き直したので、気が向いたら見てください
では、お願いします


どうも!皆さんこんにちは!日下部真言です!

 

ただいま、アリスと妖夢さんと襲ってくる弱小妖怪や妖精を弾幕で蹴散らしつつ、太陽の畑へ向かっています

 

アリス曰く『普段に比べて好戦的な妖怪や妖精が多い』らしい

異変の影響なのでしょうか?

 

そんな疑問を抱きつつ、飛んでいると

鮮やかな向日葵の黄色が見えてきました

 

「見えますか?真言殿

あの向日葵生い茂る場所が太陽の畑です」

「なんて、綺麗な向日葵なんだろう」

僕は思わず感動していた

「そこに住んでるやつはとんでもないけどね・・・・」

「・・・・ですね」

あれれ?

なんで、こんなに綺麗な場所なのに二人ともテンション低いの?

 

けれど、僕のテンションは向日葵の綺麗さに上がっているので、無意識に僕の飛行速度は上がっていく

 

ああ、向日葵畑の中心はどんなに綺麗な景色なんだろうか、ワクワクするなあ

 

しかし、向日葵畑の中心は僕の想像とは真逆の姿をしていた

所々に空いている大穴・・・・まるで大きな二つの力がぶつかりあった後のような

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

正直、気が向かないのよねー

太陽の畑。

風見幽香のこともあるけど

・・・・私花粉症なのよね

 

なんて、どうでもいいことを考えている間にも太陽の畑に近づいていく

 

どうして真言はあんなにテンション高いのかしら

正直、理解できないわね・・・・

 

そして、太陽の畑の中心地に一番早く着いた真言が突然止まった

 

どうしたのかしら?

その疑問の答えはすぐにわかった

 

ぐちゃぐちゃになり、穴だらけになった花畑。

これが一番しっくりくる表現だろうか

 

この荒れ方を見ただけでわかるわ

八雲紫と風見幽香が闘ったのだ

 

・・・・恐らく、八雲紫が風見幽香を今まで失踪した妖怪達と同じように連れ去ろうとしたのだ

しかし、風見幽香も八雲紫と同じく幻想郷最強の一角

上手く連れ去れずに抵抗したのだろう

その結果がこの荒れ果てた花畑ということだ

 

「だ、大丈夫ですか!?」

真言が声をあげる

 

そこにはーーー

ボロボロになった風見幽香の姿があった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「だ、大丈夫ですか!?」

僕は、家の壁に寄りかかってかろうじて立っている

赤いチェックの服を着た緑髪の女性ーーー風見幽香さんに声をかける

風見さんは頭から血を流し、彼女の左腕は本来曲がってはいけない方向に曲がっている

それよりも気になったのは、彼女の顔色は真っ青で頭をおさえていることだ

 

「風見さん?頭が痛いんですね?」

 

でも、どうすれば・・・

僕が悩んでいるのを知ったのかスペルカードから言霊がでてきて、僕のリュックサックを指差した

リュックサック?中には林檎ジャムしか入ってないぞ?

言霊は僕を見つめる

・・・・わかった

 

僕は自分のリュックサックから自家製林檎ジャムを取り出し、それをアリスの家から借りてきたスプーンにのせて

それを風見さんに持っていく

 

「これを舐めてください、良くなるはずですから!」

「いら…な、い」

風見さんは拒否する

けれど、僕は諦めない

 

「遠慮しなくてもいいんーー「うるさい!いらないって言ってるでしょ!!」

風見さんは僕の言葉を遮って叫ぶと僕を突き飛ばした

その突き飛ばしで5mくらい飛ばされた、弱っているのになんて強い力なんだ

・・・・意識が朦朧とする

 

「私は風見幽香よ!

幻想郷最強の一角!

人間ごときの施しを受けるなんて、私のプライドが許すわけないじゃない!!

人間の施しを受けるくらいなら迷わず私は死を選ぶわ!!!」

 

なんだって?今、この女はなんて言った?

プライドが許さない?死を選ぶ?

・・・・・・・・・・・・ふざけるなよ

 

「そんなプライド・・・・・・・・犬にでも食わせちまえ!!!!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーー魂魄妖夢が見たのは、真言殿が風見幽香に突き飛ばされるところからだ

 

風見幽香が叫び、それに呼応するかのように真言殿は立ち上がり叫ぶ

 

「そんなプライド・・・・・・・・犬にでも食わせちまえ!!!!!!」

 

その直後、空気が震えた

真言殿・・・・なんて霊力を放出しているんだ・・・・

 

真言殿はどんどん風見幽香との距離を詰めていき

彼は風見幽香まで辿り着き、言った

 

「他人に助けてもらうことは弱さなんかじゃねえ!

他人に助けてもらって、お返しに他人を助ければ、

それは強さになるんだよ!!」

「うるさい!私に説教なんかするんじゃない!!

人間がぁ!!!」

風見幽香は右手から弾幕を真言殿に向かって放とうとする

真言殿!?危ない!!

私が真言殿を助けようと走るが、

 

風見幽香から弾幕はーーーー

 

 

 

放たれなかった

 

『止まれ』

風見幽香は右手を真言殿に向けた体制のまま動きを止めていた

彼が能力を使ったのだ

「どうして…体が…」

馬鹿な!?風見幽香が完全に動きを止めているというのか!?

 

本来、能力の効果というのは使用者の力量と効果を受ける者の力量によって左右される

例えば、使用者の力量に比べて受ける者の力量が大きかった場合はすぐに能力の効果はなくなってしまう

つまり、今の状況は

 

真言殿の力量は怪我をしてはいるが風見幽香の力量を上回っているのだ!!

 

『口を開けろ』

そのまま、彼は能力を使い風見幽香の口を開けさせて、そこにジャムを流し込む

 

『眠れ』

風見幽香はその言葉を聞くと糸の切れた人形のように倒れこんだ

 

・・・・日下部真言、彼は只者ではないのではないか

私は彼を見てそう思った

 

「妖夢さん、アリス、風見さんを家に運んでおいて

あと、さっき突き飛ばされたとき僕の左腕も曲がっちゃいけない方向に・・・・」

「ちょ、大丈夫ですか!?

風見幽香相手にあんなことするから!!」

「てへぺろ☆」

 

・・・・私の気のせいかもしれない

 

ねえ、続いて欲しいの?それとも、虐めて欲しいのかしら?



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第十五話、ジャムの秘密

一晩に渡る霊夢の治療を終えて

服の中心で赤と青に色が別れている服を着た幻想郷の医者ーーー八意永琳が治療室から出てくる

 

「霊夢は大丈夫なのか!?」

「ええ、命に別状は無いわ

けれど、目を覚ますのに時間がかかるかもしれないわね」

「そうか、それなら問題ないんだ」

 

ところで、と私は間を作って

「話は変わるんだが、

どうしてここにいる住人は

ニートは'いない'のに

 

まるで'いるか'のような

振る舞いをしているんだ?」

 

ニートっていうのはここ永遠亭の主のかぐや姫ーーー蓬莱山輝夜のことだ

 

「っ!?魔理沙、貴方

姫様が'いないのがわかる'のね?」

「ああ、いないものはいないじゃないか」

「・・・・私の研究室までついてきなさい」

永琳は驚くと早足で研究室に入っていく

 

断る理由もないし、私も永琳の研究室に入る

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「確かに、姫様は数ヶ月前から姿を消しているわ

私の前だけにね」

「?どういうことだ?永琳の前だけ?鈴仙や兎達の前からも姿を消しているじゃないか」

 

「私だけから姿を消しているというのは、言い方がよくないわね、正しくは姫様が姿を消していることに'気づいている'のは私だけということよ」

「じゃあなにか?鈴仙達にはニートがいるように見えているってことなのか?」

 

「ええ、そうよ。

彼女達の『存在認識の境界』が弄られているの」

「存在認識の境界だって!?」

「そう、存在認識の境界が弄られた者は存在していないものを存在しているように認識する」

「だから、あいつらはニートがいるように振舞っているのか」

これで、鈴仙が誰もいない部屋に向けて呼びかけていたり、

食事を一人分多めに用意していた理由も理解できた

 

「そして、姫様を連れ去り、存在認識の境界を弄ったのは・・・・」

「八雲・・・・紫か」

いよいよきな臭くなってきたな

紫・・・・今度は何をたくらんでやがるんだ?

 

少しの間の後、今度は永琳の方が納得できないことがあるのか私に質問してきた

 

「ねえ、魔理沙

貴女はどうして姫様がいないことに気がついているの?」

「それは、永遠亭の外から来たからじゃないのか?」

「それだったら、他人が外から来たらすぐ失踪したことがバレちゃうじゃない、八雲紫はそんなミスはしないわ」

「・・・・正直、心当たりは無いぜ」

 

「本当?最近変なものを食べたとか、変なものを拾ったとかないの?」

「私は犬か何かかよ・・・・っ!?」

変なものではないけれど、一つ心当たりが見つかった

私は帽子から小瓶を取り出す

「これは?」

「つい最近来た外来人の日下部真言の荷物に入ってた林檎ジャムだ。

美味しいから借りておいたんだぜ」

「少し、いただくわね」

そう言うと、永琳は一口ジャムを舐めた

 

「・・・・やっぱり」

「ん?どうしたんだぜ?」

「このジャムには、

八雲紫の能力を打ち消す効果があるわ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーー鈴仙・優曇華院・イナバは何時ものように、昼食を用意して、姫様を呼びにいく

「姫様ー?ご飯ですよー!」

 

「おい、鈴仙」

姫様を呼んでいる私に話しかける声が一つ

「何よ?魔理沙、あんたの分の昼食だって用意してうぇっ!」

すると、魔理沙は私の口に向かってスプーンを突き込んだ

 

「なにすんのよ!

・・・・あれ?」

私は魔理沙に文句を言おうとしてる間に異変に気づく

「姫様は一体どこに?」

「姫様はいないわ、失踪したのよ」

答えたのは、私の師匠ーーー八意永琳師匠だった

 

 

「うどんげ、目覚めたばかりで悪いのだけれど

 

魔理沙と一緒に姫様を探しに行って来なさい」

 

 

え、えぇーーーーー!?

 

 

続くわねって、座薬は関係ないでしょ!?



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第十六話、門番が寝ていない時点で嫌な予感はしていたんだよ

引き続き視点は魔理沙です

どんどん主人公が空気に・・・・

では、よろしくお願いします。


「で、どこにいくのよ?」

こんにちは、鈴仙・優曇華院・イナバです

私は今、魔理沙の後ろについて飛んでいます

・・・・まったく一体、どこに連れていかれるのかしら

「ああ、言ってなかったな、紅魔館だぜ

こういう時は、パチュリーに聞くのが一番なんだぜ」

・・・・紅魔館ねぇ、あの吸血鬼の館に一体何があるというのかしら?

 

私は、道中暇なので魔理沙に自分の感じている違和感について呟く

「でも、本当に八雲紫が犯人なのかしら?」

「じゃあ、違うって言うのかよ?」

魔理沙が食いついてくる

「失礼かもしれないけれど、

私には八雲紫が姫様を連れ去る理由も

連れ去ることで生じる利益も思いつかないわ」

「・・・・確かに、あのニートを連れ去るくらいなら、永琳を連れ去った方が現実的な気はするが」

そう、『師匠ではなく姫様が連れ去られた』

この事実に何か隠されている、そんな気がするのだ

わざと師匠を連れ去らなかった?

誰のために?

・・・・

 

「おい、着いたぞ!紅魔館だぜ!」

・・・・まあ、悩むより行動よね

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「紅魔館には誰も通しません!」

紅魔館の門番の中国娘ーーー紅美鈴が私達の前に立ち塞がる

珍しく寝てないな

・・・・まあ、寝てても寝てなくても

 

マスパで吹き飛ばすだけなんだけどな!

 

・・・・でもその前に、私は美鈴に尋ねる

「おい、美鈴

パチュリーは'いる'のか?」

「むむむ!パチュリー様の読書の邪魔はさせませんよ!」

「じゃあ、パチュリーはいるんだな?失踪なんかしてないよな?」

「当たり前じゃないですか!」

「そうか」

私がミニ八卦炉を取り出し、構える

その瞬間、

「いいえ、パチュリー様はいらっしゃらないわ」

メイドが現れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私こと紅魔館のメイド長ーーー十六夜咲夜は、ここ数ヶ月、違和感を感じながらも暮らしていた。

それは、

 

パチュリー様の失踪。

 

パチュリー様が失踪したのにも関わらず普段と変わらない私以外の紅魔館の住民達。

 

しかもその症状は紅魔館の住民に限っただけの話ではなかった。

霧雨魔理沙ーーー彼女はよく紅魔館にパチュリー様の本を目当てにやってくる。

その魔理沙も、パチュリー様がいないことに気がついておらず、パチュリー様が図書館に疑問を少しも持っていなかった。

 

しかし、今日現れた魔理沙は違った。

魔理沙はパチュリー様の失踪について知っているかのような口振りだった。

だから、私は魔理沙と話をすることに決めた。

「魔理沙、パチュリー様の失踪について話したいことがーーー」

私が台詞を言い終わろうとする刹那、

 

紅魔館から轟音が響き渡った

 

そして割れる窓ガラス・・・・

彼処は・・・・誰の部屋だったかしら・・・・

・・・・彼処はお嬢様のお部屋!?

 

・・・・お嬢様の身に何か起こった!?

私は私の能力ーーー『【時を操る】程度の能力』で時間を止めてお嬢様の部屋を目指して駆け出した

 

・・・・私がお嬢様の部屋で見たものは、うずくまっているお嬢様の姿とそれを静かに見下ろす八雲紫の姿だった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

咲夜が現れた直後、紅魔館から轟音が響き渡った

 

・・・・なんだよ、真昼間から穏やかじゃねえな

「鈴仙、行くぜ!」

「・・・・わかったわよ」

鈴仙は嫌な感じがするのか、行きたくなさそうに返事をする

・・・・嫌な感じがするのは私だって同じさ

 

「わっ、ちょっと、勝手に入らないでくださいよ!?」

久しぶりに働いてる門番が私達を止めようとするが、私達には通じない

 

割れた窓ガラスから紅魔館の主の吸血鬼ーーーレミリア・スカーレットの部屋に侵入する。

 

そこで私が見たものは、ある意味予想通りの嫌なものであったが、

まったく予想出来なかった光景でもあった。

 

私が見たのは、

傷をおさえてうずくまっているレミリアの姿と失踪していたはずの八雲紫の姿だった

 

紫が片腕を前に突き出す

するとレミリアの足元の床からスキマが開き、

レミリアを連れ去ろうとする

紫・・・・お前の思い通りにはさせないぜ!!

 

私は即座にスペルカードを発動させる

『恋符【マスタースパーク】』

私のミニ八卦炉から紫目掛けてレーザーが発射される

 

しかし、私の『マスタースパーク』は紫には届かなかった

「け、結界!?」

鈴仙が冷静に状況を分析する

そう、私の『マスタースパーク』はまるで見えない壁に阻まれていた

 

くそっ、流石腐っても幻想郷最強の一角だぜ

 

 

「お嬢様ぁああああああああああああ!?」

咲夜が叫ぶ

咲夜の目の前には大量のナイフがあった

・・・・咲夜も必死にレミリアを助けようとしたんだな

 

もう既にレミリアの体は半分以上をスキマに飲み込まれていた

 

「ま、魔、理沙…人里に向かいなさい…そこに運命の十字路が…咲夜…紅魔館をいいえ、幻想郷を任せたわよ…」

それが、私の聞いたレミリアの最後の台詞だった

その直後、レミリアはスキマに飲み込まれていった

 

・・・・紫ぃ、お前一体何がしたいんだぜ!?

 

そして紫は自分でスキマを開けてその中に入る

「おい!待てよ!紫!

紫ぃいいいいいいいいい!!」

 

私の叫びは虚しく、紫は消えていった

残されたのは、崩れ落ちた咲夜となんとも言えない疲労感だけだった

 

続くわよ!うー☆

 



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第十七話、怪我はアリスの魔法で治しました

やっと視点が主人公に戻ってきます

乞うご期待!!


皆さんお久しぶりの日下部真言です!

正直、魔理沙が主人公でもいいんじゃないか?

という危機感を地味に感じている空気主人公、日下部真言君ですよ!

一応主人公ですからね?

・・・・言ってて自分で悲しくなってきた

 

 

で、僕が今何をしているのかと言うと

・・・・説教を受けています、アリスに。

 

風見幽香さんがいかに危険な妖怪であるか、

彼女に対して僕がした大立ち回りは

下手をしたら死んでいたこととか

そもそも、真言は日頃から無茶をしすぎだとか

無傷で物事を終えることは出来ないのかとか

 

・・・・正直、今回とは関係ないことも説教された

 

妖夢さんは、

「アリスさんの説教はまるで閻魔様みたいに長いですね

でも、真言殿を心配しているから説教をするんですよ?」

と苦笑しながら言っていた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

目を覚ますとさっきまでの頭痛は無くなっており、

私ーーー風見幽香の目の前に

 

 

土下座をしている人間がいた

 

 

「はあ?」

思わず、間抜けな声が出てしまう

 

「ほんっとうにすいませんでしたっ!!!」

人間は頭を何度も下げながら言う

「風見様にした、幾つもの失礼な行為、

本当に申し訳なく思っております!!!

反省してます!!!

どうか命だけは!!!」

・・・・これがさっき私に説教をした人間の姿か

・・・・そう思うと笑えてくる

 

私は、

「あはははは」

面白すぎて声を出して笑ってしまっていた

「風見様!!本当に申し訳ありませんでした!!!」

私の笑い声をどう解釈したのか知らないけれど、

人間はさらに頭を床に擦り付けて謝りだした

 

「私のことは風見じゃなくて幽香って呼びなさい

後、様もつけなくていいわ

いい加減、その下手糞な土下座を止めなさい、見ていて不愉快になるわ」

「はい、すいません!」

勢いよく立ち上がる人間

「そうね、貴方の名前は?」

「日下部真言です!よろしくお願いします!!」

「そう、じゃあ真言。

・・・・た、助けてくれて、あ、ありがとうね」

思わず言葉が出た、まさか私が人間に感謝することになるとはね

「はい!幽香さん、すいませんでし、あるゑ?」

はぁ、まずは私の一挙一動に謝るこの状況をなんとかしなくちゃね

 

まさか、私が人間の名前を覚えることになるなんてね

真言、貴方、私に興味を持たれるなんてつくづく可哀想な人間ね

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

風見幽香が目を覚ました後、

私ーーーアリス・マーガトロイドと真言、魂魄妖夢の三人は幽香の家で話を聞いていた

 

「で、太陽の畑のあの惨状は貴女と八雲紫の戦闘によって引き起こされたものだと?」

「ええ、そうよ

私が日課のお花の世話をしている間に

急にアイツはやってきたのよ」

幽香は私の質問に答える

「紫様は何か言っていませんでしたか?」

妖夢が質問をする

「いいえ、無言で私に襲いかかってきたわ

よく考えれば、不自然だったかもしれないわね」

「不自然?」

「あのお喋り好きで胡散臭いスキマ妖怪が

'何も言わずに襲いかかってくるだけ'っていうのは不自然ではないのかしら?

まるで・・・・いや、なんでもないわ」

幽香は言葉を濁したーーー私はここで追及しておかなかったことを後に後悔することになる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

正直、目新しい情報は無かったため、僕達は太陽の畑を出ることにする

「アリス殿、次の目的地は?」

「そうね、『彼岸』かしら」

「・・・・ゑ?」

次の目的地が決まったみたいだ、

・・・・また妖夢さんが嫌そうな顔してるよ

 

「では、幽香さん

失礼します」

「ええ、季節が変わったらまた来なさい、真言。

今度は綺麗な花畑を見せれるようにするわ」

「はい!楽しみにしていますね!」

「いってらっしゃい」

「いってきます!」

幽香さんにそう言って僕はアリスと妖夢さんを追いかけて空を飛ぶのだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私が目を覚ますとそこには見知らぬ天井があった

「・・・・ここは?」

体を起こし、呟く

「ここは永遠亭よ、おはよう霊夢」

・・・・ああ、私は萃香にやられて魔理沙に運ばれたんだっけ

「起きたばっかりで悪いんだけれど、霊夢

今、幻想郷中で妖怪が失踪しているの」

「それが私に何の関係があるのよ?」

 

「これは異変よ、

だから解決するのは博麗の巫女、貴女の仕事でしょう?」

 

 

まだ続くの?むきゅー

 

 

 

 

 

 

 



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第十八話、人里救出ミッション

ちなみに、主人公は真言ですが
魔理沙、霊夢、真言の三人でそれぞれストーリーを進めて行きます

三人のヒーローとか
インデックスの読み過ぎです、はい

よろしくお願いします


・・・・こんにちは、博麗霊夢よ

正直、体はまだまだ本調子じゃないのだけれど

 

永琳のやつに異変だと言われてから私の勘は冴え渡り、何も考えずに永遠亭を飛び出してきちゃったわ

異変って言葉だけで体が勝手に動くなんて

・・・・最早職業病ね

 

で、私は今、妖怪の山の守矢神社に向かっているわ

理由は、勘よ

 

それにしても、鬱陶しいくらい妖精がいる

妖精の数からも明らかに異変だと言うことが分かるわね

まあ、この程度の雑魚妖精が幾ら束になったとしても私には問題無いわ

 

「あややや、霊夢さんじゃないですか

ここ、妖怪の山まで何の御用で?」

幻想郷最速の烏天狗が私に話しかけてくる

「あんたには関係無いでしょ、文」

私に話しかけている烏天狗ーーー射命丸文は

しつこく聞いてくる

「何の御用で?

答えてくれないと、通しませんよ?」

普段の私なら弾幕ごっこで無理矢理通ろうとするのだが、めんどくさいことに今の私は本調子ではない

 

「異変よ、異変の調査をしに行くのよ!!

なんか文句あるの!?」

とりあえず、逆ギレする私

 

「あやや、それはお邪魔して申し訳ありません

 

ところで霊夢さん、貴女が調査しようとしているのは

今、妖怪の山の妖怪達が狂乱して、

 

人里に襲っている異変のことですか?」

 

・・・・どうやら、今回の異変は一筋縄ではいかないらしいわね

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ、美鈴、紅魔館のことは任せたわよ」

咲夜が美鈴に話しかけている

ちなみに、門番である美鈴には、私ーーー霧雨魔理沙が持っているジャムを舐めさせてある

 

「では、魔理沙、鈴仙、人里に行きましょうか」

咲夜が切りだす

「おいおい、勝手に仕切るんじゃねえぜ!」

「はいはい、早く行くわよ魔理沙」

鈴仙は飽きれた感じで言う

 

私達は人里に向かって飛び立つのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーー鈴仙・優曇華院・イナバは、置き薬の交換によく人里を訪れる

だから普段の人里について良く知っている

人間達が仲良く暮らすいい場所だと思う

 

けれど、私は今の人里の状況を見てまったく違うことを思った、

 

 

 

・・・・ここは、何処だ?

 

 

 

所々で半狂乱の妖怪が暴れていて、

人里の店や家は酷く荒らされており、

怪我をしている人が大勢いる

ここが人里?

何処か別の場所と間違えたと言われた方がよっぽどリアリティがある

 

私はその光景がショックで少しぼーっとしてしまっていたみたいだ

そんな私の頬を叩く魔理沙

「おい、鈴仙聞いてんのか?」

「ご、ごめん」

「まあ、いいけどな

じゃあ、もう一回言うぜ

私達は今から人里を救う、いいな?」

魔理沙は私達に聞く

「ええ、お嬢様の言った幻想郷の中に人里は必要不可欠ですもの」

咲夜は即答する

「いいわよ」

私もその意見に異論はなかった

「じゃあ、決まりだな

まず、鈴仙は人々の怪我の治療に当たってくれ」

「ええ、もちろん言われなくてもやるわよ!」

「で、咲夜は人里にこれ以上妖怪が入ってこれないようなバリケードを作ってくれ」

「ええ、了解したわ」

「んで、私が妖怪退治だ

じゃあ、ミッションスタートだ!」

 

 

「みっしょん?」

「・・・・なんか言わなきゃいけない気がしたんだぜ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あぁくそ!なんでこんなに妖怪が人里に攻めてくるんだよ!」

私ーーー藤原妹紅は得意の炎の術で妖怪達を蹴散らしながら文句を言う

 

思えば、私が今日、普段と違う何かが起こっているという事実に気づいたのは今朝の出来事だった

 

今朝、私はいつものように人里のパトロールと称して人里周辺を散歩していると

人里を襲おうとする妖怪と半人半妖の人里の守護者ーーー上白沢慧音がいた

 

いつもなら慧音が楽に妖怪達を蹴散らすはずだった

・・・・そう、'いつもなら'

 

突然、慧音が頭を抱え、苦しみだしたのだ

 

私はすぐに助太刀し、慧音を助け、朝はなんとかなったんだ

 

しかし、慧音の看病をしながらうとうとしていた昼下がり

 

人々の叫び声が聞こえた

直ぐに外に出ると、尋常じゃない数の妖怪達が人間達を襲っていた

 

そして、今に至る

弱音を吐く趣味は無いが

正直、私一人ではこの数を捌ききることは出来ない

 

諦めそうになったその時、

 

 

 

『恋符【ノンディレクショナルレーザー】!!』

 

あの男勝りの魔法使いの声が響く

そして、放たれる圧倒的な光の奔流

妖怪達はその光に飲まれていった

 

「真打ち登場ってな」

 

いひひ、と自称真打ちーーー霧雨魔理沙が現れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、妹紅、慧音はどうしたんだぜ?」

私ーーー霧雨魔理沙は弾幕で人里に妖怪を入れないように蹴散らしつつ、白い長髪で赤いもんぺが妙に似合っている不老不死の蓬莱人ーーー藤原妹紅に話しかける

 

「今朝から、頭が痛いって、家で寝込んでるよ」

「頭が痛いぃ?人里のピンチになんて呑気な・・・・」

「いや、慧音を責めないでやってくれ

おそらくだけど何か術のようなものをかけられてるようなんだ」

「術?もしかすると、これが効くかもな」

と言って、私は帽子から真言ジャムの小瓶を取り出す

「ん?なんだそれは?」

「これを舐めると・・・・えーと、えーと、なんだっけ?」

「おい」

「まあ、とりあえず試してきてもいいか?」

「いいけど、なるべく早く戻って来いよな」

「ああ」

そう言って私は慧音の家に向かって走り出す

 

「じゃあ、ちょっとだけ本気を出すとするかな

『蓬莱【凱風快晴-フジヤマヴォルケイノ-】』!!!」

 

・・・実はアイツ一人で良いんじゃないか?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はあ、はあ、やめろ…やめろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

私ーーー上白沢慧音は頭をおさえながら蹲る

 

この頭痛は、普段の生活で起こるような頭痛とは全く性質が違う

 

まるで頭の中を弄くられるような感覚

少しでも、気を散らすと体が勝手に動きだす

この頭痛は私を操ろうとしているのだろうか?

・・・・そんなことはどうだっていい、お前の好きにはさせないぞ

 

「おーい、慧音ー?何処だー?」

突然、家のドアが開いて私のよく知っている魔法使いの少女ーーー霧雨魔理沙が家に入ってきた

ど、どうして魔理沙がここに!?

 

「く、来るな、魔理沙ぁ、来るなぁああああああ!!」

「相当酷そうだな・・・・直ぐに楽にしてやるぜ」

そう言うと魔理沙は私に小瓶を手渡した

「こ…れは?」

「それを舐めればきっと良くなる

私を信じろ」

 

私は藁にも縋る思いで小瓶の中のジャムを舐めた

 

すると、

さっきまで私を襲っていた頭痛は綺麗さっぱり無くなっていた

 

「魔理沙、なんだこれは?

万能薬かなにかか?」

「いいや、普段のジャムだぜ?

ただ、作った人間が特殊なだけのな」

 

「じゃあ、私は妹紅の手伝いに戻るぜ」

「待て、私も手伝おう」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はぁ、どうしたものかしら」

私ーーー十六夜咲夜は人里を守る為のバリケードを作ることの出来る職人を探していた

 

しかし、職人達は皆軽、重の差はあるけれど怪我を負っており、人里を覆うバリケードなど作ることは出来ないようだった

 

私には建築の技術などはあるはずもなく、手詰まりかと思っていた時

 

「やあ、お困りかい?盟友」

青い服に青い髪のツインテールが特徴的な河童が不敵な笑みで私を見ていた

「貴女は」

「河童の技術力は世界一ィ!!!

 

河城にとりだよー!」

 

 

 

 

「ところで、どうして貴女は他の妖怪みたいに暴れていないの?」

「暴れてたんだけど、

博麗の巫女に返り討ちにされたら治ってたんだよ」

「そう、貴女も大変ね」

どうやら、霊夢も異変解決のために動いているみたいね

・・・・とりあえず、私に出来ることをやりましょうか

 

 

続き?そんなことよりキュウリ食べたい

 



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第十九話、第一侵蝕

また魔理沙です、主人公の出番はいったい何時になるのか

では、十九話、よろしくお願い申し上げます。


「はい、次の人連れてきて!」

どうも、鈴仙・優曇華院・イナバです

今は人里の人々の治療に当たっています

 

怪我をしていない人に治療を手伝ってもらいつつ、怪我人の治療をする

・・・・まさか妖怪の私が人間と協力するようになるとはね

 

それにしても、今日の妖怪達の様子は明らかにおかしい

まるで、私の『【狂気を操る】程度の能力』で狂わされたかのような様子だ

 

・・・・わ、私はやってないわよ!?

自分が黒幕なのに、その影響で怪我をした人間達の治療をするなんて非生産的でしょう?

 

で、今の人里の状態はというと

妹紅、慧音、魔理沙の活躍によって

人里内にいる妖怪はいなくなってきているし、

咲夜も河童にアドバイスをもらいつつ、着実にバリケードを完成させていっている

恐らく、バリケードは半日もしないうちに完成するだろう

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぅ、人里内の妖怪は殆ど片付けたな」

私ーーー霧雨魔理沙は帽子の中にミニ八卦炉をしまいつつ、妹紅と慧音に言う

 

「ああ、人里の方は私と妹紅だけで十分だ」

人里の『方は』?

「なんだ?

人里以外にも何か問題があるみたいな口振りだな?」

「命蓮寺だ、彼処は数多くの妖怪が住んでいる

そこの妖怪達が暴れだしたら問題だ」

「じゃあ、何故何もしないんだよ?」

・・・・命蓮寺か、

命蓮寺は人妖の共存を志す聖人ーーー聖白蓮の経営している寺だ

そこは、人間だけでなく妖怪からも信頼を得られているので

多くの妖怪が住み着いている

「それは、白蓮殿が

『命蓮寺の妖怪達は私が食い止めます、人間達に手出しはさせません』と言うものだから、な

実際、命蓮寺から妖怪は出てきていないから問題無いんだが

・・・・少し心配なんだ」

「確かに、心配だな」

ん?まさか、この流れは・・・・

「魔理沙、申し訳ないのだが命蓮寺まで行って様子を見てきてくれないか?」

・・・・なんという断りにくい雰囲気

 

「し、仕方ないのぜ」

つまり、私に逃げ場は何処にも無かったということさ

 

私は大人しく、命蓮寺に向かうのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーー聖白蓮は焦っていた

ここ、命蓮寺には数多くの妖怪達が住んでいる

 

その妖怪達が今朝から一斉に苦しみだしたのだ

 

さらに、妖怪が人里を襲っているらしい

・・・・このままでは人間達の妖怪に対する印象が今以上に悪くなってしまう

それだけは避けたい、けれど・・・・

私はここ、命蓮寺を離れるわけにはいかなかった

 

何故なら、命蓮寺の妖怪達は今にも人里の人間達を襲いかからんとしているのだ

 

苦しんでいる妖怪達は皆

「に、にん…げん、人間を…」

「コロ…シテヤル…」

「ユル…サナイ…」

などと呟いていて、私が魔法で抑えなければ

人里は直ぐに人々の血で真っ赤に染まるでしょう

 

でも、このまま魔法で妖怪達の力を抑えているだけでは問題は一向に解決しません

 

と、私が考え事に気を散らしてしまった所為で

さっきまで頭を抱えて蹲っていたナズーリンが人里を目指して飛び出してしまいました

 

・・・・不味い、ナズーリンを止めなければ

と思い、私はナズーリンを攻撃しようとします

 

が、出来ませんでした

私にはナズーリンを傷つけることは出来なかったのです

これが私の甘さなのでしょうか

 

そして、命蓮寺の扉を開け・・・・

 

 

 

たのは、ナズーリンではありませんでした

 

扉を開いたのは白黒の魔法使いでした

「おっと、ナズーリン

どうした?穏やかじゃねえな

とりあえず、これ舐めとけ」

彼女は外に出ようとするナズーリンを押さえつけ、何かをナズーリンの口に入れました・・・・あれは、ジャム?

 

すると、ナズーリンの動きは止まり顔色も良くなりました

 

私が安心したのも束の間、

私が目を離した隙に最悪の事態が起こってしまいました

 

ナズーリン以外の妖怪達も目を覚まして

一斉に外に雪崩れ込んで行きました

「・・・・ああ、やってしまった」

私は崩れ落ちました

「おい、聖!追いかけるぞ!」

・・・・

「諦めてんじゃねえよ!聖!お前の理想はこの程度で折れちまうような陳腐なモンだったのかよ!?」

 

・・・・・・・・違う

そうだ、魔理沙の言う通りだまだ諦めるのは早い、早過ぎる!!

 

「私はまだ、諦めません!!」

「良い返事だ、行くぜ!!」

私と魔理沙は妖怪達を追いかけます

 

しかし、私達の予想とは裏腹に人里に被害はありませんでした

 

妖怪達は人里に辿り着く前に全員道中で気絶していました

 

「どうして?」

「理由はわかんないけどさ、まあ、結果オーライだぜ」

 

「聖ー!聖ー!」

私達が妖怪達を命蓮寺に戻そうとしていると

ナズーリンが私の名前を呼ぶ

「?ナズーリン?どうしたのですか?

体調は大丈夫なのですか?」

「体調の方は問題無いさ、すまない、魔理沙には迷惑をかけた」

「困った時はお互い様だぜ」

「そう言ってもらえると助かる

で、だ、二人とも聞いてくれ私は私の

『【探し物を探し当てる】程度の能力』で失踪したご主人の居場所に大体の当たりをつけることができた」

・・・・ナズーリン、貴女にとって星は『探し物』なのね、星、可哀想に

「で、一体何処なんだぜ?」

 

「『地底』さ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「今の私の力ではこの程度で限界ね

まあ、第一侵蝕としては十分かしら

だけど、まだ足りない・・・・

力が、足りない・・・・」

 

続きます!いざ、南無三ー!

 



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第二十話、ルールとマナーを守って楽しく弾幕ごっこしよう!!

今回の主人公はようやく、真言くんかと思った?残念!霊夢ちゃんでした!!

では、第二十話、よろしくお願いします。


こんにちは、皆さん久しぶり

楽園の素敵な巫女、博麗霊夢よ

 

最近、魔理沙ばっかり目立つもんだからここぞって時にテコ入れしておかないとね

あ、素敵な素敵なお賽銭箱はあっちよ

待ってるからね

 

で、私は今文と一緒に守矢神社を目指しているわ

文は、「異変のスクープはやっぱり霊夢さんと御一緒するのが一番ですからね!」って言って着いてくる

・・・・嫌と言っても着いてくるから、

正直ウザいけど我慢することにする、戦力にはなるはずだしね

 

「で、霊夢さん?どうして守矢神社に行くんですか?」

「勘よ」

「で、ではその勘の根拠は?」

「勘よ」

「貴方はどうやって異変を解決するつもりですか?」

「勘よ」

「劉邦が項羽を倒して建国したのは?」

「漢よ」

「良い質問ですね!

って、何を下らない話をしてるんですか!?

霊夢さん、文さん!」

「あら、早苗じゃない」

文と下らない話をしている間にどうやら守矢神社に着いていたみたいだ

 

で、さっき私と文にツッコミを入れたのは緑の長髪に白と青の巫女服を着た守矢神社の風祝ーーー東風谷早苗だ

 

 

「で、こんなところまで何の用事でしょうか?」

「あやや、それは霊夢さんが異変の手掛かりが守矢神社にあるって」

「?諏訪子様に何か御用なんですか?」

「まあ、そんな感じよ」

私は適当に答える

「ところで、早苗、あんた誰かの術を受けた?」

「はい?術?そんな記憶無いですけど・・・・

ちょ、ちょっと霊夢さん!?何事ですか!?

ちょっ、近、近いですよぉ・・・・///」

本人は気づいてないみたいだけど、明らかに誰かに術を掛けられた形跡がある

・・・・私でなければ気づけなかっただろう、それほど証拠が少ない見事な術だ

これほどの術を使えるのは、私の知る限りでは一人だけ

あの胡散臭いスキマ妖怪だけだ

 

「どうやら、ここに来たのは間違いじゃなかったようね」

「?霊夢さん?」

私は札を取り出し早苗の頭に置き

「解!」

すると、早苗に掛かっていた術は解除された

 

そして使った札を懐にしまう、私のレベルになれば一度使った札も針も再利用できる

・・・・べ、別に新調するお金の余裕が無いわけじゃないんだからね、もったいないだけよ!

 

「では、霊夢さん守矢神社に参りましょうか」

文がスクープの匂いがすると言って、私を急かす

「よくわからないですけど、

一応、お茶くらいは出しますよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーー東風谷早苗は、霊夢さんと文さんに出すお茶を用意していたが・・・・

 

何か違和感を感じていた

 

何か・・・・何か・・・・

 

あ、とりあえず神奈子様と諏訪子様を呼びましょう

 

一人でいくら考えても思いつかないものは思いつかないですし

 

「神奈子様ー?神奈子様ー?

神奈子さ、まぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ああああああああああああああああ!?」

 

早苗の大声が聞こえてくる

「あーうーどうやら早苗も気づいたようだね」

ケロちゃん帽子を被った幼女神ーーー洩矢諏訪子がいた

 

「あら、貴方は気づいていたの?」

「私は神だよ?

あの程度の術に掛かるほど、落ちぶれてはいないさ

ところで、早苗に掛かっていた術を解いてくれたのは貴女かな?」

「そうよ」

「一応、お礼を言っておくよ

だけど、めんどくさいことになるよ」

「え?」

 

すると、バーンと守矢神社の襖が開き明らかに勘違いしている顔をした風祝が私を睨んでくる

 

「霊夢さん!貴女ですね!?

神奈子様を何処かに連れ去ったのは!?」

「は?」

「うちの神社の信仰が羨ましいから

神奈子様を連れ去るなんて!!!

もう許しません!

勝負です!」

 

「あやややや、博麗の巫女と守矢の巫女の因縁の対決ですか!これはスクープですね!」

と言って、写真を撮りまくるバ烏天狗

 

「あははははは」

早苗の巫山戯た勘違いに腹を抱えて笑う幼女神

 

はあ、これは避けられない戦いのようだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

弾幕ごっこをするため私と早苗は外に出る

 

「ふふふふふ、今日の私はいつもの私とは思わないことです!」

早苗が吠える

正直、あんたよりこっちの体調の方がいつもと全然違うわよ

・・・・傷が開きそうだから体術は使えないわね、あと長時間弾幕を避け続けるのも厳しそうね

なら、遠距離戦で直ぐにケリをつけるしかない!

 

「いくわよ、早苗!」

「かかってきなさい!霊夢さん!」

 

私は早速スペルカードを発動させる

『霊符【夢想封印】!』

 

「やっぱりそれで来ましたか!読めてますよ!

『秘術【クレイソーマタージ】』!!」

早苗もスペルカードを発動させる

 

けれど、この勝負

・・・・早苗、貴女の負けよ

 

 

貴女は戦う前にスペルカードの枚数を確認していない!!

私のターン!ドロー!『霊符【夢想妙珠】』

ドロー!『夢符【二重結界】』

ドロー!『霊符【夢想封印 散】』

ドロー!『夢符【退魔符乱舞】』

ドロー!『霊符【夢想封印 集】』

 

「え、ええぇえええええええええええええええええええええええええええ!?」

 

と断末魔をあげて早苗は弾幕の嵐に飲み込まれていった

ずっと私のターン!!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「神奈子は『地底』いるよ」

弾幕ごっこが終わった後、諏訪子は私に話しかけてきた

「どういうこと?」

「君が聞きたかったのは失踪した神奈子の居場所でしょ?

失踪したやつの近くには必ず八雲紫、もしくは異変の元凶が必ずいるって予測してここ、守矢神社に来たんでしょ?」

「勘よ」

私がそう答えると諏訪子はカラカラ笑って

「そうかい」

と言った

 

・・・・早速私は地底に行こうとしたのだけれど先程の弾幕ごっこの影響で身体が動かなくなったので、しばらく守矢神社にて足踏みすることになってしまった

 

続きます!続きは、私の奇跡の力で面白してみせます!

 



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第二十一話、一緒に行こう

今までは、「短く完結に」をコンセプトにやってきましたが、この話から先は異様に一話一話が長くなります

すみませんが、この先も頑張って読んでくれるととても嬉しいです
では、第二十一話、よろしくお願いします!!!


どうも!いつもニコニコ貴方の隣に這い寄る高校生、日下部真言です!

 

今日は久しぶりに出番が来たということで、僕の名前の秘密について教えちゃいます!

僕の名前、『真言』ですが、『真』だけでも『まこと』と読めます

では、『言』には一体どういう意味があったのでしょう?

 

正解は某超有名漫画家『手◯治虫』の『虫』みたいなノリだそうです

 

・・・・すいません、久しぶりの出番なのでテンション上がり過ぎて変な事を口走ってました

 

では、今の僕が置かれている状況について言及すると

 

アリスと妖夢さんと一緒に三途の川に辿り着いたと思ったら何処か別の場所に一人だけ連れてこられたでござるの巻

ということだ

 

僕が連れてこられた場所は、本当に何も無い空間だった

壁の雰囲気的に建物の一室のような感じだ

全体的に霞がかっている・・・・室内なのに?

嫌な感覚がする、自分がここにいてはいけないと警鐘を鳴らしている

 

幾ら一人で考え込んでも状況が把握できるはずはないので、僕と同じくここにいる人物に尋ねることにする

緑の短髪に奇妙な帽子を被っている女性、ここには僕とその女性しかいなかった

 

「ここは、一体何処なんですか?」

 

彼女の凛とした声が響き渡る

「ここは、彼岸

死者達の終着駅ですよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私ーーーアリス・マーガトロイドは困惑していた

三途の川に着いた途端、日下部真言が

 

消えたのだった

 

 

 

 

 

「アリス殿、真言殿は一体何処に行ったのですか?」

妖夢も困惑した様子で私に尋ねる

「私にもわからないわよ・・・・」

私がそう答えた直後ーー

 

「おやおや、お二人さん

お困りかね?あたいで良ければ相談に乗ろうじゃないか」

赤い髪に青の着物を着て鎌を持った死神ーーー小野塚小町が現れた

 

 

 

「あら、サボリ魔の死神じゃない」

「おいおい、そんなこと言うんじゃないよ人形遣い

あたいだって働く時は働くさ・・・・ただ、休憩の時間が長いだけさ」

「だからって、仕事の時間もそっちのけで休憩ばっかりとるのはいかがなものかと・・・・小町殿」

「あれえ!?魂魄のはあたいの味方じゃないのかい!?

あんたもあたいと同じような従者的なポジションだろ?」

「従者的じゃなくて私は従者ですが」

「しかも、妖夢は年中無休で仕事してるわよ」

「うへー、あたいには理解できないねえ、年中無休とか・・・・下手すればあたいは1、2年で死ぬね」

「死神なのに死ぬの?」

「そりゃ、死ぬだろうさ・・・・多分」

小町はなんともいえない顔をしている

 

 

あれー死神って死ぬのかなー?死神が死ぬなんて聞いたこと無いから、まさかあたいは不死なのかーそーなのかー

 

・・・・とか考えてるんでしょうね

 

「・・・・あたいは人食いはしないよ」

「どうしたのですか?小町殿?」

「いや、なんだか凄く失礼な目で見られてるような気がして・・・・」

 

 

 

「で、サボリマイスター、質問があるのだけれど」

「だから、私はサボリじゃな・・・・

私だってさっきまで仕事してたんだよ!

しかも、四季様から頂いた超重要任務!

いやー久しぶりに良い仕事したねー」

四季様ーーーああ、四季映姫のことか

四季映姫・ヤマザナドゥーーー死者達を裁く、この三途の川の果てある彼岸で仕事をしている幻想郷専属の閻魔様

・・・・彼女に出会うと最後、死よりも辛いお説教が待っていると恐れられていることで有名ね

 

 

そこまで聞いた時、私はある可能性に辿り着く

小野塚小町の能力『【距離を操る】程度の能力』と消えた真言、ここから導き出される答えは・・・・

「で、その超重要任務ってのは人間をここから彼岸に送ることじゃないでしょうね?」

「ほう・・・・」

私の質問を聞いて、小町の雰囲気が変わる

「人形遣い、あんたなかなか頭が切れるじゃないか」

「こ、小町殿?」

小町の変化に妖夢は困惑しているみたいだけど、私は言葉を続ける

「あら、その様子だと正解みたいね」

つまり、小町は真言の彼岸への距離を操って彼を彼岸まで送ったのだ

「まあ、大体合ってるね、

でも、正答率としては80%くらいだね」

「残りの20%は?」

私がそう言うと小町は鎌を構えて言う

 

「残りの20%は・・・・

 

ここを越えて彼岸へ行こうとする不届き者を殲滅することだよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

はい、どうも!日下部真言です!

えーと、僕は突然『彼岸』という幻想郷の死者の裁判所に来ています!

 

そして、そこにいた幻想郷の閻魔様ーーー四季映姫・ヤマザナドゥ様に・・・・

 

 

 

 

説教をされています、正座で

僕が彼岸についての質問を終えた直後、彼女は

「日下部真言、そこに正座しなさい・・・・・・・・

 

 

正座ぁっっっっ!」

と叫び、その勢いに思わず僕は正座をしてしまい・・・・すると

 

「そう、あなたは少し迂闊すぎる」

という彼女の言葉から

 

フェンスの老朽化の可能性くらい考えろとか、そもそも屋上は立ち入り禁止だとか・・・・幻想郷以前の出来事を中心に心が折れそうなくらい閻魔様のありがたい、ありがた〜い、ありがた迷惑な説教をいただきました

 

いやー、楽しい時間は直ぐに過ぎて、辛い時間は過ぎるのに時間が掛かるというのの典型ですね

・・・・永遠を感じました、割とガチで

 

 

ほう、と閻魔様は話を区切るかのように息を吐き

これからがまさに本題と言わんばかりに息を吸った

・・・・まだつづくんですかねえ

 

「さて、ここまで貴方が犯してきた過ちについてお話をさせて頂いたわけですが、私は未だ貴方の犯した許されざる罪については言及していません」

「僕の犯した罪・・・・」

罪・・・・?

僕は万引きだってしてないし、交通ルールもしっかり守っていた、ましてや殺人なん・・・・て・・・・

 

「どうやら、ほんの少し、記憶は残っているようですね・・・・

しかし、貴方は忘れてしまっている

 

いや、貴方は自分の記憶を封じているのです、自らの手で・・・・」

「記憶を封じてる・・・・?」

「ええ、貴方は自分の犯した罪の記憶を封じています、貴方の『真の能力』と共にね

『【言葉を現実にする】程度の能力』?そんなものは貴方の真の能力の一部に過ぎません

『【言霊を操る】程度の能力』?それは貴方の力の依り代を【言霊】という形にしただけです、貴方の真の能力はそんな形に囚われない自由な能力なはずです」

意味がわからない、閻魔様は何を言っているのか

「意味がわからないですか?知らないですか?

そうやって貴方は目を背けようとするのですか?

 

そう、日下部真言、貴方は少し、自己防衛が過ぎる」

 

閻魔様が僕に目を向ける

しかし、その瞳は僕を見てはいない

まるで、僕の中にある僕以外の何かを見ているそんな感覚・・・・彼女は一体何を見ているのだろうか・・・・

 

「やはり、貴方は己の罪に気づく必要があるようですね・・・・」

「僕は罪なんか犯してない!」

はぁ、と閻魔様は呆れたように溜息をついた

「いいえ、貴方は犯しています

では、問います・・・・貴方の両親は何処に行ったのですか?」

両親?閻魔様は一体何を?

「質問の意味がわからないです、僕の両親は何処にも行っていないし、そもそも外の世界の話は関係ないで「その両親ではありませんよ、日下部真言、貴方を産み貴方に名前をつけた両親の話です・・・・」

僕の言葉を途中で遮り閻魔様が告げる

僕を産んだ両親・・・・?

それは今の両親のことじゃな・・・・いの、か・・・・

 

そう考えた瞬間、僕の心が二つに別れた

違う!と言う心と違わない!と言う心ーーーその二つに・・・・

 

「少しは違和感を感じましたか?」

閻魔様は僕に尋ねる

「い、いや・・・・何も感じないね・・・・」

僕は虚勢を張る

「ふう、貴方も強情な人だ・・・・

これはあまり使いたくなかったのですが、

時間もありませんし

・・・・仕方ありませんね」

使いたくない?時間がない?一体彼女は何を言っているんだ?

 

すると、彼女は一枚のスペルカードを発動させた

『知罪【フェイストゥユアイノセントシン】』

 

そのスペルカードは弾幕では無かった

スペルカードが発動した直後、僕の影は僕の足元を離れ、

 

立ち上がった

 

『立ち上がった』というのは少し語弊があるかもしれない

僕の影は足元を離れ、地を這っていた状態から人型に姿を変えた

 

その影の姿は、僕そのものであった

「おお、やっと外に出れたぜ」

影が喋る、僕と同じ声で

なんという違和感・・・・自分と話をするなんて

「その影は貴方の罪そのものですよ、日下部真言」

「・・・・僕の、罪」

「そうだ、俺はお前が長年封じてきた

罪の記憶ーーーそして、お前の真の能力、そのものだ」

「おや、能力まで出てきてしまいましたか」

「ああ、コイツの罪は能力に深く関係しているからな」

影が僕を見る・・・・

「よお、覚えてるか?いや、覚えてないから俺がいるんだよな・・・・」

「お前は・・・・一体なんなんだよ・・・・?」

「本当は気づいているくせに」

「っ!?」

「お前はまたそうやって、知らない振りをするのか?」

「う、るさい!うるさい!」

聞きたくない!僕はお前の話なんか聞きたくない!

『言霊【荒唐無稽】!!』

僕はスペルカードを発動させる

言霊に霊力を与え、レーザーを発射する

 

「逃げてんじゃねえ!」

『拒絶【分かり合えない思い】』

影もスペルカードを発動し、レーザーに向かって己の拳を突き出した

すると、僕の放ったレーザーは文字通り消え去った

「これは、拒絶・・・・相手のスペルカードや能力を無効にするスペルカード」

影は何故か自分のスペルカードを説明する・・・・こいつは一体何が伝えたいんだ

 

「くそ、まだだ!」

『言霊【快刀乱麻】』

僕は再びスペルカードを発動させる

言霊の口から空気の刃が放たれる

 

「邪魔だ、小賢しい」

『強欲【決して手に入らない苦痛】』

影は言霊から放たれた空気の刃に向けて掌を向けた

すると、空気の刃はすべて奴の掌に集まって進み、奴はその空気の刃を掴み取った

「これは強欲・・・・相手のスペルカードを相手に返すスペルカードだ」

そう言うと影は空気の刃を僕に向かって投げた

 

「う、くっそがぁあああ!」

僕は叫ぶと思い切り跳んだ、多少は食らってしまったが、まだ身体は動く!

 

この戦いで少し影の行動パターンが分かってきた

あいつは遠距離攻撃を行わない・・・・つまり、距離をとって冷静に戦えば!

 

僕はバックステップで影との距離をとろうとしたが

「遅過ぎるんだよ」

その間に奴は僕の真後ろに移動していた

「嘘・・・・だろ?」

「少し寝てな」

 

影は僕の後頭部を殴りつけた

鋭い痛み、意識が飛びそうだ吐き気がする

「ごほっ、ごほっ」

蹲り、咳をする僕・・・・少し血を吐いた

 

すると影は僕に止めをさすのではなく、言霊の首を握り持ち上げる

「そうだ、あの時もこうやって、」

やめろ、言うな

「両親のーー」

やめろ!これ以上言うんじゃない!!

僕の意思とは裏腹に身体はさっきの影の一撃の所為でまったく動かない

「こうやって両親の首を締めて殺してたなあ」

影は力を込めて言霊を『握り潰した』

「うわぁああああああああああああああああ!」

その直後、まるで封印が解かれたかのように流れてくる僕の過去の記憶・・・・そう、僕は自らの手で両親を殺したのだった

 

そして僕は全てを思い出す

己の罪、己の本当の能力を

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それは僕が小学低学年の頃、

両親は正直、真っ当な人間ではなかった

煙草は吸うわ、酒は飲むわ、借金だってあったし、僕を虐待することもあった

僕は必死に我慢した

しかし、あいつらは僕の宝物だった祖父から貰った絵本を僕の目の前で破り捨てた

 

その瞬間、僕の中で何かが弾けた

 

そう、それが僕の真の能力

『【思いを力に変える】程度』の目覚めだった

 

僕はその能力で両親への憎しみを力に変えて、人を優に超える力で両親を殺した

 

それが僕の封じていた罪だ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうやら、思い出したみたいだな」

影は僕に話しかける

 

「・・・・お前が」

今の僕には立ち上がる体力も精神力も無かった

倒れ込んだまま影に話しかける

「お前がやれよ・・・・僕には関係ないだろ」

「っ!?お前、本当に言ってんのか」

影の表情が驚愕に変わる

「ああ、身体だったらくれてやる、好きに使えばいい・・・・僕を巻き込むな」

そうだ、僕の代わりに影がすべてやればいい、異変の解決も何もかも・・・・お前は僕なんだろ?

 

「この腰抜け野郎が!!」

影は僕の胸倉を掴み叫ぶ

「俺だって、お前みたいな腰抜け野郎じゃなくてな、自分の手で解決してえよ!!

だけど・・・・」

冷たい感触・・・・涙?

影に視線をやると・・・・影は泣いていた

「俺じゃ駄目なんだ!!

俺じゃ、憎しみや怒りの感情に囚われちまう!!!

守りたいものも俺じゃ守れないんだよ!!!!」

 

ああ、そうか・・・・

「アリス、魔理沙、妖夢、霊夢、幽々子、幽香・・・・皆を俺じゃ守れない、むしろ壊してしまうかもしれない・・・・だから!!」

・・・・そうか、こいつは僕なんだ

 

気が付けば、僕は影を抱きしめていた

「気付くのに時間が掛かってすまなかった、お前は僕だったんだな・・・・」

「ああ、遅過ぎんだよ・・・・腰抜け野郎・・・・

後は、任せたぜ?」

影は僕を見て、泣きながら笑顔を作る

それに僕は

 

 

 

「嫌だ」

 

と渾身の笑顔で答えた

「はあ?」

影は泣くのも忘れて驚愕に顔を変える

 

「お前の言う通り、僕は腰抜け野郎だ

僕一人じゃ何もできない

だから・・・・

 

お前も一緒に来い、お前も僕なんだろ?」

僕は影に向かって言う

「ふっ、あはははははは」

影は笑い出す

・・・・失礼な奴だな、こっちは真剣だってのに

「・・・・後悔すんなよ?」

影は僕に問う

「後悔も反省も十分した、後は開き直るだけさ」

「ははっ、ちげえねえ」

影と僕は握手をした

「さあ、行こうぜ相棒」

「ああ、行こうぜ相棒」

「「幻想郷を守りに」」

 

僕等がそう言うと、影ーーー相棒は僕の身体の中に入ってきた

「どうやら、終わったようですね」

閻魔様が話しかけてくる

「ああ」

「貴方の罪は許されるものではありません」

「わかってる」

「けれど、善行を積めば天国には行けるかもしれませんね」

「そうか・・・・」

「幻想郷を救うこと、それが貴方の今の積める唯一の善行です」

「ああ、わかってる、僕に任せとけ」

「はい、任せましたよ」

閻魔様は笑顔で答えてくれた

・・・・笑ったら結構可愛いじゃないか

 

「『地底』を目指しなさい、そこに全ての元凶がいます・・・・貴方はもう、その正体に気付いてるかもしれませんけど」

「・・・・」

 

「一つだけ質問をさせて下さい、もし自分の親友が悪事に手を染めていたらどうしますか?」

 

「話し合って、

話し合って、

話し合って、

それでもだめなら、

 

殴ってでも連れ戻す」

「ふふっ、いいでしょう、及第点です

一つになっても他人に甘いところは変わらないようですね」

閻魔様は面白そうに言う

「うっせ」

僕は少し拗ねてみせる

 

「出口は用意しておきました、そこを通れば貴方の力ならすぐに三途の川を渡りきれるでしょう」

閻魔様が指を差す、その方向には穴ができていた

「またな」

「ええ、幻想郷を頼みますよ」

 

僕がその出口に入ろうとした瞬間、世界が震えた

 

 

続くのか続かないのか、白黒はっきりつけましょう!



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精霊異変
第二十二話、第二侵蝕


この話から、投稿スピードが遅くなります
理由はここから先、弾幕ごっこの連戦なので、一話一話が長くなるからです
では、第二十二話、よろしくお願いします


時間は少し戻り、三途の川

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「さあ、彼岸へ行きたいんならあたいを倒してからにしな!」

小町が鎌の刃の部分を私達に見せて言う

・・・・はあ、まったくめんどくさい死神ね

「では、魂魄妖夢・・・・参ります!」

挑発に乗った妖夢が小町に向かって駆け出そうとするーーー

のを私は妖夢の服を掴んで止めた

「ちょっと落ち着きなさい」

「どうして止めるのですか!?アリス殿!?」

「戦うメリットが無いのよ!戦って勝ったとしましょう、その後に三途の川を越えるのよ?一体時間は幾ら掛かると思っているの!?その頃には、彼岸で起こってる事は全て終わっているわよ!」

「た、確かに・・・・」

「だから、私達は信じて待ちましょう、ね?」

「わ、分かりました」

妖夢が物分りの良い子で助かったわ

 

「ところで、小町」

「なんだい?」

「どうして四季映姫は只の人間である真言を彼岸へ連れて来るように貴女に命じたのかしら?」

私はずっと頭に引っ掛っている疑問を小町に尋ねる

「あの人間に異変を解決させるためだって四季様は言ってたよ」

「異変を解決させるため・・・・」

「どうして只の人間の真言殿なんかに?」

今度は妖夢が質問をする

「あたいも詳しくは知らないけど、あの人間の本当の能力がどうとか四季様は言ってたね」

「・・・・やっぱり」

私は呟く

「何がやっぱりなんですか?アリス殿?」

「風見幽香の時の事を覚えているかしら?」

「ええ、真言殿が風見殿を能力で拘束したことですよね」

「そうよ」

「風見幽香って例のフラワーマスターだろ?うへぇー、あの人間凄いねぇー」

「で、風見幽香を拘束した時発揮した力こそが真言の本来の力だとしたら?」

「っ!?それは・・・・」

「そう、真言には霊夢や魔理沙と同レベルくらいの力は最低限あるってことよ」

「確かにそれくらいの力がありゃー、異変を解決するための戦力になるわなー」

「ですが、そんな力は必要なのでしょうか?」

妖夢が言う

「どういうこと?」

「妖怪が失踪するという異変なのですから失踪した妖怪達を見つけたら、

それで解決ではないですか、ならば正直、戦力は必要無いと思うのですが・・・・」

確かに妖夢の言うことも一理ある、八雲紫を見つけたらそれで確かに解決してしまう異変だ

もし、八雲紫が暴れたとしても霊夢や魔理沙が止めれば良い話だし

「おや、あんたら知らないのかい?

異変はそれだけじゃないってことを・・・・」

小町が驚くべき事実を告げる

「なんですって!?」

「一体どういうことなのですか!?小町殿!?」

「だから、失踪だけが今回の異変じゃないんだよ

ついこの間のことなんだけど、人里周辺の妖怪が暴走して人里を襲うっていった事件が起こったんだよ」

「ひ、人里を!?」

「ああ、今回は暴走したのが人里周辺の妖怪だけだったから被害は少なくて済んだんだけどね・・・・」

「そう、良かった・・・・」

「でも、四季様はもっとヤバい事態を想定しているらしいよ」

「もっとヤバい事態って?」

 

すると小町は少し間を作ってハッキリと告げる

「幻想郷中の全ての妖怪が暴走するという事態だよ」

「なんですって!?」

「そんな!?」

「恐らく、暴走した妖怪達は皆人里を狙う・・・・人里の人間を根絶やしにするために」

「確かに・・・・それは最悪ね・・・・」

「そうだ、人間が根絶やしにされたら、人間達によって存在できている妖怪達は滅びる・・・・そして」

「「「幻想郷が滅びる」」」

私達がそう言った途端、世界が震えた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

場所は移り、彼岸

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「地震か!?」

「これは、第二侵蝕!?早過ぎる!?もう準備が終わったというのですか!?」

閻魔様が叫ぶ

「おい、閻魔様!?なんだよ第二侵蝕って!?」

僕は柱に掴まりながら閻魔様に尋ねる

「異変です!恐らく、この地震が終わると幻想郷中の全ての妖怪が暴走を始めます!!」

「なんだって!!」

「止めるにはもう、元凶を断つしかありません」

 

暫くすると地震は終わった、その代わりに閻魔様が急に頭を抱えて蹲った

「閻魔様、おい、大丈夫か!?」

「恐らく、妖怪達は…人間を、根絶やしにしようと…します、だから…

は、やく人里に、向かいなさい、っぁああああああああ!!」

「閻魔様!?」

「わ、私に構わず、早く!早、く行きなさい!!」

「わかった」

そう言うと僕は閻魔様に最後のジャムの小瓶を投げ渡した

「悪いな、ちょっとしか入ってないけど、多分足りるだろ?」

「ど、うして・・・・このジャムがあれば妖怪の暴走から救えるんですよ!?」

「俺が救いたい人の中には閻魔様も入ってるんだよ!

じゃ、行ってくるぜ」

「ほん、とうにお人好しですね・・・・後、私は閻魔様じゃなくて四季映姫ですよ」

「分かった!またな!映姫様!!」

「ええ、また会いましょう」

最後に映姫様と挨拶を交わし、僕は彼岸から出て行くのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

地震が起こった

あたいーーー小野塚小町は四季様から地震のことは聞いていたのであまり驚かなかったが、

「これは一体?」

「あわわわわわわ」

突然起こった事態、その情報を必死に得ようとしている人形遣いと慌てふためく半人の剣士

まるで真逆の態度をとる二人にあたいは笑いを堪えつつ、説明してやる

「こいつは異変だよ・・・・この地震が終わった後、今回の異変ーーー【精霊異変】は本当の意味で始まるのさ」

あたいがそう言った数秒後、地震は止まり、その代わりにあたいを激しい頭痛が襲った

 

いたたたたたぁっ!!!?な、なんだいこれはぁあああああっ!!!?想像以上だよ!!!?

あー、悪いねえ二人とも、あたいにはこれに抗える程の力量が無かったみたいだ・・・・

 

「人形遣いに魂魄の・・・・に、逃げろ・・・・あたいはもう、自分を抑えられない・・・・」

 

直後、あたいの身体は勝手に鎌で二人を襲い始めた

 

二人は逃げようとするが、あたいの能力ーーー『【距離を操る】程度の能力』で彼女達は逃げることは出来ない

 

やめろ!!やめてくれ!!!

 

 

あたいの鎌が人形遣いの首を跳ね飛ばそうとしたその刹那

 

 

 

「待たせたな」

その言葉を聞いた直後、あたいは意識を失った

 

・・・・後は任せたよ、日下部の

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

三途の川を渡り切った僕の目に映ったのは死神にアリスが襲われてる光景だった

 

僕はアリスを助けるため、死神を気絶させた

よくアニメとかでやる、首をトンってやるやつで

まさか出来るとは思わなかったけど・・・・

 

〈あれくらい余裕だぜ、アニメなんて人間の想像だろ?人間の想像力程度楽勝で超えれるってーの!〉

おっ、相棒じゃないか!?久しぶり!

〈おう、相棒〉

大丈夫か?居心地悪くないか?

〈ああ、問題無いぜ〉

そうかそうか良かった良かった!

〈相棒、俺との会話は頭の片隅くらいに留めておいた方がいいぜ〉

どうして?

〈現実での会話についていけなくなるからだ〉

え?

 

相棒に言われて意識を現実に戻すと・・・・

「ねえ!聞いてるの!?」

「だ、大丈夫ですか?真言殿、あわわわわ」

怒っていらっしゃるアリスさんと慌てふためく妖夢さんがいらっしゃった

〈ほら言わんこっちゃない〉

 

 

「わ、悪い、ね、寝てた」

「はぁ?寝てたぁ!?」

「立ちながら寝るなんて、真言殿は器用ですね・・・・」

我ながら下手くそな言い訳だったと思う

 

 

 

アリスに説教され、落ち着いた後、

「で、閻魔のところで貴方は何をしてきたのかしら?」

アリスが聞いてくる

・・・・やっぱり聞かれると思った

「自分の罪と向き合ってた」

「そう、道理で雰囲気が変わったわけね」

「ああ、もう逃げるのはやめたんだ」

 

〈本当かぁ〜?〉

本当だよ!!

〈ああ、悪い悪い、ジョークだよジョーク、相棒のことは信用してるよ〉

・・・・悪い冗談だな

〈だから、すまなかったって!〉

 

 

 

「真言殿、これからどうするのですか?」

「そうね、貴方、四季映姫から何か聞いてるのでしょう?」

アリス、やたらと勘がいいな・・・・

「映姫様は人里へ向かえって言ってた

妖怪達は人間を狙ってるらしいから」

「そう、じゃあ行きましょうか」

「はい!行きましょう!」

「ああ、行こう!」

 

僕等三人は人里を目指して飛び立つのだった

 

続くよ!でも、あたいはサボらせてもらうけどね〜



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第二十三話、入道の兄貴の拳でヒイヒイ言わされるお話

・・・・眠い

では、第二十三話、よろしくお願いします!


よお、久しぶりだな私だぜ

最近は、主人公が主人公しちまってるから私の立ち位置が危ないと思い始めている霧雨魔理沙だぜ

 

私は今人里にいる

ナズーリンに地底というヒントを貰ったので、地底に向かおうと思った矢先、地震が起きた

地震が止まったと思ったら、いきなり妖怪の軍勢が人里を襲ってきたので、私は今人里で立ち往生している状態だ

 

・・・・正直、ジリ貧だぜ

地震が起こる前の人里救出ミッションの時に暴れていた妖怪達よりも、今暴れている妖怪達の方が質も量も段違いだ、バリケードはもう既に壊された

 

私や妹紅や咲夜が全力で迎撃しているが、全ての妖怪を止めることは出来ず、結構な数を人里に侵入させてしまっている、だから怪我人が増えている、鈴仙と慧音が治療に当たっているが、間にあっていない

 

「くそ!迎撃するにしても、治療するにしても人手が足りてねえ!!」

「おお、魔理沙が弱音を吐くなんてな!珍しいこともあるもんだ!」

妹紅が茶化してくる、そう言うお前も必死じゃねえか、顔が笑ってないぜ?

「けれど、魔理沙の言う通り人手が足りないのは事実ね」

何も無かったところからメイドが現れる

・・・・正直、びっくりした

「さ、咲夜かよ、いきなり現れるんじゃねえぜ!びっくりしただろ!」

「あら、ごめんなさいね」

謝罪に心が籠ってないぜ・・・・まあ、何時ものことだから気にしないけどよ

「って、そうだよ!咲夜!お前の能力で一気に迎撃出来ないか?」

「無理ね、私の『【時を操る】程度の能力』も万能ではないのよ」

「まあ、だろうと思ったぜ」

私はあからさまにガッカリしてみせる

おうおう、咲夜が地味に怒ってる怒ってる、表情には出さないけど雰囲気で怒ってるのが伝わってくるぜ

・・・・さっき驚かされた仕返しだぜ、いっひっひ

 

おっと、巫山戯てる場合じゃなかったぜ!

くそ!倒しても倒しても湧いてきやがる!

せめて、結界を張れる奴がいればいいのになーーーでも霊夢は怪我しちまってる、紫は敵だしな・・・・結界は期待出来ないだろうな・・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あやや、不味いですね・・・・」

私、射命丸文は人里を目指して幻想郷の空を飛んでいた

 

先程の地震が起こり、それが治まった直後、幻想郷中の妖怪が一斉に人里を襲い始めていた

 

私も暴れそうになったのですが、霊夢さんの鉄拳制裁とお札でなんとか事なきを得ました

・・・・うう、まだ霊夢さんの鉄拳で出来たたんこぶが痛みますよぉ〜もう少しで人里に甚大な被害をもたらすところでしたから、無理矢理止めて下さったのを責めはしませんが

 

 

でも!もっと優しく止めてくれても良かったんじゃ無いんですかね!!

 

 

 

さて、人里も近づいて来ましたね、この私、幻想郷最速の射命丸文にしてみれば、人里まであっという間ですよ!あっという間!!

・・・・しかし、人里の状態は中々に酷いですね

 

人里の中には妖怪が入り込み、人々を襲い、家屋を壊している

「まあ、唯一の救いは失踪している強力な妖怪がまだ来てないことですかね・・・・」

そう、今人里を襲っているのは妖精や精々人食い妖怪程度の実力しか持たない妖怪のみ、だから人里にはまだ致命的な被害はでていない

 

・・・・だけど、放置していていい問題ではないですよね

 

「では、私も参戦致しましょうか!!」

私は高らかにスペルカードを宣言する

 

『【幻想風靡】!!!』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、霧雨魔理沙が妖怪達を迎撃していると、不意に一陣の風が人里に吹いた

この風は、射命丸か!!

 

射命丸は超高速で移動しながら妖怪達に弾幕をばら撒いていく!これは有難い援軍だぜ!!

 

「どうも!清く正しい射命丸です!超、超、超、超、超強力な援軍の登場ですよ!!魔理沙さん!!」

・・・・ウザいけどな

「誰がウザいですって!?」

「おっと、口に出してたか!?」

「って、本当にそう思ってたんですか!?」

「っ、射命丸お前!鎌をかけやがったな!?」

「鎌なんてかけてませんよ!!魔理沙さん、貴女は確かに口には出していませんでしたけどねぇ、顔に顔に出てたんですよ!!!」

・・・・全くカーカーとやかましい烏天狗だぜ

「・・・・やかましいとか思ってますよね、また顔に出ていますよ!!」

「おっ、正解だぜ、凄いなお前、超能力か?」

「魔理沙さんがわかりやすすぎるだけですよぉおおおおおおおっ!!!」

「はいはい、それくらいで辞めにしなさい、魔理沙も文も」

咲夜が私達を止める

「まあ、そうだなまだまだ妖怪達は湧いてきやがるからな」

 

 

射命丸が参戦してから数十分後、私の身体に異常が起こった

「これ、一体何時になったら打ち止めになるんですかねぇー?」

「せめて、もう少し人手があればいいんだけど・・・・おっとっと」

私は倒れそうになって、ふらついた

「ちょっ、魔理沙さん!?ふらついてますよ!?大丈夫ですか!?」

「・・・・大丈夫だぜ」

「魔理沙は少し休んだ方がいいわね、魔理沙、貴女は人里の警備で寝てないのでしょう?」

「けど、魔理沙が抜けるのは戦力的に不味いぞ」

人里の逆側で妖怪を迎撃していた妹紅が言う

「妹紅さん・・・・」

「情けないが、私や咲夜も消耗している・・・・

だから、ここで魔理沙が抜けるのは厳しい」

「くそっ!せめて、せめてもう一人!戦力があれば!」

 

「よう、魔理沙!呼んだか!?」

そこには、久しぶりに会う人間がいた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時は少し戻り、幻想郷上空ーーー

僕、日下部真言は全速力で人里に向かっていた

 

人里が見えるようになるほど近づいてきた時、相棒が話しかけてきた

 

〈おっと、相棒、もうすぐ人里に着くがどうする?〉

どうするって?

〈今、人里の四方から妖怪達が攻めてきてる、それをどうやって迎撃するかって話だよ〉

どうやってって、そりゃ、お前のあの七つのなんとかスペカで・・・・

〈七つの大罪スペカな、ああ、言ってなかったっけか・・・・あれ全部近距離戦用なんだよ〉

え、マジ!?

〈マジマジ〉

使えないじゃん!?

〈だから聞いたんだよ、どうすんのって〉

・・・・どうしよう?

〈はあ、新しくスペカ作ればいいだろ?あんなに映姫様から貰ったんだからよ〉

おお、そうか!

僕は懐から白紙のスペルカードの束を取り出した

映姫様が「能力が変わり、今までのスペルカードは使えなくなるでしょうから」って言ってくれたんだ

 

〈・・・・相棒はどっか抜けてるよな、まあそれが良さなんだろうけどさ〉

うっせ、で、どんなスペカにしようか?

〈それくらい自分で考えろよ〉

僕は腰抜けだから(ヾノ・ω・`)ムリムリ

〈おい!まだ俺が腰抜けって言った事根に持ってやがんのか!?〉

つーん

〈はいはい!わかったよ!じゃあ、こんなんでとうだ?〉

おお!いいね!採用!

〈俺がどんな意見出しても採用したんだろ、どうせ・・・・〉

 

「よっしゃ!行くぜぇ!『暴力【圧倒的な力による地殻変動】』!!!」

僕は人里に着くと即座にスペカを発動させた

 

僕が自分の拳を地面に叩きつける

すると、人里の四方の地面が隆起し、人里を周囲をぐるっと覆う巨大な土の壁が出来上がった(進○の巨人をイメージして頂ければ)

・・・・ふぅ、これで飛べない妖怪は人里に入って来れないな

 

「よぉ、真言、久しぶりだなっとっとと」

魔理沙が話しかけてきた、おいおい、ふらついてるぞ

「おっと、魔理沙、大丈夫か?」

僕は慌てて魔理沙を抱きかかえる

「わ、わりいな真言・・・・」

「良いってことよ、待たせて悪かったな」

〈流石!相棒!素で女性に優しい!この天然ジゴロが!キマシタワー〉

黙れ、相棒、茶化すな

「なんかお前、変わったな」

魔理沙が言う

「頼もしくなったぜ」

「ああ、もう逃げるのはやめたんだ」

「・・・・そうか、じゃあ、後は任せたぜ・・・・」

そう言うと、身体を僕に預けて目を閉じる魔理沙

「お、おい!魔理沙!?・・・・なんだ寝てるだけか」

すー、すー、と寝息が聞こえてくる

 

「魔理沙は私が預かるわ」

「うおっとおっ!?」

突然、メイドさんが現れた!?

幻想郷のメイドさんは瞬間移動が出来るのか!?

 

〈いや、相棒あれは違う、瞬間移動じゃなくて時間停止だ〉

へ〜そんな便利な能力もあるのか〜

〈お前の能力も相当だがな〉

お前と俺のだろ?

〈ああ〉

 

相棒とコントをしてる間にも会話は進んでいく

「私の名前は十六夜咲夜、お嬢様のメイドです」

「僕は日下部真言、人間です」

お嬢様のメイド・・・・?

凄い疑問が湧いてくるフレーズだけど、有無を言わせない様子なので突っ込まないでおく

 

すると

「真言ー!ちょっとあんた早過ぎるのよ!」

「真言殿と、咲夜殿ですか」

二人が飛んできた

「よぉ、アリスに妖夢さん」

「よぉ、じゃないわよ!なに勝手に突っ走っていっちゃって!」

「悪かった、人里を救うために仕方なかったんだ」

言い終わると、

「おいおい、人間、まだ人里は救えてないぞ?」

白髪で掌に炎を纏った女性が話しかけてくる

「私は藤原妹紅、妹紅でいい、よろしくな」

「僕は日下部真言、よろしく」

握手をする、も、妹紅姐さん・・・・その掌に炎を纏いながら握手ですか!?ーーーあれ?熱くない・・・・なんだこの炎は・・・・?

 

〈それは恐らく妖怪にしか効かない炎だな、陰陽術ってやつだ〉

・・・・なるほど、彼女は陰陽師なのですな

〈まあ、そういうことだろう〉

 

「さてと、射命丸だけに任せるのも可哀想だしな、真言が作ってくれた壁のお陰で一息つけそうだ、人手も増えたしな」

「とりあえず、壁の中にいる妖怪達を全滅させればいいのですね」

妖夢さんが二刀を抜き放つ

「私は人間の治療をするわ、行くわよ!上海!蓬莱!」

「シャンハーイ」「ホラーイ」

アリスと人形達は人間の治療を始める

「じゃあ、僕は空から攻めてくる妖怪を迎撃するよ」

「ああ、任せた」

 

会話を終えると僕は空を飛び、壁に着地した

 

 

その瞬間、僕の頬を雲の拳が掠めた

「っあっぶねえ!?」

拳が飛んできた方向をみるとそこには、雲のおっさんと尼さんがいた

 

〈あれは雲は雲でも入道雲の妖怪だな〉

大入道の仲間みたいなもんか

〈まあ、そんなもんでいいだろ、相手の正体なんてどうでもいい、やる事は一つだろ?〉

ああ、そうだな・・・・

 

「ぶちのめす!!!」

そう叫び拳を握りふりかぶる僕ーーーー

「ちょっと待ってください!!」

を止める女性の声

「ふぇっ?」

僕の拳は思いっきり空振りした・・・・恥ずかしい・・・・

「これは、私達の問題です!貴方の手を借りるわけにはいきません!」

僕を止めた女性ーーー金髪に紫のグラデーションの入ったウェーブヘアーの女性が言う

・・・・こういうときは、とりあえずーーーー挨拶しとくか

 

「えっと、僕は日下部真言といいます、貴女は?」

「私は聖白蓮、人里近くの命蓮寺で僧侶をしています」

ああ、僧侶さんだったか、だから争いは好まない感じなんだろうな、それなら僕を止めた理由には納得がいくなあ

 

〈ククク、年上のお姉さん相手に敬語になっちゃう相棒・・・・こんな意外な弱点があったとは〉

そんなことねえよ!ただ、敬語を使わなきゃいけないような雰囲気を出してんだよ、あの人は!

〈そういうことにしとこうかねー〉

そういうことなんだよ!!!

 

相棒の所為で話が逸れた・・・・戻そう

「ですが、白蓮さん!あの尼さんと入道雲は正気を失っています!ですから一旦大人しくさせる必要があると思いますけど・・・・」

「それは分かっています、ですからーーーー私が力で無理矢理止めます」

流石!幻想郷!僧侶さんも普通じゃなかったよ!!

 

僕が呆れて固まっていると

『転覆【沈没アンカー】』

〈ちっ!相棒!避けろ!!〉

 

相棒の声で、動き出す、けれど

僕を襲う巨大すぎる錨

・・・・くそっ!これは避けられない!?

ならーーーおい、相棒!消すやつ頼む!

〈消すやつって・・・・分かったよ〉

相棒がそう言うと、僕の手元にスペカが現れる

『拒絶【分かり合えない思い】』

僕はすぐさま右手で錨を殴りつける、すると錨はスペカの効果で消えた

 

僕が錨を消した後、白蓮さんが悲しげな声をあげる

「村紗!?貴女まで!?」

ムラサと呼ばれた僕に巨大な錨を放ってきた短髪のセーラー服の少女と尼さんと入道は白蓮さんの知り合いらしいな

 

「白蓮さん、僕が尼さんと入道の相手をしますから、貴女はムラサ・・?ちゃんの相手をお願いします」

僕は提案する

「ですから!貴方の手を借りるわけには!しかも人間の貴方に、このままでは、人間の妖怪に対する印象が悪くなってしまいます!」

ああ、なるほど、この人は人間と妖怪の共存を目指しているんだな・・・・

「だったら、尚更です!このままこの人達に人里を襲われたら人々と妖怪達との溝はもっと深くなります!!ーーーおっと」

迫り来る雲の拳を躱す、人が話してんのに邪魔すんなよ!

「そしてなにより、僕、妖怪嫌いじゃないですから」

そう言うと、僕は僕を狙う雲の拳に自分の拳を合わせる

拮抗する二つの力ーーーへえ、この入道中々できるじゃないか

僕はより力を込めて入道の拳を弾き返す

 

〈ほう、あの入道パンチ力だけなら相棒と渡り合えるくらいあるな、だけど、それだけだーーー何も驚異じゃない〉

いやいや、驚異ですよ!?

〈じゃあ、このスペカを使いな、強化系のスペカだ〉

相棒がそう言うと、僕の手元にスペカが現れる

おっ、この黒いスペカは・・・・七つの大宝スペカじゃないか!?

〈七つの大罪だよ・・・・良い加減覚えてくれ、スペカが可哀想だ〉

ごめんね、てへぺろ☆

 

早速、使うよ!

『傲慢【力有る故に生まれる思い上がり】』

スペカを発動した瞬間、僕の右拳に紫色の炎が灯った

相棒、この炎は一体?

〈これは傲慢・・・・この炎が灯った身体の部分が強化されるスペルカードだ〉

確かに、心なしか右手が軽い気がする・・・・

 

僕が右手をグーパーグーパーして感触を確認していると

容赦無い雲の拳が僕を襲った

突然の出来事だったので力をしっかり込めることが出来ないまま奴の拳に自分の拳を合わせてしまった

くぅ、条件反射って怖い・・・・

僕と入道の二つの拳がぶつかった瞬間ーーーーー拳が砕けたーーーーー砕けたのは入道の方の拳だった

 

あ、ああ、相棒!?これ凄過ぎだろ!?

〈炎が灯ってる場所、つまり、一箇所しか強化出来ないのが欠点だな〉

欠点込みでも十分強すぎる性能だよ!!

〈っ、おい!相棒見ろ!〉

なんだよ、ってあれ!?

 

砕けて霧散した入道の拳は周りの雲を集めて再構築されていた

 

「うおい!それズルくね!?」

思わず声に出してしまった

〈まあ、雲の妖怪だから予想はしてたけどな〉

ど、どどど、どうしよう

〈見るからに、あの女が入道を操ってると思うな〉

・・・・つまり、あの尼さんを倒せば入道も止まるってこと?

〈That's right〉

よーーし、じゃあ脚力強化で一気に距離を詰めるぜ!

〈あ、ちょっ、待て!!〉

相棒の静止を無視して僕は右脚を紫の炎で強化し、思いっきり地面を蹴って距離を詰める!

うおっ!凄いスピードだ!いいね!最高!!

良い感じに距離が詰められたぞ!よし、ストップ!・・・・勢いが強過ぎて止まらねえぇえええええええええええええええええええええええええええ!!

〈あーあ、言わんこっちゃない〉

「誰か止めてぇえええええええええええええええええええ!!」

すると、入道は両手を前に出した

「あ!入道さん!!受け止めてくれるんですか!!!」

僕はそのまま入道の両手をーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー突き抜けて尼さんにタックルをきめた

 

僕のタックルを食らった尼さんは一発K.O.

入道も動きが止まり、この勝負は僕の勝ちという結果に終わったーーーまあ、結果オーライでしょ!!

 

後で聞いた話だけど、尼さんにタックルした時僕は光の矢になっていたらしい

凄過ぎだろ、身体強化

 

 

さあ!続くぞ!アンカーを寄越せ!

 



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第二十四話、バーサーカー聖

なかなか、弾幕ごっこの描写が難しくて、投稿が遅れてすみません!
では第二十四話、よろしくお願いしますー!


 

私ーーー聖白蓮は、暴走した舟幽霊の村紗水蜜を止めるため人里上空で彼女と対峙していた

 

彼女の放つ弾幕を躱し、彼女に必死に話し掛ける

 

「村紗!村紗!私です!聖です!!私のことが分からないのですか!?」

 

日下部さんには力づくでも止めるとは言ったものの、私は村紗に未だ攻撃することが出来ずにいたーーーーー身内にも良く言われますが、私は本当に甘過ぎる・・・・

 

「うわぁあああああああああああ!止めてぇえええええええええええ!!」

で、日下部さんは鶏が首を締められたような声を出して物凄い勢いで入道雲の雲山とそれを操る女性ーーー雲居一輪に体当たりをした

・・・・痛そうですね、それにしても日下部さん、本人に言われたらお怒りになるかもしれませんが、彼の実力は人間というより最早、妖怪寄りですよ・・・・

 

でも、彼が言ってくれた言葉ーーー「僕は、妖怪嫌いじゃないですから」はありがたかった、人間全員からその言葉を言われるのが私の夢であり、理想だから・・・・

 

『湊符【ファントムシップハーバー】』

私には通常弾幕は通じないことが分かったのか、村紗はスペルカードを発動させる

私に大量の錨が襲いかかる

・・・・これを全て躱すことは私の機動力では不可能ですね

私もスペルカードを発動しようとしたーーー「『魔法【紫雲のオー・・・・」

しかし、私の脳内に傷付く彼女の姿のイメージが浮かんだーーー私はスペルカードを発動するのを止めた

 

・・・・私には、彼女を傷付ける事はーーーーー出来ない・・・・

 

私はもう躱すことすらやめた

 

・・・・私を封印から出してくれた恩人の一人の手で死ねるのならそれで、私は満足です・・・・

 

 

けど、せめて最後に村紗の声だけでも聞きたかったな・・・・

 

「聖ー、聖ー」

 

そんな私の願いが届いたのか私の耳に村紗の声が聞こえた、ああ、幻聴でも構わない、この愛らしい声が聞けただけでーーー私は・・・・

 

「やーい、やーい、聖の年増ー、BBAー」

「『魔法【紫雲のオーメン】』!!!」

私は即座にスペルカードを発動させる

ぶつかり合う村紗の錨と私の魔法ーーーーーそれは、お互いのスペルカードの制限時間が終わる迄続いた

 

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ、村紗ぁああああああああああああああああ!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうも!正体不明の妖怪、封獣ぬえだよ!

なんで暴走してないのか?正体不明だからよ!!文句ある!?

 

ちなみに、私は私の『【正体を判らなくする】程度の能力』を使っているので、聖と村紗に私の姿は見えていません、まる

 

さて、皆さんにさっき起こったことを話すわ

 

 

聖に村紗の声真似してBBAって言ったら聖がキレた

 

『超人【聖白蓮】!!!』

・・・・あ、村紗死んだかも

 

超高速で移動する聖、あれ?いつもより速くない?下手すれば幻想郷最速の烏天狗くらい速いんじゃない!?

 

・・・・ゴメン、村紗、そしてもう聖を怒らせるようなことはやめよう

 

村紗は必死に通常弾幕を放つけれど超高速の聖には擦りもしない

 

通常弾幕は全く聖に通用しないことに気付いたのか村紗はスペルカードを懐から取り出す

 

「あら〜小細工はいけませんよ〜」

それに対して聖は村紗に一瞬で接近し、村紗の腕ごとスペルカードを握り潰した

 

「ゴキリ」という鈍い音と共に潰れる村紗の腕、これ腕の骨が粉みたいになってるんじゃないの・・・・う、うわぁ~聖やり過ぎ・・・・

 

あ、あれ!?村紗泣いてる!?まさかさっきの腕潰しで意識戻ったの!?

 

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

しかし、聖は容赦をしない

右ストレート、左フック、右ボディ、左アッパー・・・・次々繰り出される聖のラッシュ

 

 

こ、このままじゃ村紗が死んじゃう!?

 

そう思った私は村紗に向かって突進して、村紗に体当たりをする

そして、地面に向かって墜ちていく村紗

こうすれば、村紗は聖の攻撃にやられて撃墜されたように聖には見えるだろう、実際は聖のラッシュから気絶しただけじゃ抜け出すのは不可能だろうけど

 

私が村紗に体当たりした直後、

聖の拳が爆発した、そう、文字通り『爆発した』

・・・・・・・・・・・・えええええええええええええええええええええええええええええ!!!

 

爆風で吹っ飛ばされる私・・・・直撃してたら死んでたよ、冗談抜きで

 

後で紅魔館の門番に聞いた話だけど、超高速で放たれた拳は空気との摩擦で発火し爆発するらしい・・・・もう、聖をからかうのはやめよう・・・・・・・・塵にされる

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うふふふふふふふ・・・・・・・・あら?」

私が気がつくとボロボロの村紗が墜ちていく姿が見えた

「危ない!!」

私は即座に村紗の元に飛んでいき、彼女を抱きかかえた

「ひ、酷い一体誰がこんな事を!?」

暴走した妖怪達にやられたのかしら?確かに村紗の格好は人間に似ているから・・・・まあ、考えても仕方ないわね

 

 

 

「鈴仙さーん、鈴仙さーん」

私は村紗を抱えて人間を治療している鈴仙さんに話し掛ける

「なによ?聖って、わあ!!

む、村紗!?ボロボロじゃない!?」

「早く治療をお願いします!!」

私は頭を下げて村紗をベットに横にさせる

「分かったわ!ちょっと、人形遣い、慧音、人間達の治療は任せるわよ!」

「一体、どうしたのよ?」

人形遣いのアリスさんと人里の守護者の慧音さんが駆けつけてくる

「急患よ!人間じゃないけど!」

「うわ、確かにこれは酷い怪我だ、一体誰にやられたんだ?」

「すいません、私が目を逸らしてる間に・・・・」

「・・・・そうか」

「では、私は妖怪の迎撃に戻りますので」

「ああ、頼むよ」

 

今も、上空で日下部さんは戦っている

妖怪を嫌いじゃないって言ってくれた彼の手伝いをしなければならない

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

いぇい!皆さんこんにちは!楽園の素敵な巫女の博麗霊夢です☆

私は今、なんと!守矢神社にいます!同じ巫女のミラクル☆さなえちゃんと一緒に先程起こった地震と妖怪達に起こった異変についての究明をしています!!

 

・・・・ちょっと早苗?こうすれば人気がでるって本当?信じられないんだけど

 

・・・・ちょっと諏訪子!何笑ってんのよ!

 

はあ、やっぱ、やめるわ

慣れないことはしないに限るわね

肩が凝るわ

 

「で、さっきの話の続きだけれど」

「なんの話だったっけ?」

諏訪子は本当にさっきまでの話を忘れたかのような態度をとる・・・・巫山戯た神ね

「まったく、諏訪子様ったら~」

「えへへ、ごめん早苗~」

早苗は神に甘過ぎるのよ!!だからこういう駄神が幻想郷に溢れかえるのよ!!

 

「だから、今起こってる異変の話よ!!」

私は二人を怒鳴りつける

「あーうー、でも霊夢はお得意の勘でもう犯人は分かってるんじゃないの?」

「え!?霊夢さん犯人分かっちゃってるんですか!?」

はあ、無駄に目敏い神ね、あんただって分かってるでしょうに

・・・・はあ、めんどくさいわね、私は謎を解くより、武力行使で無理矢理解決する方が得意なのよ

 

私は溜息を吐き、早苗に私の導き出した答えを説明する

「えっとね、まず、犯人は人間よ、で能力持ち、まあ詳しい名前はわかんないけど『【妖怪を操る】程度の能力』みたいな能力よ、きっと」

「なるほど、ですがどうして人間だと分かるのですか?そういう能力を持った妖怪の可能性もあるんじゃないですか?」

早苗が私の説明に反論してくる・・・・はあ、めんどくさいわね

「根拠は、異変が本格的に発生したのに姿を表す気配が一切しないことよ」

「え?」

「つまり、犯人が妖怪なら『私がやりましたー!』って言ってドヤ顔するでしょ?それが無いってことは人間が犯人よ」

「あと、妖怪が妖怪を操る能力って矛盾してるしね~」

駄神が私の説明に後付けをする・・・・分かってるならあんたが説明しなさいよ

「で、妖怪達が失踪したのは、その人間が紫を操っているからよ」

「しかし、紫さん程の実力者がそんな簡単に操られたりしますかね?」

「仲が良かったんじゃない?紫と、だから紫も油断して操られてしまった」

ふぅと息を吐く

「けれど、紫だってただで操られたわけじゃなかったわ

前、外来人の持ってたジャムを舐めた時、紫の術を感じたわ、おそらく、自分の術を無効にする術と異変の元凶の能力を無効にする術ね」

「なら、その外来人のジャムを全ての妖怪に舐めさせれば異変解決じゃないですか!?」

・・・・はあ、早苗あんたね

「早苗・・・・」

「な、なんですか?諏訪子様?そんな呆れたような顔で私を見て」

駄神も流石に呆れているみたいね

「だから、早苗、あんたは一体この幻想郷に何人いると思ってるの・・・・全部にジャムを舐めさせてたらその間に人里どころか幻想郷が滅んでしまうわよ」

「確かにそうですね・・・・名案だと思ったんですが」

 

私は小声で諏訪子に耳打ちする

「あんた、ちゃんと早苗を教育してるの?」

「してるよ~でもあれが早苗だし、早苗の良さでもあるからさ~」

「??どうしたんですか?お二人とも?ナイショの話ですか、ずるいです!私も仲間に入れてくださいよぉ!」

「あーうー、私、もうちょっと早苗に成長して欲しいなと思ったよ」

「同感ね、私もよ」

「??」

 

「さて、そろそろ人里に向かいましょうか」

私は立ち上がって言う

「霊夢さん、身体は大丈夫なんですか?」

「本調子には程遠いけど、まあ、大丈夫よ、時間も迫ってるしね」

「何の時間ですか?」

「恐らく、強力な妖怪・・・・失踪した妖怪達が人里を襲い始めるわ」

「あーうー、それは穏やかじゃないね」

 

「では、諏訪子様いってきます」

「留守番は任せてよ~」

「ほら、早苗、行くわよ」

「ああ、ちょ、ちょっと、霊夢さん!待ってくださいよぉ~!」

私と早苗は人里目指して飛び立って行った

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「はっ!一体私はどれくらい寝ていたんだ!?」

私ーーー霧雨魔理沙は目を覚ました

・・・・ああ、私は半日くらい寝ていたみたいだな、もう外が真っ暗だぜ

「ああ、魔理沙、目を覚ましたのね」

人間の治療を終えた鈴仙が私に駆け寄ってくる

「おお、鈴仙、人里は大丈夫なのぜ?」

「ええ、聖と真言さんが妖怪を迎撃してくれたおかげで今は一応、落ち着いているわ」

「そうか、なら安心だな」

私がそう言った直後、

人里が炎に包まれた

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

『爆符【メガフレア】』

僕、日下部真言が妖怪達を迎撃していると、不意に聞こえるスペルカード宣言、そして、白のブラウスに緑のスカートを着て黒い烏の翼を持った少女の右腕の筒から巨大な炎の弾幕が放たれる

 

そして、その弾幕が人里を襲い、人里は炎に包まれた

 

・・・・僕はその弾幕を前に何も出来なかった

〈相棒!腑抜けてる場合じゃねえぞ!〉

でも・・・・

〈こうしてる間にも燃え広がっちまうぞ!〉

 

「ちっくしょぉおおおおおおおおお!」

僕は叫ぶ、僕の能力じゃ炎を消すことは出来ない・・・・

誰でもいい、神でも仏でも悪魔でも、頼む!!炎を消してくれ!!!

 

すると、人里に水が降り注いだ

「はい!貴方のその願いを神は聞き届けました、風祝だけどね☆

どうも、東風谷早苗です!」

・・・・なんだかおちゃらけた神様が現れた

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うわぁ!霊夢さん霊夢さん!人里が燃えてますよ!!」

「そうね」

「やばいですよ!やばいですよ!」

「そうね」

「・・・・霊夢さん、本当にやばいと思ってますか?」

「そうね」

「霊夢さん!めんどくさがってないでちゃんと私の話を聞いてくださいよ!!」

「だったら、あんたがやりなさいよ」

「ぅう~分かりました、東風谷早苗、頑張ってきます!!」

 

『開海【モーゼの奇跡】』

 

うにゅううう、続くよー

 



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第二十五話、図ったなナズーリン

あー、髪が伸びて来た、切らなきゃ
では、第二十五話、よろしくお願いします!


どうも!日下部真言です!おちゃらけ風祝の東風谷早苗さんの力で人里の火事は収まり、最悪の事態は回避できました!・・・・実に危なかったです

 

〈いや、相棒、どうやら危機は去ってないみたいだぜ〉

・・・・どういうことだ?

〈さっきの炎の弾幕を放った烏レベルの妖力を持った妖怪が二人・・・・片方は妖怪じゃねえ!!神だ!〉

神だって!?

 

神という言葉を聞いた僕は早苗さんの方に視線を向けた

「か、神奈子様・・・・」

彼女の表情は驚愕で青く染まっていた

 

「星!?星なのですか!?」

聞こえてくるのは白蓮さんの叫び声

・・・・また、白蓮さんの知り合いですか、妖怪の知り合い多いっすね

 

「ちょっと!!早苗さん!?白蓮さん!?しっかりして下さいよ!!」

僕は二人に檄を飛ばす

「はっ!?すみません!」

「すみません!日下部さん」

 

「まあ、失踪した知り合いに会って驚くのは分かりますが、お二人にはご自身の知り合いの相手をしてもらうってことでよろしいですか?」

「ええ、構いません」

「分かりました」

 

〈一番厄介な奴を選んだな、相棒〉

えっ!?

〈あの烏は只の烏の妖怪じゃねえ、八咫烏の力を持ってる〉

八咫烏ってあの有名な・・・・

〈そうだ、その大妖怪の八咫烏だ、そしてその力は、太陽神の力・・・・分かりやすく言えば、核融合さ〉

か、核融合!?あの、核ですか!?

や、ヤバ過ぎじゃないですか!?

〈ああ、やばいな、下手に突っ込んだら一瞬で消し炭だろうな〉

・・・・ひ、ひええええええ

〈まあ、言い切った手前、今更撤回も出来ないけどな、なんとかなるだろ〉

お前のその自信は一体何処から来るんだよ・・・・

〈相棒!来るぞ!〉

 

相棒のそのセリフの後に八咫烏はスペルカードを発動させた

『核熱【核反応制御不能】』

その直後、八咫烏は右腕を天高く掲げると、その腕から巨大な太陽が発生した

 

ーーー不味い、このままじゃ人里に被害が!?

〈相棒、このスペルカードを使え!速く!〉

分かった!

『色欲【恋人同士は嘘まみれ】』

僕は相棒に言われた通り、スペルカードを発動させたーーーけど、あれ?何も起こらないぞ?

と思ったら、効果は八咫烏の方に現れた、彼女は急に僕に背を向けると弾幕を放った

〈これは色欲のスペルカード・・・・効果は幻覚だ〉

なるほど、だから八咫烏は僕と真逆の方向に弾幕を放ったわけか・・・・

〈とりあえず、今のうちに人里から離れるんだ〉

・・・・オッケー

 

僕は人里から離れた湖の上空に来ていたーーー確か、名前は霧の湖だったかな、まあ、上空だから霧も何も無いんだけどな!!

 

そこで改めて僕は八咫烏と対峙するーーーいや、太陽と対峙する・・・・どう考えてもこっちに分が悪すぎると思んですけど、太陽に勝てるわけ無いだろ、常識的に考えて

〈所詮、人工太陽なんだ、ホンモノじゃねえよ〉

十分脅威なんですけども

〈まあ、当たって砕けろ!〉

砕けたらお終いなんですけどねえー

 

 

・・・・前から思ってたんだけどさ

〈なんだ?〉

『【思いを力に変える】程度の能力』って今発動してんの?

〈してるよ〉

全然前と変わってない気がするんだけど、前より強いスペカが使える程度の変化しか無いんだけど

〈思いが足りないんだよ、劇的に力に変えられるような思いが〉

思いが足りない・・・・?

〈知ってるか?怒りや憎しみの方が思いの力が強いんだよ、だから、今の相棒じゃ自分の意志で力を引き出すのは無理だな、スペカで力の一部を引き出すくらいしか出来ない〉

つまり、本当に強いスペカが使えるようになっただけじゃないですか、やだー

〈まあ、必要になったら勝手に出来るようになるさ〉

 

「まあ、とりあえず、弾幕を全部躱して八咫烏を殴りつければ良いんだろ」

〈まあ、近距離用のスペカしか無いからな〉

「よし、考えるのはやめ!」

僕は開き直って八咫烏に向かって全力で接近する

 

相手の通常弾幕をギリギリで回避しつつ、近づいていく

 

僕の腕が八咫烏にもうすぐ届くところまで僕が接近した時、

『焔星【十凶星】』

八咫烏のスペルカードの発動、そして彼女を中心に生まれる十個の小さな太陽

咄嗟の判断で距離をとる

しかし、完全に避けきれず、太陽の一つが僕に掠ったーーーーー熱い!熱い!熱い!!!僕が今まで生きてきた中で感じたことのない熱さだった、熱いというより最早これは痛い!!!死ぬ!死ぬ!死ぬ!

 

離れたら巨大な太陽の弾幕、近づいたら小さな太陽の弾幕・・・・おい、どうやって倒せばいいんだよ・・・・

 

〈相棒、服燃えてるぞ〉

うぉおおお!

 

 

学ランを脱ぎ捨てる僕

・・・・魔理沙のブレイジングスターを食らっても、妖夢さんの剣を食らっても、幽香さんに吹っ飛ばされても、生き残った僕の学ランがぁああああああああああああああああ!!!

 

「許せん」

〈相棒の怒りの沸点、わけわからないぜ〉

「くそ!せめてあの太陽に触れる事が出来れば!!」

〈それくらいなら出来るぞ〉

・・・・マジで?

〈マジマジ〉

早く言えよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

〈悪かったな、ほらよ〉

 

スペルカードが現れる、また七つのスペカか・・・・

『怠惰【懶惰は自我を護るために】』

スペカを発動させると僕の右手に黒い手袋状の防具ーーーいわゆるガントレットが装着された

〈怠惰は防具を装着するスペルカードだ、それで人工太陽程度なら余裕で触れるな〉

・・・・思ったんだけど、このガントレット部分以外で触れたらどうなる?

〈ガントレットの部分だけ残して他は全部☆消し炭〉

・・・・ひえええ

 

しかし、やる事は何もさっきまでと変わらない、接近して殴る、それだけだ

八咫烏の通常弾幕を躱してどんどん近づいていく

通常弾幕は人工太陽に比べると全然熱く無いし、避けやすい

さらに、八咫烏の機動力が僕よりも大分低いため、弾幕が何処から発射されるのか分かりやすく、予測もしやすいのだ

難無く接近し、八咫烏に向けて拳を突き出す

八咫烏はそれを大きくバックステップで回避する

くそっ!只突っ込むだけじゃ、簡単に回避されてしまう!

どうやって攻撃を当てるかについて考えているとーーー

〈おい!相棒!構えろ!来るぞ!〉

 

『【ヘルズトカマク】』

八咫烏がスペルカードを発動させるーーー幻想郷の夜に二つの巨大な太陽が出現したーーーーーって!?二つ!?そ、そそそそそ、想定外!想定外!想定外の事態です!あれえ?作れる太陽は一つだけじゃないんですか!?一つだけだったら、ガントレットで受けて向きを変えて躱すってことが出来たけど、二つの場合、片方を受け止めてる間にもう片方で、KE☆SHI☆ZU☆MIにされるのは確定的に明らか!!!!

 

詰んだ、僕の人生終了のお知らせ・・・・

〈落ち着け、落ち着けよ相棒!〉

・・・・く、こういう時の為に遺書を書いておくべきだったぜ・・・・

〈落ち着けって!片方しか触れないんなら、片方だけ触って両方なんとかすればいいんだよ!!〉

へっ?

〈あー、だからもー、とりあえずこのスペルカードを使え!で、後は感覚でなんとかしろ!〉

スペカが僕の手元に現れる

『憤怒【超・衝・撃】』

スペルカードを発動すると、右拳の一点に身体中の力が集まる感覚ーーーなるほど、これはこういうことか!!

〈憤怒のスペルカードの効果は強力な近接攻撃だ〉

 

それは、例えるならビリヤード・・・・片方の太陽を殴りつけて打ち出し、もう片方と衝突させて両方ともの向きを変えるーーーこれで片方しか触れなくても、なんとかこの二つの太陽を攻略できる!!

 

けれど、打ち出す力が弱過ぎると向きは変わらず、死、強過ぎると打ち出す前に打ち出そうとしてる方の太陽が砕け散ってもう片方の太陽の向きを変えられず、死・・・・

〈安心しろ、太陽だから砕け散ったりはしないって、だから全力でやれ〉

・・・・凄い嫌な予感がするんですけど

〈死んだら骨は拾ってやる、拾えないけど〉

 

「うわぁあああ、どうとでもなれ!当たって砕けろこのやろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

僕は全力で右拳を片方の太陽に打ち付ける、すると太陽は僕の思惑通りもう片方の太陽にぶつかった、が、僕の思惑通りだったのはそこまでだった

 

何故なら、二つの太陽がぶつかった瞬間、大爆発が起こったからだ

 

ドカーン!!!と鼓膜が破れるかと思った程の大爆音・・・・死ぬかと思った、ガチで、霊力で少しでも防御力強化しといて良かった・・・・

 

〈なんとか生きてたな、相棒〉

なんとかじゃねーよ!軽く死ぬところだったわ!

〈まあ、あれは想定外だった、すまん、で、不幸中の幸いなことに、さっきの爆発は八咫烏も巻き込まれてたぞ〉

 

八咫烏の方に目を向けると、確かに八咫烏もさっきの爆発に巻き込まれたらしく、明らかにダメージを受けている様子だった

 

これは、後一押しでいけるか!

僕はここぞとばかりに接近するーーーその瞬間、八咫烏がニヤリと笑った

 

『【サブタレイニアンサン】』

 

スペルカードが発動した直後、巨大な炎が八咫烏を覆い、球体になるーーーつまり、彼女は太陽になったのだ

 

あ、危なかった・・・・彼女のニヤリを見逃していたら当たっていた

 

しかし、それで終わらないのが、太陽神、八咫烏ーーーーー彼女は僕を吸い寄せ始めたのだ太陽となった自分にぶつける為に

 

う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!なんて吸引力だよ!!ダ○ソンかよ!!!

 

〈こいつをなんとかするには、太陽ごと中の八咫烏をぶちのめすしか無いようだな〉

た、頼む相棒!何かスペルカードを!!

〈無理だ〉

ええ!?なら、新しいスペルカードのアイデアを!!

〈無理だ〉

どうして!?

〈パワーが足りないんだよ、俺がお前に渡すスペルカードは元々は俺のだから、お前には完全には合わないだろうし、今のお前なら自分の手で一番自分に合う強力なスペカを創り出せるはずだ〉

そんなこと・・・・

〈できる!!逆に出来なかったら人里は火の海になるぞ!!!傷付いた魔理沙に、長期間の妖怪の迎撃や人間の治療で疲労困憊のアリス、妖夢、咲夜、妹紅、白蓮、慧音にこいつを倒せるのか!?〉

確かに・・・・俺が、俺がやらなきゃ・・・・

〈そうだ、白紙のスペルカードを手に持ち目を閉じろ〉

言われた通りに目を閉じる

〈集中して、イメージしろ、お前が欲しい力のイメージを〉

欲しい力のイメージ・・・・そうだ、僕は、力が欲しい、皆を守れるような圧倒的な力が・・・・

 

すると、身体の何処からか力が溢れてくる、ああ、抑えられない!!

 

僕は目を開けると手元にある新しいスペルカードを発動する!!

『思想【総てを穿つ一筋の閃光】』

僕は右手で銃を作り、人差し指を太陽の中心に向けるーーーそして、その指先から放たれる圧倒的で、全てを包み込むような純白の光、それはまるで月の光のようだった

 

僕の放った月の光は八咫烏の作った太陽を包み込み、消し去った

〈圧倒的だけど、優しい力ーーー相棒らしい力だな〉

 

「ふぅ、なんとか、終わったか・・・・」

〈ああ、お疲れ様、だけどまだ異変は終わってねえぞ〉

「分かってる、だから人里に戻らないとな・・・・ああ、あの子をそのままにしといちゃ、やっぱ駄目だよな」

僕は目を回して倒れている、八咫烏の少女を担いで、人里を目指して飛んで行く

 

〈やっぱり、相棒はお人好しだな、殺されかけた相手なのによ〉

ん?普通だろ?

〈それを普通だと思ってるのが・・・・まあ、いいや〉

・・・・何が言いたいんだ?

〈気にすんなよ、たいして重要じゃねえ〉

 

・・・・ああ、疲れた、流石に倒れそうだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おーい、アリス〜」

私を呼ぶ声

「あら、真言、どうしたの?」

「この子の治療を頼む」

と言って真言は私に地底の地霊殿のさとり妖怪のペットの烏ーーー霊烏路空を渡す

 

・・・・確か、この妖怪も失踪していた妖怪の一匹よね

目を覚ましたら襲ってきたりしないわよね・・・・

 

と私が考え事をしていると、ドサッ、という音と共に地面に倒れ込む真言ーーーちょ、あんたの方が治療が必要なんじゃない!?

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

時間は戻りに戻って、真言が空を連れて霧の湖に向かった直後の人里上空

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

さてさて、面白くなってきた、面白くなってきた!

どうも、皆、お久しぶり!封獣ぬえだよ!

 

で、今は金と黒が混ざったショートヘアーの毘沙門天代理ーーー寅丸星と我等が、命蓮寺の超人僧侶ーーー聖白蓮の対決が始まろうとしています!!

 

いやー、どうも、実況の封獣ぬえです!!

今はお互い相手の出方を見ているといった感じでしょうか、お互い一歩も動かず、相手を観察しています

 

おーっと、最初に動いたのは以外にも聖選手だー!身体の向きは変えず、真横にステップして、弾幕をーーー「聖ー!聖ー!」

おや?誰かが聖に話しかけているぞ?

あれは、ナズーリン!?

 

「おお、ナズーリンどうしたのですか?ここは、危険です!」

「・・・・聖、ご主人の相手は私に任せて貰えないだろうか?」

えっ!?ナズーリン何言ってんの!?

「しかし・・・・悪いですが、貴女の

戦闘能力では、星の相手にならないと思いますけど・・・・」

「それは分かってる、だけど、私には策がある」

「ですが・・・・」

「後、もう一つ理由がある、もし、聖がご主人と戦うとすると、人里の上空を守る人手が足りなくなるのだ」

「確かに・・・・」

「だから、任せて貰えないだろうか?」

「・・・・分かりました、では、お願いします」

 

おおっとー!では、対戦カードが変わりましたー!聖VS星からナズーリンVS星の主従対決に変わりましたー!

 

圧倒的に星が有利な対決に見えますが、ナズーリンの言う『策』というのも気になります、その内容がこの対決のキーポイントになるのは確実でしょう!!

 

「おい、ぬえ、封獣ぬえ」

おっと、ナズーリン選手が誰かを呼んでいます!一体誰を・・・・え!?私!?

 

「そこにいるのは分かっているぞ、ぬえ」

 

ええー!!まさかナズーリン、私の正体不明を見破る道具でも見つけちゃったの!?

 

「私はいぬえ」

「いるじゃないか」

「どうして、私がここにいることが分かるんだよぉ」

私は能力を解除して姿を現す

「村紗に聞いた」

「・・・・まさか」

「お前が聖に悪口を言ったことも知っているぞ」

「や、やめてぇええええええええええええ、聖にバラすのだけはやめてぇえええええええ、聖にバラバラにされるぅううううううううう、なんでもするからぁあああああああああ、それだけはぁあああああああああああ!!!」

私は涙を流しながら、ナズーリンに縋り付くーーーまだ、まだシニタクナーイ!!シニタクナーイ!!!

 

「なんでもすると言ったな」

「えっ!?」

「言ったな?」

「はい」

「なら、私の代わりにご主人様の相手をしてもらおう」

「ええーっ!!」

対戦カードは変わりに変わり、私VS星になった

 

「まさか、ナズーリン、さっきまで言ってた策ってまさか・・・・」

「御察しの通り、君に全て押し付けることだよ」

「なぁぁぁぁぁずぅぅぅぅぅりぃぃぃぃぃぃん!!貴様!!!図ったな!!!!」

 

はっはっはっはっと笑いながら人里へ降りていくナズーリン、そして残された私と殺る気満々の毘沙門天・・・・はぁ、やるしかないか

 

私は星に向かって突進して行くのだった

 

続きは私より正体不明だね!

 

 



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第二十六話、唯一の可能性

おっおっ、おっおっ、おっおっ、おっぱんかんなむすたーい
おっおっ、おっぱんかんなむすたーい

では、第二十六話、よろしくお願い申し上げます。


どうも!引き続きぬえだよ!皆、元気にしてた?私はね・・・・・・・・ピンチだよ

だってさ、星強いんだもん、伊達に毘沙門天代理してないねー

普段は物失くしたり、どこか抜けてる星だけど、暴走してる今は彼女の馬鹿みたいに高い戦闘力が存分に発揮されて強いったらありゃしない!!

 

私も星も同じ槍を使って戦うんだけど・・・・槍の技術も星の方が断然上なのよね

勝てぬえ、ってか、星の槍の方が私の槍より長いのよ!だから、リーチで負けてるから、こっちの攻撃は当たらないのよ!

つまり、武田信玄の最強の騎馬隊も織田信長の長い槍♂に負けたんだよってことよ!

 

 

近距離戦闘に私の勝機は無いね・・・・距離をとって弾幕勝負しかないわ!!

『妖雲【平安のダーククラウド】』

スペルカードを発動させる

雷雲を思わせる黒雲が発生し、そこから弾幕が放たれる、私の得意技『平安のダーククラウド』よ!

・・・・でも、星もスペルカードを・・・・発動しない!?

『平安のダーククラウド』に直撃する星・・・・なんで星はスペカを発動しないの!?

 

星は必死に服の懐を探している、なんだか慌てているように見える・・・・まさかーーーーーーーースペルカード忘れたんかぁぁぁぁぁぁぁい!!

お笑い芸人のようにずっこける私

 

やっぱり暴走してても星は星だった!!

 

・・・・はぁ、こんなおっちょこちょいの星をスペカ使ってボコボコにしたら逆に私の器が小さいと思われるわねーーーーーよし、私もスペルカードを封印してやろうーーーーー私の決意に惚れた人は、挙手しなさい

 

私はスペルカードの束を星に見せつけるとそれを投げ捨てーーーーるのはもったいないから、懐に入れ直ーーーーすのもカッコ悪いから

「聖ー!聖ー!ちょっと来てー!」

「はいはい、なんでしょう?」

「はい、これちょっと預かってて!」

「はい、お受け取りしました」

そう言うと、人里に戻っていく聖・・・・ふう、これで私のイメージアップは間違いなしね!

 

改めて私は槍を握り締めて星と対峙する

リーチではこっちが負けてるから星に勝つには、超接近戦しか無いわね!!

 

高速ステップで星に近づく、星は私を迎撃する為に槍を突き出すーーーふ、完璧にそれは読めていたわ!

身体を逸らして槍を回避する、見事に躱した!これで、私のリーチよ!

私は槍を星に突き出す!決まったーーーー横薙ぎぃいいいいいいい!!!

 

説明しよう!星は私の槍が届く前に自分の槍を横薙ぎ、私を吹っ飛ばした

 

くそう!くそう!

私のスピードじゃあ槍を一回躱しただけで槍が星に届く前に攻撃を食らってしまうわ!

 

私が吹っ飛ばされて体勢が整う前に星は私に通常弾幕を連射する

いて、いてててて!?

モロに当たっちゃったよ!!

 

けど、今ので少し縛りが外れたわね

弾幕は弾幕でも通常弾幕はオッケーらしい・・・・これが、この勝負での重要なファクターになるわね

 

このファクターで、勝つ為の道筋が見えた気がする

とは言っても、この勝利方法で勝利を得る為には条件があるわね・・・・まあ、これしか勝ち目が無いのだから、全力でこの可能性に賭けるしかない!!!

 

私は、星に向かって突進を繰り出す、さっきと同じように星は槍を突き出す私はそれを躱し、星の横薙ぎに吹っ飛ばされる、星の通常弾幕を受ける、星に向かって再び突進、星の槍を躱す、横薙ぎで吹っ飛び、通常弾幕を受ける、突進、槍を躱す、横薙ぎ、通常弾幕、突進、躱す、横薙ぎ、通常弾幕、突進、躱す、横薙ぎ、通常弾幕・・・・・・・・・・・・何度も何度も何度も同じことを繰り返す体力の続く限り

 

そして、私はボロボロになっていくーーーーーーーーけれど、これで勝利条件を完全に満たした!!

 

「いくわよ!!」

私はそう吼えると性懲りも無く星に突進し、体力が残り少なくなっているので星の槍をしっかり躱すことが出来ずに私は真正面から槍に貫かれてしまうーーーーーーーーーーーーーように星には'見えている'

 

しかし、本当の私は星の真後ろに居た!!!

 

「星、お前はここで終わりだがな!!!!」

星の後頭部に向けて槍を一閃!!!

これで、星に一発ノックダウン!!

私の勝ちだぁああああああああああああああああ!!!やったぁああああああああああああああああ!!!

私は大きくガッツポーズ

 

さて、皆さん、どうやって私は星の後ろに居たのかの種明かしをします

皆さんは私の能力『【正体を判らなくする】程度の能力』について正しくご存知でしょうか?

私の能力は物に不定形の『正体不明の種』を仕込んで、その仕込まれた物に対する周囲の認識を撹乱する能力

例えば、鳥に種を仕込んだとすると、その形状、音、匂いなど「鳥固有の情報」を奪われ、後には行動だけが残る、つまり、「飛んでいる」という行動要素だけが残り、見ている人はその要素だけで己の知識や先入観だけで勝手にその姿を補完し、その見た目が変わるという仕組みだ

 

で、今回私がしたことは、通常弾幕に種を仕込み、星に放ち、星の後ろに回り込んだ、それだけ

 

まあ、それをする為に何度も何度も何度も星に突進をして、星に『自分に飛んでくる物体=私』という先入観を植え付けたのだ、だから星は自分に飛んでくる私の種付きの通常弾幕を私と判断し槍を突き出す、その隙に私は後ろに回り込む、後は槍で星に攻撃して、私の勝ちぃいいいいい!!

 

ああ、勝負も説明も疲れたぁ~~

 

「聖~疲れた~寝る~」

「はぁい、ぬえ、おやすみなさい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、またまた時は戻り

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

人里を御柱が襲う、その御柱を操っているのは私ーーー東風谷早苗の崇める神の一柱ーーー八坂神奈子様だ

 

人里を襲っているといっても身内なので、私は神奈子様に攻撃をすることが出来ないーーーーーーーーという常識に囚われていますね!皆さん!

私、東風谷早苗はたとえ身内だとしても、人間に危害を加える者を決して許したりはしません!!守矢神社の信仰が減ってしまいますからね!!!

 

では、

「神奈子様!申し訳ありませんが、無理矢理止めさせていただきます!!」

私は神奈子様に真っ直ぐ突進し、お祓い棒で殴りかかるーーーしかし、神奈子様はお祓い棒片手で受け止め、私を逆の腕で殴り、吹き飛ばす

 

「きゃぁああああああ!?」

吹き飛ばされる私・・・・あ、あれぇええええええ?神奈子様ってこんなに強かったんですかあ!?私の想像の三倍くらい強いんですけど!?

 

・・・・どうしましょう、どうしましょう、どうしましょったら、どうしましょう!?

 

 

普通に考えれば簡単にわかる。

こんなつえぇヤツには勝てねぇってことぐらい・・・・

 

お、落ち着きなさい、落ち着くのよ東風谷早苗!!クールに、KOOLになるのよ!!!

 

こ、こうなったら

『奇跡【白昼の客星】!!!』

私がスペルカードを発動させると、神奈子様に向かって星明かりを思わせるレーザーが放たれる

『神祭【エクスパンデッド・オンバシラ】』

神奈子様がスペルカードを発動させ、彼女のオンバシラが私のレーザーと拮抗する

その拮抗は長くは続かず、段々私のレーザーが劣勢になってくる

即座に私はスペルカードを中断し、オンバシラを回避するーーー今回、お互いに使ったスペルカードは威力の高いものでは無かったが、明らかに私の力量は神奈子様に劣っていることが分かる

 

「まだいきます!『秘術【クレイソーマタージ】』

私は二枚目のスペルカードを発動させる、神奈子様に向かって放たれる星型の弾幕群

『天流【お天水の奇跡】』

神奈子様もスペルカードを発動させる・・・・その瞬間、神奈子様の口が動いた気がする

 

神奈子様は大量の弾幕を放つーーーなんという弾幕の密度、そして威力

私はすぐにスペルカードを中断して回避に集中するしかなかった

少し弾幕に当たってしまったが、まだまだ、戦えます

 

二度のスペルカードで神奈子様に私は圧倒的に劣っていることが分かりました、しかし、私は諦めません!!

何故なら、これは神奈子様から与えられた試練だからです、先の神奈子様のスペルカード発動時に彼女は「諦めるな早苗」と言ってくれた様に私は思います

だから、私は絶対に絶対に諦めません!!!

・・・・ですから、

「見ていて下さい!神奈子様ぁあ!!『蛙符【手管の蝦蟇】』!!!」

私の元にエネルギーが集まってくる

エネルギーが溜まりきると私はそれを爆発させる!!!

神奈子様がとった対処方法は

『御柱【メテオリックオンバシラ】』

私の予測通り、力勝負だった

私の爆発と御柱がぶつかり合う

お互いのトップレベルのスペルカードのぶつかり合い、空気が震え、いつの間にか天が裂けていた

 

段々と私の弾幕が押されはじめる、しかし私はスペルカードを中断しない、ここで中断して回避に徹するような姿は神奈子様に見せたくない!!

 

徐々に徐々に徐々に御柱が私に近づいてくるーーーーーーーーもう少しで私にぶつかる寸前でお互いスペルカードの制限時間が迎え、強制的に弾幕が解除される

 

今しか無い!!!

 

これが神奈子様の弱点ーーー神奈子様は移動速度が遅く、一発、一発の威力が高い代わりに次を繰り出すのに時間が少々掛かることだ

 

 

私はこの隙に一気に神奈子様との距離を詰め、スペルカードを発動させる

『秘法【九字刺し】!!!』

大量の縦、横レーザー弾幕が神奈子様に襲いかかる、神奈子様は通常弾幕で抵抗するが、止めきれず、弾幕が命中するーーーやった、やりましたよ、神奈子様・・・・

 

満足して、私は意識を手放した

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

早苗は私に弾幕を当てると気絶して落ちていく

それを私は抱き留める

 

「早苗も強くなったもんでしょ?」

私に話し掛ける人影

「ああ、そうだな、諏訪子」

「やっぱり、早苗は成長するのが早いねえ、この間まで、諏訪子様ー、神奈子様ー、って私達に着いてくるだけだったのに」

そう言って、早苗の頭を撫でるのは、守矢神社の神のもう一柱にして、土着神の頂点ーーー洩矢諏訪子

「実際は最初の弾幕衝突で意識戻ってたんでしょ?」

「ああ、って、諏訪子!お前いつから見てたんだ!」

「ん?最初からだよ?」

「だったら、早苗じゃなくてお前が私を止めなさいよ」

「まあまあ、でも、早苗強かったでしょ?」

「正直、もうちょっと手を抜いてたら、逆にやられてたな、あれは」

「でしょー?」

 

諏訪子と二人で「これで、守矢も安泰だな」と笑い合って、人里へ向かうのだった

 

続くよ?読まないと、きゅっとするよ?



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第二十七話、夢

ところがどっこいどっこいしょ〜♪

では、第二十七話、よろしくお願いします。


僕は夢を見る、長い、長い、『彼女』の夢を見る

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、進藤話花は人間の高校生だった

今では幻想郷の地下で今起こっている『精霊異変』の元凶だけど

 

『精霊異変』の目的は人間を滅ぼす事

幻想郷だけでなく、外の、私の住んでいた世界の人間も

 

どうして人間を滅ぼすのかって?

それは・・・・人間が・・・・憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎くて堪らないからよ!!!!!!!・・・・

 

すべての始まりは、中学生の時、私が虐められ始めてからだろうか

 

 

虐め、それはクラス中、どころか、中学生の時の狭い人間関係の中では、自分以外の人間が敵になった恐怖、そして、誰も助けてくれない絶望、その二つを私は味わった

その時から私は人間に対して憎悪の感情を抱いていたように思う

そんな私はすぐに能力ーーー『【精霊と会話し、使役する】程度の能力』を使って人間を傷つけてしまう、爆弾の様な状態であった

 

しかし、その状態の私を救ってくれたのは、日下部真言君だった

彼は私と同じく能力持ちで、私の境遇を理解してくれた

私にとって彼は救世主のような存在だった

彼と過ごした時は楽しかった、全てが輝いて見えた、虐めは止まることは無かったが、彼がいるだけで、耐えることができた

 

そのまま、私は彼と同じ高校に入学し、高校生になった

私への虐めは止むことは無かったが、過去のように人を憎む程では無かった

しかし、数ヶ月が経ったある日、事件が起こった

 

その日の放課後、私は汚された制服を能力で洗って乾かすために屋上にいた

 

乾かしている最中、私を虐めていた人達のグループが来たので、とっさに屋上の物陰に隠れた

 

そして、私は彼等の会話を耳にした

 

「おい、お前ら日下部真言って知ってっか?」

「ああ、あの女みたいなだせえ顔してる奴?」

「え〜、私、ああいう顔好きなんだけど〜」

「でさ、あいつがよく進藤話花と連んでるの知ってる?」

「ええ〜マジ〜?ちょ〜ガッカリなんですけど〜狙ってたのに〜」

「だから、あいつ、締めね?」

「おお、いいね!」

「さんせ〜」

 

その会話が聞こえた瞬間、私は人間への憎しみを思い出した

 

・・・・どうして!?どうして、あんなに優しい真言君が傷つけられなきゃならないの!?

 

・・・・あ、そうか、それが人間なんだ

醜く、卑しい、気に入らない人間を傷つけ、不幸にし、他人の不幸を嘲笑う、汚い生物ーーーそれが人間なんだ

 

私は彼等の前に飛び出し、能力を使って炎の精霊を使役し、炎を生み出し、彼等に火傷を負わせ、病院行きにした

 

その頃だったか、私の能力は『【精霊と会話し、使役する】程度の能力』から『【精霊を支配する】程度の能力』に変わっていたのだと思う

 

時は少し、流れ、私は運命の出会いを果たす、そう、八雲紫との出会いだ

「あら、貴女、人にして人に在らざる力を持っているわね」

「貴女は?」

「私は八雲紫、妖怪よ」

「よう・・・・かい・・・・」

「そう、妖怪よ、で、貴女の持っている能力は人が持つには強力過ぎる、だから、私は貴女を連れて行かなければなりません、妖怪が巣食う理想郷、『幻想郷』へ

だけど、貴女の能力は未だ、開花したばかり、ですから、貴女には選択肢が有ります、私と共に幻想郷へ行くか、それとも、多くを偽ってここで生き続けるのか、その二択です」

「い、一週間時間をくれませんか?」

「いいわよ

その代わり、私が貴女を監視させてもらうけど、いいわね?」

「いいですよ、私は進藤話花、よろしくお願いします」

「ええ、よろしく、話花」

 

その後、一週間は紫と共に生活した、紫は人間には見えないよう術を使ってたらしいので、私は普段通りの生活を送ることができていた

 

その間、私と紫は沢山話をした、幻想郷についてとか、妖怪についてとか

私の家系は昔、有名な陰陽師の家系『神道』だったので、妖怪についての書物が実家の書庫に数多く残っていたので、妖怪について私にはある程度の知識があった

 

一週間が経った頃には、私と紫はお互いを友達だと言い合える関係になっていた

「ねえ、紫?」

「なあに?」

「私、幻想郷に行こうと思う」

「そう、歓迎するわ、友人」

「ありがとう、友人」

 

死んだというふうにした方が後々楽だと紫が言っていたので

私は、屋上から飛び降り、紫のスキマに入って私は幻想郷に辿り着いた

 

そこは、紫の言う通り、妖怪だらけの理想郷だった

・・・・しかし、人間がいないわけではなかった

 

人里、そこは妖怪だらけの幻想郷の中で、人間達が暮らしている集落、そこは一見、人間達がお互いを支え合い、楽しそうに暮らしている様に見えた

 

けれど、人里でも、人間は人間だった

自分の幸福の為には他人を蹴落とすことをなんとも思わない生物に変わりは無かった

私が見たのは、一人の人間を囲み、それを大勢の人間が袋叩きにする光景

 

「お前のせいで!」

 

「お前がいるから!」

 

「お前の所為で、今年は凶作なんだよ!」

 

「この疫病神が!」

 

「この人里から出ていけ!」

 

・・・・ああ、これが人間・・・・イラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイイラナイ

 

 

私は覚悟を決めて、紫を呼び出す

「ねえ、紫?出て来て?」

「何か用かしら?話花?」

 

 

 

 

 

 

 

「私の言うこと聞いて?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

私は自分の『【精霊を支配する】程度の能力』で紫を支配下に置いた後、人間を滅ぼす計画を立てた

 

全ての妖怪を支配下に置き、手始めに、人里を襲い、それから、外の世界の人間を妖怪の圧倒的な力で滅ぼす、それだけ

 

けれど、全ての妖怪を私の支配下に置くためには、私の力が足りない、だから、私は紫のスキマを使って、幻想郷各地の強力な妖怪を誘拐し、その力を少しずつ奪う、全部奪ったら、人間を滅ぼすための戦力にならなくなってしまうからね

 

そして、今、私は地底の地霊殿を乗っ取り、全幻想郷の妖怪を支配下に置くため、幻想郷中に自分の能力を網のように張り巡らせ、人里を襲わせる『第二浸蝕』を発動させた

今の私は幻想郷中で、強大な力を持つ妖怪達の力を奪っているため、幻想郷中で最強と言っても過言ではないと思う

 

私は・・・・人間が憎い、けど、真言君、貴方だけは・・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「にゃっ!?」

変な声をあげて、僕は目を覚ました

 

・・・・なんか変な夢を見ていた気がする

 

僕は着替えて・・・・あれ!?

なんで、僕は学ランからパジャマに着替えたんだろうか!?まさか、誰かが僕を着替えさせ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぼくは、かんがえるのをやめた

 

僕は学ランはボロボロだから、ワイシャツとズボンに着替えて、外に出る

 

「あ、霊夢さん」

外に出たら、霊夢さんが札と針で作られた術式の前で胡座をかいていた

「あら、真言さんじゃない、身体は大丈夫?」

「あ、はい、お陰様で、ばっちりです

で、霊夢さん、一体何をしているんですか?」

「あの結界の保持よ」

霊夢さんが指差した方向、人里の空を見ると、薄い天幕のようなものが張られているのが分かった

「あれは、結界、あれが張られている限り、私が認めたもの以外の侵入を許さないわ

強度に限界があるけどね、でも操られてるような弱小妖怪に破壊できるようなショボいものじゃないから、安心していいわよ」

「そうか」

 

霊夢さんは僕の方を向いて

「何か言いたいことがあるのかしら?」

「実は・・・・」

僕は霊夢さんに僕の親友ーーー進藤話花について、そして、彼女がこの異変を起こしている元凶だという可能性が高いということについて話をした

 

「で、貴方は、もし、本当に親友が異変を起こしているとしたらどうするの?」

「僕は・・・・

もし、他人に異変を起こすことを強要されているのなら、強要した奴をぶちのめします

そして、もし、彼女が自分の意志で異変を起こしているというのなら、ぶん殴ってでも止めます、それが親友である僕の仕事だと思いますから」

 

「そう・・・・で、皆聞いたかしら?」

「ふぇ?」

 

 

「「「「「ええ、もちろん」」」」」

 

そこには、魔理沙、アリス、妖夢さん、咲夜さん、妹紅さんがいた

 

「異変を解決するためなら、幾らでも力を貸すぜ?」

「乗りかかった船よ、ここまで来たらどこまでも行ってやるわよ」

「幽々子様・・・・魂魄妖夢、今から参ります!」

「お嬢様・・・・咲夜は今から参りますよ」

「輝夜がいるらしいからな・・・・」

 

おいおい、一人ずつ目的が違うじゃないか、

でも、それが俺達らしい

 

「じゃあ、行くわよ、異変を解決しにね」

「ああ、いざーーー」

「「「「「「「地底へ」」」」」」」

 

ああ、続くよ、神である私が保証する



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第二十八話、地底への進撃

はい、どうも!
三話連続投稿です
地底編は続きて見てもらいたいので、同時投稿です
では、よろしくお願いします


はい、どうも!皆様、お待ちかねの日下部真言君でーすよ!

元気ですかー!?僕は元気でーす☆

 

で、僕は今、霊夢さん、魔理沙、アリス、妖夢さん、咲夜さん、妹紅さんの七人組で地底に向かって進行しています!

 

(これ以降、真言のセリフは真、霊夢のセリフは霊、魔理沙のセリフは魔、アリスのセリフはア、妖夢のセリフは妖、咲夜のセリフは咲、妹紅のセリフは妹です)

 

魔「あの、思うんだけどさ、こんなに戦力が人里からいなくなって大丈夫のぜ?」

 

霊「だから、急いで終わらせるのよ」

 

ア「具体的にどれくらいの時間なの?」

 

咲「そうね、今は守矢の神達が結界の保持をしているので、時間的余裕が無いわけではないのですが」

 

妖「ですが、あまりにゆっくり移動しすぎると今、戦力が不足している人里に妖怪が雪崩れ込む可能性があります」

 

妹「まあ、半日あるかないかくらいだな」

 

真「では、急ぎましょうか」

 

ア「だから、あんたは速過ぎるのよ!」

 

 

妹「にしては、静かだな」

 

妹紅さんが言う、確かに妹紅さんの言う通り、いつもは妖精達が僕等に悪戯しようと攻撃をしかけて来るんだけど・・・・一切その姿が見えない

 

魔「全部人里に向かってるからじゃないのか?」

 

咲「それにしては不自然よ、人里へ飛んで行く姿も確認出来ない」

 

ア「・・・・まさか」

 

アリスが言葉を言い切る前に

 

『禁弾【スターボウブレイク】』

 

誰かがスペルカードを発動させると、七色の高速弾幕が放たれる

速い!避けきれない!

〈相棒!こいつを使え!〉

 

『暴食【満たされない思い】』

 

スペルカードを発動させると、僕の両手を黒紫色の光が灯る

僕がその黒紫色の両手で七色の弾幕に触れると、七色の弾幕は、僕の両手にまるで吸い込まれるように、消えていった

なんでだろう、何故か、疲れがとれたような、そんな気がする

〈これは、暴食・・・・相手の攻撃のエネルギーを吸い取り、自分の体力を回復させるスペルカードだ〉

 

皆、各々の方法で七色の弾幕を回避できたようだ、すると

 

咲「い、妹様!?」

 

咲夜さんが先程七色の高速弾幕を放った金髪で、七色のクリスタルがついた綺麗な羽を生やした幼女に向かって叫ぶ

 

ア「ヤバいわね、暴走してる」

 

妖「地底に向かう途中になんという障害が・・・・」

 

咲「妹様の相手は私がするわ」

 

咲夜さんが幼女の前に立ち塞がるが、魔理沙が咲夜さんの肩を叩いて言う

 

魔「いいや、お前は助けるべき相手がいるだろ?」

 

咲「魔理沙・・・・」

 

魔「ここは、私に任せろ、フランとは元々、遊んでやる約束をしてたしな」

 

咲「だけど・・・・」

 

真「咲夜さん!!時間は迫ってるんだ!」

 

妹「そうだ!ここは、魔理沙に任せて先に行くぞ!」

 

咲「魔理沙・・・・妹様を頼むわよ」

 

魔「ああ、任せとけ!!!」

 

魔理沙はそう言うと、良い笑顔を見せてくれた、これなら大丈夫だな

 

この場は魔理沙に任せて、僕等は地底へ向かうのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

皆が地底に向かうのを見届け、私ーーー霧雨魔理沙は紅魔館の主、レミリア・スカーレットの妹ーーーフランドール・スカーレットと対峙する

 

「私もなるべく早く地底に向かいたいんでね、ソッコーでいかせてもらうぜ!!」

私はミニ八卦炉を帽子から取り出し、構え、早速スペルカードを発動させる

 

『天儀【オーレリーズソーラーシステム】』

私を中心に複数の球体が周回を始める

そして、その球体は一定のリズムで弾幕を放つ

 

今のうちに魔力を溜めるぜ!

 

『禁忌【恋の迷路】』

フランドールもスペルカードを発動させる、すると、全方位に放たれる濃密弾幕

 

私の周囲を回っている球体が弾幕を放ち、フランドールの弾幕を回避しやすいようにフランドールの弾幕の数を減らす

 

魔力を溜めつつ、避けやすくなった弾幕を回避していく

・・・・まあ、私もプロだからな、弾幕の、ソーラーシステム無しでも躱せるんだが、次の一撃の魔力を溜めるためにソーラーシステムを使ったんだぜ

 

そして、お互いのスペルカードの制限時間になり、強制的に弾幕が解除される

 

「この一撃で決めるぜぇええええええ!!!」

 

お互いにスペルカードを発動させる

 

『邪恋【実りやすいマスタースパーク】』

『禁忌【レーヴァテイン】』

 

私は先程まで溜めていた魔力を全てミニ八卦炉で放出する

放たれる圧倒的な極太レーザー、普段のマスタースパークの3倍以上の光の奔流

 

フランドールは私のマスタースパークに向かって巨大な炎剣を振り下ろす

 

最強クラスのスペルカードの拮抗、天が裂け、地が震えた

 

「うぉおおおおおおおおおおお!!いけぇえええええええええええ!!!」

 

私は吼える、それに呼応するように私のマスタースパークの威力も増幅する

マスタースパークがレーヴァテインを押し、フランドールを飲み込まんとする

けど、足りない、このままじゃあギリギリフランドールに届く前に制限時間を迎えちまう!!

 

「おおおおおおおおおおおおっ!!」

私は吼える!!さっきよりも強く、もっともっと強く!!

ミニ八卦炉を支える腕が悲鳴をあげてるのが分かる、感覚も無くなってきた、でも私は、私は、ここで終わるわけにはいかないんだよ!!!

 

マスタースパークが私に応えてくれる、出力の上昇という形で!!!!

 

けれど、無情にもスペルカードの制限時間が迫って来る

・・・・くそっ、届かねえ、頼む、届いてくれぇええええ!

 

『華符【彩光蓮華掌】』

スペルカードの制限時間が迫るその刹那、聞こえてくるスペルカード宣言、そして、フランドールを襲う人影が一つ・・・・美鈴か!?

 

「ごめんなさい!妹様!!」

美鈴は、七色に輝く拳をフランドールに叩きつける

すると、フランドールのレーヴァテインは強制的に解除され、拮抗が終わり

私のマスタースパークがフランドールを飲み込む

・・・・あ、美鈴も飲み込まれてる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、僕等は地底に辿り着く

地底って言うくらいだから、真っ暗な洞窟のような感じを想像していたが、幻想郷の地底には、灯があり、外みたいに明るいわけではないが、不自由しない程度の明るさだった

 

ア「なんか、静かね・・・・」

 

咲「地底だから、こんなもんじゃない?」

 

霊「それにしても、静かすぎると思うわ」

 

真「皆、これを見てくれ」

 

僕は、指を差して言う、そこには、誰かが戦っていたと思われる大きな傷跡が残されていた

 

妹「一体だれが?」

 

妖「この跡の大きさから判断するに、大きな力の持ち主であったと推測できます」

 

霊「ここから先は何が起こるかわからないわ、注意深く進んでいくわよ」

 

真「了解」

 

注意を払いつつ、進んで行くと

 

茶色の長髪で頭から二本の角を生やした幼女・・・・角!?

が地面に倒れ伏しており、それを見下す黒髪の長髪で着物を着た女性がいた

 

霊「萃香!?」

 

霊夢さんが角幼女、萃香さん?に駆け寄る

 

霊「今まで戦っていたのは、貴女だったのね」

 

萃「ああ、霊夢、すま、ない」

 

そう言うと、萃香さんは安心したように目を閉じ寝息をたて、眠りについた

 

妹「輝夜ぁああああ!!」

 

妹紅さんが、吼える

輝夜と呼ばれた黒髪の長髪の女性は挑発するような笑みを浮かべ、妹紅さんを見つめる

 

妹「皆、ここは私に任せてくれ!」

 

霊「元からそのつもりよ、萃香のこと頼むわね」

 

妹「ああ、任せておけ」

 

妹紅さんのその言葉を聞き、僕等は地底のより深部を目指して進むのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、藤原妹紅は皆が地底の深部に向かっていくのを見届けると、黒髪で着物を着た永遠亭の主、蓬莱山輝夜に向き直り話し掛ける

 

「おい、輝夜、お前・・・・

 

操られてないだろ」

 

 

 

「え〜つまんな〜い、なんでぇ、もこたん気づいちゃってんの〜?」

 

「もこたん言うな、問答無用で襲いかかったりせず、私だけを見つめてたからだよ、蓬莱ニート」

 

「誰がニートよ、誰が

なんか、妖怪を操るこの術は人間や、元々人間には効かないみたいね」

 

「なるほど、だから私は平気だったのか」

 

で、と私は仕切り直しの意味を込めて言い、輝夜に話し掛ける

 

「どうする?私にはお前と戦う理由が無くなったんだが」

 

「そうねえ、正直、私にも無いわ」

 

「でも」

「だけど」

 

「「久しぶりに殺りますか」」

 

私達はお互いにスペルカードを取り出し

 

『蓬莱【凱風快晴ーフジヤマヴォルケイノー】』

『神宝【ブリリアントドラゴンバレッタ】』

 

私と輝夜の放った鮮やかな弾幕達がぶつかり合った

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

妹紅さんが抜けた地点から更に地底の深い場所まで進んでいく

すると、洞窟のような道に出た

 

霊「この洞窟を越えると、地霊殿よ」

 

〈相棒!来るぞ!〉

相棒の言葉の直後、私に向かって飛び掛かってくる影、地底の暗さで、完全にその姿を視認できない!!

しかも、速い!

〈相棒!早くこれを!〉

手元にスペルカードが現れる・・・・頼むぜ!!

 

『嫉妬【嫉妬心ー刃の如くー】』

 

スペルカードを発動させると、僕の右手から黒い光が溢れ、形を成していき、最終的に刀の形になった

〈これは嫉妬のスペルカード・・・・近接武器を生み出すスペルカードだ〉

 

僕は作り出された刀で襲撃者の攻撃を受け止める

だんだんと襲撃者の姿がハッキリ見えてくる

その姿は青色の短髪に、背中に羽を生やした少女だった

僕は刀を振り、少女を弾き返した

 

咲「お嬢様!?」

 

妖「どうやら、レミリア殿だけではないようですね」

 

妖夢さんの視線の方向を見ると、そこには紫の長髪に分厚い本を持った少女が何か呪文を唱えている姿が見えた

 

ア「パチュリー・・・・」

 

『火符【アグニシャイン】』

紫少女が呪文を唱え終わり、スペルカードを発動させる

巨大な炎の球体が出現し、僕等に迫って来る

 

『魔操【リターンイナニメトネス】』

 

それにいち早く反応したのはアリスだった、炎に向けて人形を投げつけ、その直後、人形が爆発し、炎と共に消滅した

 

ア「パチュリーは私に任せて、先に行きなさい!」

 

咲「お嬢様の相手は私です!」

 

妖「ここは、お二人に任せて先に進みましょう!真言殿!」

 

霊「そうね、時間も迫ってるし」

 

真「二人とも、頼んだぞ」

 

ア「ええ、任せなさい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

続きます、お、お嬢様!ああっ!お嬢様!!おぜうさまぁーーーーーーーーーー!!!



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第二十九話、急転直下

今更ですが、毎回タイトルを考えるのに苦労してます
では、第二十九話、よろしくお願いします


よう、霧雨魔理沙だぜ

フランドール・・・・・・・・と美鈴にマスパを決めたが、フランドールはダメージはあるものの、立ち上がった

 

くそっ、流石は吸血鬼といったところか、やはり、スペカ一枚じゃ倒しきれないか

正直、さっきのマスパで体力は限界に近いぜ・・・・美鈴と共闘すれば、まだ可能性があったかもしれないが・・・・美鈴は私のマスパで完全に伸びちまってるし

このままじゃ、あいつらを追いかけるどころか、フランドールの足止めが限界だぜ・・・・

 

「あーあ、やっぱり弾幕ごっこは自分でやらないと楽しくないなー」

 

「は?フランお前、意識があるのか?」

 

「うん!最初からあったよ!」

 

「・・・・どうして、暴走した振りしてたんだ?」

 

「振りなんてしてないよ、身体が勝手に動いてろぼっとみたいで面白かったからそのままにしてたんだけど、つまんなくなったから'糸'をきゅっとしたら治ったよ!」

 

「糸?」

 

「うん!身体が勝手に動いてた時に頭についてた!」

 

「・・・・元凶の能力が糸状なのか?」

 

「ところで、魔理沙!弾幕ごっこの続きしよ?

 

 

 

 

ネエ?ツヅキヲシヨウヨ?ネエ?ネエネエネエネエネエネエネエネエネエ」

 

フランドールの目が狂気に彩られる

 

・・・・あ、やばやばやばやばどうしよどうしよどうしよ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、下手したら死ぬ、下手しなくても死ぬ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ポクポクポクチーン!!!・・・閃いた!!!

 

「おい!フラン!」

 

「ナアニ?」

 

「私について来い!最高に楽しい弾幕ごっこができるところに連れて行ってやるぜ!!」

 

「本当!?行く行く!!」

 

と、いうことで、私は悪魔の妹を連れて、地底へ向かうのであった

ふう、ストレスで私の寿命がマッハだったぜ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、十六夜咲夜は操られてしまった紅魔館の主にして私のお嬢様、レミリア・スカーレット様に対峙しています

 

はぁはぁはぁはぁはぁ、お嬢様!!!お嬢様!!!お久しぶりです!!!咲夜です!!!お嬢様!!!操られても可愛いです!!!お嬢様!!!お嬢様!!!おぜうさまぁあああああああああああ!!!

 

くぅっ、鼻血が!!!久しぶりにお嬢様を直接みたものですから鼻血が止まりません!!!・・・・こんなことになるのでしたら、事前にお嬢様の写真で慣らしておく必要がありましたね、くぅぅぅっ!この十六夜咲夜、一生の不覚!!!

 

ちなみに、操られているお嬢様は私が急に血を流して倒れたので、オロオロしています

 

今こそ!視姦する絶好のチャンス!!!

鼻血の大量出血でこの身が壊れようとも、私は視姦を止めない!!!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうも、皆、アリス・マーガトロイドよ

私は今、鼻血を流している駄メイドとオロオロしているカリスマ(笑)吸血鬼のレミリアを尻目に、私は紫髪で本を持っている日陰の少女ーーーパチュリー・ノーレッジに向き直る

 

はぁ、正直、パチュリーとは戦いたくなかったのよね・・・・

 

魔法というのは、強い威力の魔法を使えば使うほど隙は大きくなり、呪文の詠唱時間が長くなる

したがって、魔法使い同士の戦いでの勝利方法は相手の魔法をより強い魔法で相手ごと潰してしまう、

相手の高威力の魔法を自分のより弱い簡単な隙の無い魔法で相殺、もしくは回避し、相手に発生する隙を突く

最後に、詠唱している最中を狙う

この三つになる

 

で、どうしてパチュリーと戦いたくないのかと言うと、私は一般的に魔法使いと言われる魔理沙やパチュリーと違って、人形遣いなので、彼女達のように強力な魔法を使えない、せいぜい人形を爆破する程度だ

 

さらに、パチュリーは詠唱中に魔法障壁で防御を固めるので、詠唱中の隙は無い

 

よって、私がパチュリーを倒すためには、彼女の強力な魔法を人形達を使って、回避してその後隙を突くしか無いのよね

 

その事実はパチュリーも理解しているだろうから、中々、強力な魔法を使ってこないだろう

まず、私がするべきは回避に集中することね、そして、パチュリーが強力な魔法を使うのを待つ・・・・覚悟は決めた、じゃあ、後はやるだけね

 

出せる人形は2、3体までが限界ね、これ以上は回避するのに問題が発生するわね

 

私は人形を2体だして、魔法の糸で操りつつ、通常弾幕を放ち、パチュリーの出方を見る

・・・・やっぱり通常弾幕は、防御されてしまうわね

 

『水符【プリンセスウンディネ】』

 

パチュリーがスペルカードを発動し、水流が発生する・・・・これじゃない、これは強い魔法じゃない!!

けれど、まともにくらったらヤバいわね・・・・

 

『操符【乙女文楽】』

 

私もスペルカードを発動させると、操っている人形達からレーザーが水流に向かって放たれ、レーザーが当たった部分は水流に穴が空き、道ができる

それを潜ると、パチュリーが次の魔法を放つ為、呪文を唱えている

 

私は冷静にバックステップで距離をとる

 

『月符【サイレントセレナ】』

 

先程まで私が居た場所に魔法陣が描かれ、そこから無数の光の矢が放たれる・・・・あのまま距離をとってなかったら串刺しだったわね

 

でも、スペカ無しでパチュリーのスペカを回避できたのはチャンスに繋がるわね、今のうちに魔力を溜めて、次のスペカに備えるとするわ

 

しかし、私の予測に反して、パチュリーのスペカ『サイレントセレナ』はまだ攻撃を終えてはいなかった、無数の光の矢は洞窟の天井で反射し私に向かって降り注いだ

 

咄嗟の判断で私は人形に魔法の防御壁を作らせるが、即席の防御壁の為、光の矢を全て防御することはできず、私は数本受けてしまう

 

・・・・不味いわ、非常に不味いわね、ダメージを受けた上にパチュリーに魔法の詠唱をする時間を与えてしまった

 

『火符【アグニレイディアンス】』

 

隕石のように巨大な火球が私に目掛けて飛んでくる、パチュリーの使う強力な魔法の一つ・・・・これは回避できないし、不意をつかれた今じゃ相殺できるような攻撃を出せないわね、くらってしまったら確実にただじゃ済まない、くらうくらいなら・・・・

 

『魔符【アーティフルサクリファイス】』

 

人形を爆発させる・・・・但し爆発場所は私の目の前、つまり、私は人形の爆発で吹き飛ばされ、火球を回避する

 

・・・・なんとか最悪の事態は免れたわね、けど、光の矢と爆発のダメージで、受身を失敗したから、正直、立ってるのが不思議なくらいのダメージを受けてしまっているわ

 

はぁ、もう負け確定ね、後私ができるのはせいぜい、時間を稼ぐことくらいね

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうも、鼻血が止まりません、十六夜咲夜です、ああ、お嬢様畑が見える・・・・

 

はぁはぁはぁ、ヤバいわね

お嬢様はもう楽にしてやろうみたいな判断をなさったのか、私にトドメを刺そうと近寄ってくる

 

あぁ、でもお嬢様に殺されるのでしたら咲夜は満足です・・・・

私が死への覚悟を決めた瞬間

 

「咲夜ーーーーーーーーーー!!!」

 

私を呼ぶ声ーーーこの声は、妹様!!!

 

「お姉様!よくも咲夜をこんなボロボロにして!」

 

私を抱きしめる妹様・・・・正直たまりません

 

「お姉様でも、許さない!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おいおい、なに諦めてるんだよ、アリス」

 

倒れこむ私に声をかける人が一人、この声はーーー

 

「魔理沙!?」

 

「おう、魔理沙だぜ?」

 

「どうして?」

 

「お前を助けに来たんだぜ?」

 

「冗談はやめてよ」

 

「まあ、フランをなんとかしたから急いで来ただけだぜ?」

 

「そう、じゃあ、手伝ってよ」

 

「ああ、いいぜ、でも、私も正直体力あんまり残ってないから一撃できめるぜ!!

サポートは任せたぜ?」

 

「ええ、任せなさい」

 

私はそう言うと十数体の人形を取り出し、魔法の糸で操る

 

「準備完了よ」

 

「よし!じゃあ、いくぜぇええええええ!!!」

 

『魔砲【ファイナルスパーク】』

 

魔理沙が吼え、スペルカードを発動させる、すると普段のマスタースパークの2倍程の規模の極太レーザーがパチュリー目掛けて発射される

 

『火水木金土符【賢者の石】』

 

パチュリーもそれに抵抗すべく、スペルカードを発動させる

まるで、隕石のような五色の巨大な結晶弾が放たれる

 

魔法使いの目線から見ると、両者のスペルカードで使ってる魔力の量はほぼ同じくらいね、このままだと、スペルカードの制限時間まで拮抗して強制解除で終わりね

 

だから、ここから私のサポートの仕事なのよね

 

『蒼符【博愛の仏蘭西人形】』

『紅符【紅毛の和蘭人形】』

『白符【白亜の露西亜人形】』

 

私は残っている魔力を全て込めてスペルカードを発動させる

人形達が青、白、赤と様々な色のレーザーを発射する

 

私の人形魔法は、強力な魔法を放てない代わり、一つ一つの魔力の消費が少なくて済むため、同時に出したり、連射が得意なのだ

 

人形達のレーザーと魔理沙のマスタースパークが重なり合い、さらに強大な一つのレーザーとなる

 

「いっけぇぇええええええ!!」

 

「魔理沙!いきなさい!!」

 

「「ドールスパーク!!!!!」」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『紅符【スカーレットシュート】』

『禁忌【クランベリートラップ】』

 

吸血鬼姉妹の弾幕がぶつかり合う

 

嗚呼、お嬢様、妹様、ハァハァハァハァ!!!!

 

「お姉様、操られてもやっぱり強いね!!でも、負けないよ!!」

 

妹様はスペルカードを中断し、弾幕勝負から接近戦に切り替え、お嬢様に殴りかかる

お嬢様は冷静にスペルカードを中断し、妹様の拳を受け止める

お嬢様達は取っ組み合いの状態になる

今しか無い!!

 

『【咲夜の世界】』

 

私以外の時間が止まる、それは当然お嬢様達も取っ組み合いの体勢のまま、止まっている

私はこのスペルの制限時間の間にお嬢様達に近づいて、二人を抱きしめた!!

こ、これぞ姉妹丼!!!キマシタワー

 

制限時間を迎え、時は動き出す

そして残ったのはお嬢様達を抱きしめる私・・・・正直、鼻血が止まりません!!!

 

「さ、咲夜!?」

 

妹様が驚いて先程放とうとしていたパンチがお嬢様の頭を掠めるーーーすると、どういうわけかお嬢様が目を覚ました!

 

「ん、あ、あれ?ここは?フラン?にしゃくや?」

 

き、きたぁあああああああああ!!!

やっぱりクールなお嬢様より普段のお嬢様の方が可愛い!!!!!

おぜうさま!!おぜうさま!!!おぜうさまぁあああ!!!!!

 

私は鼻血を噴出し、意識を手放すのであった・・・・ああ、幸せ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

洞窟を抜けると、そこには更なる障害が待ち構えていた

 

妖「幽々子様!?」

 

霊「・・・・古明地姉妹に、西行寺幽々子か」

 

妖夢さんが叫び、霊夢さんが冷静に相手を見据える

 

霊「正直、ゴールまで戦いたくなかったのだけど、仕方ないわね」

 

霊夢さんは札と針を懐から取り出し、戦闘準備をする

だが、妖夢さんがそれを制する

 

妖「ここは、私に任せてお二人は先に進んでください!!」

 

真「だけど、流石に三対一なんて自殺行為だと思うんですけど・・・・」

 

妖「いいえ、三対一ではありません、二対二ですよ、ね、幽々子様?」

 

霊「どういうこと?」

 

妖「こういうことです」

 

そう言うと、妖夢さんは幽々子さんに向かってスペルカードを投げる

幽々子さんがそれを受け取ると、彼女はにっこりと笑って

 

『死符【ギャストリドリーム】』

 

幽々子さんを中心に紫の蝶が拡散し、古明地姉妹を襲う

 

幽々「ほらほら、霊夢、真言君、地霊殿はもうすぐよ、行きなさい」

 

真「霊夢さん、行こう!!」

 

霊「ええ」

 

僕と霊夢さんはゴールである地霊殿まで急いで向かうのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「じゃあ、妖夢、がんばりましょうね」

 

幽々子様が私に話し掛けてくれる

 

「ゆ、ゆゆ、幽々子様ぁああ〜」

 

久しぶりに幽々子様に会えた喜びからか無意識に私は涙を流していた

 

「ほらほら、妖夢、泣かないの!」

 

「ゔう、すみません」

 

「あらあら、しょうがない子ねえ〜」

 

幽々子様は呆れながらも私を抱きしめてくれる・・・・幽々子様〜そんなことしたら余計に涙が出てきますよ〜逆効果です〜うう、ですが今は敵の手前、これ以上情けない姿はみせられません!!

 

「幽々子様、もう結構です、ありがとうございました」

 

「あら、もういいの?」

 

「まだ、やるべきことがありますから」

 

そう言って、私は刀を抜く

 

「妖夢、私が見ない間に頼もしくなったものね」

 

「本当の強さを見せてもらいましたから」

 

私は古明地姉妹に向かって駆け出す

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

霊「着いたわ、ここが地霊殿よ」

 

僕と霊夢さんはゴールである地底の館、地霊殿に辿り着いた

見た目は西洋風の巨大な館、館というより、城に近い見た目

 

その門前に立ち塞がるように女性が立っていた

その女性は先程までの僕等の地霊殿への侵入を妨害してきた人達とは違っていた、なぜなら

 

女「ここを通すわけにはいかないねえ」

 

彼女は操られてはいなかったからだ

 

霊「星熊勇儀ね」

 

星熊勇儀と呼ばれた地霊殿を守る最後の砦、金の長髪に、頭から角を生やした体操服の女性は言う

 

星「ここは、通せないよ

あの人間は私と鬼の勝負をして勝ったんだ

だから、私はあいつの言うことを聞くんだ、そう言う約束だからね

鬼は嘘をつかないのさ」

 

〈相棒、正直、この女は強いぜ、鬼という種族も相当強い高位の種族だが、その中でもトップクラスの強さだ〉

ああ、僕にだってわかるよ、すごい威圧感だ

頬がビリビリする

・・・・だけど、ここまで来て、逃げられない

 

僕は拳を握って霊夢さんに言う

 

真「霊夢さん、あの鬼は僕が相手をします、ですから先に行ってください!すぐに追いつきます!」

 

霊「・・・・分かったわ、死なないでね」

 

霊夢さんが地霊殿の扉に向かう

 

星「おいおい、行かせるわけないだろう」

 

それを星熊さんが止めようとする

そこに僕は突進し

 

真「貴女の相手は僕ですよ」

 

星熊さんに右ストレートを放った

彼女も右拳でそれを受け止める

 

ぶつかり合う二人の拳

 

星「へぇ、あんたやるねえ!鬼の私と互角の力を持ってるとは!」

 

そう言いつつ、星熊さんは更に拳に力を入れる

・・・・ぐおおおお、なんて力だ、少しでも力を抜いたら拳どころか全身が砕けてしまいそうになる、だけど!だけど!ここで終わるわけにはいかないんだよ!!

 

僕の『【思いを力に変える】程度の能力』が僕の思いを力に変える

 

真「まだ、まだあ!」

 

今度は僕の方が星熊さんの拳を押し返す

 

星「やるねえ、だけど、これならどうだい?」

 

『鬼符【怪力乱神】』

 

星熊さんがスペルカードを発動させると、星熊さんが僕の拳を押し返しはじめる・・・・これは、身体強化のスペルか、ならばっ!?

〈オッケー!傲慢準備できてるぜ!〉

僕は直ぐにスペルカードを発動させる

 

『傲慢【力を有する者の業】』

 

僕の両腕は紫の炎を纏う

あれ?炎の量増えてない?

〈相棒が能力を少し使いこなせるようになったからスペカが強化されたんだよ

けど、炎を纏うことができるのは両腕のみで固定される欠点があるがな〉

つまり、脚を強化はできないってことだな

〈そーいうこと〉

 

紫の炎を纏い、力が増した拳が星熊さんへ反撃を始めるが、二人の拳はお互いのちょうど真ん中でピタッと動きを止めてしまった

・・・・幾ら力を入れても動かない、完全に互角っ!

 

星「この状態の私の力と互角とは・・・・これは楽しい勝負ができそうだ」

 

真「できれば、勝負はしたくないんですけどねぇ」

 

星「それは無理だな」

 

真「ですよねー」

 

直後、僕等は互いにバックステップで距離をとり、戦闘体制を整える

 

そして、ほぼ同時に相手に向かって駆け出し、拳をぶつけ合う

避けるか拳以外の部分に相手の拳が当たったら死ぬ、地獄のボクシングが始まった

 

星熊さんの拳を拳で受けて、軌道をずらし、もう片方の拳で彼女にパンチを繰り出す

逆に、星熊さんも僕の拳を拳でいなして躱し、パンチを繰り出す

このぶつかり合いが数回行った後、再びお互いに距離をとる

 

・・・・痛い、拳が痛いぜ、痙攣してやがる

それは星熊さんも同じなのか、彼女も自分の拳を見つめていた

 

接近戦じゃ、埒が明かない!

ここは、弾幕勝負だ!

と、思った瞬間

 

『起源【マスタースパーク】』

 

星熊さん目掛けてマスタースパークが放たれる、それは魔理沙のよりも太く、威力があるように見えた

星熊さんは、それをギリギリで躱し、マスタースパークを放った人物を睨みつける

 

星「おい、これは私のそこの人間との勝負なんだ、邪魔をするんじゃないよ」

 

真「そうです、これは僕の戦いです!

 

幽香さん!」

 

僕がそう言った後、幽香さんは僕を睨んで言う

 

幽「貴方が戦うべき相手はあの鬼じゃないでしょう」

 

真「・・・・」

 

何も言えない僕に幽香さんは優しい笑みで

 

幽「とっとと、行きなさい、助け合うのも強さなのでしょう?」

 

と言ってくれた

 

真「幽香さん、いってきます」

 

幽「いってらっしゃい」

 

幽香さんと言葉を交わし終えると、僕は地霊殿目指して走り出すのであった

 

幽「さあ、さっそく殺り合いましょう?

お山の大将?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

続くぞ〜酒持ってこーい!!



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第三十話、結末が待っているんだ

ふっ、もうお前に語ることは何もない
さあ、儂の屍を越えてゆけ!!!
(訳:ここまで読んでいただきありがとうございました
では、三十話、よろしくお願いします)


扉を開け、僕は辿り着く

この幻想郷でずっと探していた親友の元に

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「霊夢さん!!」

 

僕は地霊殿の大広間の扉を開け、中に入る

そこには、床に片膝を着いて蹲っている霊夢さん

それを遠くで嘲笑うような笑みを浮かべて見下すスキマ妖怪、八雲紫さん

そして大広間の最奥にて椅子に座っている変わり果てた姿の僕の親友、進藤話花

 

「アア、マコトクンダア〜」

 

話花が僕に話しかける、その声は人間のものではなく、多くの人間の叫び声の合唱のようだった

 

彼女は文字通り『バケモノ』になっていた

数多くの妖怪の力を取り込んだためか、彼女の身体は人間とは程遠いものになってしまっていた

彼女の肌は変色し、青色になり、身体中に歪な螺旋模様が描かれていた

彼女の右腕は刀のように鋭く、最早、肩から腕ではなく刀が生えているように見え、左腕は個体ではなく液体のように蠢いているーーー要するにスライムである

右脚は厚い鎧で覆われていて、左脚は獣のように毛深く、鋭い爪を生やしており、背中からは蝶のような翼が生えている

彼女の顔は辛うじて人間の輪郭を保っているが、その両目は真っ赤で白目まで赤で潰れていた、そして血の涙を流し続けている

 

「アハハハハハ!!マコトクンガキテクレタ!!

ウレシイナァウレシイナァ!!!」

 

話花の口から発せられる物凄い不快音

 

・・・・こ、これが話花?どうしてこんなことに

 

僕が放心していると、霊夢さんが立ち上がる

 

「真言さん、もう、あの女は人間じゃないわ」

 

「霊夢さん・・・・でも」

 

「でもじゃないわ、これは事実よ、認めなさい」

 

霊夢さんは冷たい声で告げる

 

「けど、可能性が無いわけではないわ

彼女が自分の取り込んだ妖怪達の力を束ねている'糸'のようなものを断ち切れば、話くらいはできるようになるかもしれないわね」

 

「糸?」

〈相棒、あの女の身体中に巻きついてる金色の糸がそうだ〉

 

よく話花を観察してみると、確かに彼女の身体に太い金色の糸のようなものが巻きついており、それが彼女の身体を維持しているように見える

 

・・・・とりあえず、近寄らなきゃ話にならないな

〈けど、タダでは近寄らせてくれないようだぜ、あれを見てみ〉

相棒が示す所には、半透明の壁の様なものが張られている

 

「気付いたようね、結界よ、紫が張った、ね」

 

霊夢さんが説明をくれる

 

「そして、弾幕攻撃は・・・・」

 

霊夢さんが通常弾幕を結界目掛けて放つ、すると、空間が開き、大量の目のような模様の空間が現れる

 

・・・・あの目の空間が八雲紫さんがスキマ妖怪と呼ばれる所以である『スキマ』ってやつか

 

霊夢さんの通常弾幕はスキマに吸い込まれる

そして、霊夢さんの真上にスキマが開きそこから先程吸い込まれた通常弾幕が吐き出される

霊夢さんはそれを最小限の動作で回避し言う

 

「弾幕は、通用しないわ

で、あの奥にいる人間に辿り着くためには結界を破るか、紫を倒して結界への力の供給を絶って、結界を解除する必要があるわね

但し、弾幕は紫のスキマで無効にされるから、結界を破る方法は現実的ではないわね

つまり、奥の人間に辿り着くには紫を倒さなければならないということ、分かった?」

 

「・・・・はい」

 

「いい返事ね、じゃあ、協力しなさい

紫には弾幕は通用しないから、近接戦闘しか有効打を与えられないわ

で、私は貴方ほど近接戦闘が得意じゃないから、私が補助をするわ

悪いけど、貴方は紫に接近して攻撃しなさい」

 

「わかりました、では、行きます!」

 

僕は紫さんに向かって最短距離を駆ける!

目の前にスキマ開く!

ゴートゥースキマ!

駆け出した地点に吐き出される!

ビターン!

はいやり直しー!

 

・・・・果てしなく無駄な僕のファーストチャレンジを巻きで紹介致しました

 

「・・・・スキマに吸い込まれるのは弾幕だけじゃないのよ」

 

霊夢さんが呆れた調子で言う

 

「・・・・すいませんでした」

 

「はいはい、スキマには注意しなさい

けど、紫が一度に開けるスキマは一つだけ、で、次のスキマを開くために少し時間がかかるから、貴方のダッシュなら一つスキマを避けることができれば紫に接近できそうね」

 

「なるほど、じゃあ、行きます!」

 

僕は再び紫さん目掛けてダッシュしようとする、その瞬間、紫さんが通常弾幕を大量に放つ

 

・・・・弾幕を避けながら、スキマを見切り、接近するーーー無理ゲーだろ!!!

〈まあ、スキマに吸い込まれさえしなければ、通常弾幕は当たっても問題ないがな〉

 

ダッシュで接近する、これしか無いから・・・・迷わず挑むのみ!!

 

紫さんへの最短距離を弾幕を避けながら接近する

さっきと同じように僕の目の前にスキマが開く、僕は横に飛び、それを躱すが、横に飛んだ先にスキマが開いていて、はいやり直しー!

 

「おいいいいい!!!開くスキマは一つだけじゃなかったのかよぉおおおおお!!」

 

「は?貴方が自分からスキマに吸い込まれに行ったように見えたけど?」

 

霊夢さん?貴女と私の認識がずれているのですけど?

〈幻覚だよ、相棒〉

な、なんだってー!?一体いつから!?

〈多分最初からだ〉

マジかよ・・・・

〈次は大丈夫だ、相手の幻覚はどの程度か良く分かったから、

次は食らう前に止めてみせるぜ〉

にしても、スキマに幻覚・・・・紫さんは僕達を本気で倒しに来てるのか?

〈多分、時間稼ぎだよ、人里を攻め落とすまでの間の〉

・・・・成る程

〈防御や時間稼ぎに徹する奴を倒すほど骨の折れることはないわな〉

でも、負けられない

〈ああ、その通りだな〉

 

僕はもう深く考えるのは止めて、紫さんへの接近を試みる

ここまで、さっきまでとほぼ同じ感じだったが

 

『霊符【夢想妙珠】』

 

霊夢さんがスペルカードを発動する、5つの巨大な光球を紫さん目掛けて放つ・・・・どうして、紫さんに弾幕は通用しないことが分かってるのに弾幕を発射したんだろう?

それは、紫さんの通常弾幕を蹴散らし、紫さんに直撃・・・・しない、やっぱりスキマで全部吸い込んでる!

 

・・・・・・・・そういうことか!!

僕は全力で紫さん目掛けてダッシュする、霊夢さんの弾幕でスギマは既に開いている!!更に、紫さんの通常弾幕は霊夢さんの弾幕によって蹴散らされている!最早、僕の紫さんへの接近を邪魔する物は何も無い!!!

 

完全に僕の拳が届く位置にまで紫さんに接近できたーーー直後、僕の目の前にスキマが開き、先程霊夢さんが放った弾幕が僕に向かって吐き出される

 

あ、相棒!早く消すやつ!!早く!死ぬ!

〈・・・・・・・・はいよ〉

 

『拒絶【分かり合えない思い】』

 

スペルカードを発動し、霊夢さんの弾幕を消し去る

しかし、この消し去る間に発生した数秒で、紫さんにスペルカードを発動させる時間を与えてしまった

 

『結界【夢と現の呪】』

 

紫さんは二つの巨大な弾幕を発射する・・・・その弾幕はすぐに破裂すると、大量の小弾幕となり僕を襲う

僕はさっきまで発動していたスペルカードの効果で小弾幕を消しつつ、後退を余儀無くされた

 

・・・・くそっ!あんなに近くまで接近できたのに、悔しい!!

 

「私の弾幕を利用して真言さんの接近を止めるとは、操られてても頭は回るようね、そのまま私に返してくると思ったんだけど・・・・」

 

霊夢さんが冷静に分析する

・・・・どうして霊夢さんはあんなにクールなんだろうか?

僕も落ち着いてクールになった方が強くなれるのかな?

〈能力的に感情を自由に動かせる今のままで良いと思うぜ?〉

まあ、確かに【思いを力に変える】には、クールな性格は向かないだろうな

 

「霊夢さん」

 

「何?」

 

「次、もう一回だけ僕一人に任せてくれませんか?」

 

「・・・・いいわよ、チャンスだと思ったら私も攻撃するけど」

 

「よっしゃ!行くぜぇ!『暴力【圧倒的な力による地殻変動】』!!!」

 

僕はスペルカードを発動させ、拳を地面に打ち付ける

すると、紫さんの足元の地面が隆起し槍のように紫さんを襲う

流石に地面はスキマで吸い込めないだろ!!

 

僕の読み通り紫さんはスキマを使わず、ステップで回避する

まあ、当たるとは思ってなかったけど、紫さんが回避するために生じる'時間'が大事なんだよね!

つまり、ステップで回避に集中している紫さんは僕に向かってスキマを使う余裕が無い

 

いつ接近するの?今でしょ!!

 

腕が届く距離まで紫さんに接近する

 

『霊符【夢想封印・集】』

 

霊夢さんの弾幕の援護射撃

色鮮やかな巨大な光球が紫さん目掛けて殺到する

それを紫さんはスキマで吸い込む

 

けど、スキマで吸い込んだ弾幕を吐き出すまでの間に僕は完全に攻撃を当てられる位置まで移動できる

僕は紫さんの目の前まで跳躍する

 

「もらったぁあああ!」

 

紫さん目掛けて拳を振り下ろす

 

「ネエ!ネエ!マコトクン!マコトクン!イッショニアソボウ!」

 

話花の叫び声が聞こえた直後、僕の目の前に'二つ目'のスキマが開き、僕は吸い込まれた

 

〈おい、これは幻覚じゃねえぞ!〉

じゃあ、紫さんがもう一個スキマを開けることが出来たってこと!?

〈その可能性もあるが、おそらく、あの人間が開けた可能性のが高いと思うぜ〉

話花が!?どうして!?

〈あの人間、自分が取り込んだ妖怪の能力を扱えるようになるのかもしれないな、推論でしかないが・・・・〉

 

相棒の推測が正しいのか、僕がスキマから吐き出された先は霊夢さんの近くではなく、結界を越えた、話花に近い場所に吐き出された

 

「アハハハハハハハ!!」

 

『爆符【ペタフレア】』

 

話花は笑いながら、右手を前に突き出す、そこから八咫烏と同じ、いや規模はそれ以上の巨大な人工太陽が出現する

 

・・・・死ぬ、冗談抜きで

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私はスキマから吐き出された私の弾幕を躱しつつ考える

 

・・・・キツイわね、真言さんと分断されていよいよ紫に対する攻め手が無くなったわ、弾幕はスキマで無効にされ、接近戦は怪我で紫と渡り合えるレベルの戦いが出来るとは思えない

 

「できるとしたら、時間稼ぎが限界かしらね」

 

私は独り呟く

・・・・そう、最悪時間さえ稼げればいい

 

真言さんがあの人間を倒してくれれば、紫やその他妖怪達の暴走も止まる

しかし、もしここで私が紫を真言さんのいる結界を越えて逃がしてしまったら、真言さんはあの人間と紫の二人の相手をしなくてはならなくなる

そうなっては真言さんの勝ち目は無くなってしまうだろう

 

だから、私はなんとしても紫をあの結界の先に逃がすわけにはいかないのだ

 

・・・・申し訳ないけど、ここは時間稼ぎに徹することにするわね

 

私は立ち上がり、紫と改めて対峙する

・・・・味方の時は頼もしいけど、敵になると本当に厄介な妖怪ねーーーでも、ここで負けるわけにはいかないのよね

 

「まあ、さっきまでで十分休憩はできたし、やれることをやりますか」

私はスペルカードを取り出し、それを宣言ーーーしようとした直後、地霊殿に巨大な太陽が生まれた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕に向かって太陽が近寄ってくる

 

・・・・どうしよぉおおおおおおおお

〈落ち着け!〉

だって、本家のはずの八咫烏よりもデカイ人工太陽とか、死だよ!Gameoverだよ!

〈ほら、スペルカードやるからなんとかしろ〉

おいィ?なんで7枚渡してくれるわけえ?僕に選べってこと!?

〈いや、全部使え〉

・・・・なるほど、それならいけそうだな

 

『怠惰【懶惰は自我を護るために】』

『嫉妬【嫉妬心ー刃の如くー】』

『傲慢【力有る故に生まれる思い上がり】』

『暴食【満たされない思い】』

『憤怒【超・衝・撃】』

『強欲【決して手に入らない苦痛】』

『色欲【恋人同士は嘘まみれ】』

 

僕は7枚のスペルカードを全て発動させる

 

怠惰で右腕にガントレットを装着、

嫉妬で左手で刀を生成し、それを地面に突き刺し、自分を固定

傲慢で右腕に身体強化の紫の炎が灯る

暴食で人工太陽のエネルギーを少し奪う

憤怒で人工太陽を弾き飛ばす

強欲で人工太陽は話花目掛けて飛んで行く

色欲で話花の空間認識を少しだけズラす

 

結果、人工太陽は少し規模が小さくなったものの、真っ直ぐ話花に向かって跳ね返り、彼女がそれを跳ね返そうとして振った腕は幻覚で空を切り、人工太陽は彼女の腹部に直撃した

 

・・・・無傷かよ、こっちは7枚もスペルカードを使ったってのに

 

「アハハ!タノシイネ!マコトクン!タノシイネ!」

 

無邪気に笑う話花・・・・だったもの

最早、彼女は人間じゃない、妖怪よりも化物らしい

会話以前の問題な気がしてくる、もし彼女を縛る金の糸を切ることができたとしても、彼女は正気でいるのだろうか・・・・

 

「モット!モット!タノシイコトシヨウヨォオオオオ!!!」

 

話花が叫び声の咆哮をあげる

 

『爆符【ペタフレア】』

『爆符【ペタフレア】』

『爆符【ペタフレア】』

『爆符【ペタフレア】』

『爆符【ペタフレア】』

 

先程までの巨大な人工太陽が5つ、出現する

圧倒的な光と熱量・・・・これだけ人工太陽が集まれば、本当の太陽に匹敵するのでは

 

「・・・・」

〈これは不味いな・・・・〉

 

僕と相棒が対処法を思い付く前に僕は人工太陽の炎に包まれた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、風見幽香が鬼の星熊勇儀と地霊殿前で戦闘をしていると

地霊殿が、いや、地底が眩い光に包まれた

 

「一体何が起こってるんだ!?」

 

鬼が驚愕を露わにする

 

「・・・・」

 

私は冷静に光で眩む視界の中、地霊殿を見据える

 

数分後、光は止み、炎に包まれた地霊殿が姿を現した

・・・・これは本格的に不味いわね

 

「わ!?大火事じゃないか!?」

 

「鬼、ここは一時休戦よ、まず地霊殿の消化をするわ、手伝いなさい」

 

「お、おう」

 

私の言葉に意外そうな顔をしながら、鬼が首を振る

・・・・失礼な鬼ね

 

「おい!何が起こって・・・・地霊殿が大炎上してるじゃないか!?」

 

すると、魔法使い達や吸血鬼姉妹とそのメイドが駆けてくる

 

「見てわかるでしょ、火事よ、消化を手伝いなさい」

 

私は淡白に今の状況とすべき事を伝える

 

「咲夜、パチェを起こしなさい」

 

「かしこまりました」

 

吸血鬼はメイドに命令する

確かに七曜の魔法使いの魔法なら消化は楽になるわね

 

こうして、私達は地霊殿の消化活動を始める

・・・・真言・・・・死ぬんじゃないわよ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私、博麗霊夢が紫を相手に時間稼ぎをして数分が経った後

地霊殿が真っ赤な炎に包まれた

何事かと思って結界の方に視線をやると、5つの巨大な太陽

結界越しにも感じることができるほどの熱

 

そして、5つの太陽は真言さんに襲いかかり、大爆発を起こした

空気は震え、激しい閃光が視界を眩ませる

 

バリンという音と共に崩れる紫の結界

そこから吹き飛ばされる真言さんの身体

彼の身体はまるでボールのように跳ねて、大広間の端から端まで飛ばされ、壁に叩きつけられた

彼は倒れこんだまま動かない

服は所々破けており、彼の周りに血だまりが出来ている

辛うじて五体満足で人間の形を保っているのがまさに奇跡だろう

 

「・・・・」

 

私は突然の出来事に呆然と立ち尽くすしかなかった

 

「・・・・終わりかしらね」

 

私は呟く

私が諦めかけたその時

 

彼、日下部真言は立ち上がった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・・悪いな」

〈どうしたんだ相棒?〉

「先に謝っておく、すまない」

〈だからどういうことなんだよ!?〉

「先に逝くことを許して欲しい・・・・けど、お前だけは生き残ってくれ」

〈おい!?相棒!?相棒ぉおおおおお!!!〉

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おおおおおおおおおおおおおおおっっ!!!」

 

'俺'は咆哮をあげ、涙を流す

相棒を失った悲しみが故に

 

さっきの5つの人工太陽の爆発の瞬間、相棒ーーー本物の日下部真言の人格は俺ーーー過去の記憶を封じる為に生まれた擬似人格を守る為に自分の人格を全て能力で防御力に変換し、俺を守った

 

・・・・どうして、俺なんかのために相棒が死ななきゃいけないんだよ!!!

 

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!スゴイスゴイ!!イキテル!!!イキテル!!!」

 

甲高い叫び声が聞こえてくる

 

「・・・・お前か」

 

呟く

 

「お前がやったのか」

 

呟く

 

「全部、全部、お前のせいか・・・・」

 

呟き、拳を握り締める

 

「お前のせいかぁああああああああああああああああ!!!」

 

俺が吼える、今の俺に残っているのは怒りと生への執着のみ

 

怒りが戦うための力を生み出し

生への執着が治癒力に変換され、身体の傷がふさがっていく

 

まだ俺が戦うことができるのを理解したのか

 

「マダマダアソボウ!モットモットアソボウ!アハハハハハハハ!!!」

 

 

『神槍【スピア・ザ・クングニル】』

『神槍【スピア・ザ・クングニル】』

『神槍【スピア・ザ・クングニル】』

『神槍【スピア・ザ・クングニル】』

『神槍【スピア・ザ・クングニル】』

 

あいつの笑い声が聞こえてくる

鼓膜が破れそうなくらいの大絶叫

そして放たれる巨大な槍の嵐

それは回避する隙間すらなく、全てが俺に向かって直進してくる

 

・・・・けれど、恐怖は無かった

 

「アハハハハハ!!コワレチャエ!!コワレチャエ!!!アハハハハハハハ!!!」

 

黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れこの化物がぁああああああああああああああああ!!!

 

 

 

「黙れぇええええええええええええええええええ!!!」

 

感情を爆発させる

俺の中に残っているのは、最早、怒りだけ

 

俺のその感情を読み取ったのか、俺の持つ7枚の罪のスペルカードが一つの巨大なスペルカードになった

 

『七罪【総てを統べる力・黒騎士】』

 

俺の身体を闇が包み込む

その闇は俺の身体全体を覆う

闇が晴れると

俺の頭にはフルヘルム、両腕にはガントレット、そして胴から脚にかけて甲冑を見に纏っており、そして全てが真っ黒、『黒騎士』の名に相応しい姿となっていた

 

俺は腰から剣を抜いて、構える

剣は、大きな両手剣で長さは1mくらいだろうか

 

俺に向かって降り注ぐ槍の雨

 

「おおおおおっ!!」

 

剣を力の限り振る

槍は全て剣を振った際に起こった暴風で床に落ちる

 

「アハハハハハ!!タノシイネ!タノシイネ!」

 

何が楽しいねだよ!!ふざけやがって!!!

 

俺の怒りが力に変わる

漆黒の鎧は黒い光を放ち、俺の思いに応える

 

「おおおおおおっ!」

 

俺は疾風のように駆ける、化物から放たれる通常弾幕やスキマを回避し、距離を詰める

 

『【百万鬼夜行】』

『【百万鬼夜行】』

『【百万鬼夜行】』

『【百万鬼夜行】』

『【百万鬼夜行】』

 

俺を迎撃するために放たれる大量の巨大弾幕

それは、隙間無く、確実に当たる圧倒的な弾幕密度

こういう攻撃には基本は自分の弾幕で相殺するか、距離をとって回避に専念するかの二択

 

・・・・けれど、俺はどちらもしない

あいつの弾幕を全て身体で受け、剣を思い切り突き出す

 

弾幕に当たる度に、身体が悲鳴をあげる

だが、俺はそれに一切気にしない

・・・・身体がどうしたっていうんだ!!俺はそんなものより大事な相棒を失ったんだよ!!!

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"」

 

弾幕の嵐は止み、俺の剣はついに化物の腹を抉った

そこから緑色の血が吹き出し、化物は今までより一段と大きな悲鳴をあげる

・・・・うるせえな、とっとと死ねよ

 

さらに、剣で袈裟に斬りつける

血が吹き出し、化物が悲鳴をあげる

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"シニタクナイ!!!シニタクナイ!!!」

 

このままでは、自分が死ぬことを理解したのか蝶の翼を使い、化物は俺から逃げ出した

 

そして、左腕のスライムの腕で八雲紫を絡め取り

 

食べた

 

「オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"」

 

化物は咆哮をあげる

その直後、身体に変化が訪れた

化物の身体全体に目の模様が浮かび上がる

さらに、身体は一回り大きくなったーーー10mくらいあるだろうか、それ以上あるかもしれない

 

「ア"ア"ギガガガグゲゲアアアアアアアア"ア"ア"ア"」

 

最早、化物は言葉すら発する事が出来なくなっていた

恐らく、人間の身には強大すぎる力を制御しきれていないのだ

 

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

 

弾幕が爆ぜる

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

紫が食われた

先程まで紫と弾幕ごっこをしていた私、博麗霊夢は動揺が隠せなかった

 

その直後、

 

「ア"ア"ギガガガグゲゲアアアアアアアア"ア"ア"ア"」

 

咆哮と共に放たれる大量の弾幕、

『深弾幕結界ー夢幻泡影ー』は紫の最強のスペルカードにして、彼女の力の集大成

そのスペルカードが十枚発動されたのだ

その威力は単に十倍、それどころかそれ以上になっている

その規模は地霊殿どころではない、地霊殿周辺8kmがこの弾幕で恐らく塵も残さず、消え失せるだろう

 

それは、人にだって言える、まともに弾幕を受けてしまえば、骨も残らず存在を消されることになるだろう

 

 

私が出来るのは、精々結界を張って自分の身を守る事だけだろう、生き残れる可能性は1%も無いだろう

・・・・ああ、せめて美味しいものを食べてから死にたかったな・・・・

 

遂に、その時は訪れる大量の眩く、強大な弾幕結界が私を襲う、私は死を覚悟した

 

 

 

弾幕は

 

 

襲ってはこなかった

 

 

『【落ちる天幕】』

 

弾幕は全て強大な斬撃で、掻き消されていた

 

「僕はまだ、やらなきゃいけないことがある」

 

声のする方を見ると、先程まで漆黒だった色を白銀に変え、背中から白い翼を生やした騎士が化物と対峙していた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「オ………、タ…ケ…」

 

声が聞こえてくる

沈んでいる意識の中で僕はそれに耳を傾ける

 

「オネ……、タスケ…」

 

ノイズが混ざっている

もっと注意して聞いてみる

 

「オネガイ、タスケテ」

 

はっきりと聞こえてくる誰かが僕に助けを求める声・・・・僕はこの声を聞いたことがある

 

探し続けてきた親友ーーー進藤話花の声だ

 

「お願い」

 

そうだ、僕はまだ何も成せていない

 

「助けて」

 

彼女が助けてと言っている

なら僕はまだ立ち上がらなければならない!!!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕が強く願うと、視界が開け、意識が戻ってくる

 

・・・・待たせたな、相棒

〈ホントに遅えよ馬鹿野郎〉

まだまだ、終わるわけにはいかないからな

〈ああ、行こうぜ、相棒〉

もちろん!

 

話花の元へ翼をはためかせる

もっと、もっと速く彼女の元へ!!

僕が願えば願うほど翼はその輝きを増し、グングン速度をあげていく

 

「ガア"ア"ア"ア"ア"ア"」

 

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【落ちる天幕】』

 

叫び声をあげ、弾幕が放たれるがそれは僕の放つ斬撃で霧散する

 

 

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【落ちる天幕】』

 

斬撃で弾幕を消し去り、僕は更に彼女に近づく

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"」

 

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【深弾幕結界ー夢幻泡影ー】』

『【落ちる天幕】』

 

駄々っ子のように泣き叫び、弾幕を放つ

それは全て例外無く消え去る

 

遂に、僕は彼女の元へ辿り着いた

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"イ"イ"イ"ア"ア"ア"」

 

「もう・・・・終わりにしよう」

 

泣き叫び、イヤイヤと頭を振る彼女に向け、僕は手元の剣に自分の全ての力を集める

 

『【無情なるエンドロール】』

 

縦に一閃

 

それは、彼女の身体を維持する黄金の糸を綺麗に断ち切った

 

「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"・・・・」

 

一際大きな悲鳴をあげると、彼女の身体はボロボロと崩れ落ちていく

そして、最後に残ったのは黒髪のショートボブの少女、進藤話花とスキマ妖怪、八雲紫さんのみ

 

気を失い、地面に向けて落下する彼女と紫さんを抱き留め、地面に優しく降ろした

 

「ふう、これにて一件落着かな」

 

僕は鎧を解除し、ほっと一息

 

「ええ、貴方のするべき事は終わったわ」

 

霊夢さんはゆっくりとこっちに近寄ってくる

 

「ここから先は巫女の仕事よ」

 

その手に鋭い針を持って

 

僕は咄嗟に両手を広げて霊夢さんに立ち塞がった

 

「・・・・後始末ってなんですか?」

 

「その人間の能力は危険すぎるのよ、外の世界でも、幻想郷でもね・・・・

 

むしろ、妖怪達の巣食う幻想郷だからこそ危険な能力だと言えるわね」

 

霊夢さんは無表情で何を思っているのか感じられない

 

「だから・・・・どうするんですか?」

 

霊夢さんは、少し顔を嫌そうに歪めるが、直ぐに無表情に戻って

 

 

 

 

「殺すのよ」

 

明確な殺意を剥き出しにした

背筋が凍る

・・・・本気だ

 

「・・・・」

 

「さあ、どきなさい、邪魔よ」

 

「嫌です」

 

「どきなさい」

 

「嫌だ」

 

「どけ」

 

「嫌」

 

「どけどけどけどけどけ」

 

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

 

どちらも譲らない、いや、譲れない

議論では無く、最早、意地の張り合いだった

 

・・・・ていうか、僕は三文字、相手は二文字・・・・ずるくね?

〈大事なのはそこじゃねえだろ〉

 

お互い、このままでは永遠に平行線だという事がわかったので、霊夢さんと僕は懐からスペルカードを取り出した

 

「まさか、異変の最後に貴方と戦うことになるとはね」

 

「異変を解決するのは、巫女の役目なんだろ?

僕は巫女じゃない」

 

「女みたいな顔して・・・・巫女服着れば十分巫女やれるんじゃないの?」

 

「・・・・人の黒歴史を思い出させやがって・・・・

 

許さん」

 

〈相変わらず、相棒の怒りの沸点が意味わからないぜ〉

 

僕は先手必勝とばかりにスペルカードを宣言ーーー

 

しようとした瞬間に後頭部に鋭い痛みが走った

 

 

薄れいく意識の中、後ろを向くとそこには「ごめんね」と僕に申し訳なさそうに言う進藤話花の姿があった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「で、そいつの代わりにあんたが私と戦うの?」

 

「いいえ」

 

「じゃあ、何の用なの?」

 

「・・・・私を殺して下さい」

 

「ふぅん、どういう風の吹きまわしかしら、まあ、こっちにとって協力的なのは嬉しいのだけれど」

 

「真言君ーーー彼が教えてくれたんです、自分の能力に取り込まれて薄れる意識の中、何度も呼んでくれた、諦めるな、守ってやるって・・・・でも、私がいる限り、彼に迷惑がかかってしまう、それだけは絶対に嫌なんです」

 

「そう」

 

「お願いします」

 

「出来るだけ苦しまないように終わらせてあげるわ」

 

私は真言君の唇にキスをした

 

・・・・これくらい、いいよね

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

僕が目を覚ましたのは、異変が終わってから三日後だった

 

そして、全てを聞かされた、親友の死やその他諸々

その他諸々って表現したのは、話花の死がショックすぎて他の事を聞ける余裕が無くなったから

 

霊夢さんに対して怒りや憎しみは抱かなかった、心の中はただただ、虚無感でいっぱいだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

誰か一人が傷ついて責任を取るだけでは物語は終わらない

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

数日後、僕は妖怪の山の人気のない場所に来ていた

 

僕の物語は落下して始まった

なら、物語の終わりも当然落下して終わるに限る

 

・・・・悪いな、相棒

〈俺は元々は消える予定だったんだ・・・・今更文句はねえよ〉

ありがとう

 

僕はここに飛び降り自殺をしに来ていた

 

なぜか、恐怖という感情はない

・・・・今度こそ、親友と同じところに行けるからかな?

 

飛び降りようとした、その時

 

「おいおい、何しようとしてんだよ、真言」

「・・・・魔理沙」

「悪いけど、見逃せないわ」

「・・・・霊夢さん」

 

「見ろよ、あれを」

魔理沙が指差した方向には僕の知り合いの人間、妖怪達が僕を探している姿があった

 

「貴方に死なれると、いろいろめんどくさいのよ、まだ異変解決の宴会もやってないしね」

「まったく霊夢は素直じゃねえなあ」

ぶっきらぼうな霊夢さんに微笑む魔理沙

 

つられて僕も笑ってしまう

 

ああ、こんなに自分が思われてることを知ってしまったら

飛び降りなんてできるわけないじゃないか・・・・

 

 

こうして、僕の幻想郷永住が決まったのだった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

異変解決の宴会

始めて飲酒をした未成年の真言くんでした

 

泥酔しました

 

何をして何を口走ったのかは覚えていません

 

唯一分かることは、僕が目を覚ました時

 

僕は全裸でした

 

・・・・飛び降り自殺してやろうか

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ここは彼岸、死者達の終着駅ですよーーーおや、貴女は」

 

「・・・・」

 

「こちらこそ、はじめまして、私は幻想郷の閻魔、四季映姫ヤマザナドゥです」

 

「・・・・」

 

「あんなに凄い異変を起こしたんです、勿論、貴女は地獄行きですよ」

 

「・・・・」

 

「おやおや、割とあっさりしてますね」

 

「・・・・」

 

「私はそれだけの事をした・・・・ですか、どうやら反省はしっかりしているようですね」

 

「・・・・」

 

「ぱんぱかぱんぱんぱーん」

 

「・・・・!?」

 

「貴女には、新しい選択肢が与えられました」

 

「・・・・?」

 

「貴女は天国に行く事は出来ませんが

 

新しい命として転成することが出来るようになりました

更に、どういう存在に生まれ変わりたいか、人間、動物、植物etcを貴女は自らの手で選ぶ事が出来ます

 

では、貴女はどのような新しい命を望みますか?」

 

「・・・・」

 

「ほう、それでいいんですか?

生まれてこれるかどうか不確定ですよ?」

 

「・・・・」

 

「それでもいいーーーですか、分かりました、では行きなさい」

 

「・・・・」

 

「お礼なんて要りませんよ

 

貴女は私の友人の親友ですからね

・・・・借りは返しましたよ」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

そして、時は流れに流れて

 

「おー、よしよしパパだそー」

 

「ま、ま、こ、」

 

「ん?まこ?僕のことかい?」

 

「ま、こ、く、ん、あ、り、あ、と」

 

「っ!?

お、おい!この子の名前変えるぞ!!

 

名前は話花だ!話花!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

けれど、物語の最後には誰もが笑顔になれる結末が待っているんだ

ーーーーーーーーーーーーーーーー

Fin




これで、『東方言葉録』は終わりを迎えます

で、今後はタイトルを一新して
『東方真言記』という新しい連載小説を始めようと思います

これは、精霊異変から数年後の真言君の幻想郷生活を描いた物語です

そして、この東方言葉録の更新ですが、描けなかった霊夢vs萃香や幽香vs紫などのサイドストーリーを上げていくことを考えています、しかし、完全に不定期更新になってしまうのですが、時々チェックしてみて下さい

では、次はタイトルを変えた『東方真言記』にて会いましょう!
これからもよろしくお願いしますm(__)m


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