幼馴染になんでもしていいよと言われたのでVRイメージビデオを撮影してオカズにしました。 (ピュアウォーター)
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最高のオカズを作る。

VR物を考えてたらふと思いつき書きました。ほぼノリと勢いなので、続くかは人気次第?あと寝取り寝取られ要素は皆無なので安心して読んでください。


「あぁ!俺のVRヘッドゴーグルがぁ!?」

 

 俺の宝物達が修羅となった幼馴染に壊されていく。床には、バラバラに千切れたエロ漫画。踏み潰された未使用のTE◯GA。粉々になったエロVRを見るために買ったゴーグルが散らばっている。

 

「どうして!どうしてこんな残酷なことを!?」

 

 一心不乱に俺のパソコンにあるオカズデータをゴミ箱に入れる今の幼馴染は正気ではない。触る神に祟りなし。凶行をを阻止しようとしたら重傷を免れないだろう。

 

「他には!!」

 

「ありませぇん!!」

 

「嘘つき!!」

 

 ヒィ、怖いよぉ!!正直に答えたのに理不尽だよぉ〜。あ!今ゴミ箱を空にする音が聞こえた。

 

「ぐぅううううう!!」

 

 俺は泣いて声を殺しながら、鬼になった幼馴染を怒り静まるのをただ待つしかなかった。

 

 

 ────

 

 

「ご、ごめんなさい。本当にごめんなさい。こうちゃん」

 

 

 もの凄い色々と散らかっている俺の部屋で幼馴染の高橋結衣(たかはしゆい)が土下座している。床に頭をベタッとくっつけているためか、後頭部にあるツムジが丸見えだ。長い黒髪がサラサラと艶々してて触りたくなる。あぁ、いい匂いとかすんだろうな……。ってそんなこと考えている場合じゃない。

 

「顔上げてよ。結衣。もう怒っていないから」

 

「で、でも……」

 

 俺。柳原幸樹(やなぎばらこうき)の言葉で顔を上げた結衣の顔は涙でくしゃくしゃになっていた。ひどい顔だ。く、それでも可愛い。そう、結衣はめっちゃ美少女。もう伝説のアイドルの再来だと言っても過言ではないくらいのレベルだ。そんな彼女と幼馴染の俺。勝ち組だと思うでしょ?違うんだな〜。これが。

 

「今日は彼氏の愚痴を聞く日なのに変なもの見せちまった俺が悪いから気にしないでいいよ」

 

 そう、結衣は彼氏持ち。今はぴちぴちの進学校のフェイリス私立高校に通うJK二年生。俺が通っているとこと違う高校でその彼氏にリアルに会ったことは無いが、そこで告白され付き合っているらしい。一応、写真もちらっと見たが女顔のイケメンだった。そりゃ、こんだけ可愛けりゃ彼氏の1人か2人はいるわな。ちなみにテニス部の部長だとか。一応言っておこう。くっリア充め。

 

「あ、ありがとう。こうちゃん」

 

 なんか、俺は最近になって結衣に彼氏とうまくいかない事を俺の家で週に二回くらい相談されている。三ヶ月間くらい前からかな〜。主に惚気と愚痴を聞くだけ。それが今日の訳だが、週2だぞ?こんなめっちゃ可愛い女の子が週2で俺の部屋に来るんだぞ!?内容もあれだけども冷静になれんわ!というか、彼氏持ちなのに男の部屋くる?なんか貞操的にまずいと思うけどけど幼馴染的には大丈夫らしい。『こうちゃんなら大丈夫だよ!』と言われたし。ああ、そうすか。もう男として見てないってことか。悲しいなぁ。

 

「だけど、せ、せめて弁償だけでも……」

 

「いいよ。いいよ。ちょうど寿命だったと思うし」

 

 正直、結衣もすっごく反省してるし別に気にしてない。データもDLサイトで買ったからまたダウンロードすればいいし、あのVRヘッドゴーグルも3年前の物でもう古くて、買い換えようと思ってたし。予備も五個くらい持ってるからなぁ。まぁ、新品で換算すると被害総額は10万そこらだから結衣が弁償したいって気持ちもわかる。だが、俺にとっては端金だ。買おうと思えばポンと買える。だから、まぁいいかな。それに美少女の申し訳ない顔のほうが俺の心にくるし。

 

 

「ごめんね、私が早く来なきゃこんなことにならなかったのに」

 

 なんでこんな惨劇が起きたかというと、結衣が俺の家に早く来すぎたからだ。母が気を利かせて俺の寝室に案内したんだろうよ。いつもはもう一つの殺風景な俺の仕事部屋で話を聞いていたんだけどこっち来ちゃったか。結衣に会う前に間違いが起こらないようにいつも賢者モードになる必要がある。男と女。密室なら、いつ何が起きてもおかしくない。まぁ、そういう不義理なのは嫌いだし彼氏さんにも迷惑かけたくないからね。寝取り寝取られとか一番嫌いだよ。

 

 だから、いつものようにお気に入りの幼馴染系エロVR見ながら抜いてたんだけど途中でゴーグル取られて結衣の般若顔があったにはビックリしたね。右手で握っていた俺の元気だったマイサンもフランクフルトからポークビッツになっちゃったよ。あれだね、VRってやっぱダメだわ。没入感は凄くて抜けるけど、状況把握できないよ。しかもイヤホンしてなくて喘ぎ声めっちゃ出てたし。

 

 そうそう、さっき仕事部屋って言ったけど俺は高校生活をしながら働いている。といってもバイトではなくゲームを個人で作っているだけだけど。所謂、一次創作の同人活動ってやつだ。その手の才能があったのか初めて作った架空の幼馴染とイチャイチャするだけのゲームをDLサイトで配信したところ、疲れた大人の心を掴んだのかSNSでバズってすんごく売れた。続編も続々編も売れた。そのおかげで銀行の貯金額が1億を超えちゃったよ。そんで、親父にそんな金あるなら資産運用してみればって言われて好きなゲーム会社の株買ってみれば、ドンドン株価が上がって配当金だけで高校生なのに年収1000万になっちまった。だから、金は腐るほどある。将来も安泰だ。ちなみにみんなには内緒だ。たかられるの嫌だし。だけど、結衣にはポロッとこぼしちゃったんだよなぁ。『ら、ライバルができちゃう……』って言って翌日から彼氏の相談を持ちかけてきたから、ちょっと不穏な雰囲気を感じるが、何かあったのか?わからん。まぁ、いいや。結衣は他の人には絶対に喋らないって言ってたし。あの時の顔は真剣すぎて怖かった。

 

「男の人ってこういう事、するんだよね。知識としては知ってたけど始めて見て気が動転しちゃった。本当にごめんね」

 

 そう言ってしょんぼりする結衣。まぁ、確かにさっきはやばかったな。割と性には潔癖なのか?と思うが彼氏との情事はよく喋るからそうでもないか。詳しくは顔を赤くしながら濁して話さないが割とガッツリいってると思う。Cまでいってるな。そんなフィーリング。しかし、俺のオカズ全部壊され捨てられるとは思わなかった。なんか彼女の逆鱗に触れたのだろうか?彼氏さんも大変だな。

 

「こうちゃん。私の気がすまないから、お詫びになんでもするよ」

 

「なんでも?」

 

『なんでも』それは凄く甘美な響きを持つ言葉。結衣の口からそんな言葉が出た。俺はゴクリと喉を鳴らす。

 

「……ん///」

 

 俺が色んな考えを巡らせ、彼女を凝視してると結衣が俺の股間をめっちゃガン見してくる。顔を赤らめている結衣も可愛いなぁ。絶対変なこと考えてる。いやいや、そうじゃなくてエッチなことはしないから。彼氏さんがかわいそうじゃん。

 

「……なんでもかぁ、ん〜?」

 

 俺は顎を触りながら何も浮かばない頭で考える。正直、別に何もしなくていい。だけど、結衣にも面子があるだろう。ここで拒否したらなんかシコリが残りそうだ。難しい判断が求められる。そんな事を考えていると無残に壊されたVRヘッドゴーグルが俺の目に入った。

 

「そうだ!ちょっとゲームの取材付き合ってよ!」

 

「えぇ!?付き合う!?」

 

 顔を真っ赤に染める結衣。可愛い。おい、勘違いしちゃうだろ?てか、なんでそこだけ切り取る?まぁ、……いいや。今日は変な日。何も気にしてはいけない。それでいこう。

 

 結衣にやって欲しいのは今作っている幼馴染シリーズのVR版。それの取材資料の制作だ。簡単に言うとイメージビデオの撮影。それを元に3DCGを作ってゲームエンジンで動かす。リアルな動きを出すには現実を参考にすれば良い。幼馴染なら本当の幼馴染だ!そしてここに最高の幼馴染がいる。結衣が手伝ってくれれば大ヒット間違いなしだぜ!それを彼女に説明する。

 

「い、いいよぉ〜」

 

 よし!承諾を得られた!今回も良いゲームを作れる!……というのが表の理由だ。裏はまた別にある。

 

 オカズだ。

 

 さっきからムラムラしてしょうがないんだ。だって結衣が抜くの中断したでしょ?溜まりに溜まってるんだよ!今の俺は正気じゃない。普段なら絶対にしない提案だ。絶対後悔するけどやめられない。もう結衣で抜くしかない。『なんでも』の魔力には勝てなかったよ……。

 

 イメージビデオの撮影だが、かなり際どい所まで取ると予定だ。と言っても着衣はそのまま、パンツも見せないソフトな感じ。だが、それならグラビアアイドルの雑誌みたいに可愛いなぁだけで抜けない。刺激が足りない。だから、今回はVRを使う。

 

 エロVRを見た事があるだろうか?体感した事がない人は是非やってみて欲しい。今なら3万くらいでスタンドアローン式の良い物が買えるし、機種によってはスマホでもできる。俺が良いと思った部分は密着感というか存在感が凄い。目の前にいるような錯覚はそれだけで劣情を掻き立てる。これはどのオカズもない長所だ。まぁ、好みの嬢じゃないとめっちゃ萎えるけど。

 

 俺は幾多の動画を見てきた。そこで一番良かったと思えるのはのはキスシーンだ。お気に入りの嬢の綺麗な顔がすんごく近くにあり目が合う。そして吐息。キスの音。それの良さは体験した事がない人じゃないとわからない。え?本当のキスのが良いじゃないかって?うるせぇ。こちとら童貞なんだよ。

 

「す、凄いぞ結衣」

 

 大きな誤算があった。結衣の演技が凄すぎるのだ。部屋を片付けて撮っていたのだが、結衣が架空の幼馴染兼恋人を演じると空気が変わった。妖艶すぎる。鋼の理性がなければ今すぐにでも襲ってしまいそうだ。く、辛すぎるぞ。演技の指導を受けた事があると言っていたが素人目で見ても天才すぎる。なんでお前アイドルとか女優やってないんだよ。才能がもったいないと嘆きたいほどだ。まぁ、そのおかげで撮影は滞りなく進みエスカレートしていく。調子乗ってキス以外にもエッチぃシーンを取ってしまった。具体的に言うとカメラを揺らして擬似セッ……げふんげふん!

 

「ありがとう!結衣!最高の映像だ!」

 

 俺は感極まり結衣に抱きついてしまう。完成した動画をパソコンでVR使用に加工して試しに見てみた。あぁ、これは国宝。癒しや恋人のいる充実感、快楽を全て兼ね備えた至高の一時を感じるものだった。ゲームの資料なのにこれだけで売れてしまう。まぁ、売らないけど。DLサイトにあったら100万でも払えてしまうほどの映像だった。

 

「あ、ごめん。感激しちゃってつい」

 

「い、いいよぉ〜。私もこうちゃんが喜んでくれて嬉しい」

 

 幼馴染はニマニマしながら喜んでいるように見える。っていうかニマニマしすぎだろ。顔が赤くてとろけてるぞ。初めて見る顔だ。でも可愛い。一応、彼女のメンツは保たれたようだ。あぁ、こんな可愛い幼馴染のVR動画を手に入れてしまった。彼氏持ちとか関係ない。動画にいるのは俺だけの幼馴染。罪悪感よりも歓喜が強すぎる。

 

 時刻はもう夕方。俺はニヤけている結衣を隣にある彼女の家まで送り、自分の家に戻る。そして、お母さんの手料理を食べてベットに座り予備のVRヘッドゴーグルを被る。

 

「はぁはぁ、今までのオカズなんて目じゃないぞ!」

 

 凄い!近くに結衣がいる!今日は我慢しなくていいんだ!うっ!もう出た。気持ち良すぎる!

 

 

 

「……涙が邪魔で前が見えないぞ」

 

 3回目に突入しようとした所、涙が出てきた。理由は分かっている。自己嫌悪だ。俺はなんて事をしてるんだ。結衣の彼氏さんに申し訳ない。失恋。なぜ高校受験の時に告白しなかった。幼馴染を騙して性の対象にする気持ち悪い自分。そして、心を偽る己。それら引っくるめてこの動画を見ているとそれらを想起させ自分が嫌いになる。

 

 

 はぁ、今更だが俺は結衣の事が好きだ。大大大大好きだ。もう、マジで命を賭けてもいいくらいだ。そうじゃなかったら妄想極まって幼馴染とイチャイチャするゲームなんて作らねぇよ。

 

 だけど、ずっと思ってた。俺なんて結衣には友達すらふさわしくない。あんなキラキラした美少女の側にはふさわしくない根暗男だ。顔も特別良いわけじゃないしな。いくら金があっても学校じゃ俺みたいなオタクはカースト下位だ。バカにされるだけの存在。社会に出れば金を持っている奴が最強だなんて親父は言ってたけど、嘘だ。俺が通信制高校を通っているのはオタクなのがバレてイジメられたからだ。何度カツアゲされたか。何度殴られたか。オタクの俺は誰も助けてくれなかった。そんな奴の側に結衣がいちゃいけない。だから、彼氏ができたって言われた時は悔しさよりも喜びのが大きかった。ああ、幸せになってほしい。それだけを俺は願っている。

 

 結衣の口から彼氏の惚気だって聞いても嫉妬しないで我慢できる。彼女が幸せそうな姿を見てるだけで満足できる。

 

 そして、俺が結衣を突き放さないのは未練だろう。彼女と話すだけで俺はときめいてしまう。側にいるだけで良い。幸せになる。恋慕を持ち続けている俺は我ながら滑稽だと思う。クソ人間だ。無価値な存在。

 

 結局、俺は結衣で合計で15回も抜いてしまった。

 

「あぁ、俺何やってんだろうな」

 

 最高のオカズでした。ありがとうございます。はぁ、死にてぇ。

 

 ────

 

 

「んふふ〜ん♪おはよーともちゃん!」

 

「お?結衣おはよう。なんかいいことあった?」

 

 翌日、学校に登校して教室に入った結衣は男勝りな短髪の女の子に挨拶する。その女性はスカートが無ければ女顔のイケメンに見えてしまうほどの宝塚貴公子だ。2人は見た目も相まって西洋絵画の一枚に見えてしまうほど。

 

「それがね。ともちゃんのアドバイスのお陰で前進できたんだよ!」

 

 結衣はともちゃんのこと親友である長谷部友美(はせべともみ)に恋愛相談をしていた。そもそも彼女に彼氏などいない。全く手を出してこない意中の幼馴染に嫉妬させる為の策略だった。なんでこんな事をしたかと言うと彼が自分にちっとも欲情しないからだ。女として意識してほしい。なら、他の男をチラつかせて焦らせればいいという恋愛小説並みのアドバイスを軽い気持ちで友美は結衣にアドバイスをしたのだ。まぁ、結衣は超絶美少女。恋愛イージーモードだ。適当にやってもうまくいくと友美は思っていた。

 

 だが、当然ながら失敗。アドバイスをした彼女はえ?本当にやったの?惨敗だった?と狼狽えてしまう。しかも、結衣の妄想と演技が凄くて空想の彼氏を完全に信じてしまい好きな男からお祝いを申し上げる始末。完全なる失敗。しかし、結衣はそれを週二で彼の家に行く口実が無くなるため嘘だと言えず現状に未練を感じてズルズル引きずっている。もう3ヶ月。やばい状況だ。友美はこの状況を打開するには過激な策しかないと思った。『なんでも』作戦だ。結衣は空前絶後の美少女。そんな彼女にそれを言われたらどんな男でも野獣になるだろう。とりあえず、関係は進む。

 

 だが、きっかけ作りは難しい。脈絡も無しにいきなり策を講じるのは結衣にとってはハードルが高いし、慎重に事を進めなければ彼が不信に思ってしまう。友美はなんか上手いことやれないかと思ってた矢先、結衣がやらかしてしまった。

 

 好きな男の私物を破壊する暴挙。彼のオカズ達にめちゃくちゃ嫉妬してしまい暴走してしまったそうだ。なんで私じゃないの!?私に突っ込んでくれればいいのに!?今まで空回りしてた彼女にとっては怒り狂う理由としては充分であった。

 

 まぁ、なんやかんやで幸いにも意中の男性と和解し嫌われることは無かった。一応、『なんでも』作戦のお陰で関係も進んだみたいで恋愛的に良い方向に向かっているみたいだ。

 

「い、イメージビデオの撮影?しかもVR?」

 

「そう!なんかエッチな感じのだったけど楽しかった!またやりたいな。……あ。思い出したら濡れてきちゃった」

 

 だが、内容が斜め上すぎた。VR?イメージビデオ?疑似セッ……げふんげふん。なんだそれ!?一応、彼は個人のゲームメイカーで資料に使うために撮影したらしいが、幸樹の欲情した目を結衣は見逃さなかった。他にオカズはない。今夜は性欲を持て余しているはず。絶対私で抜く。それが凄く嬉しかった。初めて女として見てくれた。そのため、結衣はとても上機嫌である。お股ジュンジュンである。まぁ、幸樹に聞けば最初からそれを表に出してないだけなのだが、彼女はそれを今まで知る事は無かった。もう分かると思うが結衣はとても性欲が強い。しかも、そのすべてが幸樹に向いている。頑張れ幸樹くん!次の撮影を彼女はすっごく待ち望んでいるぞ!

 

「あはは。そ、そりゃ良かったね(ドン引き)」

 

 正直、親友の奇行は目に余る。内股でモジモジしてる結衣にどう対応すれば良いか分からない。濡れちゃったとかお前普段言わないだろ。痴女か。そしてその親友が好きな幼馴染の行動も理解できない。……普通にやっちゃえよ。なんでVRエロ動画なの?でも、結衣は幸樹さえ関わらなければ品行方正な美少女なのだ。恋を成功させて幸せになってほしい。が、難しそうだ。地頭は凄くいいのに恋愛だけはポンコツすぎる。美少女なのに痴女化とかダメだろ……。

 

 フェイリス私立高校テニス部部長の長谷部友美は思う。なんか失敗した……と。余計に拗らせてしまったと。

 




柳原幸樹

この小説の主人公。一言で言うと超ハイスペックオタク。高校生なのに多い時で年収1億を行く男。株やら投資信託で資産を増やし貯金額は五億を超えているらしい。そこからもう数えていない。SNSでたまたま見た某奴隷をひたすら撫でるゲームに触発され幼馴染に対する拗らせた思いを煮詰めたゲームを作った。それをDLサイトで売ったところバカ売れした。ゲーム製作だけの天才と思いきや、AIやゲームエンジンすら自作してしまうIT界の麒麟児。しかも高性能。そちらの評価も凄く高い。ちなみにプロのイラストレーター並に絵も上手い。大手海外企業なら年収5000万でも足りないくらいの超優秀人材である。

そんな凄い彼だが、過去にいじめられた経験があり、いつもキラキラしてる幼馴染が側にいたため自己評価はかなり低い。人付き合いにトラウマがあるため高校をやめ通信制高校に通っている。狭い世界で社会にまた出きってないのも彼の自分の価値に気付けない事に繋がっていて、結衣を受け入れられない原因になっている。

恋愛に関しては、鈍感ではない。むしろ察しが良い方である。が、結衣に対しては自分じゃ釣り合わないという先入観と劣等感で気付きたくない。それに気付くと何か壊れてしまうのを無意識に恐れている。結衣がいくらアプローチしても無駄なのはそのためである。



高橋結衣

恋愛クソ雑魚ナメクジ。超絶美少女。空前絶後の美少女といっても過言ではない。もちろん処女。実は幼馴染に幼少の頃を除いて素の顔を見せた事がない。全て演技。常にキラキラとした幼馴染を演じている。そのため名女優並みに演技が上手い。本性はこうちゃん大好きマンで幸樹に会った日は家に帰って素に戻るとショートして気絶するか発情するかである。かなりむっつりスケベ。

幸樹がかなりの高収入だと知って金目的で近づく女が増えそうだと思いめちゃくちゃ焦る。友美のアドバイスで幸樹に嫉妬させて関係を発展させようしたが演技が上手すぎて、成功しすぎてしまう。つまり失敗。お茶目だね。ストレートに告白すればOK貰えると思いきや既に試して失敗している。それ以降、二の足を踏んでいる。

幸樹のゲームについてはとても好印象。エロいシーンもあるが幸樹の性癖が知れるので全部プレイしてる。それで妄想して発情するのが最近のライフワーク。

幸樹を好きになったきっかけは幼少の頃に女の子グループにイジメられたのを助けてもったことだ。他にもあるが話が進めばわかるかも?

ちなみに幸樹が当初、結衣とは別の地元にある国立の高校に通っていたためイジメられて通信制高校に転校した事は知らない。幸樹も転校の話はしたが、理由は話さなかった。知っていたらそいつらを殺していただろう。

長谷部友美

結衣の親友。そして、苦労人になる予定の女の子。フェイリス私立高校のテニス部の部長。ちなみにテニスの腕は全国レベル。髪型がショートカットで化粧をしなければよくイケメンと間違われる。つまり、かなりの美人である。だが、その容姿のおかげで男性より女性に好かれてしまい今まで彼氏は出来た事はない。つまり結衣と同類。恋愛クソ雑魚ナメクジである。アドバイスもよく読む恋愛小説からだし、乙女チックな考えですごく浅かったり現実的じゃなかったりする。さて、彼女は結衣を矯正できるのか?今後の成長に期待です。


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私の王子様。

おまたせしました!それと、評価やお気に入りありがとうございます!

今回はテニスの描写が有りますが、作者はマリオテニスしか経験ないのでちょっと実際の試合と違う部分があるかもしれませんがご容赦ください><



 

「ああ、これはダメだ。悪魔の映像だ……」

 

 最近、体重が15kg痩せてしまった。今の俺はゲッソリしてる。精魂尽き果てて干からびそうだ。筋肉も脂肪も落ちて骨が浮き出てきた。何が原因かはわかってる。そう、結衣のVRイメージビデオの所為だ。

 

「こ、これら、全てを封印しなければ俺は死ぬっ!」

 

 最初に撮った一本だけなら良かった。流石に毎日抜いてたら飽きがくる。だが、手元にあるのは初めて撮ったのを含め、7本のビデオ。制服や俺が好きなアニメのコスプレ、幼児プレイ、言葉責め、くすぐり束縛、ソフトSMなど、際どすぎるラインナップ。え?俺の趣味かって?違う。彼氏持ちにそんなの提案するはずがないじゃないですか(震え声)。そう、結衣からだ。撮影した次の週から結衣の方からイメージビデオを撮って欲しいと懇願されたのだ。理由はゲーム作りを手伝いたい。まだ、罪を償いきれてないって事らしい。これからも増えてくのだろうか。俺が罪を重ねている気がするが幸せだからいいや(錯乱)。

 

 でも、制服やコスプレは許容と言うかむしろ興奮したけどソフトSMや幼児プレイって……。リアルでやるといろんな意味でヤバイね。結衣の闇を見てしまった。スモッグとかランドセルとか縄とかムチを持って来た時は驚いたよ。部屋に入るなりソフト鞭を鞄から取り出して『こうちゃん!今日はSMよ!』って目を輝かせながら結衣の口からその言葉を聞いた時は耳を疑ったね。欲求不満なのかな?まぁ、結衣のやる気というか撮影への好意は無下に出来ないから平静を装って突き出したお尻をペシペシ叩いて普通に撮ったけど。そういうのが趣味だったのか。胸が熱くなるな。

 

 ……って、おいっ!俺は何やってんだ!結衣の提案だからってなんでこんな映像撮っちゃったんだよ!?断れよ!正直、彼氏さんに焼き土下座するレベルだよ!?何やってんの!?あぁ〜もうダメだー。死にたくなる〜。

 

 とまぁ自己嫌悪はこれくらいにしておこう。撮ってしまったものはしょうがない。告白するけど一応、何度かは断ったんだ。彼氏さんにさすがに悪いって。でも断ったときの涙目で俺を見つめてくる結衣には勝てなかったよ。もう開き直るしかない。有効活用しなければ(迫真)。据え膳食わぬのは男の恥って言うしな。……理性が負けてしまったよぉ。

 

 それで、一週間ローテーションで撮ったイメージビデオをオカズにして抜いてたんだけど、凄いことになっちゃったんだ。

 

 このオカズ達、何回でも抜けるの。15回は少なめ。20回は普通。30回は良くある。……死ぬわ。もはやサキュバスかよ!?今まで1、2回で満足してたのにこの回数は異常だ。毎回テクノブレイクしそうで怖いよぉ!よくファンタジー小説で淫魔に絞られ干からびて死ぬって表現あるけどまさにそれだわ。まぁ動画なんだけど。まさに幻想世界の出来事。異世界ファンタジー体験しちゃったよ。

 

「うぅ〜。うぅ〜。消すんだ!消さなければ!」

 

 さすがに童貞で死にたくない。俺は決死な思いでパソコンに入ったVR動画のデータをゴミ箱にいれようと思い定めた。

 

 パソコンを起動して、まず動画をまとめたフォルダの中で最初に目についた「結衣束縛くすぐりプレイ」という名前をつけたVR用に変換する前のマスター動画をマウスでドラッグする。その時、なんと誤って再生ボタンを押してしまった。いや、偽るのはやめよう。最後に見たくなったんだ。結衣のあられもない姿を。

 

『きゃぁ!あぁん!くすぐったよぉ〜。やめてぇ〜』

 

「これを捨てるなんてとんでもない。……はぁ!?」

 

 俺は羽箒で脇を結衣のくすぐられる映像を見てデータを削除はできなかった。する気が起きない。本能というのは正直だ。股間が真夏になった。暑くなるのを感じる。消さなければ死ぬのに。見てしまっては消せないのに見てしまう。それほど結衣のくすぐられて汗ばむ首筋と赤面した美しい顔は魅力的だった。扇情的すぎる。それを目の前にしてしまえば理性なんてゼリーのように柔らかくなってしまうよ。

 

「無理だ……。消せない。俺は死ぬしかないのか」

 

 俺に絶望が襲う。さっきから動画から目をはなせない。マウスを握った手も動かせない。まるで麻薬だ。もし見れなくなったら禁断症状とか出そうだ。それくらい依存しているのだろう。このまま精を吸い取られて死ぬのか。

 

「うっ。……はぁ、結衣は俺の葬式に来てくれるのだろうか。そう言えば来週は結衣が家にくるんだっけ。……そうだ。生の結衣だ。ここで諦めるな。諦めんなよぉ!」

 

 結衣に会いたい。それだけを思い、最後の力を振り絞ってどうすれば現状を打開するのか考えた。そうだ!消せないのなら顔を隠せば良い。それだけ結衣だと完璧に視認できずで魅力が減るはずだ。俺は冷や汗をかきながら震える手でキーボードとマウスを操り編集ソフトで動画に結衣の顔にモザイクかけた。余計にアブノーマルでエロくなったが、彼女の顔が見えなくなった分、中毒性は少しなくなった。その証拠に回数が平均20回だったのが7回に減った。すごい快挙だ。そのかわり、いつもより新鮮で気持ちよかった!(現実逃避)

 

「ありがとう。結衣。君のおかげで俺は生きれそうだ」

 

 あぁ、俺はまだ生きられようだ。生きるってこんなすばらしいって今思う。結衣に会えると思うだけで活力が出てくる。少し余裕ができた。

 

 シャットダウンしてパソコンのモニターの黒い画面に写る自分の顔を見る。客観的に自分を見ると少し骨が浮いているように見えた。やせ過ぎてしまっている。筋肉を付けなければ。取り戻さねば。筋肉は良いゲーム制作やプログラミングには必要不可欠だ。俺が尊敬してるSEはみんなマッチョだしな。なぜIT業界人に筋肉が必要なのかは。それは、(文字数。※長いので省きました。

 

 そうして、今日は最近、結衣のVRビデオの為に通ってない高い会費を払っているジムにいく事にした。

 

 あ、ちなみにアーリーアクセス版の『幼馴染VR』は初週、36万ダウンロード突破しました。36カ国ローカライズがよかったみたいです。世界中で人気になりました!やったぜ結衣!

 

 

 ────

 

 

「今日は無料体験入会ですか?」

 

「はい、そうです!よろしくお願いします!」

 

 うっは〜!念願のゴールデンアルティメットマッスルジムにきちゃったよぉ〜!

 

 と思ってそうな顔つきのイケメン。いや男装が似合うような美少女が満面の笑みを浮かべている。フェイリス私立高校テニス部部長の長谷部友美は今日、学校の隣駅前にある超巨大スポーツクラブ。ゴールデンアルティメットマッスルジム。通称、GUMジムに来ていた。

 

 ここはスポーツのあらゆる分野を最高レベルで鍛える事ができる凄いところだ。オリンピックの選手も多数在籍。いや、ここで鍛えなければメダリストになれないとさえ断言してもいい。それくらいの過言を許される場所だ。東京ドーム15個分の敷地があり、オリンピック競技なら全ての練習施設が当然のようにある。職員の人材も厚く、一流の栄養管理士。筋肉工学専門の医者。オーダーメイドのスポーツ用品を作る職人。そして現役のメダリストが常駐しているのは世界中を探してもこのGUMジムだけ。

 

 その分、会費は高く、年間で最低でも120万円と国立大学の学費並みである。

 

 一介の高校生の一人である友美には当然払えない額である。だが、自宅のポストに一日無料体験のチケット付きのチラシが入っていたので来てしまった。なんとこのチラシ。優秀なスポーツ選手かその卵にしか配られないもので、友美はこないだ開催されたテニスの高校生全国大会でベスト4に入った。そこで体験入会の希望があると郵送されるので貰う事できたみたいだ。

 

「やぁ、久しぶり。受付お願いしてもいいかな」

 

「こ、幸樹様!いらしたのですね!どうぞこちらに!」

 

 では、案内しますね〜と友美を受付の職員が施設のパンフレットを渡そうとした時、ジムの受付に彼女と同い年くらい細身の青年が現れ、対応していた別の職員がまるで重役が来たかと思うように驚く。そして、VIP専用のトレーニングルームに案内しようとした。それは友美の親友である結衣の幼馴染。柳原幸樹、本人だった。

 

「あぁ、今日は普通に体を慣しにきただけだからいいよ」

 

 幸樹はGUMジムを運営するGUMカンパニーの大株主だ。どうせ長く通うなら株主優待があった方がいいと思い全体の20%を保有しているのだ。株を買った当時、弱小だったGUMジムの資金繰りはうまく行っておらず、経営難で倒産しかけてた。銀行は貸し渋るし一応、上場企業で株を公開していたが、潰れかけていた会社の株を買う者はおらずどんどん売りに出さればかり。株価は下がり続け従業員の給料も満足に払えずもうおしまいだと皆が思ったがそこで幸樹が一億円をぶっ込み大量の株を購入。それを元手に社長は世界有数のスポーツジムを作ったのだ。しかも、幸樹は出資比率五分の一。20%あるという事は経営に少しだけ関われるという事でIT関連を助言したところ管理業務や選手の体調などのデータのやり取りを超改善。GUMジムの躍進に一役買った。たまに頼まれてアプリの開発なども行なっているらしい。今では筆頭株主として一目置かれている。というか会社の大恩人であり、生き神としてあがめられていると言っても良い。ちなみに最初は年下なので敬語で職員と話していたのだが恐れ多いと言われタメ口で喋っている。

 

(うわ〜。凄い人そう。でも、スポーツ選手ぽくないな。誰だろ?)

 

 友美は職員に歓待されている幸樹を好奇心で見てしまった。見つめてしまったと言っても良いだろう。なんせ、ここに来る人間はトップアスリートしかいないのだから。お遊びや運動不足などでくるサラリーマンは皆無。必然と職業がスポーツ関連の人しかいない。しかし、目の前にいる男性は体こそ締まっているが痩せすぎて体が運動する人ではない。場違いな男性。図書館で本とか読んでいるのが似合う人がなぜ、ここに?それもVIP対応。スポーツマニアの彼女は気になってしまうのは仕方がない。だから、失礼ながらも穴があくほど見てしまった。そして、目が彼と合ってしまう。

 

「あれ?君は結衣のかれしさん……。じゃなくて友達ですか?」

 

「え?結衣の知り合いなんですか?あ、結衣の幼馴染の幸樹さん!?」

 

 結果、友美は幸樹に気づかれ話しかけられた。しかも、こちらを知っている。というか、自分の親友の意中の人であったではないか。彼女が驚くのは無理はない。

 

 一方、幸樹は友美の顔を見て結衣の彼氏と言っていた写真の人だとすぐさまわかった。しかし、その人物はスカートを履いているし体格も胸もあり声も明らかに女の子だ。……そうか。そういう事なのか。幸樹はすぐさま理解した。そう!結衣は百合趣味だったのだ!彼の心はとても広い。大いなる自然のようにその事実を受け止めた。

 

「友美さんていうですね。体験入会ですか……。終わったら、私とお茶しませんか?結衣の事とか聞きたいですし。あ、もちろん奢りますよ」

 

「え!?お茶ですか!もちろんお願いします!あ、奢りは悪いですよ!その時は払います!」

 

 ナンパ。友美は端から見ると幸樹にナンパされているように見えた。しかし、幼馴染から見た結衣の事を話したいし聞きたいのと意外と素朴だが整った顔つきと彼の外向きの素敵な笑顔で魅了され男性経験のない彼女はその事に気づかず初対面なのに快諾してしまう。チョロくね?ガードが甘すぎて今までなんで大丈夫だったのかこれがわからない。まぁ、幸樹にはその気はなかったが。

 

「ふぅ〜。ここのスイーツはおいしいんですよ」

 

「え。そうなんですね。ってうま!」

 

 体験入会が終わった友美はジムにテナントとして入っている喫茶店で幸樹とプロティンパフェを注文し食べて舌鼓を打っていた。一汗流した後なのかどちらもシャワーで髪が濡れている。

 

「結衣って普段どんな感じなんですか?」

 

「あ〜。いい子ですよー。まさに大和撫子ってかんじの」

 

 会話は終止、友美の親友である高橋結衣の事で盛り上がった。もちろん、たまに奇行をする事は彼には黙っていたが。話してみた感じ、幸樹は唯一の幼馴染でかなり気にかけているらしい。これは脈アリなんじゃないだろうかそう思う友美であった。

 

「テニスやりませんか?」

 

「えぇ!?良いですけど……」

 

 幸樹は友美がテニス部部長なのを思い出すとふと一試合したくなった。彼はいろんなスポーツをこのジムで試してみてその中でも結構テニスが好きなのである。だから、誘ってみた。が、友美の反応は悪い。彼女は全国大会でベスト4。それはかなり強い選手であること。世界戦だって物凄く頑張れば狙える位置。同期では敵無し。正直、実力差がありすぎて勝負にならなくて相手を傷つけてしまうと思ったのだ。そう言う経験は何度かあったし、今回もそうなるかと彼女は思案する。それは友美の気遣いという名の矜持であり、驕りでもあった。

 

(くっ。この人強い!)

 

 だが、友美と打ち合えるくらい幸樹は強かった。テニス場で打ち合う彼らは素人目から見ても一流の戦いに見えるほど白熱した試合であった。そう、意外にも幸樹のテニスレベルは全国大会並みだったのだ。それは当然かもしれない。だって普段、彼がラリーしているのはオリンピック選手や世界大会経験者ばかりなのだから。強くなって当たり前である。

 

(このままじゃ負ける!それは悔しいし嫌だ!この技は使う予定なかったけど……使う!。稲妻打ち!)

 

 軽くあしらおうと思ってラリーをしていたら幸樹が意外と強く、友美は焦った。しかも、手加減していたとはいえ劣勢である。それは彼女のプライドをかなり傷つけた。

 

 だから、ベスト4に入るために編み出した技を使う。稲妻打ちと名付けた技だ。ラケット巧みに使い稲妻のような軌道を描く超高速のサーブを打つ。それはあまりに早く目で捉えるのがやっとだった。

 

「くぅ!」

 

 これには堪らず幸樹は嗚咽を漏らしてしまう。点を取られてしまった。

 

「今度はこっちの番ですよ!」

 

 ふぅ〜と息を整えて幸樹は笑みを浮かべながらそう言う。彼は楽しいのだ。彼女との打ち合いが。普段は負けっぱなしか、気を使われている試合しかない。こんなに実力が拮抗して打ち合える試合は久しぶりだった。だから、自分も必殺技を使う事にした。

 

(マリオさん直伝(SNSで動画で見ただけ)ファイヤーボールショット!)

 

 彼は友美が打ち返したボールをガットの網目に引っ掛け強烈なスピンをかける!回転!やがて空気摩擦で火が出る!それはもはや火の玉と言って良い。それは、システムエンジニアでIT仲間のマリオさんがたまたまSNSであげていたテニスの動画で使っていた技だ。マッチョな彼が放つ火の玉が魔法みたいでカッコいいと思った幸樹はそれを気合いで習得したのだ。前に練習試合で使ったところ相手をとても驚かせた技。友美を度肝を抜かせるためにそれを使ってみた。

 

(クソ!痩せすぎて火力が出せない!)

 

 本来ならば幸樹のファイヤーボールショットはガスバーナーのようなとてつもない温度の青い火が出る。しかし、筋肉が衰えてしまって軟弱な赤い炎しか出せなかった。

 

「ぼ、ボールが燃えてるっ!?」

 

 く、まさかこんな所の世界レベルの技を使う奴がいるなんて!そう思った友美は苦虫を噛んだように顔を歪める。そして、ボールをラケットで受けたがガットが熱に耐えきれず溶け切れてしまい得点を取られてしまった。

 

 ラケットを交換した友美は内心、舌打ちをした。そう、幸樹に嫉妬したのだ。自分が練習に練習を重ねても出来なかった属性ショットができてしまうのだから。

 

 ボールに属性を与えるのはテニス世界選手権では基本である。幸樹が使った火はもちろんの事、水や風、土などの自然現象は基本で幻覚や毒などの搦め手を使う者もいる。中には一時的にブラックホールを作ってしまう者までいるのだからスポーツ界の魔境である。

 

 有名なのはゼウスの再来。友美の憧れでもあるテニス神王と呼ばれたフェデルのサンダーショットだ。ある日、雷に打たれた彼は電気を自由自在に扱えるようになった。それを当時、テニス少年だった彼はラケットに電気を纏わせ応用したのだ。落雷や会場のコンセントから電気を吸い取り、レールガンの要領で球速のためのエネルギーに変える技。サンダーショットはマッハ5を超えるその一撃を食らえば普通の人ならば余波でバラバラになって死ぬほどの威力。それは猛威を振るい彼は王になるのは必然であった。一応、サンダーショットを受ける選手は死ぬかと思いきやテニス選手は皆超人なので今のところ死人はでていない。

 

「く、打ちづらい!」

 

 友美は燃える球をガットで捉えてしまうと突き抜けてしまうので、仕方なくラケットのフレームで打ち返した。普段ではしない打ち方。それでも、試合になるのだから彼女は天才だった。

 

「友美さん!すごいです!」

 

 幸樹はフレームショットで打ち返す友美のラリーに見惚れた。すごい。すごい!これをトレーナーに使った時はほとんど完封できたのに彼女は食らいついた。まぁ、オリンピック選手には普通に打ち返されたが。

 

 幸樹は全力をぶつけたかった。いつもは気を使われてトレーナーとの練習ではこんな緊迫した試合は出来なかった。だから諸刃の技を使う。それを使って勝てなければこの試合は負ける。

 

「俺の全力をいきます!友美さん!」

 

 幸樹は腕をぶん回し風を切る!彼のラケット振る腕が空気摩擦で一瞬だけ赤く燃え上がる!そして腕に纏わり付いた汗が熱で分解され、水分が水素と酸素に分かれた!それは可燃性ガスと支燃性ガス!ガットの上で熱くなったボールに凄まじい火力を与える!青い炎を通り越して光り輝いた!摂氏3000℃!それはもはや小さな太陽と言ってもいいくらいだった!

 

「わたしだって。私だって出来るんだ!」

 

 光り輝く球を見て、友美は確信したこのままでは負けると。それは嫌だ。絶対に嫌だ!こんなところで負けるものか!自分の誇りを燃やす。友美は今まで練習では出来なかった技を使おうとした。そう、世界レベルの技。属性ショットである。しかも、難易度が高い電気の属性。フェデルの必殺技。サンダーショットだ。

 

(電気を感じろ!電気を操れ!私は雷の化身!)

 

 友美は自己暗示をかける。憧れのフェデルのように電気を自在に生み出し操ることは出なきない。フェデルのファロワーの中には電気を服の静電気で起こしている人もいるが自分が着ている化学繊維のウェアは汗で静電気が起きない。ならば自分の身体を使う!人間は電気信号で動いている。そうだ。人間は電気を作り出せるのだ!それを使えばいい!

 

「うあああああ!!!」

 

 火事場のクソ力で体内の電気信号を知覚しそれを操る。今まで出来なかったのに出来てしまった。奇跡が起こったのだ。そして、神経が電気で焼きれるような痛みを感じ目を瞑りながら友美は幸樹が放った光り輝くファイヤーボールを打ち返した。

 

「ぁ……」

 

 目を開けると紫電が舞っている。そして、音速特有の衝撃波を感じ、遅れる轟音が聞こえた。成功だ。初めて属性ショットを撃てた。フェデルの必殺技。サンダーショットが出来たんだ。それを見届けて友美は満足な顔で気を失った。

 

 

 

 

「あれ?ここは」

 

 目が覚めた友美が最初に見たのは知らない天井だった。彼女は気を失ってGUMジムの医務室に送られていたのだ。

 

「あ、起きましたか。具合はどうです?」

 

 彼女を背負ってここに連れてきたのは幸樹であった。彼の腕には包帯が巻かれていた。それは友美との激戦を繰り広げた証でもあった。

 

「一応、ドクターは後遺症がないって言ってましたよ。心配しましたよ」

 

 幸樹は友美に笑みを浮かべながら気遣いの言葉をかけた。激しい戦いでどちらも腕の皮膚が全焼や神経が切断などかなりの重傷だったがGUMジムの医療施設のおかげで取り返しのつかない事にはならなかった。むしろ、全治2〜3日で済んでしまうので軽症のたぐいである。凄すぎないここの医療技術?

 

「本当、怪我させてしまったと焦りましたよ。でも無事で良かったです。お詫びになるか分かりませんが──」

 

 幸樹は友美に無理をさせてしまった事に後悔した。だからせめてお詫びに何か出来ないか彼女に提案しようとした。

 

「だ、大丈夫です!こちらこそ幸樹さんに怪我させちゃいましたし、テニスなら日常茶飯事ですよ。そう日常茶飯事!」

 

 だが、友美は幸樹の言葉を遮ってそれを拒否した。良心の呵責。さすがに悪いと思ったのだ。怪我したのは自分が原因だし、と。それに、テニスは生傷耐えないスポーツ界の魔境である。日常茶飯事というのは言葉通りなのだ。まぁ、それは世界レベルの話なのだが。

 

「友美さん。今日は凄く楽しかったです。ありがとうございました」

 

「あ、ぁ……。はい。私もです」

 

 では、送迎用のリムジンを頼んだので自由に使ってくださいねと言って幸樹は部屋を出る。彼女はその姿を頬を赤めながら見る。こんなに白熱した戦いは初めてだったのだ。いつもはもっと淡々とテニスをしていたから尚更、そう感じてしまう。本当に楽しかった。それに、自分を高めてくれた。幸樹とのラリーで属性ショットなんて夢のまた夢だったのに、出来てしまった。彼とならどこまでも高く連れてってくれそうな気がした。胸が高鳴り、顔が熱くなってしまう。そうだ、王子だ。恋愛小説に出てくる憧れの王子様。

 

 

「王子様……。私の王子様……」

 

 幸樹の背中を見送る、頬を朱に染めた友美の顔は恋する乙女の顔だった。

 




あれ?ライバル登場?ヒロインピンチ?と思いましたか?安心してください!この小説にはNTR要素はありません!ということは・・・?そう!3Pです!いやぁ、主人公はハーレムですね!

次回予告!『親友に3Pを提案する超絶美少女』お楽しみ!


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3Pという名の脅迫。

最近のマリオテニスって凄いですね。なにが凄いって勝利条件にラケット破壊!があるんですよ?ラケットを壊すとKO勝ちになるみたいです。まるでテニヌみたいですね〜。

それは置いといて、前回のテニスの印象が強いですが主人公はヒロインをレズだと勘違いしてます!(拗らせポイント


「ふ〜ふ〜ん♪」

 

 今日は結衣と会う日だ。凄い楽しみだった。今日を思うだけで生きてこれた。あの抜き地獄も乗り越えられた。ありがとう。結衣。

 

 そして、目の前に凄いご機嫌な美少女がいて凄い温かい気持ちになる。なんか、撮影を始めてからいつもこんな感じだ。俺もつられてご機嫌になってしまうが、撮影に関しては気持ちは複雑だ。小道具をいれた大きめな鞄を持ってきてウキウキしてる結衣には申し訳ない気持ちになる。

 

「こうちゃん!今日はヌルヌルプレイよ!」

 

 ぬ、ヌルヌルプレイ……?そう言って、結衣は鞄から取り出したのはエアマットと布の面積が少ない水着。そして、

 

「じゃじゃーん!ぺ○ローション〜♪」

 

 ヌルヌルした液体。潤滑剤のローションであった。これ完璧なアダルトグッツだよね?アウトだよね?100%アウトだよね?

 

 あぁ……。ダメだ。それダメ。エッチすぎるよ。

 

「……結衣。もうやめよ」

 

「ぷ〜。ぷ〜。……え?」

 

 エアーマットをニンマリしながら膨らます(可愛い)結衣に俺は撮影をやめるように言った。限界なんだ。ローションプレイなんかしたら暴発しちまう!それに、抜く回数だって徐々に戻ってきてる!オカズを増やすなんてもってのほか!ましてはローションだと!?凄いエッチじゃねぇか!俺はこのままじゃ乾涸びて死ぬ!

 

「ローション撮影は魅力的なんだけどね。無理なんだ。このままじゃ死ぬからさ」

 

「なんで!?こうちゃん死んじゃうの!?嫌よー!」

 

 結衣が青い顔で声を荒げる。そうだよな、いきなり死ぬなんて言われても困惑するよな。俺も結衣が死ぬって言われたら死ぬ。比喩無しで死ぬ。まぁ、それは置いといて。

 

「……それはね」

 

 俺はなぜそんな事を口走ったかを結衣に嫌われる覚悟で説明した。流石にテクノブレイクは嫌だ。童貞で死にたくない。それに今の結衣との関係は不健全だ。彼氏持ち。いや、厳密には恋人持ちの女の子を抜き目的で撮影してますなんてクズすぎる。心が痛い。結衣に嫌われても良い。……良いんだ。実際、嘘をついて気持ち悪い事をしてしまったから。俺は最低な人間だよなぁ。

 

「ごめん。俺、結衣で抜いてたんだ。抜きまくってたんだ。気持ち悪いよな?」

 

「え?ホントに?……ううん!全然気持ち悪くないよ!」

 

 ……なぜ、そこでニヤニヤするの?それも可愛いけどさ。なんで引かないの?うん、あれだ。当初の予定と違う!ここで嫌われて撮影を辞めるはずなのに。今の結衣は撮影をする気マンマンだ。なにが起きてるんだ!?

 

 彼女の内面がわからない。結衣はなにを考えているんだ。普通、あなたで抜いてますって女の子に言ったらキモがられるだろ!?本当にどういう事なんだ……。それに彼氏がいるのにこんなエッチな撮影を続ける理由がわからない。いや、結衣の彼氏である友美さんは女の子だった。レズだ。今まで、俺に彼女は嘘をついていたという事。それはなぜだ?

 

 ……そうか。わかったぞ。擬態だ。

 

「カモフラージュか」

 

「ふぇ?」

 

 そうだ。おそらく、学校では2人の関係を隠してるんだろう。俺の家にきて相談するのは男を匂わすためだ。自分はノーマルだって偽るため。撮影に協力してるのは俺を利用する事について負い目を感じるからだ。

 

 最近は世間でも同性愛に肯定な意見は多いが、否定的な人もいる。それに結衣は超絶美少女だ。みんなにバレたら大変だし、絶対にオモチャにされるな。それでイジメも起きるかもしれない。……イジメ。それはいやだな。結衣にはそんな目にあってほしくない。

 

「結衣はレズなんだよな。うん、わかってる。俺はわかってるから」

 

「ちが、違うの!」

 

 結衣は自身の性癖を必死な顔で否定する。ん?こんなに慌てる結衣は久しぶりに見る。そうか、図星なんだな。でも、大丈夫だよ。俺は百合を否定しないし、むしろ好きなほうだ。結衣の恋を応援しよう。

 

 

「嘘なの!彼氏いるっていうのはこうちゃんに嫉妬させる為の嘘なの!」

 

「え?」

 

 

 なにをいってるんだ?嫉妬って。しっとさせるためのうそ?なんだそれ?

 

 

 

「好きなの!こうちゃんが好き!1人の男として愛してるの!!」

 

 

 

 それは嘘だ。嘘に決まってる。

 

 

 

「……そうか。そういう設定なんだな?」

 

「え?だからそれは嘘だって……」

 

 

 そうだ。設定だ。世間を欺く為の隠れ蓑。俺は結衣の性癖を隠すために告白されてるんだ。だから嘘なんだ。

 

「大丈夫だよ。みんなにはバラさないからさ。というかバラすほど友達もいないし。俺のことだって隠れ蓑なのは理解してるからさ。協力するよ」

 

 結衣は俺のことは好きじゃないはず。そのはずなんだ。そうであってほしい。結衣との関係は俺の片思いじゃないといけないんだ。

 

 結衣は結局撮影せずに暗い顔で家に帰った。いや、帰らせたと言った方がいいかな。今の彼女と顔を合わせる自信がない。もう、今日は話す事はないからな。

 

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ。おぇええ」

 

 俺は結衣を見送った後、トイレに駆け込み吐いた。あれは明らかに俺に対するアプローチだ。いくら鈍感な奴でもわかるほどの。やっぱり、結衣は百合なんかじゃいよな。俺を振り向かせる為の嘘だ。そんなのわかってる。だが、俺はそれを認めたくなかった。俺は結衣にはふさわしない。俺は結衣の隣にいちゃいけないんだ。

 

『死ね!このキモオタが!』

 

 いじめられていた時の記憶がフラッシュバックする。殴られた時の痛みも、階段から落とされた事も、机の中がぐちゃぐちゃにされた事も、ネズミの死骸を食わされかけた事も思い出してしまった。

 

「俺はダメなんだ。結衣にふさわしくないんだ……」

 

 俺は無価値な人間だ。周囲から蔑まれた過去が俺を蝕む。自分に自信が持てない。俺は穢れた存在だ。だから、俺の大切な人を汚したくなかった。結衣の価値を下げたくなかった。彼女にはもっと輝いて欲しいんだ。俺は薄汚れた人間だ。もっとふさわしい人がいるはず。今の恋人。友美さんがそうなんだ。きっとそうだ。俺が側にいちゃいけない。だからだ、ダメだ。結衣の好意を受け取るべきじゃないんだ。

 

 そうだ、俺はクズだよ。汚物は底辺がふさわしいんだ。キモオタで幼馴染でオナニーするような人間なのだからさ。

 

 

 

 ────

 

 

 

「ともちゃーん!お昼休みに屋上でちょっと話そ!」

 

「今じゃダメなの?」

 

「ダメー♪」

 

 超絶美少女である高橋結衣は満面の笑みで親友である長谷部友美に話しかける。どうやら、結衣は彼女に大事な話があるようだ。

 

 

「ともちゃん。こーちゃんと3Pしよ?」

 

「友達やめても良いかな?」

 

 

 お昼休みの屋上。結衣はとんでもない発言をしだした。3P!?清楚な美少女が言っていい言葉じゃない!しかも、処女!処女ビッチ!妄想は頭の中だけにしろ!

 

 痴女発言した結衣に友達やめますと言った友美は悪くない。

 

「だって〜私1人だと押しのけられちゃうからさー。ともちゃんの協力ないと既成事実作れないの!お願い!」

 

「え、イヤだよ」

 

 なんと、3Pの理由は逆レイプ!種付け!既成事実!二人掛かりで押さえ込んで幼馴染を強姦するとという犯罪だった。強硬手段すぎるでしょ。誰がこうなるまで追い込んだのやら。

 

 友美は当然、倫理に反するため拒否。うん。それが普通の反応だよね〜。

 

「ダメだよ。結衣。そういうのはさ、ムードが大事なんだ。強引に襲っても嫌われちゃうだけだよ?」

 

 友美は暴走機関車の結衣を恋愛小説で培った正論で説き伏せる。何があったか知らないが、今の彼女は普通ではない。そんな手段じゃ、思い人である幸樹に嫌われるのがオチだろう。というか、共犯者になりたくないです。性犯罪ダメ。絶対ダメです。

 

「私だって頑張ってムードを作って、中学生の時にこーちゃんを私のベットに連れて行ったんだよ!?何回もだよ!だけど、ダメだったの!しかも体を大事にしてって説き伏せられるし!なんで!なんでなの!?最終的に動けないように全身縛ったのに!?なのに抜け出しちゃったの!」

 

「ああ、これもう無理じゃね?」

 

 あぁ、もう既に前科がありましたか。友美はドン引きである。今日一日で親友の新たな一面を見すぎてこれからどう結衣と顔を合わせたら良いか考えてしまうレベルである。

 

 友美は思った。幸樹さんぐう聖すぎません?こんな事されてるのに距離おかないなんて聖人ですか。あなたは?でも、結衣は変態だけど誰もが認める美少女だしな〜。それもあるのかな〜。それにしても、なんでOKしなかったんだろ?……もしかして、好みじゃない?私にもチャンスある?

 

 

 ガン!

 

 

 そんな事を友美が考えている時だ。突然、友美は結衣に壁ドンされる。そして、結衣に妖艶な舌で首筋をペロリと舐められた。

 

「……こうちゃんの味と匂いがする」

 

 結衣の雰囲気が変わった。目を細めた彼女は冷たく、氷の薔薇のように刺々しく美しなった。あまりの変化に友美は息を飲んでしまう。こんな結衣は初めて見るなと友美は思った。

 

「ともちゃん。こうちゃんのこと好きでしょ?」

 

「な、なな、なんのことですか?いや〜親友の思い人を好きになるわけないじゃないですか〜。ははは」

 

 結衣は的確に友美の恋心を当ててしまう。あまりにも図星だったため友美はとても分かりやすく動揺してしまった。

 

「ほら、心拍数が上がってる音が聞こえるよ。……150くらいかな。これは焦燥と偽証の音。嘘ついてるでしょ?ともちゃん?」

 

 何この子、怖い。密着した結衣は友美の胸に耳をあて、心拍数を図る。150ぴったり。正解!それで、結衣は経験を元に友美の嘘を暴く。うん、嘘発見器いらないね!というか凄くね!?君いつからその特技できたの!?

 

「うぅ!?そうだよ!好きだよ!私の王子様!」

 

 友美は開き直ったのか、自分の思いを暴露する。このまま嘘ついてもひどい目に合いそうだとテニス選手特有の直感で感じた。やばい……。正直にならないと死ぬ。

 

「ふーん。まぁ、こーちゃんはカッコいいし、いい匂いもしてめっちゃエロいし、というか思い出すだけでお股ジュンジュンするし、しかもハイスペックだから友美が惚れちゃうのも無理ないよね」

 

 恋する少女。結衣の視点は少し偏っているが幸樹は異性としてとても優良物件である。オタク趣味を許容できるなら世の中の女性は放っておかないだろう。しかも、超お金持ちで運動も出来る。それだけでモテモテ。幸樹がやろうと思えば女は選び放題だ。実際、結衣がいなければすぐにでも彼女が出来るだろう。友美も彼が好きだし、告白すればつき合えるかもしれない。

 

「な、なんだよ。幸樹さんに彼女いないんだし私が好きになっても良いじゃんか」

 

 今の結衣は冷徹だ。親友の変化についていけずどう対処していいか分からない。というか、別人のように怖い。何人か殺してるんじゃないかって思ってしまう佇まいだ。それで、友美は恐怖のあまり、強がってしまい余計な発言をしてしまった。

 

 

「あ゙ぁ゙ん゙?」

 

「ひっ!」

 

 

 結衣の整った顔が友美の目の前に来る。そして、彼女の頭を両手でガシッと掴まれ、凄い怖い目で睨まれた。その光のない瞳には旧支配者(クトゥルフ)を連想させるような狂気が宿り見るものを恐怖に陥れる程だった。友美が怖気ついてしまうのも無理はない。※SAN値チェック入ります。あー、クリティカルですねー。マイナス10!アイディアロールは成功です!一時的な狂気に陥りました!彼女は錯乱している!目の前の怪物に恐怖で体を動かせず抵抗できない!

 

「ねぇ、3Pしようよ。それに、こーちゃんは勿論だけど、友美とならいいからさ」

 

 魔王からは逃げられない!もはや、下僕になるしか選択肢はない!

 

 友美はガクガク震える足で心底思った。王子様!私の幸樹様!助けて!助けてください!

 

 そして、同時にこうも思った。幸樹様となら良いかもと。※え?そっちもなの!?あー、でも錯乱してるからしょうがないね!SAN値直葬だもんね!

 

「……わかりました」

 

 友美は頬を染めながら頷くしかなかった。

 





柳原幸樹

過去の出来事で結衣の思いに答えられない男。自己評価が低すぎるので彼に必要なのはあげまんである。ヒロインはなれるかな?・・・なれるよね?

ちなみに、過去に結衣に告白されているはずなのだが彼は覚えてない。そのお話は次話で。


高橋結衣

今回、彼女の超人的な能力が判明した。異常な嗅覚と読心、旧神憑依である。結衣は昔から人の心を読むのがうまかった。だが、それは幼少の時には異質に見え、迫害の対象になってしまう。それを助けたのが幸樹なのだがそれは長くなるのでまた別のお話。

嗅覚は単なるフェチ。幸樹の匂いを嗅ぎすぎて微細な匂いでも分かるようになった。幸樹の家に行った後はナニがとは言わないがよく使うそうです。

クトゥルフを瞳に宿すのは演技を勉強していた時に偶然にも出来てしまった。よく、痴漢とかナンパとかをこれで発狂させ撃退してる。


長谷部友美

場に流される女(強制)。一言で言うとかわいそう。でも、正気に戻った後でも3Pはまんざらでもないらしい。



さて、三人が無事に結ばれるか楽しみですね!(他人事


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