突然だが、自己満でロマン兵器について解説してみようと思う〜紅茶でも飲みながらフィッシュチップス感覚でお読みください〜 (ELDIAN)
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ファイルNo1.紅茶紳士の嗜み(?)、パンジャンドラム

 さてさて、ここに集まってくれた紅茶紳士淑女諸君。こんなマニアックすぎる場所にやってきてくれて感謝の念が絶えない。興奮のあまり今すぐにでも君たちの家にグランドスラムを落としたいほどだよ、まったく。

 さてさて、紅茶を嗜みながら解説する映えある第一回目は……いや、うむ。題名に書いている通り『パンジャンドラム』だ。

 ……ん?あぁ、もちろんわかっているとも。こいつはあまりにもポピュラーすぎる。はっきり言ってこれを紹介している動画やら書物は山のようにあるのだ。個人的にもこれを書くよりも他の迷走兵器…‥V3ことムカデ砲や、ドイツのツヴィリングシリーズ、その他諸々を書いても別に文句はない。だが……やはり英国紳士たるもの、パンジャンドラムは一度でも紹介すべきだと思っている。だから、解説する。まぁ……ロマン兵器解説の入門編と言ってくれて構わない。

 それじゃ……禁断のパン(ジャン)ドラ(ム)の箱、開けよっか。

 

*注意。この解説は珍兵器ばかり読み漁ってきた変態がおおよそ自分勝手な独断と偏見と妄想で解説をする、おそらくはアフガン以上に危険な地域です。中の人が何を言おうが鵜呑みにせず、詳細は自分で確認することを強く推奨します。あ、それと中の人はこの類に関しては初心者です。至らない点もあると思いますが、そんな時はV2ロケット〜メッセージを添えて〜を送りつけてやってください。

 

______

 

 時は1940年台、第二次世界大戦《だぶだぶつー》。つよつよ電撃戦アタックにより『マジノ線?なにそれおいしいの?』を言い残し、無事Rest In Peace略してRIPしたショーシャ機関銃の故郷フランスと、紅茶のお国大英帝国。それと、亜米利加合衆国《チートこっか》をプラスした連合国。

 対して『ヨーロッパに大帝国作って世界首都ゲルマニア作ろうぜ!!』と言い出した(?)ヒトラー率いるナチス第三帝国くんと、実はヘタリアじゃないイタリアくん、そして『日独防共(共は共産主義という意味)協定結んだよやったね!!……んぇドイツソ連と不可侵条約結んだんだけどどうなってんの』状態と化した大日本帝国くん(なお大日本帝国くんの出番はこれだけの模様。かなしいね)計3カ国(実際は他にもルーマニアくんとか白い悪魔の生誕地がいる模様)枢軸国。

 それからいきなり2年やら3年やらが経過。『ポーランド食ってフランスも食って……バトル・オブ・ブリテイン*じゃ散々負けたし……そうだ!(東に目を向け)お前、いっぱい領土持ってんなぁん!?東方生存圏拡大しましょうね!』と言うことで無茶振りな独ソ戦が、『バルバロッサ作戦』を火蓋に切って下された(多分ヒトラーのせい)。ナチスドイツ第三帝国くんは、東部戦線で熱烈な歓迎をしてくれる傾斜装甲の塊T-34シリーズと、動くコンクリートの塊(大嘘……だけど実際に試作された模様)ではなく、装甲の塊ことKV-1により、38tくんや三号くんで対抗できない状況に陥ります。そして冬将軍到来までに何としてもモスクワを陥落させようとしたら気づけば劣勢になり始める(これは大体イタリアのせい。ってか国内防衛優先の装備で侵略しようとするムッソリーニの行動が無茶)1943年9月3日。ついに今回の主役が……産声をあげました。

 そうです。パンジャンドラムです。

 いやちょっと待て。開発までの過程どうなってるんだよお前説明しろと言う諸君、落ち着いてほしい。

 まず開発経緯に関してだが、『ドイツ弱体化してるみたいなんだけどさぁ……うん!?(ヨーロッパ西海岸沿いに建設される通称『大西洋の壁』を見て)あれ……ヤバない?ねぇねぇヤバない?』と言うことで、分厚いコンクリートぶち破り上陸するために英国海軍の多種兵器研究開発部(DMWD)に所属するグッディーブ少佐とシュート中尉(この時40代ではあったが、志願して技術将校として活動していた模様。彼はSF小説の名作『渚にて』の作者でもある。どうなってるんだこれ)は、フィッシュチップス片手に『大西洋の壁』を打破する兵器を考案する。

 浜辺にはここぞとばかりに地雷原が敷き詰められ、海岸線には渋谷よろしく立ち並ぶ大量のコンクリート製要塞もどき。こんな状況下で兵士を投入したらそりゃもちろん大惨事間違いなしである。試算では1tほどの爆薬があれば『大西洋の壁』をぶち破ることができると考えられていたらしいが、それほどの量の爆薬を海岸線で使用したら爆発で上陸する側も上陸される側もドミノよろしくバッタバッタとなぎ倒されることは確実。かと言ってトールボーイやらグランドスラムやらを投下するわけにもいかない。

 そこで、悪魔の発想が生まれる。それこそが……ボビンの先祖(大嘘)、パンジャンドラムだった。

 このボビン状の物体は1.8tという規格外な量の爆薬を搭載し、推進用の18基にも及ぶ火薬ロケットを用い高速で移動、『大西洋の壁』をどっかーん!(擬音語)しようという『普通に2000ポンド爆弾の雨振らせればいいじゃんなんでそんな珍兵器作っちゃうの』などと言った歓声《ひなんのあめ》が舞い上がりそうな兵器である。

 18世紀の戯曲に登場する火薬を仕込んだ靴で飛行すると言うこちらも英国面漂う魔法使いの名から名付けられたこの『パンジャンドラム』は時を戻し1943年9月3日、遂に民衆の行楽地であるウェスト・ワード・ホーに姿を現した!!

 この実験は大成功で終わり、民衆は歓声をあげて『これで戦争も終わる!』と泣き叫んだと言う。この『パンジャンドラム』はあの有名な『ノルマンディー上陸作戦』で実戦投入され、先駆けてナチスドイツ第三帝国くんのトーチカその他諸々を攻撃。多大な戦果を挙げたことは様々な書物にも書いてあることである。

 この超兵器《スーパーウェポン》『パンジャンドラム』はその後のフランス各地での戦闘や市街地戦において多数投入され、ドイツ軍を圧倒。中には優勢火力ドクトリンよろしくシャーマン6両で取り囲んでいたティーガー1をその持ち前の1.8tと言う大火力でシャーマン6両ごとふっ飛ばした、と言う伝説もあるほどで、どれほどパンジャンドラムが高性能だったかがよく分かる。

 この『パンジャンドラム』は第二次大戦終結後、世界の軍事的常識を変えた。世界中から戦車が消え、代わりに『パンジャンドラム』が台頭したのだ。そして社会主義国圏ソ連と資本主義国圏アメリカとの『中に積む爆薬は核物質か高性能爆薬か』で冷戦が勃発。世界を二分するほどまでの力を、このパンジャンドラムは持っていたのである。

 つまりこの超兵器《スーパーウェポン》パンジャンドラムは第二次世界大戦を終わらせた立役者……であれば、おそらく紅茶紳士淑女諸君も大歓喜していただろう。

 

 

  だ が 歴 史 は そ う 都 合 よ く は 動 か な い 。

 

 結局、この『パンジャンドラム』が実戦に投入されることは一度もなかった。それはなぜか?

 まず、構造自体に無理があったのだ。パンジャンドラムが投入される予定だったのは凹凸《おうとつ》の多い砂浜。だが、この紅茶魂全開の『パンジャンドラム』にはジャイロスコープなどと言う大層なものは存在しなかった!!アナログの塊とも呼べる凹凸に弱いたった横一列2輪の(3輪バージョンも試作されたが、そちらは悲しいことに大破した)『パンジャンドラム』が砂浜に投入されてしまった場合、どうなるか?

 ……考えるまでもないだろう。この『パンジャンドラム』を『大西洋の壁』に向けて射ち放ち、数十メートル前進した瞬間横転、もしくは……進路を変更し、こちら側に突っ込んでくる可能性を大いに持っていた。実際、これのテスト試験の視察で紅茶をキメた海軍のお偉いさん向けてこれが突っ込んできたと言うのは、有名な話だ(この映像は今でも大英帝国博物館でも見ることが可能)。

 これを試作したシュート中尉はワイヤーで制御できるようにしたり、ロケットを増やしたりと試行錯誤を積み重ねたようだが……結局、完成には至らなかった。

 だが……実のところ、そもそもこの『パンジャンドラム』。ノルマンディー上陸作戦の一環、フォーティ・テュード作戦の一環として、守りの厚いパ=ド=カレー沿岸に連合国が上陸すると思い込ませるためのものであったとの示唆がある。

 つまりは……この『パンジャンドラム』が実戦に投入されないことは決定事項であったとも言えよう。なんと悲しいのだ、パンジャンドラムくん。せめて実戦投入くらいはして欲しかったものだ。

 こうして実戦投入すらされず試作段階で終わったこのパンジャンドラムくん。まさかこれを開発したシュート中尉やグッディーブ少佐、英国海軍の多種兵器研究開発部(DMWD)は、数十年経った今この兵器が”珍兵器”と呼ばれ、国境を超え様々な人々により愛されて(?)いるとは、思いもしないことだろう。

 

 

 ……んぁ、そうそう。今回は作者の独断で選んだけど別にリクエストとかあってもかまわんぞい。できそうなら解説、やってみりゅ。

 

*バトル・オブ・ブリテイン:ドイツ対イギリスの大空戦……?当時ほとんど完成に近い状態であるのにも関わらず艤装工事が完了していないグラーフ・ツェッペリン以外ろくな艦載機運用能力を持つ艦が存在しなかったドイツ(こらそこのお前、晴嵐輸出しようぜとか瑞雲あげようぜとか零式水上観測機を売ってやろうぜとか言わない)は、アシカ作戦の一環として制空権確保のためドーバー海峡を横断してイギリスを爆撃を開始する。

 ……が。一撃離脱主体の陸地での戦闘を想定し運用するはずで、もともと航続距離の短いBf109やFw190、航続距離はあっても明らかにスピットファイア相手には空戦性能その他諸々で無力なBf110を爆撃機の護衛に使った結果、物の見事に完敗した模様。そりゃイギリス上空で数分しか戦えないんじゃ……ね?

 更に言うと空戦性能・速度性能で優れたスピットファイア相手に一撃離脱だいしゅきのBf109を空戦で戦わせたり序盤じゃ航空基地叩いてたのに後半から市街地ばっか爆撃するようになるんじゃもう……ね?

 と、いうことでナチスドイツ第三帝国は『制空権の確保』と言う目的を達成しきれず800機以上の航空機を失いアシカ作戦もその後中止、さらに二正面作戦を行なったせいでナチスドイツ第三帝国くんは無事敗北しましたとさ。

 

参考:世界の珍兵器コレクション(宝島社)

                               —完—



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ファイルNo2.垂直離陸に希望を抱いた変態達

 やぁやぁ、どうもどうも紅茶紳士淑女諸君。待ちわびていた者も待ち侘びていなかった者もグーテンモルゲンボンジョルノ。

 案を考えてたら偶然2つほど案が浮かんだんで、今回は1つ目の案を採用してみた。ツ○ッターとかでbot使ってこの類の兵器紹介してる人いるけどさ……あの情報どこから仕入れてんの(憤怒)?自分もまだまだ未熟だって、思いましたねぇ!

 ということでま、楽しんでおくれ(唐突)。

 

 

 時は第二次世界大戦(だぶだぶつー)末期!!かつてヨーロッパほぼ一帯を支配したはいいものの、あの軍人経験が第一次世界大戦(だぶだぶわん)での伝令兵程度だったアドルフヒトラーおじちゃんと実はIQが130以上あったと言う肥満体質のおっちゃんヘルマン・ゲーリングその他諸々優秀な指揮官による優秀な指揮の元(?????)、なぜだか知らんが禁忌とされていた二正面作戦を行ったりあの二人(やべーの)が作戦指揮を行うと絶望的な状況に陥っていた。

 キリストとユダヤと正教会とその他諸々が複雑に入り組んだ『ようろっぱ』なる土地の中部に、西からは合理主義という名の悪に洗脳された赤と白、青を身にまとった悪魔が、東からは赤いカーテンと言う名の巨大な人塊がじわじわと攻め寄るカオス。

 西部の解放された土地では合理主義の悪魔による温かいパンとフッカフカの衣類が、東部占領地域の町では非人道的な赤いカーテンの人塊の一片による強奪の嵐が吹き荒れる中、それらを守るべきだったかもしれないし守るべきじゃなかったかもしれない土地を見捨て各地で敗退、転進(赤軍大本営発表)を繰り返すナチスドイツ第三帝国くんの姿が、そこにはあったのである!!

 憎き連合軍ヤーボにより次々と破壊される我らが愛しのBf109達と数多の滑走路、フィヨルド内部でひっそりと佇む破壊されたティルピッツ、憎き大量のB-17の500ポンドの雨により、燃え盛るルール工業地帯と……各市街地。誰もが、この状況を『絶望的』だと捉えた。実際そうだった。

 だが、ナチスドイツは諦めなかった!!無駄な悪足掻きでも……塵も積もればなんとやら、起死回生の兵器をいくつも試作・量産していたのである!……戦争に間に合わなかったけど。

 それはともかくとして、だ!!今回はそんな絶望的な状況下に置かれたドイツの優秀(へんたい)技術者達(ヘンタイズ)が生み出した奇想天外(きそてんがい)魑魅魍魎(ちみもーりょー)摩訶不思議(まーかーふしぎ)変態的(げいじゅつてき)兵器の内の2つ、垂直離着陸機(どうしてこうなった)くん達を紹介しよう!!

 

 見た目が似ていると言う点から一気に二つ紹介と行こう!!それはぁ…‥コイツらだ!!

 

デデデーン!!(裏声)

 

      _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_

      > ハインケル ヴェスペ AND *ラーチェ <

       ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

 

        *ラルケと読んだりもするらしい。ここではラーチェで統一。

 

 この見た目を見ろ!……って、見えないか……。

 まぁそれは各自調べてもらうとして!口頭で説明するとしたら……うーむ、難しいな。簡単に言うのであれば……そうだ。

 まず、設計そのものはテイルシッター式で、胴体中央部に配置されたプロペラを巨大なドーナツ状の円環式主翼と言う名のタクテッドファンで取り囲み(これを『コレオプター式』と称するらしい)ケツ部分には3基の固定式尾翼兼『ランディングギア』を装着している、と言えばわかるだろうか。

 この二機の大きな違いは大雑把に言えば『エンジンの種類と数』、『コックピット配置および形状』にある!(細かく言えば機体そのものの形状や使用用途等。ヴェスペは迎撃機なのに対し、ラーチェは対地攻撃機)

 ヴェスペはエンジンとしてターボプロップエンジンを『1基』搭載するのに対し、ラーチェはあのおてんばエンジン(悪い意味で)として有名な(?)DB605液冷エンジンを『2基』搭載し、二重反転プロペラの要領でペラ2つを回転させ、飛行する。

 それが原因なのかは知らないが、ヴェスペは迎撃機としては破格の速度とも言える最高時速800キロを『予定』していた。それはラーチェも同様だが……ちょっと待ってほしい。そもそも対地攻撃機なのに最高時速が800キロであること自体おかしいのだが(レシプロエンジン全般での速度限界は850キロぐらいだとか)このラーチェ、なんと超過禁止速度1282キロ……つまりマッハ1レベル程度までの速度であれば機体が耐えることができ、上昇速度は毎秒50メートル。最高上昇限度は14300メートルだと言うのだ(ウィキペディアより参照)。

 ……おいナチスドイツ第三帝国くん。攻撃機を一体なんだと思っているんだ!!(褒め言葉)これじゃぁ黎明期のジェット戦闘機と同じじゃないですかいやだぁ!(ちなみにドイツの傑作機とも呼べるBf109の最終量産型であるK14では高度14000メートル時点で最高時速740キロ)

 さ・ら・にである。このラーチェ、オプションとしてなんと世界初とも言える『『有線式空対空ミサイル』』のX-4、通称ルールシュタールを3基搭載することが可能であったと言われている。ロマン詰め込みすぎだろこれ。

 これだけのスペックを見たらわかると思うが、少なくともラーチェは対地攻撃機なのにもかかわらずトンデモ機体である。おそらくこんな機体が大戦末期に投入されたとすれば、Do335(もしかしたら解説するかも?)とともに合理主義の悪魔と赤いカーテンに痛い打撃を与えていたこと間違いなしだっただろう。

 だが悲しいことに、こんな超兵器《スーパーウェポン》、完成するはずはなかったのである。まず機体設計が当時の技術ではあまりにも斬新すぎ、実現は不可能だった、とされている。

 そもそも……着陸、どうすんの、これ?この機体は後述の機体同様『滑走路が使用不可?なら垂直離陸すれば解決やろ!』的思考で開発されたわけだが……離陸はいい。だがこの機体形状であれば着陸が困難なのは確実。現代のような姿勢制御系のコンピューター機器すこここここ的世界でもなければまず着陸がままならないだろう。大戦初期であればもしかすると行けるかもしれないが、これが計画されたのは大戦末期。大日本帝国同様優秀なパイロットを様々な要因で失っているのは事実(日本とは違い、パイロットが真下の太平洋に着水するのではなく陸地に着地できるだけマシ)。これでは飛ばすだけ飛ばして燃料切れそうになったら晴嵐よろしく機体を空中で放棄するほかないだろう。

 結果的に言えばこの機体は……ロマンの塊。それも、ダイヤモンドよろしく石炭圧縮作業並みに凝縮された、究極のロマン(当社比)。

 我々にできるのは、せいぜいこの機体が大空を飛び交い憎きB-17やらランカスターやらリンカーンやらが蚊トンボよろしく撃ち落とされていく光景を想像するくらいしか、できないのだ。

 

 

 んー……。どうしよ。これ時間余ったら後2機ほどこれと同じようなコンセプトで(おそらく)設計された兵器あるし、暇だったら今度紹介してみようかな?

 あ、それと次回予告!!

 

 『次回!城之う』……じゃなかった。

 次回!有線誘導爆弾紀大爆発!乞う(?)ご期待!



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ファイルNo3.誘導爆弾紀大爆発—1 Ruhrstahl/Kramer X-1

 さてさてみなさんどうもこんにちは。ここ最近中の人が住む街にもだんだんと赤軍(もうしょ)がじわじわと攻め寄ってきており、斯くある中の人自身今現在三〇〇サ○ダー片手に執筆しております。

 って、こんな改まった文章なんていらねぇわ(ゴミ箱にポイ)。

 ……はい、まぁ……みなさんも熱中症にならないようお気を付けください。

 後今回は色々中身が変わってます、ハイ。まぁこれも試行錯誤ってもんだべよ!ロマン兵器をつくための大事な手順だっぺ!

 

 

 

 

 ???「さてさてこれで3回目となる自己満ロマン兵器解説。初手は王道のパンジャンドラム、次はおそらく(?)マイナーなハインケルレリヒェ&ヴェスペ。このあまりにもパターン性がない紹介順番に関しては中の人自身も若干困惑気味である(大本営誤発表)」

 

 ???「まぁそれはそれとして、今回は珍しく実戦投入が行われ、数々の成果を上げた代物……『有線誘導爆弾』についてです!あ、ちなみにこの意味が若干よくわからない『有線誘導爆弾紀大爆発』の名前の由来は、中の人曰く『カンブリア紀大爆発をパク……リスペクトしちゃった☆』だそうで。この態度は同志書記長の耳に触ったようで、つい先ほどK Bによりラーゲリに送還されていきました。なので今回は中の人に変わって変態市民Aこと、トリープフ・リューゲルが解説させていただきます」

 

 中の人「(流れが読めない、だって?俺もそう思う)ってことでリューゲル、後は任せた」K Bによりズルズル

 

 リューゲル「あっ、はい。……ま、今回もこうなんか……お楽しみください!あとなんでこう文体いつもかえちゃうの?ねー!ねー………………」

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 1943年 9月9日 地中海上空

 

 この前日、ヘタリアは連合軍に無条件降伏した。あの半島に住むパスタ野郎どもは南北に分かれ、ドイツ傀儡政権とそれに反対する人間とが、ヘタリア半島で戦う日はそう遠くはないだろう。

 とにかく、ヘタリアは降伏し、今我々ドイツ空軍の乗機であるDo217爆撃機総計12機は胴体下に見慣れない爆弾……軍部からは『新兵器だよん』と伝えられたブツを抱え、こうして地中海上空を飛行している。

 目的は……アレだ。

 

 「機長。パスタの足りないイタリア野郎の戦艦数隻といおまけを確認。どうされますか?」

 

 機銃手の一人が獲物を見定めたかのような顔で機長に告げる。

 

 「やはり、連合国へ投降を開始したという話は本当だったか……『Ruhrstahl/Kramer X-1』搭載各機に通達。我々はあのヘタリアの動きを、何としても阻止しなければならない。せっかく軍部からこの新兵器……『Ruhrstahl/Kramer X-1』を託されたんだ。使わないわけにはいかないだろう。今や我々の眼下を航行するあの艦艇はどれも……敵だ」

 

 「……了解。『Ruhrstahl/Kramer X-1』搭載各機に通達します」

 

 通信手はそれだけ言うと、通信機と面を向き合う。

 

 数分後……

 

 「『Ruhrstahl/Kramer X-1』搭載各機、攻撃準備整いました。今にでも攻撃が可能です」

 

 「そうか……。ならとっとと奴らを楽にしてやれ。さっきから対空砲火の音がうるさいんだ」

 

 機長は日記片手に告げる。

 

 「そういえばそれ、さっきから何書いてるんです?」

 

 通信手は疑問げな顔で機長に尋ねる。

 

 「なーに、ただの日記さ。それよりも攻撃だ攻撃。とっとと胴体下のデカブツを奴らに投下してやれ」

 

 「了解。……『Ruhrstahl/Kramer X-1』……投下しますッ!」

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 リ「……はい、ということで作者のこの下手な茶番を元に始まりました自己満解説第三回!今回は変態市民Aことトリープフ・リューゲル……短縮系としてリューゲルと呼ばれている私と!」

 

 中「…………」

 

 リ「んぁ……。そっか。中の人いないんだった。『二人でやって見たいなぁ(チラッチラッ』とか言ってた割に本人が消えてどうすんだ……!

 んまぁいいや。中の人からこうして何を紹介するか自体の内容書自体は持ってるし」内容書ペラペラ

 

 中「はぁ……はぁ……つかりぇた……」

 

 リ「ファッ!?中の人……死んだはずじゃ……!」

 

 中「残念だったなぁ!(ネットリ)トリックだよ」

 

 リ「はぁ……そうですか。そんで?今回は何について解説するんです?」無視からの内容書ベリベリ

 

 中「いやいやおいちょっと待て!無視はいいとしてなぜ内容書を破り捨てる!?」

 

 リ「いや、本人が直接解説した方がなんかこう……いい、でしょ?」

 

 中「あっそっかぁ!それなら仕方ないね!」

 

 リ(いや今ので納得するんだ……)

 

 中「はい、ってことで今回紹介する愉快な有線誘導爆弾の仲間たちをハイドン!」

 

1.Ruhrstahl/Kramer X-1(無線誘導)

2.Hs 293(有線誘導ロケットもどき)

 

リ「あの……ちょっといいですか?」

 

中「なんだねトリープくん?」

 

リ「これ……仲間たちと言っておきながら有線誘導と無線誘導が各1つずつしかないですよね?」

 

中「アァ”ッ”!……感のいいガキは嫌いだよ。中の人も内心『やっちゃったぜ☆』と脳内で呟いてしまうほどの致命的なミスを今回は犯してしまっている」

 

リ「それがこの『ネーミング詐欺』だと……?」

 

中「あぁ、そうだ。弁解の余地もないな」

 

リ「はぁ……。中の人、いっつも情報蒐集怠ってますよね?ほんと。罪滅ぼしでとっとと解説始めやがれですよ?きっとこの画面の向こう側の紅茶紳士さんたち御一行たちもそろそろブラウザバックする頃合いでしょうし」

 

中「そ、それは色々まずいな!せっかく同志書記長殿に『不凍港あげるからゆるちて』って上申したら『え?不凍港くれるの?やったぜ(極東じー)。あ、それと自分の名を広めるためにこの画面の先にいる同志諸君を絶対逃がすなラーゲリにまた送るぞ?』って言われて書記長権限で解放されたのに……」

 

リ「いやいやいやいや色々まずくないですか、それ!?と言うよりも理由が……不凍港……しかも極東とか嫌な予感しかしな」

 

中「おっと君の訴えはそこまでだ。ま、まぁとりあえず題名変更してから解説、始めましょうねぇ!」汗ビッショリ

 

リ「え、えぇ……」

 

中「ってことで、『ファイルNo3.有線誘導爆弾紀大爆発』もとい『ファイルNo3.誘導爆弾紀大爆発in枢軸』、始まりまぁすっ!」

 

リ「えっあっちょ……」

 

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中「はい、と言うことでまずはナチスドイツ第三帝国の産み落とした、数ある誘導兵器の一つ、『Ruhrstahl/Kramer X-1』、日本語でそんまま読むなら『ルールシュタール/クラマーX-1』の解説と行こう!(リューゲルの記憶は消去したしもう安全だな……とっとと始めちまおう)」

 

リ「『Ruhrstahl/Kramer X-1』……聞いたことがない兵器名ですね。何か名称はあるんですか?(あれ……なんか忘れてるような……)」

 

中「もちろん、あるとも。確か愛称というか、非正式名称で……『フリッツX』と言ったかな」

 

リ「フリッツX……ダメだ、全然わからないです。一体どんな誘導兵器なんですか?」

 

中「まぁ簡単に言えば……グライダーの要領で無線誘導を用いて敵艦に突っ込む爆弾だな」

 

リ「神かz」

 

中「いやそれは違う。まぁ一応の開発経緯〜実戦投入・戦果+αを書き記したのを用意したから読んでくれ」紙スッ

 

リ「あ、はい」紙ニギニギ

 

 

——フリッツXの……開発経緯?——————

 時は1938年。マックス・クラマー博士(1903年9月8日生・1968年6月没)はある実験を行なっていた。

 それは『絨毯爆撃って効率悪い……悪いよね?……あっ、そうや!既存の250キロ爆弾に箱型尾翼つけたろ!ついでにリモコンで操作できるようにしてやるぜぐっへっへ』と、色々既存のSC250爆弾に魔改造を施しているとドイツ空軍が興味を示し『おん!?(魔改造SC250の仕組みを見ながら)これ、ええやん!クラマー博士、一緒に作ろうや!』と言い出す。1940年にはこの類の兵器に関する開発・製造経験があったルールシュタール社が開発に参加するように指示され、マックスクラマー博士は嬉々として(?)空対空ミサイルのX-4及びRuhrstahl/Kramer X-1の開発を開始。これが後に、『フリッツXプログラム』となる。

 PC1400爆弾(これ自体が装甲貫通生を持つ爆発性爆弾。重巡・戦艦に対して使用することを想定されていた)の延長線というか派生型として生み出されたこの無線誘導爆弾は、結果的に機体前部に空気コントロールを意識された4つのスタブウィング(短翼のこと)と、尾部に平面の板12面で構成した横長な箱型尾翼が設置され、その内部に厚い面を持つ十字形の尾からなる箱形の尾部を所持する(フリッツXの空力コントロールを生み出すため)このコックピットを廃止した無人機に見えなくもない奇妙な爆弾として試作品が完成。

 こうして一応の試作品が完成したわけである。誘導方式はMCLOS。初期のミサイルの誘導方式で採用されているらしいこれをフリッツXは使用し、高高度からの精密爆撃(誤差60センチ。だがこれは理論値である)を可能としていた。

 この半ば無人機にも見えなくもない珍品は1942年から、ベルリン南方40キロ地点に存在するヨーテボーグにてHe111に搭載。飛行実験及びペーネミュンデ陸軍兵器実験場での風洞実験も行なった。

 結果1942年秋頃にはおおよそ全ての問題を解決。1943年からはフリッツXの投下時の特性ゆえに(この爆弾の最低投下高度は約4000メートル、適正投下高度は5500メートルほどで、天気は晴れが好ましいとされたが、ドイツではその高度の天候は晴れになる確証がなく不安定であったため)実験場をイタリアに変更。そこでは実戦試験も兼ねてIII./KG 100*1&2(第100爆撃航空団第3飛行隊)などのDo217に*4搭載*3した。

 そして運命の1943年9月9日、『昨日の味方は今日の敵や!!』と言わんばかりに地中海を航行していたヘタリア(実は海軍はヘタレじゃない)の戦艦『ローマ』及び『イタリア』その他諸々を捕捉。先述の変な茶番もどきで書いたように12機のうちの3機のDo217*が『ローマ』に対しフリッツXを用いた爆撃を開始。

 いくら戦艦といえどフリッツXの原型は対艦目的で作られたPC1400。これは高高度から射出され、目標到達時その速度は音速近い速度(約1000km/h)にまでする。炸薬量自体は決して多くはなかったものの、命中弾を3発、それぞれ前部弾薬庫、機関室、左甲板(2番砲塔と艦橋の間付近)に食らったヘタリア最新の戦艦である『ローマ』は敢え無く撃沈。同時に姉妹艦である『イタリア』も撃沈とまではいかなかったものの大破するという被害を被り、命からがらチュニジアまで航行している。これはフリッツXを用いた攻撃の中では初めて成功した例である。(この以前にも1943年7月21日にシチリア島のオーガスタ港空襲で配備されたが、何ら情報がないことからおそらく失敗したとみられる)

 その後も各地でこのフリッツXは実戦で投入されている。それら戦果を記録されている物で書くと

・イギリスの戦艦であり、『オールドレディ』という名で親しまれた『ウォースパイト』を航行不能にさせた。

・アメリカの軽巡洋艦USSサバンナが不吉な数字である9月11日のサレルノ侵攻にてフリッツXに攻撃を受け、C砲塔を貫通。甚大な被害を受けたためアメリカへの帰港を余儀なくされた。(この時の被害は死者197人の他15人が重傷)

・姉妹艦であるUSSフィラフェルディアもまた攻撃を受けており、船から15メートルほど離れた地点にて爆発。最小限のダメージのみを受ける。

・イギリスの軽巡洋艦HMSウガンダは9月13日、フリッツXによる攻撃を受け7つのデッキ全てを貫通。キール直下まで貫通し、水中で爆発する。この衝撃でボイラー全ての火が消え、1300トンの水を汲み取る過程で16人が死亡する。修理のため同艦はマルタまで牽引される。

・証拠は不十分ではあるものの、2つの商船がサレルノで攻撃を受けた可能性がある。

                      (英語版Wikipediaより参照)

などが挙げられる。

 述べた文のみを見れば一見このフリッツXは、傑作兵器のようにも思えるかもしれない。……だが待ってほしい。この機体には当時開発された誘導兵器のほぼ全てに共通する、ある重大な欠点が存在したのだ。

 それは……『よっしゃフリッツX投下したった!これで勝つ…‥ファッ!?て、敵機出現やんけ!あく撃墜しrぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああッ!(片翼が消し飛んだ主翼を見ながら』……で、ある。

 それ以外にも『フリッツX、逝っきまぁすっ!(裏声)よっしゃ動くな動くな……あっ対空砲火!機体が揺れて照準ががががががががあっ外れた!』や、根本的に『こいつポンコツだ!当たらねぇっ!』などと言った、当時の問題が山積みだったのである。命中精度に関しては誤差60センチ、あくまでも『理論上』であり、その精度は誘導する側の技量に大きく問われていた。

 また、フリッツXにカメラなんて大層な代物は搭載していないためこれを誘導する際には尾部に配置されたフレア……言わば目印のみを頼りに爆撃を行わなければならない。目視での誘導を強いられていたわけだ。

 さらに言うと、このフリッツXの月間生産数はおおよそ60機。最終的には1300機ほどしか生産されなかった(実際に投入されたのはそのさらに半数。半数は実験用に、半数は実戦用に使われた)という点から見ても、とてもだがそうポンポン投入できるようなものではなかった。

 決め手は、母機にある。このフリッツXは誘導時、母機が低速で飛行する必要があり、また旋回することすら不可能だった。それを行なっただけで爆撃が大きくズレてしまうからだ。これは対空砲火による揺れも同じで、結局このフリッツXは桜花よろしく母機を大量に消費してしまい、結局フリッツXプログラムは途中で打ち切られてしまったのだ。

                       ——————Fin——————

 

リューゲル「……一言、いいですか?」

 

中の人「あぁ、いいとも」

 

リ「……長すぎませんかこれ!?」

 

中「あー、それ自分も思った。作者ながらさすがに長すぎたかなぁ、って思ったよ」

 

リ「これHs293を解説する魂焼き尽くしてたり……してませんよね?」

 

中「……うん。パッスパスに燃え尽きたよ(やる気が)」

 

リ「えぇ……。ということはHs293に関しては次回までのお預け、ということですか?」

 

中「うーん……。まぁ、そうなるな」

 

リ「んー……まぁいいんじゃないんですか?紅茶でも飲んで一服した後フィッシュチップス片手に持って執筆再開しましょうよ」

 

中「それもそうだな……。ただしフィッシュチップス。お前はダメだ。せめてスコーンが食いたい」

 

リ「あっそう言うなら……」

 

中「ってかお前さ」

 

リ「なんでしょう?」

 

中「名前がドイツ軍の兵器をもじってるあたり、紅茶紳士淑女のたしなみを進めるのは間違ってるんじゃないか?」

 

リ「アッ……」

____

___

__

_

 *1この部隊は、主に対艦誘導兵器を主体として運用した対艦誘導兵器運用特化部隊として地中海方面で活動している。

 

 *2大戦末期にはアブロマンチェスターのエンジンであるヴァルチェーエンジンよろしく2機の液冷エンジンのクランクシャフトを連結し(つまり2つのエンジンでプロペラ1つを回すということ)、生み出されたDB605エンジン合体版のDB610エンジンを搭載したHe117グライフ(グリフォンの意)を使用していた可能がある(実際その配備されていたのは事実で、この機体の派生型の一つ、He 177 A-5/R1にはHs293対艦有線誘導ロケットやフリッツXを搭載することが可能だったため)。

 He117に関しては結構面白い機体なので、解説する機会があるかもしれません。

 

 *3実は投下したのはHe111とかDo17なんやで!という説があるが、He111の搭載量であれば搭載することが可能(He111H-5型以降の最大搭載量は2.5t。対してPC1400Xは重量約1.4t)だと思われるがDo17はあり得ないかと思われる(個人の感想。ちなみに理由はDo17は最大搭載量が1tしかない為)

 

 *4なお、Wikipediaではこの攻撃を行なったのはDo17とされている。うーん……なぜだ?(困惑)

 

 

 ということで、今回はテスト的にSS風味にしてみました。その2『Hs293』も同様の方式で行ってみます。好評だったらこの路線で行くかもしれません。

 情報量もっと増やしたほうがいいですかね……?初期型ではフリッツXだけ解説しようかななって思ったんですが(日本語版と英語版のウィキを併用)、あまりにも情報量が多すぎた()。これ、解説初心者がやるようなもんじゃないな、って思って一旦保留にしましたね!(清々しいまでの顔)まぁ努力すれば何とか今以上の情報量は……?

 紅茶紳士淑女諸君が濃い内容の解説か薄い内容の解説、どちらを求めているのかが気になる()。

 

出典

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/フリッツX

      https://en.wikipedia.org/wiki/Fritz_X



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ファイルNo4.誘導爆弾紀大爆発—2 Henschel Hs 293

_

__

___

____

場所は極東シベリア

 

中の人「ふぅ……シベリアで食うスコーンはうまいな!」スコーンムシャムシャ

 

リューゲル「いやいや……美味しいのはソーセージに決まってるでしょう?」ソーセージムシャムシャ

 

中「黙れドイツのペーパープラン!世界を制するのはスコーンだ!」

 

リ「いいえ!黙りません!世界を制するのはソーセージです!」

 

中「あっ、そっかぁ……(ションボリ」

 

リ「まぁまぁソーセージでも食べて、ほらぁ!」ソーセージスッ

 

中「あっどうも……」ソーセージムシャムシャ

 

リ「ところで中の人。なんで私たちは今現在こんな場所にいるんです?」

 

中「知らん。……あっそう言えば昨日、書記長が『なんか暇だからお前らラーゲリ送りね』って言ってたなぁ……」ソーセージムシャムシャ

 

リ「えぇ……。あ、昨日言ってたHs293の解説はできるんです?」

 

中「あーうんできるよ。なぜだ分からんがビンビンにWifi飛んでるから。このシベリア最先端をいってるね」

 

リ「あーじゃぁ問題ないですねとっとと解説しやがれです」

 

中「アッハイ……」

 

———パンパカp(殴)……Hs293の開発……経緯?———

 時は1940年。ドイツ国防軍は"Gustav Schwartz Propeller Works"を基盤に”Hs293プロジェクト”を開始する。

 この"Gustav Schwartz Propeller Works"は、母機より切り離された後、滑空し自動操縦で直進し標的に突撃すると言う代物で、主に対空射撃の範囲外、敵から十分な距離からこれら一連の操作を行われる予定だった。

 翌年にはこのハーバート・ワーグナー博士傘下のヘンシェルチームは”Gustav Schwartz Propeller Works”にヴァルター機関*1(細かく言えば高温式ヴァルター機関)として有名な『Walter HWK 109-507ロケットエンジン*2』を追加して開発し、これにより10秒間590kgの推力を得ることが可能となる。これにより”Gustav Schwartz Propeller Works”が高高度からの投下でなければ十分に活用できないと言う欠点を克服し、より低い高度で広域を攻撃できることが可能となった。

 飛行実験は1940年5月〜9月という比較的に初期に(アメリカのAZONなどは1942年に実験)He111を母機として行われ、この際はヴァルター機関無搭載の無出力状態であった。ヴァルター機関搭載機の飛行・駆動実験は1940年末からの実行となる。

 こうして実験が開始されたわけだが、内容的にはSC500(500キロ爆弾)爆弾の改造品とも言える代物で、先端部には”Kopfring(どのような機能を持つのか不明。おそらく垂直に着弾するのを補助するものと思われる)”を装着し、爆弾下に『Walter HWK 109-507ロケットエンジン』を、本体横に1対の補助翼を装備し、Kehl-Straßburg(MCLOS)誘導および制御システムのFuG 230コンポーネントで操作。薄い金属製シェルと高い爆発装薬を内蔵する先駆的な精密誘導装甲貫通爆弾であった。

 エレベータは比例制御として電動のジャッキねじで操作し、一方エルロンはソレノイドで操作した。遠隔飛行制御はKehl-Straßburgを介して行われ、Hs 293は腹側尾部に可動舵を持たなかった。 『Walter HWK 109-507ロケット』は打ち上げの高さに依存し、高さ1,400 mからのHs 293の射程範囲は約12 kmとなる。

 この『Hs293』は、同じシステムで誘導していた『フリッツX』のような重装甲目標への攻撃を想定されたものではなく、主に非装甲目標(駆逐艦、お前だよ)に対して使用することを目的としていた。誘導方法は『フリッツX』とほぼ変わらず、ジョイスティック付きのKehl-Straßburgで目標に対し誘導。尾部のフレア(夜間作戦時には点滅灯)頼りでの目視による誘導であった。

 飛行実験から約3年後の1943年8月25日。初めてこの『Hs293』は実戦に投入されたとされている*3。イギリス船団のHMS Bideford に対してP☆O☆Nと発射されたが、直撃はしたもののなんと不発。資料上は沈んだとされるが真実は不明である。

 それ以外にもある程度の数戦果を上げているので、未確認も含めそれらを英語版Wikipediaより抜粋する。

——————

・この2日後、Do217による攻撃でHMSエグレットが撃沈。

・11月26日、Hs 293が部隊輸送HMTローナを沈没させ、1000人以上の要員を殺害した。

・HMCS Athabaskan(1943年8月27日にビスケー湾でEgretによる確認された打撃で大きな被害を受けた)

・イタリアの駆逐艦ウゴリーノ・ヴィヴァルディ(1943年9月10日、サルデーニャ沖で大規模な損害を受けた)

・SSブッシュロッド・ワシントン(1943年9月14日に雪崩作戦中に沈没)

・SSデリウス(破損)

・HMSダルバートン(ひどく損傷を受けていて乱雑になっている)

・SS Elihu Yale(1944年2月16日のShingle作戦中にAnzioを沈没させた - LCT 35も同時に破壊された)

・USSハーバート・C・ジョーンズ(1944年2月15日、シングルの作戦中にアンツィオ沖で損傷)

・SSハイラムS.マキシム(破損)

・HMSイングルフィールド(沈没)

・SS James W. Marshall(雪崩作戦中に1943年9月15日に損傷し、その後マルベリー港の一部として使用された - おそらくフリッツXによるもの)

・HMS Janus(沈没 - おそらくHs 293、または魚雷に)

・HMSジャービス(1944年1月23日、シングルの作戦中にアンツィオ沖で被害を受けた)(この艦は第二次大戦中一度も船員が死亡していない為、『ラッキージャーヴィス』と呼ばれる)

・SSジョン・バンバード(破損)

・バンフクラスの斜面飛行艇HMS Landguard(1943年8月25日、ビスケー湾のビデフォードでわずかに損傷)

・HMS LST-79(沈没)

・USS LST-282(作戦ドラグーン中沈没)[13]

・HMS Lawford(沈没 - おそらくHs 293によるもの)、公式レポートによると「空中魚雷」だとか。

・MVマルサ(沈没)

・HMCSマタン(破損)

・USS Mayo(おそらくHs 293または地雷によって損傷を受けた)

・HMHSニューファンドランド(アメリカ海軍の駆逐艦Plunkettによる重度の損害を受け、後に乱雑になった)

・USSPrevail(おそらくHs 293による損傷)

・HMSロックウッド(わずかに損傷、後で償却)

・SSサミテ(破損)

・SS Samuel Huntington(1944年1月29日、Shingle作戦中にAnzioを沈めた)

・SSセルビク(破損)

・HMS Spartan(1944年1月29日、Shingle作戦中にAnzioで沈没)

・USSティルマン(地中海の輸送船団KMF-25Aを護衛している間に1943年11月6日にわずかに損傷した)魚雷が原因である可能性が高い。

 また、これとは別として1944年8月下旬、ノルマンディーでSée川とSélune川の橋梁を攻撃するためにも使用された。が、攻撃中の母機の内6機が撃墜されたため1本の橋に微小の損傷を与えるだけに留まる。

 1944年8月7日のPontaubaultでのIII./KG 100(第100爆撃航空団第3飛行隊。前回も登場)のDo 217による攻撃は、陸上目標に対するスタンドオフミサイルの最初の使用であった。 1945年4月12日に、オーデルの橋に対して、KG 200(第100爆撃航空団)のDo 217により、『Hs 293A』爆弾がもう一度使用された。

——————

 Hs 293は、He 111、He 177、Fw 200、およびDo 217などで運ばれた。ただし、He 177(IおよびII.Gruppen / KG 40)、Fw 200(III./KG 40)およびDo 217(II./KG 100およびIII./KG 100)の一部の変種のみ『Hs 293』を戦闘で使用した。

 結果的にこの『Hs293』は終戦までにおおよそ1900基が製造されたとされている。だが、前回の『フリッツX』同様の問題点や、この『Hs293』特有の『誘導時はターゲットと平行に飛行し、水平飛行しなければならない』点や、省略していたが連合国側による『Hs293』の送信機—受信機間の無線妨害*4により、徐々に無力化されることとなる。

 とは言え、一説にはこの『Hs293』の攻撃により沈没された艦艇数はドイツが撃沈した艦艇数の実に40%。トン数で言えば約44トンとされており、決してただの珍品、という訳では無かった事になる。

 この世界初の空対艦ミサイルとも呼べる『Hs293』は、終戦間近まで改良品の制作が行われ、テレビ標準装置型の『Hs293D』やデルタ翼を採用した『Hs293F』、外見を一新した準派生型の『Hs294A』に紡がれることはなく、終戦。

 『Hs293』の人生はここで幕を閉じることとなる。

                       ——————Fin——————

 

中の人「総統閣下ッ!完成品を今ここに……。どうぞご覧くださいッ!」紙スッ

 

リューゲル「どれどれ……」紙ニギニギ

 

—数分後—

 

リ「ほ〜……ええやん!」

 

中「ははぁっ!総統閣下からのお褒めを預かるとは……ありがたきしあw……うん?立場が逆転している……ッ!?」

 

リ「そうだよ」

 

中「えぇ……」

 

リ「まぁこれを同志書記長に見せたらシベリアから解放してくれるんじゃない?」

 

中「あっ、そっかぁ!」

 

リ「じゃけんほら、見せに行きましょうねぇ!」

 

中「行くゾッ!」

____

___

__

_

*1:安定剤としてオキシキノリンを含んだ(急激な反応のため、下手をすれば暴走する危険性があったため)高濃度の過酸化水素、通称『T剤(Tストフ)』と触媒とを反応させ、その際に生じる酸素と水蒸気、燃料の混合気を燃焼させ、その際に生じる高温高圧のガスを作動流体として使用する。

 

*2:いくつかの試作品では、推力600kgのBMW 109-511を搭載した。

 

*3:フリッツXとの混同が激しいらしく、どれがフリッツXでどれがHs293なのか、正確に表記された資料はそう多くない。

 

*4:最初はアメリカがジャミング装置を製作、駆逐艦に装備したが効果は全く持ってなかったためイギリスがそれとは別の3MHzで作動するType 650送信機の配備を開始。これは『Hs293』の受信機にも効果を発揮した。

 この後にもアンツィオにて無傷で鹵獲された『Hs293』や、コルシカ島に不時着したHe117より入手した様々なKehl-Straßburgの重要部品を獲得したことにより、1944年4月以降はHs293の命中率は激減することとなる。

 

 さて、最後はかなりリューゲルがキャラ崩壊を起こしていましたが、一応SS版は終了しました。中の人的には文字数を削減できる前バージョンの方がいいですが、皆さんは前バージョンとSSバージョン、どちらがいいですかね?

 

 っと、忘れるところだった!

 次回、『アメリカ本土爆撃の野望』!作者が『あぁ資料多い^~死んじゃう^~』と唸りながらも書くそうで。乞うご期待……す……る?

 

 

参考・抜粋・出典

   https://ja.wikipedia.org/wiki/Hs_293_(ミサイル)#cite_ref-15

   https://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァルター機関

   https://en.wikipedia.org/wiki/Henschel_Hs_293



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ファイルNo5.アメリカ本土爆撃の野望

 まず一言。私は帰ってきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!

 いやはや、紹介する量がとてつもなく多くて苦労しました(しんみり)

 ______

 

 中の人「……ふぅ」紅茶ズズズ

 

 リューゲル「……はぁ」ウィンナームシャムシャ

 

 中「……こいついっつもウィンナー食ってんな」

 

 リ「そう言う中の人も紅茶飲んでるじゃ無いですか」

 

 中「つまりなんだ。『お前も人のこと言えないぞ』って言いたいのか?」

 

 リ「当たり前じゃ無いですか。第一紅茶なんて美味しく無いに決まってるでしょう?」

 

 中「黙りやがれこの兵器のなれ果て!紅茶の素晴らしさを理解できない奴が何を言う!」

 

 リ「あー……はいはい。わかりましたよ。それで?何か言うことはないんですか?」

 

 中「……あっ(察し」

 

 リ「ほらほらほらぁ。早く言わないといけませんよ?」スッ

 

 中「いやいやStg44の銃口向けながら言われても……」

 

 リ「なら早く言って下さいやがれですよ?」

 

 中「わかった!わかったからそのStg44を片付けろって……!」

 

 リ「撃たれたく無いなら早く言って下さい。……尤も、中の人がMなら話は別ですが」

 

 中「……投稿をサボって、本当に申し訳ない」シンミリ

 

 リ「そうです。それでいいんです」Stg44スゥッ……

 

 中「いやまぁね、自分もいろいろしたいことがあったわけだよ」

 

 リ「はぁ。それは一体なんのこ」

 

 中「ゲーム」

 

 リ「……は?」

 

 中「げぃむ」

 

 リ「いや何度言わなくてもわかりますよ?だから、”ゲーム”ってどういうことです?」

 

 中「いやそのままの意味で……」

 

 リ「…………」飼育ケーススッ

 

 中「え……あの。その飼育ケースは一体……?」

 

 リ「カンディル*の飼育容器」

 

 中「…………!?いや待ってそんな危険生物なんでそこに入ってるのてかカンディルを手に持ってこっちに来るな!」

 

 ???『あ、あのー……』

 

 リ「……ん?」

 

 中「あっちょうどよかった!助けてくれ!」

 

 ???『いや……そんなこと言われてもこの仮想空間からどうやって……』

 

 リ「いや待って中の人」カンディルポイ

 

 中「は……はい」

 

 リ「この声……誰?」

 

 中「あぁ……自分が趣味で呼んだ別作品の子。その名も『ゴーグル』!」

 

 ゴ『そーなの!私がゴーグル!』

 

 リ「別作品って……まさか、”あれ”ですか」

 

 中「そそ。”あれ”」

 

 リ「”あれ”って……なんでしたっけ」

 

 中「いやそこ忘れる!?」

 

 リ「逆に忘れるなとも言われていませんが……?」

 

 中「うっ……そう言われたら……」

 

 リ「第一この文章自体中の人自身が書いt」

 

 中「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっと!?それ以上はやめてもらおうか!」

 

 リ「なんですか。メタいって言いたいんですか」

 

 中「いやそうだよ!!」

 

 リ「そうですか……。なら仕方ありませんねぇ……」

 

 中「よ、よかった……。そ、それでだな。”彼女”……と便宜上言うが、まぁ”彼女”は現在絶賛中の人がおそらくは汗水垂らしながら書いてる別作品、その名も『殺伐とした別世界に、突如として変態なる国家が並行世界より来たる』に出てくる子だ。作中ではA-10にデフォルトで装備される人工知能ということになっているが……」

 

 リ「まず一言」

 

 中「は……はい」

 

 リ「宣伝乙」

 

 中「ひで」

 

 ゴ『な、なんだか私……ここにいちゃいけない気がしてきました……』

 

 リ「いや……まぁ可愛ければ正義、とも言われることですから……いいんじゃ……ないですかね?」

 

 中「外見はA-10なんだが……」

 

 ゴ『ウッ……ウッ……ひどいよ……』

 

 リ「あー……泣かせましたね!!」

 

 中「いやいやこれは本音なんだが……」

 

 リ「だとしても酷すぎますよ!!普通女性の見た目は言わないお約束って古事記にも書いてますよね!?それに”声”はかわいいんですから!!かわいいは正義ですッ!!この話はもう終わり!とっとと本題に入りましょうよ!」

 

 中「おっ……そうだな」

 

 リ「今日の本題はなんでしたっけ……久しぶりすぎて忘れましたよ」

 

 中「いやまぁ……この話の題名を見たr」

 

 リ「はい!わかりました!アメリカ爆撃機計画についてですね!!」

 

 ゴ『あ、あめりかばくげききけいかく……?』

 

 中「ゴーグル。確かに君の母国はアメリカだがこれは計画された時代が違う。だから頼むからGAU-8アヴェンジャーをぶっ放そうとするのだけはやめてくれ」

 

 ゴ『つ、つい禁断症状が出てしまいました……』

 

 リ「人工知能にも禁断症状ってものがあるんですね……それで、アメリカ爆撃機計画と言うことですがつまり……日本ですか?」

 

 中「うん。枢軸って意味では似てるけど日本では無い。日本は確かに日本陸軍はキ-91*2を、海軍はG8N連山*3を計画、また共同で富嶽*8その他二式飛行艇を用いたK作戦*4を実施するどころか実際にアメリカに砲撃・空襲*5を成功させたりしてるけど違う」

 

 リ「ならヘタリアですか……!?」

 

 中「その言い方はやめてあげろ。もちろんイタリアでも無い」

 

 リ「ということは……ドイツですか!!」

 

 中「その通りだワトスン君」

 

 リ「誰がワトスンだカンディル食わすぞ」

 

 中「お願いだからカンディルはやめてくれ。死ぬときはパンジャンドラム暴発が原因って決めてるんだ」

 

 リ「変な死に方ですね……。いや、空から落ちてきたカメが頭に衝突して死んだ人もいるくらいだし変じゃ無い……?」

 

 中「色々感覚が麻痺しているようだな……。とはいえ、これ以上雑談していると流石に画面の向こうの紅茶紳士淑女諸君も飽きてICBMを間違って誤射してもおかしくない。とりあえず本題に入るとしよう」

 

 リ「ここ一帯が焼け野原になっても困りますしね」

 

 ゴ『今回の主題は”あめりかばくげききけーかく”……でしたでしょうか?』

 

 中「あぁ、その通りだ。この計画の発端は第二次大戦前に遡る」

 

 ポワワ……

 

 リ「え、なんですかこれは」

 

 中「回想だよ察せ」

 

 リ「察しました」

 

 ポワワワワワワワワワワァン……

 

 1938年7月8日 ドイツのどっか

 

 ヘルマン・ゲーリング『わし、4.5tの爆弾搭載量を持ってニュゥ↑ヨォ↓クッ!まで往復飛行できる爆撃機が欲しいんじゃ。これありゃアメリカ合衆国(FUC○INGチート国家)を黙らせれるじゃろ???????それがあったらわし、歓喜する❤︎』

 

 ポワワワワワワワワワワァン……

 

 中「つまりはこう言うことだ」

 

 リ「なるほど……って、全然わかりませんよ!」

 

 ゴ『FUC○INGチート国家……ひどいよウッウッ……』

 

 中「許してください!なんでもしますから!!」

 

 リ「ん?」

 

 ゴ『ん?』

 

 中「ん?」

 

 リ「今」

 

 ゴ『なんでもするって』

 

 リ&ゴ「 『 言 っ た ね ? 』 」

 

 中「アッ……」

 

 リ「前菜抜きで説明もちゃんとしやがれです」

 

 ゴ『そーだそーだ!』

 

 中「尽力する(大本営発表)」

 

 リ「アッハイ……そ、それで、さっきの内容を要約したら、ゲーリングおじさんはアメリカを爆撃できる爆撃機が欲しかったってことですか?」

 

 中「まぁ……そうなるな」

 

 ゴ『でもこの時代、アメリカを直接爆撃できる兵器を作る技術を持ち合わせる国なんて……』

 

 中「んー……まぁ、アメリカ本土に到達することができる機体なら存在してたさ。ドイツのメッサーシュミット Me 261 アドルフィーネ(航続距離11,024 km)が、日本にはキ77(別称A-26)(航続距離18,000km(300km/hで滞空55時間))が存在していたからな。技術的には決して不可能じゃなかったわけだ」

 

 ゴ『えーっと……もしイギリスを落とせたと仮定してもイギリス=アメリカ間の距離は約5500キロ。とてもですが当時の技術じゃ往復は無理なんじゃ……?』

 

 リ「そんなことはないですッ!ドイツの技術力は世界一なんですから!!」

 

 中「えーっとだな……どうやら当時のポルトガルの独裁者、アントニオ・サラザールはアゾレス諸島をドイツのUボート及び軍艦の補給地としての使用を許可していたわけだ。更にここは北アメリカ東端から見て約3900キロ地点の諸島(wikiより参照)、つまりは……ね?(威圧」

 

 リ「そのアゾレス諸島に陸上基地を作る気だったんですか……。まぁ航続距離に関してはそれで解決するとしましょう。でも、肝心の爆撃機はどうするつもりだったんですか?まさかHe111を使うわけじゃないですよね?」

 

 中「もちろんドーバー海峡往復程度しかできない中型爆撃機を使うわけない……と思っていたのか!!」

 

 リ「ナッ!?」

 

 中「こっからは本来の流れで行くゾォッ!?」

 

 リ「あ、はい……」

 

 ゴ『え、どーゆーことですか……』

 

 中「1940年と1941年、ヒトラーおっちゃんを交えた会議でこの計画……”アメリカ爆撃機計画”がスタートしたわけだ。この計画における目標は大きく分けて2つだ。

 一つ目はアメリカ本土の航空産業に対する壊滅的打撃。この目標には軍事目標として重要と判断された21の目標(内二つはカナダ)が選定された……が、量が多いからそっちは一番下に書いておく。

 二つ目は、この本土爆撃によるアメリカ軍の航空戦力の拡散、そして英国本土に対する支援力を低下させることにより少ない戦力で英国に打撃を与える事だ。

 この計画に際し、ドイツ空軍は当時のドイツ国内主要航空メーカーメッサーシュミット(Me(Bf))ユンカース(Ju)ハインケル(He)フォッケウルフ(Fw)ホルテン(Ho)兄弟*7に機体の設計を要請した(おまけとしてアラド(Ar)も)。

 爆弾1000kg搭載の状態での行動半径が2900km、同じく2000kg搭載で1600kmを超えること、また最大速度は540km/hを超えることが、1936年の時点での要求だった。

 結果新たに機体を製作する新造機(改造・改良含む)案と、もう2つ。特殊案が立案されるわけだ」

 

 リ「明らかにえげつない兄弟が混じってるところからだいたい想像できますが……新造機案からお願いします」

 

 中「まぁ感のいい人間なら察せるだろうな。とりあえず各メーカーが提出した機体設計案の数々をメーカー順に説明しよう」

 

 リ(一体どのメーカーを選ぶんだか……)

 

 中「まずはみんな大好きメッサーシュミット……ではなく、ホルテン兄弟の提出した案からだ。機体の設計がだいたい同じことからアラド社の機体も紹介しておく」

 

 リ「……っ!?いや待って下さい幾ら何でも凡人に理解できないような全翼機ばかり設計したホルテン兄弟からですかッ!?アラドはともかくとして……」

 

 中「あぁ……そうだが。何かおかしいか?」

 

 リ「いやいや問題大有りですよ!?頭おかしいんですか!?」

 

 中「……そもそもお前の機体設計自体頭おかしいんだぞ?気にしたら負けだ」

 

 リ「あっ……はい」

 

 中「ホルテン兄弟が提出したのはH.XVIII(A・B・C型が存在)。こいつはユンカース社製のJumo(ユモ)004ターボジェットエンジン(出力8.8kN(2000ポンド))を6基搭載、最高速度820キロ・巡航速度750キロの無尾翼機(全翼機)と言うコンセプトだ。

 アラドが設計したのはE.555。こいつはドイツ航空省(RLM)主導の設計で、BMW社製のBMW 109-018ターボジェットエンジンを2基から6基搭載する計画だった。バリエーションがとてつもなく多い(11種類)が、もし完成したとしても機体の価格が高価、更に設計そのものが野心すぎるとして1944年に設計が中止されてしまった」

 

 リ「……人類に全翼機は早すぎた……」

 

 中「そうだよ(便乗)」

 

 ゴ『も、もうお腹一杯です……』

 

 中「まぁまぁ安心してくれ。あと紹介する半分くらいの機体(・・・・・・・・)はまともだからな!」

 

 ゴ『えっ……』

 

 中「まずはメッサーシュミット。ここが提出した案はMe264だ。見た目はB-29に酷似……と言うか、主翼配置が高翼配置で尾翼がH字尾翼・あとは銃座に使う火器と操作方式以外はほとんどB-29だ。コンセプト自体も似てるしな」

 

 リ「……そういえばB-29のコックピット配置の特許申請したのはドイツって聞いたんですが……」

 

 中「あー……そういえばそんな話があったな。まぁ戦争だし特許なんて関係ない(ひで。

 んで続きだが、この機体はBMW 801G(出力1,290kW)を4基(B型では6基)、最高速度560キロ・巡航速度350キロで飛行、アゾレス諸島を通過飛行場として利用した場合、5~6.5トンの爆弾搭載量を持ってアメリカ本土を爆撃できたとされている。

 とはいえ、メッサーシュミットが戦闘機生産に注力する必要性から一度破棄されてしまった」

 

 リ「その頃メッサーシュミットはFw190に並ぶ主力戦闘機Bf109の生産で手一杯でしたからね」

 

 中「その通りだ。だがドイツ海軍が哨戒機として利用していたFw200コンドルの後継とした外洋偵察哨戒機を要求したとき、Me264が着目された。結果、Me 264Aは超長距離偵察機のための開発原型として原型2機の製作が発注された。

 とはいえ、海軍は既存のJu290を改良したJu390に注目してしまい、さらに追い討ちをかけるようにMe262ジェット戦闘機に生産ラインをシフトさせる為開発を中止。結果開発は打ち切られてしまったわけだ」

 

 リ「あら……」

 

 中「次にフォッケウルフ社の提出した案。これは大きく分けて二つだ。

 一つはFw300。こいつはさっき言ったFw200の代替用として設計された超長距離民間旅客機・輸送機・哨戒機だ。1941年から42年にかけて設計された機体で、使用エンジンはユンカース ユモ 222  (出力1865 kW)か、ダイムラー・ベンツ DB 603 (出力1343 kW)を4基搭載する予定だった。軍用モデルではリモート式銃座を与圧式キャビン内の乗組員8名が操作、対艦攻撃時には対艦誘導ミサイル(おそらくHs293)を搭載する予定だった。

 だが残念なことに、戦争が進むにつれ長距離飛行の重要性が低下、そのままおじゃんとなってしまった。

 次にTa 400。Fw190の改良型(と言うかほぼ別機体)、Ta152を設計したことで有名なクルト・タンク氏による設計の爆撃機だ。

 現代のEUにおける複数の国で航空機部品の分担制作を行うと言う工程を世界で初めて行った機体とされている。エンジンは6基のダイムラー・ベンツDB 603(出力1343 kW)もしくはユンカース ユモ 222 (出力1865 kW)。もはやスタンダートだが、さらにそこに2基のJumo《ユモ》004ターボジェットエンジン(出力8.8kN(2000ポンド))が後に追加された。

 何と言っても目を引くのが爆弾搭載量だ。本機は最大で24t……He111が2tちょっと、B-29の約10tでも2機と半分が必要なほどの搭載量があった。

 これに巨大兵器ヒトラーおじちゃんの手回しがあったのかどうかはわからないが、当時としては規格外の搭載量を誇っていたことは言うまでもないな。

 航続距離は13000キロ。アメリカを爆撃する分には十分過ぎる程の航続距離だった。

 ……が、ここで、”複数の国で分担制作する”と言う行動から漏れてしまった製造上の弱点がこの機体の寿命を吹っ飛ばしてしまった」

 

 リ「弱点……?一見無敵機体に見えるんですが……」

 

 中「それは……部品点数の増大だ。この機体はドイツ航空省(RLM)から見ればMe264の保険的存在だったわけだが、製造工程が多く、材料も大量に使用することから、これ以上の製造は無駄と判断。そのまま、製造途中の試作機とともに歴史の闇に飲まれてしまった」

 

 リ「R.I.P Ta 400……」

 

 中「さて……残りはJu390とHe277だが、He277は特徴的な機体ではないことから大雑把な説明で済まさせてもらう。本当に申し訳ない。

 He277は至極単純。前回紹介した4発重爆撃機He177を4発重爆撃機に改良しただけだ」

 

 リ「いや……言ってる言葉の意味がわからないんですが……」

 

 中「あれ……言っていなかったか?He177のエンジンは2つのエンジンを合体させた、所謂双子エンジンを搭載している。まぁ、信頼性が最悪だったんだがな」

 

 リ「あ、ふーん……」 

 

 中「んでJu390。こいつはさっきも登場したが、この機体は既存の機体、Ju290を改良した機体だ。

 エンジンは6基のBMW 801 D (出力1,272 kW)を搭載し、2機の機体のみが完成している。V2型はJu290を改造していたことから、V1よりも若干機体の前兆が長かったらしい。

 ニューヨーク沖20キロまで飛行しただとか何だとか言われているが、審議は私にもわからん。

 こいつの爆撃機型にはB-36よろしくXF-85と同じコンセプトのMe328……寄生戦闘機《パラサイトファイター》を搭載する予定だったらしい」

 

 リ「……はぁ……これで終了ですか……」

 

 中「だが残念……まだ他にも2つ、異なる案が存在する」

 

 リ「え、えぇ……」

 

 中「1つは肩車計画」

 

 リ「……は?今、なんと?」

 

 中「だから、”肩車計画”」

 

 リ「……まさかとは思うんですが、ミステル*6の上位互換じゃないですよね……?」

 

 中「いや、ミステルの上位互換だ」

 

 リ「……ファッ!?」

 

 ゴ『う、うーん……?』

 

 中「ゴーグルは知らないだろうが、前回He177を紹介したよな?」

 

 リ「はい。確か誘導爆弾搭載機としてちょっと出てましたね」

 

 中「そいつにローリン-ラムジェットエンジンを追加して、胴体下にDo217を合体。He177の航続距離限界まで飛行した後はDo217を切り離しアメリカを爆撃する予定だった」

 

 ゴ『あ、頭狂ってる……』

 

 中「何を今更。世界はいつも狂ってるぞ?」

 

 リ「ま、まぁ肩車するのはわかりました……ですが、その後はどうするんですか?まさかKAMIKAZEアタックでもするつもりだったんですか?」

 

 中「そんなわけないだろ。任務遂行後は洋上に待機するUボートが乗員らを回収する予定だったのさ」

 

 リ「えぇ……」

 

 中「最も、この計画は後期特有の燃料不足と、連合軍の攻撃で使用予定だったボルドーの基地からイストルの基地に移り航続距離が長大、さらに海軍が協力しなかったこともあって中止になったがな」

 

 リ「よかった……。平穏は守られたんですね」

 

 中「え?誰がそんなこと言った?」

 

 リ「いやだって、これ以上規模が飛躍しすぎた計画なんてあるわけないじゃないですか」

 

 中「だが残念、存在するんだなこれが」

 

 リ「……もういいです。覚悟は決めました。それで内容はなんなんですか?」

 

 中「”対蹠地爆撃機(たいせきちばくげきき)”。シルバーフォーゲル……馴染み深い名前で言えば……設計者の名前を取った『ゼンガー』だ」

 

 リ「……うん?対蹠地爆撃機(たいせきちばくげきき)?種類はなんなんですか?」

 

 中「宇宙爆撃機」

 

 リ「……!?」

 

 ゴ『……とんでもない兵器じゃないですか!』

 

 リ「い、一応確認しておきますけど……性能は?」

 

 中「全長3キロに渡るロケットスレッドの上で加速し、マッハ1.5で離陸。推力100tとか言うお化け推力で高度約160キロ(熱圏)まで上昇した後は時速5000キロで成層圏と熱圏の間を水切りの要領で小ジャンプしながら飛行、目標地点に汚い爆弾等々を投下した後は、南太平洋の日本軍占領地に不時着する予定だった。理論上はアメリカだけじゃなく地球の裏側まで行けると想定されたらしい。……しかもこれ、有人だ」

 

 ゴ『それって……ほとんど有人弾道ミサイルじゃないですか』

 

 リ「……実現はしなかったんですよね?」

 

 中「まぁ……そりゃぁな……当時の技術でこれが実現してたら今の宇宙開発技術はとんでもないことになってるだろうな。何せ、時速5000キロなんて速度で飛行したらそれだけで中の人間はミンチになるだろ(適当」

 

 リ「つくづくドイツは頭おかしいと思います……」

 

 中「俺もそう思う」

 

 —

 ——

 —

 

 中「と、言うわけで今回は強引に終わらせた。まぁ内容が多かったからね、仕方ないね。

 多分今後も超不定期だと思うが、どうか気長に待って頂きたい。

 あ、それと今回紹介はしていなかったが、もう一つアメリカ”攻撃”の手段として、悪名高きV2ロケットを大型化・改良したA9/A10ロケット、通称アメーリカ・ラケーテも存在する。そちらはどうか各自で調べてほしい。

 ……ちかれた」

 

 

 ______

 

 *カンディル

 アマゾンに住むヤベー奴。獲物の穴♂という穴♂に侵入して内部の肉を食い荒らし、捕食する。実際にこの生物が原因で、沈没した船から投げ出された乗客が捕食されると言う事件が発生している。こわいね。

 

 *2 キ-91

 陸軍が計画した四発重爆。爆装量は最大で8000kg。搭載量4tの場合の航続距離は9000キロ。

 説明は面倒くさいから省き#大本営による検閲の結果、削除されました#

 

 *3 G8N連山

 海軍が計画・試作した四発重爆。爆装量最大で4000kg。機体の製造にアルミを製造することが理由(当時アルミが国内で不足していた為。やっぱ連合軍最低だわ)で開発が中止されてしまった……はず(うろ覚え。

 

 *4 K作戦

 簡単に言っちゃえば、第二次ハワイ空襲。

 真珠湾攻撃後に潜水艦くんが偵察したら灯火管制もせず港湾施設の復興してたらしいから攻撃しよう、ってことで実行された。

 この作戦で二式大艇が2機動員、航空用燃料を搭載できるように改造した潜水艦を経由して遠回りで爆撃を敢行した。なお被害は高高度でさらにたった二機の攻撃なので……。なおうろ覚え。

 

 *5 アメリカに砲撃・空襲

 多分これは有名。だから省きます(無責任)。

 

 *6ミステル

 双子機。上に母機となる戦闘機(Fw190、Me262シュヴァルベなど)を搭載し、下に損傷した大型の爆撃機(Ju88等)等を改造した半ば誘導兵器を搭載する変態兵器。機動性がひどすぎて使い物にならなかった。

 

 *7ホルテン兄弟

 知る人ぞ知る全翼機を信じる神々の化身。

 地味にジェットエンジン搭載全翼機(ステルス性能付与のおまけ付き)を世界で初めて飛行させた人たち(因みに世界初の実用ジェット機の初飛行はイタリアのカプロニ・カンピニ……ではなくドイツのHe280。こいつはハインケルの社長か誰かがナチス嫌いで正式採用されなかった)。

 

 *8富嶽

 クソデカ日本重爆。説め#大本営による検閲の結果、削除されました#

 

 ドイツ空軍により見事爆撃目標に選定された哀れな工場所在地一覧

 

 アルコア (Aluminum Corp. of America) テネシー州 アルコア

 アルコア (Aluminum Corp. of America) ニューヨーク州 マセナ

 アルコア (Aluminum Corp. of America) ノースカロライナ州 バジン

 ライト・エアロノーティカル ニュージャージー州 パターソン

 プラット・アンド・ホイットニー (Pratt & Whitney Aircraft) コネチカット州 イーストハートフォード

 ゼネラル・モーターズ.アリソン部門 (Allison Division of G.M.) インディアナ州 インディアナポリス

 ライト・エアロノーティカル オハイオ州 シンシナティ

 ハミルトン・スタンダード (Hamilton Standard Corp.) コネチカット州 イーストハートフォード

 ハミルトン・スタンダード (Hamilton Standard Corp.) コネチカット州 パーカタック

 カーチス・ライト (Curtiss Wright Corp.) ペンシルベニア州 ビーバー

 カーチス・ライト (Curtiss Wright Corp.) ニュージャージー州 コールドウェル

 スペリー・ジャイロスコープ (Sperry Gyroscope) ニューヨーク州 ブルックリン

 氷晶石精製所 (Cryolite Refinery) ペンシルベニア州 ピッツバーグ

 アメリカン・カー・アンド・ファウンドリー ペンシルベニア州 ベリック

 コルト (Colt Manufacturing) *コネチカット州 ハートフォード

 クライスラー (Chrysler Corp.) ミシガン州 デトロイト

 アリスシャルマーズ インディアナ州 ラポルト

 コーニング (Corning Glass Works) ニューヨーク州 コーニング

 ボシュロム (Bausch & Lomb) ニューヨーク州 ロチェスター

                          (wikipediaより抜粋)

 

 参照・引用

 https://ja.wikipedia.org/wiki/ゼンガー_(航空機)

 https://en.wikipedia.org/wiki/Horten_H.XVIII

 https://ja.wikipedia.org/wiki/Me_264_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/アラド_E.555

 https://ja.wikipedia.org/wiki/アメリカ爆撃機計画

 https://ja.wikipedia.org/wiki/ホルテン兄弟

 https://ja.wikipedia.org/wiki/アゾレス諸島

 https://ja.wikipedia.org/wiki/Me_261_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/キ77_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/Fw_300_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/B-29_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/Ta_400_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/Ju_290_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/キ91_(航空機)

 https://ja.wikipedia.org/wiki/連山_(航空機)



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ファイルNo6.米軍は強襲揚陸艦を作った。一方、大祖国ソヴィエトは原子力強襲揚陸潜水艦を計画した

 中の人「どうも、我が親愛なる同志諸君。御機嫌よう。中の人だ」

 

 リューゲル「リューゲルです。guten Morgen」

 

 中「本日はめでたいことに(?)第6回。今回紹介する兵k」

 

 リ「いやいやちょっと待ってください!!」

 

 中「ん?何か気に触ることでも?」

 

 リ「いやいや……ょぅじょは!!あのょぅじょはどこですか!!!!」

 

 中「……?何を言っているんだ??幼女なんて……いなかったぞ?」

 

 リ「あっ……存在が抹しょ」

 

 中「おっとそれ以上はやめたまえ。今回の舞台は……ソ連だぞ?」

 

 リ「アッアッア……」

 

 中「まぁ……そういうことだ。とりあえず続きといこう」

 

 リ「は……はい」

 

 中「リューゲル君は”強襲揚陸艦”を知っているかね?」

 

 リ「あぁ、後ろのウェルドックからLCACを大量に吐き出したり甲板からF-35とかMV-22を大量に出撃させて一国家丸ごと潰せる軍艦のことですよね。私知っていますよ」

 

 中「あぁ、そうだ……いや待ていろいろ誇大膨張があるな。正確には上陸を支援する艦……もっと言えば、アメリカ海軍が1960年代に当時上陸を支援する官邸として使用していた揚陸指揮艦、ドック型揚陸艦、ヘリコプター揚陸艦の3隻を統合して開発した艦だ」

 

 リ「はぇー……でも、どうしてそんなことを急に?」

 

 中「うむ……さっき、私はアメリカ海軍は強襲揚陸艦を作った、と言ったな?」

 

 リ「はい」

 

 中「一方、我が大祖国ソヴィエト社会主義連邦は揚陸原子力潜水艦……『プロイェクト748』及び『プロイェクト717』を計画した」

 

 リ「…………は??????????」

 

 中「まぁ所詮は資本主義者……この兵器の素晴らしさを理解できないだろうな。安心しろ。スペックを紹介してやる」

 

 

 艦名:プロイェークト748

 建造国ソ連

 動力:原子力(型式・搭載数不明)推進機はスクリュー2基

 排水量:11000㎥

 最大潜行可能時間:80日

 最高航行速:水上 不明

       水中 17knt

 最高潜水深度:300m

 規模:長さ 160メートル

   幅 21メートル

    高さ 不明

 兵装:57ミリオートマチックキャノン 2基

    Strela2(9K32、携行赤外線誘導ミサイル) 搭載数不明

   533 mm魚雷発射管 4門(総数14本。もしくは機雷を28発)

 搭載可能兵器:1個海兵隊大隊

        PT-76 3両

        BTR-60 2両

        6個中隊迫撃砲(弾薬込み)    これらはあくまでも通常兵装。

 

 

 艦名:プロイェークト717

 建造国:ソ連

 動力:原子力(おそらく3基。型式不明)推進機はスクリュー2基

 排水量:17600㎥

 最大潜行可能時間:75日

 最高航行速:水上 不明

       水中 18knt

 最高潜水深度:300m

 規模:長さ 190m

   幅 23メートル

    高さ 平均6.8メートル

 兵装:533ミリ魚雷発射管 6門(各発射管3発、計18発搭載。型式不明)

    A-213M(AK-630) 30ミリ対空砲 2基

   機雷 252発

    水中音響機器(所謂ソナー) SJC『ルビコン』艦首1基

 搭載可能兵器:機雷 400発(上記機雷のスペア用)

        兵員 256名(もしくは海兵隊800名)

        装甲車、もしくは主力戦車 20台

       

 

 リ「は、はぁ……はぁ!?潜水艦……?潜水艦って……なんです?」

 

 中「世の中には潜水艦に20.3cm砲を搭載した変態潜水艦だっているが……まぁ、世界広しといえどこんなバケモノは生まれないだろうな。我が祖国ソヴィエト以外では」

 

 リ「いやいや世界広しといえどこんなゲテモノ作ろうと思う国なんていませんよ!!」

 

 中「ふむ……君には我が祖国ソヴィエトの素晴らしさを”教育”するべきか……」

 

 リ「ふぇ……?」

 

 中「何せ我が祖国ソヴィエトはこの艦を実際に建造”しようとした”のだからな」

 

 リ「え、え、え……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」

 

 —

 ——

 

 そこから、彼女へのソヴィエト式”教育”が始まった。雨にも負けず、風にも負けず。放射線、熱線も負けずの教育を受けた彼女は、次第にソヴィエトに……いや、共産主義へと、傾注するよう思想が歪められたのだった。

 

 ——

 —

 

 中「……以上でソヴィエト式”教育”を終了とする。長い間……よく耐えたな」

 

 デェェェェェェェェェェェェェェェェン!!!!!

 

 TKB-022P(同志テカ)「はい。長き”教育”……本当に、感謝します。同志万歳!!」

 

 中「うむ。同志万歳!!!

 では同志。彼ら同志にもプロジェクト748及び717の素晴らしさを布教するのだ」

 

 同テ「はい、同志。まずプロイェークト748から布教させていただきます」

 

 中「よろしい」

 

 同テ「1964年から65年にかけ、大祖国ソヴィエトは『Проект 664』を発表しました。このプロジェクトは遺憾ながらも中止になってしまいました——が、以前海軍は世界中へ秘密裏に上陸させることが可能な艦……つまり、原子力強襲揚陸潜水艦が求められました。1965年8月にはTSKB-16は『Проект 748』として、設計士にNA キセレフ氏を任命し設計を開始しました。このプロジェクトにおいて求められたものは『上陸に不都合な海岸への水陸両用車を使用した揚陸、また揚陸失敗時の負傷兵及び揚陸部隊の収容が可能であること。また、他海岸への移動が可能であること』が求められました。またこれは同時に、遠隔地特有の問題である補給——つまり、燃料弾薬等をどうするか。その解決も必要でした。

 設計の開始後、造船省はいくつかの本艦のデザインを提案することを要請し、結果的に6つある呼び設計のうちの4番目のもの(機関が原子力)が採用。このデザインは3つの円形胴体を水平に装着したような見た目で、外縁部の2つの胴体には上陸車両の配置スペースを、中心には原子炉や居住スペースなどの重要区画を設ける設計でした。船首には海岸でのビーチング(砂浜への上陸)を可能にするため2つのランプが設けられ、迅速な上陸を可能にしました。

 また、上陸後の予備浮力(艦を部隊解放後後退するため。)として、船体の50%以上の浮力を確保できるものが装備されました。

 肝心の上陸部隊は、設計上では1200名が弾薬を携行した状態で揚陸可能であること、もしくは20ユニットの装輪または履帯式の車両が揚陸可能であることが可能とされています。

 ですが、残念なことに本案は設計が承認されず、企画倒れとなってしまいました。が、この設計は後に『Проект 717』へと生かされることとなります」

 

 中「うむ……素晴らしい」

 

 同テ「では、次に『Проект 717』の布教を」

 

 中「うむ」

 

 同テ「『Проект 717』。本艦の計画は今から50年以上遡ります。

 ソヴィエトの設計局の一つ(?)TSKB「volna」は1967年8月、『大型輸送・上陸潜水艦(機雷敷設艦)』として、設計プロジェクトを開始。軍事機器、武器、弾薬、燃料、食料、およびその他の物品を遠隔地へと輸送・及び敵地への機雷敷設を目的として設計されました。これは以前開発が中断された『Проект 664』、『Проект 748』の設計基盤を元に、原子力輸送潜水艦に関する開発ノウハウを10年以上積んだ、以前『Проект 748』の設計にも携わったNA キセレフ氏へと委ねられました。

 問題となったのは船首部分で、ここにはソナーや魚雷発射管、特殊な展開方法を用いる上陸ランプ、その他多数のデバイスを搭載する必要があったそうです。

 ですが、特にそれ以外の問題はなく設計は1971年に完了。この設計には途中で設計要求された”特別な救助用発射体を使用して沈没した潜水艦の乗組員を救助する能力”も付与された設計となっており、事実救助艇としてGLW-3が搭載されていました。

 またその構造故に、革新的な流体力学を採用していたようです。これには技術者の幾度にもわたる3Dモデルの作成が大きく貢献しています。

 結果的に船体内部の構造は、サイドコンパートメントに2つの車両などの上陸用区画が、中央部に原子炉とや居住区といった重要区画が配置されました。

 この設計は1972年3月、正式に承認され、後に一挙に5隻を建造することが決定しました」

 

 中「……素晴らしい。素晴らしいぞ!!!!!」

 

 同テ「お褒めに預り光栄です!!同志!!」

 

 中「これなら……我が大祖国ソヴィエトを信仰する者が増やせるかもしれん!」

 

 同テ「そ、そうですね!!では早速布教に……!」

 

 中「そうだな!行くぞ、同志!」

 

 同テ「はい!!」

 

——

 

 さて。ここでSSは終わり。でも……おかしいと思いませんか?プロイェクト717……もしこれが実現していたなら、誰もが知る珍兵器として名を馳せているはず……。

 察しの早い方ならわかるでしょう。そうです。本艦は結局、建造寸前というところで建造が中止になったのです。それも、全て。

 理由は単純で、本艦のような大型艦を建造できた造船所はNSRのみ。同時期には米国がSSBN(戦略ミサイル原子力潜水艦)の建造を開始。これに対応するため、ソヴィエトは大型のSSBNを建造しなくてはならない事態に陥りました。そのため、この艦は不幸なことにあと一歩のところで建造が中止されたのです。逆に言えば、米軍がSSBNの建造が遅れる・もしくはその構想自体が存在していなければ、もしかするとこの艦は建造されていたかもしれない、ということなんです。ロマン溢れますねぇ!

 

 

______

参考サイト

http://www.deepstorm.ru/DeepStorm.files/45-92/nns/717/list.htm

https://www.globalsecurity.org/military/world/russia/717.htm

http://su-37jk.sakura.ne.jp/girl_zatudan/koya/701-800/girl_k717.html

今回は何せ日本語サイトが3つくらいしか見つからないから大変だった。ロシア語で検索したらもっと出るらしいけど、そんな気力は……。そもそもペーパープランだから資料が少ない……。



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ファイルNo7.エンジン排気熱なんて……大っ嫌いだ!!

 

 

 同志テカ「やはり、資本主義者には我が大祖国ソヴィエトの素晴らしい兵器が理解できないようです、同志」

 

 中の人「そのようだな……」

 

 デェェェェェェェェェェェン!!

 

 Y・S「Доброе утро(おはよう)、同志。布教は順調かね?」

 

 中「ッ!!ど、我が同志ッ!?何故ここに!?」

 

 同テ「ど、同志ッ!!」

 

 Y「おやおや、一人こちら側(・・・・)に引き込むことができたのかね?」

 

 中「は、はい。ですが……」

 

 Y「噂は聞いているとも。我が大祖国ソヴィエトの布教が順調ではない……だろう?」

 

 中「その通りです……」

 

 Y「今回私直々に赴いた理由はそれだ」

 

 中「(ま……マズい……殺されるッ!!」

 

 Y「……このファイルを受け取りたまえ」クソデカファイルスッ

 

 中「は、はい……。っと……お、重いですね……。こ、これは、一体?」

 

 Y「我が国がかつて開発した傑作(試作)兵器を記載したファイルだ。存分に使ってくれたまえ」

 

 中「——ッ!!あ、ありがたき幸せッ!!」

 

 Y「だが……」中ノ人ノ耳元ニ近寄ル

 

 Y「これ以上の失敗は…………許さないぞ?死にたいなら話は別だが……」

 

 中「は、はいぃぃぃぃっ!!私、誠心誠意取り組ませていただきますッ!!!」

 

 Y「……うむ。それでは頑張りたまえ」

 

 デェェェェェェェェェェェン!!

 

 中「き、消えた……」

 

 同テ「まるで嵐のようなお方ですね……」

 

 中「あ、あぁ。逆らったら殺されるだろうな……間違いなく」

 

 同テ「はい……。ところで、そのファイルは一体?」

 

 中「我が大祖国が作り上げた数々の傑作兵器が記載されたファイル……らしい……。まぁまずは見てみよう」

 

 同テ「ですね」

 

——

 

 中「……やはり、我が国こそが世界の頂点に立つべきだな」

 

 同テ「はい!やはり共産主義は……我らが大祖国ソヴィエトは素晴らしいですッ!!」

 

 中「うむ……!大祖国万歳ッ!!」

 

 同テ「万歳ッ!!」

 

 中「さて、それでは再び我が国の素晴らしさを布教しようではないか!今回布教するのは……An-71だ!!

 同志テカ、よろしく頼むぞ!!」

 

 同テ「はいッ!!

 まずはスペックからです!」

 

 

 機名:アントノフ71(露:Ан-71、英:Antonov An-71)

    NATOコードネーム: Madcap

 製造国:ソ連

 動力:ZMKB イーフチェンコ=プロフレース D-436K 2基(主エンジン)

    RD-38A  1基(補助エンジン。胴体後下部に配置)

 規模:全長 23.50m

   全幅 31.89m

   高さ 9.20m

 速度:最大速度 650km/h

   巡航速度 530km/h

 乗員:6名(内3名はレーダー士)

搭載レーダー:Vega-M

空中待機可能時間:高度8000メートルにおいて巡航速度500-530km/hで飛行した場合4-5時間(1時間で予備燃料を消費)

 

 

 同テ「スペックは以上です!」

 

 中「うむ!……だが、何度見てもこのレーダー配置は……素晴らしいな」

 

 同テ「はい、やはりこのレーダー配置は素晴らしいですよね。垂直尾翼上部にレドームを配置(・・・・・・・・・・・・・・)するなんて発想、資本主義者じゃ思いつきもしないでしょう」

 

 中「あぁ。さて、それでは詳しい詳細を同志にも伝えてくれたまえ」

 

 同テ「承知しました、同志。

 本機、”Ан-71”の開発が始まった原因。それは、当時防空軍(PVO)*のみが運用していた早期警戒管制機(AWACS)のTu-126が、性能の不足や配備数の不足、機体の老朽化や旧式化などが影響したものでした。また、レバノン紛争似て行われた作戦の一つ、「ガラリアの平和作戦」において、偉大なるソヴィエト製戦闘機を装備するシリア軍が、イスラエル軍によりたった3日でヘリも含めれば80機以上(一方、イスラエルの損害はF-4が1機)撃破されました。この圧倒的戦果には、イスラエル空軍が導入したE-2Cによるレーダー能力と支援能力が戦闘機部隊の実質的戦闘能力を拡大したと分析していました。

 斯くして様々な要因などがありながらもソビエト空軍*でも使用する新型AWACS機として開発が開始。本計画ではブルジョア合衆国(USA)の運用方法であるE-3セントリーのような大型機とE-2Cのような比較的小型機との二系統装備を目標に開始。E-3の立場としてA-50が、E-2Cの立場としてAn-71が運用されることを目的とされます。これらの機体により、戦闘効率が従来の2.5~3倍引き上げられることを軍部は期待していました。

 さて、小型機という立場で開発されることとなったAn-71は、1970年代半ばに軽量戦術輸送機であるAn-26*2の後継として開発され、東側陣営へと輸出されたAn-72*3をベースに開発することが決定します。まずレドームを配置するため、主翼を左右に計6メートル延長。胴体も再設計されました。また、本機はコアンダ効果*4を発揮するために配置された高翼配置のエンジンによる排気熱を避けるため、わざわざ前進角をつけた全高9メートルにも及ぶ垂直尾翼上部にレドームを配置。故に、本機はどの国家でも類を見ない特徴的な機体へと変貌しました。

 では肝心のレーダー性能といきましょう。この機体が搭載するレーダーは前述の通り『Vega-M』。このレーダーは10秒で一回転するもので、探知距離350-370キロ、探知高度は0-30km、400目標を探知し、120目標を追尾することが可能です。このレーダーを運用するにあたって機内には2つあった発電機をさらに増設し、4つの発電機を機内に搭載しました。

 これら仕様のAn-71は各3機、その全てがAn-72の試作・量産機から改造されたものとして製造。内2号機は静的試験機(地上試験用)として、飛行できない状態でした。1号機は合計387回650時間、3号機は362回380時間の計649回1030時間の飛行を行い、様々な問題(短くなった全長、重量物であり揚力のバランスを崩す垂直尾翼上のレドーム、原型機では排気の影響を避けるために垂直尾翼上端に置かれたがレドームのために胴体後部に移設され振動問題を起こした水平尾翼など)があったものの、1988年4月には迎え角試験をパスし必要な飛行安定性を確保するに至ります。

 が、当時の大祖国ソヴィエトの経済はそれを許すことはなかったのです。資金不足で後続の機体の開発は不可能となり、この開発は凍結。以降、この機体は人知れず、ひっそりと永い眠りにつきました」

 

 中「……一言言おう」

 

 同テ「はい、同志」

 

 中「民主主義なんてクソ喰らえッ!!!!」

 

 

______

 今回はこれで終わりです。が、今回も例のごとく余談がありまして。

 本機体”An-71”。実は、海軍での運用も計画されていたんですね。それも、この機体を製作する前段階、研究段階で、です。この計画では仮の名称としてAn-75、もしくはAn-71Kなる名称が与えられました。この機体にはAn-71とは違い新規設計のレーダー『Kvant-M』を搭載予定で、この機体1番の特徴的な部位であるレドームの配置を改める(胴体背面へ移設、あるいは胴体下面にゴンドラ式等)予定でしたが、それでも本機は全重30t、全長30mと明らかに艦載機にするレベルのものではなかったので、結局中止されました。その後釜として採用されたのが、あろうことか航空機ではなくヘリであるKa-27ヘリックスのAEW型(のちのKa-31)です。

______

参考サイト

https://ja.wikipedia.org/wiki/An-71_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/An-72_(航空機)

https://www.globalsecurity.org/military/world/russia/an-71.htm

https://ja.wikipedia.org/wiki/An-26_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/コアンダ効果

 

* 防空軍(PVO)

 防空軍は独立した組織。空軍所属ではない。中の人も初めて知った。

 

*2 An-26

 ソ連・ウクライナ共和国のキエフ機械製作工場(KMZ;現ウクライナのANTK アントーノウ)で開発された小型双発多目的輸送機。NATOコードネームは「カール」。(Wikiより抜粋。

 

*3 An-72

 双発短距離離着陸ジェット輸送機である。NATOコードネームは「コーラー」(Coaler:石炭商)。正面から見るとエンジンが大きな耳のように見えることから、「チェブラーシカ」(ロシアの絵本・アニメのキャラクター)の愛称で呼ばれる。(Wikiより抜粋。

 

*4 コアンダ効果

 わたしにもわからん。

 

 



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ファイルNo.8.兵士を救助したい←わかる 特殊部隊を送りたい←わかる 輸送用の箱で運ぼう←???(短編)

気になってる人もいそうなので先に言っておくと、ここでコアな珍兵器とかばっかり紹介するのは……面白いから!

 今回は投稿から2時間くらいで仕上げました。内容も薄かったので。番外編なので、赤化したあの人たちは登場しません。

______

 

 リューゲル「ふぅ……。やはりソーセージは最高ですね」

 

 中の人「…………」

 

 リ「……?いつもだったら反応があるのに……」

 

 中「——!!これだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

 

 リ「ひぇっ!?ど、どうしたんですかっ!」

 

 中「リューゲルゥッ!!こいつを見ろッ!!」Pad顔面グイグイ

 

 リ「あ、あびゃ……。……こ、これ……なんです?白い……箱?

 というか、どうしてこんなものを急に……?」

 

 中「さっきコメントを見ていたら、随分と英国紳士が多かったようでな……日々いろんなサイトをストックしていたわけだが、そのストックしていたサイトの一つにこれがあったというわけだ」

 

 リ「は、はぁ……でも、この写真見た限りだとアパッチのパイロンに細長い箱がついただけのものに見えるんですけど……何がおかしいんです?」

 

 中「それはな……こっちを見ればわかる」Padスッ

 

 リ「……えっ。えっえっえ。なんですこれ……。箱の中に……人?」

 

 中「うむ。このブツの名前は”Exint Pod”と言ってな。F-35だかハリアーだかAH-64だかのパイロンに装備し、負傷兵の運搬や特殊部隊の輸送を行える拡張キット的な何かだ。カラーが気に入らないご夫婦のために、カラーバリエーションもまぁまぁな量用意されている」

 

 リ「紹介する側が自信ないってどうなんですか……。ま、まぁそれはいいとして、ですよ。

 これの開発経歴はどうなってるんですか?」

 

 中「いいことを聞いてくれたな!

 この”Exint Pod”は、ロンドンのアクトンに本拠を置く航空機コンサルタント会社AVPRO U.K. Ltdが1990年代に考案した、特殊部隊を輸送可能なキットだそうだ。90年代後半には英国国防評価研究機関の試験で、プロトタイプポッドがBoscombe Down研究施設のシーハリアーに搭載されたらしい。結果は悲惨なもので、胴体に近づけたら騒音がひどいわ、胴体から離したらGで色々やばいわで、結局存在が忘れられたらしい!」

 

 リ「いやいやそれダメなやつじゃないですか!」

 

 中「まぁそうなんだがな……。が、まぁこれは歴史を繰り返してしまった、と言える例ともいえるだろうな。」

 

 リ「は、はぁ……。それはまた何故?」

 

 中「二次大戦中にも、イギリスはスピットファイアで同じことを試したらしいからな」

 

 リ「えぇ……」

 

 中「ついでに言うと、ドイツも同じことをスツーカとかBf109で試してた。」

 

 リ「ファッ!?……ドイツ……しゅごい!」

 

______

参考サイト

http://blog.livedoor.jp/janome_gotyou/archives/cat_136375.html?p=2

https://en.wikipedia.org/wiki/Exint_pod



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ファイルNo.9.幾多もの妨害で潰えた、日ノ本の翼 1 (挿絵有)

 中の人はメキシコにて、ピッケルを用いて粛清されました!

 理由はもちろんお分かりですね!?

 共産主義の世界への布教、そして、それに伴う世界革命を画策したからです!!!

 そしてその反動で共産主義は滅びました(は?)。

 

 —

 ——

 

 共産主義者は滅びた。押し寄せる民主化の波に耐えきれず、瓦解してしまったのだ。

 時代は原始共s……資本主義者である(カンボジア政府発表)。

 

 ——

 —

 

 リューゲル「祝!」

 

 中の人「社会主義崩壊!!!」

 

 パチパチ

 

 中「わーわー」

 

 リュ「まさに平和な世界!!! 私の母国も無事東西統合されて、とっても嬉しいです!!!」

 

 中「ん……あ。そうだな」

 

 リュ「あれ、嬉しくないんですか?」

 

 中「あー……いや、何。社会主義が崩壊したんだから、どうせだしもう一度第二次世界大戦時代に目を向けようと思って……」

 

 リュ「えっ……せっかく平和が訪れたこのご時世、平和を謳歌したりは……」

 

 中「ありません。それにもう次解説する兵器の絵も描いちゃったし……ね?

 てかお前兵器なんだし、ラブ&ピースな世界になったら暇だろ」

 

 リュ「あっそれもそうですね、はい!!! ……って、絵ですか? あなた絵なんか描けたんですね」

 

 中「ま、趣味でな。最近もよくあの世界(ツイッタランド)で描いてるし。今回はその一環で描いた」

 

 リュ「うーん驚き……って、ハッ!!! まさか私も描いてくれたり……」

 

 中「あ、多分描く」

 

 リュ「やったぁ!!! ……って、本題からずれちゃってますね。とりあえずその絵、見せてくれませんか?」

 

 中「ん、これだ。我に刮目せよ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 リュ「おぉ……チープな感じがしていいですね。ところでトリープフリューゲルは飛んで無いんですか?」

 

 中「黙れ!!! これはみんな大好き日本の戦闘機とB-29しか描いてないんだ!!! あと三日もかけて描いた絵を侮辱した貴様にはスターゲイジーパイ(パイに刺さった空を崇めるアジ)を食わせるぞ!!!」

 

 リュ「えっ……さっき描いてくれるって約束してくれたんじゃ……。あ、それとスターゲイジーパイ(パイに刺さった空を崇めるアジ)はいりません」

 

 中「仮にそうだとしても短時間で描けるわけないだろ! あと勘違いもいい加減にしやがれ!!! やっぱりスターゲイジーパイ(パイに刺さった空を崇めるアジ)食いたいか!!!」

 

 リュ「うぅ……(燃料ポロリ)」

 

 中「あっ、燃料漏れてる。SR-71*に進化した?」

 

 リュ「(進化)してません!!!」

 

 中「あっそう……(しょんぼり)」

 

 リュ「と、というかですよ! この如何にもオランダの香りがする*緑色の戦闘機は何なんですか!?」

 

 中「名前左下に書いてるだろ! 『Ki-94-1』だ!!!」

 

 リュ「あっこれ名前ですか……」

 

 中「もちろん。今回はこの『Ki-94-1』の解説として、まずはその開発経緯を辿っていこう(感情がログアウトしました)。

 ……ま、開発経緯なんて絵を見ただけでわかるとは思うが。リューゲル、わかるか?」

 

 リュ「いやいやわからないですよ……。背景に飛んでるのは……確か彼の国の開発した、『空の要塞(フライングフォートレス)』ですよね?」

 

 中「ああ。一般的には『B-29』の名前で知られる、日本を文字どおり更地にしたファッ*ントンデモ超重爆だな」

 

 リュ「そして、手前にいる『Ki-94-1』……見た感じでは、『Do335*』同様エンジンを串型に配置している……ということは、その大馬力で上昇力おばけ、かつ速度おばけと考察します」

 

 中「ま、そんなところだ。君の母国にも……似た機体、いるよな?」

 

 リュ「高速かつ、上昇力おばけ……『Me262*』ですか!!!」

 

 中「そそ。世界初の実用ジェット戦闘機、こいつはレシプロだから……まあ色々と違うといえば違うが。そいつは主に何を喰っていたかと言えば、答えられるだろ?」

 

 リュ「『B-17*』に『Halifax*』、それらに共通するのは、爆撃機……あっ、まさか!」

 

 中「気づいたか。この『Ki-94-1』は、遥か高高度を悠々と飛んで意気揚々と脱糞(爆撃)する『B-29』の迎撃専用に開発が企図された、高高度防空戦闘機だ。

 そういえば、ドイツもその方面では大変だったらしいな?」

 

 リュ「いや、私たちは実質物量に殺されたようなものですから……その結果私たち(トンデモVTOL)が生まれましたし」

 

 中「うーん、窮地は頭をおかしくするってことか。やっぱドイツ最高だな」

 

 リュ「そりゃ当たり前じゃ無いですか!!! ドイツは科学力(だけ)なら世界一ですよ!!!」

 

 中「うん知ってる。ついでに高性能故に量産性うんちで物量負けしたこともな。それは日本も同じだが」

 

 リュ「類は友を呼ぶ……ってやつなんですかね」

 

 中「実質そう。っと、話が脱線したな。

 この『Ki-94-1』が高高度防空戦闘機として開発された理由についてまずは話すとしよう。

 この『Ki-94-1』の開発元は立川飛行機。超長距離飛行機の『Ki-77(A-26)*』や『九五式一型練習機(赤とんぼ)*』を開発したことで有名な航空機会社だ」

 

 リュ「あれ、著名な戦闘機などは開発していないんですか?」

 

 中「ああ。一応『Ki-43()*』の3型を生産していたようではあるが、それ以外で目立った戦闘機は開発していない。

 それでも1943年、軍部からの指令により、立川飛行機は長谷川龍雄技師を中心として自社での戦闘機開発を開始したんだが……」

 

 リュ「何か問題があったんですか?」

 

 中「いや、よくよく考えてみろ。周りには『Ki-61(飛燕)*』を作った川崎航空機に、あの『零式艦上戦闘機*』を作り上げた中島飛行機がいるんだぞ? そんな中『ぼくはじめて戦闘機作ります!』なんて言ったところで……」

 

 リュ「確かに、信頼と安全の大手を差し置いてわざわざ新参企業に依頼する軍部なんてそうそういませんね……」

 

 中「そゆこと。だから立川飛行機は『戦闘機は無理ンゴ……せや! 今作ってる『Ki-24』と、以前試作した『ロ式B型試作高高度研究機*』のデータ使って高高度戦闘機作ったろ!!!』的ノリで、陸軍軍部の指令に従いこいつを作った」

 

 リュ「えぇ……戦闘機の自主開発すっ飛ばしてそれしちゃったんですか……」

 

 中「しちゃった。まあ立川飛行機の技術陣的には『戦闘機作りたいなあ作りたいなあ!』なんてムードだったらしいし、当時並行して開発されていた『Ki-83*』と『Ki-87*』に搭載されていなかった与圧室の技術なんかを『Ki-77(A-26)』やその爆撃機型である『Ki-74*』に搭載していて、結果として与圧室に関する経験を持っていたわけだから、陸軍的には『与圧室積んだ戦闘機作らせてみっぺ』とか考えてたんだろ」

 

 リュ「それなら納得……にしても、与圧室が無いってそれもどうなんですか?」

 

 中「技術大国は黙れ!!!」

 

 リュ「あっ……は、はい」

 

 中「ま、何はともあれ設計が始まった『Ki-94-1』だが、その性能は以下の通りだ」

 

 型式:低翼・単葉・引込脚・串型双発

 乗員: 1 名

 全長: 13.05 m

 全幅: 15.00 m

 全備重量: 8800~9400 kg

 動力: ハ-211ル 空冷複列星型18気筒エンジン×2

 離昇出力: 2200HP×2

 最高速度: 780 km/h /高度10000 m

 実用上昇限度: 14000 m

 武装: 37mm機関砲×2 30mm機関砲×2 50kg爆弾×2 (JPwikiより抜粋)

 

 リュ「おお……まさしく『重爆絶対殺すマン』を彷彿とさせるスペック……」

 

 中「全備重量8.8t~9.4tって数値は単発機としては日本最大だ。まぁ、与圧式キャビンに排気タービン、自動操縦機器とかをこれでもかと言わんばかりに積んでエンジンを2基積んでることを考えれば、妥当な数値だな。

 あと双ブームに串型、前脚を持ってる。初めての高高度戦闘機でこれだけ色々突っ込むって、明らかに挑戦的すぎるとぼく思う」

 

 リュ「武装も十分な火力を誇りそうですね!

 ……でも、一ついいですか?」

 

 中「ん……あ、いいぞ?」

 

 リュ「最高速度……見間違いですかね? 明らかにおかしいと思うんですけど」

 

 中「どどどどど、どこがおかしいのかな???」

 

 リュ「いやいや、高度一万メートルで最高速度780km/hですよ? 

 スペック・エンジン配置のレイアウトでこの機体と肩を並べる、我がドイツの誇る超技術の粋を結集して作られた『Do335』ですら、高速を発揮しやすい液冷エンジンであるDB603エンジン(出力1750馬力)を2基搭載して、6400m地点で最高時速763km/h。偵察機型でようやく780km/hに届くというのに、いくら高出力エンジンを搭載しているとはいえども、前面面積が大きい他ただでさえ空気の薄い高度10000メートルにおいて最高速度780km/hなんて、排気タービン装備でも日本の低い工業力を加味すれb」

 

 中「おっとそれ以上はやめようか(『赤い悪魔』片手に)」

 

 リュ「いや流石にそれ使ったら貴方も無事じゃすみませんよね!?」

 

 中「おっそうだな……(『赤い悪魔』をしまいつつ)

 取り乱してしまったが……はっきり言おう。リューゲル、お前の言った事は確かに正しい。事実として、大日本帝国の開発した排気タービン搭載機はそのほとんど(Ki-83や、一点物として試作機に搭載されたもの)が(悪い意味で)ぶっ壊れ性能だった。

 その意味では、確かにこの『Ki-94-1』も、試作機はよくとも量産なんてした暁には……ま、とてつもないことになっていただろうな。不幸中の幸いか、はたまた残念というべきか、それは実現しなかったが」

 

 リュ「えっ? それはどういう……」

 

 中「この機体は設計を無事完了し、モックアップの製作“まで”は、行われた。だがまぁ……逆にいえば、そこまでだった(・・・・・・・)

 順を追って説明していくと、まず『エンジン配置』。これが曲者だった」

 

 リュ「串型配置の何が問題なんですか? 素晴らしい設計だと思いますが……」

 

 中「お前らは水冷式エンジンしか使ってないだろ!!! こちとら信頼性と工作精度その他云々の問題で空冷式エンジン使ってるおかげで、エンジン冷却の問題が残ってるんだよ!!! それに、不時着した場合パイロットが前後のエンジンにサンドウィッチされる可能性も指摘されたからな!!!

 そうじゃなくても脱出時にパイロットが後部エンジンにミンチにされる可能性に、機体の設計的に排気タービンの装備が難しいなんて考えられたわけだよ!!!」

 

 リュ「あっ……」

 

 中「ということで、軍部の人が『何これやばくね? 計画変更するわ』って言った」

 

 リュ「えっあっ、はい」

 

 中「結果新たに『Ki-94-2』の製作命令が出されたものの、中島が『Ki-87』の改造仕様(与圧室装備)を出してたから、後発の『Ki-94-1」は不採用の可能性高いと感じて『もうええわ』ってことで計画から離脱した」

 

 リュ「えっ、えぇ……?」

 

 中「でも中島飛行機から『ワシ中島飛行機。立川飛行機くん、至急、与圧室に関する技術教えてくれや』って言われたから、立川飛行機が『あっ、ふーん(『Ki-94』の開発難航してるのね)』って考えて独自に『Ki-94-2』の設計を開始した」

 

 リュ「あら急展開……」

 

 中「ってことで、次は『Ki-94-2』について解説します! また見てね!」

 

 リュ「いっいやいや終わりが適当すぎじゃ——あの、あのー……!!!」

 

 

 

______

参考サイト

http://ktymtskz.my.coocan.jp/J/JP/aki3.htm

https://ja.wikipedia.org/wiki/キ94_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/SR-71_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/ドルニエDo335

https://ja.wikipedia.org/wiki/ロ式B型

https://ja.wikipedia.org/wiki/キ87_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/キ83_(航空機)

https://ja.wikipedia.org/wiki/キ74_(航空機)

 

 *SR-71

 最速のアメリカ製有人偵察機。前例(U-2墜落事件)を避けるべく、マッハ3とかいうとんでもない速度でバビューンっと飛ぶことで、ミサイルを回避しようってことで作られた。もっとも、そもそも敵地上空を飛行するなんて危ないこと極まりないので、偵察衛星の普及とともに1989年に全機退役。

 秘密裏に作られたってところが『F-117』と『A-12』同様ロマンを感じさせる。

 

 *オランダの香りがする

 オランダの『フォッカーD.23』のこと。前のエンジンを外したらスウェーデンの『サーブ21』です(嘘)。

 

 *Do335

 ドイツの串型戦闘機。なんだかんだ言ってドイツ機で一番かっこいいし、スペック的にも(コスト? 生産性? そんなもん知らねえよ)ドイツ機最強候補だと思う。

 

 *Me262

 ドイツのツバメ。初期のジェット機なのはもちろんあるけど、なんなら資源不足な大戦後期に生まれたものだから信頼性なんて捨ててるし、工場ズタボロで生産もままならない状況だから戦局打開の鍵には全然ならなかった。あとヒトラー、何でもかんでも攻撃兵器にするのはやめろ。

 それでも機首に炸薬たっぷり弾頭を発射する4門の『MK108』30mm機関砲を集中配置してたし、対重爆としては結構使える。

 

 *B-17

 アメリカのうんちっち重爆。ドイツを焦土に変えた罪は重い。

 

 *Halifax

 イギリスの紅茶たっぷり地震爆弾専用機(は?)。

 

 *Ki-77(A-26)

 日本の生み出した超長距離を飛行可能なすっごい飛行機。その航続距離は驚愕の18,000km(300km/hで滞空55時間)。前紹介してたわ。

 

 *九五式一型練習機(赤とんぼ)

 一般的な練習機。これでも特攻で250kg抱いて戦果上げたりしてるあたり、『白菊』同様色々おかしい。

 

 *Ki-61(飛燕)

 日本の工業力の低さに呪われた機体。性能自体は十分な日本製の水冷式戦闘機です。MG151搭載機は強い。

 

 *零式艦上戦闘機

 みんな大好き零戦。正直解説する必要はない。でも後継機に恵まれなかったのは泣くべき。

 

 *ロ式B型試作高高度研究機

 本来ならキ番号が付けられるわけだけど、この機体は機密中の機密、特秘扱いなので、キ番号はない。

 ロッキード L-14 スーパーエレクトラのライセンス生産機であるロ式輸送機を元に改造して製造された機体。色々問題はあったりしたものの、得られた経験は無事に『Ki-74』や『Ki-97』に生かされたとか。

 

 *Ki-83

 日本で最速と言われている双発機。防弾もしっかりしてるし、武装も充実。日本側での飛行試験では680km/h、アメリカ側での飛行試験では驚愕の760km/h台を叩き出した。あとついでに排気タービンの問題に悩まされることが少なかった。よかったね……(量産された場合に目を瞑りつつ)。けど空襲と東南海地震の影響をもろに受けて、結局量産できず。悲しい。

 

 *Ki-87

 クソデカ排気タービンを搭載する試作高高度戦闘機。他の日本機の例に漏れず排気タービンの不具合は多発したし、主脚は90度曲げて格納する(主翼に主武装や燃料タンク棟のスペースを確保するため)方法を採用したものの、当時の日本にそれを実現できるだけの小型・高出力モーターがなく苦労したらしい。

 でも、機動性はクセもなく『Ki-84』よりいい感じだったとか。

 

 *Ki-74

 長距離爆撃機。もともとソ連のバイカル湖西部に達するほどの航続距離を持った長距離偵察機として計画されていたものの、(どこかで見たことある流れで)陸軍が仕様要項を変更。高高度偵察爆撃機として改めて開発が開始され、いつも通りそもそも仕様要項にない装備を追加で要求したため、結果として試作1号機の完成は1941年から1944年、3年もずれ込んだ。

 その後てんやわんやあり、やれ『パナマ運河爆撃』だとか、やれ『サイパン島のB-29基地爆撃』だとか色々話し合われたけど、それが実現する前に無事終戦。

 視界や与圧室の運用の悪さを除けば、運動性は大型機としては良好だったらしい。



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ファイルNo.10:幾多もの妨害で潰えた、日ノ本の翼 2

 お話の内容が2桁に突入。おめでたいね!

 今後もフィッシュチップス小説をどうぞ宜しくお願いします。

______

 

 

 

 中の人「さてさて。前回は『Ki-94-1』について話したな」

 

 リューゲル「はい。あの試作双ブーム串型単座高高度戦闘機でしたね」

 

 中「そそ。

 前回の投げやりみたいな解説の通り、なんやかんやありながら中止された『Ki-94-1』の開発計画だったが、それと同時に『Ki-94-2』の開発計画も始動した。というより、双発配置仕様の計画に並行して単発機化する構想も当然ながら存在していたみたいなんだな」

 

 リュ「へぇ。でも、それだとエンジン馬力的に双発機の利点が……ハッ!!! ジェットエンジンを積んだついでに複座型にして、補助推進にはロケットを積むという荒技に……!?」

 

 中「あのあの。この機体は『Do335』どころか『Me262』ですらないよ? 何でもかんでもドイツ式にしようとするの、やめようか? ウィンナーでも食べて、どうぞ(ウィンナースッ」

 

 リュ「あっ……ハイ(ムシャムシャ」

 

 中「よし、それでいい。

 何はともあれ始まった『Ki-94-2』の開発計画だが、まず初めに機体の冒険的な構造(双ブーム、串型、前脚)は即廃止され、至って普通な形状に変更された。外見は『Ki-84(疾風(はやて))』*に近いな。と言うか、自分自身初めてこの機体を見たときは『『Ki-84(疾風(はやて))』の改良型かな???』なんて思ってたくらい似てると思う」

 

 リュ「そう言われてみれば、垂直尾翼よりも若干前にある水平尾翼といい、コックピットとエンジンの配置といい、確かに似ていますね。……あれ、でも胴体下部になんだかエチエチな機械がついてるように見えますが……」

 

 中「あ、それ排気タービン。日本軍のことだし『B-29怖いンゴ……。せや! 『Ki-84(疾風(はやて))』に排気タービン積んだろ!』とか普通に考えそうだしね?」

 

 リュ「うーん、本当に考えそう。というか、そんな想像をしてしまうレベルだったことを考えれば……ほんと、日本軍は切羽詰まってたんでしょうねぇ」

 

 中「グライダーに30mm機関砲を積んで爆撃機を迎撃しようとしてた*国が何を言ってるのかな???」

 

 リュ「いやいや! あれは〜……その。なんというか!? 『Bf109』に牽引して運搬するわけですし、実質戦力が2倍! ご、合理的……で、ですよ……たぶん」

 

 中「果たしてそれは大丈夫なのか……」

 

 リュ「そ、そう! ドイツの誇る科学技術の結晶ですから! そそそ、そんなことより、解説戻りましょう!」

 

 中「(話逸らしたな……) それもそうだな(棒読み)。話に戻ろう。

 こうして設計図が改変された『Ki-94-1』もとい『Ki-94-2』は、前案同様与圧室を装備した高高度迎撃機として開発が進められる。当時並行して開発されていた『Ki-87』は色々問題があって(主脚とか与圧室未装備とか)、高高度迎撃機として考えればあまり挑戦していない構造、例えば主脚が日本機としては一般的な内側引き込め方式だったわけだし、計画の成功率的に考えれば仮にこのまま計画が両機共に進んだところで結果は見えていただろう」

 

 リュ「過度な挑戦はダメ。フォークト博士も言ってますもんね(言ってない)」

 

 中「おっそうだな。

 さて、そんな『Ki-94-2』だったが、“全て”が順調に進んだ場合その性能は以下の通りに想定されていた」

 

形式:低翼・単葉・引込脚

乗員: 1 名

全長: 12.00 m

全幅: 14.00 m

全高: 4.65 m

主翼面積: 28.0m2

全備重量: 6450 kg

動力: ハ-44-12ル 空冷複列星型18気筒エンジン

離昇出力: 2500HP

プロペラ:ペ32  4翅定速

最大速度: 712 km/h /高度12000 m

実用上昇限度: 14100 m

武装:ホ5 20mm機関砲×2(200発) ホ155-II 30mm機関砲×2(100発) (JPwikiより抜粋)

 

 リュ「あ、やっぱり単発機にする以上、最高速度の低下と武装の弱体化は……」

 

 中「そうでもないぞ。エンジンを一基下ろしたと同時に機体重量が軽減、エンジンも離昇出力2500HPのハ-44-12ルに換装されたわけだからな。どうしても速度的に劣るのは事実だが、それでも計画値で700km/h台を維持してるんだからすごいさ。まあ、ひとえにこの機体の主翼に層流翼《そうりゅうよく》型(鬼畜米英のファッキン最優秀戦闘機『P-51』もこれを採用)を採用している恩恵でもあるんだがな。

 ついでに言えば、計画では6枚プロペラを装備する予定だった。その場合の最高速度は746km/hと考えられていたらしいが……完成品が装備するプロペラはブレード4枚のものだ。おそらく元々『Ki-84(疾風(はやて))』用に開発していたプロペラ(ペ  3  2)を流用したからだろう。当時同時並行で開発されていた『Ki-87』とプロペラも両機共通にする予定だったらしいし、中島と立川の間で一悶着があったんじゃないかと考えてる」

 

 リュ「それも、今となっては知る由もない……ですか。

 あっ、そう言えば、武装はどうなんですか? 『Ki-94-1』は計画段階で37mm機関砲、30mm機関砲をそれぞれ二門搭載する予定だったんですよね? ところがこの『KI-94-2』の武装、とてつもなく火力が下がってますよ!!!」

 

 中「あ、武装は……(『J7W1(震電)』*と『J6K1(陣風)』*を脳内で想像しつつ)仕方ないね♂ てかそもそも機体規模も出力も何もかも違うし、多少はね? それに、37mm機関砲が20mm機関砲に変わっただけで火力不足はちょっとお国柄が反映され過ぎ*じゃないですかね……。

 それにだ。当時大日本帝国で使用されていた局地戦闘機、例えばN1K1-J(紫電改)*やJ2M(雷電)*が20mm機関砲を4門搭載していたことを考えれば、20mm機関砲を2門に30mm機関砲が2門と言う大火力は、単発機としての火力は爆撃機迎撃には十分だろ。弾持ちはうんちっちだが。……ダメ元でホ301*積んだらよかったとかそんなことは思ってないぞ?」

 

 リュ「思ってるんですね!」

 

 中「ないです(無慈悲)」

 

 リュ「あっそうですか……。

 まぁいいです。ところで、先程『“全て”が順調に進んだ場合云々ペラペラ』って言っていましたが、結果的にはどうなったんですが?」

 

 中「あぁ。結末だけ言えば、『ダメだった』」

 

 リュ「いや、まぁ察してはいましたが……でも、どうしてダメだったんですか? 聞いたところによれば、少なくとも失敗しそうな要素は……エンジンの信頼性と排気タービン、与圧室だけのように感じますが」

 

 中「いやそれ明らかに高高度迎撃機じゃないだろ……とか言うのは置いておいて。一部始終を話すとだな。

 まず試作機の完成期限が軍部より出されたんだが、それが1945年3月。1944年3月に開発命令が軍部より下されたことから、約一年間の期間が与えられた。1944年当時といえば、大日本帝国軍の航空戦力、その全てを注ぎ込んだまさに決戦の時期だったにもかかわらず、だ。この機体は生産性も考慮し、機体は分割構造で製造したのち一体化して組み立てることが想定されていたことから、決戦期に生産するには都合が良かったと思われるんだがな。事実、これと製造上での類似点が存在する『四式重爆(Ki67)*』は大量に生産されたわけだからな。もちろん、戦闘機と爆撃機という違いはあるが」

 

 リュ「でも、不自然ですね……高高度迎撃機があまり必要でなかった、と言うのも大きいとは思いますけど、大日本帝国軍も『B-29』に関する情報は掴んでいたんですよね? それの脅威が差し迫る中でそのスケジュールは……」

 

 中「ただこのスケジュールを設定した理由は考えられてだ。おそらくは、当時陸軍が『『Ki74』の改良型作ってアメリカ本土爆撃じゃ!』とか言ってたことが原因だろう。ただこの考え方、確かに理には叶っている」

 

 リュ「あー……。アメリカの物量は頭おかしいですからね。前線に届いた兵器を破壊したところで、練度の高いパイロットの殺害か工場そのものを破壊しなければ我々には勝ち目なんか……。我々もそれと同じ考えで、『アメリカ爆撃機計画』だとかを計画したわけですし」

 

 中「ま、こうして日本陸軍が『Ki-74』改良型の試作を推進し(ヤ号機と呼ばれる)、この機体は後回しにされた……それは事実だ。

 それにこの機体、『Ki-84』に似ているとは言ったものの、機体そのものは完全な再設計。1944年の決戦を終えたのちは深刻な資材不足が発生することは考えるまでも無しだ。それが想定されていたからこそ『木製九九艦爆』や『木製疾風』なんかが誕生したわけだが、そんな状況下で排気タービンに与圧室、さらに新設計とてんこ盛りの『Ki-94-2』の生産は、国土が荒廃しつつある大日本帝国には荷が重過ぎた。

 それに、仮に機体が無事に完成し、生産を開始したところで、排気タービンに不調が現れるのは簡単に考えられる事だろう。だから、この機体の大量生産計画も存在しなかった」

 

 リュ「えっ? ……じゃあ、試作機の製造はどうなったんですか? この機体は高高度迎撃機として開発していたのに、それが無くなると色々まずいじゃないですか」

 

 中「ああ、試作機の製作は確かに行われた。それは確かだ。だが、この機体は既に大量生産・実戦投入の機会を失ったわけだから、その扱いはもはや『戦闘機』としてよりも『実験機』に近かっただろう。また、排気タービンではなく従来の機械駆動式の過給器を改良したエンジン、『火星』六二型を搭載した『雷電三三型』が、本土防空部隊に配備されていた。少数生産ではあったものの、結果的に戦果をあげたのはこちらだと言われている。

 それに、だ。もはやこの機体を飛ばすだけの時間的余裕も、存在しなかった」

 

 リュ「えっ?」

 

 中「試作二号機が完成し、飛行場運搬のための本塗装を開始したのが1945年8月14日。その翌日は——」

 

 リュ「終戦……ですか」

 

 中「そうだ。この日、『Ki-94-2』一号機は地上運転のみを、二号機に関してはそれすら行われず、開発に関する一切が中止。空を飛ぶ機会を永遠に失った。これに関しては設計主任の長谷川技師が、『八月十五日、終戦のラジオを聞いた時は終戦の悲しみよりも、むしろキ94が最後の瞬間において、大空に飛立つチャンスを永久に失った悲しみに自分を支え切れなかった』(「航空ファン」昭和五十年十月号)と述べている」

 

 リュ「そ、そんな……。いや、でも待ってください!!! 米軍が接収して飛ばしたりとかしたんでしょう!?」

 

 中「もしかしたら、飛ばしたのかもしれない。だが、現状存在する文献でそんな記述、一つもない。米本土に運ばれたのは事実のようだが、その後はスクラップにされている」

 

 リュ「希望……希望ドコ……ココ?」

 

 中「あ、希望?……ありますあります」

 

 リュ「!!!」

 

 中「というのもなんだ。陸軍戦闘機全般の開発に航空審査部等を通じて携わった木村昇技術少佐いわく『本機には層流翼型が初めて(陸軍機として)実用され、高々度における安定および装備上の諸問題など、極めてこまかくゆきとどいた名設計だった』と賞賛していて、実際大馬力を発揮するハ-44-12ルと層流翼の組み合わせであれば高高度で700km/h超えの最高速度を出すことは可能だったろうと考えられる。機体形状もなんだかんだ言いながら、『Ki-87』や『J7W1(震電)』と違い挑戦的な構造ではなかったことから、実用化できる可能性もそれらと比べればまだ十分に秘めていた」

 

 リュ「そんなこと言ったら、ますます飛行試験が実施できなかったことが悔やまれますよ……」

 

 中「……ただまあ。なんだ。ここまで言うのもあれだが、そもそも高高度からの爆撃は精度も効率も悪く、結局低空での無差別爆撃にアメリカ軍が移行したことを考えれば……」

 

 リュ「それ以上はだ、ダメですって!!! ロマンが……!」

 

 中「それもそうか。……ということで、一応この機体の解説は終わり。次回も引き続き、日本軍の試作機でも解説するとしよう」

 

 リュ「秋水、火龍、橘花……果たしてどんな機体が……(wkwk)」

 

 中「実質全てドイツ原産だろ!!!」

 

 

 

______

 コメントや兵器のリクエスト等お待ちしてます!!!!!!!!!!

 

Ki-84(疾風(はやて)):大東亜決戦号。陸軍の機体を機体に背負って開発されたものの、例外(ニュータイプ整備士)を除けばおおよそ稼働率の低さに悩まされた。ただし、カタログスペック上の性能を発揮出来た場合や米軍鹵獲機の場合、結構凄かったり?

 

*グライダーに30mm機関砲を積んで爆撃機を迎撃しようとしてた:ドイツの誇る()航空機メーカー、ブローム・ウント・フォス社の試作したBv40のこと。

 

J7W1(震電):みんな大好きロマンの塊。エンテ翼形を採用してる機体って、戦中じゃアメリカの『XP-54』や『XP-55』に『XP-56』、ソ連の『MIG-8』とあとは英国のわけわからんの(マイルズ リベルラ)くらい。主武装には30mm機関砲を4門機首配置と言う鬼畜仕様。別の世界線ではジェットエンジン装備機が誕生したり、艦載機型に生まれ変わってたりする。

 

J6K1(陣風):対戦闘機用に作られた火力バカ。資料によるものの、翼内に20mm機関砲を6門と13mm機関銃2門装備で『XF8B』並みの火力とかお前本当に日本機か???

 

*〜火力不足はちょっとお国柄が反映され過ぎ:説明しよう!(デデドン) ドイツ空軍は、例えば対地攻撃のために『Ju87』に37mm機関砲を翼下に懸架(けんか)した対地おばけ『カノーネンフォーゲル』を作ったり、本来戦車に積むレベルの口径である50mm砲や75mm砲を改造したものを搭載する『Me410』のU4型シリーズや、『Hs129 B-3』、はたまた『Ju88』のP型シリーズに『Me262』に50mm機関砲を装備した『Me262 A-1a/U4』が存在するのだ!!! ウィンナーを決める国は違うなあ。……え? イタリアに102mm砲を装備する対艦“爆撃機”『P.108A Serie 2』が存在するんですか!?

 

N1K1-J(紫電改):誉エンジンに救われなかった機体。この機体を組織的に運用し、末期ならざる戦果を上げた『第三四三空』は有名。

 

J2M(雷電):軍部から『上昇力、最高速に全振りした迎撃機くれ』とか言われたから、爆撃機用に開発された『火星』エンジンを搭載したわけわかめ系戦闘機。でも……視界悪いし、謎の震動発生するしでダメだったよ(チーン)。

 

*ホ301:大和魂が産んだ口径40mmのロケット砲弾投射機、もとい機関砲。史実では二式複座戦闘機『屠龍(とりゅう)戊型(ぼがた)の機首装備として一門(なお試作)、または二式単座戦闘機『鍾馗(しょうき)』乙型の両翼に一門ずつの計2門が搭載され、なんと実戦に投入された。初期は『弾速遅い! しょんべん弾! いらん!』的評価だったものの、よりにもよってホ301の生産終了後に開始された『B-29』による爆撃、それの迎撃に参加したら戦果出すとか言う恵まれなかった系兵器。かなしいなあ。

 

参考資料

http://ktymtskz.my.coocan.jp/J/JP/aki3.htm#5

『丸』2020年10月号別冊

https://ja.wikipedia.org/wiki/キ94_(航空機)



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