ゾルディック家の喰種【連載版】 (政田正彦)
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原作開始前
1話「テンセイ×ユガンダアイ×ジアイ」


転生、歪んだ愛、自愛。


 一人の青年が、駅のホームから投身自殺をし、直後に病院に搬送されるも、間もなく死亡が確認された。

 

 即死だったという。

 

 気付いた時には既に遅かった、とはこういう時にはよく使われるフレーズだが、彼自身、自分がそれを()()()()立場になるとは思ってもみなかっただろう。

 

 駅のホームに居た見知らぬ人。

 

 家族、両親、兄弟。

 

 友人、知人……。

 

 彼らは、皆彼が、彼の精神が壊れてしまっている事に気付けなかった。

 彼が自ら死んだ理由はいくつもある。

 そして彼が周囲に示したメッセージや救難信号も。

 

 一人の青年が、夢を、希望を、それらを叶える為の道を失い、絶望から自分の全てを投げ出して、命すらをも失ったという、ありふれた悲劇が、彼の人生が、そこで一つの幕を閉じた。

 

 

 その筈だった。

 

 彼は何の因果か、運命か、神の悪戯か。

 彼の人生は、全くの別の世界で再び幕を開く事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初に感じた感情は困惑だった。この身体は一体どうした事だ?これは自分の手なのか?目の前に居る女性は誰だ?彼女は何を話している?僕は何故彼女の胸に抱かれ……いや、何故胸に抱ける程のサイズに縮んでいるんだ?僕は、一体、どうなった。

 

 死んでいなくちゃいけないハズの自分が何故生きている?電車に轢かれたはずだ。死ぬつもりで身を投げ、骨が砕け脳漿を撒き散らし命の灯火が消える音を確かに聞いたはずなのに。

 

 そうしてしばらく困惑していて分かったことは、自分はどうやらまだ死んでいないという事。

 

 何故?と理由について数秒間それについて考え……そして考えが及ばないレベルの事で、今は考える必要が無く、考えたところで答えが出るわけでもないだろう、と割り切ったところで。

 

 

 次に彼を襲った感情は「死ねなかった」という絶望だった。

 

 

 彼は物心がついたばかりでまともに喋れなかったが、それでも「死なせてください」と。だが言葉もまともに伝わらず、ただうぅ、うぅ、と藻掻くだけで……意図が伝わるはずも、伝わったところでそれが許されるハズもなかった。

 

 

 彼は更に強く願う。「死なせてくれ」と。

 これ以上苦しみたくない。生きていたくない。ここに居たくない。

 

 その願いが最高潮に達し、泣き声を上げたその瞬間……彼の体に異変が生じる。

 

 

 突如、彼の身体からヤカンから吹き出るの湯気のような、猛烈な勢いで真っ黒なオーラが吹き出したのだ。……オーラとは、この世界における生命のエネルギーのような物であり、人間、動物を含め誰もが有する物だ。

 

 それが猛烈な勢いで吹き出したとすればどうなるか。

 

 前述した通りそれは生命のエネルギーである。無論、限界もある。彼のような幼子の生命エネルギー等、たかが知れている。ものの数分で昏睡状態となり……あるいは、死ぬ可能性すらあった。

 

 問題はそれだけではない。

 

 オーラは本来、色をもたない。敵意や殺意、執着や欲求、熱意や熱望を持ってようやく色、あるいは圧迫感や本能的に感じ取れる感覚として変化が現れる物であり、それが絶望によって真っ黒になっているとしたらどうなるだろうか。

 

 

 もし念を修めていないものが、これらの害あるオーラに晒されたとすると、ある者はそれを「北極で服も着ずに居るのと同義だ」と表現した。それほどまでに無防備な状態であるという事だ。

 

 その表現で言うと彼は「服を着ていない状態で北極のような極寒の気温を()()()()()()()」とでも言えば、この異常性が理解しやすいだろうか。

 

 

 念を修めてもいないのに、絶望の感情を乗せたオーラを自身から発し、その結果、絶望のオーラを放出させている彼の体は、全身が段々黒ずんでいき、細胞が破壊され、壊死していっていた。

 

 

 これは長いゾルディック一族の歴史をもってしてみても初めての出来事であった。

 というより、恐らく歴史上類を見ない大事件だろう。

 まだ言葉もろくに話せない幼子が、オーラを発生させ、そのオーラで自分自身を傷つけている。

 

 彼は、ゾルディックが総力を上げて処置を行った事により、どうにか一命を取り留めた。

 

 まず、他の念能力者のオーラによって彼の体の重要器官を保護し、その隙に、彼を蝕んでいるオーラを全て吐き出させたのだ。

 

 その後、「自分よりも少ないオーラの総量しか持たない弱い生物を強制的に絶状態にする」という念能力と、それを神字という、長い時間をかけてオーラを込めた文字を道具自体に書く事で効果を発揮させる技術によって作られた、「入ったものを絶にする檻」を用意した。

 

 絶とは、念能力の修行の四大行と呼ばれる基礎の技の一つであり、オーラを完全に断ち、体の中に留める事で回復力を向上させたり気配を潜めたりする事が出来るというもの、そしてその状態そのものを指す言葉だ。

 

 オーラによって身体が傷つけられている彼を救うには、彼以外の誰かが、彼を強制的に絶にする必要があった。

 

 その為に、数億という値打ちの檻を用意したのだ。その檻には「念能力者本人より多くのオーラを持つ者には効果が無い」という欠点が存在したが、今の彼を絶状態にするには十分だった。

 

 とはいえ、処置は簡単なものでは無かった。まさに、生死の境を彷徨うほどの物であったと言えるだろう。

 

 まず、オーラを全て出し切らせてしまおうとした際、彼の持つオーラの総量が、まるで成人の、20代前後の男性が持つ位の、幼子が持つにしてはあまりに膨大すぎる量であり、計算が大いに狂う事となる。

 

 もう少し彼のオーラが膨大だったなら、彼の重要な器官を保護する役目をもっていた念能力者が、彼の真っ黒なオーラに精神で負けていたかもしれなかった。

 

 これが彼が純粋に持つオーラであるというのが信じられなかった。まだ、一族に殺された若輩の念能力者が死後にゾルディックへの念だけの存在として彼に取り付いた、と言われた方がまだ納得出来るのだが……オーラを放出する精孔を見て、この黒いオーラは完全に彼が持っている物だと語っていた。

 

 

 ここで彼が助かった、で終わったなら話はまだ単純だったかもしれない。

 

 

 このほんの三時間後である。

 この事故が起こった直後、仕事で遠方へ行っていた彼の父、シルバ=ゾルディックが家へと急いで戻り、檻の中へと訪れ、包帯でグルグル巻きのミイラ状態になった自分の息子を見る。

 

 その包帯にある血の跡の凄惨さから、彼がどれだけの死線を彷徨ったのかが伺える。

 今こうして生きているのは恐らくゾルディック家の人間だからこそだと言えるだろう。

 

 シルバは「決して警戒を怠るな。少しでも容態が変化したらすぐに診ろ」と使用人達に指示しようとして、そして、もぞ、と布の擦れる音を聞いた。

 

 

 見れば、目を開き、明らかに意識を取り戻している自分の息子の姿があった。

 

 

 ……有り得ない。

 

 

 彼は信じられないと思いながら彼に巻かれた包帯の一部分を巻き取り素肌を露出させる。そこには、壊死した皮膚も、その跡も無く、まるで何事も無かったかのように完治している身体。不思議そうな、かつ、どこか沈んだ顔をした息子の姿がそこにあった。

 

 

 驚くべき、では到底済まされない程の異常な自己治癒力。

 

 

 

 彼の身体は……異常だ。

 

 

 ゾルディック家()()トルイ=ゾルディック、二歳八ヶ月の出来事である。

 

 

 この事故をきっかけに、幼少のほぼ全てをこの牢獄の中で過ごすことが確定された。

 

 

 

 

 

 

 そのほんの二年後の事である。

 シルバが彼の治癒能力に絶対的な決意を持ってこう決断を下した。

 

 

「明日からトルイに暗殺者としての訓練を施す」

 

 

 それはたった四歳の息子に下す決断にしてはあまりに過酷で凄惨、そして残酷な決定だった。だが彼の母でありシルバの妻であるキキョウが止めようとしても聞く耳を全く持たない程に、彼の決意は硬かった。

 

 ……ここでいう訓練とは、体力をつけるために走り込むだとか、特別な技を身につけるために修行するだとか、何らかの脅威に対抗する為にシュミレーションをする、といった意味ではない。

 

 文字通り、()()()()()()彼を拷問するのだ。

 

 殴る、蹴る、刺すといった物ではない。

 電気を流す。毒を盛る。虫を体内に入れる。爪を剥がす。

 

 一般的に「普通の人間なら死ぬ」と思われる物を全て経験させ、そして死なないようにする。電気を流されようが、毒を盛られようが、虫を体内にぶちこまれようが、爪を剥がされようが全く問題無いように。

 

 またここに記述した物は彼らにとってまだまだ基礎の基礎である。

 

 最終的な理想形は……「どうやったら殺せるか分からない」ようにする事だ。

 そんな物にたどり着けるかは定かではない。だが、幼ながらに神から授かったとしか思えない、異常すぎる治癒能力と、シルバの良く研がれ、ナイフの何倍も鋭いと自負する爪をもってして、切りづらいと思わせる皮膚。

 

 彼は異常なまでの適応能力、タフさ、多すぎるオーラの総量、そして、まるであらゆる死因に対して耐性を得るかのような特異体質を持っていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアアアッ!!!」

 

 4日後。

 

 拷問部屋に、まるで人とは思えない、魔獣か怪獣が断末魔をあげるかのような絶叫が響き渡る。訓練開始から一週間が経過しており、本来ならとっくに死んでいるはず……それほどまでに凄惨な拷問が行われていた。

 

 頃合を見てシルバが手元のスイッチをオフにすると、絶叫がピタリと止まり、代わりに、肉が焼ける香ばしい匂いが漂う。

 

 鎖に繋がれたトルイの体には何本ものコードが繋がれており、シルバがスイッチを入れると、そのコードから彼の身体に強烈な電気が流れる仕組みだ。医療用ではなく、こういう時の為だけに作られた超強力な代物だ。

 

 それを、四歳と少しの子供に使う。

 

 こいつなら大丈夫だ、と確信を持って使う。そして、そんな確信に応えるかのように、彼の身体はこの訓練が始まって3日もすると電気への完全耐性を得た。

 

 まだまだ訓練は始まったばかりだ。

 

 

 11日後。

 

 拷問部屋に、夥しい量の血と、子供の指が入ったバケツが置かれており、そこから異臭が放たれていた。

 

「イヤだ! 助けて! 助け、たすァァアアアアァァァ!!!」

 

 ぶちん。と切り落とされ、ぽとりと地に落ちる。

 切り落とされたのは、彼の指だ。

 

 落ちた指を拾い上げ、それを興味深げに見るシルバは、しばらくそれを見つめた後、それをバケツの中に投げ入れる。

 

 視線を彼の指が切り落とされた手へと戻すと、そこにはまるで切り落とされたという真実が無かったことにされたかのように、普段となんら変わらない、幼さが残る指が繋がっていた。

 

「凄まじい治癒力だと思っては居たが、ここまでとはな。」

 

 そうしてまた、ペンチで指を切り落とした。

 

 

 33日後。

 

 拷問部屋に、狂気を孕んだ笑い声が響く。同時に、グチャグチャと頭の中を掻き回されるような音が鳴り響く。ブチブチと自分の中の何かが蟲に食いちぎられ、奪われ、好き勝手に引きちぎられている。

 

 壮絶な痛みから逃れたくて、逃れられなくて。

 

 誰かの笑い声が耳障りで。

 

 段々とその笑い声すらをも、遠くなっていく感覚を感じ、身体が自分のものじゃなくなっていくのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気づくと自分がどこに居るのか分からなくなっていることに気付いた。

 そこはいつもの拷問部屋ではなかった。

 真っ白な、ただただ白だけが広がる世界。

 

 部屋とも空間とも呼べない、明るいようで暗く、開けているようで、どこにも行けない、そんな場所。

 

 ふと自分の身体に目を向けると、それはトルイ=ゾルディックとしての身体ではなく、前世の……死んだはずの自分の身体がそこに立ち尽くしていた。

 

 

「僕は、死んだのか?」

 

「いいや、死んでなんてないさ。」

 

 

 返事なんて期待していなかったが、そう聞いて、ああなるほど、とトルイは瞬時に察した。これは僕が精神の異常から幻覚を見ているのだろう、と。

 なんせ、声のした方へ顔を向けると、お誂え向きに、自分と全く同じ顔をした人物がこちらを見ていたのだから。

 

 

 前にもよくあった事だ。少し、久しぶりな気もするけれど。

 

 

 

「弱いね。僕。」

 

「また、奪われている。」

 

「僕はまた、奪われる側だ。」

 

 

 しょうがないだろ、僕は弱い。それは事実で、強者が、弱者を喰らう、奪うのは……至極当然の事なのだから。

 

 

「じゃあ、今のままでいいって訳だ?」

 

 ……そんなハズはない。僕は、強く「無理だね君じゃ。」

 

 

 ハッキリと、明確に、バッサリ切り捨てられた。

 

 一瞬だけ怒りが湧き上がる、が、頭のどこかでは分かっていた事だった。

 確かに、そうかもしれない、と。

 

 

「日本という平和な世界ですら生きていけなかった君に、この過酷な世界を生き抜く事は出来ないよ」

 

「気付いてるだろ? ここは君の知っている世界であり、元の世界とは全く別の世界だ」

 

「ゾルディック家、オーラ、念、そして現状を鑑みるに、ここは……HUNTER×HUNTERの世界、そして僕はゾルディック家の人間として生まれたんだろう」

 

「さしずめ、僕は今暗殺者になるために訓練を受けているんだろうね」

 

「な? 分かるだろ? 君じゃあ無理だと言った意味が。理解している僕もまた、君自身なんだから。」

 

 

 

 彼の言う通り……僕は今自分がどういう状態にあるか、本当は分かっていた。

 分かっていて目を逸らしていただけだ。

 

 ……確かに、僕じゃあ、この世界で、この世界でも、生きてはいけない。前は夢にまで見た異世界転生だけど、これは、あまりにあんまりじゃないかな。

 

 

 

「代わってやろうか?」

 

 

 

 あまりに甘美な誘惑。

 それは悪魔のようにも救いの天使のようにも聞こえて……。

 

 

 思わず、代わってくれるの? と返してしまった。

 

 

「よくある話だろ? 幼い頃に虐待を受けていた子供が、それらの恐怖や痛みから精神を守るために、精神そのものを二つに分けて、自分の精神を護るっていう例のアレさ。僕は、君を護る為に生まれてきたってわけさ」

 

 

 そう言って彼はニコニコと笑顔を貼りつけながら、片手で()()()()()()

 

 ……あぁ、なるほど。……今のは嘘って訳だ。……わざとらしくあの漫画の主人公の「嘘をつく時の癖」なんかの真似までして。

 

 

「……ハハ! やっぱバレた? まあ、バラしたんだけど。」

 

「その通りだよ。君の代わりをするのは本当だけど、君を護るつもりなんて毛頭無い。」

 

「君はここで、僕に喰われて死ぬのさ。」

 

 

 そう言うと、彼は僕を組み伏せ、首元に歯を立てた。

 そのまま、一切の躊躇い無く……ぶちぶちと首の肉を引き千切り、数回咀嚼した後、それを嚥下し、血だらけの口を開いてこう言った。

 

 

「僕は君を喰って……喰われる者から、喰う者になる。僕が強者(奪う側)に立つ。僕はまだ生きていたい。ここでは死にたくない。もっと強くなりたい。だから……弱い僕は、ここで消えろ」

 

 分かった。いいよ。ただ……どうせ強くなるなら……あの人みたいに、大事なものを、護る為に……その力を……使ってくれないかな……。

 

「……分かった。いいよ。約束する。この力はきっと、この先僕が大事だって思う者の為に使う。その為に……奪う。」

 

 なら良かった。……今日は会えて嬉しいよ。トルイ=ゾルディック君。

 

「ああ……僕も、話せて良かったよ。……おやすみ、****。」

 

 

 どうか、いい夢を。

 

 

 

 意識が遠くなっていくのを感じる。

 

 彼の血肉となって逝くのだろう。

 

 これで……ようやく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数年後。

 

「さあ、今日も訓練を始めるぞトルイ。」

 

 シルバがいつものようにそう言うが、返答はなく、帰ってきたのは沈黙だけだ。

 内心で彼は首をかしげた。おかしいな、父の言う事を無視するように育てた覚えは無いのだが。

 

 まだ少し躾が足りなかったか?とトルイの方へと歩いていき、何気なく、息子の肩を叩いて朝だぞ、起きろと言う程の気軽さで、彼の腹に、普通の人間なら臓物がいくつか使い物にならなくなってもおかしくない程の重い一撃を放つ。

 

 そこでシルバは普段とその感触が違う事に……トルイがオーラを纏っているという事実にようやく気付き、驚いて一歩後ずさる。

 

 そして、今度はそれを見たトルイが口を開いた。

 

 

「ねェ父さん……僕もう、飽きちゃったよ。」

 

 

 そう言うと、彼は腕に力を込め、自身を繋いでいた鎖を、まるでくず鉄を崩すかのように破壊する。足や首にも枷が付けられていたが、その全てを、次々と破壊していく。

 

 

「僕、外で誰かと遊びたいな……いいでしょ?」

 

 

 トルイが初めて父に対して言った我が儘。それは聞き用によっては子供の些細な我が儘であった。だが、父であるシルバにはその本当の意味が理解出来た。

 

 

 

僕はもう戦える。外に出せ。獲物をよこせ。

 

 

「……いいだろう、だがまずはそのオーラをきちんとコントロールする術を身につけてから、だな。」

 

「……うん、わかった。」

 

 

 

 この二日後、ゾルディック一族の一員として、トルイは正式に迎えられることとなり、牢獄生活が終了することとなる。




登場人物紹介①

【****】
20代後半という若さで夢を絶たれ、絶望して死亡。
夢は====だった。


登場人物紹介②

【トルイ=ゾルディック】
****が死後H×Hの世界に転生した姿であり、
「死ぬ事も許されないなら、もっと強くなる必要がある。」
「だが、日本ですらまともに生きられなかったような僕がこの過酷な世界で生きていけるとは到底思えない。」
そう考えた****が作り出した第二の人格であり、
トルイによって****は二度目の死を迎えることとなった。
****は彼に「その力を大切なものを守る為に使って欲しい」
という願いを遺し、今は彼の中で穏やかに眠る。


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2話「ツヨイモノ×ソレハ×マモルモノ」

強い者、それは、護る者。


「クソッ!!なんなんだよ、あのガキはッ!?」

 

「俺が知るかよ!馬鹿野郎!」

 

 アプカーノファミリーの幹部。双子のノナトラとツチノラは現在命の危機に瀕していた。

 最初は、ただの侵入者だと思っていた。部下に任せておけば大丈夫だろうとタカを括っていた。

 

 部下から聞いた話だと侵入者はガキ一人。

 

 普通の成人の男が完全武装をしていたとしても、一人でマフィアの根城に乗り込むなど、自殺行為に他ならない。だが実際はただのガキが、武器も持たずに正面玄関から侵入したという。

 

 どこのクソガキだか知らないが、たまにある事だ。マフィアは、金にならない殺しはしない。だからこうして舐めた態度を取ろうと殺されることはない。と。

 

 部下の一人が、その侮りは間違いだとその身を持って知らしめる為、まず彼の足を撃った。

 

 

 それが殲滅開始の合図となり、撃った部下は弾が着弾するより先に、後ろの壁……10mは先まで吹き飛ばされ、壁と天井のシミにされた。

 

 それを皮切りに戦闘、いや、そのガキによる蹂躙が始まった。

 ものの数分で本部は壊滅状態に陥り、幹部である自分たちは命からがら脱出し、今、夜の街を息を切らしながら走り回る羽目になっている。

 

 

「クソッ……しかし流石にここまでくればもう追ってこないだろ。」

 

 

 息を切らしながら、走ってきた道のりを、誰もいない裏路地の狭い道を眺める。無論ここに留まる訳ではないが、誰も追ってきている様子はない。息を整えるために立ち止まり、兄弟にそう言ったノナトラだったが……同意する返事が帰ってこない。

 

「おい、ツチノラ?」

 

 振り返ると……そこにツチノラの姿はなかった。馬鹿な、先程までそこに居たはずだ!あの野郎、俺を置いて逃げやがったのか!?

 

 そう思い憤怒に顔を染めた次の瞬間、悍ましい殺気を頭上から感じ、まさかと上へと視線を上げると……「逃げ、ろ……ノナ、トラ……勝てない……こいつは、化物だ」……腹を赤黒い何か触手のような物に貫かれ、今まさに事切れそうになっているツチノラと、その触手を操り、蜘蛛のように壁に張り付き、こちらを冷たく見据えるガキの姿があった。

 

「……!!その赤黒い触手!その真っ赤な瞳!そして真っ黒な外殻……!!そうか、お前が……!!」

 

 ノナトラは彼の正体……いや正確には、裏社会において密かに広まっている都市伝説的な存在について心当たりがあった。

 

 赤黒い触手を腰の辺りから生やした暗殺者の少年……その瞳はまるで血のように赤く、触手はどこまでも標的を追いつめ、貫く。彼はその身を真っ黒な外郭に覆っており、暗闇で彼に出会ったなら……死を覚悟しなければならない。

 

 彼のことを裏社会ではこう呼んだ。

 

「黒の……死神……」

 

 それが、ノナトラの最後の言葉となった。路地裏には夥しい量の血液と臓物だけが残り、他には何も残らなかった。

 

 

 

 

 

 黒の死神。

 

 近年ゾルディック家で新たに暗殺者として暗躍し始めた少年の二つ名。

 本名、トルイ=ゾルディック。

 

 これは彼が13歳の頃の話である。

 

 彼は13歳にして如何にしてここまでの暗殺者に上り詰めたのか、そして、その念能力とは一体何なのか?

 

 それを話すにはまず、時をトルイが鎖から解き放たれた頃まで遡ろう。

 

 

 

 彼のその異常な能力の正体が発覚したきっかけは、彼が父シルバによって念能力を習うより更に前だ。

 

 トルイはあの真っ白な精神空間で前世の自分を喰らったあの瞬間、直感的に、彼は自分の中に目覚めた念能力の存在に気付いた。

 

 

▼  ▲

 

 

念能力【僕は喰種だ(グール)

 

系統:特質系(強化系・具現化系・操作系の全てに該当する為)

 

○身体能力(筋力を始めとし、感覚器官や耐久力)が爆発的に上昇する。

○赫子(鱗赫)が出せるようになり、自由自在に操れる。

○戦闘時や興奮時に目の色彩(黒目)が赤くなり、強膜(白目)が黒くなる。

○血肉を貪る事で、その者のオーラを自分のものに出来る。それによって、オーラの上限値を底上げする事も可能である。

 

制約

●空腹感が人の血肉(念能力者かどうかは問わない)でしか満たせなくなり、味覚も変化する。

●この念能力は“常に発動”しており、“解除不可能”である。(赫子の出し入れは可能)

 

誓約

●食事を摂らずに数週間ないし数ヶ月以上経過した場合、重篤な飢餓状態に陥り激しい頭痛や幻覚、判断力の低下を伴うようになる。

●普通の食事を強引に摂ると激しい吐き気に襲われる他、一時的に著しく弱体化する。

 

▼  ▲

 

 

 

 彼は思う。まんま東京喰種に登場する喰種そのものではないか、と。それを念能力として落とし込んだら多分こうなる、とでもいうべき念能力。無論、この世界はあくまでH×Hの世界である為、Rc細胞も、CCGも、そもそも、グールならともかく、喰種という単語そのものが存在しない。

 

 そしてトルイも、念能力によって喰種のようなものに目覚めたとはいえ、やっている事は前世で見た漫画・アニメの、喰種という設定を模倣し、具現化し、再現する念能力を手に入れているだけに過ぎない。

 

 ……だが、模倣とはいえ、”人の血肉でしか飢えを満たせない”という点では全く同一の存在であると言えるだろう。

 

 

 

 

「……もう要らない」

 

 そう言って、トルイはベッ、と口に含んでいた脳を吐き捨てた。

 

「……やっぱり、あんまり強くなった感じがしないな」

 

 じっ、と自分のオーラを見ながらそう呟くトルイ。とりあえず制約によって人の血肉でしかやはり強くなる為には念能力者の肉を喰らう必要がありそうだと彼は思う。

 

 恐らく、「○血肉を貪る事で、その者のオーラを自分のものに出来る。それによってのオーラの上限値を底上げする事も可能である。」とは、つまりは念能力者を食えば更にオーラが手に入るということだろう。

 

 それ自体が強さとイーコルという訳ではないだろうが……多いに越した事はない。

 

「もっと……もっと強い奴を喰べないと。」

 

 彼は、これがもっと純粋かつ単純に強くなれるような……ドラゴンボールだったなら、ワンピースだったなら、とあるだったら、ジョジョだったら、NARUTOだったら、BLEACHだったら、Fateだったら……こんな面倒なことをしなくても良いのに、と何度か悪態をつきそうになった。

 

 

 だが、現状としてトルイの置かれている環境は非常に恵まれていると自覚した。

 

 なんせ、彼のいる家は人殺しが容認されているどころか、それを仕事としているような一族であり、常により優れた暗殺者となるためにはどうすればいいのだろうか、と模索するような者達である。

 

 こうして喰種もどきとして目覚めた今では、ここほど恵まれた環境はそうはないだろう。

 

 なんせこちらから「殺したり喰ったりしてもいい人間」を探す必要もなく、あちらから自分の食事が多額の報酬付きでやってくるのだから。

 

 彼の念能力……の一部と制約と誓約について聞いたシルバは彼が生まれてから何度目かの驚愕に顔を染め、人間としての食事を取ることが出来ず、まるで、いや、まさに人喰いの化物となった自分の息子に底知れぬ恐怖を抱いたが……。

 

 シルバは彼に何度かテストのつもりで依頼を受けさせ、そして難なく念能力者を相手に生き残った彼を、その念能力者を糧に更に成長していく彼を、一族の一員として認める事にした。

 

 デメリットもある。そして常識から大いに外れている。更に運用も楽ではない。だが、得られるメリットは既に息子が自身の体で、成長という形で示していた。

 

 

 

 

 

 

 

トルイがツチノラ、ノナトラの暗殺依頼から帰宅する帰りの電車で、トルイの携帯に着信がかかる。画面を見ると、弟からのようだ。

 

 

 

『もしもし兄さん?そっちは終わった?』

 

「丁度帰りの電車に乗ったところだよ。そっちは?イル」

 

『こっちもあっさりだったよ、トル兄』

 

 

 電話の相手の少年の名はイルミ=ゾルディック。

 本来のH×H本編でのゾルディック家の兄妹の長男であり、この世界ではトルイの弟、そしてゾルディック家の次男、トルイとは一つ違いで、現在は12歳である。

 

 ちなみに、彼はまだ念能力に目覚めて間もない。修行の意味も兼ねて、トルイやシルバの仕事について来たりする事もあるが、未だに苦戦した様子を見たことがないあたり、やはりイルミも暗殺者としては相当な才能を持っているのだろう、とトルイは自分を差し置いて静かに戦慄している。

 

 三男となるミルキは今この場には居ない。ちなみに現在はまだ五歳の彼は流石にまだ引きこもっていないし、デブでもないし、オタクでも無ければPCを叩いてもない。彼にもこんなに可愛い時期があったんだなあ、等と考えてしまった程である。

 

『ああそうだ、母さんから伝言』

 

「うん?」

 

『弟が生まれたから家に顔出せってさ』

 

「ん、分かった。もう今回ので今日は終わりだから、すぐ帰るって伝えておい……ああ、やっぱいいや、こっちから電話しとく」

 

『そ。俺はもう先に帰ってるから』

 

「うん、じゃあ気をつけて帰るんだよ、イル」

 

 

 そう言ってトルイは電話を切る。切られた向こう側では、イルミが「俺が何に気をつけろって?」と首を傾げているのは語るまでもない。

 

 

 さて、あっさりとした口調で告げられたが、キルアが誕生した。

 

 

 だが、事前に彼がどのような苦難に立ち向かうことになるか……という事を知識として知っているとはいえ、今はそれほど、弟が誕生したという以上の感慨深さは無い。

 

 トルイは既に十年以上前に一度アニメを見た程度しか知識が無い。

 

 故に、自分の存在のせいで原作の流れがある程度変わってしまうことに対して対策が取れないだろうし、変わったとしても、既にこの世界の住人として生きている以上、物語を気にする程の余裕はない。

 

 彼が前世で生きていた時点で完結していないのも要因の一つだ。

 最終的にバッドエンドでした、ならまだそうはさせまいと必要以上に原作に関わることも吝かではないのだが。

 

 結局、トルイは「自分が原作に関わる必要性を感じない」という理由で、そこまで積極的に関わろうと思えなかった。

 

 キルアはキルアだ。彼なら自分が居なくても大丈夫だろう。原作でもそうだったんだから。

 

 

 トルイが家に帰宅すると、そこには久々に見る母、キキョウの姿があった。ベッドの上で横になりながら赤子をその手に抱くその姿は、どこからどう見ても、ただの母親そのものである。

 

「ああ、トルちゃん、おかえりなさい」

 

「ただいま、母さん」

 

「帰ったか。見ろトル、男の子だ」

 

「電話でも聞いたよ。それで、なんて名前なの?」

 

「キルアっていうのよ」

 

 キキョウが嬉しそうにそう答えながら「ねぇ?」とキルアに語りかける。ああ、こうして見れば普通の家族なのに、とトルイは内心複雑な気持ちになった。

 

「そっか……立派に育つんだぞ、キルア」

 

 そう言って優しくキルアの頭を撫でる。撫でながら彼の今後の受難(主に幼少期の地獄)を思うと少しだけ涙が出そうになった。こんなに可愛いのになあ、と。

 

 この数年後に続けざまにアルカが生まれ(この際色々とゴタゴタがあるがそれについては保留する)、そしてカルトが生まれた。

 

 

 そして、その二年後にキルアがゾルディック一族の血を一層濃く受け継いでおり、ずば抜けた暗殺の才能を持っていることが判明した。トルイはこの際シルバに呼び出され「お前には本当に申し訳ないんだが、次期当主はキルアにしようと思うんだ」と言われる事となる。

 

 無論トルイはそれを「そりゃそうだよね」と当たり前のように受け入れ快諾した。

 

 原作では「なんでイルミじゃダメなんだ?」と物議を醸す後継者問題だったが、この世界でも原作同様、トルイでもイルミでもミルキでもなく、やはりキルアが選ばれる事となった。

 

 トルイは知らないことだが才能だけで言うなら同じ時期のトルイと比べてもそう大差無い、どころか、シルバをもってして「こいつは化物だ」と思わせた程の念の才能はキルアには無い。

 

 

 問題なのは、ゾルディック一族の血だ。

 

 

 トルイは頭髪が上半分だけが銀髪で、下半分は黒髪である。

 目は射殺すような鋭い眼光で、しかし色彩は普段は黒色で母親の色を受け継いでいる。体格は、筋肉質だがすらっとして引き締まっている。

 

 このように、見事にシルバとキキョウの血をどちらも受け継いでいるのだ。

 だが逆に言えばゾルディックの血は半分しか受け継いでいない。

 

 そうなると問題となるのは、もしトルイが当主となればその子供はゾルディックの血を半分以下しか受け継ぐことが出来ないという事である。

 

 もしトルイの持つ化物的な念の才能も受け継ぐ子が生まれるなら話は別かもしれないが……念はあまり遺伝がどうこう、といった話を聞いたことがない。

 

 既にイルミは操作系である事が発覚しているし、トルイは特質系、キルアは変化形とバラバラな事からも、念に遺伝等といった血は関係はないという事が明らかだ。

 

 

 よって、ゾルディックとしての血を一番色濃く受け継いで生まれたキルアこそ、この家の次期当主に相応しい、と考えられているのである。

 

 

「理由を聞かなくていいのか?」

 

「いいよ別に。それが父さんの判断なら……僕はそれに従う。それだけさ」

 

「……そうか」

 

 

 そう言ったトルイの顔はまるで機械か石像のように冷たい無表情であった。

 そのことに若干の寂しさのようなものを覚えるシルバだったが……そう育て上げたのは他でもない自分自身であると理解もしている。そして、それは必要なことだった。後悔など、どこにもない。

 

 

 

 それから更に数年が経過した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キルアには三人の兄が居る。

 

 下から、三男のミルキ。10歳から引きこもって、見事なオタデブになっている。何かと自分のことを目の敵にしてきて、鞭などを持ち出して引っぱたいて来たりするウザイ奴。これで一族の中では一番頭が良くてネット関係、情報関係で言うなら恐らくこいつの右に出る奴は居ない。素直に頭は良い、そこは認めるが、やはり少し、こう……馬鹿なのが玉に瑕である。

 

 次男、イルミ。イルミと、父、そしてもう一人の兄によって訓練を受けていた事で若干の苦手意識がある。というかぶっちゃけ嫌いである。というか性格も顔も母キキョウ似なのが無性に嫌いである。人をモノ扱いしてくるし……感情があるのかないのか分からない顔も、不気味で仕方ない。

 

 

 そして長男、トルイ()()()

 

 

「ほら、どうしたの?かかっておいで、キル」

 

「だっ!クソッ……!これなら、どうだ!」

 

「うん、隙有り」

 

 

『K.O!』

 

 

「だぁっ!!?また負けた!!チクショー!!」

 

 

 

 こうして一緒にゲームをやる程度には、トルイ兄さんとは仲が良い。というか、一族の中で彼が一番まともな存在だとキルアは思っていたりする。キルアが暇そうにしているとこうしてゲームに誘ってくれたり、仕事に「ついてくるかい?」と連れて行ってくれて、そして大抵帰り道でどこか寄り道して、遊んでから帰る。

 

 ただ「俺も戦いたい」なんて言うと「キルアには今回の相手はまだ早いかな」と言ってはぐらかされるのだが、これで食い下がるとボコボコにされる。

 

 勝てる気がしない、という意味ではトルイもまたキルアにとって全く勝てるビジョンが思いつかない相手である。少し睨まれただけで足が竦む。そういう意味では兄弟の中で一番苦手だ。

 

 ただ、そう、なんていうか……唯一、兄らしい事をしてくれる兄とでも言えばいいだろうか。

 

 

「もう一回やる?」

 

「やる!今度はそっちのキャラがいい!」

 

「いいよ。じゃあ今度は僕がこっちのキャラを使おうかな」

 

「俺が勝ったらチョコロボ君一年分って約束忘れてないよね!?」

 

「もちろん」

 

 

 キルアはトルイ兄さんの事が嫌いじゃない。




登場人物紹介③
【キルア=ゾルディック】
この世界では第四子として、兄弟の中でも随一の才能を持って生まれた四男。
次期当主筆頭候補でもあり、殺しの才能はピカイチ。
原作との違いとして存在するトルイとは時々ゲームする程度に仲が良い。


登場人物紹介④
【ミルキ=ゾルディック】
三男。兄弟の中でもピカイチの頭脳を持って生まれるが、頭の良い馬鹿の典型とも言うべき性格の持ち主で、キルアからは「ブタくん」と馬鹿にされている。
トルイの事は、殺しの才能ではなく戦闘の才能なら敵なしの兄だと思っており、仲もそれほど悪くないが、特筆する程良くもない。


登場人物紹介⑤
【イルミ=ゾルディック】
次男。兄弟の中では一番暗殺者らしい冷酷な性格の持ち主だが、一番兄弟を愛しているのもまた彼であり、キルアを一人前の暗殺者にすることを考えて日々生きている。
トルイの事はその実力は認めているが、嫌いなタイプだと思っている。


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3話「プロ×VS×プロ」

プロVSプロ




※今回、編集途中のものが予約投稿で投稿されてしまっていました。申し訳ございません。
 また夜中に急いで編集したため誤字脱字やおかしい点が多々あるかと思うので、後日修正を加えたいと思います。




 喰種としての念能力に目覚め、念能力者との戦いも経験し、めきめきと物凄い勢いで成長していく僕には、一つの「模倣している強さのお手本」のようなものがあった。

 

 それはH×H(ここ)とは全く違う世界、だが自分の力の原点である、東京喰種という作品に登場する人物の一人であり、そして物語の主人公でもある人物。

 

 

 金木研、その人である。

 

 

 彼が具体的にどのような人生を辿り強さを手に入れ、それによってどんな物語が、悲劇が、そして終結が訪れたのかはここで語ると長く……あまりにも長くなるので省略するとして。

 

 そんな彼を僕如きが理解しきれている、とは到底言い難い。していたなら僕は前世でも強く生きていられた筈だ。だが、今現時点でこの世界で生きていられるのには、彼が持つ強さを模倣する事で助けられてきている場面がいくつもある。

 

 様々な感情は抜きにして、純粋に彼が持つ外面的な強さについての話をするならば、まず赫子の使い方や戦闘スタイルの模倣。

 

 そして、赫子が想像力で様々な形状に変化し、元来ある形に囚われないことで、可能に出来るだけの力さえあれば、人間そのものを作ることすら可能であるという事を知っている。

 

 僕はこれを鑑みて、自分も想像力を高めれば彼と似たようなことができるようになるのではないか、と考えたのだ。

 

 再三いうようだがこれは念能力である。つまり東京喰種における【赫包】という赫子を使役するための器官が存在しない。平たく言えば赫包無しで赫子が使えるという事である。

 

 それは即ち赫包や赫子といった概念に囚われる必要がなく、本来赫包を複数持つことでようやく使えるような力を、オーラの量次第で自在に引き出せるということにほかならない。

 

 これがどれほどの事かというと。

 

 例えば四本のシンプルな触手状の赫子から、ムカデのような形状にしたり。

 口や目を形成して喋らせたり、それらを身にまとって赫者を模倣した姿となったり、腕のような形を作り、それを器用に動かして本を読んだり、などといった事から()()()

 

 将来的には、蓄積されたダメージから再生が遅くなった時には赫子で腕を作り出したりも出来るようになったり、赫子を硬化し、鋭く、薄く形成する事でで刃を形成、それを手に持てる形にし、擬似的なクインケを生成したりといった芸当が出来るようになるだろう。

 

 羽赫のように赫子を弾丸にして飛ばす事も出来なくは無いはずだ。

 

 甲赫のように頑丈な防御壁や強力な破壊力を秘めた赫子を作り出すことも。

 

 尾赫のようにしなやかでよく伸び、中距離戦で力を発揮することも。

 

 既に使えている鱗赫は優れた攻撃力を誇る赫子である。

 

 まぁ、赫子から腕やクインケもどきを作るという件はともかくとして、攻守は勿論、近距離から遠距離戦の戦闘までカバーが可能になるところまではひとまずの僕の目標であった。

 

 これらが全て一つの念能力から派生するというのだから、この世界の念能力者から見れば僕は些か、卑怯(チート)だと言われてもおかしくない性能となってしまっている。

 

 元々喰種において赫子の数はRc細胞の数(この世界ではオーラがこれに該当する)であり、赫子の形は想像力が全てを物語るのであって、これから僕が僕の目標通りに能力を開花出来るかどうかは、今後の僕次第である。

 

 そう、僕次第なのだが……。

 

 

「まだ、足りないな」

 

 

 僕は、僕がこの世界に生まれ堕ち、彼を喰らってからというもの、何かを奪ってばかりで、彼が遺した「何かを護る為にその力を振るって欲しい」という願いを叶えられずに居る。

 

 そんな僕自身の在り方に矛盾と疑問を感じていない訳ではない。みるみる強くなれるのは良い事ではあるのだが、それで終わってはダメだと思っていた。

 

「……次だ」

 

 僕は……焦っている。まだ自分が、自分の納得出来るだけの実力が伴っていないという事実に対して、奪ってばかりの現状に、少なくない焦りを見せていた。

 

 標的を喰い殺し、依頼を達成し、血の海となったビルを後にし、僕は次の仕事へと向かった。

 

 

 

 

《トルイ=ゾルディック、当時19歳の出来事である。》

 

 

 

 

 

 

「……これは……既に見つかったか」

 

 標的となる人物の居る場所へと訪れたトルイは、街の電気を供給している鉄塔から目的の建物……標的の持つ企業のビルの一つで、同じ企業のビルの中でも最も大きな物となっている……を視認すると同時に、自身が既に敵の感知内に居ることを察知した。膨大な殺気が、敵意がトルイの身に降りかかる。

 

「まだなんもしてないだろ」

 

 ここ最近に依頼ではあまりオーラの伸びを感じられず焦りを感じていたトルイは若干怒気を孕んだ口調でそう呟く。相手に聞こえているかどうかは知らないが……、しかし、これがもし特定の発ではなく円によっての探知で見つかったのであれば、それはひょっとすると、将来的にピトー並の円を持つ事になるかもしれない程の才能の持ち主であると言えるだろう。

 

 オーラの質はここからではあまり分からないが……。

 

「(でもここ最近じゃ一番だ)」

 

 自然と息が上がる。ざわざわとオーラが荒立つのを自覚し、ようやく息を整え、オーラを落ち着かせる。

 

 ひとまずは距離を詰めたい。いつものようにやろう。(赫子をバネのように使う事で、原作のピトー並……とまでは行かないかもしれないが、ミサイルのような跳躍が出来る。それを使用した強襲である。)

 

「(強い奴なら望むところだしね)」

 

 

 

 

 

 そう意気込んで跳躍するために足に力を集中させ、跳躍の姿勢を見せたところで、頭にハンマーで殴られたかのような衝撃が走る。遅れて、ガァンッという音が鳴り響き、バランスを崩して鉄塔から滑り落ちる。

 

 その姿が、ある者の目に映っていた。

 

 

 

「やったか?」

 

「HITを確認しました。頭を打ちましたが、流石は死神というべきでしょうか。多分、やれてません。鉄塔から落ちた所から姿は確認出来ませんが、オーラが生きてます。」

 

「マジかよ。お前に頭撃たれて生きてるってか? ほんとに人間かよ、そいつ」

 

「……? 死神なのでは?」

 

 

 念能力で形作られた、SFの映画に登場しそうな近未来的造形のスナイパーライフルの銃口の覗き込み、今しがたトルイの頭に銃弾を撃ち込んだのは女性。名をチアーという。小柄で、年は20に届かない程。

 

 一方で「そりゃただの通り名みてーなもんだろ」と突っ込むのは、手に念能力で形作られた片手斧を持ち、これで仮面でもつけていればジェイソン役にピッタリな風貌と体格の男。名をベズと言う。年は20代後半、もしくは30代前半といったところだろうか。

 

 二人は賞金首ハンター……それも、凄腕と言っていい。

 

 チアーは今しがた見せた驚異的な狙撃能力を誇り、円の範囲もピカイチの才能の持ち主。精度は百発百中。一方でベズは近接戦闘のプロ中のプロだ。

 二人は現在、経緯は省略するが……トルイが現在狙っている者アガロ=ボザァッバという人物によって雇われたハンターである。

 

 目には目を、歯には歯を、殺しのプロには殺しのプロを。

 

 

「がーん……残念。」

 

「はぁ……で、様子は?」

 

「動き、ないです。もう一発撃ちますか。」

 

「おう。事前にも伝えたが、今回のは容赦無しでOKだ。」

 

「了解です。次弾装填。目標のオーラ確認。角度修正。オーラ充填……完了。撃ちます。」

 

 

 そう言うや否や、即座に次の弾丸を発砲。ガァンッ!という音が鳴り、辺りにこだまする。銃弾が夜の街のビルの上空をすり抜け、トルイの頭に吸い込まれるように飛来する。カラン、と薬莢が落ちる音がした後、再びチアーがスコープを覗き込む。

 

「どうだ?」

 

「目標のオーラ……生存を確認。次弾装填。角度修正。オーラ充填……完了。撃ちま……」

 

「……ん? どうした?」

 

 

 チアーが驚愕に顔を染めてスコープから思わず顔を離す。そしてもう一度スコープを覗き込み、恐る恐る口を開く。

 

「ひょ、標的、再び鉄塔に飛翔する形で元の位置に戻りました。肉眼でその姿が見える位置に……いや、違う? まさか……こ、こっちを……見てます。な、何か手に……持っているのは……弾丸? 私の……受け止めた……!? ……こ、こっちに来ます!!」

 

「嘘だろ!? マジのバケモンかよ!!」

 

 

 二人の顔が驚愕に染まる。まず銃弾、それも念によってかなり強化を重ねた物をくらって無事である事から既に驚きではあったが、それを受け止め……恐らくは撃たれた角度からこちらの位置を割り出したのだろう。今度は鉄塔から飛翔する形ではなく、ビルからビルへと、まるでハードル走でもするかのように飛び移りながら正確にこちらへと向かっていた。

 

「距離800……500!?……300……!!」

 

「俺がやる、下がってろ!!」

 

 

 チアーの優れた円の精度で距離を割り出すも、あまりの速さに「これはスナイパーで狙える相手じゃない」という判断に至った。これにより近接戦を得意とするベズが迎え撃つ形となり、そしてチアーは構えていたスナイパーを手放し、近距離用のショットガンのようなものを新たに構え直す。

 

「……来るです!」

 

「こっちも目視で確認した!」

 

 

 ほんの数十秒あるかないか、という僅かな時間でスナイプ先からここまで高速で来れるような化物を相手に、二人は一歩として引かない。それは自信からか、あるいは裏打ちさせるだけの計画があるのか。

 

「【序曲(オーバーチュア)】!!」

 

「【断・材(ダン・ザイ)】!!」

 

 

 高速で飛来した勢いをそのままに、赤黒い触手を振るうトルイと、それを迎え撃つ形で戦斧を振り抜くベズ。

 

 両者の攻撃の余波でビルの屋上が破壊され、衝撃波で窓ガラスが次々と割れていく。

 

 破壊されたビルによる砂煙が晴れ、二人の姿が明らかになると、振るった触手がまるで木がその繊維の方向に沿って裂ける時のように、大きな裂傷が残されており、一方のベズは余波で細かな傷を負っているだけに済んでいる。

 

「ずぁぁッ!!(【二重奏(デュオ)】!!)」

 

「くっ!?増えんのかよその触手!?」

 

 しかし、トルイもその程度で怯んで動きが悪くなるほど都合の良い相手ではない。

 裂傷が出来た赫子の代わりとでもいうように二本目の触手を具現化して振り下ろす。

 だが、ベズはベズでその程度でやられてくれるほど優しく無かった。それに加え……。

 

「【弾丸の結果は固定化される(ブレッド・シャット・ロック)】」

 

 刺客は一人ではない。ショットガンから放たれた弾丸はトルイに向かって放たれ、それを硬化した赫子で咄嗟にガードするも、弾丸自体が特殊な念で覆われているようで、弾かれるハズの弾はドリルのようにガリガリと硬化した赫子に食らいついて離れようとしない。

 

 それを見て、咄嗟に赫子を解除。弾丸を避ける。

 

 その一瞬の隙を狙い、ベズが戦斧を片手に斬りかかるも、そのまま驚異的な身体能力に物を言わせて体勢を立て直したトルイに隙など存在せず、「【二重奏(デュオ)】!」今度はチアーとベズの二人へ向かって同時に赫子を振るう。そのまま連続で赫子を振るい続け、瞬きすることも許されない高速の猛攻を仕掛ける。

 

 それをベズは手斧で切り伏せる事で、チアーはショットガンの連発で赫子を撃ち落とす事で凌ぐが、次から次へと赫子は襲いかかる。

 

 

「(強い……!ガードしててこのダメージかよ!)」

 

「(これじゃ撃てない!)」

 

 

「(硬い……!これでも凌げるのか!)」

 

 

 猛攻の中、二人は内心で驚愕する。ベズとチアーは、自身が完全にガードに専念せざるを得なくなる程の力量と破壊力を持つ相手が居ることに。トルイは2対1とは言え、猛攻を仕掛けてここまで凌がれているという事実に。

 

「強い、なあ!!アンタら!!」

 

「そりゃどうも!」

 

「これでも修羅場、くぐってます。」

 

 

 そう言う二人の顔に焦りはない。何故ならこのまま猛攻を続けていても、消耗が大きいのはトルイの方だからだ。何度も具現化と消滅を繰り返し、オーラを消耗している行為はトルイのオーラを大きく削る事となる。

 

 より分かりやすく言えば、このまま攻撃を凌いでさえいれば、勝手にバテるのは相手の方だ。

 

 

「(……とか思ってんだろ!?)それならさ!!こんなのはどう!?」

 

四重奏(カルテット)

 

 その瞬間、トルイの纏うオーラが更に強大に、禍々しくなっていく。そして、腰から延びる二本だった赫子は、2対の4本となり、強度や攻撃の鋭さも段違いに増していく。

 

「なっ……!(更に増えやがった!?)」

 

 両者が一本ずつだった赫子でようやく対応出来ていたレベルの攻撃が今までの倍になって振るわれる。トルイの消費するオーラも倍だが、それよりも先に二人の防御をくぐり抜け……。

 

「糞が!!」

 

「ベズ!?」

 

 これ以上は捌ききれない。ならば……前に突き進む!

 

「なっ……!?」

 

「オォォォ!!【断・材(ダン・ザイ)】!!」

 

 殺られる前に殺る、そう言わんばかりの、ダメージ覚悟の特攻に出たベズ。

 それは猛攻を仕掛けていたトルイの意表を見事に突き、振りかぶった戦斧はそのままトルイの身体を一刀両断せんばかりの膨大な念が込められている。

 

 数瞬後、鮮血が部屋に飛び散る。

 

 

「……クソッ!!」

 

 

 タイミングは完璧だった。だが、戦斧はトルイの身体にまで届かず、その恐るべき反射神経によって、交差する形でガードした両腕の内、左腕を切り落とし、右腕の半ばに差し掛かったところで勢いを殺されてしまっている。

 

 トルイはまず両腕を交差する形でガードし、左腕を失うが、その直後に赫子でベズの戦斧を持つ()()()赫子で受け止め、これ以上刃が進む事を阻害したのだ。

 

「ぐぼおっ」

 

「ベズ!!」

 

 ぼとりと落ちた腕に一瞥入れることすらなく、腕が使えなくなろうとこちらには脚がある、とでもいうように、完全なカウンターを入れる形でベズの鳩尾に思い切り蹴りを入れる。更に、一切の躊躇なく、キックボクシングのような動きで連続かつ高速で繰り出される蹴り。

 

 その威力はベズの身体を連続の蹴りだけで浮き上がらせる程で、速さは浮き上がったベズの身体を地に降ろす事すら無く、一瞬でどれだけ蹴りを放っているか数える事すら不可能な程の高速の蹴り。

 

「~~~~~~ッ、ガァッ!!」

 

 トドメ、とばかりに一層鋭いオーラが込められた回し蹴りで蹴り飛ばされる。その威力で吹き飛ぶベズは備え付けの家具を破壊しながら部屋の壁を破壊し、隣の部屋の壁に叩きつけられたところでようやく停止する。

 

 壁からずるりと床に落ちたベズは気を失っているのか、あるいは……。ピクリとも動く様子を見せない。

 

「ベ……ッ!!」

 

 思わず、といった形で仲間の方に意識を向けたその一瞬。

 音すらなく、チアーの元まで目にも止まらない速度で距離を詰めるトルイ。

 チアーは自らが晒してしまった隙に一気に思考が高速化するのを感じた。

 

「(撃つ……間に合わない、避ける、無理、逃げ……無理……迎撃するしか……!)」

 

「チェックメイト。」

 

 瞬間、視界が明滅し、肺から全ての空気が吐き出されるような感覚に陥る。

 空気を取り込もうにも、身体が思うように息をしてくれない。

 目を白黒させ、気付けば、自分の体が床に転がっているという事実を知る。

 

 ガードの上からのトルイの本気の一撃を受けて、受け流しきれずに吹き飛ばされ、ガードしきれなかった背中を吹き飛ばされた先の壁に強く打ったのだろう。

 

 薄れいく意識の中、チアーは自分を見据える黒い死神の姿を見た。

 

 チアーは、ベズが切り落としたハズの腕が、まるでトカゲのしっぽのように生え変わっているように見えた。普通の人間であるとすれば有り得ない光景だが……コイツなら有り得る。ほんの数分……いや、数十秒にも満たない交戦で、そう思ってしまう程の何かがあった。

 

「(……やはり、人間ではない、です。アナタは……正しく、死神……)」

 

 チアーは最後に黒の死神がこちらに向かって何事か話しているのを見て、しかし、聞き取れず……そのまま意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ……?」

 

 その十数時間後、意識を取り戻した彼女が見た光景は、病院の天井だった。

 

「(何故?……殺されたと思ったのですが)」

 

 何故生きているのか……そう不思議に思いつつ、医者から聞かされた情報によると、背骨にヒビが入っているものの、重要な神経には傷は無く、安静にしていれば無事に回復出来るだろう、とのこと。

 

 また、相棒であるベズに関しては、自分より更に重傷で全身がズタボロだが……きちんとした治療を施せばいずれは回復出来るだろう、との事だった。

 

 もっとも、二人は念能力者である為、医者の予想より何倍も早く回復が期待できるだろうが……。

 

 

 黒の死神と交戦し生き残ったのは良いが、護衛依頼には完全に失敗したと言っていいだろう。

 

 依頼主である人物、アガロ=ボザァッバは死亡。

 そして他の護衛の構成員は文字通りの全滅。

 文字通り、一人も残らず殺され尽くされ、生き残った(見逃された)のはハンターである自分達だけである、という事が分かった。

 

 それを聞いた彼女は、しばらく呆然とその場で天井を眺めていた。なんというか、化物って居るんだなあ。と、ぼうっとそう認識し……「……出来れば、もう二度と会いたくない、です……黒の死神……」と零した。

 

 この数日後に、チアーとベズは自分を雇っていた者についてキチンと調べると、表の顔はとある巨大な企業の代表取締役であるという一面を持つが、裏の顔は、マフィアを通じて違法薬物を街に売り捌く狂気の商人であるという一面を持っているということが明らかになった。

 

 これはハンターサイトにすら載っていない、隠された真実であり、依頼の際にもそのような素振りは一切見られなかったのだが……本人が死んで、隠されていた物が全て顕わにされてようやくそれが露見し、更には関係したマフィアの情報までものが浮き彫りとなったことで確定的となった。

 

 ……二人はそれを知った後、顔を見合わせてこう思った。

 

 

「……なんつうか、災難だったな、俺ら。」

 

「ですねえ……まあ、死神相手に命だけは拾えたみたいです。」

 

「まあ、な……。」

 

「……ところでなんですけど、黒の死神に「黒の」がつくのって……」

 

「ああ……うん、そうなんじゃねえの?見逃されちまったのを考えると……そういう事なのかもしれねえって思っちまった」

 

 

 

 

 ひょっとすると、黒の死神が“黒の”と付く理由は、黒い真実を持つ人物にとっての死神だからなのかもしれない。

 

 二人は病院の屋上で今もどこかで暗躍しているかもしれない彼に「もう会いませんように」と祈りながらそんな事を思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――君達はマフィアとかと違って良い人そうだから……美味しそうだけど、喰わないでおくよ。……もう聞こえちゃいないか。

 

 

 

 




登場人物紹介⑥

【ベズ】
本編に存在しないオリジナルのモブキャラ。
今後彼が出るかどうかは不明。
戦斧を持って戦う近接戦闘のプロで、賞金首ハンターの中でもかなりの実力者。
相棒のチアーはビジネスパートナーだと思っている。

【チアー】
ベズ同様オリジナルのモブキャラ。
今後彼女が出るかどうかは不明。
念能力で作り出した銃(造形はかなり適当)で戦う超超遠距離戦闘におけるプロで、
スコープを覗く事で円の範囲が広くなる念能力の持ち主でもある。
相棒のベズは「いい筋肉してますね」と思っている。


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